約 1,001,294 件
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2555.html
光太郎がスカリエッティの研究所に移送されてから暫くの時が過ぎた。 研究所にやってきた光太郎に、スカリエッティの秘書のウーノはスカリエッティの都合に合わせて日に2,3種類の検査を行い、数日をおいてまた検査をする、というスケジュールを組んだ。 基本的に人が良いせいで思わず承諾してしまった光太郎は、今の所その通りに協力していた。 お陰で宛がわれた部屋で暇を持て余していることも少なくない。 広い場所を借り、空手の稽古をしたり、(許可をもらう相手は変わってしまったが)アースラにいた頃と変わらずドクターの許可を得て本を読み、世話係の少女に頼んで外に出て気分転換をするという毎日を過ごすのは、そう悪くない。 クライシス帝国との戦いで傷ついた光太郎は、休息を欲していた。 未だ光太郎は、何か出来るような精神状態ではなかった。 光太郎に戦いの結果残ったのは、どれだけの犠牲を支払ったかと言うことだけだった。 守ろうとした地球を、本当に守ることが出来たのか確認する事も出来ない。 地球に戻る為にもどのような形にせよ…再び立ち上がる為に、光太郎には気持ちを整理する時間が必要だった。 そうしてゆっくりと毎日を過ごすある日のこと、何度目かの検査日の翌朝、宛がわれていたベッドで光太郎はドクターに借りた本を読んでいた時だった。 何冊も本を読むうちに読むスピードが上がり、光太郎は数秒に一度位の速さで本を読み進めていく。 それで頭に入るのかとこちらでの生活に不慣れな光太郎の世話役を命じられた少女に尋ねられたこともあったが、大丈夫だと光太郎は返事を返している。 不意にページを捲っていた指が止まった。誰かが読んでいる途中だったのか、途中に栞が挟まっていることに光太郎は気づいた。 それを確認した光太郎は、栞が挟まっていたページから目を反らした。 そして、視線は在らぬ場所へと落とされる…何か重要なものでも発見したかのように、光太郎の表情は険しさを増していた。 「…嫌な予感がする」 光太郎はそう言うと体を起こしてスカリエッティの所へ向かい走り出した。 …そこまで見て、スカリエッティは監視映像を止めた。 困っているような、面白がっているようななんとも言えぬ微妙な表情でスカリエッティは秘書のウーノや、自己判断による行動を許可する程信頼しているトーレ。 スカリエッティの作り出し、ナンバーズと呼んでいる戦闘機人達の内から呼んでおいた2人に顔を向ける。 そのまま目配せをして意見を求めてみたが2人とも不可解そうな表情をみせるだけで返事は無かった。 ナンバーズの三番目、紫の髪をショートカットにしたトーレが確認するように尋ねた。 「この後光太郎はまっすぐドクターの所へ乗り込んできて、驚いたドクターはうっかりケースから出していたジュエルシードを落としかけたと?」 「…これで三度目だ。偶然とも思えないが、彼が私を監視しているような素振りは無い」 スカリエッティよりも10cm以上も背が高い為、自然と見上げながらスカリエッティは返事を返す。 トーレは聊か咎めているような口調でたずねたが、白衣のポケットに手を突っ込んだままのスカリエッティにそれを気にした様子は無い。 それどころか返事を返した声は、そうしたことが起こったのを面白がっているような雰囲気を持っていた。 答えたスカリエッティは、ウーノに椅子を持ってくるように頼むと再び光太郎の監視映像や検査で取ったデータを並べ、眺め始めた。 そんな創造主の態度に、管理局が大した警備もつけずに外部に移送していた所を強奪してきたトーレは苦い顔を見せる。 ジュエルシードとはロストロギアに指定されている次元干渉型エネルギー結晶体…言わば使い勝手の恐ろしく悪いちょっとしたキングストーンで、取り扱いには十分に注意しなければならない。 スポンサーに頼んで送ってもらった異邦人一人の『嫌な予感がする』で、創造主が落っことしたなんてトーレには目も当てられない話だった… 同じくウーノも、スカリエッティを心配し苦い表情でどこかから椅子を持ってくる。 「何らかのレアスキルを所持しているとも考えられますが…」 「ありがとう。今のを見て本当にそう思うかね?」 口を濁すウーノに一瞥を与えて、再び表示させたデータをスカリエッティは眺める。 礼を言って受け取った椅子に腰掛ける彼の目は生き生きとしていた。 データはまだ殆どが不明とされていて、それ以外の洗脳結果などについては効果なしと記載されている。 スカリエッティの元にはスポンサーからの惜しみない援助で購入された最新の機器が揃っているのだが、それらをもってしても光太郎の体内を調べることはできないでいた。 それに加えてこのような原因不明の奇行に振り回され、スカリエッティの本来の仕事は妨げられていることをウーノは不愉快に感じていた。 「ドクター、やはり光太郎は早急に処分してサンプルの一つとしてしまった方がよろしいかと思われますわ。彼が来てから、予定していた作業に大きな遅れが生じ始めています」 「予定? そんなもの構わんさ。生きた興味深いサンプルを研究するには多少の遅れは仕方がない…スポンサーもそれは承知している」 秘書の進言を、スカリエッティはばっさりと切って捨てた。 異世界の質量文明が生み出した生物に興味津々らしく、鼻歌混じりにそれに付き合うつもりのようだった。 ニヤつきながらスカリエッティは「嫌な予感がする」パターンを割り出そうとでもしているのか、早送りで映像データを流していく。 流れていく映像に自身の作品の一つが移り、彼は呟いた。 「ほー…チンクはうまくやっているようだね」 「はい。騎士ゼストの世話をしていたせいか、思いのほかうまくやっているようです」 諦めたようにため息をついたウーノは、スカリエッティの隣に立ち、それをサポートしながら返事をする。 名前が挙がったチンクは、スカリエッティが作り出した戦闘機人達、ナンバーズの一人だ。 五人目のナンバーズであるチンクは他のナンバーズとは違う狙いで作った個体でナンバーズの中ではもっとも小柄だ。 発育不良な体をチンク本人が気にしているのは知っていたが、当時のスカリエッティがどこかの軍隊が少年兵に頭を悩ませていると聞き、お遊びであえてそうなるようにしたのでそれは諦めてもらうしかない。 チンクは狙い通りの結果に加え、能力も高く誰に似たのか生真面目で面倒見のいい性格に育ったので重宝している。 例えば今回のように光太郎に見せてはならないものを見せない為に、光太郎の世話役を命じたりするには打ってつけだった。 小さい体で男性としても大柄な光太郎の世話をあれこれとしている姿が映っている所を見ると、人選は間違っていなかったようだ。 そこにトーレが口をはさむ。 トーレは、画面に映る妹を咎めるような視線を向けていた。 チンクは、腰まで伸びる癖の無い銀髪を揺らし、急ぎ足になって光太郎を先導していた。 「何故チンクに? 私なら三度もドクターのお邪魔をさせるような真似はさせませんでした」 光太郎が普通に歩くだけでドンドン引き放されていく妹は、どう見ても役者不足だとトーレは感じていた。 普段は妹を虚仮にするような言い方は決してしないトーレに、スカリエッティは喉を鳴らして笑った。 意気込むトーレに、スカリエッティは映像へと目を向けたまま返事を返す。 「初めてチンクと会わせた時、光太郎が驚いていたからさ」 返事をしながらスカリエッティは、光太郎の世話役兼監視役として誰を選ぶか考えていた時のことを思い出す。 チンクを小さな女の子呼ばわりして初印象を悪くする光太郎のある種の不器用さは、チンクの世話を焼きたがる気性と馴染むだろう。 そして彼の信用をあげる一助となるとスカリエッティは考えていた。 「そういえば…あの時彼が面白いことを言っていたな」 「と言いますと?」 「チンクの服装について尋ねてきてね。クライシス帝国ではあの程度のボディスーツ程度の機能性では話にならないようだ」 「…それは、どちらかというと見た目の問題では?」 ウーノはチンクが身に着けているのと基本的には同じものを着ているトーレを見て言う。 彼女らのボディスーツは機能性は案外高いのだが、基本は体のラインが色々と出すぎる…健全な男性らしい光太郎が顔を顰めるのも仕方が無い話だ。 そうウーノは思っていた。 だが、もっと凄いのを作らなくてはねと零すスカリエッティにはその辺りの改善は永遠に無いと十分すぎるほど理解してもいるウーノは、それ以上言わなかった。 「まあ、それはいずれ彼が驚くような防護服も作ってみせるとして、あの人の良さそうな光太郎に子供が殺せるとは思えないだろう?」 尋ねられたトーレは嘲りに近い笑みを浮かべて、「そうですね」と答えた。 スカリエッティよりも背の高いトーレから見ればスカリエッティの胸程しかないチンクの体躯は、見ていて少し…有体に言うとかわいそうなものだった。 その時部屋の扉が開いて、当のチンクが研究室に入ってくる。 三人は普段の彼らからすると優しすぎる表情を見せ、黙りこくったままチンクが自分達の所へやってくるのを待った。 チンクは向けられる視線に訝しげな表情を返す。 「ドクター、私をお呼びだと聞きましたが…………なんです?」 スカリエッティ達は何も言わずに、生暖かい目で首を振った。 数年前の戦いで片目を負傷して以来、眼帯をつけているチンクは、片方だけの目を何度か瞬きさせて首を捻った。 「チンクから直接話を聞きたくてね」 「光太郎のことでしょうか?」 「ああ。彼がいた世界には彼と同等以上の改造人間が後10人いるらしいが…」 チンクの報告をまとめたものを広げ、スカリエッティは尋ねた。 詳しい話は聞けていないようだが好奇心を刺激されているらしく、椅子から身を乗り出しさえしていた。 「はい、先輩と光太郎は呼んでいるようです。私達と同じような間柄なのかもしれません」 「ふむ…」 スカリエッティは何か思うところがあるらしくそう返すだけに止まる。 「そう考えると不憫なものだな。彼は今異世界に迷い込んで一人ぼっちというわけか」 『ならば研究して彼の兄弟を作ってやるのが研究者としての責務だろうか』と、スカリエッティは笑った。 スカリエッティがそう零すのを聞いて、チンクはショックを受けたのか映像データの中の光太郎に向ける視線に同情の色が透けて見えた。 それから2つ3つ質問を重ね、メモを取ったスカリエッティは、 「…なるほど。よくわかったよ。ではチンク。もう一つ頼んでもいいかな」 そう良いながらウーノが用意した椅子の上で座りなおす。 椅子の脚が長いせいでそれでも立ったままのチンクをスカリエッティが見下ろしているのを見て、ウーノは手を止めて苦笑した。 「なんでしょうか?」 「彼と一緒にミッドに行って彼の着替えを2,3着買いに行ってきてくれないか?」 「服…ですか?」 首を傾げる三人に、スカリエッティはため息をついて頷いた。 すると新しいモニターが空中に浮かび上がり、昨晩の映像だと日付でわかるそれにはスカリエッティと光太郎が映っていた。 バスローブを身につけ、風呂上りの牛乳を飲むスカリエッティと、その隣、洗濯機の前でタオルを腰に巻き鍛え上げられた裸身を晒して仁王立ちする光太郎…スカリエッティはげんなりした顔で言う。 「私は自分の服を貸すつもりはないし、毎晩タオル一枚で洗濯機の前に立たれるのも迷惑なんだ」 横目で光太郎を見たスカリエッティは、無言で洗濯機を見続ける光太郎に居心地が悪そうにして少しずつ距離を置いていった。 「ああ。なんなら、君達の服も買いたまえ」 その時の自分の様子を見苦笑がもれた。 殆どセクハラに近い映像を見せられている三人のリアクションなど構いもせずに、スカリエッティは言う。 「ウーノ、後で私のスーツを仕立てた店などをチンクに教えておいてくれ」 因みにウーノに任せるうちにいつの間にかスカリエッティの服の値段と着心地が跳ね上がっているのだが、スカリエッティはそんなことには全く気づいていなかった。 毎日来ている服がきっちりと手入れされ、気に入って何年も着ているものもほつれ一つないのだがそれが当然だと信じていた。 「な…なんでしたら、私が参りましょうか?」 少し青ざめた顔で映像を視界に入れないようにするウーノにスカリエッティは間髪いれずに首を振った。 「駄目だ。そんなことになったら私が困るじゃないか。君がいない間、一体誰が私の世話をしてくれるというんだね?」 「はい」 「よよ予算は幾ら程ですか!?」 二人をジッと見つめるトーレを小突きながら、顔を赤くしたチンクが尋ねた。 ウーノも咎めるような目を向けると、詰まらなさそうにトーレは部屋を出て行く。部屋を出て行く時、トーレは肩越しに振り向いてスカリエッティと肩を竦めあった。 「幾らでも構わないから、見栄えよくしてやってくれたまえ…特に湯上りに見苦しくないように頼む」 そう言って、今日もまた管理局の用途不明金の額を増やすスカリエッティの金銭感覚にウーノは困ったような顔をする。 それくらいの浪費をしてもいい位には働いているが、スポンサーの一人である首都防衛隊代表の前ではこんなことはないようにしなければならない。 「わかりましたドクターとは別の店を教えることにしましょう」 「? 何故だね?」 「ドクター…」 呆れたような顔でウーノは不思議そうにするスカリエッティに近寄ると、体に手を這わせて服の掴み縫い目などを見せる。 「ドクターの服は全てオーダーメイドですから。魔法を使う職人でもその日に一着と言うのは無理です。今ドクターが着ている服を作った職人は人気もあって数年待ちなんですよ?」 「金を積んで急かせばいいだろう?」 「ドクターと同じような手合いが多いんです」 「なるほど。やる気を無くしてしまうのか」 説明を受け、やっと納得したように言うと、スカリエッティは興味をなくしたように作業に戻る。 ウーノはそんな様子に慣れているので気にせずチンクに既製服の店などの位置を教え、準備をするように言い渡した。 一番上の姉に教えられたことを何度か頭の中で整理しながら部屋を後にするチンクの背中を不安げに見送ってからウーノは通信画面を開き、今度は光太郎に連絡を取る。 部屋で読書中だった光太郎は、空中に浮かぶ通信画面に未だに不思議そうに見上げた。その田舎者っぽさにウーノは顔をしかめる。 だがそれを我慢して説明をしたにもかかわらず、光太郎は首を横にふった。 「厚意は感謝するが、受け取るわけには「こちらの買い物もありますから、荷物持ちの報酬とでも思ってください。5分後にチンクが迎えに行きますから準備をよろしくお願いします」 恐縮する光太郎にそっけなく言い捨てて、ウーノは通信画面を切る。 疲れた様子で彼女はため息をついた。 そして、外出の準備をしに行ったチンクへと通信回線を開く。 準備万端と言った顔でウーノが時々使っている車を用意しているチンクが映し出される。 手入れは怠っていないためすぐに動かせるが、シートの調整などに手間取っているらしい妹を見て、ウーノは頭を抱えたくなった。 少し考え…すぐに頼りになりそうなのは、長期の潜入任務に従事しているナンバーズの二番目、ドゥーエだけかもしれないと思い至ってから、彼女はチンクに話しかける。 「…チンク。ドゥーエに連絡をしておくから彼女と合流しなさい」 「ウーノ姉、どうしてですか?」 腑に落ちない顔で尋ねてくるチンクは、彼女ら戦闘機人達用のボディスーツ…体にぴったりとフィットするそれの上からチンクの固有武装である防御外套『シェルコート』を被っていた。 殆ど外へ出さずその手の感覚にズレがあるのだろうが、ボディスーツの上から灰色のコートだけ。 買い物に行くのにこれはないと唖然としながらウーノは答えた。 「そんな格好でそんな質問をするからよ」 「どういう」 何かチンクが言っていたような気がするが、視界の端でスカリエッティが飲み物を欲しがっていそうな雰囲気を見せたのでウーノは通信を切った。 ウーノは部屋を出て用意していた飲み物をグラスに注ぎ、スカリエッティの元に戻る。 作業をしていたスカリエッティは、戻ってきたウーノが盆の上に飲み物を載せているのを見て、手を止めた。 差し出されるグラスを取り、「ありがとうウーノ」 そう言っておいしそうに飲むスカリエッティに「いいえ」とウーノは答え、グラスを一度スカリエッティから受け取る。 グラスの表面に浮かぶ水滴をふき取り、ウーノが減った分を継ぎ足す様をスカリエッティは少しそわそわとしながら待つ。 クスリと笑い、返されたグラスから仄かに漂う甘い香りを楽しむスカリエッティのところに、光太郎とチンクがどちらが車を運転するかで揉めていると報告が来るのはもう少し先だった。 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/jzrowa/pages/61.html
最後に愛と勇気が勝つストーリー。 そんなもの、ありはしなかった。 ◇ 森の中を一人の青年が駆けていく。 その手に持っている銃は、誰かと戦うならば大きな力となりえるだろう。 だというのに、青年の顔には迫り来る死への恐怖が張り付いている。 青年―――浜面仕上は、自らの考えの甘さをただひたすらに悔いていた。 「くそっ!」 視界の端に薄紫の光を捉え、自分が『追手』に追いつかれたことを悟る。 足を止めぬまま周囲へと視線を向ければ、こぶし大の光が五つ、彼を追いかけるように飛行していた。 その光の中心には虫のようなフォルムの機械が存在し、その無機質な姿が浜面の恐怖を容赦なく煽る。 (無能力者一人殺すのに、随分と手間かけやがる……っ!) 学園都市による粛清。 この殺し合いの場を浜面仕上はそう判断していた。 第三次世界大戦の最中に学園都市との交渉材料を手にし、大戦を生き延びたまでは良かった。 恋人である滝壺理后と共に学園都市へ戻り、麦野や絹旗と共に新生アイテムとして本格的に動き出そう――というところでこのザマだ。 考えが甘かったのだ。 交渉材料となりえるものをたった一つ手に入れたところで、学園都市が本気になればこんなにもあっさりと捕らえられてしまう。 『聖杯』とやらが何なのか浜面には見当もつかないが、こんな殺し合いに自分が参加させられているのは学園都市に反抗した報復に違いない。 (だからって、黙って死ぬわけにはいかねぇ!) ここには自分だけではなく、滝壺も連れてこられている。 その事実が浜面に殺し合いへの反抗心を生み、必死に生きようと足掻く力を作り出していた。 「っ!?」 だが、そんな思いも空しく飛び回る『虫』の一匹が右足に激突してきてバランスを崩す。 深夜の森の中を全力疾走していたのだ、 僅かにバランスを崩しただけで足を取られ、為す術もなくその場へ転倒してしまう。 慌てて起き上がろうとするが、『虫』は既に浜面を取り囲み逃げることが不可能であると気付かされる。 「ちくしょうが……っ」 せめてもの抵抗として銃を構えはするが、不規則に飛ぶ『虫』に当てる自信はない。 先程攻撃を受けた右足に異常は見当たらない、直接的な攻撃力は低いのだろう。 だが、恐らくは学園都市の兵器であろうそれはどのような機能を持っているか予想できない。 仮に何らかの薬剤を注入されてしまえばそれで終わりだ、下手をすればさっきの足への一撃で全て終わっていた可能性すらある。 『虫』への対抗策を考えようとしているが浮かぶのは最悪な考えばかり。 浜面の目に段々と絶望の色が湧き上がる。 「まったく、見てらんないよねぇ」 声と同時に飛来した何かが『虫』の一匹を打ち砕く。 「な……!?」 「ほんと、こんなのはらしくないってのにさ」 続けざまに二匹。 『虫』は回避することも出来ないまま砕かれる。 唖然とする浜面の隣へと、年端もいかぬ少女が降り立った。 「ボサっとしてないで、さっさと立つか逃げるかして欲しいんだけどねぇ」 「あ、わ、悪い」 咎めるような言葉に思わず謝り、その場に起き上がる。 たったそれだけの間に残っていた『虫』も仕留めたようで、少女は槍を片手に浜面へと向き直った。 「で、怪我とかあるか?」 「いや……大したことない。すまない、助かった」 浜面の答えに「そっか」とだけ反応を返し、すぐに背を向けてしまう。 「お、おい! どこに行く気だ!?」 「言う必要があるかい? わざわざ助けてやったんだから、簡単に死ぬんじゃねぇぞ」 それ以上浜面が言葉を発するより早く、 少女は地を蹴りあっという間に浜面の視界から消えてしまった。 「な、なんなんだアイツは……?」 【一日目/深夜/A-3 森】 【浜面仕上@とある魔術の禁書目録】 [状態]健康、疲労(中) [装備]モーゼルC96(レッド9)(10/10)@現実 [所持品]基本支給品一式、9mmパラベラム弾(40発)、ランダム支給品×2 [思考・行動] 1:滝壺と共に生きのびる 緑々しい野原の中、一人の少女が佇んでいた。 薄い紫の髪をなびかせ、少女――ルーテシア・アルピーノは小さくその口を開く。 「……来た」 数瞬の間を置き、その眼前に先程浜面を助けた少女――佐倉杏子が現れた。 「アンタ、魔法少女だよな」 「………」 「ダンマリかい、別にいいけど」 一つ息を吐きながら、杏子は手にした槍を突きつける。 切っ先を目の前にしながら、ルーテシアは瞬き一つせずじっと杏子を見つめていた。 「……アンタも、魔法少女の真実に絶望したクチかい?」 「―――インゼクト」 「っ!」 周囲の草むらから飛び出してきた『虫』を飛び退ることで回避し、杏子は思いを馳せる。 (らしくない―――ほんと、何してるんだろうねぇ、あたしはさ) 襲われてる人間を助け、悪人を退治する。 そんな正義の味方のような生き方、自分はしていないはずだった。 (ったく……これも全部、さやかのせいだ) この殺し合いに参加させられる前、彼女は死んでいる。 絶望に染まり魔女と化した少女を、その身を呈して止めたのだ。 (アタシはさやかを救えなかった。私達に希望なんて、キュウべえが用意しているはずがなかったんだ) 彼女の願う物語は存在しなかった。 それでも、彼女は思い出すことが出来たのだ。 自分が憧れた、みんなを救う魔法少女という存在を。 どうして死んだはずの自分が、美樹さやかが、巴マミが生きてこの場にいるのかは考えてもわからない。 だが、どうせわからないのならば、考える必要なんてない。 「今度こそ、見せてやろうじゃん」 「………?」 迫る『虫』を打ち払いながら、杏子は笑う。 その目に希望の光を灯し、前だけを見つめて。 「愛と勇気が勝つストーリーってやつの始まりだ! 話の最初は、アンタを止めるところから!」 【一日目/深夜/B-3 野原】 【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]健康 [装備]杏子のソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ [所持品]基本支給品一式、ランダム支給品×2 [思考・行動] 1:目の前の少女を止める 2:愛と勇気が勝つストーリーを目指す! ルーテシア・アルピーノの心は閉ざされている。 眠り続けている母のメガーヌが目覚めない限り、この心が開くことはないとジェイル・スカリエッティに信じこまされて。 だからこそ、この殺し合いに関しても「聖杯があれば母が目覚める」程度にしか捉えていなかった。 (……アギトがいたら、止めるのかな) 閉ざされているはずの心を、自分でも気づかない程度に揺らしながら――少女は目の前の敵へ殺意を向ける。 【ルーテシア・アルピーノ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 [状態]健康 [装備]ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS [所持品]基本支給品一式、ランダム支給品×2 [思考・行動] 1:目の前の少女を倒す 2:最後の一人となり、聖杯で母を目覚めさせる。 ※ハクテンオウ、ガリューの召喚は制限されています。 時系列順で読む Back 虚刀鑢・完了計画 Next 狂気と否定と目隠しと 投下順で読む Back 虚刀鑢・完了計画 Next 狂気と否定と目隠しと キャラを追って読む 実験開始 ルーテシア・アルピーノ [[]] 実験開始 佐倉杏子 [[]] 実験開始 浜面仕上 [[]]
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/2368.html
13話:水も滴る良い女 「あの、大丈夫ですか……?」 「はぁ…はぁ…はぁ…無理、もう駄目、私は死ぬ」 砂浜で倒れていたずぶ濡れの少女に、青基調の露出の高い装具を身に着けた若い女性が、 心配そうに声を掛ける。 「私のスタート地点は…海の上だったのよ……有り得ない……酷過ぎる…必死に泳いで来たけどもう……」 「しっかりして下さい!」 「もう起きる気力も無い……」 「ええと、その辺の民家に行きましょう取り敢えず」 「歩くのもきついって言うのにもう……」 疲労しきった身体に鞭を打ち少女は立ち上がり、女性に肩を抱えられながら民家に向かう。 着ている服は海水で下着まで漏れなく濡れおまけに砂がびっしり付着し酷い有様だ。 民家に着いたらとにかくまず風呂に入りたいと思う少女。 水が使えるのかどうかはまだ分からなかったが。 「米田」と表札の掲げられた二階建ての民家に二人は入る。 「風呂! 風呂! 風呂!」 「あっ、ちょっと……」 手足に溜まった乳酸も何のその。 少女は民家に入るや否や風呂場を目指し猛進して行った。 「もし乗っている人がいたら危ないのに……気持ちは分かるけど。 ……誰もいないよね?」 少し怯えながらも女性は民家の中を探索し始める。 少女は風呂場で温かいシャワーを浴びていた。 「あー……」 非常にだるいが汚れを落とすために手を動かす。 べたつく海水や砂が湯と一緒に排水口へと消えていく。 一通り身体を洗い終え、シャワーを止めた。 身体は綺麗になったが一つ問題がある、着る物だ。 「こんな海水と砂で汚れた服と下着なんてもう着れないね……はぁ、仕方無い、着れる物探すしか無いか」 濡れたデイパックを引き摺り少女は脱衣所から出た。全裸で。 「! ちょ、何で裸なんです!?」 家の中を探索していた女性が全裸で出歩く少女を見付け咎める。 「いや、私だって裸で歩きたくないよ、そういう趣味は持ってないし勘違いはしないでね。 あのさ、服がもうとても着れる状態じゃないのよ。海水と砂で。だから代わりの下着と服を見付けようと思って」 「そ、それは分かりますけど……」 「ところで他に誰かいた?」 「いや、いませんでした……」 「そう、分かった。じゃあ服……服」 「私も一緒についていきますよ…何かあったら危ないですから」 少女の着る物探しに女性も付き合う。 「所で…助けてくれてありがとう。私は今給黎涼華。涼華って呼んで。貴方は?」 「私はクラリッサ・ブランチャード…フリーの冒険者をやっています」 「冒険者ね……私はまあ、普通の高校生……寒い、あ、この部屋にありそう」 二階の子供部屋と思しき部屋に二人は入る。 どうやら少女が使っていた部屋のようで可愛らしい調度品、アイドルグループのポスターなどがある。 クローゼットや箪笥を涼華は躊躇する事無く漁りまくる。 「よし、これ、私の身体に合いそう! あ、サイズの事だからね」 「分かってますよ…」 どうやらサイズの合う下着と服を見付けたらしい。 それを手際良く着る涼華。 数分もしない内に、どうにか普通に外に出れる格好にはなった。 「似合う?」 「え? ええ、まあ」 「とにかくこれで外は歩けるね…流石にマッパで外は歩けないからね! 世の中にはマッパで学校に行ったり会社へ行く猛者もいるって聞いたけど私は至って健全な女の子だから。 そう自負してる」 「別に聞いていませんよ」 「……支給品、確認しないと」 「あ、そうですね」 まだ支給品を確認していない事を思い出した二人は一階に移動する。 広い和室に入り腰を下ろしてお互いデイパックを開ける。 涼華のデイパックは相変わらず濡れていたが。 そして二人はランダム支給品を確認する。 涼華は自動拳銃ベクターCP1と予備弾倉二つ、そしてスタングレネード三個。 クラリッサは「三日月宗近」と言う銘の日本刀と、ポーランド生まれの最強の酒、スピリタス。 「拳銃に刀か、当たりじゃない」 「ええ…」 「……で? 私を助けてくれたって事はクラリッサさんは殺し合いには乗っていないんでしょ?」 「はい」 「私もよ。じゃあ殺し合い乗っていない仲間捜しでもしようか」 「ですね」 二人は殺し合いに乗っていない参加者を捜す事にした。 「……でもちょっとだけ休ませて」 「……分かりました」 しかし涼華の疲労の度合いはかなりのもので、休んでから行く事にした。 【早朝/E-7海沿いの町:米田家】 【今給黎涼華】 [状態]肉体疲労(大)、風呂上がり [装備]ベクターCP1(13/13) [持物]基本支給品一式、ベクターCP1の弾倉(2)、スタングレネード(3) [思考・行動] 0:殺し合いはしない。仲間を集める。 1:クラリッサさんと行動。しばらく休む。 [備考] ※服を着替えました。 【クラリッサ・ブランチャード】 [状態]健康 [装備]日本刀・三日月宗近 [持物]基本支給品一式、スピリタス [思考・行動] 0:殺し合いはせず、何とか脱出する手段を探す。 1:涼華さんと行動。涼華さんを少し休ませる。 [備考] ※特に無し。 ≪キャラ紹介≫ 【今給黎涼華】 いまきいれ・りょうか 16歳の高校生の少女。金髪ツインテ。かなり難読な部類に入る自分の苗字がちょっとコンプレックス。 羞恥心が少し足りず、また、他人と関わるのが余り好きでは無い事以外は普通の少女。 小学校の頃から1円玉を貯金いており今や貯金箱は人を殴り殺せる重さになっているとか。 【クラリッサ・ブランチャード】 フリーの冒険者。23歳。青髪赤目の美人。ナルガ装備に酷似した格好をしている。礼儀正しいが泣き虫。 剣やナイフを使った近接戦闘を得意とし、多少ではあるが魔法も使える。 レイ・ブランチャードの従兄弟にあたる。容姿は似ているがクラリッサの方が身長が高く優しい顔付き。 ≪支給品紹介≫ 【ベクターCP1】 今給黎涼華に支給。予備弾倉2個とセット。 1990年代後半に南アフリカで開発された民間・警察機構向けのポリマーフレーム自動拳銃。 衣服の下など懐に携帯することを前提としており、衣服との引っ掛かりを抑える特異な流線型の外形をしている。 【スタングレネード】 今給黎涼華に支給。3個セット。 爆発時の爆音と閃光により、付近の人間に一時的な失明、眩暈、難聴、耳鳴りなどの症状と、 それらに伴うパニックや見当識失調を発生させて無力化することを狙って設計された非殺傷型の手榴弾。 【日本刀・三日月宗近】 クラリッサ・ブランチャードに支給。 平安時代の刀工・三条宗近作の日本刀(太刀)。天下五剣の一つ。日本の国宝に指定されている。 「天下五剣」の中でも最も美しいとも評され、「名物中の名物」とも呼び慣わされた。 【スピリタス】 クラリッサ・ブランチャードに支給。 ポーランドを原産地とするウォッカ。アルコール度数世界最高の酒として知られる。 何と95-96度。何考えてんだ。ちなみに火を着けると燃える。マジで。消毒薬としても使えるらしい。 前:とある少女と竜の話 次: ゲーム開始 今給黎涼華 次:治療or執行 ゲーム開始 クラリッサ・ブランチャード 次:治療or執行
https://w.atwiki.jp/dgrpss/pages/395.html
エスパーだから、だなんて、本気で言っているわけじゃない。 人よりちょっと直勘が鋭いのと、ちょっと感情の機微に敏いくらいだ。 ただ何かしら芸風があった方が売れるし、と勧められて、デビュー当時はそういうキャラで押していた気がする。 もちろん売れてからは、そんなことをする必要などなくなったけれど。 けれど、未だに。 「…ゴメンなさい、シャーペンの芯は、私も切らしちゃってて」 「えっ、あ、……ホント、よく分かるよね、そういうの」 「エスパーですから。えっと…この時間だと、まだ購買は開いてますよね」 反応が楽しいので、彼の前で限定して、私はエスパーになる。 ――――――――――――――――――― 弾丸論破 ナエマイSS 『エスパー』 ――――――――――――――――――― 簡単に言うと苗木君の場合は、極端に考えていることが顔や仕種に出やすいのだ。 今だって、申し訳なさそうな顔をしながらシャーペンを手にとってやってきたなら。 だいたい、その用件はわかってしまうだろう。 それは例えば、先輩アイドルが煙草を指で遊ばせているそれに近い。 「火をつけろ」という合図。 もちろん私は煙草なんて吸わなかったけれど、そんなときのためにポケットにライターは忍ばせている。 「うーん、購買まで行くのもなぁ…他の誰かに借りるよ。ゴメンね、舞園さん」 なんて、彼が目と足を向けたのは、私の二つ前の席。 どこに忍ばせていたのか、魔法瓶から注いだ紅茶を優雅に啜る、セレスさん。 むっ、とする。 「…苗木君。そんなに今すぐ必要なんですか、シャーペンの芯」 「え?うーん…なんか、無くなったら足しておきたくなるというか」 「次の授業は体育だし、もう今日は使う授業は無いですよ」 「そっか…あ、でも」 「日誌、は、ボールペンで書けばいいんじゃないですか?」 言う前に言い当てられて、相変わらず驚きに目を開く。 その仕種がなんとなく可愛くて、私は頬を緩ませてしまう。 けれど。 (断られたからって、何も他の女の人の所に行かなくても…) 彼の方は、私の心なんて露とも察知してくれない。 そんな、人の裏を知らないような純朴な所も、まあ、その…素敵だけれど。 「まあ、舞園さんがそう言うなら」 納得したようなしていないような微妙な顔色で、彼は自分の席に戻っていく。 と、それに合わせたように、 「随分とご執心でいらっしゃいますのね」 皮肉と嘲笑を含んだ、いやに丁寧な声が前の席から届いた。 「…何のことですか」 「独占欲の強い女は引かれますわよ、と申し上げたのです」 つ、と紅茶を含みながら微笑されて、なんとも言えない気持ちになる。 考えを読まれる側に回るのは、怖い。 ――――― 「あ、舞園…さん」 休み時間をまたいで体育館に向かえば、苗木君が重そうなポールを一人で運んでいた。 「今日、バレーでしたよね。ポールとネット、先生が来る前に出しておきましょうか」 苗木君は目を合わせようとしない。 その割に、ちらちらと頻繁にこちらに視線を送っている。 視線の矛先は、言わずもがな。 この学校は、未だに体操着がブルマだ。 学園長の趣味だろうか。 中学までの私なら、嫌悪感から逃げ出してしまっていたかもしれない。 男子のそういう視線には、慣れていなかった。 けれどそれは、アイドルになる前までの私。 業界のセクハラの前では、山田君も泣いて逃げ出すだろう。 下着のズレを直すフリをして、わざと指を中に滑らせてみる。 耳まで真っ赤に染めながらも、苗木君は食い入るようにその仕草を見つめる。 汚らわしい、雌の高揚感。 ゾクゾクと、見せつけていることに背徳的な興奮を覚える。 視線を感じる。視線で感じる。苗木君の視線が気持ちいい。 ステージ上にいる感覚に似ている。 羞恥心が心地よい、鼓動が速くなる、体が熱くなる、もっと―― …と、いけない。 これじゃ、変態さんだ。 「…もう、どこ見てるんですか」 自分を棚に上げ、唇を尖らせて咎めると、ビク、と体を強張らせる。 小動物のような仕草はいっそ、可愛らしさまで感じてしまう。 「えっ、う、あ……ご、めんなさい…」 「苗木君、エッチです」 「ちが、違うんだ、これは、その…」 クスリと笑ってみせると、苗木君は少しだけ安堵したような表情を浮かべた。 「そ、そうだ!ホラ、早くバレーの準備しないと」 「うーん、なんか誤魔化されている感が…」 「僕こっちのネット張るから、舞園さんはそっちをお願い!」 「…ふふ、わかりました」 軽蔑、するだろうか。 私があなたの考えを覗いて、わざとあんな行為をしていると知ったら。 いや、するに決まっている。 気は弱いけれど、意外にまっすぐな少年だ。 私みたいなねじ曲がったような存在を、きっと許せない。 まだ少し残る興奮に蓋をして、私は彼の後を追う。 ――――― 「買い物、ですか」 「うん、どうせだから色々文房具とかそろえようかな、って」 放課後。 二人で帰ろうと提案すると、今日は本屋に寄るから遠慮すると言われた。 文房具>私 という式が真っ先に頭に浮かび、急いでかぶりを振って払拭する。 「じゃあ、私も一緒に行っていいですか?」 「え?」 「ダメ、ですか」 「いや、あの、もちろんいい…んだけど、僕に着いてきても、特に面白いこともないよ」 視線を反らしながら、ポリポリと頬を掻く。 む、と、思わず頬を膨らませそうになった。 卑屈なところというか、人に気を使いすぎるというか。 そういうところは、好きじゃない。 「私が着いて行きたいから、勝手に着いて行くんです。ホラ、早く」 「わわっ…」 手を取って、引っ張る。 もう少し男の子として頼れたら、引っ張ってくれたら、とは思う。 まあ、そういう遠慮も彼の優しさから出ているのだと思うと、魅力的だと思えなくもないけど。 ぐいぐいと手を引っ張ると、恥ずかしそうに苗木君がごねる。 「まっ、舞園さん、あの、手…みんなに見られるから…」 「え?なんですか?」 わざと聞こえないふりをして、掴んだ手に指を絡める。 ひゃっ、と苗木君が女の子みたいな声を上げるので、思わずクスリと笑いを洩らしてしまった。 「もう…舞園さん、わかっててわざとやってるでしょ」 「さあ、なんのことでしょうか」 「うぅ…そうやって僕のことからかうんだから」 からかってるわけじゃ、ないんだけどな。 結構本気でアプローチしてるのに、もうそろそろ真に受けてくれたって、 「あ、ホラ…着いたよ」 校門を出て、ものの三分。 握りしめていた手を振りほどくようにして、苗木君が文具屋を指し示した。 そして一人、先にその店の中に入って行ってしまう。 …もしかして本当は嫌われてるんじゃないだろうか、と時々思ってしまう。 ここまで何度も何度も、勇気を出して迫っているのに。 けれども嫌っている素振りもないし、ただ脈がないだけだろうか。 いや、脈がないっていうのもそれはそれで傷ついたりするんだけど。 「舞園さん?」 人の気も知らないで、入口からひょっこり苗木君が顔を出す。 「うー…今行きます」 「? うん…」
https://w.atwiki.jp/tamakagura_battle/pages/253.html
D一輪 タイプ:闘/鋼 スキル1.入道を使う程度の能力:スペルの命中率が上昇します。 スキル2.守り守られし大輪:戦闘中の相手のスペルの追加効果の発動率を10%下げます。 重複弱点(3倍): 弱点(2倍):炎、闘、地 抵抗(1/2倍):無、樹、氷、霊、神、鋼 重複抵抗(1/3倍):虫、岩、闇 無効:毒 種族値・同タイプ比較 闘/鋼 HP 攻撃 防御 特攻 特防 速度 合計 D一輪 105 40 110 105 120 50 530 N勇儀 110 150 110 50 100 40 560 T咲夜 105 110 85 60 95 90 545 A椛 110 125 90 30 85 75 515 N正邪 120 40 80 115 100 90 545 スペル スペル名 属性 分類 威力 命中 消費 詳細 備考 問答無用の妖怪拳 闘 特殊 60 100 5 30%の確率で、相手の速度を1段階下げます。 あまり出番はない。相手が闘弱点でVP節約したい時ぐらい。 入道にょき 鋼 特殊 80 100 0 30%の確率で、相手の特防を1段階下げます。 地味に優秀な小技。VP節約時の削りや止めに。 時代親父大目玉 炎 変化 - 200 0 相手のスペルを2個封じます。 相手次第で使う。ミスルトやダスト、弱点を突くサブ持ち相手に上手く当てることで一輪も味方も戦いやすくなる。 天空鉄槌落とし 鋼 特殊 100 100 20 30%の確率で、相手の特防を1段階下げます。 相手のDが高くなく鋼に耐性がなければ有用。追加効果発動で火力UPにも繋がる。 帯電入道 雷 特殊 90 100 25 20%の確率で、相手を麻痺させます。 対水・風用。燃費がやや気になるが麻痺追加はおいしい。 天網サンドバッグ 闘 特殊 90 100 25 30%の確率で、自分の命中が1段階上がります。 闘弱点の相手に。妖怪拳よりは使うが威力・燃費的には微妙。 キングクラーケン殴り 水 特殊 - 100 15 自分のレベル×1.2の固定ダメージを与えます。属性、スキル、アイテムなどでダメージが変動しません。 メインウェポン。無効属性なしで消費15という高性能ナイヘ。最重要スペルと言ってもいい。 華麗なる親父時代 闘 特殊 120 200 50 相手が空中・地中・亜空間のいずれかにいる場合を除き、使用ターンのみ相手の回避値が0になります。 消費が兎に角重いが一致120且つ回避無視は魅力。思い切ってこれを撃つ勇気も時には必要。 考察 基本評価 高耐久良耐性が持ち味のコダマ。 性能を説明すると「地味」、と言うより至る所で「地味」という言葉が付く。 まずパッと見で受けまわしてナイヘで殴るコダマというのは分かるだろうが、それなら超火力とD一輪以上の物理耐久を持つN勇儀や150ナイヘと高い特殊耐久を持つる~こと、D一輪と同様に良耐性で弱点が少なくナイヘを撃てるT紫の方がいいと思う人は多いだろう。その為D一輪地味じゃね?と思われがちだがD一輪ならではの強さも当然存在する。 まずスキルと能力値、耐性の噛み合いが地味に良いことが挙がる。素の耐久自体が高い為VPが黄色になっても並耐久に落ちる程度で済み、火力低下もナイヘがあるので困らず、地味に命中上昇スキルを持つため命中が一段落ちた程度では攻撃を外さない。発動率低下スキルも受け役としては地味にありがたいスキルで、攻撃を受けた際に追加効果で状態異常になってしまうといったことが減るので受けの安定感が増す。特に催眠と凍結、天上の七曜などの複数異常スペルは発動率が10%に設定されている為発動率上昇装備やスキルがない限り確実に発動しなくなる。 そして最大の武器がナイヘ。前述の通りT紫やる~ことも持っているが一輪のナイヘは消費が15と普通のナイヘより低い。通常でも4回撃ってもばてず、VP回復装備と併用すると5回撃ってもばてなくなる。通常低燃費ナイヘは無効属性有りなのだが一輪のナイヘは無効属性が無く非常に使い勝手が良い(後述するが一部の相手には振りにくくなるケースがある)。 ぶっちゃけ前述のる~こととはと比較しても霞む性能ではないのだがこの度の調整で同タイプ且つ鈍足仲間のN勇儀に水をあけられた感は否めない。T紫と比較しても少し霞んでしまうか。スペル消しと純粋な耐久、低燃費ナイヘに一致120回避無視というD一輪ならではの武器はあるのでこの点を差別点として活かしたい。 運用方法 受け出してナイヘが基本。C無振りなら大体これだけで良い。Cに振ってあり鋼が通る相手なら天空鉄槌落としもあり。後は相手のスペルの下二つが厄介ならスペル消しを狙う。特に交代読みで消せると大きいだろう。 親父時代は火力と消費の関係上相手の回避を咎める目的では使いにくい(T・Dナズーリン等なら話は別だが)。ナイヘや鉄槌落としでは足りないがこの技なら倒せそうだったり、避けさせずに確実に止めを刺したいなら使ってもいいが、基本的にこのスペルは弱点を突いて大ダメージ狙い一択で使うことになる。 弱点 スペル消し持ちが非常に辛い。主力のナイヘに最大火力の親父時代が消されると相手次第では完全に置物になる。 闘スペルの性能も威力が低かったり消費が大きすぎたり威力も消費も中途半端だったりと軒並み一長一短で闘コダマなのに闘スペルが扱いづらいのもネック。 また前述のとおりナイヘが高性能だが実は水属性の為にとりやスターに受けられると火力を上げてしまう。D一輪で弱点を突ける系統も少なくないが、全てのにとり・スター系列から弱点を突かれる為火力が上がった状態だとまず殴り負けるので要注意。 後は鈍足特有の搦め手への弱さも挙がるか。 BP振り H:ナイヘに耐えられる様に21以上は振りたい。 A:不要。 B:る~こととの差別化を意識して手厚く振るのも良い。ちなみに筆者のD一輪はB特化型。 C:鉄槌落としや帯電入道、親父時代の使用を視野に入れるならある程度振ってもいい。 D:無振りでも非常に高いので他に回しても良い。無論更に高くするのも有り。 S:受け回しが基本なのでここよりは他に回したい。振るとしても調整程度。 装備候補 ユウカ:ナイヘ持ちの定番。20回復が保障される。 (HP&)VP回復:ナイヘが更に使いやすくなる。3%なら諏訪子装備時と同等の消費になる。 諏訪子:親父時代の消費がかなり抑えられる。ただそれでも2回撃ったらばてるが。 猛毒:打点が低めなので火力UPに繋がり、シンクロ持ちにもノーリスクで使える。 ダメージ軽減:安定して使える。片面特化で急所事故も無くなる。 永琳・サリエル:状態異常対策用。 執筆者 sheep(11794) コメント欄 名前
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/21575.html
登録日:2010/07/26(月) 16 30 26 更新日:2022/09/20 Tue 20 17 48 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 MUTEKI カスが効かねえんだよ キャンディ スター ハイパームテキエグゼイド ハイパームテキガシャット ムテキゲーマー 仮面ライダーエグゼイド 俺は無敵の主人公! 俺今無敵だから効かないし 強靭!無敵!最強! 敵がなったら負けイベント 敵はいないが味方はいる 最強≠無敵 最強じゃない 無双 無敵 無敵の人 直江兼続 絶対無敵 逆転 無敵(むてき)とは , ´ ̄`Y´  ̄`ヽ / \ / ヽ ,' / , / , i | i ヽ | i ! / / イ ! | / / | |/ i | //∠/| / //_|∠| /i/ ∧∧∧∧∧∧∧ 〉-、 |`‐゙='-`| //-゙='‐1‐v' < 強靭! > !f`i i| ィ '〈!' ,|f リ < 無敵!←これのことである。 .ヽニ/ .! iニニニ'7 /ァ' < 最強!! > レ | v-y //-‐ 1 ∨∨∨∨∨∨∨ / o |\ ` ̄ .イ/ | d ,. -‐┴i ヽ- ' ! _, ―┴ァ ‐┴' o | ̄ ̄ ̄「 / 1.同じ分野において敵と成りうる者がいないこと。 無双の豪傑がこう称されることが多い。 2.日本の苗字の一つ。 「無敵さ~ん」「はーい」 3.コンピューターゲームにおける状態の1つ。無敵状態。 一般的に「ダメージ(毒等含め)」が効かない状態の事を指す。 避けるのでは無く、当たっても効果が全く無い状態である。俺TUEEE状態になる。トラップだってなんのその。 無敵は無敵なので弱点は無い。弱点があったら無敵では無くなる。 しかし奈落の穴に落ちればティウンティウンしたりテテッテテテテテンしたりするし、スクロールに挟まればザシュッと逝ったりする。 無敵≠不死である。敵以外にはめっぽう弱い。 味方が無敵状態になれば嬉しいが、当然敵が無敵状態で襲ってくることもある。 よく使われる対抗策は封印か逃走。封印とは上記のような奈落の穴等に半永久に閉じ込めたり異次元に送り飛ばすことである。 逃走とは、まぁ勝てないので逃げるしかないかと。 アクション系 ♪ダンダンナンカカンタンニナッタン ダンダンナンカカンタンニナッタン♪ マリオのスーパースターのような無敵アイテムによって無敵化する。無敵中は専用BGMが用意されているものが多い。 敵に当たれば敵の方が死ぬ。 無敵アイテムが置かれて居る状況は針地獄やモンスター密集地など、「さっさと駆け抜けろ」な場所が多い。 だが敢えて無敵にならず注意深く進むとアイテムが隠れていたり、他の方法で敵を倒した方がスコアが伸ばせたりといったこともしばしば。 レース系 無敵効果に加え、速度上昇、マシンに攻撃判定が現れたりする。順位が低いほど出やすい。 格闘系 一時的に自分の当たり判定を失うことを無敵と呼ぶ。作品によってダウン中、作品専用技、昇龍技など、いろいろな状態に付加されるが、どれもリスキー。 攻撃判定を伴うとは限らず、敵の攻撃をすり抜けるだけのこともある。 日本一ソフトウェア系 本当に無敵。 毒ダメージも効かない。 レベル上げ楽しいです(^p^) そういえば「無敵勇者隊」みたいな感じのがいたが、アレはどうなったのだろうか… RPG系 基本的に味方が無敵になることはほとんどなく、負けイベント等で無敵の敵と戦わせられる事がほとんど。 有名ドコロとしては、『DQ4』のキングレオ、『DQ5』のジャミ、『初代ポケモン』のゆうれいなどが挙げられる。 味方が無敵になる場合、効果中は味方が完全行動不能(『DQ』のアストロンなど)、発動できる条件が厳しい(『DQ9』のパラディンガードなど)、入手できる個数の限られる消費アイテム(『スーパーマリオRPG』のレッドヨッシーエキスなど)といった制約がかかる。ホイホイ使えたらつまらないし シミュレーションRPGだと無敵相手から逃げろというものがあったりする。 犯罪者系 詳細は無敵の人を参照。 戦国BASARA (ムテ皿キ)<呼んだか? よく間違われる似た言葉 最強 海馬社長は一緒くたにしているようだが、無敵はただ負けないだけなので勝てる訳ではない。 トライダーとダイオージャぐらい違う。 戦国最強と絶対無敵を比べてみれば分かる。 不死 死なないと言っても、ヴァンパイア等のようにダメージが通る訳ではない。 ムテキング バグです。 基本的に無敵を自称する人は無敵ではない。 「最高に勃起モンだぜ!! こっちだけズルして無敵モードだもんな!!」 「『無敵』など言葉遊びに過ぎん。」 しかし、そのまんまな名前のムテキゲーマーは本当に無敵、具体的には3の無敵に近い能力を時間無制限で使える仮面ライダーである。あらゆるダメージ、時間停止などの特殊能力が本当に効かない。 破られたことは無いわけでもないが、人質を取って変身をさせない、変身アイテム作成以前まで時間を巻き戻す、アイテムを奪う、変身前に銃撃する、(理論上は)変身者の寿命を待つ、といった真っ向勝負を避けるコンセプトのものばかり。ムテキゲーマー自体が負けたことは無い。 無敵に理解ある人は追記・修正しましょう。 △メニュー 項目変更 -アニヲタWiki- 4.AVメーカーの1つ、MUTEKI。 出演女優が「芸能人」である事をウリにしているようだが…誰だよ見たことねーよ △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 障子は汚れやすく子供でも破けるが、それを咎める人間がいることで、危険な行動を未然に防ぐある意味無敵の結界に成りえる。←こういう無敵もあるな。 -- 名無しさん (2013-12-08 12 09 54) 最強は強さカテゴリの中のトップだけど、無敵は勝負の意味がないイメージ -- 名無しさん (2013-12-31 19 27 36) 無敵(穴やマグマには勝てない) -- 名無しさん (2014-07-20 12 22 33) じゃあ ブラックホールと深海どっちがエグいか -- 名無しさん (2014-07-20 12 28 17) でんぢゃらすじーさんに登場した、オナライダーみたいな無敵もあるで。 -- 名無しさん (2017-12-21 21 28 04) ゲームの無敵にもダメージの無効化、回避率100%やハメ戦法などの実質ダメージを受けることがない状態、格ゲーやアクションゲーで当たり判定がなくなる時間を指す用語といろいろあるよね -- 名無しさん (2021-08-14 15 46 17) 奈落の穴や強制スクロールという強敵に勝てない時点でアクションゲームの無敵は「無敵とは言えない」気がする -- 名無しさん (2021-12-05 22 10 43) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/byakumu2/pages/2997.html
制作:十三階段 怨哭拳の勉(えんこくけんのべん) 年齢:32 性別:男性 一人称:俺 所属:猟惨泊 本名・水戸勉(みとつとむ) SRC島にある銀行に勤務していた銀行員……だった男 痴漢冤罪によって無実の罪を着せられ、社会的に抹殺される。 妻子がいたが、世間からの糾弾と生活の困窮により、彼の服役中に自殺してしまう。 牢から出てきた時、彼は全てを失っていた。 社会への復帰も困難を極めた彼は、いつしか猟惨泊に入ってその尖兵となり、強盗で日々の生活を維持する身分となっていた。 気が付けば、一部隊を率いる隊長の地位にまで昇格していた。 自分をどん底まで陥れ、今なお糾弾する「正義」という概念に対して凄まじい憎悪を抱いている。 自分からすべてを奪った女性への怨みが凄まじく、女性に対しては凄まじく暴力的になる。 ……が、元はそれほど人格的に素晴らしいとはいえないまでも善良であり、 その部分が今でも残っているのか、今までに一人も人を殺したことはない。 それどころか、ごくまれにだがモヒカン達が殺人をしようとするのを咎めることさえある。 ……が、あまりに辛い経験の連続と日々の苦しい生活は彼の精神の平常を浸食しており、精神崩壊が進みつつある。 彼に残された『良心』が完全に消えてしまう日も、そう遠くはない 一応猟惨泊の中では相当の年長者であるため知識・経験ともに豊富で、参謀的な立場を務めることが多い。 なお、自殺した妻子の命日には墓参りは欠かさない。 今でこそこんな人間になってしまったが、往年は優しい夫であり、父親であった。 冤罪で嵌められ、どん底の中で能力に覚醒する。 その能力は「怨みを力に変える能力」 全てを奪われ、怨みしか残っていない彼に、相応しい能力である。 なお、同じ痴漢冤罪に会いながらも周囲からの白眼視に耐えている人々からは 「あんな自分勝手なのと一緒にしないでくれ、迷惑だ」と思われている。 パイロット 怨哭拳の勉 勉, べん, 男性, 人間, AAAA, 150 特殊能力 不屈=骨髄に徹する怨恨, 1 ハンターLv3=(ミソジニー) 女性, 1 損傷時気力増加Lv2=(痛みすなわち怨み), 1 援護防御Lv2, 33 150, 130, 146, 136, 168, 155, 普通 SP, 60, 激怒, 1, 激闘, 1, 必中, 10, 足かせ, 20, 威圧, 30, 奇跡, 99 OSC_0000_0906.bmp, -.mid ユニット 怨哭拳の勉 怨哭拳の勉, えんこくけんのべん, (人間(怨哭拳の勉専用)), 1, 2 陸, 3, M, 5000, 150 特殊能力 性別=男性 攻撃属性=夢 5000, 130, 1450, 55 CACA, ori_tko_161_c.bmp 怨魂鬼弾, 1000, 1, 4, +0, -, 5, -, AAAA, +0, 実格 エンミティナックル, 1100, 1, 1, +0, -, -, -, AAAA, +0, 武 憤怨撃, 1600, 1, 2, +0, -, 45, -, AAAA, +0, 接格PAL2 メッセージ 怨哭拳の勉 回避, なんだぁ? この人間のクズ相手に外しやがたのかぁ? 回避, どうしたよ? 悪党はここにいるぜ?.成敗するんじゃねぇのかよぉ! 回避, 遅ぇよ、遅すぎるんだよ、.痴漢でっち上げる時は迅速な癖してよ! 回避, 無能が、愚図が、木偶の坊が! 回避, ヒ、ヒヒヒヒッ!.笑えてくるぜ! ダメージ小, それで終わりかよ、テメェよ! ダメージ小, 阿呆が! ダメージ小, 俺は一度「死んでる」人間だぜ?.この程度の痛みがなんだ! ダメージ小, クックックッ、.悪党成敗するときは容赦ねえなあ! ダメージ中, 終わりかよ、それで終わりか! ダメージ中, ヒヒヒ、どうしたよ!.それじゃ悪党を粛清できねえぜ! ダメージ中, なあ、俺を殺すために用意した錦の御旗はなんだ?.見せてみろよ ダメージ中, 脅しのつもりかぁ? ダメージ中, 非力、非力!! ダメージ大, クックック、一度死んだ人間は、.瀕死になった程度で狼狽しねぇ! ダメージ大, さあ、俺を地獄へ落としてくれるんだろ、.やってみろよ! ダメージ大, 罰を与えているつもりかよ!.足りねえよ、テメェは執行人の器じゃねえ! ダメージ大, どうしたよ!.ギロチンなりファラリスの牛なり持って来いよ! ダメージ大, ヒャハハハ、こりゃ拷問のつもりか!?.悪いがな、ゲロすることなんざ何もねえんだよ! 破壊, ギャハハハッ……!.これで、馬鹿みてえな人生とも……. おさらば……だ……!! 破壊, 正直者が馬鹿を見る…….それが……. この世の摂理……だ……!! 破壊, そうだ、力こそが全てだ……!.良心なんざ……善意なんざ……. 何の……役にも…… 破壊, 礼を言うぜ……. これが……汚物に相応しい……. 末路だ…… 破壊(対城羽仁志也), テメェも……いつか……. 正義に…….殺される…… 破壊(対女性), ククク…….女を差別する悪い男を裁いて……. 満足……かよ…… 破壊(対女性), お前らには……優しくできねえよ…….俺は……お前らに全てを奪われたんだぞ…… 射程外, んだよ、人を冤罪に嵌める時は勢い良いくせによ、.ビビってんじゃねえよ! 攻撃, くたばれや! 攻撃, 勝てば官軍、.力こそすべてなんだよ! 攻撃, その面、苛々させやがる! 攻撃, 気に入らねえ……気に入らねえなぁ! 攻撃, 喚き苦しめ!.正義の味方なんざ助けにこねえよ! 攻撃, 『正義に殺される』辛さを味わう前に…….『悪党』が殺してやるよ! 攻撃, 現実は漫画のようにはいかねえんだよ…….悪党が勝つってことだ! 攻撃, この世の中、やったもん勝ちだ!.俺は『よく知ってる』ぜ……!! 攻撃(対上倉雅人), 一番腹が立つんだよ…….テメェみたいな浅薄な正義振りかざしてる奴がよ! 攻撃(対城羽仁志也), 明日生きる資格を決めるのはテメェじゃねえ、.もっとお偉いさんなんだよ! 攻撃(対光村陽水), ああ、テメェのような下半身のだらしない男のせいで、.俺は冤罪に嵌められた!! 攻撃(対女性), B 死ねや雌豚ァァァァァァ!!! /B 攻撃(対女性), 貴様らはよぉ、. 何でも男のせいにしてりゃあいいんだから、.楽だよなぁ! サポートガード, ……やめろ、無闇に命を奪ったらいかん サポートガード, ……ククク、滑稽だよなぁ。.結局悪党としても三流か…… サポートガード(女性), ……何故なんだよ。.俺は女にすべてを奪われたのに…… サポートガード(女性), ……ククク、クハハハハ……. あいつの顔が…….被っちまうぜ…… サポートガード(糸繰りの魁), ……なあ、幸せになってくれよ。. ……幸せを全て奪われた、俺の分までよ…… サポートガード(糸繰りの魁), 悪いなあ……. 俺がお前にしてやれることは…….これぐらいしかねえ…… サポートガード(糸繰りの魁), ……外道に堕ちるのは…….俺だけで十分なんだ…… サポートガード(浅野静佳), 何やってんだよ……. 俺はよ……!! アニメーション 怨哭拳の勉 怨魂鬼弾(攻撃), 髑髏弾 怨魂鬼弾(命中), 飛沫 黒 エンミティナックル(攻撃), スーパーパンチ 黒 エンミティナックル(命中), 強打 黒 憤怨撃(準備), オーラ上昇 黒 憤怨撃(攻撃), 髑髏弾;髑髏弾;連打;スーパーダイブ 黒 憤怨撃(命中), ショックビーム 黒;ショックビーム黒;連打 黒;スーパーダイブ 黒;装甲破壊 黒
https://w.atwiki.jp/cplus/
いまから始めます。
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/693.html
これは とある少年の正月の間におきたことの記録である。 一月一日 シンはもはや定例と言わんばかりにアンリエッタに呼び出され寝室に通されそこで待機するようにと命令されていた。 シン「ふゎぁ… まったく、アンの奴、折角の休みに一体何なんだよ…」 呼び出されたシンは大あくびをしながら仮にも一国の女王相手に悪態をついていたが、それを咎める人物は周囲にはいなかった。 ちなみにシンが大あくびした理由は徹夜でシルフィードと「お話」をする事になって初日の出を眺める事になったからというものだ。 何故シンがそこまで付き合ったのかと言えば、シルフィードがシンが寝ようとするたびに「人間形態」に変身していたからだった。 シルフィードの変身魔法は服までは生み出せない、よって変身する=真っ裸の擬人化シルフィードと御対面という事になるのだ。 其れだけならまだ嬉しい御褒美かもしれないが、シンには其れがもたらす災厄=女性陣のオシオキタイムを非常に恐れている。 その為変身魔法を解いて貰うことを条件に話の続きを行うという状況が続いて大晦日は過ぎていったのだ… 閑話休題 そんなこんなで半ば舟をこいでいたシンだったが、アンリエッタが部屋に入ってくると同時にその眠気はすべて吹き飛ぶことになった。 アン姫「シン、新年、明けましておめでとうございます」 そう言いながら三つ指を突いて礼をする和服のアンリエッタの姿に思わず見惚れていたシンだったが。 シン「あ…、あけましておめでとうございます」 真っ赤になった顔を隠すかのようにシンもアンリエッタに新年の挨拶を返すのであった。 そんなシンの様子を見て妖艶に微笑んでいたアンリエッタだったが、メイド達が食事を運んでくると指示を出していく。 シン「之って… 御節料理?何で此処に…?」 アン姫「サイトからの情報を元にマルトーさんに頑張っていただきました、流石に本物とは異なるでしょうけれど… シンの故郷もサイトの故郷に近い風習があると聞きましたので、少しは故郷の味を味わえると思いますよ」 アンリエッタの気遣いに感動し、御礼を述べるとシンは『ハシ』を手に取り一つ一つ、噛み締めるように料理を味わっていく。 確かに細部は違うものの、父と母と、妹との四人で一緒に食べた『御節』の味に似ているその風味に、思わずシンは涙をこぼしていた。 アン姫「シン… もしかして、御口に会いませんでしたか?」 シン「そうじゃ、そうじゃないよ、ただ、思い出して……」 必死に涙をぬぐいながらそう答えるシンを見て、アンリエッタはハンカチをそっと手渡すと自分もゆっくりと御節を食べ始めるのであった…… シン「ふぅ… 御馳走様でした」 アン姫「御馳走様でした」 二人が御節を堪能し終えると同時にメイド達が再び現れ、食器を片付けていくと同時にとある道具を持ってくる。 毛筆と墨が入った硯、そして文鎮と紙という四点セットの其れは、シンの世界では廃れて居る文化だが、名前は残っている書道道具であった。 アン姫「なんでもサイトの世界では一年の抱負や望み等を書き記すそうで、その時にこういう道具を使うそうなんです」 シン「書道か… オーブの小学校以来だな……」 その後、シンがアン姫にマンツーマンで指導する形で無事書き初めを開始することができ、それぞれ自分の国の文字で書くことになった。 ちなみにシンの書いたものは日本語での「平穏」、アンリエッタが書いたものはハルケギニア語で「大願成就」だったのは蛇足である。 そして書き初めが終わったあと、シンが書いた文字をアンリエッタがほしがったのでプレゼントしたというのはもっと蛇足なのだが。 後で其れを知った女性陣にシンがブリザードを食らうことになったのはある意味当然といえる帰結であった。 アン姫「新年の挨拶にオセチにカキゾメ… シン、もう一つ『オショウガツ』の行事でしたいことがあるのですが、手伝ってもらえますか?」 シン「オセチとかの御礼もあるし別にいいけど…… アンは何をしたいんだ?」 シンのその返事に満面の笑みを浮かべたアンリエッタはいきなり和服を脱ごうとし始め、其れを察したシンが必死に其れを止める。 シン「な、なななな… 何を考えているんだ、あんたってひとはー!!」 アン姫「シン、手伝ってくれると言ったのは貴方ではないですか、私がもう一つしたい行事である『ヒメハジメ』を手伝ってくれると言ったのは…」 アンリエッタのその言葉にシンは完全にフリーズを起こしたのだが、幸い手はがっちりアンの手を掴んでおり脱衣行動は阻止できていた。 そして時間にして30秒ほどがたっただろうか、シンはぎこちない笑みを浮かべながらアンリエッタに向かって言葉をつむぐ。 シン「わかった、でもさ、俺も一つだけしたいことがあるんだ、其れをしたらアンの手伝いをする、それでいいかな?」 アン姫「…わかりました、それでシンがしたい行事とは『コママワシ』ですか? それとも『タコアゲ』ですか?」 シン「いや、俺がやりたいのは福笑いって言う御正月の遊びで、こうやって目隠しをして……」 シンの言葉にサイトの報告書から得た情報にその言葉があったことを思い出し、特に疑うことなくシンの行動を受け入れるアンリエッタ。 そしてシンはそんなアンリエッタに近くにあった布で目隠しをすると、さらに違う布で両手両足も縛り上げ汗をぬぐうそぶりをする。 布を探していたときに見つけた鞭らしき物の存在を必死に頭から追い出すと、シンは深く深呼吸をしながら忍び足でドアの方へと歩いていき。 シンの言葉を信じて「福笑いとはこういう物なのですね…」といっているアンリエッタに一度だけ謝ると、部屋から出る、そして… シン「サイト、あんたって人はーーーーーーーーーーーー!!」 城中に響き渡るような怒号を発した後、ターゲットであるサイト撃破の為に学院へと全力疾走していったのであった。 その結果両手両足、さらに目隠しをされて放置される事になったアンリエッタだったのだが…… アン姫「…あの、シン、居ないのですか? ………あぁ、もしかして之が小説にあった目隠し放置プレイというものなのですね……」 シンが居ないにもかかわらず、ディナーの時間を過ぎても姿を表さないことを疑問に思ったマザリーニ枢機卿が部屋に来るまで悶えていたらしい。 ちなみに、シンはその後サイトと『使い魔最強決定戦―赤目の魔王VS神の左腕―』と後々の語り草となる大決戦を繰り広げてダブルノックアウトする事になり。 さらに一月も半分を過ぎた後に、暴走したアンリエッタの発言を聞かされたマザリーニ枢機卿から「責任を取りなさい」と詰め寄られ。 其れを聞いた嫉妬に駆られた女性陣と暴走した貴族男性陣達相手に『オニゴッコ』をする事になったという。 アン姫「うふふ、シン、呑んでいますか…?」(酔っ払った振りをして背中から胸を押し付けつつ押し倒そうとする) シン「あぁ、飲んで…って、あんたは何を考えてるんだ!!」(胸の感触に驚きながらも振り払う) アン姫「あぁん♪ はぁ……シンは強引なのですね…」(わざとらしく着衣を乱し、妖艶な笑み+流し目でシンを誘う) シン「……酔ってるんだろ?なぁ、酔ってるんだよな?そうなんだよな?」 (シン:状態異常=混乱・バーサク発動、アン姫に詰め寄りかける) タバサ「……シン」 シエスタ「ちょっと」 ティファニア「お話しましょう、ね?」(連携技・アークインパルスにてシンを撃墜、その後私刑スタート) 一覧へ
https://w.atwiki.jp/kingofbraves/pages/229.html
「ここみたいだな。俺たちの教室」 「おう」 ほぼあらゆる人の眠気を誘うであろう入学式の後、それぞれはこれから自分達が生活する教室に向かう。 人間とは不思議なもので、さきほどまで眠気を感じていても、気分が高揚しさえすれば、あっという間に騒ぎ始める。 「さっきまで皆、あれほど眠そうにしていてこれはなんだ」 「ま、新しい教室ってえのは、なんだかんだテンションが高くなるものだと思うさ」 「ほう。まあ、それよりも」 「屋上にいけるかどうか、だろ?」 「ああ」 彼らもそのうちのはずであるが、屋上にいけるかどうかを調べるらしい。 「屋上階段・・・閉ざされていないか」 「じゃ、大丈夫じゃないか?」 「試してみよう」 ドアノブをひねる。そして押す。開く。 「今回は・・・空を見られるな。見やすいところで」 「よかったな」 確認したいことを終え、教室に入る。 皆、一様に騒いでいるので、入ってもあまり目立たなかった。 教師が来てから座席表が発表されるため、それまでは自由。 とあれば、同じ中学から進学してきた者と近くに座り、思い思いに談笑となっている。 彼らも例に漏れず、適当にあいているところに座る。 「なぁ、空。あの子、新入生代表挨拶してた子じゃないか?」 そういって彼が指差した先には、一人の少女がいた。 腰まで届く黒髪、引き込まれそうな光を湛えた優しい眼。 まず、美少女といって差し支えなかった。 空、と呼ばれた少年も、そちらのほうへ眼を向け、そのようだな、と軽く言った。 「確か、彼女の名前、俺と同じ空だった気がする」 「ほう、あの子に一目惚れか?」 「いや、同じ名前というのは気になる」 それだけ言うと、彼は窓から『空』を眺めた。 ただ眺めている。茫洋と。その視線は雲を追いかけているのか、青い空を見つめているのか、鳥を探しているのか、 判然としない。ただ、空を眺めている。 彼の隣の友人は、そんな彼を見て、いつもどおりだな、などと考えていた。 ふと、その彼は空に声をかけた。 「なんだ、涼治」 「いやな、お前は空を見て何を探しているのかな、と思ってさ」 彼は軽く考えるそぶりを見せた後、 「見ているだけでいい」 答えになっていない返事をすると、すぐにまた、空を眺め始める。 もう病気だな、などと思いつつも、いつものことなので涼治も咎める気はない。 それから5分ほどして、中年の男が入ってきた。 メガネをかけて、やや神経質そうな見た目だった。線も細い。 「さて、私がこのクラスの担任となる、朝倉洋一です。担当は現代文と古典。では皆さん、名簿順に座ってください」 そういって、座席表を黒板に書き、そこに数字を書き込んでいく。 数字が完全に書き込まれ、全員が自分の数字を書き込まれた場所に当たる机を探し移動する。 ところが空(少年のほうである。)は、移動する気配がない。 彼が座っていた場所は、最初から彼の座席だったらしい。 彼の座席のほうに視線と声が集まってくる。所謂うるさい、という状況であった。 見れば隣が、例の少女―空である。 成る程、それで騒がしかったのか。 彼は納得する。注目される人間がいればそこに話題が集中するのは当然である。 再び窓に視線を戻そうとした時、隣の『空』から声をかけられた。 「同じ名前かぁ、こういう偶然もあるんだ。よろしくね」 そういって人懐っこく微笑んできた。 彼に男子から嫉妬の視線やらが集中するが、あいにく彼はそういうものに疎い。 特に何か変わった様子を見せるでもなく 「ああ、よろしく」 と軽く答えた。 近所同士の挨拶が終わったのを見届けて、朝倉が口を開く。 神経質な見た目の割には、それなりに柔軟らしい。 これからの予定や、諸連絡を終え、次に学級委員を決めることとなった。 「では、立候補するような方はいますか?」 彼の言葉に手を挙げるものはいない。 予想された光景だ。どこのクラス、どこの学校でも大抵こんなものである。 「では、推薦したい生徒は?」 一人が手を挙げ、「上谷さんがいいと思います」と推薦した。 即ち、女子の『空』である。 代表演説は当然、皆(朝倉も含め)見ていたので、反対するものはなく決まった。 本人も特に断ろうとはしなかった。明るい声で、「精一杯頑張ります」と決意を表明し、花の様な笑顔を見せた。 声援と拍手が教室にこだまし、彼女に口笛が殺到する その熱気が冷めてきたところを見計らい、 「では他に推薦したい生徒は?」 そこで、空の友人、涼治が手を挙げる。 「成川君。誰を推薦しますか?」 「僕は緒川君を推薦します」 その直後、全員の視線が、たったいま学級委員になったばかりの少女の隣―緒川空に集中していた。 指名された少年は驚き、自分を推薦した友人を見るが、ニヤニヤしているばかり。 そして朝倉は、本人の意志よりも、クラスの意見をとる。 ―即ち、多数決。 クラスのアイドルの隣のヤツだから、という半ば腹いせに近い理由で投票した男子や、沈着そうな彼の様子を見込んだ女子など、ともかく、多くの賛成票が投ぜられてしまった。 明らかに剣呑な雰囲気を振りまき、しかめっ面で拍手を受ける緒川。 (涼治のヤツ・・・後で一発殴っておこうか) 彼は拍手を受けながらそんな物騒なことを考えていた。 しかし彼はここで思い出す。 まだ、会計と書記が残っていたという事実を。 起立した姿勢のまま、彼は挙手し、この状況に追い込んだ友人を書記に推薦した。 もっとも、涼治本人はそれにあまり驚いていなかった。予想の範囲内だったらしい。 こちらは本人もあまり反対していなかったというのもあり、すぐに決まった。 最後の会計は、結局誰も推薦されるような人がいなかったために、朝倉が一人の女子を指名した。 初日のHRはこれで終りである。 終了のあいずとともに、彼は屋上へと向かった。 上谷とその喧騒もないかのように。 「やはり・・・空はいい」 一人流れる雲を見上げながら、彼は呟く。 「空は・・・俺の心を癒してくれる。この穢れた大気の中でもそれを感じることが出来る」 常人が聞いたら、軽く引かれかねない言葉を吐く。 それきり、何も言わず、空を眺めているだけであった。 雲が離れ、又集まり、流れ、鳥が時折雲とともに青空をきるように流れてゆく。 飽きもせず、倦みもせず、ただひたすら時の流れと雲の流れを楽しむ。 しばらくして、彼はあることに気がつき、腰を上げた。 「これは・・・そろそろ雨が降るな」 教室に戻るべく、階段を下りる。 「あ、緒川君?」 「上谷か。なぜ屋上に?」 「実は・・その質問責めから逃げたくなって」 「そうか。そろそろ雨が降る。傘が必要になるぞ」 空はそれだけ自分と同じ名前の少女に忠告するとさっさと傘をとって校舎を出て行った。 「え?あの、えー?雨?」 後にはほとんど疑っている少女が残っていた。なにしろ快晴である。 すぐに雨が降るとは思えない。 「一応、万が一考えて毎日持ってきてはいるから大丈夫かな」 上谷空は軽く考えて、屋上を避難場所にした。