約 1,001,447 件
https://w.atwiki.jp/910moe/pages/2659.html
恋のライバル同士だったのに 849 「なあ、聞けよって」 「だから聞いてんじゃん、そんで」 見るともなく眺めているだけの雑誌から視線を上げずに答えると、○○はめげた様子もなく再び口を開いた。 窓の外では重く垂れこめた雲が日の光を遮って、辺り一面に夜の気配が漂っている。 凍った天から吹き降ろす寒風がフローリングの床に滲み渡っている所為で何時まで経ってもヒーターの電源を落とせない。 最後に頭痛薬を飲んで何時間になるだろうか。 痛み出した米神に手をやりながらローテーブルに置いた目覚まし時計を横目に見た。 「マジうけるよな、ホント訳分かんねー」 「…お前ホント、最近アイツの話ばっかりね」 「はは、妬いてんの」 妬いてんだよ、と勢いそう返しかけて、すっかり冷えたコーヒーと共に言葉を飲み込む。 人の気も知らずに全く能天気なものだ。 呆れて出た溜息をどう解釈したのか、したり顔で笑みを向けた○○のあからさまなからかいの目を振り切るように重い腰を上げ、玄関へと足を向けつつ捨て台詞のように投げかけた。 「晩飯食ってくんだろ、金出せよ」 「え?金取るなんて聞いてねーよ」 「今言いました。作るのメンドいからピザでも取ろうぜ」 放りっ放しの鞄の中から財布と薬と、それに煙草を摘み上げて換気扇のスイッチを押す。 ほとんど喫煙所と化しているミニキッチンは、本来の目的のために使った形跡など欠片もなく小ざっぱりとして綺麗なものだ。 シンクの縁に手を突いて項垂れ、煙を巻き取りごうごうと回るプロペラの音に耳を澄ます。 「火貸して」 いつの間にか寄って来ていた○○に半身を向けて立てば、ただでさえスペースに余裕のない台所が更に狭くなった。 向こうの火口が赤く光ると忽ち独特の甘い匂いがこちらの鼻先にまで纏わりつく。 「でさ、●●アイツ昨日もさ」 「だーからさ、その話はもう聞き飽きてんの、しんどいんだよ、言わすなこんなの。何が悲しくて野郎の口から男の話ばっか…」 くゆらす煙に乗せて、いっそ無邪気に再々口火を切った相手を咎めるがごとく反射的に出た声。 取り繕うよう継いだ台詞の早口に零れていく様が、むしろ自らの思惑を裏切る風に響いてはいないか。 ふと胸に募った気まずい思いで俺の舌が鈍るのもお構いなしに、言葉尻を踏み躙って○○が次に放ったのは予想だにしない一撃だった。 「抱いてやったら顔真っ赤にして、それ隠しながら声堪えてたよ。すげー可愛かった」 「は?」 「だから、お前が聞きたかったのってそーいう話だろ」 「え」 「好きなんだろ、●●の事。そーいう意味で」 あまりの衝撃に取り落とした煙草がガス台へと転がった。 拾おうと伸ばした手を制して指先を掴まれる。 弾かれたように上げた顔の、すぐ鼻の先で○○が喜色を浮かべ人の目の色を窺っているのを見ると余計混乱が渦を巻いて、頭がどうにかなりそうだ。 奴が缶の口に煙草を押し込んだのと同時、指を握るもう一方の手に力が込められた。 表情は変わらないのに、それはまるで言い逃れや誤魔化しや、反論さえ許さないとでも言うように固く強く。 呑まれてしまって身動きすらままならない自分が情けなくなる。 「好きなんだろ、知ってたよ。お前ヘンなとこで分かり易いんだもんな」 「意味分かんね…、冗談キツいわ、つーか近いって」 「あんなお人好し、押せば簡単に行けたのにモタモタしてっから、そのクセ焼き餅やいたりしてさ。女々しいよお前。ま、そんなところが好きなんだけど」 話の展開に思考が追い付かず押し黙った俺を置き去りにして、○○は饒舌に言葉を続けた。 「お前の事ずっと見てたんだ。けど、そんな顔見んの初めてだね。やっぱそそるわ、うん、好きだよ」 鼻先で撒き散らされる煙たく甘ったるい匂いに吐き気がする。けれど間髪なく噛み付くようなキスを注がれて、抵抗する気力など俺にはなかった。 有能だけど扱いづらい男
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/451.html
「あ!お前ら何やってんだ!」 「「ゆ!!!」」 畑での盗みを咎める声に驚く子れいむと子まりさ。 しかしその親れいむは全く動じずに野菜を食べ続ける。 「ゆゆ!みつかっちゃたよおかあさん!」 「たいへんだよ!ゆっくりできなくなっちゃうよ!」 「だいじょうぶだよ!おかさんにいいかんがえがあるからね!」 こうして三匹のゆっくりは中央の広場へと連行されていった。 ここ「共存区」はその名が示す通り人とゆっくりの共存のための実験施設である。 この施設は地下にあり、その広さは村一つ程だ。そしてこのエリアでは捕食種は扱われいていない。 連れて来られるゆっくりは二種類、加工場で生まれ育った養殖ゆっくりと害獣とされる野生の天然ゆっくりだ。 選択基準は無くどれも無作為に選ばれているが、養殖物は多くが大人しくてある程度落ち着いており、天然物はほとんどがテンプレ通りの性格だ。 この両者、特に天然ゆっくりの悪事防止ためにいくつかの規則が決められている。 「他者の食べ物を取ってはいけない」「他者の家を荒らしてはいけない」などだ。 人にとっては当たり前のことだがゆっくりにとって理解できず、多くの天然ゆっくりが罰を受け、潰されたり加工場に送られたりした。 そして移動と補充を繰り返し、ようやく落ち着いてきた時に例の事件は起こったのだ。 広場にて 「被告、ゆっくりれいむNO.016、NO.017、ゆっくりまりさNO.18。 あなたたちは他人の育てた畑を荒らし、野菜を盗んで食べたことを認めますか?」 「ちがうよ!おちてんだよ!れーむたちがさきにみつけんだよ!」 「おじさんはうそつきだよ!」 「まりさたちはなにもわるいことしてないよ!」 裁判官はやれやれといった顔でそれを聞いていた。 「あの野郎!ふざけやがって!」 「やめておじさん!あんなゆっくりできないこあいてにしないほうがいいよ!」 「どうせすぐにしぬよ!あいてにするだけむだだよ!」 怒りに震える俺をなだめようとするゆっくりたち。 「ではこれはどういうことですか?」 そういって裁判官は小型モニターにある映像を移した。 「ゆ!おかあさんがいるよ!」 「まりさもいる!みんないっしょだよ!」 それは事件発生時の監視カメラの映像だった。あらかじめ畑の数箇所に取り付けられていたのだ。 「この証拠によりあなたたち三匹は罰を受けなければなりません。規約により餡子吸出しの刑です。」 餡子吸出しの刑、それはゆっくりの命と言うべき餡子を生きながらして吸い出されるという過酷な刑の一つである。 「ゆゆ!まだゆっくりしたいよ!」 「ゆっくりいやだよ!おじさんがかわってよ!」 慌てふためく二匹。だがその親は違った。 「そのかみをゆっくりみせてね!」 裁判官から渡された用紙を冷静に読み始める親れいむ。 そして 「やっぱりだよ!たしかにこのかみにはあんこをすいだすとかいてあるよ! でもれーむたちにきずをつけていいなんてかいてないよ!」 それにより言葉を失う会場の一同。 「やったねおかあさん!またゆっくりできるよ!」 「おかあさんはてんさいだよ!」 「えへん♪」 子供たちに褒められて胸(?)を張る親れいむ。 だが、 がしり! 数人の男たちに後ろから掴まれる一家。 「ゆ!はなしてよ!」 「まりさたちをきずつけちゃいけないんだよ!」 「れーむがうったえちゃむぐ!!!」 男たちは子れいむが言い終わる前に口にホースを突っ込む。 「む!ぐむむ!ぐごぎゅぎゅぎゅぎゅーーー!!!!」 理解できないまま泣きながら餡子を吸い出される子れいむ。 「やめてよね!れーむがしんじゃうよ! 「はやくとめてよね!はやくたすけてあげてね!」 しかし男たちをそれを聞き入れる様子はない。 「がびょびょぴょぼぼぼぼぼお”お”お”お”お”お”お”!!!!」 少しするとその苦悶の顔からは涙は出なくなり、代わりに目から餡子を出し始める。 「ぎょごお”お”お”お”お”!ぎょぶ!ぼぶ!びゅぷ…」 音もなくふわりと落ちて「処刑」が終わった。 「れ”い”む”う”う”う”う”う”う”う”う”う”!!!」 「どお”じでごん”な”ごどずる”の”お”お”お”お”お”お”お”!!! ぎずづげじゃだべだどい”い”い”い”びゅぴゅぶっ!!!」 「ま”り”ざあ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!」 こうして傷つけることなく二匹目の「処刑」が始まった。 前半いらないなぁ、描写薄いなぁと後悔 by.らしい このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/163.html
「あ!お前ら何やってんだ!」 「「ゆ!!!」」 畑での盗みを咎める声に驚く子れいむと子まりさ。 しかしその親れいむは全く動じずに野菜を食べ続ける。 「ゆゆ!みつかっちゃたよおかあさん!」 「たいへんだよ!ゆっくりできなくなっちゃうよ!」 「だいじょうぶだよ!おかさんにいいかんがえがあるからね!」 こうして三匹のゆっくりは中央の広場へと連行されていった。 ここ「共存区」はその名が示す通り人とゆっくりの共存のための実験施設である。 この施設は地下にあり、その広さは村一つ程だ。そしてこのエリアでは捕食種は扱われいていない。 連れて来られるゆっくりは二種類、加工場で生まれ育った養殖ゆっくりと害獣とされる野生の天然ゆっくりだ。 選択基準は無くどれも無作為に選ばれているが、養殖物は多くが大人しくてある程度落ち着いており、天然物はほとんどがテンプレ通りの性格だ。 この両者、特に天然ゆっくりの悪事防止ためにいくつかの規則が決められている。 「他者の食べ物を取ってはいけない」「他者の家を荒らしてはいけない」などだ。 人にとっては当たり前のことだがゆっくりにとって理解できず、多くの天然ゆっくりが罰を受け、潰されたり加工場に送られたりした。 そして移動と補充を繰り返し、ようやく落ち着いてきた時に例の事件は起こったのだ。 広場にて 「被告、ゆっくりれいむNO.016、NO.017、ゆっくりまりさNO.18。 あなたたちは他人の育てた畑を荒らし、野菜を盗んで食べたことを認めますか?」 「ちがうよ!おちてんだよ!れーむたちがさきにみつけんだよ!」 「おじさんはうそつきだよ!」 「まりさたちはなにもわるいことしてないよ!」 裁判官はやれやれといった顔でそれを聞いていた。 「あの野郎!ふざけやがって!」 「やめておじさん!あんなゆっくりできないこあいてにしないほうがいいよ!」 「どうせすぐにしぬよ!あいてにするだけむだだよ!」 怒りに震える俺をなだめようとするゆっくりたち。 「ではこれはどういうことですか?」 そういって裁判官は小型モニターにある映像を移した。 「ゆ!おかあさんがいるよ!」 「まりさもいる!みんないっしょだよ!」 それは事件発生時の監視カメラの映像だった。あらかじめ畑の数箇所に取り付けられていたのだ。 「この証拠によりあなたたち三匹は罰を受けなければなりません。規約により餡子吸出しの刑です。」 餡子吸出しの刑、それはゆっくりの命と言うべき餡子を生きながらして吸い出されるという過酷な刑の一つである。 「ゆゆ!まだゆっくりしたいよ!」 「ゆっくりいやだよ!おじさんがかわってよ!」 慌てふためく二匹。だがその親は違った。 「そのかみをゆっくりみせてね!」 裁判官から渡された用紙を冷静に読み始める親れいむ。 そして 「やっぱりだよ!たしかにこのかみにはあんこをすいだすとかいてあるよ! でもれーむたちにきずをつけていいなんてかいてないよ!」 それにより言葉を失う会場の一同。 「やったねおかあさん!またゆっくりできるよ!」 「おかあさんはてんさいだよ!」 「えへん♪」 子供たちに褒められて胸(?)を張る親れいむ。 だが、 がしり! 数人の男たちに後ろから掴まれる一家。 「ゆ!はなしてよ!」 「まりさたちをきずつけちゃいけないんだよ!」 「れーむがうったえちゃむぐ!!!」 男たちは子れいむが言い終わる前に口にホースを突っ込む。 「む!ぐむむ!ぐごぎゅぎゅぎゅぎゅーーー!!!!」 理解できないまま泣きながら餡子を吸い出される子れいむ。 「やめてよね!れーむがしんじゃうよ! 「はやくとめてよね!はやくたすけてあげてね!」 しかし男たちをそれを聞き入れる様子はない。 「がびょびょぴょぼぼぼぼぼお”お”お”お”お”お”お”!!!!」 少しするとその苦悶の顔からは涙は出なくなり、代わりに目から餡子を出し始める。 「ぎょごお”お”お”お”お”!ぎょぶ!ぼぶ!びゅぷ…」 音もなくふわりと落ちて「処刑」が終わった。 「れ”い”む”う”う”う”う”う”う”う”う”う”!!!」 「どお”じでごん”な”ごどずる”の”お”お”お”お”お”お”お”!!! ぎずづげじゃだべだどい”い”い”い”びゅぴゅぶっ!!!」 「ま”り”ざあ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!」 こうして傷つけることなく二匹目の「処刑」が始まった。 前半いらないなぁ、描写薄いなぁと後悔 by.らしい このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/izayoi-bb/pages/38.html
【立ち回り】【総合】 【開幕】 【遠距離】 【中距離】 【近距離】 【空対空】 【地対空】 【空対地】 【起き攻め】 【被起き攻め】 【固め】 【被固め】 【暴れ】 【キャラ専用コンボ】 【反撃確定ポイント】 【掲示板より】 【立ち回り】 [部分編集] 【総合】 相手が空中にいるときにBミラで接近(α、イージスで狩る) Cによる牽制にはβで対応 ソニックでの珠溜めが難しい(Dまかれると) Dミラで強引に接近(過信はできないが) [部分編集] 【開幕】 [部分編集] 【遠距離】 [部分編集] 【中距離】 [部分編集] 【近距離】 [部分編集] 【空対空】 [部分編集] 【地対空】 [部分編集] 【空対地】 [部分編集] 【起き攻め】 [部分編集] 【被起き攻め】 [部分編集] 【固め】 [部分編集] 【被固め】 [部分編集] 【暴れ】 [部分編集] 【キャラ専用コンボ】 [部分編集] 【反撃確定ポイント】 [部分編集] 【掲示板より】 暇だからキャラ対策でもしないか? μ対策 開幕 ローリスク バクステ、様子見、バックジャンプソニック ミドルリスク 地上ソニック、微ダ5B、前ジャンプソニック ハイリスクハイリターン 低ダJC、α、γ 低ダJCは5Cに勝てて、〜5A>2C>γ〜で6珠回収 αはジャンプ読みでBミラまで入れ込めば4珠回収 γは微ダ5Bで触りに来たらAミラ仕込みで4〜6珠回収 地上ソニックはバクステ読みだが普通に避けられるし5Cに負けるので怖いところ 微ダ5Bは様子見相手用、1珠回収 立ち回り 確反ポイント (通常時)μ6B2段目直ガ→微ダ5A〜 6珠回収 μ6C>ハバヤ→6Cガード後Bミラ※距離による (GA時)μ地上トツカ→見てからDミラorOD発動>ジャスティス μJ2C→6A まだまだあると思うけどこんな感じ 通常時 極端に珠が溜めにくいので離れてソニックよりラインを上げる 焦れて触りに来たとこをα、β、5Bで追い返す 5Cがギリギリ届かないとこでソニック ハバヤに対してBミラ ジャスティスのプレッシャーが欲しいのでビットは空中直ガ 5Cはバリガ、6C直ガ このへんを意識して立ち回る コンボ選択はダメより珠回収メインで6珠以上でGAに切り替え(最低でも4珠は欲しい) GA時 基本は中距離、無理に攻めると5Cや6Aの的なので注意する 珠を回収しにくいので立ち回りのDソニックは封印、Dミラも確定以外は控えるように。 JC、5Cに勝てる技がない(6Aがあるけど…)ので、ギリギリの位置をキープする 起き攻めは詐欺飛びが出来ないので、ホバー2段ジャンプとかで打つポイントをずらして行きたい 難しければ勿体ないけどDソニックで。 コンボ選択は賛否両論だと思いますが、ダメ効率の良い2珠コンを主軸に殺しきれる時はODも使っていく こんな感じ 名無しさん[sage] 投稿日:2012/12/15(土) 01 02 57 ID FACHX2Tg0 結構な数、ミューと戦ったが かなりきつい印象だな・・・ Dまかれるだけで、ソニックでの球溜めがまず無理になるし 通常攻撃性能も全体的に負けてるから、立ち回りがきついきつい ダブルαで球溜めて、Dミラで相手のピット置きを咎める感じかね ハザマも似たイメージ。 ハザマはクルセイドがかなり機能するから全然いけるけど。 名前:[sage] 投稿日:2012/12/15(土) 04 42 49 ID DH1uuOT.0 量産型なら相手が空中にいる時にBミラで近付いてαイージスβを使って珠貯める。あとビットの設置から発射がそんなに速くないのでソニックも撒いていく。地対地は 相手の調子に乗ったC牽制にはβで。 GAなったらDミラから強引にターン取りに行きたいんだけど見てからは厳しく、登りで撒かれるビットには地上に出る前提で動いた方がいいかも。 77 :名無しさん:2013/01/13(日) 10 28 05 ID 7cX2Wdu6O 76 遠距離はソニックが牽制として機能しないから慣性ジャンプで意地でも距離寄せ 2B5Bは5Cに一方的負けるので刺し用と割り切って 中距離での牽制はαとβの先端でだいたい勝てるからヒット確認からBミラで2Cの先端ギリギリの距離まで一気に詰めて起き上がりは2C先端ギリギリの距離でじゃんけん バースト吐かせたらGAでミラちらつかせて空中ビットに対して威圧かけとけば後は割と好き放題できる 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/420.html
クリフトのアリーナの想いはPart12.5 419 名前 1/2 Mail sage 投稿日 2012/07/13(金) 02 05 38.75 ID 08o7PFcp0 昨夜までご機嫌斜めだった姫が、父であるサントハイム王に呼びつけられ、謁見の間を出ててからやけに足取りが軽い。 なんでも、公務である他国との晩餐会が先方の都合によって中止になったというのだ。 じっとしているのが性に合わないこの姫、先日のドレスの試着では始終むくれっぱなしで、 仕舞いには暴れだしてヒールを折る始末だったので、それはそれは嬉しいのだろう。 朝の祈祷を済ませた神官が、城内で浮き足立った姫を見かけた。 姫様、と声を掛けるより先に、突進とも言える勢いで走り寄って来る。 「クリフト! クリフト――――!!」 その猛進は城内に疾風を起こし、カーペットを乱れさせた。 「姫様っ、お城の中で走ってはなりませんとあれほど…!」 その場に居合わせた頭頂の禿げた教育係の爺が咎めるのも聞かず、 姫は顔を輝かせて若い神官に掛け寄ると両手を広げて力一杯抱きついた。 その勢いと言ったら、神官が姫を受けとめたまま、どこまでも後方にずり下がり、 背中で太い石柱を一本大破させ、更には大理石の壁をも抉らせたほどだった。 頑丈な石が崩れ去る重低音が、城内に響き渡る。 この若き神官が幾多の戦闘で肉体を鍛えていなかったら、命も危うかったに違いない。 ブーツに火が点く程の摩擦熱と、首元にしっかりと絡みつかせた姫の細腕、体温、果てには胸元の柔らかな感触……。 神官の全神経は一瞬にして研ぎ澄まされ、反射的にその身体を腕を回す。 埋め込まれたような形で激突した壁からずり落ちると、二人は身を重ねる形でようやく動きを止めた。 「クリフト、聞いて! 明日中止になったのよ! 私もう嫌で嫌で仕方無かったの!」 目を覆いたくなる程の酷い破壊行為をよそに、心底嬉しそうにアリーナが報告する。 全ての体重を任せられたまま輝くような姫の笑顔にクリフトは笑みが漏れそうになるが、 背中がひどく痛むのと、立場上、共に喜ぶわけにもいかないので、苦虫を噛み潰したような顔をしてただ頷いて見せた。 二人の目が合う。さすがの姫もやりすぎたと思ったのか、小さく舌を出して「あっ、ごめんねクリフト!」 と一言だけ詫びて、首元から細い腕を外して起き上がろうとした。 「えっ…」 姫が小さく、声を立てる。 神官の腕がその力を抜かないので、身を起こせないのだ。 甘い拘束。今しがた抱きついた男の胸は広く、力強い鼓動を感じる。 姫の額が、神官の頬に触れた。 「クリフト?」 ただ名前を問いかけると、神官は慌てた様子ですぐさま姫を解放したが、 頬を赤くしたままで目を合わせられないらしく、ただ俯いていた。 「ご…ごめんねクリフト、痛かったでしょ?」 アリーナは取り繕うように言葉をかけ、手首を掴んで立たせた。 「いえ…私のほうこそ…申し訳…ありません、姫様」 長い帽子を直しながらしどろもどろに謝罪の言葉が告げられる。 姫が見上げると、二人の身長差がかなりある事に気付かされた。 「姫様! いつになったらおしとやかに振舞って頂けるのか……!」 ブライが怒りに声を震わせていた。 「ブライったら、そんなに怒ってばかりいると毛が全部無くなっちゃうよ」 悪戯っぽく笑うと、姫は持ち前のすばやさでその場をいとも容易く立ち去り、 残されたクリフトが姫の代わりに説教を受ける羽目になった。 姫が何かやらかした時は大抵このパターンである。 「クリフト…弱そうに見えて、あんなに体大きかったんだ……」 ブライのお叱りを逃れ、自室のベッドに寝転がりながら、姫はぼんやり考えている。 その腕には上質のクッションが抱かれたまま……。 「姫様……あれほどの力を持ちながらお身体は華奢でいらっしゃる……」 アリーナの身代わりとなり、爺の説教を上の空で受けながら、 神官は姫の体温を思い出し、己の手をただ見つめていた。 -END-
https://w.atwiki.jp/chisato_ojosama/pages/826.html
前へ 高速道路をぐんぐん進んで、一般道をしばらく進んだところで、ふと景色が変わった。 「千聖ちゃん、海!」 私の呼びかけに、マサキとババ抜きをしていた手が止まる。 「ウフフ、もうすぐ別荘に着くわ。きれいな海でしょう?後で千聖のお気に入りの場所を案内するわね。ほとんど人の出入りがないから、リラックスして過ごせると思うわ」 「すっげー、プライベートビーチってやつ?」 「いいえ、工藤さん。日本では海の私有が認められておりませんので、法的な側面から言えばプライベートビーチというのは(ry」 なんだかよくわからんメイドさんの解説はおいといて、誰も来ない海で、千聖ちゃんと過ごせるのか・・・。 なにして遊ぼうかな。水鉄砲で戦争ごっこなんて、上品な千聖ちゃんは絶対やらないだろうし、綺麗な貝殻でも拾ってプレゼントしようかな。 「うみうみうみー!!きゃほー!」 「・・・おい、空気よめよお前!」 ――だが、こいつがいるんだ。マサキのやろうが。 千聖ちゃんに迷惑なんてかけさせないからな(キリッ)あたしがバッチリ監視してやる。ついでに教育もしてやる! 「まーちゃん泳ぎます!ここで降りていいですか」 「は?いくら海見えてるからって、歩いたら結構距離あるんだからな。だいたい、水着どうすんだよ。裸で海入るのかよ」 「あるもん」 「は?」 マサキは座席を乗り越えると、おもむろに私と千聖ちゃんの間に割り込んできた。 そのまま、グッフッフとしたり顔で笑うと、なぜかスカートの裾に手をかける。 「なにやってんだよ」 私の咎める声にも構わず、マサキはいきなりガバッとワンピースを捲り上げて、「じゃーん!」と元気よく体を見せ付けてきた。 「バッカお前・・・!」 「まあ、まーちゃんたら!」 なにが悲しくて、マサキのヌードなんか見せられなきゃならんのだ・・・と目を反らす。 だけど、同時にあげた千聖ちゃんの声からは、不思議と嫌悪感というものを感じなかった。 「んん?」 私にケツを向けて、千聖ちゃんに服の内部を見せているマサキ。 だがしかし、奴は裸んぼではなかった。下着ッ子でもなかった。 「ウフフ、水着を着ていらしたのね、まーちゃん」 千聖ちゃんの言うとおり、マサキは紺色のスクール水着を着ていた。 「びっくりさせんなよな!」 「うへへへ」 マサキは振り向くと、“さとうまさき”とデカデカ書かれたゼッケンを見せ付けてきた。 「つか乳近づけんなよ!」 「どぅーは怒ってばっかりですね。でも怖くないです。真の恐怖は業平さんにこそあります」 「ったくまたわけわかんねーこと言って」 マサキにまともに話を振ったって仕方がない。 それはわかってるんだけど、千聖ちゃんが絡んでいると言うのに、暴挙を見過ごすわけにはいかないのだ。 「きゃーまーちゃん浮き輪も持ってきました!」 「はいはい、まーちゃんたら、ワンピースをお下げなさい。風邪を引いてしまうわ」 ――でもでも、千聖ちゃんてば、こんなメチャクチャなマサキに優しくして・・・もしかして、私、空回ってる? そう思うと悔しくて切なくなって、私は2人に背を向けると、タヌキ寝入りを始めた。 「遥?まあ、疲れてしまったのかしら」 ごめんよ、千聖ちゃん。ちゃんと着く頃には、機嫌を直しているから。 爆発しなかっただけ、大人になったわね。と脳内でみずきちゃんも褒めてくれているし、許しておくれ。 そのうちに、マサキも遊びつかれたのか、私の背中に思いっきり頭突きをくらわせてきたまま寝息を立て始めた。 「ウフフ、妹が増えたみたいね」 「あら、嬉しそうですこと。本当に、何方かの御面倒を見られているときは、お嬢様もしっかりなさるんですねぇ。とかいってw」 ――違う、違うんだよ千聖ちゃん。私がなりたいのは妹じゃなくって・・・ 思考がまとまってくれない。運転手さんの運転が上手すぎて、その心地よい車の振動と、子守唄みたいにふわふわ響く千聖ちゃんの声の効果で、私はいつしか本当に深い眠りに落ちていってしまっていた。 次へ TOP
https://w.atwiki.jp/strike_witches/pages/64.html
ストライクウィッチーズ 第94統合戦闘航空団より 11 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 22 30 52 ID 45Z78DLF 今日は作戦予定もないので、朝のミーティングはつつがなく終了すると思われた。だが。 「ではミーティングを終了します。何か用件がある方は……はい、宮藤さんどうぞ」 「最近私の部屋に誰かが入っているみたいなんです……訓練から帰ってくると、ベッドが湿っていたり……やめてもらえませんか」 隊員たちがざわめく。姿なき悪意を咎める声が聞こえる。ペリーヌはそんな人がいるこの部屋にいられるかと出て行った。 「そんな事をする人はうちの隊員には……」 そう言いながらも、私に目を向けるミーナ。よい信頼関係で結ばれていたと思っていただけにショックだった。 確かに芳佳の部屋で痴態を晒したのは事実だが、フル稼働させていた魔力感知によれば誰にも見られてはいないはずだ。 つまり……彼女は私をそういう目で見ていたのだ。その事実に、私は―― 「で、ではこの件はこちらで調査するので解散とします……トゥルーデ、手伝って」 「あ、ああ……」 ――さて、どうしようか。胸の奥のどす黒い感情が、今にも爆発してしまいそうだった。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ O 。 ,.=, ´ ` >=、- 、 ,ィ´;;;;ノ ! ヽ;;! /;;;;;;;;/ / ;イ /ハ!; ヘ;!. /;;;;;;;;;;;/ / ;イ / ,イ l! ! V !;;l |;;;;;;;;;; イ /j/Tt- Vl ィTVV;;;! ヽ ノ .Y|ハ Vリ `' lリ lノ ` ゝ=-、 _ ノ 礼を言わなくてはな。…… 1乙。 , ィノ _ヘ>- < // ハ ゝ-Y-'^.i ヾ=-' l i . ̄ハ ) l l ノ .l! l .l V/ 二 l! .V /! l! l. ヾニハ A .! l! ! /L!V ! l l / ', ヽ l l レ ',. `! L /. ',=.l ヒ/ Vリ 513 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2008/08/06(水) 03 15 11 ID Mi6Ue18W 「きいてアロエリーナ ちょっと言い難いんだけど きいてアロエリーナ 妹が新しく出来ましたー きいてくれてありがと アロエリーナ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ O 。 __ ,.=, ´ ` >=、- 、 ,ィ´;;;;ノ ! ヽ;;! /;;;;;;;;/ / ;イ /ハ!; ヘ;!. /;;;;;;;;;;;/ / ;イ / ,イ l! ! V !;;l |;;;;;;;;;; イ /j/Tt- Vl ィTVV;;;! ヽ ノ .Y|ハ Vリ `' lリ lノ ` …………いつか、礼を言わないとな ゝ=-、 _ ノ , ィノ _ヘ>- < // ハ ゝ-Y-'^.i ヾ=-' l i . ̄ハ ) l l ノ .l! l .l V/ 二 l! .V /! l! l. ヾニハ A .! l! ! /L!V ! l l / ', ヽ l l レ ',. `! L /. ',=.l ヒ/ Vリ 733 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2008/08/06(水) 10 53 39 ID z2Qv1+xU 芳佳 ↓ ミーナ→私←エーリカ ↑ クリス  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ O 。 __ ,.=, ´ ` >=、- 、 ,ィ´;;;;ノ ! ヽ;;! /;;;;;;;;/ / ;イ /ハ!; ヘ;!. /;;;;;;;;;;;/ / ;イ / ,イ l! ! V !;;l |;;;;;;;;;; イ /j/Tt- Vl ィTVV;;;! ヽ ノ .Y|ハ Vリ `' lリ lノ ` なるほど…いいバランスだな… ゝ=-、 _ ノ , ィノ _ヘ>- < // ハ ゝ-Y-'^.i ヾ=-' l i . ̄ハ ) l l ノ .l! l .l V/ 二 l! .V /! l! l. ヾニハ A .! l! ! /L!V ! l l / ', ヽ l l レ ',. `! L /. ',=.l ヒ/ Vリ
https://w.atwiki.jp/monookichrome/pages/31.html
■ハンドアウト ●PC1 必須クラス:異形 パートナー:ヘレナ・B・トロイマ 異形に対しての差別、迫害。それらを咎めることもなく目を伏せる人々。 それが"大機関の国"の日常だった。 虐げられる立場にある君を、けれどこの街にあって守ってくれる人がいる。 若く美しく、魅力的な笑顔を見せる女性。巡回医師のヘレナ。 彼女に命を救われたのも、一度や二度ではないのだ。 ●PC2 推奨クラス:なし(裁縫師組合に所属していること) パートナー:トゥーリア・G・ミレイ 五年前、裁縫師組合から二人の紡ぎ手が、ここ"大機関の国"へ派遣された。 霧が晴れているのは三日間、しかし君と、共に入国した彼はこの国へ留まることを選んだ。 彼が如何なる理由で留まったのかは知らないし、今では疎遠になりつつある。 同じく君も、君にしかわからない理由でこの国に留まったのだろう。 現在は君の下宿に居候する子猫のような娘、トゥーリアと共に日々を過ごしている。 ●PC3 推奨クラス:なし(裁縫師組合に所属していること) パートナー:ヘレン・ベドイテント・ゲゲーベンハイト 五年前、君の友人二人が"大機関の国"へ旅立ち、その両者共に戻ってくることはなかった。 此の度アリア・B・コロラトゥーラが君へ依頼したのは、件の"大機関の国"の現状調査だった。 五年ぶりに霧が晴れ、国への出入りが可能になるというのだ。 恋人であった"ヘレン"を、友人のPC2を探す為か、使命感からか、君はこの依頼を受けることにした。 ●PC4 推奨クラス:従者 パートナー:ヘレナ・B・トロイマ 君は巡回医師であるヘレナの従者として、日々傷ついた人を癒す手伝いをしている。 時折"次"の大機関を見ては、憂いた表情を見せる主人。 君が手助けをせねばならない。そんな使命感が君の支えとなっている。 ■演目背景 ●大機関の国 数年に一度、およそ三日間程度のみ出入りの可能な国。 その原因は中央に存在する「"次"の大機関」と言われ、国の周囲を常に濃い霧と紫電で覆い隠している。 入国すると、空は常に曇り、空気は淀み、人々は半ば逃避するように現実から目を背けている。 御標によって示される小さな幸せと、次の遺跡がもたらす工業力。同時に遺跡が与える永遠に晴れない空と、淀んだ空気。 その天秤の狭間に存在する国である。 主に三階層の都市国家であり、最上階には資産を持つ者たちの屋敷が、最下層には貧民街が存在する。 その階層全てを貫くようにして、国の中心にそびえるのが「"次"の大機関」と呼ばれる巨大蒸気機関である。 ●背景 五年前、この国に二人の紡ぎ手が訪れた。 出入りの難しい"大機関の国"には無数の小さなほつれが存在するが、それを全て繕うのは不可能に近い。 その為霧が晴れている間、裁縫師組合や神羅手衆は現状調査の為に紡ぎ手を何度も派遣していた。 しかしその中の幾人かは帰還することなく、五年前の二人も既に死んだものと思われている。 一方はPC2であり、もう一方はヘレン・ベドイテント・ゲゲーベンハイトである。 此の度三日間の"風の道"(霧の晴れる期間をこう呼称する)が開通することが観測によって判明し、 PC3が派遣されることになったのである。 ■今回予告 霧は晴れず、暗紫色の雲の帳が重く立ち込める"大機関の国" 蔓延し始めた疫病に下層の者達は恐れ、もしくは諦め、 上層の者達は下層からの侵入を拒絶する 死にゆく者達を見、守るべき者達が苦しむのを見、"彼女"は叫んだ "弱者を虐げる者達は、みんなみんな苦しみながら死んで行きました" "めでたし、めでたし" モノトーンミュージアム「what a beautiful dream」 これは憎しみを、疑念を、悲哀を、諦めを、絶望を、 そして愛を知った大人達に送る色のないメルヘン
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/756.html
素肌を撫でる微風が火照りを奪って行く。 月明かりにほの白く浮かび上がるせつなの滑らかな背中。 肌寒さを感じて目を覚ました瞳に、半分開いた窓に揺れているカーテンが映った。 軽く身震いし、閉めようと半身を起こした所で腕を掴まれ、ベッドに引き戻される。 「どこ行くの………?」 半覚醒の少し籠った声。咎める音を含んだ囁き。 「あ……、窓、開いてるから……」 ラブは無言でせつなを胸に引き寄せる。 肩口まで布団を引き上げ、冷えた肩や二の腕を撫でさする。 これで寒くはないだろう、と言わんばかりに。 また一緒に暮らし始めて随分経つ。 こうして裸身を重ねて過ごす夜も、最早特別な事でなく 当たり前の日常となって久しい。 それでもまだ、ラブは時折不安そうな素振りを見せる。 さっきのようにせつなが不意に離れる事を酷く嫌がるのだ。 意識してか、無意識なのか二人きりの時は常に体のどこかが触れている。 何をする訳でもなく、指を絡めて来たり、隣に座って凭れかかって来たり。 さすがに人前では控えているが、それでもせつなが視界から消えると落ち着かなさ気に 視線をさ迷わせている。 一瞬でも放したら、そのまま何処かへ行ってしまう。 心の奥に宿ったのは、取り戻した安堵とまた失う不安。 「側にいるから。」 「もうどこにも行かないから。」 いくら繰り返してもすぐには安心しては貰えないのだろう。 信用ないのね。と言う苦笑い。 無理もない。と言う自戒。 散々振り回して来たのはこちらの方。 出会いからして出鱈目な占いから始まったのだから。 (ごめんなさい。) せつなは思う。 ラブから貰った溢れんばかりの宝物。 愛してくれた。叱ってくれた。すべてを許し、包み込んでくれた。 友達を、家族を、愛する人を、一人ぼっちだと立ち尽くしていた自分にもたらしてくれた。 それなのに、自分はラブに何を与えられただろう。 繋いだ手を振りほどいた。 迎えてくれた温かな住み処を離れて行った。 戻って来たところで、またいつか飛び出してしまうのではないか。 そう思われるのは仕方ないのだろう。 自分で決めた事は何があっても翻さない。それはもう立証済みなのだから。 (私、もう離れないから。) だから、一つ一つ。積み重ねて行く。共に過ごす日々を。 側にいるのが当たり前。またそう感じて貰えるように。 体中を撫でるラブの手のひら。 それは愛撫と言うより、腕の中に収まっているものの存在を確かめようとしているようで。 せつなの胸の奥がツンと締め付けられ、苦しくなって。 せつなはラブの体に腕を回し、頬を擦り寄せる。 体温を移し合い、一つの温もりになって行く。 「………ねぇ。……もう一度…。」 精一杯、甘えた口調で囁いてみる。 ラブは一度、ぎゅうっと強くせつなを抱き締め顔を覗き込む。 その顔に浮かぶのは、正に天真爛漫と言うのが相応しい太陽のような輝く笑顔。 ついさっきまで勤しんでいて、そしてまたこれから行おうとする淫靡な行為とは かけ離れた無邪気に弾けるような表情。 せつながこんな事を言って来るのは本当に珍しくて。 それが嬉しくて嬉しくて堪らない。ラブの全身がそう言っている。 せつなは顔だけでなく身体中が真っ赤に染まっている気がした。 どうしてこんなにも素直に応えてくれるのか。 いっそからかってくれた方が気楽なくらいだった。かえって恥ずかしくなる。 「あの…、疲れたならもういいんだけど…」 つい、照れ隠しにもならない心にもない台詞が口を突く。 「何をおっしゃいますやら。今さら取り消しは許さないよ~。」 これまた月明かりの中では不似合いなくらいの陽気な声。 せつなは逃れるようにうつ伏せになろうとするが、ラブの方が一瞬速かった。 両手首を掴まれ、ベッドに縫い付けるように仰向かされる。 せつなが口を開く前に、ラブは自分の唇で抗議の声を封じ込める。 こうなったらラブの勝ち。もうせつなは逆らえない。 唇から体へ。ラブの口付けは戯れながらせつなの白い肌の上を踊ってゆく。 啄むような、擽るような、軽く優しい唇。 それが徐々に熱を帯び、せつなの敏感な部分に集中してまとわり付き始めた。 揺らめき、溶けて広がって行く快楽の海にその身を漂わせる。 とうに肌寒さは忘れていた。 また一つ、幸せが重なっていく。 明日も、明後日も。共に有る限り。
https://w.atwiki.jp/p_ss/pages/37.html
久しぶりにオフだから、家族と出掛けようかと思っていた。 けど、久しぶりのオフだからこそ二人で居たくなるわけで。 いつも引き込もってるあの子、本当は呼ばれるのを待ってるのかもね。 「おはよ。」 まだ涼しい午前中の待ち合わせ。 いつもはルーズなくせに珍しく先にいて、君のワクワクが伝わってくる。 「早いじゃん。」 「待たせたら怒るっしょー。」 つんと逃げる様に言い放つ。 ツンがきたということは、あたしの予想は的中だね。 にやにやとするあたしに、君は咎めるようにヒールをゴツゴツと鳴らした。 「で、どこ行くの?」 「江ノ島のさー…」 「遠いよ。」 無理無理と言うように眉をひそめるその顔、気にくわない。 「…あ、あやちゃんだ。」 あたしはそう言って虚空を指したのに…。 「ウソ!?」 君は思いっきり振り向いた。 「嘘。」 「うっわ、ヒド。」 「どっちが。ゆかがいるのに反応するん?」 嘘ついた理由を察せないんじゃろ? 恨めしそうに見てくる君に、あたしはまだ優しくできそうにない。 それにあたしは、その困った顔がすごく好き。 とーってもキュートだよって、言ってあげたいけどデレないなら意味はない。 「でもホントにいたら…」 「あやちゃんがいい?」 「いや、違うん…違…」 ぷっ。 「…ない、のっちないわ。」 「は…なんで笑ってんの?!」 吹き出したあたしに、少し遅れて食いかかってくる。 迷惑そうな顔、いい画だね。 「だって必死なんじゃもん、笑うわ。」 「…もーええよ、行こ。」 参ったと両手を上げて、君はゆらゆら歩き出す。 同時に君の周りの空気は、パキッとしたものに変わる。 いじればいじるほど、柔らかくなるその空気。 あたしは君のそれが好き。 あたしなんて気にも止めずずかずかと歩いて行く背中。 ご機嫌ななめみたい。 でも、焦ってるのがバレバレなんよね。 「のっちぃ。」 「ん?」 「そっち違う。」 「え?」 「駅あっちじゃけぇ戻って。」 「ん。」 反対方向を指したあたしの手を見て、無言でこちらへ戻ってくる。 それはそれは悔しそうに。 「もーほんと…」 「ほんと…何?」 「いいじゃん!何でも!」 君はむきになって、ビュンと鳴るくらいに勢い良くそっぽ向いた。 わかっとる。 恥ずかしいの隠したいって、知っとるよ。 頑張った君にご褒美あげるけぇ、ご機嫌直そうよ。 「のっち。」 最高の甘い笑顔で。 君のあったかい右手を取る。 そっと握ると、かちかちに固まった。 あたしといる時は緊張しいなんじゃね。 「なん、なーによ。」 「手かちかち。深呼吸する?」 「っす、るわけないじゃん!」 少しからかえば子供みたく真っ赤になって否定する。 それから恐る恐る手を握り返してきた。 あたしよりほんの少し大きなその手は、やっぱりまだぎこちない。 「で、どこ行くん?」 駅に向かって歩き出すと、少しして君は問う。 …2度は許されないけんね。 「江ノ島の水族館!」 「しょーがないなあ。」 言葉とは裏腹に楽しそうに笑ってる。 君もあたしがどんな子なのかわかっとるんじゃね。 ちゃんと…じゃあないけどOKできたから、もっといいご褒美あげてもいいかな。 あたしが立ち止まると繋がれた腕は伸びきり、君も止まった。 「あゃのちゃん。」 目を丸くし不思議そうにトコトコと戻ってくる、その手を引いて顎に手をかけた。 「だ、だめだめだめ!」 君はあたしの手を押し戻して、恥ずかしそうにキョロキョロした。 こうゆう時だけ、普段の鈍感のっちではないんじゃね。 それなら、なんもあげんわ。 「いだ!」 あたしは君の斜め上をいかなきゃ意味がないんよ。 だから可愛らしい顎にでこぴんをした。 「…自分からやったくせにおあずけ?」 軽い歩調で先行くあたしの背に、ふてぶてしい声が飛んでくる。 その声だけで脳裏にあの八が浮かんだ。 今日、最後の最後まで付き合ってくれたらあげてもええよ。 頑張ってね、ゆかだけの可愛い王子サマ。