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正義の味方 -Round ZERO BLADE BRAVE- ◆F.EmGSxYug 夜、晴れ。星が瞬き、月が輝く中。地上でも、新たな星が生み出され、ぶつかり合っていた。「ハァ!」ベジータの蹴りが、ブロリーへ叩き込まれる。しかし無意味。腹部を狙った回し蹴りは、ブロリーの掌によって逸らされる。そのまま脚を掴もうとする魔手をもう片方の足で弾き飛ばしながらバク転。距離を開けたベジータに対し、ブロリーは焦ることもなく悠然と歩を進める。――ブロリーは、なんらラウズカードを使っていない。ただライダーシステム・ブレイドアーマーを身に纏っているだけ。身体能力強化と防護以外の機能を真っ当に活用しようとはしない。そもそも、支給品を有効活用しようという発想がブロリーにはない。しかし、それでも十分に過ぎた。意気揚々と突っ込んだベジータであったが、少しずつ来た道を戻りつつある。位置的にも精神的にも、着実に圧されつつあった。ベジータとて、本来ならば惑星を砕く程度容易く出来る。だが、ブロリーはその惑星を従える太陽であろうと容易く吹き飛ばすだろう。どちらも星だ。だが所詮、地球など太陽より遥か小さな天体であるように……一対一では、勝てない。それがブロリーに対する者に課せられる世界の摂理。「くそったれェェエエ!!!」かと言って、今更退く事などできはしない。ヤケ気味に、ベジータは両手からエネルギー弾を連射し始めた――。■『ともかく、私をあそこで倒れているあの紅い髪の女性に渡してください』一方、ベジータについてくる形で到着した美希に対し……事情を単刀直入単純明快に話した後、マッハキャリバーはそう話を結んだ。「わかったの。よくわかんないけどわかったの!」『どっちだ』美希の言葉にツッコミを入れるディムロス。ちなみに美希のゆとり日本語をわかりやすく日本語訳すると、「事情はまだ把握しきってないけどやるべきことは分かった」である。美希が走り出そうとした矢先、妙な悲鳴が響き渡った。「ほわぁあ!!!」「え?……わわ!」慌てて首をすくめる。自分の頭の上数mを、見事にベジータが吹っ飛ばされていったのだ。そして、それを追っていくブロリー。それに焦りを見せたのは、ディムロスだった。『あの方角は……まずいな』「どういうことなの?」『あちらは南、つまり来た方向。サンレッドたちがいる方角だ。 このままでは動けないサンレッドも巻き込まれてしまう』「ええ!?」『ともかく今は脚を進めろ。 これを渡してから先回りしてサンレッドたちの所へ戻り、危機を知らせるしかない』「でも、今のサンレッドさんを戦わせるのは……」『確かに奴は無理だ。だがいるだろう、まだ戦える「彼女」が。 三対一にしてなんとかサンレッドが休んでいる場所から引き離すしかあるまい』「あ、そうか、おにぽんがいたの!」ぽん、と美希は手を叩く。問題は、いかにブロリーの目を掻い潜ってサンレッドたちがいる場所へ先回りするかだが……それはこの夜闇とベジータに賭けるしかない。覚悟を決め、美希は走り出した。■無数のエネルギー弾が突き刺さり、ベジータの目前で煙が巻き上がる。ブロリーの姿がそれに紛れて消える。しかし、それも一瞬。すぐに鎧を纏った巨体が煙の中から現れ、その豪腕を振るった。例えガードしていても、その衝撃は抑えきれるものではない。ベジータが地面に叩きつけられた、その時だった。 「決闘準備!」 『Standby, ready. Drive ignition』 周囲に、はっきりと分かるほど湧き上がる気の流れ。左之助には魔力やそういったものがなかった。彼はあくまで、ただの喧嘩屋だ。だから、純粋に身体能力を補助する道具としてのみマッハキャリバーを使えた。だが、美鈴は違う。自分や周囲に流れる気を制御し、自分の体に流し或いは打ち出すことなど彼女にとって基本中の基本。そう――例えば、亀仙流や鶴仙流のように。「ようやく復帰しやがったか……モタモタしやがって」「……チッ」ベジータの表情に希望が戻り、ブロリーが盛大な舌打ちをする。振り返り、走り始めた美鈴目掛けて気弾を放つブロリー。だが、美鈴は止まらない。それどころか、自分の足元に呼びかけた。 「加速して!」 『Gear Second』 身を屈めながら、紅の影が滑る。気弾はその上を通り抜け、無駄に爆発した。 更に連射力を上げるブロリー。だが連射性に気を割けば当然それだけ威力は弱まる。 それを待っていたといわんばかりに、美鈴は静止して両腕を回した。 「――水形太極拳」 『Protection and Revolver Shoot』 「何ィ!」 それはまるで悠久なる長江の如く。 美鈴が生み出した気にブロリーの弾幕は飲み込まれ、逆に美鈴が打ち出す気弾の糧となる。 咄嗟に回避行動を取ったその巨体に、尚も追尾し食い下がる美鈴の気弾。 それに苛立ったものの、こちらにばかりかまけているわけにはいかない。 なぜなら。 「ビックバン・アタッーク!!」 背後で構えている敵が、いるのだから。 水形太極拳を左腕で弾き飛ばすと共に、素早く向き直って右腕をベジータへと向ける。 月光よりも明るく闇を照らす超新星。それが篭手とぶつかり合い、火花を散らす。 「ヌァァァァァアアアアアアアア!!!」 大地を揺るがすような声を響かせて、ブロリーは右腕を振り上げた。水形太極拳と同様、ビックバンアタックはあらぬ方向へと弾き飛ばされた。だが無駄ではない。ブレイドアーマーの右腕部分に、はっきりとした亀裂が入っている。いける、とガッツポーズを美鈴が取った一方で――対照的にベジータの顔は渋かった。(……このままでは、足りん!)ブロリーの実力を誰よりもわかっている彼だからこそ、わかる。このままでは、あの鎧を破壊しきる前にこちらの気が尽きる。ベジータに作戦はある。これが決まればブロリーであろうと確実に倒せるという手が。しかしそれは最低限、美鈴と会話しなければできない。そして、そんな隙などブロリーが与えはしない。(ならばどうにかしてブロリーの奴をぶっ飛ばし、隙を作る!)そう覚悟してベジータは突進した。美鈴も同じタイミングで突っ込んでいく。速度上先に到達したベジータが右正拳を叩き込むが、それは剛腕一本で容易く止められる。ごく僅かにブロリーは踏ん張った、それだけ。びくともしない。だが、構わない。遅れて接近した美鈴にもう片方の腕をブロリーが向ける、その前に彼女は一手を打つ。「黄震脚!」「ヌッ!?」強靭な踏み込みに、地面が割れる。逆転の発想だ。ブロリーが崩れないなら、地面を崩してバランスを崩させる――!予想外の事態にブロリーは姿勢を戻そうとする。それはほんのコンマ数秒。一方で美鈴は崩れない。否、震脚による踏み込みこそが次の一撃へと繋がる。咄嗟に手を出したブロリーの懐へ潜り込み、低い姿勢から繰り出すは裡門頂肘。しかし……腹部を狙った一撃は、ブロリーが素早く出した蹴りに止められた。それどころか、その凶脚は肘を弾き飛ばして彼女の顔面目掛けて奔っている。「この、足癖の悪い――!」倒れこむような形で、美鈴はそれを避けた。いや、倒れてはいない。左腕を地面に突いて体を浮かせ、そのまま腕一本で体を支えつつ右足を振る。斧刃脚。敵の左脛に吸い込まれるように命中したそれは、ブロリーのバランスを更に崩した。そこで顔目掛けて動くベジータの左腕。響く渡る、仮面が軋む鈍い音。だが、30mは吹き飛ばすつもりで打った一撃は僅かに6mほど後退させるに留まった。この程度の距離では、作戦会議したところで丸聞こえだ。(く、全力で叩いてコレか…… やはり計算は当たっている……どうやっても、俺達の体力が足りん!)荒い息を吐きながら、ベジータはそう結論せざるを得なかった。脇では美鈴が口から血を流している。言うまでもない、ベジータが来る前の戦闘によるダメージだ。それに対し、仮面でブロリーの呼吸ははっきりとは聞こえないが……それでも、荒くはない。「クク、どうした? 追撃してこないのか……?」(クソッタレが! わかっていて挑発してやがる!)ブロリーの言葉に、ベジータが歯噛みした瞬間。突如、ブロリーの上半身が大きく仰け反った。ベジータが振り返ると、そこにあるのは一人の少女の姿。「……サイコキネシスでこれとは」騒ぎに気付いたおにぽんが、慌てて駆けつけてきたのだ。美希とはちょうど入れ違いの形になったが、それも逆に功を奏した。美希が呼ぶよりも、かなり早くここに来れたのは間違いない。ベジータにとっては、千載一遇のチャンスと言っていい。「女! ここに来い、今すぐにだ」「女じゃなくておにぽんですが……」「30秒でいい。時間を稼いでブロリーの注意を引き付けろ」「難しいのか簡単なのかよく分かりませんね」やれやれと言った様子で歩きながらも、おにぽんは命令通りブロリーの前に進み出る。それに対して笑い声を上げたのは、ブロリー本人だった。 「ククク、そうかァ。ならば貴様は15秒で殺してやろう」 「……難しいみたいですね」おにぽんがさいみんじゅつを放ったのと、ブロリーがそれを無視して突っ込んだのは同時だった。ナッパですら餃子の超能力を容易く無効化するのだ。ブロリーに催眠術程度が通じるはずもない。とっさに回避行動を取ったおにぽんだが、間に合わず腕を派手に殴り飛ばされる。それを見ているベジータは支援に入ることもせず、すぐに美鈴に駆け寄った。「そっちの女。話がある」「女じゃなくて紅美鈴で……」「そんなものはどうでもいい、時間がないんだ!」美鈴はむっとしたが、ベジータは完全に無視して話を進める。彼の言葉に対し、美鈴が質問する時間などなかった。 10秒フラットで吹き飛ばされたおにぽんが、脇に叩きつけられたのだから。 「く、ここまでとは……聞いたな! あとは俺の話したとおりにやれ!」「ああもう、本当に頼み方が下手よね……やれっていうなら、やるけど!」 『Ignition. A.C.S. Standby』 響くリロード音。重傷に鞭打って、美鈴は走り出す。バリアジャケットなど展開しない。している時間も余力も知識もない。細かい制御はデバイスに任せて、美鈴は最大速度でブロリーへと突っ込んでいく。それを撃ち落とそうと放たれるブロリーの弾幕。その隙間を潜り抜け、蛇行しながら美鈴はマッハキャリバーと共に走る。「背水の陣だッ!!!」「蝿の真似の間違いだろう……すぐに叩き落としてやる」更にブロリーが弾を追加しようとした瞬間、美鈴の脇を閃光が走りぬけた。ベジータが両手に気を集中し、ギャリック砲を放ったのだ。ふん、とだけ息を吐いてブロリーはそれを払いのけた。その隙にマッハキャリバーは最大加速し、再度敵の懐へと潜り込む!「――紅砲」 『Knuckle Duster』 奔る気。そこにマッハキャリバーによって上乗せされる魔力。近代ベルカ式と気の混合は、こと身体能力強化においては普段以上の力を発揮する――!とっさにブロリーが展開したバリアと、リボルバーナックルは激しく衝突した。だがブロリーは強い。ナックルが弾かれる。止めない。弾かれた勢いのまま半回転。美鈴は体勢を戻し、マッハキャリバーは先ほどぶつかり合ったバリアの波長を計算する。そのまま低い姿勢から蹴り上げられる鋼鉄の蹄! 「天龍脚ッ!」 『Barrier Break』 「ヌゥ!?」 音もなく砕け散るバリアに、ブロリーが息を呑む。 障壁を突き破ったマッハキャリバーは、そのままブロリーの左足とぶつかり合った。 バリアが持たないと直感的に知って、とっさにブロリーも反撃に出たのだ。 交差する飛び蹴り。鏡合わせにブロリーの左脚と、美鈴の右脚がぶつかり合う。 あまりにも強烈な衝撃に、逆に美鈴の肋骨が軋む。 美鈴の表情が歪んだ、その瞬間。 「ッ!!!」 『protection』 勝ち誇った笑みを崩さぬまま、ブロリーは同時に左腕でエネルギー弾を三発放っていた。マッハキャリバーが展開していたバリアごと、突撃してきた方向へ美鈴は蹴り戻される。土煙が巻き上がり視界が遮られる。それを意に介さず、再び土煙から現れるあざやかな紅。ブロリーがそちらへ掌を向ける、そこで突然マッハキャリバーは急ブレーキを掛けた。「くく……いまさら怯えでも……?」ブロリーの言葉は、美鈴が跳躍した瞬間に途切れる。彼には土煙と美鈴の鮮やかな髪に隠れていたベジータの姿など、見えてはいなかった。ましてやベジータが右手から投げつけた、気円斬など。――現在のブロリーに掛かっている制限は三重だ。そして気円斬は戦闘力一万程度のクリリンでさえ、戦闘力百万以上の第二形態フリーザに傷を負わせられるほどの技。制限によって戦闘力差が大幅に縮まっている今ならば、気円斬は確実に通じる!目くらましは成功した。完璧なタイミングで飛行する気円斬。ブロリーの脚は止まっている。勝った、とベジータが思考した瞬間、悪寒が走った。気円斬の制御を放棄してベジータは飛ぶ。蹴りと共に放った気弾のうち、美鈴を吹き飛ばしたのは一つだけ。残り二つは土煙の中へ潜んだ後に時間差で動き出し、先ほどまで美鈴とベジータがいた場所をそれぞれ粉砕していた。その衝撃で気円斬の軌道はズレ、ブロリーの右太股を掠めて虚空へと消えていく。「そんな……」「女、避けろ!」「っ!?」ベジータの声に、美鈴は着地と同時に地を蹴った。ベジータと反対側へ。更に追ってきたエネルギー弾が美鈴の左太股を掠める。痛みに美鈴は声を漏らしかけたものの、ブロリーが更に追加した気弾を視界の隅で捉え、そんな暇など無いと気付かされた。マッハキャリバーに魔力を流して、走り続ける。回避のための回避。攻撃に再び移る隙など皆無。向こうでは回避に成功したベジータが、次の回避に移っていた。一度放った以上、同じ技を使えばブロリーは警戒するだろう。あの場で仕留められなかったのなら、このままでは勝機は無い。先ほどのような奇襲はもう通じない。だけど、それでも――。「おにぽん、フレイム」声が響いた。そうこの場には、もう一人いた。倒れていたおにぽんが放ったかえんほうしゃが、ブレイドアーマーを包み込む。だが。「大人しくしていれば苦しまずに済んだものを……!」ブロリーはおにぽんの攻撃に何ら苦痛を見せず、ただ冷酷に気弾を撃ち返した。かえんほうしゃは容易く押し返され、五秒を待たずに消えた。そして、気弾は消えない。受ければ彼女は死ぬ。代償は、ほんの一瞬の静寂。気弾の雨が止む台風の目。おにぽんの姿が見えたのは美鈴だけ。だからそれを見逃さなかった美鈴が掛けた。轟く轟音。砕け散るおにぽん。それさえも加速するための材料にする。未だ余裕を崩さない男の懐に潜り込んで狙い打つはただ一点、ブロリーの腹部。作戦会議のときに聞いた、アーマー越しでも容易く致命傷になるであろう場所。加速したまま、拳を全力で振り上げる。 そこで美鈴は気付いた。敗因は気弾が掠めた左太股だと。 真正面、至近距離、攻撃態勢に入った瞬間に、ブロリーは美鈴に視線を戻した。戻してしまった。 距離にして30cm、時間にして一秒もない、傷による遅れ。それが明暗を分けていた。 とっさにマッハキャリバーがカートリッジをロードする。だが無意味。 腹部を狙ったはずの一撃は、素早くブロリーが回避行動に移ったことで右太股へと突き刺さる。 そこは、先ほど気円斬が掠めていった箇所。アーマーが切り裂かれた場所に、美鈴の拳は直撃した。 確かに大きな打撃だった。確かに鈍い、骨が折れる音がした。――けれど、それは決して、致命傷などではなく。続いてカウンターの形で放たれたエネルギー弾。それが、美鈴を吹き飛ばしていった。「貴様ァ!!!」べジータが絶叫する。仲間意識があるわけではない。所詮、ほんの少し前に会ったばかりの仲だ。しかし、自覚する間もなくベジータは叫び、掌に気を集めていた。その髪はいつも以上に逆立ち、金色に染まっている。「ザコどもが、やってくれたな……加減もなく、消し飛ばしてくれる!」「手加減できるならしてみろ。その瞬間貴様を宇宙のチリにしてやる」同時に、ブロリーの気もまた膨れ上がる。足首だけでなく太股まで完全に折られてしまった右足は、紛れもなく大きな損失だ。もはや完全に使いようにならない。彼が苛立つのも当然と言える。逆ギレに近いが。ブロリーが片腕を向けるのを確認しながら、ベジータは思考する。勝算があるとすれば、美鈴が与えたダメージ、そして疲労の二つ。あれだけ気弾を連発してきたブロリーが、スーパーベジータの全力を込めた攻撃を押し止められるのか。それが勝算。「ファイナル──」「……フン」「──フラァァァァシュ!!!」怒号にも似た叫びと共に、ベジータが合わせた掌から光が放たれる。同時にブロリーも掌から小さな気弾を放ち……それは、ファイナルフラッシュに激突した瞬間巨大化した。この会場において最強である二人の力が激突し、地面が割れる。舞い上がった岩は容易く蒸発し、周囲はまるで真昼のような照明に包まれていく。目が眩むほどの閃光の中で、ベジータはファイナルフラッシュが圧され始めたのを見た。この状態にしてこれほどまでの気を保てるならば、勝算などない。ブロリーに、衰えなどありはしなかった。ファイナルフラッシュを飲み込みながら、緑色の流星がベジータへと迫る。金色になっていた髪が黒に戻ったベジータを、流星は飲み込んでいく。――横から圧倒的な熱量が突撃してきたのは、その時だった。ベジータの視界の端に、突如太陽が割り込んだ。それは心強い見た目の通りに、ファイナルフラッシュで威力の鈍ったギガンティック・ミーティアを押し止めた。「――次から次へと、小ざかしい蝿どもが!」大技の打ち合いに、ようやく息を荒げ始めたブロリーが顔を歪ませる。地面に倒れこみながら振り返ったベジータの先。正義の味方が、そこにいた。「サンレッドさん、戦っちゃ駄目って……!」「んなことはどうでもいいんだよ! それより、ベジータの奴を頼む」「え……で、でも」「返事!」「は、はいなの」襤褸切れのようになったスーツ。元から赤い外套は、己の血が更に紅に染めている。明らかに傷が癒えていない。明らかに回復していない。それでも歩いていく。フン、とブロリーはそれをあざ笑った。「脚一本奪った程度で、この俺を倒せるとでも思って」「何言ってやがる。思ってるに決まってんだろ」「いるのか何ィ!?」「ベジータ達は命がけでそこまで戦果を挙げた。なら、俺はそれに応えないわけにはいかねぇ。 俺はサンレッド――ヒーローだからな!」「クズ共が、次々へと…… 貴様らが何度来ようと俺が負けることはないと言うことを教えてやる……!」「教えるのは俺のほうだ。しっかりとお前に叩き込んでやる。 ――怪人は最後に必ずヒーローに倒されるってお約束をよ!」■「まいったわね、全く……」月下、寒村に一人残された咲夜は一人でため息を吐いた。休んでから一時間。それであっさり静寂は破られた。ここに響いてくるくらい派手な戦闘音に、サンレッドはすぐに反応した。それより無理やり押し止めて、おにぽんを行かせるということで納得させたのが三十分前。そして入れ違いで入ってきた美希が戻っていた際、咲夜が目を放した隙にサンレッドが抜け出したのは二十分前になる。「……もう少し、私が強いってことを言っておけば無茶はしなかったかしらね?」失策にため息を吐く。サンレッドたちに自分のことは「投げナイフが得意なメイド」程度のことしか言っていない。時間を操ることや「傍に立つもの」についてはノータッチだ。だから、サンレッドが咲夜の戦闘力を低く見積もっているが故に無茶な行動に出た可能性は十二分にある。「さて、どうするべきか」最早疑うまでもない。今戦っている相手はブロリーだ。咲夜としては、言うまでもなくあんな化け物と戦うのは金輪際御免だ。しかし、聞く限りでは結構な数の参加者がブロリーと戦っているらしい。もしかすると、これがブロリーを倒せる最後のチャンスということもありうる。(その場合、私も戦闘参加するしかないのだけど……さて。 行くとしたらせめてフジキをある程度回収してから行きたいところね)考え込む咲夜は知らない。彼女にとって真の失策は、誰が戦っているのか美希に聞かなかったことだという事実に。■ブロリーの弾幕を避けながら、サンレッドは疾走する。光景だけみれば何かのヒーローショーのようだし、ある意味その一種ではある。違うのは、悪役が本当に宇宙を破壊しかねない存在であるということだが。(ち、なんとか近づかねえといけねぇけどよ……!)狙うは接近戦。右足の機能停止。ブロリーの機動力低下は見るまでもなく明らかだ。片足の喪失を最大限にサンレッドが活かせるのは、ブロリー相手の場合接近戦だ。ブロリー相手に離れているなら、例え後ろにいたところで気弾が襲ってくるだろう。故に、それを撃たせる暇もなく攻撃できる位置が望ましい。だがブロリーも本能的にそれを避けようと、小さな気弾を連射する。呼吸が荒くなってきているとは思えない量に、サンレッドは辟易しながら毒づいた。(まだ、やっと疲れが見えてきたって段階なのかよ。奴のスタミナは底なしか!?)持久戦になれば先に体力がなくなるのはサンレッドだ。一時間休んで回復したのは、僅か三分程度戦えるだけの体力。なんとしてもそれまでに、ブロリーに一撃を加えなくてはならない。いっそ特攻でもするか……そう思い始めたサンレッドの目の前で、突如ブロリーの右足に爆発が起こった。「く、死にぞこないが……!」「……へっ」痛みで転倒しかけながら顔を歪ませ、横を向くブロリー。そこでは、精根尽き果てた様子で倒れこむベジータと、慌ててそれを支える美希がいた。「……あの野郎……まともに動くことさえ出来ないだろうに、無茶しやがって……」嬉しそうにぼやきながら、サンレッドは走る。最後の気力を振り絞って、ベジータが気功波を放ったのだ。当然、それを見逃すサンレッドではない。ブロリーの弱点、右側から一気に詰め寄る。最早なんども行われた接近。しかし、今までのそれとは大きな違いがある行為。「ち、貴様らごときがこのカワイイ!ベルトとこの俺を破壊することなど!」「ふざけんな。俺にはわかる。 そのアーマーは、そこに居る人を守りたいという思い…… 人を愛するということを知っているヒーローが使ってきたものだ」構える。今までブロリーが接近戦に勝利できたのは、脚が動いていたから。ブロリーの強みは耐久力だけではなく速度。類稀なる反射神経とその移動速度が、美鈴とベジータの攻撃を潰してきた。しかし、右足が潰され、更に僅かだが疲労が噴出した今、それは大幅に減衰している。故に、防御は間に合わない。「お前に、そのスーツを着る資格なんざねえッ!!!」単純極まりない正拳突き。前の戦いで、ブロリーには二つの大きな傷があることをサンレッドは見ている。一つは腹。一つは首。ブロリーがどちらを防御しようとするか。サンレッドにとってそれは賭けだった。彼はブロリーが腹を防御することに賭け、首を目標とした。賭け金は、ここにある全ての命。その、結果は――「オラァ!」「グ……ハァ!」首元のブレイドアーマーを粉砕しながら、サンレッドの拳がブロリーの首に叩き込まれた。吹き飛ぶブロリー。だが……これは決して、ヒーローの勝ちを、意味しない。(……笑っていやがる、だと!?)サンレッドは見た。ブロリーの表情が、勝ち誇った笑みに染まっている。理由は単純だ。彼にとって、これは想定の範囲。勝利への道筋。ブロリーはまだ首に攻撃されても持ちこたえられると判断したからこそ、腹を防御した。そのまま宙へと浮かぶ。左手に緑色の光を集めながら、ブロリーは空へ上っていく。飛び道具を撃つつもりか。そうサンレッドは予測し、腰に力を入れた。この程度の高度ならば、ジャンプして飛び掛れば簡単に引き摺り下ろせる。しかし、それを見越したようにブロリーは嘯いた。「接近していいのか?」「……? 何言ってやがる?」「お前は無事だが、後ろの二人は粉々だぞ? ククク……」「!! テメェェェェエエエ!!!」ブロリーの言葉に、サンレッドは歯軋りした。禍々しい剛腕は、既に美希達の方へ向いている。美希はただ体が伸びるだけ。世界チャンピオンのような力は持っていない。気絶しているベジータを運んで走るような体力など、持ち合わせてはいない。彼女がブロリーの攻撃を避けることなど、どうやっても無理だ。「そこでじっくり、俺がパワーを溜めるのを見ているんだな…… お前達はとっておきで葬り去ってやる……フハ、フハハハハハハハハ!!!」ブロリーらしい単純かつお粗末だが、同時に凶悪な作戦。舌打ちしながら、サンレッドは美希達のところへ駆け寄った。敵が撃ち出すのは、今まで連射してきたような低威力のものではない。おそらく連射力や消耗を度外視し、パワーだけを重視したもの……ベジータのファイナルフラッシュを容易く打ち消した、ギガンティック・ミーティア。サンレッドの思考がめまぐるしく回転する。体力も限界近い。今……自分に出来ること。それを、走る数秒で考え。たった一つ思いついたことに苦笑しながら、サンレッドはブロリーを見上げた。「やっぱ、みんなを助ける手段はこれしか思いつかなかった……」「え?」「美希……だったっけ? ベジータをしっかり掴んでくれ、離すなよ。 お前の体ならちょうどいい感じのクッションになるだろうからよ」「???」顔を動かさないまま、美希の傍らで足を止め。彼女の方を見ずにサンレッドは話す。その様子から、彼の考えに気付いたのはディムロスだった。『……我を使え、サンレッド。 あれだけ多数の者が命を賭けて我だけが命を賭けないなどという道理はない』「そうか。付き合わせて、悪ィ」「わ、ちょっと!?」そう呟くと同時に、サンレッドは右腕でディムロスを受け取って。同時に、左腕でベジータごと美希を抱きしめた。「終わりだ、チリ一つ残さず消し飛ばしてやる!」「もし内田かよ子って女に会ったら、すまねぇっていっといてくれ」ブロリーが気弾を放つのに合わせて、そう呟くと共に。サンレッドはベジータ諸共、全力で美希をブン投げていた。「え、え……!?」美希が混乱する中、ブロリーの気弾がサンレッドと衝突した。死ぬ。修造の言葉さえ忘れて、美希の頭の中が埋め尽くされる。希望も熱血も何もかもなくして、迫る緑光を目の当たりにする。だというのに。その破壊から離れていく美希でさえ絶望するというのに。サンレッドは怯まず、その破壊に対して剣を叩きつけていたのだ。投げられた勢いのまま宙に浮きながら、美希はその姿を見た。光で僅かにしか物体を視認できないこの場で、全ての視線を縫いとめるという矛盾。星を砕く暴力をその身一つで受け止める、あってはいけない奇跡。だが、それを起こす存在が、正義の味方が、そこにいる。ブロリーの放った気弾。それを、サンレッドは自分の体とディムロスで受け止めていた。その光景を目に焼き付けながら、気弾が引き起こした暴風と共に美希はその場から離れていった。■サンレッドが美希とベジータを強引な手段で逃がしたのは、ブロリーも確認している。だが追えない。追うはずもない。目の前で起きている、事態ゆえに。「……な、なんて奴だ!?」その光景に、ブロリーすら畏怖すら覚えざるを得ない。同然だ。銀河をも吹き飛ばすかの一撃を、身一つで受け止めるなど誰が信じられよう?「チィ!」余裕は消える。掌に全てを注ぎ込む顔は、今まで決して見せなかったものだ。今の自分にある全てをかけなければ、この敵を倒すことはできないと。ブロリーですらそう思わざるを得ないほどの奇跡が、目の前にある。だからこそ、注意は完全にサンレッドだけに向き……ブロリーは右腕目掛けて飛んできたそれに、反応できなかった。スパリと響く、軽い音と――同時に、ブロリーの右腕が、落ちた。「な、なにぃ……!?」振り返るブロリー。そこには、左腕と左脇腹を失いながらも、かろうじて生き残っていた美鈴が横たわっていた。ブロリーへ、右腕を向けて。――気円斬。先ほどの一戦でベジータの使っていたそれを見た美鈴は、それを自分なりの形で模倣し、気をまとめ、放ったのだ。不可能なことではない。難しいことでもない。彼女の扱う能力は気。修行さえ積めば、かめはめ波だって撃ってみせる――!「貴様ァ!」その気性故に、ブロリーはとっさに残った腕で美鈴へ向けて気弾を放つ。炸裂する新たな気弾。だが、その間にサンレッドへ放たれた気弾の圧力は消えていき。素早くサンレッドへ向き直った瞬間、首に何か熱いものを彼は感じた。「……ァ?」ブロリーが声を上げようとしても、できない。それどころか、呼吸すら。混乱したまま、ブロリーは地面に叩きつけられる。見下ろす自らの首に、折れた剣が突き刺さっていた。ブロリーの攻撃に耐え切れず折れたディムロス。それを、よそ見した隙にサンレッドが投げたのだ。ルガールが与えたその傷にディムロスだったものは深々と刺さり、致命傷を与えた。(――ふざけるな! たかが首を貫かれた程度で、この俺が死ぬものか!)ブロリーが吼える。いや、吼えようとする。だが出来ない。傷は気管を両断して塞いでいる。いかにサイヤ人と言えども、呼吸できなくては生存できない。彼が力を込めていたはずだった気弾は、サンレッドとディムロスによって虚空へと消えていた。やがてブロリー自身も膝を付く。それでも、顔を上げた。サンレッドが仁王立ちしたまま、彼の無様を見下ろしている。(まだだ……俺が死ぬはずなど……な……い……)それでも消えゆく意識の中、立ち上がろうともがく。最後まで自分の死を受け入れられないまま、ブロリーの意識は潰えた。■「ベジータさん、しばらくここで隠れてるの!」駅の一室にベジータを隠して、美希は再び走り出す。彼女の疲労も、かなり大きなものになっていた。大人一人を抱えて走ったのだから当然だ。ほとんど引きずるような形になったとは言え、完走しきっただけ彼女は褒められていい。それでも彼女は休むことなく、サンレッドたちが戦っている場所へ向けて再び走る。だが、駅から出た後目的地にたどり着く前に。「ちょっと待って。戦いならもう終わってるわよ」通りがかったメイドに、話しかけられた。「あれ、えーと……」「咲夜よ。十六夜咲夜」「美希は美希なの。終わったって、どういう……」「死んだみたいね、ブロリーは。遠目で確認しただけだから、まだなんとも言えないんだけど」「本当なの!?」「だから、遠目で確認しただけよ。近づきたくないわ。 もし生きてたりしたら怖すぎるもの」渋々、と言った様子で美希は頷いた。確かにその気持ちは美希にも理解できる。死んだと思ったブロリーが動き出す様子は、美希も簡単に想像できた、というかしてしまった。お化け屋敷が幼稚園児の遊び場に見えるような体験が出来るに違いない。「そっちの質問は終わったようだし、こっちから質問していいかしら。 ……この帽子の持ち主。まさか、ブロリーと戦っていたの?」そう言って、咲夜は拾ったらしい一つの帽子を取り出した。飾りとして星のあるソレを。それは美希にも見覚えがある。自分がものを渡した相手なんだから当然だ。……そして、美希は、彼女がブロリーを殴った後吹き飛ばされるのを見ていた。だから、それで彼女は死んでしまったと思っていた。結論は間違っていない。過程は誤認しているが。「どうなったの?」「……それは、その」「……そう。死んだのね」それだけ言って、咲夜は俯いて押し黙った。月下に、重苦しい沈黙が数秒続いた後、それに耐え切れずに美希は口を開く。「知り合いなの?」「一応、ね。 ……ほんと馬鹿。私達が誰のために命を掛けるべきかさえ、忘れるんだから」目を閉じて、呟く咲夜。月が僅かにその影を照らす。一瞬その言葉に美希は首を傾げたが、疲労と焦りからすぐに考えるのをやめた。やめて、しまった。「咲夜さんは、しばらくそこにいていいの。後で一緒にお墓作るの。 じゃ、私はまずサンレッドさんが無事か確かめに……」「いいえ、確かめる必要はないわ。 だって貴女は、死ぬんだもの」え、と美希が声を上げる暇もない。咲夜の背後に雄雄しいヴィジョンが現れ、そして。時は、止まった。………………………………「――そして時は動き出す」気が付けば、美希は喉に大穴を開けてその場に倒れこんでいた。(……なんで?)かろうじて残った意志で視線を動かすと、咲夜がナイフの血を拭き取りながら、美希のデイパックから食料を回収していくのが見えた。(……なんで、なの?)何一つ確認できないまま、美希の視界は永遠に閉ざされ。咲夜はそれを意に介することなく、その場を歩き去っていった。絶対に、振り返らないと心に決めて。一緒に戦いの場に戻ってから美希を殺せば、より多くの道具が手に入っただろう。たくさん出た死者から、道具を奪えただろう。けれど、咲夜はそれをしなかった。理由は簡単だ。――美鈴の遺体を見たくないからだと、咲夜自身がよく分かっていた。■「うっわー」遅れること数十分。ブロリーたちが殺しあった場所に、ひょっこり姿を現す姿が一人。アカギに散々玩具にされまくったフランドール・スカーレットである。アポロの血を吸ったことである程度傷は治ったとはいえ、依然として精神的にはかなり不安定だったのだが……かなりイライラしていた彼女の頭を冷やすものがそこにはあった。言うまでもなく、ブロリーの遺体だ。彼女はそろそろと、様子を窺うように歩み寄っていく。「死んでる……んだよね。やったのは……」ぽんぽんと死体の頭を叩いた後、次にフランが向き直ったのは、立ちっ放しのサンレッドだった。「ねー。あなたがやったのー? ねー、聞いてるー!? ……なんか様子がおかしいなぁ」いくら叫んでも反応を見せないサンレッドに、首を傾げながら近づいていく。そのままつつくと、サンレッドだったものはあっけなく倒れていった。――そう。彼は既に、死んでいた。それでも立ち続けているのは、類稀なる強靭な彼の遺志か、あるいは奇跡か。ヒーローはようやく戦いの終わりを知ったかのように、月に照らされながら地に落ちた。「……ブロリーと相打ちになったのかなぁ。凄いや。 あ、そういえば持ってる道具でなんか撃てば凄くなるのが……」彼女の言葉は途切れる。暗闇に飲み込まれるように消えていく。だってそれは当然だ。呟いているうちに、見慣れたものを見つけたのだから。「……うそ」声にも、歩調にも、先ほどまでのような暢気な様子はない。ただ、愕然としながら、足を進めていく。「うそ、だよね」足が止まる。フランに付いて来た影も同時に止まる。星の光も、雲の流れさえも。星が照らし出されていた川の前に、それはあった。紛れもない――紅美鈴の、遺体が。戦いが、終わっても。殺し合いはまだ、終わらない。 【サンレッド@天体戦士サンレッド 死亡】 【紅 美鈴@東方project 死亡】 【ブロリー@ドラゴンボールZ 死亡】 【星井美希@THE IDOLM@STER 死亡】 ※それぞれ死亡者が持っていたものはそれぞれの遺体の側にあります。 但し美希のデイパックからは食料が抜き取られています。 またおにぽんとディムロスは破壊されました。 sm202 Inanimate Dream 時系列順 sm203 正義の味方 -Round ZERO BLADE BRAVE-(状態表) sm202 Inanimate Dream 投下順 sm203 正義の味方 -Round ZERO BLADE BRAVE-(状態表) sm193 熱血と冷静の間 サンレッド sm203 正義の味方 -Round ZERO BLADE BRAVE-(状態表) sm201 LIMIT BREAK 紅美鈴 sm203 正義の味方 -Round ZERO BLADE BRAVE-(状態表) sm201 LIMIT BREAK ブロリー sm203 正義の味方 -Round ZERO BLADE BRAVE-(状態表) sm201 LIMIT BREAK 星井美希 sm203 正義の味方 -Round ZERO BLADE BRAVE-(状態表) sm193 熱血と冷静の間 十六夜咲夜 sm203 正義の味方 -Round ZERO BLADE BRAVE-(状態表) sm201 LIMIT BREAK ベジータ sm203 正義の味方 -Round ZERO BLADE BRAVE-(状態表) sm194 アポロ13 -そして誰もいなくなるか? フランドール・スカーレット sm203 正義の味方 -Round ZERO BLADE BRAVE-(状態表)
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← 「ペルソナァッ!!」 主の怒りはそのままマガツイザナギの力と変化。 長得物を振るい、闇を切り裂く雷光を発生させる。 広範囲の敵を巻き込み焼き潰すスキル、マハジオダインが破壊者を貫く。 誰もが命中を確信しただろう光景は、ジョーカーの想像でしかないらしい。 長得物へ電撃が迸った時既に、ディケイドは禍の魔人の真横を通り過ぎた。 接近へジョーカーが気付くも剣は振り抜かれた後。 呼吸を忘れそうになる悪い予感へ、防御は即座に排除。 アンクレットが超人的な脚力を付与、近付きつつある死から歯を食い縛って逃れる。 関節の痛みも気にかけていられない、無茶苦茶な体勢での回避行動。 ショルダーアーマーを掠める程度で済み、安堵の暇無く続けて叫ぶ。 「アルセーヌ!」 シルクハットの怪人が二つのスキルを放ち、ディケイドの力を削ぐ。 ラクンダとスクンダ、耐久力と敏捷性の低下を引き起こした。 これで少しは戦い易くなると、そう楽観視するには敵は強大。 速さを落とした筈が瞬きの間に急接近、腹部へ蹴りが叩き込まれる。 「ごっ…」 骨が砕け、内臓も潰れた。 そう錯覚を抱きかねない威力に、目の奥からチカチカと火花が散る。 ディケイドの攻撃を受けたのはこれが初めてじゃない。 だとしても、一撃の威力が風都タワーの時とは比べ物にならないくらい凶悪だ。 『ATTACK RIDE SWORD VENT!』 ドラグセイバーを召喚し装備、双剣の餌食となるのはジョーカー。 ではなくもう一人のライダー。 動きを阻害しそうな姿とは裏腹の軽やかな跳躍で、アークワンの元へ到達。 長剣と青龍刀、異なる二本の得物が振るわれた。 二方向からの脅威もアークワンの演算能力は予測を終えている、取るべき最適解を叩き出す。 「ぬがぁっ!?」 ではこれは何だ、何故こうなっている。 躱して逆に斬り付ける筈が掠りもしない、そればかりか敵の刃は二つともこちらの装甲を切り裂いた。 アークワンの演算能力に不調が起きたのではない。 単純に、アークワンが対処に動くよりもディケイドが速いというシンプルな理由。 攻撃がどこから来るかが分かったとしても、反応が間に合わなければ無意味。 ディケイドのスペックが強化されたのみならず、JUDO自身の装備品の効果もあった。 モノモノマシーンを使い手に入れたアクセサリーの名は、ほしふるうでわ。 装備者のすばやさを2倍に上昇させ、ディケイドを更なる脅威へと変えたのだ。 一度攻撃が通れば流れは自分が掴んだも同然。 片方の剣を防がれたなら、もう片方で突きを繰り出し。 片方の剣を躱されたなら、もう片方が胴体を走る。 巧みな剣捌きに致命傷は防げども、着実にダメージは蓄積していく。 「頭に乗るな貴様っ!」 だがアークワンとて、プログライズキーを使うライダーシステムでは脅威のハイスペックを誇る戦士。 おまけに変身者のギニューもフリーザ軍で上位の実力を誇る男。 何も出来ずにやられるしかない弱者と、舐められたままでは終われない。 ――水の呼吸 漆ノ型 雫波紋突き 水の呼吸最速の突き技で、双剣の乱舞を真っ向から打ち破る。 負けは許されぬ、ここで死ねばフリーザ復活も水の泡。 己を追い立てる言葉を幾つも胸中で並べ、尋常ならざる執念で技の完成度を引き上げた。 胸部の経帷子、ヒストリーオーナメントを直撃。 収められたライダーカードに破損は無くとも、装甲越しへ鋭い痛みが襲い掛かる。 ――水の呼吸 捌ノ型 滝壷 呻き後退るディケイドから、明確な隙の糸を読み取った。 畳みかけるにはここしかない。 跳躍し真下目掛けて虹を振り下ろす、単純ながら威力は水の呼吸の中でも随一だ。 逃げられはしない、逃がす気も無い刃の襲来。 『ATTACK RIDE SLASH!』 『ATTACK RIDE SLASH!』 尚もディケイドに焦りは無く、二枚続けてカードを装填。 次元エネルギーとリザードアンデットの力で、強度・切れ味・剣速の全てを強化。 「ぐがぁっ!?」 斬り上げたライドブッカーで虹を打ち返し、遮るものの無くなった体を刀身が撫でる。 生身であれば死は免れない斬撃も、アークワンの装甲により命を繋ぎ止めた。 と言っても自分の無事を喜べる余裕は全く無い。 むしろ装甲を纏っていながらここまでの痛みに苛まれる事へ、混乱が強まる。 「まさかとは思ったが今の技…あの時の剣士か。よもや屈辱を晴らす機会がまだ残っていたとはな」 「…っ。ふん!今更気付いたのか間抜けめ!」 アークワンの剣技を見間違える筈がない。 二回目の放送の少し前に自分を敗北へ追い詰めた、許し難い痣の少年と同じ動きだ。 それなら自分を見た時の反応にも納得がいく。 何故放送で死亡を発表されたのに生きているのかは重要ではない。 破壊を逃れて勝手に退場したと思ったが、今度こそ自分の手で完全なる終わりを与えてやる。 「お前達!そいつらの相手は後回しにしてオレを手伝え!」 ディケイドから目を逸らさないまま、仮の協力者二人へ指示を出す。 一人相手に複数人で袋叩きというのは美しくない、そんなのは百も承知。 ナメック星での悟空との戦いで不意打ちを仕掛けたジースを叱り飛ばしたように、本来ギニューは一対一のフェアな戦闘を好む。 しかし今のディケイドには、上手く言えないが何かがおかしいと感じる。 姿が変わって前より強くなったのだとしても、受けたダメージが幾ら何でも大き過ぎやしないか。 強いと言うより異常と言った方が正しい、得体の知れなさを秘めている気がしてならない。 戦士としてのプライド以上に、ディケイドを早急に排除するべきという危機感がギニューに判断を下させたのだ。 元々9つのライダー世界を旅した時から、ディケイドは明らかに自身より能力が上の怪人やライダーにも効果的なダメージを与え、有利に立ち回った。 これらはディケイドの本質である「破壊の力」が、一種の補正に近い形として作用した結果だろう。 でなければ如何に数多のライダーの力を使えるとはいえ、たった一人で全ての仮面ライダーを破壊するのは不可能に等しい。 現在のディケイドは破壊者としての使命を受け入れた激情態になった上で、コンプリートフォームへの変身を行った。 その為DIOとの戦闘時以上に、仮面ライダーへ対する特攻性が高まっている。 「何人で来ようが末路は変わらん。当然貴様もだ」 「くっ…!」 ライドブッカーが振り下ろされ、刀身が向かう先には黒い戦士。 アークワンへ意識が割かれた隙にホウオウのスキルを発動、傷を癒した傍からまたすぐに戦闘再開だ。 敵が不可解な強さを持つのにはジョーカーも気付き、故にここからは一撃だろうともらえば死も同然の心構えで挑む。 マガツイザナギを呼び出し長得物で防御、押し返さんとすれば羽のように跳び退く。 仮面を変えアルセーヌがスラッシュを放ち、同じタイミングでこちらへやって来たライダー達が仕掛ける。 それら全てが無駄と言わんばかりに、破壊者は己が力を存分に振るった。 ○ 敵が変わった所でやる事に何ら変化は起きない。 生け捕りの必要が無い以上、より明確な殺意を以て攻撃に出るのみ。 トリガーを引き、高熱硬化弾を自身の武器から吐き出させる。 照準は敵の急所へ正確に合わせ、外すようなヘマはしない。 なのに一発も命中しないのは、今更銃弾数十発程度で怯む相手ではないから。 ライドブッカーで弾を斬り落とす様は、無駄の無さも相俟ってある種の芸術に見えなくもない。 生憎ブラッドスタークは審美眼を持ち合わせておらず、瞳は先程からずっと冷え切りディケイドを睨む。 『KAMEN RIDE!ZERO-ONE!』 『飛び上がライズ!ライジングホッパー!』 『"A jump to the sky turns to a rider kick."』 ブラッドスタークが銃を撃っている間、他の二人も各々動く。 ライダーカードが力を解放し、指輪の魔法使いから全く別の姿に変身。 蛍光イエローの装甲と赤い瞳の輝きは暗闇の中で映え、ゼロワンの存在感を一層知らしめた。 ライジングホッパープログライズキーのデータを再現、黄色い残光を発しながらディケイドの元へ疾走。 脚力特化の性能はエターナルとの戦闘時から変わっていない。 加速の勢いを味方に付けた蹴りを放ち、ディケイドへ靴底が叩き込まれんと迫る。 『ATTACK RIDE BEAT!』 しかし尋常ならざる速さを武器とするのはディケイドも同じ。 ほしふるうでわが移動のみならず、動作の一つ一つを最速の域へ押し上げる。 打撃の威力と速度、両方を強化させ迎え撃つ。 拳と蹴り、己の四肢を武器に変えた一撃が激突、互いへ届かせるべく幾度も放たれた。 それぞれ腕と脚が数十本に分かれたのかと見紛うスピード。 DIOのザ・ワールドとも互角に打ち合ったゼロワンの爪先が、魔弾の如く胸部へ突き進む。 されどディケイドもまた別のカード効果とはいえ、同じスタンド使いのラッシュに打ち勝った強者。 脚部を裏拳が叩き軌道を逸らされ、ゼロワンの体勢に僅かな揺らぎが生じる。 復帰までは迅速であっても、破壊者が付け入る隙としては余りに大きい。 一歩踏み込み懐へ潜る、僅かな身動ぎだけで触れる程の距離。 拳が来ると思った時にはもう、腹部からの鈍痛を脳が伝えた。 「っ…!」 戦闘で集中力を欠くのは悪手、基本中の基本だ。 まして目の前に立つのが強敵であれば尚更の事。 頭では分かってはいても、痛みというやつは人間の思考を掻き乱すのに最も有効な手段。 回避・反撃・防御。 取らねばならない次の行動があるのに、頭の中は「痛い」の二文字で埋め尽くされる。 無論、数秒も経たぬ間に持ち直すがそのほんの僅かな時間が命取りだった。 既に反対の拳は二撃目を放つ準備を終えているのだから。 「戦兎さんから、離れて……!」 であるならば、彼の危機を彼女が黙って見過ごす訳がない。 右手に構えるは通常形態と同じ武器、無双セイバー。 威力はウォーターメロンガトリングが圧倒的に勝る分、こちらは安定した使い易さを誇る。 エナジーチャンバーは満タン、たっぷりと溜め込んだエネルギーを弾に変換し撃ち出す。 高性能なカメラアイが射撃能力を高めるが、この程度をディケイドは脅威に思わない。 ライオンアンデットの力を付与したままの片腕を振るい、光弾は呆気なく霧散。 それでもゼロワンへ放つはずだった一撃が止まったのも事実。 地を蹴り拳の範囲内を離れ、ディケイドからのアクションを待たず背後を取った。 『FINAL ATTACK RIDE ZE・ZE・ZE ZERO-ONE!』 脚部の跳躍装置、ライジングジャンパーによって引き上げられた力が最高潮に達する。 両脚にバッタの能力を付加させ、跳躍力と速力を倍増。 振り返ったディケイドと視線が合う前に蹴り上げた。 身動きの取れない上空へ強制的に移動された破壊者の更に頭上を取り、叩き落とすべく再度蹴りを放つ。 『ATTACK RIDE ONIDUME!』 「っぁ…!」 決めの一発を阻む痛みは胸元から。 突き出されたディケイドの拳は届いていない、しかし手の甲から伸びた爪が突き刺さっている。 仮面ライダー響鬼が使う奇襲技も、激情態はディケイドのままで使用可能。 蹴りの連続でトドメの一撃へ繋げるゼロワンの技は中断されて、自分の番と言わんばかりに振るわれるライドブッカー。 自慢の脚力も蹴り付けるものが無い空中では宝の持ち腐れか。 否、ゼロワンの足底はライドブッカーの刀身を蹴って自ら地面へと急降下。 非常に高い脚力の反動から保護する脛部装甲の恩恵により、無傷で着地を果たす。 攻撃の失敗を悔やむだけ時間の無駄だ、手札を切り続けなければ勝ちは望めない。 『KAMEN RIDE ZI-O!』 『仮面ライダージオウ!』 高らかに名乗るは正に恐れを知らぬ王の如し。 腕時計をモチーフにした仮面を被り、長短二つの針が天を突く。 黒地のボディスーツの上を走る、これまた腕時計のベルト部分を思わせる装甲。 何より目を引くのは、己が存在を見る者全てに知らしめる『ライダー』の四文字。 仮面ライダージオウ。 最高最善の王、或いは最低最悪の魔王の未来を約束された常磐ソウゴの始まりの姿。 異なる世界線の戦兎と万丈が出会った戦士だが、それは省略する。 『FINAL ATTACK RIDE ZI・ZI・ZI ZI-O!』 今重要なのはジオウの力でディケイドを倒せるか否かのみ。 地面へ降り立った瞬間を狙い、『キック』の文字に取り囲まれた。 標的はただ一人、跳躍と同時に文字がジオウの右足へ収束。 足底に刻まれた同じく『キック』の二文字が破壊力を増幅し、後は直接叩き込む。 ――ROCKET!STEAM ATTACK!ROCKET!―― ディケイドへの攻撃をジオウ一人には押し付けない。 フルボトルの成分が銃弾を強化、左腕に銃身を置きブラッドスタークが狙いを付ける。 煙を描きながらロケット弾を発射、ジオウの蹴りに負けず劣らずの高火力だ。 『ATTACK RIDE CLOCK UP!』 だが届かない、破壊者から勝利を奪うには余りにも程遠い。 電子音声を聴覚センサーが拾った時点で、全員が地から足を離していた。 ジオウの蹴りは標的を見失い、反対に蹴り飛ばされ。 ブラッドスタークのロケット弾も外れ、胸部装甲から火花が散り。 斬月もまた無双セイバーのエネルギー補充を行うタイミングで、ライドウェア越しに拳が突き刺さった。 「――がっ!?」 「あぐ……!?ひぅ……痛い……」 何が起きたのか分からない。 気が付いたら地面へ倒れ、遅れて痛みがやって来たのだから。 『……っ、ああまたかよ!慣れたくねぇなこいつは!』 唯一攻撃の正体に察しが付いたブラッドスタークだが、毒を吐く裏で首を傾げる。 ディケイドが高速で移動するには別のライダー、ファイズに変身した上で更にアクセルフォームになる工程が必要だった筈。 なのに今のは明らかにカード一枚の装填という、ワンアクションでやってのけた。 前回とは違う姿になっているのが原因なのか。 アクセルフォームと今回使ったクロックアップは別物だが、懇切丁寧に説明してやる気は皆無。 ライダーへの変身を挟まずにアタックライドを使える事も、一々教える義理は無い。 倒れ伏す三人へ求めるのはたった一つ、破壊による死だけだ。 ○ 「っぶねぇ…!」 身を屈め横薙ぎの一閃をやり過ごす。 大ショッカーが作りし特殊鉱石の刃の犠牲となったのは白髪数本。 首は未だ繋がっており、血の一滴も流れてないなら上出来だ。 「ピカピカ~!!(ひえ~!お助け~!)」 涙と鼻水で顔面を崩壊させながらも、でんこうせっかで蹴りを回避。 いきなり現れ破壊だ何だと物騒な事を言ったかと思えば、有無を言わさず殺しに来たのだ。 視界一杯に映り込んだ爪先へ、動くのが後ちょっと遅かったら可愛らしい顔がミンチとなっていただろう。 「仮面ライダーでなくとも逃がしはせん。大人しく破壊を受け入れろ」 「断るに決まってんだろうが!」 死ねと言われて、どうぞご自由にと返す自殺志願者なら今の今まで生き残ってはいない。 随分と勝手な言い草へ怒鳴り返し、顔面目掛けて銃剣刺突を繰り出す。 常日頃から戦闘とチタタプ用に研いでいたのだ、切れ味を侮ってもらっては困る。 尤も外れてしまえば肝心の鋭さも分からず終い、そもそも分かりたいとも思わない。 敵兵に反撃の機会を与えず突き殺した銃剣は呆気なく躱され、再度杉元へ刃が迫った。 軍刀とも日本刀とも違う種類の剣が、不死身の兵士の血を求め襲来。 電光石火もかくやの速さで歩兵銃を引き戻し、銃剣部分で弾き返す。 (重てぇし速過ぎんぞこいつ!遺影貼り付けて出来る動きじゃねぇだろ!?) 以前、白石と共に見付けた江渡貝剥製所にでも置いてそうな奇怪極まる見た目。 どう考えても動き辛そうなのに実際はどうだ、冗談かと思えるくらいに素早い。 次の動きへ支障が出ない範囲で身を捩り、時には銃剣で受け流す。 対処が間に合わず刃が柔肌を走るも、深い傷は一つも無い。 (……おい、どうなってんだこりゃ) 左肩に浅い切り傷が丁度三つできた所で違和感に気付いた。 傷が再生していない。 幾ら完全再生までは時間が掛かると言っても、この程度の浅い傷なら1分も経たない内に治る筈だろうに。 傷が塞がり元の白い肌に戻る気配はまるでない。 何より不自然なのは巨人との戦闘で付けられた傷は問題無く再生してるにも関わらず、ディケイドに斬られた箇所だけが治らないのだ。 (こいつまさか…) どういう仕掛けかはさっぱり分からないが、受け入れざるを得ない。 ディケイド相手に蓬莱人の不死は無効化される。 数時間前、エターナルメモリの影響で不死となったDIOを破壊したのと同じだ。 激情態のディケイドの前には永遠の命も無意味、問答無用で破壊される末路以外にない。 不死身の肉体はこの瞬間不死身では無くなった。 傷の再生が無効化される以上、恐らくあと一回の復活もディケイドが相手では発動されない。 殺されたら本当にそこで終わり、アシリパとの再会叶わず他人の体で死ぬ。 たった一つの命しか持たない、どこにでもいる人間と一緒。 つまりそれは 「今までと同じってだけだよな!」 歩兵銃を肩に掛け、間髪入れずに抜刀。 鬼の副長の愛刀が破壊者の剣を防ぎ、金属同士が擦れる不快な音が発生。 古今東西、どんな名刀も所詮は人の領域で打たれたに過ぎない。 大ショッカーの技術力を以て作り出されたライドブッカー相手では、砂糖菓子のように砕け散るのが関の山。 「うおりゃああああっ!!」 だが刀の銘は和泉守兼定。 新政府軍を斬り殺し、戦場に夥しい血の雨を降らせた剣豪の魂の一部。 人の身でありながら英霊に上り詰め、狂戦士として異界の闘争に馳せ参じた男の刀なれば。 破壊者だろうと安易に破壊は出来ぬものと知るだろう。 「ピカ~!」 弾き返されたたらを踏んだディケイドの視界を塞ぐ、複数体の黄色い獣。 かげぶんしんの妨害も、目障りと口に出す事なく一振りで消滅。 まんまと逃げおおせた本体を見やり、急速に接近する殺意へ意識を引き戻された。 不死身の兵士は死を跳ね退ける。 肉体の能力ではなく、自分自身の力を駆使して。 ○ 状況が悪いのは隠れているナナにも見て取れた。 ギニューと他二名の仮面ライダーを相手にしていた時は、戦兎達の勝利がほぼ確実だったというのに。 奇怪な姿のライダー、曰くディケイドと名乗った乱入者に全員が苦戦気味。 敵対中のギニュー達ですら、今はディケイドの猛攻を凌ぐのに手一杯の様子。 (マズいな…せめてしんのすけがいれば話は変わって来るのだろうが……) ギニューが変身したアークワンをも追い詰めた、宇宙最強の戦士の体となった少年。 だが希望とも言える彼は今、ディケイドの手で身動きを封じられている。 離れた場所から見ていたナナには分かったのだ。 しんのすけを緑の光が包み、ディケイドの手元には奇妙な四角い物体が握られていたのを。 支給品か、ディケイド自身の能力か。 どちらにしても恐らくあの四角い物体にしんのすけは閉じ込められたのだろう。 それを奪えばしんのすけは自由を取り戻せる。 問題はディケイド相手に奪うという、特大級の難関をどう解決するかだが。 念力でこっそり奪おうにも、ディケイドの反応速度は異常だ。 余計な真似に出たと分かれば即座に殺しに来る。 戦兎達ですら複数人掛かりで苦戦している相手に、自分が戦おうなどと命知らずになる気はない。 「なあ相棒の弟!俺っち達いつまでこうしてんだ?あの音楽室野郎をどうにかしなくて良いんか?」 「ですから!今私達が出て行っても余計に足を引っ張るだけなんです!」 自分がいなかったら後先考えずに飛び出し、呆気なく殺されていたのは想像に難くない。 燃堂へ振り回されるのは今に始まった事で無くとも、つくづく頭が痛くなる。 というか音楽室とは一体何を言っているのか。 ややあってディケイドの見た目は確かに、音楽室へ飾られた著名な作曲家の肖像画のようだと納得。 (いやそんなことはどうでも良くて……) 燃堂の馬鹿な発言に充てられてか、ついつい思考が脱線してしまう。 そんな場合じゃ無いだろうと頭を振って、気を引き締め直す。 ナナとて現状を打破できるものならそうしたいが、無策で戦場に突っ込むつもりはない。 今は隠れて様子を窺い、こちらでアシスト可能なタイミングがあれば動く。 最悪の場合は燃堂を連れて逃げる事も視野に入れねばなるまい。 そうなったら後々余計に頭を抱えるのは確実、しかしその最悪が現実と化す可能性も十分にある。 いざとなった時の決断も迅速に行わなければ、待ち受けるのは取り返しのつかない末路だ。 (とにかく、すぐに動ける準備だけでもしておかないと) フリーズロッドを取り出し、必要とあらばいつでも振れるよう構える。 長続きはしないが凍結させれば多少の足止めは可能。 心情的にも念力を使うよりは、こういった道具に頼った方がマシな気持ちも無い訳ではないが。 一定の使用後は砕けるらしいが今の所その兆候は無い。 悪いタイミングで壊れるなよと思いつつ、戦況の冷静に観察し、 「お――――」 誰もが各々の戦いへ意識を向け、ナナも目を逸らさない中。 この場で最も弱い少年だけがソレに気付いた。 ヘブラ山頂の氷を精錬し作られたフリーズロッドは、未だ砕けず輝きを失わない。 透き通るような美しさの氷は鏡の役目も果たし、持ち主のナナを映し出す。 もう一体、本来ならば映る筈のない存在。 カメレオンに似た姿の、異形の化け物も。 「――――」 その時燃堂が一体何を思ったのか。 変なのが映っているとナナに教える事も出来た。 目の錯覚と思い一度視線を逸らす事も出来た。 普段通りの呑気さで、鏡の中の化け物に声を掛けた可能性もある。 それらは全て、現実の燃堂が選ばなかったもの。 野生の直感とでも言うべき何かが、彼の中で働いたのか。 深く考えずにとりあえず動いてみようと思ったのか。 ナナも、闘争に身を委ねる者達にも答えは知り様がない。 或いは、斉木楠雄がこの光景を見ていたら。 もしかしたら、別の展開があったのかもしれない。 ドン、と横からの衝撃に倒れ。 突き飛ばされたとすぐに気付き、一体何の真似だと顔を顰め。 振り返った時にはもう、言おうと思った文句の全てが頭から離れて行った。 「え……?」 自分の目に映っている光景が何なのか、理解が追い付かない。 思考放棄を許される場では無いだろうに、対能力者用の訓練を思い出せ。 そうやって厳しい言葉を紡ぐ自分の冷静な部分が、やけに遠く感じる。 「何で――」 何故、どうして。 目の前に化け物がいて、燃堂がそいつに爪で貫かれているのか。 この化け物はどこから来たのか、燃堂はどうやって存在に気付いたのか。 違う、そうじゃない、間違って無いけど、聞きたいのはそんな事では無くて。 「相棒の弟」 斉木楠雄は超能力者である。 普通では無い彼の周りには、同じく変わった人間で溢れている。 両親と兄を始め、毎度毎度騒動を引き起こす個性的過ぎる面々が。 頭を抱えた事は一度や二度じゃない。 胸中で辛辣なツッコミを向けるのは最早日常茶飯事。 いい加減にしろと思ったのなんて、数える方が馬鹿らしくなるくらいだ。 だけど、どれだけ面倒に思っても。 本心から嫌いにはなれない、呆れながらもついつい超能力で助けてしまう。 変人揃いの癖に、友情は決して裏切らない連中だから。 海堂瞬も、窪谷須亜蓮も、そして燃堂力も。 そんな奴らだからこそ、超能力者としてだけではなく。 「ダチを助けるのに理由なんていらないだろ?」 一人の友人として、彼を死なせたく無かったのだろう。 ブチリと引き千切れる音がして、それっきり声はしなくなる。 ポニーテールを揺らす少女の顔は見当たらない。 不快な咀嚼音が耳へ届けられ、視線は地面に落ちた首輪から化け物口へ移る。 あの中かと思った自分がどんな顔でいるのか、柊ナナには分からなかった。 【燃堂力@斉木楠雄のΨ難(身体:堀裕子@アイドルマスターシンデレラガールズ) 死亡】 ◆ 「ピカァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」 誰もがそれに気付いた時、全て手遅れだったと現実を突き付けられた。 間に合わなかった、遅過ぎたという後悔と怒りを自らの力に変える。 この瞬間は、善逸の中から恐怖が完全に消失。 自らの不甲斐なさと死を振り撒く悪鬼達への憤怒が光となり、遥か頭上より裁きを下す。 さながら神の鉄槌の如き一撃が破壊者を貫いた。 「がはっ…!?」 苦悶の声を発し破壊者は膝を付く。 破壊衝動が高まりつつある中で己の意思とは裏腹に、体は命令に逆らい動かない。 かみなりの直撃はコンプリートフォームのディケイドだろうと、流石に無傷でやり過ごせなかった。 天候で命中率が左右される分、威力は10まんボルト以上。 全身の痺れに動きが鈍り、倍となった素早さもこれでは無意味だ。 殺すなら今しかない。 時間を置かずにディケイドは再び自由を取り戻す、その前に攻撃をするべき。 千載一遇のチャンスを捨てる馬鹿がどこにいる。 正論を捻じ伏せ杉元は踵を返し疾走。 今動かなければ死ぬ奴がいる、ここで走らねば本当の意味で無駄となってしまう。 鬼神もかくやの強さと容赦の無さを持ち合わせるのが杉元という男。 だけど同じく、情を決して捨てない男でもある。 接近を察知した化け物…バイオグリーザがぶつけるのは苛立ちの視線。 食事の途中で横槍を入れられ、満たされぬ空腹に溜まり続けたストレスは呆気なく爆発。 邪魔をするなら逆に捕らえ、腹の中で溶かしてやろう。 悪魔の実の力で得た獣の爪を叩きつける。 ミラーモンスターの腕力へ動物系の強靭な身体機能が加算されれば、地球上の生物を超える力も安易に発揮可能だ。 「~~~~!?」 しかしバイオグリーザの爪が引き裂いたのは少女の体ではない。 弾ける感触が伝わったのも一瞬のこと、猛烈な痺れが体中を襲う。 皮肉にも服従した主と同じように。 爪が肉に食い込まれる寸前、杉元が投げ付けた黄チュチュゼリーがバイオグリーザの腕へ命中し破裂。 杉元自身も味わった支給品の効果は、かみなり程では無いが動きを止めるには十分だ。 「食いたきゃこれでも食ってやがれ!」 開けたままの口へ右手を突っ込む。 握られているのは明治時代にはない回転式拳銃、コルト・パイソン。 引き金を引くのに一切の躊躇も必要無し、装填された神経断裂弾が内部から喰い千切る。 動物系の高い生命力も、内側から傷付けられれば一溜りも無い。 数発の弾は貫通せず体内に留まったが、バイオグリーザには耐え難い激痛だろう。 対未確認生命体用の特殊弾はミラーモンスター相手にも効果を発揮。 破裂した弾丸が神経をズタズタに切り裂き、バイオグリーザは怪鳥のような悲鳴を上げ悶え苦しんだ挙句、やがて動きを止めた。 「っ…!」 獣の死に何かを思う暇も無く、再び破壊者の相手をしなくてはならないらしい。 背後で動き出す気配に振り返れば案の定、立ち上がったディケイドが善逸へ斬り掛かる場面があった。 10まんボルトを放とうにも、溜めの隙を作れない。 でんこうせっかを駆使し避けてはいるが、一撃もらえば死はほぼ確実。 予備の弾を装填する時間も惜しいと駆け出し、腰の刀を振り抜いた。 一部始終はバイオグリーザを従えた本人、ディケイドも把握している。 大方空腹に我慢が出来ず襲い掛かった、そんなところか。 仮にバイオグリーザが仮面ライダーとの闘争へ乱入したなら、相応の処罰を与えた。 しかし今しがた殺されたのは仮面ライダーでもなければ、戦う力も持たない只の人間。 破壊の対象に含まれているとはいえ、正直言って優先度は低い。 「直に貴様たちも奴と同じ場所へ行く事になるがな」 「がぁ…っ!」 アルセーヌの蹴りを片手でいなし、もう片方のライドブッカーが切り裂く。 強化皮膚に覆われてはいても、耐久性をほとんど無視したような攻撃だ。 直に体を斬られたような激痛に眩暈がした。 霞む視界が元に戻るのを待っていられず、アルセーヌがスラッシュを放つ。 刀身を弾いた程度の一撃だが、跳び退くだけの時間は稼げた。 ジョーカーへの追撃を阻むかのように飛び出る複数の影。 尤もアークワン達に助けるという意図はない。 目下最大の脅威が別の敵に引き付けられた、だからそこを狙ったまで。 『SKULL!MAXIMAM DRIVE!』 装填されたメモリがスカルマグナムの威力を最大まで引き上げた。 後年に風都を守ったダブルと違い、スカルのマキシマムドライブはメモリ使用者をも死に至らしめる。 比喩ではない、正真正銘「必殺」の弾丸を撃つ。 『風遁の術!』 遠距離がスカルなら近距離での攻撃はプロトタイプビルドが行う。 四コマ忍法刀のトリガーを引く回数は3。 ペン型の剣先から発生した風を刀身に纏わせ、竜巻状に変化。 敏捷性に優れた忍者フルボトルの成分も駆使すれば、ロクな抵抗も許さず一刀の元に撃破可能な斬撃だ。 尤も、相手が世界の破壊者でなければの話。 ――水の呼吸 弐ノ型 水車 足りない分はもう一本の剣で補う。 虹を構え横に回転、本来の動きと違いは有れど破壊力は一切劣らない。 広範囲を巻き込む技故に、回避しようとも決して刃から逃さない。 三方向から脅威が迫り逃げ道を塞がれる。 相手が並の力しか持たない怪人程度であれば、オーバーキル以外のなにものでもない。 知らぬ者が見たら標的となった方へ同情の念を向けるだろう光景。 『ATTACK RIDE TIME!』 真に憐れまれるのは、攻撃を仕掛けた者達の方だが。 「ぐおおおおおおおっ!?」 悲鳴を上げたアークワン本人ですら、何が起きたか分からない。 自分達三人はディケイドへ一斉に技を放った。 全員が狙いは正確、間違っても味方を攻撃するようなヘマは犯さない。 その筈だったというのに、彼らの攻撃は互いを痛め付けるに終わった。 ディケイドのやった事を説明するなら、そう難しい内容でもない。 アタックライド・タイム。 スカラベアンデットの力で一定範囲内の時間を止める、所有カードの中でも特に強力な一枚。 但し既に脱落したスタンド使い達と違い、時間停止中は敵へ攻撃を行っても無意味。 ダメージを与えるには時を再び動かさなければならない。 止まった時の中でディケイドは三人の攻撃の範囲内から離れた、それだけである。 後は自ら能力を解除すれば、本来の標的を失った事で互いへ命中。 この場にDIOや承太郎がいたら気付けただろう絡繰りも、彼らが死んだ今ではたらればでしかない。 『ATTACK RIDE KOTAEWA KIITE NAI!』 『ATTACK RIDE MACH!』 『ATTACK RIDE BLAST!』 「全員破壊してやる、答えは聞かん」 三枚連続でカードを装填、揃って怯んだ者達へ追い打ちを掛ける。 右手にはライドブッカー、左手にはデンガッシャー。 どちらもガンモードへ変形済み、そこへ加わるのはジャガーアンデットの脚力。 ほしふるうでわにより素早さが倍になった上で行う高速移動だ、ライダーの視覚センサーを以てしても捉えるのは困難を極める。 円を描くように駆けながら双銃を乱射、無数の光弾がアークワン達に当たっては弾け火花を咲かせた。 無論、ジョーカーも例外ではない。 拳とペルソナで弾き落とす余裕も与えられず、全身を襲う痛みに叫ぶしか出来なかった。 銃撃が止み、立っているのは破壊者ただ一人。 アークワンとジョーカーは言わずもがな。 比較的軽症だった祈手達のライダーですら、ディケイドとの僅かな攻防で無視出来ない程の被害を受けた。 たった一人でここまで追い詰めたが破壊者の心は満たされない。 敵はまだ生きている、生命の灯火が消えない限りは湧き出る衝動も無くならない。 「まずは貴様だ」 指を差され最初に死を宣告されたのは風都の守り手たる骸骨。 言葉無く立ち上がる姿は非常に弱々しい。 スカルメモリは使用者に痛みを感じない体を授ける。 だがあくまで痛覚を失うに過ぎず、攻撃を受ければ当然傷は付く。 痛みが無いだけでダメージ自体は蓄積し、スカルの動きへ支障が現れ出した。 弱った相手に同情も情けも向けはしない。 破壊者が与えられるのは通り名が示すように、破壊以外に存在しないのだから。 『KIVA!KAMEN RIDE EMPEROR』 ケータッチの画面に表示されたクレストをタッチ。 電子音声が流れると共に、ディケイドの胸部に変化が起きる。 9人それぞれ異なるライダーのカードが、一瞬で同じカードになった。 だが外見の変化など些細なもの、真に驚くべき存在がディケイドの隣へ現れる。 蝙蝠を象った仮面は同じ、違うのは纏った鎧。 真紅の拘束具を脱ぎ捨て、目も眩む黄金に身を包んだ姿の何たる神々しいことか。 誰もが平伏し、口を揃えてこの者こそが王だと崇めるに違いない。 仮面ライダーキバ・エンペラーフォーム。 全ての鎖を解き放った、ファンガイアの王の真の姿。 コンプリートフォームとは、ディケイド自身のスペックを底上げするだけが全てでは無い。 その真価は士が絆を結んだライダー達を、最終フォームの状態で召喚させること。 と言ってもここにいるキバに自我は存在しない、あくまでディケイドの能力の産物。 本物の紅渡やワタルではないが、それでも破格の性能だ。 士本人ならともかく、BADANの大首領は単なる傀儡としか見ていなかった。 『FINAL ATTACK RIDE KI・KI・KI KIVA!』 カードを取り出しライドブッカーへ装填。 ディケイドと同じ動作を一ミリのズレもなくキバも行う。 召喚されたは共通してディケイドの行動に同調し動く。 ディケイドが高威力の技を放てばライダーも同様、通常形態のディケイドを遥かに超える破壊を生み出す。 蝙蝠が噛み付いた大剣、ザンバットソードを掲げる。 ファンガイアの王のみが持つ事を許された魔剣がライフエナジーを吸収。 紅に染まる刀身に合わせ、ディケイドのライドブッカーも輝きを放つ。 二振りの剣に魔皇力が最大まで溜められた今、最早斬れぬものは一つもない。 王と破壊者が判決を下す時が来た。 「や…めろ……!」 苦痛に苛まれる中で、絞り出した声は聞き届けられない。 震えて伸ばした手は何も掴めず、救えない。 あそこにいるのは鳴海荘吉の体だけ、精神は完全に別人。 そもそも自分と荘吉は赤の他人同士、気に病む必要はどこにもない。 分かっている、改めて考えずともそんなのは分かっている。 なのに ――『あの子を頼んだぜ…』 ――『似合う男になれ』 真っ赤に汚れた白スーツが。 帽子を託した『あの人』の最期が。 自分自身の記憶のように、焼き付いて離れなかった。 真紅に染まった魔剣が振り下ろされる。 一切の抵抗を許されず、魔皇力はスカルを死へ誘う。 探偵であり父でもあった男を、親子の物語を奏でた戦士が終わらせた。 光刃が肉を焼き骨を断つ。 血は一滴も流れず、されど彼を生かすもの全部が流れ落ちる。 死体の如き体となった男は本当の死を与えられ、やはり言葉無しにこの世を去った。 祈手たる彼が何を思ったか、ここにいる誰にも知られぬまま。 「あ……」 その全てを目の当たりにして、ようやっと喉の奥から出たのはたった一文字。 『あの人』がどうなったかは見たものが全てだ。 記憶の中のように、言葉を残して去りはしない。 いたのは体だけが本人の、『あの人』ではない別のナニカ。 立場的には自分達の敵だったのだ、大手を振って喜びこそしないが深く悲しむ必要もない。 それでも、自分の中で欠ける感触があった。 目の前に落ちた、焼け焦げた白い帽子からどうしても目が離せなかった。 【ボンドルドの祈手@メイドインアビス(身体:鳴海荘吉@仮面ライダーW) 死亡】 →
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登録日:2012/05/17 Thu 23 03 11 更新日:2024/07/01 Mon 01 54 34NEW! 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 FE FEヒーローズ NTR おばさんパーマ みんなのトラウマ もう一人の主人公 アルヴィス イケメン エンペラー カリスマ コメント欄ログ化項目 セイジ ダークヒーロー バーハラの悲劇 ファイアーエムブレム ファラ ファラフレイム ファラ直系 ラスボスの風格を持つ中ボス リカバーリング ロプト ヴェルトマー 不幸 仇敵 傀儡 兄 全てを手に入れて全てを失った者 切れ者 加害者にして被害者 哀しき悪役 因果応報 圧倒的な強さ 圧倒的攻撃力 報われない 天使と悪魔を誕生させた者 嫌われ者 子世代 孤独 宿敵 寝取り 強敵 悲しい過去 悲劇 悲惨な末路 戦犯 本当は優しい人 業が深い 権力の衰退 正義と悪は表裏一体 正義のためなら人間はどこまでも残酷になれるんです 正義はあっても正解はない 歪んだ正義 残忍なイケメン 母親想い 法治主義 炎 炎の紋章 父親 異母兄 異父兄 皇帝 簒奪者 美形悪役 聖戦の系譜 自己保身 行き過ぎた正義感 裏切り者 親世代 謀略 賛否両論 贖罪 赤ワカメ 近衛軍指揮官 近親相姦 速水奨 運命に押しつぶされた哀れな人 運命に翻弄された者 過去の栄光 野心家 野望 闇堕ち 陰謀 首謀者にして犠牲者 高潔 私は、炎の聖戦士ファラと聖騎士マイラの血を受け継ぐ者として、この世界を、差別のない、誰もが住み易いものに変える。シグルドには悪いが、彼にはそのための犠牲となってもらう。 出典:ファイアーエムブレム ヒーローズ、任天堂、インテリジェントシステムズ、2017年2月2日配信開始(C) 2017 Nintendo / INTELLIGENT SYSTEMS 『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』に登場するキャラクター。 CV:速水奨(FEヒーローズ) 概要 略歴 ユニット性能 アルヴィスについての評価 ファイアーエムブレム 覚醒 ファイアーエムブレム ヒーローズ 余談 概要 ヴェルトマー公爵家の現当主にして、十二聖戦士の1人で魔法戦士ファラ直系の血を受け継ぐ、神器ファラフレイムの継承者。 国王からの信任も厚い優秀な人物で、グランベル王国の近衛軍指揮官も兼任している。 父ヴィクトルは母シギュンを愛していたが凡庸だった己に強いコンプレックスを抱いており、 周囲の反対を押し切ってまで正妻に迎えた美しい妻が自分を本当に愛しているのか自信を持てずにいた。 その鬱屈した思いを晴らすように酒と女に溺れて愛人を囲い、結果としてアルヴィスには腹違いの兄弟が何人もいた。 ある日、ヴィクトルはシギュンがグランベル王国のクルト王子と不倫していることを知ってしまい、2人を呪う怨嗟の遺書を残して自殺。 いたたまれなくなったシギュンは、幼い息子を残して人知れず失踪してしまう。 立て続けに両親を失い弱冠7歳で家督を継ぐ事となったアルヴィスは母や自分に尽くしていた心優しい下女と、彼女が父に暴行されたことで産まれた異母弟のアゼルのみを残して、他の兄弟達とその親や従者達も全てヴェルトマー家から追放した。 この下女とアゼルは貴族や王族の間で孤立していた自分の数少ない味方であり、愛すべき家族であった。 下女はのちに亡くなってしまうが、彼は残されたアゼルを自身の弟以上に大切に育てることとなる。 だがその愛情が孤独な彼の心の闇から生まれたものである事を本能で察していたアゼルからは「恐怖」と捉えられた。 また、母シギュンからは微弱ながら暗黒神ロプトの血を受け継いでおり、 このことが世に知られることに怯えながらも「これは暗黒神ではなく人間のために戦ったマイラ(ロプトウスの血族の1人だが、ロプト帝国に反乱を起こしたため13人目の聖戦士とも呼ばれた)の血である」と言い、自らの誇りとしている。 略歴 初登場はシグルドが挙兵したばかりの序章。 グランベル国王アズムールの命令を受けて現地の視察に訪れ、ヴェルダン軍と交戦するシグルドに王から託された銀の剣を渡した。 そして、ヴェルダン軍の討伐とシグルド軍に参加したアゼルの世話を一任し、自身は国王警護のため王都バーハラに戻って行った。 この時点では単なる高潔で良い人物だが、同時に蛮族相手に手こずるシグルドを陰ながら見下す等、既にきな臭さを漂わせる登場であった。 その後は各地で起こる戦乱をよそに、ロプトウスを信奉する暗黒教団「ロプト教団」と接触。 ロプトの血を受け継いでいることが世間に露呈されることを恐れ、激しい弾圧対象だった彼らを被差別対象から救うことを約束して協力を取り付ける。 聖戦士ファラ、そしてマイラの血を継ぐ者として「差別のない、誰もが住みやすい世界」を築くため、教団を利用して自らがグランベル王国の皇帝となる事を画策。 ドズル家のランゴバルト卿、フリージ家のレプトール卿ら反クルト王子派の有力諸候と密約を結び、計画の障害となるクルト王子を謀殺。 そして王子の側近であるバイロン卿(シグルドの父)が属するシアルフィ家に、ことごとくその罪をなすり付ける。 元々信任が厚く高潔な人物だったことに加え、孫娘の存在を初めてアルヴィスによって知らされたアズムール王は、あっさりとディアドラとアルヴィスの結婚を了承。 それどころか「ナーガの血を絶やしてはならないのでディアドラと早く子を成せ」とまで命令する。 そしてシレジアに侵攻する姿勢を見せ、用済みとなったランゴバルト卿とレプトール卿をシグルド軍に嗾ける事で自ら戦うことなく排除。 さらにシグルドとその仲間達をも凱旋と称して王都バーハラ付近にまでおびき寄せた上で、グランベル王国への反逆者の汚名を着せ、不意打ちによりその大半を処刑した。 これが後の世に伝わる「バーハラの戦い」である(~五章 運命の扉)。 ちなみに大沢版の漫画ではシグルド殺害のシーンがさらにえぐくなっており、彼を至近距離からのファラフレイムで不意打ちした上に一瞬で灰にしている。 彼が狂喜する中、愛する者を目の前で殺害され憔悴しきっていたディアドラに向けとどめに、 「どうしたの? 疲れた?」 と表情も変えずに問いかけ…彼女の心を完全に破壊した。 その様は、どこか子供の心の無い残酷的な行動に似ており、壊れた操り人形を動かし続けるかのような虚無を感じさせた。 政敵となる有力諸候をあらかた失ったことで、アルヴィスはグランベルの実権を完全に掌握した。 国王であるアズムールが亡くなった後、彼はイザークの他に先のシグルド軍との戦いで疲弊していたヴェルダン、アグストリア、シレジアといった独立国家や地方を次々と制圧。 残りのトラキア地方については南トラキアについては傭兵国家で協力関係にもあったため明確な敵対はしていない(そもそも土地的に旨みも少ない)。 そして武力の差で南トラキアが容易に手出し出来ない状況にしつつ、電撃戦により豊穣なレンスター(トラキア北部)地方の大半を制圧して南部は放置。 グランベル帝国の建国を宣言し、その初代皇帝となる。 この前後に、シグルドの元妻で、マンフロイによって記憶を奪われたディアドラと正式に結婚。 長男ユリウスと長女ユリアの二児をもうける。 しかし、この幸せな結婚こそがマンフロイが仕掛けた最大の罠であるとはアルヴィスは知る由もなかった。 即位からしばらくの期間は、徹底的な法の下、多少窮屈ではあるが住みよい統治が行われ、アルヴィスは有能な皇帝であるという風評が部下や市民の間にも広がっていった。 元々ランゴバルトやシャガールといった強欲で凡愚に過ぎる統治者が多かったというのもあるが、最初の内はその統治もうまくいっていたのである。 しかし実はディアドラは前述のグランベル王国のクルト王子と、アルヴィスの母シギュンの不倫の末に生まれた不義の子で、アルヴィスの種違いの妹にあたる。 しかも、彼女もまた母親からマイラ傍系の血を受け継いでいたのだ。 この2人の近親婚により双子の片割れであるユリウスに流れるロプトの血が直系になるほど濃くなってしまい、 さらにマンフロイから闇の魔道書ロプトウスを譲り受けた事で覚醒し暗黒神ロプトウスの化身となってしまう。 ユリウスと暗黒教団の絶大な力の前に実権を奪われたアルヴィスは傀儡となり、暗黒教団主導の恐ろしい圧政が始まってしまう。 かつての暗黒教団と同様に、信者以外は大人も子供も教団からのノルマや気まぐれ的に連れ去られたり、辱めを受けたり殺されるのは当然の世の中。それもただ殺すのでは飽き足らず苦しんで死ぬように火あぶりの刑が世界中のあちらこちらで行われる絶望の時代の到来。 ロプトウスに唯一対抗しうるヘイムの血(光魔法ナーガを使う力)を持っていた妻ディアドラはユリウスによって殺害される。 同じくヘイムの血を持つユリアはユリウスの手に掛かる直前にディアドラが逃がしたものの、そのまま行方不明となってしまう。 自分が利用していたはずが、実は自分自身が利用されていた… アルヴィスはようやく自分の過ちに気付いたが、その時には既に全てが遅すぎた。 しかもアルヴィスによるグランベル帝国建国についてもマンフロイが望んでいた方向であり、これも罠であった。 地下で追いやられ、見つかれば即火あぶりという激しい迫害を受けていた暗黒教団にとってはこれこそ千載一遇のチャンスであり、そのためならロプトマージ達は命すらなげうつ覚悟であった。 つまり彼らの執念とマンフロイの采配がアルヴィスの政治力を、ファラ直系としてなんとかしようにもユリウス(ロプトウス)の力が自分の大きく上回っていたのである。 時は流れ……シグルドの息子・セリス率いる解放軍が目前に迫る中、アルヴィスはユリウス打倒を彼らに託す事を決意し挙兵。 各地を解放する若き指揮官を目にし、かつてシグルドに仕えていた司祭パルマークに、 保管していた聖剣ティルフィングをセリスに渡すように指示(ただし自分が渡した事は決して口外しないよう命令した)。 自らはシグルドの祖国であるシアルフィの防衛につき、セリスに討たれる覚悟で戦場に立つのだった。 そして…… 小説版では上記の流れがアルヴィスの視点から描かれている。両親への愛憎、親族との権力闘争の末若くして公爵の地位を継ことになったこと、さらに士官学校を首席で卒業し近衛師団に任命されたことから野心家の性格になったと語られている。 合理的かつ知的だがやや人を見下す悪癖もしっかりとえがかれている。 母のことで負い目を感じていたクルトは後見としてアルヴィスを支援しており、本人も父より好いていたようだが、反面母が出ていく原因となったと憎んでもいたようでもある。このことがクルトの謀殺にどの程度関係しているかは定かではない。 ちなみにゲーム中でも語っていた「差別のない、誰もが住みやすい世界を作る」という望みは(過程はともかく)真実であり、クルト王子暗殺と犯人擦り付けはあくまでもその手段の地位簒奪に必須という関係上、感情とはあまり関係ないと思われる。 また、以下の裏設定の点から上記は概ね独自設定である。いずれにせよ父よりも好感度は高そうだが。 クルト王子はアルヴィスに負い目があるため裏からアルヴィスを支援していた。 アルヴィスはクルト王子が母が出ていく原因であることは知らない(クルト王子はゲーム中でも心配されているほど周囲に女っ気がなく、原因を知っていたらめぐりめぐってナーガ直系のディアドラは自分の異父兄妹である可能性が極めて高いと推測できる) 記憶喪失のディアドラの正体はアルヴィスとしても当然気にしていたし母のようにどこかに行くのでは…とも心配していた。そのために行方不明の妻がいるシグルドの前につい出してしまった。あれは煽りではなくただ不安だったが故の行為。その結果シグルドの妻だったことが明らかになり、バーハラの悲劇後に調査してディアドラの出生を知った。つまりここでクルト王子の件も分かったと思われる。 士官学校時代にロプト帝国が滅びたのは解放軍がまとまって周囲の国々を味方につけていったのに対し、帝国は戦力を分散させ連携が取れなかったためと分析している。 皮肉にも自らが建国し、後にロプト教団がのっとったグランベル帝国は同じように圧政の末に解放軍に周囲を囲まれる形で滅びることになった。 ユニット性能 ○ステータス(親世代) セイジ LV25 HP 60 力 15 魔力 30+10 技 27 速さ 30 幸運 0 守備 8+10 魔防 22+10 指揮官LV ★★★★★ スキル 連続(兵種)/見切り 所持品 ファラフレイム/リカバーリング/5000G ○ステータス(子世代) エンペラー LV30 HP 80 力 27 魔力 30+10 技 30 速さ 30 幸運 4 守備30+10 魔防 30+10 指揮官LV ★★★★★ スキル 大盾(兵種)/カリスマ(兵種)/見切り 所持品 ファラフレイム/銀の大剣/6000G 序章では同盟ユニットとして登場。 カンストしている魔力・技・速さをはじめ全体的にステータスが高く、一見しただけで只者ではないと分かる。 そしてプレイヤーが初めて目にする神器の圧倒的威力により、聖戦士が持つ力の強大さを見せつけてくれる。 速さが最大値の30とはいえ神器の重さで攻速は15程度だが、補正のおかげで守備が18と並の物理職程度には高い。 そして魔力補正込みで攻撃力は作中ダントツの70。 もし仲間として使えればフォルセティ持ちのレヴィンに次ぐ地雷として活躍しそうである。 この時は基本的に「シグルドに話しかけるように動く」AIで、範囲内にシグルドが居ない+攻撃範囲に雑魚がいた場合だけファラフレイムの炎で消し炭に変えていく。 ちなみにゲラルド(ボス)はこのAIの攻撃対象に入っておらず、やっつけてくれない……と思いきや、上手く誘導することでゲラルドにアルヴィスを攻撃させ、返り討ちにさせる方法でならゲラルドを瞬殺してくれる。ただし同盟軍なので残念ながら戦闘アニメーションは強制OFF。 なお、守備力18+回避70なので、雑魚のヴェルダン兵からも攻撃してくる。 基本的に避けまくるため攻撃が当たることはないと思われがちだが実は命中0ではなく、アルヴィスが道に立っていた時などはたまに攻撃が当たる。 ……が、アルヴィスはリカバーリングを持っているので、かすり傷が蓄積しようとダメージは残らない。 「なんだこのNPC強すぎない!?」となること請け合い。 敵として戦う際のクラスは専用クラスであるエンペラー。 闘技場でゼウスというエンペラーも登場するが、ストーリー上で戦うのはアルヴィスのみ。 ただしその戦闘能力はゼウスとは比較にならない程強大。 バロンの上位互換となる重歩兵系ユニットで、スキルに一定確率でダメージを無効にする「大盾」と周囲に支援効果をつける「カリスマ」を持つ。 カリスマは自分には効果がないが、彼の3マス以内にメティオ持ちファイアマージがおり、指揮官補正と合わせて命中、回避+50という強烈な補正がかかっている。 パルマークに会うにはメティオ持ちファイアマージの並ぶシアルフィの防衛線を通り抜けないといけないが、奥側に居る連中は非常に命中率が高く、危険。 さらに必殺・特殊剣を無効化する「見切り」を持つため、流星剣によるゴリ押しなども無効。 ちなみにセイジの頃に持っていた「連続」は兵種スキルだったため消えている。クラスチェンジしたら消えるスキルって…。 とはいえもし連続持ちだったら恐ろしい難敵になっていたのは違いないだろう。 装備による魔防補正等を抜きにすれば全ステータスがカンストしていてもHP満タンから即死するという理不尽極まりない存在となる。 能力値は力と運を除いた全てが最高値である「30」という脅威的な数値を誇る。 そこへさらに城の地形補正、指揮官LV5による補正、神器ファラフレイムによる補正が加わり、化け物じみた強さを発揮する。 ファラフレイムは神器魔法の中で一番重いのだが、速さ30によってそれすらも感じさせない。 回避率は素のステータスではそこまで高くはないのだが、前述した城の地形補正(+30)と指揮官LV5による補正(+40)で合わせて70上乗せされており、実際の回避率は100を超えている。 更に守備魔防共に40という鉄壁。 いくら追撃がとれるように工夫しても、生半可なキャラ、武器では城の自動回復で相殺されてしまう。しかも大盾で防がれることもある。 何より十分なHP・魔防を備えていなければファラフレイムの一撃で即死するため、手出しすら許されない。(*1) 頼みの綱のフォルセティすらも炎と相性が悪いために命中が下がってしまい(アルヴィスの速さのせいもあり60%がせいぜいである)逆にボコられる可能性が高い。 単純な地力ならラスボスであるユリウスを軽く凌ぐ能力を持ち、終章を前に最大の壁としてプレイヤーに立ちはだかる。 最適な攻略法としては、魔防に強力な補正がつくティルフィングを手に入れたセリス、 あるいはティルフィングには劣るものの魔防補正のあるミストルティンを持つアレスが鍵を握るだろう。 特にセリスはティルフィングの補正以外にも父親の因縁もあるため、一対一でぶつけてみるのもいいだろう。 この2人を軸に、支援効果や他の神器を総動員すれば、厳しいながらも勝機は見えてくるはず。 単発火力だけならロプトウスはおろかナーガをも凌ぐが、再攻撃や必殺攻撃は仕掛けて来ない為、 ファラフレイムの一撃さえ耐え凌げれば、まず事故死することはないだろう。 ちなみにセリスで止めを刺すとシグルドとディアドラの亡霊との会話イベントが発生する上に、 強力なアイテムであるライブの指輪も入手出来る。 物語的にもセリスで倒すのが王道。是非セリスの手で父の仇を討ってあげてほしいところ。 なおファラフレイム以外に銀の大剣を持っているが、護身用なのか権威の象徴なのか戦闘では大剣を振るうことはまずない。 (上述の通り魔防が40もあり、プレイヤー側の魔力はマジックリング込みでも最大で35が限界なので、サイレスの杖でファラフレイムを封じることも不可能) 実は指揮官補正や地形補正を含めれば、相性不利であるにも拘わらずナーガ相手でもそこそこやり合えるほどの強さがあるらしい。 また同じく相性不利なロプトウスが相手の場合、作中最高の魔法攻撃力も35まで低下し、魔防35のユリウス相手には理論上1ターンにつき1ダメージしか与えられないため、 作中でも台詞にしていた通り息子相手には本当に無力同然で逆らえるような立場ではないことがわかる。 もっとも、そのユリウスも1回の攻撃につき父親には僅か15ダメージ程しか与えられず、攻速も互角なので確実な追撃も期待出来ないわけだが。 アルヴィスについての評価 マンフロイからも指摘されたように、彼はロプトよりもファラの血を色濃く受け継いでおり、 暗黒神の復活など望んでおらず、やり口はどうであれ、彼は彼なりに純粋に世界の平和を願っていた。 ディアドラの事も政治的な意味合いなど関係なく、ただ1人の男として本気で愛していた。 彼もまたマンフロイ、ひいては暗黒神の血に翻弄された被害者でしかないのだ。 とはいえ、どんな理由があったとしても結局彼は無実だった者達(*2)を大勢死に追いやり、 結局理想とは正反対の圧政をしいたことで世の中を滅茶苦茶にした戦乱と混乱の元凶、ユグドラル大陸における史上最大レベルの戦犯である事に変わりはない。 ファンの間では「倒したくなかった敵」という声も聞かれるが、同時に「こいつを擁護する奴の気が知れない」「自分一人で何でもできると思い込んでる節があるし、それでああなる訳だからその辺り無能」という手厳しい声も非常に多い。 親世代での悪逆非道三昧な行いから全てを許せることは絶対に不可能であり、しかしロプトの迫害を収めるのは彼のマイラの血(=迫害対象の証)がなければ説得力のないものとなっていた。 何よりストーリー上で主人公の妻を寝取るわ主人公に散々汚名かぶせて殺すわ、その後の段取りに失敗して世の中をぐちゃぐちゃにするわとプレイヤー的には好印象を抱けない行動も多い。 絶対悪とは言い切れないどころか善悪の二元論で語るとどうしてもぶつかり合いが起きてしまい、相当に賛否が分かれるキャラ。おそらく意図的にどちらにもとれるように描写されているのだろう。 今作の要所で匂わされ裏のメインテーマと呼ばれる「近親相姦」を最も端的に描写されたキャラ。 アルヴィスはディアドラが妹だということと、シグルドは妹の夫だという事は当初は知らなかった。 それらに気付いたのはシグルドを殺した後の事だったという。 元々アルヴィスは幼い頃失踪した母親の帰りをずっと待っており、ディアドラに惹かれたのも母親の面影を感じたからだという。 しかしディアドラは時折自分ではない誰かを見つめているような気がしてならず、 ディアドラが母親のように突然自分を置き去りにして失踪するのではないかという不安に駆られていた。 そんな時にシグルドに失踪した妻がいるという噂を聞いて「もしかして?」という気持ちが沸き、5章の最後、ついシグルドの前にディアドラを連れ出すという行動をとってしまった。 一通りの事が済んだ後、アルヴィスはディアドラの過去を調べ始め、 精霊の森でシギュンが最期を遂げた事、ディアドラが自分と同じ母の子……自分の妹だという事を知ってしまったという。 アルヴィスは、シグルドが夫だったという事と自分と異父兄妹である事をディアドラが知れば悲しむのではないかと考え、 ひたすら真実を隠し通す事に努めていたと加賀氏は語っている。 最後に発売当時から許容派と非許容派でそれはそれは不毛な議論が繰り広げられていたことをここに併記し、アルヴィスを倒した際のシグルドのセリフをもって評を〆させていただく。 「セリスよ、人の悲しみを知れ 真実は一つだけではない それがわからなければ この戦いは無意味となろう……」 ファイアーエムブレム 覚醒 魔符の1つとして登場。クラスは賢者……ではなくソーサラー。 そのため、本編では見られない闇魔法を使うアルヴィスが見られる。 ファイアーエムブレム ヒーローズ 理想を成すために犠牲はつきものだ。たとえそれが、人の道を外れて見えたとしても……。 ソーシャルゲーム「ファイアーエムブレムヒーローズ」では、2017年10月開催の大英雄戦で実装。 召喚時期としてはシグルドを殺し、王国を乗っ取った後の様だ。 ホームでの台詞もタッチでの台詞も理想の実現や、そのために多くの命を犠牲にしたことなど自分の責務についての言及だが、 唯一撃退時のセリフでのみ「ディアドラ……ユリア……」と妻子の名前に言及している。息子の名前を呼ばないのは既にロプトに……。 固有武器にゲーム本編でも使用していた「ファラフレイム」、奥義に発動は遅いが広範囲にダメージを与える「爆火」、 Bスキルに毎ターンHPを回復するこちらも固有スキルの「リカバーリング」、Cスキルに魔防が自分より低い十字方向の敵の守備を下げる「守備の謀策」を持つ。 「ファラフレイム」は他の神器同様の攻撃力14と高水準。 かつ特殊効果として自分より魔防の低い十字方向の敵の能力値を下げる「謀策」系スキルの効果が仕込まれており、攻撃と魔防を同時に4下げるという強烈な物。 Cスキル、聖印と合わせれば、なんと全種類のデバフをばら撒く事が可能。 Bスキルのリカバーリングは「回復」の上位互換で、あちらが最速で2ターンに1度10回復に対し、こちらは毎ターン10回復。 アルヴィス自体は低防御なので壁としてはあまり期待出来ないが、 おあつらえ向きに空いているAスキルに、攻撃の度にHPを削る変わりに全能力をアップさせる「獅子奮迅」を継承してやればデメリットを低減することが出来る。 能力値的に高速アタッカーの傾向が強いため「獅子奮迅」自体との相性も非常に良い。 同じく空いている補助スキルに、指定した味方と自分のHPを入れ替える「相互援助」を継承すれば、 杖ユニットを組み込まずに高い回復量を見込めるサポーターとしても立ち回れる。戦禍の連戦等の長丁場のイベントでは攻撃と回復を1人で担えるため、重宝することだろう。 もしくは対象のHPを10回復し、自分のHPを10減少させる「献身」を継承すればリカバーリングによって事実上無傷で対象を回復させる事が出来る。 余談だが献身はディアドラが初期習得しているスキルでもあり、ディアドラから献身を継承させると原作の近親相姦の再現となってしまう。。。 (ディアドラは星5でしかでないため、フロリーナ等を使った方が無難である) 持久力を活かすために錬成武器に持ち替えてHPを補強してやるのも一つの手。 奥義の「爆火」は炎の神器の使い手であるアルヴィスのイメージとは合致しているが発動までが遅くユニット性能に合わない。 火力を追求するならば、魔防をダメージに加算する「氷蒼」「氷華」を継承してやるのも手。 イメージ的に合わないのが欠点と言えば欠点だが、実用性ならこちらに軍配があがる。 発動が速く、とりあえずどんなユニットでも使いやすい安定の「月虹」もオススメ。 弱点としては前述のとおり耐久面の脆さ。「謀策」を持つため魔防の能力値は高く、魔法相手なら苦手属性でも釣り出しも出来るが、HPと守備が低く物理相手は滅法苦手。 速さが高いため追撃は受けにくいものの、一撃が致命傷になるため配置には充分に気をつけよう。一度凌ぐ事が出来れば「リカバーリング」の回復でリカバリーが効きやすいのが救いか。 以上のように、スキル構成をしっかり組み立てれば、時にアタッカー、時にサポーターと局面によって様々な役割を持たせる事が出来る非常に器用なユニット。 このゲームであればシグルド、ディアドラとも支援が組めるため、もし迎えいれることが出来れば彼らとも仲よくしよう。 「私は王家の簒奪を謀った反逆者シグルドを殺した」とか相変わらず空気読まないこと言ってるけど。 2020年10月に追加された武器錬成により、『ファラフレイム』の効果がターン開始時、自身を中心とした縦3列と横3列の敵の攻撃、魔防が-5になり、さらに特殊錬成によって戦闘中に敵が受けている弱化の合計値を自身に加算するようになった。 これは息子であるサイアスの特殊錬成の『軍神の書』も同じ効果なので、さすがファラ直系の血といったところか。 しかし縦3列というのは......原作でのバーハラの悲劇でのシグルド軍を思い出す範囲である。 余談 シギュンが姿を消した時アルヴィスは7歳であり、その一年以内にディアドラが生まれているだろうから年齢差は7~8歳になる。第一部のディアドラは推定17か18歳なので初登場時のアルヴィスは24歳前後になる。 実はディアドラとの子供を儲ける前に、側近のアイーダとの間にもサイアスという子供が生まれており、トラキア776に登場している。 超有能な上、ファラの血を濃く受け継いでいるため、存命なら彼がファラフレイムを受け継ぐ事になる。 だが、親子関係は皆無であり認知されてない模様で、帝国軍ながら部下の1人として働いていた息子の未来は如何に……。 この親子関係もドラマを感じさせる。 サイアスの年齢は27歳をイメージしているとの事なので一部の時は約10歳。つまりアルヴィスが15歳前後の時の子供という事になる。 血は争えないというべきか、あまりある人間性の塊である彼の新たな一面に開いた口がしまらなかったファンもいるのではなかろうか。 もっとも、憎んでいた父親と同じことをやらかしていたことで、それまで彼に同情的だったファンが一斉に掌を返したとか ラスボスのユリウスさえも凌駕しかねない程の強大な戦闘能力を誇る彼ではあるが、これは元々はユリウスではなく彼がラスボスを務める予定だった名残である。 攻略本に記載されたスタッフインタビューによると、シナリオ上の本来のラストバトルはアルヴィス戦だったのだが、 色々あって急遽ユリウスがラスボスに変更になったとの事。 聖戦の系譜でツッコミどころとしてあげられる「ユリアを生存させたこと」についてだが、 これは元々「娘のユリアを人質に取る事でアルヴィスを牽制する」という目的が作中でしっかり語られている。 アニヲタか……よく来たな その勇気はほめてやろう だが、おまえも この項目を追記・修正する運命にある 親子ともども哀れなものよ…… △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 コメントログ 彼はなんだかドラクエ8のマルチェロと似た者同士に感じる -- (名無しさん) 2022-05-29 21 29 41 強い野心、独裁政治、大量虐殺、肉親にも冷淡とFE版ギレンといっていい -- (名無しさん) 2022-06-24 19 03 21 レプトールの3章クリア後の発言からすると、まさか自分にとっての義理の父親にあたるクルト王子暗殺(実行犯はバイロンに罪を擦り付けたランゴバルド)もアルヴィスの計画の一端だったとするなら自分の跡取りを抹消した人間に丸め込まれるヘイムの末裔アズムール国王とは老齢で病に苦しんでいたとはいえ一体… -- (名無しさん) 2022-07-29 13 13 46 10章で「セリスか…よく来たな その勇気はほめてやろう」とセリスと会話するシーン、名前で呼ぶのが不思議だったけどセリスも血の繋がりのない義理の息子(妻の前夫との子供)と考えるとまた違った情感が出てくるシーンだな…。 -- (名無しさん) 2022-07-29 21 28 00 ディアドラのとアレコレは置いといて、シグルド含め盟友として戦ってくれた人達を最悪の形で謀殺して、手に入れた権勢は世界を壊す為に使われる。有能なゴミカスという評価が相応しい。 -- (名無しさん) 2022-07-31 08 15 05 ランゴバルドやレプトールが万一シグルド撃破してしまった場合は今度はトラキア辺りに「味方につくならグランベルの資源なり土地なり取引材料を用意しよう(意訳)」とそそのかして、ランゴバルドやレプトールと共倒れさせる計画でも練っていたのかねぇ? -- (名無しさん) 2022-08-03 22 11 18 こいつの主張の「私は聖戦士ファラと、聖騎士マイラの末裔としてこの世界を変える」という野心というか目的は皮肉かどうかは知らないが同じロプトの血流れているとはいえ元を辿ればそのマイラの末裔だったというセリス(バルド直系、ヘイム傍系)が成し遂げるというか、新たに作り直すことになるとは -- (名無しさん) 2022-08-20 23 08 36 異母兄弟が山ほどいるので、確率的に低いとはいえそのあたりからなんかの間違いで聖痕が出る可能性があるのだよなあ -- (名無しさん) 2022-09-15 09 38 44 ゲーム始まっていた時点でほぼ詰んでいた(いくら足掻いても滅びの末路しか残されてなかった)シグルドとは対象的に、秀頼みたいに従兄弟に当たる秀次切腹の遠因になったように産まれてきたのがある意味では不幸だったのかもしれないねえ -- (名無しさん) 2022-11-18 13 23 41 この世界の歴史書では永遠にボロクソ書かれるんだろうな。「実は暗黒教団の幹部で人のよさそうな前半生は全部演技。後半生の世界を滅茶苦茶にしたのが本性」「人を殺したり苦しめたりするのが何より好きな人非人」みたいな感じでどんどん尾鰭背鰭が付いてって。自業自得だし自分がシグルドに押し付けようとしたことそのまんまだけど。 -- (名無しさん) 2023-02-21 13 54 51 出自のために覇道を歩まざるを得なくなり、なまじそれが可能な力を持って生まれてしまった人。それはそれとして私人としてアレな部分も多いので是非地獄に堕ちてもらいたい -- (名無しさん) 2023-03-31 01 42 29 ガーネフに唆されたハーディンと同じく、流石にマンフロイより悪いとは思えない。もっともそのマンフロイもガーネフと違って時代の被害者としての側面があるから一概に責めづらいが… -- (名無しさん) 2023-08-08 01 20 13 漫画だと父親と同じ過ちは犯さないと言いながらも結局は父親以上に愛そうとしていた女の心を傷つけた挙句に物扱いしてしまった皮肉。血は争えんということか・・・。 -- (名無しさん) 2023-09-03 00 44 18 報告にあった荒らしコメントを削除しました。 -- (名無しさん) 2023-12-30 20 00 23 ↑4 ED後にセリス(とヴェルトマー当主になるであろうアゼルの子)がどういう形で収めたのかは少し気にはなる。民間の評価とは別にごく一部の貴族の間だけで共有される真実が、的な形になるんだろうか。 -- (名無しさん) 2023-12-30 20 32 45 普通にやりすぎ 同情できない 殺されて当然って感じのキャラ -- (名無しさん) 2024-01-04 06 18 50 結局どうあがいても無駄ってのを体現したキャラでしょ。まあ全部引いてる血のせいなんだが -- (名無しさん) 2024-03-08 15 03 32 グランベル王家の生き残りであるディアドラの夫になる事でスムーズに簒奪に成功した訳だが、アルヴィスの当初の計画にはディアドラの存在は無かった筈。本来の計画ではどうやってグランベル王国を支配するつもりだったんだろうな -- (名無しさん) 2024-04-14 11 47 38 ↑親世代終盤で王がほとんどアルヴィスに任せてたから、その内全権譲ってもらうつもりだったんじゃない? -- (名無しさん) 2024-04-14 12 25 19 ↑近衛騎士団長ってだけでグランベルの支配者と認められるかは少し怪しいと思う。近衛騎士達は良いとしても宮廷貴族が素直にアルヴィスの言う事を聞くのか。グランベル王家の分家筋(ターラ公爵とか)の新王擁立に動かないとも限らない。アズムール王はヘイムの血筋が絶えるのを恐れていたから自分の子孫ではないにしてもヘイムの血筋が残るならまあ、と公爵の王位継承を認めた可能性がある。そうなった場合アルヴィスにとっては面倒な事になるがそれを阻止する方策は果たしてあったのか -- (名無しさん) 2024-04-15 23 29 42 聖戦関連の項目のコメントログ見てるとなんか色々な気持ちが沸き起こってくるよね -- (名無しさん) 2024-05-09 16 48 05 …バーハラの愚行は、ディアドラがシグルドの嫁である事を知った上での事だとしたら、どうしようもないゲス野朗だな。全くもって同情などで出来ん。もっと惨たらしくくたばってほしかったぜ -- (名無しさん) 2024-05-15 05 33 21 ただ、死ねって言っても作中最強なので簡単に死んでくれるような相手ではないんだよなぁ。ロプトウスとティルフィングが苦手なだけで。 -- (名無しさん) 2024-05-19 22 25 13 ↑14 それを防いで「差別をなくすという理想のために歩んだ者」「その過程で数多の人々と自分自身を苦しめた者」と正負両方の面を残してくのが、人の悲しみを知ったセリスの役目なんだろうな。 -- (名無しさん) 2024-06-03 01 44 05 24時間以内に反対意見がなければコメントフォームに警告文を追加します。 -- (名無しさん) 2024-06-07 08 07 12 ↑一応、なんて書く予定なの? -- (名無しさん) 2024-06-07 11 33 26 ↑「キャラクターや作品に対しての誹謗中傷等を~」 -- (名無しさん) 2024-06-07 12 10 37 個人的な見解ですが、アルヴィスというキャラクターそのものがプレイヤーのヘイトを集める事を想定して作られた上の性質である為、ヘイトスピーチが増えやすいというのはごく自然なものである事と、コメント欄自体が言葉尻こそ過激ではあっても談笑の域は脱してるとは言えないので、そこまで警告をする段階には行ってないように思います。 -- (名無しさん) 2024-06-07 13 13 41 ↑それだとコメント欄撤去のほうが良いのでは…あまりにも感情的で過激なコメントが目立つので -- (名無しさん) 2024-06-07 13 27 46 ↑それでもいいんじゃないか。本当かは怪しいけど、聖戦リメイクのリークあるし。今でダメなら本当にリメイクされたら主人公の仇なんだからこのレベルでは済まないだろう -- (名無しさん) 2024-06-07 13 41 25 名前 コメント すべてのコメントを見る
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交わした約束と残した思いと目覚めた心(前編)◆z9JH9su20Q ――――交わした約束、忘れないよ 「だぁあああああああああああああああああっ!!」 雄叫びと共に。美樹さやか――新生した仮面ライダーエターナルは、込み上げる衝動のままに目の前の道を直走る。 右手に握るのは受け継いだ専用武器、エターナルエッジ。短く優美ながらも、力強く勇ましい刃に月光を照り返らせ、その刀身を眼前の悪へと抉るようにして繰り出す。 「――だから甘いと言っておるのだ、ド素人の小娘がっ!」 しかしその突きは、ハイパーアポロガイストの翻した太陽を模した楯によって軽々と払い除けられた。 仮面ライダーに変身したことで更に強化された脚力による、最速の刺突。必殺を期した一撃をあっさりと弾かれたエターナル=さやかは、思わぬ結果に瞠目する。 そして理由を悟った時には、アポロガイストの炎を纏った翼に打ち据えられて、思わず後退させられていた。 必中を狙った最速の一撃はしかし、正直に過ぎた。しかも得物が変わった最初の一撃では、ガイアメモリによる補正を加味しても、僅かながらとは言え誤差も存在する。 エターナルの再誕に動揺している最中だったとはいえ、真正面から飛び込んだのでは、アポロガイストに立て直す時間を与えるのに充分過ぎたのだ。 いくら彼の力を受け継いだとはいえ、だからこそ高揚のままにではなく、冷静に立ち回らなければならなかったというのに――漲る力と意志を御しきれず、さやかは思わぬ隙を作ってしまっていた。 そんなエターナルを押し退けた翼を、アポロガイストはそのまま高々と掲げ、その羽の先に無数の火球を灯し出す。 「喰らうが良い!」 「く……っ!」 同じくエターナルへの変身を果たしたとはいえ。連続で放たれる火球の全てを回避できるほどの判断力は、大道克己ならともかく、美樹さやかには未だ備わっていない。 故にエターナルローブを翳して猛攻を凌ぐという選択肢を余儀なくされるが、被弾を許すたびに残り僅かなメダルが消費されて行くのを感じ、さやかはエターナルの仮面の奥で臍を噛む。 「――ぐぉっ!?」 しかし次の瞬間、アポロガイストのくぐもった声と共に、火炎による制圧射撃の矛先が逸れ――その隙に気づいたエターナルは再び、膝を弛めて大地を蹴る。 「やぁあああああああっ!」 文字通り超人の跳躍力で、一息足らずに距離を詰める。 間合いの足りなくなった刃物では、遠距離からの奇襲に用いるには迎撃を振りきれない。 だから、その防御ごと打ち飛ばす――! 「――っぅあぁああっ!!」 気合の叫びと共に引き出した、エターナルメモリの余剰エネルギー。ガイアメモリの王者の力が転じた蒼炎を纏った蹴りは、アポロガイストの掲げた楯を跳ね上げるのに充分な威力を有していた。 がら空きとなったアポロガイストの胴体目掛け、エターナルは更に距離を詰める。 払い除けようとするようなアポロフルーレの一閃は、取り回しに優れるエターナルエッジの刀身で走らせて、受け流し――全力で、身体をぶつける! 「ぬぅおぁああああああっ!?」 エターナルの痛烈な体当たりを受けて、アポロガイストは膝裏に突き立てられていた金の杭を支点にひっくり返る。エターナル自身が転びかねない勢いがそれで終わることはなく、アポロガイストの身体は更に後方へと投げ出されて行く。 「――立てる!?」 その隙にエターナルは、先程の窮地を救ってくれた仲間に呼びかけていた。 「あ……、ああ」 金色の装甲を纏った漆黒の仮面ライダー――ライジングアルティメットクウガに。 敵手の放つ焔の弾幕にエターナルが釘付けにされていた時、アポロガイストに踏みつけられていた彼が咄嗟に肘を敵の膝裏に叩き込むことで体勢を狂わせ、逆転のチャンスをくれたのだ。 「……すまない、さやかちゃん。俺は……」 しかし、俯くクウガから聞こえる小野寺ユウスケの声は、どこかか細かった。 アポロガイストからあれほど手酷い暴行を受けながら、今立ち上がったその絢爛な威容は少しも貶められていない。ネウロや克己でさえ苦戦した頑健な装甲と、さやか以上の驚異的な治癒力の為せる業だろう。 だから彼の声を翳らせている痛みの正体は、身体に受けた傷以外にあることがさやかにも理解できた。 「……良いよ、そのことは。あいつは――克己はあんたに、自分を責めて欲しいなんて思ってないよ」 きっと、そうだ。 操られ、利用されていただけの彼は悪くない。 だから克己も、彼に後を任せたはずなのだ。 「それより今は、あんたの力を貸して――仮面ライダークウガ」 故にさやかは、ユウスケに助力を乞うた。 「悔しいけど、あたしだけじゃまだアポロガイストには敵わない」 立ち上がり、再び武器を構えた赤い怪人と向き合いながら、エターナルは微かに声を震わせる。 先程の短い攻防で痛感した。いくら同じ祈りを理由に彼の力を継いだからって、自分はまだまだ亡き師匠に追いつけていない。 しかし絶望する気も、意地を張る気もさやかにはない。そんな必要はないのだと、克己と過ごした時間の中で学んでいたから。 「克己との約束を果たすには……あんたの力が必要なんだ」 あの悪を、克己の仇を一人で倒せる力が――ないわけではないのに、使い熟せない自分のことは確かに悔しい。 それでも祈りを忘れることなく。さやかは素直に、出会ったばかりの同志に共闘を申し込めた。 「……わかった。大道さんには悪いけど、俺も今は一人じゃあいつを倒せそうない……」 そんな新たなエターナルの言葉を受けて、クウガも落としていた視線を眼前の敵手に向け、少女の隣に並び立つ。 「だから、君の力を貸してくれ……仮面ライダーエターナル」 「オーケー、望むところっ!」 弾むような声で頷き、エターナルはクウガに背中を預けて得物を構える。 「……ちぃ、小癪な仮面ライダーどもめ」 その様を見て、忌々しそうにアポロガイストは舌打ちした。 「二人がかりとはいえ、弱体化したクウガに中身が小娘となったエターナル……貴様ら程度、このハイパーアポロガイストの敵ではないのだ!」 「……やっぱりやってみせなきゃわかんないみたいだね、あんたみたいなバカには」 構えを解かぬまま、エターナルは最早怒りですら無い闘志を胸に、アポロガイストの言葉を否定する。 「それにあんたの敵は、二人だけじゃない――!」 「ふん……今更アンク達が、何の力になると言うつもりだ!?」 少女の啖呵をアポロガイストが嘲笑い、それにさやかは笑い返す。 「だからわかってないって言ってんのよ、あんたには!」 今――ここにさやかを立たせているのは、さやか一人の力ではない。 さやかに勇気をくれるのは、ユウスケやアンク、ネウロ達だけではない。 こんな自分を認めてくれた、忘れ得ぬ仲間達が今も、この胸にいるのだから。 「何をわけのわからぬことを……まぁ良い。せいぜい現実を知って絶望するまで、滑稽な夢でも見ているのだな!」 さやかの言葉の意味は、悪の大幹部に届くことなく。しかし届かせる必要もなく。ただ今は、この力でわからせてやれば良いと彼の形見(エターナルエッジ)を強くその手に握り込む。 次の瞬間。赤い翼を広げ、迎え撃つ悪の大幹部と――地を蹴った二人の仮面ライダーの間の距離が消失し、雌雄を決するべき最後の戦いの火蓋が、ここに切って落とされた。 ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ 「……ふむ。まずいな」 そうして始まった激突を目にして呟いたのは、傷ついた身体を引き摺って戦場に向かおうとしていた魔人、脳噛ネウロだった。 「笑えるほど遅いとは思っていたが、本当にここまで遅いとはな……」 魔人の手の中には、残された魔力の全てを費やし召喚(ローディング)を始めた絶対無敵の切札が、その片鱗を顕現させようとしていた。 魔帝7ツ兵器(どうぐ)が一、“二次元の刃(イビルメタル)”。ネウロの手持ちの武器の中でも最強であると同時、グリードと化し、通常の手段では息の根を止めることのできないアポロガイストを唯一倒し得るジョーカー。 その強大過ぎる力故に、召喚には莫大な魔力と多くの時を必要とする。そもそも瀕死に近い今のネウロが使用できるかも怪しい代物ではあったが……意外にも、発動自体に課されたコストは低かった。 攻撃できる範囲と捕捉数が劣るためなのか、他の魔帝7ツ道具と比べれば、Xとの戦いで使用したそれらの半分程度のメダル消費しかなかったのだ。 しかし……それはただ、発動するだけのコストの話。 いざ攻撃に転用できる状態――即ち召喚の完了まで、体感に基づき推測すれば、千秒近い時間を要求されていたのだ。 仮面ライダー達は二人がかりで戦線を支えているが、方や未熟、方や疲労困憊となれば、今のアポロガイストを相手に戦力が足りているとは言い難い。 数の差で粘れば勝ちの目もあるかもしれない。しかしこのままでは奴を倒しきる前に、エターナルとクウガのメダルは底を突くだろう。遠からず、少なくとも十五分は保たずに。 そうなればアポロガイストに抗し得る戦力など残されておらず、“二次元の刃”による攻撃が可能となる前にネウロ自身も殺害されて終わってしまう。 「……手が足りん」 精彩を欠いて、あるいは未熟ゆえに攻撃を捌かれ、焔に押されて後退する二人の姿を目にしたネウロは、苦々しくそう吐き出した。 勝ち筋は見えている。だがそこに到るまでの道を崩され、間に合わない。今のままでは勝機はない。 何か、もう一手。その欠損を埋めるだけの何かを見出さなければ…… 「おい」 そんな思考を遮る声が届くまで、ネウロは彼の接近に気づくことができなかった。 魔力の枯渇と身体的ダメージによる精神消耗と、”二次元の刃”の召喚に意識を割いていた間に――身を隠していたはずのアンクが再び、その姿を現していた。 アンクはその険しい視線をネウロの右手に向けたまま、口を開く。 「今呼び出してるそいつが、コアを砕ける能力か」 「……気づいていたのか」 微かな驚嘆を胸に覚えながら、ネウロは婉曲な肯定を返した。 そしてそれ以上の――喜悦にもよく似た、ある意味先程さやかに感じた物にも近しい感情に満たされていくのを自覚しながら、アンクの姿を睨めつける。 「それは単にコアを砕くだけじゃなく……奴を倒すのに使えるのか?」 「ああ。完成すれば魔界王にも防げない……あのアホ一匹に使うには豪勢に過ぎるが、確実に無力化できるだろうな」 「……なら、何でさっさと叩き込まねえ。何が足りないんだ」 「間合いもそうだが……これは呼び出すのに時間が掛かる兵器なのだ。完了までまだ500秒近くは必要だろう」 ネウロの返答に、仮面ライダーの健闘も限界が近いことを見取っていたアンクは、苛立ちを隠そうともせず舌打ちした。 「使えねぇじゃねぇか」 「我が輩もここまでとは思っていなかったぞ。時間を短縮できるにしても、余力が残らんのでは時間稼ぎもできん」 「……何?」 ――喰いついた、とネウロは微かに頬を緩めた。 「どうやらこの刃、召喚を始めるコスト自体は15枚で済むらしいのだが……追加で我が輩の持つメダルを強制的に吸い上げて、その分召喚に要する時間を圧縮できるらしい。おかげで召喚しながら奴を抑える目論見が崩れた」 制限がもう少し緩ければ、この体調(コンディション)でも召喚に要する時間はもう少し短かったかもしれない。 あるいは発動まで魔力(メダル)をプールしておけるのなら、まだ多少は動けるネウロもさやか達に加勢することで単純に的を増やし、戦線を維持できる時間を引き伸ばす手筈だった。 そしてそもそも発動ができないなら、手元に残った魔力で別の手段を模索するのみ。 そんな考えだったが、しかし実際には、どれも叶わなかった。召喚に要する時間は予想以上で、発動を終えてではなく先にコストを要求された。それもどんな悪徳か、ネウロに有無を言わさず根刮ぎメダルを持って行かれたのだ。 切札中の切札であるからと、ここまで試し打ちもせず、制限を確認していなかったことが土壇場で響いてしまった。 だが……それを補う手段があることを、ネウロは知っている。 「それで? 貴様もまさか、ただ世間話に来たわけではあるまい」 そう――非常食とも見込んでいた、アンクという存在を。 今、彼を殺してメダルを奪う余力すらネウロには残っていない。しかしアポロガイストを撃退しなければ先がないのは、おそらくは他の誰よりアンク自身だ。 この危機的状況において協力を拒まれることはないと、ネウロは踏んでいたのだ。 但し。 「……何枚だ」 「さあ。先程は十枚ほどの追加で一割は短縮できたが、この先も同じ比率とは限らん。そもそもが我が輩が干からびるほど燃費の悪い兵器であることを考えれば妥当なところなのだろうが……さてアンクよ、今は何枚余裕がある?」 そう――そもそもアンクが提供できる限界値に達していれば、話は変わって来てしまう。 未だに体を維持できているのなら、枯渇しているということはないはずだ。 だがそこに余裕が無いのであれば。アンクに延命のために血肉を削る覚悟はあれど、それで死んでしまうような愚は犯すまい。 「……貴様のコア、アポロガイストに奪われているのだろう? あの虫頭ではない貴様は、どこまで保つ?」 「……さあなァ。少なくとも、今すぐ撃てるほど貸してやれそうにはない」 案の定のアンクの返答に、しかしネウロも引くことはできない。 限界があるなら、限界まで絞り取る――それがネウロの考え方であり、やり方であり、そしてこの場における唯一の活路である以上、譲歩することなどあり得ない。 そんな風にネウロの意志が固まる横で、再びアンクが口を開いた。 「……だが、そいつを完成させるまで、おまえは使い物にならないんだったな?」 溜息と共に漏れた言葉には、諦念――というよりはそれを装った何か別の感情が潜んでいる気もしたが、あいにくネウロはその手の機微には疎かった。 「あいつらだけじゃ手が足りないんなら、出し惜しみしたって俺まで死ぬだけだ」 もう少し難儀するかと思ったが、意外にもあっさりと、アンクも覚悟を決めたようだ。 いや、そもそもネウロに声をかけてきた時点で、アンクとてこの展開は予想していたのだろう。ならば覚悟など、とっくの昔に決まっていたに違いない。 奥の手を見透かされていたことといい、ネウロはこの人外への評価を改める必要があると認識した。 微かに愉悦の滲んだ笑みを漏らしていることを自覚しながら、ネウロはアンクに告げた。 「どの程度短縮できるのかはわからんが、使い物にならない者を徒に増やしても仕方あるまい。献上は意識の消える寸前で止めても許してやろう」 「てめぇ、状況が状況だからってなァ……後で覚えてろ」 ネウロの物言いに顔を顰めながらも、怪人が魔人へとその異形の腕を差し出した、次の瞬間のことだった。 「――っ、さやかァッ!」 アンクの切迫した叫びに振り返ったネウロが――アポロガイストの前で生身を晒すさやかの姿を、その目に収めたのは。 ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ 拳の打ち込みを潜り抜けられ、逆袈裟の反撃に姿勢を崩す。 横合いから突撃していたエターナルをついでに牽制する翼の一振りで、重心の安定を欠いていたクウガはその身を宙に舞わせていた。 「……クソッ!」 ダメージは軽い。それによるメダルの放出すらない程度でしかない。 なのにこうも踏み止まれない身体の鈍さに、クウガに変身したままユウスケは臍を噛んだ。 奴に操られていた間は、経験したことのないほどの力が身体に満ちていたというのに――今はそれを引き出すことができない。 この身に植え付けられた力――笑顔を奪ってしまったそれを、笑顔を守るためには揮えない。 苦い思いを噛み潰しながら、ユウスケはその足で走り出す。ナイフによる一撃をまたも楯に阻まれ、その隙に連撃を受けて防戦一方となったエターナルの元に駆けつけると、体当たりでアポロガイストを引き剥がそうとする。 ……だが、ここに至っても、まるで神経や筋組織に異物が潜り込んでいるかのように、思うような力が出せない。 「ぬるいわ!」 そうして手間取っている間に、アポロガイストの振り下ろした剣の柄で強かに背中を打たれ、更に崩れた先を膝で迎え撃たれる。 「ユウスケっ!」 蹴り上げられたまま転がっているところを、守るべき少女の変身したエターナルに受け止められる不甲斐なさに、クウガは再び拳を握り締める。 「言っただろう。地の石に抗った反動と、矛盾した命令でアマダムの混乱した今の貴様では、私に勝つことなど不可能! 大人しく死を受け入れるのだ!」 「――っ、誰が!」 反発して立ち上がるが、鈍った反動ではアポロガイストが構えた銃口から逃れきれず、放たれた炎弾に呑まれて再び後方へと身を運ばれる。 地に叩きつけられるまで追撃がなかったのは、その間にエターナルがアポロガイストに突貫し、クウガの隙を庇ったからだ。 だが、またしてもコンバットナイフによる攻撃は日輪の楯に食い止められ、その影から突き出された刃が肩口を掠める勢いのままにエターナルは後退する。 後は繰り返しのように、広がった翼がエターナルを打ち据えるだけ――かと思われたが、アポロガイストは舌打ちを残し、その翼を停滞させた。 ――同じ攻防の繰り返しの中で、しかしさやかは消耗より早く学習していたのだ。 クウガが不調である分まで補おうとする気持ちと、残されたメダル量への焦燥が、彼女の攻め気を高め過ぎていることは、ユウスケにも見て取れていた。 しかし初めての変身、慣れない武器で防御より攻撃を優先して勝てるほど、アポロガイストは甘くない。 だから、彼女はかつて我武者羅なだけの攻めを諌められたことを思い出し――敢えて踏み込みを浅くして、反撃に備えたのだ。 ここまでのパターン通りに、その追撃として翼が振り抜かれれば、更なる反撃としてそれを切って捨てられるように。 しかし相手もさるもので、アポロガイストは寸前にそれに気づき、逆に距離を取られてしまった。 再び火炎の嵐に見舞われるエターナルの元に駆け出そうとして、しかしクウガは一度冷静に立ち返る。 居ても立ってもいられないのはさやかも同じだ。ユウスケよりも、目の前で大道克己を喪った彼女の方が、心に受けた傷も大きいはずだ。 なのに、自分が耐えられないからと、我武者羅に飛び込むばかりで一体どうする。 本当にそれしか手段がないなら仕方ない。だが、ひたすらに突撃を繰り返すしか本当に打てる手段はないのか、もう一度よく考えろ。 克己の繋いだ希望を――さやかの奮戦を、無駄にするな。 「――――!」 そうして突破口を見つけるべく、思考を巡らせたユウスケの脳裏に一つの賭けが閃いたのは……アポロガイストの強烈な一撃によってエターナルのメダルが枯渇し、美樹さやかがその生身を晒す寸前のことであった。 ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ 薙いで、打って、撃つ。 爆炎を孕んだ剣閃を繰り出して、アポロガイストはエターナルを間合いの外に弾き出す。 「ぐぅ……っ!?」 「甘いと言ったはずだ小娘。貴様が仮面ライダーの力を得たところで、中身が貴様のような未熟者では意味など無いのだ!」 確かにエターナルエッジによる攻撃は速さと回転数に加え、ハイパー化したアポロガイストの躯さえ貫くに充分な威力を兼ねた脅威そのものだ。 だが間合いは短い。距離を詰めさせなければどうということはなく、左右の翼にアポロフルーレ、ガイストカッターと近中距離を制圧する攻撃手段を豊富に揃えた今のアポロガイストからすれば、それは実に容易いことなのだ。 距離を詰めなければ何もできないのは、空いた手足の三本も同じこと。先程は防御ごと跳ね上げられたが、エターナルの打撃と言えど来るのがわかっていれば充分持ち堪えられる。 そしてマントの防御だけに頼って距離を詰めようというのなら、攻撃しても無駄なのがわかっているのだから付き合うことなどせず、牽制でメダルを削りながら距離を取れば良い。 文字通り足元を掬いに来ていたクウガも今は密着しておらず、視界の隅で常に動きを把握できている。 邪魔が入ることもなくなった以上、アポロガイストにエターナルが攻撃を届かせることは叶わず、一方的に攻撃を受けるだけとなるのも当然の帰結だった。 しかし、アポロガイストの繰り出す怒涛の攻めは、なおもエターナルを仕留めるには及んでいなかった。 変身者である美樹さやかの、ゾンビ故の再生力は疾うに把握している。何度攻撃を浴びせたところでその動きに陰りは見られず、その持久力は間違いなく厄介であるとアポロガイストも認めていた。 ――だが、それだけではないのだ。要因は。 アポロガイストの一撃を、エターナルはローブで捌く。 そう、捌く。 正面から万全の防御として受け止めるのではなく、最低限の接触でメダル消費を抑えながら、攻防の転換のラグを最低限に抑えることができるように。 それでも彼女の刃は未だアポロガイストに届くことはないが、徐々に、しかし着実に、その喉笛までの距離を縮めつつあった。 ――最早美樹さやかのそれは、殺し合いが始まった直後の交戦時のように、自らの弱点を晒すような素人丸出しの戦い方とは違う。 挙動に緩急をつけ、時には反撃のための誘いの隙を見せるなど……ほんの数分前と比べてみても、格段に戦士として成長しているのだ。 変身直後の、感情に振り回された初撃はともかく。既に彼女を本気でド素人と罵ることはできまいと、アポロガイストも内心では認めていた。 素人ではなくとも、未だ歴戦の精鋭とはとても言えないだろう。だがこの短時間で成長していく彼女のセンスを軽視することは決してできない。 こちらがこれだけの好条件を揃えていても、変身者があの大道克己のままならば、おそらくエターナルはアポロガイストの呼吸を読んで喉笛を狙うこともできていただろう。 もちろん経験の不足している今の美樹さやかに、繊細な洞察力があってこその大胆さを要求される技術を発揮することはできないが――この少女は、その大道克己の指南を受けた後継者なのだ。 持久戦に持ち込めば、不死身のゾンビだろうと先にメダルが尽きるのは仮面ライダー達の方だ。 だが逆を言えば、持久戦ではメダルが切れるまでこちらも彼らを仕留めることはできない……その短いはずの猶予で、エターナルが真の意味で復活することをアポロガイストは恐れていた。 「気味の悪いゾンビぶりだが、いつまで続くか見ものなのだ!」 だからこそ。そんな焦りはおくびにも出さないまま、敢えて舌先に載せる言葉は実際の認識とは真逆のものを選んでいた。 全てはさやかの油断を招き、焦燥を煽り、感情に惑わされた末に生まれる、勝負を決める隙を作らせるために。 今この瞬間は安全であっても、成長の余地を与え窮鼠が猫を噛みかねない長期戦に持ち込むのではなく、急所の宝石を早々と打ち砕いてその芽を詰むために。 「……だったら!」 そんな狙いを秘めながらも、表面的に続けるのは延々と距離を保つような消耗戦。それにエターナルも痺れを切らしたのか、ローブを前面に展開して再びの突貫を開始する。 当然、それまでの繰り返しのように距離を稼ぎながらアポロガイストは飛び道具による牽制を重ねる。しかしエターナルはメダルの消費を惜しまず、更なる勢いで突っ込んで来る。 追い詰められた彼女が勝負に出たのだと気づいたアポロガイストはそこで迎撃をやめ、更に距離を稼ぐことに専念する――のではなく、敢えて狙いに乗ることにした。 エターナル=さやかにとってのみならず。これこそがアポロガイストの待ち望んだ、千載一遇のチャンスと見なして。 「喰らうが良いのだ!」 数瞬の溜めの後、繰り出したのは特大の火炎弾。 爆炎による破壊そのものは掲げられたローブに阻まれるも狙い通り、それ自体が死角となってエターナルの視野を塞ぐ――アポロガイストの姿を隠すのに、充分なほどに。 「――終わりだっ!」 口端を歪めながら、アポロガイストは即座に身を運ぶ。こちらの攻撃を尽く無為化する絶対防御の暗幕、その背面へと。 これまでの動き通り、距離を取られるものと予想しただろうエターナルの意表を突き、明確な隙となった瞬間を狙うためにローブの裏側に回り込んだアポロガイストは愛刀を構え――そして瞠目した。 「いないっ!?」 《――UNICORN!!――》 明かさた暗幕の裏の空白に驚愕の声を漏らしたのと、上空からその電子音が降りて来たのは全くの同時。 辛うじて視線だけを間に合わせれば、そこにはローブを脱ぎ捨てたエターナルが、拳を番え降って来ていた。 アポロガイストにもどうしようもない、絶対防御のローブこそエターナルの切札――その認識を逆手に取られた。 悪の大幹部との読み合いを制し、手玉に取ることができるほど彼女は既に成長していたのだと悟った時には、既に遅かった。 勝負を終わらせるつもりで構えていたアポロガイストの隙を突き、最早防御の間に合わないところにまで翠の閃光と化した拳が肉薄していたのだから。 「やぁあああああああああああっ!!」 《――MAXIMUM DRIVE!!――》 「おぐぅっ!?」 エターナルの繰り出した一撃は、咄嗟に身を捻るぐらいしかできなかったアポロガイストの横面を思い切り捉えた。 首が取れるかと錯覚する一撃。兜が拉げ、左側の飾りが折れ、そして身体が宙を舞うで、しかしアポロガイストもただでは転ばない。 「舐めるなっ!」 防御が間に合わないと悟った時点で、アポロガイストは既に反撃に意識を割いていた。結果として照準できたマグナムショットは、ローブを手放し、攻撃後の微かな隙を突いてエターナルを確かに捉えた。 起死回生の博打に精魂を一度絞り尽くしていたエターナルは、焔を纏った着弾にもんどりを打って倒れ、そしてその白い装甲を消失させた。 「……小娘なりによく頑張ったと褒めてやりたいところだが、これで終わりなのだ!」 今の攻防で、遂にメダルが枯渇したのだろう。あるいはそれ故の捨身だったのか。 駆け引きに敗北しようとも、どんな形であれ生き残った者こそが勝利者――ベルトに触れることなく生身を晒した美樹さやかを目にした己にそう言い聞かせながら、アポロガイストは再びマグナムショットの銃口を向ける。 「――さやかァッ!」 銃爪を引く一瞬前、アンクの絶叫が耳に入り、アポロガイストは微かに視線だけをそちらに向ける。 見ればアンクが、またガイアメモリらしき長方形の物体と――気配でわかる、奴に残されていた最後のコアメダルを、さやか目掛けて投擲したのが確認できた。 (哀れな奴なのだ) いや、それとも幸運なのだろうか。 コアの放出によって瞬く間に失われていくアンクの気配、結果として崩れて行く躯の様子を目にしながら――そこまでして救おうとした相手が吹き飛ぶのは、最早避けようがないことなのだと、アポロガイストは嘲笑とともに銃爪を引ききった。 勝負は決まった。コアメダルの到達より、ハイパーマグナムショットの弾丸がさやかを砕く方が早い。それを見届けることすらできず、自らの感情を宿したコアメダルを間抜けにも死体の前に転がし、そのままアポロガイストの糧となる愚か者の無念を想像するのに浸ろうとして―― 突然、目の前が金色の闇で染まった。 「――っ!?」 「おぉりゃあっ!」 忽然と現れたそいつは、凶弾と少女の間に割り込ませた己の肉体を楯として――しかし被弾した事実がなかったかのように。停滞することなく思い切り、アポロガイストの横っ面を殴りつけに来た。 ガイストカッターの移動が間に合わなかったアポロガイストは、咄嗟に左の翼を即席の楯として構えた。勢いを削いでくれることを期待したそれはしかし、薄紙のように破られてアポロガイストの側頭部に拳の着弾を許す。 残されていた兜飾りの片割れが砕け散るのを、音より早く伝わった衝撃で理解しながら。吹き飛んだアポロガイストは、穴の空いた翼の弾みを利用して何とか、それ以上の無様を晒さずに起き上がった。 「ば、馬鹿な……」 未だ震れる頭を起こして、アポロガイストは視界に収まった敵手の姿に――先程の一撃で伝えられた力の程への驚愕を、辿々しくも口から漏らす。 「何故、貴様が既に回復を……!?」 「……おまえが教えてくれたおかげだ、アポロガイスト」 早過ぎる、と毒突くアポロガイストに対峙して、それは――突如として本来の力を取り戻したライジングアルティメットクウガは、静かに滾る調子でそう答えた。 「俺の身体は石に逆らって消耗して、アマダムも二つの指令に混乱して……そこから元に戻るまで満足に戦えない。 だから思ったんだ。だったら、俺が地の石を使えば良いってな――!」 構える凄まじき超戦士から伝わる圧力に、アポロガイストは思わず身動ぎする。 この迫力、そして先程の一撃、奴の言葉はハッタリではない――! 成程、地の石からの指令と小野寺ユウスケの意志の乖離がアマダムの混乱の元ならば、それを統一すれば解消されるというのは道理だ。 だが、しかし――使えば良いと言った割には、どこにも地の石を身につけている様子はない。そもそもあれは、憎っくきアンクの放った凶弾で破壊され―― そこでアポロガイストの脳裏を、一つの仮説が閃いた。 「貴様――まさか、地の石を取り込んだのかっ!?」 究極の闇から零れ落ちたのゲブロンの破片を取り込んだグロンギや、二つのキングストーンを揃えた創世王のように。 あれらの霊石が持つ、他の霊石と同調する能力を持って――地の石の残骸を、アマダムが取り込んだとすれば。 二つの石が等しく小野寺ユウスケの物となれば、反発していたはずの霊石の力まで合一して取り込むことで、肉体の負担さえも緩和される。 しかし……口は災いの元だったと悔やむとともに、本当にそれだけでライジングアルティメットに大ショッカーが埋め込んでいたセーフティが突破されたのだろうかと、微かな疑問がアポロガイストの脳裏を掠める。 筋は通っている。しかしそれだけで、果たして消耗に回復が追いつくのだろうか。 あるいは他にも、何か。地の石以外にも、彼奴のアマダムに影響を与えた何かがあるのではないかと。 先程までの闇色とは異なり、金色に輝くアマダムの様子に気づいたアポロガイストはそんなことを考えたものの、それ以上悠長に構えては居られなかった。 「行くぞ!」 「く――っ!?」 微かな思考の彷徨から帰還する前に、クウガは肉薄を開始していた。 距離を詰めさせまいとするマグナムショットの一撃。しかしそれが、この凄まじき超戦士に通じないことは先刻証明されている――! 当然のように、灼熱の弾丸を無造作に叩き落としたクウガは足を止めることなく懐に潜り込む。発砲の反動でやや跳ね上がっていた銃身を容易く掴み上げられ、アポロガイストは手首ごと持って行かれるかという悪寒を覚え、しかしすぐにそれを杞憂と悟った。 何故なら代わりに、金属が爆ぜる不快な音が響いていたことに喫驚するハメとなったのだから。 「き、貴様――っ!」 愛銃を奪い取るよりも早く、掴んだ勢いのまま軽々と握り潰された畏怖に声を震わせるアポロガイストは、続く一撃を咄嗟にガイストカッターで受け止め、切れなかった。楯を構えることは間に合っても打撃の威力に押され、そのまま胸と顔面にガイストカッターを減り込ませてしまっていたからだ。 目の奥で散る火花が視界を封じて、一瞬の暗転。後頭部と脚部に感じる鈍い感覚は、それぞれを一度ずつ打っていた証左だろう。 勢いのまま後方に一回転して、偶然にも元通り立ち上がった状態に戻れていたアポロガイストは、痺れが残る左腕を持ち上げるのが間に合わないのを直感的に理解して、空いた右手にアポロフルーレを握り込んだ。 ――握り込んだ時には、やはりクウガは眼前に出現していた。 「っ!」 焔を纏わせた刺突は、易々とエルボースパイクに払われる。そのまま流れるような手刀に右手を襲われ、アポロガイストは愛刀を取り零す。 無手になったことを度外視しても、ここまで距離が詰まれば、後は速さと回転数に優れる徒手空拳の独壇場。そしてその土俵において、今のクウガに敵う者など――っ! 咄嗟に後退しようとした足を、上からの激烈な踏みつけで大地に縫い付けられ。逃げ場を失くしたことを悟ったアポロガイストの背を氷塊が滑り落ち、その肩に。 脇に、顎に。 腹に、胸に。 鼻っ面に。 一息吐く間もなく突き刺さる猛烈なラッシュが、一撃ごとにアポロガイストの鎧を凹ませ、亀裂を走らせ、砕け散らせる。 六発目で一度クウガの攻勢が途切れたのは、一つ一つがマキシマムドライブに相当する打撃の威力に踏みつけの拘束が耐え切れず、クウガ自らアポロガイストを追撃の届く距離から打ち出してしまったためだ。 だがそれでは終わらないということを、アポロガイストはよく知っている。 「はぁああああああああ……っ!」 残り僅かだったメダルを、アポロガイストに放出させることで逆に回復したクウガは、その拳に烈火を灯す。 それはアポロガイストが圧倒された近接戦でも持ち堪えていたあの大道克己や、ネウロが召喚した魔界生物すら葬った必殺の一撃。 ライジングアルティメットナックル。 「うおぉりゃぁああああああああああっ!」 爆発的な踏み込みで距離を詰めたクウガの拳の一撃に、何とか迎撃に間に合わせたガイストカッターが、四散する。 ライジングアルティメットナックルを前に、握っていた左腕ごと太陽を模した楯は砕け、散り散りとなって闇に葬られる。爆ぜるように腕の取れた勢いのままアポロガイストは後方に飛ばされていたが、しかしそれは僥倖だった。 「……メダルを切らしおったな、馬鹿めがっ!」 罅割れた仮面の下の表情は、未だ余裕がなく凍結したまま固まっていても。本来ならばこの体そのものを砕かれていた一撃が届く前に、生身を晒してしまった小野寺ユウスケを狙って、アポロガイストは火球を飛ばす。 《――ETERNAL!!――》 しかし逆転のための一撃は、夜闇を切り裂いて現れた、蒼白い光に遮られる。 それを為したのが何者であるかなど、最早考えるまでもない。 アンクから与えられたコアメダルを使って再変身した美樹さやか――仮面ライダーエターナル。 先程己がクウガに救われたように。今度はエターナルが、メダルを得たことでその真価を取り戻したあの絶対防御のマントで以て、グリードの放つ猛火を完全に防ぎきっていた。 「小娘……っ!」 「――これで、終わりだ!」 目前の勝利を阻まれる――その再演を歯噛みするアポロガイストに、今度は仮面ライダーが勝利宣言を叩きつけた。 《――ETERNAL!! MAXIMUM DRIVE!!――》 マキシマムドライブ――名前の通り最大出力に達したガイアメモリのエネルギーが、エターナルの全身へと伝播されて行く。 そしてエターナルが一度に発動できるマキシマムは、一本だけではない。 《――JOKER!! MAXIMUM DRIVE!!――》 アンクが投げ渡していた新たなガイアメモリもまた、エターナルの手でその真の力を起動する。 全身に拡散していたエターナルの蒼白いエネルギーが、ジョーカーの放つ紫電によって導かれ、エターナルの足元へと帯雷して行く。 「だぁああああああああああああああっ!!」 討つべき悪を目指し、吹き荒れる雷嵐を従えて、エターナルが宙に跳ぶ。高々と、力強く。 それはまるで、左翔太郎と大道克己――同じく風都の希望たる仮面ライダーでありながら、在りし日に相容れることは遂になかった二人の力が今ここに合わさったかのような、ツインマキシマムのライダーキック。 悪を駆逐するそれを名付けるならば、そう――死神の鎮魂歌(ジョーカーレクイエム)。 「りゃあああああああああああああああああああっ!!」 黒白の螺旋を描く両足は、アポロガイストが迎撃に放った火球を易々と貫き、二枚を重ね最後の守りとした両翼さえも突き破る! 「ぐぬぁっ!?」 そうして到達した両足は、アポロガイストの胸郭を踏み砕き――そこから膨大な稲妻を体内に流し込んだ。 全身の内で莫大な電圧が荒れ狂い、灼き尽くす。圧倒的な力の炸裂に耐え切れず、アポロガイストは弾かれたように吹き飛ばされた。 「お……おのれエターナルッ!」 立ち上がった瞬間、膝が折れる。致命傷を受け崩れ行く肉体は、限界を迎えたことを告げていた。 だが、そのまま敗北を受け入れることをアポロガイストの矜持は認めなかった。 「……これで勝ったと思うな。私は必ず、宇宙で最も迷惑な存在として蘇ってやる……っ!」 「だったらまた倒してやる。克己の祈りを受け継いだあたしや、あたしの次の他の誰かが、そのたびに!」 崩壊までの、わずかな猶予を振り絞って吐き出されたアポロガイストの捨て台詞を、即座にエターナルは切って捨てた。 「あんたの思い通りになる時なんか、もう二度とやって来ない――永遠に!」 先代となる男を喪った事実を受け止めた上で、それを二度と繰り返させないと、決意を表明したエターナル=さやかは、その左手の親指を下に突き出した。 「だからあんたは、せいぜい……地獄を楽しんできな」 別れの言葉を告げられた次の刹那――ハイパーアポロガイストの肉体は遂に限界を迎え、爆散した。 NEXT 交わした約束と残した思いと目覚めた心(後編)
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メセナ法によるブラジルの多文化奨励 〜民間の積極的参加によって多文化を保護しようとするブラジルの文化政策〜 ●章立て 0 序章 1-1 ブラジルの文化支援優遇政策の歴史 1-2 メセナ法の目的/仕組みの概説とブラジルの多文化主義 2-1 日本の事情 2-2 海外の事情 2-3 比較から見えてくる「ブラジルは文化をどういう目的でどう扱ってきたのか」 3-1 メセナ法の仕組み 3-2 申し込み手順 ペトロブラスに申し込むとして ※実際の審査通過プロジェクトの申し込み書類一式 3-3 マーケティング・クルトゥラル (プロジェクトが如何に文化的に意味があるかという点が競われ、支援されるプロジェクトが決定される) 4-1 メセナ法に基づく支援の実体 4-2 問題点 まとめ ブラジルのメセナ法の独自性 ※インタビュー資料どこかに組み込む ●序章 ブラジルのような国で、文化を仕事にするというのはかなりの挑戦だ。 ある面では、国民とその芸術の多様性と創造性に特徴づけられるように、芸術文化資産の豊かな国であるが、別の面では、根深い社会の不平等を抱え、そのことは、必ずしも文化財へのアクセスが開かれていなく、民主的でないことの、原因となっている。 全ての文化活動は、この不平等をかなり意識して規律づけられなければならず、文化活動を成熟した市民社会を形成するために貢献するようなものに変わらなければならない、ということはあたり前のことである。 そして、文化の普及が、段々と、優遇政策を通じて可視化されてきていることは、言及する価値がある。 ──ヒカルド・ヒヒベルボインRicardo Ribenboim 彫刻家で、Itau文化機構の元最高長官 本論において、便宜的にメセナ法と呼ぶものは、 法律第8.313号(ブラジルでは通称Lei Rouant ルアネー法と呼ばれている)のことである。 ──※法令全文は、"Guia do Incentivo a Cultura"のp257〜p290にある、できれば全文訳したいよね ブラジル連邦共和国の構成単位は、連邦、州、連邦区、市(ムニシピオ)であり、各構成単位は、連邦憲法が他の構成単位に帰属させていないすべての権限を有する原則があり、その限りにおいて各構成単位は独自に立法することができる。 しかしながら、憲法がかなり広範な権限を連邦に留保しており、民法・商法・刑法・訴訟法・選挙法・農業法・海法・航空法・宇宙法・労働法は、連邦の立法事項だ。 本論文が主に取り上げる上記のメセナ法は、連邦レベルの法律であり、国全体に適用される。連邦レベルでの文化支援奨励法である。 連邦レベルの文化支援奨励法には、メセナ法の他に、視聴覚作品法(法律第8.685号 通称Lei do Audiovisual)があり、州レベルのものでは、サンパウロ州のPACやバイーア州のFAZCULTURAが有名で、市レベルのものでは、サンパウ ロ市のメンドンサ法(Lei Mendonça)が有名だが、メンドンサ法がこれらの文化支援奨励法の中で一番早い1990年12月に成立した。 州レベルでは、他にアクレ州、セアラー州、マトグロッソドスル州、ミナスジェライス州、パライーバ州、リオデジャネイロ州、リオグランデドノルテ州、リオグランデドスル州、サンタカタリーナ州にある。 市レベルのものは他に、サン・ジョゼ・ド・カンポス市(サンパウロ州)、アメリカーナ市(サンパウロ州)、ベレン市(パラ州)、ベロオリゾンチ市(ミナス ジェライス州)、コンタージェン市(ミナスジェライス州)、カベデロ市(パライバ州)、クリチバ市(パラナ州)、ゴイアニア市(ゴイアス州)、ロンドリー ナ市(パラナ州)、マセイオ市(アラゴアス州)、リオデジャネイロ市(リオデジャネイロ州)、サンタ・マリア市(リオグランデドスル州)、ヴィトリア市 (エスピリトサント州)などにある。 これらの文化奨励法に共通するのは、各法が定めた制度に基づいて承認された文化プロジェクトのために寄付した金額を申告すれば、全額ではないが、支払うべ き税金が控除される。控除される税金の種類や、寄付額に対する控除額のパーセンテージも法によって異なる。パーセンテージが幾段階かに分かれており、文化 プロジェクトの承認時にパーセンテージが決まる場合も多い。 本論でメセナ法と呼ぶルアネー法は、文化プロジェクトへの寄付によって、所得税が控除される法だが、寄付額に対する控除額のパーセンテージも改正によって 変わってきた。パーセンテージ以外の面でも、改正により変更されてきたが、本論では、特に断りがない限り、筆者がブラジルでの現地調査を行った2010年 1月の時点の同法を対象としたい。 ●1-1 ブラジルの文化支援優遇政策の歴史 (論文になるように、書き直すこと) 1810 年に、ジョアン 6 世が国立図書館を設立 20 世紀の中頃に、エリートは支援の必要性を唱えたが、公的な大きな動きにはならなかった。 1990 年代の終わりになって、文化支援の公的政策が生まれた。 以前のアメリカの政策を手本にしている。アメリカでは、1917 年に税の控除による文化支援政策を開始し、70 年間実行した。86 年に 廃止した。このモデルはヨーロッパと大きく違う、ヨーロッパでは今日まで国による巨大な投資がある。 アメリカが、当時分かを支援したのは、ヨーロッパの財産をアメリカに持ち込むためだった。この政策のおかげで、アメリカは、文化を 輸出する国になった。 ブラジル:1940 〜 50 年に、2人の起業家によって、サンパウロに MAM や TBC、CInemateca Brasileira、MAC 等が作られる。 少し遅れて、MASP が作られたが、これは新聞社のオーナーが新聞広告と交換条件に寄付を募った。 同じような課程で、リオに MAC が作られた。Shell や Banco do Brasil もこの時期に文化支援に乗り出した。 が、政策的な支援はなく、この流れは消えていく。エリートが上流階級社会における個人の威信において文化を支援していたこの流れは、 政策によって資源面での仕組みを確立させる必要があった。 1986 年に、税制優遇による文化支援法であるサルネイ法が施行される。90 年まで続いたが、システムに大きな問題があり、汚職の温床 となった。 90 年発足の Collor 政権によって、文化省が廃止され、文化に関する財源が全くなくなった。 同年、サンパウロ市において、文化関係者が中心となり、メンドンサ法ができる。サンパウロにおける税制優遇による文化支援法。 91 年、共和国の文化局の最高長官だったルアネーは、ルアネー法の施行を達成させる。これが、今日までのブラジルにおける文化優遇政 策のベースとなっている。行政と予算審査の透明化、プロジェクトの登録又内容の分析、決算報告における厳格化。 92 〜 94 年までは、あまり有効には機能しなかった。広報不足が原因で、システムが浸透しなかった。 95 年に FHC 政権になり、Francisco Correa Weffort が文化大臣に。文化省に、文化支援局を設置。大統領や、通信大臣通信大臣の後押し。 プロジェクトの申請や資金の調達を専門にする人が増える。 州知事や市町も刺激を受け、文化支援の意識が広がる。当時においては、バイーア州における支援が目立っている。 01 年には、AV の分野で、ANCINE が設立される。 03 年に、 ルーラ政権に代わり、 ジルベルト ジルが文化大臣になってからも、修正の必要性を尊重しながらもルアネー法の基本路線は維持。 ●1-2 メセナ法の目的/仕組みの概説とブラジルの多文化主義 メセナ法の目的。メセナ法の仕組み概説。ブラジルの多文化主義。 ●2-1 日本のメセナ ※日本語文献を使う ●2-2 海外のメセナ ※「ヨーロッパのメセナ」などの日本語文献を使う ●2-3 比較から見えてくる「ブラジルは文化をどういう目的でどう扱ってきたのか」 ※国(地方公共団体)・文化芸術団体・民間企業三者間の連携(パートナーシップ)により文化芸術を支えていて、三者とも主体的に動くことができる→多文化主義につながる ●3-1 メセナ法の仕組み ※こういうことをもっと詳しく分かりやすくする「国家文化奨励委員会 (CNIC) により承認されたプロジェクトは、企業および個 人の援助および贈与を受けることができる。また、これらの企業および個人は、 全額ではないが、与えた恩恵分を納付すべき所得税から減額することができる。 そうした処理は、法律第8.313/91号 (Rouanet法) によって認められている。 同法によれば、その恩恵を求めることができるのは、文化的な性質を持つ営利 もしくは非営利の法人、企業および機関、ならびに財団 (Funda豪o)、独立行政 機関 (Autarquia) および協会 (Instituto) などの行政が間接的に管理する公益法人 である。ただし、適切な法人格と文化的性格を具備していることが条件である。 プロジェクトは、表現形式、創作・製作方法、ブラジルの文化遺産の保存・保 護方法、文化的現実の研究と解釈方法を開発すること、ならびに芸術的・文化 的財産と価値を知る方法の提供に貢献することを目的とするものでなければな らず、下記の分野を含む。 ‐ 演劇、ダンス、サーカス、オペラ、パントマイムその他同種のもの。 ‐ 映画制作、ビデオ制作、写真制作、レコード製作その他同種のもの。 ‐ 参考図書を含む文学作品。 ‐ 音楽。 ‐ 造形美術、グラフィックアート、彫刻、ポスター、切手収集その他類似のもの。 ‐ 民俗芸能および手工芸品。 ‐ 歴史的遺産、建築術上の遺産、考古学上の遺産、図書館、博物館、公文書保存 所その他の遺産を含む文化的遺産。 ‐ 人文科学。 ‐ 非商業的性格を持つ教育・文化的なラジオ・テレビ番組。 プロジェクトは、一般の人々に恩恵をもたらし、かつ法律で規定する分野・部 門を中心に置いたものでなければならない。文化的財産を人々が等しく利用で きるようにすることもこの法律の目的のひとつである。従って、一般の人々の 利用を容易にする仕組み (例えば、ショーへの無料入場、大衆的な値段の入場 券、図書館への図書配布、公開の美術展覧会、等々) がこの目的を履行するの に必要である。 法律第8.313/91号は、贈与者または後援者は、同法が定めた制度に基づいて承 認された文化プロジェクトのために実際に寄付した金額を、所得税の申告時に、 納付すべき所得税から以下のパーセンテージで控除することができるものと規 定している。 ‐ 自然人の場合には、贈与額の80パーセントおよび後援額の60パーセント。 ‐ 実質利益に基づいて課税される法人の場合には、贈与額の40パーセントおよび 後援額の30パーセント。 さらに、企業は、贈与額と後援額の合計を営業費に含めることができる。これ によって、当該年度の企業の実質利益が減少し、結果として納付すべき税金の 額が減少する。納付すべき所得税から差し引くことのできる金額の合計は、法 人の場合、総額の4パーセントを超えてはならず、また自然人の場合、6パー セントを超えてはならない。 税制上の利益に加えて、後援者は、後援するプロジェクトによって、作品 (書 籍、レコード、彫刻、CD-ROM、等々) での返礼を得ることができる。プロ ジェクトによって生み出された芸術作品の受け取りは、制作されたものすべて の25 パーセントに制限されており、受け取ったものは無料で配布しなければ ならない。 詳しい情報を得るには、関係する分野を管轄する局に出向くこと。また、プロ ジェクトは、所定の用紙を用いて、文化省、その地方事務所または文化省につ ながる団体の国家文化支援計画 調整部門に提出しなければならない。 (そのためには、文化省と連絡をとれば 十分である。) 文化省のサイトでは、プロジェクト提出用のプログラム (これは文化省の部局 の1 つで求めることもできる) をダウンロードすることができる。プロジェク トが省令 (Portaria) で承認された後は、プロジェクトに関する顛末報告 (計算・ 決算報告) をしなければならない。プロジェクトの顛末報告の作成マニュアル と書式も、文化省のサイトにある。」 FNAC Fundo Nacional de Cultura 国家文化基金 申し込みでの義務事項と、 協約と連邦政府との共同分野での予算の使用を始めるまで。 Ficart Mecenato メセナ部門 プロジェクトの申し込み 文化プロジェクトの組立 申込フォームの記入 文化プロジェクトの提案 行政手順のプロセス 各分野におけるプロジェクトのプレゼンテーションについての考察 資金集め 法律の条項 文化プロジェクトの管理・運営 受領(メセナ) ●3-2 申し込み手順 ペトロブラスに申し込むとして ※実際の審査通過プロジェクトの申し込み書類一式 ●3-3 マーケティング・クルトゥラル (プロジェクトが如何に文化的に意味があるかという点が競われ、支援されるプロジェクトが決定される) ●4-1 メセナ法に基づく支援の実体 ※発表されているデータ ●4-2 問題点 ※政府の分析紹介、自分の分析を加える ●まとめ ブラジルの文化政策から学べること。 すぐ参照てきる文献 英語文献_書籍 ●"TROPOCAL MULTICULTURALISM" ROBERT STAM ●"PRIVATING CULTURE" CHIN-TAO WU ●"ART WORLDS" HOWARD S.BECKER ●"CULTURAL POLITICS IN A GLOBAL AGE" EDITED BY DAVID HELD, HENRIETTA L.MOORE ●"THE EXPEDIENCY OF CULTURE" GEORGE YUDICE ●"CULTURE INCORPORATED" MARK W.RECTANUS ●"Cultural Politics in Latina America" Edited by Anny Brooksbank Jones, Ronaldo Munck ●"World culture report 1998" UNESCO 葡語文献_書籍 ●CADERNOS DO NOSSO TEMPO "A cultura e as revoluções da modernizaçāo" Francisco C.Weffort ●CADERNOS DO NOSSO TEMPO "Fascínio e repilsa ──Estado, cultura e sociedade no Brasil──" Márcio Souza ●CADERNOS DO NOSSO TEMPO "Cultura e desenvolvimento" Elizabeth Jelín, Enrique Iglesias, Hernán Crespo Toral, José Sarney, Lourdes Arizpe, Roberto Da Matta, Sérgio Paulo Rouanet ●CADERNOS DO NOSSO TEMPO "Cinema brasileiro" Fernando Henrique Cardoso, Francisco C.Weffort, José Álvaro Moisés ●CADERNOS DO NOSSO TEMPO "Cultura e democracia Volume.1" José Álvaro Moisés, Saul Sosnowski, Enrique Saravia, Hermano Roberto Thiry-Cherques, Paulo Sergio Pinheiro e Luia Antônio F.Souza ●CADERNOS DO NOSSO TEMPO "Perspectivas para o Brasil" Hélio Jaguaribe, Renato Janine Ribeiro ●CADERNOS DO NOSSO TEMPO "A reforma da política" Leôncio Martins Rodrigues, Bolívar Lamounier ●"LEVANTAMENTO DAS FONTES DE APOIO FINANCEIRO À ÁREA CULTURAL ──NÍVEL FEDERAL──" ●"RESPONSABILIDADE SOCIAL DAS EMPRESAS ──A CONTRIBUIÇĀO DAS UNIVERSIDADES──" ●"Economia e Política Cultural ──Acesso, emprego e financiamento" Frederico A.Barbosa da Silva ●"Polìticas Culturais Vol.1" Leonardo Brant(org.) ●"Desenvolvimento e Cultura ──O problema do estetismo no Brasil──" ●"Cultura e Desenvolvimento" Boaventura de Sousa Santos, Jailson de Souza e Silva, Ecio de Salles, Marta Porto, Maurício Torres, Ferréz, Paulo Roberto Pires, Paulo Lins, Beatriz Resende, Tião Santos, Zuenir Ventura ●"Cultura Organizacional E Cultura Brasileira" Fernando C.Prestes Motta(org.), Miguel P.Caldas(org.) ●"MÚSICA BRASILEIRA E IDENTIDADE NACIONAL NA MUNDIALIZAÇÃO" Michel Nicolau Netto ●"Economia Política, Comunicação e Cultura──Aportes teóriocos e temas emergentes na agenda polìtica brasileira" Doris Fagundes Haussen e Valério Cruz Brittos(Orgs.) ●"Desenvolvimento e Cultura──O problema do estetismo no Brasil" Mario Vieira de Mello ●"CULTURA É PATRIMÔNIO Um Guia" LÚCIA LIPPI OLIVEIRA ●"CULTURA BRASILEIRA IDENTIDADE NACIONAL" Renato Ortiz ●"Economia da Cultura" Isabela Cribari(org.) ●"Guia do Incentivo a Cultura" Fabio de Sa Cesnik ●"dicionário crítico DE POLÍTICA CULTURAL" Teixeira Coelho 葡語文献_論文 ●"MARKETING CULTURAL──um estudo sobre a produção cultural a partir das leis de incentivo em uma sociedade de mercado" Arlete de Loourdes Alonso ■■■以下使える部分があるかもしれないのでメモ用にタイプしたテキスト 文化政策の展開 p140 民間のメセナ活動 ● 1980年代の後半頃から、企業等において、企業市民としての自覚(コーポレート•シティズンシップ)のもとに、社会的貢献(フィラントロピー)の一環として、メセナの名による文化芸術への支援が積極的に行われるようになった。このような背景のもとに、1990年、(社)企業メセナ協議会が設立された。 企業メセナ協議会は、①芸術文化支援等に関する啓発•普及•顕彰、②芸術文化支援に関する情報の収集•配布•仲介、③芸術文化支援活動の調査•研究、④海外の同種の機関との情報交換•交流、などの事業を行っている。特に、②に関し、1994年に同協議会が特定公益増進法人に認定されたことに伴い、同協議会が認定した芸術文化活動に対する企業・個人からの寄付金には税制上の優遇措置が適用されている。 同協議会を通じて行われた寄附の2000年度以降の推移は、表9-3に見るとおりである。2002年度、2003年度に一時落ち込んだが、近年は増加の傾向にあり、2004年度には6億4,932万円(同256件)、2005年度には7億6,581万円(同234件)となっている(㈳企業メセナ協議会資料)。 また、同協議会が行ったアンケート調査によると2000年度以降の企業のメセナ活動の推移は、表9-4に見るとおりである(㈳メセナ協議会「メセナレポート2005」)。メセナの実施企業は一貫して増加しており、また資金援助であるメセナ活動費も2001年度に一時落ち込んだものの、2002年度以降は着実に増加している。 企業にメセナ活動は、資金援助のみならず、人材派遣や場所・機材の提供などの非資金協力の形態をとることも多く、今日、着実に定着しつつあるといってよいであろう。 ●民間を含む支援の枠組みの必要性 国(文化庁、芸文振)による芸術文化活動への支援の構造は以上のとおりであるが、前節で見たように、今日、企業等民間のメセナ活動による支援が活発化し、着実に定着しつつある。また、第1章、第2章でも触れたが、このような民間の動向は、芸術文化活動への支援の新たなあり方を提示した。それは、これまで国(地方公共団体)と文化芸術団体ニ者間の関係のみであった支援体制が、民間企業等を含めた三者間の関係に転換したことである。このため、今後は、公・私の間の連携と相互の役割分担を図ることが必要となっている。すわわち、国(地方公共団体)・文化芸術団体・民間企業三者間の連携(パートナーシップ)により文化芸術を支える新たな仕組みを構築し、定着させることが要請される。 芸術文化助成財団協議会を構成する助成団体の助成の分野・対象は表9・5に見るように、極めて多様性に富んでいる。頂点を高める方向を志向するものもあれば、裾野を広げることに重点を置くものもある。また、企業メセナ活動も同様に、助成の内容は多岐にわたっているものと考えられる。そして、これら民間の助成活動は、それぞれが独立性を保ちつつ、独自の立場から行われている。その意味で、公・私の間を横断する包括的な支援の枠組みを構築することは容易ではない。 しかしながら、例えば、民間においては、公の関与が困難な先駆的・評価未定の領域を主たる対象とし、一方、国(地方公共団体)においては、芸術文化活動や文化芸術団体の性格、成熟度の度合いにより支援の内容に強弱を加えるなど、支援の対象と方法の構造化を図ることにより、相互に補完し合う仕組みを構築することなどが考えられる。 芸術文化活動の支援は、基本的には公的部門が担わなければならないとすれば、文化庁および芸文振による支援行政は、いわば正規軍に位置づけられる。一方、資金源の多元化による自律性の確保や幅広い一般の支持を得るうえで期待される民間部門による支援は、遊撃軍と見なすことができる。正規軍は、全体的・総合的な観点に立って戦術を行使しなければならない以上、そこに空白の部分が生じることは否めない。遊撃軍は、その空白を埋め、間隙を縫う作戦の展開が可能であるとともに、場合によっては初動作戦も積極的に実施することができる。 いずれにしても、前項で見た国による支援の三層構造に加え、民間のメセナ活動による支援を効果的に組み合わせた包括的な支援の枠組みの構築が望まれるところである。 グローバル化する文化政策 アメリカ初の黒人大統領となったバラク・オバマ氏、選挙公約に地球環境問題を直視したグリーン・ニューディール政策を掲げたのみならず、芸術文化予算を大幅に増額して、人々の創造性を刺激することで、アメリカ社会の草の根からの蘇生を訴えた。特に、創造性を革新性を活性化するために芸術教育への投資を最重要に位置づけており、文化政策は新たな社会を展望する創造力を市民と社会にもたらすものと位置づけられた。 1933年に始まるニューディール政策と呼ばれる社会実験が第2次世界大戦後の福祉国家システムの成立をもたらしたように、眼前の世界経済の破綻にたじろぐことなく、むしろ 危機を千載一遇のチャンスと捉えて、より望ましい社会経済システムへの根本的な転換が求められているといえよう。つまり、金融・経済のヘゲモニーを競い合う弱肉強食のグローバリゼーションを第一段階とするならば、文化的多様性を認め合う第二段階のグローバリゼーションへの移行する機会が訪れているのであり、危機を乗り越える新しい創造的な思想や社会的営為を引き出すような文化政策が今まさに求められているのである。 〜 〜 ユネスコUNESCO(国連教育科学文化機関)は、20世紀末から急速化する市場原理主義的なグローバル化の大波により、途上国の文化財や言語が消失して文化権や人間発達を阻害し、文化的多様性が損なわれ、文化的画一化が進むことに警鐘を鳴らしてきたが、世界遺産や無形文化遺産などの指定を通じて文化財=文化資本の保存をよびかけるとともに、2001年には「文化的多様性に関する世界宣言」を採択した。 この背景には、欧州各国の強い危機感があった。つまり、世界貿易機構WTO体制の下で自動車やハイテク家電など工業製品のみならず、映画やテレビ番組、雑誌までが貿易自由化の対象になれば、ハリウッドの映画産業など経済的に影響力の強い巨大文化産業が市場を席巻し、文化的多様性を損なってしまうという恐れだ。 さらに、2005年には「文化的表現の多様性の保護および促進に関する条約」が採択され、締約国(ならびにEUなど地域統合機関)には文化的活動や財、サービスの創造、生産、普及、配布、享受に関して公的な規制や資金援助を含めた妥当な措置を取ることを認め、公共放送を含めメディアの多様性強化のための措置をも認めている。2006年にはEUが加盟し、中国やインドなど多様な少数民族を抱える国々に受け入れられており、新自由主義的で無秩序なグローバル化による文化の画一化傾向に対して、文化的多様性を認め合う節度あるグローバリゼーションに向けて一定の影響力を持つことが予想される。 こうした流れの中で、ユネス文化局は2004年に文化産業の創造的社会経済的潜在力を解放し、文化的多様性を実現する目的で創造都市のグローバルアライアンスを呼びかけた。〜 〜 世界30か国、約700人が参加したこのシンポジウム(世界文化フォーラム_2004内「文化権と人間発達 cultural rights and human development」)は、バルセロナに拠点をおく芸術系NPO「インテルアーツ財団」(Ineterarts Foundation)が、ユネスコの協力を得て企画したものである。タイトルから明示的にわかるように、ノーベル賞受賞者で、インド生まれの経済学者であるアマルティア・セン(Amartya Sen)の提唱する「ケイパビリティ」(capability)という概念をベースに、「人間発達」を「文化権」とのかかわりで正面から論じようとする意欲的な企画であった。つまり、21世紀は富や貧困をGDPによって捉えるのではなく、それぞれの国や地域の人々がどれだけ多くの「選択肢」を持っているか、人々の様々な局面において「意義ある選択」が可能な社会となっているかをみていくべきだとして、1人1人にとってのケイパビリティ、つまり発達可能性や潜在能力などに多様な選択肢のある社会ほど豊かだという考え方である。 言い換えれば、人間発達とは「人々の選択の拡張過程」であり、それは政治的経済的社会的自由から個人が健康的、生産的、創造的に、かつ誇りを持って生きる機会と、人権にまで至る潜在可能性の発展によって測ることができる。それは当然、女性の社会参加やマイノリティの発言権などさまざまな権利と結びつくが、そのような人間の基本的人権、人権というものを発達可能性の視点から捉えたとき、そのベースには豊かな文化を創造し、享受する権利、つまり「文化権」が重要であるという認識に基づいている。 すでに述べてきたように21世紀初頭の社会においては、グローバリゼーションが金融・経済にとどまらず文化の分野においても急速に進行すればするほど、文化の中で大切な要素となる宗教と言語にも大きな影響を与え、宗教的価値観の対立が激化する一方で、特に少数民族の言語の消滅が顕著となる。ユネスコはこれに大きな警鐘を鳴らして、「生物的多様性」に対比して「文化的多様性」の概念を提唱してきた。つまり、金融・経済のグローバリゼーションの影響下で引き起こされる「文化帝国主義」の如き現象によって、一方的に少数の人々の「文化権」が損なわれないように、文化的弱者の立場から「文化的多様性」を重視すべきだという考え方を基調としてこのシンポジウムは企画されてきたのである。 さらに、文化的多様性と関連して、重要なポイントとして挙げられたのは「多元的なアイデンティティ」という概念である。文化は、民族や地域や個人のアイデンティティと結び付き、それらを強固なものにするが、それぞれのアイデンティティがグローバリゼーションの中で衝突したときどのように解決したらよいのか。例えば、イラク戦争では「Mr.ブッシュの考えるアイデンティティ」と「イラクの人々のアイデンティティ」とが正面から衝突したが、どうすればこのような悲和解的対立を乗り越えることができるのであろうか。このシンポジウムで討論され合意を得たのは、互いのアイデンティティが対立した場合には「多元的なアイデンティティ」の立場に立たねばならないということである。つまり、「グローバリゼーションの下でのアイデンティティ」とは少なくとも他人のアイデンティティを損なうような立場はとらず、互いのアイデンティティに相違があり対立していたとしても、それらを乗り越えるものがなければならないというのである。つまり、アプリオリにアイデンティティがすばらしい、大事にするべきだというのでは衝突は避けることはできず、「アイデンティティに専先行する理性」こそ求められるとするアマルティア・センの考え方に基調をおくものである。 新自由主義的グローバリゼーションがもたらした極度に緊張感の高い現代社会において、「文化的多様性と相互のアイデンティティを損なわない、より調和の取れたグローバリゼーション」への方向性を探るための世界的な対話の機会を提供したのが世界文化フォーラムの意義であり、まさに世界の創造都市のリーダーとしてのバルセロナの真骨頂を示すイベントであった。 ■文化的グローバリゼーション グローバリゼーション(Globalization)とは、地球規模で見られる複合的なプロセスである。分析的には、次の4つに分けて考えられる。①経済的グローバリゼーション、②政治的グローバリゼーション、③社会的グローバリゼーション、④文化的グローバリゼーション。これらのグローバリゼーションは、単に、現実を分類する概念だけではない。これらの間には、「ラグの法則」があるように思う。つまり、経済的グローバリゼションを先頭に、この順番で時間的なズレが生じているということである。しかしながら、これらの4つのグローバリゼーションの境界はあいまいになりつつある。 話を文化的グローバリゼーション(Cultural Globalization)に絞ろう。文化的グローバリゼーションは、単に、マクルーハンがもともと想像したような、地球村(Global Village)にもとづく画一的な世界文化ではない。むしろ、理論的に整理してみると、次の4つのモデルが複合的に交じり合うように混合現象として理解するのがよいように思う(この整理については、アメリカの代表的な文化社会学者のD.クレーンの整理が役に立つようである)。彼女によれば、文化的グローバリゼーションとは、「様々なメディアや芸術(arts)が国境を越えて伝わっていく現象」を指す。ここでいう芸術は、西欧起源のファインアートだけを指すのではなく、国境を越えたマーケットをターゲットにしているものはすべてこの範疇に入る(例えば、日本の芸能等も念頭に入れられる。従来の解釈では、伝統あるいはネイティブな文化ということで、ファインアートと単に対立的に語られてきたが、国境を越える場合は、必ずしもその解釈は十分な解釈ではない)。問題は、この複合的現象をどの分析可能かということである。この点を彼女の解釈をふまえて、次のように4つの理論モデルとして整理してみよう。 ①文化的帝国主義モデル(Cultural Imperialism Model) このモデルは、欧米諸国の過去の植民地主義のアナロジーであり、西欧化(ファインアート文化の侵略)とアメリカ化(アメリカ発のメディア文化の侵略)とからなる。ポイントは、これらの文化が、非欧米文化の画一化をもたらすという点と、それらの文化の支配的機能である。この分析に妥当性は見られるが、反例を多く挙げることができる。 ②多文化主義モデル(Multiculturalism Model) このモデル(多元的文化的フロー・ネットワークともいう)は、焦点をエスニック文化、マイノリティ文化におく傾向が見られるが、一般的には、多元的な文化的フローとネットワークが確保され、一定の機能的効率性が確保できている状態を想定している。この理論モデルにも部分的妥当性があるが、実際には、社会的コストが相当にかかり、経済状態と相関していて、理想と現実との距離の大きいケースがしばしばである。 ③能動的受け手モデル(Active-audience Model) 文化的グローバリゼーションは、実際には、インターネットや携帯電話というコミュニケーション・ツールなしには成り立たないし、様々なメディア文化抜きには成り立たない。それらのメディア文化を支える人々が能動的受け手である。このモデルは、規範的側面・政策的側面が強く、実態と乖離している面が大きい(つまり、理想が実態に反映されすぎる傾向がある)。実態としては、流行や同調行動等がメディア利用行動に強く見られる点が見逃されがちである。 ④国家・グローバル都市的文化戦略モデル(National, Global Cities, Cultural Strategy Model) 最後に挙げられるのが、国家や都市(特にグローバル・シティ)による文化戦略モデルである。文化は、その国家や都市を支える経済的・文化的インフラストラクチャーになりつつある(つまり、経済構造の中に文化的要素が強く組み込まれるようになっていることを意味する)。それを推進するのは、民間のエージェントであるが、その度合いは社会によって異なる。最も大きいのはアメリカであるが、それ以外の地域では、国家やグローバル都市という政治的実態が大きく関わる(もちろん、その度合いは様々である)。国際的ツーリズムや伝統文化の活性化を含めて、国家と都市の文化政策が占める割合が増大してきたのである。しかし、その政策の実行主体と方法は、従来のような直接的な管理でない。つまり、新しい国家の役割、都市の役割が出現してきたのである。再びしかし、どの国家もどの都市も同じような結果になるわけでもない。説明できる範囲には部分的ではあるが、現在重要な理論モデルになりつつある。 確かに、文化的グローバリゼーションの進展は、以上のような複雑な現象をもたらしつつあるが、次項では、文化政策にさらに絞って分析してみたい。 ■文化的グローバリゼーションと文化政策 マクロな観点から、文化政策が1980~90年代に果たすようになった重要な社会的機能についてまとめると、以下の3点にまとめられる。第一に、文化そのものが経済や政治・社会に密接に関わるようになったことである。より正確に言うと、経済や政治に巻き込まれるようになったといえよう。第二に、西欧起源の文化政策と類似の政策が、広く非欧米諸国でも見られるようになってきたことである。その意味で、〈グローバル化する文化政策(Globalized Cultural Policies)〉というのが中心テーマになりつつあるといえよう。しかしながら、これらの動向は、単に均一的なグローバル文化が支配的になるということを意味していない。むしろ、極めて複雑で多元的な〈ハイブリッド文化〉があちこちで生まれつつあるということを意味する。それと同時に、ローカルな文化の維持や再組織化という傾向も見逃すことができない。最後の点は、国際文化交流とか国際的ツーリズムなどとも結び付いて発展しつつあるとすらいえる。これら3つの傾向は、おそらく日本社会における〈文化政策〉のイメージとは程遠い、ダイナミックでパワフルな存在である。要するに、一方における、普遍主義的・リベラルなグローバリズムと、もう一方における、ローカリズムと結び付いたグローバリズムとが、車の両輪のように機能しているのである。この両輪が、文化的グローバリゼーションを支えている。文化政策もこの文脈で検討される必要がある。 さて、文化政策を語る上で、現在どういうことが要請されているのだろうか? 結論から言うと、次の2点を指摘することができるだろう。第一に、従来の欧米中心の研究に加えて、非欧米的視点を導入することの意義である。欧米から学ぶべき点がなくなったということを言いたいのではない。むしろ、彼らに学ぶべき点もまだまだたくさんあることを再確認できたというべきであろう。むしろ言いたいのは、悩みながら頑張っている、アジア諸国を研究することにより、日本社会の位置付けが相対化され、何を学ぶべきかについて新たな観点を導き出せること。また、逆に、日本の芸術文化政策の中にも、他の社会で参考になるような要素があり、例えば、伝統を抱えるアジア・アフリカ社会に対して、何らかの示唆を与えられることである。第ニに、様々な違いや芸術文化政策の発達の違いが存在するにも関わらず、似たような芸術文化政策が、同時進行的にどの社会でも見られるようになったという点とその社会学的含意である。要するに、先に述べたような〈グローバル化する芸術文化政策〉の持つ意味が大きくなってきたことである。ただし、ここでは、2つの留意点を加えたい。1つは、共通点である。芸術文化の多くは、伝統文化と西欧起源のファインアートが中心である。しかも、これらは中産階級以上の文化階層によって維持されてきて、ある種の文化的階級対立が見られたということ。それから、その対立関係が大きく変化しつつある。しかし、この傾向が、どの社会でも似たような現象として見られるようになった点は一考に値する。もう1つは、逆に、何がそれぞれの社会が持つ特殊性かという点である。特に、どういう伝統文化を持っていたのかという点と、西欧起源のファインアートの取り入れ方、の2点を考察することが重要な結果を導く 現在の研究課題の中心の1つが、そういう多元的分析にあるという点を理解していただきたい。しかし、多元的な比較は実際にどの程度可能なのだろうか? つまり、その必要性を指摘することは簡単でも、実際に意味のある分析をすることはそれほど容易ではない。例えば、我々の研究(アメリカ、イギリス、シンガポール、日本の4カ国比較)では、共通の分析フレームを作成することは困難であったが、以下の4つの点で共通性を見つけ出すことができた。 ①芸術文化の経済的機能 芸術文化が、単に、中・上流階層の趣味の領域にとどまっているのではなく、都市の経済活動に大きく貢献しているという事実である。特に、ニューヨークやロンドンでは、その点がはっきりしている。東京では、体系的な調査はされていないが、佐々木などの研究によれば、その可能性が大きい。シンガポールは、文化の経済的機能に気付き、それを政策に巧みに取り入れてきた。~~
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「……モーターショー、ですか?」 まだ、ピエトロ・ベルッチが少年と青年の境であった頃。 執務室で大きな机越しに主であるルカ・フェルネットと正対し告げられた言葉に対して、ピエトロは不思議そうな表情を浮かべた。 「そうだ」 重厚な革張りの椅子に腰掛けたルカが荘重に頷く。なんでも来週末から一週間、フェルネットの王国内にあるコンベンションセンターで複数の有名自動車メーカーが協賛するモーターショーが大々的に開催されるのだという。 基本的にこういったイベントは先行公開となる報道機関向けのプレスデーと招待客向けのオフィシャルデーを経て一般客向けの公開に至るというスケジュールなのだが、そのオフィシャルデーにルカが招待されたということらしい。この街の王、支配者として暗然たる権力を有するルカ・フェルネットだ、招待状が届くのも当然といったところだろう。 かつてこの街を手中にするため自ら鉄火場に出張っていた頃と違って、現在のルカの仕事のほとんどはそういったイベントやパーティー、セレモニーへの出席で占められていた。地元の名士の賛同と理解、それから後ろ盾を得ようと望む者たちには枚挙に暇がないものだ。ルカは寡黙でどちらかというと社交的な方ではない人間であったが、そういった打診を受けると毎回邪険に扱うでもなく、律儀に顔を出している。 ピエトロは知らなかったのだが、モーターショーの開催も今回が初めてではないという。前回は何年か前に開催され、その際はルカと相方のジャンマリオ・ブッフォンで出席したという話であった。 しかし―― 「今回はエステルを連れていく。お前も同伴しろ、ピエトロ」 ルカは今度のショーの同伴者に養女エステルとピエトロを指名してきた。 ピエトロは思わず目を瞬かせた。主がこういったイベントへ赴くなら、前回と同じようにブッフォンと一緒で然るべきと思っていたのだ。だいいち、自分はまだ十七歳で自動車の運転免許を持っていない。 「僕も……? ボス、シニョーレ・ブッフォンは――」 「ジャンはスケジュールが合わなかった」 ブッフォンは金庫番としてファミリーを管理運営するのに忙しく、予定が合わず出席見合わせになったのだという。既に、ピエトロがブッフォンからその後釜として主の身の回りの世話やスケジュール管理を任されて暫く経つ。主に同行して時間の調整などを行うことには何の異論もない。 「畏まりました」 ピエトロは頷くと、主の前を辞してからすぐに自分のスケジュール帳にモーターショーの日取りを付け足した。 ナッツィオナーレ・フィエスタ・デル・モトーレは世界的にも有名なモーターショーのひとつである。 国内の有名自動車メーカーたちがここぞとばかりに自社の最新ブランドや技術の粋を披露しては鎬を削り、それを目当てにした世界中の自動車ファンが集まる大規模な催しだ。車種も一般乗用車からF-1、ダンプやトラックといった作業用車、まるで百年先の未来から来たかのような先進的・前衛的なフォルムの車も展示されている。 「ふわぁ……」 コンベンション・センターの中にも外にもぎっしりと、それこそ綺羅星のように展示された車両の数々を前にして、ネイビーブルーのスーツをかっちりと着込んだピエトロと手を繋いだエステルが目を輝かせる。――もっとも、車のデザインやスペック等々に興味を覚えている訳ではない。スポットライトに照らされてキラキラと輝くカラフルな色合いの美しさ、会場を満たす光の洪水に感激しているらしい。 「きれいだねえ、ねー、ぴえとろ!」 「うん。とっても綺麗な車ばかりだ……」 ルカの先に立ち、リボンとフリルをふんだんにあしらったピンクのワンピースでおめかしした妹と一緒に展示会場の中を見回しながら、ピエトロもまたすっかり圧倒されてしまった。 このモーターショーへはブッフォンの代理として、ルカのスケジュール管理のために来ているというのに、本来の自分の役目も忘れそうになる。 ピエトロはそれまではあまり自動車には興味がなく、車との接点と言っても主のお供で大人の運転するリムジンの後部座席に乗り込む程度で何の感慨も抱いたことはなかったし、モーターショーを見に行くと言われても仕事の一環程度にしか思っていなかった。 が、ここまで大量かつ様々な車を見たことで、いやでも興味をそそられてしまう。 「凄いな……本当に」 興味を引く車が視界に入るたび、ピエトロはうっかりその場に立ち止まりそうになり、慌てて自分の役目を思い出しては歩を進めた。 そんな側近見習いの様子を見て取ったのか、ルカはモーターショーの主催者が自分のところへ挨拶にやってくるのを見ると、 「会場を見に行っていい」 と言った。自分が招待客としての仕事をしている間、自由行動でもいいと言っているのだ。 「はぁーい!」 「……でも、ボス……」 エステルは嬉しそうに片方の手を挙げたが、ピエトロは戸惑ったように主を見た。主の側近として来たというのに、その職務を放り出して車を見に行ったのでは意味がない。 「構わん」 ルカは一度かぶりを振った。 「エステルに大人同士の会話など聞かせても退屈なだけだろう。目だけは離すな」 どうやら、ルカは会場内では最初から子どもたちに別行動させるつもりでいたらしい。ブッフォンのスケジュールが合わなくなったというのは事実なのだろうが、その上で娘とピエトロを連れてきたというのは、華やかなモーターショーを見せて楽しませてやりたいというルカの不器用な愛情であろう。何せ老朽化していた劇場を最新設備のものに建て直させたり、セーフハウス兼任で別荘を作ったり、プライベートビーチへ遊びに行ったりと、娘の為には労を惜しまない親莫迦である。 妹エステルの面倒を見るというのも、主の側近と双璧を為す自分の大事な役目だ。であるのならなんの異論もない。 「ぴえとろ、はやくー! はやくあっちいこー!」 「うん。……ではボス、行ってきます」 「ああ」 エステルがしきりに繋いだ手を引っ張って催促してくる。主に一礼すると、ピエトロは妹と一緒に主の傍を離れて会場を見て回ることにした。 「ぴえとろ、あれ! わたし、あれにのりたい!」 二人乗りの丸っこい電気自動車を指差すエステルに付き合って、運転席に乗り込んだりしてみる。 それにしても、規模の大きなモーターショーである。企業ごとのコーナーの他にも用途別、車種別のブースが大量に設けられており、コンベンションセンターの外には試乗スペースもある。今回は招待客のみの公開日で会場は随分すいているが、これが一般公開日ともなれば最新の車を見に来た人々でごった返すのだろう。そうなってしまえば、ゆっくり車を見て回ることなどおぼつくまい。こうして招待客の同伴者として観覧を許されたのは幸運だった。 そうして兄妹で広大な会場内を楽しんで見回ることしばし。 「―――――」 それまでゆったりと展示を眺めていた視線が、ふと止まった。 手を繋いだエステルが不思議そうにピエトロの顔を見上げる。 ピエトロの双眸は、前方に展示されていたある車に釘付けになっていた。 ブガッティ・ヴェイロン スーパースポーツ カーボンブラック―― 仏ブガッティ・オートモビル社が製作したシリーズのフラッグシップモデル、世界最速のハイパーカーである。 「……バットモービルみたいだ」 差し色の一切ない漆黒のボディに、中央の特徴的なグリルの形状。その姿にかつてファミリーの養い子として同年代の子どもたちと共同生活していた頃に観た映画のハイパーマシンを思い出す。 他にも虹のようにカラフルだったり、美しい色合いの車はあったというのに、ピエトロの目にはこの闇夜のように黒い車が会場のどの車よりも美しく輝いているように映った。 ボディラインにフィットしたきわどいコスチュームのコンパニオンからにこやかに手を振られてもまるで目に入らず、ピエトロはヴェイロンへ歩み寄ると、展示されている車両を食い入るように見つめた。 兄が夢中で一台の車を見詰めている様子に、エステルがぱちくりと丸い目を瞬かせる。 「ぴえとろ、このくるま、ほしいの?」 「え?」 「なら、ぱぱにかってもらおー! えすてる、おねだりしてあげる!」 エステルは無邪気に笑った。自分がねだれば車だって飛行機だって、父親はなんでも買ってくれるのだと信じている。 ピエトロは車両の脇にあるスペックや情報の書かれたパネルを見た。 ブガッティ・ヴェイロンのスーパースポーツは世界でも三十台のみの限定販売で、値段は約百九十万ユーロ(三億円)。 しかも購入には審査が必要で、身元のしっかりした人物でなければならないという。 「う~ん、僕にはちょっと高価すぎるかな……。だいいち、こんな高級車は手に余るよ」 「いらないの?」 「……う~ん」 妹のつぶらな瞳に見詰められ、ピエトロは思わず唸ってしまった。 欲しいか欲しくないかで言えば、欲しい。 こんな格好いい車のステアリングを握り、妹を助手席に乗せてハイウェイを気ままに走って行けたりしたらどんなにか爽快だろうと思う。 しかし、二百九十万ユーロといえば一財産だ。最近やっとマフィオーソとしての道を歩き始めたようなひよっこの自分にはとても捻出できる額ではない。だいたい、元々戸籍もなかったストリート・チルドレンの自分である。書類審査の段階で落とされるのは目に見えていた。 というのに。 「この車が欲しいのか」 後ろから聞こえた声にはっとする。振り返ると、そこには主催者との話を終えたらしい主が立っていた。 父娘で同じ質問をしている。血が繋がらなくても親子だ、と思った。 「うん! ぴえとろ、このくるまほしいんだって! ぱぱ、かって!」 「わかった」 即答である。黙っているとルカはさっそく契約書にサインしかねない、ピエトロは慌てて制止した。 「お、お待ちくださいボス!」 「なんだ」 「あの、お気持ちは大変嬉しいのですが、それは――」 ルカの夜闇色の双眸に見詰められながら、ピエトロは躊躇いがちに口を開く。 「僕はまだ免許を持っていませんし……、こんな高価なものを買って頂くほど、僕はボスのお役に立っていません。それに……」 「……それに?」 「ええと……自分が本当に欲しいものは、与えられるのではなく……自分で手に入れるべきだと、思うんです」 碧眼で主を見上げる。ルカはそんなピエトロの言葉に少しだけ沈黙したが、 「そうか」 と、特に気にする風でもなく引き下がった。 不興を買ってしまったかと、ピエトロは深く頭を下げた。 「すみませんボス、折角の御厚意を無碍にしてしまって」 「ぱぱ? かわないの?」 エステルが小首をかしげて問う。ルカは微かに目を細めてエステルの頭を撫でた。 「ピエトロは、プレゼントされるより自分で買いたいんだ。その方が嬉しいから」 「じぶんでかうほうが、うれしいの? ……ぴえとろ? そうなの?」 「……うん。そうだよ」 ピエトロは微笑みながら頷いた。父と兄の言っていることが理解できず、エステルは眉間に皺を寄せて『へんなの』と言うばかりであったが、元々さして関心のなかったことだ。メーカーのマスコットキャラを象った着ぐるみが会場を歩いていてるのを発見すると、きゃあーっと黄色い声を上げてすっかりそちらに意識を切り替えてしまった。 妹に手を引かれながら、ピエトロはもう一度照明の下で黒光りするハイパーカーを見た。 今の自分はまだ子どもで、この世界最速の車に見合うような人間ではない。 しかし、必ず。このハイパーカーを手にし、ハンドルを握るに相応しい男になってみせる。 ピエトロは密かに決意し、妹と共に展示コーナーを離れた。 ピエトロが十八歳になると、さっそくルカとブッフォンから自動車の免許を取りに行くようにという命令が下った。 表向きはルカが仕事で使用するリムジンの運転をするためということである。尤も、ファミリーには運転免許を持っている者が大勢おり、リムジンの運転手も幾らだって替えが利くのだが、持っていた方が何かと都合が良かろうとの配慮だ。 ルカの側近やマフィオーソとしての勉強の傍ら教習所へ通う。元ストリート・チルドレンで義務教育さえ受けられなかったピエトロにとっては、人生初めての学校である。 免許自体は問題なく取得できた。ルカもブッフォンも誉めてくれたが、ファミリーの中で一番喜んだのはイザベラであった。 「買い出しってひとりで行くと大変なのよね。車を出してくれればとっても助かるんだけど、なかなか頼み辛くて。でも、ピエトロに運転して貰えるなら助かるわ!」 現金なものだが、取得するだけしてペーパードライバーでいるのも勿体ない。どういう理由であれ車の運転をする理由が出来るのはいいことだろう。屋敷の広大な敷地内を回ってみたり、イザベラの買い物に付き合ったりして練習を続ける。 そうして徐々に運転に慣れてくると、遠出をしてみたくなるのが人情というものだ。すぐに終わってしまう近所への買い物ではなく、偶にはフェルネットの王国の境辺りまで車を飛ばしてみたい。 とはいえ、ルカもブッフォンも遊びで免許を取らせてくれた訳ではないのだから……とも思う。 そんなことを考えていると、ルカから使いを命じられた。部下の一人が屋敷から峠を二つばかり越えた街にいるファミリー構成員へ書類を届けに行くので、運転手として車を出せとのことである。 尤も、その書類自体は特段重要なものでもなければ喫緊の案件でもない。要するに口実で、遠出したくてうずうずしているピエトロの様子を見てのルカの心配りである。ピエトロに直接届けろと言わず間にひとり部下を加えたのは、初めての遠出で万が一何か不測の事態が起こった場合の備えだろう。おまけに、屋敷で退屈しているエステルも連れていけという。 「どらいぶ、どらいぶ! ぴえとろとどらいぶ~!」 「こら、僕たちは遊びに行くんじゃないんだ。大事な書類を届けに行くんだよ? もう……」 アリスブルーの膝丈ワンピースに、肩から小さなポーチを提げたお出かけスタイルではしゃぐ妹を助手席に乗せ、シートベルトを締めてやりながら軽く釘を刺す。 とはいえ、ピエトロもエステルと同じくらいにうきうきしている。後部座席に座っている先輩マフィオーソからは、目的地までのルートは任せると言われているから、一番眺望のいいコースを行こうと思っている。現在計画が持ち上がっているフェルネット・ファミリーの手掛ける一大プロジェクト、湾岸道路が完成した暁にはもっと素晴らしい眺めのドライブができるのにな……と思ったが、それはもう何年の先の話になるだろう。 天気は快晴、絶好のドライブ日和だ。ミラーと座席を念入りに調整し、カーナビに目的地までの道程を入力すると、ピエトロはやや緊張した面持ちでハンドルを握った。 屋敷を離れ、ハイウェイに入る。幸いにして道路状況も混雑しておらず、ドライブは快調で、ピエトロは念願通り思う存分運転を楽しむことができた。 エステルは助手席の窓から見える景色に釘付けになっている。危険なところには行かせられないというルカの意向で、なかなか外に出られず普段は屋敷の中にいることが多いエステルにとって、父親の仕事のついで――といった理由以外での外出は久しぶりだ。終始上機嫌で、あれは何? とかこれは? とか、窓の外の光景を指さしてはピエトロに訊ねてきた。車を運転することに集中しているピエトロには、そんなエステルの問いに応じる余裕はなくあまり受け答えはできなかったのだが、それでもエステルは機嫌を損ねるでもなく終始にこにこしていた。 ドライブを始めて二時間程度経過した辺りで、休憩を兼ねて昼食を取るために手近なサービスエリアへ立ち寄る。 屋敷でイザベラの作る料理や高級レストランのコース料理しか食べたことのないエステルにとって、庶民の利用するドライブインの安価な食堂はさぞかし目新しく映ったのだろう。きゃっきゃっと嬉しそうに笑って、陳列されているたくさんのパニーノやトラメッジーノを見てはあれが食べたいこれが欲しいと次々におねだりしてきた。 そんな妹に言われるままメニューを注文する。焼きたてポルケッタのトラメッジーノにトマトとモッツァレラのカルツォーネ、それからチョコレートやキャンディ、甘いジュース。普段ならどうということもないメニューでも、こうして遠出して露店などで売られているのを見ると格別美味しそうに見えるものだ。うっかりすると自分まで際限なく買い食いしてしまいそうになるのをなんとか抑え、妹に好きなものを与えると、一口齧って飽きたと残してしまった分を同伴者の先輩マフィオーソと自分とで食べる。 そんな我侭放題のエステルだったが、食事と休憩を終えて出発しようとすると今度は、 「アイスクリームが食べたい」 と言い出した。もう少し早くに言ってくれればとも思ったが、どうやらドライブインで食べるのではなく流れてゆく景色を眺めながらアイスクリームが食べたいということらしい。 お願いされると断れない兄莫迦であるし、確かに美しい風景を見ながらアイスクリームを食べるというのは美味しかろう。風景に夢中になってアイスクリームを忘れ、溶かしてしまって服を汚すところまで想像できたが、已む無しと諦める。 車を出て建物へ戻り、徒列に並んでアイスクリームを買う。色とりどりのカラースプレーチョコに彩られたキャラメルとストロベリーのダブル。 存外時間を取られてしまった。今日中に先方へ書類を渡し、屋敷へ戻るとしたら、少々急がなくてはならない。 しかし―― 「アッティーリオさん!?」 アイスクリームを手に車へ戻ったピエトロの視界に飛び込んできたのは扉が乱暴に開け放たれたリムジンと、車外で右肩から血を流し車体に凭れ座り込んでいる先輩マフィオーソの姿だった。 アイスクリームを放り捨てて傍に駆け寄り、容態を確認する。どうやら銃撃を受けたらしい、しかし幸い銃弾は体内を貫通しており、出血は酷いが命に別状はなさそうである。 「アッティーリオさん、これは……」 心配するピエトロに対し、先輩マフィオーソのアッティーリオは痛みに顔を顰めながら、 「すまんピエトロ、お嬢さんが攫われた……!」 と呻くように言った。 「エステルが!?」 ピエトロは仰天した。なんでもピエトロがアイスクリームを買いに車を離れた途端、風体の怪しい三人ほどの男がいきなりドアを開けて襲い掛かってきたという。アッティーリオはすぐに抵抗し激しい揉み合いになったが、肩口に銃弾を受けた挙句エステルを奪われてしまったらしい。 ピエトロは歯噛みした。エステルはビスクドールもかくやというほどの美少女だ、それに着ている洋服も上等のものと一目で分かる仕立てで、誰がどう見ても富裕層のご令嬢といった見た目をしている。 そんなエステルがドライブインの中で我儘放題にはしゃいでいれば、さぞかし目立ったことだろう。 一瞬、フェルネット・ファミリーと敵対する近隣のマフィアの仕業かとも思ったが、フェルネットの支配が行き届いている中心街近辺と違い、郊外にはマフィアになることも出来ないギャング崩れや不法移民などいくらでもいる。 いかにもお嬢様と言いたげな格好の幼女が無防備に目の前をうろついているのを見て、ひとつ身代金を――などと企む者がいたとしてもおかしくはない。 そうして影で様子を窺い、御付きの者の片割れ――ピエトロが車を離れたのを好機と見て取って、一気に襲い掛かったということなのだろう。 「俺のことはいい……、お嬢さんを……」 アッティーリオが呻く。 言われるまでもない。ピエトロは弾かれるように顔を上げると、周囲を見回した。 果たして、前方を不自然なほどの猛スピードでワンボックスカーが走り去っていく。あれかと目星をつけ、すぐさまリムジンの運転席に乗り込むと、ピエトロはアクセルを思い切り踏み込んでサービスエリアを勢いよく飛び出した。 「ぐ……」 見晴らしのいいハイウェイをワンボックスが爆速で走ってゆくのを見て、忌々しげに歯噛みする。 なかなかスピードが出ない。このリムジンはカスタムメイド品だ、要人警護用の特別仕様車と同じように防弾処理が施され、マシンガンの弾にだってびくともしない。 が、そんな堅牢さと引き換えに車体重量が犠牲になっている。ルカやブッフォンが移動するための車であるから、平素は速度を出す必要がないため問題はなかったが、現状に限っては甚だ不利である。 アクセルベタ踏みでエンジンが甲高い悲鳴を上げる。インパネの速度デジタル表記がやがて三桁を表示すると、身体全体に負荷がかかったような気がしてピエトロはヘッドレストに後頭部を押し付けた。 ワンボックスが四角い車体に似合わない俊敏さでどんどん前方の車を追い抜いてゆく。ピエトロもそれに追随して、間近に迫った車を何とかすり抜ける。 今まで近場の市街地を運転するだけで、自分の運転で遠出らしい遠出をしたことのなかったピエトロはきっちりと法定速度を厳守しており、今まで殊更スピードを出すこともなかった。そんな初心者マークがアクセル踏みっぱなしの三桁速度でハイウェイをぶっ飛ばしている。 束の間他の車の姿が消え、前方を走るのは目標のワンボックスだけになる。 三十メートルほど後方につけると、ハッチバックのガラス窓からエステルが見えた。エステルの方でも追跡する此方に気付いたらしく、窓に両手をぴったりとくっ付けて何事かを叫んでいる。きっと、此方の名を呼んでいるのだろう。 「すぐ助けてやる……!」 ハリウッド映画のようにカーチェイスで誘拐犯たちの車に頑丈なリムジンのボディをぶつけ、無理矢理停車させてやろうかとも思ったが、向こうにはエステルが乗っている。彼女が万一傷つくような行動は取れない。 助手席のダッシュボードの中にはもしもの場合に備えて拳銃も一挺用意されている。それを使用することになる可能性も今のうち考慮しておく。 と、前方のワンボックスの助手席の窓が開き、誘拐犯のひとりが発砲してきた。 特別防弾使用のリムジンは拳銃程度ではびくともしないが、フロントガラスに銃弾が命中し鈍い音が響くと、免許を取ったばかりのピエトロはどうしても怯まざるを得ない。ハンドル操作を誤り、大きく蛇行して反対車線まで飛び出してしまう。 危うく対抗の大型トラックに激突してしまいそうになるも、力の限りステアリングを切って危ういところでやり過ごす。更にありったけアクセルを踏み込み、ぴったりとワンボックスにつけると、やがて誘拐犯たちは逃走を諦めたのか、それとも目的地に近付いたのか、全速力で料金所を通過しハイウェイを降りて一般の田舎道へと進路を取った。 ピエトロもそれに追随する。やがてワンボックスが到着したのはフェルネットの王国の国境、うら寂しい田舎道の脇にあるどこから見ても廃墟と分かるモーテルだった。 誘拐犯の男たちが三人、車を乗り捨ててモーテルへ立て籠もろうとする。うちひとりはエステルの右手首を掴み、無理矢理引っ張っていく。 「ぴえとろ、ぴえとろぉ!」 「――エステル!」 よく知るファミリーの構成員ではない、見知らぬ男たちに無理矢理手を引っ張られる痛みと恐怖にエステルが泣き叫ぶ。 ピエトロも車から転がるように出、妹の名を呼ぶ。ダッシュボードから取り出した拳銃を握りしめ、誘拐犯たちと対峙する。 「動くな……! その子を、エステルを離せ!」 「うるせえ! テメエこそ銃を捨てやがれ、でねえとこのガキィぶっ殺すぞ!」 誘拐犯の首魁とおぼしき男がエステルを盾にするように抱き寄せ、その頭に拳銃を押し当てる。 ピエトロは強く奥歯を噛み締めた。逆上した誘拐犯をこれ以上刺激して万一エステルに危害の及ぶようなことがあってはならないが、といって銃を手放してしまえばみすみす嬲り殺しになるだけであろう。 「その子が誰の娘か、理解しているのか? その子はエステル・フェルネット、フェルネット・ファミリーのゴッドファーザー、ルカ・フェルネットの一人娘だぞ……!」 「ルカ・フェルネットだとぉ? 何をデタラメを……」 ざわ、と誘拐犯たちが動揺を見せる。マフィアにもなり切れないチンピラでも、この地域一帯を取り仕切るマフィアであるフェルネット・ファミリーの名は知っているらしい。 普通ならば到底信じられない荒唐無稽な法螺話だろうが、実際のところ男たちの攫った少女はその辺りの同年代の子どもたちとは比較にならないほど上等な衣服を着ているし、御付きの男と少年のスーツも仕立てが良く、なおかつリムジンは拳銃の弾などものともしない完全防弾使用だ。 それらの要素を加味すると、あながち出鱈目を言っているとも限らない……と、誘拐犯たちも遅まきながらに理解したようだった。苛烈で知られるルカ・フェルネットの身内を誘拐しようとした人間に対してファミリーがどういった報復に出るのかも、自分たちの犯した罪の重大さも。 「お、おい……」 「う……、うるせえ!」 すっかり尻込みしてしまったらしい仲間の声を、首魁の男が振り払う。 「こうなったら、ガキをネタに金をゆすり取るまでよ! フェルネットといやぁ押しも押されぬ一大ファミリーだ、さぞかし貯め込んでいやがるんだろうしなあ!」 「……愚かな連中め……!」 誘拐犯と睨み合い、重苦しい空気が流れる。相手は三人、対してこちらはひとりだ。ピエトロの米神を嫌な汗が流れ落ちる。 せめて、一瞬でもこの膠着状態を打破できれば――。 そんなピエトロの思考が伝わったのかは定かではないが、誘拐犯に抱きすくめられていたエステルが束の間ぴたりと泣くのをやめ、むぅぅ……と眉間に皺を寄せる。 そして次の瞬間には大きく口を開けたかと思うと、 「ぎゃっ!」 思い切り、男の腕に噛みついていた。 まさか、年端も行かない少女に反撃されるとは思いもよらなかった男が奇をてらわれ、悲鳴を上げる。 「このガキッ!」 激高した男がエステルの右頬を張る。エステルは小さく悲鳴を上げて倒れた。 「エステル!!」 妹が作ってくれた千載一遇の好機、これを逃す手はない。首魁の男へ向けて素早く拳銃を乱射すると、男は小さく呻き声を上げて仰向けに崩れ落ちた。 すかさずルカの薫陶を受けた挙動で駆け出し、残りのふたりのうち片方に思い切り肩からぶつかって、倒れた頭へ至近距離からの銃弾を一発。次いで仲間が斃れたことに怯んでいる最後のひとりへマガジン内のありったけの銃弾を叩き込んでやると、誘拐犯は上半身のあちこちから血飛沫をあげて絶命した。 「ぴえとろぉーっ!」 「エステル……!」 駆け寄ってきたエステルが思い切り抱き着いてくる。ピエトロも残弾のなくなった拳銃を放り捨て、片膝立ちでエステルを抱き留めて無事を確認する。 結果的にエステルに助けられた形だ、エステルが首魁に噛みつかなければ、不利な状況を打開することは不可能だった。 「エステル、怪我はない? よかった……」 今になって恐怖がぶり返してきたのか、わんわんと声をあげて泣くエステルをぎゅっと強く抱き締める。 危ういところだったが、主から預かった大切な妹を何とか守り通すことができた。随分と時間を食ってしまった、負傷したアッティーリオのことも心配だ。早くサービスエリアまで戻らなければならない。 しかし。 不意に背後から感じた殺気に、ピエトロは咄嗟にエステルを抱きすくめるとその場から素早く飛び退いた。 そして、銃声。今しがた兄妹の立っていた地面に弾痕が刻まれる。 見れば、最初にピエトロの撃った銃弾を浴びたはずの首魁の男が左肩から血を流し、右手に拳銃を持って立っていた。 「ふざけやがって……このクソガキどもが……!」 どうやら殺しそこなったらしい。確かに他のふたりと違い、ピエトロは首魁の男が仰向けに倒れたところまでは確認したが、息の根が止まったかどうかまでは確認しなかった。 男は仲間を殺され、自身も手傷を負ったこと、そして子どもに反撃を許したことに対して憎悪と憤怒を漲らせている。 「大人しくするなら生かしといてやろうかと思ったが、舐めやがって……! フェルネット・ファミリーのガキだろうが構わねぇ、ブッ殺してやる!」 「む……」 「てめえらの首は箱詰めにして親父の許に送り付けてやるよ。大切な一人娘をブッ殺されたとなりゃ、武闘派で知られたゴッドファーザーもさぞかし悔しがるだろうぜ!」 此方は唯一の武器であった拳銃の弾を撃ち尽くし、放り捨ててしまった。ただ抱き合うしかない兄妹の姿に自身の優位を確信し、男が嗤う。 だが、この場で笑ったのは誘拐犯の男だけではなかった。 「……ふ」 ピエトロもまた、エステルをしっかりと抱きしめながら口角に笑みを浮かべる。 男は激高した。 「てめえ、なに笑ってやがる!」 「僕たちをブッ殺す? ボスのところへ首を送り付けるだって? そんなことが、お前のようなチンピラ以下のクズに出来ると本当に思っているのか?」 くくッ、とピエトロは男を挑発するようにせせら笑う。 「無理だな。お前には殺せない……命には軽重がある。お前のような人間が奪うには、僕とエステルの命は価値がありすぎる」 「うるせえ! 何が価値だ、そんならお望み通りにブッ殺してやる!」 「……いいや、もう無理だ。なぜなら……何も持たず生まれ、そして今何も成さずに死んでゆくお前と違って――」 ピエトロが笑みを深める。と、モーテルに面した田舎道に次々と厳つい黒塗りのリムジンが現れ、モーテルの周囲を取り囲んだ。 更に、中から黒服に身を包んだマフィオーソたちが手に手に銃を持って下りてくる。 言うまでもなくフェルネット・ファミリーの構成員達だ。ルカは万一の場合に備えて部下に命じ、ピエトロが屋敷を出発したときから付かず離れずの距離でリムジンの警護をさせていたのだ。加えてエステルの肩から提げているポーチの中にはGPSが入っており、その居場所も逐一モニターされていた。 ピエトロは事態を把握した護衛が自分たちのところへ到着するまでの間、時間稼ぎをしていれば良かったのだ。そして、その役目は完全に達成された。 マフィオーソたちが男へ一斉に銃口を突き出す。エステルを抱きしめたままゆっくり立ち上がると、ピエトロは絶望的な表情を浮かべている男を見遣り、 「――僕とエステルには、神の恩寵があるのだから」 と、言った。 ドライブを終えて数日後、ピエトロは主人であるルカの執務室に呼ばれた。 「アクア―リオ・セントラーレを買収することにした」 大きな執務机越しにいつも通り無表情で椅子に腰掛けている主が、やにわに切り出す。 「アクア―リオ・セントラーレ……? あの水族館ですか? 以前エステルと遊びに行った……」 「そうだ」 ピエトロが訊き返すと、主は頷いた。 アクア―リオ・セントラーレはこの街の港湾地区にある巨大な水族館である。六メートルの巨大水槽の他、海獣のショーなども人気を博しており、ファミリー層のレジャーからカップルのデートスポットまで幅広い用途に使われる人気の施設だ。 自分とエステルもかつてルカに連れられ、遊びに行ったことがある。シロイルカのショーがたいそう気に入ったエステルが、体長三メートルほどもあるシロイルカを連れて帰りたい、屋敷で飼いたいと駄々を捏ね、大いに手を焼いたものだ。 「エステルが気に入っていただろう。先日のこともある、やはり遠出をさせるよりは近場で遊ばせた方が安全だ。それに湾岸道路建設の兼ね合いもあり、コネクションの手中に収めるのが得策と判断した」 「は……」 無聊を慰めるつもりで遠距離のドライブに送り出したら、誘拐犯に狙われた。同じ過ちを繰り返さないためには、目の届く街の周辺の施設で遊ばせておいた方がいいという親心だろうか。 加えて、湾岸道路が完成すればフェルネットの王国は今にも増して莫大な富を得ることができるようになる。 そのために、基点となる港湾部の主要な施設はすべてフェルネットの所有物にしてしまおうとの算段であろう。それにしても、計画の一部とはいえ娘のために水族館を丸ごと手に入れようとは、桁外れにスケールの大きな話である。 と、思ったのだが。 「オーナーはお前だ、ピエトロ」 「えっ?」 突然の指名に、ピエトロは思わず頓狂な声を上げてしまった。 「僕が? アクア―リオ・セントラーレのオーナー……?」 「そうだ。経営母体の代表取締役に就任して貰う……と言っても名義上のものだ、実際の運営は不動産部門の下部組織が行う。お前は何もしなくていい、従来通りだ。記念の式典などには顔を出す必要があるだろうが、年に数回のことだ」 ルカの説明を黙して聞く。自分は完全な名前だけのお飾りオーナーで、業務など何もないのだという。 「承知致しました」 慇懃に会釈する。主の決めたことだ、最初からそうするつもりで遥か以前から根回しを行い、あとはもう調印だけ――といったところまで段取りを整えているのだろう。元々主命とあらばピエトロに否やはない、やれと言われれば受けるだけであるが、それにしても突然水族館のオーナーをやれという主の意図がいまいちよく分からない。 しかし―― 「お前がオーナーをする水族館の経営母体は、元官民共同出資の第三セクターだ。つまり政府とも繋がりのある“白い”会社ということになる」 ルカが再度口を開く。 「……お前が欲しがっていた、あの車の購入審査も通るだろう」 「あ……!」 そこまで言われて、ピエトロはやっと自分を水族館のオーナーに推したルカの真意を察した。 昨年のモーターショーの折、ピエトロがブガッティ・ヴェイロンを食い入るように見詰めていたのを、ルカは今もなお覚えていたのだ。 あのときは、新米マフィオーソので裏社会の住人である自分には手に入れる資格がないと折角の申し出を断ってしまった。が、水族館のオーナーならば話は別だ。どこからどう見てもホワイトな肩書は、審査にはうってつけだろう。 先日のドライブで見事エステルを誘拐犯から守り切った、そのご褒美――ということだろうか? 偶々参加したモーターショーでの、ごく短く他愛ない遣り取り。 それを神と敬い慕う主が覚えていてくれたこと、そして願いの実現のために手回しをしてくれたことが嬉しい。 「ありがとうございます、ボス……! ピエトロ・ベルッチ、謹んで拝命いたします!」 ピエトロが嬉しそうに笑うと、ルカもまたほんの微かではあるが、双眸を細めて応えた。 「また、レディ・ヴェイロンといちゃいちゃしてる」 そして、現在。ピエトロが貴重な休日を費やして屋敷のガレージ前で愛車ヴェイロンの洗車をしていると、様子を見に来たエステルが呆れ顔でそう言ってきた。 「最近は構ってやれていなかったからな。誰かさんと一緒で、放っておくとすぐに機嫌を損ねてしまう。いざというときに臍を曲げてしまわないよう、メンテナンスは怠らないようにしなくては」 燦々と降り注ぐ日差しの下でジャケットを脱ぎ、ワイシャツの袖を肘まで捲ってゴムホースとブラシを手に振り返る。 屋敷の大きなガレージにはヴェイロンの他に数台のリムジン、ハマー等が収納されている。そういった車両はもっぱら部下たちが洗車をしていたが、ヴェイロンの手入れだけはピエトロが手ずから行い、他人には絶対に任せようとしない。 そうして念入りに状態をチェックし、オイルを新品に交換し、窓もボディもタイヤに至るまでピカピカに磨き上げると、一日があっという間に終わってしまうのだ。 「誰かさんって誰のことかしら。もう……ピエトロのばかっ」 兄が自分そっちのけで愛車ばかり構っている様子に、エステルが不機嫌そうに唇を尖らせる。 「そう怒るな、もう少しで終わる。……うん、今日は格別調子がいいらしい」 妹を宥めながら運転席に乗り込み、シートに座る。最後にエンジンをかけて音を確認すると、ピエトロは満足げに頷いた。 車から降り、車体の周りに散らかしたままの工具を片付ける。屋敷の中で手と顔を洗い、腕捲りしていたシャツを直してジャケットに袖を通す。 やっと自分が構って貰える番になったかと、エステルが喜色を湛える。 「終わった? それじゃあ――」 「いや、まだ最後の確認がある」 「えぇ……?」 エステルはまだ何かあるのか、と不満も露わに眉を顰めた。 そんな妹の反応をよそに、ピエトロは助手席側へ回るとドアを開く。 「何してる、早く乗らないと置いていくぞ」 「……?」 最後の確認があるんじゃないのか、とエステルが怪訝な表情を浮かべる。 「試運転と、乗り心地の確認。行きたくないか?」 「……行きたい!」 表情がころころと変わる。機嫌の悪そうな様子も一転、エステルは嬉しそうに助手席に乗り込んだ。ドアを閉め、ピエトロも反対側へ回って運転席に乗り込む。 「近場でいいなら、好きなところへ連れて行ってやる。どこかリクエストは?」 「じゃあ、セントラル・スクエアのモンテ・ドラートに連れてって! サンドラのオフィスで食べたとき、あそこのケーキがすっごく美味しかったから! また食べたぁい!」 「了解、レディ」 妹の食い気に微笑みながら手短に応え、ギアをドライブに入れる。ハンドルを握ってステアリングを切ると、車は滑るように移動を開始した。 子どもの頃に憧れた夢のハイパーカーが、今は自分の手の中にある。 それ自体例えようもない幸福ではあるけれど、それでも。妹のことは決して疎かにはしない。 第一この車を欲しいと望んだのも、元はと言えばエステルと一緒にこんな車でドライブができたらどんなにか楽しいだろう、と思ってのことだったのだ。 そして、その夢もまた叶えられている。 掛け替えのない大切な、愛しい妹を隣に愛車を駆る。その幸福を噛み締めながら、ピエトロはぐっとアクセルを踏み込んだ。 〈了〉
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日記/2014年06月22日(SUN)/今日のまとめ 2014-06-23 【ニュース記事一覧】 ALPS 全系統で汚染水の処理を再開 NHKニュース 都議会やじ 自民が全員から聞き取り NHKニュース 都議会やじ 欧米メディアが批判 NHKニュース 拉致家族 再調査を前に緊急集会 NHKニュース 北陸新幹線 車両基地を報道公開 NHKニュース 貨物列車脱線 1キロ手前の枕木に傷 NHKニュース イネの農薬がミツバチ大量死の原因か NHKニュース 事実婚夫婦の体外受精を正式容認 NHKニュース 世界遺産登録の富岡製糸場にぎわう NHKニュース 若者1000人が集団的自衛権反対訴え NHKニュース 日本維新の会 解党・分党を正式決定 NHKニュース 戦没者の遺骨収集加速へ 自民が法案 NHKニュース 防衛装備品 長期契約可能になるよう調整 NHKニュース 河野氏本人の国会招致も検討を NHKニュース タイ 軍のクーデター宣言から1か月 NHKニュース エジプト同胞団183人に死刑判決 NHKニュース アフガンで爆発 和平担当幹部狙ったか NHKニュース ウクライナ 停戦宣言後も各地で戦闘 NHKニュース イスラエル側に死者 シリアへ報復の砲撃 NHKニュース 中国軍高官 ベトナムなどけん制 NHKニュース 韓国軍兵士が銃乱射し逃走 5人死亡 NHKニュース ALPS 全系統で汚染水の処理を再開 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015412031000.html ALPS 全系統で汚染水の処理を再開 6月22日 14時06分 東京電力福島第一原子力発電所の汚染水の処理設備「ALPS」は、トラブルで止まっていた1系統が22日午前、運転を再開し、3か月ぶりにすべての系統で処理を再開しました。 福島第一原発の汚染水の処理設備「ALPS」は、ほとんどの放射性物質を取り除くことができるとされる要の設備ですが、先月20日にトラブルで3系統すべてで処理が止まり、その後は再開した2系統での運転が続いていました。 東京電力によりますと、残る1系統についてフィルターなどを交換した結果、22日午前9時に再開し、3系統すべてで処理が再開しました。 3系統が同時に動くのはことしの3月以来、3か月ぶりです。 ALPSは1日に750トンの汚染水を処理することができるとされ、ことし4月から本格的な運転に入る計画でしたが、トラブル続きで安定した運転に入ることができない状態が続いています。 今回も3系統すべてで再開したものの、配管の接続部に腐食による隙間が見つかり、カバーを設置するため、すでに来月2系統の処理を一時的に停止することが決まっていて、安定運転のめどは依然立っていません。 都議会やじ 自民が全員から聞き取り NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015415321000.html 都議会やじ 自民が全員から聞き取り 6月22日 17時48分 東京都議会の一般質問で女性議員が質問を行った際、一部の議員から「早く結婚したほうがいいんじゃないか」などとやじが飛んだ問題で、議席からやじが聞こえたと指摘されている自民党は、所属する議員全員を対象に聞き取り調査をしています。 ただ、会派内の一部の議員には「みずから名乗り出たほうがいい」という意見もあり、自民党の対応に注目が集まっています。 この問題で都議会の自民党は会派の議席からやじが飛んだという指摘を受け、翌日の19日から所属する59人の議員全員を対象に、幹部が聞き取り調査をしています。 幹部によりますと今のところ、やじを飛ばしたと認める議員はいないということで、週明けの23日以降も調査を続けることにしています。 自民党では23日、所属する議員全員を集めた総会が開かれますが、この問題について意見が出ることも予想され、会派内の一部の議員には「調査を待たずに、みずから名乗り出たほうがいい」という意見もあります。 自民党の吉原修幹事長は「やじであっても問題発言であり、うちの会派から出たと指摘されている以上、調査をしなければいけない。早急に確認を取り対処したい」と話しています。 一方、自民党以外の会派からも「そもそも本人が自分から早く名乗り出て謝罪すべきだ」といった批判や、「再発防止に向けて議会として議論するべきだ」という意見が出ていて、自民党の対応に注目が集まっています。 都議会やじ 欧米メディアが批判 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015414131000.html 都議会やじ 欧米メディアが批判 6月22日 19時54分 東京都議会で質問をした女性議員に「早く結婚したほうがいいんじゃないか」などとやじが飛んだ問題について、欧米メディアも「差別的な発言だ」と批判する論調で伝えています。 このうちイギリスの新聞ガーディアンは、電子版で「東京都議会で女性議員が男性議員から性差別的な暴言を受ける」という見出しを付けた記事を掲載し、日本では女性議員の数が少なく女性の地位の低さを反映したものだと分析しています。 またアメリカの大手経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、やじを受けた塩村文夏議員へのインタビューを電子版で掲載し、「女性を軽視する議員には、結婚や出産をしたくてもできない女性たちのことを理解したり、支援する政策を立案したりすることはできない」という塩村議員の発言を紹介しています。 ロイター通信は、安倍政権が「女性の活躍」を成長戦略の柱の1つに掲げ、2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%程度にすることなどを目標としているものの、現在、日本では多くの女性が出産すると仕事を辞めるよう勧められると批判的に伝えています。 ネット上でも批判広がる 今回の問題は、インターネット上でも批判が広がっています。 やじを飛ばされたみんなの党の塩村文夏議員が、当日、ツイッターで「悩んでいる女性に言っていいことではない」などと反発したことが波紋が広がるきっかけとなり、「リツイート」と呼ばれる引用は22日午後5時までに3万件に達しました。 さらに、複数の会派が「やじは自民党の議席周辺から聞こえた」と指摘したことで、自民党東京都連に対して発言者の特定や厳正な処分を求める「ネット署名」も急速に賛同者を集めています。 署名を行っているのは「東京都議会における差別発言を許さない市民一同」というグループで、「Change.org」という署名サービスを使って行われています。 賛同者の数は22日午後5時までに7万件を超え、賛同者からは「すべての女性の人権を踏みにじる発言だ」という意見や、発言者の辞職を求めるコメントも寄せられています。 拉致家族 再調査を前に緊急集会 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015416231000.html 拉致家族 再調査を前に緊急集会 6月22日 18時48分 日本と北朝鮮の間で拉致被害者などの再調査に向けた調整が続くなか、被害者の家族が緊急の集会を開き、家族からは不十分な結果で幕引きが図られないよう、政府に妥協のない交渉を求める声が相次ぎました。 先月行われた日本と北朝鮮の政府間協議で、北朝鮮は拉致被害者を含む日本人行方不明者の調査を行うことを約束し、近く調査委員会の設置を巡って協議が開かれることになっています。 これを受けて拉致被害者の家族が東京で緊急集会を開き、はじめに家族会代表で田口八重子さんの兄の飯塚繁雄さんが「日朝関係が少しずつ動きだし、結果に近づくためのプロセスが見えてきた。この千載一遇のチャンスを全員で注視していきたい」と話しました。 このあと家族一人一人が訴えに立ち、横田めぐみさんの母親の早紀江さんは、前回の再調査のときに北朝鮮が出してきた「めぐみさんのものだ」とする遺骨から別人のDNAが検出されたことに触れ、「今度は何をしてくるのか、危機感を感じながら過ごしています。拉致という犯罪行為の被害者がまだ向こうにいることを忘れないでほしい」と訴えました。 また田口八重子さんの長男で拉致当時1歳だった飯塚耕一郎さんは「北朝鮮が一部の人だけを返して終わりにしないか、不安を拭いきれません。政府は事件の被害者をすべて取り戻す覚悟を持っていただきたい」と求めました。 有本恵子さんの母親の嘉代子さんは「北朝鮮が『死亡した』と説明している8人が亡くなっているとは思っていません。政府は8人が生存しているという前提で交渉に当たってほしい」と訴えました。 集会には拉致された可能性が排除できない特定失踪者の家族5人も参加し、一刻も早い真相の究明を求めました。 北陸新幹線 車両基地を報道公開 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015411941000.html 北陸新幹線 車両基地を報道公開 6月22日 14時06分 来年春の北陸新幹線開業に向けて整備が進められている、石川県白山市にある新幹線の車両基地が、22日、初めて公開されました。 白山市宮保町にあるJR西日本の白山総合車両所は、北陸新幹線の車両の精密な検査や修理を行う総合車両基地で、およそ26万平方メートルの敷地で整備が進められています。 22日は、車両の点検や修理を行う「台車検修庫」のほか、パンタグラフやブレーキ装置などを点検する「検修庫」が初めて公開されました。 このうち、「検修庫」には、JR西日本の新型車両、W7系が置かれていて、2日に1回、車両を点検するとともに、冬場にはレールの脇にあるスプリンクラーで台車に付いた雪を解かすということです。 また、22日は、地元の人たちおよそ500人を対象にした見学ツアーも行われ、参加者たちは、新型車両の最上級の客室「グランクラス」のシートの座り心地を確かめたり、記念撮影をしたりしていました。 参加した人たちは「グランクラスは車両の内部やシートがゆったりしていて、気持ちがよかった」とか、「ぜひ新幹線に乗って東京まで行ってみたい」などと話していました。 北陸新幹線は、8月からは石川県内でも走行試験が始まり、来年春の開業に向けた準備が本格化します。 貨物列車脱線 1キロ手前の枕木に傷 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015411491000.html 貨物列車脱線 1キロ手前の枕木に傷 6月22日 13時14分 22日朝早く北海道南部の木古内町のJR江差線で貨物列車が脱線した事故を受け、線路を管理するJR北海道が正午から記者会見を開き、西野史尚副社長が陳謝するとともに、列車が止まっている現場の1キロほど手前の枕木に脱線した跡のような傷があることを明らかにしました。 会見の冒頭、西野副社長は「原因の究明はこれからだが、利用客の皆さんに多大なるご心配とご迷惑をかけ、深くおわび申し上げます」と陳謝しました。 そのうえで、西野副社長は、列車が止まっている現場の少なくとも1キロほど手前にあるコンクリート製の枕木に、脱線した跡のような傷があることを明らかにしました。 JR北海道によりますと、傷が見つかった枕木付近のレールについては、今月4日に定期検査を行っていましたが、補修が必要とされるような異常は見つかっていなかったということです。 JRは、国の運輸安全委員会の調査が終わりしだい、復旧作業にあたるとともに、社内調査を行って脱線の原因究明を進めることにしています。 イネの農薬がミツバチ大量死の原因か NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015409691000.html イネの農薬がミツバチ大量死の原因か 6月22日 10時38分 イネの害虫の駆除に使われる農薬が、ミツバチが大量に死ぬ被害の原因となっている可能性が高いことが分かり、調査を行った農林水産省は農薬を散布する際には、ミツバチにかからないよう注意してほしいと呼びかけています。 農林水産省は、全国各地で起きているミツバチの大量死が農薬の散布と関係しているのではないかという養蜂家などからの指摘を受け、ことし3月までの10か月間に全国69か所で起きた大量死の原因を詳しく調べました。 その結果、全体の9割近くに当たる61か所でイネの栽培がすぐ近くで行われ、ミツバチの死骸からもイネに使われる農薬が検出されるなど農薬が被害の原因となっている可能性の高いことが分かったということです。 このため農林水産省では、当面の対策として水田の近くでのミツバチの飼育はできるだけ避けることやミツバチの活動が盛んな時間帯は農薬の散布を避けるなどして、農薬がミツバチにかからないよう注意してほしいと呼びかけています。 農林水産省は再来年まで調査を続けることにしていて、「検出された農薬は複数あるのでどの農薬が影響しているかさらに詳しく調べたい」としています。 事実婚夫婦の体外受精を正式容認 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015407651000.html 事実婚夫婦の体外受精を正式容認 6月22日 6時44分 不妊治療で広く行われている体外受精について、日本産科婦人科学会は、これまで法律上の夫婦に限るとしていた学会のルールを改め、婚姻届を出さないいわゆる事実婚の夫婦にも認めることを正式に決めました。 これは、全国の産婦人科の医師で作る日本産科婦人科学会が21日開いた総会で決めたものです。 学会は昭和58年に定めた会告で、体外受精を行えるのは法律上の夫婦に限るとしていました。 しかし、夫婦の在り方が多様化し、婚姻届を出さない事実婚も広く受け入れられるようになってきたことなどから、事実婚の夫婦についても体外受精の実施を認めることを正式に決めました。 また、卵子や受精卵の凍結保存についても、同じように事実婚の夫婦にも認めることになりました。 学会の倫理委員会の苛原稔委員長は「多様な夫婦関係があるなかで、子どもを持ちたいという希望に応える必要がある。大事なのは、生まれる子どもの福祉に責任を持つということだ」と話しています。 世界遺産登録の富岡製糸場にぎわう NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015410881000.html 世界遺産登録の富岡製糸場にぎわう 6月22日 12時07分 21日に世界遺産への登録が決まった群馬県の富岡製糸場では、登録の決定から一夜明けた22日午前中から大勢の観光客が訪れてにぎわっています。 群馬県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」は21日、中東のカタールで開かれているユネスコの世界遺産委員会で世界文化遺産に登録することが正式に決まりました。 世界遺産の登録の決定から一夜明けた22日、富岡市はあいにくの雨となりましたが、午前9時の開門前には富岡製糸場の入り口に観光客が500メートル余りの長い列を作り、開場されると一斉に敷地に入り、ボランティアの説明を聞いたり建物を写真に収めたりしていました。 富岡市によりますと、22日の来場者は例年の日曜日のおよそ5倍に当たる5000人が訪れると見込まれ、ボランティアの案内の数を増やすとともにマイクを使うなどして対応するということです。 静岡県から訪れたという50代の女性は「何年も前から来たいと思っていましたが、世界遺産に登録が決まったので訪れました。当時のフランスの技術の高さと日本の活気を感じました」と話していました。 また富岡市の富岡製糸場課の石田明久課長は「開門前から大変多くの人に来ていただき、本当にありがたい。これからも管理して多くの人に機械や建物を見てほしい」と話していました。 若者1000人が集団的自衛権反対訴え NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015415851000.html 若者1000人が集団的自衛権反対訴え 6月22日 18時32分 集団的自衛権などを巡る与党協議が続くなか、若者が参加して憲法について考える集会が東京都内で開かれ、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に反対を訴えました。 東京・目黒区で開かれた集会には、学生や若手の労働組合員など、主催者の発表でおよそ1000人が参加しました。 集会では、10年前イラクで武装勢力に拘束されたことがあり、今もイラクの人たちへの医療支援活動を行っている高遠菜穂子さんが講演しました。 この中で高遠さんは「集団的自衛権を行使して自衛隊が戦争に参加するようになると、戦場で誤って民間人を殺害してしまうおそれもある。日本に対する海外の見方も大きく変わり、私も含め紛争地域で支援活動をする人たちにも影響が出てくる」と指摘しました。 集会のあと、参加した若者などは東京・渋谷区でデモ行進し、政府に対し集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更を閣議決定しないよう訴えました。 参加した大学3年生の女性は「政府だけで議論を進めているのは違和感を感じるので、私も含めて若い人たちも憲法について勉強し、みんなで議論できる環境を作りたい」と話していました。 日本維新の会 解党・分党を正式決定 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015414721000.html 日本維新の会 解党・分党を正式決定 6月22日 19時41分 日本維新の会は大阪市内で臨時の党大会を開き、来月末をめどに党を解党したうえで、石原共同代表と橋下共同代表のそれぞれの党に分党することを正式に決めました。 おととしの秋に結成され、合流や衆議院選挙を経て野党第2党となった維新の会の分党は、野党再編など今後の政界の動きに影響を与えることになります。 日本維新の会は先月、結いの党との合流を巡る意見の違いから分党する方針を決め、党所属議員62人のうち37人が橋下共同代表のグループに、23人が石原共同代表のグループに参加するほか、2人が無所属で活動することになっています。 維新の会はこうした方針を正式に決定するため、党の規約に基づいて、大阪市内で臨時の党大会を開きました。 この中で橋下氏は「私のトップとしてのマネジメント不足で分党することになり、申し訳ない。もう一度原点に立ち返り、健全な野党として、与党や安倍政権に協力できるところは協力する一方、チェック機能も果たしていく」と述べました。 また石原氏は東京からインターネットの中継システムを使って参加し、「結いの党は、憲法に対する考え方などで、私たちの政治信条とは全く相いれないので、たもとを分かつことを理解してほしい。今後も互いに力を合わせるところは合わせていきたい」と述べました。 そして維新の会は来月末をめどに党を解党したうえで、石原氏と橋下氏のそれぞれの党に分党することを全会一致で決めました。 双方のグループでは、この決定を受けて新党の結成に向けた準備を加速させることにしています。 おととしの秋、橋下氏を代表に結成された日本維新の会は、石原氏が率いる太陽の党との合流を経て、石原・橋下両氏の2枚看板で衆議院選挙に臨み、野党第2党となりましたが、2年足らずでたもとを分かつことになり、維新の会の分党は野党再編など今後の政界の動きに影響を与えることになります。 戦没者の遺骨収集加速へ 自民が法案 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015407231000.html 戦没者の遺骨収集加速へ 自民が法案 6月22日 4時16分 自民党の特命委員会は、戦後70年となる来年以降、海外などに残されたままの戦没者の遺骨収集を加速させるため、埋葬地の掘削や遺骨の鑑定を迅速に行う専門の組織を厚生労働省の下に新たに設けるなどとした法案を、秋の臨時国会に提出する方針です。 政府によりますと、海外の戦地などで亡くなり、まだ遺骨が見つかっていない戦没者はおよそ110万人に上っていて、自民党の特命委員会は、戦後70年となる来年以降、遺骨収集を加速させるため、国を挙げて取り組む体制を整え、対策を充実させるべきだとしています。 そのうえで、具体策として、埋葬地の掘削や遺骨の鑑定を迅速に行う専門の組織を、厚生労働省の下に新たに設けることや、在外公館に外国の公文書館などで戦没者の情報を収集する担当官を置くことなどを挙げています。 自民党は、こうした内容を盛り込んだ法案を秋の臨時国会に議員立法で提出し、成立させたいとしています。 防衛装備品 長期契約可能になるよう調整 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015407151000.html 防衛装備品 長期契約可能になるよう調整 6月22日 5時26分 防衛省は、防衛装備品の取得を巡り、受注企業との間で、今は原則として禁止されている5年を超える長期契約を可能にして調達コストの削減につなげようと、自衛隊法などの改正に向けて政府内の調整を進めています。 防衛省は先週、防衛装備品の取得などを巡る新たな戦略を決定しました。 この中では、装備品の取得について、今は政府調達に関する財政法の規定で原則として禁止されている5年を超える長期契約を可能にし、受注企業が長期間にわたる生産計画に基づいて、効率的な設備投資や素材や部品の大量発注を行えるようにすることで、コストの削減につなげるとしています。 これを受けて、防衛省は、防衛装備品の取得に限っては、財政法の規定の例外として長期契約が可能になるよう、自衛隊法などを改正して必要な条文を盛り込む方向で、財務省との調整を進めています。 河野氏本人の国会招致も検討を NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015410811000.html 河野氏本人の国会招致も検討を 6月22日 12時07分 自民党の萩生田総裁特別補佐は東京都内で記者団に対し、政府がいわゆる従軍慰安婦の問題を巡る河野官房長官談話の検討結果を公表したことに関連して、河野氏本人を国会に参考人として招致することも検討すべきだという認識を示しました。 政府は先週いわゆる従軍慰安婦の問題を巡り、謝罪と反省を示した平成5年の河野官房長官談話について、談話の作成に当たって韓国側と事前に綿密に調整していたなどとした有識者による検討結果を公表しました。 これに関連して自民党の萩生田総裁特別補佐は東京都内で記者団に対し「国民の前に事実が明確になっただけでも大きな前進で非常に意味がある。慰安婦の像を設置する動きなどがある国には英語版を作って事実を解説すればいい」と述べました。 そのうえで萩生田氏は、河野洋平元衆議院議長が検討結果を「正しくすべて書かれている」としていることについて、「河野氏が外で発言をしたいということであれば、国会に出てきて質疑に応じるのも1つの選択肢ではないか」と述べ、河野氏本人を国会に参考人として招致することも検討すべきだという認識を示しました。 一方、東京都議会で質問をした女性議員に「早く結婚したほうがいいんじゃないか」などとやじが飛んだ問題について、東京都選出の萩生田氏は「都議会の自浄能力を発揮してほしい。自分で名乗り出たほうがいい」と述べました。 タイ 軍のクーデター宣言から1か月 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015407611000.html タイ 軍のクーデター宣言から1か月 6月22日 5時26分 タイで軍がクーデターを宣言してから22日で1か月となります。 軍は市民生活や経済に混乱がないよう配慮する姿勢を見せていますが、議会選挙の実施までには1年以上かかるとしており、民政への復帰のめどが立たない状況に、不満もくすぶっています。 タイではインラック前首相に対する大規模な反政府デモが半年にわたって続いた末に、先月22日、軍が混乱の収束と政治的な対立の解消を図るためとして、クーデターを宣言しました。 軍はクーデターを受けてタイ全土に出していた夜間の外出禁止令を今月13日までにすべて解除したうえ、来年度の予算編成に予定どおり着手するなど、市民生活や経済に混乱がないよう、配慮する姿勢を見せています。 また各地で市民向けのイベントを開いたりサッカーのワールドカップブラジル大会を無料で放送するようテレビ局側に求めたりするなど、イメージの改善を図っています。 一方で、今後の政治プロセスについて、軍のトップであるプラユット陸軍司令官は、早ければ8月に暫定政権を発足させる方針を示し、メディアなどの間では自身が暫定首相に就く可能性も取り沙汰されています。 また議会選挙の実施までには1年以上かかるとしていて、民政への復帰のめどは立っていません。 軍は5人以上の集会を禁止したり、軍に批判的な報道を自粛するようメディアに求めたりして統制を強め、軍に対する抗議デモを抑え込んでいますが、インラック前首相の支持者を中心に不満もくすぶっています。 日系企業先行きに不安の声 軍によるクーデターの宣言から1か月がたつなか、タイに進出している日系企業の間では、先行きを不安視する声も上がっています。 首都バンコクでは、20日から2日間にわたって、現地の日系企業やタイに進出を検討している日本企業などを対象にした商談会が開かれました。 このうち、自動車部品の表面加工を行っている日系企業の代表は、「クーデター以降、受注の落ち込みが一段と大きくなっています。利益がでなければ給料も支払えなくなるので、早く状況がよくなってほしいです」と話していました。 また、日系の自動車部品メーカーの代表は、「事態が沈静化することを期待していますが、新しい政権ができてもまたクーデターによってひっくり返されるのではと心配です。事業計画を常に見直しながらやっていくしかありません」と話していました。 日系企業は、タイを東南アジアにおける重要な生産拠点と位置づけて、これまで積極的な投資を行っており、外国からタイへの投資額の6割を日本が占めています。 しかし、タイで繰り返される政治の混乱は、日系企業にとって、投資リスクの1つとして認識されるようになっており、混乱が長引けば、インドネシアやミャンマーなどほかの東南アジアの新興国に投資先を移さざるを得なくなるという指摘もあります。 一方、タイには首都バンコクを中心におよそ10万人もの日本人が住んでいるといわれ、現地の日本人社会からは事態の沈静化を願う声が聞かれました。 このうち、ことし4月からバンコクで暮らし始めたという女性は、「こちらに来てすぐにクーデターになり、分からないことばかりで怖かったです。事態の収束を願っています」と話していました。 また、別の女性は、「クーデターで反政府デモがなくなり、街なかも過ごしやすくなりました」と話し、秩序の回復をひとまず歓迎しながらも、「何が起こるか分からないので、早く落ち着いてほしいです」と不安をのぞかせていました。 エジプト同胞団183人に死刑判決 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015408061000.html エジプト同胞団183人に死刑判決 6月22日 5時26分 エジプトの裁判所は、政権と対立するイスラム組織、ムスリム同胞団の最高幹部や支持者ら183人に対して警察署の襲撃に関わったとして死刑判決を言い渡し、人権団体などからは「政治的な裁判だ」として、批判の声が上がっています。 エジプト中部のミニア県の裁判所は去年、地元の警察署が襲撃され、警察官1人が殺害された事件に関わったとしてムスリム同胞団の最高幹部のバディヤ団長をはじめ、同胞団のメンバーや支持者ら起訴された683人全員に対して、ことし4月、「死刑に相当する」という判断を示し、イスラム法の諮問機関に意見を求めていました。 エジプトの国営通信によりますと、諮問機関の意見を踏まえて裁判所は21日、このうち183人に死刑、2人に終身刑、498人に無罪の判決を言い渡しました。 この裁判所では別の警察署の襲撃事件でも、同胞団の支持者ら529人に対し、死刑または終身刑の判決を言い渡しています。 ムスリム同胞団は、去年の軍による事実上のクーデターで、同胞団出身の大統領が追放されたあと、今月新政権を発足させたシシ大統領と対立しています。 一連の裁判は実質的な審理が僅か2日間しか行われていないことなどから、人権団体や国際社会から「政治的な意図に基づく裁判だ」として批判や懸念の声が上がっています。 アフガンで爆発 和平担当幹部狙ったか NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015408071000.html アフガンで爆発 和平担当幹部狙ったか 6月22日 5時26分 大統領選挙の決選投票の開票作業が続くアフガニスタンの首都カブールで反政府武装勢力タリバンとの和平に向けた対話を担当する政権の幹部を狙ったとみられる爆発があり、幹部は無事でしたが、タリバンによる次期政権に対する警告との受け止めも出ています。 21日、カブール西部にある幹線道路で、アフガニスタン政府で反政府武装勢力タリバンとの和平交渉を目指す「高等和平評議会」のスタネクザイ事務局長が乗った車に近づいてきた別の車が突然爆発しました。 地元の警察によりますと、スタネクザイ事務局長にけがはありませんでしたが、爆発で近くにいた市民1人が死亡したほか、3人がけがをしました。 これまでのところ犯行声明は出ていませんが、警察は手口などからタリバンによる犯行とみて調べています。 スタネクザイ事務局長はカルザイ大統領の顧問も務める政権の幹部で、3年前、当時、高等和平評議会のトップだったラバニ元大統領が自爆テロで死亡した際、大けがをしています。 現在、アフガニスタンではカルザイ大統領の後任を決める大統領選挙の決選投票の開票作業が進められていますが、タリバンは今のところ、新政権ができたあとも対話に応じる姿勢は見せていません。 このため、今回の事件はタリバンによる次期政権に対する警告との受け止めも出ています。 ウクライナ 停戦宣言後も各地で戦闘 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015408171000.html ウクライナ 停戦宣言後も各地で戦闘 6月22日 7時22分 ウクライナのポロシェンコ大統領は、親ロシア派の武装集団との戦闘が続く東部で一方的な停戦を宣言しましたが、武装集団はこれに応じず、検問所を襲撃するなど、早くも停戦の実現が危ぶまれる状況となっています。 ウクライナのポロシェンコ大統領は20日、東部の事態の鎮静化を目指して、一方的な停戦を宣言したうえで、和平計画を発表しました。 これに対して親ロシア派は、21日、東部のドネツクで、武装集団のメンバー100人近くが集まり、和平計画を非難するとともに、市民を前に徹底抗戦を誓いました。 また、ウクライナ軍によりますと、ドネツク州では、ロシアとの国境の検問所が武装集団によって襲撃され、軍の兵士9人がけがをしたほか、軍の拠点も襲撃されて戦闘となり早くも停戦の実現が危ぶまれる状況となっています。 こうしたなか、アメリカのオバマ大統領は20日、ドイツのメルケル首相やフランスのオランド大統領と電話会談を行い、ロシアが事態の鎮静化に向けて具体的な行動を取らない場合は、追加制裁を科していく方針で一致しました。 ロシアのプーチン政権は20日、いったん和平計画に批判的な立場を示しましたが、21日になって、停戦や和平計画を支持するとした声明を改めて発表し、政権側と親ロシア派の武装集団の双方が停戦したうえで、交渉のテーブルにつくよう呼びかけました。 この声明は、欧米の厳しい姿勢を踏まえ、ロシアが事態の鎮静化に前向きに取り組もうとする立場を見せるねらいがあるとみられます。 イスラエル側に死者 シリアへ報復の砲撃 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015418001000.html イスラエル側に死者 シリアへ報復の砲撃 6月22日 23時00分 内戦が続くシリアからの境界線を越えた攻撃でイスラエル人1人が死亡し、シリア内戦が始まって以降初めてとなる自国民の死者に、イスラエル軍が報復の砲撃を行いました。 イスラエルが占領するゴラン高原で22日、シリアとの境界線沿いのフェンスを補修していた作業員を何者かが攻撃し、作業員の息子のイスラエル人の13歳の少年1人が死亡し、2人がけがをしました。 攻撃にどのような組織が関与しているのかは明らかになっていませんが、イスラエル軍は報復として、ただちにシリア側に向けて戦車による砲撃を行いました。 ゴラン高原では、3年前にシリア内戦が始まって以降、これまでも政権側と反政府勢力の戦闘の流れ弾とみられる砲弾がたびたび着弾していましたが、イスラエル側に死者が出たのは今回が初めてです。 イスラエル軍は声明を発表し、「攻撃は意図的に行われたものだ」として、今後も攻撃が続く場合はさらなる報復も辞さないと警告するとともに、シリアとの境界線付近での警戒を強めています。 中国軍高官 ベトナムなどけん制 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015416121000.html 中国軍高官 ベトナムなどけん制 6月22日 18時48分 中国軍の高官は、南シナ海での領有権問題を念頭に、「小さい国は強い者に頼って事を起こしてはならない」と述べ、ベトナムやフィリピンが国際社会と連携して解決を図ろうとする動きを強くけん制しました。 北京では22日、各国の外交官や学者らが集まって安全保障問題を話し合う「世界平和フォーラム」が開かれ、中国人民解放軍の孫建国副総参謀長が講演しました。 この中で孫副総参謀長は「小さい国は小さい国なりの責任があり、強い者に頼って事を起こしたり大きい国をばかにしたり、自分の利益のために地域の安全を損なったりしてはならない」と述べました。 この発言は、南シナ海の領有権問題を念頭に、対立する国々を「小さい国」と格下扱いしたうえで、ベトナムやフィリピンがアメリカなど国際社会と連携して問題の解決を図ろうとするのを強くけん制するねらいがあったものとみられます。 また孫副総参謀長は、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更を目指す安倍政権について「過去の歴史に対する反省が全くみられないばかりか、地域の緊張を高めている」と非難しました。 そのうえで「全世界の平和を愛する国と人々は、危険な道へ突き進む日本の右翼政府を警戒しなければならない」と主張し、歴史認識の問題を巡って国際世論を日本に批判的な方向に誘導したい思惑をうかがわせました。 韓国軍兵士が銃乱射し逃走 5人死亡 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20140622/k10015408151000.html 韓国軍兵士が銃乱射し逃走 5人死亡 6月22日 5時58分 21日夜、韓国の北朝鮮との軍事境界線近くで韓国軍の兵士がほかの兵士らに手投げ弾を投げたうえ、銃を乱射し、5人が死亡しました。 この兵士は銃を所持したまま逃走しているとみられており、軍や警察が行方を追っています。 韓国軍の当局者によりますと21日午後8時ごろ、韓国北東部カンウォン道コソン郡の北朝鮮との軍事境界線近くで、境界線の警備などを担当していた韓国軍の兵士が突然、ほかの兵士らに対して手投げ弾を投げたうえ、持っていた自動小銃を乱射しました。 これによって5人が死亡したほか、7人がけがをして、手当を受けています。 乱射した兵士は銃と実弾を所持したまま逃走しているとみられています。 現場は市街地とは離れているということですが、韓国軍と警察では検問を行うなどして兵士の行方を追っています。 また、これまでのところ、軍事境界線付近の柵を乗り越えて北朝鮮側に逃走した形跡はないということです。 韓国では2011年7月に兵士が銃を乱射して上官ら4人が死亡したほか、2005年にも兵士が銃を乱射して8人が死亡する事件が起き、いずれも部隊内でのいじめが原因とみられています。 名前 コメント ◇◆前へ/次へ/目次へ
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疾走する超能力者のパラベラムⅣ ◆hqt46RawAo ◆ 『作戦/疾走する恋情』 ◆ 走る。 とにかく走る。 僕は戦場ヶ原と共に、敵に向って走り続けた。 二人で一緒に、唯一の武器だけを抱えて挑む。 これまで見たことも無いほどの強大な敵へと。 恐怖は、ある。 正直逃げ出したくて堪らない。 けれど僕は、立ち止まるつもりなんて無い。 だって、隣には戦場ヶ原が居るのだから。 彼女が闘うと決めたのだ。 ならば僕も共に戦うに決まってる。 それが彼氏の役割ってもんだ。 「…………お………おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」 気が付けば、咆哮していた。 それは恐怖を紛らわすためか、自分を鼓舞するためか。 ただ勝つために。 そのために……。 僕は最後に、戦場ヶ原の目を見る。 彼女も僕を見ていた。 口では何も言わなかったが、彼女は目で告げている。 ただ一つ。 信じている、と。 全幅の信頼を僕に預けてくれている。 ならばもう迷いは無い。 行こう、戦場ヶ原。 一緒に闘って、ここを生き残って、そして帰ろう。 いままで失ってきた事もたくさん在るけれど、お前だけは僕が守ってみせる。 だから、絶対に勝とう。 全力で、ぶつかろう。 目の前の敵へと。 「「おおおおおおおおおッ!!」」 咆哮はやがて重なり合い、遂に敵の眼前へとたどり着く。 その時、一方通行の手が、我武者羅に動かされていた手が一つの薬ビンに触れたのが見えた。 それはありえない角度でぶつかったにも関わらず、ありえない軌道で僕等に向って飛来してきた。 かわすことなど到底出来ない。 しかし、それを阻んだのはやはりファサリナさんが使う円盤だった。 僕等の目の前で展開される電磁の盾が、一方通行の攻撃を通さない。 「て、めッ!」 一方通行の顔が青ざめていく。 僕らが引き金を引く瞬間、電磁の盾は示し合わせたように消滅する。 そして――。 カチリ。 そんなあっけない音と共に、終わりの燐光が輝いた。 ◆ 『破綻/LEVEL5 -accelerator- 』 ◆ 視界が、光に包まれる。 一方通行はこのゲームが始まって初めて、己が死に直面しているのを感じた。 「はッ……」 やまり、まだ解析しきれない。 時間が無い。 グラハムからの銃撃。 阿良々木と戦場ヶ原による銃撃。 同時に防ぐ事が出来ない。 「ははははははッ……」 徐々に、燐光に押し負けていく。 死が、ハッキリと見えた。 「はははははははははははッ!」 だが笑う。笑えるのだ。 己の死が、どうしようもなく笑えてしまう。 なぜか、どうしてなのか、それは分らない。 けれど、もしかしたら……。 (なンだァ……。まさか俺は……) こうなる事を、望んでいたとでも言うのか。 死ぬ事を、殺される事を、狂った自分を止めてもらえる事を。 その終わりを、願っていたとでも言うのか……。 (はッ……それこそ最高に笑っちまうなァ……) 馬鹿げている。 何故ならば……。 『おお、あったかいご飯はこれが始めてだったり、ってミサカはミサカははしゃいでみたり!』 耳に残るその声が……。 『誰かと一緒にいたいから、ってミサカはミサカは……』 その、存在が……。 「――死ねるかよ」 己を、縛る。 その逃避(死)を許さない。 決して、絶対に、逃がしはしない。 「死ねるかよォォォォォォォッ!!!!」 そう、だ。 逃げるわけにはいかない。 己が死ねば、誰が……。 誰がアイツを守ると言うのだ。 「ッ……うおォァァァァアァァァアッ!!!!」 叫ぶ。 その思いを叫びに変える。 脳回路を焼ききれるくらい酷使して、未知の二射線を死ぬ気で凌ぐ。 「オォォォォオァァァァァアァァァアァッ!!!!!」 だが長くは持つまい。 故に、射線を殺す。 射手を殺す。 それは直前に閃いた気転。 敵が己に有効な攻撃を頼みにするなら、己は己に無効であり、敵に有効な攻撃を――。 すなわち、自分にはノーダメージとなる自爆技。 それを成せるのはこの島でも一方通行だけだ。 こんな破綻した戦法を有効とするのは、彼だけだ。 一方通行は足元のディパックを思い切り蹴り上げる。 そこから飛び出してきたのは合計78発のショットガンの弾丸。 ただの弾丸ではない、戦国武将が行使する超大の炸裂弾。 その凄まじい量の散弾を、一方通行は意図的に、一斉に、暴発させた。 飛び散る弾丸の嵐は周囲全ての事象を巻き込んで。 小規模な爆発は互いに重なり合い。 この瞬間、一方通行を中心に半径十数メートルの空間が、凄まじい炸裂音と共に吹き飛んだ。 ◆ 『破綻/永久に』 ◆ 僕は失敗した。 それを理解する。 目の前が真っ赤になる。 もう少し、もう少しだったのに。 なのに駄目だったのか。 爆炎と砕けた銃弾の嵐に、僕達は包み込まれていく。 戦場ヶ原と共に握っていた銃器も、爆風に飛ばされていく。 これで終わり。これで死ぬ。 死ぬ。 死ぬ。 嫌だ。嫌だ。 嫌だ。 まだ、終わりたくない。 まだ死にたくない。 だって、これからだったんだ。 全部、ここからだったのに……。 やっと戦場ヶ原と会えて、そして一緒に戦うことを決めて。 そして、そして、絶対に守りきる事を決めたのに。 なのに。 なのに死ぬ。 「く……そ……」 僕は死ぬ。 それを知って。 終わりの刹那。 僕は最後に、隣にいる女の子の顔を見る。 「…………」 戦場ヶ原は何も言わない。 言う間もない。 だけど、笑顔だった。 最後に見た彼女は最高の笑顔で僕を見つめていた。 どんな時でも、こんな場合でも。 まるで僕の隣に居る事が、居るだけで、それが幸せなんだと。 胸を張って宣言するように。 僕もそれに返す言葉は無い。 そんな時間は無い。 だから代わりに、繋いだ手をぎゅっと握った。 絶対に、もう二度と離さない。離れないように――。 そして目の前が、黒く染まる。 まるでシャットアウト。 自己と世界が遮断されたような感覚。 無音。 突然。 全て。 これで終わり。 ■ 「……っ」 揺れる視界に構わず、グラハム・エーカーは立ち上がる。 全身にガラスの破片が突き刺さり、体中が血で滲んでいるが、頓着しない。 硝煙と土埃によって再び視界環境は最悪に落ち込んだ。 その中をよろよろと歩く。 歩きつつ叫んだ。 「阿良々木少年っ!」 その少年の名を叫ぶ。 「無事なのか……!? 阿良々木少年!!」 先の爆発は殺傷よりも、グラハムと阿良々木を吹き飛ばす事を目的とされた攻撃だった。 その要因があったからか、傷だらけになりながらも、グラハムは命を拾った。 だがグラハムよりも一方通行に接近していた阿良々木と戦場ヶ原がどうなったのかは分らない。 最悪の事態も想定して、グラハムは煙の中を進んだ。 「……!」 そして見る。 倒れ伏す二人分の影。 間違いなく、阿良々木と戦場ヶ原の二人だ。 「阿良々木少年!!」 近づいて、そして見る。 息を呑む。 そこにはおびただしい血溜まりがあった。 「阿良々……木……」 折り重なるように倒れている少年と少女。 それを中心にして、二人分の血液が流れ出している。 少年には、まだかすかに息があった。 体のあちこちに銃創が有ったが、奇跡的に致命傷を免れたのだろう。 だが少女は……。 「なんという……ことだ……!」 戦場ヶ原ひたぎは、死んでいた。 炸裂した散弾の一発に胸を貫かれ――即死だった。 少女は眠るように目を閉じて、普段の怜悧さなど欠片も感じさせない。 どこか安心したような安らかな表情で、阿良々木の手を握って絶命していた。 「…………くっ!」 グラハムは後悔する。 こうなるのであれば、無理やりにでも逃がしていれば良かったのだ。 こうなることが、分っていれば……。 だが彼は少年と少女の意思に、可能性を見てしまった。 この状況を打開する。その光を見、そして賭けてしまったのだ。 だが賭けはここに敗北を突きつけられる。 グラハムは悔やみながらも、道を見失う事は無かった。 残されたもの、自分に出来る事を考える。 今の自分に出来る事は、残った命を守る事のみ。 意識の無い阿良々木を抱え上げる。 その際、繋がれた二人の手を引き離す事に、強烈な罪悪感を感じながらも。 「……これは……敗北だ……」 呟いて、自認する。 自分達は負けたのだと。 もう逃げる事しかできない敗者なのだと実感する。 それも、逃げる事が出来ればの話であったが。 「待てよォ……」 悪寒と共に、背中に突き刺さる悪鬼の声。 振り返ればそこに、想像通りの怪物がいた。 「逃がすと、思うかァ?」 「そうだな……。 見逃してはくれないだろうな……」 煙がはれていく、 そこから現れたのは返り血に濡れた白髪の少年の姿。 風貌は、いまだ無傷。 「化け物め……」 「ヒャハハッ。 言えてるな」 感心したように一方通行は嗤い。 その手に持ったコーヒー缶を振り上げた。 「ここまで、か……」 この状況を打開する術などどこにもない。 見渡せど、脱出口など皆無。 味方は――白井黒子には既に戦闘は不可能。 見渡せば、ファサリナも薬局の床に倒れ伏して、死んでいるのが見えた。 万策尽きた。 それがグラハムの正直な心境だった。 終わりが来る。 数秒もせぬ内に、死神の鎌がまたしても命を摘み取っていく。 その時、一方通行の背後に。 グラハムは桃色の髪の少女の姿が見えたような気がした。 【ファサリナ@ガン×ソード 死亡】 【戦場ヶ原ひたぎ@化物語 死亡】 ◆ 『救い/優しい幻想』 ◆ どこか凪いだ心境で、ユーフェミア・リ・ブリタニアは戦場に立っていた。 ドアを二枚、壁を二枚を超えたその先は地獄の鉄火場。 危険は承知。 死は覚悟の上。 だがこの戦いだけは逃げられない。 己の我が侭の為に多くの人が戦って、そして命を落としたのだ。 なのに自分だけ逃げる事は出来ない、と。 ゆっくりと、だが力強い足取りで、ユフィは歩く。 もちろん死ぬ気は無い。 己には償わなければならない罪が在る。 知らなければならない、死が在る。 こんな所で、投げ出すわけにはいかない。 けれど今は、ここは立ち向かわなければならない時だと、彼女は決意した。 「…………スザク」 残してきた彼への思いを振り切って、少女は進む。 手には先程爆発音と共に足元に転がってきた巨大な銃器。 足取りは決して軽くは無く、だが力強い。 「行きます」 一瞬俯きかけていた顔を上げ、少女は見た。 己が倒すべき敵の姿を……。 「その敵を……撃つッ!」 こちらに背中を向ける血に濡れた少年。 その背を、狙い撃つ。 燐光が少年へと迫る。 直前で振り返った少年の表情は、確かな脅威を認識していた。 一方通行が伸ばした手がビームに触れる。 またしても彼の対応は間に合った。 むしろ解析が進み、迅速に対応できるようになっていた。 だが背後からの不意打ちという点は大きい。 弾いた燐光の軌跡はこれまでで、一番異質なものとなった。 一方通行を避けるように動くのはこれまで通りだったが、 今回の軌道は上方、天井を突き破って天に飛ぶ。 更には、よろめいて転ぶ一方通行。 それは千載一遇のチャンス。 誰の目にもそう映った。 一方通行は一時的とは言え、このとき完全に敵の姿を視界から外した。 今撃てば、その攻撃は完全に一方通行の認知の外。 この時、この瞬間ならば、あるいは攻撃が通るかもしれない。 ユフィもそう考えたのか、若干焦るように引き金を引いた。 「……そ、そんなっ」 しかし、もう燐光は発射されなかった。 彼女は知らない。 この武器の設けられた制限。 驚異的な威力と連射性をかね揃える代償に、撃てる回数は5発のみ。 それ以上撃つためには、何らかの手段によるジェネレータへのエネルギーチャージが必要になる。 故に今はもうなんど引き金を引こうとも、その砲門から勝利の燐光が放たれる事はない。 「そん……なっ……」 勝利の代わりにもたらされるモノは敗北と死。 手に持っていた銃器ごと、ユフィの胸を銀の閃光が貫通する。 「……ぁ……」 崩れ落ちる少女。 光の消える瞳。 消えいく命。 「……」 己の血の海に倒れ伏した少女は最後に願う。 「……スザ……ク」 彼が、どうかもう一度立ち上がることを。 彼が、一人でも多くの人を救う未来を夢に見る。 ユフィは倒れ伏したまま、己がいま開いてきたばかりの扉を見る。 きっともうすぐ、彼はあの扉から飛び出してきて、もう一度闘ってくれるのだ。 きっともうすぐ……。 皆の為に、自分のために、そうあの日のように、ヒーローのように現れて。 そして己すら救ってくれるに違いない。 彼はもうすぐ、皆を守る為に闘ってくれるのだ。 「ああ……」 それはなんて、素晴らしい。 誇らしい光景なのだろう。 それが、彼女の最後の思考となった。 【ユーフェミア・リ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュR2 死亡】 ■ 静寂が訪れた。 動くモノは無い。 話すモノも無い。 ここに四つの命が散華した。 残された生命は五つ。 その内の三つは敗北者。 皆、床に四肢を投げ出している。 一つは勝者。 彼だけがここに二本の足で立っている。 「思ったより手間取っちまったが……。これで終いか……」 勝者、一方通行は告げる。 戦いの幕を下ろす。 もはや誰も動けない。 誰も逃げられない。 誰にも邪魔されない。 ならば、全て諸共消し飛ばしてしまえば手間はかからないだろう。 「ふ……は……ははは……ヒァハハハハハハハハハハハハッッ!!」 狂喜の歓声と共に。 もう一度、風を集める。 今度こそは全力。 間違いなく、この薬局全てを吹き飛ばす最大出力。 その行使の後には彼しか残るまい。 倒れ伏す敗北者達は残さず塵芥と化すだろう。 終わり、だ。 これで。 「ハハハハハハハッ! ヒャハハハハハハハハハッ!!………………あァ?」 そんな時、音が、聞こえた。 彼は至極面倒くさそうな顔色で、能力行使を止めて振り返る。 聞こえてくる。 コツコツ、と。 小さな、だが確かな足音。 近づいてくる。 そして、やがて、死した桃色の髪の少女のむこう。 薬局奥の扉がゆっくりと開いて……。 「……よォ、お目覚めかよ」 その一つは挑む者。 最後の挑戦者。 悠然に、 強靭に、 騎士の名に恥じぬ確かな意志と、ただ一つの決意を持って。 だが他の誰でもない。 一人の人間として。 ――枢木スザクはそこに立つ。 ◆ 『対決3/疾走する生命』 ◆ 「ずいぶん、暢気にしてたンだなァ……。こっちの仕事は大体終わっちまったよ」 ――聞こえない。 スザクは一方通行の言葉に何も返さずに、目の前で既に事切れている少女に歩み寄った。 「後はテメエをぶっ殺して、きっちり皆殺して完了、と」 ――聞こえない。 スザクは少女にも、やはり何も告げなかった。 言葉は無かった。 ただ、遂に再会した、終ぞ生きて会う事のできなかった少女に触れる。 その冷たい頬に、手を置いた 結局、最後まで会って話す事は出来なかった。 会う資格も無いと思っていたが、こうして二度と邂逅の叶わない現実を目にしたとき。 どれほど自分が彼女に会いたいと願っていたのかを思い知る。 だが、今は、今だけは。 迷いも、後悔も、悲しみすらも感じない。 当然、怒りも彼方に置いてきた。 残るものは、あの熱、あの言葉。 ――憶えている。聞こえていたとも。 『……生きて、ね』 その声を、その命を、その約束を――。 だから今だけは、もう一度だけ、彼女のたった一人の騎士として。 「――生きる」 顔を上げる。 その目は、真紅に染まっていた。 『生きろ』 その目からは、涙が零れ落ちていく。 「俺は、生きる」 その目が、敵を捕らえた。 意思が、闘志が、炸裂する。 「うおおおおおおおォォォォォォォォォッ!!」 咆哮と共に、スザクは駆けた。 「ははッ。イイぜッ! イイぜェ! 来いよォ!!」 ――聞こえない。 ――もう何も聞こえなかった。 ■ 乱れ飛ぶ銀の嵐。 舞い散る閃光。 駆け抜ける生命。 それは弱小の個。 撃たれれば死ぬ。 刺せば死ぬ。 殺せば死ぬ。 ただそれだけの、つまらない命のはずだ。 だというのに、 心臓を押しつぶそうと狙うコーヒー缶。 逃げ場を潰す銀球の散弾。 かわす隙間など無いガラス片の嵐。 触れればそれで最後となる破壊の手。 その全てが人体には致命打となる凶器の奔流。 真人間にはどれ一つ逃げる事など絶対に不可能な筈の災害事象。 にも拘らず、それらは一撃たりとも命中し得ない。 心臓をおしつぶそうと狙うコーヒー缶は、目視のみで避けられる。 逃げ場を潰す銀球の散弾は、障害物を蹴り跳ねて凌がれる。 かわす隙間などない筈のガラス片の嵐は、ありえない角度と挙動で見切られる。 当然、これほどの超反応を成し遂げる相手に、破壊の手など届きはしない 「馬鹿なッ!」 以前に相対した時はこれほどではなかった。 速すぎる。 幾らなんでも常識を超えすぎている。 否、いまだ人体の常識にのっとった挙動だ。 だがあまりに絶妙な体技と心技で、絶死の散弾がかわされていくのだ。 ガトリングもかくやという程の質量の連射。 それを敵は壁を走り、商品棚を蹴倒して、床を転がって、ありとあらゆる方法を駆使して避ける。 接近を許したと思えば、思いきりとび蹴りをくれる。 が、当然敵は反射の壁に阻まれて後方に飛ぶ。 しかし、その後退の勢いすらも敵の回避を助けているのだ。 止めさえすれば刺せる。 止まりさえすれば殺せる。 たが止まらない。 戦闘が始まって以降、敵はまったく停止する気配を見せない。 マックススピードで駆け抜け続ける。 それはどう見ても偶然、運が良かったと言うしかないギリギリの回避運動。 だがそれがもう軽く数十回は発生しているのだ。 繰り返される偶然とは即ち必然。 これは運ではない、敵は確かな確信を持ってその超回避を成し遂げている。 「なンなンだ、いったいッ!?」 なにが変わった? 以前と何が違う? 「その……腕、か? いや違うな」 薬局の治療をもってしても、切断された腕の再生までは為されなかったようだ。 いまのスザクは隻腕となっている。 それが体重を軽くし、的を小さくし、回避率を高めている。 多少はそれも要因となっているだろう。 だがここまでの超回避はそれだけが理由ではない。 「そうか……場所か……」 以前と違うこと、それは闘っている場所だ。 今回の戦場は室内。 しかも障害物がたんまりとある薬局内だ。 一方通行にとっては攻撃が当てにくく。 跳ね回るスザクにとってはかわしやすい、ちょうど良い場になっている。 「だったら……」 ここを見晴らし良くする。 場を崩し、一方通行にとって有利な状況に作り変える。 その考えがあった。 だがその前に……。 「チィッ……そろそろだろォな」 時間制限が近づいている。 二度にわたる全力の能力行使に加えて。 「コイツ相手じゃ力をケチれねえ……」 白井黒子やファサリナに対してかなりの長期戦をなせたのは、 力をセーブしながら戦う事が出来たからだ。 彼女達は積極的に攻撃してくる事はなかった。 それが自滅を誘発すると知っていたからだ。 故に一方通行は隙を見て反射の面積を削ったり、時に完全に止めるほどの余裕を見せていた。 攻撃も散発的で全力には程遠いかった。 だがスザクはそうはいかない。 全力の攻撃も未だに届かない。 しかも、この敵は効かないと承知しているくせに直接攻撃を仕掛けてくる。 なんど弾き返しても、無駄だと分かっているくせに馬鹿の一つ覚えのように蹴りつけてくる。 何かを確かめるように。 これでは反射も万全の状態に保たなければならない。 節約する事が出来ない。 現に今、一方通行の残り時間はみるみる削られていった。 当然の話。 この敵は時間制限を知っている。 粘ればやがて一方通行が力を失うと知っているのだ。 今度は能力切れの演技にも引っかからないだろう。 確実に、なぶり殺しにしてくるはずだ。 「どォする……?」 一方通行は選択を迫られていた。 このまま闘うか、退くか。 すでに時間切れのリスクを負っている。 だがここでスザクを仕留められなければ、一方通行の弱点は広範囲に知れ渡る事になるだろう。 「くそ……」 彼は迷っていた。 迷いながらも力を行使する。 「くッそがァァァァ!」 早く死ね。 今すぐ死ねと、怒りを乗せて。 怒涛の暴力が炸裂する。 ■ 「オオオオオオオオオオオオオオォォォッ!!!!!!」 枢木スザクは咆哮する。 もう、現実の音は何も聞こえない。 薬局内に巻き起こる、炸裂音、激突音、狂気の怒号。 その全ては耳に入らない。 音を置き捨ててスザクは駆ける。 殺意の奔流も、死の刃も、敵の姿すら認識外にあった。 思いは、認識する感情はただ一つ。 その誓い。 その約束。 その命令。 『――生きろ!』 生きる。 『――生きて……』 生きる。 『――生きろ(て)!!』 ――俺は、生きる。 生存の意志だけを引き連れて駆け抜ける。 向かい来る閃光を回避する。 眼前の敵に突貫する。 視界を散弾が覆う。 だが回避する。 反転して、敵に挑む。 そして、生きる。生き抜く。 火花散る視界。 白と赤に染まる意識の中。 もはや意味の無い、言葉の羅列があふれ出していた。 ――ユフィ。 僕は君に、伝えたい言葉があったんだ。 君に返さなきゃいけない答えがあったんだ。 君に会って、話さなきゃいけない事があったんだ。 君に会えて本当によかった。 僕はずっと君に救われていた。 死にたがりの僕は、君のおかげで前をむくことが出来たんだ。 この理想を目指すことができたんだ。 どれほど感謝してもしきれない。 僕は、本当は……。 騎士とか、主とか、そんな関係じゃなくて。 ただのスザクとして、僕は君が好きだった。 誰よりも、君を守りたかったんだ。 僕は……ずっと、君と一緒にいたかった。 ――言葉はもはや永劫に届かない。 叶わない。 それは二度目の離別 短い夢の終わりを知り。 真紅の相貌は疾駆する。 その目から流れ落ちる涙だけを、ただ一つの手向けとして。 ■ 「くそッ! 限界かッ……!」 遂に一方通行は撤退を決意する。 逃げを選んだ。 もう残り時間かが間もない事は自覚している。 ここでスザクを仕留められなかった事は後に響く問題として自覚しているが、 無理に闘って殺されるわけにもいかない。 そうしてベクトル変換で薬局内からの離脱を試みようとした瞬間である。 都合30発目の蹴りが一方通行に命中した。 やはり、反射される。 ……だが。 「なン……だ? いまの嫌な感じは……」 それは違和感。 スザクが何度も近接攻撃を試みてくる真意。 最初は能力限界を早めるためだと考えていた。 だが、スザクは一方通行が使う能力の強弱で限界が変わることなど知りるはずがない。 ならば、なにが狙いなのか。 直感的な焦りに任せ、一方通行はガラス片の弾幕を正面に撃ち出して、後方に飛んだ。 その瞬間である。 空に跳び上がり、ガラス片を回避するスザク。 テレポーターですらかわせなかった移動先を読んだ一撃すらも回避せしめ。 天井を蹴って向ってくる。 そして、一方通行の顔面へとその回転キックを繰り出して―-。 「コイツ……まさか……!?」 その蹴りは全力。 反射に対応するための手加減が無い。 つまり。 攻撃が、通る。 通す気が、在るとでも……。 「――ガッ!?」 その蹴りは果たして一方通行に届いた。 反射の壁を抜けて、惜しくも顔面には及ばなかったものの肩口を蹴り飛ばし、一方通行を跳ね飛ばした。 床を三回ほど跳ね、漸く一歩通行は停止する。 「な……にを……?」 やったのかと、その言葉を言い切る前にスザクは答えを口にした。 「これだけ何度も殴っていれば、仕組みと抜け方くらい分る」 それはこの戦いが始まって初めてスザクが一方通行に声をかけた瞬間だった。 「攻撃を自動的に反射される。ならば、その瞬間に自分から攻撃を逆方向に軌道変更すればいいだけだ。 遠ざかる攻撃はお前自身に反射される。 もう……その力は通用しない……。 諦めろ」 簡潔な事実。 だが分ったところで到底容易には実行できない絶技。 それを当たり前のように述べ、スザクはもう一度地を蹴ろうとし……。 「…………ッッ!!」 そのときには、一方通行は既に薬局の外へと飛び出していた。 商品棚を引き倒しながら、後ろ向きに。 今度こそ完全に入り口を破壊して、撤退する。 「逃げ……られたか……」 ふらりとバランスを崩しながらスザクは呟いた。 ハッタリは、通用した。 スザクもまた限界だったのだ。 治療を終えたばかりにも関わらず、全身を酷使し。 そして人間の限界を半ば超えた挙動で長時間動いた。 その反動が纏めて襲いくる。 ギアスと同調する意志と、スザクの身体能力は確かにその動きを可能にしていたが、人体として限界は当然ある。 あのまま戦い続けていれば、先に限界を迎えていたのはスザクだったかもしれない。 「…………」 周囲を見回す。 静まり返った薬局内。 立っているのは自分ひとりだった。 だが、生存者は何人かいる。 「枢木……スザク……」 声のした方を見れば、金髪の軍人らしき人物が、 阿良々木暦を抱えて佇んでいた。 「詳しい自己紹介も、礼も、今は後にさせてもらう。 ひとまず、けが人の解放を最優先としよう」 男の声に頷いて、スザクは生存者の保護に動き出す。 そのときふと、足もとにふわりとした毛並みの感触がした。 視線を下げると、一匹の猫が擦り寄っていた。 どこか、哀しそうな目をして、スザクを見上げていた。 「アーサー、君も、生きていたか……」 これもまた、終わる戦いに残された小さな生命。 共に、先に負傷者へと赴いた男の背中に追従する。 「……行こう、か」 けれど最後に、桃色の髪の少女を振り返る。 胸を真っ赤に染め、二度と起きる事のない少女。 二度と会うことの出来ない少女。 終わった幻想の残滓。 もう一度、心が弾けんばかりに、揺れた。 けれど叫びたくなる衝動を今度は押さえつけ。 自分の頬に、手を当てる。 もう、涙は零れていなかった。 ■ 【E-4 薬局内部/二日目/黎明】 【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュR2】 [状態]:疲労(大)、左腕切断(処置済)、 [服装]:ナイトオブゼロの服(マント無し) [装備]: [道具]:鉈@現実 [思考] 基本:生きて、ユーフェミアの約束(命令)を果たす。 0:ユフィ……。 1:とにかく今は怪我人の介抱を最優先。 [備考] ※ラウンズ撃破以降~最終決戦前の時期から参戦。 ※主催が不思議な力を持っていることは認めていますが、死者蘇生が可能という点は全く信じていません。 ※一回放送の少し前に、政庁で五飛が演じるゼロの映像を見ました。また、ビデオメールの送信元と受信時間を確認しました。 ※飛行船についての仮説、ライダーの石化能力と藤乃の念動力についての分析を一方通行から聞きました。 ※二日目深夜に、ルイスの薬剤@ガンダムOOを飲みました。 ※一方通行の反射の壁を越える方法を理解しました。 【グラハム・エーカー@機動戦士ガンダムOO】 [状態]:疲労(中)、全身にガラスによる刺し傷 [服装]:ユニオンの制服 [装備]:コルト・パイソン@現実 6/6、コルトパイソンの予備弾丸×30 、GN拳銃(エネルギー残量:小) [道具]:基本支給品一式、SIG SG552(30/30)@現実(予備弾30×3)、軍用ジープ@現実、ゼクスの手紙 双眼鏡@現実、手術用の針、手術用の糸、消毒用エタノール、ヴァンのテンガロンハット、水着セット@現実 サンドイッチ@現実×10、ピザ@現実×10、ミネラルウォーター@現実×20、1万ペリカ 『ガンダムVSガンダムVSヨロイVSナイトメアフレーム~戦場の絆~』解説冊子 ギャンブル船商品カタログ(機動兵器一覧)第3回放送分@オリジナル [思考] 基本:殺し合いには乗らない。断固辞退。 1:怪我人の保護を最優先とする。 2:天江衣をゲームから脱出させる。脱出までの間は衣の友達づくりを手伝う。 3:主催者の思惑を潰す。 4:首輪を解除したい。首輪解除後は『ジングウ』を奪取または破壊する。 5:スザクは是非とも仲間に加えたい。 6:浅上藤乃を完全に信用しているわけではない。が、阿良々木暦を信用して任せる。 7:ガンダムのパイロット(刹那)と再びモビルスーツで決着をつける。※刹那の名を知らない為、相手が既に死んでいることを知りません。 8:モビルスーツが欲しい。できればフラッグ。更に言うならオーバーフラッグ。 9:可能ならば、クレーターを調査したい。 10:【憩いの館】にある『戦場の絆』を試したい。 【備考】 ※バトル・ロワイアルの舞台そのものに何か秘密が隠されているのではないかと考えています。 ※利根川を帝愛に関わっていた人物だとほぼ信じました。 ※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました。 ※エスポワール会議に参加しました。 ※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。この情報だけでは首輪の解除は不可能です。 ※ユーフェミアの外見的特長を把握しました。 ※『黒子の仮説』を聞きました。 ※原村和が主催者に協力している可能性を知りました。 ※ヒイロ・ファサリナと情報交換し、今まで判明した情報を『エスポワール・ノート』で整理しました。 ※エスポワール船底に『ジングウ』が存在していることを知りました。 ※ヒイロから【憩いの館】にある遊技台、『戦場の絆』について聞きました。 ※衣の負債について、気づいていません。 【阿良々木暦@化物語】 [状態]:気絶中、疲労(大) 、全身に銃創(致命傷は無し、治療中)、ただし出血(大) [服装]:ボロボロの直江津高校男子制服 [装備]:レイのレシーバー@ガン×ソード 、ベレッタM1934(5/8) [道具]:基本支給品一式、毛利元就の輪刀@戦国BASARA、マウンテンバイク@現実、拡声器@現実 ギー太@けいおん!、ピザ@現実×10、衛宮邸土蔵で集めた品多数 [思考] 基本:誰も殺させないし殺さないでゲームから脱出。 0:……。 1:――戦場ヶ原……。 2:憂はこのままにはしない。桃子、ルルーシュに対しては警戒。 3:支給品をそれぞれ持ち主(もしくはその関係者)に会えれば渡す。原村和とは一方的な約束済。 4:浅上らの無事を願う。 5:落ち着いたら【ホール】を再調査してみる。 [備考] ※アニメ最終回(12話)終了後から参戦。 ※回復力は制限されていませんが、時間経過により低下します。 ※サポート窓口について知りました。また、原村和が主催側にいることを知りました。 ※衛宮邸の土蔵にあったガラクタを多数回収しました。武器の類は入ってません。 ひょっとしたらなんらかの特別な物が混入してる可能性もあります。 ※衣の負債について、気づいていません。 【白井黒子@とある魔術の禁書目録】 [状態]:気絶中、疲労(極大)、全身に切り傷、刺し傷、擦り傷、多数、右肩口をコーヒー缶が貫通 [服装]:ボロボロの常盤台中学校制服、両手に包帯 [装備]:スタンガン付き警棒@とある魔術の禁書目録 [道具]:基本支給品一式、ペーパーナイフ×6@現実、USBメモリ@現実、1億1310万ペリカ [思考] 基本:士郎さんと共に生きてこの世界から出る。 0:士郎さん…約束…。 1:薬局へペリカを届ける。 2:士郎さんが解析した首輪の情報を技術者へ伝え、解除の方法を探す 3:士郎さんが勝手に行ってしまわないようにする 4:士郎さんが心配、意識している事を自覚 5:士郎さんはすぐに人を甘やかす 6:士郎さんを少しは頼る 7:お姉さまが死んだことはやはり悲しい。もしお姉さまを生き返らせるチャンスがあるのなら……? 8:アリー・アル・サーシェス…… 9:イリヤって士郎さんとどういった関係なのでしょう? 10:危険人物を警戒。藤乃のことは完全に信用したわけではないが、償いたいという気持ちに嘘はないと思う。 [備考] ※本編14話『最強VS最弱』以降の参加です ※空間転移の制限 ・距離に反比例して精度にブレが出るようです。ちなみに白井黒子の限界値は飛距離が最大81.5M、質量が130.7kg。 ・その他制限については不明。 ※エスポワール会議に参加しました。 ※帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいるのではないかと考えています。 そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があったのではとも思っています。 ※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。 上記単体の情報では首輪の解除は不可能です。 ※原村和が主催者に協力している可能性を知りました。 ※バトルロワイアルの目的について仮説を立てました。 ※衛宮士郎の能力について把握しました。 ※衣の負債について、気づいていません。 ※帝愛グループは、ギャンブルに勝ちすぎた参加者側を妨害すべく動いていると推測しています。 【?-?/???/二日目/黎明】 【インデックス@とある魔術の禁書目録】 [状態]:ペンデックス? [服装]:歩く教会 [装備]:??? [道具]:??? [思考] 基本:??? 0:バトルロワイアルを円滑に進行させる。 1:友達が何なのかを知りたい。 2:天江衣にもう一度会ってみる。 3:自分に掛けられた封印を解除する? 4:友達が何か解ったら、咲に返事をする。 5:風斬氷華とは…………。 ※インデックスの記憶は特殊な魔術式で封印されているようです。 時系列順で読む Back 疾走する超能力者のパラベラムⅢ Next 疾走する超能力者のパラベラムⅤ 投下順で読む Back 疾走する超能力者のパラベラムⅢ Next 疾走する超能力者のパラベラムⅤ 280 疾走する超能力者のパラベラムⅢ 一方通行 280 疾走する超能力者のパラベラムⅤ 280 疾走する超能力者のパラベラムⅢ 白井黒子 282 ひたぎエンド(ビフォー) 280 疾走する超能力者のパラベラムⅢ 戦場ヶ原ひたぎ GAME OVER 280 疾走する超能力者のパラベラムⅢ ファサリナ GAME OVER 280 疾走する超能力者のパラベラムⅢ 阿良々木暦 282 ひたぎエンド(ビフォー) 280 疾走する超能力者のパラベラムⅢ グラハム・エーカー 282 ひたぎエンド(ビフォー) 280 疾走する超能力者のパラベラムⅢ 枢木スザク 282 ひたぎエンド(ビフォー) 280 疾走する超能力者のパラベラムⅢ ユーフェミア・リ・ブリタニア GAME OVER 280 疾走する超能力者のパラベラムⅢ インデックス 290 許せないのどっち(前編)
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301 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 22 54 ID 6t/3E4Wt0 292 それは違うと思う。 残留争いと優勝争いを同列で論じるのは暴論だと思うぞ。 現に優勝争いをしている大分以外のチームで露骨なメンツを行って、尚且つジャイアントキリングを許したチームはないわけだから。 第一、大分のスケジュールって他と比べてそんなにハードだったか?? 302 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 19 24 39 ID rSAj2Q83O 若手の成長、選手のコンディション維持より、 疲弊した選手を使えと犬飼は言うわけだけど、 日本では昔から「二兎追う者は一兎も獲ず」と 言われているのに、ホントに馬鹿な奴だな。 304 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 27 14 ID 6U/P7AGq0 278 似てるw ほんと似てるw 305 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 27 27 ID nds9iFTiO 294 一個人の意見が、あるチームのサポーターの総意、なんてことはないだろうからね。 ただ、ターンオーバーについて言えば、そういう手法が生み出された背景に、故障回避やコンディション維持の目的もあると思うから、『温存』の側面も否定できないと思うよ。 306 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 28 15 ID u63CI2lN0 なんでこんなマジキチが会長になっちゃったんだろ? 307 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 28 59 ID 8o8e+FTS0 現状は犬飼の改革についていけないクラブも多いだろうね だけどはじめっから否定するのもどうかと思うよ 308 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 29 02 ID DUgxF73U0 306 川淵の最後っ屁 309 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 29 15 ID brdyooRw0 296 まあ、もう少し書けば「欧州のサッカーチームがリーグとカップで選手を入れ替えた事」ってのが サッカー界で「ターンオーバー」という言葉が使われた起源なんだけどね。 まさに今回は「ターンオーバー」の是非を問われたケース。 310 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 19 30 38 ID izJOCuZZ0 301 8日間で3試合だよ大分。 311 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 30 44 ID u63CI2lN0 307 だったら理念に賛同するクラブだけで新リーグでも作ってそっちで勝手にやってくれ どれくらい集まるかは知らんがな 312 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 32 01 ID o1/CFrd/O 戦術は同じじゃないよ実力的にはほぼ均等だが ラツィオ時代のエリクソンが守備の固い相手の国内戦用と 攻撃力のあるチャンピオンリーグ戦用で最終ライン以外の選手を入れ換えてたのを 指して言ってたのが最初 つまりトップチームが二つあるということ 313 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 19 32 44 ID NX4j9gHxO 浦和なしではJは生きていけないからなぁ 浦和のアウェイ動員は美味しいよなぁ 314 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 34 27 ID brdyooRw0 313 それなんて一昔前の巨人? 315 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 34 46 ID 6t/3E4Wt0 310 それってACL出たチームとかはこなしてるよね。 海外移動も含めて。 なんにせよルール化してないわけで、大分の社長が謝罪してるわけだから今回はこれ以上責めるのはおかしい罠。 316 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 35 12 ID 9HTI5jih0 今季のバルサ好調の理由 ttp //sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/eusoccer/0809/spain/text/200811100015-spnavi_2.html 317 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 19 35 29 ID rSAj2Q83O そもそもクラブはサッカー選手として選手に給料を払ってるのだから どういう起用をしようが、リーグからクレームがつくのはおかしい。 しかも、サッカーは連携が重要なんだし、ある程度コンビネーションが 取れている組み合わせにするのは普通だろ? 318 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 37 44 ID nds9iFTiO 301 大分には失礼な言い方になるけど、大分の選手層はさほど厚い訳ではないし、浦和、鹿島、ガンバのように、常に優勝を視野に入れて戦えるほど、資金がある訳でもない。 そう考えれば『千載一遇の好機』を、何としてもモノにしたい、と監督が考えても、不思議ではないと思うよ。 一時はチームの存続さえ危ぶまれたのだから、本当に必死なんだろう、という風に自分は考えてる。 319 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 38 57 ID NSZyO/4z0 301 鹿島、浦和、名古屋、川崎、大分の現時点での上位組の中で、大分のチーム規模は… 320 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 19 39 58 ID NX4j9gHxO もう勝ち目のない戦いをするだけ無駄やで・・・ 千葉さんも早く土下座しとこうや・・・ 所詮犬飼さんの掌の上や・・・ 321 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 19 41 50 ID cYxH/fje0 305 まったくその通りだと思う、温存から生まれた策だと思う。 言っちゃあ何だ協会がいくら権威を大会に押し付けようとサポが求める栄冠は別にあるって所だな。 俺らには俺らなりに目指したいタイトルがある訳だし、それと天皇杯を同等に見ろと 言われても今更この流れは変えられないだろう。 322 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 41 57 ID 1hErnKUO0 ムカついたら根拠無く処分できるなんてありえないんだよ 犬害が浦和にムカつくわけないし 浦和に勝ったら処分されかねん やらせるわけにはいかないよ 323 名前:酉[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 43 32 ID hzoD7jB+0 正直これで今季のカップ戦は全て辞退とするといわれて ナビスコ奪われたしないかと戦々恐々です。 メンバーについては彼らだって登録選手、十分戦ったと俺は思っている。 空回りしてるのが多い印象だったけどね。 324 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 19 44 09 ID fE3S6rafO mixiの追放コミュもじわじわ人が増えてきたな 支援よろ 325 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 19 45 54 ID rSAj2Q83O ターンオーバーしても勝ち抜けるようなクラブが最高なのになぁ。 欧米かぶれのくせにひょっとしたら、知らないんじゃねーか? ドイツ人あたりに言われたらさっさと考えを変えたりして。 326 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 46 26 ID txWFsZMX0 おいおい磐田なんか総とっかえじゃん。 [J30節(10月25日)スタメン] GK 1 川口 能活 DF 15 加賀 健一 DF 5 田中 誠 DF 3 茶野 隆行 MF 25 駒野 友一 MF 38 ロドリゴ MF 17 犬塚 友輔 MF 14 村井 慎二 MF 24 松浦 拓弥 FW 18 前田 遼一 FW 8 ジウシーニョ 327 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 19 47 59 ID 3gpLErvpO あれ?チップさん涙目で逃亡?w 328 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 19 48 19 ID 9ipI+pG6O 一般サッカーファンと犬飼教信者の対決を 焼き豚がニヤニヤしながら見ていますw 329 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 48 48 ID +awMNVw90 チップスターよ 何故磐田はメンバー入替えOKなのかにも答えてよ 330 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 51 58 ID tCwRi6CgO 323 ナビ剥奪まで言い出したら、元官僚の社長に頑張って貰うしかない。 省が違うからいろいろあるだろうけど、高級官僚のツテをつたっていけば、 監督官庁の文科省まで繋がるだろ。 331 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 19 54 59 ID Fw7jgnIg0 329 入れ替えても、勝てるメンバーだったからだろ。 鳥栖には悪いが、その前の2試合で9失点もしている、しかも下位リーグのチームだよ。 そこにメンバーを落として、惨敗している大分の姿勢を問われているんだよ。 332 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 55 11 ID 6U/P7AGq0 330 そんなことしたら他サポだって黙ってないから 安心しるw 333 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 57 28 ID brdyooRw0 ゲームの中で、選手は選手なりにマネージメントするのが当たり前なわけで、例えばキックオフ直後から 全力で走り続ければ途中でスタミナが尽きて総体的に見ればその選手はマネージメントを間違えたと言えるし チームのゲームの中でのネガティヴポイントと評価される。 まあ、それは極端な例だとしても、選手は自分のスタミナが許す範囲で、ゲームの中で「ここだ!」というところでスプリントをする。 それが最もチームの勝利に近づく為の最善の策だから。 視点を変えて、チームのマネージメントについても似た事が言える。 全てのゲームでよっぽどの故障が無い限り能力の高い選手を出し続ける事が、リーグ戦カップ戦通して チームの勝利に近づく為の最善の策なのか、そうじゃないのか。 プロなのだから常に全力で走り続けるべきっていうのは正に愚策としか言いようが無い。 「キモチガハイッテナイヨ!」って言われても、気持ちだけではどうにもならない部分もある。 リーグの終盤になってスプリントができないチームは、マネージメントを失敗したと言うべきだし それはプロとして恥ずかしい行為だとも言えるかもしれない。 何が言いたいかというと、犬飼のバーカ。 334 名前:酉[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 57 45 ID hzoD7jB+0 330 荒唐無稽だとは思うけど、今の犬飼だとそれも言い出しそうで本当怖い。 ウチの社長は正直図に乗りやすいし脇も時々甘いお調子者の馬鹿だけど、 トリニータへの気持ちはホンモンだし、西川や上本の件で選手を守ったり して今年は見直した…というより男を上げてる部分が多いんだよね。 今回謝ったのは本当に「大人の対応」をしようよってことだったんだと思う。 でも犬飼側がそれを受けなかったから、処分がそういう最終段階まできたら 多分ウチの社長は戦うと思うよ。 他サポさん、この件ではご迷惑をおかけしていますがどうか力をお貸しください。 335 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 20 00 18 ID vnkJsJBu0 ちんこ巻き社長は世の渡り方をわかってるからのう 336 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 20 00 22 ID JDB6SfuWO まあ犬害のキチガイぶりも、劣頭脳だから仕方ない。 337 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 20 01 49 ID tCwRi6CgO 332 今でも黙ってないからこんな伸びてるんだけどなw 実際こんなん許したらその後犬飼の気分次第で何でもありになっちゃう 338 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 20 03 44 ID DIMvdydP0 サッカー協会への抗議はコチラ 財団法人 日本サッカー協会 〒113-8311 東京都文京区サッカー通り(本郷3丁目10番15号)JFAハウス 電話 03-3830-2004(代表) FAX 03-3830-2005 339 名前:牛[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 20 04 37 ID 9kJ/VV4Q0 334 選手を守りたいっていう社長の心意気は ウチも五輪の時味わったからすげーわかる。 ナビスコ剥奪なんてマジでやりやがったら 協会に抗議メール毎日送るわ。 340 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 20 04 58 ID 7M3K8hEY0 331 磐は勝って大分は負けた、だから大分だけが問題ってのは結果論に過ぎないだろ(犬なんか負けただけなのにとばっちりw) 基準がぶれてるというかブレる以前に定まってないんだよ犬飼は・・・ 334 去年の赤の件とか磐の件とか犬の件とか、無知っぷりというかダブルスタンダードっぷりが酷いから もしそんな事を言い出したらサポもマスコミなど各所に凸しまくれ。当然うちも応援したる 341 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 20 05 09 ID BJnuHFxSO むしろ問題は狂人の暴走を止める気配がない協会にある カワブチの時と変わらず独裁政治、どーしよーもねーなー 342 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 20 05 33 ID M2RHmuum0 いいから擁護してる浦和サポは去年ポンテワシントンなど数人 温存して愛媛に負けたことにも触れろよ。 人数が違う?ポンテワシントンがいなきゃ何も出来ないんだから負けるのわかってたろ。 部分的にせよ犬飼擁護する奴って何で決まって浦和サポなんだろうな・・・ 343 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 20 07 39 ID M2RHmuum0 331 直前とほぼ同じベストメンバー(笑)で負けてもやはり叩かれるということですね。 あれ、じゃあ緑はw? 344 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 20 09 47 ID 1Pq4rXuOO 犬飼は「遡及処罰を合法化しろ」と法務相を訴えるかねんな 345 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 20 10 55 ID JXtO+hAB0 記事によると、鬼武チェアマンは「ルールを改正しなければ」っていう 発言になってるね。今の時点での処分には言及してない ルール破ってないのに責めてるのは同じだけど、何かしら行動を起こすなら なんとか来年以降の変更として、というふうに持っていって欲しい 事後法で2チームを裁くなんてことだけは許しちゃいけない 346 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 20 11 29 ID VrVb5DBqP まあ普通にこれはどこのチームも抗議してしかるべきだと思うけどな 何のルールなくても会長のさじ加減で自由に処分可能、 なんてことが当たり前になったらこれから先そんな奴ばっかり出てくるぞ 347 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 20 18 56 ID INLMGpEkO 去年の川崎とかに文句言うのはおかしいけど、さすがに大分はやり過ぎただろ… でも、謝ったんだから許してやれとw 348 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 20 19 57 ID K5fg6OGh0 磐田はリーグ組と天皇杯組に分かれて練習してるって散々報道されてたのに、 それに関して事前に全く発言しなかったのは何故だ。 349 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 20 20 57 ID kOcEO3bW0 川崎サポだけどさ 去年のウチが柏戦の時にメンツ落としてそれを犬飼がイチャモンって、チャーター機云々の 件も含めて少しはわからんでもないよ(ルール守ってる以上納得はいかないけど) ただ、ならなんでそれを柏に負けた直後に言わないんだよ 犬飼が言い出したのはウチがセパハンに敗退した試合の直後に等々力のスタ内でだぜ? 今回の事もそうだけど、結局感情的でダブルスタンダードなんだよな 高見の見物してる他チームも、今は大丈夫・・・と思ってても後でとんでもないイチャモンつけられるかもしれんよ 350 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 20 33 05 ID n6gewp+d0 明文化されていないルールで処罰はおかしいのは火を見るより明らかだし 大体選手温存の何が悪いのかわからん あるクラブにとって天皇杯より大事なものがあって何かおかしいのか totoがどうのつったってターンオーバー当たり前の欧州でも賭けは成立してるし 351 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 20 33 14 ID fE3S6rafO 解任までage 352 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 20 35 13 ID qquqqrrw0 348 勝てば官軍なんだろうね。 犬飼さんに広島VS東京Vの感想でも聞いてみたいところだw 353 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 20 36 33 ID Z/Thksc/O ベストメンバー規定なんて廃止したらどう?失笑もんだよ 354 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[age] 投稿日:2008/11/11(火) 20 44 06 ID W3w/k6BL0 最強メンバーww どこの小学生って話だよな (-人-)1日でも早く犬っころが解任されますように 355 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 20 45 49 ID o1/CFrd/O 345 鬼武は部下が上司になっちゃった という悲惨な境遇 しかも天皇杯は協会の主催なので処分に直接関われない 356 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 20 47 46 ID kOcEO3bW0 そもそも今回の件、同じ様な事したけど勝った磐田が処罰無しで、 負けた大分と千葉は処罰有りなんて、そんな馬鹿な話があるかい 357 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 20 47 48 ID nds9iFTiO 334 万一、今回の件で大分が処分を受けるようなことがあれば、多くのサッカーファン(及びスポーツファン)がトリニータを応援すると思うよ。 きちんと定められたルールの下、厳正に運営されるのがスポーツの大原則。 (あくまで建前だとしても) 事後法やら事後裁定の横行は、スポーツマンシップを破壊するようなもの。 それに、大分のナビスコ制覇は、地方クラブに希望を与えた快挙でもあるのだから。 358 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 20 48 42 ID E/fjsq0MO 物事を一方向からしか観れない こうだと1度考えたら、他の声に一切聞く耳を持たない 自分の考えが通らないと発狂 ま さ に 劣 頭 脳 359 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 20 51 31 ID kZTBTJda0 125 スルガ銀行の本店は沼津にある 360 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 20 54 36 ID V+zd6j4r0 今なら、ドッキリと書かれた看板持って、 「ウッソぴょ~ん!」 って言ったら丸く収まるぞ!<犬飼 361 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 20 55 48 ID b3yBr4CQO 本当にバカだよな犬飼 こんなの上から強引に押さえつけたら反発が出るだけなのに。バカだからそういうの理解できないんだろうな。 たぶんこれから、天皇杯直前に、天皇杯に向けての全力練習中に怪我して全治1~2週間って人が増えるだろうね 362 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 20 58 07 ID izJOCuZZ0 大分が8日で3試合で大変、けが人も多い、千葉は適用したとしてもベストメンバー規定に違反して いないとちゃんと報道してるマスコミってあったっけ? 363 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 20 59 41 ID rW9Ld/7H0 これが「プロ野球を反面教師」にした結果のリーグ運営ですか。 遡及処罰なんてナベツネでもやらんわ。 364 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 01 12 ID kOcEO3bW0 後、スポンサーっていうけどさ 大会の方のならそんな重要な大会に代表の強化試合かぶせるなよと思うし、 千葉からすればJ2落ちのこの危機に天皇杯なんて・・・って思うだろうな>スポンサー 365 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 01 52 ID 4+zhQoFv0 ,. -‐'""¨¨¨ヽ (.___,,,... -ァァフ| あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ! |i i| }! }} //| |l、{ j} /,,ィ//| i| !ヾ、_ノ/ u { }//ヘ 『川淵のほうがましだった』 |リ u } ,ノ _,!V,ハ | /´fト、_{ル{,ィ eラ , タ人 な… 何を言ってるのか わからねーと思うが / ヾ|宀| {´,)⌒`/ | ヽトiゝ おれも何をされたのかわからなかった… ,゙ / )ヽ iLレ u | | ヾlトハ〉 |/_/ ハ !ニ⊇ / } V ヽ 頭がどうにかなりそうだった… // 二二二7 T /u __ / /`ヽ / ´r -―一ァ‐゙T´ "´ / /-‐ \ 院政だとか川淵企画だとか / // 广¨´ / / /´ ̄`ヽ ⌒ヽ そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ ノ / ノ `ー-、___/ // ヽ } _/`丶 /  ̄`ー-{ ... イ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ… 366 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 02 08 ID LozfP+Jj0 マガ巻頭の西部コラムでばっさり 367 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 21 02 08 ID SAL5+m/P0 【サッカー】犬飼会長が提唱するJリーグ秋春制、将来構想委員会が「7月開幕・5月終了」をシミュレーション 1 名前: すてきな夜空φ ★ [sage] 投稿日: 2008/11/11(火) 06 43 34 ID ???0 日本サッカー協会・犬飼基昭会長(66)が提唱するJリーグのシーズン移行問題に 関連して、日本協会・Jリーグ将来構想委員会が「7月下旬開幕・5月下旬シーズン 終了」をシミュレーションしていることが10日、分かった。 「秋―春制」は実質「夏―春制」として、各クラブの社長クラスが出席する 実行委員会(J1・11日、J2・12日)で議論が本格化される。 7月下旬―5月下旬シーズンとなると、現在の「3月上旬開幕・12月上旬閉幕」より 期間は約1か月長くなる。関係者によると、その大きな理由は2つ。 観客動員が期待できる夏休みの開催と、日本代表の活動期間確保のためという。 日本協会では10―11年シーズンからの移行を目標に各クラブに理解を求めていく。 ソースはhttp //hochi.yomiuri.co.jp/soccer/jleague/news/20081111-OHT1T00080.htm 368 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 03 10 ID PP/1qsyR0 今更予選から参加と言われても、参加できない件について・・・ サッカー協会の会長なのに、天皇杯予選の実態を把握しとけと。 682 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 45 05 ID rYg02J7D0 天皇杯スレより 248 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch 投稿日:2008/11/11(火) 19 33 08 ID WRscfERy0 247 あのー千葉県はもう2010年元旦決勝の大会の1回戦始まってるんですけど? ttp //www.chiba-fa.gr.jp/06category1/category1champ_block.html プログラムに載ってる本大会だけが一回戦じゃねえんだよ 本当の底辺の底辺の試合はもう始まってるんだ、犬飼めバカにしやがって ということだそうだ。 369 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 05 18 ID od0S6JMYO カワブチ→犬飼 政府→田母神 要はそんな人間をトップに任命する奴らは責任感じて、辞めさせるべき… 370 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 06 58 ID n6gewp+d0 367 結局酷暑の中でも試合をやるし 寒気にさらされても試合をやるわけだ こりゃ選手もサポも大変だなあ 371 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 07 05 ID W9PfYziF0 犬養ナベツネ以下wwww 372 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 08 09 ID 7AGOFS1V0 15日の試合に行く人はぜひ「犬飼ヤメロ」の横断幕を揚げてクダサイ! 373 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 08 33 ID kOcEO3bW0 つか、真夏の試合開催は勘弁してほしいわ 選手が危険だってーの 374 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 21 10 02 ID BG7RYmSGO 犬飼やめろあげ。 375 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 21 10 36 ID CrvFF1+E0 349 ただ、ならなんでそれを柏に負けた直後に言わないんだよ 犬飼が言い出したのはウチがセパハンに敗退した試合の直後に等々力のスタ内でだぜ 犬飼が川崎の社長を罵倒したのは、たしかセパハン戦の直前。 大一番の直前にチームの社長が公衆の面前で罵倒された。 ACL担当が聞いてあきれる。足引っ張っているだけ。 ちなみに、07年は浦和はホームで川崎に敗退している。 376 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 10 57 ID H0K4AnAK0 雷の危険性、とかはどうでもよくなってるなw 377 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 21 14 11 ID JFKrg0h5O 去年の柏vs浦和での闘莉王の肘うちを処分しなかったのってビデオによる処分は規定にないからとかだったような・・・ 378 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 14 24 ID wriUvDjh0 ベスメンでまず川崎に因縁 →川崎サポから総スカン ものすごいアバウトにメリットを強調して秋春制主張 →東北、甲信越クラブと対立 大分、千葉にケンカ売る →新たに2チームが嫌犬飼に 秋春じゃなくて実質夏春 →秋春賛成派も首を傾げる 犬飼ってマゾなの? 自分の体に火をつけて崖に向ってダッシュしてるようにしか見えん 379 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 21 14 57 ID CrvFF1+E0 367 犬飼の挙げた秋春制のメリット ゲリラ豪雨の回避 炎天下の入場行列回避 選手と家族の夏休み 猛暑試合による選手消耗の回避 「7月下旬開幕・5月下旬シーズン 終了」をシミュレーションしている はぁ??? 380 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 21 15 12 ID De5+WdNOO 375 この件といい、千葉の件といい、結局ただの逆恨みじゃないか。 ひょっとしたら、大分の件だって、浦和が有利になるように仕組んだナビスコで優勝した事への逆恨みじゃないか? 381 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 15 23 ID uTbyY92Q0 368 下を見れば天皇杯県大会予選の参加権を争うトーナメントまであったはず。 もちろん犬飼は把握して無いだろうが 382 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 21 20 18 ID CrvFF1+E0 380 恨みというより、浦和に不利な相手を蹴落としただけに感じる。 何しろ、ガンバが日本を代表して決勝進出したのに 「浦和が負けてがっかりした」って言う奴だからな。 本来ならお得意の 「Jクラブはガンバ大阪を応援しています」って キャンペーンの先頭に立つべきだろ。 383 名前:U-名無しさん [sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 21 39 ID ofwL6T6s0 357 犬飼にスポーツマンシップ求めるの無理でしょ。そもそも犬なんだからw 384 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 21 50 ID kOcEO3bW0 377 IDが城福だなw 385 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 21 22 06 ID tCwRi6CgO 375 大一番の直前にチームの社長が公衆の面前で罵倒された。 しかも犬飼自ら記者を引き連れてな。 さすがに記者達も異常だと思ったんだろうな、記事は川崎寄りだった。 386 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 21 22 55 ID izJOCuZZ0 選手と家族の夏休み、キャンプにはいかないの? 387 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 21 23 33 ID iQ+HRGoJ0 382 ヒント:脚は天皇杯(ベスメン汁)のあと赤戦 388 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 23 33 ID aZYJk8V50 38 僕も抗議電話送った。 本当に届くんだろうか… 389 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 24 21 ID PP/1qsyR0 379 ゲリラ豪雨が多いのは、7月末~9月中旬までだと思うんだが。 回避になってないじゃん。 390 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 25 25 ID kOcEO3bW0 天皇杯の決勝ってシーズン終了した後だからこそなんていうか神聖なイメージもあったけど シーズン中じゃ単なるカップ戦で権威落ちそうだな 391 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 28 46 ID aZYJk8V50 176 メール送るところが無い 392 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[] 投稿日:2008/11/11(火) 21 30 24 ID JFKrg0h5O 7月下旬開幕の5月下旬閉幕だとした場合 来期契約をしない選手にはいつまでに伝えるのだろうか? 現行は3月開幕で11月末までに伝える。 現行に準拠するなら4月末までになる。 393 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 30 27 ID 2Oo5L9UqO 俺も夕方に電話したよ。 なかなか繋がらなかったから、受話器外されてるのかと思った。 受付の女性に「会長の発言ですけど」と言ったら「答えられないですがご意見伺います」と。 矛盾してる点を伝えたが、上にいくのかな。いくといいな。 394 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 31 24 ID bj3ja+/T0 「あれがベストメンバーというならとリーグ最終戦は 全チーム天皇杯4回戦と同じメンバーで戦うこと!」 と言われてもそんなに困らないのが千葉。 395 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 31 27 ID nds9iFTiO 379 もはや『移行すること』それ自体が目的化していて、客観的にメリットとデメリットを検証できなくなっているんだろうね。 犬飼氏が『バックパス禁止』やら『大分、千葉を処分』等の少々不可解な発言を繰り返すのも、鳴り物入りでぶち上げた『秋春制移行』が、なかなか上手く行かないせいかも知れない、とも思う。 まあ、過去に何度か俎上に上がりながら、その都度見送られたプランを実行するには、もっと綿密な計算が必要なコトくらい、わからなかったのかなぁ。 396 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[age] 投稿日:2008/11/11(火) 21 31 50 ID ZKR3Pz3A0 387 ここまで考えてそうで怖いなw 犬は。。 まじで解任してほしい 397 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 32 33 ID wriUvDjh0 いかねーだろそりゃw ただ行動することは大事 398 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 32 54 ID 8P6a1Qc40 こいつは・・・ 天皇杯の件で大分と千葉をスケープゴードにしてまで、秋春制に移行したいんだろうね。 どこの国の独裁者でつか? 来年から天皇杯はJ1チームボイコットでいいんじゃね? 選手死ぬよ マジで。 どこもJ2落ちるのは嫌でしょ? J2は寂しくて苦しいよ~。 もう一回言うけど、本当に選手死ぬかもよ。 こんなチンケな奴が会長か。。 独立リーグ作ろうぜw 399 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 33 20 ID DUgxF73U0 393 こういう抗議の電話なんて内容より数だよ 400 名前:U-名無しさん@実況はサッカーch[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 35 41 ID 8wbYcsE30 こういうダンマクを次の天皇杯で出したい。 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃.代表招集でベストメンバーが組めません.┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
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投下いきます。固有名詞は特にありません。 カップリングはルシェローグ♂×黒髪サムライ♀ 触手属性あり。中盤の帝竜の名前などのネタバレあり。 今回、黒咲練導『放課後プレイ』と、いうネタの着想元があり、 ネタ元となった原作の雰囲気を損ねている可能性があります。 事前に示し合わせた通りのノックがあったんで、 ドアを開けると黒髪ぱっつんの女サムライが居て いきなりキスされた。 ったく、このキス魔が。 玄関先でいきなり口付けされたら爪先立ちキッスになるからヤなんだよ この体勢でいっぺん足つって大変なことになったのをもう忘れやがったのか? ……オレの方が、な。 そう、屈辱的なことに背伸びさせられてるのはオレなのである。 理想的なモデル体系のこの女と、発育不良のこのオレとでは頭一個分くらいの身長差があって、 並んで歩いたりすると釣り合わないのなんのって。 ――もっとも、そういう機会はこれまでに無く、これからも無いのだろうが。 しばらく唇と唇を合わせていると、物足りなくなったのか舌を捻じ込んできやがったので、 軽く身体を押し返してやんわりと拒否する。人に見られちゃ困るからこんなトコで逢引きしてんのに、 ドア開けっ放しでディープキスとかなに考えてんだ。 「もー! こーんな可愛い子が遊びに来てやったってのに、何よそのリアクション!」 コイツは柳眉を逆立てて、げしげし蹴りを入れてくる。痛ぇな、馬鹿。 「自分で可愛いとかいってんじゃねえ。だいたいお前、挨拶より先にキスとか馬鹿じゃねえの?」 まー、実際かわいい……っつーか、かなりレベル高い部類には入ると思うがそれでも自分で言うな。 「馬鹿とは何よ馬鹿。アイゼンじゃ普通の挨拶よ、こんなの」 「ねーよ。初めてのキスのとき恥ずかしさが限界突破して半泣きになってたのはどこの小娘だ?」 「アンタの方こそあの時は固まって何も出来なかったくせに、このガキ」 くっ、墓穴を掘ったか。俺だってキスはあん時が初めてだったんだよ、悪かったな! 「うっせーよ! つーか、とっとと部屋入れ!」 照れ隠しに軽く怒鳴ると、コイツは後ろ手にドアを閉めながら、 「そっちこそうるさいっての。だいたいアンタ生意気なのよ奴隷種族のくせに」 平気でそんなことを言う。もう言われ慣れたから、いちいちどうとも思わんし それこそ挨拶みたいなもんだ。だがこの女、初めて会った頃は本気で心の底から ルシェを奴隷だと蔑んでいるような、バリバリのアイゼン中華主義者だったのだ。 (今でもその傾向は多分に残っちゃ居るが、マシといえばマシになってる) 「お前だって男に対する口のきき方がなってねーっての。アイゼン皇族の躾ってのはその程度のもんか?」 とは言え、アイゼン中華主義者なのはそれもそのはず、 コイツは(低位ではあるが)皇位継承権を持つマジモンのお姫さんなのだから。 「ルシェに礼儀を払えって? 馬鹿言わないで。奴隷に対する頭の下げ方なんて教わっちゃ居ないわ」 「……ふん、頭だったらさっきは下げてた癖によ」 自虐かつ自爆だが一矢むくいてやった。 身長差があるから、立ってキスするときはコイツの方も頭を下げ腰をかがめる必要がある。 「うっさい、チビ」 「チビ言うな、貧乳」 「貧乳っていうなぁぁっ! この童貞野郎っ!」 「女が童貞野郎とか言ってんじゃねーよ……つーか、こないだお前とヤったからもう違うし……」 何を言わすんだ、何を。 「それはっ……そのっ…うぅ、うぁ、うぅぅぅ……思い出しちゃったじゃんよ、ばかぁ……」 顔赤らめんな、頭を手で抱えてイヤイヤをするな、こっちまで思い出しちまうじゃねーか。 あーもー、処女と童貞はじめて同士とか、痛いわ恥ずいわで大変なだけだったっつーの。 んで、まあ、ともかく。 色々あってオレとコイツは付き合ってたりする。 所属は別ギルド。 オレの所はネパン軍からカザンへ出向してきたルシェのチームで(実はいまも軍属)、一応オレがリーダー。 この女のチームはアイゼン皇家から『新興国の教育と視察』の名目で派遣された皇女と不愉快な家来たち。 当然のように互いのギルドの中は悪い……と、いうか最初の頃は敵対に近かった。 そんなオレとコイツが何故こんな間柄かって、戦いを通じて敵愾心がライバル意識となり、 そのライバル心が友情に変化した頃、一つ二つ厄介な出来事を共同で解消しなきゃならん事情があって、 それが終わった後にゃお互い友情が愛情へと昇華されていた。ベタと言いたきゃ言うがいい。 ……とは言え、そんな関係を築くことが出来たのは、オレとコイツの二人だけで、 ウチの面子はこの女とその家来達にさんざん侮辱されたことを忘れてないし、 向こうの面子はアイゼン中華思想に凝り固まったお貴族様ばかりだ。仲良くやれるわけが無い。 そんなこんなでおおっぴらに会ったりする訳にもいかず、こーやってこそこそ逢引きしてるというわけだ。 ここはオレの仲間にも秘密のセーフハウス。知ってるのはそれこそコイツとオレだけ。 「ったく……女の子呼びつけといて、殺風景な部屋よね」 うるさい。隠れ家なんだから最低限のモノ意外置いてないだけだっつの。 「呼んでねーよ。お前が勝手に来てんだろ……だいたい今日は何の用だよ?」 「面白い物買ったから見せびらかしに来たの」 「お前なぁ……」 急に来るから何かと思えば、コレだ。 根っからのお嬢様気質というか、スゲーしょーもない事情で 他人の時間を浪費させることをなんとも思ってない。 そしてコイツが取り出したのが、 「じゃじゃーん! ろぉぱぁうどんでーす! 一緒に使お?」 思ってたよりはマトモだ。ろぉぱぁうどんは見た目は悪いが味はまぁまぁイケる。 ゲテモノほど美味いという言葉を残した食通が居たがあながち嘘でもないらしい。 「嫌いじゃないけどよ……夏場のクソ暑いときならともかく、春先にそんな冷たいもん食うって辛くねえ?」 ただ、基本的にキンキンに冷やして涼を取る為の食いもんなんで季節的にはどうなんだって話である。 「はぁ? ルシェの分際で耳腐ってんの? あたしは食べるなんて言ってないわ『使う』って言ったの」 「『使う』って……お前まさか……」 イヤな予感しかしねえ。 「アンタさ、触手プレイとか好きでしょ?」 ……ほら来た、やっぱりな。 「アホか。オレはそんな属性ねーよ」 「えー? 強がんなくてもいいのよ?」 「意外そうな顔をすんな!」ったく、つくづく失礼な女だ。 「だけど、ほら……アンタ今はそんなだけど、プレロマの学士あがりだって言ってたじゃない」 「お前なァ……プレロマの学士が皆そんなん好きだと思うなよ……」 「ホントに?!」 タチ悪りぃ。嫌味じゃなくてマジでそう思っていたらしい。 ただ……実際、プレロマの野郎どもの間でその手のポルノが流行ってるのは事実といえば事実だし、 ついでに言うならプレロマ女子はたいてい腐ったベーコンレタスが大好きだ(あのエメル学士長でさえも!) ところで、この女のいう通りオレはプレロマ留学組だったりする。 留学組でメイジや研究職以外を目指すってのも珍しい話なんだが、各種のハントマンのスキルを 研究するうちにローグというクラスに興味を持ち、実践の場を求めてネバンプレス本国軍に志願したわけだ。 ただ、親の方針で物心ついたときには既にプレロマ学府に居たおかげで、 オレには良くも悪くもネバンっつーかルシェへの帰属意識があんまし無い。 「もー! 好きって事にしときなさいよ、せっかく買ってきてやったんだからっ!」 「イヤなもんはイヤに決まってんだろっ!」 「あるじの言うことは黙って聞くものよ、この奴隷種族っ!」 「お前がいつからオレのご主人様になったんだよっ! 大体ここはアイゼンじゃねえ!」 幸か不幸か、この根性腐った女と会話が成立するのはそのためだろう。 『ルシェの誇り』なんてものをオレが持ってたら即行で殺し合いになること間違い無しだ。 「つーかさ、お前の方こそ触手に興味あったりすんのかよ?」 「え、そ、そのっ……そのぉ…ちょっとだけ……」 あんのかよ。頬染めんな。目ぇそらすな。うつむくな。 「……エロ女」 まー、皇女様なんて商売は色々溜まるモンもあるんだろうけどさぁ……。 「うっさい! ルシェの癖に生意気よ……こーなったらねえっ!」 「ちょ……お前っ…なに考えてっ……」 逃げる間もなく、がっちり首根っこをホールドされた。 無手を極めつつあるコイツには流石に素手じゃぁ太刀打ちできん。 「アンタを触手に目覚めさせてやるわ!」 椀からうどん玉のごとく触手がこぼれ落ち、開かれた襟からオレの服内へと注ぎ込まれた。 「ぐぉおぉぉおぉっ?! つっ冷た……っぁぁあ…動いてるっ!? なんかぬるぬるしてるっ!」 そして始まるろぉぱぁうどんによる陵辱。もぞもぞぐねりとオレの肌を撫で回し、這い蠢く。 エロ本だったら『くやしいっ……でも感じちゃうっ』ってシチュだが、コレは無いわ。 実際やられるとただひたすらにキモいだけ、悪い意味でたまらねえ。オマケに冷えるのなんのって。 「くっそ……コレ洒落になんねー……ひゃぁんっ!!」 不覚。乳首の辺りを撫で動かれて思わず変な声がでる。 「あははははは、おっかしーの! 男のクセにそーんな可愛い声出しちゃってさぁ!」 「テメェっ……後で覚え……っ…ひゃっ…あぁぁぁっ!!」 「あははははは」 ムカつく女だ。涙まで流して大爆笑してやがる。マジ後で覚えてろ。 とにかくオレは二昔前の芸人みたいなリアクションを晒しつつ、 あばれ、もがきながら、服を脱ぎ捨て触手を身体から振り払っていく。 食べ物を粗末にしやがって。視聴者の皆さんから抗議の電話が来るレベルだぞ、これ。 パンツの中にまでもぐりこんでいた最後の触手をつかんで床にたたきつけたあと、 オレは下着姿でベッドに突っ伏した。シーツも当然うどんの出汁で濡れるが、とにかく今は横になりたい。 ……ううっ、汚されてしまった。 汁まみれになった床では未だにびったんびったん触手が暴れ、エロ女はひぃひぃ言いながら笑い続けてる。 「あはははは、サイコーだったわよ。触手のお味はどうだった?」 知るか、このエロ女。 「どーしたのよ、ほら、感想は?」 うるせぇバカ。 「……なに黙ってんのよ」 今は口もききたくねえよ。 「ねー、なんか言いなさいよ……」 ほっといてくれ。 「……怒っちゃった?」 ムカついてるに決まってんだろ。 「スネないでよ……ほんとガキなんだから……」 ガキで悪かったな。 そのまましばらくベッドに伏せたまま、シカトを決め込んでいたのだが、 「……ぐすっ」 なにやらすすり泣く声が聞こえてきた……って、おいおいおい……。 「ううっ……ひぐっ……」 枕から軽く顔をあげて様子を盗み見れば、あいつがガン泣きしていた。 あーもー、女ってめんどくせー。お前が悪いのに何でお前が泣くんだよ……。 「なぁ……どしたんだよ?」 流石にオレも空気に耐えかねてシカト中断、一言声をかけたのだが、 「どうしたって……うぅ……なんで無視するのよぉ……」 「なんでって……」 「ひくっ……アンタいっつもムスっとしてるからさぁ…… ぐすっ…ちょっと笑顔が見たかっただけなのにっ…… 喜んでもらえると思ったのにっ……」 確かに仮にもコイツは恋人なんだから、もうちょっと愛想を売ってやっても良かったかもしれない。 「き、嫌われたかと思って……こわかったんだからぁ……」 「……あ、その……ごめんな」 だからって、なんでオレが謝る流れになってんだよ……。 「こっちこそ…………ゴメン……あんな、いきなり、変なことして…… うっ、ひっく…ごめんね、キライになっちゃったよね、こんな馬鹿な女はキライだよね……」 「落ち着けって、嫌いじゃねーよ」 なんというかその……コイツはメンタル弱いところあるんだよなあ。 結局オレはそこを支えてやりたくなっちゃったというか。 「……ホントに?」 「……まぁな」 「じゃあ、私のこと好き?」 言えというのか。答えろというのか。応じろというのか。 「……まぁな」 「そんなんじゃ駄目。好きって言って」 ったく、コイツはホント……。 言いよどむとかえって恥ずかしくなるから 「好きだよ」 がっつり短く言い切ったが、ぐあー、それでもこっぱずかしー。 「えへへへへ」 さっきまで泣いてたカラスがもう笑いやがったよ。女ってのはコレだから。 「そーゆーお前はどうなんだよ。その、オレのこと……」 「……はぁ? ルシェごときにこのあたしが告白しろって? あつかましいにも程があるわ」 調子が戻ったといえばそーなんだろうが、ホンっとムカつく女だよな、コイツは! ……と、憤りかけていたのだが、 「――でもね、今日は特別。一個だけ言うこと聞いてくれたら答えたげる」 しおらしい顔をしてそんな風に続けてきた。……くそ、こーゆー顔はかわいいんだよな、コイツ。 お前が条件出せる立場かよとは思ったが、断ってもめんどい事になりそうだし一応うなずいたら、 「たまにはアンタからキスして。そしたら……ね?」 「ぐっ……」 なかなか恥ずかしい条件を突きつけてきた。 しかし確かに、オレらの場合キスは大抵コイツからだ。そーゆー意味ではコイツの方が色々と積極的だし、 オレも好意に甘えてまかせっきりにしてるところがある。……ま、たまには男をみせとけって事ですかね。 「じゃ、その……目ぇつぶれよ」 「……うん」 言うままにコイツは目を閉じ、軽く唇を突き出す。長いまつげが浮いた目じりが実に艶っぽい。 いつも気ィ張ってる一流のサムライとしちゃ信じられないぐらい無防備な姿がそこにあった。 ――くっくっく、マヌケめ。キスはしてやる。ただしその前にオレが体験した地獄をお前も味わえ! 「きゃぁっ!! な、なにっ、なによっ…コレっ……、ひ、あぁっ!!」 オレは♀サムライ特有のユニフォームであるコイツの黒い全身タイツの首元を引っ張り伸ばし、 空いた隙間へ床で蠢いていた触手を3,4本拾って一気にねじ込んでいた。 「なにって、ろぉぱぁうどんだよ。ろぉぱぁうどん」 やり返すならさっきコイツが目ぇ閉じたときが千載一遇のチャンスだったわけで。 この女がここまでスキだらけになることってまず無いからな。 「うそつきっ、うそつきぃぃ! キスしてくれるんじゃぁっ……あ、あ、あぁぁあっ!?」 「嘘なんてついてねー。キスだったら触手でお前がへばった後たっぷりしてやるからよ」 身体にぴったり密着した黒タイツと地肌の隙間を、数匹のウナギのように触手が這いまわっている様子が タイツを押し上げてくっきりはっきり浮き上がって見える。 見ようによっては皮膚の一枚下を蠢くタイプの寄生虫みたいでちょっとキモいが。 「や、やぁぁっ! とって、とってぇ……コレとってよぉぉっ!」 ほうほう、今は右胸のあたりをうねうねぐねぐねしてますね? うはははは、確かに鑑賞する立場になればコリャおもしれぇ。 「オレみたいに脱げばぁ?」 「いじわるぅ……コレすぐに脱げないの知ってる…くせ、にぃっ!!」 そうなのだ。この黒タイツ、あまりにタイトに全身を包んでいるので脱ぐのも着るのも一苦労。 こないだいろいろ手伝ったからよーく知ってる。 そして放置すること五分。 「……なー、お前、ガチで感じてきてねぇ?」 顔は赤らみ、乳首が勃ってきている。 「んぅ……感じてなんか……やぁああ……いないもん」 だったら何でそんな艶っぽい声出してんだ。 コイツと身体を重ねたことは数えるほどしかないが、 それでもただの悲鳴と、蕩けたオンナの嬌声の区別くらいはつく。 「つーかさ……お前、濡れてきてんじゃん」 元々密着度の高い衣装だが、その下腹部は内側からあふれる蜜によってさらにぴったりと張り付いて、 いやらしく割れ目を浮き上がらせていた。 「……ふぇっ?! やぁだぁ…ばかぁ……見るなぁ……」 明らかな官能の証拠を突きつければ、流石に言い逃れることも出来ないらしく、 股間を手で覆い隠してしまったの、だが―― 「――ひぁっ?!」 ――あまりに急に隠した為、指が敏感な部分に触れてしまったのだろう、 腰がびくんと跳ねて激しく反応していた。 「めちゃくちゃ感じてんじゃん……」 「……う、ううっ……うー」 ……やべ、オレまで勃ってきた。 ちょっとした悪戯で済ませるつもりだったのに、どーすんだよ、こんなの。 「そうか、皇女様は触手で気持ちよくなっちゃう変態だったか」 流石に『ちょっとだけ興味が』と言うだけの事はある。オレには無理。 「こんなときだけ何が皇女……ふえぇっ?! や、やだっ、こっちきちゃダメっ!」 メスの匂いに反応したのだろうか。それまで体の各所で勝手に蠢いていた触手たちが、 一斉に股座を目指して黒布の一枚下を這い進み始めたのだ。 「おいおいおい……」 「黙って見てないでどうにか……やぁぁっ! 入っちゃダメっ! 入っちゃだめぇっ!」 ついに蜜の源泉にたどり着いた一本の触手が入り口をこじ開けて胎内に侵入しようとしているらしい。 触手の分際で生意気な! そこはオレもまだ片手で数えるほどしか挿れたことが無いってのに! 「こ、ここはあなたの以外は入れたくないの……お願い……お願いだからぁ……抜いてぇ……」 涙目になり、顔を上気させながら、そんなことをお願いされてしまった。 うわ、コイツから『あなた』とか初めて言われちまったよ。 ちゅーか、理性が飛びかけてるんだろう、かなりすごいことを口走っている。 「わかったよ……けど、どうやって……」 こうなってくると、こんな着脱に時間のかかるものイチイチ脱がしてられん。 「切っていいっ! 破って良いからっ、はっ、早くぅぅ……」 なんとも素晴らしい許可が出た。 オレは愛用のダガーを取り出し、こいつの地肌を傷つけないように注意しながら 黒タイツの局部部分を一気に切り裂く。今まさに秘所を犯そうとしている触手の一本を 引っこ抜き、そのまま雌の花弁へと集結しつつあった他の触手もタイツから引きずり出して 戻ってこないように遠くへ投げ捨てた。やれやれ……。 「は……はぁ……はぁー」 さっきのオレと同じく、性も根も尽き果てたのだろう。 コイツは息を荒げたまま、タイツが破れて露出した秘所を隠そうともせず床に転がっている。 しかし、いやらしくも最高な光景だった。 この女は今、雌として隠すべき一番大事な部分『だけ』が剥き出しになっているのだ。 なんて無防備。なんて官能的。なんて愛らしい。 タイツの破損箇所からは、きめの細かい白い地肌が露出して、布地の黒と対照して実に良く映える。 さらにその白い皮膚の中心には、紅い粘膜が息づいてる。恥毛は申し訳程度にしか生えてない。 普段はぴっちり閉じている粘膜の花弁は、触手の官能にさらされたせいか左右に軽く花開き、 そこから見えるメスの肉はしっとりと愛液に濡れていて、 包皮の下では小粒なクリトリスが膨らんでお外に顔を出したがってる。 発情状態の雌器官がそこにあった。 舐めたい。 気付けばオレは本能の命ずるままに秘裂に口付け舌を這わせていた。 「んっ、んぅう…な、何してんのょぉ……あ、ぁやぁあっ!」 一度は開放されたはずの性的刺激を再開されて放心していたこいつの意識がかえってくる。 「何って……キスしてんだよ。だから言え、俺のことを好きか嫌いか」 「そ、そんなトコのは、違っ……あ、あ、うぅうんっ!」 「違う? じゃあ止めるか」 「え……?」 口唇愛撫を中断し、こいつの顔をじっと見つめ返す。だめだめ、そんな物欲しそうな顔して強がったって。 「いじわる……」 「何がいじわるだよ。して欲しいんならちゃんと言え」 「こ、このあたしがルシェに懇願しろってのっ……?」 すげーよ、コイツの貴族根性。ここまで来るとむしろ尊敬に値する。 「別にお貴族様らしく命令でも良いんだぜ」 命令だろうと懇願だろうと、どの道いやらしい欲求を口にしないといけないのは同じだがな。 「……キスを…つづけなさい」 まあお前の性格だったらそういうよな。じゃあオレのターン。トラップカードオープン。 「じゃあ認めるんだな、コレがキスだって」 「うー、み、認めてあげる…わ」 「じゃあ言え、好きか嫌いか」 「……そ、そのぉ……………だいすき」 だいすき、ってそりゃ反則だ。俺のハートにクリティカルヒットしちまったじゃねーか。 「ちくしょうオレだって大好きだ」 こっちも大好きといった途端に、コイツの顔がますます紅潮する。 ああもう可愛いな! いくらだって感じさせてやるよ! 肉の花弁を指で大きく割り開く。 酒とチーズそしてどこか植物に似た青臭さが入り混じったメスの匂いが香りたち、 針でつついたような尿道口とモノを求めてひくつく膣口があらわになった。 色といい形といい匂いといい何かに似てると思ったらフロワロだ。 紅く妖しく咲き誇って人の魂を吸い尽くす。まるでコイツそのものみてーだ。 「そ、そんな……開いちゃやだよぉ……」 肉色の杯にはたっぷりと愛液がたたえられ、羞恥で腰が動くと、蜜もまた揺れ、そして零れ落ちた。 そのまま犬が皿のミルクを飲むようにあさましく舐めしゃぶる。 今のオレならルシェの家畜野郎といわれても文句は言えない。 「ダメっ……そんな激しくしちゃダメぇっ……!」 ダメとか言いながら俺の顔を押し付けてきてんじゃねーよ、このエロ女。 肉孔からは舐めとっても舐めとっても、いやらしい蜜がいくらでもあふれ出てくる。 なんと言うか実にメスの味だ。旨いモノじゃないが実に旨い。 舐めるだけじゃ我慢できなくなって、舌先を尖らせ膣内へとゆっくり、ゆっくり挿入して こいつの一番大事な部分を文字通り舌全体で『味わう』。 「ひゃぁん…な、なにしてる……のよぉ……」 この状態で答えられるわけが無い。 まあでも旨いもん飲ませてもらってるお礼はしてやろう。 クリの包皮を指先で剥き、一番敏感な部分を外気にさらして一気にこね回せば、 「――ひっ!」 一声甲高く鳴いた後に、膣肉がきゅうんとオレの舌を締め付けてきた。 イッたな、コレは。 舌を肉孔から引っこ抜くと、唾液と愛液の混合液がエロい糸を引く。 「イッた?」 「……うっさい、ばか」 見られるのが恥ずかしいのだろう。顔を両手で覆い隠してるが、 隠した指の隙間からオレの勃ったイチモツをちらちら盗み見てるのはバレてるぞ。 「顔見せろよ」 「や……だめ……」 たいした抵抗もなく隠した掌を引き剥がせば、いつもの傲慢でツンケンした尖りが すっかり抜け落ちた、蕩けたメスの顔がそこにあった。いつもこうなら可愛いのにな。 間近で眺めたくなってオレも顔を近づけると、もうたまらなくなってたんだろう、 コイツの方からキスしてきた。 不意をつかれて割とされるがままになってしまい、さっきのお返しだといわんばかりに コイツの舌がオレの口内を犯し尽くしていく。ちくしょうやっぱこの女キス上手ぇな。 こちらも多少の反撃は試みた物のたいした戦果も得られない。 あー、やべぇ、脳みそ溶けそう、くらくらする。 しばらくいじめられてようやく開放されたがこりゃ絶対に顔赤いな。 赤面を見られたくなくて、視線をそらし顔をそらす。くそ、さっきと逆じゃねーか。 「ふふん、あなたって普通のキスはまだまだお子様よね」 「キスとか……良かったのかよ…その、舐めたばっかだったってのに……」 「……こうなってもいい様にお風呂入ってきたから綺麗だもん」 用意周到じゃねーか。まあ触手プレイとか言い出す時点でそのつもりだったんだろうが。 「じゃあ、最後までするつもりもあるんだよな?」 「……あなたがしたいんだったらしても良いけど?」 「……お前がヤりたいんだったらヤってやるけど?」 そのまましばらく見つめ合っていたのだが、 残念ながらお互いそれ以上意地が張れるほど余裕は無かったらしく 「……するか?」「……しよっか?」 ほとんど同時に誘いを交わした。 なんだかおかしくなってくすくす笑いあった後、キスをして、ベッドへ連れ立った。 オレは既に下着姿だし、パンツさえ脱いじまえば準備は整う。 痛いほどに勃起した一物の先端には先走りの汁がにじみ出てあふれんばかりになっている。 「……ねー、はやく」 こいつはと言えば羽織りは外していたものの、例の全身タイツは身に付けたままだった。 「はやく……ってお前、それ脱がなくて良いのかよ」 「……その、破いちゃったし、このままできるでしょ。どうせもうこれ着れないし」 「そりゃそうなんだろうけどよ……」 裸よりエロ過ぎるだろ、そのカッコ。 「局部露出の黒タイツプレイなんてコレを逃せば機会はないわよ……興味ない?」 ある。 触手プレイに比べりゃよっぽど。 黒い布地が破れて露出した陰部だけが強調されて、まるでセックス専用衣装って感じだ。 口答で返事する代わりにベッドへと押し倒し、こいつのタイツに包まれたままの脚を割り開いてのしかかった。 長くて黒くてきれいな髪が乱れてベッドに広がる。 「お前って……ほんとエロに貪欲だよな」 まあ、あの三バカが側近では溜まる物も多かろう。せっかくだからスッキリさせてやりたい。 「あなたこそ、もう我慢できないって顔してる……」 んで、オレの方だってもちろんスッキリしたい。 「まあな……もう準備とか要らないよな……?」 「うん……今すぐ、して……」 性器と性器の距離が近づき、そして触れ合う。 愛液で濡れそぼった秘裂と先走りのあふれた陰茎をなであわせて、 いやらしい液体同士をじっくりと混ぜ合わせる。 「焦らさないでよぉ……」 「……そう急くなって」 焦らしてるわけじゃなく、まだまだセックスそのものに不慣れで 勝手がつかめてないだけなのだが、そこは伏せとく。 しばし四苦八苦してようやく亀頭が膣口をとらえ、体重をかけてゆっくり突き入れていく。 すげー気持ちいい。 あったかくてぬるりとした膣肉が四方八方から陰茎をきゅうんと締め上げてくる。 この、挿れた瞬間はいつも、男の子に生まれてよかった……とか思う。 「あは、おちんちん入ってきたよぉ……」 「おち……って、お前なぁ……」 そーゆー直接的な単語は勘弁してくれ。言われたオレが恥ずいので。 そりゃオレもヤりたい盛りの青少年だけどさ、まだまだ純情なお年頃でもあるんだよ。 「なによ、おちんちんって言ったぐらいで照れちゃって……かわいいんだから」 「……うっせ」 「それより、どう、私のおま…………ナカは?」 そっちの単語は言えねーのかよ。まあ、気持ちはわかる。要するに、 「ああ、すげー気持ち良いよ……お前のおまんこ」 自分についてない方なら、口に出すのもそんな抵抗はないのだ。 「……ばか、仕返しのつもり?」 「いや、そんなんじゃなくて、なんつーか……いつもとぜんぜん違う。 マジすげー良いおまんこになってる、今日は」 「もー、ばか……」 単純に若く、そして経験が少ないせいだろうが、普段のこいつの膣は生硬なところがあって 挿れるとどこかゴリゴリした感触がある。それが今日は、 触手やらなんやらでじっくりたっぷり熟させたせいだろう、 ねっとりしっとりと熱い媚肉がからみついてくる。 この肉を、もっと味わいたい。 「……動いていいか?」 「……うん」 情けない話だが、経験不足なもんで最初のうちは結合部を目視しながらじゃないと動けない。 エンジンかかってきたら本能のままに腰振ってもわりとどうにかなるのだが。 「つながってるトコじろじろ見ちゃやだ……」 「……そういうお前がガン見のくせに」 膣口は一杯に口を広げていじらしく俺のモノをくわえ込んでいる。 繋がっている粘膜感触もさることながら、こうして結合部を目にすると セックスしてるんだ、と否応無しに実感する。心臓が跳ね回り、鼓動がオレを鼓舞する。 「いくぞ」 「うん」 陰茎を半ばまで引き抜けば、それはもちろん愛液にまみれていた。 亀頭が見えるほどにまで抜いて、また突き入れる。 痺れるような快感がペニスを核にして腰の方まで広がってくる。 出し入れを、繰り返す。単純な動き。それしか出来ない。 多分、オレはまだまだ下手の部類に入るんだろう。 「あ、あぁあ……ナカ、かきまぜられてるよぉ……」 でも、そんな未熟な抽送でもコイツは感じてくれていて、 ねっとりぬめった膣壁でオレのペニスをマッサージしてお返ししてくれる。 「んぅ……きもち良いよぉ、つながってる…所っ、 ぐちゃぐちゃって、えっちな、音してる…よぉぉっ!」 だから、聞いてる方が恥ずいのでイチイチそーゆー実況はしなくてよろしい。 ……あーもー、こういうのって男女逆だろ普通は。キスで唇をふさいで黙らせようとも思ったが 身長差のせいでどうにも上手くいかない。くそ、マジ格好悪りぃ。 だが、キスしたいという意思は伝わったらしく、 「つながった、まま……キス、だね……しよ」 下から抱すくめられる様にして、それはそれは情熱的に口付けされた。 身長差と動きが激しすぎるせいで唇を合わせ続けることが難しいが、 それでもお互い舌を伸ばし、唇を突き出して精一杯に求め合った。 たまらない。かわいいなこいつ。かわいくて、そしていとおしい。 「好きだ」 口付けが途切れた一瞬、好意の言葉が自然に口からあふれ出た。 「あたしもぉ……すきぃ……」 そして互いに好きだ、好きだ、と言い合いながら身体を求め合う。 愛し合う、ってたぶんこういう事なんだろうな。 こんなに気持ちよくて、こんなに興奮して、こんなに幸せなセックス。 ……だからこそ、身体は一気に高められてしまって 残念ながら未熟なオレたち二人では長く味わうにはまだまだ経験不足。 「あ、あぁっ、やぁぁっ……いっ、いぃっ、イッちゃぁ……っ!!」 っていうかお前もうイッてるだろ。 逃がさない、搾り取ってやる、とばかりに膣肉がオレの剛直をめちゃくちゃに締め付けてきている。 そしてオレだってもう限界。 ナカで果てたいという気持ちはもちろんあったが、そこは本能を全力でねじ伏せて 寸前でペニスを膣から引き抜いた。たちまちのうちに鈴口からは快感と精液がほとばしって こいつの黒いタイツに覆われたままの腹を、胸を、白く汚していく。 黒い物を白く汚すのは異様なまでに背徳的な悦びがあって、射精前より出した後の方がむしろ興奮している。 その実に官能的な風体をしばし眺めていると、不機嫌ながらも蕩けた声で苦情を言われた。 「うぅん……もー、あなたってばそーろー野郎なんだからぁ…もっとがんばりなさいよぉ……」 「……まあ、早いっちゃ早かったけどよ、お前もちゃんとイッてたじゃん」 「イッてたけどぉ……イキながら奥をぐりぐりされるのが好きなのにぃ……」 「お前の欲求はいちいちエグいんだよ……」 こいつ、二ヶ月前までは確かに処女だったのになあ……などとため息をつく暇も無く、 「……って、お前何してんだよっ!」 吐精を終えてもまだ硬いままだったオレの陰茎がしゃぶりつかれていた。 「何って……きれいに、してあげてるの……せーえき付いたままだと、だめ、だから……」 剛直にこびり付いたままだった精液が舌で舐めとられ、尿道に残っていたのも吸い取られる。 こんな丁寧にお掃除してくれるってことは、だ。 「……ね、もっかい、しよ?」 やはり二回戦のお誘いか。 オレも再び出さないことにはおさまる物もおさまりそうに無かったんで、エキストラターンの開始である。 出した後だし多少は射精のコントロールも利くから今度はお望みどおり こいつがイッてる最中にガンガンに奥をつついてやったのだが、 「感じすぎちゃうからいやぁ……!」 などと泣き出した挙句、事後にはものすごい怒られた。 あんまりきーきーうるさかったんで、キスして唇をふさぐとようやく静かになって、疲れ果てたのか眠り始めた。 まったく、この皇女様はわがままにも程があるぞ。オレにどーしろと言うのだ。 ――いつの間にかオレの方もうとうとしてたようだ。 気付けばあいつは先に目を覚ましていたらしく、真新しいサムライ衣装に着替えてた。 「……そんな新品、どこにあったんだよ」 「んー? いつかこーゆーこともあるかなーって、こないだ来た時ここのクローゼットにぶち込んどいたの」 「どういう事態を想定してたんだよ……」 ぬう、こっちだけ裸だと妙に気恥ずかしい。オレも適当に服を取り出しいそいそと着込んでいく。 「ところでさ、アンタん所にメナスのアホから呼び出しあった?」 「あー、来た来た来た。お前んトコも呼び出し?」 明日の11時に大統領府に顔出せと、そういう話だった。 「そーそー。あの馬鹿、またあたし達に競合させる気よ」 「だろーな」 現在の対竜ギルドの最先鋒はオレのところとコイツのところが双璧なのだが、 メナスの野郎はあえて仲の悪いオレたちをカチ合わせることで より良い戦果を拾おうとすることがたびたびあり、時にはオレ等があい争ってる間に カザン子飼いのギルドである『王者の剣』が漁夫の利でおいしい所を持っていくことすらあった。 そこで対抗策として時々こうやって、談合じみた真似もしていると言うわけだ。 メナスの野郎だってアイゼン貴族とルシェのリーダーがデキているとは想像すらしていまい。 「たぶん、こないだ逃がしちまったフレイムイーターの後始末をしろっつー話だと思うんだが……」 「あ、アレは結果オーライだから。っていうか、絶対討伐しちゃダメよ」 「……なんでだよ?」 「帝竜が逃げ込んだドーマ火山周辺ってのはさ、ジェン爺って地方豪族の支配地域なんだけどね、 アイツ中央の言うこと聞かないし守銭奴だしあたし大っ嫌いなのよ。放置してせいぜい苦しめてやればいいわ」 「おいおい……帝竜を放置する理由が私怨かよ」 「まあ、政治の話をするとさ、あのへんの領土をソウゲン叔父様が欲しがってんのよね。 ほっときゃそのうち中央に泣きついてくるだろうから、帝竜退治を名目に金色の騎士団を 派兵して何もかもぶん捕ってやろうってワケ」 「お前ホンっと、悪巧みしてるときは輝いてるよなぁ……」 「ふふん、それほどでもないわ。密約、談合、権謀術数、アイゼン貴族のたしなみだもの」 褒めてねえよ。 まあオレ達も、本来はカザン領であるノザン=ペスタの遺跡から『旧世界』の技術を たっぷりいただいてネバン本国へと送りつけてるんだから人のことは言えない。 「んじゃ、明日の呼び出しはのらくらかわして先延ばしにする方向で良いんだな?」 「うん、それでお願い」 「代わりと言っちゃなんだけどよ、ドレッドノートはオレ等にやらしてくれねえ? ネバンとしてもマレアイアには恩を売っときたいから」 「……えー? あそこに恩売りたいのはあたしも同じなんだけどなー」 ――などと、いかにも軽いノリで話しちゃいるが、世界の命運は今まさに決まりつつあった。 人類がドラゴンと言う共通の敵を得て一時的とはいえ結束してるのと似たようなもんで、 オレとコイツがくっつくきっかけとなったのも、メナスという共通の敵がいたからである。 「こら。人が話してんのになーにボサっとしてんのよ」 「してねえよ……」 「ところでさ、ろぉぱぁうどん以外にも買って来たのがあるんだけどね……」 「ハァ?! まだやる気かよ?! お前馬鹿じゃねえの?!」 「馬鹿って何よ! アンタほんとルシェの分際で生意気なんだから!!」 ――ま、こんな面白い女と引き合わせてくれたって所だけは、あのメガネ野郎に感謝してやっても良い。 <了>