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あらすじ 「彼女が欲しい」と願う平凡極まる高校2年生・青島は、ある日突然未来へタイムスリップする能力に目覚める。10年後の未来、なんと彼は学校一の美少女・我妻さんと結婚していた! 今は単なるクラスメイトなのに、いったい何がどうして高嶺の花の我妻さんと、俺が‥‥!? 新鋭タッグによるタイムスリップ・ラブコメディ! +... 「彼女が欲しい」と願う平凡極まる高校2年生・青島は、ある日突然未来へタイムスリップする能力に目覚める。10年後の未来、なんと彼は学校一の美少女・我妻さんと結婚していた! 今は単なるクラスメイトなのに、いったい何がどうして高嶺の花の我妻さんと、俺が‥‥!? 新鋭タッグによるタイムスリップ・ラブコメディ! ある日突然タイムスリップ能力に目覚めた平凡な高校2年生・青島は、未来では学校一の美少女・我妻さんと結婚していた。しかし屈指のさわやかモテ男・土橋が我妻さんにアプローチを開始! 気が気でない青島の前に、学校で暗躍する秘密結社・DX団が現れる! 果たして彼らの目的とは? そして迎えた夏休み、未来で我妻さんに代わって一時嫁になっていたシルヴィアと青島が大接近!? ある日突然タイムスリップ能力に目覚めた平凡な高校2年生・青島は、未来では学校一の美少女・我妻さんと結婚していた。だが、そんな未来が現実に訪れるのか不安になった青島は、ラブレターで彼女に想いを伝えることに。その手紙が学校に大騒動を巻き起こす! そして、伊東が作製した我妻さんの精巧なアイコラを入手した青島は、思いがけない行動をとって‥‥!? 水泳部のホープとして、新人戦へ向け練習に励む我妻さん。ところが未来へタイムスリップした青島は、彼女が決勝で肩を痛め惨敗してしまうことを知る! 我妻さんを守るため、青島が考えた意外な作戦とは!? そして、ある日タイムスリップした青島を待っていたのは‥‥クラスメイトの下妻シルヴィア(Jカップ)と結婚している未来だった!! 未来へタイムスリップした青島を待っていたのは、無言の我妻さん。やっと発したのは「来ないで」のひと言! いったい何が!? そして、青島と我妻さんが結婚するきっかけが、「高2の文化祭で、青島たちDX団がバンドをやった」ことだと判明! ド素人集団には無謀すぎる条件と思われたが、意外な救世主が現れて!? ついに、運命の文化祭が幕を開ける!! 我妻さんと未来で結婚するためには「修学旅行中に告白」しなければならないらしい! 自分史上最高難度のミッションに燃える青島。だが修学旅行の自由研究の行き先で問題発生! ドラマのロケ地めぐりをしたい我妻さん、京都アニメーションを見学したいシルヴィア‥‥はたして青島が選ぶのは? そして旅の終わりに待ち受ける意外な結末とは!? 我妻さんは俺のヨメに関する口コミ #bf 我妻さんは俺のヨメ レビューポイント(5が最高) 選択肢 投票 1 (0) 2 (0) 3 (0) 4 (0) 5 (1) コメント コメント 6巻読了後の感想。 小気味よく、若干マニアックなネタを放り込んでくる恋愛コメディ。 ネタ自体は完全に読者を選ぶと思いますが、絵が整っているので、アンチはあまりいないように思います。 クラスのアイドルと付き合い、さらには結婚するという、少年恋愛漫画の王道的な目標を扱っている作品ですが、現在の些細な行動が未来に影響するというカオス理論的な要素を含んでおり、面白さに貢献しています。 それにしても我妻さんええ子や。 みんなの感想 }(document,"script","twitter-wjs"); /script } ,rules [ { "name" "AnyOther", "message" "気に入ったらシェアしてね!", "action" { "type" "button", "text" "Share this page", "verb" "share", "service" "preferred" } }, { "name" "Twitter", "match" { "referringService" "twitter" }, "message" "If you find this page helpful ", "action" { "type" "button", "text" "Tweet it!", "verb" "share", "service" "twitter" } }, { "name" "Facebook", "match" { "referringService" "facebook" }, "message" "Tell your friends about us ", "action" { "type" "button", "text" "Share on Facebook", "verb" "share", "service" "facebook" } }, { "name" "Google", "match" { "referrer" "google.com" }, "message" "If you like this page, let Google know ", "action" { "type" "button", "text" "+1", "verb" "share", "service" "google_plusone_share" } } ]}); /script !-- AddThis Welcome END -- }
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ルイズ!ルイズ!ルイズ!ルイズぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!! あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!ルイズルイズルイズぅううぁわぁああああ!!! あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん んはぁっ!ルイズ・フランソワーズたんの桃色ブロンドの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!! 間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!! 小説12巻のルイズたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!! アニメ2期放送されて良かったねルイズたん!あぁあああああ!かわいい!ルイズたん!かわいい!あっああぁああ! コミック2巻も発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!! ぐあああああああああああ!!!コミックなんて現実じゃない!!!!あ…小説もアニメもよく考えたら… ル イ ズ ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!! そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!ハルケギニアぁああああ!! この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?表紙絵のルイズちゃんが僕を見てる? 表紙絵のルイズちゃんが僕を見てるぞ!ルイズちゃんが僕を見てるぞ!挿絵のルイズちゃんが僕を見てるぞ!! アニメのルイズちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ! いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはルイズちゃんがいる!!やったよケティ!!ひとりでできるもん!!! あ、コミックのルイズちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!! あっあんああっああんあアン様ぁあ!!シ、シエスター!!アンリエッタぁああああああ!!!タバサァぁあああ!! ううっうぅうう!!俺の想いよルイズへ届け!!ハルゲニアのルイズへ届け
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前ページ次ページゼロのデジタルパートナー 「――――――――! ―――――ン! ―――ラモン! ――ドラモン!!」 遠くから声が聞こえる。 それは今までに何度も何度も聞いてきた、とても大事な奴の声だった。 「メガドラモンッ!!」 確かに自分の名を呼ばれ、意識が覚醒する。 目の前には大事な自分のパートナーと、どうやら刺し違えたらしい、ムゲンドラモンの死体が転がっていた。 ムゲンドラモンの身体は既に分解が始まっていた。その隣には、ムゲンドラモンを操り、このファイル島を我が物としようとしていた男が尻餅をついている。 俺の身体を抱きかかえ、涙を流しながら俺の名前を叫んでいるのは、今まで苦楽を共にしてきた、パートナー。 だがどうやら……その楽しくも苦しかった時間に終わりが来たらしかった。 「俺とした事が……ドジッち、まった、ぜ…………」 「喋るな! 今、今ケンタル医院に連れてってやるから!!」 「良いんだ……。自分の身体の事は、自分が一番分かってる。…………こんな形になってすまねぇがよ……」 既に分解が始まっている身体を一度だけ見下ろし、確りと目の前のパートーナーを見つめる。 「お前に育てラれた、俺ノ人生…………ワるく、なかッタ、ゼ…………」 最期の言葉を、ちゃんと発せたろうか。 それだけが気がかりで、俺の意識は、闇に飲まれていった――――――。 ゼロのデジタルパートナー 一話 ルイズは思わず息を飲んだ。 サモン・サーヴァントの魔法で何故か巻き起こった爆発の中から現れたその姿に。頭らしき物が僅かに俯いているが、翼を広げれば4メイル程に達するだろう、その『竜』に。 しかし教師であるコルベールを含め、誰も見た事の無い種類の竜だ。 上半身は逞しく、巨大な腕と頭。しかしそれに反して伸びる下半身には足の様な物は無く、ひょろっとした蛇の様な体がうねうねと動いている。 そしてよく見ると、羽ばたいても居ないのに宙に浮いているではないか。 誰もがルイズ同様に息を飲んでいた。 「ゼロのルイズが成功した……」 「おいおい、嘘だろ……?」 「ま、負けた……ゼロのルイズに……」 煙が晴れ、その姿が完全に現れる。そしてまたしても、誰もが息を飲んだ 腕と頭についているのは、漆黒に煌く金属。体の色は赤く、所々に生えている体毛は群青に染まっている。 誰がどう見ても、立派な竜の(大きさからして)幼生であった。誰も知らない種族ではあるが。 と言う事は、ルイズは竜を召喚するのと同時に、非常に珍しい種族を召喚した事にもなる。 召喚を行った当人は、あまりにの感動に気を失いそうだった。 漸く今まで自分を「ゼロ」と馬鹿にしていた奴等を見返せる。そう思うと自然と笑みが零れるルイズだった。 そして、 「や、やったわ!!」 高らかに叫ぶ。 コルベールも柔らかに微笑んで―自分の生徒の成功に心から喜んで―促す。 「さあ、ミス・ヴァリエール。契約を」 ルイズが頷き、自分の使い魔になる竜に向かって歩を進めた。 メガドラモンは、正直かなり混乱していた。 理由一。まず自分は、デジタルモンスターとしての死を迎えた筈である。 理由二。周りの人間の多さ。 こんな所だ。 メガドラモンは目だけを動かして辺りの様子を窺う。皆が皆、驚いた表情で自分を見ている。 次に自分の身体。 今さっき正に致命傷を受けていた筈なのに、見事に完治している。 分かっている事と言えば、どうやら自分が現実世界に来たらしい、と言う事くらいだ。 ともかく、自分だけでは答えを導き出すのが不可能。と結論を出し、こちらに向かってくる人間の子供に聞いてみる事にした。 「ここは何処だ?」 「ッ!!」 その場に居た全員―と言ってもメガドラモン以外だが―が怯む。 「しゃ、喋った!?」 「ま、まさか……ゼロのルイズが……」 「韻竜だ! 韻竜を召喚しやがった!!」 周りの生徒からソンナバカナーとか、ウオースゲーとか、色々と歓声や喚声が上がる。 その様子に一度だけビクッとしたメガドラモンだったが、改めて目の前の人間の子供に目を向ける。 ルイズはまたしても感動のあまりに意識を手放しそうになったが、主人としての威厳を持って答えた。 「こ、ここは、トリステイン魔法学院よ!」 「トリステイン……?」 パートナーに聞いていた「ニッポン」と言うのとは随分違う。 それに周りの人間が着ている服も、自分のパートナーが着ていたのとはかなりの差があった。 ……そう言えば現実世界では国によって、同じ人間でも色々違うと言っていた。そんな事を思い出し、メガドラモンはこう結論付けた。 まず自分は、何らかの理由で現実世界に飛ばされた(パートナーがデジタルワールドに来たのだから、その逆もあるだろう)。 そして此処は、自分のパートナーが住んでいた国とは違う国だ。 あながち間違ってはいないのだが、メガドラモンは一番大事な部分を間違えてしまっていた。 「そうか。……それで、お前は?」 「私は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール! わ、私があんたを呼んだのよ!」 ……彼女が自分を呼んだのか。 俺が死にかけている所を、彼女が呼んでくれたおかげで助かった。 つまり、命の恩人だな。 メガドラモン、賢くはあるがちょっと抜けていた。 「そうか。……それじゃあ、お前は俺の恩人だな」 「……? そ、そうよ!」 何を言っているのか分からなかったが、とりあえず同意をしておくルイズであった。 その後、外見に似合わず非常に大人しいメガドラモンと、ルイズは見事契約を交わした。 メガドラモンの左手に現れたルーンをコルベールが興味深く見ていたが、軽くスケッチすると直ぐに皆を解散させた。 各々が魔法で飛んでいくのを目にし、メガドラモンは少しギョッとした。 「人間は飛べないと、言っていたと思うんだがなぁ……」 皆が居なくなったのを確認すると、ルイズはいきなりメガドラモンに抱き付いた。 いつもゼロのルイズと蔑まれて来た彼女だ。立派、いや立派過ぎる使い魔を召喚出来て、心底嬉しいらしい。 「あんた、名前は?」 「メガドラモンだ」 「メガドラゴン? 聞いた事ない種族ね……。って、あんたの名前を聞いているのよ。種族名じゃないわ」 そう言われ、メガドラモンはちょっと考え込んだ。 言われてみれば、自分は自分だけの名前で呼ばれた事が無かった。 数秒思案して、メガドラモンが口を開いた。 「メガで良い」 「分かったわ。メガね。……わ~、めがめが~」 素晴らしい変わり身であった。今までは高貴なカンジ! と言うのを体現していたと言うのに、いきなり母に甘える赤子モードである。 だがそんなルイズの至福の時を、メガドラモンが悪意無い発言でぶち壊してしまう。 「お前は飛ばないのか?」 ビシッ。とルイズが固まる。 そして、絞り出す様に言った。 「飛べないのよ……」 それが恥ずかしいとか悔しい事なんだろうと直ぐに察して、メガドラモンは、 「そうか」 とだけ言って、尻尾でルイズを巻き取り、背中に乗せた。 「な、何!?」 「掴まってろ」 メガドラモンがそう言うや否や、風竜顔負けの速さで空を駆け始める。 「わー、わー!」 あまりに速さにルイズがまたしても、感動で気を失いそうになるが、頑張って堪える。 そしてメガドラモンの後頭部に生えている毛に顔を埋め、にやにやとだらしなく笑っていた。 この使い魔となら、上手くやっていける。誰も自分を「ゼロの」ルイズなんて呼ばなくなる。 そう確信し、今までの級友が見た事も無い笑みを浮かべ、ルイズは空を駆けていた。 前ページ次ページゼロのデジタルパートナー
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さわやかな朝の風が、髪の毛を揺らす。同時に、眩い朝の光が顔に当たり、ルイズは目を覚ました。 久しぶりの、気持ちのいい目覚めだった。寝ぼけた頭のまま、目をこする。 「おはよう、ル・イーズ!」 訂正、最悪の目覚めだ。寝ぼけた頭はこの声に、一瞬で覚醒する。 昨日、召喚したばかりの使い魔はやけに眩しい笑顔を向け、対照的にルイスの表情は渋いものとなった。 「あ、あんた……。やっぱり昨日のは夢じゃなかったのね」 落胆し、ため息をつく。そんなルイズの目の前に、新しい制服が差し出される。 「ル・イーズ、着替えだ!」 「洗濯は?」 「先ほど終わらせた。メイドの娘に教わった。ショ・ミーンの仕事を学ぶ、いい機会だったぞ」 服も、下着も力を入れすぎたのか、ぼろぼろになっている。汚れが落ちていないどころか、どういうわけか泥汚れがついている。 あまりの惨状に、口が引きつる。怒りのボルテージがいきなりクライマックスに達した。拳を振り上げ、怒鳴りつけようとした瞬間、 「こ、の……」 「どうした、ル・イーズ。あまりの素晴らしさに声も出ないか!」 本気か、こいつは。 怒鳴りつけるタイミングを失ったルイズは拳を震わせ、口をパクパクさせた。こんなタイミングで今さら怒鳴りつけたところで、 間抜けなだけだ。 「洗濯は今度から……メイドにやらせるわ」 そう呟くのが、精一杯だった。 寝巻きを脱ぎ捨て、クローゼットから持ってこさせた新しい下着を身に着けたルイズはさも当然、とばかりにツルギに命令した。 「着せて」 「着せて、とは俺がル・イーズに服を着せる、ということか?」 ここぞとばかりに、ルイズはえらそうな口調で宣言する。 「そうよ。下僕がいる場合、貴族は自分で服なんか着ないのよ」 特に『下僕』という単語を強調して言った。さらに、拒絶したら食事抜きと言う罰も用意してある。 これで、今度こそ自分の立場というものが…… 「女性を大事にするのも高貴なる者として当然のことだからな。任せろ! 俺は女性の扱いでも頂点に立つ男だからな」 ルイズはがっくりとうなだれた。だめだ。全然分かっていない。 この調子では、示しをつける前にこっちがどうにかなってしまいそうだ。 そうなる前にこいつを殺して、新しい使い魔を召喚しようかしら。 ルイズはツルギに背を向けるようにして、半分本気の目を光らせ、隠れるように杖を構えた。 憔悴したまま、食堂に行こうと部屋を出る。後ろの剣はやけに明るい笑顔をしており、ルイズはジト目で彼を睨みつける。 だが、ツルギには全く応えなかった。 そこへ、バカにするような声が投げかけられて彼女はさらに不機嫌になる。 「おはよう、ルイズ。それが噂の使い魔ね?」 「そ、そうよ」 「あっはっは!ほんとに人間なのね!すごいじゃない! 『サモン・サーヴァント』で平民を呼んじゃうなんて、 あなたらしいわ。さすがゼロのルイズ」 「う、うるさいわね!」 そしてキュルケは、ツルギの頭の上から足の先までを値踏みするように見回した。 「あら、こうしてみると意外といい男ね。あなたにはもったいないぐらいじゃない。けど、使い魔じゃねぇ」 「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って、一発で成功。どうせ使い魔にするならこういうのがいいわよねぇ~、フレイムー」 キュルケが呼ぶのに答えて、彼女の部屋から巨大で真っ赤なトカゲ、サラマンダーがのっそりと現れる。 「火竜山脈のサラマンダーよ~、好事家に見せたら値段なんかつかないわよ?」 すると、先ほどまで黙っていたツルギが一歩前に出た。 「何者だ、貴様! 怪しい奴、ワームか!?」 どこから取り出したのか、紫色の剣を構え、目の前のサラマンダーに突きつける。 「ちょ、ちょっと! 何のつもりよ!」 「全てのワームは俺が倒す!」 「ああ、あたしのフレイムに何するつもりよ! 」 「やめなさい、ツルギ! 何のことかは知らないけど、こんなところで騒ぎを起こさないで!」 殺気を感じ取ったサラマンダーも臨戦態勢に入っているが、キュルケが止めている。 ルイズも小さな身体で必死にツルギを押さえようとするが、いかんせん体力が違う。剣はじりじりとフレイムに迫り、突然剣を納めた。 「いや、よく見るとワームではないようだな。俺の勘違いだったようだ。すまなかった」 頭を下げ、そのまま先に進んでいく。やけにえらそうな足取りだ。 あまりのマイペースっぷりに、ルイズもキュルケ呆気に取られている。 一足先に立ち直ったキュルケは脂汗を流し、こんな危ない奴にかかわっていられるかとばかりに、フレイムを連れてそそくさと後退する。 「ゼ、ゼゼ、ゼロの、ルイズにはお似合い、かもね!」 反論できずに立ち尽くすルイズに、ツルギが声をかけた。 「おい、食堂へ行くのではないのか?」 「い、いい今行くわよ! 主人より先に行ってじゃないわよ!」 食堂では、テーブル一杯に豪勢な食事が並んでいた。 今度こそ、今度こそは! ルイズは決心も新たに、拳を握り締める。粗末な食事を与えるということで、主従関係を思い知らせるのだ。 まずはイスを引かせようとするが、 「さあ、ル・イーズ。座るがいい。俺はレディファーストでも頂点に立つ男だ」 先手を打たれた。早くも崩れかけた決心を気力で持ち直させ、当然のように隣の席に座ろうとした剣を手で制止する。 「あ、あんたはこっちよ!」 床を指差す。ほとんど具もないスープの入った、皿が一枚。その端っこに、申し訳程度のパンが二切れ。 「これが、俺の食事か?」 「そうよ! 本当なら使い魔は外なんだけど、あなたは私の計らいでっ、特別にっ、入れてあげたんだからねっ!」 ところどころを、目一杯強調。ハアハアと息をつきながら、ルイズは今度こそ勝利を確信する。 だが、剣はそんなことはお構いなし、といった様子で床に座り、スープ皿を手に取る。 「ふむ。ショ・ミーンはこうやって食事をするのだな」 そして一口。剣はスープ皿をおき、手を震わせ、目を見開く。 「こ……、これは!」 「どう? 食べさせてもらえるだけ……」 文句が出るであろうところを、機先を制した、つもりだった。 「これは、なんと言う料理だ? 初めての味だぁ~」 しかも、食堂に響くような大声で。 「どんな田舎者だよ~」「やっぱ、ゼロのルイズの使い魔だな~」周りの貴族たちからの忍び笑い。 ルイズは恥ずかしさのあまり、顔を真っ赤にさせた。
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前ページ次ページウルトラマンゼロの使い魔 ウルトラマンゼロの使い魔 第百二話「閉ざされた夢幻」 暗殺宇宙人ナックル星人グレイ 夢幻魔獣インキュラス 夢幻神獣魔デウス 登場 リシュに夢の世界へ囚われた才人を救出するため、クリスの力で夢の世界へと侵入したルイズ。 だがサキュバス・リシュの力は自分の想像をはるかに超えたものであった。勝ち目がないと、 ルイズは心が折れそうになったが、そこに塚本たちの激励を受ける。更にルイズの応援にやってきた デルフリンガーの分析により、サキュバスも夢の中で完全に無敵ではないということを知った。 操られている才人の心を取り戻すことさえ出来れば、サキュバスの力に打ち勝つことが出来る……。 ルイズは一世一代の大勝負に出ることを決意したのだった。 翌日――夢の世界で『翌日』と言うのも奇妙な感じだが、とにかく翌日だ――、ルイズは 放課後に才人を校舎の屋上へと呼び出した。ここで白か黒かの決着をつける覚悟だ。 この場にはリシュもついてきていた。ルイズはそれを許可していた。どうせ遠ざけようと したところで、サキュバス相手には無意味だ。ならば初めから姿が見えている方が、相手の出方が 窺えてまだいいだろう。 ナックル星人とインキュラスの姿はない。どこかに控えて様子見をしているのか、はたまた リシュに勝てるはずがないと高をくくっているのか……。その代わりのように、リシュは初めから 生徒の擬態を解いてサキュバス本来の姿を取っている。才人も見慣れたパーカーの格好だ。 屋上には昨日と同じ結界まで用意されていた。ルイズが本気だというのを感じ取り、向こうも 決着をつけるつもりなのか。しかしどちらにせよ、やることは変わらない。 「ルイズさん。昨日の……」 「勝手についてきた人は黙ってて。わたしはサイトに話があるのよ」 リシュが言いかけたのを、ピシャリとはねつけるルイズ。会話の主導権を渡してはならない。 ルイズの言葉が、才人の心に訴えかけられるかどうかが勝負の鍵なのだ。 リシュが何もしない内に、ルイズは才人へと懸命に呼びかけ始めた。 「サイト……。トリステインでのことを思い出して」 「トリ……? 何だ、それ。どこ?」 「わたしが春の使い魔召喚の儀式で、あんたを呼び出して使い魔にしたでしょ。それから、 サイトは何度もわたしを守ってくれた。この前はみんなで舞踏会を開いたりして、がんばったじゃない!」 と言っても、ハルケギニアでの記憶を全て消されている才人はポカンとしているだけだ。 だがルイズは諦めない。ここまで来て、もう諦める訳にはいかないのだ。 「それだけじゃないわ。あなたはウルトラマンゼロと一体となって、ハルケギニアのウルトラマン として日々世界を守ってた、いえ、守ってるのよ! あなたの隣には、わたしだけじゃない、 ミラーナイトやジャンボット、グレンファイヤーたちの、たくさんの仲間がいる! みんなが、 あなたが帰ってくるのを待ってるのよ! その左腕のブレスレットを見て!」 今の才人はリシュの力で、ウルティメイトブレスレットを見えなくされているが、ルイズの 言葉によって様子に変化が起こり出す。 「う、ウルトラマン……俺が……? でも、確かに大切なことがいっぱい、俺の胸の中に……。 あれ、この腕に嵌まってるのは……」 「サイト!? 思い出してきたの?」 徐々に才人が元に戻ってきているのを感じて、ルイズの顔が輝いた。彼とゼロの築いた絆は、 数多の戦いを乗り越えたことで、いくら夢を操られてごまかされようとも、決して断ち切ることが 出来ないものにまで育っていたのだ。 だがリシュとて、このまま才人が覚醒するのを看過してはいなかった。 「サイト、騙されては駄目!」 「騙す……? ルイズが、俺を……?」 「ルイズさん……いえ、ルイズ。昨日言ったこと、完全に忘れたようね」 リシュの目尻が吊り上がり、ルイズに威圧感を掛けてくる。しかしルイズがもう退くことはない。 「ええ、忘れたわ。わたしの記憶をいじれると言ったのは嘘だって分かってるんだから! もう負けないわよ!」 「……それならこういうのはどう?」 だが、リシュは意外な手段に訴えてきた! 「サイト……。わたしたちは宇宙人に命を狙われているのよ!」 「なッ!?」 仰天するルイズ。リシュはいきなりそんなことを言って、一体何をするつもりなのか。 「んッ!? そ、そうだったか?」 「ええ、そう。あなたはもう数え切れないほどの宇宙人に襲われたじゃない。そこのルイズも 宇宙人よ! あなたを殺そうとしてるの!」 ここでルイズはリシュの意図を理解した。よみがえりつつある才人の記憶を逆に利用し、 ルイズを敵に仕立て上げようとしているのだ! 「だから、いつものように倒して! その剣で!」 いつの間にか、才人の手には剣が握られていた。 「……そうだな。この剣で斬り伏せる、今すぐに……」 そして才人は、すっかりリシュの言いなりとなってルイズを敵視する。 「う、嘘でしょ!? あっさりと……何で!?」 「大したもんだな、サキュバスの力ってのは。そう出るとはさすがに予想外だ。どうするか……」 「サイト……。斬り伏せるって、わ、わたしを? 冗談よね? ねぇ?」 呼びかけるルイズだが、才人の目は本気だ。完全にルイズが侵略宇宙人に見えてしまっているようだ。 「娘っ子! この殺気は冗談じゃねえ、一旦逃げた方がいい!」 デルフリンガーが警告したが、ルイズは拒否した。 「嫌! ここで逃げたら……サイトはもう二度と、わたしのところに戻ってこないわ!」 ルイズは女の意地で才人に背を向けず、必死に呼びかけ続けた。 「サイト、思い出して! あなたはわたしの使い魔! 誰にも渡さないの!!」 「……使い魔?」 「いい加減にしなさいよ、馬鹿使い魔! あんた、わたしのことが好きって言ったじゃない! 忘れたの!?」 ルイズの言葉で才人が一瞬揺らいでも、リシュが暗示をその都度掛け直す。 「敵の戯言を聞いては駄目よ」 「ああ、そうだな。敵の戯言を聞いては駄目だ……」 だが、才人の返事には妙に力がなかった。 「!? ど、どうしてそんな声なの、サイト!?」 「ありゃ、もしや……相棒の心がサキュバスの力に反発してるのか?」 デルフリンガーは才人の握る剣を見やって、ハッと気づいた。 「そうか、剣を持ったからか! 怪我の功名って奴だなぁ。娘っ子、もっと呼びかけてやれ!」 策士策に溺れる。リシュは才人に武器を持たせたことで、ガンダールヴの力を発動させて しまったのだ。それで才人に抵抗力が生じた。 ここぞとばかりに才人の名を呼ぶルイズ。 「サイト……サイト……!」 「お前は俺の敵なんだ……。敵は倒さなくちゃいけないんだ……」 しかしまだサキュバスの支配を破るには不十分なのか、才人の催眠状態は解けない。ルイズは 才人の心が自分に応じないことが悔しくて、涙が浮かんできた。 「さ、サイトのバカッ! バカバカバカバカバカバカバカぁッ!」 ぐすぐすと泣きじゃくるルイズに、才人の剣が迫る……! ……が、その切っ先が不意に下ろされた。 「え……?」 「サイト!? どうして剣を下ろすの!?」 リシュが問いかけると、才人はどこか目が覚めたかのような感じを漂わせながら、答えた。 「……この子、泣いてるじゃないか。それを斬る訳にはいかないよ」 「そ、そんなの、こっちを油断させる罠よ! 敵は倒さなくちゃいけないのよッ!」 リシュは必死になって暗示を掛けるが、才人は従わなかった。毅然とした口調で、返した。 「いや……敵を倒すことだけが、強さじゃない。力には――優しさがなくちゃいけない。 それが、俺が教わった大事なことだ……!」 「サイト……!」 ルイズは感極まった。それは、ゼロがいくつもの戦いの中で教えてくれたこと。その想いは、 才人の心に決して変わらないものとして息づいていた。その想いが、ルイズを助けてくれたのだ! 「今だ! 娘っ子、行ってやれ!」 デルフリンガーの指示により、ルイズは才人の胸の中へと飛び込んでいく。 「サイトっ!」 ルイズがぐっと顔を才人に近づけ――二人の唇が、重なった。 その瞬間、才人の手の甲のルーンが輝いた。同時に、ブレスレットのランプに青い輝きが戻る。 閉鎖空間も破られ、空が晴れ渡る。 「……そうか」 「サイト……思い出した?」 「……ああ。ごめんな、ルイズ。全部思い出したよ」 「サイトぉっ!」 才人の意識は、記憶は完全に戻った。ルイズは才人に抱きつき直り、才人はそれを優しく受け止めた。 「おはようさん、相棒。全くとんだねぼすけだよ、おめえさんは」 「デルフ!? この端末が?」 「情けねえが、そういうこった」 『俺のことも忘れるんじゃねぇぜ、才人!』 ブレスレットから声が発せられた。才人の目はブレスレットも捉えられるようになっていた。 「ゼロ! 悪い……俺に引っ張られて、お前まで意識を封じられちゃって」 『いや、俺自身、完全にリシュの術に嵌まっちまってたよ。一生の不覚だぜ……』 自嘲するゼロ。才人復活の喜びを分かち合う彼らの一方で、リシュは衝撃を受けてよろめいた。 「あ、あたしの魔力から……この世界の戒めから逃れた!?」 「リシュ……」 リシュの方へ振り向く才人に、ルイズが尋ねかける。 「どうするの? やっつけるの?」 「大丈夫。これは俺の夢なんだから、リシュをどうにかしなくても帰れるさ、現実に」 と言う才人に、リシュがすがるように呼びかけた。 「……サイト。元の世界に戻ってどうするの? またそのルイズにこき使われて……危険な戦いの 日々を送るだけよ!? この世界で一緒に楽しく生きる方がいいに決まってるわ!」 叫ぶリシュに、才人は答えた。 「確かに、やり方は許せないけど、ここは楽しくて戦いの危険もない、理想的な世界だったよ。 でも……ハルケギニアで、ゼロやルイズたちみんなといる日々は、俺をたくさん成長させてくれた。 そして成長させてくれる。それは、この閉ざされた世界じゃ決して得られない……何物にも 代えられない宝物なんだ」 「さ、サイト……」 「リシュ、お前ももうこんなことはやめて、現実の世界で生きよう。お前には悪意なんてない。 それは夢の中でよく分かった。俺たちと、現実の世界で生きることが出来る」 と才人は説得したが、リシュは頭を大きく振って拒否した。 「そんなこと出来ないわッ! あたしには……現実の世界で、生きられる場所なんてどこにもないものッ!」 「リシュ……?」 絶望したように頭を抱えるリシュに、ゼロが問うた。 『リシュ、そもそもお前は、どうして才人を夢の世界に連れ込んで、二人だけで生きていこうとしたんだ?』 それにリシュは、疲れ果てたかのような表情で答え出す。 「あたしは……サキュバスは、世界のどこに行っても迫害されてた。あたしたちは危険だと 決めつける、人間の一方的な都合で……」 「……!」 表情が強張る才人たち。ルイズは思い出す。サキュバスは、人間にとって危険であるがために 封印されたと。しかし、サキュバス自身に人間への悪意がないのならば……それは人間の迫害と なるのだろう。 「あたしも人間からの攻撃で傷ついてたところを、ある日人間の男性に助けられたわ。 そしてあたしたちは恋に落ちた……。でも、もちろんその関係は長く続かなかった。 人間は執拗にあたしを追い続け、その末にあたしの愛したあの人は命を落とした……」 「そんなことが……」 「あたしは絶望して、自ら封印された。けれど長い時を経て、封印が緩んできた頃に…… あたしは誰かの不思議な夢を垣間見た。それがあなたの夢よ、サイト……」 それが、一連の事件の始まりだったのか。リシュは才人の夢に魅せられ、再びの目覚めを望んだ。 それが怪獣の夢を操る形となって、彼女の封印を破らせた。 「あたしは夢を通じて、サイト、あなたが好きになった。でも、前と同じように現実で生きようと したら、前と同じように失敗してまた失う……。だから、今度は誰の邪魔もされないようにしようとした……」 才人を奪われかけたルイズでさえ、リシュに同情した。世界中から受け入れられない迫害と、 自分のために愛する者を失った絶望……その二つを味わったリシュを、どうして責められようものか。 そしてリシュは、魂の叫びを発する。 「どうして!? あたしの何が悪いっていうの!? あたしがサキュバスだということ…… 人間とは違う力を持ってるってことは、そんなにも悪いことなの!? 力があること…… あたしが生きてるということ、それだけで罪になるというのッ!?」 その問いかけに、才人たちはもちろん、ゼロでさえ何も答えられなかった。彼らがここで 何か慰めたところで、リシュが世界から、人間から拒まれるという現実は、何も変わらないのだ。 リシュは、サキュバスは、人間の世界の中に入っていくことが許されない、怪獣と同じ存在なのか……。 『――あぁ~もう、くっだらないッ! あんたにはガッカリだわよ!』 唐突に、野太い女口調が屋上に響いた。 「! ナックル星人ッ!」 見れば、リシュの背後にいつの間にかナックル星人が出現していた。才人はルイズを背にかばい、 剣を構え直す。 だがナックル星人は才人たちを攻撃してはこなかった。代わりに――リシュが伸びてきた インキュラスの手に捕まり、宙に持ち上げられた! 「きゃああッ!?」 「なッ!? どうしてリシュを!?」 才人が目を剥いてナックル星人に問いかけると、ナックル星人は高笑いを上げた。 『オーホッホッホッ! そんなの決まってるじゃなぁい! あの小娘の力を利用するためよッ!』 「何だって!?」 『あの小娘、サキュバスの力というのは広い宇宙でも貴重な、とっても役立つものよ。それを知った アタシは、あれの力を存分に役立たせてもらおうと考えついたの。このアタシのためだけにねッ!』 「くッ……騙したのね……!」 インキュラスに握り締められて身動きの取れないリシュは、せめてもの反抗でナックル星人を 憎々しげににらみつけた。 『あんなので騙される方が悪いのよぉーッ! ちょぉーっと同情した素振り見せて、お友達に なりましょうと誘っただけでコロリと信じて。ずぅっとお眠りしてただけあって、頭の中身は 赤ん坊と同じねぇ~! オ―――ホッホッホッホッホーッ!』 「何て奴……許せないわッ!」 ルイズは激昂して杖を手に取った。リシュの心の隙につけ込む悪質な手口。これが許されて 良いはずがない。 だが、ナックル星人は余裕綽々にジュリ扇をはためかせた。 『あ~ら、アタシに攻撃していいのかしらぁ? そんなことしたら、インキュラスが小娘を 握り潰しちゃうかもしれないわよぉ?』 その言葉に合わせるように、インキュラスはリシュを握る手の力を強める。それで苦しむリシュ。 「あぁぁぁッ……!」 『お人好しのあんたたちは、あの哀れなリシュちゃんを見捨てたりなんかしないわよねぇ~?』 「くッ……!」 真に悔しいが、実際リシュを見殺しにする訳にはいかない。才人たちは歯を食いしばることしか 出来なかった。 才人たちが動かないことでいい気になったナックル星人は、腕を広げて告げる。 『一つ、いいことを教えてあげるわ。現実世界に現れた怪獣を作り出したのは、小娘じゃない。 あの怪獣よッ!』 ナックル星人が指差した先の空が、途端に曇り出して学園は薄暗闇に覆われた。 そして空から巨大な物体が降臨し、大地に降り立つ。 「あ、あれは……生き物なの……?」 ルイズは呆気にとられた。何故なら降りてきたものは、手足はおろか目や口、首と胴体の 区別すらない、完全な球形だったからだ。あれが生物だとして、どう贔屓目に見ても、卵が精一杯である。 だがナックル星人は誇らしげに言い放った。 『あれこそが世界を支配できるほどの力を持った怪獣、その名も夢幻神獣魔デウスッ!』 『何!? あの伝説のッ!?』 ゼロが驚愕の声を発した。ゼロがそこまで驚くというからには、あの球形はそれほどに 恐ろしい怪獣なのか。世界を支配できる力とは、一体。 『その能力は、そんじょそこらの怪獣とは訳が違うわよぉ。簡単に言えば、夢を現実に、 現実を夢に変えること!』 「何だって!?」 衝撃を受ける才人たち。ということは、ギャンゴ、マザリュース、バクゴン、そしてベリュドラも、 あの魔デウスが作り上げているのか。 確かに恐ろしい能力だ。空想が本当に現実になる……サキュバスの能力すら軽く凌駕している。 その力を自在に行使されたら、敵う存在などいるはずがない。 『でも、魔デウスは実在すら疑われてた。夢想の中に存在するとは言われてたけど、操ることは おろか、存在を観測することすら不可能だったもの。けれどアタシは、サキュバスの力を知って 思いついたの。夢を支配するサキュバスならば、魔デウスと接触することが出来るんじゃないかって! 結果は見ての通り成功よぉ~!』 ナックル星人はもう勝利したかのように勝ち誇る。 『魔デウスはサキュバスの力によって操作されてる状態にある。そして小娘の力は、インキュラスの 超能力で支配してる。つまり、魔デウスはインキュラスの主人のアタシの思うがままって訳ぇ~! 最高だわぁ~! 無限に怪獣を作り出す、いえ、世界そのものを塗り替える力がこのアタシのものぉッ! 世界はアタシのものになったのよぉーッ!!』 「くそぉッ……!」 「さ、サイト……!」 ルイズが焦りに焦って才人の顔を見た。だが、才人とゼロにもどうすることも出来ない。 リシュが人質にされている以上は……。 ……その時のことであった。 「――僕の生徒を、これ以上苦しめることは、許さない」 どこかから、誰かの声が発せられた。かなり遠い場所からなのか、才人たちの耳に届いた それはとても小さかった。 『んん? 今のはだぁれ? どこから話してるの?』 「あッ! 校庭に人が!」 ルイズがフェンス越しに校庭を指し示した。彼女の言う通り、インキュラスに向かって 一人の人間が向かっていくところであった。 その人物とは――。 「矢的先生ッ!」 叫ぶ才人。彼はこの夢世界で才人たちの担任であった、矢的猛だ。 それを知り、ナックル星人は失笑した。 『なぁ~んだ、驚かせて。ただの夢の登場人物如きに、何が出来るっていうのよぉ』 「サイト、先生が危ないわ! あのままじゃ怪獣にやられちゃうッ!」 叫ぶルイズ。彼は夢の存在だが、それでも人間だ。それが潰されるのを見過ごすのはいい気分ではない。 ところが、才人はこう答えた。 「……いや、あの人は俺の先生じゃない」 「えッ……?」 キョトンとするルイズに、才人はつけ加えた。 「俺の担任は、全然違う人だよ。もっと年行ってるしさ」 「えぇぇ? じゃああの人、一体誰なの?」 「僕たちの先生だよ!」 突然、そんな声。振り返ると、屋上の扉から十数名の生徒がゾロゾロとこの場にやってきた。 塚本、博士、落語、スーパー、ファッション、他には中野真一や大島明男など……。彼らについても 才人は語る。 「こいつら、いやこの人たちも、俺の同級生じゃない。ていうか、会ったことすらないよ」 「えぇッ!?」 ルイズに、捕まっているリシュまで面食らっていた。才人の記憶の中の人間ではないのならば…… 彼らはどこから来たのだ? それに対して、才人は答えた。 「目が覚めたことで、何もかもを理解したよ。この人たちは――あの矢的先生は――!」 ――才人がこれまで通っていた学校の先生は、誰も彼もが意欲の低い、凡庸な人物ばかりであった。 才人はそのことにすっかり飽き飽きしていた。コルベールを慕っていたのはそういう理由もある。 そんな中で、才人は歴史の授業で、かつて地球を守ってくれたウルトラ戦士には、教師に 身をやつして地球人の心の研究も行っていた者がいることを知った。才人は、ウルトラマンが 自分たちの教師であった過去の子供たちを羨望し、自分の担任もそのウルトラマンだったらなぁと 感じた。その願いは、心の奥底に残り続けた。 ――夢とは、願望の意味もある。才人の夢を操作し、彼の理想の世界に仕立て上げようとした リシュは、才人の無意識の願いもいくつか叶えていた。その中に、この願いが入っていたのだ。 叶えられた才人の願いは、夢の世界を通して宇宙を越え、才人が熱望した『先生』自身の 意識とつながった。そうして、『彼』はこの夢世界の中に入ってきた。同時に『彼』の記憶も 才人のものと混ざり込み、『彼』が受け持った生徒たちが才人のクラスメイトに混ざり、 『彼』が地球で戦った怪獣たちの一部も夢の中で復活した。才人とゼロが戦った怪獣の 正体とはこれである。 その才人が望んだ、『先生』の名前は――! 矢的は目の前にそびえ立つインキュラスを見上げ、その手の中のリシュに呼びかけた。 「リシュ君、君はかりそめの生徒かもしれないが、それでも僕の生徒だ。僕は先生として、 君を必ず助ける!」 「ヤマト先生……」 つぶやくリシュが見下ろす先で、矢的はバッバッと右腕、左腕の順で拳を前に突き出し、 そして右手に握り締めたペンライト状のもの――ブライトスティックを天高く掲げた! 「エイッティ!!」 ブライトスティックが輝き、矢的の姿が一瞬にして大巨人へと変身した! 『う、嘘ぉぉぉぉんッ!?』 「あ、あれは……!」 ナックル星人も、リシュも、ルイズも唖然とした。インキュラスの前に立った巨人は、 赤と銀の体色、丸顔に柔和さを存分に湛えた、しかし同時に力強さを宿した……紛れもない ウルトラ戦士である! 矢的の変身と合わせるように、塚本たちの姿もいつの間にか高校生――実際は中学生だ―― から、立派な大人のものに変化していた。 彼らはルイズのひと言に答えるように、口々に叫ぶ。 「あれは!」 「ウルトラマン!」 「80!」 「俺たちの!」 「ウルトラマンだ!」 「矢的先生……矢的せんせーいッ!!」 塚本が、彼らのウルトラマン――ウルトラマン80へ向けて力いっぱいに叫んだ。 遠くの星から来た男が、今! 愛と勇気を教えてくれるのだ!! 不思議な夢が才人を覆った! 調査に乗り出した才人はリシュに夢の世界に囚われた! その頃、同じ夢をあるウルトラ戦士がキャッチし、夢の中に入っていた! その前に、 突如として出現した二匹の怪獣! 才人は卑劣な罠に落ち、ウルトラマンゼロへ変身できない! ゼロ危うし! ナックル星人の計略に、ゼロの自由が失われた! ウルトラマンゼロ最大の ピンチに、矢的猛が、ウルトラの戦士80に華麗な変身をした! 次回『ウルトラマン80の使い魔』、「ゼロ最大のピンチ!変身!ウルトラマン80」! 前ページ次ページウルトラマンゼロの使い魔
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前ページ次ページゼロの使い魔ももえサイズ ももえが言っていた悪魔は数ヶ月前からトリステイン中に繁殖していた。 トリステイン中の貴族を恐怖に陥れた盗賊である『土くれ』のフーケもその悪魔にとり憑かれた一人である。 当初は貴族の宝物を奪うだけのただのコソ泥だった彼女が、たまたま日蝕がおこったその日に突然覚醒した。 「ああぁああああああああああああ!!!!!!!」 くぎみーがセッ○スと言うその日まで 「ゼロの使い魔死神友情フレイムデルフリンガーシルフィード香水下級生ももえサイズ」 数日後、謹慎が解けて授業に出ることを許されたルイズは2年生になって初めて授業を受けた。 一言で言えば『悲惨』だった。どこがどう悲惨だったのかはルイズ自身思い出したくなかった。 「ねえねえさっきの爆発ってどうやってやったの?」 「うっさいわね! だから知らないって言ってるでしょうが!」 ももえは下級生であったケティの制服を着ていた。そして香水の効果からか誰もルイズの元によって来る人が居なかった。 「臭いからだ。」 「だから臭くないってば!」 そんなやりとりをしているとキュルケがルイズに声をかけてきた。 「ねえ、突然だけど私と勝負してみない?」 「あ、ごめん 私、パス」 ルイズは鞄を持ってさっさと教室から出ようとした。 「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! あんた、このライバルである私に喧嘩を売られてなんとも思わないの?」 「えー………どうせももえを賭けて戦ったりするのよね? それなら私の負けでいいわよ。いつ寝首をかかれるか分からないこの不安で仕方ない状況から解放されるなら」 頑なに勝負を受けようとしないルイズ。それを見かねたタバサがルイズに再度お願いをした。 「お願い。もしキュルケがルイズに負けたらあの使い魔を上手いこと使って追い出してあげる」 「本当っ!?」 ルイズの目の色が変わった。 「決闘のやり方は審判員である私がコイントスをしてコインが地面に落ちたときに始めるの。 そしてそのコインが落ちるまでは振り返ることなくただ後ろを向いて歩き続ける。 コインが落ちる前に振り向いたりしたらその時点で相手の勝ちが決定になる。―――これでいいの?」 発案者であるタバサはももえの上から左親指を立てていた。シルフィードの能力を使ったももえは空を飛びながらコインを落とした。 「今よっ!!!!」 渾身の一撃をかまそうと杖を向けたルイズであったが………そこにキュルケはいなかった。 そして、横を向いてみると居た。 そこにはキュルケが大きなゴーレムに捕まっている姿が映っていた。 「お取り込み中のところ悪かったねぇ………」 30メイルぐらいはあると思われるゴーレムの肩に乗っている女は悪びれる様子も無くそう言い放った。 「早くキュルケを返しなさい! まだ用事は済んでないのよ!」 「そうはいかないねえ。この娘は大事な人質なんだから、手放すわけには行かないよ。」 そしてキュルケは女と一緒にゴーレムの中に取り込まれ、ゴーレムから大きな咆哮があがった。 「うおおおおおおおおお!!!!!」 「あ、ロボットだ。」 上空で、そのゴーレムと似たようなものを見たことがあるももえがのん気にそう呟いた。 ???ものしり館??? ロボットアニメ ロボットが活躍するアニメーションを指す 代表作は「To Heart」「魔法少女リリカルなのはStrikers」など 女と同化したゴーレムは勢いのまま宝物庫の壁を殴った。しかし、壁にひびがわずかに入っただけでどうにもなりそうにない。 「うおおおおおおおおお」 それでもゴーレムは諦めることなく壁を殴り続ける。 その様子にルイズはしばし呆然としていたが、気を取り戻して本来キュルケにぶつけるはずだったファイアーボールで攻撃をする。 「きゃあっ!」 ルイズは思わずガッツポーズをした。自分の攻撃が確実にゴーレムにダメージを与えている。嬉しさの余韻に浸るまもなく次の攻撃を加えようとした時 「危ないぞ ミス・ヴァリエール!」 ルイズは思わず声のした方向に顔を向けた。それを見た瞬間あまりの驚きに顎が外れるのではないかと思った。 「きょ、虚無の塔に………手足がついてる。しかも飛んでる………」 虚無の塔はゴーレムに真空飛び膝蹴りを食らわせた。ゴーレムは後ろに吹き飛ばされた。 「タケノヤスクナズチじゃ!」 「何それっ!?」 中から学院長であるオールド・オスマンの声がした。 「タケノヤスクナズチ」と言っているものはこの、虚無の塔に気持ち悪い手足が生えて半ズボンをしている代物の事なのだろうか? ルイズは眩暈がしてきた。 「望むところっ!」 ゴーレムはすぐに立ち上がり、助走をつけて右手を上げる。 「はあああああああっ!タケノヤミカヅチから繰り出されるパンチを食らええええええええっ!!!!!」 「小癪なっ!」 対するタケノヤスクナズチも左手を上げ拳と拳がぶつかりあう。 両者は片方の手でも拳を作って殴りかかるが双方の拳によって防がれた。そして取っ組み合ったまま時間はいたずらに過ぎていき、 「………もう少し広い場所で戦わんか?」 「同感だ……。」 そんなやり取りを残して、二機は上空めがけて飛び立っていった。 「………」 「………」 「………ねえ、タバサ。この使い魔なんとかしなさいよ。」 「任せて」 タバサはそう言うと自分の頭の上にある空間を指差した。 「ここを斬って」 ざしゅっ 「ねえ、タバサ。今のはどういうことなの?」 説明を求めたルイズにタバサはこう答えた。 「今のはただの幻像。つまり裏設定」 「裏設定?」 『ももえのカマで斬られた物の存在はももえが肩代わり』 すると黙り込んでいたももえが急に口を開いた。 「あっ、ルイズ達を連れて田舎に帰らなきゃ。」 そう言ってももえはカマを持って歩き出した。 「ちょ、ちょっとどこ行くのよ!」 「いや、田舎に帰って病気になってるママの見舞いに行かないと。」 「………今から?」 「うん、今から」 こうしてタバサの裏設定を肩代わりしたももえとただの青髪少女になったタバサとルイズとで里帰りに向かうことになったのである。 ※ おわり これまでのご愛読 ご支援 ありがとうございました ※ 次回より始まる「ゼロの使い魔死神友情タバサの裏設定フレイムデルフリンガーシルフィード香水下級生ももえサイズ」に乞うご期待!!! 前ページ次ページゼロの使い魔ももえサイズ
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前ページモニカがルイズに召喚されました 注意事項 極左と極右で言い争っているので下手を打つと世界観バッシングに見えます。 気に入らない人はスルー推奨。 原作の世界観は尊重しますが順守しません。 好き勝手に書きたい事を書いているので作品として軸がぶれています。 ネタばれですが当面ガンダールブ出て来ません。いらない子です。 さて、この世界のお風呂事情と言うものを書いておこう。 貴族と違って平民のお風呂は湯船なんてものは無い。 お湯を張って肩まで浸かると言う贅沢は貴族だけのものである。 では平民はどうするのか? お湯で体を拭くか、熱した石に水を掛けてサウナを作るのである。 いつもはルイズが風呂に入っている間に部屋で体を拭いているモニカであるが、そのタイミングを逃してしまったのでサウナに来ていた。 と、言う訳で今回はのっけから入浴シーンである。 残念な事に時間をずらして入りに来ているのでモニカ以外は言っていないのであるが。 ルイズがモニカを召喚しました。 第4話。 フェザリアンの悪癖に一つの事に集中すると周りが見えなくなるというものがある。 成功率の低い事柄をすっぱり切り捨て、必要と思われる事を研究する際は種族全体が一丸となって取り組むのである。 彼らは各自役割分担して自分の適性に適った仕事しかしないから高い科学力を持つに至った。 よく言えば諦めがよく、集中力があるとも言える。 逆に言うと一度取り掛かった事以外どうでもよくなる。 モニカはハーフとはいえ母親の特性を色濃く受け継いでいた。 そしてその特性ゆえにしくじったのである。 つまるところハルケギニアの言い回しを調べるのに夢中になった挙句、食事の時間を逃しておまけにお風呂の時間も逃した訳だ。 気が付けば空には天高く月がそびえ立っていて寮の窓からもれる明かりも消えつつあった。 唯一明かりが消えないだろうと思われるのは彼女の主人の部屋の隣である。 あっ、窓から炎が噴き出してる。 モニカは思った。 『ま、仕方ないわね』 諦めと割り切りの良さは流石はフェザリアンである。 そんな訳でモニカはこの世界はじめてのサウナを堪能していた。 こんな時間にサウナを使っている人間なんて居ないから、ベンチにタオルを広げてごろりと寝転がっても大丈夫。 ちなみに世の中には塩サウナなどと言うものがあるが彼女に塩を掛けて「よし、焼き鳥だ」とか言ってはいけない。 サウナと言う物には大きく分けて2種類あって乾式と湿式に分類される。 モニカが利用しているのは湿式である。 正確には乾式の施設を湿式として利用している。 桶に水を汲んできたハーブを溶かし、もともと設えてある石に定期的にかけてやれば湿式サウナのできあがり。 やっている事は石にたまった熱量で部屋を暖めるのではなく水を蒸気に変える事に使っているだけである。 温度調節や湿度調節をしながら入らなければならないのが一手間だろうか? 乾式サウナは喉や肌、もっと言えば髪の毛や羽を痛めやすいことからモニカはこれの使用を避けているのである。 なにより乾式だと室温が100度くらいになるのでリングウエポンが酷い事になる。 リングマスターの最大の敵は乾式サウナだったんだよ! ΩΩΩ<な、なんだってー! 暖かい湯気を満喫していると誰かが入ってくる気配を感じた。 迂闊だった、こんな時間まで起きている人間がいるとは想定外だった。(徹夜組は除く) 仕方ないとすっぱり諦めてドアを開けて入ってきた人間に声を掛ける。 「こんな時間にお風呂に入りに来る人が居るとは思わなかったわ」 「いつもはもっと早いのですけど、あの学院長に図書館の本の整理を頼まれてしまいまして どうも、図書館で派手に魔法を使った生徒が居たようで…」 「それは不幸な事故ね」 「立派な人災だと主張したい所です」 二人そろって苦笑を浮かべた。 こんな時間に入ってきたのはミス・ロングビルだった。 迂闊な生徒の所為で今日は残業のようだ。 「とんでもない秘密を見られたって言うのにずいぶん落ち着いてますね」 「今更バタバタしても事態は好転しないもの」 「あなた…翼人だったんですね」 「………信じてもらえないとは思うけど別種族よ。 半分は人間の血が流れているわ」 「翼が小さいのは種族的な特徴かしら? それとも混血だから?」 「後者よ。 こっちではファザリアンの地位がよく分からなかったからしばらく黙っておこうと思ったのだけど 調べてみたら亜人種はあんまり人間扱いされそうに無い身分だったんで言い出せなくって…」 「私が言うのもなんですけど、ここを離れるという選択肢は? 多芸なあなたなら1人でも生活できるでしょう?」 「そうするのが私にとって一番よさそうな選択肢なのは分かっていたのだけども ルイズを放ってここを出て行く事も出来なかったの」 ロングビルは考えた。 ここは学院長に報告するべきではだろう。 迂闊な同情で自分の身分を危うくする必要はない。 この娘が人間で無いと言う事がわかれば学院長の悩みの種もなくなる事だろう。 あのセクハラが復活してくる事は間違いないだろうがそれを差し引いても最近気の毒になってきたのだ。 フーケは思った。 この娘は何かに利用できるかもしれない。 学園の宝物庫を狙って早2月、滅茶苦茶な強度の固定化とロックに手を出しあぐねていたのだ。 なんでもスクエア数人がかりで儀式魔法をやったらしい。 セクハラにはうんざりでお宝を諦める事も考えたのだが、それでも何でも願いをかなえてくれるという『奇跡の石』は諦めるには惜しい。 マチルダは妹を思った。 外の世界を見てみたいと言うティファ。 きっと彼女も街に出るのなら出自がわからないように偽装するのだろう。 その耳を見せてしまうとみんなが驚いてしまうから。 いきなり召喚された彼女。 そこに味方も居なかった。 気丈に話しているけれどその内心、どんなに心細かったのだろう? そこまで考えた時、天使の声を聞いた気がした。 「姉さん、困ってる人がいたら………助けなきゃ、ね?」 満場一致。 ティファがそう言うのなら仕方ない。 それに子供とはいえ馬鹿な貴族を叩きのめしてくれるモニカが居なくなるのは勿体無い気がする。 この件は自分の胸に閉まって鍵をかけておこう。 あのセクハラ爺にはもうちょっと困っていてもらう。 「…いいわ。 ま、黙っていてあげる。 …信用して無い顔ね? 私も似たような子を知っていてね。 その子も街に出る時は隠して出てくるだろうから」 「私はその子の代わり?」 ロングビルは静かに首を振って答えた。 だってその子が言ったのだ。 「世の中、持ちつ持たれつだって言うでしょう?」 あんまりにも愛らしい声だったからどこの天使の声だと思ったけど、よく聞いてみたらただの妹の声だったよ。 by マチルダ あいも変わらず遅筆で申し訳ない。 2000文字くらい書いてるのに3レス要らなかったのは多分投稿する時の行数を変えたからかな? ボリュームはちょっとパワーダウンしてるだけだと思います。 最近気が付いたんだけど2話位まで私、リングウエポンをリングウエッポンって書いてました。 作品キーアイテムの固有名詞を間違えるなんて恥ずかしい事をやらかしたものです。 穴があったら2000年くらい埋まっていたい… 以下、書いてるときに浮かんだ一発ネタ妄想とも言う。 ごきげんよう ごきげんよう さわやかな朝の挨拶が澄みきった青空にこだまする 汚れを知らない心身を包むのは貴族の名誉とメイジの誇り スカートのプリーツは乱さぬように メイジのマントは翻らせないように ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ ここは王立トリステイン魔法学園 ブリミル様のお庭に集う貴族の園―――――― 名付けて「ブリミル様がみてる」 多分まだ誰もやって無いと思うけどそのうちにやられそうなのでおまけにした。 反省はしていないが後悔はこれからやる予定。 ケティを妹にしてモンモンの嫉妬を受けるギュー子お姉さまとかはやらない。 前ページモニカがルイズに召喚されました
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ラ・ロシェールの上空。 そこにはトリステイン艦隊旗艦の『メルカトール』号が停泊していた。 艦隊司令長官のラ・ラメー伯爵は、ちらりと時計をみやる。 神聖アルビオン政府の艦隊を、国賓として迎えるためにトリステイン艦隊が出迎えているのだが、約束の時間を過ぎてもアルビオンの艦隊は姿を顕わさなかった。 ラ・ラメー伯爵は、国賓を迎えるため正装して居住まいを正しているが、その表情はどこか厳しいように見えた。 その隣に立っていた艦長のフェヴィスが、口ひげをいじりつつ、時計を見た。 「やつらは遅いではないか」 艦隊司令官のラ・ラメーは、不機嫌そうに呟きつつ、艦長の方を振り向いた。。 フェヴィスは鼻で笑うようにフンッと息を息をして、襟を正す。 「アルビオンの犬どもは、増長しているのでしょうな。おおかたにわか貴族達が着たこともない軍服に戸惑っておるのでしょう」 艦長は空軍戦力で勝るアルビオンが嫌いだったので、言葉にも刺が含まれていた。 しばらくすると、檣楼(しょうろう)に登った見張りの水兵が、大声で艦隊の接近を告げた。 「左上方より、艦隊!」 艦長と、艦隊司令は、ようやく姿を現したアルビオンの艦隊を一目見て、その規模に驚いた。 アルビオンの旗艦、『レキシントン』はまさに雲のような巨艦と言えた。 その後ろを追従する戦列艦も決して小さくはない、だが『レキシントン』と比べると、どうしても見劣りしてしまう。 「あれが『ロイヤル・ソヴリン』か……」 艦隊司令官は、あの巨大戦艦が『レキシントン』と名を変えていることを知っている。 しかし、それを建造したかつてのアルビオン王国に敬意を払い、古き名を呼んだ。 アルビオンからの話では、あの艦隊にアンリエッタ姫の結婚式へ出席する大使を乗せているはずだ。 「いや、この距離で見るのは初めてですが、あの先頭の艦は巨大ですな」 艦長の『戦場』という単語に眉をひそめつつ、艦隊司令官が呟く。 「戦場では会いたくないものだな」 艦隊司令官ラ・ラメーの背筋に、冷たいものが走る。 身体が震えるのを『武者震いだ』として思考の外に追いやりつつ、アルビオンの艦隊に接近し併走するように指示した。 かくして、彼の不安は現実のものとなる。 トリステインの王宮に、トリステイン艦隊が全滅したのを知らせる伝令が来たのはそれから間もない頃であった。 ほぼ同時にアルビオン政府からの急使が、トリステインへの宣戦布告文を届け、王宮は騒然となった。 アルビオン側の言い分では、トリステイン側が親善艦隊へ理由無き攻撃を行ったので、自衛のために宣戦を布告するとあった。 王宮には大臣や将軍たちが集められ、緊急の会議が開かれたが、会議は紛糾するばかりだった。 宣戦布告が事実であるか、アルビオンへ使者を送り確かめるべきであるといった意見や、ゲルマニアへに急使を派遣し軍事同盟に基づく共同戦線を張るべきだと主張する物もいた。 他にも様々な意見が飛び交うが、それは互いのプライドが会議を混乱させているに過ぎなかった。 バン、と扉が開かれ、マザリーニ枢機卿が会議室に入る。 「この大事なときに遅れてこられるとは何事か!」 誰が叫んだのか解らないが、遅れて会議室に現れたマザリーニ枢機卿を誰かが批難すると、他の者達もそれにつられてマザリーニを非難し始めた。 だが、マザリーニも慣れたもので、表情一つ変えることなく自席に座ると、重々しく口を開いた。 「アルビオンは我等が艦隊が先に攻撃したと告げた。しかしながら我が方は礼砲を発射したに過ぎない。偶然の事故が誤解を生んだのでしょう」 それならば、と、一人の大臣が起立した。 「アルビオンに会議の開催を打診しましょう、今ならまだ、誤解は解けるかもしれん!」それを聞いたマザリーニは頷いて言った。 「アルビオンに特使を派遣する。この交戦は双方の誤解が生んだ遺憾なるものであるとして、全面戦争に発達する前に……」 その時、突然会議室の扉が開かれた。 書簡を手にした伝令が、息を切らせながら会議室に飛び込んできたのだ。 「急報です!アルビオン艦隊は降下して占領行動に移りました!」 すかさずマザリーニが聞く。 「場所は!」 「ラ・ロシェール近郊!タルブの森です!」 マザリーニは心の中で「やはりか」と呟いた。 その頃、シエスタの生家では、幼い兄弟たちが不安げな表情で空を見つめていた。 ラ・ロシェールの方から聞こえてきた爆発音は、タルブ村を騒然とさせ、恐怖させた。 驚いて庭に出た者達は、空を見上げ、絶句した。 何隻もの船が燃え上がり、山肌や森の中へと落下していくのだ。 更にしばらくして、空から現れた雲のような巨大船が、森の中に向かって鎖の付いた錨を降ろすのが見えた。 森林の上空に停泊した船から、何匹ものドラゴンが飛び上がる。 「おとうさん!あれ、なに?」 シエスタの弟や妹たちが、父親にしがみつきながら、訪ねた。 「ありゃあ、アルビオンの艦隊じゃないか」 「いやだ……戦争かい?」 シエスタの母もまた、不安げな表情で空を見上げる。 「アルビオンとは不可侵条約を結んでいるはずだ。この前領主様からおふれがあったろう」 「その不可侵条約をアルビオンが破ったのよ!」 シエスタの両親が驚き、声の聞こえてきた方を振り向くと、そこには大剣を背負い、フードを深く被った女戦士らしき人物が立っていた。 「な、なんだって?」 慌ててシエスタの父が聞き返す。 「アルビオンのだまし討ちよ!すぐにタルブ領主の派遣した騎士に従って退避しなさい!」 言うが早いか、タルブ村と街道を繋ぐ小さい道から、タルブ村の領主を戦闘に少数の騎士団が姿を見せた。 「『ロイズ』殿!ルートは確保しましたぞ!」 タルブの領主が、フードを被った女性に馬上から声をかける。 「村人の避難が最優先よ、頼むわね」 「はっ!」 領主が馬上から敬礼したのを見届けると、ロイズと呼ばれた女性は、一目散に北の森の中へと駆けていった。 領主は村人へ向き直り、大声を張り上げた。 「村民は家族の数を確認せよ!急いで南の森に逃げるのだ!」 それを聞いて村人達は慌てて家族の居場所や数を確認しはじめた。 瞬く間に村人達は広場に集まる。 数人の騎士が村人を先導し、南の森へと避難していくのを確認すると、騎士の一人が領主に言った。 「アストン様、さきほどの女、”ロイズ”と言いましたか……彼女は何者なのでしょう」 「わからん……だが、女王陛下より賜ったと言われる書簡は確かに本物だった」 それを聞いた騎士は、ロイズと呼ばれた女性の姿を思い出し、眉をひそめた。 「しかし、あのようなみすぼらしい姿では」 だが、領主であるアストン伯は騎士の言葉を遮るように、こう言い放った。 「それに彼女の言うとおり、アルビオンが攻めてきたのだ。少しでも早く対処できたことを感謝するしかあるまい」 領主は一呼吸置いてから、腰に下げていたレイピア状の杖を手に持ち、高く掲げた。 「相手は竜騎士だ! 皆、心せよ!」 三十人に満たない平民混じりの騎士団が、蟷螂の斧と知りつつも、杖と剣を掲げた。 一足先に森の中に駆けていった”ロイズ”は、剣を右手に持ち、空を見上げて竜騎兵を見据えた。 『それよりよー、”ロイズ”って偽名じゃバレバレでねーの?”ルイズ”と一文字しか違わねー』 カチャカチャと鍔を鳴らしつつ、どこか楽しそうに剣が喋る。 「咄嗟に思いついちゃったのよ、仕方ないじゃない」 デルフリンガーの楽しそうな声とは裏腹に、ルイズは不機嫌だった。 空に浮かぶ船…『レキシントン』から飛び立ち、タルブ村へと向かったはずの竜騎士隊はあり得ない光景に困惑していた。 本隊上陸前のつゆ払いとして、タルブ村に竜で火を放つはずであったが、村があったはずの場所には、森が広がるばかり。 「どういうことだ、これは!」 竜騎士の一人が困惑し、声を上げる。 それを合図にしたかのように、森の中から一匹の竜が飛び出した。 「な……!」 竜騎士は、飛び出してきた竜の翼に殴られ、まるで血袋が破裂するかのように乗っていた竜ごと粉々に吹き飛んだ。 「なんだ!なんだあれは!」 「翼が、四枚、新種か!ガーゴイルか!」 他の竜騎士達も驚き、竜を操って距離を取ろうとする。 だが、四枚の翼を持った竜は成体の風竜を思わせる速度で接近し、まるでヘビのように騎士ごと竜に食らいついた。 「ひいいいいいい!」 異様な光景に悲鳴を上げた騎士が、竜を上昇させながら呪文を唱え、火球を作り出した。 直径2メイルほどの火球が、異形の竜に向けて放たれたが、異形の竜は口から炎のブレスを吐き出しそれを相殺した。 「ば、化け物!」 一方、森の中では、ルイズが予想外の苦戦を強いられていた。 脇腹には、エア・ニードルで突き刺さった杖がそのままぶら下がっている。 「はあっ、はぁ……」。 呼吸を整えようとしたとき、右手に持ったデルフリンガーが叫んだ。 『右から来る!』 「くっ」 慌ててバックステップで後ろに下がると、今まで立っていた場所を炎が襲い、地面を溶かした。 「WRYYYYYYYYYYY!!!」 ルイズは、奇声を発しながら手近な木を引き抜き、竜騎兵に投げつけた。 大きく羽ばたいて上空に避けようとした竜騎兵が、遮蔽物をなくし顕わになったルイズめがけてブレスを放とうとしたその時、異形の竜が竜騎兵ごと竜を噛み砕いた。 『間一髪だな』 「ええ…」 ルイズは力なく答えると、その場に膝を付いてしまった。 それを見た異形の竜は、自身の腹を割き、袋を作った。 まるでカンガルーの親が子供を袋に入れるのように、ルイズを腹の裂け目にしまいこむ。 地面に降り立つと、『イリュージョン』で作られたタルブ村の幻影から離れるため、アルビオン艦隊の居ない方向へと走り出す。 『嬢ちゃん、大丈夫か』 デルフリンガーがルイズを気遣って声をかける。 「つ か れた……」 『イリュージョンで、村の位置を1リーグ近くも誤魔化したんだぜ、疲れて当然だ』 「タルブ村…の人は……」 『ほとんど避難できてるはずだぜ、とにかく、時間稼ぎはできたはずだ』 「………すこし……ねむ…る…」 周囲の草を取り込み、背中を緑色の保護色で包んだ吸血竜が、ルイズを抱いたまま静かに走り去っていった。 時刻は昼に差し掛かる。 王宮の会議室には、さまざまな報告が矢次に飛び込んできていた。 「タルブ領主、アストン伯は交戦中!」 「偵察に向かった竜騎士隊、帰還せず!」 「未だアルビオンより、問い合わせの返答ありません!」 自国の土地が蹂躙されているというのに、不毛な議論を繰り返す名ばかりの会議を一瞥して、マザリーニは不快感に眉をひそめた。 「ゲルマニアに軍の派遣を要請しましょう!」 「しかし、今事を荒立てては……」 「竜騎士隊を送り、上空から攻撃させるべきです」 「残りの艦をかき集めろ!小さかろうが何だろうが、特攻には仕えるだろう!」 「アルビオンに攻撃したら、それこそ全面戦争となりまず!」 マザリーニは大臣達を黙らせたいと思っていたが、それができぬ訳があった。 マザリーニが鶴の一声を出せば、大臣や将軍達を黙らせることはできるが、今はまだその時ではないと我慢していた。 本心では、マザリーニも外交での解決を望んでいる、しかし、伝書フクロウによってもたらされた一枚の手紙を読んでから、開戦もやむを得ないだろうと考えはじめていた。 怒号飛び交う中、会議室の扉がバタンと開かれた。 また何の報告だろうかと、開け放たれた扉を見た大臣達は、扉の前に立っているのがアンリエッタだと気づき、絶句した。 そこには、白を基調とするドレスではなく、その身にフィットした鎧に身を包んだアンリエッタが立っていたのだ。 視線がアンリエッタへと集中する中、アンリエッタは、その小さい身体を震わせて言い放った。 「あなたがたは、恥ずかしくないのですか! 臣民が敵に侵されているというのに、騒ぐことしかできないのですか!」 怒号の飛び交っていた会議室が、嘘のように静まりかえる。 「よいですか! 礼砲で艦が撃沈されたなど、言いがかりも甚だしいではありませんか、もとより不可侵条約を破るつもりだったのでしょう」 「し、しかし我らは、不可侵条約を結んでおるのです、攻撃などしては……」 「その条約は紙より容易く破られました、いえ、もとより守るつもりなどなかったのでしょう。それらは虚をつくための口実に過ぎません」 「しかし……」 アンリエッタはテーブルを叩き、大声で叫ぶ。 「今、民の血が流されているのですよ! 民の血が流されるのを黙って見ているのが貴族ですか!王族ですか! 民の血税を吸うだけの吸血鬼に成り下がりましたか!」 暴言ともとれるその言葉に、不満を覚える者もあったが、誰もそれに対して異を唱えることはできなかった。 「あなたたちは敗戦を望んでいるのでしょう?敗戦後に責任を取らされぬ方法を既に模索している、命を長らえようと答えの出ぬ議論を繰り返しているという訳ですね?」 「姫殿下」 マザリーニがたしなめるフリをすると、アンリエッタは構わず言葉を続けた。 「ならばわたくしが率いましょう。あなたがたは、ここで会議を続けなさい」 アンリエッタが会議室を飛び出だそうとすると、何人もの貴族がギョッとしてアンリエッタを止めようとした。 「姫殿下! お輿入れ前の大事なお体ですぞ!」 そう言って一人の貴族がアンリエッタの前に立とうとしたが、横から差し出された剣状の杖に遮られてしまう。 見ると、廊下には既に魔放衛士隊が列を作っており、鎧を着込んだアンリエッタを護衛するかのように囲んだ。 アンリエッタは、グリフォン、マンティコア、ドラゴン等の魔法衛士隊を引き連れ、威風堂々と出陣した。 王宮の中庭に出たアンリエッタは、手はず通りに大声で叫んだ。 「わたしの馬を!」 王女の馬車に繋がれた聖獣ユニコーンが、馬車から外されて、アンリエッタの前に引かれてきた。 魔法衛士隊がアンリエッタの声に応じ、各自が自分の乗る幻獣を呼び寄せ、その上に跨った。 アンリエッタがひらりとユニコーンの上に跨ると、一人の魔法衛士がアンリエッタの脇に付き、それ以外の者達は後ろに並んだ。 「これより全軍の指揮をわたくしが執ります!!」 アンリエッタが声高らかに宣言すると、水晶のついた杖を高く掲げた。 魔法衛士隊の面々がアンリエッタに合わせ一斉に敬礼すると、アンリエッタはユニコーンの腹を叩いた。 ユニコーンが高々と前足を上げて走り出すと、グリフォンに乗った魔法衛士の一人がアンリエッタの隣に並ぶ。 その手には、アルビオンの象徴たる青い水晶の嵌められた杖を携えていた。 二人が先陣を切って走り出すと、幻獣に騎乗した魔法衛士隊が、「後れを取るな」などと口々に叫びながら続いていった。 城下に散らばったていたはずの各連隊は、まるでアンリエッタが出陣するのを知っていたかのように整列し、そして雄々しく出撃していった。 窓から中庭を見下ろし、その様子を見ていたマザリーニは、懐にしまったメモを握りしめて天を仰いだ。 メモは、トリステイン艦隊全滅の知らせよりもほんの一瞬早く、フクロウでマザリーニの元に届けられた伝書だった。 アルビオン艦隊よりも一足早く、ラ・ロシェールに到着したルイズからもたらされたそのメモには、人間を操り人形に変えてしまう『アンドバリの指輪』のことや、アルビオンが自作自演をしてでも戦争の口実を作るために策を巡らしていることが書かれていた。 もはや一刻の猶予もない、そう思ったアンリエッタとウェールズはすぐに戦いに赴く準備を始めた。 マザリーニは将軍や大臣達を集めて会議を開く前に、一足早くアニエスをタルブへと遣わせた。 アンリエッタが赴く前の下調べを頼んだのだ。 そしてマザリーニは会議に遅れて参加した。 トリステイン国内はいまだに戦争の準備を整えていない、その上ゲルマニアがこの戦争で我が身かわいさに兵力を出し惜しみすることは十二分に予測できていた。 マザリーニが外交によって戦争を回避しようとしたのは、決して命を惜しんだわけではない。 小を切って、大を生かす。 彼なりに国を憂いてのことだったが、その努力も泡沫のように消えてしまった。 ならばせめて、大臣、将軍、高級貴族達の目を覚まさせようと、わざと甲冑姿のアンリエッタが姿を現すまで時間稼ぎをしたのだ。 その甲斐あってか、会議室に残っていた貴族達も、一人、また一人と会議室を出て、従者に戦争の準備をするよう指示を下す姿が見えた。 マザリーニは一人ほくそ笑む。 お飾りとして育てられたはずのアンリエッタが、いつの間にか王族としての威厳を供えていたのだ。 ならば、これから自分が何をすべきかは決まっている。 マザリーニは会議室に入ってきた兵士に視線を向けた。 視線に気づいた兵士は、脇に抱えていたマザリーニ用の装束を見せた。 その場ですぐに戦の支度を整えると、急いで中庭へと移動し、今だまごついている大臣達に向けて叫んだ。 「おのおのがた! 馬へ! 姫殿下一人を行かせたとあっては、我ら末代までの恥ですぞ!」 その頃、秘薬を買いに城下町へと行っていた教師が戦争の話を聞きつけ、慌ててトリステイン魔法学院に報告した。 王宮からではなく、私事で城下町に出ていた教師から、戦争の開始を告げられ、オールド・オスマンはため息をついた。 「この様子では王宮は混乱の極みじゃろうなあ……」 現在、他の教師を王宮へと使わせ、戦争の開始が事実であるか確かめさせている。 オールド・オスマンは、アンリエッタの結婚式に出席するため、たまりに溜まった書類を片づけようとしている所だった。 書類が一段落したら、荷物を纏めようと思っていたのだが、アルビオンからの宣戦布告とあってはそれどころではないだろう。 魔法学院の宝物庫から、戦争に使えそうなマジックアイテムが持ち出されるのかと考えつつ、オスマンは水パイプを吹かした。 と、突然ノックもなしに学院長室の扉が開かれた。 「オールド・オスマン!大変です!」 珍しく血相を変えたロングビルを見て、オスマンはいつもの調子で答えた。 「戦争の知らせかの?それならもう届いておるよ」 「そうではありません!シエスタがタルブ村に向かいました!」 「何じゃと!?」 ロングビルの話では、魔法学院に出入りしている商人が、戦争の話を衛兵に伝えたらしい。 それを聞きつけた生徒から、シエスタの耳に届くまで時間はかからなかった。 「シエスタは馬で行ったのか!」 「はい、衛兵の使う馬を一頭奪って、一目散に」 「ミス・ロングビル、すぐにシエスタを追ってくれんか、他の生徒の使い魔の力を借りてもかまわん。他にも何人か教師を派遣する、戦場に着く前に取り押さえるんじゃ!」 「は、はい!」 オスマンの激しい剣幕に驚きつつ、ロングビルはシエスタの後を追うため、踵を返した。 「参ったことになったの…!」 オスマンは、モートソグニルを経由で、シエスタの後を追えそうな教師に連絡しつつ、遠見の鏡に向けて杖を振った。 アンリエッタ達がラ・ロシェールに到着した頃、アルビオンの船『レキシントン』はタルブ村にほど近い草原へと移動していた。 当初の予定では、タルブ村ごと森を焼き払い、前線基地をここに構築するはずだったのだ。 しかし、幾人もの竜騎兵が、奇妙な証言をしはじめたのだ。 『村があると思ったらそこは森だった』 『羽が六つ、首が二つある竜に仲間が食われた』 アルビオン艦隊総司令官のジョンストンは、それらの報告を一笑に伏していた。 しかし、降下したはずの竜騎兵が、異形の竜によって何人も落とされたと聞いて、ジョンストンの顔色は悪くなっていった。 慎重だと言えば聞こえは良いが、平たく言ってジョンストンは、臆病風に吹かれてしまったのだ。 結局、『レキシントン』に搭載された大砲が、かろうじてラ・ロシェールに届く距離に停泊することとなった。 ラ・ロシェールの街では、トリステイン軍がアルビオンの迎え撃つために陣形を整えていた。 タルブの草原に見える敵の軍勢は、『レコン・キスタ』の旗を掲げている。 それを見て、ユニコーンに跨ったアンリエッタは震えた。 戦場に立つのは生まれて初めてなのだ、仕方がないと言えば仕方がない。 だが、王族として威風堂々としていなければならぬと自分に言い聞かせ、眼を閉じて軽く祈りを捧げた。 アンリエッタが目を開くと、敵軍の上空に停泊する大艦隊が視界に入る。 アルビオン艦隊、その舷側に光る大砲、アンリエッタの恐怖はピークに達していた。 だが、アンリエッタの手に、一人の魔法衛士の手が重ねられた。 衛士は自分の杖をアンリエッタに見せる。 アンリエッタは、静かに頷いた。 「失礼致します。お二人の友人から、手紙が届いております」 そんな二人に声をかける男がいた。 振り向くと、枢機卿のマザリーニが立っており、ボロボロの羊皮紙を二人に差し出していた。 アンリエッタがその羊皮紙を手に取ると、ごくりと喉を鳴らした。 一瞬、ほんの一瞬だけ、アンリエッタの表情は泣き出しそうになった。 だが、アンリエッタは魔法衛士隊の姿をして自分と行動を共にしてくれるウェールズと、影ながらこの戦争を手伝ってくれるルイズの姿を思い出したのだ。 アンリエッタは、戦争の恐怖を見せぬ凛々しい表情で、マザリーニに言った。 「枢機卿、ルイズが活路を開いてくれます。私たちは『ヘクサゴン・スペル』の機会を待ちつつ前進します。指揮は貴方にお任せします」 マザリーニは、杖を掲げた。 「不肖、マザリーニ……承りましてございます」 「早く!もっと早く!」 トリステイン魔法学院から、ラ・ロシェールへ続く街道を、一頭の馬が疾走していた。 馬に乗っている少女の身体は、ぼんやりと輝いている。 シエスタは全身から波紋を流し、馬へと供給していた。 「もっと早く!」 馬は、限界を超えた力で走る。 波紋により限界を超えて走らされた馬は、汗と涙と涎と鼻水と糞便を垂れ流しながら、走る。 吸血鬼が、食屍鬼を使役するかのように、彼女は馬を走らせていた。 To Be Continued→ 戻る 目次へ
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前ページ次ページ超1級歴史資料~ルイズの日記~ ああ!モグラさま!! ギーシュのモグラにつけた翻訳機が必要なくなった。 つまりはギーシュのモグラがしゃべれるようになったのだ。 これでもうネタに走った若本声を聞く必要はない。残念だ。 ソレはいいのだが・・・ 「私の名前はヴェルダンデ17歳です。よろしくお願いしますね」 またネタに走った。まるで永遠の17歳のような美しい声だ。でもモグラ。声優ネタ自重。 グランパが言うには、他の使い魔たちもしゃべれるようにする予定であるそうだ。 しゃべれるようになるではなく、するの辺り確信的である。 知類権は保障されなければならない、とかブツブツ言っていた。 知類権ってなに? ある日のニューカッスル城 メイドのシエスタから久々に通信が入った。 画面の向こうのメイドはカチューシャにハチマキ巻いてたりする。 以前よりはマシなものの、まだまだ頻繁にレバーを倒したりスイッチを押している。一人しか操舵がいないと大変だ。 操縦席は何故か玉座の間にあるため、メイドの後ろには玉座とかアルビオンの国旗が見える。 なんでそんな恐れ多い所に操縦席作るのよ!? グランパはお約束の問題と技術の問題、どっちの理由がいい?と聞きかえされた。最近はっちゃけすぎだと思う。 戦争の基本はとりあえず補給を断つことからで、ニューカッスル城は頻繁にレコン・キスタの輸送船を襲撃しているらしい。 つまりは城で逃げ出す前と同じ海賊行為の繰り返しということだ。 シエスタの話では空賊行為の成功時の報奨金がかなりオイシイそうだ。 常に操縦席に張り付いているため、威信点もバカにならないぐらい稼げているらしい。メイドなのに個室持ちになれたそうだ。ほとんど部屋に帰れない日々らしいが。 ついでにげったみたく、君いいカラダしてるねアルビオン人にならないか?とか勧誘されているらしい。 いつの間にかただのメイドから皇太子付のメイドにランクアップされてしまい、身に余る思いだそうだ。 常に玉座の間にいるメイドには、やはりそれなりの立場を与えなければならなかったのだろう。 おそらくは今後強力な乗り物が出てきた時のために、優秀なパイロットと教師、BALLSとのコネ、名パイロットの血筋を確保しておきたいんでしょうね、とのこと。黒いよシエスタ。 ウェールズ皇太子は度々アンリエッタ女王陛下と通信を交わしているらしく、愛の会話を交わしたり、内密に同盟できないかと持ちかけたりしているらしい。 トリステインに繋がる長距離通信機は玉座の間にしかないので丸聞こえらしい。 なんでまたそんなところにあるかというと、通信機はエライところにあるのが普通だから、らしい。 耳と口と脳と足が同じ部屋にあるというのが戦艦として機能的だからだそうだ。 最近はニューカッスル城の操縦用のOSや人員が出来上がってきたので、楽になってきたそうだ。 近々、アルビオン攻めに辺り会議があるらしいので、トリステインに来るそうだ。 輸送船臨検のし過ぎで、ミサイルを使いすぎてるので、弾薬を送ってください、と陳情された。 それでは、95式の操縦講習があるので失礼します、と言って通信が切れた。 以上だ。 市井の調査 女王陛下から命令書を持ってアニエスという騎士がまーちんに乗ってやってきた。 平民出のシュバリエで、女王陛下の近衛をやっているらしい。 そんなわざわざ直筆の命令書持ってこなくても電話があるのに、格式というのも大変ですね。 そうは言わないで頂戴、ルイズ。私はその格式の頂点にいる立場なんですから、そうでした。 ああ、実をいうとさっきから姫様と電話中だったのだ。そうしたら姫様がそろそろアニエスが訪ねてくる頃だわとかおっしゃられたのだ。 遠く離れた友達と世間話に話を咲かせられる。便利な世の中になったものだ。 命令書をはるばる持ってきたアニエスという騎士がガックリコケそうなのを耐えていた。宮仕えは大変だ。うかつにツッコミも入れられない。 で、姫様、今日はどのようなご用件なのですか? 姫様が命令書をちらちら見る。アニエスもちらちら命令書を見る。 しまった、ここで直に姫さまに聞いたらアニエス無駄足じゃないか。私は空気の読めないヤツだ。 姫様に聞かずに、命令書を開けてみれば良いじゃないか、というグランパのフォローが入った。空気の読めるヤツだ。 気を取り直して命令書を開ける。 色々と格式ぶってはいたが、ぶっちゃけると民意の調査、王室に対する平民の本音を探れというものだった。人の上にたつのも大変だ。 そんなわけで、今日のBALLSさんがもって来たのはこちら! 『ぜろちゃんねる』 よりにもよって私にケンカを売ってる名前だ。 まず人々がBALLSのいるところで話したり、独り言を言ったり、愚痴ったりする。 その時の言葉や会話の集大成をデータ化してまとめたものであるそうだ。 つまりは平民の本音が聞けるという画期的なものなのだ。声の網、神の耳、エシュロンとも言われる強力な情報収集法だ。 ボールズ100人に聞きました! アンリエッタ女王陛下のことをどう思いますか? BALLSが検索しています。しばらくお待ちください。 BALLSのアイコンがちっかちっかと転がってる。凝ったつくりだ。 結果が出ました。 8割ビッチ、 1割帝王学教えとけよ、 残りはアンアンとアンアンしてえ。 ……。 本音が過ぎるわ。 コレをそのまま伝えるのは憚られる。 ちょっと固まったまま悩む。 悩んでいたら、通信機のモニターの向こうで姫様も引きつった顔で悩んでいた。 しまった通信中だった。 ビッチもアンアンもそのまま伝えられてしまった。アニエスさンも真っ赤になって大激怒。 とりあえず、場をとりなすしかあるまい。 「で、でも姫サマ!見てください!この本音はログにIDがついちゃうんでダレの本音かわかっちゃうんですよ。 このアンアンしてえと言ってる本音の中には皇太子殿下も混ざってるんですよ」 とりなせませんでした。気まずい雰囲気発動中。 ど、どうも機械の調子が悪いようですね。と苦しい言い訳をしてると、 グランパがちょっと昔を懐かしむように長く語った。 普通に世間話をしてるなら権力者はこき下ろした方が会話が弾むだろう。 権力者はどんな善政をしいてもどれほど大勝しようとも、不満をもたれるものだ。 私の戦友のタフトも軍人の時は人気があったが、大統領になってからはずいぶんと嫌われたものだ、とフォローを入れて、その場はお開きになった。 最後に陛下が、近いうちに軍事会議があるので私にも来てほしい、とのこと。 戦争、始まるのかな? 最後に、色んな人の本音を除いてみた。 キュルケの本音:私のほうが絶対にいいオンナよ。あんたソレ誰が相手でも言ってるでしょ。 タバサの本音:……………………………………………………。なんかしゃべれ。 アニエスの本音:私は陛下の剣、陛下の盾、陛下の鎧………。アンアンに分類しとくわね。 シエスタの本音:私女王陛下に即位されてからトリステインに戻ってないんですよね~~。 惚気話はしょっちゅう聞かされてますが、とのこと。 アルビオンニュース 風のうわさに聞いた。 アルビオンの食糧事情が悪化しているらしい。 うわさの出所はぜろちゃんねるだ。正誤は五分五分といったところだろう。 神出鬼没の空飛ぶ城の空賊が原因で、商人たちがアルビオンに船を出すのをためらっているらしい。 ヤバイな~。空賊がんばってますとか先日聞いたばっかりだ。 ラ・ロシェヌの港が一枝分もげた被害を受けているのも地味に影響しているらしい。単純に港の何割かは使えなくなっているから。 後、レコンキスタ内でBALLSの作ったものを戦争に使おうとしているらしい。 ミサイルだけではなく、鎧のようなものも試してみているらしい。とても人間の着られるようなものではないらしいが。 一方、こないだの耳かきしてくれるBALLSやウォークマンや電子楽器などレコン・キスタ内ではやっているらしい。 最近私はBALLSが持ってくる役に立たないもの、害になるもの、変なものを送りつけたりしているのだ。 最近のヒットはプリプリクッション。あまりにもアホ臭すぎる。 士気が下がりまくりで訓練も気合が入っていないという、深刻な悩みとなって軍事会議でも取り上げられていたらしい。意外とうまくいったものだ。 餓死者を出すのは後味が悪いので、例の調理機械を送っておく。 マトモな食料は貴族派の軍に独り占めされてるだろうが、最低でも平民の餓死者数は抑えられるだろう。 今日のぜろちゃんねる アルビオンの民意におけるヴァリエール家に対する評判が下がっているそうだ。 ヴァリエール家の家紋と死神定食が一緒に火にくべられたらしい。 うまくいかないものだ OVERS-SYSTEMがこのスレをチェックしています・・・ このスレが何者かに監視されているのをみつけました・・・ 前ページ次ページ超1級歴史資料~ルイズの日記~
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クラス全員オレの嫁 396 :名無したちの午後:2008/07/27(日) 10 59 37 ID 66IfgHSp0 転載 「クラス全員オレの嫁」は引き続き使いにくい。 ヒロインと一緒にイクシーンがやたらに多いし、主人公が手コキやフェラで責められることは多いけどヒロインも他のヒロインに責められたりで喘いでいるから責められている感じが薄れる。 俺は未央(声優)買いだったからそこそこ満足しているけど、シチュ狙いだとCG見てテキストを脳内変換するしかないんじゃないかと。 関連レス