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それは、宇宙の底にあるもう一つの御伽の国 天に幻想 地に策謀が溢れる魔法使い(ボンクラ)達の理想郷 夜空を見上げれば、二つの月が人々を見守っている だが、人々は知らなかった その日、その空に浮かぶ衛星(つき)が一つ増えた事を・・ だが、それは仕方の無いこと 何故ならば、その衛星(つき)は二つの月に比べてあまりにも小さく、いびつで・・ そしてたった一人の男しか見守っていなかったのだから ZERO×SWORD ep.Ⅲ 『その「平民」に用がある』 派手に腹の虫を鳴らし、ぶっ倒れた黒づくめの平民を前に呆然と立ち尽くすルイズに声をかける男がいた 「ミス・ヴァリエール・・儀式を続けなさい」 男の名はコルベール。此度の使い魔召喚の儀式を取り仕切る、トリステイン魔法学園の教師である。 ルイズは焦った、何故ならばこのまま儀式を続けるということは この行き倒れの平民と『コントラクト・サーヴァント』、即ち使い魔との契約の儀式・・ 簡単に言えば「キス」をしなければならないのである (冗談じゃないわよ、ファーストキスもまだなのにこんな平民・・しかも行き倒れとキスなんて・・) 「ミ、ミスタ・コルベール・・これは・・その・・間違いです!」 ルイズはこの場を切り抜けるための口実を必死になって考えた 「間違い?間違いとはどういう事かね?」 「間違いなんです。私は・・ええと・・その・・そう!原作版です!これからこれから何回も『サモン・サーヴァント』を失敗する予定なんです! コレは失敗して爆発しちゃった所に、たまたまお腹を減らした平民が・・そう!私の失敗のせいで爆発した平民が吹っ飛んで来たんです! すぐに彼を治療して家に返してあげなくては! それでもってもう一回召喚をし直さなくては!だって失敗したのですから!!」 最早混乱を通り越して錯乱し、訳の解らない事をまくし立てるルイズに コルベールは哀れみの視線を向けながらも冷たく言い放った 「ミス・ヴァリエール・・まあ、その、何だ・・君の気持ちもわからなくも無いが、この使い魔召喚の儀式は伝統ある神聖なもの。 例えどんなモノが召喚されたとしてもやり直しは認められない。・・それと原作版って何?」 最後の質問はルイズ自身にもわからなかった・・錯乱している時に何処かの電波でも受信したのだろうか? 「まあ、それはともかく儀式の続きを行いなさい。 幸い呼び出された彼は気を失っているようだし、早く済ましてしまいなさい」 仕方が無い・・ルイズは諦めた。 これ以上ゴネて退学処分にされるよりはマシだ・・と自分を納得させ 気絶している黒づくめ平民(しかも行き倒れ)を仰向けにし、 『コントラクト・サーヴァント』の儀式を行うことにしたのだ 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 ルイズが定められた言葉を紡ぎ 「うぅ・・・」 気絶している平民の唇に自分の唇を重ねたのと その男の目がカッと見開かれたのは殆ど同時だった ヴァンは大変混乱していた 空腹のあまり行き倒れた・・などという事態は今まで生きてきた中で何度もあった だが 目を覚ました瞬間に見ず知らずの女にキスをされている・・・などという事態は初めてであったのだ (目を覚ましたらカメが目の前に居たことはあったが) 「ぶ・・あぁぁぁぁぁぁぁ!!何じゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!??? 誰だコイツ?ハッ?さては俺の肉体(からだ)を狙っているな・・ だが残念だったな!俺は『童貞』だっ!今までもそうだし、これからもそうだ! 俺の女はエレナだけで、俺の童貞は未来永劫あいつのものなのだ! 他の女に渡すわけにはいかないのだ。渡すくらいなら、死を選ぶ! エレナァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ愛してるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」 訂正・・彼も大変錯乱していた 直後、ルイズは訳の解らない言葉(内容は理解できなかったが、大変不快に感じた)を叫ぶ平民を『サイレント』の魔法(の失敗の爆発)で文字通り黙らせた。 コルベールはルイズを注意しようとしたが、彼女の使い魔の左手の甲に浮かび上がったルーンを見ると 「珍しいルーンだな!」と子供の様に目を輝かせ、いそいそとそれをメモしていた こうして、トリステイン魔法学園における春の使い魔召喚の儀式は終了した。 「ちょっとコレどうすんのよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 一人の少女と、一つの黒コゲを残して 数時間後。ルイズの部屋にて 目の前で夜食のパンをもごもごと食べている使い魔を前に ルイズは悪戦苦闘していた 「できれば調味料をあるだけ・・」 「だから無いって言ってるでしょ!嫌だったら食べなくてもいいのよ!」 「すみません・・」 「はぁ・・何でこんなの・・で、あんたの名前は?」 「ヴァン・・人呼んで『不死身』のヴァン」 「『不死身』?あなた二つ名を持ってるの!?ひょっとしてメイジなの!?」 「いや、だからヴァンだって」 「そういう意味で言ったんじゃないわよ!」 「信じられない・・別の世界って?」 「俺のいた所には魔法は無いし、メイジなんてのはいなかった。太陽が二つ、月は一つ・・」 「太陽が二つもあったら暑いんじゃないの!?」 「まず、使い魔は主人の目となり、耳となる能力を与えられるわ」 「はあ」 「でも、あんたじゃ無理みたいね・・わたし何にも見えないもん」 「へぇ(もぐもぐ)」 「・・・そ、それから使い魔は主人の望むものを見つけてくるのよ。例えば秘薬とか」 「パス。めんどくさい」 「・・・(怒)。あと、これが一番大事なんだけど・・・使い魔は、主人を守る存在であるのよ!その能力で、主人を敵から守るのが一番の役目!・・でも、あんたじゃ無理ね・・」 「あー成る程、『使い魔』ってのは用心棒みたいなものか。」 「全然違う・・けど、もういいわそれで。どうせ言っても無駄だし、せいぜい洗濯、掃除、その他雑用でもしてもらうわよ」 「はあ(もぐもぐ)」 「ああもう、疲れた・・もう寝る。これ明日になったら洗濯しといて」 ルイズはネグリジェに着替えると、脱いだ衣服をヴァンに投げつけ そのままベッドへと入ってしまった ルイズは思う (この男・・ダメ人間だ・・) もうなんと言うか全身からダメダメオーラが漂っている ただでさえ平民を召喚などという大失態なのに、さらにその中でも最低ランクのを呼び出してしまったらしい (ああ・・明日の朝起きて、全部夢だったら良いのに・・) この日何度目になるか解らない現実逃避をしながら、ルイズは眠りについた。 ルイズがベッドに潜り込んだあと、ヴァンも床で眠りにつこうとした 野宿に慣れているヴァンには、床で眠る事など何の苦も無い ヴァンは窓の外に二つの月を眺めながら、少しの間思案顔をしていたが やがて帽子を目深に被りなおすと、そのまま眠りについた。 ヴァンが眠りについたと同じころ とある国、とある場所にて二人の人物が話をしていた 声の調子から、一人は若い男性、もう一人は若い女性である 「・・・・君。今日軌道上に出現した未確認物体・・・調査報告が来たわ」 「本当ですか?・・・・・さん。それで、詳細は?」 「サテライトベース・・・・で間違いないわ・・そして登録ヨロイ・・・・・『木曜日』」 「『木曜日』・・・・・ですか・・・と言う・・・『彼』・・ですかね・・」 「ええ・・・・その確率・・・・高い・・・・・」 「ここへ・・計画・・・・・試練・・・・しょうか・・」 「今度こそ・・・、・・・・幸せ・・・・」 「・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・」 一通りの話が終わると、男のほうがニッコリと笑った 窓から差し込む二つの月の光に照らされたその右腕・・ いや、右の『カギ爪』をキシリ・・と鳴らしながら・・・・ 夜空を見上げれば、二つの月が人々を見守っている だが、人々は知らなかった その日、その空に浮かぶ衛星(つき)が一つ増えた事を 知らなかった・・『彼ら』以外の人々は Turn in next time for more action and adventure! Are you ready?
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autolink ZM/W03-060 カード名:ルイズ&サイト カテゴリ:キャラクター 色:赤 レベル:2 コスト:1 トリガー:1 パワー:8500 ソウル:1 特徴:《魔法》?・《使い魔》? サイト「俺がお前の全存在を肯定してやる」 レアリティ:U illust.ヤマグチノボル・メディアファクトリー/ゼロの使い魔製作委員会 ・関連ページ 「ルイズ」? 「&」? 「サイト」?
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第三話 力満ちる戦士 イライラしながらもルイズは食事を終え、授業のため教室に向かった。 他の生徒達は各々横に召喚した自分の使い魔を置いている。 ゼロもそれを見てルイズの隣に立った。 ルイズはそれをしゃくに感じた。もちろん使い魔の分際で席に座ることなど許されないが、 かといって横に突っ立たれるというのも気に障る。 「横に立たれてもうっとおしいから床にでも座ってなさい」 「分かった」 そういうとゼロは通路の階段に腰を下ろした。 「皆さん、春の使い魔召喚は大成功のようですね。 このシュヴルーズ、みなさんの使い魔を見るのを毎年、楽しみにしているのですよ」 そして教室を見渡しゼロに眼をみやる。 「おやおや、また変わった使い魔を召喚したようですね、ミス・ヴァリエール」 シュヴルーズのとぼけた声に、教室中から忍び笑いがもれる。 「だって『ゼロ』だし。召喚が成功したのか怪しいもんだ。その辺の平民引っ張ってきたんじゃないか?」 「いやあ、その辺のやつがあんな変わった鎧なんてつけてるか? きっとこの日のために前々から用意した、ルイズのセンス的にかっこいいサクラなんじゃないか?」 誰かがそういうと、忍び笑いは大笑いに変わった。 ただ、ゼロの名前については何も言われなかった。キュルケならさっさと広めると思ったのだが。 が、そんなことは関係ない。 「いい加減なことをいわないで、かぜっぴきのマリコルヌ!あんたの体型のほうがよっぽどセンス悪いわよ!」 「誰がかぜっぴきだ! 俺は風上のマリコルヌだ!そ し て!体型のことは言うなー!」 こうして朝に続き騒ぎ出すがシュヴルーズが杖を振り、二人の口を赤土で塞いでしまう。 こうして何事も無かったように授業が始まった。 ゼロは黙って講義を聞き、同時に辺りを観察していた。 生徒に付き従いやってきた使い魔。フレイムほど大きく力もありそうなものはそういなかったし、 多くはデータ上に残るただの動物と同じようだったが、実際には何かの力を持っている可能性もある。 しかしそれ以上は外見の観察からは分からなかった。 講義のほうも重要だった。今回は基本をまとめているようであり、魔法について知るのに大いに役立った。 魔法には土、水、火、風の四元素、そして虚無の五つの属性があり、 メイジはそのうち少なくとも一つの属性を使えるらしい。 元の世界では 氷、火、電気の属性があり、三すくみの関係で優劣があった。ここではどうなのか? が、一番重要だったのは錬金の実践であった。 シュヴルーズは魔法でただの石を真鍮に変化させていた。なんでもスクウェアでは金の錬金すら可能だそうだ。 「ルイズ、トライアングルやスクウェアというのは何だ?」 授業の邪魔にはなるがこれは聞いておかなければならなかった。 ルイズによると属性を重ねられる数でドットからライン、トライアングル、とランクが上がり、 スクウェアが最上位だそうだ。 ランクが上がるほど希少な金属の錬金が可能になるようだが、スクウェアでようやく金が錬金できるということなら 自分のボディの超合金は錬金できないか、非常に困難だろう。 これまでの話だと、この世界ではそんな材質は見たことも無いはずだ。 いきなり魔法でボディを鉄くずに変えられる心配は無いらしい。 が、こうして話したことをとがめられ、ルイズが実践を行わされる羽目になった。 ルイズはまたひとつゼロのことが嫌いになった。 それと同時に、教室がざわめき始める。 ルイズが教壇に向かおうとすると 「ルイズやめて、お願い」 「いやだー、死にたくないー」 「ルイズの魔法の目撃者になってあげられるよ、私は死ぬけどね」 皆が騒ぐも、シュヴルーズは 「皆さん騒がないでください、ではミス・ヴァリエール宜しくお願いします」 と話を進め、ゼロは、ルイズの実力が分かる、と考えていた。 そして、ルイズが呪文を唱え杖を向けた瞬間、爆発が起きた。 「ぎゃー、やっぱりー!」 「いやだ、死にたくない、ギチギチギチー!」 「モットチカラヲー!」 「何度でも!ナ ン ド デ モ!蘇ってやる!」 大惨事だった。シュヴリーズは爆発をもろに受け気絶していた。 そんな中、ルイズははぼろぼろになりながらも立っていた 。まっすぐに前を見て。そして力強く言った。 「ちょっと・・・・、失敗しちゃった見たいね」 それを聞いて再び騒ぎが起こる。そんな中、青い髪の少女、タバサはゼロを見ていた。 避難した自分たちと違い、あの爆発の瞬間とっさに顔はかばっていたようだったがそれ以外は爆風と破片を浴びたはずだ。 だがゼロは、腕や脚の鎧の無い部分も指して傷ついた様子は見せない。そのことが少し気になった。 そのゼロは、あの瞬間自分におきた変化について考えていた。 授業後、ルイズとゼロは片づけをしていた。その中でルイズは口を開く。 「どう、大失敗だったでしょう、私。いつもこうなるのよ、今日だけじゃなくて。 成功率ゼロ。だから言われるの、私、ゼロって。いっつもゼロって馬鹿にされるの!」 昨日からいやなことばかりだった。歯止めが利かなくなっていた。 「なのに何であんたはゼロなのよ!馬鹿にしないで!あんたなんか嫌いよ!」 「それでもこれは俺の名だ。俺の名前なんだ。それを変えることはできない。 俺は、ゼロだ」 ルイズは黙ってしまっていた。自分をゼロという男。そこによく分からないが何か大きいものを感じたからだ。 「それと頼みがある。もう一度、魔法を使ってくれ」 「はあ、なに、もう一度笑いものにしたいの、わたしを!」 「たのむ」 一度は気勢をそがれたが再び怒りが蘇ってくる。 「じゃあ望みどおりにしてあげるわ!」 そういいゼロの眼前を爆破してやる。 が、いきなりにも関わらずゼロは腕で顔をガードしていた。それが余計にむかついた。 「やはりな」 「なにがよ」 「さっきもそうだったがお前が魔法を使うと何故かエネルギーが回復している」 「エネルギ-?」 「ああ、俺の力の源だ。これは失敗なんかじゃないんじゃないのか」 冗談じゃない、爆発するだけでなくこいつに力を与えるなんて最悪だ。これが失敗じゃなくてなんだというのだ。 今後むかついてこいつを吹き飛ばしてもかえって元気になるってことじゃないか。 実際はエネルギーは回復してもダメージはあるのだがルイズはそうとは知らずただ苛立ちを募らせていた。 昼、明らかに険悪な雰囲気を(ルイズが一方的に)放ちながら、 掃除のせいでやや遅めに食堂へ向かうと何か口論が起きていた。 野次馬に話を聞くとなんでもメイドがギーシュの香水のビンを拾ったことでふた股がばれて修羅場になっているらしい。 と、ギーシュがふざけたいい訳をしたあげく頬をぶたれていた。 これでこの騒ぎは終わりかと思いきや、ギーシュはビンを拾ったメイド、シエスタに因縁をつけ始めた。 「どうしてくれるんだい? 君が軽率に香水の壜などを拾い上げてくれたせいで、こんな事になってしまった。 二人のレディを傷つけてしまったんだぞ?」 「も、申し訳ございません!」 「謝って済む問題だと思っているのか!? フン、やはり平民は平民か。 空気を読んで拾わない程度の事さえ期待するほうがバカだったね」 そういってギーシュが薔薇の造花、彼の杖をポケットから取り出した。 それを見たシエスタは哀れなほどに震え、涙を流してわびていた。 浅ましい。これが貴族のすることか。魔法は使えなくとも貴族としての矜持が自分にはある。 それを同じ貴族がこんなまねをしているのはひどく不快だった。 そしてそんな行為を、 「もうやめろ」 ゼロが止めていた。 「なんだい君は?……ああ、ゼロのルイズの使い魔だったね、確か。 平民の分際で口出ししないでくれるから、ミスには罰を与えるのは当然だろう」 「俺にはお前は単に二股のばれた八つ当たりをしているようにしか見えないな。それならば、止めるまでだ」 もっともなことだった。それを受け周りからもギーシュへの野次があがる。 ギーシュは怒りに震え顔を赤くした後、ゼロに目を向けた。 「さすがは卑しい平民、礼儀というものを知らないようだねッ! 「いいだろう、『決闘』だッ!僕がじきじきに礼儀を教えてやろう。 ヴェストリ広場で待っている!準備ができたら何時でも来たまえ!」 「いいだろう」 「威勢だけはいいようだね。ああそうだ、名前を聞いておこうか、 貴族にたてついた馬鹿な平民として語り継がれる名前を」 「俺の名は、ゼロだ」 「はははははははっ、なるほど、ゼロのルイズにふさわしい名だな。 成功率ゼロの主人に礼儀がゼロの使い魔、ぴったりじゃないか!はーっはっはっはっはっは!」
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autolink ZM/WE13-T09 カード名:一緒に買い物 ルイズ カテゴリ:キャラクター 色:赤 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:1000 ソウル:1 特徴:《魔法》?・《虚無》? 【永】応援 このカードの前のあなたのキャラすべてに、パワーを+500。 急がないなら、先に行っちゃうから! レアリティ:TD illust. トライアル限定カードの一枚。 同作品の赤のレベル0応援には、効果を持ったキュルケというカードも存在する。 採用するのであれば「ルイズ」?や《虚無》?を持つことを活かしたい。 ・関連ページ 「ルイズ」?
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《ルイズ》 No.1493 Character <第十六弾> GRAZE(2)/NODE(3)/COST(1) 種族:魔界人 (自動γ): 〔あなたの場の「種族:魔界人」を持つキャラクター〕が相手プレイヤーに戦闘ダメージを与える場合、〔相手プレイヤー〕が受けるダメージは+2される。 攻撃力(3)/耐久力(3) 「あらめずらしいわ 人間の人かしら?」 Illustration:せとらん コメント 魔界における村人A。 今回は種族:魔界人のサポートに終始している。 種族:魔界人が相手プレイヤーへ与えるダメージを増加してくれるが、キャラクターへのダメージは据え置き。 ユキ/13弾らのサポートをするインスタント雛人形の影響を受けないなどの細かい点を除き、基本的に攻撃力への戦闘修正の下位互換でしかない。 お誂え向きに種族:魔界人の全体強化には耐久力も上げてくれる神綺/7弾がいるので、このカードの立場は厳しいと言わざるを得ない。 神綺/7弾に比べて圧倒的に軽いという利点はあるが、魔界によりキャラクターの重さを誤魔化せるのが種族:魔界人の本領であり、また、種族:魔界人自体がそれほど序盤から攻めたいデッキでもないので、このメリットも些細なものでしかない。 どうしてもこのカードを採用するなら、神綺/7弾を積みにくい神綺/16弾と魔界蝶でビートダウンしていくタイプの魔界デッキとなるだろう。 神綺/16弾の横に1体据えるだけで魔界蝶が実質4/1グレイズ0のキャラクターとなり、クロックの加速を大いに補助してくれる。 また、神綺/16弾自身も11点をわずかグレイズ3で叩き出すキャラクターとなる。 神綺/16弾自体の戦闘力が異常に高いので、対キャラクターを気にしなくてよくなるのはこのカードと噛み合っている。 ただし、盤面に維持したいシステムキャラクターの割にやや脆いのには要注意。 リリカ・プリズムリバー/11弾であっさり沈んでしまうので、過信は禁物である。 関連 第十六弾 ルイズ/7弾 ルイズ/13弾
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雪と氷に覆われ、周りを巨大な山脈に囲まれ、魔物達が徘徊する雪原。 その雪原のほぼ中央に、邪悪なる神を崇める神殿がそびえ立っていた。 神殿の最上階では、世界の命運を賭けた最後の戦いが繰り広げられており、今まさに決着がつこうとしていた。 「お、おのれ・・・ロトの末裔共よ・・・」 白いローブを纏った神官は息を切らせながら目の前の少年達を睨んでいた。 蒼い鎧、兜、盾を装備し、それぞれに不死鳥の紋章を掲げた少年。 見た目はとても軽そうな細剣なのに、全てを破壊する剣と同じオーラを纏った剣を持つ少年。 こんな極寒の地なのに、水で出来た羽衣を纏った少女。 三人はそれぞれ武器を構え、神官と対峙していた。 「こ、こうなったら・・・・・破壊神よ、我が身をイ・・・ケ・・・ニエに「させるか!」 神官の行動に気づいた蒼い鎧を着た少年が飛びかかり、神官に不死鳥を象った剣を突き刺した。 神官は血を吹き出しながらその場に倒れていった。 「・・・やったか?」 倒れた神官から離れながら蒼い鎧を着た少年が呟くが、誰も答えることはできない。 神官の姿が消え、辺りに気配がなくなったのを感じると、三人はようやく気を緩めた。 その瞬間、突如三人と祭壇の周りを灼熱の炎が取り囲んだ。 そして辺りに禍々しい気配が漂い始めた。 「まさか、間に合わなかったのか?」 「そ、そんな・・・」 「サマル、ムーン!気をつけろ!来るぞ!」 再び武器を構えた三人の前に、鏡の様な物が現れた。 鏡からは禍々しい波導が溢れ出し、今にも何かが現れそうであった。 三人は武器を握り直した。 そして、その鏡の様な物は爆発を起こした。 爆煙により視界が塞がれても、三人は警戒を緩めなかった。 しかし、これまで数々の戦いを繰り広げ成長してきた勇者達も、こんなことが起こるとは予想できなかった。 「・・・アンタ達、誰?」 「「「・・・はい?」」」 煙が晴れ、現れたのは桃色の髪の少女であった。 三人は思わず息を揃えて聞き返してしまった。 こうして、勇者ロトの末裔達はアレフガルドに平和を取り戻した。 余談だが、ルイズと入れ替わりにハルケギニアに召喚された破壊の神は、ハルケギニアの全てを破壊しようとした・・・のだが、 青い髪の少女が唱えたパルプンテという魔法により逃げ出したのはまた別の話である。 トップページへ
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前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ キュルケは手の甲で頬をぬぐい顔を上げる。 その二つ名の微熱よりさらに熱い物を宿らせた目でゴーレムの肩から見下ろすフーケを睨んだ。 「あなた、ただじゃおかないわよ。覚悟しなさい」 「はっ、それはこっちの台詞だよ。すぐに後を追わせてやるさ」 フーケはゴーレムの腕をキュルケの頭上に上げる。 それが振り下ろされればキュルケの体がどうなるか。 「キュルケ!潰されてしまうじゃないか!逃げるんだ!勝てるわけがない!」 いつのまにか岩陰に隠れていたギーシュが叫ぶ。 「そういうわけにはいかないのよ!」 キュルケは呪文と共に杖を振る。 唱えた魔法はフレイム・ボール。 猛るキュルケの心が魔法の力を強めたのか、一度に数個の火球が生まれた。 「行けっ」 全ての火球に殺到されもフーケは動かない。 「馬鹿だね」 ゴーレムの腕が大きさからは考えられないほど素早く火球を捕らえる。 目標を追い続ける火球も潰されてしまってはそれ以上は飛べない。 ゴーレムの腕に小さい焦げ跡を作っただけだ。 「さあ、つぶれちまいな」 ゴーレムが腕がキュルケに迫る。 「逃げろーーーー!」 ギーシュの再びの叫びも聞かず、キュルケはもう一度唱える。 「炎」そしてもう1つ「炎」さらにもう1つ…… だが、時間が足りない。 最後を組み合わせる前にゴーレムの拳はキュルケの目前にまで迫った。 キュルケの体が横に飛ばされた。 ゴーレムの腕は上から落ちてきていた。横に飛ばされるはずがない。 その証拠にキュルケは今、地面にめり込むゴーレムの拳を見ていた。 「もう、せっかく助けてもらったのに危ないことしたらだめなのね。びっくりしたのね」 見知らぬ青い長髪の女が側で頬をぷっくり膨らませて怒っていた。 キュルケより年上のようにも見えるが、仕草が子供っぽく見える変な女だ。 だが、その青い髪の色にキュルケはどこか見覚えがあるような気がした。 「あなた……だれよ?」 キュルケはとりあえずその質問をした。 何か、明確な意図があったわけではない。 突然現れて、助けてくれた青髪の女に他に聞くことがなかったのだ。 「私?私はイル……」 突如、青髪の女は頭を抱える。 なんというか、主人に怒られた使い魔のような感じだ。 「違うのね、私はイルなんて名前じゃないのね。えとえと。そう、私はシル……」 また女は頭を抱える。 いきなり、頭を振ったりして変な女だ。 「違うのね、私はシルなんて名前じゃないのね。えとえと。そう、私はアルフなのね。アルフ!」 「そ、そう」 犬みたいな名前だ。 とても怪しいが、青髪の女はすごくいいことをしたように満足した顔つきをしているので、キュルケは追求する気にはなれない。 そこでキュルケははっと気づいた。 こんな事をしている場合ではないのだ。 キュルケは駆け出そうとしたが、青髪の女に襟首を捕まれて止められてしまう。 「だから、やめるのね」 「やめれるわけ無いでしょ!あの女、タバサをどうしたと思うの?」 「どうもなってないのね」 「え?」 キュルケは足を止めて女の顔を見る。 世間話をしているような顔で女は続けた。 「タバサって言うナマイキでいけ好かないチビガキならお姉様が助けたのね」 「お姉様?」 「あそこなのね」 青い髪の女が見上げる先をキュルケも見た。 まず見えたのは、空を見上げる土くれのフーケ。 つい先ほどまで追い回していたキュルケにまったく注意を払っていなかった。 そういえば、少しの間とはいえキュルケはこの女と話していたのだ。 それはゴーレムに攻撃させるには十分な時間だ。 だが、攻撃はない。 キュルケとは別の物に注意を向けなければならなかったからだ。 ならその別のものとは…… キュルケは視線をさらに上に向けた。 その少女は空に浮かんでいた。 二つの月に照らされる二つに結んだ金糸の髪が風の中に揺れていた。 黒い服、そして黒いマントは闇から浮き出るようでもあり、夜空にとけ込むようでもある。 手に持つ杖もまた黒い。それはインテリジェンスデバイス、バルディッシュ。 「近頃は仮面が流行っているのかい?」 少女はフーケの言葉には応えない。 いかなる思いを抱いているのか、仮面に隠された顔からは伺えるはずもない。 「無視かい。まあ、いいさ。でも、名前くらいは名乗ってもらうよ」 フーケに杖を少女に向けられた少女はなにも答えない。 焦れるフーケが杖を下ろそうとしたとき、少女は口を開いた。 「フェイト」 そして、彼女は続ける。 「ただのフェイト。家名も、過去もない。ただの……フェイト」 その言葉は誰に向けた物だったのだろう。 あるいは、フェイトと名乗るその少女自身に向けた言葉なのかも知れない。 「なら、そのフェイトは何をしに来たんだい?」 フェイトはバルディッシュを両手で持ち、後ろに構える。 斧の刃が持ち上がり、そこから吹き出る金色の魔力が鎌の刃を作った。 「いちいち邪魔が出る夜だね。あんたも潰してやるよ」 フーケが杖を振ると空を見上げるゴーレムの腕が形を変えていく。 空のフェイトに届くように長く、長く。 振り上げられたゴーレムの腕がうなりを上げた。 岩でできているとは思えないしなやかさでそれは伸び、岩の重さをそのままにフェイトに飛ぶ。 フェイトは金色の鎌を構える手に力を込め、その岩の鞭の前に飛び出した。 鞭のしなやかさを持つゴーレムの腕の動きは人の目で捉えられるようなものでは物ではない。 その中に飛び込むのは自殺作行為という物だ。 フーケもまた、そう考えた。 だが、フェイトが二度、三度、空中で体を回したとき、地面に落ちたのはフェイトではなくゴーレムの腕だった岩の塊。 「なら、これでどうだい!」 ゴーレムが残った腕を振るが、空にはすでにフェイトはいない。 「ど、どこに?」 フーケはフェイトの姿を完全に見失っていた。 すでに地面に降りていたフィイトは金色の鎌にさらに魔力を込める。 一回り大きくなった鎌を右から左へ。 ゴーレムの右足が寸断され、その体が傾いていく。 次にフーケの悲鳴を聞きながら左から右へ。 半ばで切られたゴーレムの足が滑る。 両の足を切られては立てるはずもない。 フーケのゴーレムは轟音と土煙を上げ、その場に崩れ落ちた。 「あの……ガキ!」 フーケは積もるゴーレムの瓦礫の上で呟いた。 不意に30メイルも落下するのは、メイジといえども危険な事だ。 レビテーションを咄嗟に唱えても体をしたたか瓦礫の山に打ち付けてしまった。 それでも痛みはするが、身体に異常はない。 骨折もないし怪我もない。 「なっ!」 体を起こしたフーケは、目の前の黒い少女の姿に目を剥く。 放電する光球を備えたバルディッシュを、フェイトがまっすぐフーケに突きつけていた。 「冗談じゃないよ!」 光球の起こす唸りでその威力は想像できる。 食らえばただごとでは済まないのは確かだ。 未だふらつく足で走るフーケは、レビテーションを唱えながら崖に飛び込んだ。 フェイトの杖から放たれる雷の槍、フォトンランサーが瓦礫を砕く。 小さな石はもちろん、人の身長ほどもある岩ですらかまわず粉々にする。 フェイトはバルディッシュを左右に振り、その場にある瓦礫を片端から砂粒へと変えていった。 やがて、その中から青い宝石が表れる。 「封印」 「Yes sir」 すでに光を失った青い宝石に逆らう力はない。 バルディッシュから伸びる魔力に捕まれ、瞬時にその姿を消した。 「Sealing.Receipt Number none」 ナンバー無し。 バルディッシュの告げるその言葉にフェイトはわずかに首をかしげるが、それもわずかな間。 呆然としているキュルケを目の端で見ると、フェイトは足下に金色の翼を広げ、双月の輝く空に消えていった。 フェイトが姿を消してもキュルケは呆然としていた。 あまりにもわからないことが多いが、1つだけわかったことがある。 フェイトがジュエルシードを持って行ったと言うことだ。 「ねえ、あのフェイトって娘……」 隣にいるはずのアルフに聞こうとしたが誰もいない。 アルフもすでに姿をくらましていた。 「いったいなんだったのよ」 答える者はいないのはわかっているが、口から自然に漏れる。 それほどに今の状況がよく分からなかったし、これからなにをしたらいいかわからない。 頭の中で整理をつけ、やっと思い出す。 「そう、タバサよ!タバサーーーっ」 助けられたはずのタバサを探そうと走り出したキュルケのマントを誰かが掴む。 くいくいと引っ張られて少し喉が詰まった。 「ここ」 「タバサ!」 唐突にタバサが後ろにいた。この娘は時々こういうところがあるが、こんな時にまでやらなくても良さそうなものだ。 「あなた、一体どうしてたの?」 「フェイトに助けてもらって、崖を飛んできた」 「そ、そう」 それにしては飛んでいるタバサを見なかったような気がするが、キュルケはとりあえず置いておくことにした。 代わりに親友の無事を喜んでタバサの頭に着いていた砂埃を払い落としてやった。 前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ
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前ページ次ページ秘密結社ゼロシャイム総統ルイズ 今日も酷い目に遭った。 秘密結社フロシャイム川崎支部将軍ヴァンプは、夕飯である鮭のムニエルをつつきながら溜息を吐いた。 「結構いいところまで行ったと思ったんだけどねぇ、今回」 「なんで正義のヒーローってあんなに都合よく現れるんでしょうね」 話の都合だろ、とは誰もが思いつつも誰もが言わない事であったが、 ともかく毎度の事ながら呼び出した怪人がこうも簡単に屠られてしまうと はたして本部から左遷降格を言い渡されはしないか、と一抹の不安がよぎるのだ。 「お…明日タマゴが特売か」 しかし悲しいかな、何しろ経済的にそう余裕の無い川崎支部では先ず優先すべきは支部の存在そのものの確保なのである。 どんなブラック企業でも赤字では立ち行かない。常識もいいところだ。 だからヴァンプ率いる川崎支部の戦闘員および怪人は日々の倹約の知恵を振り絞り、 それが正義のチンピr…ヒーローたるサンレッドに対する危機感を薄れさせ、 結果毎度の惨敗に繋がる所となっているのだ。 「「今度こそはすっごい奴を呼び出して…」」 それは誰の発した言葉かは分からない、が、その言葉を発した誰もが心の底からそう願っていた。 「魔界の果て、地獄の底に屯す悪魔よ!」「天と地とその狭間の何処かに居る私のしもべよ!」 誰かが魔方陣の前でその口上を結び始める。 「残忍で、凶暴で、冷血な、血を渇望する猛獣よ!」「清く、賢く、美しく、何者をも超越する私の使い魔よ!」 魔方陣は静かに、仄かに、輝き始める。 「「我は心より求める!この地へお前が降り立つ事を!!」」 魔方陣が放つ光に、それを見ていた誰もが目を眩ませ、 …やがて、光の中にその影を認めた。 「…は?」 「しょ、将軍…!?何処へ…ってあんた誰!!??」 「…え?は?…どこだここはぁぁぁ!!?!」 禁呪により神奈川県川崎市へ呼び出された東京都在住の平凡極まる高校生・平賀才人は、 戦闘員ならびに怪人たちによる深い謝罪と交通費を受け取った後、帰路に着いたのである。 「いやぁ~あの鮭のムニエル旨かったなぁ」 「……えっ?」 「…………」 「……………」 「………………誰よ、アンタ」 そして、フロシャイム川崎支部将軍ヴァンプは、 職と、 家を、 失った。 前ページ次ページ秘密結社ゼロシャイム総統ルイズ
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前ページ次ページゼロのデジタルパートナー 「――――――――! ―――――ン! ―――ラモン! ――ドラモン!!」 遠くから声が聞こえる。 それは今までに何度も何度も聞いてきた、とても大事な奴の声だった。 「メガドラモンッ!!」 確かに自分の名を呼ばれ、意識が覚醒する。 目の前には大事な自分のパートナーと、どうやら刺し違えたらしい、ムゲンドラモンの死体が転がっていた。 ムゲンドラモンの身体は既に分解が始まっていた。その隣には、ムゲンドラモンを操り、このファイル島を我が物としようとしていた男が尻餅をついている。 俺の身体を抱きかかえ、涙を流しながら俺の名前を叫んでいるのは、今まで苦楽を共にしてきた、パートナー。 だがどうやら……その楽しくも苦しかった時間に終わりが来たらしかった。 「俺とした事が……ドジッち、まった、ぜ…………」 「喋るな! 今、今ケンタル医院に連れてってやるから!!」 「良いんだ……。自分の身体の事は、自分が一番分かってる。…………こんな形になってすまねぇがよ……」 既に分解が始まっている身体を一度だけ見下ろし、確りと目の前のパートーナーを見つめる。 「お前に育てラれた、俺ノ人生…………ワるく、なかッタ、ゼ…………」 最期の言葉を、ちゃんと発せたろうか。 それだけが気がかりで、俺の意識は、闇に飲まれていった――――――。 ゼロのデジタルパートナー 一話 ルイズは思わず息を飲んだ。 サモン・サーヴァントの魔法で何故か巻き起こった爆発の中から現れたその姿に。頭らしき物が僅かに俯いているが、翼を広げれば4メイル程に達するだろう、その『竜』に。 しかし教師であるコルベールを含め、誰も見た事の無い種類の竜だ。 上半身は逞しく、巨大な腕と頭。しかしそれに反して伸びる下半身には足の様な物は無く、ひょろっとした蛇の様な体がうねうねと動いている。 そしてよく見ると、羽ばたいても居ないのに宙に浮いているではないか。 誰もがルイズ同様に息を飲んでいた。 「ゼロのルイズが成功した……」 「おいおい、嘘だろ……?」 「ま、負けた……ゼロのルイズに……」 煙が晴れ、その姿が完全に現れる。そしてまたしても、誰もが息を飲んだ 腕と頭についているのは、漆黒に煌く金属。体の色は赤く、所々に生えている体毛は群青に染まっている。 誰がどう見ても、立派な竜の(大きさからして)幼生であった。誰も知らない種族ではあるが。 と言う事は、ルイズは竜を召喚するのと同時に、非常に珍しい種族を召喚した事にもなる。 召喚を行った当人は、あまりにの感動に気を失いそうだった。 漸く今まで自分を「ゼロ」と馬鹿にしていた奴等を見返せる。そう思うと自然と笑みが零れるルイズだった。 そして、 「や、やったわ!!」 高らかに叫ぶ。 コルベールも柔らかに微笑んで―自分の生徒の成功に心から喜んで―促す。 「さあ、ミス・ヴァリエール。契約を」 ルイズが頷き、自分の使い魔になる竜に向かって歩を進めた。 メガドラモンは、正直かなり混乱していた。 理由一。まず自分は、デジタルモンスターとしての死を迎えた筈である。 理由二。周りの人間の多さ。 こんな所だ。 メガドラモンは目だけを動かして辺りの様子を窺う。皆が皆、驚いた表情で自分を見ている。 次に自分の身体。 今さっき正に致命傷を受けていた筈なのに、見事に完治している。 分かっている事と言えば、どうやら自分が現実世界に来たらしい、と言う事くらいだ。 ともかく、自分だけでは答えを導き出すのが不可能。と結論を出し、こちらに向かってくる人間の子供に聞いてみる事にした。 「ここは何処だ?」 「ッ!!」 その場に居た全員―と言ってもメガドラモン以外だが―が怯む。 「しゃ、喋った!?」 「ま、まさか……ゼロのルイズが……」 「韻竜だ! 韻竜を召喚しやがった!!」 周りの生徒からソンナバカナーとか、ウオースゲーとか、色々と歓声や喚声が上がる。 その様子に一度だけビクッとしたメガドラモンだったが、改めて目の前の人間の子供に目を向ける。 ルイズはまたしても感動のあまりに意識を手放しそうになったが、主人としての威厳を持って答えた。 「こ、ここは、トリステイン魔法学院よ!」 「トリステイン……?」 パートナーに聞いていた「ニッポン」と言うのとは随分違う。 それに周りの人間が着ている服も、自分のパートナーが着ていたのとはかなりの差があった。 ……そう言えば現実世界では国によって、同じ人間でも色々違うと言っていた。そんな事を思い出し、メガドラモンはこう結論付けた。 まず自分は、何らかの理由で現実世界に飛ばされた(パートナーがデジタルワールドに来たのだから、その逆もあるだろう)。 そして此処は、自分のパートナーが住んでいた国とは違う国だ。 あながち間違ってはいないのだが、メガドラモンは一番大事な部分を間違えてしまっていた。 「そうか。……それで、お前は?」 「私は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール! わ、私があんたを呼んだのよ!」 ……彼女が自分を呼んだのか。 俺が死にかけている所を、彼女が呼んでくれたおかげで助かった。 つまり、命の恩人だな。 メガドラモン、賢くはあるがちょっと抜けていた。 「そうか。……それじゃあ、お前は俺の恩人だな」 「……? そ、そうよ!」 何を言っているのか分からなかったが、とりあえず同意をしておくルイズであった。 その後、外見に似合わず非常に大人しいメガドラモンと、ルイズは見事契約を交わした。 メガドラモンの左手に現れたルーンをコルベールが興味深く見ていたが、軽くスケッチすると直ぐに皆を解散させた。 各々が魔法で飛んでいくのを目にし、メガドラモンは少しギョッとした。 「人間は飛べないと、言っていたと思うんだがなぁ……」 皆が居なくなったのを確認すると、ルイズはいきなりメガドラモンに抱き付いた。 いつもゼロのルイズと蔑まれて来た彼女だ。立派、いや立派過ぎる使い魔を召喚出来て、心底嬉しいらしい。 「あんた、名前は?」 「メガドラモンだ」 「メガドラゴン? 聞いた事ない種族ね……。って、あんたの名前を聞いているのよ。種族名じゃないわ」 そう言われ、メガドラモンはちょっと考え込んだ。 言われてみれば、自分は自分だけの名前で呼ばれた事が無かった。 数秒思案して、メガドラモンが口を開いた。 「メガで良い」 「分かったわ。メガね。……わ~、めがめが~」 素晴らしい変わり身であった。今までは高貴なカンジ! と言うのを体現していたと言うのに、いきなり母に甘える赤子モードである。 だがそんなルイズの至福の時を、メガドラモンが悪意無い発言でぶち壊してしまう。 「お前は飛ばないのか?」 ビシッ。とルイズが固まる。 そして、絞り出す様に言った。 「飛べないのよ……」 それが恥ずかしいとか悔しい事なんだろうと直ぐに察して、メガドラモンは、 「そうか」 とだけ言って、尻尾でルイズを巻き取り、背中に乗せた。 「な、何!?」 「掴まってろ」 メガドラモンがそう言うや否や、風竜顔負けの速さで空を駆け始める。 「わー、わー!」 あまりに速さにルイズがまたしても、感動で気を失いそうになるが、頑張って堪える。 そしてメガドラモンの後頭部に生えている毛に顔を埋め、にやにやとだらしなく笑っていた。 この使い魔となら、上手くやっていける。誰も自分を「ゼロの」ルイズなんて呼ばなくなる。 そう確信し、今までの級友が見た事も無い笑みを浮かべ、ルイズは空を駆けていた。 前ページ次ページゼロのデジタルパートナー
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前ページ次ページウルトラマンゼロの使い魔 ウルトラマンゼロの使い魔 第百二話「閉ざされた夢幻」 暗殺宇宙人ナックル星人グレイ 夢幻魔獣インキュラス 夢幻神獣魔デウス 登場 リシュに夢の世界へ囚われた才人を救出するため、クリスの力で夢の世界へと侵入したルイズ。 だがサキュバス・リシュの力は自分の想像をはるかに超えたものであった。勝ち目がないと、 ルイズは心が折れそうになったが、そこに塚本たちの激励を受ける。更にルイズの応援にやってきた デルフリンガーの分析により、サキュバスも夢の中で完全に無敵ではないということを知った。 操られている才人の心を取り戻すことさえ出来れば、サキュバスの力に打ち勝つことが出来る……。 ルイズは一世一代の大勝負に出ることを決意したのだった。 翌日――夢の世界で『翌日』と言うのも奇妙な感じだが、とにかく翌日だ――、ルイズは 放課後に才人を校舎の屋上へと呼び出した。ここで白か黒かの決着をつける覚悟だ。 この場にはリシュもついてきていた。ルイズはそれを許可していた。どうせ遠ざけようと したところで、サキュバス相手には無意味だ。ならば初めから姿が見えている方が、相手の出方が 窺えてまだいいだろう。 ナックル星人とインキュラスの姿はない。どこかに控えて様子見をしているのか、はたまた リシュに勝てるはずがないと高をくくっているのか……。その代わりのように、リシュは初めから 生徒の擬態を解いてサキュバス本来の姿を取っている。才人も見慣れたパーカーの格好だ。 屋上には昨日と同じ結界まで用意されていた。ルイズが本気だというのを感じ取り、向こうも 決着をつけるつもりなのか。しかしどちらにせよ、やることは変わらない。 「ルイズさん。昨日の……」 「勝手についてきた人は黙ってて。わたしはサイトに話があるのよ」 リシュが言いかけたのを、ピシャリとはねつけるルイズ。会話の主導権を渡してはならない。 ルイズの言葉が、才人の心に訴えかけられるかどうかが勝負の鍵なのだ。 リシュが何もしない内に、ルイズは才人へと懸命に呼びかけ始めた。 「サイト……。トリステインでのことを思い出して」 「トリ……? 何だ、それ。どこ?」 「わたしが春の使い魔召喚の儀式で、あんたを呼び出して使い魔にしたでしょ。それから、 サイトは何度もわたしを守ってくれた。この前はみんなで舞踏会を開いたりして、がんばったじゃない!」 と言っても、ハルケギニアでの記憶を全て消されている才人はポカンとしているだけだ。 だがルイズは諦めない。ここまで来て、もう諦める訳にはいかないのだ。 「それだけじゃないわ。あなたはウルトラマンゼロと一体となって、ハルケギニアのウルトラマン として日々世界を守ってた、いえ、守ってるのよ! あなたの隣には、わたしだけじゃない、 ミラーナイトやジャンボット、グレンファイヤーたちの、たくさんの仲間がいる! みんなが、 あなたが帰ってくるのを待ってるのよ! その左腕のブレスレットを見て!」 今の才人はリシュの力で、ウルティメイトブレスレットを見えなくされているが、ルイズの 言葉によって様子に変化が起こり出す。 「う、ウルトラマン……俺が……? でも、確かに大切なことがいっぱい、俺の胸の中に……。 あれ、この腕に嵌まってるのは……」 「サイト!? 思い出してきたの?」 徐々に才人が元に戻ってきているのを感じて、ルイズの顔が輝いた。彼とゼロの築いた絆は、 数多の戦いを乗り越えたことで、いくら夢を操られてごまかされようとも、決して断ち切ることが 出来ないものにまで育っていたのだ。 だがリシュとて、このまま才人が覚醒するのを看過してはいなかった。 「サイト、騙されては駄目!」 「騙す……? ルイズが、俺を……?」 「ルイズさん……いえ、ルイズ。昨日言ったこと、完全に忘れたようね」 リシュの目尻が吊り上がり、ルイズに威圧感を掛けてくる。しかしルイズがもう退くことはない。 「ええ、忘れたわ。わたしの記憶をいじれると言ったのは嘘だって分かってるんだから! もう負けないわよ!」 「……それならこういうのはどう?」 だが、リシュは意外な手段に訴えてきた! 「サイト……。わたしたちは宇宙人に命を狙われているのよ!」 「なッ!?」 仰天するルイズ。リシュはいきなりそんなことを言って、一体何をするつもりなのか。 「んッ!? そ、そうだったか?」 「ええ、そう。あなたはもう数え切れないほどの宇宙人に襲われたじゃない。そこのルイズも 宇宙人よ! あなたを殺そうとしてるの!」 ここでルイズはリシュの意図を理解した。よみがえりつつある才人の記憶を逆に利用し、 ルイズを敵に仕立て上げようとしているのだ! 「だから、いつものように倒して! その剣で!」 いつの間にか、才人の手には剣が握られていた。 「……そうだな。この剣で斬り伏せる、今すぐに……」 そして才人は、すっかりリシュの言いなりとなってルイズを敵視する。 「う、嘘でしょ!? あっさりと……何で!?」 「大したもんだな、サキュバスの力ってのは。そう出るとはさすがに予想外だ。どうするか……」 「サイト……。斬り伏せるって、わ、わたしを? 冗談よね? ねぇ?」 呼びかけるルイズだが、才人の目は本気だ。完全にルイズが侵略宇宙人に見えてしまっているようだ。 「娘っ子! この殺気は冗談じゃねえ、一旦逃げた方がいい!」 デルフリンガーが警告したが、ルイズは拒否した。 「嫌! ここで逃げたら……サイトはもう二度と、わたしのところに戻ってこないわ!」 ルイズは女の意地で才人に背を向けず、必死に呼びかけ続けた。 「サイト、思い出して! あなたはわたしの使い魔! 誰にも渡さないの!!」 「……使い魔?」 「いい加減にしなさいよ、馬鹿使い魔! あんた、わたしのことが好きって言ったじゃない! 忘れたの!?」 ルイズの言葉で才人が一瞬揺らいでも、リシュが暗示をその都度掛け直す。 「敵の戯言を聞いては駄目よ」 「ああ、そうだな。敵の戯言を聞いては駄目だ……」 だが、才人の返事には妙に力がなかった。 「!? ど、どうしてそんな声なの、サイト!?」 「ありゃ、もしや……相棒の心がサキュバスの力に反発してるのか?」 デルフリンガーは才人の握る剣を見やって、ハッと気づいた。 「そうか、剣を持ったからか! 怪我の功名って奴だなぁ。娘っ子、もっと呼びかけてやれ!」 策士策に溺れる。リシュは才人に武器を持たせたことで、ガンダールヴの力を発動させて しまったのだ。それで才人に抵抗力が生じた。 ここぞとばかりに才人の名を呼ぶルイズ。 「サイト……サイト……!」 「お前は俺の敵なんだ……。敵は倒さなくちゃいけないんだ……」 しかしまだサキュバスの支配を破るには不十分なのか、才人の催眠状態は解けない。ルイズは 才人の心が自分に応じないことが悔しくて、涙が浮かんできた。 「さ、サイトのバカッ! バカバカバカバカバカバカバカぁッ!」 ぐすぐすと泣きじゃくるルイズに、才人の剣が迫る……! ……が、その切っ先が不意に下ろされた。 「え……?」 「サイト!? どうして剣を下ろすの!?」 リシュが問いかけると、才人はどこか目が覚めたかのような感じを漂わせながら、答えた。 「……この子、泣いてるじゃないか。それを斬る訳にはいかないよ」 「そ、そんなの、こっちを油断させる罠よ! 敵は倒さなくちゃいけないのよッ!」 リシュは必死になって暗示を掛けるが、才人は従わなかった。毅然とした口調で、返した。 「いや……敵を倒すことだけが、強さじゃない。力には――優しさがなくちゃいけない。 それが、俺が教わった大事なことだ……!」 「サイト……!」 ルイズは感極まった。それは、ゼロがいくつもの戦いの中で教えてくれたこと。その想いは、 才人の心に決して変わらないものとして息づいていた。その想いが、ルイズを助けてくれたのだ! 「今だ! 娘っ子、行ってやれ!」 デルフリンガーの指示により、ルイズは才人の胸の中へと飛び込んでいく。 「サイトっ!」 ルイズがぐっと顔を才人に近づけ――二人の唇が、重なった。 その瞬間、才人の手の甲のルーンが輝いた。同時に、ブレスレットのランプに青い輝きが戻る。 閉鎖空間も破られ、空が晴れ渡る。 「……そうか」 「サイト……思い出した?」 「……ああ。ごめんな、ルイズ。全部思い出したよ」 「サイトぉっ!」 才人の意識は、記憶は完全に戻った。ルイズは才人に抱きつき直り、才人はそれを優しく受け止めた。 「おはようさん、相棒。全くとんだねぼすけだよ、おめえさんは」 「デルフ!? この端末が?」 「情けねえが、そういうこった」 『俺のことも忘れるんじゃねぇぜ、才人!』 ブレスレットから声が発せられた。才人の目はブレスレットも捉えられるようになっていた。 「ゼロ! 悪い……俺に引っ張られて、お前まで意識を封じられちゃって」 『いや、俺自身、完全にリシュの術に嵌まっちまってたよ。一生の不覚だぜ……』 自嘲するゼロ。才人復活の喜びを分かち合う彼らの一方で、リシュは衝撃を受けてよろめいた。 「あ、あたしの魔力から……この世界の戒めから逃れた!?」 「リシュ……」 リシュの方へ振り向く才人に、ルイズが尋ねかける。 「どうするの? やっつけるの?」 「大丈夫。これは俺の夢なんだから、リシュをどうにかしなくても帰れるさ、現実に」 と言う才人に、リシュがすがるように呼びかけた。 「……サイト。元の世界に戻ってどうするの? またそのルイズにこき使われて……危険な戦いの 日々を送るだけよ!? この世界で一緒に楽しく生きる方がいいに決まってるわ!」 叫ぶリシュに、才人は答えた。 「確かに、やり方は許せないけど、ここは楽しくて戦いの危険もない、理想的な世界だったよ。 でも……ハルケギニアで、ゼロやルイズたちみんなといる日々は、俺をたくさん成長させてくれた。 そして成長させてくれる。それは、この閉ざされた世界じゃ決して得られない……何物にも 代えられない宝物なんだ」 「さ、サイト……」 「リシュ、お前ももうこんなことはやめて、現実の世界で生きよう。お前には悪意なんてない。 それは夢の中でよく分かった。俺たちと、現実の世界で生きることが出来る」 と才人は説得したが、リシュは頭を大きく振って拒否した。 「そんなこと出来ないわッ! あたしには……現実の世界で、生きられる場所なんてどこにもないものッ!」 「リシュ……?」 絶望したように頭を抱えるリシュに、ゼロが問うた。 『リシュ、そもそもお前は、どうして才人を夢の世界に連れ込んで、二人だけで生きていこうとしたんだ?』 それにリシュは、疲れ果てたかのような表情で答え出す。 「あたしは……サキュバスは、世界のどこに行っても迫害されてた。あたしたちは危険だと 決めつける、人間の一方的な都合で……」 「……!」 表情が強張る才人たち。ルイズは思い出す。サキュバスは、人間にとって危険であるがために 封印されたと。しかし、サキュバス自身に人間への悪意がないのならば……それは人間の迫害と なるのだろう。 「あたしも人間からの攻撃で傷ついてたところを、ある日人間の男性に助けられたわ。 そしてあたしたちは恋に落ちた……。でも、もちろんその関係は長く続かなかった。 人間は執拗にあたしを追い続け、その末にあたしの愛したあの人は命を落とした……」 「そんなことが……」 「あたしは絶望して、自ら封印された。けれど長い時を経て、封印が緩んできた頃に…… あたしは誰かの不思議な夢を垣間見た。それがあなたの夢よ、サイト……」 それが、一連の事件の始まりだったのか。リシュは才人の夢に魅せられ、再びの目覚めを望んだ。 それが怪獣の夢を操る形となって、彼女の封印を破らせた。 「あたしは夢を通じて、サイト、あなたが好きになった。でも、前と同じように現実で生きようと したら、前と同じように失敗してまた失う……。だから、今度は誰の邪魔もされないようにしようとした……」 才人を奪われかけたルイズでさえ、リシュに同情した。世界中から受け入れられない迫害と、 自分のために愛する者を失った絶望……その二つを味わったリシュを、どうして責められようものか。 そしてリシュは、魂の叫びを発する。 「どうして!? あたしの何が悪いっていうの!? あたしがサキュバスだということ…… 人間とは違う力を持ってるってことは、そんなにも悪いことなの!? 力があること…… あたしが生きてるということ、それだけで罪になるというのッ!?」 その問いかけに、才人たちはもちろん、ゼロでさえ何も答えられなかった。彼らがここで 何か慰めたところで、リシュが世界から、人間から拒まれるという現実は、何も変わらないのだ。 リシュは、サキュバスは、人間の世界の中に入っていくことが許されない、怪獣と同じ存在なのか……。 『――あぁ~もう、くっだらないッ! あんたにはガッカリだわよ!』 唐突に、野太い女口調が屋上に響いた。 「! ナックル星人ッ!」 見れば、リシュの背後にいつの間にかナックル星人が出現していた。才人はルイズを背にかばい、 剣を構え直す。 だがナックル星人は才人たちを攻撃してはこなかった。代わりに――リシュが伸びてきた インキュラスの手に捕まり、宙に持ち上げられた! 「きゃああッ!?」 「なッ!? どうしてリシュを!?」 才人が目を剥いてナックル星人に問いかけると、ナックル星人は高笑いを上げた。 『オーホッホッホッ! そんなの決まってるじゃなぁい! あの小娘の力を利用するためよッ!』 「何だって!?」 『あの小娘、サキュバスの力というのは広い宇宙でも貴重な、とっても役立つものよ。それを知った アタシは、あれの力を存分に役立たせてもらおうと考えついたの。このアタシのためだけにねッ!』 「くッ……騙したのね……!」 インキュラスに握り締められて身動きの取れないリシュは、せめてもの反抗でナックル星人を 憎々しげににらみつけた。 『あんなので騙される方が悪いのよぉーッ! ちょぉーっと同情した素振り見せて、お友達に なりましょうと誘っただけでコロリと信じて。ずぅっとお眠りしてただけあって、頭の中身は 赤ん坊と同じねぇ~! オ―――ホッホッホッホッホーッ!』 「何て奴……許せないわッ!」 ルイズは激昂して杖を手に取った。リシュの心の隙につけ込む悪質な手口。これが許されて 良いはずがない。 だが、ナックル星人は余裕綽々にジュリ扇をはためかせた。 『あ~ら、アタシに攻撃していいのかしらぁ? そんなことしたら、インキュラスが小娘を 握り潰しちゃうかもしれないわよぉ?』 その言葉に合わせるように、インキュラスはリシュを握る手の力を強める。それで苦しむリシュ。 「あぁぁぁッ……!」 『お人好しのあんたたちは、あの哀れなリシュちゃんを見捨てたりなんかしないわよねぇ~?』 「くッ……!」 真に悔しいが、実際リシュを見殺しにする訳にはいかない。才人たちは歯を食いしばることしか 出来なかった。 才人たちが動かないことでいい気になったナックル星人は、腕を広げて告げる。 『一つ、いいことを教えてあげるわ。現実世界に現れた怪獣を作り出したのは、小娘じゃない。 あの怪獣よッ!』 ナックル星人が指差した先の空が、途端に曇り出して学園は薄暗闇に覆われた。 そして空から巨大な物体が降臨し、大地に降り立つ。 「あ、あれは……生き物なの……?」 ルイズは呆気にとられた。何故なら降りてきたものは、手足はおろか目や口、首と胴体の 区別すらない、完全な球形だったからだ。あれが生物だとして、どう贔屓目に見ても、卵が精一杯である。 だがナックル星人は誇らしげに言い放った。 『あれこそが世界を支配できるほどの力を持った怪獣、その名も夢幻神獣魔デウスッ!』 『何!? あの伝説のッ!?』 ゼロが驚愕の声を発した。ゼロがそこまで驚くというからには、あの球形はそれほどに 恐ろしい怪獣なのか。世界を支配できる力とは、一体。 『その能力は、そんじょそこらの怪獣とは訳が違うわよぉ。簡単に言えば、夢を現実に、 現実を夢に変えること!』 「何だって!?」 衝撃を受ける才人たち。ということは、ギャンゴ、マザリュース、バクゴン、そしてベリュドラも、 あの魔デウスが作り上げているのか。 確かに恐ろしい能力だ。空想が本当に現実になる……サキュバスの能力すら軽く凌駕している。 その力を自在に行使されたら、敵う存在などいるはずがない。 『でも、魔デウスは実在すら疑われてた。夢想の中に存在するとは言われてたけど、操ることは おろか、存在を観測することすら不可能だったもの。けれどアタシは、サキュバスの力を知って 思いついたの。夢を支配するサキュバスならば、魔デウスと接触することが出来るんじゃないかって! 結果は見ての通り成功よぉ~!』 ナックル星人はもう勝利したかのように勝ち誇る。 『魔デウスはサキュバスの力によって操作されてる状態にある。そして小娘の力は、インキュラスの 超能力で支配してる。つまり、魔デウスはインキュラスの主人のアタシの思うがままって訳ぇ~! 最高だわぁ~! 無限に怪獣を作り出す、いえ、世界そのものを塗り替える力がこのアタシのものぉッ! 世界はアタシのものになったのよぉーッ!!』 「くそぉッ……!」 「さ、サイト……!」 ルイズが焦りに焦って才人の顔を見た。だが、才人とゼロにもどうすることも出来ない。 リシュが人質にされている以上は……。 ……その時のことであった。 「――僕の生徒を、これ以上苦しめることは、許さない」 どこかから、誰かの声が発せられた。かなり遠い場所からなのか、才人たちの耳に届いた それはとても小さかった。 『んん? 今のはだぁれ? どこから話してるの?』 「あッ! 校庭に人が!」 ルイズがフェンス越しに校庭を指し示した。彼女の言う通り、インキュラスに向かって 一人の人間が向かっていくところであった。 その人物とは――。 「矢的先生ッ!」 叫ぶ才人。彼はこの夢世界で才人たちの担任であった、矢的猛だ。 それを知り、ナックル星人は失笑した。 『なぁ~んだ、驚かせて。ただの夢の登場人物如きに、何が出来るっていうのよぉ』 「サイト、先生が危ないわ! あのままじゃ怪獣にやられちゃうッ!」 叫ぶルイズ。彼は夢の存在だが、それでも人間だ。それが潰されるのを見過ごすのはいい気分ではない。 ところが、才人はこう答えた。 「……いや、あの人は俺の先生じゃない」 「えッ……?」 キョトンとするルイズに、才人はつけ加えた。 「俺の担任は、全然違う人だよ。もっと年行ってるしさ」 「えぇぇ? じゃああの人、一体誰なの?」 「僕たちの先生だよ!」 突然、そんな声。振り返ると、屋上の扉から十数名の生徒がゾロゾロとこの場にやってきた。 塚本、博士、落語、スーパー、ファッション、他には中野真一や大島明男など……。彼らについても 才人は語る。 「こいつら、いやこの人たちも、俺の同級生じゃない。ていうか、会ったことすらないよ」 「えぇッ!?」 ルイズに、捕まっているリシュまで面食らっていた。才人の記憶の中の人間ではないのならば…… 彼らはどこから来たのだ? それに対して、才人は答えた。 「目が覚めたことで、何もかもを理解したよ。この人たちは――あの矢的先生は――!」 ――才人がこれまで通っていた学校の先生は、誰も彼もが意欲の低い、凡庸な人物ばかりであった。 才人はそのことにすっかり飽き飽きしていた。コルベールを慕っていたのはそういう理由もある。 そんな中で、才人は歴史の授業で、かつて地球を守ってくれたウルトラ戦士には、教師に 身をやつして地球人の心の研究も行っていた者がいることを知った。才人は、ウルトラマンが 自分たちの教師であった過去の子供たちを羨望し、自分の担任もそのウルトラマンだったらなぁと 感じた。その願いは、心の奥底に残り続けた。 ――夢とは、願望の意味もある。才人の夢を操作し、彼の理想の世界に仕立て上げようとした リシュは、才人の無意識の願いもいくつか叶えていた。その中に、この願いが入っていたのだ。 叶えられた才人の願いは、夢の世界を通して宇宙を越え、才人が熱望した『先生』自身の 意識とつながった。そうして、『彼』はこの夢世界の中に入ってきた。同時に『彼』の記憶も 才人のものと混ざり込み、『彼』が受け持った生徒たちが才人のクラスメイトに混ざり、 『彼』が地球で戦った怪獣たちの一部も夢の中で復活した。才人とゼロが戦った怪獣の 正体とはこれである。 その才人が望んだ、『先生』の名前は――! 矢的は目の前にそびえ立つインキュラスを見上げ、その手の中のリシュに呼びかけた。 「リシュ君、君はかりそめの生徒かもしれないが、それでも僕の生徒だ。僕は先生として、 君を必ず助ける!」 「ヤマト先生……」 つぶやくリシュが見下ろす先で、矢的はバッバッと右腕、左腕の順で拳を前に突き出し、 そして右手に握り締めたペンライト状のもの――ブライトスティックを天高く掲げた! 「エイッティ!!」 ブライトスティックが輝き、矢的の姿が一瞬にして大巨人へと変身した! 『う、嘘ぉぉぉぉんッ!?』 「あ、あれは……!」 ナックル星人も、リシュも、ルイズも唖然とした。インキュラスの前に立った巨人は、 赤と銀の体色、丸顔に柔和さを存分に湛えた、しかし同時に力強さを宿した……紛れもない ウルトラ戦士である! 矢的の変身と合わせるように、塚本たちの姿もいつの間にか高校生――実際は中学生だ―― から、立派な大人のものに変化していた。 彼らはルイズのひと言に答えるように、口々に叫ぶ。 「あれは!」 「ウルトラマン!」 「80!」 「俺たちの!」 「ウルトラマンだ!」 「矢的先生……矢的せんせーいッ!!」 塚本が、彼らのウルトラマン――ウルトラマン80へ向けて力いっぱいに叫んだ。 遠くの星から来た男が、今! 愛と勇気を教えてくれるのだ!! 不思議な夢が才人を覆った! 調査に乗り出した才人はリシュに夢の世界に囚われた! その頃、同じ夢をあるウルトラ戦士がキャッチし、夢の中に入っていた! その前に、 突如として出現した二匹の怪獣! 才人は卑劣な罠に落ち、ウルトラマンゼロへ変身できない! ゼロ危うし! ナックル星人の計略に、ゼロの自由が失われた! ウルトラマンゼロ最大の ピンチに、矢的猛が、ウルトラの戦士80に華麗な変身をした! 次回『ウルトラマン80の使い魔』、「ゼロ最大のピンチ!変身!ウルトラマン80」! 前ページ次ページウルトラマンゼロの使い魔