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「ゆぶべべべっ!?」 「ま゛り゛さ゛あああああああ!?」 「全く、まぁ~た畑荒らしか ほんと嫌になるよ」 男の草鞋がまりさの舌に乗っていた野菜ごとその舌をぐちゃぐちゃに踏み潰した。 砕けた野菜と舌が混じり異様な色彩を産んだ。 「ぢがうのおおおおおお!!まりさはしんせつしんでおちてたおやさいをはたけにもどしてあげようと」 「瓜田に靴を入れず」 男は舌を踏みにじっていた足を引き抜いて振り上げると思い切り蹴りぬいた。 まりさは宙を舞うと柵にぶつかって嫌な音を立てながら餡子を撒き散らした。 そして柵に餡子の跡を残しながらずるずると地面に落ちて 数度痙攣すると衝撃で飛び出していた目玉がずるりと落ちて動かなくなった。 「どぼぢでええええええええええええ!?まりざなんにもわるいごどぢでないのにいいいいい!!」 餡子が混じり黒く滲んだれいむの涙が何筋も頬を伝った。 「死にたくなきゃ最初から畑に近づくなよ、荒らしとそうじゃないのと見分けるの面倒だからさ」 そう言って男はれいむのリボンを摘むと林の方に放り投げた。 そして帰ろうとして手元に指に引っかかって千切れたリボンが 一欠けら残っているのに気付いて鬱陶しそうに手を払った。 それから数日後、幽鬼のように夜の林の中を放浪するリボンのかけたゆっくりれいむの姿を あるありすは偶然友達の巣から巣へ帰る際に見た。 夜はれみりゃの時間だ、都会派として注意してあげようと思ってありすは恐る恐る声をかけた。 そのれいむはゆっくりと振り返ると壮絶な笑みを浮かべながら言った。 「れいむはれみりゃをまってるんだよ」 そしてけたたましく笑い出したれいむの狂気に恐怖を感じて慌ててありすは逃げ出した。 それからさらに数日後の深夜 れいむの前にれみりゃが降り立った。 れみりゃは獲物を見てその子どもが書いた落書きを張り付けたような笑顔で言った。 「うっうー♪よふかしするわるいこはたべちゃうんだどぅ~♪」 「まって、れいむはれみりゃにおねがいがあるよ」 「う~?」 れみりゃは他のゆっくりとは違う落ち着いた態度でれみりゃに話しかけるれいむに少し驚きながられいむを見た。 無視してそのまま食べてしまっても構わなかったが、とても真剣な表情のれいむに気圧されて、渋々話を聞くことにした。 「う~おぜうさまのれみりゃになんのようなんだどぅ~?」 「れいむをおかして!!れいむっとすっきりして!!!」 れいむは瞳をカッと見開きれみりゃに向かって腹のそこから叫んだ。 れみりゃは困惑して額から汗を流した。 そして思った。 このれいむは頭がおかしいのだろうか、と。 れみりゃとれいむがすっきりする例など聞いたことが無い。 当然だ、二者の関係は捕食者と逃げまとう獲物なのだから。 れみりゃ種にもれいむを性の対象として見るような趣味も無い。 れいむ種がれみりゃ種に出逢ったとき、するべき行動は逃走、ただそれだけである。 なのにこのれいむはれみりゃとすっきりしたいと言うのだ。 生きるための口先三寸かと思ったが 体格差から考えてもそんなことをすれば体が保たないだろう。 れみりゃがれいむの正気を疑うのも当然である。 実際、れいむの熱っぽく開かれた赤く血走る瞳を見てもその正気を疑うには充分だった。 そして十秒間、れみりゃにとってかなり長く熟考したのち れみりゃはこうまかんのおぜうさまとして恥じることの無い結論を導き出した。 「うっうー♪そこまでいうならたっぷりかわいがってやるんだどぅ~♪」 腰をフリフリしながられいむににじり寄って行く。 据え膳食わぬはおぜうさまの恥ってさくやが言ってた。 ちゃんとさくやの言ったことを覚えてた自分はとっても偉いとれみりゃは思った。 そして二匹は朝まで激しく交わりあった。 「ゆひっ、ひゅひひひひひいひ…!」 犯すのに飽きて、かといって自分が交わりあった相手を食べるのも憚られたので どこぞへとれみりゃが去っていった後、れいむは壊れたオルゴールみたいにけたたましく笑い出した。 綺麗だった髪は乱れて絡まり、リボンは男に千切られてかけた部分からさらに裂け目を深くした。 頬からはれみりゃの爪が食い込んだのか痛々しい傷跡と、何条もの餡子が流れた後が付いていた。 そしてズタズタに裂けたまむまむから肉汁と、餡子の混じった液体がどろりと流れ出した。 れいむのその機関はほぼ破壊されて、恐らくもう二度と用を成すことは無いだろう。 焦点の合わない瞳から伸びる視線は宙を漂う。 だがれいむの笑いは決して絶望の笑いではなかった。 「これで…これでまりさのかたきが…ひゅひひひひひ!」 雌としての本能があり得ないはずのれみりゃの子種を身篭ったことを確信して れいむは目の焦点も合わないまま口を歪めて笑った。 一週間後、近くのゆっくりの群の外れに一匹のれいむが住み着いた。 そのれいむは酷い傷を負っていて、群のゆっくりは心配して話しかけたが れいむに一睨みされただけで立ち竦み、それ以上話しかけることが出来なかった。 群のみんなはそのれいむを疎ましく思いながらも中々手を出すことができなかった。 そうして、次にそのれいむの巣をみんなが見に行ったのは れいむの巣から恐ろしい産声が聞こえてきた時だった。 「れいむ!あかちゃんがうまれたならみんなにしょうかいしてあげてね! そしていっしょにゆっくりしようね!」 群の長まりさがれいむの巣の入り口のすぐ横の木の部分を叩いた。 これを気に仲良くなっておかないと、群のみんなが怖がると思ったからだ。 それにみんなかわいい赤ちゃんは見たかったのだ。 巣の入り口を覆っていた草がガサゴソと動いて 長まりさは出てきてくれるのかと思って事前に考えておいた懐柔の言葉を言おうとし 帽子がなくなっていることに気が付いた。 「うゅ~♪たーべちゃーうぞー♪」 はっと気付き見上げると、空を飛ぶゆっくりが長まりさの帽子を捕まえていた。 子どもが書いた落書きを張り付けたような笑顔、口元から生えるキバは長まりさの帽子に突き刺さっていた。 本来地面にあわせて平坦であるべき足からは三本の爪の生えた妙な枝が生えていて長まりさの帽子を掴んでいる。 頭はれいむ種と同じ黒い髪に両脇に髪留めをつけていたが、その最大の特徴であるリボンは無く 代りに薄紫色に赤い布をつけた帽子を被っていた。 そして、その両脇からはあの蝙蝠のような恐ろしい悪魔の羽が生えていた。 「「「れみりゃだあああああああああああああああああ!!!!!」」」 集まっていたゆっくり達は一斉に叫んだ。 そして長まりさの周りに身を寄せ合った。 「ち、ちがう…あれはれみりゃじゃない…!」 長まりさは震えながらその化け物を見上げ言った。 「そうだどぅ~♪れみりゃなんかじゃないんだどぅ~♪」 ソレは長まりさの言葉に頷くと、体の前で悪魔の羽をみょんな形であわせながら言った。 「れい☆むりゃ☆う~♪」 そして足に掴んでいた長まりさの帽子をむしゃむしゃと平らげた。 「ま゛り゛さのだいじばぼうじっびゅべばじゃ!?」 「「「だずげでええええええええええええ!!」」」 一斉に逃げ出したゆっくり達にもみくちゃにされて長まりさはぐちゃぐちゃの饅頭になって死んだ。 その様子を見てれいむりゃと名乗ったその化け物は首をかしげながら言った。 「うゅ~?どうしたんだどぅ~♪もっとゆっくりしてくいくんだどぅ~♪」 不思議がるれいむりゃを他所に、巣の中からはれいむのあの壊れたオルゴールのようなけたたましい笑い声が木霊した。 「たくさんたべて、もっとつよくなるんだよ」 口から虫や木の実を吐き出しながられいむはれいむりゃに言った。 嬉しそうに母から餌を貰いながられいむりゃは応えた。 「うゅ~♪いっぱいたべておおきくなってゆっくりするんだどぅ~♪」 そう言うや否や、れいむりゃの見ていた世界の天地は逆転した。 れいむの体当たりでひっくり返ったのだ。 「あまったるいこといわないでね!おまえはたたかうためにれいむがうんでやったんだよ!! ゆっくりしてないでとっととりかいしてね!!」 「ぅ、うゅ~、わかったんだどぅ…」 目を血走らせて鬼の形相で言うれいむに怯えながられいむりゃはれいむが何故そんなことを言うのか理解できないものの とりあえずもう一転がりしてから頷いた。 「ぜんぜんわかってないみたいだね…」 れいむりゃの暢気な表情を見てれいむは嘆息しながら言った。 「おまえはね、やさいをかえしてあげたまりさをころしたあのくずをころすためにうまれてきたんだよ だからゆっくりしてるひまなんてないの、いっこくもはやくあのくずをころすためにつよくならなくちゃいけないんだよ それができないならおまえみたいなばけものいきてるいみがないんだよ!」 確かに意識ははっきりしているのにどこか焦点の合わない瞳でれいむりゃを睨みつけながられいむは言った。 「うゅ~、ゆっくりりかいしたんだどぅ~♪」 「それがわかってないっつってんだよ!!!!!」 れいむの体当たりがまたれいむりゃを転ばした。 「う、うゅ?」 何故体当たりされたのか分からず起き上がろうとするれいむりゃにまたれいむが体当たりを食らわせた。 ゴロゴロと何度も巣を転がって吐きそうになりながられいむりゃはれいむを見た。 「どおぢでおまえはぞうなの!?どおぢで!おばえはもっどづよぐなんなぐぢゃだべなんだよおお!! なのに!れいむにやられてちゃだべでじょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 れいむは狂ったように、というか狂っているのだろう。 執拗にれいむりゃに体当たりを繰り出す。 何度も転がり何度も壁に叩き付けられながられいむりゃは思った。 何故おかあさんはゆっくりしないのだろうと。 れいむりゃはこんなにもゆっくりしたいというのに。 いくら体当たりをしても気絶しないれいむりゃの耐久力に満足したのか れいむはボロボロのれいむりゃを放ったまま眠りに付いた。 れいむが眠りに付いたのを確認すると、れいむりゃはれいむを起こさないようにそっとその隣ですやすやと眠り始めた。 朝早くれいむに叩き起こされて外に連れ出されたれいむりゃは 生後まもないにも関わらずもはや痛めつけるのが目的としか思えないほど厳しい仕打ちを特訓と称して行った。 石を投げつけられ、木の枝で叩かれ、土に埋められ、川に落とされ、蔦を巻きつけられ引っ張られる様は とても特訓などという上等なものではなく、れいむの持つ恨みをれいむりゃに押し付けているだけだった。 それでもれいむりゃは子どもが書いた落書きを張り付けたような笑顔を崩さなかった。 そんな生活が何ヶ月か続いた。 れいむりゃは飛び回ってれいむの放つ石ころを避け 土に埋められても足の力と羽ばたきで飛び出し 川の中を皮がふやけるまでの間バタ足で泳ぎ 蔦を引きちぎり、逆に蔦を加えてれいむをぶら下げるほどに強くなった。 れいむはそんなれいむりゃを見て満足そうに頷くと またあの壊れたオルゴールみたいなけたたましい笑い声を上げた。 「これで…ひゅひひひ!これで!このばけものをつかえばまりさのかたきがうてるよおひゅひひひひひ!! やざしかったまりさをころしたあのクズひゅひ!ころせる!やっところせる!!」 れいむの口から餡子色のあぶくが吹き出た。 そんな笑顔でもれいむりゃはとても嬉しくて一緒に笑った。 梅雨の季節が来た。 あれかられいむはれいむりゃの特訓の合間にまりさを殺したあの男の動向を探っていた。 男は殆どの日を畑で仕事をしていた。 畑の中はまずいとれいむは考える。 一緒に畑仕事をしている仲間を呼ばれる危険がある。 いくらあの恐ろしいれみりゃの血を引くれいむりゃでも 二対一では分が悪いとれいむは思っている。 かといって家の中も危険だ。 家の中には色々な道具を置いてあるに違いないし間取りにも詳しいだろうから不利だ。 男が外で一人になる瞬間が知りたかった。 そうして調べている内についにれいむは遂に男が一人になる時間を見つけた。 男は一週間に一度、里の方に一人で出て行く。 特にその時に渡る古びた人気の無い橋の上は逃げ場も殆ど無い絶好のポイントだった。 れいむりゃは、れいむが男を見に行っている間、たった一人でとても寂しがった。 梅雨の最中でもはや濁流に近い流れを持つ川のほとりで雨避けの葉っぱを口に咥えながられいむは言った。 「やっと、おまえのやくめがはたせるんだよ うれしいよね、れいむりゃ」 入念な準備を経て、れいむりゃにもしっかりと計画を伝えてれいむはれいむりゃと橋の前に立った。 「れいむりゃ、わかるね ここであのおとこをころすんだよ」 れいむはちらりとれいむりゃの方を見て最終確認をした。 「うっゆー♪わかるんだどぅ~♪ばっちりなんだどぅ~♪」 れいむりゃはれいむが喜びに震えているのを感じ取って自分も嬉しそうに頷いた。 「そいつにれいむりゃがおしおきしておとうさんにひどいことしてごめんなさいっていわせるんだどぅ~☆」 はしゃぎながらそう言ったれいむりゃに唖然としながられいむはぽとりと咥えていた葉っぱを落とした。 ドン、とれいむは体当たりをした。 不意の体当たりにれいむりゃはゴロゴロと水浸しの地面を転がり泥まみれになった。 「う、うゅ~?」 ちゃんと答えられたと思ったのに何故か怒りの形相のれいむを見てれいむりゃははてなと首を傾げた。 「なにをいっでるの!?それじゃだめだんだよ!! ちゃんところして!!いきのねをとめて!! にどとそいつをゆっくりできなくするんだよ!!」 それを聞いて、れいむりゃは固まった。 「う、うゅー?おかあさんがいってるころすってのがよくわからないんだどぅ~♪ それをしたらゆっくりできなくなっちゃうのかどぅ~?」 困惑し額に汗を浮かべながられいむりゃは尋ねた。 ザアザアと雨粒が顔を打ち据えるのを意にも介さずれいむは捲くし立てた。 「あたりまえでしょ!そんなこともわからなかったの?ばかなの!? わかったらとっととあのおとこをころすじゅんびをしてね!!」 「……じ、じゃあいやなんだどぅ~」 れいむりゃは、搾り出すように言った。 か細い声だったにも関わらずその声は何故か雨音にかき消されずにれいむの耳にちゃんと届いた。 「は?いまさらなにをいって」 「いやだどぅ~♪だれだってゆっくりできなくなるなんてだめなんだどぅ~♪ひとのだいじなゆっくりをとったらだめなんだどぅ~♪ こらしめるだけでかんべんしてあげるんだどぅ~♪そしたらみんなゆっくりできるんだどぅ~♪」 「ふっざけるなああああああああ!」 れいむりゃの初めての反抗にれいむは激怒した。 「あのおとこはねぇ!まりさの…まりさのだいじないのちを…ゆっくりをうばったんだよ!! あんなにやさしくて!つよくて!ゆっくりしてたまりさのゆっくりおおおおおおお!! だからあのおとこはゆっくりをとられてとうぜんなんだよ!!なんでそんなこともわからないの!? ばかなの!?しぬの!?だいたいまりさみたいなすてきなゆっくりからおまえみたいなばけものがうまれるか! しね!ゆっくりしね!!」 れいむは激昂して喉が裂けて口から餡子が飛ぶほど叫んだ。 それでもれいむりゃは怯まなかった。 「それでもいやなんだどぅ~♪ それよりそいつもゆっくりさせたらさんにんでおとうさんのぶんもゆっくりできるんだどぅ~♪ おかあさんもこれでゆっくりできるにちがいないんだっどぅ~♪ うゅー、こんなことおもいつくなんてれいむりゃはてんさいだっどぅ~♪」 れいむりゃはれいむを説得しようとかそういうことだけでなく ずっとそうしたいと思っていたことをれいむに告げた。 「ゆぐがぎゃああああああああああああああああ!! ふざけるなふざけるなふざけるなあああああああ!! れいむのゆっくりはおばえどなんがじゃない!!おばえみだいなバゲモノどじゃなぐで まりさとぉ!れいむとまりさのかわいいあかちゃんのさんにんでするはずのゆっくりなんだよおおおおおお!!! もういいもういいもういい!!ぜんぶれいむがやる!!おまえみたいなばげもののぢがらはがりない!! だがらお゛ばえがらゆっぐぢぢねええええ!!!」 怒りで血が上ったためか、それとも雨の湿気のせいか古傷から餡子を噴出し目から餡涙を流して 歯茎をむき出しになるほど歯を食いしばりながられいむはれいむりゃに襲い掛かった。 「や、やめるんだどぅ~☆れいむりゃにたいあたりしたらおかあさんのほうがいたいんだどぅ~♪」 実際その通りだった。 れいむは頑丈なれいむりゃに体当たりするたびに古傷を開かせ、ボロボロになっていった。 それでもれいむは止まらない。 れいむりゃは逃げればいいのにれいむを止めようと何度も羽でれいむを包みこみ、踏ん張った。 その度にれいむは羽を振り払って体当たりをして傷口を大きくした。 「やめるんだどぅ~やめるんだどぅ~♪」 「だばっ!れええええええ!!!」 二匹はもつれ合いを繰り返していつの間にか橋の上まで来ていた。 れいむりゃの必死の訴えも空しく、れいむは突進した。 雨とれいむに体力を奪われたれいむりゃは、れいむの前に立とうとして足を滑らした。 何も居ない空間にれいむは突っ込み、そして雨に濡れた木の板に足を滑らせて橋から落下した。 「ゆっ」 「お゛があ゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああん゛!!!」 初めてれいむりゃの子どもが書いた落書きを張り付けたような笑顔が歪んで 驚愕の表情へと変わった。 れいむりゃはその悪魔の羽を羽ばたかせて川に落下したれいむを枝のような足でリボンを掴んだ。 普段ならそれだけですぐに引き上げられるだろうが 濁流に近い流れの前では流石のれいむりゃでも引き上げることが出来ずに一緒に引っ張られた。 「お゛っおばえのぜいだ…お゛ばえが…」 「お゛があ゛ざんしんじゃだめだどぅ゛う゛!も゛っどゆっぐりずるんだどぅ!も゛っどゆっぐりずるんだどぅ!」 呪詛を吐こうとして、れいむは初めて見るれいむりゃの必死の形相に目を留めた。 「も゛うっ、ゆっぐり゛ずる゛もぐぞぼっ!な゛いんだよ…! がぼっがぼっ、れい゛む゛のゆっくりばぼっ、まり゛さ゛と」 ガバガバと水を飲みながられいむはれいむりゃに言った。 それでもれいむりゃは言う。 「ぞんなごどないんだどぅうぅうう!おがあざんはれいむりゃとゆっくりすればいいんだどぅ!!」 初めて泣き喚くれいむりゃの顔を見ながられいむは今にも濁流に流されて死んでしまいそうなのに思わず呆れた。 「もうっ……いいよ…おばえっ、にきたいしがぼがっぼ、れいむが…ばかだったよ…」 「だいじょうぶだどぅうう!れいむりゃは!!おかあさんにいっぱいきたえてもらってじょうぶになったから こんなのへっちゃらなんだっどぅうううううううううう!!」 れいむりゃはそう言うと歯を食いしばり白目を剥いて踏ん張った。 れいむの体が川から少し持ち上がる。 口が自ら出たれいむは疲れ果てた声で言った。 「……れいむとまりさのかわいいあかちゃんがほしかったよ、おまえみた」 その時、ずっと引き裂けそうになっていたれいむのリボンが千切れて ジャボンとれいむは濁流に飲み込まれた。 「お゛があ゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああん゛!? う゛ゅ゛あ゛ああああああああああ!!!う゛ゅ゛あ゛あ゛あああああああああ!!」 あっと言う間に下流まで流されていったれいむを追ってれいむりゃは涙を流し絶望の表情を浮かべた。 その枝のような足には千切れたれいむのリボンが握られていた。 結局れいむが最後に「おまえみたいなばけものとちがって」と言おうとしたのか それとももしかしたら「おまえみたいなゆっくりした」と言おうとしたのか それとも全く違うことを言おうとしたのかは濁流の中に飲み込まれてわからなくなった。 ある晴れた日のことだった。 男は畑仕事に精を出していたが ゆっくりが畑に近づいているのに気付いて眉を潜めて木の棒を拾い肩にかけて近づいていった。 そして、少々様子がおかしいことに気付き厭そうな顔をした。 「何お前…」 「れい☆むりゃ☆う~♪」 れいむりゃと名乗ったそのゆっくりは ゆっくりれいむなのかれみりゃなのかどっちとも付かない みょんな姿でパタパタと男の前を飛んでいた。 「うゅー♪おまえがゆっくりしてるのかおしえるんだどぅ~♪」 「今さっきからゆっくりできて無いよ」 男は心中でお前の姿見てからな、と続けた。 「うゅー♪ゆっくりできないなんてあわれなやつなんだどぅ~♪ おまえなんかれいむりゃにかかればいちっころなんだっどぅ~♪」 調子に乗り切ったことをほざくゆっくりを見ながら男は心の中でさっさと潰そうと決心して棒を振り上げた。 「うっゆー♪でもれいむりゃはやさしいからそんなことしないんだっどぅ~♪ これをありがたくうけとるんだっどぅ~♪」 そう言ってれいむりゃと言うゆっくりは口からどんぐりをぺっと吐き出した。 「……?何これ」 意図を測りかねて男は棒を振り上げた手を思わず止めた。 「それをうめればどんぐりのきがはえるんだどぅ~♪ どんぐりいっぱいおなかいっぱいでふゆもゆっくりできるんだどぅ~♪ れいむりゃにかんしゃするんだどぅ~♪」 「とりあえずクヌギが生長するのに何年かかるか勉強してから出直せ」 「お゛ぜう゛!?」 面倒くさくなって男は棒を振り下ろした。 吹っ飛んだれいむりゃは木にぶつかって、そのまま落ちるかと思いきやよろよろと飛ぶと ゆっくりと背を向けて言った。 「いつかそれでゆっくりできるときがくるんだどぅ~♪ そのときはかんしゃしつつゆっくりするんだどぅ~♪」 「とりあえず二度と来るな」 男の言葉を聞いているのか聞いていないのか れみりゃの帽子とビリビリに破けたれいむのリボンをつけたみょんなゆっくりは森の中へと消えていった。 「…はぁー、仕事しよ」 何だかしこたまやる気を削がれて男は肩を落としながら仕事に戻った。 「うゅー、ゆっくりさせてあげるのってとってもむずかしいんだっどぅ~」 少々ばかりうまくいかなかったことに少し気落ちしながられいむりゃは溜息をついた。 「…うっゆー♪でもおかあさんのぶんまでみんなをゆっくりさせるまでがんばるんだっどぅ~♪ おかあさんがきたえてくれたからこのくらいぜんぜんへいきへっちゃらなんだどぅ~♪」 子どもの落書きみたいに無邪気な笑みを浮かべて、このみょんなゆっくりはまた誰かをゆっくりさせにパタパタと飛んでいった。 このSSに感想を付ける
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※餡子による母子の記憶継承と無駄に都合良く物事を考える餡子脳を踏まえて読んでください。 「お?い、れいむ??」 「なあに、おにいさん?」 「ゆっくり死ねええええええええええ!!」 「ゆべしっ!?」 男性の呼びかけに応じて彼の傍まで跳ねて行くなり全力でぶん殴られたのは飼いゆっくりのれいむ。 元々野生の個体で、家族を殺したれみりゃから助け出してもらった事があるので男性に全幅の信頼を寄せている。 それだけに、突然の事態に防御も回避も間に合わず、思いっきり顔面を陥没させ、餡子を撒き散らしながら勢い良く吹っ飛び、壁に激突した。 そのまま床に落ちたれいむは「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ・・・!」とかなり危険な状態のときに発する呻き声を上げる。 そして、男性がオレンジジュースを持って駆けつけたときには、半ば物言わぬ饅頭に変わり果ててしまっていた。 「お?い、れいむ??」 「ゆゆっ!おにーさん、どうしてこんなことするの、ぷんぷん!」 「こんなことって何さ?」 「れいむのかわいいおかおにいたいことしたでしょ!ごまかさないでね!」 そう言いながら目を覚ましたれいむは思いっきり膨らんで男性を威嚇する。 が、彼にそんなものが通じるはずもない。 男性はおかしそうに笑いながら、こともなげにこう切り返した。 「それはきっと夢だよ!」 単純なもので、そんな言葉を聞かされるとれいむは本当に夢だったんじゃないかと思い始める。 頬を膨らますのを止め、首をかしげるような仕草をしながら男性に「ゆめ?」と尋ねた。 「そうさ、夢さ!良く考えてみろよ!とっても可愛いれいむがそんな酷い事されるわけないじゃないか!」 「ゆっ、それもそうだね!おにいさんはれいむのかわいさにめろめろだもんね!」 「そういう事さ!ゆっくり理解してね!」 「自分は可愛い。だからゆっくりさせてもらえる」・・・それはゆっくりの思考体系においては極めて論理的で妥当な主張らしい。 人間であれば「お前は何を言っているんだ」と言われかねないその言葉に納得したれいむは、満面の笑みを浮かべている。 もっとも、先ほど殴られて出来た怪我がオレンジジュース効果で完治しているおかげでもあるのだが。 何にせよ、さっきの出来事を夢か何かとして片付けたれいむは男性にご飯を持ってくるように要求し、またぶん殴られた。 勿論、その殴打による傷も目を覚ましたときには完全に癒えていて、男に諭されて夢だと思うことになった。 数日後、れいむは男性にお友達を連れてきて欲しいと要求した。 また殴られて大怪我をする夢を見たが、目を覚ますとそこにはありすの姿があった。 涎を垂らし、頬を紅潮させ、体中から妙な粘液を分泌する、いわゆる発情モードになったありすの姿が。 「でいむうううううう!ずっぎりぢまぢょうねえええええええええええ!!」 「やべでええええええええええ!ずっぎぢぢだらゆっぐぢでぎないいいいいいい!?」 れいむは必死で抵抗したが発情したありす種の力にかなうはずもなく、あっという間に捕まってしまった。 それから2時間半に渡って、計32回強制すっきりをさせられ、その数だけの蔦を生やしたれいむの意識は闇の中に消えていった。 「お?い、れいむ??」 「ゆゆっ、おにーさん!どうしてれいむをたすけてくれなかったの、ぷんぷん!」 「はぁ、助ける?」 「そうだよ!れいむ、ありすにいっぱいひどいことされたんだよ!」 そう言いながら目を覚ましたれいむは思いっきり膨らんで男性を威嚇する。 が、彼にそんなものが通じるはずもない。 男性はおかしそうに笑いながら、こともなげにこう切り返した。 「それはきっと夢だよ!」 単純なもので、そんな言葉を聞かされるとれいむは本当に夢だったんじゃないかと思い始める。 頬を膨らますのを止め、首をかしげるような仕草をしながら男性に「ゆめ?」と尋ねた。 「そうさ、夢さ!良く考えてみろよ!とっても可愛いれいむを助けないわけないじゃないか!」 「ゆっ、それもそうだね!おにいさんはれいむのかわいさにめろめろだもんね!」 「そういう事さ!ゆっくり理解してね!」 「自分は可愛い。だからゆっくりさせてもらえる」・・・それはゆっくりの思考体系においては極めて論理的で妥当な主張らしい。 人間であれば「お前は何を言っているんだ」と言われかねないその言葉に納得したれいむは、満面の笑みを浮かべている。 もっとも、先ほどのすっきりの疲労がオレンジジュース効果で完治し、頭の蔦がありすに移植されたせいで無くなっているおかげでもあるのだが。 何にせよ、さっきの出来事を夢か何かとして片付けたれいむは男性にご飯を持ってくるように要求し、またぶん殴られた。 勿論、その殴打による傷も目を覚ましたときには完全に癒えていて、れいむはいつもの夢だと思った。 夢から覚めたときにはまた発情したありすがいて、また散々レイプされたが、男に諭されて夢だと思うことになった。 数日後、れいむは男性にゆっくりした可愛らしい赤ちゃんが欲しいと要求した。 また殴られて大怪我をする夢を見たが、目を覚ますとそこにはありすの姿があった。 勿論、それもいつものレイプされる夢で、散々すっきりさせられた後に目を覚ますと、頭に蔦が一本だけ残っていた。 「お?い、れいむ??」 「おにいさん、みてみて!れいむ、あかちゃんができたよっ!」 何故出来たのかは考えないらしい。小さな小さなれいむとありすが実るその蔦を自慢げに男性に見せびらかす。 それを見た男性はおもむろにその赤ちゃんを引きちぎって、れいむの目の前で食べてしまった。 「どほぢでぞんなごどず・・・ゆ゛ぐっ!?」 「ゆっくり死ねえええええええええええええ!!」 抗議しようとした瞬間に全力でぶん殴られたのは飼いゆっくりのれいむ。 突然の事態に防御も回避も間に合わず、思いっきり顔面を陥没させ、口から餡子を撒き散らしながら壁に激突した。 そのまま床に落ちたれいむは「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ・・・!」とかなり危険な状態のときに発する呻き声を上げる。 そして、男性がオレンジジュースを持って駆けつけたときには、半ば物言わぬ饅頭に変わり果ててしまっていた。 殴られる夢から目を覚ましたと思ったれいむはまたしても発情したありすにレイプされる夢を見た。 そして、本来ならば元気に生まれてれいむとゆっくりする予定だった赤ちゃん達が無数に・・・・・・。 「お?い、れいむ??」 「ゆゆっ、おにーさん!どうしてれいむのあかちゃんたべちゃったの、ぷんぷん!」 「はぁ、食べる?」 「そうだよ!れいむのあかちゃんたべちゃったんだよ!」 そう言いながら目を覚ましたれいむは思いっきり膨らんで男性を威嚇する。 が、彼にそんなものが通じるはずもない。 男性はおかしそうに笑いながら、こともなげにこう切り返した。 「それはきっと夢だよ!」 単純なもので、そんな言葉を聞かされるとれいむは本当に夢だったんじゃないかと思い始める。 頬を膨らますのを止め、首をかしげるような仕草をしながら男性に「ゆめ?」と尋ねた。 「そうさ、夢さ!良く考えてみろよ!とっても可愛いれいむの赤ちゃんを食べるわけないじゃないか!」 「ゆっ、それもそうだね!おにいさんはれいむのかわいさにめろめろだもんね!」 「そういう事さ!ゆっくり理解してね!それにほら、頭の蔦だってちゃんと無事じゃないか!」 「ゆゆっ!?ほんとうだね、れいむのかわいいあかちゃん、とってもゆっくりしてるよ!」 「自分は可愛い。だからゆっくりさせてもらえる」・・・それはゆっくりの思考体系においては極めて論理的で妥当な主張らしい。 人間であれば「お前は何を言っているんだ」と言われかねないその言葉に納得したれいむは、満面の笑みを浮かべている。 もっとも、先ほどのすっきりの疲労がオレンジジュース効果で完治し、頭の蔦が1本を残してありすに移植されたせいで無くなっているおかげでもあるのだが。 何にせよ、さっきの出来事を夢か何かとして片付けたれいむは男性にご飯を持ってくるように要求し、またぶん殴られた。 勿論、その殴打による傷も目を覚ましたときには完全に癒えていて、れいむはいつもの夢だと思った。 その後、また発情したありすがいて、また散々レイプされたがれいむはいつもの夢だと思った。 目を覚ますとまたしても男性に蔦に成っている赤ちゃんを食べられたが、男に諭されて夢だと思うことになった。 「ゆゆっ!れいむのかわいいあかちゃん、ゆっくりしていってね!」 「「「「ゆっきゅりちていっちぇね!」」」」 数日後、れいむの赤ちゃんは無事に誕生した。 れいむ種2匹とありす種2匹。みんなとってもゆっくりした可愛らしい赤ちゃんだ。 「おっ、れいむ・・・赤ちゃ生まれたのか?」 「そうだよ!とってもゆっくりしたかわいいあかちゃんだよ!」 「じゃ、死ね」 男は何の前触れもなく1匹の赤れいむの頭にお箸を突き立てて、絶命させてしまった。 それから死体、もとい小さな饅頭を責任を持って食べて処分した。 「どほぢでぞんなごどず・・・ゆ゛ぐっ!?」 「ゆっくり死ねえええええええええええええ!!」 抗議しようとした瞬間に全力でぶん殴られたのは飼いゆっくりのれいむ。 突然の事態に防御も回避も間に合わず、思いっきり顔面を陥没させ、口から餡子を撒き散らしながら壁に激突した。 そのまま床に落ちたれいむは「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ・・・!」とかなり危険な状態のときに発する呻き声を上げる。 そして、男性がオレンジジュースを持って駆けつけたときには、半ば物言わぬ饅頭に変わり果ててしまっていた。 殴られる夢から目を覚ましたと思ったれいむはまたしても発情したありすにレイプされる夢を見た。 そして、本来ならば元気に生まれてれいむとゆっくりする予定だった赤ちゃん達を蔦ごと食べられる夢からも目を覚ました。 「お?い、れいむ??」 「ゆゆっ、おにーさん!どうしてれいむのあかちゃんにひどいことしたの、ぷんぷん!」 「はぁ、酷いこと?」 「そうだよ!れいむのあかちゃんぶすってしてぱくってしちゃったんだよ!」 そう言いながら目を覚ましたれいむは思いっきり膨らんで男性を威嚇する。 が、彼にそんなものが通じるはずもない。 男性はおかしそうに笑いながら、こともなげにこう切り返した。 「それはきっと夢だよ!」 単純なもので、そんな言葉を聞かされるとれいむは本当に夢だったんじゃないかと思い始める。 頬を膨らますのを止め、首をかしげるような仕草をしながら男性に「ゆめ?」と尋ねた。 「そうさ、夢さ!良く考えてみろよ!とっても可愛いれいむの赤ちゃんを虐待するわけないじゃないか!」 「ゆっ、それもそうだね!おにいさんはれいむのかわいさにめろめろだもんね!」 「そういう事さ!ゆっくり理解してね!それにほら、赤ちゃんならここにいるじゃないか!」 「ゆゆっ!?ほんとうだね、れいむのかわいいあかちゃん、とってもゆっくりしてるよ!ゆっくりしていってね!」 「「「「ゆっきゅちちていっちぇね!」」」」 「自分は可愛い。だからゆっくりさせてもらえる」・・・それはゆっくりの思考体系においては極めて論理的で妥当な主張らしい。 人間であれば「お前は何を言っているんだ」と言われかねないその言葉に納得したれいむは、満面の笑みを浮かべている。 もっとも、先ほどのすっきりの疲労がオレンジジュース効果で完治し、同じ髪飾りをつけた赤ちゃんが目の前にいるおかげでもあるのだが。 何にせよ、さっきの出来事を夢か何かとして片付けたれいむは男性にご飯を持ってくるように要求し、またぶん殴られた。 勿論、その殴打による傷も目を覚ましたときには完全に癒えていて、れいむはいつもの夢だと思った。 その後、また発情したありすがいて、また散々レイプされたがれいむはいつもの夢だと思った。 更に、またしても男性に蔦に成っている赤ちゃんを食べられたが、これまたいつも通りの夢だと思った。 目を覚ますとまたもや男性に赤れいむを殺されたが、男に諭されて夢だと思うことになった。 その夢から目を覚ますと、今度は目の前で1匹の赤ありすがれみりゃに食べられた。 怒りに任せてれみりゃに襲い掛かろうとしたとき何故か男性に殴り飛ばされた。 そのとき、れいむは赤ありすが食べられてしまったのも夢なんじゃないかと思った。 その殴打による傷も目を覚ましたときには完全に癒えていて、れいむはいつもの夢だと思った。 その後、また発情したありすがいて、また散々レイプされたがれいむはいつもの夢だと思った。 更に、またしても男性に蔦に成っている赤ちゃんを食べられたが、これまたいつも通りの夢だと思った。 目を覚ますとまたもや男性に赤れいむを殺されたが、これもまたいつもの夢だと思った。 そして、れいむはれみりゃに赤ありすが食べられたことを男に諭されるまでもなく夢だと思うことになった。 その夢から目を覚ますと、今度は目の前で1匹の赤ありすが赤れいむを犯し殺してしまった。 怒りに任せて赤ありすを踏み潰そうとしたとき、何故か男性に殴り飛ばされた。 そのとき、れいむは赤ありすが赤ありすを犯し殺してしまったのも夢なんじゃないかと思った。 その殴打による傷も目を覚ましたときには完全に癒えていて、れいむはいつもの夢だと思った。 その後、また発情したありすがいて、また散々レイプされたがれいむはいつもの夢だと思った。 更に、またしても男性に蔦に成っている赤ちゃんを食べられたが、これまたいつも通りの夢だと思った。 目を覚ますとまたもや男性に赤れいむを殺されたが、これもまたいつもの夢だと思った。 そして、れいむはれみりゃに赤ありすが食べられたが、やっぱり夢だと思った。 また、赤ありすが赤れいむを犯し殺したが、男に諭されるまでもなく夢だと思うことになった。 その夢から目を覚ますと、最後に生き残った赤ありすが男性に虐待され、殺されてしまった。 しかし、れいむは男性に抗議することを一切せずにこう言った。 「ゆっ、これもゆめなんだね!おにいさんはれいむのかわいさにめろめろだもんね!」 「・・・・・・・・・・・・」 「だからひどいことなんてしないよ!ゆっくりはやくおきてあかちゃんとゆっくりしたいよ?♪」 そう言って鼻歌を口ずさむれいむを抱きかかえると男は倉庫へと向かい、おもむろにその入り口を開け放った。 すると、その中には・・・無数の蔦を生やしたありすや飾りのない赤ゆっくりの死骸が散乱していた。 「ゆぎぃ、なにごでぇ!?ゆめでもぜんぜんゆっぎぢでぎないよぉ!?」 「夢じゃないよ」 「ゆゆっ!へんなこといわないでね!?」 「変なことじゃないさ。それに嘘でもない」 「・・・・・・ゆーっ!ゆっくりできないこといわないでよ、ぷんぷん!」 そう言いながられいむは思いっきり膨らんで男性を威嚇する。 が、彼にそんなものが通じるはずもない。 男性はおかしそうに笑いながら、ポケットから幾つかの髪飾りを取り出し、こともなげにこう切り返した。 「じゃあ、これは何かな?」 「ゆ゛っ・・・で、でいむのあがぢゃんの・・・」 「そして、この子は誰かな?」 男性は手近な赤れいむだったものに取り出した髪飾りを括りつけた。 更に手近な赤ありすだったものにカチューシャを取り付けた。 ついでに手近なありすの、それもあと少しで生まれそうな蔦を引っこ抜いて、れいむの頭にねじ込んでやった。 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「いいや、これが現実だよ」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「いいや、これが現実だよ」 幾度と無く繰り返される押し問答。 その間にも男は転がっているゆっくりだったものの形を整え、うつろな目がれいむを、見つめるように配置する。 その作業を繰り返すことおよそ1時間。れいむは既に赤ゆっくりが誕生していることに気付いていない。 口々に「おきゃーしゃん・・・ゆっきゅちちちぇね!」などと言っているがれいむは当然反応しなかった。 そして、男が倉庫の奥かられみりゃを連れてきたことにさえも気付いていない。 それどころか、視界に入ってさえいなかった。 れいむの目い映るものは、じっとれいむを見つめている倉庫内に並んだ数千の濁った瞳。 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ちがうよ、ゆめだよ!?おにいさんはれいむにめろめろなんだよ!?れいむはとってもかわいいんだよ!?とってもゆっくりしているんだよ!?」 「ゆぴぇええええええええええん!」 「どうしたんだ、れいむ?怖い夢でも見たのか?」 悪夢にうなされて、寝汗のようなものを沢山かいたれいむは、目を覚ました途端怖くなって泣き出してしまった。 すると、飼い主のお兄さんが駆け寄ってきて手のひらで包み込んでくれた。 そうやって、彼の手の中に包まっていると、少しずつ気分が落ち着いてきた。 「はははっ、いつもいつも悪夢にうなされるなんて、怖がりだなぁ」 「だっちぇ・・・れーみゅ、ゆめしゃんきょわいんだよ・・・」 「まあ、仕方ないか。れみりゃに家族が殺されて、生き延びたのはお前だけだもんな・・・そりゃ悪夢も見るよな」 「おにーしゃん・・・おにーしゃんはれーみゅをまもっちぇくれりゅ?」 「当たり前だろ?俺はお前の可愛さにメロメロなんだから」 男の手は温かくて、大きくて、それに今は亡き母親のリボンが巻かれているのでとてもゆっくり出来るものだった。 結局、幼くして恐怖を餡子に刻み込まれたれいむは男の手の温もりに包まれながらようやくゆっくりした安らかな眠りについた。 ‐‐‐あとがき‐‐‐ 無限ループになるようなならないような・・・ ちょっとぬるかったような気がする byゆっくりボールマン
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「ゆゆっ!! ここはどこ?」 一匹のゆっくりれいむは見知らぬ場所で目を覚ました。記憶にはない場所だ。 けっこうな広さを誇ってはいるものの、四方八方は真っ白な壁に囲まれていて、一つだけ部屋と部屋を行き来する扉があるが、ゆっくりに抜け出せる軽い扉ではない。 自分はゆっくりたちが大勢暮らす森の中でゆっくりしていたのに、なぜこんな所に一人でいるのだろう? 自身の大半を占める餡をひねり出して、考えを纏めようとする。 そういえば、微かだが数時間前の記憶が浮かんでくる。 見知らぬ男にお菓子をあげるから家に来ないかと招待され、断ったらかわいそうだからと、れいむは特別に来てあげたのだ。 男の家につくと、その家が気に入ったから、特別にれいむの物にすることにして、召使いとしてれいむの家においてあげることにした男にお菓子を持ってくるよう命令した。 しかし愚図な男はなかなかお菓子を持ってくることはなく、いつの間にか待つことに疲れ、眠ってしまったのだ。 「ゆー!! こんなかわいれいむをまたせるなんて、やっぱりにんげんはばかだね!! さっさとれいむにおかしをもってこなくちゃならないのに!!」 誰ともなしに呟くれいむ。 いつの間にか自身がいた部屋と違う広く何もない場所にいるのだが、お菓子で頭がいっぱいのれいむにそんなことは考えもつかなかった。 自分の境遇を理解することなく、未だお菓子のことを考えている当たり、所詮はゆっくりと言ったところか。 しばらくは大人しく待っていたのだが、男は全く来ることがなく、いい加減れいむは待つのも飽きたと、バカな人間がお菓子を持ってくるまで遊ぶことにした。 しかし、四方八方を壁に囲まれたこの部屋にはなんの家具も道具も置いてなく、窓すらついていない。 「れいむがいるのになんにもあそびどうぐをおいていないなんて、ほんとあたまがわるいね。ぷんぷん!!」 れいむはおかんむりで頬を膨らましていると、部屋のドアが開いて男が入ってきた。 れいむはそれに気付くと、男に寄っていく。 「おじさん、ゆっくりしすぎだよ!! さっさとおかしをちょうだ……」 れいむのことばが途中で途切れる。 男が変なことをしたわけではない。男の後ろから、れいむをここに連れてきた男の他に、たくさんの人間が入ってきたのだ。 別に多くの人間に恐れ、言葉を詰まらせたわけじゃない。 ただ、男一人だけしかいないと思っていたのに、たくさんの人間がいたことに驚いたことと、れいむの家に勝手に入ってきたことに腹が立ったのだ。 れいむを連れてきた男はれいむの召使いなので問題ないが、他の人間を自分の家に招待した覚えはない。 「ここはれいむのおうちだよ!! しらないにんげんはゆっくりでていってね!!」 れいむが人間を威嚇する。 しかし、愚図な人間たちはれいむの言葉を理解できないのか、いっこうに出て行こうとしない。 「ゆー!! 聞こえなかったの? ばかなにんげんはれいむのおうちからゆっくりでていってね!!」 何度言っても出て行く気配のない人間たちは、れいむの言葉を無視するばかりか、れいむを中心に囲んで床の上にどっしりと腰をおろす。 その数、総勢20人。しかし、れいむは3以上の数を数えられないのでたくさんの人間としか感じない。 そんなたくさんの人間に対し、「さっさとお菓子を持ってきたら出て行け」と言おうとしたら、突然男たちは全員奇妙な行動を取り始めた。 「ゆゆっ!?」 れいむは男たちが何をしているのか分からなく、躊躇い声を上げる。 れいむが躊躇ったのも無理はない。 男たちは何故か知らないが、ゆっくりと右手を挙げると、人差し指を立て、れいむを指してきたのだ。 「ゆ!? なんでれいむをゆびさしてるの? そんなことよりさっさとおかしをもってきてね!!」 れいむは初めは戸惑った。 しかし、すぐに男たちが何もしてこないことが分かると、どういう意図でれいむを指さしているかは分からないが、特に危険はないと判断し、男たちに繰り返しお菓子を要求する。 そんなれいむに、男たちはいっこうに口を開くことはなく、ただただれいむを注視し、ひたすら全員でれいむを指さしている。 この部屋に入ってから男たちは一度として口を開いてない。 「ゆー!! きこえなかったの? それともばかだからわからないの? れいむはさっさとおかしをもってきてねっていってるんだよ!!」 今までの最高の声量で叫ぶも何の反応もなく、男たちは何の言葉も返さない。 まるで石像のようだ。 なんどもなんども繰り返し叫ぶれいむ。しかし、いっこうに男たちからの返事は帰ってこない。 いかにゆっくりとはいえ、さすがに男たちの行動が気になりだしたようだ。 何となく指を指されることに嫌気を感じ、男たちが指を指している場所から動く。 すると、つられて男たちの視線と指もれいむを追いかける。 「ゆゆっ!! なんでれいむをおいかけるの? ゆびささないで、さっさとおかしをもってきてね!!」 男たちに叫ぶれいむ。しかし、状況は変わらない。 男たちは表情を変えない。眉一つ動かさない。 例外は、れいむが動いたときに釣られて動く、視線と右腕だけだ。 何かされるわけではないが、なにも喋らず、ひたすられいむを注視し、指を指してくる男たちが、さすがに気持ち悪くなってきたのだろう。 「いいかげんゆびをさすのはやめてね!! あとちゃんとれいむにへんじをしてね!!!」 れいむの口からついにお菓子という言葉が消えた。 それだけれいむは妙な圧迫感を感じていた。 しかし、男たちは変わらない。 れいむはここの男たちは全員馬鹿なのだと考え、一人の男に的を絞って対応することにした。 無論、男とはここにれいむを連れてきた男、れいむの召使いだ。 唯一、この人間たちの中でれいむと会話をしたことがある男。 おかしを上げると言った男。ここをれいむの家にすると言ったら喜んでくれた男。召使いにすると言ったら喜んでなるといった男。 そんな男にれいむは近づいていく。全員の視線と指をお供に。 「おじさん、こんなことさっさとやめてね!! あとほかのおじさんにもやめさせてね!!」 正座した男の膝に乗りかかり、男に文句を言う。 しかし、れいむを連れてきた男はなぜか口を開かない。 無表情でれいむを見つめ、れいむの顔先すぐでれいむを指している。 「おじさん!! なんではなさないの? ばかなの? れいむはやめてっていってるんだよ!! いまならゆるしてあげるよ!! しつこいとおこるよ!!」 しかし、男は(ry 「なんでれいむをむしするの? おじさんがはなせるのしってるんだよ!! ちゃんとへんじしてね!!」 しかし(ry 「もういいよ!! れいむ、もりにかえるよ!! れいむをしかんするおやじたちはゆっくりしね!!」 ついにこの状況に耐えきれなくなったのだろう。 れいむはもうお菓子のことなど忘れ、一刻も早くこの気持ち悪い空間から出ることだけを考えていた。 「おじさん、れいむかえるからゆっくりどいてね!!」 男たちは全員正座し、また体を密着させているのでれいむが出る隙間が全くない。 男たちに命令するが、退けてくれない。 「ゆゆっ!! はやくどかないとおじさんをやっつけるからね!!」 それでも動かない。 痺れを切らしたれいむは、一人の男に向けて体当たりを食らわせる。 しかし、男は揺らぐことすらなく、逆にれいむが男に跳ね返される始末。 なんどもなんども体当たりをするれいむ。その度に男の肉の壁に阻まれて戻される。 この男は頑丈だからと、一番背の小さい男を標的にするが、なぜかその男もれいむの渾身の一撃が通じない。 れいむは再度標的をかえる。しかし、男は動じない。 さらに標的をかえる。しかし(ry 全員に体当たりをしたれいむ、再び男たちの輪の真ん中に跳ね返される。 大きく肩で息をするれいむ。体当たりの連続ですっかり疲れ切っていた。 そういえば、朝から何にも食べていないことを思い出す。 しかし、男たちは依然顔色を変えず、れいむを見つめ、指を指す。 さすがに傲慢で恐れ知らずなれいむもこの異常空間に恐怖を感じ始めていた。 「……おじさん。れいむをささないでね。ゆっくりやめてね……」 れいむが誰にともなく呟く。 今までとは違い、声に張りがない。 れいむは今まで人間に出会ったことがない。そのため、人間の恐ろしさを知らない。 れいむは森の中で狩りの名手として有名だった。 たとえ鋭い鎌を持つカマキリも、羽根に目玉が付いてる怖い蛾も、強靱な角を持つカブトムシもれいむにかかれば、ただの餌だった。 友達たちは、皆れいむを賞賛した。 だから人間の存在は知りつつも、人間ですら自分には叶わないと錯覚していた。 しかし、今まさにその幻想は崩れ去った。 れいむの渾身の一撃を物ともしない人間。それがなんと20人もれいむを囲んでいるのだ。 見つめ、指をさし、何らこちらに対して攻撃してこない男たち。しかし、それが逆にれいむの恐怖心を炎上させる。 これで友達がいればまだましだっただろう。仲間と共にバカなことをしている人間を、「おー、ばかだばかだ!!」と馬鹿にしてやるのだが、あいにくここにはれいむしかいない。 さらにはこの殺風景な部屋もれいむを憔悴させることに一役買っていた。 窓もなく、一面真っ白。時間も分からなく、外の様子も窺い知れない。 男たちとれいむ以外何もないこの部屋は、そんなれいむの恐怖を煽るのにも一役買っていた。 ここにきてようやく、れいむはもしかしたら自分は悪いことをしたのかと考えていた。 かつて、まだ母が健在だったころ、れいむは悪いことをして、しばらくの間、母に口をきいてもらえなくなったことがあった。 それと状況は違うが、もしかしたられいむがちょっとだけ悪いことをしたからこのおじさんたちは怒ってれいむと口をきいてくれないのではないか? そんな考えが頭をよぎる。 れいむは餡を捻りだし、自分の行動を振り返った。 しかし、何にも悪いことをした記憶はない。むしろれいむは男に感謝されてもいいはずだ。 何しろ、れいむの家に男をおいてあげた上に、可愛いれいむの召使いにまでしてあげたのだ。 その時の男の喜びようを、れいむはしっかりと覚えている。 自分が悪いことをした記憶はない。 しかし、ならなぜこんなことをされるのか理解できないれいむは、悪いことはしていないと思いつつも、この状況を終わらせるため、仕方なく男たちに謝罪をする。 「おじさん、れいむがわるいことしたならいってね。とくべつにあやまってあげるよ」 れいむは嫌々といった感じで謝罪する。しかし男たちは動かない。変わらない。れいむを見て、指をさす。 れいむは疲れてきた。 ただでさえ、燃費の悪いゆっくりだ。朝から何も食べてなく、何度も体当たりをしたせいで、体力は相当落ちている。 さらに男たちのせいで相当神経もすり減らしている。寧ろ、肉体的なことより酷い。 正直、眠くて溜まらない。しかし、眠れない。 今は何もしてこないが、もしれいむが寝たら、その指をれいむに突き刺してくるかもしれない。 そう思うと恐怖眠気が吹っ飛んでしまうのだ。 何分経っただろうか。ほんの30分くらいのはずだが、れいむには何時間、何十時間、何日にも感じられた長い間、れいむは幾度となく男たちに呼びかける。 「……おねがいだからしゃべってね」 しかし、相変わらず返事はない。 もしかしたら、もう死んでるのではと思っても、れいむが少し動くと視線と指が追ってくる。 それでもれいむは男たちに呼びかける。 罵られても言い。馬鹿にされても言い。寛大なれいむは何を言われてもすべてを許す。だから、喋ってよ。 れいむがそんなことを考えていると、一向に変化のなかったこの空間にようやくある変化が生じた。 不意に半数の男が一斉に立ち上がる。もう半数は依然座ったままだ。 れいむは嬉しかった。 帰れると思ったからではない。寝られると思ったからではない。お菓子が食べられると思ったからではない。 ただ男たちが違うことをしたことが嬉しかったのだ。 依然、れいむの言葉に返事を返してくれないものの、助かったわけではないものの、そんなことですら助けになるほど、今のれいむの精神は摩耗しきっていた。 しかし、そんなれいむのささやかな安息の時間は、次の男たちの行動で完全に壊された。 なんと座っていた10人の男たちが再び輪を作ろうとしているではないか!! れいむは慌てて男たちの輪の中から逃げようとしたが、それよりはやく10人の男たちはれいむを囲んでぴっちり隙間を埋める。 そしてれいむを見つめ、一斉に指を差し始めた。 輪が縮まったため、男たちの指は先ほどの時よりれいむのすぐそばにあった。 れいむの動ける範囲はさらに狭まった。 追い打ちをかけるように、立って後方に下がった男たちが、座る男たちの輪の後ろで広い円陣を組むと、なんとれいむの上方かられいむに指を指してくるではないか!! れいむは一転どん底に落とされた。 さっきも地獄であったが、これよりはましだ。 10人に減ったことで、座りながら指を指す男たちは、もう少し手を伸ばせば、れいむに触れることが出来るようになっている。 自然とれいむは輪の中央から動けなくなった。 二次元からしか指を指されなかったのに対し、三次元の場所からも視線と指が突き刺さる。 東西南北上、どこを向いてもれいむを指す指と、総数40にもなる無感情な視線。 「ゆ、ゆっくりやめてね……」 懇願するれいむ。 しかし、男たちは答えない。動かない。喋らない。 れいむの恐怖は終わらない。 このSSに感想を付ける
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注意!! ゆっくり同士の交尾が出ます。 ぺにぺにまむまむが出ます。 他SS作者様の設定をパクってます。 パロディ有り 以上了承できる方はどうぞ。 「ゆゆ~ゆ~ゆゆゆっ~くりぃ~」 切り株の上で一匹のれいむが人間からすれば踏みつぶしてしまいたくなるような雑音を立てている。 切り株の周りには沢山のゆっくり達がおとなしく鎮座し、れいむの雑音を聞いている。 「ゆっ! きょうもたくさんうたったよ! みんな! ゆっくりしていってね!!!」 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 このれいむはこの群れ一番の美ゆっくりとされているれいむだ。 無論言い寄るゆっくりは後を絶たない。 「れいむ! きょうはまりさたちとゆっくりするんだぜ!」 「いんかもののまりさはだまっててね! れいむ! きょうはありすといっしょにすっきりしましょうね!」 「わかるよー。ちぇんといっしょにゆっくりするよねー!」 「むきゅ! きょうはいっしょにおべんきょうをしましょうね!」 「いいい、いっしょにゆっくりするみょん!!!」 「みんなへんなこといわないで! れいむはれいむといっしょにゆっくりするんだよ!!!」 ゲスもレイプ魔もみなれいむに言い寄る。 「ゆっ! きょうはひとりでゆっくりしたいからみんなどっかにいってね!!」 れいむの一声で群れは解散し、れいむは望み通り一匹になった。 全員このれいむに嫌われたくないから。 「れいむ!」 しかし、この群れにいるゲスまりさとよばれるまりさ達三匹組がれいむの前に姿を現した。 「おそいよ! さっさとごはんちょうだいね!!! れいむおなかすいたんだよ!!!」 自分の言うことを聞かなかった三匹に対し、食べ物を要求するれいむ。 この三匹は惚れた弱みにつけ込まれ、食料をれいむに貢ぐ生活をしていた。 「ごめんねなんだぜ! でもいっぱいごはんとってこれたんだぜ!」 「いっぱいたべてほしいんだぜ!」 まりさ達は帽子や口の中から餌を取り出し、れいむの前に置いた。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー」 がつがつと汚らしく餌を食い散らかすれいむ。 「れ、れいむ。きょうこそまりさたちとゆっくりしていってほしいんだぜ!!!」 いつものように一緒に過ごして欲しいと頼むまりさ三匹 「うるさいよ! こんなごはんじゃまんぞくできないよ! やくたたずなまりさたちはさっさともっとおいしいごはんをもってきてね! そうだ! いつもみょんがれいむのこといやらしいめでみるんだよ! きもちわるいからこっそりころしてね!!!」 いつものように全く相手にされず、さらなる餌と気に入らないゆっくりの抹殺を命令された。 このれいむは外見は良かったが中身はゲスであった。 ゲスまりさを利用し、餌を巻き上げ、気に入らない者を始末させる。 こうすることで、自分が存分にゆっくりでき、同時に自分に不平不満を持っている者を自らの手を汚さずに始末していった。 ゲスまりさ達が駆けていったことを確認すると、幼なじみのまりさの元へ向かう。 抹殺対象とされたみょんは一匹で餌を探していた。 「みょんみょん~♪ みょんmyヴェニス!!!!」 存分にゆっくりしながら餌を求めるみょんを一突きで絶命させたまりさ。 その死体は三匹の腹の中に収まった。 ちなみにこのみょんは前日に美れいむに対して我が儘な性格を指摘したため暗殺対象にされたのだ。 みょんを殺したゲスまりさ三匹はもっとおいしい餌を求め、草原を駆けてゆく。 (こんどこそはもっとおいしいごはんをれいむにあげていっしょにゆっくりするんだ!) その途中でぱちゅりーに出会った。 「みかけないぱちゅりーだぜ!」 「どこのぱちゅりーかしらないけど、まりささまたちにおいしいえさをよこせなんだぜ!」 「さっさとわたさないといたいめみるんだぜ!」 最初から強盗のように声を荒げるまりさ達。 しかしぱちゅりーは物怖じせず、 「むきゅ、今はご飯を持ってないけど美味しいご飯なら持ってこれるわ」 「じゃあ、さっさともってくるんだぜ!」 「あげるのはいいけど、何でまりさ達はそんなにご飯をほしがるの? みんなちゃんと自分のご飯くらい取っ手来られそうだけど」 「れいむにあげるからいっぱいごはんがひつようなんだぜ!」 「むきゅ、そのれいむって群れ一番の美れいむの事かしら?」 「そうなんだぜ!」 「ならもっと良い方法があるよ!!! よく聞いてね!」 逆にゲスまりさ達に提案をする。 数時間後・・・ 「ゆっ! おそいよまりさ! ぐずなまりさはきらいだよ!」 いつもよりも餌を運んでくるのが遅かったことに不満を述べるれいむ。 いつもならまりさは謝ってれいむに餌を与えていたが今回は様子が違った。 「なにぼーっとしてるの! ゆっくりしないではやくあやまってね! あと、ごはんさっさとよこしてね!!!」 「うるさいんだぜ!」 どんっ! 「ゆ"っ!!!」 一匹のまりさがれいむを突き飛ばした。 餌をゲスまりさ達に集めさせ、ろくに狩りにも行かずに歌うか幼なじみまりさとゆっくりするだけの生活はれいむから体力を確実に奪っていた。 れいむは突き飛ばされた衝撃で気絶し、まりさ達に運ばれていった。 数分後、れいむが目を覚ますとそこは湖の近くにある洞窟だった。 「むきゅ、あとはこの『あんだま』をれいむに食べさせてあげてね! そしたら後は好きにして良いよ!」 ぱちゅりーとゲスまりさ達の会話もはっきりと入ってこない頭でれいむは考えた。 (れいむはなにをしてたんだっけ、おひるねしてたのかな・・・、そうだ、あのばかまりさたちにつきとばされたんだ!) そこまで思い出し、ガバリと起き上がったれいむはさっそくまりさ達に文句を言い始めた。 「れいむにこんなひどいことしてただですむとおもってるの!? ばかなの! しぬの!」 「ゆぅ、ごめんなんだぜ、おわびにこれあげるんだぜ!」 まりさは素直に謝り、れいむにぱちゅりーから貰った餡玉を与えた。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!!!」 今まで食べたことのない甘味に舌鼓をうつれいむ。 れいむが餡玉を食べ終わると同時にまりさ達三匹はお互いの顔を見合わせ、一度頷くとれいむに頬をすり寄せだした。 「ゆっ! なにするの! れいむにへんなことしないでね!」 まりさ達はれいむの抗議など無視し、頬を激しく振動させる。 交尾、いや強姦を始めたのだ。 「やべでねええええ!!! れいむにはまりさがいるんだよおおお!!!」 「ま、まりさなら、ここにいるんだぜ!」 「ぢがうよおおおおお! おばえだちのようなぐずじゃないよおおおお!!!!」 どんなにれいむが嫌がってもまりさ達はやめない。 それどころか、 「「「すっきりー!!!」」」 「ずっぎりー!!!」 いっしょにすっきりー! してしまった。 「でいぶのばーじんがあああああ!!!」 泣きわめくれいむの頭には茎が生え始める。 まりさ達はれいむを押さえつけ、頭に生えた茎をぶちりと引きちぎる。 「でいぶのあがちゃんがあああああ!!!! どぼじでごんなごとづるのおおおおお!!!!」 「うるさいんだぜ! おかされてよろこぶびっちれいむはまりさたちをもっとすっきりさせるんだぜ!」 強気のまりさ達は休む暇無く強姦を続ける。 「ゆっへっへ! れいむのばーじんまむまむきもちいいんだぜ! もっときもちよくさせてやるんだぜ!」 「じゃあ、まりささまはばーじんあにゃるをもらってやるんだぜ!」 ぺにぺにまむまむあにゃるでの強姦も終わったところで余った一匹がれいむに無理矢理口付けする。 「ゆへへへへ・・・、まりささまはれいむのふぁーすとちゅっちゅでがまんしてやるんだぜ!」 普通ならば胎生にんっしんっするはずの交尾も、ぱちゅりーが与えた餡玉の効果で植物性にんっしんっになった。 蔦が生える度に蔦は引きちぎられ、その蔦はれいむに無理矢理食べさせる。 もとから餌に困らなかったれいむは、にんっしんっしすぎたために黒ずんで死ぬこともなく、延々と犯され続けた。 そして次の日。 「ちゃんと列に並ばなきゃだめなんだぜ!」 「わかったよー、ちゃんとならぶよー」 昨日れいむが輪姦された現場には長蛇の列が出来ていた。 最前列ではゲスまりさの内一匹が列に並んでいたゆっくりありすから餌を受け取っていた。 「ゆっ! かくにんしたんだぜ! じゃあ、なかにはいっていいんだぜ!」 今し方餌を渡して中に進んだありすの目の前には自分たちが夢中になった美れいむがゲスまりさ二匹に押さえつけられていた。 「つぎのやつなんだぜ! れいむ! ちゃんとあいさつするんだぜ!」 「ゆぎゃああああ!!! もうおうちかえるううううう!!!」 ありすはすぐさまぺにぺにを出し、れいむに襲いかかった。 ずんっ! 「ゆあああああ!!!! ぼおやべでえええええ!!!」 れいむの悲鳴など気にすることなくありすはれいむを犯す。 「ゆっ! ありすにれいぷされてよろこんでるんだぜ!」 「とんでもないびっちなんだぜ!」 「みんなのあいどるきどってたくせにとんだすっきりーあいどるなんだぜ!」 「「ゆーゆっゆっゆっゆっ!」」 「あ"あ"あああ"ああ"あ!!!!!! ずっぎりー!!!」 ありすはれいむに中出しすると、すっきりー顔で外へ出て行った。 れいむの頭に生え始めた茎はまた千切られ、無理矢理れいむ自身が食べさせられた。 そして、次のゆっくりが中に入ってきた・・・。 「むきゅ、うまく行ってるようね!」 「あ、ぱちゅりー! ありがとうなんだぜ! おかげでびれいむとすっきりーできたし、ごはんもたくさんもらえてるんだぜ!」 行列の最前列で受付をしていたまりさが答えた。 前日、ぱちゅりーが提案したのはれいむをレイプし、飽きたら餌と引き替えに他のゆっくり達と交尾させるというものだった。 普通、交尾をしすぎると赤ゆっくりに栄養をとられて黒ずんで死んでしまうが、 赤ゆっくりに栄養を奪われる前に茎を引きちぎり食べさせれば黒ずんで死ぬことはない。 そしてぱちゅりーが与えた餡玉は「食べると植物性のにんっしんっしかできなくなる」効果がある。 そのため、どんな交尾を行っても胎生のにんっしんっはせず、エンドレスで犯され続けた。 こうして、このゲスまりさ達は好きなときに美れいむを犯し、 飽きたら売春をさせて餌を確保するという生活を続け、効率的に食欲と性欲を満足させたのだった。 そして、いつの間にかぱちゅりーは二匹分の餡玉を残し、どこかへと消えてしまった。 だがこの三匹には子分が出来た。クズれいむとゲスまりさとレイパーありすのトリオだ。 そして、6匹の所帯となったゲスの一団はさらに美ゆっくりを連れてこようと考えた。 子分達にれいむの売春を任せ、三匹は群れを駆け回った。 しかし、美れいむほどの美ゆっくりは見つからず、割と困っていた。 今思えばあのぱちゅりーは中々の美ぱちゅりーだった。 どうせならあのぱちゅりーとすっきりーすれば良かった。 まとまって行動しては効率が悪いと三手に別れて行動しているまりさの内、人間の村付近を探索する一匹はそんなことを考えていた。 「ゆっ?」 まりさは人間と一緒に歩いているれいむを見つけた。 (あのありす・・・すごいびありすなんだぜ!) まりさの次の獲物は決まった。急いで巣に戻り、他の奴らに知らせねば。 そしてその日の夜、次の獲物を決めたことを話した。 他の二匹はいい美ゆっくりを見つけることが出来なかったようで、早速明日拉致することで合意した。 そして次の日 「なあ、ほんとうにびありすはくるのかだぜ?」 「そのうちくるんだぜ! いいからだまってまつんだぜ!」 まりさ達は人間に見つからないようにありすが通りがかるのを待った。 そして、昨日と同様に人間と一緒にありすが現れた。 「ゆっ! すごいびありすなんだぜ!」 「そうなんだぜ! びれいむなんかよりももっとゆっくりしてるんだぜ!」 「おちつくんだぜ! びありすににげられたらたいへんなんだぜ! にんげんがありすからはなれるまでまつんだぜ!」 三匹は人間と争っている間にありすがどこかへ逃げていくことを恐れ、人間がありすから離れる瞬間を待った。 「ありす、ちょっと近くに住むおじさんにこれ渡してくるから、まっててくれ」 「わかったわ! ゆっくり気をつけてね!」 人間がありすから離れ、見えなくなった。 「いまなんだぜ!」 三匹は待ってましたとばかりにありすの元へ跳ねて行った。 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 「ゆっくりしていってね!!!」 お決まりの挨拶を交わす四匹。 「あなた達はどこのゆっくり? 見ない顔だけど・・・」 (やっぱりすごくかわいいんだぜ! はやくすっきりーしたいんだぜ!!!) 「ゆっ! じつはかわいいびありすにみせたいものがあるんだぜ!!!」 三匹はいぶかしがるありすの質問を無視し、おだててこの場から連れ出そうとしている。 「可愛い美ありすなんて・・・、よくわかってるまりさじゃない! ちょっとくらいなら一緒にゆっくりしてあげても良いわよ!」 おだてられるとすぐこれだ。とでも言われそうなほどほいほいまりさ達について行くありす。 「ねえ、見せたい物って何なの?」 道中ありすが尋ねる。 「すごくすてきなものなんだぜ!」 自信満々に言い放つまりさ達。 やがて、美れいむが売春を行っている洞窟の隣の洞窟にありすを連れ込む。 「なによ、全然良い物なんて無いじゃない! どこに良い物があるのよ!」 「ゆっへっへっへ、これなんだぜ!」 そう言って三匹が見せた物は自らのぺにぺにであった。 「何見せてるのよ! もう帰るわ!」 「そうはいかないんだぜ!!!」 「いやああああああ!!!」 一匹の力はまりさよりも高いものの、同時に複数匹に襲われては為す術もないありす。 このありすも無理矢理餡玉を食べさせられ、一晩中三匹と子分の合計六匹に輪姦されるのであった。 次の日から、ありすとれいむは同じ洞窟に監禁され、売春を強要される日々が始まった。 「もうやだ! おう"ちか"えるう"うう"うう!!!」 「おにいさあああん! みょおおおおおおん!! たすけてええええええ!!!」 「ゆっへっへ! ふたりならべてすっきりー! するのはきもちよすぎるんだぜ!!!」 やりたい放題の六匹。 しかし、ありすは元々飼いゆっくりであったため突然の環境の変化に適応できずに衰弱していった。 そしてありす拉致から一週間 「おーいありすー、どこだー!!!」 「ありす! どこだみょおおおん!!」 ゲス達が川へ遊びに行った居る間に飼い主とみょんが助けに来た。 このみょんは村の名士に飼われている戦闘強化型のゆっくりであり、同時にありすの恋ゆっくりであった。 最近行方不明になったありすを助けに行くため、ありすの飼い主に同行している。 飼い主はありすに取り付けられた発信器付きゴールドバッヂの反応を頼りにここまで来たのだ。 「お兄さん・・・ みょん・・・」 本当は叫んで助けを呼びたいが、衰弱しきった体ではそれは叶わなかった。 「ありすうううう!!!」 みょんがありすを見つけた頃にはすでに虫の息だった。 「みょん、お兄さん、ごめんね。ありす、もう・・・」 「みょおおおおおおん!! 死んじゃやだみょん!!!」 「待ってろ! すぐオレンジジュースを・・・」 「みょん・・・、お兄さん・・・、今まであり、がと・・・ぅ」 「・・・」 「あ・・・あり・・・す」 ありすはみょんと飼い主に見守られ、息を引き取った。 「ゆっ! にんげんとみょんだよ! はやくれいむをたすけてね!」 「・・・その前にここで何があったのか教えろ」 みょんは美れいむに冷たく言い放つ。 「れいむとありすはわるいまりさたちにつかまってまいにちすっきりー! させられてたんだよ!!!」 れいむはありのまま話した。 飼い主はがっくりと膝をつき、みょんはありすが受けていた仕打ちを思うと胸が張り裂けそうであった。 「ゆっ! だれかいるんだぜ!」 「みょんとにんげんよ!!!」 「あのみょんもすごいびゆっくりだよ! つぎはみょんもいれようね!!!」 「ありすがしんでるんだぜ! まったく、びょうじゃくはぱちゅりーだけでじゅうぶんなんだぜ!」 「おじさん、いたいめにあいたくなかったらおいしいごはんとそのみょんをおいていけなんだぜ!」 「・・・みょん」 「わかってるみょん」 飼い主は効きもしない体当たりを繰り返す洞窟の中に放り投げる。 「ぎゅっ!」 「べ!」 「らっ!」 そしてみょんにペーパーナイフを投げて寄越し、みょんはそれを目の前に置き 「ゆるさん・・・! ゆるさんぞ糞饅頭共! じわじわとなぶり殺しにしてくれる! 一匹たりとも逃がさんぞ! 覚悟しろ!!!」 そして始まる一方的な蹂躙。 「ゆっ! こんなのがでるわげない"よおお"お"おお!!! だずげでええええええええ!!!」 逃げようとしても出口に向かえば人間に投げ飛ばされ、みょんに突き刺され、踏みつぶされる。 「当たり前だみょん、たった六匹の生ゴミがみょんに勝てるとでも思ったのか?」 れいむは目にペーパーナイフを突き刺され痙攣する。 ゲス六匹を死にかけの状態まで痛めつけたみょんは飼い主に言った。 「そいつらにジュースを飲ませてほしいみょん」 「なぜ?」 「この程度で殺すなんて生ぬるいみょん! もっと痛めつけて苦しめてやるみょん!!」 飼い主としてはさっさと潰してしまいたかったが名士の飼いゆっくりであるため、一応言うことを聞くことにしてやった。 ジュースをかけて応急処置をし、麻袋に死なないように放り込んでゆく。 「ゆっ! すごいよ! みょんはつよいしかわいいしれいむのおよめさんにぴったりだよ!!!」 美れいむはみょんを褒め称えたがみょんは冷めた目で見据え、 「なんでお前なんかが生きてるみょん?」 「ゆっ? なにをいっtぎゃあああああああああ!!!!」 みょんは美れいむの頬を食いちぎり、何度も踏みつけた。 「なんでありすが死んでお前みたいな汚い野良が生き残ってるみょん! お前が死ねば良かったんだみょん! 汚い生ゴミのくせに! 害獣のくせに! 死ね! 死ね!」 「ぎゅべ! むぎゃ! やべでえええええ!!!」 単なる八つ当たりである。 れいむが虫の息になった頃になって飼い主はみょんから美れいむを受け取り、さっきの連中同様応急処置をし、麻袋に放り込む。 それから数日後 「ゆぎゃああああああ!!! ぼおやべでええええ!!!」 「ごんなのどがいはじゃないいいいいいい!!!」 みょんに半殺しにされたゲス六匹は人間の村で飼いゆっくりの性欲処理機として活躍していた。 かつて自分たちがありすやれいむにしたことと同じように犯され、孕んだ茎は片っ端から引きちぎられて食わせられる。 「ば、ばりざあああああああ!!!」 「ぼうやだ!!! おうぢがえるうう"ううう"う!!!」 野良のレイパーありすの性欲処理もさせられる始末であった。 「ゆるゆるのまりさだね! こんなゆるゆるまむまむじゃれいむはすっきり出来ないよ!」 「とかいは(笑)なありす! いなかものありすはすっきりー! することしかないからすごくゆるゆるだよ! いなかものまるだしまむまむ(笑)」 「がばがばれいむはゆっくり死ねば? ゲラゲラゲラ! これマジおすすめ!」 「ゆぎゃああああああああ!!! うるざいいいいいいいいいい!!!」 ちなみに美れいむはというと 「ゅ"っ、ゅ"っ」 加工所に連れて行かれたが、度重なるにんっしんっのせいで餡子の質が落ち、 食材失格の烙印を押され、変わりにゆっくりを苗床にする花を寄生させて「ゆっくり花瓶」に加工された。 加工の際に餡子や皮を薬で強化したため、今ではみょんのストレス解消のサンドバッグとして役に立っている。 「死ねっ! 死ねっ! お前なんか生きてる価値無いみょん! 臭い生ゴミ饅頭め!!!」 みょんは花瓶となったれいむや饅頭便器となったゲス達を虐めるだけでは飽きたらず、 野良ゆっくりを何度も襲撃し、そのたびに飼い主を通じ加工場に野良ゆっくり達を引き渡した。 みょんの襲撃は村の近辺から完全にゆっくり達が居なくなるまで続いたそうな。 「イカ臭い生ゴミ饅頭は死ねみょん! この性欲饅頭共め!!!」 終わり 補足 発信器がついてるならさっさと助けに行けばいいのに →このありすはみょんの元へ度々泊まりがけで遊びに行っていたため、今度もみょんの元にいったのだろうと餡子脳並みの思考で考えたため それと、発信器が故障していたため、修理に時間がかかったため。です。 元凶はぱちゅりーじゃないの? こいつ死なないの? →現在制作中のSSから引っ張ってきたぱちゅりーなのでこのぱちゅりーへの制裁はそっちで行われます。 なんか制裁が簡素すぎるような… →制裁は後付けなので仕様です なんじゃこりゃ →ゲスって言うくらいならこういう事もしでかすんじゃないかなあ…って思って書いてみました。 SSのネタとして使ってもらえればうれしいもんです 今まで書いたSS ドスまりさとゆうか1~3 ゆっくり闘技場(性)1 不幸なきめぇ丸 名物餡玉 行列の出来るゆっくり スカウトマンゆかりん前・後 ファイティング親子とゆっくり このSSに感想を付ける
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『おだい、おひねり、そしてあまあま』 10KB 虐待 誤解 現代 24作目ましてこんばんは、キャンセルあきです ~おだい、おひねり、そしてあまあま~ キャンセルあき 人通りの多い駅前。 「ゆっくりーのひ-。まったりーのひー」 それなりに聞けなくもないという――ゆっくりにしては破格の歌声で、ぼろぼろのれいむが 物乞いをしている。 邪魔くさい騒音を上げるれいむに目を向けた人々は、おりぼんさんに着けられた銀バッジを見て、 そのれいむを見なかった物として扱っていた。 捨てられたにせよ、飼われているにせよ、バッジ付きに手を出すのはトラブルの元だ。 「すっきりーのひー。のんびりーのひー」 れいむの目の前には、『一曲百円』と書かれた立て札と、中身のない空き缶が置かれている。 れいむが歌い始めてから相当の時間が経っているが、まだ空き缶にニッケルの硬貨が入れられた 形跡は見当たらなかった。 「ゆゆぅ……」 意気消沈のれいむ。 その眼前に、ヒャッホウと舞い降りる一人のモヒカン。 「ヒャッハー、一曲御願いダーっ!」 「ゆゆっ!? おにいさん、ゆっくりしていってね!」 ちゃりん。 空き缶の中に、固い音を立てて百円玉が吸い込まれた。 じろじろと検めてみたが、よく似ているその硬貨が、オモチャのお金でないことは明白だ。 途端に満面の笑顔を浮かべたれいむは、顔を地面にこすりつける勢いで頭を下げた。 「ゆ! ゆっくりありがとうございますだよ、おにいさん! れいむ、ゆっくりおうたをうたうね! ゆっくりーのひー♪ まったりーのひー♪ ――」 調子に乗って調子を外した"おうた"を歌うれいむと、それに聞き入る鬼威惨。 一瞬、その光景に立ち止まった人々も、鬼威惨のモヒカンを見て足早に去って行く。 「きょうはいいことあったのひー♪ ――ゆっくりれいむ♪」 やがて、一曲歌い終えたれいむ。道を歩く誰もが、次の瞬間に踏みつぶされるれいむを想像した。 しかし。 「ヒャッハー、良い曲だったぜーっ!」 ちゃりちゃりちゃりん。 なんということだろう。銅貨と穴の空いたニッケル硬貨――合わせて90円が、 れいむの空き缶に吸い込まれたではないか。 「ママー、あの人、ゆっくりの歌なんかに『おひねり』出してるよ!?」 「シッ! 見てはいけません!」 遠巻きに可哀想な人を見る目で鬼威惨を見る人々。 そんな視線を気にすることなく、鬼威惨は更に、一欠片の十円チョコをれいむに差し出した。 「こいつも食べな」 「ゆ……ほんとうにいいの、おにいさん?」 「なあに、良い歌でヒャッハーさせて貰った礼という奴さ」 「ゆわーーーいっ! れいむ、ゆっくりいただきます! むーしゃむーしゃ…………しあわせえええええぇぇぇぇ!」 口の周りにぼろぼろとチョコレートをべたつかせながら、久しぶりに心底のしあわせーに浸るれいむ。 流石にここに至っては、鬼威惨もれいむも、そうそう悪く思う人は居らず、周囲の人の印象は、 優しい鬼威惨と、健気に歌で稼ぐれいむという構図を受け入れていた。 「ヒャッハー、そろそろ暗くなってきたことだし、れいむも帰った方が良いぜ」 「ゆっくりそうするよ!」 「チョコの包み紙は、おかざりに付けておいてやる。 今日の稼ぎの勲章だよヒャッハー!」 「ゆっくりありがとう、おにいさん!」 そんなやり取りを経て、れいむはちゃりちゃりと硬貨の音が鳴る空き缶を咥えて帰って行った。 「モヒカンの鬼威惨、貴方は優しい人なのですね」 観衆の中から歩み出た男が、そう言って鬼威惨を褒める。 「なあに、健気にお歌を歌うれいむを見ていたら……ね。 飼い主さんからどのように褒めて貰えるかと思うと、今から楽しみですよ」 そう言い残して、雑踏の中に消えてゆく鬼威惨を見た人々の中には、モヒカン鬼威惨の中にも 優しい人は居るのだ、という新鮮な感情で一坏だった。 そして、 「ゆっくりただいまだよ、おにいさん!」 れいむが帰宅した瞬間、空き缶を置いて中を見せたれいむを出迎えたのは、唖然と口を開き、 直後、憤怒に赤く染まった飼い主の顔と、振りかぶられるスニーカーのつま先だった。 「手前ぇっ!」 「ゆっげええええええっ!?」 強烈な蹴りを喰らったれいむは、顔の中心を内側にめり込ませたまま壁と天井に跳ねて床に落ちる。 「稼ぎをちょろまかすとは、良い度胸だ、このクソ饅頭がっ!」 「ゆ……? な、なんのことかわからないよ、おにいさん!?」 「はぁ? しらばっくれるつもりかよ、手前ぇ!」 節くれ立った指がれいむの髪をわしづかみにして、傷だらけの顔を床面にこすりつけた。 顔をゆがめたれいむの眼前に、空き缶の中身をぶちまけると、 「分からないとでも思ったのか? ――あ゛ぁ゛?」 百九十円分の硬貨をれいむの頬にぐりぐりと押しつけたお兄さんは、飼いゆっくりを 壁に投げつけながら、 「一曲百円で、なんで190円もって帰って来やがるんだ、この馬鹿!」 と、叫ぶ。 「ゆええええ!? それはっ! おうたをきいてくれたおにいさんが! おうたのあとに! きゃっしゅさんをくれたんだよおおおぉぉ!」 「まだとぼける気か? 流石に餡子脳の銀バッジ様だな。 だったら……この十円チョコの包み紙は何だって言うんだ? 手前ぇの口についた、チョコレートは何処で貰ったって言うんだ、あぁ?」 お兄さんは、れいむのおりぼんさんに付着したチョコの包み紙をハッキリ見せてやると、 れいむの口に包み紙を入れ、喉の奥まで突っ込んだ。 「ゆぐっ! ゆげ…………う……」 指と包み紙に、体内の餡子を抉られる苦痛がれいむの吐き気を催させるが、お兄さんへの恐怖が 必死に吐餡を抑えさせる。 「手前ぇが! 雑音の代金で! あまあまを食っちまった証拠だろうがっ!」 「ゆぐぅぅぅ……む…………ふんんん…………!!」 自力で吐き出せない奧まで包み紙を押し込み、お兄さんは素早く抜いた手でれいむのおくちを押えた。 「ゆげっ! おえっ! ゆぅ……ゆぅ……なんか、おかしいよ。おなかが、へんだよう!」 消化出来ない包み紙が体内に取り残される違和感と苦しさから、逃れられないれいむ。 「あーあーあーあー。 折角きゃっしゅさんを稼いだのに、途中でつまみ食いなんかしちゃうから……おちびちゃん死んじゃうよ? れいむちゃんが野良まりさとすっきりー! して作った、クソ饅頭のおちびちゃん死んじゃうよ?」 「ゆ……!? れいむくそまんじゅうじゃ――「先にガキを心配しろ、阿呆饅頭!」――ゆっべえええっ!」 再び壁に投げつけたれいむを掴み、目の前に持ってくると、お兄さんは静かな声で聞いた。 「もう一回だけ聞くぜ? 何処の店でこんなチョコ買って来やがった? 二度と手前えに物を売らないように、きつく抗議してやる……」 「ゆ……あまあまさんは……おにいさんからもらったんだよ……やさしい……おにいさんだったよ……」 「まだ言うのかよ……ゆっくりの歌に、おひねりやあまあまをくれてやる男が、居るわけ無いだろ」 冷めた声のお兄さんが、れいむを床に落とした。 「つまり、おちびちゃんよりあまあまの方が大事だった、て事だよな。 あーあーあーあー、"おちびちゃんのごはんさんはおうたでかせいできます!"なんて、 殊勝な台詞を吐きやがったかと思いきや、とんだゲス親だぜ」 「ゆ……れいむ、げすなんかじゃ――「先にガキを心配しろつってんだろうがっ!」――ゆべ!」 三度、れいむが壁と激しいちゅっちゅを交わし、砂糖菓子の前歯が全損した。 れいむが叩きつけられた壁には、餡子汚れを落とした古く大きなシミがあり、 それを見たお兄さんはれいむを見下ろしてため息をついた。 「これじゃあ、俺に潰された"さいっきょう!"のまりさも浮かばれないってもんだよなぁ?」 なあ、"さいっきょうのまりさ"ちゃん? お兄さんの手が、古い壁のシミを撫でる。 「れいむ……ほんとうに、きゃっしゅさんと……あまあまさんを……おにいさん……」 「ああ、もういいよ」 「ゆ……れいむを、ゆるしてくれるの、おにいさん?」 許すも何も……。お兄さんが、ぞっとする程冷たいめでれいむを見下ろした。 「手前は、あまあまでゆっくりできればガキなんざどうだっていいんだろ? だったらゆっくりさせてやるよ。 手前も、そのおちびちゃんもな……」 そして、傷だらけで身動きのとれないれいむに背を向けて、お兄さんは廊下に向った。 「ゆ……おにいさん? れいむのおちびちゃんになにをするつもりなの!?」 「何もしねーよ、俺は、な」 お兄さんの言葉に、れいむがほっとする暇も無く。 「ただ、小麦粉でアップアップに決まった手前が――あまあまが一番大事なクソ饅頭が、 丁度いい大きさのあまあま饅頭にナニするかってのは……知らないな」 「ゆ……! おにいさんま――『バタン』――…………」 固く閉ざされて沈黙する扉に、れいむはすがるような目を向けた。 「れ、れいむはんせいしました。れいむはんせいしました」 そして、ドアに向って、れいむは謝罪を――鳴き声を――始めた。 「れいむはくそまんじゅうでした。 おにいさんのいいつけをやぶって、のらのまりさとすっきりー! しちゃいました。 おにいさんのいいつけをやぶって、おちびちゃんをかってにうんでしまいました。 おにいさんのいいつけをやぶって、きゃっしゅさんをちゃんともってかえれませんでした。 だからあやまります。 れいむはばかなおまんじゅうです。 れいむはいきるかちのないおまんじゅうです。 いいえ、れいむはいきていない、ただのおまんじゅうです。 れいむはゆっくりしていないゆっくりです。 れいむはゆっくりしていない、ただのおまんじゅうです。 それをれいむははんせいしました。 だから、だから、どうかれいむのおちびちゃんは……おちびちゃんだけはたすけてください。 れいむのゆっくりしたおちびちゃんだけは、どうかたすけてください。 おうたをうたいます。たくさんうたいます。なんかいでもうたいます。 のどががらがらさんになっても、れいむがひからびちゃってもうたいます。 どこでもうたいます。だれにでもうたいます。どんなおうたでもうたいます。 やさしかったおにいさん。 やさしかったかいぬしのおにいさん。 ……さっきのやさしいおにいさん! きゃっしゅをくれたおにいさんにおねがいします。 きゃっしゅさんはかえしますから、どうかれいむのおちびちゃんをたすけてください。 れいむのおちびちゃんをゆっくりさせてあげてください。 おちびちゃんがえいえんにゆっくりしないようにしてあげてください」 れいむの歌を聞いた虐待鬼威惨が、この状況を計算尽くだった事など知るよしもなく。 「どうかゆっくりおねがいします。 どうかゆっくりおねがいします。 やさしいかいぬしのおにいさん。れいむゆっくりはんせいしました。 やさしいきゃっしゅのおにいさん。れいむはゆっくりんせいしました。 やさしいかいぬしのおにいさん。れいむゆっくりはんせいしました。 やさしいきゃっしゅのおにいさん。れいむはゆっくりんせいしました。 やさしいかいぬしのおにいさん。れいむゆっくりはんせいしました。 やさしいきゃっしゅのおにいさん。れいむはゆっくりんせいしました。 れいむはんせいしました。れいむはんせいしました。れいむはんせいしました。れいむはんせいしました。 れいむはんせいしました。れいむはんせいしました。れいむはんせいしました。れいむはんせいしました。 れいむはんせいしました。れいむはんせいしました。れいむはんせいしました。れいむはんせいしました。 れいむはんせいしました。れいむはんせいしました。れいむはんせいしました。れいむはんせいしました。 れいむ…………」 ただ、固く閉ざされたドアが聞くだけの謝罪は、無意味な鳴き声は、まるで呪いの様に、 いつ果てるともなく繰り返され続けた。 終わり。 キャンセルあきの過去作品はwikiに収録されています http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/869.html 感想はこちらにどうぞ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1280375526/l50
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前 ゆっくりれいむ一向は一刻も早くこの悪夢から抜け出すために森を進んだ。 「ねえ、おかあさん…」 「ゆ、どうしたの?」 多少急ぎながら一家の先頭を今しがたれいむの事をかばった子れいむが小声で耳打ちした。 この子れいむは次女で、今この場に居るれいむ達の中ではれいむに続いて最年長である。 とても賢く仲間思いで聡明で、れいむはまりさの生き写しのように感じて今では特に寵愛している子どもだった。 「どうして…れいむのいもうとはころされたのかな…」 子れいむの顔は餡の気が引いたかのように青かった。 れいむはその質問にごくりと唾を飲んだ。 そして少し考え込んでから慎重に言葉を選びつつ言った。 「…きっとにんげんがやったにちがいないよ、まりさだってにんげんにあんなふうに殺されて…」 「どうしてこんなところににんげんがいるの?ここはにんげんもめったにはいってこないところだってれいむしってるよ…!」 子どもから出た思わぬ反論に再び考え込んでかられいむは言う。 「ことしのふゆはたべものがすくないからにんげんもここまできてさがしに」 「じゃあなんでれいむのいもうとはたべられずにつるされていたの!?」 「…!」 やはりこの子は聡明だとれいむは思った。 ただ、子どもだからか少し安易に確信を突き過ぎる。 「…へんなこときいてごめんね、おかあさん」 沈黙。 重苦しい空気が二人の間を支配した。 「……」 れいむの中を誰がれいむの子どもを殺したのかという疑問が繰り返される。 やはりさっき子れいむと話し合った通り里の人間がわざわざ魔法の森の奥まで来てあの子を殺したという線は薄いように感じた。 かといって虫たちにはあんな殺し方が出来るとは思えない。 まず蔓が結ぶことが出来ないではないか。 森の動物達だって同じだ。 ならば、この辺りをうろついていた別のゆっくりがれいむの子どもを殺したのだろうか。 確かにこの辺りなら、たとえば永夜緩居を目指す他のゆっくりが居る可能性も無くは無い。 だがそれでは動機が全くわからなかった。 ぐるぐると思考が同じところを同道巡りする。 ふと、れいむはひょっとして永夜緩居に居る虫以外の何者かがれいむ達を追ってきて 永夜緩居の秘密を守るために皆殺しにしようとしているのではないかと考えた。 あの場所の異常さはその考えをあらゆる意味で肯定しているように思われた。 そんなふうに思索に耽りながられいむは先に進んでしまった。 そしてれいむは再び自分の不注意で子どもを失うことになった。 巧妙に枯葉で隠された落とし穴がれいむ達の前で口を広げて待っていたのだ。 「ゆ!?」 「ゆああああああああああ!?」 「びっくりー!?」 「ゆ…みんな!大丈夫!?」 それは落とし穴というよりも既にあった大きなくぼみを少し掘り下げて木の枝と枯葉でカモフラージュしたものだった。 れいむは慌てて辺りを見回す。 枯葉にまみれて誰がどこに居るのかすぐに把握できない。 そんな状況がれいむを急激に不安にさせた。 「はやくみんなあつまってね!」 枯葉の下から一匹二匹と子れいむ達が這い出してきた。 すぐにれいむは子どもの数を数える。 「ひとつ…ふたつ…みっつ…みっつ…みっつぅ……!」 四匹居たはずの子どもが三匹に減ってしまっていた。 「でてきてええええええええええ!はやくでてきてえええええ!」 「おねえぢゃあああああん!おねえぢゃあああああああああん!」 「みんな!おねえちゃんからはなれちゃだめだよ!ゆっくりさがすよ!」 子れいむ達は一番上になった子れいむを中心に居なくなった子れいむを探し始めた。 一方のれいむの表情は暗く、覇気が無かった。 れいむの経験が深いことが子ども達よりはるかに子れいむの生存が絶望的なことを知らせていた。 頭を切り替えて先頭に立って探さなくてはならないはずがどうしても切り替えることが出来なかった。 「まりさ…たすけて…ゆっくりできないよまりさ…」 れいむはうわ言のようにつぶやいた。 まりさの忘れ形見である子ども達の数が着々と減っていくことにれいむは心から恐怖した。 まりさの命は人間の手で惨たらしく奪われた。 数の増えた子ども達のためにまりさとの思い出の家も捨ててしまった。 まりさの大事な帽子は人間の手で汚されつくした。 この上でまりさとの間に遺した子ども達まで居なくなったら、れいむの周りからまりさの遺したものは全て消え去ってしまうのだ。 その時、まりさはきっと本当の意味でれいむの所から永遠に離れていってしまう。 そのことをれいむは本当に怖れた。 「ああああああ!おねえぢゃあああああああん!じっがりじでえええええええ!!!」 「ゆ!まだ、まだいきてるよ!ゆっくりおさえてね!」 「ゆ!?」 まだ消えた子れいむが見つかった上にまだ生きているという言葉を聴いてれいむははっと顔を上げた。 れいむはさっきまでとは別人のようにはっきりした表情ですぐさま子れいむの様子を見に走った。 「ゅう…ぃ…だ…ぃょぉ…」 子れいむには木の枝が刺さっていた。 即興ながら明らかに加工された跡がある。 何者かが子れいむを攫ってこれで突き刺したのだ。 しかし幸いゆっくりは鋭い物に突き刺されるのには強かった。 貫通はするが致命傷に至りづらいのだ。 多少傷口は大きいが枝を抜いて葉っぱで傷口を押さえれば充分治る傷だった。 「ゆ、しっかり押さえててね!」 れいむは子れいむ達に体を抑えさせると木の枝を口で咥えて思い切り引き抜いた。 「ゆぎゃあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」 凄まじい断末魔と共に引き抜いた傷口が大きく開き、目を見開いた子れいむの体から餡子が大量に飛び散った。 れいむは目を白黒させてそれを見つめた。 さっきまであんなに小さかった傷のあった場所に明らかに致命傷レベルの大きな傷口が開いていた。 木の枝を見る。 その先端には草や蔦で器用に結び付けられた大きな『返し』が付いていた。 「ゆ、ゆうううううううううううううううううううう!?」 れいむには全てが理解できた。 刺す時に返しの部分を開かないように押さえて突き刺し、『返し』の部分が全て入ったら返しを押さえていた蔓か何かを 引っ張ってはずす、これで子れいむの体内で『返し』が大きく開く。 後はそのまま木の枝を引き抜けばごらんの通りだ。 「お、おかあさんがれいむのおねえぢゃんをごろじだああああ!!!!」 「どおじでごんなごどずるのおおおおおおおおおおおおおおお!!!?」 「ち、違う、違うのおおこれはじこな゛のおおおおおおお!!!!」 下の子ども二匹はありのままを見て受け取り、その結果れいむが子れいむを殺したと理解した。 「じこだろうとなんだろうとおかあさんがころしたんだよ! このこごろしれいむ!おまえなんかおかあさんじゃないよ!」 子れいむは子どもらしくれいむに率直で辛辣で残酷な言葉を投げかける。 「ゆぎゃあああああああああ!?やべでえええええええええ!!!」 まりさの遺した子ども達に罵倒されることはれいむにとってまりさから罵倒されることに等しかった。 それは深く深くれいむの心を傷つけた。 母としてのれいむの世界が壊れ始めた。 母としての誇り、子どもを愛し大事にしているという自負、それらが音を立てて崩れ去っていった。 れいむは段々と母からただのれいむになっていく自分を感じていた。 「やめでよおおおおお!わ゛るいどはれ゛いむのいも゛う゛どにごれをざじだやづだよ! わだじだぢあんな゛にゆっぐりじでだがぞぐだっだじゃだいどおおおお! おがあざんをきずづげるようなごどいわ゛ないでええええええええええええ!!!」 ある程度れいむのやったことが過失だと理解できる現・一番上の子れいむだけがれいむを庇った。 しかし事実までは覆せず、また過失を理解させるだけの力も子れいむにはなかった。 「こんなくずとはゆっくりできないよ!きっとさいしょにころされたおねえちゃんもこいつがやったにちがいないよ! れいむたちもいっしょにいたらころされちゃうよ!」 「れいむたちはれいむたちでかってにおうちにかえるよ! ゆっくりごろしはじぶんもゆっくりしね!」 ペッとれいむに唾を吐きかけるとそのまま森のどこかへと消えていった。 「違う…違うの…れいむじゃないの…れいむはやってないの…まりさ…まりさはしんじてくれるよね…まりさ…まりさ…」 れいむはもはや追いかけもせずにただただ焦燥しきってうわ言をつぶやくばかりだった。 「おかあさん、れいむはわかってるからね はやくれいむのいもうとたちもみつけてなかなおりしてみんなでゆっくりしようね…」 焦燥しきったれいむをなんとか子れいむが慰めながら、れいむ達は弱弱しく先に進んだ。 れいむは今もうわ言をつぶやきながらも子れいむに従って歩いていた。 そうやって居るうちにれいむの意識も段々とはっきりしてきた。 れいむは落ち着いて、再び生き残ることを考え始めた。 もう二度と同じミスはしない、そう思って周りに危険なものは無いか神経を集中する。 さっきのようにトラップにかかっては生きて帰れる保障はもうない。 その時、びゅんという風を切る音がれいむの耳に届いた。 「あぶない!」 「ゆ!?」 ドンっ、とれいむは子れいむを突き飛ばしてこちらに飛来する二つの謎の物体を避けた。 その物体はブランコのように弧を描いて木にぶつかるとベチャ、グチャっとなって木の幹に黒い染みを作った。 それが何か理解するのには少し時間が掛かった。 蔓で吊るされたそれが再びこちらに戻ってきてやっと理解する。 「れいむのこどもがあああああああああああああああああああ!?」 「いやああああああああああああああああああ!!!?」 それは蔓に結び付けられたさっきれいむの下を離れた子ども達二人だった。 ぐちゃぐちゃになったれいむの子どもが蔓に結ばれてゆっくり揺れながられいむの顔にべちゃりとくっついた。 甘い餡子の香りがした。 「ゆ゛…ゆっぐぅううううううううううううううううううううう…!!!」 れいむは咽び泣いた。 遂に子どもはあと一人を残すのみとなった。 れいむとまりさの一番大事な絆である子ども達が居なくなってまりさのことがとてもとても遠くに感じられた。 もうれいむの心はボロボロのゴミクズの様になってしまっていた。 「おかあさん…げんき、だしてね れいむはずっといっしょにいるからね ぜったいにおかあさんのそばからいなくならないからね」 子れいむが自分も辛いだろうにれいむのことを慰めた。 思えばこの子は本当にまりさの生き写しだとれいむは思った。 聡明で、仲間思いで、やさしく、相手の心をわかり、人のことをかばえて そして、誰よりもれいむのことを愛してくれた。 「ゆぅ…そっかぁ…ゆふ…ゆふふふふ…」 「おかあさん?どうしたの?げんきでたの?」 『 』がれいむの顔を覗き込んだ。 「ずっといっしょにいてくれたんだね、まりさ」 「まりさは死んでなんか居なかったずっとれいむのそばにいてゆっくりしてくれてたんだね まりされいむもまりさのこと愛してるごめんねきづかなくてごめんねもうはなさないからね」 「おかあ…さん…?なにをいっているの?」 「そうだまりさいったよふゆをこしたらもう一人くらいあかちゃんをつくろうって まだふゆまえだけどれいむとまりさの子どもは居なくなっちゃったからいまからにんっしんさせてあげるねまりさあああああああああああああ!!!」 「!?いやあああああああああああああああああ!?」 恋人、子ども、次々と大切な人を奪われ心からゆっくりを失ったれいむの心は壊れた。 壊れたれむが求めるのはまりさただ一人だった。 れいむが子れいむともう一度ゆっくりをするために前から力づくで圧し掛かった。 れいむの目はもはや尋常ならざる光を宿していた。 興奮したれいむの碌に洗う暇も無くて汚れきった体を餡汁が瞬く間にねちょねちょにした。 「はぁはぁはぁ…まりさぁああ!れいむきもちいいよおおおおお!!」 「れ゛い゛む゛はま゛り゛さ゛じゃだいよおお!!おがあざんやべでえええ!!!」 子れいむにはれいむが何故こんな行為に及ぶのか理解できなかった。 行為の意味自体は知っていた、しかしだからこそ親子でこんな行為をしていいはずがないと思う倫理観が子れいむにはあった。 そんな子れいむの気持ちを無視してれいむは餡子汁と泥でべたべたになった体を偏執的なまでに子れいむにこすり付けた。 「やだやだやだあああ!!!」 子れいむは必死に体を振ってイヤイヤをするが子どもの体では体格の大きい大人のれいむを振り払うことは出来ない。 れいむは子れいむの口から底にかけてをぺろぺろと丹念に舐め始めた。 「まりさ…まりさのまむまむぅ…!」 「ぞんな゛どごなめぢゃだめな゛のおおお!!」 嫌がる子れいむだったがその底付近からは餡子汁がだんだんと漏れ始め 息を荒くして顔を赤く染めていた。 「ゆぇっぷにゅう!?」 「むちゅ…んっちゅぅ…」 吐き気を催して思わず開いた口にれいむの舌がぬるりと進入した。 れいむはじゅるじゅると餡唾を飲みながらさらに体をゆすり頬と頬をこすりつけ合わせる。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ…」 「ずぎゅ、ずっぎむぢゅぅぢだぐだいどに゛ぶっぢゅうううう!!!」 すっきりしたくないという子れいむの意思とは裏腹に二人の快感は高まっていった。 「すっきりー!」 「すっきりー!」 そして二人は絶頂を迎えた。 「まりさ、もういくよ もっとすっきりしたいけどここはゆっくりできないばしょだからはやくいかないと」 「………どう…じで…」 子れいむはれいむに引っ張られるまま虚ろな瞳で空を見つめていた。 その時ドン、と音がしたかと思うとれいむの体を蔓で編んだネットが捕らえていた。 子れいむは呆然とその光景を眺めていた。 「ゆ!?なにするの?ゆっくりでれないよ、はやくだして!」 「ゆっくりできないゆっくりになっちゃったみたいだね、れいむ」 二人の行為をずっと隠れ見ていたのか茂みの奥から黒い影が現れた。 黒い帽子に金髪の髪、その姿はれいむの思い描くまりさと瓜二つだったが決定的に何かが違った。 「ゴミクズ…」 そう、それは永夜緩居で死んだはずのゆっくりまりさのゴミクズだった。 「まりさにはじちょうしてねっていってたくせにはげしいすっきりだったね」 「うるさいよ!れいむはまりさといっぱいかわいいあかちゃんつくるんだよ! それをかってにみてるえっちなゴミクズのほうがゆっくりできてないよ! ゴミクズはゆっくりでていってね!」 れいむは行為を盗み見されたことに怒ってまりさを口汚く罵った。 「ふーん、まあどうでもいいよ、まりさはぱちゅりーのかたきをうつだけだから」 その言葉を聞いてれいむははっとした。 こいつが、れいむ達を付回してれいむとまりさの子ども達を殺していたのだと気付いた。 それもぱちゅりーが死んでしまったという八つ当たりに等しい理由でだ。 「ゴミクズぅぅぅぅぅううう!!よ゛ぐもれ゛いむ゛とま゛り゛さ゛のこども゛ぉををおおおおおおお!!!」 れいむはネットの中で暴れるが皮が痛むばかりでネットは自力では外せそうになかった。 「れいむ、わるいけどこっちにゆっくりきてね」 「ゆ…」 そう言うとまりさは子れいむのリボンを咥えるとそれを手綱の様に引っ張って子れいむを傍らに寄せた。 子れいむは何も反抗しようとしなかった。 「れ゛い゛む゛の゛ま゛りざにざわ゛ら゛な゛いでねええええええええええええええええ!!!!」 まりさに連れて行かれるということがどういうことなのか、れいむにははっきりとわかっていた。 れいむは餡子汁を顔中から垂れ流して懇願したが子れいむでさえその言葉を聞き入れようとはしなかった。 まりさは憐れそうにれいむの方を見ると隠し持っていた先を尖らせた木の枝をぺっと吐き出してれいむの方に投げた。 「子れいむをたすけたかったらそれであみをきっておってきてね」 そう言うとまりさは茂みの奥へと消えていった。 れいむがネットを切り裂いてまりさ達を追った先には枯葉の絨毯が敷き詰められた少し開けた場所があった。 「ゴミクズ…」 れいむは憎しみの全てをこめてまりさをそう呼んだ。 「ひさしぶり、ゆっくりしていってねれいむ」 まりさの瞳には最初に会ったときのような光は無くただただドブ川のようにどす黒いものが渦巻いていた。 「まりさを…わたしのまりさをどこにやったの?」 れいむは辺りを見回しながら言った。 まりさは怪訝な顔をした。 「あれはまりさじゃなくてれいむだよ まあそれはどうでもいいよ、れいむがまりさをころせたらおしえてあげるよ ぱちゅりーをころしたときみたいにやればかんたんだよね?」 その恨みったらしい言い草にれいむは苛立った。 「まだそんなことをいっているの、このゴミクズが れいむ達は…だれよりもいきるためにいっしょうけんめいだったのに… そんなりゆうでみんなをころしたんだね やっぱりおまえはゴミクズだよ!ゆっくりできないゴミクズだよ!!」 れいむは最大限の侮蔑と軽蔑をこめて吐き捨てた。 まりさはこれ以上の言い争いは無駄だというかのようにれいむに向かってきのこを投げた。 「そのきのこはもうどくで、ぺろぺろしただけでもゆっくりできなくなるよ さっきわたしたきのえだのさきにさしてぬけば…わかるよね」 れいむはまりさの方から目は離さずに念のために持ってきていたその枝をきのこに刺した。 まりさも同じように木の枝を取り出してきのこに突き刺す。 数瞬の沈黙があった後両者は同時に木の枝をきのこから抜いて、それが開始の合図となった。 「ゆっおおおおお!!!」 口に咥えた木の枝でれいむは勇猛果敢にまりさに向かって突きを繰り出す。 まりさはあとずさりながら突きを受け流し防戦に徹した。 木の枝が空を斬りお互いの間の空間が歪んだように見えた。 死闘は続いたが、まりさはろくに反撃も出来ないままで葉っぱで埋まった木の洞の前に追い詰められた。 「もうにげられないよおおおおおおおおお!!!」 「……」 「ゆっくり、しねえええええええええ!!!」 これで終わりだとばかりにれいむは木の枝を引くとまりさに向かって必殺の突きを繰り出した。 『ゆぐぅ!?』 ブスリ、と木の枝がまりさを貫通してまりさは木の洞の中に押し込まれた。 「はぁ…はぁ…」 確かすぎる手ごたえを感じてれいむは木の枝を口から離した。 「はやく…はやくれいむのまりさのばしょをおしえてね!」 れいむの問いにまりさはにやりと笑うと目で後ろを指し示した。 れいむの中を悪寒が走った。 確かすぎる手ごたえ、れいむには最悪の予想が見えてしまった。 れいむは慌ててまりさを退かす、刺さっていた木の枝がボキンと折れた。 舌を使って洞の中の木の葉を掻き分ける。 そのすぐ下に、まりさを貫通した木の枝に刺された子れいむが居た。 「あ、あああ…」 れいむは愕然としてその姿を見つめた。 小さなからだの子れいむは致死性の毒が周り次の瞬間には死んでしまうであろうことは明らかだった。 「ぉかぁ…さ…ん…」 「まりさあああああああああああああああああああああああ!?」 子れいむの頬を涙が伝ったかと思うと子れいむは息を引き取った。 「ゆ…ゆふふふふふっふふふふふふうふ…」 れいむは笑い出した。 遂にまりさとの繋がりは完全に断たれ、一人ぼっちになったのだ。 もうれいむには何のために生きて良いのかわからなかった。 「どう、だった…まりさのしかけ…」 まりさは持ち前の体力で毒の効果からなんとか持たせているようだったが死は時間の問題だった。 それを理解した上で遺言のようにうわ言をつぶやく。 「さいしょにつるしたこどもも、つるでくちをしばっておしゃべりもできなくしてあったけど、いきてたんだよ しんだのは、れいむがつるをきってから…」 まりさはれいむにたいしてこの上なく恐ろしいことを言い出した。 れいむはピタリと笑うのをやめて青ざめてまりさの言葉を聴いた。 「つぎのこは、れいむのみてたとおり れいむにむかってなげたふたりも、ちゃんといきてたんだよ… れいむが、うけとめてあげてたらしななかったのにね…」 れいむは諤諤と震えだす。 「そのこは、だれがみてもかんたんだよね」 まりさは木の洞の中の子れいむを見た。 「れいむがころしたんだよ」 「も゛う゛やべでえええええええええええ!!!!」 遂に耐え切れなくなったれいむは半狂乱で悲鳴を上げる。 れいむの目からは餡子がそのまま流れ出していた。 人で言うなら血涙であろうか。 「ぱちゅりーだけれいむにころされるなんてゆるせない、だから、だからみんなれいむにゴフッ! ころさせてやったんだよ!ざまあみてね!まりさがゴミクズなら、こどもをぜんぶころしちゃったれいむはもっとゴミクズだよ! うふふふふふふふふふふふふふふ…」 「うわああああああああああ!!!!」 れいむは木の枝を咥えるとまりさに向かって突き刺した。 「ゆぐっ…、うふふ…、やっぱり、こんなことしてもぱちゅりーはわらってくれないね…」 まりさは餡子を吐きながら、空を見つめていた。 きっとその先にはぱちゅりーが見えているのだろう、死の淵にあって穏やかな顔をしていた。 「ゆっくりできなくて、ごめんね…」 とてもすまなそうにそう言うとまりさは息を引き取った。 「れいむが…れいむが子どもを…れいむが…れいむが…れいむが…まりさ…まりさ…まりさが…」 れいむは、自らまりさとの繋がりを全て断ってしまったことに気付かされ、その罪深さに絶望に打ちひしがれた。 「う゛わ゛あああああああ!ま゛りさ!いっじょにゆ゛っくりし゛てよ゛おおおおおお!まり゛さ゛ああ゛あああ゛あ゛ああ!! ゆ゛あああああわあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!! ま゛り゛ざあああああああ!!!ゆ゛ぎゃあああああああああああ!ゆ゛ぎゃあああああああああ!!!!」 れいむは木の幹に向かって何度も何度もぶつかった。 そのうちに頭からは餡子が流れだし、口許にまでとろりと流れた。 その時、自分の命の味を味わいながられいむはふと気付いた。 「そうだ…まりさ…まりさはまだいる…」 それに気付き、れいむは笑い出した。 「れいむ!れいむがいるよ!まりさがいのちをかけてまもってくれたれいむがいるよ! れいむのいのちがなくならないならまりさともずっとつながってる! やったよ!やったよまりさ!あははははは!いっしょにゆっくりしようね!ゆっくりしようね!」 れいむはけたたましく笑い続けた。 もはや支離滅裂の狂気の理論としか言いようが無いが実際れいむは狂っているのだからしかたの無いことだった。 ただ、そのけたたましい笑い声は永夜緩居から追ってきた物を呼び覚ましてしまった。 「ゴミクズ!ぱちゅりーはわらってくれなかったんだってね!ざまあみろ!れいむのまりさはわらってくれたよ! やっぱりおまえがゴミクズ」 れいむがまりさの顔を覗き込んで勝利宣言をしている最中、まりさの頬がぐぐっと膨らんだ。 「ゆ?」 れいむが不思議に思ってそこを覗き込むと頬を突き破り、何かが現れてれいむの体を突き刺した。 「ゆぎゅぅぅぅう!?な゛ん゛な゛の゛おおおお!?ゆっぐりでぎだよおおお!?」 それはまりさの体の中にずっと潜んでいたカブト虫だった。 永夜緩居を出る時からずっとまりさの体の中に住んでいたのだ。 そんな習性はカブト虫には無いが、永夜緩居の狂った虫達は一匹たりとも永夜緩居から獲物を逃すつもりはなかった。 カブト虫は、その角でれいむの体を抉りながら甘い餡汁をぺろぺろと舐めた。 「やべ、やべでええええ!!!」 まりさの頬からは次々とカブト虫が現れ、れいむの体を抉っていった。 抵抗しようにもここまで戦い続けてきたれいむにはもはや抗う力など残っていなかった。 ただただゆっくりと食べられていくだけである。 「やべでえええ!!!れ゛い゛む゛ばっ!れ゛い゛む゛ばいぎなぎゃだめなのおお!! れ゛い゛む゛がぢんだらま゛り゛ざがああ!!!ま゛り゛ざがいなぐなっぢゃううううう!!! やべでええええ!れ゛い゛む゛ぢんだらだめ゛な゛の゛にいいいい!!! ま゛り゛ざま゛り゛ざあああああああああああ!!!!」 れいむの断末魔が森に木霊する。 新たに生きる意味を見つけたばかりでれいむはゆっくりと食べられ死んでいった。 いっそ新たに生きる意味を見つけずに後ろからカブト虫に突き刺されて 殺されていたらこうも無念を感じることはなかっただろうに無残なことだ。 これで、この度永夜緩居に挑んだものは全て永夜緩居に呑まれた。 永夜緩居の秘密を漏らす者は無し。 永夜緩居― ゴミクズ このSSに感想を付ける
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書きたかった事 本スレ91の 220さんの書き込み 『ゆっくりが物覚え悪いのは都合の悪い記憶を餡子と一緒に吐くからという設定があったよな。』 からインスパイアされて 若干汚いのが注意点、嘔吐物的な意味で 作者 チェンマガツ 男はその手にゆっくりれいむを抱いている。 成体サイズのそれは近くの森で甘い言葉で誘って着いてきた普通の野良れいむだ。 男の家にはすでにゆっくりまりさが居るのだがそろそろ番となるゆっくりも欲しかろうと思い拾ってきたのだ。 わざわざゆっくり屋で買うのも馬鹿らしい。 気に入らなければ潰して、まりさには別のれいむをあてがえばいいのだ。 そんな男の考えを知らないれいむはといえばご機嫌上々である。 一度だけだが森の中で出会った人間さんから舌がとろけそうなほど美味しい食べ物をもらったことがあった。 その思い出だけで人間への警戒感は全くない。その上かっこいいまりさと会えるというのだ。 これ以上幸せな状況は無い、というわけだ。 「ただいまー」 「おにいさん、ゆっくりおかえりなさい!!」 帰宅すると玄関まで飼いまりさが跳ねてきてきっちりと挨拶をした。 お兄さんはかなり厳しい性格でこれまた野良であったまりさを一から叩き直して立派な飼いまりさに仕上げていた。 「ゆゆっ、おにいさんそのれいむどうしたんだぜ」 「ああ、お前もそろそろ番になりたいだろうと思って連れてきてやったんだ」 そう言ってまりさの目の前にれいむを降ろしてやる。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね!!」 「まりさはまりさだぜ」 「れいむはれいむだよ!!」 「れいむはゆっくりできるれいむだぜ?」 「とてもゆっくりできるよ!!」 「それならおにいさんのおうちでゆっくりするといいぜ」 「う、うん……。まりさのおうちじゃないの?」 「だめだぜれいむ、ここはおにいさんのおうちだぜ。まりさはここでゆっくりさせてもらってるんだぜ」 「れいむもゆっくりできるの?」 「れいむもちゃんとゆっくりさせてやるさ。その代わりちゃんと言う事聞いて貰うぞ」 「ゆゆっ、ゆっくりりかいしたよ!! れいむもゆっくりするよ!!」 「よし。まりさ、れいむを部屋に案内してやれ」 「ゆっくりわかったよおにいさん!! れいむこっちにくるんだぜ」 「ゆゆ!!」 玄関先で一通りの自己紹介を済ませたまりさとれいむは部屋の奥へと消えていった。 まりさとの会話からもそれほど性根悪いれいむでなさそうなので男はこのまま様子を見る事にした。 まりさの為に用意された部屋は上下に分かれた押し入れの下段だった。 それでも並のゆっくりには十分すぎるほどのスペースである。 れいむはもちろんそこが押し入れと理解するわけがないのでまりさはとても広い巣を持っているゆっくりだと思った。 巣の広さもゆっくりのステータスの一つであるためれいむがまりさを気に入るのは早かった。 「まりさのすはとってもひろくてゆっくりできるね!!」 「ゆゆ~ん、あんまりほめるんじゃないぜ」 さらに飼いゆっくりであれば当然食事面で野生のゆっくりと差がついている。 まりさ本人もゆっくりからしたら美ゆっくりの部類に入るわけでれいむはその点でもまりさをお気に召したようだ。 逆にまりさの方は正直別のゆっくりならなんでもよかった、今は後悔してない状態である。 程良い関係であるならこれからの生活に支障はない、男はそう思った。 「もうお昼だしご飯にしようか」 「れいむにごはんはやくちょうだいね!!」 「れいむ、ゆっくりまってたらおにいさんはもってきてくれるんだぜ」 「ゆゆっ!! まりさはすごいんだね!!」 「それはちがうぜれいむ……」 まりさの実にまずそうな表情を男は読み取る。 れいむはまりさの言葉をまりさの為に男がご飯を持ってきてくれていると完全に誤解している。 まりさが伝えたかったのはご飯を催促することなく大人しくしていたらようやくご飯をもらえるということだ。 男は所詮野生のゆっくりだと思って甘くみたがまりさからすれば冷や汗ですむ話ではない。 「れいむ、うちでは静かにしている奴にゆっくりできるご飯を持ってくることにしている、わかったか?」 「どうしてそんなこというの? さっさとごはんもってきてね!!」 「まあそのうち分かるよ」 意味深な言葉を残して男は去っていった。れいむはそんなことは一切気にしなかった。 その後男は二匹に同じ量、同じ見た目のご飯を持ってきてまた部屋をあとにした。 二匹がご飯を食べている間にれいむを洗う準備をするためだ。 これから一緒に暮らすためにはあまりに汚らしい肌やリボンでは都合が悪いのだ。 ぬるま湯にボディーソープを入れてよく掻き混ぜると即席泡風呂が完成した。 そのころ押し入れの二匹は仲良くご飯を食べていた。 まりさはゆっくりらしいがつがつ食べるスタイルをとうに捨て去り、器から舌で少しずつ巻き取りながら綺麗に食べている。 一方のれいむは見事にご飯を食べ散らかしていた。 飼い慣らされたまりさから見れば卒倒物である。最近では忘れていた男の怒声が飛んでくるのが目に見えて震え上がった。 「れいむ、ごはんはきれいにたべるんだぜ。すのなかもきれいにしないとだめだぜ」 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~♪ なにかいったまりさ?」 「いや、なんでもないぜ……」 まりさは一応忠告はしたとばかりにれいむの食べ様に知らない振りを決め込む。 そして男が戻ってくると案の定れいむに雷が落ちる。 と思われたが男の意外な反応にまりさは驚くこととなる。 「れいむ、ごはんをたべるときはきれいにな。すがきたなくなってるぞ」 「ゆゆっ、れいむのせいじゃないよ!!」 「きれいにしないとゆっくりできなくなるぞ?」 「れいむはしらないっていってるでしょ!?」 「そうかまあいい。れいむおいでお前を綺麗にしてやろう」 「ほんとう!? ゆっくりはやくつれてってね!!」 「はいはい」 まりさの開いた口がふさがらない。何故だ、自分の時はあんなに優しくされた覚えはないのだがといったところだろう。 れいむを担いで男が向かったのはれいむを洗う準備をした風呂場である。 水面を直接見せることなく洗う事の出来る泡風呂はじつに便利だと男は常々思う。 ゆっくりがどうしてこうも水に対して恐怖心を抱いているか男は全く理解していないからだ。 最初にまりさを洗おうとしたときの騒動は今でも忘れられないほどの惨事となった。 「あわあわさんがとてもゆっくりできるね」 「そうだな」 男はれいむとの会話に適当に相槌を打ちながら細部まで綺麗に磨きあげていく。 飾りを外すのは拒まれたのでしかたなく頭に付けたままごしごしと洗う。 れいむの顔はマッサージをするように洗うと、見た目が気持ち悪い気持ちよさそうな表情をした。 風呂上がりにドライヤーも厳禁であることも経験済みだ。最初はあの音がゆっくりできないらしい。まりさは今では逆に病みつきらしいが。 面倒だがタオルできちんとれいむの水分を拭き取ることにした。 風呂場を出た頃にはれいむもそこいらの飼いゆっくりのような綺麗な肌になっていた。 田舎娘でもきちんと化粧とおしゃれな洋服を着せれば都会っ子なのだ。 まりさの待つ押し入れにれいむを戻すとまりさのれいむを見る目が変わった。 れいむがまりさに抱いていた思いに概ね近づいたようだ。つまりは相思相愛だ。 薄汚いれいむに何の感情も抱かなかったまりさもなかなか現金な奴である。 家にれいむが来てまだ一度もしていなかったすーりすーりを急にし始めたところからもわかる。れいむも満更ではないようだ。 「この様子なら心配はないな」 そんなまりさ達の行動におとこは苦笑いをしながら水受けに新しくボトルから水を注ぎ部屋を出て行った。 その日は男は晩ご飯と水の補給をしてあとはゆっくり達に関与しなかった。 今まではまりさの相手をしてやる必要があったがこれからはそれをれいむに任せればいいのだ。 れいむの躾けに関してもまりさの行動を見ているうちにれいむがそれを真似するようになるだろうと考えた。 その考えをしらないまりさは男の怒りがいつれいむに向かうか恐ろしくて仕方がなかった。 これまでの経験からすればもうすでに激しい暴行があってもおかしくないからだ。 今度れいむが粗相を起こせばなんとしてもれいむを庇わなくてはならない。 綺麗になったれいむにまりさの思いはそれほどにまで募っていたのだ。 しかし就寝直前に事件は発生した。 「ばでぃざ……うっぷ、ぎもぢわるぃおろろろろろろろろ」 「ゆぎゃあああああでいぶどうじだのおおおお!!」 れいむが突然餡子を嘔吐したのだ。 れいむは生粋の野生生まれ野生育ちだった。 その為実に人工物に対しての耐性がこれでもかというほどなかったのだ。 男が餌に混ぜていた少量の塩やカルシウムに。体を洗ったときに口に入れたあわあわこと洗剤に。そして水分補給に飲んだ硬水のミネラルウォーターに。 すべてがれいむの体調を崩す元となりついに嘔吐してしまったのだ。 だがまりさはれいむの体調の心配はまったく気にしてなかった。 またれいむが部屋を汚したのだ。 今度こそ男に見つかったられいむは潰されてしまいかねない。こんな美ゆっくりのれいむがいなくなるのはまりさは勘弁ならなかった。 そこでまりさが取った咄嗟の行動はれいむの嘔吐物を食べて証拠隠滅することだった。 基本的にゆっくりの体から出た餡子はそのゆっくりにとって汚いものである。 しかし背に腹は代えられないとばかりにれいむの嘔吐物を一気食いする。 ちびちび食べてはこちらも貰いゲロしてしまいかねないというまりさの判断だ。 「どうしたまりさ。悲鳴したような気がしたが」 なんとかれいむのものを食べ終えた頃男が押し入れの様子を覗きに来た。 「なんでもないよおにいさん!! ゆっくりおやすみなさい!!」 「ああ、おやすみ」 不審そうな表情で男は襖を閉めて、さっさと寝るために自室に戻っていった。 なんとか誤魔化せたまりさは安堵の溜め息をつく。ふとれいむのほうを見ると気を失うように眠りについてしまったようである。 その様子をみてまりさをれいむに頬擦りをして自分も眠りにつくことにした。 れいむがまりさの所にやってきて二日目の朝がやってきた。 「れいむ、ゆっくりしていってね!!」 「ゆゆっ、ゆっくりしていってね!!」 いつも通りの時間に目覚めたまりさはまだ眠っているれいむに向かって朝の挨拶をする。 「ここはどこなの!? れいむはどうしてこんなところにいるの!!」 「れいむはおねぼうさんだね!! きのうれいむはまりさのところにおにいさんときたんだぜ」 そんなれいむの姿を見て微笑んでいたまりさの表情が次の瞬間凍り付く。 「まりさはだれなの!? れいむにゆっくりちかよらないでね!! れいむおうちにかえる!!」 「どうしたのれいむ!! まりさはまりさだよ、わすれたの?」 「れいむはまりさのことなんてしらないよ!! ゆえーん、でぐちはどこなのー!!」 一体全体れいむはどうしてしまったのだろう。昨日あんなに仲良くなったのにすーりすーりしたのにそれも忘れてしまったのか。 「おにいさんもわすれたの? ごはんをもってきてくれたにんげんさんだよ?」 するとれいむの目が変わった。まりさはようやく思い出してくれたのだと安心した。 「すごいねまりさ!! まりさはにんげんさんよりえらいんだね!!」 しかしれいむの発した言葉は昨日の焼き直しのようだった。 「ちがうんだぜれいむ……」 昨日晩ご飯のときに説明していたことも忘れたのだろうか。もしかすると理解できてなかったのかもしれないそうまりさは思う事にした。 それからすぐ男が朝ご飯を持ってきて水の補給をして、挨拶をしただけであまり会話もすることなく出て行った。 汚らしくご飯を食べたれいむをまりさは注意して、すーりすーりしたりかけっこしたり男とゆっくりとの関係について話をして昼ご飯がきた。 朝同様男はすぐに出て行った。これからは男とではなくてれいむと仲良くするんだとまりさは言われた。まりさはれいむにこの家でのルールを教えていった。そのうちに晩ご飯がきた。 水の補給も終え部屋を出て行こうとする男にまりさとれいむは仲良くおやすみなさいと言った。 男は満面の笑みでそれに返して部屋を後にした。 そして就寝直前れいむは再び嘔吐をした。 体に合わないサプリメントと硬水中のミネラルの影響によるものである。 まりさも再びそれを何とか口にする。 出来れば食べたくないのだが男に知られるわけにはいかないため、食べる以外に処分方法がないのだ。 そして三日目の朝が来た。 「れいむ、ゆっくりしていってね!!」 「ゆゆっ、ゆっくりしていってね!!」 いつも通りの時間に目覚めたまりさはまだ眠っているれいむに向かって朝の挨拶をする。 「ここはどこなの!? れいむはどうしてこんなところにいるの!!」 れいむは昨日と全く同じ台詞を吐いた。 あとがき 記憶継承な話題になってたけど忘れるのも面白そうかなと思ってみた。 嘔吐した餡子を食べると記憶継承するのはあくまでも同種のゆっくりでそれ以外は餡子に消化しちゃうんじゃないかと。 ありすのカスタードをれいむが食べても駄目そうな雰囲気で。 れいむとまりさの餡子も似ているようで少し違うんだよきっと。 というのは勝手な妄想なのでさらっと流してください(・3・)~♪
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とある都市の一角にあるペットショップ。 やや古びた建物であるが内装は綺麗で、清潔感がある。ゆっくり専門のお店であるが、 一見するとどこにでもあるごく普通のペットショップだ。にもかかわらず、ペットショップへ入っていく人の数は多い。 そして、入店する人々の身なりもよい。それなりに高価なゆっくりをおいているお店なのだろう。 ショーウィンドウを覘いていた一人の少女が店員に問いかける。 「店員さん。このれいむの値札のところについている、お花のマークは一体何なの?」と。 店員は少女と同じ目線になるようにしゃがんで言う。 「これはね、菊の花なんだよ。この子達が飼い主さんをどれだけゆっくりさせられるのかを表しているんだ。 この子はね、みんなをとってもゆっくりさせられるゆっくりだよ。」 「れいむはれいむだよ!ゆっくりしていってね!」 「へぇ~!確かにこのれいむはなかなかかわいいね!」 「ゆっくりありがとう!おねえさんもすてきだよ!ゆっくりー!」 ゆっくりは生き物である。機械のように正確なデータを取れるわけではない。 ましてや感覚的な指標である、【ゆっくりしている】なんてものを計ることは不可能である。 これは実験的に得られたデータではもちろんない。 では、この菊の花は何を示しているのだろうか? ふかふかのベットで横たわっているれいむ。こいつとは6年の付き合いだ。 初任給で買ったはじめてのゆっくり。育て方がよく分からず、たびたび辛い思いをさせた俺に、文句も言わず優しい笑顔見せたれいむ。 その目がもう開くことはない。視覚を維持する力を既に失っているのだ。 俺はれいむの頭を撫でる。俺達とれいむは最期まで繋がっているということをれいむに伝えたいから。 れいむの長女であり、わさわさしたもみ上げが特徴的な通称わされいむが、れいむの頬へしきりにすーりすーりを繰り返している。 どんなゆっくりであっても、すーりすーりをすれば心があったかくなる。 しかし、わされいむの目からは涙が止まらない。これから起こることを考えれば当然だ。 いくら理屈を聞いたって、感情で生きているゆっくりが溢れ出る悲しみを抑えることなんてできないのだ。 「ゆぐっ・・・ゆぐぅ・・・お゛かぁじゃぁぁぁん・・・」 「なかないでね・・・おちびちゃん・・・。れいむはゆっくりしているよ・・・」 「れ゛いむ゛はおぢびちゃんじゃな゛いよ!れいむはおかあさんだよ!ふたりのおちびちゃんもいるよ!!!」 「おかあさんからみるとね・・・おちびちゃんはいつでもおちびちゃんなんだよ・・・。 おちびちゃん・・・。こどもたちをりっぱなかいゆっくりにそだてるんだよ・・・」 「ゆ゛っぐちわがったよ゛!!!」 「それとね・・・おにいさんに・・・ゆっくりしてもらうんだよ・・・」 「も゛ちろんだよ!!!れい゛むはかい゛ゆっぐりだよ!!かいぬ゛しのおに゛い゛さんをゆっぐり゛させるのは、とうっぜんのぎむさんだよ!!!」 「ゆふふ・・・。おにいさん・・・」 「どうした、れいむ。」 「おちびちゃんをよろしくね・・・」 「もちろんだ。安心してくれ。」 「ゆふふふ・・・。おにいさん、ゆっくりありがとう・・・それとね・・・」 「いままでれいむといっしょにいてくれてありがとう・・・。 おにいさんのかいゆっくりで、れいむはとってもしあわせだったよ!・・・」 「俺もれいむみたいなゆっくりと過ごせて本当に良かったと思っているよ」 「ゆっくりうれしいよぉ・・・。こんどうまれるときもおにいさんにゆっくりあえたらいいなぁ」 「会えるさ、俺達なら。そんときもれいむをゆっくりさせてやるよ!」 「ゆっくりきたいしてるよぉ・・・。それじゃあ・・・おにいさん・・・」 「ああ」 「もっと・・・ゆっくり・・・することは・・・ないよ・・・・」 「・・・さようなら、れいむ。」 長い静寂が訪れる。ここにいる者が皆、れいむの死を受け入れようとしている。 「おがぁじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!!!」 わされいむが泣き叫ぶ。2匹の赤ゆが見ているのもお構いなしだ。れいむと離れるのが嫌で唯一里子に出さなかったれいむの子供だ。 れいむに対する思いは誰よりも強いのだろう。泣きじゃくるわされいむをそっとしておいてやり、俺はある場所に連絡をする。れいむの最期の晴れ舞台のために。 れいむの遺体を頑丈な木箱に安置する。もちろんれいむの遺体が傷まないように綿を敷き詰めて。これはれいむの棺となるものだから。 ―翌日・午後15時ごろ れいむを入れた木箱を家の前に現れた、ゆっくり専用の霊柩車、通称【れいうーしゃ】に載せる。 れいうーしゃの速さは人間がゆっくり走る程度なので、俺はわされいむと赤ゆっくり達を抱えてとある建物へ向かう。 看板には「ゆっくりとむらっていってね」という文字が書かれている。そう、ここは葬儀場だ。それもゆっくり専用の。 建物の中に入ったら、わされいむ達を控え室において、俺は葬儀屋の人と打ち合わせを行う。 今までゆっくりさせてくれたれいむのためにも入念に打ち合わせを行う。そうだ、俺達とれいむの最期の大仕事だ。 ―午後17時ごろ 参列者が集まってくる。里子に出したれいむの子供達とその番、もちろん飼い主の方々もいっしょだ。 つややかな毛並みが印象的なまりさがぽいんぽいんと跳ねてくる。喪服を来た女性がまりさの後を追うように近づいてくる。 「おにいさん!おひさしぶりだぜ!おかあさんがえいえんにゆっくりしちゃってまりさもかなしいけど、 おにいさんとすごせておかあさんはしあわせーっ!だったとおもうから、まりさはなかないんだぜ!!!」 「そうか・・・。相変わらず元気だなぁ、まりさ。お姉さんには迷惑かけてないか?」 「も・・・もちろんだぜ!!!まりさはきんばっじもとれたかいゆっくりなんだぜ!!!おにいさんもしってるはずだぜ!!!ほんとうだぜ!!!」 「まぁ、まりさが根はいいやつだってことは知ってるさ。それより向こうで番と子供達が待ってるぞ。行かなくていいのか?」 「だぜ!?うっかりしてたのぜ!!!ありがとうなのぜ!おにいさん!!!じゃあむこうにいってるのぜ!!!」 「ああ、じゃあちょっとだけ待っててくれよ。」 心配そうに俺達の方を見ていたありすとその子供達。彼女達はまりさの番のありすとその子供達である。 ありすは飼いゆっくりコンテストで優勝したことがあるほどの美ゆっくりで、 まりさとありすが番になることを報告しに来たときのまりさの鼻の下の伸び具合(鼻なんてゆっくりにはないが)がとても印象的だったことを覚えている。 見たところ夫婦円満で、非常にゆっくりしていると傍からみてもよくわかる。彼女達の努力もあるが、今俺の目の前にいる女性の教育が功を奏しているのだろう。 「お久しぶりですね」 「ええ、まりさのけっこんしき以来ですね。」 「まりさ、迷惑かけていませんか?さっきちょっと怪しい素振りを見せたので」 「いいえ、まりさちゃんはいい子ですよ。ただ、昨日れいむちゃんが永遠にゆっくりしたという話をまりさにしたら、ずっとふさぎ込んじゃって・・・。 今は何とか持ち直したのですけど、寝るときにかなしーしーをしたりして・・・」 「ああ、まりさってショックなことがあるといつもそうでしたから。うちにいたときはれいむが慰めて初めてかなしーしーが止まったんですよ。 成体になってからは全然しなくなったって聞いたんですけど、昔のことを思い出したんですかねぇ・・・。」 「かもしれなせんねぇ・・・。れいむちゃん本当にいいゆっくりだったんですね。」 「そう言って頂けるとれいむも天国で喜んでくれると思います。」 「ふふふ・・・。じゃあ、まりさちゃんのところに行ってきますね」 「それでは、また」 れいむの子供は3匹いる。我が家で飼っているわされいむ。今喪服の女性が飼っているまりさ。どちらも 新しい家族を持っている。そして、わされいむの番はちぇんであるが、けっこんっしてもなお、飼い主の人がちぇんを飼いたいと 言うことでわされいむとは別居している。ただし、毎週会っているのでれいむもちぇんも子供達も幸せそうだ。 もう一匹の子供はれいむ種だ。しかし、れいむ種であることは彼女にとって苦痛だった。 彼女は生まれながらにして子を成す能力を持たない。 ぺにぺにを使ってもも、まむまむ使っても、すーりすーりを行っても、何をしたっておちびちゃんは生まれなかった。 れいむ種は子育てを生き甲斐にして日々を過ごす。己のアイデンティティを喪失した日々はどれだけ苦痛なのか? 赤ゆっくりから子ゆっくりになる頃、里子に出す前に連れて行った健康診断で、その事実は判明した。 長女であった心優しい彼女は、その日から妹達に当り散らす乱暴な姉へと豹変した。 乱暴にもみ上げを振り回し、妹達に八つ当たりで何度もぷくーっをしていた。 れいむはもちろん止めた。子ゆっくりごときの力では成体であったれいむには逆らえない。 押さえつけられてもなお彼女は暴れる。「どうしてこんなことするの?」というれいむの問いに対して、彼女―ふくれいむは 「おま゛えがこんにゃふうに゛うんだがらだぁぁぁぁ!!!げずなばばぁはじねぇぇぇ!!!」 と酷く罵った。そのとき偶然帰宅した俺が見た、あのれいむの悲しそうな表情は決して忘れることはないだろう。 何度も癇癪を起こすふくれいむと、れいむは何度も向き合った。どれだけ罵倒されても。どれだけ暴力を受けても。 ふくれいむも結局里子に出したのだが、最後までれいむはふくれいむのことを心配していた。 彼女の飼い主には連絡をした。飼い主の方は行くつもりだが、ふくれいむが葬式に来るかは彼女次第だと、彼は言っていた。 ふくれいむは来てくれるのだろうか? クイクイ ズボンの裾を誰かが引っ張る。若干力加減が分かってないこの引っ張り方は・・・ 「ひさしぶりだよ・・・おかあさんのおにいさん・・・。」 「ふくれいむ・・・。元気だったか?」 「いまのおにいさんはとってもゆっくりしてるから、れいむはとってもゆっくりしてるよ。」 れいむは元気といったが表情は曇っている。そういえばさっきれいむのことを・・・ 「なぁ、ふくれいむ。いまおかあさんっていったよな?」 「ゆっくりいったよ・・・。」 ふくれいむは里子に出す最後の日もれいむのことをばばあと罵っていた。そんなふくれいむが無き母のことを呼んだ。 「・・・・・・母親のこと、もういいのか?」 「・・・いいもなにも・・・。れいむがまちがっていたんだよ・・・。 おにいさんからきいたよ。おちびちゃんをうめないでゆっくりしてないゆっくりだったれいむのことを おにいさんにひきとってもらうために、おかあさんがなんどもなんども、おかあさんのおにいさんとたのみにいったことを。」 「おにいさんからきいたよ。いつだっておかあさんはれいむのことをきにかけてくれていたって・・・。 な゛のに・・・なの゛に゛・・・。れ゛いむ゛は・・・れ゛いむ゛は゛・・・!!!」 下唇を噛み、必死に涙を堪えるふくれいむ。後悔の念がひしひしと伝わってくる。 そうだ、誰だって喧嘩別れはしたくない。 「ふくれいむ」 「・・・ゆ?」 「安心しろ。ふくれいむのかあちゃんはいつだってふくれいむを信じていたよ。 れいむはな、お前をゲスなのかと疑った俺に対してこう言ったんだ。『おちびちゃんにひどいことしないでね! おちびちゃんもすきでああなったわけじゃないからね!!!きっと、ゆっくりできなくてつらくなったんだよ!!!れいむがはげましてあげるから おちびちゃんとれいむのことをしんじてね!!!おねがいします!おにいさん!!!』ってね。 どんなにお前が罵倒しても、れいむにはそれが祈りの声に聞こえた。 どんなに暴力で訴えようとも、れいむはそれがSOSだと感じ取った。いつだってれいむはお前の苦しみを分かろうとしていたよ。」 「そして、今やっと気持ちの整理が付いたわけだ。ゆん生最大といってもいい難題に立ち向かった娘を、れいむはきっとあの世で誇っているだろうな」 「ゆん・・・・。あじがどう・・・おかあじゃんのおに゛いざん・・・」 「どういたしまして」 「じゃあ、れいむはおにいざんのところにいぐね・・・」 れいむはのそのそと這って進む。跳ねるような気分ではないのだろう。 さて、そろそろ始まるな。 ―午後18時頃 ちぇんの飼い主が葬儀の10分前に到着した。忙しい方なので来れたことが奇跡だった。 葬儀は家族葬であり、あまり大きな部屋を使うことはない。人間が4人。ゆっくりが9匹とごく少数で行われるためだ。 祭壇が既に出来上がっている。れいむの遺影の周りには菊の花が添えられている。ゆっくりは花が大好きだ。れいむも喜んでくれるだろう。 れいむが生前好きであったお菓子がいくつも並べられている。俺が御供えしたものの他にもいくつかれいむの大好物がある。 オレンジジュース、コーンフレーク、ショートケーキ、ノースマンなど色々なものがある。 立てられた線香からはいい匂いがする。用いられる線香は一般的に使われる杉線香ではなく、甘い匂いのする匂い線香である。 ゆっくりは一般的に杉線香の匂いを好まないためである。彼らの世界観に合わせてあまあまの香りが充満していた。 葬儀に参った人、ゆっくりは皆着席している。 司会のゆっくりしょうが、厳かな雰囲気の中の開式の辞を始める。 「ただいまより、ゆっくりれいむさんのごそうぎっをはじめさせていただきます!」 「では、どっきょうっ!をはじめたいとおもいますっ!どうし、びゃくれんさまおねがいします!!!」 「なむさん!ではゆっくりどっきょうっ!をはじめます!なむさん!」 ゆっくりとお経を唱えるびゃくれん。お経とは言うものの、びゃくれんの読むお経は人間の葬式で読まれるお経ではない。 漢字だらけの意味のつながりがよく分からない呪文を聞いたところで、ゆっくり達が安心してあの世に行ける訳じゃない。 それぐらいならば、ゆっくりの分かる言葉を、ゆっくりが有難がるびゃくれんにゆっくり出来るように読んでもらったほうがいい。 そういった考えで、ゆっくりのための読経は生まれた。あまあま、ゆっくりぷれいす、けっかいっ、しんっこんっなど ゆっくり達がよく聞く言葉で、そのお経は書き綴られていた。俺には全く意味の分からない言葉だが、れいむがあの世でゆっくりするためのものなので気にしない。 じっと座り、お経を聞いていたわされいむが、ゆぐっ・・・ゆぐっ・・・と泣き出した。 れいむの遺影を見て、悲しみがこみ上げてきたのだろう。何も言わずハンカチを差し出す。わされいむはハンカチに顔を埋める。 葬儀をちゃんと終わらせるため、この雰囲気を壊さないため、ゆっくりという空気を読めない種族であるにもかかわらず、わされいむは必死に耐えていた。 長い読経が終わる。 お経を読み終えたびゃくれんはこちらを向いて、位牌を持ち、装重な雰囲気を出しながら言う。 「ゆっくりれいむさんのかいっみょう!はたくっさん!ぼせいゆっくりれいむながながです!なむさん!」 かいっみょう。これはいわゆる戒名のことを指す。ゆっくりにも死後の名前をつけようということらしい。 「このたくっさん!というぶぶんは、かいぬしさんをたくっさんゆっくりさせることができたといういみです。なむさん!」 もちろんだ。れいむは俺に多くのことを残してくれた。感謝してもし足りない。 「このぼせいというぶぶんは、おちびちゃんたちのことをだいいちにかんがえた、しんのぼせいをもったゆっくりであるといういみです。なむさん!」 れいむの子供たちが頷く。彼女達皆がれいむの愛に包まれて健やかに育った。 「ゆっくりれいむというぶぶんはれいむさんがゆっくりれいむであったことのしょうめいです。なむさん!」 「そして、ながながというのはれいむさんはながくいき、おおくのものたちとであい、おおくのしあわせーっをもたらしたゆっくりであるといういみです。なむさん!」 ここにいる皆が全て頷く。そうだ、れいむがいなかったら俺達は全くの他人、他ゆんであった。れいむはみんなと繋がっている。 これが最後の作業になる。 れいむとお別れしなければならない。 木箱の棺に入れられたれいむをみんなでのぞき込む。 幸せそうに笑っているれいむはもう二度と動くことはない。受け入れたはずの現実は、俺をしつこく攻め立てる。 動悸が早くなる。焦点が合わなくなる。今になってれいむを失った悲しさがどんどんどんどん溢れ出てくる。 気分が悪くなり、しゃがんだ俺をわされいむが涙を溜めた双眸で、必死に曲線を描いて笑顔を作る。 まりさも俺のことを心配そうに見つめる。ふくれいむはじっと俺のほうを見て、コクリ頷く。 わされいむは言う。 「おにいさん、ゆっくりおかあさんをみおくろう」 れいむの面影がある、れいむの子供達の母への愛と強い意志を目の当たりにして、 「そうだな、ゆっくり・・・そしてしっかりと見送ろう」 この葬式においての遺体の処理方法は食葬である。 れいむの体を毟り、饅頭となったれいむを食す。食したら少しずつ棺の中に清められた餡子を詰めていく。 葬儀に参加したもの全員でれいむを食べ、れいむを思い出し、れいむを忘れないように心に刻む。 「む゛ーちゃ!む゛ーちゃ!」 「むーぢゃ゛!むーぢゃ゛!」 「むーじゃ!!むーじゃ!!」 れいむの餡子を食べる子供達は誰も幸せとは言わない。 母の一部を少しでも感じ取れるように必死で喰らう。最期の繋がりを逃さないように。 俺もれいむを喰らう。一口、二口とれいむを口に含むたび、楽しかった思い出、辛かった思い出、れいむと過ごした日々が浮かび上がる。 飼育ケースから初めて出たれいむに、ボールを与えたときのこと。 何時に無くはしゃぐれいむを見て、つい調子に乗った俺がれいむをボールに乗せて怪我をさせてしまったこと。 生まれて初めての他ゆんに緊張しているれいむをリラックスさせようと、キタキタ踊りを踊ったら場が白けてしまい逆効果だったこと。 でも、その話題のおかげでれいむはけっこんっ!することができたんだ。 我が家で行われたけっこんっしきの事は今でも忘れない。近所の飼いゆっくりを入れるだけ入れて、やったから、足の踏み場もなくなってたな。 れいむと番のまりさにナイフを持たせて、れいむとまりさを持ち上げて巨大ケーキを切ったのもいい思い出だ。 後で、実際には俺が切ったんじゃねえかという近所のぱちゅりーの指摘で、ショックを受けていた2匹の顔は本当に良い表情だった。 れいむ達の子供が生まれるときのことも忘れてないぞ。れいむが必死に息んでいたのに俺とまりさはずっと狼狽していたな。 れいむが赤ちゃんを受け止めてって俺らに言ったとき、テンパった俺達は何をしたんだっけ? 確か、おれはキャッチャーミットを持ってバッチコーイ!とかいった気がする。 まりさの方はゆっくりうけとめるのぜ!!!って言いながらティーカップを持ってきていた気がする。 何もあんな時にボケなくてもいいが、思い返せば本当に笑えるなぁ 子供達が生まれてすぐに、侵入してきた野良ゆっくりと戦って、まりさが永遠にゆっくりしちゃったことがあったな。 三日三晩悩んだれいむが俺に告げた言葉の重さが今になってやっと分かる 『れいむはしんぐるまさーじゃないよ!えいえんにゆっくりするまでまりさのつまだよ!!! それにれいむはおちびちゃんをひとりでそだてないよ!!!おにいさんといっしょにがんばるよ!!!よろしくおねがいします、おにいさん!!!』 母性の塊であるれいむ種が、一緒に育てるという言葉を発するということはどれくらいの重みをもっているのか。 れいむの子供達の生き様を見た今ならわかる。れいむは俺が思っている以上に俺を信頼していた。 俺もれいむが思っている以上にれいむを信じていたつもりだ。 れいむの体がリボンと中枢餡のみとなる。棺の中は餡子で満たされている。 「では、親族のゆっくりの方は前へいらしてください」 係りのゆっくりしょうが、れいむの子供達の前に三分割した中枢餡をおく。 別れの言葉を告げながら、中枢餡を食らっていく。 「おがぁじゃぁぁぁぁぁん!!!れいむ゛がんばるよぉぉぉぉ!!!」 「り゛っぱなおっとになるんだぜぇぇぇ!!!おどうざんみだいになる゛がらきたいじてぼしいんだぜぇぇ!!!」 「おがぁじゃんごべんねぇぇぇ!!!!れい゛む゛ぜっだい゛じあわ゛ぜになるよぉぉぉぉ!!!」 中枢餡を食べ終えた子供達は涙を流し叫び続ける。我慢し続けた思いが全て放たれる。 誰もそれを咎めない、最後はゆっくりなりの弔い方をしても別に構わないだろう。 「おにいさん、棺の中にこの花を」 しょうから渡されたのは紅色の菊、白色の菊の2輪であった。 れいむのリボンを棺のなかで敷き詰められた餡子の上におく。 棺の前に立ち、紅白の菊を棺の餡子に差し込んでいく。これが俺がする、飼いゆっくりとしてのれいむの弔い方だ。 れいうーしゃが現れる。建物に隣接している霊園にれいむの棺を送り届けるためだ。れいうーしゃにれいむの棺を渡す。 れいむだったものはもうリボンしか入っていないが、それでもれいむの棺だ。 俺達はれいうーしゃの後についていく。 れいむの墓に棺を入れる。棺はゆっくりの大きさに合わせたものであるので、お墓にある空洞に棺を入れる。 棺を入れたら空洞に蓋をする。これでれいむは安らかに眠れる。 ふくれいむはつぶやく 「おかあさん、ゆっくりねむってね・・・。」 今まで本当にありがとう。れいむのことは死ぬまで・・・、いや死んでも忘れないよ。 これからはれいむの家族と、俺のことを見守っていてくれ。 さようなら。 <おまけ> 「せんぱーい!知ってるっすか?知ってるっすか?」 「君のテンションが高い理由なら知らないよ。」 「ちがうっす!人気のあのペットショップのことっす。あの菊の花のマークがついてるっていうやつっす。」 「まぁ、一応はね。」 「友達のなかで話題になってるんっすよ!是非知りたいっす!」 「ふーん、あそこねぇ。いいとこだけど学生が行くようなとこじゃないよ。 ゆっくりの品質に関してはかなり上質なものばかり売ってるし。」 「自分は別にゆっくりを飼おうと思っているわけじゃないっす!あのマークがなんなのか知りたいだけっす!」 「はいはい、仕方ないなぁ。あのマークは餡統の良さを表しているんだよ。」 「餡統の良さを表すのに菊のマーク?なんか変っすね?」 「あの菊の花のマークはね、その餡統のゆっくり達に対して行われた葬儀の回数を表しているんだ。 ペットの葬式ってのはお金がかかるだろう?それを敢えてやってもらえるようなゆっくりは、飼い主をゆっくりさせたといっても過言ではない。 そういう判断から葬式の数を餡統の指標として使っているんだ。」 「ふーん・・それって当てになるんだかわかんないっすよね?」 「まあね。普通の餡統表も当てにならないから、人によってはこっちを重視するんだよ。」 「そんなもんっすかねぇ。」 「そんなもんだよ。人は歴史をありがたがるから」 <あとがき> 前回は愛でよりHENTAIが前面に出てしまったので今回はちゃんとした愛で作品です。 にしても真面目な物語を書くのは意外と難しいですね。ところどころボケやギャグを入れたくなる衝動に駆られました。 今作品に関係ない話ですが、 のすたるじあき様、挿絵ありがとうございました。 かわいいみすちーの絵も含めてとてもゆっくりさせていただきました。ありがとうございます! 後書きはこれくらいにして・・・ 以上シリアスを書くと筆が遅くなるドナルドあきでした。 菊の花言葉は・・・? 過去作 anko1066 ゆくドナルド anko1166 ゆくドナルド2 anko1304 れいむと・・・ anko1384 豆れみりゃとこうまかん anko1395 ゆくドナルド3 anko1404 お前のゆん生30点 anko1432 幸福マスベ
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その畑では、本当に、お野菜さんが、勝手に生えてくるのであった。 理由は判らないが、数日前にゆっくり達が言っていた台詞が真実になってしまったな、と思った。 「だから、ここは、僕のおうちで、これはお兄さんが育てたお野菜なんだよ。」 「おやさいさんはかってにはえてくるんだよ!!」 「おやさいさんをひとりじめするにんげんさんはずるいよ!!ゆっくりしんでね!!」 「「「「「ちんでにぇ!!!!!」」」」」 まりさとれいむと、赤ゆっくりが5匹。初めてゆっくりの被害にあってしまったが、 なんというか、本当にこんな思考をしてるんだなぁ、と驚愕するばかりである。 別に自分は農業で生活を立てている訳ではない。親から受け継いだ畑で、趣味として野菜を育ててるのだ。 新鮮な野菜を食べれるし、国からわずかだが、お金も出る。それだけだ。そんな理由なので荒されても別に心は荒まない。 被害も、きゅうりが4本程度、トマトが5個くらいだろう。どうでも良かった。 だが、自分が畑を荒してる所を止めようとしたら、体当たりしてきたのだった。 ぽこん、ぽこんと足に体当りする様が面白かったので、捕獲しようと思った。 使っていない納屋まで誘導し、扉に鍵を掛ける。 こうして、着いてきた一家丸ごと捕まえる事に成功したのだった。 「ゆっへっへ。もういちどまりささまのたいあたりをくらいたくなかったら、ゆっくりここからだすんだぜ!!」 「そうだよ!!まりさはとってもつよいんだよ!!!はやくあやまったほうがいいよ、おにーさん!!!」 「「「りぇーみゅちゃちに、はやきゅあみゃあみゃをもっちぇきちぇね!!」」」 「「まりしゃちゃちにももっちぇきちぇね!!しょしちゃらゆっきゅりちんぢぇね!!!」」 どうも、先程の体当りで優位に立っていると思っているようだ。捕まえたと言っても閉じ込めている訳ではないし。 まあ、いいか。……と野菜は勝手に生えてこない事を根気よく説明したが、返事は、勝手に生えてくる。という一点張りだ。 これはやり方を変えないと駄目かも。そう思ってると足に音が鳴る。 「ゆっふっふ。おにーさんのざれごとに、つきあっていられないぜ。まりささまのこうげきでしんでもらうぜ。」 またもや、ぽこんぽこんとリズムを奏でる事にしたようだ。 「うっそお?」 さっき何度も繰り返して効かなかった攻撃を繰り返すとは。他に攻撃の手段はないのか、と驚いてしまった。 「まりさ!!ゆっくりきいてるよ!!!」 「「「おちょーしゃん!!ぎゃんばっちぇにぇ!!!しょしちぇあみゃあみゃをとってきちぇね!!!」」」 効いてないし、と突っ込むよりも、子供達の台詞がひたすらに甘い物を求めているだけな事のほうが気になる。 そういえば、ここに缶ドロップがあったことを思いだので、気づかれないように移動、そして腕だけ動かし 缶ドロップを取る事に成功した。そして、まりさの攻撃?に合わせて飴を落とす。 「「「ゆゆ!!?おにーしゃんからにゃにきゃおちちぇきちゃよ!?」」」 親が必死に体当りしてる場所が近いと飴を拾えないだろうから、気づかれないよう移動する。 「「「ちあわしぇ~~♪♪きょれはちょってもあみゃあみゃだにぇ!!!」」」 うお、いきなり口に含むとは・・・。何という警戒心の無さ。 「まりさ!!おにーさんをこうげきしたらあまあまがでてくるよ!!!」 「わかったんだぜ!!もっとこうげきをはげしくしてあまあまをださせるんだぜぇえええ!!!」 「「「おちょーしゃん!!もっちょあみゃあみゃをだしちぇね!!!!」」」 飴が落ちるたびに子供達がきゃいきゃい騒ぎ出した。 ……しかし、何度か続けると、飴が出なくなってしまう。 まあ、缶ドロップの中身などたかが知れている。というか飴を舐めないで食べてるから消費が早いのだ。 「まりさ!なにやってるの!?はやくあまあまをだしてね!!!!」 「「「ひゃやくだしちぇね!!やくたたじゅにゃおちょーしゃんはちんでにぇ!!!」」」 「どぼじでぞんなごどい゛う゛のお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」 何故か責められる親まりさ。不憫だ。助け舟を出してやろう。 「まあ聞きなさい。飴さんは勝手に落ちてこないんだよ。限りがあるんだ。お野菜さんだって同じだよ? 勝手に生えてこないんだ、解るかな?」 「ゆゆ!!?まりさのゆっくりぷれいすににんげんさんがいるよ!!?」 「そんなのどぼでぼいいでじょお゛お゛お゛!!はやくあまあまざんをだじででいぶにもっでぎでね!!! でいぶはまだあ゛まあ゛まざんをだべでない゛んだよ!!!」 「「「やくたたじゅのおちょーしゃんはちね!!しょしてあまあましゃんをもっちぇきちぇね!!!」」」 聞いてなかった・・・。というより気づいたのはまりさだけだ。 そのまりさもさっきは出してといっていたのに、今ではここが自分のゆっくりぷれいすだと思っている。 れいむは、子供達を優先したようだが、心の中は飴に夢中だったらしい。涎が物凄い事になっていた。 子供達は甘いものしか見えてないのが哀れだ。これが、ゆとり教育の弊害かもしれない。 「にんげんさんはまりさのゆっくりぷれいすからでていってね!!!そしてあまあまをもってきてね!!!」 「ばりざあ゛あ゛あ゛!!!あまあまざんをだすのをあぎらめない゛でえ゛え゛え゛え゛!!!」 「「「あまあまをもってこないまりしゃおちょーーしゃんはゆっくりちんでにぇ!!!」」」 駄目だ、この一家。家庭崩壊とかいうレベルじゃない。なんだか親まりさが哀れで泣けてくる。 あまりにも(頭が)可愛そうだったので捕まえるのは止めた。納屋から出してやる。 「ゆゆ!!??おやさいさんがいっぱいあるよ!!!ここをまりさたちのゆっくりぷれいすにするよ!!!」 「ゆ!?……やったね!!まりさ!!さすがれいむのおっとだね!!!」 「「「おちょーしゃんしゅぎょーい!!!」」」 目の前に畑があっただけなのだが、それだけで突然一家の中が良くなった。なんだこいつら。 「むーしゃ、むーしゃ!!しあわせーー!!!」 「むっしゃ!むっしゃ!!しあわせーー!!!」 「むーちゃむーちゃ!ち、ちあわちぇええええええ!!!」 一家そろってガツガツと野菜を食べ始めるが、自分はもう止める気はなかった。 どうせ趣味でやってる畑だ、こう幸せに食べてくれるなら、いいじゃないか。自分ではこうも幸せそうに食べられないし。 それに、親まりさには同情している。こんな一家の大黒柱を務めるなど、とても出来ない事だ。 まあ、かといって家に上がられると困るので、家の鍵は厳重に閉めておこう。 毎日自分の畑に来ては、野菜を食い漁っていたまりさ一家だが、その幸せは突然終焉を迎えた。 なんと、畑に野菜が全くなくなってしまったのである。 「どぼじでおやざいざんがないのお゛お゛お゛お゛お゛!!!!」 「「「ゆえーーん!!おやしゃいしゃんたべちゃいよおおお!!」 「まりざあ゛!!!まりざがたべだんでじょお゛お゛お゛お゛!!!」 「でいぶだっでだべだでじょお゛お゛お゛!!ぞれに!!おやざいざんは!がっでにはえでぐるんだよお゛お゛お゛!!! なぐなるばげない゛んだよお゛お゛お゛お゛お゛!!!!!」 「じゃあ゛なんでないのお゛お゛お゛お゛!!!?まりざのぜい゛でじょお゛お゛お゛お゛お゛!!!!! おやざいをだべだまりざはごみぐずい゛がだよ!!!!」 「「「おやしゃいしゃんをたべちゃ、まりしゃおちょーしゃんは、ゆっくちちね!!!!」」」 「どぼじでばりざのぜい゛にずるのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 家の窓から覗いていたら、こんな光景を繰り広げていた。まあ2週間もバクバク食ってたら無くなるよね。 無実(?)の罪で罵られ、妻からは、 「まりさは今日の分の狩りをして帰ってきてね、れいむ達は家に置いてあるお野菜を食べて待ってるね。」 というような事を言われ、置き去りにされているまりさ。 相変わらず不憫だ。と思っていると、畑に向かって土下座し始めた。 「かみさま、おねがいだから、おやさいさんをちゃんとはやしてあげてね!かってにはえてくるのをじゃましないでね!」 という台詞を土下座しながら叫んだまりさは、去っていった。何言ってるんだろう、あのまりさ。 だがまあ、神頼みとはゆっくりにしては、上等な行為をするものだ。宗教の概念も無い物体の癖に……。 まりさのお願いをせめて、山の神様に届けてみるか。そう思い、お賽銭を山の上の神社に投げ入れる事にした。 神社に着くと、参拝客は誰も居なかった。この寂れ具合だと、優先順位は一位だろう。願い事が少しアレだが。 自分は全てのゆっくりの平和を願っておくか。 この願いよりは、まりさの願いの方が若干楽だろうから、自分の願いは後回しなはずだ。 翌日、自分の畑には野菜が全開で生えていた。ありえん。 「ゆゆーーーっ!!まりさのゆっくりぷれいすにおやさいさんがはえてきたよおおおおお!!!」 「まりさのいうとおり、きのうはおやさいさんがゆっくりしてただけだったんだね!!!」 「「「おちょーしゃん、ものちりだにぇ!!!!」」」 「ゆっへん!!みんなでおやさいさんをたべようね!!!!」 ガツガツと食っていくまりさ達。おいおい、一日で出来た野菜とか恐くて食えねーよ・・・。少しは考えようよ。 「「しあわせーーーー!!」」 「「「ちあわちぇええええええ!!!!」」」 食えるのかよ。しかも旨いのか。まあいいよ、自分は食う気にならないし・・・、好きにしてくれ。 まりさの地位も元に戻ったようだし、満足だ。ヒエラルキー最下位はつらいよな。 さらに、次の日、畑の野菜の濃度が上がっていた。個人でやってるような畑ではなく、農業を営めるような畑だった。 神社効果か?神様スゲェ、としか言いようが無い。まあ、隣の家まで2kmある田舎だからそうそう騒ぎにはならないだろう。 「おやさいさん、すっごいゆっくりしてるよぉおおお!!!!」 「こんなにゆっくりとしたおやさいさんは、はじめてだね!!まりさすごいよ!!!」 「「「しゅごいゆっくちだにぇ!!!おちょーしゃんだいしゅきだよ!!!!」」」 「ゆゆ~ん。てれるよぉお!!」 まりさの株もストップ高だ。おめでとう!!まりさ、おめでとう!! 心の中で誉めてやる。 それからは、毎日がゆっくりデイだった。 お野菜は本当に勝手に生えてきたので、まりさはゆっくりしている。 妻のれいむとの仲も良好なようで、常に頬擦りしてるような感じであった。 まりさの子供達も発育が良く、最近では、赤ちゃん言葉が抜けてきたようだ。 試しに家族を尾行して巣を探してみたが、巣の中は人間が入れる程広く、野菜も存分に保管されていた。 というか、巣というのは俺の納屋であった。畑は納屋をも侵食し、今や大農園の様相を呈していたので、気づかなかった。 そろそろお隣さんにバレるかと思ったが、お隣さんはいつの間にか空き家になっていた。 調べてみると半年前かららしい。ビクビクしていたのが馬鹿らしい。 1ヵ月後、最近まりさ達の姿が見えないな、と思い探してみる事にした。 納屋が探せない・・・。なんという野菜王国。自分の家だけを避けるようにびっしりと生えた野菜の楽園。 ここまで来るとさすがに気持ち悪い。もうやめて。と神社にお祈りしにいこうかな。どうせ自分はこの野菜を食べないし。 30分程かけて納屋を見つけた。中に入ると入り口には変な生物が居た。冬虫夏草っぽいゆっくりだ。 「あ゛あ゛あ゛あ゛!!!でいぶのあんごがずわ゛れでい゛ぐう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛」 れいむらしい。頭からトマト(大)を30個はぶら下げている。というか、そう言っている間にもトマトが生っていく。 養分が吸われるのか、それを補うようにずりずり移動しながら野菜を食べている。気持ち悪い。 キャベツを食いながらトマトを生産するとは・・・。これが連金術か。 無視して中に入っていくと、子ゆっくり達が居た。 「おねーちゃんのとまとおいじい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛」 「れいむのきゅうりざん、どっでもあまあまだよお゛お゛お゛お゛お゛お゛」 「まりさおねーちゃんのいちごさん、すごくゆっくりだねえ゛え゛え゛え゛え゛え゛」 「おねーぢゃんのなずざんばすっごぐじんなりじでる゛よお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛」 「まりさのとうもろこじはざいごうだよう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛」 数珠繋ぎだった。野菜が生えてくる瞬間から共に食べあっている。うーん、飽きないのかなあ・・・。 飽きたら順番変えればいいのか?・・・というかトウモロコシだけ凄い食べにくそうだが。まあいい、ほっとこう。 まりさを探す。まりさは何処だ?まりさやーい。 奥の奥、納屋の中でも全く日に当たらない暗闇の中、まりさは居た。懐中電灯を持ってきてようやく見つけたのだった。 見てみると頭から野菜は生えていない。おお、無事だったか。 「ゆ!!?おにーざん!!???」 覚えててくれたとは、おにーさん嬉しいよ。 「おに゛い゛ざあ゛ん!!!ごごは、ぜんぜんゆっぐりでぎない゛よお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 よしよし、何があったか話して見なさい。おにーさんに聞いてみて? 「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん!!!!」 早く話してよ・・・。 まりさの説明は要領を得なかった。3時間かかって、ようやく理解した頃には日が暮れていた。 ながったらしい説明である、正直途中で見捨てようかと思ったが、泣いてすがり付いてきたので我慢する事にした。 光っていたお野菜さんの種があったので、家族で食べた。 すると、まりさ達の頭の上に野菜が勝手に生えてくるようになっていた。 最初は喜んでいたが、自分の力が吸われていく、と気づいてパニックになる。 れいむが頭の茎をへし折った所、今度は2本の茎が生えてきた。折るのはまずい、と理解した。 力が抜けていくのを感じたので、急いでお野菜を食べたが、一向に力が戻らない。 それどころか、余計にお野菜さんが力強く生えてくるようであった。 日が沈むと、お野菜さんは生えてこなくなり、この時にお野菜を食べれば力が戻ると解った。 なら、安心だね。と笑いながら眠ったが、それが間違いだった。次の日には益々お野菜さんが生えてきた。 まりさは恐くなって納屋の奥に逃げた。しばらくするとお野菜さんが大人しくなっているが解った。 まっくらな所にいれば、お野菜さんは生えてこない。すごい事に気づいたと思った。 急いで家族に知らせようとしたが、その時はすでに夜であり、何も見えなかったので、次の日に知らせる事にした。 だが、その時には遅かった。れいむは頭から10本のトマトを実らせ、ほとんど動けず。 這いずりながら野菜を食う、生きる屍と化していた。 子供達もほぼ同じ状態。跳ねる事が出来なければ、この暗闇には来れない。 まりさは一人、暗闇に舞い戻るのであった。 ………。光る種を食べたのはまあいい。……だが、ゆっくりしすぎだ。答えを先延ばしにした結果がこれじゃないか!! 「おにい゛ざあ゛ん!!だずげでねえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!」 やれやれ、解ったよ。同情しちまったなら、最後まで面倒みるのが筋さ。 というか神社にお祈りしたせいなら、半分は俺のせいだし。 そういうわけで、夜なのに神社にやって来た。上等な酒を持ってきたので大丈夫なはず。人間も神様も酒が好きのだ。 おやさいさんが勝手に生えてくる、という願いを取り消してください。お願いします。 シンプルに願って、山を降りた。 自分の家に着くと、そこは普通の畑があるだけだった。野菜都市は崩壊したようだ。 そうだ!!まりさは!?まりさはどうなった!!?? 急いで納屋に駆け込む。 冬虫夏草なれいむと子ゆっくりは死んでいた。恐らく、身体のほとんどを野菜に乗っ取られていたんだろう。 まりさは大丈夫だろうか。侵食の具合が気になる。納屋の奥に行くと、まりさは泣きながら胸に飛び込んできた。 「おにぃーざーーん!ありがとお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!まりざのなががら、おやざいざんがぎえだよお゛お゛!!」 ……、全く、これに懲りたらお野菜が勝手に生えてくる、なんて言っちゃ駄目だよ? 「わがっだよお゛お゛お゛お゛!!!ありがどう゛!!ありがどう゛う゛う゛!!!」 その後、妻と子供の死を知り、また泣いたまりさだったが、家族の分まで生きていくと言っていた。 自分と一緒に暮すか?と聞いたが、これからは、お野菜さんが勝手に生えてこない事を布教して回るという。 ゆっくりまた会おうね。と別れた。 いい奴だったな……。ゆっくりにもいい奴がいる。そんな事を、思った。 しかし、山の上の神社は本物かな?何か間違った方向に叶ってしまう気がするから使う事はないだろうけど……。 自分も何か願ったような……。気のせいかな? ───────────── 前に書いたの まりさとの平日 ぱちゅりーとおにーさん
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『ゆっくり公民 ~奴隷解放~(前編)』 27KB いじめ 引越し 群れ 自然界 5作目 前編 ゆっくり公民 ~奴隷解放~ anko2703 ゆっくり公民 ~奴隷制~ anko2720~2722 ゆっくり公民 ~カースト制~ anko2764~2767 ゆっくり公民 ~農奴制~の続きになります ※ゲスなゆっくりの群れが制裁されず生き残ることがあります 秋の彩りの森の一画にゆっくりが集まっている、その数はおよそ40を超えるだろう、ゆっくりの群れだろうか、それとも集団で食料収集をしているのだろうか。 どちらを考えた人も、その集団を詳しく見てみれば違和感を感じるだろう、集まっているゆっくり達、彼らはみな同種のゆっくりであり、皆それぞれ何か木の葉に包んだ物を頭に乗せていたり、木の枝を体に立てかけていたり、大きな木の皮を引き摺っていたりと物物しい、やはり食料を集めているのだろうか。 「ゆぅ、みんなそろったね!」 その集団の先頭に立っているのは一匹のゆっくり、赤いリボンを付けたゆっくりれいむである。 野生で暮らしているゆっくりにして、汚れも傷も少ない美しいリボンとその体から比較的若いゆっくりではないかと推測できる。 そのれいむが集団に声をかけている、やはり彼女がリーダーとなり、これから狩に赴くのだろうか、誰かがそのことを彼らに聞けば否定されるかも知れない。 彼らは今日旅立つゆっくりだからである。 「ゆ……それじゃぁれいむたちはこれから"りそうのゆっくりプレイス"をめざすよ!」 れいむの言葉に様々な言葉で同意を示すれいむ達――区別が難しいので、集団のリーダーのれいむはリーダーれいむと呼ぶことにする。 「よていどうり、さいしょにとなりのむれにいって、れいむたちとごうりゅうするよ、そのごはもりのおくをめざすよ!」 「きょうこそ"れいむ"かいっほうのときだよ、ゆっくりできないむれにみきりをつけて、れいむたちはれいむだけのむれをつくるよ!」 リーダーれいむの演説にれいむ達のボルテージが上がって行く、 「それじゃあ、しゅっぱつだよ!!!」 号令で動き出すれいむ達、頭に乗せたものを落とさないようにもみ上げで抑える者、木の枝をもみ上げで掴んで引き摺る者、二匹で木の皮に乗せたものを運ぶ者、歩みはとてもゆっくりとした物だが皆確かな目的を持って一方向を目指している。 「ゆ、れいむ、とうとうしゅっぱつしたね!」 集団の先頭に立って進むリーダーれいむの横に、一匹のれいむが追いついて来る、顔の数箇所に鋭い傷跡の残るれいむである。 「ゆぅ、やっとしゅっぱつできたよ、でもさいしょがかんじんだよ……」 「さいしょはとなりのむれにいくんだっけ?」 リーダーれいむに聞く傷れいむ、 「そうだよ、まずはとなりのむれのれいむのかいっほうだよ、れいむのいもうともたすけないと……」 「そのあと、みんなでもりのおくへむかうよ!」 「ゆぅ、いよいよだね、いよいよもりのおくへいけるんだね?」 「そうだよ、れいむのおしえてくれた"りそうのゆっくりプレイス"なんとしてもそこへいって、れいむたちだけのゆっくりプレイスをつくるよ」 「そうだね、あのむれはれいむをゆっくりさせてくれなかったから……」 途端に暗い顔になる二匹、彼らは元々とある群れに暮らすれいむであった、実はこの旅立ち正確に言えば群れからの脱走である。 多くの脱走ゆっくりがそうで有るように、れいむ達も元々の群れに不満を抱き群れから出ることにしたのである。 「ゆぅ、れいむのいたむれもひどかったよ、しごとしごとでいっつもゆっくりできなかった……だから、もりのおくをめざすんだよ!」 傷れいむが呟く、傷れいむはリーダーれいむの群れに加わっていたが元々はさらに別の群れからの脱走ゆっくりであった。 そんなれいむ達が不満を漏らす群れ、今逃げてきたところで有る群れはとても変わった制度を持つ群れであった。 「ゆっくり・かーすと」それが群れの制度の名前である、ゆっくりを種ごとに区別するこれは、群れの長を含む希少種を最もゆっくりしたゆっくりであるとして、その下に他のゆっくりが付くものであった、れいむ達れいむ種はその中で最下位の「どれい」に位置づけられており、様々な差別や迫害を受けていたのである、そんな中不満を持つれいむ達は今回の脱走を決意したのである。 「まったく、あんなゆっくりしていないおさなんて、こっちからねがいさげだよ!」 ぷんぷんと怒るリーダーれいむ、彼女が今回の脱走を決意し群れのれいむ達をまとめ旅立つまでは様々な苦労があった。 「れいむたちはみんなで"りそうのゆっくりプレイス"にいって、ゆっくりしたむれをつくるよ!」 4.奴隷解放 ~Emancipation~ リーダーれいむは当然ながら生まれた時かられいむ種である、「ゆっくり・かーすと」を定める群れにあってれいむ種に生まれること、それは生まれながらにして「どれい」という立場に置かれる事でもあった。 れいむは、ちぇん種の父とれいむ種の母の間に生まれた三人姉妹の長女であった、妹はちぇんとれいむが一匹ずつであり。 家族は貧しいながらも飢えることなく暮らしていた。 「おちょうしゃん、ほんちょにきょうはおちょとにいっちぇいいにょ?」 「わきゃるよー、おしょとであしょぶんじゃね!」 「おしょとたのしみじゃね!」 「そうだよー、おちびちゃん、ゆっくりおとうさんのおぼうしにのってね!」 れいむが生まれて暫く経ち、体も少し丈夫になると父ちぇんは子供を頭の上に乗せてお外に連れて行ってくれた、父ちぇんの上から降りることは出来ないが、ゆっくりと群れの中を進んでくれる父親の上から眺める景色はとてもゆっくりしたものであり、れいむや妹たちもそれが大好きだった。 赤ゆっくりは体が弱いため、めったに外には出してもらえないが、母親が巣のすぐ外で日向ぼっこさせることは多い、しかしれいむ達姉妹が生まれて暫くすると梅雨になってしまったため、れいむ達は外に出ることが出来なくなってしまった。 おうちの中で以前に出してもらったお外の美しさに思いを馳せるれいむ達、雨さんはゆっくりしていないものだし、それを厳しく注意する母親の言いつけを守るくらいは頭の良かったれいむ達はおうちの中で外に出られる日を夢見ることになる。 そして夏、おうちの中で育ち子ゆっくりくらいの大きさになれたれいむ達は念願のお外に遊びにいける様になった。 最初こそ父ちぇんと母れいむが付きっ切りだったが、数回も遊びに出ると付き添いは母だけになり、母に連れられて群れのゆっくりの子供が集まる場所にも行かせてもらえた。 群れの子連れのゆっくりが行く場所は、群れの広場とは別の小さく開けた場所であり、柔らかな草が生えているため、体の弱い子ゆっくりにとっては絶好の遊び場所である、親ゆっくり達は子供をそこまで連れて行くと子供を遊び場所に送り出し、その外で親同士の話題に花を咲かせることになる。 これは、子ゆっくり達がもう少し大きくなると行くことになる「がっこう」に行く訓練でもあり、基本的に親にも仕事が課される群れにおいて、子ゆっくりが親がいない間の自立心を養う時間でもあった。 そこには様々なゆっくりの子ゆっくりがいた、れいむ達と同じれいむ、ちぇんだけではなく、みょん、ぱちゅりー、ありす達が様々な遊びに興じている。 れいむ達も恐る恐るそこに近寄ると、皆快く仲間に入れてくれた、危険な遊びは近くにいる大人のゆっくりが止めてくれるし、怪我をする子ゆっくりが出ても、しばらくすると大きな銀髪のゆっくりが現れ傷を治してくれた。 れいむ達は遊び場での仲間との遊びに夢中になり、暫くすると母親無しでも遊び場に行ける様になった。 「れいみゅ~こっちにゃげるのじぇ!」 「ぱちゅりーがねりゃってりゅわ!」 「むきゅ~ばりゃしゃないで~」 今子供ゆっくり達は大きな木の葉を奪い合う遊びに興じている、れいむ達姉妹も加わっており、目をキラキラと輝かせて木の葉を追いかけている。 そんな時間は、れいむの最もゆっくり出来た時間であった。 そんな幸せな日々に陰りが見えたのはある日の事であった、子ゆっくり達は夏の日差しの下追いかけっこに興じていた、れいむと妹れいむもそれに加わって居たのだが、ちょっとした事故から子ゆっくり達の間で喧嘩になった時の事である。 れいむは喧嘩の当事者という訳では無かったが、妹ちぇんの親友の子ちぇんが子まりさに詰め寄られて居たことから仲裁に入ることになった。 「うるしゃいのじぇ!どりぇいのれいみゅが、まりちゃにくちごちぇえしゅるなんちぇ、なまいきなのじぇ!」 その時、子まりさから浴びせられて怒声がこれであった、その時は近くに居た親ゆっくりが仲裁に入り事なきを得たが。 子まりさの言葉にゆっくり出来ないものを感じたれいむは、その日の夜おうちの返ってから母れいむにそのことを尋ねた。 「ゆ!ゆぅ、おちびちゃんそんなこといわれたの……」 「しょうのなのじぇ、れいみゅどりぇいになんてなっちぇにゃいのに」 「ゆ……お、おちびちゃんそれは……」 れいむとしては母れいむがれいむの受けた侮辱に一緒になって憤慨してくれることを期待していた、ところが母れいむから帰ってきたのは戸惑いと悲しみであった。 その話は夜のむーしゃむしゃで有耶無耶になってしまい、れいむは心に何か釈然としないものを残すことになったが、その夜、父ちぇんが子供達を集めると真剣な顔をして説明してくれた。 「おちびちゃん、このむれにはね、このむれには"ゆっくり・かーすと"があるんだよーわかってねー」 その後、父ちぇんから説明されたの驚くべき内容であった、この群れではゆっくりによってゆっくりできる度合いが決まっており。希少種が一番上で、その下がまりさとみょんの"せんし"、その下にぱちゅりー、ありす、ちぇんの"へいみん"、そして一番下がれいむ達"どれい"だと言うのだ。 「ゆっくりしているゆっくりには、さからえないんだよー、わかってよー……」 父親の説明にれいむと妹れいむは憤慨した、せんしやへいみんの意味が分からない子ゆっくり達もどれいがゆっくりしていないものである事は分かる。 「なんじぇ、れいみゅこんにゃにゆっきゅりしちぇるよ!」 「どぼじで、どぼじでれいみゅがゆっぐりじでにゃいっていわれるにょ?」 大きな声を上げるれいむ達、そこに奥ですーやすーやしていると思っていた母れいむが顔を濡らして現れる。 「ごべんねぇ、おかあさんがれいむで、ごべんね!」 涙を流す母親にすーりすーりを返し、その夜はお開きとなった。 その後の遊び場ではあの時の事はほとんど話題に上がらなかった、子まりさも次の日現れればケロッとしてれいむと一緒に遊んでくれたし、れいむも妹達もあの時の事は忘れることにした。 しかし、れいむ達がカーストを強く意識させられる日は、そう遠くなくやってきたのだ。 夏の暑さが厳しさを増していく中、木々に遮られた日陰の中に子ゆっくりが集まっていた。 中央と成体ぱちゅりーが立ち周囲の子ゆっくりを見回している、周りにも数匹のぱちゅりーの姿が見られる。 「むきゅ、みんなそろっているようね、ぱちぇのがっこうへようこそ、おちびちゃん!」 これはこの群れの「がっこう」である、親達が群れの仕事をしている間子ゆっくりを預かり、群れの掟や森の知識を教える場であり、ぱちゅりー種によって運営されている。 春に生まれた赤ゆっくりが既に子ゆっくりとなった為、今年もこの学校が始まることになったのだ。 れいむ達以外にも、沢山の子ゆっくりが中央のぱちゅりーを見つめている。 しかしその中に明らかに特別扱いを受けている子ゆっくりがいた、彼らだけは座っている場所に柔らかい草が敷き詰められており、後ろに一匹のぱちゅりーが控えている。 れいむは初めて見るその子ゆっくりから目が離せなかった、今まで居た遊び場でもあった事の無いゆっくり達、そちらに気を向けていると「せんせい」であるぱちゅりーに注意されてしまう、視線を前に戻すと、先生達がそれぞれ挨拶をしていく。 その後は、学校についての注意が行われ、最初の授業が始まる、ぱちゅりーが語ったのは群れの掟であった。 他のゆっくりの物や群れの倉庫の物を盗んではいけない、他のゆっくりを傷つけてはならないそんな掟が説明される。 それらはこれまでも母れいむや父ちぇんが教えてくれたことであった、れいむや周りの子ゆっくりも当然という顔で聞いている。 しかし次に説明されたのが「ゆっくり・かーすと」であった、ざわめく子ゆっくり達、一部は既に親ゆっくりから聞いていたのか当然という顔をしている――まりさ種が多い。 れいむはそれを聞いて以前の出来事と、その後父ちぇんから受けた説明を思い出していた。 れいむ種は「どれい」である言われ、動揺するれいむ種の子ゆっくり達。 一部では先ほどれいむが注目したゆっくり達がカーストの一番上――最もゆっくりしたゆっくり――である希少種のゆっくりであるという話が広がっている。 れいむは先ほどのゆっくりを思い出し納得しかけるものの、自分がどれいと呼ばれる事にゆっくり出来ない思いを抱える事になった。 その日は群れの掟の説明で学校はお開きとなった、お昼のむーしゃむしゃに一度おうちへ戻る子ゆっくり達、れいむと妹達もおうちへ戻ってむーしゃむしゃをしてから母れいむに断り、午後のお仕事に向う両親を見送ってから、あの遊び場を訪れていた。 「ゆ~、きょうもゆっくりあそぼうね!」 そんな風に妹達と語りながら遊び場に着いたれいむは遊び場の雰囲気がおかしい事に気が付く、違和感を感じながらも遊び場に入ろうとしたれいむの前に数匹の子ゆっくりが立ちふさがった。 「ゆ、どれいのれいむなのぜ!」 「れいむは、ゆっくりしていないみょん!」 「どれいとはいっしょにあしょべないのぜ、まりしゃたちは"せんし"なのぜ!」 その時れいむも気が付く、遊び場にれいむと同じれいむ種の子ゆっくりが見当たらないのだ。 「ゆぅ、なにいってるの、れいむもいっしょにあそばせてね!」 「そうだよ、あそびばをひとりじめしないでね!」 抗議の声を上げるが、子まりさ達はニヤニヤと笑うとそれを一蹴する。 「なにをいってるのぜ、どれいといっしょじゃゆっくりできないのぜ!」 「どうしてもっていうなら、れいむであそんでもいいみょん!」 「しょうなのじぇ、どりぇいをつかってみるのじぇ!」 そんな事を言いながらにじり寄ってくる子まりさ達、子ちぇんや子ありすなど他のゆっくり達は関わらないように遠巻きにそんな様子を見つめている。 「くらうのぜ!」 「かりのれんしゅうだみょん!」 その言葉を皮切りに、子まりさと子みょんがれいむ達に体当たりをしてくる、 「い、いたいよ、やめてね、やめてね!」 「ゆぅ、いちゃい!」 痛みを訴えるが止まらない子まりさ達に、何とか遊び場から逃げ出すれいむと妹れいむ。 「おねぇちぇん……いちゃいよ!」 「ゆぅ、ゆっくりできないよ、どうして……どうしていきなり……」 れいむ達の受難はこの日以降続く事になる、学校で何度もカーストが説明されたせいで、子ゆっくり達はカーストを当然のものとして理解するようになった。れいむ達れいむ種は幾度と無く嫌がらせを受けることになる。 遊び場はまりさ種とみょん種の子ゆっくり達が占領するようになり、彼らを怒らせないちぇん種、ぱちゅりー種、ありす種の子供達は入れてもらえるものの、れいむ種の子ゆっくりは完全に追い出されてしまった。 また学校の授業で面倒なことがあれば、れいむ達に押し付ける習慣まで出来てしまう。 いつしか、れいむ達れいむ種の子供達は同種だけで集まって遊ぶようになっていた。 皆で集まって遊ぶときも、話題といえばカーストに対する不満である、この頃になると子供達も親達が行っている「群れの仕事」について理解しだしており、そこでもれいむ種が悪い扱いを受けていること、将来的には自分がそうなることを漠然と理解していた。 「ゆぅ、かーすとはゆっくりできないよ!」 怒りで暴発することも出来ない、親達は悲しんではくれるものの、それ以上の行動はしてくれないし、カースト上位のまりさ、みょんと達は身体能力がれいむ達より高いのだ、学校でもカーストが上のゆっくりに逆らうことは、とてもゆっくり出来ない事であると繰り返し教えられている。 れいむ達は不満を溜め込む事になった。 そんなある日の事、群れにちょっとした事件が起こった、一匹の傷付いたれいむが群れに保護されたのだ。 その頃群れでは「神隠し」という事件が起き、群れの大人達が周囲を厳しく見回っていた。 始めは容疑ゆとして長の下に連行されたそのれいむは暫くすると疑いが解かれたのだが、彼女が語った内容は群れのゆっくり達に驚愕を与えた。 彼女はこの森の外から来たゆっくりだというのだ、この森の外には「にんげん」というとてもゆっくりしていない生き物が存在し、そのにんげんが作っているプレイスではゆっくりが奴隷として扱われ酷い目に遭っているというのだ。 そこから逃げ出して森の奥にあるという理想のゆっくりプレイスを探しに来たという傷れいむ、恐らくれみりゃに襲われたと思われるそのれいむは目の横に二本の鋭い傷が残っていたが回復し、一時的に群れに受け入れられる事になった。 群れの長達首脳部は、れいむの話した内容について調べるべく、群れのゆっくりから調査隊を募り、それに答えたありす種をれいむの証言のあった方向へ「とかいはちょうさたい」として派遣することになる。 しかし、その調査に派遣されたありす達が群れに帰還することは無かった、長は群れのゆっくりにその方角への探索を禁止することになる。 その少し前、れいむにも大事件が起きていた、その頃両親達がれいむ達姉妹がすーやすーやした後、何か真剣な顔で話し合いをしていたのには気が付いていたれいむ、何かゆっくり出来ない雰囲気がそれについて聞くことを邪魔していたのだが。 ある日の夜、夜のむーしゃむしゃの時に両親から驚愕の事実が告げられた。 なんと妹れいむに隣の群れに行ってもらうと言うのだ。 「ゆぅ、なんで、なんでなの?すえっこのれいむはかぞくのあいどるだよ!?」 「ゆぅ、おかーしゃん、なんでれいむを……れいむ、すてられるの!?」 「わからないよー、どうしてれいむが、おとなりのむれにいかなくちゃいけないのー」 驚愕と疑問の声を上げる姉妹、本ゆん達も苦渋の決断であるのか厳しい顔をした両親の話はこうであった。 商人まりさ――群れに色々なものを売りに来ているゆっくり――から隣の群れが子ゆっくりを欲しがっているという話があった、両親も悲しいがこの群れではれいむのおちびちゃんはゆっくり出来ないし、できれば隣の群れでゆっくりして欲しい。 始めは不満の声を上げていたれいむだが、確かにこの群れに居る以上カーストから逃れることは出来ない、妹れいむとの別れは悲しいが妹が隣の群れでゆっくり出来るなら…… その夜、深夜まで続いた話し合いで結局妹れいむは隣の群れに行くことに決まった、その夜は久しぶりに家族でくっついて眠る、れいむは隣の妹れいむを抱きしめた。 そして翌日、群れの広場には大きなスィーが止まり、沢山の子ゆっくがそれを珍しそうに見つめている。 先ほどそのスィーから大きな袋を下ろしたまりさは、長のおうちへ入って行き今はここに居ない。 好奇心に目を輝かせる子ゆっくり達の中には、他と異なり明らかに悲しそうな目をしたものが混じっている。 妹れいむのその一人だった、妹れいむの周りには家族がしっかりと着いており別れを悲しんでいる。 その時、長のおうちから帰ってきた商人まりさがれいむの前を通った。 そのまりさは、れいむが見た中でも最もゆっくりとしたまりさだった、この群れのどんなまりさも敵わない大きな体、金髪が日光にキラキラと輝いており、綺麗なお帽子は漆黒で傷どころか、しわも見当たらない。 下からそのまりさを見上げていたれいむは、お帽子のつばの後がキラリと光ったのに心を奪われる。 このまりさなら、妹をゆっくりさせてくれるかもしれない、そう思うれいむの横でまりさは子ゆっくりをスィーに乗せていく、家族との別れを悲しむ子ゆっくり達も、商人まりさに促され泣き出しそうな顔でスィーに乗った。 子ゆっくりだけでは無い、奥には赤ゆっくりと思われる大きさのゆっくりも乗っている、れいむ種が多いようだが一部にありすやちぇんも見られる。 そうこうしていると、とうとう妹れいむの番になった。 「ゆぐぅ、おじびちゃん、どなりのむれでゆっぐりじでね!」 既に涙が零れている母れいむ。 「おちびちゃん、がんばってしあわせーになってね!」 必死に何かを堪える父ちぇん。 「れいむ、ゆっくりじでね……」 泣き始める妹ちぇん。 妹れいむの目とれいむの目が合う。 「れいむ、がんばってね!ゆっくりしていってね!」 「おねぇちゃん、ゆっくりしていってね!おねぇちぇんもがんばってねぇ!」 二匹が話している間に、親達に何かを渡した商人まりさがスィーに乗ると、ゆっくりと走り出した。 乗っている子ゆっくり達から別れの声が上がる、泣き出すゆっくりも居る。 「お"ねえちぇん、ゆっぐりじでいっでね~」 れいむの元にも妹れいむの涙声が届く、れいむは涙に濡れる頬を拭うこともせずにスィーの消えた方向を見つめていた。 おうちに帰っても家族は無言だった、努めて明るく振舞う父ちぇん、同じように妹ちぇんも明るく話すが、母れいむの落ち込み凄まじい物だった。 その夜のむーしゃむしゃはれいむも生まれて始めて食べるあまあまだった、口に入れると体中にしあわせーが広がる、しかしれいむは何故かしあわせーと口に出すことが出来なかった。 「ゆぅ、ゆっくりしていないよ……」 れいむは恒例のれいむ種の子ゆっくりの遊び場で不満を漏らしていた、れいむの家族と同じように子供を隣の群れにやった家族が多いのか集まるれいむ達も少し減ってしまったが、その事は誰も口に出さなかった。 そんなれいむ達の遊び場である茂みに何かが分け入ってくる音がする、他の子ゆっくりかと一瞬警戒するれいむ達、中に入ってきたのはそれより大きな成ゆっくりのれいむであった、顔の横には大きな傷が残ったている。 「れいむのおちびちゃん!?こんなところにいたんだ、ゆっくりしていってね!」 そのれいむは笑顔で声をかけてくる、警戒を解くれいむ達子ゆっくり。 少し前に群れに助けられたれいむである、客分として暫定的に群れの一員となっているのだが周囲のゆっくりに森の奥にあるという「理想のゆっくりプレイス」の存在を訴え、群れでそこへ向おうと言っているのだが、群れのゆっくりからは無視されている。 傷れいむも群れのカーストについては説明を受けているため、れいむ達が群れへの不満を訴えると真剣に聞いてくれる。 話を聞いてみると傷れいむも元々居た群れで奴隷のような扱いを受けていたという。 自分達の状況があるため、傷れいむの話に深く同情するれいむ達。 「ゆぅ、もりのそとでもれいむはゆっくりできないんだね……」 「そうだよ、だかられいむはもりのおくのりそうのゆっくりプレイスをめざすんだよ……」 「ゆ、りそうのゆっくりプレイス?」 「そ、そんなのがあるの、そこなられいむもゆっくりできるの?」 「ゆぅ、そこはかーすとなんて、ないんだよね?」 傷れいむの言葉に盛り上がる子れいむ達、 「そうだよ、そこではあまあまよおいしいおやさいさんがたべられるんだよ、たいへんなしごともないとってもゆっくりしたばしょなんだよ!」 森の奥が、いかにすばらしい場所かを説く傷れいむ、普段の生活に不満を抱える者にとって、そこはまさに夢の場所であった、群れのゆっくりに相手にされない傷れいむは、真剣に話を聞いてくれる子れいむ達を好ましく思う、親が味方してくれない子れいむ達は、自分達の愚痴に一緒になって憤ってくれる傷れいむを好ましく思った。 こうして子れいむ達は傷れいむと仲良くなることになる。 傷れいむの語る「森の奥」それがれいむ達の中で大きくなるのは、もう少し後の事であった。 夏が終わりに近づく頃、れいむ達は既に体も大きくなり、学校では群れの仕事の練習が主体となっていた、若ゆっくり達は先生ぱちゅりーに課題を出されそれを集めてくる「しゅくだい」が出されるようになり、群れの外に出る機会も増えていった。 れいむ種はそんな宿題をまりさやみょん達から押し付けられる事が多かった。 自分でやる能力はあるまりさやみょんだが最近は「しんっこう」とやらに夢中であり、宿題をやるべき時間に抜け出すことが多く、その分をれいむ達に押し付けていたのだ。 れいむはそんなれいむ種の中で何故かリーダーの様な役割をすることになる、れいむ種の中では比較的能力の高かったれいむは困っている仲間に協力しているうちに中間達から頼られるようになっており、いつしかそう扱われる様になった行った。 れいむは宿題の為の狩を全体で行うことを提案した、妹のがちぇんであり群れの外の探索を仕事にする父ちぇんを持つれいむは、この地域について詳しく知る機会を得ており、群れの狩が暫く行われていない場所に全てのれいむを投入することで何とか課題をこなしていった。 しかし、そんなれいむの中にはいつも群れへの不満が渦巻いていた、まりさやみょん達から押し付けられる宿題もそうだが、この群れ全体にれいむに対する隔意が存在するのだ。 ある時、れいむは妹ちぇんと共に姉のおうちを訪れた事があった、姉ちぇんはれいむ達より前の年に生まれた姉であり、既に一人立ちしてぱちゅりーと番になって生活していた。 遊びに来た妹達を歓迎してくれる姉ちぇん、まだ子供は居ないため番のぱちゅりーも家族の来訪を喜んでくれた。 一緒にむーしゃむしゃをし、れいむ達の学校での様子、姉ちぇんが仕事で見たもの、ぱちゅりーのお話などで盛り上がる。 暫くすると話が恋の話に移った、姉ちぇんとぱちゅりーの馴れ初めを聞く妹ちぇん、恋と言うほどの物では無いが最近友達としてありすの名前が良く話題に上る、気になっているのかも知れない。 それは興味深く聞いて居たが帰り際にぱちゅりーが呟いた一言がれいむの耳に強く残った。 「あのこは……れいむはたいへんね……あのこのおねえさんのれいむも……」 れいむはその事についてぱちゅりーに問いただそうとしたが、姉ちぇんがぱちゅりーを目で叱ると、ぱちゅりーは口を閉ざしてしまった。 お姉さんのれいむ?れいむの知識に自分達の姉に当たるれいむが居たということは無い、心の隅に棘が刺さったように感じるれいむはおうちに戻ると早速、母れいむにそのことを聞いてみた。 「ねぇ、おかあさん、れいむたちにれいむのおねえさんなんていないよね?」 「ゆ!お、おちびちゃん、どうして……、ゆ、い、いないよ、おちびちゃんのおねえちゃんはちぇんだけだよ!」 慌ててごまかそうとする母れいむ、それを追求しようとするが母れいむのとても悲しそうな目を見てしまうと問質せない。 「ゆぅ、いったいどういうことなの……」 その事を若れいむ達の集まりで皆に話すと、仲間たちはそれぞれの親にそれとなく聞いてくれたらしい…… 「ゆぅ、これはおかあさんがいってたんだけど、わたしたちがうまれるまえにいた、れいむのおねえちゃんはこいゆのまりさにうらぎられて、えいえんにゆっくりしちゃったんだった」 仲間の一人が教えてくれたのは、れいむの知らない姉に関する悲劇であった。 「こいゆのまりさが、どれいのれいむとはけっこんできないって、ありすにのりかえたって……」 言葉を濁す若れいむ、れいむは堪えようの無い怒りを噛み締めていた、またなのか、またれいむだからゆっくり出来なくなったのか、れいむである事はそんなに悪いことなのだろうか。 怒りの言葉を上げるれいむに同調する声が上がる、いっそ「くーでたー」を起こして群れのゆっくりをゆっくり出来なくさせてやろうか、そんな考えもとあるれいむが、親から聞いたれいむのクーデターの失敗を伝えると消えてしまう。 その話以前にもれいむの中の冷静な部分は理解していた、仮にれいむ達でクーデターを起こしても失敗する、そもそもここに居るのは群れの若いれいむだけであり、親世代のれいむは群れに不満こそ持っているがある意味諦めている、れいむの自分の母れいむを思い出した。 全てのれいむが行動を共にしても、長の周りにはまりさ、みょんと言った戦闘能力に長ける種が居るのだ、その二種を合わせれば数の上でもれいむ種が負けている。 れいむ達、若れいむだけでの決行もっとありえない話である、体は大きくなってきたとはいえ、成体には一歩足りないし、肉体的にも知識的にも勝る点は無い、これでは勝利は不可能だろう。 気炎を上げていたれいむ達もれいむの説得を受けると気落ちしてしまう、自分達でも力は分かっているのだ。 そんなれいむの堪忍袋の緒が切れるのはその年の秋の始めの頃だった。 「おねえちゃん!」 体もほぼ成体になった若ゆっくり達、そろそろ群れの仕事が割り振られる頃だが、この日もれいむ達は狩りに出ていた。 以前の様に学校の宿題というわけでは無い、親から山葡萄を貰ったまりさが仲間達にその味を伝え、それで盛り上がったまりさたちがれいむ達に命じたのだ。 ふざけるなと怒鳴りたかったが、そうすれば待っているのは暴力だろう、れいむ達は仕方なく山葡萄を探しに出た。 れいむには勝算があった、以前父ちぇんから聞いていた話に似たような物があったのだ、聞いていた方向に進んだれいむ達、昼ごろまで探しながら進んだその時、その声がかけられた。 「おねえちゃん、おねえちゃんでしょ!」 それはゆっくりしていないゆっくりだった、ゆっくりの顔とも言えるお飾りが無く、体は汚れて居る。 そのゆっくりはれいむ達の方へやってくると親しげに声をかけて来た。 「ゆぅ、ゆっくりしていないゆっくりがいるよ!」 「じゃましないでね、れいむはいそがしいんだよ!」 「ゆっくりしていないゆっくりは、さっさとときえてね!」 罵声を浴びせるれいむ達、そんな中れいむは唯一人そのゆっくりを怒鳴ることが出来なかった。 そのゆっくり出来ないゆっくりに、何故か懐かしいものを感じてしまったのだ。 ゆっくりしていないゆっくりはれいむの方に進み出てくる。 体当たりをしようとする仲間を、れいむは引き止めた。 「ゆぅ……も、もしかしてれいむなの?」 「そ、そうだよ!おねえじゃん、ゆっぐじじでいってね!」 涙を流し始めるゆっくりは、なんと隣の群れに行った妹れいむであった。 れいむに引っ付いてゆーんゆーんと泣き出す妹れいむに、不審気な仲間達も静観する。 落ち着いた妹れいむから伝えられたのは、隣の群れの驚愕の実態であった。 隣の群れに連れて行かれた子ゆっくり達は、すぐにお飾りを奪われ「どれい」と呼ばれるようになったという。 食事は苦くてまずい草さんのみで、おうちは狭いところに押し込められ、毎日怖いゆっくりの監視されながら仕事をさせられ、文句を言ったりすれば暴力を振るわれているのだそうだ。 れいむから説明を受け、妹れいむへの警戒を解いた仲間達もこれには激昂した、その中にも姉妹や親友を隣の群れに連れて行かれた者が居るのだ。 話をしている途中で、隣の群れの監督らしいゆっくりまりさが現れたが、れいむ達の壁で妹れいむを隠すと気づかずに行ってしまった。 隣の群れに押しかけてやろうかと思うれいむ、だが妹れいむはそれを止める、隣の群れの長はドスでありれいむ達の群れの長のかなことは協定が結ばれているらしい。 隣の群れについて聞いてみると、妹れいむと同じように来たゆっくり以外にも沢山のれいむが酷い目に遭っているという。 監督まりさが再びこちらに来ているのに気が付き、妹れいむはこっそりと戻って行った。 明日もう一度会うことを約束したれいむ、その体の中には怒りが渦巻いている。 結局その日は手ぶらで帰る事になり、群れに戻るとまりさ達が嫌味と暴力をぶつけてきた。 れいむと仲間達はそのどちらもを冷静に受け止めた、心の中に暗い炎を灯して…… この事がれいむを決意させる事になった、れいむがゆっくり出来ないのはこの群れだけでは無い、隣の群れの森のの外でもゆっくり出来ないのだ。 かといって、そのゆっくり出来ない環境を変えるまでは出来ない、ならばゆっくりする為にどうするか、作ろう、れいむ達がれいむのゆっくり出来るゆっくりプレイスを、他のゆっくりの力を借りる事無く、れいむ達だけの力でれいむの為の理想のゆっくりプレイスを作るのだ。 れいむは傷れいむの連絡をとった、傷れいむの話したゆっくり出来ない場所に調査に行ったありす達が戻って来なくなってから、傷れいむは群れの一員になっていた。 「れいむ、もういちどおしえてほしいよ、もりのおくにあるりそうのゆっくりプレイスについて……」 れいむの問いに答え、れいむの計画を聞いた傷れいむは狂喜すると協力を約束してくれた。 れいむの仲間である、れいむ種の若ゆっくり達も計画に同意する。 皆耐えていたのだ、この群れのゆっくりできないものに。 次の日の昼ごろ、再び落ち合った妹れいむにれいむは計画を伝えた、妹れいむも隣の群れに嫌気が差しているのか、そこから逃げられるならと協力を約束してくれる。 妹れいむには隣の群れの奴隷にされているれいむ種にこっそり協力を取り付けてもらうことにする。 そして、少しずつ群れの仕事を任されるようになったれいむ達は、仕事によってまりさとみょんの嫌がらせをある程度断れるようになったのを良いことに、平行して群れからの脱走準備を進める事にする。 自由時間に食料を集めて隠して備蓄する、ありす種の姉妹がいるれいむは、頼み込んで道具を作ってもらう、ちぇん種を家族に持つものはこっそり隣の群れまでに行き方を聞いておく。 少しずつ準備をしていくれいむ達、定期的に連絡を取っている妹れいむからも良い返事が返ってくる。 「ゆぅ、むれをでたらとなりのむれのれいむたちをたすけて、みんなでもりのおくへいくよ……」 決行の日は近づいていた。 ゆっくり公民 ~奴隷解放~(中編)へ続く……