約 1,871,626 件
https://w.atwiki.jp/moejinro/pages/3171.html
6日目 マダム さわやかな朝がやってきました 村の川辺に無残に引きちぎられたゆっくりふとさんの死体が見つかったようです… マダム 村人の皆様、今日もがんばってください 6日目スタートです 3 (冥土) アリスイ まだ続いてますなあ 1 (マダム村) カルシファー 【霊媒CO】アリスイさん○! 1 (マダム村) シエスタSS ま、まじでー ゆっくりふと マダムェー 3 (冥土) サイア おつかれー 1 (マダム村) すいさい ここでゆっくりさんか 1 (マダム村) カルシファー そこ噛んでくれたかー 1 (マダム村) xバーバラx 占いは真狂そうですね 1 (マダム村) すいさい だね 3 (冥土) とよよ まだ2;00かー 3 (冥土) ゆっくりふと 乙乙 1 (マダム村) xバーバラx カルシファーさんが偽の可能性あると思います? 3 (冥土) みむっちゃ そっちかんだかー。いよいよバーバラさん狼が信憑性をましてきた 3 (冥土) マダム いらっしゃい 3 (冥土) デュビア 俺も今日はそろそろ寝ちゃいますー おつかれさまー 3 (冥土) とよよ いっらっしゃいませー 3 (冥土) アリスイ おつかれさまです 3 (冥土) みむっちゃ おつかれさまですー 3 (冥土) マダム おつん 3 (冥土) デュビア いらっしゃいー 3 (冥土) とよよ おつかれさまですー 1 (マダム村) シエスタSS んー 3 (冥土) トガリ おつかれー 1 (マダム村) すいさい 正直カルシファーさん吊られないし噛まれないし 1 (マダム村) すいさい っていうのはある 1 (マダム村) シエスタSS カル子狼だとしたら 1 (マダム村) シエスタSS 黒出すの早くない? 1 (マダム村) すいさい 早いかね 1 (マダム村) カルシファー 私がもし狼なら、よく霊ロラされるリスキーがあるのに出たねってことだけ言っとくよ 1 (マダム村) カルシファー 後私はバーバラさん押す 3 (冥土) アリスイ カルさん偽なら、真はどこいったんでしょうね 1 (マダム村) カルシファー すいさいさんはあそこまで目立って狼だとは見たくない 3 (冥土) アリスイ 初日? 1 (マダム村) すいさい アリスイさん狂で囲い把握→アリスイ食べるなら 3 (冥土) ゆっくりふと シエスタが狩でGJ出してくれるかもと思っておったがのー 1 (マダム村) すいさい 残ってるのバーバラさんだけなのよね 3 (冥土) みむっちゃ そこで初日役欠けですよ 3 (冥土) とよよ 欠けですね 1 (マダム村) カルシファー シエスタさんは途中まで楽観的だったけど 1 (マダム村) すいさい あ、アリスイ食べないだ 1 (マダム村) xバーバラx すいさいさんが白目だと思いますね 3 (冥土) アリスイ んー、そううまくいきますかねw 1 (マダム村) xバーバラx シエスタSSさんは印象が薄め 1 (マダム村) カルシファー 昨日の真狂のぺぐり発言は狼がするとは思えない 3 (冥土) ゆっくりふと ロラのリスク背負って霊騙りとかよくやるのう 1 (マダム村) すいさい 私はバーバラさんかカルシファーさんか 3 (冥土) アリスイ だって12分の1ですよ? 1 (マダム村) シエスタSS ば、バカにしているな! 1 (マダム村) カルシファー 後、バーバラさんはゆっくりふとさんに怪しまれてたところもあるからね 3 (冥土) みむっちゃ バーバラさん以外のグレーが狼なら今日はまずバーバラさんを噛むと思うんだよねー今日ゆっくりふとさん噛むのはバーバラさんが狼だった場合のみの気がする。 1 (マダム村) すいさい 霊で出るのリスキーだけど 1 (マダム村) すいさい はまったらつよいよなぁと 3 (冥土) アリスイ ここでは初日珍しいから気になるのはわかるけど 3 (冥土) ゆっくりふと いや村サイドは村6、役職3だから1/9 1 (マダム村) xバーバラx あ~ たしかにあやしまれてましたね 3 (冥土) アリスイ ああ、まあそうか 3 (冥土) アリスイ それにしたって9回に1回ですからねえ 1 (マダム村) xバーバラx 自分はシエスタSSさんかカルシファーさんのどちらかだと思います 1 (マダム村) カルシファー 確かにリスキー大なほどうまくいったら怪しまれないね 1 (マダム村) すいさい ああでも霊狼ならわざわざLWする危険はないか 1 (マダム村) カルシファー とりあえず私はバーバラさんかな 1 (マダム村) すいさい 他に霊でてるならともかく・・ マダム 5分経過 3 (冥土) ゆっくりふと それにしてもマダムと2週に1度しか会えぬとは辛いのう(チラッ 1 (マダム村) シエスタSS 俺はどうしよっかな 1 (マダム村) xバーバラx うーん… 3 (冥土) マダム ぐふふ 3 (冥土) アリスイ あったかもしれないってだけで半々くらいの勢いで疑ってるかんじがするのであまり現実的じゃないかなあと感じます 1 (マダム村) シエスタSS バーバラさんかカル子なんだけどな 1 (マダム村) カルシファー 正直私を入れて悩んでほしくないけどw 3 (冥土) マダム マダム麻雀ならおつきあいするのよ マダム 残り1分 1 (マダム村) シエスタSS ツルシファー伊達じゃないよ 1 (マダム村) すいさい 気になってる点としてはここまで残ってるのくらいなのよねカルさん・・・ 1 (マダム村) すいさい うーん 1 (マダム村) xバーバラx 生き残ってるのが… 1 (マダム村) すいさい 時間たりないなぁ 3 (冥土) ゆっくりふと プフー 即リーのふとちゃんと知っての発言であるかな マダム 20秒前 1 (マダム村) シエスタSS ツルシファーにしようかな 1 (マダム村) カルシファー とりあえずリスキーな点だけは覚えといてほしいかな 1 (マダム村) すいさい 私はバーバラさんかな 1 (マダム村) カルシファー もうそれだけだわー 1 (マダム村) すいさい 霊狼でLWになる 1 (マダム村) すいさい 意味がない 3 (冥土) マダム つっぱなのですね 1 (マダム村) マダム ---------STOP-------- 1 (マダム村) マダム ---------STOP-------- マダム 夜まで時間がありません 皆様今日の尊い犠牲をお選びください(会話はストップです) マダム 投票は直接私にtellでお願いします 制限時間は3分です (T) すいさい > バーバラさん 3 (冥土) とよよ とよよさんはチャンタダマテンの我慢の子 (T) カルシファー > バーバラさんでお願いしますー 3 (冥土) アリスイ これはバーバラさん釣られそうだ 3 (冥土) みむっちゃ これは1回延長するかな 3 (冥土) マダム とよよちゃんえろい (T) xバーバラx > カルシファーさんで 3 (冥土) とよよ えろくないよー 3 (冥土) アリスイ すいさいさんは霊吊りたくないようだし (T) シエスタSS > カルシファーをぐちゃぐちゃにしよう 3 (冥土) ゆっくりふと ここまで放置してきた霊を最後の1吊りとかなぁ・・・ 3 (冥土) みむっちゃ けっこうカルシファーさんを偽の場合も考えようと呼び掛けたけど、カルシファーさんのリアクション0で普通に軸のままガンガン指定してた。あれは普通に真霊媒っぽいと感じた 3 (冥土) アリスイ ほかの3人の発言とかから拾っていくほうがまだいいような気が・・・ マダム 残り1分 (T) シエスタSS > 待った有り? 3 (冥土) とよよ カルシファーさんは、にせものだよ (T) > シエスタSS 変更可能ですよ (T) シエスタSS > バーバラさんがいいな! (T) > シエスタSS 了解 xバーバラx3 カルシファー1 1 (マダム村) マダム ---------STOP-------- 3 (冥土) アリスイ 本当にそうならすごい狼だ 1 (マダム村) マダム ---------STOP-------- マダム さよならxバーバラxさん…あなたの勇姿は忘れない マダム 日が沈み始めました よい子も悪い子も寝る時間です 3 (冥土) アリスイ やはりか・・ マダム 役職の方は私にTellお願いします xバーバラx ぬわーーっっ!! 3 (冥土) ゆっくりふと 何度も揺さぶってはみたが反応が普通であったしなー 3 (冥土) みむっちゃ 狼で霊媒COとかだったらすごいな 3 (冥土) アリスイ そうですねえ (T) カルシファー > 霊媒です!バーバラさんの墓を荒らしにきましたー! 3 (冥土) ゆっくりふと 狂囲い疑惑の吊り発動 3 (冥土) アリスイ COも早かったですから様子見てなかったですしね (T) カルシファー > 貯めますね! 3 (冥土) トガリ 個人的な視点だとこれで終わらなかったら霊媒狼ありえそうだ… 3 (冥土) みむっちゃ うん。疑惑をまいてもまったく意に介してなかったね>カルシファーさん。偽物だったらなにかしら反応しそうなものだけど全部無視 3 (冥土) アリスイ 普通は特攻したら対抗でてロラられておしまい (T) > カルシファー あ・・聞きたい? (T) カルシファー > これはじらされてる!? (T) カルシファー > その流は嫌な予感しかしないんですけど! 3 (冥土) みむっちゃ これ最後だから終わらない可能性0だよね。 (T) > カルシファー 僕はマダムのシモベですって言ったら教えてあげよう 3 (冥土) みむっちゃ 4人村だよねいま 3 (冥土) アリスイ 終わりますね (T) カルシファー > ( д ) ゚ ゚ 3 (冥土) ゆっくりふと そしてGJ・・・ 3 (冥土) アリスイ なん・・・だと 3 (冥土) トガリ ああ、村人勝利で終わらなかったらってことw (T) カルシファー > ぼ・・ぼくはマダムのシモベです[ウワーン] 3 (冥土) みむっちゃ そっかそっか。しかし霊媒狼で生き残ってたなら完敗だな (T) カルシファー > 言いましたよ! (T) > カルシファー しかと聞き取った バーバラさんは悪い子狼でした (T) カルシファー > ヒャッハー! マダム では本日最終日となります 3 (冥土) トガリ まぁ自分視点だと自分が占い真と仮定してアリスイさんだけ噛まれないのは マダム まきまきーしてもいいですかー カルシファー はーい 3 (冥土) アリスイ 狩人はいないらしい みむっちゃ おっけー 3 (冥土) トガリ アリスイさんが最初に狼に○だしたから、となるわけだ シエスタSS こいよ! 1 (マダム村) マダム ---------STOP-------- 1 (マダム村) マダム ---------STOP-------- みむっちゃ パンツなんか捨ててかかってこい 3 (冥土) ゆっくりふと 撒くのはマダムの汁だけにすべき マダム では朝になります 3 (冥土) アリスイ なるほど マダム すがすがしい朝がやってきました 村人は昨日のまま全員元気な姿で顔を合わせることができたようです マダム 村人勝利 Fin マダムは拍手をした シエスタSS うっひゃあああ 1 (マダム村) カルシファー フヒー 1 (マダム村) みむっちゃ おめでとーございます トガリ やったあああああああああ 1 (マダム村) すいさい ふう 1 (マダム村) ゆっくりふと 乙であったぞー 1 (マダム村) とよよ おつかれさまでしたー 1 (マダム村) みむっちゃ おつかれさまー 1 (マダム村) トガリ おつかれさまー 1 (マダム村) カルシファー おつかれさまでしたー 1 (マダム村) アリスイ おつかれさまです 1 (マダム村) すいさい みむっちゃさんのパンツなんか捨ててはなんだ マダム では配役です 1 (マダム村) シエスタSS おつー マダム 占い師 トガリ 霊媒師 カルシファー 狩人 デュビア マダム 人狼 とよよ バーバラ 狂人 アリスイ 以上でした マダムは拍手をした 1 (マダム村) xバーバラx おつかれさまでした 1 (マダム村) すいさい おつかれさまー 1 (マダム村) カルシファー デュビアさん狩人だったのね・・・ 1 (マダム村) アリスイ おのれぇ・・・ 1 (マダム村) xバーバラx 面目ない… 1 (マダム村) すいさい 最後になっても2W残ってる前提で考えてたからおかしなことになってたてへぺろ 1 (マダム村) ゆっくりふと ガリにデュピアと村役職は序盤で死んでおったか 1 (マダム村) アリスイ いやあよく生き残ってくれました 1 (マダム村) みむっちゃ いや、シエスタさんが「こいよ」って言ったからそれに続くセリフ考えてた 1 (マダム村) とよよ うちこそもうしわけないです 1 (マダム村) カルシファー デュビアさんごめんねー 1 (マダム村) とよよ なぜ初日に指定されたかがわからない 1 (マダム村) カルシファー ほぼ言いがかりw 1 (マダム村) トガリ なぜ初日に噛まれたかわからないよ 1 (マダム村) シエスタSS カル子ロリコンだからだよ 1 (マダム村) とよよ 前回に引き続き連続。おぼえておきますよ 1 (マダム村) トガリ 完全に運が悪かったからなのか 1 (マダム村) カルシファー 違うよ! 1 (マダム村) すいさい なるほど 1 (マダム村) ゆっくりふと 褒美にロリマダムをやろう 1 (マダム村) xバーバラx ぺぐる予定で発言少ない方を噛みました 1 (マダム村) カルシファー 前回も最初だっけ? マダム ではマダム村これにて終了となります マダム なび村はまだ続行中ですので 1 (マダム村) トガリ なんとまぁ シエスタSS おつかれい 1 (マダム村) アリスイ いきなり占いとは思い切ったものです 1 (マダム村) みむっちゃ 役欠けまったくなしか 1 (マダム村) カルシファー それは申し訳ないことしました 1 (マダム村) すいさい あれ、というか今回2つとも最後まで生存だ 1 (マダム村) xバーバラx 狂人のほうが信用とろうとぺらぺら話してくれるかなと マダム 見学される方はどうぞ 1 (マダム村) すいさい 最後にシエスタさんじゃなくてゆっくりさん残されたら泣いてた 1 (マダム村) とよよ わすれないよ☆ 1 (マダム村) トガリ 狂人で潜伏してた人がここにいますよ 1 (マダム村) トガリ よ! 1 (マダム村) カルシファー ww 1 (マダム村) トガリ [ウワーン] 1 (マダム村) アリスイ 一日目で囲ったのはまずかったな・・・ 1 (マダム村) ゆっくりふと 全力でバーバラ殿殴りに行ってたから安心してよいぞ 1 (マダム村) xバーバラx いや~ 助かりましたよ 1 (マダム村) カルシファー まぁ後一つ言うなら 1 (マダム村) xバーバラx しばらく楽でしたし 1 (マダム村) トガリ 一日目にアリスイさん占った結果狂人だとわかった瞬間噛まれて絶望 1 (マダム村) すいさい なんでアリスイさんうらなった・・・ 1 (マダム村) アリスイ えw 1 (マダム村) カルシファー とよよさんが役職もってるときってなんかとぼける印象があるんですよね 1 (マダム村) xバーバラx ゆっくりふとさんかカルシファーさんを噛むかは迷いましたね 1 (マダム村) トガリ もし黒だったらローラーを押しまくろうと 1 (マダム村) すいさい それ結果はられてもこまったわwww 1 (マダム村) とよよ とぼける? 1 (マダム村) カルシファー そこらへんもちょっと理由としてあるかな 1 (マダム村) アリスイ 対抗は占っちゃダメですよw 1 (マダム村) ゆっくりふと 村としてはどうでもよい情報であるからな>対抗占い 1 (マダム村) xバーバラx 対抗占うのはもったいないですね 1 (マダム村) トガリ そういうものなのか… 1 (マダム村) すいさい 対抗に狐見えとかならあれだけどね 1 (マダム村) アリスイ 対抗は偽者に決まってるので 1 (マダム村) カルシファー なんか分からないとか慣れてないとかそういう感じのことを言うイメージかな 1 (マダム村) すいさい 基本無し 1 (マダム村) とよよ それはきをつけましょう 1 (マダム村) トガリ むー考察がまだまだ未熟ってことか 1 (マダム村) カルシファー まぁ私の勝手なイメージですけどねw 1 (マダム村) すいさい カルシファーさんの霊媒狂狼路線ちょっと期待したけど 1 (マダム村) すいさい 普通に霊媒だった 1 (マダム村) すいさい 残念 1 (マダム村) カルシファー ですよ! 1 (マダム村) アリスイ 考察というか、定石を知ってるとだいぶ考えることが減って楽になりますね 1 (マダム村) すいさい ツルシファーどっちでもできなかった・・・ 1 (マダム村) xバーバラx つるしふぁーしたかったです… 1 (マダム村) カルシファー ちょっとw 1 (マダム村) シエスタSS 最終日はすいさいさんが何か真狼だとペグれないとかの件で 1 (マダム村) カルシファー 個人的にはゆっくりふとさん噛んでくれてありがたかったかなぁ 1 (マダム村) シエスタSS あ、やべーこの人俺より賢い人種だと思って 1 (マダム村) シエスタSS もうついていく感じだったわ 1 (マダム村) すいさい ゆっくりさんとバーバラさんとカルシファーさんだったら泣いてた 1 (マダム村) すいさい 自暴自棄だった 1 (マダム村) xバーバラx ゆっくりふとさん残したら かなり自分を攻撃してきそうでしたからね~ それはそれで負けてそう 1 (マダム村) とよよ ただ、わからないという発言で真っ先にし優先に吊られたら、たまったものじゃないなぁ。 1 (マダム村) ゆっくりふと すいさい殿はもう村決めうち決めてて後はシエスタorバーバラ殿で考えておったなー 1 (マダム村) カルシファー あまりにも村の建設的な意見が出てて、残ってると逆に狼に見えてたからなぁ 1 (マダム村) シエスタSS だから最初ツルシファーしてたけど 1 (マダム村) シエスタSS ラスト1分で変更したぜ 1 (マダム村) カルシファー 良かったぜ! 1 (マダム村) アリスイ まあ誰かは釣らないといけないので運が悪かったと思うしか・・w 1 (マダム村) すいさい ゆっくりさんは村目だったけど最終日残ったら狼っぽいとはおもってた 1 (マダム村) とよよ 初日から確証を持った発言なんて、わたしは皆無です 1 (マダム村) カルシファー 村に見えすぎてる人が残ると狼に見えてしまうw 1 (マダム村) xバーバラx その気持ちはわかりますね 1 (マダム村) アリスイ とはいえ意見食いするほど余裕もないですからねえ 1 (マダム村) ゆっくりふと その点ではデジュー君が残ったらどうするか考えたのう 1 (マダム村) カルシファー あぁ確かに 1 (マダム村) みむっちゃ あれ?シエスタSSさんってもともともにこでしたっけ?にゅたこだったような覚えが。 1 (マダム村) すいさい 3日目くらいからあ、これ最終日まで残されるとおもってた 3 (冥土) サイア (おわってた) 1 (マダム村) カルシファー まぁ私と大分争ってましたしねw 1 (マダム村) すいさい だってカルシファーさんならやりかねないんだもん・・・ 1 (マダム村) カルシファー まぁやりたいとは思ってますけどねぇw 1 (マダム村) アリスイ ほんとうにそうならファインプレーですなあ 1 (マダム村) すいさい 決まったらかっこいい 1 (マダム村) カルシファー ただリスクもでかすぎるからなぁ 1 (マダム村) すいさい 最終日までカルシファー偽考えてたのはだめだめでした 1 (マダム村) すいさい そうだよねーLWにするひつようないよねー 1 (マダム村) ゆっくりふと あそこは狂人が適当●出して狼にアピールという線も考えれたからのう 1 (マダム村) カルシファー もし狼で霊になったら 1 (マダム村) カルシファー LWにしてもいいと思いますよ。個人的には 1 (マダム村) すいさい ゆっくりさんがなびむらにまよいこんでる 1 (マダム村) ゆっくりふと あれ 1 (マダム村) すいさい なんかのマクロ? 1 (マダム村) すいさい っぽいかんじが 3 (冥土) サイア 抜けますかねー 3 (冥土) サイア おつかれねー 1 (マダム村) すいさい まあ霊ほぼ真目で見られてる時までする必要はないかね、って 1 (マダム村) カルシファー またメンバーが結構最近のと古いのが混ざってる感じw 1 (マダム村) すいさい 最近あらぐむさんみないなぁ 3 (冥土) マダム おつん 1 (マダム村) アリスイ 最後黒出そうか悩んだんですけどね。霊が最後まで生きてそうで 1 (マダム村) カルシファー 私ならそこは逆手にとって信用とりにいっちゃうかもなぁ 1 (マダム村) すいさい それやられたらもうお手上げするとおもうw 1 (マダム村) すいさい お 1 (マダム村) とよよ こちらからはぬけますー 1 (マダム村) すいさい 私もこちらぬけ!おつかれさまでした 1 (マダム村) カルシファー おつかれさまでーす 1 (マダム村) ゆっくりふと ●吊らせて無駄釣り+占い吊りで2吊り稼ぐという見方もあるの 1 (マダム村) アリスイ おつかれー 1 (マダム村) カルシファー ってかアリスイさんは結構経験者なイメージ 1 (マダム村) xバーバラx ぬけます おつかれさまでした 1 (マダム村) カルシファー おつでーす 1 (マダム村) アリスイ 狂目だったので吊ってもらえるか自信なかったんですよねえ 1 (マダム村) アリスイ まあでもやる価値はあったかな・・ 1 (マダム村) アリスイ 実践経験はそんなにないんですよ。短期はとくに 1 (マダム村) カルシファー いやお見事でした 1 (マダム村) カルシファー なるほど 1 (マダム村) カルシファー るるとかでやってたのかしら 1 (マダム村) アリスイ 人狼BBSのほうでしたね 1 (マダム村) カルシファー 掲示板のやつです? 1 (マダム村) アリスイ そうですそうです 1 (マダム村) カルシファー おー 1 (マダム村) カルシファー そっちはやったことないなぁ 1 (マダム村) アリスイ 長期のってリアルが疑心暗鬼で蝕まれるから精神衛生上よくないですよw 1 (マダム村) カルシファー あれって一日がそのままリアルの一日でしたっけ? 1 (マダム村) アリスイ そうですね 1 (マダム村) カルシファー うへーw 1 (マダム村) アリスイ 一日の発言数とか決まってます 1 (マダム村) カルシファー なんかずっと考えちゃいそうだなぁw 1 (マダム村) アリスイ 役職も多くないので、シンプルなんですが 1 (マダム村) アリスイ 逆にぐるぐる考えちゃうんですよねー 1 (マダム村) カルシファー なんかそんな気がするw 1 (マダム村) カルシファー 考える時間が多いほど迷いそうだしw 1 (マダム村) ゆっくりふと 発言の査定スキルが上がるのう 1 (マダム村) カルシファー ふと、ハッと思いついてこのケースもあるじゃないかって思いそうw 1 (マダム村) カルシファー 要点まとめて話すスキルもあがりそうですよねぇ 1 (マダム村) アリスイ そうですねー 1 (マダム村) アリスイ 特定の発言の引用するためにリンクがすごく多用されるから 1 (マダム村) アリスイ 専用のツール導入しないと大変ですね 1 (マダム村) カルシファー なんかレベル高いイメージになってきたw 1 (マダム村) アリスイ 初心者村もたまにありますし 1 (マダム村) カルシファー 2,3時間かけて1発言とかになりそうだw 1 (マダム村) アリスイ なによりロールプレイを楽しんでる人がおおいので 1 (マダム村) アリスイ こことは違った面白さがあっていいですよ 1 (マダム村) カルシファー なるほどー 1 (マダム村) カルシファー よっしこっち抜けましょう~ 1 (マダム村) アリスイ そうですねー抜けますー 1 (マダム村) カルシファー アリスイさんこっちもちょくちょく遊びにきてくださいね~ 1 (マダム村) アリスイ はーい。ありがとー 1 (マダム村) カルシファー ノシ 1 (マダム村) カルシファー leave 1 (マダム村) ゆっくりふと ゾンビ部屋で飲み物談義 村人勝利 配役 人狼 とよよ xバーバラx 占い トガリ 霊媒 カルシファー 狩人 デュビア 狂人 アリスイ 5日目へ 2014年8月23日全ログへ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6076.html
鋼の支援。どの作品でもシエスタの隔世遺伝率は異常。ジニーかわいい -- 歓楽街のていお (2008-12-16 08 21 14) じつにけしからん、もっとやれ -- 名無しさん (2008-12-16 09 02 38) クオリティが素晴らしすぎる むくれているジニーも緑髪のシエスタもかわいい -- 名無しさん (2008-12-16 10 15 59) さりげなく乳以上に尻がえぇのう -- 名無しさん (2008-12-16 12 40 49) お絵かき掲示板の戦闘力が急激に上がっている…! -- 名無しさん (2008-12-16 12 43 46) いや、わりと初期からピンキリだったぞ。この絵板は絵師に恵まれている -- 名無しさん (2008-12-16 16 57 38) くはぁ…ズキュゥゥンと来た…!惜しみないGJを。 -- 鋼の人 (2008-12-16 17 32 58) やべークオリティー高すぎる。ジニーの乳に釘付けなんだze -- 名無しさん (2008-12-16 17 53 27) 何だ…?何だ何だ何だこの神クオリティは!!上手すぎるじゃないか!!! -- 名無しさん (2008-12-17 06 31 09) 絵師GJです!! -- 名無しさん (2008-12-17 18 58 53) イイよ・ -- 名無しさん (2008-12-19 01 17 21) シエシエのピップラインが… -- 名無しさん (2008-12-21 16 09 37) 愛してるぜシエスタ! あと個人的にそばかすが欲しいです! -- 名無しさん (2008-12-21 22 15 58) シエスタ……ああ、シエスタ…… -- 名無しさん (2009-04-24 23 45 06) この絵、既に投稿されてなかった? -- 名無しさん (2009-04-24 23 55 32) ↑勘違い。超ハズい/// -- 名無しさん (2009-04-25 00 09 30) 鋼の使い魔読んだらサガフロ2やりたくなってきた -- 名無しさん (2009-04-25 00 31 03) 色彩感覚が抜群に良いな! GJ! -- 名無しさん (2009-04-25 14 03 40) GJいい乳だ。 -- 名無しさん (2009-05-11 18 25 42) 目の保養になるぜ。 -- 名無しさん (2009-05-21 09 56 56) むくれた顔がいいね -- 名無しさん (2009-05-27 06 38 36) 髪の色「は」遺伝してるのになw -- 名無しさん (2009-06-16 03 05 14) 遺伝子仕事しろ -- 名無しさん (2012-03-19 14 09 26) 遺伝子超ファインプレー -- 名無しさん (2012-05-20 23 48 04) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/193.html
机を拭いて、床を掃き、爆発の結果により起こった惨状の後始末をしたルイズとペットショップ まあ、足で箒を使ったり塵取りを運んだりとペットショップが掃除の大部分をやったのだが 主人の不始末は使い魔の不始末。それ故にルイズの頭にはペットショップの行動など勘定に入ってない、そんなこんなでアルヴィーズの食堂に到着した一人と一羽。 三列の食卓には絢爛な飾りつけがされており、その上には飾りに負けず劣らずに豪華な食事が並んでいる。 始祖ブリミルと女王陛下にお祈りをしてから、モグモグと食べ始めるルイズ。朝に食べられなかったからか、かなり幸せそうだ。 だが、ある程度食べ進めてから、隣をキッ!と見るルイズ。その先には使い魔ペットショップの姿 「ペットショップ! あんたはご飯抜きって言ってるでしょ!そんな物欲しそうな目で見たってあげないんだからね!」 ルイズとしては格好良く決めたつもりだろうが、使い魔は食堂の外で待機するのが普通だ。 (食堂の中に入ってる事に注意しろよ!)と、割と色々な生徒が思ったが、ペットショップの目を恐れて口に出せずに居た と言うか、近くに居ると飯が不味くなる所の話ではないので、ルイズとペットショップの周囲の席がガオン!されたみたいに開いている。 食事に集中するあまりに、この異常事態に気付かないルイズは本当に大物である。 ルイズが食事に集中している時。 彼―――ペットショップは食事が欲しい等とは欠片も思っていなかった。食事抜きはマスターから与えられた罰でありそれを理不尽とは感じてない 彼が今考えているのは『下僕を如何にかして調達する必要がある』それだけである キュルケとタバサの間で起きた朝の1件もそうだが。 『それよりずっと前から』彼は、自分は何かを守りながら戦うのは苦手であると分かっていた。 自分だけでマスターを守れるとは自惚れていない。だから早急に、マスターを守る盾となる奴隷が彼には必要であった。 それなりに力があってタフであり、そして一番重要な事だが命令には絶対服従する下僕。それをどうやって捜すか彼は悩む マスターを置いて旅に出る訳にはいかない、予期せぬ幸運が入り込むのを期待するほど神経は図太くは無い どうやって奴隷を獲得するかペットショップが悩んでいる時、食堂の端で何か騒ぎが起こってるのが彼の目に見えた 距離は結構離れているが、彼の目は数km先の虫も軽く見える、故にその騒ぎを至近距離から見ているがごとくに鮮明に視認できていた 騒ぎは、ギーシュと言う名の金髪の少年が香水の瓶を落とした事から始まった それを黒髪のメイド、シエスタと呼ばれる少女が拾い、純粋な親切心からギーシュに渡そうとした だが、ギーシュはそれをガン無視、疑問に思うシエスタだが、ギーシュの友人がその疑問を解消してくれた。ギーシュにとって最悪な形で その香水の瓶はモンモラシーと呼ばれる少女の物!だが、今ギーシュは下級生のケティと言う少女と付き合っているはず! つまりそれが意味する事はただ一つ、ギーシュが二股を掛けていると言う事実! それから話しはトントン拍子で進んだ 「・・・・・・・・・・・・」 「ち、違うんだよケティ!これは誤解だ!」 オラァッ!バチンッ! 「一体全体どういう事よギーシュ!?」 「モ、モンモランシー!」 ムダァッ!ビシャッ! ケティから強烈なビンタをくらい、モンモラシーから香水の瓶を頭にぶちまけられたギーシュ 踏んだり蹴ったりだが、元の原因は二股を掛けた彼にあるのだから同情は出来ない。 しかし、肝心のギーシュの怒りは止まらなかった。 「き、き、君ぃぃ!な、ななな何て事をしてくれたんだい!」 こめかみを引き攣らせながらシエスタに詰め寄るギーシュ。 シエスタは恐怖のあまり何も言えずに頭を下げる事しか出来ない。殆ど土下座である。 ギーシュもそこで止めておけばよかった、だがしかし、周りの生徒達の視線が彼の恥を刺激して怒りを更に上昇させた。 割と洒落にならないぐらい切れたギーシュが無言で薔薇の造花を振る すると、花びらが宙を舞い、甲冑を着た女戦士の人形が現れた。ギーシュのゴーレムである 貴族が平民に魔法を使う、その恐怖のためなのか、シエスタの歯がカチカチと音を立てる。 「ひぃ・・・・・・!」 腰が抜けたらしく、地面に尻餅を突いた形でそのまま後退りを始めたシエスタ 恥も外聞も無く、ただ貴族と人形の恐怖から逃れるために逃走する哀れなメイド そんなシエスタの背に何かが当たった。 怯えたように後ろをゆっくりと振り向く、するとそこには。 「・・・・・・・・・・・・」 ギーシュが生み出した二体目のゴーレムの姿 それを見たシエスタは完全に静止していたが、半秒後、メイド服を汚して床に生暖かい液体が流れた『失禁』ってやつである そして大声で泣き始めるシエスタ。かなり可哀想である だが、それに一番慌てたのは元凶のギーシュ。 ちょっとビビらせようと思ってゴーレムを出したのだが、失禁してマジ泣きを始めるとは血が昇った頭では考え付かなかった 一気に頭が冷え、落ち着いて周りをゆっくり見るギーシュ。 男子からは「おいおい、相手が平民だからってそれはやりすぎだろ」と生暖かい視線 女子からは「サイテー」と分かり易い侮蔑の視線。 彼は、拙い事をやったのに今更ながら気付いた この事が広まるとモンモラシーやケティに本気で絶縁されるかもしれない 慌ててシエスタに優しく話しかけるギーシュ。 「あ、あの大丈夫かい?僕はもう怒ってないから安心しなよ」 だが、シエスタの目は完全に恐怖に染まっており、ただ「ごめんなさい」と連呼するだけ 自業自得だが、どうすればいいんだとギーシュは頭を抱えかけた、その瞬間。 「キョキョッ!」 甲高い泣き声。 慌てて声の元を見ると、ルイズの使い魔がこっちに飛んで来るのが見えた 私はその騒ぎを注意深く見る。初めはただのくだらない痴話喧嘩と分かって幻滅しかけた、が。 男が出した騎士の存在が、私の興味を引いた。脳裏に浮かぶのは、先程考えていたマスターの盾となる下僕の調達 マスターを見る、昼食を食べ終わったのか、机に突っ伏して眠っている。 周りを見る、マスターに害をなす存在の気配は感じない。 今、この空間に危険は一切無い!ならば今がチャンスだ! 『あれ』がマスターの盾に相応しい物か試してみよう 私は一声鳴くと、あの男に向かって飛んで行った。 目の前にはルイズの使い魔が見える。確か名前はペットショップだと思い出す 「ペットショップ君かい?見世物じゃないんだよ、こっちは忙しいんだ。どっか行ってくれ!」 割とテンパっているので声に何時もの余裕が無いギーシュ その一瞬、ペットショップが自分目掛けて恐ろしい勢いで氷柱を飛ばしてきたのに彼は気付いた! 「え?うわぁぁぁぁぁ!?『ワルキューレ』!」 ギーシュの叫びに青銅の女騎士が動く。 ドガッ!バゴンッ! 氷柱とギーシュの間に入る事が精一杯だったのか、防御行動すら取れずに氷柱をまともにくらって吹っ飛ばされる。 そんなワルキューレを冷めた目で見るペットショップ。 ギーシュの背筋に冷や汗が流れる 「何するんだ君ぃ!」 対するペットショップは返答の代わりに再度氷柱を発射! ブン!ガキィィィン! しかし、これは攻撃を予測していたワルキューレが防御 ワルキューレの装甲は少々凹んだが、発射された氷柱は砕かれ周囲に破片を撒き散らす (何でルイズの使い魔が僕に攻撃してくるんだぁぁぁぁ!?) と、錯乱するギーシュ。だが、次の瞬間これはチャンスだと思い直す それは―――――メイドを嬲った事を有耶無耶にするチャンス! 「今の行為・・・・・・僕への挑戦だと判断した!決闘だ!『ゼロ』の使い魔如きに舐められてはグラモン家の名が廃る!」 さっきの醜態を忘れて、良く言えば気障に、悪く言えば優雅に決めるギーシュ 「ヴェストリ広場で待っているぞ!」 とペットショップに伝えるとワルキューレを伴い、急いでその場を抜け出す。 ペットショップもそれに続こうとするが。 「あ、あの、ありがとうございます!」 シエスタの感謝の言葉。涙で潤んだ彼女の目にはペットショップは救いの手を差し伸べた勇敢なる騎士として映ったようだ。 勿論、ペットショップにはそんな気など一切無かった。下僕となるべき者の性能をテストしてみようとしただけである。 何か勘違いしているシエスタを一瞥しただけで済まし、ペットショップはギーシュの後を追って飛んで行った。 そして 「zzz・・・・・・もう・・・・・・食べられない・・・zzz」 ルイズは幸せそうにまだ寝ていた
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8547.html
前ページ次ページSERVANT S CREED 0 ―Lost sequence― 新型のアサシンブレードと写本の断片を受け取り、コルベールの研究室を後にしたエツィオは、一人、広場へと向かって歩いていた。 するとふと視線を向けた先に、しばらく会えなかった人物が歩いているのを見つけた。 エツィオはニヤっと笑みを浮かべると、気配を殺し、ゆっくりとその人物の背後に近づき、背後から目隠しをする。 「だーれだ」 「ひゃっ!?」 突然背後から視界を覆われたその人物……、メイドのシエスタは頓狂な悲鳴を上げ、背後を振り返る。 「やあシエスタ!」 「え、エツィオさん!」 にこりと魅力的な笑みを浮かべるエツィオを、シエスタは心底驚いた様子で見つめていたが。 やがて、その顔が、ふにゃっと崩れた。 久方ぶりの再会に感極まったシエスタは、そのまま泣きだしてしまった。 「えっ……えぐっ……、ど、どこに、どこにいってたんですかぁ……!」 「ちょっとしたお使いでね、昨日戻ったんだが、少しバタバタしてしまったんだ」 「うっ……ひっく……、ミス・ヴァリエールに尋ねてもっ……なにもっ、教えてくれなくて……、ひぐっ、わたしっ……わたしっ……!」 「心配をかけてしまったようだね、すまなかった、寂しい思いをさせて」 泣きじゃくるシエスタの涙を指先で拭ってやりながら、エツィオはにこりとほほ笑んだ。 シエスタは再び顔を崩すと、エツィオの胸に飛び込んだ。 しばらくそうやって涙を流していたシエスタであったが、しばらくして落ち着いたのか、少し気恥ずかしそうにエツィオから離れた。 「あっ、ご、ごめんなさい、わたしったら……、こんなに泣いちゃうなんて……」 「すまなかったな、きみに寂しい思いをさせた分、これからたっぷりときみの相手をさせていただくよ」 シエスタの顎を指でなぞりながらエツィオが嘯く、するとシエスタは頬を赤く染めながら口を開いた。 「もう……エツィオさんったら……、それに、言い方が違います」 「ほう? 違うというと?」 「わたしはエツィオさんの専属メイドなんですよ? もっと命令するような感じで言って下さらないと……」 もじもじとしながらシエスタが呟く。 エツィオは口元に笑みを浮かべると、シエスタの顎を持ち、ぐいと自分の方へ引き寄せた。 「そうだったな、それじゃシエスタ、きみの気が済むまで、俺の相手をしてもらおうか」 「はい……」 エツィオが耳元で甘く囁くと、シエスタはうっとりとした表情で頷いた。 それから、何かを思い出したかのか、シエスタはぽんと手を打った。 「そ、そうだわ、是非エツィオさんに御馳走したいものがあったんです!」 「御馳走というと?」 「なんでも東方から運ばれてきたとても珍しい品だそうですよ、『コーヒー』って言うんです。 わたしはまだ飲んだことがないんですけど、ものすごく高級なんですって! 今お持ちしますね!」 また『コーヒー』か。と一瞬苦笑しそうになったが、そこはエツィオ、あえて表情には出さず、厨房へ戻ろうとしているシエスタに、声をかける。 「ああシエスタ、なら砂糖とミルクも一緒に頼むよ」 「え? 砂糖と、ミルク、ですか?」 首を傾げるシエスタに、エツィオは小さく笑みを浮かべた。 「そのままだと、きっときみは飲めないだろうからな」 『コーヒー』を取りに厨房へと小走りで駆けてゆくシエスタを見送った後、 エツィオは中庭の隅にあるガーデンチェアに腰かけ、コルベールから受け取った写本の断片に、目を通し始める。 その顔は、先ほどまでシエスタに見せていた顔とは違い、真剣そのものだ。 一枚一枚じっくりと目を通し、やがてそのうちの一枚へと視線を落とす。 「ん? これは……」 エツィオはその一枚には見覚えがあった。 それは、アサシンの技術……、つまり暗殺技術について書かれた指南書であった。 何か新しい技術はないか、と少々期待したものの、残念ながら、それらは既に、全て身に付けたものであった。 つまり、今のエツィオにとっては必要のないものと言える。 「うーん……、以前の俺だったら助かったんだろうけどな……」 頭をぽりぽりと書きながら、エツィオは少々残念そうに呟いた。その時だ。 「エツィオさん! お待たせしました!」 その声に、写本を見ていたエツィオが顔を上げる。 見ると、シエスタがティーポットとカップ、そして小さな壜が乗ったトレーを持って、こちらに歩いてくるのが見えた。 エツィオは、今までの真剣な表情を一変させ、顔をほころばせる。 「ああ、ありがとう」 エツィオは礼を言うと、写本の断片をまとめ、懐にしまい込んだ。 ティーカップにコーヒーを注ぎながら、横目でそれを見ていたシエスタが尋ねる。 「何をお読みになってたんですか?」 「宿題だよ、コルベール殿のな。ありがとう、いい香りだ」 エツィオはウィンクしながら肩を竦める。 それからコーヒーが注がれたカップを受け取ると、ミルクと砂糖を入れた。 「ミスタ・コルベールですか?」 「ああ、彼に宿題を出していてね、その採点さ」 「まあ、先生に宿題を出すだなんて!」 エツィオの冗談にシエスタはころころと笑う。 そして自分の分のカップにもコーヒーを注ぎ終えたシエスタが、向かいの椅子に腰かけた。 「それじゃ、いただくよ」 エツィオはコーヒーを口に運んだ。 コルベールの研究室で飲んだコーヒーよりも甘くまろやかな味わいに、エツィオは頬を緩めた。 「うん、思った通りだ、これはいけるな」 「エツィオさんは、コーヒーを飲んだことがおありなんですか?」 「実は先ほど、コルベール殿の研究室でも御馳走になってね」 「そうだったんですか……」 そんなエツィオを見つめながら、シエスタもカップを口に運ぶ、そしてその苦さに思わず顔をしかめた。 「にっ! にっがぁ~い……」 「はははっ、びっくりしたか? だから砂糖とミルクを頼んだんだ。きみも入れてみるといい、きっと飲みやすくなる」 エツィオが笑いながら、砂糖とミルクがそれぞれ入った壜を手渡す。 シエスタはそれらを入れ、もう一度カップに口を付けた。口の中に甘い香りと風味が広がってゆく。 「わぁ、本当ですね、すごく飲みやすくなりました! 甘くてまろやかで……、なんだか落ち着きます」 シエスタは、ほぅ……っとため息をつくと、エツィオを見つめた。 「ねえ、エツィオさんの国ってどんなところなんですか?」 「俺の国か?」 「はい、聞かせてくださいな」 身を乗り出し、シエスタは無邪気に聞いてくる。 こうやって身近で見ると、シエスタはとてもかわいらしい顔立ちをしていることに改めて気づく。 黒真珠の様な艶やかな黒髪に、同じく大きな黒い瞳、低めの鼻も愛嬌があってとても可愛らしい。 「そうだな……、学問と芸術が栄える、美しい都だよ。フィレンツェっていうんだ」 「フィレンツェ……ですか」 「花の都って呼ばれるくらいだ、イタリアの中でも特に美しい、華やかな都さ」 「まぁ! きっと素敵な所なんでしょうね……」 エツィオは、フィレンツェの事を話した。由緒ある大聖堂や、その横にそびえる大鐘楼、その頂上から眺めるフィレンツェの美しさ。 シエスタは、目を輝かせて、その話に聞き入った。 あまり大した話はしていないと思うのだが、シエスタは一生懸命に聞いている。 いつしかエツィオは、時を忘れて故郷の話をしていた。 しばらく経つと、シエスタは立ち上がり、エツィオにぺこりと礼をした。 「ありがとうございます。とても楽しかったです、エツィオさんのお話、とても素敵でしたわ」 シエスタは嬉しそうに言った。 「また、聞かせてくれますか?」 「勿論さ。でも、今度はきみの話も聞きたいな」 エツィオはにっこりとほほ笑んだ。 シエスタはそれから、頬を染めて俯くと、はにかんだように、指をいじりながら言った。 「は、はいっ……! え、えっと……あの、エツィオさんのお話も、とっても素敵だけど……一番素敵なのは……」 「ん?」 「あなた……かも」 「きみの魅力には及ばないさ」 思い切って言った言葉が、エツィオにさらりと返され、耳まで真っ赤になったシエスタは、居た堪れなくなったのか、逃げるように去って行った。 エツィオはそんな彼女の背中を見送った後、再び写本を取り出し、目を通し始めた。 一通り写本の断片を読み終え、ルイズの部屋に戻ると、ルイズはベッドの上でなにかをやっていた。 エツィオの姿を見るや、慌ててそれをシーツで覆うとその上に本を乗せ、隠した。 「やあルイズ、何をやってるんだ?」 「な、なんでもないわ。ど、読書よ、読書!」 僅かに頬を赤くしながら、取り繕う様にルイズは言った。 本当にこの子はわかりやすいな。と、両腕に付けたアサシンブレードを取り外しながら、エツィオは思った。 俺を見て慌てて隠す位だ、ということは、十中八九、俺関連だろう。 ならば、これ以上聞いても教えてはくれないだろうし、機嫌を損ねてしまう可能性もある、こういう時は無理に詮索しないのが一番だ。 確かにルイズが自分の為に何をしてくれるのかは気になるが……、今はそれよりも……。 「ふぅん、ところで、きみ、いつからアサシンになったんだ?」 エツィオはからかう様に笑いながら、ルイズの顔を覗き込む。 言葉の通り、ルイズは、エツィオのアサシンローブを着ていたのであった。 朝食の後、エツィオはルイズの提案通り、アサシンのローブを脱ぎ、部屋においていたのだ。 血の匂いが染みついていないかと心配したが、ルイズの様子を見るに、どうやらそんなことはないようだ。 ルイズは、おそらく下着の上に直にローブを着ているのだろう。ご丁寧にも腰のサッシュベルトまで捲いている。 しかし、袖も丈もぶかぶかなので、見ようによっては妙なワンピース姿にも見えた。 ルイズはベッドに正座すると、フードを頭にかぶった。なんだか言いにくそうに、ルイズは言った。 「だって……、着るのなくなっちゃったんだもん」 立てた指でシーツをこねくりまわしながら拗ねたように呟くルイズを見て、かわいいやつめ、とエツィオは内心ニヤついた。 「こんなに可愛いアサシンになら、殺されてもいいって奴が出てきそうだな」 「な、何言ってんのよ……もう」 「何って、俺がその一人だからさ」 気恥ずかしそうに俯くルイズの顎を、指でなぞりながらエツィオが嘯く。 ルイズはびくっと震えると、身体をこわばらせ、う~~っと唸った。 「で? そんな凄腕アサシンは、一体何を読んでいるのかな?」 エツィオはそう言うと、ルイズが慌てて何かを隠した本を見つめる。なにやら古ぼけた、大きな本である。 「『始祖の祈祷書』よ」 「『始祖の祈祷書』?」 エツィオがその本を手に取ると、ルイズは少しだけつまらなそうに口をとがらせながら答えた。 「姫殿下が、今度ゲルマニアの皇帝とご結婚されるのは知ってるでしょ? その結婚式で、わたしはその書を手に詔を詠みあげなきゃいけないの」 「へえ、大役じゃないか。で、その詔は出来てるのか?」 ルイズは首を横に振った。 「全然……、だからわたしは、式の日までに、その『始祖の祈祷書』を肌身離さず持ち歩いて、詔を考えなきゃいけないの。 あとそれ、トリステインに伝わる国宝だから、あまり雑に扱わないでよ」 「国宝の書物か……、どんな内容なんだ?」 「見てみたら? きっと驚くわよ」 そう言われ、エツィオは何気なく『始祖の祈祷書』を開く、そしてその中身をみて、目を丸くした。 「なっ……! なんだ……これ……?」 「ね? 驚いたでしょ?」 驚いたような表情のエツィオを横目に、『始祖の祈祷書』の中身を覗き込みながらルイズはつまらなそうに呟く。 エツィオがめくる『始祖の祈祷書』のページには何も書かれてはおらず、文字一つさえ見当たらない。どこまでめくっても真っ白なページが続くだけであった。 「何も書いてないなんて、酷い出来よね。そんなのを国宝だなんて……」 ルイズがそう呟くと、エツィオは信じられないと言った表情でルイズを見つめた。 「なにも書かれていないだって? きみ……これが見えないのか?」 「えっ!?」 エツィオのその思いがけない言葉に、ルイズは心底驚いたような表情でエツィオの顔を見つめる。 いつもの冗談……ではない、エツィオの表情は、至って真面目だった。その目は、とても嘘をついているようには見えない。 「え? あ、あんた、もしかして見えるの?」 「あ、ああ……でも……」 「なに? 何が書いてあるの?」 ルイズの心臓が早鐘を打つ。 そうだ、エツィオには"タカの眼"があったんだ。もしかしたら、『始祖の祈祷書』を読み解けるかもしれない。 そんな期待に胸を躍らせながら、ルイズはエツィオを急かす。 エツィオは再び『始祖の祈祷書』に視線を戻す、だが、エツィオはすぐに眩い光を見つめるように目を細めた。 あまりの眩さにたまらずエツィオは『始祖の祈祷書』を閉じてしまった。 「ど、どうしたの?」 「凄い魔力だ……、タカの眼で見るには、文字に込められた魔力が強すぎる……」 エツィオは、目を擦りながら、呻くように呟く。 どうやらエツィオの"タカの眼"では、始祖の祈祷書を読み続ける事は出来ないらしい。 ルイズは、辛そうな様子のエツィオを心配そうに見つめた。 「大丈夫?」 「眼が焼かれそうだ……。書き写してあげようにも、これじゃあな……」 「そう……」 「すまないな」 「な、なにもあやまらなくても……」 どこか落胆した様子のルイズにエツィオが謝る。 ルイズは僅かに頬を赤らめて俯いた。 「しかし……、こんなに魔力を込めて書くなんて……、一体、これには何が書かれているんだ……?」 「せめてあんたの"タカの眼"でも読めるくらいに加減して書けばいいのにね」 「そうだな。書いていて思わず力むくらいだ、きっと恥ずかしい内容なんだろ?」 エツィオの冗談に、二人はくつくつと笑いあう。 それからルイズはごそごそと布団に潜り込んだ。 「もう寝るのか?」 エツィオが尋ねると、「うん」とだけ返事が返ってきた。 エツィオはにやっと笑みを浮かべると、ルイズのベッドに潜り込む。 それから何を思ったか、ルイズの肩に手を回すと、ぐいと抱き寄せた。 「ひゃっ! な、なにすんのよっ……!」 突然エツィオに抱き寄せられたものだから、ルイズは目を白黒させて驚いた。 互いの息がかかるくらいに顔を近くに寄せると、エツィオはにっこりとほほ笑んだ。 「おやすみをまだ言ってなかったからな」 「あ……」 文句を言おうと思っても、頭が回らない、まるで麻酔にかかったかのように頭がじんわりと痺れてくる。 「あわ、あわ、あわ」とわめくうちに、額にキスをされた。 「おやすみ、ルイズ」 顔を真っ赤にしたルイズに、エツィオはニッと笑う。 相も変わらず、自信たっぷりな使い魔の笑顔に、文句を言おうにも言葉が出てこない。 「ばっ……ばかっ! な、なにしてんのよ! も、もう……」 かろうじてそれだけ言うと、ルイズは毛布を頭から被って丸くなってしまった。 ルイズは布団のなかで落ち着きなくもぞもぞと動いている。たまに中から「なによもう……」とか、「いきなりあんなことするんだもん……」とか ぶつぶつと文句が聞こえてくる。この調子では当分眠ってはくれなさそうだ。 これから毎晩やってやるかな、なんて事を考えながら、エツィオは天井を見つめる。 そう言えば、先ほどルイズが言っていたように、そろそろアンリエッタ姫殿下とゲルマニア皇帝の結婚式である。 気がかりは、それに先駆けた、アルビオンによる親善訪問の名を借りた先制攻撃だ。 そろそろマチルダから報告が届きそうなものなんだが……。とアルビオンで内偵を行っているマチルダのことを考える。 そうしばらくしているうちに、もぞもぞと動いていたルイズが、おとなしくなった。どうやら眠ったらしい。 とにかく、今はあまり考えても仕方が無い、まずはマチルダからの報告を待とう……。 エツィオはそう考えながら、静かに目を閉じた。 ルイズが眠り、エツィオが目を閉じてから数時間後……。 突然エツィオが目を開け、むくりと起き上がる。 そして頭を振り、目頭を押さえると、彼には珍しく、少々イラついた様子で小さく呟いた。 「くそっ……全然眠れない……なんでだ?」 首を傾げるも、理由がわからない。 目を閉じていればいずれ眠れるだろう……そう考えながらもう一度横になり、目を瞑る。 だが、どういうわけかその後も全く眠りにつけず、結局、エツィオがようやく眠りにつけたのは、空が明るみ始めた頃だった。 ――写本の断片を入手 『私が助け、そして私の命を救ってくれた青年は、『オスマン』と名乗ってくれた。 (『オスマン』……記憶が正しければ、アナトリア地方に住む人間が名乗る名だ。ということは、ここはアナトリア地方なのだろうか?) 驚くべきことに、彼は『魔法』という力を行使する者(彼らが言うには『メイジ』と呼ばれる)らしい。 彼が私を助けるために行使した癒しの力、それが『魔法』なのだという。 最初、彼の口からそれを聞いた時、私は俄かには信じられなかった。 ……魔法、私が知る限り、千夜一夜の物語に登場するような荒唐無稽なおとぎ話の中の力の筈だ。 しかし私はその魔法によって命を救われている。こうしてその力を目の当たりにした以上、信じないわけにはいかないだろう。 未だ半信半疑だった私は、別な魔法を使って見せるように彼に依頼をする。 彼は怪訝な表情をしたものの、私に様々な『魔法』を見せてくれた。 彼が杖を振るだけで、炎が噴き出し、風が巻き起こり、ただの土が金属へと変化する。 私は驚愕し、戦慄した。これは人が持ちえる技なのか? この力をテンプル騎士達が行使したらどうなる? この力は騎士団のような連中に知られるわけにはいかない……。 ――その心配は全て杞憂に終わったことは幸運なことだった。 慄く私に、彼は首を傾げていたが、命を救ってくれた礼に宿を提供させてくれと申し出てきてくれた。 土地勘のない場所だったためにこの申し出は私にとって非常にありがたい話である、私は彼の申し出を受け入れ、彼の世話になることに決めた。 異国の友に感謝を。』 『私は推測していた、『果実』の暴走によって、私は遥か遠いところへ、それこそ別の大陸へと来てしまったのだと。 そしてその推測は、半分が当たっていて、半分は大きく外れていた。 結論から言おう、私が飛ばされてきたこの場所は、私が本来いるべきはずの世界から遥か遠くに隔絶された世界であった。 言わば別世界、異世界とも呼べる場所だ。 私はその事実に至った時、即座に『エデンの果実』を調査した、私をこの世界に導いたのがこの果実ならば、元の世界に戻す手段も当然これに限られるはずだ。 正直、使いたくはないが、他に手段がない、背に腹は代えられない。だが、果実は何も反応を示さない、戸惑う私に答えを教えてくれたのは、皮肉にも果実であった。 この果実の持つ空間転移と呼べる力、それ自体は多用できるものではなく、再び使用するためにはある程度時間を置かなくてはならないというのだ。 確かに、果実をよく"見る"と心なしか輝きを失っているように見える、しかし私の問いに答えたということは、機能を完全に停止するということは決して無いようだ。 なんとも間抜けな答えに、私は落胆しつつも安堵と一抹の不安を覚える。 これほどの力を行使したとしても、『エデンの果実』は決して機能を止めることはない。果たしてこの果実を止める、或いは破壊、封印する手立ては存在するのだろうか? ……兎も角、果実のエネルギーの充填を待つ間、私はこの世界に足止めとなる。 幸運なことに果実は私の手元にある、ということはテンプル騎士達に奪われる心配は少なくとも存在しないのだが、それだけに今は、マシャフに残る兄弟達だけが気がかりだ。 私が果実と共に消える時、傍にマリクがいた事を覚えている、兄弟達の不安を煽らぬよう、彼がうまく立ちまわってくれるのを祈るしかない』 『(冶金法の解説書及び設計図:エラーにつき閲覧不可)』 『成功だ! かねてより研究を進めていた、極めて小さな弾丸を戦闘に用いる方法が分かった。 弾丸を用いた戦闘は前例のあることではない、東方の国々では既に使われていることは広く知られている。 だがそれはずっと大型の武器で、それこそ攻城戦に用いられるようなものであったため、我々の目的には合わなかったのだ。 今回、私はそれを大幅に小型化し、手首に装着できるように作りなおす方法を考えついたのだ。 その威力は人を死に至らしめるに十二分であり、遠く離れていても使える。……正直に告白しよう、私がこの発見を得たのは、控えめに言っても危険な方法によってだ。 精神を集中させ、ほんの短時間だけに限るなら、『リンゴ』を使っても大丈夫のようだ。 だが、ここは異世界であって、マシャフではない。魔法という手段があるとはいえ、ブレードに使用される合金の錬金は、所謂スクウェアクラスのメイジであっても不可能だ。 全体的に見て、この世界の冶金技術は全く進んでいないと言っていい。しかし、私のもつ……否、『リンゴ』がもたらした知識は、 この世界を根底からひっくり返しかねない技術であることもまた事実だ。速すぎる技術革新がもたらす混乱、それは私の望むところではない。 故に、この書物に封印することに決めた。願わくは、心ある者がこれを読み解かんことを』 『"英知がもたらすは悲嘆のみ。真実を知るほど、悲しみはいや増す"という哲学者の言葉が、今では十分に理解できる気がする。 そう、これは確かに正しい、鉄を作る知識を得れば、鉄は剣へと変わり、剣は戦いを生み出す。 これはこの魔法の世界でも同じことだ、現に魔法は戦いに利用されている。 四つの系統すべてに、戦いに対応した攻撃魔法が数多く存在していることから、それは最早自明の理だ。 人は何故戦いを求めるのだろうか? 手を取り合って生きるということはできないのだろうか。 この世界は神によって創造されたものなのだというが、果たしてそうなのだろうか。 暴力に飢えたおぞましい存在が創造したとしか私には思えないのだ、この魔法が支配する異世界も、……私のいた世界も』 『(ピストルの設計図:焼失したため閲覧不可)』 『この世界にも、我々の世界と同じように神として、または神の代理人として崇拝される人間がいた、その者はブリミルと名乗っていたそうだ。 降臨、信徒、数々の奇跡、彼もまた、かの大工のようにこの世界の人々に崇拝、信仰されている。 しかし私の知る神話とは異なる点がいくつかある。彼に関しての逸話が、ほぼ存在しないのだ。 だが、最も注目すべき点は彼の死後だ。 彼の死後、6000年間の間、誰一人として宗教的指導者が現れていない。まるで『ブリミル教』以外の教えを全て排除したかのような。 彼もまた、『エデンの果実』を利用したのだろうか? 概念を世界に浸透させ、根づかせたのだろうか。 ただ一つ異教と呼べるもの、それはブリミル光臨の時より敵対していたとされる『エルフ』と呼ばれる者たちだ。 『エルフ』……先住……。 だとすれば、『彼』……『彼ら』はどこから来たのだ? 『かつて来たりし者』との関係は? 考えれば考えるほど、謎は深まるばかりだ』 『(手製爆弾の設計図:画像エラーにつき閲覧不可)』 『dx/dt= -10x +10y dy/dt= 28x -y -xz dz/dt= -8/3z +xy (方程式のグラフ:画像ファイル破損につき閲覧不可) "ليس هناك ما هو صحيح ، كل شيء مسموح به" Laa shay a waqui n moutlaq bale kouloun moumkine』 前ページ次ページSERVANT S CREED 0 ―Lost sequence―
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5294.html
前のページへ / 一覧へ戻る / 次のページへ タルブの村の地理なら把握している。 トリステイン軍の規模、レコン・キスタ軍の規模の情報も得られる。 戦術を練る事はできるが、ハクオロはトリステイン軍を動かす力を持たない。 ――持っている事に気づいていない。 彼は無力な使い魔にすぎなかったが、だからといってタルブの村を捨て置けない。 なぜなら、学院長室にハクオロを呼んでくれたオールド・オスマンが、 暗澹たる表情で話したその情報から考えれば、 あのウェールズ皇太子がトリステイン軍を指揮しようと、勝機は皆無に等しかった。 また、ハクオロも戦術を考えはしたが、すでに事が始まった今、成すすべがない。 ――タルブの村が乱に巻き込まれかねない危険は承知していたはずなのに。 だからこそよりいっそう、ハクオロはタルブの村に行きたいと願った。 しかしオールド・オスマンは首を横に振る。 「恩人の同郷の者を、むざむざ死地に赴かせたくはないのでは」 「その恩人の同郷の者が、シエスタがタルブの村にいるんです」 「仮に天照らすもの……クスカミの腕輪を持って行ったとしても、 軍が相手では数という絶対的な力の差に押し潰されるだけじゃ。 どんな稀代の名称でも、今からタルブの村を救うなど不可能。 最終的に戦争に勝利する、いずれタルブを取り返す、とうならまだしもな。 タルブが占領下に置かれたからといって、民すべてが殺される訳ではない。 捕虜となり下働きをさせられる事で生き残る者もいるじゃろう。 シエスタがそうなる事を祈るしかあるまい。 そうなれば、機を見てシエスタを救い出す事も可能だろうて」 「しかし」 ハクオロは自らの拳をきつくきつく握りしめる。 「シエスタと約束したんです」 ――ハクオロさん、危ない時には絶対助けにきてくださいね。 ――ああ、絶対に助けに行くよ。 「だから、自分は……!」 約束と、かつて失ったヤマユラの里を思い出して。 第19話 滅びゆくもの 人気のない場所を探して、気がつくとハクオロは、いつぞやギーシュと決闘をした広場にいた。 陽射しはあたたかく、小鳥がさえずり、風は心地よい。 しかし鬱屈とした気分は少しも晴れない。 壁の前に座り込み、ぼんやりと地面を眺める。 「シエスタ……」 いくら考えても、タルブの村を救う方法が考えつかない。 仮に考えついたとして、その考えを通せる権力もない。 ルイズの使い魔としてすごしてきた日々が無為だったなどと思わない、しかし、 タルブの村を救うための力を得るために何かを積み重ねる事はできなかっただろうか。 人の上に立ちたかった訳ではない。 人の上に立たなければならなかった。 次第に自分の下に集まる人間が増えていった。 果ては皇となり國まで支える事になった。 権力を望んだ訳ではない。 家族である彼女達と、ただ平穏に暮らしたかっただけだった。 けれど、もしハクオロが今、皇のような力を持っていたら、 タルブの村を救えたかもしれないのに。 戦乱を望む訳ではない。しかし戦乱を収めるためには、戦乱に身を投じねばならぬ過酷な現実。 数多の戦場から傷を負わずに帰還するような一騎当千の力もなければ、 一声で幾千幾万の兵を動かすだけの権力もない。 「タルブの村?」 ハッと顔を上げると、ルイズがいた。 「やっぱりそうなのね。あのメイドが気になるんでしょ」 「ルイズ、なぜ……」 「シエスタのお母さんのお話、夢の中から覗き見してたから。 戦争になって、あんたがほっとける訳ないじゃない。だから助けに行きましょう」 「しかし、どうやって」 「忘れたの? 何でかは解らないけれど、私はもう、魔法が使えるのよ」 そう言って杖を握って見せ、ルイズは微笑んだ。 「ハクオロ。あの幻を見せる魔法……イリュージョンがあれば、何ができるかしら」 「イリュージョン……そうか、あれなら、大軍の幻を見せる事もできるし、 タルブの人々が村に残っているように見せ、その隙に逃がす事も可能だ。 いくらでもやりようはある」 湧き上がる希望に、ハクオロは立ち上がった。クスリとルイズが笑う。 「じゃあ、決まりね」 「しかしいいのか? タルブの村はすでに戦場となっているかもしれん」 「いいわ。私は確かめたいの、私が何者なのか、ハクオロが何者なのか。 私達は何を間違ってしまったのかを……。 その答えは……戦場にある気がする。 あの時、アルビオンで、私は答えを見ていたはずだから」 「教会で何があったのかを思い出したのか?」 「思い出した訳じゃない。ぼんやりと、夢のように不確かなものだけど。 でもほんのわずかな手がかりがあるのなら、私はそれに賭けてみたい。 ……動機が不純ね。自分勝手な理由で戦場に行きたがってる。 ハクオロはシエスタやタルブの村を救うために行きたいと思っているのに」 「……ルイズ、だが……」 「行こう、ハクオロ」 ルイズはハクオロの手を取って引っ張り起こすと、力強い笑みを見せた。 だがハクオロの表情は冴えないままだ。 「ルイズ、君の気持ちは解った。しかしだな」 「そんな顔しないでよ。せっかくやる気になってるんだから」 「そうじゃなくて」 「何よ」 「どうやってタルブの村まで行くんだ?」 風が吹いた。冷たい風が。 笑顔のままルイズは凍りついている。 あれだけ格好よく言ってのけておいて、肝心なところが抜けていた。 考えてませんでしたなんて言えない。 風が再び吹く。今度はちょっと強い風だ。 桃色の風がなびいて、不自然な強風を見上げる。シルフィードがいた。 そしてもちろん、その背中にはタバサが騎乗している。 「タバサ、まさか」 「貴方が望むなら」 それ以上、言葉はいらなかった。 トリステイン魔法学院から一頭の風竜が飛び立つ。 タルブの村という戦場へ向けて。 陣を敷くため、タルブの村を蹂躙するレコン・キスタの軍勢。 村を護るための領主の兵はすでに壊滅し、また逃げ遅れた村人も骸となっていた。 生き残ったのは、森に逃げ込んだ村人だけ。 その中にシエスタ親子の姿もあった。 「お父さん……畑が、ハクオロさんのおかげで実った畑が……」 「……収穫までまだ時間がかかる畑なんか、奴等にとっちゃただの地面と同じだ。 踏み荒らした畑の上にあぐらをかいて、また戦場にしちまうんだろうよ」 故郷を失う悲しみ。 それと同じくらい、ハクオロが一生懸命豊かにしようと手伝ってくれた土地を失うのが悲しい。 ――ハクオロさん、危ない時には絶対助けにきてくださいね。 今がその時だ。 ――ああ、絶対に助けに行くよ。 きっとハクオロが助けに来てくれるとシエスタは信じている。 いつ助けに来てくれるのかは、解らない。 もしかしたら以前タルブの村に来た時のように、ミス・タバサの使い魔の風竜に乗って、 今まさにここへ到着しようとしているのかもしれない。 でも、そんな不確かな希望を悠長に待っている暇はなかった。 タルブの村に降り立ったレコン・キスタの兵達はすでに何隻かの船を着陸させ、 戦線の拠点とすべく畑を踏み荒らしている最中だ。 それがシエスタには許せなかった。 だから。 落胆して木陰にうずくまる父に気づかれぬよう、ひっそりと、シエスタは姿を消した。 森の奥へ。母の形見の元へ向かって。 帰ってきて早々の出来事だったため、アヴ・カムゥはまだ移動させていない。 まだ何隻かの船を空中に浮かべるレコン・キスタに発見されるのは時間の問題だった。 だったらいっそという思いを込めながら、シエスタはアヴ・カムゥの背中に登る。 大きな球のようなものに吸い込まれるようにして入り、 中身を満たす赤い液体の流動を感じながらシエスタは目を開く。 森の向こうに、故郷が見えた。 フーケは陰鬱な気持ちだった。 報酬のためとはいえ、戦争に手を貸すなど、土くれと恐れられた自分のする事ではない。 しかし素性を調べ上げられ、今はもう戦死してしまったワルドに脅迫まがいの真似をされ、 レコン・キスタという組織に身を投じてしまった今では、出奔するリスクも大きい。 内情をかなり知ってしまった自分を、レコン・キスタは逃がさないだろう。 だからもう割り切って報酬のために戦争をしようと決めたのだけれど、 心というものは割り切れないものだと感じ入っていた。 そんなフーケに出撃命令が下る。 自分が出る間でもなくこの地方に配備されていた敵軍は排除したはずだ。 トリステインの本隊が駆けつけたのであれば、さすがはウェールズと褒めるべきか。 しかし敵は単騎。 トライアングルかスクウェアクラスと思われる、鋼鉄のゴーレムが現れたと言う。 そんなの砲撃で潰してしまえばいいと進言したが、 すでにタルブの村には多数の兵が上陸しており、巻き添えにしてしまう。 やれやれと呟きながら、フーケは甲板に出ると、タルブの村を見下ろした。 なるほど、鋼鉄の鎧を持つ巨大ゴーレムが、 着陸していた船に巨大な剣を食い込ませていた。あれは一筋縄ではいくまい。 レビテーションの魔法を使って甲板から飛び降りたフーケは、 降り立った畑の土の質のよさににんまりと微笑んだ。 これほど上質な土なら、いつも以上に上等なゴーレムを作り上げられる。 目算通り、強度も再生能力も高いゴーレムを作ったフーケは、 その肩に乗り鋼鉄のゴーレム――アヴ・カムゥへと迫る。 村を護るためとはいえ、侵略者とはいえ、人殺しはしたくない。 戦場に無用な情けから、シエスタは敵艦を壊す程度の事しかせず、 その時に不幸にも巻き添えを受け負傷した人を見ては心を痛めていた。 船をひとつ潰したシエスタは、次の船に向かって歩き出す。 畑を踏み潰さないよう、敵兵を踏み潰さないよう、 注意を払って歩いていると、背後から足音が迫ってきた。 振り向くと、アブ・カムゥほどもある土くれのゴーレムが拳を振り上げていた。 「キャッ……!」 慌てたシエスタは振り向き様に剣を払うが、剣の腹に握り拳が振り下ろされる。 軌道をそらされた巨刃はゴーレムの足元に深々とめり込む。 次いで、ゴーレムのもう片方の手がアヴ・カムゥの顔面に打ち込まれた。 「キャウッ!」 尻餅をついたアヴ・カムゥから少女の悲鳴が漏れ、フーケは眉根を寄せる。 どうやら自分同様ゴーレムに乗って戦っているらしいが、 それにしてはどこにいるのかが解らない。 視界を確保するためには、メイジ本人が顔を出さねばならないはず。 鎧の隙間にでも隠れているのか。 しかしそれでは、衝撃を受けた時に鎧に叩きつけられてしまい、ろくに戦えまい。 殴った手応えから、フーケはアヴ・カムゥはスクウェアクラスのゴーレムと判断した。 これほどの硬度、並のメイジにできる事じゃない。 土ではなく鉄からゴーレムを作ったのだとしてもだ。 だがアヴ・カムゥの動きは素人同然だった。 「あんたが何者かは知らないが、命が惜しかったらそのゴーレムを解除しな」 「こ、この村から……出てってください!」 立ち上がったアヴ・カムゥの頭部を土くれのゴーレムの肩に向け、 そこに乗るローブをまとった女――フーケを認めた。 もちろんシエスタはフーケの名前を知っていたが、 ハクオロ達が捕まえたけど逃げられたと聞いた程度で、 実際のその姿を見た事はなかった。 だからゴーレムに乗る女がフーケだだとは少しばかりも思わない。 「ミス・ロングビル……?」 そしてシエスタは、オールド・オスマンの秘書を最近辞めた女性の顔は覚えていた。 名前を呼ばれてフーケは思考をめぐらす。 わざわざロングビルの偽名の方を呼ぶとは、学院関係者か。 それもロングビルがフーケだという事を聞かされていない程度の。 心当たりがまったくなかった。 学院の生徒ならフーケとロングビルの事情を知らない奴もいるだろう。 だがこれほどのゴーレムを操るとなればスクウェアクラスの実力が必要。 学院の教師達にも間違いなく無理。 オールド・オスマンならもしかしたら、とも思うが、聞こえてきた声は少女。 不気味だとフーケは思った。 得たいが知れない。 天照らすものに舐めさせられた苦汁の味を思い出す。 だから。 「死にたくなかったら、ゴーレムを解除して逃げ出すこったね。 得たいの知れない鉄くれはッ! 徹底的にぶち壊させてもらうよ!」 土くれの拳とアヴ・カムゥの拳とが正面から激突し大地を揺るがした。 壊れた拳を引きながら、反対の拳をアヴ・カムゥの胸元に返す。 激しく揺れるアヴ・カムゥの中でシエスタはあえいだ。 ――ハクオロさん―― ――危ない時には―― ――絶対助けにきてくださいね―― ――ハクオロさん―― これは何だろうとフーケは首を傾げた。 やはりただのゴーレムではない。鋼鉄の他に、いったいどんな材料を使ったのか。 殴っても殴ってもへこみもしない鎧に業を煮やしたフーケは、 アヴ・カムゥの使っていた巨剣を持ち上げ、 うつ伏せに倒れるアヴ・カムゥの背中に深々と突き刺した。 すると、まるで人間を刺し殺したかのように赤い液体が噴出した。 血ではない。 この液体は何だ。ゴーレムを動かすための特殊なポーションのようなものだろうか。 まるで鮮血を浴びてしまったような気がして、フーケは顔をしかめる。 そして、遠くから悲鳴が聞こえた気がして、その方向、空を見た。 飛翔する蒼い翼と、 先手を打たれてしまった。すでにラ・ロシェールが落とされた今、 このままタルブの村まで取られては、トリステインの勝ち目は皆無に等しい。 今、ここで、食い止めねば。 強力な空軍戦力を持つアルビオンの元皇太子は、 レコン・キスタと空中でも戦えるようトリステイン空軍の戦力を再編成していた。 戦艦を引き連れ、竜騎士隊やグリフォン隊は接近を気づかれぬよう迂回させ、 ここタルブの村についてみれば、地上に降りた敵船はすべて破壊されており、 それを成したであろう鋼鉄のゴーレムは、土のゴーレムにより葬られていた。 奇襲でゴーレムの主を倒し、地上にいるレコン・キスタ兵を捕縛すれば盾となるだろう。 だがそれを見捨てて空中に残った艦が砲撃してくる可能性もある。 先に空中艦を叩くべきか。竜騎士隊とグリフォン隊がタルブの村に到着するまであと少し。 だが、気配を感じて空を見れば、一騎の竜騎士が隊から離れて飛んでいた。 目を凝らすが、竜騎士隊にしては妙だ、目印をつけていない。では、あれは? 飛翔する蒼い翼と、 シルフィードの上で、ハクオロは震えていた。 身を切る風の寒さのせいではない。 返り血を浴びた土くれのゴーレムの足元に、 墓標のように剣を突き立てられたアヴ・カムゥの姿を確認した。 剣は、シエスタがいるであろう場所を貫いている。 ――ハクオロさん、危ない時には絶対助けにきてくださいね。 「あ、ああ……」 嗚咽が、 ――ああ、絶対に助けに行くよ。 「アアァッ……」 絶叫に。 「アアアアァァァァァァァッ!!」 その時、フーケやウェールズのみならず、ただならぬ気配を感じて、 トリステイン軍も、レコン・キスタも、貴族も、平民も、すべて者が空を見上げた。 飛翔する蒼い翼と、憎悪を内包する黒い闇の流出。 薄れゆく意識の中、赤く染まった視界の中、悲しみと絶望の中、シエスタは見た。 天空から大地へと降り立つ黒い霧。 それは質量を持っているかの如く、着地の衝撃で大地を揺るがした。 「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオン」 人ならざる獣の咆哮に、シエスタは理由も解らず安堵する。 「約束……守って、くれ……た……」 力弱きシャクコポルの血は、異世界ハルケギニアの地にあっても、 滅びゆく宿命だったのだ。 しかし。 暗黒の中で開く禍々しき双眸に、哀と憎が入り混じる。 それがハクオロだと、なぜかシエスタには解ってしまって、 死に顔の唇は微笑みの形を作っていた。 前のページへ / 一覧へ戻る / 次のページへ
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/298.html
シエスタに案内してもらった先は食堂の裏にある厨房だった。 中に入ってみるとコックやメイドが忙しげに働いていた。その姿自体は地球のそれと大差は無かった。 厨房の隅の椅子に座らせてもらい、 (魔法で金属は作れても料理までは出来ないのか。魔法とは言え、万能とはいかないのか…) と思っているとシエスタがシチューを持って来てくれた。 「貴族の方々にお出しする料理の余り物で作ったシチューですが…」 「いや、すまない。恩に着る。」 「いえいえ、困ったときはお互い様です。」 ポルナレフはこの世界に来て初めて他人から優しくされ、何年ぶりかの精神的、身体的安らぎを感じた。 冷めない内に、と言われたのでスプーンを取り一口食べてみる。 「…懐かしいな…」 「どうかしましたか?」 「いや、ただこのシチューの味がお袋が昔、作ってくれたのと同じ気がしてな…本当に美味しいよ。」 「そうでしたか。お腹が空いたら何時でもいらして下さい。 私達の食べているものでよかったら、お出ししますから。」 …この時、ポルナレフは心の内の半分しか話さなかった。 彼にとって食事自体が懐かしかったのだ。 しかし、まさか「死んでた」などと言っても信じられまいと思ったので黙っておくことにしたのだ。 「ポルナレフさんは先程ご飯抜きにされたと言ってましたが何をなされたんですか?」 「うん…まあ私が悪いような気もするのだが…しかし半分は違う気もする。朝にちょいと揉め事があってな。授業後にもな」 ポルナレフが一部始終を語ると 「あはは、やっぱり半分は貴方のせいじゃないですか」 とシエスタは笑った。 その笑顔をまともに見れずポルナレフは辛そうに顔を背けた。 「さて、では約束通り何か手伝おうか。」 食べ終わると立ち上がってそう言った 「あ、別に気にしなくて構いませんよ。ゆっくりしていてください。」 「いやいや、これからも当分世話になるんだ。一方的に世話になってたんじゃ私の誇りに傷がつく。」 シエスタは遠慮がちに 「それじゃあ、デザートを運ぶのを手伝ってくださいな。」 ケーキの並んだトレイをポルナレフが持ち、シエスタがひとつひとつ貴族に配っていく。(亀は厨房に残してきた。) 「あれ?あんな給仕いたっけ?」 「新入りだろ。多分」 「変な髪型だな」 (何で亀がいないと俺は使い魔だと気付かれないんだ?そんなに亀が好きか貴様等…。) そんなことを考えているとふと金色の巻き髪に造花の薔薇をフリルのついたシャツのポケットに挿したキザな少年が友人達と何か喋っているのが目に入った。 「なあ、ギーシュ!お前、今は誰とつき合っているんだよ!」 「誰が恋人なんだ?ギーシュ!」 「つき合う?僕にはそのような特定の女性はいないのだ。 薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね。」 それを見てポルナレフは若き日の自分を思い出した。 ああ、自分があいつぐらいの頃はなあ、と思い出に浸っていると、 ギーシュと呼ばれた少年のポケットから何かの液体が入ったガラスの瓶が落ちたのにシエスタが気付き、 ポルナレフを待たせて取りに行った。 しばらくすると茶色のマントを着た女子生徒が近寄って行き、平手打ちした後、 今度はまた別の女子生徒が近寄るなりワインを頭からかけた。 あーあ、可哀相にと同情していると少年は立ち上がり怒りにわなわなと震え、シエスタに何か叱り付けた。 シエスタが異常に怯えているので気になり、トレイを近くのテーブルに置き、騒ぎの方へ向かった。 「一体どうしたんだ?シエスタ。」 「あ…ポ、ポルナレフさ…」 「なんだい君は!?無関係ならどきたまえ。」 やたら高慢な態度に出るのでムッとして 「やれやれ、これで三人目だぞ。女の子を泣かすのが趣味なのか?小僧。」 と返した。 「何だと…!」 「さっきの娘達も泣いてたぞ。 何だっけな?『薔薇は多くの人を楽しませるために咲く』だったか? ありゃ嘘だな。『薔薇は多くの人を泣かせるために刺がある』が正解だ。」 周りにいるギャラリーがドッと笑った。 「その通りだッ!」 「もう何人も泣かしてるしな!」 そんなギャラリーを睨みつけ、ギーシュは言った。 「貴様…!平民なら平民らしく貴族に話を合わせれば良かったんだ! だからそいつに罰を与えようとしたんだ!」 ポルナレフはもう呆れ果て、こいつはただの上っ面から出た馬鹿だな、と思った。 「俺だって恋は富や名声なんかよりずっと大切だと思う。 だが、二股はいかん。全てを失うし、最も女性に失礼かつ嫌われる行為だ。 それを責任転嫁するのはもっと下劣だ。 今回のことを教訓にして新しい恋をするんだな。小僧。」 と言い捨て、後ろを向くとシエスタを促し、さっさと仕事に戻ろうとした。 「どうやら君は貴族に対する礼を知らないらしいな。」 振り向くとギーシュは杖を握りしめ、こっちを睨んでいた。 「知らんな。ただ、貴様より女性に対する礼は知っているつもりだが?」 またギャラリーがドッと笑った。 「良かろう。君に礼儀を教えてやろう。ちょうどいい腹ごなしだ。」 「後にしてくれ。貴様なんかよりこっちの仕事の方がずっと大切だ。」 と言い、仕事に戻ろうとした。が、 「おのれ!また侮辱するかッ!この腑抜けが!」 ギーシュが放った言葉にポルナレフの動きはピタッと止まった。 「小僧…貴様…死んでも知らんぞ…?」 ポルナレフは明らかにキレていた。 久しぶりに自分の誇りを侮辱されたのだ。しかも女性を泣かした下劣なこの馬鹿にだ。 「それでいい…」 ギーシュはニヤリと笑うとくるりと背を向け、キザったらしく 「ヴェストリ広場で待っている。ケーキを配り終わったら来たまえ」 と言って友達を連れ立ち去って行った。 ポルナレフはヴェストリ広場の場所をシエスタに聞こうとして、 彼女の顔が強張っているのに気がついた。 「あ、あなた、殺されちゃう……。貴族を本当に怒らせたら……」 と言い残し逃げてしまった。入れ代わりにルイズが近寄ってきた。 「あんた、何勝手に決闘の約束なんかしてんのよ!」 「まあ、そうなってしまったようだな。」 「あんた、謝っちゃいなさいよ。今ならまだ許してくれるかもしれないわ。」 「嫌だな。仮に謝ったところであいつは許さんだろう。俺だったらそうだからな。」 「分からず屋ね。絶対に勝てないし、あんたは怪我するわ。いいえ、怪我ですんだら良い方よ!」 「そんなこと、元の世界じゃしょっちゅうだったが、最後まで死ななかったから大丈夫だ。」 というとポルナレフは厨房の方へと歩いていった。 『ある物』取りに行くために…。 To Be Continued...
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1685.html
朝日もささぬような時間帯に、学院を出ようとしている者達がいた。 ルイズたち一行である。 昨日、王女アンリエッタから密命を受けたルイズは、 誰にも見咎められることなく学院を出るべく、この時間を選んだのだ。 人数は五人。こういう時勢に旅をする人間としては、多くもなく少なくもない人数だろう。 ルイズ、ギーシュ、J、桃、虎丸、そしてシエスタの六人であった。どうやらJは、桃と虎丸に同行を頼んだようだ。 その選択を、ルイズは黙っている。 内心多少の不満はある。虎丸より役に立ちそうなやつは他にもいっぱいいるのに。 そうルイズは考えていたが、自分よりも付き合いの長いJが虎丸を選んだのには理由があるのだろうと納得していた。 それよりも不思議なのはシエスタである。 どうして自分がアルビオンに出かけることを知ったのか不思議に思ったルイズはシエスタに尋ねた。 すると 「オールド・オスマンに教えていただきました。それに、私ではお役に立てないでしょうか。」 そう逆に聞き返されたルイズは言葉につまる。 シエスタ自身の戦闘力もさることながら、一向に女性が一人だけ、というのは少し嫌だったのだ。 ルイズとて、年頃の女性であることに変わりはないのだ。 それに、ちらりとシエスタを見て思う。 何も見返りを求めることなく自分を慕ってくれるシエスタの気持ちはほんとうにうれしかったのだ。 ようやく準備が終わったころ、ギーシュが声をかけてきた。 「さて、みんな!ぼくの使い魔を紹介しよう!」 その声に、全員の注目が集まる。 「あんた、使い魔いたの?」 というかいるならどこにいるのよ。そうルイズは続けた。 自分の予想通りの反応が返ってきたことにギーシュは気を良くした。 この中でギーシュの使い魔を知らないのは、実はルイズだけなのだ。 他のものたちには、実はルイズのいない時に「新男根寮」で紹介していたのだ。 「それでは紹介しよう!ぼくの使い魔ヴェルダンテだ!」 その掛け声とともに、地面が大きく盛り上がり、巨大なモグラが飛び出してきた。 ジャイアントモールのヴェルダンテである。 その登場姿に思わずルイズはおどろく。ルイズの記憶が確かなら、ジャイアントモールはもっとおとなしい生き物のはずだ。 「ああ!堂々とするようになった君はほんとうに立派だね。」 どうやらギーシュが仕込んでいたようだ。 ふと脳裏にその光景が浮かんだ。感極まったかのように泣いて抱きしめるギーシュの姿に刺激を受けたようだ。 夕日を背景に、殴りあうギーシュとヴェルダンテ。 そして二人はついに和解して、抱き合い、夕日を見上げる。 (……忘れよう。) 思わず変な方向に考えが進んでしまったルイズは、思わず自分を恥じた。 どうやら、最近使い魔に毒されているようだ。 そのとき、一陣の風が舞った。 ルイズが気づいた時、自分の前にはシエスタが立っていた。 桃もJも虎丸も戦闘体勢に入っていた。 「待ってくれ!僕は敵じゃない。」 そう言って、ゆっくりと姿をあらわした男は説明した。 自分は姫殿下より頼まれてきたのだと。そう言って長身の男は帽子を取ると優雅に一礼をして名乗った。 「女王陛下の魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵だ。」 そんなワルドの様子に、ルイズは懐かしい光景を思い浮かべた。 しかし、 「お久しぶりですわ。ワルド様。」 そんな様子を微塵も見せずに、優雅に一礼する。 今のルイズは、昔のルイズではない。さらに今は、親友アンの思いをその小さいに背中に負っているのだ。 しかし、ワルドはそんなルイズの様子を微塵も気にすることなく、話を続けようとする。 婚約者だという彼にはその資格があるかもしれない、桃はそう思わなくもない。 しかし、今の自分はこの誇り高い少女の使い魔であるのだ。 そう考えた桃は、ワルドを止めに入る。 ルイズとの間に割り込まれたワルドは、一瞬目を吊り上げるがすぐにもとの表情に戻る。 そうしてルイズに向き直ると、彼らを紹介してくれるように言った。 「こちらの三人がわたしの使い魔です。」 その台詞に思わずルイズを凝視してしまう。 ルイズが人間の使い魔を呼んでいたのは知っていたが、複数だとは思ってもみなかったのだ。 また、シエスタの紹介のところで、思わず不審な目をしてしまった。 どうしてメイドが?言葉に出さずとも顔に表れていた。 そんな様子を気にする素振りも見せずにシエスタはいう。 「失礼ながら、貴族の方々とルイズ様の使い魔方だけで、満足にルイズ様のお世話ができましょうか。 わたくしめは、そのことを心配なされたオールド・オスマンに付けられた一介のメイドです。 どうぞお気にせずご出立下さい。足手まといになるようなまねはいたしません。」 普段のシエスタを知っている人間からすると、明らかに外向けの仮面を被ったシエスタが言った。 あまりに堂々と自分に意見するメイドに、ワルドは少しペースを崩されたが、気にしないことにした。 一方、シエスタは感じていた。 彼がルイズにとってはプラスになりそうにないことを。 それは、女の勘とでも言うべきものであった。 ちらりとルイズの方を見やると、シエスタは覚悟した。 (もし、この男がルイズ様に何かするようなら、その時は私が。) そうしてそれぞれの紹介を終えた六人は旅立つことになった。 向かう先はアルビオン。黒雲渦巻く天空大陸だ。 その様子を、窓の中からオールド・オスマンとアンリエッタは見つめていた。 (異世界から来たという使い魔の方々。どうかルイズを守ってください。) アンリエッタは親友の無事を祈り続けていた。 いつまでも……。 男達の使い魔 第七話 完 NGシーン 外伝 雷電「ま、まさかアレは!」 虎丸「知っているのか雷電!」 雷電「あれこそまさしく、古代より中国に伝わるという蛇威暗斗猛瑠(じゃいあんともうる)!」 ハルケギニアの代表的生物の一つ、ジャイアントモールの起源を知るものは少ない。 かつて黄帝の御世、ある化け物が黄河の上流で猛威を振るっていた。 体は竜(古代中国では蛇も同等とみなされる)よりも大きく、暗闇を好み、 人を襲い、瑠璃などの財宝を奪っていくというその化け物は、周辺住民から大変おそれられていたという。 しかし、いかなる軍であろうともその化け物を倒すことはできなかった。 当時の軍では、空を飛び地に潜るその化け物を打ち倒すことは不可能だったのだ。 そうして絶望していたという住民達のところに天の使いが現れた。 当時、仏教などまだ存在しなかったはずだというのに、神拳寺という寺の僧侶と男は名乗ったのだ。 その男は、村人達の嘆きを聞くと、単身化け物に挑んだ。 戦闘は苛烈を極めたという。 ついに己の不利を悟った化け物は空を飛んで逃げ出した。 人は空を飛べない、そう思って後ろを振り返ったその化け物はぎょっとした。 なんとその僧侶は、持っていた棒のようなものを頭上でまわして空を飛んでいたのだ。 慌てて速度を上げようとした化け物だったが、時既に遅し。 追いついた僧侶に、その羽を切り落とされ地に落とされた化け物は最後の力を振り絞って地にのがれた。 その潜った後を追いかけた僧侶だが、穴の先には何もいなかった。 ただ、不思議な光だけがあったという。 そう、諸君らの想像の通り、ハルケギニアにやってきたのだ。 こうしてハルケギニアに訪れたこの生き物は、極度に大人しく地底に住む種族となったのだ。 なお、かつての中国での名は、蛇威暗斗猛瑠がどうしてかハルケギニアに伝わり、ジャイアントモールに なったのは有名な話である。 最後に一言だけ付け加えよう。この蛇威暗斗猛瑠を打ち倒した男は、王大人と名乗ったそうだ。 民明書房刊「蛇威暗斗猛瑠の全て」(ギーシュ・ド・グラモン著) ギーシュ「という本を今度発行することになったんだが、読んでみての感想はどうだい?」 ルイズ「……ギーシュ。あんた文才ないわねぇ。」 ケティ(ああ。そんなギーシュ様もす・て・き) その様子を、モンモランシーは柱の影から見つめていた。 なぜか涙が止まらなかった。 いつまでも……
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2482.html
木々の向こうで何かが崩れる音が響いた。 風に揺れる葉が森の外の音を吸収して届かなくしているが、耳を済ませて小さな音さえ聞き逃さないように気をつけていれば、絶対に聞こえないものでもない。 とはいえ、常に音ばかりに意識を集中していられる人間など多くは無く、その音を聞いていたのは極一部の人間だけであった。 「建物が崩れた……?ということは、そろそろ終わりかしら」 五感そのものは人間と大差は無いものの、多少鋭くはある。そのお陰で遠く響いた小さな音を聞き取ることに成功したエルザは、何が起きたかを悟って小さく呟いた。 音は、竜騎士隊の攻撃によって炎上した建物が崩壊する時のものだろう。 指揮官であるワルドを失ったアルビオンの竜騎士隊ではあるが、指揮系統が崩壊したというわけではない。こういう時のために副隊長は存在しているし、階級という上下関係がある。そのため、任務の遂行に支障は無く、タルブの村の制圧は順調な様であった。 「空さえ飛んでなければ、逃げ隠れしないで止めに行けるんだろうけど……」 言っておいて、詮無いことと肩を竦める。 竜騎士の恐ろしい所は、一撃離脱の戦法と竜の火力だ。空を縦横無尽に飛び回る生き物を仕留めることは容易ではなく、急降下と急上昇の合間に行われるブレスの攻撃は、地上を這うしかない人間達を簡単に炎の海に沈めることが出来る。 対空兵器なんて存在しないハルケギニアでは、地道に魔法で撃ち落すか、それとも大砲に散弾を詰めて面制圧をするか、あるいは、同じ空を戦場に出来る部隊で対抗するしかない。それにしても、魔法は滅多に当たらないだろうし、大砲は高価であるにも関わらず射程の問題から大した戦果を上げてはくれないだろう。結局の所、竜騎士と戦うなら同じ空で決着を付けるしかないというわけだ。 まったくもって、厄介な相手である。 地上に引き摺り下ろすことさえ出来れば、話は違ってくるのだが。 「余程の間抜けでもない限り、戦場で地上に降りてくる竜騎士なんて居やしないか」 ゴーレムに叩き潰された間抜けの存在なんて知るはずも無いエルザは、独り言を終えて膝を抱える少女の顔をちらりと覗き見る。 すん、と鼻を鳴らして、泣きながら籠に入れられた木苺を食べ続けるシエスタがそこに居た。 「アンタもいい加減泣き止みなさいよ。馬鹿みたいに心配してるときほど、心配されてる方は退屈持て余してバカ面晒してるもんよ?それに、アンタが何を思ってたって、別に何かが変わるわけじゃないでしょ」 「ひょれは、ひょうかもひれないけど……」 シエスタが、木苺を沢山詰めた口を動かして返事をする。 餌を頬袋に大量に詰めたリスのように頬を膨らます様は可愛らしいものだったが、内情は意外と切実だ。何せ、エルザが持ち込んだ薬の苦さが余りにも酷く、こうでもしないと泣いている理由が変わってしまうくらいなのだから。 視線を少し動かして村人達の様子に目を向ければ、皆が揃って何かしら甘いものや刺激の強い食べ物を口に詰め込んでいる姿が確認できる。水を飲んで苦さを洗い流そうにも、舌の上で苦味が張り付いて取れないのだ。偶然、ティファニアが配り歩いていた木苺の甘さで多少は誤魔化せることが判明してからというもの、自生している実を穫り尽くしそうな勢いでかき集めて、こうして実を食べまくっているのであった。 「……んー」 あっちでもぐもぐ、こっちでもぐもぐ。そうやって食べている姿ばかり見ていると、自分も同じ事をしなければならないのではないのかと思ってしまうのが集団心理。 触発されたエルザは、シエスタの傍らに置かれた籠から木苺を一つ掠め取り、それを口の中に放り込んで仄かな甘味に頬を緩めた。 だが、浮かんだ笑顔も長くは続かない。 「ぐすっ……、すん……」 「まだ泣くか」 激しく泣くわけではないが、目元の涙と鼻水は止まらないらしい。 よくもそこまで感情が長続きするものだと感心するが、親しい身内や想い人の危機ともなればそんなものかもしれない。ただ、どこか気まずそうな、それでいて申し訳なさそうな雰囲気も感じ取れるから、泣いている理由は心配ばかりでは無さそうであった。 シエスタが己の欲望に負けて、才人とジェシカを元に邪な妄想を抱いていた、などということがエルザに分かるはずもなく、疑惑の視線はすぐに消える。 このまま泣き虫に長く付き合う気になれないエルザは、適当に切り上げることを決めていた。 ジェシカの使った獣道を逆走してきたために話しかけられたのが縁の始まりだが、言ってしまえばそれだけの関係。耳障りな泣き声を聞き続ける理由にはならない。 このまま適当に理由をつけて逃げ出そう。 そう思ってエルザが立ち上がろうとすると、スカートが何かに引っ張られた。 「……スカートが脱げそうなんだけど」 「あ、ごめんなひゃい」 そう謝りはしたものの、シエスタはエルザのスカートを放そうとはしない。 これは、引き止められているのだろうか? 泣き腫らして後に落ち着いてくると、一人が寂しいと感じるときがある。誰かに傍に居てもらいたいのに、避難民達は皆忙しく動き回っている。だから、その場の流れとはいえ、傍に居てくれたエルザを放したくないのかもしれない。 エルザにしてみればいい迷惑なのだが、それを言って泣かしでもしたら、余計に面倒なことになる。 はぁ、と溜め息を付いて、エルザは再びシエスタの横に並んで座り込むと、また籠から木苺を取って口に放り込んだ。 「ねえ、ちょっと訊いてもいい?」 「ん?」 「サイトって、どういう奴?」 ラ・ロシェールで、ホル・ホース同様に異世界から来た人間であることはエルザも知っている。逆に言えば、それしか知らない。だから、あえて見知らぬ相手であるかのように、シエスタに問いかけていた。 ごくり、と頬を膨らませていた大量の実を無理矢理飲み込んだシエスタは、遠い空を見上げて記憶を掘り起こす。 ああ、これが恋する乙女の目って奴なのね。 才人のことを聞かれた瞬間、キラキラと輝きだしたシエスタの瞳を見て、早速エルザは聞く気を無くしていた。 「そうね……、とっても勇敢で、貴族様が相手でも一歩も引かず、メイジだって倒しちゃう凄い人よ」 「へえ、それは凄いわね」 「でしょ?ちょっと無鉄砲な所もあるけど、誠実っていうか、素直って言うか……」 「うんうん」 ぽっと頬を赤くして、ペラペラと喋るシエスタに、エルザが適当な相槌を打つ。 泣く子を黙らせるには、やはり興味のあることや好きなことをやらせるのが一番だ。想いを寄せている相手のことを語らせれば、年頃の女なんて一時間以上も平気で喋り続けるもの。 若干、邪魔臭さが増したものの、泣かれるよりはいいだろうというこの作戦は、早速効果を上げ始めていた。 「美味しそうにご飯を食べてる姿がとっても可愛いのよ?あっちこっちに手を出して、すぐ口の中をいっぱいにするの。それでもぐもぐって、一生懸命噛んでるところを見ると、小さい動物みたいで……」 「へぇ、なるほどなるほど」 「食べ終わると、必ず美味しかったって言ってくれて……、それがもう、マルトーさん達が気に入っちゃって気に入っちゃって。隠してたワインまでポンポン開けちゃうんだから。で、舞踏会なんかで出した食事なんて、こんなに美味しいものを捨てるなんて、ってお腹いっぱいなのに無理して食べて……、また気に入っちゃって、ミス・ヴァリエールの使い魔じゃなかったら俺の養子にしてるところだ!なんて言い出すのよ?それでね、それでね……」 「はぁん、へぇ、ふぅん」 「ミスタ・グラモンとの決闘だって、ボロボロになっても一歩も引かず、剣を握った瞬間、こう、風みたいに動いて、ずばー!ばさー!って、凄い早かったんだから!で、剣をこう突きつけて、貴族様に謝らせちゃったのよ。凄いでしょ?ね、ね!それから……」 「へえ。ほー。あー、はいはい」 想いを寄せている相手のことを語らせたら、年頃の女なんて一時間以上も平気で喋り続けるもの。 そう、そのことはあらかじめ分かっていた。分かっていたのに、実際に聞かされる身になると、それがどれだけ辛い立場なのか、エルザは理解していなかった。 自分の興味が多少でも重なれば、この苦痛も半減するのだろう。しかし、他人の好いた男のことなど心底どうでもいいエルザにとって、シエスタの口から次から次へと飛び出てくる惚気話は延々と鞭打ちされるのに匹敵する拷問であった。 「それでサイトさん、ご主人様のミス・ヴァリエールと喧嘩しちゃってね、わたし、これは神様が与えてくれたチャンスだと思ったの!サイトさんってば、普段からなんだかんだと言っていても、ミス・ヴァリエールのことばかり考えてて……。だから、これ以上二人の絆が深くなる前に、きちんと既成事実を作ってしっかり掴まえておこうと思って……」 「わかった!分かったから!アンタがサイトのことをどれだけ好きか、よーっく分かった!でも、なんか段々と生々しくなってきたし、この辺にしておきましょう!」 自分で話を誘導しておきながら、耐え切れなくなったエルザが強引に話の中断を切り出す。 このまま聞いていたら、一時間どころか日が暮れるまで続いてしまう。実際、適当に相槌を打っているだけで空に上っている太陽がいくらか傾いていた。 意気揚々と話していたシエスタは、まだ語り足りないのか、不満そうに表情を変える。それでも泣きながら木苺を食べていた時の陰鬱な雰囲気は消えて、いくらかすっきりとした顔で深く息を吐いていた。 「と、とりあえず、目的は達したわね……」 肩で息をしながら、エルザはシエスタの様子にニヤリと笑う。 泣き虫は旅立ち、代わりに幸せの青い鳥が飛び回っている。高揚した気分を抱えたシエスタが再び泣き出すことは、多分、無いだろう。 少し重い帽子を被り直して、気を取り直したエルザは、さっさとこの場を離れようと立ち上がった。 つん、と腰が後ろに引っ張られ、移動していた上半身は腰を基点に半回転して地面に落ちる。 擬音を並べるとしたら、ずるっ。べしゃ。だろうか。 顔面から地面に飛び込んだエルザは、見事にずり下がったスカートと端を掴むシエスタの姿を睨むと、何事も無かったかのように元の位置に戻ってスカートを直し、シエスタの胸倉を掴み上げた。 「なに?まだ、なんか用があるわけ?」 「えっと、そういうわけじゃないんだけど……。凄い下着つけてるのね?」 「ンなことはどうでもいいから。用件を言え」 ちら、とエルザの機嫌を伺うように上目遣いに見て、シエスタは少し恥ずかしそうに笑った。 「まだ、名前も聞いてなかったから」 「……ああ、そういえばそうだっけ」 状況に流されて放している間に、自己紹介をする機会を失っていたのを思い出す。 名前を言う必要は特に見当たらなかったが、コレも一つの縁だろう。人脈は築いておいて損は無い。多少の手間は将来への投資だと割り切るのが世の中を上手く生きるコツだ。 しかしながら、築いた縁も忘れられては意味が無い。折角名乗るのであれば、しっかりと記憶に焼きつかせておかなければ。 時間と共に草臥れていくドレスの皺を伸ばし、ぱん、と大きな音を立てて土汚れを払ったエルザは、少し考えて、くるっとその場で一回転した。 「わたしは美幼女戦士☆エルザちゃん!純な小さなお友達も汗ばんだ大きなお友達も、みんな仲良くしてね!」 舞い上がるスカート。ふわりと浮く金髪。そして、顔の横で作られた横向きのVサイン。最後にはウィンクまで飛ばしていた。 ハルケギニアには特撮ドラマも無ければ、漫画もアニメもヒーローショーも無い。いったい何処でこんなポーズを覚えてきたのか、何故か妙に様になる機敏な動きで決めたエルザは、ぽかん、と呆けたシエスタの反応に顔を真っ赤にすると、激しく咳き込んで言い直した。 「わたしの名前は、エルザよ。好きに呼んでいいわ。それと、今のは忘れて」 「あ、うん。わたしはシエスタ」 何か鬱憤でも溜まっていたのだろうかと首を傾げたシエスタは、自分が原因だなどと考えもしないでエルザと握手を交わす。こういうとき、深く追求せずにさらりと流すのが、気難しい貴族の子供を相手に働くメイドの必須技能であった。 「それで、エルザちゃんのお父さんとお母さんは……?」 「話はそこまでにして貰おう」 低い声が言葉を遮り、シエスタの細い首に銀色の光を添えた。 肩に落ちる赤い液体に悲鳴を上げることも出来ず、全身を硬直させるしかないシエスタの後方で、血塗れのワルドが右手に握ったレイピアを突きつけている。その体は満身創痍と言うに相応しく、左腕は肩の辺りで削げ落ち、右の足も引き摺るようにして立っていた。 「幼女とか言った瞬間に出てくるとか……、流石はロリペド子爵」 「……俺を覚えていたか、吸血鬼。だが、減らず口には気をつけることだな。お仲間や友人が死ぬことになるぞ?……勿論、貴様自身も、な」 エルザが背後で何かが動く気配を察したときには、既にもう一人のワルドがレイピアをエルザの後頭部に向けていた。 首の裏筋に向けられる冷たい視線に冷や汗を垂らし、そうと悟られないように横目に後ろの気配を探る。 「風の遍在ね……。他にもいるのかしら?」 「見ての通り、余裕がなのでね。これで精一杯だ」 言い終えると同時に、シエスタの背後に立つワルドが咳と一緒に血を吐いた。 なにかのカモフラージュに重傷を演出している、というわけではないらしい。本人のコピーを作る遍在が示すように、エルザの背後に立つワルドも左腕は無く、全身が傷だらけだ。 誤魔化しは無いと見ていいだろう。しかし、そうなると何を目的にこの場に現れたのかが分からなかった。 ワルドは、あと十分か二十分か、その程度放置するだけで失血死する。最も大きい傷口である左肩の部分は焼いて出血を止めているようだが、それ以外の部分の出血も酷いのだ。立っているだけで足下に血の滴が落ちて小さな水溜りが出来ていた。 さっさと味方に合流して治療を受ければいいものを、自分の命と引き換えにしてでも欲しいものがあるのか。それとも、ここに生き延びる為の手段が存在しているとでもいうのか。 どちらにしても、エルザやタルブの村人達にとって、厄介な存在であることに変わりはなさそうだった。 「吸血鬼……?エルザちゃん、どういう……」 首筋の冷たさに頬を引き攣らせて顔を真っ青にしたシエスタが、迷子の子供のようにこの理解出来ない状況の説明をエルザに求める。 だが、それに答えている余裕はエルザには無かった。ワルドの突きつけるレイピアと殺気は本物で、邪魔になると判断されれば、自分もシエスタも一瞬で命を落とすことを確信していたからだ。 ワルドも余計な話に付き合うつもりは無いらしい。 レイピアの刃をシエスタの首に押し付けて無理矢理黙らせると、また一度咳をして、何かを探すように周囲を見回した。 「そこのお前、何をしている!」 エルザたちの状況に気付いた村人の一人が、ワルドに向けて怒声を上げる。 それをきっかけに、ワルドの存在に気付いた村人達が大小さまざまな悲鳴を響かせた。 「少々五月蝿くなってきたが……、これは好都合だ」 最初に怒鳴った男が近付いて来ると、ワルドはシエスタの首筋から一瞬だけレイピアを離して、風の魔法の詠唱を一息で完成させる。 「エア・カッター」 注視しても見ることの出来ない風の刃が、男の首と胴を切り離した。 「イヤアアアアァァァァァァァッッ!!」 血の飛沫と一緒に足元に転がってきた男の頭部を直視したシエスタが、悲鳴を上げた。 連鎖的にあちこちで鼓膜を刺すような叫びが飛び出し、我先にと逃亡を始める。小さな子供は大人の足に蹴られ、転がり、力の無い女は男の腕に捻じ伏せられて地面に倒される。まだ体調の戻らない病人達を助けようとする手は少なく、多くは置き去りになっていた。 そんな中、散り散りになるタルブの村人達の間を縫って、前に出てくる人影がある。 年は二十を越えたばかりか。長い黒髪の幼い顔立ちをした素朴そうな女性だ。それが、顔をぐちゃぐちゃにして、もはや何も反応を示さない亡骸にしがみ付いた。 繰り返される男の名前。 女性は、男の妻であった。 「静まれ!逆らわなければ生かしておいてやる!それとも、この男のようになりたいか!」 死者に縋る女に目もくれず、ワルドは空に向けて光を放つ。 “ライト”の魔法を応用した閃光弾だ。 空がオレンジ色に染まり、光の欠片が木々の頭上でキラキラと輝く。それを目印に、タルブの村を焼いていた竜騎士隊が集まり始めた。 「女を……、エルフの女を連れて来い!ここに居るのだろう!?」 「アンタ、なんでティファニアを……!?」 事前に示し合わせたように竜騎士隊が森の周囲を焼き、逃げ場を失った村人達が怯えながらワルドを見る中、エルザは背後の殺気に当てられながらも疑問を口にする。 それに、ワルドはニタリと粘つくような笑みを浮かべ、ほう、と息を零した。 「やはり居るようだな?サウスゴータの娘がモード大公の娘を保護している事は知っていたから、もしやと思ったが……」 鎌をかけられたとエルザが気付き、口を抑えた時にはもう遅かった。 ティファニアの存在に確証を得たワルドは、シエスタの首にレイピアを押し付け、要求を告げる。 「ティファニアという、エルフの女を連れて来い!耳は長く、金髪の若い女だ!早くしろ!」 ワルドが声を張り上げると、様子見をしていた村人達が一斉に動き出して、病人達の並ぶ一角へと殺到した。 すぐに悲鳴が聞こえてくる。声質からして、間違いなくティファニアのものだ。 「……もうすぐ死ぬくせに、何が狙いなわけ?」 恐怖に取り付かれた民衆を制するには強力な力が要る。今の自分にはティファニアを守る術が無いことを知っているがために、エルザは服を強く握り締めて憤りを耐え、ワルドから情報を引き出そうと問いかける。 しかし、そんな行動すら狙っていたように、ワルドは見下した目をエルザに向けると、逆に質問をぶつけた。 「我慢強いが、感情的でもある。少なくとも、友人や知人を傷付けられることを簡単に許容できるタイプではないようだな?」 「だからどうだって言うの?」 努めて冷静に振舞い、相手に自分の情報を与えまいと仕草の一つにすら気をつける。 そんなエルザの努力が、ワルドの中にあった疑いを確証に変えていた。 「生きているな?忌々しく、認め難い事実だが……!ホル・ホースとか言う傭兵と、ウェールズ王子の二人は!」 「……!」 一瞬強張ったエルザの顔に、ワルドは笑みを深めた。 「クッ、ハハハ、分かりやすい反応だ……!決戦の後に見つけた魔法人形の件で、疑念が生まれた。サウスゴータの丘に調査隊を向けたが、死体は回収されず、埋められた形跡も無い。この手に残った肉を貫いた感触は生存の可能性を否定していたが、時折聞く生存を臭わせる噂話が気にかかったのだよ。そこで、昔読んだ本の記述を思い出した……」 ティファニアの悲鳴と子供の泣き声、それを覆い尽くす様な罵声と悪態。 近付いてきた喧騒にちらりと目を向ければ、数人の大人に両手を引き摺られたティファニアが、亡き夫に縋りつく女性の隣に放り出された所だった。 「先住の魔法には、瀕死の者さえ瞬く間に癒す力があるそうじゃないか?あの場には、それを使える人間、いや、エルフが居た!そう、だからこそ、生きていたからこそッ、お前は俺を見ても冷静で居られるのだ!違うか吸血鬼ッ!?」 「ティファニアは、そんな魔法使えないわ!」 「いいや、使えるね!あのエルフの母親が強力な治癒の力を持っていたことは、使用人の残した手記に書かれていた!それに、娘も先住魔法を使うことは、既に知られているのだよ。始祖の残した魔法には無い、記憶を削る魔法を使うのだろう?」 何処まで執念深く調べたのか。 真相にまで辿り着いてこそ居ないものの、そこに至る材料は揃っている。ただ、ティファニアの力の根幹について誤解があるだけだ。 「この人殺し!アンタのせいで!夫を……、あの人を返してよ!」 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」 夫の亡骸に縋り付いていた女性が、今はティファニアを責め立てている。まったく非の無い筈のティファニアは、それを甘んじて受け、ただ謝罪を繰り返すのみ。 周囲の村人達は悲壮な表情を浮かべながらも、幾人かはエルフを村に受け入れたことが過ちだったと賛成に回った人々を口々に罵り、箍の外れた人間はティファニアへ石を投げつけようとしていた。 「あっちの娘は吸血鬼らしいぞ」 「あの見た目で騙して、俺たちを食うつもりだったのか?」 「さっきの薬も偽物かもしれない!」 「そうだ、あの苦さは毒かも……」 矛先が自分にも向けられ始めたことにエルザは表情を苦々しいものに変え、苛立ちと物哀しさに混じった感情を腹の底に押し込める。 故郷を追われ、蔓延する病に精神的に追い詰められていた村人達が、こうして烏合の衆と化すことは想像するに難しくない。見知らぬ相手、特に亜人に対して同情するなんて事は普通はありえないのだ。だから、これは予測の範疇。誤解は後で解けばいいし、どうせ根無し草なのだから、村一つに拘る理由も無い。 今はただワルドの動向に注視し、生き残ることがエルザの全てであった。 「エルフ、こっちに来い!」 血の混じった唾を吐いて、ワルドがティファニアを呼ぶ。 元々気の弱いティファニアは、その声に怯えた様子を見せると、助けを求めるように村人達の集う背後を見て、頭に小石をぶつけられた。 「きぅっ……、痛い」 痛みの走る部分を押さえてふらふらと歩き出したティファニアは、ワルドの前に立って緊張した様子で血に濡れたワルドの顔を見詰める。 村人達は緊張した面持ちで様子を眺め、先程まで夫に縋り付いていた女性は胸を押さえて顔を俯かせていた。 「さあ、俺を先住の魔法で治療しろ。このまま戻って生きる屍に変えられるわけにはいかんからな」 レイピアをシエスタの喉元から離さず、ティファニアに詰め寄ったワルドは治療を急かす。 それに対し、ティファニアは首を振って、小刻みに震える体の前で祈るように両手を重ねた。 「わたし、使えません。先住の魔法なんて……」 「下らない言い訳を聞く気は無い」 言い終える前に、ワルドの遍在が握るレイピアの先端が白い肌を切り裂いた。 「っああああぁ!このっ、やりやがったわね!!」 背後から足首を斬られたエルザが地面に転がり、痛みに声を嗄らしてワルドを睨む。 踵の上、アキレス腱の部分が綺麗に二つに分かれ、大量に出血を始めていた。 「な、なんてことをするの!?」 「貴様がさっさと治療すれば、こうはならなかった。次は、この娘の首を掻っ切るぞ?」 白刃がシエスタの喉を浅く裂き、走る痛みにシエスタが呻きに似た悲鳴を漏らした。 「だから、出来ないの!もう指輪の力は残っていないのね!」 「指輪?……指輪だと!?見せろ!!」 シエスタを押し退けて、ワルドがティファニアの指を凝視する。 左手の中指に嵌った台座だけを飾った指輪。ワルドの記憶にあるそれは台座に美しい水色の石が乗っていたが、それを除けば同じものと思ってしまうほどに酷似していた。 「まさか……、クロムウェル!」
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2585.html
前ページ次ページゼロと聖石 聖堂。 テンプルとも言うニューカッスル城のそこは、城にふさわしい規模を誇っていた。 絢爛豪華に造られた其処は、アルビオンにおける生誕から葬儀まで喜びと悲しみを見届けた場所。 ここだけ空気が澄んでいる気がする。 同時に死者の臭いも感じることが出来る不思議な空間だ。 そんな神聖な場所の祭壇前にウェールズ皇子が祈りを捧げていた。 私もそれに習い、始祖に祈りを捧げる。 祈るのは私にとっての平穏な日常。 ちょうど、あの時のやさしい夢。 全員がほほえましく笑いながら過ごしたあの夢を。 不意に、ウェールズ皇子が立ち上がり、指から指輪を抜いた。 それを私に握らせ、 「これを、アンに。これを渡せば分かってくれるはずだから」 泣きそうな私を叱責し、その指輪を懐に収める。 必ず、アンリエッタ様に、何があっても渡そう。そう決心した。 そして、ワルド様遅いなとか考えていたら――― 空を裂く音が響く。 私は反射的にウェールズ皇子を弾き飛ばした。 音は聞こえない。 私の体に風の刃が食い込む。 痛みを堪え、詠唱をしようとした瞬間、私はワルド様に抱えられていた。 「私の目的を何か教えよう、プリンス・ウェールズ」 次の瞬間、ワルド様が三体現われる。 風の偏在だ。 「一つは密書の奪取、もう一つは君を殺すことだ!」 「貴様、レコンキスタか!!」 私を抱えたまま偏在をけしかけるワルド様、いや、ワルド。 おそらく、聖石とその使い手を同時に手に入れて手柄としようとしているのだろう。 そんな彼に気が付かれないようにケアルを詠唱。 止血程度に傷が回復。同時に私はある一つの魔法を詠唱。 「ひるがえりて来たれ、幾重にもその身を刻め…ヘイスト!」 対象を地点に設定し、ワルドに掛からないように私だけ時間の流れが速くなる。 即座にテレポで脱出し、アルテマで偏在を一体消す。 「やってくれたわね、そう簡単に死ねると思わないことね、ワルド!!」 その言葉に反応したのかは分からないが、偏在が二体追加、これで五対二、いや、 「コイツ偏在か? おでれーた、こんなに偏在見たの久しぶりだぜ」 偏在の一体にデルフが刺さっている。 背後のステンドグラスにヒビと剣一本分の穴。 その穴を中心にステンドグラスが割れる。 降り注ぐ乱反射した光とガラス片。 シエスタがデルフを床から引き抜いて構える。 「さぁて、皇子様を狙う悪役を倒すヒロイン様の登場だぜ!」 「あ、あの、お助けにきました!」 以前やった大跳躍で飛び込んできたのだろう。 それにしてもなんてタイミングのいい。 ワルドも一瞬だけ驚きの表情を浮かべ、すぐに余裕を取り戻す。 シエスタが一度戦い、勝利した相手だからだろう。 その自信という名の慢心を、ぶち壊そう。 三人が突撃するのに合わせ、ワルドが更に偏在を追加。 そしてシエスタにはワルド本体、ウェールズ様と私に二体が付いた。 さあはじめよう、死の舞踏を。 シエスタが盾を捨て、鎧の内側から剣を抜いてワルドの剣を受け止める。 私は瞬発的な詠唱でサンダラを詠唱、牽制しつつテレポで隙をうかがう。 ウェールズ皇子は剣に真空の刃を纏わせ、偏在と打ち合っている。 シエスタに向かって風の刃が飛ぶ。それをデルフで打ち消しながらワルドを追い詰める。 偏在が詠唱したのに合わせてブリザラで障壁を作り、ウィンドブレイクを弾く。 さすがに二対一は厳しいのか、防戦一方のウェールズ皇子。 そして、シエスタがワルドを壁際に追い詰める、これで詰みだ。 こっちも仕上げとばかりにウェールズ皇子が苦戦している偏在の真後ろにテレポ。 それを追いかけるように私について来た偏在が射程に入る。 その直後にテレポ、一気に指定範囲から離れる。 「鏡なす心に問いて魔の流れ鎮めん…ミュート!」 魔力を失った偏在が掻き消え、シエスタが剣を突きつける。 そしてワルドの杖を落そうとして、 後ろから現われた偏在に腹部を刺される。 声を上げる暇すらない。 駆け寄ろうとして、ウェールズ様が偏在に杖を破壊され、刺される。 怪我自体は深くなさそうだが、戦闘に参加できるような状態ではない。 髪をかきあげ、更に偏在を二体追加。 これで形勢は逆転。 私の魔法は発動が遅いから唱えても先手は確実に向こう。 覚悟を決めるしかない。 突進してくる偏在に私は、あの時の訓練を思い出す。 ―――サンダラを外してしまい、シエスタが突撃してくる。 私は本能で詠唱を必要とせず、即座に効果があり、威力が高い魔法を選んでいた――― 突進してくる偏在の杖にはエアスピアーという接近戦用の魔法だ。 アレに刺されたら確実に傷はえぐられるだろう。 だから、私は迷わなかった。 たとえ、これを使った事で再び、 「ゼロと呼ばれようが、私は生きるのよ! 錬金!!」 錬金の魔法が偏在の杖に作用、昔のように魔法が失敗し、爆発。 衝撃は凄まじく、偏在をかき消す。 「やはり君の魔法は聖石の力か、残念だが君を殺して聖石をいただいていくよ!!」 偏在が三方向から襲い掛かる。 幸いにも偏在に力を注いだのか魔法は使ってくる気配は無い。 私はコモンマジックで偏在の一体を爆破。 そのままその偏在に近づいて杖ごと爆破。 残り二体。 振るってくる剣にタイミングを合わせ、杖でガード。 お返しとばかりに帽子を錬金。 偏在はそれに反応、即座に帽子を投げて回避。 もう一体がこちらに対して振りかぶってくる。 テレポで跳び、更に追加で偏在の手袋を錬金。 手を中心に偏在が吹き飛ぶ。 残り一体。 即座にテレポで飛びながらワルド本体に向かってテレポ。 一瞬で目の前に来たことに驚いたかどうか知らないが、即座に範囲指定して離れる。 タイミングを伺い、再度ワルドに接近。今度は真横。 杖で脛を思いっきり叩く。 横に偏在が迫ったところでテレポ。 そこでミスしてしまった。 跳んだ先は先ほどワルドから離れるときに跳んだ場所。 そこにテレポで着地。 目の前には新たに作られた偏在。 エアスピアーで思いっきり腹部を刺される。 同時に錬金で爆破。 これで、ワルドの偏在は残り一体。 しかしこちらは重傷。 あのワルドがこちらの詠唱を許すわけが無い。 錬金を警戒して、ある程度の距離をとって、エアニードルを連打。 急所はかばったが、このままだと確実に死ぬだろう。 そこで偏在を解除し、悠然と歩み寄ってくる。 朦朧とする意識の中で、私は必死に呟いた。 「君は確かに強かったよ、ルイズ。しかし、『ゼロ』ごときが『閃光』に挑むなど無謀だった。 あのメイドもたかが平民のくせに貴族に歯向かうからこうなった。我々レコンキスタに歯向かうとこうなるのだよ」 「―――恨み、あります」 「まぁ、ゼロごときにこの石はもったいないな」 「―――呪い、あります」 ワルドが私の体に手を伸ばす。 「レコンキスタが有効活用してあげよう。なに、君は尊い犠牲となるだけだ」 「―――貴方にあげます! ライフブレイク!」 間一髪で詠唱が間に合う。 ルイズの体から放たれた暗い魔力の波動がワルドを包み込む。 「こ、これは!?」 「貴方が散々いたぶってくれたおかげでこの術の効果は抜群よ、 私が受けた痛みを、この恨みを、すべて受け止めろ! ワルド!!」 その魔力波動は容赦なくワルドの体を蹂躙しつくす。 圧倒的な破壊の渦に飲み込まれたワルドは、立っていた。 「こ、の…ゼロがぁああああ!!」 残った魔力を振り絞った偏在なのか、若干存在感の無い偏在が三体。 私に襲いかかろうとした瞬間、 「大気満たす力震え、我が腕をして閃光とならん! 無双稲妻突き!」 凛々しいシエスタの声が、響く。 偏在が、地面から空に落ちる雷の刃に突かれて消え去る。 そのことに驚いている間も無く、ワルドの左腕が切り落とされる。 「これが、平民が戦うために鍛え上げた、牙の力です―――!」 更に冥界恐叫打で杖を破壊する。 「く、引くしかないのか―――貴様だけはこの私が倒してくれる、平民!!」 そう言って、シエスタが割ったステンドグラスから外へと飛び出していった。 「覚えておけ! 私はシエスタ。シエスタ・デュライ! 貴様の首を貰い受ける者の名だ! そして、刻め! 私は幾多の騎士の頂点に立つ『剣聖』を目指すものだと!!」 そう、シエスタは叫んでいた。 「覚えておきなさい! 私は『ゼロ』にして全てを極めんとする無限の知識の体現者! 『ゼロのグランドマスター』ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール! その使い魔聖天使アルテマの名を!! 私達二人が、貴方と『レコンキスタ』に無間地獄を見せるものだと!! 心に刻め!!!!」 この場において、『ゼロ』と呼ばれたメイジも、平民の給仕など居なかった。 其処には、勇壮なまでの騎士と、全ての知識を極めようとするメイジが二人で立っていた。 その直後、二人は仲良く床に仰向けになった。 前ページ次ページゼロと聖石
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/282.html
前ページ次ページゼロのアトリエ 絶好の洗濯日和。ヴィオラートは元の世界の習慣どおり朝のうちに洗濯を済ませてしまおうと、フライングボードに乗り、空の上から洗い場の目星をつける。 「おっせんたく~、おっせんたく~。」 歌いながら降り立ったそこには先客がいたが、まあ、多分メイジだから驚きはしないだろう。そう思っていたヴィオラートだったが、しかし、彼女は黒檀のような美しい瞳を驚愕に見開き、 「こ、このような所に貴族様が…あ、あの、洗い物なら私がしますから…」 ヴィオラートに、それだけで滑稽に見えてくるほど頭を下げていた。何回も、何回も。 ゼロのアトリエ ~ハルケギニアの錬金術師3~ 洗濯物を洗いながら、二人はとりとめのない話を始めた。 「貴族様では…ないんですか?」 彼女はシエスタ。この学院で奉公しているメイドだという。 「うーん、この世界の貴族様とかよくわからないけど、あたしはヴィオラート。錬金術師だよ。」 「れんきんじゅつしさん、ですか?」 何かひっかかっているような、不明瞭な表情を見せるシエスタ。 「うん、ルイズちゃんの使い魔、ってことになってるみたいだね。」 「あ、ミス・ヴァリエールの使い魔さん?」 「知ってるの?」 「ええ。ミス・ヴァリエールが平民を召喚したって、噂になってますわ。」 くすりと笑うと、何かを思い出したのか、ぽんと手を打つ。 「あ、そうだ。うちの祖母が、話して聞かせてくれていましたわ。れんきんじゅつしさんのこと。」 「え、あたし以外にも錬金術師が?」 「いえ、別の世界で、れんきんじゅつしさんと一緒に旅をしたと。昔の話をする時の祖母はいつも楽しそうでした。」 シエスタは遠くを見つめながら、亡き祖母の名誉が守られたことに感謝する。 祖母のれんきんじゅつしさんは、本当にいたんだと。 「とっても強かったんですよ。引退するまで、ずっと村を守っていたって聞いてます。」 シエスタと同じ黒目黒髪だったこと。古代竜を倒した話を事あるごとに聞かせてくれたこと。そして、錬金術師という人を探していたということ。 「もしかしたら、ヴィオラートさんと同じ世界から来たのかもしれませんね。」 洗濯物をすすぎながら、井戸端会議の花を咲かせていると、 「きゃ…」 水で濡れた地面がモコモコと盛り上がり、見たこともないような巨大なモグラが顔を出した。 「わあ、かわいい! あなたも誰かの使い魔なの?」 モグラはきゅーきゅー鼻を鳴らすと、ヴィオラートの秘密バッグのにおいをかぎ始めた。 何かが不思議なのだろうか、時折首をかしげてヴィオラートの様子をうかがっている。 「よしよし。ゼッテルの匂いが好きなのかな?」 ヴィオラートは、優しくモグラの頭をなでてみた。 なでられると満足したのか、モグラは鼻をひくひくさせながら土の中に消える。 「へ、平気なんですか?」 「大丈夫だよ、怖くなかったし、危ない魔物さんは見ればわかるしね。」 「…」 それを聞いたシエスタは、ヴィオラートを眩しがるような笑みを浮かべる。 「ヴィオラートさんはすごいですね。やっぱり、私とは…違いますよ。」 「あたしは、貴族か平民か、って言われると…生粋の平民だと思うんだけどなあ。」 気の抜けたようなヴィオラートの表情に安堵を憶えながら、 「…ヴィオラートさんは、貴族様よりもっと、貴族様ですね。」 シエスタは、自分の好感情を、頭に浮かんだ原石のままヴィオラートに伝える。 「なんだかそこまで言われると照れちゃうなあ。もー。」 「ふふっ、何を言ってるのか自分でもわかりません。でも、私はそう思います。」 二人とも互いに懐かしい何かを見つけたような、心地よい時間が流れてゆく。 シエスタは最後まで、ヴィオラートをただの平民とは認めてくれなかったけれども。 前ページ次ページゼロのアトリエ