約 1,871,410 件
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2189.html
魔法学院の朝は静寂に包まれている。 食事の準備のため、厨房で働く平民が水を汲む音。 夜の警備を担当していた衛兵が、詰め所に戻って交替するなど、朝の物音などせいぜいその程度だった。 シエスタの朝は早い、魔法学院としてメイドで働いていた彼女は、朝食の準備が始まる前に一度目を覚ます。 早起きして体をほぐすと、日課となっている波紋の鍛錬をしたり、系統魔法の勉強などをする。 時々、二度寝をして布団の中でまどろみに包まれ、幸せを堪能している事もあるが、おおむね彼女は勤勉で働き者の「生徒」だった。 この日も、シエスタの朝は早い。 彼女は、ベッドの上に座り、朝日にに照らされながら、ボロボロの日記帳を読んでいる。 その日記は彼女の曾祖父、ササキタケオの残した日記だった。 シエスタは、曾祖母の血を最も濃く受け継いでいる。 曾祖母であるリサリサはハルケギニアの系統魔法とは違う、独自の技術、すなわち「波紋」の継承者だった。 オールド・オスマンは、吸血鬼に襲われた時、リサリサの波紋に助けられた、その時見た波紋の輝きはオスマンの脳裏に鮮明に焼き付いている。 命を助けられたオスマンは、東方から歩いてやって来たというリサリサと情報を交換し、互いの立場を明らかにした。 驚くべき事に、リサリサはハルケギニアでも東方でもない、まったく別の世界からやって来たのだと言う。 オスマンは、自身の立場を使ってリサリサの立場を保証する代わりに、「波紋」の技術を教授された。 そして一年後……タルブ村に、大きな鉄の塊で降り立った男性が居ると、風の噂を耳にした。 その男性はササキタケオといい、ニッポンという国の出身だと言う。 リサリサと同じ世界の出身だということは分かったが……リサリサと、ササキタケオの間には、十年以上の時間のずれがあったらしい。 元の世界に変える手がかりを掴むため、二人は情報を交換し合い、行動を共にするようになり……そしていつしか、二人は共に暮らすようになっていた。 同じ世界の出身だから二人は惹かれたのだろうか? シエスタは日記を読みながら、曾祖父と曾祖母の二人が、どんな生活をしていたのか想像した。 曾祖母は人前では厳しい態度を崩さず、ハルケギニアの貴族に引けを取らないどころか、それを凌駕するような凛とした迫力を持っていた。 しかし曾祖父は、リサリサの時折見せる笑顔がとても可憐であったと日記に書き残している。 一方、リサリサもまんざらではなかったようで、時折曾祖父の仕事を手伝ったり、互いの故郷の話をしあい、笑いあい…… とにかく、二人は両思いだったらしい。 日記を読み進めていくと、何度もめくられ、縁はボロボロになり、水に濡れた跡が残るページがあった。 それは、リサリサが妊娠したと分かったときのページ。 リサリサは、波紋の影響か、五十代半ばを過ぎても二十代前半の若さを保っていた。 そのことを告白した時、曾祖父は『それでも貴方が欲しい』と言ったらしい。 そして二人は結ばれ、リサリサは妊娠し、10ヶ月後待望の赤子を授かった。 それからは幸せな生活だったのだろう、日記には赤ちゃんのこと、タルブ村で育てた葡萄畑のこと、他の村民との交流などが書かれている。 ……だが、子供が生まれて一年も経たないうちに、リサリサの姿は消えてしまった。 それは突然だった、曾祖父とリサリサが、子供をタルブ草原で遊ばせていた時、大人がすっぽりと収まるほどの、大きな楕円形の鏡が現れた。 子供の間近に現れたそれを見て、リサリサは血相を変え、呟いた。 『ヴェネツィア…!』 狼狽えるリサリサの目の前で、子供がその鏡に手を出そうとした、いや、既に手を差し込んでいたかもしれない。 リサリサは慌てて子供に駈け寄り、鏡から引き離したが……まるで子供の身代わりになるように、リサリサの体は鏡へと吸い込まれ始めた。 曾祖父がリサリサの手を掴み、鏡から引っ張り出そうとするが、リサリサの体は鏡へと吸い込まれるばかりだった。 一分も経たぬうちにリサリサの体は首まで吸い込まれ、鏡もその大きさを半分以下にまで縮めていた。 最後の最後で、リサリサは、絞り出すような声で、必死の思いを乗せて叫んだ。 『私は、私の本当の名前は………』 「エリザベス・ジョースターか…」 ぱたん、と本を閉じる。 シエスタはそのまま本を枕元に置くと、窓から外を見た。 早朝の日差しは、澄んだ空気と相まって鋭さを感じさせていたが、朝食が近くなる頃には鋭さは影を潜めている、柔らかい印象を与えているとも言えよう。 シエスタは両腕を上に上げて背伸びをすると、制服へと着替えて部屋を出た。 ドアノブをひねると、ガチャリと音が立つ。 内向きに開く扉を引くと、扉の前に立っていた誰かがハッと息を呑むのが分かった。 「…キュルケさん?」 そこに居たのは、ラグドリアン湖で分かれた、キュルケだった。 「はぁい、シエスタ、元気だった?」 そう言ってキュルケは、ほんの少しだけ気まずそうに笑う。 自分の頬に右手を添えて、何かを誤魔化すように微笑んでいる。 シエスタはキュルケの仕草から、気まずそうな雰囲気を感じ取ると、どうぞと言って部屋へとキュルケを促した。 「キュルケさんは、いつ魔法学院に戻られたんですか?」 「昨日の夜よ。シエスタは?」 「私は一昨日でした」 屈託のない笑顔で答えるシエスタ、それとは対照的に、キュルケの表情は沈んでいた。 「ごめんなさいね、まさかラグドリアン湖にいるとは思わなかったし」 「いえ、いいんですよ。それよりキュルケさんに怪我が無くてほっとしました」 椅子に座ったキュルケと、ベッドに座ったシエスタが向き合う。 キュルケはラグドリアン湖でシエスタ達…実際にはカリーヌ・デジレとだが…と敵対し、水の精霊を襲撃しようとしていたのだ。 「ホントはね。貴族同士なら…まあ、特にツェルプストー家とヴァリエール家は昔から敵対してたから、戦うのは当たり前なんだけど……その後のことよ」 「その後、ですか?」 シエスタが首を傾げて、ラグドリアン湖での出来事を思い出そうとする、脳裏に浮かぶのはカリーヌによって拘束されたキュルケ・タバサ・シルフィードの姿。 むしろ自分がキュルケ達に謝るべきなのか、と思ったところで、キュルケが口を開いた。 「貴方、水の精霊に、タバサの母のこと聞いたでしょ? タバサも私もね、あれがショックだったわ」 「え…ッ」 思いがけない言葉にシエスタが口ごもった。 「ああ、誤解しないで。感謝してるのよ、でも、タバサがそれで自分を責めちゃって…」 「タバサさんが?」 「そうよ、敵対していたはずの水の精霊、それと交渉してまで、母を直す手だてを探そうとする貴方を見て……タバサが落ち込んじゃって」 「どうしてタバサさんが落ち込むんですか、だって、タバサさんは命令されて仕方なく水の精霊を退治しようとしたんでしょう?」 「私もそう思ったんだけど。でも、自分を心配してくれる人と敵対した事実が、どうしても許せないみたい」 シエスタの顔が自然と上を向いた。 何を言って良いのか、一瞬では思いつかない、十秒、二十秒、三十秒と時間が流れていく。 一分を過ぎたところで、ふと、キュルケがこの部屋に来た理由を思いついた。 「……私が怒ってないか、確かめに来たんですか?」 「それだけじゃないわ、タバサに会ってあげて欲しいの。それで、よかったら、怒ってないって直接言ってあげてくれる?」 キュルケの台詞が終わるやいなや、シエスタはベッドから立ち上がった。 「タバサさんの部屋ってどこでしたっけ」 「行ってくれるの?」 「はい!」 大切な友達だから当然だ、と言わんばかりのシエスタを見て、キュルケの顔にも自然と微笑みが浮かんだ。 * タバサは、ベッドの中で小さく丸まっていた。 普段のタバサならば、任務を終えた次の日でも疲れを見せることなく起床し、朝食を取り、授業に参加するのだが、今日ばかりは気分がすぐれず、ベッドから起き出すのが後れてしまった。 シルフィードに乗ってキュルケと共に帰ってきたタバサは、キュルケの心配する声にも答えず、じっと黙っていた。 原因は自分でも理解している、ラグドリアン湖でシエスタは、母を蝕んでいる毒を取り除く方法を探そうと、水の精霊に問いかけていた。 ガリアの北花壇騎士として困難な任務を与えられていたタバサは、かつて父を祭り上げていた一派を暗殺するという、悪趣味な任務をこなしたこともあった。 その時は相手がどんな気持ちで自分と相対したのか、よく理解していなかった。 何年も任務をこなすにつれて、タバサはいつしか『シャルロット』を取り巻く環境がどのようなものか、目の当たりにすることになる。 タバサにとって、無能と呼ばれた叔父は、父を謀殺し、母の意識を奪った許し難き人。 それだけのこと、それだけのことだ。 復讐したいという気持ちはある、けれども今更、復讐をしたところで父は帰ってこない、だから権力闘争などに首を突っ込むつもりはない。 タバサの願いはただ母のため、せめて母の意識だけでも治したい、子供の頃のように、『タバサ』でなく『シャルロット』に笑顔を向けて欲しい、その一心で今まで戦い続けてきた。 王権など眼中に無い、ただ母のため。 母の笑顔のためにタバサは戦い続けてきた。 それなのに周囲は、『シャルロット』がジョゼフを打倒することを期待している。 シエスタは、タバサを『シャルロット』としては見ない。 ただ一人の友人として接してくれる。 母を治すために、自らの体に多大な負担をかける深仙脈疾走(ディーパス・オーバードライブ)を使い、一瞬だけでも母の意識を取り戻してくれた。 何年もの間人形を娘だと思いこんでいる母、実の娘であるタバサを見ても政敵の刺客にしか見えぬ母、そんな母が一瞬でも笑いかけてくれたのは、シエスタのおかげだと理解している。 そんなシエスタと『敵対』してしまった後味の悪さが、タバサをベッドに縛り付けていた。 * コンコン、と扉を叩く音が聞こえる。 タバサはその音に気づき、びくりと体を震わせた。 返事をせずにベッドの中で丸まっていると、再度ノックの音が響く。 「タバサさーん」 ノックの次に聞こえてきたのは、シエスタの声。 タバサはゆっくりとベッドから体を起こすと、深呼吸して、寝ぼけ眼のまま扉へと近づいていった。 ガチャリと音を立てて扉が開くと、目の前には自分を見下ろすシエスタの姿があった。 「あっ、おはようございますタバサさん」 「……」 屈託のない笑顔で挨拶されると、かえって言葉に困ってしまう。 先ほどまでタバサは、シエスタに嫌われたのではないかと思いこみ、悩んでいた。 それなのに、シエスタはいつもと変わらない様子を見せている。 「あの……お怪我とか、ありませんでしたか?」 「…………」 その上自分の怪我の心配までしている。 タバサは、思いもがけないシエスタの言葉に戸惑っていたが、何とか一言絞り出すことができた。 「ごめん、なさい」 シエスタは、きょとんとした目でタバサを見つめた。 「ごめんなさい」 タバサの瞳から涙が溢れたのを見て、シエスタはタバサの部屋へと足を踏み入れた。 後ろ手で扉を閉めると、シエスタはほんの少し腰を落として、タバサの両肩にそっと触れた。 「あの……謝るのは、私の方です。タバサさんに与えられた任務を、私達が邪魔しちゃったんですから」 シエスタの言葉に、タバサは困惑した。 謝るべきなのは自分だ、シエスタが謝る事なんて無い、そう言おうとしたが言葉にならない。 ただ、嗚咽だけが漏れてくる。 シエスタはそんなタバサの肩をぐいと引っ張り、抱きしめた。 年の離れた妹を世話するときとそう変わらない、少し強引で、誰よりも優しい抱擁でタバサを包み込んだ。 両腕に軽く力を込めてタバサを抱きしめつつ、シエスタは思った。 タバサはどれだけ我慢してきたのだろう、感情を押し殺して、どれだけの任務を果たしてきたのだろうか。 今まで思い切り泣くことも出来ず、我慢し続けてきたに違いない。 リサリサも、どんな事情があって『リサリサ』と名乗っていたのか分からない。 本名を隠す必要がどこかにあったのだろうか、もしかしたら東方にはジョースターという家があり、そこから出奔してきたのかもしれない。 しかし最後にはちゃんと名前を曾祖父に告げてくれていた。 タバサも、シャルロットという名前を隠して、魔法学院で過ごしている。 そこにはどんな苦難があったのだろう、肉体的な辛さもだが、精神的な辛さは、シエスタの想像を超えている。 シエスタは生まれついての貴族ではない、波紋が使えても魔法は使えない、けれども抱きしめることはできる。 シエスタはタバサが泣きやむまで、優しく、その小さな体を抱きしめていた。 * オールド・オスマンの机の上には、何十枚の紙をつなぎ合わせて作られた地図らしきものが散らばっている。 椅子ごと体を浮かせて窓際に移すと、太陽の光が徹夜明けの瞳に差し込み、思わず目を細める。 「朝日が眩しいとは…」 朝日が特に眩しく感じられるのは、体が疲労している証拠である。ふとそんな言葉が頭をよぎった。 「ミス・ロングビルがいれば多少は楽なんじゃがのう」 ミス・ロングビルは今、吸血鬼に関する情報と、アルビオンに関する情報を集めるため学院を離れている。 その原因になった一枚のメモが、地図上に描かれたアルビオンの脇に貼り付けられており、そこには殴り書きで『鉄仮面』『巨馬を操る騎士』とだけ書かれていた。 アルビオンのニューカッスル落城の際、ウェールズ皇太子を連れて脱出した騎士がいると、巷で囁かれていた。 五万の大軍を単騎で駆け抜けたという、剛の騎士。 オスマンがその話を出入りの商人から耳にしたとき、そんなものが存在するはずはない、果敢に戦ったニューカッスル城のメイジ達を称えるために、故意に歪められた噂話だろうと思っていた。 しかし、その騎士は、俗にタルブ戦と呼ばれる戦争において、トリステインに味方し戦ったという。 三枚、いや七枚の翼を持った異形の竜を従えて、最強と呼ばれたアルビオンの竜騎士隊を屠り、戦艦に突入し敵の戦列を混乱させ、アンリエッタ王女とウェールズ皇太子の同時詠唱までの時間を稼いだが…… その騎士は落下する戦艦の爆発に巻き込まれ、死んだと言われている。 どう考えても、メイジの戦い方とは思えない。 泥臭い、あまりにも力任せなその戦い方は、魔法を主体とする貴族ではとても考えられぬ戦い方だと思えた、むしろミノタウロスやサイクロプスなどの亜人種の戦い方に近いだろう。 リサリサの言う『石仮面によって吸血鬼になった存在』ならば、そのような活躍も可能なのではないか…… 確かめてみる価値はある、そう思ってオスマンは、ロングビルに『騎士』の調査を命じた。 ロングビルにとっても、アルビオンに住む親族の安否は気がかりだったので、この提案は渡りに船であった。 「うーむ…すこし休むかの」 オスマンはそう呟くと、大きく欠伸をした。 よいしょと声を上げて立ち上がると、杖を片手にぼそぼそと何かを呟く、すると机の上に置かれた地図やメモがひとりでに折りたたまれ、机の中に収納されていった。 机の引き出しに『ロック』をかけると、オスマンは椅子の背もたれを大きく後ろに倒し、そのまま目を閉じ、頭を休めようとしした。 折りたたまれた地図の上には、いくつものメモが貼り付けられている。 それらは吸血鬼、ミノタウロス、オーク鬼の群れなど、人間に害をなす存在の目撃情報や噂が書かれていたが、どれもオスマンが探している『石仮面による吸血鬼』とは異なっているように思えた。 しかし、ヴァリエール家からの依頼を終えて、魔法学院に戻ってきたシエスタは、一つの大きな手がかりを持ち帰ってきた。 トリスタニアの『魅惑の妖精亭』で回収されたブラシ。 そこには、染料で茶色く染められた髪の毛が数十本絡みついていたのだ。 シエスタがそのうち一本に波紋を流すと、髪の毛はジュウジュウと音を立てて溶け、霧散した。 オスマンはそれを見て血相を変えた、波紋を受けて溶解する髪の毛など、吸血鬼のものに他ならない。 『魅惑の妖精亭』の人間は、既に食屍鬼にされているのではないかと危惧するのは当然のこと、しかしシエスタは店員全員に声をかけ、波紋を流し、食屍鬼ではないと確かめたという。 オスマンは、学院長室から下へと降りる階段を踏みしめつつ、シエスタの言葉を思い出した。 『誰の血も吸わなかったんですね……よかった』 それは『魅惑の妖精亭』の人間が、食屍鬼にされなかったことへの安堵だろうか。 おそらく、違うだろう。 今回、ブラシに絡みついた髪の毛が発見されたことで、オスマンはルイズが吸血鬼であると確信を持つに至った。 その確信はオスマンに『危機感』を与えたが、シエスタには『安堵感』を与えていた。 シエスタはルイズに憧れを持っている、シエスタはルイズを尊敬している。 もし、シエスタがルイズを『無差別に人を襲わない誇り高い吸血鬼』だと認識したら、吸血鬼退治に支障をきたすことになるだろう。 その結果、吸血鬼の動きに遅れを取り、シエスタは殺され、食屍鬼の増殖を防ぐことができなくなる。 シエスタが、ルイズを殺すのを躊躇ったとしたら、それは人類にとって途方もない損失に繋がるだろう。 「吸血鬼が人を襲わなかったとしてもじゃ…吸血鬼の“血”をこの世界に存在させておくわけにはいかんのじゃよ……」 オスマンの呟きは、広い学院長室の中で、響くことなく消えていく。 使い魔のモートソグニルだけが、その言葉を聞いて、ちゅぅと鳴き声を上げた。 * ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドは、不機嫌そうに顔を歪めていた。 ウェストウッド村の孤児院、その裏手で一人、ふぅとため息をついては空を見上げ、ハァとため息をついては目の前に置かれた薪を割っていた。 「随分不機嫌だねえ」 「別に僕は機嫌を悪くしているわけじゃない」 「そうやって反論するのが子供っぽいのさ」 「……フン」 切り株の椅子に座り、薪を割っていたワルドに声をかけたのは、マチルダだった。 魔法学院の秘書として働く時と異なり、ポニーテールにしていた髪の毛を降ろし、土くれのフーケとして好んで着用していた藍鼠色の服を着ている。 マチルダは、ふて腐れているワルドの顔を覗き込むように腰をかがめた。 「そんなに置いて行かれたのが不満かい?」 「不満? 悔しいが、確かにそれもあるさ。だけど僕が心配しているのはそんなことじゃない」 「へぇ」 「僕は顔を知られている、僕を連れて首都に潜入するのには、些(いささ)かの不安がある。それは仕方ない。だからといってルイズ単独で潜入するのは……」 ワルドの愚痴は、とどのつまりルイズの身を案じているだけであった。 気を取り直して傍らに積み上げられた薪を手に取り、直径30サント、厚さ15サントほどの切り株の上に立てる。 義手になった左手のリハビリを兼ねて、ルイズが帰ってくるまでの間、ワルドは手作業で薪割りを続けていた。 「アタシはレコン・キスタとやらが心配だけどねえ。あの娘ならアルビオンだって転覆できるんじゃないの。仲間(食屍鬼)を作ればね」 マチルダがそう呟いた途端、ワルドは閃光の二つ名に恥じぬ神速の呼吸で手斧を振り下ろした。 スコン、と軽い音がして薪が真っ二つに割れる。 手斧を握りしめたまま、ワルドはマチルダを睨む。 「二度とそんなことを言うな。この薪のようになりたいのか?」 「……冗談よ。悪かったわ。軽率だったよ」 ワルドはフンと鼻で息をし、視線を薪に戻した。 「ずいぶんと素直に謝るんだな。拍子抜けだ」 「あら、アンタはアタシのことどんな女だと思ってたのさ」 「トリステインで君がしていたことを聞く限りでは、てっきり毒婦かと思ったが、毒婦と呼ぶには色気が足りないな」 「ハッ、マザコンにそんなこと言われるなんて、そりゃ光栄だね」 「優しいお姉さんじゃないか」 「……………」 マチルダは呆気にとられたのか、ワルドに視線を向けたままきょとんとしてしまった。 ワルドはそれに構わず、薪を取ってはそれを割っていく。 「なっ、何を言い出すのさ、何を」 「君は僕を“マザコン”だと言っただろう?光栄だね。だから分かるのさ。ミス・ティファニアはこの孤児院の母親だ。君はそのお姉さんと言った感じだな」 マチルダはハァーと長いため息をついた、ワルドの言葉に呆れたのか、張っていた肩をがくんと落としている。 「マザコンって言われて、光栄だとか言う奴は初めて見たよ、あんたの年でさ」 「何、僕はマザコンだけじゃないぞ、ファザコンでもある。なにせ父に理想を教わり、母に固執した僕は、結果として一度トリステインを裏切ったのだからな」 喋りながらも、ワルドは左手に持ち替えた手斧を振り下ろす。 シュッ、と空気を斬る音がしたと同時に、薪は真っ二つに割れた。 マチルダはしばらく無言でそれを見続けた、時間にしてほんの五分だろうか、マチルダはワルドに向かって小声で、こう呟いた。 「なんで、トリステインでもなく、アルビオンでもなく、ルイズなんだい?」 「クロムウェルは、人の死を弄ぶ。ルイズは人の死を背負う。それだけだ」 「僕は父と母を尊敬している。もちろんルイズもだ。その人に仕えると決めたら、いちいち他人の評価など気にしていられん。 僕が子供の頃、魔法衛士隊に憧れたのは、栄誉のためじゃない。それが最強だと呼ばれるからこそ、主君を守る立場だからこそ憧れたんだ」 また一つ、薪に向かって手斧を振り下ろす。 「主君に仕えるとはそういうことだ」 必要最低限の力で振り下ろされた手斧は、吸い込まれるように薪に食い込む。 パコッと小気味の良い音を立て、薪は真っ二つに割れた。 * アルビオンの首都、ロンディニウムに繋がる街道を、数台の馬車が連なって走っていた。 馬車は幌もなければ座席もない、荷物を積むだけの荷馬車であったが、今は人間を運ぶために使われている。 頬や頭に傷を負った、いかにも荒事の得意そうな男達を乗せて、馬車は首都へと走っていく。 荷物を載せる馬車なので定員など決まっていないが、詰めれば八人まで乗れる馬車の上で、一人の女が下卑た視線を浴びていた。 その女性は身長は172サントほど、鎖帷子を着こみ、黒く短い髪の毛を風になびかせている。 童顔ではあるが、ほんの少し張った顎とエラ、そして厳しい視線が幼さを覆し、強い意志を感じさせていた。 隣に座るスキンヘッドの男は、女の姿を見てにやにやと笑みを浮かべた。 この馬車は、盗賊や犯罪者を、腕に覚えのある者を傭兵として集めるために、アルビオン中に手配されたものだった。 そのため、乗っている男達は9割以上がすねに傷を持った者達であり、中には女を襲うことばかり考えている者もいる。 女の隣に座っている男も、そのような考えを持っていたのか、女の体をじろじろと舐めまわすように見つめ、舌なめずりをした。 「なあ、おめえ、男か?女にしちゃ胸が薄いなぁ」 スキンヘッドの男は、隣に座る女に話しかけつつ、手首を握った。 その手首は、細さとは裏腹に、極限まで鍛えられた筋肉の力強さに満ちていた。 どんな仕事をしてきたのだろうか、細い指はカサカサに荒れ、ほんの少し茶色っぽく染まっている。 もしかしてこいつは、本当に男かも知れない、と思った。 「へへ、可愛い顔してるじゃないか。おめえの顔なら男でも慰み者になれるぜ」 スキンヘッドの男は、上玉なら男でも悪くないと思ったのか、手首から手を離して細い顎に手を添えようとした。 「……!?」 瞬間、全身に悪寒が走る。 今まで掴んでいた女の手が、自分の股間に伸びていたのだ。 ゆっくりと、じわりじわりと、粘度の高い液体が服に染みこむ如く、女の手が股間のモノを締め付け始めた。 「ま、待って、まって!」 女の腕力は思ったよりも遙かに強く、手を払おうとしてもビクともしない。 様子を見ていた他の傭兵達が、男のあわてふためく様子を見てニヤニヤと笑みを浮かべているが、当の本人はそれどころではなかった。 「た、助け」 スキンヘッドの男が助けを求めようとしたその時、股間を握る女は、恐ろしく冷たい声でたった一言だけ呟いた。 「黙れ」 男は、人さらいでもあった。 今まで何人もの女を浚い、時には男を使って欲望を吐き捨てることもあった。 さんざん好き勝手をやって来たのだ、その分危険な目にも逢い続けた。 商隊を襲って、返り討ちにあい、命からがら逃げ出したこともあるし、同業者に殺されそうになったこともある。 命の危機に陥ると、体は危険から離れようと足掻く。 悪あがきだと分かっていても、逃げるために必死で手足を動かす。 今回はそれが無かった。 ああ、俺はココで殺されるのかと納得し、意識はどこかへと飛んでいった。 男が自我を取り戻すのは、それから二時間は後のことだった。 ロンディニウムの前にたどり着いた時き、馬車から降りろと衛兵に言われ、呆けていた意識がやっと元に戻ったのだ。 スキンヘッドの男は、隣に座っていたはずの女がどうしたのか、とても気になったが……妙な詮索をして殺されるのは嫌なので、傭兵として登録される前に前に逃げ出した。 * 夜、ロンディニウムの、とある安宿で、件の女傭兵はベッドの上に座っていた。 あぐらをかき、不機嫌そうに両手を握りしめると、万力のような拳で膝の上に置かれた剣をゴンゴンと叩いた。 「言うに事欠いて男ですって!? あたしが!? しかも人の胸じろじろ見て……ああもう、握りつぶしてやれば良かったわ」 『いっそ男だって事にすればいいじゃねえか』 ハハハ、と剣が楽しそうに笑う。 「……(ニコッ)」 『ヒィ!』 黒髪の女傭兵は、剣の柄と先端を握ると、ぐいぐいと力をかけていった。 「どこまで曲がるかしらね」 『ちょっ、待て、待てって』 その日以降、謎の悲鳴が聞こえる宿として、この宿はちょっとした人気が出たらしい。 To Be Continued→ 戻る 目次へ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/583.html
前ページZONE OF ZERO シエスタから休暇を利用して実家へ帰ることを聞いたルイズは、同行を申し出た。 ここ最近のゴタゴタに良い感じに疲れ果てていたルイズは、心底骨休めをしたかった。 そこで、シエスタみたいな純朴な癒し系の少女を育むような村なら、 戦争だとか陰謀だとか裏切りだとか政略結婚だとか、 そんなしょっぱい浮世の闇とは無縁のひと時を送れると思ったのだ。 唐突な申し出にシエスタはしばし呆然としていたが、やがてやたら嬉しそうに頷いて、 ちょっと馴れ馴れし過ぎたかなー、とか考えていたルイズをホッとさせた。 街道に出て人気がなくなると、ルイズはシエスタを抱え、飛行体制をとった。 「あ、ああああの、ミス・ヴァリエール!?」 「ちょっとスピード出るけど、危険は無いから安心しなさい」 ルイズの飛行能力の慣性制御は完璧に近い。 中空で、何やら顔を真っ赤にして慌てているシエスタに一言告げると、 ルイズはバーニアを一気に噴射させ、加速した。 その後しばらくバーニアの噴射音をも上回る、メイドの悲鳴が街道に響き渡った。 例え飛竜を用いても数時間かかる道程を僅か数分で踏破し、 シエスタの故郷であるタルブの村に到着すると、村の広場で目を回すシエスタを降ろした。 「ご、ごめんなさい。ちょっとやりすぎちゃったかしら」 「い、いいええ、だ、大丈夫れす……。そ、それより、ありがとうございます。 こんなに、速く、辿り着けるなんて、思ってもみませんでひた……!」 ひよこみたいによたよたして、回らない舌で必死にお礼を言おうとするシエスタに、 ルイズは何かこう、癒しとはまた似て非なる、言い知れない衝動のようなものを覚え、 何故だか無性に抱きしめたり撫で回したりしたくなったが、周囲に村人がいたので自重した。 適当に挨拶して回りながらシエスタの生家に着くと、家族総出で迎えられた。 シエスタを含め丁度十人になる一家は、騒がしくも優しく暖かく、微笑ましいものだった。 ルイズの実家の人々も、根は優しい人ばかりなのだが、約一名を除いて 根っこの部分以外は全然優しくない人達ばかりでもあった為、やっぱり癒された。 ルイズの素性を知り、しきりに恐縮するシエスタの父と母に、 シエスタにはいつも世話になっている、自分も静かな所で骨休めしたかった、とルイズが 癒され、満たされた表情で告げると、何か知らんがあっという間に一家に受け入れられた。 それからしばらく、シエスタとともにタルブの村に滞在したルイズは、思わぬ収穫を得た。 以前シエスタから聞いていた、竜の羽衣を見せてもらった折、 それがADAの世界の、古代の飛行機械である事が判明したのだ。 しかし、例えADAにとっては古代の遺物であっても、 コルベール師にとっては貴重な資料となるだろう。 シエスタの父と交渉し、対価を支払って竜の羽衣を入手すると、圧縮空間に保管した。 その後ルイズは、本場のタルブ村の郷土料理をご馳走になったり、 夕焼けの紅を映す幻想的で郷愁的な草原をシエスタと共に眺めたりと、 学園に入学して以来最高の休暇を満喫し、疲れた精神を完全に復調させたのであった。 その翌朝、ルイズはシエスタを残し、学院へと帰還した。 手土産に竜の羽衣……ADAが言う所のゼロ戦をコルベール師に手渡し、 ADAの解説を受けながら狂喜乱舞する師を横目に、ルイズは溜息をつく。 ADAとルイズは一心同体。今日は徹夜する事になりそうだ。 そして数日後―― 「いい加減、本当にいい加減、ちょっとは空気読む事覚えなさいよコンチクショウ……!!」 予定調和といえば予定調和ではあった。 式典の日、万が一を考え、タルブの村付近で待機していたルイズの強化された視線の先で、 アルビオンの大使を迎えにきたトリステインの艦隊は次々と炎を吹き、大地に墜落してゆく。 事ここに及んで名目など大した意味は持たない。 ただ紙より薄い建前が破り捨てられただけ。 要するに――戦争である。 ルイズにとって重要なのは、艦隊の真下がタルブの村であると言う事。 蹂躙される。 静かな村が。 美しい草原が。 優しい人々が。 ――――シエスタが蹂躙される。 あの優しい笑顔のメイドが喪われると思い至った時、ルイズの思考は沸騰し、脳裏で何かが弾けた。 ブレードを展開し、ルーンを一際眩く輝かせ、バーニアを吹かし上昇する。 「――潰すわ。連中には、あの村の何一つとして奪わせはしない」 『了解。後方からトリステイン軍の接近を確認。 敵の地上部隊は彼らに任せましょう。全てを相手にしていたら魔力が保ちません』 それは意外な早さであった。 計算では、状況を聞いた瞬間に即断でもしなければ出来ない進軍スピードだ。 誰が統率しているのかは知らないが、ありがたい。これは好都合だ。 「――なら、まずは竜騎士隊ね。艦隊に関しては後で考えましょう」 『了解。敵の位置と民間人の位置をマップ上に表示します』 「ええ、村人の助けは聞き逃さないようにして……!」 『了解』 『……何だか久しぶりに呼ばれたと思ったら、ものすげぇハードな展開になってるなぁ。 と言うかそろそろ俺の扱いに対して何か思うところとか出てきたりしないか娘っこども ってーはい聞いてないねわかってたさどうせ俺なんて俺なんて……』 バーニアを全開まで吹かし、決意を胸に万感の思いを込め、ルイズは戦闘空域へ突入した。 音を超える速度で飛来するルイズを察知した数騎が、炎のブレスを浴びせ掛ける。 数瞬前からそれを予測していたルイズは直前で回避。 髪を焦がす臭いと感覚を置き去りにしながらホーミングレーザーを撃ち放つ。 幾条もの熱線が竜騎士隊に降り注ぎ、前衛の数騎を撃ち抜き地上に叩き落す。 隊列の乱れた瞬間を逃さず突撃。 体勢を立て直すのにてこずっている数騎を、通り抜け様にブレードで薙ぎ払う。 その間に何とか体勢を立て直した一騎が、しゃにむに突撃を仕掛けて来ようとするのを 察知したルイズは、ゲイザーを投げ放つ。 非致死性の光の針に呆気なく動きを封じられ、墜落しようとする火竜の頭を、 ルイズは無造作に引っ掴み、真横にかざした。 そこに動揺から立ち直った数騎が火炎のブレスを浴びせ掛ける。 即席の盾と化した火竜は、攻撃を難なく防ぎきることに成功した。 しかし、耐熱性に優れた火竜ならばともかく、騎乗している騎士はたまった物ではない。 肉の焼ける臭いと、燃えながら落下する騎士の断末魔に顔を顰めながらも、 ルイズはバーニア制御で思いっきり遠心力をつけながら火竜をブン回し、 ブレスを放ったうちの一騎に向け、投げ揮った。 弾丸の勢いで投擲された火竜は狙い違わず標的に衝突する。 炎に巻かれていた火竜は、標的の火竜のガス袋に引火し、派手に爆発を引き起こした。 更に、残りの数騎も爆発に巻き込まれ、或いは誘爆を引き起こし、墜落していった。 マップ上の敵を示す光点が、残り一つに減らされるまで、その間、実に十秒。 撃つ。斬る。掴む。揮う。 重力と慣性をあざ笑うかのような動きで、ルイズは空を縦横無尽に駆け巡る。 かつて最強のOFジェフティが所有していた機動力。 スケールこそ違えど、異界の少女はここに再現して見せた。 そして―― 振り向き様に放ったバーストショットが、最後に残った敵を、奇襲(のつもりなのだろう)の エア・スピアーごと飲み込んで爆砕し、最後の光点を消滅させた。 敵騎兵はどうやら命中の瞬間に竜から飛び降り、直撃を免れたようだが、 爆発にはしっかり巻き込まれていたため、良くても重傷だろう。 「何かどこかで見た事あった相手のような気もしたけど――まあいいわ。 それより、残るは艦隊だけね。魔力も余裕があるとは言い難いし……どうする、ADA?」 『エクスプロージョンの使用を提案』 「エクスプロージョン? 初めて聞く武装ね」 『私の所有する武装ではありません。始祖の祈祷書の解呪を試みた結果、 現在一つ目の解読に成功しています』 「え――」 『あれは虚無の系統を記した魔法書です』 「そ、そんな!虚無の系統なんてただの伝説――」 『いいえ、貴女の魔力とこの魔法の構成パターンの適合率は99.89パーセント。 貴女ならまず間違いなく扱えます……いえ、貴女の系統こそが虚無だったのです』 「――」 一目置かれ始めたとはいえ、魔法の使用に関しては相変わらず 見込みゼロの自分が実は伝説の系統の使い手――? 唐突な宣告にルイズは錯乱しそうになった。 しなかったのは単に、考える前にするべき事があったからだろう。 「――わかったわ。どうすればいい?」 『詠唱を代行します。残存の魔力を全て消費する為、恐らく使用後は気絶すると思われます。 安全地帯を探してください。――エクスプロージョン、詠唱を開始します』 「……へ?」 『エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ』 「ちょ、ちょっ、待って、ADA!?」 この高度で気絶すれば命は無い。慌ててルイズは周囲を見渡す。 地上部隊は一部こちらを畏怖の感情を込め見つめてくる者もいるが、概ね乱戦の真っ最中だ。 ただ、竜騎士隊を全滅させた為、若干敵側の士気が下がっているように見える。 『オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド 』 タルブの村も多少焼けてしまった箇所はあるが、概ね無事だ。 草原も殆ど損傷しておらず、すぐにまたあの素晴らしい景観を取り戻すだろう。 『ベオーズス・ユル・スヴェエル・カノ・オシュラ 』 何よりタルブの村の人間を示す光点が一つも減らなかった事が嬉しく、誇らしい。 彼らは現在、村から南の森に避難しているらしく―― 「――森!?」 強化された視界の先、森のふもとで、祈るような目で こちらをじっと見つめるシエスタの姿があった。 『ジュラ・イサ・ウンジュー・ハガル・ベオークン・イル』 バーニアを全開まで吹かす。 加速から二秒かからずに、シエスタの傍まで降り立つ。 「え……み、ミス・ヴァリエール!?」 「ごめんシエスタ!後は、よろしく」 『――撃てます』 既に標的の設定も完了していた。ロックオンの先は敵の旗艦。 それはルイズの思考と完全に一致していた。 地上部隊に被害は出さず、最小の犠牲でこの戦争を終わらせる方法。 「貴女、戦闘用って言ってた割には手際がいいわね。……これで終わりにするわよ!」 そして彼女たちは終焉の言葉を紡いだ。 「『エクスプロージョン』!!」 ――ミッション終了。 建造物残存率: 97% 民間人生存率:100% 総合評価:S 『民間人死者ゼロ。村の損害も極めて軽微です。お見事でした』 「貴女のサポートがあったからよ。それにしても……よかった」 ――新たな魔法『エクスプロージョン』を取得しました。 前ページZONE OF ZERO
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1647.html
土下座しているシエスタを発見、即座に突撃する。 「シエスタ、シエスタ。何を這い蹲っているんだ」 空気を読まず露伴はシエスタをひっぱり起こす。 「え……あ、ロハンさん……あの、えっと……」 シエスタがロハンと誰かを見比べているが、ロハンは意に介さずに静をシエスタに渡した。 「すまないが赤ん坊を洗ってやってくれないだろうか」 訳がわからないままにシエスタは静を受け取る。 タオルケットの中からの異臭に、全てを察する。 「急ぎで頼むよ、朝に洗った服もそろそろ乾いているだろうからね」 「ちょっと君! 急に割り込んできてなんだ! 彼女はぼくと話しているんだ」 後ろから駆けられた声に、露伴は始めてそれに気付いて振り返る。 が、興味が無さそうにシエスタに向き直る。 そんな露伴の態度に、少年。ギーシュ・ド・グラモンは激昂した。 「どうやら君は貴族に対する礼儀を知らないようだね!」 「尊敬するに値するかどうかはぼく自身が決めさせてもらうよ。少なくとも君は該当しないな。尊敬するに値しない人物に向ける礼儀はあいにく持ち合わせていないんだ」 露伴の言葉に、ギーシュの顔が一瞬にして紅潮する。 「貴様ッ! 突然出てきてなんという言いぐさだ」 「あいにく状況が判らないんでね。シエスタに土下座させた正当な理由があるならともかく」 露伴の言葉に、ギーシュは鼻を鳴らす。 「彼が軽率に香水を拾ってしまったのだよ。そのため二人の女性を傷つけてしまった。その罰を与えていたのだ。わかったらどきたまえ。君には関係ない」 「本当なのか?」 露伴がシエスタに訊くが、シエスタは何も言わずにうなだれるだけ。 「さぁ、わかったのならどくんだ!」 『ヘブンズ・ドアァーーーーー』 露伴がそう叫んだ途端、ギーシュの体が崩れ落ちる。 「読んだ方が早いな、さてさて……」 ギーシュ・ド・グラモン。四男。女好き。薔薇。香水。二股。モンモランシー。ケティ。誤魔化す。 メイド。なすりつけ。ヴェルダンデ。ドット。土。ワルキューレ。青銅。錬金。決闘。 なんだこいつは、二股してたのがばれてその責任をシエスタになすりつけているだけじゃないか。 典型的なクズ男か、しかも女性のためにと言いながらシエスタを貶めている。何が薔薇だ。 使えそうにないな。 こんな奴を主人公にしても人気が出るはずもない………が……ちょっと気になることがある。 ケティは一年生でモンモランシーが同学年の女子か。二股の相手がケティらしいが、付き合ったのは馬で遠乗りした事以外には書いていない。 それ以外はモンモランシー一色。 さすがに露伴は眉を怪訝そうに顰める。 典型的な噛ませ犬タイプだ、主人公としては軽薄すぎて扱えないが、愛すべき脇役としては使えるかもしれない。 元の世界にもいた、玉美や間田のようなタイプとして活かせるだろう。 把握した、まぁ予想通りギーシュの言いがかりだ。 ………そう言えば決闘とあったな。面白い………古式伝統のある決闘、中世ヨーロッパ辺りでは当たり前にあった風習だったか。 ぜひ体験してみよう。そうだな………ギーシュを適当に挑発してみようか。 この記憶から判断するに、挑発されたら答えずにはいられない、典型的なクソガキだからな。 ルイズのように貴族の対面にこだわるタイプだろう。 それに、錬金とワルキューレ、それに青銅を実際に見てみたい。 見てみよう。 露伴にお願いされて、シエスタはその腕に静を抱いていた。 漂ってくる異臭に顔をしかめることなく、ただ呆然と、ふらふらと。 「………と………ちょっと………」 「はっ、はいぃっ!?」 突然呼びかけられてシエスタは心臓が飛び上がるような気持ちだった。 目の前には、キュルケがいた。 「み、ミス・ツェルプストー。も、申し訳ありません、考え事をしていたもので………」 貴族を無視なんてしたら打ち首どころじゃないところだが、それよりキュルケには重要なことがあったのでさらっと流した。 「ルイズ知らない?」 「は……ミス・ヴァリエールですか? 存じ上げませんが」 「ふぅん………そう、じゃぁ見落としたのね」 そう言ってキュルケは立ち去ろうとしたが、何か思うところがあったのかピタリと足を止めた。 「ところであんた、その手何?」 「えっ?」 何って、静のことだろうか。 シエスタが視線を下に降ろすと、その腕の中には何もない。 「!!!!!!?????」 シエスタの目が驚愕に見開かれる。 そう、キュルケはシエスタが何かを抱いているような腕の形をしていたから不思議に思ったのだ。 しかしすぐに興味が無くなったようでその場を後にした。熱しやすく冷めやすい性格である。 そして一人残されたシエスタはその腕の中の重みをそっと確かめる。 『いる』 見えないけれど。確かにその腕の中にいる。 「きゃ………は………ぶ……あ……だー」 「メイジ………こんな赤ちゃんが………?」 「諸君! 決闘だ!」 露伴の思惑通り、適当に煽ったら激昂してギーシュは決闘を仕掛けてきた。 場所はヴェストリの広場、娯楽が少ないのだろう、人だかりが出来ている。 さて、青銅のゴーレム、ワルキューレとやらを見せてもらおうか。露伴は心の中でほくそ笑む。 「………何がおかしいんだね?平民君」 どうやら顔に出ていたらしい、ギーシュが不快そうに眉を顰めて言った。 「ふん……自己主張が激しいと思っただけさ」 コレも挑発、所詮相手は子供、この程度の挑発に楽に乗ってくる。 「ぼくの二つ名は青銅。よって青銅のワルキューレがお相手する。メイジを相手に無礼を働いたんだ、異存はないね」 「ああ」と言おうとしたところでルイズの邪魔が入った。 「待ってギーシュ!」 思わぬ邪魔に、露伴の方が眉を顰めた。 「おやコレはコレは。ゼロのルイズじゃないか。君の使い魔をお借りしているよ」 「お願い、謝るから決闘なんてやめてちょうだい!」 「あやまる? 君の使い魔がこうなるようにし向けたんだよ? 最も、君が謝っても彼は謝る様子はないみたいだけどね」 ギーシュの言葉にルイズは振り返り露伴を睨む。 「ロハン。ギーシュに謝って。メイジに平民が勝てるはず無いわ。怪我で済めば良い方なんだから」 「怪我か……それは辛いな、特に利き腕が使えなくなるのは非常に痛い」 露伴の言葉にルイズはパあっと表情を明るくした。 「そ、そうよ、痛いし不便なのよ。だからね、ほら頭を下げて………」 「だ が 断 る」 露伴の明確な拒否の言葉に一同は凍り付く。 「この岸辺露伴の好きなことの一つは。自分で強いと思っている奴に『NO』と断ってやることだ!」 そう言って露伴はルイズの方を軽く、トン。とつついた。 「だからルイズ、余計なことをしないでくれ、ぼくのためにも君は邪魔だ」 ぼくのためにも、と言われてしまってはルイズはもはやどうすることも出来ない。 自分が口を挟むことが露伴の邪魔になるなら、露伴に『協力』することが出来ない。 ふらふらと三歩後じさって、その場にペタリと座り込んだ。 「何……言ってんのよ………平民が………メイジに……勝てるわけが………」 もはや露伴はルイズから視線を外し、ギーシュと相対していた。 「遺言は済んだかい」 「面白いジョークだな」 相変わらずわかりやすい。この程度の挑発で真っ赤になるとは程度がしれる。 ギーシュは薔薇の造花で出来た杖を振り、落ちた花弁から青銅のゴーレムを作り上げる。 フォルムは女性形、鎧を纏った細身の戦乙女。 「最後のチャンスをやろう。両膝を付いて頭を地面にこすりつけるようにして謝るんだ。「薄汚い平民が高貴なるメイジに刃向かってごめんなさい」と。そうすれば勘弁してやらんことも……」 「うるせーな~~~~~~、やってみろ!」 つくづく変わらぬ露伴の態度に、とうとうギーシュはワルキューレを突撃させた。 厨房でお湯をもらって、水場のタライに注ぐ。 そして水と程よく混ぜて人肌ほどの温度に調整する。 赤ちゃんはシエスタの腕の中で嬉しそうに笑っている。 ぺちぺちとシエスタの頬を触ったり、みみたぶをつまんだり頬をすり寄せたりしている。 しかしそんな風に静の世話をしているシエスタは、何処か上の空だった。 気になるのは露伴のこと。自分の不注意でによる貴族からの怒りを全て持って行ってしまった。 ヴェストリの広場ではもう決闘は始まってしまっているだろう。 「あぁ………っ」 どうかご無事で。と願うばかり。 どうか露伴が死ぬ前に、メイジの気が晴れますように。 殴りかかってきたワルキューレの拳を露伴は避けもせずに頬で受ける。 がつん、と重厚な音が広場に響く。 避ける様子もなかった露伴に、ギーシュは得体の知れないモノを感じ、一旦ワルキューレを引かせた。 「……なぜ避けない」 「なぜ下げる………まったく………」 ギーシュの言葉にさらりと応え、露伴は上着のポケットからメモ帳とボールペンを取りだした。 そしてほんの十秒足らずで、そのメモ帳にワルキューレをドシュドシュとスケッチする。 「フォルムはスタンドに近いか……しかしずいぶん軽いな。仗助のCダイヤモンドの方が強い。破壊力はCランクと言ったところか………」 メモに「能力者:ギーシュ」「能力名:ワルキューレ」その他攻撃力やスピードなどの数値がサラサラと書き込んで、またポケットの中に仕舞い込んだ。 「なんの………つもりだい」 「ん? あぁ職業柄こう言うモノは自分の体で体感しないと気が住まない質でね。良い体験をさせてもらった」 さて、と言って露伴はギーシュに向かって無造作に歩み寄った。 「確認も済んだし。そろそろ終わりとしようか」 「くっ」 近づいてくる露伴に、ギーシュは己の最大の数、七体のワルキューレを召喚した。 露伴は頭の中のメモに「ワルキューレは七体まで」と書き込んだ。 学院長室で、遠目の鏡で広場の光景を見ていた二人はどうしたモノか考えあぐねいていた。 「……勝ちましたね」 「勝ってしまったのう……」 「素手でしたね」 「素手じゃったのう」 「ガンダールヴかどうかわかりませんね」 「…………」 露伴はゆっくりとした動作でギーシュに近づき、ギーシュは召喚したワルキューレを突撃させる。 そしてワルキューレの拳が届こうかとしたその瞬間、ソレは何もないところで蹴躓いたようにくるんと回転して吹っ飛んだのだ。 ギーシュも誰も何が起こったのかわからない、突然ワルキューレが空中で回転したようにしか見えなかった。 「どうした。もう終わりか? メイジとはその程度なのか、だとしたら期待はずれも良いところだな」 ふん、と鼻を鳴らされては応えざるを得ない。 残りのワルキューレをまったく同時に攻めさせる。 しかし次のワルキューレは頭を吹き飛ばされ。その頭がギーシュの頭横20サントの位置をかっ飛んでいった。 ぞわっと鳥肌が立ったギーシュにお構いなしで。ワルキューレがポンポンと吹っ飛んでいる。 「………リアリティのある物を書くためには想像力だけじゃダメなのさ。少なからず自分で体験する必要がある」 そう、漫画家としてデビューしている岸辺露伴は、リアリティを追求するため、いろいろな武術を齧っていたのだ。 もちろん本職は漫画家であることは変わりなく。真面目に武術に取り組んでいる人からみれば笑われてしまう程度だが。 それでも、愚直に突っ込んでくるワルキューレを倒すには十分なモノだった。 全てのワルキューレが破壊され、露伴はいまギーシュの正面1mの位置に立っている。 そしてその右手をゆっくり伸ばした。 「ひっ」 みたこともない方法でワルキューレを飛ばす露伴に、ギーシュがおびえを抱くのも仕方ないだろう。 しかし露伴はギーシュに手を下すことなく、その手から薔薇の造花の杖を抜き取って、そっと匂いを嗅ぐ仕草をした。 「どうだい、まだやるか?」 杖を奪われては、メイジはもはや為す術がない。 ギーシュは悔しそうに唇を噛みながら、小さく「まいった」と宣言した。
https://w.atwiki.jp/moejinro/pages/1325.html
4日目 Navi 今日もすがすがしい朝がやってきました 村の広場の真ん中に食べかけのまま息絶えている ミクかわいいさん の遺体が発見されました… 1 (なび村) ミクかわいい 〓■●_~□○0 Navi 村人の皆様、今日もがんばってください Navi 昼の部スタートです 1 (なび村) Jareky 【霊媒CO】私が霊媒です。シンクロさんは白いイカでした。 村人です。○!! 1 (なび村) エルレイナ 共有ががが 1 (なび村) ちゃわんむし 【フェルシィ占い○】寡黙な人かつ微妙に状況がわかってなさそうな人を占いました。翻弄されている村人を演じている狐の可能性があり占いました。 1 (なび村) シエスタXX 占いCO:Gavialさん○ 占い理由:初日の狼発見に焦って自分の信頼度下げるように見えたため 1 (なび村) デジュー 個人の意見を言わせてもらってます。それをどう受け止めるかは占いさんたちに任せます>ちゃわんむしさん 個人的には多弁な占いは騙りと見がちです 1 (なび村) テンシ おはよー 霊媒結果:シンクロさん○でした 1 (なび村) ACT リュファさんは村人です>信用してくれた人を信じたかったからです 1 (なび村) ちゃわんむし 【ミクかわさんの質問へのお答え】現時点ではいるとも居ないとも。ですが対抗二人とも喋らない、つまり情報量が少ない=狂狐である可能性は充分あると思います。 1 (なび村) xこぅちゃx おはよーございます! 1 (なび村) BBL 共有COします 相方のミクさん噛まれたので出ます 1 (なび村) ちゃわんむし ってこたえゆおとしたらこれだよ!!!!!!! 1 (なび村) フェルシィ おはです~ 1 (なび村) Gavial フライングぅw 1 (なび村) katsumi おはよー 1 (なび村) ミクかわいい ・胃stゾンビ 1 (なび村) ちゃわんむし 共有相方早く!! 1 (なび村) Lumiya ぐーてんもるげん 1 (なび村) リュファ 共有を証明する手段が失われた・・・ 1 (なび村) エルレイナ 霊でた 1 (なび村) Merton 対抗でましたか 1 (なび村) ちゃわんむし 相方さんは早く! 1 (なび村) デジュー Jareさん霊媒 1 (なび村) リュファ ミクさん、デジューさんは共有ですか、って聞こうとしてたのに・・・ 1 (なび村) エルレイナ BBLさん共有 1 (なび村) ちゃわんむし ジャレさん霊媒!うれしいですー 1 (なび村) xこぅちゃx お、霊媒出た 1 (なび村) ちゃわんむし おっとごめんなさいいいいい相方把握です 1 (なび村) テンシ 共有CO1人? 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい もそそ 1 (なび村) ちゃわんむし 狼騙りならもっと喋ると思うんですよ。それが私一人だけしゃべっている状況なので、どうも。 1 (なび村) Lumiya と、霊媒対抗jareさんとBBLさん共有了解 1 (なび村) Jareky 今回は潜んだ方が情報を引き出せそうだったので、3日目も潜伏しました。狩人もきつかろうと思いました。 1 (なび村) エルレイナ シエスタさんが破綻確定でござる 2 (ゾンビ部屋) Navi おいでまし~ 1 (なび村) ACT 霊2人目確認しました 2 (ゾンビ部屋) cozy お疲れです 1 (なび村) Gavial んで、両方白なんでシエスタさんが破綻したね。 2 (ゾンビ部屋) シキワロス おつかれさまー 4 (パリっ子) BBL 共有COです 1 (なび村) ちゃわんむし テテろんさんは昨日、シンクロ吊りに反対意見がないと言いましたが私さりげなく反対してますよ…? 1 (なび村) ちゃわんむし ACTさんは対抗が黒出したのに黒でたねーと呑気ですね。 1 (なび村) Lumiya とりあえずシエスタさんは偽、と 2 (ゾンビ部屋) シンクロ お疲れ様です! 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい シエスタさん破綻なの・・? 1 (なび村) ちゃわんむし と、ためておいた長文はりはり 1 (なび村) BBL 共有ですよ 1 (なび村) フェルシィ ですね 1 (なび村) Jareky シエスタさん吊り 1 (なび村) Jareky でいいのかな 1 (なび村) デジュー Jareさんなんで今CO? 1 (なび村) xこぅちゃx シエスタさん吊りでOK 1 (なび村) テテのん ぬ、この流れの速さで気が付かなんだ 1 (なび村) シエスタXX 俺視点Jareさん偽なんだけどね 1 (なび村) Jareky テンシさんの霊媒を偽視している声も多かったので潜んでみようかと。 1 (なび村) リュファ 白いイカってある意味当たり前・・・でもJareさん信頼性ありそう。 1 (なび村) Gavial んー・・・狐見つかってないから捕獲しとくって手もあるけど。 1 (なび村) ACT 確実に破綻するから、のんきでもいいかと思いました>ちゃわんむしさん 1 (なび村) katsumi Jarkeyさん過去の鑑定は? 1 (なび村) テテのん とりあえずシエスタは人外側じゃな理解した 1 (なび村) Gavial というか狂だろうからガン無視って手もあるよ? 1 (なび村) ちゃわんむし ジャレさんは真確定です、少なくともw足し視点では 1 (なび村) ACT 難しい・・・ 1 (なび村) ちゃわんむし あ、 1 (なび村) Jareky いや、黒いイカのスミの可能性もあったよ>シンクロ 1 (なび村) BBL Jreさん結果もう一度お願いします 1 (なび村) ちゃわんむし 狂人もあるかーーー 1 (なび村) Gavial どうやって?>ちゃわんむしさん 1 (なび村) エルレイナ 万一占いに狐まじってたら狂人もあるねジャレさん 1 (なび村) Jareky 【霊媒CO】霊媒結果: cozy○ シンクロ○ 1 (なび村) シエスタXX なぜ俺が陣外なのだろうか 1 (なび村) BBL ログ流れてしまったので 2 (ゾンビ部屋) シキワロス 破綻なんてしてたかな? 1 (なび村) Merton シエスタさんは人外側ですね 1 (なび村) BBL ありがとうございます 1 (なび村) エルレイナ 個人的には霊の信頼度はジャレさん>テンシさん 2 (ゾンビ部屋) シキワロス してた。 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい なんかエルレイナさんがそんなことおっしゃてます・・ 1 (なび村) テンシ ちなみに私もこう 霊媒結果:1 cozyさん○ 2 シンクロさん○ 1 (なび村) テテのん シンクロの霊媒判定がどちらも白じゃから 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい (*ΦωΦ)。。 1 (なび村) ちゃわんむし ですね。警戒は怠りません<狂人の可能性 1 (なび村) Jareky 今回は潜んだ方が情報を引き出せそうだったので、3日目も潜伏しました。狩人もきつかろうと思いました。 ( 2 (ゾンビ部屋) cozy シンクロさん○信じてましたよ。確定○ですね。 1 (なび村) デジュー 人外確定のシエスタさんは今日吊るとして・・・ 1 (なび村) BBL シエスタさんは狂人かな? 1 (なび村) xこぅちゃx まだ分からんかなー・・霊は。 1 (なび村) Gavial あぁそうか・・・シエスタ=狐の可能性もあるのか 1 (なび村) ちゃわんむし すみません、がびさん、質問の守護ははっきりおねがいします 1 (なび村) エルレイナ 白進行だし狩人保護考えるならシエスタさん吊りでいいと思う 1 (なび村) BBL とりあえず吊りの指定はシエスタさんでお願いします 1 (なび村) ちゃわんむし ガビさん何を聞きたいのか…ちょっと 1 (なび村) フェルシィ シエスタ把握 1 (なび村) Lumiya シエスタさん吊り了解です 1 (なび村) シエスタXX 真霊のでない村とか 1 (なび村) Gavial 自己解決してるみたいだからいいけどじゃれ=狂の可能性もあるよって言ってた。 2 (ゾンビ部屋) シキワロス この村よく狐が占いにいくんですか? 1 (なび村) ちゃわんむし 吊り指定把握です。 1 (なび村) リュファ 霊媒両方とも白でしたから、シエスタさんは吊りでいいかと思います。 1 (なび村) エルレイナ まぁ狐なら特攻はしないから狂人濃厚 1 (なび村) テテのん むぅ、続きを言うまでもないほど流れが速い・・・ 1 (なび村) xこぅちゃx まぁローラーされる場所に狐は考えにくいと思う 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい たいていはもぐってます・・・と思います 1 (なび村) ちゃわんむし あ、そうですそうですー。狂人の可能性もあると<がびさん 1 (なび村) Merton 狐は潜伏してると思う 1 (なび村) デジュー Jareさんは霊乗っ取りできるとCOした狼に見える 2 (ゾンビ部屋) シキワロス まさかの可能性考えてて怖い。。 1 (なび村) BBL 霊媒はおそらく真狼なので私が噛まれてもローラーしてください 1 (なび村) シエスタXX そもそも俺が狂人なら 1 (なび村) リュファ 霊媒さんは、ふたりして同じ結果を言っているうちはちゃんと結果出ているのと同じなので。 1 (なび村) エルレイナ 2,3日目のログみる限り、狼くさい人が見当たらないし、推理できる狐さんでもそうそう狼は当てれないとおもわれ 1 (なび村) Lumiya 狐潜伏濃厚ですが一応騙りも視野に 1 (なび村) シエスタXX いきなり黒だしはしないんだけど 1 (なび村) デジュー そうだね明日から霊媒ロラしましょうか 1 (なび村) ちゃわんむし 共有の霊ローラー遺言把握しました。 1 (なび村) ACT 対抗が狼狂人で、霊が真狼かな? 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい あ、霊がシンクロさんを両方○だったから、ということですね!!!(いまさら 1 (なび村) エルレイナ だから3日目いきなりの黒だしは狐としてはできない 1 (なび村) エルレイナ あ、3日目は関係ないか 2 (ゾンビ部屋) Navi 今まで占い騙りってあったっけ? 2 (ゾンビ部屋) Navi 妖狐の 2 (ゾンビ部屋) シンクロ ですです>美玖川・伊井衛門さん 1 (なび村) ちゃわんむし 黒特攻は狂人ぽいですが… 1 (なび村) デジュー あと、狼さんへ 共有なんて噛んでていいの? Navi 5分経過(後2分) 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい シキワさんとシンクロさんがまぎらわしい・・・ 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 記憶にはないかな! 2 (ゾンビ部屋) シキワロス 俺の記憶ではペパーさんがしてたよな 1 (なび村) シエスタXX まじで俺切ると村も狼もやばいよ 2 (ゾンビ部屋) シキワロス ような 1 (なび村) BBL 役職ローラーで狼1狐1にはなると思います 1 (なび村) テンシ 噛んでたらたらいかんで? 2 (ゾンビ部屋) Navi あー 1 (なび村) katsumi 結局、吊りはどこ指定? 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい ペパさんは・・・ 2 (ゾンビ部屋) シキワロス 誤字激しすぎてやばい。 1 (なび村) Jareky 今日シエスタさんを吊るなら、明日以降霊媒ローラーでも致し方ないかな 1 (なび村) ちゃわんむし 狩人はどこまもってたのか 2 (ゾンビ部屋) Navi みんたんならしてそうだな・・・ 1 (なび村) ちゃわんむし それとも死んでしまったのか… 1 (なび村) BBL 今日は噛めるので共有噛んできたのでしょう 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい ウン・・・ 1 (なび村) xこぅちゃx 吊りはシエスタさんでいいんじゃ?破綻してるんだし。 1 (なび村) ちゃわんむし 霊媒守りかな… 1 (なび村) エルレイナ 占いか霊でしょ 1 (なび村) BBL 吊りはシエスタさんでおねがいします 1 (なび村) デジュー 今日はシエスタさんでおk? 1 (なび村) エルレイナ 共有は普通守らない 1 (なび村) フェルシィ おkです~ 1 (なび村) ちゃわんむし シエスタさん把握 1 (なび村) デジュー シエスタさん了解 2 (ゾンビ部屋) シキワロス 名前紛らわしいでしょうか。適当につけたんですよ!漢字使えないから 1 (なび村) エルレイナ 狼にとって一番こわいのが真占い 1 (なび村) Merton シエスタさん把握です 2 (ゾンビ部屋) Navi 大体の騙りはみんたんに・・・w 1 (なび村) ちゃわんむし ああ、すみません、相方潜伏していたので 1 (なび村) ACT シエスタさん了解です Navi あと1分 1 (なび村) テテのん 役職に狼が二匹と考えると、狐が怖くなるが、ローラー終えるまで呪殺できればよいのう 1 (なび村) シエスタXX まじでか 1 (なび村) ちゃわんむし うーーーーん狐どこだ 1 (なび村) Lumiya うーむ、序盤だと共有よりも役職のほうが重視しますねぇ、私なら 1 (なび村) BBL ちゃわんむしさん相方って誰のことですか? 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 私結構空目しがちなので私だけかも! 1 (なび村) ちゃわんむし 共有さんの相方さんです 1 (なび村) デジュー 相方って何 2 (ゾンビ部屋) Navi 気になさらないで大丈夫だと思いますよ~ 1 (なび村) ちゃわんむし 出るまでは狩人まもるかなと 1 (なび村) BBL わかりました 1 (なび村) ちゃわんむし 個人的感想でしたー 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい ペパさんはほんと騙りのデパートですね・・・ 1 (なび村) ちゃわんむし すみませんすみません・・ 1 (なび村) Gavial どう考えてもちゃわんむしさんが挙動ヘンだよなぁ。。。と言っておこう どうせ「なんで?」って聞かれるので先に理由もいっておこう。吊られない占いのハズなのにやたらと自分への発言に敏感な点 Navi 20秒前 1 (なび村) ちゃわんむし ガビさんは私につっかかりすぎですよ… 1 (なび村) Gavial はい。個人的意見ですよ? 1 (なび村) Jareky Gavialさん強い発言が多く狼がここまでやるかなって印象。なのでを村人濃厚とみてます。 1 (なび村) ちゃわんむし いえ、占いだからこそ 1 (なび村) ちゃわんむし 敏感になるんです。 Navi 夜まで時間がありません 皆様今日の尊い犠牲をお選びください(会話はストップです) 1 (なび村) エルレイナ がべさんは個人的に村とみてる 1 (なび村) デジュー 占いはACTさん真でみてます Navi 投票は私に直Tellでお願いします 3 (GREEN) Navi 会話可能時間スタート 3 (GREEN) Navi ---------------------------------------- 1 (なび村) ちゃわんむし ええ、わたしも 1 (なび村) Navi -------------------------- 1 (なび村) Navi 4日目終了 1 (なび村) Navi -------------------------- 3 (GREEN) xこぅちゃx 何だこの村・・・w 3 (GREEN) xこぅちゃx ってか内訳おかしいよ?これ (T) フェルシィ > シエスタさんに投票 (T) Merton > シエスタさんを吊ります (T) リュファ > ここは当然、シエスタさん。 3 (GREEN) xこぅちゃx デジューさんは何だ? (T) エルレイナ > シエスタさんで~ (T) テンシ > ちゃわんむしさんに投票しますー 3 (GREEN) katsumi おかしいよね (T) デジュー > シエスタさん吊り。狂人でしょうな (T) BBL > シエスタさんに投票します 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい なんか赤いのが見えたような・・・(メモ整理してた人 3 (GREEN) ACT テンシさん狐っぽいw (T) Jareky > シエスタさんに投票 (T) Gavial > さてさて・・・もう一匹はどこかね・・・てか狐どこかね・・・ 3 (GREEN) xこぅちゃx とりあえずシエスタさん吊りましょ (T) ちゃわんむし > シエスタさーん投票でーす 2 (ゾンビ部屋) シキワロス 騙りか・・・狂人で「最終日だけど占いCO」yってみたい 3 (GREEN) ACT ですねー 3 (GREEN) katsumi はーい 3 (GREEN) xこぅちゃx ここが狐、もしくは狂人 (T) テテのん > ふむ、ふむ、シエスタXX殿を吊し上げようかの 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい w (T) Lumiya > 投票 > シエスタXXさん (T) Gavial > えーと・・・どうしようかな。テンシさんで。 (T) katsumi > シエスタさんを吊ってくださいな 3 (GREEN) xこぅちゃx 真のちゃわんむしさんを、どう処分するかだなぁ (T) シエスタXX > なんか恥ずかしいwちゃわんむしさんで (T) xこぅちゃx > シエスタさんでお願いします 3 (GREEN) xこぅちゃx あとデジューさんの誤爆は何だったんだろう 3 (GREEN) ACT 処分のタイミングは任せますね 3 (GREEN) ACT 多分ちゃわんむしさんへのメッセージを間違えてじゃないかな? 3 (GREEN) xこぅちゃx あー ひょっとして 3 (GREEN) ACT 朝一で出してますし 3 (GREEN) xこぅちゃx 狩人か 3 (GREEN) xこぅちゃx Navi子へのメッセージかな 3 (GREEN) ACT 狩人であのTELLは考えにくいのですが・・・ 3 (GREEN) xこぅちゃx まぁね・・・ 3 (GREEN) xこぅちゃx 他に理由がないんよねぇ テンシ なびさんがいないと思ったら・・・熊・・・ 3 (GREEN) xこぅちゃx ちょいとメモ更新してきます 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 占いローラー開始かな 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい (肴ボリボリ 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ コンバンワー なび村の死人部屋はココでしょうか 2 (ゾンビ部屋) シキワロス んー霊ロラからっぽいですが 2 (ゾンビ部屋) シキワロス こんばんはー (T) > ACT 投票お願いします 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい こんばんわ~ 2 (ゾンビ部屋) Navi ですです~ 2 (ゾンビ部屋) cozy リッツおいしい~ (T) ACT > ちゃわんむしさんで (T) ACT > 忘れてたw シエスタXX12 ちゃわんむし3 テンシ1 Navi さよなら シエスタXXさん …あなたの勇姿は忘れない シエスタXX フラッチェー!!! 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ 状況的に4日目かな Navi 日が沈み始めました よい子も悪い子も寝る時間です Navi 役職の方は私にTellお願いします 3 (GREEN) ACT 投票忘れてたw 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい あ、こじさん吊っちゃってゴメンナサイ! 3 (GREEN) xこぅちゃx え? 4 (パリっ子) BBL 独り言タイム (T) Jareky > シエスタさんは狼ですか? 3 (GREEN) xこぅちゃx だ、大丈夫みたい・・・w 3 (GREEN) ACT Naviさんに怒られましたOTL 3 (GREEN) xこぅちゃx はーい・・w 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい もっと余裕があれば・・・ (T) フェルシィ > ちゃわんむしさんを護衛します 3 (GREEN) katsumi あらw 3 (GREEN) xこぅちゃx さて、誰を噛みましょう 4 (パリっ子) BBL Jareさん真かな 狼なら出る必要ないだろうし 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 理由つきでこじさんを(*ΦωΦ) (T) > Jareky シエスタXXさんはごく普通の村人でした!○ 2 (ゾンビ部屋) シキワロス 別に自分でもよかったんやで! (T) エルレイナ > それにしても占われない…素村だと狐なら高笑いできる展開が多いの~w (T) ちゃわんむし > デジューさんを占います 2 (ゾンビ部屋) シキワロス SGにされるとおもったら噛まれたけど 3 (GREEN) xこぅちゃx GavialさんはSGに残したいよね (T) > フェルシィ しっかり守ってあげてね! 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい シキワさん個人的には霊かなとか思ってました! (T) Jareky > 了解です 4 (パリっ子) BBL 狼だったらちゃわんむしさんも偽になるし (T) Lumiya > ちとGavさんちゃわんむしさん以外のところになんか怪しい点がないか探してみるかの 2 (ゾンビ部屋) cozy いえいえ。あーゆー時立候補とかしていいものかまよいますけど 2 (ゾンビ部屋) シキワロス こんな霊媒だったら戦犯・・・ 3 (GREEN) ACT ですね (T) > ちゃわんむし デジューさんはごく普通の村人でした!○ 4 (パリっ子) BBL ACTさんのほうが怪しかったからなあ 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 私も就いてる役職については結構口出しちゃうタイプなので・・・ (T) > Jareky うそ! 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ でも霊媒即死はよくあることでw 3 (GREEN) xこぅちゃx 噛み先の案ありますー? 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい いらしゃんせ~ 2 (ゾンビ部屋) シキワロス 個人的に人柱は下策だと思ってます (T) > Jareky 嘘ついた!! 3 (GREEN) ACT 個人的にはBBL→エミーレかな 2 (ゾンビ部屋) シンクロ っとこんばんはですね! (T) ちゃわんむし > 狼かもとおもってたのにいいいいいい←把握しました 2 (ゾンビ部屋) シエスタXX おつかれ、そして何も言うな・・・ 2 (ゾンビ部屋) シキワロス こんばんは! (T) Jareky > え!!!なんだとごるぁ (T) > Jareky ACTさん狼!! 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 共有がてんぱってたから・・・! 3 (GREEN) xこぅちゃx 真噛んじゃうとACTさん吊られて 4 (パリっ子) BBL 狼はテンシ ACTかちゃわんむし Jareは確定と 3 (GREEN) katsumi BBLさん放置でもよいかな? 3 (GREEN) xこぅちゃx katsumiさんまで行くかもだよー 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ 普通はねぇw (T) > Jareky やったね! 3 (GREEN) ACT そうか・・・ 4 (パリっ子) BBL 狐があるとしたらシンクロさんのみかな (T) Jareky > ちょ!霊媒結果だよ? 3 (GREEN) xこぅちゃx エルレイナさんあたりは 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 時間なかったからしょうがない! 2 (ゾンビ部屋) シキワロス 人柱の何が下策って、吊りを1無駄にわざとして、しかも霊媒や狩人が噛まれる可能性もあるっていうことでしょうか (T) > Jareky そうだよ! 3 (GREEN) xこぅちゃx わりと確信近く来てるんかな 4 (パリっ子) BBL cozyさん人柱だし 3 (GREEN) katsumi 私は冒険でテンシさん噛みかな (T) > Jareky ぎゃあああああああ 2 (ゾンビ部屋) シキワロス まあ決まらないときはしかたないですがww 2 (ゾンビ部屋) cozy すみません。命を粗末にしました 3 (GREEN) xこぅちゃx それでJareさんが偽扱いになっちゃうけど大丈夫? (T) > Jareky まちがえたああああああ (T) Jareky > ACTさんじゃなくてシエスタさんが吊られたんじゃ・・・ 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ 単純に、村を1削る可能性の方が高いのと 3 (GREEN) xこぅちゃx でも、それもまた面白そう・・・ 3 (GREEN) katsumi それだとちゃわんむしさんも偽になるから 3 (GREEN) xこぅちゃx なるほど・・・ 3 (GREEN) xこぅちゃx じゃぁテンシさん噛んでみましょっかー 4 (パリっ子) BBL デジュー Gavさんは村かな? 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 初回人柱の人はつりたくないタイプ 3 (GREEN) ACT OKです 3 (GREEN) katsumi ヽ( ´¬`)ノ ワ~イ !! 3 (GREEN) xこぅちゃx TELLしてきますねー (T) Jareky > まぢか。知らんふりしてもいいけど。どうせACTさんが狼だと思ってたし・・・ (T) > Jareky しまったああああああ 3 (GREEN) xこぅちゃx みんなで考えて遊びましょう♪w 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい えええええ・・・・ 2 (ゾンビ部屋) シキワロス そしたら狐が実は人柱してましたとか。 2 (ゾンビ部屋) シエスタXX 人柱を有効に使えれば上級なんじゃないきっと 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ それを盾に人外が「こうすれば釣られづらくなる」という (T) xこぅちゃx > テンシさんを噛み噛み! (T) エルレイナ > やばい…全然怪しい人がみつからぬ…まぁ役職に狼2でてるのもあるのでしょうが…… (T) > Jareky いあ 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ 人間心理の盾になるからですかね (T) Gavial > こうしてだんだん誰もが怪しく思えてくる素村 (T) > Jareky これはアウトです・・・ 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい ハイ・・・ (T) Jareky > 自分にとってはあんまり情報量ないし・・・ 4 (パリっ子) BBL ローラーして残り二吊りだから狐もいたらミスできないな 3 (GREEN) ACT 占いどうしよう? 4 (パリっ子) BBL 厳しすぎ 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ だから村としては吊らざるを得なくなるし、結果確定で村を鶴率が高い、立ったかな 3 (GREEN) katsumi 噛めなかったら狐濃厚かな? 2 (ゾンビ部屋) cozy 吊りに立候補はひかえたほうがいいですね 3 (GREEN) xこぅちゃx ですね (T) Jareky > 判断はまかせます・・・ 3 (GREEN) xこぅちゃx 占いはー 4 (パリっ子) BBL 狼の狐告発ないかな 3 (GREEN) xこぅちゃx 無難ならエルレイナさん? 2 (ゾンビ部屋) シキワロス 狂人で潜伏しようと考えてたら Navi あー 3 (GREEN) xこぅちゃx でも、狐探しなら Navi えーと 2 (ゾンビ部屋) シキワロス 立候補者● 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ 例えば占い師がいなくなって、自分だけがグレーとかなら、 4 (パリっ子) BBL それかGJないと無理 Gavial (ナンダナンダ? 2 (ゾンビ部屋) cozy お疲れです。シンクロさん デジュー え? xこぅちゃx うん? エルレイナ どなたか落ちました? Merton なんだろう 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ 推理の不確定要素を削る意味含め、手順が余るならあり Navi 皆様、心してお聞きください テンシ 熊が直ったこと? 2 (ゾンビ部屋) シキワロス ふむふむ。 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ でもそこまで行くと体外カッツカツだから ミクかわいい ナニナニ・・・・? Navi 霊媒に間違えて狼教えちゃった Navi テヘ BBL 役かけ? 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ 言い出しづらいですねぇw テンシ ぶ ちゃわんむし え? 2 (ゾンビ部屋) シエスタXX 覚醒? Gavial ・・・オィィ! デジュー ずんがらがっしゃーん!! 2 (ゾンビ部屋) シキワロス えwwww フェルシィ ゑ ミクかわいい ww エルレイナ うひw xこぅちゃx わぁー♪ Lumiya ありゃりゃりゃ Merton ちゃわんむし ど、どういうこと!? リュファ ・・・・・・・・!? ACT え? Navi なんか ちゃわんむし 狼教えた・・?? BBL どうしようか テテのん どないするんじゃ? ミクかわいい (o?д?)o ナビサァーン Merton つまり…?どうなるんですか! Navi てんぱっちゃった!w エルレイナ どんまいです! Lumiya 占い結果を霊媒に送っちゃったでFA? リュファ き、記憶捜査を・・・ xこぅちゃx まぁよくあることさー! クバリャーナ あらまぁw テンシ どどんまいです! リュファ 記憶操作 フェルシィ どんまいです>< BBL 霊媒は結果だけ言って吊られてください Navi いやあ シエスタXX 続行できそう? シキワロス 誤爆恐ろしい子! ちゃわんむし 狼の配役伝えたってことかな Gavial さぁ霊媒の頭をスペル ブックの角で殴るんだ Navi さすがに続けられないな~とw シキワロス >< デジュー たぶん真占いばれるんじゃね? Gavial さよかー エルレイナ あら~~ テテのん 残念じゃな ちゃわんむし ああー クバリャーナ 新職業、占霊師! BBL 霊媒が黙っていればなんとかなるのでは? 4 (パリっ子) ミクかわいい 。。 3 (GREEN) katsumi あらーw Navi ちょっとまってね Merton 村が爆発したぞー! Navi いあ リュファ 霊媒二人に発言封じをかけるとか!! エルレイナ 霊ロラしてもだめかしら? シエスタXX 38.5回の悪夢w ちゃわんむし 霊媒は黙ってローラー… 3 (GREEN) ACT 不完全燃焼・・・ Navi どうしてもフェアではなくなってしまうので Gavial まぁねぇ Navi ごめんなさい! ちゃわんむし その間議論できる時間が増えるよやったね! ちゃわんむし ありゃー エルレイナ どんまいなのです! xこぅちゃx まぁ仕方ない テテのん 霊媒がしゃべれなくなってしまうからのう xこぅちゃx どんまいですよー ちゃわんむし どんまいですー クバリャーナ うんうん Merton どんまい デジュー また○○、5パートだよ! シキワロス 霊媒がしゃべれないゲームか・・・ エルレイナ やりなおし決定? ACT どんまいです リュファ 霊媒さんたちに、「霊媒結果」以外の発言を禁止させましょう。 デジュー ま、しゃーなし 4 (パリっ子) BBL 狼予想 テンシ ACT リュファ フェルシィ なるほどー 4 (パリっ子) BBL 終了してしまうなら言っておく Merton 霊媒さん発言封じはゲームとしてどうかなぁと 4 (パリっ子) ミクかわいい ととかるちょ! Gavial うむ。 ちゃわんむし うーむ エルレイナ ですなぁ 3 (GREEN) xこぅちゃx ってことは シエスタXX まあノーカンが妥当じゃないかな 3 (GREEN) xこぅちゃx 俺がばれたぽいw BBL 今回は仕方ありません テテのん まぁ、GMも人間じゃし、こういうこともあるさ クバリャーナ 発言できないと、仕事も無理だとおもうw Gavial ノーカン終了だのー 3 (GREEN) katsumi こっちとしては、どうしよう? 3 (GREEN) katsumi え ちゃわんむし さくっとやり直します? BBL 結果だけ言って吊るしかないかと xこぅちゃx こういうハプニングも人狼ってもんっす テンシ 一時期人間じゃなくなってたのが原因ですね Merton やっぱり村が爆発したってことで…! 3 (GREEN) ACT あるいみラッキー? 3 (GREEN) xこぅちゃx うん、かなりラッキーよ リュファ 爆発・・・ エルレイナ 村はリア充ばっかだったのだ! ちゃわんむし 爆発エンド! 3 (GREEN) katsumi あ、噛み先かな? Navi 大変申し訳ないです・・・ フェルシィ ちゅどーん! 3 (GREEN) xこぅちゃx んと Merton ぼーん 2 (ゾンビ部屋) cozy ドンマイです 3 (GREEN) xこぅちゃx 恐らくうちらは ちゃわんむし エルレイナさんりあじゅーなん? シエスタXX どんまー エルレイナ しかたないですよ~~どんまいなのです 3 (GREEN) xこぅちゃx 真を噛めてない シキワロス 20XX年 カーレイ村は核の炎につつまれた! クバリャーナ どどんまいでっす ちゃわんむし いえいえ、どんまいですー 3 (GREEN) xこぅちゃx なおかつ Lumiya どんまいだー デジュー どんま~い BBL ドンマイです シキワロス どんまいです。 ちゃわんむし わろす 3 (GREEN) xこぅちゃx 霊に結果を出している(占いの) Gavial なびこの大群が襲い来る・・・! Jareky ぐるぐるぐるぐるぐるどっかーーんん Merton どんまいです エルレイナ わたしは少なくとも違うね!最近は フェルシィ どんまいです~ 3 (GREEN) xこぅちゃx これで全内訳が テテのん どんまいどんまい 3 (GREEN) ACT あの発言出るならjareさん真だね 3 (GREEN) xこぅちゃx 霊媒にバレる Navi よし Navi では ちゃわんむし では配役はっぴょー? デジュー なび村は爆発した 3 (GREEN) xこぅちゃx そういうこったねー シキワロス あらゆる生物は絶滅したとおもわれた・・・ Navi 役職総COかもん! ミクかわいい デデーン xこぅちゃx うん、狼になった夢を見た エルレイナ あー狐で勝てそうだったのに惜しかった>< ミクかわいい 包帯屋CO!!! ちゃわんむし 【占いCOです】 ちゃわんむし やっぱそこかーーー デジュー うそやん フェルシィ 狩人ですよー エルレイナ いや嘘ww xこぅちゃx やっぱ占ったろーw BBL 占いの予想はあっていた クバリャーナ いいえ、わたしこそしんのほうたいやなのです Jareky ぐるぐrぐるぐrどっかーん ACT デジューさんリュファさん信じてくれたのにごめんね ミクかわいい 対抗包帯屋 ちゃわんむし 【デジューさん占い○】真占は誰よりも確実な情報を手に入れてます。それを元に推理してそして怪しい人を見つけだし占うのが役目だと思ってます katsumi ヽ( ゚ ヮ゚ )ノがおー 狼です ちゃわんむし 対抗寡黙占二人をつっつかず(ACTさんの理由薄いのに突っ込まないとことか)必死に私の信用を下げローラーに持ち込みた デジュー ちゃわんむしェェ!占いに見えなかったよぉぉぉぉx!ごめんよぉ シエスタXX 狂人COもしたほうがいいかな? ちゃわんむし あとぶっちゃけ私を疑いまくってる人が対抗に占われまくりです。囲い絶対ある。 ちゃわんむし このやろうwっwこのやろうwww リュファ あぐー。 Jareky 【霊媒CO】霊媒結果: cozy○ シンクロ○ シエスタ○ ACT●!!! BBL カツミさんかリュファさんは狼だと考えていました xこぅちゃx あ、そこか・・・w ACT あったよw>囲い ちゃわんむし じゃれさん信じてた!!! xこぅちゃx そこが送られたのか・・・w xこぅちゃx 俺LWじゃん・・・w ちゃわんむし ですよねーwっw<囲い エルレイナ わたしはどっちが真かきめうちしてなかったぞ ACT え?俺がばれたのwww Lumiya あら、katsumiさん囲いだったのねー Gavial ワタシは普通に素村だよ。 Merton そこかー BBL エルレイナさんはわからなかった ちゃわんむし だからはよグレー潰して対抗占いたかった エルレイナ がべさんはもう2日目の発言を エルレイナ 最近かまれるのはやいから BBL こうちゃさんは少し気になっていた フェルシィ あー やっぱりちゃわんむしさんとjarekyさんか ちゃわんむし がべさんはもうリア狂として脳内処理 エルレイナ わざと狂人ぽくみせて ちゃわんむし こうちゃさんもステルスだぬー BBL ローラー終わったら吊り候補でした エルレイナ 生き残ろうとしてるんかとおもったw Lumiya こぅちゃさんなんか静かだなと思ったら外れてたっ xこぅちゃx ってか、話したかったけど、めっちゃ流れ早くて打てなかったんだよ!w フェルシィ 俺もっすwww デジュー あれ、テンシさん何? Merton ACTさんとJarekyさん真だと思ってた ACT ところでテンシさん何者? テテのん ついていけていたか微妙じゃったな ちゃわんむし で。狩人だーれ フェルシィ ノ エルレイナ わぉ ちゃわんむし わーお xこぅちゃx うわぁ お弁当に居たのかぁ・・・ シキワロス なんと・・・ BBL デジューさんとGAVAさんは村で見てました Gavial あれ?ナヴィ配役発表した? ちゃわんむし ちょwwww霊媒と狩人うらなってたとかwwwwww テンシ 狐でーす!適当に狂人プレイしようと思ってました フェルシィ すいません・・・ついていけなくてww エルレイナ 狐だれだったの? ちゃわんむし 無駄にレーダー高性能wwwwwwww エルレイナ おおうw シキワロス 狐が天使さんってええええ! Merton 狐かー! ACT じゃあエルレイナさんは??? フェルシィ うおうw Lumiya 吊り候補だったから仕方なく霊媒にでたのかー ちゃわんむし テンシさんwwwwwwww xこぅちゃx やっぱ食えなかったか エルレイナ 素村だよ! テンシ ちなみに仕方ないは真霊媒でも言ってたと思うw デジュー えろれいな・・? katsumi 狐ですよねーw ちゃわんむし いない狐に怯えてたとか笑えるwwwwww ACT 間際らしいのやめてよ・・・ Merton エルレイナさんとGavialさんは村人視 テンシ 別に寡黙じゃなかったのに初日指定されたらw エルレイナ すぐに訂正したっすよw シエスタXX まず俺の狂人にみんな驚こうか ちゃわんむし いやおどろかない Merton えっ エルレイナ しってた デジュー 狼ってこうちゃ・ACT後誰? xこぅちゃx いえ、そこ2日目で分かったんで。 シキワロス いや、予測できました Gavial いえまったくぜんぜん 1 (なび村) Jareky テンシさん狼おもってた リュファ こんなこともあろうかと、村のあちこちに前もって仕掛けてあった爆薬が役に立ちました。 BBL 結構内訳あたってた xこぅちゃx 狼目線だと Lumiya うん、シエスタさんは狂人っぽかった ちゃわんむし いやー対抗が黒い発言ぼろっぼろ出したから BBL 狐はわからなかったけど xこぅちゃx 二日目で占い内訳分かった リュファ 狂人は当ててたのに・・・ Navi マダム村が終わりそうなので フェルシィ あ ちなみにミクかわさんとテンシさんとちゃわんむしさん護衛してましたよー シエスタXX きたない流石ニンジャきたない ちゃわんむし つつきまくろうとした Merton こぅちゃさんは微妙に人外臭してたかも ちゃわんむし あ、配役全部でた? xこぅちゃx 狼苦手なの・・・w シキワロス んー怪しさ満点だとおもってたけど噛まれちゃったなー。 Navi あっちとシャッフルしちゃいましょうか ACT 今確認しました。すいません>エルレイナさん katsumi 改めて配役公開をー BBL 確かにこうちゃさん気になっていました xこぅちゃx はーい! ちゃわんむし 改めての公開おねがいしますー エルレイナ いえいえ 1 (なび村) Jareky 自分的にはACTさんは狼だと思ってたので、特にACTさん狼と伝えられても、プレイはたぶんかわらなかったんだけどね Gavial 一応ナヴィ 配役だけー フェルシィ お願いします>< デジュー すいませんもう1回公開おねー Navi 狼 xこぅちゃx ACT katumi katsumi ヽ( ゚ ヮ゚ )ノがおー 狼CO 1 (なび村) BBL ローラーは天子さんからするつもりでした xこぅちゃx 信頼と安心の狼達 Navi 占い ちゃわんむし Navi 霊媒 Jareky 3 (GREEN) xこぅちゃx これ、負けてたね・・・w テテのん 完全にノーマークじゃったw ACT 6割狼なう 3 (GREEN) xこぅちゃx 引き分けでよかった・・・w Navi 狩人 フェルシイ ちゃわんむし いやーーーん霊媒と狩人占ってたとか無駄なほうにレーダーがいやあああ・・ Navi 狂人 シエスタXX 1 (なび村) エルレイナ COタイミングからしてもジャレさん真でよくね?っていおうとシテタ。潜伏理由も納得できるものでしたし フェルシィ いえーい 1 (なび村) Jareky テンシさんが○と聞いてびっくりする展開だったと予想! xこぅちゃx 完全に狼負けだったんだなぁ・・・ リュファ 素人っぽいACTさんをつい信用してしまってました・・・。 ちゃわんむし しかしこれなら生き残れてた可能性たかいのかー Navi 妖狐 テンシ デジュー 狼予想Jareフェルミィちゃわんむし・・・全滅じゃねーか!! 1 (なび村) BBL たぶん ローラー止めたかも Navi 共有 ミクかわいい BBL 3 (GREEN) katsumi 楽しかったのは間違いなしw 1 (なび村) エルレイナ メダパニりますね…w フェルシィ 怪しくてサーセンwww 3 (GREEN) xこぅちゃx だねw ACT ごめんね>りゅふぁさん 1 (なび村) BBL Jareさん狼なら出るメリットないしね Gavial ほほーぅ ACT 素人なのは間違いないけどね ちゃわんむし あれだ。多弁な占いも認めようぜ、な! 1 (なび村) エルレイナ 暫定白だしねぇ Merton ちゃわんむしさんローラー逃れをもくろんで主導権狙って発言してたのかと思ってました BBL また役職だよ! シキワロス 多弁占いってか。完全にうんでやる ACT 5戦目だし シキワロス それでもいいじゃないすか! ちゃわんむし てへぺろ デジュー あ、フェルシィさんだった。メモとった字汚くて間違えちゃった Navi では シエスタXX テンシさん狐だし混乱したかもねー デジュー ごめんなさいねっ xこぅちゃx 4/5の人外率をどーにかしたいとです・・・ Navi 向こうの村と混ぜましょう フェルシィ よくあることです><ノ ちゃわんむし イイノヨ エルレイナ は~い ちゃわんむし はーい シキワロス 了解ー Merton はい Gavial ほーいって0時か・・・ ミクかわいい ハーイ フェルシィ はーい Gavial ワタシ見学でー Navi 皆さん、ホント申し訳ないです 1 (なび村) BBL リュファ 紅茶 akatumiさんをローラー語に吊り候補にしようと考えていました デジューはデジューに死刑の判決を下した Gavial どーまー xこぅちゃx いや、こういうのも ちゃわんむし どどんまいですー! ACT どまい xこぅちゃx たまには楽しいですよ Merton 人間だもの 2 (ゾンビ部屋) シエスタXX chぬけます BBL ドンマイです xこぅちゃx みんなの考え聞けたんで。 エルレイナ 仕方ないですよ~ cozy ドンマイです katsumi どんまいですー BBL 私も誤爆したことありますから Navi では一度 シキワロス 人間でいいじゃないですか。 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ んではわたしもー 1 (なび村) シエスタXX chぬけますー ちゃわんむし まあどうせ村のかちでしたからね(きりっ 1 (なび村) xこぅちゃx こっちも抜けますー Navi 真ん中へ集まりましょう 2 (ゾンビ部屋) シキワロス おなじく。おつかれさまでしたー 1 (なび村) ちゃわんむし 私もぬけますーおつかれさまですー 1 (なび村) エルレイナ おつかれさまです~ 1 (なび村) Lumiya んではこちらぬけますよっと 1 (なび村) デジュー おつかれ~ 4 (パリっ子) BBL おつかれさまでした テンシ おつかれさまでしたー 4 (パリっ子) ミクかわいい さまでした! 3日目へ 2012年3月10日全ログへ
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1332.html
「・・・・・・ふぅ」 夕焼けの赤が夜の闇に侵食されている時間帯。 シエスタは纏めた荷物を宛がわれた部屋の床に、ドサリと置いた。 「・・・・・・まったく、運が無いですね・・・・・・私も」 モット伯。 平民の娘を雇い入れては、食い散らかしていると言う黒い噂を持つ、 学院に近い土地に領地を持つ一流貴族だが、シエスタは前々から彼に目を付けられていた。 方々に手を回して、自分に対しての興味を逸らそうとしたが、今日、とうとう、モット伯の所で働くと言う事で話がついてしまった。 「貴族の方に毎夜、身体を求められる生活なんて・・・・・・平穏じゃないです」 不満げに呟くシエスタは、整理整頓されている荷物から、一つのバスケットを取り出す。 そこそこの大きさのバスケットを開くと中には、何かを包んだ薬包紙が大量に入っている。 薬包紙の一つに一つに、シエスタしか意味の分からないように組み合わせた文字で名前が書いてあり、 どう見ても一介のメイドが持つべき物で無い事が見て取れる。 「ここから才人さんの所へ戻るのは、ちょっと大変そうですけど・・・・・・仕方ないです」 なるべく早く戻りたい所であるが、急いでは事を仕損じる可能性がある。 しかし、だからと言って、ゆっくりしていたら自分の貞操が、あんな手の汚い貴族に奪われてしまう。 「それだけは嫌ですね」 初めては好きな人と決めているシエスタは、即効性と隠匿率の高い薬を手に取り、なんとかしてこれを飲ませる方法を模索し始めるのだった。 「くそっ! 頼む! もっと早く走ってくれよ!」 焦れたような才人の声に、彼を乗せて走っている馬は嘶きを上げて答えるが、今ひとつ速度が遅い。 「その馬、今日は街まで行って帰ったきた奴だから、疲れているのよ」 それに私も乗ってるしね、と才人の腰に捕まり、馬に乗っているルイズが喋るが、才人の耳に届く事は無い。 「頼む、頼む、頼む! 間に合ってくれ! お願いだ!」 必死なのも無理は無い。 マルトーからシエスタが、モット伯と言うルイズが言っていた貴族の下へ奉公に言ったと聞いて、ルイズの部屋へ戻った才人は、彼女に、モット伯がどんな人間なのかを聞いたのだ。 曰く、その者の屋敷へ行ったら、少女は貞操を奪われるだろう。 曰く、世話をするのは昼だけでなく、夜のベッドの上でも世話をしなければならない。 曰く、嬲るだけ嬲って飽きたら、そのまま金だけ握らせ路上に捨てられる。 主に少女に対する、様々な黒い噂・・・・・・と言うよりは、事実を告げられた才人は、真っ青な顔で部屋を飛び出した。 自分の恩人の、貞操の危機に才人は、この世界に来てから初めて本気で焦っていた。 使用人のそんな様子に、部屋に残ったルイズは、どうやらモット伯絡みで何かあったのだろうと推測し、才人の後を追うのであった。 そして、現在に至る。 すでに夜も大分更けてきた中、もうに床に入り、一戦始めている恋人達も居るだろう。 もしも、モット伯が、そんな連中のように床に入って準備をして、シエスタを待ち構えているのならば・・・・・・・・・・・・ 才人は、自分の頭に浮かぶ悪い考えを、首を振って否定し、ただ、早く屋敷に着けるように馬を走らすだけしか出来なかった。 一方、ルイズも才人程では無いにしても焦っていた。 モット伯の行為は、女として何よりも許せない行為であるし、何より誇り高いトリステインの貴族がすることでは無い。 そんな者が平然とした顔でのさばり、あまつさえ犠牲者を増やそうとしている事実が、ルイズの堪忍袋の尾に直撃していた。 才人の知り合いのメイドとやらが手篭めにされている現場に、もしくは事の終わった後とかに踏み込んだとしたら、間違いなく後の事を考えず、モット伯を文字通りこの世から消してしまうだろう。 勿論、そんな事をやって一番困るのはルイズであるが、困ると分かっていても、その事態に陥ったとしたら、確実にプッツンいくだろうし、ルイズ自身、それを止める事は出来ない。 故に、そのような困った事態にならないように、シエスタとか言うメイドが犠牲になる前に着いてくれるよう、ルイズは、疲れてへばっている馬の尻を、自前の鞭で酷く叩くのであった。 理由違えど、焦る才人とルイズの間で、買われてから一度も抜かれていない剣は、尻を叩かれて暴れる馬の揺れに合わせて、寂しそうにその身を揺らしていた。 「次はこの料理をお願いします」 「は~い、今行きます」 「ワインの数が少し足りないみたいだから、誰か倉庫に行ってとってきてくれない?」 「あっ、私、行きます」 厨房に飛び交う少女達の声に雑じり、聞く者に安堵の感情を抱かせる少女の声が響く。 シエスタがこの屋敷に来て最初の仕事となる厨房の手伝いに来て、まず始めに驚いた事は、厨房で料理している人が全て女性・・・・・・しかも、皆、年若い、少女と言っても差し支えない者達だったことだ。 組んだ人の話では、ここの雑用は料理から力仕事まで全て女性が行っており、男性は護衛の為のメイジと衛兵だけらしい。 ほんと、良い趣味してるわよね、と憎々しげに呟く女性の雰囲気から、恐らく全てのメイドがモット伯の夜のお世話をしているのだろう。 なんとなく、メイド達の活気が無いのも無理はないなぁと、シエスタと一人頷いた。 ともあれ、食事と言うのは口から摂取し、尚且つ料理の味で薬の苦味なども誤魔化しやすい。 幸いにして、シエスタと組んだもう一人のメイドは、愚痴を溢しながら自分の仕事に集中しており、何をしようが気付かれる事は無い。 適当に相槌を打ちながら、シエスタは薬包紙の中身を少しずつ、モット伯の料理へと混ぜていく。 シエスタが、何故このような薬を、大量を持っているのか。 それは、彼女の曽祖父が残した手記によるものだ。 東の地から来たとシエスタが聞いている曽祖父は、博識であり、 彼が暇な時に戯れに残した手記には、様々な豆知識にも似た生活の知恵が記されていた。 他人から嫉まれず、馬鹿にされないように生活していたシエスタは、曽祖父の残した手記を読むのが何よりの楽しみとなっていた。 手記の中には、自分がこれまで知らなかった事や、当たり前のように思っていた事の真実など、幼いシエスタの好奇心を満たす様々な事柄が書いてあった。 手の大きさで対象との距離を測る方法。 卵を片手で一気に三つ割る方法。 そして・・・・・・一つの言葉。 何故、曽祖父がその言葉を手記に記していたのかは、今となっては分からない。 ただ、曽祖父の手記に一貫して書いてあるその言葉は、 シエスタにとって、金銀細工の装飾品より、彼女の心を掴んで放さなかった。 ―――私は、ただ植物のように平穏に生きたかっただけだ――― 平穏に生きる。 言葉にすると単純だが、実際問題実践するとなると、案外大変なものだ。 それも、平民のような貴族のさじ加減一つで、死ぬような者は特にだ。 シエスタは、薄々気付いていた。 手記に記されている、この言葉を実行するには、何者の干渉を吹き飛ばす『力』が必要になると。 故に、彼女は『力』を準備していた。 非力で魔法も使えない自分の『力』 子供の頃から野山に入り、茸や薬草に関しての知識を高めていったシエスタは、その『力』の在り処を薬に求めた。 それが、この薬の山だ。 だが、準備をしていたこの薬の山も、今までは、まったくと言っていい程、役には立たなかった。 それもこれも、彼女には『立ち向かう意思』と言うものが、根本から欠落していた為だ。 平民にとって、一種の洗脳とも言える貴族へと畏怖は、平穏に生きると言う目標を持っているはずのシエスタからも、貴族に対する反抗心を奪っていた。 例え、薬の効力が100%だろうと、貴族ならばどうにかしてしまうのでは無いか? そんな疑念がシエスタの心にはあった――――――この間までは。 そう、平賀才人と言う少年が、ギーシュと言う学生だが、れっきとした貴族を倒してしまった時から、シエスタの心から、疑念も畏怖も消え去らしてしまった。 簡単な話だ。 自分と同じ身分の者が、貴族を倒した。 その事実がシエスタに、欠落していた『立ち向かう意思』を作り上げ、貴族が畏怖の対象では無い事を教えてしまったのだ。 こうなると、もはや彼女に怖いものは無い。 自信が付いたと言えば聞こえが良いが、簡潔に言えば、シエスタは調子に乗っていた。 普通の人間ならば、調子に乗った所で、貴族に対してのどうしようもないパワーバランスに、やがては気付くだろうが、シエスタの場合は、その限りでは無い。 何故なら、彼女は用意していた『力』があり、性質が悪い事に、その『力』は半端な貴族には太刀打ちできない程に強力であったからだ。 「どうぞ、メインディッシュでございます」 ソテーされた牛肉に濃厚なソースが絡められている料理をモット伯の目の前に出したシエスタは、テーブルに腰掛けている他の貴族を見渡した。 どれもこれも、下駄な笑みを浮かべて自分の事を――――――より正確に言うなら自分の体を見ている。 明らかに好色が見受けられるその目に、シエスタは吐き気をするのを堪えて、さっさと厨房へと引き返す。 彼女の耳には、聞く事すらおぞましい会話が流れてくる。 「ほぅ、あれが今日入った娘ですか。 なるほど、気立てのよさそうな娘ですなぁ」 「発育も中々で、これは味見のし甲斐があるのでは?」 「はて、味見とは何の事かな、私には何の事かさっぱりなのだが」 「これは失礼、伯爵。失言でしたな」 ガハハ、と耳に残る笑いにシエスタは無表情で口元を押さえる。 ふと、押さえている手に目がつく。 (嫌だ・・・・・・もう爪がこんなに・・・・・・) こまめに切っているはずのシエスタの爪は、何故か今日に限って異様に長くなっている。 伸びすぎた爪は、まるで獲物探して回る猛禽類の鉤爪のように、鈍い光を燈していた。 ルイズと才人がモット伯の屋敷へと着いたのは、彼らが食事を終え、酒を片手に談笑をしている最中であった。 途中、『疲労』のDISCを抜けば良い事に気がついたルイズが、馬の頭からDISCを抜き、凄まじい勢いになったので、予定よりも遥かに早く着く事が出来た。 その所為で、乗ってきた馬が(疲労を忘れさせていただけで、無くした訳では無いので)潰してしまったが、彼女にとってそれは些細過ぎる問題であった。 門番に、ヴァリエールの名を出し急ぎモット伯へ取り次ぐように言うと、彼女達は応接間へと通され、そこで待つように告げられた。 待つ事、十数分・・・・・・・・・・・・奇抜な衣装に身を包むモット伯と衛兵二人がルイズと才人の前に現れた。 「これはこれは、夜分遅くに一体何の用ですかな?」 もったいぶったようにゆっくりとした喋り方で、訪問の理由を問い掛けるモット伯にルイズは、フンッ、と鼻を鳴らすと手早く目的を告げる。 「今日、引き取ったメイドが居るでしょう」 「んっ? ・・・・・・あぁ、あの娘ですか。 確かに、居りますが・・・・・・何か御用でも?」 「あんたの犠牲者をこれ以上増やすのは、女として、貴族として許せたものじゃない。 だから、そいつは私が引き取るわ」 ルイズの発言に、モット伯は驚きのあまり目を丸くしてルイズを見ていたが、やがて、くすくすと忍び笑いをし始めた。 眉を顰めるルイズに、いやいや失礼と言いながらモット伯は口を動かす。 「はて、犠牲者とは一体何の事でしょうか? 私には皆目検討もつきませんが」 とぼけるモット伯の様子に思わず、プッツンしそうになったルイズであるが、彼女よりも辛抱ならない人物が、今、この場に居た。 「とぼけるな!! シエスタは何処だ!? 何処に居る!?」 自分自身驚く程の剣幕で、才人はモット伯に詰め寄るが、近づく前に衛兵の槍がその行く手を遮る。 「威勢が良いのは褒め所だが・・・・・・見た所、君は平民のようだな。 下がりたまえ。貴族相手にその態度・・・・・・命が幾つあっても足りないぞ?」 「うるせー!! 貴族貴族、そんなに貴族が偉いのかよ!! シエスタを返せ!!」 貴族が偉いのかよ、の件でルイズの眉が動いたが、まぁ、使用人の教育は後ですれば良いと、とりあえずルイズはその発言をスルーしたが、モット伯は違った。 彼も一応はトリステイン貴族。傲慢と自尊心の塊である彼は、貴族全般に言える事だが、侮辱に対して敏感である。 「・・・・・・貴族に対して、私に対して、その態度、気にいらんな」 「そりゃ良かった。立場を利用して女を嬲る奴に気に入られたら、鳥肌が出ちまう」 ルイズは思った。 もしかして、この使用人。人を怒らす事に関しては、かなりの腕を持っているのでは無いのか、と。 事実、モット伯は、明らかに怒りを抑えている表情をしている。 公爵家の娘である自分が連れてきた平民で無ければ、今すぐに八つ裂きにしているだろう。 「サイト、少し落ち着きなさい」 「俺は十分、落ち着いて――――――」 「いいから! 少し黙ってなさい!!」 幾ら挑発をして貰っても構わないが、戦闘になるのはマズい。 自分の怪我は、まだ完全に治っていない。 それはつまり、ホワイトスネイクもまた普段通りの性能を出せないと言う事だ。 これが、どうしようもないドットやラインクラスの連中ならば歯牙にも掛けない事なのだが、相手は、あの娘と同じトライアングルのメイジ。 なるべく戦闘は避けなければならない。 「君の所の平民は、どうも躾がなっていないようだね」 憮然とした顔で告げるモット伯に、ルイズは、えぇと頷きながら、一歩前へと進んだ。 ホワイトスネイクは、今は消えている。 あの奇妙な格好は見る者の警戒心を煽り、今からルイズがすることの邪魔になると考えたからだ。 「躾が出来ていないと言うのは同意しますが・・・・・・」 言いながらルイズは、モット伯へと近づいていく。 10メイル 「立場を利用して女を嬲る・・・・・・の件は、私も同意するところですね」 ゆっくりと、しかし確実に歩を進めるルイズ。 8メイル 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・何?」 険悪な表情で、自分の耳に入った言葉を聞き返す、モット伯。 6メイル 「ですから、自分が貴族であることを利用して女性を言いなりにするなんて 誇り高いトリステインの貴族がすることではございませんね」 くすり、と蔑みの笑みを溢す。 4メイル 衛兵の槍がそこから進むのを拒む。 どうやら、ここまでが限界のようであったが、もう十分に近づいた。 「なんという謂れ無い侮辱だ!! 幾ら公爵家の娘であろうが、これ以上の横暴は命を縮める事となるぞ!!」 「命を縮める? 縮めてるのは・・・・・・あんたの方でしょう!!」 瞬間、ホワイトスネイクが槍衾を越え、モット伯の眼前へ出現し、その魔手を振り上げ一気に振り下ろす。 誰も彼も、あまりにも突然過ぎる闖入者に反応できず、結果、ホワイトスネイクの手はモット伯の顔面に喰らいついた。 「サイト!!」 才人は、ルイズの一声に呆気に取られていた顔を切り替え、背中の剣を振り抜く。 間合いには、すでに入っている。 「キタキタキター!! やっと抜いてくれたな、相棒!!」 「あぁ、抜いたからには役に立てよ!!」 振り抜いた勢いのままの袈裟懸けで、槍を打ちつける。 槍越しに伝わってくる衝撃に堪らず手を放して、武器が無くなった衛兵にデルフを突きつけ 「まだやるか?」 戦闘の継続を確認する才人に、彼らは両手を挙げ降参のポーズを取った。 元より、はした金で雇われた連中だ。自分の命を危機に晒して戦う忠誠など無いに等しい。 「よくやったわ、とりあえず、そのままそいつらを見張っておいて」 手早く衛兵を無力化した才人に褒め言葉を口にし、ルイズはモット伯の頭に手を突っ込んでいるホワイトスネイクの隣に立つ。 「どう?」 「反吐ガ出ルトハ、コノ男ノ為ニアル、ト君ハ言ウダロウナ」 何時も通りの感情の揺れがまったく感じられない声を発しながら、 ホワイトスネイクはモット伯の頭から一枚のDISCをルイズへと差し出した。 「視テミルカ? 中々ニ刺激的ダト思ウガ」 差し出されたDISCを頭部へ挿しこむと同時に、モット伯の『記憶』がルイズへと流れ込んでいく。 泣き叫ぶ少女。 笑う男の声。 血に塗れたシーツ。 虚ろな目から零れる涙。 助けを求め、動く口。 あまりのおぞましさに、ルイズは乱暴にDISCを抜き取った。 「何よ、これ・・・・・・何なのよ、これ!!」 どうしてこんなに惨い事が出来るのか。 例え、平民の娘だとしても、このような扱いをして良いはずが無い。 湧き上がる不快感と嫌悪感から、ルイズは『記憶』DISCを抜かれ呆然としているモット伯を思いっきり、蹴っ飛ばした。 『記憶』DISCを抜かれた者は軽度の者ならば、自分が何者であるかを見失う程度であるが、今のモット伯のように全ての『記憶』を抜かれた者は、まさに生まれたばかりの人間のようになり、自分がどのように寝て、どのように起きて、どのように食べて、どのように生活していたかを全て忘れる。 つまり、今の彼のように心神喪失状態になり、何も考えられないようになるのだ。 だが、生温い。 あれだけの事をしていたと言うのに、たかだか生きる屍と化しただけでは生温い。 ルイズの考えを察したのか、ホワイトスネイクは、もう一枚、『記憶』では無く才能のDISCを抜き取ると、全力でモット伯の股間を蹴り上げた。 プチリ、と男性が聞くと発狂しそうな音が周囲に響く。 才人も、衛兵も、咄嗟に自分の切ない部分を押さえて、痛みを堪えるように顔を顰める。 それだけの事をやったのは確かなのだろうが、それでも憐れだと感じてしまうのは、同じ男性としての性だろうか。 どさり、と倒れこむモット伯の頭にルイズは『記憶』DISCを戻す。 「アグウワァァァァァァァァァ!!!!」 意識が戻ったモット伯は獣のような雄叫びを上げ、両手で股間を押さえ込む。 「無能ならぬ不能なんて、貴方らしい末路ね」 小馬鹿にしたかのように、フンッ、と鼻を鳴らし、今度は衛兵へと向きを変える。 凍りつく衛兵だったが、次の瞬間に始まった、醜い命乞いならぬ、息子乞いにうんざりとした顔でルイズはホワイトスネイクに命じる。 軽く頷いたホワイトスネイクは、DISCを二枚取り出し、それぞれの衛兵の頭に挿しこむ。 それっきり、彼らの口が開く事は無かった。 それどころか、彼らは無言で叫び声を上げるモット伯を抱え、応接室を出て行ってしまったのである。 「何したんだよ」 暫く呆気に取られていた才人であったが、明らかに挙動がおかしくなった衛兵の事を問い詰めるとルイズは、ふふん、と自慢げに口元を吊り上げる 「・・・・・・男として機能しなくなったんだから、今度は女として教育してあげるように『命令』しただけよ」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・うげぇ」 めくるめく官能的な男色を思い浮かべてしまい、思わず喉から胃液が出そうになる。 ホワイトスネイクが命令したのなら、容赦など欠片も存在しないだろう。 となると、良くて朝まで、下手をすると丸一日、掘られる事態に陥るに決まっている。 「自分が行った行為が、どれだけ苦痛な事か・・・・・・身を持って知りなさい」 ルイズにしてみたら殺されるより酷い仕打ちをしているつもりなのだが、実問題、不能にされた挙句にカマを掘られるのが、死ぬ事より辛いかは才人には分からなかった。 付け加えるなら、分かりたくも無い。 「さてと、さっさとメイドを連れて帰るわよ」 「良いのかよ、勝手に連れていって」 「良いのよ。向こうが難癖付けてくる頃には、私の怪我も治ってるから」 怪我が治ったのなら、別に騒動でも何でもござれだ。 まぁ、魔法の才能を奪われたと言うのに、その事を表立たせるような動きを、あの能無しが見せるはずも無いと思うが。 「ともかく、私が良いと言ったら良いのよ。ほら、分かったら、早くメイドの所に行って帰れるって事を知らせてあげなさい。きっと泣いて喜ぶわよ」 急かすルイズの言葉に、才人は今頃不安な気持ちで一杯であろうシエスタの事を思い出し、応接室から飛び出していく。 その後姿にルイズは、 「・・・・・・ご主人様に感謝の言葉ぐらい吐いてから行きなさいよ」 誰一人、自分とホワイトスネイク以外居なくなった応接室で、不満げにそう呟いた。 唐突に屋敷に響き渡った悲鳴に、爪きりをしていたシエスタは、薬が効く時間にしては少し早い事に首を傾げた。 (おかしいですね・・・・・・もう少し後に効能が出るはずなんですけど) おまけに、こんな叫び声をあげるなんて、予定には無い。 混ぜる分量でも間違えたか? いや、それは無い。 分量も確認したし、混ぜた料理を全て平らげたのも確認している。 どこにも、不手際など無く、完璧のはずだ。 しかし、そうなると、この叫び声は一体? 疑問と不安が織り交ざったような、言い知らぬ焦燥感に顔色が変わっていく。 「違う・・・・・・分量も完璧・・・・・・確認もした・・・・・・私は失敗なんてしていない。 だから、この悲鳴は私とは無関係・・・・・・」 呟きながら、シエスタは爪を噛んでいた。 ガリガリと、強く血が出る程に。 「・・・・・・タ・・・・・・ど・・・・・・・・・・・・シ・・・・・・」 ふと、耳に届く声に、シエスタは爪を噛むのを止めた。 聞き覚えのある声が、どたどたと足音を伴わせて、この部屋に近づいている。 シエスタは、その声の主が誰なのかに気がつくと、半ば呆然として立ち尽くしてしまった。 それは、ここに居るはずの無い、愛しい人の声。 忘れたくとも忘れられない、蠱惑的な手を持っている、自分に『立ち向かう意思』を教えてくれた人。 「シエスタ!」 「サイトさん!」 扉を凄まじい勢いで開き、聞き慣れた声と見慣れた姿で現れた少年に、シエスタは思わず抱きついてしまった。 先程の焦燥が嘘のように無くなっていくのが、シエスタにはまざまざと感じられた。 顔を見るだけで、声を聞くだけで、心の平穏が保たれる。 そんな心の拠り所が、目の前の少年である事を、シエスタは再認識することとなった。 「遅い」 屋敷の外に出た才人とシエスタに、ルイズが投げ掛けた言葉は、時間に対する文句であった。 「無茶言うな。シエスタの事を探すのにも時間が掛かったり、見つけてからも、二人で必要な荷物を見繕ったりとか、大変だったんだぞ」 「ふ~ん」 才人の反論に不承不承ながら、ルイズは納得した。 シエスタが、今持っている荷物は、手提げのバスケットと旅行カバンが一つ。 あれだけの時間で、それだけ荷物を纏めてきたのなら、むしろ褒めるべきが正しい形である。 「ところで・・・・・・どうやって帰るんだよ。 乗ってきた馬は、へばってもう走れないんだろ?」 「それなら大丈夫よ・・・・・・ここにも馬は居るから、それを借り――――――る必要は無さそうね」 何処と無く、緊張したような声色で告げるルイズの横で、ホワイトスネイクが何時も無表情であるはずの顔に憤怒を張り付かせ、空を見上げていた。 それに釣られて、才人とシエスタも空を見上げる。 二つの月が輝く空には、全長が6メイルもある竜がゆっくりと羽ばたきながら、ルイズ達へと下降していた。 地面へと降り立つ最中、竜の背中から少女の顔が覗く。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 沈黙のまま見つめあう二人に、薄ら寒いものを感じた才人は、一歩どころか、五歩程度ルイズから遠退く。 「何の用?」 竜が完全に地面へと降り立つと同時に、地面へと降りた少女へ、油断無く問うルイズに、 少女は、自分の背より大きな杖を地面へと落とす。 「話がある」 杖を落とすと言う事は、メイジにとって戦う手段を放棄すると言う事だ。 動物で言うならば、腹を見せ、降伏を誓う動作に等しい行為に、ルイズは少女の、話があると言う言葉の重さを悟る。 「話なら後で聞くから、今は学院に送ってくれる?」 地面に落ちた杖を拾い、訊ねるルイズに、少女は頷き自らの使い魔へと言葉を掛ける。 主の言葉に従い、その身を伏せた竜の背に乗るルイズに続き、才人とシエスタは少女へと軽くお辞儀をしながら、竜の背中へと乗り込む。 最後に少女が竜の首の部分に乗り、手でトントンと頭を軽く叩くと、竜はキュイキュイと鳴きながら、大空へと羽ばたくのだった。 初めて竜に乗ったシエスタは、馬では味わえない感触に興奮しながら、モット伯の屋敷の方を見る。 「サイトさんが来るのなら、お薬使うんじゃなかったなぁ」 あれも、結構高かったのに、と惜しむように呟く言葉は、風の音に紛れ、虚空へと消え去るのだった。 ベッドの上に寝かされているモット伯は、屈辱と怒りでごちゃまぜになりながら、下半身から絶えず発せられる痛みに悶えていた。 自分の事を運んできた衛兵達は、今は部屋の外で声を張り上げている。 聞こえてくる内容は、不手際から怪我をしたモット伯、即ち自分が、自らの魔法で治療している為、誰も彼もこの部屋に入っていけないと言うものだった。 最初、何を言っているのか分からなかったが、次第に状況が読めてくると、いますぐに違うと叫びたかったが、先程まで叫び声をあげていた喉は枯れ果てており、もはや単音すら満足に発音できない。 部屋の外に出ようとしても、今の自分は動くだけで激痛を伴い、立ち上がる事さえ儘ならない やがて、部屋の外に集まっていた気配が、次々と消失していく。 恐らく、衛兵の説明に納得して部屋の前に集まっていた人々が散っていったのだろう。 完全に人の気配が消え失せると、二人組みの衛兵が、部屋の扉を開け、モット伯が寝ているベッドの近くまでやってきた。 二人は、まるで死人のように虚ろな表情で、自らの服を脱いでいく。 (なんだ! こいつら、一体何をするつもりなんだ!?) 脳で理解はしているが、本能はそれを認める事を拒絶するモット伯であったが、二人がベッドの上に這い上がってくると、流石に認めるしかなかった。 (私の・・・・・・私のそばに近寄るなああ――――――ッ!!!!) あまりのおぞましさに喉が張り裂けんばかりばかりに叫ぶが、やはり、声は出ない。 最後の最後まで、手で掴まれ、服を無理矢理剥ぎ取られても、モット伯は叫ぶ努力をしたが、結局、それは実る事が無かった。 結局、彼は30分間、シエスタ特製のお薬によって心臓が停止するまで、自分がしてきた行為を味わう事となったのであった。 第七話 戻る 第九話
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5902.html
前ページゼロと波動 ゼロと波動 BONUS STAGE① 「あのときは助けてくれてありがとね」 シエスタの注いでくれたワインでほろ酔いになったルイズは、普段なら言えないことが言えるようになっていた。 ”土くれのフーケ”に襲われたとき、飛んできた大木からルイズを助けてくれたのは、今隣でワインを注いでくれているシエスタだった。 彼女はリュウに勝るとも劣らない、信じがたいほどの腕力を発揮してルイズに直撃するはずだった10メイルにも及ぶ大木を受け止めてくれたのだ。 それ以来シエスタはルイズが心を許す数少ない人物のうちの一人になっていた。 「いえ、とんでもないです。わたし、ちょっと人より力が強いみたいで・・・ 力の強い女の子なんていやだなと思ってたんですけど、ミス・ヴァリエールのお役に立てたし、 そのおかげでミス・ヴァリエールには仲良くしてもらえるようになりましたし、今では良かったと思ってます」 はにかんだ笑みを見せるシエスタ。 ――いやいやいや、アンタの怪力はちょっとどころの騒ぎじゃないから―― 思わず口にしそうになるが、かろうじて自重する。 命の恩人であるシエスタを傷つけない程度の常識はルイズにもあった。 「それにしても、なんであんな場所にいたの?」 使用人であるシエスタは朝が早い。にもかかわらずあんな真夜中に外にいたことが不思議だった。 「あれ?ミス・ヴァリエールは気づいてらっしゃらなかったんですね」 シエスタが恥ずかしそうに続ける。 「わたし、毎晩建物の陰からリュウさんの『カタ』を見様見真似で練習してたんですよ。 そしたら突然大きな音がして、皆さんが走っていっちゃうんで、こっそり後をつけてたんです。 そしたらミス・ヴァリエール目掛けて木が飛んできてたんで、無我夢中で止めたんです」 「そうだったんだ・・・っていうか、なんで隠れて練習なんてしてたの?わたしたちと一緒に練習すればいいじゃない」 ルイズが疑問に思う。 「だって、女の子が”ブドー”だなんて恥ずかしいじゃないですか」 シエスタがもじもじしながら言う。 ルイズはさらに不思議に思った。 「ねえシエスタ、あんた、なんか”ブドー”について詳しそうね?なんでリュウのいた国にしかない”ブドー”に詳しいの?」 もしや自分の知らないところでリュウとなにかあったんじゃないのかこのおっぱいメイドめ!とシエスタにジト目を向ける。 「わたし、始めてリュウさんが”ブドー”してるのを見たとき、驚いたんです。だって、わたしのおじいちゃんも”ブドー”してたんですもの」 死んだ祖父を思い出したのだろう、寂しそうな笑顔を見せるシエスタは話始めた。 ある日、突如としてタルブの村に現れ、そのまま居座った筋骨隆々な壮年の男。 はじめ、怪しげなこの男を家に泊めてやる親切な村人は一人もいなかった。 男は気にすることもなく村のすぐ傍に野宿すると、毎日毎日『カタ』と『メイソウ』を続けた。 村人も始めの頃は気味悪がっていたが、やがて変わり者ではあるが害はないと判断すると徐々に男に警戒心を抱かなくなった。 いつ頃からか、村人は男に食べ物を分けてやるようになった。 食べ物を分けてやると男は深く感謝し、率先して村の仕事を手伝ってくれた。 男は村人のどんな頼みでも聞いた。 子守から畑仕事、なんでもやった。 男は10人がかりでもびくともしないような岩をあっさりと運んだし、野盗の一団が現れたときも簡単に追い払った。 いつしか、村人が協力して村の中に一軒の家を建てた。 男のために建てた家だった。 男は深く頭を下げ、村の中で生活するようになった。 男は村の中で生活するようになっても、毎日暇さえ見つけては『カタ』と『メイソウ』を続けていた。 あるとき、村人の一人がいつもやってるそれは何だと尋ねた。 男は”ブドー”だと答えた。 また別の村人は男が強いのは何故かと訊いた。 男は自分が強いかどうかは知らないが、もしそうだとしたら”ブドー”のおかげだと答えた。 だが村人は同じ動作をただひたすら繰り返す『カタ』という踊りと、ただ座って目を瞑るだけの『メイソウ』で本当に強くなれるのか信じられなかった。 あるとき、村を十数匹にも及ぶオーク鬼の集団が襲った。 こんな小さな村など、1匹のオーク鬼にでも潰されてしまいかねない。 村人は村が全滅することを覚悟しながらも、女子供を家の中に押し込み、若い衆は皆、手に鍬や鍬を持って迎え撃とうと玉砕する覚悟をした。 そんな村人たちとオーク鬼の間に、男が立ちはだかった。 男が静かに睨み付けると、オーク鬼の集団は恐慌状態に陥った。 やがて、男に向かって突撃してくる十数匹のオーク鬼。 男はそれを素手で迎え撃った。 闘う男の姿はまるで舞いを舞っているようだった。 それはいつも繰り返していた『カタ』という踊りと寸分違わない華麗な、しかしあまりにも荒々しい舞。 瞬く間にオーク鬼が倒れていく。 ほんの僅かな時間で全てのオーク鬼たちが倒れ伏した・・・ 「その後、村の若い男の人たちは皆こぞっておじいちゃんに『ブドー』を教わるようになったんだそうです。 で、村の若い女の人と結婚して、わたしのお母さんが生まれたんですよ」 とはいっても、おじいちゃんとリュウさんの強さは別格ですけどね。 そう付け加えると、シエスタは祖父を思い出したのだろう、一筋流れた涙を拭うと満面の笑みで誇らしげに言った。 「それ以来、タルブと言えば”ブドー”なんです」 前ページゼロと波動
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1034.html
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 当麻はその日の夜、早速購入した水兵服をシエスタのサイズに合わせようと思ったので、彼女の部屋に訪れた。 メイド長から居場所を教えてもらい、ドアに二回ノックをする。 すると、「どうぞ~」という言葉が聞こえたので、当麻はとくに何も考えず扉を開いた。 そこには、金髪の子とオレンジ色の髪の子が、のんびりと寝転がっている。女の子として、いろいろまずいんじゃないかと思ってしまうような態勢で。 当麻は、早くここから出ろと体が訴えているのを感じた。一瞬の内に上手く回避できる言葉を吐き出す。 「あー、部屋間違いちゃいました。すみません、では……」 百八十度躊躇いもなく振り返り、全力で逃げようとしたが、 「待ちな、ここはシエスタの部屋だぞ?」 どうやら間違いではないようである。さらには、金髪の子ががっしりと腰に手を回し、オレンジ色の子が足を掴んでいる。 「……あのー、わたくしはここにいなければならないのでしょうか?」 当麻の問いに、「うん」と満面の笑みで二人は迎えてくれた。 夜はまだ始まったばかり…… 「それで! シエスタとはどういう関係になったのよ!?」 演技なのか、ドン! とちゃぶ台を叩いた。なぜだろう、当麻は全てを話さなければならないと錯覚を覚える。 二人は、シエスタから当麻について何回も聞いたのだが、その度にお茶を濁してこられたのだ。ここで本人がきたのに、なにもしないわけがない。今のうちに全て洗いざらいするつもりであった。 いやー、と本題に入ろうとしない当麻に、オレンジ色の子がボソッと呟く。 「早く言わないと生きて帰れなくなるぞこのチキン野郎」 待って、なんでそんな顔からは想像できない言葉をすらりと言っちゃうんですかー!? 当麻はただならぬ恐怖、悪寒を感じて、再び平和な廊下へと逃げ込もうとするが、 「だから逃がさないって言ったでしょ?」 瞬間移動ともいえるスピードで周りこまれた。 はやっ!? と呑気に感想を述べてる時間はない。背後からはなにやら尋常ではない殺気のオーラが漂っている。 おかしい。いつからここは国に捕まったスパイな気分を味わうアトラクションに変わったのだろうか? 早く言った方があなたのためよ そう脅されている気がした。 「すみません、あなた達は一体全体何者なんですか!?」 「ただのメイド」 ハモる二人に、嘘だろ! ってとりあえず突っ込んだ。 「断ったぁぁああああ!!?」 金髪の子が、鼓膜によろしくない甲高い高音で叫んだ為、当麻は素早く耳を塞いだ。 結局この二人に逆らえないと踏んだので、何も隠さず全て話した。 もっとも、自分が異世界の人間である事は伏せたが…… 「おのれ貴様ッ! 貴様は貧乳好きだったのか!? それとも安定した収入か!? それともロリコンかぁぁああああ!?」 「ふむ、顔からして巨乳好きだとは思ったがどうやらそれは間違いだったようね」 「なんであんたらがそんな言葉を知ってるんですか! というか待て、物凄い誤解する発言はやめい!」 当麻は、二人のおでこにR指定のスタンプを押すつもりで右拳を振るう。 しかし、幻想殺しという名を持つ少年でも、彼女らの抱く幻想は殺せない。金髪の子が正拳で迎撃し、オレンジの子が蹴りを鳩尾に追撃としてめり込んだ。 グフッ! と肺から吐き出し、体がくの字に折れ曲がる。ゴロンゴロンと転がっていく少年を見下ろして、ふん! と満足げな表情を浮かべる。 「甘いわね! わたし達に勝とうなんて百年早いのよ!」 「てかこれだけじゃ終わらない」 ずいっ、と一歩踏み込んでくるのが、まるで死へ向かう階段の一段のように感じる。 ひょっとして俺ピンチー!? と、当麻は内心悲鳴をあげるが……。 そこへ、ようやくお目当てのメイド、シエスタが部屋の中に入ってきた。 「今日も疲れたぁ……って。なんでトウマさんが倒れて二人が勝ち誇っている姿がいるんですかー!?」 いきなりの急展開にうろたえるシエスタ。金髪の子が髪をかき上げると、まるで大物を吊り上げたかのような口調で言った。 「おうシエスタ、あんたの純粋なる思いを踏みにじった者に罰を与えたのさ!」 ピキィ、とシエスタのこめかみから不吉な音が聞こえた。 なぜ彼女が二人に言わなかったのかというと、きっと二人は勘違いして当麻を襲うと思ったからだ。 だから今の今まで黙ってきたのに……。 しかし、現実に起きてしまった。おそらく二人は、当麻を連れ込んで全て吐かせた結果、このような状況へとしたに違いない。 そんな風に、他人の言えない事を無理矢理聞き出して、尚且つ暴力を振るう事が、シエスタは許せなかった。 「へえ……どんな罰を与えたのですかぁ?」 「え……? いやさ、あんたの告白断ってあの貴族を選んでしょ……? って待って、なんでそんなに怒っているの!?」 顔をやや伏せて、髪で目線を隠す。ユラリと、まるで何かが乗り移ったかのように緩急を入れて、シエスタは二人に近づいた。 やっぱりね、と小さく呟いたのが幽霊のような感じで怖い。 トドメとして、背後に何やらオーラが浮かび上がっている。 「いえー、別に怒っていませんよ?」 二人との距離がなくなった時、少女は顔をあげる。シエスタよ、目が笑っていないぞ。 「いやいや、あいつはあんたを捨てたんでしょ!? だったら――――」 「別に捨てられた覚えはないです! 話がややこしくなるから出てってください!!」 隣の部屋まで聞こえそうな怒号を、シエスタは珍しく叫んだ。 シエスタの剣幕に負けた二人は、はい、としょぼくれながら去って行った。 シエスタは素早く鍵をかけて、これ以上侵入させないようにする。そしてようやく、当麻に駆け寄った。 「だ、大丈夫ですか……?」 「吹寄さんのおでこクラッシュと同威力だぞありゃあ」 腹を押さえながらも、なんとか起き上がる。喧嘩慣れしている当麻にここまでのダメージを与えるのは凄いの一言に尽きた。 「す、すみません。わたしの同室の人が」 「あー気にすんな。なんというかこの類は慣れちゃってるから」 苦笑いを浮かべる当麻に、シエスタはもう一度ぺこりと頭を下げた。 「えと……お帰りになりますか?」 そうするか、と立ち上がったその時、当麻ははっとなる。まずい、まずい。危うく忘れるところだった。 「ああそうそう。頼みがあるんだ」 「頼み、ですか?」 ?マークを頭に浮かべるかのように、小首を傾げるシエスタに向かって、当麻は両手を胸の前へ合わして頭を下げる。 「一生のお願いだから測らせてシエスタ!!」 時が、止まった。 「…………………………………………………………はい?」 「いや、だから測らして欲しいんだけど……無理と言われても困るんだ。頼む!」 え……と、とシエスタは困る。 測らして欲しいという事はあれなのだろうか? いや、きっとそうだろう。そこまで頼み込むのだから。 頬が赤く染まる。測る理由はわからないが、やはりそれはちょっと恥ずかしい。 「えと……どうしてもですか?」 「ああ、シエスタの大きさがちょい気になるからどうしても測りたいのよ!」 「全くシエスタは何を考えているんだか……」 「きっとシエスタは再び当麻君をゲットしようとしているのだ」 「なるほどねえ~やはりあのお風呂の一件から積極的になってくれたからね」 二人は、シエスタが当麻と二人っきりにさせる為、ぶらぶらと廊下を歩いていた。 彼女の発言から、きっとまだ当麻は誰も選べんでいなく、これからゆっくり選ぶようである。 それならば、二人のやった事はお門違いだ。後で謝らないとなーと二人は思う。 「シエスタとトウマが何をしたんだって?」 「ん~? だから一緒にお風呂に入ったのさ、我ながらよくあそこまで育てたと思うよ」 「そう……あのメイドとトウマはお風呂に入ったのね……」 「ってあんた誰?」 二人は振り返る。 そこには、絶対に知られてはならない人間がいた。いや、人間の仮面を被った鬼がいた。 夜は、まだまだ続く。 「え……と……」 それはー、やっぱりわたしの……胸? と口ではやはり言えない。 できる事なら断りたい。断りたいのだが、当麻が頼み込んでいるのだ。 やはりここは一肌脱ぐべきなのだろう。 というか別に測るだけなのだ。別に問題はない。やましい気持ちなど当麻にはないはずなのだ。そう言い聞かせて、自分を落ち着かせる。 「あ……はい、大丈夫ですよー」 「マジか!? んじゃあちゃちゃっと終わらせるから」 当麻はどこから出したのか、メジャーをいつの間にか手に持っていた。事細かに刻まれたテープを引っ張りながら、シエスタに近づく。 それに反応するかのように、ぴくっとシエスタの体が震える。 心臓の鼓動が激しくなる。 心なしか、体が熱くなっている。 (このままじゃはしたない子に思われちゃう……かも?) 未知なる体験に怯えながらも、目をつむる。なぜだろう、目の前の少年が急にキャラが変わったような感触を覚えた。 しかし、 「えーっと、五フィートと四インチか……。オーケー、ありがとなシエスタ!」 目的を終えた少年は颯爽と扉の鍵を開けて、部屋から出て行った。 シエスタは一人、部屋に取り残される。 「……………………………………………………………………あれ?」 もしかして大きさって身長のこと? 己が考えていた展開にならず、落ち着いてきた頭がゆっくりと状況を理解する。 ってことは、もしかしてわたしの勘違い? かぁーと、己の恥ずかしさを表すかのように赤くなっていく。別にちょっと考えればわかるのに、なぜ自分は胸の事だと思ってしまったのだろう。 (うぅ……バカバカバカバカバカバカ、わたしのバカー!) ポカポカと、自分の頭を殴りつける。羞恥心と後悔で一杯になったシエスタの思考は、しばらくの間正常には働かないようだった。 「さてと、スカートはルイズから拝借して……んでもって水兵服の丈を合わせて完成だなっ!」 当麻は、これからの予定を立てながら部屋へと戻った。 夜遅くなのだろうか、他の人とすれ違うような事はなかった。寮、といっても当麻の知る寮とはちょっと違う。基本的に、自分の部屋に閉じこもっている人が多いのか、他の貴族と会うような事はそうそうない。 あるとしても、仕事をしているメイドさん、ギーシュにキュルケと言ったごく僅かな人達だ。 それとも、夜更かしせずに早く寝る人達で一杯なのだろうか? といっても、気にした所で答えがわかるわけでもないし、わかったとしてもタメになるわけでもない。 直ぐさま頭の中で、どうでもいい事ですよシールを貼りつける。 (うう……ねむ……) 朝早くから起きた故の眠気と、戦勝祝いで賑わっていた人込みをかきわけた疲労から襲いかかる欠伸を噛み殺す。 今日は早く寝て明日作業に取りかかるかーと、眠気に耐える気力もない少年は部屋の扉を開くと……。 鬼がいた。 わかりやすく言うならば、言葉では到底あらわす事ができない程怒っているルイズが、腕を組み、仁王立ちしていたのである。 「ひめ、わたくしは何か悪いことをしたのでしょーか?」 殺される。このルイズは、なにか後一つの衝撃を与えたら確実に飛びかかってくる。 当麻の主であるルイズは、怒ると傷害事件として書類送検されてもおかしくない程の暴力を振るう。 自分が前にいた世界で味わった頭噛み付きよりかは、後遺症が残る心配はないのだが、 その分を上乗せするかのように痛みも増す。 しかし、今回は違う。 なんというか、今までとは比べられない程怒っている。そう、アンリエッタ王女と出会う日の前にあった時よりも数倍……。 ともかく、今の状況は非常にまずい。下手したら死ぬ。死ななくても半殺しには間違いなくされてしまう。 だから、ここは穏便に解決せねばならない。 できる限り丁寧に、丁寧に当麻はルイズに尋ねたのだ。 「とりあえずそのメジャーを持って何しに言ったのかを説明してくれる?」 空気が震えた。一言一句が刃と化して、当麻に襲いかかるような勢い。 これならば、問答無用で迫ってきた方がまだ怖くない。いや、だからってボコボコにされたくはない。 全身から嫌な汗が吹きでる。背中は既にびっしょりであった。 今のルイズには、嘘を言ってもすぐにばれてしまうような印象がある。残された当麻の手は、ちゃんと何をしたか話すという事だ。 「いや、えっと……シエスタの大きさを測るのに使ったんだが?」 ブチッ、と音がしたわけでもないのに、なぜか耳に入った。それはまるで、血管がちぎれたような音であった。 ルイズは、出来る限り平常心で貫き通すつもりであった。自分のためにプレゼントを買ってくれたし、自分のことを守ってくれたし、それは感謝している。 だからこそ、シエスタと一緒にお風呂を入ったと聞いても、ギリギリ耐える事ができた。もっとも、ストレス発散のために情報提供者である二人をボコボコにしてやったが。 そして、二人が部屋でなにかやっているのを聞いた時も、本当にギリギリの中のギリギリで耐える事ができた。 本来ならば虚無の魔法を使って当麻を本気で殺そうとしたが、踏み止まった。 使い魔を信頼することもまた、主の仕事の一つである。案の定当麻はすぐに戻ってきた。 そこまでは許せた。まあ土下座して何度も謝れば半殺しぐらいで済ませようとも思った。 しかし、当麻はシエスタに何をしたのか? 『いや、えっと……シエスタの大きさを測るのに使ったんだが?』 その瞬間、へーじょーしんなどどこかへ吹き飛んだ。同時に、こめかみにくっきりと浮かび上がった血管がキレそうになった。いや、もうキレている。 これはダメだ。いや、これだけだったらもしかしたら許せたかもしれない。でも、ダメだ。 この使い魔には一度死んでもらう必要がある。きっと自分の中に取り巻くもやもや感はこれで解消されるに違いない。 ルイズの中で、当麻が殺害候補に見事採用された瞬間であった。 ルイズは杖を振るい、扉にロックをかけた。ガチャリという音がして、慌てて当麻は扉に駆け寄りドアノブを回したが、開く様子はない。 (やばいやばい!) なぜかわからないが、ルイズの逆鱗に触れてしまったようだ。 恐怖が、体を支配していく。焦りが思考を妨げる。 「知ってる? 『虚無』が使えるようになってコモン・マジックは成功するようになったのよ。これも神がわたしのためにと思って授けてくれたのね」 ルイズの口調、音量は至って普通であった。普通であるからこそ、余計に怖い。 絶対怒っているのに平然とした態度をとる、というギャップによるせいだ。 「待って、待って下さい! ここまで怒っちゃう程のことをした覚えがないんですけど!?」 瞬間、ルイズの肩から立ち上るドス黒いオーラが膨れ上がった。 火に油を注ぐとはこういう事を言うのだが、当麻にはもちろん自覚などない。 「覚えがなくても大丈夫、どのみち全てを忘れることになるのだから」 会話のキャッチボールが成立しない。当麻が優しく投げても、ルイズがそれを投げ返さなければ意味がないのだ。 交渉する余地がないと判断した当麻は、再びノブを回すが、うんともすんともしない。 「無駄よ。ロックがかかっているもの。力任せで開くわけがないわ」 絶体絶命とはこの事を言うのだろう。 (まずい、まずい! このままじゃデッドエンド直行ルート……じゃなくてデッドエンド迎えてるから! なにかなにか回避する術はないの!) いっその事、ダメ元でこの魔王と戦うべきだろうか。いや無理だ。間違いなく数秒で負けてしまう。 あらゆる魔術も超能力も打ち消す事ができる右手の幻想殺しも、魔王少女ルイズに対しては何の役にも立たない。 (ん……? 幻想殺し……?) 絶望の果てに希望を見出だした瞬間であった。 「な、なあルイズ……」 「なに? 遺言なら言っても構わないわよ?」 当麻は告げる。ただし遺言ではないが。 「俺、まだ死にたくないから今回は勘弁ッ!」 そう言って、再びノブを回した。 今度は、右手で。 パキン、と何かが割れたような音がすると、ドアは普通に開いた。当麻は廊下に出ると、後ろを振り返ることなく全力で逃げ出した。 そう、幻想殺しを持つ当麻は、極力ここの物に触らぬようにと左手を使ってきたのだ。彼の右手にかかれば、このような包囲網など簡単に突破できる。 しばし呆気にとられていたルイズは、口元に笑みを浮かべた。 「うふ、うふふ。うふうふうふうふふふふふふふ!」 それ危険すぎる笑みだった。ルイズの怒りのゲージは頂点を越して、新しい境地に入ったようである。 なるほど、どうやら使い魔は主に喧嘩を売ったようだ。 「まあいいわ、あんたが逃げても……あの子はどうかしら?」 魔王は標的を変える。少年(主人公)の事を好きである少女(ヒロイン)に。 眠れない夜はまだまだ続く。 前ページ次ページとある魔術の使い魔と主
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5046.html
前ページ次ページ創世の使い魔 創世の使い魔 第2章 ―召喚― 「やった……」 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは歓喜のあまり声を上げた。 トリステイン魔法学校の恒例行事、晴れて二年生になった者達が行う『使い魔召喚の儀』。 サモン・サーヴァントに失敗すること数えて十七回、その度に爆発を振りまいた所為で 体が少し埃まみれになっている事すら今の彼女には眼中にない。 「とうとうやったわ!」 万感を込めた叫びと共に、淑女あるまじきガッツポーズ。 普段のルイズならば思ってもしないであろうそのしぐさも、今の彼女には自重という言葉すら浮かばない。 誰かが叫んだ「ぜ、ゼロのルイズが成功させやがった!」と言う言葉も、右から左に聞き流していた。 それほどまでに彼女は――いわゆる、最高にハイという奴だった。 太陽光を燦然と反射させながら、後頭部近くまでつるりと禿げ上がった男がルイズにやさしく声をかけた。 「おめでとう、ミス・ヴァリエール」 「あ、有り難う御座います! ミスタ・コルベール!」 コルベールと呼ばれた、教師然としている男は鷹揚そうにうなずく。 彼にとっても、ルイズが成功した事は我が事のようにうれしかった。 魔法が使えず『ゼロのルイズ』などという蔑称で彼女が呼ばれているのを彼は知っていた。そして、その汚名を払拭するために 死に物狂いで勉強していることも彼は知っていた。 その彼女がようやく魔法を成功させたのだ、うれしくないわけがない。 「さ、儀式の続きを。 「はい!」 ルイズは『それ』のそばまで近づき、そっとやさしく抱きかかえる。 真っ白の――いや、土埃で少々茶色く斑がかった『それ』はまさしく『鳥』だった。 「――我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」 歌うように呪文が紡がれる。 間違えるはずも無い、何度も練習したのだから。 「五つの力を司る ペンタゴン――」 優しく持ち上げ、その美しいくちばし(ルイズ主観)に――― 「この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 ――そっと唇をつけた。 そして両手に抱えた鳥がふるふると震えているのに気づくと、ルイズはほんの少しだけ力を込めて抱きしめた。 使い魔のルーンが刻まれるときには激痛を伴う。それはどんな使い魔であろうと例外は無い。 「ごめんね。大丈夫、すぐ収まるから」 このとき正常な判断力がルイズに少しでもあれば、泣き声ひとつあげないことをいぶかしく思ったことだろう。 だが、今の彼女にそんな余裕は無い。 ただひたすら、「大丈夫、大丈夫」と優しくその背中をなでるだけだった。 震えが止まり、ルーンが刻まれたであろう事を見計らって、コルベールは正式に使い魔になったであろう鳥の体をさっと見渡す。 「サモン・サーヴァントは何回も失敗したが、コントラクト・サーヴァントはきちんとできたようだね」 左足に小さなルーンが刻まれているのを確認したコルベールは満足げな笑顔をうかべる。 「それにしても……ふむ、珍しい形のルーンだな」 珍しい? どこにでもいそうな何の変哲も無い鳥なのに。 ルイズが疑問符を浮かべる中、コルベールはさらさらとそのルーンを紙に書き取っていく。 何か分かったらおしえますよ、とルイズに一言告げてコルベールは他の生徒のほうを向いた。 「さて、それでは皆さん。学園に戻りましょう」 その言葉を聞いて見物気分で群がっていた生徒たちが三々五々、≪フライ≫の魔法で飛び上がっていく。 次いでクラスメート達から発せられたルイズを揶揄する言葉を聞いてルイズは思わず歯噛みをした。 売り言葉に買い言葉。ルイズはいつものように罵声を上げようとしてふと口をつぐんだ。 ……いや、ちょっと待てよ。 「ゼロのルイズ、お前には地べたがお似合いだ!」 どう見ても豚にしか見えない物体が何かのたまった気がした。 気のせいに違いない。豚がしゃべるなんてありえない。例え空を飛んでも豚は豚だ。 ちゃっちゃと頭の外に押し出すと、ルイズは思考の海へと埋没する。 サモン・サーヴァントは一応だが成功した。 コントラクト・サーヴァントに至っては一発で成功した。 だから……もしかして……ひょっとしたら――――。 その考えが完結するよりも先に、ルイズは杖を振った。 「イル・フル・デラ・ソル・ウェンデ!」 ――ズズンッ 森の向こう、遥か彼方で爆発の華が咲いた。 遠くかすかに見えたのは地面に向かって急降下していく真っ黒い塊と、「マリコルヌぅぅぅぅぅぅっ!」という誰かの叫び声。 「あっ」 ルイズの頬に汗が一筋つるりと落ちる。 「………あ~、まぁそのうちなんとかなるわよ!」 興奮冷めやらぬルイズは、普段の彼女からみれば考えられないほどプラス思考だった。 無論、そのプラス思考の中には『マズイものを見なかったことにする』も含まれていたりする。 喜びは人を楽天的にさせるのだ。 地面と再開を果たしたソレに他の生徒が集まっているところから眼をそらすように、両手に収まっている鳥を見やる。 ショージキなところ、ドラゴンやグリフォンを召喚して周りの連中を見返してやりたいという気持ちも無くは無かったが、それはそれ。 この際、平民あたりが召喚されなかっただけ破格と言うものだ。 ――無論、彼女自身は知る由も無い事だが、彼女が望んでいたような使い魔を召喚しても、良い結果がもたらされるかと言えばそうでもない。 もしそんなモノが呼び出されてしまえば家柄ゆえのプライドの高さから彼女は増長し、魔法が使えない事も相まって周りの反感をよりいっそう買うことは日の目を見るよりも明らかだ。 それこそ貴族ではない平民が使い魔になれば、彼女が生来持つ性質……癇癪が大爆発する事は誰もが予想しえることだろう。 可も無く不可も無く、ごく普通の使い魔であった事が彼女の持つ気の強さを良い塩梅で抑えていたのだった。 「それに……」 ルイズはさらに思考をめぐらせる。 鳥が召喚されたと言うことは、ひょっとしたら自分の魔法の属性は『風』なのかもしれない。 『風』の魔法――奇しくも偉大なメイジであった母と同じ属性。 期待するな、と言うほうが酷というものだ。 皮算用とはいえ、未来に明るい見通しが出てきた事ににんまりと笑みを浮かべ――思い出したように己の使い魔に声をかけた。 「まずはあんたを綺麗にしてあげなくっちゃね」 残りの授業は使い魔との交流を深める時間に当てられたため、実質自習になっていたのが幸いした。 だがそれもあくまで時間的に、である。 「ったく、なんでわざわざサモン・サーヴァントするのにあんな遠くまで行かなきゃいけないのよ」 使い魔を片腕に抱え、老人くさいとは分かりつつも太ももと腰をトントンと叩く。 「運動不足かしらね……」 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、御年十六歳、年の頃から言えばまだまだ健康盛りである。 「これじゃあまるでエレオノール姉さ……」 そこまで言いかけて、ルイズは考えるのをやめた。 オーク鬼の居ぬ間に…とはよくある言葉だが、やはり性根の奥底まで植えつけられた恐怖は根強い。 ハルケギニアにおける結婚適正年齢を大きく越え、そろそろ『行かず後家』と呼ばれてもおかしくない長姉の笑顔にも似た形相を思い浮かべて ルイズは一瞬、身を振るわせた。 「そ、そんな事よりまずはこの子を……って、あっ!」 そうだ、使い魔のお風呂どころではない。 「わたしもお風呂はいらなきゃ……」 自分の体を見下ろし、嘆息する。 率直に言ってしまえば、ひどい有様だった。 十数回にも及ぶ失敗と爆発の所為で、服も髪も肌も埃だらけ。 使い魔の身づくろいを心配するより、まず自分の事を考えなければ。 「だけど、ね……」 運動不足も手伝って足はパンパン、お風呂へ行ったあとこの子を洗うような元気も無い。 もちろん使い魔と一緒にお風呂に入る気は無いし、そもそも校則で禁止されている。 となれば、手は一つしかない。 「まっ、これぐらいなら始祖ブリミルもお目こぼしして下さるでしょ――シエスタ!」 視界の遠く、校舎の影で洗濯物を干していたメイドに声をかける。 シエスタ、と呼ばれたメイドは辺りを見回し、ルイズの姿を見つけるとユッサユッサとたわわに実ったバストを揺らしながら走りよってきた。 このとき、ルイズの表情が一瞬引きつったのはいうまでも無い。 「はい。何か御用でしょうか、ミス・ヴァリエール」 丁寧な言葉と共にシエスタはルイズに向けて深々とお辞儀をする。 「ええ、シエスタ。一つ頼みたい事があるの」 「何なりと」 シエスタはお辞儀の姿勢を崩さず応える。 本来、貴族は使用人の名前など覚えない。平民の名前など覚えるだけで誇りに傷が付くなどという輩もいる。 しかし貴族にそういう考えがあるのと同様に、平民にも似たような考えを持つものも少なからずいる。 ――魔法の使えない、親の名前だけで貴族をやってる娘っ子に下げる頭なんて無い。 無論、本当に頭を下げないわけではないが態度に出てしまっているような奴は少なくない。 そういう意味で、ルイズにとってのシエスタは別格だった。 平民にも貴族にも『ゼロのルイズ』と蔑まれてきた彼女だからこそ分かる微妙な悪意を、彼女は持っていなかった。 お人よしなのかもしれない、お頭が弱いのかもしれない。だが、ルイズにとってはどちらでもよかった。 シエスタは私を蔑まない。ルイズがシエスタの名前を覚えたのは至極当然の事だった。 「たいした用じゃないわ。この子を綺麗にしてあげてほしいの」 「この子?」 ようやく顔を上げたシエスタはルイズの胸元にいる小さな遣い魔をみて、あっと声を上げた。 「遣い魔を召喚なされたのですね、おめでとうございます!」 我が事のように顔を綻ばせるシエスタの表情を見て、ルイズの表情も思わず緩む。 この笑顔は和むわ~。 「かわいらしい使い魔さんですね」 使い魔に向かって、よろしくお願いしますねと声をかけるシエスタ。 「本当なら私が洗ってあげるべきなんでしょうけどね」 苦笑いしながら軽く肩をすくめるルイズ。 本来の彼女ならばシエスタの前といえどそんなしぐさはしなかっただろうが、使い魔を召喚できた事も手伝ってか いつもよりもオープンな気持ちになっていた。 「はい、わかりました。この子は私が責任を持ってお預かりします」 「よろしく頼むわね」 ルイズから手渡された使い魔を両腕で抱き込むとシエスタは再びお辞儀をし、洗い場のある方向へと歩いていった。 ちなみにシエスタが使い魔にその豊かな胸元が押しあてられていたを見て、ルイズは再び顔を引きつらせた。 入浴を終え、自室まで使い魔を連れてきたシエスタに髪を梳かせながら、ルイズは思いだしたように口にした。 「この子の名前、どうしようかしら」 「あら、まだお決めになっていなかったのですか?」 「お風呂に入りながら考えはしたんだけどね。『ブラン』とか『オワゾー』とかじゃあ味気ないでしょ」 「あ、あはは……」 それはそうだろう、『白』と『鳥』ではそのまんまでしかない。 「いいのよ。ネーミングセンスが無いって自分でも分かってるから――そうだわ」 妙案とばかりにポンっとルイズは拍手を打った。 「シエスタ、あなたもこの子の名前を決めるのに協力してちょうだい」 毛布の敷き詰められたバスケットにちょこんと座る使い魔を見ながら言う。 「そ、そんな! 恐れ多いです!」 自分で言っておいてなんだが、シエスタがそう思うのは無理もないとルイズも思った。 使い魔とはメイジにとって文字通り手足となるもの。主人が愛情を込めて名付けるのが普通であり、平民に意見を聞くなど 本来ならばありえない。 「いいのよ。わたしもこの子にとびっきり良い名前を付けてあげたいし。なんてったってルイズ・フランソワーズ・ヴァリエールの 使い魔なんですもの。平々凡々な名前なんて付けられるわけが無いわ」 おどけながら言ってみせると、それが伝わったのかシエスタはクスリと笑うのが分かった。 「私などで宜しければ、よろこんで」 「そう、よかったわ。で、早速だけどなにか思いつかない?」 「えぇと…………『ヨシェナヴェ』なんて如何でしょうか?」 ブッと思わずルイズは噴き出した。 「……あたし、知ってるのよ。それってアンタの故郷の名物料理じゃない」 「し、失礼しました。では、『ペットショップ』……」 「却下ね。よくは分からないけど鳥にはつけちゃいけない名前のような気がするわ」 彼女達は知らない。その名を持つ鳥が『殺戮追跡機械』と呼ばれた事を。 「う~ん……」 「とりあえず、アンタのネーミングセンスがあたしと似たり寄ったりだって事は分かったわ…」 堂々巡りもいいところだった。 髪を梳かし終え、シエスタの対面にルイズが座る形に変わって十数分。 悩みに悩んで悩みきったそのとき、天恵が降りたかのごとくシエスタが、あっと声を上げた。 「―――ゼファー」 「ぜふぁー?」 シエスタは笑顔を浮かべながら、行商人の方から教えていただいたのですけど、と前置く。 「『春をもたらす西風』という意味だそうでして、転じて『新しいモノを呼び込む風』という意味もあるそうですよ」 「ふ~ん、ゼファーね」 ゼファー、ゼファーと口の中で何度か繰り返す。 語呂も良く、意味も良い。加えてどこか高貴な響きすらある。 「いいじゃない、気に入ったわ。今からこの子の名前は『ゼファー』ね」 膝の上に伏せながら寝息を立ててる使い魔に「いいわね、ゼファー」と優しく囁きかける。 「たいへん宜しゅうございますよ、ミス・ヴァリエール。よかったですね、ゼファー……」 ルイズと同じように、優しげな笑みを浮かべながらゼファーを見つめるシエスタ。 よし決めた。学園を卒業するときになったら、ヴァリエール家にこの子を召し抱えて自分の専従としよう。ルイズはそう固く誓う。 「―――それでは、私は失礼させていただきます」 そうとなれば……。 「ちょっと待った」 「はい?」 怪訝そうにシエスタは小首をかしげる。 その様子にニンマリと笑い、わざとらしく咳払いをして尊大そうな口調でルイズは言った。 「タルブのシエスタ。今後はわたしの事を名前で呼ぶ事を許します」 使用人は貴族を名前で呼ぶ事は許されていない。家名で呼ぶのが世の倣いだ。 『名前で呼ぶ事を許す』、それは即ちその使用人を信頼したという証である。 それを聞いたシエスタは何を言っているのか分からないといった風に、ポカーンと口を開けるだけだった。 ちょっとしたイタズラの成功にルイズがクスクス笑うと、途端にシエスタは満面の笑みを浮かべた。 「はい! かしこまりました、ルイズ様!」 こうしてルイズはその日、親しい使用人と愛しい使い魔の両方を得た。 ――その片方はあまり長く続かなかったが…………。 前ページ次ページ創世の使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6035.html
前ページ次ページゼロの氷竜 ゼロの氷竜 十三話 トリステイン魔法学院では、多くの貴族の子弟や教師である貴族が生活している。 当然、生活に携わる様々な雑事を行う平民、つまりそれら貴族にかしずくものも数多い。 家具などをはじめとする調度品の修繕、管理をする執事やフットマン。 町から離れているため馬や馬車もあり、その世話をする下男や馬丁、馬車があれば無論御者もいる。 そして、食事の際の給仕や掃除洗濯を担う多くのメイド。 ルイズの唯一の友人であったシエスタは、そのメイドとして魔法学院に所属する立場だ。 そのシエスタの心は、今ほとんどが驚きによってしめられている。 魔法学院に通うギーシュ・ド・グラモンから、激しく問いただされながらも、シエスタは恐怖ではなく驚きを感じていた。 大半の貴族は、いついかなる時も平民を意識しない。 かしずかれていることが当然だからだ。 シエスタ達が会釈をしながら給仕をしたところで、何か言うこともない。 だがルイズをはじめとする幾人かの貴族、そして一部の教師達は平民を人間として認識している。 ギーシュが入学して最初の食事で、給仕をしたシエスタは礼を言われたことを覚えている。 同級生にはやし立てられ、以降は給仕する人間にだけ聞こえる程度に声をひそめるようになってしまったが、礼の言葉を聞いたのはシエスタだけではなかった。 「親の躾がいいのか、とんでもない女好きかのどっちかだな」 という料理長マルトーの言葉に、そのとき厨房にいた全員が笑っていた。 それは至極好意的なもので、決して悪意の込められたものではない。 だからこそ、だからこそ今、トリステイン魔法学院のアルヴィーズの食堂で、自分を罵る男がギーシュだと、シエスタは信じることが出来なかった。 ゆえに、シエスタの心は驚きによってそのほとんどがしめられている。 転んだ拍子に膝を床で打ち、手に持っていたトレイをその上のケーキごと放り投げた。 トレイを投げ込んだ先で悲鳴があがったとき、シエスタの心に浮かんだのは一縷の希望。 顔を上げる前に、どうか被害にあったのが同僚であるように、という願いは叶わない。 救いをもたらす蜘蛛の糸は、貴族の証であるマントを見た瞬間に掻き消えた。 だがその貴族がギーシュであると認識し、シエスタの目の前に再び蜘蛛の糸が姿を見せる。 恐怖ではなく、深い謝罪の気持ちがシエスタの心をしめた。 シエスタが謝罪の言葉を口にしようとした刹那、それはギーシュの言葉に遮られる。 「なんてことをしてくれるんだ!?」 怒りをあらわにし、口から怒気そのものといった言葉を投げ放つ。 「平民は最低限の礼儀作法すら知らないのか!?」 赤みが差したシエスタの膝を気にすることもなく、足下の砕かれた香水瓶だけに注視する。 シエスタと同じようにデザートを配っていたメイドたちも、平民を人間扱いしてくれていた普段と、あまりにもかけ離れたその態度に驚きや失望の表情を浮かべていた。 その理由は明白だ。 やはり貴族は貴族でしかないのだと。 しかしシエスタはそんな言葉を投げかけられても、まだ失望にはいたっていなかった。 自分がしでかしてしまった不始末に対しての叱責も、甘んじて受けている。 貴族たちが持つそれとは違うが、平民たちにも誇りというものが存在していた。 料理長のマルトーが、自らの料理に自信を持つように。 メイドたちは給仕の際、空気のように振舞うことを当然と思っている。 誰からも意識されることのない空気どころか、衆目の関心を集めている今の状況は、シエスタにとって恥ずべきものに他ならない。 であるからこそ、自らの失態に対するギーシュの酷な物言いも必然と受け止められる。 うなだれシエスタの心は、口から出る謝罪の言葉と等しかった。 ギーシュの詰問が、たった今シエスタが起こした失態のみ、もしくは過去に遡ったとしても個人に対してであれば、それほどの時間を必要とせずに事は収束しただろう。 知らぬうちに平民たちから得ていた人望を、どぶに投げ捨てるだけですんでいたはずだ。 ところが今、ギーシュは心の平衡を失していた。 ある種喜劇のように、ギーシュは自らの足場を切り崩していく。 ギーシュ・ド・グラモンは心の平衡を崩していた。 いくつかの要因があってのことではある。 一つはつい先刻、ブラムドに圧倒的な力の差を見せ付けられたこと。 自身の予想の甘さが、そして余計な挑発が招いたことでもあったが。 そして今一つは、その後モンモランシーに慰められたことだ。 無論、慰められたことに喜びもある。 しかしそれでも、貴族としての誇りが、男としての矜持が、ギーシュの心を揺らし続ける。 モンモランシーが近くにいれば、笑顔を浮かべる程度の虚勢は張れた。 だが食堂に入り、席が離れてしまえばその必要もなくなってしまう。 普段であればくだらない話をする友人たちから話しかけられても、気のない返事をするか無視するといった有様だ。 陰鬱な黒さが、ギーシュの心を塗り潰しつつあった。 往々にして大きな出来事というものは、小さな因子が積み重なった上に起こる。 ギーシュの様子に、その他愛もない友の一人、マリコルヌ・ド・グランプレが幾度か呼びかけていた。 ところが何度呼んでも真っ当な返事は得られない。 貴族である誇りからか、重ねてきた経験の少なさからか、彼ら貴族が持つ自制のたがは小さく、しかも外れやすいものだ。 「おい、ギーシュ!」 マリコルヌの手がギーシュの肩を掴み、振り返らせる。 そのはずみで、ギーシュの懐から一つの香水瓶が零れ落ちた。 モンモランシーから送られた香水瓶が。 床に落ちた衝撃でも運良く割れなかったそれも、シエスタの踵と床に挟まれてはひとたまりもない。 香水瓶によって体の平衡を失ったシエスタは、抗うこともできずに転んでしまう。 いくつものケーキが乗せられたトレイを放り投げながら。 マリコルヌに振り向かされた横顔に、ケーキごとトレイが投げつけられる。 声をかけようとしていたマリコルヌは二の句が継げない。 ケーキや皿が落ちる音に周囲の人間も振り向くが、同じくとっさに言葉は出なかった。 当のギーシュにしても、すぐに事態を把握することなどできるはずがない。 ケーキのクリームで一時的に張り付いていたトレイも、自重で床へと落ちる。 その下から現れるのは、フルーツやクリームで彩られたギーシュの姿だ。 トレイが落ちた一瞬のあと、マリコルヌは笑いがこみ上げるのを感じた。 二瞬のあと、怒気に色付けられたギーシュの表情に、その笑いを飲み込む。 三瞬のあと、第一声を放ったのはギーシュだった。 「なんてことをしてくれるんだ!?」 その身に貼り付いたフルーツやクリームは、ギーシュの視界を遮っていない。 トレイがぶつかった衝撃で麻痺しているのか、大した痛みも感じていない。 ギーシュの目には、砕けた香水瓶だけが映っていた。 一年前、魔法学院に入学した当日、ギーシュは余所見をしていて誰かを転ばせてしまった。 謝罪をしながら振り向いたギーシュは、転ばせてしまった少女の可憐さに呆然とする。 その少女、モンモランシーが立たせてもらうために上げた手に、一瞬気付かないほど。 「女の子には、優しくするものよ?」 手を貸されて立ち上がった後、モンモランシーが戯れにいった言葉を、ギーシュは今でも律儀に守っている。 二人は自己紹介を交わして打ち解け、それから一年が経つうちにとても親しくなった。 そして今日、ブラムドとの事件のあと、モンモランシーが香水瓶を差し出していう。 「あなたのために、作ったのよ」 白皙の頬を染めながら、つぶやくような一言を、ギーシュは心に留め置いている。 その大切な香水瓶を踏み砕かれ、しかも心を黒く塗り潰していたギーシュは、自分の口から溢れ出る言葉を止めることができなかった。 「平民は礼儀作法も知らないのか!?」 口に出していながらも、ギーシュは常からそう思っていたわけではない。 あまり裕福とはいえない領地では、当然平民との距離も近しくなる。 平民たちと食卓を囲んだこともあった。 だが今ギーシュの口から次々と溢れる言葉は、同級生たちに影響されたためか、平民への蔑視に満ち溢れている。 そしてギーシュは、悪魔に囁かれたかのような自身の変貌に、まだ気付いていない。 「モンモランシーが僕のために作ってくれた香水を、一体どうしてくれるんだ!?」 この言葉で、ギーシュは奈落へ続く階段を一段下りた。 不意に、人垣を分けて一人の少女が姿を見せる。 「ケティ?」 ギーシュに名前を呼ばれた少女は、目に涙を浮かべながらつぶやく。 「ギーシュ様、やはりミス・モンモランシーと……」 ギーシュにとって、この一言はあまりにも思いがけないものだった。 思いもかけず、あまりに当然すぎる問いかけをされたため、返事をすることもできない。 ケティはその態度を、不実が暴露されたことによる狼狽だと誤解する。 そして怒りと悲しみに心を染め、それ以上何を言うこともなく人垣の中へと消えた。 取り残された形のギーシュだが、ケティの態度の意味が理解できない。 態度を決めかねていることが、致命的な誤りだということにも気付けない。 さしたる時間も経ないまま、ケティが消えた先とは違う人垣が開かれる。 そこに立つのは、怒りを押し殺し、笑顔を浮かべたモンモランシーだ。 察しの良いものならば、その表情に秘められた感情に気付いただろう。 ところがギーシュはひどく鈍かった。 「ギーシュ、あの子はだあれ?」 言い方だけは甘やかだったが、人垣の大多数はそれに含まれる恐ろしさに気付いている。 「一年のケティ・ド・ラ・ロッタだよ。先日ラ・ロシェールの森へ遠乗りに誘われてね」 ざわついていた人垣が静まりかえる中、ギーシュは奈落へ続く階段の二段目を踏んだ。 「そう……。喜んでくれた?」 「ああ、とても喜んでくれたよ」 ギーシュの表情は、むしろ晴れやかだった。 ただし、彼は決して開き直っているわけではない。 とある方面で非常に優秀な父親や兄の影響で、女性への態度が非常に洗練されていること。 そしてその整った顔で非常に、非常に誤解を招きやすかったが、ギーシュ自身はとても純朴な少年だった。 彼にとって不幸なことは、魔法学院内でその事実に気付いているのが極々少数だという事実と、モンモランシーが大多数に含まれていることだったろう。 モンモランシーが無言でギーシュに近付き、フルーツとクリームで彩られたその頭に、鮮やかな赤を振りかけた。 愕然とするギーシュと、無表情になったモンモランシーは視線を合わせる。 「さようなら」 とだけ告げ、ケティと同じようにモンモランシーは人垣の向こうへ消えた。 ギーシュは混乱の極みにある。 彼にとって、ケティの誘いを受けたのはモンモランシーとの約束を守ったことだ。 女の子に優しくするという約束を。 ケティの態度で起こった混乱に、モンモランシーの態度が盛大な拍車をかける。 年若く経験の少ないギーシュは、偉大と信じてやまない先人の言葉に頼ろうとした。 つまり、とある方面で非常に優秀な父親と兄のそれに。 ……ワインを引っかけられたぐらい、笑って許すのが男の度量だ。 どんな名言も価値のある至言も、使う時を誤れば、呆れるほど容易に世迷言へ姿を変える。 しかも悪いことにギーシュが心の中から拾い上げた言葉は、名言でも至言でもなかった。 それを言った当人でも、なぜ今その言葉を使うのかと首をかしげたに違いない。 そもそも引っかけられたという程度ではなく、ぶちまけられたというのが正しいだろう。 「仕方のない人だ」 とギーシュが笑ってつぶやいたところで、人垣の構成員たちは狂ったのかと思うだけだ。 幸か不幸か、ギーシュはその事実に気付くこともなかったが。 黒く染まっていたギーシュの心が、二人の少女がもたらした混乱によって、いつの間にかぬぐわれていた。 しかしこびりついていた残りかすが、暗く口を開ける奈落へ向けて、少年の背中を押す。 ギーシュがシエスタにいった最後の言葉には、嫉妬が含まれていた。 かつて偶然見かけた光景、ルイズがシエスタに屈託なく笑いかけていたその光景に、ギーシュは深い嫉妬を覚えていた。 ギーシュには、素顔の自分をさらけ出せるような相手は学院には存在しない。 小さなことを、平民への礼の言葉をあげつらうような同級生しか。 モンモランシーならばと思ったこともあるが、男としての矜持と若さがそれを許さない。 その嫉妬が、悲劇の幕を開く。 「もういい。せいぜいあのゼロに慰めてもらいたまえ」 いつの間にか人垣の外に、状況を見守る三つの視線が増えていた。 ルイズたちに先んじて食堂に到着していた、ブラムドと二人の教師たちだ。 ともあれギーシュを止めようとするコルベールを、ブラムドとオスマンが押しとどめる。 「ひどいことにはならぬようにする」 というオスマンの言葉に、コルベールも不承不承ながら従う。 ただし、オスマンの目に浮かんでいた面白がるような光を見逃してはいなかったが。 「眠りの鐘を準備しますか?」 「いらん。魔法の力で有耶無耶にしても、後顧に憂いが残るだけじゃ」 提案をしたコルベールも、オスマンの正しさに首肯する。 二人の教師を横目に、ブラムドはシエスタへと視線を送っていた。 主であるルイズが自ら紹介した、身分の違う友人へ。 ブラムドが友と呼ぶ一人の魔術師、アルナカーラでさえ、魔術師が蛮族と呼ぶものたちに友はいなかった。 時代が、そうさせなかったのかもしれない。 今、別の世界にいるブラムドは、友と呼ばれたシエスタがルイズをどう思っているのか、この一件を一つの秤にしようとしていた。 ギーシュの一言で、うなだれていたシエスタの頭が持ち上がる。 その瞳には光が差していた。 それは詰問から開放された喜びでも、貴族に対する恐れでもない。 友を侮辱されたことへの怒りが、その目に宿っていた。 シエスタは知っている。 いや、シエスタだけが知っている。 ゼロという言葉が、彼女の友人をどれだけ傷付けてきたか。 ゼロという言葉が、彼女の友人の涙をどれだけ流させてきたか。 シエスタは、自分を友といってくれたルイズへの侮辱を、看過することなどできなかった。 腰を伸ばしたシエスタの顔から、表情が抜け落ちている。 その中で、目だけが光を放っていた。 「今のお言葉、取り消していただけませんか?」 炯々と光る目に気付き、ギーシュが問おうとした瞬間、口火を切ったのはシエスタだった。 さすがに、ここまで真正面から平民に楯突かれた経験は、ギーシュにも、人垣の構成員たちにもない。 「なんだって?」 余裕を持って応じたつもりだが、ギーシュの声は大きな驚きとささやかな怒りによって、わずかに震えていた。 「ヴァリエール様をゼロと呼んだことを、取り消していただけませんか?」 ギーシュの心を占める、驚きと怒りの比率が徐々に変化する。 少年の心を、再び黒さが塗りつぶしていく。 「なぜだい?」 「あの方は、昨日使い魔を召喚されました。少なくとも、ゼロではありません」 ギーシュの心を塗りつぶす黒は、嫉妬という名前だ。 平民が貴族に楯突くことは、自らの首を処刑台に据えるに等しい。 貴族の気分で殺された平民は決して多くはないが、探すのが難しいほどでもなかった。 殺されないまでも、手足を折られたり切られたりといった程度であれば、探す必要もない。 そんな危険をおかしてまでも、たかだか一つの言葉を取り消させる理由が何か、もちろんギーシュは気付いている。 気付いているからこそ、自分の傍らにそんな友がいないからこそ、その嫉妬は強い。 「ゼロが一になったところで、大して変わりはないさ」 ギーシュの言葉は、ある意味で助け舟に等しい。 うなずきさえすれば、もう一度謝りさえすれば、ギーシュの暗い喜びは満たされただろう。 だがシエスタはかたくなだ。 「いいえ、ゼロと一では大きな違いがあります」 それゆえにギーシュの嫉妬は強く、自身の卑小さを悟らざるを得なくなる。 今、自らを犠牲にしても悔いはないというほどの友がいないこと、もし友を王家や有力貴族に侮辱されたとして、自分は同じことができるだろうかと。 その感情が、ギーシュの口を滑らせる。 「君は、平民の分際で貴族に楯突くつもりか?」 食堂へ入ろうとしていたキュルケと、食堂から駆け出そうとしていたモンモランシーがぶつかった。 ひとまず文句を言おうとしたキュルケだったが、モンモランシーの目に滲む涙に気付く。 「どうしたの?」 モンモランシーの様子に、そして食堂の一角に作られた人垣に、三人の少女が気付いた。 前からモンモランシーに恋の相談を受けていたキュルケは、何とはなしに事態を把握する。 「ギーシュ?」 こくりとモンモランシーがうなずく。 「浮気?」 再び、モンモランシーがうなずく。 そのまま声を殺して泣くモンモランシーに、キュルケはその豊かな胸を貸す。 事の次第が理解できないルイズとタバサは、不思議そうな顔を見合わせるだけだ。 だが人垣の中から上がったギーシュの声に、ルイズは表情を凍らせる。 「もういい。せいぜいあのゼロに慰めてもらいたまえ」 怒気をみなぎらせるルイズの様子を眺めながら、キュルケはモンモランシーへ自室へ戻るように促す。 一歩、二歩と人垣に近寄るルイズの耳に、聞き慣れた声が聞こえた。 「今のお言葉、取り消していただけませんか?」 それは友の声だ。 ルイズの足が止まる。 その肩に手を置きながら、キュルケがつぶやく。 「いい友達じゃない」 キュルケへ振り返ったルイズの顔には、誇らしげな笑顔が浮かんでいた。 そこではっと気付く。 ギーシュの声に続いてシエスタの声が続いたということは、人垣の中心にいるのが二人だということだ。 しかも会話から状況を考えれば、シエスタがギーシュに楯突いている形になる。 貴族の機嫌を損ねた平民がどうなるのか、ルイズもキュルケもタバサもよく知っていた。 慌てて走り出そうとするルイズを、キュルケの腕が絡め取る。 さらに文句を言おうとする口を、空いた片手で塞いだ。 「ちょぉっと、様子を見ましょうよ」 煌めく少年の瞳でつぶやいたキュルケの様子に、ルイズは説得をあきらめかける。 だが友人を危険な目に遭わせるわけにはいかない。 それは自らを支えてくれたシエスタに対する恩義と、平民を守る貴族たらんとするルイズの誇りが許さないからだ。 なおも軛から脱しようとするルイズに、キュルケが声をかける。 「ひどいことになる前には止めるから」 その言葉に説得された訳ではないが、ルイズは四肢から力が抜けていくのを感じていた。 ついさっき、朝食の栄養分を使い果たしていたことへ、ルイズは思い至らない。 もどかしくうごめきながら、ルイズはシエスタとギーシュのやりとりを聞くことしかできなかった。 そのルイズを抑えながら、キュルケは人垣の中から聞こえる声に耳を奪われる。 平民と貴族を隔てる垣根の低いゲルマニア、その母国と魔法学院があるトリステインの違いを、キュルケは一年間のうちに学んでいた。 歴史や伝統というものがどれだけ人の心を蝕むのか、増長する貴族とひれ伏す平民の姿に表れる。 そのトリステインにいながら、友のために貴族へ楯突く平民がいることが、キュルケの心を震わせた。 その感動を、ギーシュの言葉が切り裂く。 「君は、平民の分際で貴族に楯突くつもりか?」 キュルケはギーシュを知っていた。 それはただの同級生としてではなく。 立ち居振る舞いとは裏腹な純朴さを見抜いていた。 平民を人間として見ていたことも知っている。 そのギーシュが、よりにもよって権威を振りかざした。 鋭く、熱く、純粋な怒りが、キュルケの口から放たれる。 「そこまでにしておきなさい!!」 人垣が、二つに割れた。 前ページ次ページゼロの氷竜
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3190.html
前ページ次ページゼロのロリカード 「気にすることはない」 講義が中止となり、爆発で滅茶苦茶になった教室の後片付けをし、煤だらけだったローブと服を着替えた後。 アーカードとルイズは食堂へと向かっていた。 「慰めなんて不要よ」 「・・・・・・他意はないぞ」 「変に気を回さなくていいわ。この程度のこと、慣れてるもの」 ルイズは淡々と答える。 (これは何を言っても無駄のようだな) そもルイズはきちんと自己分析はしているようだし、現状を把握して今を見据えてるようだった。 多少なりと意地になっているのも、次こそは成功させるといった気持ちの裏返しなのかも知れない。 失敗を糧に、後悔をバネに努力し、いずれはその想いを成就させる日もくるだろう・・・・・・恐らく。 なにかしら助言をするのは主が重圧に耐え切れなくなり、落ち込んだ時にで十分と判断する。 少なくとも、今はまだその時ではない。 「ねぇアーカード、食堂へ向かってるわけだけど・・・・・・あなたは食事するの?」 人間に於ける食物は、アーカードにとって血液である。 一般的な食事は嗜好品の域を出ず、無理して食べる必要性がないのは既に聞いている。 「いや・・・・・・こちらの食文化を堪能するのは、また別の機会にしておこう」 「ふ~ん、じゃあどうするの?」 「そうさの・・・・・・寝る」 昼にさしかかって陽も高くなり、あまり起きて行動したい時間帯ではない。 ルイズの部屋に戻り、また夜になるまで眠るのが丁度良いだろう。 「わかったわ、それじゃまた夜に」 ◇ 真昼のギラつく太陽の光は、容赦なくアーカードを照りつけた。 日光が大嫌いなアーカードにとって、あまり動きたくないくらいの晴天。 たまたまいい感じの日陰を見つけたので、とりあえずそこで休むことにした。 その場に座り込み、壁にもたれかかる。心地よさに思わず目を瞑った。 「ふぅー」 息が漏れる。度重なる未知との遭遇、自分で思ってるより疲れているのかもしれない。 (血が飲みたい喃・・・・・・) 「あのぅ・・・・・・大丈夫ですか?」 瞼を薄っすらと開く、目の前にいたのは黒髪ショートで黒瞳の少女だった。 顔には微かにそばかすがあり、あどけない少女の顔には似つかわしくないほどの、豊満な胸をメイド服で包んでいる。 「あぁ、気にするな。少々疲れていただけさ」 その少女の視線は、何故かアーカードの左手に注がれていた。 「・・・・・・もしかしてミス・ヴァリエールの使い魔ですか?」 「むっ、私を知っているのか」 「はい。なんでも平民の少女を召喚したって、噂になってまして」 左手に描かれたルーンを見て、使い魔と判断したのだろう。 と、同時にコルベールと会った時の疑問が浮かんだ。 何故あのハゲ教師は、わざわざ自分のルーンを夢中になって書き写していたのか。 昨夜ルイズに聞いた話では、使い魔にルーンが刻まれるのは当然の事である。 思い返せば、鼻息荒げてまで書き写す程のモノだったのか。 (やはり変態か・・・・・・?) そこではたと気付く、目の前の少女の指に。そこには包帯が巻かれていた。 「それは?」 指をさして質問をする。 「はい?あぁ・・・・・・これですか。実はついさっき洗い物をしていたらお皿が割れてて切っちゃったんですよ、包帯は大袈裟なんですけどね」 少女は「あはは」と笑いながら答える。アーカードはスッと手を伸ばすと、いきなり包帯を取る。 指には思ったよりも大きな傷があった。本当につい先刻のことのようで、まだ血が滲んでいる。 アーカードはそのまま衝動的に少女の手をとると、指を舐め口に含んだ。 「あっ・・・・・・ん・・・」 一瞬刺さるような痛みがするものの、すぐにそれは快感へと変わった。 患部を舐められて気持ちいいなんて、少女は自分が変態なのかなどと邪推する。 「もう痛くあるまい」 あっという間の出来事だった。離れた唇からは微かに糸を引き、痛みはなくなっていた。 患部を見ると傷痕まで目立たなくなっていた。 「え・・・・・・?何で?」 「ちょっとしたおまじないさ」 本当は血を少しばかりもらったのだが、適当な理由で誤魔化す。 少女は少し腑に落ちてない様子であったが、すぐに笑顔に切り替わった。 「あの、私シエスタっていいます。お名前をお伺いしてもよろしいですか?」 「私はアーカードだ、よろしく」 「はい!よろしくおねがいします」 屈託のない笑顔だった。思わず嬲りたい衝動に駆られる。 しかし本人は知らないものの、勝手に血を貰ったという借りもあるし自制する。 「それでは失礼しますね」と言い残しシエスタは去っていく。 アーカードはシエスタに興味を持った。 個人的にそそられたのもそうだが、先程血を飲んだ時に少々不可解な点があったからである。 太陽は相も変わらずギラギラと照りつけている。アーカードは少しばかり悩んだが、我慢して追いかけることにした。 ◇ 追いかけ巡りついたその場所は食堂の裏手であった。 「・・・・・・アーカードさん?」 扉に入ろうとするところでシエスタはアーカードに気付く。 「どうしたんですか?お腹でも空きました?」 「いやなに、もう少しシエスタと語り合いたいと思ってな」 その言葉を聞きシエスタは悩む仕草を見せる。 「う~ん・・・・・・それはいいんですけど、お仕事があるんですよ。もう指も大丈夫みたいなので」 アーカードは考える。少量だが血を貰った、借りを返す丁度いい機会かもしれない。 それにこの昼日中、シエスタの仕事が終わるまでただ待つのも正直苦痛だった。 今更ルイズの部屋まで行って、寝るのというのも些か面倒だ。 「ふむ、では私がその仕事とやらを手伝っていいか?」 「アーカードさんがですか?そんな、無理して手伝っていかなくても結構ですよ」 確かにシエスタにしてみれば、理由なくアーカードに手伝ってもらう謂われはない。 よって、アーカードは適当な理由を振りかざすことにした。 「んむ、その服を着てみたいのだ」 そういってアーカードはシエスタが着ているメイド服を指さした。 「これをですか?」 アーカードは無言で首を縦に振り肯定する。シエスタは少し悩んだ後に告げる。 「そうですね、とりあえずこちらに来て下さい」 扉を開け中へ入ると厨房へと繋がっていた。ヌッと大きな人影が現れる。 「おう、シエスタどうした?」 恰幅のいいおじさんだった。服装から判断するにコックのようだ。 「はい、怪我も大丈夫そうなので、やっぱりお仕事しに戻ってきました」 「そうか、無理はするなよ。ところでそちらのお嬢ちゃんは誰だ?」 おっさんコックの視線がアーカードに注がれる。 「こちらはミス・ヴァリエールの使い魔のアーカードさんです」 「ほほ~、お前さんが噂の・・・・・・」 珍しいものでも見るかのようにアーカードを覗き込む。いや、事実珍しいのだろう。 なにせ人間、平民の使い魔、と流布されているのだから。 「アーカードさん、こちらはコック長のマルトーさんです」 ただの厨房担当の一人かと思ったら、コック長だったか。となると一番偉いのだろうか。 「余分なメイド服ってありますか?」 マルトーはアーカードの観察をやめシエスタの方へと向く。 「もう一着欲しいのか?」 「いえ私がじゃなくて、アーカードさんが着てみたいそうなんですよ」 アーカードはシエスタの言葉に付け加える。 「んむ、シエスタを見ていたら試しに着てみたくてな。ついでに手伝いくらいしてやるぞ」 マルトーは再びアーカードへと向き直る。 「う~ん・・・・・・あるにはあるが、見る限りサイズが合わなそうだな。シエスタも別の意味でサイズがないんだがな」 「何を言ってるんですか!!」 シエスタは抗議の声を上げ、マルトーはがっはっはと笑いながらアーカードの肩をバシバシと叩いた。 馴れ馴れしいがこれも人柄なのだろう。シエスタは少々うつむき加減で自分の胸を見始める。 聞こえるか聞こえないかギリギリの溜息が聞こえる。こういったやりとりも日常茶飯事と見える。 「無理みたいですね」 今まで見せてきたそれよりも、少し乾いた笑顔でシエスタが言ってくる。 と、マルトーの笑い声が止まった。何かを考えているようだった。 「いや・・・・・・少し待ってろ」 そう言うやいなやマルトーは席をはずす。暫しの間待つとなにやら袋を持って戻ってきた。 「ほれっ」と言ってその袋をアーカードに手渡す、アーカードは躊躇なく袋を開け中身を取り出した。 「これは・・・・・・」 「これって・・・・・・」 出てきたのは黒を基調としたメイド服、市販品には見えなかった。 しかもアーカードが着れそうなくらいのサイズ、オーダーメイドかはたまた手作りか。 「これ、どうしたんですか?」 シエスタが疑問を投げかける、マルトーは口を濁しながら答えた。 「ん、あ~~~その・・・・・・貰い物だ」 目が泳いでいた、怪しい、限りなく怪しすぎる。 そもそも何故これをすぐ持って来れたのか、シエスタは依然として疑いの眼差しを向けている。 「俺は物を大切にするんだ」 苦しい言い訳が虚しさをさらに引き立てる。一方アーカードはそのメイド服を気に入っていた。 最初は適当に言った理由だったが、素直に着てみたい。そう思わせるほどの完成されたデザインのメイド服だった。 マルトーの人格は兎も角として、これが趣味であるならば極まっていると言えるかもしれない。 「いい、いいぞ!気に入った!!その服はお前さんにやる!!!」 「アーカードさん、すっごく似合ってます!」 着替え終えるといつの間にか厨房の人々がここぞとばかりに集まり、ちょっとしたお披露目会のようになっていた。 マルトーは鼻息を荒げ興奮し、シエスタは感心していた。 黒く流れるような長髪と、紅く輝く瞳のアクセント。少女特有のスレンダーさと、アーカード自身から放たれる妖艶さ。 それら全てが黒いメイド服と調和し、一つの芸術と言えるくらいに美しかった。 「んむ、悪くない」 そうだろうそうだろうとマルトーは頷く。他の者達も各々様々な反応を見せている。 アーカードはふと、『英国名物』"メイド隊"として、メイド服を着させられたような記憶が甦る。 あの時は少女姿ではなかった(・・・・・・・・・)所為で、それはもう酷い有様だった。 というか、自分も主人も従僕も執事も。 しっくりと似合ってる者が一人もいなかったという、ある種の惨事であった。 「・・・・・・ところでこのメイド服、予め計算されていたかの如くピッタリなんだが?」 空気が止まり、周囲者達の冷たい視線がコック長マルトーへと突き刺さった。 マルトーは慌てて身振り手振り弁解する。 「いやいやまてまて、誤解だ。それは知らん」 「それ・・・・・・は?」 シエスタの容赦ないツッコミが入った。 「ちっ違うッ!何も知らん!」 冷たい視線は未だやまずマルトーを見つめ続けた。 「だぁあああ!さっさと持ち場に戻れー!貴族どもに何言われるかわからんぞ!」 その言葉で皆々が我に返り散っていき、それぞれの仕事へと戻る。 仕事が滞ればどんな仕打ちを受けるかわからない、自分達の進退は貴族の心一つでどうとでも変わってしまうのだ。 とりあえずピンチを強引に有耶無耶にしてホッとするマルトーであったが、彼の評価が既に落ちているのは言うまでもない。 「何を手伝えばいい?」 「それじゃ私と一緒にデザートを配るのを手伝ってもらえますか?」 「了解した」 シエスタはにこやかに笑い、アーカードはそれに頷いた。 大多数の生徒達にとって、アーカードの存在ははちょっと変なメイド服を着た給仕がいる。 そんな程度でしかなかった、唯一人を除いては。 「なっ・・・・・・アーカード!?」 「やぁ、我が主」 二度も食事を食べ損ない、昨日から続く心身の疲弊と寝不足、駄目押しの午前講義の後片付け。 ただの一回の食事に、これほど感謝したのは初めてかもしれなかった。 少々量が足らないと感じたがそこは我慢する、最後のデザートでお腹を満たそうと思っていた。 配られるケーキ、普段は気にも留めない給仕の姿。 しかしいつもとは変わった服を着ていた給仕、それ故たまたま目に留まる。 昼前に分かれたはずの自分の使い魔、ニヤニヤ笑ってこちらを見ている。意味が分からない。 何故食堂にいるのか、何故メイド服を着ているのか、何故給仕としてデザートを運んでいるのか。 「な・・・・・・何やってんの?」 「見て分からないか?メイドだ」 ルイズの口元が引き攣る。 「そうじゃなくて、どうして!」 と、そこで周囲からくすくすと笑い声が漏れ始める。 「あっはっは、なんでルイズの使い魔が給仕やってんのよ」 「これはこれは、ミス・ツェルプストー」 アーカードは右手にデザートを乗せたトレイを持ちつつ、左手でスカートの端を持ち会釈をする。 「あら?ルイズの使い魔にしては礼節を知ってるのね」 アーカードはその態勢のまま顔を上げ笑みを浮かべ答える。 「無論。主に恥をかかせるわけには参りませんので」 "優秀な執事"の立ち振る舞いを近くで見てきたし、人間だった頃にはそういった者達を雇っていた側だ。 そうでなくとも己の中の膨大な命の中には、そういった職種についていた者と記憶がある。 ルイズは素直に驚いていた。アーカードがこんな礼儀を弁えた態度を取れるということに。 しかし怨敵ツェルプストーの女に、敬語を使っている姿を見るのは癪だった。 「アーカード、ツェルプストー家の者に礼節は要らないわ。こんなのはキュルケと、呼び捨てで十分よ」 「ほぉ・・・・・・言ってくれるじゃない、ルイズの癖に」 キュルケはルイズをグッと睨みつける、ルイズも負けじとキュルケをグッと睨みつけた。 二人の視線が交錯し、バチバチと火花が散っているようだった。 (犬猿の仲というやつか・・・・・・) アーカードは一歩退いた位置から二人の様子を観察していた。 ふと、アーカードの・・・・・・吸血鬼の聴覚が本当に些細な言葉を鋭敏に感じ取る。 シエスタの声ともう一人、なにやら揉め事のようであった。 ルイズとキュルケは依然として睨み合い、アーカードは聞こえる方向へと視線を向ける。 金髪の少年とシエスタが話しているのが見える。 「ルイズ、キュルケ」 二人の視線が綺麗に揃ってアーカードへと向く、間髪入れずアーカードは言葉を紡いだ。 「これを頼んだ」 ケーキの乗ったトレイとトングを二人にそれぞれ手渡し、アーカードはシエスタの元へと向かった。 ルイズとキュルケはいまいち状況が把握出来ていなかった。 「ふん!やっぱりアンタなんか呼び捨てで十分ね」 「でもアンタも呼び捨てにされてたじゃない」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 二人の間には妙な沈黙が流れていた。 前ページ次ページゼロのロリカード