約 1,871,410 件
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1624.html
あの後、ルイズと一緒に朝食の席へ向かった。 もちろんちゃんと服を着てだ。 今度ルイズに代えの服を買ってもらったほうがいいかもしれない。 代えの服があればあんなことにはならなかっただろうからな。 ルイズは必要なものであれば買ってくれるだろう。 というか代えの服なんて必要なのは当然に決まっているが。 買わないと言っても言いくるめればいい。 ルイズ相手なら言いくるめるのもちょろいもんだ。 私が朝食の場に現れた時にはもう既に家の者全員がそろっていた。 遅れたことに詫びを入れ空いている席に着く。 全員が昨日と同じ席に着いているので、空いている場所は昨日自分が座っていた席だった。 普段から自分が座る席が決まっているのだろう。 そんなどうでもいいことを考えながら私は朝食をとった。 そのさいシエスタの父親にオレンジを勧められたがシエスタに全力で怒られていた。 シエスタに何かを全力で言われた父親は何かはっとした顔になり全力で謝ってきた。 ……全力オレンジって一体なんなんだ。 口からでまかせで言っただけなのに…… それが頭から離れず悶々としながらも朝食取り終え、私は早々に自分の部屋へ戻ることにした。 だが戻る前に一つシエスタに聞いておかなければならないことがある。 「シエスタ。いつ草原を見に行くんだ?」 そう。いつ草原へ行くかだ。私はそれを見に来たのだ。 草原を見なければこんなちんけな村に来た意味は無い。 「そういえばそうね。わたしたちってそれを見に来たんだったわ」 ルイズはすっかり忘れていたのか、何かを思い出したような顔をしてそう言った。 「あ、そうですね。日が沈む前ぐらいが一番綺麗ですからその頃に行きましょう」 「わかった」 シエスタは食器を片付けながらそう言った。 しかし夕方が一番綺麗なのか。 まあ、夕暮れの景色は美しいものが多いからな。 「夕飯はヨシェナヴェですから楽しみにしててくださいね」 「ああ、楽しみにしとくよ」 「シエスタって料理が上手だから期待してるわ」 「はい!腕によりをかけて作ります!」 いい返事だ。 そう思いながら私は自分の部屋へ戻った。 午前中は特に何もないまま終わり、昼食も無事すんだ。 さてこれからどうするか。 午前中のようにベッドに寝転がって時を待つのか? というかそれ以外になにかすることがあるのだろうか? ルイズは午前中出かけていたらしいが私は出かける気にはなれない。 村を見るだけなら夜が明けきる前に走り回りながら見たしな。よく憶えていないが。 そんな時、シエスタのある一言がなんとなく私の心を揺さぶった。 「ヨシカゲさんにミス・ヴァリエール。お暇なら少し出かけませんか?」 「どこに行くの?」 「村の近くの寺院です。そこに『竜の羽衣』って呼ばれるものがあって、それを纏ったものは空を飛べるって言われてます」 この一言だった。 何故かはよくわからない。 ただ惹かれたのだ。その言葉に。 虫の知らせという奴だろうか? 「へえ、『風』のマジックアイテムかしら?」 「そんなたいしたものじゃありません。インチキなんです。どこにでもある名ばかりの『秘宝』。 でもこのなにもない村のなかではそこそこには見る価値があるんじゃないかなって思いまして」 「おもしろそうじゃない。行きましょうよ」 「ヨシカゲさんはどうしますか?」 そんな答えは決まっているようなものだ。 「行く」 「それじゃあ、もう少ししたら出ましょうか。ご飯食べたばかりですし」 「そうね。すこし休憩したほうがいいかも」 そして私たちは休憩のあと、村の近くの寺院へ行くことになった。 メンバーは私、シエスタ、ルイズの3人だ。 村の近くだというのだから歩いてそれほどもかからないだろう。 そして食後の休憩のあと、予定通り寺院へ向かうことになった。 というかもう寺院へ向けて足を運んでいる。 「実は……、『竜の羽衣』の持ち主、私のひいおじいちゃんだったんです」 「そうなの?」 「はい。ある日、ふらりとこの村に、ひいおじいちゃんは現れたそうです。そして、『竜の羽衣』で、東の地から、この村にやってきたって、皆に言ったそうです」 「すごいじゃない」 「でも、だれも信じなかったんです。ひいおじいちゃんは、頭がおかしかったんだって、皆言ってます」 シエスタの曽祖父はそのあと色々あってタルブの村に住み着いたらしい。 ここで暮らすようになると一生懸命働いて金を作り、その金で貴族に『竜の羽衣』に『固定化』かけてもらったそうだ。 空も飛べないインチキなものを大事にしていた以外は働き者で皆からそう好かれていたらしい。 そんなことをはなしながら私たちは歩いていた。 しかし、シエスタとルイズ、なんだか仲がよくなってるような気がするな。 シエスタの口調は丁寧だがそれだけで、緊張も殆んどなく気楽に喋っている。 ルイズもそれに不満を持っていないようだし。 旅の間になにかあったのだろうか? 「あ、あそこです。あそこに見える建物が寺院です」 そう思っているうちにどうやら着いたらしい。遠くのほうに建物が見える。 「あの寺院、実はあれひいおじいちゃんが建てたんですよ」 「建築までできたの?」 「はい」 寺院は草原の片隅に建てられていた。 しかし、近づくにつれわかったが、なんだか日本建築みたいな感じだな。 そんなことを思っていた私は数分後、寺院にあるものを見て月まで吹っ飛ぶ衝撃に襲われた。
https://w.atwiki.jp/familiar/pages/4274.html
563 名前:ものかき ◆XTitdn3QI6 [sage] 投稿日:2006/09/30(土) 23 45 35 ID fTTyy3DP 『序章』 『一度でいいから私も乗せて下さいね…』 奇しくもシエスタのその願いは実現していた。 コルベールが修理してくれた零戦の試験飛行中… ひょこっと後部座席から顔を出したシエスタに才人は驚いたが、 今更空に放り出すわけにもいかない。 かくして二人の空のデートは現実のものとなったのである。 シエスタは最初は怖がり目を丸くしていたが… やがて慣れてくると、凄い!凄い!と大はしゃぎを始めた。 「ひいおじいちゃんも、こんな景色を見ていたんですね!」 眼下に広がる陽の香る草原を見ながらシエスタは感激していた。 「もう少し遠くに行って見よう、燃費を調べたいんだ」 ガソリンの積載量を計器で確認しながら才人は言った。 「良く分かりませんが、才人さんと一緒ならどこまででも♪」 シエスタは才人を独り占めしている事実に酔いしれていた。 才人がふいに「なぁ」と、立てかけてあったデルフ話しかける。 「なんでぇ相棒!」「どうしよう…」「なにが?」 しばらく考えた後デルフは口を開いた! 「ははぁ〜ん、帰った後の事かぁ?!」 才人の顔が一瞬こわばった。 「図星か?!おしおきはキツいもんなぁ〜」とデルフは笑った。 会話の内容から察したシエスタが口を挟んだ。 「わ、私が勝手に乗ってしまったのが悪いんですから…えと、えと」 「ミス・ヴァリエールには、私からちゃんと説明します!」 「だから才人さんはお気になさらないで下さい」 シエスタは両手のこぶしを握り締め、硬い決意を表明して見せた。 「あ、ありがとう…」 一応、礼は言ってみたものの…二人で空の散歩に出掛けていた事を、 あのルイズが許そうはずも無く、おしおきは間違い無いであろう。 面白そうに笑うデルフを鞘に深く押し込み黙らせ、進路を確認した。 564 名前:ものかき ◆XTitdn3QI6 [sage] 投稿日:2006/09/30(土) 23 46 24 ID fTTyy3DP 『旅立ち』 ルイズはやきもきしていた。 才人の飛行機にシエスタが潜り込んだらしいという噂を小耳に挟んだからだ。 使い魔が飛行機で出かけたことはいい。修理したから試運転というのも、 意味は良くわからないけれど、必要な事らしいから許す。 でも、あのメイドと一緒「かもしれない」とはどういう事? 今更追いかけようにもタバサのシルフィードでは追いつけない…。 今やその怒りは嫉妬となり、頂点に達しようとしていた。 嫉妬の炎は身を焦がし、嫌な想像や妄想ばかりが浮かんでは消えていった。 キスしたくせに、キスしたくせに、キスしたくせに、キスしたくせに〜! 昼食もろくに喉を通らず、不安を打ち消すようにベッドに潜り込んだ。 「見てごらん!綺麗な夕焼けだよ!」 才人が指差す方向には太陽が沈みかけ、真っ赤な姿を見せていた。 「シエスタ?どうしたの?」 見るとシエスタは怪訝な顔でその光景を見つめていた。 「夕焼け…って何ですか?あの真っ赤な色は何ですか?」 「こういうの…見たこと無いの?」 才人は、異世界だからそうなのかな?と気にも留めずに妙に納得した。 「あ、あの才人さん?!」 「なに?俺のいた世界では、こういうのを『夕焼け』って言うんだよ」 「い、いえ、そうじゃなくて…」 改めて夕焼けを見た才人は驚いた!沈みかけた太陽と思っていたが… 太陽は地平線に沈んでいる訳では無かったのである。 「月の影…」 地平線に見える山に見えたのは、まさしく月の影だった… その影に隠れる太陽…みるみる暗くなる景色…。 「ま、まさか?!」「日蝕?」「ばかな!」 その時デルフが口を開いた!「どうする?相棒!千載一遇の好機だ!」 シエスタを乗せたままだ、ルイズにもまだ何も言ってない。 才人の口から「…ルイズ」の言葉が漏れた瞬間、シエスタが動いた! 背後から操縦桿を握り、日蝕めがけてコースを固定した。 「シ、シエスタ!いったい何を!?」 シエスタは決意に満ちた表情で、搾り出すように言葉を告げた。 「私、平気です!才人さんと一緒ならどこでも。たとえ異世界でも!」 「それに…」「異世界なら…もう、ミス・ヴァリエールも…」 シエスタの決意に、才人は抵抗していた操縦桿の力を緩めた…。 「本当にいいの?」「はい、後悔なんてしません」 「こりゃ、おでれーた」デルフが呆れたように言い放った。 零戦は、やがて日蝕の中へと消えていった…。 568 名前:ものかき ◆XTitdn3QI6 [sage] 投稿日:2006/10/01(日) 00 18 38 ID hzfqaHg4 さぁ続きは才人&シエスタin日本編だ!気が向いたら書いてみよう。 576 名前:ものかき ◆XTitdn3QI6 [sage] 投稿日:2006/10/01(日) 02 46 30 ID hzfqaHg4 『日本』 才人とシエスタは大通りに面した公園で一休みしていた。 飛行機は民間の飛行場に着陸させ、空いている古ぼけた格納庫に隠した。 近所の人の話によると、もうずいぶん前に使われなくなった廃棄飛行場で、 災害などの緊急避難時の集合場所に利用する為に放置された場所らしい。 幸い、こちらの世界に戻ってもガンダールヴの力は残っていたようで、 着陸時も難なく無事に済んだ。左手にはルーンもしっかり残っていた。 シエスタは見るもの全てに興味を示し、不安がる事も、怖がる様子も、 全く無いのは意外だった。 「才人さん、あれは何ですか?」「これって触っても平気でしょうか?」 屈託の無いシエスタの様子に、思わず笑みがこぼれる…。 「才人さんと一緒ですもの、不安なんて何もありません♪」 シエスタは「それに曽祖父の故郷ですから…」とも付け加えた。 「よう、相棒!」こちらの世界に戻ってから初めてデルフが口を開いた。 「これからどうするつもりなんだ?」 才人は正直困っていた…勢いに任せて戻ってきたものの、このまま家に… しかもシエスタや「話す剣」を連れて帰る訳にも行かないだろう。 (いや、それ以前に銃刀法違反で逮捕されてしまうかもしれない…) 自分は行方不明…もしかしたら既に死んだ事になっているかもしれない。 まずは現状の把握と、えと…その次に… と、考えていると腹が鳴った。シエスタが満面の笑みで振り返り… 「お腹、空いちゃいましたね♪」 そこで才人は初めて無一文な事を思い出した。コンビニ弁当一つ買えない。 困ったような顔をしている才人の心を見透かしたように… 「心配ありませんよ!ちゃんとお弁当作って来ましたから♪」 とニッコリと微笑んだ。 才人はシエスタの作った弁当を食べながら、今夜の宿を思案していた…。 577 名前:ものかき ◆XTitdn3QI6 [sage] 投稿日:2006/10/01(日) 02 48 19 ID hzfqaHg4 『残されたルイズ』 ルイズは悶々としていた…。 夜になっても戻ってこない使い魔。例のメイドも帰っていないらしい。 もはや二人が行動を共にしていることは火を見るよりも明らかだった。 キスしたくせに…キスしたくせに…キスしたくせにぃ〜! 何ども心の中で呟きながら、ある場所に向かっていた。 途中ですれ違ったキュルケに「どうしたの?」と聞かれても耳に入らず、 一心不乱に前を見つめ、全く歩みを止めようとはしなかった。 ふ〜ん、何かあったわね…とばかりにキュルケは興味本位で後に続いた。 階段を降りる途中で会ったタバサに「面白そうだから付いてらっしゃい」 と、半ば強引にキュルケは同行させた。 学院の一角にその建物はあった。普段誰も立ち入らないひっそりとした 建物だが…その静寂は一瞬にして破られた。 かくしてドアは開かれた!というよりも蹴破られたのだ、ルイズによって。 「才人はどこ?!」 開口一番、ルイズはコルベールに言い放った。 「な、なんだねいきなり?まぁ来客は珍しいので、歓迎はするが…」 「サイトはどこにいったの?」「いまどこにいるの?」 まくし立てるようにルイズが畳み掛ける。 「ま、まぁ、落ち着いて…」 「いったい今どこで何してるのよ?」 なるほど…そういうこと♪ と、キュルケが鼻で笑う。 コルベールはコホンと一息ついた後、こう続けた。 「実は…私にも分からないんだ」 「ど、どういう意味?」 「計算では、とっくに帰ってきているはずで、がそりんも多く入れてなかった」 「それって…」 「おそらくどこかに降りているか…もしくは…」 「な、何?何よ?」 「落ちた…か」 ルイズの顔色がみるみる変わるのが誰の目にも見て取れた。 何かを思いついたように外に走り出そうとするルイズをキュルケが引き止めた…。 「どこに行くのよ?」 「決まってるでしょ!探しにいくのよ!タバサ、シルフィードをお願い!」 「探すってドコを?落ち着きなさい!」 「だって、だって…才人が…才人が…」 「アンタ…そんなに…」 「それに」 「それに?」 「あのメイドと一緒ってのが、ぜ〜ったいに許せない!」 キュルケは呆れ顔で見つめながら、タバサを見た… 「夜は危険」 「そうね、今夜はもう遅いから…とにかく夜明けまで待ちましょう」 皆に促され…ルイズはしぶしぶ承諾して部屋に戻った。 579 名前:ものかき ◆XTitdn3QI6 [sage] 投稿日:2006/10/01(日) 06 03 05 ID hzfqaHg4 『宿泊』 「私、村娘ですし…野宿でも一向に構いませんよ♪」 シエスタはサラリと言ってのけたが、都会の真ん中でそれは無謀だ。 公園で野宿などしようものなら不審者扱いで通報されるか、ヘタすりゃ 逮捕だ。おまけにシエスタはメイド服のままで目立って仕方がない。 とにかく落ち着ける場所が必要だったが…生憎と使える金が無い。 シエスタは笑顔で「少しなら持って来ています♪」 と、大切そうに抱えた鞄の中から、少しばかりの銀貨を渡してくれた。 才人もポケットを探り…ありったけの金貨と銀貨を取り出した。 シエスタは驚いた顔でそれを見て 「才人さん、凄い大金を持ち歩いてるんですね」と言った。 しかしハルケギニアの金は日本では使えない…途方に暮れていた…。 「才人さん…そのお金…この世界では使えないんですか?」 「うん…残念ながら…使えない」 「なぁ相棒!思うんだけどよ!」デルフが口を挟んだ! 「俺ぁ、何度か鉄屑扱いで溶かされそうになった事があるんだが」 デルフが最後まで話し終わらないうちに才人は弾かれた様に歩き出した! 「お前、最高の相棒だよ!」 「おぅ、あたりめぇだぁな!」 シエスタは訳も分からず慌てて才人の後に続いた。 才人は金貨と銀貨を「貨幣」としてでは無く、金塊・銀塊として売った。 グラム当たりの価格、今日の金相場がどうとか色々な面倒はあったが、 なんとか現金を手に入れることが出来た。 その金額は2人でしばらく暮らすには充分すぎる金額で、高校生の持つ 金としては破格だった。正直、こんな大金になるとは思っていなかった。 とにかく安宿をと探す才人にシエスタは、出来れば「風呂」に入りたい と言い出した。学院の庭で入ったような「風呂」を体験したいと…。 さすがに銭湯の女湯にシエスタ一人を入らせるのは不安だったので、 仕方なく…大きな風呂付のラブホテルを利用することにした。 「ここですか?安宿でいいのに…まるで貴族用の宿じゃないですか!」 豪華な造りの外観に、シエスタは少々気後れしたような様子だったが、 ここなら余計な詮索もされず都合がいいんだ、という才人の言葉を信じ 手を繋いで一緒に派手なアーチをくぐった。 「ごめんくださいまし!お部屋をお願いしたいのですが…」 メイド口調でシエスタは大きな声でフロントに呼びかけた。 貴族の従者としての躾もされているシエスタにはごく普通の行為… しかし…ここはラブホテル…フロントから手が出て指を刺す。 その方向にはパネルがあり、空室の部屋のランプが点灯している。 状況を飲み込めず呆気に取られるシエスタにシステムの説明をする。 「便利な仕組みなんですね?!魔法みたいですね♪」 目をキラキラ輝かせているシエスタに、気に入った部屋を選ばせた。 やはり選んだのは「お風呂の大きな」部屋だった。 才人はとにかく落ち着けるなら、どんな部屋でも良かったのだ。 部屋に入りデルフをクローゼットに押し込むとソファに身体を投げ出した。 シエスタは終始大騒ぎではしゃいでいた。特にエレベーターに興味津々で、 扉が開くたびに違う世界にいける「どこでもドア」のように解釈していた。 「今日は疲れただろ?ゆっくり休むといいよ、後の事は明日考えよう」 「あ、あの…才人…さん」 「なに?」 「お風呂…一緒に…入りませんか?」 「え?で、でも、それって」 「あの、私、この世界の…お風呂の使い方とか分かりませんし…」 赤面する才人を尻目に…シエスタは何の躊躇も無く既に服を脱ぎ始めていた。 581 名前:ものかき ◆XTitdn3QI6 [sage] 投稿日:2006/10/01(日) 06 57 42 ID hzfqaHg4 『ルイズ&キュルケ』 部屋に戻ってもルイズは落ち着くどころか、眠る事さえ出来なかった。 どんなに振り払っても、頭の中に才人とメイドの情事が浮かんでは消え、 想像は妄想となり…顔が赤らんでいるのが自分でもハッキリ分かった。 「なに?なに?なんでこんなに気になるのよ?!」 使い魔のくせに!キスしたくせに!メイドのどこがいいっていうの? そりゃ、まぁ少しは胸が大きいかもしれないけど… 私だって…私だって…もう少しすれば、きっと…きっと… 無意識に自分の胸を触り…改めて大きな溜息…。ばっかじゃないの!? 魅力っていうのはね、胸の大きさだけで決まるもんじゃないんだから! 自分で言って、更に自己嫌悪に陥る… 揉めば少しは大きくなるかしら…前にキュルケがそんな事を言ってたわ。 恐る恐る…ゆっくりと自らの胸をまさぐり、揉みしだいてみた。 その時、ふいにドアが開きキュルケが顔を覗かせた。 「あら〜?お邪魔だったかしら〜?♪」 「キ、キュルケ!あ、あんた…の、覗いてたわね!」 「心配だから様子を見に来ただけよ♪そしたらお楽しみの真っ最中♪」 キュルケは悪びれずケロっと言ってのけた。 「出てってよ!」 「あらん♪ダーリンがいなくて持て余してるモヤモヤした気持ち…」 一呼吸置いた後、ゆっくりと艶のある声で言葉を続ける。 「解消する方法…教えてあげようと思ったのにぃ♪」 一瞬言葉に詰まり、やがてルイズは口を開いた。 「な、なによ?」 「あらん♪知りたいの?」 「き、聞くだけなら聞いてもいいわよ!」 「『教えてください』でしょ?」 「う、う〜…お、おしえてくださいぃ!これでいいでしょ?」 「その一言が聞きたかったのよ!ツェルプストー冥利に尽きるわぁ♪」 「いいから早く教えなさいよ!」 「はいはい、慌てないの♪」 キュルケは後ろ手に杖を振りドアに、かなり強固なロックの呪文を唱えた。 その瞬間ルイズは…あのキュルケに教えを乞うた事を激しく後悔した。 586 名前:ものかき ◆XTitdn3QI6 [sage] 投稿日:2006/10/01(日) 08 47 05 ID hzfqaHg4 『独り遊び』 タバサは部屋で静かに本を読んでいた。区切りの良い所でその本を閉じると、 彼女なりにルイズの様子を気遣い…風の魔法で部屋の様子をそっと伺った。 すると風に乗ってルイズの声に混じりキュルケの声が舞い込んできた…。 何事かと耳を澄ます…やがてそれが艶のある夜の宴の声だと分かるまでに、 そう長い時間は掛からなかった。 小さな頃から他人との交わりを避けてきたタバサは一人遊びに長けていた。 それはガリア王家の血筋ゆえなのかもしれない…。また違った意味で、 現ガリア国王ジョゼフも、一人遊びに長けた人物であった。 タバサは聞き耳を立てながら…幼い身体を自らの指で愛撫し、時には… 風の魔法で優しく撫で回し、あらゆる快感をむさぼった。 その指が下半身に至り、無毛の丘に辿り着き…緩やかな渓谷に触れる頃… そこは既に溢れんばかりの湖と化していた…。 「うっ…」 噛み殺したような声を出し、苦痛にも似た表情…普段なら絶対に見せない、 自分一人だけに許されるこの聖域だけで行われる行為であった。 キュルケには何度か求められた事もあったが、タバサは頑なに拒絶していた。 今は何よりも一人の時間が大切なのだ。 心身ともに…人と交わるにはタバサは、まだまだ幼く未熟なのであった。 そうして2度目の絶頂を迎えた頃…風の声も止んだようだ…。 タバサは気だるそうに下着を代えた後…静かに眠りに落ちていった…。 589 名前:ものかき ◆XTitdn3QI6 [sage] 投稿日:2006/10/01(日) 09 36 12 ID hzfqaHg4 『混浴』 確かにその風呂は大きかった! 学院の庭の片隅に大鍋を使い即席に作った風呂とは雲泥の差であった。 ジャグジー付きである、なんと照明まで付いている、泡風呂である! 才人自身こんな場所は初めてなのだが…シエスタの手前頑張ってみた。 そんな事してもシエスタも何も知らないのだから意味の無い事だけど、 何ていうか…男の本能がそうさせたのだ…たぶん。 「才人さん、これってどうすればいいんでしょう?」 「あぁそれはね、こうして捻るとお湯がココから…」 ドシャー!バシャバシャ!! 「あ、あの才人さん?違う場所から違うものが出てるみたいですけど?」 「あ、そうそう、こっちだった!」 ビシャー!ドバドバ!! 「キャ!つ、冷たい!」「あ、ご、ごめん!」 ダメだ…いくらガンダールヴでもラブホテルの装備じゃ全く意味が無ぇ〜。 何とかその場を取り繕い…浴槽にたっぷりのお湯を張り…シエスタを呼んだ。 「やっぱり大きなお風呂って凄いですね〜」 そう言いながらシエスタはバスタオルも巻かず産まれたままの姿で現れた…。 才人は目のやり場に困り、真っ赤になりながら浴室を後にしようとしたが、 シエスタにがっしりと二の腕を捕まれた!ふくよかな胸が直接腕に当たる。 「一緒に入りましょ♪って言ったじゃないですか」 「わ、分かったから…先に入っていて、後から行くから、ね?」 「約束ですよ、待ってますからね♪」 高鳴る胸の鼓動を抑えながら…一度浴室を後にした。 浴室からは「才人さぁ〜ん、まぁだですかぁ〜♪」と、声が…。 ここにはルイズもいない、告げ口する目撃者や覗き魔もいない、問題ない! 意を決した才人は服を脱ぎ…腰にバスタオルを巻きつけると浴槽の扉を開けた。 そこには浴槽に気持ちよさそうに肩まで浸かって幸せ一杯のシエスタがいた。 「才人さん、服を着たまま入るんですか?」 「あ、いや、これはバスタオルといって…服じゃなくて…えと…」 「恥ずかしいなら、私、後ろを向いていますから…どうぞ入って下さい♪」 そう言って後ろを向いたシエスタと背中合わせになる形で、才人は入った。 「久しぶりですね、一緒にお風呂なんて♪」 「また一緒に入れる事になるなんて、とっても嬉しいです♪」 そう言いながらシエスタは、こちらに向き直った。 屈託の無いキラキラした瞳で見つめられると…恥ずかしがっていることが むしろ恥ずかしいことなんじゃないかとさえ思える程だった。 「あの…才人さん…」「な、なに?」「お願いがあるんですけど…」 「抱きしめて貰って…いいですか?」 「え、で、でも…」 「才人さんの心の中にミス・ヴァリエールがいるのは承知しています」 「私…2番目でもいいんです。妾でもいいんです。」 「平民と貴族との関係なら、そういう事もあるって…ちゃんと知ってます」 階級社会の世界で育ったシエスタには、それはごく当たり前の事らしい。 事実、正妻の他に平民の妾を取る貴族の話は良く聞いていた。 シエスタをエロ貴族の魔手から救い出した事もあった。 なんて健気で一途なんだろうと思うと…とても愛しく思えてたまらなくなった。 気が付くと…唇を合わせ、激しく抱き合い、歯止めが利かなくなっていた。 608 名前:ものかき ◆XTitdn3QI6 [sage] 投稿日:2006/10/01(日) 13 34 39 ID hzfqaHg4 『使い魔の行方』 翌朝、ルイズは学院の誰よりも早く起きた! 実のところ一睡もしていなかっただけなのだが、真っ先に向かった先は… 「キュルケ!起きて!いつまで寝てんのよ!」 壊れんばかりにドアを叩き大声で怒鳴り散らした! しばらくするとカギの外れる音が聞こえ、ドアが開いた。 そこには大きく胸をはだけたままの姿で寝起きのキュルケが呆けていた…。 「何よぉ、こんな朝っぱらから?」 「こんなに早く起きるなんて…ルイズにしては珍しいじゃない?!」 一向に緊迫感の欠片も見せぬキュルケにルイズは苛立ちを感じた。 「そんなこと、どうでもいいじゃない!」 キュルケはルイズを嘗め回すように見た後、からかうように… 「アンタ、もしかして寝てないの?」 「そ、それが何よ?」 「昨夜の『あれ』じゃ…足りなかった?とか?」 ルイズは昨夜の出来事を思い出して顔を真っ赤に染めた。 「あら、可愛い♪」 「そんな事どうでもいいの!さぁ早く着替えて才人を探しに行くわよ!」 魔法を使いクローゼットから服を取り出し着替えながらキュルケは尋ねた。 「昨夜から探す探すって大騒ぎしてるけど、いったいアテはあるの?」 「な、ないけど…」「とにかく探すの!」「探さなきゃダメなの!」 キュルケは呆れ顔で 「まずタバサの所に行きましょ、シルフィードは必要みたいだから」 二人でタバサの部屋を訪ねると、いつも通り本を読んでいた。 「あのねタバサ…お願いがあるんだけど…」「…虚無の曜日」 「それは分かってるんだけど…」 相変わらずのタバサに頼み込み、シルフィードで王宮に向かう事にした。 国内の情報なら王宮の情報機関の耳に入るはず…というのがタバサの意見だった。 ルイズはアンリエッタ直属の女官という権限により、容易に謁見を許された。 「彼が消えた?」 「ただの外泊、朝帰りですわ…たぶん」と、キュルケがちゃかした。 「まさか…あの日蝕…」アンリエッタが呟くように言った…。 ルイズの顔色が青ざめた。 「日蝕、日蝕って?もうずっと無いはずじゃ?」ルイズの声が上ずる。 アンリエッタの側近が代わって報告書を読み上げた。 「昨日夕刻、タルブの東の空にて皆既日蝕を観測…との報告がありました」 「なにそれ?どういう事?」とキュルケ。 「一部の地域にだけ日蝕が?そんな事ありえないわ!」ルイズは困惑した。 「…虚無の干渉作用」タバサが静かに口を開いた…。 確かにタルブの空で虚無は発動した…その中心には才人もいた…。 同じ場所で…虚無の残り香のような物が作用した…?まさか? 「アルビオンとの戦闘の可能性は?」 「ありません」 メイドを乗せた才人なら、十中八九まず間違いなくタルブに向かうだろう。 そしておそらく… ルイズは急に目の前が暗くなり…その場に倒れこんでしまっった。 609 名前:ものかき ◆XTitdn3QI6 [sage] 投稿日:2006/10/01(日) 13 35 11 ID hzfqaHg4 『才人&シエスタ』 脱いだら凄いシエスタは健在だった。キスをすれば舌を激しく絡ませてくる。 風呂の中で才人は「胸は水に浮く」という、どうでもいい知識を身に着けた。 激しく抱き合っていた為に少々のぼせた二人は、続きはベッドでと風呂を出た。 私…とうとう才人さんのモノになるんだわ…少し怖いけど…でも…嬉しい。 先にベッドで待つシエスタの元に行くと、なぜかちょこんと正座をしている。 神妙な顔をして才人に向かい深々と頭を下げると… 「この度はお情けを承る事、光栄に存じます。末永く宜しくお願い致します。」 才人は一瞬ひるんだ!こ、これがあの世界での作法ってヤツなのか? 童貞の才人にとっては「この世界」だろうが「あの世界」だろうが初めてだ。 「こ、こちらこそ…よ、よろしく」と、当たり障りの無い返答をすると、 シエスタはいつもの表情に戻りニッコリ微笑みながら一言、 「やさしくして下さいね…初めてなんです…」と、すこし頬を染めた。 やがてベッドに横たわり…優しい口付けを交わし、体中にキスの嵐を…。 ルイズの数倍はあるであろう胸に顔をうずめ、優しく愛撫を始めた時… ふいにシエスタが聞いた。 「ミス・ヴァリエールとは…その、もう…したんですか?」 ふいに出たルイズの名前に一瞬動きが止まったが、更に愛撫を続けながら、 「いや、ルイズとは…まだしてない…」 「そうですか…『まだ』してなかったですか…」 「どうしてそんな事、今聞くの?」 「え、えと…それなら、私の勝ちかなぁって♪」 勝ち負けの問題なんだろうか?などと思いながら才人は攻め続けていた。 ややストレート気味のアンダーヘアーは柔らかく、まるで羽毛のようだった。 その奥の秘部に指が触れたとき…シエスタの身体がピクンと跳ねた…。 「あ、あぁ…才人さん…」 既にシーツを濡らすほどのシエスタの秘部に、才人はそっと漢の武器で触れた。 と、その時…大切な事を忘れていた事に気づいた。避妊である! 途中で動きを止め何やらゴソゴソ始めた才人に、シエスタが怪訝な顔で尋ねた。 「あ、あん、どうしたんですか?」 「あ、いや…避妊を、子供が出来たら困るでしょ?」 「どうしてですか?私、子供大好きですよ♪」 忘れていた…向こうの世界には「避妊」という概念すら存在していないのかも。 そういえばシエスタも8人兄弟の長女だって言ってたっけ…。 「いいんですよ、そのまま中でお出しになっても♪」 「責任とって下さいなんて言いませんから!」 「あ、でも、こっちの世界で暮らすから…責任とって貰わなくちゃですね♪」 「あ、えと、いや、その…」才人は…一気に萎えてしまった。 610 名前:ものかき ◆XTitdn3QI6 [sage] 投稿日:2006/10/01(日) 13 37 25 ID hzfqaHg4 『メイド服』 「昨夜はゴメンね」 「いえ、いいんです、気にしないで下さい♪」 結局、昨夜は「ルイズ」「責任」の言葉に撃沈、何も出来なかった。 一介の高校生には荷が重過ぎるですハイ!しかも今や身分証明はおろか、 住民票すらあるかどうか怪しいのに…子供抱えて生活なんてムリだよ。 ホテルのチェックアウト前にシエスタと今後の事を話し合ってみた。 まずは現在の平賀家の状況! これは電話か実際に覗きに行けばなんとかなるだろう・・・たぶんね。 次にシエスタのひいおじいちゃんの子孫探し。 戦争中の行方不明なら戦没者として記録が残っているかもしれないし、 残された家族(いたらの話だが)の子孫もいるかもしれない。 特に目的も無く歩き回っても仕方が無いので、当面の目標と決めた。 しかし…メイド服は思った以上に目立つ! 出掛けにメイド服に着替えようとするシエスタに聞いてみた。 「どうして今日もメイド服なの?もしかして着替え…無い?」 「いいえ、これは昨日とは違ったタイプです♪着替えもありますよ」 「えと…出来れば他の服にして貰えると嬉しいんだけど…」 「メイド服以外で…という事ですか?」 「まぁ、そういう事」 「なら、とっておきのお気に入りがあります♪」 着替える為に奥の部屋に入る後姿が妙に嬉しそうだった…。嫌な予感。 そして…その予感は見事に的中した! 才人の目の前でクルリと一回転!指を立てて「 お ま た せ ♪ 」 それは紛れも無くセーラー服だった。 「ごめんシエスタ…やっぱ、メイド服で行こう」 今日はとりあえず…シエスタに服を買おうと心に決めた才人であった。 と、次から才人&シエスタin秋葉原 ルイズご乱心! 678 :ものかき ◆XTitdn3QI6 :2006/10/02(月) 18 54 48 ID vBbTRVxw 『溢れる想い1』 ルイズが目覚めると、そこは見慣れない部屋だった…。ランプの明かりだけで、 周囲の様子までは窺い知れないが、布団はもふもふふかふかで肌触りが心地良く 上掛けはとても軽い。中身はガリア産の高級羊毛だろうか…羽毛かもしれない。 天蓋付きのベッドはささやかながらもいくつもの美しい装飾品で飾られていた。 枕元に見覚えのある「ぬいぐるみ」があった… 「これは、たしか…」 寝ぼけ眼をこすり我に返ったルイズは、初めて自分が何処にいるかを知った。 アンリエッタ姫殿下の…寝室。 弾かれるように飛び起きたルイズは、服を着ていないことに気が付いた。 姫様のお部屋なら、クローゼットに服の何着かはあるだろうと…開けてみた。 色とりどりの寝巻きに緊急用の指揮服、今のルイズには不必要なものばかり。 指揮服用の下に着るコルセットが、なまめかしいラインをかもしだしている。 「こ、これが姫殿下のスタイル…」特に胸の辺りが…見るだけで虚しい。 試しにちょっとだけ…とも思ったが、ここは王宮、しかも姫殿下の下着だ… 身に着けることなど恐れ多くて出来ようも無い。ムリな相談だった。 しかし「寝るときには下着を着けない習慣」を知ってか知らずか、ご丁寧に 下着まで無いのは困った。冷静になって良く見れば…今来ている寝巻きさえ 私の物では無い。いったい誰が脱がしたの?これ、まさか姫様の寝巻き? 「落ち着けルイズ…落ち着くのよ…」 ここが姫様の寝室なら…扉の外に女官の一人や二人は控えているはず…と、 真横に垂れ下がる「呼び鈴紐」の存在に気付かずに大きな声を張り上げた! 「誰か!誰かいるんでしょ?!お願い!」 その叫びが終わるか終わらないかの内に扉がバタン!と大きな音で開けられ 一人の人物が駆け寄ってきた。逆光で顔は良く見えなかったが、それがいったい 誰なのかはすぐに分かった。アンリエッタ姫、その人だった。 「あぁルイズ、私の唯一無二のお友達!ルイズ・フランソワーズ!」 「よかった、よかった、目が覚めたのですね!」 「あ、あの姫殿下…これは…」 「いやだわルイズ、そんな堅苦しい言い方しないでちょうだい」 ルイズは「恐縮ながら」と付け加えた後、状況の説明をアンリエッタに求めた。 679 :ものかき ◆XTitdn3QI6 :2006/10/02(月) 18 55 25 ID vBbTRVxw 『溢れる想い2』 自分が倒れた後、キュルケとタバサが姫殿下の寝室に運んでくれた事。 姫殿下たっての希望により、自らの寝室の使用を周囲に進言した事。 その際「いつも脱いで寝るのよ」とキュルケが手際よく服を脱がせた事。 (姫殿下はルイズが下着を付けず寝る事など百も承知で驚きもしなかった) 二人は既に学院に報告がてら戻っていて、そのまま報告を待つという事。 そして最後に一番重要なこと…。 私が勝手な行動を取らない様に王宮内に留めて置くよう配慮したという事。 「ルイズ…ごめんなさい。今のアナタは…」 「分かっています、御前で取り乱し醜態を晒した事、深くお詫び申し上げます」 ゆっくりひざまづき深々と頭を垂れた。 「いえ、構いません、さぁ昔のように隣に座って、少しお話しましょ」 「そ、そんな」 「ここは私の寝室、他には誰もいません。何の為にここで休ませたと?」 「で、では失礼します」 とにかく頭を冷やして落ち着こう。王宮なら情報の第一報が真っ先に届く。 姫殿下も調査団を組織して現地調査や情報収集の指示を出してくれたらしい。 「国を上げての大騒ぎになっちゃたじゃない…」「ふぅ〜あのバカ犬…」 大きな溜息を一つ付くと…ぱふ!とアンリエッタの隣に腰を下ろした。 「そういえば…」談笑を始めたアンリエッタを尻目に、ルイズの頭の中は 才人の事で一杯になっていた。 「寂しいのですね…?」ふいの言葉に驚いた。 「え?えと…何がでしょう?」 「隠しても分かります…好きなんでしょ?」 何とも姫殿下らしい極めて的確な的を射た物言いである。 「あ、あれはタダの使い魔で、好きとかそういうんじゃなくて…」 「そ、そりゃキスもしたし…その…色々あったけど…別に…」 自分でも顔が赤くなっているのが分かる、余計なことまで口走っている。 「私、使い魔さん…だなんて、一言も言いませんでしたよ♪」 いたずらっぽく笑うアンリエッタに、ルイズはますます恥ずかしくなった。 「大丈夫、心配ありません。だって…彼はルイズ…アナタの使い魔なのでしょ?」 真っ直ぐな瞳に見つめられ…ルイズは硬直した。 「羨ましいわ、でも少し寂しい…まるで大切な人を奪われてしまった様…」 「ひ、姫様は…いつまでも何があっても私のお友達であり理解者で…」 その言葉が終わらない内…ルイズの唇はアンリエッタの唇によってふさがれた。 「ひ、姫さ」「黙って、お願い…今だけ」 アンリエッタのしなやかな指の動きに反応したランプは、その灯を消し去り、 部屋は暗闇に包まれた。 680 :ものかき ◆XTitdn3QI6 :2006/10/02(月) 18 56 29 ID vBbTRVxw 『シエスタin秋葉原』 「才人さん、ここがアキバララという街ですか?」 何を見ても、何をやっても、全てに興味を示すポジティブ・シエスタ! とにかくどこに連れて行っても目立つ。衣装だけではない…スタイル抜群、 顔も可愛い、声も可愛い…ここまできたら目立たない方がどうかしている。 むしろおかしいとも言える。 昨夜のラブホテルからのチェックアウト、朝っぱらから流石にセーラー服で 街を出歩かせる訳にもいかず…仕方なく標準装備のメイド服にした訳だが、 メイドがいても違和感が無く一番目立たない…という事で、秋葉原に来た。 それでも「挙動」という面では充分すぎる程に目立っているシエスタだった。 「こんなにお店が沢山!城下町でもこんなに大きくないですよ♪」 町の小さな商店街を「お祭りみたい」と称したシエスタである。 秋葉原大通りは想像をはるかに超えた街並みに見えている事だろう。 幸い休日で、大通りは歩行者天国になっていた…一安心。 「あの、才人さん、歩行者天国って何ですか?」 エンジンで走る自動車が道に入れず、人が安心して往来出来る日だ。と、 簡単に説明をすると 「素晴らしい♪貴族の馬車も避けずに自由に道を歩いても良い日なんて♪」 まぁ、解釈としてはそんな感じでOKですハイ。 電脳都市(古)秋葉原…ここならネットから色々と調べる事が出来るだろう。 シエスタを連れていても不審者扱いで通報される事もあるまい…って? あれ?シエスタ?ど、どこ?? 「はい、そこで笑顔お願いしまーす」「振り向きポーズいいですかぁ?」 「こっち視線お願いしまーす」「ちょい胸を強調して貰ってもいいかな?」 シ、シエスタさ〜ん…お〜い、何をしているのかな〜? 「あ、才人さん、この方達がシャシンと言うものをとりたいとかで…」 「あ、すいません、くるっと回転お願いしま〜す!」 「はぁ〜ぃ♪」くるくる〜人差し指を立てて「お、ま、た、せ、♪」 周囲から一斉に 萌え〜♪萌え〜♪ の大合唱…。 「良く分からないんですけど、ポーズをお願いしますと言われたもので…」 「あの…いけなかったでしょうか?」 いや、いけないでしょうか?というより…むしろイイ!なんだけど、いや、 今はそういう事じゃ無くて…。俺と離れて迷子になったら困るでしょ? 「あ、すいませんでした」 ちぇ、もうお終いかよ…と言いながら散っていくカメラ小僧…その中に、 妙にローアングルから撮っていたヤツを見つけ…蹴り一線で取り押さえた。 珍しくデルフが口を開いた…「相棒よ、おめぇ、女絡みだと強ぇなぁ」 そういうとカタカタと震えた、どうやら笑ってるらしい。 気弱そうなカメラ小僧は「ごめんなさい」を繰り返していた。 「今まで撮ったヤツ…」全部消せ!と言いかけて… 「そうだ、シエスタ、一緒に写真を撮ろう!」 カメラ小僧にシエスタとのツーショット写真を撮らせ、近所の写真屋に行き、 その場で今まで撮った写真を全てプリントさせた後、メモリーを消去させた。 ツーショット写真はルイズに見られたら面倒だから、シエスタにあげよう… シエスタは貴族の肖像画よりも綺麗でそっくりだと感心していた。 しばらくして、二人の写真は家宝にしますと鞄の奥に大切そうに仕舞い込んだ。 残りのパンチラ写真は、もちろんしっかりと才人の所有物となった。しかし… もう二度と戻らないであろう世界にいる、ルイズの事をまだ考えている… そんな自分に少し戸惑いを感じていた。 681 :ものかき ◆XTitdn3QI6 :2006/10/02(月) 18 57 03 ID vBbTRVxw 『ショッピング』 さぁとにかく服を買いに行こう! 「私、この服で何の不自由もありませんよ?無駄遣いは勿体無いです」 「それに…」「皆さんも同じような服装みたいですが?」 しまった秋葉原は逆効果だったか?見渡せばコスプレで溢れかえっている。 「あ、あれはね…個人の趣味嗜好の産物というか…特殊なというか…」 あ、あれ?シエスタ?シエスタさ〜ん?また消えてるしぃ〜。 この世界に警戒心の欠片も無い彼女は、少し目を離すとすぐに消えてしまう。 まぁ幸いな事にシエスタの方からは才人の姿を常にロックオンしているらしく、 そのまま見失い、はぐれてしまう様な事は一度も無いのだが…。 「才人さ〜ん、こっちですぅ〜!こっち〜!」 見ると狭い横道を入った奥で数人のメイド姿の子達と談笑しているではないか。 「へぇ〜アンタ面白いね〜それってサイコーだよw」 「メイドたるもの、そのような言葉遣いは感心できません!」 「いいのいいの、アタシ達…今は休憩中!お昼休みなんだからさ〜」 「そ、それでも、そんな醜態をこんな往来で殿方に晒すなんて!」 「かったいこと言わないの♪アンタドコのお店?そんな厳しいの?」 お世辞にも談笑と呼べる物では無かった。休憩中のメイド喫茶の店員達に、 シエスタが腰に手を当て胸を張り、しっかと睨み説教の真っ最中だったのだ! え、えと…シエスタさん…いったい何をなさっているので…? というか、出来るだけ現時点でのトラブルは避けたいところなんですが。 3人組のリーダー格と思われる髪の長い女性がすっくと立ち上がって言った、 「この子アンタの連れ?っていうか店外デート?」 「あ、いやまぁ…そんな感じで」 するとケラケラと腹を抱えて笑ったかと思うと残りの2人に向かって言った、 「少しは見習ったほうがいいかもね!この子ってば最高だよ♪」 そして耳元で…アンタは見る目がある、この子は大当たりだ…と囁かれた。 シエスタはまだ納得し切れていない様子だったが、別れ際に三人に挨拶され、 それがとても丁寧で、シエスタが教えた通りの儀礼だったので上機嫌になった。 後に「まるでメイド長になったみたいでした♪」とその時の感想を述べた。 まずは服だ…目立つのは良くない、派手過ぎず地味すぎず…と思った所で… あぁ無理だ、万年童貞・出会い系にまで手を出した俺に、女性の服を選ぶ… そんなセンスがあるわけがないじゃないか。 シエスタはキョロキョロと興味津々で見ている、何の躊躇も無く店内に入る。 え?ま、まさか…こ、ここは?噂のアニオタの聖地と呼ばれる店なのでは? 思った時には時既に遅し…シエスタは店内の巡回コースの流れに乗っていた。 いきなり現れたメイドに店内は騒然としていた!いや、メイド自体は珍しく無い。 ここは秋葉原だ。しかし、このメイドは一癖も二癖も違っていた…。 魔法少女やエロフュギア、果ては着ぐるみ系までも「可愛い、着てみたい」と、 なんとも嬉しい…いや、困った事を言い始めたのである。 どうやら秋葉原のコスプレ系衣装がお気に召された様である。 「ほら才人さん!私にプレゼントしてくれたセーラー服も売っていますよ♪」 一斉に周囲の視線が突き刺さった!い、痛い…。 才人は慌ててシエスタの手を引くと…店を後にした。シエスタの希望を聞き、 結局「ドン・キ・ホーテ」で「セーラー服っぽい」無難な服を購入した。 その足でネットカフェに立ち寄り、戦没者名簿を調べることにした。 大き目のペアシートの個室を取り、今夜はここで一晩を過ごすことに決めた。 「慣れないせいか…なんかスースーしますね♪」 着替えを終えたシエスタが呟いた…あれ?以前にも似たようなセリフを…。 才人はある言葉を…反芻していた 『意地悪だわ…わたし、貴族の方みたいにレースの小さな下着なんて…』 『持ってませんもの…それなのに、こんな、短いスカートをはかせて…』 小さな下着なんて…小さな下着なんて…小さな下着なんて… 持ってませんもの…持ってませんもの… 服のことに夢中で…し、下着…買ってなかった…。 才人の心を見透かしたように…シエスタはスカートを少したくし上げ… 「確認してみますか?」と、頬を赤らめながら囁いた…。 682 :ものかき ◆XTitdn3QI6 :2006/10/02(月) 18 57 38 ID vBbTRVxw 『競艶』 灯りの消えたアンリエッタの寝室… 押し殺すような小さく艶のある声が響いていた… 「ひ、姫様…そんなにされると…こ、声が、声が出てしまいます…」 「構わないわ、私の可愛いルイズ…この部屋には誰も来ませんもの…」 「で、でも扉の外には…女官が控えて…聞こえてしまいます…」 「聞かせてあげたら良いのですわ…黙するのも女官の役目…」 「で、でも…」 「愛しいルイズ…ここでは…案ずることは何も無いのですよ…」 ルイズはアンリエッタのされるがままだった…元より姫殿下に逆らうなど、 抵抗することなど出来ようはずがなかった。 「ルイズは感じやすいのですね…」 「そ、そんなことは…あ、ありません…」 アンリエッタが産毛のような柔らかいピンク色の薄い茂みをかき分けると、 そこは既にシーツに地図を描くほどに潤っていた…。 「あん、姫さま…」「あぁ可愛いわ…ルイズ…とっても…」 ルイズの幼い渓谷に指を滑らすと…中指を軽く中央に差し入れる… その瞬間ルイズの身体が大きくうねり、そして背中をのけぞらせた。 「もう…こんなに…」 ふいに目の前に差し出された指を、一度摘む様にしてから広げると… ルイズの体内から分泌されたその体液は…長く糸を引いた。 「姫さま…恥ずかしい…」ルイズは真っ赤になり両手で顔を覆った。 その手を強引に払いのけ…アンリエッタは唇を重ね、下を絡ませた。 無意識にルイズも…アンリエッタの下腹部に手を伸ばしていた…。 既にアンリエッタは下着を着けてはいなかった… ゆっくり恐る恐る手を伸ばす…その様子に気づいたアンリエッタが、 「構わないのですよ♪さぁ一緒に…」 太股に触れるとそこには溢れる体液が…涙の跡のごとく通り道を作り、 それは既にシーツにまで達して、ルイズと同じ様に地図を描いていた。 「ルイズ…アナタと私は…何も変わらない…ただの…女…」 「さぁ…」 ルイズは促されるままに、黒いふかふかな森をかき分けアンリエッタの 秘部に指を這わせる…。 一瞬ひざをガクンと落とし、そのままルイズに覆いかぶさった…。 「ご、ごめんなさい、初めてだったもので…ケガは無かった?」 「いえ、姫さま…大丈夫です」 「もしかしたら…刺激が強すぎるのかもしれませんね…」 ルイズはおずおずと…言葉を選びながら精一杯の提案をした。 「あ、あの…姫様…お、お互いに…舐める…と言うのは…」 アンリエッタの目が輝いた! 「それ、そうしましょう!舌先なら刺激も弱いし柔らかいし…」 そう決めると2人は身体の向きを入れ替え…互いの股間に顔を埋めた。 アンリエッタは『ディティクト(探知)マジック』と『ロック』の呪文を 改めてもう一度掛け直した…。2人の競艶は明け方まで続いた…。 29 名前:ものかき前スレ『競艶』の続き投下 ◆XTitdn3QI6 [sage] 投稿日:2006/10/03(火) 01 08 48 ID Sfuo01+Y 前スレ『競艶』の続き投下 『確認1』 才人は激しく動揺していた…。「確認してみますか?」確認するまでもなく、 それを履いてない事は、火を見るよりも明らかであった。 「い、いいの?」実に間の抜けた童貞丸出しのセリフである…。 「ですから、才人さんが見たいと言ってくれれば…私はいつでも…」 スルスルとたくし上げられるスカートに目を奪われ、頭の中が沸騰し掛けた時、 予想外の出来事が起きた!シエスタが半ば強引に唇を重ね…舌を絡めてきたのだ。 視線を太股に集中していた為に不意打ちを喰らった形の才人は呆然とした。 長い…長い…気の遠くなるような…永遠とも思える時間のキス…時が止まる。 長いキスの後…シエスタは「ぷはぁ♪」と息をつきながらやっと唇を離した。 「てへ♪もうディープ・キスは完璧にマスターしちゃいました♪」 上気した顔でニッコリ笑い、おどけて見せるその仕草はとても可愛かった。 「あの…シエスタ。ここはネットカフェといって、壁も薄いし、天井も…」 「私、村娘ですから♪気にしません♪」「あ、いや…そうい事じゃなくて」 「そうですね…ちょっと狭いかもしれませんね〜♪」 30 名前:ものかき ◆XTitdn3QI6 [sage] 投稿日:2006/10/03(火) 01 09 44 ID Sfuo01+Y 『確認2』 2人きりになるとやたらと積極的なシエスタである。 「では…こういうのはどうでしょう?」 と言うが早いか…シエスタの手が才人の股間に伸び、ベルトを器用に外す。 いつの間にこんな技を…と思った頃には漢の武器が引きずり出されていた。 「シ、シエスタ?!」 「大丈夫です、弟達のなら何度も見た事がありますし…」 「ただ…こんなに大きくて…硬くなったモノを見るのは初めてです」 「無理しなくていいんだよ…」 「いいえ、大好きな才人さんのモノですもの♪」 そう言いながら、拙い手つきで…とても愛しそうに優しく握りしめた…。 「どうすれば殿方が喜んでくれるのか…最低限の教育は受けているんですよ」 それは貴族の家に売られたり…そういう時の為なんだろうか? 階級社会で生き残る為に仕方ない事なんだろうか? 少し考え込んでいる風の才人の表情を読み取ったのか…シエスタは言った。 笑顔で振り返り…「花嫁修業だと思ってください♪」と。 手でしごいた後、少し口に含み…また手でしごく…。やがて胸をはだけて… その豊満な胸の間に挟みこんで刺激を与える…。唾液で濡らす…。 体中の血液が下半身に集まるのを感じながら…方手でシエスタの股間に触れた。 一瞬動きがピクリと止まったが…まるで競争でもするように刺激を増してきた。 シエスタの股間は日本人のそれと変わらず(と言っても才人は童貞だが)・・・ 指を動かす度にクチュクチュという湿った音が聞こえた。 シエスタは『先にイカせた方が勝ち』とばかりに一心不乱にしごき続ける…。 やがて才人は自らの限界を悟ると、素直にシエスタに告げた…。 「外に出すと汚れてしまうので…このまま口の中へどうぞ…」とだけ言った。 その言葉に後押しされた才人は…最上の快感の中…シエスタに放出した! それを搾り出すように、吸い出すようにシエスタは残らず飲み込んでしまった。 少しの間…余韻を楽しみ…お互い寄り添い、体温を確かめ合う…。 シエスタはグッタリとしている…このまま寝てしまうのかな、と思った時… 薄いレースのハンカチで軽く口の周りをぬぐうと、神妙な顔でこう言った、 「今宵はお情け…確かに頂戴致しました。有難う御座いました…」 「あ、えと、いえ…お粗末様でした」 あ〜やっぱり俺はバカだぁ、こんなセリフしか言えないなんて最低だ。 「才人…さん?」「え?」「私…どうでしたか?上手に出来ました?」 「と、とっても!凄く気持ち良かったよ!うん、最高!」 最高も何も…童貞じゃないか…これが始めてなんだから、そりゃ最高だよ。 そこまで思って考えた…そういやシエスタも初めてだったんだよな…。 「なぁシエスタ?」「はい?何でしょう?」 「え、えと…シエスタはどうだった?」 すると急に顔を真っ赤にしてうつむきながら消え入りそうな声で呟いた… 「大好きな才人さんの指でしたし…恥ずかしいけど…実は…二度も…」 それ以上は才人の胸に顔を埋めたまま、ただモジモジするだけだった。 しばらくすると、やはり疲れが出たのだろうか…寝息を立て始めたので 備え付けのソファに寝かせ上着を毛布代わりに掛けた。 才人はシエスタを起こさないように注意しながらパソコンの電源を入れ、 検索を始めた・・・「海軍少尉」「佐々木武雄」 32 名前:ものかき『確認』の次 ◆XTitdn3QI6 [sage] 投稿日:2006/10/03(火) 01 10 56 ID Sfuo01+Y 『事実』 朝は早かった!やはり…シエスタはそのように教育されているらしく、 「殿方より遅く起きるなどもってのほかです!」と言い放った。 どうせ慌てる事も無いのだから、ゆっくりすればいい。と言っても、 一向に聞き入れてはくれなかった。 ネットカフェの厨房に入り自分で朝食を作ると言い出したのには困ったが、 電子レンジ調理品やファーストフード系の物しか置いて無かったらしく、 不服そうな顔をしながらも、やがて諦めて戻ってきた。 トレイには飲み物とハンバーガー・ポテト、いわゆるモーニングセット。 「才人さん凄いんですよ!こう押すと甘い水が出てくるんです!」 「それに、冬でもないのに氷が沢山あるんですよ!」 「貴族のお屋敷にだって、こんなにすごい仕掛けはありませんよ!」 興奮気味に息せき切って話すシエスタは、まるで小さな子供の様だった。 ハンバーガーを器用に食べるシエスタは意外だったが、ハルケギニアにも 似たような食べ物はあるという話だった。ストローの使い方を教えると いたく感動していた。同様に熱いスープを飲もうとして火傷しかけた事は、 シエスタの名誉の為に、ここだけの秘密にしておこう。 早々に朝食を腹に押し込むと清算を済ませ、また街へと繰り出した。 清算時にメイド姿の少女に「昨夜の宿代の清算をお願いしたいのですが…」 と言われ、戸惑う店員が滑稽だったが…シエスタは気にも留めなかった。 今日はシエスタの下着を買うことも忘れないようにしないと…と再確認。 「まずは、今日は実家に連絡してみようと思うんだ」 「才人さんの、ご実家ですね?直接行かないんですか?」 「昨日調べてみたんだけど…無いんだ…」 「無い?」 「たぶん…引っ越したか…良く判らないけど、見つからない…」 「とにかく電話して…それから考えてみるよ」 シエスタには電話の仕組みが理解出来なかったが、遠くの人と話せる、 そんな便利な仕組みがこの世界には有る…と、それだけは判ったらしい。 探すと意外と見つからない電話BOX。しばらく歩いた後、大通りに面した 少々騒音でうるさい場所だが、やっとのことで電話BOXを見つけた。 シエスタと一緒にBOXに入り、緊張しながら自宅の番号を押す… しばらくの無音の後…呼び出し音…番号は生きている! 1回2回3回…出ない、、、平日だからか?いやそれなら母親が… 4回5回…『プッ』と小さな音がした!繋がった!誰かが出た! 『も、もしもし・・・』 『何?悠二?』 『あ、えと、才人だけど…』 『はぁ?何言ってんのよ?!悠二でしょ?』 『いえ、平賀才人と…』 『自宅にイタ電してど〜すんのよ!大体どこまでメロンパン買いに行ってんの?』 『あ、いや、だから…』 『駅前のパン屋って言ったでしょ!』 『あ、あの…話を…』 『ちゃんとモフモフのカリカリを買ってくるのよ!』 『もしも〜し?』 『メロン果汁入りは邪道だからね!ちゃんと網目模様があるヤツね!』 『聞いてますかぁ〜?』 『じゃ、早く帰ってきなさいよね!』 『は、はぁ…』 『待ってるんだから!』 「ガチャン!ツー・ツー・ツー・ツー…」 どうやら現在の我が家にはルイズの分身が住み着いてしまっているらしい…。 「才人さん…?」 「あ、大丈夫!大体…こんな予感はしてたから…あはははは…はぁ〜」 まぁ、仕方ないか…。向こうの世界に行ったときに一度は諦めた事だし。 あいも変わらず順応性が高いのか、諦めが早いのか、楽天的な才人だった。 (しかし…俺、メロンパン…買わなくてもいいんだよなぁ?) などと思いつつ、とりあえずシエスタの下着を買いに行くことにした。 33 名前:ものかき『事実』の次 ◆XTitdn3QI6 [sage] 投稿日:2006/10/03(火) 01 11 56 ID Sfuo01+Y 『試着』 ランジェリーショップ…才人とは全く無縁の場所…のはずだった。 しかしシエスタをこのままノーパン・ノーブラのままというのはまずい。 個人的には嬉しいが…道徳的?世間の目?いや才人の理性の為にだ! 店頭に並ぶ色とりどりの下着にシエスタは目を丸くして驚いていた。 「こんな貴族の方がお召しになるような…こんな高価な物、私には…」 この世界では普通に誰もが着用していると説明するが、信じてくれない。 仕方が無いので店員にお願いする事にした。 元よりワゴン売りの安物ではシエスタの胸を収める事が適わなかった。 一通りの説明を受け、何とか納得した様子のシエスタに下着を選ばせ、 専門の店員に着けて貰う。(フィッティングというらしい) 一着付けるごとにカーテンを開け「才人さん!これ、どうですかぁ」 と、周囲の視線を釘付けにするシエスタであった。 「これなどいかがでしょう?まぁお似合いですわぁ♪」 売り子の常套句だと分かっちゃいるが、俺にだって下着の良し悪しなど 判るはずも無い…せいぜい布面積と色くらいなもんだ。 「じゃ、そこで一回転して見せて下さいますか?」 え?おいまて!一呼吸置いて…予想通りカーテンの中から 「お ま た せ ♪」の声が。 店員の絶句する姿が目に浮かぶ…条件反射か?条件反射なのか? かくして一週間分という事で7セットを購入。 先がまだ見えない現状では、最低限のもので我慢して貰うしかない。 さて…買い物が済んだ所で午後の予定を話し合う。 「シエスタ…次は、ここだ!」 才人は小さなメモの走り書きを見せながら言った! 「才人さん…ここって!」 「才人さん…私…」 「どうしたの?嫌?怖い?」 「いえ、そうじゃなくて…」 才人は首を傾げた…どうしたというのだろう?シエスタらしくもない…。 『才人さん…私…その…字が読めませんので…』 才人はその事をすっかり忘れていた。 『研究成果』 コルベールは王宮から直々の呼び出しを受け、才人達の失踪の原因を究明すべく、 尽力すべしとの命令を受け、王宮内の一角をあてがわれ研究を進めていた。 才人がいない今、零戦の事に一番詳しいのは彼一人しか居なかったし… 日蝕時の異世界移動の仮説を立てたのは、他の誰でもない彼であったのだから。 彼は日蝕の起こる仕組みから、太陽を隠す「影」の存在の関連性を検証した。 そして突発的に起こった日蝕の原因を調べるにあたり、どの系統にも属さない、 すなわち「虚無」の与えた影響に行き着いたのである。 アルビオン艦隊の先遣隊が現れた日、あの日あの空で起こった「虚無」の発動。 魔法を構成する粒子…それを構成する更に小さな粒子…それがあの空に舞った! 余りにも巨大で…拡散し漂い続けたその粒子はやがて太陽に影を落とした…。 偶然の出来事ではあっただろうが、理論上はそれを再現する事は可能だろう。 研究の成果をまとめ、彼は報告に向かった。 「ですから影を作り出せば良いのです!」 コルベールは自分の研究成果を興奮しながら会議室で熱弁していた。 「つまり、大きな光は…同時に大きな影を作り出すのです!」 少し落ち着いて…という仕草でコルベールを制したアンリエッタが言った。 「虚無の魔法を使って日蝕を作りだせば、異世界に行けると言うのですね?」 かしこまった口調でコルベールは訂正を加えた… 「擬似的な日蝕です。しかし先日観測された物も同じ現象と考えます」 それから「しかし…」と言葉を続け 「あくまでも彼が異世界に行った…という前提での話ではありますが…」 少し語調を弱め「その確証までは、私にも判りかねます…」と加えた。 今までコルベールの話はチンプンカンプンとばかりにイラついていたが、 要するに…という段になり、それなら話が早いとばかりにルイズが言った! 「行ったのよ!間違いないわ!」ルイズは小さな胸を、精一杯張った! 「アイツは行ったの!異世界に!間違いないの!だから…行くの!」 コルベールは確信に満ちたその表情に迫力負けしながらも進言した… 「しかし何の保証も無いんですよ、ミス・ヴァリエール」 「保証なんてどうでもいいの!とにかく行くの!絶対に見つけるの!」 ルイズの決意には一点の曇りも見られなかった…。 コルベールは少し呆れたようにコホンと一つ咳払いをすると言った… 「実を言いますと…ひとつ…問題があります」 (ここで短編に書いたカトレアのエピソード。エロ追加書き直しあり) 『カトレア』 カトレアは窓の外を眺めていた… 優しい日差しは庭の木々を照らし…時折り吹く心地良い風がその葉を揺らしていた。 どこからか羽音が聞こえたかと思うと一羽のつぐみが窓枠の隅に舞い降り… …しなやかな動きで差し出した指先を、そっと優しいキスをする様に啄ばんだ。 「あなた…まだみんなのところに戻っていなかったの?」 カトレアは少し悲しげな顔で尋ねた。 「そう…でも、帰らなくてはいけないわ…きっと…あなたを待ってる…」 「私なら…大丈夫」そう微笑みかけると… ツグミはクイっと小首を傾げた後…木漏れ日の中へと姿を消した。 午後の日差しはカトレアには強すぎ、散歩は専ら早朝か夕刻に限られていた… それでも遠出は出来ず、せいぜい庭先が今のカトレアの世界の全てだった。 その日も夕刻になってからの外出だったが…二頭立ての馬車で少し遠出を… というのがカトレアの思惑だった。夕刻に湖畔に水を求めて集まる動物達… 目的地は領地の外れにある小さな湖。時折りそこで動物達と戯れることを とても楽しみにしていた。 その日はいつもと様子が違っていた…湖の辺が何やら騒がしい…動物達が… あの子達の怯えた声が聞こえる…。 馬車を止め、馬達に「いい子で待っていてね」と伝えると湖畔へ向かった。 するとそこには自分の背丈の2倍はあろうかという竜の姿が、夕日を背に 黒いシルエットを描き出していた…。 なるほど…みんなそれで怯えていたのね…。 恐れるそぶりも無く竜に近づくカトレアに、隣にいた男が声を発した! 「いけません!なだめすかしてはいますが、今は危険です!離れて!」 初対面のしかも男性相手で戸惑ってはいたが、動物の事なら話は別である。 それでもカトレアは、おずおずと言葉を紡いだ。 「その子、怯えています…それに、右足に怪我を…」 男は驚いて竜の右足を見た!「あ、いつの間に…なんでお前言わないんだ?!」 「主人に余計な心配を掛けたく無かった…そう言っています」 「言葉が判るのですか?」 少し戸惑いながらもカトレアは正直に話した…動物達と会話が出来るのだと。 男はカトレアの前に膝を付くと、仰々しく言葉を継げた。 「恐れながら私も同じく動物の気持ちがわかるのです」そして… 「しかしながら私はメイジではありませんので治癒の術を持ちません…」 そこまで聞いたカトレアは…メイジでもないのに竜を操る男に興味を持ったが、 治癒が先決とばかりに「わかりました、では私が…」とだけ言った。 竜の足の治癒が終わった頃には、もうすっかり日は落ちていた。 「感謝致します…ミス…」 「カトレア…カトレアです」 「感謝致します、ミス・カトレア」 「とても、お美しい方だ…妖精に出会ったかと思った程です…」 良く見れば端正な顔立ちのその男は左右の目の色が違う「月目」であった。 初めてその顔を正面に見たカトレアは…頬を染めた…胸の鼓動が高鳴った。 いつもの気分が悪くなる兆候とは明らかに違っていた… 見詰め合ううちに自然と近づき、やがて寄り添い…そして… 月明かりに2人のシルエットが重なり、いつしか抱きしめ合っていた。 「今は軍役に付いていますが…私はロマリアの神官で…平民です」 貴族と平民の恋の行方は誰もが知っている。叶わぬ恋、辛い別れ…。 「…構いません…」消え入りそうな声でカトレアは言った。 その直後、彼女の唇は塞がれた…。 湖畔の大木にもたれかかり激しく求め合う2人…月明かりは淫靡な影を 足元に落としていた。 「服が…汚れてしまっては…困ります…」と、懇願するカトレア。 「大丈夫です、私の言うとおりに…」 胸のボタンを器用に外し…優しく手を滑り込ませる…初めての刺激に 「あ…」と思わず声が漏れる。 程よく育った胸を揉みしだき乳首に刺激を与え、時折り口付ける…。 「いつもより…」と思わず口走り、ハッとして口を押さえるカトレア! 「いつも?いつも…どなたと?」と子供のような目で尋ねる… 「だ、誰とも…初めてですもの…」と顔を真っ赤にしながら答える。 「一人で…慰めておられたのですね…」 図星を指され更に顔を赤くする。その隙に乗じてワンピース型の服を するするとたくし上げ下着に手を掛ける…。 「そ…それは…いけません…そんな…」 言葉とは裏腹に充分に濡れた陰部はクチュクチュと音を立てて泣いた。 大木に両手を付き、桃のような尻を突き出した形のカトレアは… 後ろから受け入れた…。服が汚れないようにとの配慮であったが… まるで動物の交尾のような体位での行為にカトレアは興奮していた。 頭の中は淫靡な行為に没頭し、痛みなど感じる余裕すら無かった。 月目の男が果てる頃には、自ら腰を振り…自分でも信じられ程に、 「もっと…もっと…」と喘いでいた。 動物達の交尾は何ども見た。興味が無かったと言えばウソになる。 寂しい夜は…一人で慰めていた、何度も、何度も、何度も…。 でも今は…暖かい、心を通わせた人と…。 カトレアは今までに感じたことの無い程の幸せを感じていた。 熱い抱擁、口付けを交わし、別れを惜しみながら… カトレアはあまりに夢中で…大切な事を忘れていた事に気付いた。 竜にまたがり飛び立とうとする男に向かいカトレアは尋ねた… 「あの、あなたのお名前は?」 「これは大変失礼しました、すっかり忘れていました」 「急ぎますゆえ竜上より失礼致し…」言葉尻を遮ってカトレアが言う、 「構いません」 「私の名はジュリオ!ジュリオ・チェザーレと申します」 そう告げると一瞬で竜は虚空に舞い上がり見えなくなってしまった。 その男の目は両眼の色が違う、いわゆる月目であった。その月目の様な 二つの月に照らされた小道を馬車に向かって歩きながら呟いた… 「ほんと…動物と話し、竜の心を読んでいるのね…」 竜で飛び立ったジュリオは名残惜しそうに湖畔を眺めていた…。 「また逢えるさ、きっとな!そんな気がするんだ。さぁ行こう」 ジュリオはカトレアに運命的な出会いを感じていた。 そしてカトレアもまた同様に、これを運命的な出会いと確信していた。 そう…まるでルイズと才人の出会いのような。 『都会での出会い』 「才人さん!ここでしょうか?」 そこは大きなマンションの入り口だった。インターホンで呼び出して、 施錠を解除して貰うタイプの、まぁそこそこ立派な建物だった。 「住所はココであってるはずだよ、いるといいんだけど…」 2人は零戦の戦没者・行方不明者の名簿からその子孫を探し出していた。 『吉田一郎』それがあの零戦パイロットの孫に当たる人物であり、 ここの住人の名前だった。シエスタの遠い異世界の親戚でもある。 「ところでシエスタ?」 「はい?才人さん、何でしょう?」 「今朝のネットカフェでも思ったんだけど…どうしてメイド服なの?」 そう、折角買った平服を着ないで、なぜかまたメイド服を着ている。 「基本です!」人差し指を立てて胸を張る。 「朝目覚めたらメイド服!これは基本です!常識です!当然です!」 「そ、そういうもんなの?」 「メイドとはそういうものです!」 「でもホラ、遊びとか外出とかは…普通の服でいいんじゃないかな?」 「才人さん?何を言っているんですか!」 「はぁ?はい?」 「今日は遊びではありません!ひいおじいさんの異世界のご家族に…」 そこまで言われて初めて『メイド服はシエスタの正装』なんだと、 そう理解した。 「ですから、身なりはキチンと!」 才人は、その通りだね…と相槌を打った。 メモに書かれた部屋番号を押してしばらくすると返答があった。 「は〜い♪どちらさまでしょうか?」 高校生くらいだろうか?かなり若い女性の声である。 正直に「佐々木武雄」さんの事で訪ねて来た旨を簡単に伝える。 シエスタは不思議そうにずっと声の主を一生懸命に探していた。 それだけでも充分に面白かったのだが・・・ やがて1階エントランスの自動ドアがゆっくりと開かれる。 いきなり開いた扉に「ビクっ!」と驚き反射的に飛びのくシエスタ。 驚いて飛びのいた時にスペシウム光線ポーズになるのは異世界でも 同じなのかぁと…シエスタを見て笑ったら頬を膨らませていじけた。 「才人さん、笑い過ぎですぅ〜!」 「ごめん、ちょっと面白かったから」 目ざとくエレベーターを見つけたシエスタがニコニコして乗り込む。 「私、この乗物はもう憶えましたから大丈夫です♪」 「じゃ、まかせるよ」 「はい、まかせて下さい♪」ニコニコ♪ニコニコ♪ニコニコ♪ 「………」 「………」 「えと、シエスタ?」 「はい?」ニコニコ♪ニコニコ♪ニコニコ♪ 「それ…押さないと動かないんだけど…」 「え?え?どれですか?これでしょうか?」あたふたあたふた。 「それ、そこの5番目のを…」 「は、はい!これで完璧です♪」 ボタンを押せば勝手に着くエレベーターだけど、シエスタは満足気。 「ありがとうシエスタ」「どういたしまして♪」 一仕事終えた満面の笑みで微笑んでいた。まぁいいでしょ。 「ごめん下さいまし〜」メイド口調で大声で呼びかける…もう慣れました。 インターホンを押すまでも無くドアが開き、少女が顔を覗かせた。 「先ほどお話した平賀です、お父さんかお母さんい…るか…な…って?」 誰かに似ているなぁと思っていたら、シエスタが叫んだ! 「ジェシカ!?」 そうそれは魅惑の妖精亭の娘でシエスタの従妹ジェシカに瓜二つだった。 『異世界の親戚』 「こりゃおでれーた!」思わずデルフが口を開いた。 「こら、こっちの世界では黙ってろって教えただろ!」 「でもよ相棒、これは大当たりって事だろ?良かったじゃねぇか!」 デルフを鞘に深く押し込み、話を続けた。 「生憎と両親は旅行中で不在ですが、とりあえず中でお話を…」 と促され、あまりの驚きに言葉を失ったシエスタと共に部屋に入った。 吉田一美と名乗ったこの家の娘はお嬢様育ちらしく物腰も柔らかかった。 両親は長期の旅行中で留守で、今は母方の実家の従妹が受験勉強の為に 泊まりに来ていて2人で暮らしているとの事だった。 「ジェ…じゃなくて、吉田さんは、ひいおじいさんの話はご存知ですか?」 「一応知っています。零戦のパイロットで…戦死したと」 才人は思い切って、その零戦は異世界に行った事、そして自分達はその 異世界から来た事。才人自身は元々こっちの世界の人間で、シエスタと 君は異世界の遠い親戚筋に当たる事を…出来る限り判りやすく…。 ひとしきり話し終えるとお茶をすすり…反応を待った。 しばらくすると… 「あれ…本当だったんだ…」 遠い目をして小さく呟くと…シエスタの手を優しく握ってこう言った。 「ようこそ♪異世界の私の親戚さん♪」 失踪した曽祖父と共に飛んだもう一機の零戦のパイロット… この世界に帰還できたパイロット… その人も既に亡くなっていたが「異世界を見た」「彼は異世界に残された」 と、言い続けていたのだそうだ。誰一人信じなかったが… その話だけは笑い話程度に語り継がれていたのだ。 「日蝕と…広い…とても広い…綺麗な草原を見たんだ」 彼の墓標にはそんな言葉が刻まれていると聞いた事がある…と彼女は言った。 「それ…私の故郷の風景です」シエスタは遠い昔を思い描き…涙した。 その時インターホンが鳴り、従妹が帰宅した…と伝えられた。 シエスタとまた今夜の宿を探さないといけないなぁと思っていると… 親戚なのだから泊まっていけばいい!と、シエスタは引き止められた。 「いえ、でも才人さんが…」 「そんなの一緒でいいわ。どうせ行くアテも無いんでしょ?」 俺…一応、男なんですが…危機感とかは無いのね?!夜這いしたろか! 「ただいま〜♪あれ〜お客さん?友達?」 帰宅した従妹と紹介されたその人物… 才人はその場に凍りついた! シエスタは思わず膝を付き、その場に控え…小刻みに震えていた! そこにいたのは、紛れも無くアンリエッタ姫その人だった。 『胸の内』 「それ、どういう事?詳しく説明して!」 ルイズは凄い剣幕でコルベールに食って掛かっていた! もはや教師と生徒という関係…姫の御前であることすら頭に無かった。 「ですからミス・ヴァリエール…日蝕を作り出しても、そこに入る…」 「それはもう聞いたわ!あのぜろせんってのが無いからでしょ?」 「その通り。飛び込むには…その速さタイミング…様々な条件が…」 「だから、それは何度も聞いたわ!私が聞きたいのは」 テーブルを両手で「バン!」と叩きつけて叫んだ! 「どうすればいいかって事なの!わかる?」 アンリエッタが思わず口を挟んだ… 「皆さんお疲れでしょう…少し休憩しましょう…」 「でも姫さま!」 アンリエッタは「こちらで話しましょう」とルイズを自室に向かえた。 立ったままのルイズを自分の隣に座らせ…アンリエッタは聞いた… 「そんなに心配?」 「べ、別にそういうわけじゃ…ただの使い魔だし…」 「今では国を挙げての大騒動になるほどの出来事…ですよ?」 「そ、それは申し訳ないと思っています…」 「意地悪な言い方でしたね…ごめんなさいルイズ」 「そんな姫さまが謝るなんて…そんな必要ありません」 「私の愛しいルイズ…あなたの本当の心の内を知りたいの…」 「姫さま…」 「ルイズの大切な人は…私にとっても大切な人…そうでしょ?」 「才人が…あのバカ犬が…」 「彼は人間でしょ?」アンリエッタは優しく微笑んだ。 「アイツがこのまま帰って来ないかも…って…」 「まだ異世界に行ったと決まったわけじゃ…」 「分かるんです!私!だから…行きたいんです!」 「危険な事だと…保証も無いと…そう言われても?」 話をしている相手が姫である事も忘れ、気持ちが一気に爆ぜる。 「…だって…帰って来ないなら…迎えに行くしかないじゃない!」 我慢していた涙がルイズの瞳から溢れ出した…。 「バカだけど…サカリの付いた犬だけど…いないのは嫌なんだもん!」 子供のように泣きじゃくりながら思いの全てを吐き出すように… 「才人のバカ〜!どこに行ったのよ〜!使い魔の癖に〜!」 「一緒にいてくれるって言ったじゃない!キスだってしたじゃない!」 「今なら何だって許して上げるのに…帰ってきなさいよ!」 しゃくりあげるように泣き続け、やがて泣きつかれたルイズは… アンリエッタの膝枕で…涙の地図を描き上げながら眠ってしまった。 やがてルイズを起こさないように静かに側付きの女官を呼びつけると 小声で指示を与えた…。 『あらゆる手を尽くし、一番早く飛べる竜と、その乗り手を探すべし』 しかし零戦に匹敵する早さで飛べる竜を見つけたところで、その竜を 正確無比かつ自由に扱える乗り手など、簡単に見つかろうはずも無かった。 そう…その運命の日が訪れるまでは… 『嵐の前の…』 「姫さま?」才人は面食らった…アンリエッタそっくりのその子に。 シエスタは姫の御前とばかりに恐縮しまくりでガタガタ震えている。 才人はすぐに…ジェシカに似てる子がいるくらいなんだから、 姫さまに似てる子がいたって不思議じゃないよな…と妙に納得した。 いやまてよ?シエスタの親戚がジェシカで…その従妹がアンリエッタ? つまり…向こうの世界で…シエスタとアンリエッタの祖先が同じ? そういえば…シエスタとアンリエッタは雰囲気や容姿が似ているかも。 そんな思いを巡らせていると…その少女は軽い調子で挨拶をした! 「やぁ!一美の親戚なんだって?じゃ私とも親戚って事だよね〜♪」 「ひぃじぃちゃんの代じゃ…従妹?鳩子?ひょっとこ?にゃははは」 やたらと明るく軽薄そうな姫さまである。ノリが良いというのか…。 「江田杏里!よろしくねっ♪」 エダ・アンリ? アンリ・エダ? アンリエッタ? 嘘だろ? ご都合主義にも程がある…まぁ名前なんてこんなもんだろう。 「シ…シエスタと申します…」 「それって苗字?名前?あ!もしかして、シエ・スタとか?きゃはは」 「杏里ちゃん!今日の夕飯どうする?」と一美が口を挟んだ。 「そうだね、人数も増えた事だし…買出しに行こっか?」 「近所のスーパーだけどシエスタちゃんも行く?」 「お…お供させて頂きます…」 シエスタそいつは偽者だ!早く気付け!っていうかそれも条件反射か? 「才人君はお留守番お願いね!」 「あ、あでも…」 あ、いや…シエスタ連れて行っちゃって…大丈夫かなぁ…なんて… 「私がいますから…心配しないで下さい。すぐに帰ってきます」 一美が才人に耳打ちした。事情も話してある事だし…大丈夫かな。 じゃ…3人の留守中に下着の物色でも…と良からぬ事を考えていると、 「下着はクローゼットの下の引き出し!洗濯物は洗濯籠だよ〜ん♪」 「見てもいいけど…後が怖いよ〜♪」杏里に先手を打たれた! 「じゃ行こうか!」 捨てられた子犬のような目で不安をあらわにしているシエスタ…。 しかし…メイド姿を見て、良くツッコミ入れなかったなぁと思っていると、 ドアの外で… 「ところでシエスタちゃん、なんでそんな格好してんの?きゃはは!」 「はい…メ、メイドですので…」 「そっかぁ!じゃしょうがないね、きゃははは!」 軽い…こっちの世界のアンリエッタ姫は…軽過ぎる…。 さて…お約束タイムである!世の男性諸君!留守中の女性の部屋だ! ご丁寧に下着の場所まで教えて頂いた!覗いて見たかどうかなんて、 元通りに戻しておけば分かりゃしないさ。 ルイズの下着は腐るほど見ているが…それはそれ、これはこれ。 さてさて…彼女達はどんな下着をお召しになられているのかなぁ?? 引き出しを…そ〜っと開ける。 「・・・」 え? ・・・絶句・・・ そこにはタオルや枕カバーなどが入っていて…下着は一枚も無く… 『やっぱり見たね?!エッチ!』 と書かれた紙が一枚入っていた。 良く見れば漫画などでよく見る…一度ドアを開けたら分かるように… 髪の毛を一本貼り付けて…という古典的なトラップまで仕掛けてあった。 俺…ダメダメじゃん…ベタ過ぎる。 しばらくするとインターホンが鳴った。 「才人く〜ん!エントランス開錠してぇ〜!」 後ろでは何やら話し声も聞こえ賑やかだ!女三人寄れば何とやら…。 再びインターホンが鳴りドアを開けてくれというので開けてみれば、 いったいどんな宴会を始めるつもりなんだと思わんばかりの買い物を 両手一杯に抱えた3人組が立っていた。 シエスタはすっかり打ち解けていた…偽者と気付いたか?エライぞ! と思ったら…スーパーの試食コーナーのシャンパンやらワインやらを しこたま飲んで上機嫌になったとか。酒乱モードで上機嫌っすか? 「シエスタ!今夜は鍋パーティにすっからね♪」 「私もお手伝いさせていただきましゅ!」 「宜しいシエスタ!ではこちらの下ごしらえを頼もうかな?」 「はい!やらせていただきましゅ!」 一応の主従関係は無意識とはいえ有る様だ…しかしそいつは偽者だ! 「シエスタさん目立ってましたよ、スーパーで♪」 一美が思い出し笑いをした。 「な、何かまずい事しちゃった?」 「杏里が…シエスタさんを連れ歩くのが面白くなっちゃったって…」 「メイド姿で『はい』『はい』って後を付いて歩いてるから…」 「周囲の人が『どこのご令嬢かしら?』って…勘違いし始めて」 「あの子、調子に乗って…面白がって…ごめんなさいね」 才人はホっとした。トラブルがあったわけじゃないならそれでいい。 「大丈夫!シエスタはそういう事には慣れているし…それにきっと」 「明日になれば半分くらいは忘れてるから」 『大嵐』 その夜は皆が酔っていた…未成年なのに? シャンパンは正月の祝い酒や甘酒みたいなもんだから問題無い! それが杏里の言い分だった。シエスタは素直にそれに従った…。 異世界には未成年の飲酒の規制は無かったように記憶している。 学院でも食事中に普通に飲まれていたし、咎められる事も無かった。 一美は元々、酒には弱いようで少量で既にヘロヘロになっていた。 杏里とシエスタの飲みっぷりは実に見事だった! 「なんと!?これはヨシェナヴェじゃないですかぁ?」 「そうよ〜♪寄せ鍋よ!わかってんじゃない♪」 「才人さん才人さん!これヨシェナヴェですよ〜故郷の料理です〜」 はいはい…何度も聞きました。 シエスタは料理を手伝いながら、その言葉を何度も繰り返していた。 「さっすがシエスタ!異世界から来たって言っれも親戚よね〜♪」 「ちゃぁんとわかっれるじゃなぁ〜ぃ♪」 ろれつが回っていませんよ杏里さん?!っていうか…え?え?え? 異世界から来たって…なに? 「一美さん…説明してくれたんですか?」 「一応簡単には話しておいたけど…」 もっと驚くとか、どうして?とか、疑うとか…気にならないのか? 「んっとね…シエスタの事を気に入ったから…いいんだって」 そ、そんなアバウトな! 「細かい事はこの際ど〜でもいいのらよ♪君ぃ〜♪」 さすが異世界の姫殿下…器が大きくていらっしゃる。 「才人さんったら〜私がこんなに思っているのに」 シエスタが絡み始めた…やばい。 「あんな傲慢で我侭な女の事なんて!忘れちゃえばいんですぅ!」 いきなり抱きついてきたかと思うと強引にキスをされた。 「おぉ〜やるねぇ♪シエスタがんばれ〜♪」 「あなたもあなたです!」 杏里を指差し、激しい口調で続けた… 「立場を利用して、才人さんに色目なんて使わないで下さい!」 杏里はただ笑っていた。シエスタ…それは似ているが…偽者だ。 「私、絶対に負けませんから!」 完璧にマスターしたというディープキスが…才人を襲う…。 杏里は大喜びで囃し立て、一美は目を覆い指の隙間から見て赤くなった。 「才人さん!いいかげんハッキリ決めて下さい!」 「シ、シエスタ?今ここでそんな話をしなくても…」 「私…と〜っくに覚悟は出来てるんですよ!」 おいおい、そんな嬉しい…いや、困らせるような発言を…。 杏里は「え〜そんな関係なんだぁ?♪」と、はしゃぎまくり、 一美は、さすがに少し酔いを醒ました方が良いと判断したのか、 「少し、換気しましょうか…」と窓を大きく開け放った。 と同時に心地良い夜風が吹き込んで来る。 窓から見えるその夜空には大きな月が…ひとつ…浮かんでいた。 『ガリア王国』 ガリア王国のヴェルサルテイル宮殿を造る煉瓦は青く彩られている。 青い髪はガリア王家血筋の特徴でもあり、宮殿のレンガもそれに倣い …宮殿はグラン・トロワと呼ばれていた。 その宮殿の一番奥の部屋に、先の戦争を終結へと導いた張本人、 ガリア国王…ジョセフはいた。 なにやらテーブルの上にチップを並べ…考えては…また並べていた。 「閣下…何かまた新しい遊びを始めましたのね?」 モリエール夫人は不安げに覗き込んだ。 「なぁに、ただの独り遊びだ!心配しなくても大丈夫だ!」 以前は巨大なハルケギニアの模型を使い戦術を巡らせていた策士、 いったい今度は何を始めたのやらと夫人は気が気では無かった。 「ふむ、なるほど…」 盤面には格子状に線が引かれ、そのマス目にチップを並べている。 奇妙な事にそのチップは表裏で色が違う不思議なものであった。 「ときにモリエール夫人?」 「は、はい?何でしょう閣下!」 「これを、どう見るかね?」 「どう…とは?」 「二つの色…どちらの数が勝っていると思うかな?」 モリエール夫人は、見たままを答えた。 「白い色のほうが多いように見受けられますわ」 そうか…というと1枚のチップを盤面に置き…指をパチン!と弾いた。 するとみるみる内に盤面の多くのチップが音を立てながら裏返り… 気が付くと盤面の殆どが黒い色で多い尽くされていた。 モリエール夫人は訳が分からず、ただ唖然とそれを見ていた。 「わからぬか…まぁ無理も無い」 立ち尽くす夫人に1枚のチップを見せるとこう言った… 「どうだね?試しに1枚、好きな場所に置いてみるがいい」 先の戦で自分がサイコロを振り戦局を左右した記憶が蘇る…。 「めっそうも御座いません閣下!ご遠慮申し上げます…」 そう告げると、夫人はそそくさと逃げるように部屋を後にした。 「そこにいるのだろう?」 扉の陰からフードを被ったシェフィールドが静かに進み出た。 「どうだった?」 「確かに…生きているようです」 青い髭を摩りながら少し考えるような仕草をして見せる… 「お考えは…とうにお決まりかと存じます」 「アルビオン王家の者なら生かしておくのは得策では無い」 「承知しております」 「何者だ?」 「王弟が妾に産ませた子と…」 「なるほど…サウスゴータ…か」 「おそらくは」 「兵も与えよう!必ず見つけ出し亡き者にせよ!」 「仰せのままに」 「ときにシェフィールド…」 「はい」 「これをどう見る?」 先程と同じように盤面を指し尋ねる…。 「既に勝敗は決しているかと思われます」 「ふむ、そうか…」 1枚のチップを盤面に置き、先程と同様にパチン!と指を弾くと、 黒一面だった盤面が、白一面に変わった。 「先をいかに見通すか…2手3手…常に先を読まねば」 「機を逃さぬ事は、とても重要な事だ!…しかし」 「先を見通してこその『機』なのだよ!」 「肝に銘じます…閣下!」 そう…これはまだ序盤の一手に過ぎぬのだ! シェフィールドを下がらせると深く椅子に腰をおろし… オルゴールを開け…その調べに耳を傾けた。 『ラ・ヴァリエール家』 ヴァリエール家では久しぶりに帰った公爵を囲み夕食を取っていた。 エレオノールはまた婚約を解消され…ひとしきりの説教を受け終り 一段落してホッと一息ついたところであった。 相変わらずカトレアは食が細く……もっと食べなきゃいかん!と、 公爵や夫人、皆から心配された。 「最近ルイズは帰って来ないわね」 とエレノアが言うと 「あんな親不孝な娘などいらん!」 と言われてしまった。 ルイズの様子を心配して王宮や学院にふくろうを飛ばしてるくせに! 先週も飛ばしたの知ってんだから…とエレノアは心の中で思っていた。 意地っ張り…。 食事も終りくつろいでいる所に…ふくろうが舞い込んできた。 ふくろうが話す 「書面にて!王宮からの勅命です」 どれどれ…と羊皮紙を広げる。 …各領主に通達… 「いったい何事だ?」 「どうしたの?お父様?」 高速で飛べる竜と、それを正確無比に自由に扱える乗り手、 心当たりがあるなら至急報告せよ…と書かれ、最後に王宮印があった。 「何をバカな!竜にも得手、不得手がある!」 「何のために部隊を分けているんだ?全く何を考えているのやら」 何も分かっちゃいない…と手紙に一瞥をくれるとポイ!と放った。 「飛ぶのは竜だ!竜と一体化でも出来なきゃ無理な相談だ!」 「大体、何だってこんな竜が必要なんだ?また戦争か?!」 公爵の機嫌を損ねたふくろうはカトレアが連れて行った。 執事のジェロームは機嫌を直すよう気を使い…ワインを注いだ。 カトレアは部屋に戻り羊皮紙に羽ペンを走らせていた。 『心当たり有り、ついては事の詳細をお知らせ頂きたく…』 小さく丸めた羊皮紙の手紙をふくろうに託すと、窓から放った。 翌朝、食卓は大変な騒ぎになっていた。 「ど、どういうこと?カトレア!」 エレオノールは目を白黒させて驚いた。 「カトレア!なぜ突然そんなことを言い出す?」 「父さま?私が使い魔を欲しがるのがそんなに変ですか?」 コロコロと笑いながらカトレアは言った。 「だって便利でしょ?色々と♪」 「そりゃ呼び出す幻獣にもよるが…」 「竜やヒポグリフやグリフォンだったら、お散歩が楽になるわ♪」 「そう言われればそうね…」 エレオノールは妙な説得力に得心したようだ。 「身体にも負担が掛かるんだぞ!」 「構わないわ♪」 「全く…言い出したら聞かないんだな…我が家の娘たちは…」 「えぇ!それがラ・ヴァリエール家の血筋ですもの♪」 血筋か…まぁ仕方なかろう…戦争に行きたがる娘よりはマシだ。 「私は今日発たねばならん!」 「エレオノールとお前が、しっかり見届けるんだぞ!」 公爵夫人は黙ってニッコリと微笑み… エレオノールは「はい!お父さま!」と姿勢を正し… カトレアは「お父さま…ありがとう…」と頭を下げ礼を言った。 『月目の理由』 右手にはめた手袋を見つめ大きな溜息を1つ、2つ、3つ目を吐こうと 息を吸った時…背後から声を掛けられた。 「疲れているのではないかね?」 「これは教皇…こんな場所に、何用で?」 「右手のルーンは、まだ痛むか?」 「いえ、大丈夫です」 手袋を外すと…そこには見慣れぬ不完全なルーンが刻まれていた。 「このような偽りのルーンに何の意味がありましょう…」 「我がロマリアは知恵の国だ!長年の研究の成果のルーンだ!」 「虚無を手に入れ、エルフを滅ぼし、東方へと至る為に…」 「しかし私がルーンを刻んだとて、担い手が居なければ…」 「それも時間の問題だ、案ずる事は無い」 何も分かっていない…担い手と使い魔は絆で結ばれるものだ… 造られた…偽りの絆など…何の意味がある。 ロマリアの虚無の研究により右手にルーンを刻まれたジュリオは、 その時の影響で片目の色が変わってしまっていた。 失うものばかりで…いったい自分は何を得るというのだろう? 「今しばらくの辛抱だ、やがて全てが手に入る…」 「それまでは手袋で隠していろ」 そう言うと教皇は建物の中へと消えていった。 湖の辺で出会ったあの女性…カトレアと言ったな…綺麗な人だった。 以前にもどこかで会ったような気がしているんだが… 世話をしていた風竜がキュイキュイと鳴いた! 「あぁ、アズーロもそう思うかい?どこだったかなぁ?」 綺麗な桃色の髪で…と思い出していると…風竜がまた鳴いた! 「偉いぞ!アズーロ!あのお嬢さんだ!ミス・ヴァリエール」 ガンダールヴの主人にして虚無の担い手…ミス・ルイズ。 彼女に良く似ていた…確かにあの辺りはラ・ヴァリエール領だった。 なるほど…そうか…そういう事か…絆…真の絆! ロマリオに囚われている偽りの絆…鎖から解き放ってくれるのは、 あの人なのかもしれない…。 ふいに不完全なルーンに痛みが走り、左手で痛みを押さえ込む。 「大丈夫…たぶん…きっと…もうすぐだ」 アズーロが答えるようにキュイ!と鳴いた。 『ルイズの提案』 「そうよ!タバサがいるじゃない!」 ルイズのその一言で王宮から学院に勅使が向かい、早朝にも関わらず タバサとシルフィードは呼び付けられる事になった。 「なによぉ〜こんな朝っぱらから」 大きなアクビをしながらキュルケは言った。 「なんでアンタまでいるのよ?呼んで無いわよ!」 「気にしない気にしない!才人のトコ行くんでしょ?」 「そ、そういうわけじゃないわよ!」 「聞いたわよ〜♪アンタ…またピーピー泣いたんですって?」 「な、な、な、なんでアンタが知ってるのよ?」 「あ、やっぱり♪」 「あの子がね…」とタバサを指差し 「アンタはきっと泣いているだろう…って言うからさぁ」 「ちょっとカマかけてみただけ♪」 既にバレバレだが、ルイズは顔を真っ赤にして反論した! 「な、泣いてなんかいないわよ!」 「あらそう?まぁどっちでもいいんだけどね〜」 「あぅ〜」 ルイズを散々からかうと満足したのか真顔になって言った。 「でもルイズ!たぶん…あの子、ダメよ」 え?とタバサの顔を見るが…その表情からは何も読み取れない。 「どうして?」と尋ねるルイズ。 「…速さ…足りない」 「…まだ子供…」 キュルケが説明を補足する。 「あのね、確かにタバサは優秀だけど…使い魔のシルフィード…」 「あの子はまだ子供なの。だから成竜ほど速くは飛べないの」 ルイズは肩を落として…うつむいた… 「……がい」 「え?何?」 キュルケが聞き返す。 「おねがい!ねぇお願いだから!」 「試すだけでいいの!1度だけでいいから!」 「お願い…」「お願い…」「…ねぇ…お願い…」 気が付けば、ルイズは大粒の涙をポロポロとこぼしていた。 「お願いだから…」 キュルケにすがり付くように泣きじゃくるルイズ…。 「そんなに心配?」 「もう…あんな思いは…嫌」 先の戦いで才人が死んだと思い、一度は自らの死をも覚悟したルイズ。 もう二度と離れたくないと心の底から思っていた。 「ずいぶんと素直になったものね?驚きだわ!」 「な、なによ!?」 「まぁいいわ…試すだけよ」 「え、偉そうに…やってくれるのはタバサじゃない!」 「まぁそうなんだけどね♪」 キュルケは鼻の頭をポリポリかいて、おどけて見せ…タバサに向い、 「いいかしら?」と聞いた。 タバサがシルフィードに何か呟くとシルフィードはキュイ!と鳴いた。 「…いい」 「…試すだけなら」 「じゃ、試験飛行としゃれこみましょ♪」 「だからぁ、アンタは関係無いでしょ?!」 「気にしない!気にしない!」 詳細な説明を受ける為に3人と1匹は王宮の中央庭へと向った。 そこにはコルベールが待っていた。キュルケは嬉しそうに手を振った! 『王家の血筋』 街道から森を抜けたウェストウッドの村に彼女は暮らしていた。 先の戦いで傷ついた際、才人がしばらくの間、身を寄せていた村… 誰も知らない…ティファニアと子供達だけが暮らす平和な村。 サウスゴータの森を抜けた先にある世間とは隔絶した隠れ里…。 「ティファニアおねぇちゃん!また考え事?」 「え?あ、ち、ちがうわ」 「また、あのにいちゃんの事だろ?」 「ちがうったら、もう!」 顔を真っ赤にして否定しても子供達には何の意味も無かった。 「ねぇティファニアおねぇちゃん?一緒に行きたかった?」 少女の真っ直ぐな問い掛けに正直戸惑ったが… 「ううん、みんなと一緒にいたいし…それに」 「また会える…から…きっと」 ティファニアは人間とエルフとの間に生まれたハーフエルフだった。 王弟の妾だった母は疎まれ、その身をサウスゴータ家に寄せていた。 やがて情勢が変わりその身を追われると、なんと王家は母を匿った サウスゴータ家から貴族の称号を剥奪し取り潰したのだ。 母は殺され…必死の思いで逃げ延びたティファニアは転々とし… 人間ともエルフとも交われず…そっと隠れ住むようになった…。 「また…会えるよね」 自分を見ても怖がらず接してくれた初めての人。 こんな私を見て…綺麗だと言ってくれた心優しい人。 誰とも関わりを持たないと決めていた頑なな心を開いてくれた人。 胸の事をあれこれ言われたけど、楽しかった賑やかな人達。 でもいつも目に浮かぶのは…才人さん。 生まれて始めて話をした…同世代の男の子…。ドキドキした。 ううん、今でも…思い出すだけで胸が…高鳴る。 毎晩、夜になると彼の事を思い出しながら…独り慰める…。 初めて知った自分の胸の大きさ… 才人さんは…本当はどっちが好きなのかな?大きいのは嫌? 今度会ったらハッキリ聞こう! 才人さんは知らない…私が本当は男の子に興味津々だってこと。 怪我で寝込ている時…デルフリンガーさんを別の部屋に置いたのは、 本当はうるさかったからじゃないんですよ。 私のしている事を見られないように、聞かれないように…。 隅々まで見た…男の子の大事な所だって…ちゃんと確認した。 怪我がちゃんと治ったかどうか…ちゃんと機能するかどうか… 仕方ないです…これは…治癒魔法の…その…確認だったんだから。 でも…手で触っているだけで何か出てきた時は驚いた! 最初は傷口が開いちゃったのかと思って大慌て…。でも才人さん、 とっても気持ち良さそうにしてたから…気付くまでの間…何度も 何度も出して上げていたんですよ。手でシコシコって感じでしたり、 胸の間に挟んだ事もあったかなぁ…お口でした時は勇気がいったけど 才人さんのモノだから嫌じゃなかった…ちゃんと飲んだんですよ。 だから…いつも通りにしてあげよう♪って部屋に入ったときに… もう気付いて起きていて…だから、あんなに驚いてしまったんです。 今思えば…最後までしちゃえば良かったかなぁ…なんて思ってたり。 もう毎晩独りでするのは切ないです。寂しいんです。 また会えるように…記憶も消さなかった…いつかまた…きっと。 ウェールズ亡き後…唯一の王家の血筋とも言えるティファニア。 その王家の血が今再び災いを飛び寄せている事に彼女はまだ 気付いてはいなかった。 余談ではあるが… 王家のお家騒動に巻き込まれる形で没落に追い込まれた貴族… サウスゴータ家の1人娘…「マチルダ・オブ・サウスゴータ」 土くれのフーケもまた、王家の血に翻弄された1人だった。 『松の湯へ』 「ここが銭湯よ♪」 「そうそう、うちのお風呂は小さいからね」 「へぇ〜凄いお屋敷ですねぇ〜」 一同はマンションから少し離れた場所にある老舗の銭湯にやってきた。 シエスタが銭湯の話を聞き「ぜひ経験したいです!」と言ったからだ。 才人は少し面白くなかった。 「一緒にお風呂に入ろうか?」という話に喜び勇んで飛びついてみれば、 なんの事は無い…銭湯だ。それなら「入ろうか?」じゃなく「行こうか?」 って言えよ!期待させやがって。 門構えの立派な銭湯で、聞けば昭和の時代から外観は代わってないそうだ。 入り口で靴を脱ぎロッカーに入れる。へぇ…木板の鍵かぁ懐かしいなぁ。 シエスタがそれを見て何やら騒いでいる様だ。 「靴はここで脱ぐんですか?これが鍵ですか?面白いですね?うわ〜♪」 鍵の掛かる仕組みが気になるようで、しきりに覗き込んだり眺めたり…。 「これは何ですか?…この記号」 「あぁそれは『ひらがな』っていう文字よ」 「他の人と区別して間違えない様に全部違う文字が書いてあるのよ」 「あ、ちなみにシエスタは『し』ね。で私は杏里の『あ』♪」 「私は一美の『か』です」 「でもココに同じ文字がありますよ?」 「それは『つ』よ♪向きも横だし逆でしょ?」 「じゃコレは?」 「『め』と『ぬ』!字なら後でゆっくり教えてあげるよ♪」 「はい!」 シエスタは偉いなぁ…文字を覚えようとしてるのか…それに比べて俺は、 未だに読み書き出来て無いし…っていうか覚える気は皆無だったしなぁ。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1647.html
土下座しているシエスタを発見、即座に突撃する。 「シエスタ、シエスタ。何を這い蹲っているんだ」 空気を読まず露伴はシエスタをひっぱり起こす。 「え……あ、ロハンさん……あの、えっと……」 シエスタがロハンと誰かを見比べているが、ロハンは意に介さずに静をシエスタに渡した。 「すまないが赤ん坊を洗ってやってくれないだろうか」 訳がわからないままにシエスタは静を受け取る。 タオルケットの中からの異臭に、全てを察する。 「急ぎで頼むよ、朝に洗った服もそろそろ乾いているだろうからね」 「ちょっと君! 急に割り込んできてなんだ! 彼女はぼくと話しているんだ」 後ろから駆けられた声に、露伴は始めてそれに気付いて振り返る。 が、興味が無さそうにシエスタに向き直る。 そんな露伴の態度に、少年。ギーシュ・ド・グラモンは激昂した。 「どうやら君は貴族に対する礼儀を知らないようだね!」 「尊敬するに値するかどうかはぼく自身が決めさせてもらうよ。少なくとも君は該当しないな。尊敬するに値しない人物に向ける礼儀はあいにく持ち合わせていないんだ」 露伴の言葉に、ギーシュの顔が一瞬にして紅潮する。 「貴様ッ! 突然出てきてなんという言いぐさだ」 「あいにく状況が判らないんでね。シエスタに土下座させた正当な理由があるならともかく」 露伴の言葉に、ギーシュは鼻を鳴らす。 「彼が軽率に香水を拾ってしまったのだよ。そのため二人の女性を傷つけてしまった。その罰を与えていたのだ。わかったらどきたまえ。君には関係ない」 「本当なのか?」 露伴がシエスタに訊くが、シエスタは何も言わずにうなだれるだけ。 「さぁ、わかったのならどくんだ!」 『ヘブンズ・ドアァーーーーー』 露伴がそう叫んだ途端、ギーシュの体が崩れ落ちる。 「読んだ方が早いな、さてさて……」 ギーシュ・ド・グラモン。四男。女好き。薔薇。香水。二股。モンモランシー。ケティ。誤魔化す。 メイド。なすりつけ。ヴェルダンデ。ドット。土。ワルキューレ。青銅。錬金。決闘。 なんだこいつは、二股してたのがばれてその責任をシエスタになすりつけているだけじゃないか。 典型的なクズ男か、しかも女性のためにと言いながらシエスタを貶めている。何が薔薇だ。 使えそうにないな。 こんな奴を主人公にしても人気が出るはずもない………が……ちょっと気になることがある。 ケティは一年生でモンモランシーが同学年の女子か。二股の相手がケティらしいが、付き合ったのは馬で遠乗りした事以外には書いていない。 それ以外はモンモランシー一色。 さすがに露伴は眉を怪訝そうに顰める。 典型的な噛ませ犬タイプだ、主人公としては軽薄すぎて扱えないが、愛すべき脇役としては使えるかもしれない。 元の世界にもいた、玉美や間田のようなタイプとして活かせるだろう。 把握した、まぁ予想通りギーシュの言いがかりだ。 ………そう言えば決闘とあったな。面白い………古式伝統のある決闘、中世ヨーロッパ辺りでは当たり前にあった風習だったか。 ぜひ体験してみよう。そうだな………ギーシュを適当に挑発してみようか。 この記憶から判断するに、挑発されたら答えずにはいられない、典型的なクソガキだからな。 ルイズのように貴族の対面にこだわるタイプだろう。 それに、錬金とワルキューレ、それに青銅を実際に見てみたい。 見てみよう。 露伴にお願いされて、シエスタはその腕に静を抱いていた。 漂ってくる異臭に顔をしかめることなく、ただ呆然と、ふらふらと。 「………と………ちょっと………」 「はっ、はいぃっ!?」 突然呼びかけられてシエスタは心臓が飛び上がるような気持ちだった。 目の前には、キュルケがいた。 「み、ミス・ツェルプストー。も、申し訳ありません、考え事をしていたもので………」 貴族を無視なんてしたら打ち首どころじゃないところだが、それよりキュルケには重要なことがあったのでさらっと流した。 「ルイズ知らない?」 「は……ミス・ヴァリエールですか? 存じ上げませんが」 「ふぅん………そう、じゃぁ見落としたのね」 そう言ってキュルケは立ち去ろうとしたが、何か思うところがあったのかピタリと足を止めた。 「ところであんた、その手何?」 「えっ?」 何って、静のことだろうか。 シエスタが視線を下に降ろすと、その腕の中には何もない。 「!!!!!!?????」 シエスタの目が驚愕に見開かれる。 そう、キュルケはシエスタが何かを抱いているような腕の形をしていたから不思議に思ったのだ。 しかしすぐに興味が無くなったようでその場を後にした。熱しやすく冷めやすい性格である。 そして一人残されたシエスタはその腕の中の重みをそっと確かめる。 『いる』 見えないけれど。確かにその腕の中にいる。 「きゃ………は………ぶ……あ……だー」 「メイジ………こんな赤ちゃんが………?」 「諸君! 決闘だ!」 露伴の思惑通り、適当に煽ったら激昂してギーシュは決闘を仕掛けてきた。 場所はヴェストリの広場、娯楽が少ないのだろう、人だかりが出来ている。 さて、青銅のゴーレム、ワルキューレとやらを見せてもらおうか。露伴は心の中でほくそ笑む。 「………何がおかしいんだね?平民君」 どうやら顔に出ていたらしい、ギーシュが不快そうに眉を顰めて言った。 「ふん……自己主張が激しいと思っただけさ」 コレも挑発、所詮相手は子供、この程度の挑発に楽に乗ってくる。 「ぼくの二つ名は青銅。よって青銅のワルキューレがお相手する。メイジを相手に無礼を働いたんだ、異存はないね」 「ああ」と言おうとしたところでルイズの邪魔が入った。 「待ってギーシュ!」 思わぬ邪魔に、露伴の方が眉を顰めた。 「おやコレはコレは。ゼロのルイズじゃないか。君の使い魔をお借りしているよ」 「お願い、謝るから決闘なんてやめてちょうだい!」 「あやまる? 君の使い魔がこうなるようにし向けたんだよ? 最も、君が謝っても彼は謝る様子はないみたいだけどね」 ギーシュの言葉にルイズは振り返り露伴を睨む。 「ロハン。ギーシュに謝って。メイジに平民が勝てるはず無いわ。怪我で済めば良い方なんだから」 「怪我か……それは辛いな、特に利き腕が使えなくなるのは非常に痛い」 露伴の言葉にルイズはパあっと表情を明るくした。 「そ、そうよ、痛いし不便なのよ。だからね、ほら頭を下げて………」 「だ が 断 る」 露伴の明確な拒否の言葉に一同は凍り付く。 「この岸辺露伴の好きなことの一つは。自分で強いと思っている奴に『NO』と断ってやることだ!」 そう言って露伴はルイズの方を軽く、トン。とつついた。 「だからルイズ、余計なことをしないでくれ、ぼくのためにも君は邪魔だ」 ぼくのためにも、と言われてしまってはルイズはもはやどうすることも出来ない。 自分が口を挟むことが露伴の邪魔になるなら、露伴に『協力』することが出来ない。 ふらふらと三歩後じさって、その場にペタリと座り込んだ。 「何……言ってんのよ………平民が………メイジに……勝てるわけが………」 もはや露伴はルイズから視線を外し、ギーシュと相対していた。 「遺言は済んだかい」 「面白いジョークだな」 相変わらずわかりやすい。この程度の挑発で真っ赤になるとは程度がしれる。 ギーシュは薔薇の造花で出来た杖を振り、落ちた花弁から青銅のゴーレムを作り上げる。 フォルムは女性形、鎧を纏った細身の戦乙女。 「最後のチャンスをやろう。両膝を付いて頭を地面にこすりつけるようにして謝るんだ。「薄汚い平民が高貴なるメイジに刃向かってごめんなさい」と。そうすれば勘弁してやらんことも……」 「うるせーな~~~~~~、やってみろ!」 つくづく変わらぬ露伴の態度に、とうとうギーシュはワルキューレを突撃させた。 厨房でお湯をもらって、水場のタライに注ぐ。 そして水と程よく混ぜて人肌ほどの温度に調整する。 赤ちゃんはシエスタの腕の中で嬉しそうに笑っている。 ぺちぺちとシエスタの頬を触ったり、みみたぶをつまんだり頬をすり寄せたりしている。 しかしそんな風に静の世話をしているシエスタは、何処か上の空だった。 気になるのは露伴のこと。自分の不注意でによる貴族からの怒りを全て持って行ってしまった。 ヴェストリの広場ではもう決闘は始まってしまっているだろう。 「あぁ………っ」 どうかご無事で。と願うばかり。 どうか露伴が死ぬ前に、メイジの気が晴れますように。 殴りかかってきたワルキューレの拳を露伴は避けもせずに頬で受ける。 がつん、と重厚な音が広場に響く。 避ける様子もなかった露伴に、ギーシュは得体の知れないモノを感じ、一旦ワルキューレを引かせた。 「……なぜ避けない」 「なぜ下げる………まったく………」 ギーシュの言葉にさらりと応え、露伴は上着のポケットからメモ帳とボールペンを取りだした。 そしてほんの十秒足らずで、そのメモ帳にワルキューレをドシュドシュとスケッチする。 「フォルムはスタンドに近いか……しかしずいぶん軽いな。仗助のCダイヤモンドの方が強い。破壊力はCランクと言ったところか………」 メモに「能力者:ギーシュ」「能力名:ワルキューレ」その他攻撃力やスピードなどの数値がサラサラと書き込んで、またポケットの中に仕舞い込んだ。 「なんの………つもりだい」 「ん? あぁ職業柄こう言うモノは自分の体で体感しないと気が住まない質でね。良い体験をさせてもらった」 さて、と言って露伴はギーシュに向かって無造作に歩み寄った。 「確認も済んだし。そろそろ終わりとしようか」 「くっ」 近づいてくる露伴に、ギーシュは己の最大の数、七体のワルキューレを召喚した。 露伴は頭の中のメモに「ワルキューレは七体まで」と書き込んだ。 学院長室で、遠目の鏡で広場の光景を見ていた二人はどうしたモノか考えあぐねいていた。 「……勝ちましたね」 「勝ってしまったのう……」 「素手でしたね」 「素手じゃったのう」 「ガンダールヴかどうかわかりませんね」 「…………」 露伴はゆっくりとした動作でギーシュに近づき、ギーシュは召喚したワルキューレを突撃させる。 そしてワルキューレの拳が届こうかとしたその瞬間、ソレは何もないところで蹴躓いたようにくるんと回転して吹っ飛んだのだ。 ギーシュも誰も何が起こったのかわからない、突然ワルキューレが空中で回転したようにしか見えなかった。 「どうした。もう終わりか? メイジとはその程度なのか、だとしたら期待はずれも良いところだな」 ふん、と鼻を鳴らされては応えざるを得ない。 残りのワルキューレをまったく同時に攻めさせる。 しかし次のワルキューレは頭を吹き飛ばされ。その頭がギーシュの頭横20サントの位置をかっ飛んでいった。 ぞわっと鳥肌が立ったギーシュにお構いなしで。ワルキューレがポンポンと吹っ飛んでいる。 「………リアリティのある物を書くためには想像力だけじゃダメなのさ。少なからず自分で体験する必要がある」 そう、漫画家としてデビューしている岸辺露伴は、リアリティを追求するため、いろいろな武術を齧っていたのだ。 もちろん本職は漫画家であることは変わりなく。真面目に武術に取り組んでいる人からみれば笑われてしまう程度だが。 それでも、愚直に突っ込んでくるワルキューレを倒すには十分なモノだった。 全てのワルキューレが破壊され、露伴はいまギーシュの正面1mの位置に立っている。 そしてその右手をゆっくり伸ばした。 「ひっ」 みたこともない方法でワルキューレを飛ばす露伴に、ギーシュがおびえを抱くのも仕方ないだろう。 しかし露伴はギーシュに手を下すことなく、その手から薔薇の造花の杖を抜き取って、そっと匂いを嗅ぐ仕草をした。 「どうだい、まだやるか?」 杖を奪われては、メイジはもはや為す術がない。 ギーシュは悔しそうに唇を噛みながら、小さく「まいった」と宣言した。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2138.html
わたしは夜遅く魔法の練習を広場の隅で行っていた。 「ウル・カーノ」 火は起こらず爆発するだけだった。錬金、風鎚、凝縮、着火・・・ 相変わらず何を唱えても爆発しか起こらない、変わった事といえば 抜群にコントロールが良くなった事位ね。 夜も遅いというのに本塔からメイドたちがゾロゾロと出てきた。 「精が出ますねミス・ヴァリエール」 その中の一人が声を掛けてきた。 「シエスタこそ、こんな時間まで仕事してたの?」 「はい、厨房と食堂は常に清潔にしておかないと、虫が出たら大変ですから」 確かに食事に虫が入っていたら大騒ぎよね。 「ミス・ヴァリエール・・・あまり根を詰めると体に良くありませんよ」 「それは、あなたの方じゃないの?」 わたしがこんな生活を始めたのは、つい最近だというのにシエスタは 今まで朝早くから夜遅くまで働き詰だ。 「私ですか?私はキチンと息抜きしてますよ」 エプロンの下からスッと一冊の本を取り出し、わたしに手渡した。 「さあ、どうぞどうぞ」 読んでみろっていうの?建物の明かりを頼りに本を読んでみる。 なになに・・・バタフライ伯爵夫人の優雅な一日。 なっ、何?何なのコレは!?××××って何!? 「あががががががががが・・・か、返すわ」 シエスタに本を突っ返す。 「お気に召しませんか?」 「召さないわ」 本をエプロンの下に戻すと今度は紙束を取り出した。 どれだけ入れてんのよ。 「では、こちら等いかがでしょう」 紙束を受け取り読んでみる、また同じような内容なんだろうか。 見つめ合うギーシュとプロシュート。 ギーシュ、プロシュート、ギーシュ、プロシュート。 お互い名前を囁き合いながら顔を近づけ、そして・・・ 「えーと、シエスタさん・・・これは一体なんでしょう?」 「ギーシュ様×プロシュートさん。ギーシュ様へタレ攻めですわ」 シエスタは極上の笑みを見せた。 「あの男同士なんですけど?」 理解出来ないわ。 「ミス・ヴァリエール」 シエスタがコホンと静かに告げる。 「そこが、いいんじゃないですか」 「ごめん、わかんないわ」 ていうか、プロシュートの名前を勝手に使わないで欲しいんだけど。 「そうですか・・・」 シエスタ、こちらが申し訳なく思うぐらいガッカリしていた。 「お力になれなくて残念です」 シエスタは肩を落とし、トボトボと去って行った。 わたしは走り込みの後建物の周りを息を整えながら歩いていた。 バタフライ伯爵夫人・・・あんな物が平民の間で出回っているの? それに、あの紙束・・・ 角を曲がると出会い頭に紙束を山ほど抱えた人とぶつかり 向うの人が持っていた紙束がバサバサと地面に落ちていった。 「ご、ごめんなさい。拾うわ」 ぶつかった人はマリコヌルだった。わたしは紙束を拾うためにしゃがみこむ。 「ル、ルイズ!?いいよいいよ、僕がやるから」 彼が杖を振るうと落ちていた紙が元通りに纏り、彼の両手の中に納まる。 「じゃあ、僕は急ぐから」 マリコヌルはワタワタと駆け抜けていった。 「なんなのよ一体」 わたしも寮に戻ろうと足を向ける。 カサッ。一枚の紙が足元に落ちていた。 取りこぼしだろうか、わたしは紙を拾い上げるとそこには絵が描かれていた。 キュルケとタバサ、二人が服を半分脱いだ状態で絡み合っていて 下にこう書かれていた。 タバサ×キュルケ ああ・・・世の中って広いなあ・・・
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7556.html
前ページ次ページお前の使い魔 「どこをどう見ても胡散臭い地図だね」 わたしが、先に席に座ってたタバサとキュルケとギーシュに軽く挨拶し、キュルケの見せる羊皮紙をざっと眺めていると、呆れ顔のギーシュが身もふたもないことを呟いた。 「そりゃあ、魔法屋、情報屋、雑貨屋、露天商……、いろいろ回ってかき集めてきたんだもの」 それを聞いたわたしは、喉元まで「まがい物に決まってるわ」と出かけたが、ぐっとこらえた。大方、キュルケはわたしに気を使って集めたんだろう。 はぁと一つ溜め息を付いて、再度羊皮紙の束を眺める。 廃墟に森に遺跡に洞窟。これでもか! というほどに定番すぎる上、どうにも地図は真新しく、どれもこれもチグハグな感じがする。 「宝を隠してるにしては、良くも悪くも目立ちすぎよこれ」 「馬鹿ねルイズ。だから『そこ』に隠すのよ。だって、目印も何も無いところに宝なんて隠さないわ」 はあさいですか。 確かに、隠したはいいけど、どこにやったかわかりませんなんて間が抜けてるにもほどがある。 「でも、これだけあるんじゃ、どれから手を付けたらいいか……」 わたしが適当に一枚掴んだ時、ほのかな光に気がついた。 光の出所は、わたしの懐の中。つまり……。 「……ダネット?」 懐から取り出したダネットは、淡い光を放っていた。 みんなが無言になる中、わたしはそっとダネットを机の上に置く。 「これ……?」 先ほど、わたしが適当に掴んだ地図をよく見ると、どうやら『竜の羽衣』という宝について書かれているらしい。 「場所は、タルブ村の近くね。タルブってどこら辺なの?」 横から顔を出して地図を見ていたキュルケがそう言うと、突然、後ろからガチャンと食器の割れる音がした。 驚いて音の方を見ると、見覚えのある黒髪のメイドが、青い顔をしてこちらを見ていた。 「あんた確か……シエスタだっけ?」 「し、失礼しました! 申し訳有りません!!」 慌てて謝罪の言葉を口にするシエスタの目は、一点を見つめている。 「あんた、これに見覚えがあるの?」 わたしはダネットを手に取り、最早、顔色が青から蒼白に変わっていくシエスタに見せながら、有無を言わせぬ口調で尋ねる。 「ひっ! も、申し訳ありません! 申し訳ありません!!」 「わたしが聞きたいのは謝罪の言葉じゃないわよ! 知ってるの? 知らないの? 答えなさい!!」 思わず、叫ぶように言ってしまったわたしを、キュルケがそっと手で制した。 「落ち着きなさいルイズ。怯えてるわよこの子」 キュルケの言葉で少し冷静さを取り戻し、シエスタを見てみると、目に涙を溜めながらガタガタと震えていた。 それほどわたしが怖かったのだろうか。周りを見てみると、同席のギーシュや他の生徒も怯えた目でわたしを見ていた。 「…………」 無言で席に座りなおしたわたしを見た後、キュルケがシエスタに尋ねる。 「大丈夫よ。何もしないわ。ただ、もしもあなたがこの石について何かを知っているなら教えて欲しいだけ」 優しい口調にシエスタの緊張は目に見えてほぐれ、ゆっくりと話し始めた。 「最初は……自分の村の名前を聞いたので、こちらの席を見たのです」 「へえ、きみはタルブ村の出身なのかい?」 ギーシュの言葉に、シエスタはこくんと頷く。 「それで、机の上にあった『ソレ』に気付いて……」 「『ソレ』って……これ?」 キュルケがわたしの持つダネットを指差すと、シエスタは再度こくんと頷いた。 「じゃ、じゃあ、あなたはこの石を見たことがあるの?」 キュルケの言葉に、シエスタは首を縦に振った後、言葉を続けた。 「幼少の頃に一度だけ。ですが、少し前に盗まれたと、家族からの手紙に書いてありまして……」 「盗まれた?」 それから、詳しい話を聞いてみたが、シエスタも家族からの手紙に少しだけ書いてあっただけだと話し、詳しい事情はわからないと言った。 どうやら、古くから村の近くの洞窟にあったものらしいのだが、特に言い伝えがあった訳でも、特別な信仰心があるわけでもないとのことだ。 「どうやら、行き先は決まったみたいね。あなた……シエスタだったかしら? 案内を頼んでいい?」 「え? え? え? え?」 キュルケから肩に手をポンと置かれ、状況が掴めずにおろおろするシエスタを尻目に、わたし達の表情は硬いものになっていた。 タバサの風竜のお陰で、タルブ村へはその日の内に到着し、シエスタの家族へ事情を聞いてみると、春先ぐらいに奇妙な出来事があり、その時にはもう石は無くなっていたとのことだ。 先ほども少し触れた通り、特に言い伝えも何も無かったので、いつも石を目にしていた訳ではない為、本当にその時に無くなったとは限らないらしいのだが、何となく、わたしはその奇妙な出来事というのが発端な気がしていた。 その奇妙な出来事とは、大きな爆発音と、赤い光なのだという。そして、春先という時間。この二つを頭の中で巡らせる。 「……まさかね」 「え? 何か言ったルイズ?」 わたしの独り言に反応したキュルケに「何でもない」とだけ返し、わたしは目の前に黒々と口を開ける洞窟の中をじっと見つめていた。 シエスタの家族へ事情を聞いたわたし、タバサ、キュルケ、そしてシエスタの四人(距離が長く、人数が多かった為、ギーシュには辞退してもらった)は、シエスタの案内で、石があったという洞窟の前にいた。 「この中なのね?」 「は、はい」 わたしの言葉に、慌てて頷くシエスタ。 一日でここまで来て、休む間もなく案内させられた為か、シエスタの顔には疲労の色が見える。 「ありがと。ここまででいいわ。ねえタバサ、彼女を村まで送ってもらえるかしら?」 タバサは頷いて、「すぐ戻る」と言ってシエスタを風竜に乗せて村へと向かって行った。 タバサを待つ間、キュルケと二人だけという事もあり、何となくお互いに無言になり、しばらく経った後、唐突にキュルケが口を開いた。 「……ねえ」 無言で顔だけ向けると、そこには複雑な表情をしたキュルケがこちらを見ていた。 違う、彼女の視線は、わたしの胸の辺り……ダネットを入れている懐の辺りに向いていた。 「もしかして、ダネットってタルブの出身だったりするんじゃないかしら?」 「違うわ」 わたしは、キュルケの言葉を即座に否定する。 キュルケは、断言したわたしを不思議そうな顔で見た後、言葉を続けた。 「言い切るってことは、あんたにはわかってるの? ダネットの故郷のこと?」 返事に困ったわたしは、懐からダネットを取り出して、しばらく思案した後、思い切って言う。 「もしも……もしもよ? もし、ダネットがこことは違う世界の住人だったって言ったら、あんた信じる?」 わたしの言葉に、少しだけ眉をしかめたキュルケは、何かを考えるような仕草をした後に、自分の考えを否定するように頭を振った後、確かめるように口を開いた。 「……前に、あんたが言ったこと、ずっと引っかかってたの。以前あんたは、三体の巨人がダネットの『世界』を破壊したって言ったわよね?」 思ったよりも勘の鋭いキュルケに少し驚いた後、わたしはこくりと頷いた。 「『故郷』じゃなくて『世界』……じゃあ、ダネットの『故郷』って……でも、そんなことって……」 キュルケが言いよどんでいると、シエスタを村に送り届けたタバサが戻ってきた。 「行きましょうキュルケ。多分、答えはこの中にあるわ」 何を話していたのかと頭を傾げるタバサと、「ちょっとルイズ! 待ちなさい!」と慌てるキュルケを余所目に、わたしは洞窟の中へと入っていった。 洞窟の中は細い道が続いた後、突如拓けた場所へ通じていた。 どうやら、山の大きさをそのまま利用したらしく、高い天井は魔法がかけられているのか、うっすらと光り、内部をぼんやりと照らしていた。 そして、部屋の中心部に、小さな台座が見える。台座の近くまで歩いたわたしは、思わず息を呑んだ。 「これ……」 台座の中心には、手の平大の窪みがあり、その窪みは見覚えのある形をしていた。 「ねえ、これって……」 キュルケの言葉に頷いて、わたしは懐からダネットを取り出し、見覚えのある窪み、すなわち緋涙晶であるダネットと同じ形の窪みへそっと置くと、薄っすらとダネットが赤い光を放ち始めた。 息を呑むわたし達を余所目に、赤い光は強くなり、洞窟の中を煌々と照らした後、萎むように収束していった。 「な……何だったの今の?」 不思議な光がどんなものかわからず、自分の身に何か起こったんではないかと手や足に触れたり動かしたりしてるキュルケに、わたしが何かを言おうとした時、周りの異変に気が付いた。 強い光が収まった後も、まるでわたしを心配するかのように淡く輝くダネットを見つめた後、呟く。 「ダネット、あんたはこれをわたしに見せたかったっていうの?」 まるで、台座を囲むように薄い光を放つ赤い文字が壁の隅々に浮かび上がっていた。 警戒するような顔でタバサが近付いていき、安全を確かめた後で顔を近づける。 どうやら、文字を読んでいるようだったが、振り返った後、わたしとキュルケに一言呟いた。 「読めない」 わたしとキュルケも近付いてみると、そこには今まで見たこともない文字が躍っていた。 「何これ? ルーン文字ですらないじゃない。どこの言葉かしら」 「わからない」 首を傾げるキュルケに、短く答えるタバサ。 そんな二人に聞こえるように、わたしは口を動かした。 「プロスト……違うわね。プロデスト大陸……覇王メディスン……」 驚いた顔でわたしを見る二人。 「ルイズ、あんた読めるの!?」 「なぜ?」 疑問を投げる二人に、わたしは曖昧な表情を返す。 自分でも奇妙な感覚だ。何せ、見たことのない文字が理解できるのだから。 「知らないけれど知ってるのよ」 わたしの返答に、ますます意味がわからないといった表情になる二人。 仕方なくわたしは言葉を続ける。 「これはダネットの世界の言葉よ。わたしは知らない。でも、わたしの中の誰かさんは知ってるみたいね」 それを聞いて、表情を硬くする二人とは別に、反応するものがあった。カタカタと刀身を揺らすデルフだ。 「そこまで進んでんのか娘っ子?」 「……」 デルフの言葉を無言で返した後、わたしは続きを読み始める。 壁面に書いてある物語は、以前ダネットが話し、わたしが見てきたものとほぼ同じものだった。そう、『ほぼ』である。 この物語は、最後だけが違っていた。 封印されたはずの、黒い剣を持つ青年の最後が。 前ページ次ページお前の使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7415.html
前ページ次ページゼロのメイジと赤の女王 翌朝、早々に目覚めた陽子はとりあえずいいつけを済ませようと、そっとルイズの部屋を抜け出した。 広い廊下を歩きながら周囲を見て回るが、無駄に大きな城は何がどこにあるのかさっぱりわからない。 「・・・さて、水場はどこにあるんだろう」 少し困ったようにひとりごちた陽子に、冗祐が助言する。 「使用人をつかまえて訊いたほうが早いのでは?」 「そうだな、これだけ広いのなら働いている人も大勢いるか・・・」 「ならば丑の方角に、人が」 「わかった、ありがとう」 教えられた方向へ向かえば、遠くから人影が向かってくるのが見えた。彼女――――どうやら女性だ――――は陽子に気づくと軽く目を見張って、にこりと笑んだ。 切りそろえられた黒髪と白い肌に散ったそばかすの愛らしい、陽子とそう歳の変わりなさそうな少女だ。 「お早うございます。・・・えーと、新しい使用人の方ですか?」 陽子は苦笑して首を振る。 「お早う、・・・わたしは使用人ではないよ。どうやら昨日、ルイズという子に召喚されたらしくって」 「まあ。・・・それじゃ、あなたがミス・ヴァリエールの使い魔さんですか?」 驚いた様子の少女に、陽子は苦笑したまま尋ねる。 「・・・もう、そんなに有名か?」 「ええ。召喚の魔法で平民を呼んでしまったって、それは噂になっていますわ」 「そうか・・・」 どうやら人間が召喚されたことは本当に珍しいことらしい。これはしばらくは見世物かなと辟易する陽子に、少女が小首を傾げた。 「それで、ミス・ヴァリエールの使い魔さんは、こんなに早くにどうされたんですか?」 「ああ、彼女に洗濯を申し付けられて・・・そうだ、すまないけれど、洗濯する場所を教えてもらえないか?」 少女はそうですかと屈託なく笑んで、片手に下げた籠を示してみせる。中にはシーツか何かだろうか、白い布が丸められて詰め込まれていた。 「わかりました。私も丁度向かうところだったんです。一緒に参りましょうか」 「助かる。・・・わたしは中陽子。あなたは?」 少女は珍しいお名前ですねとにっこりして、先導して歩き出した。 「シエスタと申します。平民同士、これからよろしくお願いしますね、ヨウシさん」 他愛無い話をしつつ洗濯をしながら、陽子はシエスタにうまく表現できない不思議な感覚を覚えていた。 無礼にならないように気をつけてはいたが、あまりに視線をやるのでシエスタも見られていることに気づき、少々居心地が悪そうに訊ねる。 「・・・あの、ヨウシさん?私に何かついてますか?」 「・・・あ!・・・いや、」 ぶしつけを恥じるように陽子は視線を逸らし、そしてようやく彼女に感じるものが何かに思い至る。――――郷愁、だ。 「・・・じろじろ見てしまってごめん。なんだか、懐かしい気がして。・・・わたしが昔住んでいたところの人々が、シエスタのような綺麗な黒髪をしていたんだ」 「まあ、そうなんですか」 シエスタはわずか陽子にさした影に気づかぬ振りで笑って見せた。召喚というものがどういうものか、学院に住み込みで奉仕しているシエスタは多少ではあるが知っている。 シエスタと同年代か少し下のように見えるこの少年は、いきなり家族や友人や馴染んだ場所から引き離されたのだ。心細い中に懐かしさを感じるものを見つければ気にもなるだろう。 それにシエスタは曽祖父譲りの髪色を気に入っていたので、褒められたことは単純に嬉しかった。 「この色、珍しいでしょう。曾お祖父ちゃん譲りなんです。私の地元でも、この髪は私の家族だけなんですよ。 もしかしたら、ウチの曾お祖父ちゃんとヨウシさん、同郷だったのかもしれませんね」 「・・・・・・だったら、面白いね」 苦笑交じりに答える陽子に、シエスタは余計なことを云ってしまったことを悟る。 ふるさとのことはタブーなのかしら――――召喚されてしまった身であるならばそれもあるのかもしれない、あるいはもっと複雑な事情かもと考えて、シエスタは話題を変えることにした。 「ところで、人が使い魔として召喚されるなんて今までになかったって話ですけれど、ミス・ヴァリエールはヨウシさんになんておっしゃっていました?」 「ああ・・・」 陽子は思い出すようにすいと視線を上に向ける。 「・・・そうだね、普通人が召喚されることはないって云っていたな。それで、使い魔は主人の目となり耳となり、そして主人を守る存在だって云ってたけど、わたしには無理だから雑用とかをやるようにって」 「まあ。それじゃ、使い魔というよりは使用人に近いんですね。そうですよね、幾ら何でも人間にそんな危ないことはさせられませんよね」 「そうだね。・・・よし、シエスタ、これで洗濯物は全部?」 ぱん、と最後のシーツの水気をきって、陽子はシエスタを見た。シエスタは空の籠を見下ろし、笑顔でシーツを受け取る。 「はい、これでお終いです。・・・すみません、私の分まで手伝ってもらっちゃって」 陽子も薄く笑んで答える。 「案内してもらったお礼代わりに。また何かあったら頼りに行ってしまうかもしれないし」 「ああ、それならいつでもいらしてください。私、基本的に厨房周りにいますから。もしいなくても厨房の誰かに聞けばどこにいるか教えてもらえると思います。それから、」 シエスタは陽子の脇に絞ってある白いレースを手に取った。 「ついでに、これも干しときますね。乾いたらミス・ヴァリエールのお部屋まで持っていきますので」 少し迷ったが、陽子は素直にシエスタの好意を受けることにした。 「ありがとう。じゃあ、お願いしても構わないかな」 「どういたしまして。それでは、私戻りますね」 「うん、ありがとう、シエスタ」 「いいえ。それでは」 礼をしてぱたぱたと駆けていくシエスタの背を見送り、さて、陽子は聳え立つ白亜の城を見上げた。金波宮とはまるで違う建築様式で造られた城は朝日を受けきらきらと輝いている。 「・・・それじゃ、お姫様を起こしにいこうか。そろそろ良い時間だろう」 呟いて、朝特有のざわめきに溢れ出す城をストロベリーブロンドの髪の少女の元へと歩き出した。 「ルイズ。ルイズ、朝だよ」 「んー・・・。あと5分・・・・・・」 「・・・どこかで見た光景ですね」 「煩いぞ冗祐」 余計なことを呟く使令を黙らせて陽子はルイズを呼ぶ。少女はむにゃむにゃとなにやら呟いて顔をしかめ、むーと寝返りをうち朝日に背を向けた。意外に寝起きはよくないようだ。 「ルイズ。そろそろ起きないと、遅れてしまうんじゃないか?起きて、ルイズ」 「うー・・・。うるさいわねえ・・・」 身体を軽く揺さぶられ、とうとう観念したようにルイズがむっくりと起き上がる。手の甲でこしこしと目元をこすると、ようやくそこで陽子の存在に気づく。 「ひぇっ?!あ、あんた誰よ?!どういう訳で私の部屋に入ってきてるの?!」 「・・・どういう、って。ルイズが起こせと云ったんだろう」 悲鳴さえ上げられて、陽子は流石に呆れ返る。盛大に寝惚けているにしても忘れられているとは思わなかった。 「あなたが昨日召喚した使い魔だ。もう一度自己紹介が必要か?」 「・・・・・・・・・。あー。・・・あー・・・、そうだったわね。・・・いいえ、自己紹介は必要ないわ」 ルイズは可愛らしく欠伸をしながら、ベッドの上に座り込んだ。服、と単語だけで命じられ、陽子はベッド脇の制服を彼女に渡す。 「下着」 制服を受け取ったルイズは次いでそう告げた。まだ眠たそうで、とてものこと意識がはっきりしているとは思えない。 「どこにあるの?」 「そこのー、クローゼットのー、一番下の引き出しに入ってる」 妙に間延びした口調に苦笑を噛み殺しながら適当に一揃い取り出して彼女に渡す。ルイズはのっそりした動きで下着を身につけた。 「服」 「その服は違うの?」 「着せて」 こどもではあるまいしと陽子は呆れたが、はたと思いついてなまぬるい顔をする。・・・そういえば、王になった直後はいつでもどこでも女官がついてまわり、なんでもやろうとしてくれたことを思い出す。 特に陽子を着飾らせることについてはそれが使命とばかりにものすごく燃えており、どれだけ簡素な格好で赦してもらうかが重大な問題だった。ちなみにその攻防戦は現在進行形である。 (・・・・・・そんなもんなんだろうか) どうせ同性なんだしと陽子はいまだ寝惚け眼のルイズにブラウスを着せだした。 老人ホームのボランティアで要介護者の着替えを手伝ったときのことを思い出しつつだったことは、ルイズには云わないほうがいいかもしれない。 前ページ次ページゼロのメイジと赤の女王
https://w.atwiki.jp/moejinro/pages/1325.html
4日目 Navi 今日もすがすがしい朝がやってきました 村の広場の真ん中に食べかけのまま息絶えている ミクかわいいさん の遺体が発見されました… 1 (なび村) ミクかわいい 〓■●_~□○0 Navi 村人の皆様、今日もがんばってください Navi 昼の部スタートです 1 (なび村) Jareky 【霊媒CO】私が霊媒です。シンクロさんは白いイカでした。 村人です。○!! 1 (なび村) エルレイナ 共有ががが 1 (なび村) ちゃわんむし 【フェルシィ占い○】寡黙な人かつ微妙に状況がわかってなさそうな人を占いました。翻弄されている村人を演じている狐の可能性があり占いました。 1 (なび村) シエスタXX 占いCO:Gavialさん○ 占い理由:初日の狼発見に焦って自分の信頼度下げるように見えたため 1 (なび村) デジュー 個人の意見を言わせてもらってます。それをどう受け止めるかは占いさんたちに任せます>ちゃわんむしさん 個人的には多弁な占いは騙りと見がちです 1 (なび村) テンシ おはよー 霊媒結果:シンクロさん○でした 1 (なび村) ACT リュファさんは村人です>信用してくれた人を信じたかったからです 1 (なび村) ちゃわんむし 【ミクかわさんの質問へのお答え】現時点ではいるとも居ないとも。ですが対抗二人とも喋らない、つまり情報量が少ない=狂狐である可能性は充分あると思います。 1 (なび村) xこぅちゃx おはよーございます! 1 (なび村) BBL 共有COします 相方のミクさん噛まれたので出ます 1 (なび村) ちゃわんむし ってこたえゆおとしたらこれだよ!!!!!!! 1 (なび村) フェルシィ おはです~ 1 (なび村) Gavial フライングぅw 1 (なび村) katsumi おはよー 1 (なび村) ミクかわいい ・胃stゾンビ 1 (なび村) ちゃわんむし 共有相方早く!! 1 (なび村) Lumiya ぐーてんもるげん 1 (なび村) リュファ 共有を証明する手段が失われた・・・ 1 (なび村) エルレイナ 霊でた 1 (なび村) Merton 対抗でましたか 1 (なび村) ちゃわんむし 相方さんは早く! 1 (なび村) デジュー Jareさん霊媒 1 (なび村) リュファ ミクさん、デジューさんは共有ですか、って聞こうとしてたのに・・・ 1 (なび村) エルレイナ BBLさん共有 1 (なび村) ちゃわんむし ジャレさん霊媒!うれしいですー 1 (なび村) xこぅちゃx お、霊媒出た 1 (なび村) ちゃわんむし おっとごめんなさいいいいい相方把握です 1 (なび村) テンシ 共有CO1人? 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい もそそ 1 (なび村) ちゃわんむし 狼騙りならもっと喋ると思うんですよ。それが私一人だけしゃべっている状況なので、どうも。 1 (なび村) Lumiya と、霊媒対抗jareさんとBBLさん共有了解 1 (なび村) Jareky 今回は潜んだ方が情報を引き出せそうだったので、3日目も潜伏しました。狩人もきつかろうと思いました。 1 (なび村) エルレイナ シエスタさんが破綻確定でござる 2 (ゾンビ部屋) Navi おいでまし~ 1 (なび村) ACT 霊2人目確認しました 2 (ゾンビ部屋) cozy お疲れです 1 (なび村) Gavial んで、両方白なんでシエスタさんが破綻したね。 2 (ゾンビ部屋) シキワロス おつかれさまー 4 (パリっ子) BBL 共有COです 1 (なび村) ちゃわんむし テテろんさんは昨日、シンクロ吊りに反対意見がないと言いましたが私さりげなく反対してますよ…? 1 (なび村) ちゃわんむし ACTさんは対抗が黒出したのに黒でたねーと呑気ですね。 1 (なび村) Lumiya とりあえずシエスタさんは偽、と 2 (ゾンビ部屋) シンクロ お疲れ様です! 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい シエスタさん破綻なの・・? 1 (なび村) ちゃわんむし と、ためておいた長文はりはり 1 (なび村) BBL 共有ですよ 1 (なび村) フェルシィ ですね 1 (なび村) Jareky シエスタさん吊り 1 (なび村) Jareky でいいのかな 1 (なび村) デジュー Jareさんなんで今CO? 1 (なび村) xこぅちゃx シエスタさん吊りでOK 1 (なび村) テテのん ぬ、この流れの速さで気が付かなんだ 1 (なび村) シエスタXX 俺視点Jareさん偽なんだけどね 1 (なび村) Jareky テンシさんの霊媒を偽視している声も多かったので潜んでみようかと。 1 (なび村) リュファ 白いイカってある意味当たり前・・・でもJareさん信頼性ありそう。 1 (なび村) Gavial んー・・・狐見つかってないから捕獲しとくって手もあるけど。 1 (なび村) ACT 確実に破綻するから、のんきでもいいかと思いました>ちゃわんむしさん 1 (なび村) katsumi Jarkeyさん過去の鑑定は? 1 (なび村) テテのん とりあえずシエスタは人外側じゃな理解した 1 (なび村) Gavial というか狂だろうからガン無視って手もあるよ? 1 (なび村) ちゃわんむし ジャレさんは真確定です、少なくともw足し視点では 1 (なび村) ACT 難しい・・・ 1 (なび村) ちゃわんむし あ、 1 (なび村) Jareky いや、黒いイカのスミの可能性もあったよ>シンクロ 1 (なび村) BBL Jreさん結果もう一度お願いします 1 (なび村) ちゃわんむし 狂人もあるかーーー 1 (なび村) Gavial どうやって?>ちゃわんむしさん 1 (なび村) エルレイナ 万一占いに狐まじってたら狂人もあるねジャレさん 1 (なび村) Jareky 【霊媒CO】霊媒結果: cozy○ シンクロ○ 1 (なび村) シエスタXX なぜ俺が陣外なのだろうか 1 (なび村) BBL ログ流れてしまったので 2 (ゾンビ部屋) シキワロス 破綻なんてしてたかな? 1 (なび村) Merton シエスタさんは人外側ですね 1 (なび村) BBL ありがとうございます 1 (なび村) エルレイナ 個人的には霊の信頼度はジャレさん>テンシさん 2 (ゾンビ部屋) シキワロス してた。 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい なんかエルレイナさんがそんなことおっしゃてます・・ 1 (なび村) テンシ ちなみに私もこう 霊媒結果:1 cozyさん○ 2 シンクロさん○ 1 (なび村) テテのん シンクロの霊媒判定がどちらも白じゃから 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい (*ΦωΦ)。。 1 (なび村) ちゃわんむし ですね。警戒は怠りません<狂人の可能性 1 (なび村) Jareky 今回は潜んだ方が情報を引き出せそうだったので、3日目も潜伏しました。狩人もきつかろうと思いました。 ( 2 (ゾンビ部屋) cozy シンクロさん○信じてましたよ。確定○ですね。 1 (なび村) デジュー 人外確定のシエスタさんは今日吊るとして・・・ 1 (なび村) BBL シエスタさんは狂人かな? 1 (なび村) xこぅちゃx まだ分からんかなー・・霊は。 1 (なび村) Gavial あぁそうか・・・シエスタ=狐の可能性もあるのか 1 (なび村) ちゃわんむし すみません、がびさん、質問の守護ははっきりおねがいします 1 (なび村) エルレイナ 白進行だし狩人保護考えるならシエスタさん吊りでいいと思う 1 (なび村) BBL とりあえず吊りの指定はシエスタさんでお願いします 1 (なび村) ちゃわんむし ガビさん何を聞きたいのか…ちょっと 1 (なび村) フェルシィ シエスタ把握 1 (なび村) Lumiya シエスタさん吊り了解です 1 (なび村) シエスタXX 真霊のでない村とか 1 (なび村) Gavial 自己解決してるみたいだからいいけどじゃれ=狂の可能性もあるよって言ってた。 2 (ゾンビ部屋) シキワロス この村よく狐が占いにいくんですか? 1 (なび村) ちゃわんむし 吊り指定把握です。 1 (なび村) リュファ 霊媒両方とも白でしたから、シエスタさんは吊りでいいかと思います。 1 (なび村) エルレイナ まぁ狐なら特攻はしないから狂人濃厚 1 (なび村) テテのん むぅ、続きを言うまでもないほど流れが速い・・・ 1 (なび村) xこぅちゃx まぁローラーされる場所に狐は考えにくいと思う 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい たいていはもぐってます・・・と思います 1 (なび村) ちゃわんむし あ、そうですそうですー。狂人の可能性もあると<がびさん 1 (なび村) Merton 狐は潜伏してると思う 1 (なび村) デジュー Jareさんは霊乗っ取りできるとCOした狼に見える 2 (ゾンビ部屋) シキワロス まさかの可能性考えてて怖い。。 1 (なび村) BBL 霊媒はおそらく真狼なので私が噛まれてもローラーしてください 1 (なび村) シエスタXX そもそも俺が狂人なら 1 (なび村) リュファ 霊媒さんは、ふたりして同じ結果を言っているうちはちゃんと結果出ているのと同じなので。 1 (なび村) エルレイナ 2,3日目のログみる限り、狼くさい人が見当たらないし、推理できる狐さんでもそうそう狼は当てれないとおもわれ 1 (なび村) Lumiya 狐潜伏濃厚ですが一応騙りも視野に 1 (なび村) シエスタXX いきなり黒だしはしないんだけど 1 (なび村) デジュー そうだね明日から霊媒ロラしましょうか 1 (なび村) ちゃわんむし 共有の霊ローラー遺言把握しました。 1 (なび村) ACT 対抗が狼狂人で、霊が真狼かな? 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい あ、霊がシンクロさんを両方○だったから、ということですね!!!(いまさら 1 (なび村) エルレイナ だから3日目いきなりの黒だしは狐としてはできない 1 (なび村) エルレイナ あ、3日目は関係ないか 2 (ゾンビ部屋) Navi 今まで占い騙りってあったっけ? 2 (ゾンビ部屋) Navi 妖狐の 2 (ゾンビ部屋) シンクロ ですです>美玖川・伊井衛門さん 1 (なび村) ちゃわんむし 黒特攻は狂人ぽいですが… 1 (なび村) デジュー あと、狼さんへ 共有なんて噛んでていいの? Navi 5分経過(後2分) 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい シキワさんとシンクロさんがまぎらわしい・・・ 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 記憶にはないかな! 2 (ゾンビ部屋) シキワロス 俺の記憶ではペパーさんがしてたよな 1 (なび村) シエスタXX まじで俺切ると村も狼もやばいよ 2 (ゾンビ部屋) シキワロス ような 1 (なび村) BBL 役職ローラーで狼1狐1にはなると思います 1 (なび村) テンシ 噛んでたらたらいかんで? 2 (ゾンビ部屋) Navi あー 1 (なび村) katsumi 結局、吊りはどこ指定? 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい ペパさんは・・・ 2 (ゾンビ部屋) シキワロス 誤字激しすぎてやばい。 1 (なび村) Jareky 今日シエスタさんを吊るなら、明日以降霊媒ローラーでも致し方ないかな 1 (なび村) ちゃわんむし 狩人はどこまもってたのか 2 (ゾンビ部屋) Navi みんたんならしてそうだな・・・ 1 (なび村) ちゃわんむし それとも死んでしまったのか… 1 (なび村) BBL 今日は噛めるので共有噛んできたのでしょう 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい ウン・・・ 1 (なび村) xこぅちゃx 吊りはシエスタさんでいいんじゃ?破綻してるんだし。 1 (なび村) ちゃわんむし 霊媒守りかな… 1 (なび村) エルレイナ 占いか霊でしょ 1 (なび村) BBL 吊りはシエスタさんでおねがいします 1 (なび村) デジュー 今日はシエスタさんでおk? 1 (なび村) エルレイナ 共有は普通守らない 1 (なび村) フェルシィ おkです~ 1 (なび村) ちゃわんむし シエスタさん把握 1 (なび村) デジュー シエスタさん了解 2 (ゾンビ部屋) シキワロス 名前紛らわしいでしょうか。適当につけたんですよ!漢字使えないから 1 (なび村) エルレイナ 狼にとって一番こわいのが真占い 1 (なび村) Merton シエスタさん把握です 2 (ゾンビ部屋) Navi 大体の騙りはみんたんに・・・w 1 (なび村) ちゃわんむし ああ、すみません、相方潜伏していたので 1 (なび村) ACT シエスタさん了解です Navi あと1分 1 (なび村) テテのん 役職に狼が二匹と考えると、狐が怖くなるが、ローラー終えるまで呪殺できればよいのう 1 (なび村) シエスタXX まじでか 1 (なび村) ちゃわんむし うーーーーん狐どこだ 1 (なび村) Lumiya うーむ、序盤だと共有よりも役職のほうが重視しますねぇ、私なら 1 (なび村) BBL ちゃわんむしさん相方って誰のことですか? 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 私結構空目しがちなので私だけかも! 1 (なび村) ちゃわんむし 共有さんの相方さんです 1 (なび村) デジュー 相方って何 2 (ゾンビ部屋) Navi 気になさらないで大丈夫だと思いますよ~ 1 (なび村) ちゃわんむし 出るまでは狩人まもるかなと 1 (なび村) BBL わかりました 1 (なび村) ちゃわんむし 個人的感想でしたー 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい ペパさんはほんと騙りのデパートですね・・・ 1 (なび村) ちゃわんむし すみませんすみません・・ 1 (なび村) Gavial どう考えてもちゃわんむしさんが挙動ヘンだよなぁ。。。と言っておこう どうせ「なんで?」って聞かれるので先に理由もいっておこう。吊られない占いのハズなのにやたらと自分への発言に敏感な点 Navi 20秒前 1 (なび村) ちゃわんむし ガビさんは私につっかかりすぎですよ… 1 (なび村) Gavial はい。個人的意見ですよ? 1 (なび村) Jareky Gavialさん強い発言が多く狼がここまでやるかなって印象。なのでを村人濃厚とみてます。 1 (なび村) ちゃわんむし いえ、占いだからこそ 1 (なび村) ちゃわんむし 敏感になるんです。 Navi 夜まで時間がありません 皆様今日の尊い犠牲をお選びください(会話はストップです) 1 (なび村) エルレイナ がべさんは個人的に村とみてる 1 (なび村) デジュー 占いはACTさん真でみてます Navi 投票は私に直Tellでお願いします 3 (GREEN) Navi 会話可能時間スタート 3 (GREEN) Navi ---------------------------------------- 1 (なび村) ちゃわんむし ええ、わたしも 1 (なび村) Navi -------------------------- 1 (なび村) Navi 4日目終了 1 (なび村) Navi -------------------------- 3 (GREEN) xこぅちゃx 何だこの村・・・w 3 (GREEN) xこぅちゃx ってか内訳おかしいよ?これ (T) フェルシィ > シエスタさんに投票 (T) Merton > シエスタさんを吊ります (T) リュファ > ここは当然、シエスタさん。 3 (GREEN) xこぅちゃx デジューさんは何だ? (T) エルレイナ > シエスタさんで~ (T) テンシ > ちゃわんむしさんに投票しますー 3 (GREEN) katsumi おかしいよね (T) デジュー > シエスタさん吊り。狂人でしょうな (T) BBL > シエスタさんに投票します 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい なんか赤いのが見えたような・・・(メモ整理してた人 3 (GREEN) ACT テンシさん狐っぽいw (T) Jareky > シエスタさんに投票 (T) Gavial > さてさて・・・もう一匹はどこかね・・・てか狐どこかね・・・ 3 (GREEN) xこぅちゃx とりあえずシエスタさん吊りましょ (T) ちゃわんむし > シエスタさーん投票でーす 2 (ゾンビ部屋) シキワロス 騙りか・・・狂人で「最終日だけど占いCO」yってみたい 3 (GREEN) ACT ですねー 3 (GREEN) katsumi はーい 3 (GREEN) xこぅちゃx ここが狐、もしくは狂人 (T) テテのん > ふむ、ふむ、シエスタXX殿を吊し上げようかの 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい w (T) Lumiya > 投票 > シエスタXXさん (T) Gavial > えーと・・・どうしようかな。テンシさんで。 (T) katsumi > シエスタさんを吊ってくださいな 3 (GREEN) xこぅちゃx 真のちゃわんむしさんを、どう処分するかだなぁ (T) シエスタXX > なんか恥ずかしいwちゃわんむしさんで (T) xこぅちゃx > シエスタさんでお願いします 3 (GREEN) xこぅちゃx あとデジューさんの誤爆は何だったんだろう 3 (GREEN) ACT 処分のタイミングは任せますね 3 (GREEN) ACT 多分ちゃわんむしさんへのメッセージを間違えてじゃないかな? 3 (GREEN) xこぅちゃx あー ひょっとして 3 (GREEN) ACT 朝一で出してますし 3 (GREEN) xこぅちゃx 狩人か 3 (GREEN) xこぅちゃx Navi子へのメッセージかな 3 (GREEN) ACT 狩人であのTELLは考えにくいのですが・・・ 3 (GREEN) xこぅちゃx まぁね・・・ 3 (GREEN) xこぅちゃx 他に理由がないんよねぇ テンシ なびさんがいないと思ったら・・・熊・・・ 3 (GREEN) xこぅちゃx ちょいとメモ更新してきます 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 占いローラー開始かな 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい (肴ボリボリ 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ コンバンワー なび村の死人部屋はココでしょうか 2 (ゾンビ部屋) シキワロス んー霊ロラからっぽいですが 2 (ゾンビ部屋) シキワロス こんばんはー (T) > ACT 投票お願いします 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい こんばんわ~ 2 (ゾンビ部屋) Navi ですです~ 2 (ゾンビ部屋) cozy リッツおいしい~ (T) ACT > ちゃわんむしさんで (T) ACT > 忘れてたw シエスタXX12 ちゃわんむし3 テンシ1 Navi さよなら シエスタXXさん …あなたの勇姿は忘れない シエスタXX フラッチェー!!! 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ 状況的に4日目かな Navi 日が沈み始めました よい子も悪い子も寝る時間です Navi 役職の方は私にTellお願いします 3 (GREEN) ACT 投票忘れてたw 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい あ、こじさん吊っちゃってゴメンナサイ! 3 (GREEN) xこぅちゃx え? 4 (パリっ子) BBL 独り言タイム (T) Jareky > シエスタさんは狼ですか? 3 (GREEN) xこぅちゃx だ、大丈夫みたい・・・w 3 (GREEN) ACT Naviさんに怒られましたOTL 3 (GREEN) xこぅちゃx はーい・・w 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい もっと余裕があれば・・・ (T) フェルシィ > ちゃわんむしさんを護衛します 3 (GREEN) katsumi あらw 3 (GREEN) xこぅちゃx さて、誰を噛みましょう 4 (パリっ子) BBL Jareさん真かな 狼なら出る必要ないだろうし 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 理由つきでこじさんを(*ΦωΦ) (T) > Jareky シエスタXXさんはごく普通の村人でした!○ 2 (ゾンビ部屋) シキワロス 別に自分でもよかったんやで! (T) エルレイナ > それにしても占われない…素村だと狐なら高笑いできる展開が多いの~w (T) ちゃわんむし > デジューさんを占います 2 (ゾンビ部屋) シキワロス SGにされるとおもったら噛まれたけど 3 (GREEN) xこぅちゃx GavialさんはSGに残したいよね (T) > フェルシィ しっかり守ってあげてね! 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい シキワさん個人的には霊かなとか思ってました! (T) Jareky > 了解です 4 (パリっ子) BBL 狼だったらちゃわんむしさんも偽になるし (T) Lumiya > ちとGavさんちゃわんむしさん以外のところになんか怪しい点がないか探してみるかの 2 (ゾンビ部屋) cozy いえいえ。あーゆー時立候補とかしていいものかまよいますけど 2 (ゾンビ部屋) シキワロス こんな霊媒だったら戦犯・・・ 3 (GREEN) ACT ですね (T) > ちゃわんむし デジューさんはごく普通の村人でした!○ 4 (パリっ子) BBL ACTさんのほうが怪しかったからなあ 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 私も就いてる役職については結構口出しちゃうタイプなので・・・ (T) > Jareky うそ! 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ でも霊媒即死はよくあることでw 3 (GREEN) xこぅちゃx 噛み先の案ありますー? 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい いらしゃんせ~ 2 (ゾンビ部屋) シキワロス 個人的に人柱は下策だと思ってます (T) > Jareky 嘘ついた!! 3 (GREEN) ACT 個人的にはBBL→エミーレかな 2 (ゾンビ部屋) シンクロ っとこんばんはですね! (T) ちゃわんむし > 狼かもとおもってたのにいいいいいい←把握しました 2 (ゾンビ部屋) シエスタXX おつかれ、そして何も言うな・・・ 2 (ゾンビ部屋) シキワロス こんばんは! (T) Jareky > え!!!なんだとごるぁ (T) > Jareky ACTさん狼!! 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 共有がてんぱってたから・・・! 3 (GREEN) xこぅちゃx 真噛んじゃうとACTさん吊られて 4 (パリっ子) BBL 狼はテンシ ACTかちゃわんむし Jareは確定と 3 (GREEN) katsumi BBLさん放置でもよいかな? 3 (GREEN) xこぅちゃx katsumiさんまで行くかもだよー 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ 普通はねぇw (T) > Jareky やったね! 3 (GREEN) ACT そうか・・・ 4 (パリっ子) BBL 狐があるとしたらシンクロさんのみかな (T) Jareky > ちょ!霊媒結果だよ? 3 (GREEN) xこぅちゃx エルレイナさんあたりは 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 時間なかったからしょうがない! 2 (ゾンビ部屋) シキワロス 人柱の何が下策って、吊りを1無駄にわざとして、しかも霊媒や狩人が噛まれる可能性もあるっていうことでしょうか (T) > Jareky そうだよ! 3 (GREEN) xこぅちゃx わりと確信近く来てるんかな 4 (パリっ子) BBL cozyさん人柱だし 3 (GREEN) katsumi 私は冒険でテンシさん噛みかな (T) > Jareky ぎゃあああああああ 2 (ゾンビ部屋) シキワロス まあ決まらないときはしかたないですがww 2 (ゾンビ部屋) cozy すみません。命を粗末にしました 3 (GREEN) xこぅちゃx それでJareさんが偽扱いになっちゃうけど大丈夫? (T) > Jareky まちがえたああああああ (T) Jareky > ACTさんじゃなくてシエスタさんが吊られたんじゃ・・・ 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ 単純に、村を1削る可能性の方が高いのと 3 (GREEN) xこぅちゃx でも、それもまた面白そう・・・ 3 (GREEN) katsumi それだとちゃわんむしさんも偽になるから 3 (GREEN) xこぅちゃx なるほど・・・ 3 (GREEN) xこぅちゃx じゃぁテンシさん噛んでみましょっかー 4 (パリっ子) BBL デジュー Gavさんは村かな? 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 初回人柱の人はつりたくないタイプ 3 (GREEN) ACT OKです 3 (GREEN) katsumi ヽ( ´¬`)ノ ワ~イ !! 3 (GREEN) xこぅちゃx TELLしてきますねー (T) Jareky > まぢか。知らんふりしてもいいけど。どうせACTさんが狼だと思ってたし・・・ (T) > Jareky しまったああああああ 3 (GREEN) xこぅちゃx みんなで考えて遊びましょう♪w 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい えええええ・・・・ 2 (ゾンビ部屋) シキワロス そしたら狐が実は人柱してましたとか。 2 (ゾンビ部屋) シエスタXX 人柱を有効に使えれば上級なんじゃないきっと 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ それを盾に人外が「こうすれば釣られづらくなる」という (T) xこぅちゃx > テンシさんを噛み噛み! (T) エルレイナ > やばい…全然怪しい人がみつからぬ…まぁ役職に狼2でてるのもあるのでしょうが…… (T) > Jareky いあ 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ 人間心理の盾になるからですかね (T) Gavial > こうしてだんだん誰もが怪しく思えてくる素村 (T) > Jareky これはアウトです・・・ 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい ハイ・・・ (T) Jareky > 自分にとってはあんまり情報量ないし・・・ 4 (パリっ子) BBL ローラーして残り二吊りだから狐もいたらミスできないな 3 (GREEN) ACT 占いどうしよう? 4 (パリっ子) BBL 厳しすぎ 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ だから村としては吊らざるを得なくなるし、結果確定で村を鶴率が高い、立ったかな 3 (GREEN) katsumi 噛めなかったら狐濃厚かな? 2 (ゾンビ部屋) cozy 吊りに立候補はひかえたほうがいいですね 3 (GREEN) xこぅちゃx ですね (T) Jareky > 判断はまかせます・・・ 3 (GREEN) xこぅちゃx 占いはー 4 (パリっ子) BBL 狼の狐告発ないかな 3 (GREEN) xこぅちゃx 無難ならエルレイナさん? 2 (ゾンビ部屋) シキワロス 狂人で潜伏しようと考えてたら Navi あー 3 (GREEN) xこぅちゃx でも、狐探しなら Navi えーと 2 (ゾンビ部屋) シキワロス 立候補者● 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ 例えば占い師がいなくなって、自分だけがグレーとかなら、 4 (パリっ子) BBL それかGJないと無理 Gavial (ナンダナンダ? 2 (ゾンビ部屋) cozy お疲れです。シンクロさん デジュー え? xこぅちゃx うん? エルレイナ どなたか落ちました? Merton なんだろう 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ 推理の不確定要素を削る意味含め、手順が余るならあり Navi 皆様、心してお聞きください テンシ 熊が直ったこと? 2 (ゾンビ部屋) シキワロス ふむふむ。 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ でもそこまで行くと体外カッツカツだから ミクかわいい ナニナニ・・・・? Navi 霊媒に間違えて狼教えちゃった Navi テヘ BBL 役かけ? 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ 言い出しづらいですねぇw テンシ ぶ ちゃわんむし え? 2 (ゾンビ部屋) シエスタXX 覚醒? Gavial ・・・オィィ! デジュー ずんがらがっしゃーん!! 2 (ゾンビ部屋) シキワロス えwwww フェルシィ ゑ ミクかわいい ww エルレイナ うひw xこぅちゃx わぁー♪ Lumiya ありゃりゃりゃ Merton ちゃわんむし ど、どういうこと!? リュファ ・・・・・・・・!? ACT え? Navi なんか ちゃわんむし 狼教えた・・?? BBL どうしようか テテのん どないするんじゃ? ミクかわいい (o?д?)o ナビサァーン Merton つまり…?どうなるんですか! Navi てんぱっちゃった!w エルレイナ どんまいです! Lumiya 占い結果を霊媒に送っちゃったでFA? リュファ き、記憶捜査を・・・ xこぅちゃx まぁよくあることさー! クバリャーナ あらまぁw テンシ どどんまいです! リュファ 記憶操作 フェルシィ どんまいです>< BBL 霊媒は結果だけ言って吊られてください Navi いやあ シエスタXX 続行できそう? シキワロス 誤爆恐ろしい子! ちゃわんむし 狼の配役伝えたってことかな Gavial さぁ霊媒の頭をスペル ブックの角で殴るんだ Navi さすがに続けられないな~とw シキワロス >< デジュー たぶん真占いばれるんじゃね? Gavial さよかー エルレイナ あら~~ テテのん 残念じゃな ちゃわんむし ああー クバリャーナ 新職業、占霊師! BBL 霊媒が黙っていればなんとかなるのでは? 4 (パリっ子) ミクかわいい 。。 3 (GREEN) katsumi あらーw Navi ちょっとまってね Merton 村が爆発したぞー! Navi いあ リュファ 霊媒二人に発言封じをかけるとか!! エルレイナ 霊ロラしてもだめかしら? シエスタXX 38.5回の悪夢w ちゃわんむし 霊媒は黙ってローラー… 3 (GREEN) ACT 不完全燃焼・・・ Navi どうしてもフェアではなくなってしまうので Gavial まぁねぇ Navi ごめんなさい! ちゃわんむし その間議論できる時間が増えるよやったね! ちゃわんむし ありゃー エルレイナ どんまいなのです! xこぅちゃx まぁ仕方ない テテのん 霊媒がしゃべれなくなってしまうからのう xこぅちゃx どんまいですよー ちゃわんむし どんまいですー クバリャーナ うんうん Merton どんまい デジュー また○○、5パートだよ! シキワロス 霊媒がしゃべれないゲームか・・・ エルレイナ やりなおし決定? ACT どんまいです リュファ 霊媒さんたちに、「霊媒結果」以外の発言を禁止させましょう。 デジュー ま、しゃーなし 4 (パリっ子) BBL 狼予想 テンシ ACT リュファ フェルシィ なるほどー 4 (パリっ子) BBL 終了してしまうなら言っておく Merton 霊媒さん発言封じはゲームとしてどうかなぁと 4 (パリっ子) ミクかわいい ととかるちょ! Gavial うむ。 ちゃわんむし うーむ エルレイナ ですなぁ 3 (GREEN) xこぅちゃx ってことは シエスタXX まあノーカンが妥当じゃないかな 3 (GREEN) xこぅちゃx 俺がばれたぽいw BBL 今回は仕方ありません テテのん まぁ、GMも人間じゃし、こういうこともあるさ クバリャーナ 発言できないと、仕事も無理だとおもうw Gavial ノーカン終了だのー 3 (GREEN) katsumi こっちとしては、どうしよう? 3 (GREEN) katsumi え ちゃわんむし さくっとやり直します? BBL 結果だけ言って吊るしかないかと xこぅちゃx こういうハプニングも人狼ってもんっす テンシ 一時期人間じゃなくなってたのが原因ですね Merton やっぱり村が爆発したってことで…! 3 (GREEN) ACT あるいみラッキー? 3 (GREEN) xこぅちゃx うん、かなりラッキーよ リュファ 爆発・・・ エルレイナ 村はリア充ばっかだったのだ! ちゃわんむし 爆発エンド! 3 (GREEN) katsumi あ、噛み先かな? Navi 大変申し訳ないです・・・ フェルシィ ちゅどーん! 3 (GREEN) xこぅちゃx んと Merton ぼーん 2 (ゾンビ部屋) cozy ドンマイです 3 (GREEN) xこぅちゃx 恐らくうちらは ちゃわんむし エルレイナさんりあじゅーなん? シエスタXX どんまー エルレイナ しかたないですよ~~どんまいなのです 3 (GREEN) xこぅちゃx 真を噛めてない シキワロス 20XX年 カーレイ村は核の炎につつまれた! クバリャーナ どどんまいでっす ちゃわんむし いえいえ、どんまいですー 3 (GREEN) xこぅちゃx なおかつ Lumiya どんまいだー デジュー どんま~い BBL ドンマイです シキワロス どんまいです。 ちゃわんむし わろす 3 (GREEN) xこぅちゃx 霊に結果を出している(占いの) Gavial なびこの大群が襲い来る・・・! Jareky ぐるぐるぐるぐるぐるどっかーーんん Merton どんまいです エルレイナ わたしは少なくとも違うね!最近は フェルシィ どんまいです~ 3 (GREEN) xこぅちゃx これで全内訳が テテのん どんまいどんまい 3 (GREEN) ACT あの発言出るならjareさん真だね 3 (GREEN) xこぅちゃx 霊媒にバレる Navi よし Navi では ちゃわんむし では配役はっぴょー? デジュー なび村は爆発した 3 (GREEN) xこぅちゃx そういうこったねー シキワロス あらゆる生物は絶滅したとおもわれた・・・ Navi 役職総COかもん! ミクかわいい デデーン xこぅちゃx うん、狼になった夢を見た エルレイナ あー狐で勝てそうだったのに惜しかった>< ミクかわいい 包帯屋CO!!! ちゃわんむし 【占いCOです】 ちゃわんむし やっぱそこかーーー デジュー うそやん フェルシィ 狩人ですよー エルレイナ いや嘘ww xこぅちゃx やっぱ占ったろーw BBL 占いの予想はあっていた クバリャーナ いいえ、わたしこそしんのほうたいやなのです Jareky ぐるぐrぐるぐrどっかーん ACT デジューさんリュファさん信じてくれたのにごめんね ミクかわいい 対抗包帯屋 ちゃわんむし 【デジューさん占い○】真占は誰よりも確実な情報を手に入れてます。それを元に推理してそして怪しい人を見つけだし占うのが役目だと思ってます katsumi ヽ( ゚ ヮ゚ )ノがおー 狼です ちゃわんむし 対抗寡黙占二人をつっつかず(ACTさんの理由薄いのに突っ込まないとことか)必死に私の信用を下げローラーに持ち込みた デジュー ちゃわんむしェェ!占いに見えなかったよぉぉぉぉx!ごめんよぉ シエスタXX 狂人COもしたほうがいいかな? ちゃわんむし あとぶっちゃけ私を疑いまくってる人が対抗に占われまくりです。囲い絶対ある。 ちゃわんむし このやろうwっwこのやろうwww リュファ あぐー。 Jareky 【霊媒CO】霊媒結果: cozy○ シンクロ○ シエスタ○ ACT●!!! BBL カツミさんかリュファさんは狼だと考えていました xこぅちゃx あ、そこか・・・w ACT あったよw>囲い ちゃわんむし じゃれさん信じてた!!! xこぅちゃx そこが送られたのか・・・w xこぅちゃx 俺LWじゃん・・・w ちゃわんむし ですよねーwっw<囲い エルレイナ わたしはどっちが真かきめうちしてなかったぞ ACT え?俺がばれたのwww Lumiya あら、katsumiさん囲いだったのねー Gavial ワタシは普通に素村だよ。 Merton そこかー BBL エルレイナさんはわからなかった ちゃわんむし だからはよグレー潰して対抗占いたかった エルレイナ がべさんはもう2日目の発言を エルレイナ 最近かまれるのはやいから BBL こうちゃさんは少し気になっていた フェルシィ あー やっぱりちゃわんむしさんとjarekyさんか ちゃわんむし がべさんはもうリア狂として脳内処理 エルレイナ わざと狂人ぽくみせて ちゃわんむし こうちゃさんもステルスだぬー BBL ローラー終わったら吊り候補でした エルレイナ 生き残ろうとしてるんかとおもったw Lumiya こぅちゃさんなんか静かだなと思ったら外れてたっ xこぅちゃx ってか、話したかったけど、めっちゃ流れ早くて打てなかったんだよ!w フェルシィ 俺もっすwww デジュー あれ、テンシさん何? Merton ACTさんとJarekyさん真だと思ってた ACT ところでテンシさん何者? テテのん ついていけていたか微妙じゃったな ちゃわんむし で。狩人だーれ フェルシィ ノ エルレイナ わぉ ちゃわんむし わーお xこぅちゃx うわぁ お弁当に居たのかぁ・・・ シキワロス なんと・・・ BBL デジューさんとGAVAさんは村で見てました Gavial あれ?ナヴィ配役発表した? ちゃわんむし ちょwwww霊媒と狩人うらなってたとかwwwwww テンシ 狐でーす!適当に狂人プレイしようと思ってました フェルシィ すいません・・・ついていけなくてww エルレイナ 狐だれだったの? ちゃわんむし 無駄にレーダー高性能wwwwwwww エルレイナ おおうw シキワロス 狐が天使さんってええええ! Merton 狐かー! ACT じゃあエルレイナさんは??? フェルシィ うおうw Lumiya 吊り候補だったから仕方なく霊媒にでたのかー ちゃわんむし テンシさんwwwwwwww xこぅちゃx やっぱ食えなかったか エルレイナ 素村だよ! テンシ ちなみに仕方ないは真霊媒でも言ってたと思うw デジュー えろれいな・・? katsumi 狐ですよねーw ちゃわんむし いない狐に怯えてたとか笑えるwwwwww ACT 間際らしいのやめてよ・・・ Merton エルレイナさんとGavialさんは村人視 テンシ 別に寡黙じゃなかったのに初日指定されたらw エルレイナ すぐに訂正したっすよw シエスタXX まず俺の狂人にみんな驚こうか ちゃわんむし いやおどろかない Merton えっ エルレイナ しってた デジュー 狼ってこうちゃ・ACT後誰? xこぅちゃx いえ、そこ2日目で分かったんで。 シキワロス いや、予測できました Gavial いえまったくぜんぜん 1 (なび村) Jareky テンシさん狼おもってた リュファ こんなこともあろうかと、村のあちこちに前もって仕掛けてあった爆薬が役に立ちました。 BBL 結構内訳あたってた xこぅちゃx 狼目線だと Lumiya うん、シエスタさんは狂人っぽかった ちゃわんむし いやー対抗が黒い発言ぼろっぼろ出したから BBL 狐はわからなかったけど xこぅちゃx 二日目で占い内訳分かった リュファ 狂人は当ててたのに・・・ Navi マダム村が終わりそうなので フェルシィ あ ちなみにミクかわさんとテンシさんとちゃわんむしさん護衛してましたよー シエスタXX きたない流石ニンジャきたない ちゃわんむし つつきまくろうとした Merton こぅちゃさんは微妙に人外臭してたかも ちゃわんむし あ、配役全部でた? xこぅちゃx 狼苦手なの・・・w シキワロス んー怪しさ満点だとおもってたけど噛まれちゃったなー。 Navi あっちとシャッフルしちゃいましょうか ACT 今確認しました。すいません>エルレイナさん katsumi 改めて配役公開をー BBL 確かにこうちゃさん気になっていました xこぅちゃx はーい! ちゃわんむし 改めての公開おねがいしますー エルレイナ いえいえ 1 (なび村) Jareky 自分的にはACTさんは狼だと思ってたので、特にACTさん狼と伝えられても、プレイはたぶんかわらなかったんだけどね Gavial 一応ナヴィ 配役だけー フェルシィ お願いします>< デジュー すいませんもう1回公開おねー Navi 狼 xこぅちゃx ACT katumi katsumi ヽ( ゚ ヮ゚ )ノがおー 狼CO 1 (なび村) BBL ローラーは天子さんからするつもりでした xこぅちゃx 信頼と安心の狼達 Navi 占い ちゃわんむし Navi 霊媒 Jareky 3 (GREEN) xこぅちゃx これ、負けてたね・・・w テテのん 完全にノーマークじゃったw ACT 6割狼なう 3 (GREEN) xこぅちゃx 引き分けでよかった・・・w Navi 狩人 フェルシイ ちゃわんむし いやーーーん霊媒と狩人占ってたとか無駄なほうにレーダーがいやあああ・・ Navi 狂人 シエスタXX 1 (なび村) エルレイナ COタイミングからしてもジャレさん真でよくね?っていおうとシテタ。潜伏理由も納得できるものでしたし フェルシィ いえーい 1 (なび村) Jareky テンシさんが○と聞いてびっくりする展開だったと予想! xこぅちゃx 完全に狼負けだったんだなぁ・・・ リュファ 素人っぽいACTさんをつい信用してしまってました・・・。 ちゃわんむし しかしこれなら生き残れてた可能性たかいのかー Navi 妖狐 テンシ デジュー 狼予想Jareフェルミィちゃわんむし・・・全滅じゃねーか!! 1 (なび村) BBL たぶん ローラー止めたかも Navi 共有 ミクかわいい BBL 3 (GREEN) katsumi 楽しかったのは間違いなしw 1 (なび村) エルレイナ メダパニりますね…w フェルシィ 怪しくてサーセンwww 3 (GREEN) xこぅちゃx だねw ACT ごめんね>りゅふぁさん 1 (なび村) BBL Jareさん狼なら出るメリットないしね Gavial ほほーぅ ACT 素人なのは間違いないけどね ちゃわんむし あれだ。多弁な占いも認めようぜ、な! 1 (なび村) エルレイナ 暫定白だしねぇ Merton ちゃわんむしさんローラー逃れをもくろんで主導権狙って発言してたのかと思ってました BBL また役職だよ! シキワロス 多弁占いってか。完全にうんでやる ACT 5戦目だし シキワロス それでもいいじゃないすか! ちゃわんむし てへぺろ デジュー あ、フェルシィさんだった。メモとった字汚くて間違えちゃった Navi では シエスタXX テンシさん狐だし混乱したかもねー デジュー ごめんなさいねっ xこぅちゃx 4/5の人外率をどーにかしたいとです・・・ Navi 向こうの村と混ぜましょう フェルシィ よくあることです><ノ ちゃわんむし イイノヨ エルレイナ は~い ちゃわんむし はーい シキワロス 了解ー Merton はい Gavial ほーいって0時か・・・ ミクかわいい ハーイ フェルシィ はーい Gavial ワタシ見学でー Navi 皆さん、ホント申し訳ないです 1 (なび村) BBL リュファ 紅茶 akatumiさんをローラー語に吊り候補にしようと考えていました デジューはデジューに死刑の判決を下した Gavial どーまー xこぅちゃx いや、こういうのも ちゃわんむし どどんまいですー! ACT どまい xこぅちゃx たまには楽しいですよ Merton 人間だもの 2 (ゾンビ部屋) シエスタXX chぬけます BBL ドンマイです xこぅちゃx みんなの考え聞けたんで。 エルレイナ 仕方ないですよ~ cozy ドンマイです katsumi どんまいですー BBL 私も誤爆したことありますから Navi では一度 シキワロス 人間でいいじゃないですか。 2 (ゾンビ部屋) クバリャーナ んではわたしもー 1 (なび村) シエスタXX chぬけますー ちゃわんむし まあどうせ村のかちでしたからね(きりっ 1 (なび村) xこぅちゃx こっちも抜けますー Navi 真ん中へ集まりましょう 2 (ゾンビ部屋) シキワロス おなじく。おつかれさまでしたー 1 (なび村) ちゃわんむし 私もぬけますーおつかれさまですー 1 (なび村) エルレイナ おつかれさまです~ 1 (なび村) Lumiya んではこちらぬけますよっと 1 (なび村) デジュー おつかれ~ 4 (パリっ子) BBL おつかれさまでした テンシ おつかれさまでしたー 4 (パリっ子) ミクかわいい さまでした! 3日目へ 2012年3月10日全ログへ
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/458.html
前ページ次ページゼロの使い魔クロス シンがシルフィードと言うウィンドドラゴンに咥えられたまま召喚され、タバサの使い魔となって既に四日が過ぎた。 召喚された当日の夜に、タバサの部屋でようやく気絶から目覚めたシンが最初にした事はタバサとの情報交換であった。 タバサ側からはシンが自分の使い魔になったと言う事、シンを咥えていたドラゴンの事、そして今自分のいる学院の事等を。 そしてシン側からは自分は元軍人だったということ、自分がいた場所は恐らくこの世界ではないと言う事等を伝え合う事となったのだった。 無論、タバサもシンの情報は最初から鵜呑みにはしなかった、だが、あまりにも自分が知っている世界の常識と異なる情報からその事実を認識する事になったのだ。 タバサは日頃から本を読み漁り続けていると言う事から学生でありながらも下手な学者よりも遥かに知識に精通している。 その為、シンが言っているプラントと言う言葉、ナチュラルとコーディネイター、そして月が一個と言う話を聞くにつれて、異世界からの訪問者と認識するようになったのだ。 事実、この世界ハルケギニアにはこういった「異世界からの訪問者」と言う伝承は以外に多い、もっとも、多くの人間はそんな事を信じはしないが… だが、タバサはシンの瞳をじっと見つめ、嘘を言っていないという確信を得たために、シンの言葉を信じることにしたのであった。 そして、タバサは幾つかの条件をつける以外は基本的にシンの自由を許す形を取ることとなったのだ。 まずはシルフィードが会話可能だと言う事を他の人間に漏らさないこと、そして近郊の森に小屋を構えてそこで一緒に住んでほしいと言う事。 前者の理由はシルフィードは貴重な種族で、そのことがアカデミーの研究者たちに知られると実験材料に提出しろと言われかねないということだった。 元々シンもそういった連中には激しい嫌悪を抱く性質なので前者の条件はあっさりと飲んだ。 そして後者はシルフィードもずっと話せない、そして寝るときに一人では可哀想だというタバサなりの優しさである。 シンも、最初食われそうになった事もありやや警戒していたが、そもそもの原因が自分の誤解だと知るとその罪滅ぼしをかねてそれを承諾したのだ。 トリステイン学院近郊の森 シンとシルフィードの小屋 「きゅいきゅい、朝よ朝、おきて、お話、お話の続き~」 「ふわぁぁ…、わかったわかった、朝食の用意するから少し待てって…」 そんなこんなで学院からやや離れた森で同居する事となったシルフィードとシンの朝は非常に早く、日が昇るとほぼ同時に始まる。 これは学院についたら喋れなくなるシルフィードが先にシン相手に出来るだけお話をしたいという思いがあっての事だった。 というのも、シンは学院についた後シルフィードと自分の食事のせめてもの礼として食堂で働く事になったからだ。 最初はお話の時間が少なくなると渋っていたシルフィードだったが、シンが食べ残しで出たお肉を持って帰ると言う事で何とか納得したようだった。 実際シンは余り物や調理した時に残った野菜屑等を貰って帰り、それを簡単に調理して朝食にし、シルフィードもそれを食べるのが楽しみになっている。 「それで、昨日は何を話してたんだっけ?」 「えっと~…そうそう、ヨウカンって子とであったときの事だったわ」 「ヨウカン? あぁ、ヨウランの事かあいつとであったのはアカデミーの食堂で…」 シンはまるで妹に語る様にシルフィードに調理した肉や野菜を与えつつ、自分の食事を食べながら思い出話をシルフィードに聞かせる。 シルフィードにとっては未知の世界の言葉ばっかりだったが、それでも人間の話が聞けると言うだけで嬉しいのかいつも満足そうだった。 人間とドラゴンと言う姿の違いさえ気にしなければ、まるで兄妹の会話のように自然な会話が二人の間では繰り広げられていた。 「で、アイツは唯の事故だって言うのに俺の事を変なあだ名で… って、そろそろやばいな」 「きゅいきゅい… 太陽が大分昇っているのね、そろそろシンのお仕事の時間、早く乗って、急いでいきましょう」 放っておけば何時までも続きそうな二人の会話だが、そうもいかずシンの仕事の時間が近づくと一度お開きになる。 ちなみにシンとシルフィードがどうやって時間を知っているかと言えば、シンが作った簡単な日時計で時間を計っているのだ。 朝食が終わり、仕事の時間が近づくとほぼ同時にシンは荷物を入れたバッグを手に持ち、シルフィードの背中に乗って学院の食堂へと向かう。 ちなみにその飛行中は学院に近づくと言う事から会話が殆ど出来ないのでシルフィードも減速はせず、かなりの速度で向かうようにしている。 トリステイン学院 食堂裏口 食堂の裏口付近まで来るとシルフィードは減速し、そのまま着陸する、そしてそれとほぼ同時にシンがシルフィードの背中から降りて裏口から食堂に入る。 「今日もサンキュー、シルフィード、また帰りも頼む」 「きゅいきゅい~~」 その寸前、裏口に入るかはいらないかの時にシンは何時もそう簡単にシルフィードを労ってから内部に入る。 そしてシルフィードもそれを聞き、シンが入るのを見届けた後に再びゆっくりと飛行を始め、空のお散歩を開始するのであった。 「おはようございます、マルトーさん」 「おう、来たなアスカ、ほれ、今日のノルマだ、確り頼むぜ!!」 「了解です」 調理服に身を包んだシンが食堂に入ると同時にその食堂を取り仕切る料理長であるマルトーに声をかけ、マルトーもそれに返事をしながら野菜の束をシンに渡す。 之はシンが幾らサバイバルやある程度の食事が出来るとはいえ調理師としての実力は持ってない事から、野菜の皮むきや下拵えを担当する事になったからである。 ちなみに、この食堂で働こうとシンがマルトーに頼み込んだときには少しひと悶着が起きたりもしている、それを少し語るとしよう。 マルトーはこのトリステイン魔法学院で働いてこそはいるが、本来は魔法が使えるからと威張り散らしている貴族が大嫌いな人間である。 もっとも、それはマルトーが特別と言うわけではない、この世界での平民―魔法が使えない人々―が当然のように抱いている感情である。 しかし、魔法を持たない平民はどれだけ足掻いても魔法が使える貴族には勝てない、そういう考えがこの世界には蔓延している。 だからいかに嫌悪の感情を抱いたとしても、反逆の刃を向ける事は出来ず、ただひたすらに耐えるしか出来なかったのだ。 そして、そんな彼らから見た、タバサの使い魔となったシンの姿は「貴族に媚を売っている裏切り者」と印象であった。 最初は使い魔、つまりは奴隷同然の扱いを受けるだろうとして同情されかけたのだが、タバサは一切そんな事を行わなかったからである。 特に、同じように召喚されたサイトと言う少年がその主であるルイズに犬扱いされている事からも、シンへのそういう逆風は強くなっていた。 だからこそ、シンが最初に働かせてほしいと言っても、マルトーは当然のようにそれを拒絶し、ご主人様の貴族に養ってもらえと言い放った。 だが、シンは拒絶されても何度も、何度もマルトーに頼み込んだ、途中で怒ったマルトーがシンの顔を蹴り飛ばしても、それでも頼み込んだのだ。 そんなシンの必死な態度にほだされたのか、マルトーはたった一つだけの質問をした、雇うか雇わないかの判断のために。 「お前は何でそんなにここで働きたいんだ? 別に働かなくてもあのタバサって貴族様ならひどい扱いはしないだろう?」 そんなマルトーの問いに、シンは必死な表情をして答えた。 「俺は、迷惑をかけたくないだけです、タバサには色々と助けてもらっているから、少しでも、迷惑をかけたくない、だから働きたいんです。」 そんなシンの言葉を聞いたマルトーは、覗き込むようにしてシンの瞳をじっと見つめていたが、柔らかな笑みを浮かべると、シンの頭を軽くなでる。 「迷惑をかけたくないから、せめて食い扶持くらいは自分で…か、顔を蹴って悪かったな、下拵えや皮むきくらいはできるな?今日から働いてもらうぞ?」 「あ、ありがとうございます!!」 そのシンの言葉に偽りは混じっていないと思ったマルトーは、シンの顔を蹴った事をわびると近くにあった予備の調理服をシンに手渡しながらそういい。 そしてシンもその調理服を受け取ると、まるで少年のような無垢な笑顔を浮かべて、マルトーに深く礼をすると近くの少女―シエスタと言うらしい―に案内されて更衣室に向かっていった。 しかし、シンは気付いていなかった、過去の自分なら間違いなく蹴られればマルトーに襲い掛かっていたと言うのに、何故今の自分は我慢していたのかと言う事を。 失う事への潜在的な恐怖に蝕まれてしまった己の心の歪みにシンは気付かないまま、トリステインでの日常生活に馴染み始めていたのであった…… 閑話休題 野菜の下拵えや皮むきくらいならシンも中々の手捌きをみせらる事ができ、まったく出来ないと思い込んでいたマルトーをほんの少しだけ感嘆させたりしていた。 とはいえ、その皮むき技術などもサバイバル技術の延長線上の為、細かい細工技術はさすがにシンでは出来ないのもまた事実であり。 そういう細工部分は一緒に皮むき等の下拵えをしているメイド達、特に最初にシンと会話してきたシエスタと言う少女によく習う事になっていた。 シンはさすがコーディネイターと言うべきか、技術の吸収は早く、最初は足手まといの部分もあったがどんどんと急成長していた。 その成長速度は、シンから約一日遅れで食事抜きの期間賄い食を貰う御礼にと手伝いに来たサイトが激しい闘志を燃やす程でもあった。 そして、シンも元々の性格柄か相手にライバル視されてスルーできない性格で、その結果発生するサイトとシンの競争のお陰で下拵えの終了速度はどんどん早くなっていたりする。 「よ~し、アスカ、今日はそれでいい、後はサイトに任せてデザートの配膳の手伝いを頼む」 「え… いいんですか?」 「あぁ、下拵えも大半終わったからな、訓練もかねて残りはサイトに任せたい、だからお前はシエスタ達の手伝いを頼む」 マルトーのその言葉にシンは頷き、デザートの配膳準備をしていたシエスタ達の手伝いに向かう。 ちなみにこの食堂では基本的に配膳はメイド達が行うようにしている為、シンがその手伝いをすると言うことは女学校に紛れ込んだ男一人の状態になる。 そして、シンの顔立ちも決して悪くは無いどころかかなりランクは高い、その結果メイド達の中にはシンと御近づきになろうとするものも出てくる。 もっとも、女性に非常に弱いシンにとってそのアプローチを回避する有効な手段が思いつかないのでシエスタに話しかけてそこから抜け出ると言う形になる。 そんなラブコメな空気を見ていたサイトは「シンの癖に… いや、逆に考えよう、キラやアスランじゃ無くてよかったと…」と、不思議な言葉を呟きながら皮むきを続けていた。 配膳開始間際はシエスタと一緒に配っていたシンだったが、4人程回ったところであらかたの配り方を理解し、シエスタと別行動を取るようになった。 多少のぎこちなさはあったが、女性陣には美形といえるシンが配膳してくれると言う事で案外良好な受け入れ方をされていた。 そして、シンが自分が担当する最後の人物にデザートの配膳を終えたそのとき、食堂の隅のほうに不自然な人だかりをみつけ、そちらの方に向かって歩いていった。 「申し訳ありません!! 申し訳ありません!!」 「まったく、之だから平民は… いや、平民ごときに配慮を期待した僕が愚かだったのかもしれないね」 その人だかりの中心では、明らかに貴族のお坊ちゃまと言う感じの男がシエスタに何か因縁をつけている様な光景が広がっていた。 状況をよく理解できていなかったシンは幸い付近にいたタバサの姿を認めて、状況を聞こうと声をかけた。 「なぁ、いったい何がどうなっているんだ?」 「……二股の痴情の縺れ、そして少女に責任転換」 シンの疑問にタバサは本を読んだまま、はしばみ草のサラダを食べながらあっさりとそう答える。 そして、シンはそれだけの情報でも大体の状況を理解し、シエスタを助けようと人だかりを割って中にはいっていく。 「貴族を侮辱した平民を処刑してもいいんだが… 女性相手に手を上げるのは紳士ではないな、そうだ、この侘びに一晩僕に付き合ってもらおうか な?」 最初は憤怒の表情だけであったが、実はスタイルも顔も良いシエスタを好色な瞳で見始めたその貴族は自分の夜伽の相手をしろとシエスタに言い寄る。 貴族に平民は逆らえない、その事を生まれた時からずっと教え込まれたシエスタは、悲痛な表情を浮かべてそれを受け入れようとした…その時。 バッキィィイイ!! 「いい加減にしろよ、アンタは!!」 憤怒の表情を浮かべたシンが、全力の右拳でその貴族の顔を殴りつけ、シエスタと貴族の間に割ってはいる。 「ウグッ… 平民…いや、ミス・タバサの使い魔か、貴様、使い魔ごときが貴族に手を上げて唯で済むと思っているのか!!」 「あぁそうでした、アンタはお偉いお偉い貴族様でしたね、でもな、仲間が言い掛かりつけられている所を見逃せるもんか!!」 最初は挑発するように、そして後半では殺気さえも伴った威圧感を漂わせながら、シンはその貴族に対してそう反論する。 「…シエスタに謝れ、そうすれば俺も謝ってやるさ」 ゆっくりと、戦闘態勢にはいり、殺気を隠さないままその貴族を威圧し続けるシン。 そして、その貴族も、幾つもの実戦と修羅場を潜り抜けてきたシンの威圧に押し負けるように怯み、冷静さを取り戻したので謝ろうとしていたのだが… 「おいおい、ギーシュの奴魔法も使えない平民、しかも使い魔ごときにびびってるぜ」 「そりゃその程度の奴はモンモランシーにも、あの一年の女にも捨てられるよなぁ」 「所詮ドットメイジなのに二つに手を出したのが大間違いって事か?」 外野から聞こえるシンと対峙している彼―ギーシュ=ド=グラモン―を嘲る声により冷静さを失い、逆にシンに対して憎悪を抱くようになっていた。 「ふ、フフフ…… いいだろう、貴族に手を上げた君に、死刑されるだけの君にちょっとしたチャンスをやろう、ヴェストリの広場で決闘だ!!」 そして、ギーシュはその憎悪の感情のままに、自分の理性が「やめろ、謝ったほうが安全だ」と警鐘を鳴らすのを無視して、シンに対して決闘を申し込んだ。 「…謝る気は無いんだな?」 「くどい!! どうしても謝らせたいなら僕を、このギーシュ=ド=グラモンを決闘で破りたまえ、平民の使い魔君」 シンの最後通達と言える声にも、ギーシュは冷静さを取り戻せないままそう言い放ち、決闘の場所であるヴェストリの広場へと向かっていった。 そして彼らを取り囲んでいた貴族たちも、面白い見ものが始まるといった表情で次々とギーシュの後に続いていったのであった。 そんな貴族達にまるで路傍の石でも見るかのような視線を向けていたシンだったが、シエスタが座り込んだまま怯えている様子だったので声をかける。 「大丈夫かシエスタ?」 「こ、殺されちゃいます!! 私が私が犠牲になればアスカさんは… お、お願いです、決闘なんてやめてください!!」 シンの言葉に反応するように、シエスタは必死にシンにしがみつき、決闘をやめるようにと懇願する。 だが、シンはそんなシエスタを落ち着かせようと頭をなでながら、優しい笑みを浮かべながらこういったのだ。 「大丈夫、シエスタは、俺が守るから」 場違いともいえるような、まるで一見すればプロポーズのようなその言葉を受けてシエスタの脳内はオーバーヒートを起こし、シエスタの動きは完全に止まる。 シンはそんなシエスタの様子を見て、何とか落ち着いてくれたと言う誤解をすると食堂の更衣室へと向かっていく。 そんなシンからしばらく遅れて更衣室に向かったシエスタの視界に飛び込んできたのは、衣服を脱ぎ捨て、下着一枚になっているシンの姿だった。 「俺は、ああいう奴らが許せないんだ、力を持っているのに、守る事が出来るって言うのに、力の無い人達を虐げる奴らが…」 そんなシエスタの行動を、「何故決闘を受けるのか?」という疑問によるものだと思ったシンは、自分の内心を吐露し始める。 「だから俺は、軍人になった、そんな奴らを止めたくて、一人でも多くの人達を守りたくて……」 そう言いながらシンは荷物の中に入れていたパイロットスーツを身に纏い、ナイフとハンドガンを装着していく。 段々と鋭くなっていくシンの気配、だが、シンの内心を聞いているシエスタやマルトー、食堂に居る人間達はそれ以上に悲しさを覚えていた。 そう、内心を吐露しているシンのその声は、まるで帰る場所を探して泣きじゃくっている子供の声のように聞こえていたから…… 「でもさ、結局どれだけがんばったって守れない人達も居た、倒せない奴らも居た、でも、やっぱり俺は諦められないんだ…だから」 そこでシンは言葉を区切り、深く、深く深呼吸をすると、決意を秘めた表情を見せ、自分へとの宣言を行った。 「だから、アイツは、ギーシュ=ド=グラモンは、俺が倒す!!」 そんなシンの決意を秘めた言葉に、食堂に居る面々は感激し、シンを激励しながら送り出していき、シンも其れに応えるように片腕を上げると、決闘の場所へと歩いていくのであった…… おまけ 今回のNGシーン そんな貴族達にまるで路傍の石でも見るかのような視線を向けていたシンだったが、シエスタが座り込んだまま怯えている様子だったので声をかける。 「大丈夫かシエスタ?」 「こ、殺されちゃいます!! 私が私が犠牲になればアスカさんは… お、お願いです、決闘なんてやめてください!!」 シンの言葉に反応するように、シエスタは必死にシンにしがみつき、決闘をやめるようにと懇願する。 だが、シンはそんなシエスタを落ち着かせようと頭をなでながら、優しい笑みを浮かべながらこういったのだ。 「大丈夫、シエスタは、俺が守るから」 場違いともいえるような、まるで一見すればプロポーズのようなその言葉を受けてシエスタの脳内はオーバーヒートを起こし、シエスタの動きは完全に止まらなかった。 「は、はい!!そ、その、全身全霊尽くしますので、末永くお願いします!!」 突然のシエスタの言葉に逆にフリーズを起こした我らがシン、ようやく言葉の意味を理解して必死に弁解しようとしたが。 「いや~、アスカ、そういう事か、なるほどねぇ、惚れた女のために決闘を受ける… 泣かせるじゃねぇか、だが、男ってのはそうじゃなきゃ な!!」 料理長であるマルトーが先に行動、シンの背中をバンバンたたくとコック達に声をかけ始める。 「よ~し、お前ら!!今日のディナーメニューの変更だ!! アスカが決闘から帰ってきたらシエスタとの披露宴だ、手を抜くなよ!!」 「「「うぃ~~~~っす!!!!」」」 そんなマルトーの言葉に、同じくシンの「愛する人のため決闘に挑む平民」の姿に感激したコック達が腕によりをかけた料理作りを開始し始める。 「なんで、なんでこうなるんだ…… なんなんだよ、これは……」 あまりの急展開にシンはそう漏らしたのだが、もはやシンの言葉を聞く人間はその場には誰も居なかったという…… 前ページ次ページゼロの使い魔クロス
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1208.html
トリスティン魔法学院とその関係者達は、いつもと変わらぬ平穏を享受していた。 ルイズが土くれのフーケを倒したという噂も、いつの間にか語られなくなり、一部を除いてルイズの存在は忘れ去られてしまった。 そんな中、ロングビルは思いがけない客の来訪に驚いていた。 オールド・オスマンから、書庫の資料を持ってきてくれと頼まれたロングビル。 彼女は、よりによってルイズを一番馬鹿にしていたと言われている『微熱のキュルケ』からルイズに関する話を聞きたいと言われたのだ。 「ミス・ツェルプストー、今は仕事中ですので、後ほどにして頂けませんか?」 「手間は取らせないわ、『土くれのフーケ』の隠れ家があった場所を教えて欲しいの」 ロングビルは思いがけない質問に、二度目の驚きを隠せなかった。 「ふ、フーケの隠れ家ですか? なぜ貴方がそんな事を…」 「教えてくれるの?くれないの?どっちなのよ」 キュルケは多少不機嫌そうに喋る、ロングビルは隠す理由もないと思い、フーケの隠れ家があった場所を教えた。 キュルケは居場所を聞くと、一言礼を言ってその場を立ち去った。 翌日、虚無の曜日。 この日は休日であり、学院の生徒達も思い思いの休日を過ごし、普段とは違った騒がしさがある。 町に出かける者もいれば、楽員の周辺で魔法を使って遊ぶ者もいるし、図書室で読書に励む者もいる。 この日の午前中に、風竜と呼ばれるドラゴンが魔法学院から飛び立ち、フーケの隠れ家跡へと向かっていった。 ロングビルは塔の窓からそれを見かけると、魔法学院の馬を借り、ドラゴンの後を追った。 「きゃああああああー!?」 風竜の上でシエスタが叫ぶ、生まれて初めての空の上、生まれて初めての高さに、シエスタは驚いていた。 「あら、貴方空は初めてかしら、あまり叫んでいると舌を噛むわよ」 シエスタの後ろからキュルケが声をかける。 「……シルフィード、遊んじゃ駄目」 『きゅい、きゅい!(お姉さま、この人太陽の臭いがするの、不思議な人!)』 「そう」 シルフィードと呼ばれた風竜が遊んでいると気づいたのは、主であるタバサだった。 テレパシーのようなものでシルフィードの言葉がタバサに伝わる、タバサはテレパシーを使わずに言葉で命令する。 端から見れば、竜と人間がお互いの言葉で会話しているという妙な光景だが、メイジと使い魔の関係を知るものであれば特に驚くことはない。 しかし、平民の出であるシエスタは『本当に会話できるんだ、凄いなー』と、今更といえば今更な感心をしていた。 いつものメイド服をはためかせて、平民の少女は空を行く。 一方、ロングビルは馬を走らせていた。 キュルケが風竜に乗っていると確信したロングビルは、200メイル以上の距離を開け、馬で後を追っていた。 念のためにどこからか調達した花束も持ってきている、これを跡地に添えると言えば、自分の行動が疑われることもないだろう。 (情報の収集と、今後のために…) ロングビルの表情は、凛とした『有能な秘書』ではなく、既に『土くれのフーケ』のものになっていた。 フーケの隠れ家があった場所、つまり、ルイズの起こした爆発の爆心地は、とても凄惨な出来事の現場とは思えないほど美しかった。 「綺麗…」 空からその光景を見たシエスタが、思わず言葉を漏らす。 考えようによっては不謹慎だと思われたかもしれない。 しかし、池となり、周囲に草花の生い茂るこの場所は、キュルケにもタバサにも少なからず感動を与えていた。 シルフィードが池の傍らに着地し、三人は地面に降りる。 シエスタは地面に降りてすぐにシルフィードに臭いを嗅がれ、頭をこすりつけられて困惑していた。 どうやらよほど気に入られたらしいが、それを知るのはシルフィードの言葉が分かるタバサのみ。 キュルケは美味しそうな臭いでもするのかしら?と、これまた危ないことを考えていた。 三人は、改めて池を見る。 クレーターは雨水を貯めて池となり、周囲に草花を生い茂らせ、見る者の心を楽しませていた。 誰が持ってきたのか分からないが、小舟までそこに置かれている。 この光景を見て、土くれのフーケを道連れにルイズが死んだ場所などと、誰が思うだろうか。 「凄いわね、短い間にこんなたくさんの花が咲くなんて」 「不自然」 キュルケが感心するが、タバサはどこか納得いかないと言った感じだ。 何に納得できないのだろうと、ふと考え込む、答えはすぐに見つかった。 花の種類が揃いすぎているのだ、誰かが庭園の手入れをするように、規則正しく様々な種類の花が並んでいる。 トリスティン魔法学院とその周辺では見られなかった種類のものまで生えている。 「あ、これ煮込むと美味しいんですよね」 てどこか的はずれなことを言うシエスタに、キュルケとタバサは思わず吹き出した。 「花を見て食べ物の話をするんだから、もう。ところでさっきから気になっていたんだけど…そのバスケットは何?」 キュルケがシエスタの持っているバスケットを指さす。 「あ、これですか?これはお供え物です」 「オソナエモノ?」 「はい」 そう言うとシエスタはバスケットの中を見せた、中にはイチゴのタルトが入っている。 「何、あなたピクニック気分で来たの?まあこの景色を見たらそれも悪くないと思うけど…」 そう言ってキュルケが不機嫌そうな顔をする。 シエスタは、キュルケの訝しげな視線を受けて、慌てて弁解した。 「ち、違います、ピクニックじゃなくてお供え物です」 「だからそのオソナエモノって何の事よ」 シエスタはバスケットの中からタルトを一切れ取り出すと、それを紙に包んだ。 「何やってるの?」 キュルケの質問に答えながら、池の側に寄って、紙に包んだタルトを地面に置いた。 「私、お爺ちゃんから教わったことがあるんです。年に一度、死んだ人に生きている人と同じように接して、その人の残してくれた教訓を忘れないようにするそうです」 そう言ってバスケットから小さな花束を取り出し、紙に包んだタルトの脇に置いた。 「ひいお爺ちゃんはちょっと変わった人でした、東方の果て、ロバ・アル・カリイエから『竜の羽衣』というマジックアイテムを使って飛んできたと言うんです」 シエスタは立ち上がり、キュルケに向き直る。 「ロバ・アル・カリイエから飛んできたなんて誰も信じていません、でも、ひいお爺ちゃんは、亡くなった人にはお供え物をするんだとか、手を合わせて祈るんだとか、いろんなことを教えてくれたんです」 シエスタの言葉に、キュルケが感心したように呟く。 「へぇ、不思議な習慣があるのね、でも食べ物を捨てるのと一緒でしょ、貴族ならともかく平民にはそぐわない風習じゃない」 「違いますよ、その分は粗食で我慢するんです、喜びは皆で分け合って皆で楽しみ、悲しみは皆で分け合って皆で慰めるって、そう言ってました…って、ごめんなさい!私、貴族様にこんな事まで喋って…」 シエスタが両手で自分の口元を隠し、慌てて謝る。 「別にいいわよ、東方の果ての話なんて滅多に聞かないし、それに…」 キュルケは池を見た、今までの悲しみを洗い流すかのように光が反射し、水面が輝いている。 「ルイズなら”こんなんじゃ足りないわよ”なんて言って怒るんじゃないの?そのタルト私たちの分もあるんでしょう、私も一口分、オソナエモノにさせて貰うわよ」 「私も」 ずっと黙って話を聞いてたタバサも、キュルケと一緒になってお供え物をするという。 シエスタは、それこそ輝くような笑みを二人に見せた。 『きゅいきゅい!』 突然、シルフィードが鳴き出した、シルフィードが誰かを見つけたと理解したタバサは、シルフィードの示す方を見た。 そこには、馬に乗ったロングビルがいた。 池の周囲に生えた草花に驚いたのか、惚けたような表情のままこちらに近づいてくる。 「…驚きましたわね」 そう呟いて馬から下りたロングビル、その手には花束が握られていた。 「ミス・ロングビル…貴方も?」 キュルケの言葉に、ロングビルは静かに頷いた。 「ミス・ツェルプストー、ミス・タバサ、シエスタ。…私も混ぜて貰えないかしら」 そう言ってロングビルも、加わり、四人は悲しみを乗り越えるように、ルイズの思い出話をした。 途中でロングビルが、「平民を連れてくるなんて珍しいわね」と疑問を口に出したので、シエスタと知り合う切っ掛けを話すことになった。 そもそもキュルケがシエスタを連れてきたのは、シエスタがルイズの死に動揺していたのがきっかけだ。 いつもように食堂で朝食を取っていた時、ルイズが死んだといううわさ話をしている貴族に「本当ですか!?」と問いかけてしまったのが始まりだった。 ぞの貴族達はシエスタを乱暴に払いのけると、メイドが貴族の話に口を出すなと言って怒り出した。 それを制止したのはギーシュだった、彼は良くも悪くも純粋で、女性が傷つけられようとしているのを見て黙っては居られないらしい。 もっとも、相手はギーシュより実力が上の『ライン』だったので、ギーシュは青ざめながら弁解する羽目になった。 噂を聞きつけたキュルケが、ルイズの死は本当なのかと二人に問いつめなければ、ギーシュはボコボコにされていただろう。 それがきっかけとなり、キュルケとタバサは、シエスタと知り合ったのだ。 そのお礼といっては何だが、ロングビルはこの池に花が植えられ、小舟が置かれている理由を三人に話した。 (烈風カリン殿が話していた『ルイズが小さい頃遊んでいた池を…』って、この事だったのね…何よ、厳しいフリして親ばかじゃない) ルイズが小さい頃遊んでいた池を再現したものだと説明し、キュルケ、タバサ、シエスタの三人は、たまらず涙を流した。 その頃、ルイズは森の奥を歩いていた、人間が近づかないような奥地であり、オーク鬼やトロル鬼の出現が危惧される地帯でもある。 吸血鬼の鋭敏な感覚と、高い記憶力のおかげで道に迷うことはない。 ルイズは可能な限り遠回りをして、トリスティンの城下町に向かっていた。 「……あら?」 ふと、歩みを止める。 巨大な樹木の根元に、女戦士のものと思われる白骨死体が転がっていた。 鎧はぐちゃぐちゃにひしゃげており、圧倒的な力で破壊されたのだと想像できる。 白骨に近づくと、周囲の茂みからガサガサと音がして、大きな動物が姿を現した。 トロル鬼と呼ばれる亜人種が現れ、ルイズを取り囲んだ。 象のような皮膚にゴリラのような体格、単純なパワーでは人間の遙か上を行くトロル鬼は、小さいトロルと違い、人間の敵として認識されている、なぜなら彼らは人間を『食べる』からだ。 一人の少女の周囲には五匹のトロル鬼という、きわめて絶望的に見える状況がそこにあった。 「そういえば…まだ、ちゃんと試してなかったわ」 そう言いながら、ルイズは足下に落ちている剣を拾った。 固定化の魔法がかけられている長剣は、持ち主が白骨死体となったにもかかわらず、錆びずに輝いている。 ルイズはそれを無造作に、正面にいるトロル鬼に向かって、投げた。 バァン! と音を立てて、トロル鬼の体は爆発したかのように左右に裂け、ぐちゃりと血の滴る音を立てて地面に崩れ落ちる。 固定化のかけられたはずの剣は、その衝撃に耐えきれず砕け、破片は周囲の木々を傷つけ、穿ち、散らばった。 『グオ?』 他の四匹は何が起こったか分からず、一瞬首をかしげるが、次の瞬間には怒り狂ってルイズへと飛びかかってきた。 そして…ぐちゃりと音が鳴る。 ルイズの腕が、飛びかかってきたトロル鬼の分厚い大胸筋を貫いていた。 「安心して… 木の根っこが養分を吸い取るかのように 理にかなったとても自然な事よ」 ズギュンッ! To Be Continued …… 7< 目次
https://w.atwiki.jp/kokoronokizuna1/pages/14.html
目次 目次概要 画像のUPの説明 洞窟系のバグ洞窟で飛行船に乗るバグ PCの姿がないバグ 戦闘系のバグフリード巨大化1 フリード巨大化2 戦闘背景が移動の風景 水関係のバグ水上テント 水の上に立つPC テント関系のバグテントに入ったらそこは・・・・ フィールド関係のバグ持ち物欄のバグ 概要 ここのページは私1人だとなかなかUPできないのでここに乗っているバグ以外のバグ画像があるならUPしてくれると嬉しいです。 画像のUPの仕方は私が記入しているのを参考にしてください。 画像UPの際のアカウントはギルドIDがあるのでそれを使ってください。 ここはバグ画像を集めて皆で楽しむために作りました。 皆さんが楽しめれば幸いです。By†ノア† 画像のUPの説明 スクリーンショットで保存した画像を選択して右クリックで編集を選択する。 名前が気になる人はID名を塗りつぶしてください。 名前をつけて保存で種類をJPGファイルにして保存。 保存した画像をこのページにアップロードするために編集の三角押して「このページにファイルをアップロード」という項目押して、参照ボタンクリックでアップロードしたい画像をダブルクリックOR選択して開くをクリック。 後は私が書いてるimege欄の部分をコピペして 数字が入力されている部分を自分がアップロードした画像の名前に変更してください。 洞窟系のバグ 上へ←ここをクリックで一番上に戻ります。 洞窟で飛行船に乗るバグ オーストラリアの洞窟で起きたバグその1をUPしました。 洞窟内で飛行船にのっているバグ←の方にはなぜかUFOのアイコンが・・・By★シエスタ★ imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (0412194432.jpg) 名前 コメント テストUP -- シエスタ (2010-11-13 13 40 17) PCの姿がないバグ オーストラリアの洞窟で起きたバグその2をUPしました。 見ての通り姿が見えなくなったバグです。 By★シエスタ★ imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (0412194540.jpg) 名前 コメント 戦闘系のバグ 上へ←ここをクリックで一番上に戻ります。 フリード巨大化1 15st中に起きたバグ By★シエスタ★ imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (1112210845.jpg) 名前 コメント フリード巨大化2 同じく15st中に起きたバグ By★シエスタ★ imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (1112211259.jpg) 名前 コメント 戦闘背景が移動の風景 12Qの場所で起きた移動風景での戦闘シーンです By★シエスタ★ imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (1003150906.jpg) 名前 コメント 水関係のバグ 上へ←ここをクリックで一番上に戻ります。 水上テント 水の上に立つテント By★シエスタ★ imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (1106195708.jpg) 名前 コメント 水の上に立つPC 見たまんま水の上にたつPCw By★シエスタ★ imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (1113212727.jpg) 名前 コメント テント関系のバグ テントに入ったらそこは・・・・ 上へ←ここをクリックで一番上に戻ります。 テントに入ったらそこはWonderlandONLINEでしたwwww By★シエスタ★ imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (1125141300.jpg) 名前 コメント フィールド関係のバグ 上へ←ここをクリックで一番上に戻ります。 持ち物欄のバグ imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (1231214904.jpg) 名前 コメント