約 1,871,372 件
https://w.atwiki.jp/familiar/pages/3823.html
A-side 11-284幸せな男爵様 588 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 22 29 21 ID PCTkWB/9 窓際の椅子に座ったティファニアは、鎧戸の隙間から入り込んでくる静かな雨音に、ただじっと耳を傾けていた。 立ち上がるのも億劫に感じられるぐらい、体が重い。鉛の服でも着せられているようだった。 この日何度目になるか分からないため息が、自然と口の隙間から漏れ出した。 しかし疲労は抜けるどころかますます重量を増して、ティファニアの体を椅子に押し付ける。 何もする気が起きないというのが正直なところだが、かと言って今何かすることがあるのかと聞かれれば、答えようがなかった。 何をしていいのか分からないぐらいの事態が、現実に起きてしまっているのだ。 ティファニアは無言のまま鎧戸を押し上げ、少し離れたところにある小さな小屋に目をやった。 容赦なく雨に打たれて今にも崩れそうに見える、粗末な作りの木の小屋。 窓枠を握る手に力がこもる。見たくない現実をあえて直視するために、ティファニアは目を細めた。 今あの小屋の中には、一人の少年の体が横たわっている。 数日前までは平賀才人と呼ばれていた少年の遺体。 それが、ティファニアたちに突きつけられた現実だった。 事の起こりは、アルビオンにあるティファニアの家に才人らが訊ねて来たことであった。 友人たちとの突然の再会に、ティファニアは戸惑いと同時に大きな喜びを感じた。 実に、彼らと別れてから一年ほどの月日が経過していたのである。 たった一年だというのに、世の中は随分と様変わりしていたらしい。 ほとんど世間から隔絶されていると言ってもいいティファニアにはその変化がよく分かっていなかったが、 才人たちはまさにその変化の渦中に放り込まれていたのだ。 まず当時ガリアの王だったジョゼフという男が暗殺され、一人娘だったイザベラが王位を継いだ。 その王位継承があまりにも強引だったために周囲との軋轢を起こし、ガリアは水面下で内乱のような状態にあると いうことだ。 また、ゲルマニアでも大規模な内戦が勃発したらしく、今は世界全体がゴタゴタしているということである。 才人自身詳しくは話さなかったが、そういったゴタゴタに彼らも深く関わっていたようだ。 そんな訳であまりにも問題が多くなりすぎたために、トリステインに留まることはなかなか難しくなったらしい。 「だから、しばらくの間探検がてら東の方に逃げていようと思ってさ」 それを話すために、ティファニアの村に立ち寄ったということである。 当初、ティファニアは彼らがお別れを言いに来たのかと思っていた。 だが、才人たちの目的は違うところにあった。 彼らは、東への旅に同行しないかとティファニアを誘いに来たのである。 もちろん、一度は断った。自分には世話をしなければならない子供たちがいるから、というのがその理由である。 一年前も、同じ理由で才人からの誘いを断ったのだ。 だが、その答えを覆させたのは、驚くことに他でもない子供たちだった。 彼らは、「自分たちのことは大丈夫だから、テファ姉ちゃんは安心して東へ行ってきてよ」と言ったのである。 それでもティファニアは断るつもりだったが、結局は才人たちについて東方に旅立つことになった。 母親の故郷がどういう場所だったのか知りたい、というのが偽らざる思いだった。 おそらくこれが最後のチャンスとなるであろうことも予想できたので、子供たちの気持ちを素直に受けることにし たのだ。 589 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 22 30 30 ID PCTkWB/9 かくして東方へと旅立つことになった一行は、ティファニアを含めて総勢で三十人弱という小規模な集団だった。 主要なメンバーは以下の通りだ。まず、最初からティファニアと顔なじみだった才人、ルイズ、シエスタの三人。 彼らに魔法学院でルイズと同期だったというキュルケ、タバサ、ギーシュ、モンモランシーが加わり、コルベール という教師も同行する。 彼らの他にも冒険心溢れる若者たちが多数参加していたが、人付き合いの苦手なティファニアが親しくなったのは、 せいぜいこの八人だけである。 とは言っても探検隊の中心はこの八人のようだったから、さして困ることもなかったのだが。 当初は自分の出自や他人が苦手という性質もあって緊張していたティファニアだったが、仲間たちとはすぐに打ち 解けることができた。 彼らが皆それぞれに形は違えど気のいい人たちで、自分がハーフエルフだということもあまり気にしないでいてく れたからだ。 コルベールなどはむしろ大喜びし、エルフについていろいろと質問をぶつけてきたほどである。 才人によると、今回の探検自体コルベールの発案によるところが大きいとのことだった。 こうして、一行はコルベールの作った探検船である「オストラント号」に乗り込み、東方を目指すこととなった。 無論、人間と敵対しているエルフの領域を旅するわけだから、危険な場面にもたびたび出くわした。 だが、旅を続ける内に幾分か友好的なエルフの集団と知り合うこともでき、それ以降は情報と拠点を得たこともあ って、探検もさほど危険なものではなくなった。 その間、ティファニア自身も満足できるぐらいにエルフの情報を知ることができ、彼女にとっての東方探検は十分 に意義のあるものとなったのである。 対して他のメンバーはと言うと、ギーシュらは本当に探検気分で友人たちにくっついてきたものらしく、 シャルロットはあまり多く語らなかったが探検そのものが目的という訳ではないようだったし、キュルケなど本当 にコルベールにくっついてきただけだ。 そのコルベールにしても東方で未知のものに出会うたびに目を輝かせていたので、彼らなりに探検は満足できるも のとなりつつあったらしい。 彼らとは対照的に、才人、ルイズ、シエスタの三人はなかなか目的を達成できないでいるようであった。 ティファニアはよく知らなかったが、彼らははっきりとした目的があってこの東方探検に参加したらしいのだ。 聞いたところによると、それは才人と深い関係のあることらしい。 だが、ティファニアが見たところ、目的が達成できずに苛立っているのはルイズの方で、才人のほうは割とのん気 にこの旅を楽しんでいる様子だった。 そうして、一行が東方に入ってから数ヶ月ほどの時間が経過した、ある日のこと。 彼らが滞在している家に駆け込んできたコルベールが、興奮を隠せない面持ちで叫んだ。 「諸君、ついに聖地を見つけたぞ」 と。 590 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 22 31 25 ID PCTkWB/9 ティファニアは鎧戸を閉じた。雨は未だに止む気配もなく降り続いている。 東方はそのほとんどが砂漠に覆われている不毛の地、というのが西での定説だったが、実際に入ってみると意外な ほどに緑が溢れた土地であった。 もちろん広い砂漠もあるにはあるが、コルベールの見立てでは東方と呼ばれる地帯の四分の一にも満たない程度の 広さとのことである。 エルフを恐れた人間が、彼らの住む世界像すらも歪めてしまった結果だろう、とコルベールは言っていた。 あるいは、人間が離れていた長い歳月の間に、エルフが何らかの手段を用いて砂漠を緑化したのかもしれない、とも。 とにかく、そうした訳でこの村も深い森の中にある。 食物も豊富で気候も穏やかなため、村に住むエルフたちはさしたる苦もなく豊かな生活を送っているらしかった。 長年敵対してきたはずの人間に友好的な態度を取っているのも、そうした生活の豊かさが成せる業なのだろう。 それに、いくらエルフが人間に比して長寿だとは言っても、永遠の命を持っている訳ではない。 長く人間と接触を断っていた間に世代交代が起きて、穏やかなコミュニティが出来ても不思議ではないのだ。 だから、ティファニアたちもさしたる問題もなくこの村に迎え入れられていた。 持ち主がいなくなって久しい家を借り入れ、コルベールとギーシュが先頭に立って西の様式に改造して拠点としたのだ。 もちろん、オストラント号の中にも各員に割り当てられた船室は存在する。 しかし、空の旅ばかりしていると、地に足をつけて眠りたくなるのが人情というものである。 だから一行のほぼ全員がこの家で寝泊りすることを望んだのだが、キュルケの巧みな話術によって丸め込まれた結果、 結局ティファニアを含めた例の九人だけが家を借り受けることとなり、その他の面々はこれまでどおり船で留守を 守ることとなったのである。 そうして村で一ヶ月ほど生活していく中で、ティファニアたちは村のエルフたちとも良好な関係を築いていった。 どうも、若い世代の中には西に行きたがっているエルフも多数いるらしく、彼らが人間風の村を作って生活してい るのもそういった心情の現れらしかった。 ティファニアたちがエルフたちと良好な関係を築けたのには、そういった要因も大きかった。 だが、その交流にも終わりが見えつつある。 「聖地」から帰還して以降、村人たちの様子がどこかよそよそしくなっているのだ。 原因は考えるまでもなく分かっていた。今はもうただのクレーターと化している「聖地」の惨状である。 ティファニアはおもむろに立ち上がり、黙って寝台のそばにかがみこんだ。寝台の下から櫃を引っ張り出し、そっ と蓋を開ける。 その中には、一枚の服が大切にしまいこまれていた。滑らかな純白の生地で織られた、小さな婚礼衣装である。 これを持ってきたときの才人の笑顔が頭に浮かぶ。ティファニアは抉るような胸の痛みを覚えて、小さく唇噛んだ。 591 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 22 32 04 ID PCTkWB/9 「聖地」というのは、いちいち確認するまでもなく、始祖ブリミル降誕の地と言われる場所のことである。 ハルケギニアに住む者なら、誰でも知っている場所だ。 才人らもそこを目的地としていたらしいのだが、長い時間の果てに資料が散逸しており、正確な場所が分からなか ったのだという。 そこが発見されたと聞いて、一番興奮していたのはルイズだった。 彼女はすぐにでも出発しようと主張したのだが、コルベールらはいろいろと準備があると言ってそれをなだめた。 そうやって三日間ほどは準備に当てられることになったのだが、その間才人はコルベールの作業を手伝うでもなく、 村のエルフたちや仲間の少女たちと協力して、何やらこそこそとやっているようだった。 早く聖地に出発したい一心のルイズは、そんな才人の態度にさらに苛立ちを募らせていたが、 才人の方は平謝りしながらも結局何をやっているのか明かさなかったようだ。 ティファニア自身も才人が何をしているのか、直前までは知らなかった。知ったのは、聖地に出発する前の晩である。 その晩は何となく寝付けずに、寝台で寝返りを打っていた。 ティファニア自身、聖地には興味があった。 自分が操る虚無の魔法の秘密が、そこに行けば分かるかもしれないと聞いていたからだ。 果たして聖地には何があるのか。自分がどんな事実を知って、それによりどう変わってしまうのか。 それを思うと、緊張と興奮でとても眠ることなど出来なかったのだ。 控え目なノックの音が響いたのは、そんなときである。 どうぞ、と応じると、才人が足音を忍ばせて入ってきた。 才人は扉を閉めて一息吐くと、大事そうに抱えていた何かをティファニアに差し出した。 「悪いんだけど、これ、ティファニアの部屋に隠しておいてくれないか」 何かと思って広げてみると、それは見るからに上等な生地で織られた、純白の婚礼衣装だった。 驚くティファニアに、才人は照れくさそうに鼻の頭をかきながら話してくれた。 「まあ、なんだ。プロポーズしようと思ってんだ、ルイズに」 つかず離れずと言った感じで、あれこれと周囲をやきもきさせていた才人とルイズ。 いい雰囲気になりかけるたびにタイミング悪く変事が起きるために、二人の関係には今ひとつ進展が見られなかった。 が、才人はそういう曖昧な状況に終止符を打つつもりらしかった。 何故突然そんな気になったのか、と問うと、才人は相変わらず照れくさそうな笑みを浮かべたまま答えた。 「聖地が見つかったって言ったじゃんか。ルイズは多分、俺のためにそこに行こうとしてくれてたんだと思うんだけ ど、もういいんだよ。俺、こっちに残ることに決めたからさ。だからはっきりプロポーズするつもりなんだ。ま、 そういうこと」 そう言われてもティファニアにはよく事情が分からなかったが、とりあえず才人が本気だということだけは分かった。 多少喧嘩はするものの、深いところでは結び合っている二人のこと、才人のプロポーズは間違いなく受け入れられることだろう。 ティファニアは服を預かることを快諾し、才人の企みが成功するのを祈っていると伝えたあと、ついでに聞いた。 「でも、どうしてわたしに頼んだの」 「いや、ルイズは間違ってもテファの衣装箱は開けねえだろうからさ。自信なくすだろうし」 先ほどとは微妙に違った笑みを浮かべた才人の台詞も、やはりティファニアには分からなかった。 何にしてもめでたいことではある。 コルベールの話によると聖地の探索が終わったら一度西へ戻るつもりということだし、いろいろなことが明日で一 区切りつく訳だ。 592 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 22 32 37 ID PCTkWB/9 才人が去った後、すっかり緊張が解けたティファニアは、幸せな気分で眠りにつくことができた。 翌日、一行は夜明けと共に出発した。聖地はオストラント号で数時間ほどの距離にある。 どうやらさほど目立つ建造物ではなかったらしく、これまで発見できなかったのもそれが原因らしい。 昼を少し過ぎた頃に到着した「聖地」を見て、ティファニアも納得した。 「聖地」の内、地上に露出しているのは門の形をした入り口の部分だけで、残りは全て地下に根を伸ばしていたのだ。 だが、地に降り立った一行がその門を潜ることはなかった。 「危ねえ」 と鋭く警告を発したのは、既に鞘から引き抜かれていたデルフリンガーだった。 ほぼ同時に、周囲の岩や木の陰から、無数の魔法が飛んできた。 人間に敵対意識を持つエルフの襲撃である。今思い返してみると、一行は油断していたのかもしれない。 東方探検を開始した当初こそエルフたちは積極的に妨害してきていたが、最近ではそれもなりを潜めていたのだ。 目指す聖地を前にして、気が緩んでいたせいもあるのかもしれない。 一行は、姿を消したエルフたちが待ち受けていることに、少しも気がついていなかったのである。 エルフたちの奇襲は見事に成功した訳だが、デルフリンガーが直前で警告を発したおかげで、 一行は何とか一人も失うことなく船のそばまで戻ってくることが出来た。 じょじょに包囲網を狭めつつあるエルフたちを見て、コルベールは一度引き返そうと提案した。 一行のほとんどがそれに賛成したが、ルイズだけは別だった。 彼女は無理にでも進むべきだと主張したのだ。 「だって、今を逃したらずっと先までここに来る機会はないんでしょう? それなら絶対に聖地の門まで行かなくちゃ」 ティファニアには、ルイズが何故そこまで聖地にこだわるのか見当もつかなかった。 彼女が命の危険すらも顧みなくなるほど重要な何かが、そこにはあるらしかった。 当然、他のメンバーも全員反対したが、ルイズは一切耳を貸さずに制止を振り切って飛び出して行った。 それを見た才人も、デルフリンガーを片手につかんでそれを追う。 そして、悲劇は起きた。 ルイズが魔法を解き放つよりも、エルフたちの魔法がルイズに向かってくる方が速かったのだ。 そのときの光景が、今もティファニアの頭にこびりついて離れない。 自分に向かってくる魔法の群に気付いて、思わず足を止めてしまうルイズ。 硬直するルイズに向かって駆けていく才人の背中。振り回される剣は、しかし魔法を全て吸収するには至らない。 轟音と共に、土煙が嵐となって渦巻いた。 次に目を開いたときティファニアの目に映ったのは、血の海に横たわる才人と、その眼前に呆然と座り込んでいる ルイズの姿であった。 それから先のことは、よく覚えていない。 ただ、結果として聖地はルイズの虚無魔法によって吹き飛ばされ、彼らは気を失ったルイズと瀕死の才人を回収し てこの村に戻ってきたのである。 才人は帰還の途中に船の中で死んだ。モンモランシーの回復魔法も、せいぜいほんの少しだけ死を遅らせる程度に しか役立たなかった。 ルイズを、幸せに―― それが、才人が最後に発した言葉だった。 593 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 22 33 38 ID PCTkWB/9 婚礼衣装を見つめながらぼんやりと才人のことを思い出していたとき、控えめなノックの音が雨音に重なった。 突然のことに驚き、婚礼衣装をしまい直すのも忘れて「どうぞ」と声をかける。 ゆっくりと扉を開いて部屋の中に入ってきたのは、シエスタだった。 肉体的な疲れと精神的な疲れ、両方に苛まれているためか顔には憔悴の影が色濃く浮き出ている。 シエスタはティファニアの手の中にある婚礼衣装を見つけると、かすかに首を傾げて薄らとした微笑を浮かべた。 「ここにあったんですね、それ」 疲労している彼女に立ち話させる気にはなれず、ティファニアは言葉の意味を問う前に、シエスタを寝台に座らせた。 自身もその隣に腰掛ける。広げたままの婚礼衣装は、寝台の縁にかけるようにして、シエスタとの間に置いた。 白く滑らかな布地をゆっくりと手で撫でながら、シエスタは微笑を浮かべたままじっと婚礼衣装を見つめている。 細められた瞳には、溢れんばかりの愛情が満ちていた。 何故この服にシエスタがそれ程の愛着を持っているのか、そして先ほどの言葉はどういう意味だったのか。 それを知りたいと思いつつも、静かな優しさに満ちたシエスタの仕草に躊躇いを感じて、どうしても尋ねることが できない。 ティファニアが迷っている内に、シエスタが布地を撫でる手を止めないまま、呟くように語り出した。 「わたしが仕立てたんですよ、これ」 「そうなんですか?」 だからこの服のことを知っていたのか。そう納得しつつ、ティファニアはまた新たな疑問を覚えた。 シエスタが目の前の見事な婚礼衣装を仕立てたという事実には、大して驚きを感じない。 この旅の最中も、家事全般は大抵彼女の仕事だった。繕い物も得意なようだったし、服の一着ぐらい仕立てられて も不思議はない。 ティファニアが疑問に思ったのは、シエスタがどういった心境でこの服を仕立てたのか、ということだった。 「どうです、ミス・ヴァリエールにはぴったりですよね、これ。 わたしやティファニアさんじゃ、丈が足りないし胸もきつくて破れちゃいますよ、きっと」 おかしそうに笑うシエスタに、ティファニアは笑みを返せなかった。 その戸惑いを知ってか知らずか、シエスタは懐かしむような口調で話し続ける。 「本当に分かりやすい人でしたよね、サイトさんって。聖地に出発する少し前から、影でこそこそ何かやってて。あ あ、何か隠してるなってすぐに分かりましたもの。あんな調子じゃ、鈍感なミス・ヴァリエール以外には嘘も吐け ませんよ。涙も使って問い詰めたら、全部教えてくれました。聖地の門の前でこの世界に残ることを宣言した後に、 プロポーズするつもりだって。隠さなくてもいいのに、多分わたしに悪いと思ってたんでしょうね。馬鹿なサイト さん、プロポーズまでするつもりのくせに、今更こっちに気を遣ったって仕方がないのに。その辺り、どうしよう もないぐらい優柔不断な人でしたよね。だからこそ優しくて、大好きだった」 不意に雷鳴が鳴り響いた。にわかに雨音が強くなり、木造の屋根を激しく叩く。 そんな中でも、シエスタの静かな声は一語一語はっきりとティファニアの耳に届いていた。 「わたし、言ってあげたんですよ。『それならわたしが用意します。だって、大好きなサイトさんのお嫁さんになる 人の婚礼衣装ですもの』って。あのときのサイトさんの困った顔、ティファニアさんにも見せてあげたかったです よ。本当、いい気味だったわ。もちろん、手は抜きませんでしたよ。ミス・ヴァリエールの服なら嫌になるぐらい 洗濯してましたし、寸法もばっちりです。時間が三日巻しかなかったから大急ぎになっちゃいましたけど、それで もどんな花嫁のものよりも素晴らしい婚礼衣装に仕立ててみせる自信がありました。実際いい出来でしょう、これ」 ティファニアは頷いた。シエスタははにかむような笑みを返したあと、そのままの表情でまた婚礼衣装に視線を落とした。 「でもわたしのじゃないんですよね、これ。わたしじゃ着れませんもの、こんな小さな服」 一団低い声で呟くように言ったあと、シエスタは顔を上げて一際明るく話し始めた。 594 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 22 34 51 ID PCTkWB/9 「サイトさんは大喜びしてました。こんな凄いの作ってくれるなんて、さすがシエスタだ、なんて言って。馬鹿な人。 そんなときだけはこっちの気持ちなんかちっとも考えてくれないんだから。でもわたし、嬉しかったんですよ。大 好きなサイトさんのお手伝いが出来たんですもの。正直、本当はちょっと複雑な気持ちだったんですけど、これを 手にしておおはしゃぎするサイトさんを見てたら、どうでもよくなっちゃいました。きっと素晴らしい結婚式にな るはず。その日だけは自分のことなんて忘れて、二人の幸せを祝ってあげようって、そのとき心に決めたんです」 不意に、笑みが消えた。ゆっくりと俯いた顔を前髪が覆い、引き結ばれた口元以外を隠してしまった。 少しの間を置いて語り始めた声音はまだ笑っていたが、それも少しずつ震え始める。 「サイトさんね、『ルイズには秘密にしておいてくれ』って言ったんですよ。この世界に残るって宣言した後に告白 するっていうことに、こだわりがあったんでしょうね。わたしは『分かりました』って約束しました。サイトさん の気持ち、少しは理解してたつもりでしたから」 シエスタの手が、婚礼衣装を強く握り締めた。幾筋もの皺が刻まれた白い布地に、一滴の涙が零れ落ちて小さな染 みを作る。 「全部ばらしてしまえばよかった。そうすればミス・ヴァリエールも聖地へのこだわりを捨てて、サイトさんがあん な目に遭うこともなかったのに」 激情に歪む叫び声の後には、ただ低い嗚咽だけが続くだけだった。 雷鳴混じりの雨音の中、ティファニアはシエスタの肩に手をかけたまま、ただ黙っていた。 やがてシエスタが泣き止んでも、何を言うべきなのか分からず、彼女の言葉を待つしかない。 シエスタも少し俯き加減にじっと床を見つめていて、本当は何をしにこの部屋に来たのか、語り出す気配は一向になあった。 沈黙の隙間で跳ね返る雨音に耐えかねて、ティファニアは恐る恐る訊いた。 「ルイズさんはどうしていますか」 聖地から帰って来て以降、ルイズは魂が抜けたような状態だった。 自分のせいで才人を死なせた上に、魔法力を使い果たして気絶していたせいで死に目にも会えなかったのだ。 目を覚ましたルイズは、横たわる才人の遺体の前で瞬きすらせずに座り込んだままだった。 他のメンバーもしばらくはルイズと共に才人の遺体のそばにいたのだが、その内に居た堪れなくなって小屋から出 てきてしまった。 シエスタだけはルイズ同様出て行くことを拒否して小屋に残っていたはずである。 ティファニアの質問に、「ミス・ヴァリエールは」と、シエスタは掠れた声音で答えた。 「眠りもしないし食事も取らない。そんな状態だったんですけど、少し前に気絶するような形で眠ってしまったので、 ミスタ・グラモンに見張りを交代してもらってここに来たんです」 見張り、という表現に、ティファニアは違和感を覚えた。 どういう意味だろう。まだ敵が襲ってくると思っているのだろうか。 確かに、今の状態でエルフの襲撃を受けたら危険かもしれないが。 (シエスタさん、サイトのそばにいたいからあそこに残ったんじゃないのかな) ティファニアは疑問に思ったが、それを問いただす暇はなかった。 突然、シエスタの体がふらりと傾きかけたのである。ティファニアは慌ててシエスタを支えた。 シエスタははっと正気を取り戻し、慌てて姿勢を直した。 「ごめんなさい、少し疲れてるみたいですね」 疲れ果てた顔に無理矢理微笑を浮かべて詫びてくるシエスタに、ティファニアの胸が締め付けられるように痛くなった。 シエスタだって本当は声を上げて泣きたいだろうに、そんな中でも周囲を気遣うとは。 彼女の心中を思うと、とてもこれ以上無理をさせる気にはなれなかった。ティファニアはそっとシエスタの肩を抱いた。 「少し、じゃないです。ルイズさんに付き添っていたってことは、シエスタさんだって寝てないんでしょう? 休ま ないと体を壊してしまいますよ」 「そうですね、倒れてしまったらサイトさんとの約束を果たせませんし、もう一仕事したら休ませてもらうことにします」 「もう一仕事って。それに、サイトとの約束って一体」 595 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 22 35 44 ID PCTkWB/9 「ティファニアさん」 突然、シエスタの声音に力が戻ってきた。 シエスタは寝台に座ったまま姿勢を正し、隣にいるティファニアの方に体を向けてじっと彼女を見つめてきた。 黒い瞳には凄まじい力が込められていた。見つめるというより睨む、睨むというより射抜くとでも表現した方が相 応しいその視線は、今にも倒れそうなほどに疲れ果てた顔色と相まって、鬼気迫るような危険な気配を放っていた。 あまりの迫力に、ティファニアは返事どころか身じろぎすら出来なくなってしまう。 シエスタはそんなティファニアをじっと見つめた後、慎重に口を開いた。 「あなたにお願いしたいことがあります。いいえ、お願いではありません、これは命令です。絶対に拒否させません。 あなたがどんなに嫌がろうとも、必ず従っていただきます」 普段のシエスタならば絶対に口にしないであろう、威圧的な言葉である。ティファニアはこの上もなく嫌な予感を覚えた。 「何を」 「黙って聞いてください。ミス・ヴァリエールのこれから先の運命は、全てあなたの行動にかかっていると言っても 過言ではないんですから」 シエスタの言葉が、怨念めいた力を持ってティファニアを黙らせる。 その圧力の前に、ティファニアは全身を縛り付けられたような錯覚を覚えた。 逃げ出すことも出来ず、ただシエスタの言葉を待つしかない。 鳴り響く雷鳴の中、シエスタはゆっくりと語り出した。 それは、嫌な予感が的中したことをティファニアに悟らせるには十分すぎるほどに、残酷な命令だった。 「止めてください」 途中でとうとう聞いていられなくなり、ティファニアは目を閉じ耳を塞ぎながら叫んだ。 シエスタの視線から逃れるように、ティファニアは背を向けた。 「そんなこと、本気で言ってるんですか。わたしがそんなことに協力すると思っているんですかシエスタさんが何と 言おうと、わたしは絶対に協力しませんよ。そんな、ひどいこと」 「ひどいこと、ですか」 「ひどいことでしょう、だって」 「じゃあ、あなたはミス・ヴァリエールが死ねばいいがいいと仰るんですね」 ティファニアは驚きと共に振り返った。 あまりにも唐突で衝撃的な質問を発したシエスタは、先ほどと全く同じ姿勢で寝台に座ったまま、少しも表情を変 えていない。 一体さっきのはどういう意味なのか、とティファニアが問いただそうとしたとき、慌しい靴音と共に水滴を撒き散 らしながら、ギーシュが駆け込んできた。 「ルイズがいなくなった」 開口一番そう叫んだギーシュに、ティファニアは即座には反応できなかった。 しかし、シエスタの反応は劇的だった。跳ねるように立ち上がったかと思うと、突進するような勢いでギーシュに詰め寄る。 「どういうことですかそれは。絶対に目を離さないようにと」 「すまない、ぐっすりと眠っているようだったから油断してしまったんだ。だけど、目を離したのはほんの少しの時 間だった。それなのに、才人と一緒に姿を消してしまって」 それを聞くや否や、シエスタは「馬鹿な子」と舌打ち混じりに吐き捨てながら飛び出していってしまった。 ギーシュとティファニアも慌ててその後を追う。 596 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 22 36 18 ID PCTkWB/9 家から飛び出て周囲を見回すと、村はずれの森の方に向かって走っていくシエスタの背中が見えた。 ギーシュと共に彼女を追いかけながら、ティファニアは疑問に思った。 泥を跳ね飛ばしながら駆けるシエスタの足取りには、全く迷いがない。 ということは、シエスタは消えたルイズの行先を知っているということなのか。 「そうか、湖か」 隣を走るギーシュが、何かに気付いた様子で小さく呟いた。 「湖って」 「この道を少し行ったところにあるんだよ。それ程広くはないが、人が沈むには十分な深さがあったはずだよ」 その言葉の意味が、ティファニアにはすぐには理解できなかった。 だが、理解が及ぶにつれて、走っているというのに顔から血の気が引いていくのが分かった。ギーシュの横顔にも 隠し切れない焦りが滲み出す。 「以前にも同じようなことがあったからね。迂闊だったよ、こうなることは予測できたはずなのに」 苦しげに顔を歪めながら、ギーシュが悔やむ。ティファニアは目を細めて、前方を走るシエスタを見やった。 (こうなることが予測できていたから、わたしにあんなことを持ちかけたんですか、シエスタさん) 問いかけながら、唇を噛む。ルイズがその方向にいることを確信しているかのように、シエスタの走りにはやはり迷いがない。 そうしてしばらく走り続けていると、前を走るシエスタよりももっと向こう、森が開けている辺りに小さな背中が見えてきた。 一歩一歩、ふらつきながらぎこちなく歩いていく後姿は、間違いなくルイズのものだ。 「ミス・ヴァリエール」 掠れた怒声を上げながら、シエスタがさらに速度を上げる。 だがルイズは何ら反応を示さず、発見したときと同じ、ぼんやりとした足取りでゆっくりと歩いていく。 その様はまさに命を失った幽鬼を思い起こさせる。声に反応して逃げられるよりも、ずっと恐ろしかった。 シエスタがルイズの肩をつかんで、無理矢理歩みを止めた。それでもルイズは全く反応を示さない。 ティファニアたちが追いついても、ルイズは怒鳴りつけるシエスタの方は全く見ずに、あらぬ方に視線をさ迷わせ たまま何やらぶつぶつと呟き続けていた。 彼女はその細い腕で、自分よりずっと重いはずの才人の亡骸を大事そうに抱えていた。ずっと、彼の亡骸に囁きか けていた。 「ほらサイト、湖が見えてきたわ。ごめんね遅くなっちゃって。ずっと待っててくれたんでしょう。 もうすぐわたしも行くから、もう少しだけ待っててね」 囁きかけるルイズの声音は、温もりを感じるほどに優しく、透き通っている。だからこそ悪寒すら感じるほどに不 気味だった。 シエスタはルイズの肩をつかむと、思い切り彼女の頬を打った。乾いた音が寒々しく響き渡る。 しかし、ルイズはまだサイトに向かって囁き続けていた。彼女の肩を揺さぶりながら、シエスタが激しく問い詰める。 「何をしているんですか、何をしようとしていたんですかミス・ヴァリエール。いいえ、答えなくても分かっています。 あなた、死ぬつもりでしたね。サイトさんと一緒に湖の底に沈むつもりだったんですね。そんなこと、絶対に許しませんからね」 怒りに震える叫び声は、それを間近で聞いていたティファニアの胸を打ちはしたものの、やはりルイズの注意を引 きつけるには至らない。 肩で息をするシエスタの前で、ルイズはなおもサイトに囁き続けていたが、突然何の前触れもなく声を上げて泣き始めた。 ルイズは肩を震わせながら蹲り、才人の亡骸に顔を寄せた。 「ごめんね、ごめんねサイト。わたしのせいでこんなに冷たくなっちゃって。 もう少しであなたのお家に帰れるところだったのに。もう少しでやっと今までのお返しが出来ると思ってたのに。 それなのに、わたしのせいで、こんな」 三人が見守る前でルイズは数分ほども泣き続けていたが、やがてぴたりと泣き止んで、勢いよく立ち上がった。 そして、驚く三人の前で虚ろに目を見開きながら、 「帰らなくちゃ」 と呟き、突然踵を返して歩き始めた。戸惑いながらそれを追うティファニアの耳に、ルイズの囁きが聞こえてくる。 「そうよねサイト、こんな雨の中でお散歩してたら風邪ひいちゃうね。早く帰って温かくして、たくさんお話しようね」 その穏やかな声は、村に帰るまで一度も途切れることがなかった。 597 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 22 38 05 ID PCTkWB/9 雷鳴混じりで降り注いでいた雨は、夕闇の訪れと共に弱くなっていった。 そうして夜になる頃には、すっかり晴れ上がった空に月が浮かんでいた。 穏やかに輝く月光とは裏腹に、一行は滞在している家の一室で陰気な顔を突き合わせていた。 持ち込んだ魔法のランプにぼんやりと照らされる顔は、程度の差こそあれ皆一様に疲れきっていることでは共通している。 「さて、それでは今後のことを話し合うことにしようか」 口火を切ったのはコルベールである。彼は「だが、その前に」と言い置いてから、他の面々に向かって深く頭を垂れた。 「皆、すまなかった。絶対に君たちの命を危険には晒さないと宣言しておきながら、このような」 「そんな風に言わないで。ジャンのせいじゃなくてよ」 キュルケがそっと寄り添うように、コルベールの肩に手をかける。その隣で、タバサも静かに頷いた。 「わたしたちは、皆自分の意志でここに来た。だから、どんなことになっても自分の責任。誰かのせいにする権利も、その必要もない」 「そうですよ先生。サイトだってそう思っていたはずです」 「先生だけが気に病む必要はありませんよ」 ギーシュとモンモランシーも賛同する。口は挟まなかったが、ティファニアもまた同じ意見だった。 「それよりも」 と、全員の注意を向けさせるような強い声音で言ったのは、それまで沈黙を守っていたシエスタだった。 「早く、今後のことを話し合いましょう。時間がありませんわ」 シエスタらしからぬ強い口調にわずかな困惑を示しながらも、全員が丸く並べた椅子に座る。 コルベールは一つ咳払いをしてから、誰に言うでもなく問いかけた。 「ミス・ヴァリエールは」 「隣の部屋で、サイトと一緒に寝かせています。本当は遺体と一緒に床につかせるなどあってはならないことですが」 罰が悪そうに答えるギーシュに、コルベールは首を振った。 「いや、仕方があるまいよ、あの状態ではな。見張りは」 「窓の外にはシルフィード、扉の外にはフレイムがそれぞれ待機していますから、異常があればすぐに分かります」 「ありがとう、ミス・ツェルプストー。では、今夜は心配ないということだな」 「ええ。あくまでも、今夜のところは、ですけれど」 キュルケの言葉に、全員の顔が暗くなる。 598 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 22 38 40 ID PCTkWB/9 ルイズの精神が危ういところまで追い詰められているのは、昼間の一件でも証明済みである。 あのままでは才人の死体を埋葬することなど、絶対に承知しないだろう。 才人の亡骸には固定化の魔法をかけてあるから腐敗の心配はないが、いつまでも埋葬しないでおくことも出来ない。 ルイズを一生死体と共に生活させる訳にはいかないのだ。 しかし、今才人の亡骸をルイズから引き離すのは危険だった。具体的にどういうことが起きるのか、予想もつかない。 かと言って、このままの状態を続けさせるのもやはり危険である。ルイズはあれ以来ほとんど何も食べていない。 このままでは、自殺などする必要もなく、弱りきって死んでしまうだろう。 何とかしてルイズに才人の死を受け入れさせ、彼女自身の手で才人を葬らせなければならない。 せめてその段階まで持っていかなければ、とてもルイズを元気付けることなど不可能なのだ。 「そんなこと、出来るのかしら」 モンモランシーが全員の気持ちを代弁した。答えられる者はいない。 「愛情が深すぎたのね」 ため息を吐くように、キュルケが言った。 「でも、それは悪いことじゃない」 反論したのはタバサだった。キュルケは悲しげに微笑み返す。 「そうね。その通りだわ。でも、だからと言ってルイズをサイトのところへ行かせてあげることもできないでしょう」 「ええ、それだけは絶対に許しません」 強い口調で答えたのは、タバサではなくシエスタだった。全員の視線が彼女に集まる。 シエスタはそれを確認するように一拍の間を置いてから、ちらりとティファニアの顔を見たあとでおもむろに話し出した。 「わたしに、考えがあります。多分、これだけが、ミス・ヴァリエールを生かす唯一の方法です。聞いていただけますね」 反論はない。全員が固唾を飲んで見守る中、シエスタは鋼のように硬い声で言った。 「ミス・ヴァリエールには、サイトさんが死んだことを忘れていただきます」 ティファニアとシエスタを除く全員の目が、驚きに見開かれる。 真っ先に反論したのはタバサだった。音を立てて椅子から立ち上がりながら、「そんなこと」と言いかける。 それを手で制したのはキュルケだった。 「待って。詳しく話してもらえるかしら」 静かに問いかけるキュルケに応じて、シエスタが無言で頷いた。 タバサも噛み付くようにシエスタを睨みつけながら椅子に座りなおす。 場が静かになった。シエスタはおもむろにティファニアの方を見る。自然と、ティファニアに視線が集まった。 599 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 22 39 15 ID PCTkWB/9 これから話す企てへの反応を予想すると緊張で胸が締め付けられるように痛むが、ティファニアは数度深く呼吸を して覚悟を決め、喋り出した。 「わたしの『虚無』が記憶を操るものであることは、皆さんご存知だと思います」 全員が無言で頷く。タバサは敵意を隠すつもりもないようで、じっとこちらを睨んでいる。 だが、一応全て聞くつもりはあるようだったので、ティファニアもほっとしながら話を続けることができた。 「この魔法を使ってルイズさんからサイトの死に関する記憶を奪い、その上でルイズさんが眠っている間にサイトの 体を隠して、見つからないようにしておきます。まずはこうすることによってルイズさんが自殺するのを防ぎます。 そうしてから、サイトがいない理由を何とかしてルイズさんに納得させます。これに関してはシエスタさんが何と かしてくださるそうです。後はわたしたちがサイトが死んでいることを隠し通すことが出来れば、ルイズさんがサ イトの後を追って死んでしまうことはなくなるでしょう」 そこで、不意にコルベールが手を挙げた。 「この案を採用するかどうかはひとまず脇に置くとして、一つ質問があるのだが」 「なんでしょう」 「ミス・ヴァリエールからサイト君の死に関する記憶を奪うと言ったが、サイト君そのものの記憶を奪うことは出来 ないのかね。どちらにしても非人道的なのだし、実行するならばそうした方が確実性が高いと思うが」 もちろん、あくまでも実行するならばの話だが、とコルベールは念を押すように付け加えた。 彼としても、こうした手段が好ましいとは思っていないらしい。 問いに対して、ティファニアは首を横に振った。 「サイトの存在は、ルイズさんの人生に影響を及ぼしすぎているんです。ですから、存在そのものの記憶を消すとな るといろいろな部分で記憶の不整合が起きて、その分危険も増すことになります」 「記憶の不整合、というと、つまりどういうことなんだね」 ギーシュが眉根を寄せて問う。ティファニアは、たとえば、と前置きして答えた。 「ルイズさんは、以前にも同じように後追い自殺をしようとしたことがあると聞いていますけど、その原因は何だっ たでしょう」 「それはもちろん、サイトが死んだことだろうね。もっとも、そのときは今回と違って勘違いだったが」 「そうです。逆に言えば、もしもヒラガサイトという人間がルイズさんの記憶に存在しなければ、自殺しようと考え ることはなかった訳です」 「それはまあ、そうだな」 「ところが、現実にはルイズさんは『自分は自殺しようとしたことがある』という記憶を持っています。この状態で サイトの存在を記憶から消してしまうと、『何故自分は自殺しようとしたのか』という問いに答えられなくなって しまいますね。自殺しようとまで思いつめるほどのことなんて、そうはありません。もちろん、サイト以外のもの に原因を置き換えられるのならば問題はありませんが、ルイズさんの場合そこまで深刻に悩んでいたことはおそら くないでしょう。そうすると、自分の記憶が抜け落ちていることにルイズさん自身が気付いてしまう訳です」 「気付いてしまうと、どうなるんだね」 600 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 22 39 45 ID PCTkWB/9 「分かりません。記憶を取り戻してしまうか、最悪の場合精神に異常をきたす可能性もあるかもしれません。わたし 自身、今までこの魔法を使って消した記憶は、記憶を消された本人にとってもさして重要でないものばかりでした から。そういう場合は簡単に記憶のすり替えができるんです。たとえば、わたしが住んでいた村を襲いに来た人た ちから記憶を消したあと、『自分は何故ここにいるのだろう』とぼんやりしている人たちに向かって、『あなたた ちは街道に戻ろうとしていたんです』と言ってあげれば、その人たちは『ああそうだったか』と納得する訳です。 これは前後の記憶と比較しても大しておかしなことではありませんから、その後も『自分たちは本当に街道に戻ろ うとしていたんだったか』と疑問に思うことはない訳です。だけど、ルイズさんの場合、そう簡単にはいきませんね」 「つまり、『もしもヒラガサイトがいなかったら』と仮定した場合、彼女の記憶にはいくつもの矛盾点が生まれるこ とになる、という訳か。そして、それら全てを修正することは到底不可能である、と」 「そういうことです」 得心した様子のコルベールの問いかけに頷くと、他の面々もそれぞれに納得した様子を見せた。 「確かにな。サイトがいなければ、ルイズも僕らとここまで親しくはなっていないだろうし」 「アルビオンに行ったりガリアに潜入したり、女王陛下に喧嘩売ったりっていうこともまずあり得ないって訳ね」 頷きあうギーシュとモンモランシーを横目に、キュルケが眉をひそめた。 「待って。それじゃ、サイトの死に関する記憶だけを奪うにしても同じことになるんじゃないの。『何故わたしは湖 に行こうとしていたのか』って問いかけには答えられないでしょう」 「確かにその通りだな」 その辺りについてはどうなんだ、と問うように、ギーシュが視線を寄越す。 ティファニアはどう言ったものかと悩みながら答えた。 「何と言っていいのか分からないんですけれど、それも今だったら何とかできるかもしれないんです」 「と言うと」 「サイトの存在を記憶から消す、となると、ルイズさんがサイトと出会って以降の記憶が全て影響を受けることにな りますよね。この場合、修正を加えなければならない記憶の数は膨大なものになります。たとえば、何故使い魔と の契約の儀式を終えたはずなのにルイズさんには使い魔がいないのか、ということに始まって、その後の生活で印 象に残っている、サイトに関係のある記憶全てについて、何か他のもので補わなければならなくなります。その数 がどのぐらいになるのかなんて、検討もつきません。おそらく、実際に実行するのは不可能でしょう。でも、ここ 数日間、というよりも、サイトが死んだあの日以降の記憶だけを消すことにするなら、まだ修正する範囲は少なく て済むんです。あの日の朝出発したわたしたちは、特に何の問題もなく聖地の探索を終えて戻ってきた。そういう 風に記憶を変換することだったら、多分、できると思います」 「確かに、サイトの存在そのものを記憶から消してしまうよりはずっと成功率が高い、か。 でも、本当にここ数日の記憶を他のものに置き換えることなど出来るものなのかね」 ギーシュが難しそうな顔で聞いてくる。ティファニアは首を横に振った。 「断言は出来ません。わたしも、ここまで多くの記憶を消そうとしたことはありませんから。シエスタさんはいい方 法があると仰っていますけど」 「大丈夫です。必ず、成し遂げてみせます」 それまで黙っていたシエスタが、強い声で断言する。 「ミス・ヴァリエールは絶対に死なせません。絶対にです」 その声音のあまりの力強さに気圧されたかのように、その場の全員が黙り込む。 601 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 22 41 01 ID PCTkWB/9 しばらくして、コルベールが咳払いしながら周囲に問いかけた。 「さて、どうしようか。彼女らの案を実行に移すか否か、ということだが」 「絶対に駄目」 真っ先に答えたのは、やはりタバサだった。斬りつけるように鋭い視線をシエスタだけに向けて、断言する。 どうやら、彼女はこの案の発案者がシエスタだと見切りをつけたらしい。拳を握り締め、瞳に怒りを滾らせながら叫ぶ。 「誰かの記憶を他人の思うままに操るなんて、どんな理屈があったって絶対に許されることじゃない。そんなことは 絶対に許せない」 「じゃあ、他に何かいい方法があるんですか」 シエスタの問いかけに、タバサは口を噤んだ。数瞬迷いながらも、首を振って再度叫ぶ。 「それはこれから考えればいい。記憶を奪うことだけは絶対に」 そのとき、静かな声が割って入った。 「わたしはシエスタに賛成だわ」 キュルケだった。タバサが驚いた様子で振り返る。他のメンバーも、意外そうな表情でキュルケを見た。 皆の視線を集めたキュルケは、主にタバサを見つめ返しながら、淡々とした口調で言った。 「もちろん、わたしだってそんな汚い真似は反吐が出るぐらい嫌いだし、自分がそんなことされたらどんな理由があ ったって絶対に許せないと思うわ。でも」 と、途中で言葉を切り、唇を噛んだ。声に出ないよう抑えてはいるものの、彼女も心の中でずいぶんと葛藤してい るらしかった。 そうして数秒ほど黙ったあと、キュルケは深く息を吐いて続けた。 「でも、今回ばかりはね。あの子は弱すぎるわ。いえ、弱いという言い方は正しくないのかもしれないけど。何にし ても、あの子がサイトの死を乗り越えられるとはとても思えないのよ。その上、あの子自身サイトの死は自分のせ いだと思い込んでるようだから。そんな状態じゃ、サイトの代わりを見つけたり、彼の死を抱えたまま生きていく ことなんて出来ないでしょうね。そんな風に器用に割り切れる子じゃないのよ。それは決して悪いことではないけ れど、このまま生きていくには致命的な欠点だわ。タバサ、あなただって本当は分かっているんでしょう。このま までは、ルイズが生きる意志を取り戻すことなんて絶対にあり得ないということぐらい」 「同感だな。サイトの代わりになるものが、この世に存在するとはとても思えない」 「新しい何かと取り替えられるようなものじゃないものね、ルイズにとってのサイトは」 沈んだ声で、ギーシュとモンモランシーが同意する。 コルベールもまた反論する材料を見出せずにいるらしく、苦しげに顔を歪めながら黙り込んでいる。 戸惑うように彼らを見回しながら、タバサは激しく首を振った。 「だからって、記憶を消してしまうなんて。心を歪めてまで生きることに、何の意味が」 602 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 22 41 35 ID PCTkWB/9 「では、ミス・ヴァリエールが死ぬ方がいいと仰るんですね」 食い下がろうとするタバサの声を切り捨てるように、シエスタが鋭く問いかける。 タバサは目を見開き、「それは」と何かを言いかけて、結局何も言えずに口を噤んでしまった。 苦しげに顔を歪めるタバサをじっと見つめながら、シエスタはその場の全員に言い聞かせるような口調で言った。 「わたしたちに出来ることは二つだけです。ミス・ヴァリエールからサイトさんの死に関する記憶を奪い、この後も 幸せに生きて頂くか。それとも、ミス・ヴァリエールが自らの命を絶つなり、あるいは衰弱して死んでしまうのを ただ見守るか。皆さんは、どちらの道をお選びになりますか」 中間の存在しない、両極端な二択が突きつけられた。だが、答えは初めから決まっているようなものだ。 後者を選べる人間など、この場にいるはずがない。 しかし、前者が正しいと断言できる人間もやはりいない。それぞれの顔がそれぞれの苦悩で歪んでいる。 それでも、やはり選べる道は一つしかない。だから、結局は誰も何も言わなかった。 タバサは最後まで反論の糸口を探しているようだったが、見つからなかったらしい。 やがて肩を震わせながら俯き、悔しそうに唇を噛んで押し黙ってしまった。 「納得していただけたようですね」 冷徹に感じられるほどに平坦な声で言いながら、シエスタが針のように細い目で場を睥睨する。 以前のシエスタからは想像も出来ないほどに冷たいその視線に、ティファニアの背筋が大きく震えた。 「あなたは」 出し抜けに、タバサが震える声で叫んだ。たまりにたまった激情を一息で叩きつけるような声音だった。 「サイトが最後に案じたのがルイズだったから、それを妬んでこんなことを」 シエスタの内心を見透かしたかのような言葉。それがおそらく真実であろうことを、ティファニアは一瞬で悟る。 しかしシエスタは微塵も動じる様子を見せず、それどころかタバサの強い視線を静かに、傲然と受け止めた。 「だとしたら、何ですか」 何かを言いかけたタバサが、何を言っても無駄と判断したのか、再び唇を噛んで押し黙る。 悔しさによるものか、彼女の瞳からは涙が溢れ、細い体は小さく震えていた。 傍らに立ったキュルケがタバサの肩にそっと手を添えるのを冷めた瞳で見つめながら、シエスタがやはり淡々とし た口調で言った。 「時間がありません。すぐに具体的な計画を話し合うことにしましょう」 極めて速やかに、無駄なく話を進め出すシエスタの声に混じって、タバサの小さな嗚咽が弱弱しく響き始めた。 25 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/19(月) 05 14 52 ID VoyBM42P かすかな寝息を立てるルイズを、雲間から静かに注ぐ月明かりが薄らと包み込んでいる。 蒼ざめた光は痩せこけた頬により深い影を落とし、彼女の死が迫りつつあることを告げているよう でもあった。 にも関わらず、ルイズの寝顔は無垢な赤子のように穏やかで、安らぎに満ちている。 まるで死を受け入れたかのようなその姿を間近で見て、ティファニアは小さく身震いした。 「ティファニアさん」 呼びかけに振り返れば、部屋の戸口にシエスタの姿がある。 「時間がありません」 淡白な声に押されるように、ティファニアは再び前方の寝台に向き直る。 狭い寝台には、二人の人間が寄り添うようにして横たわっている。 いや、二人の人間という表現は正しくないかもしれない。そのうちの一人は、もう物言わぬ亡骸と 成り果てているのだから。 (サイト) 心の中で彼の名を呼びながら、ティファニアは痛む胸を軽く押さえた。 才人の死体はモンモランシーの手で完全に修復され、いつもの服を身にまとって横たわっている。 顔は青白さを除けば至って平静であり、今目の前で呻きながら起き出してきても何の不思議もない ほどであった。 だが、それは実際にはあり得ないことだ。彼は間違いなく死んでいるのだから。 ここにあるのは修復された上で腐敗しないように魔法で処理がかけられた平賀才人の死体なのだ。 その隣で、ルイズは才人の首にしがみつくようにして眠っている。 彼女にしても全身から死の臭いを感じ取れるような状態で、胸がかすかに上下していなければ二つ の死体が抱き合って眠っていると勘違いしてもおかしくないほどだ。 ティファニアは小さく息を吸った。じっとりと滲む汗で服が体に張り付き、こらえようもないほど の不快感がこみ上げてくる。 しかし、これから自分が成そうとしている行為から考えれば、その感情とて単なる入り口に過ぎな いはずであった。 「何をしているんですか。早く」 背後から、シエスタが静かに急かしてくる。 ティファニアは目を閉じて一瞬だけ闇の中に逃避した後、覚悟を決めて杖を取り出した。 いっそ呪文自体を忘れてしまっていればと願ったが、皮肉にもルイズの記憶を消すための呪文は今 までにないぐらいはっきりと頭の中に浮かんでいた。 ティファニアはゆっくりと杖を振り上げ、詠唱を始めた。緊張によるものか恐怖によるものか、声 が震えているのが自分でも分かった。 いつもよりも必要とする詠唱が長い。どうやら、奪う記憶の量によって呪文の長さも変わってくる ようだった。 長い長い詠唱を、ティファニアは震える声で淀みなく紡ぎ出していく。いっそ途中で駄目になって くれと願いながら。 それでも呪文は途切れず、ティファニアの願いとは裏腹に呪文は完成した。後はルイズに向けて杖 を振り下ろし、魔法を解き放つだけだ。 26 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/19(月) 05 15 33 ID VoyBM42P ティファニアは、身じろぎもせずにルイズを見た。 自身の荒い呼吸が耳障りなほどに大きく感じる。心の中でいくつもの疑問と問いが渦を巻き始めた。 シエスタが突きつけた二択が頭に浮かぶ。正しい道と共にルイズの死を見過ごすか、間違った道と引 き換えにルイズの生を取り戻すか。 ティファニアはこのときになってようやく、自分が未だこの問いかけに対する答えを選択しきれて いないことに気がついた。 (ここまで来ておいて、何を今更) だが、今ならばまだ引き返せるというのも、やはり事実だった。 記憶を消す魔法は知っていても、消した記憶を再び蘇らせる魔法は知らないのだから。 「何をしているんですか、早く」 急かすシエスタの声にも少しずつ焦りが混じり始めた。 それでもティファニアは動かない。問いに対する答えがどうしても出せない。 生か死か。現実か理想か。逃避か受容か。 どちらを選ぶべきなのか、決定的な要素が胸の中に存在しないのだ。これではどちらも選べない。 嵐のように胸の中で荒れ狂う問いと答えにティファニアの精神が限界を迎えようとしたそのとき、 変化は唐突に訪れた。 寝台の中のルイズが、眠ったまま喜びに満ちた笑みを浮かべたのである。 「ああ、サイト、迎えに来てくれたのね」 ティファニアはほとんど反射的に杖を振り下ろしていた。 小さく叫び声を上げたときには、もう遅かった。解き放たれた魔法が、寝台の周囲の闇を歪めている。 その光景を呆然と見守るティファニアの前で、闇はゆっくりと己の形を取り戻し、部屋の中に再び 静寂が戻ってきた。 見た目には、何ら変化はない。相変わらず才人の死体は物を言わず、ルイズも先ほどの笑みを浮か べたまま眠りこけている。 果たして本当にルイズが記憶を失ったのかどうか。それは、彼女が目を覚ましてみなければ分からない。 「皆さん、お願いします」 背後から、シエスタが廊下に向かって呼びかけるのが聞こえてきた。それに応じて、ギーシュとコ ルベールが忍び足で部屋の中に入ってくる。 彼らはシエスタと頷きあったあとでゆっくりと寝台に近寄り、才人の亡骸を慎重にルイズから引き離した。 抵抗は、ない。才人の体はするりとルイズの手を離れ、ギーシュとコルベールによって持ち上げられた。 彼らはそのまま無言で部屋から出ていき、才人の亡骸は何の問題もなく運び去られた。 そのわずかな時間の間ルイズは全く反応せずに、健やかに眠りこけていた。その事実がかえって薄 ら寒く感じられて、ティファニアは体を震わせた。 27 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/19(月) 05 16 26 ID VoyBM42P 「さあ、早く次の仕事に取り掛かりましょう」 シエスタが純白の婚礼衣装を持って、ルイズの眠る寝台に近づいた。 ティファニアもそれに従い、眠るルイズの腋の下に腕を入れて、彼女の小柄な体を持ち上げる。 ルイズの体は予想以上に軽く、それ故にティファニアの細腕でも何とか持ち上げることができた。 顔を上げると、無表情のシエスタと目が合った。彼女と一つ頷き合って、次の仕事に移る。 シエスタは手早くルイズの服を脱がせ、純白の婚礼衣装に着せ替えた。 ティファニアはシエスタが作業をしやすいように、ルイズの体の向きを変えたりさらに持ち上げたりする。 その間ルイズはずっと眠ったままで、起き出す気配は全くなかった。よほど深く眠り込んでいるのだろう。 (疲れていたから、だけじゃないよね) おそらく頭から心配事が消えてしまったせいだろう、とティファニアは思った。 そうでなければ、ルイズはとっくに起き出して大騒ぎしているはずである。 だが、実際は服を着せ替えられているというのに眠り込んだままだ。 結局、問題など何一つ起きないまま、作業は完了した。 ルイズは清楚な純白の婚礼衣装に身を包み、シエスタが整え直した寝台にひっそりと横たわっている。 あとは彼女が起き出すのを待ち、自分たちがうまくやるだけだ。 ティファニアが大きく息を吐き出したとき、不意に遠くの方から音が聞こえてきた。 それはたくさんの木々が同時に揺れ動く音であり、寝ていた鳥の群が何かに驚いて目を覚まし、一 斉に飛び立つ音でもあった。 (コルベールさんたちが出発したんだわ。サイトの遺体と一緒に) ティファニアは窓辺によって目を細めた。ここからでは、昇りかけた朝日にぼんやりと浮かび上が る木々の姿が見えるだけで、飛び立つ船の姿は確認できない。 サイトの死を知らせる船は、西の地でも幾人かの人々に大きな悲しみをもたらすことだろう。それ を思うと胸が痛む。 しかし、沈んでいる暇もないのが現実である。ティファニアは振り返った。 寝台のそばの椅子に座ったシエスタが、眠り続けるルイズの顔をじっと見つめている。 ティファニアは寝台を挟んでちょうど向かい側となる場所に椅子を置き、それに座ってシエスタと 向き合った。 ルイズ同様、もしかしたらそれ以上に疲労の影が濃いシエスタの顔には、やはり何の表情も浮かんでいない。 ただひたすら、静かにルイズの目覚めを待っているようだ。 本当はいろいろと問いかけてみたいことがあったが、今のシエスタはそれを許さない雰囲気を身に 纏っていて、話しかけるのは躊躇われた。 そうしてお互いに何も話さないまま、ただ時間だけが過ぎ去っていく。 その間にも、ティファニアの頭の中で様々な疑問が浮かんでは消えていった。 本当に魔法は成功したのだろうか。ルイズは才人の死を忘れ去ってしまったのだろうか。 果たして自分がどちらの結果を望んでいるのだろう。忘れていてほしいのか、覚えていてほしいのか。 どの問いにも、やはり答えは出ない。ティファニアはため息を吐いて、ふと顔を上げた。 28 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/19(月) 05 17 01 ID VoyBM42P 家の中は静まり返っていた。モンモランシーは目覚めた後のルイズの体力回復を手助けするために 自室で薬を作ると言っていたし、キュルケはコルベールら帰還メンバーの見送りをすると言っていた。 この部屋に来ない辺り、まだ見送りから戻ってきていないのだろう。 最後までこの計画に反対していたタバサは、あれ以来部屋に篭りきりで、一度も顔を見せていない。 (寂しくなってしまったわね、ここも) 胸に穴が開いたような寂寥感があった。 (サイトが死んでしまったからなのね。たくさんのものが悲しみの渦に巻き込まれて、歪にひしゃげ ていくみたい) 改めて、寝台の向こうのシエスタを見やる。相変わらず、静かな表情でルイズの寝顔を見つめていた。 だが、伏目がちの目蓋の下から覗く黒い瞳は、薄暗く底光りしているようだった。 (こんな顔をする人だったかしら) ティファニアの知るシエスタは、穏やかで献身的な少女だった。ルイズと才人の奪い合いになって 喧嘩することこそあったものの、それ以外では他人を傷つけるようなことは絶対にしない、性根の優 しい人間だったはずである。少なくとも、ティファニアはそう思っていた。 しかし、今のシエスタにはその面影はない。 己の目標を達成するためならば他人の気持ちなど微塵も考えない様は、以前の彼女とはまるで間逆 の人間に変貌してしまったかのようですらある。 そのとき、何の前触れもなくシエスタが顔を上げて、目線を合わせてきた。 ティファニアは突然のことに驚き、固まってしまう。しかしシエスタは眉一つ動かさなかった。 「ティファニアさん。この後のこと、大丈夫ですね」 確認するような声と共に、冷たい視線を押し込んでくる。ティファニアは気圧されながらも何とか 頷き返した。 シエスタが眠るルイズに視線を戻す。つられるように、ティファニアもルイズを見た。 弱弱しい朝日の中、穏やかな寝顔は魔法をかける前と変わらず痩せこけてはいたものの、そこには 確かな生の気配がある。昨日、降りしきる雨の中で才人の亡骸に語りかけていたルイズの姿と比べる と、いっそ健康的ですらあった。 おそらく、魔法は成功したのだ。その結果が、このルイズの姿なのだろう。 そのとき、不意にルイズが顔をしかめて低く呻いた。 ティファニアは目を見開き、慌ててシエスタを見る。彼女は冷静に頷き返してきた。ついに、目覚 めのときがやってきたのだ。 緊張と冷静。それぞれの表情で見守る二人の前で、ルイズはゆっくりと目を開けた。 29 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/19(月) 05 17 32 ID VoyBM42P 起き抜けのために頭が覚醒しきらないらしい。薄目を開けたまましばらくぼんやりしていたが、や がて大きな欠伸を一つして、気だるげに聞いてきた。 「どうしたのテファ、そんな難しい顔して。何かあったの」 のんびりとした口調からは、昨日のような狂気じみた悲しみの気配など微塵も感じられない。 固唾を呑んで見守るティファニアの前で、ルイズは眠たげな半眼のまま周囲を見回し、ティファニ アと同じように自分を見ているシエスタを発見した。 「シエスタまで。なに、いったいどうしたのよ。まだ起こしにくるような時間じゃないでしょう」 窓から差し込む弱々しい朝日に顔をしかめながら、ルイズが再び大きく欠伸をする。 「なんかすっごい疲れてんのよね、わたし。よく分かんないんだけど。何があったか知らないけど、 もうちょっと寝かしておいてくれない。話なら後で聞くから。じゃ、お休み」 のん気な声で挨拶して、ルイズは再びベッドに潜り込もうとする。 一連の動作を見て、ティファニアは確信した。間違いなく、ルイズは才人の死に関する記憶を失っている。 ティファニアがほっと息を吐いたとき、シエスタがおもむろにルイズに声をかけた。 「サイトさんがいなくなりました」 ティファニアは目を見開いた。ともすれば才人の死を喚起しかねない言葉をかけるなど、シエスタ は何を考えているのか。 しかし、口から出てしまったものを消すことはできない。案の定、ルイズは先ほどまでの寝惚け振 りが嘘だったかのような勢いで跳ね起きた。 「何ですって。ちょっと、どういうことよそれ」 「言葉の通りですよ。サイトさんが、いなくなっちゃったんです」 ティファニアが割って入る暇を与えないほどに、シエスタは淡々と答えを返す。 その言葉を聞いたルイズはしばらくの間衝撃を受けた様子で固まっていたが、やがて何かに気付い たように眉をひそめた。 「っていうか、あれ。ちょっと待って」 「どうしたんですか、ミス・ヴァリエール」 穏やかに微笑んで問いかけるシエスタに、ルイズは右手の平を向けた。 「なんか、頭が混乱してるっていうか。ちょっと、事態がよく飲み込めないんだけど」 「ですから、サイトさんが」 「いや、そうじゃなくて。おかしいわね」 苦しげに呟きながら、顔をしかめたルイズが痛みを押さえるように頭に左手をやる。 「なにかしら。変な感じがするのよ」 「変な感じと仰いますと」 「そんなの、言葉に出来るわけないでしょ。とにかく、変な感じ。なにこれ、なんなのよ、もう」 ルイズは癇癪を起こしたように激しく頭を振る。シエスタはそんなルイズをなだめるように、そっ と背中に手を添えた。 「どうしたんですか、ミス・ヴァリエール。何がそんなにおかしいんです」 「だから言葉じゃどうとも」 苛立たしげに答えかけたルイズは、ふと何か思いついた様子で、シエスタに訊いた。 「ねえ、今日って何日」 「今日ですか。今日は」 シエスタの答えを聞いたルイズが、目を見開く。それから、引きつった笑いを浮かべて首を傾げた。 「おかしいわね。わたし、ここ三日ぐらいの記憶が全然ないみたいなんだけど」 30 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/19(月) 05 18 01 ID VoyBM42P その言葉を聞いたとき、ティファニアの鼓動が一つ跳ね上がった。 記憶がなくなっているという事実から、ルイズがティファニアの魔法に思い至るのではないかと危 惧したのだ。 だが、悩むルイズが何らかの答えを出す前に、シエスタが驚いたように叫んだので、その危険は一 時的とは言え回避された。 「まあミス・ヴァリエールったら、まさか昨日のこと覚えていらっしゃらないんですか」 「昨日?」 ルイズの眉間に皺が寄る。今のシエスタの発言にしても、ティファニアにとっては十分に危険な発 言に思えた。 もしもルイズが昨日自分が自殺しかけたことを思い出してしまったら、と気が気ではない。 だがルイズは結局何も思い出せなかったようで、降参するように深くため息を吐いた。 「駄目だわ。全然思い出せない。どうしちゃったのかしらわたし」 「ミス・ヴァリエール」 突然シエスタの声が硬くなった。そのあまりに唐突な変化に、ルイズが驚いたようにシエスタを見る。 驚いているのはティファニアも同様で、事情を知っているというのにシエスタが何を狙っているの か少しも見当がつかない。 シエスタは俯き、肩を震わせていた。前髪で隠れているために表情はよく見えないが、唇を噛んで いる様はいかにも怒りを堪えかねている様子である。 ルイズは困惑しきった様子だったが、やがて持ち前の強気さが頭をもたげてきたようだ。 「何なのよ一体。昨日わたしがなんかしたって言うの。怒らないからはっきり言ってみなさいよ」 眉を吊り上げ、明らかに怒っている様子で怒鳴りつける。しかし、シエスタはそれ以上の勢いで怒 鳴り返してきた。 「なんかした? なんかしたって仰いましたか今。あれだけのことをしでかしておいて、なんかした ですって。呆れました。前から愚かな人愚かな人と思ってはいましたけど、まさかここまでだった なんて」 シエスタはため息混じりに首を振る。ルイズは顔を引きつらせた。 「あんた、誰に向かってそんな」 「もちろんあなたですわミス・ヴァリエール。今のあなたを見たら誰もが言うでしょうよ。ルイズ・ ド・ラ・ヴァリエールは世界で一番愚かな女だってね」 怒りに震えながらもこの上なく冷淡という矛盾したその声音に対して、ルイズは実に分かりやすい 反応を見せた。 歪んだ顔を真っ赤に染めて、歯を剥きながらシエスタよりも大きな声で怒鳴り返す。 「頭にきた。いろんな部分が気に入らない女だと思ってたけど、今度という今度は本気で堪忍袋の尾 が切れたわ」 「それはこっちの台詞です。わたしの目の前であんなことをしておきながら、よくも抜け抜けと忘れ ただなんて」 「実際思い出せないんだから仕方がないでしょうが。いったいわたしが何をしたって言うのよ。聞い てあげるから言ってごらんなさいよ」 ルイズは挑発的な声を叩きつけて、鼻息を荒く寝台の上でふんぞり返る。 何がどうなってこんなことになっているのか理解できないティファニアの前で、二人は怒り心頭で にらみ合っている。 31 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/19(月) 05 19 26 ID VoyBM42P だが、その状態も長くは続かなかった。やがて、眉を吊り上げてルイズを睨みつけるシエスタの瞳 から、一筋の涙が零れ落ちたのである。 これには怒り心頭だったルイズも驚かされたようで、慌ててシエスタに声をかけた。 「どうしたのよ、何でいきなり泣き出すわけ」 「ひどいです、ミス・ヴァリエール」 シエスタは俯いてしゃくり上げ始めた。零れ落ちた涙が木の床に跳ね返って鈍い音を立てる。 顔を覆って泣き続けるシエスタを前にして、寝台の上のルイズは呆然としていた。ティファニアも 同様である。 そんな二人の前で、シエスタはやがて顔を上げた。鼻を啜り上げながら、涙に濡れて赤くなった目 で恨めしげにルイズを睨む。 「どうしてそんなひどいことが言えるんですか。わたしが今どんな気持ちでいるか、分かってやって るんですか。ええきっとそうなんでしょうね、さぞかし楽しいでしょうね、こんな惨めな女を弄ぶ のは。いっそ声を上げてお笑いになったらいかがですか。わたしとしてもそんな風に扱われた方が かえって気が楽です。さ、どうぞお笑いください。何なら道化のように踊ってみせましょうか」 地獄の底から響いてくるような暗澹とした恨み言は、ルイズの気勢を削ぐには十分な効果を発揮し たらしい。 ルイズは気味悪げにシエスタを眺めながら、ティファニアに助けを求めてきた。 「ねえ、なんでわたし悪役にされてるの。なんかもう、いろいろと訳が分かんないんだけど」 「それはその、わたしからはなんとも」 ティファニアは迷った挙句に結局そう返してお茶を濁した。下手に「分かりません」ということは 出来なかった。 シエスタの考えは分からないが、おそらくこれもルイズの記憶を塗り替えるための準備なのだろう。 後から矛盾が生まれるような言動は極力慎むべきだ。ティファニアはそう判断した。 ティファニアから答えが得られないことを判断したらしく、ルイズは諦めたように深々とため息を 吐いた。 「本当にもう。一体全体どういうことなのよ。昨日のことは思い出せないしなんか体はだるいしよく 分かんないことで責められるし。そろそろちゃんとした説明が欲しいところなんだけど。それとも なに、皆してわたしをからかってるわけ。窓の外でにやにやしてるサイトとかギーシュとかが『と、 ここでネタばらし』とか笑いながら入ってくるんじゃないでしょうね」 不満げに呟くルイズの声を、シエスタは涙に歪んだ顔で黙って聞いていたが、やがて我慢できなく なったように叫んだ。 「もういい加減にしてください。どうしてこんなひどいことをなさるんですか。哀れな女を嬲って気 晴らしなんかするまでもなく、あなたはもう十分幸せでしょうに」 「だから、訳が分かんないって何度も何度も言ってるでしょうが。はっきり言ってみなさいよ昨日わ たしが何をしたのか」 「ええ、ええ、言ってあげますとも。あなたがどうしてもわたしの口から敗北宣言を聞きたいと仰る のでしたら、何度だって言ってあげますわ」 「敗北宣言って、一体なんの」 眉をひそめるルイズの声を遮って、シエスタは家中に響く声で絶叫した。 「結婚したんでしょう、サイトさんと」 32 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/19(月) 05 28 18 ID VoyBM42P 一瞬にして場が静まり返った。絶叫を叩きつけられたルイズ自身はもちろんのこと、ティファニア もまた目を瞬くばかりで何も言えない。 聞こえる音は木の葉のざわめきと雨垂れが地面に落ちる音とシエスタの荒い呼吸のみである。 その奇妙な静寂の中、ルイズは目を丸くして硬直していた。肩で息をするシエスタを呆然とした様 子で見つめて数十秒間も黙り込んだ後、 「は」 と、間抜けに口を開く。その反応に、シエスタはまた眉を吊り上げた。 「なんですか陸に打ち上げられた魚みたいな顔して」 「え、いや、ええと、ちょっと待って」 ルイズは理解が追いつかない様子で数度も頭を振ったあとで、まじまじとシエスタを見つめた。 「もう一回言ってくれない」 「なんてひどい。二度もわたしに敗北宣言を」 「違うってば。いや、何が違うんだかもよく分からないんだけど。誰と誰が、なにをしたって?」 そのときになってようやく気付いたとでも言うかのように、シエスタは怪訝そうにルイズを見つめ返した。 そして、躊躇うような口調で問う。 「もしかして、本当に覚えてないんですか。ミス・ヴァリエール」 「何度も何度もそう言ってるじゃないの」 「だって、そんな。あんなこと忘れるだなんて。どう考えてもおかしいじゃないですか」 「そりゃわたしだっておかしいとは思うけど、実際に覚えていないものは」 うんざりした様子で言いかけたルイズは、そこで不意に言葉を切った。 頭の奥に痛みを感じたかのように、右目をぎゅっと瞑って頭を押さえる。 「待って。そう言えば、何か、あったような」 苦しげに呟きながら、寝台の上で身を丸める。ティファニアは一瞬シエスタと視線を交し合った。 何か、よくないことが起きようとしている気がする。 二人の見守る前で、ルイズは苦しげな声を絞り出し始めた。 「何だっけ。サイトに関係のあることで、凄く大事なことが、あったような」 途切れ途切れの呟きを聞いたとき、ティファニアの体が大きく震えた。 (まさか、思い出しかけているの) どうしたらいいのか、咄嗟には判断できなかった。ちらりとシエスタを見ると、彼女もまた手を出 しかねる様子で眉をひそめている。 「なんで。どうして思い出せないの」 ルイズの額に脂汗が浮き始めた。さすがにこのまま放っておくことはできないと判断したものか、 シエスタが口を開きかける。 だが、彼女が何かを言う前に、別の声が場に割って入った。それは完全に人を馬鹿にした高笑いだった。 振り向くといつの間にやら戸口にキュルケが立っていた。口元に手を添えて弾けるような高い笑い 声を上げている。 33 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/19(月) 05 29 05 ID VoyBM42P 「おはようルイズ。わたし、前々からあなたの頭の中身を疑ってたんだけど、どうやらそれは間違い じゃなかったみたいね」 「どういう意味よ」 噛み付くような口調でルイズが聞き返す。どうやら興味がキュルケに引きつけられて、先ほど頭に 浮かんだ疑念が飛んでしまったようである。 キュルケは呆れ返った様子で肩を竦めると、シエスタを見てほんの少しだけ申し訳なさそうな笑み を浮かべてみせた。 「この子、本当に忘れてるみたいよ。まさかそこまで頭の中がすっからかんだとは思わなかったけど」 「だから、どういう意味かって聞いてんのよ」 「ルイズ、あなた頭蓋骨に穴が開いてるんじゃなくて。きっとそこからいろいろと大切なものが垂れ 流しになってるのよ。それにしても馬鹿な子ねえ。あれだけ大喜びしといて全部すっぱり忘れてる んだもの。これじゃ旦那様が可哀想だわね」 「旦那様って、一体なんのことよ」 困惑して問うルイズに、キュルケはただため息を吐いた。再びシエスタを見て、首を傾げる。 「どうするの。わたしが説明した方がいいかしら。あなたの口からって言うのは、さすがに辛いでし ょう」 シエスタは少しの間考え込む様子を見せたが、やがて覚悟を決めたような表情で一つ頷いた。 「いいえ、それはわたしの役目です。このどうしようもないお馬鹿さんがもう二度と忘れないように、 昨日のことを嫌というほど思い出させてあげますから」 「あらあら。進んで針の莚に座ろうって言うのね、あなた。ま、いいわ。好きになさいな。わたしは ここで見物させてもらうから」 キュルケはそう言って、戸口の枠に背をつけて悠然と腕を組んだ。 その間にシエスタは椅子に座り直し、非難するような視線でじっとりとルイズを睨み出す。 「さて、それじゃ説明しますけど。ミス・ヴァリエール、本当に覚えていないんでしょうね」 「しつこいわねあんたも」 「だって、信じられないんですもの。あんなこと忘れるだなんて」 「そのことなんだけど」 ルイズは不意に薄らと頬を染めた。誰が聞いている訳でもないのに、耳打ちするように声を落とす。 「本当なの。わたしが、その、サイトと」 ルイズはそこで口ごもってしまう。シエスタは呆れた様子で首を振った。 「ここまで来るともう怒る気にもなりませんわね。分かりました。思い出させてあげましょう。とこ ろで、今思い出せるのは何日前までですか」 「えっと。コルベール先生が聖地を見つけて、準備が終わり次第出発するって話になったのよね。 でもサイトったらなんかコソコソやってるだけで全然手伝わなくって。いい加減な奴よね、聖地に 行くのは半分あいつのためみたいなもんだってのに。結局出発の前の日になっても手伝わないもん だから一発怒鳴りつけた後にイライラしたまんま布団に入って」 そこまで言ったあと、ルイズは難しい顔で数秒も唸ったあと、諦めたようにため息を吐いた。 「駄目だわ、ここから先はどうしても思い出せない」 ティファニアは内心胸を撫で下ろした。計画どおり、聖地に出発してからの記憶はルイズの頭の中 には残っていないらしい。 シエスタは何やら納得したように頷いて、ルイズに問いかけた。 「では、聖地の門を使えば元の世界に帰れるって分かったのに、それでもサイトさんが自分の世界に 帰らないと言い出したのも覚えていないんですね」 ルイズは目を見開いた。 34 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/19(月) 05 30 22 ID VoyBM42P 「あいつ、そんなこと言ったの。どうして」 「どうしてって、あのときもそう言いましたよねミス・ヴァリエール。それでサイトさんが答えたん じゃないですか」 「なんて」 「『俺は元の世界よりも大切なものができた。だから帰るのは止めにして、ずっとこの世界で生きて いくことにする』」 「なによ、大切なものって。自分の家に帰れるっていうのに、それ以上に大切なものなんてある訳が ないでしょう」 苛立ち紛れの声を聞いたとき、ティファニアの胸が小さく痛んだ。 それは、もしもあんなことにならなければ、実際に聖地で交わされていたはずの会話なのだ。 「教えて、シエスタ。あいつ、なんでそんなことを言い出したの」 「ここまで聞いてもまだ分かりませんか、ミス・ヴァリエール」 シエスタは静かな瞳でルイズを見据えた。その視線に押されるかのように、ルイズは黙ってしまう。 落ち着かない様子で周囲に視線をさ迷わせながら、おそるおそる問い返す。 「だって、そんなの。信じられないわ」 「信じられなくたって、事実なんです。教えてあげましょうか、同じように問われたサイトさんが、 どう答えたのか」 ルイズは少しの間迷ったあと、決心したように頷いた。シエスタは一瞬目を閉じたあと、静かな口 調で言った。 「『お前だよ、ルイズ。お前と一緒に生きていたいから、俺はこの世界に残るんだ。この意味、分か るよな』そう言ったんです、サイトさんは」 「それって、つまり」 「結婚してほしいってことですよ」 しばらくの間、部屋に静寂が満ちた。 ティファニアは胸が痛いほどに高鳴るのを自覚しながら、ルイズの言葉を待った。 (もしもこれで、ルイズさんが信じてくれなかったら) ルイズは他の三人の視線を浴びながら、長いこと黙り込んでいた。 俯いていたために表情は見えなかったが、引き結ばれた唇が彼女の苦悩を伝えてきている。 やがて、ルイズは疲れたように大きく息を吐き出した。 「駄目だわ。どうしても思い出せない。そんなことがあったのなら、忘れるはずがないのに」 暗い声で呟いてから、ぎこちない笑みを浮かべてシエスタを見る。 「ねえ、本当なのそれ。やっぱり、皆でわたしのことからかってるんじゃ」 「ミス・ヴァリエール」 真剣な声音でシエスタが言うと、ルイズは怯えるように肩を震わせた。シエスタはそんなルイズの 手を取り、顔を寄せて囁いた。 「自信を持ってください。あなたはサイトさんに選ばれたんです。サイトさんは、元の世界とあなた とを天秤にかけて、その結果あなたを選んだんです。それだけ、あなたを愛しているということで すよ」 「でも」 「それとも、先ほどのわたしの涙が偽物だとでも仰るのですか。どうか、これ以上わたしの心を傷つ けるのは止めてください。こうして恋に破れた瞬間のことを語るだけでも、わたしの胸は張り裂け そうなほどに痛んでいるのですよ」 「だけど、わたし」 ルイズは自信なさげな声で呟き、恐る恐るティファニアの方を見てきた。 「本当ですよ。サイトは、元の世界に帰ることよりも、ルイズさんと一緒に生きていくことを選んだ んです」 ティファニアは強く頷き、断言した。嘘ではなく本当のことだったから、揺るぎなく断言すること ができた。 だからこそ、悲しかった。今は、その真実ですらも嘘を構成する一要素に過ぎないのだから。 ルイズはキュルケの方も見たが、やはり彼女にもシエスタの言っていることが真実であると保証さ れて、再び黙り込んでしまった。 35 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/19(月) 05 31 01 ID VoyBM42P 「どうです、思い出せましたか」 問い詰めるような口調で、シエスタが問う。ルイズはまたしばらく無言を保っていたが、やがて自 信なさげな声で呟いた。 「そうだった、ような気もしてきた、けど」 ティファニアは目を見開いた。ルイズはまだ確信が持てないながらも、この嘘を信じ始めているの だ。驚くべきことだった。 シエスタはそんなルイズを見つめて優しげな微笑を浮かべ、励ますように囁いた。 「大丈夫ですよ。きっと、嬉しいことが続きすぎて混乱しているんです。記憶が曖昧なのも、そのせ いですよ。実際、少しは思い出せたんでしょう」 「そんなにはっきりしたものじゃないわ。ただ、そうだったような気もしてきたってだけで」 「それが真実なんですよ。その証拠に、ほら。ご自分の着ている物をご覧なさいな」 「え」 ルイズは驚いた様子で自分の姿を見下ろした。 「これは、なに」 自分が見慣れぬ純白の服に身を包んでいることに初めて気付いたらしい。服を見下ろしたまま呆然 と呟いた。 シエスタはやはり優しい微笑を浮かべたまま、ルイズの婚礼衣装の裾をつまんでみせる。 「サイトさんがミス・ヴァリエールのために用意した、婚礼衣装ですよ」 「婚礼衣装って、それじゃ」 信じられない口調で叫びかけるルイズに、シエスタはにっこりと笑って頷いた。 「ええ。昨日、サイトさんとミス・ヴァリエールは結婚式を挙げたんです。二人は結ばれたんですよ」 ルイズは呆然と自分が着ている服を見下ろして、またティファニアの方を見てきた。 先ほどと同様に、ティファニアは無言の頷きによって肯定する。 今度は本当のことではなかったから、ほんの少しだけ頷くのが遅れてしまったが。 ルイズはまだ納得しかねる様子だった。しかし、自分が婚礼衣装を着ているのは紛れもない事実で あり、周囲の人間もシエスタの言っていることを肯定しているため、次第に訳が分からなくなってき た様子であった。 顔を歪めて何度も頭を振っているルイズに、シエスタは包み込むような口調で囁きかける。 「どうしたんですか、ミス・ヴァリエール。昨日はあんなに嬉しそうにしてたのに」 「だって、何も思い出せないのよ。こんなの変じゃない」 ティファニアの背中を冷たい汗が流れ落ちる。ルイズが事の真相に気付かないかと危惧しながら、 少しだけ後悔した。自分が記憶を消せる魔法を使える、という記憶も一緒に消しておけばよかっただ ろうか、と。そして、そんなことを平気で考えている自分に気付いてぞっとした。 一方、ルイズは当然ながら何も思い出せずに苛立っていたが、傍らのシエスタはそれをなだめるよ うにそっと彼女の肩を抱いた。 「さっきも言ったでしょう。きっと頭が混乱しているんですわ。実際、ちょっとは思い出せるように なってきたんでしょう」 「それは、だけど」 「大丈夫。ゆっくり、落ち着いて思い出していきましょう。そうだ」 と、シエスタはいかにもたった今名案を思いついたという風に顔を輝かせた。 「確か、ミス・ヴァリエールの魔法に幻を作るものがありましたよね。あれを使いましょう」 「どうするのよ」 「昨日の結婚式を、思い出しながら再現してみてください。わたしもお手伝いしますから」 「でも、思い出せないのよ」 「大丈夫ですよ。分かることからでいいですから」 ルイズはしばらく迷ったあと、枕元に置いてあった杖を手に取った。躊躇いがちに詠唱を始め、ま ずは小さな自分の姿を作り出す。もちろん、小さなルイズは婚礼衣装を着ていた。それを微笑ましげ に見ながら、シエスタが幻のルイズの隣を指差す。 「隣にはもちろんサイトさんがいらっしゃいましたよね」 「うん。それはそう、よね」 ルイズは曖昧に頷いてまた詠唱を始めようとしたが、口を開きかけたところで眉根を寄せた。 「どうしたんですか」 「サイト、どんな服を着てたっけ。まさかいつものあの服じゃないだろうし」 「思い出してみてください。大丈夫、ゆっくりやればいいんですから」 シエスタは落ち着かせるように言って、ルイズに存在しない記憶の再生を促した。 36 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/19(月) 05 31 42 ID VoyBM42P 二人が話し合いながら徐々に幻を構築していく横をそっとすり抜けて、ティファニアは戸口にいる キュルケに歩み寄った。 無表情にルイズとシエスタを見つめている彼女に向かって、小さな声で問いかける。 「ご存知だったんですか、シエスタさんの考え」 「ううん。だけど、あの子が結婚とか叫んでた辺りで、大体は推測できたから」 「だけど、どうしてこんな複雑な嘘をついたんでしょう。単に、サイトは元の世界に帰ってしまった って言うだけで十分なんじゃないんですか」 ティファニアの疑問に、キュルケは悲しげに眉をひそめた。 「多分、こだわりなんでしょうね、あの子の」 「こだわり、ですか」 キュルケはそれ以上は何も言わなかった。その内沈黙に耐えられなくなり、ティファニアはまた訊いた。 「こんなのが、本当にうまくいくんでしょうか」 「そうね、わたしも最初は無理なんじゃないかと思ってたんだけど。あれ、見てみなさいよ」 ティファニアは再びルイズとシエスタの方に視線を戻してみて、驚いた。 幻の構築は、驚異的な速さで進められていた。しかも、シエスタはほとんど口を出していない。 ルイズが一人、楽しそうな顔で幻の中に様々なものを付け加えていっているのだ。 最初は旅の仲間たちを、次に村のエルフたちを。晴れ上がった空、飾り付けられた広場、設えられ たテーブルの上には料理と酒がずらりと並ぶ。今や列席している者たちの衣服や、楽しそうな表情ま でもが明確に形作られていた。そして、その風景の中心には、幸せそうに笑う新郎新婦の姿が。 他ならぬルイズ自身の手によって次々と組み立てられていく偽りの記憶を前に、ティファニアは言 葉を失っていた。 「これは、一体」 「失われた記憶を取り戻したいっていう欲求のなせる業、ってところじゃないかしら」 隣を見ると、キュルケが感心した様子でルイズとシエスタを眺めている。 「中核に偽物の事実を放り込んでやってそれを信じさせれば、後は本人が勝手に想像で補ってくれる って訳ね」 「そんな風にうまくいくものなんですか」 「実際そうなっているじゃないの。それに、あの子のやり方も上手かったのよ。派手に泣いてみせた り、ルイズに実際に婚礼衣装を着せておくことによって、結婚式があったっていう嘘に現実味を持 たせたのね。それでも、ここまでうまくいくのは出来すぎている気がしないでもないけれど。ある いは、ルイズの本能がシエスタの嘘を信じ込みたがっているのかも、ね」 キュルケはどことなく憂鬱そうに言ったあとで、廊下に出て行った。 彼女としても、こういった手段をあまり好ましくは思っていないのだろう。それはティファニアと て同じである。 しかし、ティファニアはその場に残って、ルイズが幻を構築していく様を見守り続けた。 その光景がどれだけ耐え難いものであっても、自分にはそうする義務があると思っていた。 やがて、ルイズは作業を終えた。今や幻は一抱えほどもある大きさの鮮明な像となって、ルイズの 目の前に浮かんでいる。 「そうそう、こんな感じだったわよね。やっと思い出したわ」 ルイズは寝台の上で腕を組み、満足げな表情で頷いている。 ルイズ自身は思い出した、と言っているが、実際には彼女が作り出した虚像の記憶である。 それを知るティファニアは、拭い難い違和感を感じて身じろぎした。 37 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/19(月) 05 32 36 ID VoyBM42P そんな彼女には気付かぬ様子で、ルイズは幻を指差しながらおかしそうに笑う。 「ギーシュったら飲んだくれてサイトに絡んだ挙句、調子に乗って自分もモンモランシーに告白する とか言い出したのよね。だけどそのすぐ後でエルフの女の子口説き始めちゃったもんだから、モン モランシーがかんかんになっちゃって」 と、存在するはずのない思い出を楽しそうに語り始める。やはり楽しげな表情で聞いていたシエス タが、目を細めてルイズに言い聞かせた。 「これで大丈夫ですね、ミス・ヴァリエール。こんな幸せな日のこと、絶対に忘れちゃいけませんよ」 「もちろんよ。それにしても、どうして忘れてたのかしらねえ」 幻を前に、ルイズは不思議そうに首を傾げている。その隣で、シエスタがおかしそうに笑った。 「ミス・ヴァリエールだって、浮かれてたくさんお酒を飲んでたじゃありませんか。それで服も着替 えずに寝込んじゃったんですよ。きっとそのせいもありますよ」 「あ、そうそう、そうだったわね。だけどあんただってひどいもんだったじゃない。サイトに絡み出 したときはもうどうしようかと」 と、ルイズは今やシエスタの言葉を疑う様子すら見せず、すんなりと己の記憶の中に取り込んでいく。 あまりにもあっさりと記憶のすり替えが行われている現実に、ティファニアは薄ら寒さを覚えた。 今ルイズが目の前で作り出した結婚式の記憶は、シエスタの言うとおり二度と消えることなくルイ ズの脳に定着することだろう。 そのとき、本当はサイトの死体を抱いて湖に向かっていたことなど、絶対に思い出しはしないのだ。 じょじょに気分が悪くなってくるのが分かったが、それでもティファニアはその場に留まり続けた。 まだ、自分がしてしまったことを全て見届けたことにはなっていないと思ったからだ。 「そう言えば」 そのとき、ルイズが不意に何かに気付いた様子で言った。 「さっき、シエスタ変なこと言ってなかった。サイトが消えたとかなんとか」 「ああ、そうそう」 シエスタも、いかにも今思い出したという風に手を打ち合わせる。 「サイトさん、一足先に西に帰っちゃったんです」 「どうして」 驚いたルイズの叫びに、シエスタは苦笑で返した。 「ほら、ミス・ヴァリエールとも結婚して、東方にも用事がなくなったんですから、西に帰らなくち ゃならないでしょう。でもわたしたち、逃げるように西を後にしてきたから、ただ帰ったらいろい ろと面倒じゃないですか。だから、一足先に西へ戻って、新生活を始める準備をすっかり済ませて しまってから迎えに来るって言ってましたよ」 シエスタは淀みなく偽りを口にする。ルイズは怒りを露わにした。 「なによそれ。新婚早々花嫁をほったらかしにするだなんて、どういう神経してるのあいつ。一緒に 帰ったって面倒は同じじゃないの」 「まあまあ」 シエスタが苦笑混じりにルイズをなだめる。 「考えてもみてください。ミス・ヴァリエールのご家族のこととか、女王陛下のこととか。ミス・ヴ ァリエール本人を連れて帰ったら面倒が倍になるんですよ。サイトさんは優しいから、そういうこ とにミス・ヴァリエールを巻き込みたくなかったんじゃないですか」 「それは、いかにもあいつの考えそうなことだけど」 ルイズはまだ納得のいかない様子で少しの間唸っていたが、やがて諦めたようにため息を吐き出した。 「ま、仕方ないか。あいつがご主人様のことほったらかしにしてどっかに行っちゃうなんて、いつも のことだし。それにまあ」 ルイズは恥らうように、頬を赤らめた。 38 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/19(月) 05 33 22 ID VoyBM42P 「わたしのこと考えてそういうことしたっていうんなら、まあ、許してあげなくもない、かな」 「そんなこと言って、本当は凄く嬉しいんじゃないですか」 からかうようにシエスタが言うと、ルイズは「そんなことない」と叫びかけて、口を噤んだ。 それから、少しだけ居心地悪そうにもじもじして、目線を逸らしながら恥ずかしげに言った。 「そりゃまあ、ちょっとは、嬉しいけど」 「ちょっと、ですか」 意地悪げにシエスタが言う。ルイズはむずがゆそうな表情で押し黙ったが、やがて表情を隠すよう に俯き、ぽつりと言った。 「嘘よ」 「え、なんですって」 シエスタが耳に手を当てて問い返す。ルイズはしばらく無言で肩を震わせていたが、やがて耐え切 れなくなったように喚き出した。 「嘘よ嘘、全部嘘。本当はすっごく嬉しいわ。それこそ体が弾けちゃうんじゃないかって心配になる ぐらいにね」 ヤケになったように叫ぶルイズの顔は真っ赤に染まり、満面の笑みを浮かべていた。 それはティファニアが今まで見たこともないぐらいに、幸福感に満ち溢れた表情だった。 「やだなあもうサイトったら、そんなに急がなくったって、もう少しこっちでゆっくりしてから行け ばいいのに。そんなに早くわたしと二人っきりになりたかったのかしら。こんなんじゃ、ゆっくり お互いの気持ちを確かめ合う暇もないじゃない、ねえ」 激しく身をよじりながら問うルイズに、シエスタは呆れ交じりの笑みを返した。 「なんですかもう。やっぱり嬉しいんじゃないですか」 「そりゃそうよ嬉しいに決まってるじゃない。ああどうしてかしら。こんなにも素直な気持ちになれ るなんて嘘みたい。あんまり幸せすぎて、今にも空に飛んでっちゃいそうだわ。頭がどうにかなっ ちゃったみたい」 「ええ、多分皆がそう言うでしょうね」 シエスタの冷ややかな言葉も、今のルイズには通用しないようだ。ルイズは緩みきった顔で自分の 婚礼衣装を見下ろして、白い布地をつまんだりしながらさらに顔をとろけさせた。 「そっか。わたし、お嫁さんなんだ。サイトのお嫁さん」 ティファニアは吐き気がこみ上げてくるのを自覚した。ルイズが幸せそうに笑えば笑うほど、どん どん気分が悪くなってくる。 そのとき不意に、寝台の上のルイズの体がふらりと傾いた。シエスタが素早く横から手を出して、 その背中を支える。 「どうしたんですか、ミス・ヴァリエール」 そのときになってようやく自分が倒れかけたことに気付いたらしい。 ルイズははっとして、しかし体は起こせずに困惑した笑みを浮かべてシエスタを見上げた。 「分かんない。なんか、急に体に力が入らなくなって。変ね、なんだか何日も物を食べてなかったみ たい」 またティファニアの心臓が高鳴ったが、今度は前ほど焦りはしなかった。 もうルイズが記憶を取り戻す危険性はほとんどないということが、よく分かっていたからだ。 ただ、自分がそれを喜ぶべきなのかどうかは分からなかった。 「疲れてるんですよ、きっと。いろいろなことがありすぎて。だから記憶が混乱したりするんです。 さ、横になって少し休んでください」 シエスタがそっとルイズの体を支え、彼女の体を寝台に横たえた。ルイズは素直に従って、布団を 被った。 「うん、そうする。サイトが帰ってきたとき、疲れた顔は見せられないものね」 そう言って笑ったあと、ふと気付いたように慌てて起き上がろうとした。 「どうしたんですか、ミス・ヴァリエール」 「着替えなくちゃ。折角サイトが用意してくれた服に皺はつけられないもの」 「ああ、そうですね。それじゃ、今着替えを持ってきますから、ちょっと待っててくださいね」 シエスタが一礼して踵を返し、戸口の方に向かってくる。ティファニアは慌てて体をずらした。 廊下に出て行く直前、二人の視線が交差した。シエスタは、先ほどルイズに語りかけていたときと は比べ物にならないほど冷たい目をしていた。 39 名前:不幸せな友人たち[sage] 投稿日:2007/02/19(月) 05 34 08 ID VoyBM42P 彼女を見送ったあと、ティファニアは迷いながらも寝台の方に目をやった。 布団の中に収まったルイズは、相変わらず幸せそうに目を細めながら、空中に浮かぶ幻を眺めている。 ティファニアは数瞬迷ったあと、覚悟を決めて寝台に歩み寄った。先ほどまでシエスタが座ってい た椅子に腰を下ろしながら、問いかける。 「大丈夫ですか、ルイズさん」 「うん。ありがとう、ティファニア。駄目ねわたし、サイトが頑張ってくれてるのに、体壊しちゃう なんて」 こみ上げる不快感が顔に出てこないよう苦労しながら、ティファニアは無理矢理笑みを返す。 ルイズはそれからしばらく黙っていたが、やがて静かに語り出した。 「ねえ、ティファニア」 「なんですか」 ルイズは横になったまま、目を細めて夢見るように語った。 「わたし、サイトのお嫁さんなのよね」 「そうですね」 「もうご主人様と使い魔じゃなくて、妻と夫なのよね」 「そう、ですね」 「そっか。そうなんだ。なんだか夢みたい。わたし、サイトはきっと元の世界に帰って、会えなくな っちゃうと思ってたから。でも、そうじゃないのね。これからは、ずっと一緒」 ティファニアは何も言えなかった。もはや笑みを作ることすらできず、ただ黙ってルイズの声に耳 を傾けるしかない。 「今までひどいことしてきた分、これからはたくさんサイトに優しくしてあげるわ。本当よ、世界一 のお嫁さんになるの。だってわたし、サイトのこと愛してるんだもの」 「それは、とても素晴らしいですね」 ティファニアは無理矢理言葉を吐き出した。全身が悪寒に震え、背中に気持ち悪い汗が浮かんでい るのを感じる。 これ以上ルイズの穏やかな声を聞いていると、気が狂ってしまいそうだった。 「あーあ、早くサイトに会いたいなあ」 ルイズがゆっくりと手を伸ばして、空中に浮かぶ幻の中のサイトを指でつつく。すると、幻はぱっ と消えてしまった。魔法の効力が切れたらしい。一瞬、ルイズの顔を深い悲しみが過ぎった。 彼女は無理に笑った。 「いけないいけない、我慢しなくちゃ。サイトだって、わたしのために寂しいのを我慢してるだろう し。それに、黙って夫を待つのも妻の務めだものね」 ティファニアは立ち上がった。振り返り、出来るだけ足取りが乱れないように注意しながら歩き出す。 ちょうど着替えを持って部屋に入ってきたシエスタとぶつかりそうになったが、声どころか視線す ら交わさなかった。 ひたすら早足で歩き、家を出る。それから駆け出し、一本の木の根元まで辿りつくと、そこにへた りこんだ。 後悔と罪悪感が、凄まじい勢いで全身の力を奪い去っていくのが分かる。もはや立ち上がる気力す ら残っていなかった。 (わたしは、なんてことを) ルイズの幸せそうな笑顔が頭から離れない。ティファニアは口に手を当てて吐き気をこらえた。 そうしてしばらく経ったとき、ティファニアはすぐ近くに人の気配を感じて顔を上げた。 タバサがいた。木に背中を預けて、自分たちが滞在している家の方をじっと見つめている。 強い風が吹き抜けた。木の葉に溜まっていた昨日の雨露が、一斉に飛散して大気を濡らす。その冷 たさに、ティファニアは身震いした。 「こんなことが許されるはずがない」 不意に、タバサが静かに呟いた。ティファニアは、はっとしてタバサを見る。タバサはこちらを見 ないまま、淡々と予言を下した。 「わたしたちは、いつかこの罪にふさわしい罰を受けることになる」 再び風が吹きつける。ティファニアはタバサの視線を追って、家の方に目を向けた。 ずっと向こうの空に、分厚く黒い雲が広がっている。今度の雨は長そうだな、とティファニアは思った。 続き 19-667不幸せな友人たち アンリエッタ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5216.html
前ページ次ページ蒼い使い魔 一週間後、ようやく休暇がとれたシエスタとともに、バージル達はシルフィードに乗りタルブへ向かう。 「あの…ところでなんで僕も行かなきゃならないんだい…?」 居心地悪そうに座っているギーシュが呟く、 「あんたねぇ、この空間に私一人でいろっていうの?」 キュルケに言われるがままギーシュはあたりを見る、 なるほど、ルイズとシエスタ、そしてタバサから妙なオーラが立ち上っている。 ギーシュは「なるほど…」と小さく呟き肩を落とす、そしてその渦中にいるであろう人物、バージルを見る。 当の本人はそんな雰囲気はどこ吹く風、静かに本を読んでいた。 そんな微妙にピリピリした空気の中、ルイズが口を開く 「ねぇバージル、あんた、ここ数日一体どこに姿くらましてたの?」 「少し遠出していただけだ、戻ってきたのだから問題はないだろう」 「そうじゃなくって! 場所を答えなさい場所を!」 そういいながらバージルに詰め寄ろうとしたその時、 「あ、見えてきましたよ、あれが私の村です」 バージルへの接近を阻むかの様にシエスタが声を上げる。 皆が視線をそちらに向けると小さな村が見えてくる、タバサはシルフィードに指示を出し、村へと降下していった。 村に降りると、バージル達はシエスタの実家へ案内される、風竜を使ったとはいえ、日はすでに落ちてしまっていた。 突然貴族達を連れ帰郷したシエスタに、家族は驚いていたが、事情を説明すると歓迎され タルブ村の郷土料理、『ヨシェナヴェ』というシチューをふるまわれる。 シエスタ曰く、父親から教わり、その父親も祖父から教わったらしい、変わった料理であったが大変美味だった。 皆で『ヨシェナヴェ』を食べていると、バージルが静かに口を開く。 「この村に『竜の羽衣』とやらがあると聞いた、その話を聞きたい」 その言葉にシエスタの父親が簡単に説明をしてくれた、その話によると、村から出て少し歩いたところに祠があり そこに奉納されているらしい。だが現在オーク鬼の群れが出没するらしく、現在は近寄ることができないそうだ。 あとはシエスタが説明してくれたこととほぼ変わることはなかった。 「大体分かった。ついでだ、明日そのオーク鬼とやらを掃討する」 そう言うとバージルはさっさと席を立ち外へと出て行ってしまった。 「オーク鬼って…そんなのがいる場所にいくのかい…?」 それを聞いたギーシュが少々青い顔で呟く。 オーク鬼は非常に好戦的で、一匹が手だれの戦士5人に匹敵する戦闘力を持っている。 鬼の名の通り人間を喰らい、なかでも人間の子供の肉が好物という残忍な亜人だ。 まだ村の近くには降りてきていないらしいが危険なことには変わりがない。 「別に大丈夫じゃない? オーク鬼くらいどってことないわよ」 と呑気にキュルケがシチューを食べながら言う、 「そうよ、それにバージルもいるのよ? まるで問題にならないわ」 とルイズも勢いに乗って話していると、シエスタの父親が口を開いた。 「ところで、さっき出て行った彼は貴族じゃないみたいだが、どういう関係なんだ?」 その質問に頬を赤く染めキュルケの如く体をくねらせながらシエスタが答える。 「え…? 彼は…わ…私の…恋人なの…」 その言葉にガタッ!!という音とともにルイズが立ち上がる。 「ななな! 何勝手な事言ってんのよ!! そんなワケないでしょ!」 「嘘。これは嘘」 喚き散らすルイズとともに、珍しくタバサまで否定しにかかっている。 「あの子ったら随分積極的ね…」 ギャーギャーと怒声が飛び交うなか、キュルケが隣のギーシュに話しかける。 「人は見かけによらないというか…なんだか怖いくらいだよ僕は…」 ギーシュの呻くような呟きは、ルイズとシエスタの怒声に掻き消えていった。 一匹のオーク鬼が棍棒を振り上げ、銀髪の男を叩き潰そうとする、 棍棒が振り下ろされんとするその刹那、オーク鬼は自身の腕が宙に舞っていることに気がついた、 男はいつの間に抜刀したのか右手にもった剣を器用に回しながら流れるような動作で再び納刀する。 キンッ!という軽い音が響くと同時にオーク鬼の身体が三分割され崩れ落ちた。 その男―バージルはゆっくりとオーク鬼の群れへと視線をやる。 バージルの視線がオーク鬼達を貫く、オーク鬼達は恐怖した、目の前の存在に、 悠然とこちらへ歩いてくる、蒼いコートを纏った”何者か”に。 「ピギィィィッ!!」 オーク鬼の一匹が見た目通りの豚のような泣き声をあげバージルに襲い掛かる、 棍棒を振り上げ、バージルめがけ勢いよく振り下ろした、が、その一撃は地面に窪みを作っただけだった。 「プギッ!?」 バージルの姿を見失いオーク鬼が驚きの声を上げた瞬間、 「Be gone...(―失せろ…)」 空中からデルフの剣先を下にし勢いよく落下してきたバージルはオーク鬼を頭から串刺しにした。 バージルはオーク鬼の頭に突き刺さった剣をそのまま引き抜こうとはせず、刃の方向へ勢いよく切り上げ オーク鬼の頭の中身をおもいっきり地面へぶちまける。 それを目の当たりにした生き残りのオーク鬼達は完全に戦意を喪失、 後ろを振り返り遁走を試みるも、目の前には右手に抜き放たれた閻魔刀を静かに納刀するバージルの姿、 その動作が何を意味するか分からないオーク鬼達は、既に両断されていることにも気がつかず絶命した。 「相変わらずおそろしいね…彼は…オーク鬼が逃げ出すなんて聞いたことがないよ…」 数十頭いたオーク鬼が一瞬で肉塊に変えられた場面を目の当たりにしていまさらながらギーシュが言った。 「あのオーク鬼達は運が悪かったのよ…」 あいつ、邪魔をする奴には一切容赦がないのよね…と額に手を当てながらルイズが小さく呟いた。 翌日、シエスタに案内され、『竜の羽衣』が安置されている祠へとやってきた一行は、 そこに居座るオーク鬼達の群れを確認した、それが件のオーク鬼だろうと皆が話し合っている間に バージルが悠然と群れの中へ歩いていき、たった一人で殲滅してきてしまったのである。 「ここが例の祠か?」 ゆっくりと歩いてきたバージルがシエスタに尋ねる、あれだけの大虐殺をやっておきながら息一つ切らしていない。 「えっ…!? あ、は…はい!」 目の前で起きた大惨事に呆然としていたシエスタが慌てて答え歩き出した。 「ちょっとタバサ、何してるの? 行くわよ」 キュルケがタバサを見ると、何やら杖を左手に持ち居合いの構えを取っていた。 「何? ダーリンの真似?」 「なんでもない」 怪訝な顔で尋ねるキュルケにタバサは普段通りそう答えるとちょこちょこと後をついてきた。 一行はそのままシエスタに案内されるがままに祠に足を踏み入れる。 「(…この祠…昔本で…たしか…日本の神社といったか…?それにしては少し小さいが…)」 バージルがそんな事を考えていると、シエスタが口を開いた。 「これが『竜の羽衣』です」 シエスタが指さす方向を全員が見た。 「……何これ? こんな物が飛ぶ訳ないじゃない」 キュルケが呆れた声で言うが、ギーシュは真面目に考察をしてみる。 「うーん、金属でできているみたいだね。でもこれじゃ重すぎて飛ばないんじゃないか? しかも翼もこんな風に固定されていては羽ばたけないよ」 「そうね、ちょっと信じられないわ…って、どうしたのバージル、黙っちゃって…」 ルイズが普段なら「くだらん」とか「来て損した」とか容赦なく言いかねないバージルが、ここにきて黙っていることに気がつき声をかけた。 「……これは…」 なぜこんなものがここに?バージル本人も実物を見るのは初めてだが、本などでその存在はしっていた。 翼と胴体に描かれた赤い丸の国籍標識。 一般人でも見て名前を当てられる人間もいるだろう。それほどまでに有名な、第二次世界大戦に大空を駆けた兵器がそこにあった。 バージルが近づきそっと手で触れると、ルーンの効果か、情報が流れ込んでくる。 「ゼロ戦…か…」 「だっ! 誰がゼロよ!」 「お前じゃない、これの名前だ」 ゼロという言葉に反応し食ってかかるルイズをさらりと流しながらバージルは軽く説明した。 「俺が元いた世界の、といってもずいぶん前だが…戦争で使われていた戦闘機……飛行機だ」 「ひこうき?」 「え? 元の世界ってどういうことですか?」 シエスタの質問だけスルーし飛行機について簡単に答える。 「じゃあ、これって飛ぶんですか?」 「燃料があればな。とはいえ、燃料タンクがカラだ。エンジン等に破損はないようだが…これでは使えん」 バージルが忌々しそうに舌打ちをする。 「ミスタ・コルベールってこういうの好きそうだね」 ギーシュが何気なく呟いたその一言にバージルが反応する。 「どういうことだ?」 「この間の授業もそうだったんだよ、ミスタ・コルベールが妙な発明品を持ってきてね、あの人はそういう研究が好きなのさ」 「…そうか、アテになるかは知らんが、コルベールに相談してみるか…その前にコイツを手に入れられるかどうか交渉せねばならんがな」 「そうね…って、お願いだからヤマトは抜かないでね…」 そう耳打ちするルイズをよそにバージルはさっさと外へ出てしまった。 夕方、バージルはシエスタに見せたいものがあるといわれ、村の近くに広がる草原へと二人で来ていた。 広々とした緑の草原を、沈む夕陽が紅く彩る。 爽やかな風が流れると長い草が揺れてこすれあい、サワサワと音を立てた。 「本当は、『竜の羽衣』より、こっちをバージルさんにみせたかったんです」 茶色のスカートに木の靴、草色の木綿のシャツという私服姿のシエスタが、風でなびく髪を押さえながらバージルに寄り添っていた。 「ね、綺麗でしょう? 田舎ですけど」 「…そうだな」 バージルには珍しく、この景色に何か感じ入るものがあったのか静かにそれを眺めていた。 そんなバージルを見ながらシエスタがおずおずと尋ねる。 「元の世界……って、何ですか? バージルさんも、曾お爺ちゃんもどこからきたんですか?」 「ハルケギニアではない、別の世界だ。信じるも信じないもお前次第だがな」 シエスタの質問に淡々と答える。 「そんな!私は信じます、バージルさんは…嘘をつくような人じゃありませんから…」 「ふん…」 「私、うれしかったんです、バージルさんがあの『竜の羽衣』で空を飛べるって言ってくれたこと。 曾お爺ちゃんがメイジの方に頼んでまで固定化をかけてもらって、大事にしていたものが空を飛べるって知って…」 「………」 それからシエスタは手の指をいじりながら、震える声で言った。 「父が言ってました。曾お爺ちゃんの『竜の羽衣』の事を知っている人に出会ったのも、 何かの運命だろう……って。だから…その……よければ、この村に住みませんか? そうしたら私もご奉公をやめて、バージルさんと一緒に……!」 「断る」 「相棒おまっ…」 全く感情のこもっていない声で即答する。空気を読み今まで背中で黙っていたデルフが思わずツッコむくらいだ。 ショックを受け呆然とした表情のシエスタにバージルは淡々と続けた。 「俺はこの世界にはいられない、俺には打倒せねばならない相手がいる」 バージルは忌々しくそう吐き捨てると虚空をにらみつける。 魔界へ行き魔帝ムンドゥスを討たねばならない。この世界にいる限り、ムンドゥスのハルケギニア介入は続く。 バージルの心には何者も存在しない。あるとすれば深い怒りと悲しみ、そして力への渇望、それだけだ。 そんな人間をどうやって留めることができようか。 「バージルさんは…倒さなければならない相手に勝った後…どうするんですか?」 ショックで泣きそうになりながらもシエスタがやっとの思いでその言葉を口にする。 「知らんな」 「じゃあ…終わった後…また戻ってきてくれますか…?」 「……気が向いたらな」 そう言うと踵を返しその場を立ち去ろうとするバージルを見送りながらシエスタは小さく呟く。 「待ってますから…それまでずっと…まってますから…」 そういうと、小さくしゃがみ込み、両手で顔を覆い涙を流す。 「フラれちゃった…でも…戻ってきてくれるんですよね…」 シエスタは顔を伏せて、我慢できない涙を流した。 日はすでに落ち、夜空には満天の星が光り輝いていた。 翌日、バージル達は、一度学院へ帰還することにする、一度コルベールを呼び ゼロ戦を一度調べてもらい、使えるようであれば譲ってもらえるように交渉するためだ、 バージルが交渉した場合間違いなく閻魔刀が抜かれるため、それは無しになった。 シエスタはまだ休暇が残っているためタルブに残り、しばらくしたら学院に戻るとのことだった。 世話になった村人やシエスタの家族に別れを告げた後、シルフィードに乗り学院へと向かう。 バージル達が学院に着くと同時にトリステインからの使者が学院へと到着していた。 使者は、一緒に到着したルイズ達にオスマン氏の居室を尋ねると、急いだ様子で走り去っていった。 その何かとんでもない事が起きてしまった様子に、ルイズ達は顔を見合わせ、真相を確かめるべく後をついていった。 オスマン氏のいる居室の扉が、勢いよく叩かれる。 「誰じゃね?」 返事と同時に扉もまた勢いよく開かれ、使者が叫び声で用件を述べた。 「王宮からです。申し上げます! アルビオンがトリステインに宣戦布告! 王軍は、現在ラ・ロシェールに展開中! したがって学院におかれましては、安全のため、生徒及び職員の禁足令を願います!」 「宣戦布告とな? 戦争かね?」 平然を装ってはいるが、内心は焦っている。 アルビオンとはつい先日不可侵条約が締結されたばかりだ。 「いかにも! タルブの草原に、敵軍は陣を張り、ラ・ロシェール付近に展開した我が軍とにらみ合っております!」 「うぅむ…アルビオン軍は、強大だろうて…」 オスマン氏の言葉に、使者は悲しげな声へと変わる。 「敵軍は、巨艦『レキシントン』号を筆頭に、戦列艦が十数隻。上陸せし総兵力は三千と見積もられます。 我が軍の艦隊主力はすでに全滅、かき集めた兵力はわずか二千。 未だ国内は戦の準備が整わず、緊急に配備できる兵はそれで精一杯のようです。 しかしながらそれより、完全に制空権を奪われたのが致命的です。敵軍は空からの砲撃をくわえ、我が軍をなんなく蹴散らすでしょう」 「現在の戦況は?」 「敵の竜騎兵によって、タルブの村は炎で焼かれているそうです……。 同盟に基づき、ゲルマニア軍の派遣を要請しましたが、先陣が到着するのは三週間後とか……」 その発言で、オスマン氏は深くため息をついた。 「……見捨てる気じゃな。敵はその間に、トリステインの城下町をあっさり落とすじゃろうて」 学位長室の扉に張りつき、聞き耳を立てていたキュルケとルイズは顔を見合わせた。 戦争と聞き、ルイズの顔が蒼白になる。 「嘘よ…そんな…タルブの村が…だってあそこにはシエスタが…」 後ろでそれを見ていたバージルが踵を返し思わぬ言葉を口にした。 「タバサ、行くぞ」 「わかった」 二つ返事でタバサもその後について行く。そんな二人を見てルイズが大急ぎで追いかけた。 「ちょ、ちょっと!どこに行こうっていうのよ!」 「タルブだ、ゼロ戦を失うわけにはいかん」 シルフィードに手をかけながらバージルはさらりと言う。 「そんな! あんたたちが行ってどうにか…どうにか…なるかもしれないわね…あんたなら… っていうかあんたゼロ戦って言ってたけど、シエスタのことはどうでもいいの!?」 「ついでだ、生きているなら助けておく」 そう言いながらシルフィードに乗りこもうとする二人にルイズが叫ぶ。 「ま…待ちなさい! 私も行くわ! タルブを助けるわよ!」 「…勝手にしろ、足手まといにはなるな」 そう言うとルイズも始祖の祈祷書を片手にシルフィードに乗り込む、 かくして三人はたった一日で戦場と化したタルブへと向かうことになった。 前ページ次ページ蒼い使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3655.html
繁華街から離れれば、そこは貧困層の平民達が住む裏通り。 あちらこちらに葺かれていないあばら家が散見され、ゴミが散乱して不衛生な通りはぬかるみ、 その道に身体が不自由な老人が腰掛けて物乞いをする。 「・・・・・っ。」 目を背けたくなる衝動を抑えながら、ミカヤ、シエスタと共に歩を進めながらルイズは思考する。 自身の故郷であるヴァリエール領では、このようなことは無かっただろうか? 父たる公爵はどのように領内の政を行っていただろうか? その様子を見るミカヤの視線は、彼女の貴族として、一人の人間としての成長を傍らで見守る優しいものだった。 暫く歩くと、一枚の銅製の看板が見つかる。 「あちらが私がお世話になっている武器屋です。」 見つけたシエスタが一軒の家屋を指す。 そこには剣の形の看板を下げた、如何にも武器屋といった佇まいの一軒屋。 「そう言えばシエスタ、どうして貴女みたいなメイドが武器屋に?」 ルイズは此処に来るまでに疑問に思っていたことをシエスタに訊ねる。 すると、困ったようにしつつも、誇らしい笑みを浮かべながら彼女は答える。 「死んだお祖父ちゃんが私に剣術を教えてくれたんです。自分の身を守れるように、て。」 「あ・・・、そっか。ごめんなさい、余計な事を聞いて。」 触れてはいけないものに触れてしまったような罪悪感を感じたルイズはシエスタに謝罪する。 亡き彼女の祖父の事に触れたこともそうだが、何よりも彼女は平民であり、女性。 自衛の為に武器を取ることはそう珍しいことでは無いのだ。 「お気になさらないでください。」 しかし気にした様子は無く、此方を逆に気遣うシエスタはそう話す。 石段を上がり、羽扉の前に立つと、彼女は二人に声をかける。 「店長は馴染みの客の人以外には気難しい人なので、失礼をして先に入りますわ。」 「ええ。」 「いいわ。」 ミカヤとルイズがそう返したのを確認すると、シエスタは先に店内へと入った。 ファイアーエムブレム外伝 ~双月の女神~ 第一部 『ゼロの夜明け』 第十章 『魔剣デルフリンガー(ミカヤの章)』 「こんにちわ。」 シエスタが挨拶をしつつ羽扉を開くと日中にも関わらず薄暗く、壁に棚にと多くの武器が陳列され、 ランプの明かりをともす店内が見える。 店の奥には如何にも偏屈そうな、齢は50程になろう店主らしき男性がカウンター内に腰掛けていた。 「おや、いらっしゃいシエスタちゃん!今日はお休みかい?」 「はい。今日の掘り出し物を探しに来ました。」 常連客である彼女を確認した店主は笑顔になり、濁声で声をかける。 シエスタに続き店内に入って来たミカヤとルイズ。 身に着けているマントは各々形が違えど、彼女達がメイジであろうことが分かる。 店主は彼女達を一度見やると、シエスタに尋ねる。 「其方の若奥様方は奉公先の方々かい?」 「はい。御奉公先でお世話になっているミス・ヴァリエールと、仕事仲間のミカヤさんです。」 「ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールよ。」 「ミカヤと申します。」 シエスタの紹介からルイズは貴族らしく胸を張りつつも棘のない笑みで名乗り、ミカヤは慈母の微笑で会釈する。 二人を値踏みするように二人を注視する店主。 自身の眼鏡に適った者以外の客には二束三文の粗悪品を売るという、詐欺紛いの商売をしている彼ではあるものの、 それだけに観察眼は鋭い。 「こいつはご丁寧に、若奥様方。狭苦しいとこではありやすが、ゆっくりしていっておくんなせぇ。」 店主はミカヤ達を『客』として認め、笑みを向けた。 「若奥様方用に念込め済みの杖や杖剣がございやす。掘り出し物も御所望でしたら、珍しい杖や魔道具もお見せしますぜ?」 「ええ。見せてもらえる?」 「お願いします。」 杖や魔道具を売っていると聞き興味を持ったルイズと、自身が求める魔導書や杖があるかも知れないという望みから そう申し出るミカヤ。 「承りましたぜ。少しお待ち下せぇ。」 そう告げると一度奥へと入り、カウンターの上に奥から持ってきた幾つかの剣や杖、杖剣、魔道具等を広げて見せる店主。 「鉄に鋼、ましてや銀ではタルブ物には勝てる物ぁ無ぇから、あちこちから見たこと無ぇ掘り出し物を買い上げて来たんだ。 どうだい?」 「そうですね・・・。」 一振りずつ鞘から抜き、シエスタは丁寧に品定めをする。 「へぇ・・・。」 その一方でルイズは杖を幾つか手に取り、ハルケギニアにおける魔法の根源―――精神力の精通を比べている。 そんな彼女達を他所に、ミカヤは一冊の魔導書らしき書物を取った。 「・・・!」 軽く息を飲み、危うく手から落としそうになるのを堪える。 彼女は手元にあるものに対する驚きの表情を隠せないでいた。 使えずとも馴染み深い、紅蓮の炎をシンボルにした赤の表紙。 テリウス大陸にしか存在しないはずの炎の上位の精霊魔法『ギガファイアー』の書だった。 他の書も手に取り、自身の額に刻まれた神の頭脳のルーンの力により、次々に情報を読み取る。 間違い無く、手に取った内の数冊はテリウスの精霊魔法の魔導書であり、手に取るうちにもう一つの発見があった。 (理の精霊達が契約を望んでいる・・・・・。) テリウスの精霊魔法を行使するには、精霊と契約し、自らの魂を分け与えることが必要。 稀に精霊に愛され、此方に契約を望まれる場合もある。 ミカヤは女神の巫女であった為後者に当たるが、女神の眷属たる光の精霊の加護を受ける者は自然の理を司る 三精霊―――――炎、風、雷の精霊達、または闇の精霊との契約の重複は本来不可能なのだ。 しかし、通常の人間には目視出来ないが、本来なら意思の疎通すら適わない三精霊達が活性化し、 ミカヤに語りかけてきていた。 あらゆる魔道具を行使することを可能にする『ミョズニトニルン』のルーンが、魔法を行使出来るようにしている可能性が あった。 これらを購入することを決断したミカヤは早速、店主とルイズに持ちかけた。 「これらの書物を戴けませんか?ルイズ、いいかしら?」 「おや、これですかい?それなら一冊新金貨5枚で結構でさぁ。」 「それぐらいならいいわ。シエスタ、お財布を。でも・・・、随分魔導書にしては安いわね?」 ルイズは了承し、シエスタに預けていた財布から新金貨を取り出しながら店主にそう訊ねる。 通常、安価で求められる魔導書でも新金貨10枚は下らない。これほどに製本のしっかりとしたものならばその倍はついても 可笑しくはない筈の代物が一冊新金貨5枚は破格も良いところだ。 「へぇ、書かれてる小節がハルケギニア語で無くて解読も出来無ぇときて、飾りもんにしかなんねぇんでさ。」 テリウスにおいても『古代語』の習熟には充分な知力と努力を要する。 初見の者では読めなくても、至極当然であろう。 ミカヤは頭を下げて感謝しつつ、約束を取り付けた。 「ありがとうございます。 もしよければ、またこの型の魔導書を手に入れたら取っておいていただけませんか?」 「心得ました。こっちこそありがとうございやす。」 ルイズは新金貨を20枚取り出し、ミカヤの取った四冊を買い取った。 ちょうどその時、羽扉が開かれ、新たな来客を告げる。 「いらっしゃい!おや姐さんかい。」 「こんにちわ。」 「どうも。」 「あら、サイトさんに、・・・ミス・ロングビル?」 シエスタは不可思議な取り合わせの二人の客―――サイトとロングビルを見た。
https://w.atwiki.jp/familiar/pages/3945.html
311 :ドキっ!女だらけの格闘大会 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/17(火) 01 07 09 ID ohAsLefp 朝目を覚ますと。 いつも横で寝ているはずの才人が居なかった。 「サイトぉ…?」 薄いシーツだけを纏い、ルイズは寝ぼけ眼を擦って起き上がる。 名を呼んでも応えない才人に、ルイズは周囲を見渡す。 しかし、周囲を見渡しても、人影すら見えない。見えるのは見慣れた部屋の家具だけ。 先に起きてどっか行ったのかしら、とか思いながら裸のままベッドを降りる。 のたのたとクローゼットまで歩き、新しい下着と、制服を出す。 そのままもたもたと着替え、生あくびをかみ殺しながら、もう一度部屋を見渡す。 「…私ほっといてどっか行くなんて…」 不機嫌にそう言いながら、すたすたともう一度ベッドの脇へ戻る。 ベッドの上にかかっているシーツは乱れ、各所に小さな染みが残っている。そしてベッドの下には、脱がされたルイズの下着が散乱していた。 昨夜の二人の行為の名残である。。 ルイズはそれを見て軽く赤くなった。彼女の脳内に、昨夜の行為がリアルに再生される。 昨夜は月が綺麗だった。才人はその月明かりの下で、優しくルイズを抱き締めて…。 ベッド端に座り込んで回想しながら呆けるルイズの視界に、ベッド脇の円卓が目に入る。 片付けられたその上には。見慣れない紙切れが置いてあった。 表面に、何か字が認められているのがわかった。 …サイトの手紙?でもサイト、こっちの字書けたかしら…? 疑問に思いながらその紙を手に取り、内容を読む。そして。 びりっ。 あまりに勢いよく引っ張ったので、紙が見事に真っ二つに裂けた。 そしてルイズは吼える。 「あんの抜け駆けメイドぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」 紙にはこう書いてあった。 『今日はミス・ヴァリエールの日ですけど、サイトさんにちょっと用事があるのでもらっていきます。 P.S.たぶん今週は帰りません♪』 ルイズはそのまま、部屋の外へと駆け出した。 312 :ドキっ!女だらけの格闘大会 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/17(火) 01 08 05 ID ohAsLefp 廊下を猛ダッシュでルイズが駆けていると、タバサが前方で本を読みながら歩いているのが見えた。 ルイズがその横を駆け抜けようとすると、タバサが突然、杖を横に突き出してルイズを止めた。 「何するのよチビっこ!」 ルイズがそう怒鳴るのも当然と言えた。 しかしタバサh動じず、応える。 「…サイトに何かあった?」 とんでもない嗅覚である。 タバサはルイズが慌てているのを見て、才人に異変があったと直感したのであった。 そしてルイズは思い出す。 このチビっこは、便利な使い魔を持っていた事を。 「ちょっとアンタ!シルフィード貸しなさい!」 突然そう言ったルイズに、タバサは渋い顔をする。 しかし、ルイズはそのまま続けた。 「サイトがメイドにさらわれたのよ!」 間違いではない。 だが、正しくもない。 しかしタバサは、真剣な顔になり、口に指を当て、高く口笛を吹いた。 すると、廊下の窓の外に、青い大きな竜が羽ばたいて現れる。シルフィードであった。 タバサはすぐさま窓を開けると、シルフィードの背に飛び乗る。 「乗って。事情は上で聞く」 ルイズは、すぐにタバサの後を追った。 事情を聞いたタバサは、すぐにシルフィードに、才人の匂いを追わせた。 シルフィ竜なのね、犬じゃないのね、などとシルフィードは文句を言っていたが、タバサとルイズの迫力に、先住魔法を使って、才人の行方を追ってみた。 すると、才人はトリスタニアに向かった事が分かった。 二人は鬼の形相で、シルフィードにトリスタニアに向かうよう、命令した。 313 :ドキっ!女だらけの格闘大会 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/17(火) 01 09 28 ID ohAsLefp 才人の気配は、ここに来ている、とシルフィードは言った。騒ぎになるといけないので、例によってシルフィードは上空で待機である。 そこは、『魅惑の妖精亭』。 シエスタの従姉妹、ジェシカの働く酒場。 まだ昼を少し過ぎた程度の今、酒場の扉は閉じられている。 しかし。 その前には、黒山の人だかりが出来ていた。 「な、なにこれ…?」 驚くルイズ。しかしタバサは動じた風もなく、その人ごみに近寄っていく。 そして、適当に人のよさそうな一人の男の裾を掴むと、後ろを振り向いたその男に尋ねた。 「どうしたの」 男は一瞬、なんでこんな娘がここに、という顔をしたが、タバサの杖とマントを見て彼女が貴族だと悟ると、応えた。 「今晩この『魅惑の妖精亭』で、女の子だけの格闘大会があるんでさあ。貴族の子女が見るようなものじゃありませんよ」 言って男は『整理券まだ配らないのかよ』とか言いながら人ごみに戻る。 タバサはルイズの下に戻ると、男から聞いた情報をルイズに伝える。 「なにそれ…?」 ルイズはその内容に眉をしかめたが、すぐに直感した。 ひょっとしてサイト、ソレに釣られてシエスタに着いてったんじゃあ…! そしてルイズの中で、シエスタとタッグを組んで、巨乳の女の子たちと組んずほぐれつしている才人の姿が再生される。 ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、許せん! 「タバサ!裏口に回りこむわよ!」 ルイズはタバサの手をひっつかむと、『魅惑の妖精亭』の裏口に回りこむ。 そしてそこにいたのは。 「あら、ルイズちゃんじゃなぁい」 魅惑の妖精亭の主人にして、おネェ言葉で喋る濃い顔の中年、スカロンだった。 314 :ドキっ!女だらけの格闘大会 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/17(火) 01 10 02 ID ohAsLefp スカロンは、裏口の前に簡素な机と椅子を置いて、そこに座っている。 ぱっと見、何かの受付をしているように見える。 ルイズは、スカロンに単刀直入に尋ねた。 「…ここに、サイトが来てない?」 スカロンはあら、と驚いたあと、にっこり笑って応えた。 「来てるわよ。っていうか、彼今夜の賞品だから♪」 そのスカロンの台詞に反応したのは、タバサだった。 タバサは半眼ですごみながら、スカロンに尋ねる。 「…どういう意味」 スカロンはああら怖い、と口先だけで怖がってみせ、応えた。 「彼ね、何度かここに手伝いに来てて、結構ここの女の子に評判がいいのよ。 だから、最終試合の賞品になってもらったってわけ」 最終試合?と顔を見合わせる二人に、スカロンは続ける。 「あ、試合ってのは今夜ここで開かれる、年に一度の『ドキッ!女だらけの格闘大会〜ポロリもあるでよ〜』のことよ。 サイト君は、その最後の試合の賞品なわけ。 あ、言っておくけど本人の了承は得てるわよ?」 「あんの、スキモノぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…!」 ルイズは物凄い形相で、裏口めがけてのしのしと歩いていく。 316 :ドキっ!女だらけの格闘大会 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/17(火) 01 13 11 ID ohAsLefp 「あ、賞品が欲しければちゃんとエントリーしてねー。 二人一組で、参加料は一人1エキューになりまーす」 そして、手にした紙をひらひらと揺らす。 そこには、試合にエントリーした女の子の名前がずらりと書かれていた。 各試合の下に賞品名、その下に女の子の名前が続く。 そして、最終試合の才人の名前の下には。 『シエスタ ジェシカ』 の、二人の名前が。 その下に名前はなく、どうやらまだエントリーはないようだ。 「あ、ちなみに最終試合は2対2のみだから、早い者勝ちよん」 そして、ルイズは。 そして、タバサは。 懐から同時に1エキュー金貨を取り出すと、スカロンの掛ける机の上に、それを叩き付けた。 「やってやろうじゃないの…!」 「負けない」 意気込む二人に、スカロンはにこにこ笑顔で金貨を袋に仕舞った。 「まいどあり〜♪それじゃあ、参加用紙に名前を書いてね〜」 二人は無言で用紙に名前を書き込み。 そして二人はお互いに視線を交わすと。 がっしりと、腕を組んだ。 ここに。 史上最強の、貧乳タッグが成立したのである。 423 :ドキっ!女だらけの格闘大会 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/19(木) 03 04 10 ID FnL/cEc+ 「じゃあルールを説明するわね?武器、魔法の使用は一切禁止。顔面への攻撃も禁止。 勝利条件は、相手に『参った』と言わせるか、相手を全裸にするか、5カウントの間、相手の足を開かせる事」 「…は?」 裏口から更衣室権控え室に案内されたルイズは、スカロンの説明を聞いて眉をしかめる。 どう聞いてもマトモな格闘技の試合ではない。 しかしスカロンは全く取り合わず。 「はいこれ、衣装ね。これ以外の衣装の着用は認められないから。じゃ、試合の時間になったら呼ぶから、よろしくねん」 てきぱきとルイズに衣装を渡し、スカロンはそそくさと控え室を出て行ってしまった。 ルイズは呆気に取られたまま、衣装を持って立ち尽くす。 そして、一緒にタッグを組む予定のタバサに声をかける。 「ねえタバ」 ルイズが振り返ると。 「何」 既にタバサは衣装に着替えていた。 上半身は、どう見ても胸を覆うだけの役目しか果たして居ない、筒状の青い布地。 それはコルセットのように後ろで複数の×字に組んで背中で結ぶように出来ており、結び方によっては簡単には脱げないだろう。 下半身には、やたらにひらひらした、股の直上までしかない短い、これまた青いスカート。 少し屈めば、その下の青と白のストライプの下着が丸見えになってしまうだろう。 それらは、何故かタバサのサイズに合わせられていていた。 「…アンタ恥ずかしくないの?人前でその格好すんのよ」 ルイズは呆れたが、すぐにタバサは反論してきた。 「サイトのためなら平気」 ちょっと頬を赤らめながらそんな事を言ったりする。 …ナニ? 『サイトを想う気持ちなら誰にも負けない』とかそんな風に言いたいワケ? ルイズは自分の想像にカチンと来て、そのまま怒った顔で、一気に衣装を着込んだ。 ルイズのそれはタバサのものと違い、黒を基調としたものだった。 上は漆黒のチューブトップ、下もこれまた黒のプリーツスカート。その下には、黒と白のストライプの下着を履いていた。 そしてルイズは、一本の黒いリボンを取り出すと、その柔らかい桃色の髪をポニーテールにする。 「…反則」 タバサはルイズのポニーテールにそう指摘するが、ルイズは悪びれない。 「この程度、許容範囲に決まってるでしょ。 それより、最初の試合そろそろ始まってんじゃない?見に行きましょう」 言ってルイズはタバサの手を引き、控え室を出る。 そして、とんでもないモノを目にすることになるのだった。 424 :ドキっ!女だらけの格闘大会 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/19(木) 03 05 06 ID FnL/cEc+ 〜ここからは音声のみでお楽しみください〜 「ちょ、ちょっと何アレ!モロに出てるわよ!」 「…おっきい」 『おおっとさっそくポロリきましたぁ!しかし戦意は失っていない様子〜!』 「え、なになになに!?お、女の子同士なのにっ!?」 「…揉んでる」 『おお、出ました背面からの締め技!これは効いている〜!』 「ちょ、ちょっと!なんてとこに手を入れてんのよ!」 「…入ってる」 『入ったー!フィニッシュホールドー!アリシア選手、しょーーてーーーん!』 〜以上、音声のみでお送りしました〜 ルイズは真っ赤な顔で、控え室に戻ってきた。 タバサも普段よりは赤い顔で、その後ろに続く。 「ど、どーしよ。あ、あんなの出来ないわよ…」 ルイズは椅子に座ってそうひとりごちる。 タバサもその言葉に頷いて、窓の外など眺めて棄権しようかどうか考えていたが。 425 :ドキっ!女だらけの格闘大会 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/19(木) 03 06 13 ID FnL/cEc+ 「あら、敵前逃亡ですか?ミス・ヴァリエール」 聞き慣れた声が、控え室の入り口から聞こえた。 そこには、そろいの衣装に身を包んだ、シエスタと、長い髪をポニーテールに纏めたジェシカがいた。 シエスタは白い衣装、ジェシカは緑の衣装を着ている。 その造形は、ルイズとタバサのものと同じ形であったが。 中身の物量が違っていた。 まさに、平原VS山脈。二次元VS三次元。龍VSハムスター。 「…私はアンタみたいな恥知らずじゃないわ」 ルイズはこれ見よがしに胸を張って控え室の入り口にもたれかかるシエスタにガンを飛ばしながら、そう反論する。 しかしシエスタはルイズの台詞に、冷笑でもって応えた。 「あら。それじゃあサイトさんは遠慮なく戴いていきますね? それでもいいんですか?」 かちん。 「やっぱり、胸のない女の子は度胸も平面なんですねえ」 むか。 「貴族に喧嘩売るとはいい度胸してるじゃない…!」 「あら。試合前にやりますか?」 「や ら い で か」 今にも取っ組み合いを始めそうな二人を、お互いのパートナーが肩を掴んで止めた。 「あのさシエスタ、店の更衣室で喧嘩しないで欲しいんだけど」 「…勝負は試合で」 あくまで冷静にタバサとジェシカはお互いのパートナーを宥める。 二人はなんとか落ち着くと、お互いに殺気の篭った視線を交わし、そしてふんっ!と互いに視線を逸らす。 タバサはルイズを部屋の奥へ。ジェシカはシエスタを部屋の外へと、引っ張っていく。 「ごめんねぇルイズちゃん。んじゃ、また試合でね」 言いながらジェシカはぱたぱたと手を振り、シエスタを押して控え室を去った。 426 :ドキっ!女だらけの格闘大会 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/19(木) 03 07 04 ID FnL/cEc+ 二人が去った後、タバサはルイズを振り返る。 「…ルイズ」 タバサの呼びかけに、ルイズはゆっくりと顔を上げる。 その目には、確かに闘志が宿っていた。 「闘るわよ、タバサ」 タバサはルイズの言葉に、ただ一つ、頷いたのだった。 そして、試合の時間になった。 二人は酒場に設えられた舞台の袖で、出番を待っていた。 「それじゃあ準備はいい?ルールは確認した?ブラの紐はちゃんと締めた?」 スカロンは言いながら二人を眺める。 「ん〜。二人ともとってもキュートでファニィなんだけど、ウチの客層には合わないかしらね?」 「…平民の好みなんか知ったこっちゃないわ」 「闘って、勝つだけ」 二人はスカロンの総評などそっちのけで、闘志を燃やす。 その二人に、スカロンは忠告した。 「たいした意気込みねえお二人とも?でも気をつけてね?」 「…何を?」 「どういう意味」 二人はスカロンの言葉に、二人は質問で返す。 「シエスタはともかく、ジェシカはこの試合、負け知らずだから♪じゃ、がんばってねん♪」 にっこり笑顔でそう応えると、スカロンは投げキッスとともに舞台に向かった。 「…潰すべき目標が見えたわね」 「…まず、弱い所から狙う。電撃戦の基本」 それに、シエスタは才人を攫った犯人である。狙われてしかるべきだ。 …実際には、シエスタにこのイベントの主旨を聞いて、鼻の下を伸ばしまくって着いてきたのは才人の方だったりするのだが。 427 :ドキっ!女だらけの格闘大会 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/19(木) 03 08 05 ID FnL/cEc+ 『それでは本日のメーンイベントォー!4人の美女が一人の男を賭けて闘いまっすぅ!』 木を削って作られたメガホンを手に、スカロンが高らかに喧伝すると、満員の客席から歓声が上がる。 酒場はその様相を大きく変えていた。 普段は酒と食物を出すために出されているテーブルと椅子は全て裏に片付けられ、そこは大きな空間となっていた。 その中央には、下に革を何枚も重ねた敷布が敷かれていて、その周囲を円形に板が取り囲み、舞台と客席を分けている。 『4人の美女に見初められた幸運な男はこの方っ!我らがトリステインの盾っ、シュヴァリエ・サイトぉーっ!』 スカロンが手を振り上げると、少し小高くなった席に掛けた才人が照れ笑いをしながら手を振る。 …なにニヤけてんのよこのバカ犬、とか思いながら、ルイズは言われたとおりに、舞台から客席に繋がる花道へと出る。 そしてタバサも、それに続く。 それに合わせて、スカロンのアナウンスが響き渡る。 『まずは今回の挑戦者、ルイズちゃんとタバサちゃんでぇーっす!』 それと同時に響き渡る、大歓声。 「おおおおおおおおおお、こ、これはいい!」「ぺたん娘萌え〜!」「お、おれはロリコンじゃないからな!絶対ロリコンじゃないんだからな!」 「メガネ!メガネっ娘ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」「貧乳はステータスだ!希少価値だ!」「エロい人にはそれがわからんのですよ!」 ルイズは、何この異常性欲者の群れ、とちょっと引きが入りながらも、ここで学んだ作り笑顔で手など振ってみる。 うをおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! …アタマ大丈夫かしらこの人たち…。 そうして二人が革の敷物で作られた仮設リングの脇に立つと、今度はシエスタ達のアナウンスが入った。 『そして迎え撃つは、ディフェンディングチャンピオン、ジェシカとっ、ゲスト参加のシエスタちゃーーん!』 それと同時に、リングの反対側から伸びる花道に、二人の姿が現れる。 そしてまたもや響き渡る、観客の大歓声。 「きたああああああああああああああ!ジェーシカたーん!」「やっぱ胸は揺れてナンボでしょ!」「男はみんなおっぱい星人なんじゃよおおおおおおおお!」 「なんと立派な!ありがたやありがたや」「乳神さまじゃあああああああああああああ」「戦いは物量なのだよ!」 …ほんっとうに、アタマ大丈夫かしらこの平民ども。 などと呆れ返るルイズだったが、ジェシカはそうでもないようだ。 「応援ありがとーみんなー♪愛してるよっ!ちゅ♪」 などと客席めがけて投げキッスなどして、サービスを振りまいている。さすがはお水の女。 シエスタも、少し気圧されてはいるが、手を振って観客に笑顔で応える。 その歓声は、ルイズとタバサの入場の時のゆうに倍はあった。 …なんかムカツク。 そして二人はルイズとタバサの待つリングに立つ。 428 :ドキっ!女だらけの格闘大会 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/19(木) 03 09 22 ID FnL/cEc+ 「逃げずに来るとはいい度胸ですねミス・ヴァリエール」 「アンタに負けるわけにはいかないからね」 シエスタとルイズはそう言いながら、ガンを飛ばしあう。 ジェシカは手持ち無沙汰そうに、タバサを見つめる。 「私たちもなんかやっとく?」 しかしタバサの視線は、ジェシカの豊満な胸に注がれていた。 「…負けない」 タバサはジェシカの胸を見つめたまま、指をジェシカに突きつけて闘志を露にする。 そんな四人の間に、審判役の男装の女の子が割ってはいる。 そして四人に確認を取る。 「武器、魔法の使用は一切禁止。顔面への攻撃も禁止。勝利条件は、分かっていますね?」 四人は、同時にこくん、と頷いた。 「それでは両チームリング端に戻って」 審判の言われたとおりに、四人はリングの端に戻る。 ルイズはタバサと視線を交わし、狙うべき目標の確認をする。 まず狙うべきはシエスタ。 そして二対一で、ジェシカを倒す…。 それが、二人の作戦だった。 審判は、両チームの準備が整ったのを確認すると、試合の開始を告げた。 「では試合…開始っ!」 429 :ドキっ!女だらけの格闘大会 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/19(木) 03 10 01 ID FnL/cEc+ 開始の合図と同時に、二人は猛然とシエスタめがけてダッシュする。 先にシエスタの前に辿り着いたのはタバサ。そのまま勢いよくシエスタに掴みかかろうとして。 その手を、横から伸びてきた別の手が掴んだ。 「はーい、甘いわよー」 それは、ジェシカの手だった。 は、速い!? タバサが驚いている隙に、ジェシカは片手であっという間にタバサを引き寄せてしまう。 タバサ、あんたの犠牲は無駄にしないわ…! ルイズはその後ろから、シエスタに掴みかかる。 「もらったぁ!」 しかし、シエスタはバックステップでそれを華麗に避ける。 「遅いですよミス・ヴァリエール」 確かにシエスタの指摘どおり、ルイズの攻撃は見てからかわせるレベルであった。 「く、このっ!」 ルイズは今度は一気に踏み込み、手を伸ばす。 だが二度目の攻撃も、容易くサイドステップで避けられてしまう。 「見えてる攻撃になんて当たりませんよ」 余裕を見せるシエスタ。だが。 430 :ドキっ!女だらけの格闘大会 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/19(木) 03 10 52 ID FnL/cEc+ サイドステップの着地の瞬間、ルイズは踏み込んだ足でそのまま地面を蹴り、シエスタの背後へもう一度踏み込む。 才人が水精霊騎士団の演習でやっていたフェイントを真似た戦法であった。 視界からルイズが消えて、一瞬戸惑うシエスタ。ルイズはその隙を見逃さなかった。 シエスタの右手を取ると、後ろ手に捻りあげたのである。 ちなみにこれは普段からルイズが逃げる才人を捕まえるのに使っている技で、どこかで覚えてきたものではない。 「うぁっ!」 腕の関節を捻られる痛みに声を上げるシエスタ。 「さあ、大人しく負けを認めなさい。そうすれば」 ルイズはそう凄むが、シエスタは痛みを堪えながら応える。 「さ、さあ、どうかしら。負けを認めるのはそっちだと思いますよ」 「なんですってえ」 シエスタの態度にルイズの手に力が篭る。 しかしシエスタはそのままの体勢で、ルイズに言った。 「ほら、ミス・タバサがタイヘンなことになってますよ?」 「え」 言われるままにタバサとジェシカが交戦している方を見ると。 431 :ドキっ!女だらけの格闘大会 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/19(木) 03 11 29 ID FnL/cEc+ 『ここで出たー!ジェシカの必殺技、ディーープインパクトーーーー!』 「って、タダのキスじゃないの!」 タバサはジェシカに巧妙に抱きすくめられ、唇を奪われていた。 しかし、それだけではなかった。 『今までこの技から逃れられた女の子はいませーん! ちなみにウチのジェシカちゃんは、さくらんぼのヘタを口の中でちょうちょ結び出来ます!』 タバサは必死に抵抗している様子だったが、ジェシカの空いた右手がタバサの身体のあちこちを撫で回し、その力を奪っている様子だった。 そして、数十秒もすると。 タバサはびくん!と痙攣し、脱力してしまう。 ジェシカが口を離して手を離すと、タバサはその場にくたり、とへたり込んでしまう。 相当キモチよかったらしい。 ジェシカは口の周りについた唾液をぬぐって髪をかきあげると。 「この子、かなーり開発されてるみたいね。見た目以上にやりやすかったわ」 などと余裕で感想を述べる。 『はーい、ここでタバサちゃん戦闘不能とみなし、しっかぁーく! 残るはルイズちゃん一人となりましたぁ!』 ルイズは、シエスタの腕を取ったまま、完全に硬直していた。 そのルイズに、ジェシカが一歩ずつ近寄ってくる。 にこにこ笑顔で。 「それじゃ、ルイズちゃんもいただいちゃいましょうかねー?」 手をわきわきしながら。 ルイズの背筋に、悪寒が走る。 さ、サイト以外に、しかも女の子にあんなのされたら、私、私…! そんなルイズに、シエスタは固められたまま、最後の質問をした。 「さて、どうしますか?ミス・ヴァリエール?」 結局。 ルイズはその場で、負けを認めて降参したのであった。 462 :ドキっ!女だらけの格闘大会〜えぴろーぐ ◆mQKcT9WQPM :2007/07/21(土) 00 36 17 ID Wj7UTc2x 夕食を食べた、っていうか食べさせてもっらたのは覚えている。 その後たしか、シエスタが祝い酒だ、って酒を飲ませてくれて…。 そうだ、その後眠くなって…。 で、目を覚ましたら。 「あ、起きましたかぁ?サ・イ・トさ〜ん」 いきなり下着のシエスタが抱きついてきた。 え?何?これってどういう状況? 俺は自分の置かれた状況を確認する。 俺はベッドに寝かされて、上からシエスタに抑え付けられている。 「あ、あの、シエスタ?」 「なぁんれすかぁ?サイトさーん」 俺の呼びかけにシエスタはのっそりと応える。 その吐息が俺の顔にかかった。 「うわ酒臭っ!どんだけ呑んだんだよシエスタ!」 「そんなのしりませ〜ん」 言ってシエスタは俺の首にごろにゃんと抱きついてくる。 いや全力で当たってるんですが!むにゅむにゅって! 「ちょ、シエスタ抱きつくなよそんな格好で!」 俺は一応抵抗してみるが。 「いやですぅー。そんな意地悪言うんだったらもっと抱きついちゃいます〜。 えいえいえいえいえいえいえいえいえい」 ぬお!密着しすぎシエスタさん!おっぱいつぶれてますよぉぉぉぉぉぉっ? とか煩悩全開になってると。 「こぉらシエスタぁ」 足元から聞きなれた声が。 ってこの声。 俺はシエスタに抱きつかれたまま、不自然な格好で声の聞こえる方向を向く。 そこにはやっぱり、ルイズがいた。 ベッドの隅っこにぺたんと座り込んで、こっちを半眼で見つめている。 こっちは下着じゃないけど、さっきの試合で着けてた衣装のまんまだ。 っていうかポニーテール萌え。 …じゃなくて!まずいまずい! 「いやそのあのルイズ!これは違って!」 「私もまぜなさぁい」 …ゑ? ルイズはそう言って、いきなり俺のズボンに手を掛けてずり下ろし始めた。 ま、まさか! 「あ、あのルイズさん?酔ってる?」 離れないシエスタをくっつけたまま、俺はついに俺のぱんつに手を掛けた赤い顔のルイズに尋ねる。 「られがよっれるっれえ」 …いや全力でロレツが回ってないんですケド。 463 :ドキっ!女だらけの格闘大会〜えぴろーぐ ◆mQKcT9WQPM :2007/07/21(土) 00 37 17 ID Wj7UTc2x とか言ってる間にも、ルイズは俺のぱんつを抜き去ってしまう。 うわ今はダメだってえ! 「…ちょっと」 ダメだってルイズ握っちゃらめええええええええ! 「…何思いっきり立ててんのよ」 ルイズは俺の息子をにぎにぎしながら、半眼で睨んでくる。 「いやだってこの状況で立たないわけが」 「ふん、まあいいわ。丁度いいし」 え?ちょうどいいってどういう…。 ぺろ。 「っていきなり何舐めてんですかぁぁぁぁぁぁぁ」 「うるさいダマレ」 「そーですサイトさんうるさいです」 ぼふ。 今度はシエスタが、俺の頭を谷間に埋めてきた。 ってなんすかこのコンビネーション! 上はシエスタのおっぱいに埋められ、下はルイズが絶賛ご奉仕中。 なんでこんなんなってんのー? とか思ってると。 ぴちゃ。 「うひゃっ!?」 今度は、誰かが足の指を舐めてきたっ? 誰だっ? し、しかしシエスタのおっぱいに埋められた状況だと確認しようが…! 「ねえチビっこ、そんなとこ舐めて楽しい?」 「…楽しい」 って、しゃ、シャルロットまでえええええええええええ? て、ていうかっ! ぺろぺろぺろ。 「ちょ、ちょっとやめ、くすぐってえって!」 あ、足の指そんな風に舐めちゃだめぇぇぇぇぇぇぇ! 「だからうるさいですサイトさん」 「ダマレ犬」 言ってシエスタは唇で俺の口を塞いで。 ルイズは口の中に俺の息子を入れてしまった。 464 :ドキっ!女だらけの格闘大会〜えぴろーぐ ◆mQKcT9WQPM :2007/07/21(土) 00 38 33 ID Wj7UTc2x いやまてちょっとまて!三人で同時にそんな責められたらあぁぁぁぁぁぁぁ! どくどくどく! 「んーーーーー!」 俺は、速攻で果ててしまった。 いつもの半分、いや三分の一以下の時間だ…。 「ちょっと犬ぅ」 ルイズは半眼の酔った目つきで、シエスタのキスから開放された俺に詰め寄ってくる。 シエスタといえば、キスに満足したのか、俺を解放して後ろに下がってしまった。 そしてルイズは何の遠慮もなく、俺の上に馬乗りになる。 あ、あの、目が怖いんですケドルイズさん。 「はやすぎ。もうちょっとガマンしなさぁい」 言って俺の首筋に顔を埋めて。 今度は俺の首筋を吸い始めた。 て、酔ってる!こいつ絶対酔ってる! 俺は必死にルイズを引き剥がそうとってうわぁぉぅ! 「な、なにやってんだよ二人ともっ!」 今度は、シエスタとシャルロットが…空いた俺の息子にアタックしはじめたのだ。 二人して、先端を舌でぺろぺろと舐めている。 最初はげんなりしていた俺の息子が、見る間に元気になる。 「あは。元気になりましたぁ」 「サイトはここが好き」 言ってシャルロットは俺の弱点…亀頭の返しの裏側を小さな舌でちろちろ舐め始めた。 ってやめぇい!マジで弱いんだってそこわ! 「ちがいますー。サイトさんは袋をはみはみされるのがすきなんですよねー」 酔った声でそう言って、シエスタが俺のお袋さんをはくり、と唇で咥えた。 ぶわ!まってまってお袋さんはだめえええええええええ! 「あにいってんのよぉシエスタぁ」 二人に本丸を同時に責められて青息吐息の俺を無視して。 ルイズはくるん!と後ろを向いて、ってちょっと待! 女の子がそんな無神経に男の頭またいじゃいけません!濡れて割れ目がくっきりになった黒いしまぱんがえろいじゃないか! …じゃなくて! 「サイトわねぇ」 え?ちょっとまさか? 「さきっちょのわれめをいぢめられるのが一番イイのよー」 きたああああああああああ!ルイズの必殺技きたあああああああああ! ルイズは舌をすぼめて俺の先っちょをいじめるのがすっごい上手いんですはい。 465 :ドキっ!女だらけの格闘大会〜えぴろーぐ ◆mQKcT9WQPM :2007/07/21(土) 00 39 54 ID Wj7UTc2x ってまってまってまって! その三人同時はまずいってマジでえええええええええええええ! びゅびゅびゅびゅっ! 復活した息子はあっという間に三人の中で果てて。 飛び出した俺のエキスは、三人の顔に飛び散った。 …二回目だってのに…いつもの半分ももってません…。 そうして、俺が放出感と敗北感に呆けていると。 「サイトぉ」 「サイトさぁん」 「…サイト」 三者三様の声が、間近から聞こえてくる。 ああ…モウヤメテ。俺が悪かったからカンベンシテ。 「まだまだがんばれるわよねぇ」 「大丈夫、サイトさん体力ありますしぃ」 「…がんばって」 そして俺は。 全員が満足して寝てくれるまで、散々酔っ払いの相手をさせられたのだった…。 次の朝。というか、昼の少し前。 「おはよーシエスタ、そろそろ起きよー…って」 ジェシカが四人に貸した部屋のドアを開けると。 とんでもない光景がそこに広がっていた。 まず、右側に枕にして満足そうな笑顔で寝息を立てるシエスタ。 その隣に、上に乗っかってこれまた安らかな寝顔で猫みたいに丸まって寝ているタバサ。 その左側に、放すもんかと抱きついて、どんな夢を見ているのかにへにへ笑っているルイズ。 そして。その下には。 右腕をシエスタの枕に、胸板にタバサを載せ、左腕をルイズの抱き枕にされている。 寝苦しそうに唸る、土気色の顔をした才人がいた。 「…ゆうべはおたのしみでしたね」 などと呟いて、ジェシカはそのまま扉を閉める。 「…ほんと、タイヘンだ。サイトくんは」 言ってジェシカは、もう一泊分あの部屋を使わせてくれるよう、スカロンに頼みに行くことにした。 あの状態では、今日はもう才人は動けないだろうから。 そしてその予想は的中して。 四人がトリステイン魔法学院に帰ったのは、結局三日後のことだった。〜fin
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/969.html
autolink() FS/S03-089 カード名:氷室 鐘 カテゴリ:キャラクター 色:青 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:2000 ソウル:1 特徴:《スポーツ》?・《メガネ》? 【起】集中 [①]あなたは自分の山札の上から2枚をめくり、控え室に置く。それらのカードのクライマックス1枚につき、あなたは1枚引く。 ……蒔の字。君の陰口は、遠坂嬢に聞こえているようだが レアリティ:C illust.TYPE-MOON Fate/stay night版のセーラー服のシエスタと言えば分かりやすいか。しかしあちらとは違いこちらはCX1枚につき1毎しかドローする事が出来ない。 が、セーラー服のシエスタはレストしなければいけないのに対し、こちらは1ターンの間にコストが払える限り何度でも使用可能。 どちらを組み込むかは、プレイヤーの方針次第と言えるか。 ただ、コストパフォーマンスはセーラー服のシエスタにはるかに及ばないものの、、セーラー服のシエスタは制限カードになってしまった。 スタンダード形式の際に使用されることになるか…?
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2459.html
前ページ次ページS.H.I.Tな使い魔 窓から日の光が康一の寝顔を照らす。まぶしくて、康一はもぞもぞと起き出した。 ベッドに目をやると、毛布に包まった塊のようなものが寝息を立てている。 「そっか・・・ぼく、あのまま気絶しちゃってたんだ・・・」 毛布が膝元にずり落ちている。気絶していたぼくに一応毛布だけはかけてくれたらしい。 立ち上がり、うーん・・・と背伸びをする。堅い床で寝ていたので体の節々が痛い。 ここで康一は自分がまだパンツ一枚であることに気がついて、あわてて投げ散らかしてある服を着込んだ。 今日から使い魔としての生活が始まるらしい。 正直現実味がない。これが魔法の国だなんて、今でも夢だったような気がする。 しかし、実際には自分は知らない天井を見上げて目覚め、毛布からはご主人様(ということらしい、ぼくは認めたくないけど!!)の白くて小さな足が覗いている。 康一はこのご主人様(仮)を起こそうかと思ったが、先に今自分がいる場所を見て廻ることにした。 『魔法の国』というやつに康一は少年らしい興味を覚えていたし、なによりあの恥ずかしい大騒ぎの後、すぐに顔を合わせるのはなんだか気まずいからだ。 康一は音を立てないようにこっそりと扉を開け、部屋の外へと抜け出した。 康一は建物の外に出ると大きく深呼吸をした。 康一は朝の冷たい空気が好きだ。草の葉の露に朝日が当たってきらきらと輝くのも好きだし、まだ人気が少なくてシーンと静まりかえっているところも嫌いではない。 ただ、それが見知らぬ場所で自分が余所者だと、なんだか入ってはいけない場所に立ち入っているような気分になる。 康一はとりあえず顔を洗うために水場を探すことにした。 しかし昨日も思ったが、こうして歩いていると明らかに自分達の時代とは文化や文明が違う。まるで話に聞く中世ヨーロッパの建物のようだ。あちらこちらに康一には用途の分からないものが設置してある。 時々何かの文字が書かれていたりもするのだが、康一には読むことができなかった。 と、ここで康一は、はっと気づいた。 「ぼくって今まで何語をしゃべっていたんだ?」 日本語だけでなく、露伴先生のおかげでイタリア語の読み書きもばっちり、それに英語もほんのちょっぴりなら分かるが、思い返してみるとあの人たちが喋っていたのは聞いたこともない言語だった気がする。 「でも、会話は通じるんだよなぁー。どうしてだろ。」 露伴先生にイタリア語を扱えるようにしてもらったときと似た違和感がある。なぜか言葉の意味が分かり、なぜか言いたいことがイタリア語になるのである。(まぁ、ここの言葉は話ができるだけで読み書きはできないみたいだけど・・・) そんなことを考えながら水場を探してうろうろしていると、渡り廊下の奥から籠をもった黒髪の女の子がやってくるのが見えた。白と黒を基調としたエプロンドレスである。 「(うわー、メイド服だよー!)」 当然だが康一はメイド服を見るのは初めてである。というよりメイドさんという存在は、現代日本ではほとんどいなかった。 「あのー、すいませーん。」 康一が声をかけると、向こうもこちらのことに気づいていたのだろう。足を止めて微笑んでくる。 カチューシャでまとめた黒髪とそばかすがかわいらしい。 「はい、何か御用でしょうか。」 「いや、ご用といったほどのことじゃないんですけど、顔を洗いたくてですね。水場を探しているんですよ。」康一は頭を掻きながら説明した。 「かしこまりました。それではご案内いたしますね。」 こちらです。とメイドさんが案内してくれる。 歩いていると、あの・・・。とメイドさんが話しかけてきた。 「ひょっとして、ミス・ヴァリエールが召還されたという使い魔の方ですか?」 「え、ぼくのことを知ってるんですか!?」 「はい、平民が使い魔になるなんて初めてのことですから。噂になってますわ。」 少女は変わった服装だから遠くからでも一目でわかりました。と笑った。 「そっかー。ぼくは広瀬康一です。よろしく。」 「わたしはシエスタです。何か困ったことがあったら言ってくださいね?」 シエスタ!康一は昨日までいたイタリアでは、シエスタはお昼寝という意味だったということを思い出し、この少女がお昼寝しているところを想像してふふっと笑った。 その様子を見てシエスタが首を傾げる。 「? 何か?」 康一はごまかすようにあわてて手を振った。 「い、いえ。なんでも!いい名前ですね!」 水場はそこから歩いてすぐのところにあった。 康一は綺麗で冷たい水で顔と髪を簡単に洗った。 「はぁー!さっぱりした!」 「ふふふ、それはよかったですわ。」 シエスタはここに洗濯にきたらしい。篭の中を覗くと結構な量の洗濯物が入っていた。 「手伝おうか?」 手持ち無沙汰な康一は聞いてみた。 「お気持ちはうれしいですが、お仕事ですから・・・それよりも、ミス・ヴァリエールの元へ帰らなくてもいいんですか?」 シエスタは康一に尋ねた。 「うーん、戻ってルイズさんと顔を合わせるのがなぁ・・・」 康一は首をひねった。 「喧嘩でもなさったんですか?」 「まぁ、そんなところ。」 「だめですよ。貴族の人に逆らったら、大変なことになっちゃうんですから。」 シエスタは忠告してくれた。 「『貴族』・・・かぁ・・・。ねえシエスタ。貴族って怖い?」 康一が尋ねると、シエスタは洗い物の手をぴたりととめた。 「そうですね・・・ここだけの話、正直怖いです。私たち平民は貴族のきまぐれでどうでも好き勝手にされちゃいますもの・・・。康一さんは貴族が怖くないんですか?」 えーっと・・・。康一は言いよどんだ。 「まぁ・・・ぼくが住んでたところには貴族がいなかったからさ。」 「やだ康一さんたら、わたしをからかってるんですね?そんなところあるわけないじゃないですか。」 シエスタはクスクスと笑った。 「でも・・・」 シエスタは空を仰いだ。 「そんな場所があったらいいなぁ。わたしもいってみたいなぁ・・・」 康一はなんと言えばいいのか分からなくなった。 シエスタはしんみりとした空気を吹き飛ばすように。 「な、なーんて。そんなことあるわけないですよね!いいんです!貴族様は魔法っていうすごい力が使えて、私達平民は敵いっこないんですから!生まれたときからそう決まってるんです!」 康一はこの世界の『貴族』と『平民』の関係を理解した。 この世界では魔法が使える貴族が絶対で、使えない平民は生まれた瞬間から奴隷同然なんだ。 きっとシエスタも今まで嫌な思いをたくさんしてきたのだろう。 ぼくも少し前までは何の力もないただのコゾーだった。でも今は他の人にはない『スタンド』がある。でも、貴族ではない。使い魔だから平民でもない。 「(ぼくは、ここではいったいなんなんだろうなァー・・・)」 そうして雑談をしているうちに、日は昇り、少しずつ人通りが多くなってきた。 シエスタの洗濯物も終わって、康一はルイズの部屋へ戻ることにした。 別れ際、シエスタに「がんばってくださいね!」と手を握ってもらったのもあるがなにより、 「いつまでも逃げてるわけにもいかないもんなぁー」 きっとなんとかなるさ! 康一はこれでなかなか前向きな性格だった。 前ページ次ページS.H.I.Tな使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3790.html
「さて、ここはいったいどこだ?」 目が覚めた真人はルイズに言われた通り、さっそく衣類の洗濯をしようと思って部屋から出た。 だが問題はここから。 真人は肝心の洗濯場を見つけられずにいた。 いくら寮でも洗濯機なんてものは無さそうだし、おまけに水道が設備されているかも怪しかった。 そして、どうしようかと右往左往しているうちに迷子になってしまったのだ。 「あの、どうかいたしましたか?」 真人のあまりの落ち着かないようすに、メイドの少女が不審に思い声をかけた。 「うおっ、メイドだ。本物のメイドがいる」 現代人の真人にとってメイドとは、特殊な喫茶店でウエイトレスをしているイメージしか認識がなかった。 おまけに、以前恭介にメイド好きの濡れ衣を着せられたりしたため、メイドに関してあまり良い記憶はない。 「……? はい、確かに私はメイドですけど」 だが、メイドの少女―――シエスタにしてみれば真人のその言葉も、目の前の男の不振さに拍車をかけるだけの判断材料にしかならない。 心なしか足が後ろに一歩さがっていた。 そんなシエスタの心情を知ってか知らずか、真人は意を決して話しかける。 「……あー、この辺にどこか服の洗濯ができるような場所はねぇか?」 「えっと、洗濯場でしたら外にありますけど?」 はたから見れば真人の姿はあまりに怪しい。 女子生徒のものらしき衣類を小脇に抱えたまま、貴族の生徒が寝泊りしている寮内を平民らしき大男がうろついているのだ。 これを怪しいと言わずなんとする。 「あーなるほどな。どおりで中を探し回っても見つからねぇわけだ」 早朝だったためにシエスタ以外の人にはまだ会っていないが、運悪く女子生徒にでも見つかっていたら、悲鳴を上げられた挙句に警備の者にしょっ引かれていたかもしれない。 しかし、シエスタの頭に疑問が残る。 なぜこんな怪しい男が洗濯場なんかに? そう思ったとき、シエスタはある噂を思い出した。 「……もしかして、ミス・ヴァリエールが召喚した使い魔の方ですか?」 メイジが平民を召喚したという噂は、常日頃から暇をもてあましている貴族の生徒たちに、瞬く間に広がっていったのだ。 「ん? なんだお嬢ちゃん。俺のこと知ってるのか?」 「ええ。ミス・ヴァリエールが平民を召喚したという話で、学園中は持ちきりでしたから」 生徒の入ってこない厨房での仕事が多いシエスタでさえその話を知っているのだ。 この学院内で知らない者はいないと言っても、なんら過ぎた言葉ではない。 「ふっ……こっちに来て早々噂で持ちきりなんて。この俺の筋肉も中々罪深いもんだな」 「えーと、その……そうですね」 陶酔しているところに口を出すのも悪いと思ったので、シエスタはあえて愛想笑いにつとめた。 「わりぃな、いろいろ教えてもらっちまって」 「いえ、私も洗濯物を少し手伝って貰ったので、おあいこですよ」 シエスタと並んで歩く真人。 あのあと真人は、シエスタのと一緒に洗濯場に行き、早めにルイズの分が終わったのでシエスタの仕事の分を手伝った。……もちろんデリケートな生地以外のものだけだったが。 「シエスタ、筋肉を貸してほしいときは、いつでも呼んでくれ。すぐに駆けつけるぜ」 「ええっと……お気持ちだけ受け取って起きますね」 真人はメイドに対する変なわだかまりもなくなり、シエスタと普段どおりに話せるようになっていた。 シエスタのほうも、真人のペースに少しずつ慣れ始めていた。 真人は朝食の時間を聞いたあとシエスタと別れ、自分の仮住まいであるルイズの部屋に戻ってきた。 「んじゃ、そろそろご主人様とやらを起こしてやるか」 真人はそういいながら、部屋の奥のルイズが寝ているベッドの横まで歩みより、その肩を軽く揺さぶる。 「ほら、ルイズ。朝だぜ」 「……ん、ん~……」 軽く揺するだけでは起きなかった。 おそらく昨日寝るのが遅くなってしまったためだろう。 「ったく、しょうがねぇお嬢ちゃんだな」 真人はそう言ってやや強引に、寝ているルイズの毛布をはいだ。 「な、なによ! なにごと!?」 「おはよ、ご主人様」 「はえ? お、おはよ……って誰よあんた!」 まだルイズの頭は半覚醒のようだ。 「おいおい。たとえ俺の顔を覚えてなくても、この筋肉を見忘れたとは言わせねぇぜ」 「……あぁ、使い魔ね。そうね、昨日、召喚したんだっけ……」 真人の姿を見て、昨日の召喚は夢ではないことを再び実感するはめになった。 どうせならドラゴンやグリフォン。いや、深くは望まないからこの際犬や猫でもよかった。 しかし、今さら言っても何も変わらないと、ルイズは心の中で落胆した。 「ていうか、あんたの筋肉なんてろくに見てないんだけど」 真人が脱いだとき、実は指のすきまからばっちり見ていたのだが、本人的にはなかったことになっているらしい。 「昨日の夜一緒にやっただろ? 『筋肉にらめっこ』」 「そんなもんやってないわよ! あんたが勝手にやってただけでしょうが!!」 真人の中にある『筋肉にらめっこ』を中睦ましくやりあったという認識を、ルイズは力いっぱい否定した。それはもう全力で。 「まぁ、それはそうとちゃんと起こしてくれたのね」 「おう。早起きは早朝ジョギングで慣れてるからな。ついでだから洗濯にも行ってきたぜ」 こともなげに言う真人。 元の世界の学校では寮暮らしだったので、こういう早起きや洗濯などは苦にならなかった。 もっとも、掃除や宿題などの細かく、頭を雑務は理樹の助力が必要不可欠だったが。 「えぇと……じゃあ服を着せてくれる?」 「え? おまえ、どっかケガしんのか?」 真人が驚いたように聞いてきた。 「違うわよ。貴族は下僕がいるときは自分で服なんて着ないのよ」 「なんだ、そうなのか……って俺下僕扱いかよ!」 真人は頭抱えてうおおぉぉーー!と叫びながらショック受けていた。 「そもそも昨日納得してたでしょう? 使い魔をやるって」 「使い魔って筋肉担当のことじゃないのか?」 「……は?」 ルイズは真人の言った言葉の意味が理解できなかった。 「え、まさかルイズのほうが筋肉担当なのかっ!?」 「……違うけど」 よく分からないが、そんなものを担当したくなかった。 「ひゅー。一瞬ルイズが筋肉担当かと思って焦っちまったぜ」 冷や汗を手で拭いながら一安心している真人を尻目に、ルイズはもくもくと一人で着替えていた。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/55.html
シエスタは平民で貴族の世話をするために奉公に来ているそうだ。 シエスタに連れられ食堂裏の厨房に行く。そこにはコックやシエスタと同じ格好をした人間が多くいた。 皆忙しげに料理を作ったり運んだりしている。 そういった様子を見ているとシエスタがなにやら持ってきてくれる。シチューだった。貴族の料理の余りで作ったらしい。 食べやすいものでとてもありがたい。早速食べてみる。 「うまい」 思わずそういってしまうほどうまかった。空腹なのもあるだろうが作った人は相当料理が上手なのだろう。 胃に負担が掛からないようゆっくりと、しかし確実に食べていく。シエスタはそんな私を笑いながら見ていた。 「ご飯貰えなかったんですか?」 シエスタが聞いてくる。これだけ夢中になって食べていればそう思うかもな。 「ああ、これから1週間食事無しだそうだ」 正直に答える。シエスタは相当驚いていた。 「お腹が空いたら、何時でもいらしてください。私たちが食べているものでよかったら、お出ししますから」 初めて人の優しさという奴に触れた気がする。シエスタはひょっとしたら聖母の生まれ変わりなんじゃないだろうか? やがてシチューをすべて食べ終える。 「ありがとう。本当にうまかったよ」 「いいんですよ」 シエスタは笑顔でそう言ってくる。 「何か手伝えることは無いかな?」 「え?」 「さすがに世話になりっぱなしというわけにもいかないだろ」 それに良好な関係を保っていれば何かと便利だ。なんせ1週間の食事が掛かっているからな。手伝いを申し出ればこちらに好印象を持つだろう。 「なら、デザートを運ぶのを手伝ってくださいな」 シエスタは笑みを浮かべながら言う。私はもちろん頷いた。彼女がいればすぐに脱走しなくもいいだろう。 シエスタと共にデザート配っていく。食堂は皆が喋っていて五月蠅いな。 そう思いながら配っていると一際五月蠅い集団がいた。その中の一人のポケットから何かが落ちる。 拾ってみると中に紫色の液体が入った小瓶だった。 「落としたぞ」 そう言ってテーブルの上に置いてやる。 「これは僕のじゃない。君は何を言っているんだね?」 しかし渡してやった少年はそう言ってくる。 「おお?その香水は、もしやモンモランシーの香水じゃないか?」 その一言をきっかけにまた五月蠅くなる。どうやら少年の彼女の品らしい。持っているのが恥ずかしかったのだろうか? しかし騒ぎはどんどん大きくなる。一人の少女が少年に近寄り泣きながら頬を引っ叩く。そして別の場所からも少女が来てテーブルの上に置かれた 液体を少年の頭にぶちまけるけ、 「うそつき!」 と怒鳴り去っていった。どうやら少年は二股を架けていたらしい。 私には関係ないので再び歩き出す。 「待ちたまえ」 先程の少年に呼び止められる。が、無視して歩く。シエスタが心配そうにこちらを見てくる。 「待ちたまえと言ってるんだよ!」 少年が大きな声を出して私再度呼び止める。 振り向いて少年を見ると無視されたのが悔しかったのだろう。顔が少し赤い。 「君が軽率に、香水の壜なんか拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね?」 「自分の尻拭いもできないのか?」 呆れ気味にそう返すと少年の周りはどっと笑う。少年の顔が鋭くなる。 しかし、貴族とは本当に器が小さいな。この程度で怒るとは。これじゃ平民の不満は多そうだ。 「君は貴族に対する礼を知らないようだな」 「礼というのは立場が上の者にすることだ。少なくともお前にするもんじゃないな」 そう言ってからかってみる。少年が立ち上がり体を翻す。 「ヴェストリの広場で待っている。ケーキを配り終わったら、来たまえ。君に礼儀を教えてあげよう。ちょうどいい腹ごなしだ」 相当怒りを押し殺した声で言うと食堂を去っていく。少年の友人たちも後を追う。 私は喧嘩を売られたのだろう。少しからかっただけで喧嘩を売るとは…… シエスタが震えながらこちらを見る。 「あ、あなた、殺されちゃう……貴族を本気で怒らせたら……」 シエスタはそう言うと走って逃げていった。 無理も無いな。平民にとって貴族の力はとても恐ろしいものだろうからな。魔法があれば平民が束になってもかなわないだろう。 ま、私も全く無策と言うわけではない。後ろからルイズが来た。ちょうどいい。 「あんた!何してんのよ!見てたわよ!何勝手に決闘なんか約束してんのよ!」 約束してないし一方的なものなのだがな。 「ルイズ、そのことで話しがある」 「え?」 突然そう言われて勢いが止まる。 「早くさっきの少年に謝って来い」 ルイズは口をあけたまま放心していた。 「何でわたしが謝らないといけないのよ!謝るならあんたが謝るのが普通でしょ!」 ルイズは気を取り戻すとそう怒鳴ってきた。 「簡単なことだ。私が使い魔の事を聞いたときに君がなんて答えたか忘れたのか?」 そう、実に簡単なことだ。 「使い魔の手柄は主人の手柄、使い魔の不祥事は主人の不祥事なんだろう?なら私が起こしたことの責任を君が取るのは当然じゃないか」 ルイズは確かにそう言った。そうすれば私は無駄に戦わなくても済む。 元々私は争うつもりなんて無いのだから。こういったことは他に任せるに限るな。 「なんでわたしがあんたのために頭下げなくちゃいけないの!」 完全に口を閉ざす。この少女に何かを期待するのはよそう。いや、期待した私がバカだった。 そう思いながらデザートの配膳を再開した。まだ何か言ってくるが無視する。 やれやれ結局戦わないといけないのか?そうなら対策でも立てるとしよう。どうせ逃げても何かしてくるだろうからな。 魔法使いの弱点はルイズの説明と今日の授業で理解している。後はさっきの少年がどんな魔法で戦うかだ。 相手は当然魔法を使ってくるだろう。シエスタの反応やわたしの貴族の見解からして間違いない。 さてどんな対さ「ちょっと!聞いてるの!」本当に五月蠅いな。いや、ルイズは知識はあるからな。それは利用できる。 「ルイズ聞きたいことがあるんだがね」 「何よ!」 怒鳴り返さなくてもいいだろう。 「さっきの少年はどんな魔法を使うんだ?」 「え?ギーシュの魔法?そんなの聞いてどうするのよ」 多少落ち着いたようだ。初めから落ち着いていられないのか。 「まさか、決闘する気なの?」 「ああ」 お前が当てにならないからな。 「素直に謝って来なさい。そうすれば許してもらえるかもしれないわよ。戦ったら絶対勝てないし、怪我するわ。 いや、怪我で済んだら運がいいわよ!」 「御託はいいからさっさと説明してくれ」 「聞きなさい!平民は絶対メイジに勝てないの!」 そんなやり取りをして時間はかかったが情報は聞き出せた。 少年の名はギーシュ。二つ名は『青銅』で青銅のゴーレム『ワルキューレ』を使って戦うという。杖は造花の薔薇。 これだけ聞ければ十分だな。 そう思いながらデザート配りつつ準備を開始した。 8へ
https://w.atwiki.jp/saiyowiki/pages/178.html
◆ラ・グランハ◆ 農場経営ゲーム ▶ゲームの流れ このゲームは6ラウンド制。 1ラウンドは4つのフェイズ(12のステップ)で構成される。 第1【青】:農場フェイズ 1.農場カード使用/獲得ステップ カードを1枚使用できる。その後手札上限まで山札からカードを引く。 ※1ラウンド目のみ2枚使用できる。 2.直接収入ステップ 自分の農場ボードの状況に応じて、直接収入を得る。 ※農場の拡大により+1シルバー。組合タイルにより、3シルバー/原材料1つ/交易品1つ。 の合計を得る。(原材料=オリーブ/穀物/ブドウ/豚) 3.畑の生育、豚繁殖ステップ 農場ボードにセットされた、空いた全ての畑に1個づつ増える。 ⓵豚が2頭以上いる。かつ⓶豚小屋に空きがある。場合豚1頭が増える。 4.屋根タイル獲得ステップ 屋根タイルをプレイ順に購入する。 ※1ラウンド目のみ、逆順で購入する。 第2【緑】:収入フェイズ 1.収入ステップ プレイヤー数×2+1個のダイスを振る。 プレイ順に各プレイヤーはダイスを1個ずつ選び、ダイス目に対応した「収入」を得る。 各プレイヤーが2個ずつ確保したところで最後1個余る。このダイス目の「収入」はすべてのプレイヤーが得る。 【ダイス目】 【1】:豚1頭をえる。 【2】:農場カード1枚を使用(または山札から1枚獲得)/オリーブ1個/穀物1個/ブドウ1個 のいずれかを得る。~ 【3】:オリーブ、穀物、ブドウの内、(同じものでない)計2個を得る。 【4】:4シルバーを得る。 【5】:2回加工する。/1回加工する。+1回シエスタ表を進める。/2回シエスタ表を進める。 のうちいずれかを行う。 【6】:ロバによる運搬を1回行う/2シルバーを得る。 のいずれかを行う(得る)。 第3【灰】:輸送フェイズ 1.ロバマーカー選択ステップ プレイヤーは「ロバマーカー」を選択して裏向きにボードに配置する。 全てのプレイヤーが選択終了したら、表向きにする。 ※ロバマーカーは「ロバ4/ロバ3+シエスタ1/ロバ2+シエスタ2/ロバ1+シエスタ3」の4種類。 1度使用したロバマーカーは第3ラウンドの終了時まで回収(再使用)できない。 (つまり各ロバマーカーは1~3ラウンドで1回、4~6ラウンドで1回選択可) 2.シエスタ表更新(プレイ順決定)ステップ 現在のプレイ順に、ロバマーカーのシエスタの数だけシエスタ表のディスクを進める。 (他のプレイヤーのディスクと重なった場合、あとのディスクを上に載せる) シエスタ表が進んでるほど(同じ場合はディスクが上にあるほど)、プレイ順が先になる。 新たなプレイ順に従い、プレイ順マーカーを入れ替える。 ※このステップ以降、新しいプレイ順に従う。 3.配達実行ステップ(通常配達) ロバマーカーの数と同じだけ、農場に保有する農場アイテムを、各組合会館、または農場にセットされた荷馬車に配達できる。 (マーカーを載せて表示) ※組合と荷馬車への配分は自由。ただし建設中の組合と、達成済みの組合には配達できない。 組合会館に配達を達成(納品リスト全てを配達完了)した場合。 ・その組合会館の最初の達成者の場合1VPを得る。 さらに建築中の組合会館が残っている場合、その組合会館は解放され(建設中マーカーを取り除く)、1VPを得る。 ・現在のラウンド数に等しいVPを得る。(2ラウンド目なら2VP、6ラウンド目なら6VP) ・その組合会館に対応した組合マーカーを得る。 組合マーカーの即時効果を得る。組合マーカーを裏返して農場にセットする。 以後永続の恩恵を得る。 【商人組合】納品リスト:1シルバー×6個 タイル効果:3シルバーを得る(即時)/直接収入ステップ(Ⅰ青-2)で+3シルバー(永続) 【荷馬車組合】 ~~~ ▶関連
https://w.atwiki.jp/moejinro/pages/2021.html
6日目 Navi さわやかな朝がやってきました 自宅にて すもでんぱさん の遺体が見つかったようです… すもでんぱ イ、イイノヨ? Navi 村人の皆様、今日もがんばってください Navi 昼の部スタートです 2 (ゾンビ部屋) jinjahime そっち喰うよな 1 (なび村) せんこ 【占い結果】リュファさん○でした! 狼視点で、かつうちの推測通りだと狐全滅真確定の状況を把握してしまうので、とっても静かになったコンチさん占いたかったけど 1 (なび村) メゾピ 共有把握のミスをしたりと、昨日に比べて元気がないように見えたので占ってみました。せんこさんが真かっていう発言が前にあったので、そこを真と誤認して勝てないと思ったのかなと 1 (なび村) メゾピ 占いCO:ワルノスさんは○でした 2 (ゾンビ部屋) リゾルート いっそ噛まれてくれればいいのに、とかおもってしまふ 1 (なび村) せんこ あえて、村から地味に疑問をもたれてたりゅふぁさんを占ってみました 昨日元気だった人は多分村なんじゃないかなー? と思いまする 1 (なび村) みむっちゃ サイアさん● 理由は月が丸かったから 1 (なび村) サイア んー・・・ 2 (ゾンビ部屋) あかみさと 共有2連だと・・・ 3 (GREEN) シエスタBC 共有いなくなった 1 (なび村) たぷたぷ やっぱ共有噛むよね 1 (なび村) サイア やっぱさ 1 (なび村) サイア 噛みがおかしい 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい みむちゃさんww 1 (なび村) リュファ やっぱりすもさんですか・・・。 2 (ゾンビ部屋) リゾルート ですよねー 1 (なび村) xバーバラx 共有全滅か 1 (なび村) シエスタBC 共有いなくなった 1 (なび村) サイア 役職→GJ→役職→役職 1 (なび村) シエスタBC これさ 1 (なび村) サイア GJがjinjaさんならみむっちゃさんの告発説は生きるけど、ここで共有すもさんをアタックならどうする? 1 (なび村) シエスタBC もう狼は 1 (なび村) メゾピ すいません、一昨日の私の発言見返したらマクロミスってあかみさとさん占いになってますねorzorz 1 (なび村) カルシファー 狩人は探してないんですかね? 1 (なび村) サイア 狐2だからそうそう占いは行かないと思うけど、このGJは役職狙いだったんじゃないかな?っとね 1 (なび村) シエスタBC 狐見つけてるんじゃね? 1 (なび村) サイア 噛み筋から狼は狐を探してないように見えたので 2 (ゾンビ部屋) すもでんぱ ぞんびーぬ 1 (なび村) サイア で、ウチ●ね 1 (なび村) リュファ ・・・みむっちゃさんの理由がなげやりすぎ・・・ 2 (ゾンビ部屋) うんちや 狐の相方キタ! 2 (ゾンビ部屋) jinjahime おつかれさまですー(つ・ω・(-ω-*)ダキッ 2 (ゾンビ部屋) Navi おいでまし~ 2 (ゾンビ部屋) れりか いらっしゃいませー 2 (ゾンビ部屋) Akizuki お疲れ様~ 2 (ゾンビ部屋) jinjahime wwww 1 (なび村) メゾピ サイアさんの言ってるのってそういう意味でしたか・・・これは最悪ですねorz 1 (なび村) サイア どうする?これを告発と見てつるのもありよ 1 (なび村) xバーバラx 昨日 呪殺すれば意見~といってますけど呪殺おきてたのに少しあとにきづきました。 せんこさん ほぼ真ですね 2 (ゾンビ部屋) リゾルート おつかれさまです~ 2 (ゾンビ部屋) あかみさと おう、狐お疲れ! 1 (なび村) メゾピ 一昨日はリュファさん占いだったんですが・・・ 1 (なび村) サイア 明日以降みむっちゃさんは●が1つしか出せない 2 (ゾンビ部屋) jinjahime 占いは真狂狐だとおもう 1 (なび村) せんこ うちの推測だと 狼視点狐全滅してるはずだから 1 (なび村) メゾピ 本当に申し訳ないです・・・ 1 (なび村) せんこ 役職狙ってくるとは思ったけど 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい おつかれさま~ 2 (ゾンビ部屋) すもでんぱ いやー狐で共有は疲れるワー 2 (ゾンビ部屋) jinjahime www 1 (なび村) サイア これを告発と見て、せんこさんがウチを占えばせんこさん真確定するかもよ(無駄占いかもだけど) 2 (ゾンビ部屋) すもでんぱ 天丼屋さん・・・ホロリ・・・・ 1 (なび村) ワルノス リュファさん○ね 理解 2 (ゾンビ部屋) リゾルート 私は狐に吊られたのかっ 1 (なび村) コンチ まだローラーの時間じゃないか 2 (ゾンビ部屋) jinjahime 兼役ww 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい (´;ω;`) 2 (ゾンビ部屋) リゾルート うん、まぁないな( ゚д゚) 1 (なび村) ワルノス ローラーするの?とりあえずメゾピさんは切るけど 1 (なび村) コンチ 狐と狼一匹ずつつれてると考えていいのか? 1 (なび村) xバーバラx ローラーするならメゾピさん 1 (なび村) サイア 狐はまだいるかどうか 2 (ゾンビ部屋) jinjahime せんちゃん真決めうちでいいよね 1 (なび村) カルシファー まだいいんじゃないですかねぇ 1 (なび村) リュファ あとグレーは・・・3人? 1 (なび村) xバーバラx 狐は1匹はつれてますね 1 (なび村) せんこ しかしなんで狩人探さず共有噛んだんだろう・・・ 1 (なび村) ワルノス え ローラーするの?マジで?? 2 (ゾンビ部屋) すもでんぱ いいと思う 1 (なび村) サイア GJが役職だったとしたら、告発ではなかったと予想 1 (なび村) xバーバラx あと1匹は不明 1 (なび村) せんこ え?ローラーされちゃうの?w 1 (なび村) シエスタBC 吊り先でいままでで狐の可能性って誰よ? 1 (なび村) ワルノス しないっしょ 1 (なび村) メゾピ さすがにここから信用取り戻すのは無理ですね・・・戦犯物ですね、これは 1 (なび村) xバーバラx ローラーは狐全滅してからがいいですね 1 (なび村) コンチ いや、可能性としていっただけで 1 (なび村) カルシファー jinjaさんでは? 2 (ゾンビ部屋) あかみさと メゾピさんは悪くないよなあれ どうしようもなかったw 1 (なび村) メゾピ 私も逆の立場だったら切りますし・・・ 2 (ゾンビ部屋) リゾルート もう決めウチでしょーメゾさんがんばってるけど、占い結果ミスで2回占いとか苦しすぎる・・・w 1 (なび村) コンチ ローラーまだ間に合うのかどうか考えてた 1 (なび村) ワルノス ごめんなさいな 1 (なび村) せんこ うち予想、じんじゃさんあかみさんが狐なんだけどどうなんだろうなか 1 (なび村) メゾピ 本当に申し訳ないです 2 (ゾンビ部屋) jinjahime こんなに村々なのに狐説を押される 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい じんじゃさんあなた・・・ 1 (なび村) サイア カルシファー リュファさんしか信じれない状態かー 1 (なび村) たぷたぷ いませんこさん真なら狼2ですよね 1 (なび村) サイア &せんこさん 2 (ゾンビ部屋) jinjahime 素村だよ! 1 (なび村) コンチ 共有食われたなら軸がない 2 (ゾンビ部屋) あかみさと おう相方 やっぱ私を村見るのはだめだったらしいぜ 1 (なび村) せんこ ただ功を焦りすぎるといかんよね 1 (なび村) ワルノス サイアさん視点だとそうだね 2 (ゾンビ部屋) jinjahime そうかー 1 (なび村) ワルノス みむっちゃさんは一応破綻してないはず 1 (なび村) ワルノス だよね?? 2 (ゾンビ部屋) jinjahime って相方じゃないです 1 (なび村) サイア 今日時点でせんこさん真視ニ確定したけど、現在狼は何匹連れてるか 2 (ゾンビ部屋) あかみさと えっ 1 (なび村) コンチ ならば 1 (なび村) ワルノス まぁ真視しないけど 1 (なび村) コンチ 黒釣り? 1 (なび村) メゾピ 一昨日の理由を読み返してもらえれば、リュファさんの理由だとわかってもらえるはず 1 (なび村) シエスタBC まずサイアさんの処遇を決めちゃいたい 1 (なび村) サイア みむっちゃさんは、ウチ視点で偽だしね 1 (なび村) サイア どっちを信じてもいいよ 1 (なび村) ワルノス んだに 1 (なび村) サイア なので、遺言っぽいことをたくさん残す 1 (なび村) リュファ メゾピさんはもう無理です。 1 (なび村) メゾピ タゲコマンド使ってましたけど、ズレちゃったみたいで・・・ 1 (なび村) せんこ 一応まだ●1を確定で吊っただけで どこかで狼吊ってるかもしれないね 1 (なび村) サイア すくなくとも、みむっちゃさん視点ではLWだよね? 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい なんか初日の霊噛みであのとき狼つれてたんじゃないの論がでてきそうでこわい 1 (なび村) サイア ウチを吊ったあとはって意味で 1 (なび村) せんこ そうなるね 1 (なび村) リュファ 霊媒いないので味方切りに意味はありません。 1 (なび村) メゾピ んー・・そうですよね、申し訳ないorz 2 (ゾンビ部屋) リゾルート うん、みむっちゃさんは仕事終わってるから吊りもあり 2 (ゾンビ部屋) すもでんぱ じつはみくかわが狼 1 (なび村) サイア 最悪で、狐1、狼2 1 (なび村) シエスタBC 正直サイアさんは疑ってるんだが 2 (ゾンビ部屋) あかみさと ミクかわ怪しいと思ってた 2 (ゾンビ部屋) すもでんぱ 狼が狼食べちゃうNaviさん大失態 1 (なび村) サイア で、jinjaさんは狐とは見ない方がいいです 1 (なび村) ワルノス ん?占いが狂狐だった場合LWじゃなくね? 1 (なび村) コンチ 狼は占いの中にいるとして 1 (なび村) サイア 理由は噛み筋 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 共食いするなんてひどい! 1 (なび村) サイア 役職→GJ→役職→役職 1 (なび村) コンチ @1だな 1 (なび村) せんこ 噛み筋かー 2 (ゾンビ部屋) jinjahime 怪しいと思ってたけど、対抗でなかったしなぁ 1 (なび村) xバーバラx 自分も疑ってますけど濃厚ってほどではないです サイアさん 1 (なび村) サイア このGJでグレーを挟んだことになる 1 (なび村) せんこ あぁなるほど 2 (ゾンビ部屋) あかみさと そうなんよねー 1 (なび村) Hell すみません、リアル事情で急遽ログアウトしなければならなくなったのですが… 1 (なび村) サイア そこでみむっちゃさんが襲撃されたとしたらどうなるかな 1 (なび村) せんこ あら 2 (ゾンビ部屋) あかみさと !! 1 (なび村) カルシファー おぉ? 2 (ゾンビ部屋) すもでんぱ 突然死か・・・ 1 (なび村) リュファ 一時停止。 1 (なび村) サイア (突然死・・・) 1 (なび村) ワルノス たーいむ 1 (なび村) カルシファー すとっぷかな? 1 (なび村) サイア - 2 (ゾンビ部屋) jinjahime じゃ、ヘルさん吊りで 1 (なび村) サイア ---------------------- 2 (ゾンビ部屋) リゾルート ごめんなさい・・・実は私が霊媒・・・ サイア ってNaviさんからなんもいわれてないけどストップしてもーた 2 (ゾンビ部屋) jinjahime リゾさんなら許す 2 (ゾンビ部屋) すもでんぱ いいえ、わたしがしんのれいばいしだったのです! ワルノス しゃーない ワルノス リアルじゃ 1 (なび村) たぷたぷ 黙祷? Navi ちょっととめましょう 2 (ゾンビ部屋) jinjahime 超狂ロラで リュファ サイア カルシファー はーい サイア はいな せんこ わふー たぷたぷ はいー Navi リアル事情は仕方ないと思いますので Hell 本当にすみません;; たぷたぷ お疲れ様です~! サイア リアルしゃーなしー サイア お疲れ様ねー リュファ サイアさんには時間停止能力がある・・・(メモしよう)。 たぷたぷ うんうん jinjahime おつかれさまですー シエスタBC おつー Akizuki おつおつ~ xバーバラx おつかれさまです 気にしないように Hell お疲れ様でしたっ カルシファー おつかれさまですー すもでんぱ おつおつー ミクかわいい おつかれさまでした~ リュファ おつかれさまでしたー。 ワルノス DIO様だ せんこ おつおつなのじゃー ワルノス お疲れ様でしたー みむっちゃ おつさまでした HellはNaviに土下座をした リュファはHellに手を振った Navi 本日の投票ではいかがでしょう! うんちや おつでした~ リゾルート おつかれさまです~また会いましょう~ せんこ あー ワルノス OK せんこ それでもいいかも Navi 御気になさらないでくださいね! 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 投票でつっちゃえば村の被害を抑えられる! れりか おつかれさまでーす ワルノス 異議なしです。さすがGM様そこにひかれます サイア おーつーかーれーさーまー ワルノス 緑に染まりそう。。。 Navi よいぞ、よいぞ ミクかわいい 焼き払わないと・・・ サイア 狂おしいほど緑の世界 ワルノス 緑最高 Navi では申し訳ありませんがその方向で! Navi では残り2分から再スタートしましょう サイア ウチ的には嬉しいけどいいんかな? HellはHellに土下座をした Navi それではよーい Hell ほんっとうに申し訳ありません!! サイア 明日も喋れるよ Navi スタートです! ワルノス 突然死でも同じじゃない?縄減らんよね? 1 (なび村) サイア とまぁ 1 (なび村) シエスタBC えっと 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい GMGJ 1 (なび村) たぷたぷ なんのはなしだっけ 1 (なび村) サイア みむっちゃさんが狐で襲撃されたとしたら、どうなんだろうなっと 2 (ゾンビ部屋) リゾルート 優しさに泣いた 1 (なび村) せんこ ―――神は言っている―――ここでHellさんを吊る定めだと――― 1 (なび村) シエスタBC 今日は人柱ってこと? 2 (ゾンビ部屋) jinjahime 実は・・・ひざの上で猫が丸くなって寝てる 1 (なび村) サイア で、シエスタさんのウチ疑いの理由をどうぞ 1 (なび村) xバーバラx Hellさんつりで進行と 1 (なび村) シエスタBC おkおk 1 (なび村) サイア うん。今日はHellさん吊りましょう 2 (ゾンビ部屋) Navi 介入みたいで少々気は退けますが… 1 (なび村) カルシファー 了解w 1 (なび村) サイア チョーアヤシイ 1 (なび村) コンチ 了解 1 (なび村) シエスタBC 疑いの理由な~ 1 (なび村) サイア うひ 1 (なび村) サイア で、話進めよう 2 (ゾンビ部屋) jinjahime まぁ突然死はしょうがない ワルノス 寡黙でした支障がない ワルノス あ 1 (なび村) シエスタBC そうとうメタイぞ? ワルノス 誤爆すまんす 1 (なび村) サイア ウチも霊媒無し吊られたくないし。戦いましょう 2 (ゾンビ部屋) リゾルート 実質の人柱宣言みたいなものですし、いいとおもいますよー 1 (なび村) サイア どぞ 1 (なび村) サイア 時間掛図にね 1 (なび村) サイア 同時に他の意見進行させていいよ 1 (なび村) シエスタBC さっきもちらっとしたけど 1 (なび村) サイア ちゃんとシエタンのはみとく 1 (なび村) シエスタBC 役職希望だしな 1 (なび村) サイア それはメタいのでノーコメント 1 (なび村) xバーバラx 完全にメタ 1 (なび村) シエスタBC まあそうだろうな 1 (なび村) シエスタBC 俺はメタ推奨なんで 1 (なび村) ワルノス 役職→GJ→役職→役職で グレー挟んだことになるって 1 (なび村) ワルノス グレー噛みってことなん? 1 (なび村) サイア で、ウチが何かしら役を希望してそれがかなった。(人外サイド)って読みかな? Navi 20秒前 1 (なび村) シエスタBC 強制させる気もないけど 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい はさー 1 (なび村) シエスタBC それ以外で疑ってる理由は 1 (なび村) ワルノス 普通にGJの可能性は 1 (なび村) せんこ むしろさいあさんは選考あぶれじゃないかなと思ってたり 1 (なび村) シエスタBC 正直薄いよ 1 (なび村) サイア とりあえず、シエタンの質問はノーコメントにしちょく 1 (なび村) ワルノス て これあれか 1 (なび村) ワルノス すまぬ 2 (ゾンビ部屋) リゾルート (そういえば、希望役職って最後に公開されるのかしら・・・) 2 (ゾンビ部屋) jinjahime たぶん、全部役職噛み。占いチャレンジしてるんでしょう Navi 夜まで時間がありません 皆様今日の尊い犠牲をお選びください(会話はストップです) 3 (GREEN) Navi ---------------------------------------- 3 (GREEN) Navi 会話可能時間スタート Navi 投票は私に直Tellでお願いします 1 (なび村) シエスタBC 他の人よりはってだけさね 1 (なび村) Navi -------------------------- 1 (なび村) Navi 6日目終了 1 (なび村) Navi -------------------------- (T) せんこ > Hellさんでー (T) メゾピ > HEll 2 (ゾンビ部屋) あかみさと 希望役職メタが横行しておる・・・! (T) xバーバラx > ではいちよう Hellさんで (T) リュファ > ええと、Hellさん投票でいいんでしょうか? (T) カルシファー > Hellさんでお願いしますー 2 (ゾンビ部屋) jinjahime メタいくない (T) たぷたぷ > Hellさんに1票だよね・・・ 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい ち、ちがうし霊希望なんてしてないし 2 (ゾンビ部屋) あかみさと ねー (T) Hell > 自分に自分でいれま(殴 (T) サイア > Hellさんでー 2 (ゾンビ部屋) リゾルート 終盤のメタはいくないよー (T) ワルノス > Hellさんで 寡黙だし怪しいなぁ! (T) みむっちゃ > Hellさん? 2 (ゾンビ部屋) リゾルート そんなはずはない!私実は霊媒希望・・・ 2 (ゾンビ部屋) リゾルート げふげふ 2 (ゾンビ部屋) jinjahime ゲーム内の誤爆とかはともかく、始まる前のメタはなぁ 3 (GREEN) みむっちゃ 厳しい勝負になってきたなぁ Hellはコンチにおじぎをした Hellはコンチを応援した 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい ほかにも希望してた人がいたなんて・・・ コンチはHellにとても感謝している 3 (GREEN) シエスタBC おもいっきりあばれてるけどな 2 (ゾンビ部屋) jinjahime ズサ占いも好きじゃない (T) コンチ > Hell 3 (GREEN) みむっちゃ うんw コンチは眠りについた (T) Hell > 場違いですが、サイアさんで 2 (ゾンビ部屋) あかみさと ズサ占いってなんぞ? 2 (ゾンビ部屋) リゾルート だって、ボロ雑巾とかすごくときめくじゃないですか・・・ 2 (ゾンビ部屋) jinjahime ここではないけどな 2 (ゾンビ部屋) jinjahime まぁ、入村が最後になった人を占うってやつ (T) シエスタBC > Hellさんで Hell11 サイア1 2 (ゾンビ部屋) jinjahime ズサ━━━━⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡━━━━!! 2 (ゾンビ部屋) あかみさと ほー 2 (ゾンビ部屋) jinjahime を占うってやつ 3 (GREEN) みむっちゃ どうしたものだろう Navi あと1分 3 (GREEN) シエスタBC むずいなw 2 (ゾンビ部屋) あかみさと みんなそれしたら銃殺対応楽すぎだなw 2 (ゾンビ部屋) jinjahime だなw 2 (ゾンビ部屋) jinjahime 名前メタとかもあんまり好きじゃないのよね 3 (GREEN) みむっちゃ なにをするのが最善手なのかわからん Navi 20秒前 2 (ゾンビ部屋) jinjahime ○○さん吊ろうぜーってガチでいうのは 3 (GREEN) シエスタBC このままだと 2 (ゾンビ部屋) あかみさと あー 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい ドキッ Navi さよなら Hellさん …あなたの勇姿は忘れない Hell 見ちゃらめぇぇぇええええ!!! Navi 日が沈み始めました よい子も悪い子も寝る時間です Navi 役職の方は私にTellお願いします 2 (ゾンビ部屋) リゾルート 前回の村で翻弄されたから、ぐらいじゃないですかね、メタとしてよさげなのは 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい かりんちゅだったらどうするのんとか思いはしてる HellはHellに土下座をした 2 (ゾンビ部屋) すもでんぱ みくかわ吊ろうぜー 3 (GREEN) シエスタBC せんころの魔の手がこっちに来るかもだし HellはHellに土下座をした (T) コンチ > ようこそようこ 2 (ゾンビ部屋) jinjahime 天丼釣ろうぜー 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい おはようございます、霊媒CO です。、人狼淘汰目指してがんばりましょう!」 2 (ゾンビ部屋) あかみさと まぁ初日の占い理由には存分に使いますけどね! 1 (なび村) みむっちゃ うんきそう 3 (GREEN) シエスタBC カルさんの神が終わったら 3 (GREEN) シエスタBC 噛み 2 (ゾンビ部屋) あかみさと 霊吊ろう 3 (GREEN) シエスタBC せんこさんいくか 3 (GREEN) みむっちゃ あ、ごばくしたorz 3 (GREEN) みむっちゃ いこういこう 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい なりません 3 (GREEN) シエスタBC うらないどうすっかなー 3 (GREEN) シエスタBC w 3 (GREEN) みむっちゃ 黒出そう黒 3 (GREEN) シエスタBC ごばっちゃったかw 3 (GREEN) みむっちゃ 狩人生きてるっぽいなぁ 3 (GREEN) みむっちゃ うん。してしまった 2 (ゾンビ部屋) リゾルート 包帯屋さんがいたところに包帯を捧げて黙祷します・・・ 2 (ゾンビ部屋) すもでんぱ みむちゃさん・・・ (T) リュファ > どうしようかな・・・自分が狙われそうだけど カルさんと悩んだ末、「せんこ」さん護衛。 2 (ゾンビ部屋) すもでんぱ ホロリ・・・ 3 (GREEN) シエスタBC あんまグレーかんでないしなぁ 3 (GREEN) みむっちゃ だねー 3 (GREEN) シエスタBC 生きてそうではある (T) せんこ > 悩む・・・ バーバラさん占いますー 2 (ゾンビ部屋) jinjahime ですね>リゾさん 個人的に強敵だと思ってる人~とかならいいとおもいます 2 (ゾンビ部屋) あかみさと これが人外絶望村か 3 (GREEN) みむっちゃ うん (T) > リュファ がっちり守ってあげてね! 3 (GREEN) みむっちゃ もう1ターンまつ? 3 (GREEN) みむっちゃ 正直もうむずかしいね 3 (GREEN) シエスタBC だなぁ 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい みむちゃ狼・・・? 3 (GREEN) みむっちゃ ほんと明日占われそうだしシエスタさん 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい なんかゴバク多いですね 2 (ゾンビ部屋) あかみさと うむー (T) > せんこ xバーバラxさんはごく普通の村人でした!○ 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい チラッ 2 (ゾンビ部屋) jinjahime コンチ-みむっちゃで狼?狂人なにやってん?あれ、狐がグレー? 2 (ゾンビ部屋) あかみさと チラッ 3 (GREEN) シエスタBC とりあえずカルさんかもう 3 (GREEN) みむっちゃ うん 2 (ゾンビ部屋) リゾルート このログは狼かなぁ・・・これこそメタくてもうしわけないけど; 3 (GREEN) みむっちゃ そうしよう 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 狐は今回はCHなしですしねえ (T) シエスタBC > カルさんかみかみだよぅ (T) せんこ > ぬぐー やっぱこんちさん辺り占いたいなぁ・・・結構厳しい状況なのかも、これ 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい (盛大にメタ 2 (ゾンビ部屋) あかみさと 明らかに誰かと会話してるもんねw 2 (ゾンビ部屋) jinjahime 墓場でのメタ推理は全然ありですけどね。進行に関係ないですし 3 (GREEN) シエスタBC 俺囲うなら 2 (ゾンビ部屋) jinjahime ネタバレはあれだけど (T) > シエスタBC おいしく食べてね! 3 (GREEN) シエスタBC 黒でもいい気がするがw 2 (ゾンビ部屋) あかみさと ごめん共有ってバラして・・・ 2 (ゾンビ部屋) jinjahime よしよし(つ・ω・(-ω-*)ダキッ 3 (GREEN) シエスタBC あんまり効果ないだろうし 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 私もはやまって霊COしてごめん・・・ 3 (GREEN) シエスタBC 俺以外がやっぱいいかもなぁ 2 (ゾンビ部屋) Navi わたしが しんの ようこです 2 (ゾンビ部屋) あかみさと ダキッ が グキッ に見えた 3 (GREEN) みむっちゃ うん。はやめにせんこさんを噛む以外に手がないね 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい じんじゃ接骨院 3 (GREEN) シエスタBC だなぁ 2 (ゾンビ部屋) jinjahime なびさんを占いました 真っ黒でした 2 (ゾンビ部屋) うんちや すもさんの熱いまなざしを感じて共有COしたきがする 2 (ゾンビ部屋) リゾルート ナビさんの場合はしっぽが・・・ Navi あと1分 3 (GREEN) シエスタBC おしっこでw 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい 熱視線・・・! 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい すもさんの熱線? 2 (ゾンビ部屋) Navi 9個命がアルノヨ 2 (ゾンビ部屋) ミクかわいい (「*ΦωΦ)「======= 2 (ゾンビ部屋) すもでんぱ ビーーーーム 2 (ゾンビ部屋) あかみさと 目からビーム! 2 (ゾンビ部屋) リゾルート 九尾狐Σ(゚Д゚;Ξ;゚д゚) Navi 20秒前 (T) みむっちゃ > カルシファーさん噛みます。もしかしたらもうTELLいってるかもしれませんが、相方がトイレいったので一応 2 (ゾンビ部屋) jinjahime (「・ω・)「めがば!(「・ω・)「めがば!(「・ω・)「めがば!(「・ω・)「めがば!(「・ω・)「めがば!(「・ω・)「めがば!(「・ω・)「めがば!(「・ω・)「めがば! (T) > みむっちゃ おいしく食べてね! オペこ すんませんこれもう決まってますか 1 (なび村) Navi -------------------------- 1 (なび村) Navi -------------------------- サイア はじまってるー オペこ すまぬ・・・すまぬ・・・ ワルノス 一回目の村ー 5日目へ 7日目へ