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クリフトのアリーナへの想いはPart5 205 :【神官服】1/5 ◆cbox66Yxk6 :2006/05/12(金) 19 14 48 ID 6M0hqCC90 「隣、よろしいでしょうか?」 夜の酒場に場違いな神官服を、これでもかというほどきちんと着込んだ青年が、穏やかな微笑を浮かべて訊ねてきた。 「・・・・・・いいわよ」 どうぞ。 琥珀色の液体で満たされたグラスを手に、少し身体をずらして見上げると、彼は生真面目に「ありがとうございます」と言いながら、優雅に腰を下ろした。 鄙びた町の酒場は人気が少なく、彼ら以外は数えるほどしかいない。それ故、さほど注目を浴びるということはなかったものの、こういった場で神官服は妙に浮き上がって見えた。 マーニャは鼻の頭にしわを寄せると、カウンターの隣の席に座る青年に向けて呆れたように呟く。 「クリフト・・・こういっちゃなんだが、その神官服はどうかと思うよ」 「そうですか?」 マーニャの抗議を柔らかな笑みでさらりとかわし、クリフトは目の前に運ばれてきたグラスを手にした。そしてマーニャの方へ向き直ると、グラスを目の高さに掲げる。そのままグラス越しにマーニャを見つめると、穏やかな声色で続けた。 「でも、似合っているでしょう?」 クリフトの言葉に思わず吹き出しかけたマーニャだったが、クリフトの真摯な瞳に何を思ったのか、ふいに視線を逸らすと僅かにうつむいた。 長く艶やかな紫色の髪がさらりと流れ、マーニャの顔をベールのように包み隠す。 クリフトはゆっくりと身体をカウンターに向けると、一口だけ飲みグラスを置いた。 そして視線をグラスに固定したまま優しく語りかけた。 「泣いても・・・。泣いてもよろしいのですよ」 クリフトの言葉にマーニャは小さく肩を震わせ、心もち顔を上げた。いつも勝気な姉御といったマーニャが、奇妙に顔をしかめていた。 「なんで、あんたが、そんなことをいうのよ」 しかめられたその顔の中で瞳だけがかすかに揺らいでいた。それはひどく儚げで、頼りなげだった。 しばし沈黙をまもっていたクリフトだったが、やがて澄んだ青い瞳を伏せると、ふうっと吐息を漏らした。 「それは、私が、神官だからです」 そう言い切って双眸を開くと、マーニャの瞳を覗き込んでやんわりと微笑んだ。 「よく、頑張りましたね」 その穏やかで透明な微笑を見つめていたマーニャだったが、ふいにクリフトの神官服を掴むと己の顔を彼の胸に押し付けてきた。 「迷惑なら言って。でないと、私・・・」 大泣きするわよ。 食いしばられた歯の間から漏れた言葉に、クリフトは瞳を和ませるとマーニャの背に手を回し優しく擦ってやった。 「辛かったですね」 よく頑張りましたね。 繰り返される言葉と優しい抱擁。 マーニャはこらえきれず溢れた涙もそのままに、クリフトの胸に身を預けていた。 「父さん・・・父さん・・・・・・・・・バルザッ・・・ク・・・」 嗚咽と共に吐き出される魂の叫び。 本当はずっと泣きたかった。 父が殺された時も、キングレオでオーリンを失った時も、そして今日、サントハイムの城で、変わり果てたバルザックと対峙した時も。 涙が溢れることはあった。だけど、声に出して泣くことはできなかった。 (ずっと、ずっと・・・・・・) 緑の神官服にいくつものシミを落としながら、マーニャは幼子のように泣きじゃくった。 バルザックは父の仇だった。父の弟子でありながら、父を殺し、そしてその研究を奪った。 憎んでも憎み足りない男。それがバルザックだった。 だが、同時に彼は、マーニャが初めて本気で愛した男だった。幼かった自分にとって兄であり、そしてかけがえのない人だったのだ。 「・・・・・・愛していたのよ」 どんなに極悪人になろうとも、どんなに醜悪な姿になろうとも。己自身が命がけで憎み、そして全身全霊で、愛していた。 でも、ミネアには・・・ミネアには言えなかった。 多分、自分の気持ちを知っていたと思う。でも、それでも自分からミネアに告げることはできなかった。言えば、彼女が苦しんだであろうから。 だから、泣けなかった。どんなに辛くても、悲しくても、・・・恋しくても。 ずっと、なんでもないかのように、そっけなく振舞ってきた。 (なのに・・・) 濁流のように押し寄せる様々な感情に翻弄されながら、マーニャはクリフトの神官服を握り締めていた。 どれくらいの時間が経ったのだろうか。 マーニャはそっとクリフトの胸を押して身体を離すと、ぐいっと目元を拭い破顔した。 「ありがとう」 すっきりしたわ。 いつもの調子でそう告げたマーニャにひとつ頷くと、クリフトは、いつもは見せない心からの笑みを浮かべた。 「ね?神官服が役に立ったでしょう?」 イタズラっぽく片目を瞑ってみせる。 その少し得意げな様子に目を丸くしたマーニャだったが、クリフトをまじまじと見つめるとぷっと吹き出した。 「そうね。そうやってみると、意外とイケているわね」 ま、踊り子の服には敵わないけどね。 声を立てて笑うマーニャに気付かれないように、ほっと息を漏らすとクリフトはゆっくりと立ち上がった。 「さてと、神官の役目はここまでです」 そう言うと、少しだけ躊躇ったものの、マーニャの頭にそっと手をのせた。 「もう、大丈夫ですよね?」 思っていたよりも大きくて温かい手の感触にマーニャは不思議な心地よさを覚えながら、大きく頷いた。そして背の高い神官を見上げると、まぶしげに目を細めた。 「あんたが・・・神官でよかったわ」 本当は少し苦手だった。クリフトが、ではなく、心の深淵までも見抜くような聖職者がマーニャは苦手だった。それは、自分の気持ちを悟られまいとする己の防衛本能だったのかもしれない。 酒場のランプに照らし出された緑の神官服が妙に鮮やかで、目に沁みて。マーニャは瞬きを繰り返していた。 そんなマーニャをやさしい微笑で包み込みながら、クリフトは一度だけ、幼子をあやすかのように頭をくしゃりと撫で、そして静かに手を離した。 「あ・・・」 離れてゆくぬくもりにかすかな寂しさを覚え、マーニャは思わず声を上げた。 慌てて口元を押さえたものの、クリフトの耳には届いてしまっていたようで。 「え?」 マーニャの声を聞いたクリフトが振り返った。 その顔はいつものクリフトのもの。自国の姫を恋い慕う青年のもの。 マーニャはそのクリフトの顔に、心の奥が軋むのを感じながらも、精一杯何気なさを装い笑った。 「ごめん。アリーナのこと心配だったろうに」 私のために時間を割かせちゃってごめん。 そう言ったマーニャにクリフトは頭を振ると、春の日差しのように優しい微笑を浮かべた。 「姫様にはブライ様がついていらっしゃいますから。それに・・・・・・」 真っ直ぐに向けられる視線にほんの少しだけ優しい痛みを覚えながら、マーニャはクリフトの言葉を遮った。 「クリフト。アリーナの前では、神官服を脱ぎなさいね」 神官としてではなく、一人の男としてアリーナと向かい合いなさい。 マーニャの言葉に僅かに目を見開いたクリフトだったが、踵を返すと無言で扉の前に歩いていった。そして立ち止まると半身だけ振り返り、目を伏せた。 「姫様が、それを望むならば」 クリフトの消えた扉をじっと見つめていたマーニャは大きく息をつくと、紫の髪をかきあげた。 「あんた、いい男だわ」 ふと漏れた一言に自嘲しながら、マーニャはクリフトの手の感触を思い出す。 大きくて温かい手。それは父のような・・・・・・否、恋人のような心地よさ。 「あんたが神官服を着ていなかったら」 私は、どうしていたのだろう。 新しい恋に落ちていたのだろうか? 脳裏を過ぎった考えに、マーニャは僅かに睫を震わせた。 「馬鹿ね」 クリフトはアリーナを・・・。 マーニャはグラスから滴り落ちていた水滴を指でなぞり、その冷たさに微笑む。 緑色の神官服。いつもは趣味が悪いと思っていた。でも、その神官服に救われ、そして阻まれた。 (アリーナ、あんたちょっと贅沢よ) 望めば手に入るんだから。 それは、誰の耳にも届かない心の声。 マーニャはぬるくなったグラスの中身を呷ると、口の端をあげた。 「バルザック・・・・・・私ってとことん男運がないと思わない?」 (終)
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クリフトとアリーナへの想いはPart.9 928 名前 737  Mail sage 投稿日 2009/04/22(水) 21 36 01 ID 4xxo+MHp0 【喧嘩】 勇者一行は今宵休息する街に着き、馬車で全員自由解散になった。 マーニャは勇者に声をかける。 「ねぇ、明日のスタメン、あたしと勇者とアリーナとクリフトでしょ? 二人でちょっかい出して、アリーナとクリフトをそそのかそうよ! 嫉妬させちゃったりしてさ!面白そうじゃない?」 マーニャは悪戯っぽく微笑った。勇者は呆れて目を細める。 「やだよ。クリフトに嫉妬されるとめんどくさいし。 ……やるんなら勝手にやって。」 勇者はそっけなかった。 「それに、明日のクリフトの作戦、ずっと“めいれいさせろ”にして ザラキ使わせないようにするんだから。機嫌が悪くなったらやりづらいんだよ。」 「あ、そ。じゃーいいわよ。あたし一人でやるから。」 「でもさ、仮にお前が何かクリフトにけしかけてアリーナが嫉妬したとしても 所詮、友達におもちゃを貸せない子供の感覚と一緒で アリーナ自身が変わらなきゃ何の意味もないと思うけど。」 勇者は淡々と正論を述べた。 その饒舌でナマイキな口ぶりがマーニャの癪に障る。 「ふん、なにさ。分かったような口きいちゃって! あんたなんか恋愛の“れ”の字も知らないガキのくせに!!」 「あぁ?お前こそ、年増が若さに嫉妬してんじゃねーよ!」 「なんですってぇええ!?このガキ、ガキ、ガキ!!」 「うるせー!この年増、年増、年増!!」 お互いそこまで“ガキ”でも“年増”でもない二人が醜い争いをしていると そこにアリーナが通りかかった。 「二人ともケンカしてるの!?」 アリーナの目はキラキラと輝いていた。 「「……は?」」 「いいなぁ、私、そういう対等な口げんか誰ともしたことないのよ!」 「え~~、クリフトとはあるでしょ?」 マーニャが尋ねる。 「クリフトとは………ケンカというかお説教だし。」 マーニャはにんまりと笑う。 勇者は我関せずといった様子で自分の荷物を片付け始めた。 「ね、アリーナ。クリフトとケンカしてみたい?」 「え?………まぁ、そうね。」 「ふ~~~~~~ん、そぉ。」 勇者は先に街へと行ってしまった。 次の日。 滝の流れる洞窟に潜入した勇者一行。 メンバーは予定通り、勇者・アリーナ・クリフト・マーニャである。 さっそくマーニャは作戦を実行し始めた。 マーニャはくねくねしながらクリフトに迫る。 「クリフトぉ~!すりむいちゃったわぁ。ホイミしてぇ!」 「あ、はい。」 クリフトはマーニャにホイミをかける。 勇者は冷ややかな目でマーニャを見ていた。 アリーナは特に気にしている様子はない。 さらに洞窟の奥へと進んでゆく。 マーニャは事あるごとに、クリフトの体に触れたり絡んだりしていた。 クリフトはいちいちウブく反応していたが、 アリーナは全くの無反応であった。 そして、滝の見晴らしのいい場所に出ると マーニャは大げさに両手を広げる。 「わぁ~~っきれいねぇ!!」 マーニャはいきなり、滝を背に鍾乳石の柱をポールと見立て 腰をくねらせてセクシーなポールダンスを踊り始めた。 「ねぇねぇん、クリフトも一緒にど~お?」 「…………………。」 これにはさすがに勇者も痺れを切らした。 「マーニャ、不思議な踊りは止めろ!オレのMPが減る!!」 「なっ………んですってえぇぇええ!!?」 「お前、バカじゃないのか!? ちょっとは場所と状況を考えろ!」 勇者とマーニャはギャーギャーと言い争っている。 アリーナとクリフトは唖然としていた。 戦闘の合間にクリフトは勇者に声をかける。 作戦の都合上、二人は声の届く範囲にいるのだ。 「勇者さんはマーニャさんとケンカしてるんですね。」 「ん?あぁ……、まぁな。」 「なんだかうらやましい。」 「………何が?」 「そうやって、ケンカできるところがです。 私は誰ともそういう口ゲンカをしたことがない。」 「アリーナも同じようなこと言ってたぞ。」 「姫様が……ですか?」 「アリーナとケンカしてみたら? 思ってることを正直に言えばいいんだよ。」 洞窟の最深部でついに“はぐれメタルの剣”を手に入れた。 「わぁーっ!これが最強の攻撃力の剣なのね!!」 アリーナが剣を振り回してはしゃぐ。 「姫様、危ないですよ!」 クリフトがアリーナを制しようとする。 するとアリーナはその手を振り払った。 「平気よ。クリフトはマーニャの心配でもしてればいいじゃない!」 マーニャと勇者は驚いて目を見張る。 無反応かと思っていたアリーナが嫉妬していた。 これが“おもちゃを貸せない子供の心理”なのか “女としての心理”なのかはよく判らないが。 「一体何をおっしゃってるんですか!?」 「私のケガより、マーニャのこと優先して回復してたじゃないの! 何よ、二人で楽しそうにしちゃって!」 「あれは、マーニャさんが絡んでくるから仕方なく――――」 「言い訳なんか聞きたくないわっ!!」 クリフトはいつもの条件反射で謝ろうとしたその時だった。 頭の中で先ほどの勇者の言葉が反芻される。 “思ってることを正直に言えばいいんだよ” クリフトは一瞬迷ったが、重い口を開き、絞り出すように声を発した。 「…………姫様だって、いつも勇者さんと 仲良く はしゃいでるじゃないですかっ!!」 勇者はぎょっとする。少し罰の悪い表情になった。マーニャは瞳を輝かせる。 アリーナはクリフトの反論に少し驚いた表情を見せたが、すぐに眉をひそめた。 「なんでそこで勇者の名前が出てくるのよ? 勇者は関係ないじゃない!」 「いいえ!関係ありますともっ!!」 「何の関係があるって言うのよ!?」 「姫様は無神経すぎるんですっ! 私の気持ちなんてちっとも分かって下さらない!!」 「クリフトの気持ちって何よ!?」 「!」クリフトはグッと怯む。 「それは…………!その……………………、 …………………………………申し上げられません。」 マーニャはがくっとなった。 「ちょっとぉおお…!そこで言わないでどーすんのよっ……!!」 小声でぼやき、もどかしそうに指を動かした。 「ねえ、勇者!あんたもそう思わない!?」 マーニャが勇者の方を見る。 とんだとばっちりを受けた勇者は苦虫を噛んだような表情をしていた。 「お前のやることは、いっつもトラブルの元なんだよ。」 「あら、随分な言いがかりねぇ?」 「事実だろ。」 勇者とマーニャは火花を散らして睨みあう。 アリーナとクリフトもギャーギャーとしばらく言い争っていた。 「おかえりなさい!海賊の宝は見つかりました?」 ミネアが出迎える。 「………あぁ。」勇者が答える。 しかし4人とも不機嫌そうな表情で雰囲気はギスギスとしていた。 「………?」 ミネアは唖然とする。 「……姉さん、何かあったの?」 マーニャは大げさに手振りをした。 「そりゃあもう、いろいろとね!!」 《おわり》
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クリフトのアリーナへの想いはPart5 236 :【フェイント】 ◆cbox66Yxk6 :2006/05/16(火) 11 25 03 ID gFKsTKTd0 正直者のアリーナは『フェイント』というものが苦手だった。旅の途中、何度も何度も練習をしたが、その直情的な性格ゆえか、それともその幼さゆえか、どうしても習得できず悔しい思いをしたものである。 「ねぇ、クリフト。これなんだけど・・・」 どういう意味なの? 首を傾げてくるアリーナにクリフトは身を屈ませると、アリーナが指し示す本に視線を落とした。 「あぁ、これはですね」 そう口を開きかけたクリフトだったが、その言葉は途中で遮られることとなった。 「隙あり」 アリーナの声が聞こえると同時に、己の唇に温かいものが押し付けられる。 「ひ、姫様!!」 慌てて身を離したクリフトがうっすらと頬を赤らめながら抗議の声をあげると、ちろっと舌を出したアリーナが悪戯っぽく笑った。 「だって、こうでもしないと、キスさせてくれないでしょ」 先の戦いの折、そのフェイントのうまさで敵を翻弄してきたクリフト。しかし、いまやそれはアリーナに取って代わられそうな勢いである。 「ね、少しはうまくなってきたかな?」 フェイント。 そう続けようとした言葉を遮り、クリフトはアリーナを己の腕の中に抱き込む。 「えぇ、とてもお上手になられたと思いますよ」 キスが。 熱い吐息と共に耳元で囁かれ、アリーナは瞬時に赤くなった。 どうやら、まだまだクリフトの方がうわてのようである。 (終)
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クリフトとアリーナの想いはPart7 253 :ザオラル1/5 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/04/10(火) 12 29 29 ID 9hWYl6470 クリフトの一日が、祈祷で始まり祈祷で終わるのは昔からのことだ。 しかし、ここ最近のクリフトの打ち込みようは、普通ではなかった。 まだ暗いうちに起き出して、不寝番の者に馬車に戻るよう伝えると、 東の空に向かって一心に祈りの言葉を唱え始める。 神への感謝を捧げ、祈りを終えて腰を上げるころには、 だいたい、東の地平線に朝日が指し染め、壮大な朝焼けが始まっていた。 クリフトは、目を細めてその光景をしばらく眺めると、 ようやく起き出してきた面々と共に、朝食の準備を始めるのだった。 それ以外にも、毎回食事の前には感謝の祈りを欠かさなかったし、 また、日の入りと就寝前にもそれぞれ長い祈りを捧げていた。 「ねえ、なんでクリフト最近そんなにお祈りしてるの?」 朝食の席でアリーナがクリフトに尋ねた。 「なんでと言われましても…私は神官ですから。」 クリフトは何でもないようにさらりと流したが、アリーナは食い下がった。 「だって、旅に出たばっかりの頃は、こんなに、いつもいつもお祈りしてなかったじゃない。」 これは、ごまかせそうにないなとクリフトは苦笑すると、小さい声で答えた。 「…実は、ザオラルを覚えることができないものかと思いまして。」 「ザオラル?」 アリーナは首をかしげた。 勇者が、はっとクリフトの方を見たが、クリフトは気づかない振りをしていた。 「ザオラルって蘇生呪文だっけ?それって禁呪じゃないの?」 サラダをつついていたマーニャが不審そうな顔をする。 「確かに、許可された教会の神父以外の者が、みだりに蘇生呪文を扱うことは 禁止されていますが……私に禁呪なんて、今さら、ですから。」 即死の禁断呪文を操る神官は、こともなげに肩をすくめて見せた。 「あんたも不良神官になったわね…まあ、でも、ザオラルが遣えれば一大戦力よ。 せいぜい頑張って覚えてちょうだい。」 「はい、頑張ります。」 マーニャの言葉に頷くクリフトに、アリーナが横から釘を刺した。 「でも!無理はしちゃダメだからね!クリフト!」 朝食の後、案の定クリフトの後を勇者が追ってきた。 「クリフト!」 「なんですか?ソロさん。」 「お前、ザオラルって…、ホントなのか?」 クリフトの左手を見ながら勇者は口ごもる。 クリフトは、勇者に正面から向き直ると、ため息をついて見せた。 「あなたには、随分みっともない姿をさらしてきましたが… もう、禁呪でオロオロするようなマネはいたしません。 それに、蘇生呪文は、禁呪といっても、人を癒し、回復するという、 神官系呪文の究極の形と考えても良いですし…。」 ただ、と左手を上げて、苦く笑う。 「これがあるせいか、ザオラルを唱えるのに必要なだけの、聖なる気が、 どうにもうまく集まらないんですよ。」 それで、毎日祈祷をして身を清めることに精を出してるんです、 と空を見上げるクリフトを、勇者はじっと見ていたが、やがて、ポツリといった。 「俺も、ザオラル、学べないかな…?」 「ソロさんが?」 クリフトは驚いて勇者を見た。 「そうですね…。聖職者以外の人間が蘇生呪文を使う、というのは 聞いたことはありませんが…ソロさんだったら、あるいは。」 清浄なオーラを放ち、時として天空から雷を呼び寄せさえする不思議な少年。 彼ならば、たとえ前例はなくとも、蘇生呪文を扱って見せるかもしれない。 むしろ、闇を飼っている自分などよりもよほど…。 「…でも、ザオラルは禁呪ですよ?」 からかい気味に問うと、 「俺に禁呪なんて今さら、だろ?」 勇者は、先ほどのクリフトの言葉をなぞって、不遜な笑いをして見せた。 その勇者の表情を見て、クリフトはからかい顔を改めた。 聖なる雷を呼び寄せ、天空の兜を身にまといながらも、この少年は神を信じていない。 ―――神に祈ったって、神様は、何もしてくれやしない。 以前、彼が呟いた言葉。 彼は神を信じない、恐れない。 彼が恐れているのは、神でも魔物でもなく、唯一つ、仲間が欠けること。 ―――自分のせいで失われる命を、これ以上見たくない。 クリフトには、蘇生呪文を学びたいという勇者の言葉に隠された、 勇者の、孤独に対する恐怖が、手に取るように分かった。 クリフトは、小さく吐息をつくと、悲しげな瞳で勇者を見つめた。 どうしたら、この少年に分かってもらえるのだろう。 自分とは違って、彼には、神に愛される資格がある。 辛い試練を課そうとも、神は、勇者を愛し見守っているのだ、ということを。 クリフトは、心の中で、勇者に呼びかけた。 ―――神様だけじゃない、私も、姫様も、皆、あなたと一緒にいます。 ―――だから、あなたは1人じゃない…1人だけで頑張ろうとしないで下さい。 自分は、辛いとき彼に助けられた。 だから、今度は、自分が彼を助けたい、とクリフトは強く思う。 例え微力であっても、彼の力になりたい。 この命は―――愛する姫のものだけれど。 でも、もし、自分が彼と一緒にいることが、少しでも彼の救いになるのならば、 自分は最後の闘いの場まで、彼と歩みを共にしよう。 そして全てが終わったとき、彼がまた神の愛を信じることができるよう、心から祈ろう。 しかし、それを言葉にする代わりに、クリフトは勇者に向かって頷いた。 「分かりました、ソロさん。…一緒に、ザオラルの修行をしましょう。」 そして、勇者を軽く睨んだ。 「そうとなったら、今までみたいな寝坊は許しませんよ。容赦なく叩き起こします。 朝晩みっちりと、精進のためのお祈りをしてもらいますからね。」 「…俺、早起きもお祈りも、苦手なんだけどな…。」 勇者は、口を尖らせながらも、どこかほっとしたような顔をした。 「へーっ、で、結局、あんた達2人ともザオラル使えるようになったわけ?」 「すごいことだわ…。ひとつのパーティにザオラル遣いが2名もいるなんて。」 数ヵ月後、夕食の席で誇らしげに報告する勇者に、マーニャとミネアは感心の声を上げた。 あっけらかんとアリーナが言う。 「そっか、じゃ、これからは戦闘中に死んでも安心ねっ。」 「「冗談じゃない!」」 2人の蘇生呪文の術者は、アリーナの言葉に声をそろえて目をむいた。 「このクリフト、命に代えても姫様のお命に危険が及ぶようなマネはさせません! 姫様に蘇生呪文なんて、考えただけでもぞっとします!」 「安心して死んだりなんかしたら、絶対に蘇生呪文なんかかけてやらないからな!」 まくしたてる2人に、アリーナがたじたじとなった。 「なによう…それじゃ、蘇生呪文覚えた意味がないじゃない…。」 ミネアがアリーナの頭をなでながら言った。 「蘇生呪文なんてお守りみたいなもので、使わないに越したことはないのよ。」 マーニャが片目をつぶって言った。 「そうそう、どんなときにも、いのちだいじに、が肝心ね!」 それを聞いた勇者は、少し目を見張ると、次の瞬間、心からうれしそうに笑った。
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意味 綴り 単語 階段 テットノリア 影 Aurora アウロラ 過去 テゴン 加護 Feala フィーラ 重なる・協力 クランゼ 重なる手 Cranxetar クランゼタール 風 フロイス 壁 ヨリカ 悲しみ ルージェ 悲しむ ルージュ 雷 ドルク 木 ミニョン 記憶・覚える uld ウルド 貴石 サーシャ 軌跡・歴史 Leschir レシア 軌跡の記憶 Leschiruld レシアウルト 偽悪者 アメーテ 偽善者 ミレーテ 境界・開かざる門 rigalem リガレム 空間 Okias オキアス 楔・八百万の要 Xiron サイロン 口・唇 Rovan ロヴァン 獣 ラダ 堅固 Wasu ワス 堅固の和 Wasuenoma ワスエノマ 現在 ユタル 原典 Krif クリフ 言霊 Oz オズ 言葉 Iz イズ 子供・童 ユイ 子守唄 ユイエーベ ♪
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こんな立派な人になれたらいいね ただいまニース育成中 髭orクリフとアレス狙いで仲間強化あけたらニースがでるわでるわ・・・ ニース転生86まではとりあえずがんばりまっす 天音もATKとりあえずは2600も目標にがんがる http //www.puzzcore.com/pzl/10032666W2 暇すぎたから作ってみた がんがれ べんきょーがんがれー …息抜きも必要ですじょ?(悪魔 -- ねふぇ (2009-10-13 23 26 12) ひーはーてぃーしゃーーーーっつ -- mtttb (2009-11-22 20 08 43) 名前 コメント
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クリフトとアリーナの想いはPart10 388 名前 名前が無い@ただの名無しのようだ Mail sage 投稿日 2009/10/02(金) 00 59 37 ID qislUYpkO ROMっておりましたが、初SS投下します DS版ピサロ加入後と言うことで… * 【似ている二人】 「ピサロとクリフトって似てるね」 アリーナの言葉にクリフトは困惑した よりにもよって、憎き敵でもある魔族の王と似ているというどういうことか 「あの、姫様…どういうところが似ているのでしょうか?」 「笑った顔よ。笑顔」 クリフトは更に困惑した 似ていると言われても『死の呪文と治癒の呪文を使うことが出来る』くらいしか思い付かないのだから 「笑顔が…ですか?」 「うん。ピサロってね、ロザリーさんといるときはすごく優しい笑顔になるの。 そのときの表情がなんかクリフトに似てるなーって思ったの」 考えてもいない答えが返ってきたのか、クリフトは顔を少し赤くした 「そ、そういうことでしたか…! てっきり私の笑顔は恐い笑顔なのかと思ってしまいました…」 お恥ずかしいです、とクリフトは笑った その少し照れた笑顔を見て、アリーナも笑った
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クリフトとアリーナへの想いはPart9 698 名前 無限ループ ◆YISOKD5/z2  Mail sage 投稿日 2009/01/15(木) 15 26 45 ID MHR+25Gp0 ミントスで病に倒れたクリフトだったが、勇者一行との幸運なめぐり合わせにより、 一命を取り留めた。 命の恩人ともいうべき彼らは、何やら部屋の外で詩人と話し込んでいる。 ただ一人、主君であるアリーナ姫だけが、ベッドの傍ら、クリフトの顔を覗き込んでいた。 「ねえクリフト、パデキアまだ残ってる?」 「えーと…全部飲み干してしま…っ…」 言い終わる前に、クリフトの唇は塞がれていた。 「…ひ、姫…?」 熱がぶりかえしたような、ぼうっとした顔で、クリフトは呟いた。 アリーナはというと、舌をチロリとしては、苦いようで顔をしかめている。 「私にも病気がうつったかもしれないから、クリフトから薬を分けてもらったのよ」 「ええっ…!? し、しかしそれでしたら、新しいものをすぐに用意いたしますから! 何もそんな方法で…」 アリーナはプイッと顔を反らした。 「冗談よ」 そう小さく呟いて、再びクリフトの唇に軽くキスをした。 病み上がりなうえに強烈な先制攻撃を受けたクリフトは、完全にパニック状態だった。 「じょ、冗談でこんなことをなさるなんて…! クリフトをからかっておいでなのですか…!?」 「違うわ。 パデキアを分けてもらうっていうのが冗談ってことよ」 「…そ…それは…どういう…」 もう一度、今度は少し乱暴なキスだった。 「わかってもらえるまでキスするわ」
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クリフトのアリーナの想いはPart12.5 634 名前 キウイが導くハーモニー(後編) 1 Mail sage 投稿日 2013/01/05(土) 23 51 42.10 ID dubNSjM00 ある日、アリーナは王に呼び出された。 「え、他国の式典に私が参加するの?」 王に言われて、アリーナは驚いた。 「王子が行く場面だが、王子がいないのだから、王女が行くのだ。」 「今までそんなこと、なかったわよ。」 「今までのお前では任せられなかった。だが今のお前なら大丈夫だ。 サントハイムを代表しての参加だ、任せたぞ。」 国王は多忙のため具体的な説明を全くせず、ブライに任せた。 アリーナの部屋で、ブライが説明をする。 「ワシが同行しますゆえ、迷うことはありますまい。 行き先はブランカの城ですな。」 「ブランカなんだ…」 「サントハイムの城よりも小ぶりな城ですな。」 アリーナは、ブライとは別のことを考えていた。 「ブランカに行ったらクリフトとソロに会ったりして…懐かしいな。」 懐かしいと思うほどに、アリーナは彼らと会っていなかった。 「二人は王宮仕えのはず。会うかも知れませんな。」 「1週後になりますゆえ、予習を行いますぞ。 社交辞令の予行演習を中心に、徹底的に行いますぞ。」 気合十分のブライに、アリーナも応じた。 「当然よ。完璧にこなしてみせるわ!」 「各国の王子や王女の顔と名前の暗記も、完璧にしていただきますぞ。 当日はワシも含め、常にお側でお教えできる者がいるとは限りませんゆえ。」 「誰も側にいなくて大丈夫よ。完璧に暗記してみせるわ!」 そして式典の当日。 各国の代表者を招いて、パーティー形式で行う式典。 開始前の会場は、参加者同士の挨拶の場と化していた。 「アリーナ姫様、ご機嫌麗しく…」 「お会いできて光栄ですわサージュ王子、初めまして。」 こういう場に初参加のアリーナには、挨拶しようと行列ができていた。 アリーナは、次々に来る王子たちとの挨拶を無難にこなしていった。 やがて自席に着くようアナウンスがあり、会場のみんなが着席した。 やっと落ち着いたアリーナは、小声でブライに聞く。 「そういえば、何の式典か聞いてなかったけど。」 「すぐに分かります。」 照明が落とされ、明るく照らされた舞台にブランカ王が登場した。 ご列席の皆様への謝辞など一通りの前置きを述べ、本題に入る。 「皆様に親書で内々にお知らせした通り、養子を迎えることとなりました。」 そこから先の展開には、さすがのアリーナも呆気に取られた。 紹介されて出てきたのはクリフトだった。 クリフトも挨拶や謝辞など述べていたが、アリーナの耳には入らなかった。 式典が終わり、会場から出たアリーナは、めまいに襲われていた。 「ブライ…何なの、これ…」 「見たままですな。クリフトはブランカの王子になったのじゃ。」 「私には何が何だか、事情が飲み込めないわ。どういうことなの…」 「そのまま、見たままですな。 その気になれば、姫様はクリフトと結婚することもできるのですぞ。」 「そういう重要なことは後で言って… 今は頭がゴチャゴチャしてて、何も理解できないわ…」 アリーナは、ふらふらと壁にもたれかかった。 「アリーナ姫様、ご気分が優れないのですか?」 声をかけてきた兵士は、一般兵の格好をしたソロだった。 「ソロ…その格好…似合ってないわ…」 ソロの笑顔のまぶしさに、アリーナはさらにめまいを感じた。 「悪かったな、一般兵に紛れ込んで警備してんだよ。」 「ちょうどいいわ、ソロ。今日の式典の趣旨を簡単に説明して。」 「クリフトはブランカの王子になりました。以上!」 「分かりやすいわ… これから私は、ブランカのクリフト王子として接していくのね。」 「そゆこと。」 頭を押さえながら、アリーナが問う。 「私はもう帰るけど、クリフトと会っていくべきなのかしら…」 「クリフトは今日の主役で、これから国民向けの式典だ。 会う時間なんてないけど、ちょっとだけなら会えるぜ。 つか俺、アリーナを連れてこいって言われてるし!」 ソロはニッと笑ったが、アリーナのテンションはどこまでも低かった。 「せっかくだけど、私、このまま帰るわ… 今日は、クリフトと話しても、何も頭に入らないと思うから… クリフトによろしく伝えといて…」 「へっ?」 外へふらふらと歩きだすアリーナ。 「…大事な話は後日とお伝えくだされ。 今の姫様のご様子では、何を言っても頭を素通りするだけじゃ。」 アリーナと一緒に出て行くブライ。 去っていく二人を見送って、ソロは天を仰いで呟いた。 「こんな展開、あり得ないだろ…」 サプライズの直後に感動のプロポーズだろーが…! ソロの気合は激しく燃えていた。 俺を養子にしたいと言うブランカ王に、俺はクリフトを推した。 渋るブランカ王に、クリフトの人柄や能力を見せつけた。 それでこの日までこぎつけたんだ。 サントハイム王への根回しも万全だ。 最後の詰めをしくじったら、泣くに泣けん。 つーか、一刻も早く婚約させて、HOMO疑惑を払拭しなければ! クリフトが王宮のテラスからブランカ国民への演説を行う直前。 「クリフト…演説でアリーナへの告白をぶちまけろ…」 目が血走っているソロに対し、クリフトは冷静だった。 「無理です。物事には順序があります。」 「チャンスは今だぜ…」 諦めの悪いソロに、クリフトは時間を告げた。 「さあ、時間です。持ち場についてください、衛兵さん。」 「くっ…」 クリフトの後ろからテラスに出たソロは、歓声の大きさに驚いた。 世界を救った英雄であり、世界で最も有名な神官だからな… そんな好感度抜群のクリフトが王子になったら、国の誇りだよな… 静止しようとしても、歓声はなかなか収まらなかった。 「クリフト王子ー!」 「ソロー!」 「お幸せにー!」 おかしな声援が多いことに気づいたソロは焦った。 「おい、クリフト、歓声を止めろ!」 クリフトの後ろから呼びかけるが、大歓声にかき消され、届かない。 クリフトは振り返り、ポーカーフェイスでソロを見た。 「止めろーっ!」 ソロは必死に叫ぶが、声がクリフトの耳まで届かない。 クリフトもソロに何か言うが、ソロの耳には届かない。 もどかしくなって、ソロは至近距離に走り寄った。 そこで顔を真っ赤にして叫んだが、大歓声に消され、声は届かない。 ソロはクリフトの耳元で叫んだ。 より一層の歓声が二人を包んだ。 「国民の前でキスだなんて、大胆ね…」 帰らずに見ていたアリーナは、呆気に取られていた。 「あのアホ共が…結婚の約束どころか、遠ざけおって…」 隣のブライは頭を抱えていた。 新たな王子の誕生と幸せを願う歓声は、鳴り止まなかった。 クリフト王子に栄光あれ!
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クリフォート・ゲニウス(OCG) リンク・効果モンスター リンク2/地属性/機械族/攻1800 【リンクマーカー:左下/右下】 機械族モンスター2体 (1):リンク召喚したこのカードは魔法・罠カードの効果を受けず このカード以外のリンクモンスターが発動した効果も受けない。 (2):1ターンに1度、このカード以外の、 自分及び相手フィールドの表側表示のカードを1枚ずつ対象として発動できる。 そのカード2枚の効果をターン終了時まで無効にする。 (3):このカードのリンク先にモンスター2体が同時に特殊召喚された時に発動できる。 デッキからレベル5以上の機械族モンスター1体を手札に加える。 クリフォート デッキサーチ モンスター効果無効 モンスター効果耐性 リンクモンスター 地属性 機械族 機械族補助 罠無効 罠耐性 魔法無効 魔法耐性