約 1,426,380 件
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/240.html
クリフトとアリーナの想いはPart8 長編12/12 1へ2006.03.09 850 :1/12 (506):2008/03/11(火) 18 16 39 ID 3yeYWf0g0 魔法の力で重力から引き離され強烈な浮遊感を感じたその後、アリーナたちの身体は瞬時にしてサントハイムへと運ばれた。靴の裏がしっかりと大地を踏み締める。一瞬意識が途切れた後にはもう、アッテムトは遥か彼方。目の前にはサントハイムの城がどっしりと構えていて、西側にはサランの街が見えていた。 ブライの魔法によりアリーナたち4人を柔らかな光が包み込んでいく。 その大きな光の球の中に必死で手を伸ばしたクリフトがアリーナの手首を捉えた。クリフトの身体にも魔法の効果が伝わり、気がつけばそこは二度と戻れぬはずの故郷サントハイムだった。 「アリーナ姫様、ブライ様! よくお戻りになられました!」 城の警護にあたっていた兵士たちがアリーナたちを出迎える。深々と頭を下げてアリーナたちを迎えたあと、ブライに同行した同僚の兵士ふたりにも言葉はないまま、視線だけで労いの意を伝えた。そうしてその後、このサントハイムから追われたクリフトの姿を見つけると、その笑みも消えて表情が瞬時にして曇った。 「ブライ様…」 状況が理解できないでいる見張りの兵士は、もの言いたげにブライを見つめた。兵士たちの様子にブライはただ視線を向けるだけで、続くはずの言葉を封じた。 クリフトが去った後、サントハイムでは様々な憶測が流れていたが、確かな真実は明らかにされないままだった。しかし、何者かの口からこぼれた不確かな情報がまた別の誰かの耳に伝わり、クリフトの印象は決してよいものではなくなっていた。兵士たちの表情がクリフトを見るなり変わってしまったことも致し方のないこと。国王もその件については明言を避けており、今となっては彼の印象を悪い方へと向かわせてしまった要因のひとつだった。 「姫様のお帰りじゃ。侍女を呼べ」 「…は、はいっ」 「お前たち、長旅につき合わせて…ご苦労じゃったな。今日はもう休んでよいぞ。陛下にはワシの方から伝えておく」 「はい」 アッテムトまでの旅路を共にしたふたりの兵士を労い、ブライはサントハイムに帰るや否や暇を与えた。兵士たちは深く一礼をした後、宿舎へと向かいその場を立ち去った。 「……クリフト、姫様の手を離さぬか」 ブライに指摘されて初めて、クリフトはアリーナの手首を無礼にも掴んだままにしていることに気づいた。はっとしてクリフトは弾かれたようにアリーナの手を放した。 「も、申し訳ありません…!」 「………」 ブライもアリーナも何も言葉を発さなかった。アリーナはクリフトから勢いよく遠ざけられてしまった自分の手を軽く胸元に引き寄せたのみで、俯いたままクリフトの方を見ようともしなかった。そんなアリーナの様子をクリフトは黙って見下ろしていた。アリーナの手首を放したその手をやり場のないままに掲げた状態。俯いており目元の隠れたアリーナの表情を確かめられないでいる。それでも彼女の頬に残る一筋の涙の痕を見止め、クリフトはいたたまれない気持ちになりアリーナから視線を外した。 程なくして兵士に呼び寄せられたメイドに連れられて、アリーナは城内へと姿を消した。その後姿をクリフトは黙ったまま見つめていた。宙にさまよわせていた手をゆっくりと下ろし、ぎゅっと拳を握った。 そうして静かに声を発した。 「……ブライ様」 「……なんじゃ?」 「今更、こんなことをお願いできる立場ではないと承知しております」 「………」 「ですが、……お願いします。陛下にお目通りをさせていただきたいのです。陛下にどうしてもお伝えしたいことがあるのです。お願いします!」 そう言うとクリフトはブライに腰を折り深く深く頭を下げた。 ブライはそっとそのクリフトの肩に触れ、軽く叩いてその顔を上げるよう促した。 「クリフト、ついてまいれ」 「……ありがとう、ございます」 クリフトが何を国王に伝えたいと願うのか、それをブライは察していた。 もう今更、それを咎めることのできない状況にまできていることは、この度のアリーナ失踪事件からも明らかだった。 ただどうなろうとも、サントハイムにおいて今では誰にも守られない状況であるクリフトを、最悪の決断からは遠ざけてやらねばならぬと思い巡らせながら、ブライは王の間へと続く階段を上っていった。 クリフトが裁かれたあの日と同じように、王座の間の空気は酷く張り詰めていた。意識して息を細く吐き出さねばならぬほどの重苦しい雰囲気ではあったが、クリフトは俯くこともなくまっすぐに前を見据えていた。その視線の先にはサントハイム国王の姿があり、隣には上品なワンピースに身を包んだアリーナが鎮座していた。王の少し後ろのお決まりの位置には大臣の姿もあった。大臣はこの場所に相応しくない、みすぼらしい姿のクリフトがアリーナと共に戻ってきたことを酷くいぶかしんでいる様子で、険しい顔つきでクリフトの様子を窺っているようだった。 「久しいな、クリフト」 対照的に国王はと言えばその声も表情も穏やかで、クリフトの緊張がわずかに緩む。 「またもやアリーナが迷惑をかけたそうじゃな……ブライから手紙で知らされておる。真に…すまなかったな」 「いえ……とんでもございません」 「……アリーナが戻ってきて、正直なところほっとしておる。突然わしに何の断りもなく城を飛び出しおってからに、まったく誰に似たのか……頑固な娘に育ったものだ」 そう言うと国王はちらりと横目でアリーナの様子を窺った。アリーナは泣き顔こそ消して再びクリフトの目の前に現れたが、俯いたままクリフトの顔を見ようとはせずにいる。視線は床を這うばかりで膝の上に手を重ねて置き、ただしおらしく座っているのみだ。国王の言葉にも反論はない。 その後しばらく誰も何も喋らない、静けさだけがこの空間に漂った。クリフトの横に立っているブライも何も言わず、ただその沈黙が破られる時を待っている様子だった。 「……陛下…、いえ…王様…」 クリフトの低く柔らかな声音が優しく静寂を解き放った。 「以前にも申し上げました。私はずっと、姫さまのことをお慕いしてきました。サントハイムを去ってからも変わってはいません。私は今でも変わらず、姫さまのことを愛しております」 国王の少し後ろに控えていた大臣が一歩踏み出す。すぐに大臣の前に国王の手が伸ばされる。国王は無言で大臣を制した。 「私の方へ、姫さまのお気持ちが傾いてくれることなど、夢にも思っていませんでした。全ては私の、一方的な想いに過ぎないと……。ですが、姫さまは私などを追ってアッテムトまで……」 勢いよくはっきりと言葉を連ねていたクリフトの声が詰まった。声が途切れてしまい、ぐっと胸の内にこみ上げてくるものがクリフトの饒舌さを奪う。 ひとつ息を吐き出してから、クリフトは今まで積み重ねてきた想いの全てを言葉に表した。 「ブライ様から、姫さまがどのようなご苦労をされて私の元へと来られたのかを聞きました。長旅で少しお痩せになられ、不慣れなことをして手にはいくつものあかぎれを作って、満足のいくお食事すらとられなかったことでしょう。そんな風にされてまで、私に会いに来て下さいました。私のような者がこんなことを言うのは、僭越甚だしいとわかっております。それでも姫さまのお気持ちにお応えしたいのです。姫さまが私を求めてくださるのであれば……私はこの生涯を捧げます」 そこまで言うとクリフトは床に片膝をついて頭を垂れた。絨毯の上に手も添えるようについて、恭しく忠誠を誓う騎士さながらの姿勢を作る。 「お願いします。私に姫さまにふさわしい身分や肩書きが必要だとおっしゃるのであれば、どんな努力もいたします。エンドール王宮付きの神父にでも、聖なる地ゴッドサイドの司教にでもなりましょう。どうか、私に時間をお与え下さい。必ずや、姫さまとサントハイムにふさわしい人間になってみせます。ですから……」 姫さまと結婚させて下さい。 そう言葉にすることはできなかった。声が酷く震えて。 それでも精一杯、自分の気持ちを言葉に乗せることができた。誰にも言えずに押し込めてきた感情が、全て震える声となってその場にいる全ての人の耳へ響いた。無論、アリーナの耳にも。 アッテムトまでやってきたアリーナに対して、何も言わないで二度と会わなくなってしまうのはあまりにも不誠実な気がした。そもそもは自分が告げてはいけないことを言ってしまったことに始まるのだから。あの夜城壁で、深く思い悩むアリーナに打ち明けてしまった恋心が、こんな騒動のきっかけとなってしまったことは事実。 身分とか、血筋とか、それら全てに目を瞑り、ただお互いの感情だけを結び付けたいとクリフトは思った。一国の姫君とは思えぬようなことをしてまでアリーナはアッテムトに、ただクリフトに会うためだけに来た。再会した後、戸惑いや自責の念が先行したが、なんとも言えない幸せな気持ちを確かに感じ取ることができた。 大切に想う人から、同じように想われることの幸せ。 身体中に染み渡るようなその温かさ。 「……アリーナ、お前はどうなのじゃ?」 国王はアリーナの方へ視線を向けぬまま、そう問いかけた。クリフトの言葉に呆然としていたアリーナは、その声にはっとして父のほうを見た。 「……わたしは…」 「クリフトはお前のそばに居りたいと申しておるが……アリーナよ、お前にはクリフトが必要か?」 「陛下! そのようなこと、認められませぬぞ!」 アリーナが国王の問いかけに答える前に、大臣の震える声が発せられた。 「アリーナ姫にはエンドールのラスダ殿とのご縁談があるのですぞ。陛下もご納得の上で進めた話ではありませんか」 「うむ、そうじゃったな……」 「姫にふさわしい、これ以上ないお相手なのです。クリフトは今やサントハイムとは何の縁もない、罪人同然の男ですぞ。お気は確かですか!」 「……大臣、まぁ落ち着いてくれぬか。そなたがそういきり立っていては話ができぬ」 「……は…」 大臣は国王にたしなめられてひとつ呼吸を置いた。その後ちらりとクリフトの方を見遣った。表情は険しく眉間に深い皺を刻んで、鋭い視線を向けている。 国王は王座に身体をゆったりと預け、髭に触れつつ言葉を紡ぐ。 「大臣よ、いつもそなたには助けられておる。感謝しているのだぞ。長らく秘書を務めてくれた。この国のことを本当に、そなたはいつでも深く考えてくれている」 「陛下……」 「サントハイムのことを思えば、そなたの言うように素性の知れたそれなりの身分の男子を国に迎え入れた方がよいのだろう。この国の姫であり、ただひとりの王位継承者であるアリーナと釣り合いの取れるような。だがわしは、アリーナが心から望む相手と添い遂げさせてやりたい。国王としての資質を問われそうだが……ただ、娘には幸せになって欲しいのだ」 立派に蓄えた髭に触れさせていた手を膝の上へ下ろし、そこまで喋り終えた国王はすぐそばに立つ大臣を見上げた。優しげな表情で、言葉を発せずにいる大臣をじっと見つめていた。言葉の通り大臣を責めるでも正すでもない様子で、古くからの友人に心情を吐露するかのようなものだった。 「大臣よ、許してくれぬか。愚かであると、笑うても構わぬ」 「………」 大臣は何も言えず俯いた。 ブライ共々サントハイムには長らく仕えてきた。自分の主君が自分に許しを請うと言う、素面では受け止めがたい国王の言葉に大臣はただその場に佇むだけだった。 サントハイムの国を守り、民が皆平穏に暮らせるようにと地道な努力を重ねてきた。真面目で少々頭の固い大臣は、王族にはそれ相応の身分の由緒ある人物との結婚が当たり前で、他の選択肢などまるで考えられずにいた。いくら国王の言葉とはいえ、素直には納得できない。 「ですが…、ですが……」 「大臣殿」 それまでずっと沈黙を守っていたブライが口を開いた。年齢を重ねてかすれ気味な声が大臣へと届く。大臣はまだ曇り空のような表情のままでブライの方を見た。 「クリフトは優秀な神官じゃ。無論未熟なところは多々ある。親なし子で素性も知れぬ。大臣殿が認められぬのも当然じゃ」 「ブライ殿……」 「長く共に旅をしてきて、ワシは感じてきた。少し気の弱いところもあるが、穏やかで優しく人を見る眼に長けておる。大臣殿もわかっておるじゃろう? 幼いころからクリフトがとても賢く聡明だったことを」 「………」 「陛下のおっしゃられていることを受け入れてはもらえぬか? 必ず、将来のサントハイムのためになる男じゃと見込んでおる」 クリフトは隣で語るブライの言葉に胸が詰まり、じんわりと瞳に熱いものが集まっていくのを感じていた。日ごろ褒めてもらうことなど皆無に等しく、手厳しい言葉を受けることが茶飯事であったのに、今こうしてブライは自分をただひたすらにかばうかのように言葉を選んでくれている。叶うはずもなかったこの願いを叶えようと取り計らってくれている。それがとてもありがたく、ただただ嬉しく、言葉にならない感情を抱く。 「……姫は、どうなさりたいのですか…?」 それぞれがそれぞれに思いを口にする中で、それをただ聞いているのみだったアリーナにその心を問い尋ねたのは大臣だった。その声は幾分か落ち着きを取り戻したものとなっていた。 「……わたしは…」 アリーナはクリフトへと視線を向けた。 こくん、と喉が鳴った。なかなか声を作れない。小さく開かれた唇が微かに動いた。 「……わたしは、クリフトと一緒に居たいわ。だって、今までずっと一緒だったんだもの。クリフトがいなくなる日が来るなんて、考えたことなかった」 母を亡くし、泣いて泣いて暮らしていた日々の中に、差し込んできた一筋の青い光。表情を硬くしたまま警戒心剥き出しでいるアリーナに、少年はそっと優しく微笑みかけてくれた。全身で拒絶を表していてもクリフトは毎日アリーナに会いに来て、どんなにわがままな態度をとってもクリフトが怒ることはなかった。 大きすぎる喪失感をひとりで抱え込み、周囲の大人たちにはそれを打ち明けることもできず、それに気づいている者に対しては無用な心配をさせたくなくて自ら距離を作ってしまった。たったひとりで耐え忍ぶあまりに笑顔を忘れてしまったアリーナの心を、同年代の少年たちよりも賢く少し大人びていていたクリフトは優しく丁寧に包んでくれたのだ。 ゆっくりと近づいてきてくれたクリフトに、小さなアリーナも徐々に自分の内側に閉じこもることをしなくなっていった。抜け出すことのできなかった沼地から、そうっと掬い上げられたかのように。 「ずっとそばにいて欲しい。……小さい頃から、そうだったように」 青い髪、更に深い青の瞳。海のような印象のクリフトを、アリーナはじっと見つめていた。涙の膜が瞳を覆う。揺れる緋色の瞳にクリフトの今にも泣き出してしまいそうな顔が映る。 「……大臣よ。アリーナの願いを、叶えてくれぬか?」 国王が再び大臣にそう問い尋ねた。 大臣は軽く俯くと口元に拳を宛がい、軽く咳をした。 「……エンドールには私めが直接、お断りの訪問をさせて頂きます故、陛下からも書状をお書きになっておいてください」 「…よいのか?」 「書状が出来上がりましたらすぐに、明日にでもエンドールへ発ちます。 しばらく留守に致しますので、何かありましたら秘書にでも申し付けて下さい。こういうことは早くしておかねば、先方にも失礼ですので」 大臣は少し早口にまくし立てるように言った。周囲に説得される形となり頑なであった姿勢を崩したことに対して、怒りの感情とすれ違うように湧き上がった気恥ずかしさがそのような態度を取らせたのだろう。 「クリフト」 「は、はい……」 クリフトは自分の名を呼んだ大臣のほうへとその顔を向けた。涙をこぼすまいと必死で堪え、喉を詰まらせながら返事をした。 「アッテムトでの働きぶり、キングレオの国王から書面にて伝えられておる。……よくやっているようだな」 「……ありがとうございます」 「しかし、まだやることが残っているのだろう? 全てをやり遂げてから、サントハイムに戻りなさい。お前の力をまだアッテムトの人々は必要としているはずだ」 「……はい」 「アッテムトの復興のために、その力を惜しむことなく尽くしてきなさい。 それまで姫には花嫁修業と女王になるための勉強に、しっかりと励んでもらいますからな。……そういうことでよろしいですか、陛下」 大臣はそう言って、視線をクリフトから国王へと移した。国王は何も言わずにひとつ深く頷いた。大臣の言葉には素直さが足りていなかったが、それが大臣の性格を表しているようで少しおかしい。 「クリフトよ。大臣の言ったとおりじゃ。あとどのくらいかかるかのう。 半年か…、1年か…。待っておるぞ」 「はい……、はいっ…!」 クリフトは国王の言葉に力強く返答した。途端に涙が瞼から溢れて頬を伝い落ちた。ずっと長い間、堪えていたものが一気に解放された。臆することなくこの場でアリーナへの想いを口にしたのと同じように、涙が全ての感情となりクリフトの内側から湧き出していた。 国王は隣で肩を小刻みに震わせて涙を落とす、娘アリーナへと視線を移ろわせた。昔のことに目を細めながら思いを馳せる。幼い頃に母を亡くした娘に対して、一国の王であると言う多忙な身故に父としての勤めを満足に果たせなかった後悔が常にあった。おてんばで頑固な娘になってしまったが、明るく健康に成長してくれたことには感謝の気持ちが耐えない。クリフトの存在があったからこそ娘アリーナの今があるのだと、一国の王としての葛藤の中、まるで身分の違う主従関係であるふたりの結婚を許すと言う結論に達したのだ。 ――それ以前に、やはり娘には嫌われたくないものじゃな。 小さな小さな独白は、誰の耳にも届かなかった。 降り注ぐ日差しは温かく、眼下にはサランの街と広大な麦畑が広がっている。小麦の穂先が風に揺れてさわさわと立つ音が聞こえてくるようだ。 緑に溢れ肥沃なサントハイムの大地、豊富なその恵み。眺めている限り、今年も大きな天災等に見舞われることもなく豊作なように思われた。 ゆっくりとした歩調で城壁を移動していく。クリフトとアリーナは確かに近づいたお互いの想いを悟りながらも、会話のきっかけがつかめずに黙ったまましばらくの時を過ごしていた。 「……あの、姫さま…」 アリーナの少し後ろを歩いていたクリフトは足を止め、少し遠慮がちにそう言葉を紡いだ。クリフトの声にアリーナも立ち止まり振り向いた。 「……ありがとうございました。アッテムトまで、来て頂いて…。な、なんだか少し変な感じですけど……私は本当に、ただ姫さまが私に会うためにあんな遠いところにまで来たと知って、嬉しかったです」 「ううん、わたしのほうこそごめんね。クリフトが、知らないうちにサントハイムからいなくなっちゃったから……びっくりして」 「アッテムトでの仕事に目処がつきましたら、サントハイムへ戻ります。 そんなにすぐには戻って来られないと思いますが……、どうか、私を待っていてください」 「……うん」 「私はずっと、姫さまのおそばにいますから」 「うん。ありがとう、クリフト……」 気恥ずかしくてクリフトの顔が見られないアリーナは、視線を彼の胸元あたりへと向かわせて答えた。ふたりの頬にはまだ微かに涙の跡が残っていて、ひどく妙な感覚だった。 南方には海。砂浜に寄せては返す白い波を、あの夜と同じようにふたりで眺める。10年以上も昔から、夜の闇に紛れて息を潜めるように抱き続けてきた愛情は、今となってはこんなにも太陽の光溢れる青空の下、高らかに叫ぶことすらできるのだ。 クリフトは長い足を一歩踏み出してアリーナのほうへと近づいた。少しの緊張と躊躇を纏いながらも長い腕を伸ばし、アリーナの身体を両腕の中にやんわりと閉じ込める。 「……姫さま、私はあなたのことを…」 クリフトの囁きは城内の喧騒に紛れながらも、アリーナの耳へと吸いこまれて行く。穏やかで優しい声に、アリーナは小さく頷いてクリフトの胸元へ額を預ける。 サントハイムの温かく優しい風が、ふたりの髪を悪戯にくすぐって遠くへと吹き抜けていった。 御伽話の夢が叶う。 そして人々が後に語る幸せな物語に。 HAPPY END. 前2008.01.12
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/249.html
クリフトとアリーナへの想いはPart9 178 名前 1/5  Mail sage 投稿日 2008/05/27(火) 11 16 25 ID W1s554Fy0 ここは牢獄、わたしは囚人。 床には赤い絨毯、ふかふかのベッドは天蓋付き。 恵まれた生活の中、すべて決まった人生が待っている。 クリフト。 あなたに出会わなければ、あなたを愛さなければ、 運命を素直に受け入れられたかもしれないね。 変わりない平穏な毎日が淡々と過ぎていく。少し退屈に感じてしまうほ どの平穏さが今となってはありがたいことなのだと、アリーナは思いなが らそんな日々を送っていた。けれども以前と違って、どこか心が休まらな かった。周りにいる者に秘密を抱えて、それを決して悟られぬようにして 過ごす時間はやはりひどく息苦しかった。 そんな息苦しさから開放されるのはクリフトのそばにいる時だった。 大臣が用意したいくつものお見合い話を拒否し続けて、アリーナはクリ フトへの想いを募らせていった。それまでの少し遠い主従関係の距離感が 嘘のように、少しずつお互いの気持ちを高めあってきたふたりはいつしか 密やかに恋に落ちていた。 午後、アリーナはバトランドからの来客に面会するため、王座の間へと やってきていた。そこには国王をはじめ、大臣やブライの姿もあり、クリ フトも教会の関係者として挨拶だけでもとその場に呼ばれていた。 来客のことなど頭にはなく、ただアリーナはわざとらしくないようにク リフトのほうへと視線を向けていた。クリフトも控えめに、アリーナへと その穏やかな眼差しを送っていた。 誰にも知られてはいけない。 気配を殺して、息を潜めて、お互いを求め合う。 自分たち以外の全ての人を欺きながら。 月のない深い闇夜に、ふたりきり。 城の北側の裏庭、ゴン老人の家を西に見るその場所が、いつもふたりが 人目を忍んで逢瀬を重ねる場所だった。城壁のすぐ真下の少しだけ開けた ところでクリフトはアリーナを待っていた。ここはほとんど見張りの兵士の目も届かない、死角となった場所だった。 「……クリフト…」 闇に溶け込むような小さな声が聞こえた。 クリフトが視線をそのほうへと向けると長いワンピースのような夜着 を纏い、肩から毛糸のケープを羽織ったアリーナの姿がそこにあった。 「姫さま……」 近づいてきたアリーナの身体を自分のほうへと引き寄せて、そうっと腕 を回して抱きしめた。こうしてふたりだけでこっそりと会うときには、必 ずクリフトはまずアリーナを抱きしめた。アリーナもそれに応えるように クリフトの背にそっと手を這わす。お互いの存在を確認するかのように体 温を分け合った。 そうして城壁を背もたれにしてその場にふたりは座り込んだ。指先を絡 めるようにして手をつないだまま。 以前ならば他愛のない話で笑い合えたのに、お互いを求めてこうして密 会を重ねながらも、昔のように無邪気に笑うことはできなかった。互いに 愛しい存在を目の前に切なさに押しつぶされそうになる。ただ寄り添い肩 を預け合い、ふたりだけで過ごせるわずかな時間を噛み締めていた。 この先は行き止まり。 未来など、見えないし語れない。 そんなことは最初からわかっていたはずなのに、 想う気持ちは簡単に断ち切れない。 「わたし…クリフトのことが好きよ」 小さな声でアリーナは囁いた。大きな瞳を少し細めて愛くるしいまでの 笑顔を浮かべ、クリフトのほうを見上げながら。 「…とっても、好きよ」 「……姫さま…」 「でもね。…苦しいの。すごく、苦しいのよ」 「………」 「……わたし、…みんなに嘘をついてるわ」 「姫さま…申し訳ありません……」 クリフトはアリーナの言葉に全てを察知した。 いずれ国を継がねばならない立場のアリーナには、その責務を全うしな くてはならない無言の重圧がある。世界中を冒険してつかの間の自由を与 えてもらってから、自分の立場というものに対してアリーナは真摯に向き 合ってきた。 自分はどういう存在なのか、それを客観的に捉えるということを学べば、 今の自分がいちばん最初にしなくてはならないことがすぐに思い当たっ た。それは今までずっと拒み続けてきたお見合いの話であり、そう遠くな い未来にしなくてはならない結婚だった。国の永続のためにこの血を後に 残さねばならない。母国サントハイムのために。 国民が望んで当たり前の未来を、本当は叶えたくないと思っている自分。 できることならもうこのまま、全てを投げ出したかった。それが決して できないことをわかっていて、それでもクリフト以外の誰かと夫婦として 過ごしていくことに対しての猛烈な拒絶の感情をアリーナは持て余すば かりだった。周りの人間にもただ上っ面で微笑むのみで、本心を打ち明け ることなどできなかった。 それほどまでに、罪深い。 自分は祖国を絶やしてしまうのか。 「姫さま……」 「…クリフト、ごめんね……」 こらえきれない感情が溢れて、アリーナの瞳からは大粒の涙が零れ落ち た。その涙に罪悪感と愛おしさが同時にクリフトの胸を満たしていく。 「……私が、いけないのです。姫さま、どうか泣かないでください」 「………」 「身の程をわきまえず、あなたを愛した私が悪いのですから……」 クリフトはそっとアリーナの方へと身を寄せて、大きな手のひらでその 頬をそうっと包んだ。 ただの憧れだけで済ませられたらどれほど楽だっただろう。 まだ幼い頃に出会い、友達のような関係を築きながら育っていった。自 分とアリーナの違いをはっきりと理解するようになった少年時代に、もう 恋心は小さく芽吹いてしまっていたのだ。 早すぎた出会いが全ての間違いだったのか。 大人になってから出会っていれば、恋に落ちることもなかったのか。 「私は、あなたが泣いていることが一番悲しいのです」 「……クリフト…」 「いつでも笑っていて欲しいのです。太陽のようにまぶしく、きらきらと 輝くような笑顔でいて欲しい……いずれ、私と離れなくてはならなくなっ たとしても、…笑みを絶やさずにいて欲しいです」 再び溢れたアリーナの涙に、クリフトはそっと唇を寄せた。そうしてア リーナの頭を胸に抱え込むように引き寄せて、更に頬を伝う涙を吸い取る ように何度も唇を触れさせた。 「…嫌よ、そんなの嫌だよ……クリフト」 「………」 「クリフトがいなかったら、わたし…笑えない……」 「……姫さま…」 小さなアリーナの身体を抱くクリフトの腕に力が篭る。 震える熱いため息がクリフトの唇から零れ落ちた。全ての感情を封じる ような、切なく辛い、ため息がふたりの間の空気を揺らした。 万人受けする大衆演劇のように。 あなたを、世界の果てまで連れて逃げたい。 衝動的で情熱的に。 姫さま。 痛みを伴う後悔を生涯背負ってでも、 あなたと暮らせたらどれほど幸せでしょう。 そう遠くはない未来に。 いつか必ず残酷な現実はやってくる。 その時まで、もう少し。 この儚く悲しい、愛の牢獄で。 END.
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/133.html
クリフトのアリーナへの想いはPart5 411 :終わらない夏 ◆a6AUZ2f2mI :2006/06/05(月) 14 01 28 ID /rHs70QfO 「わぁ~い!海だあぁー!」 アリーナが両手を広げて海へと駆け出してゆく。 眼下に広がるのはエメラルドグリーンの大海原。その彼方には綿菓子のような積乱雲が高度を上げて青空を浸食してゆく。 太陽光は水面に反射してキラキラと輝く。 アリーナがこんないい天気なのに城にこもって勉強なんて嫌だ、外に出ないと勿体無いとアリーナの勉強担当のクリフトに散々ごねて、クリフトは仕方なしに王に許可をとり、外へ出た。 アリーナは他の女官の授業にはごねないのだ。渋々ながら受けている。 クリフトなら我儘を言えば自分の要望が通ると思っているし、クリフトも融通を聞かせてしまうからクリフトの授業はいっこうに進まない。 「だって神様の話とか信仰の話ばっかで欠伸がでちゃうんだもん」 とは本人の弁だ。 悪く言えば舐められているのだがそこは幼なじみ故、本音を吐きやすいのだ。 どうせ授業をしたところでアリーナは寝ているし、今日も神様の話なんだからしてもしなくてもいいようなものだ…とクリフトは神学の教科書を閉じた。 外に出る、とは通常は城のテラスに出るとイコールなのだが、今日は年に一度のサントハイム城下町サランの町が祭り。 町内には露店が並び、夜になれば海上から花火が上がり、闇を色鮮やかに彩る日だ。 アリーナとしてはいい天気じゃなくても悪天候でも祭りでも外へ出たいだけなのだが、朝から祭りを告げる空砲があがっていれば祭りへの希望が高まる。 授業中止を伝えると、アリーナはこれ以上ない笑顔で微笑んだ。 一応野外講習として王に許可を貰ったクリフトは、授業は進まないけれど、風光明媚なこの景色を見て、心中では来て良かったな…と思う。 本日はクリフトが保護者として引率するから兵士の同行は必要ないが、通常はアリーナは王の許可がなければ外に出られないようになっている。 それは外でもし大事に至ったら困るし、いつでも所在確認、目の届くところに置いておきたいのだ。 ただでさえお城の中を総出で行方を捜すのに、それが広い場所で行方不明にでもなったら、いよいよ城の全ての人材を派遣し、全力で捜索にあたることになる。 それはアリーナが何かを他でしでかしてしまうという懸念ではなく、可愛い一人娘を愚男から守るという理由が表向きであるが、王自身が娘を慈しみたいだけで城という鳥籠に入れているだけだ。 自己満足である。 いい加減、娘は外へ、世界へ出てみたいと申し上げるのにそれはいかんと王威を翳して閉じ込める。 娘は親離れが出来ているが、親が娘離れが出来ていないのだ。 無論、クリフトはそのことを王に伝えるつもりはないが、小首を傾げるのは確かだった。 クリフトは外にいつでも出られるが如何せん文科系で、部屋に閉じ籠もり本を読破したり城内教会で神官としての勉学を学んでいる方が性にあっている。 身分が反対ならいいと思う。 閑話休題。 既に白浜の波打ち際で白いワンピースを翻せてはしゃぐアリーナへ追いつくように小走りしてクリフトは向かった。 本から得るものより、自然から得るもののほうが遥かにあるとクリフトは思う。 文字を読み、文法を理解し、知識を頭に吸収するのも教養であり人間として大切なことである。 しかし、それはあくまでも自分の想像した範疇内のものであり、現物ではないし、想像していたものと違うこともある。 知識ばかりを頭に蓄えた頭でっかちより、自然に触れ、自己の五感を稼働させて感じるものが良いと思うのだ。 アリーナは海水の冷たさを素足で触れ、海風をその肌に感じ、夏の匂いを嗅ぎ、日差しを肌に焦がす。瞳に天海の青さを焼き付ける。 アリーナは普段外に出る機会がないから、この時ばかりに感覚を研ぎ澄ませ、夏を精一杯学習する。 そんな彼女を羨ましいと思う。 クリフトはアリーナと遊ぶことにした。本で学ぶ知識より、自然から得る、自分が感じる本物の知識に。 今日の授業の先生はアリーナだった。 「海に来るなら水着を持ってくれば良かったわ。そしたら泳げるのに」 アリーナは波と戯れながら呟く。 「はっ。姫様は泳げるのですか?」 「泳げないわよ。だけど人間は太古では海にいたんでしょ」 アリーナの言葉にあっと驚く。 「手に鰭がついていなくても、きっと泳げるわよ」 勉強嫌いのアリーナにどこからそんな知識が刷り込まれたのか。驚きを隠せない。 「ですが、わわわたくしは泳げませんよ。小さい頃溺れたし。海はむしろ怖いです。気が滅入る」 「そうなの。海はそんなに怖いものではないわ。いらっしゃいよ」 アリーナは靴を脱いでおいでと手を振った。クリフトは恐る恐る海に近づく。 海へ入る。素足に浸される水の感覚。戻る幼少の思い出。 「ほら、逃げないで。波は穏やかよ。鮫もこないわ。来たら返り討ちにやるもの」 アリーナの差し出す手を命綱にし、クリフトは必死に波に足を浚われないよう、踏ん張る。歯を食いしばり、目を瞑る。それは刹那が永遠の時のように感じる。 「海は怖くない、怖くない…」 アリーナは暗示のように問いかける。 やがてクリフトは手を緩めた。 「慣れたでしょ?大丈夫でしょ?」 「ええ、なんとか」 クリフトは冷や汗を拭った。 海への恐怖心を克服すると、海で遊んだ。 砂浜に字を書いてそれがどっちが波に浚われても残らないか競争したり、砂でお城を作ろうとしたり。 身体を砂で埋めて砂風呂というのは肌を露出するのを拒んだクリフトに却下された。 二人は空腹を忘れ、海で遊び呆けた。 楽しいことは時間が早く過ぎる。 気付けば日は傾き、水平線へ沈んでいく。空は見事な夕焼け。二人の姿はオレンジ色に染まる。 そろそろ帰りましょうか、とクリフトが提案する。 名残惜しいわ、とアリーナ。まだ、帰りたくない。 アリーナは立ち止まってしまった。 「アリーナ様。日が暮れてしまえば兵士が探しにきますよ」 「…わかってる」 駄々とは違う様子に、クリフトは躊躇う。 「ねぇ。最近サントハイムの女の子達がクリフトに好意を示しているけど、クリフトは好きな子、いるの」 「は?」 唐突な話に眉をひそめる。 「幼なじみだもんね。隠し事はなしよ」 「…?アリーナ様。わたくし良くわかりませんが…」 「惚けているの?」 「惚けてはおりませんが…?」 「じゃあ鈍感なのね」 アリーナの苛立ちに、クリフトは首を傾げる。 「私見たのよ。女の子が恋文渡したり、思いを告白したりしているところ。もうお付き合いしているの?」 そんなところを寄りによって見られてしまっていたか。クリフトは内心舌打ちをした。 「いえ…お断りしましたが」 「何で?皆可愛いし性格もいい子ばかりよ。勿体無い」 「好きな人が、いますから」 「え…?」 「その人はどう思っているかは知りませんよ、ね、アリーナ様。どうなんですか?」 「どうなんですかって言われても?」 「あなたのほうが鈍感なのですよ」 クリフトの顔は真っ赤だが、夕日の色に隠れてわからない。 「…クリフトが、私のこと好きだってこと?」 「…そうですよ」 「…勿論大好きよ!…それだけ?」 「それだけです」 「恋人なら恋人同士の証があるわ」 アリーナは目を閉じ、待っていた。 こ、これはもしや。 「あ、アリーナ様」 他に誰もいないことを確認してから、クリフトはアリーナを抱き寄せ、唇を重ねた。 そんな二人の様子を城の屋上から双眼鏡で覗いている二人がいた。 「うう~クリフトめ!外に出るのを許可しなければよかった…。アリーナを外に出せば何処の馬の骨がくっつくかもしれんと城内に匿っていたが…。敵は内部におったか!」 「王よ…。子供子供と親は思っているが子供はいつの間にか大人になっているもんじゃ。王もこの機会に子供離れしたらどうじゃ」 「う…うう~嫌じゃ~。あ、手を繋いで歩いてきとる…うわぁ~ん」 「はぁ~…情けないのう」 夕日の逆光で姿が影のようになっている二人を繋ぎとめる手。 よかったなぁ、クリフト。 隣で泣き喚く王を尻目に、幼い頃からアリーナへの想いを知っているブライは、安堵の様子で二人を双眼鏡で見つめていた。 アリーナのサランへお祭りに行きたいという申し出に、父王は未だ赤い顔して苦し紛れに頷いた。 「わーい。嬉しい。お父様、お土産買ってくるわね!何着ていこう~」 ウキウキとはしゃぐアリーナとは対照的に、酷く泣き顔の王。 いつもなら王の顔色に敏感に反応するのにこの日ばかりはどうも感じないようだ。 許可を貰うと光の如く自室へ戻ったアリーナを見送った王の脇に控えていたブライが、 「良いのですか?これでは二人の距離が狭まるだけですぞ」 といつもと変わらぬ表情で顎髭をしごく。 「お祭りの日だけは外に出てもいいようにしている。本年だけは駄目だとは言えんわい…。うわ~ん」 ブライは泣き出す王にハンカチを渡した。 「…どっちが子供かわからんわい」 ブライは溜め息をついた。 お洒落をしたアリーナが教会にいるクリフトを誘った。 昼は白い木綿のシンプルなワンピースだったが、夜は白い絹のベアトップフリルワンピース。膝上だが下品な長さではない。上に黒いボレロを着込んでいるから肌の露出は少ない。 アクセサリーは全てダイアモンドで統一。大きすぎず、小さすぎずのサイズは控えてでいて存在感がある。 少量の後れ毛はそのまま垂らしてあとの髪はアップにして止めている。いつものだらんと垂らしている髪型とはまた違った新鮮さを与える。 それに何より顔に化粧を施している。 お姫様の様な風貌に、クリフトは目を疑った。いや、お姫様なのだが。 「どうしたんですか…その風貌は」 「たまにはお洒落してみようと思ってね。どう?似合う?」 「とてもお似合いです」 クリフトは白いシャツと青いズボンのいたって普通のスタイル。アリーナがこうなら洒落たものを着れば良かったかな…と少し後悔した。 アリーナは元が良いのだから小綺麗な格好をすればそれ相応の淑女。 クリフトはアリーナをエスコートして城を出た。 アリーナの変貌っぷりにサントハイム内の人々は驚愕。 クリフトを好いていた女子達は、嫉妬と、悔しさと、そしてクリフト様の相手がアリーナ様ならと落胆した。 サランの町は既に祭りたけなわ。 灯りはあちらこちらに点っているが夜の闇には負ける。暗いので凝視しなければ人の顔はわからない。 だからこそアリーナが平民に混ざり祭りに参加出来るのだ。人々に混ざって露店で早速買い物。 「んん~冷たい!毎年このお祭りで食べるアイスキャンディは格別に美味しいわ!あ、あれ。次に食べようっと」 露店で食べ物を購入。次々と消化してゆく。 「あ、これ」 クリフトは玩具露店で立ち止まり、品物を物色。アリーナはその中から箱に一定の間隔で並んだ指輪を指差す。 「このおもちゃの指輪、小さい頃買ったわ…懐かしい」 「これですか?おもちゃじゃなくても、もっといいもの貰っていたんでしょうに」 「そうなんだけど…。これが良かったの。小さい頃にやれルビーだのダイアモンドだの指輪を貰っても価値も可愛げも感じなかったわ。凄く大事にしてた。無くしちゃったけど」 「今はルビーの指輪貰ったら大事にします?」 「大事にしないわ。ジャラジャラして好きじゃないもの」 「この指輪、差し上げたら大事にします?ジャラジャラして嫌でしょうか?」 「…。大事にしようかな」 「それではデザインを選んで下さい。わたくしは…これを」 子供サイズだから大人のクリフトの指にはなかなかあうものがなかったが、かろうじて小指にはまった指輪を購入した。 「私はこれ」 マーガレットが付いた指輪をアリーナは小指に嵌めた。アリーナもクリフト同様サイズがない。 「指輪を買うなんて兄ちゃんたち恋人同士かい?」 露店のおじさんは二人をはやし立てる。 毎年平民のような格好で参加しているからアリーナは人に気づかれないが、召かし込んだアリーナも殆ど見たことがない。 目の前にいるのが王女アリーナだと知る由もないおじさんは指輪を購入する二人を恋人だと勘違いしているのだった。 アリーナはクリフトを見た。クリフトははい、と答えた。 「小指に嵌める指輪はピンキーリングと言って、幸せが訪れるそうですよ」 わたくしは既に幸せがやってきましたが。 クリフトは呟いたがその言葉は喧騒にかき消え、アリーナの耳には届かなかった。 どおん。 轟音をたて、花火が夜空に散る。 「花火だ…綺麗ね」 「ええ」 毎年見ている花火とは今年は違うわね。それは隣りにあなたがいるかしら。 二人は手を繋いだ。花火が閃光を撒き散らすたび、買ったおもちゃの指輪を照らした。 花火よ、どうか我らに祝福を。 この想いよ、この終わらない夏のように永久に続け。 (了)
https://w.atwiki.jp/harvestmoon/pages/135.html
カイ 誕生日 夏/22日 夏の間だけ海岸で海の家を開きにやって来る、都会の青年 ミネラルタウンの住人たちとは上手くいっていたり、いなかったり 家庭の事情はガール版のイベントで明らかになる ラブラブ度アップポイント(ガール版) 家畜を1匹でも飼う 作物の出荷数(100個ごとの4段階)夏の作物出荷でさらにアップ オリハルコンの採掘量(100個ごとの4段階) 疲労を翌日に持ち越していない日数(10日間ごとの3段階) おしゃれ度(☆1ごとに7段階) 時期限定のためかリック並にラブラブ度は上がりやすい。 初登場の時点で既に水色になっていることも。 但し恋愛イベントに天候や増築が必要なことを考えると結局結婚できるのは 早くても2年目になるだろう。 関連イベント ボーイ、ガールで分けて記載 ボーイ イベント名 年数 季節 日にち 曜日 時間 天候 場所 発生条件 備考 夏男カイ登場! 1年目 春 30日 月 AM9 00~PM7 00 鍛冶屋前 友好度が少しアップ 主人公、ケンカに巻きこまれる 1年目 夏 PM5 00~AM0 00 宿屋 カイとの友好度低 どの選択肢も後味が悪い。カイ、リック、デューク、ジェフ、ダッドの友好度が変化 台風、そして手紙と香水 夏 台風の翌日 海岸 カイと仲良し 「いつか出ていくかも」で友好度アップ 海の家の材料調達 夏 15~29日 AM6 00~PM1 00 牧場 とうもろこしを1本売る。冷蔵庫の残り物でも可。「50円」で友好度アップ カイと花火大会 2年目 夏 24日 PM6 00~PM9 00 広場 前日までに宿屋2階で誘うこと? 友好度アップ ガール イベント名 年数 季節 日にち 曜日 時間 天候 場所 発生条件 備考 主人公、ケンカに巻きこまれる 1年目 夏 PM5 00~AM0 00 宿屋 どれを選んでもカイ・リックのラブラブ度が大幅に変動するため注意。 海の家の材料調達 夏 15~29日 牧場 ボーイ版同様。1年目は16日、2年目は15日に来る模様? 1日に植えていないと15日に収穫できたいため冷蔵庫頼りとなる カイの新年祭 2年目以降 夏 8日 PM9 00~PM11 00 牧場 ハート青以上その年の新年祭で誰とも踊っていないその年の女神祭で誰にもエスコートされていない カイと新年祭のダンスを踊るイベント。「OK」でラブラブ度大幅アップ。ある動画では『新年祭他の男の子とダンス+女神祭の前日、牧場に不在で誘われていない』でも発生しており、条件については検証余地あり。 恋愛イベント(ガール版) 上から順番に発生します。前半の「夏・天候」の縛りがきつい為、リセット地獄に陥る場合も イベント名 年数 季節 日にち 曜日 時間 天候 場所 発生条件 備考 彼との秘密 1年目 春 1~25日 火・日以外 AM10 00~PM1 00 晴れ 教会 「正直に出て行く」を選ぶ 台風、そして手紙と香水 夏 台風の翌日 海岸 ハート青以上 台風の翌日にのみ発生。「いつか出て行くかも」で手紙入りのビンを入手 わたしの家でおしゃべり 夏 日以外 AM9 00~PM5 00 雨 海岸 ハート緑以上増築して自宅にキッチンがあること 「いいよ、おいで」を選ぶ 息子と父親 夏 月~金 AM8 00~PM6 00 宿屋 ハート黄以上 「くわしい話を聞く」を選ぶ カイと花火大会 夏 24日 PM6 00~PM9 00 広場 ハート橙以上 前日までに海の家営業時間外で誘うこと。「カイと花火を見る」を選ぶ プロポーズ…カイ 夏 就寝時(強制) 台風以外 牧場 ハート赤 「わたしもカイが好き」でプロポーズにOKしたことになる わたしとカイの結婚式 秋 1日 プロポーズを受けた年の秋1日に行われる ライバルイベント ボーイ版、ポプリのライバルイベントと同内容 行動パターン 6 7 8 9 10 11 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 0 通常 宿屋2階 海岸 海の家(接触不可) 海岸 海の家(左同) 宿屋2階 日曜 宿屋2階 海岸 宿屋2階 日曜・雨 宿屋2階 好き嫌い 特別 パイナップルフレンチトースト カレーライス オムライス 焼きめし 大好き パン 小麦粉 油 トマト卵(ガール版) 好き カレー粉 刺身 とうもろこし(ボーイ版)卵(ボーイ版) 嫌い 温泉卵 きのこ類 大嫌い 各種鉱石 各種色草 各種ゴミ石 枝 雑草 毒きのこ 特別 ピッツァ ちらし寿司(ラブラブ度ダウン) 好きな動物 仔犬 成犬 嫌いな動物 + セリフ集 ボーイ版 ●大好き:ああ…サンキュー。お前だけだよ、オレにやさしい男 ●好き:お、サンキュ。ありがとな ●普通:サンキュ、またな ●嫌い:…オレ、嫌いなんだよ、これ ●大嫌い:こんなもん、どっかにすてとけよ。お前って変なヤツだよなぁ… ●誕生日:うわ、マジで? …オレさ、正直言って、お前いがいで男から誕生日プレゼントもらったの、親父だけかも ●好き(動物):クックックッ、ガキだな、お前 ●嫌い(動物): ガール版 ●大好き:ウッソ!? マジでこれ、オレにくれんの? も、すっげーカンゲキ。マジで ●好き:おお、これくれんの? やった、サンキュ ●普通:お、サンキュ ●嫌い:…ゴメン、オレ、これダメなんだ ●大嫌い:…何、これ? オレがこんなもん、ほしそうにみえる? ●パイナップル:うわ、マジでもらっていいの!? ここだけの話さ、パイナップルが大好きなんて、ちょっとカッコ悪いじゃん。でも、○○だけにはバレちゃっていいかな ●女の子が作ってくれる好みの料理:これ、オレに?うっそ、カッワイー!なんか、いっしょうけんめい作ってるすがたが目にうかぶわ ●好き(動物):クックックッ、カッワイー ●嫌い(動物): 香水 ●ボーイ版:何だよ。一度やったもん、返すって言われても受けとらないよ、オレ ●ガール版:あ、使ってくれてんだ。チョーシビィーよ、マジで 可哀想なのでry暫定。卵はボーイ、ガールで好き度合いが異なります -- 名無しさん (2010-11-30 16 08 23) 大枠完了。気が向いた時に編集お願いします -- 名無しさん (2010-12-01 00 57 28) カイの店に何が売ってるんですか。 -- スゴイ君 (2011-01-10 12 35 59) カイの店には、 -- いちご (2011-01-10 20 58 01) 水...100G、ピザ...200G、焼きトウモロコシ...250G、スパゲティ...300G、かき氷...300Gで売っています。 -- いちご (2011-01-10 21 02 06) 「夏男カイ登場!」はガールでも発生するよっ! -- キラ (2011-01-30 10 51 00) 編集されていないような…wガール版でのピッツァの反応「こういうこったもん云々」は多分好きではなくて嫌い?のほうだと思います。フレンチトーストあげたら「一生懸命云々」でした。こっちが好き反応?でもピッツァを二回以上あげると以降は「ウッソ!?マジでこれオレにくれるの云々」と喜ばれますね。フレンチトースト二回目は「お、サンキュ」でした。どっちが好きなのかサッパリですw -- 名無しさん (2011-01-31 20 17 27) あ、あるぇ?だったので編集してませんすみません…w手がかかっていすぎてドン引きってリアクションだったんでしょうかw編集どうしよう…w -- 名無しさん (2011-01-31 20 55 47) 彼とも秘密もやんないで夏になってしまったんですが、その後のイベはきますかね; -- 名無しさん (2011-03-25 07 14 53) めげずに台風起こしてみて下さい。…私はあらゆるカイイベが起きない周回があり、理由を考えたら最初の「彼との秘密」を起こしていなかった、という覚えがあります。他の理由があったのかもしれませんが、ハート青なのに台風後イベが起きなかったら「彼との秘密」未発生がフラグを折っているのかもしれません…; -- 名無しさん (2011-03-25 11 43 42) 力のみ -- 名無しさん (2011-05-24 22 39 51) カイの新年祭の発生条件の『誰にもエスコートされていない』ってエスコートされても全て断ればokなんでしょうか? -- 名無しさん (2011-06-30 18 00 02) すみません、イベント一覧の方に載ってました -- 名無しさん (2011-06-30 18 54 08) 一年目の海開きの時点でカイのハートが水色だったのですがなぜでしょうか? -- 名無しさん (2011-09-16 00 37 56) あれ?小麦粉も確か大好きだったはず・・・セリフも確認済みです。 -- 名無しさん (2011-11-08 18 27 44) 結婚してやる!! -- 名無しさん (2011-11-18 20 07 02) うわ、ひきこもってたら、夏おわってた(汗) -- もっぷ (2011-12-11 16 14 11) トマト祭難しい -- 名無しさん (2011-12-11 21 56 49) 彼との秘密でそのまんま懺悔聞いておいたらカイ登場でいきなり黄緑のハートに -- 名無しさん (2011-12-26 10 22 28) カイの新年祭イベおきないです ダンスは誰とも踊っていないし、エスコートはクリフだけ来て断ったんですが・・・ -- ゆ (2012-01-16 02 30 54) 私も新年祭イベ起きませんでした・・・。条件は満たしているんですけど・・・。 -- 名無しさん (2012-02-06 14 03 11) カイって星夜祭に招待できますか? -- 名無しさん (2012-02-17 21 54 06) ボーイですけど、トマトあげたら好きの反応でしたよ-・・・ガールでは大好きなの???? -- なな (2012-03-03 23 48 44) ガール版で、誰か1人のハートが真っ赤になると、他の人のハートは変化しなくなるんでしょうか?クリフが真っ赤になってから誰1人としてハートの色が変化しなくなってしまいました。カイの新年際イベントが起きなかったのもクリフのハートが真っ赤になっていたせいなのかなと思ったり。 -- ここ (2012-04-02 17 41 12) 追記です。そして、焦ってクリフにゴミを毎日(ここ1か月位は毎日です)あげているのですが苦笑、ハートが真っ赤のまま変化がないのです。もしかしてハートは真っ赤になると変化しないのでしょうか?もう、クリフとのエンディングを迎えるしかないのでしょうか。どなたか意見をお願いいたします。。 -- ここ (2012-04-02 17 43 12) ボーイ同様全員を赤にするプレイは普通に可能ですよ、大丈夫です リックとカイは牧場強制プロポーズの関係で赤で放置するのは難しいですが… ガールはボーイと違い、日々のプレゼントがハートの色に全くと言っていいほど関係していない印象を受けます お月見などでクリフが来て厄介でしたら、もういっそ振っておいてしまうのが一番負担が少ないかもです…(´・ω・) -- 名無しさん (2012-04-03 06 40 36) 回答ありがとうございます!そうなんですか…私はカイが本命なんですが、新年際イベントが見たくて、まだ結婚したくないんです。でも2年目で、条件は揃っているはずなのにイベントが起きなくて; カイは夏しかいないので、他の季節にボーイ達のハートがどんどん変化して; ガールはボーイと違い、友好度と恋愛度も違うようで少し難しいですね^^; -- ここ (2012-04-03 16 38 00) ↑2です、不確かな情報でしか語れずすみません… 私は上記の「条件」で発生させられたと記憶していたので写メをさらってみたところ、 新年祭イベが起きた際のカイのハートは橙でしたが、「わたしの家でおしゃべり」は未発生でした またリックのプロポーズを振るすぐ前に起きていましたので、他キャラの恋愛度も関係ないかと思われます 何の参考にもならないかもですが、お役に立てれば… -- 名無しさん (2012-04-03 21 11 47) ハリス -- 名無しさん (2012-06-20 03 01 19) 新年祭イベ2年目発生しました☆断るどころか速攻寝て新年祭&女神祭のイベ自体起こしていません。 -- 名無しさん (2012-06-22 03 13 30) 台風翌日ゲットしたビンはどうすればいいんでしょうか -- 牧場物語 (2012-12-17 21 12 51) ガール版ですが、台風でゲットしたビンはランかクリフかダッドにみせると『クリフの手紙』というイベが発生するみたいです -- 名無しさん (2012-12-20 21 30 38) 新年祭イベ↑が仰っているとおり新年祭&女神祭行かなくても起こりました -- あ (2013-03-17 23 48 34) またさらに花火大会一緒に過ごした翌年にも確認することができました!クリフが去ってしまったら起こりませんでした -- あ (2013-03-17 23 49 53) 「私の家でおしゃべり」発生時のカイ・・・「バビった」ってなんだw -- 名無しさん (2013-09-11 00 42 40) 「主人公喧嘩に巻き込まれる」が発生しないのですが…。海開きで1位になってませんし、まだ夏の5日目なのでカイと仲良くはなってないと思うのですが…誰かわかる方居ません? -- 名無しさん (2013-10-28 13 19 25) ↑ガール版だと好感度が上がりやすい(鏡を見る等)ので発生しない事もありますが…ボーイ版かな? ※(このイベントに限らず)手に何か持っていると発生しないイベントも稀にあるので手ぶら推奨です -- メロディ (2013-11-02 03 00 54) カイの新年祭ってやらなきゃ結婚できませんか? -- 名無しさん (2014-02-11 18 14 38) ↑好感度を大幅に上げる事が出来るだけで、恋愛イベントとは別です。新年祭を起こさなくても問題なく結婚出来ますよ(^^) -- メロディ (2014-02-11 21 02 35) 早く結婚したいのですがおしゃべりをするところで雨が降らないのですがどうすればいいですか? -- キャベツ (2014-02-19 15 49 00) ↑天気に関しては運です。セーブとロードを繰り返せば天気が変わるので、お試し下さい(^^) ※因みに変わるのは“セーブした翌々日 以降”の天気です、ご注意を -- メロディ (2014-02-23 02 03 18) なんでか雨の日までカイの店がやっててイベントができない… -- 名無しさん (2014-09-08 22 29 45) ↑(カイに限らず)順にイベントを発生させてますか?前のイベントを見ないと発生しない物もあるので注意です。&手に物を持った状態だと発生しないイベントなども稀にあるので、それも注意 -- メロディ (2015-01-03 22 25 32) なんでカイはラブラブ度がすぐ上がるのイベント1個のしてないのにハートが青 -- 名無しさん (2015-01-07 08 37 50) ↑女のコ大好きですからね(笑) 夏にしか会えない分、上がりやすくなってるのかもしれないですが… -- メロディ (2015-01-08 01 44 37) トウモロコシのイベントはガール版で18日に牧場でトウモロコシが収穫できるようになったら起こりましたよ!イベントが起きる日にちは決まってないのでは? -- クリスタル (2015-02-18 19 18 27) しかも「1日目に植えないと15日目に収穫できない」になってるけど、1日目は海開きで雑貨屋休みだから植えられねーよwwww誰か直せ -- 名無しさん (2015-02-19 19 41 59) ↑二年目以降は種のストックがあれば植えられるのでは? -- 名無しさん (2015-03-16 01 39 51) ↑…私は毎度、冷蔵庫から取り出した冷たいトウモロコシを渡しています(小声) -- メロディ (2015-07-12 00 14 34) ワインも大好きな感じなのですが( ;´Д`) -- まりあ (2015-10-11 05 54 08) 春になんども教会へ行っているのですがカイと出会えません…(。´Д⊂) -- 名無しさん (2015-11-03 14 15 28) ↑ガール版ですよね?教会の懺悔部屋を調べたら発生した様な気がします -- メロディ (2015-11-23 21 05 59) ハート赤なのにエスコートされないのはどうして? -- ぺこ (2016-01-09 00 15 47) 新年祭はドクターと踊ったのにカイの新年祭発生して驚いた。ちなみに、女神祭は誘われなかった。 -- 名無しさん (2016-01-14 11 26 18) クリフは教会行った回数だったり、リックは鶏の数だったりで愛情度上がるけどカイはなんだろ? -- 名無しさん (2016-02-04 14 21 35) ↑海の家での注文回数だと思います。ただ、このシステムはGA版の方にはありますが、PS・PSP版にもあるのかは分かりません… -- メロディ (2016-02-04 15 33 28) ↑脱字スミマセン…GBA版(ミネラルタウンのなかまたち)の事です。 -- メロディ (2016-02-04 15 37 38) ↑ありがとうございます! とにかくカイの店に通うことにします! -- 名無しさん (2016-02-04 19 48 23) あれ他のイベントやった記憶ないのに花火イベントまで飛んでる? -- 名無しさん (2016-03-07 21 37 54) 3年目、誰にもエスコートされてないし踊ってない、ハートは黄色で条件を満たしてるのに新年祭イベント起きない…なぜ… -- 名無しさん (2016-08-04 03 27 20) ピッツァあげたら橙から黄色に…。フレンチトーストあげたらまた橙になったけど -- 名無しさん (2017-02-16 18 03 03) ガール版で結婚当日の選択で断るとライバルと結婚はしないですか?ポプリとカイが結婚してくれない… -- 名無しさん (2017-03-20 23 51 29) 感謝祭のチョコレートをカイに届ける方法は無いんですかね?ザクに頼めば届けてくれる仕様になっていたらよかったのに -- 名無しさん (2017-04-01 19 42 40) カイから貰える手紙入りのビンは部屋のどこに飾られるんでしょうか? -- 名無しさん (2017-09-19 21 28 46) 手紙の入った瓶を入手したのですが、これは2年目までリュックに入れておかなければならないのでしょうか?一年目夏で自宅もまだ改築していないですし…。イベントは2年目からしか起きないですよね? -- 名無しさん (2017-10-17 23 50 13) ↑私の場合「手紙入りのビン」は、ダッドに見せて(渡す)リュックを空けてしまいます。入手したその日に即渡してok。これでフラグが立ち、のちに会話イベント回収できます。 -- あん (2017-11-04 16 26 42) ↑手紙入りの小瓶は2つ存在します。まず釣りで手に入る小瓶、これはレシピが中に入っているだけで入手後は好きに扱って構いません(因みにゴミ判定なので人にあげるのはNG)。大事なのはカイのイベントで拾う小瓶です。ボーイズ版では自宅を最終段階まで増築させた時に飾られます(飾られるまでリュック、または整理棚にしまっておく必要あり)。ガールズ版ではクリフとの恋愛イベントに発展します(ボーイズ版不可) -- メロディ (2017-11-13 23 05 55) トマトは『大好き』ではなく『好き』の反応でした。 -- 名無しさん (2018-07-01 03 13 01) 春の一年目の懺悔を見なければ他の恋愛イベントは起きないのでしょうか…? -- 名無しさん (2018-08-07 18 42 41) オムライス好きみたいです。専用セリフありました -- 名無しさん (2018-12-06 11 13 04) てんぷらうどん、案の定きらいでした。あ -- 名無しさん (2019-03-01 14 12 53) 新年祭他の男の子と踊って、女神祭の誘いに来た男の子全員を断った場合、新年祭イベント起きませんでした。一応報告を -- 名無しさん (2019-04-16 11 01 23) ボーイ盤ではオムライス嫌いの反応です -- あこ (2020-05-26 00 19 54) もうすぐ夏が終わるのに…台風が来ない😭カイの♡は緑です!2年目でも台風翌日の手紙入り小瓶と香水のイベント発生しますか?…誰か教えてください -- 名無しさん (2020-07-09 01 00 16) カイの健康を気遣って、かなりちからでーると かなりつかれとれーるをプレゼントしたら大嫌いなんですね…PSガール版です -- 名無しさん (2020-10-25 02 41 11) ガール版3年目ですが台風が今だきません(冬は大雪の日が何度もありましたが…)台風が来ないので香水イベントからカイカイのイベントが止まってしまって、どうしたらいいですか? -- 名無しさん (2020-11-01 12 17 52) カイの花火大会 2年目夏19日(日)PM2 20k -- 名無しさん (2021-11-23 12 27 05) ↑海岸で話しかけたら誘えました -- 名無しさん (2021-11-23 12 27 39) 既出でしたらすみません、お月見イベはいくら他の婿候補より好感度が高くてもカイは現れないんでしょうか?GBAミネなかでは来てくれた気がするので… -- 名無し (2021-12-22 23 15 11) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/73.html
クリフトとアリーナの想いは Part4.2 484 :煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2006/03/08(水) 17 21 15 ID UIJWwCO+0 クリフトとアリーナの仲を邪魔したいサントハイム王は、今日も玉座で唸っていた。 「う~む、何かいい方法は・・・」 サントハイム王は閃いた! (そうじゃ、そうじゃ、その手があったか!) 自分の考えが気に入ったのか、妙に上機嫌でブライを呼び寄せる。 「近日中に武闘会を開くぞ。そして優勝したものにはアリーナとのデート権を与える!!」 「ねぇ、クリフト、武闘会の話、聞いた?」 書庫で調べ物をしているクリフトを見つけ、アリーナが嬉しそうに駆け寄ってきた。 「もちろん、クリフトも参加するわよね?」 今にも飛び掛らんばかりのアリーナを警戒してか、クリフトは貴重な書籍をそっと奥へやった。 「えぇ、今朝方伺いました。でも、私は参加しませんよ」 予想外の返答にアリーナは目を丸くする。 「どうしてよ?」 アリーナの問いに間髪いれず答える。 「その日は朝からフレノールで仕事です」 王命ですから。 クリフトは事も無げに、話す。 アリーナは愕然とした。アリーナとしてはクリフトが参加するのは当然のこと、優勝すら疑っていなかったのだから、その衝撃たるやかなりのものであった。 (お、お父様、謀ったわね~) 妙に機嫌がよかった父王の顔を思い出し、アリーナは唇を噛む。 (だから、今回は『男性限定』なんて念を押してきたのね) 無性に腹が立ってきた。 「ねぇ、クリフト。抗議しに行きましょう。こんなのフェアじゃないわ」 憤りもあらわに、アリーナはクリフトに詰め寄る。 クリフトはため息をつきつつも、アリーナを椅子に座らせ、落ち着くように言った。 そして、アリーナの柔らかな髪を撫でた。 「姫様。今回の武闘会の趣旨をご存知ですか? これは姫様とボンモールの王子のちょっとした“お見合い”ですよ。非公式なので“出会い”と申し上げた方がよいかもしれませんが」 そこで言葉を切ると、クリフトは少し寂しげに微笑んだ。 「もし私が武闘会に参加することが出来たとしても、私の立場でボンモールの王子を倒すことは外交的に無理ですね」 ですから、参加してもしなくても、結果は同じです。 すべてを諦観したような穏やかな口ぶりに、アリーナは失望する。 「私ね、あなたならどんな状況でも私のために闘ってくれると思ってた。でも、思い過ごしだったみたいね」 アリーナは席を立つと、後ろを振り返ることなく走り去っていった。 瞳の端に光るものが見えたのは気のせいだろうか。 クリフトはアリーナの後姿を眺めつつ、重い気持ちになった。 (姫様、私だって本当は・・・) 口に出すことも出来ないこの思い。出したところで自分の立場は何一つ変わらない。 (本当はあなたのために闘いたい。闘って・・・あなたと) 愛する人が、他の誰かとデートするなんて・・・気が狂いそうだ。 しかし、その一言を伝えられないが故に、彼女を傷つけてしまった。 クリフトは、ゆらりと立ち上がると、口の端に暗い笑みを浮かべた。 たかがデート、されどデート。 「陛下、この代償は高くつきますよ」 武闘会当日、アリーナは思いっきり不機嫌な顔で椅子に腰掛けていた。 横で、警護というよりアリーナの見張り役にあたっているブライが、そっと耳打ちをする。 「姫様、もう少しにこやかにしてくだされ」 無理な相談であろうことはわかっていた。 だが、ここでボンモールの王子の機嫌を損ねるようなことになれば、潔く身を引いたクリフトが哀れというものである。 アリーナは一国の姫であり、その影響力は国内外を問わず大きい。 たとえ、どんなに馬鹿馬鹿しくても、一度決まってしまったならば、よほどのことがない限り相手の顔を潰すことだけは避けなくてはならない。 それが外交である。 ブライの言葉に、アリーナはむっとした様子で頷いた。 「わかってるわよ。にこやかにしていればいいんでしょ。にこやかに」 それでにこやかだというなら、暴れ牛鳥のほうがよっぽど愛嬌があるというもの。 ブライは心のうちで、苦いため息を吐いた。 「おぉ、皆のもの、揃っているようじゃな」 ウキウキとしたようすを隠すことなく、サントハイム王が臨席する。 「それでは、そろそろ始めるとするかの。ブライ。挑戦者の名を読み上げてくれ」 「御意」 王の命令に、ブライは名簿に目を落とす。そして次の瞬間、目を見開いた。 (あやつ・・・) ブライは大声を上げて笑いたい気持ちになった。 (食えないやつだとは思っていたが、ここまでやるとは) ブライが見たもの、それは――― 「どうしたのじゃ、ブライ?」 なかなか読み上げないブライを不審に思ったか、サントハイム王が問う。 ブライは王に一礼すると、声高に読み上げ始めた。 「挑戦者を発表する。サントハイム近衛騎士団小隊長・・・」 続々と名前があがり、その中には今回の優勝者となるべき者の名前も告げられた。 そして最後の一人になったとき、ブライは僅かに息を呑み瞑目した。 この名を告げるには、ある意味非常に勇気が要った。 「デスピサロ!・・・以上」 その一言にサントハイム王は目を剥き、熱気に溢れていた会場が一気に静まりかえった。 そう、クリフトは怒っていた。これ以上ないほどに。 サントハイム王のつまらない画策により、愛する人を傷つけてしまったことに、とてつもない憤りを感じていた。 だから、卑怯を承知で、手を打った。 王子という立場に何一つ遠慮することのない身分のものを参加させる。 勇者ならそれも可能だったかもしれない。しかしそれでは武闘会自体は開かれることとなり、結局ソロが優勝するにせよ、多少なりの遺恨が残ってしまう。 ならば、武闘会自体を潰してしまえる存在をぶつければよい。それならば、王子の面目も保て、サントハイムにも非が及ばない。 それにうってつけの者、それがデスピサロ。 魔族の『王』という肩書き、そして圧倒的な戦闘力。この名を聞いて闘いたいと思う物好きはおそらくほとんどいないであろう。 だから、アリーナを傷つけてしまったその足で、クリフトはロザリーヒルへ赴いた。 ピサロに参加してもらうために。 もちろん、ピサロはああいう性格であるため、普通にお願いして引っ張り出すのは大変である。 しかし、クリフトは彼の泣き所を知っていた。だから、迷わずに彼女に相談を持ちかけた。 案の定、心優しい彼女はピサロを説得してくれ、今に至る。 ブライの声が響き渡った瞬間、アリーナは群衆の中で圧倒的な威圧感を放つピサロに目を向けた。彼は顔色一つ変えず、泰然と構えていた。 「お、おい、デスピサロって・・・。ちょっとまずいんじゃないか?」 軽い気持ちで参加していた者たちが、青ざめる。そして、出場の辞退を申し出るために列を成した。 会場はいまや大混乱である。 サントハイム王は、この事態をどう受け止めたのか。 深々とため息をつくと、傍らに立つ腹心に武闘会の中止を申し付けた。 「ピサロ!」 アリーナが名を呼ぶと、魔族の王はゆっくりと振り返った。 「久しいな」 ぶっきらぼうな物言いが、妙に似合っている。 アリーナは複雑な顔をして尋ねる。 「どうしてここに?」 すると、ピサロは口の端を僅かにあげて笑った。 その珍しい表情にアリーナは戸惑う。 「やつは、かなりお前にいれこんでいるらしいな」 答えになっているような、いないような。 アリーナが重ねて尋ねようとする前に、ピサロはさっと踵を返す。 そして、呪文の詠唱に入ると、僅かに目を細めた。 「ロザリーがお前にも会いたがっていた」 今度はふたりで来るがいい。いや、3人か・・・。 ぼそぼそと呟かれた言葉がアリーナの耳に届いた時には、目の前にピサロの姿はなかった。 「ブライよ。あやつは大人げないのう」 たかが、デート権でここまでするか? サントハイム王は眉間を揉みながら、ため息混じりに呟いた。 そう、今回の目的はあくまで嫌がらせ。仲のよすぎるふたりにちょっかいをかけたかっただけ。 デート権をちらつかせたからといってクリフトが職務を放棄できるはずもなく、それは王の計算のうちだった。ただ、アリーナより仕事を優先したということで、アリーナ自身が、クリフトに少しでも不信感を持ってくれれば・・・いや、ほんのちょっとでも喧嘩してくれたらいいなぁ、と考えていたのだ。それなのにとんだ事態になるとは。 クリフトのやつは心が狭いのう。 ブライは王の呟きを耳にして、頭を抱えた。 「陛下。デート権だったからこそ、この程度で済んだのですぞ」 これが『結婚』だったら、どんな手段をつかってきたやら。 考えるだけで頭が痛い。 ブライは自分の大人げのなさを棚に上げ、クリフトの狭量さを責める王に呆れる。 (陛下、お願いですから、これ以上あやつを怒らせないで下され) 心臓がいくつあっても足りない。 胸のうちでそうぼやきながらも、心のどこかでこの事態を愉快と感じている自分を認めていた。 (恋馬鹿もここまで極めれば立派なもの) まさか『デスピサロ』を引っ張り出してくるとは、侮れない判断力だ。 (意外と、あやつは大物になるやもしれんな) アリーナに振り回され、鼻血ばっかりふいていた青年の姿が浮かぶ。 だが、それは遠い過去のことなのかもしれない。時間の流れに思いを馳せながら、ブライは複雑な顔をする。 彼の成長を見るのは、息子のいないブライにとっての喜びでもある。次々と障害を乗り越えていくクリフトを見るのは正直嬉しい。 しかし・・・。 (おぬしの選んだ道は険しいぞ) ブライの忠告もどこ吹く風。 また新たなる策を練りだした王を見つめ、ブライは本日何度目かのため息をついた。 「というわけで、武闘会は潰れたわ」 フレノールでの仕事を終え、自室に戻ってきたクリフトにアリーナはそう告げた。 クリフトは、こんな夜分に男の部屋にいらっしゃるなんて非常識ですよ、と苦い表情をしたが、アリーナが頑として動かないので、仕方なく席を勧めた。 「ねぇ、どうしてピサロは参加しようと思ったのかな?」 アリーナの質問に答えながら、クリフトは紅茶を入れる。 「腕試しじゃないですか?」 何にしても、よかったじゃないですか。デートのお話は消えたのでしょう? いつもと変わらないその穏やかな様子に、アリーナは眉をひそめる。 アリーナとて馬鹿ではない。 導かれし者が一人も出ないような大会に、ピサロがわざわざ出るはずもない。 それくらいのことはわかっている。 となれば、誰かが彼に出てもらうために画策したとしか思えない。そしてそれを行ったのはたぶん、目の前にいる人物。 アリーナは湯気を立てる紅茶を冷ましながら、ちらりとクリフトを見やる。 (諦めたわけじゃなかったんだ) 実のところ今回、アリーナは半分諦めていたのだ。 クリフトの言葉を聞いた時は正直腹も立ったけれど、冷静に考えてみれば、たかが『デート権』。 結婚というわけでもなし、デートというなら何とでもなる。ただ、相手の顔を潰さなければそれでいいわけだし、そんなに重く受け止めてはいなかった。 もちろん、クリフトが参加できないのは辛いし、よそよそしい態度をとられたのはショックだったけど。 でも、それも彼の立場を考えればしかたがないと、自分に言い聞かせていたのだ。 それなのに、彼は動いてくれた。 アリーナの視線に気がついたのか、クリフトがこちらを向く。 目と目が合った。 アリーナは極上の微笑を浮かべた。クリフトの頬が僅かに赤くなる。 「姫様?どうかなされましたか?」 彼が冷静に振舞おうとすればするほど、アリーナはおかしくてたまらない。 (意外と、やきもち焼きだったのね) アリーナはカップを机に戻すと、おもむろに立ち上がりクリフトの横に立った。 そしてすばやく身をかがめると、耳元に囁く。 「クリフト、大好き」 やきもちやきでも、ちょっと腹黒くても、アリーナにとっての一番はやっぱりクリフト。 アリーナはますます赤くなったクリフトの首に手を回すと、頬にそっと口付けた。 (終)
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/299.html
クリフトとアリーナへの想いはPart.9 864 名前 737  Mail sage 投稿日 2009/04/05(日) 20 43 02 ID oABWxfeH0 【スライムピアス】 アリーナは馬車の中で、勇者(男)のスライムピアスを拾った。 とめ具の部分が壊れていた。おそらくそのせいで落としたのだろう。 「前からこれ、いいなって気になってたのよね。 何の素材で出来てるのかしら?」 試しにぐっと押してみる。 するとヒビが入り、あっけなく砕け散ってしまった。 顔が青ざめる。アリーナは完全に力加減を誤った。 「どっ、ど、どどどうしよう……!? 勇者、結構気に入ってたみたいだし………!」 アリーナは低い“かしこさ”で必死に考える。 (あ、そうだ!明日までに私が粘土で代わりのを作ればいいのよ!) 「―――――で、おおみみずになっちゃたわけ?」 朝、宿屋の食堂でアリーナが昨晩夜なべして作った スライム(になるはずだった)ピアスを見て、勇者が尋ねた。 「……ごめんなさいっ!!」 アリーナは勢いよく頭を下げる。 「………にしたって、天才的な造形だな。なんでスライムが おおみみずになるんだよ。」 「スライムの角の部分を作ろうとすると、こう細長くなっちゃって どんどん全体的に長くなっちゃったっていうか……。 あ!ちなみに“おおみみず”じゃなくて“マリンワーム”よ。 色が青いでしょ?」 「どっちにしろミミズじゃねーか!」 勇者はため息をつく。 「………いいよ、もう。壊れちゃったもんはしょうがないし。」 アリーナの表情がパッと明るくなる。 「じゃあ、コレつけてくれるの!?」 「絶対つけない。」 勇者は即答した。 「なんでよー!」 アリーナはぶつぶつ拗ねている。 「………あ、そうだ!」勇者はにやりと笑った。 「これ、クリフトにプレゼントしろよ! アリーナの手作りだって聞いたら、泣いて喜ぶぞ。」 クリフトは馬車のそばで本を読んでいた。 「クリフトーーっ!!」 アリーナが笑顔で駆けて来る。 「姫様!どうなさったんですか?」 クリフトもつられてにっこり笑う。 「これ、クリフトにプレゼントよ。私の手作りなの!」 アリーナはピンクのリボンでラッピングされた白い小箱を差し出した。 ―――もちろん、勇者が用意させたのだ。 「ひ、姫様が、私のために………?」 「ね、今すぐ開けてみて!」 「ありがとうございます!感激ですっ!死んでもお墓まで持って参り――」 クリフトの顔は固まった。 「どう?」 「どう……と、おっしゃられましても。」 「クリフトなら、つけてくれるでしょ?」 クリフトは顔を引きつらせる。 「あの……申し訳ないのですが…… 私はピアスの穴を開けてないので……」 「そう言うと思って、ちゃんと針も用意しといたわ!!」 アリーナは針を差し出す。 「ちょっ……!それっ、どくばりじゃないですかっ!! 死にますよ!!」 「大丈夫よ。急所じゃないし。ほら、クリフト耳出して!!」 「ちょ、ちょっと待ってくださいっ!!」 クリフトが後ずさり、じりじりとアリーナが近づいていく。 「あぁ……、あぁぁああーーーっ!!」 クリフトの悲鳴がむなしく辺りに響き渡った。 その頃、勇者は宿屋で剣の手入れをしていた。 (―――ていうか、オレはもう失くしたと思ってたから あんなの作らないで、そのまま知らんぷりしてれば良かったんじゃないのか?) 勇者は一人、苦笑した。 《おわり》
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/159.html
クリフトのアリーナへの想いはPart6 204 :200:2006/09/20(水) 20 40 05 ID ZmBTEk2j0 注)ここではⅣ勇者はエヴァとなっています。 「……っかれた……」 ばふんと宿のベッドに倒れこんだエヴァに、クリフトは苦笑した。 確かに今回の旅は敵の強さに加えて山をひとつ超えてきたせいもあり、疲労が多いものとなった。 足は硬くなっているし、足の裏はすりむけたようにひりひりする。 クリフトとて今すぐベッドで横になりたいほど、疲れていたが。 「その泥だらけの身体を綺麗にしてから、横になってくださいよ」 緑の神官服にちらほらついている茶色の汚れを擦れば、ぽろぽろと床に落ちた。 それでもまだクリフトはマシの方で、エヴァはほとんど泥まみれになっている。 それもこれも、戦闘中、こともあろうか敵前ですっころんだエヴァ自身のせいである。 「……やだ。疲れた。眠い。つーか腹減った」 「あなたは泥まみれのベッドで寝たいんですか」 薄暗い宿の光の中、クリフトは泥で汚れた手袋や帽子を外す。 「それもやだ」 「そうですか。じゃあ、私はお風呂を頂いてきます」 「俺を置いていくのか~。クリフトぉ~」 「人聞きの悪いこと言わないで下さい」 「連れてって」 「引きずっていいならいいですよ」 「……お前、性格悪いよな」 「博愛主義者にも限度があるってことです」 「お前、あれだろ。俺がこの前エンドールでアリーナとデートしたこと怒ってんだろ。この根暗」 エヴァはベッドに腹ばいになって横目でクリフトの動向を見ていたが、次の瞬間がくんと身体が下がった。 「へ?」 いきなり足をつかまれ、引っ張られたのだ。 そのまま、ベッドから引きずり落される。 思いっきり上半身が床に打ちつけられた。 「……っ……っっっ」 鼻を思いきり打ち、頬骨がずきずき鋭く痛み、目の奥がちかちか光る。 「な、おま、ちょっ、なに、おま、人殺し!?」 「お望みどおり連れていって差し上げるんです。何が不満なんですか?」 「不満だらけだろ!? なに引きずってんの本気で!」 「痛かったですか? それはすみません。まさか勇者ともあろう方が、その程度でダメージを受けるとは思わなかったので」 「いやいや、思えよ! ……あー、もう、やめれ。俺歩くから。あとベホマしてベホマ」 「ご自身でどうぞ」 「あ、てめこんにゃろ。俺まだベホマ覚えてないって知ってるだろ」 「ベホイミがあるじゃないですか」 「アリーナにはかすり傷でもベホマなくせに!」 「当然です。姫様は大切な身体ですから」 「俺だって大切だろ? この旅の大事な大事な勇者様だろ?」 「……さ、お風呂へ行きますか」 「あれ、無視なの? 完全しかと?」 俺、勇者だよ? と、嘆くエヴァに、クリフトは呆れてため息をついた。 ☆ 「あれ? クリフトは?」 風呂上がりに牛乳を呑んでいるエヴァに、アリーナが話しかけてきた。 アリーナはこれから風呂に入るのか、風呂用具を片手に持っている。 「……お兄さんは悲しいぞ。ナゼにここにいるカッコいいお兄さんではなく、いないどっかの性悪神官なぞを気にかけるかね、お姫さま」 「だって、最近エヴァ、よくクリフトと一緒にいるじゃない」 「やめれー。そんなおっそろしいこと」 「じゃあクリフトと一緒にいないでよー」 「はい?」 「だってエヴァのせいで、クリフトと一緒にいる時間うんと減ったもん。エヴァのせいだもん」 マシュマロのようなほっぺを膨らましてエヴァを睨む姿は、大好きなお兄ちゃんを盗られた妹だ。 それをもう少し深く掘り下げれば、恋になるんだろうが。 まだまだ“少女”であるアリーナには、もう少し先のことなるだろうけれど。 しかし、無自覚な恋心から、嫉妬を受けるエヴァは嫌そうに頬をかいた。 どうして野郎のことで女に嫉妬をされなければならないんだ、と。 人生において、最大の汚点な気がする。 項垂れたエヴァに、さすがのアリーナも心配したらしい。 「エヴァ、大丈夫?」 「うんにゃ、もう駄目。あ、てか。アリーナ風呂はいんの?」 「え? あ、うん。泥だらけだから、ちゃんと入ってきなさいってミネアに言われて」 「……そっか。いいぞ、風呂はさっぱりするぞ。特にここ露天風呂ついてるから、露天風呂いいぞ。最高だぞ」 「露天風呂もついてるの!?」 「クリフトもな、良いですねって言ってたぜ」 「わぁ露天風呂久しぶり~!」 「じゃあ、ゆっくり浸かってこいよ。いいぞ、ここの露天は。うん。」 「うん! ありがとう、エヴァ!」 「……いえいえ」 風呂に向かっていったアリーナに、エヴァはひらひらと手をふる。 それから、にやりと口元を歪めた。 ☆ 風呂に上がりさっぱりしたクリフトが、部屋で読書をしているときだった。 慌ただしくエヴァが扉を開けて入ってきたのは。 「クリフト! アリーナが風呂で倒れたって!!」 「……! ほんとですか、エヴァ!」 「ウソなんかつくかよ! いいから、お前行けって! 俺、あとミネア呼んでくるから!」 「わかりました、お願いします!」 「アリーナ、露天風呂のとこで横にされてるってよー!」 エヴァの最後の言葉にろくな返事もできず、読みかけの本を投げ出して走った。 なんということだ。 クリフトは焦った。 風呂場の方へと足を進めながら、嫌な想像ばかりが頭を過ぎる。 倒れるほど、姫様が無理をしているのを気付かなかったなんて。 焦りは早さとなり、風呂場の扉を開けて露天風呂まで一直線にかけた。 そして。 「姫様!」 「きゃー!!!!」 熱いお湯が、頭から滴りおちた。 「……」 クリフトは、何も言わない。 「な、な、なに……クリフト……?」 タオル一枚で身体を隠したアリーナが、震える手で桶を握りしめていた。 クリフトは、固まった。 鼻の下がなぜか生温かく、それはお湯のせいではないことは、はっきりわかっていた。 そして、あまりのことに目の前がまっくら、いや真っ赤になり……。 「ちょっと、ちょ、クリフト!? 大丈夫!? クリフトォ!!」 ☆ その後、倒れた神官は姫の手により厚く解放されることになったが。 復活した神官が、勇者にくだした罰については、勇者のみぞ知る……。
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/136.html
クリフトのアリーナへの想いはPart5 471 :彼方 ◆a6AUZ2f2mI :2006/06/19(月) 20 12 58 ID JaH0qL33O 胸に抱いて 「わたくし、クリフトは、ゴッドサイドへ赴きます」 主君アリーナ姫と王宮魔導師ブライと旅している途中で出会った仲間達と立ち寄ったゴッドサイドの街。 ゴッドサイドは神を崇める信心深い者が目指す巡礼の旅の終着点で、聖地の街として知られる。 街全体が聖なる白色で統一され、荘厳な雰囲気が街を包む。 熱心に神に祈る信仰心豊かな人々。神殿で神の啓示を聞き入れる大神官達。 賑わいとは無縁。神が君臨している様な、神聖な街。 旅ではアリーナを護り、支えるのはクリフトの役割だったが、クリフト個人が目指したのはここ。クリフトにとって巡礼の旅でもあった。 願うならば一度は訪問したい憧れの場所に足を踏み入れた。 大神官と話を交わしたことがあった。 大神官はクリフトのことを存じであり、若くして神の道に入り、努力して今の神官の位を得たことを高く評価していた。 そして、良ければこのゴッドサイドで更なる修行をしないか、と話を持ちかけた。 確かにサントハイムの小さな教会よりは、聖地で学べるのであれば願ってもみないことである。 今は我が国サントハイムの治安の不安定さを救う為の旅、また邪悪なる者を討ち滅ぼす旅をしており、良い返事は出来ないが、いずれは是非とクリフトは可能性を残した答え方をした。 それで別れたのだが。 その後、邪悪なる者は倒され、サントハイムには王が帰還して現在サントハイムの情勢は安定している。 ゴッドサイドの大神官は忘れていなかった。 サントハイム在中のクリフト宛てに手紙を出し、その後、大神官自らサントハイムへ訪国し、クリフトとの謁見を希望した。 ゴッドサイドへ、クリフト殿を招き入れたいーー。 返事は今すぐ、との大神官の言葉に、逡巡する間もなく行きます、とクリフトは答えた。 ゴッドサイドへ行くことをサントハイム国王に伝えると、「そうか。気を付けていくのだぞ。身体を大事にな。健康第一だ」と短い言葉であった。 幼少の頃から散々世話になったアリーナへ報告すると、「そうか。クリフト、ゴッドサイドに行くのね。長年付き添ったあなたがいなくなるのは淋しいけれど…。頑張ってね」と笑顔で答えられた。 別に引き留めて欲しいなどとは微塵にもなかったが。 門出を祝う言葉に一抹の淋しいを覚えた。 行くなら早い方がいい。先方を待たせているのだし、と引っ越しの準備を始めた。 幼少の頃から今までの長い間このサントハイムの教会の裏の部屋で暮らしていたが、荷物は殆どなかった。 たかだか大きい箱二個分だけである。 引っ越しするのはとても簡単だな、と荷物を詰め込んだクリフトは肩をすくめた。 クリフトは本棚から一冊の本を取り出した。 自身の教科書として使い古した本で、ところどころアンダーラインやら付け加えをして本文がわかりずらい。 手垢にまみれたこの本のページに挟んである一枚のプロマイド。 アリーナの横顔のプロマイド。 異国の道具、カメラと言うらしい。そのカメラはレンズに写る物をシャッターボタン一つ押せばカメラに内蔵された紙に写すことが出来るという。 その被写体をアリーナに絞り、シャッターを切った。 こっそり撮ったものであるから、アリーナの視線はクリフトに向いていない。 もし、クリフトがアリーナへ心に抱く気持ちを伝え、アリーナをも同等な気持ちであるのであればレンズはアリーナの顔の正面に向けられたのであろうか。 そういえば、クリフトはアリーナを正面きって会話するということがあまりなかった様に思う。 いつも、見てきたのは横顔だった。 ただ側に寄り添い、アリーナの発する命令を聞き入れる腹心。 自分はアリーナにとってそんな存在だった。 ずっと一緒だったのに。アリーナの側には必ずクリフトがいた。 手を伸ばせば触れることが出来るのに。身体は近くにいたのに、心だけは遠く離れていた。 ゴッドサイドに行く前夜。 手続きやら最終的な荷物整理やらを終わらせ、長年身を置いたサントハイムの教会での最後の祈りを始めた。 クリフトは世界中を飛び回り、その都度教会へ足を運び祈りを捧げた。 大きく立派な教会、小さく素朴な教会。いろんな教会を見てきたが、やはり自分の教会が一番だと思った。長年馴染んだ教会。 今度はゴッドサイドの教会を一番に愛せるようにしなければ。 目を閉じ、神への言葉を述べ、正面の神像に最後の祈りを捧げた。 不意に後ろの扉をノックする音がした。招き入れる。その相手は―――ブライであった。 「ブライ様」 「サントハイム最後の夜にも祈りを捧げるか。熱心なことじゃのう」 「最後、だからですよ。ブライ様、夜分遅くにどうなさいました。明日お早いでしょう」 「年寄りは早く目が覚めるから心配なさんな」 クリフトはブライに椅子に腰掛けるよう促した。 ブライがどっこいしょと全体重を椅子に掛けた。 ブライは教会でお祈りするのも久方ぶりじゃとその皺くしゃな手を合わせ、神像へなむなむと拝んだ。 クリフトはそんなブライを見ていたが。ブライは祈り終えると、正面を見据えたままクリフトに問う。 「…お主はこれで良かったのか?」 「…何のことですか」 「しらばっくれているつもりか。お主を幼少の頃から見てきた儂じゃ。その位分かる。隠していてもこの儂にはお見通しだ」 「…何のことか、分かりかねます」 「…なら良い。ゴッドサイドに行くのは…逃げではないか?」 「違います。わたくしはサントハイムで学びうるものは学び尽くしました。自分の憧れの土地で学べるのであればそちらで勉強をしたいです。 別に出世を望んでいるわけではありません。 神官という地位に恥じないほどの知識と実務を学びたい。それは、我儘でしょうか?」 ブライは否、と小さく呟いた。 「こうして会話出来るのも今日で最後じゃな…。だからはっきり述べておく。お主、アリーナ様を慕っていたではないか?良いのか。自分の気持ちを伝えなくても」 「アリーナ様にとってわたくしはただの腹心。それ以外何とも思わぬ存在です。伝えてどうなりましょう。アリーナ様の感情を掻き乱すことになりかねません。ですから、言うつもりも、それ以上の関係を望むこともありません」 「お主なら、アリーナ様を支えると思ったのだが…」 「アリーナ様を支えるのはどこぞの王子ですよ。わたくしには関係ありません」 「それなら…良い。後悔もせぬだろう。ありがとうクリフト。お主ならあちらでも頑張るだろう。せいぜい精進せい」 「今までありがとうございました、ブライ様。頑張ります」 二人は握手を交わした。ブライはさて寝るぞ、と扉を開閉して教会から出ていった。 流石ブライ様。年の功もありますが、人の心を抉る術を持ってらっしゃる。 クリフトは心の内で呟いた。 叶わぬ恋心にいつまでも胸を焦がすより、自分の将来を決めるこの談に乗ったまでのことである。 恋を諦め、仕事に没頭する。サントハイムに決別すれば、アリーナ様を忘れられる。それをブライ様は『逃げ』と捉えたのでしょう。それは半分嘘で半分は…本当です。それでも…。 わたくしは、わたくしの生きる道を見つけました。 アリーナ様はアリーナ様の道を…。王子と手を取り、そのふわふわした赤毛の頭に冠を戴くことがあなたのすべきこと。 ああ。 平民と王家。地と天との差がある。わたくしには身分の差を超えてこの恋を成就させるだけの度胸と勇気はありませんでした。 やるせない気持ちに、涙が止まらない。嗚咽が教会に響いた。 翌朝。 見送りに来てくれる人の中に、アリーナの姿があった。 「クリフト、今までありがとう。言葉に表せないわ。本当にありがとう。あっちに行ってもクリフトのことだから頑張ると思う。身体に気を付けてね。ただでさえ身体弱いんだからね」 アリーナは目尻を拭った。幼なじみがいなくなるのが淋しいのだろう。 「何かあったら帰ってきてね。ここがあなたの故郷なんだから」 「ええ」 優しい言葉をありがとう、アリーナ様。 ありがとう、愛したあなた。正直、別れるのは身が裂かれるくらい苦しいです。 新しい生活が始まります。嫌なことも、辛いこともあるでしょう。そんな時にはあなたと過ごした楽しかった思い出を支えにして生きていきます。 あなたを愛したこの気持ちを胸に抱いて…。 もう二度と逢わないでしょうけれども。 「さよなら、クリフト」 アリーナは笑顔で見送る。両手を振る。あまり見たことのない、正面からのあなたの顔を目のレンズに焼き付けて。 最後のあなたの姿を。 「それでは…。さようなら」 (了)
https://w.atwiki.jp/sfcall/pages/884.html
前のゲーム | 次のゲーム クリア条件:EDを見る 開始時間: 終了時間: 参加人数: 「きょうはむりだな、クリフ」 同名の映画を原作としたゲームだが、この手にありがちなオリジナル展開は一切ない。 映画と同じ展開でゲームが進むので、場面ごとでゲームジャンルが変わる変わる。 どこぞのスレでジャンル縛りしすぎたばっかりに、「レースゲーだから」「アクションだから」と騙されて配信させられる事もしばしば。 レース(1回目) レース(2回目) ガンシューティング(1回目) レース(3回目) ガンシューティング(2回目) 横スクロールシューティング(1回目) 横スクロールシューティング(2回目) アクション という流れなので、ここまで来たお前らなら6時間もあれば余裕のクリアですよね!?
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/24.html
クリフトとアリーナの想いは その2 208 : ◆cqwqsoFFDQ :03/07/09 03 35 ID IZdRlLp8 人々のざわめきや鐘の音、馬達の嘶きが響き渡っていた───。 今日この時サントハイムはアリーナ姫と新王となる他国から来た王族の男との婚礼に 各国から祝いにかけつけた人々で賑わっていた。 「どうしましょう。アリーナ姫様のお姿が見えませんわ」 女官達が困った様子であわただしくぱたぱたと走り回っていたので 「私が探してお連れしてまいります」 クリフトは苦笑いをして女官達にそう言い、人に見られぬよう小さくため息を付く。 ──この時が来るのは知っていた。それを知ってたのは何時からなのだろう? ほどなくして城のバルコニーの端に佇むアリーナを苦もなくクリフトは見つけた。 「姫様…」 クリフトが声を掛けると純白のウエディングドレスに身を包み ドレスに負けぬ白い肌にあでやかな化粧を施したアリーナが振り返る。 その姿の愛らしさにクリフトは思わず感嘆した。 ──が直後胸に射抜かれるような痛みが走った。 その目も眩む姿がけして自分のものではない手の届かぬものである事を思い出したから。 「…間もなく式が始まります。皆さんが姫様をお捜しでした。すぐお戻り下さい」 その言葉を聞くとアリーナはぽつりと呟いた。 「お父様やブライや大臣はとても喜んでいたわ。 これで、少しは今までかけた迷惑の償いになったかしら?」 蜘蛛の巣にかかる蝶のごとく彼の人への最後の睦言のように。 「償い」という言葉を聞くと、クリフトは少しばかり表情を曇らせ 「ええ、王も含め、皆祝福しておりました。」 と言うと、ふと思い詰めたように言葉を続けた。 「姫様… お聞き下さい。 私はこの式が終わり次第、巡礼の旅に出る事を王よりお許し頂きました」 あまり興味を示す様子も無く、アリーナは答えた。 「そう、良かったじゃない。私の世話から解放されて、 この上無くおめでたいじゃない」 「いいえ! 私は…」 ──たとえ貴女が一人の身でなくなったとしてもずっとお守りし続けたかった。 それが私の神から与えられた使命であると思っていたから。しかし─── だが、その言葉は言えず飲み込む。 ──それは単に私が望んだ事だろうか?神が私に与え給うたものは? ひゅう、と風が吹く。これから花嫁になるであろう人に被されたベールがはたと舞う。 そして、続けた。 「これからは、アリーナ様一人の身ではありません。見守って下さるお方が居るはず。 もう私の事は必要とされないでしょう」 それを聞くと、アリーナはクリフトを睨み付けて言った。 「別に、最初から、クリフトの事を必要となんてしてなかったわ」 「……そうですか」 慣れているのか傷つく様子もなく微笑んでそう答える。 アリーナはクリフトの横をすれ違い、そこを去ろうとした。 すると、打たれたようにクリフトは立ち去ろうとするアリーナを呼び止めた。 「お待ち下さい! まだお伝えしたいことがあるのです」 最後に、またお説教だろうか。アリーナは振り返らず言う。 「もう何も、聞くことなんて無いわ」 「いいえ、どうか聞いて下さいアリーナ様」 クリフトは呼吸を置かずに言った。 「どうしても、今この場で告げねばならぬ事があるのです」 ──今この時ならば許されるのか?与えられた最後の時ならば。 そしてクリフトはこれまで自分が隠していた想い、アリーナを主君としてでは無く 一人の女として愛し慕っていたこと、その罪深い自分を罰する言葉を告げた。 一歩、二歩、クリフトはアリーナに歩み寄った。 「もちろん主君である姫君にこのような不埒で邪な気持ちを持つ事は許されるはずも有りません。 ですが姫様…いいえ、王妃様に最後まで隠し事をしたままお別れはしたく ありませんでした。ですから、ですから、どうしても最後にお伝えしておきたくて」 今まで自身の感情を嘘偽っていた罪を告白し、心おきなく懺悔が出来た様な気がして クリフトの心は少しばかり軽くなった。 そして、アリーナには見えてはいないであろう作り笑顔で言った。 「…もちろん過去の話ですが。今は喜んでお二人のご婚礼を祝福する 所存にございます。ただ…ただお伝えしておきたかっただけですから」 アリーナは聞いているのかいないのか分からない様子でぴくりとも動かず佇んでいた。 「申し訳ありませんでした…」 クリフトは恭しく頭を下げた。 「卑怯者…」 アリーナは憎々しげに呟いた。 「卑怯者! 臆病な意気地なしだわ!」 振り返り、クリフトの瞳を真っ直ぐに射抜いて見つめた。 ──ああ、貴女は、何時でも、その曇りの無い瞳で。 「遅い……クリフトはどんな時でも、いつも、遅すぎるわ」 アリーナの取り乱した様を見ると、クリフトは鉛を飲んだような顔をして呟くように言った。 「本当に、本当に申し訳…」 言い終わらぬ内に、胸に微かな重みを感じた。 目の前にアリーナのふわりとした、景色を透かして目に映すベールがあった。 クリフトは反射的にいつもの習慣でしっかりとその軽い身体を両の手で受け止めていた。 アリーナの瞳を見つめるとまるで己の中にある大切な心のかけらを失ってしまったような そんな絶望と怯えに震えた瞳をしていた。 かけがえのない人々が城に再び戻った時、 「自由」というまた同じくかけがえのないたからを掴み損ねた。 けれど恐ろしい魔物達にも怯まず立ち向かうこの勇猛な姫が何をそんなに恐れるのだろうか。 クリフトは願った。こんな絶望と怯えはぬぐい去りたいと。 ──いつでも自分のことを必要としていた。そして今日この時も。 いつもと変わらずに、何一つ不自由なく自分が、そう自分だけがこの姫の望む物を与えたくて 静かに、鮮やかな赤に塗られた唇から自身の心を分け与えようと試みる。 そして声にならない嘆きを含めて、互いが持たぬ物を互いで埋め合うように 吐息をこの城の元、最初で最後に交換し合った。 ドレスの胸元はアリーナが力任せに引っ張った為引き千切れていた。 その純白のドレスは背中の痛みを和らげる為に身体の下に敷かれていた。 髪の結いはアリーナが自分で解いた。 ドレスの中の小さな身体をコルセットが締め付ける苦しみはクリフトが解いた。 アリーナのこぼれる涙はクリフトの唇が受け止めた。 二人の契りの悲しみは受ける者も無く、唯白いドレスに染み渡っていった───。 「どこに行かれていたのですかアリーナ姫様!」 女官達があわててアリーナに駆け寄り、その姿に一瞬立ち尽くす。 きちりと結われていた髪は振り乱れ、純白のドレスは鮮血で点々と汚れ、 胸元のひらひらとした縫い目は引きちぎられ裂けていたので。 しかし女官達の制止も聞かず、その姿のままアリーナは夫となる男の元へ 急ぎ歩いた。新王は既に馬車に乗り、あとはこのまま進みいでてパレードを 開始するだけであった。 アリーナは新王の乗る馬車にひらりと飛び乗り 「お待たせしました」と微笑んだ。 新王は一瞬己の目を疑いアリーナを凝視した。 「その姿は…?」 「なんでもありませんわ。さあ、馬を出して! 婚礼の儀式を始めるわ!」 そう言い放った。 パレードを心待ちにして集まっていた群衆達が歓喜の声を上げ 口々に祝いの言葉を叫んだ。 あまりの熱狂ぶりに皆アリーナの異様な姿に気づく者は居なかった。 だが一部の軍関係者の者や貴族、王族は気付かぬわけもなく 一体何があったのだろうと口々に囁きあっていた。 アリーナは好奇の目に晒されていた。 だがしかしその本人は、背筋を伸ばし、凛とした顔で 皆の視線をむしろ浴びせよとばかりに堂々としていた。 その美しさは天空人の軽い羽よりも儚くその伝説の武具より強く雄々しく 白い肌に残る口づけの痕は世界樹のしずくよりも刹那なものだった。 ──何度も何度も呟いて、貴女の耳に届いたのはただの一度だけ。 クリフトはその群衆達の歓声をバルコニーから まるで何処か遠くで起こっている事のように、ただ呆然と聞いていた。 新しく王妃となったアリーナは、新王と寝食を分け、指一本として触れられる事を断固として拒んだ。 新王は婚礼の直後からあの手この手で凝り固まった王妃の心を解きほぐそうと試みたが いつしかそんな努力もあきらめ、専用の情婦を囲うようになった。 だが王妃は婚礼の儀の間もなく後にその身体に子を宿していた事が分かったのだった。 王子誕生の祝いの為、クリフトは久方振りにサントハイムに帰還した。 「誠におめでとう御座います」 クリフトは頭を垂れ、かつての王、アリーナの父にサントハイム様式の礼をした。 「さあクリフト、私の孫の姿をしかと見てやってくれ」 アリーナは無言で我が赤子を父の手へと渡した。隣で新王はその青い瞳で黙って見守った。 アリーナの父はさも自慢げに小さな小さな己の孫を抱き上げた。 その無垢な黒い瞳とクリフトの黒い瞳がぶつかりあった。 「これは…」 クリフトはしばし言葉を失った。 「いえ、とても、立派な王子が誕生されてこの度は誠に…」 この後、思いつく限り美辞麗句を述べたが気もそぞろで。 ふらふらとした足取りでクリフトは後日再び巡礼の旅へと戻っていった。 帰り際の馬車の中、クリフトは静かに顔を伏して声を殺し涙を流していた──。 クリフトはその後、ゴットサイドへ移り住み、神学を学ぶ事に勤しむが 癒しの祈りや万病の薬ですら治癒することの叶わない重い病の床に伏せる事となる。 だが、クリフトの願いでその知らせはアリーナの元へ届けられる事は無かった。 クリフトは目を閉じて、走馬燈に身を任せる。 浮かぶのは、あの城、あの旅、それから、あの笑顔。 そして、徳の高い司祭達に見守られ、その若き生涯を閉じた──。 新王の情婦は後に新王の内縁の妻と成り、その間に男の子を誕生させた。 アリーナは我が子息と同じように新王の子を可愛がり、 又たまには羽目をはずして子供達と城を抜け出し その武勇伝は世界中に面白可笑しく語り継がれた──。 両子息が成人する頃、アリーナはクリフトの墓に非公式に訪れ 花と、そして今だ上達しない黒く焦げた小さなケーキをそっと添えた。 墓に手を触れると思い出した。いつも心配げに自分を見守っていたあの瞳を。 「もう、大丈夫だから」と、ゆっくりと墓から手を離し、微笑んでクリフトにそう告げた。 ──あの時もらった守りの光は今でも。 そして、自身も年をとりその生涯を閉じる。 何時までもその顔に少女の愛らしい面影を残したままに。