約 632,183 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/307.html
『その8 全力みょん』 花が散って尚その威容を誇る桜の木々に囲まれた、広大な敷地を誇る日本家屋――白玉楼。 その些か以上に年代を感じさせる建物の縁側に、二人の少女の人影があった。 「ねえ妖夢、わたし、お腹が空いてしまったわ」 言って縁側に座布団を敷いて座している少女が、傍らに控えるように佇んでいた少女へと声を掛ける。 声を掛けられた少女――魂魄妖夢は、相手の声が聞こえているのか居ないのか、特に反応らしい反応は見せずに、しかしその眉間には薄らと皺が寄せられていた。 「…………」 会話を返さない妖夢に対して、座したまま目の前の桜木を眺めていた少女は、その視線を外して傍らの少女へと視線を向けた。 見上げるような体勢。 その小首を傾げてみせる。 「妖夢?」 反応を返さない自らの警護役に対して、大丈夫かしら、この子、と少々斜め上へと思考が走り始めた頃、少女の傍らで一歩下がるように控えていた妖夢がようやく口を開いた。 「……幽々子様、確か私の記憶によれば……昼食をとられたのが三刻前、大福と饅頭を御召になられたのが二刻前、羊羹と草餅を御所望なされたのがつい一刻前……となっているのですが」 芯の通った声色。 何処か、確認を求める口調だった。 反応を返した従者に対して、その主――西行寺幽々子はくすくすと喉を鳴らし、どこかあどけない笑顔を浮べ、目の前の木々達へと視線を戻した。 「ああ、そういえば、お昼に出た鮎の塩焼きは美味しかったわねぇ」 昼間の食事を思い出しながら嬉しげな気配を発している主人に対して、その従者は憮然とした様子を湛えて見せる。 「いえ、そういう事では無く……」 聞いていますか、お嬢様、と妖夢は問う。 しかし相手は聞いているのかいないのか、何所かふわふわとした印象でその会話を聞き流す。 「苺大福とか、あるかしら?」 苺はもう過ぎてしまったかしら、と何処か遠くの心配をしている幽々子に対して、もう一度、と妖夢は口を開く。 「あの……」 「水羊羹も捨てがたいわねぇ」 芋……いえ、栗……と、やはり何処か遠くの事を考えている幽々子。 「いえ、ですから……」 「お願いね~」 にっこりと笑顔でお願いされてしまっては、妖夢に拒む術は無い。 「…………みょん」 諦めの気配をかもし出しながら、何処か煤けた様子で従者はその場を離れた。 ………… お嬢様は少々食べすぎではないだろうか……、と白玉楼の庭師兼警護役は首を捻りながらお勝手へと向かう。 「うーむ、これが食道楽というものなのだろうか……」 ぎしぎし、と床板を鳴らしながら長い廊下を進む。 さて、流石にこう立て続けに甘味はどうだろうか、何を作るべきか、と思考を進めながらお勝手の扉を潜るとそこには、 「むーしゃ♪ むーしゃ♪」 「…………?」 くぐもった声が聞こえる。 はて、と首を傾げて辺りを見回す。 気配がするのは、空間の一角。 「…………」 「おいしーい!」 「…………」 「しあわせー!」 「…………む、妖怪か?」 洗い場から離れた場所に備えてある、味噌や塩などが収められた壷の数々。 その一つに丸い身体を突っ込み、なにやら上機嫌で中身を貪り食っている物体。 「あれは……砂糖壷だったか?」 背中に差した楼観剣へと片手を這わせ、じりじりと近付き、中身を覗く。 「むーしゃ♪ むーしゃ♪」 「…………」 「あまーい!」 「…………」 「ぜんぶわたしのー!」 まるで、大きな饅頭のような物体だった。 壷の中身、砂糖にその身体を沈め、一心不乱にその口を動かしている。 「…………おい、そこのまんじゅう」 「ゆ?」 謎の物体が振り向く。 まるで巨大な饅頭のような身体にはしっかりと顔があり、その黒髪に対して赤いリボンを巻いてた。 一瞬、その姿を妖夢はどこかで見たことがあるような気がしたが、特に気に留める事も無く、改めて口を開く。 「其処で何をしている」 「ゆゆ?」 余りというか、全然状況が判っていないのだろうか、疑問符を浮べたまま此方を見上げている物体に対して、妖夢は威圧することもないだろうと身に纏っていた緊張感を解した。 特に害意は在りそうには見えないし、どこぞから迷い込んだのだろう、とあたりを付け、どこか気を軽くしたような口調で物体へと声を掛ける。 「どうしたんだお前は、迷ったのか?」 「おねいさんだれ!」 緊張を解した妖夢に対して、目の前の物体は今更ながらに警戒心が湧き上がってきたらしい。 頬を膨れさせて、威嚇するように声高に叫んでみせる。 思わず、妖夢の表情に苦笑が浮かぶ。 「私か? 私の名は――」 「わたしがさきにみつけたの! ぜんぶわたしのもの!」 名を告げようとする妖夢の声を遮り、物体は声を張り上げる。 どうやらこの砂糖壷は自分のものだと言っているらしかった。 他にある味噌や糠床などか荒らされていない辺り、この物体は甘味が好きなのだろうか、と妖夢は考えてみるが、だからといって貴重な砂糖を丸ごとこの物体に与えるわけにはいかない。 そう思い妖夢は口を開くが、 「おねいさんにはあげない! あっちいってね!」 「いや、しかし――」 「ここはわたしがみつけたおうちだよ! おねいさんはあっちにいってね!」 「おうちとは――」 「はやくあっちにいってね! とっととあっちにいってね!」 「…………」 どうやらこの砂糖壷は目の前の饅頭の様な物体にとって、如何ともし難い魅力を発しているらしい。 口角泡を飛ばすといった勢いで、激しく言葉を捲し立ててくる。 その一生懸命に妖夢を追い払おうとしている姿は笑みを浮べるに値するが、この屋敷にある物はすべからくお嬢様の物である、というのが妖夢の思考である。 よってどうにかこうにか説得を試みようとしてみるが、しかし、 「どうしたの? なんであっちいかないの? おねいさんばかなの?」 「な」 真坂馬鹿と言われるとは思いもしなかったのか、呆気にとられる妖夢。 さらに目の前の物体は言い募る。 「なにしてるのばかなおねいさん? どうしたのばかなおねいさん? うごくためののうみそもたりないくらいばかなの?」 「…………」 「おねいさんあたまわるいのね! むずかしいこといってごめんね!」 「…………」 「ごめんね、ばか! ゆるしてね、ばか!」 「…………ふっ」 思わず、妖夢の口角が歪む。 妙に黒い笑みだった。 「少々私はお前の事を誤解をしていたようだ」 言って、すらりと楼観剣を引き抜き、片手で上段に構えてみせる。 「ゆ?」 「どうするまんじゅう妖怪。早く其処から出ないと、壷ごと真っ二つになってしまうぞ?」 「ゆゆ?」 半ば何も考えずに引き抜かれた銀光を眺めていた物体。 次いで述べられた妖夢の言葉にも、その危機感が働く事は無かった。 何を言っているのだろう? この相手は、といった様子である。 「…………ひょっとしてお前は刀を知らないのか」 言って妖夢は楼観剣の刀身を奔らせ、砂糖壷の直傍に置かれた壷の一つ、その上に載せられた漬物石を一線した。 妖夢の動作に遅れて一拍、丸石の表面に斜線が走り、ずるり、とその上部が床へと落下した。 重く厳しい音が室内に響く。 改めて楼観剣を上段に構える。 「さて、改めて聞くが、どうする?」 物体の収まった砂糖壷の中からは、妖夢が振り上げる白刃も、先ほど切り落とされた漬物石の様子も、はっきりと見えていた。 事此処に到って、ようやく己に危機が迫っている事を認識したのだろう。 「ゆ♪ ゆー♪」 先ほどの態度とは打って変わって、精一杯の愛嬌を妖夢に対して振りまいて見るが、今更過ぎて、もう遅い。 「なるほど。笑顔のまま逝きたいと、そういう事か」 「ゆ゛ゆ゛!??」 思わず混乱状態に陥る物体。 右往左往といった様子でゴトゴトと壷を揺らす。 しかしこのままの状態ではさすがに拙いと思ったのか、物体は砂糖をもりもりと口に含み、妖夢の前へと吐き出して見せた。 妖夢の足元が砂糖で汚される。 意識して眉根が寄った。 「おねいさんにもわけてあげるから、これでゆっくりしてね!」 「…………」 どうやらこれで妖夢を懐柔しようという心算らしかった。 自信満々といった表情で物体は笑みを浮べている。 その様子を受けた妖夢は重々しく頷き、 「ふむ、魂魄の昇天すら所望するか」 言って、空いていた片腕で白楼剣を引き抜く。 二刀を改めて構えてみせる。 「ゆ゛っ!?」 慌てた様子でもう一度同じ動作を繰り返す物体。 足元に盛られた砂糖が一回り大きくなる。 妖夢の眉根がさらに寄った。 「まずは生き地獄から味わいたいと」 「む゛っ!」 未だ刀を構えたままの妖夢に対して、物体は一転してむくれた表情を表してみせた。 どうやら目の前の物体にとっては、砂糖二口が妥協点であるらしかった。 妖夢の足元に盛られた砂糖の小さな丘。 片手で掴み取れそうな程の量しかない。 それは人が摂取するには多すぎる量だったかも知れないが、壷の中身からすれば微々たるものだったし、というかそもそも妖夢は砂糖を欲していない。 妖夢の内心を想像することもしないだろう物体は、強気な姿勢で声を張り上げる。 「それでゆっくりしてね! さっさとゆっくりしてね!」 「私は、其処から出て行けと言っているのだが?」 「よくばりなおねいさん! なんてずうずうしいの!」 「その砂糖壷はこの屋敷の物、引いてはお嬢様の所有物だ。さっさと其処から出て行くがいい」 「ここはわたしがみつけたおうちなの! そんなことしらない!」 「なんて厚かましい妖怪だ」 「なんてききわけのないおねいさんなの! ほんとにばかなのね!」 「ああ、もういい。言い合うだけ無駄のようだ」 言って、妖夢は間髪いれずに楼観剣を相手の柔肉へと突き刺した。 物体がその身に起こった事を理解するよりも疾く刀身を振って床に転がし、上から足で押さえつけ、両手に持った二刀を相手へと向ける。 一瞬のうちに目まぐるしく回転する視界に物体は数秒ほど呆然とした様子を見せていたが、やがてその身体に宿る熱に気付き、痛みを自覚する。 「い゛……!?」 「どうした? なんだ? さっさと言え。辞世の句ぐらいしっかりと聞いて――」 「い゛た゛い゛ぃ゛!! い゛た゛い゛よ゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」 「……ここで泣くか」 「じぬ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!! じん゛じゃう゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」 妖怪ならばこの程度で死にはしないだろうに、と妖夢は思う。 実際、刀で一突きされた程度で死ぬ妖怪は稀だ。 目の前の物体にとっても、これが致命傷とは程遠い状態である事くらい妖夢の目にも見て取れる。 「だずげでね゛!!! だれ゛がだずげでね゛!!!」 「……さらに他力本願とは」 なんて見下げた根性だ、と妖夢は溜息を吐いた。 「ゆ゛っ゛ぐり゛ざぜでね゛!!! ゆ゛っ゛ぐり゛じよ゛う゛ね゛!!!」 「ああ、もう分かった分かった」 呆れた口調で言葉を吐いて感情を収める妖夢。 もとより、口で言うほど物騒な行動を取る心算は妖夢に無かった。 多少痛めつけて追い出せば良い、というぐらいの思考である。 それがこうも相手に大声で泣き叫ばれては、さすがに痛めつけることに対して抵抗を覚えたくもなる。 気勢を削がれたと言うべきだろうか、楼観剣と白楼剣の二振りを鞘に収め、足元の物体を持ち上げる。 「ゆ゛……っ!?」 両手の中で、びくり、と身体を振るわせる物体には気にも留めず、お勝手から水汲み場へと繋がる扉を抜け、外へと足を運ぶ。 そして、それを地面へとそっと置く。 「ゆ゛?」 「ほら、何処へなりとも行くが良い」 「…………」 「何をしている、早く去れ」 「…………」 「いい加減にしないか」 「むーっ!」 渋々といった様子で、不貞腐れた表情のまま井戸の近くに茂っていた藪の中へと消えていく物体。 がさり、と草音が鳴り、沈黙が訪れる。 「……ふぅ」 とりあえず、これでこの白玉楼に近付く気は失せただろう、と一息吐いた妖夢は踵を返したのだが、 「すきありーーーーーーーっ!!!」 「なに? って、うわ!?」 予想外にも藪の中から転がるように飛び出してきた物体は、背中を向けていた妖夢に対して足元を狙うように体当たりを試みる。 ちょうど膝の裏側を押されるように足を払われ、妖夢は思わず尻餅をついた。 「きゃん」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っくりー!!!」 「こふ」 さらに追い討ちとばかりに、妖夢の腹部へと体当たりを敢行する物体。 尻餅をついたままの体勢ではそれを支えることも出来ずに、仰向けに倒れ込んでしまう妖夢。 地面に背中を強かに打ちつけ、肺の空気が零れる。 「ゆーーーーーーーっ!!!!」 「むきゅ」 止めとばかりに妖夢の顔へと圧し掛かる物体。 一抱えほどもあるその大きさは、見た目に比例してしっかりと重かった。 妖夢は固く冷たい地面の感触を後頭部に感じ、次いで顔を塞いでいる重みが消失するのを感じた。 そして、衝撃。 「!」 「ゆっくりしてやったね!!! ゆっくりしてやったよ!!!」 顔の上で上下に飛び跳ねられるという行為は、もしかしなくても首が折れるかもしれないと妖夢に思わせるに十分な威力があったが、しかしどうにかその攻勢に首は耐え切る。 やがて物体はこのぐらい痛めつければ十分だと思ったのか、もちもちと柔らかい感触の身体を妖夢の首の上から退けた。 顔をずっと塞がれていた為だろうか、肺に酸素を取り込むべく肩で息をしている妖夢と、妙に勝ち誇った笑顔を向けてくる物体。 「おもいしったか!!!」 相手は、そのまま意気揚々とお勝手の中へ消え去っていく。 「…………」 その光景を暫し無言で眺め続け、自らを地に付けたその相手が見えなくなってからも無言を続ける妖夢。 どれぐらいの時間が経ったのだろうか、妖夢はおもむろに立ち上がり、やはり口を開かぬままにお勝手へと足を進めた。 「…………」 「むーしゃ♪ むーしゃ♪」 「…………」 「しあわせー!」 「…………」 「むーしゃ♪ むーしゃ♪」 「…………」 「おいしーい!」 「…………」 「むーしゃ♪ むーしゃ♪」 「…………」 「あまーい!」 「…………」 「むーしゃ♪ むーしゃ♪」 「…………」 「ゆっくりー!」 やはり砂糖壷の中に納まっていた相手は、真上から見下ろす妖夢の視線に気付いているだろうに、その存在を気にすることは無い。 これが勝者の余裕、とばかりに敢えて大仰に砂糖を貪り喰らう物体。 やがて妖夢を無視するのにも飽きたのか、饅頭のようなその身体をくるりと回転させて妖夢を見上げてみせる。 暗澹とした光を湛える妖夢の瞳と視線が合う。 「おお、こわいこわい」 まるで格下の相手を馬鹿にするかのような表情と台詞に、しかし妖夢は反応を返さない。 「どうしたの、まけいぬのおねいさん! どうしたの、ゆっくりできないおねいさん!」 続けてつくられる満面の笑顔と蔑んだ台詞にも、やはり妖夢は微動だにすることも無かった。 「ほしいの? これがほしいの?」 そう言って口に含んだ砂糖をねちゃり、と見せてみる目の前の物体。 「あげなーい! これはぜんぶわたしのー!」 口を閉じ、むぐむぐと砂糖を租借し、やがて空になった口の中を開けてみせる物体。 「わかったらあっちへいってね! とっととあっちへいってね!」 妖夢に笑みを向け、もう用は済んだとばかりに砂糖に向き直る物体。 改めて、砂糖の租借音が室内に響き始めた。 「むーしゃ♪ むーしゃ♪」 「…………ふ」 妖夢の口に歪な笑みが浮かぶ。 耳を澄ませばようやく聞こえる程度の風切音が鳴った。 いつの間に抜いていたのか、横に振りぬかれた楼観剣が鞘に収められる。 一拍遅れてバラバラと解体される砂糖壷。 「ゆゆ!!?」 「……どうせ、得体の知れない妖怪の唾液で粘り固まった砂糖など、お嬢様にお出しする料理の材料には使えたものではないだろうからな」 どのような芸当か、その中に納まっていた物体には傷一つ無い。 ざらざらとその中身があふれ出し、壷の残骸を覆い隠すように広がった砂糖の上に鎮座した物体。 状況が判っていないのか、辺りをきょろきょろと見回し、その表情に疑問符を浮べてみせる。 「ゆ? ゆゆ?」 しかし、広がる砂糖、解体された壷、投げ出された自分、と状況を理解していくにつれ、その表情が怒りの方向へと高潮していく。 やがてその怒りの温度が沸点へと近付いた頃、頭上より妖夢の声が振ってくる。 「どうした? なにをそんなに呆けているんだ」 「ゆ!」 どのような方法であるかは理解が及ばなかったようだが、これが妖夢の仕業であると物体は思い至った様子だった。 妖夢を睨みつけ、身体全体で感情を表すように上下に飛び跳ねて怒りを見せ始める。 「なんでわたしのおうちこわしちゃうの!! これはわたしのみつけたおうちだったのに!!」 「そうか、それは済まなかったな」 言いつつ妖夢は一歩踏み出すが、その時足にしてしまった砂糖が相手の逆鱗に触れたらしい。 「なにしてるの! これはわたしがさきにみつけたんだよ!」 「それは済まなかったな」 「ゆっくりあしをどけてね! ぜんぶわたしのものなんだからね!」 「それは済まなかったな」 「もう! なんてききわけのないおねいさんなの! じぶんかってね!」 「それは済まなかったな」 「ゆっくりしなくていいからあっちへいってね! わがままなおねいさんのあいてはすごくつかれるから!」 「それは済まなかったな」 再び楼観剣の鯉口が切られ、今度はどこか緩慢な動作でその刀身を突き刺す。 「ゆ゛……っ!?」 引き抜き、突き刺す。 「い゛、い゛い゛……」 引き抜き、突き刺す。 「い゛だい゛いいい!!!!」 引き抜き、突き刺す。 「い゛、い゛だっ! い゛だい゛っ!!!」 引き抜き、突き刺す。 「いだい!! やめ゙てやめでね゙!!! はやくやめでね゙!!!」 引き抜き、突き刺す。 「や゛め゛、や゛め゛て゛ね゛!!!」 引き抜く。 「い゛た゛い゛ぃ゛ぃ゛い゛い゛い゛!!!! う゛わ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!!」 突き刺す。 「ゆ゛っぐり゛ぃ゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!」 あまりの連続した痛みの発生に恐慌状態に陥った物体は後先を考えることもせずに後退を試みるが、その身体には深々と楼観剣の刀身が沈められたままである。 楼観剣の刃は妖夢自身の方へと向けられている状態であり、それで後退を試みるとどうなるのか。 「ゆ゛? ゆ゛ゆ゛!??」 自らの後押しで、その身体の一部がすっぱりと縦に斬り裂かれた。 「なんだ、自ら傷つくような真似をして」 「……!??? ……!!!!???」 呆れた表情を見せる妖夢に対して、相手は激痛で頭が一杯になっているのか呻き声をあげるばかりだった。 裂かれた体から黒い何かか零れ出すものの気に留める事も出来ず、ただ痙攣を繰り返しながら痛みを耐え続けていた。 「なるほど、そうか。お前はチクチクと突き刺され続けるよりも、バラバラに切り刻まれるほうが好みなのだな」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!!!??」 淡々と紡がれた妖夢の言葉に身体と精神が恐怖に震わされるものの、うろたえる以上の行動を起こす前に楼観剣の冷たい感触がその身体を通り過ぎる。 薄く、ほんの少しだけ、身体が削り取られた。 「一枚」 切り裂く。 「二枚」 切り裂く。 「三枚」 切り裂く。 「四枚」 切り裂く。 「五枚」 切り裂く。 「六枚」 切り裂く。 「七枚」 切り裂く。 「八枚」 切り裂く。 「九枚」 切り裂く。 「十――」 「い゛た゛い゛ぃ゛ぃ゛い゛い゛い゛!!!! う゛わ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!!」 薄く相手の身体を削っていき、その回数が十を数える頃にようやく物体は叫び声を上げた。 「だれ゛がだずげでぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ぶむ゛っ!??? ぐぐ!!????」 現れることも無い誰かに対して助けの声を張り上げる物体に対して、妖夢は靴のつま先に砂糖を擦り付け、それを相手の口内へと蹴り上げるように突っ込んだ。 「今更だが、五月蝿いぞ。ほら、お前の大好きな砂糖だ。たんと舐め取るがいい」 「むぐっ!!? むぐぐ……っ!!??」 「そうか、美味いか。よかったな」 作業を再開する。 少しずつ、少しずつ。 薄く、丁寧に、何度も何度も。 切り裂き、削ぎ落とし、刃を奔らせ、肉を剥がす。 やがて磨り減った外側の奥から現れる黒い中身。 ごぼりとあふれ出すそれは、まるで餡子のようにも見受けられる。 さらに作業は続く。 まるで墨汁を垂らしたような黒髪を無理矢理に引き剥がし、その身を彩った赤の装飾も髪と一緒に毟り取られた。 淡々と作業を進める。 妖夢が白刃を振るう風切音と、物体のくぐもった呻き声が室内を静かに満たしていた。 裸同然の状態にされた物体。 見れば、顔面部分を除いて全ての表皮を切り落とされていた。 ようやくと言うべきか、妖夢がその足を相手の口から引き抜く。 零れ出て広がった黒い中身の上に乗せられた顔面部分。 様々な感情に顔を歪ませ涙と涎を垂れ流し続けていた物体は、開放されたばかりの口をぱくぱくと動かし、思い切りの吸気を試みる。 「……っ! ……っっ!!! ……っっっ!!!!!!!」 しゃくりあげながら大きく口を開き、やがて何事かを叫ぼうとする物体。 冷やかな視線のまま、改めて妖夢の足が踏み下ろされる。 「ゆ゛っく゛り゛ぶぶふぅ!!???」 「ああ、すまない。何か言う心算だったのか」 「……ぶぶぶっ!!!!!!」 意識を苛む激痛と、身体を切られた喪失感と、砂糖に対する独占欲と、妖夢に対する怒りと憎しみと、激情が渦巻くままに唸り声を上げる物体。 「何を言っている。ちゃんと言葉を喋れ」 「む゛む゛む゛……っ!!!!!!」 「お前の言っている事は判らないな。私が馬鹿なのだろうか、それともお前が人語を話せないのだろうか」 「ゆ゛ーっ!!!!! ゆ゛ーっ!!!!!」 「そうか、お前が言葉を喋れないのだな。ははっ、馬鹿め」 「ゆ゛む゛む゛む゛む゛む゛む゛む゛む゛む゛ーーっ!!!!!」 膨れたまま唸り声を上げ続ける物体だったが、妖夢の足に押されてどんどんとその顔が黒い塊の中へと埋もれていく。 足を除けると、その面にはしっかりと妖夢の足跡が刻まれていた。 「ほう、よく伸びる面の皮だ」 「ゆ゛っぐり゛ーーーーーー!!!!!」 どうやら妖夢に攻撃を加えようと飛び掛ろうとしている様子が見受けられたが、もはや面の皮しか残っていない状態ではそれが叶う筈も無い。 気持ち悪く蠢いて見せた程度で、その行動は終了した。 「さて、そろそろお嬢様がお待ちかねの頃合だ」 言って、手に持った二振りを鞘に収め、物体の顔面部分へと手を掛ける。 それを勢いよく引き剥がし、砂糖と黒い塊の山とは反対の方向へと投げ捨てた。 「ゆ゛ぶ!?」 ぺたーん、と既に質量の大半を失った物体は、情けない音を立てながら床板と接吻を交わす。 「此処の掃除は後回しにするとして……」 言って先ほど両断した重石を両手に持ち、足音を立てながら物体へと近付く。 「……? ……??」 「そうだな、当たり障りの無い所で煎餅と……ああ、団子があったか」 二つの重石を床を向いたままの物体の上に置き、ぐいぐいと面の皮を引っ張って包み込み始めた。 「……!? ……!??? ……!!!???」 「後はお茶、と。うむ、これで良いか」 包む為に寄せた面の皮を、傍らに落ちていた赤いリボンで縛り上げ、まるで巾着のような姿が完成する。 「……っ!? ……っ!????」 「さて、それでは先ず手を洗ってくる事にするか」 人面巾着袋と化した物体を掴み上げ、外へと足を進める妖夢。 扉を潜り、そしてそのまま井戸の前を通り過ぎてさらに足を進める。 辿り着いたのは、地面に深い穴が開いており、その直傍に大量の土が盛ってある裏庭の一角であった。 「ん? ああ、参ったな。古井戸の方まで足を運んでしまうとは」 片手で掴み上げていた人面巾着袋を穴の中へと放り入れる。 「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」 次いで傍らに用意してあった梅の枝と葦の葉を穴に落とし、盛った土に挿してあった円匙に手を掛け、土山を崩し始めた。 「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ゆ゛ぶっ!!!??」 「お嬢様は此処を埋めるのは後で良いと言っておられたが、そうだな、折角の事だ。少しばかり埋め立ててしまうのも悪くないだろう」 既に外観を解体されて穴だけが残る干からびた古井戸に、その穴を埋め立てる為の土が降る。 「ゆゆっ!?」 暫し無言で動作を繰り返す妖夢。 「こ、ここからだしてね! ゆっくりだしてね!」 何やら穴の底が騒がしい様子だが、穴は深く、反響して届いた声はくぐもった音に劣化して、言葉として妖夢の耳に届くには程遠い。 「おもいの! からだがおもいの!! つぶ、っぺ! な、なんなのー!?? なにがおこってるのかぜんぜんわからなーい!!!」 妖夢が円匙で土を削る音にも紛れ、やがて人面巾着袋の姿は深い穴底の只中で土に埋もれて見えなくなった。 「だ、だれかたすけてね! ゆっくりたすけ……!!?? ……!! …………!!?? ……………………!!!!??」 最後に一際大きい土の塊を落とし、妖夢は円匙を盛り土に突き挿す。 両手を叩いて幾らかの汚れを落とし、ふぅ、と一息を吐く。 「……………………さて、これでゆっくり仕事ができる」 『その9 ゆっくり+@』 「幽々子様、本日三度目の間食をお持ちしましたよ」 「あらあら妖夢、ずいぶんと遅かったわね。私、待ちくたびれちゃったわ」 「その点については申し訳ありません、不肖妖夢の至らなさでござい、ま……す?」 「へぇ、お煎餅とお団子なのね。私、嬉しいわ」 「あ、あの……」 「ほら、妖夢もこっちへいらっしゃい。一緒に食べましょう」 「あの、幽々子様……」 「? 何かしら」 「その傍らの丸い物体は……」 「ちーんぽっ!」 「この子?」 「ちーんぽっ!」 「ふふ、さっきこの庭に迷い込んでいたところを拾ったの」 「ちーんぽっ!」 「おもしろいでしょ」 「ちーんぽっ!」 「? どうしたの妖夢」 「ちーんぽっ!」 「妖夢? あら、ちょっとこの子には刺激が強すぎたかしら」 「ちーんぽっ!」 「…………あの、それ、斬っていいですか?」 「ちーんぽっ!??」 「あらあら、急に物騒なのね。駄目よ、そんな無闇に刀を振り回しては」 「ちーんぽっ!」 「では、叩いていいですか」 「ちーんぽっ!??」 「あらあら妖夢……ほら、この子を良く見て見なさい」 「ちーんぽっ!」 「…………むかつく顔ですね」 「ちーんぽっ!??」 「うーん、そう見えるかしら」 「ちーんぽっ!」 「他になんと見れば……」 「ちーんぽっ!」 「私には、あなたに似ているような愛嬌のある顔に見えるわ」 「ちーんぽっ!」 「…………似てますか?」 「ちーんぽっ!」 「あなたはもう少し鏡を見たほうが良いかもしれないわ。ほら、この髪の色と髪飾りなんかそっくり」 「ちーんぽっ!」 「妖夢、あなたも女の子なんだから、もっとおめかしするようにならないと」 「ちーんぽっ!」 「…………」 「ちーんぽっ!」 「妖夢? ふぅ……また黙っちゃって、どうしたのかしらね、この子は」 「ちーんぽっ!」 「…………えいっ」 「――――!!!!!」 「あら、叩いちゃった」 「――――」 「って、あらまあ」 「――――」 「物凄い顔で固まってるわね」 「――――」 「今、口から飛び出したのは魂かしら」 「――――」 「うーん、この表情はなんだか気持ち悪いわ」 「――――」 「捨ててきます」 「はぁ、仕方が無いわね、ちゃんと弔ってあげるのよ」 「ええ、同類と一緒に埋めて固めて均しておきますので、その辺りのご心配はなさらずに」 「あらあら」 「では、失礼いたします」 『その10 十六夜咲夜の教育的指導(解体編)』 ~あらすじ~ 紅魔館の主であるレミリア・スカーレットの思いつきでお嬢様代理となったゆっくりれみりゃ。 館のメイド長である十六夜咲夜は一時的にれみりゃの付人に任命され、その世話を甲斐甲斐しくする羽目になる。 「くっきーいらない! ぷりんじゃないとやだぁ! ぷりんたべるのぷりん!!」 溜まるストレス。 「おやさいきらい! ぷりんちょうだいぷりん! さくやどこ! さくやきて! ぷりんたべたいぷりん!」 溜まるストレス。 「ざくや! ざくやどこ? ざくやー! ざくやー!!! ごろんだー! いだいのー!」 溜まるストレス。 「さくやー♪ ぎゃおー♪ たーべちゃうぞー♪ さくやー♪ ぎゃおー♪ たーべちゃうぞー♪ さくやー♪ ぎゃおー♪ たーべちゃうぞー♪」 溜まるストレス。 「うっ♪ うー♪ あそんでめいりん♪ あそんでくれないとさくやにいいつけちゃうぞー♪ さくやにおこられちゃうぞー♪ がおー♪」 溜まるストレス。 そろそろ我慢の限界です。 ………… 四方を木々に囲まれた暗い空間。 周囲を見渡しても、木々に遮られたその奥を見通す事は出来ない。 上を見上げても、周囲の木々から伸びた枝葉が月明かりをか細く突き通しているだけであった。 風が草葉を揺らす音も無い、虫の鳴き声すら聞こえない、どこか寂しげな印象を抱かせる森の只中。 一人、ゆっくりれみりゃがただ呆然とそこに座り込んでいた。 「どこ……? さくやは……?」 虚空に問いかける声に、答えは無い。 「……さ、さくやー」 もう一度と暗闇に言葉を投げかけるが、やはり答えは無い。 「…………さくやぁ……」 暗闇に対する恐怖と、一人で居ることに対する孤独と孤立に襲われる。 暗い。 寒い。 怖い。 寂しい。 心細い。 感情の波が決壊へと近付き、溢れ出す。 「ざ、ざくや! ざくやどこ!? ざくやー!!! ざくやー!!!」 何でこんな所にれみりゃは居るのか。 先ほどまで、れみりゃは紅魔館の一室にてふかふかのベットに包まれながら咲夜のお話を聞いていたはずだった。 咲夜の用意してくれた柔らかくて良い匂いの布団の感触を、まだ覚えている。 記憶の中にある幸福感が今現在の恐怖感をより一層際立たせていた。 「ざ、ざぐ、ざぐや゛ー! ざぐや゛どごい゛る゛の゛!? ね゛え゛ざぐや゛! どご!?」 涙を零しながら叫び声を上げても、聞きたい声は聞こえず、見たい姿は見られず。 張り上げる声は虚空に響き、闇夜に紛れ、消えていく。 ………… 「……おながずいだぁ……」 どれくらいの時間を泣き続けたのだろうか。 やがで泣き疲れ、目元を腫らせたまま、しょんぼりとした空気を纏いながらお腹を鳴らすれみりゃ。 そっとお腹に手を這わす。 「ぷりん……」 思い起こすのは、咲夜が作ってくれた甘くて美味しいぷりん。 スプーンをそっと通して掬い取り、口の中へと運べば蕩ける様な食感と甘美な一時を与えてくれる。 れみりゃが今まで食べた物の中で、一番美味しい食べ物。 食べたい、と呟いてまたお腹が鳴った。 「ざぐや゛ぁ……どごぉ……」 人恋しさに呟く声にも、空腹の為か力が無い。 一層夜の闇が広がった暗がりの中で、れみりゃは一人孤独に震えながら優しい咲夜が助けに来るのを待ち続けていた。 ………… がさり、と草音が鳴る。 「……っ!??」 れみりゃがびくりと肩を震わせ、怖々といった様子で音が鳴った方向へと首を回した。 視線を向けた先は深い暗闇。 何が音を立てたのか、ただ先の望めぬ光景が広がっているばかりだった。 「さ、さくやー?」 恐る恐るといった様子で、自らが待ち望む名を暗がりへと告げてみせるが、反応は無い。 「さ、さくやー」 もう一度、何かしらの期待を込めて名前を呼んでみる。 しかしやはり、何の反応も見られなかった。 れみりゃがしょんぼりと首を俯ける。 「うー……」 がさり、と草音が鳴る。 「……っ!? ……さ、さくや……?」 慌てて顔を上げて問いを発するも、返答は無い。 静寂が場に満ちる。 再び、れみりゃの首がしょんぼりと垂れ下がる。 「うー……」 がさり、と草音が鳴る。 「っ!」 がさり、と後ろから。 「!?」 がさり、がさり、と左右から。 「な゛、な゛に゛……!??」 がさり、がさり、がさり、がさり、と四方から。 「う゛、う゛ぁ……ざ、ざぐや゛ぁ…………」 周囲から聞こえる草葉のざわめきに、れみりゃの顔がくしゃりと恐怖に歪む。 嗚咽が漏れ出し、あと少しで泣き始めるというその時、 「――――」 れみりゃの直後ろで、草を踏む音がした。 「っ……!!????」 真後ろ、とても近い位置から聞こえた足音に、れみりゃの身体が一瞬震え、次いで恐怖に強張る。 「――――」 その背中に感じる気配に、れみりゃは動けない。 まるで心臓を鷲掴みにされてしまったかのような息苦しさを味わい、浅い呼吸が口から零れた。 そんなれみりゃが感じている恐怖を知ってか知らずか、足音はれみりゃを回り込むように進んで、やがてれみりゃの目の前に一つの人影が現れた。 「!!!」 「――――」 黒い人影だった。 全身を黒の衣装で身に纏い、黒い覆面で顔を隠したその姿。 まるでこの周囲に満ちている暗闇が人の形をとって現れたかのような印象をれみりゃは覚える。 知らず、後退る。 「う゛、う゛ぁ……」 「――――」 じり、と無意識に後ろへ下がるれみりゃに対して黒い人影は大股で一歩詰め寄ると、姿勢を屈めてれみりゃと顔の高さを同じくする。 れみりゃの視界に、黒い人影の覆面が一杯に納められる。 得体の知れない相手に対する恐怖に身体が震える、精神が竦む。 「――――」 「い゛ぁ……っ!?」 急に胸が圧迫される感触、上へと流れる視界。 黒い人影がいきなり突き出した片腕によって、れみりゃは仰向けに倒れるようにと突き飛ばされた。 「……い゛や゛ぁ!」 何をされたのか、と考えるよりもこの黒い人影が怖いという思考が頭の中を満たし、慌てて立ち上がり逃げ出すべ走り出そうとするれみりゃ。 その足が払われる。 「――――」 「い゛だぃ!?」 うつ伏せに倒れ込み、その顔が土に汚れる。 目じりに浮かぶのは涙。 背後から聞こえた草を踏む音にに、足をもつらせながらも立ち上がり、改めて駆け出そうとするれみりゃ。 その視界が暗闇ではない黒に染められる。 「――――」 「!!??」 いつの間に回りこんだのか、れみりゃの視界に映るのは、鼻先まで迫った黒い人影の衣装。 上を見上げると、黒い覆面がれみりゃをただ見下ろしている。 「――――」 「う゛……う゛ぁ……」 額に掌を添えられ、押し出す様に力が加えられる。 どん、と尻餅を突かされたれみりゃに対して、屈んで視線を合わせて見せる黒い人影。 「――――」 「い゛、い゛や゛ぁ……」 恐怖が胸の内を満たす。 感情の渦は直に臨界を迎え、れみりゃはこの恐怖をどう消化するべきかも判らぬままに大声を上げて泣き出し始める。 「――――」 「い゛や゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛!!! ごわ゛ぃ゛ぃ゛い゛い゛い゛ぃ゛!!!」 「――――」 「ざぐや゛ー! ざぐや゛どごー!! ばや゛ぐぎでー!!!」 「――――」 「ばや゛ぐれ゛み゛り゛ゃを゛だずげでぇえ゛え゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛え゛!! ざぐや゛ぶっ!!??」 頬を張られる。 振りぬいた腕を戻し、再びれみりゃを見つめ続ける黒い人影。 赤く腫れた頬を思わず押さえ、次いで滲んでくるその痛みにれみりゃの表情が歪む。 「い゛だ、い゛だい゛い゛い゛い゛!!! ざぐや゛ー! ばや゛ぐぎでざぐぶっ!!??」 頬を張られる。 「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!! ざ、ざぐや゛に゛い゛い゛づけ゛ぶっ!!??」 頬を張られる。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! お゛う゛ぢがえ゛る゛う゛う゛ぶっ!!??」 頬を張られる。 「ざぐや゛ー!!! ざぐや゛ー!!! ざぐや゛ざぐや゛ざぐや゛ぶっ!!??」 頬を張られる。 「――――」 「い゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! お゛う゛ち゛がえ゛り゛ゅう゛う゛う゛う゛う゛ぶっ!!??」 泣き叫ぶ事に頬を張られ、逃げ出そうとするたびに足を払われ、偶に突き飛ばされる。 真赤に腫れた量頬と、擦り剥いた肘や膝。 何度も転ばされた為か身体の彼方此方が痛みを訴え、少し前までは綺麗だったお気に入りの衣装は、今や土や草葉に汚れて見る影もなくなっていた。 「――――」 「……っく……ひっく……ぅう……」 しゃくり続けるれみりゃ。 泣き出せば、叩かれる。 逃げ出せば、転ばされる。 泣いたらまた叩かれる、と嗚咽が零れ出しそうになるのを堪え、黒い人影を見ないようにと俯いたまま痛みを堪えるれみりゃ。 「――――」 「っ…………」 先の如く姿勢を下げて、俯いたままのれみりゃを覗き込むように見上げてくる黒い人影。 もう何度も繰り返された為か、その黒い覆面を見ない様にとあらぬ方向へ視線を逸らすれみりゃ。 その視線の先に黒い人影は移動し、再び視線を合わせるべく顔を近づける。 「――――」 「…………ぅー」 もうその手は食わない、とばかりに視線を逸らしてみるれみりゃ。 と、れみりゃを見つめ続けていた黒い人影はれみりゃが馴れ始めている事を悟ったのか一転して少しばかりの距離を取り、じっとれみりゃを眺め始めた。 次は何をしようかというように、暫し考え込むような仕草をし、やがて何かを思いついたのか大股でその足を進める。 恐る恐るといった様子で黒い人影を見上げるれみりゃの瞳には恐怖の色合いが浮かんでいた。 「――――」 思い切り、れみりゃの胸板を蹴り上げる黒い人影。 「い゛ぁっ!!!???」 大きく弧を描いて地面へと叩きつけられるれみりゃ。 先ほどまでの頬を叩いたり足を払ったりする嫌がらせ染みた行動とは違う、相手を壊す為の全力の蹴り。 足先が鋭く突き刺さった胸は熱く焼け付く様な痛みを訴え、圧迫された肺の空気が口から零れる。 強かに地面に打ちつけた身体は酷く痛み、れみりゃはその赤く腫れあがった顔を苦悶に歪ませていた。 「――――」 倒れ付したれみりゃの視界に、黒い人影の足元が映る。 「――――」 「い゛ぅっ!!?」 仰向けに倒れる様にと、蹴り転がされるれみりゃ。 黒い人影はれみりゃの身体に足を掛け、その片腕を無造作に掴み上げる。 「――――」 それを、思い切り引く。 「い゛……っ!!!???」 黒い人影に掴まれた腕の肩口から、ごきん、と関節の外れる音がした。 手にしていた腕を放し、もう一方の腕を掴み取る。 「――――」 そして、もう一度。 「や゛、や゛め゛……っ!!????」 ごきん、とれみりゃの身体に音が響く。 「――――」 無言のままに、黒い人影は今度は足に手を掛ける。 れみりゃは苦悶の表情を浮べたままその意味を悟り、じたばたと両足で抵抗を試みるが、しかし、 「――――」 「……っぎ、ぃぁあ!!??」 思い切り、肉を骨ごとを握りつぶすかという程の握力で足首を握り締め、れみりゃの抵抗を圧殺する。 ごきん、と股関節から音が響き、次いで、ごきん、ともう一度同じ音が続いた。 ………… ずるり、ずるり、とれみりゃの襟首を後ろから掴んで引きずり、直傍にあった木を背もたれにして座らせる。 間接を外された四肢は力無く投げ出されており、れみりゃは間接を外された痛みからか、下唇をかんで必死に痛みを堪えていた。 「――――」 黒い人影はれみりゃの直傍に腰を降ろすと、相手の衣装に手を掛け、それを引き千切ってみせる。 シルクが裂かれ、リボンが毟られ、ボタンが弾け飛ぶ。 「…………ぁ」 咲夜がれみりゃに似合うようにと用意してくれた、お気に入りのお洋服が無残にも襤褸切れへと変貌していく。 下着すら失って曝け出された少女の柔肌は、先ほどの暴行を受けてその白い肌の彼方此方に赤黒い染みを作っていた。 外気に触れた、その穢れを知らぬ少女の体躯に宛がわれたのは、銀のナイフ。 その暗がりでもなお輝く銀光にれみりゃの目は見開かれ、胸に触れた冷たい感触にその肌は震えた。 声を上げようとする間も無く、つぷり、とその先端が沈む。 「――――」 音も無くナイフは鎖骨の間から下腹部までを通り過ぎ、一拍遅れてその軌跡をなぞる様に朱色が刻まれる。 「ひぐぅ……ぁ……!!??」 感じたのは熱い熱。 痛みなどではなく、ただ熱かった。 吸血鬼の弱点である銀による切断である。 れみりゃに刻まれた縦の朱線の切り傷は、焼き切ったかの様な傷痕を見せていた。 その縦に裂かれたれみりゃの胸板に、黒い人影の両手が突き入れられる。 「――――」 「!!!!!!!!????????」 めりめりと肉を引き剥がす音を立てながら、その胸肉をこじ開けていく黒い人影。 肉を内側から触られる感触が気持ち悪い。 突き入れた両手に対する異物感に怖気が走る。 そして何よりも、痛い。 ただ、痛い。 「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!?????????????」 「――――」 ぐっちゃぐっちゃと音を立て、黒い人影はれみりゃの胸肉を掻き分けながらその両手を突き入れていく。 腑を握る。 掴んで、潰す。 掴んで、捨てる。 肋骨を引き剥がし、肺臓を握り潰し、肝臓を毟り取り、膵臓を放り捨て、腎臓を押し潰し、胃袋を捻り取り、大腸を千切り捨て、小腸を掻き出して、心臓に手を掛ける。 「い゛ぎ、あ゛っ、が、がががががががが」 泡を吹き、血を零しながら呻き声を上げ続けるれみりゃ。 脂肪と血液と肉片と腸液に汚れた手が心臓と共に引き抜かれる。 未だ微かに鼓動を繰り返すそれをれみりゃの口の中へと無理矢理押し込み、圧し潰す。 「――――」 「ぐががががががも゛ごごご」 さらに解体は続く。 未だ間接が外されたままの四肢に手を掛け、薄く皮を引き剥がし、筋に沿って肉を削ぎ落とし、やがて現れる骨を叩き砕く。 下腹部へと新たにナイフを奔らせ、やはり先ほどと同じようにその中身を蹂躙する。 最後に背骨を引き抜かれ、残ったのはズタズタに引き裂かれた四肢と中身を失った胴体。 れみりゃは身を切り刻まれる激痛に耐え切れなくなったのか白目を剥いて気絶をしており、だらしなく開かれた口からは先ほど押し込んだ心臓の肉片が涎と共に地面へと零れ落ちていた。 「――――」 ………… 東の彼方から薄らと射された日の光を感じて、れみりゃがその瞼をゆっくりと開ける。 夢を見ていたようだった。 夢を見ているようだった。 どこか虚ろな表情で目の前の風景を眺めてみるが、見覚えのある景色ではない。 陽の光を浴びてはいけませんよ、と咲夜に言われていたのを思い出して、手を翳そうとしたところでふと気付いた。 「うー?」 手が動かない。 首を動かして確認してみようと思ったが、何故か首も動かない。 どうしたんだろう、と頭に疑問符を浮かべ、ならば何時もれみりゃに優しくしてくれる咲夜に聞こうと口を開いた。 「さくやー、さくやどこー」 何時もならばすぐさま駆けつけてくれる筈の呼び声に、しかし望んだ人物は現れてくれない。 「さくやー、れみりゃがよんでるよー、はやくきてー」 ならばともう一度声を上げてみるが、やはり咲夜は現れてくれなかった。 「……うー」 何故か空虚さが胸の内を満たし、心寂しくぼんやりとしていた所で、れみりゃの視界が影で覆われた。 「う?」 首は動かないままに、精一杯視線を上に向けるれみりゃ。 すると其処には、 「――――」 「…………ぁ」 黒い人影。 「…………ぅぁ?」 刹那の内に記憶が呼び起こされる。 鮮明に光景が蘇る。 克明に激痛が蘇る。 叩かれた事も転ばされた事も突き飛ばされた事も蹴り飛ばされた事も間接を外された事も身体を切り刻まれた事もぐちゃくちゃにされてしまった事も。 瞬間、 「ぎゃあああああああああああああ!!!!! でだああああああああ!!!!!」 「――――」 どこか茫洋としていた精神は一瞬で恐慌状態へと陥り、れみりゃの思考は脇目も振らずに逃げることを選択する。 だが、 「う゛、う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?? あ゛!? あ゛あ゛!!?? な゛ん゛っ!? な゛ん゛でえ゛え゛え゛え゛え゛!!???」 地を蹴って駆け出そうとして足が動かず、目の前の恐怖を振り払おうとして手が動かず、そもそも顔を逸らす事すら出来ていないという事に気付いて、れみりゃの精神は限界を迎える。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛づい゛い゛い゛い゛い゛い゛!!?????」 さらに、少しずつ上り始めてきた太陽の光がれみりゃの顔を焼き始める。 陽に照らされた肌は焼け付くように熱く、じわじわと真赤に変色し始め、瞬く間に乾燥した表皮に罅が入り、剥がれ落ちる。。 熱に燻られた髪はやがて煙を上げて灰へと変化し、れみりゃの頭部は砂山を壊すかの如く崩れ出す。 「だ、だ、だず、だずげでざぐや゛あああああああ!!!! ざぐや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!」 黒い人影は何もせず、ただ眺めているばかりだ。 「ざぐや゛!!! どござぐや゛どご!!? あ゛づい゛だずげで!!! あ゛づぐでい゛だい゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!!!」 涙を流し涎を飛ばし、喉が潰れるかというほど声を張り上げる。 なんで自分がこんな目にあっているのか、どうして咲夜は助けに来てくれないのか。 激痛が思考を苛み、絶望が意識を侵食する。 現実逃避の為に磨り減っていた自己意識がさらに削り取られ、錯乱と混乱と狂乱の極地へと精神は進む。 あと少しで、れみりゃの砕けてはいけない何かが砕け散る。 もう少しで、れみりゃの砕けたら元に戻らない何かが砕け散る。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛!!! ごな゛い゛でえ゛え゛え゛!!! だぁべじゃう゛ぞ!!! だぁべじゃう゛ぞお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!」 その何かに罅が入り、もう一押しで割れ散ってしまうという所で、不意に視界の中に変化が訪れる。 「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……………………ぁ?」 目の前には、咲夜の姿。 ………… 咲夜は、眉根を下げて相手を気遣うような表情を作り、れみりゃの顔を見やっていた。 気付けば、れみりゃの視界が先ほどよりも陰っている。 先ほどまで感じていた身を崩すような陽の光も、いつの間にか届いていない。 咲夜は、れみりゃが陽の光を浴びないようにと、日傘をれみりゃの頭上へと差し出していた。 「大丈夫ですか?」 優しい、相手を安心させるような声色だった。 「…………? …………さ、さく、や……?」 数秒前まで感じていた絶望の余韻は未だ確りと残っており、どこか恐る恐るといった様子で咲夜へと語りかけるれみりゃ。 夢か、幻か。 待ち望んだ人影をすぐには現実と認識できないほどに、れみりゃの心は追い詰められていた。 「はい、そうですよ」 「ほ、ほんとに……?」 言葉の通りに本当であって欲しいと、れみりゃは縋るように声を絞り出す。 「あら、お嬢様代理には私が他の誰かに見えているのですか?」 「ち、ちがう!」 「ふふ、では、少しお待ち下さい。直に下ろして差し上げますから」 そう言って咲夜はれみりゃの頭部を上へと引き上げ始める。 れみりゃは自らの頭の中にあった異物感を初めて自覚し、奇妙な感覚に表情を歪ませる。 やがてれみりゃの視界に映ったのは、長い、一本の棒だった。 真っ直ぐ地面に突き立てられた長い棒。 その上の辺りにれみりゃは突き刺されていたのだった。 れみりゃの身体は、無い。 あの時、最後には首まで切断されてしまったのか、他のゆっくり生物のように頭部だけになってしまったれみりゃ。 「傷は痛みますか」 「……うん」 器用にも、れみりゃを片腕で胸元に抱き留める咲夜。 もう片方の手で日傘を差し、れみりゃに日差しが射さない様にと位置を調節する。 「一日も過ぎれば元に戻るでしょうから、それまでの辛抱ですよ」 ゆっくり生物は総じて僅かばかりの再生能力を持っており、さらにれみりゃは吸血鬼としての特性も有していた。 よって、このような物理的に昇天してもおかしくないような状態になったとしても、結果として生き残る事が出来る。 咲夜の言い通り、食事をとりつつ一日ほど時間が経過すれば、以前と変わりない姿を取り戻すことが出来るだろう。 「さくやー♪」 「なんでしょうか?」 「さくやさくやー♪」 「ふふっ」 咲夜の胸に抱かれた事で安堵を覚えたのか、ようやく安心した表情を見せるれみりゃ。 心が安らぎ、温かい何かで満たされる。 何も疑問に思う事は無かった。 あの黒い人影は何処に行ったのか。 どうして咲夜はれみりゃに起こった事を何も聞かないのか。 れみりゃの幼い思考ではそれらの疑問を思いつくことも無く、ただ目の前の事実だけを受け入れる。 「ぅー……」 ようやく訪れた心安らぐひと時に、れみりゃはゆっくりと瞼を下ろし始める。 頭の後ろに咲夜の暖かさと胸の鼓動を感じながら、まどろみへと誘われていくれみりゃ。 やがて零れ落ちる安息の吐息と共に、咲夜は紅魔館へと足を進め始めた。 ………… 「そういえば、お嬢様代理、知っていますか?」 「うー?」 「黒いお化けのお話です」 「ぅ゛あ゛っ!?」 「何でも、聞き分けの無い悪い子を夜に連れ去って、物凄く酷い事をしてしまうという話だそうです」 「…………!!???」 「でも、お嬢様代理は皆を困らせる事の無い良い子ですから、そんな怖いお化けが来る事もないでしょうね」 「う、うん、れみりゃはよいこだよ」 「そうですよね、プリンは一日一度、野菜はきちんと残さず食べる、転んだって一人で起き上がれて、中国や他のメイド達を困らせる事も無くて、四六時中私を呼び付けて扱き使う事の無い、良い子ですよね」 「う、うん…………」 「ちなみに、黒いお化けが来るのは一度だけではないそうです」 「!!!!??」 「悪い子が良い子に変るまで、何度も何度も連れ去っていってしまうそうですよ」 「ひぃ……っ!???」 「まあ、皆を困らせる事の無い良い子のお嬢様代理には関係の無い話かもしれませんが」 「…………ぅ、うん」 ………… 「最近、お嬢様代理がやけにおとなしいですけど、何かあったんですか?」 「さぁ? 何か怖い目にでもあったんじゃないかしら」 紅魔館は今日も平和だ。 『その11 テイクⅡ』 「…………? …………さ、さく、や……?」 「はい、そうですよ」 「ほ、ほんとに……?」 「あら、お嬢様代理には私が他の誰かに見えているのですか?」 「ち、ちがう!」 「そうでしょう、そうでしょう」 「う、うん」 「ほら、ちゃんとプリンも持ってきましたよ」 「えっ!?」 「美味しいプリンですよ」 「ぷりんー♪」 「あら、手が滑って落としてしまいました」 「あ゛っ!?」 「あら、足が滑って踏みつけてしまいました」 「あ゛っ!?」 「いえ、でも大丈夫です」 「ぅ゛?」 「もう一つ、こちらに」 「ぷ、ぷりんー♪」 「ええ、あら、これ本当に美味しいわ」 「ぇ゛え゛!!??」 「あら、私ったらうっかり食べてしまったわ」 「ぷ、ぷりん、れみりゃもたべたいな♪」 「なんてことでしょう、もう手元に一つも無いのです」 「うー……」 「しかし大丈夫です」 「う?」 「お屋敷に行けば、沢山あります」 「れみりゃ、ぷりんたべれるの?」 「ええ、食べられますとも」 「ほんと?」 「本当ですよ」 「わあい♪」 「では、取りに行ってきますので、また後ほど」 「うん♪ さくやいってらっしゃいー♪」 「それでは失礼いたします」 「あ゛づっ!?」 「…………」 「あ゛、あ゛づい゛!?」 「…………」 「あ゛! あ゛、がざ!! ざぐや゛がざ!!!」 「…………」 「ざ、ざぐや゛も゛どっでぎでえ゛!!! がざ!! がざがな゛い゛どれ゛み゛り゛ゃも゛え゛ち゛ゃう゛う゛!!!」 「…………」 「あ゛づい゛い゛い゛い゛い゛い゛!!! ばい゛に゛な゛り゛ゅう゛う゛う゛う゛う゛!!!」 「…………」 「ざぐや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「…………」 「ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「…………ふふふっ、あそこまでしておいて本気じゃ無いだなんて、そんな事あるわけないでしょう」 『おわれ』 駄文製作者:ななな
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/702.html
森の中を、一人の男が歩いていた。 「~~~♪」 上機嫌で鼻唄を歌う男の前に、小さな生き物が立ちふさがった。 「「ゆっくりしていってね!」」 「ゆっきゅりしていってね!」 ゆっくりれいむとまりさ、そして子れいむだった。 「おお、ゆっくりか」 「おじさんはゆっくりできるひと?」 「できないならゆっくりでていくんだぜ! ここはまりさのゆっくりぷれいすだぜ!」 「ゆっきゅちー!」 男は答える。 「もちろん、ゆっくりできるよ」 男は紙芝居屋だと言った。 「かみしばい?」 「まりさはそんなのしらないぜ!ほんとうにゆっくりできるのかだぜ!」 「本当さ。 そうそう、ゆっくり用の紙芝居もあってだね……」 男は背負ったつづらを地面に降ろし、懐紙に包んだお菓子をゆっくりの前に放ってやった。 紙芝居屋とゆっくり 「ゆゆ!おかしをくれるなんてよくできたにんげんだね!」 「うっめ!これめっちゃうっめ!」 「ゆっきゅりおいちいよ!」 男はつづらから大きな画板を取り出し、それをゆっくり達に見せた。 「これが紙芝居でね……って聞いてねえ」 ゆっくり家族がお菓子を食べ終わるまで待たねばならなかった。 まりさを筆頭に、家族はお菓子を食べ終わる。 「まあまあのかみしばいだったぜ!」 「れいみゅ、かみちばいだいちゅきだよ!!」 「いや、それは紙芝居でもなんでもなくて紙芝居の前に配るただのお菓子なんだけど……」 「なんでもいいぜ!もっとおかしをよこすんだぜ!」 「そうだよ!もっとおかしをちょうだいね!」 「ゆっきゅりー!」 「…この紙芝居が終わったら、お菓子のいっぱいあるところへ連れて行ってあげるよ?」 「ゆゆ!それならいいぜ!」 「ゆっくりかみしばいしてね!」 それでは、はじまりはじまり。 最初の一枚には、ゆっくり家族の絵。奇しくもこの家族と同じ構成だった。 「ゆゆ!かみのなかにれいむがいるよ!」 「まりさもだぜ!あかちゃんもいるぜ!」 男は朗々と物語を読み上げる。 「あるところに、ゆっくりの家族がいました。 一家はゆっくりとご飯を食べたり…」 物語はゆっくりの生態を追って進行する。 「草原でゆっくりしたり」 「すっごくゆっくりしてるよぉぉぉぉ!!」 「川で水浴びをしたり」 「おみじゅでちゅっきりだにぇー!!」 「ご飯をたべたりします」 「まりさのほどじゃないけど、りっぱなごはんだぜ!」 「おや!れみりゃに見つかってしまいました!」 「ゆびいいいいい!!!!」 「やめてね!!ゆっくりあかちゃんをはなしてね!!」 「(…かみしばいのまりさはばかだぜ!まりさだったらかぞくなんかみすててにげるぜ!)」 男はさらにめくる。必死な表情でれみりゃから逃げる家族が、画板何枚にもわたって描写される。 「ゆゆーん!!がんばっちぇーーー!!」 「れいむをゆっくりさせてあげてよぉぉぉぉ!!!!」 「あぶないんだぜ!つかまるぜ!!」 すっかり感情移入し、ぴょんぴょんと跳ねながら紙芝居に見入るゆっくり達だ。 「……家族は一生懸命に逃げました。 飛び跳ねて、飛び跳ねて…… そしてとうとう、一家はれみりゃから逃げ延びたのでした!」 「ゆっくりたすかったよ!ゆっくりしていってね!」 「れみりゃがばかでたすかったぜ……」 「れみりゃ、こわかったよぉぉぉ……」 ほっと息をつくゆっくり。 「れみりゃから逃げ延びた一家は、次に人間と出会いました」 「ゆゆ!かみしばいのおにいさんが、かみしばいのなかにもいるよ!!」 描かれている人間は、確かに紙芝居屋の男とそっくりだ。 男は次の一枚をめくる。 「え……なにこれ……?」 れいむはわが目を疑った。 画板には、男が透明な箱に泣き叫ぶゆっくりを詰め、道を歩いて行く絵が描かれている。 「人間は虐待お兄さんでした。お兄さんは家族を加工所に持って行き、おいしいお菓子にしてもらいました。 めでたしめでたし」 「なんでぇぇぇ!!!???どぼじてそうなるのぉぉぉぉぉ!!!!????」 「ゆっきゅりできないぃぃぃ!!!」 急転直下の展開に、のたうちまわるれいむと子れいむ。 「ほ…ほんもののおにいさんは、こんなひどいことをしたりしないんだぜ…?」 まりさだけが危険を察知し、後ずさりを始める。だが、男はまりさを難なく掴みあげた。 「いだいぜ!ゆっくりはなすんだぜ!?」 続いてれいむと子れいむを捕らえる。つづらから透明の板を取り出し、手早く箱に組み立てる。 三匹は狭い箱に閉じ込められてしまった。 「お前達がさっき食べたお菓子は、加工所で作ってもらったものさ。 次はお前達がお菓子になるんだよ」 「じょうだんなんだぜ!?おにいさんはじょーくがじょうずなんだぜ!?」 「冗談であるものか。お兄さんは嘘なんかつかないよ。 さあ、紙芝居は終わりだ。 最初に約束したとおり、お菓子のいっぱいあるところへ行こうね」 「やべろおおおお!!!!ぞんなごとじたらゆるざないぜ!!まりさだけでもゆっくりみのがすんだぜ!!!」 「かごうじょはいやだよ!!ゆっぐりでぎないよ!!!ゆっぐりざぜてよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」 「かこうじょこわいぃぃぃぃ!!!!おそとにだちてよぉぉぉぉ!!おねがいぃぃぃぃぃ!!!!」 男はつづらの蓋を閉めた。それで、何も聞こえなくなった。 おしまい。 □ ■ □ ■ 書いた人:ゆっくり用品店”ゆ虐の友”従業員 過去の作品: 豚小屋とぷっでぃーん 豚小屋とぷっでぃーん2 エターナル冷やし饅頭 れみりゃ拘束虐待 無尽庭園 ゆっくりできない夜 ゆっくりぴこぴこ 何かがいる ぽんぽんいたいよ!ゆっくりできないよ! 踊り師とれみりゃ 小ネタ-瓶ゆっくり ゆっくりゆうぎ ゆっくりだんじょん りぇいみゅのりぇみょんに! れみ☆りゃ☆ぎゅー☆ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/3125.html
ゆっくり罠地獄その1 畑を荒らすゆっくりどもの対策には無視できないほどの労力と金が必要だった。 村人総出で群れを潰すのが手っ取り早いのだが残念なことにこの村のほとんどは老人だった。 年寄りがゆっくり狩りなどは危険すぎた。 ある農家では紫外線耐性をつけたれみりゃを加工場から買い、逃げ出さないように畑全体をカバーできる程度の紐を くくりつけ用心棒にした。 罠を仕掛けた当初は効果てきめんだった。 だが数日もすると悪知恵を働かせたまりさが紐のレンジ外から石を吹き付けて殺してしまった。 高い授業料となった。 ある農家では潰したまりさやれいむの帽子やリボンを柵にぶらさげて寄せ付けないようにした。 これも当初はその死臭を恐れたゆっくりどもを寄せ付けなかったが、これまた数日もすると風雨に晒されたせいか 臭いが薄れてしまったようで何の効果も発揮しなくなった。 つぶれたゆっくりは掃いて捨てるほどいるので見つける度に補充はしたのだが、どうも夜中にゆっくりれみりゃが その臭いに寄せ付けられて持っていってしまうらしい。これでは意味が無い。 ある農家では柵の手前にわざと野菜を置きその中に大量の唐辛子を混ぜ込んでおいた。 初回にやってきたゆっくりどもはうまいこと食いつき、その辛さにもんどりうって餡子を吐き出し死んだが、 ゆっくりどもは無数にいる。その都度トラップ野菜を仕掛けるのでは経済的によろしくない。 更には唐辛子入り野菜を川まで運び洗って食うゆっくりも出現しだした。どうやらゆっくりぱちゅりーの入れ知恵らしい。 ある農家では落とし穴を掘り毒液を満たしておいた。 このトラップにひっかかるのはいいのだが、狂ったように暴れるゆっくりがその勢いで穴を飛び出し畑の中で派手に踊るらしく、 野菜にも毒液が付着しとても食えたものじゃない。 そんなこんなで男に白羽の矢が立ったというわけだ。 村の中では一番若く、昔とった杵柄で工作や土木工事が得意だからというのも理由だろう。 罠なんてこれまで一度も作ったことがないがやるしかない。 単純なトラップではすぐに効果が無いことはこれまでの経験で分かっていたので、どうしたものかとかなり悩んだ。 それほど労力もかからず、なおかつ効果的で、それでいてゆっくりに大していつまでも有効。 そんなトラップあるのだろうか? 夜遅くまで図面とにらめっこした結果、一つの作品、といってもいいだろう。 対ゆっくり用罠1号が完成した。 仕組みはこうだ。 50cm x 100cmぐらいの長方形の穴を掘り、そこをゆっくりがやってくる側の唯一の柵の切れ目に仕掛けておく。 深さは70cm程度だ。次に奥行き100cmを50cmずつ2エリアに区切るように立板を差し込む。 その2エリアにはそれぞれ5cm間隔で先を尖らせておいた木の棒を突き刺しておく。 ふたは2枚にし、それぞれ50cmずつをカバーするように上からかぶせる。手前のふたはゆっくりの重みで外れる程度のものだ。 そして奥のふたは手前のふたより重さに耐えられるようにしておく。 つまり落とし穴をダブルで設置することになる。一発目のトラップにひっかかりつがいのうち一匹は死ぬだろう。 そこで恐れをなして戻ればいいのだが、おそらく残った親がトラップが無いことを確認するために石か何かを奥に投げて 確認するだろう。だが2枚目はそれくらいじゃ外れない。石を投げても穴は無いと勘違いする、 そして立板があるから奥の杭も見えない。もうトラップは無いと勘違いして引き続き落とし穴をジャンプで越えて進入を試みる だが助走をつけて飛び込んだ親の重みには耐えられない。 そのまま飛び跳ねて2匹目もドカンだ。 よしいける!男は一人ほくそ笑んだ。 早速夜が明けてすぐ作業を開始した。土木工事の経験がある男にとっては難なく完成させることができた。 ご丁寧にトラップの横の柵には虐待され餡子が飛び出したまりさとれいむの絵を書いた看板を設置しておいた。 わざとらしい方がかえって奴らの注意をひくだろう。 そして翌日の早朝 男は早く起きだし納屋の中に隠れ窓の隙間から様子を伺っていた。しかけた罠のすぐ横に建ててあるので 罠もはっきりと確認できる。 そろそろゆっくりどもが野菜を荒らしに来る時間だ。 「そろーり、そろーり」 程なくして男の予想通り間抜けな声が聞こえてきた。馬鹿共ご一行様の到着だ。 親まりさと親れいむ、小ゆっくりが二匹。 「おちびちゃんたち、おとをたてないでね。これからおいしいおやさいたくさんたべられるからね!」 おまえが一番うるさいだろうと思ったが男はじっと見つめていた。 「ゆっ!おかーちゃん!おとーちゃん!あぞごにごわいのがあるよぉぉぉぉっ!」 ズタボロになったまりさとれいむの絵を見つけてブルブルと震える小れいむと小まりさ。効果があったか? 「おちびちゃんたち!だいじょうぶだよ!あれはばかなにんげんがかいたえだよ!だまされちゃいけないよ!」 「ゆぅ・・?だいじょうぶなの?いたくないの?」 まだ少し涙を流しながら小刻みに震える小ゆっくり達。 「まかせておくんだよ!こんなのこわくもなんともないよ!」 そう言って看板にドンドンと体当たりをする親まりさ。そのまりさを見てうっとりする親れいむ。 おいおい、静かにしろと言い聞かせておいてどんだけお祭り騒ぎだ。 看板に無意味な攻撃をして満足したのか親まりさは入り口の方を向き直り直進する。よし、いいぞ。 ズボッ! 「ぎゃぶばびゅっ!!!」 親れいむと小れいむの前でまりさが消え気色悪い声が聞こえてきた。 突然のことに目を見開き硬直する親まりさと小ゆっくり達。 「ぐげぇ・・・・ぐぞおおおお!!・・・・ぢぐじょう・・・にんげんべ・・・・!!」 納屋の窓から穴を覗き込むと体のあちこちから杭を突き出しあんこをゲロゲロと漏らしている親まりさが見えた。 (ヒット!) 男は心の中で叫んだ。 「ゆがあああ??!!!ばでぃさぁぁあああああ?!どぼぢでええええ!!!???」 穴の中を見て半狂乱になる親れいむ。うっしっし。 「でいぶ・・・おぢびぢゃんだぢ・・・・だのんだよ・・・ばでぃざはもう・・・びゅぶぶぶっぶっ」 事切れたようだ。 「ウがああああああああああああ!!!!!!!!!ばでぃざ!!!!!」 ぬらぬらとした体液を目や口から垂れ流して親れいむが絶叫する。小ゆっくり達は白目をむいて気絶している。 嗚呼美しき夫婦愛家族愛哉。 「ゆぐぐぐぐぐ!ばでぃざのしはむだにじないよ!!!」 目を吊り上げて怒りを露にする親れいむ。おお、こわいこわい。 親れいむは目から汚い汁を垂らしながらも野菜をゲットする気満々だ。そうこうなくちゃな。 数歩後ろに下がった親れいむ。おや、怒りのあまり罠を確認しようとはしないのだろうか。 まぁ別にそれは構わないのだが。 「おがあぢゃん!もうがえろうよぉ!!!!」 泣き叫ぶ小ゆっくり達。 「あんだだぢはだまっでなざい!!!ごごでひぎざがっだらばでぃさがなぐよ!!!ばでぃざのぶんまで やざいをたべるんだよ!!!」 親れいむに鬼の形相でにらまれた小ゆっくり達はビクッとして黙る。 そして1mほど後ろに下がり既に開いている第一の罠をジャンプして飛び越す。 しまった!ゆっくりのジャンプの距離を間違えたか?! 男がそう思うくらい親まりさは必死になって飛び跳ねていた。 ガシッ 第二の罠を超えたあたりに着地成功・・・ッ・・・・か? いや違う、ふたと地面の丁度境目あたりに親れいむは着地した。 「おかあちゃんかんばれ!がんばれ!」 必死に応援する小ゆっくり達 れいむは思っていた。 (あいするまりさのしをむだにしてはいけない。のこされたおちびちゃんのためにもやさいをてにいれるひつようがあるんだ。 おちびちゃんたち、みてなさい、おちびちゃんたちもこうやって・・・・えっ?) ガタン 第二のふたが着地の衝撃で内側に開く。 「ゆ"っ・・・・?!ゆがっっ?!!」 れいむの体はゆっくりらしくとてもとてもゆっくりと後ろに傾いていた。 「ゆぐべらっ!ゆびびゅぶぶぶべらっ!!!!」 鋭利な杭の先がれいむを突き刺す。目を貫通していた杭もあった。一瞬たくさんの針で頭の中身を刺されたような 痛みがれいむに走る。何かを喋ろうとすると口から餡子が噴出してきた。 もはやこの親れいむは長くは無いだろう。 「ゆがっ・・・・がっ・・・・」 その様子を目の前にし、小れいむは大量の餡子を吐いて皮だけになって動かなくなっていた。 小まりさは白目のまま硬直していた。 「イェーイ!!」 男は納屋の戸をバンと開けると浮かれた声を上げながら飛び出してきた。 その勢いはBGMにサンバの調べが聞こえてくる気がするぐらいに。 「おちびちゃんはこの畑100匹目のゆっくりでーす!おめでとうございまーす!嘘だけど!」 男は嬉しさのあまり馬鹿丸出しの声をあげ小躍りしている。 小まりさはまだ白目をむいて小刻みに痙攣したままだ。 「98匹目と99匹目のおとうさんおかあさんは残念でしたー!残念賞をあげまーす!」 男はそう言いジッパーを下ろすと串刺しになっている親まりさと親れいむに じょぼじょぼと放尿を始めた。 まだ生きている親れいむは男の放尿を受けて 「ゆぐっ・・・ゆぐっ・・・」と唸っている。口にも杭が刺さっておりまともに会話はもうできない。 目からはぬらぬらとした液体が溢れていた。そして動かなくなった。 穴の下に向かって放出されていた尿が徐々に角度を上げて行き当たりに飛び散るようになる。 穴のふちにいたため男の放尿をまともにくらった小まりさは気絶から覚醒し「ぐぎゃあああああ!!!」 と叫びながら森の方へと逃げていった。 快感に包まれていた男はそれを潰すことをすっかり忘れていた。 「あ、しまった、逃がしちゃった」 我に返った男は穴の中で死んでいるゆっくり二匹を棒で取り出し川に放り投げる。 小れいむの死体は適当に足ですりつぶしておいた。 「よし、とりあえずこの罠は成功だな、明日も別のゆっくりどもが来るかもしれんし元に戻しておくか」 男は尿の臭いを消すために水を撒き臭いの強い野菜くずを適当に穴の底に撒いておき、ふたの仕掛けも 元に戻しておいた。 「小便なんかしなきゃ良かった。ああめんどくさい」 そしてその晩は安心して朝までぐっすり眠った。 翌朝 「どうしてだ・・・・」 目の前に広がる畑は見事に荒らされていた。 全ての野菜がほじくり出され、残っていたのは硬い芯や破片だけだった。 男は罠の方に走っていった。そして思わず「あっ」と叫んだ。 ダブルの罠にはどちらにも成体まりさとれいむが詰まっており髪の毛が見えている。 合計四匹。底の方には深く杭が突き刺さり餡子を飛び散らせているれいむ二匹。その上には貫通はしてないものの 深く刺さったまりさが二匹ひっかかってた。よく見ると上に重なっているまりさのうち一匹はまだかろうじて生きている。 「おい、何があった、どうして四匹も穴に落ちてるんだ!」 男はそういい生きているまりさに問いただす。 「ゆぐ・・・・ばでぃざはなにぼじでないのに・・・・どぼじで・・・・びどい・・・・」 男はまりさを穴から引き上げた。足の方には下で死んでいるれいむを貫通した杭が刺さった穴がいくつも開いている。 この傷で放置されたのだからもう助からないだろう。 「ばでぃざは・・・おぼうじなぐじだの・・・・だがら・・・ごのあなに・・・ぶでぃやり・・・・」 そう言うとまりさは餡子をぶりっと吐いて死んだ。 おそらく昨日逃がした小まりさが別の家族にここの罠のことを知らせたのだろう。 そしてこの罠の仕組みを知ったそのまりさ一家が帽子やリボンをなくしていじめられていたゆっくりを 無理やり連れてきてこの中に叩き落し、杭が露出しないことを確認してその上を悠々と渡り畑を荒らしたようだ。 ゆっくりをみくびっていた。男はがっくりと膝をついた。 噂には聞いたことがあるが、ゲスまりさというゆっくりはこういった悪知恵も働くらしい。 「しまった・・・俺の完敗だ・・・・」 男は昨日の自分の浮かれようを思い出し、そしてただ悔しさに土を拳で何度も叩いた。 しかし数分後、男はすくっと立ち上がる。既に落胆の表情は無い。 いやむしろ不適な笑みさえ浮かべている。 そしてぼそっと呟いた。 「次は戦争だ」 ~続く~ =====あとがき====== 2作目の虐待SSです。 トラップネタを書きたいなぁと漠然と思ってるところにfuku3373.txtが投下されたので触発されました。 この話を思いつく前からかなり長い話を書いてるのですが、ちょっと内容に行き詰っているので 気分転換に短い話を書いてみました。しかし続編アリになってしまった・・・ また勃起してますね。 これまで描いた話 【うんうんの報い】 by ゆっくりジェントルマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/438.html
※この作品の中の幻想郷は、河童達の頑張りもあって比較的文明が進んでいます 「ゆっ!おにいさん、今日はどこにあそびにつれていってくれるの?」 「それは着いてからのお楽しみだよ。とっても楽しい所だからゆっくり待っていてね」 「ゆゆ~、楽しみ~~!!」 ごきげんなゆっくり霊夢を腕に抱えて、大きな荷物を背負い、私は林道を歩いていく。 この霊夢は数日前、単独で我が家に侵入しようとしていたところを捕獲したものだ。 その場でブチ殺してやることもできたが、肉体的な拷問は今まで散々やってきていささか芸がない。 少し考えた末、私はある計画を思いつき、そのためにしばらくこの饅頭を生かしておくことに決めたのだ。 準備が整うまでの間「親切なゆっくりできるお兄さん」を演じ続けたため、今ではすっかり私に懐いている……まぁこの関係も今日で仕舞いだがな。 「おにいさん、いっぱいゆっくりしようね!」 「ああ、たっぷりとゆっくりさせてあげるよ……」 虐待おにいさんとゆっくり霊夢が贈る、そんなとある夏の日のお話。 ーーーゆっくりダイビングーーー 「ゆっ!すっごくおおきなみずたまりがあるよ!」 「ああ、ここが紅魔湖だよ。綺麗だろう?」 私達が訪れたのは、幻想郷の中心に位置する紅魔湖と呼ばれる巨大な湖だった。 全長数キロ、中心には紅き悪魔の住む古城がそびえる、風光明美な場所だ。 今日のような暑い日には、涼をとりに来た周辺の人間や妖精達の憩いの場所となっている。 「ゆゆー!ひろいね、すごいね!!」 「それじゃぁ、近くに寄ってみようか」 わーわー五月蝿い饅頭を抱えて水場に近寄る。 環境汚染とは無縁の幻想郷の中でも、一際透き通った水面が涼しげに揺れている。うーん泳ぎたい。 「ゆゆー、おみずがすっごくあおいよ!きれいだねー」 「この透明度は反則だよなぁ……それじゃあ早速泳いでみようか!」 「ゆっ!だめだよおにいさん、れいむはみずにはいるととけちゃうよ!」 ほう、この饅頭頭も流石にその程度のことは知っていたのか。感心感心。 「ああ、それなら安心してね。このスプレーをかけると君の体は水を弾くようになるんだ」 そう言って荷物から取り出したのは、加工場で最近発売された新商品「ゆっくり撥水スプレー」だ。 これをゆっくりに噴射すると特殊な薬品で体がコーティングされ、最低数時間は水中に入っていても体が溶け出さないようになっている。 用途はゆっくりを使った水仕事用や遊戯用といったほのぼのとした物から、水を使った長時間の拷問用まで様々。 もちろん今回は後者である。折角今まで長い時間をかけて準備してきたんだ。すぐに終わっちゃ勿体無いだろう? 「ハイ、おしまい!これで君も湖の中で遊べるようになったよ」 「ゆゆっ、からだがなんともないよ!つめたくてきもちいい~」 スプレーを終えたれいむを水面に浮かべてやると、最初はビクビクしていたがすぐに大はしゃぎで遊び始める。 水面でくるくる回転したり、水を口に含んで吹出したりしてキャッキャと笑っている姿は正直殺したくなるが、まぁまだ我慢我慢。 一緒に水に入り、一通り遊ばせてやってから、私は再び声をかけた。 「ねぇ、折角だからもっと広いところに出てみないかい?もっと面白い遊びがあるんだ。」 「ゆゆっ、こんどはなにをしてあそぶの?」 あれから私達はボートを借りて、紅魔湖の中心付近へと移動していた。 「ああ、ダイビングといってね、水の中で泳ぐ遊びだよ。それじゃ必要な機械をつけようね。」 言いながら私は、荷物の中から小さめのボンベと水中眼鏡、レギュレーターを取り出す。 これらはゆっくりの体型に合わせて、河童に作ってもらった特注品だ。 「ボンベは背負えたね?じゃ、次にこのレギュレーターを咥えて。離すと水が入ってくるから口を開いちゃ駄目だよ! あと、ここについている計器に気をつけて。ここにはボンベの中の酸素の量が表示されているんだ。 この目盛りが0になるまで潜っていちゃあ駄目だよ。酸素が切れて死んでしまうからね!」 物覚えの悪いアホ饅頭相手に忍耐強く説明しつつ、なんとか器具の装着を終える。 そのままボンベを手で支え、ゆっくりを水中に沈めた。 「ゆゆー!みずのなかでもいきができる!すごいよ!!」 うん、どうやら機械は正常のようだな、さすが河童。 それにしてもはしゃぐのは結構だが、口を離すなと……ってあれ、こいつレギュレーター咥えたままだな。どうやって話してるんだ? 「ゆ?れいむはいわれたとおりにしているよ?」 ……どうやら河童の超科学の賜物らしい。ゆっくりなんぞに使うのは豚に真珠以外の何物でもないが…… まぁいいや、クリアな悲鳴が聞けるのはよい事です。 「じゃ、しばらく一人で遊んでいてね。お兄さんは準備をするから」 饅頭を再びボートの上に引っ張り上げ、私は仕置きの最後の仕上げを進めた。 モニターを立ち上げ、ゆっくりのボンベについていたパネルを開き、あるボタンを押す。 「よし……カメラも異常なし、と。上手く行きそうだな。」 「おにいさんがなにをしているかわからないよ!はやくれいむをみずにいれてね!!」 私が調整を済ませている間も、ゆっくりは五月蝿く喋くり続ける。この腐れ万頭が…… 沸騰しそうになる頭を必死で落ち着かせる。そうだ、この下等生物に付き合うのもこれで最後なんだ。なんと素晴らしいことか。 「まぁ慌てるな。すぐに連れて行ってあげるよ……地獄にね」 「ゆぅ?」 すべての準備が整ったことを確認すると、私は理解できていない様子の霊夢(+ボンベ)をゆっくりと抱え上げ…… 「それじゃぁ…………ゆ っ く り 沈 ん で い っ て ね !!」 「ゆっ!?」 今までのストレスを込めて、水面に叩きつけた。 「ゆぶッ!」 ドボンッ!! 「ふぅ……清々したぜ」 水柱が立ち、ゆっくりれいむの姿は水の中へと消えていった。 ============================================ 「水深5M」 「……ん……ゆっ!?」 水面に叩きつけられてから数十秒後、ゆっくり霊夢は意識を取り戻した。 どうやらショックで少し気絶していたらしい。早く上がって、お兄さんに文句を言わないと 「ゆゆ?からだがうかばないよ!」 浮上しようと願う彼女の意識とは裏腹に、彼女の体は水中を急降下していた。 通常のゆっくりの体は水に浮くが、くくりつけられたボンベが錘の役割を果たしているのだ。 「ゆゆ~~っ!おにいさん!ふざけてないで引き上げてね!!」 自力で水面に上がることを諦めた霊夢は、お兄さんが助けてくれるのを待つことにした。 この期に及んでも誰かが自分を助けてくれると考えているそのゆっくり脳には、流石におめでたいとしか言いようが無い。 暢気に魚を探したりなどしながら、ゆっくり霊夢は、沈んでいった。 「おにいさん、はやくたすけてね!!」 「水深20M」 「ゆっ!はやくれいむを引き上げてね!今ならおこらないでいてあげるよ!!」 呼吸ができるということもあり、ゆっくりれいむの声にはまだ余裕があった。 もっともわずかな焦りも感じている。体に感じる水温が徐々に冷たくなっているからだ。 一般に太陽光によって海水が温められているのは、赤色光が届く深度十数Mの辺りまで そこから先は深くなればなるほど極低温の深層水の世界に入っていくということを、霊夢はまだ知らない。 「こんなにさむくちゃゆっくりできないよ!ばかなおにいさんははやくひきあげてね!!」 「水深40M」 「ゆゆっ!寒いよ……それになんだかくらくなってきたよ!」 沈みながら、心細げに辺りを見回す霊夢。 繰り返しになるが、海の中で満足に光が届くのはごくごく浅い位置に限られており 十数Mも潜ればライト無しのダイビングはほぼ不可能になる。 流石のゆっくり脳も不安を訴えてきていたが、まだ彼女はおにいさんが助けてくれるという妄想にすがり付いていた。 「水深60M」 コバルトブルーだった水の色は、今では薄暗い青に変わっている。 先程までは木の葉ほどの大きさに見えていたボートは、今では点のようにしか見えない。 ここでボンベを捨てて力を抜き、水面に上がればまだギリギリで助かったかもしれない。だが彼女はもはやそれどころではなかった 「ゆぐぅ……からだがいたいよぉおお!」 先ほどから、彼女の体に締め付けられるような痛みが加わっていた。水圧である。 10M潜るごとに1気圧ずつ増加するその力は、徐々に霊夢の体を締め上げていく。 だがゆっくりの体は水圧に最も強い球形をしており、中身も水分が豊富な餡子で出来ている。 その特性が、結局彼女の苦しみを長引かせることとなった。 「水深100M」 「いだいいいいいい!もういやだあ゛あ゛!おうぢがえるうううううう!!」 既にボートの姿はとっくに見えない。先ほどまでちらほら見えていた魚影も無くなっている。 沈み始めて数分、霊夢はようやく自分の置かれた状況の深刻さに気付いていた。 だがもう遅い。もはや普通に浮上したとしても間に合わない深度まで、霊夢は降下してしまっていた。 「水深120M」 「水深140M」 「水深160M」 ………… …… … 「だずげでぇえええ!!おにいざんんんんんん!!!!!」 140Mを越えた辺りから、もはや周りは暗くて殆ど見えない。 なぜ水遊びなんかしてしまったのか、などなぜもっと早くボンベを外し水面に出ようとしなかったのか、 後悔だけを繰り返し、彼女はひたすら奈落の底へと落ちていった。 ………… …… … 「水深200M」 「ゆぎゅっ!」 衝撃とともに、れいむは自分の体が何か堅い物に叩きつけられたのを感じた。とうとう紅魔湖の底に着いたのだ。 痛みをこらえ、状況を確認しようと周りを見渡すと 「ゆ゛っ……」 そこは数十センチ先すら見えない、完全な闇の世界だった。 この深度になると、水面からの太陽光の到達率は0.5%を切る。深海魚でもない限り光を感知するのは不可能だ。 身を切るような寒さ。体を締め付ける水圧。そして耳を済ませても自分のレギュレーターの音だけしか聞こえぬ静寂。 この世で最も過酷で、孤独な世界に、彼女は一人で取り残されていた。 「いやあああああああ!!だずげでぇえええええええええ!! ぐらいぉおおおおおお!!ざむいよおおおおおおお!!ごわいよぉおおおおおおおお!!」 パニックを起こし、泣き叫ぶ霊夢。その声は何処にも反響することなく暗い空間に消えていった。 だれか、だれか自分を助けてくれるものはいないのか。 ワラをもすがる気持ちで辺りを見回す彼女の視界に、何かぼんやりと光るある物が映った。 「酸素残量:50%」 それは、ボンベについていた酸素残量メーターの蛍光盤だった。 食い入るようにその微かな光を凝視する彼女の耳に、ふいに湖上でお兄さんが話した言葉が甦る。 『ここにはボンベの中の酸素の量が表示されているんだ。 この目盛りが0になるまで潜っていちゃあ駄目だよ。酸素が切れて死んでしまうからね!』 「いやぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 その数字の意味する所に気がついた瞬間、彼女は絶叫した。 この計器は自分の死刑宣告。ここに書かれた数字が0になった時、自分は窒息し、死ぬのだ。 「だずっ げでっ だれがあ゛あ゛っ!!」 半狂乱で全身を動かし、少しでも水面に浮かび上がろうとするれいむ。だがその体は無情にもボンベで湖底に縫いとめらている。 彼女に出来たのは、刻一刻と無くなっていく酸素の量に怯えながら、芋虫のように湖底を這いずり回ることだけだった。 40%…… 30%…… 「いやあ゛あ゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!じにだぐないいいいいいいいいいい!!」 20%…… 10%…… 「おにいざん゛ん゛ん゛ん゛ん゛だずげでぇぇえ゛え゛え゛え゛!!!」 5%…… 0% 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ…………ガぼぁッ!!」 数十分後、しかし彼女の中では無限に思える恐怖の時間の末に、目盛りはとうとう0に重なった。 それと同時に大量の水が彼女の口に流れ込んでくる。計器の光も消え、辺りには真の闇が訪れる。 「ゴぱッ みずっ いぎが でぎなっ」 ゴボゴボと気泡を吐き出し、湖底をのたうち回るれいむ。 浸入した水で鼻や喉は焼けるように痛み、窒息の苦しみは彼女の餡子を生きたまま掻き回すようだった。 「いやだぁあ゛ゴブッ じにだぐないあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ゲぼッ」 死への恐怖が、彼女を最後の瞬間まで足掻かせる。その時、奇跡的にボンベと体を結ぶベルトが緩み、彼女の体は開放された。 だが酸欠と恐怖でパニック状態となったゆっくり脳は、もはや上下の感覚すら解らなくなっていた。 浮かび上がろうともがけばもがくほど体は逆に地面に突き刺さり、辺り一面に砂埃が舞い上がる。 そしてゆっくりと、ゆっくりと、もがく体は動きを止めていった。 クライ クルシイ サムイ イタイ どうして自分がこんな目に会わなければならないのか。自分はただ優しいお兄さんと楽しく遊びたかっただけだったのに。 薄れる意識の中でれいむは問う。だがどう考えても答えは見つからない。 やがて完全に体は動きを停止し (ゆぐっ……じだ……がっ……た……) お決まりの台詞を残して、彼女の意識は闇の中へと消えていった。 「……あっはっはっはっはははは!!いやぁ傑作だったな!!!腹が痛い!」 ボートの上で、私はモニターを眺めながら大爆笑していた。 霊夢が沈んでから湖の底で悶死するまでの映像、その一部始終を私はボンベに付いていた小型カメラで見ていたのだ。 録画も可能な優れモノなので、家に帰ったらもう一度見直すことにしよう。全く河童の技術力は大したものである。 「さてと……ボンベを回収しないとな。なんたって特注品だ」 ボンベには釣り糸程の細さしかない頑丈なロープが結び付けてある。それを巻き上げて回収し、 そのついでに死体となって浮かび上がってきたゆっくり霊夢もボートに引き上げる。 絶望と窒息の苦しみでグロテスクに歪んだそのデスマスクは、なんとも笑える代物だった。額に入れて飾っておきたいようだ。 兎も角、今年の夏はこれのおかげ楽しめそうだ……高い金を出した甲斐があったといえる。 次はゆっくりれみりゃでも沈めてみるか……あの再生力なら死ぬまでじっくり楽しめるだろうな。 撮った映像は稗田のお嬢さんにでも売りつければいい小遣い稼ぎになるだろう。 新しい遊びの成功に心を弾ませながら、私はゆっくりとボートを岸へ戻していった。 ======== 蛇足なあとがき こんにちは。以前ゆっくり改造職人の前編を書かせて頂いたものです。 後編を書いている最中、ふと電波を受信してこんなものを書いてしまいました。色々と突っ込みどころはあるかと思いますがご勘弁をorz 海とか湖って美しくも怖いですよね。足のつかない不安定な体勢、下を見ると光すら届かぬ冷たくて広大な空間が広がっている…… そこで何者かに突然足を掴まれ、引きずり込まれたら……そんな想像をしてしまい、自分は浅い所でしか泳げません。 暑い夏の夜に、ちょっと涼しいゆっくりいじめを。読んで頂きありがとうございました。 書いた人:ケイネスキー このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/3073.html
制裁ものじゃないと罪悪感を感じる方は注意 ある日の昼下がり、ゆっくりれいむは博麗神社の縁側でお昼寝をしていた。このゆっくりれいむは以前神社の中のおせんべいを 勝手に食べてしまって、巫女である博麗霊夢に叱られ、追い出されそうになったゆっくりであった。 その際にゆっくりれいむが行く当てもなかったところを見かねた霊夢によって飼われることとなった。 今では神社の中でゆっくりする居候またはペットとなっている。 「れいむ~。おやつよ~」 「すぐにゆっくりいくね!!おやつ♪おやつ♪」 今ではおやつを一緒に食べる。 「れいむ、こっちにいらっしゃい。一緒に食べよう。」 霊夢がれいむを膝の上に招く。 「ゆっくりできるね♪れいむのおひざやわらかくてきもちいい♪」 縁側で霊夢はれいむを膝の上に乗せて、おやつを食べることにした。日向でお昼寝をしていたれいむはほかほかと日の光を吸収して暖かい。 このゆたんぽのような暖かさが心地よい。ちなみに夏には冷やして冷やし饅頭になるので、これがまた気持ち良い。 「ほら、こぼしそうになっているわよ。しょうがないわね。」 そういう霊夢は普段他者と接する時と違って柔らかい物言いだった。 「ゆぅ?れいむ、ありがとね!!ゆっくりたべさせてね!!」 れいむは食べるときにこぼしてしまうので、霊夢が手をそえてゆっくり食べさせてあげるのだ。 最初は掃除の手間を省くためにこうしたのだが、今ではこの位置が一番しっくり来た。 霊夢にとってはれいむの暖かさと柔らかさを感じることができ、安らかな気持ちになれる。 そう、ゆっくりできるのだ。霊夢は元々面倒くさがりなところがあり、暇さえあればお茶を飲んでいた。 暇な時間を一人で満喫することは確かに味わい深い。しかし、れいむが来てからは、 だれかと一緒にゆっくりすることをより楽しめるようになっていた。 今では毎日のお茶の時間が本当に楽しみである。 「れいむ、れいむ、おやつありがとね!!おれいするね♪」 そう言うとれいむは縁側で霊夢を招いた。そうすると霊夢が寝転がる。れいむは霊夢の枕になった。 「あ~、ふわっとしてあったかい。れいむ、気持ちいいわよ。ありがとね。」 そういうとれいむは満足げな表情をした。それはどこかふてぶてしくて偉そうだ。 けれども霊夢はそんなれいむをみてほほえましく思った。すこし背伸びがしたい、 かまってほしいと思っている妹がいるとこんな感じなのかと思った。 そうすると、友人の霧雨 魔理沙が尋ねてきた。何でも異変の兆候があるらしい。霊夢は身支度を整えると、 「これから出かけてくるからね。おみやげもってくるからいい子にしてまっているのよ。」 「うん!ゆっくりいってらっしゃい!!」 れいむは満面の笑みで霊夢を見送った。本当はもっと霊夢と一緒にゆっくりしたかったが、 異変解決が巫女の仕事なのだから仕方がない。れいむは仕事で疲れた霊夢が帰ってきたときに たくさんゆっくりしてもらうためお手伝いをしようと思った。口を使ってちりとりをくわえ、器用に掃除をしている。 霊夢が帰ってきたときにほめてもらいたい。なでてもらいたい。れいむは霊夢の事が大好きだった。 そのとき、 神社の上空より鳥がれいむ目掛けて急降下した。れいむは鈍重な動きと警戒心の少なさから、以前より目をつけられていた。 そして巫女がいないところを狙われたというわけである。 あっというまにれいむは鳥に捕まえられ、空高くに連れ去られることとなった。 「ゆぅ?おそらをとんでる!!たかい♪たかい♪」 れいむはまだ現在の状況を把握していないようだった。 霊夢の愛情に守られていたれいむには、これからどのような地獄が待っているのかまったく理解ができていなかった。 だんだん神社が遠ざかってくる。さすがにおかしいと感じたのか、れいむは 「ゆっくりれいむのおうちにかえしてね!!れいむのおてつだいおわっていないの!!」 と催促するが、鳥に言葉がわかるわけはない。 しばらく飛んで、れいむは鳥の巣に落とされた。鳥はそのまま次の獲物を求めて飛び去っていく。 れいむの目の前には鳥の雛達がいた。目の前にはぴぃ、ぴぃと雛たちが自分目掛けて擦り寄ってくる。 よちよちとゆっくりしたペースだ。 「ゆっくりしてる~♪」 野生から遠ざかったれいむは自分に向かってくる雛達を何の警戒心もなく近づけてしまった。 雛たちを可愛いと思ってしまっていた。あるものを忘れていたためにこのような愚行を犯してしまった。 野生の法則 弱肉強食 「いたい!いたいよ!とりさんやめて!!」 雛達はれいむのことを食料としてしかみていなかった。抵抗手段を持たないれいむは雛達についばまれていく。 小さなくちばしによるついばみは、ひとつひとつはたいしたことはなかった。しかし大量の雛、 それもとても飢えているので、久しぶりのご馳走にありつこうとみな必死にれいむをついばんでくる。 「ゆっ! ゆ゛う゛う゛うううううっ!!!やだよ!れいむはおいしくないよ!!」 生態系の最下層、動く食料のゆっくりにはあるまじき発言である。くすぐったさといたみとかゆみが同時に襲ってくる。 「れいむたすけてよ!れいむー!!!」 しかし霊夢は助けに来ない。異変解決に向かっているので当然である。 ひなのくちばしがついに中の餡子に届いてしまった。あふれ出す餡子。そしてそこに群がる雛達。 地獄の蹂躙劇がついにクライマックスへと突入しようとしていた。 しかし親鳥がいなかったことが幸いした。れいむは巣から転がり落ちることによって、うまく雛達から逃れることができた。 れいむはまた逃げていた。神社へとたどり着くことを願っていた。 しかし神社がどこにあるのかはわからなかった。 それでもまったく動かなければ餡子におびき寄せられた虫達の餌食となってしまうのである。 先ほどついばまれたところがかゆいと思ったら、蟻がたかっていた。れいむはあまりの気持ち悪さにどうにかしてしまいそうであった。 転がって蟻をふりはらうとすぐに逃げる。しかし蟻達はしつこく追ってくる。 「れいむじにたくないっ、れいむじにたくないよっ!!!ゆっぐりじたいよぉ!!」 れいむはゆっくりできなかった。蟻達は大群をかたどって襲い掛かってくる。一匹でも再び侵入を許せばそれまでだった。 はやく、はやく跳ね、少しでも遠くへと逃げようとした。それがれいむの餡子をこぼし、より多くの蟻をおびき寄せることとなっていた。 「ゔわ゙ああああああん!な゙んでえええええ!!な゙んでづいてぐるのぉぉぉ!!」 れいむは逃げる。 餡子がこぼれる。 逃げる。 こぼれる。 こぼれる。 こぼれる。 ついてくる。 しかしなんという幸運か、目の前には浅い水溜りが道を横切っていた。 れいむは全身全霊の力を使って飛び跳ねた。蟻達は追ってこない。上手く逃げ切ることに成功したのである。 「ここどこ・・・。おうちかえる・・・。れいむにあいたい・・・」 もはやどこが神社か完全にわからなくなっていた。しかし幸運にも目の前には民家、そして畑があった。れいむは民家を尋ねた。 しかし誰もいなかった。何か食べたい。ご飯をもらいたい。れいむはたいりょうのあんこを失っていたため、早く栄養を取る必要があった。 それなのに長い間飼われていたれいむはえさのとり方を忘れてしまっていた。 ふと目の前の畑に目が行った。たくさんの野菜がある。れいむはこれを食べれば傷がふさがるかと思った。 しかしそのとき霊夢の顔が頭に浮かび、以前しつけられたことが思い出される。 「今度からは勝手に人のものをとっちゃだめよ。悪いことなんだから。いい子にしていたら私がごはんをあげるからね。」 霊夢に嫌われたくない。今まで霊夢と過ごしてきた思い出が蘇る。 かまってほしさにいたずらをして怒られたことがあった。 逆に霊夢にいたずらをされたこともあった。頭からダンボールをかぶせられた。すねていたら、 霊夢が謝ってきてその後一日中遊んでもらったことがあった。 一緒に外に遊びに行ったこともあった。霊夢の友達にほっぺたをつねられたことを覚えている。 喧嘩をしたこともあった。あのときは何が原因だったのか覚えていない。れいむは都合の悪いことはすぐに忘れる。 しかし寂しくなって霊夢の布団にもぐりこんでしまったことは覚えている。喧嘩した後なのに霊夢は抱きしめて寝てくれた。 れいむは泣きながら謝った。 ひとりでゆっくりしていても楽しくはない。霊夢といっしょにいたい・・・。 「ゆ"っ・・ゆ"っ・ゅっ・・・・・ゆ"・・・・・ゅっ・・・・・・・・・ゅ゛・・」 体の中の餡子の3分の1がなくなってしまったためか、意識が朦朧としてきた。 目の前の野菜を食べないと決めたことで一気に今までのダメージが押し寄せてきたらしい。 もう動くことさえできない。 蟻達が追いついてきた。別の道を通ったのだろう。れいむの体内へと侵入し餡子をむさぼってくる。 もはや助からないことはれいむにもわかっていた。霊夢には二度度会えないと。 最後にいってらっしゃいと言ったことを後悔した。もっとわがままをいえばよかった。 少しでも霊夢と一緒にいたかった。こういうべきだったのだ・・・ ゆっくりしていってね、と 「今戻ってきたわよれいむ~。どこに行ったの~。おみやげ持ってきたわよ。いっしょにたべよ~。」
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2044.html
オレ設定注意 東方キャラ注意 仲良し姉妹 闇が支配する時間。空には薄蒼い色で輝く月が地上を妖しく照らしている。 人は眠り、野生の生き物も巣で睡眠を取る夜に二つの人型が空を飛んでいた。 二つはふよふよと辺りを見回すと何かを見つける。 夜目が利くその瞳は暗く離れた偽装を見抜く。 二つは地上に降り立つ。 何かが住んでいる巣であろうそれは草と板で遮られている。 偽装のバリケートのつもりなのだろうが人の手を持つ二つはそれは障害にならない。 バリケードを退けると巣の入り口が見える。 二つは…いや二匹のゆっくりは静かに入っていった。 「ゆぅ…ゆぅ…」 「ゆちゅぅ…ゅぅ…」 巣の中は比較的広かった。 人間の子供でも楽に入ってそれなりに動き回れるその巣にはゆっくりが暮らしている。 成体サイズのれいむ。そして小さいボールサイズの子供れいむとまりさだ。合わせて7匹はいるだろうか。 とても安らかな寝顔をしたゆっくり達である。 れいむには夫であるまりさがいた。 仲の良い夫婦であったが二匹は寝る前のすりすりで発情してしまい、「すっきりー」をしてしまったのだ。 本来は成体サイズになると子供を作っても黒ずみの饅頭になる事はなく、死なずに出産が出来る。 しかしまりさは中身の餡子が足りないのか、それとも子供を作るのに体が弱い方だったのか。 赤ん坊が実ると共に黒ずみ、まりさは死んでしまった。 れいむは悲しんだ。泣いて悲しんだ。 最愛のまりさが「すっきりー」で死んでしまい、心がぽっかりと穴が開いてしまった。 だがそれもすぐに吹っ飛ぶ。 まりさの頭から元気な赤ちゃんが生まれたのだ。 初めて赤ゆっくりの言葉である「ゆっきゅりちていってね!」にれいむは涙を流し、 そしてまりさの形見であるこの子達を育てようと強く誓った。 最初は手間がかかった。何せ初めての赤ちゃんを世話をするのだ。 失敗もあった。赤ちゃんの泣き叫ぶ声で一睡も出来なかった事もあった。 しかしれいむは慈愛を持って育てた。近所のぱちゅりーとありすの手伝いもあって、赤ゆっくりも子ゆっくりまで成長した。 いずれこの子達は自分から離れ、巣立つだろう。 その時まで、れいむがゆっくりと育てるよ。 れいむは幸せだった。 まりさが死んだのは悲しいけど、それでも子供達が育っている事にゆっくりとできた。 巣も偽装をしているから侵入者も来ずにゆっくりと過ごせる。 だがいつの世も、幸せというのは突然壊れるものだ。 バリケードを退かし、進入した人型のゆっくりは巣を見渡すと赤ん坊を一つに集める。 その後、れいむの頬をぱしっと叩いた。 「うー、おきろ」 れいむは夢から覚める。 こんな時間に誰が起こしたのだろう。 まさかちびちゃんがこわいゆめをみた? れいむは目をゆっくりと覚めると、 金の髪に赤い瞳をした捕食者が目の前にいた。 「ふ、ふ、ふ、ふらんだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 れいむを夢から覚ましたのはゆっくりふらんだ。それも人型の。 捕食者として最強クラスの戦闘能力の持ち主であり、 その気性の荒さと相まって適うもの無しとゆっくり界では常識が作られる存在である。 な、なんで!?かもふらーじゅはかんぺきなはずだよ!! れいむは混乱していた。 捕食者を初めとした野生動物に見つからないようにカモフラージュしていたのに目の前にその捕食者がいるのだから当然だろう。 ち、ちびちゃんは!? 自分の安全より子供の安否を先に確かめるのは母性に優れたれいむらしい思考だ。 「うー♪おまえのさがしてるのはこいつらかどぉー♪」 れいむは凍りついた。 ふらんだけではない。ゆっくりの天敵である最悪の捕食者が二匹いる事に。 もう一匹はゆっくりれみりあ。通称れみりゃ。 ババ臭いおべべにニコニコとした下膨れ。 ふらんと劣る戦闘能力と気に入らない事があるとすぐに泣き叫び、某瀟洒なメイドに助けを求める。 それでもただのゆっくりでは適わない力を持つ恐ろしい天敵だ。 そのれみりゃの手にはれいむの愛する子供達が握られた。 「ち、ちびちゃんをどうするのぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 「う?あまあまをたべるにきまってるどぉ~♪そんなこともわからないんだどぉ?」 れみりゃは手に持つ子供れいむを牙で突き立てるとじゅるじゅると吸い始める。 中身の少ない子供のためか、すぐに餡子が無くなり皮だけのデスマスクとなる子れいむ。 「ゅびゅ…」 声は一瞬。痛みがなく逝けたのは幸せだっただろう。 なぜなら地獄はまだ始まったばかりなのだ。 「あ゛、あ゛、あ゛、あ゛、ぢびぢゃん゛があ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」 「うー☆なかなかおいしいんだどぉー」 あまあまの味に満足するれみりゃと子供を食べられ殺される母れいむ。 れいむはふらんに掴まれた腕を振り解こうともがく。逃げるためではない。子供を殺したれみりゃを殺すためだ。 しかしれいむとは遥かに差のある強い力を持つふらんはビクともしない。 「すこしだまれ」 「ゆぷぅ!!?」 脳天からふらんに殴られ、動きが止まる。 ゆっくりは痛みに弱い。ちょっとした事で動きを止めたり、命乞いをするナマモノだ。 事実、怒りに燃えたれいむはふらんの一撃で意気消沈してる情けなさである。 「うー、おきるんどぉー」 「ゅ…?」 「だーれ?おねーさん」 「ゆっくりしていってね!」「していってね!」 子ゆっくりは夢から覚めると起こしたれみりゃに挨拶をする。 まだ小さいからなのか目の前にいるのはゆっくりである事が判ってもれみりゃである事を知らないようだ。 「にげてぇぇぇぇぇぇぇ!おちびちゃん!ゆっくりにげてぇぇぇぇぇ!」 母れいむは声を張り上げる。 自分はどうなってもいい。ふらんとれみりゃに食われてもいい。 せめて、せめて自分の子供達だけはと言わんばかりに叫ぶ。 「ゆ?おきゃーしゃん。どうちたの?」 「おかーさん、もっとゆっくりしようよ!」 「ちがうの!れみりゃはゆっくりできないの!はやくにげないとゆっくりできなく「うー、うるさい」ゆぶぅ!」 危機感が足りない子ゆっくりを早く逃げるように言うがそれを理解していない。 騒ぐれいむを煩わしいと思ったふらんは再びれいむを殴った。 「おかーしゃんになにするの?!」「ゆっくりはなしてあげてね!」「ゆっくりしね!」 子ゆっくりは自分の母親を殴ったふらんに攻撃しようと跳ねてたいあたりをしようとする。 しかしそれはれみりゃに押さえられた子ゆっくりは動きすらままならない。 「ゆっくりはなちてね!」「おかーさんのところにつれていってね!」 恐れを知らずにれみりゃに命令する子ゆっくり達 「うー、うるさいんだとぉ…」 むりやり動こうとする小さい饅頭にれみりゃは一匹一匹に底部に小さな傷を付ける。 それはカッターなどでほんの少し皮を切ってしまう小さな傷だ。 「ゆぴぃ!?ゆっくりやめてね!」「やだよ、いたくしないでね!」「い゛だい゛だいい゛たい゛いぃぃぃぃ!」 だがそれは痛みと縁の無かった子ゆっくりにとって初めての体験だ。 元々跳ねたりして移動するゆっくりにとって、底部に傷が付くのはかなり嫌う。 なぜなら移動の出来ないゆっくりは敵対者から逃げる事も、食べ物を探しに行くことも出来ないからだ。 そうなってしまったら生物として底辺に位置するゆっくりだ。死んで一生ゆっくりできないのは明白である。 れみりゃに傷つけられた底部の痛みによって、もう子ゆっくりは跳ねる気力すら無くしてしまう。 底部に傷を付けられるとゆっくりは跳ねられなくなるのだ。 「うー、おまえはゆっくりとこどもがころされるのをみてろ」 ふらんはれいむに悪夢の始まりを告げる。 自分の大事な愛する子供が傷つけられるのをじっと待てと言うのだ。 「まずはおまえからなんだどぉー♪」 最初に選んだのはれいむの子供だ。 可愛らしい顔は恐怖と苦痛で苦しむその姿はれみりゃにとって、これから始める行為のスパイスに過ぎない。 まずは手始めに目を抉った。「ゆぴゃぁぁぁぁぁぁ!?!れいむのおめめがあぁぁぁぁぁ!!」 小さい目はぷるぷるとしていて感触が気持ちいい。思わず握りつぶした。舐めたら甘かった。 次は皮を剥いだ。「ゆびいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!??!!いぢゃいい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」 餡子が漏れないように丁寧に剥ぐ。時々剥く加減を間違えて餡子が漏れかけた。 リボンを取った。反応がない。先に取って反応を楽しむべきだったか。 髪の毛を剥いた。「ゆぼぉuw;cujw@ wt!?!!」 むりやり剥いた結果、皮ごと髪の毛が取れた。頭には餡子が丸見えになった。 露出した餡子から指を突っ込んだ。掻き回したり、こねこねしたり弄る。「ゆ!ひょへっ!ゆぽ!?」と一つ一つ反応を示して楽しい。 もう壊れてしまった。これだから子ゆっくりはすぐに壊れて楽しめない。 食べてみるととても甘く美味しい。苦痛で味を凝縮されているのだろうか。ふらんの分も残しておこう。 次に選んだのはまりさだ。 「ゆっくりやめてね!やるなられいむをやってね!」とさっそくまさり種特有の裏切りを発動している。 しかしれみりゃには関係ないことだ。 まずは帽子を取る。「やめてね!それはまりさのおぼうしだよ!!」 びりびりに引き裂いてやった。柔らかく脆いそれは見るも無残な状態になる。涙を目と同じ幅を流して気分がいい。 口に指を入れる。「ゆげぇ!がぎぎい゛ぎがぁ゛」 中は暖かく、餡子の感触がする。指の位置を変えると目が白目になったりして面白い。 頬を千切った。「ゆぎい゛ぃぃぃぃぃ!!ばりざの゛ぼっぺがあ゛ぁぁぁぁぁ!!」 食べてみると美味しいがれいむ程ではない。まだ苦しめる必要がある。 金色の三つ編みの毛を毟った。「ゆ゛ぎああぁぁぁぁ!?まりさのかみがあ゛ぁぁぁぁ」 右側の部分が皮ごと取れて見るだけで痛々しい。餡子を触るとぴくんぴくんして可愛かった。 片方の目に指を入れた。「ゆべぶあ!ゆびぃ゛!」 プチっといい感触と共に目は潰れ、その先の餡子ごと貫く。暫く震えていたが動かなくなった。 どうやら死んでしまったようだ。 食べると甘くまろやかになっている。子ゆっくりはそのままでも美味しいが苦しめれば更に美味しくなる。 子れいむ、子まりさと続いて二匹目の子れいむを手に取るれみりゃ。 まだ終わらない。子ゆっくりの地獄は。 口から頬まで裂いた。「ゆ?!ひゅほほほほほ!!?」 微妙に餡子が見えそうなぐらいまで裂けられた姿はまるで口裂け女だ。言葉もまるで喋れてない。 紅白の色をしたリボンを取る。「ひょるはひぇいむのぉ!!」 ハチマキのようにれいむの額に巻くと、力を込めて引っ張る。頭が皮があるのに餡子が見えるぐらい圧迫されている。 プチュウ 「ぢびぢゃん゛ん゛ん゛ん゛!!」 「うう!つぶしちゃったんだどぉ」 れいむは目の前の光景が信じられなかった。 最愛のまりさから生まれたゆっくりとしていった子が一瞬で4匹も奪われた。 それは悪夢としか言う他が無かった。 一方、れみりゃは不満だった。 このふらんとれみりゃはゆっくりを苦しめる事で味が甘くなり美味しくなるのを知っている。 しかし脆い子ゆっくりでは苦しめてもすぐに死んでしまう。 自分の手加減の問題とはいえ最後の一匹を苦しめさせる事が出来ないのにちょっと悔しかった。 「ゆ!おねーしゃん、なにちてる?!」 「ゆひひひひひ」 残る二匹の子ゆっくりはとてもゆっくりしていった。 一匹は現実逃避による幼児化。もう一匹は精神崩壊。 目の前で姉妹が壊される光景に小さい餡子脳は耐え切れなかったのだ。 これではどれだけ苦しめようとしても意味がないだろう。元々脆い子ゆっくりでは苦しめる事は難しい。 「めんどくさいんだどぉー、もうたべちゃんだどぉ」 「や゛め゛でぇ゛ぇぇぇぇぇ!おねがいです゛!でいぶはどう゛なっでい゛い゛でずがらこどもだけば!」 れいむの懇願。その姿は真剣に子供を愛してるのが分かる。 まりさだったらさっさと見捨てて、自分だけゆっくりするだろう。 れみりゃとふらんは視線を合わせる。 子供を持ったれみりゃはニコニコとした顔でれいむに近づいていく。 たすけてくれるの…? 思わず淡い希望を見だす。 れみりゃは手に持つ子まりさをふらんの口に、れいむをれみりゃの口に。 ゆっくりと自分の子供が食われる様を見せ付けた。 「うー☆おいしいんだどぉー♪あまあまなんだどぉー♪」 「おいしかった」 ゆっくりと見せ付けようにも子ゆっくりは餡子が少ない。 結果的には最初に吸われて死んだ子れいむより少し長く吸っていた程度だろう。 しかし母れいむは違った。 長く、長く。それこそ永遠に近い悪夢を見せ付けられた。 いっそ夢であれば良かった。 しかしこれは現実だ。 ふらんに殴られた痛みが、ふらんの口から漏れた子供の餡子の暖かさが、そして自分を縛る恐怖と怒りが教えてくれる。 「ゆ゛があ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 力いっぱい暴れた。今まで生きてきて最も力を発揮していた。 それでもふらんはビクともしない。圧倒的な力の差があった。 ふらんとれみりゃは外に出た。 れいむは相変わらず暴れているが無意味な行動である。 ふらんは空に飛んだ。れいむを掴んだまま高く高く、空に飛び続ける。 れいむは思わずちびり掛けた。 地上といたと思ったら、突如高い空にいるのだ。 能天気なゆっくりなら「おそらをとんでるみたい!」と喜んでいただろう。 しかしれいむはそんな余裕など無かった。 落ちれば死ぬ。 明確な死に今更背筋が凍っていた。 「れいむははなしてほしいの?」 「や、やめてね!いまはなしたらしんじゃ…!」 パッと離した。 落ちる落ちる落ちる。 地上から空まで約30m程だ。 それでもゆっくりからしてみれば身も竦んでしまう高さ。落ちて潰れて死んでしまう。 れいむの脳裏にはまりさの顔が、子供の顔が、近所のぱちゅりーとありすの顔が浮かび上がる。 あと少しで地表に激突する瞬間、落下は止まった。 「!!!?」 れいむの顔は涙と鼻水のようなものでぐちゃぐちゃだ。 地表に当たる前に掴んだのはれみりゃであった。 れみりゃはれいむを掴んだまま、空へと飛び上がる。 そしてまた落とした。 「ゆぅあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」 地表に激突する直前にまた止まる。 止めたのはふらんであった。 ふらんはれいむを掴んだまま、空へと飛び上がる。 またまた落とした。 「ゆええぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」 これはれみりゃとふらんの遊びだ。 ゆっくりを掴んだまま空に飛び、ゆっくりを落としてそれが地面に落ちたら落としたものの勝ち。 掴んで止めたらそのまま空に飛び上がり、止めたものは落とす。 シンプルではあるが、能天気で餡子脳であるゆっくりの悲鳴は耐えることが無い。 「ゆゆ!おそらをとんでるみたい!」→落ちる→「ゆゆ!おそらをry」→落ちる→以下エンドレス しかしれいむは賢かった。 自分の子供が殺され、空に落ちる恐怖が餡子脳であるにも関わらず記憶していた。 ゆっくりは物忘れが激しい。特に自分の嫌な事に関しての物忘れっぷりは痴呆症と疑われかねない程だ。 それはそうでなくてはゆっくりが自然で生きていけないからだ。 巣で、外で、出産で、すっきりで、超冬で、食事中で、川で、飾りで、人間に殺されて…。 いつ如何なる事でも脆弱なゆっくりでは死に繋がる。 特に赤ゆっくりの脆さは石にぶつかるだけで皮が破けて餡子が漏れるほどである。 死が日常に存在し、それでいて自分の肉親から友人、赤の他人まで死ぬ状況で、 半端な精神と記憶力を持っていたらすぐに壊れてしまう。 賢いゆっくりは自然で生きていけない。れいむはふらんとれみりゃに会うまで幸運に恵まれていたのだ。 何回空から落とされただろうか。 れいむは声を発していなかった。精神が完全に壊れて声すら出ないのだ。 ストレスの影響か、黒い髪は抜け落ちており、見た目はハゲ饅頭にしか見えない。 「うー、こわれちゃった」 「つまらないんだどぉー、もうたべちゃうんだどぉー」 壊れた玩具を二つに分けた。 最後まで声を発することなくただの饅頭になったれいむはふらんとれみりゃの食べ物になる。 「うー!おいしいんだどぉー!」 「うー、あまあま」 れいむの餡子はとても美味しかった。 ゆっくりは成体になると餡子がパサパサと水気が無くし、美味しくなくなってしまう。 しかし度重なるストレスと精神が壊されるまでの遊びにれいむはとても美味しい餡子に変わっていた。 そして恐怖と苦痛で甘くなった子ゆっくりを食べながら二匹は新たな獲物を探しに行った。 れみりゃとふらんは敵対してる。 いや、ふらんがれみりゃの天敵といっていいだろう。 何せ出会うとふらんは一方的にれみりゃを殺しにかかる。 理由はふらんの気性の荒さがあるだろう。それ以外にもあるかもしれない。 それなのになぜ二匹は仲がいいのか。 それは姉妹であるからである。ただし餡子の繋がりはないが。 れみりゃは一人っ子であった。 れみりゃ種は交尾をしても子供が生まれにくく、にんっしんっをしても一匹か二匹が関の山だ。 体の無いれみりゃの植物型にんっしんっでも5匹以下という少なさ。これが希少種の理由かもしれない。 れみりゃの両親はれみりゃが出来たのが嬉しかったのか持てる愛情を持って育てた。 しかしれみりゃには欲しいものがあった。 「妹」である。 以前、父に付いていった狩りにゆっくりの姉妹がいた。おねーさんと呼ばれる事に憧れたのだ。 しかし子供が出来にくいに加えてれみりゃ種は一度子供が生まれると体力などの問題で暫く交尾すらままならない。 一度は諦めた。我が儘も言ったが無駄に終わったからだ。 そんなある日の事である。 ゆっくりの狩りの帰りにれみりゃは一匹の赤ゆっくりを見つけた。 綺麗な金の髪に透き通る赤い瞳。 ゆっくりふらんである。 親とはぐられたのか、捨てられたのか、なぜここにいるのは分からない。 れみりゃはそれを拾うとれみりゃはふらんを「妹」にすると両親に言ったが断られた。 当然である。れみりゃとふらんは敵対してる。それもふらんはれみりゃを簡単に殺す事ができる危険な存在だ。 赤ちゃんならまだ安全だ。しかし成長して自分たちを襲ってきたときに勝てる保障はないのだ。 だがれみりゃは食い下がらない。 『れみぃはがんばっておねーしゃんになるぅ!』 涙目になりながらもれみりゃは両親を説得しつづけ、ついに折れた。 そこかられみりゃとふらんの奇妙な姉妹が生まれた。 最初は両親も気味が悪がっていた。天敵に対しての恐怖が拭えないのだろう。 しかし「ぱあーぱ?」「まうまぁ?」の言葉取らずだが自分たちを親と認識してる姿に両親は驚き、喜んだ。 両親はれみりゃとふらんに愛情を注いだ。 子供が二人になって嬉しかったのだろう。 れみりゃもふらんを大事にした。狩りを一緒にしたり、遊んだりもした。 やがて月日が流れると二匹は成体に近いサイズに成長する。 巣立ちの時だ。 両親と子供は別れを済ませるとゆっくりと羽ばたく。 れみりゃは両親に感謝した。自分をここまで育ててくれた事を。 ふらんは両親に感謝した。天敵である自分を娘として育ててくれた事を。 両親は子供達に感謝した。とてもゆっくりとした子が自分たちの所に来てくれた事を。 ふらんとれみりゃの姉妹はとても固い絆で結ばれている。 れいむ一家で遊んだ後、姉妹は更にゆっくりの住処に襲撃し、遊んで壊して殺して食べた。 ぱちゅりーを殺した。すぐに死んで詰まらないがむきゅむきゅと言って面白かった。 ありすを殺した。子供を玩具にすると泣き叫ぶ母ありすの姿に性欲溢れるれいぱーの面影すらない事に滑稽で笑った。 クリームにコクが出て美味しかった。 みょんを殺した。相変わらず単語が統一されているが痛めつけるととてもいい顔をしてくれる。 親ゆっくりを目の前で殺した。子ゆっくりは涙でぐしゃぐしゃになって精神が壊れた。 ちぇんとらんを殺した。ふらんとれみりゃの二人係でちぇんとらんを互いが痛めつけられる姿を見せ付けた。泣き顔にゾクゾクとした。 てるよとえーりんを殺した。てるよは痛めつけても何も反応は無かったがえーりんはとても慌てふためいた。 てんこを殺した。殺す直前まで歓喜な顔に引いた。 …?ゆっくりがいるのに姿が見えない。 服を着てない人間の男に出会った。れみりゃとふらんを見るやいなや、凄まじい形相で走ってきた。 命の危険ではなく貞操の危機を感じて逃げた。 ドスの群れを壊した。全てのゆっくりの飾りを外し、食料庫の食べ物を何処かに捨て、赤ん坊と子ゆっくりを潰し饅頭に、 寝ているドスの底部の近い部分に穴を数個開けた。これでドスは動こうと跳ねると穴から大量の餡子が漏れて死ぬだろう。 阿鼻叫喚となるドスの群れを想像し、二匹は笑った。 まりさは逃げている。 最凶と最悪の捕食者の手から逃れるために。 「ゆっくりおとりなっているんだぜ!まりさはにげるんだぜ!」 「どぼじでえ゛ぇぇぇぇぇぇぇ!でいぶも゛おぉぉ!」 妻と子供を見捨ててしまったが自分が死んだら意味が無い。 妻も子供も自分が生きていればまた作れる。 それにここまで引き離せばたとえれみりゃとふらんが追いかけても間に合わない。 まりさはそう思っていた。 「ゆぶぇあ!!」ボグシャア 突然まりさの体が爆散した。 皮と餡子が内側から爆裂し吹き飛んでミンチと化したまりさは地面に降り注ぐ。 なぜこのようになったのか?れみりゃ側の視点を見てみよう。 れみりゃとふらんはゆっくりの夫婦を見つけた。 まりさとれいむ。探せばいくらでも見つかる夫婦だ。 いつも通り、親を殺さず子供が壊され殺される様を見さしていたがまりさが隙を見て逃げ出した。 逃げ出したまりさとの距離はそこまで遠くない。全力で飛べばすぐに追いつけるだろう。 だが、れみりゃは違った。 「うー、にがさないんだどぉー☆」 右腕を高く上げるとそこに霊力が集う。 薄い霊力とはいえそれは集まり圧縮されると一つの球体になっていく。 弾幕だ。 赤い色をした弾幕を作り上げるとれみりゃは逃げたまりさに狙いを定め、撃ち出した。 「ゆぶぇあ!!」 効果は見ての通り。 威力の薄い弾幕でも饅頭に過ぎないゆっくりでは一撃必殺と成りえる。 しかし威力のコントロールが出来ないのかまりさの体は原型を留めないほど砕け散った。 これでは遊ぶ事も出来ないし死んだ痛みも一瞬だ。味も変化してないだろう。 れみりゃとふらんはゆっくりの中で著しく成長する個体だ。 しかしふらんは成体になってすぐに強くなるがれみりゃは成体になって早くて数年という時間を要する。 これではれみりゃが強いところを見た者など皆無だろう。 野生のゆっくりは数年も生きられないのだから。特にれみりゃ種は総じて馬鹿なのが多く、それで自滅してしまう。 だがこのれみりゃは違った。 親の教育、姉としての心、成長して増加した中身と知識。 ふらんと共に生きたれみりゃはついに成長期を迎えた。 その結果、妖精に近いゆっくりであるれみりゃはついに弾幕を操れる程の強さになる。 中身が増加した事で言語能力、理解力も伸び、純粋な戦闘能力はふらん種に匹敵するだろう。 さすがに人間には適わないだろうが、それでもゆっくり程度なら負ける事などまずない。 「「うー!うー!」」 二匹は楽しんだ。 毎日毎日ゆっくりで遊んで食べて、ゆっくりできた。 夜は自分たちのテリトリーだ。 ゆっくりが寝ている間に蹂躙し、壊されていくゆっくりの群れに快感すら覚える。 姉妹は月が照らす夜を楽しんだ。 しかし姉妹は早く帰るべきだった。 最初のれいむ一家で終わりにして巣に戻るべきだった。 なぜなら夜はふらんとれみりゃだけのテリトリーではない。 ここは幻想郷。 忘れ去られた妖怪が行き着く一つの道。 ならば夜という潜在的な恐怖を支配する化け物がいても不思議ではないのだ。 「こんな所でゆっくりに会うとはね…運がないわね。あなたも…」 ふらんとれみりゃに重圧が押しかかる。 それは恐怖だ。久しく忘れていた根本的に存在する感情。 めのまえにいるのはなんだ? それは最悪の化け物。それは最強の化け物。 蒼く輝いていた月は紅く染まる。まるで血のように…。 串刺し公「ヴラド」の末裔と自称する化け物。吸血鬼と呼ばれる悪夢の顕現。 「不愉快だわ…あなたたちは」 永遠に紅い幼き月「レミリア・スカーレット」であった。 レミリアはゆっくりが嫌いだ。 愚鈍で馬鹿で分際すら弁えない。 かつてあろう事か自分を命令し、高慢としていたゆっくりの群れを存在から消し飛ばしてやった。 その時は冷静さが足りなかったので反省した。淑女は常にCOOLだ。 しかし彼女の従者がレミリアを模したゆっくり(本人は認めたくないが)を溺愛してる。 正直頭を心配して竹林の薬師に見せたレミリアは間違ってないだろう。 なぜならゆっくりとオリジナルはかなりかけ離れている。 いや、一部は似たのもいるがそれは置いておこう。 ありすを例に取ると彼女のオリジナルであるアリス・マーガトロイドは性欲を溢れる存在だったり、都会派が口癖でもない。 常に冷静で魔法の腕はさすがにレミリアの友人であるパチュリー・ノーレッジに劣るが精細さと人形との連携は優るとも劣らない。 しかしレミリアを模倣したゆっくりは最悪の一言だ。 我が儘で自分の気に入らない事があれば従者を呼び、プリンばかりを要求し、あまつさえ屁をこく肉饅頭。 力はゆっくりの中では上位に位置するらしいがちょっとした事で馬鹿故に自滅し、 しかもフランを模したゆっくりに殺される程度の存在。 プライドの高いレミリアにはそれが許せなかった。 愚鈍と馬鹿なのを拍車にかける自分を模倣したれみりゃは特に嫌っていた。 れみりゃとふらんは逃げ出したかった。 普通のゆっくりと違い、姉妹は自分より強い敵を見つけるとその場から逃げ出すのが多い。 それは生き抜くための知恵の一つだ。 たしかにゆっくりの中では強いがそれだけ。自分より強いのはいくらでもいるのを知っているし、挑んで死んだら話にならない。 故に妖怪や人間の類は極力関わらないようにしていたのだが…。 目の前にいる化け物から逃げ切れる自信がなかった。 動けば一瞬で肉片に変えられる。そんな光景が頭に浮かんでしまう。 れみりゃとふらんは目を合わせる。 「うー!」 「ゆっくりしね!」 選んだ選択は弾幕で動きを止めてすぐに離脱する事。 れみりゃとふらんは数にして数十個の弾幕を作り上げるとレミリアに撃つ。 それで倒せるなんて思っていない。時間稼ぎにすらならない。ただ、相手を驚かせればいい。 まさかゆっくりが弾幕を撃つなんて思わないだろう。 着弾したのも確かめずに後ろに逃げる姉妹。 それが普通の人間や妖怪なら逃げ切れたかもしれない。 しかし、相手は普通の妖怪ではない。 自他も認める化け物なのだ。 「!?うぎああぁぁぁぁぁぁ」 「う゛あ゛ぁぁぁぁぁぁ!?」 突然翼が引きちぎられた。 誰が千切ったなんて簡単だ。 レミリアである。 「弾幕を使うなんて驚いたわ…でもあの程度では当たらない」 翼を失った姉妹は地に落ちる。 高い空から落ちてしまう。 いくら高い再生力と生命力を持つふらんとれみりゃとはいえ地面に叩きつけられる衝撃で無事で済むはずがない。 「うぐぅあ!!?」ブチャア 「うべぁあ!!」ドグチャ 地面に落ちた。 その衝撃は凄まじく、長く生きた中でも受けた事の無い痛みが全身に広がる。 並みのゆっくりであったら潰れた饅頭に成り果てるだろう。幸いれみりゃの傷は浅かった。 れみりゃの体は再生が始まっている。翼も生えかけて、痛みもだんだんとだが薄れていく。 「うー!ふらんがあぁぁぁ!!」 だがふらんの傷が深かった。 全身の打撲は当然として腕や足は千切れかけ、曲がってはいけない方向に曲がっている。 腹から中身が出かけており、頭は血のように餡子が流れていた。 再生が追いついていない。 早めに治療をしなければ死んでしまう程の重症だった。 「ふ、ふらんはれみりゃがたすけるんだどぉー!」 ふらんを抱きかかえるようにして急いで巣に戻ろうとする。 しかしまだ吸血鬼の悪夢は続いている。 「何処に行くつもりかしら?私を置いていくつもり?」 目の前に紅い化け物が立っていた。 もはやどうしようもない。絶望がれみりゃを染めた。 戦う?Noだ。勝ち目なんて万の一つない。 逃げる?Noだ。逃げ切れる可能性なんてまた万の一つも無い。 ふらんを置いて逃げる?それこそNoだ。愛する妹を置くぐらいなら自分で死ぬ。 命乞いをする?…それしかないのか。 「れ、れみりゃはどうしてもいいですから、ふらんはたすけてくださいだどぉ…」 レミリアは一瞬、目を丸くして興味深そうにれみりゃを見つめる。 「ふぅん…どうしてもねぇ…なら私はあなたを痛めつけるわ 死んだほうがいいぐらいに拷問をかけてあげる もちろん死なさない。これでもゆっくりが死ぬぎりぎりまでやれるから どう?それでもやるかしら?」 レミリアは内心笑っていた。 所詮他力本願で痛みに極端に弱いゆっくりだ。 たとえ姉妹だろうが肉親だろうか簡単に切り捨てるゆっくりには耐えられるはずがない。 そう思っていた。 「わかったどぉ…れみりゃをすきにするどぉ…」 「そう、ならいいわ。始めるわよ」 レミリアの拷問が始まる。 人の手で行えるであろう様々な拷問を掛けた。 腕を千切り取った。 足を千切り取った。 鼻を千切り取った。 目を抉り取った。 腹を裂いた。 中身を掻き混ぜた。 一つ一つの指に針を刺した。 皮を剥いた。 火で体を焼いた。 生えかけた翼を少しずつ千切った。 人間ですら発狂するであろう拷問を与える。 なまじ一般のれみりゃより再生力が高いが故に死ぬ事はない。レミリア自身の腕もあるだろう。 一つの痛みを与える度にれみりゃの叫び声が空に響く。 泣いた。目から涙が溢れ出る。その目を抉り取られ、更に痛みが襲い掛かる。 だがれみりゃは決して助けなど呼ばなかった。 ふらんを差し出して自分だけゆっくりしようなんて言わなかった。 どれだけ拷問を掛けても、どれだけ苦痛を与えても。 レミリアは不快を感じた。 なぜこいつは助けを呼ばない?いつものなら咲夜の名前を言うのに。 なぜこいつは見捨てない?ゆっくりは他人を差し出してまで生き残ろうとするのに。 「なせだ…なぜ助けを呼ばん。いつもなら咲夜の名前を出すはずだ 自分が助かるなら肉親でも差し出すはずだ」 レミリアの口調が淑女から素に戻る。 判らない。目の前の饅頭が判らない。 「う…あ…お、ねーざんば…いもーどを゛、まも゛る゛んだどぉ゛… れみぃが…ま゛も゛る…」 所々が肉汁が溢れ出るその体はふらんの傷をも超える。 レミリアの拷問の凄さが窺い知れるがここまで自我を失わないのもさすがだろう。 それでもれみりゃは決して痛みに屈しない。 ふらんを助けるために自分を差し出した。 ならば自分が耐えなければ意味が無いのだ。 レミリアは不快を感じた。 なぜ不快に感じるのか分からない。だが目の前のれみりゃとふらんに不快を感じた。 それは500年を生きる吸血鬼でありながら心は少女である事に関係してるのかもしれない。 レミリアには妹がいる。 フランドール・スカーレット。5歳違いの妹だ。 姉をも超えるポテンシャル、能力の危険性、気の触れてる節からレミリアは妹を地下に閉じ込めた。 フランも地下にいることに不満は無かった。 仲が悪いという程ではないが逆に良いとはっきりと言える姉妹ではない。 フランは白黒の魔法使いと紅白の巫女と出会って昔のような笑顔をするようになった。 それはレミリアが自分で消してしまった笑顔だ。 レミリアの抱いてるのは不快感は「嫉妬」だった。 自分たちを模しているのにも関わらず、なせこいつらは仲が良い? 吸血鬼の少女は気づかない。もしくは嫉妬という感情を知らないのかもしれない。認めたくないのかもしれない。 「もういい。貴様は飽きた。妹諸共痛み無く消してやる」 今すぐこの不快感を消したかった。 だから目の前の饅頭を消す。容易な事だ。人間が力を入れるだけで壊れる存在。 吸血鬼たるレミリアの弾幕はれみりゃとふらんを消しカスすら残さないだろう。 れみりゃはレミリアの言葉に怒った。 自分を殺すだけならまだいい。しかし妹も殺す?約束を破るなんて。自分自身を差し出したのに。 れみりゃは弾幕を練る。ボロボロの体で。死にそうな体で。 全ては妹を守るため。今この瞬間、彼女の力はゆっくりの域を超える! 「!それは」 「うあーー!!」 れみりゃの手にあるのはただの球体の弾幕ではない。それは紅い槍。 成長する事で弾幕を覚えたれみりゃは次なる技を会得する。 レミリア・スカーレットのスペルカードを模倣したそれは─── 「すぴあ・ざ・ぐんぐにるー!!」 槍が放たれた。 それはまともにレミリアの頭に直撃する。それと同時に爆音が響いた。 その威力はもはや妖精の持つ弾幕の域ではない。下手したら人間でも殺しかねない代物であった。 だか、相手は人間ではない。 化け物だ。 人間を遥かに凌駕する化け物にダメージなど無かった…。 「う…あ…あ…」 「まさか私のスペルカードを模倣するとは…だが、所詮は偽者だな これは面白いものを見せた礼だ」 レミリアはカードを手に取ると魔力を解放する。 集う集う集う集う。 人間には成し遂げられぬほどの魔力の解放と収束。 紅い色をした霧がレミリアの右手に漂う。 霧は形を作り始める。極限まで圧縮されたそれは槍だ。紅い紅い色をした槍だ。れみりゃの槍より紅い槍。 それは神の持つ武器を模した代物か。もしくはそれその物なのか。 その名は 神槍{スピア・ザ・グングニル} レミリアの持つ最大にして最強の武器(スペルカード)であった。 れみりゃはふらんに寄りかかった。 息はある。だが、長くはないだろう。 「ごめ゛んね゛…おね゛ーざんがよ゛わ゛ぐで…ごめ゛んね」 「おねーちゃ…ん」 最後の姉妹の言葉。 レミリアの槍は放たれた。 紅い流星だった。その槍は音を置き去りにした。 投げられた直後に爆音が響く。土が巻き上がり、後に残るのは小さいクレーターだけ。 これでもまだ手加減されたほうであろうが、威力の高さが窺い知れる。 しかしレミリアの気分は晴れなかった。最後まで不快感が残った。 紅い月が地上を照らし続ける。 だが少女の背中は酷く小さく見えた。 「めーりーーん!!」 「ぐぼふぁ!?お、お願いですから妹様!あまり強く飛び掛ると危険ですよ!主に私の命が!」 「えー、めーりんは妖怪で頑丈なんだからいいじゃない!」 紅魔館は今日も平和だ。 紫もやしは白黒魔法使いと図書館で本の取り合いを。 メイド長は役に立たない妖精メイドに代わって仕事をやり続ける。 門番と妹様は最近仲が良い。微笑ましい光景だ。門番が口から血を吐いていなければだが。 そして我らのお嬢様はフランを遠くから見ていた。 (本当に…楽しいそうね…) 紅白の巫女から言わしてもらえばレミリアは十分シスコンだ。 本当に危険と判断し、冷酷ならたとえ血の繋がった肉親でも殺す事が出来る。それは心の持つ者なら当然の事だ。 しかしレミリアはフランを閉じ込めるだけにした。殺す事はやろうと思えばやれるというのにだ。 「お嬢様…少し宜しいでしょうか」 「咲夜?何かしら」 突如レミリアの隣に立つのは従者である十六夜咲夜だ。 彼女は時間と空間を操れる。突然現れたのもその能力故だ。 「何かを間違えてもそれは取り戻そうとすればやれるものです」 「私のした事は間違いではないわ。それと同時に許されるものでもない」 「いいえ、お嬢様は歩かないだけなのです。一歩でも前に歩けば…何かが変わると思われますよ?」 従者は言い終わると姿を消す。自分の仕事をしにいったのだろう。 「生意気ね…私に説教をするなんて」 レミリアは笑みを溢す。 まったく自分の従者に説教を喰らうとは情けない。 日照り用の傘を持つとレミリアは外に出る。 「フラン、ちょっと……」 「お姉様、どうしたの?」 姉妹の仲はこれからどうなるのかは… 語るのは野暮だろう。 人里とも紅魔館とも離れた場所に二つの何かが動いてる。 それはゆっくりだ。ボロボロで瀕死に近い状態であるが。 一匹はゆっくりれみりあ。れみりゃ。 もう一匹はゆっくりふらん。ふらん。 レミリアのスピア・ザ・グングニルを喰らったゆっくりだ。いや正確には槍は当たっていなかった。 槍は地面に当たっていた。しかしそれによって起きた凄まじい爆風がれみりゃとふらんを飛ばしたのだ。 それでも傷はより酷くなり、もう虫の息と言って良い。 それに近づく人型が一人。麦わら帽子を被ったそれは二匹を見つめると、丁寧に抱きかかえる。 れみりゃとふらんは苦痛を抱えながらもだんだんと安らかになる。 母親に抱かれるのに似た安心感を感じたのだろう。 麦わら帽子を被ったそれは住処に着くと瀕死の姉妹を治療する。 傷が深く、難航を極めたが治療はなんとか成功した。 姉妹の手は強く握られていた。安らかな寝顔は何を見ているのだろうか? ゆっくりと夜は明けていった。 (おわり) 今まで書いたもの のうかりんランド①、② ぺにぺに饅頭 ゆっくりゆうかの一生 あとがき レミリアの口調は淑女とシリアスの二つがあっていい 自由とはそういうことだ キャラ崩壊してたらごめんね。超ごめんね 追記 修正+追加修正 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/272.html
ある男のゆっくりレポートのおまけ ゆっくり霊夢一家の越冬(誤算編) ゆっくり霊夢一家は師走の寒さの中家路を急いでいた。 「さむい! さむいよおかあさん!」 「おうちにかえったらゆっくりしようね!!」 そんな返事しか出来ないお母さんゆっくり。 それも当然だ、今までこの時期は巣の中で皆でゆっくりしていたのだ。 しかし今年はそれが出来なかった、出来なくなってしまった。 「いそいでかえってゆっくりしようね!!!」 ともかく家路を急ぐ事しか出来ない、雪に埋まってうまく進めない中、懸命に家まで進んでいく。 日が完全に落ちようとしていた頃、ようやく自分達の巣に到着できた。 「ゆー?」 中を覗いてみるが気配はない、入り口にはドアを塞ぐのに毎年使っている石と松葉が転がっていた。 しかし、既に外気にさらされて冷え切っているが、確かに先ほどまではゆっくり魔理沙一家が居た形跡が感じられた。 「いまのうちにうちにはいろうね!」 のんびりもしていられない、雪の中を進んできた体は凍りそうなほど冷たくなっていた。 今か今かと待っていた母親の号令で、急いで中に入る一家。 お母さんとお姉さん達が急いで入り口を塞いでいく。 何時もならゆっくりしながら数日かかる作業が、あっという間に終わり入り口は綺麗に塞がれた。 これで外気が入ってくる心配はない。 依然として寒い室内だが、だんだんと暖まってきている。 次第に、一家の顔にも暖かさが戻ってくる。 「よかったね!」 「あったかいね!」 「はるまでゆっくりしようね!!!」 「はるになったらみんなでゆっくりしようね!!!」 無事に巣が戻ってきたことが嬉しいのだろう、口々に出るのは越冬の間の楽しそうな計画と、春になってからのゆっくりする計画だった。 「いっぱい歩いて疲れたからごはんにしようね!」 お母さんゆっくりが提案する。 ふと、ゆっくり魔理沙一家が蓄えておいた食糧はどこだろう、と巣の中を見渡す。 綺麗な鳥の羽、大きくて綺麗な石、そんな素敵なものは多々あったが肝心の食料は何処にもなかった。 「たべものがないよ!」 焦るお母さんゆっくり、何時もなら冬の前に実り豊かな山の幸をたっぷりと蓄えて冬を越す。 いや、蓄えなければ途中で凍死か餓死してしまう。 その大事な備蓄が今年は出来なかった、何時までも暖かい部屋に居た所為で季節感覚が狂ってしまっていたのだ。 「おかあさん、たべものならあるよ!!」 「ゆっくりできるよ!!」 今年生まれた子ゆっくり達だ。 当然、この六匹はまだ越冬を経験していない。 明日にでも取りに行けば良い位に思っているのだろう。 「だめだよ! それたべたらゆっくりできないよ!!!」 あの男から貰ってきた綿菓子の袋に口を伸ばそうとしたところを、お姉さんゆっくり達が止める。 小さくても、越冬の経験だけは頭に残っているらしく皆の表情は必死だった。 「これはれいむがもらったおかしだよ!!」 「れいむのだもの!!!」 口々に文句を言ってくる、お母さんゆっくり達が何とか今の状況を伝えようとするが、なかなか伝わらない。 「あしたになったらみんなでおさんぽにいって、そのときにあつめればいいよ!」 「あしたゆっくりあつめるよ!!!」 「それよりも、おうちさむいよ!!!」 「すとーぶをつけてね!!!」 「おかあさんすとーぶつけてゆっくりしようよ!!!」 「すとーぶ♪ すとーぶ♪」 お母さんゆっくりは困り果てた、どうしても今の緊急事態が理解してもらえなかったからだ。 今も、お姉さんゆっくり達が懸命に説明しているが、おそらくは徒労に終わるだろう。 「おねえちゃんたち、れいむのおかしかってにたべようとしてるの!!?」 「ずるい! ずるいよ!」 「ゆっくりできないなら、おうちからでていってね!!!」 同時に、お姉さんゆっくりに飛び掛る。 妹とはいえ、既に十分成長したゆっくりの攻撃を食らった数匹のお姉さんゆっくりは壁まで吹っ飛んだ。 「ゆ!! このおかしは、ゆっくりできるれいむたちがたべるんだよ!!!」 「おかあさんたちは、ゆっくりできないからたべれないよ!!」 プンプン、と再びお姉さん達に襲い掛かろうとする。 「ゆっくりごめんね!!!」 吹っ飛ばされたのは襲い掛かろうとしていた子ゆっくりの方だった。 「ゅー、ぃたいよ……ゆっくりでぎないよぉ!」 「どうじでゆっぐりざせてくれないの! ゆっくりじだいよぉ」 弱々しく呟く子ゆっくり達、既に大半の餡子は外に飛び出していた。 半ば瀕死のそれを、躊躇なく踏んでいく大きなゆっくり。 先程まで、子ゆっくりと残りのゆっくりを天秤にかけていたお母さんゆっくりだった。 「ほかのゆっくりがゆっくりできなくなるから、ごめんね!!!」 必要以上に潰してくお母さんゆっくり、姉たちも真意を理解したようで母に倣って他の子ゆっくりを潰していった。 その一方的な虐殺は、あっという間に終わりを迎えた。 先程とは打って変わって静寂が辺りを包む。 泣き叫ぶ子ゆっくりは見る影も無く、床に転がっている皮と餡子が混ざった物体がその名残を残しているだけだ。 「あのこたちのぶんも、ゆっくりふゆをこそうね」 「うん、ゆっくりこそうね」 今や十匹ほどに減ったしまった巣の中で、お母さん霊夢と他の霊夢達がお互いに口々に話す。 残念ながら、そこに罪悪感が有るのかは窺い知る事は出来ない。 それから数日が経った。 既に潰れた子ゆっくりの餡ペーストを少しずつ食べながら、越冬するゆっくり一家。 少なくなったことで室内の温度は下がってしまったが、それでも越せないことは無い。 去年と同じ人数になっただけだ。 どのゆっくりもそう思っていた。 だから、誰も不満も言わずじっと寒さに耐えていた。 大寒時、美味しかった餡ペーストも後僅か。 その頃には、子ゆっくりとその餡ペーストを結びつけるゆっくりはいなかった。 殺したことは覚えているが、今食べているこれが野山を駆け巡っていたとは、既に思っていないのだろう。 巣の中も当初は寒かったが、段々となれてきた一家には徐々に口数も戻ってきた。 「おいしいのすくなくなってきたね」 「だいじょうぶ! もうすぐさむいのおわるから!!!」 「でもこれだけだと、あたたかくなるまえにゆっくりできなくなるよ」 「おじさんからもらったおかしがまだのこってるよ。これだけあればゆっくりふゆをこせるよ!!」 「じゃぁこのおいしいの、いまたべちゃってもだいじょうぶだね!!」 「おかあさん、たべていい?」 「ゆゆ……。 ! なんとかぶじにふゆをこせそうだから、きょうはゆっくりおいわいしようね!!!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 久しぶりにお腹いっぱいご飯を食べれるゆっくり達はご機嫌だ。 「むしゃ、むしゃ、おいしいよ♪」 「むっしゃむしゃ♪ ゆっくりできるね!!!」 「ゆっくりたべようね!!!」 床がピカピカになるまで舐め終えて、その日の楽しい食事は終わった。 最後の晩餐は、とても賑やかなモノになったようだ。 翌日、お昼頃に目を覚ましたゆっくり達は食事を取ろうと、あのわたあめの袋を運んできた。 一日半分ずつ食べれば間に合う、長年の経験からお母さんゆっくりはそう思っていた。 本当に袋の中にそれに見合うだけの中身が入っていたならば。 「ゆゆ!!?」 「ないよ! ないよ!!!」 大きな袋の中身は殆どなく、そこには微かに甘い香りのする中に、米粒程の塊が入っているだけであった。 「なんで!? なんでないの!?」 「これじゃあゆっくりできないよ!!!」 「おいしいわたあめがないよ!!!」 おじさんの所で出された中でも、特に美味しかったわたあめ。 そのおいしかったわたあめが、袋の中に入っていない。 ゆっくり達には無くなった理由など分かるはずもなく、巣の中はパニック状態だ。 「お、おがしがないよー!!!」 「れいむのおがしがーーー!!!」 「もってでるときはあっだのにー!!!」 必死で他の袋も開け始める、勢いよく飛びつき袋を食い破るゆっくり達。 が、全て同じ、小さな塊が出てくるだけだ。 ボロボロに引き裂かれた袋、訳が分からず叫び続けるゆっくり一家。 丼一杯にも満たない塊、これが今この家にある全食料だった。 それから、数日が経った。 既に一家の顔は青白くなり、目もトロンとしている。 「しんだ、ゆっくりたちの、ために、ゆっくり、ふゆを、こそうね」 「「……ゆっくり、こそうね」」 まるで合言葉のように、死んでいった仲間のためにも、と呟きながら懸命に寒さと空腹に耐え続ける。 この頃には、自分達で殺した子ゆっくり達が他の原因で死んだと思っているらしい。 いつもはゆっくりゆっくり騒がしいゆっくりの巣だが、今は雪が降り続ける外の方が賑やかなくらいだ。 次第に意識が朦朧としてきた、目に映るのはぼんやりとした家族の姿。 それが、段々と輪郭を失っていく。 「……ゆ!」 輪郭を完全に失ったそれは、大きな饅頭の姿になってゆっくりの目に映りこんだ。 「たったべもの!!! ゆっくりできるよ!!!」 一匹が力を振り絞ってもう一匹にかぶり付く、周りでは同じように数匹がかぶり付いていた。 「ゆ! いだいよ! れっ、れいむはたべものじゃないよ!!!」 「やめて! ゆっくりやめてね!」 「むしゃむしゃ、はぁはぁ、うめぇ、めちゃうめぇ!!!」 「ごくんっ! はぁはぁ、ゆっぐりたべるよ!!!」 既に正常な判断が出来なくなっているゆっくり達は、ただ生きるために目の前の饅頭に貪り付いていた。 家族なんてものは関係ない、まさに弱肉強食、たべれれている方が霊夢や魔理沙で食べているほうがれみりゃやフラン、それと同じことだ。 「やめてね!!! みんなでゆっくりしようね!!!」 お母さん霊夢が大きく膨らんで残った数匹の子供達を隠す。 ゆっくりが子供を守る時の常套手段だった。 「うっめぇ! このおおきいまんじゅうもうっめぇ!!!」 「これだけあればゆっくりできるよ!!!!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛! み゛ん゛な゛でゆ゛っぐり゛じでよ゛ーーーー!!!」 突進するでもなく、殴りつけるでもなく、ただただその大きな饅頭を食べていく。 後ろに隠れていた子供達も、段々と母親の声が小さくなっていくのが分かる。 か細くなっていく声、それがあるときぴたりと止んだ。 今聞こえるのは何かを咀嚼する音のみ、その音はどことなく、ゆっくりれみりゃのそれと酷似していた。 「……ぷはぁ!」 「!!!」 今まで守ってくれていたお母さんゆっくりの背中から、ゆっくり霊夢が顔を出した。 一匹、また一匹とその数は段々と増えていく。 おそらく全員が顔を出したのだろう、一匹のゆっくりがこう叫んだ。 「みんなでゆっくりしようね!!!」 「…………!!!」 巣の中にはゆっくりが数匹、これが巣の中に残っている全ての食料だ。 「むっしゃむっしゃ♪ う~すっきり~!!!」 最後の一口を綺麗に食べ終え、ご満悦のゆっくり霊夢。 どうやら、これで最後の晩餐が終わったようだ。 だが、ユダさえも居ない一人さびしい晩餐だった。 「!! おかあさんたちどこ? どこにいるの?」 正気に返った霊夢は辺りを見回すが、母親達の姿はない。 皆、お腹の中に入っているのだから。 「わかった! たべのもさがしにいったんだ! れいむはゆっくりまってるよ!」 キラキラと目を輝かせて部屋の真ん中に佇む。 時折、体を揺らしてリズムを取りながら母達の帰りをワクワク待つ。 このゆっくり霊夢が犯した間違いは二つ。 一つは、家族は全て自分が食べてしまったという事。 二つ目は、大事な食料を何の考えもなしに全て食べ尽くしてしまったという事。 「ゆっくりまってるから、はやくかえってきてね♪」 雪が津々と降る二月の山の中、あと一ヶ月以上も続くこの冬は、彼女をいったい何時まで生かしておいてくれるのだろうか。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3696.html
注意 死なないゆっくりがいます。 ぬるめです。 死後のゆっくり 「ゆ、じじぃ!!ここはまりささまのゆっくりぷれいすなんだぜ!!にんげんさんはつうこうりょうをはらっていくんだぜ!!」 俺が道を歩いていると饅頭が話しかけてきたので蹴っ飛ばしておいた。 「ゆぎゃべ!!」 コロコロと道端に転がっていく。すると物陰から伺っていた番らしきれいむが出てきた。 「ばりざぁぁぁぁぁ!!だいじょうぶ!!ゆっぐりじでねぇぇぇ!!」 あたまの茎をゆっさゆっさ揺らしながらまりさに近づいてくる。よく落ちないな。 「ゆぐぐ、だいじょうぶだよれいむ・・・。って、でてきちゃだめでしょぉぉぉぉ!!なんででてくるのぉぉぉぉ!!」 「まりざがじんぱいだからでしょぉぉぉぉぉぉ!!どぼじでぞんなごというのぉぉぉぉぉ!!」 なんかうるさいので黙らすことにした。 「ゆげっ!!やべっ!!ばりざざま・・・ゆべっ!!・・・づよいんだ・・・ゆぼべぇ!!」 「や、やめてね!!れいむにはあかちゃんがいるんだよ!!ゆへへ・・・れいむにはかわいいあかちゃんがいるんだがらてはだせないよね・・・ ゆっぎゃああああああああああ!!やべでえええええええええ!!でいぶにはあがぢゃんいるのにぃぃぃぃぃぃぃ!!」 さて、体は黒ずんでボロボロ、歯はガタガタ。帽子もリボンも見る影もなくなったこの二匹。 無事なのはあえて残したれいむの茎についた赤ゆっくりのみだ。 「ゆぁぁ・・・ごれじゃあもうゆっぐりでぎないぃぃぃ・・・」 「せっがぐあがぢゃんがうばれるのにぃぃぃ・・・」 まあこれだけ痛めつけられていれば自然治癒も難しいだろうからな。 「ゆぅぅぅゆっぐりじだいぃぃぃ・・・いだいのなんどがじでぇぇ・・・」 暇だし少しからかってやるか。 「なんとかしてやろうか?」 「「ゆ"ゆ"っ!」」 一斉にこっちを見るゆっくり。 「くそじじぃ・・・はやぐばりざざまをだずげるんだぜ・・・でないどいだいめみるんだぜ・・・」 「はやぐじでね・・・でいぶのがわいいあがぢゃんがみれなぐっでもいいの?」 こいつら・・・誰がこんなめにあわせたかもう忘れたのか? まあいいやこいつらの餡子脳に付き合っていたら時間がいくらあっても足りやしない。 「ああ、いい方法がある。・・・幽霊になればいいんだよ。」 「ゆうれい・・・?なにぞれ?」 「あ~なんていうか・・・すごくゆっくりしたゆっくりだけがなれる究極にゆっくりした状態・・・かな?」 「ゆ"、きゅうきょくにゆっぐり・・・?」 「ああ、そうすれば俺にも手出しはできないし、永遠にゆっくりできるんじゃないのかな?」 「ゆ"、どうずれば“ゆ~れい”になれるの・・・?」 「簡単さ、幽霊になりたいって強く念じながら眼をつぶるだけでいい。後の手順は俺がやってやるよ。」 「ゆっぐりりがいじだよ・・・ゆっへっへ、にんげんざんはばかだね!! まりざだぢはゆっくりをこえたきゅうきょくのゆっくりをてにいれるよ・・・」 「れいむたちはゆっくりをちょうえつするよ・・・。」 なんだか聞いたことがあるようなないようなセリフを吐いて眼を閉じる二匹。 なにやら必死に念じているようだ。・・・さて、動きも止まったのでさっさと踏み潰させてもらおう。 グシャ!! 「ゆべえっ!!」 グシャ!! 「ゆぼろっ!!」 見事にぺっちゃんこに潰れる二匹。間違いなく死んでいるだろうな。 さて、適当に思いつきで幽霊になればいいなんていったけどほんとうになったりするのかな? っていうかこいつらに魂ってあるのか? などと考えていたら、潰れた饅頭から何か白いものが出てきた。 「ゆ~どろどろどろ~・・・」 「ばけてでるよ~、おどろくの?しぬの?」 「うわっ、マジで出てきた!」 そこには憎たらしい顔と各々の飾り、あとよく幽霊がつける三角のやつ(天冠というらしい)のついた白い丸いものがゆらゆら浮かんでいた。。 「ゆっふっふ、まりさはゆ~れいさんなんだよ!どどろいたでしょ!!これでにんげんさんにもてはだせないよ!!」 「わかったらはやくおかしをちょうだいね!!れいむはおなかがすいたんだよ!!」 「ああ、わかった。・・・ホレ。」 俺は持っていた小さいキャラメルを地面に置いてやった。 「ゆっへっへ、ゆ~れいになったまりささまはむてきなんだぜ。あまあまさんいただくんだぜ・・・むぐむぐ・・・?」 「ゆゆ~ん♪さすがはれいむのまりさだよぉ~。じゃああまあまさんいただくよ・・・むぐむぐ。・・・ゆ?なにこれ?あじがしないよ?」 「ゆゆゆ!まりさもだよ!!やいくそじじぃ!!これはあまあまさんじゃないよ!!はやくちゃんとしたあまあまさんをちょうだいね!!」 「いや、違うよ。それはちゃんとしたキャラメルで甘いものだし。それに味がしないんじゃなくてお前らが食べることができてないだけだよ。 そら、ちゃんとそこにキャラメルあるだろ?」 男が指し示した場所には男の言ったとおりちゃんとキャラメルが原型のままあった。 「ゆ!ほんとだ!ゆっくりいただくよ!・・・むぐむぐ・・・どぼじでたべられないのぉぉぉぉ!!」 「そりゃ幽霊だからなぁ。この世の食い物は食えないんじゃないかな。」 「じゃあどうずればいのぉぉぉぉ!!」 「さあ?どうもしようがないんじゃないかな?」 「そんなのやだぁぁぁぁぁぁ!!」 じたばたと暴れる二匹だが実際俺にはどうしようもないことだしなぁ・・・。 ていうか幽霊だから物食わなくてもいいんじゃないのかね?教えないけど。 「ゆぎぃぃぃぃ!!まりざざまをごんなめにあわぜるばがなじじぃはじね!!ざっざどじね!!」 まりさがこっちにのろのろと突っ込んでくる。 「ゆ!いいよまりさ!!まりさのちょっといいところをれいむにみせてね!!」 「まかせてねれいむ!!」 しかしおそいなこいつら待ってるほうが疲れる。 ようやく俺にたどりついたまりさ。追突する直前に眼を閉じ防御体制をとる。 しかし、まりさのからだは俺のからだをスゥ・・・と通り抜けまりさはそれに気づかぬまま進んでいく。 「まりさーー!!うしろ、うしろ!!」 「ゆ?・・・ゆゆ!!きたないじじぃなんだぜ!!まりささまのこうげきをよけるんじゃないんだぜ!ぷんぷん!!」 そういって再び体当たりを試みるまりさ。だが何度やってもぶつかることはない。 「どぼじでぶつからないのぉぉぉぉぉ!?」 「まあ幽霊だからな。この世のものには干渉できないんじゃないか?」 「じゃあどうずればにんげんざんをだおぜるの!?」 「さあ?無理なんじゃないかな?俺もお前らを倒せないけど。」 「なにぞれぇぇぇぇ!!だまじだね!!ぐぞじじぃ!!」 「騙してないだろ俺には手出しできないんだから。」 「うるざいよ!!ごんなのぜんぜんゆっぐりでぎないよ!!」 ギャーギャー五月蝿いな。害はないとはいえあまりにやかましい。 そういえば前に読んだ漫画にお経で悪霊退散させるのがあったな。やってみるか。 「え~っとどんなんだったかな?確か・・・南無大慈悲救苦救難広大霊感うんたらかんたら・・・」 「「ゆぎゃあああああああああああ!!やべでえええええええええ!!」」 お、効いてる、効いてる。なんか上のほうが薄くなってきてる。 「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカうんたらかんたら・・・」 「「ゆぎゃあああああああああ!!いだいいいいいいいい!!エレエレエレエレ!!」」 なんか吐いてる。・・・これ病気とかを治すときに言う真言だったと思うんだが・・・ 適当でもいいのかな? 「チャー○ーヘッチャラーうんたらかんたら・・・」 「「ゆげげげげげげげげg!!ゆ"っゆ"っゆ"っゆ"っゆ"っ・・・」」 痙攣しだした、何でもいいみたいだな。本当に適当な連中だ。 しばらくして回復すると 「もうゆ~れいさんはぜんぜんゆっくりできないよ!!まりさとれいむをさっさともとにもどしてね!!」 「そうだよ!!もどさないとひどいよ!!ぷんぷん!!」 「そういわれてもなぁ。お前等のからだはもうあんなんだし。」 そういってつぶれた饅頭を指差す俺。 「ゆ!なにいっでるの!!まりざざまのうつくしいからだはあんなにつぶれてないよ!!」 「じゃああの帽子にも見覚えないのか?れいむ、おまえは?あのリボンに心当たりは?額に生えた赤ゆっくりに心当たりはないのか?」 「ゆっ!!た、たしかにれいむのりぼんさんだよ・・・じゃあれいむはいまのれいむはなんなの!?」 「だから幽霊だよ。お前等は死んだの。」 「ゆ、じゃ、じゃああれはまりさっでごど?」 「そうだよ。」 「・・・ゆ、ゆぎゃあああああああああああ!!エレエレエレエレエレ!!」 「ば、ばりざあああああああああ!!エレエレエレエレエレ!!」 あらあら、まりさのもらい吐きでれいむまで・・・ていうか零体になってんのに何はいてるんだろう? そんなことを思っているとなんとれいむの死骸に生えていた赤ゆっくりがぷるぷると動き出した。 もしかして踏み潰したときの圧力で餡子が蔦まで行って成長促進されたのだろうか? ぷるぷるぷる・・・ぷちっ!! 「ゆっくちちていっちぇにぇ!!」 一匹目が生まれた、まりさ種だ。まだはいていた二匹もその声に反応してそちらを向く。 「ゆぅぅぅぅぅぅぅ!!おちびちゃん!!ゆっくりしていってね!!」 「さすがれいむのおちびちゃんだよ!!とってもゆっくりしているね!!」 二匹は赤まりさにすりすりをするが赤まりさのほうはきょとんとしている。 そうしているうちに次々と赤ゆっくりは生まれた。その数7匹。赤まりさが三匹、赤れいむが四匹だ。 う~ん、こいつらの意見に同意するのは不快だが生まれたてのゆっくりはなかなか可愛い。おもわず目をくりぬいてやりたくなる。 「「「「「「「ゆっきゅちちていっちぇにぇ!!」」」」」」」 「おちびちゃんたち!!ゆっくりしていってね!!」 「おちびちゃんたち、れいむがおかーさんだよ!!ゆっくりしていってね!!」 俺から見ると始めての親子の会話なのだが赤ゆっくりたちからするとそうではないようだ。 「ゆぅ?おきゃーしゃん?どきょにいりゅにょ?」 「かきゅれてないぢぇにぇ!!きゃわいいまりちゃがうまれちゃよ!!」 「れいみゅおにゃかへっちゃよ!!ごはんちょーだいにぇ!!」 どうやら赤ゆっくりには親子が見えていないらしい。 「ゆゆゆ!!おちびちゃんたち、おかーさんはここにるよ!!」 「そうだよ!!ちゃんとこっちをみてね!!」 しかしやはり赤ゆっくりには伝わらないらしい。しだいに赤ゆっくりたちも苛立ってきた様だ。 「にゃんじぇおきゃーしゃんたちいにゃいにょぉぉぉぉ!?」 「こんにゃにきゃわいいれいみゅたちをおいてどこいっちゃのぉぉぉ!!」 「やくたたじゅなおやはちね!!ちね!!」 「「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉぉ!!」」 やはりゲスの子はゲスか。 生まれたばかりだというのにもう口汚くなってるし。 「ゆゆ!!しょこにょおにーしゃん、れいみゅのおきゃーしゃんたちしらにゃい?」 ようやく俺の存在に気づいたらしく話しかけてくる赤ゆっくり。 「さぁ?俺は知らないなぁ?」 白々しくとぼけて見せる俺。と、親の二匹が抗議して来る。 「なにいっでるのぉぉぉ!?おちびちゃんのおかーさんはまりさたちでしょぉぉぉぉぉ!?」 「そんなこともわからないの!!ばかなの!?しぬの!?」 五月蝿い。 「南無大慈悲・・・以下略」 「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!」 「ゆべべべべべべべべべべべべべべ!!」 便利だなこれ。 そこに赤ゆっくりがまたしゃべり掛けてくる。 「じゃあおにーしゃん、かわいいまりちゃたちのためにごはんをもってきちぇにぇ!!はやくちてにぇ、ぐじゅはきりゃいだよ!!」 「いやだよ、・・・ていうかご飯ならお前等の後ろにたくさんあるじゃないか。」 「ゆ?ほんちょだ!あみゃあみゃなにおいがしゅるよ!!」 「なにいっでるのぉぉぉぉ!!ぞれはおかーざんだぢでしょぉぉぉぉぉ!!」 「たべちゃだめぇぇぇぇ!!ゆっぐりでぎないよぉぉぉぉぉ!!」 後ろの餡子の塊に向かっていく赤ゆっくりとそれを必死に止めようとする親二匹だが、二匹には止める術がないので結局・・・ 「「「「「「「む~ちゃ、む~ちゃ・・・ちちち、ちあわちぇ~♪」」」」」」」 「「ゆぎゃあああああああああ!!どぼじでだべじゃうのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」」 赤ゆっくりたちはあっというまに二匹に群がりかなりの量を食べてしまった。 もうほとんど原型は残っていない。 「ゆぁぁぁぁ・・・ばりざのたくましいからださんが・・・」 「でいぶのぷりちーなおかおがぁぁぁ・・・」 赤ゆっくりたちは食べ過ぎたのかすでにおねむの時間のようだ。ゆ~ゆ~寝息を立てて寝ている。 するとそこに何かやってきた。 「う~う~!あまあまさんのにおいがするど~☆う~☆」 「「れれれ、れみりゃだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」 親の二匹は大声をあげて空中をのろのろと逃げる。だから必要ないというのに・・・。 「う~☆あまあまいっぱいだっど~☆」 その声に気づき二匹も引き返してくる。 「おちびちゃんたち!!れみみゃだよ!!はやくにげてね!!」 「れみりゃはゆっくりできないんだよ!!ゆっくりしてないでいそいでね!!」 当然、聞こえていないので赤ゆ達はゆ~ゆ~寝たままだ。 「おにぃぃぃざぁぁぁぁん!!おちびちゃんたちをだずげでぇぇぇ!!」 「なんでもじまずがらぁぁぁぁ!!おねがいじまずぅぅぅぅ!!」 こいつ等にこんなに子を思う気持ちがあるとは思わんかった。 とりあえずれみりゃに話しかけてみる。 「おい、れみりゃ!」 「う~?おにいさんなんだど~?」 二匹はなにかこちらに感謝のまなざしを向けている。赤ゆを救ってくれるとでも思っているのだろう。 「おのこしはするなよ。」 固まる二匹。 「う~☆わかってるんだど~☆えれがんとなおじょうさまはおのこししないんだど~☆う~☆」 「ゆああああああああああ!!ちがうでしょおおおおおお!!」 「はやぐおちびちゃんたちをたすけでえええええええええ!!」 無視。 そしてれみりゃの食事が始まった。 まず、赤ゆを一匹づつつかみ底部を傷つけ逃げられないようにしていく。 「ゆ~・・・ゆ~・・・ゆ?ゆぎゃ!!まりちゃのあちがあああああああ!!」 全部が済むと一匹づつ中身を吸い出していく。 「う~☆あまあまおいしいどぉ~☆」 「ゆぎゃああああああああああ!!まりちゃ・・すわれっ・・・もっ・・・きゅち・・・」 「「おちびちゃああああああああああああん!!」」 しかし三匹ほど吸い出すと残った四匹を一箇所に集め丸めて固めだした。 赤ゆっくりは死んではいないようだが痙攣している。 「おい、れみりゃ。そいつらどうするんだい」 「う~?れみりゃのおちびちゃんのごはんにするんだどぉ~☆」 なるほど、子持ちだったか。まあれみりゃは捕食種だし見逃してもいいか。 「そうか、じゃあ子育てがんばれよ~」 「う~☆わかったんだどぉ~☆」 そういって飛び立っていったれみりゃ。 「ゆああああああああああああああ!まっでええええええええ!!」 「あがぢゃんおいでげええええええええええ!!」 今は同じく飛べる二匹だが速度がまるで違うし追いつけたところでできることもないだろう。 すぐにあきらめたようだ。 「あああ、れいむのおちびちゃんが・・・」 「まりさとれいむのあいのけっしょうが・・・」 さて、そろそろ飽きてきたし俺も帰るか。そう思って立ち上がると 「ゆ!じじぃ!どこいくんだぜ!!」 「れいむたちをこんなふうにしたせきにんをとっでね!!」 「そんなの知らないよ。お前たちがなりたいって行ったんだから自業自得だろ。」 「「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉ!?」」 そしてそのまま帰る俺。とはいっても村はすぐそこだが。 「まっでぇぇぇ・・・おいでぐなぁぁぁ・・・」 「までぇぇぇぇ・・・まだないにんげんはじねぇぇぇぇ・・・」 面白いのでそのまま村の前まで追いかけさせてやった。 「ま、まっでぇぇぇ・・・・ぜぇぜぇ・・・」 「おいでぇぇぇ・・・いぐなぁ・・・・ぜぇぜぇ・・・」 霊体の癖になんで疲れるんだよ。なんとか村の前に来たゆっくり。、 しかしそこで 「ゆべっ!!」 「ゆぎゃ!!」 まるでそこに壁があるかのように吹っ飛ぶゆっくり。 「ゆぅぅぅ・・・なんでかべさんあるのぉぉぉ・・・」 「いだいよぉぉまりざぁぁぁぁ・・・」 「それは壁じゃないよ。結界だ。」 「「ゆ?」」 「さすがに強いのには効かないが知能の低い低級な霊や妖怪が入れないように結界がしいてあるんだよ。」 「まりざはでいぎゅうじゃないぃぃぃぃぃ!!」 「そっぢにいれろぉぉぉぉぉ!!」 「うるせぇ糞饅頭。ずっとその辺で彷徨ってろ。」 俺はさっさとそこを後にした。 「「ああああああああああ!!まっでえええええええええええ!!」」 残された二匹の幽霊饅頭は絶望したこれからどうすればいいのだろう。 なにをすればいいのかまったくわからない。 「ゆぅぅぅぅぅぅぅ!!でいぶぅぅぅぅぅぅぅ!!ごれがらどうじよぉぉぉぉぉ!!」 「わがらないよぉぉぉぉぉ!!なんどがじでよぉぉぉぉぉ!!ばりざぁぁぁぁぁ!!」 ゆーゆー泣いているとなにか近くの空間が歪んで来た。 「ゆ・・・?なに?」 するとそこから何かが出てきた。 「ふっふっふ、地獄のそこからやってきた。不撓不屈の虐め魂を持つ男・・・虐待おにーサッ!!」 なにやら白装束を着た頭に三角をつけた男が腰を低くし両手を広げて出てきた。 「な、なんなのぉぉぉぉおにいざん!!」 「ふははは!!ゆっくりどもよ!!ようこそこちらの世界へ!!地獄でもさんざん虐めぬいてやるからな!!覚悟しろッ!!」 「「やだぁあぁぁああああああああああああ!!」」 男は再び高笑いを始め二匹の幽霊ゆっくりを捕まえ空間に消えていった。 そして二匹のゆっくりは虐待おにーさんによって死んでもゆっくりできないのでした。 あとがき 最近書いても書いても書きたいことの軸がぶれてしまい消しては書き直しの連続です。 一応これはなんとかなったと思うので楽しんでいただけたなら嬉しいです。 作者 甘党 今まで書いたもの ゆっくりコールドスリープ ゆっくりを効率的に全滅させるには。 ユマンジュゥ きれいなゆっくりの作り方 ゆっくり達のバザール ゆっクエ あるゆっくり達の冬篭りと甘い罠 ラジコンうーぱっく 笛吹き男とゆっくり
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/847.html
~ゆっくりレティの生涯(前編)~ 前書き あまり登場しないゆっくりレティが登場するため、SS中の所々に生態の説明などを書きました。 より詳しい生態はおまけで述べるので、途中「?」と思うところがあるかもしれませんがご安心下さい。 -春- 春、それは冬の寒さが和らぎ様々な動植物が活動を始める季節である。 長い冬を乗り越えることができたゆっくり達も巣穴から続々と顔を見せ始める。 『ゆ~っ~く~り~!』 ふとましい声を上げて1匹の大きなゆっくりが地中から顔を出す。 このゆっくりはゆっくりレティ、捕食種の中でも上位に君臨するゆっくりである。 特徴は何と言ってもその巨体、このゆっくりレティの体長は1m程あるが、これでも成体でないというのだから驚き である。 『ま~ぶ~し~。』 初めて見る眩しすぎる太陽の光にゆっくりレティは目を瞑った。 巣穴から出たゆっくり達がまず初めにやる事は食糧の調達であり、ゆっくりレティも同様である。 鈍重ではあるが跳ねて食料を探しにいく。 『む~しゃ~む~しゃ~・・・しあわせ~♪』 ゆっくりレティは特徴である長い舌を使い、この春芽吹いたばかりの柔らかい新芽を器用ににちぎって口に運ぶ。 ゆっくりレティは捕食種ではあるが、ゆっくりを主食とするゆっくりれみりゃ、フランとは違い雑食性が強い種であ る。 ゆっくりの中身は基本甘味であり栄養価も高い。 春先で空腹なゆっくりレティが通常種を見つけたら当然捕食する。 「「ゆ ゆ ゆ ゆ ゆ!!!」」 食糧を探していたゆっくり霊夢と魔理沙が不運にもゆっくりレティに遭遇してしまったようだ。 ゆっくりレティは声のする方へ体を向けると目線の先では2匹がガタガタと震えていた。 『ゆっくりくろまく~。』 独特の声を上げて2匹目掛けて舌を伸ばす。 「いやあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」 ゆっくり霊夢が震えながら悲鳴を上げ恐怖のあまりその場から動けずにいる。 その時、突如ゆっくり霊夢の体に衝撃が走った。 ゆっくり霊夢の体はゆっくりレティ目掛けて一直線に転がっていく。 「まりさがゆっくりするためにれいむがみがわりになってね!バイバイ!」 ゆっくり霊夢は転がりながら相方の突然の裏切りに言葉を失った。 ゆっくりレティは転がるゆっくり霊夢を器用に舌に巻きつけるとそのまま口に運ぶ。 「ゆっぎりでぎない ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ !」 ゆっくり霊夢の悲痛の叫びが木霊した。 一方、自分が助かるためにあっさり相方を裏切ったゆっくり魔理沙は必死に逃げていた。 「のろまなれいむがいたおかげでたすかったよ!・・・ゆ?」 ずん!ずん!ZUN! 突如地響きが響き渡った。 ゆっくり魔理沙が何事かと周りを見渡すと後方からゆっくりレティがものすごい勢い(ゆっくり比)で迫っていた。 「ゆ ゆ ゆ ゆ ゆ あ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !」 あまりの迫力にゆっくり魔理沙は発狂してしまった。 ゆっくりレティはその巨体に似合わず通常種と同様に跳ねて移動することが出来る。 また、鈍重ではあるが体が大きい分一回の跳躍で進む距離が長いため、通常種が必死に逃げたとしても簡単に追いつ く事が出来る。 『ゆっくりくろまく~。』 ゆっくり魔理沙に追いついたゆっくりレティはすかさず舌を伸ばす。 涙を流しながらガクガク震えるゆっくり魔理沙にはもはや逃げ延びる術は残されていなかった。 「ゆるじでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」 舌を巻きつけられたゆっくり魔理沙は、相方と同様に悲痛の叫びを上げながらゆっくりレティの口の中へ消えていっ た。 ゆっくりレティはリスのように食べきれない分を頬に貯蔵して蓄える習性を持っているが、今は空腹であるため2匹 はあっという間に噛み潰され消化された。 もし、ゆっくりレティが空腹ではなかったら2匹は長期間頬の中でゆっくり出来ない時間を過ごす事になっただろう。 一瞬で噛み潰された2匹は、ある意味運が良かったのかも知れない。 『ゆ~ゆ~ゆ~♪』 新芽と2匹のゆっくりでお腹がいっぱいになり、ゆっくりレティはご機嫌である。 ゆっくりレティは狩りのほとんどを舌を使って行い、体はあまり動かさないので非常に燃費が良い。 そのため、通常種よりは食べるものの、大きな体の割にはあまり食べないのだ。 ゆっくりレティは何かを探すように辺りを飛び回り、通常種が住んでいそうな洞や穴を見つけると舌を伸ばして中に 入れていた。 「ゆゆ?」 「おかしゃんこれにゃに?」 「こっちにこないでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」 「みょーん!」 「わからないよー!」 様々な巣穴に舌を入れるが、不思議な事に巣穴の中から響き渡る声を聞くと捕まえずにそのまま舌を口に戻している。 しかしある穴に舌を入れた時、ゆっくりレティの対応が変わった。 「むきゅー!こないでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」 巣穴の中から独特の鳴き声が聞こえると、ゆっくりレティはすかさずその声を出した饅頭に舌を巻きつけ巣穴から引 きずり出す。 巣穴から引きずり出されたのはゆっくりパチュリー、体は弱いが通常種中一番の頭の良さを持つゆっくりである。 「むきゅぅ~。」 ゆっくりレティは舌に絡めたゆっくりパチュリーを自分の前に置き、舌を口に戻す。 そしてずりずりと体を地面につけたままゆっくりパチュリーに近づいていく。 「むっきゅー!むきゅきゅーん!」 あまりの巨体を目の当たりにしたゆっくりパチュリーは動揺して鳴き声を上げることしかできない。 ゆっくりパチュリーはもう押しつぶされてしまうと観念したのか目を瞑っていた。 しかし、ゆっくりパチュリーには予想外の事態が待っていた。 『ゆっくりしていってね~!』 ゆっくりレティはゆっくりパチュリーを潰してしまわないように注意しながら頬ずりをしていた。 頬ずり、それはゆっくり達の間では友好を示す行為である。 「ゆっくりしていってね・・・むきゅぅ・・・。」 張り詰めた糸がプチン!っと切れてしまい、ゆっくりパチュリーは気絶してしまった。 -晩春- ゆっくりレティの頭の上にはゆっくりパチュリーが乗り、その周りには4匹のゆっくりが集まっていた。 『ゆっくりしていってね~。』 「むきゅー、今日もみんなでご飯を集めるのよ。」 そう、ゆっくりレティは小規模な群れのリーダーになっていた。 春先、巣穴に舌を入れて探していたのは相方となるゆっくりパチュリーを探していたのだ。 「れてぃがいればこわいものはないね!」 「まりさたちはあんぜんだね!」 「わかるよー、りーだーがまもってくれるんだねー。」 「こころづよいみょん!」 ゆっくりレティの群れの一員はすべて通常種であり、ゆっくり霊夢、魔理沙、パチュリー、ちぇん、みょんが1匹ず つである。 「むきゅ!れてぃはあまりうごくのがすきじゃないからよぶんにしょくりょうがとれたられてぃにわたしてね!」 「「「「ゆっくりりかいしたよ!(よー!)(みょん!)」」」」 頭の上から降ろされたゆっくりパチュリーも4匹に混ざり食糧を探しにいく。 ゆっくりレティはお気に入りである大きな木の木陰で眠る体勢に入っていた。 ゆっくりパチュリーを相方に迎え、小規模ながら群れを作ったのはゆっくりレティ自身がゆっくりするためである。 ゆっくりレティが群れのリーダーであれば、よほどの事が起きない限り群れの一員は安全が保障される。 そして安全を保障してもらう代わりに通常種はリーダーに食糧を提供するのである。 『ゆぅ~・・・z z z z z 。』 気持ちよさそうに食糧が集まるのを寝て待つゆっくりレティであった。 梅雨、春から夏への季節の変わり目である。 この季節は雨の苦手なゆっくりにとって様々な脅威が襲い掛かる季節である。 とある巣では・・・。 「「「ぴぎゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !おみじゅこわいよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !」」」 「いそいでおかあさんのおくちのなかにはいってね!」 立地条件の事など考えもせずに偶然見つけた木の洞を巣にしていたゆっくり霊夢の一家に災難が降りかかっていた。 周囲よりも少し窪んだ場所に洞があったため、連日の雨で巣に水が流れ込んできていた。 「いやあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !からだがとけちゃうよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !」 「「「おかあしゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ん!」」」 一方、ゆっくりレティの群れでは・・・。 雨が降る中、ゆっくりレティはいつもと変わらずお気に入りの大きな木の根元でスヤスヤと眠っていた。 ただ、いつもと違うのは口の中に群れの通常種が避難しているという事である。 「むきゅ~、れてぃはみずにつよいからあんしんよ!」 「れてぃはすごいね!」 「さすがまりさたちのりーだーだね!」 「わかるよー、ここならとけないんだねー!。」 「あんしんみょん!」 冬眠に使っていた巣穴をそのまま巣にしているゆっくりレティ達であったが、連日の雨で水没とまではいかないまで も水が入り込み、ゆっくりできない状況に陥ってしまっていた。 いくらゆっくりレティが皮が厚く、水に強いといっても長時間水に浸っていたらさすがに皮が溶け出してしまう。 そこでゆっくりレティは群れの通常種達を口に避難させ、比較的雨の当たる量が少ないお気に入りの場所へ避難した のだ。 『ゆ ぅ ぅ ぅ ・・・z z z z z 。』 ゆっくりレティは呑気に眠りながら雨が止むのを待つのであった。 翌日、久しぶりに雲の中から太陽が顔を覗かせた。 ゆっくり霊夢一家の巣穴には黒色に染まった水にデロデロニなった皮が浮かんでいた。 ゆっくりレティの群れでは全員が無事生き延び、久しぶりに晴れた森の中を通常種達は食糧を探し跳び回っていた。 -夏- 夏、それは一年で最も気温が上がり、ゆっくりの食糧となる虫や草花が活気に満ち溢れる季節である。 『ゆぅゆぅ・・・z z z z z 。』 雨や寒さに強いゆっくりレティではあるが、体が大きい分熱がこもりやすいため暑いのは苦手である。 体温が上がるのを嫌うゆっくりレティは、今日も木陰で涼みながら気持ちよさそうに眠っている。 通常種達は豊富な食糧を集めに森中を駆け巡っている。 「まりさ、このおはなさんとってもおいしいよ!」 「れいむ、こっちのむしさんもとってもおいしいよ!」 ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙は互いに見つけた食糧を交換し合い、笑顔で頬張っている。 「「む~しゃむ~しゃ、しあわせ~♪」」 普段から仲の良い2匹は、お腹がいっぱいになったところで頬ずりをし合い信頼を確かめ合う。 しかし、今日の2匹の様子はいつもとは違った。 「れいむ~なんだがあたまがほわ~ってしてきたよ~。」 「まりさ~、れいむもなんだかあたまがほわほわしてきたよ~。」 2匹は無意識のまま頬ずりを続け、相手に振動を与え続けている。 そして振動は次第に強くなっていく。・・・・・そして。 「「ゆ ゆ ゆ ゆ ゆ!んほお お お お お!」」 「「すっきりー!」」 初めに意識がはっきりしたのはゆっくり魔理沙であった。 「ゆ?とってもからだがすっきりしてるよ!ねぇれい・・・ゆ!」 ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢のあたまを見てびっくりした。 緑色の蔓が生え、枝分かれした先端にはプチ霊夢とプチ魔理沙が実っていた。 「ゆゆ!まりさとれいむのあかちゃんだね!みんな、ゆっくりしていってね!」 ゆっくり魔理沙の「ゆっくりしていってね!」に反応し、次々とプチ達が地面へ落ちていく。 「「「「「ゆっくりちていってね!」」」」」 プチ霊夢5匹、プチ魔理沙5匹の総勢10匹の饅頭がこの世に誕生した。 すべてのプチゆっくりが切り離されるとゆっくり霊夢の意識が戻り、同時に頭の蔓が抜け落ちる。 「れいむ!このこたちはまりさとれいむのこどもだよ!」 「ゆゆ!?・・・れいむのこども?」 蔓に栄養をとられている最中、お母さんゆっくりは気絶してしまうことがある。 このゆっくり霊夢も同じで、突如目の前に赤ちゃんが現れ困惑していた。 「おか~しゃんおなかしゅいたよ。」 1匹のプチ霊夢の「おか~しゃん」と言う言葉を聞くと、ゆっくり霊夢の困惑も吹き飛んだ。 「みんな、このみどりいろのものをたべてね!」 お母さんゆっくりは本能か、記憶の奥底に眠っている初めてのご飯の事を思い出すのか、皆同じように抜け落ちた蔓 をプチゆっくりの初めてのご飯として与える。 「「「「「む~しゃむ~しゃ、ちあわせ~♪」」」」」 プチ達が蔓を食べ終わると、ゆっくり魔理沙が口を開いた。 「れいむ!あかちゃんをりーだーにしょうかいするよ!」 「ゆゆ!そうだね、かわいいあかちゃんをみたられてぃもきっとゆっくりできるね!」 2匹は赤ちゃん達を連れてリーダーのもとへ向かった。 『ゆっくりくろまく~』 「「「「「たちゅけて ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」」」」」 先ほどこの世に生を受けたばかりの10匹のプチゆっくり達にはゆっくりレティの舌が巻きつけられていた。 「なんでこんなことするのお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !」 「れいむの、でいぶのこどもがえじでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」 2匹は今にも食べられそうな我が子を見て泣き叫んでいた。 「むきゅぅ・・・、ふたりともわすれたの?れてぃのむれにはいるときのやくそくを。」 「「やくそく?・・・ゆゆゆ!」」 突如何かを思い出したのか2匹は凍りついた。 ゆっくりレティが群れを作るのはあくまで自分がゆっくりするためである。 プチゆっくりは成長するために見た目以上の食糧を食べる。 親は我が子のために必死で食糧を集めるため、当然ゆっくりレティに差し出される食糧は減ってしまう。 ゆっくりレティにとってプチゆっくりは「ゆっくりできなくなるもの」以外の何ものでもないのだ。 「むきゅぅ、おもいだしたみたいね。あかちゃんができたらここからでていくか、れてぃにあかちゃんをさしだすかの どちらかしかせんたくしはないのよ。・・・ふたりともどうするの?」 悲しそうな顔でゆっくりパチュリーはゆっくりレティの意思を伝える。 2匹にとってこの場所は最高のゆっくりプレイスであり、ずっとここに住みたいと思っている。 しかし、自分達の赤ちゃん達とゆっくりしたいとも思っている。 この二つを天秤にかけ2匹は答えを導き出した。 それは・・・。 「「れいむ(まりさ)たちはここでゆっくりするよ!」」 2匹は自らがゆっくりする事を選んだ、そしてそれは同時にプチ達への死の宣告でもあった。 「「「「「ぴぎゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !れいみゅ(まりしゃ)たちをすてにゃいでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」」」」」 泣き叫ぶプチ達はゆっくりレティの口の中へ消えていき、口が閉ざされると泣き声は聞こえなくなった。 「ごめんね、ごめんね、れいむ(まりさ)がすっきりしたせいで・・・。」 2匹は泣きながら食べられた赤ちゃん達にひたすら謝り続けるのであった。 -晩夏- 夏の暑さも和らぎ、ゆっくり達にとって過ごしやすくなる季節。 しかし、この季節は時としてゆっくり達に悲劇をもたらす事もある。 とあるゆっくり魔理沙の一家では・・・。 「ゆゆ!?あめがふってきたよ!いそいでおかあさんのぼうしのしたにかくれてね!」 「おかーしゃん、あめさんはいつやむの?」 「これぇじゃゆっくりできにゃいよ・・・。」 急な夕立で辺りに雨をしのげそうな場所がなかったため、お母さん魔理沙は仕方なく自分の帽子の下に子供達を避 難させる。 「ゆぅぅぅぅぅ・・・なかなかやまないね・・・。」 「あめしゃんゆっきゅりしすぎだよ!」 「ゆっきゅりしないではやくやんじぇね!」 なかなかやまない雨に子供達はストレスが溜まり、ゆっくりできなくなっていた。 そして、お母さん魔理沙の体に変化がおとずれる。 「ゆゆ!?うごけないよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !まりさのからだがあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !」 「おかーしゃんたちゅけち ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」 「とけちゃうよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !」 いくら川を渡るのに使えるほどの耐水性の帽子でも体を雨から完全に守る事はできない。 ゆっくり魔理沙の一家は強い雨に打たれどんどん溶けていく。 「も・とゆ・・り・・かっ・・・・・。」 一方ゆっくりレティの群れでは・・・。 この時期突然の雨が降りやすい事をゆっくりパチュリーは知っていた。 そのため、曇ってきたらすぐにゆっくりレティの下へ戻るように指示されており、通常主達は皆無事にゆっくりレテ ィの口の中へ避難していた。 「むきゅーみんなからだはだいじょうぶ?」 「ぱちゅりーとれてぃのおかげでたすかったよ!」 「まりさのからだはだいじょうぶだよ!」 「わかるよーからだがとけてないかしんぱいしてくれてるんだねー!」 「すこしからだがやわらかくなったけどだいじょうぶみょん!」 突然の夕立など気にもしないゆっくりレティは雨がやむのを寝て待っていた。 30分後、先ほどの雨が嘘であったかのように太陽が光り輝いていた。 ゆっくり魔理沙一家のいた場所には3つの帽子とデロデロになった皮が黒く濁った水溜りに浮いていた。 ゆっくりレティの群れでは通常種達が再び食糧を探すためにゆっくりレティの口から勢いよく飛び出していった。 夕立以外にもこの時期はゆっくり達にある脅威が襲い掛かる。 「ゆゆ!おひさまがゆっくりしてないよ!」 ゆっくり魔理沙はいつものように食糧を集めゆっくり過ごしていた。 この季節、日が沈む速度は日に日に早くなっているため、夜になる前に巣に戻ることが出来ないゆっくりが現れだす。 天気が良かったため遠出していたゆっくり魔理沙はもうすぐ日が沈むと言うのに群れからだいぶ離れた位置にいた。 「いそがないとゆっくりできなくなっちゃうよ!」 ゆっくり魔理沙は急いで群れの所まで戻ろうとするが、元いた場所から半分の距離も進まない場所で日が完全に沈ん でしまった。 「いやあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!くらいのはいやだあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」 辺りが暗闇に包まれると、ゆっくり魔理沙は恐怖に耐えられずに発狂しだしてしまった。 しかしそれがいけなかった・・・。 バッサ、バッサ、バッサ 「がおー!たべちゃうぞー!」 ゆっくり魔理沙の悲鳴が捕食種ゆっくりれみりゃを呼び寄せてしまったのだ。 暗闇の中でも遠くが見通せるゆっくりれみりゃはすぐに見つけたゆっくり魔理沙目掛けて襲い掛かる。 そして、ゆっくりれみりゃがかなり接近したところでようやくゆっくり魔理沙は自らに迫る危機に気づいた。 「れ、れみりゃ!」 時既に遅し、ゆっくり魔理沙の運命は既に決まったように見えた。 しかし・・・! 『ゆっくりくろまく~』 「うあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !」 牙がゆっくり魔理沙の頬に突き刺さる直前、ゆっくりれみりゃにゆっくりレティの舌が巻きつけられた。 そして悲鳴を上げながらゆっくりれみりゃはゆっくりレティの口の中へ消えていった。 そしてゆっくりレティの口の中からは群れの通常種たちが続々と飛び出してゆっくり魔理沙を取り囲む。 「むきゅー!まりさだいじょうぶ?」 「まりさ!しっかりして!」 「わかるよーこわかったんだねー。」 「もうだいじょうぶみょん!」 あまりの出来事に放心状態のゆっくり魔理沙であったが、次第に状況を理解し・・・。 「うわあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ん!ごわがっだよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !」 張り詰めていた精神の糸が緩んだゆっくり魔理沙は安心感から泣き出してしまった。 「ありがとう、まりさはもうだいじょうぶだよ。」 ゆっくり魔理沙は落ち着きを取り戻していた。 「むきゅ、れてぃにもおれいをいいなさいよ、わたしたちをくちにいれてまりさをさがしにきてくれたんだから。」 「ゆ!?そうだったのれてぃありがとう!」 『ゆっくり~♪』 ゆっくりレティは滅多に食べられない肉まんを食べる事ができ、とてもご機嫌であった。 -秋- 秋、それは様々な花が咲き、果実が生じ、多年生の生物は冬を越す準備を始める実りの季節である。 その寿命が極端に短い(様々な要因で潰されるため)ゆっくり達も越冬のために巣に食糧の貯蔵を始めだす。 『ゆっ!ゆっ!ゆっ~!』 ゆっくりレティは食糧の貯蔵場所の拡張のため、舌で巣穴の拡張工事を行っていた。 通常種による越冬のための巣穴の作製は数週間かかるが、ゆっくりレティはもともと自分の生まれた巣穴が越冬用で あり、さらにその巨体のおかげで拡張工事は数日のうちに終わった。 『ゆっくり~!』 「むっきゅー!すごいわれてぃ!」 「うわぁ、すごくひろいね!」 「まりさたちのりーだーはやっぱりすごいね!」 「わかるよーゆっくりできるいえなんだねー!」 「すごいみょん!すごいみょん!」 群れの通常種達はゆっくりレティを褒め称えた。 そして越冬の食糧確保のため、本格的に活動を始める。 「ねぇまりさ、このきのこはたべられるの?」 「だめだよれいむ!そのきのこをたべるとゆっくりできなくなっちゃうよ!」 「みょんたちはおちばをあつめるみょん!」 「わかるよーべっどにするんだねー!」 「むきゅー、ちょうきかんほぞんできるしょくりょうはこっち、いたみやすいしょくりょうはこっちよ。」 『ゆ~!』 この季節になると普段寝てばかりいるゆっくりレティも越冬のための食糧の貯蔵作業に加わる。 長い舌を使って通常種達では届かない位置に実っている木の実を次々と頬に貯め込んでいく。 ゆっくりレティの群れは順調に越冬の準備を進めていった。 -晩秋- 少しずつ寒さが増し、豊富だった食糧も少なくなり、木枯らしが吹き荒れる季節。 この季節になると外で活動するゆっくりの数が減少を始める。 そして、越冬に向けての準備もいよいよ大詰めとなる。 とあるゆっくり霊夢の一家では・・・。 「みんな、あしたすのいりぐちをふさぐからきょうはおそとでおもいっきりあそぼうね!」 「「「おしょとであしょぶよ!」」」 このゆっくり霊夢の一家には片親となるゆっくりがいない。 仲の良かったゆっくり魔理沙と越冬の準備をしている最中(さなか)、豊富に食糧を蓄える事ができた安心感から成 体でもないのに「すっきり」してしまったのだ。 ゆっくり霊夢が我に返った時には時既に遅し、目の前でゆっくり魔理沙が黒く朽ち果て、3つの実を実らせていた。 自らの犯した過ちを後悔したが、ゆっくり魔理沙の忘れ形見であるプチ魔理沙達に心の傷は癒されていった。 食糧も「すっきり」する前に十分に集めていたため、無事に越冬の準備を終わらす事ができた。 「みんなあんまりとおくにいっちゃだめだよ!」 「「「わかったよおかーしゃん。」」」 プチ魔理沙達は無邪気にはしゃいで追いかけっこをして遊んでいる。 その姿を見てお母さん霊夢は越冬中の巣の中での幸せな生活を思い描いていた。 しかし知識のなかったお母さん霊夢に悲劇が襲い掛かる。 びゅー!びゅーー! 突如冷たくとても強い風が吹き荒れた。・・・木枯らしである。 成体ではないがそれなりに体が大きいお母さん霊夢は、その場で体勢を崩してしまった。 「ゆ!?れいむのあかちゃんたちは!」 お母さん霊夢でさえ、体勢を崩すほどの木枯らしである。 当然子供達は・・・。 「うわぁ~♪おそらをとんでるよ~♪」 「おか~しゃ~ん♪」 「まりしゃたちおそらをとんでるよ~♪」 プチ達は風で飛ばされ、自分達がその後どうなるかも知らずに無邪気にはしゃいでいた。 「あ、あ゛、あ゛がぢ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ん!!!」 お母さん霊夢は顔を青ざめて絶叫した。 「ど~したのおか~びぎゅ!」 1匹は木に勢いよく激突して潰れた。 「ぴぎゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ びゅ!」 1匹は先に潰れたプチ魔理沙を見て絶叫しながら木の枝に突き刺さりあの世へ旅立った。 「おかあしゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ん、たしゅげ!」 1匹はそのまま地面へ激突し、物言わぬ潰れた饅頭となった。 「・・・・・。」 辺りには木枯らしの吹き荒れる音だけが響き渡っていた。 一度にすべての子供を失ってしまったお母さん霊夢はその現実を認めたくないのか呆然としていた。 しかし、一度潰れた饅頭が帰ってくる事はなく、次第に現実を理解し始め・・・。 「・・・あ、あ、あ゛、あ゛がぢぁんがあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !ゆぴべぴゅびゃあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」 大好きだったゆっくり魔理沙の死、そしてそのすべての子供の死。 餡子脳で受け止められるキャパシティを超えてしまったお母さん霊夢の精神はボロボロになってしまった。 お母さん霊夢の目からは光が消え、辺りが暗くなっても笑い続けていた。 「ゆふふふふふふふふふふ!ゆはははははははははは・・・・・!」 「うー!ゆっくりしね!」 次の日の朝、お母さん霊夢のいた場所には赤いリボンがぽつんと落ちていた。 一方ゆっくりレティの群れでは・・・。 『あしたからゆっくりするよ~。』 「むきゅー、しょくりょうあつめはきょうがさいごよ。ゆうがたにはすのいりぐちをふすぐわよ!」 「「「「ゆっくりりかいしたよ!(よー!)(みょん!)」」」」 この時期食糧はとなる木の実や草花はほとんど無くなってしまっている為、通常種達は自らが冬の間ベッドにする落 ち葉を集め巣穴に持ち帰った。 食糧が取れないとわかっているゆっくりレティは巣穴の奥でスヤスヤと眠っている。 未の刻から申の刻へ移り変わる頃、帽子いっぱいに落ち葉を入れたゆっくり魔理沙が巣穴に戻り、群れの一員がすべ てそろった。 「むきゅ、いまからおくにいるれてぃをよんですのいりぐちをふさいでもらうわよ!」 「「「「ゆっくりり・・・。」」」 「「「あら、なかなかとかいてきなすあなね。」」」 突如3匹のゆっくりアリスが巣穴に入り込んできた。 3匹は落ち葉を集めるゆっくり魔理沙を偶然発見し、こっそりと跡をつけていたのだ。 「ゆ!ここはまりさたちのおうちだよ!ありすはでていってね!」 ゆっくり魔理沙は体を膨らませて3匹の侵入者を威嚇する。 ゆっくり霊夢、ちぇん、みょんも警戒態勢を取る。 「あら、まりさったらはずかしがっちゃってかわいいんだから。」 「なかなかひろいはうすね、とかいはのありすたちがふゆのあいだつかってあげるわ。」 「どうしてもっていうならあなたたちをるーむめいとにしてあげてもいいわよ。」 この巣穴の主が誰なのかも知らず傍若無人に振舞う3匹であった。 しかし、当然その行為を後悔することになる。 「「「ふくれたまりさもかわいいわ!すっき・・・あ゛っ!あ゛っ!あ゛っ!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」」」 奥から現れたゆっくりレティの姿を見て3匹は悲鳴を上げ硬直した。 「れてぃ、あのありすがしんにゅうしゃよ!」 3匹が進入してすぐゆっくりパチュリーはゆっくりレティに助けを求めに行っていたのだ。 「「「あ、ありすがわるかったわ!す、すぐにここからでていき・・・。」」」 『ゆっくりくろまく~!』 逃げようとする3匹にゆっくりレティは容赦なく舌を巻きつける。 「おねがいじまず!だずげでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」 「いやあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !ごべんなざい ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ !」 「ありずはいながものなんでず!ゆるじでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」 必死に助けを請う3匹であったが、聞き入れられるはずもなくゆっくりレティの口の中へ消えていった。 空腹でないゆっくりレティに捕まったこの3匹は、長期間頬に蓄えられ地獄の苦しみを味わうことになるのであった。 「「「「「れてぃ、たすけてくれてありがとう!(とー!、とうみょん!)」」」」」 『ゆっくり~♪』 お礼を言われた当のゆっくりレティは、越冬を前に栄養豊富な3匹のカスタード饅頭を得ることができ、ご機嫌であ った。 その後、ゆっくりレティによって通常種の巣穴と比べ類を見ないほど頑丈に入り口が塞がれ、本格的な越冬が始まっ た。 後編に続く このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1666.html
精神的にゆっくりをいじめたい話 (なまぬるいよ!) 「はい!今日は待ちに待ったれみりゃの特別な日です!」 「うーっ♪」 「何の日かわかるかなぁー!?」 「う?うーうー!」 「人の言葉を喋れよ豚まん!」 ドゲシッ 「うえええええん!!!」 「あ、泣いてしまった。まあいいか、エムっけあるしこいつ」 やあ。僕は虐待お兄さん。 エムっけのあるれみりゃを飼っているよ! 今日はゆっくりを精神的にいじめるトレーニングをしよう! 虐待お兄さんたるもの、トレーニングはかかさないよ! じゃあ、一つ目いってみようか! このトレーニングでは、れみりゃと、適当なれいむやまりさを使うよ!飼っているれみりゃに協力してもらうことにしよう! さて、今回使うれいむとまりさは、番だけども、 このまりさ、一度試したことがあるからわかるけど、れみりゃに襲われたりしたら番を見捨てちゃうんだ! 前のお嫁さんはそれで死んじゃったんだよねー。 じゃあ、早速虐待部屋にれいむとまりさを放そう! 虐待部屋はバカがつくほど広いんだ。虐待お兄さんたるもの、虐待ビデオでお金を稼いだりもするから虐待部屋は広くて損はないよ! 「ゆゆっ?おにーさん!なにここ?ゆっくりできるの?」 「ゆっくりできるんだぜ?」 「ゆっくりできるよ。ほら、草もいっぱい生えてるし、ちょうどいい洞穴だってあるよ。ほら、あっちに」 「ゆゆ!!まりさたちはここをゆっくりプレイスにするんだぜ!!」 どうやら気に入ってもらえたらしい。 虐待部屋は自然に近い状態にするのもアリだと思うよ。 ま、洞穴のとこは、火炎放射器とかを壁に隠してあったりするけどね…。 「ゆっ!まりさ!きょうはれいむがごはんさんとりにいくよ!」 「いいのぜ?」 「れいむにまかせてね!」 「わかったぜ。いってらっしゃいのぜ!」 ぜっぜぜっぜうるさいなあ。あ、監視カメラやマジックミラーでの観察は必須だね。状況がよくわかるから。 しかしれいむは健気だね。新居に移ったその日から食料集めかあ。 「ゆゆーん!おいしそうなりんごさんだよ!」 「ゆ?あまあまさんだあああ!!わーいわーい!ゆっくりできるよぉ!」 リンゴを見つけたか。栄養たっぷりだぞ、ふふふ。 え?あまあまさん?あ、レイパーれいむを3ヶ月かけて作り出した時に犠牲になったゆっくりの亡骸が残ってやがった! 「まりさ!これできょうとあしたはゆっくりできるよ!」 「あまあまさんもあるのぜ!れいむはすごいのぜ!」 「ゆふふふー、まりさには負けるよぉ」 「ゆふふふふ」 結構仲いいのな。さて、1日ゆっくりさせたら、翌日まで放置していて大丈夫。 あ、レイパーれいむの話でもしようか? レイパーれいむは、お兄さんが秘蔵の妄想自作マンガや工口画像を見せたり、 すりすりしまくったりした結果に出来たものだよ。 完成した後は虐待部屋でテストしたんだけど、レイパーありすと違って警戒されないから、どんどん犠牲になっていくんだよ。 でも一応母性が強いれいむだから、レイパーありすと違い、犠牲になったゆっくりの子供には子守唄を聞かせたり、 朽ちた犠牲者の中身を食べさせたりするんだよね。なんか偽善者っぽくて笑える。 この前はゲスなドスの群れに潜入させたっけな。 さて、朝になったられみりゃを放して虐待部屋のゆっくりを蹂躙! といきたいところだけど、 れみりゃと適当なれいむをセットで放す。 放すタイミングが重要で、そうだな、今回はれいむが出てきた時にしよう。 そら、出てきた。二匹とも!!いけ!!! 「ゆ〜、きれいなおそらさんだよぉ〜♪」 「ゆ?なにかきこえるような?」 「ゆぎゃあああああ!!!いだいよおおおお!!!」 「う〜♪う〜♪」 「ゆっ…れみりゃだ!見つかるまえににげるよ!」 このれみりゃにはわざとセットになったれいむのみ食べるように言ってあるけど、 野良れみりゃとかにやらせるとトレーニングの予定が狂うこともあるので、気を付けないとね。 「まりさぁ!!れみりゃがいたんだよ!!」 「なにいってるんだぜ?ここはゆっくりできるはずだぜ?」 「でもほんとにいたんだよぉ!!」 「ゆう…ゆっくりできないのぜ」 「だいじょうぶかなぁ、みつからないよね…?」 「だ、だいじょぶにきまってるぜ!まりさはさいきょうだからみつかってもたおせるぜ!」 「そそそそうだよね!大丈夫だよね!」 2匹に「ゆっくりできないれみりゃがいる」と思わせるのが先の行動の目的さ。 では、2匹とも出てくるまで待とう。 出てきたら、少したったぐらいでれみりゃを放す。 れみりゃには「れいむを頭に乗せて一緒に遊んでやってくれ」と言ってある。 ここが今回のトレーニングの要さ! 「ゆゆーん、すてきな花だよぉ」 「れいむにあげるのぜ!」 「ゆっ!すてきなぷろぽーずだね!」 「ゆへへへへ…」 「うー♪」 「「どぼじでれみりゃがいるのおおおおおおおおおお!!!」」 「れ、れみりゃだよ!まりさ!」 「わわわかってるのぜ!!でも、でも…まりさはたたかわないのぜ!!!」 「ゆううう!?どぼじでえ!」 「れいむがおとりになって、まりさをにがしてくれるからだぜ!あばよ!!」 「ゆぎゅうううう!おいてかないでよおお!ひどいよ!うらぎりものぉ!!」 想定通り、まりさはれいむを見捨てたよ。語尾にぜが付くまりさはこういう行動が多いんだよなあ。 「うー♪」 「ゆうう…ひとりでもたたかうよ!」 あれ、勇敢だな。ボインボインとれみりゃに体当たりしているぞ。 「うー!」 「きいてるの!?きいてないの!?わからないよおお!ううう!!」 そんなちぇんみたいなセリフを喋らなくても。 「うー」 「…ねえ、たべないの?どうして?」 「うー!」 「ゆー、ふしぎなれみりゃだよ!」 「うー♪」 「のっけてくれるの?」 よしよし。 「おそらをとんでるよお!すごいよ!れみりゃはゆっくりできるよ!!」 「うーうー♪」 それじゃ、ここでお兄さんが登場だ。 「れいむ、楽しんでるね」 「ゆゆっ!お兄さん!ちょっとこわかったけど、ゆっくりできるれみりゃもいるんだね!!」 「そうだよー。実はそのれみりゃはお兄さんが飼っていたんだよ」 「じゃあおともだちになれるの!?」 「なれるよ。あ、心配しなくてもいいよ。れいむをエサになんかしないから」 「あんしんしたよ!!ゆ、でも、あのまりさは…」 「せっかくだからからかってやろう!」 「いいあいであだよ!!れみりゃ!まりさをおいかけてね!」 お兄さんは退室して、また外から様子を見るよ。さあクライマックスだ! 「ゆっぐ、ゆっぐ、ばかれいむはぎせいになったのぜ!まりさはいきのびるのぜ! ごはんもひとりじめできるし、ばかれみりゃさまさまなのぜ!!」 「まりさ!ゆるさないよ!」 「どぼじでれいむがいるのおおおお!!ばかれみりゃにのってるじいいいいい!!」 「れみりゃがのっけてくれたんだよ!ひどいまりさはれみりゃものせないっていってるよ!!」 「う゛ー!!」 「ぢぐじょおおおお!!!ばがでいぶどもどもぶっごろしでやるうううううう!!」 「うーーーー!!!」 「どぼじでだいあだりあだらないのおおおおおお!!」 いいぞ!れいむと一緒にまりさの攻撃をよけ、自分から手は出さない! 精神的に追い詰めるんだ! 〜30分後〜 「ゆ…ゆ…つかれた…」 「うー」 「まりさはゆっくりれっとうかんをかんじてね!」 「ゆ…ゆ…もうやだ…」 まりさはかなりストレスがたまっているはずだ! もう少しだ! 「まりさはもうたのまれてもけっこんしてあげないよ!」 「ゆ…ゆ…ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆっゆゆyっゆゆゆゆゆゆゆうゆゆゆゆゆいうるゆゆるうゆうゆゆゆゆゆゆゆゆ」 「ゆ?まりさのあたまがおかしくなったよ!」 「うー♪」 「そうだね!おにいさんのところにいこうね!」 フィニッシュだ!まりさはストレスのあまり気が狂った! しかし、トドメがあの一言か。まりさも一応れいむの事を好きではいたようだなあ。 あ、れみりゃきた。 「おまえたちはれいむの部屋で一緒にゆっくりしててね」 「うん、わかったよ!」 乗せてしかも飛んだまま移動しているって不思議な光景だわ…。 さて、後始末はお兄さんがやらないとね。 「YUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYU」 「まりさ」 「湯があああああああああああああああああああああああああああああ愛wf呪医あああああああああああああ ああh著tvwskkhvwヂvhfdvgfgvhsfsgrjjtbsjvレkjjkレjjgレjjgレjhgrhケvkレwjvgkjvgrケtvkレvghレvhレgvjレvgレkvgレkvgレkゲrkj」 「死ね」 ブチッ 「……ゆ゛っ゛…」 悲しい最後だなぁ。それじゃあ二つ目いこう。 二つ目のトレーニングは、シンプルに、レイパーありす50匹をつめこんだ部屋に適当なれいむを入れるんだ。 レイパーありす50匹は一歩間違えれば危険な代物。トレーニングが終わったら、潰すなり、鎮めるなり、 はたまた君がHENTAIならその性欲を自らの性欲でうちたおすのもアリだよ! ともかく、れいむを入れる前に、ありすのいない空間を作って、外から入れないように仕切りを作るんだ。 そうしないと、こうなる。 「ゆっくりしていっでねえええええ!?でぎないよおおおお!!!」 「はあっ、はあっ、はあっ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 3匹のありすにこすられまくって、犯し殺されてしまうよ。 運が悪いと、子供が生えたのに反応してキモいことを口走るよ。 「はあ、はあ、ありすとれいむのあいのけっしょうなのねえええええ!! さらなるあいをあたえてあげるわあああああああああああああああ!!!」 と産まれてもいない子供に突進。これはひどい。死ね。 本番といこうか。 「ゆっくりしていっで…エレエレエレエレエレエレ」 「はいてるれいむもがわいいいよおおおおおおおおお!!!!」 周りを囲むレイパーに気付いた瞬間、激しく嘔吐した。 一応れいむがいる場所を居住空間として、嘔吐物やうんうん、しーしーをする穴(穴の先は排泄物置き場。これはまた別の虐待に使うこともあるよ!)や、 水飲み場、おふろ(浅いものじゃないと溺れちゃいます)、遊具やベッド、緊急時のオレンジジュースを用意しておこう。 「はあ…はあ…おれんじじゅーすさんがあるよ…ゆ、ゆう、あぶなかったよ…」 「はあはあはあはあ…どぼじでれいむにごのあ゛いをづだえられないのがじらあああああ!!!!!」 「こ、こないでね!!!…あれ?これって、ありすはこれないの?」 「ううううううううううううううう!!!!ぐるじいいい!!あいをおおお!!!」 「ゆ、ゆう…うるさいしきもちわるいからゆっくりできないけど、これならやっていけそうだよ」 と、まあ、ありすを放置プレイしつつ、れいむに普通に生活させる。 一度でもお兄さんとか元の母親の姿をみているゆっくりだと、ストレスですぐにさっきのまりさのようになるから気を付けて。 さて、ここでこのトレーニングのターゲットを明かそう。 そう、ターゲットは実はれいむではなくレイパーなんだよ! レイパーは実はその愛(笑)を受け止めてくれる相手がいないと…おっと、これはヒミツ。 それじゃ、一日1体、ゆっくりを投下するよ。 「ゆっ?レイパーだああああ!どぼじでごんなにいるのおおおおおお!!!」 「まりさああああああ!ありすがあなたをほねぬきにするからねええええ!!」 「やべでよおおおおおお!ずっぎりじだぐないいいいいい!!」 五日経ったら、二日に1体にシフトするよ。 さらに三日経ったら、一気に1週間に1体にする。 こうなると、ありすは阿鼻叫喚。 「ぐるじいいいいい!!!!」 「ゆゆう、きもちわるいよ!こっちこないでね!」 「でいぶうううう!!ごっぢぎでずっぎりじまじょうよおおおお!!」 「やだよ!あっちいってね!」 人間のようにはいかず、一人では性欲をためこむばかり。 レイパーどうしですっきりはしないので、どうにもならない。 ありすたちが不満を口にし始めたあたりで、まりさをれいむの居住スペースに投下。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!ゆ!?レイパーだ!!!」 「大丈夫だよ!こっちにはこれないから!ゆっくりしようね!」 「ゆ、ゆ!ほんとだ!ゆっくりしようね!」 しばらく置いて、仲良くなったら照明を薄暗くする。 夜のような感じでね。 「ゆ…夜なの?」 「でもいままで夜にはならなかったよ?」 「ゆゆう、まあいいよね」 「そうだね。…ねえまりさ…」 「ゆ?なに?」 「れいむ、あかちゃんほしいよ」 「でいぶうううううう!!!まりざああああああああ!!!!わだじの゛ごどもはらんでええええええええ!!」 「…むししようね。うん、いいよ。」 ありすの目の前ですっきりをさせるというわけ。 「「すっきりー!」」 「ああああああああああああああああああああああああずっぎりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいじだいいいいいいいいいい」 「ゆゆう、いきなりレイパーがいたら怖がらないかな?」 「たぶん、目を開ける前にあんぜんだっていってあげたらだいじょぶだよ」 「そうかなあ」 さて、これでゆっくりした家族生活をはからずもれいむとまりさは見せつけることになる。 ありすは、性欲がたまって、だんだんヤバい状態になる。 「ゆげっ、ゆげっ、、ずっぎり、ずっぎり!!!」 「ゆげじ!!ずぎ!ずぎり!あい!あい!」 「あかちゃん、あれがれいぱーだよ」 「ゆ?きょわいよお!」 「ゆっくりできるよ。あんしんしてね」 「ゆっきゅりちゅるよ!!」 「あぎゃ!!!ずううう!ぎぎぎい!」 これをお兄さんは自爆症候群と呼んでいるよ。 自爆症候群とは、ありすがすっきりできなすぎて自爆することをいうよ。 あ、ほら… パァン!!! 「ゆげええええええええげげげげげげっげえ!!!」 パァン!!!!! 「あああああああ!あいがだりないのおおおおおお!」 パンッ!! しかし中にはあまりのキツさや本来の家族愛を目にして正気に戻る者もいる。 「ああああああああああ!!!……ゆ…ゆ?どぼじでれいぱーがいるのおおおおお!?」 「ゆげっ!ずぎり!ずぎり!」 「いなかもの!ずっぎり!じだくないよおおおおすっきり!!うわあああああすっきり!」 正気に戻ると最早同種ですっきりするのも厭わないようで、即犠牲になる。 このような犠牲者から生えてきた茎を、素早くマジックアームで確保。 オレンジジュース漬けにして素早く赤ゆっくりとして誕生させる。 それら全てがありすであり、またレイパーと元レイパーの子ということで、 ちょっとすりすりしてやったら性欲狂いになる超過敏な爆弾だ。 これを、成長を早める薬を使用しつつ、 レイパーをその愛でうちたおすことを教える。 「ゆゆ!ときゃいはのありしゅがいなかもののれいぱーにときゃいひゃのあいをおしえりゅのね!!」 まあ自覚のないレイパーということで。 大きくなったらレイパーありすの部屋に投下。よく見たらもうありすが30匹ぐらいになってるな。 「あがぢゃあああああああん!!!!ありずのあいをうげどめでえええええ!!!」 「ゆっ!いなかものね!ほんとうのあいをおしえてあげる! んほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 「っ゛!!!っ゛!!!っ゛!!!…もっ…っ゛!!!ずっぎ…!!!」 レイパーをレイパーが犯し殺す。不思議な光景である。 また、普通のレイパーとは性質が違うので、なんか、こう、ものすごい。 犠牲になったレイパーの頭からは茎が50本生えている。うわあ。 「すっきりー!!ふう、いなかものはいなくなったわ!!」 「たしかにいなくなったけど、やっぱりきもいよおおおおお!!」 「どぼじでぞんなごというのおおおおおおおおおおお!!」 パァン!!! 成長を早める薬は、精神的な面での成長が遅くなるという欠点を持つ。 ようするに豆腐メンタル、いや饅頭メンタルということで、罵倒されると素早く爆発する。 レイパーが全滅したら、れいむとまりさの家族の待遇は自由だ。 トレーニングの一環として、殺すことにしよう。 「ゆっ!おにいさん!ゆっくりしていってね!」 「うん!ゆっくりしていくよ!れみりゃも仲間に入れてね!」 「え?」 「うー♪」 れみりゃにエサをあげよう! 「れみりゃはむりだよおおおおお!!」 「うー!!」 「いだいいだいいだいいだいいだい!!!!!」 「おかあしゃあああああん!!!」 「うあー!!」 「ああああああああああ!!!」 「うーうー♪」 全滅したぞ! さて、トレーニングはここまで! みんなもゆっくりトレーニングしていってね!!チャオッ☆ 「おにーさん、なんなのこれ…」 「虐待お兄さんに捧ぐトレーニングビデオ 第一弾!らしいけど…」 「なんか…やだ…」 「…もう借りるのやめるよ」 「それがいちばんだよ…」 終 このSSに感想をつける