約 632,186 件
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/577.html
「なぁ、れみりゃ……」 「う~?」 「いつも思うんだがな、お前さん足何処から出るんだ?」 「う~!? う~………」 とりあえずれいむとたい焼きを置いてみる。 ,. -───-- 、_ ♪ rー-、,.'" `ヽ、. \ _」 i _ゝへ__rへ__ ノ__ `l く `i / ゝ-'‐' ̄ ̄`ヽ、_ト-、__rイ、 }^ヽ、 .r'´ノ\ ゝイ,.イノヽ! レ ヽ,_`ヽ7ヽ___ 、_ ノ ハ } \ ~ /ヽ/ r'´ ィ"レ´ ⌒ ,___, ⌒ `! i ハ / }! i ヽ ~ / / ハ ハ/ ! /// ヽ_ ノ /// i ハ 〈〈{_ ノ } _」 ⌒Y⌒Y´ノ /l ハノ i ヽ⌒Y⌒Y´ ~ 〈,.ヘ ヽ、 〈 i ハ i 〉 ノ レ^ゝi>.、.,_____,,...ィ´//レ'ヽハヘノ __ │____ _│__ :,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ: : 'r ´ ヽ、ン: :,'==─- -─==', i: :i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |: :レリイレ(○) (○) .| .|、i .||: :!Y!"_..,,ノ', -- 、 /ヾ、""「_,."彡i: :L.'/ `y'、ソ、)、ソ、y、)',, 彡",ヽ: :|/ (( ) .iy'ソ ' )'y )、ソ、),,彡'彡|: r'=、 , i )/i y )、) 'y k彡,,"」: `''、._ノ . ノ/彡f ヽ ;Y 、、、,-ー'" `ー-'=ー"ニ=ー~"`^" _..,,ノ"// /ヾ、 _,."彡i / `y'、ソ、) 、ソ、y、)',, 彡",ヽ / (( ) .iy'ソ ' )' y )、ソ、),,彡'彡| r'=、 , i )/i y )、) 'y k彡,,"」 `''、._ノ . ノ/彡f ;Y 、、、,-ー'" `ー-'=ー"ニ=ー ~"`^" _人人人人人人人人人人人人人人人_ > なかよくはんぶんこしようね!!!<  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄ ___ _____ ______. ,. -───-- 、_ うー♪ ネ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ、_'' rー-、,.'" `ヽ、. , ン 'r ´ ヽ、 _」 i _ゝへ__rへ__ ノ__ `l i ,' ==─- -─== ; ... く `i / ゝ-'‐' ̄ ̄`ヽ、_ト-、__rイ、 }^ヽ、 | i イ ルゝ、イ;人レ/ルヽイ i .r'´ノ\ ゝイ,.イノヽ! レ ヽ,_`ヽ7ヽ___ 、_ ノ ハ } \ ||. i、|. | (ヒ_] ヒ_ン) i リイj /ヽ/ r'´ ィ"レ´ ⌒ ,___, ⌒ `! i ハ / }! i ヽ | iヽ「 ! /// ,___, /// !Y.! ../ / ハ ハ/ ! /// ヽ_ ノ /// i ハ 〈〈{_ ノ } _」 .| |ヽ.L.」 ヽ _ン ,'._.」 ⌒Y⌒Y´ノ /l ハノ i ヽ⌒Y⌒Y´ ヽ |イ|| |ヽ、 イ|| | 〈,.ヘ ヽ、 〈 i ハ i 〉 レ レル. `.ー--一 ´ル レ ... ノ レ^ゝi>.、.,_____,,...ィ´//レ'ヽハヘノ 一瞬で出て、すぐに戻った。 「おいしいね!」「う~♪」 しばらくお待ちください…… 「で、結局どうやって出たんだ?」 「う~……」 オチはなし。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1953.html
前 泣き疲れてそのまま眠ってしまったれいむが目を覚ますと、そこは檻の中だった。 れいむがジャストフィットする程度の大きさの鉄の檻である。 目が覚めたれいむは、回りを見ようとするが全く動けないことにすぐ気付いた。 「ゆっ・・・ゆっくりできないよ・・・そうだ!まりさは?れいむのあかちゃんは!」 やっと昨日の出来事に思い出したれいむは、自分たちの家族を探そうと必死に叫ぶ。 すると目の前に人間の足が見えた。 「うるせーんだよこの饅頭が。あんまり騒ぐと焼いちまうぞ。」 足だけしか見えなかったが、れいむはその男に話しかけた。 「おにーさん!ゆっくりしないではやくまりさとれいむのあかちゃんを返してね!そしてとっととここから出してね!」 よくもまあそんな事をと、その男は笑いを押し殺しながら思っていた 少なくともそのまりさは昨日虐待してしまったためにこの世にいないことをこの饅頭は知らないのだ。 それなのに、未だに家族でゆっくりできると考えているのだろう。ありえない話である。 「まあいいさ。今からガキに会わせてやるよ。」 「ほんと?とっととあわせてね!」 男はその言葉を聞くと、横に置いておいた袋の中身を地面へばら撒いた そこから出てきたのは各地から連れてこられた子ゆっくりや赤ゆっくり達である。 「ゆ~ゆ~ここどこ?あかーしゃんはどこなのー?」 「まりさははらがへってるんだぜ!とっととごはんをもってくるんだぜ。」 「むきゅー」「むきゅー」 「わからないよーわからないよー」 「ちーんぽっ!」 「うー、うー♪」 「う~~♪みゃんみゃぁ~?みゃんみゃぁどこ~?」 「とかいはなありすはおなかがすいたわ。もーにんぐせっとがたべたいわ。」 「あかちゃーん!ここだよ!おかあさんはここだよ!」 さまざまな種類の子供たちがそこに並べられた。そしてその子供たちは、すぐ横の檻に自分の親が居ることに気づいた。 ままーだのみゃんみゃーだのあかちゃんだのママだどぉ~~♪だの、ゆっくりどもが騒がしくしていると、一人のモヒカンがゆっくり達に 近づいてこう言った。 「貴様ら!今から聖帝様がお見えになる。静かに前を向け!」 そう言ったのと同時に、子供たちの目の前に一人の男が現れた。髪は短髪で、生まれた時から既に人の上に立っていたかのような 尊大な態度と冷たい眼をした男である。その男は子供達の目の前に置いてあった椅子に実に偉そうに座るとゆっくり達に話しかけた。 「俺の名は聖帝(名前は伏せさせていただきます)だ。今から貴様らは俺の言うことを聞いて馬車馬のごとく働くのだ。」 開閉一番にそう言うと、すかさず子供たちから反論がでる。 「うるちゃいどぉ~♪れみりゃはみらいのこうまかんのみらいのおぜうさまだどぉ~♪ゆっくりするんだぞ~。」 何がが楽しいのか踊り出した肉まんに対して聖帝はひとつ質問した。 「貴様の親はどいつだ?」 「う~?れみりゃのまんまはあそこだぞ~いちばんはじっこだどぉ♪」 「うー♪うー♪うー♪。れみりゃのみゃんみゃはぷりてぃーだとぉ♪」 間抜けな発言はまた加齢にスルーして、聖帝はれみりゃの母親の方を向くと、檻から出すよう指示した。 「う~さっさとだすんだどぉ~♪でないとだべちゃんだどぉ~。」 れみりゃはそういいながら男に檻から出され、地面に置かれた。そのれみりゃに向って 「フハハハ!!」 そういうやいなや、どこから取り出した槍をれみりゃに向け勢いよく投げた。 槍は人間でいう右の肺の部分にしっかりと突き刺さった。刺さった部分から肉汁が溢れでる。 その痛みはかなりのものだろう 「ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ざぐやあああーーーー!!!!ざぐや゛あ゛あ゛あ゛あ!!!」 余りの痛みに居るはずのない瀟洒なメイドの名を叫ぶれみりゃ。しかし男たちは叫び声を無視して槍を力任せに抜いた。 抑えになるものが無くなったからか、肉汁は噴水のように溢れでた。男たちは構わずれみりゃを元の檻に戻す いまだ泣き叫ぶれみりゃを見て子供たちも親たちもショックのあまり泣き声さえ発することができない。 「わかったかガキども。この聖帝に逆らったり仕事を放棄した場合は、貴様らの親を虐待する。それが嫌ならば働くのだな。 まあ、おれはどちらでもよいのだがな。ゆっくりしたければゆっくりするがよい。 それとだ。親の方も同じだ。貴様らが反抗的な態度をとれば子供の餡子で償ってもらおう。」 「ゆ、ゆっくりりかいしたよ!だからひどいことはしないでね!」 「ゆっきゅりりかいしたよ!」 流石に目の前でこのような光景を目の当たりにすれば、以下に餡子脳といえどすんなり理解するようだ。 その返事を聞くと聖帝は二ヤリと笑い、 「ならばさっそく今から働いてもらおうか。やれい!」 その言葉を聞くと男たちは子供達をを袋に詰め、どこかに運んでいった こどもたちが連れてこられた場所は荒れた農地の真ん中であった。 そこには人間の家よりずっと高いピラミッド型の石で出来た建物があった。 「貴様らはこの石を運び、積み上げるんだ。仕事の遅い奴は容赦なく・・・ヒャア!我慢できねえ!虐待だ!」 男はそういうと一匹のありすを摘みあげる。そしてそのありすの口に無理やり指を突っ込みながら子供たちに石を運ばせた。 ゆっくりたちは嫌々ながら重たい石を自分の頭にのせ運び始めた。こんなゆっくりできないことはもちろんしたくない。 しかし、おかあさんが虐められてしまう。 子どもたちは従うしかなかった。 一方、親の方はと言うと。 「本当にいいのおじさん?このゆっくりを好きにして?」 「ああいいぞ。殺さなければな。それと俺はまだ20代だ。お兄さんだお・に・い・さ・ん!」 どうやら親の方は子供たちの虐めの対象・・・もとい遊び相手になるらしい。」 すでに先走った少年達ががちぇんでサッカーを楽しんでいたり、れみりゃで床屋さんごっごをしている少女たちもいた。 しかしまあ、れみりゃにはモヒカンがよく似合うなほんと。 「れみり゛やのぷりて゛い゛ながみ゛があ゛あ゛あ゛あ゛ーーー!!」とか聞こえるあたりれみりゃも相当喜んでいるようだ。 そんなこんなで一か月が過ぎた。親の方は比較的おとなしいものである。虐めといってもたかだが子供の遊び。 ゆっくりはできないだろうが、その殆どが一日寝れば治る程度のものである。 が、問題は子供の方である。毎日毎日重い石を頭に乗せ、建物を上り下りするのである。 大人でさえ重労働なこの仕事だ。とうぜん事故で死ぬ子供も後を絶たない。 おかげで「あべし!!」だの「ゆべ!!」だの「ペニース!!」だの奇妙な声が響かない日はなかった。 余談だが、子供が全員死んだ場合、親の方もその日のうちに特別虐待スペースへ連れていかれるのがルールである。 中を見たことはないが、中に入って帰ってきたゆっくりが居ないのを知ってる親たち戦々恐々してるであろう。 そんなある日のこと。親たちが目を覚ますと、目の前にあの聖帝が座っていた。 「今日は特別に貴様らをゆっくりさせてやろう。」 そういうと聖帝の前に大きなガラス張りの箱が大量に運び込まれた。どうやらそれはごく普通に売られている飼いゆっくり専用の家のようだ。 しいていうならかなり立派な作りである。中にはプールとふかふかのふとん。そして大量の餌が置いてある。 内装だけ見てもかなり高額な代物なのだろう。別に普通のでいい気がするが気にしてはいけない。帝王に逃走はないのだ。 「ゆ~ゆ~ゆっくりできるよ~。聖帝さんありがとうね!はやくおやつをもってきてね!」 「れみりゃはぶでぃんぐがほじいの!ぶっぶっぶ~でぃん~~♪」 今まで散々な仕打ちを受けているのにお菓子一つでこれである。つくづく馬鹿であると言わざるを得ない。 聖帝はその様子を見ていると、一人のれいむに話しかけた。 「貴様はゆっくりしているのか?」そう問いかけた聖帝に対して。 「ゆゆ~♪とってもゆっくりしているよ。とくべつにおじさんもゆっくりしていっていいよ!」 ぱちゅりー一家に裏切られたれいむである。この様子だとまりさの事も子供のことも忘れているのかもしれない。 駄目だこいつ・・・はやくなんとかしないと。 「そうか。ならば貴様らをさらにゆっくりさせてやろう。連れて来い!」 その命令と共に現れたモヒカンはゆっくりと袋の中身を出す。中身は無論子供たちである。 「ゆ!おかーさんだよ!おかーさん!ゆっくりしたいよ!」 「みゃんみゃ~♪れみりゃはぶでぃんぐがほしいどぉ~」 「ゆっくりしたんだよねーわかるよー」 「ゆゆ!まりさのあかちゃんだよ!ゆっくりしていってね!」 そんなやり取りが始まった。れいむも子供に気づきすぐに向かおうとする。 もちろん箱の中にいるため触れることはできない。しかしガラス越しにでもあかちゃんにすりすりする辺り、かろうじて母性は残っていた ようだ。 「あかちゃんゆっくりできた?おかーしゃんとおうたを歌おうね!」 一か月ぶりの再開に笑顔になったれいむに対して子供たちは 「れいむたちが死んじゃったんだぜ・・・生きてるのはいもうととまりさの二人だけなんだぜ。」 「ゆ、ゆゆ・・・・れいむのあかちゃんが。・・・でもだいじょうぶだよ!まりさたちがいきてておかーさんうれしいよ! はやくゆっくりしようね。」 今生きてる子供たちとだけでもゆっくりしようとするれいむ。しかしそうは問屋が下ろさない。虐待スレだし。 「ガキども。貴様らはいつもの通りに働くのだ。貴様らの親はゆっくりするがな。」 突然の発言に全員が驚いた。てっきりみんなゆっくりできると思っていたからである。 しかし文句を言えないのはわかっている。仕方なく子供たちは働くのであった。 自分より大きい石を何度も何度も運ばされてる子供たち。少しでも動きが遅くなれば容赦なく蹴られたり棒で殴られたり、 たとえ姉妹が石の下敷きになっても見て見ぬ振りをしなければならない。 その光景を見てれいむは悲しみにくれた。とてもオヤツなど食べれる状態ではない。 しかし帝王はそれを許さない。モヒカンたちの手により食べなければ無理やりオヤツを食わせられた。 「ゆぐっう!オヤツはいらないからこどもた「逆らったらどうなるかわかっているのか。」 そうである。逆らえば子供たちが死ぬ。それだけはいやだ。れいむは仕方なくオヤツを食べ、無理やりゆっくりさせられるのであった。 「むーしゃ・・・むーしゃ・・・しあわせ・・・」 けして幸せではない。しかしそう言わなければならないのである 一方、その光景を横目で見ていた子供たちにある思いが宿った。 自分たちがゆっくりできないのに、なぜお母さんたちはゆっくりしているのか。雑草しか食べてないのになぜ甘いものを食べてるのか。 そもそもあいつらがドンくさいから自分らは捕まったのではないか。 そして一匹のまりさの行動によりそれは爆発した。 「もうこんなところにいるのはいやなんだぜ!おかーしゃんはまりさのためにしんでくれなんだぜ!」 れいむの子まりさであった。子まりさはそう言うと石を放りだし逃げようとした。 とうぜんモヒカンに捕まった。 「どうじてそんなこというのおおお!!?」 れいむに言わせれば子供のためにやっていることなのである。それなのにこのセリフ。よほど傷ついたのであろう。 「ゆゆ!そうだよ!れいみゅたちをゆっくりさせないひとりでゆっくりするおかーしゃんなんてゆっくりちねばいいんだよ!」 「ちぇんたちのためにしぬんだよねーわかるよー」 「ゆっくりさせないみゃんみゃなんてポイだとぉ~しぬんだぉ~」 「ちがうよ!おかーさんはみんなをゆっくりさせるために・・・」 「うそつきはゆっくりしね!ゆっくりしね!」 もはやその場は大混乱(ゆっくり限定)である。愛する子に罵倒され泣き続ける親たち 愛する親に裏切られたと思い激怒する子供たち。 聖帝はその光景を見ながらこう子供たちに言った。 「親がそんなに憎いか。ならばどの親が憎いか言ってみるといい。その親を殺して貴様らの飯にオヤツを加えてやろう。」 「さっさとあのばかなまりさのおかーさんをころすんだぜ!オヤツをよこすんだ!」 「そうだよ!とっととれいみゅたちのためにちんでね!」 「どうじて・・・・どうじて・・・」 れいむはもうわけがわからなかった。まりさと二人でよっくりと育てた子供たちが 自分が採ってきた芋虫を食べてスクスクと育った子供たちが・・・ 子供のためにこんな心苦しい事をしたのに・・・なぜ殺されなければならないのか。 こうなると大抵の餡子脳がはじき出す答えは一つである。 「ゆ゛っぐりじね!!お゛ま゛え゛らなんがれいむだぢのごどもじゃな゛い゛!!!ゆ゛っぐりじね!!ゆ゛っぐりじね!!!」 まあだいたいこんなものである。 それを気にせずモヒカンは近づく。そして手に持った松明をれいむのリボンに当てた。 「ヒャッハー!汚物は消毒だ~」 ノリノリでれいむを頭から燃やしていくモヒカン。れいむの断末魔でさらにテンションがあがっていく。 「ゆ゛っ゛ぐ゛り゛じね゛え゛っ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 燃えながらも恨み節を言うれいむ 「フハハハ!! とどめだ!!」 しかしそれも聖帝の華麗なやり投げにより終わるのであった。 聖帝ゆっくり稜完成まで、あと三か月 続き このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/913.html
『こぜうさまとさくや』 ============================ (前書き) 一部、捉えようによっては微妙な表現・展開がありますが、 決して何か他意や風刺したい物事があるわけでは、ございません。 以上、ご了承ご容赦ください。 ============================ 「うぁぁー! ふらぁぁーーん!!」 「うーー! おねぇさまぁーー!!」 今、2匹のゆっくりが、天然の洞の奥に閉じこめられ泣いていた。 片方は、ゆっくりれみりゃ、もう片方はゆっくりフランだ。 互いを慰めるように抱きしめ合う2匹は、義理の姉妹でもあり同時に"つがい"でもあった。 そんな2匹の前に、黒い帽子をかぶったゆっくり達が現れた。 「へへへっ、かんねんするんだぜ」 「おまえらは、これからまりさたちのえさとして、いっしょーここでくらすんだぜ」 「これでもう、ふゆのえさもしんぱいないんだぜ……まったくドスのあたまのよさにはおそれいるんだぜ」 "だぜ"口調のゆっくりまりさ。 俗に"だぜまりさ""ゲスまりさ"と呼ばれる種類だ。 「だせぇー! おぜうさまをここからだずんだどぉーー! ぎゃおー! ぎゃおー!」 「うーー! ここからだせ! ゆっくりしね!」 れみりゃとフランは、敵意を剥きだしにする。 だが、この捕食種達の叫びを、まりさ達は涼しく受け流してニヨニヨほくそ笑んだ。 二つの理由から、まりさ達に恐怖は無かった。 まず、れみりゃもフランも体中ボロボロで、羽と両足は既に食いちぎられた後だったから。 そして、自分達には、れみりゃとフランをここに捕まえた強大なリーダーがいるとわかっていたからだ。 『ゆぅ~? さわがしいけど、どうかしたの~?』 洞の入口に居座る巨体。 それは、このまりさ達の群れの長、ドスまりさだった。 「どすぅ~、このえさがなまいきなんだぜぇ~♪」 「まりしゃたちをいぢめるのぉ~♪」 まりさ達は、先ほどまでとは態度を一変させ、気味の悪い猫なで声をあげる。 そのわざとらしい豹変ぶりは、れみりゃ種やふらん種からしても辟易するものだったが、このドスまりさは違った。 まりさ達の言い分を全面的に受け入れ、絶対的な信頼をおくっていた。 『もう! まだ立場からわからないようだね! やっぱりれみりゃ達は頭がわるいね! ぷんぷん!』 ドスまりさは頬を膨らませ眉をしかめさせると、どうにか体がおさまる洞の中へ入ってくる。 その圧倒的な威圧感に、れみりゃとフランは怯え、まりさ達は薄ら笑いを浮かべた。 眼前に迫ったドスまりさの影が、絶望の暗闇となって、れみりゃとフランを覆う。 れみりゃは辛うじて動く手で、フランの手をぎゅっと握った。 「うー、ふらん……なにがあってもずっといっしょだどぉー……」 「うー、ふらんも……おねぇーさま……だいすき……」 「うー? ふらん、はじめてだいすきっていってくれたどぉ♪ れみりゃもふらんのことだいすきだどぉー」 「うー、しってる……おねぇーさまとふらんずっといっしょ……だからだいすき」 「うれしぃーどぉー♪ また、いっしょにあそぶどぉ♪ ひさしぶりにぶーぶーごっこするどぉ♪」 「うーうー、ふらん……とってもたのしみ……」 絶望的な状況を前にして、れみりゃとフランは、これまでの日々を思い返していた。 そして、その苦しいこと楽しいことを思い出して語っては、目に大粒の涙をためて微笑むのだった。 その顔は、とても安らかで、とてもゆっくりしていた。 『うーうー、うるさいよ! ぶさいくな肉まんとあんまんはゆっくりしていい権利はないよ!』 れみりゃ達のゆっくりとした様子にイラついたドスまりさが、2匹へのお仕置きを開始する。 殺さないように、されど生かさないように、ドスはねちっこく2匹を傷つけていく。 生かさず殺さず捕まえておけば、その再生能力故に貴重な食料源となる、れみりゃとフラン。 その2匹を捕まえて群れのみんなで食べようと提案したのは、このドスまりさだった。 そして、このつがいの2匹は、最近生まれた子供達のために、 より美味しい"あまあま"を探して遠くまで狩りに出たところを、運悪く標的にされてしまったのだ。 れみりゃとフランといえど、数十匹の成体ゆっくりとドスの集団の前では分が悪い。 群れにも相応の被害が出たが、結局こうして生け捕りにされ、"あまあま"のエサにされようとしていた……。 エサとなるための調教、それはとてもゆっくりと、いつまでも行われた。 ドスが疲れて出て行ってからも、群れのゆっくりが交代でやって来ては、嫌がらせをしていく。 その調教は、結局すべてのゆっくりが眠る深夜まで続いたのだった。 「……うぁ……うぁ」 「……う、うー」 れみりゃとフランは、辛うじて生きていた。 けれど、瞳は傷つけられ、再生するまでは、互いの顔を見ることもできない。 2匹にできるのは、暗黒の中で、潰された咽の奥から嗚咽をもらすことのみだ。 そこへ、2匹にとってのかすかな希望がやってきた。 「お、おぜうさま……い、いもうとさま……おおお、おいたわしやぁ……」 それは、2匹が狩りに連れてきた従者……しばらく前から一緒に暮らし始めたゆっくりさくやだった。 「……うー、さくや?」 「は、はいぃ! おぜうさまーおきをたしかにぃー!」 さくやは、捕食種ではなく、再生能力も持たない。 そのため、れみりゃ達が捕まってからは、この群れに奴隷同然にこき使われていた。 一般種の中では知力体力ともに優れたさくや種ではあったが、敬愛する主達が囚われては、逆らいようもなかった。 「さ、さぁ、おぜうさま、いもうとさま! おしょくじですわ! さくやを"ちぅちぅ"してくださいまし!」 さくやは、れみりゃ達への食事係も任されていた。 だが、群れの食料をわざわざ"エサ"に与える義理は無い。 さくやの中の"あまあま"を吸わせるのが、れみりゃ達への食事だった。 「うー……」 「ど、どうなさったのですか!?」 だが、れみりゃもふらんも、さくやに牙を突き付けることはなかった。 正確に言えば、突き付けることが出来なかった。 2匹とも、能動的に物を食べられるような状態ではなかったのだから。 「ど、どうすれば……」 「うー……さくやぁー、おねがいがあるんだどぉー」 「は、はいっ! なんなりと!」 困り果てるさくやに、れみりゃが力無く話しかける。 さくやは、そのか細い声を一言一句聞き逃すまいと意識を集中する。 「ここから、にげてほしいんだどぉ……」 「ゆっ!?」 「うー、こーまかんでおるすばんしてるあかちゃんたちがしんぱいだどぉー」 「うー、ふらんからも……おねがい……」 そう、れみりゃ達がこうなったのも、元はと言えば愛しい我が子達のためであった。 だが、子供達はまだ幼い。お歌もダンスもパタパタも、あまあまの捕らえ方も知らないのだ。 誰かが、守り導いてやらなければならない。 それこそが、このれみりゃとフランの共通にして最大の懸念事項であり、 同時にこの状況下で持てる唯一の希望であった。 「で、でも、それでは、おぜうさまたちが……」 「……だ、だいじょーぶだどぉー、れみりゃもふらんもおつよいどぉー♪ あまあまどもなんて、のうさつ☆してやるどぉ♪」 「……うー、あいつらゆっくりしぬ……ふらんあいつらゆるさない……」 「お、おぜうさま……いもうとさま……」 れみりゃとフランが無理をして強がっているのは、ゆっくりのさくやとて理解できた。 それ故に、さくやは溢れだす涙で視界を滲ませて、決意する。 「わ、わかりましたわ♪ おぜうさまたちのおこさまのこと……こぜうさまたちのことは、さくやにおまかせください!」 「うーうー♪ たのんだどぉー♪ えれがんとでかりしゅま☆あふれる、かーわいい子にしてあげてねぇーん♪」 「も、もちろんですわ! さくやがんばりますわ!」 「うっうー♪ かならずおかえりするから、れみぃーとふらんちゃんといっしょに、ゆっくりまっていてねだどぉ♪」 これが別れとなることを否定するように、必死に明るい声を出そうとする、れみりゃとさくや。 だが、いつまでものんびりしているわけにはいかない。 さくやは、れみりゃとふらんに礼をしたの後、その洞を後にした。 そして、眠りこけている群れのゆっくり達の間隙を縫って、その場所から逃げ出すのであった。 「ゆぁぁぁーー! ゆぁぁぁぁーーーっ!」 必死に跳ねながら、さくやは誓いを立て、己を鼓舞して叫んだ。 「みていてくださいっ! こぜうさまたちは、さくやがりっぱなおぜうさまたちにしてみせますわぁーっ!!」 * * * それから、時は流れ……。 「う~う~☆うぁうぁ~♪」 「ぷぅ~ぷぅ~☆ぱっぽぉ~♪」 さくやが月に叫んでから1年後。 春の香り満ちる花畑で、れみりゃとフランの姉妹が、楽しげに歌いながら花を積んで遊んでいた。 この2匹は、あの晩さくやが託された子ども達であった。 2匹とも体はまだ50cm程度と小さかったが、健やかにスクスク育ち、実にゆっくりとした日々を謳歌していた。 一方、1年前まだ赤ちゃんだった2匹をここまで育てた功労者は、 2匹から少し離れてその平和な様子を眺めていた。 「……こぜうさま、こもうとさま」 ゆっくりの群れから逃れて以降、 さくやは己のゆっくり人生を捧げて、れみりゃとフランの姉妹を守ってきた。 あの群れの追っ手が来るのではと懸念もあったが、 あれから1年、そのようなこともなく平和な日々が続いてた。 旅のうーぱっくから聞いたところによると、近頃ドス級ゆっくりに率いられた群れが、 "歌とともにやってくる山のように巨大なゆっくり"に襲われ壊滅することが度々起きているらしい。 因果応報。あの群れもきっと、その末路を辿ったのだと、さくやは結論づけた。 となれば、自分が果たすべきことは一つ。 いつか約束通り帰ってくるだろう主人達を、立派に育った子供達とともにむかえることだ。 さくやは、そのように考えて、よりいっそう気合を入れて姉妹を育ててきた。 「……おふたりとも、げんきにせいちょうされて、なによりですわ」 しかし、その言葉とは裏腹に、さくやの顔は優れなかった。 それどころか、まるで何かを嫌悪するように、いらだってさえいた。 「う~♪ おはなのかんむりなのりゃ~☆ふりゃんにあげるのりゃ~♪」 「ぷ~♪ おねぇーたま、ありがとぅ☆」 れみりゃとフランの姉妹は、実に仲が良かった。 それは、さくやにとっても喜ばしいことだ。 だが……。 「うぁ~♪ ふりゃん、おひめちゃまみたいなのりゃ~♪」 「ぷぁ~♪ おねぇーたまにも、これあげるねぇ~♪」 「おはなのくびかざりなのりゃ~♪ とってもしゅてきなのりゃ~♪」 「おねぇーたま、とぉってもかりしゅまだよぉ♪ きれぇーきれぇー☆」 ……れみりゃとフランの会話に、さくやは何だか我慢ならないものを覚えていた。 何かが違う。こんなのは違う。自分が敬愛した"おぜうさま""いもうとさま"ではない! さくやは、湧き上がる感情を抑えきれずに、姉妹を呼び寄せた。 「こぜうさま! こもうとさま! こっちへきてくださいまし!」 「う~? しゃくやぁ~なぁ~にぃ~?」 「ぱっぽぉー☆しゃくやもいっしょにゆっくりしよぉ~♪」 一緒にゆっくりしよう……その言葉は、親愛の情に他ならない。 けれど、このさくやは、ぷくぅーと頬をふくらませて、どすどす体を跳ねさせた。 そして、れみりゃとフランの前まで来て、さくやは叫んだ。 「そんなのちがいますわぁーーっ!!」 さくやの鬼気迫った大声に、花畑の空気が一変する。 れみりゃとフランは、きょとんと目を開いて首を傾げた。 「う、う~~?」 「しゃくや、どぉーちたのぉ?」 さくやは、体を跳ねさせ地団駄を踏んだ。 「ものおぼえのわるいかたたちですわぁー! きのうまでのれっすんがだいなしですー!」 「うぁー、でもでも、しゃくやのいうことよくわからないのりゃー……」 「ぽっぷぅー……ごめんなさい……」 楽しかった空気もどこへやら、れみりゃとフランは困ったように目を伏せる。 この姉妹、自分たちを育ててくれたさくやのことは大好きだったし、感謝もしていたが、 いかんせんさくやの言う"れっすん"だけは理解できなかった。 「いいですか! こぜうさまたちは、"えれがんと"で"かりしゅま"なれでぃーにならなきゃいけないんです!」 「……うー」 「……ぷー」 まくしたてるさくやに、れみりゃとフランは不承不承返事をかえす。 姉妹は思う、"れっすん"なんていいから、一緒に楽しくゆっくりしたいのにと。 しかし、そんなゆっくりらしい想いにひたる姉妹に、さくやは叱咤激励を飛ばした。 「しっかりしてください! おぜうさまたちもみていますよ!」 「……ぱぁーぱぁ?」 「……まんまぁー?」 殆ど記憶にない両親のことを、さくやから聞くのは、姉妹にとって楽しみの一つだった。 そして、自分達ががんばってレッスンをこなせば、いつか両親と会うことも出来るかもしれない…… 根拠はなかったが、姉妹はそれを合い言葉にさくやのレッスンを受け続けてきた。 「ですから、へんじはおおきく! がんばりますわよ!」 「う、うーうー!」 「ぷ、ぷっぽー!」 真剣な表情になり、元気よく返事をする、れみりゃとフラン。 その様子に、さくやはウンウンと頷き、キッと眉根を引き締める。 「よろしいですわ! それじゃきょうの"れっすん"をはじめますわ!」 「うー! れみぃーがんばるのりゃー!」 「ぷっぷー! ふらんもー!」 ドン! 「うっ?」 「それが、ちがいますわぁー!!」 さくやは、れみりゃとフランの足にドンドンと、体当たりをする。 「うぁ~! しゃくや~、いたいのりゃ~!」 「ぷぅ~~! やめてぇ~~!」 まだ体の小さい姉妹は、さくやの体当たりを受けて尻餅をついてしまう。 「だ・か・ら! なんどいったらわかるんですのー!? そんなしゃべりかたぜんぜんえれがんとじゃありませんわぁー!」 さくやは、目を赤くして叫んだ。 そこには、何回自分が懇切丁寧に指導しても、しゃべり方一つ身につけない姉妹に対しての苛立ちが混じっていた。 「いいですか! おぜうさまは、そんなふうにしゃべりません! いまからさくやのみせるおてほんをまねしてくださいね!?」 「う~~、おねがいするのりゃ……」 コホンと、さくやは咳払いをしてから、くわっと目を見開いた。 「"れみりゃはごーまがんのおぜうさまだどぉー! わがっだらざっざどぷっでぃ~ん☆もってくるんだどぉ~♪"」 「れ、れみぃーはこーまかんのおぜうさまなのりゃ……わかったらプリンもってきてほしいのりゃ……」 「ち、が、い、ま、す、わぁー!!!」 ドン! さくやの体当たりが、れみりゃのお尻にぶつかる。 「うー、いたいのりゃ……」 「ちがぁーう! "ぶっぎゃあ! いったいどぉー! ざぐやぁー!"ですわぁーっ!」 ドン! ドン! ドン! さくやの体当たりは、まるで折檻の尻叩きのように、れみりゃに対して続きられた。 それは、教育熱心というレベルを越えていた。 さくやの情熱は、敬愛する主の命を果たさねばという使命感によるものだ。 故に、さくやは、目の前の姉妹を見ているようで見ていない。 その目に映るのは、自分の思い出の中の"おぜうさま"と"いもうとさま"の像だ。 その結果、本当に重要な指導内容や指導方針の是非について、さくやは考えがおよばないでいた。 「ぷぅーっ! しゃくやぁー、おねぇーたまいたがってるよぉー!」 「こ、こもうとさまも、こもうとさまですわぁー!」 ドン! 「きゃん!」 「いもうとさまでしたらそんなしんぱいはしません! むしろ、そっせんしてこうなさいます!」 ズドン! 「う、うぁー、れみぃーのおかおがぁー! ひりひりするのりゃー!」 「こうです! いもうとさまでしたら、もっとかげきになさいます!」 さくやは思い切り跳躍し、れみりゃの顔に体当たりをした。 さくやの思い描くイメージは、フランが拳をれみりゃの顔に埋め込んでいる姿だった。 「お、おねぇーたまにそんなひどいことできないよぉー」 「きぃー! なんでわからないのです! あいことばは"しね! ゆっくりしね!"です!」 さくやのスパルタ教育に、れみりゃとフランは、肩を抱き合って涙ぐむ。 頬をすり合わせ、互いを愛おしむ姿に、息を荒げるさくやも本能的に頬をゆるませた。 「……こくごのじゅぎょーはここまでですわ。おしょくじにしますから、ついてきてください」 踵を返して跳ねていくさくや。 れみりゃとフランも、浮かぬ表情のままその後を歩いてついていく。 本当は、空を飛んだ方が速いのだが、 以前さくやから「おぜうさまが、そんな速くパタパタなさるなんてはしたない!」と折檻されてしまったため、 こうして歩いていかざるを得なかった。(ちなみに、さくや曰くフランは飛んでもよいらしく、それがなおさら姉妹を混乱させた) また、歩き方も、よったよったのったのった歩いていかなければないと、怒られる。 曰く、そうやって歩くのが、"えれがんとなれでぃー"の立ち振る舞いらしい。 そして、これから始まるご飯の時間も、マナーの教育が待っている。 さくやと一緒にゆっくり"でぃなー"を食べたいのに……そんな姉妹の願いがさくやに届いたことはなかった。 * * * さくやのレッスンは続いた。 楽しく姉妹でダンスを踊っていたところ、 さくやが血相を変えてやって来て、歌もダンスも、あえてリズムを外すよう言ってきた。 そして、フランにはダンスは踊らず、れみりゃを殴るように指導した。 れいむ種やまりさ種のことを区別してはならず、 いっしょくたに"あまあま""おまんじゅう"と呼ぶよう、さくやは教えた。 れいむ・まりさの姉妹と友達になりそうだったので、さくやはその日のうちに"あまあま"どもを調理した。 れみりゃには、人前で"ぶぅーぶぅー"放屁をするように繰り返し練習させた。 フランには、場所や相手を問わず"ゆっくりしね!"で感情表現するように訓練を課した。 「むにゃむにゃ……みていてください……こぜうさまたちはさくやめが……」 さくやは、"こーまかん"と名付けられた廃屋の中で眠っていた。 そこは、さくやの主たる、"あの"れみりゃとフランの夫婦が森の中で見つけて築いた巣だった。 いい夢を見ているだろうさくやを横目に、 れみりゃとフランの姉妹は、こーまかんをそっと抜け出し、夜のお花畑に繰り出すのだった。 「うっう~☆うぁうぁ~♪」 「ぷぅ~ぷぅ~☆ぱっぽぉ~♪」 れみりゃとフランの姉妹は、誰に邪魔されることもなく自由に楽しくゆっくり踊った。 さくや種と違い、れみりゃ種フラン種は夜型の活動を好む。 そのため、さくやが寝てからのこの時間は、姉妹の秘密のお楽しみだった。 「うぁ!?」 「ぷぅ!?」 突如、れみりゃが自分の足に足をひかっけ、倒れてしまう。 しばらく前までは無かったことだが、さくやのレッスンのよって、おかしなリズムを体に刻み込まれてしまった影響だった。 「う~いたいのりゃ~……なんだかおかしいのりゃ~……」 「ぽっぷぅー……おねぇーたまだいじょーぶぅ? やっぱりしゃくやにいったほうが……」 「だ、だいじょーぶなのりゃ♪ れみぃーはつよいこのなのりゃ♪」 「おねぇーたま……」 「ふりゃんは、とってもやさしいこなのりゃー♪ いっしょにがんばって、ぱぁーぱぁーとまんまぁーにあうのりゃ♪」 「う、うん! がんばろうね、おねぇーたま☆」 「うーうー♪」 姉妹は、満月を見上げて、微笑んだ。 頑張ればきっといつか……きっといつか、両親と姉妹とさくやとでゆっくりできるはずだ……。 れみりゃとフランは、そう信じて優しいハグをかわした後、夜のレクリエーションを切り上げた。 「……ふりゃん、おやすみなのりゃ」 「……おねぇーたま、おやすみ」 * * * 「さぁ! きょうのれっすんをはじめますわ!」 高らかに宣言する、さくや。 れみりゃとフランは、その後ろで体を屈めている。 今日、3匹は人間の里近くまで降りてきていた。 茂みの中に隠れる3匹のすぐ先には、人間の畑が広がっている。 「うー? こんなとこきてなにをするのりゃ?」 「……こぜうさまは、あれをごぞんじですか?」 そう言って、さくやが目配せした先には、人間が育てた作物が実っている。 「うっうー☆れみぃーしってるのりゃー♪ あれはーにんげんしゃんのはたけなのりゃー♪」 「そのとおりです。それでは、いまからこぜうさまには、あのはたけへいっていただき……」 「うー?」 「はたけのおやさいさんを、"ぽぉーい♪"してきていただきます」 「う、うー? そんなのことしちゃだめなのりゃー! にんげんしゃんがゆっくりできないのりゃー」 ドン! 「うーっ!」 「お、おねぇーたま!」 さくやの突進が、屈んでいたれみりゃの顔に直撃した。 目尻にうっすら涙を浮かべる、れみりゃ。 フランは、ひりひり赤くなった顔の真ん中を、さすってあげる。 「なんとなげかわしい! おぜうさまにとって、にんげんなどぷっでぃ~ん☆をもってくるじゅうしゃにすぎません!」 「う~~~でもぉ~~~」 「でもじゃありません! へんじは"ゆっくりりかいしたどぉ~♪ れみりゃってはやっぱりてんさいだどぉ~♪"です!」 怒りで顔を膨らませるさくやに対し、れみりゃは表情を曇らせながらも立ち上がる。 「お、おねぇーたま……」 「ふりゃん、れみぃーはがんばるのりゃ! それじゃ、いってくるのりゃ♪」 心配する妹に笑顔を送って、れみりゃはパタパタ茂みを越えて畑へ飛んでいく。 れみりゃは気が乗らなかったが、昨晩フランとかわした励ましを胸に、畑へ降り立った。 「うー、こんなのえれがんとじゃないのりゃ……」 チラっと茂みの方を見る、れみりゃ。 そこには不安気なフランと、「さぁ!」と催促するさくやがいた。 「う~~! にんげんしゃん、ごめんなさいなのりゃ~~!」 れみりゃは目を瞑り、眼前にあった緑色の丸い葉野菜を、思い切り引き抜いた。 「うぁ!」 れみりゃは勢い余って後ろに倒れ、尻餅をついてしまう。 その横で、引き抜いた丸い野菜が泥まみれになって転がっていった。 土で汚れた自分の手と、たったいま引き抜いた野菜を見比べ、 れみりゃは無性にやるせない気持でいっぱいになった。 「う~~なんなのりゃ~。なんで、こんなことしなきゃいけないのりゃ~~」 こんなことはさっさと終わらせよう。 帰って、さくやのごはんを食べよう。 帰って、フランと一緒に遊ぼう。 「う~~っ、う~~~~っ」 れみりゃは、半ば自棄気味になって、野菜を引き抜いてはあたりに転がしていく。 「こんなのいやなのりゃー! こんなきもちいらないのりゃー! ぽぉーいするのりゃ! ぽぉーい!」 気づけば、れみりゃの周りの野菜は、全て泥まみれで転がっていた。 はぁはぁと息を荒げながら、れみりゃはその光景を見回す。 ふと茂みの方を見ると、さくやはれみりゃを見て、満足そうに笑っていた。 (や、やったのりゃ!) れみりゃは、はじめて"れっすん"で笑っているさくやを見て、嬉しくなった。 大好きなさくや、これできっと一緒にゆっくりしてくれるに違いない。 これで、いつかきっと両親も帰ってきてくれるに違いない。 れみりゃは、微笑み茂みへ戻ろうとパタパタ羽を動かす。 そして、フワリと浮いたところで、違和感に気づいた。 「うー? パタパタできないのりゃ?」 「そりゃー、そうだろうな」 「うっ!?」 れみりゃは、自分の羽が何かとても大きな生き物に掴まれていることに気づいた。 そして、それがこの畑の持ち主、すなわち人間だと気づいた時には、地面に投げつけられていた。 「いたい~~! いたいのりゃ~~!」 顔を土まみれにして、れみりゃは泣き叫んだ。 その痛みは、さくやの体当たりや"あまあま"のかみつきなど比較にならなかった。 「あーあ、ぜんぶダメにしちまったのか……」 男の顔は、怒っていなかった。 ただ、一切の表情を失って、愛情込めて育てた野菜の末路を眺めていた。 れみりゃは、とても恐かった。 怒っているはずのその男が何も言わないのが、 さくやのように頬を膨らませないのが、とても恐かった。 「ご、ごめんなさいなのりゃ……おやさい、だいじょーぶなのりゃ?」 「……だいじょぶなわけ……ねぇーだろがっ!!」 「ぷっぎゃぁー!」 れみりゃは、顔を蹴られ悶絶する。 痛い痛い痛い。 恐い恐い恐い。 その感情が沸点に達し、無意識にれみりゃは叫んでいた。 かつてさくやに教わりながら、違和感があってどうしても言えなかった台詞を。 「ざぐやぁーーたじゅげでぇーーー!」 だが、その"いかにもれみりゃらしい"言動は、逆に男の怒りに油を注いでしまう。 「ふざけんじゃねー!」 男は、れみりゃの頭を踏みつける。 「生きるために食うケモノどもならまだわかる! だってのにてめぇーらは遊びで!」 "ごめんなさいごめんなさい" "でも、ちがう、ちがうの" "れみりゃは、ゆっくりしたくて" "ふりゃんとまんまぁーとぱぁーぱぁーといっしょにいたくて" 「このクソやろうが! 楽に死ねると思うなよ!」 「う、うぁ……うぁ、うぁぁ……」 れみりゃのボロボロになった顔が、恐怖で染まる。 その、恐怖の顔を見て、いてもたってもいられなくなっている者がいた。 他でもない、茂みの中で隠れていた、フランである。 「ぷぅーぷぅー!ぷぅーぷぅー!」 「だめです! いもうとさま!」 フランは、人間が近づいてきた頃から、姉を助けようと飛びだそうとしていた。 けれど、それをたびたび止めたのが、さくやだった。 今も、フランの足に噛みついてまで、茂みから出るのを止めている。 「はなちて! おねぇーたまが!」 「いいえ! こぜうさまはりっぱです!」 「ぷぁ!?」 フランは、さくやの言葉に目を丸くした。 立派、さくやは確かにそう言った。 「しゃく、や?」 「ああ、すてきです! そのぶさまなやられぶり! ぶたいかのちくしょうぶり!」 フランは、わけがわからなくなっていた。 さくやが自分を止めていたのは、てっきり自分やさくやに危険が及ぶからだと思っていた。 しかし、さくやは、危機に瀕している最愛の姉を見て、目を輝かせいた。 悦楽で顔を火照らせ、鼻血をだしていた。 「こぜうさま、りっぱですわぁー! それでこそおぜうさまです!」 「な、なにいってるの!? おねぇーたまがたいへんなんだよ!?」 「いいえ! あれこそ"れっすん"のせいかですわ!」 「そ、そんな!?」 「あのまま、いじめられたり、たべられたりしちゃうんですわ!」 「な、なんで……そんな……」 「だって、それでこその、おぜうさまですわぁー!」 さくやからこぼれる狂気じみた言葉。 それが、フランの体にザクザクと刺さっていく。 「そう、いじめられていじめられて! さいごはみじめなエサにされてしまう! それがわたくしのおぜうさまぁーーっ!!」 「ぷぁ!?」 このさくやの心は、とうの昔に壊れていた。 敬愛する主人達が、侮蔑すべきゆっくりの群れの敗れた時に。 主人達が、ゲスなゆっくり達のエサとして調教された時に。 けれど同時に、このさくやは、崇拝する主から命を受けた。 それは、呪いとなって、さくやを今日まで生かし続ける原動力となっていた。 "こぜうさまを、おぜうさまのように" "こもうとさまを、いもうとさまのように" さくやは、ただそれを忠実に実行しようとしていたのだった。 「……しゃく……や」 「おぜうさまー! すてきです! まるでいもむしみたいですわぁーっ!」 「!!!???」 その狂ったエールを聞いた瞬間。 フランは、自分の中で何かが弾ける音を聞いた気がした。 「……し……しね」 「……ゆ? こもうとさま、いまなんと?」 「……おねぇーたまをいじめるさくやは……ゆっくりしねぇーーっ!」 フランは、さくやの頭に渾身の拳を打ち付ける。 柔らかい感触が拳に伝わったのと同時に、さくやから大量の"あまあま"が飛び出した。 「こ、こもうと……さま?」 「しね! ゆっくりしね! ゆっくりしないでしね!」 フランは泣いていた。 さくやが好きだったから。 一緒にゆっくりしたかったから。 だが、それ以上に大好きで、掛け替えのない存在への想いが、 フランの中に眠っていた種の本能を解放させる。 「ぷぁぁぁぁ--っ!」 一方的な暴行が終わり、フランが自我を取り戻した時、 目の前には、食べ散らかした時の"あまあま"そっくりなものが、転がっていた。 「り、りっぱですわ……それでこそ、いもうとさまです……」 その"あまあま"の残骸は、死を前にして微笑んでいるようだった。 「おぜうさまも……いもうとさまも……さくやのもとからりっぱにそつ……ぎょう……」 そのまま、さくやは何も言わなくなった。 「しゃくやぁー……ゆっぐりちたがったよぉー……」 嗚咽をこぼし、"あまあま"の塊の前で跪く、フラン。 けれど、あまりゆっくりしていてはいけないことを、フランは本能的に理解していた。 「お、おねぇーたま……」 フランは立ち上がり、手で涙をぐしぐしぬぐう。 そして、フワリと空に舞い上がると、全速力でれみりゃの下へ飛んでいった。 「おねぇーたまをはなせぇー!!!」 フランは、全力の突撃で人間の男へ飛びかかる。 ……だが、その攻撃はあっさりと受けとめられてしまう。 「あん?」 「ぷぁー! ぷっぽー! おねぇーたまをいじめるなぁー!」 体を押さえられながらも、べちんべちんと人間を叩くフラン。 だが、"あまあま"や"さくや"を無慈悲に葬ってきた攻撃も、人間相手には通用しない。 やがて、フランもれみりゃ同様に、地面に投げつけられてしまう。 「ぷぁーー!」 「……ったく、仲間がいたのか。おどろかせやがって」 「ぷぁーーぷぁーー、しね、ゆっくりしねぇ……」 「ちっ、うすきみわるい奴だぜ!」 「ぎゃっ!?」 男はフランの体を蹴飛ばし、ボロボロとなって動かなくなったれみりゃの下へ転がした。 「……う、うぁ? ……ふ、ふりゃん?」 「……ぷ、ぷぁ……お、おねぇーたま」 れみりゃとフランは、ぷるぷると震える手をのばし、 互いの手をとりあって温もりを確認しあう。 「……ふりゃん……いつまでもいっしょなのりゃ……れみぃーはふりゃんがだいしゅきなのりゃ♪」 「……だいしゅきだよ……おねぇーたま☆」 ガシッ! 「うぁぁ!」 「ぷぁぁ!」 手を重ねたまま悲鳴をあげる、れみりゃとフラン。 男が、重なり合ったれみりゃとフランの手を踏みつけたのだ。 「ふん、そんなに一緒にいたいなら、そうさせてやるよ……」 男は、大八車を引っ張ってくると、乱雑にれみりゃとフランを放り投げた。 そして、口元を歪めながら、大八車をガラガラ引いていく。 「たまに買い出しに来る守矢の風祝がお前等みたいのを集めてるらしいからな…… お前等はあそこへ奉納してやるよ……そこで妖怪どもに食い尽くされちまいな!」 男の言葉は、れみりゃとフランにはわけのわからないものだった。 だが、男が自分達を憎んでいること、きっと酷い目にあわせようとしていることだけは、理解できた。 「うぁぁー! ふりゃーーん!!」 「ぷぁぁー! おねぇたまぁー!!」 動かぬ体でれみりゃとフランは、ただ泣き叫ぶしかなかった。 ただ唯一、滲んだ空に両親の顔が見えた気がした……。 幕 ============================ 何か似た設定のSSがあったとしても、それはそれ、これはこれ。 関係なく、少しでも楽しんでいただければ幸いです。 なお、ラストの姉妹の届け先に関しては……これも有りかなと。 後日、もしかした加筆修正するかもしれません(しない可能性も有りますが) by ティガれみりゃの人 ============================ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/799.html
最近、全国で流行っている遊びがある。 うー競争と呼ばれる遊びだ。 虐待の延長上から、全国大会まで、規模も大きい。 今日はそのうー競争について説明しよう。 まず用意するのは、胴体のないれみりゃである。 これらを捕まえるのは意外と簡単で、森の木の枝にでも適当なゆっくりを吊るしておけば すぐに捕まえられる。 今も一匹のれみりゃが、私の目の前の木に吊るされているまりさを捕食しようとやってきた。 「れみりゃはこっちこないでね! ゆっくりできないよ! やめてね!」 紐で吊るされ、ガタガタと震えながら必死に叫ぶまりさ。野生動物になら或いは通じるかも知れない大声も ゆっくりが主食のれみりゃには通じない。むしろ鮮度をが良い事を知らせているだけである。 「うー! あまあまー!」 ぷっくらとした体のれみりゃは、申し訳程度にしかない羽を動かしながらホバリングしていた。 口から涎を垂らしている。 私は羽の部分を両手でしっかり掴むと、用意しておいた透明ケースにれみりゃを入れ、素早く蓋を閉じた。 「うー? ここどこー?」 何が起きたのかわかっていなのだろう。不思議そうな顔でこちらを見ているれみりゃ。 持ってきたバックにケースを入れると、私はそのまま山を下りた。 「おにーさん! まりさをここからおろしてね! あんよがゆっくりできないよ! ねえおにーさん! おねがいだからおろしてね! おねがいだからね! おねがいだからおろじでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 家に着いた。バックを部屋に置いて中からケースを取り出す。 その中でれみりゃはすやすやと寝ていた。 さて、次にこのれみりゃをレース用に"加工"する。 加工などと言うと少々大袈裟なのだが、ゆっくりに肉体的改造を施したり、そこまでいかなくても 体に何らかしらの処置をすることを、加工と言うことが多いので、あえて加工にしておいた。 やる事は実に簡単である。まずはれみりゃの後ろ側に、小さく穴を開ける。 だいたい人間でいうお尻の辺りだと言えば分るだろう。 「うー!いだい゛ー!」 痛みで跳ね起きた。この時暴れると、そのままれみりゃが死んでしまうので 片手でしっかり押さえつけるか、他に人がいればその人に押さえつけて貰おう。 穴を開けたら、次はそこに少々長めの釣り糸を通す。 通したらすぐに穴の部分を小麦粉で塞ごう。 ここまで来たらもう完成まじかだ。後は釣り糸の先っぽに釣り用のオモリを結びつけるだけだ。 重さはその時々で違うので、参加する時に確認しておこう。 後は、このまま3日ほど透明ケースの中に放置するだけである。 このまま三日待つのもアレなので、今日は事前に用意しておいたれみりゃを使おう。 「う・・・うー! れみりゃおなかすいたー!」 まだ鳴く気力はあるが、確実に弱っている。 そのれみりゃを先ほどのバックに入れ、今日のレースが行われる会場に向かうことにした。 会場は近所の空地である。子供たちがよくサッカーや野球に興じているその場所は 今日に限っては子供からいい大人まで沢山の人で賑わっていた。 知人と立ち話をしていると、すぐに開始の合図が出された。 私はスタート地点に行き、ケースかられみりゃを取り出すとそこに置いた。 私のれみりゃの他に6匹ほどのれみりゃがいた。みな同じように糸とオモリを付けている。 れみりゃ達の前、100mほどの場所に椅子が置かれ、そこにプッチンプリンが一つ置かれた。 皿の上に落とした時にプルンと揺れた。 「うー? うー! あまあまー!」 「ぎゃおー♪たーべちゃうぞー♪」 「れみりゃはぷでぃーんだいすきー!」 「あかちゃんにあげるのー♪」 ありすの姿を見ると、腹を空かせたれみりゃ達は皆一斉にありすに向かって飛び出した。 否、飛びだそうとした。 「うー!うーうわあああああああああああああああ!!!!」 最初に飛び出したれみりゃが叫び出す。 れみりゃが勢いよく飛び立った瞬間、れみりゃの後ろに取り付けられた糸が外れた。 いや、正確に言えば、れみりゃの体が千切れたので糸が外れたのだ。 勢いよく飛んだはいいがオモリのせいで早くも高くも飛ぶ事はできず。無理して飛んだせいで 糸を接着していた皮が破けたのだ。 「う゛ー! い゛だい゛ー! ざぐや゛ー!」 オモリから解放され、体が軽くなったお陰で飛行速度は上がったれみりゃ。 ただその代償に、敗れた穴からは具の肉まんがボトボトと垂れ落ちている。 これでは死ぬのは時間の問題だろう。 「う゛ー! れみりゃのな゛がみがー! い゛や゛ー!」 それでも必至に羽を動かすれみりゃ。しかし体が軽くなるにしたがって、羽根を動かすパワーも無くなっていった。 そしてぷりんの目の前30cmのところまで来ると、遂に失墜した。 「あ゛がじゃーん゛・・・う゛ー・・・」 地面に落ちたれみりゃは少しピクピクと動いた後、完全に動かなくなった。れみりゃの飛んだ後には 大量の肉まんだけが残っていた。 「「「「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」」」」 れみりゃ達は一斉に悲鳴をあげた。 だいたい分かってもらえたであろう。 うー競争とは、れみりゃにオモリをつけて、競争させる。実にシンプルな遊びである。 この悲惨な光景を目の当たりにしたからか、れみりゃ達も能天気な顔から 真剣な顔になった。 本人たちは、なぜ体が重くなっていてるのか分かってないが、無理に飛ぼうとすると死ぬことは理解できた。 なので静かに、かつ他のれみりゃ達よりも早く、あのぷでぃんの元へ向かおうとした。 「うー! おじりがおもい゛ー!」 「ゆっくりできないー!」 地面から10cmちょっとのところをパタパタと飛行するれみりゃ達。 オモリを引きずりながら飛ぶその姿は滑稽である。 「う゛ー! ぱだぱだでぎないー!」 一匹のれみりゃが徐々に下降し始めた。体力がないせいであろう。 「うー! すこしきゅうけいー!」 そうして地面に降りたった。 「うーうー!うあうあー!」 地面に降りて楽になれたのか、にこやかに鳴くれみりゃ。 そこへ男が一人近づく。 「うー? おにーさんぷでぃんちょうだいー♪」 そういって甘えてくるれみりゃの糸を掴み、ブチッ! 「う゛ー!!! いだい゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!」 そして男は元の場所に戻っていった。 この競技に置いて、ゴール以外への着地は認められない。 着地すればどうなるか・・・こうなるのである。 「う゛う゛う゛う゛ーざぐやああああああああ!!!!」 「だづげでー!!!」 「ごわ゛い゛びどがいるう゛う゛う゛う゛!!!!」 その怖い人にこんな風にされたというのに、今まで気付かなかったのだろうか。 れみりゃ達は小さい羽を必死にパタパタさせながらゴールへと向かっていく。 いつもならすぐに行ける距離。しかし今回はゆっくりと行かなければならない。 「う゛う゛う゛う゛!!!!」 「ゆっぐりじだいー!」 空腹状態で更にこの激しい運動。れみりゃ達は次々に失速していった。 ある物は急ごうとして愚かにも糸を切り ある物は他のれみりゃに乗っかり楽をしようとして、罰を受けた。 そして、一匹だけ残ったれみりゃが見事ゴールまで到着した。 私のれみりゃである。 「うっうー♪ うまうまー♪ ぷっでぃーんうまうまー♪」 ガツガツとプリンを頬張るれみりゃ。よほど空腹だったのかものの数秒で平らげた。 「うー! れみりゃはもっとたべるのー!」 はいはいと誰かがれみりゃに更にプリンを与えた。 そろそろ第二レースが始めるらしい。 こっちは私のような暇人とは違い、本格的な競争である。 れみりゃ達もこの日の為に、生まれた時からオモリを付けての生活をし、厳しい特訓を積んだのだとか。 私はれみりゃをケースに入れるとその場を後にした。 ここは森の中。あのれみりゃを捕まえた森である。 私は頑張ったものは報われるべきだと考えている。 故にこのれみりゃも自然に返そうと思う。 ケースを開けた。れみりゃはまた寝ていた。 しかしケースから取り出すと、すぐに目を覚ました。 「うー♪ れみりゃのもりー! ありがとうおにーさん!」 俺はケースをバックにしまうと後ろを振り返り歩きはじめた。 「うー? おにーさん! れみりゃのこのしっぽはずしてー! おもいのー♪ ひっかかるのー♪ うー! はやくはずしてー♪」 さて、明日は月曜日だ。憂鬱な日だ。 【あとがき】 従業員さんからのお題「れみりゃ」と「うー競争」です 色々と想像力をかき立てられたお題でした。 ただし筆者はゆっくりれいむ並に腕がないのでこのような形になってしまいましたが 読んでもらえれば幸いです by バスケの人?
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1701.html
#注意 優しいゆっくりれーせんが苛められます れーせんは可愛いし虐めたくないという方は、注意してください あと、れーせんが喋れない設定です、注意してください ついでに、月のやばい液体も出てきます、重ねて注意してください 「ゆっほ、ゆっほ、ゆっくりほるうさ!」 竹林の一角で、ゆっくりていが、地面に、穴を掘っている、体中、土だらけだが、彼女はそれでも穴を掘るのをやめない 飽きっぽい、ゆっくりていが、こんなにも情熱を持って、穴を掘っているのは、巣穴を作るためではなく、悪戯のためである ゆっくりていは、元になった人物と同じく、悪戯が大好きなゆっくりだった、ちなみに、ゆっくりていは、オリジナルのてゐの様に、人を幸福にする能力は、持ち合わせていない ていは、落とし穴を掘り終わると、満足した顔で、悪戯相手を探しに行った、ていには、最近気に入っている、悪戯相手がいた、ゆっくりれーせんだ 「れーせん、こっちうさよ!おいしいごはんが、たくさんあるうさ!」 「…♪♪」 ゆっくりの中でも、だいぶ頭の悪いれーせんは、悪戯が簡単で、リアクションも面白いので、ていは、れいむや、まりさなどに目もくれず、いつもれーせんばかりに悪戯していた ていは、腹の底からこみあげてくる、笑いをこらえながら、れーせんを自作の落とし穴に、正確に誘導する 「こっちうさ!こっちうさ!ごはんがあるうさ!」 「…♪♪…!…!!ぶっ!!!」 れーせんは、ていが作った、穴に、右足をひっかけて、盛大に転ぶ 顔を赤くして、れーせんが泣きはじめる、ていは嬉しそうに飛び跳ねながら、 「ぶえええええええん!!!!」 「うっささ!ひっかかたうさ!ぷぷぷぷ」 れーせんはしばらく、地面に突っ伏して、泣いていたが、ていが笑いながら、竹藪の奥から、木の実を持ってくると、うれしそうに笑った 「いたずらしたけど、ちゃんとごはんはあるうさ!いっしょにたべるうさ!」 「げらげらげら♪♪」 ていは、れーせんが立ち上がると、れーせんに木の実を二つ渡し、自分は、残った六つの木の実を食べ始めた れーせんは、ていの木の実の量と、自分の木の実の量を比べて、ていの分をものほしそうに見ている 「…」 「れーせんはていより、からだがおおきいうさ!ていは、これからおおきくなるんだから、ていのほうが、たくさんたべるのは、とうぜんうさ!」 「…?……!」 そういうことかと、納得したれーせんは、ていと一緒に木の実を食べ始めた 「げらげら♪♪」 「おいしいうさね!」 れーせんと、ていは、仲良く木の実を食べた、食べ終えた二人は、もっと木の実が落ちているところを探すことにした れーせんは、ていを持ち上げると、ゆっくり歩き始めた 「おいしいきのみが、たくさんおちているところをさがすうさ!そこをていたちの、ひみつのゆっくりぷれいすにするうさ!」 「……?…」 「れーせんは、ほんとうにばかうさ、ほかのゆっくりにおしえたら、そのぶんていたちが、ゆっくりできないうさ!れーせんはごはんがへったり、あそぶばしょがせまくなっていいうさ?」 「…?……♪」 「みんなでたべたりあそんだほうがゆっくりできる?れーせんはほんとうにばかうさ、そんなことだからいつもそんするうさ!」 「…?」 ていは、れーせんのお人良しさに、呆れつつも、みんなと遊ぶのも、楽しそうだと考えている自分に気づいた 「…いたずらするあいてがふえるのは、たのしいかもしれないうさ…」 「?」 「なんでもないうさ」 二匹は、しばらくの間、ゆっくりぷれいすを探していたが、日が暮れてきたので、それぞれの巣にもどることにした 巣に帰る、ていに、れーせんは、手を振っている 「またあしたも、ゆっくりぷれいすをさがすうさ!それじゃ、ばいばいうさー!」 「げらげらげら♪♪」 れーせんは、ゆっくり達が暮らす、小さな集落に、ていは、集落から離れたところにある、自分の巣穴に帰って行った 次の日、草で作った、ベットから、ていは跳ね起きると、柔らかい草と、団子虫で、朝食をとることにした 「むしゃ、むしゃ、しあわせ~!」 お腹がいっぱいになったていは、近くを流れている川で、のどを潤すと、れーせんの為の、罠を作りに、いつもの道に歩を進めた 「さてと、でっかいおとしあなで、れーせんをきのうより、もっとびっくりさせてやるうさ♪」 ていは、嬉しそうに、落とし穴を掘りはじめる、そんなていを遠くから、双眼鏡のレンズ越しに、観察している男がいた 身の丈は、190センチ前後、筋骨隆々の、ガチムチな男だ、背に背負ったリュックには、大量の虐待道具が入っている 彼こそが、ゆっくりを虐待することに命をかける、ゆっくりにとっての、死と恐怖と、苦痛の象徴、虐待お兄さんだ 「発想は悪くないけど、合格点には、程遠いな」 お兄さんは、ていの掘る、落とし穴を見て、そう呟くと、リュックからスコップと、とある虐待道具を取り出す 「俺が、本物の虐待を見せてやる」 ていは、自分が超一級の危険人物に、監視されている事も知らず、穴を掘り続けた 暫くして、れーせんが、足を引っかけるのに、十分な深さの穴を掘った、ていは、れーせんを呼びに、竹藪の奥に消えていった お兄さんは、ていの作った落とし穴に、近づいて行った、そして、右手に持っていた、スコップで、素早く、力強く穴を深くする 「ゆっほっ…!ゆっほっ…!ゆっくり掘るよっ…!ゆっほっ…!ゆっほっ…!沢山掘るよっ…!」 1分もすると、ていの掘った穴は、お兄さんの頑張りで、深さは15センチ程の、それなりの落とし穴になったいた お兄さんは、穴の底に、愛用の虐待道具をまるで、畑に稲を植える、クボタ田植え機の様に、優しく、正確に、力強く、植え込んでいく そして、植え込んだ、虐待道具に懐から取り出した、瓶の中の液体を垂らしていく、どろどろした紫色の液体は、人間や、他の動植物には、まるで害のない液体だが ゆっくりには、苦痛の末の、死を与える、恐ろしい液体だった 「これで良し」 額にかいた汗をハンカチで拭うと、お兄さんは元いた、潜伏場所に戻って行った 「こっちうさ~、こっちにていのおうちがあるうさ!ていのおうちでいっしょにゆっくりするうさ!」 「……♪♪……♪♪♪」 「そううさ!ゆっくりできてたのしいばしょうさ!おもちゃもたくさんあるから、はやくくるうさ!」 ていは、後ろから、のろのろ歩いてくるれーせんを急かしながら、自分の仕掛けた落とし穴に、誘導していった (うっささ…そろそろ、ていさまとくせいのおとしあなにつくうさ、きょうはきあいをいれてほったから、きっといつもより、いいりあくしょんがみれるうさ!) ていは、れーせんが落とし穴で、転んで、大声で泣いてる姿を見るのが好きだった、そして、自分が持ってきた木の実や、虫を一緒に食べて にこにこしながら、ゆっくりしているれーせんは、もっと好きだった その日も、転んで泣いている、れーせんを笑わせて、一緒に、ゆっくりできると思っていた (そろそろころぶうさ!どんなりあくしょんがみれるか、どきどき、わくわくうさ!) 「こっちうさ~、こっちにおうちがあるうさ♪」 れーせんは、ていの誘導で、落とし穴に足を掛け、何時ものように転んで、いつも通りではない、落とし穴にはまった 「…♪♪…!…!!!!!ぶえええええええええええん!!!!!!」 「うさっ!!」 ていは、転んだれーせんの、ただ事ではない、悲鳴に驚いた 転ぶ程度に、掘ったはずの、落とし穴に、れーせんは、足を突っ込んで、今まで聞いたことのない様な、大きな泣き声を上げている 「だ、だいじょうぶうさ!?どうしたうさ!?」 「ぶええええええええ!!!ぶえええええええええん!!!!!!!!」 れーせんは、顔を真っ赤にして、泣き叫んでいる、れーせんの尋常ではない様子に、ていの不安が、どんどん大きくなる 「どうしたうさ!?あしをあなからぬくうさ!!!!」 「ぶえええええええええええん!!!!!!!」 れーせんは、赤い眼をさらに、真っ赤にしながら、首を横にぶんぶん振る 「ぶえええええええん!!!!!!!!!ぶえええええええええええええん!!!!!!!」 「どうしてぬかないうさ!!ゆっくりできないうさ!!!!あなのなかをみせるうさ!!!!!」 ていは、れーせんが、足を突っ込んだ、落とし穴の中を見て、驚いた 「うさっ!!!!どうなってるうさっ!!!!!!」 「ぶえええええ!!!!!ぶええええええええええん!!!!!!!」 穴に落ちた、れーせんの足に、お兄さんの設置した、虐待道具、鋼鉄製の針が、何本も突き刺さっていた 「なんでこんなのがあるうさっ!!!!!れーせんが、ゆっくりできないうさ!!!!!!!」 「ぶええええええええええん!!!!!!!ぶええええええええええん!!!!!! ていは、自分のゆっくりブレインで、自分一匹だけでは、れーせんを助けることができないと、判断した 「れーせん、まってるうさ!!!!ほかのゆっくりをつれてくるから、まってるうさ!!!!!!ぜったいにたすけるから、まってるうさ!!!!!!」 「ぶええええええええええん!!!!!!ぶえええええええええん!!!!!」 ていは、泣き叫ぶれーせんに、背を向けると、れーせんの住んでいた、ゆっくりの集落に跳ねていった (れーせん、ごめんうさ、ごめんうさ、いたくしてごめんうさ、おとしあななんてつくってごめんうさ、いじわるごめんうさ) ていは、泣きながら、必死になって、れーせんの住んでいた、ゆっくりの集落に向かって、跳ねて行った ていは、今までの人生で、こんなに急いで跳ねた事はなかった、れみりゃに襲われた時も、ゆゆこに吸われそうになった時も、今よりは遅い、スピードで逃げていた 「ごめんうさ…れーせんごめんうさ」 泣きながら、ていは跳ね続けた、5分後、汗だくになって、体中を真っ赤にして、れーせんの住んでいた、集落にやってきた 「うぅぅ…ついたうさ…れーせん、まってるうさ…」 「ゆゆ?あっちでだれかがぐったりしてるよ!ちょっとみてくるよ!」 「ほんとうなんだぜ!まりさもみにいくんだぜ!」 「むきゅ~、ほんとうね、ぱちゅりーもみにいくわ!」 ていは、近づいてきた、ゆっくりれいむと、ゆっくりまりさ、ゆっくりぱちゅりーに、れーせんが怪我をして、ゆっくりできなくなっていることを伝えた 「ゆゆ!れーせんがけがしているの?ゆっくりできなくてかわいそうだよ!」 「れーせんにはおうちをつくってもらうのをてつだってもらったんだぜ!たくさんおせわになっているんだぜ!すぐにたすけにいくんだぜ!」 「むきゅ!すこしまって、わたしたちさんにんじゃむずかしいわ!ほかのこたちにもこえをかけてくるわ!」 10分後、れーせんの、救出のために、20匹の、ゆっくりが集まっていた 「それじゃあ、れーせんをたすけにいくわよ!てい、あんないたのめるわね!」 「もちろんうさ!れーせんをゆっくりせずにはやくたすけてあげるんうさ!!」 ていは、痛みに悲鳴を上げる体で、必死に跳ねていった、後ろから、追いかけてくる、れーせん救出隊のゆっくり達を振り切るような速さで走る 道端の小石で、底部が、破けても、痛みをこらえて、必死に跳ねていった、体を駆け巡る痛み、傷口から流れていく餡子、全てを無視して、ていは跳ねた そして、ていは、ぼろぼろの体で、れーせんの元に辿り着いた 「れーせん!れーせん!たすけにきたうさ!みんなをつれてきたうさ!!もうだいじょうぶうさ!!!!!」 「…ぶえ…ええ…え」 泣き疲れたのか、れーせんは、虚ろな目で、苦しそうに呻いていた 血色の良かった、れーせんの顔は、真っ青になり、頭についているウサ耳も、だらりと前に垂れ下がっていた 「ゆ~は~…ゆ~は~…まつんだぜ…ていはいそぎすぎなんだぜ…」 「ゆっゆ!いそいでくるのはゆっくりできなくてたいへんだったよ!」 「こんなに、はぁはぁいそぐのは…と…とかいはじゃないわ」 「むきゅ~、ごめんねありす、わたしはからだがよわいから、だれかにのらなきゃいけないの」 ていの強行軍に、着いてこれたゆっくりは、たったの4匹だった 残りの16匹は、途中で飽きて、家に帰ったりするもの、途中で見かけた、美味しそうな花に向かって行ったもの 走っているうちに見つけた友達のところに、遊びに行ったするものだ、特別、そのゆっくり達が、非情だったわけでも、外道だった訳ではなく こんな事は、ゆっくりには、それほど珍しいことではないのだ ていを含む、5匹のゆっくりは、れーせんを引っ張って、助けだすことにした しかし、体つきのゆっくりれーせんを引っ張るには、たった5匹のゆっくりでは難しいし、病弱なぱちゅりーは戦力外だ 4匹では、どうにもならない 「困ってるな、ここはヒーローが登場してやるか」 双眼鏡で、ゆっくり達を観察していた、虐待お兄さんは、てい達に近づいて行った 「やぁ、どうしたんだいみんな?何か困っているみたいだけど」 「「「「「「ゆっ!!!」」」」」」 ゆっくり達を怖がらせないように、温和そうな表情で、優しく笑いかけながら、虐待お兄さんは、ゆっくり達に話しかけた 音もなく、背後からいきなり出現した、虐待お兄さんに、ゆっくり達は驚いたが、優しそうに笑っている人間に、れーせんの事を話してみることにした 「むきゅ、おにいさん、このれーせんがけがをして、ゆっくりできてないの、おれいはきっとするから、たすけてほしいの」 「そうなんだぜ!てをかしてほしいんだぜ!おにーさん!」 「おねがいです!!!!!にんげんさま、れーせんをたすけてほしいうさ!!!ていはなんでもするから、れーせんをたすけてあげてほしいうさ!!!!!」 ぱちゅりーと、まりさが、落ち着いた口調で、僕に助けを求め ていは、必死の形相で、おでこを地面に押し付け、ゆっくりで言う、土下座で、俺に助けを求めてくる まっ、当然だよな、こいつは自分のせいで、れーせんがこうなったと思いこんでいるんだから 「むきゅ~、てい、おちついてね、おにいさんがこまってるわ」 「そうよていがとかいはなことはわかったからゆっくりあたまをあげてね!」 「おねがいうさ!!!!れーせんは、いたくてくるしんでるうさ!!!!!!ていはそんなのいやうさ!!!!おねがいうさ、れーせんをたすけてくださいうさ!!!」 ていは、土下座の形を崩さない、れーせんの事をよほど助けてほしいんだろう、良い子じゃないか、助けてやろう 「そうか、それは大変だ、れーせんちゃんを助けてあげよう」 「おにーさんはやさしいね!とってもゆっくりしてるよ!」 「にんげんさま、ありがとううさ!!!!!!!!ありがとうございますうさ!!!!!!!!!!!!」 泣きじゃくりながら、俺に何度も何度も、頭を下げるてい、実は、俺のせいで、れーせんが苦しんでいることを教えてやったら、どんな顔をするだろう 俺はれーせんに近づいていくと、ふらふらしながら、呻いているれーせんの頭をまるで、愛でお兄さんの様に、優しく撫でてやる 「やぁ、大丈夫かい、れーせんちゃん、僕は愛でお兄さん(?)、きっと助けてあげるから、安心してね」 「ぶえ…え…ええ……」 「ちょっと、失礼するよ、足を見せてね」 俺は、自分の仕掛けた、罠の効果を見て、満足した、れーせんの足には、俺愛用の、鋼鉄の針が突き刺さり、針にかけておいた薬品 れみふりゃバスターの効果で所々、真っ黒に変色した、れーせんの足があった れみふりゃバスターとは、れみりゃや、ふらん等の再生能力のある、ゆっくりを殺すために作られたものだ、もちろん、れいむや、れーせん等の、普通のゆっくりにも効果ありだ この液体は、ゆっくりに触れると、その部分を黒く固くし、2度と再生できなくする効果があり、時間とともに、体中が黒く固くなっていき、最後には死ぬという、駆除剤だ 元は、月で作られている、武器の液体弾を対人用ではなく、対ゆっくり用に、改造したものだそうだ、月の技術は本当に恐ろしい 同じ、姿形をした生き物に、こんなやばい液体を平気で掛けるなんて、正気じゃないと、俺は思う もっとも、人間に似た形をした、罪のないゆっくりれーせんを唯の、遊興で虐めている俺も、正気とはいえないだろうが 俺は、深刻そうな表情で、れーせんの足を見た後、悲しそうな声で、てい達に話しかけた 「…これはひどいな」 「きゅ?どうひどいのおにいさん」 「…言いにくいんだけど、れーせんちゃんの足に刺さっている、針に…その…危険な毒が塗ってあるんだ」 「ゆ?どくってなにぱちゅり!」 「ゆっくりできなくなるきけんなものよ」 「うさっ?どくってなにうさ、れーせんはたすかるんうさ!!!?」 「みんな、落ち着いて聞いてくれ、簡単に言うと…このままじゃ、れーせんちゃんは死ぬ、助かるためには、足を切り落とさなきゃならない」 「……!!!!!!!!!」 「「「「ゆっ!!!!」」」」 「うそ…」 俺の言葉に、れーせんは泣きやんで、ゆっくり4匹は驚き、ていは、感情の抜け落ちた声で、一言つぶやいた 俺にとって、ゆっくり達の、悪い意味での驚愕は、最高の見せものだ その後は、れーせんは大声で泣きはじめ、ゆっくり4匹は、どうにかならないのか質問してきて、必死に餡子脳を絞った考えを俺に提案する度に、俺は即座に否定してやった 無理だ、駄目だと、否定してやるたびに、ゆっくり達の、元気がなくなっていく様は、実に見ものだった ていは、私の足をあげるから、れーせんの足を切らないでだの、なんだの騒いでいる、俺は、たっぷり時間をかけて、ゆっくり達の慟哭を堪能したかったが、今はそうはいかない そろそろ、一番楽しいところを堪能する時だ 「れーせんちゃんの毒は、どんどん体を壊していく、怖い毒なんだ、今なら左足一本で済むけど、このままほっておくと、体中を切らなきゃいけないんだ 僕も…とっても辛いけど、今切ってあげるのが、れーせんちゃんをゆっくりさせてあげることに、つながるんだ…」 沈痛な表情で、本当に悔しそうに、喋る俺の言葉は、ゆっくり達の心を動かしたようだ 「むきゅ…かわいそうだけど…いのちのほうがだいじだわ…」 「うう…なんでこんなことになったんだぜっ!れーせんがかわいそうだぜっ!!!」 「ゆぅぅ…れーせんがかわいそうだよ!」 「ありすはどくなんてだいきらいだわ!れーせんをいじめるどくなんてだいっきらいだわ!」 ぱちゅりーは、悲しそうに俯いて、まりさは身体を横に振りながら目元を涙で濡らしている、れいむは、瞳を真っ赤にして、体を震わせながらむせび泣いている ありすは、じっと地面を見つめて、ぽろぽろと涙をこぼしている、そうそう、こういうのが見たかったんだよ俺は 「ぶえええええええええええん!!!!!!!ぶえええええええええええん!!!!!!!」 「 」 れーせんと、ていは、もっと面白かった、れーせんは、泣きながら、スカートの裾を握りしめて、れーせん独特の泣き声をあげている ていの顔からは、表情というものが、ごっそりと抜けおちて、呆けたように、れーせんの左足をじっと凝視している 喜色に歪みそうになる顔を抑えながら、俺は沈痛な顔を崩さず、本当に悔しそうな顔と、声で、ゆっくり達に語りかける 「僕は、本当に、悔しくて悲しい、でも、れーせんちゃんの為に、どんなにつらくても、やらなきゃいけない でも、ぼくは、みんなには、…足を切るところなんて、見ないでいてほしい、…終わったら、れーせんちゃんを君達の住処に連れていくから、君達はもう帰っていてくれ」 「きゅ~、おねがいするわおにいさん……」 「…かえるんだぜみんな…」 「どうしてもだめなの!れーせんがかわいそうだよ!」 「れいむ…とかいはなおにいさんにまかせるしかないわ」 「 」 四匹は、のろのろと、自分の巣に帰っていく、ていは、れーせんの足元で、じっとしている 「てい…つらいのはわかるけど、あなたもおうちにかえったほうがいいわ」 「 」 ぱちゅりーは、振り返って、ていも巣に帰るように言うと、跳ねていった 余計なことを言いやがって、ここからが、一番面白くなるのに 俺は、よろよろと、自分の巣に向かって、這っていくていを呼びとめる 辛いのは分かるけど、お前には、帰ってもらっちゃ困るんだよなぁ 「てい、君はれーせんちゃんと、仲良しだったんだろ、だったら、れーせんちゃんの傍に、いてやってくれないか できれば、耳をれーせんちゃんに、掴ませてあげてほしいんだ、そしたら、少しでもれーせんちゃんの痛みは小さくなるんだ、構わないね」 俺は、優しく、それでいて、有無を言わさず、ていに話しかける ていは、びくりと体を震わせると、よろよろと、こっちに向かって這ってくる 「 」 「ぶええええええええええええん!!!!!!ぶえええええええええええええええん!!!!」 れーせんは、足を切られると聞いてからずっと、スカートの裾をつかんで、泣き叫んでいる 俺は、リュックから、鋸を取り出すと、れーせんの足に宛がう 「本当にごめんね」 「……おにいさん…ほんとに、ほんとうにきるうさ?」 「仕方ないよ、れーせんちゃんの命のためだから、仕方ない」 ていが涙目で、俺に聞いてくる、俺は首をふる ていは、自分の耳をれーせんに差し出す、れーせんは、震える右手で、それを優しく握る 「れーせん…」 「……けらけら………」 ていを安心させるように、れーせんは、無理に笑ってみせる、顔色は、真っ青で、表情は引きつっている 「れーせんちゃん、舌を噛んだりすると、危ないから、これを咥えていてくれるね」 俺は、れーせんに、布を噛ませると、足を切り落としにかかった 「っ゛!!!!!!!!!!!!!!!!」 「う゛ぅ゛!!!!!!!!!!!」 今まで味わったことのない、激痛に右手に持っていた、ていの耳を力いっぱい握る、れーせん ていは、柔らかい耳を強い力で握られて、苦悶の表情を浮かべるが、れーせんを心配させないよう、歯をくいしばって、悲鳴を抑え込む れーせんと、ていの、音のない絶叫は、俺が、ゆっくりと鋸を動かしたため、長い間続いた 「終わった」 「………………」 「うぅ…」 れーせんは、鋸の刃が、足の中ほどに、達する頃には、あまりの痛みに、気を失っていた ていは、荒い息で、地面に横になっていた、ていの両耳は、れーせんの手の中で、真っ赤にはれあがっていた、ゆっくりていの耳は、とても美味しいので、食べたくなったが、我慢だ 俺は、忌々しそうな表情で、地面を蹴ると、ていに、止めを刺す事にした 「れーせんちゃんが可哀想だ、一体どこの誰が、こんな酷い、落とし穴を掘ったんだ、れーせんちゃんの事が、そんなに嫌いだったのか!!!!」 「!!」 「可哀想に、れーせんちゃんは、一生歩いたり、走ったりも出来ない、なんで、こんな良い子が、こんなひどい目にあったんだ この穴を掘った奴は、れーせんちゃんを二度とゆっくりでき無くした、悪いやつだ」 「あっあ……うさぁっぁっぁっぁぁあああああ!!!!!!!!!!!!」 ていは、何か叫びながら、どこかへ跳ねていった 「何だよ、うさぁぁぁぁって、ちょっと笑っちゃたじゃないか」 ゆっくりは、絶望しても滑稽だな、そんなことを考えながら、僕は、れーせんの傷口を縛って、消毒液をかけると、れーせんを背負って、彼らの集落に運んで行った 作:ゆっくりな人 以前書いた虐待 ゆっくりカーニバル 臭い付きゆっくり(上) 臭い付きゆっくり(下) ゆっくり移植 きらーうーぱっく 教育!田舎ゆっくり ゆっくりジャグリング このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/115.html
いたい…からだがおかしいよよ… なにも…みえないしきこえないよ… すごく…くさいよ… たすけて…まりさ…まりさ…まりさ… あるところにゆっくりたちがいました。 れいむはいつものように草原を友達のまりさや他のみんなと走り回って ちょうを捕まえたりお花を食べたりして過ごしていました。 みんなとてもゆっくりしていてそれはそれは平和な日々でした。 平和は突然終わりを告げました。人間の男が一人。 大きな鉄の馬を引き連れてやってきたのです。みんなロープで羽交い絞めにされて それぞれが箱に入れられて。ゆっくりたちは男に連れ去られていきました。 「れいむたちをはやくおうちにかえしてね!!!」 「ゆっくりはやくかえして!!!まりさおうちかえる!!!」 「わかるよー!おうちかえるよー!」 「ちんぽ!!!おうちんぽ!!!」 「うっー!うっー!かえさないとさくやにいいつけちゃうぞー!」 男はゆっくりたちを部屋の一室に閉じ込めると 箱からゆっくり共を開放した。紐はつないだままだが。 なんとも気持ちの悪い生き物達だ。この便所虫共が。 だが、新薬のテストと俺のストレス解消にこれほどもってこいなやつらも居まい。 男はリーダー格と思われる胴体つきのゆっくりれみりゃに近づいて 思いっきり蹴り飛ばした。 「う゛っーーー!!!」 そのまま壁に激突してうずくまるれみりゃ。 他のゆっくり達もすかさず騒ぎ始める。 「な゛に゛ずる゛のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「はやくあやまってね!!!」 「やかましいぞ。この糞共がァ!!!てめぇらみたいなゴキブリ以下の便所虫がァ」 ガシッ! 「わ、わからないよー!!!」 「人間様に話しかけてんじゃねぇぇぇぇ!!!!!!」 ドグシャッ!!! ゆっくりちゃんは男に強烈に投げつけられて壁に張り付いている。 だが死んではいない。こいつらは中身がなくならない限り死なないのだ。 「わ゛、わがならいほぉ…わがらないほぉ…」 残った三匹も男の残虐性と自分達の立場に気が付いたらしい。恐怖で逃げることも出来ない。 モチロン逃がすつもりも毛頭男にはない。 「バカなオマエラでもよーくわかっただろぅ。お前らは生きてる価値すらない ゴミだ。カスだ。便所虫だ。だから俺が有効活用してやるよぉ。」 恐怖で動けなくなったゆっくり達に近寄る。手始めはコイツがよさそうだ。 男はゆっくりれいむを鷲づかみにするとそのまま持ち上げて机の上に縛ってた紐を使って しっかりと固定した。 「ゆ゛っ!!!なにするの!!!ゆっくりやめてね!!!」 「お前らみたいな家畜以下の糞に、髪や飾りなんていらないんだよ。 だから全部綺麗にしてやるよ。」 男は手に持っていたバリカンに電源を入れる、ブブブブブブブブブブとバリカンは れいむの髪を刈り取るために鼓動を始めた。 ゆっくり達は生まれつき装飾品を持って生まれる。なぜかは分かっていないが 装飾品を取られる事をこいつらは異様に嫌がる。固体によっては死ぬ事よりこちらを守るほうを 選ぶくらいだ。まぁ便所虫の考える事は俺にはわからん。 「やべで!!!それだけはやべで!!!や゛だぁ!!!ゆっくりできないよぉ!!!」 もちろん糞饅頭の意見は無視して、俺はバリカンを突き刺すように入れていった。 かなり雑だったがこれでよし。他のやつらもチャッチャとやるか。 坊主になったれいむは見るも無残な頭になっていた。所々餡子も漏れている。 ショックだったのかれいむは地面に伏せてずっと泣き続きっぱなしだ。 「さ~て~と~っと。次はオマエだよ黒ゴキブリ。」 ひょい 「ま、まりさのぼうしかえして!!!ゆっくりがえじでぇぇぇ!!!」 帽子をとられたまりさは必死に取り返そうと男に体当たりを仕掛ける。 バレーボールサイズのまりさが人間に勝てるわけが無い。残りは相変わらず震えて怯えているのに さっきの見せしめもすぐ忘れるようなミニマム脳みそなんだなコイツァ… そんなに帽子が大事か下水野郎。 「ウザェよ。」 言うが早い。男はまりさを蹴り飛ばし、殴る。殴る。殴る。 「ぶべっ!!いぎゃっ!!ぐぽぁ!!」 「さーてと、このくらいでいいかな。」 まりさは男に殴られてボコボコに腫れていた。衰弱しきっていて 口からは弱弱しく「ゅーゅー」と呼吸のような声しか聞こえない。 「ジャカジャーン!ペーンチー!」 男は某猫型ロボットの如くペンチを取り出して 膝でまりさを挟むと口を開かせた。 「まあ、存在自体害だから虫歯って事で 全部ぶち抜いていいよね。歯医者さんごっこしますよ~」 男は楽しそうにまりさの口にペンチを入れていく。 だがまりさはたまったものではない。 「ん゛ーー!!!む゛ぅ゛ーー!!!」 男は無慈悲にまりさの口にペンチを突っ込む。 そして力任せに引きちぎる様に歯を引き抜いていった。 「やっと終わったー。オマエ無駄に歯が多いんだよ。」 口を餡子まみれにしてまりさは気絶している。敏感な歯を全部ペンチで抜き取られたのだ。 健康的な歯肉だったゆえに余計に痛みは半端ない。 「さてと、それじゃもうちょっとがんばりますかねぇ。」 まだ、終わりじゃない。 男はペンチを置く。今度は4枚刃のカミソリを取り出した。 残りのゆっくりたちを箱に押し込めて、気絶してるまりさを持ち上げて台所に運ぶ。 そして口の中を洗うために水を直接蛇口から放出した。無論激痛でまりさは即座に起きる。 「む゛ぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」 「おお、起きた起きた。よしよし。オマエの歯茎はグチャグチャだ。 だから優しいお兄さんがしっかり整えてやるよ。」 起きたばかりのまりさはわけがわからない。口の中にまた何かが入ってくる。 「!!!!!!!!!」 「ちゃんと歯磨きしまちょーねー。」 男はまりさの歯茎を平らにするように、カミソリを歯磨きみたいに使って ブラッシングならぬカッティングを施していく。覚醒したばかりのまりさは 新しく凄まじい痛みにまたも意識を失ったのだ。 ゆっくりたちの悪夢はまだ始まったばかりだ。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2787.html
(前編より) 「う゛~う゛~!?」 唯一無事な子れみりゃは羽根をパタパタさせて子れみりゃにとっての全力で逃げ る。 親れみりゃが子れみりゃを潰した時点で唯一無事な子れみりゃは一目散に逃げ出 した。 姉や妹は助からない。 そう判断した子れみりゃは森の中を飛んで行く。 後ろを振り返りもしない。 『いやだどー! れみりゃはこうまかんのおぜうさまなんだどー! こんなところでしぬようなきゅうけつきではないんだどー!!』 ただただ子れみりゃは死にたくなかった。 れみりゃ達はこうまかんのおぜうさまだ。 こんな所で死んでいい存在ではない。 だから動けない親を見た時迷いなく逃げた。 ここにいては危険だ。と判断し、梟が親れみりゃに気を取られている隙に逃げ出 した。 家族を見捨てた後ろめたさはない。 むしろ“おぜうさまのためにしねたのはみにあまるこうえいだ”としか思ってい なかった。 ゲスゆっくり特有の自分本位。 窮地に立たされた子れみりゃがそれに目覚めたのだ。 「うー、れみりゃはみんなのぶんまでゆっくりするんだどー!」 逃げ切ったと安心した子れみりゃはゆっくりと地面に座り休む。 襲われた場所からずっと飛びっ放しだったのだが疲れて当然だ。 しかもそれが今日の初めての狩りまで巣から出た事のなかったのだから尚更だ。 「う゛ー」 逃げ切って安堵するが、今まで夢中で逃げていたから気付かなかった孤独に苛ま れはじめる。 「うー、さみしいんだど~。 さくやーはやくくるんだどー!」 家族を見捨てた子れみりゃが頼れるのは“さくや”だけだった。 さくやに頼めば大丈夫。 そんな根拠も何もない考えで子れみりゃは楽観していた。 初めて巣から出たばかりの子れみりゃは狩りの仕方もわからない。 『さくやにたのめばだいじょうぶだどー。 そうでなくともれみりゃのかりすまをもってすればじゅうしゃになりたがってみ んなあまあまをくれるだどぉー』と自信過剰な考えを持っていた。 その上今の子れみりゃには自分のいる場所すらわからないのだ。 巣に戻る事等出来はしない。 だが自信過剰で無意味にプライドの高いれみりゃ種にはそれに気づけもしなかっ た。 「さくやーおそいんだどー! じゅうしゃしっかくだどー!」 今まで一度も姿を見せた事のないさくやに対して怒り出す子れみりゃ。 『きたらおきゅうをすえてやるんだどー!!』 現れる事のない従者に対して怒りを募らせる子れみりゃ。 しかしいくら待ってもさくやは来ない。当たり前だ。 「もうさくやなんてしらないんだどー!! くびにしてやるんだどー!」 長い間(子れみりゃ換算での話で実際は一分しか経過していない)待たされた子 れみりゃは遂に痺れを切らした。 「れみりゃはつよくてこうきだからひとりでもいきていけるんだどー!!」 絶望的な状況なのに子れみりゃは楽観している。 満足に狩りもしてないのに自分は出来ると信じて疑っていない。 それは先程の食されたれいむ達が原因だった。 身動きも出来ずに放置されていたゆっくりれいむとまりさが梟による罠だと未だ にこの子れみりゃは気付いていない。 だから、あのれいむ達を見つけたのは自身の実力だと子れみりゃは信じていた。 そのため、初めての狩りでにんっしんゆっくりなんて大物を見つけた自分は天才 だと思い込んでしまったのだ。 この子れみりゃは自身が梟の標的に自分達を選ばせた原因であったが子れみりゃ がそれに気付く事はなかった。 「う~う~」 身体を休めていたら段々と眠くなってきた。 まだ休み始めて二分程度なのにもう眠り始めたのだ。 雨風をしのぐものもない森の中で無防備に眠り続ける子れみりゃ。 全くの考えなし。外の危険を知らない温室育ちだからこそ出来る芸当だ。 今のれみりゃなら通常種でも倒せそうだ。 もっとも、この子れみりゃは自身が招いた死神から逃げ切ってなどいなかったの だが。 「う゛ッ!!!?」 子れみりゃの身体が突然何かにぶつかり吹き飛ぶ。 目が覚めた眼前にはあの子れみりゃの家族を殺した元凶の鳥がいた。 二つの丸い双眸がこちらを見ている。 首がありえない方向に動く梟の頭と無垢そうな瞳に子れみりゃは恐怖を感じた。 「く、くくくるなだどー!! れみりゃはしにたくないんだどー!!」 目を見開き、歯をガチガチと震わせながら逃げようとする。 だが逃げられる訳無い。 鈍重な子れみりゃが敏捷な梟から逃げられる筈がない。 梟は瞬く間に子れみりゃを脚で掴んだ。 「やだやだいやだどー!! れみりゃはこうまかんのおぜうさまなんだどー!! れみりゃにてをだしたらさくやがだまってないんだどー!!」 恐怖から逃げようとするが羽根以外上手く動かせない子れみりゃでは梟から逃れ らない。 梟はそのまま他のれみりゃと同じように羽根を毟る。 「うぎゃああああああ!!?」 激痛に子れみりゃは叫び声を上げる。 どうしてこんなめに? 子れみりゃはずっとそう思い続けていた。 自分はこうまかんのおぜうさまだ。 “えれがんとなひびがまっているはずなのだ”と、ずっと信じていた。 初めての狩りで外に出た時は嬉しかった。 初めてあまあまを見つけた時は嬉しかった。美味しかった。 これから色々な美味しいものを食べられる、カリスマをもって従者を率いて栄華 を極めて幸せな生活を送る。そんな未来が来ると信じきっていた。 だが、それはもう叶わない。 元から叶う訳が無いが。 「やだやだざくやだずげでー!! れみりゃまだぷっでぃんたべてないんだどー!! かりすま☆だんすもおどってないんだどー!! おどなになっでえれがんどなあかじゃんづぐりたいんだどー!!」 泣き叫び、必死に欲求を垂れ流す子れみりゃ。 命乞いにもなりはしない。 梟は無言で羽根を毟った後、皮を破く程度に嘴で啄んだり、脚の爪で引っ掻く。 「いだい…いだいんだど…だずげで…ざくや……」 どうしてれみりゃがこんなめに…? れみりゃはこうまかんのおぜうさまだ。 つよいんだ。えらいんだ。 なのにだれもたすけてくれない。 おかしい。こんなのまちがってるんだど…。 どこにいるんだどざくや…。 皮が破け、肉汁をしたらせながら子れみりゃは逃げようとする。 無論逃げられる筈もなく、梟は子れみりゃを掴んだまま飛び立った。 親れみりゃがいる場所へと。 「な…んで…こないんだど…」 突如現れた来訪者、胴有りのゆっくりふらん達に親れみりゃは戦慄する。 「ふふふふらんだどー!!」 「うー、しね!」 うるさいとばかりにふらんは親れみりゃを殴る。 「いだいどー!!たすけでざくやー!!」 「ゆっくりしね!しね!」 そのままマウントポジションのまま殴打を続ける。 その横で別のふらんが親れみりゃの腹を蹴る。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 「ざぎゅや~ぶげ!」 こういう時はれみりゃ種の高い再生力が災いする。 普通のゆっくりなら殴打されている内に死ぬがれみりゃは高い再生力のせいで致 命傷にならない。 このまま暫くは親れみりゃはふらんにリンチされ続けるだろう。 そして残りの二体は百舌鳥のはやにえのようになった一番下の子れみりゃに襲い 掛かった。 「う゛…う゛ぁ…」 もはやまともに声も出すことも出来ないまでに一番下の子れみりゃは衰弱してい た。 梟に襲われた子れみりゃの中で唯一無事な羽根をパタパタさせて何とか脱出しよ うとしたが無駄骨に終わった。 朦朧とした意識の中、中身が肉汁以外漏れていない為高い再生力で未だに死ぬこ とが出来ないのだ。 『まんまぁ…ざくや…だれがだず…げで…』 もはや目も機能しなくなり真っ白な景色にしか見えない。 もう痛覚以外に子れみりゃの五感は機能しなくなっていた。 それはつまり今残る外界との繋がりは枝に貫かれた痛みのみだ。 今も激痛が走る。だが慣れてしまっていた。 そんな中、 「う゛ぎゃ!!?」 貫かれたのとは別の、強烈な激痛が走る。 何が起きたかわからない。 ただ耐え難い痛みが走っただけだ。 その痛みがもはや機能しなくなった五感を一時的に回復させた。消える前に大き く燃え上がる蝋燭の火のように。 子れみりゃの眼前には見た事もない胴有りのゆっくりがいた。 どこと無く母親に似た外見に子れみりゃは救いを感じた。 『きっとまんまのおともだちなんだど~♪ かわいいれみりゃをたすけにきてくれたんだど~♪』 初めて狩りに巣から出た子れみりゃはゆっくりふらんを知らなかったのだ。 そこに現れたのが天使ではなく死神である事に…。 「…う゛~…だすげ「ゆっくりしねぇ!!」」 子れみりゃがふらんに助けを求めようとしたその時、ふらんは拳を握り、子れみ りゃを殴った。 『ぶげぇ!?』 助けに来てくれたと思い込んでいた子れみりゃにはショックだった。 それと同時に子れみりゃが最初に起こった痛みとも合致した。 子れみりゃを攻撃したのはふらんだったのだ。それを子れみりゃは理解した。 子れみりゃが勝手に勘違いしただけだが下手な希望が絶望を倍増させたのだ。 「ゆっくりしねぇ!!」 「ゆっくりしねぇ!!」 『やべっ…で…』 五感が回復しても来るのは容赦無いゆっくりふらん二匹の殴打。 もはや摩耗した精神では絶叫を上げられもしない。 『どう…じで…』 何で自分がこんな目に…? 思い浮かぶのは他の姉妹が同じように浮かべた疑問…。 『ざぐやぁ…だずげでぇ…』 そして同じように行う絶対に成就しない助けを求める嘆願。 『…う?』 突然ふらんの攻撃が止む。 助かった…? 木に固定された子れみりゃは前方にいたふらんが突如消えたために一瞬そう期待 してしまった。 だが違う。 「「ゆっくりしね!!」」 姿を消したふらんの声が響くと子れみりゃの両側から引っ張られる激痛が走った 。 『いだいいだいいだいどー!!! れみりゃざげぢゃううううう!!!』 子れみりゃに突き刺さって枝の部分からゆっくりと亀裂が走っていく。 今日初めて外に出た子れみりゃには殺意と攻撃とは無縁だった。 故に痛みとも無縁だった。 怪我としても姉妹とじゃれあってする些細なものだけだった。 かつてはそれだけでも泣き叫び、親れみりゃに慰めてもらった。 今それを遥かに凌駕する激痛が子れみりゃの身を包む。 『いだいいぎゃああああああああああああッ!!!』 「しねぇ!」 亀裂が入り、子れみりゃの顔面に縦一本の線が入ったように見える。 子れみりゃの意識が朦朧としてくる。 痛みすら和らいできたその時感じたのは安心ではなく今まで感じたことのない明 確な身近に迫った死への恐怖だった。 『しぬ…れみりゃがしぬ…?』 痛みが薄れた事で朧げにも考える余裕が戻ったのが子れみりゃとっては不幸だっ た。 自身の最期を否応なしに突き付けられたのだから。 最期まで痛みに狂えていたら恐怖を感じる暇もなく逝けたかもしれなかったのに …。 子れみりゃの脳裏に浮かぶのはかつて見た姉の残骸。 まるで母から出されたでぃなーを食い散らかした後のようだった。 それは親れみりゃが捕まえてきたゆっくり達だったが、自分達がそんな風になる なんて考えもしなかった。 自らが最強という自負がそのような思考へと至らせなかったのだ。 自分達が狩っても狩られる事なんてないと思い上がっていた。 だが身近に迫る死に子れみりゃは自らの立場を痛感する羽目になった。 『やだど~! あんなふうになりだぐないど~!!』 最後の力を振り絞って死の恐怖から逃れようとする。 といっても身をよじるだけだが。 だがそれが逆に自らの亀裂の拡大を早める事になった。 たちどころに広がり、亀裂は口に至る。 「あぎゃぐびゃぇええええええッ!!!?」 消える寸前に強く燃え上がる蝋燭の火のように最後の力を振り絞り何を言ってる んだかよくわからない奇声を上げる。 白目を向いた目はもはや生物としての機能を放棄したようにも見える。 『いだいじにだぐないいだいじにたくないいだいじにだぐないいだいじにだぐな いいだいじにだぐないいだいじにだぐないいいいいいいいいッ!!!』 「ざぐゅびゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!!」 断末魔なのか誰かを呼ぼうとしたのかよくわからない絶叫を上げて子れみりゃは 真っ二つに裂けたのだった。 「うー、しね!」 ふらんは子れみりゃを裂いただけでは飽き足らず真っ二つに裂けた子れみりゃの 残骸を木に叩きつけて遊びだした。 「しね!しね!」 もう一匹もそれに倣う。 これはいつもふらん達がよく行う遊びに過ぎない。 れみりゃ達が他のゆっくりを喰らうのと同じようにふらん達のれみりゃ遊びはい つもの事…こんな日々がずっと続くと疑い無く思っていた。 だがこの時ふらんは一刻も早くここから脱出すべきだったのだ。 れみりゃ達にとっての死神はふらんにとっても同じだったのだから…。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 梟が戻ってみるとれみりゃが胴ありのゆっくりふらんに虐められていた。 四体いるが珍しく群れるタイプなのか親子なのかそれとも四体に分裂したものな のか梟にはわからないがどうでもいい。 邪魔なら排除するだけだ。 はやにえとなっていた子れみりゃも真っ二つにされて既に死んでいた。 梟はそれを見て怒りを覚えた。折角の獲物を台なしにされたのだ。 意外と親に依存する傾向だったれみりゃが単身逃げ出すという我が身可愛さの行 動するという考えが至らなかった梟は不本意ながらも獲物から一時離れた。 見つけたものは逃さないと決めていたから。 すぐに戻ってきたし、例え餌を奪われていてもそれは自分のミスだと思っていた 。 残っていれば種類によって新たな獲物にすればいい。 だがこのふらん達は獲物を玩具にした。 それは自身が策を巡らし、作り上げた“作品”を汚されたのだ。 その上ふらんの中身はあんまんだ。 梟の好む肉類ではないため餌にしにくい。 それが梟の怒りは頂点に達しさせた。 自分の食事を台なしにしたのはよりにもよって食えもしない愚図だった…。 親れみりゃはまだ生きているが殴打の末に顔は見る影もなくなっていた。 梟は一旦地面にもう満足に動けない子れみりゃを置いてまずは親れみりゃを殴打 しているふらんの始末に取り掛かった。 無益な殺生はこの梟は好まなかった。 だがこれは食事を台なしにした愚図だと判断した梟の殺す為の行動は速かった。 親れみりゃを殴打していた一匹のふらんを瞬く間にのしかかる。 「ゆっぐりじぎゃあッ!!!?」 のしかかると同時に梟はふらんの頭と身体を引きちぎる。 そして嘴でくわえていた頭を放り投げる。 そのまま口をパクパクさせていたふらんの頭は木にぶつかり、あんまんの飛沫に なった。 「うー、ゆっくりしねぇッ!!!」 ふらんが梟に殴り掛かる。 だが梟はそれを嘲笑うかのように跳躍して拳を回避し、ふらんの顔面に着地した 。 「ゆっぐりじね!ゆっぐびゃあ!?」 中身があんまんであるふらんの頭は梟の勢いと重量に耐え切れず潰れた。 十秒もかからず四体の内二体が死亡した。 流石に状況を判断した既に死亡している子れみりゃの残骸を虐めていたふらん二 匹もやばいと理解して梟に対して攻撃を開始した。 ゆっくりの中では高い身体能力を持つふらんには退却という手段は思い付かなか ったのだ。 しかしいくら強くても所詮ゆっくり。 長い年月を生き、妖怪紛いにまでなりかけた梟に勝てる訳がなかった。 襲い掛かってくるふらんを掴み上げ、かつて子れみりゃにやったように枝に突き 刺す。 「ぎゃああああああああ!!!?」 初めての激痛にふらんはみっともない叫び声を上げる。 枝は深く突き刺さっておりふらんの手では抜けない。 「う゛ー、じね!じね!」 ふらんがジタバタと暴れるが抜ける気配はない。 もうこいつは終わりだ。 長い枝の根本深くに胴体が突き刺さったのだ。 放っておけば中身を出し続けて死亡する。 食べるならまだしもただ邪魔をした相手、なおかつ餌としてはあまり上等ではな いのだからこれ以上手だしする気もない。 それよりも優先するのは最後の一匹だ。 「う゛ー!じね!じね!」 最後のふらんが襲い掛かるがいちいち相手するのが面倒になってきた。 梟は鼻歌でも歌うかのような感じでふらんの羽根を毟る。 「う゛~、じねえ!!」 羽根を毟られた痛みを感じながらもふらんは暴れる。 だが梟はそんな抵抗を嘲笑うかのように空高くふらんを脚に掴み飛ぶ。 そして、 「ゆっぐりじねぇ!ゆっぐぢじね!じね!」 泣き喚くふらんを放した。 そのまま羽根を失ったふらんは自由落下していく。 見慣れた空の景色が今まさに自分に牙を向けようとしている。 「う゛ー!う゛ー!」 事態を理解し、パタパタと手足を振り回していつものように飛ぼうとする。 だが羽根が無いためどうしようもない。 あんな羽根じゃそもそも飛べる訳がない。 ふらんが飛べるのは羽根ではなく飛べるというのに思い込みだ。 だから本来は羽根が無くても飛べるのに思い込みの激しいゆっくりは羽根が無い から飛べないという結論になってしまった。 「う゛ー!?」 野生のふらんには見られない大粒の涙を流して手足を振り足掻くが意味はない。 「う゛ああああああああああッ!!!?」 そうしてふらんは地面に墜落し、自らの身体を四散させたのだった。 「ゆっ…じ…ねぇ…」 もはや原形も保てずあんまんである中身を飛び散らせ、左目から上が欠損してい る。 どう考えても助からない。 むしろ今生きている方がおかしい。 ゆっくりという単純な構造のせいで痛みのみが長続きしてなかなか死ねないのだ 。 確かにふらんは強い。 ただしゆっくりにしては…だ。 逃げるという手段を用いないふらんはこうして必要以上の敵意をぶつけて返り討 ちに遭う為数が少ないのだ。 そしてその光景をふらんより弱い親れみりゃは見せ付けられた。 れみりゃが万全な状態でも勝てないふらんを一分もかからず殺戮してみせた梟に 対してどうしようもない絶望を感じたのだった。 「じね…ぇ…」 ふらんの虚ろな目が親れみりゃを見つめている。 「う゛…」 それに親れみりゃが恐怖する。 ふらんの目は何を見ているのか親れみりゃにはわからない。 先程まで捕食する筈だった存在に対して助けを求めようとしているのかそれとも 未だに襲おうとしているのか親れみりゃにはわからなかった。 「ゆっぐじじべぇ…!」 力無く呻き声を漏らしていたふらんの頭が踏み潰される。 「う゛ッ!!?」 ふらんの頭が完全に潰される光景を親れみりゃは見せ付けられる。 「ホー」 そして親れみりゃは見る。 ふらん達を殺し、自分の家族を殺戮した抗いようのない怪物に…。 あの暗闇の中に光る月のように丸い二つの双眸を…。 「う゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!!?」 そのあまりの恐怖に親れみりゃは肉汁のしーしーを漏らしながら発狂したかのよ うに絶叫し、その意識を手放した。 「う゛…だ……ざ…!」 気絶していた親れみりゃの耳に何か声がする。 『うるさいど~。 おぜいさまのしぇすたをじゃまするなんてふとどきせんばんだど~』 意識が戻り始めた親れみりゃは聞こえる声に不満を抱きながらも眠ろうとする。 「やだ…かえ……おう…!!」 聞こえてくる声はどんどん大きくなる。 何だか聞き覚えがあるがそんな事より親れみりゃは寝たかった。 野性に生きるものにあるまじき行動だ。 『さわがしいんだど~! さくやはなにをやってるんだど~!!』 居もしない従者に対して不満を持つ。 「まんまぁ~!だずげでー!!」 『う゛!?』 今度の叫びはしっかり聞こえた。 しかもそれは絶対に間違えるはずのない我が子の声だった。 さっきまで完全に忘却の彼方だった可愛い我が子の悲鳴に寝ている場合じゃない とようやく判断したのだ。 『おちびちゃんいまたすけるど~ッ!!』 親れみりゃはこうして目を覚ました。 「だずげ…!」 親れみりゃが目を覚ましたその先には子れみりゃがいた。 だがそれは凄惨な状態だった。 羽根はボロボロ、帽子は何とかあるのがわかる程度の有様で、皮は剥げて剥き出 しになった左目の眼球が今にもこぼれ落ちそうだ。 そんな状態の中必死で子れみりゃは逃げている。 羽根を失い飛べなくなった身体で必死に跳びはね…いや頃がって逃げている。 「う゛…れみ…は…おぜ…なんだ…ど…」 必死の形相で逃げる子れみりゃは自分の立場が未だに理解できないのだろう。 そんな子れみりゃを追う毛が生え揃った小鳥達。 「ぶぎゃ!…やめ…」 ボロボロの子れみりゃに小鳥がのしかかり啄んでいく。 だが不慣れなせいか暴れ回る子れみりゃを押さえ付けられず子れみりゃは逃げ出 す。 その時爪で引っ掛かれたのか横に長い一本の線のような傷痕が出来ていた。 そこから溢れ出す大量の肉汁。 「やめるんだどーッ!!!」 思わず親れみりゃは叫んだ。 小鳥達に襲い掛かろうとする。 「う゛、う゛う゛ー!?」 しかし微塵も動けない。 どうしても動けない。 親れみりゃが手足を動かそうとしても羽根をパタパタさせようとして何も起こら ない。 「う゛ー!どうぢでうごがないんだどー!?」 目の前にいるおちびちゃんを助けなくてはいけない。 どうして動かないのかそれがわからない。 だがその要因にようやく親れみりゃは気付いた。 目の前に手足の残骸と衣服の切れ端が転がっているからだ。 それを親れみりゃは理解した。 それは間違いなく自分の身体なのだから。 「うぎゃあああああああああああああああああッ!!!?」 親れみりゃの頭に過去の痛みがフラッシュバックされる。 親れみりゃが意識を失ったのは二回。 一度目は梟に対する恐怖で。 二回目は巣に連れてかれた後、首から下をひきちぎられたからだ。 あまりにも機械的に首から下を分離させられた親れみりゃはその激痛で意識を失 ってしまった。 それから目覚めてさっきまで忘れていただけの話だ。 親れみりゃの胴体を取り除いたのはれみりゃの放屁が厄介だからだ。 今子れみりゃを襲っているのはあの梟の子供達だ。 そしてここは巣の中。 木の中に作られた出入口一つだけの巣では臭い放屁を放たれたら最悪子供達が死 んでしまう。 屁で死ぬなんて笑い話にしもならない。 だから胴体から下をとったのであった。 「や…やじゃ…」 あまりにも残酷な現実に親れみりゃは思考を放棄していた。 親れみりゃは僅かな時間で子供をほぼ全て失い、そして今や自分はただの肉団子 に等しい。 昨日までの幸せな日々が嘘のようだ。 そして、今目の前にいる最後の我が子の命も潰えようとしていた。 「いぎゃああああああああああッ!!?」 れみりゃの目がえぐり出される。 皮は剥げ、もはや子れみりゃは肉の塊に等しかった。 「う゛…う゛…う゛…」 もはやまともに声も出すことも出来ずに子れみりゃは痙攣していた。 目玉は梟のお気に召さなかったのだろう瞼を喰われただけだった。 だがその瞳が真っ直ぐに親れみりゃに向けられていた。 『どうじでだずげでぐれながったの?』 空虚な瞳はそう物語っていた。 それは親れみりゃにとっては筆舌にしがたい恐怖となった。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!」 この瞬間親れみりゃの心は折れた。 最後の子供が逃げた報いかのようにじわじわと恐怖を味わいながら死んでいくの も気付かずありとあらゆるものに親れみりゃは恐怖した。 そしてその心の折れた眼に映るのは梟の丸い双眸…。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!?」 梟の嘴に舌を抜き取られ喋れなくなるまで親れみりゃは叫び続けた。 必死に目の前の現実から逃れようとする為に…。 しかしもう親れみりゃに逃げる事は出来ない。再生の続く限り親れみりゃは梟達 の保存食として生きていくのだ。 そこにもう家族と共に生きる幸せな日々は何処にもない…。 これから先親れみりゃ…いや既に子を亡くしたただのれみりゃが何時死ぬかはわ からない。 だが確実なのはこれから先れみりゃにとって幸せな未来は何一つ無いという事だった…。 月明かりが森を照らす夜。 梟は木の上にいた。 その下には泣き叫ぶゆっくりれいむとゆっくりまりさの家族。 「たしゅけておきゃあああしゃあああんッ!!」 「やめておちびちゃんをたべないでええええ!!」 「うー♪うー♪」 「やべてね、たべるなられいむにしてね!!」 「どぼぢでぞんなごどいぶのおおおおおおおおおッ!!?」 今日もまた、餌がかかったようだ。 梟は羽根を広げ、獲物へ向かい飛び立ったのだった…。 あとがき ただ梟無双がしたかった。 結構長くなってしまった上に後半のグダグダ感が否めない。 誰か助けて…。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3167.html
価値 by ”ゆ虐の友”従業員 人里の外れにある大きな畑。 「ゆっゆっ!」 「ゆゆー!」 ここでは、ゆっくり達によるイチゴの収穫が行われている。 「とってもりっぱないちごだにぇ!」 「おちびちゃん、たべちゃだめだよ!あっちのかごにゆっくりいれてね!」 二十匹を越すゆっくり達が、人間の指示で動いている。 そんなことが可能なのか?と思う人もいるだろう。 もちろん素行の悪いものもいるが、よほどの問題とならないかぎりは多目に見る。ある程度の基準で作業が進みさえすれば良い。 できの悪い労働力をいちいち怒鳴ったり潰したり、そんなことをしているほど農業は暇な商売ではないのだ。 それに、ゆっくり達はよりゆっくりするための対価として、納得して働いている。 「ゆーしょ!ゆーしょ!」 「ゆっきゅ!ゆっきゅ!」 ゆっくり達は朝から夕刻まで一生懸命に働き、いくつもの籠(かご)に山盛りのイチゴが収穫される。 「ゆっくりがんばったよ!」 「いちごさん、ゆっきゅりしていってにぇ!」 日が落ちるころになると人間の男が現れ、作業を取りまとめる。 この日は、長い収穫作業の最終日。ゆっくり達に待望の報酬が支払われる日だった。 「よし、今日までよく働いたな」 「ゆっへん!」 ゆっくり達は、ゆっくりできない風にも負けず、数多くの誘惑にも負けず働いた。 悪天候やれみりゃの襲撃で命を落としたものもいたが、それでもついに作業を完遂した。 「それでは、今期の報酬をやろう」 「ゆゆゆーー!!!」 男の周りに終結し、そわそわと待つゆっくり達がどよめく。 ゆっくりに長期間の労働をさせるにいたった報酬―― 「ほれ」 男は、一本の大根を取り出すと、ゆっくりの一匹に与えた。 「すごくゆっくりしたおやさいだよぉぉぉぉぉぉーーー!!!」 「しゅごいよぉぉぉぉぉぉーーーー!!!!」 「れいみゅにもみせてにぇ!」 「まりさにもだよ!」 「やべでね!おざないでね!!」 ある地域の野生ゆっくり(以下”A群”)に関する報告 A群のゆっくりにとって、イチゴの価値は低い。 彼らにとってイチゴとは、「おちびちゃんでもとれる、ふつーのおやさい」だからである。 ゆっくり特有の”思い込み”によって「大したものではない」とされているために、 実際の糖度に関わらず甘さを感じることもほとんど無い。 一方で、大根の価値は非常に高い。 よほど体格の大きいゆっくりでなければ手に入れることができない大根は 「とってもゆっくりしたおやさい!!」であるためで、 彼らにとってはそれは至上の味わい、そして最高級の社会的価値でさえあるという。 A群のゆっくり達ならば、大根を手に入れるためにはなんでもするのではないだろうか。 我々が、宝石や黄金のためにそうするように。 「ゆっへっへ!!まんまとせしめてやったのぜ!」 「さすがはまりさだよ!にんげんからだいこんをてにいれるなんてすごくゆっくりしてるよぉぉぉぉ!!!!」 大根を後生大事に運ぶゆっくり達。イチゴ収穫組のリーダー格であるまりさとれいむは得意満面だ。 「ゆっく、ゆっく……ぺっ!!」 まりさは畑からくすねてきたイチゴを吐き出す。 「こんなつまらないものをあつめるだけでだいこんをくれるなんて、やっぱりにんげんはばかなんだぜ!」 「ゆっくりぃぃぃぃぃ!!!!」 こうして手に入れた大根は、リーダーまりさとれいむのおうちに保管することになった。 他のゆっくり達は面白かろうはずもないが、おうちの規模の関係で仕方なかったのだ。 自分のおうちに大根があるということで、特に子まりさは有頂天だ。 「だいこんさん!まりしゃのおうちでゆっきゅりしていってにぇ!」 白く輝く表面も、鮮やかな緑の葉っぱも、それはほかのどんなものとも換えがたいゆっくりだ。 「ゆ、ゆっくり!!!!」 「ゆゆぅ!?」 そのとき、運搬係だった一匹のれいむが、子まりさを押しのけて大根に飛び乗った。 「ぺーろ、ぺーろ……!」 「なにやっでるのぉぉぉぉぉ!!!???」 「かってはゆるさないぜ!!」 すかさずまりさが引きずり落としにかかる。 「おりるのぜ!!ゆっくりおちつくのぜ!!」 「ゆ……」 まりさが近づいたそのとき、運搬係れいむは地面に落ち――そしてそのまま、動かなくなった。 「ゆゆ!?まりさはまだなにもしてないのぜ……!?」 れいむは死んでいた。 「むきゅ、あんまりきゅうげきにゆっくりしたものだからしょっくしょうじょうがでたのね!」 一匹のぱちゅりぃがそう断定すると、一同は深い沈黙に包まれた。 「おちびちゃんもきをつけなきゃだめだよ!」 「わかったよ…まりしゃきをつけるよ……」 とにかくそのようにして、大根はまりさのおうちに置かれることとなった。 「うー!!おぜうさまのすぴあ☆ざ☆ぐんぐにるがないんだっどぉ〜!! しゃくや、しゃくやぁぁ〜!!」 ぐずりだしたれみりゃに俺は言ってやった。 「れみりゃのすぴあ☆ざ☆ぐんぐにるなら、森のゆっくりが持ってったぞ」 我が家の飼いれみりゃのおもちゃの中でも一番のお気に入り、『すぴあ☆ざ☆ぐんぐにる』。 要するに、売り物にならなかったしけた大根なのだが。 「おぜうざまのだいじなものをがっでにもっでいくなんて、ゆるせないっどぉーーー!!!!」 俺はイチゴを頬張りながら、どたどたと家を出て行くれみりゃを見送った。 振動を感じて、よほどの大きなゆっくりが大根を見るためにやってきたのだと思った。 「だいこんはとってもゆっくりしてるけど、さんぱいきゃくはちょっとめんどうなのぜ……」 のそのそと入り口へむかうまりさとれいむ。 「ここはまりさと!」 「れいむのゆっくりぷれいすだよ!ゆっくりしていって……ね……?」 そこにいたのはれみりゃ。 「おまえが、れみりゃのすぴあ☆ざ☆ぐんぐにるをとったんだどぉ〜?」 「ゆびぃぃぃぃぃぃ!!!!????」 慌てておうちに逃げ込もうとする二匹だが、むんずと捕らえられて圧迫される。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ!!!!」 「ゆあああああ!!!!!!!」 「しらべはついてるっどぉー、おじゃまするど」 後には、取り返しのつかないところまで握りつぶされた二つの”元”ゆっくりが天を仰ぐのみだった。 「ぎゃおー☆あったどぉー!! これこそおぜうさまのすぴあ☆ざ☆ぐんぐにるだっどぉーー!!」 大根を手に大喜びのれみりゃ。そこへ、背後から声がかけられる。 「そ……それは!ま、ま、ままままりさのゆっきゅりしたおやさいだよ!!!!かえしてね!!」 子まりさだ。 子まりさは物陰から両親の末路を見た。隠れていなければ。それはわかっていた。 それでも子まりさには、苦労して手に入れた大根を持っていかれることが許せなかったのだ。 たとえその相手が、れみりゃであったとしても。 「それはとってもだいじな、おかーしゃんとまりさの……」 「うーーーー☆」 れみりゃは斟酌しない。ただ力任せに大根を振るった。 「ゆぺし!!!???」 致命的な質量と速度で叩きつけられた大根に触れた瞬間――永遠へと引き伸ばされた最後の一瞬――子まりさは知った。 極上の甘さを。ゆっくり感を。世界の真理を。 生まれて初めて、本当に、ゆっくりとした。 「………!」 「………!」 そこにはすべてが存在し、 規定不可能の闇がなにもかもをむさぼっていた。 心安らぎ、心安らぎ、心安同時ににに不安ににににににににに責め苛まれていた。 「………」 スローモーションの終わりの中で、 「@f」 子まりさは最初で最後の 「」 うんうんをした。 「ぐじゃいどぉぉぉぉーーー!!!おぜうざまのだいじなすぴあ☆ざ☆ぐんぐにるがぐじゃいのやだどぉーーー!!」 「くせーんなら家に持ち込むなよ……!ド饅頭が……!」 返り餡だか返りうんだかがこびりついて汚れたその大根に、俺は彫刻刀で <すぴあ☆ざ☆うんうんにる> と彫ってやった。 「ぢがうどぉぉぉぉーーー!!!!うんうんじゃないどぉぉぉぉぉーーー!!!!」 「名前も彫ってやろう……出来た、<すぴあ☆ざ☆うんうんにるれみりゃ>」 「ばう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」 おしまい。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2284.html
※無茶設定あり ※虐待薄いかも注意 ぽよん・・・ぽよん・・・ 人里から遠く離れた森の獣道を俺は必死に跳ねていた。 跳ねる度に腰に備えた愛刀の小太刀がぺちぺちと体を打ち付け痛い。 その動きはまるで不思議饅頭生物ゆっくりのようだ。 俺は人間だ。 いや、人間「だった」。 単刀直入に言うと俺はゆっくりになってしまったのだ・・・。 ゆっくりになった男1 「生きるために跳ねろ」 もっと前から話そうか。 人間の里で樵をやっていた俺はあの日、注文のノルマに間に合わなかったため 予定を延ばし、日が暮れるまで木を切っていた。 それがいけなかった。 護身用の小太刀を常に携帯しているのでいざという時は何とかなると思っていたのだが・・・。 流石に妖怪相手では武器なんて無力だった。 迂闊だった。 最近妖怪は人間よりもゆっくりに興味を持っているということで 人間が妖怪に襲われることはほぼゼロとなっていたため、 人間がゆっくりを食うように、妖怪も人間を食うということをすっかり失念していたのだ。 この幻想の地においてそんなことはあってはならないのだが こうなってしまうともう後の祭りである。 どこぞの魔王のごとく俺のはらわたを食い尽くしたその妖怪は満足したのか 去っていったがどてっぱらに大穴が開いている俺の体はもはや這いずる事しか出来なくなっていた。 というかあの状態でよく動けたなと思う。 しかしやはり大量出血状態である以上、 長くは持たないのは確定的に明らかであって だんだんと意識が遠のいていった。 まだ二十代なのに・・・ まだ結婚もしてないのに・・・ まだ食べたいものがあったのに・・・ まだ死にたくない・・・ そう思いながら。 俺は目が覚めた。 初めはあの世に着いたのかと思ったがどうも違うらしい。 痛みも無いし、無事なようなので立ち上がろうとする。 立てない。 というか足が動かない。 両足を縛られたような感覚だ。 というか嫌に視点が低いような気もする。 気を取り直して周囲を見渡す。 妖怪相手に歯が立たなかった小太刀が転がっている。 刃は鏡のように周囲の風景を映している。 とりあえず体がどうなってるかが見たいので必死に這って小太刀を覗き込んだ。 そこに映るのは俗に言うゆっくりまりさというゆっくりの姿。 え? もう一度覗く。 やっぱり映るのはまりさ。 夢か? そう思ったとき脳が直接響くように声が聞こえた。 「大丈夫ですかー?」 どこかのんきそうな女性の声だった。 一体誰だ? 「私はちょっとした医者です。森の中で死に掛けたあなたを見つけてですねー まだ生きたいとか言ってたから助けたんですよー」 助けた? じゃあなぜ俺はいまゆっくりなんだ? 「あんたの体もうズタボロで使い物にならなかったから 勝手ながらそこら辺にいるゆっくりに脳の情報を移植させていただいたんですよー」 よりによってゆっくりとは・・・。 ゆっくりでもきめえ丸とかなら空とか飛べて便利だったのに・・・。 ところであんたはいったいどこにいるんだ? 「私はあなたの居場所からかなり離れたところであなたのもとの体を修復してあげているんですよー。 そうですねぇ・・・アンタがその体で一年間生き残れたら体を元に戻してあげなくも無いですねー」 は? 一年だとふざけるな! こんな森の中で一年間もこのゆっくりの体で生き残れるわけ無いだろ! 冗談はやめて早く助けてくれ! 「冗談じゃないですよー。 それにその体はただのゆっくりじゃないですしー。」 ただのゆっくりじゃない? どういうことだ? 「いきなり新しい体で生き残れというのは無理があるから いろいろと手を加えさせてもらったんですよー。」 何だって? 「まずその体は再生能力を高くしてあるから 捕食種に襲われた程度では死なないし 水に浸かっても平気ですよー。」 自殺防止の気もしなくもないがいいな。 もし生身(?)のゆっくりだったらちょっとしたことで死にかねない。 「それから腕が無いと不便だろうから あるゆっくり科学者が作ったといわれる「あんこあーむ」を つけてあげましたよー。 原理は気にしないでねー」 あんこあーむ? 腕を顔の前に伸ばしてみる。 餡子色の触手のようなものが見える。 これがあんこあーむか・・・キメェ。 「あんこあーむは他のゆっくりが見ても 気味悪がらないみたいだからあんしんしてくださいねー でも物はつかめても直接殴るだけの強度はないことも教えておきますー。 じゃ、健闘を祈りますー」 おいちょっとまて!! プッ っという音とともに声は聞こえなくなった。 どうやらこの体、通信機みたいなのも内蔵されているらしい。 立った今切れたみたいだが。 一年か・・・。 いろいろ考えても仕方がない。 どうにかなるだろう。 ということで俺はこうして跳ね進んでいるのだが 遅い。 亀やバッタといい勝負だ。 情けなくて涙が出てきた。 「ゆっくりしていってね!」 急に叫び声が聞こえた。 前を見るとれいむがいる。 「ゆっくりしていってね」 軽く返す。 元人間であるが今はゆっくりの身だ。 同属からはぶられることは避けたい。 「ゆゆーん!まりさはゆっくりしてるね!まりさはひとりなの?」 あんな軽い返事でも満足してくれたようだ。 そういや俺の姿まりさだったっけ・・・。 ああ、一人だけど? 「ゆっ!それじゃあれいむたちのむれにこない?れいむたちとゆっくりしようよ!」 むれ?ゆっくりの群れがあるのか。 とりあえずホームレス状態はいろいろと危険なので 群れに入って巣でも作りゆっくりとすごすのも悪くないな。 群れに連れて行って欲しいな。 「ゆー!じゃあれいむにゆっくりついてきてね!」 ぽよんぽよんと駆け出すれいむ。俺も後を追う。 しばらく跳ねること十数分くらいだろうか。 時計が無いのでよくわからない。 まあ仕事柄時計無しでもある程度の時間が把握できるからいいが・・・。 群れらしき広場に着いたようだ。 木の下の空洞などを巣にしている。 「ゆっくりあたらしいなかまがきたよ!」 れいむが群れに向かって叫ぶ。 ゆっくりゆっくりと言いながらゆっくり達が集まってきた。 数はざっと見て10〜15匹程度。 かなり小さな群れのようだ。おそらくできたばかりなのだろう。 「むっきゅん!おさのぱちゅりーよ!よろしくね!」 一回り大きいぱちゅりーが自己紹介をする。 かなり長生きのようで、パチュリー種にしては大きく健康的だ。 「まずはすをみつけないといけないわね! だれかのすにすまわせてもらうのがいいとおもうわ! な、なんならああありすといっしょにすんでもいいのよ!」 顔を赤らめながらありすが俺に問いかけてくる。 結構だ。俺は一人でのんびりするのが好きなんでね。(ありすがレイパー化しても困るしな) 巣だってこの小太刀がスコップになるだろうからすぐに作れるさ。 ああ、食べ物も自分で見つけるからいいよ。 「おとななんだねーわかるよ〜」 ちぇんが感心している。 「みんなああいうじぶんのことはじぶんでできるゆっくりしたおとなになってね!」 「「「「「「ゆっきゅりりかいちたよ!」」」」」」 子連れのまりさが俺を摸倣するように子供に言い聞かせている。 なんだか照れくさいや。 「ゆっくりまりさのかんげいかいをひらくよ!」 れいむが叫び、それに答えるようにゆー!という声がこだまする。 『かんげいかい』の準備は数分で終わった。 というかレジャーシートのつもりなのか大きい葉を地面に敷き、 その上に木の実などを広げただけなのだが。 「まりさのかにゅうをいわって、ゆっくりかんぱい!」 「「「「「「「「「「ゆっくりかんぱい!」」」」」」」」 ゆっくりの世界にも乾杯の概念があったのか。 小さな宴が始まった。 お立ち台のような平たい岩の上で、ゆっくり達がかわるがわる芸のようなことをしていた。 れいむはゆーゆーと調子の外れた(ゆっくりにとっては上手いらしい)歌を歌い、 まりさ一家はかがみゆっくりといって鏡餅のように縦に積み重なり、 ありすはとかいはのダンスといって適当にくるくるまわったり、 ちぇんは二本の尾を器用に使い、木の実をお手玉していた。(正直これに一番驚いた) そうして宴が終わり、皆で狩りに出かける。 俺はよくカブトムシなんかが吸ってる木の蜜を小太刀を使い集めたところ、 かなり群れに褒められた。 よく考えてみるとは物が無いと滅多に取れないしな。 自然では貴重な甘味だ。 狩りが終わると俺はすぐさま家作りに取り掛かり、 木下に穴を掘り日が暮れる頃にはゆっくりにしては立派な住居が完成した。 もうあたりはすっかり暗闇だし新築住居にごろんと横になる。 今まで畑を荒らす害獣とか野山を駆け巡る野生動物とかでしかゆっくりを見ていなかったが なかなか奥が深く話のわかる連中じゃないか。 願わくばこのまま平和に一年間過ぎて元の姿に戻りたいところだが 今は春だが季節が巡って冬になったら越冬をせねばならない。 ゆっくりの越冬率はかなり低いと聞くし、いささか不安が募る。 中々床が土だと寝付けないもんだな。 そういえば俺はゆっくりみたいな幼い口調ではなく普通に喋ってるが違和感は無いようだ。 俺としても口調をゆっくりと同じにすると自身を見失いそうで怖いのだが・・・。 まあいいや、寝よう。 次の日から俺は群れの連中との生活を始めた。 元人間である俺の知識は野生生活では使えないものも多かったが、 ゆっくりの視点では気づかない多くのことに役立ったようだ。 共に狩をし、会話をしたり時にはゆっくりしたりと、 この一ヶ月間は非常にゆっくりとした生活が送れていた。 あの日が来るまでは。 日差しに若干熱さを感じるようになった夜、俺はいつものように狩りでの成果を皆と分け合った後 ゆっくりが作るよりも巧妙なカモフラージュで入り口を隠し、眠りに着いた。 ぅー ぅー・・・ぅー・・・ 俺は外から変な音がしたので目を覚ました。 時間的には深夜である。 初めは強風でも吹き荒れてるのかとおもったが・・・ てね・・・だよ・・・ あ”あ”あ”あ”・・・・ぅー・・・ぅー・・・ もっと・・・・・くり・・・・・・・た・・・ 悲鳴のようなものも混じって聞こえる。 俺は胸騒ぎがして小太刀を抱え外に飛び出した。 おかしい・・・・ 今日は晴れてたから月明かりでぼんやり明るいはずなのだが まるで月明かりなど感じられない。 俺は駆け出した。 すでに群れは地獄となっていた。 空を覆いつくす胴付きれみりゃの群れ。 地上で群れのゆっくりをいたぶるれみりゃの団体。 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”ばじぇのあんごずわないでえええええええええ!!!!」 牙を刺され餡子をすわれている長のぱちゅりー。 「ゆびゃ!!」 「ばりざのあがじゃんがあああああああ!!!」 「おねえええじゃあああああああん!!!」 「やべでええええええええええええええ!!!」 れみりゃに子まりさが食われる様を目の前で見せ付けられるまりさの一家。 「あまあまだど〜」 「みんなでたべるど〜」 「ぐっちゃぐっちゃ」 「がががががががが」 十数匹に一気にたかられてもはや原形を保っていないちぇん。 「あまあまみつけたど〜!これはでびりゃのだど〜☆」 「いやおぜうさまのれみりゃのだど〜」 「うーうーみんなでわけるど〜!」 後から声がしたので振り向くと三匹のれみりゃが俺に向かってきていた。 「あまあまはたべられるんだど〜」 れみりゃが噛み付いてくる、が れみりゃの牙は俺の体にわずかに刺さるだけで留まった。 確かに丈夫な身体だ。 「う〜〜〜〜〜?ぐびょら”っ!」 ハテナマークを浮かべていたそいつに兜割をお見舞いする。 頭から真っ二つになりスライスチーズの写真の如く左右に裂けるれみりゃA 「あ”あ”あ”あ”あ”でびりゃのいもうどがあああああああ!!!」 「でびりゃをごろずな”ま”い”ぎなあまあまはじねええええええええええええええ!!!」 れみりゃBとCがAを殺された怒りをあらわにして挟み撃ちの形で左右から襲い掛かってくる。 「「ぎゃぶっ!!!」」 横に避けたら案の定正面衝突して両方気絶した。 起き上がらないようにれみりゃたちの首をはねると俺は群れの仲間を救出しに行った。 ぱちゅりーを掴んでいたれみりゃの腕を切り飛ばす。 「でびりゃのぷりちーなおててがああああああああ!!!ぶびゅっ!!!」 わめき散らしているうちに背中に小太刀を突き刺しそのまま上に返す。 スライスれみりゃとなり巻き割のまきのように倒れる。 おい!大丈夫かぱちゅりー! 既にぱちゅりーは事切れていた。 ゆっくりとしての生活のノウハウを教えてくれたぱちゅりーが死んで悲しいが、 いつまでも悲しみに暮れている暇は無い。 俺は次の目標に向かって駆け出した。 「もっど・・・ゆっぐり・・・じだがゆべえええ!!!」 ちょうど俺が着いたときは辞世の句を最後まで言い終えることが出来ずに 子供を全部殺された一家の親まりさがれみりゃに高等部に穴を開けられ死んでいたところだった。 穴を開けた本人はつぼに入っている餡子を食べるかのように親まりさの中身を手で掬って貪っていた。 頭部のちょうど真ん中を斜めに切り落とす。 断末魔も上げないままれみりゃは居合い切りされた竹のように倒れた。 なぎ払い蹴散らし切り倒す。 群がるれみりゃをあらかた蹴散らすと、適わないと判断したのか れみりゃは空に逃げていった。 ようやく刺した月明かりに照らされて、群れのゆっくりの死骸が見えた ちぇんは底部以外跡形もなくなっていた。 ありすは性器のあたりをめちゃくちゃに引きちぎられて死んでいた。 そのほかのゆっくりも、ばらばらにされていたり木の枝で串刺しにされていたりと散々な有様だった。 俺はゆっくりの一人も助けられないのか・・・・。 初めこそは生きていくために群れに入ったが、 時間が流れるにつれて、群れの皆は共に生きる仲間となっていった。 こいつらとなら一年間生きていけると思っていた。 「・・・ま・・・・・りさ・・・・・」 かすかに声が聞こえた。 俺を村に案内してくれたあのれいむの声だ。 おい!しっかりしろ! れいむは方目を失い、穴の開いた頬から餡子がゆっくりと漏れていた。 「ま・・・・りさ・・・・ゆっくり・・・・しすぎだよ・・・・・」 すまないれいむ。俺は一人も助けることは出来なかった。 「しょうが・・・ないよ・・・まりさは・・・ひとりでたたかっていたんだもん・・・・ でも・・・むれのためにたたかってくれた・・・・・まりさはひーろーだよ・・・」 もう喋るな!まだ助かる! 「れいむは・・・もう・・だめだよ・・・・・ まりさ・・・・まりさは・・・・ゆっくりを・・・ゆっくりさせられるちからがあるよ・・・・・ そのちからで・・・・たくさんのゆっくりできない・・・・・ゆっくりを・・・・ ゆっくり・・・・させてあげて・・・・・・ このむれのように・・・・・ならないように・・・・まもってあげ・・・・て・・・・・」 それかられいむは「ゆげぇー」と一塊餡子を吐くと、それっきり動かなくなった。 朝、群れのゆっくりの亡骸を土に埋め弔った俺は、 わずかな食料と小太刀を手に群れだった場所から東にゆっくりと跳ね始めた。 一年間、自分のためにじっとしているわけにはいかない。 いろんな世界を見て回ろう。 そしてゆっくりすることができない善良なゆっくりを救おう。 生きる目的を見つけた俺は、身体全体を使って大きく跳躍した。 To Be Continued... あとがき どうもアサシンの人です。 ながいあいだ暖めてたねたを書こうとしたら長編になりそうな予感・・・ 人間がゆっくりにになったらどうなるかを書こうとした結果がこれだよ! ちなみに主人公のお兄さん=まりさは身体は丈夫ではあるが、 高いところから落ちれば死ぬし、餓死もするし溺死もする。無敵ではありません。 次があったら続きを書きたいです。 今まで書いた作品 「ゆっくり兵」 「アサシンゆっくり〜お兄さん遊び編〜」 「ゆっくり焼き串」 「ゆっくり護身術」 byアサシンの人
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/467.html
ゆっくりの躾け方・上巻 はじめに ゆっくりを躾けるのは非常に難しい。 何故なら異常なまでに知能が低く、教えた事を三分で忘れるからだ。 比較的簡単なのはれいむ種だろうか。 知能レベルは最低に近いが、それでも根が素直なところがある。 生まれた時から愛情を注ぎ込むか、恐怖と暴力を与えればそれで済む事が多い。 逆にまりさ種は非常に難しい。 愛情を与えても、飼い主は自分を保護するためのものとしか見ず、横暴な態度は何時までも残る。 暴力で従わせようとしても、従った振りをして虎視眈々と脱走や報復の機会を窺う様になる。 また、その強い好奇心とリーダー気質から周囲の飼いゆっくりを巻き込んで悪さをする事も報告されているので手に負えない。 ブリーダーの間ではまりさを調教できたら一人前と言われているほどだ。 では、ゆっくりれみりあはどうなのだろうか。 難易度は中といったところ。頭は悪いが、他の種と違って悪知恵が働かないのはプラス要因。 毎日躾を欠かさなければ、それなりのレベルにまでは簡単に持っていける。 もっとも躾を怠れば他のゆっくり以上の早さで増長し、知能の劣化もそれに比例する。 そしてそれ以上に、ある一定以上の能力を求めるのには難しい。 何故なら持ち前の知能の低さが邪魔をし、高度な事を教え込めないからだ。 れみりあ種に高度な事を覚えこませるには、それこそ達人と呼ばれるほどの腕前を必要とする。 さて、前書きはこのくらいにしておいて、早速行動に移ってみよう。 前述の通り、初心者にはれいむ種から手を付ける事をおすすめする。 まずは固体の選別。 初心者は知能強化を施された赤ん坊を買うのをおすすめするが、野生の個体を選ぶとなるとそれなりのコツがいる。 「ゆっくりしていってね!」 初対面で上記の様な事を言ってくる固体は間違いなく知能が低い。 人間の恐怖を知らない野生の個体は、学習能力が著しく低い事を示す。 少しでも知能があれば、自分より大きい生物に対して警戒するのが当然だろう。 ついでに言えば他のゆっくりと情報交換ができていない証拠でもある。 なので上記の様なゆっくりを見つけたら優しくハンマーで潰してあげよう。 知能の低い野良ゆっくりを残しておくと、後々誰かが被害にあうかもしれない。 外出時には専用のゆっくり潰しハンマー(税込:535円)を持ち歩くのがエチケットだ。 次に選別の合格基準だが、これは方針によって異なる。 愛を与えるのなら家族がいる固体は止めた方がいい。人間よりも同族に対しての感情が強いからだ。 群れからはぐれた固体や、家族から追い出された固体なのが御し易いだろう。 そしてできれば赤ん坊がいい。成長後にその性格を矯正し、知識を与える事は難しい。 恐怖を与えて従わせるのならその逆。 家族はいい脅迫の材料になるし、見せしめにも使える。 これもやはり赤ん坊が良いし、何より長い間楽しめる。 と、言っても変異種でもない限り個体差はそこまで大きくない。 面倒だと思ったり、自分の腕に自信があったりするのならどんな固体でもいいだろう。 「……なるほどな」 お兄さんは読んでいた本を脇へと置き、透明な箱に入ったゆっくりれいむを眺める。 家の前で倒れていたのを保護し、飼ってもいいかなと考えていたところだ。 「こいつ飼えるのか? 本見た限りでは結構難しそうなんだが」 箱の中のれいむはお兄さんの考えも知らず、暢気に眠っている。 散々お兄さんに餌を要求し、満腹になったら直ぐに眠ってしまったのだ。 まあ、非常にゆっくりらしい性格をした固体だと言えるだろう。 と、その時れいむが目を覚ました。 しばらく辺りをキョロキョロとしていたが、やがて自分が知らない場所で透明の箱に入れられている事に気付く。 「おにいさん、れいむへんなはこのなかにはいってるよ! ゆっくりだしてね!」 お兄さんが声を掛ける前に、れいむは箱から出せと要求してくる。 が、そうはいかない。ゆっくりを部屋の中で放し飼いする気はお兄さんにはない。 あくまで観察したり、偶に遊んでやる程度の存在でいいのだ。 「おにいさんれいむのこえがきこえてないの? それともばかなの? れいむのいうことがりかいできないの?」 その声にお兄さんの眉が傾く。 助けてやった上に餌もやったのだが、それを忘れていきなりこれか。 お兄さんは騒ぐれいむを無視し、先ほどの本の続きに目を通す。 では実際に躾を行っていこう。 まず全体を通して注意すべき事は、ゆっくりより自分の方が上だと理解させる事だ。 これは愛情を与える場合にも必須だ。これがないと、ゆっくりは飼い主の事を便利な道具程度にしか思わない。 大事なのは懐いてないうちはゆっくりの要求を絶対に聞き入れない事。 餌が欲しい、遊んで欲しい、外に出して欲しい、などと言った要求は全て却下。 何故なら簡単に要求を呑むと、ゆっくりは飼い主を自分より下だと思い込む。 それに、飼い始めたばっかりのゆっくりを箱の外に出すのは危険だ。 何故なら十中八九部屋の中を荒らしまわるか、自分の家宣言をし始めるからだ。 調子に乗ったゆっくりを一気にどん底まで叩き落し、短期間で服従する方法もあるが初心者にはおすすめできない。 上記の様に書いたが、餌はやらないと流石に不味い。 ゆっくりは多少の絶食では死にはしないが、固体によっては絶望や思い込みで死に至るので長期間の絶食はおすすめはできない。 さて、餌のやり方だが、まずは自分の食事をゆっくりに見せながら食べる。 そして自分の食事が終わった後、食べかすや野菜クズをゆっくりに与えよう。 その際、いただきますとキチンと言わせよう。言わない様なら軽めの罰を与えていい。 そうする事によって、飼い主の方が上であるとゆっくりに教えるのだ。 間違ってもゆっくりの食事を優先したり、ゆっくりに手作りで餌を作ったりするのはしてはいけない。 そうする事によってゆっくりは増長するうえに、ゆっくりは自分に都合の良い事は中々忘れない。 少しでも餌のランクを落せば癇癪を起こし、飼い主の食事まで要求してくる事も多々ある。 大事なこの作業を根気良く続け、ゆっくりに自分の立場を理解させる事が…… 「……いかん、めんどくさそうだな」 お兄さんは本に栞を挟んで閉じ、溜息を吐いた。れいむは読書中も煩く喚きたてていたが、当然無視。 お兄さんの認識よりも遥かに、ゆっくりを飼うのは面倒そうなのだ。 もっとも生き物を飼うのは大抵面倒なのだが、生き物を飼った事のないお兄さんには分からない。 「む゙じぢない゙でえ゙ぇぇぇ」 「……まあ、やるだけやってみるか。懐けば可愛いだろうし」 それに犬や猫よりかは手間も掛からないだろうし、話し相手にもなるだろう。 そうお兄さんが考えていると、ふと周囲が暗くなっている事に気付く。 そろそろ夕食の時間か。そう思ったら腹が減ってきたので、お兄さんはれいむを無視して台所へと移動する。 「ほーら、メシだぞお」 「ゆゆっ! おにいさんれいむのためにありがとう! ゆっくりれいむにちょうだいね!」 お兄さんは焼き魚と味噌汁、そして白米をれいむの前に置いて見せ付ける。 そして透明な箱と取り去り、れいむを解放してやった。 そうすると当然れいむは飯へと急ぐが、たどりつく寸前にお兄さんの手が伸びる。 軽いデコピンによってれいむは弾き飛ばされ、勢い良くタンスにぶつかった。 そして素早く透明な箱を被せ、お兄さんは箸に手を伸ばす。 「どうじでごんなごとずるのおぉぉぉ」 「誰がお前の飯だっと言った。これは俺の飯だ」 「ゆ? おにいさんなにいってるの? それはれいむのごはんだよ?」 泣きながら喚くれいむを他所に、お兄さんは白米を掻きみ、酒で咽を潤す。やはり労働の後の一杯は美味い。 頭に疑問符を浮かべているれいむの戯言など、耳に入らぬほどだ。 「ゆゆっ! おにいさんれいむのごはんかってにたべないで! れいむはどろぼうきらいだよ!」 「だから何時お前の飯になったんだ。これは俺が用意したんだぞ」 「そんなのかんけいないよ! れいむがみつけたんだかられいむのごはんだよ!」 いかん、埒があかない。 お兄さんはそう舌打ちし、食事を中断して本を手に取る。 そもそもお兄さんが持ってきたのに、どうしてれいむが見つけた事になっているのか。 ゆっくりへの対処法 食事編……58P それでもゆっくりが食事の際に我侭を言う事は多々あります。 曰くその食事は自分のものだ、餌の量が少ない、餌の味が悪い、などと要求は多種多様です。 そういった事を言い出した場合、罰として餌を取り上げたり、次の餌を極端に少なくしたりすると効果的でしょう。 ゆっくりの知能は非常に低いですが、餌についての事は案外素早く覚えます。 不満を言ったりすれば自分の餌がどんどん少なくなり、味が落ちていく、貰えなくなると理解させるのは難しくはないです。 しかし、まりさ種の場合は飼い主の食事を横取りしようとする事も多いので、反省したから箱から出して、などと言っても無視しましょう。 また、どうしても聞き分けないのなら絶食や体罰も手です。 絶食の目安は丸一日です。一食抜いた程度では、ようやく自分の命令を聞いて持ってきたと錯覚される事も多々あります。 半端にやると逆効果になるので気を付けましょう。 体罰は頬をちぎる、もしくは針で刺す程度でいいでしょう。 それによって力の差を覚えさえ、徐々に飼いならして行くのが最善です。 あまり初期から激しい体罰を加えると、まりさ種でなくとも恨みを抱く可能性があるので注意が必要です。 「おにいさんはやくれいむのところにはこんでね! あとここからだしてね!」 「……ゆっくり、一つ聞こう。これは誰の飯だ?」 「おにいさんばかなの、なんかいいえばわかるの? そのごはんはれいむのだよ、ゆっくりりかいしてね!」 「あっ、そう。馬鹿には今日の餌はなしだ」 そう言うとお兄さんはれいむの見ている前で黙々と食事を続ける。 どおじてだべじゃうのおぉぉ、などと色々聞こえて来るが、お兄さんにはただの雑音に過ぎない。 そして全て食べ終え、ごちそうさまと手を合わせた。 「明日お前に餌をやるかどうかはお前の態度次第だ」 「れ゙い゙む゙のごはんがあぁぁぁ」 「……ほんとに飼えるのか、こいつ?」 不安を覚えながらも、れいむを入れた箱に布を被せ、押入れにしまいこむとゆっくりは寝室へと向かう。 あの調子で騒がれた煩くて寝れやしない。 明日からの躾をどうするか考えながら、お兄さんはゆっくりと眠りに付いた。 本格的な虐待……ではなく調教は次回くらいで 躾マニュアルみたいな感じ書こうとしたけど上手く書けないな…… このSSに感想を付ける