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※俺設定 ※いろいろと被るかもしれません ※3回に分けると思ったけど4回にします ※ユ○ルイネタじゃないです ※今後、ユ○ルイにも絡ませません ※ただの単体SSです 時をかけるまりさ 中 「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・」 まりさの顔面に大きな穴が開いていた。 『あ~あ、手が汚れちまったよ。え~タオルタオルと・・・。』 じねぇっぇぇえ!!!! じねっぇぇぇえええ!!!! ばでぃざのがわいいでぃぶどぉぉおお!!!!! おぢびじゃんんをごろじだぁぁっぁぁあぁ!!!! にんげんばぁっぁぁぁぁ!!!!!!! じねぇっぇぇえええええ!!!!! まりさは心の中でさえ、平穏な心を保てなくなっていた。 心の中の声でさえ、痛々しく苦しい濁音交じりの怒声になっていた。 それほどまでに、まりさの怒りは衰えることがなかった。 『もう何回目かわかんなくなっちゃったよ!!! 1万回だったかな?2万回だったかな? それとももっとたくさんだったかな???』 頭の中の声が言うように、もう数え切れないくらい、 まりさは、何度も何度も人間に立ち向かっていった。 なんがいばまげようがじっだごどじゃないんだぜっぇぇええええ!!!!! ゆっぐりごろじばいげないごどなんだぁぁぁぁ!!!! ごんなごどばぁっでばぁっぁぁああ!!!! いげないんだぜっぇぇぇえええ!!!! じねぇっぇえええ!!!! ばでぃざのぉおおおぉ!!! でぃぶどぉおぉおお!!!!! おぢびじゃんをおぉおぉおおお!!!! がぇずんだ 「ぜっぇヶrkjrcんfrsmvhんtyしd!!!!!!!」 10秒後。 「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・」 まりさの顔面に大きな穴が開いていた。 『あ~あ、手が汚れちまったよ。え~タオルタオルと・・・。』 どぼぢでっぇぇぇぇえ!!!! どぼぢでっぇぇぇえええ!!!! どぼぢでっぇえええ!!!! ばでぃざばぁぁっぁあ!!!! にんげんざんにんがでないのぉぉおぉお!!!!!! 『いい加減、諦めたら??? 実は、自分でもとっくの昔に気づいてるんでしょ??? どうあがいても人間さんに勝てないって・・・』 だがらぁっぁぁあ!!! ぞれがどうじだんだぜっぇぇえええ!!!! ばでぃざのぉおぉおおおお!!! だいぜづなぁっぁあぁ!!!!! だいぜずなぁぁぁああ!!!! でいぶがぁっぁああああ!!!! おぢびじゃんがっぁぁあああ!!!!! にんげんざんにがでないがらどがぁっぁああ!!! がんげいないんだぜっぇえええ!!! でいぶのがだぎぃいいいい!!!! おちびじゃんのがだぎぃいいいぃ!!!! じねぇっぇぇえええ!!!! ぜっだいにじねぇぇえええええ!!!! ぜっだいに 「じねぇmkfjぇくcんfybsんddshvhぶskかdrgせyfhfんcbsでryついえ!!!!!」 10秒後。 「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・」 まりさの顔面に大きな穴が開いていた。 『あ~あ、手が汚れちまったよ。え~タオルタオルと・・・。』 ど・・・ぼ・・・・ぢ・・・で・・・ 薄れ行く意識の中、まりさは最後の最後まで、 人間に対する憎しみを燃やし続けるまりさ。 『ふぅ~ん。 ただのバカかと思ってたけど、 ものすごく家族思いっていうことだけは、 認めてあげるよ!!!!』 ぞ・・・れが・・・ど・・・ぼぢ・・・だ・・・ 『正直に言いなよ!!! 何をしたってまりさは人間さんに勝てないって!!! ここまで頑張ったんだから、バカにしたりしないよ!!!』 ばでぃ・・・ざ・・・ば・・・ じら・・・ながっだ・・・ にんげんざん・・・ごんなに・・・づよい・・・なんで・・・ もう・・・なにをじで・・・・も・・・ がで・・・る・・・ぎが・・・ 『正確には、人間さんが強すぎるんじゃなくて、 まりさが弱すぎるんだけどね!!!』 ぞれば・・・ない・・・ばでぃざば・・・ もりの・・・おうじゃ・・・ にんげんざんいがいなら・・・ 『そうなんだ!!! まりさは森の王者だから、人間さん以外なら 勝てるんだね!!!!』 ぞうだ・・・ にんげ・・・ん・・・ざん・・・いがい・・・ な・・ら・・・ 『じゃあ、もう一回、時間を戻してあげる!!!』 でも・・・ばでぃざば・・・ にんげんざ・・・んにば・・・かでないんだ・・・ 「ぜ・・・・ゆっ!?」 「ゆっくりしていってね!!!まりさ!!!」 「「「「「おとうしゃん!!!!ゆっくちちていってにぇ!!!」」」」」 まりさの目の前には、れいむと、5匹の子供たちがいた。 まりさが狩りに行くため、巣から出て行く前までに時間を戻されていたのであった。 まりさは信じられなかった。 幾千幾万と見続けたれいむと子供たちの残骸。 その残骸だったはずの家族が今、目の前で、ニコニコと笑っているのだ・・・。 まりさは嬉しさのあまり、瞼に涙を溜めた。 れいむ・・・ おちびちゃん・・・ まりさは・・・みんなのためなら・・・ どんなことでもするよ・・・ みんなが生き残るなら・・・どんなことでも・・・ まりさは人間さんには適わないけど・・・ それでも・・・それでも・・・ まりさは・・・ まりさは今、久々に見る家族の元気な姿に、号泣寸前であった・・・ 「み・・・みん・・・みん」 『ゆっくりしてる場合じゃないよ!!! あと少しで人間さんが来るよ!!! ゆっくりしていないで早く逃げてね!!!』 まりさの頭の中で声がした。 そうだ・・・ 今なら・・・ 今ならっ!!!! 間に会うっ!!!! 「みんなぁぁぁっぁああ!!!! ゆっぐりじないでっぇぇえええ!!! ばやぐにげるよぉおぉおおお!!! ごわいにんげんざんがあぁぁああ!!! ちがづいでるよぉおおおぉ!!!!」 まりさは泣き喚いた。 その声にれいむや子供たちは、一瞬、固まり、 しばらくした後に・・・ 「きょわいよぉおぉおおぉお!!にんげんしゃんはぁぁぁあ!!!きょわいよぉお!!」 「ゆんやぁぁああ!!!!ゆっくちできにゃいぃいいい!!!」 「もうやじゃぁぁぁぁあああ!!!!おうちきゃえるぅうぅううl!!!」 「どぼぢでしょんにゃこちょいうにょぉぉおおぉおおぉ!!!!」 「おとうしゃんん!!!おきゃあしゃんんんん!!!たしゅけちぇぇぇえ!!!」 下腹部をプルンプルンと震わせて、転げまわるように泣き出す子供たち。 「まりさ・・・おちびちゃんたちがこわがってるよ・・・」 れいむもまた、体を小刻みに震わせる。 みな一様に、ゆっくり出来ない声をあげたまりさを、 畏怖の視線で見つめだす。 自身の逸る気持ちを思わず、声にしてしまい、 家族に必要以上に不安にさせてしまったと、気づき、 失敗したと思うまりさ。 「ゆ゛っ!!! ご・・・ごべんねぇええ・・・ でも・・・にんげんざんが・・・ちがづいでるのば・・・ ぽんどの・・・ごどだぜ・・・」 まりさのもまた、体を震わせていた。 早くこの場から家族を連れて立ち去りたい。 それだけしか頭になかった。 「どぼぢでぞんなごどをいうの・・・」 れいむは、怖がりながら問いかける。 さっきまでゆっくりしていたまりさが、 なんでこんなにゆっくり出来ないことを言うのか、 不思議でたまらなかった。 「おちびじゃんだぢ・・・ ごわがらぜで・・・ごべんねぇ・・・ ぼ、ぼら・・・おどうざんの・・・ おぼうじのながに・・・ ゆっぐりじないでばいっでねぇえ・・・」 まりさは、自身の帽子を脱ぎ、 その中に、子供たちを詰め込んでいく。 「おとうしゃんんん!!!きょわいよぉお!!!」 「しょうだよぉおお!!!もっちょゆっくちちようよぉおぉ!!!」 「きょきょはみんにゃのゆっくちぷれいしゅにゃんだよぉお!!!」 「ゆっくちちちゃいよぉおぉおお!!!」 「ゆんやぁぁあ!!!!どぼぢでしょんなこちょいうのぉぉぉぉ!!!」 相変わらず、泣き続ける子供たち。 それをお構いなしに、無理矢理、帽子に詰め込んでいく。 「いちゃいぃぃい!!!」 「ゆっくちぃいぃいい!!」 「つぶりぇりゅぅうぅう!!!」 「やめちぇぇええええ!!!」 「だちてえぇぇぇええ!!!!」 無造作に帽子に詰められて、それぞれ、悲鳴を上げる子供たち。 そんなことは一切無視するまりさ。 まりさは、もうすぐ襲い掛かってくるだろうと思われる人間への恐怖で、 いっぱいであった。 今、ゆっくりしてたら、殺されてしまう。 まりさは、それ以外のことは考えられなくなっていた。 何万回と挑んで負けた記憶が、ここに来て、やっと餡子に定着したのか、 自分より圧倒的に強い人間たちが、自分たちを潰しにやってくるという恐怖のあまり、 体はプルプルと震え、子供たちを入れるおさげも痙攣を起こし、 入れる最中に急に止まってしまったり、 さらには、れいむの前だというのに、チョロチョロとしーしーを 漏らす醜態を晒してしまった。 ブリュ ブリリィイィイ!!! まりさは、強く目を閉じた。 なんと、抑えきれない恐怖が、うんうんまで漏らしてしまったのだ。 まりさの自尊心は、この時、ポキッと折れてしまった。 いくらなんでも、人間に対して、恐怖心を持っているとはいえ、 最愛の妻の前で、しーしーどころか、うんうんを漏らすとは・・・ 自称、森の王者と名乗っていたことに対して、 まりさは、物凄く恥ずかしくなった。 こんなに人間さんを恐れるなんて・・・ こんなに人間さんが怖いなんて・・・ まりさはかっこ悪い・・・ 大好きなれいむの前で・・・ しーしーさんだけじゃなくて・・・ うんうんさんを漏らすなんて・・・ なんてかっこ悪いんだ・・・ 「ゆ゛ぐっ・・・ゆ゛・・・」 目を閉じたまま、まりさは泣き声を押し殺した。 恐らく、れいむはこんなかっこ悪い自分を見て、ドン引きしているだろう。 なんて情けないんだと言わんばかりに、ただひたすら泣き続けるまりさ。 まりさは、自身のゆん生の中で、心の底から後悔をした。 自分が人間に適うなど思っていた驕りに。 まりさは弱かった。 人間と幾度戦った結果、やっとそのことに気づいた。 そして、餡子には人間への恐怖が今、まりさを完全に支配している。 体のコントロールはまりさの意思に反して、体中の餡子が悲鳴を上げている。 その事実に気づいた時、まりさは人間には絶対適わないということを、 ここで再度理解したのである。 「まりさ・・・」 無様に体を震わせて、時々、ピクピクと痙攣を起こして、動かなくなると思ったら、 しーしーやうんうんを漏らすまりさを見て、案の上、ドン引きしているれいむ。 「ゆ゛っ!!!こんなしてるばあいじゃないんだぜっぇええl!!!!!」 まりさは、れいむの声を聞いて、やっとのことで我に戻った。 「ここはにんげんさんがくるから!!! ゆっくりしないではやくにげるんだぜっぇぇえ!!!」 まりさは、そういうや否や、即、その体をピョンピョンと弾ませて、 森の奥深く目指して、全力疾走していった。 「まって・・・まりさ・・・れいむには・・・あかちゃんが・・・」 まりさに着いて行こうと、身重の体に鞭打って、 まりさのスピードに付いて行こうとするれいむ。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 まりさはゆっくりしないで、とにかく森の中へ目指していく。 森の中なら安全だ・・・ 人間もそこまでやってこない・・・ 森の中へ行くんだ・・・ 急いで森の中へ・・・ 「ばで・・・ざ・・・ま・・・で・・・」 れいむが苦しそうに息を切らしているのにも関わらず、 れいむのことを無視し続けるまりさ。 「ゆげっぇえええ!!!」 「ゆっくちできにゃいぃいいぃ!!!!」 「つぶれりゅうぅうう!!!!」 「れいみゅぅうう!!!あんこしゃんはいちゃだめぇっぇえ!!!」 「おとうしゃんんん!!!ゆっくちちてぇぇぇええ!!!!」 まりさが、飛び跳ねる度、帽子の中の子供たちが、苦しそうな声を上げる。 恐らく、乗り物酔いにでもあったように、 急激な揺れに耐え切れず、餡子を吐いている子供もいるようだ。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 だが、そんなことは一切、気にせずに、ただ走り続ける。 その足取りはドンドン速くなっていく。 人間さんから逃げる・・・ 人間さんから逃げる・・・ 人間さんから逃げる・・・ まりさの頭の中には、もう家族のことは頭になかった。 人間から逃げる。 これ以外のことは何も見えないし、聞こえない。 もうひたすら逃げることに固執していた。 「ばで・・・も・・・だ・・・め・・・・」 れいむが苦しそうな声を上げた瞬間、 ブジュ!!! ブリリリリィイィイ!!!! 何か、まりさは、ふとれいむがいる後ろを振り向いた。 すると、まむまむから、ドロドロになった餡子が流れ出て、 苦しそうに横たわっている顔色の悪いれいむがいた。 あんよとまむまむが薄皮一枚で分かれているゆっくりにとって、 急激な運動は流産の原因にもなるため、胎生にんっしんの場合、 絶対安静が必要である。そのため、にんっしんしているゆっくりは、 その間は巣に徹底して閉じ篭るのが常識なのだが・・・。 まりさはそのことをすっかり忘れていた。 餡子の中には、小さなリボンと帽子が2~3個混じっていた。 おそらく、この餡子は、胎ゆっくりであろう。 「ゆあぁっぁぁぁぁぁ!!!どぼぢでぇっぇっぇええ!!!!」 まりさは思わず声を上げた。 バカな! まりさはれいむとおちびちゃんたちを守るために!! あそこにいたらみんな殺されていた!!! だから逃げたのに!!! どうして!!!! まりさの頭の中は混乱していた。 『それはそうだよ!!! れいむはにんっしんしてたんだよ!!! あんなに激しく運動したら流産してしまうよ!!!』 まりさの頭の中で、再び声がした。 嘘だっ!!! まりさはれいむとおちびちゃんたちを守るために・・・ 『にんっしんしているれいむもいるんだからもっと考えてよ!!!』 ゆっくりしてたら人間さんがやってきて・・・ れいむとおちびちゃんたちが・・・・ それにゆっくりしないで急げって言ったのは・・・ お前じゃないか・・・ 『だからといっても、これはゆっくりしてなさすぎ!!! その結果、れいむのお腹のおちびちゃんたちがみんな死んじゃったよ!!! そんなこともわからないなんてバカなの?死ぬの?』 そんなこと・・・ そんなこと・・・ そんなこと・・・ まりさは、何もかもがおかしくなっていた。 森の王者だった自負は、砕け散り、 守るはずの家族を自分のせいで殺してしまい、 まりさの中で何かがおかしくなっていた。 『しかし、お笑いだね。 人間さんに勝てるとか言ってた割には、 人間さんに勝てないってわかると、 ビクビク震えて怖気づくなんて・・・』 やめろ・・・ 『その上、しーしーやうんうんまで出して・・・ かっこ悪いよ!!! しーしーやうんうんに塗れて、 おー臭い臭い!!!』 やめろ・・・ やめろ・・・ 『さらに、れいむにドン引きされて、 情けなく涙なんか流しちゃって!!! ホント無様だね!!!!』 やめろ・・・ やめろ・・・ やめろ・・・ 『しまいには、れいむのお腹のおちびちゃんたちを 殺しておいて、 どぼぢでぇっぇっぇええ!!!!(笑) とか・・・・ ホント、まりさはバカなんだね!!! どぼぢでぇっぇっぇええ!!!!(笑) だって!!! ホント、かっこ悪いね!!! どぼぢでぇっぇっぇええ!!!!(笑)」 やめろ・・・ やめろ・・・ やめろ・・・ やめろ・・・ 『ねえ、どぼぢで辞めないといけないの? ねぇ、どぼぢでぇっぇっぇええ!!!!(笑)」 やめろ・・・ やめろ・・・ やめろ・・・ やめろ・・・ やめろ・・・ 『どぼぢでぇっぇっぇええ!!!!(笑) どぼぢで辞めないといけないのぉぉお!!!!(笑)』 やめ 「ろっでいっでるのがぎごえないのがぁぁぁっぁぁぁぁdfkljcvmfrヴんlthmszんdfyglvrtm!!!!!」 まりさは、修羅の形相で、まむまむから餡子を流して、 苦しそうにしているれいむに向かって睨みつけていた。 「ゆっ・・・れい・・・む・・・これ・・・はま・・・ちがい・・・なんだ・・・」 ふと、我に戻り、気が抜けた表情で、 れいむに誤解を解こうとする。 「れい・・・む・・・だいじょ・・ぶか・・・なんだ・・・ぜ・・・」 餡子を垂れ流して、苦しそうにするれいむに近づいていく。 「まりさ・・・がわるかったんだ・・・ぜ・・・・ おちび・・・ちゃんは・・・また・・・つくれ・・・ばいい・・・だぜ・・・」 額から汗を流し、れいむから視線を逸らすまりさ。 「・・・じ・・・ね・・・」 れいむは、まりさを睨みつけて、呪詛の言葉を投げかけていた。 「ゆっ!?」 れいむの思わぬ言葉に仰け反るまりさ。 「ゆっぐり・・・でぎないばでぃざば・・・ゆっぐりじ・・・ね・・・」 そんな・・・ まりさは・・・ れいむの・・・ まりさはショックを隠せなかった。 最愛のれいむから、ゆっくり出来ない言葉を言われて・・・。 「ゆっぐりでぎないばでぃざばぁぁぁあ!!! ゆっぐりじねぇぇぇええええええええ!!!!!」 れいむの怒りの叫びが、森に響き渡る。 『ホント無様だねぇ~!!! ねぇ、最愛のれいむに死ねって言われるのって、 どんな気持ち!? ねぇ、どぼぢでぇっぇっぇええ!!!!(笑)』 再び、まりさの頭の中に声が聞こえ始めた。 うるさいっ!!! 『どぼぢでぇっぇっぇええ!!!!(笑) どぼぢでうるさいのぉぉお!!! ぱぴぷぺぽぉぉおぉお!!!!ぱぴぷぺぽぉぉぉお!!!』 うるさいっ!!! 『どぼぢでぇっぇっぇええ!!!!(笑) どぼぢでぇっぇっぇええ!!!!(笑) どぼぢでぇっぇっぇええ!!!!(笑) どぼぢでぇっぇっぇええ!!!!(笑) どぼぢでぇっぇっぇええ!!!!(笑) どぼぢでぇっぇっぇええ!!!!(笑)』 うるさいっ!!! 「ゆっぐりでぎないばでぃざばぁぁぁぁっぁぁあぁあ!!!!ゆっぐりじ!!!!」 その時であった。 まりさは空高く舞い上がり、れいむに圧し掛かった。 「ゆぶっ!!!!」 れいむの体から体内の餡子が溢れ出た。 「じねぇぇぇぇええ!!!! じねぇぇぇぇぇぇえええ!!! じねlfkljdmヴォフgンmvtヌモgdvnygvmtノイsンrtm!!!」 まりさは、れいむの体の上を何度も飛び跳ねた。 何度も何度も飛び跳ね、辺りには餡子が撒き散った。 目の色を真っ赤にして、とにかく一心不乱に飛び続けるまりさ。 いつしか、帽子も勢いに負けて、まりさの頭から転げ落ちた。 そして・・・。 「ゆげっぇええ!!!」 「「「「れいみゅぅうぅうう!!!!」」」」 まりさの帽子の中に入っていた子供たちが次女のれいむを押しつぶしてしまった。 「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・」 次女のれいむは体から、餡子を漏らして、断末魔の声を上げていた。 「れいみゅぅうぅう!!!ゆっくちぃぃいい!!!」 「ぺ~りょぺ~りょ!!!どぼぢであんごしゃんででぐりゅのぉぉお!!!」 「ゆんやぁぁぁああああ!!!どぼぢでまりしゃのおねぇしゃんがぁぁあああ!!!!」 長女のれいむ、三女のまりさ、四女のれいむは、次女のれいむの体を舐めて、 ひたすら傷を治そうとする。 「おとうしゃんんんん!!!おねえしゃんがいちゃがってるよぉおぉ!!!」 末っ子のまりさはひたすらまりさに呼びかける。 「じねぇjねjしんvもいうvmrのあいsmvんとあ!!!!!」 だが、そんな子供たちのことなど、気にせずに、 ひたすら、れいむの体の上で飛び跳ねるまりさ。 「も・・・ちょ・・・ゆっく・・・ち・・・しちゃか・・・ちゃ・・・」 「「「「れいみゅぅうううぅうううぅうぅうううううう!!!!!!」」」」 次女が死に、大きな声でなく子供たち。 「ゆふぅ・・・ゆふぅ・・・」 まりさが落ち着いた時には、れいむは皮だけになっており、 辺りは餡子塗れになっていた。 息を切らしながら、まりさは、泣きじゃくる子供たちを見た。 「ゆんやぁぁぁああぁぁああ!!!!」 「れいみゅぅううぅうう!!!!!」 「もうやじゃっぁぁぁああ!!!おうちかえるぅうぅうう!!!!」 ふと、我に返り、 子供たちの泣く姿を見て、ここまではいけないと思うまりさ。 あのれいむは、ゲスだった。 まりさがせっかく、人間さんから逃げる手引きをしてあげたのに、 一生懸命に、怖い怖い人間さんから逃げるのに頑張ってる 森の王者のまりさに向かって、死ねだって? そりゃ・・・お腹のおちびちゃんたちにはひどいことをしたと思ってるよ・・・ でも・・・あれは必要な犠牲だったんだ・・・ そうだ・・・まりさは悪くない・・・悪いのはすべて人間さんなんだ・・・ そうだ・・・まりさは悪くない・・・怖いのはすべて人間さんなんだ・・・ 森の王者のまりさでも、怖い人間さんに勝てなくても仕方がないんだ・・・ そんなこともわからないんなんて・・・あの声もゲスなんだ・・・ バカなんだ・・・だって・・・人間さんは怖いんだよ・・・ 人間さんのことを考えると体の震えは止まらないし、 しーしーさんやうんうんさんを漏らすのも仕方がないんだよ・・・ 森の王者のまりさだって・・・人間さんが怖いんだ・・・ そうだ・・・このおちびちゃんたちも・・・ 人間さんが怖いんだ・・・だから泣いてるんだ・・・ まりさのかわいいおちびちゃん・・・ 泣かないでね・・・・ 人間以外なら・・・一番強い森の王者のまりさの子供なんだから・・・ 泣かないでね・・・ まりさは、にこやかな笑顔で、子供たちに話しかけようとした。 「おちびちゃ」 「ゆっくちできにゃいくしょおやはゆっくちちね!!!」 まりさが心配の声を上げようとした矢先、 末っ子のまりさが、涙を流しながら、まりさを睨みつけた。 次の瞬間、 「ゆべぇ!!!」 末っ子のまりさはまりさのによって、潰された。 「おやにしねっていうげすはせーさいするよ!!! まりさはもりのおうじゃなんだよ!!! にんげんさんいがいなら!!!つよいんだよぉおお!!!!」 目が虚ろになり、焦点がどこかに向いているまりさ。 「さぁ、おちびちゃんたち!!! はやくにんげんさんからにげようねぇっぇええ!!!」 再び、にこやかな笑顔で子供たちに話しかけた。 「ゆびぃいいぃいい!!!ころしゃにゃいでぇえええ!!!」 「ゆんあぁぁああぁぁぁああ!!!!しにちゃくないよぉおぉお!!!」 「おきゃあしゃんんん!!!たすけちぇぇええええ!!!!」 残った子供たちは、みな、まりさをもう、父親とは思っていなかった。 ゆっくり出来ない何かだとしか見えていなかった。 「おちびちゃんたち・・・ いいかげんにしてよね・・・ そんなおとうさんがいやなら・・・」 まりさは、笑顔を保ったまま、三度飛び掛ろうとあんよに力を入れた。 「う~う~あまあま~」 その時であった。 れいむと、末っ子のまりさの餡子の匂いに釣られて、 れみりゃがやってきたのだ。 「「「れ、れ、れ、れみりゃだぁぁぁぁあ!!!」」」 子供たちは、一斉に泣き叫んだ。 「ゆぁぁぁっぁあぁっぁああああ!!!!」 まりさもまた、しーしーとうんうんを漏らしながら、 叫び声を上げた。 「おまえだぢばぁぁぁああ!!! ばでぃざのみがわりになるんだぜっぇぇえええ!!!!」 と、言い残し、全力疾走するまりさ。 「どぼぢでじょんなごじょいうのぉぉお!!!」 「じねぇぇええ!!!おまえなんがぁぁ!!!おやじゃにゃいぃい!!!」 「ゆっぐりじねぇぇぇええ!!!」 子供たちは、それぞれ、まりさに向かって、罵声を浴びせた。 「う~あまあまだど~」 れみりゃは子供たちを手に取り、食べ始めた。 「「「ゆんあぁぁぁぁっぁあぁっぁfkjkhdvんfmんあぅm!!!!!」」」 子供たちの悲鳴を聞き、さらに加速するまりさ。 まりさは森の王者なんだ!!! 人間以外だった勝てるんだ!!! でも!!! れみりゃは別なんだ!!! れみりゃだけは!!!! まりさは森の王者!!! でも人間さんとれみりゃだけは!!!! ブリュ!!ブシィー!!! ブリュ!!ブシィー!!! ブリュ!!ブシィー!!! 飛び跳ねるた度に、うんうんとしーしーを撒き散らすまりさ。 その姿は、誰が見てももう・・・。 森の王者とはかけ離れた姿。 「う~めいんでっしゅだど~」 10秒後。 「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・」 顔中が穴だらけになり、息絶える寸前のまりさ。 「う~おなかいっぱいだど~」 どうして・・・ どうして・・・ どうして・・・ こうなった・・・ どこでまりさのゆん生はおかしくなったんだ・・・ 『教えて上げようか!!! どぼぢでこうなったか!!!(笑)』 うるさい・・・ おまえなんか・・・ おまえなんか・・・ 『しかし、ホント、笑いが止まらないね!!! 人間さん以外にもれみりゃにも勝てないんだね!! それで森の王者って!!! ホント、おかしいね!!!!』 もういい・・・ 殺して・・・ まりさは・・・ 疲れた・・・ もういい・・・ 『いやいや、どうしてこうなったか知りたいっていったのは・・・ まりさだよ!!! だから、教えて上げるよ!!!』 もう・・・戻りたい時間なんか・・・ない・・・ 『そりゃそうだね!!! あんなゲス(笑)な家族なんて見たくないんでしょ!!!』 そうだ・・・ あんなゲスども・・・ 見たくもない・・・ あんな奴らのために・・・ 人間に戦いを挑んだなんて・・・ なんて・・・バカだったんだ・・・ 『違うよ!!! あの時は、そうだったかもしれないけど・・・ 最初はまりさ自身のために人間に戦いを挑んだんだよ!!!』 嘘だっ!!! そんなこと・・・ 『まあ、いいよ・・・。 教えて上げるね!!!ゆっくりと・・・』 もういいって言ってるじゃないか・・・ もうまりさは・・・ 『いやいや、ここまでいろいろと時間を戻して上げたんだ・・・ せめて・・・ちょっとだけ私に付き合ってよ・・・』 もう嫌だ・・・ 何も見たくない・・・ 『大丈夫だよ。もう痛い目に会うこともないから!!! 安心してね!!!』 もう・・・何も・・・ 『じゃあ、まりさのゆん生がどこでおかしくなった教えて上げるね!!!』 ボロボロになったまりさの体が、光に包まれて消えていった・・・。 つづく あとがき 次回、完結編。 これで終わりです。 自作からは読み切りにします。 連載モノだと、区切るのが難しい。 他の作品 ふたば系ゆっくりいじめ 149 鞭打 ふたば系ゆっくりいじめ 155 糞饅頭 ふたば系ゆっくりいじめ 159 ユグルイ その1 ふたば系ゆっくりいじめ 162 ユグルイ その2 ふたば系ゆっくりいじめ 168 ユグルイ その3 ふたば系ゆっくりいじめ 169 ゲス愛で派 ふたば系ゆっくりいじめ 173 ユグルイ その4 ふたば系ゆっくりいじめ 187 頭でなく心に訴える ふたば系ゆっくりいじめ 188 ユグルイ その5 ふたば系ゆっくりいじめ 192 長寿と繁栄を・・・前編 ふたば系ゆっくりいじめ 200 長寿と繁栄を・・・後編 ふたば系ゆっくりいじめ 221 FFR ふたば系ゆっくりいじめ 230 本気で勝てると思ってたのか? ふたば系ゆっくりいじめ 231 長寿と繁栄・・・完結編 ふたば系ゆっくりいじめ 236 ユグルイ その6 ふたば系ゆっくりいじめ 243 死すべき生物 ふたば系ゆっくりいじめ 250 ゆっくりSSをれいむに読ませてみた ふたば系ゆっくりいじめ 263 飾りの価値は 起 ふたば系ゆっくりいじめ 265 飾りの価値は 承 絵 ふたば系ゆっくりいじめ 283 飾りの価値は 転 ふたば系ゆっくりいじめ 286 飾りの価値は 始 ふたば系ゆっくりいじめ 292 時をかけるまりさ 前編 ふたば系ゆっくりいじめ 299 時をかけるまりさ 中編
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『優しいおにいさん』 3KB いじめ 観察 思いやり 愛情 いたづら 飾り 家族崩壊 野良ゆ 子ゆ 都会 現代 すごく久しぶりに書きました 優しいおにいさん 「おぢびぢゃぁぁぁんどごにいるのぉぉぉぉ!!」 とある路地裏で薄汚いれいむが叫んでいる。 そこに一人の男が通りかかる。 「やぁ、れいむ。ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっぐりじでいっでね!!!・・・っゆ!それどころじゃないんだよ!!れいむのかわいいおちびじゃんがぁぁぁ!!」 「もしかして居なくなっちゃたのかい?」 「ぞうなんでずぅぅぅ!!しんじゃったまりさににたとってもゆっくりしたおちびちゃんがぁぁぁ!!」 「それは大変だ。僕も探すのを手伝ってあげよう。」 「ゆっくりしたおにいざん!!ありがどうございまずっ!」 ~数分後~ 「駄目だ・・・この辺を見て回ったけど何処にも居なかったよ。」 「ゆぅぅぅぅ!?ぞんなぁぁぁぁ!!」 「れいむ、言いにくいけどたぶん君のおちびちゃんはもう・・・」 「ゆ・・・。おにいざん、わかっでるよ・・・にんげんさんにもみつけられないんだからおちびちゃんはもうえいえんのゆっくりぷれいすにいっちゃったんだね・・・」 「・・・すまないれいむ。僕がもう少し早くここに来ていればおちびちゃんが見つけられたかもしれないのに!」 「ゆ、おにいさんは・・・わるくないよ。」 「れいむ・・・」 「れいむが・・・れいむがおちびちゃんからめをはなしていなければごんな・・・ごんなごどには・・・ゆぅぅぅ!!」 「れいむ涙を拭くんだ。過ぎたことをいつまでも悔やんでも仕方ない。おちびちゃんもきとそんなお母さんは見たくないって言うぞ。」 「そうだね・・・。れいむはおちびちゃんのぶんまでゆっくりいきていくよ!!(キリッ)」 「君は野良におくには惜しいほど素直だね。・・・そうだ!そんな君にいいものをプレゼントしよう。」 「ゆ?いいもの?」 「ほらさっき見つけた飾りのない変なゆっくりさ。こいつを君に進呈しよう。」 「ゆんやぁぁぁぁ!!おきゃぁぁぁしゃぁぁぁんきょわっかっちゃよぉぉぉ!!」 「ゆゆゆ!ほんとだね!うすぎたなくてきもちわるいゆっくりがいるよ!!」 「おきゃーしゃん!?どぼぢでじょんなぎょぢょいうのぉぉぉ!?まるでちじょうにまいおりたてんちしゃんのようなまりちゃがかえっちぇきたのにぃぃぃぃ!!」 「ばかいわないでね!!おまえみたいなごみくずがれいむのおちびちゃんなわけないでしょぉぉぉ!!」 「あらら、こいつはひどいゲスだな。れいむ、おちびちゃんの代わりといっちゃ何だがこいつをいじめて傷ついた心を存分に癒してくれ。」 「ゆっくりりかいしたよ!!こんなへんなゆっくりをいじめるくらいじゃれいむのかわいたこころはいやされないけどぞんっぶんにいためつけてやるよぉぉぉ!!」 「やじゃぁぁぁ!!おきゃーしゃん!どぼじでぞんなごぢょいうのぉぉぉ!?」 「うるさいよ!れいむのすとれすのはけぐちになれることをこうえいにおもってね!!」 「ゆぴぃぃぃぃ!!やじゃ、やじゃぁぁぁ!!」 「それじゃ僕はこの辺で、れいむ強く生きるんだぞ。ゆんごくに逝ったおちびちゃんのぶんまでな。」 「おちびちゃん・・・ゆんごくでみててね。おかーさんはつよくいきていくよ。」 「まりちゃここにいるよぉぉぉ!!ゆんやぁぁぁぁぁぁ!!」 「うるさいよ!!さっさとおうちにいくんだよ!!いますぐでいいよ!!」 「ゆんやぁぁぁ!!まりちゃのしゃらしゃらへあーしゃんをひっぱらないぢぇぇぇぇぇぇ!!」 「うるさいよ!おまえみたいなゲスはおうちについたらさっそくおしおきだね!!」 「ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 ~数日後~ あのれいむがどうなったか見に来た僕だったが見つけられたのは大小の黒い染みだけだった。 あの二匹がどうなったか興味があったので実に残念だ。 仕方ないので帰ろうと思ったがふと思いついてポケットから入れっぱなしでくしゃくしゃになった黒い帽子を取り出して小さい染みのほうに乗せてやった。 「よかったなれいむ、おちびちゃんが見つかったぞ。」 おわり
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必要なのは助けてくれる人 ◆Mangas0mkg 「吉良さん……」 江戸川コナンは殺人鬼との戦いに身を投じていった仲間の事を思う。 吉良は果たして、あの戦いで相手をどうするつもりだろうか。 適当に相手をして、そのまま逃げ切るつもりなのか。 それとも、説得して殺し合いから手を引かせるのだろうか。 あの場にいないコナンには推理する以外に手はないわけだが、正直な話、どちらも考えにくい。 吉良の性格や能力から考えて、あの少女を生かしておくとは考えづらいのだ。 恐らく、彼はあの少女を殺す気で戦っている。 (どうする? 本当に吉良さんを一人にして良かったのか?) 倫理的に考えて、この場で殺人をするかもしれない吉良を止める事が良い、とは必ずしも言い切れない。 強制された人殺しの空間で、自分の身を守るために闘おうとする人は決して悪ではない。 仮に、あくまでも仮に、吉良があの少女を殺したとしても、裁判になれば吉良は無罪だろう。 それはコナンにも理解できる。しかし、彼は人殺しに対して絶対的な拒否反応を持っている。 頭のいい江戸川コナンは、倫理や道徳と言うものが必ずしも殺人を否定しているわけではない事を知っている。 あくまで、「知識として」ではあるが、世の中には殺人を肯定する倫理が存在する事を彼は知っている。 しかし、その知識をもってしてなお、「理解できない」のが殺人なのだ。 (やっぱり、彼をあのままにはしておけないよな……) 江戸川コナンが東の高校生探偵と呼ばれるまで、殺人事件を解決し続けたのも一つには殺人を嫌ったからである。 一度は足手まといになるからという理由で吉良にあの場を任せたが、やはり放っておけない。 坂田と違って、吉良は殺人を肯定する可能性がある。なまじ力があるだけに、あの少女を殺しかねない。 それに今回の場合、少女の方にも力がある。あの槍を用いた突撃力と攻撃力には目を見張るものがあった。 いつぞやの覚悟ほどではないにしろ、彼女は確かな力を持っている。 そして、その彼女が明白な殺意の下、吉良に攻撃を仕掛けてきたのだ。 間違いなく、あの場では殺人が起こりうる。 「……ねぇ、新八兄ちゃん。ルイズ姉ちゃん……」 コナンはやはり探偵だ。殺人を見逃して、自分だけが助かるなど、どうしてそんな道が選べようか。 「僕、ちょっと用事思い出したから、病院に戻るよ。先に行ってて」 「ちょっと、いきなり何言ってるのよ」 「用事って……まさか……」 コナンに吉良や、あの少女を止める力はない。そんな事は分かっている。 コナンにはスタンドを操る力もなければ、銀時のような剣術もない。 あるのは、探偵として養ってきた頭脳だけだ。 「うん、ちょっとね……」 そんなコナンが、何しに行くかを説明すれば、新八とルイズは止めるだろう。 この状況で、無力な人間が殺人を止めに行くのは、ほぼ不可能である。 その上、コナンは具体的な人殺し防止策を持っているわけではない。 そんな彼が、吉良の場所に戻ると言うのは即ち自殺行為なのだ。 「コナン君、まさか吉良さんのところに戻るつもりじゃ……」 「そ、そういう訳じゃないよ……ただ、ちょっとね……」 頭脳は大人と思っていても、すぐさま言い訳が思いつくほど状況に恵まれているわけではない。 だから言いよどんでしまう。 せめて、この場で使う言い訳ぐらいまともなものを用意したいところだが、手持ちの情報や道具が少なすぎる。 「あ、ほら……包帯とか持ってくるの忘れちゃったから、取りに戻ったほうがいいと思ってさ。 覚悟さんも怪我してるんでしょ。だったら、もう一回診てあげないと」 「アンタ馬鹿でしょ、病院にはあの大男がいるのよ、戻ったってしょうがないじゃない」 「で、でもさ……包帯や消毒薬は必要だよ。だって、これから怪我するかもしれないでしょ」 苦しすぎる言い訳だというのは自覚している。 しかし、それを差し引いてもあのまま吉良を放っておく事など出来ないのだ。 探偵としての勘が、あの場で殺人が起こる事を予言している。見てみぬ振りなど、出来るはずがない。 「コナン君、病院に戻るのは覚悟君と合流してからで構わないでしょ」 (それじゃ、間に合わねーんだよ!) 「で、でもさ、覚悟さんがどこにいるか分からないでしょ。だったら、いつ病院に戻れるか分からないじゃない」 「病院じゃなくたって、簡単な治療道具ぐらい手に入るよ」 やはり苦しい。四の五の言い訳して戻るよりは、はっきり人殺しを止めたいと言うべきかも知れない。 いや、それを言ったところで無駄か。 コナンには人殺しを止めたいと言う願いはあっても、力はないのだから。 「カクゴがどこにいるか分からないって言っても、病院に戻るわけないんだから、 カクゴを探すためにも病院には戻れないわよ」 ルイズや新八の言うとおりだ。 コナンは何を言っていいか分からなくなってしまった。 そもそも、いつものコナンであれば「あれれぇ~~なんか変だぞぉ~~」等と言って、 大人たちの注意をどこかに向けて、たった一つの真実に気付かせていく事が出来る。 しかし、それはあくまで真実がたった一つの場合である。倫理や正義のように複数の存在があるケースではあまり向かない。 今回、殺人を止めるために吉良の場所に戻りたいというのはあくまで、コナンの願望であって、 決して不変の真理でもなければ、唯一無二の真実でもないわけだ。 だから、いつものような推理を展開して、彼らを理路整然とした言葉で説得するといった事はとても出来ない。 恐らく自分が吉良を止めたいから戻る、と本当のことを言った場合、彼らは彼らなりの反論をするだろう。 そして、その反論の中には確かな正義が含まれているわけであって、コナンに反論の余地はない。 だから困るのである。 まして、今の自分は小学一年生の体だ。 ここに阿笠博士の発明品でもあれば、状況は変わったかもしれないが、生憎とそんな都合の良いものは置いてない。 とすれば、自分が戻る事は即ち、新八とルイズに「僕を見殺しにしてください」と言っているようなものなのである。 戻る事など、許されるはずもない。 せめて、何か武器があれば……状況も変わると言うものなのだが…… コナンはもう一度自分の支給品が何であったかを思い出してみる。 武器と呼べる物はヌンチャク一つ。それとて自分の体で扱っていては、とても吉良や坂田に及ぶとは思えない。 元々の高校生の体で使ったとしても、まっとうな戦闘力は得られないだろう。 自分の無力さを考えれば、やはり武器とは自動小銃あたりが適切と言えるのだが、 これでは間違って相手を殺しかねない。 優れた武器であり、相手を殺さない武器と言えば思いつくところは時計型麻酔銃か。 何にしても、武器はない。それがこの場での結論である。 「とにかく、コナン君。あんまりノンビリもしてられないしさ。 出来る限り早く覚悟君たちを探さないと、僕たちの命も危ないんだよ」 全くの正論だ。 いっそ、思っている事全てを吐露してしまうか。 その方が無理なく、相手を説得できるかも知れない…… と、そんな時だった。 コナンの視界に、なにやら小さな物体が入ってくる。 大きさは人間の赤ちゃんほどもない。キャタピラ駆動により前進する車体。 猫の耳のような突起がついた特徴的なしゃれこうべを前面につけて、まっすぐコナンたちを目指してくる物体がある。 「ね、ねぇ。あれって……」 見間違えるはずもない。あの猫の耳は間違いなく、彼の使っていたスタンドのもの。 (それが何で、こんな所にきているんだ?) 理由は分からない。だが、吉良は交戦中のはずだ。 その彼が突然、妙な戦車もどきを出して自分たちの後を追いかけさせた? 一体、何が…… (まさか……吉良さんに何かあったんじゃ……) 先の少女との戦闘で、吉良の命に危険があったとしたら。 そして、その危険を伝えるべく使者を寄越したのだとしたら。 「新八兄ちゃん、あれを受け取って、吉良さんからのメッセージかもしれない」 「え? あ、うん……」 新八はコナンの言うとおり、それを持ち上げようとする─── その時だった。 ボ ンッ! 何かが弾ける音が聞こえた。 咄嗟に後ろへと下がる新八。 突然、戦車が爆発したのだ。 「だ、大丈夫? 新八兄ちゃん」 「何とかね……」 一瞬の回避により、軽傷ですんだ。 とは言え、吉良からのメッセンジャーと思われた存在からの突然の攻撃に、一同は戸惑いを隠せない。 「あ、あれは一体……」 疑問が口に出るルイズ。 恐らく、勤勉な彼女の魔法知識をもってしても全く知らない存在であろう小型戦車。 「吉良さんのスタンドに似ているから、メッセンジャーか何かだと思ったんだけど……」 「冗談じゃない、ヨシカゲが何であんなのを送ってくるのよ!」 全くルイズの言うとおりだ。 見た目から、吉良のスタンドの一種だと推測したが、そもそもコナンはスタンドと言うものを知っているわけではない。 恐らく、スタンドは何人かの人間が持っているものであり、その外見は皆、猫の耳のようなものを持っているのだろう。 そう考えると、目の前の小型戦車がどうして、こちら側に攻撃してきたのか理解できる。 ……いや、下手に結論を急ぐのは良くないか。 あれが、吉良のものであるとか、ないとか、そんな結論は今の段階では出せない。 仮に吉良のものだと考えるとどうなる? 突然、新八を攻撃した事から考えて吉良に殺意が生まれたと言う事か。 いや、考えにくい。 この短時間に、自分たちへの殺意を吉良が育てるとは思えない。 とすれば、最初から吉良は自分たちを殺すつもりだったのか。 まぁ、この場は殺し合いの空間だ。考えられなくもない。 しかし、これは恐らく違う。実際の殺意の有無はともかくとして、吉良は殺意を隠して自分たちと接触してきた人間だ。 その人間が、自分のスタンドと同じ顔を持つ戦車で攻撃してくるとは考えにくい。 もしもここで、コナンたちを仕留め損なったら、吉良の立場が危うくなる。 それぐらいだったら、最初から殺しに来るだろう。 だとすると、これもない。 とすると、仮にあの戦車が吉良のものだと考えた場合、残された可能性は、吉良には明確な殺意がないという物になる。 恐らく、先の戦闘で使用した武器が何らかの拍子でこちら側まで来てしまったと考えるのが筋だろう。 そうすると、本人が来ないで戦車だけが来てしまった理由も理解できる。 (どっちにしろ証拠がないよな……) なんにしても、結論をこの場で出す事は出来ない。 普段の殺人事件と異なり、この場ではコナンの知らない事が多すぎる。 それよりは、今この場をどう切り抜けるかが先になる。 逃げるか? いや、成長したルイズや新八ならともかく、小学一年生のコナンが逃げ切れるとは思えない。 小型戦車はそれなりの速度を有している。逃げ切れないコナンを二人が放って置くとも思えず、結果として3人とも逃げられない形になる。 とすれば、闘うか? いや、それも難しい。 というより、小型戦車の性能が分からないため、難しいか易しいかの区別すらつかない。 まずは、敵の力を分析するところから始めたい所だが、生憎とそんな余裕もない。 「とにかく、アイツを止めるわよ」 一番に前に出たのはルイズ。 短い付き合いだが、彼女が激しやすい性格である事は十分に理解できる。 「ルイズお姉ちゃん、まだアイツの事が分かってない! 余計な事は……」 「近づかなきゃいいんでしょ」 コナンが言い終わるよりも先に、ルイズは杖の力を振るってメイジとして闘おうとする。 詠唱とともに、小さな爆発がルイズの前で起こった。 ファイヤーボール。かつて、ルイズがキュルケとの勝負の際に学院の壁を破壊した魔法だ。 ちなみに、本来のファイヤーボールとは大分趣を異にする。 「ルイズ姉ちゃん、離れて!」 モクモクと上がる灰煙の中、小型戦車の動く音が聞こえる。 戦車の見た目にふさわしく、ルイズの爆発にも全く動じていない。無傷。それが戦車の状況だった。 「逃げるよ!」 敵の戦力は分かった。 この場で最大の攻撃力を持つ、ルイズの魔法に動じない防御力。 それさえ分かれば十分だ。逃げ切れるとは思っていないが、それでも、『逃げ』が最善手であることに違いない。 アイツと闘う事なんて出来やしない。 だが、それを遮る人間がいた。いや、正確に言えば3人で逃げることを拒否した人間が。 「コナン君、ルイズちゃん、ここは僕に任せて逃げてくれ」 志村新八である。 「ば、バー……、新八兄ちゃん。いいから、逃げて!」 「僕やルイズちゃんはともかく、コナン君は逃げられないでしょ。だったら、誰かがコイツを足止めしないとさ」 新八の前に、小型戦車が迫り来る。 新八が斜め前に、移動しつつ小型戦車をかわすと、それに釣られて戦車も動きを変える。 「僕なら、こいつを引き付けたまま、この場で避け続けることが出来る」 道場を経営しつつ、養った足腰は一般人の中ではそれなりに強い。 だが、いつまでも避けきれるものではないだろう。 「で、でも……」 「それに、今さら僕も逃げられなくなったっぽいしね……」 新八の周りを、小型戦車は追い掛け回す。 必死でかわす新八であるが、その動きは徐々に狭い範囲の中に閉じ込められている。 「出来る限り早く、誰か助けを呼んできてくれると助かるんだけど……」 ほんの少し、弱気を見せる。 けれど新八の表情はいつも通り、落ち着いたものだ。 (アイツ……俺の前じゃ弱気すら見せられねーってのか? それとも何か策でもあるってのか?) 襲い掛かる戦車をよける新八の身体能力は意外に高いものだったが、 それ以上に妙に落ち着いているのが気にかかる。 「もう一撃、魔法を食らわせたら、ソイツも止まるわよ。シンパチ、耐えなさいよ!!」 再び、ルイズが魔法を使おうとする。 「だ、駄目だよルイズお姉ちゃん。魔法なんか使ったら、新八兄ちゃんが先に死んじゃう」 「コナン君の言うとおりだよ、ルイズちゃん。大丈夫、僕には最後の武器もあるしさ」 足捌き一つで、戦車の攻撃をかわしつつ、新八は強がりを見せる。 どう見ても、あと5分と持つまい。本当に、誰かの助けを呼びに行ってよいものだろうか…… いや、考えている時間はない。何かは知らないが、新八には最後の武器もあると言う。 ここは信頼して、助けを呼びに行くのが筋と言うもの。 「行くよルイズ姉ちゃん。すぐに新八兄ちゃんを助けられる人を探してくるんだ」 「う……うん……」 ルイズは、コナンに言われるがまま、その場から走り去る。 目指すものは、覚悟でなくてもいい、とにかく新八を助けられる存在。 ◇ ◆ ◇ 江戸川コナン、ルイズ・フランソワーズの2人が去った後。 アスファルトの上に残されたのは、新八一人と一体の小型戦車。 新八は何とか戦車の攻撃をかわしつつ、生き延びている。 そもそも、戦車が本来の性能を持っていれば、最初の一撃で新八は死んでいた。 戦車からの攻撃を咄嗟にかわす事など、通常はできない事である。 この戦車、名前をシアー・ハートアタックと呼ぶが、こいつはコナンの推理通り、吉良のスタンドである。 そして、この場ではスタンド能力は非常に強い制限を受けている。 さらに、新八などのどちらかと言えば、一般人に属する人々の制限は弱い。 結果として、最初の攻撃もかわせたし、今も戦車の攻撃をよける事が出来ている。 この事を考えれば、制限万歳、ビバBADANと言いたくもなるが、残念なことに新八はBADANの存在を知らない。 それと、避け続けて気付いた事だが、戦車はとても小さい。 キャタピラ駆動のためか、二本足の新八と違って段差がとても苦手。 車道と歩道の間の段差さえ、登るのに若干のタイムラグが発生する。 もちろん、これも実際は制限によるもので本来は車道と歩道の間の段差ぐらい、この戦車には何ら障害にならないのだが、 それはともかく、そこに気付きさえすれば、意外と長時間引き付けておくことが可能かもしれない。 けれど、そうは言っても、相手は執拗に人間を追い回す戦車である。 そして、人間に近づいたら、先ほどのように爆発する戦車でもある。 やはり、志村新八は侍として、こいつを放っておく事など出来はしない。 「何とかしないとな……」 新八に残された武器はたった一つである。いや、正確に言うと二つか。 だが、残りの一つはどうしても使いたくない。やはり、一つだけで何とかするべきだろう。 新八は小さく戦う決意をして、帯に挟んであったその武器を取り出す。 正直な話、相手の小ささや、不気味だけれども紛れもない猫耳に、あまり恐怖を感じていない。 もしも新八にスタンドに対する正しい知識があったなら、ここまで冷静に事態に対処することなど出来なかっただろうが、 そこは運に恵まれたと言うことだろうか。 武器を左手に持ち、敵の攻撃をかわしながら新八は冷静に攻撃の機会をうかがう。 (武器は一つしかない。相手が爆発する戦車と言うことなら、相手の爆発に巻き込ませて使うのが一番だろうな……) 観察すべきは、敵が爆発する瞬間。その瞬間に、覚悟とともに持ち帰った首輪を誘爆させる。 よく観ろ、敵の動きはとても単調だから間違いなくあるはずだ。 爆発するための、簡単な法則が。この戦車には存在するはずだ。 (さっきから、一回しか爆発してないんだよな……) 一度の爆発は自分の体が近づいたとき。 あの瞬間、この戦車はたった一度だけ爆発した。 その他は、自分の体ほどもある段差にぶつかっても、爆発していない。 何かに接触して、爆発するというタイプの戦車ではなさそうだ。 (だとすると、人体の何かを感知して爆発するタイプかな……) 単純な行動をする生物(?)が、人体を検出する機構に何か覚えはないか。 新八は、自身の記憶を手繰って、探してみる。 小さな生物。それでいて、自分たち人間を正確に追跡する生物。 (何かいたよな……) つい先日、あの憎めない警察の所で見た気がする。それに似た生き物を。 夏の風物詩と言ってもいい、あの生き物は人間を追跡する確かな能力を備えていたはずだ。 それも、複雑な高次情報処理により人の姿かたちを認識する人間とは違って、至ってシンプルな方法でだ。 (この執拗なまでに人間を追いかけてくる習性。そして、シンプルな行動。小さい体…… コイツは蚊だ。蚊と同じなんだ) 蚊と同じであれば、二酸化炭素を追跡し、人間の場所を検出しているに違いない。 と言うことは…… (コイツに口を近づけて息吐いて、誘爆させろっての? 無理! 絶対無理!!) いくらかわし方が確立したとは言え、顔を近づけて首輪とともに爆発させるなんて、自殺以外の何物でもない。 (はい却下。次の案プリーズ。 出来ることなら、僕が傷つかないやり方をお願いします。 ルイズちゃんみたいに遠くから爆撃できるやり方でお願いします) ま、実際には蚊だって顔近づけなくても血を吸ってくる生き物なんだけど、新八がそこに気付かないのはご愛嬌と言う事で。 はてさて、一体どうやって、この戦車を壊したらいいものか。 ◇ ◆ ◇ 「とにかく、あのまま新八兄ちゃんを放っておく事なんて出来ないよ。 すぐに助けを呼ばなきゃ……」 「分かってるわよ」 新八と離れたコナンたちは南側に進んでいる。 タイムリミットは非常に短く、救命人員に求められるスペックはとても高い。 だが、それでも、コナンたちは誰かを探してこなければならない。 「ね、ねぇ。アンタさぁ、本当に誰か見つかると思ってるの?」 時間制限は凡そ5分。 コナンたちの足を考えれば、マップ上一つマスのを探索する事さえ出来やしない。 そんな時間の中、誰かを探す。ほとんど不可能に近い。 現在、生き残っている人間が約40人。そして、残りのマップが60マス。 単純な確率で言えば、コナンたちと同じマスに他の人間がいる可能性はきわめて低い。 「アンタがさ、シンパチを放っておいたから……ってゆーか、そ、そもそも、ア、アンタが病院に戻るとか言い出したから……」 コナンにも十分、彼女の言わんとすることは分かる。 だが、現状とれる最善の策があれしかなかったのだ。 「アアア、アンタ分かってるわよね。もしも、シンパチが死んだら。アンタのせいなのよ。 さ、さっさとカクゴ達を探していれば、あのちっちゃいのにも会わないですんだのよ」 「分かってるって…………だから、早く誰かを探そう」 できる事は、味方の捜索以外にない。 ルイズの愚痴は気にかかるけれども、相手にしている場合ではない。 早く探さないといけない。 「もしも、シンパチを見殺しにしたら……アンタ、絶対に許さないからね」 「……うん」 だからこそ、探さなければならない。 慌てふためいて、叫ぶ事だけなら誰にだって出来る。 探偵として、江戸川コナンは冷静沈着に新八の助けを呼ぶ必要があるのだ。 そんな時だった、コナンの目の前の小道から一人の少女が顔を出す。 木刀片手に走る少女。そんな少女が突然、昼時の街の曲がり角でコナンの目の前に現れた。 「新八がどうかしたアルカ?」 道のど真ん中、少女は自己紹介もコナンたちの素性確認もすっとばし、突然新八のことを聞いてくる。 「新八を見殺しって、どういうことアルカ!?」 微かではあるが、木刀を持つその手が震えていることに江戸川コナンは気付いた。 【F-5 北東(大通り)/一日目 午後】 【神楽@銀魂】 [状態]疲労、精神的に不安定 [装備]木刀正宗@ハヤテのごとく ジャッカル・13mm炸裂徹鋼弾予備弾倉(30×2)@HELLSING [道具]支給品一式 拡声器@BATTLE ROYALE [思考・状況] 基本:殺し合いには乗っていない人は守る、乗っている人は倒す 1:病院に行き、銀ちゃん(銀時)を捜す。 2:新八を見殺しって何? ってか、こいつら誰? 3:帰る方法を考える。 [備考]・原作18巻終了後から参戦。 【江戸川コナン@名探偵コナン】 [状態]:健康 [装備]:ヌンチャク@北斗の拳 [道具]:基本支給品、スーパーエイジャ@ジョジョの奇妙な冒険、鷲巣麻雀セット@アカギ [思考] 基本:仲間を集める。 1:新八を助けられる人を探す。目の前の少女を確認して、助けを求める。 2:灰原哀、服部平次、新八の知り合い(神楽)と合流する。 3:覚悟さん達と合流 4:ゲームからの脱出 5:ジグマールを警戒 [備考] ※メガネ、蝶ネクタイ、シューズは全て何の効力もない普通のグッズを装備しています。 ※自分達の世界以外の人間が連れてこられていると薄々感づきました。これから、証拠を集めて、この仮説を確認しようとしています。 ※川田、ヒナギク、つかさの情報を手に入れました。 【ルイズ@ゼロの使い魔】 [状態]:右足に銃創、中程度の疲労、強い決意、精神不安定 [装備]:折れた軍刀 [道具]:支給品一式×2 超光戦士シャンゼリオン DVDBOX@ハヤテのごとく? キュルケの杖 [思考] 基本 スギムラの正義を継ぎ、多くの人を助け首謀者を倒す。殺人者に対する強烈な殺意 1:新八を助けられる人を探す。 2:覚悟達と合流 3:覚悟が戻ってきたら、スギムラを弔う [備考] ※川田、ヒナギク、つかさの情報を得ました 【F-4 南部(大通り)/一日目 午後】 【志村新八@銀魂】 [状態]:腕に軽い火傷、疲労(中)、軽いパニック [装備]:なし [道具]:基本支給品、陵桜学園高等部のセーラー服@らき☆すた、首輪 [思考]基本:仲間を集める。 1:目の前の戦車を破壊する。 2:コナン、ルイズが戻ってくるまで待つ。 3:銀さんと神楽ちゃん、コナン君の知り合い(服部平次)と合流する. 4:覚悟君達と合流 5:杉村くんを弔う 6:ゲームからの脱出 7:ジグマールを警戒 [備考] ※川田、ヒナギク、つかさと情報交換をしました。 ※シアー・ハートアタックが二酸化炭素を追跡してくるものだと勘違いしています。 【シアー・ハートアタック@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:なし [思考]:なし、単純自動行動。 [備考] ※制限のため、一般人でも何とか回避可能なスピードで攻撃してきます。 146 更なる舞台(ステージ)へ 投下順 148 『歯車』が噛み合わない 146 更なる舞台(ステージ)へ 時系列順 148 『歯車』が噛み合わない 130 絡み合う思惑、散る命 江戸川コナン 155 万事屋銀ちゃんの店仕舞 130 絡み合う思惑、散る命 ルイズ 155 万事屋銀ちゃんの店仕舞 130 絡み合う思惑、散る命 志村新八 155 万事屋銀ちゃんの店仕舞 137 漫画キャラバトルロワイアル0点・家出編 神楽 155 万事屋銀ちゃんの店仕舞
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『Stray 2 ~嫉妬と決意~』 34KB 観察 不運 日常模様 都会 現代 2話 かすがあきです。 注意 anko4465 Stray 1 ~れいむは地域ゆっくり~ の続きです。 「」はゆっくりの発言です。 『』は人間の発言です。 死なない ゆっくりがいます。 Stray 2 ~嫉妬と決意~ 両親が死んだ翌日、れいむはいつもと同じで掃除をしている。 「ゆぅ…………きょうも ごみさんが いっぱいだよ………」 れいむが暮らす公園は駅と繁華街と住宅街が隣り合っているため、ゴミが多い。 特に夏場は食べ歩きで容器類が不法投棄されたり、花火のなどでゴミが多い。 れいむは暑さを我慢しながら、汚い舌でゴミをゴミ袋へ入れていく。 「ゆ!…………ゆぅ………まただよ……」 掃除をしている れいむの顔が暗くなる。 れいむの視線の先には、所々焦げた小さな饅頭が4つと、黒いとんがり帽子を被った、やはり焦げた大きな饅頭が1つ。 その側で、汚いリボンをつけた大きな饅頭があった。 「この おかざりさんは はじめてみるから むれの ゆっくりじゃないね。」 れいむの言う通り、この饅頭たちは群れに所属していない ゆっくりの遺体である。 「ゆっくりごめんね。」 れいむはそう呟いてから赤ゆの遺体を咥え、ゴミ袋にいれる。 そして、所々黒く焦げている まりさの遺体に歯をあて、小さく千切っていく。 成体ゆっくりの遺体をそのままゴミ袋にいれるの事はゆっくりの力ではできないからだ。 「……ゆっぷ……こげてても……やっぱり くさいよ…… ゆっくりできないけど、がまんだよ………ごめんね、まりさ…… おぼうしも いっしょに すてさせて もらうよ……」 見ず知らずの ゆっくりとはいえ、同族の遺体を噛み千切る事は辛い。 れいむは押し寄せる吐き気と戦いながら、掃除を続ける。 ------ 昨晩、れいむがダンボール箱の中で泣きつかれ眠っている頃、 公園の中心部では若者2人が花火で遊んでいた。 - ッヒューー………ッドーーン!! 「ゆわぁ~~。とっちぇも きりぇーなのじぇ……」×2 「ほんっちょうだね!まるで れいみゅ みちゃいだよ!」×2 「ゆぷぷ。ほんっとうだね、おちびちゃんたち。とっても ゆっくりできるね。」 始めて見る花火に赤ゆっくり4匹(姉れいむ・姉まりさ・妹まりさ・妹れいむ)と れいむが喜ぶ。 笑顔の家族を見て、まりさが ゆっくりとした気持ちになる。 「よかったのぜ。みんなが どれいの もてなしに よろこんでいるのぜ。 これも すべて まりさが さいっきょう だからに ちがいないのぜ! くそにんげんを どれいに できて さいっこうに きぶんが いいのぜ! ゆ!さいっきょうの まりさは ごはんさんを むーしゃむーしゃするのぜ! むーしゃむーしゃ……っしあわっせー!!」 「ゆ!まりさだけ ずるいよ!れいむも もっともっと むーしゃむーしゃするよ!」 「まりちゃ(れいみゅ)もするーー!!」×4 一家は透明な箱の中で駄菓子を食べてより幸せになる。 『ははは、見ろよコイツ等。幸せそうな顔してるぜ?』 缶ビール片手に青年が笑いながら言う。 『いいじゃない。最後の晩餐なんだから。 安くい菓子だけど、生ゴミよりはご馳走でしょうし。』 女性が青年から缶を奪い取りながら言い、ビールを一口飲む。 『まっずーい。やっぱりビールは私の口にあわないわ。』 『リキュールも買ってあるからそっちを飲めばいいのに。 よし、ロケットは終わったから そろそろ手持ち花火にするか。』 「おそらとんでりゅみちゃい!!」 ロケット花火がなくなったのを確認した青年が姉れいむを持ち上げながら言う。 「おねーちゃんずるいのじぇ!!」×2 「れいみゅも!れいみゅも!!」 浮遊感を楽しむ姉れいむを見て、残りの赤ゆっくりたちが自分にもしろと騒ぐ。 「ゆぷぷ。おちびちゃんたち、だいじょうぶだよ。 おとーさんに めいっれいしてもらって たかいたかいを たのしもーね。」 「ゆっくりまかせるのぜ。おい!どれい!! ほかの おちびたちにも たかいたかいを するのぜ!! さっさと しないと この せいっきょうの まりささまが せいっさいするのぜ? ゆあぁ~?きいてるのかぜ?」 まりさが勝ち誇った顔で言う。 この一家、裏路地でゴミ漁りをしながら生活をしていた野良一家である。 ゴミ漁りをして生きている野良ゆっくりは人間との力関係を理解し、卑屈な個体が多い。 しかし、餡子脳のため、 親がどれだけ人間の脅威を教えても理解できずに人間にケンカを売り、殺される子ゆっくりも大量にいる。 が、中には運だけで生き残り、成体まで成長するバカもいる。 まりさと れいむは運だけで生き残り、結婚し、子供までつくった個体である。 子供が生まれ、立派な家が必要→人間の家でお家宣言をしようという発想から、 夕方、虐待派の青年の家(公園の近所にある学生向けアパート)でお家宣言をした愚かな個体である。 人間の家で、それも虐待派の人間の家で お家宣言をしたのだ、もはやこの ゆっくりたちに命はない。 姉れいむは透明な箱(ビックサイズ)に入れられる。 「ゆ!もっちょ れいみゅは おそらを とびたいよ! さっさとしてね!すぐで いいよ!!」 地面に下ろされたことが不満な姉れいむが青年に向かって叫ぶ。 『ねぇ、れいむ。れいむってさ、花火好き?』 リキュールが入った缶を片手に女性が尋ねる。 「ゆ?はなびしゃん?すきだよ!はなびしゃんは とっちぇも きりぇーなんだよ! まるで れいみゅ みたいに きりぇーで れいみゅ、はなびしゃんが だいっすきだよ!」 『そっか。それじゃぁ、れいむに花火を見せてあげるね。』 『ほい、火……』 ビールを飲みながら青年がライターを女性の手元に近づける。 手には、花火が握られている。 -ッジュッボ………ッシューーーー!!! 花火から勢いよく火が飛び出る。 「ゆっわぁーー!!ちょっちぇも きりぇーだよ!!」 『でしょ、もっと近くで見せてあげるね。』 「ゆ!なかなか きが きく ばばあだにぇ! ちょくっべつに どりぇーに してあげるきゃら かんしゃちてにぇ!! おれいは あみゃあみゃでいいよ!とくもりで いいよ!!」 額に青筋を立てながら、女性は花火を透明な箱の中にいる姉れいむにゆっくり向ける。 「ゆわぁーー!!れいみゅ みたいに きれ っぎゃぁぁああ!!! ああ!!っあじゅいぃいいいい!!!」 火花が姉れいむの汚い身体にかかり、姉れいむが絶叫をあげる。 『お!喜んでもらえてなによりだ。ほら、もっと花火を見せてやるからな。』 青年が女性の花火の側に別の花火を近づける。 -ッジュッボ………ッシューーーー!!! 青年の持つ花火に火が燃え移り、姉れいむ目掛けて勢いよく火が飛び出る。 「っあじゅいぃいい!!だっだじゅげ!! っゆっぎゃぁぁああ!!!!だじゅげでぇええ!!おぎゃぁじゃぁぁあん!!!」 姉れいむは絶叫をあげながら透明な箱の中を必死に跳ねる。 が、ビックサイズとはいえ箱の中だ。逃げれる場所などない。 「おぢびぃいいい!!」 「おぢびじゃぁあん!!」 まりさと れいむが姉れいむを助けようと透明な箱の中で跳ねているが無駄な努力である。 「っゆっぎゃぁああ!!!あ!!!あじゅいぃい!!めぇぇええ!!!めぎゃぁあああ!!! っめっぎゃぁああああ!!!!っだ!!だじゅげじぇぇええええ!!!あっじゃぁあああ!!!」 眼に火花が入ったようで、姉れいむが一際大きな絶叫をあげる。 『ほら、お前も楽しめよ。』 「おそらとんでりゅみちゃい!」 青年が姉まりさをもちあげ、姉れいむの入った透明な箱に近づける。 「やめりゅのじぇぇえ!!あ!あそこは ゆっくりできないのじぇぇえ!!」 姉れいむと同じ所に入れられることを察した姉まりさが叫ぶ。 『そっか、いやなのか。じゃぁ まりさはあの箱の中にいはいれないよ。』 青年は姉まりさの要望を聞き入れた。 『でも、その代わり、帽子をいれておこう。』 「まりちゃの おぼうちぎゃぁあああ!!!」 笑顔の青年は、姉まりさから帽子をとりあげ、帽子を透明な箱にいれる。 「あじゅいぃいい!!あじゅぃぃいい!!だれぎゃぁあ!!れ!れいみゅをたちゅけちぇぇぇ!!! っゆ!!お!!おぼうちじゃぁあ!!」 透明な箱の中で、姉れいむは黒とんがり帽子を見つける。 「こ、この おぼうちを かぶれば げすな はなびしゃんから にげれりゅよ!! ゆぷぷ!!れいみゅったら かちこしゅぎりゅよ!!」 姉れいむは笑いながらそう言い、姉まりさの帽子を被る。 ちょうど花火の勢いが弱まったこともあり、姉れいむは火の脅威から一時的に逃れることができた。 「ゆぷぷ。もう げすな はなびしゃん なんて こわきゅないよ! こうっさん したら さっさと あまあまを もってきてにぇ!ときゅもりでいいよ!!」 勝利を確信した姉れいむが笑顔で宣言をする。 そんな姉れいむに、姉まりさが泣きながら叫ぶ。 「かえちゅのじぇぇえ!!まりちゃの おぼうちをぉお!!」 「ゆぴゅぴゅ。なにいってりゅにょ?ばかなにょ?あほなにょ? おぼうちしゃんで れいみゅは てっぺきの ぼうぎょを てにいれちゃんだよ! だめに きまっちぇるでしょ! そんなことも りかい できないにゃんて、おぼうちの ない げしゅは なんて おりょかなにょ? おお、おりょかおりょか。」 「ゆっがぁああ!!がえじぇぇええ!!」 姉まりさは飛びかかろうとするが青年に握られており、動くことができない。 『お、中々意外な行動をとったな。この れいむ。』 『本当ね。でも、そのおかげで楽しめそうよ。』 女性が新しい花火に火をつけながら笑顔で言う。 -ッジュッボ………ッシューーーー!!! 花火から勢いよく飛び出る火が帽子にあたる。 「ゆぴゅぴゅ。むだだよ! れいみゅには おぼうちが あるから はなびしゃんは こわきゅにゃ…… っゆっぎゃぁああ!!あ!!あぢゅいぃいI!! ど!どぼぢじぇぇえ!!??どぼじで おぼうじを がぶっじぇりゅのにいぃい!!??」 帽子のおかげで火の粉からは身を守れても熱からは身を守ることはできない。 女性は花火を帽子のリボン付近に近づけ、帽子に火をつける。 「っゆっぎゃぁああ!!!ああ!!ああああああぁああ!!!!」 頭部からの熱に姉れいむが絶叫をあげ、帽子を舌で投げ飛ばす。 「っば!!ばりじゃの おぼうじぎゃぁぁああ!!!」 大事な帽子に火がついたとあって、姉まりさが絶叫をあげる。 『ほら、まりさ。帽子をとりかえさないと。』 青年が姉まりさを握る力を緩めた。 姉まりさは急いで青年の手から、透明な箱の中へと飛び移り、顔面を強打した。 「っぐっべぇぇ………い、いじゃいのじぇ…… で、でみょ、いたいことより、おぼうしを………いそぐのじぇ!!」 痛みに堪えながら、姉まりさは燃えている帽子に近づき、帽子を守るために愚かにも燃え盛る炎を舐める。 「ぎえじぇにぇ!!げしゅにゃ ほのおじゃんは ざっざど ぎえじぇねぇ!! ぺーりょぺー…ゆっぎゃぁあああ!!あああ!!あじゅいぃいい!!!あっじゅいぃいいい!!!!」 結果、姉まりさは火傷を負い、痛みで箱の中を暴れる。 『ははは。火を消せるはずないのに、まりさ種って本当にバカだよね。いや、ゆっくり全部か。』 姉まりさの行動を見て青年は笑う。そして、花火に火をつけ、姉れいむと姉まりさとに向ける。 姉れいむと姉まりさは花火と帽子を燃やす炎から逃れようと透明な箱の中を必死に走り回る。 が、どれだけ逃げても箱の中のため、逃げ場所はない。 2匹の身体に無数の火傷ができていく。 『あれ?動きが鈍くなってきた?』 「た……たじゅげ……」 「ば……まりぢゃ……じにじゃくにゃ………」 2匹は体力的に限界がきており、火が近くにきても跳ねることなくズリズリと這いずるだけだ。 『やっぱり赤ゆは体力が少ないな。まぁ、しかたがない。次の赤ゆを入れるか。』 「っゆっびぃいいい!!」 消えた花火を姉れいむに強く押し付けてから水の張ったバケツに捨てた青年が透明な箱に手を伸ばす。 「ぐるにゃぁぁああ!!」×2 「おちびちゃん!ゆっくり おかーさんの おくちに かくれてね! おかーさんの おくちのなかは あんっぜんだよ!」 「おちびは さいっきょうの まりさが まもるのぜ!! くらうのぜ!さいっきょうの まりさの さいっきょの ぷくーを!ぷくーー!!」 透明な箱の中では、れいむが赤ゆを口内に入れようとしている。 その隣で、家族を守るため、自称最強である最弱のまりさが頬を膨らませている。 何をしても無駄なのだが、餡子脳のため、そのことに気がついていない。 「おそらとんでりゅみちゃい!!」×2 今ごろ 口に隠れろと言う れいむに本当に子供を守る気があるのかを疑問に思いながら、 青年は妹まりさ・妹れいむを箱から取り出す。 「おちびぃいい!!!がえぜぇえ!! せいっさい されたくなかったら、さっさと おちびを かえすのっぜぇええ!!」 「おちびちゃぁあああん!! まりざぁああ!!ざっざど おちびちゃんを どりがえじでぇええ!!」 喚く2匹を無視して、青年は透明な箱の中に赤ゆたちを入れる。 「っゆべぇ……れ、れいみゅおねーしゃん、だ、だいじょうかじぇ?」 「っゆべぇ……や、やめてにぇ…… にんげんしゃん!おねがいちましゅ!きゃわいい きゃわいい れいみゅだけは みのがちちぇにぇ!」 火傷を負った姉の心配をする妹まりさと、命乞いをする妹れいむである。 『うわぁ……さっすがれいむ種。平気で姉妹を見捨てるわね。』 『虫唾がはしるから当然制裁だな。』 -ッジュッボ………ッシューーーー!!! 助ける気などまったくない2人が花火に火をつけ、赤ゆたちに向ける。 「っゆっぎゃぁあああああああああああああ!!!」×2 まだ元気がある2匹が絶叫をあげ、箱の中を飛び跳ねる。 「おちびぢゃぁあああん!!まりざぁああ!! さっさと くそにんげんを せいっさいして おちびちゃんを たすげでぇええ!!」 「わかってるのぜ!! おいぃいい!!ごの ぐぞにんげんがぁあああ!! いますぐ おちびを たすけるのぜぇええ!!いまなら ぜんごろしで かんべん してやるのぜぇえ!!」 『いつも思うんだけどさ、全殺しで勘弁してやるってどういう意味なの?』 『さぁ?ゆっくりの言葉なんて一々考えるなよ。お、そうだ!』 「おそらとんでるみたい!」 青年は まりさを持ち上げ、女性のほうに まりさの足を向ける。 『ねぇ、悪いけどライターで足焼きをしてくれない?』 『ん?いいよ。』 「な!なにを いってるのぜ!? どれいの ぶんっざいで さいっきょうの まりささまに きがいを くわえるつもりかぜ? げらげらげらげら。そんなのは ふかのうさんなのぜ。 まったく、これだから くそにんげんは おろかなの っぜぇえええええええ!!?? っゆっぎゃぁぁあ!??ああああぁあ!!あづいぃいいい!!!」 『ほら、まりさ。最強なんでしょ?私の攻撃なんて痛くも痒くもないんでしょ? なんで そんな大きな悲鳴をあげるの?』 女性がニヤニヤしながら言うが、その声は まりさには届いていない。 数分後、青年は脚部が炭化した まりさの足にリキュールをかける。 糖分を含んでいるため、痛み止めになるからだ。 そして、まりさを赤ゆたちのいる箱の中にいれる。 「おとーじゃぁああん!!」×2 「おどうじゃ………」×2 箱に入ってきたまりさを見て、4匹は笑顔になった。これで助かると信じているのだ。 動くだけの元気がある2匹はまりさの側にかけより、頬を擦っている。 「おちび!!もう だいっじょうぶなのぜ! この さいっきょうの おとーさんが おちびたちを ぜったいに まもってみせるのぜ!!」 『粋がるのはいいけどさ、どうやって?』 「げらげらげらげら! そんなことも わからいのかぜ?まったく、これだから くそにんげんは おろかなのぜ。 この さいっきょうの まりささまが すぐに せいっさいしていやるのぜ! ないたって ゆるさいのぜ。かくごするのぜ! っゆ?ゆゆ??」 まりさが上半身(?)をねじる。 「ゆ?っど!どぼじで あんよが うごかないのぜ!? う!うごくのぜ!!さいっきょうの まりさの さいっきょうの あんよさん! うごいて さっさと あの くそにんげんを せいっさいするのぜぇぇええ!!」 『ははは。頑張ってね、まりさ。はやくしないと、子供が大変よ。』 花火に火をつけながら女性が言う。 そして、火のついた花火を、姉まりさ・姉れいむに近づける。 「っあ゛!あづいぃいいい!!!だ!だじゅげじぇぇええ!!!おじょうじゃぁああん!!×2 動くだけの力がない2匹は父であるまりさに助けを求めてただ叫ぶだけだ。 「おちびぃいい!!!まってるのぜぇえぇええ!!すぐに たすけるのぜ!! うごげぇええ!!うごくのぜぇええ!!まりさの さいっきょうの あんよざん!! うごがないど!!うごがないと おちびがぁああああ!!!っゆっがぁああ!!うごげぇええ!! うごげ!うごげ!!うごげ!!うごいて れいむにの かわいい おちびを たすけるのっぜぇええ!!!!」 「がんばりゅのじぇ!!さいっきょうの まりちゃの おとうしゃんなら できるのじぇ!! はやくちて れいみゅおねーしゃんを たすけりゅのじぇ!!」 「おちょうしゃん!はやく くしょにんげんを せいっしゃしちて れいみゅを まもってにぇ!!すぐでいいよ!!」 妹まりさ・妹れいむの応援も虚しく、まりさは動くことができない。ただ、醜く身体をねじるだけだ。 「あ゛あぁああ!!ぼ!!ぼっど……ぼっど ゆっぎゅぢ……ちたが……じゃ……」×2 花火に晒され続けた2匹が息を引き取った。 「おちびぃいいいい!!!!」 まりさが箱の中で絶叫をあげる。 『まったく、子供を助けないだなんて最低な親だな。 そんな最低な まりさにはお仕置きとして帽子を没収だ。』 「ゆっがぁああ!!!がえじでぇええ!! おでがい じばずぅう!!がえじでぐだざいぃいい!!おでがいじばずぅうう!! ぞれが ないどぉお!!ぞれげないど ゆっぐりでぎないんでずぅううう!!!おでがいじばずぅうう!!」 帽子を失った途端、先ほどまでの威勢はなくなり まりさは涙を流しながら帽子を返すように懇願する。 「おぼうちの ない げしゅおやは ちねーー!!ぷきゅーー!!!」×2 「お!おちびぃい!!ど!どぼじで ぞんなごどいうのぉおおお!!?? おどうざんでしょぉおお!!!??」 子ゆっくり2匹は、帽子を失くしたまりさを突然見下す。 『うわぁ~~。 帽子なくしたぐらいで子供から見下されるだなんて…… これだから ゆっくりって嫌い。』 帽子なくした まりさに親としての威厳などありはしない。 飾りがない個体は飾りを持つ個体から見下される存在となるのだ。 先ほど、姉まりさのことを誰も心配しなかったのは、姉まりさに帽子がなかったからである。 これは、ゆっくりの習性であるが、女性は ゆっくりのこういう習性が嫌いである。 愚かな習性を見ると、女性は制裁という名のゆ虐をしたくなる。 『ははは。確かにな。』 女性とは反対に、青年は ゆっくりの こういう愚かな習性が好きであった。 愚かな習性のお陰で罪悪感もなくゆ虐ができるからだ。 青年は、大した理由もなく持ち歩いているナイフを取り出し、まりさの額に刃をあてる。 『花火の土台を作らないとな……よっと……』 青年が まりさの頭をナイフで削ぎ、まりさの頭頂部が平らになる。 「っゆっぎゃあぁああああああ!!!ああぁあ!!あだばがぁあああああ!!!!」 「ゆぴゅぴゅ。げしゅな おとーしゃんが ないてりゅよ。」 「げりゃげりゃげりゃ。さいっきょうの まりちゃと ちがっちぇ、さいっじゃきゅな おとーしゃん らちいのじぇ。 まったく、はずかちいのじぇ!ちょっと あたまを けがしたぐらいで さわぎすぎなのじぇ!」 「ゆぷぷ。おぼうしのない まりさには おにあいの すがただね。 おお、おろかおろか。もっと くるしんでいいよ!」 まりさの絶叫を聞き、家族は笑顔である。飾りを失った個体に対しては愛情も情けもないのだ。 『まったく、こいつらは。まりさの次は自分だということを考えないのかね?』 『あはは。そんな頭あるはずないじゃん。餡子脳なんだから。 こいつらの こういうところって、あたし大嫌い。』 飲み終えたリキュールの缶を手で潰しながた女性が言う。その眼は冷たく、ゆっくりを見下している。 『まぁまぁ。そんな愚かな ゆっくりには制裁がお似合いだろ?』 女性とは反対に笑顔の青年がまりさの頭にドラゴン花火をセットする。 「っゆっぎゃぁああ!!やべ!やべでぇえ!! ああぁぁ!!あだばに べんなの おがないでぐざいぃい!! やべでぇえ!!ぐりぐりじないでぇええ!!おでがいじばずぅううう!!! いじゃぁぁああ!!!やじゃぁあああ!!!なにかが はいっでぐるぅうううう!!!」 ドラゴン花火が餡子に深々と刺し込まれ、まりさは絶叫をあげる。 喚く まりさを無視して、青年がドラゴン花火に火をつけた。 -ッシューーーー!!!ッジュッボォーーーー!!! 『あはは!すっごくキレー!!』 『ほんとうだ。』 「ゆぷぷ。まりさの あたまに きれーな おはなさんがさいたよ。」 「ゆぴゅぴゅ。とっちぇも きりぇーだよ。」 「げしゅ おやも たまには やくに たちゅのじぇ。」 まりさから吹き出る七色の炎に見とれる2人と3匹。 「っゆっぎゃあぁあ!!あぁぁあ!!あづいぃいいい!! だずげだずげ!!だじゅげでぇえええええええええ!!!」 花火の熱と、降りかかる火の粉でまりさは絶叫をあげる。 助けを求めるが、誰も まりさを助けるつもりはない。 -………ッジュ!………ッジュッボォーーー!!! -………ッジュ!………ッジュッボォーーー!!! ドラゴン花火を見ながら、青年はネズミ花火を火をつけ、透明な箱の中にいれていく。 「っゆっぎゃぁああ!!いっじゃあぁあ!!あじゅぃいい!!」×3 箱の中を でたらめに回転する複数のネズミ花火に、まりさ・妹まりさ・妹れいむは悲鳴をあげる。 「おちびちゃぁぁあん!!ゆっくりして!ゆっくりして!!ゆっくりするんだよぉおお!!!」 飾りを失っていない子供の心配をする れいむが、透明な箱から飛び出ようと顔面を壁に押し付けているが、意味はない。 『あはは。ほら、れいむ。頑張って子供を助けてね、手伝ってあげるからさ。』 女性は笑いながら れいむを透明な箱から取り出す。 『お、優しいね。さっすが俺の彼女。ほら、れいむ。優しい彼女にお礼は?』 「おちびちゃぁぁあん!まっででね!すぐに おかーさんが たすけるよぉおおお!!!」 青年の言葉は れいむには届いておらず、れいむは泣きながら まりさたちが入った透明な箱に向かって跳ねる。 「っゆっべぇええ!!!………あ!あづいぃいいいい!!!」 透明な箱に顔面を押し付けた れいむは、箱から跳び退く。箱が熱を持っているのだ。 「ゆがぁぁあ……げすな かべさんは あつくて ちかづけないよ……… ど、どうすれば いいの?どうすれば おちびちゃんを たすけれるのぉおお?」 「ぎゃわいい ぎゃわいい れいみゅを だじゅげじぇぇえ!!おかぁじゃぁああん!」 「おがぁじゃぁああん!!だ!っだじゅげじぇぇええ!!」 「おちびぢゃぁあん!!ゆっぐりずるんだよ!!ぞうずれば ぎっど だずがるよぉおお!!!」 子供は助けたいが、危険は一切犯したくない れいむはアドバイスを叫ぶ。 この状況下でどうしたら ゆっくりできるのか? 仮に ゆっくりできたところで危険は回避されない。 れいむのアドバイスは れいむのように全くもって役に立たない。 「ぜいっさい ちてやりゅのじぇ!!さいっきょうの まりちゃが げすな はなびしゃんを せいっさいすりゅのじぇ!!」 妹まりさは愚かにもネズミ花火に向かって口をあけて突進する。 「こにゃいでぇえ!!れいみゅが きゃわいすぎるからって、すとーかーだなんてゆっきゅりできにゃいよ!! れいみゅ、はなびしゃんなんで だいきりゃいだよ!!」 妹れいむはネズミ花火から逃れようとするが、恐怖で眼を閉じデタラメに跳ねている。 そして、2匹はネズミ花火に激突し、動けなくなり、身体を焼かれ、死んでいった。 「っだずげ!だずげ!!!っあっづぁぁあああ!!っゆっぎゃぁぁああああ!! っぐっぼぉおおおおお!!!ぐぶぶぶっばあぁあああ!!! っゆっばぁあぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!!!!!」 まりさの口内にネズミ花火が入り、まりさの体内で暴れる。 頭と口から火をあげながら、まりさは辞世の句を詠むこともできずに息絶えた。 「おちびじゃん……れ、れいむの……かわいい かわいい れいむの おちびちゃんが……」 花火が収まり、焦げ饅頭が入った箱を見ながら れいむが泣きながら呟く。 『やだな、れいむ。死んだのは子供だけじゃないだろ?生きていく上で、もっと大事なものを失っただろ?』 「ゆ?どういうこと?おちびちゃんよりも だいじなものなんて ないよ?」 青年が焦げた饅頭に まりさに帽子をかぶせた。 途端、れいむの顔色が悪くなる。 「っば!ばりっざぁぁああ!!!ど!どぼじで ばりざが じんでるのぉおおおお!!!」 苦しむ まりさを笑って見ていた者の発言とは思えないことを言う れいむである。 「おぎでぇえええ!! ゆっくり! ば!ばりざが いないど、 ゆっくり! だれが ごばんざんを ゆっくり! もってぐるのぉおお!!?? だれが ゆっくり! おちびじゃんの せわを ずるのぉおおお!!?? おでがい!!いぎがえっでぇええええ!! ゆっくり! れ!れいぶを びどりにじないでぇえええ!! れいぶを ゆっぐりざぜるのが ばりざの ぎむでじょうがぁああああああ!!!! ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!」 大事な子供を失い、愛する(?)まりさを失った れいむ。 孤独を嫌い、労働を嫌う れいむにとって、 一緒に過ごす家族・生活を支える番を失ったことは非ゆっくり症を発症させるには十分な悲劇であった。 なお、餡子脳の為、帽子がない まりさが苦しんでいたことを忘れており、 帽子なしの死骸を番とは認識できていなかった。 『あれ?非ゆっくり症?なぁ、コイツに薬を喰わせてなかったの?』 青年が れいむの非ゆっくり症の発症に驚きながら女性に聞く。 『あ、ごめん。薬食べさせるの忘れてた……』 申し訳なさそうに謝る女性。 『そっか。まぁ、いいよ。花火もなくなったことだし。にしても、うるさいな。』 「ゴメンね。あたしが薬を忘れたばっかりに。 おわびに、れいむは あたしが処分するね。』 「ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり! ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!ゆっぴ!!!!……………」 女性は待針を取り出し、れいむの額に刺し込む。 中枢餡を突かれた れいむはそのまま絶命した。 『さ、おわったよ。はやく帰って お風呂にはいって いいことしよーよ。』 『お!そうこなくっちゃ。一緒に入ろうな。』 青年は笑顔で透明な箱を逆さまにし、ゴミを地面にばら撒きながら言う。 そして、バケツの水をゴミにかけ、火の始末をした。 『よし、こうしておけば そのうち公園の ゆっくりが勝手に掃除するだろ。』 『あはは。同族の死骸の処分させるだなんて、可愛そうなことさせるね。 きっと、公園の ゆっくりから恨まれるよ。』 『いやいや、俺みたいのがゴミを公園に捨てることで、 公園のゆっくりの生存が認められるわけだ。 反対に感謝されているに違いない。』 2人は手をつなぎ、笑顔で公園から立ち去る。 2人がいた場所には、ゴミが散乱している。 ------ セミが鳴く中、れいむは昨晩殺された ゆっくり一家の遺体の片付けを続ける。 まりさの遺体をゴミ袋におさめた後、れいむの遺体へと近づく。 「ごめんね、れいむ。」 遺体に謝ってから、れいむは口を大きくあけ、遺体の頬に噛みついた。 口内が死臭に犯される。何度味わってもこの臭いに慣れることはない。 れいむは吐き気を我慢しながら、遺体を小さく千切っていく。 「っゆぴ!?」 口内に突然鋭い痛みが発生し、れいむは遺体から口をはなし、飛び退いた。 口内を舌で舐めながら、れいむは遺体を注意深く見る。 「ゆ?ゆゆ??これは………まちばりさん? そっか、このれいむは まちばりさんで あんこさんを つかれて しんじゃったんだね……」 昔、友人のちぇんが針で殺されるところを見ていたことがある。 嫌な事を思いだし、憂鬱な気分になるが、それでも仕事はしなくてはならない。 れいむは針をさけて遺体の片付けをした。 片付けを終えた れいむは まわりを見渡す。 「ゆぅ………もえないごみの ごみぶくろさんを もった ゆっくりが いないよ…」 いつもなら、隣のダンボール箱に住むまりさや、その妹のれいむと一緒に掃除をするのだが、今日は誰とも話をしたくなく、一人で掃除をしている。 そのため、れいむは燃えるゴミ袋しか持っておらず、針を捨てたくても燃えないゴミ用のゴミ袋を持った ゆっくりがいないのだ。 「ゆぅ………まちばりさんを ここに おいて おいたら、ゆっくりが けがしちゃうよ…… どうしよう………っゆ!そうだ!!」 待針の処分に頭を悩ませた れいむだが、名案を思いついた。 れいむは待針を咥え、揉み上げを口に近づける。 そして、右の揉み上げの中に待針をしまう。 「っゆ!すこし うごかしにくいけど、これで まちばりさんを ゆっくり はこべるよ! ゆぷぷ。れいむったら かしこすぎて こわいぐらいだよ! こんな かしこくて かわいい れいむ だから きっと きょうこそは かいゆっくりに なれるよね? ゆーん。なんだか きぶんが よくなってきたよ!ゆっくりー!!」 気分がよくなった れいむは笑顔でゴミ袋を咥え、歩き出す。 ゴミを運ぶ途中で れいむは、噴水に寄ることにした。 暑くて喉が渇いたこともあるが、死臭で臭くなった口内を洗いたかったのだ。 「ごーくごーく……ごーくごーく…… っぷはぁ……おみずさんは ゆっくりできるよ。」 水を飲み終えた後、れいむは汚い舌で噴水の水をすくう。 「ゆ!かいゆっくりに なるためには からだを きれーきれーに しないとね!」 笑顔の れいむは水で身体を洗う。 裏路地等で暮らす野良よりは 綺麗だが、石鹸もシャワーもないので それなりである。 特に髪は洗髪の手段も知識もないため、ベタベタで不潔であるが、れいむはそのことを知らない。 「ゆ!きれーに なったよ!ゆぷぷ。れいむの かわいさに ますます みがきがかかったね。 ゆーん。なんだか きょうは きぶんが いいよ! おさの ところにいくまえだけど、すこしだけ おうたを うたっちゃうよ! まったりのひ~♪ゆっくりのひ~♪すっきりのひ~♪♪」 セミの鳴き声とれいむの歌声が公園に広がる。 「おねーさん。ゆっくりしていってくださいね。 あと、とても すてきな おうたです。とっても ゆっくりしていますね」 「ゆっくりしていってね!!!ゆ?」 声をかけられ、れいむは反射で返事をし、振り返る。 振り返った先には、胴付き金バッチの さなえがいた。 「ゆ………ま、まさか さなえって れいむの いもーとの さなえ?」 「はい。そうです。おねーさんの いもーとの さなえです。 おひさしぶりです。おねーさん。」 さなえは微笑み、れいむと話しやすいように屈む。 れいむが石段の上にいたこともあり、2匹の顔の高さはほぼ同じになった。 「ゆわぁ………いもーと……すっごく きれーだよ…… すっごく ゆっくりしているよ………」 さなえの顔を見て、れいむは思ったことを口にした。 同時に、劣等感に襲われた。 毎日噴水の水で身体を綺麗にしており、自分の美しさには それなりの自信があった。 が、さなえの白くて柔らかそうでキズがまったくない肌。潤いのある唇。 そして、自分とはまったく違う、サラサラで艶のある美しい髪。 一緒に暮らしていた頃は差なんてなかった。 いや、むしろ自分の方が綺麗だったハズだ。 飼いゆっくりになり、自分よりもはるかに美しくなった妹に れいむは嫉妬する。 「ほんとうですか?ありがとうございます。 まいにち おにーさんに ていれして もらってますから。」 さなえが照れながら言う。 「そ、そうなんだ。さすが かいゆっくりだね。うらやましいよ。」 「でも、さなえは まいにち さびしいんです。 だって、おにーさんは やさしいけど、おとーさんや おかーさん。 それに、おねーさんと あえませんから。 でも、おにーさんが どうつきなったら あいにいって いいって いってくれました。 だから、さなえ どうつきに なるように まいにち おねがいしてたんです。 そしたら、きのう おきたら どうつきに なっていました。 おねーさん。おとーさんたちは ゆっくりしていますか? さなえ、おにーさんに たのんで おみやげの あまあまを もらってきました。 おうちで みんなで たべましょうよ。」 さなえが笑顔で近況報告をする。 姉との再会が嬉しいのか、さなえは れいむの顔が暗い事に気がつくことなく、話をする。 「……………いないよ………」 「え?」 「おとーさんも おかーさんも、おそらの ゆっくりぷれいすに いっちゃたよ。 だから、もう ………もう ここには いないよ………」 れいむが涙ぐみながら言い、さなえの笑顔が曇った。 「………な、なんなの!? くるなら もっと はやくきて れいむたちを かいゆっくりに してくれれば よかったのに!! いもーとが ゆっくりしすぎてるから、そんな かみさんを きれーきれーに なんてしてるから!! だから おとーさんも おかーさんも しんじゃったんだよ!!」 れいむは涙を流しながら叫ぶ。 「でもね!もういいよ!とくっべつに ゆるしてあげるから かんしゃしてね! はやく れいむも いもーとの おうちに つれていってね!れいむも かいゆっくりにしてね! そしたら あまあまを ちょうだいね!とくもりで いいよ!!」 「………………おねーさん………ごめんなさい。 それは ……その……できません………」 さなえは申し訳なさそうな顔をしながら言う。 「はぁあああ!!??どぼじで ぞんなごど いうのぉおおお!!?? そんな うそさんは ゆっくりできないでしょうがぁあぁぁあ!!」 「おにーさんが、さなえの かぞくまで かうことは できないって……」 「その じじいを せっとくするのが いぼーどの やぐめでじょぉおおお!!?? いいがら、ざっざっど そいづを せっとくじろぉおおおおお!!!」 「ごめんなさい……がんばったけど、むりでした。 その……おにーさんは、きしょうしゅしか かいたくないそうです。 だから、その………つうじょうしゅの おねーさんたちは かえないって………」 さなえも、家族と一緒に暮らしたいと考えている。 飼い主に何度となく懇願したが、答えはいつも No であった。 さなえにとって優しい飼い主であったが、この願いだけは聞き入れてもらえなかった。 これは、飼い主が多頭飼いをする気がないことと、稀少種にしか興味がないからである。 「ごめんで ずむがぁあああああ!! ぞんなの びぎょうだよ!!きじょうじゅだがら がいゆっぐりに なるだなんで!! れいぶも がいゆっぐりに なりだいんだよぉおおお!!! がいゆっぐりになって、まいにち あまあまを たべて、おびるねをじで、ゆっぐりじだいんだよぉおおお!! ごごは ゆっぐり でぎないんだよぉおお!!れいぶは ゆっぐり゛じだいんだぁああ!! いいがら ゆっぐりざぜろぉおおおおおお!!!!」 「……ほんとうに ごめんなさい。 あまあまは、おうちに おいておきますから たべてくださいね…… また きますから………そのときは いっしょに ゆっくりさせてくださいね……」 そう言って、さなえは走り出す。その目には涙が溜まっている。 両親の死を知り、姉から無理を言われたのだ。 そして、姉と一緒にゆっくりできなかったことが悲しいからだ。 「ゆっぐりなんて でぎるがぁああああ!!! れいぶは ちいきゆっくりなんだよぉおおお!!!のらと おなじで ゆっぐりでぎないんだよぉおおおお!!! きょうにも しんじゃうかも しれないんだよぉおおおおお!!!! がいゆっぐりの いぼーどどは ちがうんだよぉおお!!かわいぞうなんだよぉおおおお!!! だがらぁああ!!!だがら れいぶも がいゆっぐりじろぉおおおお!!! ごの むのーの いぼーどがぁああ!!きじょーじゅだがらっで いいぎになるなぁあああ!! れいぶのぼうが ゆっぐりじでるんだぁああああ!!!もう にどど ぐるなぁああああ!!!」 れいむはさなえの背中に向かって叫ぶ。 さなえは何も言うことなく、ただ涙を流しながら立ち去った。 ------ 夜、元気なく家に戻った れいむは菓子を見つけた。 さなえが置いていった菓子で、とても美味しそうだ。 長ぱちゅりーから支給された ゆっくりフード・狩りでとったセミと菓子を見比べる。 どう贔屓目に見ても、菓子のほうが美味しそうだ。 必死に働く自分よりも、何もしてない さなえのほうが美味しいものを用意できる。 地域ゆっくりと飼いゆっくりとの違いを感じ、れいむは激しい劣等感に襲われ、涙を流す。 「むーじゃむーじゃ……ごっぐん……」 れいむが泣きながら菓子を食べる。 甘い味は れいむに幸せを与えるハズだが、心は満たされない。 妹は毎日こんな美味しいものを食べているのだろうか? 自分の食事との差を実感し、れいむの劣等感が増していく。 「ひどいよ……いもーとばっかり ゆっくりして……」 れいむが呟きながら妹の綺麗な姿、ゆっくりした姿を思い出す。 「ゆぅ………ごべんね……いぼーと…… ひどいこと いっちゃって………」 れいむは ここにはいない妹に向かって謝る。 興奮して酷いことを言ったことを自覚しているのだ。 自分が飼いゆっくりではなく、両親が死んだことは妹のせいではない。 頭では理解できても、心が追いつかなかった。 ゆっくりしている妹を見て、嫉妬し、ゆっくりできないことを全て妹のせいだと決めつけてしまった。 「でも、いもーとは ゆっくりしてたよ…… さすが かいゆっくりだよ………れいむも いつか ぜったいに…… ゆぅ…………わからないよ………どうしたら かいゆっくりに なれるの?」 れいむは餡子脳でどうしたら飼いゆっくになれるかを考える。 毎晩考えていることだが、答えは未だに見つからない。 友人や長ぱちゅりーにも相談しているが、正しい答えはまだ見つかっていない。 ただ、これまでに飼いゆっくりになれた仲間や、逆に捨てられてた ゆっくりを観察して分かったこともある。 ①人間は身なりが綺麗で食事のマナーを守れるゆっくりを飼いゆっくりにする。 ②人間は我侭を言わない ゆっくりを飼いゆっくりにする。 ③人間は稀少種を飼いゆっくりにする。 自分はれいむ種で③の条件は満たせないが、①と②は満たしている。 しかし、未だに飼いゆっくりにはなれない。何が足りないのだろうか? ちなみに、③の条件を満たしていれば、妹のように①の条件を満たしていなくても飼いゆっくりになれることが分かっている。 この事から、れいむは稀少種が羨ましく、妹に嫉妬している。 れいむは餡子脳をフル回転させるが答えはでてこない。 そもそも、明確な答えなどない。強いて言えば、【運】であろうか。 「ゆぅ~~~………かんがえすぎたら あたまが いたくなってきたよ…… っゆっぴ!?」 知恵熱で熱くなった頭を揉み上げでさすると、れいむの頭に痛みが走った。 慌てて揉み上げをはなし、揉み上げを凝視すると、待針が見えた。 「ゆ?そっか、まちばりさんを すてるのを わすれてたよ。 れいむったら うっかりさんだよ。 まちばりさんは あぶないから、あした すぐに すてないと だめだね。」 ゴミ捨てのついでに燃えないゴミ袋に待針を捨てるつもりであったが、 さなえと会ったことで興奮していた れいむは、待針のことを忘れていたのだ。 「ゆぅ………あぶない まちばりさんを ちゃんと すてれるぐらい れいむは かしこくって やさしくって かわいいのに、なんで かいゆっくりになれないの? いもうとより ゆっくりしているのに………きしょうしゅよりも ゆっくりしているのに…… ゆ?………ゆゆ??…‥…ゆ~~………」 待針を床に置き、れうむは再びどうしたら飼いゆっくりになれるかを考える。 「ゆ!そうだ!!そうだよ!!すっごいことを おもいついたよ! そうだよ!そうすれば ぜったいに かいゆっくりになれるよ!」 餡子脳が再び熱を持ち始めた頃、れいむの両方の揉み上げが元気良く跳ねた。 名案を思いついた れいむが笑顔になる。 「ゆぅ………でも……… ゆぅ………………でも、それをすると……ゆっくり できなくなるよ………」 が、すぐにその笑顔が曇った。 浮かない顔のれいむが、ダンボールの片隅を見る。 れいむの視線の先には、両親の形見である赤いリボンと、白いリボンが置いてある。 「おかーさん……おとーさん…………」 れいむは両親の形見に そっと頬をあてる。 れいむの脳裏に両親が死ぬ瞬間の光景が浮かんだ。 「………れいむは かいゆっくりになりたいよ。 かいゆっくりだったら、おかーさんも おとーさんも しななかったよ。」 れいむは飼いゆっくりになることで、襲われる心配のない安らかな生活が得られると考えている。 もし、両親が飼いゆっくりだったら、今頃は家族で楽しくゆっくりしているハズだ。 今、自分が孤独でゆっくりできないのは、自分が飼いゆっくりでないからだと れいむは考えている。 【いづか……ぜっだいに……かいゆっぐりになっで……もっどもっど……ゆっぐりじでね……】 母れいむの最後の言葉を思い出す。 そして、自分が絶対に飼いゆっくりになる決心をしたことを思い出した。 ダンボール箱に置かれた菓子を見る。 妹は毎日こんな美味しいものを食べているのだ。 地域ゆっくりの自分と違い、働かなくてもいい飼いゆっくり。 ゆっくりするだけで身の安全と美味しい食事が約束されている飼いゆっくり。 (飼い主によっては ゆっくりできない生活をする強いられることもあるが、れいむは そのことを知らない。) 飼いゆっくりである妹に、れいむは嫉妬する。 「きめたよ。れいむは…… れいむは かいゆっくりに なるためなら なんでも するよ……… どんなに ゆっくりできなくても、かいゆっくりに なれば、ゆっくりできるから……… いもーとみたいに ゆっくりできるから。 ぜったいに。ぜったいに かいゆっくりに なって、いもーとみたいに ゆっくりするよ……」 れいむは自分の決意を口にし、右の揉み上げに待針を仕舞った。 その顔は ゆっくりしておらず、険しい顔であった。 つづく あとがき ゆっくりを飼うことができるとしたら、個人的にれいむ種がいいです。 でいぶになった瞬間、処分しますが。 過去作品 http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/3986.html
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2175.html
「ふたば系ゆっくりいじめ 1040 しあわせ補足/コメントログ」 分かんないけど、親まりさが子まりさを孕ませていたということ? -- 2010-06-28 07 45 18 叙述トリックさんだったのぜ? 餡子脳にはわからないのぜ -- 2010-07-04 15 37 51 餡庫でフルボッコにされてたな -- 2010-09-09 00 26 17 00 →わからん 01 →子ゆっくりがあまあまだと知っている=子ゆっくりを食べたことがある 02 →三つ目の叫びが喉がかれる=死ねが口から出やすい=ゲス資質? 03 →おそろいの“ぼうし”=おちびちゃんはみんな“まりさ”=まりさ同士のすっきり⇒相手は?⇒おちびちゃん ちょっと判断材料が少ないかな? -- 2010-11-18 22 10 43 00から判断して、飼いゆっくりになろうとしたゲスの話だろ ぺろぺろなめるシーンで子ゆっくりの目を食べていて、だからその後人間が爆笑している -- 2011-06-06 00 07 38 ごちゃごちゃ親まりさの心情っぽいものが書いてあって惑わされるけど、 それを省いてしまえばただのいつものテンプレ飼いゆっくり要求話ってことじゃないの? 1.あまあま&飼い要求 2.赤まりさを自分の身代わりに差し出す 3.あまあまを独り占め 4.親虐待死、子まりさだけ残して虐待 かと -- 2011-07-06 22 48 26 親まりさがでいぶみたいな奴だったって事か、奴隷扱いの番いが死んで子供食って…な感じの -- 2013-12-25 02 59 47
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前 さっそく、まりさは自分の巣にれいむを案内した。 まりさの巣は、長老クラスに次いで群れの中で一番大きかった。 群れへの貢献から、まりさは立地条件の良い巣を譲ってもらい、それを拡張したのだ。 きっとれいむも満足してくれる……にんまりとまりさはほくそえんだ。 「ゆふ~ん、だーりんのとことくらべるとせまいけどまぁまぁだよ。ゆっくりしてあげてもいいよ。」 どうやら、れいむはお気に召さなかったらしい。といって、特に文句を言うわけでもない。 あの人間と比べられるのは癪だけど、仕方がない。どう頑張ったところで、自分より強い人間より 凄いゆっくりプレイスを作れるわけがないのだ。 そう、無理やり自分に言い聞かせることでまりさは気持ちを抑えていた。 だいじょうぶ、れいむはまだきたばっかりなんだぜ。そのうちあのにんげんさんのことをわすれて まりさとだけゆっくりするにきまってるんだぜ。 「じゃあまりさはかりにいくから、れいむはゆっくりしていくんだぜ」 「ゆっくりがんばってね。」 まりさはれいむに親愛のすりすりをしてもらうと、元気に出ていった。夫婦としてのすりすり ではないことがまりさには悲しかったが、離婚したばかりなのだ。時間が経てばまりさにもきっと 愛情のすりすりをしてくれるはずだ。 ムカデ、ダンゴムシ、イモムシ、桜の葉、クローバー、大きな蛾。 頬に一杯食べ物を詰めてまりさはれいむの待つ巣に帰ってくる。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 「むーしゃ、むーしゃ、それなりー。だーりんのとことくらべるとまずいけどまぁまぁだよ。 ありがとうね、まりさ!!」 どうやら、れいむはお気に召さなかったらしい。といって、特に文句を言うわけでもない。 あの人間と比べられるのは癪だけど、仕方がない。どう頑張ったところで、自分より強い人間より 美味しい食べ物を採ってこれるわけがないのだ。 そう、無理やり自分に言い聞かせることでまりさは気持ちを抑えていた。 だいじょうぶ、れいむはまだきたばっかりなんだぜ。そのうちあのにんげんさんのことをわすれて まりさとだけゆっくりするにきまってるんだぜ。 食事の時間が終わり、まったりとした空気が流れる。 まりさはれいむの頬にこすりつけ、だんだんとスピードをあげていく。 いつの間にか体もぶるぶる小刻みに震る。目つきがとろんとしてくる。 つい、劣情に駆られてしまうのを止めるのも野暮なものだろう。 特に今日はあの美れいむをようやくつがいとして向かえた後である。たまりにたまっているのだ。 当然、交尾の時間となる。 「ゆっゆっゆっ……」 ねちゃねちゃとした、粘っこいものが糸を引きそうな音を出してこすり合わせる。 「ゆゆゆゆ……ゆっゆっゆっ……」 「…………」 「ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!」 「…………」 二匹のほお擦りは加速していく。だが、興奮するまりさを尻目に、れいむはどこか冷めていた。 「ゆっゆっ……んほぉぉぉぉ!!!」 「すっきりー!!!」 「すっきりー」 二匹の交尾は終わった。 「ゆゆっ、まりさはそーろーだね。だーりんのとくらべるとへたくそだけど、しょうがないよね。」 「ゆあああああああ!!!どうじでぇぞんだごどいぶの~~!!」 どうやら、れいむはお気に召さなかったらしい。しかも、ボロクソに文句を言っている。 あの人間と比べられるのは癪だけど、意味が分からない。どう頑張ったところで、ゆっくりである自分より人間 がれいむをすっきりさせられるわけがないのだ。 だいじょうぶ、れいむはまだきたばっかりなんだぜ。いまはすっきりーできないけど、おちびちゃんができるのは まりさだけだから、まりさとだけゆっくりするにきまってるんだぜ。 そう、無理やり自分に言い聞かせることでまりさは気持ちを抑えていた。 そう思わなければ、まりさを支えるプライドが持たないのだ。 まりさの名誉のために言えば、人間と比べることが間違いなのだ。 そもそも、ただでさえ惰弱なゆっくりが交尾のときは完全な無防備になる。 野生の生物は交尾は早ければ早いほど良いのだ。 気持ちよさなど二の次、とにかく受精したら即警戒態勢に入る必要がある。 ゆっくりも、ご多分に漏れずそのパターンだった。 対して、男がれいむをすっきりーさせていた場合、天敵はいないためいくらでも時間をかけることができる。 手も足も道具もある人間のほうが、ゆっくりよりバリエーションも多いのは当然のことだ。 しかも、悲しいことに人間の足ですっきりーしまくったれいむと違って、まりさは初めてだった。 れいむを思うあまり、ほかのゆっくりに見向きもしなかった結果がこれである。 それでも、何とかれいむを妊娠させることが出来た。 胎児型の出産になるので、2週間後には元気な子供が生まれるだろう。 れいむが来てからの数日、まりさは全然ゆっくり出来なかった。 まりさがどんなに努力しても、れいむはそれなりにしか喜んでくれない。 いや、それはいい。愛するれいむのためなら、どんなに苦労しても、喜んでくれるまで頑張れる。 ただ、常に人間と比べられるのは我慢ならない。どうやっても勝てないと分かっているだけに、まりさ としても嫉妬しようがない。やり場のない怒りを覚えるだけである。 それでも、子供さえできれば……子供さえ出来ればきっとれいむはまりさの良さに気付いてくれる。 そんな願望に近い思いでまりさは耐えていた。 とうとう、出産日を迎えた。 「ゆゆ!?れっれいむ!ゆっくりがんばるんだぜ!!ゆっゆっふー!ゆっゆっふー!」 「が、がっばるがだで!でいぶがっばるがだで!!」 閉じていたれいむの産道が、今にも爆ぜんばかりに開き……ポンと1匹のでかいゆっくりを出産した。 「おっ、おじびじゃん!ゆっぐりじでね!!ゆっぐりじでねぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」 れいむは涙ながらに喜んだ。最愛の娘との対面だ。ずっと、ずっとこの子をゆっくりさせてあげよう。 「ゆっくりしていってね!!」 まりさも嬉しかった。長年夢見ていたれいむとの家族だ。嬉しくないはずはない。 「おかーしゃん…?」 「そうだよ!おちびちゃんのおかーさんだよ!」 「ゆっくりしていってね!!というんだぜっ!」 「ゆっきゅり…ちて…いっちぇね」 「そうだぜっ!!がばいいんだじぇぇぇ!!!!」 「れいむ、みるんだぜっ!!とってもゆっくりしたおちびちゃんだぜっ!!」 「ゆー♪そうだねっ!!だーりんもよろこんでくれるよね!!」 静寂 「ゆぶぶぶぶ…………。もういやだぁぁぁ、ゆっぐりじだいんだぜぇぇぇぇ!!」 「ゆゆっ? どーしたの?まりさ。ゆっくりしていってねっ!!おちびちゃんがこわがるでしょ!?ぷんぷん」 「ゆっぐりじだいよぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「ゆっぐりざぜでえええええええ!!!」 何も変わらなかった。 何一つとして、変わらなかった。 れいむは、まりさがプロポーズしたときから変わってなかった。 れいむの目に、まりさはつがいとして映らなかった。 「で、でいぶばあどじじぃとまりさとどっじがずぎなんだぜぇ!!!!」 れいむはまりさを受け入れてくれたはずなのに、いつまで経ってもあの男の子とは忘れない。 とうとう我慢できなくなったまりさは禁断の言葉を口にした。 「ゆゆっ?そんなの決まってるでしょぉぉおぉ!!まりさはばかなの?」 れいむは即答した。 そうだ、決まっている。 「まりさのほうがすきにきまってるでしょっ!!」 ああ、よかったんだぜ。れいむはやっぱりまりさをあいしているんだぜ。 それなら、まだがまんできるんだぜ。おちびちゃんたちがおおきくなるころにはきっと、 こんどこそまりさとゆっくりできるんだぜ。 「あいしているのはだーりんだけだけどね♪まりさったら、なにいわせるの?はずかしーよ!」 「…………でてってね。」 能面のような顔でまりさは静かに言った。 「ゆっ?」 「まりさのゆっくりプレイスからでていくんだぜぇぇ!!」 そう言うやいなや、まりさはれいむに体当たりを喰らわした。 れいむはまりさをあいしていなかったんだぜ。 そんなれいむとはもうゆっくりできないんだぜ。 「ゆべっ!」 「やめてよねっ!れいむがほんきになったらまりさにまけるわけないでしょっ!!」 いくら、まりさの戦闘力が高くとも、栄養状態の違いから固体の大きさが違いすぎる。 出産の疲れはあるものの、子供を守ろうと強い意志を持つれいむにまりさが勝てる道理 などなかった。 「“かてーないぼーりょく”をするまりさとはゆっくりできないよっ!!りこんするよ!!」 よかった。なにはともあれ、れいむはでていくんだぜ。 これでゆっくりできるんだぜ。 「“いしゃりょー”と“ざいさんぶんよ”をもらうねっ!!あと、“しんけん”はれいむ のものだよっ!!」 「ゆうううううううううううううう!!!やっ、やめるんだぜ!!まりさのたからものをかえすんだぜ!!」 「やべでー!!ばでぃざのだべぼのどらないでぇぇぇ!!ゆっぐりでぎないいいいい!!!」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ば、ばでぃざのべっどがぁぁ!!」 「じゃあ、これぐらいでいいよっ!!」 そうれいむが言ったあとは酷い様子だった。まるで強盗にでも合ったかのように、家はめちゃくちゃに荒らされた。 まりさが群れを救ったとき、長老達からもらったきれいな石。 まりさがれいむのために寝る間を惜しんで狩りした結果、たまった餌。 都会派のありすから貢いでもらった綿。 まりさの大切な物はほとんど全て奪われた。 「ゆゆっ!じゃあれいむはおうちにかえるね。まりさ、“りこん”したけどこれからもれいむの“しんゆう”でいてねっ!」 「もうにどとくるなだぜぇぇぇぇ!!!!」 ゆ、れいむがあんなにゆっくりできないゆっくりだったなんて……。 今までの思い出を振り返り、まりさは静かに涙を流し続けた。 でも、これでわかったんだぜ。まりさにふさわしいのはありすだぜ。 これからはありすのおもいにこたえるんだぜ。 まりさは気付かなかった。 散々大見得をきって人間のところに行ったものの、完膚なきまでに叩きのめされ、れいむにお情けでつがいにしてもらったのに、 れいむをゆっくりさせることが出来ずに三行半を突きつけられ、挙句実力行使でもれいむの返り討ちにあったまりさが群れのゆ っくりの尊敬を集めるわけなどないことに。 ありすが、れいむに対するまりさほどに辛抱強くないことに。 まりさがれいむと別れるまでの間は、ありすにほかのゆっくりとつがいになるのに充分なほどに時間が過ぎていることに。 「ゆゆっ!ただいま、あなた。」 「ああ、れいむか。久しぶりだね。その様子だと上手く行ったようだね。」 「ゆほーん、かわいいおちびちゃんだよっ!!」 あの晩、男とれいむの会話はこうだ。 「ゆゆ……あなた、ゆっくりきいてね!!たいせつなおはなしがあるの。」 「なんだい、れいむ。急に」 「れ、れいむはおちびちゃんがほしいよ!」 「ほほぅ?だが、僕は君に種付けることはできないよ。お隣さんに頼んで、ゆっくりを貸してもらっても良いが」 「ゆ~、あのねっ!れいむには“しんゆう”のまりさがいるの!!すっごくゆっくりできるんだよ!」 「成る程、じゃあそのゆっくりと子作りをしたいわけだ?」 「ゆっ!そうだよっ!でも、まりさはれいむがあなたとけっこんしている“ひとづま”だってしってるんだよっ! だ、だから、だからでいぶどりごんじでねぇぇ!あなだのごどあいじでるど、ゆっぐぢりがいじでねぇぇ」 途中から涙声になる。 「ああ、別に構わんが、群れに帰るのか。寂しくなるなぁ~」 「ゆゆっ!あなた、あんしんしてねっ!!おちびちゃんがうまれたら、“さいこん”しようねっ!! すこしのあいだだけど、がまんしてね!!」 ほ~。仮想離婚か。なかなか考えるなぁ。ゆっくりなのに。 「そのまりさは、うんというのかい?」 「だいじょうぶだよ、あなたっ!!れいむはまりさのことがだいすきだし、まりさもれいむのことがだいすきだよっ!! あいしているのはあなただけだけど、“しんゆう”のまりさはずっとれいむとかぞくをつくりたがってたしねっ!! きっと、まりさもゆっくりできるよ!!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あとがき 元ネタは童話の「ねずみの嫁入り」(そんな名前だったような気がする) お家宣言して潰されるのなら、お家の人になってしまえば良いじゃない。 かいたもの 甘い話には裏がある。 このSSに感想を付ける
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前 さっそく、まりさは自分の巣にれいむを案内した。 まりさの巣は、長老クラスに次いで群れの中で一番大きかった。 群れへの貢献から、まりさは立地条件の良い巣を譲ってもらい、それを拡張したのだ。 きっとれいむも満足してくれる……にんまりとまりさはほくそえんだ。 「ゆふ~ん、だーりんのとことくらべるとせまいけどまぁまぁだよ。ゆっくりしてあげてもいいよ。」 どうやら、れいむはお気に召さなかったらしい。といって、特に文句を言うわけでもない。 あの人間と比べられるのは癪だけど、仕方がない。どう頑張ったところで、自分より強い人間より 凄いゆっくりプレイスを作れるわけがないのだ。 そう、無理やり自分に言い聞かせることでまりさは気持ちを抑えていた。 だいじょうぶ、れいむはまだきたばっかりなんだぜ。そのうちあのにんげんさんのことをわすれて まりさとだけゆっくりするにきまってるんだぜ。 「じゃあまりさはかりにいくから、れいむはゆっくりしていくんだぜ」 「ゆっくりがんばってね。」 まりさはれいむに親愛のすりすりをしてもらうと、元気に出ていった。夫婦としてのすりすり ではないことがまりさには悲しかったが、離婚したばかりなのだ。時間が経てばまりさにもきっと 愛情のすりすりをしてくれるはずだ。 ムカデ、ダンゴムシ、イモムシ、桜の葉、クローバー、大きな蛾。 頬に一杯食べ物を詰めてまりさはれいむの待つ巣に帰ってくる。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 「むーしゃ、むーしゃ、それなりー。だーりんのとことくらべるとまずいけどまぁまぁだよ。 ありがとうね、まりさ!!」 どうやら、れいむはお気に召さなかったらしい。といって、特に文句を言うわけでもない。 あの人間と比べられるのは癪だけど、仕方がない。どう頑張ったところで、自分より強い人間より 美味しい食べ物を採ってこれるわけがないのだ。 そう、無理やり自分に言い聞かせることでまりさは気持ちを抑えていた。 だいじょうぶ、れいむはまだきたばっかりなんだぜ。そのうちあのにんげんさんのことをわすれて まりさとだけゆっくりするにきまってるんだぜ。 食事の時間が終わり、まったりとした空気が流れる。 まりさはれいむの頬にこすりつけ、だんだんとスピードをあげていく。 いつの間にか体もぶるぶる小刻みに震る。目つきがとろんとしてくる。 つい、劣情に駆られてしまうのを止めるのも野暮なものだろう。 特に今日はあの美れいむをようやくつがいとして向かえた後である。たまりにたまっているのだ。 当然、交尾の時間となる。 「ゆっゆっゆっ……」 ねちゃねちゃとした、粘っこいものが糸を引きそうな音を出してこすり合わせる。 「ゆゆゆゆ……ゆっゆっゆっ……」 「…………」 「ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!」 「…………」 二匹のほお擦りは加速していく。だが、興奮するまりさを尻目に、れいむはどこか冷めていた。 「ゆっゆっ……んほぉぉぉぉ!!!」 「すっきりー!!!」 「すっきりー」 二匹の交尾は終わった。 「ゆゆっ、まりさはそーろーだね。だーりんのとくらべるとへたくそだけど、しょうがないよね。」 「ゆあああああああ!!!どうじでぇぞんだごどいぶの~~!!」 どうやら、れいむはお気に召さなかったらしい。しかも、ボロクソに文句を言っている。 あの人間と比べられるのは癪だけど、意味が分からない。どう頑張ったところで、ゆっくりである自分より人間 がれいむをすっきりさせられるわけがないのだ。 だいじょうぶ、れいむはまだきたばっかりなんだぜ。いまはすっきりーできないけど、おちびちゃんができるのは まりさだけだから、まりさとだけゆっくりするにきまってるんだぜ。 そう、無理やり自分に言い聞かせることでまりさは気持ちを抑えていた。 そう思わなければ、まりさを支えるプライドが持たないのだ。 まりさの名誉のために言えば、人間と比べることが間違いなのだ。 そもそも、ただでさえ惰弱なゆっくりが交尾のときは完全な無防備になる。 野生の生物は交尾は早ければ早いほど良いのだ。 気持ちよさなど二の次、とにかく受精したら即警戒態勢に入る必要がある。 ゆっくりも、ご多分に漏れずそのパターンだった。 対して、男がれいむをすっきりーさせていた場合、天敵はいないためいくらでも時間をかけることができる。 手も足も道具もある人間のほうが、ゆっくりよりバリエーションも多いのは当然のことだ。 しかも、悲しいことに人間の足ですっきりーしまくったれいむと違って、まりさは初めてだった。 れいむを思うあまり、ほかのゆっくりに見向きもしなかった結果がこれである。 それでも、何とかれいむを妊娠させることが出来た。 胎児型の出産になるので、2週間後には元気な子供が生まれるだろう。 れいむが来てからの数日、まりさは全然ゆっくり出来なかった。 まりさがどんなに努力しても、れいむはそれなりにしか喜んでくれない。 いや、それはいい。愛するれいむのためなら、どんなに苦労しても、喜んでくれるまで頑張れる。 ただ、常に人間と比べられるのは我慢ならない。どうやっても勝てないと分かっているだけに、まりさ としても嫉妬しようがない。やり場のない怒りを覚えるだけである。 それでも、子供さえできれば……子供さえ出来ればきっとれいむはまりさの良さに気付いてくれる。 そんな願望に近い思いでまりさは耐えていた。 とうとう、出産日を迎えた。 「ゆゆ!?れっれいむ!ゆっくりがんばるんだぜ!!ゆっゆっふー!ゆっゆっふー!」 「が、がっばるがだで!でいぶがっばるがだで!!」 閉じていたれいむの産道が、今にも爆ぜんばかりに開き……ポンと1匹のでかいゆっくりを出産した。 「おっ、おじびじゃん!ゆっぐりじでね!!ゆっぐりじでねぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」 れいむは涙ながらに喜んだ。最愛の娘との対面だ。ずっと、ずっとこの子をゆっくりさせてあげよう。 「ゆっくりしていってね!!」 まりさも嬉しかった。長年夢見ていたれいむとの家族だ。嬉しくないはずはない。 「おかーしゃん…?」 「そうだよ!おちびちゃんのおかーさんだよ!」 「ゆっくりしていってね!!というんだぜっ!」 「ゆっきゅり…ちて…いっちぇね」 「そうだぜっ!!がばいいんだじぇぇぇ!!!!」 「れいむ、みるんだぜっ!!とってもゆっくりしたおちびちゃんだぜっ!!」 「ゆー♪そうだねっ!!だーりんもよろこんでくれるよね!!」 静寂 「ゆぶぶぶぶ…………。もういやだぁぁぁ、ゆっぐりじだいんだぜぇぇぇぇ!!」 「ゆゆっ? どーしたの?まりさ。ゆっくりしていってねっ!!おちびちゃんがこわがるでしょ!?ぷんぷん」 「ゆっぐりじだいよぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「ゆっぐりざぜでえええええええ!!!」 何も変わらなかった。 何一つとして、変わらなかった。 れいむは、まりさがプロポーズしたときから変わってなかった。 れいむの目に、まりさはつがいとして映らなかった。 「で、でいぶばあどじじぃとまりさとどっじがずぎなんだぜぇ!!!!」 れいむはまりさを受け入れてくれたはずなのに、いつまで経ってもあの男の子とは忘れない。 とうとう我慢できなくなったまりさは禁断の言葉を口にした。 「ゆゆっ?そんなの決まってるでしょぉぉおぉ!!まりさはばかなの?」 れいむは即答した。 そうだ、決まっている。 「まりさのほうがすきにきまってるでしょっ!!」 ああ、よかったんだぜ。れいむはやっぱりまりさをあいしているんだぜ。 それなら、まだがまんできるんだぜ。おちびちゃんたちがおおきくなるころにはきっと、 こんどこそまりさとゆっくりできるんだぜ。 「あいしているのはだーりんだけだけどね♪まりさったら、なにいわせるの?はずかしーよ!」 「…………でてってね。」 能面のような顔でまりさは静かに言った。 「ゆっ?」 「まりさのゆっくりプレイスからでていくんだぜぇぇ!!」 そう言うやいなや、まりさはれいむに体当たりを喰らわした。 れいむはまりさをあいしていなかったんだぜ。 そんなれいむとはもうゆっくりできないんだぜ。 「ゆべっ!」 「やめてよねっ!れいむがほんきになったらまりさにまけるわけないでしょっ!!」 いくら、まりさの戦闘力が高くとも、栄養状態の違いから固体の大きさが違いすぎる。 出産の疲れはあるものの、子供を守ろうと強い意志を持つれいむにまりさが勝てる道理 などなかった。 「“かてーないぼーりょく”をするまりさとはゆっくりできないよっ!!りこんするよ!!」 よかった。なにはともあれ、れいむはでていくんだぜ。 これでゆっくりできるんだぜ。 「“いしゃりょー”と“ざいさんぶんよ”をもらうねっ!!あと、“しんけん”はれいむ のものだよっ!!」 「ゆうううううううううううううう!!!やっ、やめるんだぜ!!まりさのたからものをかえすんだぜ!!」 「やべでー!!ばでぃざのだべぼのどらないでぇぇぇ!!ゆっぐりでぎないいいいい!!!」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ば、ばでぃざのべっどがぁぁ!!」 「じゃあ、これぐらいでいいよっ!!」 そうれいむが言ったあとは酷い様子だった。まるで強盗にでも合ったかのように、家はめちゃくちゃに荒らされた。 まりさが群れを救ったとき、長老達からもらったきれいな石。 まりさがれいむのために寝る間を惜しんで狩りした結果、たまった餌。 都会派のありすから貢いでもらった綿。 まりさの大切な物はほとんど全て奪われた。 「ゆゆっ!じゃあれいむはおうちにかえるね。まりさ、“りこん”したけどこれからもれいむの“しんゆう”でいてねっ!」 「もうにどとくるなだぜぇぇぇぇ!!!!」 ゆ、れいむがあんなにゆっくりできないゆっくりだったなんて……。 今までの思い出を振り返り、まりさは静かに涙を流し続けた。 でも、これでわかったんだぜ。まりさにふさわしいのはありすだぜ。 これからはありすのおもいにこたえるんだぜ。 まりさは気付かなかった。 散々大見得をきって人間のところに行ったものの、完膚なきまでに叩きのめされ、れいむにお情けでつがいにしてもらったのに、 れいむをゆっくりさせることが出来ずに三行半を突きつけられ、挙句実力行使でもれいむの返り討ちにあったまりさが群れのゆ っくりの尊敬を集めるわけなどないことに。 ありすが、れいむに対するまりさほどに辛抱強くないことに。 まりさがれいむと別れるまでの間は、ありすにほかのゆっくりとつがいになるのに充分なほどに時間が過ぎていることに。 「ゆゆっ!ただいま、あなた。」 「ああ、れいむか。久しぶりだね。その様子だと上手く行ったようだね。」 「ゆほーん、かわいいおちびちゃんだよっ!!」 あの晩、男とれいむの会話はこうだ。 「ゆゆ……あなた、ゆっくりきいてね!!たいせつなおはなしがあるの。」 「なんだい、れいむ。急に」 「れ、れいむはおちびちゃんがほしいよ!」 「ほほぅ?だが、僕は君に種付けることはできないよ。お隣さんに頼んで、ゆっくりを貸してもらっても良いが」 「ゆ~、あのねっ!れいむには“しんゆう”のまりさがいるの!!すっごくゆっくりできるんだよ!」 「成る程、じゃあそのゆっくりと子作りをしたいわけだ?」 「ゆっ!そうだよっ!でも、まりさはれいむがあなたとけっこんしている“ひとづま”だってしってるんだよっ! だ、だから、だからでいぶどりごんじでねぇぇ!あなだのごどあいじでるど、ゆっぐぢりがいじでねぇぇ」 途中から涙声になる。 「ああ、別に構わんが、群れに帰るのか。寂しくなるなぁ~」 「ゆゆっ!あなた、あんしんしてねっ!!おちびちゃんがうまれたら、“さいこん”しようねっ!! すこしのあいだだけど、がまんしてね!!」 ほ~。仮想離婚か。なかなか考えるなぁ。ゆっくりなのに。 「そのまりさは、うんというのかい?」 「だいじょうぶだよ、あなたっ!!れいむはまりさのことがだいすきだし、まりさもれいむのことがだいすきだよっ!! あいしているのはあなただけだけど、“しんゆう”のまりさはずっとれいむとかぞくをつくりたがってたしねっ!! きっと、まりさもゆっくりできるよ!!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あとがき 元ネタは童話の「ねずみの嫁入り」(そんな名前だったような気がする) お家宣言して潰されるのなら、お家の人になってしまえば良いじゃない。 かいたもの 甘い話には裏がある。 このSSに感想を付ける
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『群れは誰のもの?』 6KB 虐待 群れ 野良ゆ 初投稿です、よろしくお願いします 『この群れをお兄さんのゆっくりスペースにするよ!ゆっくりしていってね!』 「「「「「ゆ?????」」」」」」 『だから、この群れはお兄さんのゆっくりスペースだよ!ゆっくり理解していってね!』 「むきゅうううううう!?!にんげんさんなにいってるのおおおおおおおお!?」 『何って、おうち宣言』 「おうちせんげんはおうちでするものでしょおおおおお!?なんでむれにおうちせんげんしてるのおおおおおお!?」 「にんげんさんあたまおかしいのぜ!ばかなの!?」 「むれにおうちせんげんするなんてばかなんだね、わかるよ」 「あんこのうなんじゃないかみょん?」 「いくらゆっくりにしっとしてるからってむれをどくせんしようとしないでね!」 「ばーきゃ、ばーきゃ」 「ゆゆゆ、ばきゃなのしぬの?」 『ふーん、さっそくだけど掟を決めるよ!まずお兄さんに逆らうゆっくりは制裁だよ!』 「ゆぷぷぷぷ、ばかなうえにあんこのうなんて、こんなくそにんげんはまりさがいっぱつでせいっさいしてやるのぜ!」 「みょん!まりさ、すけだちするみょん!」 「くそにんげんはさっさとしんでね、わかれよー」 『3匹か・・・、全体で40匹程度だったから最初はこの程度だろうな。いいよ、かかってきてね!』 「いくのぜえええええええぇぇぇぇ!」 「こよいのはくろーけんはちにうえてるみょん!」 「かてないってわかれよー」 『ヒャッハーーーー!』 「いだい!」「づよい!」「ぶぎゅ!」 『ちぇんは俺を怒らせた・・・、このまま踏みつぶされてね!』 「やじゃやじゃ『ブギュ!』じゃ!」 『まりさはゲスっぽいから制裁するよ!みょんはマシっぽいから調教してあげるね!』 「まりざのうえにのるなああああぁぁぁ!おぼうじざんをづぶずなあああぁぁぁ!!!」 『みょんはこれからゲスと善良の違いが分かるように、はくろーけんでまりさを制裁してね!』 「いやみょん!いやみょん!いやみょん!まりさはいいやつみょん!」 『まりさはゲスだよ!ゆっくり理解していってね!制裁しないの?』 「ちがうみょん!まりさはやばんだけどいいやつみょん!」 「みょん・・・・・・まりざはみょんのようなゆっくりとゆっくりでぎでよかっだのぜ」 「みょんもだみょん。みょんはつみのないゆっくりにせいさいしないみょん!」 『罪がない?』 「そうだみょん!」 『残念、ところがあるんだな』 「みみよん!?」 「なにいっでるぜえええ!?まりざはなんもわるいごどなんがじてないいいいいいいいいいい!」 『まりさは群れの長の上に立つお兄さんに逆らった罪があるよ!』 「「ゆ?????」」 『しょうがないなー、これだから餡子脳は。まずさっきのおうち宣言から説明するね!今日からここはお兄さんの土地なんだよ!』 「むきゅ!?ちょちょちょちょっとまって!ぱちゅりーにもおはなしきかせてちょうだい!ぱちぇはこのむれのおさよ!」 『ぱちゅりーが群れの長か、テンプレ通りだな。いいよ、ゆっくりりかいしていってね!』 「まずこのむれはぱちぇのおかあさんのおかあさんからあるむれなのよ!にんげんさんのものじゃないわ!」 「そうだみょん!れきしのあるむれなんだみょん!」 『ぱちゅりーのおかあさんのおかあさんのおかあさんはお兄さんの飼いゆっくりだったよ、その時にここに住ませてあげてただけだよ!』 「・・・・・・え?」 『正確に言うとその時はじいちゃんの土地だったんだけど今はお兄さんが引き継いだんだよ!』 「そんなのしらないいいいいいいいいいいいい!」 「うそだみょん!うそだみょん!」 『知らないからってお兄さんをうそつき呼ばわりとはゲスだね!制裁―』 「むきゅ!?まっまっ、まって!せいさいはあとにしてちょうだい!」 「そうだみょん!まだはなしがおわってないみょん!」 『え~?制裁したい~ぃ』 「しょ、しょうこはあるの!?ぱちぇのおかあさんのおかあさんのおかあさんがにんげんさんのかいゆっくりだったしょうこが!?」 「そうだみょん、しょうこをだすみょん!」 『証拠ね~・・・、証拠は君たちだよ!』 「「ゆゆ!?」」 『ぱちゅりーは群れの長、そしてみょんとこのまりさ、さっき永遠にゆっくりしたちぇんは群れの幹部でしょ?』 「ななななんでわかったみょん!?」 「まさか・・・」 『群れの掟にこうあったと思うんだけど、れいむはどれい、でいぶはおトイレってね』 「なんでしってるみょん!?」 「むきゅ、まさか、そのおきてをつくったのは・・・」 『その通り!お兄さんで~す!ほかにもアリスは去勢させて群れに入れるとか、希少種は保護して木でできたおうちに住まわせるとあまあまさんになるとか、群れの外で野良ゲスを見かけたら問答無用で制裁し掃除するとか、掟を変えようとする長は生き埋めにするとかね!』 「「ゆゆゆゆゆゆゆゆ!?」」 『つまり、この群れはお兄さんたちのおかげであるようなもの、お兄さんのモノだよ!』 「まって!それじゃあなんでこんなゆっくりできないおきてばかりあるの!?」 「そうだみょん!いっつもいっつもおきてのせいでぜんぜんゆっくりできなかったみょん」 「ほんとうはれいむとだってゆっくりしたかったのよ!ありすたちもおちびちゃんがほしかったのよ!きしょうしゅのゆっくりとだっていっしょにゆっくりしたかったのに!」 「げすのせいさいだってたいへんなんだみょん!このまえだってとなりのまりさがすきをつかれてえいえんにゆっくりしてしまったみょん!おさのおかあさんはおきてをよくしようとしただけみょん!」 「どうしてなの!?にんげんさん!」 「こたえるんだみょん!」 『え?簡単だよ!ゆっくりは馬鹿で無責任で無能だから掟でゆっくりさせなかっただけだよ!』 「・・・え?」 「なんんだみょん、それ・・・」 『れいむは昔、お兄さんのかいゆっくりになろうとしてお兄さんのぱちゅりーと番になろうとお兄さんぱちゅりーを騙したから絶対許さないよ!そのあとぱちゅりーには責任を持って空き地に住んで、群れを作ったんだよ!その時、掟でれいむは底辺にしたんだよ!』 「え?なにそれ・・・?」 『しばらくしてお兄さんのぱちゅりーはめーりんと結婚しておちびちゃんを作ったんだけど群れのありすがレイパーになって襲われて赤めーりんと赤ぱちゅりーが一匹ずつしか助からなかったんだよ!だからありすは強制的に去勢することになったんだよ!さらにさらに、残った赤めーりんはいじめられるようになったんだよ、だからぱちゅりーは木箱に入れて人間さんに保護してもらったんだよ!あまあまはご褒美だよ!』 「そんなことがあったのかみょん・・・」 『そこからしばらくしてお兄さんぱちゅりーのおちびちゃんが群れの長になったんだけど群れのゲスが急増して長を乗っ取ろうとしたんだよ、掟を変えるとか言ってね!お兄さんのお父さんのお父さんがそれに気が付いてゲスを追い払ったんだけど、その時逃げたゲスがほかの人間さんに迷惑かけないようにゲスを駆除の責任を群れに取らせてるだけだよ!あと掟を変更できなくもしたよ!』 「そんな・・・、ゆっくりできないいいいぃぃぃ!エレエレエレエレ・・・」 「おさ!はかないでみょん!」 『理解できる?もともと土地はお兄さん達のものだし、群れも貸し与えてるだけなんだよ!掟はゆっくりたちがゆっくりしようとしたからゆっくりできないようになったんだよ!そして今日からお兄さんが長の上に立ち、掟をさらに厳しくして、おめーらをゆっくりさせることなく!虐待し!永遠にゆっくりさせるんだよ!ヒャッハーーーーー!!!!』 「「にんげんさんはぎゃくたいおにいさんだったの!!!???」」 『今頃気が付いたか糞饅頭!だかもう遅い!赤ゆっくりたちはこちらでずっと預かってるからな!逃げだすんじゃねーぞ!?わかったか!』 「「「「「「おしゃーーーーー!?たしゅけてーーーーーー!!!」」」」」」 「むれのおちびちゃんたちーーーーー!?」 『今日まで待った、ずっと虐待をさせてもらえずに愛でじじいのところで無理やり愛でさせられて・・・。だが!今日!ここで!お兄さんは虐待お兄さんへの一歩を踏みしめるんだ!お前らはその礎なんだよぉ!!これから毎日虐待するよ!ゆっくりしていってね!』 「「「「「できるかああああああああああ!!!!!??????!!?!?!?!?!?」」」」」 *初投稿です、へたくそな文章ですが虐待をする気満々なので寛大な心で見ていただけると幸いです
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『ゆっくりの越冬 前半』 38KB 観察 考証 越冬 自然界 人間なし うんしー 初投稿です。 ※前書き 設定の独自解釈があります。 スレなどで気に入ったネタは容赦なく盛り込んであります。 考察要素が強めです。 それでも良いと思われる方、どうぞご照覧下さい。 ゆっくりの越冬 木々の間から街を望む、小さな山の中にそのゆっくりの群れはある。 群れは小さく、長も普通サイズのまりさ。 しかし規模の小ささが幸いして人間との軋轢も生まれず比較的平穏に暮らしている。 一般にゆっくりは子沢山であり、2匹以上いればあっという間に数が増えると思われているが それは恵まれた環境に限った話。 赤ゆっくりや子ゆっくりが厳しい自然界で生き抜ける確率はそれほど高くない。 だから、この群れは2年の歳月を経ても規模があまり変わってこなかった。 そうして季節は巡り、夏の終わりに生まれた赤ゆっくりが一人前になる頃、 群れのゆっくり達が越冬の準備をしはじめると共にこの話は始まる。 「「ここをれいむとまりさのゆっくりぷれいすにするよ!!」」 彼女たちはつい先日に独り立ちしたばかりの若いまりさとれいむ。 どうやら新たな住処となる場所…自分たちだけの「ゆっくりぷれいす」を見つけたところのようだ。 この2匹は生まれた“おうち”がすぐ近くにあったために、家族ぐるみでの付き合いがあった。 小さい頃から特に仲が良く、大人になり、独り立ちすると共にごく自然につがいになったのだ。 とはいえ、今は冬の準備で忙しい時期。まだ子供を作ることはできないでいる。 2匹が巣を作ろうと決めたのは60センチ程の土手に空いた小さな洞穴。 雨で崩れたのか、木の根が露出しておりなんとも丈夫そうな佇まいである。 冬籠りに向けて通常より広い範囲で狩りを行っていた為に運よく発見できたものだ。 すぐにおうち宣言を済ませ、あとは冬に向けて住みよい様に拡張するのみとなっている。 とはいったものの、まるで誰かが住んでいたかの様に、この穴倉は2匹で暮らすには既に十分な広さがあった。 越冬用の食糧を溜めるのでなければ拡張すら必要なかったかもしれない。 「それじゃあ、まりさは かりにいってくるのぜ!」 「ゆっくりいってらっしゃい! きをつけてね!」 本来ならふたりで狩りをし、狩りを終えたらふたりで協力して穴を広げるところだが れいむは自分だけでおうち作りを引き受けるとまりさに伝えた。 小さいころから母ありすの“とかいはなこーでぃねーと”を手伝っていたれいむは 狩りよりもおうち作りが得意だった為だ。 逆に父まりさと主に木々の間を駆け巡ってばかりいたまりさはおうち作りは苦手。 そこでまりさは狩りに、れいむはおうち作りに専念することにした。 この作戦は見たところ功を奏したようである。 まりさは「群で一番の狩りの名人」、すなわちまりさ種としては平均的な能力だったが この森は食糧となる草や花も豊富であり 時間の余裕も手伝って順調に保存用のごはんを貯めることができた。 秋が終わりを告げいよいよ越冬に入る頃、まりさとれいむには丁度良いおうちが出来上がっていた。 巣穴の奥にもたっぷりのごはんが貯め込まれている。 拡張された食糧庫は、春になれば生まれてくるであろう“おちびちゃん”たちの部屋になるのである。 長まりさの娘であり幼いころからの親友であるぱちゅりーに教わって、きちんと長持ちするものだけを集めたものだ。 しっかり切り詰めれば大人のゆっくり3人が十分に食い繋げるだろうと言っていたので安心できる。 「ゆっ! さいきん だいぶすずしくなってきたね! おうちをゆっくりふさごうね!」 「わかったのぜ! でもそのまえに おとーさんとおかーさんに あいさつしてくるのぜ!」 春には再会できるとは言え、今までのゆん生と同じほどの期間会うことができなくなる。 2匹はそれぞれの両親や、同じく一人立ちした姉妹に挨拶しに行くことにした。 お互いの準備が万全であると確認し、長い時間をかけて別れを惜しむと 巣に戻り、いつもの“けっかいっ”よりも厳重に枝や石、唾液を混ぜた土で入口を丹念に塞いでいく。 自由な出入りはできなくなるものの、冷たい外気が入って来なくなり 巣の中は2匹の体温によって一定の温度が保たれるだろう。 「これで やっとゆっくりできるのぜ!」 「まりさ! はるまで ゆっくりしようね!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 「「ゆっくりしていってね!!」」 最初の夜が明け、2匹は朝の挨拶を交わした。 初めての越冬、それ以上に、初めてのふたりきりのおうち。 彼女たちを包む軽い興奮と深い幸福感は、ぷろぽーずのときの甘いふぁーすとちゅっちゅと同じ程。 親愛を込めたすーりすーりの後、食糧庫から今日のごはんとして干した草や虫を葉っぱのお皿に載せる。 これで丸一日分である。必要最低限のため、昨日までの1/10程度しかない。 「「むーしゃ!むーしゃ! しあわせー!」」 それでも2人なら、なにを食べても美味しい。 2人なら、どこにいても幸せ。 2人なら、ずっとずっとゆっくりできる。 れいむとまりさは心の底からそう信じていた。 ごはんが終わったらお互いをぺーろぺーろして綺麗にし、まだ見ぬ春への思いを話し合う。 「はるになったら みんなでピクニックにいこうね!」 「おはなさんをたくさん むーしゃむーしゃするのぜ!!」 「おとーさんや おかーさんや おねーちゃんたちと たくさんすーりすーりしようね!」 「まりさたちも すっきりーして おちびちゃんをたくさんつくるのぜ!」 「もう… まりさったら…///」 「ゆへへっ …はるさんが まちどおしいのぜ!」 「そうだね! はるさんは ゆっくりしないで はやくきてね!」 お喋りが終わったらお昼寝の時間。これからは食糧や体力を無駄にできない。 昼間の僅かな時間以外のほとんどを仮眠と睡眠で過さなければいけなくなる。 だが、ふたりにとってそれは苦にならないだろう。何故なら自分の一番大事な宝物がすぐ横にいる。 それを意識するだけでれいむもまりさも餡子の奥がポカポカしてくるのを感じていた。 彼女たちにとって、ふたりきりでゆっくりし続けることができるこの冬籠りは ゆっくりしている自分達への神さまからのご褒美だとすら考えられた。 “きっとこれが本当のゆっくりなんだね…” そんなことを考えながら、ふたりは再びまどろみの中に落ちていった。 そんなしあわせーな生活が1週間もした朝。 「ゆぅ… はるさんはゆっくりしすぎなのぜ」 ゆっくりはゆっくりしていれば幸せとは誰が言ったのだろうか、 まりさはいつまでも訪れぬ春に苛立ちを覚え始めていた。 もう数え切れないほどに“たくさん”寝て起きたのに春の気配は感じられない。 秋の間、野山を駆け巡る生活をしてきたまりさは体を思いきり動かせないことが不満なのだ。 思う存分ぴょんぴょんしたい。干し草ではない、獲ったばかりの虫さんやキノコさんをむーしゃむーしゃしたい。 そんな思いがつい漏れてしまった。 「ゆっ? どうしたのまりさ?」 「なんでもないのぜ! ちょっと ねてばっかりだと からだがなまっちゃいそうだって おもっただけなのぜ!」 「ゆふふっ! まりさは かけっこが だいすきだもんね!」 「そうなのぜ! かけっこなら ちぇんにだってまけないのぜ?」 「ゆゆぅ!? すごいねまりさ!」 実際のところ彼女たちの群れにちぇんはいない。比べたことも勿論ないのだが、れいむはあっさり信じる。 れいむにとってまりさは特別なゆっくり。ちぇんよりも素早く、みょんよりも勇敢に違いない。 だが、だからこそ、れいむは冬籠りの退屈さが活発なまりさには辛いのだろうと気が付いていた。 なんとかしてまりさにゆっくりして貰いたい…れいむは必死に餡子を捻り、 ついに今まで誰も思いつかなかったような素晴らしいアイデアを閃いた。 「まりさ! おちびちゃんがいれば ゆっくりできるよ!」 まりさは突然の言葉に驚き、同時に心配をかけていたことに気が付いた。 大好きなれいむを心配させていたなんて…そんな自分の為にれいむ色々と考えてくれたんだ。 深い反省と感謝の気持ちがまりさを満たしていく。まりさは知らず知らずのうちに笑顔を浮かべていた。 一瞬ぽかんとした後、ゆっくりと笑顔になるまりさを見て れいむは自分のアイデアが間違ってはいなかったと改めて確信する。 おちびちゃんがいれば退屈で辛い冬籠りも明るく楽しいものになるだろう。 春まで待とうとしていた理由は思い出せないが、思い出せない位ならどうせ大した理由ではなかったのだろう。 『こんな素晴らしい事を何故もっと早く考え付かなかったのか。』 れいむはこれまでの時間を無駄にしたようにすら思えてきた。だが過ぎたことを嘆いても仕方がない。 大切なのはこれからの冬籠りを、まりさと、かわいいおちびちゃんたちとゆっくり過ごしていくことだ。 もう寝ては起きて春を待つだけの生活はおしまいなのだ。れいむには、未来は薔薇色の日々が約束されていた。 美味しそうな花がたくさん咲く広場で、自分に似たおちびちゃん達とゆっくりしたおうたを歌う光景を 幻視していたれいむは、しかしまりさの言葉で現在に引き戻された。 「ゆ? でもぱちゅりーは 『ふゆのあいだにおちびちゃんをつくるとゆっくりできなくなる』 っていってたのぜ?」 「ゆゆっ!? おちびちゃんはゆっくりできるんだよ!?」 そう言われれば確かにぱちゅりーはそんなことを言っていた。 その時は気が付かなかったが考えてみればおかしな話である。 おちびちゃんはれいむ達をゆっくりさせる為に生れて来てくれるのだ。ゆっくりできない筈がない。 「ごはんを食べたらお腹が減る」と言っているようなものである。 とはいえ、ぱちゅりーはとても賢く、間違ったことを言ったことは一度もない。 そのぱちゅりーが「ゆっくりできない」と言ったのならそれはきっとゆっくりできないのだ。 れいむとまりさは混乱した。なにせおちびちゃんがゆっくりできるのは間違えようのない事実なのだから。 この矛盾に2匹は… 「ゆっ! きっとぱちゅりーがかんちがいしたんだね!」 さして悩まずに結論を出した。 ぱちゅりーはつがいもおらず当然子供もいない。だからきっと何かの勘違いだったのだろう。 即時満場一致で可決。 そうと決まれば善は急げである。 彼女たちは失った時間を取り戻すかのように互いの肌を擦り合わせ始めた。 「すーりすーり… ゆゆっ… れいむぅ…」 「ゆぅう… まりさぁ… とってもきもちいいよぉ…」 ぬちゃぬちゃ。ぴちゃぴちゃ。 妙に粘度の高い砂糖水がぬらぬらと滴る。 二匹とも眼をトロンとさせ、口元はだらしなく半開きで涎が垂れている。 普段の姿からすれば眼を背けたくなる醜悪さだが興奮ゆえか気が付いていないようだ。 相手の分泌した液体を自らの肌で拭おうとしているのか… あるいは自らの分泌した液体を相手の肌に擦りつけようとしているのか。 どういう原理か桜餅のように紅潮した二つの饅頭は徐々にその動きを速めていく。 「「すっきりー!!!」」 巣穴に響くような叫びと共にその動きをぴくりと止めた。 一呼吸付く、とれいむの額から瑞々しい新緑の茎がするすると伸び始める。 30センチを越えた程で伸びるのをやめ、次に等間隔に出来た6つの瘤が少しずつ膨らみ始めた。 一方れいむは幸せに満ちた表情で自分の頭に宿った実を眺めているが、みると明らかに頬がこけている。 1週間にわたる摂食生活では植物型妊娠に耐えられないのだろう。 頬がべこんとへこむに至り、ようやく自分の状態に気が付いて騒ぎ始めた。 「ゆぅぅぅうう!!? これいじょうれいむのあんこさんすわないでねぇぇぇ!!! でいぶじんじゃううぅぅぅ!!!」 「ゆあぁぁぁああ!? れいむぅぅぅ!?!?!」 焦ったまりさは食糧庫に飛んでいき、大量のごはんをれいむの口に押し込んだ。 大切な食糧だがれいむの命には代えられない。それに少しくらい多く食べても大丈夫な程に食糧は貯めた筈だ。 結局普段の一日分程の食糧を食べるに至りようやくれいむはいつもの丸い形と笑顔を取り戻した。 「ありがとうまりさ! やっぱりまりさはさいっこうっのだーりんだよっ!」 「ゆっへん! それほどでもあるのぜ! れいむはかならずまりさがまもるっていったのぜ?」 記憶にはないが確かに言われてみれば言われた気がする。れいむは一人まりさへの愛を深めていた。 そんな寸劇が終わってみれば、蔓にできた6つの瘤は 直径3センチ程の大きさながらゆっくりの姿を形作っていた。いわゆる実ゆっくりだ。 無事(?)ににんっしんっ!成功である。 6日後。 「ゆゆぅ~~~んっ! れいむのおちびちゃんたち、とってもゆっくりしてるよぉ~~~!!」 「おちびちゃんたち、ゆっくりうまれるのぜ! ゆっくり! ゆっくりなのぜ!」 「もう! まりさも もっとゆっくりしてね!!」 まりさが「おちびちゃんのため」といってれいむに多めのごはんを食べさせていた甲斐もあり 実ゆっくりたちはもう生まれる寸前の大きさになっていた。 この日は朝からぷるぷると震えており、もうすぐ赤ゆっくりが産声をあげることを2匹に教えている。 まりさなど興奮しすぎて実ゆを取って食わんばかりの接近だ。 そんな両親に見守る中、赤ゆたちは誕生の時を迎えた。 ぷるぷるぷる、ぷちっ…ぽとん。「ゆっ!」 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 「れいみゅはれいみゅぢゃよ! ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」 「ゆぅぅ~! とってもゆっくりしたおちびちゃんなのぜぇ!」 「ゆっ! つぎのおちびちゃんもうまれそうだよ!」 ぷちっ…ぽとん。「ゆっ!」 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」 「「「ゆっくりしていってね!!(ゆっくちしちぇいっちぇにぇ)!」」」 「まりちゃはまりちゃにゃのじぇ! ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」 「しゃべりかたまで まりさにそっくりだね!」 「れいみゅのいもーちょぢゃにぇ! れいみゅはれいみゅぢゃよ!」 ぷちっ…ぺちょん。「ゆ゛っ!」 「まりちゃはまりちゃぢゃよ! ゆっくち! ゆっくちぃ!」 「とってももちもちおはだなおちびちゃんなのぜ! しょうらいは びゆっくりまちがいなしなのぜ!」 ぷちっ…ぽよん。「ゆぴっ!」 「れいみゅはれいみゅぢゃよ! ゆっくちちちぇいっちぇにぇ~♪」 「おうたのじょうずそうな おちびちゃんだよぉ!」 続けざまに4匹の赤ゆが生まれ巣穴はやにわに賑やかになった。 5つめの実が大きく震え始めたのを見てまりさも赤ゆ達もさらに興奮が高まる。 「ゆゆぅー! まりちゃのいもーちょ! ゆっくち! ゆっくち!」 生まれて1分足らずにも関わらず姉としての意識が芽生えているのだろうか、 揺れる実を見上げながらぴょんぴょんと飛び跳ねる3女赤まりさ。 ぷるぷるぷる、ぷちっ…べちょっ。「びゅべっ」 「ゆっくちちいぇいっちぇにぇ!」 飛び跳ねすぎて生まれてくる赤ゆの真下に入ってしまったらしい。落下した妹が直撃した。 ピンポン玉サイズである赤ゆの重量など高が知れているが、自身も生まれたばかりの身。 赤まりさは大きくひしゃげ餡子を吐き出してしまった。 「ゆあああ!? おちびちゃぁぁぁああん!?」 「ゆっ! まりちゃがうまれちゃよ! ゆっくちちちぇいっちぇにぇ! ゆっくちちちぇいっちぇにぇ!」 「びゃべっ! ゆげっ! ゆぢっ!」 姉の惨状に気付かない赤まりさは挨拶がなかったことに不満を覚え、その場で何度も飛び跳ねる。 「ゆ゛っ ゆ゛っ ゆ゛っ」 「おちびちゃんとびはねちゃだめぇぇぇぇぇ!!」 「ゆぅ? …おにぇーちゃぁぁぁああん!? にゃんぢぇぇぇぇえええ!?」 「…もっちょ…ゆ゛っぐぢ………」 「「おちびちゃんがぁぁぁぁあああ!!!!」」 「「いみょーちょぎゃぁぁああ!?!?」」 「「おにぇーちゃんぎゃぁぁぁ!!」」 気が付いた時には既に手遅れ。体の大半の餡子を吐き散らし、生まれたばかりの命は儚くもあっさり散った。 突然の不幸に嘆く一家。しかし悲しみに暮れる間もなく蔓に残った最後の実が大きく揺れ始める。 残念だけど、死んでしまったおちびちゃんのことは諦めよう。おちびちゃんはまた作ればいい。 今は悲しむよりも、残ったおちびちゃんにより深い愛情を注ぐべきなのだ。 驚くべき速さで気持を切り替える両親。 潰れた饅頭の残骸もそのままに、最後の子供の誕生に意識を集中する。 ぷるぷる、ぷちっ…ぽゆん。 「ゆぴ! ゆっち! ゆっち!」 「「ゆっくりしていって…ね…?」」 「ゆち! ゆー! ゆっくちー!」 「ゆ? れいみゅにょいみょーちょ…にゃんぢゃきゃ ゆっくちちちぇにゃいにぇ…」 お決まりの挨拶すらまともに出来ず、髪の毛は頭頂部に申し訳程度。 瞳の焦点も定まらず口からは涎が垂れている。 言うまでも無い事だが、ゆっくりは「すっきりー」すると、体調に関わらずある程度の数を「にんっしんっ」する。 節食生活だったれいむでは6匹の子供は多すぎたのだ。 さらに越冬中であるのも災いした。 実は普段の生活において、植物性にんっしんっは実ゆっくりが落ちてしまうことが多い。 ただ4つ以上は「たくさん」としか認識できない為に2つ3つ減っても親は気がつかないのだ。 洞窟の中で安静にしていたれいむは幸か不幸か全ての実が順調に育ってしまった。 すなわち、多少多めに食べたところで普段の半分以下。 6女のれいむは未熟ゆで誕生したのである。 先に生まれた姉たちは、本能が異端を許さないのか生まれたばかり妹に蔑むような視線を向ける。 れいむとまりさも困ったようにお互いを見合わせた。 「ゆぅぅ…ゆっ! きっと ごはんさんがたりなかったのぜ! このおちびちゃんも ごはんさんをたくさんたべれば、ほかのおちびちゃんみたいになるはずなのぜ!」 「ゆっ! そうだね! このこも れいむのかわいいおちびちゃんだよ!」 「ゆっくちぢぇきにゃいよ…」 「あんにゃ いもーちょにゃんちぇ いりゃにゃいよ…」 気を取り直して子育て宣言をする2匹だが、姉妹のほとんどは末れいむを疎んでいるのに気がつかない。 「まりちゃは おにゃきゃぎゃしゅいちゃよ! ごはんしゃんを むーちゃむーちゃしゃしぇちぇにぇ! いましゅぎゅぢぇいいよ!」 「ゆっ! おちびちゃんたちは このくきさんをたべるのぜ! むーしゃ、むーしゃ、ぺっ」 まりさがれいむの頭の茎を口で咥えて根元から折り、良く噛んでから吐き出す。 これが赤ゆ達の最初の食事である。 この茎は程良く甘く、程良く苦い為に生まれたばかりの赤ゆの味覚調整の役割があると言われている。 「ゆわーい! まりちゃにょ しゅーぱーむーちゃむーちゃたいみゅぢゃよ!」 「まだだよおちびちゃん! ちゃんとみんなで いただきますをしようね!」 「しょうぢゃよ! ひちょりぢゃけ しゃきにむーちゃむーちゃ しゅりゅにゃんて ゆっくちちちぇにゃいよ!」 「ゆぅぅぅ! ぢょぉぢぢぇ じょんにゃぎょぢょ いうにょぉぉお!?」 「おちついてね! ごはんさんはにげないよ! ゆっくりたべてね!」 「「「ゆっくちいちゃぢゃきましゅ!!」」」「うみぇっ! こりぇめっちゃうみぇっ! ぱにぇっ!」 「「「むーちゃ! むーちゃ! ちあわちぇぇぇ!!」」」 結局5女まりさは挨拶もせずに食べ始めていた。 よほどお腹が減っているのだろう、それにまだ生まれたばかりなのだから… そう思った両親は5女まりさを可愛いと感じこそすれ叱ることはしなかった。 「ゆぷー、おにゃきゃいっぴゃいぢゃよ」 「ごちちょうしゃみゃぢぇちちゃ!」 「おぉ、みゃんぴゅきゅみゃんぴゅきゅ」 「れいみゅ にゃんぢゃきゃ にぇみゅきゅにゃっちぇきちゃよ…」 「ゆぴー…ゆぴー…」 初めてのごはんを食べ終わった赤ゆ達には早くも睡魔が降りてきたようだ。 この日の為にまりさが作っておいた「べっど」(干し草をまとめてくぼみを作っただけのもの)に 寝かせてあげると、あっという間に寝息を立て始める。 れいむとまりさは不幸な3女の死骸を 「はるさんがきたら ちゃんとうめてあげるからね…」 といって食糧庫の隅に移動させた後、自分達の食事をしていないことも忘れて にこにことおちびちゃん達の寝顔を眺めていた。 「ゆっ! れいみゅゆっくちおきちゃよ!」 「ゆっくちあしょぶのじぇ!」 「おきゃーしゃんにょ おうたぎゃききちゃいよ!」 「おちょーしゃん! まりしゃにしゅーりしゅーりしちぇにぇ!」 「ゆっち! ゆっくちー!」 やがて赤ゆ達は眼を覚まし、今度は遊びの時間が始まる。 長女れいむと次女まりさは元気におうちのなかを追いかけっこ。 成体であるれいむとまりさには運動する程の広さは無い巣穴の中もピンポン玉程の赤ゆにとっては大運動場だ。 4女れいむは母れいむにおうたをせがみ、れいむも嬉しそうにそれに応える。 5女まりさは父まりさに近寄って(殆ど父まりさの方から近寄っていたが)頬ずりしている。 「ゆ~ゆゆ~♪ ゆっくりしていってね~♪」 「ゆんゆ~ん♪ ゆっくち~♪」 母のゆっくりした歌声を聞き、自分も真似して歌い出す4女れいむ。 今まで聞いたこともないような美声、そして拙いながらも一生懸命に歌う姿は母れいむをさらに感動させた。 きっとこのおちびちゃんは群れ一番の歌姫になるだろう。 母に褒められた4女れいむは恥ずかしそうに笑う。 きっと自分は皆をゆっくりさせるために生まれてきたんだとれいむは思った。 沢山練習して、群れの皆を沢山ゆっくりさせてあげるんだ。それが本当のゆっくりに繋がるんだ…。 そんな決意を胸(?)に生まれたばかりのれいむは歌の練習に励んでいた。 「ゆゆ~ゆ~ん♪ ゆっくちちちぇいっちぇにぇ~♪」 「ゆっくりしていってね~♪」 「ゆっ! まりちゃは たきゃいたきゃいしちぇほちいよ!」 未熟な末れいむもに5女まりさと同様、父まりさの頬にすり寄ってきたが、5女まりさはそれを一瞥すると 今度は「たかいたかい」をねだりはじめた。 「たかいたかい」はまりさ種特有の行動で、帽子のつばでぽんぽんと子供を跳ねさせる遊びである。 ある程度大きくなると乗ることはできなくなるが、空を飛ぶような感覚はほとんどの赤ゆを魅了する。 可愛いおちびちゃんにねだられて父まりさが断る筈がない。 器用につばの先を地面に近寄せて5女まりさを載せると、天井にぶつからないように注意深く跳ねあげる。 「おしょりゃをとんじぇりゅみちゃい!」 姉妹達を遥か眼下に望み、あれほど巨大な両親すら見下ろす高度は赤まりさに浮遊感を覚えさせる。 おうちの中でなければきっと世界の果てまで見渡すことができるだろう。 こんな場所から世界を見下ろす自分はきっと誰よりも選ばれたゆっくりに違いない。 5女まりさは、自らが全てを超越した万能な存在であることを自覚した。 見れば地べたで出来損ないの妹がぴょんぴょんと飛び跳ねている。 クズの分際で自分と同じ場所に並びたがるとはなんて身の程知らずなのだろう。 「ゆ? おちびちゃんも たかいたかいがしてほしいの?」 「ゆっち! おちょりゃ! ゆっくち!」 しかし、あろうことか父まりさはクズ奴隷を帽子に載せてしまった。 まったく…それこそ勘違いした奴隷を付けあがらせるだけだというのに。 「おしょりゃをとんじぇりゅみちゃい!」 「おちょりゃ! おちょりゃ!」 だが一度浮き上がると細かい事は気にならなくなる。全てを忘れ恍惚感に浸る5女まりさ。 仲良く飛び跳ねるおちびちゃん達を見て父まりさは満足そうに微笑んだ。 この子達なら、春が来ても他のゆっくりのおちびちゃんと仲良くなれる。 きっと子供たちのリーダーになるに違いない―――父まりさはそう思っていた。 そうして30分も経ち、外ではすっかり日が高くなった頃。 「ゆっくちおにゃきゃがしゅいちゃよ!」 「まりちゃは むーちゃむーちゃちちゃいにょじぇ!」 追いかけっこをしていた長女れいむと次女まりさは、たっぷり運動してお腹が空いたらしい。 本来、冬籠り中はなるべく活動を控えて餡子の消耗を抑えなければいけない。 ぱちゅりーに言われた通り1日1食のつもりだった両親は困ってしまったが、赤ゆは元気に遊ぶのが仕事。 生まれたばかりのおちびちゃんに「じっとしていろ」なんてゆっくりできないことを許せる両親ではなかった。 確かに赤ゆっくりは食欲旺盛で1日に自分の体積の2倍以上食べてしまうが、 体が小さいので一度に食べるごはんの量は全員分を合わせても大人1人分程よりやや少ない程度でしかない。 ぱちゅりーは「大人3人分」と言っていたし、おちびちゃんが「たくさん」よりさらに沢山いても ごはんが足りなくなる事はないだろうと考え直した。 「ゆっ! そういえばまりさたちも きょうのごはんさんを むーしゃむーしゃしてなかったのぜ!」 「ゆゆっ! すっかりわすれてたよ! それじゃみんなでごはんにしようね!」 れいむとまりさの食事は最低限の量しか食べていないのでこれを忘れるわけにはいかない。 普段1日に食べる量のわずか1/10程度だが、可愛いおちびちゃんを見ていれば空腹なんて吹っ飛んでしまう。 まりさが急いで全員分のごはんを用意し、皆でいただきますの挨拶。 「「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!」」 冬籠り中でなければもっと新鮮な木の実や虫をお腹いっぱい食べていたれいむとまりさだが、 それでも家族で食べるごはんは別格の味わいを2匹にもたらした。 しかし… 「むーちゃ!むーちゃ! …まじゅいぃぃい!! 「こりぇどきゅはいっちぇりゅ!」 「こんにゃにょ たびぇらりぇにゃいよ! あみゃあみゃしゃんもっちぇきちぇにぇ!」 「「ゆ…ゆゆぅっ!?」」 顎の弱い赤ゆ達は干し草を噛み砕くことができず、さらに苦みに耐えられないので 親がしっかり咀嚼してから与えなければいけない。 そうして柔らかくし、砂糖水の唾液と混ざることで甘くなって初めて食べられるようになる。 れいむもまりさも餡子に刻まれた本能で知っていた筈だが、すっかり舞い上がってしまい忘れていたのだ。 急いで一匹ずつごはんを噛み、口移しで与え始めた。 「ゆっ! ごめんねおちびちゃんたち! ちょっとまっててね!!」 「もっ もっ もっ… やわらかくなったのぜ! じゅんばんに あーんするのぜ!」 「あーんしゅるよ! …むーちゃ!むーちゃ! ちあわちぇぇぇ!!」 今度こそ大丈夫だ。思いがけないトラブルもあったが無事に全員が食事を終えた。 一安心した両親だが、すぐに次の問題が浮かび上がる。 半月以上少ない食事を続けたれいむとまりさは忘れていたが お腹がいっぱいになったゆっくりがすることと言えばひとつである。 「ゆっ おにゃきゃいっぴゃいぢゃよ!」 「きゃわいいまりちゃぎゃ うんうんしゅるにょじぇ! しゅっきりー!」 「うんうんでりゅよ! しゅっきりー!」 「しゅっきりー!」 「ちゅっち! ちゅっちー!」 ぷりぷりと不快な音を響かせて次々と「うんうん」…古い餡子を排泄する赤ゆ達。 赤ゆはこうして体内の餡子を新しくすることで成長していく。 古い餡子のままでは体が大きくならないのである。外皮と中身の違いはあるが、言うなれば脱皮に近い。 生まれた直後に食べた茎は量が多すぎず、赤ゆは何故か空腹状態で生まれるために 食べてもうんうんをしなかったのだ。 「ゆゆぅ!? おちびちゃんたち! うんうんしちゃダメなのぜ!」 「にゃにいっちぇりゅにょ? うんうんしにゃいちょ ゆっくちぢぇきにゃいよ?」 「ばきゃにゃにょ? ちにゅにょ?」 「まぢゃでりゅよ! しゅっきりー!」 「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉ!?」 当然まりさにはそんなことは判らない。 知っているのは冬籠り中にうんうんで餡子を無駄に消費してはいけないということだけ。 しかもさっきはしなかったのに、という驚きが加わっている。 赤ゆは赤ゆで越冬などという概念は理解していない。 より沢山食べて、より沢山排泄する。 それが成長に…ひいてはゆっくりするのに必要なプログラムとして餡子に刻まれているだけだ。 「まりさ! おちびちゃんがうんうんするのはしかたないよ!」 「ゆぅ… でも…」 「おちびちゃんは たくさんゆっくりさせてあげないと しょうらい ゆっくりしたゆっくりに なれないよ! それに ごはんさんも たくさんあるんだから だいじょうぶだよ!」 れいむはそれが本能で判っているのか、まりさを諭す。 一般にれいむは子育てが上手だと言われるのも、赤ゆの成長メカニズムを 本能で理解しているからという説がある(ただの迷信で、むしろ下手だという説もある)。 保存した食料が少なければれいむも考えただろうが、余裕があるならむしろゆっくりすることを推奨した。 ごはんはたくさんある。そう思えばこそまりさも納得した。 しかし問題はこれだけで終わらない。 「ゆぁぁん!! くちゃいぃぃ!!」 「にゃんぢぇ おうちにょなきゃに うんうんがありゅにょぉぉぉ!? 「ゆぴぃぃぃ!!」 「うんうんしゃん あっちにいっちぇにぇ! ゆっくちぢぇきにゃいぃぃ!!」 「はやきゅ うんうんをどっきゃにやっちぇにぇ! まりちゃこみゃっちぇりゅよ!」 「「ゆぅぅぅ!!?」」 自分達の出したうんうんの臭いに苦しみ出す赤ゆ達。 成分は唯の餡子なので実際には臭いなどしないのだが、ゆっくり達は口をそろえてうんうんは臭いのだと言う。 ゆっくりは都合の悪い記憶、いわゆる「ゆっくりできない記憶」を含む餡子をうんうんとして外に出す。 饅頭の癖に(饅頭だからこそか)甘い物を異常に好むゆっくりが その悪い記憶を誤って食べてしまわないようにする為の本能なのだろう。 ちなみにうんうんだと知らなければ普通の餡子として喜んで食べる。 閉じた巣穴の中に広がるうんうん臭。 本来なら外に捨ててくる筈のものだ。いや、そもそも大人のゆっくりはおうちの中でうんうんをしたりしない。 赤ゆだからおうちの中でするのは仕方がないとしても、冬籠りをしている今、うんうんを捨てる場所はなかった。 もちろんおうちの「げんかん」を開けるなどという発想は出ない。 考え付いたところで、外の寒さが巣穴に入り込めば生後半日の赤ゆなど30分で凍死してしまっただろうが。 「しかたないのぜ… げんかんのちかくによせて、おおきめのはっぱさんを かぶせておくのぜ」 早く処理しなければ赤ゆ達の命に関わると、とっさの苦しい判断だが意外なことに功を奏した。 しっかり塞いであるとはいえ、巣穴の入り口付近は寒くなるので冬の間は近寄らない。 この寒さが幸いし臭いが拡散するのを防いだのだ。 予備の布団として準備してあった葉っぱを被せるとおうちの中から見事うんうん臭は消えさった。 「ゆっ! くちゃくにゃきゅにゃっちゃよ!」 「ゆっくち! ゆぴっ! ゆっち!」 「おちょーしゃん ありぎゃちょー!」 「ゆん! いっけんらくちゃくなのぜ!」 安心したらしい赤ゆはまたすぐ眠りに落ちる。まさに食う寝る遊ぶの繰り返し。 一方れいむとまりさは朝から慌て通しだが、可愛いおちびちゃんのいる生活はそれでも幸せなものらしい。 赤ゆ達が再び目覚めるまでにこにことその寝顔を眺め続けた。 燃費の悪い赤ゆはごはんの間隔も短い。 その後も午後と夕方にもう一度ずつごはんを食べ、ようやくこの一日は終了した。 それから3日、大きなトラブルもなく赤ゆたちは順調に成長していた。 順調に育っているらしく生まれたときより一回り大きくなっているが、対して両親は心なし痩せて見える。 気まぐれで全く我慢と言うことをしない赤ゆの世話で消耗しているのだろう。 元々寝ていることを前提にした食事量は、子供たちの遊びに付き合うには少なすぎるのだ。 それでもみだりに食べる量を増やさないのは2匹は賢さの故か、 はたまた量を測るのに使うお皿が変わらないからか。 「ゆぅ… ごはんさんはたりてるはずなのに なんだかおなかがすくよ…」 明らかに後者であった。 おちびちゃんたちに聞かれないよう、そっとぼやくれいむ。 だがそこは怒鳴ることはできても声をひそめる事のできないナマモノの事 遊びに夢中な子供達は気がつかなかったが、まりさにあっさり聞かれてしまった。 「きっとこそだてで つかれてるのぜ! ゆっくりねれば だいじょうぶなのぜ! どうしても おなかがすいたら ごはんさんを おおめにたべるのぜ? ごはんさんはまだ たくっさんっあるから すこしくらいなら もんだいないのぜ!」 そう。確かにごはんは沢山ある。 冬籠りの初日、まりさが狩りで集めた山盛りの食糧を見てれいむは感動したものだ。 こんなに沢山のごはんは、きっといくら食べてもなくならないだろうと。 あれから何日も経った今でもその量は寸分も減っていないようにすら見える。 しかしそれでもれいむは追加で食べるつもりはなかった。 自分が食べるよりも、おちびちゃんにより多く食べさせてあげたい…そう思っていた。 「まりちゃも ぎょはんしゃん たびぇちゃいのじぇ!」 「れーみゅも むーちゃむーちゃちちゃいよ!」 「ごはん」という言葉を聞いて、赤ゆ達は思い出したように次々と空腹を訴え始めた。 「ゆっ! それじゃ ゆっくりごはんさんにしようね!」 「「「ゆっくちいちゃぢゃきましゅ!!」」」 いつもどおりに始まる昼食だったが、いつもとひとつ違うことがあった。 食べ終わった赤ゆ達がどこか不満げである。 「ゆー! じぇんじぇんちゃりにゃいよ!」 「もっちょちょうらいにぇ!」 れいむはお皿の葉っぱで量をはかっている為、体が大きくなっているのに 貰えるごはんの量が変わっていなかったのだ。 実のところ朝食から若干足りてはいなかったのだが、起きてすぐの朝ごはんだったのに加え 足りない量も僅かだったために不満を漏らさなかった。 しっかり遊んだ後のごはんが足りないという事実はあっというまに赤ゆの不満を爆発させた。 驚いたのは両親だ。 朝のごはんまでは同じ量で満足していたのに。 「おちびちゃんたち! ごはんさんはちゃんと いつもとおんなじだけあげたよ!」 「そうなのぜ! たべすぎはゆっくりできないのぜ!」 そう諭しても赤ゆの不満は止まらない。もとより我慢という物を全くしないナマモノである。 今までは満腹になるだけ食べていた、というそれが彼女たちの全てである。 その中でも特に単純な…というより原始的な知性しか持ち合わせていない 未熟ゆである末れいむが行動を起こした。 妹から順番に与えられていた為に、末れいむが食べ終わった時は上の姉達はまだごはんにありついていない。 だからその与えられたごはんを横から奪ったのだ。 「まりちゃにょ ぎょはんしゃんぎゃぁぁぁ!?」 「ゆうぅぅ!? おちびちゃん、おねえちゃんのごはんさんをとっちゃダメだよ!!」 「うーちゃ! うーちゃ! ちゃっちぇー!」 親は慌てて止めるが口で言って聞く相手ではない。至福そのものの表情で次女まりさのごはんを貪る末れいむ。 「ゆっ! まりちゃをさしおいちぇ むーちゃむーちゃしゅりゅなんちぇ にゃみゃいきぢゃよ! まりちゃみょ むーちゃむーちゃしゅりゅよ!」 それを見た5女まりさも乏しい理性が飛んだのだろう、同じく次女まりさのごはんに齧り付こうとした。 だがその瞬間… ぼいんっ 「ぎゅぴぃっ!?」 「お、おちびちゃん!?」 「ぴぃぃぃ! ゆぃぃぃ!!」 長女れいむが末れいむに体当たりした。 「ぷきゅぅぅ! しょりぇはまりしゃにょぎょはんしゃんぢゃよ! ゆっくちはんしぇいしちぇにぇ!」 長女としての責任感が芽生えているのか、悪い事をした妹と威嚇する長女れいむ。 末れいむは突然の攻撃に訳も判らず泣き叫ぶだけだ。 「ゆゆゆ… ゆっ! れいむ! ごはんさんのおかわりをもってくるのぜ!」 「ゆ…ゆゆっ! わかったよ! おちびちゃんたちは もうちょっとまっててね!」 とっさのことに対処しきれない両親だったが、ひとまず食糧庫に追加のごはんを取りに行く。 慌てたとはいえ、ここで2匹とも食糧庫に向かったのが失敗だった。 「まりちゃにょ ぎょはんしゃんをとりゅ げしゅなゆっくりは しぇいっしゃいっ! しゅりゅのじぇ!!」 自分のごはんをとられた次女まりさが泣き叫ぶ末れいむに飛びかかった。 相手はもともとゆっくりできず疎ましかった未熟ゆだ。 ごはんを奪われたことで完全に「外敵」としか捉えられなくなっている。 両親のいない今、その攻撃を止められる物はいない。 追いかけっこで鍛えた俊足のあんよで妹にのしかかり、激しくストンピングする。 「ゆぎ! ゆぎゅ! ぎぢいぃぃ!!」 「ちにぇ! ちにぇ! げしゅはゆっくちちにぇぇぇ!!」 頭頂部に僅かな髪と共に生える小さなモミアゲを激しく振りながら悶える末れいむ。 その動きが気に食わないのか次女まりさはモミアゲを咥えて強く引っ張ると、 ブチブチと音を立てて未発達なモミアゲは千切れ傷ついた皮の隙間から赤ゆの柔らかい餡子が覗く。 再びストンピングを始めると傷口が大きく裂けて中身が吹き出てきた。 こめかみと口、あにゃる、目玉の隙間から内容物をぶちまけて末れいむは徐々にひしゃげ、潰れていく。 「まりちゃ! ゆっくちちちぇにぇ! !ゆっくちちちぇにぇ」 「しょうぢゃよ! しょんにゃやちゅ ゆっくちぢぇきにゃいよ! きゅじゅはゆっくちちんぢぇにぇ!」 「にゃにいっちぇりゅにょぉぉぉ!?!?」 妹の凶行を止めようとする長女だが、あろうことか自分もごはんを奪おうとしていた5女まりさが檄を飛ばす。 5女まりさにとって、いつも身の程知らずに自分の玉座(父まりさの帽子の上)に土足で踏み込んできて あまつさえ選ばれたゆっくりである自分だけが許された行為(たかいたかい)を享受しようという 生意気なクズ奴隷が制裁されるのはごく自然なことだった。 だが自分が手を下すのも汚らわしいと思い、親が制裁するのを寛大にも我慢強く待っていたが 愚図な両親は全くやろうとしない。 それをいつも地べたに這いつくばって走り回るだけの愚鈍な姉がようやく自分の為に働いたのだと考えていた。 他の愚図共に比べれば多少は使える奴だと考えを改める。まりさは優秀なものには正当な評価を与えるのだ。 「ぎゅ…ぢ……………………」 「ゆっ! やっちょちんぢゃにぇ! しぇいしぇいしちゃよ!」 未熟ゆに生まれたが故に体が小さい末れいむはあっという間に餡子の染みになり果てた。 自分は何もしていない癖にそう吐き捨てる5女まりさ。 母れいむと父まりさが戻って最初に目にした物は、満足げにふんぞり返る2匹の赤まりさであった。 「ゆぅぅぅぅぅ!! おちびちゃぁぁぁぁん!?!?」 「どぼじでづぶれぢゃっでるのぉぉぉぉ!?!?」 「ゆふん! げしゅにゃゆっくりは まりちゃがしぇいっしゃいっ!しちゃよ! まりちゃ ちゅよくっちぇぎょみぇんにぇ!」 「それはおちびちゃんのいもうとでしょぉぉぉ!?」 「ゆっ! きょんにゃゆっくちぢぇきにゃいきゅじゅは まりちゃにょいもーちょじゃにゃいよ! へんにゃこちょ いわにゃいぢぇにぇ! ぴゅんぴゅん!」 慟哭する両親に赤まりさ達は当然のように言い放った。 彼女たちの中では、末れいむは最早「外から来たゆっくりできないゆっくり」としか認識されていない。 それを永遠にゆっくりさせて家族を守ったことはなんと誇らしいことか。 もちろん攻撃していた時は姉妹を守ろうなどと考えていなかったが、たった今そういうことになった。 「ゆぅぅぅ… おちびちゃんがぁぁ…」 「ゆぅ… ざんねんだけど しかたないのぜ。もともとあんまりゆっくりしてなかったおちびちゃんだから ちゃんとおおきくなれるか わからなかったのぜ。」 母性の強いれいむに対しまりさはややシニカルだ。 死んだのが未熟ゆ、それもまりさ種では無かった為だろうか。 それに野生のゆっくりである彼女たちに未熟児を育てるのは難しい。 見方によっては、先延ばしにした問題が自動的に片付いたとも言えるのだ。 こんなにも早く2人の子供を失ってしまったが、まだおちびちゃんは「たくさん」いる。 追加のごはんを与えながら、二度とこのような悲劇件が起こらないよう おちびちゃん達の成長に合わせて少しずつごはんを増やす事を心に誓う2匹であった。 それが立派な両親の役目なのだと胸(顎?)に刻んで…。 そもそも冬籠り中でなければ赤ゆの食事量を親が管理するようなことがないのだが、2匹が思い至ることはない。 一週間が経過した頃、十分な量の食事が与えられた4匹は既に子ゆっくりと呼べるサイズにまで成長していた。 一日に食べるごはんもずいぶん多くなっており(流石に4回も食べる必要はなくなったが) それでも量だけなら大人のゆっくりが平均的に食べる量の半分程にまで達している。 生まれたばかりの頃の3倍近くだ。もちろん、もう口移しをしてもらう必要もない。 そして一匹ずつが大振りのミカン程の大きさであり、ここまで成長すると巣穴の中で激しい動きはできない。 元々それなりの広さがあった穴を拡張しただけ為に普通に過ごす分には狭さを感じることはないが 遊びたい盛りの子ゆっくり達にそんな我慢が出来るわけがなかった。 必然的に4匹の興味はまだ見ぬ外の世界へと向かう。 「おとーしゃん! れいむおしょとにでちゃいよ!」 「まりしゃも おしょとであしょびちゃいのじぇ!」 わざとらしく媚びたような喋り方もだいぶ聞き取りやすくなっている。 両親にとっては我が子の成長のバロメータだ。嬉しさ半分、寂しさ半分と言ったところだろう。 「ゆっ! おちびちゃん、いまはふゆさんだから おそとにはでられないよ! ゆっくりりかいしてね!」 「ゆゆゆ? ふゆしゃん?」 「そうなのぜ! とってもさむいさむいで ゆっくりできないのぜ!」 「ゆぅぅ! しゃむいしゃむいは ゆっくちできにゃいよ!」 「ゆっくちしちゃいよ!」 「ゆぎぃぃぃ! おしょちょでちゃいいぃぃ!」 上の3匹は素直に理解を示したようだが、末っ子であり(と思っている)甘やかされた5女まりさは しつこくダダをこねる。 大きさは皆同じ位なのに一匹だけ赤ゆ言葉が多く残っているのも甘やかされた結果だろう。 それでも「末妹には優しくしなければいけない」と思っている一家は優しくまりさを諭す。 結局、最近の特等席である父まりさの帽子の中にもぐりこんでようやく落ち着いた。 大きすぎる帽子の縁を少し持ち上げて顔を出すとまるで自分が被っているような気分になる。 誰よりも高い目線と大きい帽子が5女まりさを最も満足させるものであった。 「ゆっ! ちょっとせみゃいけど おうちのなかであしょぶのじぇ!」 「そうだにぇ! しゃむいしゃむいは ゆっくちできにゃいにぇ!」 「ゆ~♪ れいみゅはゆっくち おうたしゃんのれんっしゅうっ するにぇ! ゆゆゆ~♪」 相変わらず仲の良い長女と次女は両親の間を縫って追いかけっこを始めた。 大人しい4女れいむは今日も母れいむとお歌の練習だ。 だがどうにもおうちの広さに限界があり、駆けずり回る2匹が両親や4女にぶつかってしまう。 体のサイズが違うので両親はなんともないが、同じ大きさの4女にはそれなりのダメージになる。 歌の練習もできず、痛みで今にも泣きそうだ。 「ゆんやぁぁ! おうたがゆっくちできにゃいよぉぉ!」 「ゆっ! ごみょんなのじぇ! わざとじゃないのじぇ?」 「しょうだ! れいむもいっちょに あしょぼーよ!」 「ゆゆっ? でもれいむはおうたのれんっしゅうがしちゃいよ…」 「そうだね! おちびちゃんも たまには みんなといっしょにあそんでおいで!」 「ゆぅ… わかっちゃよ! れいむもおいかけっこしゅるよ!」 困った2匹は4女を誘い、助け舟に両親も勧める。 おうたが好きなのは判るが、もっと運動させなければと思ったので丁度良かった。 結局4女れいむも追いかけっこに参加することになり、仲良く駆け回る子供達をみて両親も一安心。 だが次女まりさの外への興味を捨てきれないようだ。 チラチラと「結界」で塞いだ入口の方に目線を送っている。 無理もない、本来ならばもう巣の外に出て跳ねまわっている筈のサイズである。 狭い巣の中だけの生活は活発な次女まりさに少しずつストレスを与えていた。 そしてそれは、最悪の形で実を結ぶ。 「ゆぴぃぃぃぃぃぃ!?!?!?」 筋肉も内臓も餡子であるこのナマモノは、種族とサイズが同じであれば運動能力に差が出ない。 それでも日々の行動で要領や効率を学んでいき、それが実践での差に繋がっていく。 だから、追いかけっこに慣れている姉たちに対して歌ってばかりいた4女は明らかに要領が悪かった。 追えばいつまでも捕まえられず、逃げれば簡単に捕まってしまい、まるでゲームにならない。 本来なら外の世界で発散される筈の、巣の中で遊ぶには多すぎるエネルギー。 追いかけっこがあっさり終わってしまったことへの欲求不満。 それが次女まりさの力加減を誤らせた。 「れいむのすてきなおりぼんしゃんがぁぁぁぁぁ!!! ゆっくちできにゃいぃぃぃ!!!!!」 次女まりさが逃げる4女れいむに追いすがってリボンを咥えた拍子に、 勢い余ってリボンを大きく引き裂いてしまった。 「ぺーりょ!ぺーりょ! なおっちぇにぇ! れいむのおりぼんしゃんなおっちぇにぇぇぇ!!!」 ぺーろぺーろと口で言いながら必死にリボンの切れ端を舐める4女れいむ。 異変に気付いた両親もすぐさま近寄ってきた。もっとも、近寄ったところで出来ることなど無い。 「どぼじでにゃにもじでぐれにゃいにょぉぉぉ!?!?!?」 「ゆぅぅ…おかーさんたちでも おりぼんさんはなおせないよ…」 「ゆんやぁぁぁ!! ゆんやぁぁぁああああ!!!」 「おちびちゃん おちつくのぜ! すーりすーり!」 両親が必死になだめるものの、命と同じほど大切なお飾りがキズものになってしまったダメージは大きい。 ゆっくりのお飾りは個体の識別から個体の評価まで関わる重要なパーツである。 体の一部だけあり多少の傷は時間と共に治っていくが、 治癒の見込めない大きい傷はそれだけで迫害の対象になり得る。 それだけではない。 お飾りが不完全な状態になると、ゆっくり自身が不快感を覚える。 「ゆっくりできない」と表現されるそれはゆっくり独特の症状である。 また、本人ほどではないが周囲のゆっくりも不快感を覚えるらしい。 と言っても、こちらは一般人が道端で動物の死骸を見てしまった時に感じるのと似たものだろう。 「ゆぐぅぅぅ… ゆっぐぢでぎにゃいぃぃ…」 その日はそのまま両親と姉たちがグズる妹を心配し、なだめすかして夜を迎えた。 責任を感じたのだろう、次女まりさは特に必死に妹の世話に励んでいたものの 結局4女れいむは夕食も碌に咽喉を通らず、泣き疲れて眠ってしまった。 暗い雰囲気の中、5女まりさだけが楽しそうに姉の残したごはんを貪っていた。 後半に続く
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anko1659 越冬のススメの特番です。 「ごめんねえぇ! ドスがすっきりーしちゃったせいで、みんなおちびちゃんができてごめんねえぇぇ!」 「……ごべんね! ドスはいなかものだよね! でもがまんしてね、ありす!」 「れいむ! そこのれいむとれいむとれいむとでいぶとれいむも! おちびちゃんがかわいいからって、 "しょくりょうこ"のごはんさんをかってに食べさせちゃだめだよ!」 「ゆ……! なにしてるのまりさ、おちびちゃんたべちゃだめでしょおおお!?」 「――むりだよぱちゅりー! ドスもあんよがかちんこちんで、うごけないんだよ!」 「ゆう……みんながしずかになってくれないなら、仕方ないよ。 "ゆっくりオーラ"!」 「ゆ……あとキノコさんが二つしかないんだよ……」 「……"ゆっくりオーラ"! そろそろあたたかくなってきたよ!」 「……"ゆっくりオーラ"! ゆんしょ! ……どぼじでドスのあんよさんうごかないのおぉぉ?」 「ゆ……みんな、ゆっくりしていってね! あとちょっとで冬さんがおわるからね。ちぇんもわかってねー!」 「――やめてね! ドスの顔を食べないでね! みょんはドスのべろさん切ったらだめだちーんぽ! "ふのうまらぺにす"? ちがうよ、"ばいあぐらっ!"だよ。みんなゆっくり……ゆっくりいっ!」 「ゆっぐり、ゆっぐじ、ゆっぐじ……ゆっぐじじでええええぇ!」 「――もっと……ゆっくり……してほしかった……」 ~ゆーぶつ奇想天外 春のとくっばんっ!編~ ■1 あのドスは今? 皆さん、このどこかぶにょぶにょとした岩肌を覚えて居られるでしょうか? そう! 洞窟の入口を我が身で塞ぎ、群れの暖かな『越冬』にその身を捧げたドスですね。 既にゆっくりステルスの効果も切れたのか、饅頭肌を春の陽気に晒しています。 皆さんにも聞こえませんか? ドスの饅頭皮の中で蠢く、さわやかな命の気配が。 決定的瞬間まであと三秒! 3、2、1――。 ぼこぉ! 「はるさんがきたよ! ……ドスはどこにいったのお!?」 ドスの亡骸を食い破って、洞窟の中から先ず顔を出したのはゆっくりまりさ。 自分たちがドスをむーしゃむーしゃした事なんて、二日で忘れてしまったようです。 ドスのあんよをコンクリで固めたカメラマンさんは、後で呼び出しですよ。 一応これ、ドキュメンタリー番組ですから。 「ゆゆ! おいしそうなおはなさんがたーくさんだよ!」 「ほんとう、とかいはなおはなさんね。とかいはなありすのあさごはんさんにふさわしいわ!」 「むきゅ、ぱちゅはゆっくりたんぽぽさんをむーしゃむーしゃしたいわね」 長く苦しい冬ごもりを終えたゆっくり達は、三々五々に春の恵みを貪りに散りました。 れいむ種のみなさんは先ず、惰眠を貪りはじめたようです。流石です。 「むーしゃむーしゃ……げろまずううう!?」 「なんなの、このいなかものなあじは?」 「こんなのたべられないわ! えれえれえれ……」 が勿論、一冬ドスを食べ続けたようなゆっくりの舌が、苦い草や虫を受け付けるわけもありませんね。 「ゆぅ……だめなんだぜ。あまあまじゃないと、むーしゃむーしゃができないのぜ」 「でも、あまあまはあんまりはえてこないんだねー。わかるよー。……わかりたくないよー!」 「いーんぽ!」 段々と自分たちの置かれた現実に、ゆっくりできなくなってくるまりさたち。 状況の分かっていないのは、速攻で寝に入ったれいむたちくらいのものです。 「ゆ……? まりさもちぇんもさわがしいね! れいむがゆっくりすーやすーやできないでしょ!? れいむはこれからおちびちゃんとおうたをうたわなきゃいけないんだよ! たいへんなんだよ? それもわからないの? ばかなの? しぬの?」 空気の読めないれいむの言葉が、群れの注目を集めます。 「なになのまりさ。……ゆふふ、さてはれいむにみとれてるんだね! かわいくってごめんね! れいむの"び"でゆっくりできたら、ゆっくりあまあまもってきてね。たくさんでいいよ!」 「あまあまは……そこにあるのぜ」 「ゆゆ――!? あまあま!」 いいえ、正確にはまりさの視線は、れいむのふてぶてしい唇についた、黒い餡子に注がれていました。 ふらふらとれいむに近寄ったまりさが、ドスの残骸をぺーろぺーろします。 「ゆふぅん……まりさせっきょくてきっ! だよう。はずかし――『かりっ』――ゆっ! いきなりかむなんて、まりさはげしすぎ――『ばつん』――ゆぎゃああああっ!」 「あまあま……あまあま……れいむが、あまあま……」 まりさは一口一口、中身を確かめるようにれいむをついばみはじめました。 見れば、群れのゆっくり達がそれぞれ、寝ているれいむや体の弱いぱちゅりーに群がっていますね。 「れいむのなかみはあんこさんなんだねー。ぱちゅりーはくりーむさんなんだねー。わかるよー!」 「やめて。ぱちゅのくりーむさんをすわないでぇ!」 「やりチン! やりまむ! めんくい!」 「みんな、どうしたの! ゆっくりをたべるのはとかいはじゃないわよ!?」 今や群れ中が食べるものと食べられるものに別れています。 ぽつんと中立の立場にいるありすの動きに注目して置いて下さい。 これが、『越冬』の食糧不足を『共食い』によって乗り越えたゆっくり達の末路なのです。 "おたべなさい"をしていないゆっくりを食べると、その過剰な甘さによってゆっくりの味覚は 致命的な打撃を受けてしまい、自然界の食物に順応出来なくなってしまうのですね。 『共食い』をしてしまった群れの九割は、こうして周りに影響することもなく、 自滅への道を辿って全滅してしまいます。 では、残りの一割はどうなるのでしょうか? 先程のありすに、なにやら変化が起きてきましたよ。 「みんな、ゆっくりできないいなかものよ。ゆっくり……ゆっくり……。 ゆん……ん……んほおおおおおぉぉぉぉっ!」 「れ、れいぱーだああぁぁぁ!」 ご覧下さい。ゆっくり出来なさに耐えかねて、ありすがれいぱーと化してしまいました。 全身から卑猥な粘液を吹き出しつつ、手近なゆっくりをれいぽぅしてゆきます。 「ゆべええぇぇっ! ぎぼじわるいいいぃぃ!」 「んほおおおおぉぉぉぉっ!」 まさに阿鼻叫喚の地獄絵図。 あ、カメラマンさんは、あまりれいぱーを接写しないで下さいね。主に全体がきもいので。 「「すっきりー!」」 はい、最初の犠牲となったまりさの額から、にょきにょきと茎が伸びてきました。 こうして生まれたれいぱーが、都会派な愛を他の群れにまで伝染させて行くのです。 『越冬』は、れいぱーを生み出す遠因でもあったわけですね。 うららかな春の季節は、ゆっくりにとってもすっきりーと子育ての季節。 今回は、『越冬』を終えたゆっくり達の様子を、特集して参ります! ■2 あの家族は今? 皆さん、この巣穴を覚えてらっしゃいますか? 記憶力の良い方は、まるで昨日見たように 感じてらっしゃるかもしれません。 そう、『越冬』に備えて十分な食料をため込んだにもかかわらず、すっきりーの誘惑に勝てずに ゆっくりスパイラルの死亡フラグを打ち立てた、あの家族のゆっくりぷれいすです。 小型カメラが、ゆっくりと巣穴の奧まで侵入して行きます。 でぶん。 ……皆さん。今のが、ゆっくりの存在感が放つ効果音だと信じられるでしょうか? 「ゆふふ……でいぶのために、はるざんがきたよっ!」 でいぶです! 巣の中に、でいぶが居ます! カメラが今、巣穴の奧に転がるお飾りを確認しています。 放送局の金バッジまりさが判別した所によりますとこのでいぶ、つぶらな瞳と無邪気な言動で テレビの前のお兄さん達をびきぃっ! させてくれた、あの赤れいみゅだとのこと。 巣の中に蓄えられたごはんさん。"おたべなさい"でその身を捧げてくれた両親の餡子。 何もせずとも与えられた豊富な食料が、一冬の間に、まんまるピンポン球の赤れいみゅを、 うねくるナスビ型のでいぶへと育て上げたのでしょう。 え……姉妹ゆっくりが居たはず? 姉妹は犠牲になったのです。でいぶの犠牲に。 「ゆん。すっきりーをしたくなってきたよ!」 しかしでいぶとはいえ、春になればすっきりーの誘惑には抗いがたいことでしょう。 この肥満体でどうやってつがいを探すのか、気になる所です。 「だから、だれかでいぶにびゆっくりをつれてきてね! まりさでいいよ!」 受身でしたっ! 「それからくしょどれいはあまあまももってきてね、たくさんでいいよ!」 一体誰に向って物を言っているのか!? いや本当に。 「ゆ……だれかゆっくりしたでいぶのどれいになりたいゆっくりはいないの?」 居るわけがない! 「ゆっくりしないすぐでてきていいよ! ……どぼじでだれもいないのおおおっ!?」 でいぶがたべたからですっ! とまあ、独り言はさておいても反応がないのはあたりまえ。そもそも入口の"けっかいっ"が 閉ざされたままになっているので、でいぶの声は外のゆっくりに認識されないのです。 「だれがへんじをじろおおおおおおぉぉぉっ! くそどれいいいいっ!」 ええ、ここで。そびえ立つ糞の如きでいぶの無残な様子に、カメラマンさんがドキュメンタリーの 枠を飛び越えた保護運動をはじめたので、このコーナーを終了させて頂きます。 なお、番組終了後のプレゼントコーナーにて、クイズに正解された視聴者の方から抽選で 一名の方に、保護したこのでいぶをプレゼント致します。 どうか番組を最後までお楽しみ下さい! それではCMに引き続き ゆーぶつ奇想天外 をどうぞ! ■3 ↓↓↓ ここからCM ↓↓↓ 「私の毎朝は、ほくほくのチョココロネから始まります。あまあまだね!」 「うんうん、わかるよー」 中身操作を一切行わず、ちぇん種をコロネ状に加工して焼き上げる新技術! ちぇんがいつもより余計に捻れております。 「わきゃらないよおおおおっ!」 TOSHIAKI 春の餡祭開催中! ↑↑↑ ここまでCM ↑↑↑ ■4 シリーズ特集"ゆー効利用7" ~学校でもゆっくりできるね!~ 春と言えば新学期。 近年、ゆっくりを教育現場でも利用しようという動きが活発化しているのをご存じでしょうか? というわけでシリーズ特集"ゆー効利用"、今回は町内にある小学校までお邪魔しています。 この学校、なんとカメラマンさんの母校でもあるんですね。 この小学校、九年ほど前にドスまりさが授業中の校舎内に侵入し、体育館を全壊させた事件で 全国的に知られています。その被害を重く見た行政が、ゆっくり対策課を発足させました。 そのドスをカメラに収めたのが、カメラマンさんが今の仕事を志す切っ掛けだとか。 公共施設にゆっくりを持ち込むと言うことで、ゆっくり対策課が来るようになっていますが、 姿が見えませんね。あちらの上級生に伺ってみましょうか。 こんにちは。 「こんにちは、ゆっくり対策課駆除班です」 おっと、小学生かと思いきや、この方がゆっくり対策課のお姉さんだったようです。 ずいぶん小さいので分かりませんでしたよ。 「うふふ、よく言われますね」 素晴らしい笑顔で挨拶して頂きました。相棒の金バッジふらんちゃんも、とっても可愛いです。 ……カメラマンさん、青い顔をして今日はやけに大人しいですね? お姉さんは、ゆっくり対策課の、駆除班に居るという事ですが。 「ええ、主にゴミの様なゆっくりと、ゆっくりの様なゴミカスの処理を仕事にしています」 ははぁ。小さい体で町のお掃除がかりというわけですね! ……カメラマンさん? そんなに震えて風邪ですか? それでは、ゆっくりを教材として利用する様子を見せていただきたいのですが。 「はい、授業の内容は……性教育です」 六年一組の教室にやってまいりました。 対策課のお姉さんが、小学生男子の前でまりさとれいむを発情させつつ、『ぺにぺにが』、 『まむまむが』と果敢な羞恥プレイの様子を全国のお茶の間に届けています。 20%ぐらいは余裕で行きそうです。 「ぺにぺにをまむまむに挿入して、"すっきりー"を行わせます」 「「すっきりー!」」 「おやぁ? れいむの額から茎が生えてきましたよ。みんな、これが何だか分かるかなー? ――そう! ゆっくりの子供、おちびちゃんです。人間の赤ちゃんも、ここまで簡単じゃ ないけれど、同じようにして出来るんだよー」 「ゆふふ……れいむのおちびちゃんかわいいよー」 「望まれない子供は中絶されることもあるから、みんなが将来、好きな女の子とすっきりーを する時には気をつけてね!」 ぶちぃっ! 「れいむのがわいいおぢびじゃんがああーー!」 「ほっ……。せきにんをとらずにすんだのぜ……」 れいむに実った茎を笑顔で引っこ抜いたお姉さん。 「でもね、考え無しのすっきりーで起きる大変なことは、望まれない子供だけじゃないの」 今度は、おもむろに取り出した見るからに毒々しい緑色の薬剤を、れいむのあんよに注射しています。 「ゆ……れいむのあんよがむずむずするよ! なにかへんだよ!」 「れいむ――! もういっかいすっきりーしたいのぜ!」 「まってまりさ! ゆん――ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ……"すっきりー"!」 「今れいむに注射したのは、感染力の強い"ゆカビ"なんだけどね――」 おや? すっきりーしたまりさとれいむの様子が、なんだかおかしいですよ。 「ま……まりさ、なんだかおかしいよ。お――おちびちゃん!」 「ゆええぇ。おちびちゃんがカビさんだらけなのぜ……」 れいむの額から真緑の茎が弱々しく生えたかと思うと、赤ゆを実らせることもなく しおれてしまいましたねえ。 「ゆわああ! れいむのあんよにもカビさんがはえてるよ! ぺーろぺーろ……とれてね! カビさんゆっくりいなくなってね! ぺーろぺーろ……」 「ゆぅ……れいむがカビさんだらけになっていくのぜ。こわいのぜ。……ゆ? どうしてまりさにもカビさん生えてくるのぜええええっ!?」 「こんな風に、すっきりーを通してお互いに病気を感染させてしまったりするの」 ご覧下さい、れいむとまりさが、あんよの方から緑色のカビに覆われて行くではありませんか。 「だからすっきりーは、安心できる相手とだけ、おちびちゃんの事を考えながらするように。 良い? お姉さんとの約束よ?」 「はーい!」 「「ねぎぃっ!」」 教室に集まった男の子達が手を上げると同時に、まりさとれいむが崩れ去りましたよ。 動いて増えるお饅頭を通して、命の大切さとすっきりーのマナーを学んで行く。 これが、ゆっくりのゆー効利用という物なんですね。 「それじゃあ、次はありすを使ってコンドームの意味を学習するけれど、 その前に皆からの質問はあるかなー?」 「はーい! お姉さんは、男の人とすっきりーしたことあるんですかっ?」 「…………」 お姉さんの顔真っ赤です。25%行けそうです。 ……カメラマンさん、何故帰ろうとしてるんですか? さあ、お姉さんの返答や如何に――とここで、教室に血相を変えた校長先生が乱入してきました。 なにやら凄い形相で、にっこり笑う対策課のお姉さんと話し込んでいます。 え……中止? 授業中止ですか校長先生? 彼女が来るとは思わなかった? ははぁ、お姉さんもこの小学校の卒業生だったんですね。大丈夫、数字は取れます! ……はいはい、また体育館が壊される? "また"って何ですか校長先生? 校長先生――!? …………はい、カメラマンさんと校長先生が仲良く逃げ出してしまったので、 今回のシリーズ特集"ゆー有効利用"はここで終了させていただきます。 おっと、何か寒気が。 お姉さん、目が怖いですよお姉さん。 ■5 お兄さん宅でもすっきりー 「なにやってるんでしょうか……先輩は」 「いやあ……お姉さん、相当無理して猫を被っていたね」 「「すっきりー!」」 お兄さんはため息を一つ、知り合いの顔を映していたテレビを消した。 野良ゆっくりの額に生えてきた茎の先端を、おもむろに取り出したタイバンドで縛る。 親ゆっくりの体内に残留した有毒物質は、先端に集中するためだ。 「ュ……」 親ゆから餡子が届かず、毒物のみをため込んだ先端の実ゆは、れいむかまりさかの区別も 着かないままに、黒くしおれて落ちた。長女ゆっくり、生前に死亡。 「れいむのおちびちゃんが! むぎゅ……。むうう――! …………!!」 「よっこらしょ」 悲嘆に暮れる親れいむのあにゃると口を塞いで、上から全体重を掛けると、 行き場を無くした体内の餡子が一斉に、茎を通して残った実ゆへと殺到してゆく。 頬をぱんぱんに膨らませた親れいむの目は血管もない癖に血走っていて、主に全体がきもい。 「ゆ……ゆゆゆゆゆゆっ!」 「……!? ――……!! ……!」 大量流入する餡子の量に饅頭皮の伸びが追いつかず、生まれる前からこの世の物とは思えない 苦痛を味わう羽目になった実ゆは、びりびりと肌が裂けつつ、茎からぽとりとお盆の上に落ちた。 「はい、Aさん。破れ饅頭です」 「おお、有り難う有り難う。相変わらず流れるような饅頭作り、結構なお手前だね」 「恐れ入ります」 加工所職員のAさんは、苦悶の表情を全体に浮かべる破れ赤れいむを口に運ぶ。 まったりとして癖のない甘味、薄皮の舌触りもしつこくなく、中枢餡をかみつぶした瞬間の 「もっちょ、ゆっくちしたかっちゃ」という断末魔も淀みない。 「やっぱりさあ、その技を腐らせとくのは勿っ体っないっ! と思うんだよね。 今からでも遅くないから加工所に来ない? 対策課の3倍……いや、5倍出すよ? 新しい加工所は飼いゆっくり用の部署だからさ、お兄さんも気に入ると思うんだけど?」 「それはとても魅力的ですね」 「そうでしょ?」 「……」 「……」 沈黙が応えだった。Aさんとお兄さんは、無言で新鮮な赤ゆっくりを飲み込んだ。 お兄さんがお茶を淹れ直す間に、Aさんが赤ゆの実っていた茎を等分に切って行く。 「そっかあ、やっぱりお兄さんは、あのお姉さんにイカレちゃってるかあ。勿っ体っないなあ」 「そんなのではありません」 「この山から離れたくないって事か。確かに、お兄さんがここを離れたら、あの腐れ町長が 何してくるか、分かったものじゃないしね」 「……もう少し食べませんか?」 「頂こう」 お兄さんは静かに立ち上がると、あんよを焼いたまりさとれいむを小刻みに揺らしはじめた。 「も……もうやべでえ! あやばりばず! ごべんなざい! ここはおにいざんのおうちです!」 「おちびじゃんをだべないでくだざい! あやばりばずがらあああっ!」 「はいはい、鳴き声鳴き声」 春は恵みの季節。すっきりーの季節。 人間達にとっても、往来を闊歩する甘味に不足することはない、あまあまの季節であった。 気をつけるべきはただ一つ、野良ゆっくりを食べる時の加工法だけである。 「「すすすすっきりー!」」 終わり。 としあきがたくさんコールするから、とくばんさんがはえてきちゃったでしょおおおぉ!? なまえがキャンセルあきになったよ。 としあきのみんなせきにんとって、ちゃんとおぼえてかえってね! なまえだけでいいよ! 過去作品 anko1659 越冬のススメ anko1521 その台詞は言わせない3 anko1508 その台詞は言わせない2 anko1481 その台詞は言わせない