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298 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/22(水) 09 07 23 ID 6ub2saBA 妹ものが書けるということはもしかして俺には姉もいけるんじゃね? あれ?高鳴るリビドーが抑えられないんじゃね?と思って妄想 弟「お姉ちゃーん♪勉強おせえて~♪」 姉『うわっ、キモっ………』 弟「………」 姉『………』 弟「…ゴホン、いやね、今月やばいんですよ。全然分からんのです(勉強が)」 姉『だからってなんで私が勉強教えなくちゃいけないんよ。わけわかんね』 弟「…無事今度の試験を乗り切る事が出来たら弟君から金一封という噂が」 姉『何してんの速く勉強道具出しなさい!(0.2秒)』バンバン! 弟「うわぁ…」 姉『てめぇ引いてる暇あったら勉強道具だせっつってんだろうがぶちころすぞ』 弟「しばし待たれい、今持ってくるわ」 勉強開始からウン十分後… 弟「だりぃ、ねみぃ、おやすみ…」 姉『こいつ…ここまで馬鹿だったとは……』 弟「わっかんねーんだもんよー何これ?何かの呪文?これ唱えて何呼び出すの?魔王?」 姉『私の金だよ』 弟「金の亡者マジパネェ …あー、何かこう姉ちゃんが『いい点取ったらご褒美あげちゃうぞ☆』的な事言ったら やる気出て100点とか取れたりするかもしれない…」 姉『100点取ったら私の初めてあげちゃうぞ☆?(////)』 弟「おk、任せろ。今のうちに覚悟しておけ。 テスト返却日が貴様の膜との今生の別れとなるだろう…」シャキーン! 姉『やれるものならやってみろ。お前の馬鹿さ加減は分かっている』 弟「っふ…滾るエロスのパワーを知らんらしい…」 なんだかんだでテスト返却ー 姉『何…だこれは……テスト点数全て…3桁だと…?』 弟「っふ…はりきりすぎちまったZE! さぁ、約束は憶えているな?もう後戻りは出来んぞ姉よ」 姉『そっちこそ忘れるなその前に金出せや金さぁさぁ』 弟「チッ…憶えていやがったか…ほらよ!もってけ泥棒!」ポイッ 姉『ぐだぐだ言ってねぇでさっさと出すもん出しゃいいんだよウヘヘ ………しけてんな』 弟「なんか最後あたり教わった憶えがないんでそんくらいが妥当だろ」 姉『あの発言が仇となったか……』 弟「さぁ、今度はこっちの番だ!貴様の初めてとやらを頂くぞ!」 姉『あー(////)…ね、ねぇ、恥ずかしいから目…瞑っててくれる……?』 弟「よーしばっちこーい」パッチリ 姉『……ちゅっ』 弟「………ん?それだけかい?お姉様?」 姉『ふん、ちゃんと「初めて」のキスをくれてやったぞ!文句はあるまい!』 弟「なんという落とし穴。これは間違いなく姉の作戦勝ち ………でもまぁ嬉しかったのでいいです」 姉『う、嬉しいとか言うなこの馬鹿っ!ばーかばーか!』 弟「ふははは!なんと言おうが俺の勝ち組は確定的に明らか」 姉『うっさいばーかばーか!(//////)』 結論・姉のキャラが壊れた
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・ネタバレ注意!各帝竜の名前とラスボス様の名前が出ています。 ・ラスボス様が主人公です。しかも女の子。 ・帝竜のイメージを壊したくない人は注意。 大丈夫な人はどうぞ。駄目な人は『真竜様の大冒険』をNGで。 ――それは、語られることのない物語。 幾千幾万存在する平行世界、そのうちのひとつの物語―― 「ニアラ様!帝竜キングを筆頭に、各帝竜が侵攻を開始しました!」 「うむ。報告ご苦労リブロ。このぶんなら、3日でフロワロで包みこめるな。 ところで今何時だ?」 「18時ですが?」 「なら私はちょっと仮眠を取らせてもらうよ。人間への挨拶を考えていたら寝不足でね」 「おやすみなさいませ、ニアラ様」 「あぁ、おやす……Zzz……」 「ニアラ様!いい加減起きてください!」 「う~ん……あと24時間……」 誰だ?私の眠りを妨げるのは? 「毎日そう言って!とうとう今日で3年と6ヶ月ですよ!?」 4年じゃないならいいじゃないか……ドラゴンピックにはちゃんとでるからさ…… 「いい加減起きて!!非常事態なんですよ!!」 非常事態?……ああそうか、3年寝たから冷蔵庫のプリンの賞味期限が過ぎたか…… 「……また買いなおせばいいだろう?……寝かせて……」 「何を買いなおすんですか!エデンで非常事態なんですよ!」 「おでん……?私はじゃがいもと厚揚げさえ入っていれば特に非常事態でもないぞ……」 「……風切羽!!」 「グハァ!?」 最悪の目覚めだった。 「あいたたた……あ、おはようリブロ」 「しばくぞ馬鹿上司。惰眠を貪っていたツケを払ってください。まずはエデンの様子を見る!」 エデン?エデンエデンエデンエデンエデン……ああ!思い出した! そろそろ収穫時だったから、部下にネバーランド化頼んだんだっけ…… どれどれ…美しき我がフロワロが咲き誇ったエデンの様子を見るとしよう。 ん? おかしいな…?私はまだ寝惚けているのか?フロワロが殆んど生えていない。 海にポツポツと生えているだけで…咲き誇っていない……!? 「どういうことだ!?帝竜を7匹も送った筈だ!リブロ、説明しろ!」 「……まずは各帝竜の様子をご覧ください」 【ピッ】 リブロが器用に羽でリモコンのスイッチを入れると、モニターに映像が映しだされた。 【帝竜キング・担当地区カザン】 『痛い痛い!もっとゆっくり抜け!』 『無茶を言うな!大統領、あなたが刺したんですから、あなたが抜いてあげるべきでは?』 『いや、必死だったからな。つい全力で刺してしまって…』 『早く抜いてくれ…動けぬ…あ、そこの娘、その林檎を我の口に投げ入れてくれ』 【帝竜デッドブラック・担当地区アイゼン】 『やーいやーい!ひっきこっもりー!』 『うわーん!石を投げないでよぉー!あぁ!懐中電灯はもっとらめえぇぇ!!』 【帝竜ジ・アース・担当地区ネバンプレス】 『…………そろそろ誰か気付いてくれないかな?』 【帝竜フレイムイーター・担当地区ネバンプレス改めアイゼン】 『お湯加減どうっすかー?』 『相変わらず最高だ……温泉の、火の力が体に染み渡る~……ちょっと卵もってきて』 【帝竜インビジブル・担当地区プレロマ】 『ふははは!待たせたな人間!どうだっ!?今日の私はっ!?』 『最高に輝いてまーす!!』 『そうか!やはり私はいつでもどこでも美しいのか!それじゃあ一曲目!【血迷】行くぞぉ!』 【帝竜ドレッドノート・担当地区マレアイア】 『本日は豪華客船ドレッドノートにご搭乗いただき、まことにありがとうございます。 マレアイアまで最高のくつろぎ時間をご提供させて頂きます』 【帝竜トリカラード・担当地区北極】 『……私、もっと有名になりたいな……』 『お前には俺がついてるじゃないか!』 『……フン。頭がうん○なペンギンなんて……誰が好きになるもんか……』 『うん○じゃない!これはワンダフル!素敵な素敵な思いが詰まっているんだ!』 私はしばらく固まった。 「なんだこれ!?」 「現在キングはカザンの名物として町の中央で見世物状態。剣は未だに抜けません。 デッドブラックは毎日毎日子どもたちにいじめられる日々を過ごしています。 ジ・アースは未だにその存在を気付かれず、そろそろ鬱病の気配。 フレイムイーターは毎日近所の温泉に入り浸っています。 インビジブルはその奇抜な見た目が若者に大人気のアイドル歌手になっています。 ドレッドノートは自らの体を改造して客船として活躍。マグロ漁も兼業中。 トリカラードは変なペンギンとフラグが立っています。 ……どうです?非常事態でしょう?」 私が仮眠をとっている間に一体何が!? 何故揃いも揃って人間の刈り入れをしていない! 「実は、カザン襲撃直後に、ミロスの女王が『話し合いによる平和的解決』を提示しまして」 「それでそれを聞き入れたのか!?仮にも帝竜がなんてザマだ!」 「『争ったらこの核のボタンを押します』との言葉に、人間も帝竜も皆震え上がって、 すぐさま手を取り合ったんです。最初は帝竜達も隙をついて人間を食べるつもりでしたが、 意外とこの生活も悪くない、ルックアットミー!だとかなんとかで……」 女王、それは平和的解決ではなく脅迫と呼ぶ。 しかし成程、それほどの軍事力、確かに帝竜では敵わないかもしれない。 だが、あくまで『帝竜』止まりだ。私達『真竜』の敵ではない。 「真竜ヘイズを呼べ!二人がかりで家畜を刈り尽す!」 「……続いて、最も非常事態な映像をご覧ください……」 私の話を無視して、再びモニターに映像が映しだされた。 【装真竜ヘイズ・担当地区ミロス】 『あっ……駄目…そんなに…!』 『なんでだい…?こんなに可愛い声をあげているのに…』 『だ…め……もう……』 『僕もそろそろかな…そう…。そのまま飲み込んで。僕のキャリバーン…』 『あああぁっ!?キャリバーンおいしいよおぉぉ!!』 モニターに映しだされたのは、裸で抱き合う男女の姿。 男の方は、白髪に褐色の肌、とがった耳が特徴の人間。 女の方は緋と銀の入り混じった長髪、そして両腕の鋼の義手が目立つの人間。 ……否。 これは人間ではない。帝竜以上の竜にのみ与えられる『人化』の法を使って化けた…… 『かわいいよヘイズ…。ほら、もっとキャリバーンを味わって…』 「ヘイズーーー!?!?!?」 その女の正体は、私と同じ『真竜』、装真竜ヘイズだった……! 「どどどどういうことだ!なんでヘイズが人間の姿をとってあ…あんなことを!」 「おや、よりによってお取り込み中とは…落ち着いてくださいニアラ様」 「おおお落ち着けるわけがないだろう!なん『ああっ!そんな激しくしないでぇ!』 まずは早くこの映像を消せぇ!」 私の叫びを聞き入れ、モニターの電源が切られる。 私だってこれでも一応女だ。あ…あんな光景を見たら、そりゃ恥ずかしくもなる。 上位の竜は、その姿をある程度まで変化させることができる。 それ故、竜は色々な生物との交わりで変わった子供を作ることも可能なのだ。 この側近のリブロドラゴニカも、竜とトンボの親から産まれた、新種の竜だ。 他にも、魚と竜の子供にミミズと竜の子、犬と竜の子などなど……様々の新種がいる。 近年、この新種の子供作りがブームとなっていて、最近では純粋な竜の姿の子供のが少ない。 まともなのは長い歴史を守るロン家と、代々最強の帝竜を受け継ぐキング家ぐらいだ。 別に、私はそれを咎めたりはしない。それぞれの竜が自分で決めたことだし、 様々な遺伝子を取り込んで、竜がさらなる力を手に入れているのも事実だからだ。 しかし、今回ばかりは納得がいかない。 何故ヘイズはよりによって刈るべき家畜、人間を選んだ!?真竜No6ともあろう者が!! いやヘイズだけではない。帝竜達もだ。 いくら敵が強力な武器を持っていても、あそこまでのうのうと暮らすとは…… 人間には、何か形容しがたい力があるとでも……? 馬鹿な! 人間など我らに食われるためだけに育てられた、家畜!! 断じて有り得ない! しかし……この事態は異常! 帝竜に真竜……上位の竜があのザマのせいか、配下の下級竜までのんびりと暮らしている。 このままではたとえ10000年待っても、フロワロに包みこまれることはないだろう。 「どうです?ヘイズ様まであのご様子です。このままでは……」 「わかっている。……私が直接現地に向かう!」 人間を私ひとりで刈り尽すのは容易い。 しかし、ヘイズをも骨抜きにした人間の未知の力を侮るのも危険か…… まずは人間の力の正体を知ろう。 「よっと!」 ならば、人間に化けて、人間をひっそりと探るのが一番楽だ。 ヘイズ同様、私も人間の姿になる。 ……ちょっと背が低いかな?頭の花も隠さないといけない。 「それじゃあ、ちょっと調査に行ってくる」 「お気を付けて、ニアラ様」 リブロに渡された仮面を被り、私は人間の星に飛びたった。 「さて……どうするかな……」 私が降り立ったのは……カザンだな。キングがいる町か。 よし、人間の調査も兼ねつつ、各国をまわって回収できそうな帝竜も回収しよう。 「貴様……最近私の大統領をやたら見ているそうじゃないか…?」 「な!?だからなんだ!」 「大統領は…私だけのものだ!エランにも貴様にも渡さん!」 「な…!我は別にそういう感情で奴を見ているのではない!この刺された剣の恨み! それを忘れないためだ!『募り行く殺意』!いつか奴を倒すための!本当だぞ!」 ……町に入るなりキングと眼鏡の言い争い現場に出くわした。 なんだろうこの感じ……これが噂に聞く女の戦いというやつか。 あれ…?あの眼鏡は男なのか?女なのか…? 「貴様こそ、男のくせに『私の大統領』とはなんだ!汚らわしい目で奴を見るな!」 男だった。 「そうだぜメナス補佐官!大統領を見ていいのは、このネストルだけだ!」 「ネストル!お前にはユーリィがいるだろう!これは我とメナスの問題だ!下がれ!」 キングと眼鏡の睨み合いの現場に、さらなる乱入者がやってきた。 状況から察するに、この新たな男も大統領とやらを狙っているらしい。 つまり大統領はキングを含めて三人の男女から好意を持たれていることになるな。 ……性別種族に関係なく恋愛が認められる、このフリーダムさが人間の未知の力の正体なのか? いや待て。そうじゃない…! 確か一部の生物は、独特の誘惑光を放ったり、りんぷんをばらまき、 その誘惑光やりんぷんの魔力に負けた者は、その発動者の虜になるという…… それが人間の持つ能力か……!? 「あんないつも光輝く素晴らしいお方!剣刺さりっぱなしの竜や貧弱眼鏡には渡さねぇ!」 なに!?常時誘惑光を放っているだと!? ~ニアラ人間レポート日記その1~ 人間は強力な誘惑光を絶えず全身から放っており、帝竜の精神さえ惑わすことがある。 しかもその誘惑光はどうやら我々竜には不可視らしいので、十分な警戒が必要である。 また、カザン名物の海老フライには不覚にも泣いた。人間より美味かもしれない。 またいつか食べたいので、この地方だけは保護しておこう。 翌日私はアイゼン地方に向かった。 人間の恐るべき能力がわかった今、無事な帝竜は早急に連れ帰らないと危険だ。 確かデッドブラックがいじめられていたのはこの辺りのはずだが…… 「やーいやーい!ひっきこっもりー!」 「うえぇん!岩を投げないでよぉー!懐中電灯もやめてぇ!」 ……いた。しかもなんか悪化している。 まあデッドブラックも闇の力がないと、人間以下の戦闘能力だからな…… 「こら!やめないか!」 「やっべサムライだ!逃げろー!」 「まったく……君、大丈夫か?」 「ふえぇぇ……あ…ありがとう……」 などと考えている間に、ひとりの人間がデッドブラックを助けた。 ふむ…人間にも弱者をいたぶる者と、守るものがいるということか。 「ん?その黒衣に黒髪…そうか君が帝竜デッドブラックか…」 「うん…お兄さんも拍子抜けしたでしょ?こんな闇がないと何もできないのが帝竜なんて。 お姉ちゃん達にも完全に名前負けとか、劣化版ゾーマとか無能とか言われて…… 自分より小さい、それも人間の子供にも馬鹿にされて…私なんの為に産まれたんだろうね…?」 あの馬鹿姉妹達め…姉妹仲良くしろと、あれ程口を酸っぱくして言ったというのに! そりゃ仕事もしないで引きこもりにもなってしまうわけだ…… 「意味のない命などない。もっと自分に自信を持て。ほら、立てるか?」 「う…うん……」 「結構傷が多いな…まってろ、今手当てしてあげるから……」 「あ……ありがとう……お兄ちゃん……」 あ……今デッドブラックのやつ誘惑光にやられたな…… ~ニアラ人間レポート日記その2~ 人間は時として、実の姉より優しい対応をすることがあるらしい。 しかし全てがそうというわけでもないから厄介である。引き続き誘惑光に警戒の必要有り。 また、この地方のタケノコから作られたメンマが凄い。人間より美味かもしれない。 またいつか食べたいので、この地方も保護しておこう。 翌日、私はプレロマ地方に向かった。 ここは我々竜に対抗するために、あらゆる技術が集結した危険な場所だからだ。 「あー憎い憎い憎い!ミロスが憎い!ドラゴンは根絶やしにすべき存在だというのに!」 「エメル様……ですが人間と竜が手を取り合って以降、特に争いは起きていませんし……」 「あーイライラする!ニアラめ、もしノコノコとやってきたら、 この竜殺鋸チェーンソーでバラバラにしてくれるっ!」 危険すぎた。私ピンポイントに名指しだし、よくみればあの学長、ヒュプノスの生き残りだし…… まさか既にノコノコやってきているとは夢にも思わないだろうなぁ…… 「ノワリー、インビジブルから小包きたです」 「『友好の証にこれをやるから、少しくらい空を飛ばせてくれ』……か。 中身は……CDですね。インビジブル新曲の…どうしますか?」 「かけてみろ」 『瞬動!(瞬動!)瞬動!(瞬動!)斬り刻め!風の刄!吹き荒べ!雷の嵐! 居眠り上司に鉄槌を!(鉄槌を!)給料増やせ!(増やせ!)』 なんて酷い歌だ!?あの馬鹿帝竜は何を考えている!?しかも上司って私のことか!? 「……いい曲ではないか!」 いいの!? 「よし、気に入った。友好条約を結んでやれ」 「……よろしいのですか?」 「歌の端々にニアラへの不満があったからな。打倒ニアラの志は同じというわけだ」 私ってもしかして人望ないのかなー……ちょっとショックだ…… ~ニアラ人間レポート日記その3~ 何故かヒュプノスを発見。完全に私を殺る気だ。 また、奴らの研究所を覗いて恐るべき研究員を発見した。フロワロを食べていたのだ! おそらく、この星のフロワロがほぼ全滅状態なのも、人間がフロワロを食っているからだ。 フロワロが通用しない以上、早急に別の作戦を考える必要がある。 また、ここのトマトがとても甘い。人間より美味かもしれない。 黒リャマの絵本も泣けたし、この地方も保護しておこう。 そのまた翌日、私はネバンプレス地方に向かった。 ジ・アースはまだ存在に気付かれていない。回収するのは一番楽だろう。 確かこの辺りで山に擬態させたはずだが…… 「誰か気付いてくれないかな……」 いた。全身から禍々しいネガティブオーラを出している。 「ジ・アース!私だ!ニアラだ!一旦引くぞ!人間の能力が「ソウルプレス…」むぎゅっ!?」 ちょっと待て。いきなり上司に必殺技て……5000もダメージ受けたぞ…… 「なにをする!?」 「私の苦労はなんなんですか…?一体何年山やってたと思ってるんですか…? 寂しかったんですよ?痛かったんですよ?毎日毎日誰とも話せずに、背中から鉱石とられて、 それでいてフロワロはちっとも生えないし、他の姉妹はなんか楽しそうにしてますし、 それでも耐えたんですよ…?命令ですからね…?それなのに撤退…?」 ジ・アースの一言一言に私への恨みがこもっている…いや殺意か…? 今私は人間の姿、対するこいつは山そのもの…怒らせて潰されたらひとたまりもない……! 「あー…悪かった!もう人型になっていいから!よし、自由行動だ!うん!」 「本当ですか…?やった…!」 山からいきなり人型になったかと思ったら、ジ・アースはそのまま全速力で走り去った。 しかしやつの人間の姿、私よりもスタイルよかったな……背も高かったし…… って私は何を馬鹿なことを考えている!人間の姿など、調査にはどうでもいいじゃないか! ……でもやっぱりなんだか傷ついた。今日は飲もう…… ~ニアラ人間レポート日記その4~ この地方の人間、ルシェは姿が一般の人間と異なっていた。戦闘能力も高いので要警戒。 また、この地方のストンロックが趣き深い。人間より美味かもしれない。 傷心して落ち込んでいた私に、酒場のマスターがオマケしてくれたものだ。 どうやら人間は下手な部下よりも心配りができるらしい。 今度はデリカ鉱石で飲みたいので、この地方も保護しておこう。 また翌日、少々二日酔い気味だが今度はマレアイア諸島に向かってみる。 もちろん乗る船はドレッドノートだ。 「ドレッドノート、私だ。乗らせてもらうぞ」 「ご搭乗ありがとうございます。ニアラ様。……ご用件はなんですか?」 「率直に問う。何故任務放棄をして、人間の船になり下がっている?」 「……帰還、或いは任務続行をご希望ですか?残念ですがその命令には従えません」 あれだけ私の命令に従ってきたドレッドノートさえも、初めて反抗してきた。 やっぱり私人望ないのかな…… 「何を馬鹿な、と思うかもしれませんが、誰かに『感謝』される事は、とても気持ちいいですよ? それが人間でも竜でも関係なく。ですから、私はこのまま客船の仕事を続けます。 ニアラ様もいつの日か、この気持ちがわかると思います」 「『感謝』……か」 確かにされた記憶はない。しかし、家畜である人間にされて嬉しいものなのだろうか? ……それを知ろうにも、そもそも何をしたら『感謝』されるのだろう………? 「……ニアラ様、マレアイアに到着しましたよ。……ニアラ様?」 「すまない……考え事をしていたら酔ったみたいだ……」 ~ニアラ人間レポート日記その5~ 人間は竜への感謝もするという。そしてそれはとても気持ちいいらしい。 あくまで部下個人の感想なので、これも検証の必要がありそうだ。 この地方の国は男には厳しいが、女には寛容で私も楽に入国できた。 そこで売っていた海藻成分配合石鹸が素晴らしい。潮風で傷んでしまった髪が元通りに! ……認めたくはないが、人間の技術は確かに凄い。 また、この島限定のマレアレパフェもたまらない。人間よりも美味かもしれない。 今度は裏名物のろぉぱぁうどんも食べたいので、この地方も保護しておこう。 3日後、私はアイゼン付近の温泉宿に向かった。 ……もう本音を言うとただ温泉に入りたいだけなんだけど。回収はもう諦めた。 「フレイムイーター、いるか?私だ……っ!?」 宿に入るなり驚愕した。 ルシェの給仕にまぎれ、働いていたのは幼竜達。 帝竜達と違い、人化の法が使えないため、竜の姿そのままで働いている。 しかしそれはドレッドノートが言っていたような、感謝されるため、役にたつため、 『自分の意思』ではなく無理矢理働かされいる感じがした。 そしてそれは、幼竜に限らず、ルシェも同じだ。 「どういうことだ……!」 「お姉さんもしかして竜?ここはね……」 私が困惑していると、手慣れたルシェの給仕がこの宿の実態を教えてくれた。 ここは表向きはただの温泉宿だが、人間も竜も関係なく薄給激務で働かされ、 さらには闇の取引なるものも行われている、『地獄』だと。 「……フレイムイーターはどうした!何故こんな横暴を許している!!」 「あの常連さんを知ってるの?…彼女には感謝してる。 毎日来て、少しずつだけどルシェの子も竜の子も一緒に逃がしてくれてるの。 ……でもね、逃げ出した人数分、またどこからか違う子が連れてこられるの……」 それを聞いて私は違った意味で苛立った。 「フレイムイーター!私だ!」 「ニアラ様!?なんでこんなとこに!?」 先程の給仕に部屋を教えてもらい、フレイムイーターの部屋に押し掛ける。 ……なるほど、部屋の隅に幼竜二匹とルシェが三人いる。 竜の姿に戻り、背に乗せるかして、飛んで逃がすつもりだったのだろう。 「帝竜が何をちまちまやっている!何故ここの主の横暴を止めない!」 「あたしにゃこれで精一杯なんだ!人間と争ったらミロスから核が飛んでくる!」 「だからお前はチキンと呼ばれるんだ!ミロスも全てを把握できるわけがない! だからこそ、幼竜の奴隷扱いもここでは認められている!違うか!?」 「そ…それはそうですが……っ!?」 フレイムイーターが口籠る。 いや違う!これは……! 「ちっ!」 私としたことが熱くなりすぎた。人間の接近に気付かないとは…! 私の背後に、ここの主が立っていた……! 横なぎに拳が飛んできて、回避し損ねた私は仮面を砕かれた。 「…っぅ!フレイムイーター!その子供達を連れて先に逃げろ!」 「わ…わかりました!」 不思議なものだ。我ながら理解に苦しむ。 何故彼女らを逃がしたのだろう?何故人間の子供も一緒に? いや…今はそんなことはどうでもいいか…… 「まったく!奴隷達がよくいなくなると思ったら、客の中に手引きしてる奴がいたとはな! 貴様も口ぶりからするとあの竜の仲間だな?」 「そうだと言ったらどうする?貴様ら家畜の分際で、何故幼竜を奴隷として扱う?」 「家畜?それはそっちじゃろ!わしにとって、人間ではない竜も、ルシェも、 みーんな同じ家畜じゃ!貴様らは、選ばれた人間であるわしらに飼われるだけの家畜! 世の中には竜とは共存すべきだの、ルシェの差別をなくせだのほざく輩がいるが、 竜はその皮を剥げば鞄になるし、幼竜の心臓は珍味として貴族が飛び付く! ルシェの女は感度がいいから、普通の人間より遥かに高値で取引される! 竜もルシェも、金になるただの家畜じゃ!その家畜を飼い主が好きにして何が悪い!?」 私達竜は、幾つもの銀河を駆け抜け、様々な星を食ってきた。 その度に、「おはよう家畜の諸君」などと挨拶をしてきた。竜は常に家畜を飼う側だった。 その竜が、初めて逆に『家畜』の扱いを受けた。 なんということだ……! 家畜と言われ、扱われるのは、ここまで辛く、悲しく、腹が立つものなのか……! 挙句この人間は、竜に飽きたらず同じ人間であるルシェさえも家畜として扱っている。 醜い。なんという醜さだ。自分達がこの星の神にでもなったつもりか? 誰が貴様らを作ったか、家畜はどちらか、身を持って知れ!! 敵は年老いた人間一人、ガードマンがその後ろに三人、計四人。 貪欲な人間にぴったりのグリードで焼き殺してもいいが、それでは気が収まりそうにない。 我が最大奥義、百華繚乱で骨も残さず消し飛ばしてくれる……! 「……貴様らの言い分はわかった。今、この場で、我が不滅の妖華に埋もれ、死ぬがいい!」 頭の花にフロワロの力を集め、そして解き放つ! その次の瞬間には、赤と紫を基調とした大量の花びらの刄が人間を切り刻んでいた。 「ふん。他愛のなぐぅっ!?」 突然呼吸が止まった。何故!?っ人間の手が私の首を掴んでいる……!? 「馬鹿……な…何故…生きて……」 「いってぇな姉ちゃん……おとなしくしてりゃジェン爺様のご慈悲があったかもしれねぇのに」 私の首を掴む男は、顔に切傷がある以外外傷は特になかった。 そして気付いてしまう。 この人間達が異常に強いのではない。今の私が異常に弱いのだと。 百華繚乱は、星の全てのフロワロから力を集めて発動する技だ。 今までの星は、全てフロワロで覆われていたため、その破壊力はまさに神域だった。 しかし、悠久の時を過ごしてきた私も初めて出くわしたこの星、エデン。 帝竜達がフロワロを生やす気がないのに加え、人間がフロワロを食べたりもしたせいで、 この星のフロワロは極僅か。そんな少量では百華繚乱の威力もたかが知れてる。 そうだ。この星に降りる前に、ちゃんとその光景を見たじゃないか……!油断もいいところだ。 さっきから私は熱くなりすぎだ。冷静に、別の技で、確実に殺すべきだった……! 「ぐっ……ぅ……!」 「ジェン爺様、この女どうします?」 首を掴む男の手にさらに力が込められる。 くそ、呼吸ができない…!意識が遠のく……! この私が……真竜ニアラがこんな人間に滅ぼされるというのか……! 「やれ。徹底的に。わしに逆らう気が無くなるまで!」 「「イヤッホゥゥー!!」」 醜悪な人間の一言で、残りの二人の男も私にとびかかってきた。 フレイムイーターを逃がしたのは失敗だったかな…… ……認めたくはないが、ここまでか………… 私は長い人生の中で初めて『死』の覚悟を決め、目をとじた…… 妙だ。『死』とはこうもゆっくりしたものなのか?いや、首を掴んでいた手が離れている。 私はまだ生きているのだ。何故?先程『殺れ』との命令もあったはずだ。 不思議に思い、目を開けてみると…… 「へへ……竜の女は初めてだな。楽しませてもらうぜ!」 「むぐぅっ!?」 目の前の、私の首を掴んでいた男が私の口に何かをねじこんできた。 ま…まさかこいつら……!? 「ほら邪魔な服を脱ぎましょうね~」 「んんっ!?むぅぅ!」 左右の別の男の手によって、私のローブは易々と破かれ、ボロ切れと化した。 何をする貴様ら、と言いたいが、口が塞がれ声がでない。 しかしここまできたら、聞かずともこいつらが何をするつもりかわかる。 さっきの言葉は「殺れ」ではなく「犯れ」…… つまりあろうことか、この人間達は、この私を犯すつもりなのだ……!! 忘れていた…!人間の持つ大罪、それは傲慢嫉妬憤怒怠惰貪欲暴食、そして色欲……! 「ちっ…!小さい胸だな」 「むぅっ!むぐぐ……!む……!?」 人間の手が、私の体を無遠慮に這いまわる。やめろ!その汚らわしい手で私に触れるな! 「おら姉ちゃん!こっちも忘れてんじゃねえぞ!!」 「んぐぅ!!」 あまりの不快感に顔を歪めていると、最初の男がその粗末な肉棒をさらにねじこんできた。 喉の奥まで到達した衝撃で、思わず涙が出そうになるが、なんとかこらえる。 冗談ではない。ただこのまま人間などに犯されてたまるものか。 私は真竜No3ニアラ!どんなに絶望的状況でも、人間相手に屈しはしない! 人間、真竜の顎の力はかなりのものだぞ?そんなところに肉を入れたらどうなるか、 わかっているだろうな? 「ぐがっ!?がぎゅぐがぎあああぁぁぁぁ!!??」 「!?」 微妙に男の絶叫がずれた。 私は確かに奴の粗末なモノを噛み千切りはしたが、何故かその前に絶叫をあげていたのだ。 いや、それだけではない。いつのまにか私の体を触っていた男達も倒されている。 状況の確認を急ぎたいが、まずは口の中の不快なモノを吐き捨てる。 そして前を見ると、大剣を持った一人の男が手を差し伸ばしてきた。 「大丈夫か?」 妙な感じだった。 さっきまでこの体を蹂躙され、少なくともここの人間は皆殺しにしてやろうと思っていたのに、 何故か不思議と、この男の手は素直にうけとれた。 「ほらこれ羽織って……」 「あ…ありがとう……」 大剣の男が、マントを投げてよこす。 それを受けとり、何故か私は礼を言ってしまう。 何故?相手は人間だぞ? しかし私を助けてくれた あの程度の人間、隙をついて殺せた。助けなどいらん だが下手をすれば人間の子供を孕ませられるところだった 頭の中を様々な感情が飛び交う。整理がつかない。私はどうしたのだ?? 「やっと尻尾を掴んだぜこのクソジジイが!張り込んだかいがあるってもんだ。 アリエッタの時に懲りたかと思ったら、今度は竜の女の子を狙うってか?」 「ミロス新刑法第548条、竜との共存を否定し、猶且つ人道に反する行いをした場合、 最大極刑に処す。もう逃げられませんよ」 大剣の男とは別に、鎧の男が部屋の入り口に立っていた。 あれ……どこかで見たような……? 「き…貴様ら…!またわしの邪魔をしおって……!」 「今度は現行犯で逮捕できますからね。無駄な抵抗はやめてください」 「ま、抵抗してもこの部下たちみたくなるだけだけどな」 「ふ……ふははははは!このジェン爺様をみくびるな! このアイゼン4000年の歴史の蹴りを喰らって、あの世までとべえぇぇぇぇい!!!」 「馬鹿じゃねえのか?このクソジジイ。抵抗すんなって言ったのに」 「やりすぎですって。とにかく、早いところミロスに身柄を引き渡しましょう」 「そーだな。大丈夫だったか?悪りぃな、もう少し早く気付けてたら…… 俺はロラン。大丈夫だ、何もしないから。君は?」 「あ…ぅ…ぇと…わた私はだな…」 未だ頭の整理がつかずに、呂律もまわらなくなる。 それどころか、この男に見られるだけで何故か顔が熱くなる。 「あー駄目だ。受けたショックでパニック状態だ。無理もないか……かわいそうに…… おいリオス、お前そのクソジジイミロスに届けといてくれ。 俺はこの子ギルドハウスに連れて帰るからさ。よっと!お、軽いな。しっかりつかまってろよ!」 「え?え!?」 少し整理がついたかと思えば、いきなり抱きかかえられ、再び混乱してしまい、 「降ろせ」の一言さえ満足に言えず、なすがままに男の服を掴まざるをえなくなる。 この男は私をどうするつもりなのだろう、どこに行くつもりなのだろう?? そして私は一体どうなってしまうのだろう……?
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雁下打ち ←+中P TC2の始動技 雁下打ち 豪鬼の近距離強P(六腑潰し)。 どっちだよ? -- (名無しさん) 2014-09-03 01 52 39 今更返すけどどっちもだよ 豪鬼の六腑潰しと似たモーションでTC2の始動技でコマンドは引き中P -- (名無しさん) 2015-03-24 12 08 44 凶暴 -- (名無しさん) 2016-04-18 15 04 22 対ヒューゴー 鬼神に現身の力は通じぬ -- (ZEON) 2017-02-25 03 05 33 対ロレント 鬼神に届く戎器なし -- (ZEON) 2017-08-12 01 16 09 悪は許さん! -- (キム) 2017-12-28 13 07 19 おめえ、金棒が無くても俺に勝てるのか? -- (鬼ガシ魔) 2018-06-27 10 34 02 滅殺! -- (豪鬼) 2018-07-26 22 47 55 クッパを殺せ! -- (名無しさん) 2018-11-09 22 37 27 化け物 -- (名無しさん) 2018-11-09 22 40 19 北朝鮮と中国を破滅しろ。 -- (名無しさん) 2018-11-09 22 41 53 ヤン・ジンホは残忍 -- (名無しさん) 2018-11-09 22 42 35 ふははいいぞ貴様の力だが余には通じん宇宙の散りになるがいい。 -- (ユニクロン) 2019-06-20 21 53 54 よろしいこの私が貴様を滅ぼしてやろう。 -- (TOAAプライマス(TF)) 2019-06-20 21 57 38 hugoコンボくれ -- (吉田沙保里) 2020-02-21 15 37 14 北朝鮮と韓国と中国破滅しろ -- (名無しさん) 2020-06-17 18 45 34 鬼より滅茶滅茶強え -- (名無しさん) 2020-09-01 21 11 26 鬼カラムーチョ -- (名無しさん) 2021-02-11 19 00 58 ネカリと同じ -- (名無しさん) 2021-03-24 20 54 54 誰か対エレナと元・マッドギア3人への個別勝利メッセージをお願い。 -- (名無しさん) 2021-10-15 20 08 20 クッパ滅 -- (名無しさん) 2021-11-19 22 59 28 何くってんやろね?🤨 -- (ザックザク) 2024-05-19 12 04 23
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ごみ袋かなにかのように助手席に勢いのまま抛りこまれて、俺は尻からというよりは頭から座席に突っ込んだ。しかもまだ起き上がりもしないうちにキーを回してエンジンが掛けられ、乱暴にアクセルを踏まれている。 加速のGに俺は唸った。 「きさ、」 「口を固く閉じていなさい。舌を噛みます。」 俺が喚きかけた先を制して、そいつが俺にそう言った。俺が口を開くことを見越していたとしか思えない、どんぴしゃ絶妙のタイミングの制し方だった。 貴様な。 何か文句を言ってやりたかった。 もうちょっと丁寧な運転ができないのか。いやそんなことはいまどうでもいい。そもそもなんで貴様が俺のことを迎えに来るんだ。俺は迎えにこいだなんてひと言も頼んでいない。どころか来るなと電話越しながら怒鳴りつけたはずで、だのに自分が迎えにくるのはさも当然、と言ったふうでそいつが運転席に座り、前方の路面を睨みつけてハンドルを握っているのを見ると、無性にむかむか腹が立った。 俺は、貴様に面倒を見てもらわなきゃならないガキじゃない。 言ってやりたかったけれど、うっかり口を開くと文字通り舌を噛みそうだった。噛むだけならまだましかもしれない。路面がでこぼこしており、しかもこいつがやたらとスピィドを出しやがるものだから車体が跳ね、勢い、噛み切ってしまいそうだ。夜間救急行きだ。 噛み切った舌というのは、ところで医務局に駆け込んだところで何とかなるのかな、縫い付けてくっつくものなのだろうか。しかし医務局の奴らなら何とかしてしまいそうで、いやだな。 ついついそんなことを思いながら、俺は上下に突き上げられる車の中で何とか体を起こし、座り直してシィトベルトを締めるとアシストグリップを握る。そこでようやく一息ついた。 そうして、運転席のそいつと同じようにフロントガラスの向こう側へ目をやる。 真っ暗だった。 この時間でも、市街ならまだ防犯のために街灯がぽつぽつ点いているものを、店近辺の郊外ともなると、カーライトが当たっている箇所以外はほぼほぼ漆黒の闇だ。おまけに見たところ道路横にはガードレェルすらない。今走っている道路がどの程度の高低か判らなかったが、もしある程度の高さがあるとすると、ハンドルを握るこいつがほんのすこし手を滑らそうものなら道路外へ真っ逆さま、という洒落にならない事態に陥るわけで、そう考えるとぞっとしない。 しかも、思えばこいつの運転する車に乗った機会がない。まったくの初めてだった。 俺がヴァチカンから公用で出かけるときは専属の運転手がついたし、十三課個別の用事であったなら、俺は局員の中から気のおけない連中を選んで運転を頼んでいたから、こうして、こいつの隣に座る、ということがそもそもないのだ。 そこまで思い、俺はアンデルセンの顔を窺った。 街灯もないものだから車内はひどく暗い。まさか相手の表情をたしかめるために車内灯を点けるわけにもいかず、そいつがいま一体どんな顔をして前方へ顔を向けているのか判ったものじゃあなかった。 判ったものじゃあない、けれど俺はどういうわけだか貴様がひどく腹を立てていると言うことが手に取るように判るのだ。 ……というかこいつ、運転できたか? 胡乱な目で眺めてしまう。免許証保持うんぬんのはなしではなく、実際の運転技術の問題の方だ。 人斬り包丁役のこいつは、後部席に座ることが多かった。運転役は運転に徹するもの、そうしてこいつの役目は的を見つけた瞬間、引き金を引き即凶器として飛び出す、と言うことだったから、ハンドルを握っていてはその役目を果たせない。 だから俺が見たことがあるのは、ばかでかい体をちまーと縮こめて座席に座りながら機を伺う姿で、こんなふうにクラッチペダルを踏み、シフトレバーをせわしなく動かす姿というのは、わりと想像の斜め上をいった。 だいたい、貴様の手の大きさじゃあ、レバーの握りが小さくて不便だろうに、などと俺は思い、それからいきなりきつく踏まれたブレーキの反動にわっと息を飲み、がくんと体を前後させた。 ベルトをしていてよかったと思う。してなけりゃあフロントガラスに頭の形に皹を入れて脳挫傷だ。 「――赤信号でした。」 ……貴様な。 なじる俺の目線に、悪びれもなく貴様は低く呟いた。ひと言。 顔へ、信号の赤いライトが反射して、ようやく俺はそいつの表情を窺うことができる。 思った通り、ものすごく不機嫌な顔だった。 黙りこくったまま、じきに青信号になり、また車は発進しだす。だが一度止まって貴様は若干頭が冷えたのか、次の加速は先ほどめちゃくちゃなものではなく、俺はひとまずほっとした。徐々に市街地に近づいてきたせいもあるのかもしれない。一応こいつにも、往来を気にしてスピィドを緩める、という頭はあったわけだ。 路面の凹凸もやや平坦になったのか、先よりも上下に揺さぶられる感じも少なくなった。 そのままなんとなく、口を開けない空気が車内に広がっていたと思う。十五分は、会話もなく走っていた気がする。 俺は先ごろの店での接待相手とのやりとりを、思い出したくもないのに思い出していた。座っているだけで手持無沙汰で、それしかやることがなかったのだ。 これが日中なら、それでも外の景色について言及出来たろうに、夜間のおかげでまるきり景色は見えないし、ローマ市内につながるどこかの幹線道路を走っているはずなのに、いったい今どの路線を走っているのすら判らなかった。 「……ったろに、」 車内の揺れも軽減されたことだし、ひたすら黙って助手席に乗っているのも気まずい気がしたので、俺は何も見えない窓の外を眺めながら、ようやく口を開く。 本当だったらここは、休んでいる時間だろうに迎えに来てくれて悪かったな、だとかいう場面なのだろうと思う。俺もそういうつもりで口を開いたのだし、なにもばつの悪い子供じみた言い訳を言うつもりは微塵もなかった。 なのに、 「――はい、?」 貴様の声に一気に不穏が混じる。 「……らから。俺は、迎えにこらくて、いいって、言ったんら。」 ちがう。そんなこと言うつもりじゃあなかった。なのに口から勝手に付いて出た言葉は、まるきり可愛げのない言葉で、貴様が不快になるのも当然だと思う。 「……、そうは見えませんでしたがね。」 ふんと鼻を鳴らしてそいつが答える。 「だいたい、あの醜態はなんです。痴態とは言いたくないですがね。組み敷かれ、抗いらしい抗いもできず、あのまま私が行かなければいったい今ごろどうなっていたと思いますか。無傷で帰宅できるとお思いでしたら、能天気もたいがいにしろと言わざるを得ませんね。」 「……俺にらって考えが、」 「考え。考えねえ。」 続けてそいつは笑った。せせら笑いだ。 「……その呂律もおぼつかない、まともにひとりで立つこともできやしない状態で、『考え』? あの御老人に気に入られるために、あなたはなにを差し出すつもりだったんです?」 「……、」 いらいらとハンドルを指ではじき、アンデルセンが前方を見据えたまま吐き捨てた。 「それとも、おきれいなあなたの崇拝者は多勢いて、『こうしたこと』は日常茶飯事だとでも言いたいですか。」 「――、」 そいつの言葉に、ひゅっと、俺は俺の喉が息を吸い込む音を聞いた気がした。 誰にでも媚を売りすり寄り、股を開き、夜の親密関係によって今の座を手に入れた、だとか内外で噂されていることを俺は知っている。べつに今に限った話じゃあない。ものごころついてよりずっと、俺は自分自身の顔をなにかと比べられ、貶されて生きてきた。 ……見たかい、あの顔。母親そっくりじゃあないか。そりゃああの子に罪はないのだろうけれど、……けど、あの顔ではね。 古くは唯一の身寄りが死んだとき、引き取り拒否をした親戚どもに。 ……なンて醜悪な面なんだろう。 そうして義母に。 ……わたしはその顔が大嫌いだよ。男に媚を売り、お情けを乞うその顔がね。 片膝で俺を押さえつけ、ぐりぐりと火箸を肋骨の間に差し込みながら、あの女は憎悪を浮かべて死ね、死ねと耳に吹き込んだ。 自分の顔が歪むのが判った。恐怖でなく、純粋に痛みに耐えかねたのだ。 望んで生まれた顔じゃあない。そもそもおのれの面なんざ、鏡でもない限り見えやしないのに、まったく勝手ばかり言いやがる。 ……見たか? あいつ。ほら、■■枢機卿のお気に入りってもっぱらの噂のだよ。え? ……そう、そりゃあのおきれいな顔でだろうさ……。 ヴァチカンに入っても妬み嫉みを含んだそれは変わらなかった。 きれい? なにが? きれいだとして、何かが変わるのか。 だいたい、この顔に産んでくれと誰も頼んでいない。腹立ちまぎれに言い返したかった。けれど反論するだけ無駄なことも俺は知っていた。 悪意に反応すればするほど、そいつらはそら見たことかと手を叩きはやし立てて、それまで以上に噂に尾ひれがついてひとり歩きだ。相手にしないのが一番で、だから俺は俺自身にまるで興味を持てなかったし、どころかおのれの顔がひどく嫌いだった。反吐が出る。 部屋にも鏡を置かなかった。鏡はなくても身支度は整うし、映る姿を見るだけでうんざりした。 だから、街に出るのも、実はあまり好きじゃあない。自分の姿がショウウィンドウに映るからだ。 今回だってそうだった。 あの、老いた枢機卿とやらが、俺のことを舐めまわすような目で眺めていたことは知っていた。……ああ、またか。そう思った。 要は慣れだ。 いちいち不快を示したところで、俺にとって有利にはならない。適当にあしらって流すのが結局一番害が少ないのだ。 猊下が是非にと望んでおられます、だとかなんとか、従者が今日の業務終了後の会食に当然のように誘ってきたが、受けるつもりはなかった。俺はさっさと局務室に戻り、仕事がしたかった。 だいたい、俺に仕事を振るなと言いたい。一日のやることリストだけで両の手の指がなくなってしまうほどくそ忙しいのに、老いぼれの相手を割り振るなと言ってやりたい。 公務だかなんだか知らないが、そんなものは閑職のやつらに回しておけと言いたかった。どうして俺なのだ。 ひゅっとなった俺の喉の音は、狭い車内に響き、妙に気まずくなる。 「――申し訳ない。失言を撤回します。」 俺が息を飲んだことに気が付いたそいつが、前を向いたまま舌打ちし、かぶせて言い直す。 だが言い直してどうなる、俺は思う。撤回するなら、最初から口に出しちゃあいけないんだぜ。 口から一度放たれた言葉はもう二度と元には戻らない。だから、よくよく注意して発言せよと、毎日開くありがたい聖書にだって、何度となくそう書かれているじゃあないか。 ……ああそうか、俺は気付く。 貴様の心にも、他のやつらと同じ、俺への侮蔑が満ちているのだな。 妙に冷めた頭で思い、そうして、止めろよ、と俺は言った。 「は、」 「車を止めろ。」 深夜営業の看板に顎をしゃくって俺は言い、貴様は黙ってスピィドをゆるめ、路肩へ寄った。駐車禁止の文字がちらと見えた気もするが、かまうものか。これは停車であって駐車じゃあない。それに、俺は降りるが、こいつは運転席に座ったままだ。 ちょっと待ってろ。 言い置いて俺はドアーを開け、灯りに誘われる蛾のようにふらふらとした足取りで、まぶしいくらい灯りが漏れる店に向かって歩き出した。 少し頭を冷やしたかった。 「――マクスウェル、」 だのに、なぜだかそいつまで慌てた様子で車を降り、付いてくる。待ってろと言ったのに聞こえないらしい。いらいらした。 苛立ったけれど、付いてくるなと口を開くのも面倒くさくなって、俺は黙って歩を進める。一瞬ゆら、と視界がぶれ、まだ酒が抜けていないことを知った。支えようと伸ばされた腕を振り払う。……かまうなよ。 鬱陶しかった。 こうしたことが日常茶飯事? 貴様も俺のことをそう思っていたんだな。 そればかりが頭の中をぐるぐる回って、なんだかぐちゃぐちゃだ。反吐が出そうだった。なんでもいい、何か飲みたかった。 服の隠しをさぐり、紙巻きの箱を取り出すと一本咥え、火を点ける。煙草の煙と硫黄がまじりあったにおいが好きなので、懐にマッチを入れていることが多い。だが今日はすうと深く吸い込んだ煙がおかしな具合に苦い。内心首をかしげた。 おかしいな。酒を飲んだあとは、いつもよりうまく感じるものなんだけどな。 隣でぬっと立っているそいつに、俺はもう一度顎を使って店内を示した。何か買ってこい。言ってやる。 「……なにか、」 「なんでもいい。飲む物。」 ちいさく頷き、貴様がのそのそ店内へ消える。俺はその背に向かって、長々と煙を吐きだした。 売り言葉に買い言葉。判っていた。 俺が貴様にねぎらいではなく不貞腐れた言葉をかけたのも、貴様が俺の悪意に過敏に反応して辛辣な言葉を返したのも。 ばかばかしい。失言と言うなら互いに失言で、言葉尻をあげつらってどうのこうの言ったって泥試合だ。泥沼どころか底なし沼だ。 「あー……飲みすぎたかなァ……。」 ひとりごち、がりがり頭を掻いて、立ちのぼってゆく煙を追って空を仰ぐ。仰ぐと、優しい黄味を帯びた月が空にかかっていた。 ぼんやり眺める。普段眺めているものより、だいぶんあたたかな色に見える。色でだいぶん印象が変わるものだな。なんだかやわらかでうまそうだ。 そのまま空を仰いでいると、ややして店内から湯気の立つ紙コップを手にふたつ提げたアンデルセンが、またぬうと姿をあらわす。無言で差しだすところへ、煙草の火をもみ消し、俺はひとつを受け取った。 市街から離れた、幹線道路にぽつんと建つ深夜営業の店に、テイクアウトのエスプレッソをわざわざ買い求めに来る頭のめでたい客は他にはいなかったのだろう。それは舌を火傷するほど熱くなっていて、俺とアンデルセンはふうふうと口をとがらし息を吹きかけ、しばらく立ったままコーヒーをすすった。 すすりながら、ちらと目をやる。ここは車内よりも店の灯りが漏れて明るい。だからそいつの顔がよく見える。やつが己の失言に苦い顔をし、俺になんといったらいいものか思案しているさまが判って、不意に笑いたくなる。口が過ぎた、しまったと具合悪くなっているのは俺も同じだった。 「……悪かったな。」 先に口を開いたのは俺だった。時間が経ったおかげで呂律も直りつつある。湯気の向こうの貴様が、窺うようにこちらに緑灰色の視線を走らせた。 「……バスもタクシーもこの時間はない。ヒッチハイクは論外だし、あすこから歩いて帰るのも大変そうだ。正直、迎えは助かった。」 「――、」 じっとこちらを見る貴様に、俺は肩をすくめ、 「給仕はあの従者がやっていた。やたらと勧められたのは、きっと何か一服盛られていたんだろうな。」 続けて眉をしかめてみせる。 酒が強いとは思っていないけれど、それでもまるきり飲めないわけでもない。だのに二、三杯で視界がぐらぐらし始めた。従者もあの老いぼれもそろってこちらを観察する目で見ていたから、俺は最初値踏みされているのだと思っていたけれど、あれは、盛った薬の効き目が表れるのを待っていたのかもしれない。 そう言えば市内中のオテルを探すことになる、だとか電話越しに告げていたような気もする。とするとあの枢機卿は、俺を実際「そうした目に」合わせようとしていたわけだ。 はたしてあの猊下が俺に圧しかかる方か、もしかすると圧しかかられる方がお好みなのかもしれないが、さてどちらの御趣味だったのかな。くつくつと漏らすと、黙ってこちらを見ていたそいつの眼差しがきつくなった。 「……笑いごとで済んだからいいようなものを、」 「笑いごとさ。笑うしかないだろう。女性ならともかく、私は男だ。」 「――、」 すっと目を眇めたそいつが、紙コップを持っていない空いた方の手を俺に伸ばす。不意の動作に俺はぎょっとなったけれど、そこで下がるのは貴様に怯えたようで嫌だった。俺は貴様がちっとも怖くない。ふんと鼻を鳴らし、顔を上げて相手の顔を睨めつけてやる。 「男、ねぇ。」 「男だろう。たしかに髪は長いが、背の高さも、腰も、肩幅も、声も、どこにも女性のやわらかさやなよやかさやまろみはない。」 「……、……、……、」 黙って頬の横で俺の髪をからめて弄る指を、横目で見ながら言ってやった。 そりゃあこいつの体のデカさ、ぶ厚さにくらべれば数段劣るのかもしれないが、それは俺が華奢だとか、貧弱だとか言うわけではなくて、いわゆる比較対象が悪すぎるのだと思う。俺が普通で、こいつが規格外なだけなのだ。俺が局のトップで、こいつが武装神父隊の隊長なものだから、どうしたって横に並ぶことが多くなる。並べば比べられるのだ。しようがない。 言い募る俺に、うんとも否とも貴様は答えなかった。ただ眇めたままの目で推しはかるように俺の顔を眺めていただけだ。 「……、……なんだよ、?」 あまりにじっと眺めてくるので、居心地が悪くなる。まだ熱いエスプレッソの紙コップを片手に、俺は顔を背け、車へ戻ることにした。 向かいながら、そこではじめて、俺が乗せられていた、つまりそいつが乗ってきた車が、ヴァチカンの公用車でなかったことに気が付いた。 公用車の車種は決められている。その時々によって多少変動があったりはするが、メルセデス・ベンツか、デイムラーが最近の車種だったはずだ。 けれど、駐車禁止の看板の真ん前に堂々と停められている軽薄な青銀のそれは、だいぶ乗りくたびれたプジョー104、一般車両だ。ヴァチカンのものじゃあない。 たとえばヴァチカンに通う職員の車の可能性はあったが、それにしたってナンバープレェトが明らかにちがう。これは一般車だ。 そうして俺は、その車が停めてある光景を見たことがある気がした。 見たことがある、どこで。 「……アンデルセン。」 俺は足を止め、背後からゆっくり追ってくる男に声をかける。かけながら、先ごろのリストランテの位置を、頭の中の地図に思い浮かべていた。 「ちょっと待て。貴様、……、……貴様、どこから来た。」 たしか電話でのやりとりは、こいつがヴァチカンにいることになっていて、そこから二十キロ少々、だから待ち時間は三十分でぎりぎりだとかなんとか、そんなように従者が言っていたような気がする。 俺もあのときなんだかぼんやりしていて、会話を聞き流すまま、とくに気にも留めてはいなかったけれど、よくよく考えてみれば、このところアンデルセンが出張らなければならないような大掛かりな公務外征はない。 俺のラインに直接かけてきたから、たぶん従者はこいつがヴァチカンに詰める職員であると判断したのだろうけれど、こいつの肩書きはヴァチカンではなくフェルディナントルークス孤児院のお優しいアンデルセン先生さまだ。 つまりこいつは、 「おい、貴様、まさか、」 「――今夜はあなたが顔を出すような気が、なんとなくしていたのですがね。自慢じゃあないですが、私の勘はちょっとしたものなんですよ。あなたに言わせれば動物的だと言われてしまいそうですが……、……、寝ずに待っていたが、一向にやってくる気配がない。ですからこれは、十三課の局室で仕事しているのだろうと当たりを付けた。そうしてコォルしたら、知らない人間が電話口に出るでしょう。事件に巻き込まれたのかと焦りました。」 「……、」 助手席のドアーを開け、乗り込みながら俺はじろりと貴様を睨む。こいつが多弁になるときはきまって、何か誤魔化したいときだ。 なあ、と俺は言った。 「……フェルディナントルークスからあの店まで、どれだけあると思う?」 「……、さあ、」 孤児院からリストランテまでの距離は、ヴァチカンから店の比じゃあなかった。だとすると、指定された時間に間に合わせたこいつは、いったい時速何十キロでぶっ飛ばしてきたのかという話になる。 何十キロの世界じゃないよな。百キロ二百キロの世界だよな。 はあ、と俺はため息をつき、眉間の皺を揉みながら、轢いてないよな、ととりあえず確かめることにした。 「はい、?」 「この際、一般道をサーキット並みに何キロでクソ飛ばしたかは不問だ。信号をいくつ無視したのかも言わんでいい。言いたいことは山ほどあるが、確認したいのはひとつだけ、……貴様、店に現れるまで通行人をひっかけてはいないな?」 「おそらく。」 「……じゃあいい。」 まったくもってよくない気がしたが、俺はそう答える。 通報されたらどうするつもりだったのかとか、パトロール中の警察に見とがめられたらどうするつもりだったのかとか、貴様まさかスピィド超過カメラに引っかかってないよなとか、こいつがやらかしたことのしわ寄せは、確実に俺にやってくるわけで、できれば深夜の気ちがい暴走車をどいつもこいつも見ていなければいいが、そう思いながら俺は深々とため息をついた。 不問だ。不問。みんな不問。 厄介ごとの後始末は、とりあえず局に上がってきてから考えることにした。 「これ、誰の車だ? 公用車じゃあなし、フェルディナントルークス院に専用車はなし、ということは、院に出入りする誰かの車だな。脇に停めてあるのを一度見たことがある。」 「ルチオ神父です。彼は通いですから、」 俺のあとからそいつも運転席に乗り込んでくる。大柄なそいつがどすんとシィトに腰かけるだけで車が軽く揺れた。こいついったい何キロあるんだろう。ほどよく筋肉と脂のついたその体が、戦闘時は驚くほど俊敏に動くことを俺は知っていた。 「通話しながら表に出たときに、ちょうどエンジンをかけ、帰宅しようとしていた彼とはち合いましてね。」 「強奪してきたか、」 「まさか。快く貸してくれましたよ。」 「……快く、な。」 有無を言わさず奪ったんだろうなこれは。思いはしたものの口には出さなかった。こいつが血走った眼で貸してくれと押し迫って、否と言える人間の方がきっと少ない。 横目で眺めていると、俺の視線に気づいた貴様が、なにか、と怪訝そうにたずねた。 「……なにもない。」 そういやこいつ、夜目が利くんだったな。俺は視線を外し、慌てて漆黒の前方を見た。 ふんと息を吐いた貴様は、運転手の当然の権利だとでも言うように、こちらに向かって手にしたまだ中身のある紙コップを差し出す。たしかに片手で運転はできない。だったので、俺は仕方なく貴様の分も受け取る。 こういう時に、手に持ったままでなくてもいい、電車や飛行機にあるような、飲み物がこぼれないカップホルダーが取り付けられると便利なのにな。思いながら一旦ダッシュボードの上にふたつ置き、ベルトを締めてから再度手に持ち、俺は前を向いた。 先ごろとはまるきり違う、急な発進も不意の加速もなしに車は幹線道路をすべりだし、俺はシィトにもたれながら、ああ煙草が吸いたいなあとふと思った。 色々疲れた。頭を空っぽにしたい。 この両手の紙コップが片付けば蒸かしたってよかったのだけれど、ところでルチオは煙草を吸ったかな。吸わない人間の車にヤニのにおいをつけるのは、さすがに忍びない。 相変わらず窓の外はほとんど闇だった。ほんの時おり表示看板に当たる道路灯がぽつんと見えてはそれもすぐに車の後ろに流れていく。どこを走っているのか判らないのも先とすこしも変わらなかったが、どうも、ヴァチカンやフェルディナントルークスに向けて走っていないことだけはなんとなく理解した。 つまりこいつも特にゆく当てを決めるでもなく、でたらめに分岐を選び、運転していることになる。 貴様と深夜のドライブか。 俺はため息をつき、手にした紙コップの俺の分の方へ口をつける。冷めたそれは香りも飛んで、ただの黒いぬるま湯だった。 「――今日に限って、なぜ酒の誘いに乗った。」 「……あ?」 不意にアンデルセンが口を開き、静かに問うた。言葉の唐突さに俺は間抜けな声を上げる。 「公的な場所以外で個人と対面して酒を飲むことが、そんなにおかしいことか?」 「お前はしない。」 「……貴様がどう思っているのか知らんが、曲がりなりにも私は局の長だぞ? 酒の席でしか話せない相談事だって、」 「お前は付き合いを極力避けるだろう。行動を把握しているわけではないが、俺の知っている限り、他人との馴れ合いを是とする人間じゃあない。誘導役を務めた程度の、ほとんど見知らぬ人間と、必要性を感じない酒の席におそらくお前はいかない。……ただひとつを除いてな。」 「知った風な口を、」 「口に出せなくなるとお前は酒に逃げる。悪い癖だ。……実際のところ、あの老人とコネもツテも作るつもりもなく、ただ単純にお前が飲みたかっただけだろう? たまたま舞台設定をあちらさんが設置してくれたわけだ。何から逃げる。俺と、顔を合わせるのが怖くなったか?」 「……怖い。どうして私が貴様を怖いと思わなければならないんだ。」 挑発的なそいつの言葉にさっと反応して、俺は肩をそびやかし、笑ってみせた。 「ばかばかしい。そういうのを下種の勘繰りというんだ。だいたい、来ると思った、だとか先ごろ貴様は言っていたが、いつ私は貴様と逢引の約束をした? 院に行くつもりなんてさらさら――、」 「さらさら? なかったか?」 くく、と喉を低く鳴らしてそいつは言った。どこか含んだところがあるように思えて、引っかかり、俺は片眉を上げる。 「……何が言いたい、」 「次期再生者候補リストを正式に提出したと聞いたぞ。」 「――、」 不意打ちだった。そこまで貴様が判っていたとは知らなかった。胸を衝かれてこわばり、俺は一瞬言葉を失う。 「今日の昼に事務所に用事があってな。ヴァチカンに顔を出した。ついでに医務局に呼ばれて、立ち寄ったところに、医局員がそんな話を振ってきた。」 「――、」 「選んだのは、我らがイスカリオテ第十三課の長のお前だろう。前から選出を渋っていたそうじゃあないか。さんざんせっついて、ようよう数名の候補があがってきたと、医局員はそんなように言っていたが、」 泣きべそかいて、俺のところに顔を出すと思っていたが、酒に逃げるとは思わなかったな。前方を注視しながらアンデルセンが低く笑う。 「――、」 動揺を隠したくて、俺は一息で残りのコーヒーを呷る。ぐっと喉を鳴らして飲みこんで、空になったそれを足下にほうり投げた。 またひとつ、灯りが窓の外を流れて、一瞬だけ貴様の横顔を照らし、すぐに闇に沈んだ。 「……べつにそれが原因で誘いに乗ったわけじゃあない。」 たっぷり十分は黙ったあと、しぶしぶ弁明しはじめた俺の声はしわがれていた。狼狽があからさまに声に出ている。なんとも情けない話じゃあないか、そう思う。 「飲みたい気分だった。それだけだ。」 「飲みたい気分、……ねえ。」 「悪いか? 始末書だの報告書だの見積書だの申請書だの、積み重なるファイルの山に日々うんざりだ。たまには、気晴らしに飲みに行きたい気分になったって、おかしいことじゃあないだろ。……その飲みたい気分の日がたまたま今日で、案内を務めた相手がたまたま誘ってきたから、断る口実も見当たらなかったし、乗っただけの話だ。」 なるほど。 一応そいつは答えた。だがまるで納得していない声色だった。返答に、俺はいらいらし、苛立ちを紛らわしたくて手にしたコーヒーを一口含む。含んでから、あ、これこいつの飲み差しだった、と気が付いたが、いまさら吐き出すわけにもいかず、しかたなく飲みこんだ。 こいつの言った通り、医務局から早く出せ早く出せと選出の突き上げを食らっていたのはたしかだった。 医務局は心配している。切り札を失うことをおそれている。 たしかに今現在、再生者アレクサンド・アンデルセンに不備はない。不備はないどころか基準値を大幅に上回る良好ぶりだった。こないだ行った身体検査も今までにないいい数値で、どこにも悪いところはなし。太鼓判を捺された。だったら杞憂じゃあないのか。俺は思う。 思う、けれど、今不備がないからと言って、明日も同じとは限らない。 それは残酷な事実だった。 ――マクスウェル局長は、超新星爆発を知っていますか。 顔もおぼろな医局員の誰かが呟いた言葉が、今も脳裏にこびりついている。 前任者は五年だったそうだ。その前は七年。その前が八年。再生者歴代の記録を目にしたことがある。当たり前だ。俺は使役する側で、だったら放つ銃剣の性能をきちんと把握しておかなければその力を百パーセント効率的に使用することはできない。 どれだけ基準をクリアーしていようと、どれだけ歴代の再生者を凌駕していようと、鬼札は生き物だ。日々刻々と変化してゆくものを、変化してゆかねばならないものを、医療と秘跡で「いま」にとどめ、縛り付けておく複合技術だ。 歴代の再生者はみな精神をやられていったそうだ。……貴様はどうだろう。俺はたしかめるのが怖い。 俺の立場上、貴様の数値の増減は必ず報告にあがってくる。俺は見止め、認め、貴様が次第にしおれ、だめになってゆく姿をそのうち必ず目にすることになる。 それはいつだ。明日か? 数か月先か? それとも数年後? 駄目になるのだろうか。こいつが。俺を置いて先にくたばってしまうのだろうか。 ……こんなに腹の立つほど近くにいて、減らず口を叩いてくるのに? 飲みたかった。飲んでへばって、ぐでんぐでんに崩れて、どうしようもなく不条理な、先々の布石だとかいう、次期再生者候補の名前なんざ頭から追い出して、反吐にまみれて眠ってしまいたかった。 飲める場所なら場末のカウンターだろうが、ヴァチカンお抱えの高級リストランテだろうが、どこでもよかった。とにかく飲んで、このぐずぐずに堂々巡りになった思考を、頭から追い出してしまいたかった。 もうすこしでばかになれた、前後不覚にひっくり返ってしまえるあと半歩のところで、不意に胸元の携帯電話が震えた。 取りだしたディスプレイの数字を見たかどうかは覚えていない。耳にあてた瞬間、今いちばん聞きたくない声が、俺だ、と言った。俺だ。いまどこにいる。局室か部屋ではないんだろう。何をしている。 瞬間一気に感情が高まって、わけが判らなくなった。いやだ。貴様が消えてしまうのはいやだ。 この声も、聞けなくなってしまう。 「――だいたい貴様は私の保護者か? 何か鬱憤を晴らしたい理由で酒に逃げたとして、どうして貴様がしゃしゃり出る? 私は成人した男で、しかも貴様の上司だ。くそテロリストだの異教徒だのから、拉致だの襲撃されたときに警護されることにいささかの不満も感じないが、今回は別だろ。接待相手から酒席に招待され、それを私が受けた。それだけの話だ。受けた理由が酒に逃げるためだろうが、純粋なる接待相手との歓談だろうが、貴様に関係のある話か? ないだろう。私事に首を突っ込むな。不愉快だ。」 「――、」 言い募っているあいだに、くん、と体が前方へ引かれる感じがした。運転席のそいつがゆるゆると減速したのだ。 そのまま次第に車はスピィドを失い、中途からがくがくと車体が震えた。加速の時は流暢にいっていたのだから、減速を知らないわけじゃあない。さっき店に停めたときだって、こんなようにはならなかった。だからこいつはわざとこうしているわけで、つまりギアチェンジする気がさっぱりないらしい。 下から突き上げてくるようなエンストすれすれまで堪えてのち、ギアをニュートラルに戻して、すん、とエンジンが黙り込む。途端に車内が静かになった。 路肩に停めることすらせず、おんぼろ中古のプジョーは停まった。道路のど真ん中だ。頭がおかしい。 たとえば今、後方から車が来てみろ。街灯ひとつないあたりは畑だか藪だかの田舎道で、真の闇だ。そこにライトを消した車が一台、反射板ひとつ後方に立てるでもなく、ぶつかる気満々でど真ん中に停まっていて、はたして運転手が自車のライトと目視だけで、いったい接近何メートルで気が付くか。それが普通車だって冗談じゃあないのに、もし、大型ダンプだったとしたら? 車内にいる自分たちが、ダンプのライトを確認し、ベルトを外し、車外へ逃げ出す時間があるかどうか、考えたくもない。 深夜だからか、田舎道だからか、行き交う車はまるでないことだけが救いだけれど、いつやってくるかは判らない。危険なことに変わりはなかった。 なんだ、と俺は言った。先は一度、俺が譲った。売り言葉に買い言葉、迎えが助かったことは事実だったし、言い張ることも大人げないと思ったからだ。けれど、 「……なるほど、」 今日ここ一番重低い声でそいつが言い捨てた。なるほど。俺の言い放った何かがこいつに気に障ったらしい。……なるほど。三度呟かれたが、いまさら後に引く気は俺にもなかった。 「……私がどこで誰と飲もうが、仮におのれの手落ちで窮地に陥ろうが、それは私の問題で、貴様の問題じゃあない。はき違えるな。再生者リストを提出した、それがなんだ? 次期再生者候補者選出に多感な私が心を痛め、憂鬱に陥り、酒に逃げたとして、何か問題があるか? 貴様に泣きつく? 私が? 孤児院のガキどもじゃあないんだ。ばかばかしい。……もう一度言ってやろうか。私の問題だ。貴様は何の関――、」 何の関係もない、と言いたかった言葉は立ち消えた。 次に感じたのは、どんとおのれの後頭部が座席にぶち当たる衝撃だった。不意を衝かれ、固く目を瞑る。一瞬何がどうなったのか、理解できなかった。殴られたのだろうか。腹を立てた貴様が拳を俺に叩きつけたのだろうか。 それにしては殴られた痛みは感じないけれど。 「っ――、」 目の前が暗かった。暗いというか塞がっている。 車内は暗くて、夜目が利くでもない俺には何も見えないわけで、だから暗いと言うならもうずっと暗かったのだけれど、暗さというか、迫っていたのは質量だった。振り払おうともがいて、そこで初めて、俺は貴様に押さえ付けられていることを知る。そいつのばかでかい手が、俺の頬というか顎というか、顔ごとがっちりと掴んでいた。 塞がれていたのは俺の口だ。 俺の口が、貴様の厚ぼったいそれでもって塞がれ、有無を言わさぬ強さで押しつけられ、乱暴に食まれる。 頭が真っ白になり、一拍のちには血が上った。 やめろと言いたかった。怒鳴りたかった。 こんな公道で、しかもライトすら消した車体で、田舎道だったから通行人に見られる心配はなくても、先も言ったように後続車が突っ込んでくる可能性はいくらでもあった。ゼロに近い交通量はゼロじゃあない。 だのにこんなふうに俺に圧し掛かり、互いの視界を塞ぎ合い、唇を貪りあっていては、あっけなく追突され、二名仲良く死亡、そんな新聞記事まで目に浮かぶ。冗談じゃあない。本当に冗談じゃあなかった。 振り払いたくて暴れるのに、万力のように挟むそいつの手はびくともしない。手袋越しのくせに体温がこちらに伝わってきて、ますます頭に血が上った。 それは羞恥ではなく怒りだ。 「――ふ、ざ、け……ッ、……!……!」 ふざけるなと怒鳴った口は声を発しきることなく塞がれたまま、貴様の唇が覆いかぶさり舌が侵入する。噛みついてやってもよかったが、噛み切った舌先が俺の口中に残ることを考えると、生々しい話だった。 貴様の二の腕に、俺はぎりぎりと力を籠め指先で引きはがそうとしてしがみつく。やめろと言いたかった。 やめろ。はなせ。放してしまえ。塞がれた息でもって口中で叫ぶ。何もかも放してしまえ。 貴様、ヴァチカンへ顔を出したなら、三課の話も回っているのか? 俺は聞きたかった。聞きたくて、そうしてどうしたって絶対にその答えをこいつの口から聞きたくなかった。 今日正式に、俺のところにあれが運ばれてきたぞ。ヴァチカンの秘蔵物、奇蹟の偶像崇拝、キリストを穿ったエレナの聖釘。 仰々しく箱をまた何重にも聖骸布で包んであってな。中まで確認させられた。釘というから真っ直ぐな、太い鉄のそれを俺は想像していたんだが、中に入っていたのは釘というよりは不格好な形の杭だった。――こんなものを心臓に突き立てる? 見ただけで嫌悪感に吐き気がした。 突き立てなければならないのか。それしか手はないのか。突きたてなくてもなにか別のやりようが、探せばいくらでもあるんじゃあないのか。 貴様がひとであることをやめて、それで何か救われるのか。 いやだ。いやだ。いやだ。無茶苦茶に暴れて押さえ込む貴様の力を、俺はたしかめて安心している。これだけ力があるのだ。小汚い釘ひとつに頼らなくたって、貴様の力はまだこんなにも強いじゃあないか。 どうして貴様なんだ。貴様以外の誰でもいい、誰が別の人間がその大役を務めることはできないのか。――できないのか。 ……できない。できないんだよ。判っている話だった。貴様以外にできない。 暗闇の中で貴様にすがりつく。シートに埋め込む勢いで俺を押さえている貴様は、きっと気づかない。気づかないでよかった。気づいたらきっと駄目になる。 目端に浮かんだ涙は、息苦しさと混同する。貴様にバレていないとよいなと思う。顎を掴んだ手と、頭の後ろにあてがった手は不愉快に熱い。俺の体を押さえこむ膝は、肋骨をぎしぎし軋ませたけれども、その痛みがある間はこうして貴様と触れ合っていても許されるような気がした。 これは罰だ。こいつを死地へ送り込む、確実に人として駄目になるのが判っている場所へ送り込む俺の罪に対する罰だと思った。 俺の手は抗うようでいて、貴様の背中に回されていた。くそ。呻く。無駄に熱い体が腹立たしかった。 ぢゅ、ぢゅと互いに唇を貪る水音が耳管に響く。やめろ。勘弁してくれ。俺がこいつでいっぱいになって、溢れてしまう。 一瞬離れた隙を衝いて俺は喘ぎ、相手の胸板を押した。押した手を取られる。何をするつもりだと見上げたそいつの影が、ゆるゆると取った顔に近づけ、俺の手を噛んだ。 俺には見えない。だが、夜目が利くそいつなら、俺があ、と息を漏らしたのも判るはずだ。 握っていたはずのコーヒーは手になかった。車内に香ばしくて苦い豆のにおいが立ちのぼる。こいつが激突した瞬間に落としたのだ。じっとりと太もものあたりに濡れた感触が広がって、ああ畜生シィトが染みになると俺は唸った。 唸った口を再度塞がれる。そいつの伸びかけた無精髭が、ざらざら痛い。 食いついてやろうとすると離れ、追いかけると押しつけられる。求められて舌を出し、からめて吸いしゃぶる。互いに性急で手前勝手な口づけだった。
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……戦況は混乱を極めていた。 バーサーカー、カルキを殲滅したラーヴァナは戦いを求め、ヴィマナを駆って冬木市へと侵攻しようと目論む。 これだけ派手なことをすれば、他の隠れているサーヴァントも牙を剥くに違いない。 その中に余を満足できるものがいればいいのだが。 そんな風に思っているラーヴァナの前に一人の騎士が立ち向かう。 「まてい!魔王よ! 貴様の狼藉、もはや許し難い! 邪悪の前に膝を屈するなかれ、正義を躊躇う事なかれ! この騎士王であるライダー、ドン・キホーテが相手する!」 その強大なステータスに、放たれる凄まじい重圧感。これは並の英霊などでは断じてない。 だが、そんなものは些細なことでしかない。 その邪悪に立ち向かおうとする意思。 敢然と邪悪と闘わんとする正義たる気高き誇り。 そのライダーの威風堂々たる姿は魔王ラーヴァナですら畏怖させた。 「く、くくく……! 面白い、面白いぞ!この余を畏怖させるとは! 貴様こそ、余を満たせるかもしれぬな……。 だが、ここではあまりに舞台が整っておらぬ。 それではせっかくの楽しみが損なわれてしまうからな。 ここはいったん引こう。さらばだ!」 ライダー……ドンキホーテの活躍により、一度はラーヴァナは退けられたが、 ラーヴァナはライダー、ドンキホーテとランサー、ヴラド以外全てのサーヴァントを葬っていた。 そして、最後の第八番目のサーヴァント、英雄王ギルガメッシュがついに動き始めた。 古い英雄にとって天敵であるドンキホーテの欺瞞能力、『我、騎士道を邁進す(ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ)』 だが、その能力も、ギルガメッシュの宝具《偽り破る真実の鏡》とルールブレイカーによって打ち砕かれていた。 「吾輩は……吾輩はもうダメだ……。 騎士道など……騎士など……どこにも存在しない……存在しないのだ……。」 そう呟きながら地面に膝をつくライダー、ドン・キホーテ。 そこに存在しているのは、ラーヴァナにさえ畏怖された英雄狂ではなく、ただの夢破れた老人にすぎなかった。 「愚かな道化め。道化が騎士王を名乗るとはその罪、万死に値する。 大人しく―――!!?」 膝をついたライダーにむかって剣を振りおろそうとしたギルガメッシュに対して、魔力弾の砲撃が襲いかかる。 それは、巨大な空中戦艦、プシュパカ・ヴィマナから放たれる支援砲撃である。 ヴィマナの上で腕を組んで下を見下ろしているラーヴァナはライダーに向かって叫ぶ。 「どうした!立て!立つがいい!英雄狂よ! 屈するのか?貴様は屈するのか!?余を畏怖させた英雄が……たかが幻想が破れたぐらいで屈するのか! ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャよ!―――真の騎士よ!」 ぴくり、とその言葉に膝をついていたライダーの肩がふるえる。 「ステータス?宝具?戦闘能力の高さ? くだらぬ……全てくだらぬ! 最も大事なのは正義たらんと、騎士であろうとするその意思だ! ふるえながらも邪悪に立ち向かおうとするその気高き誇りだ! そう!魔王を滅ぼすのは、いつだって勇気あるものたちだ!!」 そうライダーに向かって叫んだラーヴァナは、ぴらりプシュパカ・とヴィマナから飛び降りると、 通常の人間なら瞬時に心臓が止まりそうなほどの邪眼めいた視線で英雄王を睨みつける。 「英雄王よ。真の騎士であるこやつを愚弄するとは……もはや許さぬ!」 英雄の頂点に立つ英雄王は神代の魔王に向かって怒気をむける。 「王を詐称する愚か者が我に意見をいうか。 たわけが。王を名乗るその不遜、己の死で購え。」 「よかろう、英雄王よ。相手になろう。 だが心せよ。魔王を倒せるのは勇気あるものたち……勇者だけだ! 王ではない!邪悪に立ち向かう気高き意思が無き高慢たる王に……余は殺せぬ!」 「黙れ!出し惜しみはなしだ……。食らうがいい!天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!!」 かつて混沌から天地を切り離したその剣が発生する暴風は、擬似的な空間断層すら引き起こす。 その暴風による空間断層に耐えられる存在はない。 だが、とっさにラーヴァナの前にヴィマナが舞い降り、己の盾になる。 ヴィマナはその機体の三分の一を砕かれながらも、まだ機能は停止せず、その暴風を食い止める 全てを素粒子へと打ち砕く死の暴風はラーヴァナを粉微塵にし、 周囲の10mの地面すらも完全に抉りとり大きなクレーターを作り出す。 もはや、ラーヴァナのいた痕跡は、足首の一部分だけにすぎない。 ヴィマナの強靭な装甲はエヌマ・エリシュですら軽減したのだ。 『なるほど。乖離剣エアか。確かに凄まじい威力だ。素晴らしい威力だ。 さすがに天地を切り開き、混沌から秩序をもらたした剣だ。』 「―――!!?」 その空中から響き渡る声に、さすがの英雄王も狼狽する。 なぜなら……その声は今彼が打倒した敵そのものだったからだ。 『だが……その剣は神が振るった神剣! そして、貴様はランクこそ下がっているが最大の神霊適性を持つ英霊!! それでは余は殺せぬ……。殺せぬわ!王では余は殺せぬわ!!』 そう、ギルガメッシュが振るう乖離剣エアは、かつて知恵の神がウルリクンミの両足を切り落とした 天地を切り離した神剣である。 最高位の神エアが振るった神剣に、ランクこそBに下がっているものの、最大の神霊適正を持つ英雄王。 その攻撃は耐神性を持つラーヴァナに通用するか。 その答えは、今やほぼ完全に肉体を再生しつつあるラーヴァナ自身が答えそのものだ。 「英雄王よ。貴様の敗因はただ一つ。貴様は乖離剣に頼りすぎた。それだけの話だ。」 ……もはや分かり切った結末を語ることはない。 光り輝く英雄王は、漆黒の魔王に飲み込まれるだけなのだから。 その間に脱出したライダーと士郎。 だが、もはやライダーには戦う力が残っていないことは、本人が一番知っていた。 「どうするんだ? ライダー。もうアンタの宝具は使えない。なら……。」 「いいや、サンチョ、いや、少年よ。 それでも、吾輩は騎士なのだ。 騎士たるもの、強大な邪悪を見過ごすなかれ。虐げられるものを見過ごすなかれ。 ……吾輩は偽物の、ただの道化だ。それでも、その誓いだけは、嘘でも偽物でもない。」 ああ。そうか。この人は狂ってなどいなかったのだ。 ただ、真実の誇り高き騎士であらんとしていただけなのだ。 ……そんなものは、最早どこにもないというのに。 そして、いま再び風車に突撃したように、彼は風車よりはるかに巨大な敵に立ち向かおうとしている。 「ならば、私が貴様に力を貸そう。英雄狂よ。」 その瞬間、どこからともなく大量の蝙蝠が空中より飛来し、ざざざざと一か所に収束する。 そこに存在していたのは、蝙蝠の塊ではなく、一人の血塗られた杭を持つ長身の男だった。 ランサー、ヴラド・ツェペシュ 串刺し公として恐れられた彼がついに本格的に参戦したのだ。 「……串刺狂。何故、そなたは吾輩に力を貸すのだ?」 「理由だと?そんなものは一つだけだ。 奴は、ラーヴァナは悪だ。私は悪の存在を許すことはできぬ。断じてな。 あのような邪悪によって犠牲にされる市民を見捨てるわけにはいかぬ。」 そう、かつてヴラドは征服王メフメト2世の侵略に対して、 大軍に対して立ち向かった経歴のある英霊だ。 ならば、メフメト2世よりはるかに無慈悲で残忍な殺戮を行うであろう魔王ラーヴァナを放置できるはずもない。 その意思だけは、疑う余地はなかった。 そして、とうとうヴラドとラーヴァナの戦いが始まった。 英雄王の最後のハルペーによる攻撃によって彼の胸には大きく傷が走っているが、そんなことは問題で花い。 しかし、神代の魔王と恐れられた ラーヴァナと、中世の英雄であるヴラドでは、神秘の蓄積が違いすぎる。 まともに戦っては勝ち目はない。 だが、彼の固有スキル:軍略D+は不利な情勢やゲリラ戦を行うときにも有利な補正を得られる。 何とか、敏捷で勝るヴラドは必死の回避により、筋力Aの膨大な破壊力を持つラーヴァナの攻撃を回避し、 手にした長槍のような血塗られた魔杭で剣や矛の一撃をそらしていく。 だが、ついに、ウラドの左腕の傷からまるでパイルパンガーにように突き出された血液で構成された魔杭がラーヴァナの腕を貫く 「喰らえ!『餓え渇く鮮血の粛杭(カズィクル・ベイ)』!!」 ヴラドの宝具、餓え渇く鮮血の粛杭 それは、この杭で傷つけられた者の血液を媒介とし、次なる杭を生成する。 魔杭によって傷つけられたラーヴァナの血液は鋭い無数の杭と化し、ラーヴァナを体内より爆裂させる。 体内から生えた杭によってハリネズミのようになった彼はそれでも動じない。 「なるほど。串刺狂よ。確かにそなたは吸血鬼の属性は持っているが、同時に人間としての属性も持っている。 それならば、余を多少なりと傷つける事もできよう。だが……。」 伝承上で語られる吸血鬼の能力を再現する能力があるとはいえ、 彼は本来何の因子も持たないただの人間であった。 それならば、ラーヴァナの宝具「羅刹王」は発動しない。 だが……。 「愚か者め。人である事を捨て去り、魔へと堕落した半端者が余に勝てるか! 貴様と余では、魔としての純度が違いすぎるわ!!」 だが、しょせんそれは再生速度が遅くなるというだけの話。 もはやヴラドは通常の人間ではなく、吸血鬼としての属性が付与されている。 それに後天的に吸血鬼としての属性を付与された中世の人間であり半魔と呼べるヴラドと、 神代の時代に魔王と恐れられたラーヴァナでは魔としての純度があまりに違いすぎる。 同じ属性ならば、より純度が高い方が勝利するのが絶対の法則。 ヴラドでは、ラーヴァナには決して敵うはずがない。 そして、ラーヴァナの無慈悲な一撃はヴラドの心臓を貫く。 だが、心臓を貫かれながら、彼は不敵な笑みを浮かべた。 「確かにな……。もはや人から外れた私の攻撃は貴様には通じない。だが……。」 「だが……貴様の行動を封じることはできる!」 その瞬間、ラーヴァナは気づいた。 彼の足元。そこには彼自身が流した血。 そして、ヴラドがこっそりと地面に流し続けた大量の血によって彼の地面は血の海になっていることを。 「吼えろ!『餓え渇く鮮血の粛杭(カズィクル・ベイ)』!!」 その瞬間、ラーヴァナの地面の血の海から大小無数の鋭い杭が飛び出て 彼の腕を、脚を、胴体を、顔をあらゆる場所を串刺しにする。 心臓を貫かれ、肉体を失いながらも、宝具を維持するため必死で肉体を維持しながらヴラドは叫ぶ。 「行け!ライダー!見せてみろ!貴様の誇りを私に見せてみろ!」 その瞬間、今まで隠れていたライダーがロシナンテに跨り、ランスを構えながら、 串刺しにされ、身動きの取れないラーヴァナに突撃する。 「騎士たるもの、悪を前に膝をつく事勿れ、正義を前に果たさざる事勿れ。 我こそは騎士ドンキホーテ! 騎士道を為す者! 魔王よ!吾輩の槍の前に倒れるがいい!!」 「第七のマスターが令呪の名の下に命ずる。 ライダー!奴の心臓を貫け―――!!」 瞬間、士郎の令呪の力により、ライダーはまさしく彗星となった。 ペルレフォーンとほぼ同じ速度でロシナンテは大地をかける。 そのランスを構えて突撃する姿に、杭に刺し貫かれて身動きが取れない魔王は再び恐怖を覚えた。 「プシュパカ・ヴィマナ支援砲撃要請!撃てぇ!!」 プシュパカ・ヴィマナから放たれる無数の魔力弾や魔力レーザー。 そして、ラーヴァナは力づくて腕の部分の杭だけ破壊し、弓を引き絞り撃ってくる強弓。 一本目の矢がライダーの兜を破壊し、もう一本が鎧を破壊し脇腹に深く突き刺さる。 魔力レーザーはライダーの左腕を切り落とし、魔力弾が右肩の鎧を破壊し、ロシナンテの脇腹を大きくえぐる。 それでもなお、ライダーには致命傷を与えられない。 ライダーの固有スキル:錆び付いた英雄譚(ラスト・ファンタズム) それは、英霊が近代より古いものであればあるほど、アロンソ・キハーナに対する行動のファンブル率が上昇する。 さらに幸運:A+の力により、彼の攻撃は全て致命傷には至らない。 そして、ヴラドが完全に消え去る寸前、杭によって身動きの取れないラーヴァナの心臓をライダーのランスが貫く。 英雄王のハルペーによって胸に大きな傷を負っていたラーヴァナでは、その攻撃に耐えうるはずもない。 それを見て、ヴラドは満足そうに無言で消え去り、ラーヴァナも心臓を貫かれながら満足そうに高笑いする。 「く……くくはははは……ははははは! 貴様が、貴様こそが余の死か……。 最高だ、お主は最高だぞ、英雄狂。 そうだ。化け物を滅ぼせるのは人間だけだ。魔王を殺せるのは勇者だけだ」 ラーヴァナの宝具「羅刹王」は純然たる人間には通用しない。 そして、ドンキホーテは妄想に生きたただの人間でしかないのだ。 さらに、サーヴァントは心臓を破壊されれば消滅する。それは宝具の加護を失ったラーヴァナであろうと例外ではない。 「感謝する魔王よ。我が妄想物語に付き合ってくれて。」 「何を……いう……。そなたの信念は、妄想などでは……ない。 胸を張れ……。そなたこそが、魔王を倒した騎士なのだから……。」 「礼をいうぞ……。余を救ってくれて……。そなたこそが……真の……騎士……、」 ラーヴァナは風になった――― ドンキホーテが無意識のうちにとっていたのは『敬礼』の姿であった―――――― 涙は流さなかったが 無言の男の詩があった――― 奇妙な友情があった―――
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発言者:ルシード・グランセニック 対象者:ゼファー・コールレイン チトセ√のエピローグ、ゼファーの回想において、 愛しの女神からの最期の言葉を知らされたルシードが“親友”に告げた誓いの言葉。 ヴァルゼライドとの死闘を制したチトセとゼファーは、その後彼から引き継いだ“勝者”の義務を貫くべく、総統の刃を受けながらも“なぜか”一命を取り留めていたアルバートらと協力して、新体制を敷いたアドラーを支え続けていた。 その激動の日々を思い返しながら、ゼファーは友人であるルシードのことについて触れていく。 帝都中央塔の地下に消えたヴェンデッタ。 彼女が姿を消したことで、彼女に愛を向け続けたルシードはそれ以後、酒浸りの生活を続け覇気をまったく失ってしまっていた。 そんな親友に対して、ゼファーは彼女が遺してくれた言葉を伝える ───友達を、家族を大事になさい。 その最愛の女神からの言葉をゆっくりと噛み締め、ルシードは淋しげな微笑を浮かべて、 「……僕は、君の友達かい?」 と問いかける。それに対し、ゼファーははっきりと答える…… ―――当たり前だ。俺とおまえが馬鹿やってないと、あいつ笑ってくれねえぞ。と……… その答に親友(ルシード)が内心で何を思い、何を感じたのかは分からなかったが── ただ、儚い笑顔でゼファーに向き合い、 「それがレディの願いなら、仕方ないな。ではもう少しだけ意地を張ってみるとしますか……」 「はは、柄じゃないけどね」 そう言ってルシードは酒に溺れるのを止め、完全に元の状態に戻ったわけではないにせよ、精神の均衡を保てるようになっていった。 今現在では帝国側の人間として商国をつなぐ重要なパイプ役等を果たすとともに、友人としての意味においても、公私にわたってゼファーと緊密な関係を築けているとする。 そしてゼファーは、ルシードの内面をすべて察せずとも、去ってしまったあの少女との思い出が、今でも自分とルシードを確かに結びつけてくれているのだと感じるのであった…… 結局なにも決断できず、変わることも出来ないまま気が付けば全てが終わっていた、というルシードにとってはある意味最も辛いルート。それでもなんとか虚勢をはって、あるいは酒に逃げたり他人に寄りかかったりしながら、少しずつ時間と共に折り合いをつけていく、というのが英雄ならざる弱い人間の生き方なのだなぁ。 -- 名無しさん (2017-04-02 23 46 34) このルートを最初にやったから、ほかルートのルシードの立ち向かう姿がすごくかっこよく見えたなあ -- 名無しさん (2017-04-03 00 27 50) チトセ√ではルシードもヴェンデッタも本音を隠し続けた印象。「大丈夫」じゃねえ癖に揃いも揃ってへっちゃらなフリしやがってよ……。 -- 名無しさん (2017-04-03 00 45 34) このルートでは糞メガネどうしてるんだろうな。至高を倒した存在がいるからおとなしくしてるんだろうか。チトセと組んでたとは言え、ゼファーも糞メガネ敵には出自は最悪なはずだし -- 名無しさん (2017-04-04 07 30 01) ↑おとなしく従うと思う。何故なら、彼らが総統に勝利したから。トリニティでの行動を行った理由は自分を繋ぎ止める勝者がどこにもいなかったからと、地の文で言われてたはず。 -- 名無しさん (2017-04-04 10 12 58) 上か下か……というあの人の価値観に忠実にということですかね -- 名無しさん (2017-04-04 10 14 49) 総統自身もチトセルートだと素直に己が敗北を受け入れているしな。チトセとゼファーが明確な勝者である以上糞眼鏡は忠実に従うだろうね。勝者の義務を怠ればヴァルゼライドに挑んだようにチトセにも挑むかもしれんが -- 名無しさん (2017-04-04 10 19 55) ただスフィア関連での暴走が起こらないとはいえ、正しさの奴隷な糞眼鏡とチトセネキたちじゃいずれ決裂することになるだろうなって感じはする -- 名無しさん (2017-04-04 15 21 22) ↑ギルベルトは勝者に絶対服従だから決裂はあり得るの? -- 名無しさん (2018-02-03 14 29 50) 名前 コメント
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【登録タグ L ひらの 初音ミク 曲】 作詞:ひらの 作曲:ひらの 編曲:ひらの 唄:初音ミク 曲紹介 「らるら、らるら、らるらりら。」 歌詞 ここには何もないからね La.Lu.La. どんなに探したって 見つからない どこにあるの? 僕の答え 見つからないの? 顔を上げてごらん 道は続いてんだ どこまで続くんだ? 辿り着いた場所に 僕の答え 見つかるのだろうか? それは分かんないさ だから振り返んだ 歩いてきた軌跡 それがいつも君を 励ますメロディー 君には僕が見えますか? La.Lu.La. 僕には僕が見えないです 僕は上手く 笑えてますか? 隠さないで どうか聞かせて欲しい 一緒に行きませんか? 笑って歩きませんか? 辿り着かなくても 靴の踵鳴らし 歩いて行こう 答えなんかないさ だから愛するんだ 二つ並ぶ足跡 それがずっと僕等 奏でるリズム コメント 作成乙! これはもっともっと評価されるべき -- 名無しさん (2011-05-22 09 41 33) 名前 コメント
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ジ・ハンドレッドが第4戦。 此度の対戦相手は・・ッッ!! 常夏の島、ハワイ出身ッ!小麦色の肌を持つナイスガイッッ!! 『 メイビア香納 』が死合相手だぁぁああああああーーーッッ!! メイビア香納はこう言うッ! 「ジ・ハンドレッドに敗れた者は皆・・。 無駄に強気で。無駄に先制攻撃を仕掛け。そして反撃をされ敗北している。」 「ならば私は受けに徹しましょう。」 「こうして、敵の構えを正確に真似るとね。 出てくる攻撃も出ない攻撃も予測出来るモノさ。」 ハンドレッドッ! 「ほぅ。」 「それでワシに勝てるつもりか、ハワイアン?」 メイビア香納。 「乗りませんよ。挑発など。」 「さ。開始(はじめ)ましょうか。」 「ミスター・ジ・ハンドレッド・・・ッッ!!」 カァァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア アア ア ア ン ン ン ンン ! ! ! ! ! ! ( そして、ゴングが打ち鳴らされたぁぁああああ!!! ) ○超鋼戦機カラクリオー外伝 クロガネの賛歌・番外 ー 響 鐘 ゥ ! 地 下 プ ロ レ ス 編 ! ! ー 「 ア ロ ハ ・ オ エ ・ ハ ワ イ ア ン ・ ミ ド ル キ ッ ク 」 ス・・・。 (無造作に。) ス・・・。 (無造作に、ハンドレッドは前進をした。) ス・・・。 (構えが無く・・。) ス・・・。 (速度も緩い、ただの『歩行』。) この動作(ムーヴ)に、メイビア香納は・・・。 (無造作ではあるが、重心の移動”良”にして、隙の無い動作だ。) (このまま進めば、組み合う事必然。) (打撃ばかりで、仕留めて来た思いきや・・・。) (レスラーらしく組み合いを所望するつもりですか?) と、思考をし。 「レイ(花首輪)を首にかけるように優しく組み合い・・・。」 「フラ・ダンスの様に情熱的に、君を弄んであげよう。ミスター・ジ・ハンドレッド。」 「『ハワイアンレスラー』の恐ろしさを・・・思い知るが良い・・・ッ!!」 と言う。 ジ・ハンドレッドは。 「めでたい事を考える男だな、ハワイアン。」 「小麦色の人よ。此処はリゾート地では無く”四角いジャングル”である事を思い知らせてやろう。」 と、言い放ち。 メイビア香納は。 「ほら・・。女人の柔肌にサンオイルを塗り手繰るが如くに、私の手が君に触れて組む合う・・・。」 と答えた。 そして、ジ・ハンドレッドは・・・。 「それが貴様の最後の言葉となる。」 と、切り捨て・・・ッ!! ・ ・ ・ ・ ・ ガッッッ!! シィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイ!!! 程なくして、両者は組み合ったッ! そして、メイビア香納はッッ!! 「(動かんッ!! まるで巨岩のようだッ!!!!?)」 「(言うなれば”人型の巨石”ではないか、ジ・ハンドレッドォォオオオオオオーーーーッッ!!!!?)」 ッ ッ ッ ツ ッ ! ツゥゥ ゥ ウ ウ ウ~~~~~・・ ・ ッ ッ ! ! ( 多にも冷や汗、垂らすは、タラタラ、メイビア香納ッッ!! ) 「 ィ ッ ! 」 「 ィ ィ ィ ギ ャァ ァ ア アア ア アアアアアアア ア ア ア ア ア ア ア ア ! ! ! ! ! 」 メイビア香納が奇声を挙げるッッ!! いっそキレろ!狂えッ! いっそ馬鹿になっちまえばァーッッ!! アロハアロハ ア ロ ハ ア ロハ オ ェェェ エエ エ エ エエ エエエエ エエ エエ エ エ エエ エ エ エ エ エ エ ! ! ! ! ・ ・ ・ ・ ・ ゴッッ ッ キ ャ ァァアアアアアアアアアア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ! ! ! ! ! 決定的な”隙”であった。 キレて。狂い。馬鹿になる。 それ即ち・・・。 目の前の居る”大敵”を忘るると言う事。 だからメイビア香納は、造作も無くに『首』をへし折られた。 ブクブクと喀血。 誰がどう見ても、メイビア香納は死んでいた。 そんな惨めな死に様を。 観客達は指を指しながら嗤っていた。 ・ ・ ・ ・ ・ ー メイビア香納 男 年齢 24歳 必殺技 敵の構えを正確に真似る、出てくる攻撃と出ない攻撃を予測出来る。 ・・・ ・ ・ ・ ・ 『 死 亡 。 』 「「「ひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!!!」」」 「「「だっっっせぇぇえええ!!メイビア香納だっっっせぇぇえええええ!!!!」」」 「「「メイビア香納マジウケルwww ハンドレッド最強ォォォォオオオオオオオオ!!!」」」 「「「 ジ ッ ! ! ハ ン ド レ ッ ド ッ ッ ! ! ! 」」」 「「「 ジ ッ ! ! ハ ン ド レ ッ ド ッ ッ ! ! ! 」」」 「「「 ジ ッ ! ! ハ ン ド レ ッ ド ッ ッ ! ! ! 」」」 狂気と乱舞。 勝者に酔い、敗者を肴とし、 ご禁制の密造酒を味わうが如くに、チャンチキ騒ぎをする観客ども。 そんな狂者どもを尻目に・・・。 ズン! (一人の。) ズズン!!(一人の”男”がリング目指して歩み寄る。) ー それは強き意思を携える”男”であった。 ー それは揺るぎない意志を携える”男”であった。 嗚呼、その男ッ! 嗚呼、その男こそッ!! 嗚呼、その男こそはぁぁあああああ!!!! ッ ッ ッ ダァァア ア ア アン ッ ! ( その”男”が、リングのINをしたァァァアアアーー ー ー ッ ! ! ) そして、”男”は雄叫び叫ぶゥゥウウウウーー ー ー ッ ッ ! ! ! 「 俺ぉぉぉ~~~おれはははは『 ジ ェ シ ー 香 納 』だぜぜぜぜ ぜ ぜ ぜ ぜ ぜ 、 アァァ ァァ ロ ロ ロ ロ フ ゥ ァ ア ア アア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ~~ ~ ~ ~ ッ ! ! ! 」 ッ ッ ッ ッ ○『 ジェシー香納 』 先にジ・ハンドレッドに殺害された『メイビア香納』の双子の弟ッ! 必殺技は『 アロハ・オエ・ハワイアン・ミドルキック 』ッ!!彼が放つその”左ミドルキック”は『 肝臓殺し 』の異名を持っているゥッッ!! ヴ ァ ッ ヴ ァ ァァァアア ア アア ア ア ~ ~~~ ~ン ン ン ッ ッ ! ! ! ー 観客どもは、息を飲むッ! その心中を察しッ!これから起こり得るだろう事柄に”喜悦”するッッ!!! 「「「(双子の弟キター!コイツが噂の”肝臓殺し”ぃぃ~~~ッッ!!)」」」 「「「(仇討ちだよ、仇討ちぃー! これ美味しくねwwwww)」」」 「「「(へっへっへ。ヤッチまえよ、今・・。 どっちが勝っても美味しいぜ、これは???)」」」 「「「(ああ。そん時が楽しみで仕方がねぇぇええええええ!!)」」」 「「「(オヒョ・・!オヒョ・・!!オヒョヒョヒョヒョォ・・・・・オオオ オ オ ! ! ! ! 」 」 」 オヒョオヒョと。 悪趣味な眼差しで、眺め見物るは狂者ども・・・。 ー ヤッチまえよぉ。 ー 我慢できなくて、其処に立ってるんだろ。 兄貴の仇討ちたいんだろ、オヒョヒョゥ・・・!! ジェシー香納が・・・。 『その言葉』を口にする前に。 ハンドレッドがこう言い放つッッ!! 「来るが良いッ!」 「そして目にモノを見るのだッッ!!」 ジェシー香納ゥー!! 「うぅぅ~~~~おぉぉぉぉおおおおお~~~~~~~!!!! 弔ぉぉ~~むらいらいらいらい合戦だぁぁぁあああああああ~~~~~~~!!!!」 ダ ン ! 突進ッ! 即座にも、転ずるが攻撃ッ!! ”その名”もぉぉおおお お お お お お お ! ! ! 「 『 アァ~ロハ・オエェーッ! ハァァ~~~ワイアァーンッッ!! ミッッドォォ オ オ ル キィィィイイイイ~~~ ~ ~ ~ ッ ク ゥ ー ッ ッ ! ! ! 』 」 ヴ ァ ン ! 「 『 コォォ~~~ィ ツ で ッ ! 』 」 「 『 おぉぉ~~~ぉ 前 を ッ ! ! 』 」 「 『 やぁぁ~~~ぁ つ っ け て や る ぅ ぅ ぅ う う う う う う ~~ ~ ~ ~ ~ ッ ッ ッ ! ! 』 」 「 『 アロハアロハ ア ロ ハ ア ロハ オ ェェェ エエ エ エ エエ エエエエ エエ エエ エ エ エエ エ エ エ エ エ エ ! ! ! 』 」 ・ ・ ・ ・ ・ ドッッ ッ ギ ャ ァァアアアアアアアアアア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ン ン ン ! ! ! ! ! 命中ゥ命中ゥ命中ゥゥウウウウウ~~~!! やったぜ、ジェシー”肝臓殺し”ッッ!!! これには、さしもの『 ジ・ハンドレッド 』と言えどぉぉおおおお~~~~!!? 「的確に打ち据える事”肝臓(レバー)”・・・。」 「成の程・・・ッ。」 「打点をズラさなければ、悶絶は必死・・ッッ!!」 だ が ァ ! 「 ”大雪山”にて鍛え抜いた、この『体躯』砕くにッ! 程 に も 遠 い ぞ 、 ハ ワ イ ア ン レ ス ラ ー ッ ッ ! ! ! 」 ッ ッ ジェシー香納ッ!! 「 大ぁぁ~~ぃ雪山だぁぁああ~~ ~ ~ ッ ッ ? ? ? 」 「 俺ぉぉ~~~れの、ミドルは『 マウナ・ケア火山 』だぁぁああ~~~ ~ ~ ッ ッ ! ! ! 」 ジ・ハンドレッドッッ!! 「 心意気や良しッ! アロハの戦士よッ!! 貴様はこれより『 死火山 』となり果てるがッ!! こ の 度 は 、 ” 特 別 ” だ ッ ッ ! ! ! 」 パ ァ ン ッ ! ! (ハンドレッドが平手打ちィーッ!!!) ジェシーッッ!! 「 アッ!アロハ・オエェーッッ!!!? 」 ー その一撃にてッ!! ジェシー香納、フラフラと酩酊するゥーッッ!! そ し て ッ ! ド ッ ッ ! ! ! ゥゥ ゥ ウウ ウ ウ ウ ン ッ ッ ! ! ! ( 高 く も 跳 ぶ は 、ジ ・ ハ ン ド レ ッ ド ッ ッ ! ! ! ) ッ ッ ! 空中で横転ッ! 加るるにッ!! 捻り、それ即ち、『 踵 、 廻 脚 (えんきゃく) 』と化すッッッ!!!!! 「 『 レ ス ラ ー へ の 賛 歌 そ の 1 ッ ッ ッ ! ! ! 』 」 「『 大 車 輪 キ ッ ク で あ る ッ ッ ッ ! ! ! ! 』 」 ゴ ッ ッ ッ バァ アアア アア ア ア ア ア アアアアア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ! ! ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ~~ ~ ~ ~ ッ ッ ッ ! ! ! ! ・ ・ ・ ・ ・ ”ジェシー香納”はマットに沈んだ。 鈍器を額の上部に、殴り打ち据えたかのような・・・。 『 頭 蓋 骨 の 陥 没 。 』 即 死 で あ っ た 。 その様、観客狂者どもは。 下卑た声にて、哂いて蔑む。 「「「 ジェシーにメイビア、チョーだせぇwwww 」」」 「「「 仇討ちで、コレはねぇーよなwwww 」」」 「「「 あの世で、オイオイ泣き合ってんじゃねーの???wwwww 」」」 「「「 ハワイの恥さらしだよなwww二人して、アロハ・オエ歌ってろよ、国辱ブラザーズwwww 」」」 そ の 中 、 一 閃 ッ ッ ! ! ! ブ ッ ッ シ ャ ァ ァ ア ア ア アア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ! ! ! ! ー 口 内 噛 み 締 め る 事 ” 噴 血 ” 。 血 露 に て 、 噴 霧 す る 事 ” 毒 霧 殺 法 ” 。 ” レ ス ラ ー へ の 賛 歌 そ の 4 ” ・ ・ ・ ッ ! 『 A S I A N M I S T ( ア ジ ア ン ・ ミ ス ト ) 』 で あ る ! ッ ッ ! ー ハ ン ド レ ッ ド 、 天 を 仰 ぎ 、 天 霧 を す る は 、 ” A S I A N M I S T ” ・ ・ ・ ッ ッ ! ! ! ー そ の 様 。 そ の 雄 姿 に ・ ・ ・ 。 ー 狂 喜 を す る は 、 ” 観 客 狂 者 ”。 ー 狂 者 ど も は 、 こ う ” 狂 喜 ” す る 。 「 「 「 ジ ッ ! ハ ン ド レ ッ ド ッ ッ ! ! 」 」 」 ッ ッ 「 「 「 ジ ッ ! ハ ン ド レ ッ ド ッ ッ ! ! ! 」 」 」 ッ ッ 「 「 「 ジ ッ ! ハ ン ド レ ッ ド ッ ッ ! ! ! ! 」 」 」 ッ ッ 「 「 「 ジ ッ ! ハ ン ド レ ッ ド ッ ッ ! ! ! ! 」 」 」 ッ ッ 「 「 「 ハ ン ド レ ッ ド 、 サ イ コ ォ ォ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ ! ! ! ! 」 」 」 「 「 「 強 ぇ ぇ え え え え え ! ! ! サ イ コ ォ ォ オ オ オ に 、 強 ぇ ぇ え え え え え え え え え え え え え ! ! ! ! 」 」 」 ・ ・ ・ ー 狂者は、ただただ酔い痴れた。 ー 強き男を、讃えて酔うた。 ・ ・ ・ ・ ・ この”ASIAN MIST”は、 常夏の島、火山諸島出身の二人へと捧ぐる『噴血の山火』である・・・。 赤きは紅、”霧血の噴煙”・・・。 降りてらっしゃい、ハンドレッド。 その意を知るは、”二人”で良い・・・。 ー ジェシー香納 男 年齢 24歳 必殺技 アロハ・オエ・ハワイアン・ミドルキック ・・・ ・ ・ ・ ・ 『 死 亡 。 』 ーーーーーー 戻る リンク集に戻る ・・・続く。
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FOOLY COOLY ◆B0yhIEaBOI 月が昇る。丸い満月だ。 昨晩と変わらない綺麗な球体が、今夜も俺の姿を煌々と照らし出す。 改めて思えば、この奇妙な世界に来てから早くも一日が経過したことになる。 一日。正確には18時間23分56秒間。長い。長すぎる。 一日あればゲーテの詩集を完読できる。1/1のガ○プラだって出来上がる。 光の粒子はもう200億km彼方の先だ。 だが一方の俺は何を成した。ほんの数十kmを走っただけではないか。 時速に換算すれば実に数km/h程度。遅い。遅すぎる。 加速が、更なる加速が必要だ。 俺は市街地に立つビルの上から彼方を見つめていた。 その視線の先にあるのは歪に崩れたコンクリートの塊。自分がつい先ほどまで居た、仲間達が待つホテルだ。 そのホテルには、此処からでも一目で分かる、明らかな異変が生じていた。 何者かによる襲撃……それしか考えられない。 ホテルは今にも崩れそうだ。一刻の猶予も無いだろう。 一刻か…… だが、それだけあれば十分だ! 「風力、温度、湿度、一気に確認。ならば、やってやりますか!」 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡☆ 「炎の矢ッ!」 光の叫びと共に、数個の火の玉が打ち出される。 それら真っ赤に燃える火の玉は、狙い通り目標に命中した。 火の玉は当たる瞬間に一際大きく燃え上がる。 あれがもし私に当たったなら、火傷なんかでは済まないかもしれない。 ……だと言うのに。 「どうした? 追撃はしないのか、紅い魔女よ?」 当の目標である筈の男は、光の攻撃を全て受けても尚悠然と立っている。 火の玉を全く避けようともしない。 直撃した火の玉の残り火が燻っているというのに、男はそれを意にも介していない。 「ふむ、威力だけを取れば中々のものだ。だが、再装填の時間も長く弾幕を張れるだけの連射性も無い。 現行のライフル銃でも十分代用が効くレベルだな」 それどころか、冷静に光の攻撃を分析、解説しだしている。 自分の体で光の魔法の性能を見定めているのだ。 ――狂っている。 「光! 今はあんな奴放って置いて今は避難しよう! このビルだって何時崩れるか分からないよ!」 そう叫んだ私は、本能的にこの男の恐ろしさを感じ取っていたのかもしれない。 今はまず、この脅威から逃げるべきだと。でも。 「駄目だよみぃちゃん! こいつを放っておいたら、ホテルにいる皆が危ない!」 光はそれを良しとはしなかった。 でも、私は見た。光の瞳の中にある暗い影を。私の中にも居るソレを。 恐怖を。 ああ、光だって怖いんだ。 でも、仲間のために、恐怖に敢えて向かって行くつもりなんだ。 強いな、光は。 「……わかったよ。でも、無理しちゃ駄目だからね? 光に何かあったら、仲間だってきっと悲しむよ。 危なくなったらすぐに逃げるんだからね?」 「うん、分かってる。それにここで時間を稼いでおけば、ホテルにいる皆が避難してくるだろうし…… そうしたら、きっと皆であいつをやっつけられるよ!」 しかし勇ましい言葉とは裏腹に、光はとても不安そうだった。 当然だ。光だって、不思議な魔法が使えるといっても自分と同年代の女の子。 私がこんなに怖いのに、光だけが平気なワケが無い。 恐怖に負けない勇気……言葉にすれば陳腐なのに、体現するのはとても難しいモノ。 光が持っているソレが、私はなんだか羨ましかった。 「さて、おしゃべりは済んだか? 別れの言葉は? 神への祈りは終わったか? ならばそろそろ……始めるとするかッ!」 男の咆哮にビクリと体が硬直する。私が必死に積み上げた勇気が吹き飛んで行く。 そして私は悟った。『逃げる』だなんて甘いことをこの男が許してくれるはずが無い。 だがその時、恐怖に魅入られ立ち竦んでいる私を尻目に光が走り出した。 「みぃちゃん! 危ないからどこかに隠れていて!」 「光……! 」 『私も戦う』『援護する』 その言葉が喉元まで来ていたが、どうしても口には出せなかった。 私が持っているのはナイフ1本。銃も無い。戦闘能力が皆無なのだ。 でも、もし私が武器を持っていたとしても、果たして光と共に戦えるかどうか? 私は密かに、自分が武器を持っていないことに安堵していた。 自分の卑屈さに嫌気がした。 「はああああああっ! 炎の矢――ッ!!」 雄叫びを上げながら、光が再度男に攻撃を仕掛けた。 だが男は飛来する火球をものともせずに、ゆっくりと光の方へ向かってゆく。 「この程度では私の足を止めることすらできんぞ。もっと強力な攻撃手段は無いのか?」 そう言いながら男は、退屈そうに、そして少し苛ついているかのように光を睨みつけた。 おぞましい。身の毛もよだつとはこのことを言うのだろう。 光もどうやら私と同じ気持ちのようだ。この男の目を見ていると、体の奥から震えてくる。 「く、くそっ……ならこれでどうだっ! 紅い――稲妻ッ!!」 光が呪文を唱えると、今度は火の玉ではなく赤い色の光線が発射された。 紅い光が奔る。次の瞬間、爆音が周囲に響き渡った。 爆煙が上がる。 「やった! 光!!」 「駄目だ、まだ来ちゃ駄目だみぃちゃん!」 思わず駆け寄ろうとした私を光が制止した。 もうもうと立ち込める煙の中から、黒い影が姿を現したからだ。 「これが全力か……まあ、人外の力を行使できるのは素晴らしい。だが、ただ『それだけ』だ」 男は、尚もゆっくりと光に向かって歩いてゆく。 まるで光の攻撃が効いていない。いや、効いているのかもしれないが、アイツを倒すのには不十分だ。 駄目だ。私たちでは無理だ。早く逃げないと…… 「うわああああああっ!! 」 ――えっ? 光の叫び声だった。光が剣を構えて、男に向かって突進していく。 「ほう、小細工は止めて正攻法か。いいだろう」 男が嗤う。 だ、駄目だよ光、あんな化け物に向かっていくなんて、※されちゃうよ……! 危なくなったら逃げるって言ったのに、なんで!? 「いやあッ!!」 光が剣を振る。女の子としては意外なほどの剣捌きだ。 鋭い剣閃が男を襲う。 でも、当たらない。 男はその全てを巧みに躱している。 ……いや、避けているというよりも、『攻撃が当たらない所に体を動かしている』と表現した方がいいのかもしれない。 男は、全く危なげもなく光の攻撃を凌いでいるのだ。 レベルが違う。違いすぎる。 「剣術も達者とは言え、凡庸なレベルだな。それ一ツだけで戦況を覆せるほどのものでもない」 男は、先ほどと同じように光の観察を続けているようだ。 「うるさいッ!!」 しかし光の突きはするりと避けられてしまう。 男はそんな光を眺めながらも、淡々と喋り続ける。 「だが、貴様にとって最も致命的なのは『戦術』だ。貴様は自らの技能を全く活かせてはいない。 重要なのは、敵と己の能力を見極め、最善の手を模索することだ。 だというのに貴様は己の特殊技能に頼りきり、それを如何に活用するか、という命題をお座成りにしている。 それではまるきり、宝の持ち腐れだ」 男の目が細る。 「まあ、私は唯ひたすらに向かってくる輩も大好きだがね」 そしてその目じりが歪む。 なんて禍々しい笑顔なんだ。 「さて、ではそろそろこちらからも往かせてもらおうか!」 「うわっ!?」 言うと同時に、男の手元から何かが発射された。 光の剣と当たったソレは、鈍い音を立てながら光の後方へ飛んでゆく。 鎖……? 分銅の付いた、時代劇で鎖鎌の先についてるような類のものだろうか。 それを男は投げつけたのだ。恐るべきスピードで。 恐らく、偶然そこにあった光の剣に鎖が当たり、さらに偶然にも軌跡が変わった鎖が光の体から逸れたのだろう。 この土壇場で、光は確かについていた。 だが、偶然も三度は続かない。 くいっ、と男は手首を捻る。すると、鎖はまるでそれ自身が生きているかのように大きくうねる。 そしてそのうねりは光の体を中心とした円運動へと変化し、鎖が光の体に巻きついてゆく。 「し、しまった……!」 「覚えておけ。これが『活用する』ということだ!」 そう言うと同時に、男は再び右手を捻る。 すると光の体が、まるで玩具の様に宙を舞った。 「あうっ!」 強烈な勢いでコンクリートの壁に叩きつけられた光の口から、悲痛な呻き声が漏れる。 光の体は、そのまま地面に崩れ落ちた。 「紅き魔女もこの程度か……正直がっかりだな」 男が残念そうに呟く。もう光に対する興味を失ってしまったのだろうか。 なら、早く光を介抱しないと。 そう思った私の体を、鋭い殺気が突き抜けた。 「では貴様はどうだ? 貴様は人か? 狗か? それとも唯の臆病者か?」 男の冷たい目が、私を射抜いていた。 「ひっ……」 掴まった。体ではなく、心が。 もう一歩も動けない。立っているのも不可能だ。 私は力なく、その場にへたり込んでしまった。 蛇に睨まれた蛙っていうのは、きっとこういうことを言うのだろう。 私は必死に、唯一の武器であるナイフを両手で握り締めていた。 「あ……あっ……」 言葉すら出てこない。ヒューヒューと息だけが気道を行き来する。 そんな私を見下しながら、男が叫ぶ。 「どうした? 貴様の友は及ばずながらも懸命に戦ったぞ? どうした?? まだ仲間がひとりやられただけだ。 どうした!? 早く立て。武器を構えろ。私に一矢報いてみせろ! HURRY! HURRY! HURRY!! 」 「……助けて、圭ちゃん……」 その言葉が無意識に私の口から零れ落ちた。 怖かった。唯々死ぬのが怖かった。助けて欲しかった。唯それだけだった。 でも、それが男にとっては気に食わなかったようだ。 「……なんだ、貴様は戦うことも出来ない只の糞か。つまらん。全く以ってつまらん」 心底落胆した、といった素振りで私を見る男の目は、侮蔑の感情で満ちていた。 でも、もし命が助かるのならそれでも良い。そのときは本当にそう思っていた。 「つまらん。貴様には生かしておく価値も感じない。ならば、此処で死なせてやるのも情けのうちか」 「ひィッ! 」 思わず悲鳴が漏れる。 男がこちらに向かって歩いてくる。 私は必死に逃げようとするのに、体が言うことを聞かない。 一歩、また一歩。死神が私に向かって歩いてくる。 嫌だ。死ぬのは嫌だ。嫌だ嫌だ嫌嫌嫌いやァ……。 「――それ以上みぃちゃんに近寄るなッ! 」 突如、光の声が木霊した。 「むっ!?」 それと同時に、男の右肩が裂ける。 周囲には光の姿はおろか、人影一つ見当たらない。風が吹いているだけだ。 何? 何が起こっているの?? あまりの恐怖に気が狂ってしまったのだろうか!? 状況が全く理解できない私とは違い、男は可笑しそうに微笑んでいる。 「ほう、超加速か……中々面白いことをする」 男がそう呟く間にも、新たな傷が男の体に刻み込まれる。 超加速……!? そうか、光の持っていた『デンコウセッカ』だ。 それを飲めば凄まじいスピードで動けるようになるって光が言っていた。 でも、それにしたって桁違いのスピードだ。文字通り、目にも止まらない。 今の光を捕まえることなんか、きっとどんな化け物でも不可能だろう。 それはまるで風そのもの、旋風だ。 明確な意思を持ったカマイタチが、男とその周囲の物を切り刻んでゆく。 「やるじゃあないか、紅い魔女よ。あれで終わりかと思っていたが、意外と打たれ強いのだな」 ……そうだ。光はさっき、思いっきり壁に叩きつけられたんだ。 なのに、光は今も戦い続けている。 その姿は見えないけれど、きっと光だってボロボロの筈なんだ。 それでも必死に、臆することなく男に立ち向かっている。 何故なの? どうして光はそんなに強くいられるの? だが、次々と斬りつけられながらも男は怯むそぶりすら見せない。 「土壇場の最後の足掻きにしては上出来だぞ、紅い魔女。 だが、残念だ。貴様はもう少し私の助言を真面目に聞くべきだったな」 男は光が居るであろう空間に向かって叫びかける。 「超加速、大いに結構。だが、それも貴様には過ぎた長物のようだな。 高速で移動するということは、即ち周りのものが高速で通り過ぎてゆくということ。 今の貴様の目は、ちゃんと私を捉えられているのか? 否。それにしては攻撃が乱雑すぎる。 貴様は自身のスピードを制御しきれてはいまい。 その証拠に……」 男は手にした鎖を、近くの電柱に投げつける。 鎖は電柱に巻きついて、男との間に縄跳びのようなループを作る。 ――そこに光が飛び込んだ。 「うわあっ!?」 鎖に躓いた光の体が、アスファルトの地面の上を派手に滑ってゆく。 「ほうら、この通り。簡単に足元を掬われる」 そして光の姿を確認すると同時に、男が跳んだ。 着地点は光の背中。 「ぐはっ」 「そら、捕まえたぞ、紅い魔女。だから私は言ったのだ。『重要なのは戦術』だと。 己の力を正しく認識し、単一能としてでなく、自らの理知(ロジック)を持って力を行使することだと。 貴様の敗因は、己の力に対する『認識不足』というところか」 男は独り言のように喋り続けている。 その間も光は男から逃れようともがいているが、光の背中にがっちりと食い込んだ男の足がそれを許さない。 助けないと。早く光を助けないと。 そう心では思っているのに、私の体は全く動いてくれない。 怖い。恐ろしい。嫌だ。死にたくない。 光は私のことを守ってくれたのに。光はあんなに強いのに。 ……どうして私は、こんなにも弱いの? 「――ッ!」 瞬間、這い蹲る光と目が合った。 疚しい、後ろめたい気持ちでいっぱいの私とは対照的に、 光の目は未だ強い輝きで満ちている。 光の唇が動いている。何かを伝えようとしているんだ。 肺を圧迫された光の口からは何の声も聞こえなかったけれど、 口の動きで光が何を言っているのかが、何故かその時ははっきりと分かった。 「 に げ て み ぃ ち ゃ ん 」 男の足が、光の頭にかかる。 「では、さようなら。紅き魔女よ」 ぐしゃっ。 「あ…………」 光の頭が、トマトのように潰れるのが見えた。 不思議と悲しくはなかった。いや、悲しみも恐怖も、何も感じられなくなっていた。 喉下から何かがこみ上げてきたけれど、涙も何もかもが枯れ果てていたのか、何も出てこなかった。 もう何も出来なかった。何もしたくなかったし、何も考えたくなかった。 「何だこの剣は? 水なのか剣なのか……? まあいい。こちらの重剣ならば使い道もあろう」 男が、光の遺体から一本の剣を取り出した。 風の剣……だっただろうか。私じゃ重すぎて持てなかった剣。それをあの男は軽々と持ち上げている。 あれで私は切り※されるのかな? ……うん、もうそれでもいいや。 富竹さんも、レナも、梨花ちゃんも、圭ちゃんも、光もみんな※んじゃったんだ。 みんなを守ろうと思ってたのに、私は何も出来なかった。 それどころか、逆に私が守られてばっかりだった。 もういいよね。私なんかが生き残ってても、また誰かの足手まといになるだけだよね。 それなら、ここで※んでしまった方がよっぽどいい。 男がこちらに歩いてくる。 そして私の目の前まで来ると、男はゆっくりと剣を振り上げた。 「紅き魔女も独りきりでは寂しかろう。健闘を讃えて、せめてもの手向けだ」 剣が振り下ろされる。 その時の私は何故か、とても穏やかな気持ちだった。 圭ちゃん、みんな、そっちに行ってもまた仲良くしてね……。 そんなことだけを考えていた。 ――風が、吹いた。 「衝撃のォッ……ファーストブリットぉッ!!!!」 何処からともなく聞こえてきた叫び声と共に、男の体が吹き飛んだ。 そして私の目の前には、別の男の背中があった。 ピンチに駆けつけるヒーロー。 年甲斐も無くそんなフレーズが頭を過ぎる。 恐怖も悲しみも無力感も、その一瞬だけは吹き飛んでしまっていた。 「すご……」 思わずそう呟いてしまってから、しまったと思った。 でもそのときは、ただ純粋に凄いって、そう思ったんだ。 「1分11秒38……いかんいかん、世界を縮めすぎてしまったァ~~、 ところでご無事でしたか? イオンさん!」 「みっ……魅音だよ!」 そこには、背が高くて変な髪形で、趣味の悪いグラサンをしたあの男、 ストレイト・クーガーが立っていた。 「……私としたことが、少々遅れてしまったようですね。お怪我はございませんか? 」 「私は……私なんかより、光が、光が……」 クーガーが振り向いた先には、光が変わり果てた姿で横たわっている。 「光さん……逝ってしまわれたのですか。決着は永遠にお預けですね……光さん、ゴッドスピード」 「光だけじゃないよ、 梨花ちゃんもっ、私の、目の前でっ……」 視界が滲む。 今頃になって、私の目からは涙が溢れてきた。 「それに、レナも、圭ちゃんもっ、みんなっ、し、し、死んじゃったんだよっ」 涙が止まらなかった。 それまでに溜まっていた悲しみが、堰を切ったように流れ出す。 「なのにっ、私は誰も守れなくてっ、そ、それどころか守ってもらってばっかりでっ、 仇を取ろうとしてもっ、出来なくてっ、 そんな私なんて、み、皆の代わりにっ、し、し、死んだ方が良かったんだよっ」 悲しかった。仲間の死が、自分の弱さが、唯ひたすらに悲しかった。 クーガーは珍しく無口で、静かに私の話を聞いていた。 でも。 「……失礼します」 パァン 一瞬、何が起こったのか分からなかった。 クーガーの手と、遅れて来た頬の痛みから、自分がぶたれたことに気が付いた。 「何、すんのよっ」 「いい加減になさい!」 いきり立つ私の両肩を、クーガーの両手ががっしりと掴む。 「どうしたんですか、 貴方らしくも無い。 昨晩初めてお会いした時、貴方は自分の身の安全よりも仲間の身の危険を案じていた。違いますか? なのにその貴方が自らのことを『死んだ方がいい』だなんて…… しっかりなさい。貴方はもっと強い人だ!」 一瞬、クーガーが何を言っているのか理解できなかった。 強い? 私が?? この人は本当に何を言っているんだろう。 「私は、強くなんかないよ……っ。 梨花ちゃんが死んだときも、怖くなって逃げ出したし、 光が一人で戦ってる時も、一緒に戦えずに、ただ震えてるだけで…… 怖いんだよ。殺されるのが怖かったんだよ。戦いたくなかったんだよっ! でも、そのせいで光は死んじゃったんだ。私のせいで、光が……っ!」 「だから貴方も死ぬと? それは全くのナンセンスですよ」 「でもっ、私が助けられなかったからっ!」 「だが、貴方は戦っていた」 「えっ……?」 クーガーが私を見つめている。何時に無く真剣な表情で。 「恐怖を感じる、というのは大切なことです。 恐怖とは生存本能であり、最悪のケースを想定するリスクマネージメントそのもの。 恐怖を知らずに敵に向かうのは唯の馬鹿です。鈍感なだけです。それならノミにだって出来る。 いいですか? 大切なのは、『恐怖を知り、そしてそれに立ち向かうこと』なのです。 貴方は確かに恐怖した。何も出来なかったのかもしれない。逃げたこともあったかもしれない。 でも、貴方は確かに戦った。恐怖に向き合い、目を背けずに、必死に抗っていたんでしょう? これを強いと、勇敢だと言えないわけが無い!」 「私が……強い?」 意外だった。まさか自分のことを『強い』と形容されるだなんて、思っても見なかった。 「ええ。貴方は強い方だ。 それにまだ貴方には仲間が居るじゃないですか。 光さんに守られた命で、貴方がまた別の仲間を守ればいいのです。 そうしなければ、折角の光さんの頑張りが無駄になってしまう。 貴方は前に進まなければならないのです。戦わなければいけないのです。 もっと、もっと強くならなければならないのです。 そして戦って戦って、勝つまで戦い続ける…… それが、光さんのためでもあり、仲間のためでもあり、そして貴方自身のためでもある。そうでしょう?」 …………。 強さ。 負けない強さ。負けても尚戦おうとする強さ。 怖くても、挫けても、それでも立ち上がって戦う強さ。 何度でも何度でも戦って、最後に勝つまで戦う強さ。 そうだ。クーガーの言うとおりだ。 私にはまだ沙都子がいる。それにこのまま私が死んだんじゃ、光はまるで無駄死にだ。 私は死んだりしちゃ駄目なんだ。光のためにも、生きて、戦わないといけないんだ。 怖いけど、それでも立ち向かわないといけないんだ。 それが光に対する、せめてもの恩返しなんだ……。 「……ありがとう、クーガー。お陰で……目が覚めたよ」 「お役に立てて光栄です。 ああ、それともう一つ。貴方には、俺という心強い仲間がいるじゃあありませんか。 貴方の前に立ち塞がる障壁など、この俺が粉砕して御覧に入れましょう!」 クーガーはそう言ったとたんに立ち上がり、遠くを見据えた。 その先には、あの男が静かにこちらを眺めていた。 「イオンさん、危ないですから少し離れていてください」 「魅音だよっ! ……で、でも一人で大丈夫なの? あいつ、凄く強いんだよ……!?」 不安そうな私に向かって笑いかけるクーガーの顔は、以前に見たとおりの巫座戯た笑顔だった。 「心配はご無用! なんといっても俺は、世界最速の男ですから!」 私が物陰に隠れると、クーガーが男の方へ歩き出した。ゆっくりと。ゆっくりと。 男との距離がどんどんと狭くなってゆく。 3m……2m……1m……って、え? まだ止まらない!? そしてクーガーは、男の眼前……高い鼻が触る程の近さで、立ち止まった。 静かな睨み合い。 本能的な恐怖を喚起させるようなあの男の眼光にも、クーガーは全く怯まない。 「なんだ、もうお別れの挨拶は済んだのか?」 「ほう、最低限のマナーは弁えているようだな。驚きだ。だが、その程度では光さんと魅音さんの痛みには釣り合わないな」 「ならばどうする? 貴様がその差を埋めるとでも?」 「ああ、そうだ。貴様の罪には、それ相応の罰が必要だ。断罪してやろう、この俺が!」 「貴様にそれが出来るのか!?」 「愚問だな!」 その刹那、限界まで張り詰めていたものが、弾けた。 男が剣を振るった。 信じられないスピードだ! 本当にあの剣は、あの重い風の剣なの!? 盛大な音を立てて、小規模なクレーターが地面に出現する。 だがクーガーはそこにはいない。 上だ! 鈍い音を立てて、強烈な回し蹴りが男の顔面を直撃する! 「フフ、やるじゃあないか。素晴らしいスピードだ。そしてそれを完全に我が物にしている。 よくぞ人の身でここまで練り上げたものだ」 「お褒めに預かり光栄だが、まだまだこんなものじゃあないぞ。この俺の速さは! この俺の怒りは!!」 クーガーが足を振りぬくと、男の体が一直線にビルの壁に突き刺さる。 だが、次の瞬間には男は立ち上がり、再度クーガーに突撃してゆく。 化け物だ。クーガーも、男も。 「中々のタフネスだ。パワーも申し分無い。だがこれでは俺を倒すには不十分! NOT ENOUGH!! まだまだ足りない! 足りないぞ!」 クーガーが吼える。 「貴様に足らないもの、それは――」 クーガーが跳んだ。 「情熱!」――――男に強烈なドロップキックが炸裂する。 「正義!」――――だが男は倒れない。 「友情!」――――男が高速で剣を薙ぐ。 「理念!」――――だが、やはりクーガーには掠りもしない。 「人情!」――――しかし男はもう一方の手で鎖を放つ。男を中心に、放射状に鎖が拡散する。 「優しさ!」――――全方位攻撃! 死角はあるの!? 「勤勉さ!」――――クーガーは何処に!? 右か? 左か? 上か? 背後か? 「そして何より――――速さが足りない!!!」 ――――正面だ!! 円形に広がる鎖の間合いの、更に内側にクーガーの姿が現れる! 「壊滅のぉッ! セカンドブリットぉッッ!!」 クーガーの強烈な一撃が男に直撃する。 男の体が、まるでミサイルのようにビルの壁に飛び込んでいった。 2……いや、3軒向こうのビルにまで貫通しただろうか。 流石にこれで決まり……? いや、クーガーはまだ戦闘態勢を解除していない。 男は、まだ健在だ……! パン、パン、パン…… 瓦礫の奥から、乾いた拍手が聞こえてくる。 「ブラヴォー。最高だ。最高だぞヒューマン。こんなに楽しいのも久しぶりだ」 もうもうとした粉塵の中から、男が歩き出てくる。 その姿はボロボロなのに、その威圧感は全く衰えてはいない。 この男は、一体何度立ち上がるのか。 まさか……本当に不死身なの? 「強がりのつもりかぁ? さっきから一方的に攻撃させてもらって、少し申し訳ないぐらいだぞ!」 「ならば、一発殴らせてくれるのか? それでずいぶんとお釣りが貰えそうだがな」 「御免だね。生憎とそういった趣味は持ち合わせていない」 「では、このまま続けるとするか。私が力尽きるのが先か、貴様に一撃くれてやるのが先か…… クク、長くなりそうだな」 「消耗戦という訳か。まあ、何度やろうが貴様の攻撃が俺に触れることは無いだろうが……」 クーガーの目が妖しく光る。 「……だが、それだけは絶対にノゥ!!」 クーガーの周囲の空気が変わった。 「『ゆっくりじっくり着実に』等、この俺の美学に反すること甚だしい!! 漢たるもの、速攻即決一撃必殺、スピードの無い答えなど答えに非ず! そう、速度こそ力! 速度こそ美!! そして速度こそ――――『文化』だッ!!」 風が舞う。 瓦礫が舞う。 そしてそれが次々と光の欠片へと分解されてゆく。 その中心に立つクーガーの体が光る。 それまで足だけに纏われていたプロテクターが、膝に、腰に、胸にと広がってゆく。 そして遂には、クーガーの全身がプロテクターに包まれた。 紫色の、流線型のフォルム。 きっと、きっとこれがクーガーの正真正銘のフルパワーなんだ。 「ほう、それが貴様の全力か。面白い。いいだろう、見せてみろ、貴様の力を!」 「ああ、見せてやろうとも! ヒトの、この俺の……『文化』をッッ!!」 クーガーが走り出した。 今までに増して、凄まじいスピードだ。 まるで……光!? 対する男は、手にした剣を振りかぶる。 男は動かない。 迫り来る一瞬に、自分の全てを賭けているんだ。 私は必死に目を開いて、2人の姿を凝視する。 瞬きする間に終わってしまう、その瞬間を見届けるために。 「「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッッッ」」 二つの点が、交叉する。 「瞬殺のッ!! ファイナルブリットォォォオオッッッ!!!!!」 ☆ 「しかし、イオンさんがご無事で何よりでした」 「魅音だよ! ……ま、あたしも怪我してるし、丸っきり無事ってワケでも無いんだけどね。 ……でも、生きてるってだけでも儲けモンかな?」 「ハハ、イオンさんが元気になって下さって俺も嬉しいですよ」 「魅音だって言ってんだろ!」 そんな殺し合いの場には不似合いな会話を、私たち2人は交わしていた。 本当は、現状ではそんな暇なんて無いのだろうけれど。 だけど次の行動を起こすためには、私にはもう少しだけ時間が必要だった。心の整理をつけるための時間が。 それぐらいはクーガーも察してくれているのだろうか? 「しかし、また2人でタンデム出来る機会が来ようとは! さて、次は何処へ行きましょうか!?」 前言撤回。無いな。 「……ところでさ、クーガー。あいつ……アレでやっつけたんだよね?」 「ええ。アレで生きているのは正真正銘の化け物だけでしょう」 私は確かに見ていた。 クーガーの必殺の一撃をまともに受けたあの男の体が、まるで爆発するみたいに四散するのを。 あれだけの衝撃を受けて無事な筈は無いけれど、心の片隅に僅かな不安がまだこびり付いていた。 あの男の威圧感に毒され過ぎたのだろうか。 「イオンさん?」 「だから魅音だって何べん言ったら!」 「ああ、スイマセ~ン。ところで、これからの予定はどうなされるおつもりなんですか?」 「え? この後……?」 そう言われた私は、今にも崩れそうなホテルと、私の傍らで横たわる光を見比べる。 「私は、光を埋めてあげたい。このまま放っておくのはあんまりだもん。 でも、ホテルの中にはまだ光の仲間も居るだろうし……その人たちも放っては置けないよ」 「ふむ……私もホテルの中にいる仲間のことが気がかりです。ですが、怪我人が居るとは言えそれなりの大所帯。 彼らだけでも対処できるとは思いますが……。 それに、別の仲間を余所で待たせているのですが、彼女も迎えに行ってあげなければならない。 ホテルを攻撃した者となのかちゃんの行方も気になりますし……一度この場から非難するのも手ではありますね」 ……ん? 何だこの違和感。クーガーが何時に無く弱気じゃないか? 『全てを一気にスピーディにやり遂げましょう!』とか言って走りだすかと思ってたけれど……。 やっぱりクーガーも私に気を使ってくれてるのだろうか? イヤイヤ、やっぱりそれは無いな。 「なんにせよ、早急にこれからの行動指針を決めないといけません。 なあに心配は要りません! 俺が貴方を安ッ全! にエスコートして差し上げますからね!」 「むしろ、そっちの方が不安だよ……」 「……素晴らしい」 「え? クーガー何か言った?」 「ですから俺とイオンさんの将来についてをですねっ!」 「その前にちゃんと名前を覚えろッ!」 「痛いっ! バイオレーンス!!」 【D-5/ホテル正面玄関付近/1日目/夜】 【園崎魅音@ひぐらしのなく頃に】 [状態] 疲労(大)、右肩に銃創(弾は貫通、応急処置済、動作に支障有り) [装備] スペツナズナイフ×1 [道具] 支給品一式、スルメ二枚、表記なしの缶詰二缶、レジャー用の衣服数着(一部破れている) [思考・状況] 1:迷い(※)。 2:沙都子と合流し、護る。 3:圭一、レナ、梨花の仇を取る(翠星石、水銀燈、カレイドルビーが対象)。 4:2、3に協力してくれる人がいたら仲間にする。 基本:バトルロワイアルの打倒。 [備考]:※光の埋葬・ホテル内への進入・ホテルからの退避のどれをするか迷っています。 【ストレイト・クーガー@スクライド】 [状態] 消耗大(これ以上の戦闘は命に影響。だがその素振りは一切見せない) [装備] なし [道具] 支給品一式 [思考・状況] 1:魅音に同行。 2:セラスを迎えに戻る。 3:なのはを友の下へ連れてゆく。 【アーカード@HELLSING】 [状態]:四肢が千切れる等損傷極大( 心臓は辛うじて無事) [装備]:鳳凰寺風の剣@魔法騎士レイアース、鎖鎌(ある程度、強化済み)、対化物戦闘用13mm拳銃ジャッカル(残弾:0/0発)@HELLSING [道具]:無し [思考]: 1:肉体の再生を待つ。 2:ホテルを崩壊させた方の魔女にも興味。 3:カズマ、劉鳳、クーガーとはぜひ再戦したい。 【獅堂光@魔法騎士レイアース 死亡】 [残り42人] ※ 光の所持品は光の遺体の傍に放置されています。 詳細:支給品一式、龍咲海の剣@魔法騎士レイアース、エスクード(炎)@魔法騎士レイアース エスクード(風)@魔法騎士レイアース、オモチャのオペラグラス 時系列順で読む Back 正義×正義 Next 「ゴイスーな――」 投下順で読む Back 正義×正義 Next 「ゴイスーな――」 207 「ゼロのルイズ」(後編) 園崎魅音 228 ここがいわゆる正念場(前編) 207 「ゼロのルイズ」(後編) ストレイト・クーガー 228 ここがいわゆる正念場(前編) 207 「ゼロのルイズ」(後編) アーカード 227 お楽しみは、これからだ 207 「ゼロのルイズ」(後編) 獅堂光
https://w.atwiki.jp/dangan_eroparo/pages/93.html
724 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2011/10/04(火) 00 28 36.14 ID Goum04Xg 「大体、クラスメイトだけで合コンって盛り上がりに欠けるべ……。見知った相手に恋愛感情がm―…」 「シャラーーップ! 葉隠くん! 超高校級の女の子との合コンなんて滅多に体験できるものじゃありませんよ!」 「あなたもそう思うわよね? 苗木くん?」 「(何で僕!?) ははは……。そうだね……」 「静粛に諸君! では第一回! 超高校級ダンガンコンパを開催するッ!! 司会進行役は僭越ながら私、石丸がやるとしよう」 「チッ、何で俺まで参加しなくちゃならねえんだよ」 「まぁまぁ、大和田君も一緒に楽しもうよ! 僕も男らしいところ見せられるように頑張ろうっと!」 「はぁ、Cランクに達するかどうかの殿方との合コンだなんて、憂鬱ですわ……」 「きいぃいいぃ。どうせ皆して私に注文係を押し付ける気なんだわ。そしてその隙に私の百夜様を寝取る気ね!」 「誰が貴様のだ。フン、まぁいい。下民共の戯れに付き合ってやるとするか。感謝しろ」 「この合コンでカップルが複数出来るべ! 俺の占いは三割当たる!!」 ダンガンコンパ 続かない うん、SSにするってかなり難しいんだね。しかもエロも上手く書けそうにないや しかしこいつらクセが強いなw 大勢出すと話が纏まる気がしねえやw