約 1,516,102 件
https://w.atwiki.jp/c21coterie/pages/416.html
創作って文章で表現可能なもの全てが創作対象になるわけだから、ジャンルわけされない作品にも存在価値があるんだよね。 このページはPixiv小説投稿機能に投稿された作品にたいする感想一覧と作者へと送ったメッセージを保存しています。 個人的な感想ページです。 http //www.pixiv.net/novel/show.php?id=52479 図書館に住む妖精さんの話。 妖精さんがどんな本を好むのか気になるかも。 本を借りていくだけなら図書館意外に住んでいる可能性もあるから図書館以外で妖精さんを見かけるなんてこともあったりして? http //www.pixiv.net/novel/show.php?id=27315 パイロットが主人公の空戦物小説。 空への憧れからキャラクターを造形している作品かな。 空を仕事としている人、実際に行動する人としてのキャラ造詣が薄い作品という印象。 憧れからキャラ造形するだけで作品になるのが空戦物の特権だとすれば、こんなものなのかもしれない。 一話目、話の筋や主題が分かりづらい、かな。 色々ごちゃごちゃ書いてあるけど、結局これ何の話なんだろう? 空戦物らしいけど、独白がたくさん書いてある。 独白もパイロットや世界観の構築と関係なさそうだ。 乱雑な独白の群れ、ノイズのような思考の山。 読んでいて分かりづらい そういう気分になった読者が2話目を読まなかったというところだと思うよ。 記述内容を絞る必要があるんだろうな。 ただ無差別に色々なことを羅列するのではロボットの世界観。 人間の世界観では、重要な情報を取捨選択して伝えることが重要なんだと思う。 人生は有限だし長い文章を読むのにもコストがかかる。 たいていの読者は世界観の構築に寄与しないどうでもいい情報を大量に羅列されても楽しくもないんだろうな。 僕も記述内容が取捨選択されてない文章を読んで、ランダムな文章を読んだような気分になってしまった。 るーらさんが本当に描きたいものはなにか? こんな視点が大事なのかも。 パイロットに対する憧れ、憧れたくなるようなパイロット、悪くないパイロットの一日、人間関係。 必要ないものを削除して、必要なものを手厚く記述して、読者に伝えたいものを選んでいく。 そういう観点が必要なんだと思う。 2話目の会話は普通の会話にしたほうがいいかな。 只でさえごちゃごちゃわかりにくい作品なのに、古語でさらに混乱されちゃう。 読者を混乱させるパズルみたいな作品にしたいなら別だけど。 読者のことを考えるなら平易な文章に直してみたほうがいい。 褒める部分は割愛。 作品の良し悪しに係わらず褒めるというのはすごく労力と時間がいる作業だから褒めるのはパス。 ショックだったか。 大変だと思うけど、これが現実。 普通の人は悪い部分のある作品を読んでも何もいわないし、けなす人は再起不能までけなす。 改善案つきの私は優しいほうかも。 表現力に問題がある点だけど。 小説は人工物。 これが大事。 人工物なんだから技術(小説作法)に従う必要があります。 現状だと一人二人三人称を賢く使い分けるだけで作品が見違えるのは目に見えてるから、次作るときはそのへん注意してみるといよ。 詰め込みすぎについて、この部分の自覚はあるんだ。 これは上手に書かなくても解決できます。 短い文章に内容を詰め込みすぎてるから分かりにくくなるわけで、そこを文章を追加して補足しておけばいいわけ。 例えば会話。 いきなり書くんじゃなく、仲間との航空無線のやり取りならこう書く。 「無線のノイズ交じりの音声も、空では体の一部だ」 「無線機から流れる隊長の声を聞くと落ち着くと」丁寧に書いたり。 こうするだけでキャラの心情と絡まるし、キャラ間の関係が見えるし、隊長の性格も演出できるし、仲間との連携というのを読者に意識させられるし、無線にノイズが走るというのでノスタルジー間のある空戦という印象を演出できる。、 短い文章を付け足すだけで一気に世界観を表現できる。 筆のいい作家の場合こういう効果を連発でやってたりするからすごい。 こういう描写による印象付けは丁寧に書いた時こそ出てくるものだね。 分かりやすく丁寧に、文字数を増やして書くのは素人向けの一番のテクニック。 オススメです。 逆に俳句的に短い文章で上手に読者に伝える。 こんな理想はまあ習得に数年はかかる芸当だけど、これは身につけたらすごいという話。 ま、このへんは若いんだし時間が解決してくれるんじゃないかな。 小説って一種の人工物だから、技術的な部分も大事。 飛行機の部品を組み立てて飛行機を作るように、小説も膨大な量の各パーツが役割を果たして一個の作品になるわけ。 ただ雑多に飛行機の部品を集めても飛行機が出来ないように、小説もただ知識や空でのシークエンスや取りとめもないキャラの独白を羅列しても小説にはならない。 キャラ設定、造詣、知識、背景、陰謀、感情、仲間意識、背後関係、キャラ関係、会話etc まあ有機的な連携なんて高等テクより、小説というものがどれだけ多種類の部品から成り立つか。 部品選定にどれだけ注意深さが必要か、ということを知るのが大事なんじゃないかな。 部品をフルセットで用意する必要もない。 世にライトプレーンもあればジェット機もあるように小説も、偏ったパーツで作っても良作は出来るもの。 自分だけの組み合わせを模索するのはきっと楽しい作業ですよ。 後、興味の持ち幅、描写される内容の選定が大事かな。 ルーラさんの場合作者の好奇心の優先順位が作品にそのまま反映されている様に見えます。 その好奇心、作品を読者に伝えるのと無関係な記述を増やす原因になっています。 って長くなったので感想の続きは次回次回。 感想を少しだけ書いてみましたが、小説は文章で創作できるものの小さな片隅に過ぎません。 創作されたものは全て、立派な創作物。 ルーラさんが小説という狭い間隙に落ち込む必要もないでしょう。 ルーラさんの作品でも問題ないと思うのでした。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4100.html
姉帯、京太郎には過去の記憶がない。 ただ、自分がこの村の生まれではなく、 どこか遠いところからやってきたのだ、ということだけは何となく確信していた。 薄暗いあぜ道を、泣きじゃくりながら、背の高い女に手を引かれて歩いている光景。 それが、自分の思い出せる一番古い記憶。 「きょーうくんっ♪」 「おわっ」 そして、こうして物思いに耽っていると、必ず姉の豊音が抱きついてくる。 体格差もあり、京太郎の体はすっぽりと豊音の両腕の中に収まってしまう。 豊音の体は冷たかったが、いい匂いがして、柔らかくて気持ちが良い。 「きょうくんは、どこにも行かないよね?」 『きょうちゃんは、どこにも行かないよね?』 不安そうに揺れる赤い瞳。 その向こう側に、誰かが写っているような気がするけれど。 「……俺は、どこにも行かないよ。豊音が一番だから」 「えへへーっ♪」 何よりも今は、この姉のことが大事だ。 背伸びをして頭を撫でると、豊音は嬉しそうにはにかんだ。 カンッ
https://w.atwiki.jp/jnro/pages/677.html
リア狂とはゲームに参加していながらゲームを意図的に混乱させる人。ゲームの勝敗を気にせずゲームそのものをぶっ壊したり混乱させようとする人。 -- まなまな (2014-11-21 00 16 32) 上記のようにまなまなの師匠は発言していた。引用元はtest国1の村番号#59801の雑談村より -- まなまな (2014-11-21 00 19 58) もっといえばゲーム破壊を目的に人狼のルールを違反した人がリア狂。マナー違反をリア狂とするかどうかは個人次第だと私は思う。ちなみにリア狂は「リアル狂人」の略。 -- まなまな (2014-11-21 00 26 00) 以下、発言が自己撞着しますが、最近の状況が目に余るので、意見投稿します。自分の所業を認知してもらい、自分のことが話題になることを望むのが、リア狂の特徴の一つです。村を台無しにされた憤懣やるかたないお気持ちは本当に理解できますが、ここのようなページ、ロビーチャット、さらには村内で話題にすること自体、リア狂を喜ばせ、行為を助長させることにしかなりません。戦歴数表示や評価ポイントなどシステムによるリア狂予防策が存在しない現状では、リア狂か?と思っても全体チャット等では話題にせず、「通報機能を使用する・RMにササ報告する」程度にとどめ、RMの判断に任せる、RMの対応に不満で同村できないと思ったら、(リア狂の存在以外の)適当な理由を残し退村する、これが現在できるベストの対応と考えます。あなたの基準でリア狂だと思ったら非難とかせず表面上は積極的に無視。これが大事です。長文失礼しました。 -- 名無しさん (2014-11-23 10 11 05) 一つ上の名無しさんの言う通りなんだけど、通報すべきなのはどこまでなのかが分からないのはいけないことだと思う。それを話し合うのがここの場なんじゃないかな? -- まなまな (2014-11-29 13 52 49) 2014/11/23の名無しです。お返事遅くなりました。通報の基準ということであれば、ルールとは何か・サイトが掲げているルールとは・多くの参加者がルールと思っているものとは、という話になり、「リア狂とは」という話題に留まらないかと思います。ページを作成しましたので(① ② ③)、そちらをご覧になり、ご意見をいただければと思います。 -- 名無しさん (2014-12-21 16 13 17) つまり俺はグレーゾーンと -- 白銀 (2015-02-15 10 23 47) 通報してもこの鯖は意味ないはずだろ。 -- Rizuki (2015-04-19 21 19 50) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/sjef93999f/pages/6.html
こんにちは(^^) 3日前のことなんですけど、栃木県宇都宮市内のとある夜間高校の同級生だった石ノ森さんと、北海道釧路市の龍馬街道で、秋刀魚ときのこの秋の炊き込みご飯や豚ひきとキャベツの焼きビーフン、それからウォッカを堪能してきましたよ~ いや~溶けるような幸福感でしたね~ おっとー、話しが方向転換、おいしそうな朝ごはんは青森県八戸市産の筍ご飯と、出汁巻たまご、それとコーンスープ メチャクチャ美味そうでしょ? 今朝は8分で食べ終わり、8時20分にアパートを「でっぱつ」です たま~に立ち寄るホエールズマートに道草して、フリスクを買いました(^^) 最寄りの八川駅まで京都ヤサカ観光バス、だいだい25分。駅のなかにある古めかしい自販機でお気に入りメーカーのコカ・コーラを買う。 普段通り。これが大事。。 京成電鉄 京成成田-駒井野分岐部間の電車内では、いつもの音楽を聴く。 店舗に着いたら、眠い目をこすりながら毎度毎度のニュースを覗いてみると 今日の話題は・・・ ↓↓ 【ロサンゼルス=水野哲也】米サンフランシスコ国際空港で6日発生したアシアナ航空機事故で、サンフランシスコ総合病院は12日、重体だった少女が同日朝、死亡したと明らかにした。これで死者は3人となった。 同病院は国籍や年齢は公表していないが、ロイター通信は中国人の少女だと伝えた。 地元警察当局は同日、これまでに死亡が確認されていた2人の中国人女子学生のうち1人は、消防車両にひかれたと断定した。その前にすでに死亡していたかどうか、さらに調べている。 (この記事は読売新聞から引用させて頂きました) さすがですね~ 本当かな~ では本題、 恐らく次のブログ記事更新は明日の午後になるはず(^^) ということで、一旦さようなら。 ほんとにこれがラストになりますんで 3日前に、突然夜間高校の同期だった稲荷山からメールがあったんです。 もう40歳と11ヶ月ちょいとばかりだよ、とか3日前に、青森県八戸市に店舗を構えている龍馬街道で秋刀魚ときのこの秋の炊き込みご飯や豚ひきとキャベツの焼きビーフンを食べたよとか、3日前に栃木県宇都宮市の量販店で買ったカメオインタラクティブ ロジテック製のカーボンヒーター 自動首振機能付 700W コスモネーチャー SZC-11が故障しちゃんたよ、とか本当どーでもいい話ばっかり 彼は、過去に頚椎捻挫や上腕骨近位端骨折などの病気を患ったことがあるので、治療の一環としての温泉に詳しんですよ。今度、安慶田さんと小金湯温泉か石田温泉のどっちかに行くみたい。おすすめは石田温泉よりかは小金湯温泉みたいですよ。
https://w.atwiki.jp/hyakukami/pages/1564.html
依頼主 コタンコロカムイ 出現条件 クエスト「よからぬ輩」クリア クリア条件 以下の神様を解放するアペフチカムイ 成功報酬 神技強化 貢物値+60 依頼時 アペフチカムイが魔物に捕まっているかもしれん。あれは私の大事な飲み友達でな。そなたの力で解放してくれないか? クリア時 ありがとう。そなたなら信頼に足ると思っていた。今度は3人で杯を酌み交わすか?
https://w.atwiki.jp/hshorizonl/pages/355.html
松坂さとうとの通話を終えてすぐのことだ。 しょうこは自室のベッドにぐったりと倒れ込んだ。 可能性の器とか呼ばれていてもしょうこの中身は年相応のありふれた少女である。 二度と会えないと思っていた友人との再会。 そこでしょうこはなけなしの勇気を絞り出して頑張った。 通話が終わって気が抜けたらしいしょうこは申し訳なさそうな声でこう言った。 『あ〜……ごめん、アーチャー。ちょっとだけ休んでもいい?』 勿論ダメだと言う理由はない。 別に状況が切迫しているわけでもないのだ。 休みたい時は休んでいい。 キミが眠っている間は、ボクがちゃんと気を張っておくから。 そう伝えるとしょうこはへにゃりと力なく笑った。 『ん…じゃあ、お言葉に甘えるね。私、これ、ちょっともうダメだわ……』 それからすぐにすうすうと寝息を立て始めた辺り、余程気疲れしたらしい。 いや……張り詰めていた糸が切れたというべきか。 それを軟弱だと責めるGVではない。 さっきのしょうこの頑張りを見ていれば、そんな言葉は口が裂けても出てこない筈だ。 “……今は静かに寝かせてあげよう。休める内に休んでおくべきだ” 憑き物が落ちたような穏やかな寝顔。 GVはしょうこが点け忘れていた冷房のスイッチを押すと、踵を返して彼女の部屋を出た。 “この先、こうしてゆっくり眠れる機会がどれだけあるか分からないんだから” だから今はゆっくり休ませてやろう。 その間自分は、サーヴァントとしてやるべきことをする。 霊体化して飛騨家の門前に立ったGV。 次の瞬間彼が始めたのは、思考と思案だった。 “……マスターは松坂さとうのことを大切に想っている。その気持ちを蔑ろにするつもりはない” さとうとしょうこの間にあったことはGVも聞いていた。 GVに言わせれば、松坂さとうはこの世界でも依然変わらず危険人物だ。 自分のマスターである飛騨しょうこを一度とはいえ殺した女。 必要とあらば友人だろうと構わず殺せる人物。 しょうこには悪いが、そんな人間のことを信用しろと言われても難しい。 “けどもしも松坂さとうがマスターを裏切ろうとする素振りを見せたなら……その時は、ボクが手を汚そう” その時は、GVの独断で松坂さとうを殺す。 しょうこの意思はあえて確認しない。 彼女が罪と後悔を背負わなくて済むように、自分が全ての咎を被る。 一度目の邂逅が終わった時点でGVはそう心に決めていた。 尤も、あくまでもしもの時の話ではある。 それに……出来ればGVは、しょうこからさとうを奪いたくなかった。 マスターから聞いた松坂さとうの"愛"。 それを肯定するのも否定するのもサーヴァントである自分の役割ではない。 GVは自分が悠久に続く人類史からこぼれ落ちた一滴でしかないことを自覚している。 しかししょうこはさとうが死んだら泣くだろう。 どんな形での別れであれ、あの心優しい小鳥はきっと泣く。 GVは小鳥の涙を見たくなかった。 願わくば二人がお別れをするのは最後の最後……この世界がどちらかの願いに溶ける瞬間であってほしいと思う。 時間が流れていく。 こうしている間も、この空の続くどこかで戦いが起こっているのだろう。 もしかしたらもう脱落者だって出ているかもしれない。 本戦がどれだけ激しいものになるのかは未知の領域だが、決して生易しいものにはならないだろうことだけは分かった。 いつの間にか電信柱から伸びる影は四時を示している。 季節柄日が沈むにはまだ早いが、もう夕方と言っていい時間帯だ。 “……少し索敵でもしておくかな。マスターが眠っている以上、戦闘はするべきじゃないだろうけど” 一時とはいえ肩の荷を下ろして眠れているしょうこを起こしたくはない。 かと言ってこのまま棒立ちで彼女の起床を待つのは賢い時間の使い方とは言えないだろう。 しょうこの身の安全に関わらない程度で索敵と調査を進める。 その方針を固めたGVが、飛騨家の門前から一歩踏み出した――瞬間。 “……ッ!?” 実体化すらしていないにも関わらず、全身の毛が総毛立つような感覚に襲われた。 それはあまりにも巨きかった。 そしてあまりにも凄絶だった。 いつからそこにいたのか。 何故自分はこの巨大な何かの存在に気付かなかったのか。 GVは、いくつもの場数を踏んでこの地に立っている。 その彼ですら我を忘れて戦慄するほどの圧倒的な武威の気配。 固唾を呑み、意識を張り詰めさせる。 そんなGVを嘲笑うように虚空から重々しい声が響いた。 「――居るだろう。出てこいよ、サーヴァント」 「こっちのセリフだ、サーヴァント。姿を現せ」 声に応えて実体化する。 それと同時に声の主も、遥か上空で実体化を果たした。 もう一度言う。遥か上空でだ。 「……!」 思わず息を呑む。 戦慄と驚愕の二つがGVの脳裏を埋め尽くした。 上空、目算にして百メートルほどだろうか。 そこで……巨大な魔力反応を隠そうともせず四方に放ちながら、青い龍がとぐろを巻いていた。 「……場所を変えようと言っても、聞く耳はなさそうだな」 こんな噂話を耳にしたことがあった。 予選期間中、東京都内で時折起きた爆発事故。 それが起こった時には決まって、青く巨大な龍の目撃談が殺到したという。 メディアでは単なる集団ヒステリーだろうと片付けられていたが…… 「予選の内から随分好き勝手暴れていたな。どれだけ犠牲が出たか分かっているのか」 全長を正確に測ったなら、一体何百メートルになるのか分からない。 それほどの巨体を見上げながらもGVの声は凛と鋭く張っていた。 「それで大将首を十六個取れた。死んだ奴らも報われるだろう」 「理解した。彼らの命を薪にして願いを叶えようとしている身で言えたことではないが……お前は、いてはいけない存在だ」 「ウォロロロロ…! 止そうぜ眠てェ偽善を吐き出すのは。興が削げちまう」 「言っただろう。ボクに言えたことではないと」 GVは聖杯を求めて此処に立っている。 彼は勝ち残ったらこの世界を踏み台にしてしまう存在だ。 それだけはどんな綺麗事で取り繕っても変わらない。 それなのにGVは、自身の出した犠牲を嘲笑う龍の一言一言に義憤の念を感じてしまう。 さもそれは最愛の歌姫と別れる前……いや。 英霊の座に登り詰める前の"彼(GV)"のように。 「お前を非道と罵る資格は……ボクにはない」 生前の彼ならどうしていただろうか。 お前の身勝手は断じて許せないと吠えていたかもしれない。 でも今のGVにはその資格はとうになく。 だから熱い言葉の代わりに――彼の象徴である蒼い雷霆をバチ、バチと虚空へ灯す。 「ならばどうする。出来損ないの英雄がこのおれに勝てると?」 「勝つさ。何故ならボクは、英雄なんかじゃないから」 見据えるは遥か高みの青龍。 対峙しているだけで分かる。 これは怪物だ。GVが今までに戦ったどの敵よりも恐らく強い。 「ボクは英雄でも何でもない、ただ一筋の雷霆だ」 「龍(おれ)を射落とすとでも言うつもりか? たかだか雷が」 龍の身体が天空を背に鳴動する。 それだけで押し寄せてくる突風と豪風。 それに髪を揺らしながらもGVは動じない。 その無言を、龍は肯定と受け取った。 「――ウォロロロロロロロ! ……ならやってみろよ、小僧ォ!」 龍を中心として拡散する覇気と風。 この戦いは自分の死地にすらなるかもしれない。 覚悟を胸に、それすらも電力に変えてGVは立つ。 名乗りと共に、天の青龍へとGVは地を蹴った。 ◆ ◆ ◆ 何時間くらい寝ていただろう。 何か懐かしい夢を見ていた気がする。 そんなしょうこを現実へと帰還させたのはGVからの念話だった。 彼らしからぬ、聞いたこともないような切羽詰まった声。 “敵襲だ、マスター! すぐに起きて、家の裏口から逃げるんだ!” 困惑したし混乱した。 しかししょうこにもそれが異常事態であるというのは分かった。 これまで既に二組の敵を倒しているGVがこれだけ余裕のない声で警告しているのだ。 “ボクも必ず追いかける。だから今は、早く……!” どういうわけかこの場に現れたという敵は、きっと恐ろしく強いのだろう。 そうでなければあのアーチャーがこうまで急かすとは考えにくい。 幸い服は着替えていない。 すぐさま寝室を出て、玄関口から靴だけ取って裏口を使い家を飛び出した。 その瞬間しょうこの耳に入ってきたのは、風の音と何かが崩れる音。 そして、大勢の人の悲鳴だった。 “どんな戦いしてんのよ…此処、住宅街の真ん中よ……!?” GVは聖杯戦争に否定的な思想を持つサーヴァントではない。 ただ、彼の根っこの部分は決して悪人のそれではないことをしょうこは知っていた。 その彼が進んで人を巻き込む場所で戦いを始めるとは考えにくい。 であれば必然、敵がそういうことを顧みない相手なのだろうという結論に達した。 振り向いている暇があるなら逃げるべきだ。 頭ではそう分かっていても、振り向いてしまった。 いや……見上げてしまったという方が正しいか。 「な…な、なあっ……!?」 ――腰を抜かすかと思った。 サーヴァントがぶっ飛んだ連中ばかりだというのは知っている。 そのしょうこでもそれほど驚いてしまうような怪物の姿が、空に浮かんでいた。 青く巨大な一匹の龍。 暴風を撒き散らしながら君臨するそれに、見慣れた蒼い雷霆が向かっていくのが見えた。 “な、によ…あの化け物……!” 目に見える龍のステータスは冗談じみている。 特に筋力と耐久が異常だった。 あんなものと戦って本当に勝てるのか。 いや、GVが自分でさえ抱くような危機感を持っていない筈はない。 彼ならば分かるはずだ。 あれと正面から戦って勝とうと思うならば、こちらも相応の犠牲を払うことが大前提になってしまうことくらい。 「何やってんだ嬢ちゃん! 早く逃げろよ、巻き込まれちまうぞ!」 「あああああっ、もう! どうなってんのよ此処最近の東京は!」 「死にたくねえ、死にたくねえ! あんなバケモンの巻き添え食ってたまるかよ!」 恐怖に怯えて逃げ惑う住民達に押されて、しょうこも止めていた足を再び動かす。 念話で状況を確認することも考えたが、それが彼の妨げになってしまうのではないかと考えると躊躇われた。 大丈夫、彼ならきっと大丈夫……! そう自分に言い聞かせながら。 しょうこは走り、走り――鼓膜が使い物にならなくなるほどの爆音を聞いた。 ◆ ◆ ◆ “マスターはもうこの場を離れてる。出来れば、この住宅地を戦闘に巻き込むことはしたくなかったが……” GVに抜かりはない。 戦闘になると確信した瞬間に念話を飛ばしてしょうこを起こし、端的に事情を伝えて自宅から退避させた。 場所の悪さを理由にして撤退へ移るのが利口な選択だったように思える。 だがGVがそうしなかったのには勿論理由があった。 “この龍は話の通じる相手じゃない。かと言って事情を伝えて見逃してくれるようにも見えない” 最悪、有無を言わさずこの一帯を吹き飛ばされる可能性だって大いにあった。 そんな状況ではしょうこに逃げるよう言い含めるだけで精一杯だった。 胸を刺す罪悪感と後ろめたさを纏う雷の熱で消し飛ばす。 “……出来れば此処で倒したいが――” 思案するGVの視線の先で龍が動く。 最初に放たれた攻撃は、しかし初撃の規模ではなかった。 「"壊風"」 龍のあぎとが大きく開かれた。 その瞬間、そこから無数の真空波が解き放たれたのだ。 それに触れた建造物は、まるで巨大な斧や鉈で一閃されたように切り崩される。 巻き込まれれば、当然ひとたまりもあるまい。 “分の悪い戦いだ。けど……!” 研ぎ澄ませ第七波動(セブンス)。 意識は常に最大の集中を維持する。 GVは絶望をしない。 暗闇を照らす雷霆の彼がそれを知る時は即ち、その存在の終わりに等しい。 「向かってくるか!? 天を統べる龍に!」 「当然だ……すぐ地に叩き落としてやる!」 電磁結界(カゲロウ)。 それがGVの進軍を、反逆を後押しする。 魔力消費を代償に避け損ねた鎌鼬を無効化しつつ、まさに雷霆の如く天へと駆けた。 地から天に駆ける雷という不条理が、しかし此処でだけはれっきとした理屈として成立していた。 先ずGVが行った攻撃は避雷針(ダート)による射撃だった。 避雷針ナーガ。如何なる巨体であろうと貫通する一矢。 しかしそれは、青龍に一滴の血を流させることすら叶わなかった。 「ウォロロロロ! そんな豆鉄砲でおれの肉体(カラダ)を貫けると思ったか!」 GVは歯噛みすると同時に分析する。 頭抜けた耐久度。 そしてナーガの貫通力をして傷一つ負わせられない圧倒的な基礎性能。 “肉体そのものが宝具に昇華されている……そういうタイプのサーヴァントか!” まさしく神話の悪竜そのものだった。 巨体が嘶くだけで英霊さえ吹き飛ばす突風が舞う。 それに紛れ潜んでいる致死級の鎌鼬は、直撃すれば雷撃鱗の防御でさえ防ぎ切れるかどうか。 ブービートラップのように死線が張り巡らされた空――GVの敵はそこにいる。 「迸れ、蒼き雷霆よ! 傲慢な龍を撃ち落とす遠雷となれ!」 閃く雷光は反逆の導―― 轟く雷吼は血潮の証―― ――貫く雷撃こそは万物の理。 第一宝具の真名解放が第七波動の急速な躍動を引き起こす。 スペシャルスキル展開。GVを起点に空へと這った雷霆は鎖の形をしていた。 「VOLTIC CHAIN(ヴォルティックチェーン)!」 龍の目が驚愕に見開かれる。 全長数百メートルに達する彼の巨体を、GVの生み出した鎖は同じく規格外の長尺で絡め取っていた。 ヴォルティックチェーンは視界の全ての敵を同時に攻撃するスキル。 敵がどれだけ大きかろうと、蒼き雷霆の鎖はそれを逃さない。 「ォォオオオオオオオオ……!?」 龍の呻き声が大きく響く。 効いている、その手応えを得られただけで十分だった。 願わくばこのまま押し切れれば最高だが、そこまでの高望みはしない。 “此処で削れるだけ削ってやる……!” 惜しみなく波動を注ぎ込んで火力の底上げを図る。 どの程度通じているのかは未知数だが、効いているなら好都合。 驕った悪竜をやれるだけ痛め付けて次に繋ぐ。 雷光に包まれて上空の龍は激しく瞬いた。 超新星の爆発を思わせる、神々しくすらある光――その中から。 「"熱息(ボロブレス)"」 地の底から響くような声がした。 GVほどの実力者ですら背筋を粟立たせ、破滅のイメージを頭に浮かべる破局の気配。 急いで防御に集中する構えを取ったGVの姿が次の瞬間かき消えた。 彼が移動したのではない。 相対的に豆粒ほどの大きさに見えるそのシルエットが、業火によって塗り潰されたのだ。 竜の吐息(ドラゴンブレス)。 竜種が持つ最強の武装である破壊。 それがGVを襲った灼熱の火球の正体だ。 一撃で城を、山を吹き飛ばす大火力のブレス攻撃。 ヴォルティックチェーンへの返礼としては十分すぎる炎だった。 しかし、熱息の火球は内側から弾けた。 亀裂状に出現した雷が、龍の吐いた火を花火玉のように爆ぜさせたのだ。 そして火球の残滓を彗星の尾のように引きながらホバリング機動で龍に迫るのは――GV。 「なかなかいい雷だった。ゼウスの野郎を思い出したぜ」 「その様で言われても、嫌味にしか聞こえないな」 「素直に受け取れよ。誇っていいぜ……この聖杯戦争で痛みを感じたのは初めてだ」 十六体もの英霊を斃しておいてこの発言。 虚仮威しのハッタリと片付けるには、この龍は強すぎた。 GVが渾身のスペシャルスキルで灼いた筈の体は軽く表面が焦げた程度。 そんな怪物にこう言われたなら、信じるしかないだろう。 「さあ次は何をする? 撃ってこいよ小僧。出し惜しみしてんなら……」 龍のアギトが大きく開く。 そこに熱が収束していくのが分かって、GVは歯噛みした。 “……このままじゃジリ貧だ。ボクも攻撃に転じなければ” 一撃目の熱息は初見であったこともあり、防御態勢を整えて受けるのが精一杯だった。 だがその代償は大きかった。 雷撃鱗で凌ぎ切れる限界を超えた火力がGVの肌を焼き、少なくないダメージを負わされた。 龍は今、聖杯戦争で初めて敵から痛みを与えられたと笑ったが。 GVもまた、この世界で受けたダメージの中では今のが最大だった。 雷撃鱗だから何とか凌げたが、電磁結界のみで当たっていたなら最悪五体のどこかが吹き飛んでいたかもしれない。 「消し飛ばすぞ…!? "熱息"!」 ――煌くは雷纏いし聖剣。 ――蒼雷の暴虐よ敵を貫け。 押し寄せる炎の吐息を見据えながら、魔力の消費を度外視してスペシャルスキルを再度使う。 英霊になった今のGVは生前ほどSP(スキルポイント)に縛られてはいない。 しかしその分別なエネルギーリソースの消費を要求される。それが魔力だ。 しょうこに負担をかけるのは忍びなかったが、この戦いはどう締め括るにせよ出し惜しみしていられるものではない。 「SPARK CALIBUR(スパークカリバー)――!」 熱息の火球が雷撃の剣に両断される。 その勢いは死なぬまま龍の玉体に肉薄した。 “避雷針じゃ通らない。だが出力を上げていけば、奴の耐久も超えられないわけじゃない” 最低保障のラインとしては少し高すぎるが。 スペシャルスキルに分類される攻撃であれば、通じるようだ。 そしてヴォルティックチェーンは面での範囲攻撃だった。 それで倒せなかったなら、では点で貫くアプローチはどうか。 「貫き穿つ。受けてみろ、悪竜――!」 「青二才が! "龍巻(たつまき)"――!」 空中でとぐろを巻く龍。 その円を解放すると同時に、驚異的な威力の竜巻が溢れ出した。 そこに突っ込んでいくGVとその雷剣。 二つの強大なエネルギーが零距離で衝突した瞬間、世界が爆ぜた。 そう錯覚するほどの巨大な衝撃波が住宅地の上空で炸裂して……数秒。 世界から、音が消えた。 ◆ ◆ ◆ 既に住民達は逃げ惑っている。 もしかするとその中には、家に帰ろうとしたしょうこの親もいたのかもしれない。 だとすれば申し訳ないことをしたと思いながら、GVは口元の血を拭う。 額からも血を流し、全身に傷を負いながらも二本の足で立つGV。 誰が見ても分かる満身創痍、這々の体だ。 そんな彼の前方に一つの巨大な影が立っていた。 いつしか空の龍は消えている。 しかしあの龍が放っていた覇気と闘気は、影の主に確かに引き継がれており。 その事実が、GVの見据える鬼と先の龍が同じ英霊なのだと物語っていた。 「効いたぜ」 「噓を吐け」 頭から生えた巨大な角。 人間の限界を確実に超えた身長。 岩山がそのまま人の形を結んだような堅牢な肉体。 龍の鱗を思わせる紋様と長い髭に龍形態の名残が見える。 彼の胴体には出血の痕跡が窺えたが、逆に言えばただ血が出ているだけだ。 注いだ魔力と失った余力には決して見合わない戦果だった。 「腐るなよ。おれは世辞は言わねえんだ」 最強という二文字をGVは思い浮かべた。 GVが今までに戦ってきた敵と目の前の鬼とを単純に比べることは出来ない。 だがただ単純に、"最も強い"のは誰かという観点で測ったなら。 間違いなく今目の前にいるこの鬼こそがそうだと認めざるを得なかった。 “クードスの蓄積はまだ不十分だ。もう、退くしかないか……” こいつを倒すには最低でもクードスを最大まで蓄積させなければ話にならない。 それがGVの見立てだった。 クードスの最大蓄積を条件として解放出来るGVの最大攻撃……グロリアスストライザー。 それがあって初めて倒せるかどうかの話になる相手だったが、今はまだその手を頼れない。 理由は、シンプルにクードスの蓄積が不十分だからだ。 ヴォルティックチェーンにスパークカリバー、二つのスペシャルスキルを連続で放ってもこの程度の傷しか与えられなかった相手だ。 このまま意地になって戦い続けても、GVが鬼の首を獲れる可能性はごくごく低い。 そうなるともう、撤退以外の選択肢はなかった。 何よりタチの悪いことに……鬼の姿になったこいつは、龍だった頃よりもずっと強大な存在に感じられた。 まるでそれは、さっきまで戦っていたあの龍形態が相手の実力を測るための小手調べだったとでもいうようで。 「お前のクラスは何だ」 「……教える義理がない」 「お前、おれの部下になれよ」 そうすれば殺さないでおいてやる。 そう言って鬼は不敵に笑った。 「別に聖杯を諦めろって言うわけじゃねェ。他の連中を全部叩き潰した後で、またおれに挑めばいいだけだ」 悪い話じゃねえと思うだろ? ニヤリと口元を歪め、誘う鬼。 その巨体を睨むGVの目は鋭い。 蒼き雷霆、彼の象徴。 それによく似た鋭い光がそこにはあった。 「断るなら、今此処で殺す」 鬼は金棒を持っていた。 宝具ではないようだがサーヴァントの武装である。 ましてそれを使うのはこの怪物なのだ。 あれでただ殴り付けるだけでも十分に致死級の威力があるに違いない。 「おれのマスターはその気になれば戦場にも立てる"力"を持ってるが……お前のマスターと来たら顔一つ見せねェな。同情するぜ、腰抜けのマスターを持つと大変だろう」 鬼が金棒を持っていない方の手をGVの方へと伸ばす。 身長差があるので成立はしないが、それはまるで握手を求めるような仕草だった。 「望むならこっちで替えを用意してやってもいい。どうだ?」 「笑わせるな」 その勧誘にGVが返した答えはにべもない一蹴だった。 鬼は無言だ。 それをいいことにGVは話す。 「マスターに恵まれていないのはお前の方だ。同情するよ、鬼。お前のマスターはそんなことも教えてくれないんだな」 「お前の価値観なんぞ聞いた覚えはねェな」 GVの痩身に襲いかかる圧力が数段強まる。 鬼が一歩、二歩と前に歩くだけで地響きが鳴る。 彼の眼光とGVの眼光とが二対の稲妻として交差した。 「確かに、ボクのマスターに戦う力はない。悩み、迷い、そうやってしか進めない普通の人間だ」 「無能だな。そんな奴を庇って何になる? お前ほどの能力者が」 「人間を侮るな。ボクのマスターは……お前のような戦いが上手いだけの愚か者よりずっと強い」 鬼の言葉に間違いはない。 GVのマスターは弱いのだ。 何故なら普通の人間だから。 戦いだとか殺し合いだとか、そういう世界にはてんで似つかわしくない子供だ。 とてもではないがGVと目前の鬼の戦闘に立ち会うなど出来ないようなひ弱な少女。 しかし、他の誰が彼女のことを雑魚と無能と謗ろうと。 GVはいつでもどんな時でもそれに毅然と否を返せる。 GVは知っているからだ。 彼女が……しょうこが持つ、"弱さ"という名の"強さ"を。 苦しみ、のたうち、迷いながらも自分の思いを貫こうとする姿の美しさを。 「思い上がるな、怪物。ボクの守るべき小鳥は……お前に見下されるほど弱くない!」 「そうかよ。なら死ね、小僧」 鬼が金棒を腰の位置で構えた。 奴の誘いを蹴る判断は、とてもじゃないが合理的なものではない。 しかし愚かな選択と罵られても構わない。 その時は甘んじて受け入れよう。 どれほど愚かでも、阿呆でも、あの少女を見捨ててこの男の部下になるなんて選択は下せなかった。 「"雷鳴八卦"」 GVの詠唱よりも早く紡がれる一声。 鬼の姿が視界から消えた。 それは見切れなかったということの証拠であり、故にGVは鬼の一撃を直撃という形で受け止めるしかない。 されどGVは諦めない。 先手を取られた痛恨を甘んじて受け止めながらも雷撃鱗を鳴動させ、鬼の一撃を受け止め切れた場合にすぐさま切り返せるよう準備する。 一撃与えて、そして撤退する。 そのために全意識を集中させる。 姿を消した鬼がGVの目前に現れるまでコンマ一秒の十数分の一。 そして、次の瞬間が訪れるまでの一瞬の内に異変が起きた。 GVの姿が、突如としてこの場から消失したのだ。 「……あ?」 苛立たしげな鬼の声をしかしGVはもう聞いていない。 鬼の声が届くよりも遥かに早く、彼の耳を叩いた声があったからだ。 サーヴァントの身では絶対に抗うことの出来ない命令(こえ)が。 “令呪を以って命ずる――私と一緒に逃げて、アーチャー……!” その声を聞いた時GVが浮かべた表情は苦笑だった。 マスターに救われる情けなさに対する自嘲が半分。 もう半分は、"彼女"がマスターでよかったという安堵の念だ。 令呪による命令は時に空間移動をすら可能とする。 どれほど怪物じみたサーヴァントでも、空間を飛び越える速度に比肩して追いかけるのは不可能だ。 「逃げやがったか。つまらねえ……」 残された鬼はただ一人、不機嫌そうに金棒を振るう。 しかしそれだけで、飛騨しょうこの自宅はただの瓦礫の山と化した。 とはいえ一応理由がないわけではない。 この聖杯戦争において、多くの場合マスターの動静は自身の社会ロールに依存する。 皮下のようなタイプは例外中の例外なのだ。 地位にも能力にも恵まれていないマスターに対してなら、こうして帰る家を失くしておくだけでも十分な損害になる。 ……まあ、八つ当たりの意味合いが完全にゼロかといえばそんなことはなかったが。 “だがなかなかに愉しめた……これなら"本戦"には期待してもよさそうだな” GVの雷撃は、カイドウにも確かにダメージを与えていた。 予選の間に蹴散らされた十六体は誰もそれを成し遂げられなかったのにも関わらずだ。 本戦が始まって最初の戦いで、敵はカイドウに痛みの味を思い出させてくれた。 此処からの戦いは今までの退屈なものとは明らかに違う。 その確信が得られただけでも、カイドウにとって今回の巡遊は大満足の結果となった。 「ウォロロロロロロロ…! 今回は逃げられたが、顔は覚えたからな……! このおれに唾を吐いて逃げられると思うんじゃねェぞ……!?」 龍に姿を変え、そして霊体化。 住宅街一つを恐怖のどん底に落としたことには何の関心も示さずに、ライダー……百獣のカイドウは去っていく。 巡遊は終わりだ。 骨のあるサーヴァントに出会えたおかげで酔いも冷めた。 皮下のもとに帰り、今後について話し合うなりするとしよう。 彼の名はカイドウ。 四皇、"百獣のカイドウ"。 クラスはライダー。 龍に化ける最強の鬼。 その暴力はいつだとて理不尽、いつだとて最強。 彼が去った後の住宅街には、気まぐれな暴力の残骸だけがただただ無残に残されていた。 【板橋区・住宅街/一日目・夕方】 【ライダー(カイドウ)@ONE PIECE】 [状態]:ほろ酔い(酔い:10%/戦ったことで冷め気味)、全身にダメージ(小)、腹部に火傷(小)、いずれも回復中 [装備]:金棒 [道具]: [所持金]: [思考・状況] 基本方針:『戦争』に勝利し、世界樹を頂く。 1:一旦病院に戻る。 2:『鬼ヶ島』の浮上が可能になるまでは基本は籠城、気まぐれに暴れる。 3:リンボには警戒。部下として働くならいいが、不穏な兆候があれば奴だけでも殺す。 4:アーチャー(ガンヴォルト)に高評価。自分の部下にしたい。 [備考] ※皮下医院地下の空間を基点に『鬼ヶ島』内で潜伏しています。 ※飛騨しょうこの自宅がある住宅街の一部に壊滅的な被害が出ました。 ※飛騨しょうこの自宅は崩壊しました。しょうこの家族は不在だったので無事です。 ◆ ◆ ◆ 「ごめん…ごめん、アーチャー……! 私、我慢出来なくて……!」 GVに抱えられながら爆心地となった住宅街を離れていくしょうこ。 その目からは大粒の涙がぼろぼろ溢れ出していた。 彼女の右手の令呪は数を一画減らしている。 三度限りの絶対命令権を……時に今回のような不条理をも可能にする大切な令呪を、しょうこは一つ失ってしまったのだ。 「分かったの、あなたが危ないことになってるって…! 私、アーチャーのことを信じられなかった! もしかしたらって、考えちゃった……!」 GVはしょうこにこう言った。 後で必ず追いかけるからと、そう言った。 その言葉をしょうこは信じられなかった。 もしかしたらと心をよぎった不安に勝てなくて、令呪を使ってしまった。 そんな彼女を抱いて走るGVの姿は惨憺たるものだったが…… 彼の顔に浮かぶのは、少女を安心させるための微笑だった。 「謝らないで。キミは、何も悪いことなんかしていない」 「でも……!」 「むしろキミは正しい決断を下した。あまりにも分が悪いから退くつもりだったけど、キミが令呪を使わなかったら……逃げ切れずに殺されていたかもしれない」 しょうこを慰めるための方便ではない。 あの龍であり鬼であるサーヴァントはそれくらい異常な強さだった。 そして……危険な男であった。 この聖杯戦争を勝ちたいと思うなら彼との戦闘は避けて通れないと、GVをしてそう確信するほど。 「だからお礼を言わせてほしい。ありがとう、マスター。キミのおかげで助かった」 「……ずるいって、そんなこと言うの」 とにかく命は助かった。 命運は繋がった。 だが、今の戦いで被った損害は甚大なものだ。 GVが受けたダメージについてはまだいい。 かなり手痛い傷を負わされたが、GVは自己回復のスキルを所有している。 魔力の供給が微量とはいえ自動的に為されるのだから傷の回復も他のサーヴァントに比べれば大分容易だ。 しかしもうあの家には帰れないだろう。 その旨をしょうこに伝えると、彼女は泣き腫らした顔で苦笑いをした。 「……アーチャー、私の家の前で戦ってたもんね」 「あれだけ派手に戦ったんだ、他のマスターの目や耳に触れる機会もあるだろう。それにこれはボクの予想だけど、キミの家は多分壊されてしまったと思う」 あの鬼はGVのマスターが戦う力のない一般人であることに気付いていた。 たかが家といっても、しょうこのような一般人には替えの利かない貴重な拠点である。 GVが敵の立場だったなら確実に壊しているだろうし、あの鬼もきっとそうしたに違いないと彼は考えていた。 「どうしよ、これから」 カイドウの襲撃に関してはしょうこもGVも悪くない。 全ての巡り合わせが悪かったのだ。 巡遊に出ていたカイドウが偶然この住宅街に近付き、サーヴァントの魔力の残滓に気付いた。 あの場でGVが呼びかけを黙殺していたとしても、その時は無差別な攻撃による炙り出しが始まっていただろう。 天災に遭ったようなものとそう割り切るしかない不運だった。 “って言っても、私の知り合いなんて一人しかいないんだけどさ……” 頼れる相手なんて一人しか思いつかない。 しかししょうこが彼女を頼ったとして、当の彼女はそれを受け入れてくれるだろうか。 ……分からない。 それにもしも受け入れられなかった時のことを思うと怖くて怖くて仕方なかった。 ポケットの中の携帯電話を小さく握り締める手は、哀れに震えていた。 【板橋区・住宅街近辺→移動中/一日目・夕方】 【飛騨しょうこ@ハッピーシュガーライフ】 [状態]:魔力消費(中)、焦燥(大) [令呪]:残り2画 [装備]:なし [道具]:鞄 [所持金]:1万円程度 [思考・状況] 基本方針:さとうを信じたい。あさひくんにお礼を言いたい。そのためにも、諦められない。 1:さとうを頼る? ……どうしよう。 [備考] ※松坂さとうと連絡先を交換しました。 【アーチャー(ガンヴォルト(オルタ))@蒼き雷霆ガンヴォルト爪】 [状態]:疲労(大)、全身にダメージ(大)、いずれも回復中、クードス蓄積(現在3騎分)、令呪『私と一緒に逃げて』 [装備]:ダートリーダー [道具]:なし [所持金]:なし [思考・状況] 基本方針:彼女“シアン”の声を、もう一度聞きたい。 1:マスターを支え続ける。 2:ライダー(カイドウ)への非常に強い危機感。 3:松坂さとうがマスターに牙を剥いた時はこの手で殺す。……なるべくやりたくない。 [備考] ※予選期間中にキャスター(童磨)と交戦しています。また予選期間中に童磨を含む2騎との交戦(OP『SWEET HURT』参照)を経験したことでクードスが蓄積されています。 時系列順 Back I will./I may mimic. Next 霽れを待つ 投下順 Back ZONE/ALONE(前編) Next 愚者たちのエンドロール ←Back Character name Next→ 025 深海のリトルクライ 飛騨しょうこ 052 ガラテアの螺旋 アーチャー(ガンヴォルト(オルタ)) 030 龍穴にて ライダー(カイドウ) 051 オペレーション・ドクター〜包囲せよイルミネーションスターズ〜
https://w.atwiki.jp/zohar/pages/17.html
タロンギ 大事なもの Zohar Eldridge Elel Lacovie 咲き乱れたマンドラゴラの花 ○ 欠けたサンドウォームの牙 Glavoid 脂の乗ったコカトリスの皮 湿ったサンドウォームの殻 瑞々しいマンティコアのたてがみ 滲んだナットの翅 Chloris 瞼付きのヘクトアイズの目 裂けたコウモリの翼 肉片が付着したサソリの爪 すべすべなアダマンタスの甲羅
https://w.atwiki.jp/zohar/pages/15.html
ラテーヌ 大事なもの Zohar Eldridge Elel Hadhayosh 大羊の霜降り肉 血に濡れた剣虎の牙 血塗られたギガースヘルム ○ 光り輝くピクシーのチョーカー Briareus 破られたギガースの盾 ○ ○ 潰れたギガースの腕輪 ○ ○ 断ち切られたギガースの首飾り ○ ○ Carabosse 透通ったフライの複眼 煌くピクシーの羽根 Karkinos 異臭を放つクラブの甲殻 ○
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2540.html
放課後の掃除当番に当たってしまった俺は、かなり遅れて部室へと向かっている。 ハルヒは先行くわねとの言葉を残して消えてしまった。 おとなしく部室に行くのか、それともどこかほっつき歩いているのかもしれん。 部室棟への渡り廊下を歩けば、新鮮な風が心地いい。 軽く喉の渇きを覚えたものの、部室に行けば朝比奈さんがいれてくれるお茶が楽しめるだろう。ペットボトルのような無粋なものは不要だ。 早いもので4月も中旬だ。 佐々木や橘はまったく音沙汰がない。一体何をやってるのかはわからんが、できればあと100年ほどでいいから、おとなしくしていてほしいもんだと思う。 部室の扉を開けると、団長席に座ったハルヒの姿が見えた。うっかり飲み物を零した幼稚園児のような笑顔を浮かべた。 「あれ?みんなは?」 ハルヒは肩をすくめて話し出した。 「古泉くんはなんかバイトが忙しくて、みくるちゃんは風邪でお休み。有希はとなりで遊んでるわ」 「そうか」俺は長テーブルにカバンを置き、定位置におかれているパイプ椅子を引いて腰掛けた。 「そうなの。とりあえずあんたとあたしだけってことね」 ハルヒは頬杖をつき、ついでにため息までついてから、そう言った。 そのまま見つめ合うこと数秒。話す言葉も見つからずに、二人同時に視線を逸らせてしまった。 ハルヒを見るのがなんとなく恥ずかしいのは何故だ。部室に二人しかいないからか。時間遡行までして、ハルヒの想いを知り、自分の想いに気づいたからなのか。 そこまで考えが届くと、とたんに恥ずかしさが倍増し、喉の渇きも増してしまうのは、本能のなせる業なんだろうか? 「お茶、飲むか」 俺はハルヒの返事も聞かずに立ち上がり、冷蔵庫に向かった。 確か冷蔵庫にペットボトルのウーロン茶があったはずだ。 冷蔵庫のドアを掴んだところで、ハルヒと手が触れた。お互い驚いて、手を引っ込めてしまう。 「お茶ぐらい入れたげるからさ、座ってなよ」ハルヒは視線をうつむき気味にしながら言う。 「あ、いや、おまえこそ座ってろよ」俺はハルヒの手元を見ながら言う。 お互いに立ち尽くし、相手の出方を伺っている。 「じゃ、こうしようよ。あたしが湯飲みを準備するから、キョンがそれにお茶を入れるの」 「そ、そうだな」口の中がねばつくようだ。「それがいいな」 なにがいいのか自分でも分からないままに、冷蔵庫を勢いよく開け、ペットボトルを見つけた。まだ半分ウーロン茶が残っている。 ハルヒは俺と自分の湯飲みをなぜか自分の机に置いてから、俺を振り返った。 俺はペットボトルを冷蔵庫から取り出した。ボトルキャップを外して、冷蔵庫の上に置いた。 俺はペットボトルを手に団長机まで歩み寄ると、まずハルヒの湯飲みを取り上げてウーロン茶を注いだ。 ハルヒに湯飲みを渡した。ほんの少しだけ指が触れて、あやうく湯飲みをおとしそうになるが、すんでのところで悲劇は防げた。 ハルヒは深いため息をつき、たったまま湯飲みに口をつけた。つややかな唇が、湯飲みに触れるのを、ぼんやり見つめてしまう。 「やだ。なに見てるのよ?」ハルヒは視線を合わせようとせず、小声でささやくように言う。 声が照れていた。 「あ、すまん」あわてて背を向け、自分の湯飲みにウーロン茶を注ぎ入れた。 そのままの態勢で、立ったままウーロン茶を飲んだ。味なんてしねえ。超純水だといわれればそう信じてしまうほどにな。 客観的に考えれば、お互いにお互いを意識しすぎている状態だ。以前はもっと気軽にやってたじゃないか。どうしたってんだ? 気恥ずかしさが先に立って体が動かない。 なるほど、初恋がうまくいかないってのはこういうことなのかと得心したが、いまさら後の祭りだ。 ついさっき起きた崩落で、引き返すルートが断たれた登山家のような心境になるな。いろいろ装備は不十分で、雲行きも怪しい。それでも前に進むしかねえ。 もっともハルヒもそう思っていればの話か。またはそう思わせることができるのか、だな。 まあハルヒにも苦手分野があったのかと思わなくもないね。 「そこ、座りたいんだけど」遠慮しているかのようなハルヒの声に我に返った。もうどうしようもないね。俺は肩を落として、自分の定位置に戻った。 ハルヒが冷蔵庫にペットボトルを戻すのを見て、落胆する思いで一杯だ。 まったく、これまでは平気だったじゃねえか。それこそハルヒとなら一つのコップで、お茶飲むことさえ気にもしなかった。 ハルヒが女で、俺が男なんて意識の外だった。それが告白騒動で意識するようになっちまった。特別教育を受けたばかりの小学生じゃあるまいにな。 席に戻ったものの、なにもする気になれないな。カバンの中に、読みかけのマンガ雑誌があり、携帯電話には清水の舞台から飛び降りる覚悟で入手したRPGが収まっている。 が、どれにも触手が伸びない。ほんの少し居心地の悪さを感じながら、長門蔵書を眺めるぐらいしかできない。 「ため息、多いんじゃない?」ハルヒが遠慮しがちに声を掛けてきた。「どうかしたの?」 言われるまで気がつかなかった。 「あ……いや、ちと息がつまるようでな」 「そう……ね」ハルヒは小首をかしげながら言う。「どうしたのかしらね、あたしたち。すっごく恥ずかしいのはなんでだろ」 そしてハルヒは小さなため息をひとつついた。視線は机の上に落ちている。 「ああ。どうもな」 「こんなんじゃなかったのにね」ハルヒは、肺の中の空気をすべて吐き出すような長いため息をついた「なんで?」 「おまえもため息だらけだな」 ハルヒは、クスクスと笑った。 「お互い様ね」 すっと緊張が抜けて行くような感覚を味わう。ハルヒもそうだったのか、いつもの顔に戻って、俺を見つめている。 「初めてづくしでなんにもわかんないな」ハルヒは両手を机の上において、その上に顎を乗せた。俺を見つめる瞳は銀河系をひとつまるまる収めたように輝いている。 「ハルヒにも苦手分野があったとは思わなかったぜ」 「なんのこと?」キョトンとした顔でハルヒがたずねる。 「恋愛系は苦手分野じゃねえか?」 ハルヒは俺をにらみながら、口をとがらせた。 「あんたのせいでしょ。どんだけ悩んだと思ってんのよ。まったく、人の気も知らないで、何回あたしが枕を濡らしたか知ってる?」 「そんなことがあったのか? そりゃすまん。いや、まさかそんなに思い悩んでいたなんて知らずに」 だが、ハルヒはにっこりとほほ笑んだ。罠にかかったイタズラキツネを見下ろす猟師のような表情を浮かべている。 「嘘よ」ハルヒは弾けるような声で言った。「バーカ」 「ったく」完全にやられた。ああ、クリーンヒットを認めてやるよ。いいパンチだ。「やられたぜ」 「ふふん、このあたしが泣くなんて思うの? そんな必要がどこにあるってのよ。この涼宮ハルヒがよ? どーやってあんたから告白させてやろうか、それを考えてただけよ。 遊びに誘いまくれば、それとなーく空気読むかと思ってたら、遊びには乗るけど、普通に楽しく遊んで終わり。小学生が公園で遊んでるのと同じじゃない」 ハルヒはがばっと体を起こして、何を思ったか椅子の上に立ち上がった。 そしてびしっと音をたてて、俺を指さした。 「あんたがねぇ、もうちょっと空気読んで、あたしに告白してれば済んだ話なのよ。それとなくきっかけ作っても、全部スルーじゃない。何度スルーくらって、メゲそうになったと思ってんのよ。 そのくせ、あたしがわがまま言っても、なんだかんだ言いながらも付き合うし。ホント、訳わかんない」 「すまんな」としか言いようがねえよ。 「それだけじゃなくて、有希とはなんか変な信頼関係あるみたいだし、みくるちゃんにはでれでれするは、おまけに妹ちゃんの友達まで手を広げて。 あの佐々木って変な女まで出てくるし。 無自覚なドンファンっぷりに呆れかえる毎日よ。 あんたね、そういう無防備な優しさはね、女の子を泣かせるのよ? ホント、あの佐々木も裏で実は泣いてたんじゃないの?」 「んなこたねえと思うがなぁ」 「どーだか。中三にもなって好意もなしに、一緒に塾通いなんてするわけないじゃない。絶対噂になるし、好意がなけりゃ無理よ。 そういう女の敵を野放しにしとくことは出来ないの。第二第三の佐々木が現れる前に、あたしがあんたの首に縄つけとくことにしたの。 これはね、あたしがあんたのことどう思ってるなんて、小さな問題じゃないの。逆にあたしはこの身を投げ出して、これ以上の被害拡大を防ごうと立ち上がったのよ」 「おい、論点がズレて」 「なによ、『論点がズレて』って。ずれちゃいないわよ。いい事?あんたがあたしに『好きだ』とか『愛してる』とか『もうおまえなしにはいられない』なんて言えば、それで済む話じゃない。違う? そりゃ、あたしは恋愛は精神病の一種だと思っているわ。いまでもね。 それはそれとして、あんたがあたしのこと好きだって言うなら、あたしだって少しぐらい考慮するわよ。 それをラブコメマンガじゃあるまいし、だらだらだらだらあたしの気も知らないで、延々引っ張ったのは、あんたでしょう?」 さらに論点がずれたが、もはや突っ込みを入れるような状態じゃねえ。 ハルヒは有頂天になって、演説を続ける気のようだし、突っ込みを入れれば入れるほど、単に火に油を注ぐだけだ。 「それは済まなかった」 「いい? あんたとあたしは普通のカップルじゃないの。あんたをね、野放しにしとくと被害者が増えるばかりなの。そう、あたしはあんたの首に縄つけておくために、カップルになってやるのよ。 分かった?分かったのなら、はいといいなさい?」 「はい」なんか新興宗教にでも入団した気分だぜ。 「素直でよろしい」ハルヒは腕を組み、大きくうなずいた。「その素直さがほしかったわね、最初から」 「最初から?」どういう意味なのか分からず、思わず聞き返した。「いつのころからだ?」 「最初からは最初からに決まってんでしょうがぁ!」ハルヒはなぜか顔を赤らめながら、吠えるように言った。「乙女心だけじゃなくて、日本語も分からないの?」 「そ、そうか」 「とにかく、カップルになった以上、まずひとつやることがあるわ」 ハルヒは椅子から降りた。団長席の横に回って、腰に手を当てた。なにが不満なのか、怒ったような表情を浮かべている。 「こっちにきなさい」 有無を言わせぬせりふに、仕方なく立ち上がった。なにをするつもりなのだろうか。キスしろとか言い出すんじゃねえだろうな? この神聖なる部室を穢す不届き者には、天罰が下るぞ。 ハルヒが使っている甘いシャンプーの香りを感じるまで近寄った。 満足げにハルヒが見上げた。あどけない笑顔を浮かべている。大きな瞳が潤んでいるのは気のせいじゃないだろうな。 「いつ覚えたのよ」ハルヒはすこし視線を反らせながら言った。 「なにが、だ?」 「腰に手を回してるじゃない」 おや? 言われてみれば、ハルヒの腰に俺の右手が回っているではないか。おかしい、これは実に驚くべき現象だな。 「ばか」ハルヒは俺の肩に手を置いた。「いやらしい」 「んー谷口がこうすると女の子が安心すると言っててな。無意識のうちにそれが実行されたんだな」 「ふん、何言ってんのよ。バカみたい」 ハルヒはすこしだけ唇を尖らせた。リップでもつけているのか、うるおいたっぷりの唇に目が釘付けになる。 「なに見てるの?」ハルヒは体を俺に押しつけながら言う。柔らかい感触に思わず堅くなるね。 「ハルヒの唇」 「ほんと、男っていやらしいんだから」 体を押し付けているおまえはどうなんだと思いながら、ハルヒの瞳に封じ込まれた銀河系に、果たして我らが太陽系第三惑星は含まれているのか探しはじめた。 「なんか言いなさいよ……」ハルヒは深いため息をつきながら、瞳を閉じた。 この部室で男女が体を必要以上に密着させた状況で何を言えというのだろうか。 まあ言うことなんて、ひとつしかないんだがな。 「好きだ、ハルヒ」 ハルヒはバカと唇を動かさずに言った。ような気がする。唇が近づくにつれ、やはりこちらも目を閉じなければならないのだろうか。 俺も初めてなもんで、勝手が分からないのさ。少なくともこの世界ではな。 目を閉じて、ハルヒの柔らかい唇を感じた。かすかにイチゴの香りがする。昼に食ったのか、それともリップの香りか。 そんなことでも考えていなければ、暴走しそうだぜ。 ハルヒが軽く声を上げたような気がするが、聞かなかったことにしないと理性がもちそうにない。頼むからこれ以上の刺激は勘弁してくれよな。 ハルヒの右手は強く俺の肩をつかんでいる。左手が俺の背中に回り、俺の上着を強く握り締めているようだ。 唇を放したが、光るものが唇をつないだ。ハルヒはそのまま顔を俺の胸にうずめ、深いため息を一つついた。 腰に回していた手で、ハルヒのつややかな黒髪に触れた。そのまま撫でれば撫でるほど、いとおしさが増していくようだ。 こんなことを部室でするなんて思いもよらなかったが、まあ天罰も下らずに済んで良かったぜ。 ハルヒが顔を上げ微笑んだ瞬間、思いもよらぬ声がかかった。 「終わった?」長門の声だった。 恐る恐る声のする方向に首を向けながら、ハルヒと体を離した。 いまさらどう言いつくろうことも出来ないが、抱き合ったままはさすがにまずいだろう? 長門は、お取り込み中なのでおとなしく順番をまっていただけというような表情を浮かべている。 「ゆ、有希、なんでノックとかしないのよ」 すこし乱れた制服をあちこちひっぱりつつ、ハルヒが言った。 「した。聞こえなかった?」 「き、聞こえなかった…」ハルヒが俯きながら答えた。 「あちらでの作業が終了したため、戻ってきた」長門は淡々した口調で説明し、そのまま本棚で適当な本を一冊取り出し、いつもの椅子に腰掛けた。 「そ、そう」 俺は絶句したまま、長門を見つめていることしか出来ない。 長門は本を開いたが、ふと思いついたように部室の扉を指さした。 「もし続きがしたいのであれば、外で」 そしてページをめくりながら、長門は言葉を続けた。 「暑苦しいのは勘弁」 これには俺もハルヒも言葉がなく、俯くことしか出来なかった。 おわり
https://w.atwiki.jp/yokohanai010/pages/13.html
一昨日、京都市中京区西ノ京に住んでる大久保さんのお宅で報道ステーションとか100人の学者が教えます!これが正解アカデミーのテレビ番組を見てました。 ふと思ったんですけど、カメオインタラクティブ ロジテックの製品って、いいですね~ お家もおシャレな20階だてマンションでほんと、うらやましくなりましたね。 部屋からはきれいな夜景が一望できて、ほんと、うらやましくなりましたね。 さてさて、朝食はご飯と、ツマグロアオメエソ(アオメ)、それとコーンスープ ボクの大好きな定番です。 朝の連続ドラマ見ながら20分かけて食べ終わり、9時13分に家をしゅっぱつです。 普段と違うセブンに寄って、冷たいコーヒーをサクッと買いました。 最寄りの南大東駅まで大阪空港交通バス、だいだい45分。駅のなかにある古めかしい自販機でジンジャーエールを買う。 普段通り。これが大事。。 南海電気鉄道 難波-岸里玉出間の電車内では、読書三昧。 お店に着いたら、日課のニュースの確認をする私(^^) 目立つのがこれかな ↓↓ 「シーズンが始まる前からスクランブル態勢だ」(友利投手コーチ)。試合後、首脳陣は一様に厳しい表情を浮かべた。オープン戦最終戦で投手陣が毎回走者を許し、計16安打5失点。投手陣の立て直しが迫られる事態となった。 先発ローテーション内定の小杉が、2回7安打3失点と一番の誤算だった。初回、死球と暴投も絡んでの2失点が響いた。「自分はコントロール派ではないのに、コースばかり狙おうとして慎重になりすぎた」。腕の振りが弱いため、スピードが乗らずコースも甘かった。中畑監督は「これでは先発に疑問符がつく」と入れ替えを示唆した。 小杉も「これでは開幕1軍は無理だと思う」とうなだれたが、代役が見当たらないのがチームの現状。先発の切り札として考えられた三嶋は2番手として2回無失点に抑えたものの、打者11人に57球と粘られた。球種が少なく決め球がないため、1アウト取るのに平均9球。これでは先発は難しいというのが首脳陣の判断だ。 友利投手コーチは「明日一日で(小杉の先発を)ゆっくり考えたい」と頭を悩ます。先発の駒がそろわぬまま、迎える中畑ベイスターズの2年目。前途多難な船出となりそうだ。 (この記事はカナロコから引用させて頂きました) さすがですね~ 本当かな~ ではでは。 たぶんNEXT記事はこの後数時間後になると思います。 ということで、一旦さようなら。