約 1,516,210 件
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/11188.html
GF/W38-017 カード名:我らが大将 鈴河凜乃 カテゴリ:キャラ 色:黄 レベル:2 コスト:1 トリガー:1 パワー:6000 ソウル:1 特徴:《ガール》? 【永】 このカードは相手の効果に選ばれない。 【永】 応援 このカードの前のあなたのレベル3以上のキャラすべてに、パワーを+2000。 じゃ~ん、どう、これ? 大将の刺繍~ 案外よく出来てると思わないかにゃ~? レアリティ:U レベル3以上限定の2000応援。最近めっきり新規で登場しなくなっていたレベル2以上限定応援の亜種といったところだろうか。 早出ししたレベル3を守るにあたってはレベル応援以上の効果を発揮するが、それ以外のサブアタッカーには全く効果がない。 また、早出しに失敗してしまうと、レベル2では仕事がなくなってしまう。そういう意味では、デッキ色の統一さえすれば比較的安定して早出し出来る背水の陣 玉井麗巳との相性は悪くない。 他にも、相手リバースが必要なレベル3のパワー底上げのためにレベル3から出すのもいい。 なお、パッと見では気づきにくく非常にややこしい上、ネオスタンでデッキを組む分には全く気にする必要がないことだが、名前は「凜乃」であり「凛乃」ではない。 スタン構築で「凛」?ネームのシナジーを受けようとしても、漢字が違うため対象にならないので注意。
https://w.atwiki.jp/lov3-4flavour/pages/29.html
カード一覧 アリス (3.0) 使い魔名 使い魔名 参考 フレーバーテキスト アリス (3.0) 「〈赤の女王〉からあなたを助け出した時 “あの子の夢”はバラバラになってしまったわ。だから私は あの夢をもう一度繋ぎ直さなきゃいけないの。それが〈夢の管理人〉である私の仕事なんだもの」そしてアリスは手を差し出してこう言いました。「その為に、まずは散らばってしまった“皆”を探さなきゃいけないわ。それを あなたにも一緒に手伝ってほしいの。」“もう一人のアリス”は 頬を染めてプイと顔を背けました。 ───『スカーレットテイル』その1 使い魔 ●●●● ●●●● ●●●● ◆◆◆◆ 使い魔 ●●●● ●●●● ●●●● ◆◆◆◆ 使い魔 ●●●● ●●●● ●●●● ◆◆◆◆ 使い魔 ●●●● ●●●● ●●●● ◆◆◆◆ 使い魔 ●●●● ●●●● ●●●● ◆◆◆◆ 使い魔 ●●●● ●●●● ●●●● ◆◆◆◆ 使い魔 ●●●● ●●●● ●●●● ◆◆◆◆ 使い魔 ●●●● ●●●● ●●●● ◆◆◆◆ 使い魔 ●●●● ●●●● ●●●● ◆◆◆◆
https://w.atwiki.jp/zohar/pages/19.html
ミザレオ 大事なもの Zohar Eldridge Elel Sobek 血なまぐさいブガードの牙 ねじ曲がったトカゲの爪 ○ ○ ○ 脱皮しかけたペイストの皮 ○ Amhuluk 鋭いアプカルの嘴 ○ ○ 切り刻まれた死鳥の羽 ○ 血染めのコウモリの毛 Cirein-croin 美しいオロボンの肝 ○ 破けたポロッゴの帽子 ○
https://w.atwiki.jp/nikuq-niuniu/pages/890.html
大事なお得意様 依頼主 :レドレント・ローズ(ウルダハ:ザル回廊 X14-Y13) 受注条件:裁縫師レベル15~ 概要 :裁縫師ギルドのレドレント・ローズは冒険者に仕事を与えたいようだ。 レドレント・ローズ 「いらっしゃい、 ちょうどいいところに来たわね。 今日はあなたにぴったりの仕事があるの。 いつも裁縫師ギルドに注文をしてくれる お得意様にちょっとしたプレゼントをしたいの。 私がお金を出すから、 何が欲しいか聞き出して作ってくれない? お得意様の名前は「ワワルッカ」よ。 彼は採掘師ギルドのあたりにいると思うわ。 大事なお客様だから失礼のないようにしてね。」 ワワルッカと話す ワワルッカ 「俺がワワルッカだけど、裁縫師がどうかしたのか? ああ・・・・・・レドレント・ローズさんのお使いか! 実は採掘現場では採掘師が グローブやスカーフを大量に消費するんだ。 俺が面倒を見てる鉱山で必要なものを まとめて裁縫師ギルドに注文してるうちに いつのまにやらお得意さんってことになっててさ。 彼が俺にプレゼント? そんなに気を遣わなくてもいいのになあ。 うーん、今欲しいものといったら 「コットンシェパードスロップ」と「コットンスカーフ」かな。 今使ってるのに穴があいてきちゃったから どうしようかと思ってたところなんだ。 とびきり丈夫なやつを頼むぞ!」 レドレント・ローズに依頼品を納品 ワワルッカ 「とびきり丈夫な「コットンシェパードスロップ」と 「コットンスカーフ」を頼むぜ。」 レドレント・ローズ 「ワワルッカちゃんのためのお洋服はできた? どうせ、丈夫なものを作って! とか言ってるんでしょうね。」 (コットンスカーフとコットンシェパードスロップを渡す) レドレント・ローズ 「「コットンシェパードスロップ」と「コットンスカーフ」ね。 ワワルッカちゃん、 せっかくだから着てみてちょうだい。」 ワワルッカ 「うん、肌触りもいいし、動きやすい。 なにより丈夫そうだ。 おかげで仕事がはかどるよ、 ありがとうな。」 レドレント・ローズ 「とっても似合ってるわ、ワワルッカちゃん。 でも・・・・・・たまには作業着以外も着てみない? ワワルッカちゃんのためなら、 とびきりのお洋服を縫ってあげるわよ。」 ワワルッカ 「あっはっは。 おしゃれな服を作ったところで、 見せる相手がいないんじゃ意味がないだろ。 恋人でもできたらいいなあとは思うけど 俺みたいなガサツな男にほれる女なんかいないしな。 とにかく服、ありがとう。 またグローブを注文させてもらうぜ。」 レドレント・ローズ 「しょうがない子ねえ。 お洋服でワワルッカちゃんの魅力を引き出したら 好きにならない女の子なんていないと思うのに。ねえ?」
https://w.atwiki.jp/animesongs/pages/3154.html
おおきく振りかぶって 〜夏の大会編〜 チュール 思想電車 チュール「思想電車」(Amazon) 発売元・販売元 Ki/oon Records 発売日 2010.06.09 価格 1165円(税抜き) 内容 思想電車 歌:チュール それが大人ってもんなのか 歌:チュール ママのうた 歌:チュール 備考 ワイドキャップ:
https://w.atwiki.jp/sisineko2008/pages/15.html
クランでの練習プログラム! ※ Gunzでは一人一人違い戦い方があります、そして練習方法も様々です、正解も間違いもありません、ここではマスターとメンバーが考えた、悪魔でもこのクランでの最善と思われる練習方法、順番を乗せています。 今現在公式サイトにも乗っているけれど、技をどんどんと覚えていく人が増えています しかしマスターは技を覚えることで強くなる、というよりも基礎ができて、技の使い方を知って! それからそれを使えるようになり技を覚えることが強い人、ということになるとおもいます。 ですから公式や様々な方法と違うじゃないか!といわれても、マスターが最善と考えて。 実際その方法でしっかりと強くなった人がいることを備えて、技は基礎と使い方とスキルがそろってからできてこそ「技が使える」としています。 必ずこの方法で覚えろというわけではないですが、このクランではこの方法で育成をしていますので、ご了承ください。 次にあげるのは序盤で覚えるたとえ、人によって覚えるものは変わってきます 基本はゲーム内で教えるので、こんなものがある程度の参考にしてください バタフライステップ ジャンプ→ダッシュ→スラッシュ→ガード 初歩的なKSだが、大事な技である 柱を回るようにやるサークルBSの練習などもある マッシブコンボ ガードしてから→マッシブストライク→銃にして撃つ これも初歩的なコンボ、しかしうまくいけば一撃必殺なので 重要なコンボである 1ダッシュの距離 敵との距離を一定に保ち、ペースをつかむ方法 覚えると相手を動きを読めるようになっていく このように技をゲーム内でどんどんと教えていく、次にあげるのは スタイルの大体的な種類である SG+SG 近距離RSスタイル 近距離では最強を誇り、APを削りまくる 人気のスタイルである SG+RV 近距離から遠距離まで。 全面的に強く、これもまた人気の高いスタイル ある程度のAIMを必要とする SG+SMG 近距離中距離 AIMがなくてもできるので初心者にはぴったりのスタイル 狙いをあえてあいまいにすることで、当てる能力をアップさせる RV+RV 遠距離タイプ かなりのAIMを必要とするが、相当の強さを誇る エイマーはこれが大事である AR+SG 近距離、遠距離タイプ 重さが軽い連射を組み合わせた 初心者に対応するスタイル 使用者は以外と多い その他数十種類のスタイルが現在する。 VS30 マスターやほかの誰かのTDMexで30戦サバイバル勝負をする 勝った回数を競ったり、毎日することで実力を数字で表すことができる 大会なども開く 今現在マスターに勝利した人は0人である 即死シュミレーター マスターと戦うのだが、大ダメージを与えるかわりにマスターが挑発をする 挑発された=攻撃されたというイメージもち、隙をなくすための動作である 基本的に教えることはゲーム内でマスターがどんどん教えるので、サイトには 数%程度のプログラムを表記しておきます 気が向いたら増やしますが・・
https://w.atwiki.jp/sinnisioisinrowa/pages/83.html
「それでは零崎を始めよう」 ◆T7dkcxUtJw 深更の箱庭学園。 広大な敷地を有し、それに見合うだけの多くの学生が在籍するこの高校も、真夜中ともなれば人っ子一人いなくなる。 正確には、この場合人がいないのは時間帯というよりももっと別の理由によるものだが、 そんなことは実際のところ大した問題ではなく、ここで真に重要なのは人っ子一人いないという点だろう。 人っ子一人いない、無人の学舎。 しかし、人ならざるものならば――いた。 学びの庭に――その鬼はいた。 鬼の名は、零崎双識。 マインドレンデル――自殺志願の異名で忌み嫌われる、零崎一賊の長兄である。 ◆ ◆ 「うふふ、堂々と女子更衣室に足を踏み入れられる日が来るなんて胸が熱くなるねっ!」 幾度となく深呼吸をしながら、更衣室中のロッカーというロッカーを開け、 入っていた衣類をさも当然のように自分のデイパックの中に詰め込んでいく、針金のように細身の男の姿が、そこにはあった。 ていうか、零崎双識だった。 もしここに釘バット使いの殺人鬼がいれば迷いなく得物をフルスイングし、 零崎一賊の鬼子がいればナイフを手に飛び掛かってでも止めようとしただろうあんまりな光景。 しかし、現在更衣室にいるのは双識のみであり、不幸にも彼の凶行を止められる者は誰一人として存在しない。 今、女子更衣室は――完全にマインドレンデルの支配下にあった。 「おっと、主催者さんが監視しているのかもしれないから念のために言っておくけれど、私の行為にはちゃんとした意味があってね? 私はこのバトルロワイアルで、一賊の長兄として家族を守らなければいけない。 つまり、きみたちの提唱する『実験』とやらに協力してやるつもりはさらさらないんだけど、それは置いておくとして。 家族を守るためにはまず十分な物資が必要と考えた結果、私はこうして出発地点の学校で装備の現地調達を試みているわけなんだよ」 『諫早』と書かれた名札の付いたジャージの匂いを嗅いでデイパックに入れつつ、双識はそう捲し立てる。 主張自体は理にかなっていたが、銀縁眼鏡の奥の瞳を少年漫画の主人公が如く輝かせながら言っても説得力は皆無だった。 大体、双識は箱庭学園校庭で目を覚まして真っ先に女子更衣室に向かっていた。 校舎内で物資を求めるならば、もっと適した場所があっただろうに。 そもそも大の男が女子高生のジャージを手に入れてどう殺し合いに役立てると言うのか。 「さて、そうこう言っている間に目ぼしいものは粗方回収できたけど……うーん、やっぱりこういうシチュエーションは人がいないと趣に欠けるね。 残って自主トレに励んでいた女子生徒に姿を見られたらどうしようとか、そういうスリルが重要だっていうのに。 その辺り、きみたちは理解が足りない――どうしようもなく『不合格』だ」 いや。 そんな理解が足りているのは世界中探してもお前だけだ。 勝手な台詞を垂れ流しつつ、双識は扉を開けて女子更衣室から退出する。 結局、一般的に役に立ちそうなものは何一つ見つからなかった。 女子更衣室に武器がないのは当然だが――それにしたって、ここまで徹底して何もないというのは、逆に違和感がある。 前もって、殺し合いの中で使えそうなものはまとめて排除しておいたような違和感が。 (まあ……半ば予想通りか) 双識がこのバトルロワイアルを管轄する立場にいたとしても、武器になるようなものをそうそう会場内に置いてはおかない。 そんなことをしては、最初に武器を支給した意味が薄くなる。 (会場内に武器が隠されているとしても、それはそう簡単には発見されないように工夫されているだろうね。 学校中を探せば何かしら見つかるかもしれないが……さすがに、そんな時間はないな) そろそろ、家族の方を捜しにいかなくてはならないからね。 と、双識は心の中で独りごち、足早に校舎を後にする。 家族――自分以外の零崎一賊が、この会場内にいるという感覚が双識にはあった。 はっきりとした位置まではわからないが、『いる』ことは確かに感じている。 ならば――捜し出し、守ろう。 それが零崎双識の――兄の役目だ。 無論、それがおそらく家族にとっては余計なお世話であることは、双識もわかっている。 「わかってはいるけれどね。それでも余計なお世話をしてやりたくなるのが、家族ってやつなのさ」 そして、双識は校門をくぐる。 先ほど頭に入れた地図には、この学園からそう離れていないところに双識のよく知る店名が記されていた。 『ピアノバー・クラッシュクラシック』。零崎一賊のひとり、零崎曲識が経営する店だ。 まずはそこを目指してみるのも、曲識の言葉を借りるわけではないが――悪くない。 「ああでも、トキが店をやっているのを知っているのはアスと私だけだったか。 つまりアスとトキがここに来ていなければとんだ無駄足を踏むことになる、な――」 そこで台詞を止める。 双識の目の前の歩道に、人が倒れていた。 それは、箱庭学園の生徒――ではなく。 豪華絢爛な着物に身を包んだ、白髪の女性だった。 ◆ ◆ 道端に座り込んで会談する、一組の男女。 ここまでの経緯を述べる女の口振りは、とても重々しいものだった。 倒れていた彼女――とがめ、とだけ名乗った――は、まず自分が殺し合いに乗っていないことを双識に語る。 最初に会った参加者に襲われて命からがら逃げ延びたものの、体力不足が祟り、ついに力尽きてここに倒れたらしい。 支給品も、配られた武器も、全てをその過程で失って。 彼女の着ていた素人目にも上等な品だとわかる着物は血と泥でもはや見る影もなく、今は代わりに双識の持っていたジャージを身に纏っている。 その際、双識は着替えを手伝おうとしたが丁重に断られた。当たり前だ。 「――というわけで双識殿。私は開始早々、自衛手段を失ってしまったことになる。 見ての通り私は体力もなければ武芸に通じてもいない。 現状のまま殺し合いに乗った参加者と遭遇すれば、結果は火を見るよりも明らかだろう。 図々しい願いなのは重々承知しているが、私には貴殿に頼る以外に道は残されていないのだ。 零崎双識殿、私を――守ってはくれないか」 「…………」 その申し出に、両者の間の空気が張りつめる。 双識は殺し合いにこそ乗っていないが――至上目的は家族を守ることだ。 他の参加者が家族に害を為すならば迷わず殺すだろうし、家族以外を進んで守るつもりもない。 今だって、目前に倒れた人間がいてその人間が生きていたから、情報を得るために介抱してみただけに過ぎない。 単に死体が転がっていただけなら、黙祷くらいは捧げるだろうが――あとは使えそうなものだけ回収して、その場を去るだろう。 一番必要としていた情報――彼女を襲った危険人物が零崎一賊の誰かかどうか――も、すでに得ている。 彼女の語る危険人物の特徴は、一賊の誰にも該当しなかった。『双識が知らない零崎一賊』の仕業でもない限り、一賊とは無関係だ。 と、そんなわけで、双識としてはここに彼女を放置しても一向に構わないはずなのだが。 「……足手まといになりかねない私を連れ歩くことは双識殿にとって好ましくないのはわかる。 実際、単純な戦闘において私は絶対に役に立たないだろう。悲しいがこれは事実だ。断言できる。 だが、頭脳戦ならば話は別だ。頭脳労働は私の本分、私の存在価値の全てがここに集約されていると言っても何ら過言ではない。 私の同行を許してくれれば、必ずや最高の働きをすることを約束し――」 「条件が一つある」 一心不乱に自分を守ることで生ずるメリットを説明するその姿に、何か思うところでもあったのか。 双識は彼女の言葉を遮って――彼女の望む台詞を口にした。 「私も、まあ鬼でこそあれ決して悪魔じゃないからね。 きみみたいな娘をこんな危険な状況で見捨てるというのも忍びないし、とがめちゃん一人くらいは私が守ってあげるとしよう」 「ほ、本当か――して、その条件とは?」 一瞬だけ表情が明るくなり――しかし、すぐに再度険しい顔つきに戻る。 双識は、自分が殺人鬼であることまでは説明していない。 だが、双識の纏う雰囲気が一般人のそれとは違うくらいは――ある程度の修羅場を潜り抜けた人間にはわかる。わかって、しまう。 そんな男が提示する条件だ。 まともな内容を期待する方が間違っている。 「ああ――服を脱いでほしい」 「………………………………」 本当に。 まともな内容では。なかった。 当然の帰結として沈黙する相手に、双識は怒涛の勢いで畳み掛ける。 「ああいや、勘違いとかはしないでほしいね。今の発言に下心とかやましい気持ちはこれっっっっっっっぽっちもないんだ。 うふふ、見ての通り私は一賊きっての紳士だからね、やましい気持ちなんてあるはずがない。 それで、だ。きみが実は私を利用するつもりで、どこかに武器を隠し持っているとか、そんな可能性を考えたくはないけれど、 やましい気持ちなしに、私たちは殺し合いに巻き込まれているんだから最低限の用心って必要だと思うんだよ。 親しき仲にも礼儀ありって言葉は知っているだろう? 私たちが親しき仲になるためにはまずは礼儀が大事なんだ。 何なら私も脱いでもいい。うふふ、裸の付き合いってやつだね。もちろんやましい気持ちとかは欠片もないよ。 それに、とがめちゃんは怪我をしていただろう? ちゃんと処置したつもりかもしれないけど、素人のにわか知識ほど危険なものはないんだ。 私は職業柄よく切ったり斬ったり切り刻んだりしているからね、傷跡についてはちょっと詳しいよ。 下手な医者よりも傷を見慣れていると自信を持って言い切れるね。 やましい気持ちなんて含まずに、とがめちゃんが患者、私が医者のリアルお医者さんごっこといこうじゃないか。 さあ、脱ぐんだとがめちゃんっ! 脱げないのなら、私が脱がしてあげよう!」 「いや、ちょっと待」 「言うまでもないけど、さっき着替えの手伝いを断られたのを根に持っているわけじゃないよ」 「………………」 根に持っているらしかった。 というか、これはどう考えても体のいい脅迫だろう。 しかし、中途半端に筋が通っているために反論することは難しいし、反論して機嫌を損ねてもお仕舞いだ。 与えられた選択肢は二つ。変態に生まれたままの姿を晒すか、死地に独り取り残されるか。 どう足掻いても絶望とは、まさにこのような状況を言うのかもしれない。 「……双識殿」 「ああ、私のことは双識お兄ちゃんと呼んでくれ」 「……ソウシキオニイチャン」 しかもさりげなく条件が追加された。 あからさまな棒読みに、しかし双識は満足げに頷く。どうやらお兄ちゃんと呼んで貰えればそれでいいらしい。 「脱げば……守ってくれるのだな?」 「勿論さ。私は妹との約束は決して違えないことを誇りにしているんだ」 いつ、私が、お前の、妹に、なった。 そう言いたげな表情を浮かべつつも、もう諦めてさっさと終わらせた方が楽だと判断したのか、 「……わかった。脱ごう」 と、街灯の下、小さな影が渋々と立ち上がる。 「わーい」 いい年した男のものとは思えない無邪気な声を上げて、のっぽの影がそれに追従する。 「……とはいえ、脱いでいるところをまじまじと見られるのは、さすがに抵抗がある。 すまないが、脱ぎ終えるまでは目を瞑っていてくれないか」 「えー」 「目を瞑っていてくれ」 双識は食い下がろうとするが、こうも有無を言わせぬ口調で言われてしまえば従わないわけにもいかない。 仕方なしに瞳を閉じる。 その瞬間、だった。 エリミネイター・00というナイフがある。 『排除するもの』という意味のその名にふさわしい、殺すための、殺すためだけの一刀。 あまりに凶悪過ぎるフォルムをしたそのナイフが――双識に向けて放たれた。 否――放たれたというよりも、もっと適切な表現があった。 エリミネイターは――女の口から吐き出されていた! 双識の心臓を貫かんと、風を切って一直線に――! 「はい、残念」 「…………っ!」 が――双識は、易々と飛来したエリミネイターの柄を掴み。 そのまま、矛先を変えて女を斬りつけた。 「ちっ!」 相手はすんでのところで後ろに跳び、ぎりぎりでそれをかわす。 いや、完全にかわせてはいなかった。着ていたジャージの上着が縦に裂け、女の柔肌が露になる。 そこには―― 「なーんだ、傷跡なんてないじゃないか」 「……目を瞑ってろって言ったねえか。いやらしいねえ」 「いやいや、ちゃんと瞑っていたとも。言っただろう、私は妹との約束は違えない主義なんだ。 もっともこっちは言ってなかったが、私――私たちは、少々殺気というものに敏感でね。 きみが私に殺意を向けたのを感じ取ったから、今のような芸当ができたわけさ」 傷ひとつない、艶やかな肉体を惜し気もなく晒し。 さきほどまでと同じ声で、けれどうってかえって飄々とした口調で、その女は言葉を紡ぐ。 「きゃはきゃは、なんだそりゃ。そんな真似ができるなんて……ひょっとしてあんた、化け物かい?」 「化け物なんて烏滸がましい。私はただの鬼――殺人鬼さ。 化け物と言うなら、口からナイフを吐き出したきみの方こそ相応しいんじゃないかな、とがめちゃん。 いや、もしかしなくてもその名前も嘘なのかな。折角だから、お兄ちゃんに本当の名前を教えてくれないかい?」 「きゃはきゃは。いいぜ――おれとしても、ここは堂々と名乗ってやりたい場面なんでな」 どうせ、もう隠しておく必要もなくなったしな。 そう付け加えて、彼女は二度、名乗る。 ただし今度名乗るのは、彼女の――彼の、本当の名だ。 「おれは真庭忍軍十二頭領が一人――真庭蝙蝠さまだ。以後よろしくな、双識おにーちゃんよ」 ◆ ◆ 半刻ほど前の話。 箱庭学園近くの路上で、真庭蝙蝠は困惑していた。 自分は奇策士に化け、虚刀流の殺害に向かっていたはずだ。 それが何故、こんな殺し合いなどに巻き込まれている。 いや、それよりも。 どうして、自分の忍法が――忍法骨肉細工が封じられている、と。 忍法骨肉細工とは、早い話が変身能力だ。 変装ではなく、変身。 男であろうと女であろうと、若かろうと年寄りだろうと、手本さえあれば完全に再現できる、完璧な変身能力。 蝙蝠を蝙蝠たらしめるその能力が、今は制限されていた。使えないわけではないが――奇策士以外に、変身できない。 それまで彼が見てきた数々の強者に、変身できなくなっているのだ。 これはまずいことになった、と蝙蝠は思う。 殺し合いとなれば当然荒事になるだろうが、奇策士の肉体はそれにまったく適していない。 奇策士の本領である頭脳までは、忍法骨肉細工では写しきれない。もしかしなくても、童女にすら負けるだろう。 ならばどうするか、と蝙蝠は頭を捻り―― いっそ、このよわっちい肉体を逆に利用してやろうという結論に達したのは、校門をくぐる双識の姿を捉えるより少し前のことだった。 ◆ ◆ 「きゃはきゃは、ひやひやしたぜ――この女の体じゃ、襲われたらひとたまりもねえからな。 もちろんそのときはさっきみたく刀子を吐い出して、その隙に逃げ出すつもりだったんだが。 もっとも、あんたがこの体の脆弱さにころっと騙されてくれてたおかげで、その必要もなくなったがな」 「やれやれ、最後の最後で失敗しておいて、よくもそう口が回るものだね。 仮に私が最初からきみが嘘をついていることに気付いていて、それでなおきみの裸を見るために泳がせていたとしたらどうするんだい?」 「どーするもこーするも、それで評価を落とすのはおれよりむしろあんただと思うぜ」 「ふむ。実際のところは、衣服に付着していた血液が人間のものじゃなかったからちょっと警戒していたんだけどね。 人間と動物の血の区別も付かずに殺人鬼はできないさ。さて……蝙蝠ちゃん」 「なんだい、双識おにいちゃん」 「蝙蝠ちゃんが、私に」 「待て。まさか蝙蝠ちゃんで通す気かよ? 一応、おれは便宜上は男で通ってるんだけどな」 「男を妹扱いしたとあっては私の沽券に関わるのでね。きみのことは意地でも俺っ娘だと思わせてもらうことにするよ。 蝙蝠ちゃんが、私に助けを求めて、私が心を許した隙に不意打ちで殺そうとしていたのはわかったけれど。 その不意打ちに失敗して、武器も私に奪われた今――きみはどうやって、この窮地を切り抜ける気なのかな?」 ところどころに軽口を挟みつつも――その実、双識は疑問を抱いていた。 目の前の男――いや双識にとっては女だが――は、双識の殺害に失敗してなお、まだ余裕を持っているように思える。 追い込まれているのは間違いなく蝙蝠の方だというのに、当の本人は自分が殺されるとは考えていないのだ。 それが、双識には不可解で仕方がない。 不可解といえば、蝙蝠の名乗った真庭忍軍十二頭領という肩書きもそうだ。 双識は、蝙蝠の正体は『殺し名』か『呪い名』に属するプロのプレイヤーだと推測していた。 しかし――真庭忍軍。 忍軍と言うからには複数のプレイヤーの集団だろうし、十二頭領ということは蝙蝠と同等のプレイヤーが十一人いるということだろう。 歴史マニアを自称する双識は無論歴史上には五人いる四天王がいたことも知っているが、ここは素直に十二人いると考えた方が無難だ。 しかし、本当にそれだけの組織なら――これまで一度も双識が耳にしたことがないのはおかしいのだ。 こんなプレイヤーが十二人もいれば、その評判が双識のネットワークに引っ掛からないはずがない。 しのびらしく忍んでいたにしろ――限度がある。 人の口に戸は立てられぬ、という言葉があるように、姿は隠せても、何処からか情報が流れるのは止められないのだから。 故に、双識にとって真庭忍軍は存在すること自体がありえない存在。 それらの事実が――双識に迂闊な攻撃を躊躇わせていた。 そして――時間にしてみれば然程長いものではない、その躊躇がまずかった。 「なっ……」 思わず、驚愕の声が上がる。 零崎双識は背が高い。 日本人離れした身長は、異様に長い手足や痩せた体つきと相俟って、人に針金細工のような印象を与える。 その双識の目線が――真庭蝙蝠のそれと同じになっていた。 蝙蝠の――この場合はとがめの背は、平均と比べて決して低くはないがそれほど高くもない。 本来なら、両者の目線は同じ高さになるはずがない。 「きゃはきゃは、気付かれちまったか――せっかくちょっとずつ『伸ばしていた』のによ」 「真庭……蝙蝠……っ!」 「蝙蝠ちゃん、だろう?」 すべてを悟り、双識はエリミネイターを手に蝙蝠へ飛びかかる。 しかし――仕掛けるのが遅すぎた。 つい先ほどとはまったく異なる常人の域を越えた跳躍で蝙蝠は飛び退き、その勢いを殺さずに双識との距離を取る。 そこにいたのは、もう非力でひよわな白髪の才女ではない。 「これで一番の目的も達成できたわけだ。きゃはきゃは、結構いい身体してるじゃねーか、おにいちゃんよお」 そこにいたのは――零崎双識だった。 服装こそ箱庭学園指定のジャージを纏ったままだが、それ以外に何ら差異はない。 きゃはきゃはと笑う声すらも、寸分違わず双識そのものだ。 声帯の形すら同一にできる――それが忍法骨肉細工。 「はじめから、これが狙いだったわけか――私を殺すのが目的ではなく、私になることこそがお前の目的――」 「ま、そういうことだな。きゃはきゃは、おれがこの殺し合いで生き残るには、元の姿でもちょっと力不足なんだよ。 けど、あんたの肉体は悪くないぜ。これなら十二分に戦える――よっと!」 言って、変身した蝙蝠は双識とは反対方向へと駆け出す。 今となっては蝙蝠の実力は双識とまったくの互角だが、双識はエリミネイターを持っていて蝙蝠にはそれがない。 得物の分、こちらが不利だと判断して――蝙蝠は脱兎の如く逃走を開始した。 双識もそれを追おうとするが―― 「おっと、そいつはやめた方がいいぜ――今のおれとあんたの脚力は、当たり前だが互角だ。 おれも引き離せはしないが、あんたも追いつけやしない――追っかけたところで、お互いに損をするだけだっての」 逡巡し――結局、双識は足を止める。 手にしたエリミネイターを投擲するべきか迷うが、相手が自分自身である以上、間違いなく通用しないだろう。 先ほど双識がしたのと同じように、相手の武器にされるのがオチだ。 双識は西洋風のナイフは好かないが、それでもこのエリミネイターは中々の業物。見す見す失うのも馬鹿げている。 「もっとも、何よりも馬鹿げているのは蝙蝠ちゃんの能力か――くそっ、もう見えやしない。確かに、あの速さは私のそれだ」 事情が変わった。 今までは、家族を守れればそれでよかった。 無論、今でもそれが絶対の目的であることに変わりはないが―― 「今をもって『真庭忍軍』は『零崎』の『敵』になった――零崎一賊の長兄として、責任を持ってきみたちを始末させてもらう」 零崎双識。 マインドレンデルは――二十番目の地獄は――零崎一賊の特攻隊長は――今ここに始動する。 「――それでは零崎を始めよう」 (真庭蝙蝠――試験開始) 【1日目/深夜/D-4】 【零崎双識@人間シリーズ】 [状態]健康 [装備]エリミネイター・00@戯言シリーズ [道具]支給品一式、体操着他衣類多数、血の着いた着物、ランダム支給品(1~3) [思考] 基本:家族を守る 1:他の零崎一賊を見つけて守る 2:真庭蝙蝠、並びにその仲間がいれば殺す [備考] ※他の零崎一賊の気配を感じ取っていますが、正確な位置や誰なのかまでははっきりとわかっていません 【真庭蝙蝠@刀語】 [状態]健康、零崎双識に変身中 [装備]諫早先輩のジャージ@めだかボックス [道具]支給品一式、ランダム支給品(0~2) [思考] 基本:生き残る 1:強者がいれば観察しておきたい [備考] ※第一話でとがめに化けてから七花を襲うまでの間から参戦です。 [忍法骨肉細工について] ※バトルロワイアル開始前に変身できた人物には変身不可能(とがめに変身したまま連れてこられたため、とがめは可能)。 ※他の参加者に変身するには、前もって相手を観察しなければ不可能。 ※現時点では元の姿以外に、とがめ、零崎双識に変身可能。 異常(アブノーマル)の思考、そして考察 時系列順 恋物騙 異常(アブノーマル)の思考、そして考察 投下順 恋物騙 START 零崎双識 後悔と決意 START 真庭蝙蝠 反抗開始
https://w.atwiki.jp/ln_alter2/pages/52.html
栞――(死因) ◆EchanS1zhg 【0】 名前が無いこと。存在が嘘であること。 生きていることを証明できるのはどちらなのだろう。それとも、それは不可能なことなのだろうか。 【1】 情報の小路。または思索の遊歩道。もしくは発見の迷路。はたまた英知の集積回路などと例えるべきか。 そんな場所に一人の少女の姿があった。 水色の襟が大きめのセーラー服の上に紺のカーディガン。 体躯は小柄で、襟と同色のスカートの裾からのぞく足は積もったばかりの雪の様に白い。 色素の薄い髪の毛はボブカット……より少し長め。オシャレで、というよりかは無頓着ゆえにといった感じ。 目も鼻も唇も小さく、しかし整っていて人形の様に、もしくは人間ではないかの様にも見える。 胸には小さな手で抱いた分厚いハードカバーの本。顔には決して伊達ではない大きめの眼鏡。 簡単に言い表せば、地味系の文学少女。そういう雰囲気と印象を持った少女。 その少女の名前は長門有希と言った。 長門有希は恐る恐るといった感じに、一歩一歩と薄闇の中を静かに静かに歩いている。 彼女の左右には乱雑に本が積み込まれた天井まで届く高い本棚が立ち、空気の中には埃と僅かな黴の匂い。 明かりは頼りない非常灯のみで、通路の隅に本を積み上げられた台車などを見ればここは書庫かと思われた。 彼女にとって本とは何よりも馴染みが深い。 学内唯一の文芸部部員で、放課後は部室で本を読み、時には図書館に足を運び本を読んだり借りたり。 ともかくとして本に囲まれるのは慣れっこだ。平時であればここは彼女にとってなんら恐れを抱く場所ではなかった。 だがしかし、眼鏡の中の瞳は潤み、唇は僅かに振るえ、足取りはフラフラと頼りない。 ”只の文学少女”でしかなく、人よりいっそう気弱で臆病な彼女にとって、現状は極めて不安を煽る最悪の環境だった。 決して頭は悪くない。だから狐面の男が言ったことの意味を彼女は正しく把握している。 ゆえに、”何の取り得もない”自分がここでどのような結末を迎えるのか、そんなことも容易に想像できた。 何時、暗がりの中から何者かが出てきて自分に暴力を振るい、そして殺して、しまうのか。 それが怖くて、怖くて、怖くて、怖くて、怖くて怖すぎて、そして怖くて、どうしようも怖くて仕方がない。 硬い床に足音を立てる度に心臓が跳ね上がり、角を一つ曲がるたびに不安で心臓が押し潰されそうになる。 しかし彼女は塞ぎ込むことはせず、ゆっくりで危なっかしくであったが一歩一歩と薄闇の中を進んでゆく。 少しの後、キィと音を立てて彼女は書庫より脱し、長くはない廊下をまたおっかなびっくりと進み、また扉を潜った。 そこは広々とした図書館のフロア。 相変わらず明かりは非常灯だけであったが、大きな窓から月明かりが差し込んでいて比べれば随分と明るい。 柔らかい絨毯の上を何歩か踏み、広さと明るさに幾分か安堵を覚えると彼女はほっと小さく、本当に小さく溜息をついた。 そして先ほどまでよりかは軽い足取りでもう少し明るい場所に出ようとした時―― プリーズ・フリーズ ホールドアップ 「動 か な い で、 手 を 挙 げ る」 ――本棚の影より現れた彼女より更に小さな少女に、銃を、銃口を突きつけられた。 【2】 突然現れた少女の手には年式の古そうな一丁の拳銃が握られ、それは長門有希へと向けられている。 小さな、小学生かもしくは中学生かぐらいにしか見えない子供がそれを構える姿は酷くアンバランスだったが、 あどけなさの残る顔が浮かべているのは真剣のそれで、長門有希は彼女の言葉が、態度が嘘だとは思わなかった。 「……ひぁ、……ひ、ひ――」 「勝手に喋っても撃ちますから」 言葉が耳に届き脳がそれを理解する。 けれども身体に言うことを聞かせるには時間が足らず、喉が震え、悲鳴が漏れ――と、長門有希は咄嗟に口に手を当てて塞ぐ。 悲鳴を上げずには済んだ。なので撃たれずに済んだ。……けど、両手をそれに使ったから抱いていた本が、落ちていた。 トンと軽い音を立てて絨毯の上で跳ね、ぱららと空中で頁を捲り、もう一度跳ねて銃を持った少女の足元へ。 「あ、……あ!」 何を思ったのか、長門有希は転がる本を追った。 撃たれることよりも、何よりもそれが大事と言った風に、まるで本に引っ張られているかの様に前のめりに走る。 「……え? ちょ、ちょっと……!」 逆に、銃を構えていた少女は本を避けた。 まるでそれが爆弾か何かだと思ったのか、ゴキブリが走りこんできた時みたいな風に慌てて飛び退る。 「うきゃあっ!」 両者ともに、慌てすぎていて、運動神経はよくもなく、ゆえに細い足は縺れ、たたらを踏んで、無様に――転倒。 長門有希は頭から本棚に突っ込み、もう一方の少女は雑誌が詰まったラックを巻き添えに盛大にこける。 図書館ではお静かに。そんな注意書きを一切無視して、静寂だった空間に派手な音が響いた。 一拍子遅れて、最後にカラカラとそんな音。 長門有希の目の前に転がってきた、少女の持っていた銃は、銃は銃でもただの水鉄砲だった。 【3】 「……どうも、ごめんなさいでした」 「う、うん……」 シリアスから”一転”。 緊張の糸はぶっつりと音を立てて切れ、二人の少女は暗がりから明かりを点けたカウンターの中へと場所を移していた。 「姫ちゃんは、紫木一姫というです。呼ぶ時は、姫ちゃんって呼んでほしいですよ」 名前を聞いて、長門有希は名簿の上を視線でなぞる。 しかし二度三度と繰り返してもそこに紫木一姫という名前は発見できなかった。 「そうなのですよね。どうしてかはわかりませんが、姫ちゃんの名前はそこには載っていません……」 でもでも嘘なんかついてませんからね! と、紫木一姫はパタパタと手を振る。 その姿がずいぶんと愛らしく、長門有希も特に疑ったりはしない。 ただ、名簿に載っていない参加者の意味は自分達で考えろという、狐面の男の言葉を思い出していた。 「ゆきりんさんは、鞄の中にどんな武器が入ってたですか?」 いつの間にかにあだ名がついている。 それに少し戸惑い、またなんだか嬉しく思いながら長門有希はずっと抱いていた一冊の本をカウンターの上に置いた。 「……”これ”ですか?」 「うん」 ちょっと角が傷んでいるその本は一見すればただのSF小説でしかなく、よーく見てもその通りでしかなかった。 ハードカバーなので、それで叩けば最低限鈍器の役割を果たしてくれそうではあるが武器としてははずれの部類だろう。 しかも、彼女に与えられていたのはその一冊限りだった。鞄を検めなおしても他に武器っぽいものは無い。 「姫ちゃんからひとつ質問です。 どうしてその本。そんなに大事そうにしてますか? 本でよければここにいくらでもあるのに」 言って、紫木一姫はぐるりと周りを見渡す。 そこにはまさに、本・本・本だ。図書館なのだから当たり前だが、簡単には数え切れないほどの本がずらりと揃っている。 同じ本でも武器にするならもっと有用そうな重そうなのも棚の中には並んでいた。 「あれなんか頭にぶつければガツーンと痛いと思うんですけれどもねー。 姫ちゃんの場合。本を読んだだけでも頭がガツンガツンと痛むんで、触りたくもありませんが」 よほど本を読むのが苦手なのか紫木一姫は首をふるふると振る。 長門有希にとって本を読むことはもはや生活の一部であって苦痛などはそこに存在しなかったが、 しかしそんなことをここで話しても仕方が無いので、彼女は与えられた本を大事にしていた理由を素直に明らかにした。 「”私”の本だから……」 「……? ……えーと、それは元々ゆきりんさんが持っていた本だった、ということですか?」 長門有希は小さく頷いてそれを肯定する。 正確に言えば、それは彼女の所属する文芸部の本棚にあった本なのだが、彼女は口下手ゆえにそこまでは語らない。 「どーして、わかります? 同じ本でも別の人のかもかもですよ?」 「私の”栞”が挟まっていた、から」 言って、長門有希は一枚の栞を本の中から抜き出す。 ファンシーな花柄の、いかにも少女趣味といった感じのかわいらしい栞だ。 「……まぁいいですけど。ところで姫ちゃんは、さっきの水鉄砲とこれが入ってました」 自分の本が鞄に入っていたという偶然(?)には特に疑問がないのか、紫木一姫はその話題を打ち切り 今度は自分の鞄の中に入っていた武器を長門有希へと見せた。 それ――彼女の小さな手に握られるナイフを見て、長門有希は息を飲む。 「こっちは本物です。 しかも、このグリップの部分に秘密があってですね……ここを押すと、刃の脇から銃弾が飛び出すんですよ。 鉄砲とナイフの”シェルブリット”ですね」 それを言うなら”ハイブリット”じゃないかなと、長門有希は心の中だけで思う。 無口系文学少女(眼鏡付)の彼女にツッコミ属性は備わっていない。故にそれが心の中だけで止まるのは仕方ない。 しかし、思い浮かんだ疑問に関しては彼女は素直にそれを尋ねてみた。 「どうして、そっちを使わなかったの?」 「え? ……ああ、それは脅かすだけだったらナイフより銃じゃないですか。 姫ちゃん元々殺す気はありませんでしたし、そもそも刃物も銃も上手じゃないですから一緒なのですよ」 なるほどと長門有希は頷く。確かに見せかけだけならば拳銃の方が効果的だろう。 紫木一姫の小さな体躯のことを考えればナイフを持っていたとしても、さして脅威には思えないかもしれない。 少なくとも、逃げるという選択肢は浮かんでくるはずだ。 「あの、先ほどのこと怒ってますか? 姫ちゃん見ての通りおちこぼれですし、もうああやって”生き物狂い”にでもならないとって……」 ”死に物狂い”と心の中で訂正しつつ長門有希はゆるゆると首を振る。 ついさっきまでは彼女も恐怖で心を一杯にしていたのだ。 もし武器があったならば、目の前でしゅんとうなだれる子の様に自分が生き残る為にそれを振りかざしていた可能性もある。 「ありがとうございます! ゆきりんさんの心は”梅”のように広いですね!」 沈んだ表情から一転、紫木一姫はぱぁっと明るく笑う。 その無垢で花の様な笑顔につられて長門有希も表情を崩し、互いに優しく微笑みあい場がふわりと和んだ。 ついでに、”梅”は”海”の間違いだった。音も字も似ているけれども、意味は全然違う。 「それでですね。姫ちゃんは情報収集しようとしていたんですよ」 「……情報?」 「はい。突発的な緊急事態に陥ったらまずは状況を把握するために情報収集しろってのは耳に”梢”でしたので」 随分と器用な間違え方(○蛸 ×梢)に、もしかしてわざとなのだろうかと長門有希は思う。 それはさておき、情報収集をするというのはその通りだと彼女も同意した。 それを脅し取ろうというのは常時なら許されるものではないが、この状況なら仕方が無いとも思える。 「姫ちゃんは”師匠”のために行動したいのですけれども、ゆきりんさんはどうなんです?」 「……”師匠”?」 「あ。違います。師匠は師匠でも師匠違いです。名簿に師匠って載ってる方じゃなくて、こっち」 と言って、紫木一姫は長門有希が広げていた名簿の”いーちゃん”と記された部分を指差した。 「姫ちゃんの師匠なので師匠なのです。こっちの師匠は知らない人なので師匠違いの師匠ですね。 ちなみに姫ちゃんは今何回”師匠”って言ったでしょうか?」 「11回」 「………………ごめんなさい。姫ちゃん自分で数えていませんでした。 と、ともかくですね。ゆきりんさんはそういう大切な人っていたりしませんか?」 そう問われ、今度は長門有希が名簿の一点を指す。 そこに記されていたのは”朝倉涼子”という名前で、長門有希は彼女のことを少しだけ紫木一姫に話した。 「ふーん。同じマンションに住んでるお友達ですか。姫ちゃんと師匠も同じアパートに住んでるですよ。 じゃあゆきりんさんは、その”朝から旅行”さんの為に何をするんです?」 え? と、長門有希の口から声が漏れた。 それは親友の名前を間違われたことに対するリアクションではなく、質問そのものが予想外のものだったからだ。 何かをする。なんてことは全然考えていなかった。むしろ何もせずに死んでしまうだろうと思っていたぐらいだ。 「姫ちゃんは師匠のためになんでもする覚悟ですよ? 人間を殺さない方がいい。それはわかっていますけど、非常事態ですから仕方ありません。 師匠の命に比べたら、たかだか59人程度の命は姫ちゃんにとってはどうでもいいものなのですよ。 姫ちゃん自身も一度は死んだも同然の身なのです。だとすれば恩返しのために命を差し出すことすら惜しくは無いです」 目の前の自分よりも幼く見える少女が捲くし立てる様に長門有希は気圧され硬直する。 これがただの子供っぽいオーバーな表現であれば苦笑する程度だが、しかし彼女の眼に浮かぶ闇がそれを否定していた。 できるかできないかは不明だが、この子は本気だと長門有希は確信する。 「最後の最後は椅子の取り合いですけれども、目的が近ければ途中までは協力できると思うのですよ。 こうして打ち解けたのも”緑”なのですし……姫ちゃんとご一緒しませんか?」 ”縁”と”緑”の字は確かに似ている。だが、今はそんなことはどうでもいい。 長門有希は考える。自分に何ができるのか。朝倉涼子の為に何ができるのか。文芸部に戻るために何ができるのか。 そして、まだ名前も知らない”彼”にもう一度会うには何をすればいいのか。 「………………………………………………ここから、逃げる、方法を探せば」 「0点です。 おちこぼれの姫ちゃんでもわかるですよ。それって全然答えになってないです。 ただの保留。いえ、保留以下の停滞です。停滞以下の思考放棄です。生きることの放棄です。 できもしないことを、自分でもできもしないって思ったまま言うのは詐欺以下です。非道い裏切り行為です」 失望しました。と言って紫木一姫は”ソレ”を手に取った。 鉄砲が仕込んであるピストルナイフ――ではなく、カウンターの上のテープ台にはまっていた”セロテープ”を。 長門有希にはそれがどういった使われ方をするのは想像できなかった。 しかし―― 「とりあえず、死んでおいてください。生きていて師匠の足手まといなんかになられたら困りますから」 ――殺されてしまうということだけは、はっきりとどうしようもないぐらいに確信していた。 そして、それは一瞬。 ビュルゥビュルゥと、空気を引っ掻くような音が鳴り響いたと思った次の瞬間にガクンと吊り上げられるような衝撃。 そして気付けば宙を待っていた――いや、自分の首が飛んだのだと、床の上でバラバラになる自分の身体を見て理解し、 最期に、カウンターの上に置かれたままのあの本を見て、何かを思い、そして、意識は、途絶えた――…… 【4】 「……とりあえずは一人。ですか」 ”セロテープで長門有希を輪切りにした”紫木一姫は先ほどまでとは真逆の暗鬱な表情でぽつりと零した。 血塗れのテープを捨て、そして床に零れた血を踏まないように気をつけながらそこをそっと離れてゆく。 明かりから離れ、再び闇の中を行く紫木一姫。 17歳という年齢からは信じられないほどの小さな体躯。幼いままの顔。ツーテールには大きな黄色いリボン。 彼女が纏うは、名門女子進学校にして上流階級専門学校――澄百合学園指定の漆黒のセーラー服。 その実態は、四神一鏡専属傭兵養成学校――通称、首吊高校(クビツリハイスクール) そしてかつてはそこに所属し、高等部2年でありながらすでに断トツの戦闘力を有し、”ジグザグ”と呼ばれたのが彼女である。 彼女の有する戦闘技術。端的に言えばそれは”糸使い”。その技術の名前を”曲絃糸(きょくげんし)”という。 「名簿に名前がないってことは、師匠は姫ちゃんがいることにまだ気付いてませんよね。 じゃあ、見つかって怒られる前にいっぱいいっぱい殺しておくですよ」 世界最強に届くその技術を彼女は恋する男性のために、少女の心で少女の様に、繊細に精密に秘密裏に振るう。 「とりあえずは”糸”を探さないとですね。”糸”がないと姫ちゃんただの子供ですし」 ジグザク遣いの曲絃師。もう終わっている彼女の、闇雲なジグザグの物語が今から始まる――…… 【D-2/図書館/一日目・深夜】 【紫木一姫@戯言シリーズ】 [状態]:健康 [装備]:澄百合学園の制服@戯言シリーズ [道具]:デイパック、支給品一式、シュヴァルツの水鉄砲@キノの旅、ナイフピストル@キノの旅(4/4発) [思考・状況] 1:いーちゃんを生き残りにするため、他の参加者を殺してゆく。 2:糸。または糸状のものを探す。 [備考] 登場時期はヒトクイマジカル開始直前より。 【澄百合学園の制服@戯言シリーズ】 澄百合学園指定の漆黒のセーラー服。 上はダブルボタン。下はプリーツスカート。大きめのタイは黄色。足元は黒のハイソックスに同色のローファー。 【シュヴァルツの水鉄砲@キノの旅】 シュバルツという男性が鉄砲ごっこの時に使っていた水鉄砲。 ぬ? 【ナイフピストル@キノの旅】 キノが所持しているナイフの一つ。刃渡り15センチほどで全長26センチ。 円筒形のグリップの中に鉄砲が仕込まれており、鍔の所にあるトリガーを引くことで4発まで発射できる。 レーザーポインタ付。モデルとなっているのは”87式ナイフピストル”。 【5】 貸し出しカウンターの上に置かれたままとなった一冊のSF小説。 その脇からのぞく一枚の栞。その片面には明朝体で以下のような言葉が記されていた。 『プログラム起動条件・鍵をそろえよ。最終期限・二日後』 これが、この物語の中で意味を持つ伏線《フラグ》なのか、それとも無意味な冗句《ユーモア》なのか、それは不明である。 【長門有希@涼宮ハルヒの憂鬱 死亡】 ※ 長門有希@涼宮ハルヒの憂鬱の登場時期は涼宮ハルヒの消失よりでした。 ※ 図書館の貸し出しカウンターのそばに長門有希のバラバラ死体と彼女の荷物が残されています。 デイパック、支給品一式、ハイペリオン(小説)@涼宮ハルヒの憂鬱、長門有希の栞@涼宮ハルヒの憂鬱 【ハイペリオン(小説)@涼宮ハルヒの憂鬱】 キョンが始めて文芸部部室に入った時、長門有希が読んでいた本。 またその後、彼女が彼に貸した本でもある。 【長門有希の栞@涼宮ハルヒの憂鬱】 ハイペリオン(小説)に挟んである長門有希の栞。 ファンシーな花柄模様で片面には彼女からキョンに向けてのメッセージが記されている。 投下順に読む 前:二人の選択 次:酔っ払いの話 時系列順に読む 前:二人の選択 次:酔っ払いの話 長門有希 死亡 紫木一姫 次:ドラゴンズ・ウィル
https://w.atwiki.jp/zohar/pages/17.html
タロンギ 大事なもの Zohar Eldridge Elel Lacovie 咲き乱れたマンドラゴラの花 ○ 欠けたサンドウォームの牙 Glavoid 脂の乗ったコカトリスの皮 湿ったサンドウォームの殻 瑞々しいマンティコアのたてがみ 滲んだナットの翅 Chloris 瞼付きのヘクトアイズの目 裂けたコウモリの翼 肉片が付着したサソリの爪 すべすべなアダマンタスの甲羅
https://w.atwiki.jp/zohar/pages/15.html
ラテーヌ 大事なもの Zohar Eldridge Elel Hadhayosh 大羊の霜降り肉 血に濡れた剣虎の牙 血塗られたギガースヘルム ○ 光り輝くピクシーのチョーカー Briareus 破られたギガースの盾 ○ ○ 潰れたギガースの腕輪 ○ ○ 断ち切られたギガースの首飾り ○ ○ Carabosse 透通ったフライの複眼 煌くピクシーの羽根 Karkinos 異臭を放つクラブの甲殻 ○