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どうしようか。 何も持たずに森に入ったら迷ってしまった。もう3日経ったろう。 俺はここでくたばるのか、そう思った途端力が入らなくなり仰向けに倒れてしまった。 それからしばらくして、「みぃみぃ」という鳴き声と共に目の前にタブンネが現れた。手にオボンの実を持っている。腹が減っている俺はすぐにタブンネの触覚に触る。 俺がどういう状況かわかったタブンネはオボンの実を俺に渡す。礼にやれる物が無いのでタブンネの頭を撫でてやると気持ち良さそうにしていた。 とりあえず俺は再び帰り道を探すことにした。するとタブンネがついてくる。本当に「やさしいポケモン」なんだな。 腰に手をかけた時、未使用のモンスターボールがあった。これでタブンネを捕獲。嬉しそうなタブンネを見て少しいじめたくなってきた。 あれから2日、まだ出れない。 腹の減った俺の目の前にはさいせいりょくのタブンネ。俺は食欲を抑えきれず、タブンネの両耳を引き千切った。 「みぃぃぃぃぃ!」と悲鳴をあげるタブンネ。逃げられる前にさっさとボールへ戻す。 頑張って火をおこして耳を焼く。こんがり焼けたところでタブンネをボールから出す。 出てきたタブンネは涙目で再生した耳を押さえていた。どうも嫌われたようだ。仕方ないのでタブンネを説得する。 「さっきはすまなかったな、タブンネ。でも仕方ないんだ。食料が無いのだから。だから、1日一回耳をくれ。飢えをしのぐにはこれぐらいしか無いんだ。」 タブンネは渋々承諾する。いい子だと頭を撫でてやり、焼けた耳を渡す。 タブンネはさっきまで自分の一部だった物を食べるのをためらっていたがこれしか食べ物が無いから仕方ないと食べ始めた。 それから毎日、タブンネの耳を千切ってボールに戻して耳を焼く。タブンネはこの気がおかしくなりそうな作業を必死で耐えていた。 やっと帰ってこれた。タブンネは自分の事のように喜んでいる。 家についた俺は命の恩獣とも言えるタブンネにオボンの実を沢山あげる。タブンネは美味しそうに食べている。 最後の食事おいしかった?と聞くとタブンネは首を傾げた。「最後の」とはどういう意味か気になるようだ。 俺はあるポケモンをボールから出す。腹を空かせたボーマンダ。俺はボーマンダに「できるだけゆっくり味わって食えよ」と言う。 ボーマンダはタブンネに襲いかかる。タブンネは逃げだす。しかしボーマンダは飛んで回り込む。タブンネは俺に助けを求めた。俺ならきっと助けてくれると思ったのだろう。 俺はタブンネの近くへ寄る。タブンネは安堵の表情を浮かべている。その顔を見た俺は頭を撫でるフリをしてタブンネをボーマンダに向けて突き飛ばす。 凄まじい絶望の顔でタブンネはボーマンダにかじられる。そこで俺はタブンネのボールを叩き壊す。さいせいりょくによる回復も出来なくなり、タブンネは更に絶望していた。 最期に「みいぃ…」と鳴いた時の表情をみたとき、勃った。 名前 コメント すべてのコメントを見る
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占い師と少女 マッドガッサー決戦編 13 ○月×日 22:16 光の無い、完全に真っ暗な空間。 美術準備室の天井裏の隙間は狭く、ついでに黴っぽかった。 もちろん、誰かが掃除をしてくれるはずもなく、それが当然ではあるのだけれど。 私たち一行は、不良教師さんを先頭に、弟さん、白骨標本さん、人体模型さん、金さん、占い師さん、大将、私の順に、屈みながら先を急いでいた。 ――――そして、数分後 カコン、と何かが外れるような音。 それと共に、微かながら光が入ってきた。 その光を目印に、私たちはぞろぞろと天井裏から這い出ていく。 …………途中、鼠の糞のような物を踏んだような気がしたけど……気にしないでおこう、うん。 天井裏から抜け出すと、視界に薄暗い教室が入ってきた。二階にあった教室と場所が同じだとすれば、結構な距離を歩いてきた事になる。 「あー。ずっと屈んでたせいで腰がいてぇや」 私の隣で、大将が腰を叩いていた。 「なに、これからしばらくは説得待ちだ。ゆっくりすればいい」 「ちょっと戦う位なら、僕はもう大丈夫だよ」 凝った体をほぐそうと柔軟体操を始めた弟さんに、占い師さんが声をかけた。 「もし説得が失敗したら、また階段を溶かしてもらう事になるかもしれないからな。今は休んでおいたほうがいい」 「でも、あれ疲れるんだけどなぁ」 「その時は兄貴に労をねぎらってもらえばいいさ。なぁ、弟思いの青年?」 占い師さんの言葉に、不良教師さんは少し苦い顔をした。 「まぁ、労をねぎるくらいな――――」 「本当っ!? じゃあ、次の連休、2日とも一緒にどこか行こうよ、兄さん」 「……いや、待て。そこまでの約束は――――」 「これだけ働いてるんだ。一日や二日くらいどうって事ないだろう?」 ああ……占い師さんが黒い……。 言葉を遮られ、どんどんと逃げ場を失っていく不良教師さんを見て、合掌。 ――――そんな時だった。 『……ん? 何か聞こえまへんか?』 唐突に放たれた人体模型さんの言葉。 一瞬、私たちに緊張が走るも、これと言って何か怪しい音は聞こえてこない。 『私には、何も聞こえませんが……』 「……私も、もともと石像ですから、そんなに耳はいい方じゃありませんね」 白骨標本さんと金さんも、揃って首をかしげていた。 しかし、周囲を占い師さんが視て…………その顔が、強張った。 「おい、教師の青年。この学校ではゴ(ピー)が繁殖してるのか?」 「繁殖はしていないだろう。もちろん、一匹や二匹なら時々見かけるが」 「いや、一匹や二匹じゃなく何十……違うな、何百匹のゴ(ピー)の波が、この教室に向かってるんだが……」 その言葉が終わるか終らないかの時点で、私たちにもその足音が聞こえてきた。 かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ………… その音は、占い師さんの言葉通りこちらへ向かっていて、 かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ………… 非常灯だけに照らされた薄暗い教室で、その足音は余計に強調されて、 かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ………… その足音が教室に入ってきた時 ドッシャーーーーーーーーンッ!!! 唐突に落ちた雷が、「それら」を照らした。 「それら」は黒い塊で、一匹一匹に触覚が映えていた。 「それら」は黒い絨毯のように行動を共にし、尽きる事のない波となっていた。 「それら」はゴ…………じゃない、Gだった。 「ひっ…………」 人間、恐怖を感じると叫ぶか、押し黙るかの二つに分かれるらしい。 そして、どうやら私は後者だったようだ。 かさかさと群れを成す「それら」を見て、私は息をのんだ。 動けない私たちをよそに、「それら」はどんどんと距離を詰めてくる。 そして、その距離が数メートルにまで近づいた時 「いやあああああああああああっ!!」 ……私は、思い切り叫んだ。 前言撤回。どうやら、私は押し黙った後に叫ぶタイプの人間だったらしい。 私の叫び声に反応したのか、「それら」が一斉に私へと向かって歩みを進めてくる。 かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ………… 波が、動けない私を飲み込もうとうねり、 「危険を感じたら動け。そんなんじゃこの後命がいくつあっても足りないぞ」 ふわり、と。 波が私を飲み込む直前、占い師さんが私を抱え、右へと退いた。 黒い波は、ついさっきまで私がいた所へと殺到し じゅううううううううう…………っっ!! ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ! コーラの波に呑まれ、白い刃で切られていった。 「こんなに沢山見たのは初めてだよ」 「出来れば二度と見たくないもんだ」 見ると、弟さんがコーラを繰り、黒い波を、ペットボトルから出るコーラで溶かしていた。 その取りこぼしを、白骨標本さんが切り落としている。 「大丈夫か、未来」 「あ、はい。えっと……ありがとうございました」 占い師さんに尋ねられ、抱きかかえられた事に多少赤面しながら、私は頭を下げた。 「今度からは気をつけろ。次何かあった時、俺が助けられる位置にいるとは限らないからな」 「はい…………ごめんなさい」 「なに、一回の間違いくらいは誰にでもある。二回も同じ間違いをしたら、その時は本気で怒るけどな」 軽く私の頭に手を乗せて、占い師さんは黒い波へと目を移した。 その視線の先、弟さんと白骨標本さんが、襲いかかってくる黒い波を駆除していた。 どうやら周囲を丸くコーラの輪が囲っている関係か、黒い波は私達や彼らの元にまでは辿り着いていない。 「切られても死なない上、驚異的な繁殖力、か…………都市伝説のゴ(ピー)とはまた、この学校には奇妙な物ばかりがいるな」 私たちの視線の先で、白骨標本さんに切られた物体は、少し蠢いたた後に体が再生していた。 再生するG……出来れば、一生のうちで一度も会いたくなかった。 切られても再生する、という事実にに気付いたのか、白骨標本さんは少し驚いたような顔をして(表情が分からないから推測だけれど)、コーラの輪の中へと退散した。 その状況を見て、占い師さんが、黒い波を挟んで反対側、弟さんたちと一緒にいる大将へ向かって尋ねる。 「大将、『戦争状態の購買』の能力でこいつらを操る事は?」 「7、80匹くらいならギリギリ何とかなるっちゃあなるが、この量じゃとても無理ってもんだ」 大将が首を振った。 …………そっか、鼠の時みたいに大将をあてにはできないのか……。 「……いや、それで十分だろう」 密かに落胆する私をよそに、不良教師さんが大将の肩を叩いた。 振りむいた大将の耳に、二言三言、不良教師さんが何かを伝えている。 「…………ん? そんなんでいいのか?」 数秒後、話を聞き終えた大将が怪訝な顔をしていた。 「恐らくは」 「んー、まぁ、俺には学もねえから、兄ちゃんの言う事を信じる事しかできねえんだけどよ」 そう言って、軽く腰を落とす。 「……んじゃ、始めるとすっか」 ずん、と 大将が言い終えると同時に、部屋に奇妙な圧迫感が生まれた。 その気配を感じ取ったのか、はたまた大将の能力なのか、波の一部……前線にいた数十匹のGが、その活動を停止していた。 「……よっし、行くぞ」 言葉と共に、支配された数十匹のGが行動を開始する。 けれど、支配されたのは前線の数十匹。 かさかさかささかさかさかさかさかさ………… かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ………… その数十匹は、私たちを襲おうとしている他のG達と真っ向から衝突していった。 泡を食ったように、そのG達の進行を止めようとする後方のG達。 比率は1:10……いや、それ以上だろう。 どう考えても多勢に無勢。大将の支配したGだけではどうにもならない状況の、はずだった。 ………………しかし 「…………え?」 私は、目の前で起こった事に、思わず眼を疑った。 ……前線のGを押しとどめようとしていた後方も、競って外へ出ようとしていたのだ。 (…………どうして?) 大将の能力では、一度に数十匹が限界だと、大将自身が言っていたはずだけれど……。 私は、その原因であるはずの大将を見る。 「ほー、上手く行くもんだなぁ」 …………しかし、大将はなぜか感心したような声を上げているだけだった。 「……何をしたんですか? 大将」 それから数分後、遮断されていた教室が開通され、私は大将に尋ねた。 既にGの群れは教室から去り、教室にあった椅子や机があらかた壁際まで押されはしていたが、後はもう10匹程が残っているだけとなっている。 「いんや、俺はただ、あの群れを操っただけだぜ?」 「でも、一度にあの数を操るのは無理なんじゃ……」 首をひねる私に、不良教師さんが解説をしてくれた。 「あの群れ、一見統制が取れてるように見えるが、結局は流れと本能で動いてるだけだ」 「えっと…………?」 「つまり、俺が一度操って後退の流れを作って、後はどんどん操る範囲を後ろに下げていきゃ、支配が終わっても流れのままで進むってわけだ」 …………なるほど。 操られていた事に気づくある程度知能がある動物と違って、Gみたいに本能で動いている昆虫は、流れさえ作ればどうとでもなる、という事なのだろう。 「つってもまぁ、白衣の兄ちゃんが教えてくれなきゃ、俺の頭じゃ到底思いつかなかっただろうがなぁ」 大将が笑いながら、残ったGを操り、外へと追い払っている。 何となく和やかな雰囲気。 ……その傍らで、占い師さんが何やら気難しい顔をしていた。 「今の、随分な騒ぎになったが……あちらさんの誰かに気付かれたかもしれないな」 ――――そして パンッと、占い師さんの言葉に呼応するかのように、軽い銃声が教室内に響いた。 前ページ次ページ連載 - 占い師と少女
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質問 至急 教えて下さい 聞きたいことがあるので詳しい人来て下さい
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These are fairly obvious characteristics. p. 60, Ur, P. (1991). A course in language teaching Practice and theory. Cambridge Cambridge University Press.
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ココカラウイルスチュウイゾーンニイクコトガデキマス ヒジョウグチワココマデ モドルコトヲオススメスル ホカニココカラ「神秘の部屋」ニイクコトガデキマス 有害ゾーンに行く 神秘の部屋に行く
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非常食? 宵闇の中を、のっしのっしと歩く影があった。 2メートルにも及ぶかと思われるほどの巨体は、人間の男である。 男臭い厳つい顔立ちのてっぺんは、1本の髪の毛もない禿頭。 ぱっと見ただけでは肥満にすら見えるその身体は、全身是筋肉の塊。 地上本部特務部隊の一員にして、鋼鉄の巨人・ネオゲッターロボのパイロット――武蔵坊弁慶である。 「まぁったく、一体何がどうなってやがるんだぁ?」 不機嫌そうにぼやきながら、弁慶は市街地を進んでいく。 人っ子1人どころか、彼以外にはまるで生物の気配の存在しない、不気味なゴーストタウン。 しかしながら、弁慶はそれにも――突き詰めれば、この状況そのものにすら、おくびも恐怖を抱いていないようだった。 「いきなり殺し合いをしろなんて、馬鹿馬鹿しいこと言いやがって」 それが癖であるのか、はたまた単純に頭がいい方ではないからなのか、いちいち心の声を口に出す。 かつては名の知れた山賊として、暴力と欲望の限りを尽くしたといえど、今の弁慶はこれでも立派な僧侶だ。 喧嘩っぱやい性格がなりを潜めたとは到底言いがたいものの、不必要な殺生は好まない。 殺していいのは、例えば鬼などの自分達を脅かすものであり、こうした私欲のための殺人は、到底受け入れられるものではなかった。 「とりあえず、あのプレシアってぇ女は一発とっちめてやらねぇとな!」 人攫いをした上に、こんなふざけたデスゲームを自分達に強要した極悪人。 ばしん、と右拳で左の平手を音高く殴ると、弁慶は意気込んだ。 「……あれ?」 と、不意にその険しい表情が緩む。 さながら風船から空気が勢いよく抜けたような、劇的なまでの変化。 「でも……どうやってやりゃあいいんだ?」 思いっきり怪訝そうな表情を浮かべて、弁慶は首を傾げた。 人間離れした強靭な肉体を持つ破戒僧は、武器さえあれば魔導師とも渡り合えると自負している。 しかし、問題はどうやってプレシアの元へと到達するかだ。 あの椅子に座らされていた時、最後に見たのは転移魔法の光だった。 彼女が待ち受けている場所は、このフィールドとはまるきり別の場所と考えられる。 そんな場所へ、魔法に関してはまるで門外漢な弁慶は、一体どうやって行くことができると言うのだろう。 加えて言えば、首にかけられた爆弾の存在もある。たとえ相対できたとしても、立ち向かった瞬間に爆破されるかもしれない。 力ずくでもどうしても外すことができなかったこれを着けた状態で、一体どうやって戦えばいいのだろう。 考えれば考えるほど頭がこんがらがっていき、弁慶の表情が徐々に苦虫を噛み潰したようなものになっていく。 「……あーやめやめ! まぁ何とかなるだろ、うん!」 思いっきり頭を振ると、弁慶は脳内から思考を外に放り出した。この男、頭は思いっきり悪い部類に入るらしい。 そして、デイバックから名簿を取り出すと、そこに目を通す。 「しっかし、スバルやティアナがいるのは当然として……なんで隼人の奴はいねぇんだろうな」 名簿の中には、つい先ほどまで一緒にネオゲッターに乗っていた、2人の少女の名前がある。 それらのことから、彼はゲッターごとこの場所へと送られて、そこから下ろされてあの椅子に座らされていたのだと思っていた。 しかし、スバルの駆る一号機に同席していた盟友・隼人の名前はどこにもない。 ゲッターごと転送されたのならば、どこかにいるはずなのだが……と、弁慶は頭をひねっていた。 「まぁ、アイツならどうにか生き残ってるだろ」 心配することの方がおかしい、といった様子で呟く。 何だかんだいって、あの隼人が敵の手にかかった様子が、弁慶にはどうしても想像することができなかった。 旧ゲッターチームの中でも唯一頭が切れ、おまけに腕っ節もしぶとさも一級品ときた、あのパーフェクトな超人は、きっとどこかで生きている。 それに彼ならば、下手に心配をかけようものなら、「余計なお世話だ」と鼻で笑うだろう。 故に、この場は彼のことを、全面的に信頼することにした。 「それに、むしろ問題なのはこっちの方なんだよなぁ……」 言いながら、弁慶はデイバックの中を覗く。 目に入ったのは、いくつかの食料品。あらかじめプレシアから支給されていた命綱だ。 「……足りねぇよなぁ、これじゃ……」 大食漢の弁慶は、がっくりとした様子でため息をついた。 「あーもう、どうなってるんだよぉ!?」 少年のような声が、無人の街中に響き渡る。 しかし、その容貌は、人間の少年のそれとは大きく異なっていた。 まず、身体が黄色い。グローブのようにして腕につけた赤いベルト以外は、全身鮮やかな黄色だ。 続いて、顔が人間じゃない。長い顎と鋭い牙は、どこからどう見ても爬虫類の顔立ちである。 さらに、尻尾もある。そんなに長い方でもないが、尻の部分からひょっこりと尻尾が顔を出している。 どう考えても人間には見えず、むしろ恐竜の子供といった様子の外見だった。 この人語を話す奇妙な爬虫類もどきは、名をアグモンと言う。 ミッドチルダと繋がったサイバー世界・デジタルワールドに住む、データの塊のような存在。通称デジタルモンスター。 それがアグモンの正体だった。 「姉御ともはぐれちゃったし……ああ、心配だ……フリードはちゃんとついてるのかな?」 せわしなく早口で呟くのには、それなりのわけがある。 そもそもアグモンは、先ほどまで彼のパートナー――キャロ・ル・ルシエと共にジャングルを歩いている真っ最中だった。 しかしその道中で、長旅の疲れが祟ったキャロは、高熱を出して倒れてしまったのである。 そこからフリードに案内されて、彼女を休めさせることのできる洞窟へと向かっていたのだが、 不意に意識が途絶えてしまい、気付けばあの場所で椅子に座らされていたのだ。 つまり、アグモンからすれば、キャロは病気で倒れたまま、この広大な殺し合いのフィールドに放り出されたということになる。 「とにかく急いで姉御を捜さないと……あー、でもどこにいるんだろ?」 精神年齢の幼いアグモンにとっては、このデスゲームよりも、重要なのはパートナーの方らしい。 パニック寸前になりかけた彼には、この異常な状況にまで神経を向けることはできなかった。 「えーと……こっちだ! 何となくこっち!」 慌てていたアグモンだったが、ここでとりあえずの行く先を決めて、ゴーストタウンを走り出す。 根拠なんて特にない。ただ、どこへ行っていいのか分からないが故に、当てずっぽうに頼っていた。 そんな何となくで選んだ道を、アグモンはひたすらに走っていく。 そして。 「……お?」 野太い声を漏らした、その男と出くわした。 (何だぁ、コイツ?) (何だろ、この人?) 弁慶とアグモンがそれぞれに抱いた第一印象は、大体似通った感じだった。 (トカゲか何かか? にしても、二本足で立つなんざ、ずいぶんとまぁ器用な奴だな……) デジタルモンスターの存在など知る由もない弁慶にとっては、アグモンは完全に珍獣も同然である。 見たところワニのような顎を有していたが、その割には手足は妙に発達しているし、身体も黄色い。 首から下の構造は、むしろ鬼に近いと言っても過言ではなかった。 (すっごい筋肉……身体も大きいし、レオモンとかワーガルルモンみたいだ) 人間などキャロ以外にロクに見たことがないアグモンにとっては、弁慶はまさに異様な筋肉ダルマ。 華奢で小柄な彼女の姿形からは、大きくかけ離れた屈強な肉体。 それこそ、前述の強力な獣人デジモン達にすら匹敵するような、極めて強靭な印象を受けた。 (この人も参加者なんだ) そして、首輪に気付いたアグモンは、とりあえず弁慶と対話を行おうとし、 首輪に気付かないが故に、アグモンをそこらの動物か何かだと思っていた弁慶は、 (……食えるのかな、コイツ?) 【1日目 深夜】 【現在地 D-2】 【武蔵坊弁慶@ゲッターロボ昴】 【状況】健康 【装備】なし 【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3個(確認済み) 【思考】 基本:殺し合いを止め、プレシアを打倒する(どうやって戦うかは考えていない) 1.スバル、ティアナと合流 2.このトカゲみたいな奴(=アグモン)を捕獲して、食料にする 3.隼人は多分大丈夫だろう 【備考】 ・5話終了後からの参戦です。 ・自分とスバル、ティアナ、隼人の4人は、ネオゲッターロボごとここに送り込まれたのだと思い込んでいます。 また、隼人がどうして参加者の中にいないのかという疑問を持っていました。 ・隼人がこのゲームに関わっていないことを知りません。 ・アグモンがゲーム参加者であるということに気付いていません。 【アグモン@デジモン・ザ・リリカルS F】 【状況】健康・焦燥 【装備】なし 【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3個(未確認) 【思考】 基本:熱を出して倒れたキャロと合流する 1.目の前の男(=弁慶)と対話を行う 2.やっぱりフリードもここにいるのかな? 姉御を守ってくれているといいけど…… 【備考】 ・2話で、フリードと共にキャロを洞窟へと運んでいる最中からの参戦です。 ・キャロが病気で倒れていると思い込んでいます。 ・このゲームそのものに関しては、気が回っていないようです。 狂奔する正義 本編時間順 勇気の選択 狂奔する正義 本編投下順 勇気の選択 GAME START! 武蔵坊弁慶 - GAME START! アグモン -
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非常式看板K ひじょうしきかんばんけい【登録タグ AlightMotion ひ 文字PV 映像制作者】 特徴 2021年4月24日に活動開始後、2022年2月6日に文字PVを初投稿。 Alightmotionを主にを使用している。 空間的な文字PVが特徴。 作品 初投稿 リンク Twitter Youtube
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鋼の心 ~Eisen Herz~ 第29話:フロントミッション 漆黒の闇を割くようにフランカーのヘッドライトがトンネル内を照らす。 とは言え、速度が速度だ。 闇に浮かんだ道は認識するよりも早く後方へと流れて行く。 頼りになるのは視界よりもむしろ地図。 途中数箇所のパイプの繋ぎ目以外は、平坦な円筒形の中を突き進んでゆくだけなのでそれでも問題は無い。 「この分なら、思ったよりも早く着きそうですね……」 ピアス型のオプションである、短距離通信機越しにカトレアの声が聞こえた。 「……ん」 如何とでも聞こえる反応だけを返し、アイゼンは少し速度を落す。 「……そろそろ中間地点」 「地上では海上プラントに向けて出発した所ですかね?」 「……多分」 彼女達が行く集合パイプの中は送電線もある為、外殻には防磁処理が成されているので外部との通信は出来ない。 アイゼンたちの目標破壊と、祐一たちの施設突入のタイミング合わせは完全に時間に依存だ。 刹那を争うようなシビアさでは無いが、破壊が早ければ、祐一たちの突入前に防衛線が復帰してしまう可能性があるし、遅ければ、突入した祐一たちは防衛線に阻まれ一巻の終わりだ。 しかし、現状道程半ばで消費時間は半分よりも少ない。 この分ならば充分に間に合うだろう。 「……!!」 少しだけ狭くなっている集合パイプの繋ぎ目を潜り抜け、アイゼンとカトレアは再びスロットルを上げて加速する。 タイムリミットまで、あと12分13秒。 ◆ 「さて、そろそろ行こうか?」 一同を見渡し、島田雅が言った。 「所で、祐一は? 後ついでに美空ちゃんとリーナも」 「船室で何か弄ってたましたが」 「?」 セタの解答に首を捻りつつ、雅は甲板の窓から船室をのぞく。 「……何者だったんだ、あのじいちゃん?」 そう呟く祐一の前にはジュラルミンのケース。 神姫センターを出る際に、謎の老人から貰った物だった。 中身は……。 「神姫用のパーツね。……それも、ストラーフとアーンヴァル用の追加パーツ?」 横合いから覗き込むリーナ。 「市井じゃ出回ってない品ね? ケースのロゴがFrontLineって事を考えると、件の老人。FrontLineの関係者だったのかしらね?」 「……すぐ使えそうだな……。素性は分らないけど、造りはしっかりしているみたい……」 メンテナンス用のハッチから内部をざっと調べた限りでは特に不審な点もない。 「カナードと追加ブースター。リアウイング用の新型エンジン……。それから強化型の追加センサー、っと……」 「これなら換装するのに10分要らないわね。……如何する、美空?」 リーナに問われ、肩の上のパートナーと目を合わせる美空。 「……」 微かに頷くフェータに頷き返し、美空は、 「お願い、フェータに使ってあげて」 そう答えた。 ◆ 海底を走る回廊を抜け、アイゼンとカトレアがプラント基部に到着したのは予定時刻の5分前だった。 「……地図だと、ここが最下層のホールですね……。目標は一階層上のホールから扉一枚隔てた場所」 非常灯で微かに照らされた広大な空間は、かつて、掘削資源の集積場として使われていた筈の場所。 使用後のメンテナンスで清掃されたのか、床には土などは落ちておらず、放棄された年月に等しい埃が堆積しているのみだった。 「ここからなら距離的に2分かからないで辿り着ける。……辿り着いてしまえば、ブレードでケーブルを切るだけ、10秒あれば充分ね……」 そう言って、カトレアはエレベーターに向かうアイゼンの背を追った。 「スイッチを押してはいけませんよ?」 「……?」 『△』と刻まれたコントロールパネルに手を伸ばしたまま首を傾げるアイゼンに、カトレアは溜息を付いた。 「エレベーターが動けば、当然施設を管理している目標に情報が流れます。……ここには居ないようですが、先ほどのブラックタイプが大挙して押し寄せてくるかもしれません」 ん~? と暫し考え、アイゼンは、 「……ぽちっとな」 スイッチを押した。 「何で押すんですか!?」 流石に怒鳴るカトレア。 もちろん、取り返しが着く筈も無く、エレベーターは軋みを上げながらゆっくりと上昇してゆく。 「……他のルートは人間用の扉だけ。……あれは重くて開けられない……」 「天井を溶断するとか出来るでしょう!? この装備のスペックなら、2分もあれば二人掛りで充分な大きさの孔を開けられた筈です!!」 「……それはわかってる……」 「なら―――」 激昂するカトレアの眼前で、アイゼンは静かに頭を降る。 「―――……どっちにしたって、バッテリーを壊せば気付かれる。……戦闘は避けられない」 「あ」 確かにその通りだ。 アイゼンたちの行う破壊工作は、施設外でのブラックタイプのコントロールを奪う為の物で、施設内の敵までは無力化出来ない。 目標を破壊すれば、当然ながらそこに戦力が差し向けられる。 「……目標破壊後、私たちはマスターと合流する為に1階まで昇らなければならない。……敵との戦闘は必至。……なら、その時に余力がある方が良い……」 「……」 目標達成の為ならば、確かにカトレアの案がベストだろう。 だがしかし、『その後』まで考えるのであれば、それはアイゼンの案に劣る……。 「……それに」 「?」 一端言葉を切り、アイゼンはエンジンユニットを手に取り、戦闘準備を整えて行く。 「……それに、破壊前に敵が居る可能性も大きい」 「え?」 上昇するエレベーターにあわせ、ゆっくりと二階の床が近付いてくる。 そして、それが背丈よりも低くなった頃。 「……あ」 上層ホール中央に佇む『敵』の姿をカトレアは捉えた。 ◆ 「ブラックタイプ、迎撃に来ました!! LC3の射程まであと5分!!」 「……マヤア、アルストロメリア、ストレリチア。……現状では航空戦力はお前達3人だけだ、フェータが出られるようになるまでの間は、敵を倒すより引き付ける事を優先して!!」 「はいです。がんばるです!!」 「……集団戦ハ苦手ナンダガ、……マァ仕方ネエナ……」 そう答えて離陸するアルストロメリアとストレリチア。 「……良く分らんが、ビューってやってゴーってして、ドンパチド~ンってやればいーんだな?」 「マヤァはもう、好きに戦っていいよ。……味方だけは誤射しないでね?」 「おうよ!!」 ぐっと親指を立てて笑うと、マヤアはアーマーモードから一瞬で変形を終えたレインディアバスターに乗り、先行する二人を追いかける。 「……さてと。……頼むぞアイゼン、カトレア……」 数瞬の後、午後の空に爆光が灯り、激戦の幕開けを告げた。 ◆ 「こ、これは、神姫なの?」 アイゼンとカトレアの前に立ちはだかるのは、紛れも無く異形。 太い6本脚と、朱天形の鋏で構成された両腕。 機体上部には背後から伸びるフレキシブルアームの先端に大小二種類の砲身。 全体的なシェルエットは、あえて言うならばサソリのソレだった。 「……ここが狙い目って事ぐらい、敵も分っている。……当然護衛を置く」 「でも、こんなのと戦っている時間なんて無いんですよ!? マスター達の突入まであと5分も無いのに!!」 「……だから、『私たち』が来たの……」 「……」 息を飲むカトレア。 確かにその通りだ。 今するべき事は唯一つ。 「……見敵必殺、サーチ&デストロイ。ですか……」 「ん」 頷くアイゼンの横顔は、微かに口端を吊り上げた笑みのそれ。 「……良いでしょう。粗悪品のマリオネット如き、この私の敵ではないと教えて差し上げます!!」 「……ん」 頷き、同時に左右に分かれて加速。 あっという間に壁を蹴って敵へ向かうのと、今しがたまで居たエレベーターが、敵の主砲で粉砕されるのはほぼ同時だった。 ◆ 「……地下に敵? ……海底の集合パイプからですか……」 最上階、コントロールルームで戦場を映し出すモニターに目を向けるフブキ。 「なるほど、そんなルートもありましたね……」 防衛用に配置していたのはアルアクランが一機。 恐らく間に合わない事を承知で、一応ブラックタイプを1ダースほど差し向ける。 「……と言うことは、外の連中とタイミングを合わせるつもりですか……」 今から迎撃に出ている1000以上のブラックタイプを呼び戻しても間に合わないだろう。 「……ならば」 フブキは、残りのアルアクランの出撃準備を整え、自らも刀を手に取る。 「……ここまで辿り着けるかどうか……」 目を閉じれば、今でも鮮明に思い出せる主の姿。 「……我が主の期待、裏切らないで頂きたいものですが……」 最早、時間も残り少ない。 恐らく間に合わないのだろうと思いながらも、彼女は手を抜くつもりは無かった。 「……主よ、最期の命令。……もしかしたら、果たせるやも知れませぬよ……」 そこに微かな希望を残しつつ……。 第30話:フロントミッション2ndにつづく 鋼の心 ~Eisen Herz~へ戻る すっかり月一更新が板についてきたALCです。 というか私生活がガクガクな上に「ぼくらの」の10巻でマチが、マチがぁぁぁぁぁ(泣)。 小説版には出てこないわ、アニメじゃお兄ちゃん撃ち殺すわ、なにかと不運な娘でしたが、まさか原作版が一番悲惨な結末だとは……(良い子なのに……)。 これでウシロが最後の通常戦。引継ぎ戦は多分コエムシでしょうな……。 とまぁ、そんな感じで欝ってた間にオリジナル神姫(フルカスタムハウリン)などを作りつつ、気付けばもう2月も半ば……。 あれ、正月終わったのってついこの間だったじゃん? と言う訳でこの一ヶ月はこんな感じでした。 作った神姫は「fg」ってサイトにUPしてますので、気が向いたのでしたらば是非見てやってください。 ようやくG級ハンターになったのにナルガ倒せないALCでした~。 ではまた。 あ、次の更新はきっと来週ぐらいに……。 出来るとイイナ……。 -
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注意…ディケイド時空 少女は駆けていた 何かから逃げるように あるいは何かを追うように 自分自身の定まらない奇妙な浮遊感の中 ただ少女は駆けていた 階段を上り、非常灯に導かれ終に一枚の扉に行き着く 何に追いつくのか、あるいは何かから逃げ切るのか 少女は導かれるまま扉を開く、その先は吹雪く銀世界だった 邪悪なる者あらば――の霊石を身に付け―の如く邪悪を打ち倒す――あり どこかで聞いた昔話の言葉が頭にフラッシュバックする 吹雪の中、一対の怪人が相対する、虚ろな瞳の白き闇と紅光たる瞳の黒き闇 白が手を翳せば黒が燃え上がり、黒が手を翳せば白が燃え上がる 互いに炎を振り払った闇が拳を振りかざし交差する 生々しい音と共に銀世界が紅く汚れた 「もうやめて、――さん!!」 少女はその光景を見続ける事に耐え得るだけの強さを持たなかった 思わず叫び目を逸らすが生々しい音は絶えず現世界に響き続ける 風の音と、狂笑と、嗚咽と、打音だけが支配する空間 逃げ出すように元来た扉を開く その先は廃墟、それ以外に彼女はその光景を形容する言葉を知らない 重力を失ったように壊れた雑居ビルが漂う光景の中、円盤状の虹の中 『機械仕掛けの神』の如く逆しまの『舞台装置の魔女』が鎮座する 無数の少女たちがこの魔女に立ち向かい、そして墜とされる この光景がどれだけ繰り返されただろうか、 紫の服を身に纏う少女がビルに押し潰された時、隣に草臥れたコートの男が現われた 「世は正にカオス!これも全て貴様のせいだ―― ―、いや」 男の言葉に答えるように魔女の歯車の影から破壊者が姿を現す 「おのれ、おのれぇディケイドォォォォォッ!!」 「ディケイド……」 破壊者の翡翠の様な眼がこちらを見据える、底冷えするような悪寒と共に 少女は、鹿目 まどかは目を覚ました 「ま…ちゃん」 「う…ん?」 「まどかちゃん!」 「……夢オチ?」 うなされて眼が覚めた少女、鹿目 まどかを枕元に経つ青年が気遣う 「随分うなされていたけど」 「だ…大丈夫です五代さん」 青年に笑顔を向けサムズアップ、青年もそれを見て安心したのか同じく笑顔とサムズアップで返す 「うん、みんな笑顔が一番」 「はい!」 この青年は五代 雄介、まどかの両親によれば『大切な恩人』らしい 本人は冒険家であると語っており時々立ち寄っては彼女にその冒険譚を聞かせてくれていた 此処しばらくはその縁で鹿目家に居候と言う形を取っている 二人でリビングへと降り、家族を交え朝食を取る 「ほらたっくん、あーん」 「ぶぅ…」 「あれ、熱かったかな?」 「タツヤの面倒まで、ありがとう御座います」 「いえ、居させて貰っているんですから、何かあったらもっと手伝いますよ」 このような会話もほぼ日常と化した ふと、付けっ放しにしていたテレビがにわかに慌しい動きを見せる ――番組の途中ですが…………集団自殺…………警視庁では『未確認』の活動再開も視野に―― 『未確認』 その言葉を聴いた両親と五代の顔がかすかに曇ったことにまどかが気付くことはない 「……まどかちゃん学校の時間は大丈夫?」 五代が思い出したようにまどかに聞く、登校時間ぎりぎりの出来事だった 「えー、先生から今日は大事なお話が二つあります」 学校のホームルーム、担任の教師がやや仰々しく口を開く 「女子の皆さん!いいですか女子の皆さん、人の撮った記念写真にケチつけるような男とは絶対に! いいですか、絶対に交際してはいけませんよ!! 男子はそういった男には絶対にならないように!!」 この教師は往々にして私生活を教育の場に持ち込む、生徒の面々がそろって またフられたのか などの呆れと同情の入り混じった視線で『もう一つ』の話を聞こうと耳を傾ける 「それから今日は転校生を紹介します」 先ほどまでの熱版は何処へやら、おまけでも紹介するような軽さで転校生を招き入れる 「暁美さん入って来て下さい」 「暁美 ほむらです、よろしくお願いします」 「うわ、すっごい美人」 この時まどかは転校生の自己紹介も隣の席の親友の声も聞こえては居なかった 変わって脳内に映し出される今日見た夢の一場面 魔女に立ち向かい、最期に斃された紫服の少女 目の前の少女、暁美 ほむらは正にそれそのものだった 「うわ、転校生人気すぎ」 「人波に飲まれてしまってますね、聞けば病み上がりと言うのに皆さん少し配慮に欠けては……」 仁美とさやか、二人の親友が半ば呆然と転校生を眺める傍らで まどかもまた呆然と、しかし彼女らとはまた違った感情をもって暁美 ほむらを見つめていた 似ていると言う言葉では足りぬ、完全に夢で見た少女そのもの、その夢において彼女の最期は…… 「どうしました鹿目さん?話してこないのですか?」 「え?」 「気になるのでしょう彼女が、後悔しますよキチンと話さなかったことを」 「……どうして?」 「私の占いは当たります」 仁美の言葉に促されおずおずと前に出るまどか しかし彼女が口を開くより早く転校生のほうからこちらに話しかけてきた 「鹿目さん、確か保健委員よね?」 「あ、はい」 「久しぶりに人に囲まれたせいか少し気分が悪くて……保健室まで案内してくれないかしら?」 そしてそのまま二人で廊下に出る、なぜか案内される側のほむらを前にして 「保健室、こっちよね」 案内される側のほむらに導かれて保健室を目指すまどか (……普通は逆、だよね) 「ねぇ暁美さ」 「ほむらで良いわ」 「ほ、ほむらちゃんと私って、一度何処かで会っているかな?」 まどかの質問に対しほむらの眼が若干泳ぐ 気まずい沈黙があたりに流れる、余計なことを喋ったかと考えていると 「…鹿目 まどか」 「ハイィッ!!」 唐突に名前を呼ばれた 思わず反射的に妙なイントネーションで返事をしてしまう 「あなたは家族や友達って大事?」 「え?」 全くの想定外な質問、咄嗟のことに思考が進まず言葉に詰まる 「どうなの?」 「も、もちろん大事だよ!!家族も友達も、それにほむらちゃんだって!!」 その答えを聞いてほむらがまどかに抱きつく 「お願い、その気持ちが本当なら、絶対に『今』の貴女を捨てないで、貴女の大切なものが失われてしまうから」 「ほ、ほむらちゃん!?」 感極まったように涙するほむらに戸惑っていると何処からとも無く拍手が鳴り響く 「良い忠告だ、感動的だな、だいたいわかった」 「だれ!?」 警戒心も顕にほむらが問い返す、そこにはピンクのトイカメラを携えた白衣の男が立っていた 「通りすがりの保険医だ、覚えておけ」 彼女、暁美 ほむらは時間操作能力を持った『魔法少女』である 幾度と無く同一の時間軸を繰り返した彼女は経験則から発生する事象にある程度の予測を立てて行動することが出来る 故に滅多なことでは動揺もせず淡々と目的をこなす事が出来る そんな彼女が目を白黒させ言葉を発する事も出来ないほどに驚愕している 確かにこれまでも経験則から外れた出来事は度々起こった、彼女自身それを求めその積み重ねで運命に抗おうとしている しかし何の前触れも無く見知らぬ人物が登場するなど、ましてや学校の教員のひとりである校医が入れ変わっているなど今迄で一度も無かったことだった 「この人は門矢先生、先週転勤してきたんだよ」 観ると確かに『保険医・門矢 士』と書かれたプレートが白衣の胸元に張り付いている 「コイツが体調を崩した転校生だな鹿目」 「はい先生」 保健委員であるまどかは他の生徒と比べてこの男と接する機会が多いらしく既にある程度は馴染んでいる 「よし、あとは俺が見てやるからお前は教室に戻っておけ」 「わかりました、じゃあほむらちゃん無理しないでね」 まどかが行ってしまい、廊下に男とほむらだけになった時彼が口を開く 「じゃあ付いて来てもらおうか、この世界についても聞きたいしな」 この男だけは油断なら無い、暁美 ほむらの中でそう結論が下されるのに時間はかからなかった ――放課後 鹿目まどかは友人である美樹さやかとショッピングモールのCDショップに居た いつもの通りにパッケージを眺め、いつものように試聴をし、何時のもの楽しみ方で時間を潰している最中、いつもと違う声が聞こえた 『…けて』 「え?」 『たすけてまどか!!』 「まどか、どうかしたの?」 さやかが心配して声を掛けてくるがそれにも気付かずに『声』のした方へ駆け出す 気が付けば工事中ブロック立ち入り禁止エリアのど真ん中、その中央にかのくそ汚い淫zy……ゲフンゲフン、小動物が横たわっていた 「凄い怪我…でもこの子何処かで……」 「そいつから離れたまえ、君」 『アタックライド ブラスト』 小動物を抱えたまどかの足元に蒼い軌跡と共に無数の銃弾が打ち込まれる 「誰!?」 なんとも言えない姿をした人型が立っていた シアンの鎧を貫通するように配された無数の黒いプレート、どことなくバーコードを想起させるその姿の呼び名は 「『仮面ライダーディエンド』通りすがりのトレジャーハンターさ」 言うとディエンドはまどかから小動物を引ったくりまじまじと見つめる 「少女の願いを叶えるお宝と聞いたのに、コイツはたいしたお宝じゃなさそうだな、何処と無くあいつ等に似た雰囲気なのが特に駄目だ」 「どうしてこんなひどい事を!!」 「お宝が逃げようとしたら止めようとするだろ?」 突然白い煙が脇から噴出する 「まどか、こっち!!」 「さやかちゃん!」 消火器を構えたさやかの乱入に不意をつかれ小動物を取り落とすディエンド、それをすかさずまどかが受け止めるがディエンドもすぐに手を伸ばす 「警察呼びますよ!!」 まどかの叫びにディエンドの動きが止まった 「……警察…警察か、それは困った、なら呼べないように足止めしないといけないよね」 そう言って腰のホルダーから四枚のカードを取り出し銃に装てんする 撃たれる、そう思い咄嗟に身構える二人の予想に反し、引き金は銃口が天井に向いた状態で放たれた 「僕は帰るから君たちはこいつ等と遊んでいたまえ」 『カメンライド G-3 シザース アクセル G-電王』 三色の光が収束し四人の人影を形成するその隙にディエンドはいずこかへと消えてしまっていた