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第146話:不信感 皆が人影に気を取られている間にこっそりと抜け出し、森の奥へと移動した。 何人かには気付かれているかも知れないが、今は誰も追ってこない。 隠れ潜んでいたのが誰かは知らないが、気を使っている暇はない。 逃げる隙を作ってくれたことに感謝する。 あれはシャナではない、シャナが近くにいればすぐに分かる。 あのフリアグネの時のように。 この時、悠二は零時迷子の力に制限が掛かっていることを気付いていなかった。 悠二は長門の手を引いて、少し離れた場所まで走る。 ある程度離れた場所まで移動し、長門さんの方へ振り向いた。 「長門さんはあの人達を信用できると思う?」 言葉の裏に僕は信用していないという意味合いを含めていた。 そもそも悠二は出夢でさえ成り行きで行動をともにしていたが、信用できるとは思っていない。 自称とはいえ、『殺人鬼』と名乗る者を信用しろという方が無茶なのだ。 それになにやら知っているらしい仲間。この人たちも人を、殺すのだろうか。 「――――僕は信用していない。それに彼等とは目的が違う」 目的。彼らは脱出と言った。 その目的は僕も同じだが、それより優先して「仲間探し」という目的があるのだ。 それに、僕は見てしまった。戦う気のないと言う彼らの包丁につく『何者かの血』を。 「長門さんも仲間探しするんだったら、一緒に行かない?」 僕が長門さんを呼び出したのはこの為だ。 彼らは罠を張っていた。動きだす予定がないのは明確だ。 動くのならあんな罠を張る必要はない。 仲間を探すためにも、行動したい。 「………」 長門は無表情のまま、悠二を見つめていた。 しばらく経ち、長門は自分の思考を纏め静かに頷いた――――。 【チーム・いとうのいぢ】 (坂井悠二/長門有希) 【F-4/森の中/1日目・05 45】【残り95人】 【長門有希】 [状態]:かなり疲労。 [装備]:ライター [道具]:デイバック一式。 [思考]:情報収集/ハルヒ・キョンの安全確保/ 【坂井悠二】 [状態]:疲労。 [装備]:狙撃銃PSG-1 [道具]:デイバック一式。 [思考]:彼らを信用はできない/シャナの捜索 ←BACK 目次へ(詳細版) NEXT→ 第145話 第146話 第147話 第134話 時系列順 第153話 第134話 長門有希 第168話 第134話 坂井悠二 第168話
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The World of MOTHER (Extended Version)/鈴木慶一,田中宏和 (CD MOTHER オリジナル・サウンド・トラック MHCL-341 ) 吹雪/西沢幸奏 (TVA 艦隊これくしょん -艦これ- ED) 雪、無音、窓辺にて。/長門有希(CV 茅原実里) (CD 涼宮ハルヒの憂鬱 キャラクターソング Vol.2 長門有希 LACM-4270 ) あいをあげる/カオス(CV 豊崎愛生) (CD そらのおとしものf キャラソン&ドラマ・アルバム~天使たちの声が響く~ COCX-36629 ) Deal with the devil/Tia (TVA 賭ケグルイ OP) 悲しみに一番近い場所/花島優子 (特撮 美少女仮面ポワトリン ED1) ハートのつばさ/中島礼香 (TVA だぁ!だぁ!だぁ! OP1) 聖闘士神話~ソルジャー・ドリーム~/影山ヒロノブ,BROADWAY (TVA 聖闘士星矢 OP2) ドキンのララバイ/ドキンちゃん(CV 鶴ひろみ) (映画 ヒヤヒヤヒヤリコとばぶばぶばいきんまん 挿入歌)
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涼宮ハルヒの憂鬱 涼宮ハルヒの記録 涼宮ハルヒの記録(Amazon) 発売元・販売元 発売元:株式会社ランティス 販売元:バンダイビジュアル株式会社 発売日 2009.08.05 価格 2857円(税抜き) 内容 パラレルDays 歌:涼宮ハルヒ(平野綾) SOSならだいじょーぶ 歌:涼宮ハルヒ(平野綾) 雪、無音、窓辺にて。 歌:長門有希(茅原実里) SELECT? 歌:長門有希(茅原実里) 見つけてHappy Life 歌:朝比奈みくる(後藤邑子) 時のパズル 歌:朝比奈みくる(後藤邑子) 青春いいじゃないかっ 歌:鶴屋さん(松岡由貴) めがっさ好奇心 歌:鶴屋さん(松岡由貴) 小指でぎゅっ! 歌:朝倉涼子(桑谷夏子) COOL EDITION 歌:朝倉涼子(桑谷夏子) 妹忘れちゃおしおきよ 歌:キョンの妹(あおきさやか) fixed mind 歌:喜緑江美里(白鳥由里) まっがーれ↓スペクタクル 歌:古泉一樹(小野大輔) 倦怠ライフ・リターンズ! 歌:キョン(杉田智和) 備考
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6章 すべてを解く鍵 わたしが元の世界に帰還できたからくりは理解した。そしてそれを実施するにはわたしが再び過去に行かなければならない。 しかし、あれから1週間経っても彼が、再び過去に時間遡航するそぶりは見せなかった。このままほっておいたらあと1年ぐらいはやらないような気がする。彼はいつ実行しても問題はないと考えているのかもしれないが、近い未来にそれこそ階段から転落して大けがを負うような事件に巻き込まれる可能性がないわけではなく、再改変を遅らせることはリスクをはらむことである。 「彼に直接促してみては?」 と提案したのは喜緑江美里。 それは、できない。なぜならば世界再改変は彼の意志で行うことだから。わたしが促すのは筋が違う。 「困りましたね。あなたがそんなに強情だったとは思いませんでした。何かいい方法があればいいんですけど」 しかし、そんな心配は杞憂に終わる。 冬合宿から帰ってちょうど一息ついた時、電話が鳴った。 「長門。俺だ。今から12月18日に行こうと思っている。今からそっちに行ってもいいか」 「いい」 「今から1時間後に行く」 雪山での遭難事件が発端になったのか、彼はやっと決断したようだった。 しばらくして、彼と朝比奈みくるがやってきた。彼が朝比奈みくるに事情を説明し終えると休む間もなく時間遡航をすることになった。今から行く時間には、世界改変前のわたし、再改変をしようとする彼と朝比奈みくる(大)、そして朝倉涼子がいる。そこにわたしと彼と朝比奈みくるの3人が加わるのだから、空間的にも時間的にも多くの人が密集することになる。そのすべての人を欺かなければならない。 わたしは朝比奈みくるに世界改変直前の時間を伝え、その時間に移動した。 12月18日未明。その時間に着いたとき、校門の前に『わたし』が立っており、物陰には彼と朝比奈みくる(大)がいる。まだあれから1ヶ月も経っていないが、ずいぶん前のことのように感じられる。 『もし、困った事態に直面したら彼とはじめて出会ったときのことを思い出して欲しい。彼に対して行ったこと、それが鍵になる』 彼と初めて会ったのは今から3年前。 朝比奈みくると2人でわたしのマンションに訪れ、3年後の世界に帰りたいとわたしに懇願した。 そのときわたしは何を行ったか。 絶対に不可能と思えた元の世界に帰還する方法。それは驚くほどシンプルだった。 そう。答えは時間凍結を行い、世界再改変を3日後にずらすこと。 『目の前にいるわたし』が校門の前で右手を上げ宙に向かい呪文を唱え、世界改変が起こるその瞬間 ここにいるすべての人が『世界改変をしようとするわたし』に目が向いているその隙に、わたしは誰にも聞こえないように小さな声で呪文を唱えた。時間凍結の呪文を。 彼らは蝋人形のように動きが止まった。 それを確認した後、わたしは世界改変をしようとする『わたし』の前に立つ。この時、わたしの記憶では、『わたし』は驚いているはずなのだが、実際は逆に驚くほど無表情だった。こうして目の前に自分がいると、違和感がある。 「わたしは未来から来た。あなたに、忠告しなければならないことがある。世界再改変を円滑に進めるために次のことをしなければならない。必ず実行してほしい」 わたしは過去の記憶を辿りながら、わたしが聞いたことをそのまま伝えた。 それを聞いた『わたし』は 「あなたの忠告を受け入れる。必ず実行する」 と言ってくれた。 伝えるべきことは言った。しかし、ここで時間凍結を解除するわけにしない。今、時間凍結を解除すれば、彼が再改変を実施してしまうからだ。今わたしがここにいるのは、このときはなにも起こらず3日後に緊急脱出プログラムを実施する歴史があったからこそだ。『わたし』が世界改変を実施しても、そのまま時間凍結を続ける必要があった。 改変後の『わたし』は何も事情を知らず、闇の中へ消えていく。辺りは静まりかえっていた。わたしはその場に座り空を見上げる。ここには情報統合思念体もいなければ、観察対象もない。それは静かな夜だった。 ◇◇◇◇ 世界改変からちょうど3日後の夜。わたしは時間凍結を継続し続けていた。 しんと静まりかえった北高の前にこの時間の『わたし』がやってきた。彼が脱出プログラムによって消え、悲しみにくれていた『わたし』は悲壮感を漂わせ、校門の前に立ち止まり、右手を挙げ世界改変の呪文を唱えるまねごとをする。 『わたし』が立っている場所、ポーズ、服装、時刻、そのすべてが3日前と全く同じだった。その時を見計らい、時間凍結を解除する。彼らが3日後にワープしていることに気づくことはない。 わたしが元の世界に帰還できた訳。その答えは、再改変の時間を3日間ずらすこと。 世界改変後すぐに再改変があれば、再改変後の世界と、緊急脱出プログラムを起動させる世界の2つに分岐が起こる。しかし、脱出プログラム起動後に世界再改変を行えば、世界の分岐は起こらない。 絶対に不可能と思えた元の世界に帰還できた理由。 それは、そもそも『帰還』をしていないから。 脱出プログラム動作後に、パラレルワールドへの移動や時間遡航をする必要はない。彼と過ごした文芸部の思い出も、世界再改変もすべて同じ時間軸で起こったものだった。 緊急脱出プログラムの期限が3日以内だった理由も今ならはっきりわかる。世界再改変前に脱出プログラムを発動しなければ世界が分岐してしまうから。 3日後に移動したことに気付かない彼は、『3日後のわたし』に語りかける。 「お前のしわざだったんだな。やっぱりアッチのほうがいい。この世界はしっくりこねえな。すまない、長門。俺は今のお前じゃなくて、今までの長門が好きなんだ。元に戻してくれ。お前も元に戻ってくれ」 彼は『わたし』に銃口を向ける。そのとき、朝倉涼子がナイフで刺し、彼が倒れた。 そして、もう一人の彼が登場する。彼が倒れなければ、今のわたしがこの時間に来ることはなかった。朝倉涼子の復活はどうしても必要だった。 この後起こったことをあらためて説明する必要もないだろう。 こうして、世界改変の事件は終結し、平穏な毎日が戻ってきた。 マンションの一室に戻ったわたしはごろんと横になり、大の字になった。 あぁ、疲れた。本当に疲れた。わずか3日間。でもそれはとても長い3日間だった。 ふと部屋の隅に積んである本に目が留まる。 わたしはふと思い立ち、部屋の隅に積んであった本を持ち上げた。そこには、『あの3日間』にわたしが書いた小説の原稿があった。わたしは原稿を広げペンを持った。わたしが本当に書きたい物語を書くために。 ◆◆◆◆ 昼休みに扉が開いた。ナツだった。 「入部届けを顧問の先生に持って行くわ。入部届けはある?」 「入部届はない。文芸部は定員割れで廃部が決まっているの。悪いけど入部は受け付けていないわ」 「どうして! 廃部の話があるのは知っているけどまだ諦めるのは」 「うるさい。あなたは本に興味あるの。いつも彼と雑談してばかり。文芸部は本を読むクラブなの。なりふり構わず部員を集めて、お遊びクラブにするつもりはない」 私は叫ぶように言い放った。 「……わかった」 ナツはそう言うと部室を出て行った。 放課後、部室に彼が来た。 私は言う。 「文芸部を廃部にしようと思う。私たちはがんばった。けど結局、部員を増やすことはできなかった。最初から無理だったのよ。こんな陰気なクラブに誰も来るはずないか」 気づけば目に涙があふれていた。これでいいんだ。すべて終わり。 もう文芸部は私の居場所じゃない。そこは教室と同じ孤独を感じる空間だった。私の好きだった文芸部はもうとっくにない。どうせ文芸部は廃部になる運命だ。ちょうどいい機会じゃないか。 こころの中で彼に言う。 さようなら。今まで楽しかったよ。 そう思うとますます涙があふれた。 違う! 今でも文芸部は特別な場所だ。 今でも文芸部は好きな場所だ。 今でも文芸部は存続して欲しいと思っている。 私の中の心の叫びは次第に大きくなった。 私は彼が好きだ。だから彼とナツが仲良くなっていく様子を見たくなかった。私が文芸部で感じたのは孤独ではない。いとおしい人に愛してもらえない寂しさだった。私が廃部にしようと考えたのは定員不足でも、お遊びクラブにしたくないからでもない。ナツに嫉妬したから。このまま彼とナツが仲良くなっていくぐらいなら、今の状況を変えてしまえばいいと思った。文芸部がなくなれば2人が会う機会も減ると思った。でも、その考え方は違う。そんなことをして何が変わるというのだろう。大切なものを失うだけで何も変わらないじゃないか。変わらなければいけないのは私。私が変わらなければ何も変わらないのに。 私は取り返しのつかないことをしてしまった。あんなことを言ってしまったんだ。ナツはもう戻って来ない……これで許してくれる人がいたらそれは相当なお人好しだろう。もう、元には戻れない。いや。私は自分を変えると言ったんじゃないのか?!あれはデマカセだったのか?!ここで怖じ気づけば何も変えられない。ダメでもともと。たとえ1パーセントでも可能性があるならば、私が今やらないといけないことがあるじゃないか。 「ごめん。待ってて」 とだけ彼に言い残し部室を飛び出した。 鞄もなにも持たず校門を出て坂を駆け下りた。 帰宅途中の学生でごったがえす歩道を飛び出し車道を走り、途中の階段を3段飛ばしで降りた。息が荒くなり、足が悲鳴をあげた。必死だった。駅前の交差点に差し掛かったとき、その小さな背中を捉えた。 ナツの姿を捉えた私は出せるだけ大きい声で叫んだ。 「ナツ。ごめん」 ナツだけでなく周りの生徒も振り向いた。だが、そんなことをかまっていられない。 「さっきはごめん」 ナツは何も言わず私を見ている。 「あんなこと言ってしまってごめんなさい。私にとって、文芸部はただ本を読む場所じゃない。私にとってすごく大切な場所。 私は臆病だった……文芸部存続のことも、機関誌のことだってすぐに諦めた。でも、私は自分を変える。今までより、ずっと賑やかで楽しい誰もがうらやむ部にしたい。世界一楽しいクラブにしたい。そのためにはナツが必要なの。自分勝手なことだとはわかってる。もう一度チャンスを与えて欲しい。文芸部に戻ってきてほしい」 ナツは私の目をまっすぐ見て、小さく、でもはっきりとうなずいた。 それは承諾を意味した。 私は嬉しくなり思わず笑みが溢れ出た。 「ただし」 ナツは言った。 「私を楽しませること。私は掛け声だけで実態が伴っていないってのが一番きらいなの。世界で一番楽しいっていう目標を掲げるんだったら、本当に世界一になりなさいよ。もしつまんなかったらすぐ退部届け叩きつけてやるんだから」 「約束する。今までの文芸部がなんだったの?って言いたくなるぐらい楽しいクラブにするわ。そのかわり、今までみたいに好き勝手にはやらせないわよ。覚悟しなさい」 それはナツへの宣戦布告だった。 ◆◆◆◆ 原稿を書き終えて、わたしはほくそえんだ。 この半月でわたしは変わった。『性格』そのものが変わったわけではない。もののとらえ方が変わった。いや、変わっていたことに気がついたと言った方が正確かも知れない。傍観者から当事者に変わった。涼宮ハルヒを観察し、情報統合思念体に報告する役割だったはずのわたしが、情報統合思念体の計画を妨害し、SOS団を護る立場になってしまった。いつか情報統合思念体とSOS団が対立する時がやってくるかもしれない。そのときわたしは…… ふう 茨の道を歩まなければならない自分に対してついたため息なのか、朱に染まって赤くなってしまった自らを自嘲したものなのかはわからないが、そっと息を漏らし、空を見上げた。空には、わたしのため息など関係ないと言わんばかりに、たくさんの星が輝いていた。 エピローグに続く
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エロパロ板 2章 雪山症候群の裏顔 3章 妹ワルツ SOS団陵辱 ハルヒナ草第1話「消失」241pより /ハルヒナ草第2話 /ハルヒナ草第3話 /ハルヒナ草第4話 4章 乱交編 5章 妹×キョン 『それはそんな尻だった』~シークエンス1 涼宮ハルヒ~ /『それはそんな尻だった』~シークエンス2 朝比奈みくる~ /『それはそんな尻だった』~シークエンス3 長門有希&朝倉涼子~ 9章 涼宮ハルヒの調教 /鶴屋家の本業 /教官涼宮ハルヒ 10章 湯けむり症候群 11章 涼宮ハルヒの妄想01/02/03/04 13章 涼宮ハルヒの○天国01/02/03/04 ふたなり有希×みくる 15章 『涼宮ハルヒの転換』01/02 (TS物) 17章 『古泉一樹の変貌』(ハルヒ陵辱) 18章 『官能小説大戦』 21章 涼宮ハルヒの××× 22章 『 ──第35回 チキチキ!女だらけの……── 』 『ティー・タイム』 /『ミルク・タイム』 /『リモコン・タイム』 /『ラスト・タイム』 /『デート・タイム―長門有希の場合』 /『デート・タイム―朝比奈みくるの場合』 /『デート・タイム』 /『デート・タイムおまけの4P』 /『デート・タイムおまけ―二人乗り―』 27章 『涼宮ハルヒの日常』01/02/03/04/05 (未完) 28章 エロパロ板ネタ 30章 朝倉×キョン×妹 32章 妹×キョン (自慰) 『悪徳生徒会』01(会長×喜緑)/02(ハルヒ強姦) 『キョン×妹』 (風呂) キョン×妹 (おねしょ) クジ運のない女の話 33章 古泉×鶴屋 次に黒板に書かれるのは・・・Vote For New Couple 森園生 34章 小ネタ(キョン妹) 『涼宮ハルヒの決断』01/02(ハルヒ、みくる、長門) 37章 『ハルヒ×古泉』(入れ替わり) 『Kの悲劇』 /『Kの悲劇、柔らかバージョン』(女体化注意) 『国木田の憂鬱』(女体化注意) /『国木田の接吻』 /『国木田の遭遇』 /『国木田の懺悔』 /『国木田の激突』 /『国木田の災難』 /『国木田の嫉妬』 /『国木田の乱交』 /『国木田の微笑』 39章 『見知らぬ客からお土産をもらった話』(キョン) 『初午』 42章 『涼宮ハルヒの処女喪失』01/02/03 キョン×??? 46章 『覚醒☆くるくる橘 -如何にして男子高校生は変態へと至るか-』 48章 『シンデレラストーリー』 『女だらけのちょっとHな本音トーク喋り場!』 50章 『キョンの凌駕』(ハルヒ、みくる 未完) 52章 『ひまつぶし』01(橘、古泉)/02(長門、キョン)/03(みくる、キョン)/04(ハルヒ、キョン) 『朴念仁の愛され方』(ハルヒ、ミヨキチ 非18禁) /『朴念仁の嵌り方』(鶴屋さん) 53章 『両袖、胴体部分、裏地、襟はじゃんけん』(ハルヒ 非18禁) /『両袖、その少し後の話』(SOS団女子) 62章 『枯れ逝く笹の葉』01/02(佐々木、橘凌辱) 63章 『部室』01/02/03-1(みくる)/03-2(長門) 64章 『しっと様』(ハルヒ→キョン×長門) 『マグニチュード』(みくる) /『氷点下』(長門) /『もみじ』(鶴屋さん) /『夢の中で』(ハルヒ) 『触手乱舞』 68章 『ハルヒの力』佐々木&橘、凌辱01/02 エロパロ板以外 作者 タイトル カップリング 備考 -1- 『朝倉涼子の鬱憤』 -2- 『朝倉涼子の陰謀』 -3- 『長門有希の目覚』 -4- 『長門有希の欲求』 -5- 『朝比奈みくるの指先』 -6- 『孤島症候群 (夜編)』 朝倉×ハルヒ? 朝倉×キョン? 長門×キョン? 長門×キョン みくる×キョン ハルヒ×キョン 涼宮ハルヒのSMスレより RrgzDmkc0 キョン「朝、目が覚めると俺は性獣になっていた」(一括)(分割) キョン×オールキャラ 未完 5dseiCnX0 古泉「あぁ そういえば皆さんはオナニーする時はどのように……?」 キョン×オールキャラ スカトロ、グロ、 流血描写有り
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くらげまるの中身 個人的な二次創作を置いている物置の様な物です。 2chキャラスレ 【涼宮ハルヒの憂鬱】涼宮ハルヒを語れ に投稿した物がメインとなっております。 閲覧者様の自由な編集はできません。ご連絡は『ご意見・ご感想』からどうぞ。 見られたくないご意見・罵倒などは fujimon5o@yahoo.co.jp へ。 素人の書いた文章が収められています、たいした物はありません。 ダメだなと思いましたら、そっとブラウザを閉じるか、苦情の一つも言ってください。 09.12.01 ひっそりと開始 10.02.09 何か 消失 何かを開始 消失を鑑賞 10.02.10 何か たからものを更新 10.02.10 SS部屋 長門有希のカレーなる1日を更新 第1回目 10.02.27 何か 2回目の消失を更新 10.03.02 何か 大人げない人を更新 10.03.10 SS部屋 長門有希のカレーなる1日を更新 第2回目 10.03.24 何か PSPを更新 10.04.24 何か 近況を更新 1
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長門ふたり 第五章 長門を消去せよ! 「エージェント番号○×□□、朝比奈ミクル、定期レポートを提出し状況を報告しなさい」 「はい」 みくるは久しぶりに自分の時空に戻っていた。時間管理局でのレポートはいつも緊張する。 「今回提出したレポート番号○○にある通り、涼宮ハルヒには変調は見られません。 過去一ヶ月間に新たな時空の歪みを生成した痕跡もありません」 「よろしい、朝比奈みくる。ご苦労だった」 ほっと溜息をつくみくる。思えば、ここに出頭して「過去」でエージェントとなる 命令を初めて受けてから、既に1年以上の時間が経過していた。 最初は嫌だった。一人だけで、知る人もない世界に行き、自分の正体を明かすことも 許されない。心の内を打ち解けられる友人も、甘えられる恋人も作ることは許されない。孤独と 欺瞞に満ちた日々。ここに来る度に「任務解除」を申し渡されることを心密かに願ったものだ。 今も心密かに、ここに来る度に願うことがあるのは変わらない。もっとも、今では 「任務解除」を申し渡され「ない」ことを願っているのだが。 「みくる」 「はい」 「新しい任務を言い渡す」 「えっ」 「心配するな。お前が今の時間平面での任務継続を可能なかぎり長く続けたいと 思っていることはよく認識してる。新任務は、同じ時間平面での任務だ」 「はい、ありがとうございます」 「新任務は情報統合思念体の情報端末の破壊だ」 「はい」 「このデータカードに当該情報端末の情報が入っている。 確認してから破壊するように。破壊のための手順もデータカードに 記述されている。下がってよろしい」 「はい」 どうやら、みくるは情報統合思念体の情報端末の破壊という付加的な 任務を命じられたようだった。観察以外の任務を請け負うことは滅多に無かった。 「頑張らなきゃ」 自分がドジなのはよく認識している。自分がすることは観察ばかり。 規定事項と禁則事項の山。未来人なのに何も知らされない不合理。 そんな自分が時おり悲しくなる。そんなとき、SOS団のみんなとすごすと 本当にほっとする。正体を明かせないはずだったのに、今では自分の未来人という正体を 知りながら、それでいて仲間だと思ってくれる人間があの時間平面に3人もいるのだ。 古泉君、長門さん、キョン君。なるべく長く、今の任務を続けたい。そのためには この任務を確実にやりとげなくては。自分の情報端末にデータカードを差し込む (と言ってもキョンの時代の人間がみたら、名刺大の板を額にあてたようにしか 見えないだろう。この時代の情報端末は脳に内蔵である)。 ターゲット:ヒューマノイドインターフェース 長門の顔が思い浮かんだ。ちょっと気分が暗くなった。あんなのを破壊するのだ。 ちょっと見には人間と見分けがつかない。気分がいい仕事じゃ無いな。 でも、いくら見た目が人間でも所詮、ヒューマノイドインターフェースは死の概念 すら理解できない冷酷な機械に過ぎないのだ(長門さんは違うけど)。 躊躇してどうする、みくる頑張れ! 続けてデータを読み込み表示したみくるが脳内ディスプレイの中に見たのは 無表情な長門の顔だった。 「できません!」 みくるは泣きながら時間管理局に取って返した。 「なぜ、できない」 「長門さんは、長門さんは、大切な友人なんです」 「だから?」 「だから殺すことなんてできません」 「殺すのではない。破壊するのだ」 「同じことです」 「この任務を拒否すれば現在の任務も解除しなくてはならないが 構わないのか?」 任務の解除?じゃあ、もう二度とみんなに会えない。 「こ、困ります」 「それでは、ヒューマノイドインターフェースの破壊を遂行するのだな?」 「そ、それは」 みくるの目から涙があふれ出た。長門有希を殺すか、このまま一生みんなにあえないか、 どちらかを選ぶしか無いのだ。答えは決まっていた。 「任務を解除して下さい...」 みんなの顔が思い浮かんだ。キョン君、長門さん、涼宮さん、古泉くん、鶴屋さん。もう二度と 会えない。お別れも言えなくてごめんなさい。 「朝比奈みくる」 「は、はい」 「お前は解ってないようだな」 「何が、ですか?」 「お前が辞退しても当該ヒューマノイドインターフェースは別の時間監視員の手で 破壊されるのだぞ。お前にその任務を与えたのはせめてもの情けだと言うことが解らないのか?」 「ど、どういうことでしょう?」 「お前以外のものがこの任務遂行を命じられていたらどうなるかよく考えてみることだ」 談笑するSOS団員。ふいに襲い来る影。倒れる長門有希。呆然と立ち尽くすみくる。 私が拒否しても何も変わらないんだ...。みくるは自分の無力さを噛みしめていた。 「わ、わかりました。任務を遂行します」 「よろしい。では行きたまえ」 長門有希の破壊は規定事項なのだ。自分にどうこうできることではない。 だったら、せめて、自分の手で。少しでも長門さんが苦しまない方法で....。 時間管理局から渡されたデータカードに入っていたヒューマノイドインターフェースの 破壊方法は拍子抜けする程簡単だった。データカードには粉末ウィルスの作成法が 記されていた。これをお茶に入れて飲ませる。ただそれだけ。ウィルスは人間には全く無害。 ヒューマノイドインターフェイスにとっては致命的。摂取後、1秒でウィルスはインターフェースの 情報中枢を破壊する。それでおしまい。SOS団所属メイドであるみくるにとっては この上なく容易な長門有希破壊方法だった。 次の日、みくるは早めに部室に行くとお茶の用意をし、準備してきた粉末ウィルスを お茶に溶かした。味も匂いも全く無い。長門有希が入って来る。すかさず、お茶を だす、みくる。 「大丈夫?」 「え、どうしてですか?」 「あなたの脳波がはげしく乱れている。不安感の印」 「なんでもないですー。ちょっと夜更ししたんです、昨夜。 さ、お茶を飲んで下さい」 長門は黙って湯飲みを手に取るとぐいっと... 飲まなかった。そのまま湯飲みを机においた。 「朝比奈みくる」 「は、はい!」 「本当のことを話して」 「本当のことって」 「なぜ、あなたはそんなに不安感に苛まれているのか。理由があるはず」 「そ、それは」 「話して。真実を」 もう限界だった。 「ご、ごめんなさい。長門さん。わたしはあなたを「殺そうと」したんです」 「そう」 長門は本を開くと続けて読みはじめた。 「あのっ、怒らないんですか?」 「あなたは悪くない。悪いのはあなたにこの任務を与えた人間。 あなたを怒っても無意味」 「そ、それはそうですが」 「とにかく、話して、全部」 その日の部活が終わるとあたし達は長門さんのマンションに集合した。涼宮さんの 前で放せる話題ではなかったからだ。そこでキョン君達が聞かされたのは驚天動地の 真実だった。 「朝比奈さんが長門さんを殺すのを拒否するとどうなるんですか」 「わたしの任務は解除され、より強力なエージェントが送り込まれてきます。 今度は私のように観察が主たる任務のエージェントではありません。 実働部隊としてありとあらゆる特殊任務を遂行するように高度の訓練を 受けたエージェントです」 「そいつらは長門に勝てるんですか?」 「わかりません。でも、彼らにはいろいろな能力が与えられているはずです。 勿論、申請無しで時間移動する権限も与えられています。 たやすい相手ではないと思います」 「あなたは失敗したと報告すべき」 「でも、そうなったら、わたしは任務を解除されます」 「されない」 「されないにしても新しいエージェントが...」 「構わない」 「わたし『たち』は消去されない。大丈夫。信じて」 「わかりました。言う通りにします」 「明日、粉末ウィルスをもう一度飲ませて。いまからワクチンを 作成するのでわたしには効かなくなる。あなたはただ ウィルスを飲ませて失敗したとだけ報告して」 「はい」 翌日。お茶の中に粉末を溶かし、みんなに出す。 何も知らない涼宮さんは勿論、ぐいっと飲み干す。 古泉くんとキョン君もゆっくりと飲み干す。 いよいよ長門さんの番。手が震える。今にもお茶をこぼしそう。 お盆がかたかたなってしまう。もし、ワクチンが効かなかったら? 長門さんが「死んで」しまったら? 「大丈夫。信じて」 長門さんはお茶を飲んだ。それから永遠と終われる程長い一秒が経過した...。 長門さんは静かに茶碗を置いた。 みくるは跳び上がって喜ぶのをなんとかこらえなくてはならなかった。 「状況を報告せよ」 「失敗です。粉末ウィルスを摂取させましたが効果ありませんでした」 「そうか。さすがに簡単にはいかないようだな」 「はい」 「さがってよろしい」 「は?」 「任務に戻りなさい」 「ですが、わたしは失敗を」 「朝比奈みくる。君の本来の任務は涼宮ハルヒの観察だ。 その点に関しては今の君の当該時空での立場は余人をもって代え難い。 今回の任務の失敗は大きな問題ではない。君は指令通り任務を果たした。 失敗したのは君ではない。ウィルスだ。下がってよろしい」 みくるは驚いていた。てっきり、これで終わりだと思っていたのだ。 だが、長門さんは正しかった。彼女は私が任務解除されないことを知っていたのだ。 部室で長門と二人っきりになった時、みくるは長門にこっそり告げた。 「ウィルスは効かなかったと報告しました」 「そう」 「新手のエージェントが来ます。わたしとは比べ物にならない凄腕が」 「大丈夫。まかせて」 本当に大丈夫なのだろうか?みくるは不安だった。 長門しかいない文芸部室。しずかにページをめくる長門。 ふいに、時空の乱れを感じて顔をあげると目の前には 不敵な笑いを浮かべた男性が一人。手には奇妙な装置を 持っている。 「あなたは誰?」 「おまえが知る必要は無い。なぜならこれから...」 「あなたが死ぬから」 突然、後ろから声をかけられて男は驚愕して振り返った。 そしてもっと驚くことになった。そこにも長門有希が立っていた。 「な、何?」 「さようなら」 さすがの手練のエージェントにも一瞬のスキが生じた。 いうまでもなく、この「一瞬」は長門にとっては無限の時間が与えられたのとあまり 変わらなかった。二人の長門が呪文をつぶやく。 「★◯◎×αβγ□...」 男の胸に小さな黒い点が出現したかと思うと、男は悲鳴をあげる間もなく 黒い点に吸い込まれてかき消えるように消滅してしまった。 ドアが開き、キョン、みくる、古泉が入って来た。 「すごいですね。長門さん」 「なにやったんだ、長門?」 「彼の体内にマイクロブラックホールを作成した」 「ヒュー」 「すごいですね、長門さん」 ああ、長門さんが敵じゃなくて本当に良かった。 自分が長門さんに粉末ウィルス入のお茶を手渡した時、 長門さんは「本当のことを話して」と言う代わりに 今、時間エージェントに目の前でやってのけたことをわたしにしても よかったのだから。 ...... ... レポート○×□□-1379 結果:失敗。 経過:当該時空の観察要員に当該ヒューマノイドインターフェイスの消去を 指示するも失敗。ついで実行要員を三度に渡って派遣するも失敗。 分析:当該任務の失敗理由は不明。任務の重要度と人的損失の軽重をはかりにかけ、 当該任務は遂行を中断し、無期延期とする.... 朝比奈さん(大)はレポートを読み終わると情報端末のスイッチを切った。 もっとも、「端末」とは言っても実際には自分の脳内に設定された情報 機能に過ぎない。キョンの時代の人間が見たら、朝比奈さん(大)が瞬きしてから ちょっと微笑んだようにしか見えないだろう。あの時はなぜ、長門さんを消さなくては いけないのか、それがどれくらい重要なことなのか全然、わからなかった。 ただ、任務と友情の板ばさみになって苦しんだだけだった。今は、未来人 (自分をこう考えるのは奇妙だったが、長い間キョン達と暮らすうちにそう 考えるようになっていた)がなぜ長門を消そうとしたのか、それがどの程度 重要なことだったのか、よく解る。あの時、今の知識があればあんなに苦しむことも なかっただろう。でもそれはそれ。あの時はあの時。結局、自分は長門さんを助けたのではなく 自分自身を、あの時空にいることができる自分を救ったのだった。 これからキョン君に会いにいく。彼があたしと会うのは初めて。でも、何も教えてあげられない。 白雪姫としか。でも、頑張ってねキョン君。あなたならきっと乗り切れるわ。 これから起きることを。全て。だって、あの時、わたしがあなたちと過ごした 時間平面であなたは立派に全てをやり遂げたのだから。 第六章
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前ページ次ページ雪と雪風_始祖と神 「――あなたが仕事を成したら、おそらくわたしはこの世界から消える」 そう長門有希が切り出したのは、アーハンブラ城を望む街の湿った裏道であった。 ルイズや才人、そして誰にも代えがたい親友であるキュルケにさえも切り出さず、 タバサがトリステイン魔法学院を静かに去ってから、既に半年が過ぎようとしていた。 「ミョズニトニルン、この空間を作り出した人間は、 変化のないハルケギニアに、既に閉塞感を感じ始めている。 ガリア王に与えられた任務を失敗し、最後に残った存在理由、それがわたし。 あなたの母を取り戻せば、それはミョズニトニルンの敗北。 そして、わたしたちが負ければ、ミョズニトニルンの自意識は満たされる。わたしがあなたといられるのは、あとわずか」 普段通りの淡々とした口調で語る長門有希の背中を、月明かりが照らす。タバサはわずかに、長門有希を見やった。 しばしの沈黙の後、タバサが問う。 「ならば、……教えて。本当はなぜ、あなたが、ここにいるのか」 + + + 「わたしに僅かなエラーが発生し始めたのは、あなたと出会う半年前」 「――わたしは人間ではない。それはあなたに話した通り。 だから、有機生命体の感情の概念が、わたしに発生する筈などなかった。 でも、彼との対話を少しづつ重ねるうち、わたしを構成する有機体に、 与えられた機能を超えた部分――あなたたちの言語に翻訳すると、魂……のようなものが芽生え始めた」 「本来、わたしは与えられた命令を遂行するだけの存在に過ぎない。あなたと同じ」 「変化に気付いたのは、行動の可否の判断を、彼に委ねられたときだった」 「微小な変化。まずわたしは、それが"嬉しい"ということに気付いた」 「彼を助けること、それが彼にとっても嬉しく、わたしにとっても嬉しいという仮説を持った。 でも、すぐにそれは否定した。有機生命体が可視化した言語情報――本に創作された意識たちは、それを打算と呼んだから」 「でも」 「わたしがそのことに気付くまでの短い間に、彼に何かをしなくても、 彼のイメージを"魂"の中に認識するよう、わたしが作り変えられたことに気が付いた」 「そして、そのことを自覚してはじめて、彼のために行動すると、嬉しさだけではない、安堵感を生じるようになった」 「それは、"嬉しい"とは違うの?」 初めてタバサが問いかける。 「ちがう。わたしはそれを、"恋"と判断した。――ただし、あくまでもそれは萌芽。原初的なもの」 「恋?」 「そう。本に書かれた心理の変化のうち、わたしに新たに生じた事象は、"恋"に相当すると思われる」 「恋をしたあなたは、どうしたの」 「……何も、できなかった」 「なぜ」 「わたしが恋をした相手に、神――つまり、ミョズニトニルンもまた、恋愛感情を抱いていた。 ――わたしには、どうすることもできない。わたしが彼と結ばれることは、彼女の望まないこと」 「それでも」 「わたしは彼を忘れられなかった。だから、わたしは自身の望むように、世界を作り変えようとした――」 「世界を?」 「そう。あなたに見せたわたしの能力に似たもの」 タバサの脳裏に叔父の姿が過ぎる。彼もまた、世界を望む人間。 長門有希もまた、彼女にとって都合のよい世界を望むというのだろうか? タバサは彼女がそのような人間であることを信じたくないし、考えたくもない。 幸い、長門の独白は続いた。 「世界を変革することは簡単。でもその前に――」 「わたしにできる、精一杯のことを、彼にすることにした」 「精一杯のこと?」 長門有希は答えない。だが、彼女はタバサに視線を合わせようとしない様子から、 それ以上を話したくない様子がありありと読み取れた。 恥じらいの感情、彼女が初めて見せた表情にタバサは驚く。 タバサもそれ以上求めない。タバサ自身、自己を隠すことを友人に許されているのだ。 使い魔とはいえ、タバサも他人の秘密は最大限尊重しようと心得ている。 「精一杯のこと……。つまり――"ぴと"」 しかし長門は、自身の行動について説明する一言を搾り出した。 それは彼女にとって最大限の譲歩であった。 もう一つの決定的行動について、長門が口にすることはなかった。 「ぴと?」 タバサが問う。 「そう、"ぴと"。それが、わたしの行動。――でも、その行動もミョズニトニルンに察知されていた。 そのことで、彼女の持つ能力によって、わたしは元の世界からこのハルケギニアに閉じ込められた」 長門有希は口をつぐむ。 + + + 代わって、タバサが語る。 「――ユキ、わたしはあなたを誤解していた。 あなたをわたしと同じ、心に壁を築いた人間だと認識していた。 でも、それは違う。ユキは本物の感情を持っている」 「それに――、恋と言う感情がわたしには分からない。 わたしには、そんな感情を抱く相手がいない。これからも、ずっと――」 「違う」 長門有希が再び言葉を発する。 「あなたは本物の有機生命体。全くのゼロから感情が発生したわたしとは違う。 あなたがこれまでに得た全ての感情、それが恋に繋がる。書物だけではない、全ての経験」 「全て?」 「そう」 「――ユキの感じた嬉しさと安堵感。わたしも感じられる?」 「可能。できないはずがない」 「ありがとう、ユキ」 タバサは立ち上がり、アーハンブラ城を見上げる。 「わたしはシャルロットになる。そして、いつかわたしも――」 + + + + + + アーハンブラ城に接近すること、それ自体は難しいことではない。 幾何学模様に彩られた、エルフの築いた城塞は、ガリア王家の所有ではあるものの、 ほんの数ヶ月前までは荒れるに任され、城内は浮浪者の住処に成り果てていたのである。 タバサの母がアーハンブラ城に幽閉されているという情報を掴んだきっかけも、 廃墟であったこの城が、にわかに整備され始めたという噂であった。 かといって、王弟の妃という貴人に見合う警備体制が敷かれているわけでもなく、 明かりの灯った一角のほかには、変わらず住人が我が物顔で闊歩していた。 「こんどはわたしの番。この城には伝説がある」 突入を前にして、歩みを止めると、今度はタバサがおもむろに語り出した。 「伝説?」 「そう。三人の姫の話」 + + + ――エルフがこの一帯を支配していた頃の話。 この城には、三人の姫が閉じ込められていた。 閉じ込めたのはエルフの王。王は娘を恋から守りたかった。 彼は、恋が三人の娘を連れ去るという、占い師の言葉を信じていた。 そして三人の姫は、恋以外の全てを知って育った。 でも、ついに姫たちは恋を知ってしまった。 三人の姫が城から街を見下ろしていると、窓の下に三人の着飾った男が通りがかった。 男達は人間だった。 人間とエルフが互いを憎んでいなかった頃、互いの領域を行き来するのは普通のことだったらしい。 男達が窓の下で休息を取ったのは偶然だった。 男の一人は弁当を早く食べ終わると、楽器を取り出し、歌いはじめた。 男が歌ったのは、他愛のない恋の歌だった。 恋を歌った詩の一つも見たことがなかった三人の姫にとって、それは初めて知る感情だった。 三人の姫は、男達が去るのを見ていることしかできなかった。 でも、男達は次の日も、同じ場所で昼食を取った。 三人の姫は、今度は見ているだけではなかった。 最初に長女が、次に次女が、最後に三女が、男の歌っていた歌を、窓から男達に向けて歌い出した。 男達はすぐ歌声に気付き、城を見上げた。 やがて三人の姫のもとへ、手紙を掴んだ梟が飛んできた。梟は、男の一人の使い魔だった。 こうして三人の姫と、三人の男が出会った。 手紙を交わすうち、三人の男はそれぞれ王子で、遊学のためにエルフの領域を訪れていることが分かった。 一人はガリアの王子で土メイジ、使い魔は熊。 一人はアルビオンの王子で火メイジ、使い魔は火竜。 一人はトリステインの王子で風メイジ、使い魔は梟。 ガリアの王子は得意の錬金で姫に髪飾りを贈った。 二人は宝石の美に、一人だけが彼が錬金した彫刻の技術と知識に魅せられた。 二人は魔法の知識について手紙を交わし語り合った。彼は、知識を愛する姫と恋に落ちた。 アルビオンの王子は、三人の姫に少しでも近づこうと、城壁を登った。 使い魔の火竜で近づくのは、目立ちすぎて不可能だった。 彼は三度挑戦し、三度目に姫の元へ達した。 二人の姫は彼を無謀と罵り、一人だけが彼の勇気を称えた。 彼は、勇気を愛する姫と恋に落ちた。 トリステインの王子は使い魔の梟と視界を共有し、三人の姫を見た。 彼は、使い魔が手紙を渡したときから、最も美しい姫に恋していた。 彼がこの世で最も美しい手紙を書くと、美しい姫はそれ以上に美しい手紙を書いた。 彼は、美を愛する姫と恋に落ちた。 三人の王子がこの街を去る前日になった。 その晩、ガリアの王子がゴーレムを作り、三人の王子を窓辺に届けた。 三人の王子が三人の姫に結婚を申し込むと、 勇気を愛する姫と、美を愛する姫は、ゴーレムの掌に乗り移った。 一人だけ、知識を愛する姫だけが躊躇していた。 彼女は知識に囚われるばかりに、行動を起こすことができずにいた。 ついにエルフ達がゴーレムに気付き、ゴーレムは精霊の力で土塊に戻った。 間一髪、アルビオンの王子の使い魔、火竜が三人の王子と二人の姫を助け、 人間の領域へと飛び去っていった。 一人、知識を愛する姫だけが、アーハンブラ城に取り残された。 アルビオンの王子は勇気を愛する姫を、トリステインの王子は美を愛する姫を妃とした。 エルフの王は、占い師の予言通りになったことを悲しみ、 一人残った知識を愛する姫を、この城の外にある塔に閉じ込めた―― + + + 「初めて耳にする」 長門有希の正直な感想である。 「当然。この伝説は、ハルケギニア中でも最も危険な異端に属する。 もしこの伝説が事実ならば、王家にエルフの血が流れていることになる。 それでなくとも、ハルケギニア中が恐れるエルフと、交流のあった時代があったこと自体 ロマリアの教皇庁が全力で隠している事実」 「――知識を愛する姫はどうなったの?」 長門がタバサに問う。 「わからない。ガリアの王子と手紙を交わし続けたとも、 悲嘆に暮れて若くして死んだとも言われている。恋を知った彼女は、不幸だったかもしれない。――だけど」 「だけど?」 「わたしは恋を知ることを恐れない。 だから、ユキ、あなたも恐れないで。 ミョズニトニルンは、あなたと同じひとを愛しているかもしれない。 でも、あなたの感情とミョズニトニルンの感情に優劣を付けることなんてできない」 長門は小さく頷いた。 「――どんな王も占い師にも、わたしは縛られない」 長門有希の高速詠唱によって、灯りのついた部屋まで一直線に、通路が構成される。 + + + 二人が部屋に姿を現すと、ベッドに身を起こす人影から花瓶を投げつけられる。 「シャルロットを連れ去りに来たのでしょう!? 去りなさい、無礼者!」 しかし、タバサは母の前に跪き、 「シャルロット、母様の元へ、今、戻りました。悪夢はこれで終わりです。――ユキ、お願い……」 長門有希は掌をタバサの母に向け、高速詠唱を開始する。 しかし、今回ばかりは様子が異なった。 これまで一瞬で終わった詠唱が、普段より明らかに長く続いていることがタバサにも分かった。 その間もタバサの母は狂乱し、言語にならない奇声を上げている。 長門は一旦、詠唱を中断せざるを得ない。 「やっぱり――」 「もう少しだった。エルフによる情報操作とのせめぎ合い。 わたしには少しづつ押し切っていくことしかできない」 「母様をここから連れ出してからでもいい」 「――次はできる。もう一度、やらせて」 「わかった。お願い」 再び、長門有希の高速言語が母へ向かう。 輪を掛けて長い詠唱。 やはりエルフの先住魔法には、使い魔の情報操作でも対抗できないのか。 エルフに対し成す術もなかった、オルレアン公領の光景が脳裏を過ぎり、自然、タバサの手に汗が滲む。 しかしだんだんと、取り乱していたタバサの母の様子に変化が現れる。 奇声が止まり、目の焦点がだんだんと二人に合わされる。 そして長門が詠唱を止めたとき、母は、二人のことを静かに見据えていた。 「シャルロット――?」 「母様?」 タバサはベッドの母の胸に飛び込むと、涙を流し、心の全てを吐き出した。 それは、彼女の孤独そのものである。 長門有希は、情報操作によって部屋をハルケギニアから隔離し、自身はその狭間に姿を隠した。 本来ならば一刻も早く脱出しなければならないところだが、いかにエルフとはいえ、 空間全体を情報制御下に置けば、進入できまい。 やがてタバサは泣きつかれてか、母と寄り添って寝息を立て始めた。 この空間から出るまで、しばらく時間がかかりそうだ。 長門は気付かず微笑する。 しかし、その甘さが命取りであった。 自身の体を包み込もうとしている倦怠感、眠気のような感覚に気付く。そのときにはもう遅い。 それはまさに、彼女の体を侵食する、情報操作に他ならなかった。 タバサと母が眠りに落ちたのも同じ理由であろう。 エルフによる情報操作。 まさか、絶対の自信を持っていた空間の制御に、こうも簡単に介入されるとは。 誤算は、この空間が情報統合思念体の観測下とは物理法則の異なる、隔離された空間であることであった。 彼らにとって、ハルケギニア全体はホーム、利はエルフにある。 タバサと長門有希は、まんまとあのエルフに捕らえられたのだ。 薄れゆく意識の中、かろうじて長門は魔法学院に情報を飛ばす――。 + + + 二人のいない間に、トリステイン魔法学院も戦時体制に突入していた。 ルイズやキュルケたちも、従軍しないとはいえ、学院に派遣された軍人による教練を受けている。 その中に混じって剣の稽古を受けていた平賀才人が自室に戻ると、 机に置かれたノートパソコンの電源が入っている。 彼がパソコンの蓋を開けると、モニタは真っ黒のまま、白い文字だけが表示されていた。 YUKI.N みえてる? 「なんだこれ――、長門さん!?」 しばし呆けたあと、記された名前に気付き、キーボードを滑らせた。 『ああ』 YUKI.N わたしたちの負け。わたしにはもう、タバサを助けることはできない 『なんだって?』 YUKI.N わたしという個体は、もうすぐこの空間から消失する 『消える?』 YUKI.N 一方的な願いだと思っている。タバサを助けて。アルハンブラにいる 『長門さんはどうなるんだよ』 YUKI.N 元の世界に戻るか、完全に消失するか、どちらか 『そんな――』 YUKI.N わたしが消えたら、わたしがこの空間に及ぼした影響の大半が消える。ルイズをよろしく 『ルイズがどうなるんだ』 しかし返答はない。 「長門さん!?」 才人は思わずノートパソコンのディスプレイを叩く。 すると、思い出したように新たな文字が現れ、そしてパソコンの電源が切れた。 YUKI.N 虚無 「長門さん! ちくしょう、いったいどうしたっていうんだよ!?」 思わずパソコンに向かって叫ぶ才人。 だが、その大声は、部屋の外から聞こえた爆発音に掻き消された。 才人が廊下に出ると、ルイズの部屋の扉が吹き飛んでいる。 「ルイズ!? 大丈夫か? なにがあったんだ!」 煙が晴れると、木やガラスの破片が散乱する部屋の真ん中に、ルイズがへたり込んでいる。 「サイト……。わたし、またゼロになっちゃった……」 才人はルイズの爆発魔法を直接目にしたことはない。 それでも彼女の口から、才人と出会う直前まで、どんな魔法でも爆発する「ゼロ」だったということは聞き知っていた。 おそらくこの爆発が、彼女をゼロと呼ばせた魔法なのだろう。 そして、そのとき才人の頭を過ぎったのは、同じくルイズから聞かされていた、 彼女がアンドバリの指輪によって洗脳されていた間の体験。 そして、ルイズが本物の虚無であったという、長門有希の言葉である。 ルイズは確かに、虚無の魔法を唱えさせられたと話していた。 そして長門有希も、ルイズの虚無の力を証言していた。 最後の一押しは、今、もう一度伝えられた「虚無」。 あまりに話ができすぎている。 「ルイズ」 才人はルイズの前に座り込み、彼女と目線を合わせる。 「ゼロなんかじゃない。ルイズは本当の系統に目覚めたんだ」 「ありがとう、サイト。でも、慰めなんかいらないわ」 「慰めなんかじゃない。ルイズ、前に虚無の魔法について話したよな?」 「え、ええ」 「試しにそれを唱えてくれ。部屋が吹っ飛ばないくらいのを」 「まさかわたしが虚無だっていうの? 出任せにも程があるわ」 「俺が今までに、ルイズに嘘をついたことがあったか?」 「ええ、あったわ。あのメイドとイチャイチャして――」 「それは悪かったと思う。でも、ルイズを思う俺の気持ちは本物だ。 ――俺が本当にルイズを好きになる前、ルイズを尊敬していたのは、 ルイズが本物の貴族でメイジだったからなんだ。 今一度でいい、俺に初心を思い出させて、 ルイズ以外の女の子を忘れさせるために、ルイズの魔法を見せてくれないか?」 「……なによ、芝居がかって気持ち悪い。でもいいわ、一度だけよ。爆発するでしょうから離れてて」 ルイズが唱え始めたルーンは、虚無の魔法、イリュージョンのものだった。 単語の一つ一つが才人に心地よさを覚えさせ、ガンダールヴのルーンが光り輝く。 ルイズもまた、以前エクスプロージョンを唱えようとしたときとは違う、 体の中にある力の流れが、一方向に放出されるような感覚を覚える。 ルイズが詠唱を完成させると、二人の間には、光とともに人間の像が現れる。 それは、白銀の鎧に身を包み、デルフリンガーを構えた姿の平賀才人であった。 「わ、わたしったら、なにあんたのこと思い浮かべてるのよ! えいっ、えいっ、消えて!」 ルイズの言葉に従い、虚無の虚像は音もなく消える。 「ルイズ……、今の俺、なんか表情が……。お前の頭の中じゃ、俺ってあんな風に見られてたのか」 「な、なんにも聞こえないわ。今のは事故よ、事故」 顔を赤らめ下を向くルイズ。 しかし才人は、そんな彼女を優しく抱きしめた。 「でも、ありがとう。何も言われてないのに、使い魔の姿を思い浮かべるなんて、そうそうできやしないぜ」 「恥ずかしいからそれ以上言わないで――」 「それに、虚無の魔法が使えたじゃないか。ルイズはゼロなんかじゃない。 四系統を使いこなす天才でもない。伝説――だったんだ」 「――わたしが、虚無」 「ああ。……だけど、どうなっちゃうんだろうな、俺たち。伝説だぜ――?」 前ページ次ページ雪と雪風_始祖と神
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第2章 1日目 街は静まりかえっていた。まるで人間すべてが消えてしまったのではないかと錯覚してしまうほどに。わたし1人、夜道を歩いていた。ふと、北高の校門前で立ち止まった。時刻は午前3時を回っている。 わたしは本が好きだった。読むことも書くことも。時間を見つけては小説を書いている。小説を書くことは難しい。小説を書いていると行き詰まることがよくある。原稿を睨んでいても、アイデアは一向に浮かばない。そんなときは、散歩することにしている。今、散歩をしている理由はまさしくそれ。わたしの書いている小説の続きがどうしても書けない。クライマックスがどうしても書けないのだ。ハッピーエンドにすべきなのか、バットエンドにすべきなのか。読み手はどちらを望むのだろうか。わたしはどちらを望むのだろうか。 ◆◆◆◆ 私は、ごく一般的な高校に通う高校1年生。この学校に通って半年になる。私の趣味は本を読むことで文芸部に所属している。私は人と話すのが苦手で、友達はいない。わたしはいつも休み時間になると教室から逃げ出し、部室に行って本を読めるけれど、本ならどこでも読めるが教室の空気が好きになれなかった。別にいじめられているわけじゃないけれど、あの場所にいると孤独を感じた。部室に行っても1人であることに変わりはないが、部室は落ち着いた。部室だけが私の居場所だった。 私には好きな人がいる。名前はわからない。彼との初めての出会いは近所の市立図書館。実は、私が本を読み出したのは高校生になってからで、それまで本に全く興味はなく、図書館に行ったことさえなかった。初めて図書館に行った時、本がところ狭しと並ぶ光景をみて感動したことを今でも覚えている。しかし、貸し出しカードの作り方を知らず、引っ込み思案な私は受付の人に訊くこともできず困り果てていた。そのとき困っている私に気づき声をかけてくれたのが彼だ。私は彼のことを今でも思い続けている。 ある日、顧問の先生に呼び出された。顧問と言っても名前だけで、普段、話すこともない。古文の担任でもある先生に呼び出されたとき、よほど古文の成績が悪かったのか、と心配したほどだ。文芸部のことで相談があると言われ、自身の成績に問題がないとわかりほっと安心したと同時に、とてつもない不安に駆られた。 「言いにくいんだが」 という前置きがわたしをさらに不安にさせた。 「このまま新入部員がいなければ、廃部になる」 不安が的中した。 「私としても、廃部は避けたいんだが、部員が1人しかいない部に部室と予算を提供することは学校として認められないそうだ。来年度の予算の素案が決まる今月末までに、新入部員が増えなければ存続は難しい」 廃部宣告だった。いきなりの告知。予想できていたとはいえ、その言葉を受け入れるのに数秒の時間を要した。 私は宣告を受け入れ部室に戻った。部室の扉を開けると、多くの本が私を出迎えてくれる。部室がなくなる。この本はどうなるのだろうか。この本棚はどうなるのだろうか。この部室は唯一私が安らげる場所。その大切な場所がなくなる。私はどうすればいいのだろう。私はその場にしゃがみ込んだ。 「大丈夫か。どうしたんだ」 振り向くと、そこに『図書館で会った彼』がいた。 「文芸部の部員か」 彼は廊下で泣き崩れる私にそっと手を差し出し、部室の椅子に座らせてくれた。 「どうしたんだ?」 「答えたくないならいいんだが」 彼は困惑しているようだった。答えないのは彼に悪い気がして、包み隠さず今日起こった出来事を話すことにした。 「う~ん」 彼は眉間にしわを寄せしばらく考え込み 「じゃあ、俺が入部しようか」 「え……」 あまりにも突然で私は固まってしまった。聞き違いに違いない。 「俺は本が好きだし、どこかのクラブに入りたいと思っていたんだ」 彼は照れくさそうにそう言った。 「すまん。迷惑か」 「そんなことはない」 私は、必死で否定した。私はあわてて、本の山をかき分け、ほこりがかぶっていた入部届を探しだし、彼に渡す。彼はその場で入部届けを記入した後、本棚を眺めたりしていた。こういう場合、部の活動内容等を説明するべきなのだろうが、私は緊張しすぎて顔を上げることもできず、本を読むふりをしてしまった。 あまりの急展開に放心状態だった私は彼が帰った後、ことの重大性に気づき、おろおろしたり、にやけたり、これは夢ではないかと不安にもなり、じっとしていられず動物園にいるライオンのように同じ場所を行ったり来たりした。運命の赤い糸なんてあるわけないと思っていたが、今日ばかりは運命の赤い糸が私の小指に結んであると言われても素直に信じてしまう。 そうして、私と彼の新しい部活が始まった。昼休みと放課後、彼が部室に行われた。といってもルールとして決まっている訳ではなく、彼も私もいつのまにか習慣づいてしまっただけなんだけど。昼休みは弁当を持ち寄り、食べながら最近読んだ面白い本の話をしたり、最近見たテレビのことなど、どうでもいい話もした。話といってもしゃべっていたのはほとんど彼だったが。それ以外の時間は本を読んでいた。特に会話はない。ただ本を読むだけなので、以前とやっていることは変わらない。しかし、部室の空気は一変した。 その日も、彼と一緒に昼食を食べ、その後、私は昨日読んでいた学園小説の続きを読み、彼はハードカバーの長編SF小説に挑戦していた。部室には穏やかな時間が流れた。静かな部屋に時折聞こえる本をめくる音が心地よい。こんな日がずっと続けばいい。そう思っていた。 どれぐらい時間が経っただろうか?短針が2周はしたと思う。ふと横を見ると彼はすうすうと寝ていた。その幸せそうな寝顔をみていると私まで和んだ。もしかしたらこういうことが幸せっていうものなのかもしれない。私は1人微笑んだ。 つづく ◆◆◆◆ これは、わたしの書いた小説だ。ヒロインは自分自身をモデルにしているが、文芸部が廃部宣告を受けたことも、それを救うヒーローが現れることもない。現実はきびしい。わたしは今日も1人、部室で本を読んでいる。 ちなみに、小説に登場する『彼』にはモデルになった人物がいた。『彼』とはわたしと同じ北高に通う生徒で、キョンというあだ名があるらしい。『らしい』というのは、朝倉さんからの伝聞だからで、わたしは彼と話すことがないからあだ名で呼ぶこともない。彼と話したのは、小説同様図書館で貸し出しカードを作ってくれたときだけだ。なんでも、朝倉さんは彼と同じクラスで、しかも席は彼の後という。世の中はなんと不公平にできているのだろう。朝倉さんは彼のことを普通と評していた。 「どうかって言われても、そんなに印象はないかな。もしかして、彼のことが好きなの」 わたしは全力で否定する。でも、すでに手遅れで 「そんなに気になるなら告白したら。なんなら話が仲介しようか」 と彼が好きであることが既成事実になり、さらに恋のキューピットまで申し出てくれた。 はあ わたしは盛大なため息をついた。どうしてわたしは臆病なのだろうか。 そんなある日、信じられない出来事が起こった。あらかじめ言っておくがこれはわたしが夢想した小説ではない。現実での出来事である。 バン! 突然扉が勢いよく開き、『彼』が入ってきたのだ。 「いてくれたか……」 彼はなぜか、わたしを見て安堵の表情を浮かべ、扉を閉めた。 「長門」 「なに?」 わたしはできるだけ平静を装い答えた。図書館の一件以来接点のなかった彼が、なぜわたしの名前を知っているのだろう。もしや、朝倉さんの計らいではないだろうか。 「教えてくれ。お前は俺を知っているか?」 当然知っている。図書館の出来事以来わたしはずっと彼を思い続けている。戸惑いと喜びと緊張が同時に押し寄せてどうしていいか訳がわからなくなりそうな自分を落ち着かせようと、できるだけ平坦な声で言った。 「知っている」 それにしても、彼の問いかけの意図はなんだろう。彼は図書館のことをずっと覚えていて、わたしに会いに来てくれたのだろうか。 「実は俺もお前のことなら多少なりとも知っているんだ。言わせてもらっていいか?」 わたしは期待する。彼との接点は図書館しかない。彼が図書館の話をすると信じて疑わなかった。しかし、彼はわたしの期待を大きく裏切ることを言った。 「お前は人間ではなく、宇宙人に造られた生体アンドロイドだ」 彼の爆弾発言は、わたしの期待を宇宙の彼方にぶっとばし、わたしの頭の上にはいくつものハテナマークが回っていた。宇宙人? 生体アンドロイド? たしかにわたしはそういうものが出てくるSFを数多く読んでいる。しかし、わたし自身にそんな力がないことは言うまでもない。 「それが俺の知っているお前だ。違ったか?」 「ごめんなさい。わたしは知らない。あなたが五組の生徒であるのは知っている。時折見かけたから。でもそれ以上のことをわたしは知らない。わたしはここでは、初めてあなたと会話する」 わたしがそう言うと、彼はとても悲しそうな顔をした。そんな顔をされても……困るんだけど。 「……てことは、お前は宇宙人じゃないのか? 涼宮ハルヒという名前に何でもいい、覚えはないか?」 ないとしか答えようがなにので「ない」と答えた。 彼は不治の病にかかった患者が名医に頼み込むように、わたしに必死に懇願する。 「待ってくれ。そんなはずはないんだ」 彼の顔は真剣そのものだった。何かに追い詰められているような、そんな緊迫感がこちらまで伝わってくる。もし、これが演技なら文芸部でなく演劇部の門をたたくべきだと思う。 「思い出してくれ。昨日と今日で世界が変わっちまってる。ハルヒの代わりに朝倉がいるんだよ。朝倉が復活しているんだからお前も何か知ってるはずだ。朝倉はお前の同類なんだろう?」 朝倉さん? やはり朝倉さんが彼に何かを吹き込んだのだろうか。それとも朝倉さんの仕組んだどっきりなのか。 とにかく、演技とは到底思えない緊迫感ある表情はさらに磨きがかかり、恐怖さえ覚える。 彼はわたしの肩をつかみ、迫った。 「何の企みだ。お前なら解りやすくなくとも説明はできるはずだ」 彼の荒い息が私の顔に降りかかる。肩をつかまれ身動きがとれない。恐怖で心臓の鼓動が聞こえる。 「やめて……」 やっとのことで声を絞り出した。 彼は慌てて手を離し、後ずさりし 「すまなかった。狽籍を働くつもりはないんだ。確認したいことがあっただけで……」 彼は魂が抜けた抜け殻のように、椅子の上に崩れ、焦点を定めない目を泳がせている。そして部室を見渡して、頭を抱え込んだ。 彼の言っていることは支離滅裂だが、彼の必死さはホンモノだ。冗談とは到底思えない。何かある。きっと何か事情があるはずだ。 彼はゆっくりと頭を上げ、わたしを見て謝った。 「すまん」 その声には悲壮感が漂っていた。逆に心配になってくる。何か声をかけた方がいいのだろうか。 彼が座り込んで10分ぐらい経っただろうか。硬直状態が続いていたが、それを破ったのも彼だった。 彼は突然立ち上がり、パソコンを指で差して 「長門。それ、ちょっといじらせてもらっていいか?」 わたしは困惑した。小説の中でも、現実でも彼はわたしを驚かす役回りらしい。なんてことを言っている場合ではない。そのパソコンにはわたしが今まで書き溜めた小説が入っている。図書館のエピソードも書かれている。でも、断るのも不自然だし…… 「待ってて」 わたしはデスクトップ上にあった小説フォルダをゴミ箱に移した。あとで、ゴミ箱から復帰させればいい。とにかく、小説を見られるわけにはいかない。 小説を隠した後、彼に言う。 「どうぞ」 「悪いな」 そう言うと、彼は何かの作業をする訳でもなく、よりにもよってパソコンのファイルを探し出した。まさか、わたしの小説を探しているのか。いや、小説の存在は知らないはず…… 「ねえか」 彼はそう言い、席を立った。 「邪魔したな」 彼は帰ろうとする。せっかく話ができたのに…… なぜ彼が『ここ』にきたのか、なんて考える余裕はなかった。とにかく、神様がくれた、たった1度の機会だと信じたい。でも、そのたった一度のチャンスを生かすことはできなかった。彼がこのまま帰れば、もう二度と彼に会えない気がする。 彼の背中が遠ざかる。何か言え! わたし。 「待って」 わたしはあるだけの勇気を出して言った。彼は振り向く。 わたしは急いで本棚の隅にあった入部届を取り出した。 「よかったら、持っていって」 たった1枚の紙。でもそれは彼とわたしをつなぐ……かもしれない小さな希望だった。 つづく
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