約 24,299 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1204.html
4月第1週 今日から高校生。 本が好きだから文芸部に入る。 でも部員はわたし一人。 暇だから部室にあったパソコンで小説でも書く。 恋愛小説。登場人物はわたしと一目ぼれした5組の男子。 「長門好きだ。」 「私も好き。」 あとが続かない。才能のなさに絶望する。 4月第3週 わたしの好きな人のあだ名はキョンというらしい。 本名はわからないけど、それでいいかなと思う。 小説もわかりやすく名前を入れてみる。 キョン「長門、好きだ。」 わたし「わたしも好き。」 ちょっと心が温かくなった気がする。 5月第2週 恋愛小説なのに感情が無い。 ためしに顔文字を入れてみる。 キョン「長門、好きだ!( ゜д ゜) わたし「私も好き(///)」 ちょっとは感情が入ったかな? 6月第2週 いろんな本を読んで私なりに小説の勉強をしてみた。 その場の説明や雰囲気なんかをセリフの合間に入れる、 「地の文」というのが足りなかったみたい。 ちなみに本を図書館で借りてくる時、キョンに偶然助けてもらった。 やっぱり私はキョンのことが・・・・・・ ある日の放課後、わたしが物質で本を読んでいた。、 5組のキョンが訪ねてきた。 いきなり多くな声で言った。 キョン「長門、好きだ!」 わたしは嬉しかた。わたしは言った。 わたし「私も好き。」 いつも読んでいる本たちにちょっと近づけた気がして嬉しい。 7月第1週 今更タイトルが無いのに気付いた。 でもいいタイトルが思いつかない。 しょうがないから「無題」としておく。 あと、見直してみたら誤字があった。 直さなきゃ。 「無題」 ある日の放課後、わたしは部室で本を読んでいた。 5組のキョンが訪ねてきた。 いきなり大きな声で言った。 キョン「長門、好きだ!」 わたしは嬉しかった。わたしは言った。 わたし「私も好き」 9月第1週 夏休みが終わった、久々の部室。 夏休みの間にいっぱい本を読んだ、 いろんな本を読んでみて気付くことが山ほどある。 今までわたしは読んでいなかったみたい。 あんなに多くの本を読んだというのに。 「無題」 ある日の放課後、日は大分傾きかけ、部室の中を赤く染める。 その中で一人私は本を読む。 それが私の部活動。 いつもと変わらぬ一人での部活。 でも今日は少し違った。 突然部室の扉が開き、一人の男子が顔をのぞかせる。 「長門、今時間いいか?」 その男子の名はキョン。私の好きな人。 キョンは周りに誰もいないことを確認して、 私を見つめ、そして決心したように大きな声で私に言う。 「長門、俺はお前のことを好きになってしまった」 嬉しい、夢のような言葉。上手く返事が言葉に出来ない。 やっとのことで返事を口から取り出す。 「私も好き・・・」 そして二人の影は一つになる・・・・・・ 10月第4週 さぁ、この小説を完成させよう。 タイトルはいろいろ迷ったけれど、 「無題」のままに決めた。 「無題」 私には好きな人がいる。 高校生になったばかりの私が、入学式の時に見かけた一人の男子。 ――ひとめぼれ これが「ひとめぼれ」であることに気付いたのは入学式が終わり、HRが終わり、家に帰り、布団に入った頃。 その人の名はキョン。本名は知らない。でも本名以上に知られた名前。 わたしは彼のことをいつも思っていた。 でも彼はわたしのことをどう思っているのだろう? 一度図書館であった時も優しくしてくれた。 でもそれは誰にでも見せる優しさ? 不安―― わたしはその不安を消すために、本の世界へと没頭する。 本の世界なら誰もがヒロインになれる。 でも内心は……このままじゃいけないと思っていた。 誰かにわたしの固く閉まった扉を開けてもらい、 広い世界へと飛び出したいと思っていた。 でもわたしにはその勇気がなかった。 今日も一人私は本を読む。 それが私の部活動。 いつもと変わらぬ一人での部活。 突然部室の扉が開いた一人の男子が顔をのぞかせる。 キョン――? 「長門、今……時間いいか?」 私の好きな人がぐるりとあたりを見渡したかと思うと 私を見つめ、そして決心したように大きな声で私に言った。 一生記憶に残るほどの大切な言葉を。 「長門、俺はお前のことを好きになったみたいだ」 今まで固く閉ざされていた心の扉は開かれた。 その鍵となる夢のような言葉。 上手く言語化できなかったけれど、やっとのことで返事を口からつむぐ。 「私も好き……」 あとはまるで自動的に決められていたかのように、 自然に二人は引き寄せられる。 赤く染まった部室の中で二人の影は一つになった…… 「キス……」 「いきなりだったか?」 「ううん」 本当は遅すぎたくらいだ。 「もう一度」 キスをする。二人の気持ちを形に変える。 「長門、これからはずっと一緒だ。いろんなことをしよう。いろんな所に行こうな」 今度はわたしが主人公。 Fin 書き終わって満足感とひとかけらのむなしさが横切る。 これが現実になったら…… 12月18日 キョンが部室にやってきた。 小説が現実化したかとびっくりしたが、キョンの様子がおかしい。 わたしが宇宙人?世界が変わってしまった? 理解できない。でも何か頭の片隅でチカチカと引っかかるものがある。 わたしは何かを知っている?でも今は何もわからない。 でもキョンの力になりたい。協力したい。 キョンはパソコンを見せて欲しいといった。 わたしの恥ずかしい小説がいっぱい入ったパソコン。 なんとか待ってもらって、古いものは消したけど、 見られやしないかと気が気でない。 結局私の小説は見られなかったけど、キョンも収穫がなかったみたい。 肩を落として帰ろうとするキョンをとっさに呼び止めた。 ここで何も言わずに別れたら一生会えなくなると思ったから。 私はキョンに渡した。白紙の入部届。 少しでも近くにいられるように、少しでも力になれるように。 わずかな期待を込めて。 12月19日 今日もキョンが部室にやってきた。純粋に嬉しい。 しばらく部室を眺めていたけど、キョンが部室にある本に興味を持ってくれた。 本を見ながら私に「小説は書くのか?」と聞いてきた。 心臓が止まるかと思ったけど、つとめて冷静に「読むだけ」とだけ答えた。 でも動揺が隠せられたかは知らない。 その後は微妙な沈黙が部室を覆う、いつもの一人だけの沈黙とは違う、張りつめた沈黙。 でもちょっとだけあたたかな気がする沈黙。 その沈黙を破ったのはキョン。「これ書いたのはお前か?」 『プログラム起動条件・鍵をそろえよ。最終期限・二日後』 確かに私の字に見える。でも何か違う。まるで違う世界のわたしみたい。 キョン君は必死に何かを考えているみたいだった。 わたしは読書に戻ろうとしたができない。 昨日と一緒。このまま放置したらキョンは違う世界に行ってしまう。 帰宅のとき、わたしは最大の勇気を振り絞る。 「来る?」「わたしの家」 その晩は途中邪魔さえ入らなければ最高の夜。 少しだけ距離が近づいた気がした。 少しだけ、少しだけ―― その思いを小説に込めよう。この消えない不安を吐き出すためにも。 「無題」 ある日突然世界が変わる。 そんなこと現実には起こるはずがないと思っていた。 わたしがいつも読んでいる本の中だけの出来事。 そんなことが起こるわけないと思っていた…… わたしが高校生になった時、微かに変わる予感がした。 それはあまりに突然で、でもとてもゆっくりで。 それはとても新鮮で、でもなぜか懐かしい。 不思議な気分で一日が過ぎて、夢の世界へ旅たつ直前。 わたしはわたし自身が何を感じとったのかを理解した。 ひとめぼれ―― そうだわたしは恋をしたんだ。 でもわたしは恋をしたとわかっていても、 それを打ち明けることなど出来なかった。 世界はやはり変わらない…… 例えそれが苦しくても、悲しくても、辛くても。 わたしは世界を変えることが出来なかった。 キョン―― わたしの好きな人の名前。みんなが彼を呼ぶ名前。 それが本名なのか、あだ名なのか。 そんな事はどうでもよくて。 ただ彼のことがわかることが、嬉しかった。 世界が少し変わる気がして。 彼とわたしはたびたび出会う。 通学路で、学校で、グランドで。 でもわたしは遠くから見ているだけだった。 ある日、図書館で出会ったときも、 わたしは何も出来なかった。 でも彼はわたしに優しくしてくれた。 そう優しくしてくれた。 でも。 彼は誰にでも優しい。 その優しさはみんなと同じ。 不安、不安、不安。 わたしの心はかき乱される。 結局私は何も出来ない。 本の中のヒロインにはなれない。 今日もわたしは本を読む。 それがわたしの部活動。 一人で寂しく本を読む。 いつもと変わらぬ部活動。 ヒロイン達にあこがれながら。 決して変わらぬこの世界を生きる。 ある日突然世界が変わる。 そんなこと現実には起こるはずがないと思っていた。 わたしがいつも読んでいる本の中だけの出来事。 そんなことが起こるわけないと思っていた…… 真っ赤になった部室の扉が開く。今まで勝手には開くことのなかった扉。 それは夕日に照らされながら、そこにいる人を包み隠す。 そこにいた人の顔はなかなか見えなくて。 誰かわかったあともなかなか信じられなかった。 キョン――? そこにいる彼はとても不安そうで。迷っているようで。でも力強くて。 ふと、わたしは彼がわたしが欲しかった物を持っている気がした。 「長門」 彼はわたしをまっすぐに見つめる。 「今、時間いいか?」 それはとても力強い声。世界を変える力を持つ声。 「長門、俺は長門のことが好きだ」 ある日突然世界が変わる。 そんなことが現実に起こる。今現実に起こっている。 わたしがいつも読んでいる本の中のようなことが。 そんなことが起こるわけ無いと思っていたのに…… 沈黙が世界を包み込む。 キョンは不安そうにわたしを見つめる。 このままだと――世界は再び元通り。 返事を――言わなきゃ――何を――言うのか――? 「わたしも好き」 やっとの事でそれだけが口からこぼれ落ちる。 キョンはわたしの返事で180度表情が変わった。 心の底から光る笑顔。 そのままキョンはわたしに近づいて…… わたしもキョンに近づいた。 それはまるで磁石のように。 まるで決まった運命のように。 二人は互いに引き寄せられる。 「キスしてもいいか?」 「うん……」 二人の愛が形に変わる。 一生変わらぬその愛を。 世界を変えてよかった。 わたしはこんなにも幸せだ。 キョンとわたしだけが ――キョンとわたしだけが この世界にいる。 キョンはわたしを選んでくれた。 ――キョンはわたしを選んでくれる。 世界を変えて、キョンを手に入れる。 ――世界を変えて――キョンを ――わたしと一緒に ――永遠に キョン――大好き―― ――2月下旬 生徒会の圧力により文芸部の機関誌を作ることになった。 わたしの担当は「幻想ホラー」小説など初めて書く。 でも―― パソコンを開いたら、何かとても懐かしい気がした。 ずっと昔、必死に小説を書くために頭を悩ませた記憶。 存在しないはずの記憶。 わたしは書き始める。 ――わたしは書き始める。 タイトル「無題」…… END
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/202.html
【07 12】 朝倉涼子の笑い声で起床。まだ眠い。 顔を洗う。 【07 22】 朝からカレーを食べる。 胃が重い。イヤになる。 「学校に行っておいで」 主流派の言葉だ。 うるさいんだよ。わたしは人間じゃないただのインターフェイスなんだよ。 「気を付けて!」 うるせぇんだよ、この穏健派が。 【07 35】 ダルい学校へ出発。 庭ではうるせぇ急進派がわめいている。殺すぞ。 【07 43】 「助けて~!」 朝比奈みくるが叫んでいる。 わたしにどうしろっていうんだよ。 【07 50】 みくる救出。 痴漢に襲われたらしい。 うだつの上がらない奴だ。 【08 03】 今日は曇りだ。 気分が盛り上がらない。 早くマンションへ帰りたい。 【08 14】 朝倉がニヤニヤしている。 【08 16】 学校到着。 【09 45】 お腹がすいた。 弁当のカレーを食べる。 また胃がもたれる。 【10 35】 みんなで談笑。 朝倉の笑い声にみんながいらつく。 【11 37】 0円スマイル男 登場。 【11 38】 「長門さん、少しお話が」 相変わらずのにやけ顔だ。 「そう」 本当はどうでもいい。 カレー食べたい。 【11 39】 ニヤケ男と涼宮ハルヒについて話す。 顔が近い。 気持ち悪い。 【11 40】 「何の話?」 朝倉だ。 タイミングが良すぎる。 どこから見ていたんだ? 【11 41】 「お邪魔しちゃったかしら?」 何か勘違いしている。 朝倉がニヤニヤしている。 【11 42】 「ではそのようにお願いします」 知らん。 「わかった」 3歩で忘れる。 【12 30】 文芸部室でカレーを食べる。 官能小説を読む。 朝倉がニヤニヤしてこっちを見ている。 いやがらせか? 殺すか? 【12 50】 仮眠。 【13 20】 起床。 キョンに襲われる。 「だ、誰か助け…!」 こんな姿見せれない。 【15 20】 授業終了。 【17 21】 部室で官能小説を読む。 涼宮ハルヒが遅すぎる。 【17 30】 朝倉がニヤニヤしている。 【18 00】 本を閉じる。 皆帰り仕度を始める。 わたしは鳩時計か。 【18 30】 朝倉がニヤニヤしてこっちを見ている。 殺すか?
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5440.html
プロローグ 第一章 第二章 第三章 第四章
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/4913.html
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2399.html
Report.19 長門有希の憂鬱 その8 ~涼宮ハルヒの告白~ 部室の扉がノックされる音が響いた。わたし、涼宮ハルヒ、朝倉涼子の三人は、互いに顔を見合わせた。 「どうぞー。」 結局、ハルヒが返答した。扉が開き、四人の人物が入ってきた。 「ちょっと失礼しますよ。」 喜緑江美里、古泉一樹、朝比奈みくる、『彼』……通称キョン。 「あんたは、生徒会の……何でここに?」 「実は我々は、長門さんが北高に向かっていたという話を聞いて、戻ってきたところなのですが、そこでたまたま彼女に会いまして。彼女……生徒会の方でも、何やら長門さんに用があるとかで、御一緒した、というわけなんですよ。」 古泉一樹が答えた。……話し方が変わっている。 「そんなに睨まないでくださいな。活動状況を簡単に確認するだけですから。」 ハルヒが江美里を睨み付けているのは、先の文芸部会誌を作成した時のことを踏まえてのものだろう。 「文芸部の活動は 極 め て 順 調 やから、どうぞご心配なく!!」 【文芸部の活動は 極 め て 順 調 だから、どうぞご心配なく!!】 彼女は目を三角に怒らせて、江美里を威嚇している。江美里は全く意に介していないが。 「長門さん……お久しぶりです……」 みくるが声を掛けてきた。そういえば、既に会ってはいるものの、まだ彼らには言っていない。わたしは彼らに視線を向けて、言った。 「ただいま。」 「……おかえり、長門。」 『彼』が答えてくれた。わたしは、帰ってきたことの『実感』が湧いた、ような気がした。皆は一様に、わたしの帰還を喜んでいるようだった。 その中で、ハルヒからすれば部外者である江美里が、わたしに向けて口を開いた。 「今年度の文芸部の活動状況についてですが。」 『御承知のように、敵対勢力の排除は完了しました。』 「…………」 『協力に感謝する。』 かぎ括弧は声に出した会話。二重かぎは通信の内容。 「昨年度は会誌の発行が、例年に比べてかなり遅延していました。まあ、内容は充実していたようなので、その点は心配していませんが。」 『《全員で突入する》という要請でしたけど、期待には応えられたでしょうか。』 「…………」 『十分。予想以上。』 「ここだけの話ですけど、うちの会長も、口ではああ言ってますけど、次の刊行を心待ちにしてるんですよ。文芸部の会誌をこっそり読んで、お腹抱えて笑ってましたから。特に鶴屋さんが書いた小説には、腹筋を破壊されたみたいでしたね。」 『皆さん、とんでもない戦闘能力を持ってますね。さすがは涼宮さんに選ばれし兵(つわもの)達、といったところですか。』 「……善処する。」 『……同意する。』 江美里は、絵に描かれた貴婦人のような微笑を浮かべて、 『彼女の感情がそろそろ限界のようなので、会話相手は譲りましょうかね。ほら、あなたもボーっとしてないで。』 『んあ!? ちょっと! 急に話を振らないでくれる!?』 涼子が不意を突かれて慌てている。このような反応は、我々インターフェイスのものとは思えないほど人間的だった。 『どうしたのでしょうね。あなたらしくもない。』 『いや、ちょっと……涼宮さんと長門さんの表情に見とれちゃって……』 わたしの表情? わたしは何か表情を浮かべていたとでも言うのだろうか。 涼子はわたしをまじまじと見つめた。 『……本気で言ってるの?』 嘘をつく理由も利益もない。 『……無自覚、か。なるほどね……』 話が見えない。 『長門さん。あなたは、さっき涼宮さんに「ただいま」って言った後、目を細めて微笑したのよ。』 ……身に覚えがない。 『じゃあ、無意識のうちに、微笑してたのね。』 わたしに表情を作る機能がないわけではなく、また、誰にでも分かるほどはっきりと表情を変えることも、できなくはないことは知っている。実際に、『微笑』という表情をハルヒには見せたことがある。しかし、先ほどの会話では、特に表情を作った記憶はない。 『だからさ……それは「自然な表情」って言うのよ。「自然と笑みがこぼれる」っていうやつ。』 それは、本にも頻繁に登場する表現。しかし、実際にどのような状態なのかは、分からなかったもの。そのような理解不能だった状態に、わたしがなっていたと言うのか。信じられない。 『……変わったわね。』 『……変わりましたね。』 二人は、嬉しそうに顔を見合わせた。 わたしは、そこまで自由に、任意の表情を浮かべることはできないはず。それに、なぜ二人が『嬉しそう』なのかの理由も分からなかった。 「有希……有希……!」 ハルヒの声。見ると、人間の言葉で言う『感極まった』様子だった。 「有希ぃ――――!」 彼女は、わたしのそばに駆け寄るとわたしを強く抱き締めた。そして一気にまくし立てた。 「有希! ごめん! ごめんなさい! あんな、あんなことして……! あんたを突き飛ばして怪我さして! それで、怪我したあんたをほったらかしにして!」 【有希! ごめん! ごめんなさい! あんな、あんなことして……! あんたを突き飛ばして怪我させて! それで、怪我したあんたをほったらかしにして!】 彼女は、泣きながら詫びている。先日の、わたしが消失した日の出来事。わたしがうっかり、彼女の心にある、侵してはならない領域を侵してしまった、あの日の出来事。 「いい。気にしてない。」 「ほんま?」 【ほんと?】 彼女は潤んだ瞳でわたしを見つめる。わたしは、誰にでも分かるほど大きく、はっきりと頷いた。彼女はまたわたしを抱き締めた。そして、人間の言葉で言うと『堰を切ったように』、語り始めた。わたしがいなくなったことで、どれだけ自分が寂しかったかを。 「……他にも数え上げたらキリないけど、とにかく! それぐらい寂しかったんやから!」 【……他にも数え上げたらキリがないけど、とにかく! それぐらい寂しかったんだから!】 「事情はよく分かった。」 わたしは、素っ気なく答えた。本当は、とても嬉しい。彼女にここまで強く気に掛けてもらえて。 「でも、これだけは言わして?」 【でも、これだけは言わせて?】 と、彼女は涙目で言った。 「なに。」 彼女は、大きく深呼吸した。そして、意を決して言った。 「有希――――!! 愛してる――――!!」 ざわ……ざわ…… そんな擬音語を背景につけるのがふさわしいと思った。わたしと彼女以外のその場にいた者は皆、目を丸くして驚愕している。彼女は、わたしを強く抱き締めてきた。 「もう、絶対に、あんたを、失いたくない! 離したくない!!」 そして彼女は……わたしの唇を奪った。 『んっ、んっ、んっ……んむ……んむ……』 濃厚な接吻。それも、他人の目の前で。 『んっ……はっぁ……あむ……んっ……』 彼女の口付けは終わらない。彼女の、暖かい気持ちが伝わってくるような気がする。 ようやく彼女の濃厚な接吻が終わった。口を離すと、お互いの唇から唾液が糸を引いて繋がっていた。 彼女は滔々と語り始めた。それは紛れもなく、わたしへの『愛の告白』だった。 「最初は単なる好奇心やった。無口で無表情な娘やなーって。泣いたり笑ったりせえへんのかなーって。まるで部室の付属物みたいに、存在感のない娘、っていうのが最初の頃の印象やったわ。」 【最初は単なる好奇心だった。無口で無表情な娘だなーって。泣いたり笑ったりしないのかなーって。まるで部室の付属物みたいに、存在感のない娘、っていうのが最初の頃の印象だったわ。】 それが、共に過ごすうちに、だんだん見る目が変わっていった。 「毎日なんとなく眺めてるうちに、だんだん気になりだしてん。あんたは無口で無表情やったけど、万能やった。何でもそつなくこなせた。その時に思ってたんは、どうやったら有希と仲良くなれるかってことやった。」 【毎日なんとなく眺めてるうちに、だんだん気になりだしたの。あんたは無口で無表情だったけど、万能だった。何でもそつなくこなせた。その時に思ってたのは、どうやったら有希と仲良くなれるかってことだった。】 彼女は遠い目をして言った。 「決定的やったんは、一年の時の文化祭。気ぃ付いてた? あんたの情熱的なギターは、一緒に舞台に立ったあたし達も含めて、その場にいた誰もを魅了したんやで。あの時あたしは、最高に気持ち良く歌ってたけど、それはきっと、あんたがギターで支えてくれたからなんやと、今になって思うわ。急遽代役で立った舞台で、どうなるか分からへん一発勝負。いくらあたしでも、緊張せえへんかった、って言(ゆ)うたら嘘になるわ。それでも何とか乗り切れた。今なら理由が分かるわ。それは有希が、いつもあたし達の期待に応えてくれる有希が、そばにおってくれたから。一緒に舞台に立ってくれたから。体育祭では、文武両道さを存分に見せ付けてくれたし、バレンタインデーの時は料理も振舞ってくれた。あの時作ってくれたうどん、めっちゃ美味しかったで。今でも忘れられへんもん。阪中の家の犬を治した時は、正直感動したわ。いつもいっぱい本読んどぉけど、ただ読むんやなくて、ちゃんとその知識を役立たせてるんやから、改めてすごいと思ったわ。それで、ますます有希から目が離されへんようになった。」 【決定的だったのは、一年の時の文化祭。気付いてた? あんたの情熱的なギターは、一緒に舞台に立ったあたし達も含めて、その場にいた誰もを魅了したのよ。あの時あたしは、最高に気持ち良く歌ってたけど、それはきっと、あんたがギターで支えてくれたからなんだと、今になって思うわ。急遽代役で立った舞台で、どうなるか分からない一発勝負。いくらあたしでも、緊張しなかった、って言ったら嘘になるわ。それでも何とか乗り切れた。今なら理由が分かるわ。それは有希が、いつもあたし達の期待に応えてくれる有希が、そばにいてくれたから。一緒に舞台に立ってくれたから。体育祭では、文武両道さを存分に見せ付けてくれたし、バレンタインデーの時は料理も振舞ってくれた。あの時作ってくれたうどん、すっごく美味しかったわ。今でも忘れられないもん。阪中の家の犬を治した時は、正直感動したわ。いつもいっぱい本を読んでるけど、ただ読むんじゃなくて、ちゃんとその知識を役立たせてるんだから、改めてすごいと思ったわ。それで、ますます有希から目が離せないようになった。】 それに、と彼女は続けた。 「あれは夢やったみたいやけど、未だに忘れられへんことがあんねん。覚えとぉ? 一年の冬休み、鶴屋さん家の別荘に合宿に行った時の事。」 【あれは夢だったみたいだけど、未だに忘れられないことがあるの。覚えてる? 一年の冬休み、鶴屋さん家の別荘に合宿に行った時の事。】 周囲に緊張が走った。 「あの時、あたしはやけにあんたのことを心配しとったやろ? あれな、あたしの夢の中で、あんたが熱出して倒れてんけど、それはもう、心配したで。夢から覚めても、全然気が付かずにあんたのことを心配するくらい。それで、気ぃ付いてん。あたしは、夢にまで見るくらい、あんたのことを意識してるんやな、って。」 【あの時、あたしはやけにあんたのことを心配してたでしょ? あれはね、あたしの夢の中で、あんたが熱出して倒れたんだけど、それはもう、心配したわよ。夢から覚めても、全然気が付かずにあんたのことを心配するくらい。それで、気が付いたの。あたしは、夢にまで見るくらい、あんたのことを意識してるんだな、って。】 その時は『無口で頼れる万能選手』として。 「その時はそう思(おも)てたけど、今にして思うと、既に違(ちご)てたんかもしれへん。でも、自覚はしてへんかったな。思いが変わった、あるいは自覚したんは、この間のこと。あたしが変質者を捕まえて新聞に載って、それから、変な奴らに付きまとわれてた時のことやわ。」 【その時はそう思ってたけど、今にして思うと、既に違ってたのかもしれない。でも、自覚はしてなかったな。思いが変わった、あるいは自覚したのは、この間のこと。あたしが変質者を捕まえて新聞に載って、それから、変な奴らに付きまとわれてた時のことだわ。】 彼女はその時のことを思い出すように、 「あの時あたしは……ほんまはめっちゃ辛かった。団員達に……特に有希、あんたに会われへんことに。それから、変な奴らへの対応も。どうってことないつもりやったけど……やっぱりきつかった。あたしは、もう、一杯一杯やった。そんなあたしを救ってくれたんが、あんた。」 【あの時あたしは……ほんとはすっごく辛かった。団員達に……特に有希、あんたに会えないことに。それから、変な奴らへの対応も。どうってことないつもりだったけど……やっぱりきつかった。あたしは、もう、一杯一杯だった。そんなあたしを救ってくれたのが、あんた。】 ここで彼女は周囲を見渡した。 「みんなの前でこんなこと言(ゆ)うてるなんて、我ながら大胆やと思うけど、どういうわけか、有希の前やと素直になれるわ。こんな……恥ずかしいことを告白できるくらいに。」 【みんなの前でこんなこと言ってるなんて、我ながら大胆だと思うけど、どういうわけか、有希の前だと素直になれるわ。こんな……恥ずかしいことを告白できるくらいに。】 彼女は再びわたしに視線を戻した。 「あの時、あたしがあんたを呼び出した時、あんたは来てくれた。あたしの恥ずかしい話を黙って聞いてくれた。泣き出したあたしのそばにずっとおってくれた。色々とあたしに良くしてくれた。それから……あんたの意外な一面も見せてくれた。あの時のあんたの仕草、反則的なまでに可愛かったわ。」 【あの時、あたしがあんたを呼び出した時、あんたは来てくれた。あたしの恥ずかしい話を黙って聞いてくれた。泣き出したあたしのそばにずっといてくれた。色々とあたしに良くしてくれた。それから……あんたの意外な一面も見せてくれた。あの時のあんたの仕草、反則的なまでに可愛かったわ。】 そして気が付けば、ただの気になる人から、愛しい人に変わっていた。 「あたしは必死でその気持ちを否定した。だって、おかしいやん? 女同士でこんなこと思うなんて。相手が、宇宙人とかっていうならまだしも、有希は物静かな……可愛い人間の女の子やんか。でも、今日のことで実感したわ。あたしの中で、あんたの存在がどれだけ大きくなってたか。それで、あんたの顔を見て思った。もう、この気持ちは抑えられへんって。」 【あたしは必死でその気持ちを否定した。だって、おかしいじゃない? 女同士でこんなこと思うなんて。相手が、宇宙人とかっていうならまだしも、有希は物静かな……可愛い人間の女の子じゃないの。でも、今日のことで実感したわ。あたしの中で、あんたの存在がどれだけ大きくなってたか。それで、あんたの顔を見て思った。もう、この気持ちは抑えられないって。】 いつの間にか、恋に落ちていた……気が付いたときには、既に。 「さっきあったことを話すわ。また夢を見てたらしいんやけど。」 【さっきあったことを話すわ。また夢を見てたらしいんだけど。】 先ほどの情報統合思念体過激派による襲撃のことだろう。 「夢の中で、あたしと朝倉は、変態に襲われた。ストッキングで覆面した変態。朝倉がそいつと戦ってたんやけど、ピンチになってん。もう絶体絶命。そこに颯爽と現れたんが、有希、あんたや。朝倉にも言われてんけど、その時のあんたは、マジでヒーローやった。かっこよかった。そのあとそのまま今の場面に続いとぉから、正直、どこまでが夢で、どこからが現実か分からへん。もしかしたら、今この瞬間も夢かもしれへんし。でも、それでもあたしは確信した。」 【夢の中で、あたしと朝倉は、変態に襲われた。ストッキングで覆面した変態。朝倉がそいつと戦ってたんだけど、ピンチになったの。もう絶体絶命。そこに颯爽と現れたのが、有希、あんたよ。朝倉にも言われたんだけど、その時のあんたは、マジでヒーローだった。かっこよかった。そのあとそのまま今の場面に続いてるから、正直、どこまでが夢で、どこからが現実か分からない。もしかしたら、今この瞬間も夢かもしれないし。でも、それでもあたしは確信した。】 彼女はわたしの瞳を真っ直ぐに見据えて言った。 「やっぱりあたしは、あんたが好き。大好き。」 彼女の気持ちは伝わった。今度はわたしが答える番。わたしは彼女に言った。禁じられた言葉を。 「わたしは……わたしも、あなたを、愛している。」 観測とか、処分とか、そんなものはどうでも良いと思えた。 彼女は、わたしを愛している。 わたしも、彼女を愛している。 それで十分だと思えた。それでわたしは――幸せだと思った。 「有希、有希っ!」 また彼女が抱き締めてくる。わたしも彼女を抱き締め返す。とても幸せで、そして、だからこそ……『悲しい』。 これから、わたしが行うことを思うと、悲しくなった。 わたしがこれから行うこと。それは涼宮ハルヒへの情報操作。今まで決して許されることがなかった行為。 今回の過激派による襲撃の記憶を消すことだけではない。わたしは、彼女の『長門有希への思い』を操作する。 彼女のわたしへの感情には、明らかに『性愛』が含まれている。それは本来、『異性』に対して向けられるもの。一部に例外はあるものの、大多数の雌雄の別がある有機生命体はそのようにしている。それが、有機生命体の繁殖に必要不可欠だから。だから、今の彼女は……『異常動作』。そしてわたしも異常動作。 わたしの口から明確に、わたしの想いを彼女に伝えられた。それだけで十分。彼女の行動を修正しなければならない。 提案したのは、わたし。情報統合思念体の許可は下りている。いよいよ、これまで最大の禁則事項だった行為を行う。 わたしは操作を開始した。 「あれ……? なんか急に眠く……」 彼女の身体が崩れ落ちる。わたしは彼女の身体を抱きかかえるようにして支えた。彼女が完全に眠ったことを確認すると、彼女の精神に干渉する。そして、彼女のわたしへの想いから、性愛に関する部分を削除する。今後彼女は、わたしをこれまで通り『無口で頼れるSOS団随一の万能選手』として見るだろう。ただし、わたしへの想いは大きく発達していたため、元通りとはいかないかもしれない。それでも、『仲の良い女友達』程度には抑えられたはず。わたしに、あのような行為に及ぶことは、もうないだろう。 操作終了。 「…………」 わたしは無言で、彼女の身体を抱きかかえながら、静かに眠る彼女の寝顔を見ていた。 事態の推移を見守っていた『彼』が、やっとの思いで口を開いた。 「……長門。お前はハルヒに一体何をしたんや?」 【……長門。お前はハルヒに一体何をしたんだ?】 「行動の修正。」 わたしは平坦な声で答える。 「最近の涼宮ハルヒの行動は、明らかに異常動作。先ほどのわたしへの行為もそう。」 わたしは、ぼんやりと彼女の顔を眺めていた。名残惜しいのだろうか? わたしは彼女の顔から視線を外すことができないでいる。 「修正は完了した。問題ない。」 そう、これで問題ない。何も。 その時、何かがわたしの頬を伝った。 涙が一粒、頬を伝った。 ←Report.18|目次|Report.20→
https://w.atwiki.jp/nagato3/pages/14.html
「と、言うわけで、それがパラレルワールドということになります」 一しきりしゃべり終えた朝比奈さんは、最後にそう言って話をまとめた。 聞いていたほうの俺は途中何度も難しい言葉にチンプンカンプンになりながらも、はあ、とか、へえ、とか言いながら彼女の長い講釈を最後まで聞きとおした。 ま、簡単に言うと、世界は一つじゃない。何通りもある過去や未来、そんな別の世界のことを、パラレルワールドと言うのだというような話だった。 「でも、大筋は決まっています。時代をそこへ正しく進めるのが、あたし達の役目なんです」 なるほど。ハルヒにはその大筋をぶち壊す力がある。それをさせないために、 あんなワガママ娘の暴走に翻弄されながらも、あなたは健気にメイドさんをしているんですね。 でもこんな話、まともな神経のやつが聞いても、鼻で笑うだけで絶対信じないだろうな……そう思って、少しおかしくなった。 だが俺は朝比奈さんの話を信じるし、理解することもできる。なぜなら俺自身が何度も時間旅行といった馬鹿げた体験をしているし、 それに……今の話にでてきたパラレルワールド、俺は身に染みて知っているのだ。 キーンコーンカーンコーン 授業5分前の予鈴が鳴った。 「あ、なんか話してたらもうこんな時間になっちゃいましたね。キョン君、いきましょう」 朝比奈さんが椅子を立つ。たまたま昼休みに廊下で会った俺達は、たまにはということで、学食でご飯を食べているところだったのだ。 そしてその食事の途中で…どうしてこの会話になったのか…は覚えてないが、ともかく、朝比奈さんは得意の時空論について熱く語りだしてしまった。 まぁ、朝比奈さんの話だったら、何時間だろうと何日だろうと聞いていられるから別にいいんだけど。 外に出ると、生ぬるいむわっとした風が頬をすり抜ける。頭上には焼けるような太陽が一つ。 6月の初めだというのに、真夏のような気温の日だった。 「今までいろいろありましたけど……きっともう、そんなに大きな事件は起こらないと思いますよ」 前を歩く朝比奈さんがふと俺のほうを振り向いて、かわいらしい笑顔で言った。 「どうしてそう思うんです?」 「なんとなく。勘です。あたしの」 「勘…ですか……」 「それにほら、あたしも受験だし。これ以上いろいろ起こられると困っちゃうんです」 さらに、あたし馬鹿だからと付け足して、ペロっと舌を出してから自分の頭をこずくといういつものリアクションを取って彼女は言った。 ああ……本当にかわいいなあ、この人は。ちくしょう。 その時だった。 「おわっ!!!」 「きゃあ!!!」 突然、足元が抜けたような衝撃が全身を襲った。な、なんだ? ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 大きな重低音。そして……震動。揺れている。こ、これは…… 「じっ、地震だ!!!」 「きゃああああああ!!!」 あちこちで一斉に大きな叫び声と悲鳴があがった。 じ、地震。しかも……でかいぞ、これは。 「あ、朝比奈さん!!」 「ひ、ひいぃ~~……」 「掴まって!! 早く!!」 「ふぁぁ~~っ」 前で何の支えもなく、今にも崩れ落ちそうになっている朝比奈さんの元へと何とか近づいて、彼女の二の腕を握った。 その途端、弾かれたように彼女はもの凄い力で俺の身体を抱きしめてきた。くっ……や、柔らかい…… だがしかし、普段の俺なら発狂してしまいそうなその弾力だったが、今この状況ではさすがにそんな?気なことは言っていられない。 な、長いぞ。これは……まずいんじゃないか? もしかして関東大震災の再現か? そう思わせるほどの巨大な振動が、俺と朝比奈さんの身体を揺らし続けた。 「ひい~……」 生まれたての猫のような声をあげる朝比奈さんのことを抱きしめながら、突如…俺の胸の中に、激しい恐怖感が到来した。 頭の中が真っ白になっていく。 死ぬ……のか…… なぜかそう思ってしまった。それは、もはや確信に近い予感だった。 だが、まあ……朝比奈さんの身体を抱きしめながら死ねると言うのなら、それも悪くはないかもしれない。 こんな幸せな死に方をしたやつはどれだけ過去の偉人達を見ていったって、10人といないことだろう。断言できる。 しかし……短い人生だったな。思った。まだまだやりたいことはたくさんあったのに。 エベレストにも登ってみたかったし、オーロラも見てみたかった。くそ、こんなことならさっさと実行しとけばよかったんだ。 ……でも…… よく考えてみたら、俺は最近それ以上の貴重な体験を、毎日のように味わっていた気がする。 ハルヒ……おまえと会ってから、ロクなことがなかったよ。 …だけど、悪くなかった。 俺は目をつぶって、最後の時を待った。 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…… 「……」 「……」 「……とま…った……?」 「と、とまった……」 「終わったぞ……」 「よかったぁ~……」 「ああー怖かった……」 暗闇の中、周りから聞こえてきていた叫び声が、同時に安堵のものへと変わっていくのがわかった。 ……あれ……? 終わった…のか? 閉じていた瞼をゆっくりと開いてみる。辺りの景色はもう揺れ動いてはいない。 いつも通りの校舎、それと目の前には朝比奈さんの小さな身体だ。 拍子抜けした。 は、恥ずかしい……なんだったんだ、今の俺の覚悟は。 たかが地震で死ぬなんて……何考えてたんだ。 なんで急にあんなに怖くなったんだ? 自分の気持ちがよくわからなかったが、今は今だに俺の胸に顔を埋めて震えている朝比奈さんを安心させてやることが先決だと思った。 「朝比奈さん…朝比奈さんっ」 「……」 「大丈夫ですよ。もう終わりました。安心してください」 「……ふえっ……?」 肩を掴んでユサユサと優しく揺すってあげる。 すると彼女はゆっくりと俺の体から顔を離し、ぼんやりと目を開いた。 その顔はまるで、たった今起きたばかりの赤ん坊のように幼く無垢なものだった。 さあ、最初に何て言うだろう。今まで抱きついていたことに対して照れて、真っ赤になって謝るか。 それとも安堵から、もう一度俺に抱きついてきて泣きじゃくるか。 どっちにしても、ちょっと楽しみだ。 そう思っていたが、だが、彼女の反応は、俺の予想していた全てのパターンとまったく異なるものだった。 バチンッッ!!!! 「ぐわっ!!!」 視界が真っ白くフラッシュする。 次の瞬間、左頬に強烈な衝撃が走った。 え……な、何? なんだ? 何が起こったんだ? 自分が何をされたか、その一瞬まったくわからなかった。 「……なんであなたがまた、ここにいるんですかぁ……」 「……は?」 「それに……抱きついたりして……ふええええぇぇ……」 目の前の朝比奈さんが、右手を張り手の状態にしたまま宙に静止させて、プルプルと小刻みに震わせている。 それを見て俺は、今自分がいったい何をされたのか、ようやくわかった。 ビンタされたんだ。朝比奈さんに。 「……」 ……び、ビンタ……? な、なんで俺が……? されたのだということだけは理解できたが、その行為の意図と、今、彼女が言った言葉の意味は、まったく理解ができなかった。 「あ、あの……」 「来ないでくださぁい……」 フルフルと震えながら、足を一歩後ろに後退させる彼女。 涙目のその表情には、安堵でもなければ照れでもない、恐怖と不安と嫌悪の色が広がっている。 ど、どうしたって言うんだ急に…… 「あ、あの……朝比奈さん……?」 「お願いだから、もう来ないで……!!」 ダッ!!! 「あっ、ちょ、ちょっと!!!」 そう言って朝比奈さんはもの凄い勢いで俺に背中を向けると、一目散に走りだして、校舎の中へと消えて見えなくなってしまった。 「……」 「なん…なんだ……?」 新手のドッキリ? いや、朝比奈さんはそんな冗談をする人ではない。 じゃあ、ハルヒにでも頼まれたか? いや……それもない。彼女はビンタまでしてそんなことをする人ではない。さっきのは本気だった。できないだろ、そんなこと。 じゃあ…… へばりつくような生暖かい風が、俺の背中を吹き抜けていく。 「……」 壁に張り付いている時計を見た。もうとっくに授業の始まっている時間だ。 それでもチャイムが鳴らないのは、きっと学校中が今の巨大地震に慌てふためいているせいだろう。 それなら多少遅刻していっても文句は言われないはずだ。 しかし、よくあれだけの地震でこのボロ校舎が崩れなかったものだな。まったく感心する。 そんなことを考えている場合ではなかった。 「どうして……朝比奈さんがあんなことを……」 まったくわからない。 だけど俺は、過去にも一度こんなことをされたことがあるような……デジャブのような、奇妙な錯覚に捕らわれていた。 たしか……前にも…… 10分ほどその場で考え込み続けてから、自分の教室へと戻った。 後ろの扉をこっそりと開けて、ぱっと中を確認してみる。だいたい全員が揃っているようだ。そして予想した通り、先生の姿はどこにも見えない。よかった。 「……あれ?」 いや、先生の姿だけではなかった。肝心のヤツの姿が見えない。 ハルヒがいない。 「……」 どうしたんだアイツ……普段なら飛んで帰ってきて、今の現象で体験したスリルでも、俺にやかましく語るはずなのに…… ま、まさか今の地震で、どっかで大怪我でもしているんじゃ… 猛烈に不安になった。ありえる。特に、もしSOS団の部室にでも行って何かをしていたとするなら…… あそこには崩れやすい物が大量に棚の上に積まれている。上から何かが落ちてきて、下敷きになっていてもおかしくはない。 ハルヒ……!! 急いで走り出したい気持ちに駆られた。が、まずはクラスのやつらにハルヒが帰ってきてないかを確認してみてからにすることにした。 これでトイレにでも行っていただけならマヌケすぎる。 「谷口!!」 俺はすぐそこでキョロキョロとしていた谷口の首を後ろから掴みにかかり、無理やりこっちに回転させた。 「おお、キョン!! おまえどこ行ってたんだ今まで? みんな心配してたんだぜ」 「俺のことはいい!! それより、ハルヒ帰ってきたか!?」 「え、は……ハルヒ……?」 突然のことに訳がわからないといった表情を見せてから、谷口は困ったように口を開いた。 「だ……誰だそれ?」 「え……」 …… …今、こいつなんて言ったんだ? 「おい谷口」 「な、なんだよ」 「今なんて言ったんだ」 「え、だ、だからハルヒって誰だよって…」 「……」 「頼む。今のもう一回言ってくれ」 「だからっ。誰だよそいつはって言ってんだよ! どうしたんだおまえ!?」 眩暈がした。 知らない……ハルヒを? そんな馬鹿な。 今の今まで……4時間目まで同じクラスメイトだっただろうが。ふざけんな。 「国木田っ」 「な、何? キョン」 「おまえはハルヒを知っているよな?」 「え、ご、ごめん。僕も知らないよ」 ……嘘だろ。 「あっ、でも思い出した!!」 「!!」 「そうだ。そういえば去年の冬にもハルヒさんがどうしたとか、キョン騒いでたよね。確かクリスマスのちょっと前くらいだったかなぁ」 「あーっはいはい。俺も思い出した。そうだ。言ってたなぁおまえ。ってことは、ハルヒってのはまたあの涼宮ハルヒのことか? 東中の」 …その言葉に、きっと以前の俺ならこんなに冷静にはいられなかっただろう。いや、事実いられなかった、んだ。 そう……さっき感じたあの感覚は、デジャブなんかじゃない。 国木田たちが言う、去年のクリスマス前。それは…… そして今になってはっと気づいた。さっきの、朝比奈さんのあのセリフ。 「……なんであなたがまた、ここにいるんですかぁ……」 ……ぞっとした。 また。またってどういうことだ。 またってことは、前にも同じようなことをしたってことか。 そうだ。これとまったく同じような状況を、俺は前に一度経験している。 「……!!」 その時、教室の前で固まっていた女子グループの中心から、立ち上がって俺の方へと歩みよってくる一人の女子がいた。 さっきクラスの中を見渡した時には、他のヤツの壁に隠れて見えなかった。だが…… 「そいつ」の姿を見て、俺の疑念は確信へと変わった。 なんてこった……こいつの顔だけは、もう二度と見たくないと思っていたのに…… 深い海を思わせる藍色の髪と、目。 絶対に忘れられないあの薄ら笑い。今思い出しただけでも寒気がする。 俺を何度も殺そうとした女と……2回目の再会か…… 「大丈夫? 姿が見えないからみんな心配してたのよ、キョン君」 「ああ……大丈夫だよ、朝倉」 「そ……ならいいんだけど」 そう一言だけ呟くように言うと、朝倉は音もなく踵を返した。 「……なあ朝倉」 「何?」 「おまえはハルヒを……知らない…よな」 「…またハルヒさん? たしか前にも言ってたわよね。どうしたのキョンくん、またおかしくなっちゃったの?」 すぐに思い出したようだった。どうやらこいつは後ろにいる二人よりも記憶力はいいらしい。 「いや…すまん。なんでもないんだ。忘れてくれ」 「変な人ね」 ……やっぱり、な。 知っているはずがないんだ。「この世界」のこいつらにとっては、ハルヒはクラスイトでもなければ、SOS団の団長でもなんでもない。 いや、というより、SOS団なんて怪しいクラブは存在していないんだ。 そう。ハルヒは下校途中、あの地獄坂の下にあるいろんな意味で憧れの名門校、光陽園学院の一生徒でしかなくなっている。世界を壊すでもなく、普通の女の子として。 そしてそこは女子高ではなく、共学になっているはずだ。 そう。この…… 長門が作り出した、偽りの世界では…… キーンコーンカーンコーン 6時間目の授業の終了を告げるチャイムが、校舎中に鳴り響いた。 5時間目の授業は地震のせいで行われなかったが、どうやら被害がまったくないことがわかると、 6時間目は通常通りに行こうということになったらしい。 だが、その授業は俺の記憶にまったくない。いつ終わったのかも知らない。何も考えられずにいるうちに、いつの間にか放課後がやってきてしまっていた。 途方にくれた。 どうしてまた、こんなことに…… さっきの……「元の世界」にいた時の、俺の朝比奈さんの言葉をふと思い出した。 「今までいろいろありましたけど……きっともう、そんなに大きな事件は起こらないと思いますよ」 「……朝比奈さん……」 ……あなたの勘、全然あてにならないですね…… いつまでもぼーっと座っていて掃除係に教室からつまみ出された俺は、とりあえず、古泉のことを手当たり次第に他の教室を覗いて探してみた。 だが、ほとんどわかりきっていたことだったが、やはりあいつの姿はどこにもなかった。 わかってるさ。 あいつも今は光陽園学院の……もう転校生なんて言われる時期は終わっただろうから、一生徒として、超能力者なんてこともなくハルヒの後ろを着いて回っているんだろう。 「ふう……」 ……まいった。前にこうなった時にもまいったけど、今回もやっぱりまいった。 どうすればいいんだ。 どうして俺ばっかりがこんな目に会わなきゃならないんだ。 俺、なんか悪い事でもしたか? これからどうやって元の世界に戻ったらいい? 再びデタラメな世界が出現した。もう本当の俺を知っているヤツは、どこにも…… 「……いる」 …そうだ。そうだった。肝心なヤツを忘れていた。 どんな状況でも絶対になんとかしてくれる万能宇宙人。そして、この世界を作り出した張本人。 …いや、こっちの世界での「あいつ」は、万能でも宇宙人でもなくなっているんだった。 それでも今は…また、あいつに頼るしかない。 あいつなら今日だってSOS団の……じゃない。文芸部の部室にいるはずだ。 いつもと変わらず分厚い本をパイプ椅子に座って読んでいるはずだ。 俺はすっかり歩きなれた道を、慌てて転びそうになりながらも勢いよく駈け出していた。
https://w.atwiki.jp/animechikan/pages/69.html
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 11 31 43.74 ID QUfxf/qu0 長門は一時期、痴漢に悩んでいた。 毎日、通学電車でお尻を触られた。痴漢はどんどんエスカレートした。 怖かった。悔しかった。 どうしてもその存在を消したかったが、許可は出なかった。 学校に行くのが憂鬱だった。 しかし、最近は全く遭わない。 おそらく、車両や時間を不規則に変え始めたのが功を奏したのだ。 情報操作は得意。長門は痴漢を撃退したかのような誇らしさを感じていた。 怠っていた涼宮ハルヒの観察も再開しなければ。朝倉も退屈しているだろう。 長門は安心して電車に乗り込んだ。 前にいる女の子、どうも様子が変だ。 唇を噛んで、何かに耐えるような・・・ その背後には男が体を密着させている。 長門「あれはまさか・・・痴漢」 5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 11 36 01.05 ID QUfxf/qu0 俺は順調に一ノ瀬ことみを育てていた。 とくに狙いのない日は、ことみを待ち伏せして痴漢するようにしてきた。 じっくりとソフトな痴漢を繰り返しながら、少しずつエスカレートさせる。 ことみはその高い学習能力で、徐々に痴漢に慣れていった。 さすがに嫌悪感は消えないようで、痴漢を避けようとはする。 時間をずらしたり車両を変えたり、最後に電車に乗り込もうとするなどの努力は見られる。 それでも、やはり触られてしまうと抵抗はできないようで、 今ではスカートの中に手を入れてもまっすぐに立ったまま耐えられるようになった。 我ながらうまくやったものだ。 ことみの能力なら、きっと毎日パンティを下ろしても耐えられる程度には成長するだろう。 大きくて張りのあるお尻が、じきに俺の玩具になる。俺は心がうきうきするのを抑えられない。 今日も早めにホームに行き、ことみが来るのを待つ。 意外な姫が階段を上ってホームに立った。・・・かなり久しぶりな顔だ。 長門有希。 8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 11 41 57.40 ID QUfxf/qu0 はからずもかがみんを登校拒否に追い込んだ直後に、数日にわたって俺の姫を務めた子だ。 最終的には、パンティの中で射精してスカートで拭き取るという、俺の願望を実現してくれた優秀な姫だ。 小さくて硬いお尻の感触が両手によみがえる。 そうだな・・・せっかく久しぶりに会ったんだ。今日は長門を可愛がるか。 そのすぐ後から、ことみが階段を上ってくる。 む・・・迷うところだ。長門か、ことみか。 いずれも安全パイ、いやパイだけでなくケツも安全なのだが、安全な娘だ。 そうなると両手で同時痴漢といくか。 いや、今日はことみを責めよう。 痴漢というものについて、新しい知識を植えつけてあげよう。 教えるのは・・・非常勤講師、長門だ。 14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 11 48 01.62 ID QUfxf/qu0 電車がやってくる。長門が人波と共に電車に乗り込む。 俺はその後につけて、ことみを車内に押し込んでいく。 ことみは少し体をひねって抵抗するが、強引に押し込んでやればわけない。 長門は電車の角に位置取り、体を回転させて壁を背にした。 なるほど、痴漢対策か。成長したな。 俺はことみをその前に押し込む。 俺の前にことみがいて、右側に長門がいる。そんな位置で電車の扉が閉まった。 今日の俺の狙い。俺のことみに対する痴漢を、長門に見せるのだ。 長門は声をあげることはない。 長門と茅原みのりに同時痴漢した際は、互いに痴漢に遭っていることに気づきながら、 結局互いを助けることも助けを求めることもできず、並んでうつむいて耐えるだけだった。 平野綾に痴漢したときも長門に見せつけたが、やはり見ているだけだった。 そして、長門が痴漢に気づきながら助けないことを、ことみに気づかせる。 「この人・・・気づいてるのに、見てるだけなの」 「やっぱり・・・声をあげても、きっと誰も助けてくれないの」 「我慢しなきゃなの・・・」 こういう筋書きだ。さあ長門、先輩として立派に特別講師を演じてくれよ。 15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 11 53 17.11 ID QUfxf/qu0 電車が動き始めると同時に、俺は両手でことみのお尻を包む。 そしていきなり、うにうにと優しく揉んでやる。 ことみは身じろぎもしない。乗り込むときに痴漢の存在には気づいていたはずだ。 ちょっと前ならびくついて触る前からガタガタ震えていたところだろう。お前も成長したな。 俺は教え子を見守る師匠のように、愛でるようにお尻を揉んでやった。 ことみのお尻は俺の指に押し込まれてはプリプリとした弾力で押し返す。 さらに、指をお尻に押し付けながら動かして、スカートをめくっていく。 俺の指は簡単にスカートの中に入りこんで尻たぶに触れる。 吸い付くような感触。ことみの意志とは裏腹に、刺激を求めるかのように俺を誘惑する。 はらりとスカートをめくって手のひら全体を侵入させる。 手のひら全体でことみの生パンを包む。柔らかくて暖かい。 ことみは相変わらず無反応。いきなりこれだけのことをされても無反応である。 16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 11 59 01.02 ID QUfxf/qu0 俺は横目で長門を見下ろす。無表情だ。 まずは長門の目を引かなければならない。 俺は周囲に注意しながら、不自然に右腕を動かした。 同時に、ことみの尻たぶをこちょこちょと指で刺激する。 少し変則的な俺の責めに、ことみはうつむけていた顔を少しだけ上げた。 そしてまたすぐにうつむいてしまった。 長門のほうも無表情のままだ。何か考え事でもしているのだろうか。 ことみのお尻を揉みながら長門の注意を惹こうとする。 ちょっと直接的なやり方だが・・・まあ長門なら大丈夫だろう。 俺は右ひじをくいくいと動かして、長門の体をつついてやった。 ぽふぽふ、と長門の左腕に俺のひじが当たる。 長門はふっと自分のひじに目をやった。よし、今だ。 俺は少し体を右に開いた。死角になっていたことみのお尻が長門の視野に入る。 長門は下を向いたまま、ぴたりと停止した。よし、気づいたな。 長門には、ことみのスカートが不自然にめくれて、その下から俺の手首が出ているのが見えているはずだ。 18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 12 04 25.54 ID QUfxf/qu0 長門「あれはまさか・・・痴漢・・・ん」 ぽふぽふ、と腕に何かが当たる。長門は下を見た。 そこには・・・すさまじい光景が広がっていた。 やはり、痴漢だ。しかもスカートに手を入れられている様子だ。 嫌な光景だ。辛い記憶が生々しくよみがえる。 それとともに、長門は「私でなくてよかった」と思った。 やはり痴漢はいる。自分はこのところそれを完璧に避けている。 見れば、くびれた腰に大きなお尻。胸もかなり大きいようだ。 見るからに魅力的な娘だ。そんな体を痴漢に好きなようにされるなんて・・・ その娘はまっすぐに立って反応しない。その気丈さが哀れさを増長した。 可哀想と思いながらも、やはり怖くて助けられない。目の前に痴漢がいるのだ。 変な素振りを見せたらまた・・・ お尻に生暖かい感触がよみがえる。塗りたくられた、あのぬるぬるしたその液体・・・ 長門にはとても声を上げることはできなかった。 ただ、なんとなく目を離すこともできず、その光景を見守った。 19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 12 09 39.77 ID QUfxf/qu0 長門・・・気づいたようだな。しかも俺の痴漢行為を凝視しているようだ。 興味があるのか?そんならお前にもやってやるぞ? ずいぶん間が開いたけど、あれだけのことをされたんだ。忘れるはずもないよな。 あのときと全く同じ恐怖と屈辱を、また味わわせてやろうか? まあ、今日というわけにはいかないがな。今日はこいつを教育してやるんだ。 俺はスカートに右手をかけ、するすると持ち上げた。 そして、俺の腰とことみのお尻の間に挟む。ことみのスカートは完全にめくれあがった。俺も視線を下にやる。 大きくくびれた腰の下、スカートの隙間に、白いパンティが大きく膨らんでいるのがわずかに見えた。右ケツの丘だ。 ことみは、変わった責めに驚いたのか腰をひねる。しかし、その抵抗も控えめだ。 左手でぐいぐいと左ケツを揉む。少し乱暴にすると、ことみは抵抗をやめてうつむいた。 長門は相変わらず停止してうつむいている。 この娘。いいだろ、この体、この我慢。 俺は子供が玩具を自慢するように長門に見せつける。 右手の人差し指を立てて、ことみのお尻にぐるぐると花丸を書いた。 ことみはぞくぞくと震えた。指先での責めにはまだ慣れが不足している。 21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 12 15 12.39 ID QUfxf/qu0 さて、次はことみが長門に気づかなければならない。 しかし俺はあせらない。もう少し深入りしてみよう。 生パンごしにお尻を揉むくらいは、もうことみには当然の責めだ。 もう少し恐怖を与えて、そこで長門が傍観していることに気づく。 そのほうが絶望感も強くなるはずだ。同時に、諦観もだ。 もちろん、今後のために必要なのは後者である。 さて、そうなると谷間攻めか生尻責めかが問題だ。 パンティを下ろしてしまうのはまだ早い気がする。 となれば・・・ Tバック責めだ。 パンティを食い込ませてTバック状にすれば、谷間を刺激しながら生尻を堪能できる。 長門から見てもそれなりに迫力のある責め方になるはずだ。 善は急げ。俺はするすると両手を動かして、パンティのすそをつまんだ。 ことみの尻肉に押し込まれたゴムをつまんで、その中に指を侵入させる。 そして俺はゆるゆると両手を持ち上げていった。 22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 12 20 54.99 ID QUfxf/qu0 ことみは少し腰を動かしたが、抵抗というほどではない。 脚も震えていないし、落ち着いている。よしよし、いいぞ。 俺も視線を下にやる。邪魔なスカートを手首で持ち上げてやる。 さっきパンティに包まれていた丘が、今はその素肌を晒している。 それを包んでいるのは俺の指。横には長門がかばんを抱えているのが見える。 俺と長門にだけ開かれた痴漢鑑賞ゾーン。長門は食い入るように見つめている。 むしろ長門は、痴漢ゾーンを死角にするのに一役買っている。 普通、自分の痴漢行為の光景を見ることなどできないものだ。 今は、長門の体が壁になっているおかげで、少し体を開いて隙間を作ることができる。 長門よ、お前は無意識とはいえ俺の痴漢行為に協力しているんだぜ。 この娘がどんな辛い思いをしているか。経験者のお前になら分かるだろう。 見ているだけでいいのか?助けてやらなくていいのか? 薄情なやつだ。もうお前も共犯みたいなもんだぜ。 しかし長門が声を上げる可能性は考えにくかった。 俺はまたつんつんとひじで長門をつついた。 声を出すなよという牽制と、壁になってくれてありがとうという感謝と、 お前も共犯だという侮辱。どれもおそらく伝わってはいないだろう。 長門は腕を少し動かして俺を避け、なおも痴漢行為を見つめていた。 23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 12 26 19.97 ID QUfxf/qu0 プリプリとしたことみの生尻が俺の指を刺激する。 指が吸い付くようなもちもちした質感や指が埋もれこむような柔らか味はない。 その代わり、さらさらした感触と張りがある。これがことみのお尻の魅力だ。 これだけ大きなお尻でこれだけの張りがあるのは素晴らしい。 俺の姫は我慢強くて痴漢しやすいだけでなく、お尻自体も一級品だ。 時間をかけてでも痴漢奴隷に育てる価値がある尻だ。 いや、この性格にこの尻。痴漢奴隷にしないという選択肢は考えられない。 俺はことみの生尻を揉んでやる。ことみはお尻を硬直させた。 その緊張をほぐすように、優しく揉んでやる。 爪を立てるなど、相手に痛みを与える痴漢もある。 抵抗を奪う方法のひとつでもあるし、それ自体が俺の満足感にもつながる。 しかし、ことみについてはあくまで優しく扱う。 鋭意育て中の大切な姫だ。慈しむように両手をうにうにと動かして揉み解す。 こうしてやると、少しずつ尻肉の表面に柔らか味が出てくる。 じんわりと汗がにじんで、擬似的にもち肌を作り、俺の指に吸い付いてくる。 一粒で二度オイシイ。 さすが俺が目をつけた姫だ。触るごとに可能性が広がる感じがする。 25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 12 32 00.22 ID QUfxf/qu0 さて、のんびりしている暇はない。時間は限られているのだ。 谷間を攻めていこう。ただし、指では責めない。 長門に見せつける意味もこめて、もう少しいやらしい責め方をする。 ことみのお尻の谷間に埋もれたパンティ。これを使っていく。 俺は右手をことみのお尻から離した。長門はそれを見つめている。 これから何が起こるか気になるか?・・・いや、お前なら想像がつくだろうな。 お前にもこの責め方をしたことがあったっけ。お前は泣いちゃったんだっけ? クールで無口なアンドロイドも、まあ俺の前ではか弱い少女ってことだ。 あと、便利な道具だな。現に今、ことみの教育に役に立とうとしている。 俺はいいものを作ってくれた統合ナントカ体に感謝した。 左手でことみの生尻の肌触りを楽しみながら、右手をお尻の真ん中に動かしていく。 そして指を立てて、人差し指を右側の、中指を左側のパンティのすそにひっかける。 今日は少し小さめのパンティを履いているようだ。ゴムが尻肉に食い込むくらいの。 ことみが選んだそのパンティが、今となってはことみを傷つけていく。 俺は指を押し込んで、二本の指でパンティをつまみあげた。 28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 12 37 00.49 ID QUfxf/qu0 そろそろ電車が減速し始める。ちょいと生尻を楽しみすぎた。 しかし、お陰でことみのお尻はよく解れているし、ことみの我慢も確認できた。 俺はくいくいと控えめにパンティを引張った。 ことみはびくんと反応した。そして控えめに腰を振る。 しかしパンティはしっかりと俺の指にかかっている。 腰を振れば、逆に股間のパンティはぐいぐいと奥に押し込まれてしまう。 ことみは腰を止めてうつむいた。肩が細かく震えている。 まあ上出来だ。 俺はぐいぐいと少しずつパンティを引張る力を強くしていく。 長門に見せつけるように、ぐいぐいと左右に動かした。 ことみは全身を硬直させて耐えている。 さて、そろそろいいだろう。ことみに長門の存在を教えてやることにする。 俺はパンティをぐいっと強く左に引張った。 ことみは少しよろめいて体を右に向け・・・停止した。 29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 12 39 30.19 ID QUfxf/qu0 い、痛いの、ちょっ・・・! あ、あれ、この娘・・・ 見えてる。見えてる、はずなの。 というより、見ているの。私のお尻を見てるの。 一昨日は羊を見たの。昨日は鹿。今日は痴漢・・・ なんて洒落てる場合じゃないの。 助けて・・・助けて! 30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 12 43 22.85 ID QUfxf/qu0 気づくとその娘は私を見ていた。目と目が合う。 訴えるような、潤んだ目で私を見ている。 その意図は簡単に読み取れた。助けを求めている。 たしかに長門自身も、痴漢に遭う辛さは知っている。 今勇気を出して声を上げれば、いやこの大きなお尻と痴漢の手の間に手を入れれば、 この哀れでかわいらしい彼女を助けることはできる。 でも、そんなことをしてこの痴漢を逆上させたらどうなるか・・・ お尻の谷間でどくん、どくんと脈打って熱い液を吐き出す太いもの・・・ 長門の脳裏に、また生々しい記憶がよみがえる。 ごめん・・・長門はたまらずに目をそらした。 33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 12 48 59.97 ID QUfxf/qu0 ことみと長門の目が合う。しばし見つめあった後、長門はふいと目をそらした。 その瞬間、ことみの全身が脱力した。 うつむいていた顔が天を仰ぐ。硬直したお尻がふわりと緩み、ぐいと俺の左手に押しつけられる。 あきらめた。絶望、悲愴、人間不信。それら全てに対する諦観。 その瞬間、ことみは完全に俺のものになった。 電車が減速を始める。よろめくことみの体重を、お尻の谷間に挟まったパンティで支えてやる。 俺の指の中で、ことみのパンティがきりきりと軋む。 ことみにはかなりの痛みがあるはずだ。それなのに、ことみはふわふわとして落ち着かない様子だ。 姫がこんな状態になるのは初めてだ。 教育成功。 ことみは今、幸せでも不幸でもない。 ただ痴漢に体を弄ばれながら、あらゆる事実が時間の河を流れていくだけだ。 俺はしてやったりの笑みを浮かべて長門に目をやった。 35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 12 53 17.65 ID QUfxf/qu0 長門はただ唖然としてその娘を見つめた。 娘の顔から表情が消えた。だらしなく口を開け、焦点の合わない目で斜め上を見つめている。 その両目からとめどなく涙が流れる。口辺からはだらしなくよだれが垂れる。 地獄。この娘は地獄を見ている・・・ 長門はその状況が空恐ろしくなった。 私が見捨てたからだ。この娘を壊してしまったのは私かもしれない。 今なら、今ならまだ間に合うかもしれない。長門は必死に自身を鼓舞した。 それ以上に切実に、私は絶対にこんな目に遭いたくないと思った。 またお尻に生暖かい感触。 うにうにと動く痴漢の指が、まさに今触られているかのように生々しくよみがえる。 とても見ていられない・・・長門は全身を硬直させ、うつむいてぎゅっと目を閉じた。 38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 13 00 14.28 ID QUfxf/qu0 電車が停車する。ことみはまだ自分を見失っているようだ。 人波がホームに流れ出す。ことみはふらふらした足取りでそれに押された。 このままでは未完成だ。俺は画竜点睛を行う。 ふらふらと前に進むことみ。俺は指にかけたパンティをぐいと引張った。 ことみはぐらりとよろめいて、俺にどさりとぶつかってくる。 自失状態のことみの目を覚ます、最後の痛み。同時に俺はするりとことみのお尻から手を離した。 ことみは我に返ったように一瞬全身を硬直させ、今度はしっかりした足取りでホームに降りた。 理想的。完璧なゲーム運びだった。今なら落合監督と張っても負ける気がしない。 ことみは逃げるように足早にその場を去っていく。 長門に目をやると、長門もまたことみの後姿を見つめている。 俺の悪戯心が頭をもたげる。そうだな、最後にちょっと驚かせてやろう。 俺は右手をするりと長門のお尻に伸ばし、さらりと撫でてやった。 小ぶりで、硬くて、形のいいお尻・・・そういえば久しぶりの再会だ。 長門はびくんと極端に跳ね上がり、小走りにその場を去った。 俺はその後姿を感謝をこめて見守った。 ことみはまだやれる。次はパンティずりおろしにも唇を噛んで耐えるだろう。 俺は充実した気持ちで、ことみの生尻の感触を指に焼き付けながら、ゆるゆるとホームを歩いた。 一ノ瀬ことみ編 終了
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5089.html
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/354.html
https://w.atwiki.jp/english_anime/pages/15.html
Kyon You are an alien? Nagato My mission is to observe Haruhi Suzumiya and report the information back to the Data Integration Thought Entity. I ve been performing this task daily since my creation three years ago. It had been quite peaceful and there had been no uncertain factors. However, irregularities have appeared near Haruhi Suzumiya which cannot be ignored. That would be... you. Nagato To the Data Integration Thought Entity, the third planet in this solar system, this planet, had no special value. However, the current inhabitants of Earth, as it is known by your kind, developed a cognitive ability that could be considered intelligence. Consequently, the significance of the planet increased. There was the possibility that your kind might provide an answer in overcoming the end of evolution the entity is experiencing. Throughout the universe, it is common for organic life forms to develop a consciousness. Human beings from Earth were the only creatures whose consciousness evolved into intellect. The Entity carefully yet thoroughly continued its observations. Three years ago, they noticed the abnormal flare-up of data on the surface of the planet. This explosion of information started from one area of a bow-shaped archipelago, then quickly enveloped the entire planet and surged further out of into space. In the center of all this was... For this three years since, multiple investigations and observations have occurred regarding Haruhi Suzumiya. However, she remains an enigma. Regardless, one section of the Entity continues to perform its analysis of Haruhi Suzumiya. The Entity believes she would be the key to humankind s auto-evolution as well as its own. Because the Entity is an astro-being, it cannot directly communicate with organic life forms. The Entity does not communicate through language and your kind has no way of communicating without language. That is why the Data Integration Thought Entity created interfaces such as myself. Through me, it can make contact with the human species. Nagato We believe that Haruhi Suzumiya has the potential for auto-evolution. She has the power to manipulate the environmental data around her for her benefit. That is the reason why I am here and the reason why you are here. Kyon Hold it, just hang on a sec. I m totally lost. Nagato Trust me. Kyon OK, first of all, why me? I mean for starters, let s just say I believe all the stuff you re telling me about this data integrate... what you might whoosis(xxx) thingy in space. But if it s true, why you reveal your identity to me? Nagato You have been chosen by Haruhi Suzumiya. Whether she knows or not, Haruhi Suzumiya has the power to affect her surroundings by transforming her will into absolute data. There is a reason she chose you rather than someone else. Kyon No way. Nagato Way. You and Haruhi Suzumiya have the possibilities in your hands. Kyon You re serious about all this? Nagato Of course. Kyon Here, I am amazed that the silent one finally started talking. But the stuff that was coming out from her mouth was completely wacko. I never imagined she d be so ... out there. You know, you d really make Haruhi ecstatic if you went up to her personally and told all this stuff. Hate to say it, but I m having a hard time keeping up with this kind of talk. It s so confusing. Nagato The Data Integration Thought Entity is under the impression that if Haruhi Suzumiya is made aware of her worth and her abilities, it will create catastrophic event. For now we must continue our observations unbeknownst to her. Kyon Ok, but I could run out right now and tell Haruhi everything you just explained to me. Nagato She does not take the information you feed her seriously. Kyon That s true... Nagato I am not the only interface that the Data Integration Thought Entity has placed upon this planet. Another section of the Entities determined to use more proactive methods with Haruhi Suzumiya in order to observe the fluctuations of data. You are the key to Haruhi Suzumiya. If there is danger, you are the first target. Kyon Uhmm... I m outta here. Kyon Humanoid Inter... what? Aliens. She is always by herself reading this stuff. Maybe that s where her weird fantasies come from. I bet when she is in class, she doesn t talk to anybody. She just stays cooped up in her own little world. Yuki and Haruhi need to just chill out and enjoy some plain and ordinary school life.