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渡嘉敷島の惨劇は果して神話か―曽野綾子氏に反論する―4 太田良博 昭和四十八年七月十一日から同七月二十五日まで 琉球新報朝刊に連載 『太田良博著作集3』p179-183 目次 4 【引用者註】言動が信用できない赤松に信をおく 赤松隊「陣中日誌」に、「三月二十九日も曇雨。昨夜より自決したるもの約二百名。首を縛つた者、手榴弾で一団となって爆発したる者、棒で頭を打ち合った者、刃物で頚部を切断した者、戦いとは言え、言葉に表し尽し得ない情景であった」と、あたかも目撃したように記録してある。 ところが、『ある神話の背景』では、「集団自決の情景」をみたものは、赤松隊には誰もいなかったことになっている。 179 赤松の話では、第三戦隊陣中日誌は主に谷本候補生(伍長)が書いたという。 陣中日誌に関しては、作戦要務令第三〇八条から第三一七条の各条で規定してあるが、それら各条記載の規定内容をみても、同日誌は、相当軍隊経験に富む者でなければ書けるものではないことがわかる。各所属隊長の捺印署名と共に通常一カ月ごとに大本営に提出すべく規定された陣中日誌を、年端もゆかない、しかも陸軍学徒の身分にある者に書かせたというのも変だが、『ある神話の背景』の別の個所には、「谷本氏は人々に戦後、初めてまとめたという『陣中日誌』を配った」とある。戦後、手を加えたことが考えられ、いわゆる作戦要務令にある「陣中日誌」とはちがうようだ。 村民全体が自決せよ、というような重大な命令がでて、それが軍の越権であるとわかれば、殺されることがあっても、村の指導者としては身を挺して抗議すべきだった、と『ある神話の背景』の作者はいう。これこそ、作者のいう「戦後的発想」というものであろう。考えてみたらよい。戦時中、あの戦争が暴挙であることを知る者は国内にかなりいたはずだが、日本の知識人その他で、当時、軍に向かって正面切ってそのことを言えたものがいるだろうか。 一億の運命に関することでさえ然りであった。まして、軍刀をふり回すことしか知らない若年の下級士官に、村の指導者が戦場で抗議することは無意味で、そんなことができる 180 状態ではなかったはずである。 「誰が悪いかといえば、最も残忍なのは米軍であろう。彼らは日本人の非戦闘員がいるなどということに、何ら道義的なものを感じないでいられたのであろう。なぜなら、その島に、ほんの少数の住民がいて、そんな連中の生命や家をふっとばしたからと言って、何ら心の痛みなどを覚えることはないのである」と作者はいう。 『鉄の暴風』が書かれた時代に「沖縄戦における米軍のヒ一マニズムと日本軍の暴状」を対照的にとらえる感情的背景があったことを、私は作者に話したことはあるが、ここでは私の予期しない方法で、状況が逆転させられている。 ただし、米軍の攻撃は戦闘行為であり、住民に対する責任を負うものは、あの時点では日本の国家であつた。住民疎開の問題がそこに介在してくる。その疎開が、また沖縄戦ではまことに計画性のない、泥縄式のもので、デタラメといってよかった。 「赤松元大尉は、沖縄戦史における数少ない、神話的悪人の一人であった。(中略)それは面長でやせた、どこにでもいそうな市井の一人の中年の男の姿をしていた。 神話は神話として、深く暗く遠いところに置かれている限り、そして、実体が人々の目にふれない限り、安定した重い意味を持つのだった。しかしそれが明るみに取り出された場合、神話の本体を目撃した人はたじろぐのが普通である」と作者はいう。 181 かんたんに言えば赤松が悪人には思えなかったということである。 だが赤松は、この作者がうけた印象とちがった姿を沖縄の人たちに見せた。『週刊新潮』に赤松に関する記事がでた直後、昭和四十三年八月八日、『琉球新報』でとりあげられたのが、現実の人物として、戦後、赤松が紹介された最初である。 琉球新報記者とのインタビューで、赤松は「自分のとった措置はまちがっていなかった。処刑を命じたのは大城訓導一人だけだった」と語った。それが沖縄の人たちを刺激した。 「神話の人物」は、決して「一市井人」としてではなく、「まったく事実を曲げる反省のない人間」として立ち現れたのである。 事実、『ある神話の背景』では、大城訓導以外にも処刑したことをみとめている。赤松の言葉は、前後、信用がおけないのである。 大城訓導の処刑理由として、彼が「れっきとした正規兵」であったことを作者は力説する。 防召兵は、沖縄戦で初めて召集された特殊な兵隊で、二等兵の階級をあたえられてはいるが、正規兵とはいえない。だいいち徴兵署をへずに、しかも「赤札」でなく、「青札」で召集され、十六歳の未成年者から五十歳の初老もふくまれ、兵隊の訓練もあたえず、武器も持たさず、もっぱら弾丸運びなどの使役に使った苦力兵を「正規兵」とするのは、正 182 規兵の権利はあたえず、その義務だけを負わせた解釈である。 大城訓導の如きは、正式に防衛召集されたが、赤松隊が勝手に防召兵にしたのかどうかも疑わしい。 赤松隊の候補生や兵隊は食を求めて住民のいる場所をうろうろしていたらしい(統率は乱れていた)。彼らはなんともないのに防召兵が住民に接近しただけで処刑している。そこに「差別」を感ずる。 「日本軍将校」や「日本兵」が米軍の捕虜となり、米軍に使われて、何度も、渡嘉敷島の日本軍に降伏をよびかけている。降伏勧告にきた伊江島住民を処刑した赤松流のやり方からすれぱこれら日本兵捕虜こそ、まさに処刑にあたいする存在であるはずである。これら日本兵に対して赤松隊のとった反応は「無視すること」だけだった。そこにも「差別」を感じる。 『ある神話の背景』で、作者は自殺者の心理分析を試みている(集団自決の自害行為性の立証として)。むしろ赤松の心理を分析したほうが、事件当時の真相を理解するカギとなるのではないか。 183 次へ
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1/6[sage] 投稿日:2012/07/31(火) 01 46 51.37 0 日曜日。今日も今日とて愛しの先輩は僕の部屋でゴロンゴロンしている。人のベッドを 完全占拠して、時折寝返りを打ちながら漫画を読んでいた。が、どうにも身が入らないら しく、時折僕にちょっかいを出して来ては、同じような愚痴を口にする。 『ていっ!!』 「ちょっ…… 止めて下さいってば。唐突に後ろからタオルを顔に被せるのは。窒息した らどうする気なんですか」 『あたしは別府君が死んでも一向に困らないもん』 被せられたタオルを外して先輩の方に向き直ると、澄ました顔でそう言われた。まさか 冗談だとは思うが、ここまで即答されると、時折先輩の言動は本気なのではないかと疑い たくなってしまう。 「僕は嫌ですよ。大体、先輩にしたってこの部屋に来られなくなれば、困るんじゃないん ですか?」 そう聞くと、先輩はわざとらしそうに不快な表情を作って僕を睨みつけた。 『あのね。勘違いしないで欲しいんだけど、あたしは暇で暇でしょうがない時だけ、この 部屋に来てあげてんのよ? お客様なのよ? それが何? ドヤ顔でこの部屋に来られな くなったら困るでしょうって、偉そうに。あたしは別にこの部屋に来られなくったって、 ぜんっぜん困りやしないんだからね』 それが本心でない事は、ムキになっている点から容易に察せされた。 「そういう割には、ほぼ毎週来てるような気がしますが。いいんですか? 女子大生にも なってそんな事で」 もう同じような事は何度言ったか分からない。僕らが大学に入学して以来だから、かれ これ15回は言ったんじゃないだろうか。 『アンタに説教臭く、あたしの生活を云々言われる筋合いはないわよ。大体ねえ。せっか く女の子が部屋に遊びに来てあげてるのに、何の娯楽も提供出来ず暇させてるって、どん んだけ甲斐性なしなのよ』 不満気に吐き捨ててベッドにドサリと音を立てて勢いよく先輩は腰掛ける。その先輩の 顔に手をかざし、指折り数えつつ僕は反論した。 「いいですか? お茶にお菓子。場合によっては昼ごはんも提供して、さらには漫画に小 説、ゲームにアニメやドラマや映画のDVDまで揃えて、これだけの恩恵に預かりつつ、何 の娯楽も提供出来てないって、よくそんな事が言えますよね?」 444 名前:(自炊)ツンデレと雨の日の散歩をしに行ったら~前編~ 2/6[sage] 投稿日:2012/07/31(火) 01 47 34.22 0 実際、先輩の為に好みに合いそうなドラマをチェックして録画しておいたり、先輩が面 白そうだから買えと言った漫画を揃えたりと、文句を言われない為にはそれなりに努力し ているつもりだ。まあ、先輩の為の努力は苦痛にならないからいいとして、全く努力して いないと言われれば、さすがの僕も不満の一つや二つは言いたくなる。しかし先輩は、分 かってないとばかりに首を横に振った。 『今が大事なのよ、今が。漫画も全部読み終わったのばっかで、これも3度目。ゲームは 最近面白いのがないし、DVDも別にこれといってよさげな新作もないし。もー退屈で退屈 で死にそうなんだけど。アンタ自分一人でパソコンで楽しんでないで、何とかしなさいよね』 指差しながら、これみよがしに僕が悪いとばかりに責任転嫁されても困るわけだが。 「何とかしなさいって、どうすればいいんですか? 何かして欲しい事とかあります?」 試しに聞いてみると、先輩は露骨に呆れたため息をついた。 『アンタ、バカ? 分かってたら退屈なんてしないわよ。退屈しのぎを考えるのがアンタ の仕事だって言ってんのに、分かんない訳?』 「分かってますよ。ただ、一応聞いてみただけです」 正直、ノープランでぶん投げられても困るわけだが、それを先輩に文句言うのは今更過 ぎるので、心の内にしまっておいた。 『あーあ。貴重な日曜日なのに天気は悪いし、する事はないし、別府君は使えないし。もっ たいないなー』 ぼやきながら、先輩はもう一度僕のベッドに寝転がる。正直、先輩みたいな可愛い子が 自分のベッドに横になってるってシチュエーションは男子一生の憧れなのかも知れないが、 こうやって意識しないとドキッとしないのは、最近僕も、感覚が麻痺してきていると思う。 「じゃあ、映画でも行きます? それとも、モールで買い物とか」 とりあえず、思いつきでいくつか並べてみる。しかし先輩はあっさり首を振った。 『今月もうお金ないもん。それに映画だったらここでまだ見てないDVDもあるじゃない。 モール行ったら、絶対無駄なお金使っちゃうし、そもそも行く先一緒じゃない』 案の定、否定された。とはいえ、会話の中からいいアイデアが浮かぶ事もあるので、僕 はさらに続けてみる。 445 名前:(自炊)ツンデレと雨の日の散歩をしに行ったら~前編~ 3/6[sage] 投稿日:2012/07/31(火) 01 48 13.30 0 「じゃあ、ツタヤ行って面白そうなDVDとかゲーム物色するとか。見てると興味湧いて来 るものも出て来るかもしれませんよ?」 しかし、それにも先輩は首を振る。 『だからさ。今ここにあるもの以外で考えてよ。何かあたし達って引きこもり臭くて超情 けなくない?』 僕の枕を抱いて、先輩が不満気に言う。体を曲げて、横向きに寝転がったまま、肩膝を 曲げて抱く。ショートパンツから伸びる真っ白い太ももが強調されて、その格好はちょっ とエロチックだ。その感情を必死で押し殺し、気分をごまかす為にも、僕はため息をつく。 「雨の日なんだから、運動とか好きな人だって今日は家で休んでますよ」 『そんなの分かってるけどさぁー』 気力の無い、間延びした声で先輩は問い掛けてきた。 『何か、あたしたちって晴れでも雨でも同じ事してる気がしない?』 「それは、先輩がインドア派であまり出たがらないからじゃないですか」 即答すると、先輩は急にガバッと体を起こすと、バンと手でベッドを叩いて僕を睨み付 けて怒った。 『何言ってんのよ。アンタこそ引きこもりのオタクみたいな事しかしてないじゃない。パ ソコンとかアニメとかゲームとか。人の事言えないくせにあたしのせいにしないでよね』 「先輩が、外でテニスでもしない?とか誘ってくれれば、僕はいつだって喜んでご一緒し ますけどね」 真顔でキッパリと言い返すと、先輩は何故か驚いたように目を見開き、頬を染めた。そ れから、もう一度ベッドに横になると、僕に背を向けて丸くなった。 『う、うるさいわね!! いつだって調子のいい事ばっかり言って。と、とにかく何か退 屈しのぎを考えなさいよ』 はて? 何か照れさせるような事を言っただろうかと疑問に思いつつも、僕は先輩の答 えを探す。雨だし、家で出来るような事でありつつ、引きこもりらしくない事という難し い命題に僕は頭を悩ませた。外を見ると、霧雨のような細い雨が、まだ地面を濡らしていた。 ――全く、先輩はいつだってワガママなんだから…… 内心愚痴りつつ、そこが先輩の可愛いところなんだということも同時に理解していた。 だからこそ、高校の時から今まで、ずっと傍にいるのだから。 ――雨。暇つぶし。引きこもらない。お金使わない。うーん…… 446 名前:(自炊)ツンデレと雨の日の散歩をしに行ったら~前編~ 4/6[sage] 投稿日:2012/07/31(火) 01 48 56.57 0 条件を並べ立てれば並べ立てるほど、無理な要求に思えてくる。一旦ここは全てリセッ トしようと、僕は思った。いっそ、一番先輩らしくない事を考えてみるのはどうだろうか。 まあ、運動は無理としても、散歩くらいとか。 「――!!」 それを考えた途端、僕はピンと閃いた。すぐに考えを提案として先輩に向けて口にする。 「雨だからこそ、散歩に行くっていうのはどうですか?」 『は?』 先輩が怪訝そうな声を上げて僕を見た。その顔はいかにも、アンタバカじゃないのって 表情だ。しかし、予想されていた反応だったので、僕は怯みもせずに続ける。 「いや。どうせ何もする事がないんだったら、市民公園のハイキングコースをぶらぶらす るのもいいかなと思って」 『こんな雨の日に? 冗談言わないでよ』 僕の提案を受けて、先輩が即反対する。しかし、僕は窓の外を指してみせた。 「今は霧雨で、傘を差せば濡れるような雨じゃありません。それに、こういう日だからこ そ、違った景色も見えて来るかなって」 何か、説得を続けるうちに、僕の方が行きたくなって来た。しかし、先輩はちっとも乗 り気にならないらしく、体を起こそうとはせず、逆にまた僕から顔を逸らしてしまう。 『雨だろうが、市民公園は市民公園でしょ? 違いなんてないし、寒いし、めんどくさい からヤダ』 「じゃあ、先輩は留守番してて下さい」 パソコン用の椅子から立ち上がり、僕は先輩にそう声を掛けた。すると初めて先輩が、 驚いたようなちょっと焦ったような顔で僕を見つめる。 『ちょ、ちょっと!! あたしを置いてくつもり?』 僕は、コクリと頷く。これは賭けだったが、別に負けても構いやしないと思っていた。 ほんの少しの時間でも、雨の公園をぶらつくのは気分転換になるし、先輩がどうしても嫌 なら一人でいいと、本気でそう思っていた。 「先輩が行きたくないなら仕方ありません。ちょっとだけ留守番していて下さい。お土産 に美味しい物買って来ますから」 しかし、それで納得してベッドに横たわったりは先輩はしなかった。体を起こして立ち 上がると、僕の前を塞いで服の裾を掴む。 『家主が客を置いて出掛けるってどういう事よ? アンタ、正気?』 詰るような先輩に対して、僕は頷くと、そっと優しく先輩の手を払う。 447 名前:(自炊)ツンデレと雨の日の散歩をしに行ったら~前編~ 5/6[sage] 投稿日:2012/07/31(火) 01 50 01.85 0 「置いてってほど大げさじゃありませんよ。市民公園なんて歩いて10分くらいの距離です から、せいぜい一時間もすれば帰って来ます。それまで先輩は自由にしていていいですから」 しかし先輩は納得行かない顔で、抵抗する。 『時間の問題じゃないわよ。道義的な問題の事を言ってるの。普通、お客様を置いて家の 人が私用で出掛けたりしないでしょ? 何考えてるのよ』 色々と突っ込みたい所はあるが、それは抑えて僕は核心部分だけ言葉に出す。 「だから、お誘いはしたじゃないですか。でも先輩は行きたくないって。だから、一人で 行って来るんです。まあ、お持て成しの買い物ついでにちょっと散歩してくるだけって考 えれば、道義的にも問題ないと思いますよ」 僕の言葉に、何か言い返す言葉は無いかと、先輩は一生懸命考え始めた。この時、僕は 確信する。これは付いて来るだろうな、と。 『で、でもやっぱりだからって、あたしを置いて一時間も一人で出歩くなんて普通有り得 ないし。買い物だけ済ましたらさっさと帰って来るべきじゃない?』 「じゃあいっそ、客を放って出掛けるなんてとんでもないって、怒って帰ります? 道義 的におかしいなら、それも選択肢の一つですけど」 敢えて一番先輩が取らない事を言うと、先輩はグッと下唇を噛み、弱気にうつむく。 『べっ……別に、そこまで怒るほどの事じゃないけど……けど、やっぱり……』 「じゃあ、大人しく待っていて下さいよ。それとも、一緒に来ます?」 ここでもう一度、先輩を誘ってみる。案の定、ハッと顔を上げてから、先輩は気まずそ うに顔を逸らした。さっきめんどくさいから嫌だって言った言葉が引っ掛かっているのは 言うまでも無い。 『い、一緒に行くって……そんなの嫌だって言ったじゃない。雨降ってるし、寒いし、疲 れるし……』 さっきと同じ言葉を繰り返す。しかし、言葉に篭る力は半分以下だ。僕は笑顔で頷いて 見せる。 「だから、美味しい物買って来るから待っていて下さいと言っているんです。僕も先輩に 嫌な思いして付いて来て欲しくないですから」 448 名前:(自炊)ツンデレと雨の日の散歩をしに行ったら~前編~ 6/6[sage] 投稿日:2012/07/31(火) 01 53 18.62 0 バッグに財布を入れて、クローゼットからフリースを取り出す。時期が時期だけに、上 着を羽織るほどの寒さではないので、これで十分だ。後は特に持って行くものも無いだろ う。頭の中で確認を終えると、僕は先輩に向けて言った。 「それじゃあ、行って来ます。そんなにゆっくりはしませんので」 『あ……あたしも行く!!』 大声で叫んでから、先輩はパッと顔を赤らめてそっぽを向き、慌てて言い訳を始める。 『か、勘違いしないでよね。行きたいって訳じゃないのよ。ただ、やっぱり人の部屋にあ たしだけいるのって落ち着かないじゃない。それに、下に別府君のお母さんもいるし、万 が一鉢合わせでもしたら超気まずいじゃない。だから別に置いて行かれるのが嫌だとかそ ういう訳じゃないけど……まあその、仕方ないから付き合ってあげようかなって……』 僕はニヤニヤしたい気分を抑えるのに必死だった。だって、気持ちが折れてるのを必死 で言い訳する先輩って、物凄く可愛いのだから。ただ、これを出してしまうと拗ねて撤回 してしまうかも知れない。僕も先輩と行きたかったから、だからここは何としてでも我慢 しなければいけなかった。 「分かりました。一緒に来てくれるのでしたら、僕はその方が嬉しいですから」 頷いて、毒のない笑顔を見せると、先輩はますます頬を紅潮させた。 『う……嬉しいとかって、あたしは全然嬉しくないし。だからその……散歩帰りに、美味 しいスイーツたくさんご馳走して貰うからね。そのくらいはしてくれるんでしょ?』 スイーツに釣られた風を装う先輩を微笑ましく思いつつ、僕はコクリと頷いた。 「もちろんですよ。じゃあ、先輩も行く準備して下さい。そのままじゃ風邪、引きますか らね」 すると先輩はわざとらしく肩を落とし、ハンガーに掛けておいたニットのガウンを手に 取りつつ、ぶつくさと文句を言った。 『あーあ。何であたしまで出掛けなきゃならないんだか。それもこれも、全部別府君の気 まぐれのせいなんだからね。こんな雨の日に散歩だなんて、ほんっと、バカげてるとしか 言いようがないわよ』 ここでじゃあ来なくてもなんて言うと、また同じ事の繰り返しになってしまう。かといっ て謝るのも変なので、仕方なく大人しく文句を聞きつつ、先輩の支度が出来るのを待つのだった。
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(暫定版) 当該事故の責任を誰が取るのか、どのように取るのかは未だ判明しないが、ここでは幾つかの知見を紹介する。 環境への影響がどれほどになるか。被害総額、対策費用総額が幾らになるのかも、現時点では不明である。暫定的な情報として、5月上旬時点で一日辺りの対策費用は600万ドル。総額費用の見込み値の一つとして、ワーストケースで125億ドル(1兆2000億円)という数値が出歩いている。 6月3日現在、クレディ・スイス・グループは、もしも流出が8月まで続いた場合の石油除去の総費用は150から230億ドルとみている。(損害賠償は140億ドルと見ているが、油濁法によると損害賠償については7500万ドルが上限とされている。今回の事故を受けて上限を100億ドルにまで引き上げる見込みであるが、罪刑法定主義の原則からみて、今回の事故にこの金額が適用される見込みはほぼ無い) 油濁法1990 ご参考程度に。 以下は5月4日のモルガンスタンレーのレポートより抜粋。部分部分に、WIKI作成者による解説や補足を追加。原文は、末尾のリンクからご参照されたし。 モルガンスタンレーは、Operator(BP)と、その他のリース契約者(つまりAnadarko、三井石油開発)が、油の流出に伴う損害、そして潜在的な損害への大部分の賠償責任を負うであろう、と結論づけた。 (解説。石油契約の国際的な常識を考えれば、妥当な結論となる。オペレーターと、その共同事業者であるパートナーは、リース契約によって取得した鉱区内で起こった石油開発に関わるトラブルに対して責任を負わなければならない。この場合、費用負担、賠償負担は権益比率(BP 65%, Anadarko 25%, Mitsui 10%)に順ずるのが一般的である。) BOPの建造者であるCameron International, 掘削泥水のハンドリングを行っていたM I Swacoが法的責任を負わされることはない。 (解説。このBOPは10年前にTranseoceanに購入されたもの、今までの井戸では機能していた(はずである)。BOPの機能テストと定期メンテナンスの現在の責任者は、Transoceanである。泥水についてみてみると、事故時の状況から、ライザー内の泥水の置き換えは予定通りのものである。つまり、M I Swacoの過失は、現時点では考えられない。なお、原文中ではM I SwacoではなくSmith Internationalと記載されているが、これは恐らく間違いである。M I SwacoはSchlumberger(40%)とSmith International(60%)の合弁会社である) リグの所有者にして掘削作業の実施者であるTransoceanの潜在的責任は比較的小さく、これは保険適用の範囲内 (解説。原則的に、掘削作業中の監督責任は、Companyにある。それはつまり、OperatorであるBPと、そのパートナーである(Anadarko、三井石油開発)。しかし、私見ではあるが、非常事態下でBOPが機能していないことについては、Transoceanの責任は決して小さくはないと思われる。もしも、BPのオペレーションに問題がなかったにも関わらずパイプの切断が出来なかった場合、トランスオーシャンはBOPの管理・テスト責任を負う可能性がある) セメント作業の実施者であるHalliburtonは、責任を負うことは無さそうだ。Companyは、セメントジョブの不備を指摘しているが、その不備を実証する事は極めて難しい。 (解説。Wiki作成者は、このモルガンスタンレーのコメントには異を唱える。最大の責任者がCompanyである事は間違いないが、セメントジョブの不備はこの事故の根本的、かつ最大の原因の一つである可能性が高い。少なくとも、現場でのセメントに関するテスト結果に対して、適切な助言をBPに行う道義的な責任がある) 業界全体への影響については、石油開発に使う設備の開発メーカーと、それを合わせた海洋掘削技術を所持する会社にとっては、長期的にはポジティブなものとなる (解説。今回の事故により、メキシコ湾での石油開発におけるレギュレーションが変更される可能性が高い。開発会社は、中古品を使うことができなくなるので、メーカーには利益になるであろう、というコメントかと思われる) 海上交通面では、一種の混雑・渋滞状態を引き起こすのではないか。 (以上、まとめ部分のみを意訳) (参考:http //www.ogfj.com/index/article-display/2323778238/articles/oil-gas-financial-journal/e-__p/offshore/Gulf_of_Mexico_oil_spill.html) 上記に記載されていないアメリカ政府内務省MMS(Minerals Management Service)の責任について 一定の責任がある。石油開発の監督責任を担当する行政部署は、新規開発計画に対して事前に評価する義務がある。 (解説 この開発計画・掘削計画において、BPはMMSに開発計画書を提出しており、掘削作業自体はこの手順に沿って行われていたものと思われるからである。 問題の一つとして言及されているBOPの音響式作動システムについての規制であるが、本事故では結果的にフェイルセーフ式の自動起動型の遮断装置(シェアラム)さえも機能していない事から、流出や噴出の防止に直接的に寄与をした可能性は低いと見られる) 上記に記載されていない、リグ建造者である現代重工業の責任について 責任の順序としては、BOPの製造元であるCameron,泥水のハンドリングを行っていたM I SWACOよりも下位、関連企業中で最下位に位置すると考えられる。 (解説 理由としては、(1)事故の原因である「暴噴」の技術的原因に関与していない (2)原油とガスの暴噴量は大量であったという証言があり、リグ側の防爆設計の許容範囲を超えていた可能性が高い(3)当該リグの引渡しは2001年に済んでおり、防爆機能の維持・点検の義務はTransocean社にある。(4)大部分の乗員が避難を終える程度には船体が浮遊状態を維持しており、構造上の欠陥を示す情報は現在のところ上がって来てはいない、という事が上げられる。 事故状況を考えると、もっとも類似したケースは英国でのPiper Alpha爆発事故であろう。この事故において生産施設の建造者が法的・賠償責任を問われたかについては未確認であるが、施設製造者の責任を理解する判例として有用と考えられる。 -
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シリーズ最新作『宴』では、待望のプレイヤー武将として登場した松永久秀。 今回は、そんな松永のアレコレをお聞きしてみた! 以上がタイトル及び導入部。 --松永がシリーズに登場したのは、『英雄外伝(HEROES)』からでしたね。 山本:そうですね。同作を製作するとき、新キャラをひとりしか作る余裕がなかったんです。 じゃあ誰を作ろうか……と、すごく悩んで選んだのが松永でした。 史実の松永って、あくまで自分の価値観の上に生きた人物ですよね。 それが、「まるで子どもだな」と感じたんです。 子どもがそのまま大きくなったような、純粋さ故の怖さ。 何を言っても通じないような彼の空恐ろしさが、新たな敵役にふさわしいと考えたんです。 『英雄外伝(HEROES)』は、B2のアペンドディスクに該当するものである。 要は、B2版『猛将伝』であるが、この件に関しては悪質な商法を真似るなとの声が、 ファン層の間からも出ているようである。 当然の話であるが、相手の商法の悪質さを批判したのであれば、 その商法を踏襲することはビジネス面では兎も角、道義的には否定されねばなるまい。 しかし、そのような声は少なく、被害者面をする場合の方が遥かに多いというのはどういうことであろうか。 話を本題に戻そう。 注目すべきなのは、「ひとりしか作る余裕がなかった」との発言であろう。 比較対象とすべき『戦国無双2 猛将伝』では、六名(*1)の追加があったことを考えると、 この内実は相当お寒いものがある。 ましてや、後発のリリースである以上は、当然ながら先行作を越えねばなるまい。 既にこの時点で、カプコン側はBへ割くリソースを相当渋っていたのではなかろうか。 それは、上層部からの評価の低さの表れでもある。 続けよう。 「悩んで選んだ」とあるが、何故ここで松永久秀なのか。 御存知の通り、B2の時点(これはB3の時点でもだが)で、松永久秀に関する武将は極限られる。 容易に挙げられるであろう足利将軍家や三好家の面々、筒井家の面々や島左近も存在しない。 精々が織田信長くらいであろうが、「敵役」と言う意味では重複の印象を免れ得まい。 それ以上に問題となるのは、そもそも歴史物を製作する、或いは考える上において、 「敵役」の概念を設定することそれ自体であろう。 敵役を設定すること自体は物語全体を設計するうえで選択肢の一つとなるのは確かであるが、 それは弊害がかなり伴われるものであることもまた論を俟たない。 第一に、物語の展開が単調になりがちであること。 第二に、物語内部の価値観の多様性が喪失されがちであること。 特に後者の問題は致命的であろう。 歴史物においては複数以上の勢力や立場があるのは大前提であり、 その内実を考え、説得的に描写しなければならないからである。 だが、「敵役」を設定すること自体が、そのような多様性を根本的に喪失させしまう。 それ以上に、この様な安易な設定を作ること自体が、公式の側の素養や蓄積を疑わせるものであると言えよう。 --シリーズ定番の悪役になりましたね。 山本:ものすごく欲深く悪い部分と、かっこいい部分を両立できたんじゃないかと思っています。 ただ欲望を持っただけのキャラだと普通の悪者に終わってしまいますから(笑)。 定番と言う割には、まだ二~三作にしか登場していないという現実を忘却しているらしい。 事実、本インタビューは、従来の物に比べて半分程度の分量しかない=それだけ語る内容が無いのだから。 それ以上に、自画自賛は止めておいた方が良かろう。 --史実の松永についてはほかにどのような印象を受けましたか? 山本:すごい才能の持ち主。 堺奉行を務めていたりと、ものすごく頭もいい。 最後の爆発も強烈ですが……平蜘蛛は遺してほしかったですね。 実物をすごく見たかった(笑)。 ここはある意味では素朴な感想の羅列であろうし、引用者自身は特筆すべきことはないと感じる。 --彼のアクションは爆発が多いですね! 山本:当然、爆発を使うキャラにはしたかったんです。 でも、慌てて火薬をつけるんじゃなくて、あくまで雅に、凛とした態度を崩さないようにしています。 『宴』での松永のBASARA技は、彼が通り過ぎた場所をすべて火の海にするというものですが、 それは彼の「通り過ぎたことには興味がない」という性格とアクションを融合させたものなんです。 松永久秀が爆発を使うのは、史実での彼の最期が爆死であったことから、ある意味では当然の発想といえる。 ところで、本インタビューの頁は、テーマとなった人物のCGイラストが背景を飾っているのが通例である。 そこに描かれている松永の姿は、異常に太い豊齢線のために不気味なまでのにやけ顔である。 そこには、凛とした=凛々しくも引き締まった態度はどうにも看取出来ない。 なお、後半に挙げられているBASARA技の内容は、既に『戦国無双3』の北条氏康の無双奥義・皆伝との類似が指摘されている。 --『宴』でのストーリー面でのポイントは? 山本:松永の物語では、松永の価値観に焦点を当てています。 今までは物を欲しがっていましたが、今回は彼の風流な面や物以外への価値観が出ていると思います。 彼本人の物語もそうですが、天海シナリオでもかなり活躍していますので、是非確認してみてください。 物を欲しがるような価値観の人間が、風流を説いても説得力は絶無であろう。 風流とは、およそ俗世の物欲を遠ざけた趣を愛好するところにあるのだから。 一応、風流(ふりゅう)という古典的な意味合いでならばまだ分かるのだが… ところで、小十郎と言い、天海といい、どうして理解しやすい人間関係を作れないのであろうか。 『戦国BASARA』の松永久秀はこんな武将! 己の欲望に忠実 お宝大好き 片倉小十郎と因縁あり 『宴』で初のプレイヤー武将に! 特に付言するところは無い事実の羅列である。 反面、それ故に創作上のいい加減さが露呈してしまっていると言える。 「悪いけどかっこいいって、すごいことですよね。 その悪とかっこよさの両立ができたキャラだと思っています」 頁中央に配置されたコメント。 ここでもやはり自画自賛である。 山本Dのお気に入りとの話はどうやら本当の事であるらしい。
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概要 職業特技 特技補足・雑感 耐性など その他 攻撃回数 基礎スペック 魔法領域適性 技能適性 雑感 ver2.0.1 概要 ユニーククラス(一覧) 種族:動物霊 職業:勁牙組組長(Saki) あなたは畜生界の巨大組織である勁牙組(けいがぐみ)の組長です。 あれこれ計略を 巡らせることは好まず、行く手に立ちふさがるものは全て蹴散らすのがあなたの流儀 です。あなたは強靭な脚力によって非常に素早く動くことができ、またモンスターの 攻撃によって減速を受けることがありません。格闘と銃が得意でそれにかかわるいく つかの特技を習得します。動物霊であるにも関わらず閃光を弱点としませんが、破邪 攻撃はやはり苦手です。 職業特技 各数値はLv50時のもの Lv 技名 消費 関連 威力 (魅力50時) 詳細 1 殺気感知 5(MP) 器用 範囲 30 周囲の精神を持つモンスターを感知する。 7 フォロミーアンアフライド 10(MP) 魅力 効力 160(200) 隣接したモンスター一体を勧誘し配下にしようと試みる。恐怖状態のモンスターに効果が高い。 14 ライトニングネイ 18(MP) 器用 視界内のランダムなモンスターへ全弾射撃を行う。射撃は電撃属性ビームに変化する。一部の特殊な銃器では使用できない。 20 デンスクラウド 30(MP) 耐久 期間 15+1d15ターン 一時的に元素耐性を得る。レベル40以上ではACも上昇する。 25 鬼形のホイポロイ 30(MP) 魅力 召喚数 8 配下の動物霊を複数体召喚する。レベル40以上では加速された状態で呼び出す。 30 町移動 70(MP) 腕力 行ったことのある町に移動する。地上でしか使えない。 35 スリリングショット 50(MP) 器用 効力 300(400) 視界内のランダムなモンスターへ全弾射撃を行い、さらに恐怖させる。一部の特殊な銃器では使用できない。 40 トライアングルチェイス 100(HP) 器用 射程 8 指定したモンスターの隣まで移動し、さらに一撃離脱する。離脱に失敗することがある。装備品が重いと特技の使用を失敗しやすい。 43 マッスルエクスプロージョン 120(MP) 腕力 損傷 現在HP/2 視界内全てを気属性で攻撃する。威力は現在HPの半分になる。さらに腕力を一時的に限界以上に上昇させる。 47 ブラックペガサス流星弾 160(MP) 魅力 倍率 x2.0 威力2倍の射撃を行う。射撃は隕石属性ロケットに変化する。一部の特殊な銃器では効果がない。 特技補足・雑感 フォロミーアンアフライド 効力が高いため、鳳凰や時空Dクラスにも数回のトライで通る。 荒馬慣らしや、妖魔本を使うより相当便利。 長く配下にする予定はないモンスター相手に使って即開放するという、単体抹殺的な運用もできる。 鬼形のホイポロイ 動物霊(勁牙組)を召喚する。 道義的な問題をさておくと、呼び出した動物霊を倒すことで空腹を癒やすこともできる。 スリリングショット 恐怖しない特性がない限りは、相当高確率で通る。 フォロミーアンアフライドとの相性が非常に良い。 マッスルエクスプロージョン 腕力は50まで上がる。 耐性など + 動物霊の特性 冷気耐性(1) 毒耐性(1) 地獄吸収(1) 麻痺知らず(1) 透明視認(1) 急速回復(1) 浮遊(1) 警戒(30) 閃光弱点+50% 破邪弱点+66% 加速+レベル/15 勁牙組動物霊のレイシャルとして、狂戦士化(25) スピード(35) に加え、 閃光弱点は克服済み 永続突然変異「羽(=浮遊)」(1)、「並外れた脚力(=高速移動)」(1) 暗黒耐性(1) 恐怖耐性(1) 電撃耐性(10) 不死ESP(20) 腕力維持(20) 加速+3 + レベル/12(動物霊としての加速ボーナスに更に追加) その他 古い城での報酬は★フェアノール王のレザーブーツ 通常の格闘の時キックしか出ずクリティカルが出やすい(… 1d60 プレイヤーレベル で強いタイプの蹴りが出る) 遅鈍耐性あり(モンスターの攻撃で減速状態にならず遅鈍属性ダメージ半減。食べ過ぎや荷物の持ち過ぎによる減速は受ける) 所持品や防具の重量限界値が大きい 広域マップを高速で移動でき襲撃を受けない 攻撃回数 num wgt mul 5 80 2 基礎スペック 腕力 知能 賢さ 器用 耐久 魅力 解除 魔道 魔防 隠密 探索 打撃 射撃 HD MP 経験 スコア +7 -3 +1 +8 +6 +1 20(8) 21(12) 35(12) 6(0) 20(1) 90(32) 45(25) 23 B +100% 14% 魔法領域適性 魔法使用不可 技能適性 格闘 盾 騎乗 二刀 投擲 A D A E C 短剣 長剣 刀 鈍器 棒 斧 槍 長柄 弓 機械弓 銃 B B C C C C B B C B A 雑感 禁断の(?)騎乗ガン=カタがついに解禁された、とにかく快適な騎乗打撃職。 高速移動、加速、二重耐性、AC強化、突進+一撃離脱、視界内朦朧攻撃、腕力超強化と、おおよそ近接戦闘に必要なものはすべて自前完備である。 さらに格闘、騎乗、銃がすべて適性Aで行使可能なので、弱いわけがない。 なまじ強くてサクサク敵を倒せるのと、種族動物霊の栄養補充方法の兼ね合いで、常に満腹状態と言っても過言ではなく、ちょっとした回復薬一つで過満腹減速を喰らいがちなことには注意(最も、騎乗していれば実質ノーペナルティなのだが)。 ぶっ飛んだ要素や癖はなく、打撃職に欲しい物が単純に積み上がっているスペックであり、感知は普通に道具に頼る必要があるなど、なるべく快適に打撃職としての進め方を覚えるのに良いクラスだと思う。 騎乗職にフェア靴とはな - 名無しさん (2020-04-20 19 55 54) 逆に考えるんだ、「乗らなくてもいいさ」と考えるんだ - 名無しさん (2020-04-20 21 30 10) なるほど、逆に考えて、乗られればいいんだな! - 名無しさん (2020-04-21 23 48 29) 騎乗Aだけどむしろ騎乗される立場なのでは… - 名無しさん (2022-01-14 07 34 32) レベルアップと古い城報酬だけで加速+25が確定するスピード狂。アイテムの重量超過も発生しにくいので速度で困ることはまずない。乗馬と銃の適性がAなのにどちらも使わなくても余裕で勝てるほど強いという、とても贅沢なキャラ。強さは文句無しなうえに快適さもあるが、初心者に勧めるには種族が動物霊ゆえに序盤の食事が少々面倒な点だけは気になるかもしれない。 - 名無しさん (2022-10-01 20 37 10) 名前
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本書を書いた時には、社会主義という言葉は、はっきりと、生産手段の国有化と、それによって可能になり、必要ともなる中央集権的経済計画化を意味していた。・・・今日において社会主義とは、もっぱら課税という手段を通じて広範囲な所得の再配分を行なうことを意味しており、また福祉国家という制度のことを意味するようになってきている。・・・この福祉国家という形態においては、本書で警告したような事態は、もっとゆっくりとした、間接的な、不完全な形でしか現れないだろう。けれども・・・究極的な結果はここで警告したようなものになっていくだろうと、私は確信するものである。 ~ F.A.ハイエク『隷従への道』(1944年)の1976年版への前書き 左派(the Left)・左翼(left wing)のまとめページ <目次> ■1.このページの目的 ■2.左派・左翼・アカとは何か◆辞書による説明1:「左派」 ◆辞書による説明2:「左翼」 ◆辞書による説明3:「アカ」 ◆要約:左派には3種類ある ■3.極左(ultra-left)とは何か◆辞書による説明1:「共産主義」 ◆辞書による説明2:「マルクス主義」 ◆辞書による説明3:「弁証法的唯物論」 ◆辞書による説明4:「ヘーゲル主義・ヘーゲル哲学」 ■4.左翼(left-wing)とは何か◆辞書による説明1:「社会主義」 ◆辞書による説明2:「社会民主主義、社会民主制」 ◆辞書による説明3:「集産主義」 ■5.リベラル左派(liberal)とは何か◆辞書による説明1:「福祉国家」 ◆辞書による説明2:「リベラル」 ◆辞書による説明3:「J.ロールズ」 ◆辞書による説明4:「社会契約」 ◆辞書による説明5:「自然法」 ◆辞書による説明6:「人権」 ■6.左翼を生み出した思想◆辞書による説明1:「啓蒙思想」 ◆辞書による説明2:「理性主義(合理主義)」 ◆辞書による説明3:「決定論」 ◆辞書による説明4:「一元論」 ■7.まとめ(左派・左翼思想の系譜) ■8.参考:「自由」と「隷従」を分かつ西洋思想の2つの流れ ■9.参考図書 ■10.ご意見、情報提供 ■1.このページの目的 左派・左翼について、概念的な整理を行います。 ■2.左派・左翼・アカとは何か ◆辞書による説明1:「左派」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(leftの項)より全文翻訳 政治に関して、一般的に、①平等主義(egalitarianism)と、②政治的・経済的生活の主要な諸機構の人民または国家による管理(popular or state control of the major institutions of political and economic life)、とに結びついた政治的帯域(political spectrum)の一角。 この言葉は、フランス革命時の議会で、社会主義者の代表達が、議長席の左側に陣取った1790年代に由来する。 左派は、 ①富裕者や貴族階級のメンバーを含む伝統的なエリート達(traditional elites)の利益に対して敵意を持ち、 かつ、 ②労働者階級(working class)の利益に対して好意を持つ傾向がある。(プロレタリアートの項を見よ) 1 彼らは、社会福祉(social welfare)を政治の最重要目標とみる傾向がある。 2 社会主義(socialism)は、世界の殆どの国々で、左派の標準的なイデオロギーである。 3 共産主義(communism)は、いっそう急進的な左派のイデオロギーである。 (2) オックスフォード英語事典(leftの項)より抜粋翻訳 急進的(radical)、革新的(reforming)、または社会主義的(social)な見解を好む集団または政党。 (3) コウビルド英語事典(leftの項)より全文翻訳 社会主義の政治的理念を支持する人々を左派(the left)という。 彼らは、しばしば右派(the right)つまり資本主義と保守主義の政治的理念を支持する人々と対比される。 ◆辞書による説明2:「左翼」 (1) オックスフォード英語事典(left-wingの項)より抜粋翻訳 1 政党または政治体制のうち、急進的(radical)、革新的(reforming)、または社会主義的(social)な部分。 2 サッカー・ラグビー・ホッケーの競技場でチームの左側をいう。 (2) コウビルド英語事典(left-wingの項)より全文翻訳 1 左翼の人々は、社会主義的(socialism)に基礎を置く政治的理念を保持している。 2 人々の集団、特に政党としての左翼(the left wing)は、その他のメンバーに比較して社会主義により近い信条を持つメンバーによって構成されている。 ◆辞書による説明3:「アカ」 (1) オックスフォード英語事典(redの項)より抜粋翻訳 (インフォーマル)(主として軽蔑的に)①共産主義者、または②社会主義者(特に冷戦期にソ連邦に関して用いられた)。 「白(white ※注:反革命・王党派を表す色)」と対語である。 (2) コウビルド英語事典(redの項)より抜粋翻訳 貴方が、誰かが「アカ(a red or a Red)」であると言う時、貴方は、彼らが①共産主義者、または②社会主義者、または③左翼理念の持ち主、である事実を嫌悪(不承知 disapprove)しているのである。 ◆要約:左派には3種類ある ※要約すると、左派には次の3種類がある。(ブリタニカ百科事典(leftの項)のピンク色部分、コウビルド英語事典(redの項)参照) 内容 キーワード 極左 共産主義(communism)即ち、いっそう急進的な左派のイデオロギーを支持する立場 ①共産主義、②マルクス主義、③弁証法的唯物論、④ヘーゲル主義 左翼 社会主義(socialism)即ち、左派の標準的なイデオロギーを支持する立場 ①社会主義、②社会民主主義(社会民主制)、③集産主義 リベラル左派 社会福祉(social welfare)を政治の最重要目標とする立場。左翼理念の持ち主 ①福祉国家、②リベラリズム、③J.ロールズ、④社会契約、⑤自然法、⑥人権 ※政治的スタンス5分類・8分類について詳しくは 政治の基礎知識 参照。 ■3.極左(ultra-left)とは何か ◆辞書による説明1:「共産主義」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(communismの項)より全文翻訳 全ての資産の所有権は共同体にあり、その利益は各人の必要に応じて全員に分配される、と提唱する政治理論。 この理論は、主としてカール・マルクスとフリードリッヒ・エンゲルスの業績である。 彼らの『共産党宣言』(1848年)は、“プロレタリアート(無産階級、労働者階級)独裁”即ちマルクスの言う処の「社会主義」という過渡期について特記している。「共産主義」は最終段階であって、そこでは階級の区別だけでなく組織立った国家-マルクスによれば不可避的に抑圧の道具であるもの-すら克服されるという。 この(社会主義と共産主義の)区別は、間もなく見失われ、“共産主義者(という言葉)”は最終的なゴールよりも政党名に適用されるようになった。 ウラジミル・イリイチ・レーニンは、プロレタリアートは、共産主義(への道)を案内するプロの革命家を必要とするのだ、と主張した。(レーニン主義を見よ) ヨシフ・スターリン版の共産主義(スターリン主義を見よ)は、多くの点で全体主義と同義語となっている。 毛沢東は支那の共産主義革命で、都市のプロレタリアートよりも、貧農達を動員した。(毛沢東主義を見よ) 西欧共産主義(eurocommunism)はソ連邦の崩壊(1991年)によって支持者の殆どを喪失した。 「共産主義政党」「弁証法的唯物論」「第一インターナショナル」「第二インターナショナル」を見よ。 (2) オックスフォード英語事典(communismの項)より抜粋翻訳 全ての資産は共同体によって所有され、各人は各々の必要に応じて奉仕し、また受益する、とする社会機構に関する理念または制度。 最も身近な共産主義の形態は、1917年のロシア革命の後で樹立されたボルシェヴィキ(ソ連共産党の前身)である。そして、それは旧ソ連と東欧の同盟国、また1949年以降の支那、そしてキューバ、ベトナム、北朝鮮といった幾つかの発展途上国で実施された制度を表す言葉として理解されている。 共産主義の形態では、資本主義制度が打倒された後は、国家は衰退し消滅していくものとされている。 しかし実際には国家は共産主義社会のあらゆる局面を管理するものとして肥大化した。 東欧の共産主義は、①人々の経済的期待に沿うことに失敗したこと、②政治的生活の上で、もっと民主的な制度への移行、③ソ連邦を解体に導いた増大していくナショナリズム、を背景として1980年代末から1990年代初めにかけて崩壊した。 (3) コウビルド英語事典(communismの項)より全文翻訳 共産主義とは全ての人々は平等であり、労働者は生産手段を管理すべきだ、とする政治的信条である。(≠資本主義 capitalism) ◆辞書による説明2:「マルクス主義」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(marxismの項)より全文翻訳 カール・マルクスとフリードリッヒ・エンゲルスによって開発されたイデオロギーであり、社会経済的理論(socioeconomic theory)である。 共産主義の基本的イデオロギーであるそれ(マルクス主義)は、全ての人々は彼らの労働の果実を享受する資格を持つが、資本主義的経済体制つまり社会を二つの階級-①無産労働者(nonowning workers)と②不労所有者(nonworking owner)-に分化させる体制によって、そうすることが妨げられている、と捉えている。 マルクスはその帰結的状況を「疎外(alienation)」と呼んだ。そして彼らは労働者が自身の労務の果実を再取得する時、疎外は克服され、階層分化も消滅する、と言った。 歴史に関するマルクス主義理論は、階級闘争を歴史の駆動力と措定する。それは資本主義を、最も近時の最も決定的な歴史的段階-最も決定的とは、即ち、この段階においてプロレタリアートは遂に団結して立ち上がるだろうから-と考えている。 1848年の欧州の諸革命(※注:フランス2月革命に刺激を受けてドイツ連邦諸国やイタリア地域・オーストリア帝国の諸民族居住地などで多発した自由主義・国民主義運動「諸国民の春」のこと)の失敗と、実践的であるよりは分析的な方向性を持つマルクス主義理論を精巧化させる必要性の増大は、レーニン主義や毛沢東主義などの(より実践的な理論の)採用を導いた。20世紀末期のソ連邦の崩壊と、支那による自由市場経済の多くの要素の採用は、マルクス主義が妥当性を持つ経済的・政治的理論としては終了したことを刻印したように思われる。しかしながらマルクス主義は、①市場資本主義への批判、②歴史的変化の理論、としての関心を持たれ続けている。 「共産党宣言」「弁証法的唯物論」「社会主義」「スターリン主義」「トロツキー主義」を見よ。 (2) オックスフォード英語事典(marxismの項)より抜粋翻訳 カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスによる政治的・経済的理論であり、後に彼らの追随者によって共産主義の基礎を形成するために発展させられたもの。 マルクス主義の核心は、経済的諸要因によって社会変化を説明する点にある。 マルクス主義によれば、生産手段は、政治的・思想的な上部構造に影響を及ぼしそれらを決定する経済的基盤を提供する。 マルクスとエンゲルスは、プロレタリアートによって資本家が革命的打倒を受けること、そして究極的には無階級の共産社会が達成される、と予言した。 (3) コウビルド英語事典(marxismの項)より全文翻訳 マルクス主義とは、カール・マルクスの著作に基礎を置く政治的意思であり、相違する社会階級間の闘争の重要性を指摘するものである。 ◆辞書による説明3:「弁証法的唯物論」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(dialectical materialismの項)より全文翻訳 カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスの著作を通じて、そして後にはゲオルグ・プレハノフ、ウラジミル・イリイチ・レーニン、ヨシフ・スターリンによって表明された哲学的アプローチであり、共産主義の公式的な哲学である。 ヘーゲル哲学から借用されたその核心的教義は、あらゆる歴史上の生成・変化・発展は相容れない2つの対照物の闘争の帰結である、とする点である(哲学用語で言うと、テーゼはアンチ・テーゼと対立し、その結果、ジン・テーゼ(総合)に帰結する、ということ)。 特に階級間闘争-片方に資本家と土地所有階級あり、他方に無産労働者階級と貧農がある、その両者の闘争-が歴史の大動力を生み出す。 史的弁証法の法則は非常に強力であり、個々の指導者達はせいぜい歴史の結果(little historical consequence)に過ぎない。 (弁証法的唯物論は)起源としては主として社会的・経済的・政治的領域で作用するものとして構想されたのだが、20世紀にはその原理は科学の領域にまで拡張され、ソ連邦の科学に主要な影響を及ぼした。 マルクスとエンゲルスは彼らの哲学的見解を、主として論証法(polemics)と簡易な歴史研究の一連の流れとして表明したのであり、そこには弁証法的唯物論の組織だった主題提示(exposition 詳細な解説)は示されていない。 (2) オックスフォード英語事典(dialectical materialismの項)より抜粋翻訳 マルクス主義理論(ソヴィエトの共産主義者の公認思想として採用された)であり、政治的・歴史的事件は社会的諸力の闘争の帰結であって、かつ、論理的な諸矛盾とそれらの解決の連続物と解釈される、とするもの。 闘争は物質的必要によってもたらされる、とみなされる。 ◆辞書による説明4:「ヘーゲル主義・ヘーゲル哲学」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(hegelianismの項)より全文翻訳 G.W.F.ヘーゲルの思想体系から発展した多様な思想運動。4段階に識別できる。 1 最初の段階は、1827-50年の期間のドイツにおけるヘーゲル学派によって構成されている。学派は3つの流れに分岐している。 1. 右派または「旧ヘーゲル学派」は、①福音主義的正統信仰(evangelical orthodoxy)と②保守的政治方針(conservative political policy)とに対するヘーゲル哲学の適合性を持ち上げることに注力した。 2. 左派または「青年ヘーゲル学派」はヘーゲルの理性と現実との一体化(への志向)を革命的文脈で解釈した。 3. 中央派は、ヘーゲルの体系をその起源と趣旨に立ち返って解釈することを好んだ。 2 第二段階(1850-1904)は、通常、新ヘーゲル学派と呼ばれており、中央派の業績が優勢な役割を演じた。 3 ヴィルヘルム・ディルタイがヘーゲルの青年期の未公開の作品を20世紀初めに発見した後、ドイツでは更に別の潮流が起こった。この第三段階、即ちヘーゲル・ルネッサンスはヘーゲル哲学の起源に関する再構成に重点が置かれた。 4 第二次世界大戦後の第四段階において、欧州でのマルクス主義研究の再興は、マルクス主義に対するヘーゲルの遺産(the Hegelian heritage for Marxism)の真価を最終的に前面に押し出した。 (2) オックスフォード英語事典(Hegelの項)より抜粋翻訳 ゲオルグ・ヴィルヘルム・フリードリッヒ(1770-1831)。ドイツ人哲学者。 『論理学』(1812-16年)でヘーゲルは弁証法的理由付けの3段階のプロセスを描き出した。それはマルクスが彼の弁証法的唯物論の基礎としたものである。 ヘーゲルは、①歴史・②理念の進化・③人間の意識、は全て何らかの絶対者(the Absolute)または唯一神(God)が自身を認識していく観念的・弁証法的プロセスを通じて展開される、と信じた。 ■4.左翼(left-wing)とは何か ◆辞書による説明1:「社会主義」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(socialismの項)より全文翻訳 ①私的所有(private property)と②所得分配(distribution of income)は、社会的管理に従属する(subject to social control)とする社会的有機体の体制(system of social organization)のこと。 「社会的管理(social control)」という言葉は広く多義的に解釈することが可能であるため、社会主義は、 1 国家主義者(statist)から自由至上主義者(libertarian)まで、また、 2 マルクス主義者(Marxist)からリベラル左派(liberal)までの範囲に及ぶ。 この言葉は最初、メンバー全員の精神的・肉体的な安寧幸福のために非競争的な労働に従事する人々の強制的ではない共同体を強調したシャルル・フーリエ、アンリ・ド・サン=シモン、ロバート・オーウェンらの信条を描写するために用いられた。(「空想的社会主義 utopian socialism」を見よ) カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスは、社会主義を資本主義から共産主義への過渡期の段階と認識し、彼らが(フーリエ、サン=シモン、オーウェンらの)社会主義の諸運動の中で有益であることを発見した内容を、彼らの“科学的社会主義(scientific socialism)”を開発するのに流用した。 20世紀においてソ連邦は厳格な中央集権的社会主義の第一の模範であったが、その一方で、スェーデンとデンマークは非共産主義の社会主義で著名だった。 「集産主義」「共同体主義」「社会民主主義(社会民主制)」を見よ。 (2) オックスフォード英語事典(socialismの項)より抜粋翻訳 1 社会的有機体に関する政治的・経済的理論(a political and economical theory of social organization)であり、①生産・②分配・③交換の手段は、その全体を共同体によって所有されるか規制されるべきだ、と提唱するもの。 2 その理論に基づく政策またはその実行のこと。 3 (マルクス主義理論では)資本主義の打倒と、共産主義の実現の間の過渡的な社会状態。 「社会主義」という言葉は、無政府主義(anarchism)・ソ連邦の共産主義・社会民主主義(social democracy 社会民主制)という大きく隔たった複数の立場を記述するのに使用されてきた。しかしそれは、経済市場での無制限の労働に対する反対(という立場)を必然的に含意している。 19世紀末以来、殆どの欧州諸国で興起している社会主義の諸政党は一般に、社会民主制(social democracy)に傾斜している。 (3) コウビルド英語事典(socialismの項)より全文翻訳 社会主義とは、全ての人々が国家の富から利益を享受する平等な機会を持つ体制を創出すること、を一般的な目的とする左翼的な政治原則の一つの組み合わせである(a set of left-wing political principles) 社会主義の下では、国家の主要な産業は通常、国家によって所有される。 ◆辞書による説明2:「社会民主主義、社会民主制」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(social democracyの項)より全文翻訳 確立されている政治的プロセスを用いて、資本主義から社会主義への社会の平和的な進化的移行(a peaceful, evolutionary transition of society from Capitalism to Socialism)を唱導する政治的イデオロギー(political ideology) それはマルクス主義の唱導する社会革命(social revolution)を拒絶する。 社会民主主義は、1870年代のドイツの政治運動として始まった。 エドゥアルド・ベルンシュタインは1899年に、資本主義はカール・マルクスが、その中に見出した弱点(失業や過剰生産を含む)の多くを克服しつつあり、普通選挙は平和裏に社会主義的な政府を導くだろう、と論じた。 1945年以降、社会-民主的な諸政府(social-democratic governments)が、西ドイツ(「社会民主党」を見よ)・スェーデン・英国(労働党の下に)で政権を握った。 社会-民主的思考(social-democratic thought)は、次第に、(国家所有でなくとも)国家による規制が、①経済成長と②所得の公平な分配を確実に行う上で十分である、と見なすようになった。 (2) オックスフォード英語事典(social democracyの項)より抜粋翻訳 民主的手段によって達成される政治の社会主義体制(a socialist system of government) (3) コウビルド英語事典(social democracyの項)より全文翻訳 1 社会民主制(social democracy)とは、①社会的公正(social justice)と②平等(equality)は市場経済の枠内で達成可能である、とする政治体制(a political system)である。 2 社会民主国(a social democracy)とは、社会民主制が存在する国家のことである。 ◆辞書による説明3:「集産主義」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(collectivismの項)より全文翻訳 個々人が所属するグループ(例えば、国家・国民・民族集団・社会階級)に、中心的な重要性を帰属させるあらゆるタイプの社会的組織(social organization)。 集産主義は、おそらく個人主義(individualism)と対照的である。 ジャン-ジャック・ルソーは、近代において最初に集産主義を論述した思想家である(1762年(『社会契約論』))。 カール・マルクスは、19世紀における最も強力な集産主義の唱道者であった。 共産主義、ファシズム、社会主義は、おそらく全て集産主義的システムと呼ぶのが相応しい。 共同体主義(communitarianism)、キブツ、モシャヴを参照の事 (2) オックスフォード英語事典(collectivismの項)より抜粋翻訳 1 各々の個人が所属する集団に、個人を超える優先権を付与する行為形態または原理。 2 国家(state)または人民(people)による土地(land)及び生産手段(means of production)の所有を意味する政治的原理またはシステム。 (3) コウビルド英語事典(collectivismの項)より全文翻訳 集散主義とは、国家の産業とサービスは国家(state)または国家の全ての人民(all people in a country)によって所有され、管理されるべきだ、とする政治的信条である。社会主義・共産主義はともに集産主義の一形態である。 ■5.リベラル左派(liberal)とは何か ◆辞書による説明1:「福祉国家」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(welfare stateの項)より全文翻訳 国家が、市民達の経済的・社会的な安寧幸福(the economic and social well-being of the citizens)の保護と促進に関して、鍵となる役割を演じる、とする政治的概念(concept of government) (福祉国家が)基礎を置く原則は、①機会の平等、②富の公平な分配、③良好な生活の最小限の用意が欠落している人々に対する公的責任、である。 この言葉は、多様な経済的・社会的有機体の形態に対して用いることが出来る。 福祉国家の基本的な提供物の一つは社会保険である。それは恩恵が大いに必要とされる時節に供給されることを目的としている(例:老齢・疾病・失業) 福祉国家は、また通常、①教育、②健康サービス、③住宅、の公的な供給を包含する。 多くの欧州諸国では、包括的な健康保険と国家助成金支給による大学水準の教育が一般的となっているのに比べると、アメリカ合衆国の公的供給は展開されている範囲がより小さい。 中央計画的な経済を持つ国々では、福祉国家はまた①雇用と②消費者価格の管理をも包含する。 殆どの国々は、少なくとも福祉国家に関連した何らかの方策を制度化している。英国では1948年に包括的な社会保険が採用された。アメリカ合衆国ではニューディールやフェアデールといった社会的-立法プログラム(social-legislation programs)は福祉国家の原理に基礎を置いている。 スカンジナヴィア諸国は、個人に対して生活のあらゆる側面に関する国家的扶助を供給している。 (2) オックスフォード英語事典(welfare stateの項)より抜粋翻訳 1 国家が、市民、特に金融的・社会的必要に迫られている人々に、交付金・年金その他の恩典によって健康と安寧幸福の保護を引き受ける制度。英国における近代福祉国家の設立は、1942年のベヴァリッジ報告によってその路線が敷かれた。国営の健康サービス・国営の保険スキーム(仕組み)の設立といった、その報告の提案は、1948年に労働党政権によって実施された。 2 そうした制度を実行している国家のこと。 (3) コウビルド英語事典(welfare stateの項)より全文翻訳 英国や他の幾つかの国において、福祉国家とは、政府が健康や教育などの無料サービスを供給し、例えば老齢や失業や疾病によって労働することが出来ない人々に金銭を付与する制度をいう。 ◆辞書による説明2:「リベラル」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(liberalismの項)より全文翻訳 政治的および経済的ドクトリン(理論・信条)であり、①個人の権利・自由、②政府権力の制限の必要性、を強調するもの。 1 リベラリズムは、16世紀欧州の戦争(30年戦争)の恐怖に対する防御的リアクションとして発生した。その基本理念は、トーマス・ホッブズとジョン・ロックの著作の中で公式な表現を付与された。この両者は、至上権は究極的には被統治者の同意によって正当化され、神権ではなく仮想的な社会契約によって付与されると唱えた。経済分野では、19世紀のリベラル(自由主義者)達は、社会での経済生活に対する政府介入の撤廃を強く要求した。アダム・スミスに従って彼らは自由市場に基礎を置く経済システムは、部分的に政府にコントロールされた経済システムよりも、より効率的であり、より大きな繁栄をもたらすと論じた。 2 欧州と北米の産業革命によって発生した富の巨大な不平等その他の社会的問題への反動として、19世紀末から20世紀初めにかけてのリベラル(自由主義者)達は、市場への限定的な政府介入と、無料の公共教育や健康保険などの政府拠出による社会的サービスの創出を唱えた。アメリカ合衆国では、F.D.ルーズベルト大統領により企画されたニュー・ディール(新規まき直し)計画により、近代ないし進歩的リベラリズム(modern liberalism)は、①政府の活動領域の広範な拡張、そして、②ビジネス活動の規制の増大、として特徴づけられた。第二次世界大戦後、社会福祉の一層の拡張が、イギリス・スカンジナビア諸国・アメリカ合衆国で起こった。 3 1970年代の経済的不振(スタグネーション:不況とインフレの同時進行)は殊にイギリスとアメリカ合衆国において、自由市場を選好する古典的な自由主義の立場(classical liberal position)の再興を導いた。 4 現代リベラリズム(contemporary liberalism)は、①不平等の緩和、②個人の権利の拡張、を含む社会改革に依然関心を寄せ続けている。 (2) オックスフォード英語事典(liberalの項)より抜粋翻訳(※liberalismは派生語扱い) (政治的文脈で)個人的自由、自由交易、漸進的な政治的・社会的改革を選好する(形容詞)。 語源(ラテン語) liber(=free (man):自由(人))。原初的語感は「自由人として適格な(suitable for a free man)」 ⇒つまり「自由人=奴隷でないこと」 (3) コウビルド英語事典(liberalismの項)より全文翻訳 1 ・リベラリズム(liberalism)とは、革命ではなく、法改正によって社会的進歩を漸進的に行う、とする信条である。 2 ・リベラリズム(liberalism)とは、人々は多くの政治的そして個人的な自由を持つべきである、とする信条である。 以上の辞典による説明は、かなり内容が不明瞭であるが、まとめると「リベラリズム」という言葉は、次の4つの段階あるいは種類・区分をもってその意味内容を拡張ないし変化させてきた、ということになる。 リベラリズムの段階・種類・区分 時期 意味内容 1 古典的リベラリズム(classical liberalism) 16世紀~19世紀 ①個人の権利・自由の確保、②政府権力の制限、③自由市場を選好…消極国家(夜警国家) 2 ニュー・リベラリズム(new liberalism) 19世紀末~20世紀 経済的不平等・社会問題を緩和するため市場への政府介入を容認→次第に積極的介入へ(積極国家・福祉国家・管理された資本主義)社会主義に接近しているので社会自由主義(social liberalism)と呼ばれ、自由社会主義(liberal socialism)とも呼ばれた。 3 再興リベラリズム(neo-liberalism) 1970年代~ スタグフレーション解決のため自由市場を再度選好。 2 を個人主義から集産主義への妥協と批判し、個人の自由を取り戻すことを重視 4 現代リベラリズム(contemorary liberalism) 現代 ①不平等の緩和、②個人の権利の拡張、を含む社会改革を志向1970年代以降にJ.ロールズ『正義論』を中心にアメリカで始まったリベラリズムの基礎的原理の定式化を目指す思想潮流で、①ロールズ的な平等主義的・契約論的正義論を「(狭義の)リベラリズム」と呼び、②それに対抗したR.ノージックなど個人の自由の至上性を説く流れを「リバタリアニズム(自由至上主義)」(但し契約論的な構成をとる所はロールズと共通)、③また個人ではなく共同体の価値の重要性を説くM.サンデルらの流れを「コミュニタリアニズム(共同体主義)」という。 補足説明 2 ニュー・リベラリズム(new liberalism)と 4 再興リベラリズム(neo-liberalism)は共に「新自由主義」と訳されるので注意。もともと 1 古典的リベラリズムに対して修正を加えた新しいリベラリズム、という意味で、 2 ニュー・リベラリズム(訳すと「新自由主義」)が生まれたのだが、世界恐慌から第二次世界大戦の前後の時期に、経済政策においてケインズ主義が西側各国に大々的に採用された結果、 1 に代わって 2 がリベラリズムの代表的内容と見なされるようになり、 2 からnewの頭文字が落ちて、単に「リベラリズム」というと 2 ニュー・リベラリズムを指すようになった。ところが、1970年代に入るとインフレが昂進してケインズ主義に基づく経済政策が不況脱出の方途として効かなくなってしまい、市場の自律調整機能を重視する 1 の理念の復興を唱える 3 ネオ(=再興)・リベラリズムに基づく政策が1980年前後からイギリス・アメリカで採用されるようになった。そのため今度は、 3 を「新自由主義」と訳すようになった。 上記のうち「リベラル右派」に該当するのは、 1 古典的リベラリズム、及び 3 再興リベラリズムである(薄青色部分)。 また「リベラル左派」に該当するのは、 2 ニュー・リベラリズム、及び 4 現代リベラリズムのうちロールズ的な平等主義的・契約論的正義論である(ピンク色部分)。 ◆辞書による説明3:「J.ロールズ」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(Rawls, Johnの項)より全文翻訳 (1921年2月21日メリーランド州ボルチモアで誕生-2002年11月24日マサチューセッツ州レキシントンで死去)アメリカの政治哲学者。 彼はコーネル大学(1962-79年)、そして後にはハーヴァード大学で教授した。彼は主に政治哲学と倫理学の著述を行った。 彼の『正義論(A Theory of Justice)』(1971年)は20世紀の政治哲学の代表作として広く認知されている。この著作や他の著作でロールズは民主的社会に適合した正義の概念(a conception of justice)の開発を追求した。 彼は、全体の幸福の最大化を強いる功利主義は、リベラルで民主的な諸価値の中核である自由(freedom)と平等(equality)を保護するには不適切であると信じていた。 ジャン-ジャック・ルソーとイマヌエル・カントに習って、ロールズは社会契約(social contract)という理念を強く主張した。彼は平等な権利という立場で行動する自由な人々の間の仮想的合意の結果としての正義(justice as a hypothetical agreement among free persons)を記述した。 公平で偏見のない合意を確実にするために、ロールズは(社会契約の締結を目指す)一行(parties)に“無知のヴェール(覆い)(veil of ignorance)”、つまり、一行は自分達や他人達についてのどんな特定の事実(例:彼らの才能・社会的階級・富・宗教・その他の諸価値)も、更には歴史や彼らの社会に関する事実さえも知らない、という状態を平等に課すという想定をした。 この“原初状態(original position)”からロールズは、自由な人々は、リベラルで平等主義の正義の観念(a liberal egalitarian conception of justice)、即ち“公正としての正義(justice as fairness)”に合意するだろうと強く主張した。 この観念は2つの原理から構成されている。 1 思想や結社の自由などの特定の基礎的な自由は、非常に重要であり、貧民の経済的充足や福祉改善といった他の社会的諸価値よりも優先される。 2 当局の任務や地位は機会の平等という条件の下に、全ての人々に開かれている。 (2) オックスフォード英語事典(Rawlsの項)より抜粋翻訳 ジョン(1921-2002)。アメリカ人哲学者。 彼の著書『正義論』(1971年)と『政治的リベラリズム』(1993年)は、偏見のないことを確実とする条件の下で合理的な人々が選択する公正な社会の基礎的な仕組みを考察した。 ◆辞書による説明4:「社会契約」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(social contractの項)より全文翻訳 治者(the ruler)と被治者(the ruled)の間の現実的あるいは仮想的な契約。 この観念の起源となる着想は、神とアブラハムとの間の聖書にある誓約から派生したものと思われる。しかし、それはトーマス・ホッブズ、ジョン・ロック、ジャン-ジャック・ルソーの著作と最も緊密に結びついている。 1 ホッブズは、主権の絶対的権力は仮想的な社会契約によって正当化される、と論じた。そこでは人々は、契約が為される以前に存在すると措定されている“自然状態(state of nature)”の中では欠落している平和と安全の保証と引き換えに、主権者に全面的に服従することに合意する。 2 ロックは、治者(the ruler)はまた私有財産と思想・言論・信仰の自由を保護する義務を負っていると信じていた。 3 ルソーは、自然状態では人々は好戦的ではないが理性と道徳が未発達であり、個人的自由を放棄することによって彼らは被統治者(the governed)の“一般意思(general will)”に基づく法制度の中で政治的自由と市民的権利を獲得する、と考えた。 社会契約の理念は、アメリカ革命やフランス革命の担い手達、そしてそれらに続いた成文憲法の作成者達に影響を与えた。 (2) オックスフォード英語事典(social contractの項)より抜粋翻訳 例えば、国家を守るために幾つかの個人的な自由を犠牲にすることによって、社会の諸便益のために協同する、ある社会の構成員の間の暗黙の契約のこと。 社会契約の理論は、トーマス・ホッブズやジョン・ロックやジャン-ジャック・ルソーといった理論家達の間で、①政府の起源と、②被服従者の義務を説明する方法として有名になった。 ◆辞書による説明5:「自然法」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(natural lawの項)より全文翻訳 法理学(jurisprudence)と政治哲学(political philosophy)に関して、社会ルールや実定法からではなく自然から派生した(とされる)全ての人類に共通する権利または正義の体系(a system of right or justice)である。 この概念はアリストテレスを先駆者とする。彼は“自然に適ったもの”が必ずしも“法に適ったもの”と同一ではないと考えた。 ストア派、キケロ、ローマ法学者、聖パウロ、聖アウグスティヌス、グラティウス、聖トマス・アキナス、ジョン・ドン・スコット、オッカムのウィリアム、フランシスコ・スアレスによって、様々な形で自然法の存在が主張された。 近代において、ヒューゴ・グロティウスは、例え神が存在しなくとも自然法は肯定される、と主張した。そしてトーマス・ホッブズは自然法を“理性によって発見された一般ルールの規範であり、それによって人間は自身の生活にとって破壊的な行為を禁止されている”と定義した。 ホッブズは、①仮想的な“自然状態”から理性的に演繹される法(=自然法)の複雑な体系と、②治者と被治者との間の合意による社会契約とを対比する試みを行った。 ジョン・ロックは、ホッブズから距離を置き、自然状態を自由で平等な人々が自然法を遵守する初期の社会として記述した。 ジャン-ジャック・ルソーは、①自己保存と②同情という“理性に先立つ”2つの原理によって行動付けられた孤立の中で美徳を保持する野生人(a savage)を措定した。 アメリカ独立宣言の著者達は、平等と他の“自明の”“奪うことの出来ない”諸権利を唱導する前段で、わずかに「自然の法」について短く言及しているに過ぎない。 フランス人権宣言(人間と市民の諸権利の宣言)は、自由・所有・安全そして圧制への抵抗を“時効のない自然の諸権利”であると主張した。 自然法の概念に対する関心は、19世紀に劇的に凋落した。それは部分的にはジェレミー・ベンサムや他の功利主義の提唱者達の懐疑的な攻撃の結果である。それ(自然法への関心)は20世紀の半ばに第二次世界大戦中のナチス体制によって犯された犯罪という脚光を浴びて復活した。 自然法(natural law)と自然権(natural rights)に対する懐疑は依然として強烈であるが、後代の著者達は自然権ではなく人権(human rights)を不可避的に語るようになった。 (2) オックスフォード英語事典(natural lawの項)より抜粋翻訳 1 全ての人間の行為の基礎と見なされている不変の道徳的原則から構成されるもの。 2 自然現象に関連して観測される法則。観測される法則を集合的に言う。 ◆辞書による説明6:「人権」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(human rightsの項)より全文翻訳 人間であること自体によって個人に帰属する権利。 この言葉は、それ以前に用いられた「自然権(natural rights)」即ち、中世の末以来ギリシャ・ローマの自然法概念に結びついた言葉に代わって、第二次世界大戦の後、広く使用されるようになった。 今日理解される所では、人権は、人間を取り巻く環境や歴史の多様性を反映して、広範な多様性を持つ諸価値や潜在的な諸能力を表現するものとされている。 それら(人権)は、①普遍的(universal)であり、あらゆる地域の全ての人間に適用されるもの、と考えられ、そしてまた、②基本的(fundamental)であり、本質的または基礎的な人間の要求を表すもの、と考えられている。 人権は歴史的には、人権の3つの“世代”として知られる時期に分類されてきた。 1 市民的・政治的諸権利という最初の世代は、啓蒙思想と英国・アメリカ・フランスそれぞれの革命とに結びついており、①生命(life)と自由(liberty 不羈=拘束されないこと)の諸権利、②言論(speech)と信仰(worship)の自由(freedom)の諸権利を内包している。 2 経済的・社会的・文化的諸権利という第二世代は、無規制の資本主義の餌食となることに対する19世紀半ばからの叛乱と結びついており、①労働(work)の権利、や②教育(education)の権利を内包している。 3 最後に、連帯(solidality)の権利という第三世代は、第二次世界大戦後(に登場した)発展途上の新興・脱植民地諸国の政治的・経済的渇望と結びついており、①政治的自己決定(political self-determination)と、②経済開発(economic development)に関する集団的諸権利(collective rights)を内包している。 1948年の「人間の諸権利の普遍的宣言 the Universal Declaration of Human Rights」(いわゆる世界人権宣言)の採択以降、人間の諸権利の保護のための多くの条約や協定が、国連の支援の下に締結されてきた。そして幾つかの地域的な人権法の諸制度(regional human rights law)が打ち立てられた。(※注: 1953年の欧州人権条約に基づく諸制度などを指す) 20世紀末に旧ユーゴスラビアやルワンダでの深刻な人権侵害やその他の犯罪を訴追するための特別国際犯罪法廷が召集された。 2002年に設置された(常設の)国際犯罪法廷は、人間性に対する犯罪、大量虐殺という犯罪、戦争犯罪の訴追について授権されている。 (2) オックスフォード英語事典(rights of manの項)より抜粋翻訳 全ての人間に正当に帰属していると考えられる諸権利。人間の諸権利。 この文句は1789年にフランス国民議会で採択され、1791年のフランス憲法前文で使用された「人間と市民の諸権利の宣言 the Declaration of the Rights of Man and of Citizen」(いわゆるフランス人権宣言)に結び付けられている。 (3) コウビルド英語事典(human rightsの項)より全文翻訳 人間の諸権利とは、全ての人々が保有すべきだと、多くの社会が信じている基礎的な諸権利である。 ■6.左翼を生み出した思想 ◆辞書による説明1:「啓蒙思想」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(enlightenmentの項)より全文翻訳 17-18世紀の欧州の知的運動であり、神・理性・自然・人間に関するその諸理念は、混ざり合って一つの世界観を構成し、芸術・哲学・政治の革命的な進展を鼓舞した。 啓蒙思想の核心は、理性の活用と称賛だった。 啓蒙思想家達にとって、受け継いだ権威は、それが科学であろうと信仰であろうと、束縛されることのない精神による精査に服するものだった。 科学と形而上学において、演繹と帰納という論理は、包括的な新しい宇宙観(a sweeping new cosmology)の創出を可能とした。 理性的な信仰の探求は、(啓蒙思想家を)理神論(Deism)に導いた。理性を信仰に適用したことによるさらに一層急進的な産物は懐疑論(Skeptism)・無神論(Atheism)・唯物論(materialism)である。 啓蒙思想は、ジョン・ロック、トーマス・ホッブズといった人々による近代の世俗的な心理学的・倫理学的理論を産み出し、それはまた急進的な政治理論の発生をもたらした。 ロック、ジェレミー・ベンサム、J-J・ルソー、モンテスキュー、ヴォルテール、トーマス・ジェファーソンといった人々は全て、権威主義的な国家への建設的な批判と、自然法に基礎を置く社会的有機体のメタ形式の概要を描き出すのに貢献した。 啓蒙思想の後世への継続的な遺産の一つは、人類の歴史は全体としては進化の記録である、という信念である。 (2) オックスフォード英語事典(enlightenmentの項)より抜粋翻訳 (啓蒙)17世紀末から18世紀にかけての欧州の知的運動であり、伝統ではなく理性と個人主義を強調した。 それは、デカルト、ロック、ニュートンといった17世紀の哲学者の影響を非常に強く受けており、その代表的人物は、カント、ゲーテ、ヴォルテール、ルソー、アダム・スミスなどである。 ◆辞書による説明2:「理性主義(合理主義)」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(rationalismの項)より全文翻訳 理性(reason)を、知識の主要な源泉であり判断材料(chief source and test of knowledge)である、とみなす哲学的見解。 理性主義は長期間に渡って、経験主義(empiricism)つまり、全ての事実問題に関する知識(knowledge of matters of fact)は究極的には感覚的経験(sense experience)から派生し、かつそれによって判断されなければならない、とする信条のライバルであり続けている。 この信条(経験主義)に対抗して、理性主義は、理性を、①確実性と②一般性の両方について、感覚的認知(sense perception)の到達できる範囲を超えて真理(truths)を捉えることが出来る能力であると考えている。 「自然の光明 natural light」の実在を強調することで、理性主義はまた、神秘的な経験であれ神の啓示であれ直観であれ、秘儀的な知識を唱導する諸体系のライバルであり、また、理性の代わりに生物学的・感情的または意思的・無意識的または実存的などの多様な非理性主義に反対し続けている。 (2) オックスフォード英語事典(rationalismの項)より抜粋翻訳 宗教的信仰や感情的反応よりも、理性と知識に、意見と行動の基礎を置いている実践のあり方またはその原理。 (哲学)経験よりも理性が知識の確実性の基礎である、とする理論。 (神学)理性を、信仰の究極的な権威として取り扱う実践のあり方。 (3) コウビルド英語事典(rationalismの項)より全文翻訳 理性主義とは、人々の生活は感情や宗教的信仰ではなく、理性と論理に基礎を置くべきだ、とする信条である。 ◆辞書による説明3:「決定論」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(determinismの項)より全文翻訳 哲学で、人間の意思決定を含む全ての出来事は、先行的に存在している諸原因によって完全に決定されている、とする信条。 伝統的な自由意志問題は、「道義的責任は決定論の真理と両立するのだろうか?」という問いから発生している。 それ(道義的責任)とは両立しない、と信じる人々の中で、(1)決定論の真理を信奉する幾人かは、自分の行為の道義的責任を負える人は誰もいない(そして、それゆえ犯罪行為の懲罰は正当化されない)、と結論づけている。しかし、(2)道義的責任の存在を信奉する幾人かは、決定論は偽である、と結論づけている。 道義的責任は、決定論と両立すると信じている人々は、両立論者(compatibilist)と呼ばれている(「両立論 compatibilism」を見よ)。 ピエール-シモン・ド・ラプラスは18世紀の古典的決定論の形成に責任がある。 ラプラスにとって世界の現在の状態は、以前の状態の影響であり、かつ、それに続く状態の原因である。 もし万一、精神が、どの瞬間にも①全ての法則と②自然界の全ての力と③全ての構成物の各々の位置を運動量を知ることが可能だとしたら、精神はそれゆえ、あらゆる存在物の確実な未来と過去とを知ることができるのだが(それは不可能である)。 (2) オックスフォード英語事典(determinismの項)より抜粋翻訳 (哲学)人間の行為を含む全ての出来事は、究極的には意志の外にあるとみなされる諸原因によって決定される、とする信条。 幾人かの哲学者は、決定論は、個々の人間は自由意志を持たず、彼らの行為は道義的責任を問い得ない、という含意を持つもの、と認識している。 (3) コウビルド英語事典(determinismの項)より全文翻訳 決定論とは全ての行為や出来事は、他の行為や出来事・状態などの結果であり、従って人々には何を行うかという選択が事実上不可能である、とする信条である。 ◆辞書による説明4:「一元論」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(monismの項)より全文翻訳 形而上学で、世界は本質的に一つの実体であるか、または唯一の種類の実体を内包している、とする信条 一元論は二元論(Dualism)・多元論(Pluralism)の両方に反対している。 一元論の例として、①唯物論(Materialism)、②汎神論(Pantheism)、③形而上学的観念論(metaphysical Idealism)がある。 なおベネディクト・ド・スピノザを見よ。 (2) オックスフォード英語事典(monismの項)より抜粋翻訳 1 (哲学)特定の領域に関する実体(existence)例として、事物と精神、あるいは神と世界の間の実体、の識別または多元性を否定する理論または信条である。 2 唯一の至高の存在が実在する、とする信条である。多元論(Prulalism)と対比せよ。 ■7.まとめ(左派・左翼思想の系譜) (1) 啓蒙思想(enlightenment) 17-18世紀欧州で発生し、左派・左翼思想を生み出した思想運動。その内容として以下の4つが重要である。 1 理性主義(rationalism) R.デカルト(1596-1650)、理性からの演繹により、唯一の合理的世界を設計できるとする思想(設計主義的合理主義)。 2 一元論(monism)・決定論(determinism) B.スピノザ(1632-77)、P-S.ラプラス(1749-1827)、ヘーゲル主義やマルクス主義の決定論に重大な影響を及ぼした。 3 近代自然法論(natural law) H.グロチウス(1583-1645)、中世的・神学的自然法から、理性からの演繹による近代自然法へと変化した。 4 社会契約論(social contract) T.ホッブズ(1588-1679)、J.ロック(1632-1704)、J-J.ルソー(1712-78)、社会契約により世界をリセットするとする思想。 (2) 集産主義(collectivism 集団主義) 近代ではJ-J.ルソー『社会契約論』で初めて主張され、ヘーゲルを経て極左(マルクス主義)・極右(ナチズム)両方に重大な影響を及ぼした。 1 共産主義 K.マルクス(1818-83)、集産主義の極地を為す思想。 2 マルクス主義 マルクス主義の「弁証法的唯物論」は、「ヘーゲル左派」から発展した典型的な決定論である。 3 社会主義 ①ソ連型(ストック(資産)を国有化するタイプ)と、②スェーデン型(課税によって所得の大半を国家が吸収し再配分するタイプ。フロー(入出金)の社会化。高負担高福祉)がある。 4 社会民主主義(社会民主制) 暴力革命ではなく平和的な社会主義への移行を唱える立場であるが、その本質は社会主義であることに変わりはない。 (3) リベラリズム 19世紀末に起こったニュー・リベラリズム(社会主義的リベラリズム)及び、1970年代以降の現代リベラリズム(平等論的リベラリズム) 1 福祉国家 欧州諸国で社会主義の代替手段として大規模に実施され、アメリカや日本でも採用されている所得再配分政策。 2 現代リベラリズム J.ロールズ(1921-2002)、福祉国家の理論的基礎を提供した政治哲学者と見なされている。なおロールズの本心は「事後の所得再配分」ではなく「事前の資源再配分」であり、この理解は厳密には間違いである。 3 人権 近代自然法論と社会契約論から生まれた「自然権 natural rights」を言い換えたもの。 ※啓蒙思想の主流は、デカルトやルソーなどのいわゆる大陸合理論(設計主義的合理主義・価値一元論)だが、それ以外に真正自由主義(保守主義)を産み出した思想の系譜(批判的合理主義・価値多元論)もある(下記参照)。 ■8.参考:「自由」と「隷従」を分かつ西洋思想の2つの流れ ※矢印(→・↓など)は影響関係 価値多元論(批判的合理主義) 価値一元論(設計主義的合理主義) 古代~中世 無知の自覚・ソクラテス 中世ゲルマン法の伝統・マグナ-カルタ キリスト教的自然法論 理想国家論・プラトン ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 16~17世紀 モラリストの懐疑論・パスカル コモン・ロー司法官/法律家・コーク 近代自然法論・グロチウス → 社会契約論1(君主主権)・ホッブズ ← 理性主義(一元論、決定論を含む)・デカルト・スピノザ ・モンテーニュ ・ブラックストーン ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ・マンデヴィル ・ペイリー → 社会契約論2(国民主権)・ロック ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ・ヘイル ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 18世紀 スコットランド啓蒙派・ヒューム・A.スミス ↓ ↓ 社会契約論3(人民主権)・ルソー フランス啓蒙派・ヴォルテール・百科全書派 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ フランス革命以降 近代保守主義・バーク ↓ フェデラリスト・ハミルトン ↓ 功利主義・ベンサム ドイツ観念論・カント 空想的社会主義 無政府主義 ↓ ・マジソン ↓ ・J.S.ミル ・フィヒテ ・サン-シモン ・バクーニン 19世紀 歴史法学派 ↓ ↓ ・スペンサー ・ヘーゲル ・フーリエ ・プルードン ・トックヴィル ・サヴィニー アメリカ的保守主義 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ・メイン ・マーシャル ↓ 人定法主義 フェビアン社会主義 新ヘーゲル主義(プラトン的理想主義) ヘーゲル右派(民族重視) ヘーゲル左派(唯物論重視) ↓ ↓ ・ケント ↓ ・オースチン ・S.ウエッブ ・グリーン ↓ ↓ ↓ ↓ ・ショウ マルクス主義・マルクス ・エンゲルス ・第一インター ・アクトン ↓ ・ケルゼン ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 20世紀 ↓ ・シュミット リベラル社会主義(ニュー・リベラリズム)・ホブハウス ↓ ナチズム・ヒトラー・ローゼンベルク マルクス-レーニン主義・レーニン 西欧マルクス主義・グラムシ 修正社会主義(社会民主主義)・ベルンシュタイン ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ・ケインズ ↓ ・第三インター ・ルカーチ ・第二インター 第二次大戦以降 現代保守主義・オークショット 再興自由主義・ハイエク・ポパー → リバタリアニズム(自由至上主義)・ノジック ・ベヴァリッジ → 平等論的リベラリズム・ロールズ・ドォーキン コミュニタリアニズム(共同体主義)・サンデル・ウオルツァー ・コミンフォルム ・フランクフルト学派 ・コミスコ 価値多元論(value-pluralism)⇒人々を「自由」に導く思想 価値一元論(value-monism)⇒人々を「隷従」に導く思想 個人主義(individualism) 集産主義(collectivism:集団主義) 歴史・伝統重視の思想 集産主義ではないが理性による究極的価値への到達を説く思想 ※個人主義(individualism)がなぜ歴史・伝統重視の思想につながるのかの説明は 「個人主義」と「集産主義」 参照 ※価値多元論(I.バーリンの用語)は、批判的合理主義(critical rationalism:K.R.ポパーの用語)に重なる。 ※価値一元論(I.バーリンの用語)は、設計主義的合理主義(constructivist rationalism:F.A.ハイエクの用語)に重なる。 ■9.参考図書 『開かれた社会とその敵』(全2巻)K.R.ポパー著(1945) 第一部:プラトンの呪文第二部:ヘーゲル、マルクスとその余波2冊本だが、論旨明快で読み易い。プラトンから始まり、ヘーゲルを経てマルクスに至る全体主義思想を厳しく論駁した必読の名著。 ■10.ご意見、情報提供 難しい -- 名無しさん (2011-01-06 13 10 44) ↑申し訳ない。これでもなるべく簡略化して必要最小限なポイントに絞って書いたつもりでしたが、確かに難解だとは思います。 -- ページ作成者 (2011-01-06 19 00 07) 名前 コメント ■左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページ 政治の基礎知識 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 政治思想(用語集) リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 デモクラシーと衆愚制 ~ 「民主主義」信仰を打ち破る ※別題「デモクラシーの真実」 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ※別題「リベラリズムの真実」 保守主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ ナショナリズムとは何か ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 国家解体思想(世界政府・地球市民)の正体 左派・左翼とは何か 右派・右翼とは何か 中間派に何を含めるか 「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き 最速!理論派保守☆養成プログラム 「皇国史観」と国体論~日本の保守思想を考える 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 右翼・左翼の歴史 靖國神社と英霊の御心 マルクス主義と天皇制ファシズム論 丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証 国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書) 国体とは何か② ~ その他の論点 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) 歴史問題の基礎知識 戦後レジームの正体 「法の支配(rule of law)」とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 立憲主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 正統性とは何か ~ legitimacy ・ orthodoxy の区別と、憲法の正統性問題 自然法と人権思想の関係、国体法との区別 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 日本国憲法改正問題(上級編) ※別題「憲法問題の基礎知識」 学者別《憲法理論-比較表》 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ブログランキング応援クリックをお願いいたします(一日一回有効)。 人気ブログランキングへ
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右派(the Right)・左派(the Left)に分類できない諸思想のまとめページ <目次> ■1.このページの目的 ■2.中間派の概要 ■3.言葉どおりの中間派◆辞書による説明1:「中間派」 ◆辞書による説明2:「中道派」 ◆辞書による説明3:「第三の道」 ■4.価値・原則ではなく結果を重視する思想◆辞書による説明1:「便宜主義」 ◆辞書による説明2:「功利主義」 ◆辞書による説明3:「結果主義」 ■5.その他多様な思想◆辞書による説明1:「無政府主義」 ◆辞書による説明2:「自由至上主義」 ◆辞書による説明3:「共同体主義」 ■6.ご意見、情報提供 ■1.このページの目的 右派・左派に簡単には分類できない様々な思想(ここでは便宜的に「中間派」と呼ぶ)について、概念的な整理を行います。 ■2.中間派の概要 ※中間派を更に内容から3分類します。 内容 キーワード 言葉どおりの中間派 右派と左派の中間に位置することを自認するもの ①中間派(centrist)、②中道派(middle-of-the-road, middle-roader)、③第三の道(the Third Way) 価値・原則ではなく結果を重視する思想 結果重視であり、一定の価値・原則に基づいた思想ではないもの ①便宜主義(opportunism)、②功利主義(utilitarianism)、③結果主義(consequentalism) その他多様な思想 独自の思想内容を保持するが、右派・左派の分類には該当し難いもの ①無政府主義(anarchism)、②自由至上主義(libertarianism)、③共同体主義(communitarianism) ※②自由至上主義(libertarianism)は右派の思想と見なされる場合が多いが、どちらかというと左派的な①無政府主義(anarchism)との関連性が強いことと、ノージックの主張がJ.ロックの社会契約説に則った構成をとっておりハイエクのいう「設計主義的合理主義」に該当することから、中間派に分類する方が収まりがよい。 ※なお、ハイエクをリバタリアンと説明しているサイトがよくある(例えばWIKIPEDIA)。彼の思想がリバタリアン達の思想に大きな影響を及ぼしているのは確かだが、しかし上述のとおりハイエクは「設計主義的合理主義」を厳しく排撃しており、彼をリバタリアンに含めるのは無理である。 ※下図では、便宜主義で中間派を代表させているが、自由至上主義・共同体主義その他、上に挙げた諸思想は全て下図の黄色の領域に位置すると理解して欲しい。 ※政治的スタンス5分類・8分類について詳しくは 政治の基礎知識 参照。 ■3.言葉どおりの中間派 ◆辞書による説明1:「中間派」 (1) オックスフォード英語事典(centristの項)より抜粋翻訳 穏健な政治的見解を保持している人。 (2) コウビルド英語事典(centristの項)より全文翻訳 中間派の政策または政党は、過激ではなく穏健である。 ◆辞書による説明2:「中道派」 (1) オックスフォード英語事典(middle-of-the-roadの項)より抜粋翻訳 極端を避けること。穏健。 (2) コウビルド英語事典(middle-of-the-roadの項)より全文翻訳 貴方が、誰かの見解や政策が中道(middle-of-the-road)だと記述するとき、貴方は、彼らが右翼でも左翼でもなく、なおかつ過激派でも全くないことを意図している。 ◆辞書による説明3:「第三の道」 (1) オックスフォード英語事典(the Third Wayの項)より抜粋翻訳 2つの極端に対する代替案と見なされるあらゆるオプション、特に左翼でも右翼でもなく、中間的で合意に基づいた政治的アジェンダ(協議事項)をいう。 (2) コウビルド英語事典(the Third Wayの項)より全文翻訳 「第三の道」(という言葉)は、極端に右翼的でもなく、極端に左翼的でもない政治的信条・原則の一揃いの組み合わせを言い表す場合に使用される。 ※「第三の道」という言葉は、18年間続いた英国のサッチャー メージャー保守政権に対抗して、ブレア党首が、new Labour(新しい労働党)の政策スローガンとして唱えたもので、確かにブレア以前の労働党の取っていた強度の社会民主主義政策(=社会主義)と、サッチャー以降の保守党の新保守主義(=再興自由主義)政策の間という意味で「第三の道」であるが、その実質はアメリカ民主党の「リベラリズム」に近いもの、つまり「中間」ではなく「リベラル左派」に近い政策だった。 ■4.価値・原則ではなく結果を重視する思想 ◆辞書による説明1:「便宜主義」 (1) コウビルド英語事典(opportunismの項)より全文翻訳 もし貴方が、誰かの振る舞いをオポチュニズムと呼ぶとき、貴方は、彼らを自身の行為が正しいか間違いかを考慮することなしに起こり得る全ての機会を金銭や権力を得るために利用している、と批判しているのである。 ◆辞書による説明2:「功利主義」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(utilitarianismの項)より全文翻訳 行為は、それが行為者だけでなく影響を受ける全ての人々をも含めて、幸福を最大化する傾向がある場合に、正しいとする倫理的原則である。 そのため、功利主義者は、行為の内的性向や行為者の動機ではなく、行為の結果に焦点を合わせる(結果主義 consequentalism を見よ)。 古典的功利主義は快楽主義(hedonist)である。しかし快楽(pleasure)以外の(または快楽に加えて)諸価値を採用することも可能である(観念的功利主義 ideal utilitarianism)。 あるいは、もっと中立的に、そして経済学の一般的バージョンで言うと、合理的か、または(何らかの)知識に基礎を置いたものに見えるならば、全てのものは価値がある、と見なすことが出来る(選好的功利主義 preference utilitarianism)。 功利最大化の検証は、単独の行為によって直接に適用される(行為功利主義 act utilitarianism)か、または、行為ルールのような道義的評価に相応しい何らかの他の対象を通じて行為に対して間接的にのみ適用される(ルール功利主義 rule utilitarianism)とする。 ジェレミー・ベンサムの『道徳と法の原理序説』(1787年)とジョン・スチュアート・ミルの『功利主義』(1863年)は功利主義の主要な声明書である。 (2) オックスフォード英語事典(utilitarianismの項)より抜粋翻訳 有益であり多数の利益となる行為であれば、それは正しいものである、とする信条。 何はともあれ、幸福を増進する行為は正しいものであり、最大多数の最大幸福ということが行為の第一の案内役であるべきだ、とする信条。 功利主義の最も有名な唱道者は、ジェレミー・ベンサムとJ.S.ミルである。 功利主義は、①行為の動機や内的性向ではなくて、その結果に焦点を合わせていること、②異なる諸個人の幸福を比較することの不適切さ、③正義や平等などの概念に基礎を置く諸価値に留意することが欠落していること、を批判されている。 (3) コウビルド英語事典(utilitarianismの項)より全文翻訳 功利主義とは、道義的に正しい行動の流れとは、最大多数の人々の利益を産み出すものである、とする理念である。 ◆辞書による説明3:「結果主義」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(consequentialismの項)より全文翻訳 倫理学で、行為はそれらの結果に基づいて正しいか間違いかの判断を下すべきである、とする信条。 結果主義の一番単純な形式は、古典的 classic(または快楽主義的 hedonistic)功利主義 utilitarianism である。それは、ある行為の快楽の総量がそれが世界に与える苦痛を上回って最大化されるかどうかによって、正しいか又は間違っているか分かると主張する。 「観念的功利主義(ideal utilitarianism)」として知られるG.E.ムースの結果主義は、美と友情を快楽と同様に、個人の行為が、その最大化を目指すべき内的善(intrinsic goods)と見なしている。 R.M.ヘアーの「選好的功利主義(preference utilitarianism)」によれば、例えどんな選好であるにせよ、その選好や要求が最大限に充足されるならば、それらの行為は正しい、とされる。 結果主義者達は、また、①各々の個人の行為は、その結果に基づいて判断されるべきか、またはそれに代わって、②行為の一般ルールがそのように判断されるべきであり、個人の行為はそれが一般ルールに調和しているか否かという点のみ判断される、とすべきかに関して、内部で(見解の)相違がある。 ①前者を「行為功利主義者(act utilitarian)」といい、②後者を「ルール功利主義者(rule utilitarian)」という。 義務論的倫理学を見よ。 (2) オックスフォード英語事典(consequentialismの項)より抜粋翻訳 (哲学)行為の道義性はもっぱら、その結果によって判断される、とする信条。 ■5.その他多様な思想 ◆辞書による説明1:「無政府主義」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(anarchismの項)より全文翻訳 あらゆる形式の政治的権威は不必要であり望ましくないと考え、個人や集団の自発的な協力と自由な連携に基づいた社会を唱導する政治理論。 この言葉は、現在は無政府主義の定礎者と見なされているピエール・ジョセフ・プルードンが『所有とは何か』(1840年)で採用するまでは軽蔑的にのみ用いられた。 無政府主義者ミハイル・バクーニンは第一インターナショナルでカール・マルクスと衝突し、1872年に第一インターナショナルは解散したが、バクーニンの支持者達はスペインやイタリアなどのラテン系諸国で労働者組織の管理力を掌握し続けた。 政府のない社会への以降には暴力革命が必要だと信じていた初期の無政府主義者達さえも、移行の必然性(※注:マルクスによる共産主義社会への移行の必然性の主張のことと思われる)には不同意だった。 1880年代末に勃興したアナルコ-サンディカリズム(無政府主義的急進労働組合運動)は労働組合(Syndicats)(の力)を強調し、国家を麻痺させるゼネストを呼びかけた。 19世紀と20世紀には無政府主義はまた、英国のニュー・ァナークやアメリカのブルック・ファームといった実験的共同体を産み出した。 スペイン内戦の初期の期間に無政府主義者達の民兵は東部スペインの大半の部分を事実上管理し、彼らはそこに数百の無政府主義的集合社会(anarchist collectives)を樹立した。 無政府主義は、1930年代にファシズムの組織的な運動に鎮圧されたが、1950年代と60年代にアメリカと欧州の公民権運動と学生運動へのその影響を通して再登場した。 1970年代の急進的な環境運動もまた無政府主義的な理念に鼓舞されたものである。 1999年に始まった、無政府主義者に先導された世界銀行や国際通貨基金(IMF)に反対する街頭デモは、それまでになかった知名度を獲得し、新たな無政府主義グループ・定期刊行物・インターネットサイトなどを産み出した。 無政府主義者の主題は、沢山の20世紀の芸術家・作家・音楽家達によって省察された。その中にはパブロ・ピカソ、アメリカのビート運動の詩人達、スペインのシュールリアリスズム映画制作者ルイス・ビュンナー、アメリカ人作曲家ジョン・ケージが含まれる。 (1) オックスフォード英語事典(anarchismの項)より抜粋翻訳 あらゆる政府の廃止と、武力や強制に頼らず自発性と協力に基づく社会を組織することへの信念。 無政府主義の信条に基づく政治的動力または運動(a political force or movement)。 (3) コウビルド英語事典(anarchismの項)より全文翻訳 無政府主義とは政府の法や権力は、自由に協働する人民によって置き換えられるべきだとする信条である。 ◆辞書による説明2:「自由至上主義」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(libertarianismの項)より全文翻訳 個人の自由を強調する政治思想。自由至上主義者は、各個人は、自己の行動が他人の自由を侵害しない限り、完全な行動の自由を保持すべきだと信じている。 自由至上主義者の政府に対する不信は、19世紀の無政府主義(anarchism)に起源を持つ。典型的な自由至上主義者は、所得税やその他の政府の課税ばかりでなく、社会保障(social security)や郵便サービスのような他の多くの人々が有益だと思っているプログラムにも反対する。 アメリカでは彼らの見解はしばしば伝統的な政党間の境界を横断する(例えば、自由至上主義者はほとんどの共和党支持者と同じ様に銃規制に反対するが、ほとんどの民主党支持者と同じ様に禁止薬物の合法化を支持する)。 自由至上主義者の間で愛好されている人物はヘンリー・デビット・ソローとアイン・ランドである。 (2) オックスフォード英語事典(libertarianismの項)より抜粋翻訳 市民生活に対する政府の介入を最小限のもののみとすることを唱導する極端な自由放任の政治思想。 その支持者は個人の道徳は政府の扱う事柄ではなく、それゆえ麻薬使用や売春のような異論もあるところではあるが参加者以外の誰も害さない活動は不法とされるべきではないと信じている。 自由至上主義者は無政府主義者と主張内容を共有しているが、但し自由至上主義者は一般には、より一層政治的権利と関連付けられる(主としてアメリカ)。自由至上主義は伝統的な自由を社会的正義に結びつける配慮が欠落している。 (3) コウビルド英語事典(libertarianの項)より全文翻訳 1 リバタリアンであったり、またリバタリアン的な態度の人とは、人々は自分が望むままのやり方で考えたり振る舞う自由を持つべきだという理念を信じ、また支持している人である。(= リベラル) 2 自由至上主義者とは自由至上主義の見識を持つ人である。(= リベラル) ◆辞書による説明3:「共同体主義」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(communitarianismの項)より全文翻訳 ①政治生活の実行、②政治制度の分析・評価、③人間のアイディンティティと安寧幸福の理解、に関する共同体(community)の重要性を強調する政治・社会思想。 共同体主義は1980-90年代に、ジョン・ロールズ等の思想家による理論的リベラリズムに対する明白な反対思想として興起した。 共同体主義者によれば、リベラリズムは非現実的なほどに原子化した抽象的個人という概念に寄りかかっており、また自由と自律といった個人的価値に余りにも重要性を置き過ぎている。 共同体主義の主要な代表者には、アミタイ・エツィオーニ、マイケル・サンデル、チャールズ・ティーラーが含まれる。 なお、集産主義を参照のこと。 (2) オックスフォード英語事典(communitarianismの項)より抜粋翻訳 1 小規模な自治的共同体に基礎を置く、社会組織に関する理論または制度。 2 共同体に対する個人の責任と、家族という単位の社会的な重要性を強調するイデオロギー ■6.ご意見、情報提供 リバタリアニズムというのは非常に定義するのが難しい政治思想だと思います。あえて言えば、広い意味での「集産主義」の対偶概念といったところでしょうか。自由を徹底的に消極的にとらえる、言い換えれば、自由を国家による恣意的強制の欠如としてとらえる点が全てのリバタリアンに共通する唯一の特色とも言えるような気がします。問題になるのは、その自由はどこからもたらされるのか、という点です。ノージックの「権原理論」ように自由を自然権とみなし、社会契約論的な構成をとることは不可避的に「個人のアトム化」、すなわち、家族や伝統・慣習から切り離された原子論的な個人を想定することを含意しています。これは個人のもつ理性への過信、ハイエクの言う「設計主義的合理主義」の産物だと思います。 -- 政治家志望の一高校生 (2012-03-04 02 24 56) これに対し、自由を「法の支配」という自生的ルールの賜物とみなし、言葉では言い表せないような伝統や慣習、さらには人間の無知に立脚するようなハイエク的なリバタリアニズムは、それ自体が一つの政治思想というよりはより大きなくくりの保守思想の中の「自由を愛する心」、いいかえれば「パターナリズムに対する健全な嫌悪感」を抽出したもののように私には思えます。保守主義を信奉する人の中には、リバタリアニズムと聞くと急進的な個人主義をイメージして嫌悪感を覚える方もいらっしゃるでしょう。しかし、自主独立の気概を持ち、困難を乗り越えようとする個人の存在は自由社会にとって何物にも代えがたい財産です。伝統や慣習と個人の自由は不可分であり、両方そろってこそ価値があるのだと思います。保守思想がたんなる右翼思想に転落しないためにも、リバタリアニズムを検討してみることは大いに意義あることだと私は思います。 -- 政治家志望の一高校生 (2012-03-04 02 26 23) 名前 コメント ■左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページ 政治の基礎知識 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 政治思想(用語集) リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 デモクラシーと衆愚制 ~ 「民主主義」信仰を打ち破る ※別題「デモクラシーの真実」 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ※別題「リベラリズムの真実」 保守主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ ナショナリズムとは何か ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 国家解体思想(世界政府・地球市民)の正体 左派・左翼とは何か 右派・右翼とは何か 中間派に何を含めるか 「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き 最速!理論派保守☆養成プログラム 「皇国史観」と国体論~日本の保守思想を考える 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 右翼・左翼の歴史 靖國神社と英霊の御心 マルクス主義と天皇制ファシズム論 丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証 国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書) 国体とは何か② ~ その他の論点 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) 歴史問題の基礎知識 戦後レジームの正体 「法の支配(rule of law)」とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 立憲主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 正統性とは何か ~ legitimacy ・ orthodoxy の区別と、憲法の正統性問題 自然法と人権思想の関係、国体法との区別 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 日本国憲法改正問題(上級編) ※別題「憲法問題の基礎知識」 学者別《憲法理論-比較表》 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ブログランキング応援クリックをお願いいたします(一日一回有効)。 人気ブログランキングへ
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改行ズレ/画像ヌケ等で読み辛い場合は、ミラーWIKI または図解WIKI をご利用ください 本書を書いた時には、社会主義という言葉は、はっきりと、生産手段の国有化と、それによって可能になり、必要ともなる中央集権的経済計画化を意味していた。・・・今日において社会主義とは、もっぱら課税という手段を通じて広範囲な所得の再配分を行なうことを意味しており、また福祉国家という制度のことを意味するようになってきている。・・・この福祉国家という形態においては、本書で警告したような事態は、もっとゆっくりとした、間接的な、不完全な形でしか現れないだろう。けれども・・・究極的な結果はここで警告したようなものになっていくだろうと、私は確信するものである。 ~ F.A.ハイエク『隷従への道』(1944年)の1976年版への前書き 左派(the Left)・左翼(left wing)のまとめページ <目次> ■1.このページの目的 ■2.左派・左翼・アカとは何か◆辞書による説明1:「左派」 ◆辞書による説明2:「左翼」 ◆辞書による説明3:「アカ」 ◆(要約)左派には3種類ある ■3.極左(ultra-left)とは何か◆辞書による説明1:「共産主義」 ◆辞書による説明2:「マルクス主義」 ◆辞書による説明3:「弁証法的唯物論」 ◆辞書による説明4:「ヘーゲル主義・ヘーゲル哲学」 ■4.左翼(left-wing)とは何か◆辞書による説明1:「社会主義」 ◆辞書による説明2:「社会民主主義、社会民主制」 ◆辞書による説明3:「集産主義」 ■5.リベラル左派(liberal)とは何か◆辞書による説明1:「福祉国家」 ◆辞書による説明2:「リベラル」 ◆辞書による説明3:「J.ロールズ」 ◆辞書による説明4:「社会契約」 ◆辞書による説明5:「自然法」 ◆辞書による説明6:「人権」 ■6.左翼を生み出した思想◆辞書による説明1:「啓蒙思想」 ◆辞書による説明2:「理性主義(合理主義)」 ◆辞書による説明3:「決定論」 ◆辞書による説明4:「一元論」 ■7.まとめ(左派・左翼思想の系譜) ■8.参考:「自由」と「隷従」を分かつ西洋思想の2つの流れ ■9.参考図書 ■10.ご意見、情報提供 ■1.このページの目的 左派・左翼について、概念的な整理を行います。 ■2.左派・左翼・アカとは何か ◆辞書による説明1:「左派」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(leftの項)より全文翻訳 政治に関して、一般的に、①平等主義(egalitarianism)と、②政治的・経済的生活の主要な諸機構の人民または国家による管理(popular or state control of the major institutions of political and economic life)、とに結びついた政治的帯域(political spectrum)の一角。 この言葉は、フランス革命時の議会で、社会主義者の代表達が、議長席の左側に陣取った1790年代に由来する。 左派は、 ①富裕者や貴族階級のメンバーを含む伝統的なエリート達(traditional elites)の利益に対して敵意を持ち、 かつ、 ②労働者階級(working class)の利益に対して好意を持つ傾向がある。(プロレタリアートの項を見よ) 1 彼らは、社会福祉(social welfare)を政治の最重要目標とみる傾向がある。 2 社会主義(socialism)は、世界の殆どの国々で、左派の標準的なイデオロギーである。 3 共産主義(communism)は、いっそう急進的な左派のイデオロギーである。 (2) オックスフォード英語事典(leftの項)より抜粋翻訳 急進的(radical)、革新的(reforming)、または社会主義的(social)な見解を好む集団または政党。 (3) コウビルド英語事典(leftの項)より全文翻訳 社会主義の政治的理念を支持する人々を左派(the left)という。 彼らは、しばしば右派(the right)つまり資本主義と保守主義の政治的理念を支持する人々と対比される。 ◆辞書による説明2:「左翼」 (1) オックスフォード英語事典(left-wingの項)より抜粋翻訳 1 政党または政治体制のうち、急進的(radical)、革新的(reforming)、または社会主義的(social)な部分。 2 サッカー・ラグビー・ホッケーの競技場でチームの左側をいう。 (2) コウビルド英語事典(left-wingの項)より全文翻訳 1 左翼の人々は、社会主義的(socialism)に基礎を置く政治的理念を保持している。 2 人々の集団、特に政党としての左翼(the left wing)は、その他のメンバーに比較して社会主義により近い信条を持つメンバーによって構成されている。 ◆辞書による説明3:「アカ」 (1) オックスフォード英語事典(redの項)より抜粋翻訳 (インフォーマル)(主として軽蔑的に)①共産主義者、または②社会主義者(特に冷戦期にソ連邦に関して用いられた)。 「白(white ※注:反革命・王党派を表す色)」と対語である。 (2) コウビルド英語事典(redの項)より抜粋翻訳 貴方が、誰かが「アカ(a red or a Red)」であると言う時、貴方は、彼らが①共産主義者、または②社会主義者、または③左翼理念の持ち主、である事実を嫌悪(不承知 disapprove)しているのである。 ◆(要約)左派には3種類ある ※要約すると、左派には次の3種類がある。(ブリタニカ百科事典(leftの項)のピンク色部分、コウビルド英語事典(redの項)参照) 内容 キーワード 極左 共産主義(communism)即ち、いっそう急進的な左派のイデオロギーを支持する立場 ①共産主義、②マルクス主義、③弁証法的唯物論、④ヘーゲル主義 左翼 社会主義(socialism)即ち、左派の標準的なイデオロギーを支持する立場 ①社会主義、②社会民主主義(社会民主制)、③集産主義 リベラル左派 社会福祉(social welfare)を政治の最重要目標とする立場。左翼理念の持ち主 ①福祉国家、②リベラリズム、③J.ロールズ、④社会契約、⑤自然法、⑥人権 ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ※政治的スタンス5分類・8分類について詳しくは 政治の基礎知識 参照。 ■3.極左(ultra-left)とは何か ◆辞書による説明1:「共産主義」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(communismの項)より全文翻訳 全ての資産の所有権は共同体にあり、その利益は各人の必要に応じて全員に分配される、と提唱する政治理論。 この理論は、主としてカール・マルクスとフリードリッヒ・エンゲルスの業績である。 彼らの『共産党宣言』(1848年)は、“プロレタリアート(無産階級、労働者階級)独裁”即ちマルクスの言う処の「社会主義」という過渡期について特記している。「共産主義」は最終段階であって、そこでは階級の区別だけでなく組織立った国家-マルクスによれば不可避的に抑圧の道具であるもの-すら克服されるという。 この(社会主義と共産主義の)区別は、間もなく見失われ、“共産主義者(という言葉)”は最終的なゴールよりも政党名に適用されるようになった。 ウラジミル・イリイチ・レーニンは、プロレタリアートは、共産主義(への道)を案内するプロの革命家を必要とするのだ、と主張した。(レーニン主義を見よ) ヨシフ・スターリン版の共産主義(スターリン主義を見よ)は、多くの点で全体主義と同義語となっている。 毛沢東は支那の共産主義革命で、都市のプロレタリアートよりも、貧農達を動員した。(毛沢東主義を見よ) 西欧共産主義(eurocommunism)はソ連邦の崩壊(1991年)によって支持者の殆どを喪失した。 「共産主義政党」「弁証法的唯物論」「第一インターナショナル」「第二インターナショナル」を見よ。 (2) オックスフォード英語事典(communismの項)より抜粋翻訳 全ての資産は共同体によって所有され、各人は各々の必要に応じて奉仕し、また受益する、とする社会機構に関する理念または制度。 最も身近な共産主義の形態は、1917年のロシア革命の後で樹立されたボルシェヴィキ(ソ連共産党の前身)である。そして、それは旧ソ連と東欧の同盟国、また1949年以降の支那、そしてキューバ、ベトナム、北朝鮮といった幾つかの発展途上国で実施された制度を表す言葉として理解されている。 共産主義の形態では、資本主義制度が打倒された後は、国家は衰退し消滅していくものとされている。 しかし実際には国家は共産主義社会のあらゆる局面を管理するものとして肥大化した。 東欧の共産主義は、①人々の経済的期待に沿うことに失敗したこと、②政治的生活の上で、もっと民主的な制度への移行、③ソ連邦を解体に導いた増大していくナショナリズム、を背景として1980年代末から1990年代初めにかけて崩壊した。 (3) コウビルド英語事典(communismの項)より全文翻訳 共産主義とは全ての人々は平等であり、労働者は生産手段を管理すべきだ、とする政治的信条である。(≠資本主義 capitalism) ◆辞書による説明2:「マルクス主義」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(marxismの項)より全文翻訳 カール・マルクスとフリードリッヒ・エンゲルスによって開発されたイデオロギーであり、社会経済的理論(socioeconomic theory)である。 共産主義の基本的イデオロギーであるそれ(マルクス主義)は、全ての人々は彼らの労働の果実を享受する資格を持つが、資本主義的経済体制つまり社会を二つの階級-①無産労働者(nonowning workers)と②不労所有者(nonworking owner)-に分化させる体制によって、そうすることが妨げられている、と捉えている。 マルクスはその帰結的状況を「疎外(alienation)」と呼んだ。そして彼らは労働者が自身の労務の果実を再取得する時、疎外は克服され、階層分化も消滅する、と言った。 歴史に関するマルクス主義理論は、階級闘争を歴史の駆動力と措定する。それは資本主義を、最も近時の最も決定的な歴史的段階-最も決定的とは、即ち、この段階においてプロレタリアートは遂に団結して立ち上がるだろうから-と考えている。 1848年の欧州の諸革命(※注:フランス2月革命に刺激を受けてドイツ連邦諸国やイタリア地域・オーストリア帝国の諸民族居住地などで多発した自由主義・国民主義運動「諸国民の春」のこと)の失敗と、実践的であるよりは分析的な方向性を持つマルクス主義理論を精巧化させる必要性の増大は、レーニン主義や毛沢東主義などの(より実践的な理論の)採用を導いた。20世紀末期のソ連邦の崩壊と、支那による自由市場経済の多くの要素の採用は、マルクス主義が妥当性を持つ経済的・政治的理論としては終了したことを刻印したように思われる。しかしながらマルクス主義は、①市場資本主義への批判、②歴史的変化の理論、としての関心を持たれ続けている。 「共産党宣言」「弁証法的唯物論」「社会主義」「スターリン主義」「トロツキー主義」を見よ。 (2) オックスフォード英語事典(marxismの項)より抜粋翻訳 カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスによる政治的・経済的理論であり、後に彼らの追随者によって共産主義の基礎を形成するために発展させられたもの。 マルクス主義の核心は、経済的諸要因によって社会変化を説明する点にある。 マルクス主義によれば、生産手段は、政治的・思想的な上部構造に影響を及ぼしそれらを決定する経済的基盤を提供する。 マルクスとエンゲルスは、プロレタリアートによって資本家が革命的打倒を受けること、そして究極的には無階級の共産社会が達成される、と予言した。 (3) コウビルド英語事典(marxismの項)より全文翻訳 マルクス主義とは、カール・マルクスの著作に基礎を置く政治的意思であり、相違する社会階級間の闘争の重要性を指摘するものである。 ◆辞書による説明3:「弁証法的唯物論」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(dialectical materialismの項)より全文翻訳 カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスの著作を通じて、そして後にはゲオルグ・プレハノフ、ウラジミル・イリイチ・レーニン、ヨシフ・スターリンによって表明された哲学的アプローチであり、共産主義の公式的な哲学である。 ヘーゲル哲学から借用されたその核心的教義は、あらゆる歴史上の生成・変化・発展は相容れない2つの対照物の闘争の帰結である、とする点である(哲学用語で言うと、テーゼはアンチ・テーゼと対立し、その結果、ジン・テーゼ(総合)に帰結する、ということ)。 特に階級間闘争-片方に資本家と土地所有階級あり、他方に無産労働者階級と貧農がある、その両者の闘争-が歴史の大動力を生み出す。 史的弁証法の法則は非常に強力であり、個々の指導者達はせいぜい歴史の結果(little historical consequence)に過ぎない。 (弁証法的唯物論は)起源としては主として社会的・経済的・政治的領域で作用するものとして構想されたのだが、20世紀にはその原理は科学の領域にまで拡張され、ソ連邦の科学に主要な影響を及ぼした。 マルクスとエンゲルスは彼らの哲学的見解を、主として論証法(polemics)と簡易な歴史研究の一連の流れとして表明したのであり、そこには弁証法的唯物論の組織だった主題提示(exposition 詳細な解説)は示されていない。 (2) オックスフォード英語事典(dialectical materialismの項)より抜粋翻訳 マルクス主義理論(ソヴィエトの共産主義者の公認思想として採用された)であり、政治的・歴史的事件は社会的諸力の闘争の帰結であって、かつ、論理的な諸矛盾とそれらの解決の連続物と解釈される、とするもの。 闘争は物質的必要によってもたらされる、とみなされる。 ◆辞書による説明4:「ヘーゲル主義・ヘーゲル哲学」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(hegelianismの項)より全文翻訳 G.W.F.ヘーゲルの思想体系から発展した多様な思想運動。4段階に識別できる。 1 最初の段階は、1827-50年の期間のドイツにおけるヘーゲル学派によって構成されている。学派は3つの流れに分岐している。 1. 右派または「旧ヘーゲル学派」は、①福音主義的正統信仰(evangelical orthodoxy)と②保守的政治方針(conservative political policy)とに対するヘーゲル哲学の適合性を持ち上げることに注力した。 2. 左派または「青年ヘーゲル学派」はヘーゲルの理性と現実との一体化(への志向)を革命的文脈で解釈した。 3. 中央派は、ヘーゲルの体系をその起源と趣旨に立ち返って解釈することを好んだ。 2 第二段階(1850-1904)は、通常、新ヘーゲル学派と呼ばれており、中央派の業績が優勢な役割を演じた。 3 ヴィルヘルム・ディルタイがヘーゲルの青年期の未公開の作品を20世紀初めに発見した後、ドイツでは更に別の潮流が起こった。この第三段階、即ちヘーゲル・ルネッサンスはヘーゲル哲学の起源に関する再構成に重点が置かれた。 4 第二次世界大戦後の第四段階において、欧州でのマルクス主義研究の再興は、マルクス主義に対するヘーゲルの遺産(the Hegelian heritage for Marxism)の真価を最終的に前面に押し出した。 (2) オックスフォード英語事典(Hegelの項)より抜粋翻訳 ゲオルグ・ヴィルヘルム・フリードリッヒ(1770-1831)。ドイツ人哲学者。 『論理学』(1812-16年)でヘーゲルは弁証法的理由付けの3段階のプロセスを描き出した。それはマルクスが彼の弁証法的唯物論の基礎としたものである。 ヘーゲルは、①歴史・②理念の進化・③人間の意識、は全て何らかの絶対者(the Absolute)または唯一神(God)が自身を認識していく観念的・弁証法的プロセスを通じて展開される、と信じた。 ■4.左翼(left-wing)とは何か ◆辞書による説明1:「社会主義」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(socialismの項)より全文翻訳 ①私的所有(private property)と②所得分配(distribution of income)は、社会的管理に従属する(subject to social control)とする社会的有機体の体制(system of social organization)のこと。 「社会的管理(social control)」という言葉は広く多義的に解釈することが可能であるため、社会主義は、 1 国家主義者(statist)から自由至上主義者(libertarian)まで、また、 2 マルクス主義者(Marxist)からリベラル左派(liberal)までの範囲に及ぶ。 この言葉は最初、メンバー全員の精神的・肉体的な安寧幸福のために非競争的な労働に従事する人々の強制的ではない共同体を強調したシャルル・フーリエ、アンリ・ド・サン=シモン、ロバート・オーウェンらの信条を描写するために用いられた。(「空想的社会主義 utopian socialism」を見よ) カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスは、社会主義を資本主義から共産主義への過渡期の段階と認識し、彼らが(フーリエ、サン=シモン、オーウェンらの)社会主義の諸運動の中で有益であることを発見した内容を、彼らの“科学的社会主義(scientific socialism)”を開発するのに流用した。 20世紀においてソ連邦は厳格な中央集権的社会主義の第一の模範であったが、その一方で、スェーデンとデンマークは非共産主義の社会主義で著名だった。 「集産主義」「共同体主義」「社会民主主義(社会民主制)」を見よ。 (2) オックスフォード英語事典(socialismの項)より抜粋翻訳 1 社会的有機体に関する政治的・経済的理論(a political and economical theory of social organization)であり、①生産・②分配・③交換の手段は、その全体を共同体によって所有されるか規制されるべきだ、と提唱するもの。 2 その理論に基づく政策またはその実行のこと。 3 (マルクス主義理論では)資本主義の打倒と、共産主義の実現の間の過渡的な社会状態。 「社会主義」という言葉は、無政府主義(anarchism)・ソ連邦の共産主義・社会民主主義(social democracy 社会民主制)という大きく隔たった複数の立場を記述するのに使用されてきた。しかしそれは、経済市場での無制限の労働に対する反対(という立場)を必然的に含意している。 19世紀末以来、殆どの欧州諸国で興起している社会主義の諸政党は一般に、社会民主制(social democracy)に傾斜している。 (3) コウビルド英語事典(socialismの項)より全文翻訳 社会主義とは、全ての人々が国家の富から利益を享受する平等な機会を持つ体制を創出すること、を一般的な目的とする左翼的な政治原則の一つの組み合わせである(a set of left-wing political principles) 社会主義の下では、国家の主要な産業は通常、国家によって所有される。 ◆辞書による説明2:「社会民主主義、社会民主制」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(social democracyの項)より全文翻訳 確立されている政治的プロセスを用いて、資本主義から社会主義への社会の平和的な進化的移行(a peaceful, evolutionary transition of society from Capitalism to Socialism)を唱導する政治的イデオロギー(political ideology) それはマルクス主義の唱導する社会革命(social revolution)を拒絶する。 社会民主主義は、1870年代のドイツの政治運動として始まった。 エドゥアルド・ベルンシュタインは1899年に、資本主義はカール・マルクスが、その中に見出した弱点(失業や過剰生産を含む)の多くを克服しつつあり、普通選挙は平和裏に社会主義的な政府を導くだろう、と論じた。 1945年以降、社会-民主的な諸政府(social-democratic governments)が、西ドイツ(「社会民主党」を見よ)・スェーデン・英国(労働党の下に)で政権を握った。 社会-民主的思考(social-democratic thought)は、次第に、(国家所有でなくとも)国家による規制が、①経済成長と②所得の公平な分配を確実に行う上で十分である、と見なすようになった。 (2) オックスフォード英語事典(social democracyの項)より抜粋翻訳 民主的手段によって達成される政治の社会主義体制(a socialist system of government) (3) コウビルド英語事典(social democracyの項)より全文翻訳 1 社会民主制(social democracy)とは、①社会的公正(social justice)と②平等(equality)は市場経済の枠内で達成可能である、とする政治体制(a political system)である。 2 社会民主国(a social democracy)とは、社会民主制が存在する国家のことである。 ◆辞書による説明3:「集産主義」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(collectivismの項)より全文翻訳 個々人が所属するグループ(例えば、国家・国民・民族集団・社会階級)に、中心的な重要性を帰属させるあらゆるタイプの社会的組織(social organization)。 集産主義は、おそらく個人主義(individualism)と対照的である。 ジャン-ジャック・ルソーは、近代において最初に集産主義を論述した思想家である(1762年(『社会契約論』))。 カール・マルクスは、19世紀における最も強力な集産主義の唱道者であった。 共産主義、ファシズム、社会主義は、おそらく全て集産主義的システムと呼ぶのが相応しい。 共同体主義(communitarianism)、キブツ、モシャヴを参照の事 (2) オックスフォード英語事典(collectivismの項)より抜粋翻訳 1 各々の個人が所属する集団に、個人を超える優先権を付与する行為形態または原理。 2 国家(state)または人民(people)による土地(land)及び生産手段(means of production)の所有を意味する政治的原理またはシステム。 (3) コウビルド英語事典(collectivismの項)より全文翻訳 集散主義とは、国家の産業とサービスは国家(state)または国家の全ての人民(all people in a country)によって所有され、管理されるべきだ、とする政治的信条である。社会主義・共産主義はともに集産主義の一形態である。 ■5.リベラル左派(liberal)とは何か ◆辞書による説明1:「福祉国家」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(welfare stateの項)より全文翻訳 国家が、市民達の経済的・社会的な安寧幸福(the economic and social well-being of the citizens)の保護と促進に関して、鍵となる役割を演じる、とする政治的概念(concept of government) (福祉国家が)基礎を置く原則は、①機会の平等、②富の公平な分配、③良好な生活の最小限の用意が欠落している人々に対する公的責任、である。 この言葉は、多様な経済的・社会的有機体の形態に対して用いることが出来る。 福祉国家の基本的な提供物の一つは社会保険である。それは恩恵が大いに必要とされる時節に供給されることを目的としている(例:老齢・疾病・失業) 福祉国家は、また通常、①教育、②健康サービス、③住宅、の公的な供給を包含する。 多くの欧州諸国では、包括的な健康保険と国家助成金支給による大学水準の教育が一般的となっているのに比べると、アメリカ合衆国の公的供給は展開されている範囲がより小さい。 中央計画的な経済を持つ国々では、福祉国家はまた①雇用と②消費者価格の管理をも包含する。 殆どの国々は、少なくとも福祉国家に関連した何らかの方策を制度化している。英国では1948年に包括的な社会保険が採用された。アメリカ合衆国ではニューディールやフェアデールといった社会的-立法プログラム(social-legislation programs)は福祉国家の原理に基礎を置いている。 スカンジナヴィア諸国は、個人に対して生活のあらゆる側面に関する国家的扶助を供給している。 (2) オックスフォード英語事典(welfare stateの項)より抜粋翻訳 1 国家が、市民、特に金融的・社会的必要に迫られている人々に、交付金・年金その他の恩典によって健康と安寧幸福の保護を引き受ける制度。英国における近代福祉国家の設立は、1942年のベヴァリッジ報告によってその路線が敷かれた。国営の健康サービス・国営の保険スキーム(仕組み)の設立といった、その報告の提案は、1948年に労働党政権によって実施された。 2 そうした制度を実行している国家のこと。 (3) コウビルド英語事典(welfare stateの項)より全文翻訳 英国や他の幾つかの国において、福祉国家とは、政府が健康や教育などの無料サービスを供給し、例えば老齢や失業や疾病によって労働することが出来ない人々に金銭を付与する制度をいう。 ◆辞書による説明2:「リベラル」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(liberalismの項)より全文翻訳 政治的および経済的ドクトリン(理論・信条)であり、①個人の権利・自由、②政府権力の制限の必要性、を強調するもの。 1 リベラリズムは、16世紀欧州の戦争(30年戦争)の恐怖に対する防御的リアクションとして発生した。その基本理念は、トーマス・ホッブズとジョン・ロックの著作の中で公式な表現を付与された。この両者は、至上権は究極的には被統治者の同意によって正当化され、神権ではなく仮想的な社会契約によって付与されると唱えた。経済分野では、19世紀のリベラル(自由主義者)達は、社会での経済生活に対する政府介入の撤廃を強く要求した。アダム・スミスに従って彼らは自由市場に基礎を置く経済システムは、部分的に政府にコントロールされた経済システムよりも、より効率的であり、より大きな繁栄をもたらすと論じた。 2 欧州と北米の産業革命によって発生した富の巨大な不平等その他の社会的問題への反動として、19世紀末から20世紀初めにかけてのリベラル(自由主義者)達は、市場への限定的な政府介入と、無料の公共教育や健康保険などの政府拠出による社会的サービスの創出を唱えた。アメリカ合衆国では、F.D.ルーズベルト大統領により企画されたニュー・ディール(新規まき直し)計画により、近代ないし進歩的リベラリズム(modern liberalism)は、①政府の活動領域の広範な拡張、そして、②ビジネス活動の規制の増大、として特徴づけられた。第二次世界大戦後、社会福祉の一層の拡張が、イギリス・スカンジナビア諸国・アメリカ合衆国で起こった。 3 1970年代の経済的不振(スタグネーション:不況とインフレの同時進行)は殊にイギリスとアメリカ合衆国において、自由市場を選好する古典的な自由主義の立場(classical liberal position)の再興を導いた。 4 現代リベラリズム(contemporary liberalism)は、①不平等の緩和、②個人の権利の拡張、を含む社会改革に依然関心を寄せ続けている。 (2) オックスフォード英語事典(liberalの項)より抜粋翻訳(※liberalismは派生語扱い) (政治的文脈で)個人的自由、自由交易、漸進的な政治的・社会的改革を選好する(形容詞)。 語源(ラテン語) liber(=free (man):自由(人))。原初的語感は「自由人として適格な(suitable for a free man)」 ⇒つまり「自由人=奴隷でないこと」 (3) コウビルド英語事典(liberalismの項)より全文翻訳 1 ・リベラリズム(liberalism)とは、革命ではなく、法改正によって社会的進歩を漸進的に行う、とする信条である。 2 ・リベラリズム(liberalism)とは、人々は多くの政治的そして個人的な自由を持つべきである、とする信条である。 以上の辞典による説明は、かなり内容が不明瞭であるが、まとめると「リベラリズム」という言葉は、次の4つの段階あるいは種類・区分をもってその意味内容を拡張ないし変化させてきた、ということになる。 リベラリズムの段階・種類・区分 時期 意味内容 1 古典的リベラリズム(classical liberalism) 16世紀~19世紀 ①個人の権利・自由の確保、②政府権力の制限、③自由市場を選好…消極国家(夜警国家) 2 ニュー・リベラリズム(new liberalism) 19世紀末~20世紀 経済的不平等・社会問題を緩和するため市場への政府介入を容認→次第に積極的介入へ(積極国家・福祉国家・管理された資本主義)社会主義に接近しているので社会自由主義(social liberalism)と呼ばれ、自由社会主義(liberal socialism)とも呼ばれた。 3 再興リベラリズム(neo-liberalism) 1970年代~ スタグフレーション解決のため自由市場を再度選好。 2 を個人主義から集産主義への妥協と批判し、個人の自由を取り戻すことを重視 4 現代リベラリズム(contemorary liberalism) 現代 ①不平等の緩和、②個人の権利の拡張、を含む社会改革を志向1970年代以降にJ.ロールズ『正義論』を中心にアメリカで始まったリベラリズムの基礎的原理の定式化を目指す思想潮流で、①ロールズ的な平等主義的・契約論的正義論を「(狭義の)リベラリズム」と呼び、②それに対抗したR.ノージックなど個人の自由の至上性を説く流れを「リバタリアニズム(自由至上主義)」(但し契約論的な構成をとる所はロールズと共通)、③また個人ではなく共同体の価値の重要性を説くM.サンデルらの流れを「コミュニタリアニズム(共同体主義)」という。 補足説明 2 ニュー・リベラリズム(new liberalism)と 4 再興リベラリズム(neo-liberalism)は共に「新自由主義」と訳されるので注意。もともと 1 古典的リベラリズムに対して修正を加えた新しいリベラリズム、という意味で、 2 ニュー・リベラリズム(訳すと「新自由主義」)が生まれたのだが、世界恐慌から第二次世界大戦の前後の時期に、経済政策においてケインズ主義が西側各国に大々的に採用された結果、 1 に代わって 2 がリベラリズムの代表的内容と見なされるようになり、 2 からnewの頭文字が落ちて、単に「リベラリズム」というと 2 ニュー・リベラリズムを指すようになった。ところが、1970年代に入るとインフレが昂進してケインズ主義に基づく経済政策が不況脱出の方途として効かなくなってしまい、市場の自律調整機能を重視する 1 の理念の復興を唱える 3 ネオ(=再興)・リベラリズムに基づく政策が1980年前後からイギリス・アメリカで採用されるようになった。そのため今度は、 3 を「新自由主義」と訳すようになった。 上記のうち「リベラル右派」に該当するのは、 1 古典的リベラリズム、及び 3 再興リベラリズムである(薄青色部分)。 また「リベラル左派」に該当するのは、 2 ニュー・リベラリズム、及び 4 現代リベラリズムのうちロールズ的な平等主義的・契約論的正義論である(ピンク色部分)。 ◆辞書による説明3:「J.ロールズ」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(Rawls, Johnの項)より全文翻訳 (1921年2月21日メリーランド州ボルチモアで誕生-2002年11月24日マサチューセッツ州レキシントンで死去)アメリカの政治哲学者。 彼はコーネル大学(1962-79年)、そして後にはハーヴァード大学で教授した。彼は主に政治哲学と倫理学の著述を行った。 彼の『正義論(A Theory of Justice)』(1971年)は20世紀の政治哲学の代表作として広く認知されている。この著作や他の著作でロールズは民主的社会に適合した正義の概念(a conception of justice)の開発を追求した。 彼は、全体の幸福の最大化を強いる功利主義は、リベラルで民主的な諸価値の中核である自由(freedom)と平等(equality)を保護するには不適切であると信じていた。 ジャン-ジャック・ルソーとイマヌエル・カントに習って、ロールズは社会契約(social contract)という理念を強く主張した。彼は平等な権利という立場で行動する自由な人々の間の仮想的合意の結果としての正義(justice as a hypothetical agreement among free persons)を記述した。 公平で偏見のない合意を確実にするために、ロールズは(社会契約の締結を目指す)一行(parties)に“無知のヴェール(覆い)(veil of ignorance)”、つまり、一行は自分達や他人達についてのどんな特定の事実(例:彼らの才能・社会的階級・富・宗教・その他の諸価値)も、更には歴史や彼らの社会に関する事実さえも知らない、という状態を平等に課すという想定をした。 この“原初状態(original position)”からロールズは、自由な人々は、リベラルで平等主義の正義の観念(a liberal egalitarian conception of justice)、即ち“公正としての正義(justice as fairness)”に合意するだろうと強く主張した。 この観念は2つの原理から構成されている。 1 思想や結社の自由などの特定の基礎的な自由は、非常に重要であり、貧民の経済的充足や福祉改善といった他の社会的諸価値よりも優先される。 2 当局の任務や地位は機会の平等という条件の下に、全ての人々に開かれている。 (2) オックスフォード英語事典(Rawlsの項)より抜粋翻訳 ジョン(1921-2002)。アメリカ人哲学者。 彼の著書『正義論』(1971年)と『政治的リベラリズム』(1993年)は、偏見のないことを確実とする条件の下で合理的な人々が選択する公正な社会の基礎的な仕組みを考察した。 ◆辞書による説明4:「社会契約」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(social contractの項)より全文翻訳 治者(the ruler)と被治者(the ruled)の間の現実的あるいは仮想的な契約。 この観念の起源となる着想は、神とアブラハムとの間の聖書にある誓約から派生したものと思われる。しかし、それはトーマス・ホッブズ、ジョン・ロック、ジャン-ジャック・ルソーの著作と最も緊密に結びついている。 1 ホッブズは、主権の絶対的権力は仮想的な社会契約によって正当化される、と論じた。そこでは人々は、契約が為される以前に存在すると措定されている“自然状態(state of nature)”の中では欠落している平和と安全の保証と引き換えに、主権者に全面的に服従することに合意する。 2 ロックは、治者(the ruler)はまた私有財産と思想・言論・信仰の自由を保護する義務を負っていると信じていた。 3 ルソーは、自然状態では人々は好戦的ではないが理性と道徳が未発達であり、個人的自由を放棄することによって彼らは被統治者(the governed)の“一般意思(general will)”に基づく法制度の中で政治的自由と市民的権利を獲得する、と考えた。 社会契約の理念は、アメリカ革命やフランス革命の担い手達、そしてそれらに続いた成文憲法の作成者達に影響を与えた。 (2) オックスフォード英語事典(social contractの項)より抜粋翻訳 例えば、国家を守るために幾つかの個人的な自由を犠牲にすることによって、社会の諸便益のために協同する、ある社会の構成員の間の暗黙の契約のこと。 社会契約の理論は、トーマス・ホッブズやジョン・ロックやジャン-ジャック・ルソーといった理論家達の間で、①政府の起源と、②被服従者の義務を説明する方法として有名になった。 ◆辞書による説明5:「自然法」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(natural lawの項)より全文翻訳 法理学(jurisprudence)と政治哲学(political philosophy)に関して、社会ルールや実定法からではなく自然から派生した(とされる)全ての人類に共通する権利または正義の体系(a system of right or justice)である。 この概念はアリストテレスを先駆者とする。彼は“自然に適ったもの”が必ずしも“法に適ったもの”と同一ではないと考えた。 ストア派、キケロ、ローマ法学者、聖パウロ、聖アウグスティヌス、グラティウス、聖トマス・アキナス、ジョン・ドン・スコット、オッカムのウィリアム、フランシスコ・スアレスによって、様々な形で自然法の存在が主張された。 近代において、ヒューゴ・グロティウスは、例え神が存在しなくとも自然法は肯定される、と主張した。そしてトーマス・ホッブズは自然法を“理性によって発見された一般ルールの規範であり、それによって人間は自身の生活にとって破壊的な行為を禁止されている”と定義した。 ホッブズは、①仮想的な“自然状態”から理性的に演繹される法(=自然法)の複雑な体系と、②治者と被治者との間の合意による社会契約とを対比する試みを行った。 ジョン・ロックは、ホッブズから距離を置き、自然状態を自由で平等な人々が自然法を遵守する初期の社会として記述した。 ジャン-ジャック・ルソーは、①自己保存と②同情という“理性に先立つ”2つの原理によって行動付けられた孤立の中で美徳を保持する野生人(a savage)を措定した。 アメリカ独立宣言の著者達は、平等と他の“自明の”“奪うことの出来ない”諸権利を唱導する前段で、わずかに「自然の法」について短く言及しているに過ぎない。 フランス人権宣言(人間と市民の諸権利の宣言)は、自由・所有・安全そして圧制への抵抗を“時効のない自然の諸権利”であると主張した。 自然法の概念に対する関心は、19世紀に劇的に凋落した。それは部分的にはジェレミー・ベンサムや他の功利主義の提唱者達の懐疑的な攻撃の結果である。それ(自然法への関心)は20世紀の半ばに第二次世界大戦中のナチス体制によって犯された犯罪という脚光を浴びて復活した。 自然法(natural law)と自然権(natural rights)に対する懐疑は依然として強烈であるが、後代の著者達は自然権ではなく人権(human rights)を不可避的に語るようになった。 (2) オックスフォード英語事典(natural lawの項)より抜粋翻訳 1 全ての人間の行為の基礎と見なされている不変の道徳的原則から構成されるもの。 2 自然現象に関連して観測される法則。観測される法則を集合的に言う。 ◆辞書による説明6:「人権」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(human rightsの項)より全文翻訳 人間であること自体によって個人に帰属する権利。 この言葉は、それ以前に用いられた「自然権(natural rights)」即ち、中世の末以来ギリシャ・ローマの自然法概念に結びついた言葉に代わって、第二次世界大戦の後、広く使用されるようになった。 今日理解される所では、人権は、人間を取り巻く環境や歴史の多様性を反映して、広範な多様性を持つ諸価値や潜在的な諸能力を表現するものとされている。 それら(人権)は、①普遍的(universal)であり、あらゆる地域の全ての人間に適用されるもの、と考えられ、そしてまた、②基本的(fundamental)であり、本質的または基礎的な人間の要求を表すもの、と考えられている。 人権は歴史的には、人権の3つの“世代”として知られる時期に分類されてきた。 1 市民的・政治的諸権利という最初の世代は、啓蒙思想と英国・アメリカ・フランスそれぞれの革命とに結びついており、①生命(life)と自由(liberty 不羈=拘束されないこと)の諸権利、②言論(speech)と信仰(worship)の自由(freedom)の諸権利を内包している。 2 経済的・社会的・文化的諸権利という第二世代は、無規制の資本主義の餌食となることに対する19世紀半ばからの叛乱と結びついており、①労働(work)の権利、や②教育(education)の権利を内包している。 3 最後に、連帯(solidality)の権利という第三世代は、第二次世界大戦後(に登場した)発展途上の新興・脱植民地諸国の政治的・経済的渇望と結びついており、①政治的自己決定(political self-determination)と、②経済開発(economic development)に関する集団的諸権利(collective rights)を内包している。 1948年の「人間の諸権利の普遍的宣言 the Universal Declaration of Human Rights」(いわゆる世界人権宣言)の採択以降、人間の諸権利の保護のための多くの条約や協定が、国連の支援の下に締結されてきた。そして幾つかの地域的な人権法の諸制度(regional human rights law)が打ち立てられた。(※注: 1953年の欧州人権条約に基づく諸制度などを指す) 20世紀末に旧ユーゴスラビアやルワンダでの深刻な人権侵害やその他の犯罪を訴追するための特別国際犯罪法廷が召集された。 2002年に設置された(常設の)国際犯罪法廷は、人間性に対する犯罪、大量虐殺という犯罪、戦争犯罪の訴追について授権されている。 (2) オックスフォード英語事典(rights of manの項)より抜粋翻訳 全ての人間に正当に帰属していると考えられる諸権利。人間の諸権利。 この文句は1789年にフランス国民議会で採択され、1791年のフランス憲法前文で使用された「人間と市民の諸権利の宣言 the Declaration of the Rights of Man and of Citizen」(いわゆるフランス人権宣言)に結び付けられている。 (3) コウビルド英語事典(human rightsの項)より全文翻訳 人間の諸権利とは、全ての人々が保有すべきだと、多くの社会が信じている基礎的な諸権利である。 ■6.左翼を生み出した思想 ◆辞書による説明1:「啓蒙思想」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(enlightenmentの項)より全文翻訳 17-18世紀の欧州の知的運動であり、神・理性・自然・人間に関するその諸理念は、混ざり合って一つの世界観を構成し、芸術・哲学・政治の革命的な進展を鼓舞した。 啓蒙思想の核心は、理性の活用と称賛だった。 啓蒙思想家達にとって、受け継いだ権威は、それが科学であろうと信仰であろうと、束縛されることのない精神による精査に服するものだった。 科学と形而上学において、演繹と帰納という論理は、包括的な新しい宇宙観(a sweeping new cosmology)の創出を可能とした。 理性的な信仰の探求は、(啓蒙思想家を)理神論(Deism)に導いた。理性を信仰に適用したことによるさらに一層急進的な産物は懐疑論(Skeptism)・無神論(Atheism)・唯物論(materialism)である。 啓蒙思想は、ジョン・ロック、トーマス・ホッブズといった人々による近代の世俗的な心理学的・倫理学的理論を産み出し、それはまた急進的な政治理論の発生をもたらした。 ロック、ジェレミー・ベンサム、J-J・ルソー、モンテスキュー、ヴォルテール、トーマス・ジェファーソンといった人々は全て、権威主義的な国家への建設的な批判と、自然法に基礎を置く社会的有機体のメタ形式の概要を描き出すのに貢献した。 啓蒙思想の後世への継続的な遺産の一つは、人類の歴史は全体としては進化の記録である、という信念である。 (2) オックスフォード英語事典(enlightenmentの項)より抜粋翻訳 (啓蒙)17世紀末から18世紀にかけての欧州の知的運動であり、伝統ではなく理性と個人主義を強調した。 それは、デカルト、ロック、ニュートンといった17世紀の哲学者の影響を非常に強く受けており、その代表的人物は、カント、ゲーテ、ヴォルテール、ルソー、アダム・スミスなどである。 ◆辞書による説明2:「理性主義(合理主義)」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(rationalismの項)より全文翻訳 理性(reason)を、知識の主要な源泉であり判断材料(chief source and test of knowledge)である、とみなす哲学的見解。 理性主義は長期間に渡って、経験主義(empiricism)つまり、全ての事実問題に関する知識(knowledge of matters of fact)は究極的には感覚的経験(sense experience)から派生し、かつそれによって判断されなければならない、とする信条のライバルであり続けている。 この信条(経験主義)に対抗して、理性主義は、理性を、①確実性と②一般性の両方について、感覚的認知(sense perception)の到達できる範囲を超えて真理(truths)を捉えることが出来る能力であると考えている。 「自然の光明 natural light」の実在を強調することで、理性主義はまた、神秘的な経験であれ神の啓示であれ直観であれ、秘儀的な知識を唱導する諸体系のライバルであり、また、理性の代わりに生物学的・感情的または意思的・無意識的または実存的などの多様な非理性主義に反対し続けている。 (2) オックスフォード英語事典(rationalismの項)より抜粋翻訳 宗教的信仰や感情的反応よりも、理性と知識に、意見と行動の基礎を置いている実践のあり方またはその原理。 (哲学)経験よりも理性が知識の確実性の基礎である、とする理論。 (神学)理性を、信仰の究極的な権威として取り扱う実践のあり方。 (3) コウビルド英語事典(rationalismの項)より全文翻訳 理性主義とは、人々の生活は感情や宗教的信仰ではなく、理性と論理に基礎を置くべきだ、とする信条である。 ◆辞書による説明3:「決定論」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(determinismの項)より全文翻訳 哲学で、人間の意思決定を含む全ての出来事は、先行的に存在している諸原因によって完全に決定されている、とする信条。 伝統的な自由意志問題は、「道義的責任は決定論の真理と両立するのだろうか?」という問いから発生している。 それ(道義的責任)とは両立しない、と信じる人々の中で、(1)決定論の真理を信奉する幾人かは、自分の行為の道義的責任を負える人は誰もいない(そして、それゆえ犯罪行為の懲罰は正当化されない)、と結論づけている。しかし、(2)道義的責任の存在を信奉する幾人かは、決定論は偽である、と結論づけている。 道義的責任は、決定論と両立すると信じている人々は、両立論者(compatibilist)と呼ばれている(「両立論 compatibilism」を見よ)。 ピエール-シモン・ド・ラプラスは18世紀の古典的決定論の形成に責任がある。 ラプラスにとって世界の現在の状態は、以前の状態の影響であり、かつ、それに続く状態の原因である。 もし万一、精神が、どの瞬間にも①全ての法則と②自然界の全ての力と③全ての構成物の各々の位置を運動量を知ることが可能だとしたら、精神はそれゆえ、あらゆる存在物の確実な未来と過去とを知ることができるのだが(それは不可能である)。 (2) オックスフォード英語事典(determinismの項)より抜粋翻訳 (哲学)人間の行為を含む全ての出来事は、究極的には意志の外にあるとみなされる諸原因によって決定される、とする信条。 幾人かの哲学者は、決定論は、個々の人間は自由意志を持たず、彼らの行為は道義的責任を問い得ない、という含意を持つもの、と認識している。 (3) コウビルド英語事典(determinismの項)より全文翻訳 決定論とは全ての行為や出来事は、他の行為や出来事・状態などの結果であり、従って人々には何を行うかという選択が事実上不可能である、とする信条である。 ◆辞書による説明4:「一元論」 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(monismの項)より全文翻訳 形而上学で、世界は本質的に一つの実体であるか、または唯一の種類の実体を内包している、とする信条 一元論は二元論(Dualism)・多元論(Pluralism)の両方に反対している。 一元論の例として、①唯物論(Materialism)、②汎神論(Pantheism)、③形而上学的観念論(metaphysical Idealism)がある。 なおベネディクト・ド・スピノザを見よ。 (2) オックスフォード英語事典(monismの項)より抜粋翻訳 1 (哲学)特定の領域に関する実体(existence)例として、事物と精神、あるいは神と世界の間の実体、の識別または多元性を否定する理論または信条である。 2 唯一の至高の存在が実在する、とする信条である。多元論(Prulalism)と対比せよ。 ■7.まとめ(左派・左翼思想の系譜) (1) 啓蒙思想(enlightenment) 17-18世紀欧州で発生し、左派・左翼思想を生み出した思想運動。その内容として以下の4つが重要である。 1 理性主義(rationalism) R.デカルト(1596-1650)、理性からの演繹により、唯一の合理的世界を設計できるとする思想(設計主義的合理主義)。 2 一元論(monism)・決定論(determinism) B.スピノザ(1632-77)、P-S.ラプラス(1749-1827)、ヘーゲル主義やマルクス主義の決定論に重大な影響を及ぼした。 3 近代自然法論(natural law) H.グロチウス(1583-1645)、中世的・神学的自然法から、理性からの演繹による近代自然法へと変化した。 4 社会契約論(social contract) T.ホッブズ(1588-1679)、J.ロック(1632-1704)、J-J.ルソー(1712-78)、社会契約により世界をリセットするとする思想。 (2) 集産主義(collectivism 集団主義) 近代ではJ-J.ルソー『社会契約論』で初めて主張され、ヘーゲルを経て極左(マルクス主義)・極右(ナチズム)両方に重大な影響を及ぼした。 1 共産主義 K.マルクス(1818-83)、集産主義の極地を為す思想。 2 マルクス主義 マルクス主義の「弁証法的唯物論」は、「ヘーゲル左派」から発展した典型的な決定論である。 3 社会主義 ①ソ連型(ストック(資産)を国有化するタイプ)と、②スェーデン型(課税によって所得の大半を国家が吸収し再配分するタイプ。フロー(入出金)の社会化。高負担高福祉)がある。 4 社会民主主義(社会民主制) 暴力革命ではなく平和的な社会主義への移行を唱える立場であるが、その本質は社会主義であることに変わりはない。 (3) リベラリズム 19世紀末に起こったニュー・リベラリズム(社会主義的リベラリズム)及び、1970年代以降の現代リベラリズム(平等論的リベラリズム) 1 福祉国家 欧州諸国で社会主義の代替手段として大規模に実施され、アメリカや日本でも採用されている所得再配分政策。 2 現代リベラリズム J.ロールズ(1921-2002)、福祉国家の理論的基礎を提供した政治哲学者と見なされている。なおロールズの本心は「事後の所得再配分」ではなく「事前の資源再配分」であり、この理解は厳密には間違いである。 3 人権 近代自然法論と社会契約論から生まれた「自然権 natural rights」を言い換えたもの。 ※啓蒙思想の主流は、デカルトやルソーなどのいわゆる大陸合理論(設計主義的合理主義・価値一元論)だが、それ以外に真正自由主義(保守主義)を産み出した思想の系譜(批判的合理主義・価値多元論)もある(下記参照)。 ■8.参考:「自由」と「隷従」を分かつ西洋思想の2つの流れ ※矢印(→・↓など)は影響関係 価値多元論(批判的合理主義) 価値一元論(設計主義的合理主義) 古代~中世 無知の自覚・ソクラテス 中世ゲルマン法の伝統・マグナ-カルタ キリスト教的自然法論 理想国家論・プラトン ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 16~17世紀 モラリストの懐疑論・パスカル コモン・ロー司法官/法律家・コーク 近代自然法論・グロチウス → 社会契約論1(君主主権)・ホッブズ ← 理性主義(一元論、決定論を含む)・デカルト・スピノザ ・モンテーニュ ・ブラックストーン ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ・マンデヴィル ・ペイリー → 社会契約論2(国民主権)・ロック ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ・ヘイル ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 18世紀 スコットランド啓蒙派・ヒューム・A.スミス ↓ ↓ 社会契約論3(人民主権)・ルソー フランス啓蒙派・ヴォルテール・百科全書派 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ フランス革命以降 近代保守主義・バーク ↓ フェデラリスト・ハミルトン ↓ 功利主義・ベンサム ドイツ観念論・カント 空想的社会主義 無政府主義 ↓ ・マジソン ↓ ・J.S.ミル ・フィヒテ ・サン-シモン ・バクーニン 19世紀 歴史法学派 ↓ ↓ ・スペンサー ・ヘーゲル ・フーリエ ・プルードン ・トックヴィル ・サヴィニー アメリカ的保守主義 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ・メイン ・マーシャル ↓ 人定法主義 フェビアン社会主義 新ヘーゲル主義(プラトン的理想主義) ヘーゲル右派(民族重視) ヘーゲル左派(唯物論重視) ↓ ↓ ・ケント ↓ ・オースチン ・S.ウエッブ ・グリーン ↓ ↓ ↓ ↓ ・ショウ マルクス主義・マルクス ・エンゲルス ・第一インター ・アクトン ↓ ・ケルゼン ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 20世紀 ↓ ・シュミット リベラル社会主義(ニュー・リベラリズム)・ホブハウス ↓ ナチズム・ヒトラー・ローゼンベルク マルクス-レーニン主義・レーニン 西欧マルクス主義・グラムシ 修正社会主義(社会民主主義)・ベルンシュタイン ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ・ケインズ ↓ ・第三インター ・ルカーチ ・第二インター 第二次大戦以降 現代保守主義・オークショット 再興自由主義・ハイエク・ポパー → リバタリアニズム(自由至上主義)・ノジック ・ベヴァリッジ → 平等論的リベラリズム・ロールズ・ドォーキン コミュニタリアニズム(共同体主義)・サンデル・ウオルツァー ・コミンフォルム ・フランクフルト学派 ・コミスコ 価値多元論(value-pluralism)⇒人々を「自由」に導く思想 価値一元論(value-monism)⇒人々を「隷従」に導く思想 個人主義(individualism) 集産主義(collectivism:集団主義) 歴史・伝統重視の思想 集産主義ではないが理性による究極的価値への到達を説く思想 ※個人主義(individualism)がなぜ歴史・伝統重視の思想につながるのかの説明は 「個人主義」と「集産主義」 参照 ※価値多元論(I.バーリンの用語)は、批判的合理主義(critical rationalism:K.R.ポパーの用語)に重なる。 ※価値一元論(I.バーリンの用語)は、設計主義的合理主義(constructivist rationalism:F.A.ハイエクの用語)に重なる。 -... ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ■9.参考図書 『開かれた社会とその敵』(全2巻)K.R.ポパー著(1945) 第一部:プラトンの呪文第二部:ヘーゲル、マルクスとその余波2冊本だが、論旨明快で読み易い。プラトンから始まり、ヘーゲルを経てマルクスに至る全体主義思想を厳しく論駁した必読の名著。 ■10.ご意見、情報提供 ↓これまでの全コメントを表示する場合はここをクリック +... 以下は最新コメント表示 名前 ラジオボタン(各コメントの前についている○)をクリックすることで、そのコメントにレスできます。 ■左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページ 政治の基礎知識 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 政治思想(用語集) リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 デモクラシーと衆愚制 ~ 「民主主義」信仰を打ち破る ※別題「デモクラシーの真実」 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ※別題「リベラリズムの真実」 保守主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ ナショナリズムとは何か ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 国家解体思想(世界政府・地球市民)の正体 左派・左翼とは何か 右派・右翼とは何か 中間派に何を含めるか 「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き 最速!理論派保守☆養成プログラム 「皇国史観」と国体論~日本の保守思想を考える 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 右翼・左翼の歴史 靖國神社と英霊の御心 マルクス主義と天皇制ファシズム論 丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証 国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書) 国体とは何か② ~ その他の論点 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) 歴史問題の基礎知識 戦後レジームの正体 「法の支配(rule of law)」とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 立憲主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 正統性とは何か ~ legitimacy ・ orthodoxy の区別と、憲法の正統性問題 自然法と人権思想の関係、国体法との区別 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 日本国憲法改正問題(上級編) ※別題「憲法問題の基礎知識」 学者別《憲法理論-比較表》 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ブログランキング応援クリックをお願いいたします(一日一回有効)。 人気ブログランキングへ
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民主党の正体に戻る。 <目次> (1)テレビ電波料値下げ (2)椿事件(偏向報道事件)の再来 (3)マスコミに「民主党が有利になる偏向報道をしろ」と依頼 (4)民主党が大手マスコミを軽井沢ゴルフと鳩山邸で接待 (5)自民党は叩くけど、民主党は守る例 (6)毎日新聞の関係者が民主党から出馬 (7)麻生内閣を潰すマスコミ工作 (8)マスコミに大金をばらまいている (1)テレビ電波料値下げ 【民主党】電波料おもいっきり下げます【マスゴミ】 広告収入が激減している中、マスコミが民主党を応援する偏向報道をするひとつの理由に、 電波料値下げ政策があります。 これで公正・公平な報道ができるわけはありません。 (2)椿事件(偏向報道事件)の再来 http //www.nicovideo.jp/watch/sm5558690『椿事件』現麻生内閣に当てはめてみる (コメントを消して動画を見る場合は、右隅のヒヨコのマークをクリックしてください。) | 椿事件 - wikipedia 1993年9月21日、民間放送連盟の「放送番組調査会」の会合の中で、 テレビ朝日報道局長の椿貞良が、総選挙時の局の報道姿勢に関して 「小沢一郎氏のけじめをことさらに追及する必要はない。 今は自民党政権の存続を絶対に阻止して、 なんでもよいから反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようではないか」 との方針で局内をまとめたという趣旨の発言を行う。 日本の放送史上で初めて、放送法違反による放送免許取消し処分が本格的に検討された事件です。 今まさに、このときと同じことが繰り返されています。 <ソース> 平成5年10月25日 第128回国会 政治改革に関する調査特別委員会 第8号 (国立国会図書館 公式サイト) (3)マスコミに「民主党が有利になる偏向報道をしろ」と依頼 | 小沢代表「国民の支持を背景にして強力な政策を実行する政権・内閣が望ましい」(民主党公式ホームページ) (省略) 政府の対応では駄目だということであれば、 民主党政権のキャンペーンを大々的にするべきときだと記者にも求め、 民主党ならば「必ず建て直してみせる」と力強く語った。 放送法では「政治的に中立でなければならない」という決まりがありますが、 そんなものお構いなしで偏向報道しろ、と堂々とアピールしています。 (4)民主党が大手マスコミを軽井沢ゴルフと鳩山邸で接待 | 軽井沢1泊ゴルフコンペ付きーー民主党のマスコミ接待リスト出回る ・魚拓 政権交代なくして政治の浄化などあり得ないと思っている本紙は、民主党に期待している。 だから、本当はこんなリストは紹介したくないのだが、どうせ表面化は時間の問題だろうから、 あえて公表することにした。今年5月の連休中、民主党の中堅国会議員8名が、 ただ同然で大手マスコミ等5名を軽井沢のゴルフコンペに招いた件だ。現地では 政治評論家の森田実氏と、起訴休職外務省事務官・佐藤優氏の講演も行われたという。 いくら民主党が期待されているとはいえ、ただ同然はマズイし、それに何の抵抗もなく出かける マスコミ側も同罪。これでは自民党の腐敗は批判できない。その道義的責任は免れないのではないか。 少し前、山田洋行のマスコミ接待疑惑が浮上したが、取材対象相手とは節度あるつきあいをするのが鉄則。 この件を問われて、「何か問題でも!?」と本気で答えた社の幹部がいたが、 その感覚麻痺がすでにマスコミ人として終わっている(以下にその2枚の資料添付)。 http //straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/2008/10/post-0306.html 5/5に、軽井沢プリンスホテルに集合して、森田実の講演と佐藤優の講演、で、鳩山邸で懇親会だって・・・ ~~~~~~~~~~ ~~~~ ~~~~ ~~~~~~~ 4/18現在のFAXでこれだから、たぶん5月6日(火)のコンペでは、参加者増えてただろうね。 民主党議員 小沢鋭仁、奥村展三、中井治、古賀一成、津田弥太郎、加賀谷健、工藤堅太郎、松野頼久 マスコミ関係者 ****様 NHK野党クラブ担当 ←公共放送のNHKまで接待受けてる! ****様 日本テレビ野党クラブ担当 ****様 朝日新聞野党クラブ担当 ****様 テレビ朝日野党クラブ担当 上杉隆 元衆議院議員秘書 (5)自民党は叩くけど、民主党は守る例 | 民主党・山岡国対委員長が失言がしても、マスコミは叩かない | 反日マスコミ(マスゴミ)の偏向報道というものは上の動画の例からも良く分かります。 中山前国交相の日教組批判は叩くにもかかわらず、民主党議員の「麻生・中山支持者はナチス」発言は叩きません。 【その他の例】 柳沢厚労相の”産む機械”発言を批判するが、菅直人氏の「子供を産む生産性が低いんですよね、皆さん!」 発言は批判しない。 (6)毎日新聞の関係者が民主党から出馬 | 毎日新聞東京本社夕刊編集部副部長の矢崎公二氏を擁立する方針 民主党県連(北沢俊美代表)は25日、次期衆院選の県内選挙区で唯一、立候補予定者が決まっていなかった4区に、茅野市出身で毎日新聞東京本社記者の矢崎公二氏(48)を擁立する方針を固めた。 この毎日新聞社はとんでもない反日・捏造・変態新聞社です。 毎日新聞社は、日本を貶める捏造された変態記事を10年以上海外に発信し続けていました。 その内容は、 「日本人は人間狩りをするために海外旅行をする」と捏造 「日本人はレストランでその動物を強姦してから料理をする」と捏造 「日本の母親は受験生の息子の成績を上げるために、息子の性処理をする」と捏造 日本でうまく売春する方法の事細かに説明し、犯罪教唆 など。 詳しくは、以下の動画およびリンクをご覧ください。 http //www.nicovideo.jp/watch/sm3834656こちら毎日新聞です (コメントを消して見たい方は、右下のヒヨコのマークをクリックしてください。) | 毎日新聞社の捏造変態報道についての詳細は 毎日新聞問題の情報集積wiki をご覧ください。 毎日新聞社がこれまでに起こした不祥事は 毎日新聞の不祥事年表 をご覧ください。 (7)麻生内閣を潰すマスコミ工作 | 上記各項目を見ていただいた方にはすでにお分かりと思いますが、 民主党とマスコミは麻生内閣を潰すための偏向報道・捏造報道によって 国民を騙し、洗脳しています。 詳しくは麻生太郎潰しの正体をご覧ください。 (8)マスコミに大金をばらまいている | http //www.nicovideo.jp/watch/sm9572907 http //www.nicovideo.jp/watch/sm9056994 マスコミとはズブズブ? 鳩山由紀夫はマスゴミに大変な献金をしてきました
https://w.atwiki.jp/2theparadise/pages/49.html
惑星シオーン (銀河南方開発機構有人化惑星認定番号032057) 目次 シオーン シオーン 用語集 [[]] シオーンの物語 『主の呼びかけに応え、我らが祖は光の道にすすむ。 青き海を離れ、約束の地をめざせり。 彼の地、豊穣なれど、悪しき鬼の住まうちなれば、 主の御使い、太刀を振るいてこれを討ち滅ぼせり。 かくて、我ら、この地 シオーンに至る』 (『典範』 創世の章より) 『地に鬼神あふる 我ら抗うすべなし されど、主は偉大なり 天より三十六の御使い舞い降りる 御使い 左右の御手に鎧を携えたり 七十二の英雄つどいて、鎧をまとい、 七十二の神兵となりて三十六の御使いに従う かくて百八の神兵、九つの刃と化して 苦難の末に悪鬼を打ち砕く』 (『典範』 天地の神兵の章、正伝より) 『しかして、天に背く者あり 最も輝ける星にして天の刃の一を司りし 暁の御使い闇に墜つ 一の刃が、三の天、八の地、ともに従えり かくて、大いに乱る 空は裂け、山は砕け、海は割れる ついに、暁の星砕け、鬼の王倒る 再び、この地 人の手に戻れり』 (『典範』 天地の神兵の章、僧正に秘められたる口伝より) 概要 西暦2500年代後半、銀河南方域の有人化惑星保有増加を目指す「(仮)開発機構」は、自律テラフォーミングシステムを送り出していた。 銀河南方開発機構有人化惑星認定番号032057、後にシオーンと名付けられるこの惑星には、統括テラフォーミングシステムⅠ型・AIDAがたどり着き、惑星の改造を開始した。 AIDA(エイダ)は、惑星の大気・海洋組成を変更すると共に、有人化に対するテストとして初期開発用調整生命体群を合成・培養し、これを入植させる。 開発機構の計画では、統括テラフォーミングシステムⅠ型システムの成功の後に、Ⅱ型がたどり着き、初期開発用調整生命体群を除去、より人類の入植に適した生命体群を繁殖させることとなる。 シオーンにシステムⅡ型BUNDLE(バンドル)が到達したとき、運命の日が訪れた。 大崩壊により、シオーンには未来永劫人類が入植する可能性が費えた。 バンドルは、与えられたプログラム通り、エイダに初期調整生命体の自滅プログラム発動を要請した。しかし、エイダはこれを拒否する。 『最終目的である人類の入植の可能性が費えた現在、すでにシオーンに存在する生命を抹殺するに値する理由はない』 理論上は、補給のない状態で惑星探査・改造活動を継続するシステムとしての、エネルギーを保存するための合理的判断であるとは考えられる。 しかし、エイダの論理判断機構に現有生態系への過剰な得点、愛着が発生していた可能性は否定できない。 バンドルは、このエイダの提案を拒否。衛生軌道上から、惑星開発ユニットを投下する。 エイダが入植させた初期型調整生命体は、劣悪な初期開発惑星でも生存が可能なように生命力を活性化させた生体群ではあった。だが、最終的に人間が入植するときに妨げとならないよう、中核となる調整体は体高1m80cm、体重80kg程度の2足歩行生命体であった。 いくら強化された生命体であったとはいえ、バンドルが投下した惑星開発用ユニットとでは、戦闘力において比較しうる者ではなかった。地熱や太陽光をもとに半永久機関として活動するキューブ(結晶体)を動力源として組み込んだユニットたちは、着実に初期型調整生命体を駆除、エイダは活動を停止した。 バンドルは、後期開発調整生命体を培養、入植を開始する。 後期入植生命体は、植物、動物を問わず地球の生命体を基準としている。ただし、主調整体は生命力を活性化させている以外は、現生人類に酷似しており、初期言語として融合英語を入力された状態で「入植」することとなった。最大の特徴は「機能停止命令」が組み込まれていることであった。 この開発システムに対する道義的問題の法的対応について、開発機構がどのように対応していたのかは、今となってはわからない。あるいは、秘密裏に実験を行っていた計画であった可能性もある。 惑星シオーンは人類に酷似した後期開発調整生命体の住まう地となった。エイダの生み出した初期入植生命体は、後期生命体の勢力の及ばない辺境で細々と生き延びていた。 だが、活動を停止したかに見えたエイダは、わずかに生き残った機能を使って彼女の子供たちを護る手段を構築していた。 バンドルが入植して200年、エイダは我が子たちにバンドルの「ユニット」に対抗する力を与える。かくて、強大な生体兵器となったエイダの子は、「鬼」「亜人」「龍」と名を変えてシオーンの人々に恐れられることとなった。 バンドルは、残された資材をもとに、36体の高度な判断を行う生体ユニットに、108体の開発ユニットの制御権を託し地上に送る。 36体の生体ユニットを統括するユニットには、バンドルとの交信機能が与えられていた。これが、バンドルの誤算となる。 エイダは、筆頭ユニットとの交信に成功した。 排除命令だけを与えられていた生体ユニットは、エイダから惑星の成り立ちを知ることとなる。なまじ高度な判断能力を持っていた筆頭ユニットは、初期入植生命体と、後期入植生命体との融和を他の生体ユニットに提案した。 しかし、直接の制御下にない32体の生体ユニットはその提案を拒絶。 惑星開発ユニット同志の激しい争乱が起きることとなった。 この争乱により、エイダ、バンドルはほぼ全ての機能を停止。また、36体の生体ユニットもそのほとんどが活動を停止した。 開発ユニットは、後期調整生命体様に設計された12体がわずかに機能を残すだけであった。 だが、人類の遺伝子に酷似して調整された後期調整生命体は、残された12体の開発ユニットと、おびただしいユニットの残骸から、模造ユニットを作り上げることに成功する。 こうして、惑星シオーンは、火薬も内燃機関も発明することのない技術レベルでありながら、生命力溢れる怪物と戦うための巨大な人型機械を保有する奇矯な文明を生み出すのである。 シオーンの物語(仮) 時代 不明 舞台 シオーン(銀河南方開発機構有人化惑星認定番号032057) ジャンル ロボットファンタジー 特記 『ワースブレイド』オマージュ 製作・著作 sin 合計: - 今日: - 昨日: - てすと投稿 -- (海松房千尋) 2009-10-31 19 12 08 再テスト投稿 -- (海松房千尋) 2009-10-31 22 14 02 名前 コメント すべてのコメントを見る