約 66,491 件
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/10286.html
638 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/03/19(木) 14 14 45.25 ID lRgtSgPc0 [1/3] ちょっと報告 重量管理系のあるシステムでキャンペーンを行った時のこと 筋力不足のAが幾つかのアイテムをファイター系のマッチョBにアイテムを預けることがあって その時に、俺のものはお前のもの、おまえのものはおまえのもの みたいな本人曰く逆ジャイアニズムなものを言い出した この時点ではあくまで持ってもらう方便と見なされていて 全員なんだよそれwwwみたいに極々普通のRPとして取り扱われていた さらに次回のセッションでそのPCが余った金をおまえのもの、と言ったPCに渡して 渡されたPCも割とご満悦というか、PL発言として装備強化出来たことを有難がっていた この時点では他のPLも若干羨ましそうに見ていたけど ファイターに助けてもらってることに対する恩返しだし、PTの強化に繋がるので許容 639 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/03/19(木) 14 15 26.47 ID lRgtSgPc0 [2/3] でここから困がやり始めた その次のセッションの冒頭でAがシナリオと無関係のNPCを闇討ちして強盗 その成果を半ば強制的に、Bに押し付けようとする Bはそんなもの受け取ったら共犯にされるからと受け取りを辞退しようとするが PC目線ではその金銭が蛮行によるものとは把握できないし、 今までの経緯からここで受取拒否は不自然ということで強制的に受け取らせる さらにAがPL発言として、「いや~俺の罪を全部引き受けてくれるPCがいるとか有難いわぁ、あっこれPL発言なんで気にしないでください」 とか言い出して、ここではっきりと追い出すなりやめさせるなりをすれば良かったんだろうけど Bが突然じゃあ俺のものはおまえのもの、おまえのものはおまえのものってまた別のPCにおっ被せた 結局このまま罪をただ擦り付け合うだけのDQN集団になって 気付いたら俺のPCは一大強盗集団のボスみたいな立場になってて このままキャンペ終わらせていいと思ってそのまま投獄された 642 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/03/19(木) 14 21 51.81 ID S6zmcFoR0 [3/3] 638-639 押しつけたAは最初からBをハメる気だったのかねぇ この脱線はちょっと楽しそうな脱線ではあるんだが、 完全に脱線して話が潰れてる件について、GMの反応はどうだったんだろうか 645 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/03/19(木) 14 37 21.85 ID sAbLZD0k0 [1/2] Bも類友だよこれ 654 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/03/19(木) 16 48 49.21 ID JGLPFWCo0 [4/4] 639 報告乙、スルー気味ですまん ハメる意図があったか面白いと思ってやったのかは判らんがどっちにしろAは困 Aに意趣返しをするならともかく模倣して被害拡大してる時点でBも困だな …これ以上あんまり言う事ないな。良い報告だ 655 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/03/19(木) 17 02 28.50 ID RGRCwAD60 638 乙 639から急に困行動になったな > 「いや~俺の罪を全部引き受けてくれるPCがいるとか有難いわぁ、あっこれPL発言なんで気にしないでください」 この時点で駄目、PLがPLを攻撃してる 可能性としてAは冗談や悪ふざけのつもりだったかもしれないが 冗談でこんな言動するやつとは卓を囲めない Bも周りもAをちゃんと拒否できれば良かったんだけど Aの言動は普通じゃないからな、Bは混乱しちゃったんじゃないか Bは被害者でしょ 659 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/03/19(木) 18 55 10.15 ID BRhQSn0c0 [1/3] 638乙 639みたいな事を言うために周到に伏線を 638で張ってたんだろうな 660 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/03/19(木) 19 05 32.07 ID P+2Xpybd0 [1/2] 638 乙。Aを早々に叩き出さなかったのが失敗だったね。GMも何やってんだと思うけど。 PL発言で他のPCに罪被せようとした時点で、唐突でも目撃者を生やしてAを投獄しても良い位なのに。 BもBで、なんで他のPCに押しつけようとしたんだか。 投獄後、AとBはその後どうなったのか気になるな。Bは謝れば良いけどAは追放ものだぞ。 662 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/03/19(木) 19 50 15.92 ID 6B9Tbaju0 660 Bもへたに共犯にされるくらいなら Aを告発する手もあったのにな うまくAに乗せられた感じね 664 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/03/19(木) 20 05 57.06 ID lBTXVtJu0 Aが困なのは間違いないが、これに全員乗っかってずるずるいっちゃうって Aのプレイングを肯定しているようなものじゃん 本当に誰も何もしなかったのか 665 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/03/19(木) 20 12 16.81 ID lRgtSgPc0 [3/3] 642 GMはほぼキレ気味でした 結局その回のセッションは始まって30分ほどでAが強盗やらかすところから 他のプレイヤーに擦り付け合うところまで延々とやられて GMのシナリオがほぼ一切進まず、自分もそれに合わせて終わらせるつもりでの 半協調みたいな感じで終了させに行きましたし Aいわく、せっかく面白い設定を付け加えてあげたのに、 その設定にシナリオを絡める様子も見れなかったから (シナリオとは関わりのない枝道ではちょこちょこ使ってた) 無理やり絡める展開に持って行こうとしたとか言ってましたが 最初からそのつもりだったのかどうかは結局わかりません 666 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/03/19(木) 20 21 11.46 ID kx/WIvcb0 [2/4] 665 Aみたいのがおかしな自信とシンパをあつめると 「やっぱ、半構造の(ry」なんて言いだすんだろうなあ スレ409
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2726.html
ゆっくりいじめ系1792 子育て物語 前編より続く 『ゆ"びぃぃ!!!!』 「ゆっ!?」 突然の悲鳴でれいむの幸せで夢心地の気分は覚めた。 まりさと目を見合わせる。 「ゆゆ? なんのこえ? ゆ、ゆっくりできないよ」 「ゆ、ゆゆゆ…」 れいむとまりさは声の正体に気付いていた。 世界にたった一人の娘の声をどうして聞き間違えようか。 でもそれがどうしてあんな声を? あんなに元気よく出ていったばかりなのに? もう一度耳を澄ましてみたが何も聞こえない。 これで元気な声が聞こえれば気のせいだったと安心できる。 でもやっぱり何の声もしなかった。 幸せな気分は一瞬でけし飛び、代わりに心が不安一色で染まる。 「れーむ!!!」 れいむとまりさは飛ぶように駆けた。 一直線に子れいむの去った方向へと走り抜ける。 背の高い草木を押し倒し、背の低い茂みは飛び超え、 途中で小石を踏んでも枝で頬に擦り傷がついても、なりふり構わず出来る限りの最速で森を駆けた。 子れいむは広場に行くと言っていた。 それに悲鳴もちゃんとその方向から聞こえていた。 だからその途中にいるはず。 れいむとまりさは一層深い茂みをくぐって抜けた。 「ゆ"…ゆ"ぶう"ぅ"…」 うめき声が聞こえる。 その声の主を見ると子れいむは予想通りそこにいた。 だが、期待通りの"気のせい"ではなかった。 「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」 「れーむ"!! れ"ーむ"う"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!!!!」 子れいむは仰向けに倒れていた。 そして、頭の左側が無くなって、いや陥没していた。 傷口からは餡子が漏れ出し、周囲の地面にも茶色い飛沫が付いていた。 残った右目からは涙が滝のように流れ、口からは荒い息とともに悲鳴が吐き出されていた。 「あー、何だお前ら? 知り合いか?」 そして子れいむから数m離れた所に初めて見る動物。 いや、頭の根底にある知識で分かる。この動物は人間さんだ。 その人間さんは太い枝を持っていた。先は茶色い。 あの茶色いのは間違いなく子れいむの中身だ。 ゆっくりでも状況判断ぐらい出来る。 子れいむはあの枝で殴られた。 だがしかし、それを人間さんがやったとは信じられなかった。 なぜなら人間さんは親からも広場の仲間からも聞いたようにとっても優しい性格をしているはずなのだから。 それに… 「れーむ"!! れーむ!! ゆっぐりへんじじでぇぇぇ!!!」 「どうじだのぉ! なんでゆっぐりじでないの"!! ゆっぐりじようよぉぉぉぉぉ!!!」 我が子の傷ついた姿を前にして、親であるれいむとまりさは人間さんについて考える余裕はほとんどなかった。 そんなこと考えるぐらいならば子れいむを何とかしたかった。 れいむ達の必死な呼びかけが通じたのか子れいむの残った右目がれいむを映した。 そして震える唇で言葉を綴る。 「おがー、ざん。い"だい"よ"…ゆっぐり、じだいよ"…」 「れ"ーむ"!! ゆっぐりじだいならいっじょにゆっぐりじようよ"!!」 「ごんなげがずぐになおる"よ"! だがらだいじょうぶだよ!! だいじょうぶなのおぉぉぉぉ!!!」 「ざぶい、よ…おがーざん、からだ、がづめだいよ"… おが、ぁざん…おがーざん……お、があざぁん…だずげで、ごわい、よ"…」 「あ"あ"あ"!! ゆっぐりじでってよ"ー!!」 触れれば割れてしまいそうなほど弱った子れいむの傍でれいむとまりさは泣き叫んだ。 「うるさいなぁ。もう行くよ?」 「…ゆっ」 人間さんは子れいむのことなんてどうでも良さそうにその場を去ろうとする。 それに気付いたまりさは人間さんの方へと跳ねていった。 「まっでにんげんざん!! れーぶをだずげでね"!!」 そう、助けを求めに行ったのだ。 聞いた話ではお菓子をくれたり、一緒に遊んでくれる優しい人間さん。 ならきっと助けてくれると考えたのだ。 だが人間さんの答えは期待とは全く逆のものだった。 「何で助けなきゃいけないんだよ。 そもそもそいつを潰したのは俺だぜ?」 「な、な"……」 まりさはその言葉に驚愕せずにはいられなかった。 それ以上声も出さず頭がフリーズしてしまう。 その間にも子れいむは弱っていく。 れいむはそんな娘を見ることしかできない。 「おが、ぁ、ざん…おがーざ、ん…おがーざん…」 「おがーざんはごごにいるよ"!! だがらねぢゃだめだよ!!」 「お、がーざん……じにだぐ、ない"よ"………」 「じんじゃだめぇぇぇぇ!! まだれーぶはたぐざんゆっぐりできるのに"!! どうじで!! どうじでえええぇぇぇ!!!」 れいむの頭には子れいむとの思い出が断片毎に浮かんでくる。 最初の産声をあげたこと。 初めておかーしゃんと呼んでくれた日のこと。 それから初めて一緒に外の世界を散歩したこと。 広場に行った帰りにお友達が出来たことを喜んでいたこと。 そして日ごとに成長して、ようやく一人立ちしたこの日のこと。 これからも思い出を作っていけるはずなのに。 「ゆぶっ、げふっ…おがー、じゃん」 どうしてこんな苦しそうなの。 どうして顔が半分なくなってるの。 「おかー…さん……」 どうして、動かなくなっちゃったの。 子れいむは空気を吐くように小さく呟いたあと、二度と動くことはなかった。 さっきまで流していた涙ももう出ない。 風が吹かなければまるで時が止まったようでもあった。 「うそ、だよ… ゆっくりしてるだけだよね。れーむ、へんじをしてよれーむ」 れいむは生気が抜けたような顔をして何度も子れいむに返事を求める。 だがいくら声をかけても愛しい我が子の声は聞けなかった。 「あ、ああ…あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!! なんでぇ!! なんでええええええ!!!」 れいむは子れいむの亡骸に顔を埋めて泣いた。 自らの母親が死んだときよりもずっと大声で泣いた。 「ゆ"う"う"う"う"う"う"う"!!! どうじでごんなごどじだのおおおお!!!」 子れいむから離れた場所で震えて子れいむの様子を見ていたまりさだったが、 れいむの様子から子が死んだ事を察して泣き喚いた。 そして子れいむを殺したと言う人間の足元に縋りつく。 人間はそんなまりさは冷たい目で見るだけだった。 まりさの問いには何も答えず、足に纏わりつくまりさを蹴り飛ばした。 「ゆ"っ…う、ううううう!! ごだえでよ!! なんでなの!! ゆっぐりごだえでよ!!」 地面を数回転して地面に伏したまりさだったが、すぐに起き上がると再び人間の元へと跳ね寄った。 「ふぅ」 ここでようやく人間は口を開く。 それと同時に太い枝を持った腕を振り上げた。 「そうやってウザいからだよっ!」 「ゆ"ぶべっ!」 まりさは人間の膝に向かって飛びこんでいたはずだった。 が、次の瞬間には地面に顔面から激突していた。 意識が一瞬飛んだ。 目の前が真っ白になった。 全身に、特に後頭部に強い痺れを感じる。 今痛いのは地面に当たった顔面だけ。 「ゆ"?? ??? ……??」 自分の身に何が起きたのか、まりさは数秒分からなかった。 激痛が遅れてやってきてようやく殴られたと分かった。 「あ、ひ…ぁあぎぃいぃぃぃぃぃぃいいい!!!!」 頭が割れるような痛み。 人間で言えば頭だけのゆっくりにとっては全身の痛みだ。 「ゆぎゅぶぅ…うぇ、げぼっ… びいい!! ゆびぃぃぃぃぃぃ!!!」 餡子を時折吐き出しながらもまりさは痛みに泣き叫ぶ。 ずくんずくんと鼓動のような衝撃が断続的に体中に響く。 まりさは今、人間に対する怒りも、子れいむを失った悲しみも頭になかった。 あるのは痛みの強烈な不快感と恐怖だけだった。 「まりざあ"あ"あ"あ"!!!!」 れいむは見ていた。 人間が太い枝を振り下ろし、まりさを叩き落したところを。 地面に落とされたまりさはピクピクと痙攣し、やがて大声で泣き叫んだ。 まりさの帽子は一瞬でぺちぇんこに潰れてまりさの頭に貼りついていた。 金髪と帽子の間からはまりさの中身が流れ出ていた。 あの貼りついた帽子を剥がしたらきっとまりさの頭はグチャグチャだ。 れいむは愛するまりさの名を叫ぶ。 本当はまりさに擦り寄ってあげたかった。 だがれいむはその傍に立つ人間への恐怖で腰が抜けた状態になっていた。 近付いたら自分も殺されてしまう、本能的に体がそう感じ取って一歩も動けなかったのだ。 「やだよ! やだよぉぉ!! まりざしんじゃだめ"ええええ!!!」 だから今れいむが出来るのはただ叫ぶだけ。 怒りも悲しみも全て声にして泣き叫ぶしか出来なかった。 だがれいむの叫び、願いは叶うことはない。 「あぶっ、ゆべぇぇぇ!! おげ…ゆごおぇぇぇ」 まりさは全身を苛む痛みと苦しみに耐えきれず餡子を吐き出し始めていた。 うつ伏せに倒れているので吐きだされた餡子はゆっくりと地面を這っていく。 「ゆ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!! や"べでよ"お"お"!! もうや"だよ"!!! ゆっぐりざぜでよぉぉぉぉお!!!!」 森全体にも響き渡るような大声だ。 だがそれとは反比例するかのようにまりさの声は徐々に小さくなっていた。 「ゆ…ひ…ゆ"ぶ…」 もう吐き出せるだけの餡子がないのだろうか。少し体が縮んでいた。 死が近いのだろう。 さっきまで体をプルプル痙攣していたものが今は数秒ごとにブルッと体を大きく不自然に震わせていた。 そして回を重ねるごとにその震えは小さいものになっていく。 「おねがいゆっぐりじでよ"お"お"お"お"!! もう、やだだよお"お"…ゆげぇ…… あ…ぎゅぅ、ゆっぐりじでえ"え"え"え"」 少量の餡子を吐き出しながらもまた叫ぶれいむ。 放っておけばいつまでも続きそうだったが、ここで人間が動いた。 泣き叫ぶれいむ達を無感情に眺めていた人間だったが、「はぁ」とため息をつくと枝をその場に捨てた。 カランと乾いた音が響く。 「ひっ」 枝が落ちる音にれいむは敏感に反応し、怯えた声を出して人間の様子を探る。 何せ次の瞬間には襲いかかってくるかも知れないのだから警戒して同然だ。 人間はそんなれいむを見て再び溜息をつく。 「ったく。 これに懲りたら次から纏わりつくんじゃねぇぞ? お菓子くれだの遊んでだの会うたびに寄ってきやがる」 人間が何を言っているのかれいむには分からなかった。 餡子脳をフル回転させて何とか理解しようとする。 もっとも恐怖で頭が麻痺しているので何を言われても理解に時間はかかっただろうが。 子れいむとまりさを殺した男は何もゆっくりを殺しにきたわけじゃなかった。 春の実りを探しにこの森まで遠出してきただけだった。 しかしこの森のゆっくりは『人間さんはゆっくりさせてくれる』と思い込んでいる。 だから男に会ったゆっくりは当然のように自分もゆっくりさせてと何の警戒もなく、人懐こく、そしてしつこく近寄った。 最初は適当にあしらっていた男だったが、それが三回目になるとウザったく感じた。 四回目では怒りすら感じた。 そしてイライラしている五回目に出会ったのが子れいむだった。 子れいむも人間さんの噂は聞いている。 会えるなら会いたいとも思っていた。 そして―― 「にんげんさん! ゆっくりしていってね!!」 「はぁ…またかよ」 「れいむといっしょにゆっくりしようよ!!」 子れいむは笑顔で男に近づいていく。 子れいむにとっては初めて会う優しい人間さん。 でも男にとって子れいむはイラつきの対象でしかない多数いるゆっくりれいむのうちの一匹でしかない。 「あー、ゆっくりしたいなら一匹でやれよ」 「ゆぅ、れいむはにんげんさんとゆっくりあそびたいよ!! いっしょにゆっくりしようよー!!」 子れいむは男の周りをグルグル跳ねまわる。 男は怒りを堪えているのか押し黙る。 そんな男の様子に気付かない子れいむは男の足に向かってスリスリし始めた。 「ゆゆーん、ゆっくりしようね!!」 ここで男はキレた。 足に擦りつく子れいむをまず蹴って転がした。 「ゆ…? ゆ、ゆっくりしてね…?」 頭に疑問符を、瞳に微かな怯えを浮かべた子れいむに男は近づいていく。 ちょうどその間に殴るのに手頃な太い枝があった。 男はそれを拾い、手を頭上に掲げ―― 「ゆ?」 容赦なく振り下ろした。 後はれいむの知っている通りだった。 子れいむは男の一撃で頭の左を潰されて死に、まりさは脳天を潰されて死んだ。 れいむはガタガタと震えていた。 実際人間の言っていたことの真意は掴めていない。 だが男の言葉にはゆっくりへの怒りが籠っていることだけはよく分かった。 このままここにいたら殺されると思った。 だが真っ青な顔で震えるれいむに人間は手を出すことはなかった。 フンと鼻をならすとそれ以上何も言わず、背を向けてどこかへ去っていった。 怖い人間が去ったことでれいむはその恐怖から解放された。 でも周りの光景を見ると恐怖から解放されたことの喜びなどあるわけが無い。 心はどこまでも深く沈んでいた。 隣には蟻が数匹寄ってきた子れいむの亡骸。 目の前にはいつの間にか事切れていたまりさのなれの果て。 れいむはそれを見たところでもう泣くことも叫ぶことも出来なかった。 涙はとっくに枯れ果てた。口の中だってカラカラだ。 声だってもう枯れている。それに口を動かして声を出す体力すら無い。 れいむはただ、死人のような顔で子れいむとまりさを交互に視線を向けるだけだった。 れいむは最高の伴侶を得て赤ちゃんを授かった。 苦労もあったけどまりさの支えもあってその娘は立派に育った。 本当にしっかりとして優しい子で、明るい未来が待っているはずだった。 そうして旅立った子れいむは今ここで潰れていた。 今までずっと幸せだったのに。 三十分にも満たない時間で幸せは粉々に砕かれた。 壊れたのがおうちや綺麗な石といった物ならまた探せばいい。 でもれいむの家族はもういない。 死んだ家族が生き返ることはない。 れいむは呆然とその場に立ち尽くすだけだった。 もう二度と幸せな日々には戻れない。 れいむの不幸は続く。 まりさと子れいむの思い出が心にある限り、ずっと。 終 by 赤福 ゆっくりが長い時間をかけて積み上げた幸せを破壊したい。 てなわけで前置きを長め取ってみました。長すぎ? 場面の節々で何度ヒャッハー我慢できねぇと叫びながら虐待的展開に派生させようと思ったことか。 読んでくださった方々はヒャッハー叫ばずに済みましたかね。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3023.html
ゆっくりいじめ系1792 子育て物語 前編より続く 『ゆ"びぃぃ!!!!』 「ゆっ!?」 突然の悲鳴でれいむの幸せで夢心地の気分は覚めた。 まりさと目を見合わせる。 「ゆゆ? なんのこえ? ゆ、ゆっくりできないよ」 「ゆ、ゆゆゆ…」 れいむとまりさは声の正体に気付いていた。 世界にたった一人の娘の声をどうして聞き間違えようか。 でもそれがどうしてあんな声を? あんなに元気よく出ていったばかりなのに? もう一度耳を澄ましてみたが何も聞こえない。 これで元気な声が聞こえれば気のせいだったと安心できる。 でもやっぱり何の声もしなかった。 幸せな気分は一瞬でけし飛び、代わりに心が不安一色で染まる。 「れーむ!!!」 れいむとまりさは飛ぶように駆けた。 一直線に子れいむの去った方向へと走り抜ける。 背の高い草木を押し倒し、背の低い茂みは飛び超え、 途中で小石を踏んでも枝で頬に擦り傷がついても、なりふり構わず出来る限りの最速で森を駆けた。 子れいむは広場に行くと言っていた。 それに悲鳴もちゃんとその方向から聞こえていた。 だからその途中にいるはず。 れいむとまりさは一層深い茂みをくぐって抜けた。 「ゆ"…ゆ"ぶう"ぅ"…」 うめき声が聞こえる。 その声の主を見ると子れいむは予想通りそこにいた。 だが、期待通りの"気のせい"ではなかった。 「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」 「れーむ"!! れ"ーむ"う"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!!!!」 子れいむは仰向けに倒れていた。 そして、頭の左側が無くなって、いや陥没していた。 傷口からは餡子が漏れ出し、周囲の地面にも茶色い飛沫が付いていた。 残った右目からは涙が滝のように流れ、口からは荒い息とともに悲鳴が吐き出されていた。 「あー、何だお前ら? 知り合いか?」 そして子れいむから数m離れた所に初めて見る動物。 いや、頭の根底にある知識で分かる。この動物は人間さんだ。 その人間さんは太い枝を持っていた。先は茶色い。 あの茶色いのは間違いなく子れいむの中身だ。 ゆっくりでも状況判断ぐらい出来る。 子れいむはあの枝で殴られた。 だがしかし、それを人間さんがやったとは信じられなかった。 なぜなら人間さんは親からも広場の仲間からも聞いたようにとっても優しい性格をしているはずなのだから。 それに… 「れーむ"!! れーむ!! ゆっぐりへんじじでぇぇぇ!!!」 「どうじだのぉ! なんでゆっぐりじでないの"!! ゆっぐりじようよぉぉぉぉぉ!!!」 我が子の傷ついた姿を前にして、親であるれいむとまりさは人間さんについて考える余裕はほとんどなかった。 そんなこと考えるぐらいならば子れいむを何とかしたかった。 れいむ達の必死な呼びかけが通じたのか子れいむの残った右目がれいむを映した。 そして震える唇で言葉を綴る。 「おがー、ざん。い"だい"よ"…ゆっぐり、じだいよ"…」 「れ"ーむ"!! ゆっぐりじだいならいっじょにゆっぐりじようよ"!!」 「ごんなげがずぐになおる"よ"! だがらだいじょうぶだよ!! だいじょうぶなのおぉぉぉぉ!!!」 「ざぶい、よ…おがーざん、からだ、がづめだいよ"… おが、ぁざん…おがーざん……お、があざぁん…だずげで、ごわい、よ"…」 「あ"あ"あ"!! ゆっぐりじでってよ"ー!!」 触れれば割れてしまいそうなほど弱った子れいむの傍でれいむとまりさは泣き叫んだ。 「うるさいなぁ。もう行くよ?」 「…ゆっ」 人間さんは子れいむのことなんてどうでも良さそうにその場を去ろうとする。 それに気付いたまりさは人間さんの方へと跳ねていった。 「まっでにんげんざん!! れーぶをだずげでね"!!」 そう、助けを求めに行ったのだ。 聞いた話ではお菓子をくれたり、一緒に遊んでくれる優しい人間さん。 ならきっと助けてくれると考えたのだ。 だが人間さんの答えは期待とは全く逆のものだった。 「何で助けなきゃいけないんだよ。 そもそもそいつを潰したのは俺だぜ?」 「な、な"……」 まりさはその言葉に驚愕せずにはいられなかった。 それ以上声も出さず頭がフリーズしてしまう。 その間にも子れいむは弱っていく。 れいむはそんな娘を見ることしかできない。 「おが、ぁ、ざん…おがーざ、ん…おがーざん…」 「おがーざんはごごにいるよ"!! だがらねぢゃだめだよ!!」 「お、がーざん……じにだぐ、ない"よ"………」 「じんじゃだめぇぇぇぇ!! まだれーぶはたぐざんゆっぐりできるのに"!! どうじで!! どうじでえええぇぇぇ!!!」 れいむの頭には子れいむとの思い出が断片毎に浮かんでくる。 最初の産声をあげたこと。 初めておかーしゃんと呼んでくれた日のこと。 それから初めて一緒に外の世界を散歩したこと。 広場に行った帰りにお友達が出来たことを喜んでいたこと。 そして日ごとに成長して、ようやく一人立ちしたこの日のこと。 これからも思い出を作っていけるはずなのに。 「ゆぶっ、げふっ…おがー、じゃん」 どうしてこんな苦しそうなの。 どうして顔が半分なくなってるの。 「おかー…さん……」 どうして、動かなくなっちゃったの。 子れいむは空気を吐くように小さく呟いたあと、二度と動くことはなかった。 さっきまで流していた涙ももう出ない。 風が吹かなければまるで時が止まったようでもあった。 「うそ、だよ… ゆっくりしてるだけだよね。れーむ、へんじをしてよれーむ」 れいむは生気が抜けたような顔をして何度も子れいむに返事を求める。 だがいくら声をかけても愛しい我が子の声は聞けなかった。 「あ、ああ…あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!! なんでぇ!! なんでええええええ!!!」 れいむは子れいむの亡骸に顔を埋めて泣いた。 自らの母親が死んだときよりもずっと大声で泣いた。 「ゆ"う"う"う"う"う"う"う"!!! どうじでごんなごどじだのおおおお!!!」 子れいむから離れた場所で震えて子れいむの様子を見ていたまりさだったが、 れいむの様子から子が死んだ事を察して泣き喚いた。 そして子れいむを殺したと言う人間の足元に縋りつく。 人間はそんなまりさは冷たい目で見るだけだった。 まりさの問いには何も答えず、足に纏わりつくまりさを蹴り飛ばした。 「ゆ"っ…う、ううううう!! ごだえでよ!! なんでなの!! ゆっぐりごだえでよ!!」 地面を数回転して地面に伏したまりさだったが、すぐに起き上がると再び人間の元へと跳ね寄った。 「ふぅ」 ここでようやく人間は口を開く。 それと同時に太い枝を持った腕を振り上げた。 「そうやってウザいからだよっ!」 「ゆ"ぶべっ!」 まりさは人間の膝に向かって飛びこんでいたはずだった。 が、次の瞬間には地面に顔面から激突していた。 意識が一瞬飛んだ。 目の前が真っ白になった。 全身に、特に後頭部に強い痺れを感じる。 今痛いのは地面に当たった顔面だけ。 「ゆ"?? ??? ……??」 自分の身に何が起きたのか、まりさは数秒分からなかった。 激痛が遅れてやってきてようやく殴られたと分かった。 「あ、ひ…ぁあぎぃいぃぃぃぃぃぃいいい!!!!」 頭が割れるような痛み。 人間で言えば頭だけのゆっくりにとっては全身の痛みだ。 「ゆぎゅぶぅ…うぇ、げぼっ… びいい!! ゆびぃぃぃぃぃぃ!!!」 餡子を時折吐き出しながらもまりさは痛みに泣き叫ぶ。 ずくんずくんと鼓動のような衝撃が断続的に体中に響く。 まりさは今、人間に対する怒りも、子れいむを失った悲しみも頭になかった。 あるのは痛みの強烈な不快感と恐怖だけだった。 「まりざあ"あ"あ"あ"!!!!」 れいむは見ていた。 人間が太い枝を振り下ろし、まりさを叩き落したところを。 地面に落とされたまりさはピクピクと痙攣し、やがて大声で泣き叫んだ。 まりさの帽子は一瞬でぺちぇんこに潰れてまりさの頭に貼りついていた。 金髪と帽子の間からはまりさの中身が流れ出ていた。 あの貼りついた帽子を剥がしたらきっとまりさの頭はグチャグチャだ。 れいむは愛するまりさの名を叫ぶ。 本当はまりさに擦り寄ってあげたかった。 だがれいむはその傍に立つ人間への恐怖で腰が抜けた状態になっていた。 近付いたら自分も殺されてしまう、本能的に体がそう感じ取って一歩も動けなかったのだ。 「やだよ! やだよぉぉ!! まりざしんじゃだめ"ええええ!!!」 だから今れいむが出来るのはただ叫ぶだけ。 怒りも悲しみも全て声にして泣き叫ぶしか出来なかった。 だがれいむの叫び、願いは叶うことはない。 「あぶっ、ゆべぇぇぇ!! おげ…ゆごおぇぇぇ」 まりさは全身を苛む痛みと苦しみに耐えきれず餡子を吐き出し始めていた。 うつ伏せに倒れているので吐きだされた餡子はゆっくりと地面を這っていく。 「ゆ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!! や"べでよ"お"お"!! もうや"だよ"!!! ゆっぐりざぜでよぉぉぉぉお!!!!」 森全体にも響き渡るような大声だ。 だがそれとは反比例するかのようにまりさの声は徐々に小さくなっていた。 「ゆ…ひ…ゆ"ぶ…」 もう吐き出せるだけの餡子がないのだろうか。少し体が縮んでいた。 死が近いのだろう。 さっきまで体をプルプル痙攣していたものが今は数秒ごとにブルッと体を大きく不自然に震わせていた。 そして回を重ねるごとにその震えは小さいものになっていく。 「おねがいゆっぐりじでよ"お"お"お"お"!! もう、やだだよお"お"…ゆげぇ…… あ…ぎゅぅ、ゆっぐりじでえ"え"え"え"」 少量の餡子を吐き出しながらもまた叫ぶれいむ。 放っておけばいつまでも続きそうだったが、ここで人間が動いた。 泣き叫ぶれいむ達を無感情に眺めていた人間だったが、「はぁ」とため息をつくと枝をその場に捨てた。 カランと乾いた音が響く。 「ひっ」 枝が落ちる音にれいむは敏感に反応し、怯えた声を出して人間の様子を探る。 何せ次の瞬間には襲いかかってくるかも知れないのだから警戒して同然だ。 人間はそんなれいむを見て再び溜息をつく。 「ったく。 これに懲りたら次から纏わりつくんじゃねぇぞ? お菓子くれだの遊んでだの会うたびに寄ってきやがる」 人間が何を言っているのかれいむには分からなかった。 餡子脳をフル回転させて何とか理解しようとする。 もっとも恐怖で頭が麻痺しているので何を言われても理解に時間はかかっただろうが。 子れいむとまりさを殺した男は何もゆっくりを殺しにきたわけじゃなかった。 春の実りを探しにこの森まで遠出してきただけだった。 しかしこの森のゆっくりは『人間さんはゆっくりさせてくれる』と思い込んでいる。 だから男に会ったゆっくりは当然のように自分もゆっくりさせてと何の警戒もなく、人懐こく、そしてしつこく近寄った。 最初は適当にあしらっていた男だったが、それが三回目になるとウザったく感じた。 四回目では怒りすら感じた。 そしてイライラしている五回目に出会ったのが子れいむだった。 子れいむも人間さんの噂は聞いている。 会えるなら会いたいとも思っていた。 そして―― 「にんげんさん! ゆっくりしていってね!!」 「はぁ…またかよ」 「れいむといっしょにゆっくりしようよ!!」 子れいむは笑顔で男に近づいていく。 子れいむにとっては初めて会う優しい人間さん。 でも男にとって子れいむはイラつきの対象でしかない多数いるゆっくりれいむのうちの一匹でしかない。 「あー、ゆっくりしたいなら一匹でやれよ」 「ゆぅ、れいむはにんげんさんとゆっくりあそびたいよ!! いっしょにゆっくりしようよー!!」 子れいむは男の周りをグルグル跳ねまわる。 男は怒りを堪えているのか押し黙る。 そんな男の様子に気付かない子れいむは男の足に向かってスリスリし始めた。 「ゆゆーん、ゆっくりしようね!!」 ここで男はキレた。 足に擦りつく子れいむをまず蹴って転がした。 「ゆ…? ゆ、ゆっくりしてね…?」 頭に疑問符を、瞳に微かな怯えを浮かべた子れいむに男は近づいていく。 ちょうどその間に殴るのに手頃な太い枝があった。 男はそれを拾い、手を頭上に掲げ―― 「ゆ?」 容赦なく振り下ろした。 後はれいむの知っている通りだった。 子れいむは男の一撃で頭の左を潰されて死に、まりさは脳天を潰されて死んだ。 れいむはガタガタと震えていた。 実際人間の言っていたことの真意は掴めていない。 だが男の言葉にはゆっくりへの怒りが籠っていることだけはよく分かった。 このままここにいたら殺されると思った。 だが真っ青な顔で震えるれいむに人間は手を出すことはなかった。 フンと鼻をならすとそれ以上何も言わず、背を向けてどこかへ去っていった。 怖い人間が去ったことでれいむはその恐怖から解放された。 でも周りの光景を見ると恐怖から解放されたことの喜びなどあるわけが無い。 心はどこまでも深く沈んでいた。 隣には蟻が数匹寄ってきた子れいむの亡骸。 目の前にはいつの間にか事切れていたまりさのなれの果て。 れいむはそれを見たところでもう泣くことも叫ぶことも出来なかった。 涙はとっくに枯れ果てた。口の中だってカラカラだ。 声だってもう枯れている。それに口を動かして声を出す体力すら無い。 れいむはただ、死人のような顔で子れいむとまりさを交互に視線を向けるだけだった。 れいむは最高の伴侶を得て赤ちゃんを授かった。 苦労もあったけどまりさの支えもあってその娘は立派に育った。 本当にしっかりとして優しい子で、明るい未来が待っているはずだった。 そうして旅立った子れいむは今ここで潰れていた。 今までずっと幸せだったのに。 三十分にも満たない時間で幸せは粉々に砕かれた。 壊れたのがおうちや綺麗な石といった物ならまた探せばいい。 でもれいむの家族はもういない。 死んだ家族が生き返ることはない。 れいむは呆然とその場に立ち尽くすだけだった。 もう二度と幸せな日々には戻れない。 れいむの不幸は続く。 まりさと子れいむの思い出が心にある限り、ずっと。 終 by 赤福 ゆっくりが長い時間をかけて積み上げた幸せを破壊したい。 てなわけで前置きを長め取ってみました。長すぎ? 場面の節々で何度ヒャッハー我慢できねぇと叫びながら虐待的展開に派生させようと思ったことか。 読んでくださった方々はヒャッハー叫ばずに済みましたかね。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2254.html
「――着いたぞ」 秋奈女史に連れられて来たのは、エルゴから徒歩10分程度。普段の私ならば絶対に近づかないであろう裏通りにある、一軒のビルだった。 「は……はぁ……」 一見普通のビジネスホテルのように見えるが、入り口の傍に設置されている看板には大きく休憩・宿泊という文字と数字が並び、如何わしい雰囲気を感じる。 「あの、ここって……」 「ラブホだ」 逃げ場の無い返事が返ってくる。 「此処なら前回のような邪魔は入らん、遠慮なく励むがいい」 「だ、だからそういう直球な仰り方は……!」 私の反応が余程面白いのか、秋奈女史は先程からずっと底意地の悪い笑みを浮かべている。 「未通娘でもあるまいし、今更恥ずかしがってどうする。そんな事で人を待たせるなど、野暮というものだぞ」 「は、はぃ……って」 相変わらずの口調の彼女だったが、今の言葉で気になる事があった。 「待たせるって、誰か先に入っているのですか?」 「嗚呼、貴様の教師役……いや、今日のレッスンの内容からいけば『教材』と言った所か。楽しみにしておけ」 クックックと愉快そうに笑う秋奈女史。 これまでの経験から、これ以上尋ねても無駄だと判断せざるを得ない。私は覚悟してホテルに入っていくしかなかった。 ネメシスの憂鬱 ファイルⅩⅩⅠ 「お邪魔します……」 ついそんな事を口から漏らしつつ、恐る恐る部屋に入る。 部屋の中は私が思い描いていたラブホテルのイメージとは違って、質素で清潔感のある内装だった。 「やっほー。ネメシスはん、待ってたで」 そして部屋のベッドの上には、髪をショートカットにした美しい女性がその優美な身体を投げ出している姿があった。 「あ、はぃ……宜しく、お願いします」 白いガウンを羽織った女性は、情熱的な瞳で此方を真っ直ぐに見つめてくる。大雑把に体勢を入れ替えるものだからガウンがはだけて、豊満な胸が露になりかけている光景が目に飛び込み、目を奪われてしまう。 「なんやネメシスはん、そんなにおっぱい好きなん? いいんやで、好きなだけ触っても♪」 「いやその……い、いきなりは……。は、初めての方にそんな」 そんなにじっと見つめてしまっていたのだろうか。恥ずかしくて顔から火が出そうなくらいに熱い。 「相変わらずうぶやねぇ、もっと積極的になってもええのに。……なんや、まだ気づかへんの?」 艶っぽい表情から一転してカラッとした人懐っこい笑みを浮かべる女性。その笑いと言い回しには確かに覚えがあった。だが、彼女は…… 「もしかして…………ラスト、さん?」 「せいかーい♪」 自分でもまさかと思う回答と返事に、私は唖然とする他なかった。 「――だ、だってラストさんは神姫で……今その姿は、えええ!?」 私の目の前に居る女性は、何処から見ても普通の人間にしか見えない。それに笑い方や言い回しは彼女そのものなのだが、顔の造形は美人であるという点を除けば殆ど別人だった。 「ふふ、人間そっくりやろ? コレな、『人型神姫インターフェイス』っていうシロモノやねん。せやからネメはんは何も気にせんで、たっぷりとウチの身体で勉強していってな。コレが今回のサービスやで」 「わ……わかりました」 『人型神姫インターフェイス』、アングラの噂でその存在を耳にした事はあったが、まさか本物を目にする事があるとは夢にも思わなかった。 「――――ほな、はじめよか?」 そんな私を余所に、ニヤリと笑みを浮かべながらガウンの前を無造作にはだけるラスト。形のいい豊満な乳房やきゅっと締まった細い腰が露になる。そしてその魔性の力に吸い寄せられるように、私はゴクリと喉を鳴らして彼女の元へと歩み寄っていく。 「最初はキスからやけど、ネメはんには恋人がいるから無しでな。たっぷりとおっぱい、吸ってええんやで」 わざと乳房を強調するようなポーズで私を挑発してくる。私は少し苛立ち覚えつつも、既に昂っていた身体は肉欲への欲求に抗う事は出来ず、既に軽く隆起し始めていた乳首に吸い付く。 「ぁん、急に積極的になってもうて……、そんなにウチのおっぱい吸いたかったんや」 「んぅ……んん……」 彼女の言葉を無視するように、一心不乱に舌で乳首をしゃぶりまわす。乳首が粟立ち勃起し始めると同時に、私の頭の中を甘い痺れが駆け抜け、更に激しく乳房にむしゃぶりついていく。 「結構上手やね……経験あるんちゃうのん。んふ、手も使って乳首シゴいてな」 言われたとおり、唾液で滑りを帯びた乳首に両手を添えて、ゆっくりと上下に擦っていく。ぬちぬちと淫猥な音が響き、乳首がどんどん硬度を増して勃起していく様は、行為を行っている此方も大変な興奮を覚える。 「そう、上手やで。次は乳首同士で……な」 「え、乳首……?」 「なんら、知らんのん。……こうするんや、でっ」 「ひゃぁっ!?」 気づいた時には彼女に鷲掴みにされ、そのまま私の乳房を自らの乳首に押し付けていた。 「あっ、ひっ! ひゃうっ!?」 ラストは私の胸を自らの乳首に押し当て、そのまま小刻みに上下に揺すりだす。普通の肌とは違うぷりぷりとした乳首に擦り上げられ、今まで体験した事の無い感覚に、私の乳首はスーツの上からでもはっきりと判るほどに硬く尖ってしまう。 「ネメはんのぽっち、コリコリってして気持ちええわぁ。今度はネメはん自身で動いてえな」 その言葉は嘘ではないらしく、ラストは頬を赤く上気させている。 「……ん。ぁ……これ、こっちも……いい」 意を決して自ら動き始めると、乳首の擦れあう部分から独特の快感が溢れてくる。自分で動ける分刺激の制御が出来るので、非常に心地よい刺激が私の性感に流れ込んでくる。 「いいです……とっても……あん……っ」 夢心地のような気分のまま、ゆっくりと乳首同士を擦り合わせる。この数日で何度も味わった、理性が蕩け肉欲に溺れていく、あの禁断の感覚の一歩。 「んふふ……上手やね。でもそろそろ次のレッスンに進もか。その前に……っ」 「んぁ……、ひゃっ!?」 その緩やかな快楽を味わう行為に完全に耽っていた私は再びラストに捕まり、今度はあっという間にボディスーツをはだけさせられ、自らの意志と関係なく乳房や秘処まで一気に露にされてしまう。 「――おふふ、大洪水やなぁ」 「い、言わないで……っ」 堰を失った私の股間からは、ねっとりとした蜜が太股を伝って地面まで滴り落ちる。口では何と否定したところで、これが今の私の偽らざる真実だった。 「えっちなのは別に悪くあらへんよ。でも今回はウチの身体でお勉強が目的やから、ネメはんはおあずけやで」 「うぅ……」 「そんな気ぃ落とさんでも。……そやね、今回のレッスンで合格だったらあとでたっぷりしてあげるさかい、頑張るんやで」 「は、はいっ」 あからさまな餌に釣られている自分が悲しい。だけどこの肉欲の乾きを癒す為ならば、何でも従ってしまいそうな気分になってしまう。 「でも、そうやね。そのままじゃ可哀想やし――――うふ」 ニヤリと会心の笑みを浮かべると、ベッドボードから何かをひったくるように掴む。そしてそれを私の上に……って。 「つ、冷たっ!? ちょ、何をするんです……ぷわぁっ!?」 頭上から冷たいどろりとしたものが大量に降り注ぐ。それを全身に浴び、私はみるみるうちに謎の粘液まみれになってしまう。 「な……これって……」 そのねばっこい無色透明の液体を手ですくって匂いを嗅いで、ちろりと一舐めしてみる。殆ど匂いもなく、また味もないが。 「ローションやよ。これでネメはんのベトベトのお股も目立たなくなるやろ?」 「そ、そんな事わざわざ気にしなくてもいいんですっ」 愉快そうに笑うラスト。 確かに全身べとべとのローションまみれになってしまっていて、愛液。 「まぁまぁ。そのぬるぬるでウチをもっと気持ちようしてな。おっぱいだけなのうて、ね」 それまで身体を軽く起こしていたラストはベッドに上半身を預け、均整の取れた肢体を寝かせる。 「女なら、やっぱりコッチをしてもらわへんと」 そして私にみせつけるように、ゆっくりと、そのしなやかな脚を大きく広げる。 「うふふ、ウチのおま○こ、どうなってるか早く確かめてぇな」 舌でチロリと唇を舐め、淫らな表情で私を挑発する。 「はぃ……。ひゃっ」 その魅力に抗う事など出来る訳もない。ローションのせいで普通に歩く事は困難になっている為、私は彼女の身体の上を這うようにしてゆっくりと近づいていく。 「コレはコレで焦らされてるみたいで……ぁはん」 「あうぅ、なんか変な感じ……です……」 蛞蝓が這うように進むと、ローションの粘着質な感じと全身を擦り合わせている感触が、全身を唾液たっぷりの舌でねっとりと愛撫されているかのような錯覚に陥ってくる。 やがて、なだらかな恥丘の前まで辿り着く。此処までくれば目的地は目と鼻の先。 「やっと……。わっ」 「ひゃぁんっ!」 ゆっくりと降りようとしたものの、ローションのぬるぬるでそのままずるりと滑り落ちてしまう。 「ご、ごめんなさ……、ぁ」 そして私の振り向いた先には、ぽってりと厚みのある花弁がぬるりとした光沢を帯びてうっすらと開き始めていた。しかも本来秘処を守る為に生えている筈の毛が一切無く、全てが丸見えになってしまっている。 「ふふ……ウチのおま○こ、つるつるだからよぉく見えるやろ。ちゃんと説明したってな」 「はぃ、って……えええ!?」 目の前の衝撃的な光景にみとれ、つい返事をしてしまったが、その余りにも恥ずかし過ぎる行為に愕然となる。 「気持ちようする為には、まず構造をちゃんと知っとかんとあかんで」 「それは……そうですが」 「ほら、ネメはんに見られてると思うと……」 ラストは自らの秘処に指を添えると、一気に花開かせる。くぱぁと淫猥な音が聞こえてきそうな程のぬめりを帯びた花芯が鮮やかに開き、ぬめりを帯びた鮮烈なショッキングピンクの秘処が完全に丸見えになる。そこは蛍光灯の光を浴びて、ぬらぬらと隠微に光り輝き、私の理性を崩壊させていく。 「とっても……綺麗でえっち……です」 ラストのそこはまだ未成熟さを残すアキラのモノと違い、成熟した女の香りを強く感じさせる。 「大陰唇は肉厚でぷっくりとしてて……、小陰唇はすっとヘアピンのように綺麗で真っ直ぐです……」 自分で説明している内に、気恥ずかしさとは別の感情が段々と頭の中を支配していく。 「それに、陰核も大きく発達してて……、まるで熟れたサクランボみたいに、ぷっくりと……いやらしく、勃起しています」 それはひくひくと軽く痙攣を起こし、刺激を受けるのを待ちわびているかのよう。そしてその光景を見ているだけで、私のクリトリスも彼女と同じようにいやらしく勃起してきてしまう。 「そんなお堅い単語わざわざつこうて……ネメはん、かなりのムッツリちゃうん」 「なっ!? そんな事……は……」 ……そうかも、しれない。少しでもそこから逃れようとしているように見せ掛けているのに、実は誰よりも望んでいる。 「――さぁ、今日は誰にも遠慮せんと、心行くまで、食べてええんやで」 「…………は、い」 ラストに言われるがまま。……いや、私が望むままに、彼女のクリトリスへキスをする。優しく口づけをするだけで彼女の秘処はひくんと痙攣し、透明で粘り気のある液体がじんわりと膣内から染み出してくる。 「おいしそ……う、です……んっ」 啄ばむように何度もキスを繰り返し、私の唾液と彼女の愛液とで淫靡な光沢を湛えたクリトリスを、一気に口に頬張る。口の中が熱くて柔らかな感触で一杯になり、弱アルカリ性のなんともいえない味が広がる。そして同時に私の脳髄を甘く痺れる感覚が満たしていく。 「ん、ふー……んむ……んう」 「いひっ!? ひゃっ!! そ、それぇっ!!!」 頬張ったクリトリスを口の中であむあむと甘噛みし、モゴモゴと巨大な飴をしゃぶるように舌と口でしゃぶりつくす。人とのサイズ差を考えれば取るに足らぬ小さな私の舌。しかしラストはその小さな舌の極僅かな動きに思い切り快感を注ぎ込まれ、全身をくねらせながら感じている。 「すごっ! やっ、イクぅ……イッてしまっ!」 彼女の言うとおり、喘ぐ声の感覚も短くなり、彼女が絶頂が近いことを私に示してくる。私は優しく舌で舐めまわした後、ちゅぅぅと吸いこむ音が漏れるほど、一気にひくひくと痙攣するクリトリスを吸い上げる。 「っ!? イク……イクイクっ、んはぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 ラストは身体をガクガクと痙攣させて、文字通り全身で達していた。 私はクリトリスの中に充血している『何か』を全て搾り出してしまうかのように暫くの間吸い続け、その間ずっとラストは小刻みな痙攣を続けていた。 「はー……ネメはん、上手やわぁ。これならもう十分に……」 荒い息を上げていたラストが、ゆるりと上体を起こす。その瞳は儚げに潤んでいて、上気した頬と相まって魅惑的な『女』の顔をしていた。 「―――!」 ドクンと、私の中で何かが弾ける。 「……ン? あ、ちょっとネメはん何を……あふっ!?」 私は余韻を味わうようにまだピクピクと痙攣していたクリトリスに再び洗礼のキスをし、そのまま自分の乳房で両側からクリトリスを挟むように包み込む。 「いえ、まだ満足されてないようなので。もっとして差し上げたいと……」 「い、いやもうじゅうぶ……ひゃぁっ!?」 ローションでぬるぬるの乳房はクリトリスを挟み込もうとしては大きく滑り、ぬちゃぬちゃとした粘着質で淫猥な音を上げ続ける。 「私のパイズリ……気持ちいい、ですか……」 まるで水風船のように肥大化したクリトリスに、針を突き刺すように硬く勃起した自らの乳首を押し当て、グリグリと擦り込むように擦りあげる。 「ひっ!? まだ敏感やのに……や、やぁっ!」 「凄いです……クリトリスだけじゃなくて全身をそんなに震わせて……感じてくれているのですね」 乳首の鋭い刺激と、乳房で包み込むような柔らかな刺激の2つを交互に行って、ラストを快楽の淵へと再び追い込んでいく。特に乳房で男性のペニスを擦り上げるようにする愛撫は、にちゃにちゃとした淫靡な音をたっぷりたてる為に此方も激しい興奮を覚え、行為自体も更に熱を帯びてくる。 「う、ウチまた……イッてま……も……らめ……ぇ」 ラストは息も絶え絶えに、その快楽を受け止めている。同じ女として、その味わっているであろう快楽の大きさに、私は軽い嫉妬を覚える。 「―――っ」 「ひぐっ!?!?」 歯を立てた瞬間、ラストの身体が面白いように跳ねる。 「――かはっ。ね……ネメはん、それは反則、やで」 「………」 「女は喘がせても、泣かせたら……あかん」 目の淵に涙を湛えたラストのその言葉に愕然となる。そうだ、私は大切な人に快楽を……いや、痛みを与えない為に性交の技術を学ぼうと思ったのではなかったのか。 「……ごめん、なさい」 「――――次から気をつけてくれたら、それでええよ。1つ1つ、ゆっくり学んでいったらええねん」 ラストは怒ることなくその細い指先で、くしゃりと私の頭を撫でてくれる。 「それにな、さっきのパイズリは気持ちよかったわぁ。アレもっかいして、な?」 人懐っこい笑みとともにそう言われては、此方から言う事など何も無い。私は返事の代わりに再びクリトリスに優しくキスをして、乳房で挟み込んでゆっくりと上下に動き始める。 「そぅ……とっても……えぇよ…………」 目を閉じて、ゆっくりと快楽の深みへとその身を沈ませていくラスト。 「嬉しいです。こんなのは……如何です、か」 胸で上下に扱くのに加え、舌でチロチロと這うようにクリトリスの先端を刺激する。 「ああっ! それ凄くえぇ……最高やわぁ。もっと……もっと」 ラストの腰がもっともっとと強請っているかのように、左右に小刻みに揺れだす。私は彼女の動きに合わせるようにして、それなりに豊満な乳房でクリトリスを捏ね回し、アイスキャンディーを食べるみたいに舌先で舐っていく。 「あぁ……また、きそぅ……や」 「はい。たっぷりと……イッて、ください」 乳房が摩擦で少し熱くなるくらいに素早く上下に動かし、同時にクリトリスの先端を口に含んで、舌で8の字に舐りながらちゅぅぅと強く吸い上げる。 「あ、あ、あ……イク……イク…………イッ、くううううっ!!!」 きゅぅっと身体を萎縮させた直後、大きく全身を痙攣させるラスト。そして私も、彼女の膣内から噴水のように溢れ出した液体をその全身に浴び、彼女が味わった快楽を後追いするかのように、その意識を拡散させていくのだった。 Web拍手! 続く トップへ戻る
https://w.atwiki.jp/akaki/pages/20.html
(υ。∀。)それが俺の声優になれる確率だね はぁ…… (ノ_・。)書いてて悲しくなってきた 肉食いたい(普通の意味で) こてこてのてっちゃんとか塩タンをがっつり食べたいよ (´Д`)でもお金ないんだよな せっかく実家に帰ってるんだから、親にたかろうと思う今日この頃 2008/08/24 アカキの黒歴史へ戻る
https://w.atwiki.jp/millionbr/pages/150.html
君は希望と言う名の絶望に沈む 希望なんてあるのだろうか。 巨大な希望は、希望と言えないのではないのか。 希望は時に人を押し潰す。 それはもう、希望とは言えないのではないか。 人をそれを、絶望と言うのではないか。 希望と言う名の、絶望に沈む。 ◆ ◆ ◆ まず私と環ちゃんが最初に激突した問題はひとつ、どこに向かうかであった。 北に向かえば城下町がある。 だが南側には別荘がある。 どちらに向かうのが吉かどうか、なんてわかるはずがない。 城下町の方が誰か人が留まっていそう、ではある。 しかし別荘地の方が誰か殺し合いに乗らない人が隠れているなら絶好の場所だろう。 もし、この殺し合いに乗った人が居るとしたら、人が多そうな場所に行きたいはず。 「……うーん」 あまりこういうのは考えすぎるといけないという事くらいはわかっている。 実際どれだけ考えても正解か不正解かなんてわからないのだから。 だったら野生の勘、とでもすればいいのだろうか。 「とは言っても、私にはそういうのはできないし……」 そんな大胆な事をする勇気はない。 大胆な衣装を着させられているのにという声が聞こえた気がするが気のせいである。 実際アレは私に意思じゃなくて、プロデューサーさんに着させられてるのだから。 「環ちゃん、どうしたい? ……あれ」 結局決めきれず、環ちゃんに意見を伺おうとする。 だが、近くに環ちゃんはいなかった。 どこに行ったのだろうか、まさか誘拐されたのでは……。 いや、こんな静かな場所で誘拐みたいなことをしたら流石に私も気づく。 じゃあ環ちゃん自身がどこかに行ってしまったか。 最初の時も先に行こうとしたところを止めてたはずなのに。 流石は環ちゃんの行動力と言うべきだろうか。 まぁ、こうなっては仕方ないのだけれど。 「環ちゃーん! どこー!?」 「ふうかー! きてー!」 と、そこで少し遠くから声が返ってきた。 気付かないうちに環ちゃんが先に進んでしまっていただけだったようだ。 不安だったが考えすぎで助かったと言える。 だが、来てと言っているという事は何か見つけたのだろうか。 歩き始めて数分、環ちゃんが立っていた。 そこまでは良かった。 その次が予想していなかった。 環ちゃんの傍に誰かが立っている。 「……亜美、ちゃん?」 双海亜美、一瞬真美ちゃんとどっちだったかわからなかった。 基本的に瓜二つな双子だと、こういう事はたまに起こる。 とりあえずすぐに駆け寄る。 どうやら、環ちゃんが亜美ちゃんを見つけたようだ。 ある意味良かったと言えば良かったのだろう。 だが、それは結果論であり、最悪死んでた可能性だってある。 「良かったと言えばよかったけど、ダメだよ? 急にいなくなっちゃ」 「はーい……」 まぁ、結果的に何とかなったから良しで終わらせよう。 とりあえず今すべきことは亜美ちゃんに話を聞くことだ。 「ねぇ、亜美ちゃ――――」 その声は、最後まで出る事はなかった。 亜美ちゃんがいつの間にか、移動していたから。 いや、違う。 私たちを、殺そうとしていたから。 「環ちゃん!!」 どうすればよかったかなんてわからなかった。 ただ、いつの間にか環ちゃんを転ばせてしまっていた。 同時に、左腕に痛みが生じる。 「い、……!」 最初、自分に何が起きたのかわからなかった。 そもそも、なぜこうなったのかまったく理解できなかった。 だが、環ちゃんの血の気の引いた顔と発言で、ようやく理解できた。 「ふ、ふうか……ち、血が……」 左腕を、刃物で切られた。 動脈が切れたのか、血が噴き出るように出てくる。 しかし、あくまですぐに対処すれば問題はない。 もし、『環ちゃんを転ばせなかったら』と考えると自分の顔が真っ青になる。 「あーあ……外しちゃったか」 亜美ちゃんは、少し距離を取りそう言った。 今の発言から、行動からして、殺す気でいたのは明白だった。 もし、今環ちゃんを転ばせなければ、どうなっていただろうか。 下手をすれば、頸動脈を切られていたかもしれない。 そんな簡単に頸動脈は切れるものではないが、ないとは言いきれない。 そんな事を亜美ちゃんは、堂々とやろうとしたのだ。 「……なんで……殺し合いに、乗るの……?」 痛みをこらえながら、亜美に問う。 だが、答えてはくれない。 「そんな事をしても、誰も喜んでくれないよ……皆で協力すれば、なんとかなるはずだよ!」 亜美ちゃんは喋らない。 動こうともしない。 「私達だけじゃ、なにもできないかもしれないけど……」 「他の皆だって、きっとなんとかしようと動いてくれてるはずだから」 「怖くても、立ち向かおうとしてくれているはずだから」 「だから、逃げちゃだめだよ……一緒に、プロデューサーさんを」 「やめてよ」 質問からの最初の返答は、そんな簡単な一言だった。 泣いているような、鼻声のような、そんな声で。 「なんでみんな、そんなに前向きでいられるの?」 「琴葉お姉ちゃんだって、ひびきんだってそうだよ」 「みんなみんな、諦めずに、真っ直ぐで……」 「でも、そんなの亜美にはできっこないんだよ……!」 「こんなの、出来っこないんだよ!」 「兄ちゃんは助けてくれるどころが、こんな事をさせるし!」 「社長だって、死んじゃったし、もう……!」 「もう希望なんて、どこにもないんだよ!」 私に対して、今まで黙っていた分を吐き出すように。 そう言うと再び亜美ちゃんはノコギリを構える。 対してこちらは、何も準備はできていない。 それどころが、出血を続ける左腕の処置すらできていない。 (あぁ――――せめて、環ちゃんだけでも逃がしてあげないと) 傷を負った今、自分は走って逃げる事はできない。 最低限の処置をしたとしても、すぐに運動をすれば出血量が増える。 この場を切り抜ける術が、浮かばない。 視界も少しづつ、靄がかかってきたような感じがする。 動脈が切れているのだろう、出血は止まらず処置をしなければ死ぬのは間違いない。 左腕に力も入らなくなっている。 だからせめて、亜美ちゃんを抑えて逃がしてあげないといけない。 (――――あれ) ふとそこで気付いた。 環がいなくなっていたのだ。 逃げてくれたのだろうか、それならば問題はない。 自分はこのまま行けば、どうしようもなくなる。 だから、これでよかったのだ。 「らああああああああああああああああ!!」 ドン、と言う音とともに声が耳に響く。 朦朧として放りだそうとした意識が、途端に戻ってくる。 何事かと前を見る。 「環ちゃん……」 「ふうか! たまきが何とかするから! 逃げて!」 「駄目! 環ちゃんが逃げて……私なら大丈夫だから!」 環ちゃんが、その小さな体で亜美ちゃんを押し倒していた。 だが、危険なのは間違いがない。 体格では環の分が悪すぎる。 下手をすれば、殺されかねない。 だが、環ちゃんは恐れを知らないかのように。 ただ勇敢に、亜美ちゃんを抑え込む。 「いやだ!」 「駄目だよ、危ないから! すぐに亜美ちゃんから離れて!」 「いやだ……!」 「……え?」 「たまきがおやぶんに、みんなに会えても! ふうかだけが痛い思いするのは、いやだ!」 自分が情けなく思えてしまった。 環ちゃんは、諦めていないのだ。 この場を切り抜ける事も、皆を助けることも。 自分を犠牲にしようとしていた自分とは違う。 諦めようとしていた自分とは違う。 諦めないで、頑張らないと。 その思いが、自分の中を支配した。 まずそのためにどうすればいいか、パニックに陥りかけてる頭で考える。 ここから何をすれば、環ちゃんを救えるのか。 「……違う」 考えるんじゃない、行動するのだ。 左腕が動かなくても右腕と足は動く。 まず、亜美が持っているノコギリを無理やり奪う。 環ちゃんが抑えてくれていたから、すぐに取れた。 これで危険は薄くなった。 次に、支給品から救急箱を取り出す。 ガーゼと消毒液を取り出し、組み合わせすぐに傷口を抑える。 もう一枚のガーゼを水にぬらし、周りの血液を出来るだけふき取る。 次に、固定するもの……がない。 腕に出来るだけ血液を回さないようにするために、タオルでもあればいいのだが、ない。 「……仕方ない」 先ほど腕に傷を受けた場所の服を掴むそれを引っ張り、服の繊維の部分にアイスピックを刺す。 それを思い切り引っぱり、服を切断し、また刺し、切断しを繰り返す。 もしずれたりミスをしたら危険だが、そう言っている余裕はない。 元々薄い服のため、そこまで時間はかからなかった。 左腕の方だけ半袖みたくなってしまったが、その切った服で腕を思い切り縛る。 「……よし!」 これで応急処置は完了した。 だが、傷口を抑えていないといけないし縛ったのも不完全だ。 今は急いで逃げて、完全な処置をしなくてはいけない。 「環ちゃん、来て!」 そう声をかけると、環ちゃんはすぐに亜美ちゃんから離れた。 体中が擦り傷だらけで、どれだけ頑張ってくれていたかがすぐに分かった。 後で治療してあげないといけない。 だが、今は逃げる事が先決だ。 「……亜美ちゃん、ごめんね」 ただそれだけ呟き、そこから逃げる。 追いかけてきたらいけない、まずは助かることが大事なのだから。 ◆ ◆ ◆ もう追ってきてはいなかった。 武器を奪っておいたから、追ってこなかったのだろうか。 そう考えると、あの行動は自分のためにもなったのだろう。 だがまずは、命拾いをした事を喜ぶべきだろう。 「ふうか……だいじょうぶ?」 「ありがとう、環ちゃん……助かったよ」 擦り傷だらけの環ちゃんがにっこりと笑う。 助けられたのは私の方だというのに、本当にいい子だ。 だが、すぐにその表情が曇る。 「でも……あみ、なんでこんなこと……」 その原因は、やはり亜美ちゃんだった。 あのムードメーカーだった子が殺し合いに乗って殺しに来た、というだけでもかなりの事だ。 かくいう私も、かなり衝撃を受けた。 この殺し合いと言うイベントは、非常に重いものだと実感させられた。 忘れたつもりはないが、その印象をさらに叩きつけられたようである。 でも、諦めたくはない。 ここで折れてしまうのは簡単だけれども。 「……わからないけど、止めてあげないと」 皆と一緒に、また元に戻れると信じて。 まずすべきことは、仲間を探すこと。 (……そういえば、琴葉ちゃんと響ちゃんの話を亜美ちゃんがしてた……よね) という事は近くにいるのかもしれない。 あの話からすれば、自分たちと同じような考えをしているとも考えられる。 ならばするべきことは、まずはここから近い城下町に行って2人を探すことだ。 「環ちゃん、行こう……皆を探しに」 先はまだ長いけれど。 もう諦めたりはしない。 最後まで立ち向かって、プロデューサーさんに話をしないといけないから。 【一日目/午前/B-2】 【豊川風花】 [状態]左腕に裂傷(応急処置済み)、失血(軽度)、服の左腕部分が切断されている [装備] アイスピック [所持品]支給品一式(救急箱一部使用)、ノコギリ、ランダム支給品(0~1) [思考・行動] 基本:皆を信じて、このイベントに諦めないで立ち向かう。 1:城下町まで行く 2:環ちゃんを治療してあげないと…… 3:琴葉ちゃんと響ちゃんがどこか近くにいる……? 【大神環】 [状態]体中に擦り傷 [装備] なし [所持品]支給品一式、ランダム支給品(1~2) [思考・行動] 基本:みんなと一緒にいたい、ふうかについてく。 1:あみ…… ◆ ◆ ◆ 全て終わった後に残ったのは、絶望だった。 武器はこの手から無くなった。 それだけじゃない、戦う気も今はない。 自分から全て奪われ、抜け殻にでもなった気分である。 横たわりながら空を見てふと呟く。 「……なんで、諦めないでいられるんだろうね」 田中琴葉も我那覇響も大神環も豊川風花も皆諦めていなかった。 抗おうと言う意思が、見えた。 こんな絶望的な状況であるのにも関わらず。 「希望なんて、あるはずがないのに」 起き上がろうとするが、起き上がれない。 先ほど環と争った時の疲労のせいだろうか。 武器もなくなってどうしようもないという心労のせいか。 「……何か武器、探しに行かないと」 だが、今はただ――――動きたくなかった。 絶望に支配された体が、重かったから。 【一日目/午前/B-2】 【双海亜美】 [状態]体中に擦り傷 [装備] なし [所持品]支給品一式、ランダム支給品(0~1) [思考・行動] 基本:死にたくないから、殺し合いに乗る 1:武器を見つけないと…… 2:真美には……会いたくないなぁ 3:希望って……なんだろうね? beginner s first strike 時系列順に読む ♪イコロシア beginner s first strike 投下順に読む ♪イコロシア The hop, step, and……? 大神環 それでも、生きてゆく 豊川風花 L<>R 双海亜美 りんごのうた ▲上へ戻る
https://w.atwiki.jp/multiple/pages/60.html
匙は投げられた ◆UlsVMqbfYo ディパックの中にあった地図とコンパスを手に、とりあえず道まで出ようと東へ進路を定め歩く。 単調なリズムで歩き続けるうちにすこしずつ気分が落ち着き、先ほどの男性と普通に会話をしていたことを 思い出した伊波は今更ながら赤面した。 (これも小鳥遊君の特訓のせいかな) 遠い日常を引き寄せるためにとりとめもない思いを巡らせながら伊波は歩く。叫び声が聞こえたのはそ んな時だった。 ※ ※ ※ 目覚めてからしばらく、新庄・運切は混乱の中にあった。 思い出されるのは先ほどの光景、人の命をこともなげに奪ったあの男と、それを自分たちにも行えと 迫る身勝手な命令、そしてそれを強要する首にはめられた枷。 とりあえずディパックの中を探ってみる。何か作業をすることですこしでも落ち着くことができればと 思っての行動だったが、参加者の名前が書かれたと思しき名簿を確認する途中、よく見知った名前を発 見したことにより動揺は一層激しくなった。 (佐山君!?) 血眼になって名簿をもう一度見直す。見覚えのある名前は三つ。佐山と自分、もうひとつは1stGの魔女 ブレンヒルトのものだ。 「どうしてボクたちが……?」 口から洩れる疑問の言葉とは裏腹に、佐山の名を発見したことにより新庄の気持ちは急速に定まっていった。 自分が生き残るためにこの全員の命を奪うことなどできない。ましてや佐山に刃を向けるなどもってのほかだ。 (早く佐山君と合流して、なんとかここから脱出しないと) 全竜交渉の代表者で、自分にとって大切な人。彼を死なせるわけにはいかない。 (きっと佐山君もがんばってるはず……いや) どうしてだろう、出会った端から女性の尻をなでまわしながら破廉恥行為に及んでいるような姿しか想像 できない。 (そんなことになる前に助けなきゃ) 誰を誰から助けるか、ということについては深く考えず、新庄は決意を新たにした。 改めてディパックの中を確認する。 ランタンが出てきたので灯をともしておく。鉛筆、紙、UCAT製ではない普通の腕時計、食事、水、スプーン、 (……スプーン?) 味より栄養バランスに重きを置いたような携帯食糧はパンに似た固形で、水はボトルに入っている。 スプーンを使う余地などない。というかむき出しのまま入っていたため衛生に悪そうで使いたくない、 などとスプーンをつまんだまま思案を巡らせていると、突然それはぐにゃりと曲がった。 「うわっ」 力を込めたわけでもないのにきれいに直角に曲がったスプーンに思わず声をあげてしまう。とりあえず 戻しておこうとディパックに目をやると、袋の口から一枚の紙片が顔を覗かせていた。 「運命のスプーン……ねえ」 紙片にはスプーンについての説明が書かれていた。運命の人がいる方向を指すというそのスプーンを持って あちこちにかざしてみると、なるほどぐにゃりぐにゃりと一定の方向に向けて首が曲がる。 「運命の人、か……」 自分にとっての運命の人、少なくともこの空間内にいる自分と深い縁のある人物といえば間違いなく彼だ。 他に当てがなければこのスプーンを頼りに行くのもいいだろう。そう考えてスプーンを胸ポケットに入れ た。 他にも役立つものがないかとディパックに手を伸ばす。しばらく模索すると、その期待にこたえるように 彼女の手に冷たい鉄の感触があたった。 「なんだろうこれ?……んしょっ、と」 ディパックの口よりも大きいそれを力任せに引っ張りだす。白と茶色でペイントされたそれは一瞬なん なのか理解できなかったが、よくみるといびつな玩具の小鳥だった。妙に角ばっているそれを矯めつ眇 めつしていると、突然静かな森に機械音声が響いた。 「ようこそバトルロワイアルへ!」 「うわああ!?」 ※ ※ ※ 行くか否か、伊波は少し考えたがすぐに声のする方向へ足を向けた。 行くと決めた理由は二つ。ひとつはこんなところで不用意に声を上げるような人物が危険とは思えなか ったから。もうひとつの理由は、単純に一人ぼっちが心細かったからだ。 木々の間を抜けていくと、こちらに背を向けて人が座り込んでいるのがみえた。声を掛けようとするが そこではたと気づく。長髪でなで肩のその後ろ姿がまとっているのは、どうやらどこかの高校の制服なのだ。 男子の。 ※ ※ ※ 鳩時計の鳩を大きくしたようなそのメカは己をメカポッポ一号だと名乗った。 「で、その、メカポッポさん。あなたは何ができるの?」 「オレの役目はお前がこのバトルロワイアルで優勝できるように手助けすることだ」 無機質な癖に妙に起伏に富んだ声は感情の有無が判断しがたい。 「ボクは別に優勝を目指してるわけじゃないんだけど、それでも協力してくれる?」 「オレはお前に支給された支給品だ。使いたいように使えばいい」 「うん。じゃあよろしくお願いするよ」 どうにも無愛想な、自分に機械たるべしと努めているようなその言い様にかすかな違和感を感じたが、 かまわず面談を続けようとする。しかし次の質問をしようと口を開いた新庄をメカポッポが遮った。 「気をつけろ、後ろから何か来るぞ!」 「!」 とっさに振り向き身構える。周囲に視線を走らせると、木々の間で何者かががさごそとうごめいている。 ランタンをかざすと夜闇にまぎれて人影が見えた。隠れてうかがっているつもりなのか、木の蔭から頭だけ 出してこちらを覗いているが……まるみえだ。 「誰?」 「伊波まひる。性別は女性、日本の北海道在住の高校生、趣味はヘアピン集め」 新庄の疑問に答えたのはその人物ではなく、傍らに置いたメカポッポだった。 「……なるほど、そういう使い方なんだね」 メカポッポは趣味やらバイト先やらの情報までペラペラと垂れ流していく。趣味などはともかく、性格 などを聞いていけばに不用意に危険人物と接触することもないだろう。ひょっとしたら自分はとても幸 運かもしれない。メカポッポの声と隠れたままの人影に注意を払いながら、新庄はそんな事を考えていた。 「人見知りだが力は強く、男性を見ると無差別に襲いかかってくるぞ、気をつけろ」 「え?」 「あ、あの、誤解を招くような言い方しないでください!」 顔を真っ赤にして抗議しながら、伊波とよばれた少女が木陰から姿を現した。 【G4/森/深夜】 【新庄・運切@終りのクロニクル】 [状態]:健康 [装備]:尊秋多学園の制服、運命のスプーン@ポケットモンスターSPECIAL [道具]:支給品一式、メカポッポ一号@ポケットモンスターSPECIAL [思考・状況 1・目の前の少女に対応する 2・佐山と合流しここから脱出する 3・人殺しはしない ※メカポッポ 参加者のある程度詳細な情報を持っています。他の知識、自我の有無は次回以降に任せます。 【G4/森/深夜】 【伊波まひる@WORKING!!】 [状態]:疲労(中)、足に擦り傷・切り傷 [装備]:学校の制服 [道具]:支給品一式、不明支給品(0~2)、ARMSのコア(中身は不明)@ARMS [思考・状況] 1・目の前の少女に対応する 2・諦めない 時系列順で読む Back あり得る事、成し得る事、求め得る事…… Next 正義-Justice- 投下順で読む Back 我はここに在り Next 死-Death- 『希望』 ウィッシュ 伊波まひる 君はボクに似ている GAME START 新庄・運切 君はボクに似ている
https://w.atwiki.jp/eraheta/pages/81.html
調教コマンド解説 3.セックス系コマンド No.60 正常位 【使用条件】 【派生】 3P 調教者が前回助手で今回主人か、前回主人で今回助手かつ、 前回の調教がアナル正常位かアナル後背位かフェラチオかイラマチオ 【派生2】 挿入Gスポ責め 前回の調教が正常位かつ調教者の技巧3以上 【派生3】 首絞めセックス 前回の調教が首絞めかつ調教者の技巧3以上 【派生4】 二輪刺し 挿入命令中 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 仰向けの奴隷のヴァギナにペニスを挿入する。 調教者の[童貞]を喪失させ、奴隷の[処女]を破る。 No.61 後背位 【使用条件】 【派生】 3P 調教者が前回助手で今回主人か、前回主人で今回助手かつ、 前回の調教がアナル正常位かアナル後背位かフェラチオかイラマチオ 【派生2】 挿入子宮責め 前回の調教が後背位かつ調教者の技巧3以上 【派生3】 スパンキングセックス 前回の調教がスパンキングかつ調教者の技巧3以上 【派生4】 二輪刺し 挿入命令中 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 四つんばいの奴隷のヴァギナを後ろからペニスで貫く体位である。 調教者の[童貞]を喪失させ、奴隷の[処女]を破る。 No.62 正常位アナル 【使用条件】 【派生】 3P 調教者が前回助手で今回主人か、前回主人で今回助手かつ、 前回の調教が正常位か後背位かフェラチオかイラマチオ 【派生2】 首絞めセックス 前回の調教が首絞めかつ調教者の技巧3以上 【派生3】 二輪刺しアナル アナル挿入命令中 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 仰向けの奴隷のアヌスにペニスを挿入する。 調教者の[童貞]と奴隷の[バックバージン]を喪失させる。 No.63 後背位アナル 【使用条件】 【派生】 3P 調教者が前回助手で今回主人か、前回主人で今回助手かつ、 前回の調教が正常位か後背位かフェラチオかイラマチオ 【派生2】 スパンキングアナル 前回の調教がスパンキングかつ調教者の技巧3以上 【派生3】 二輪刺しアナル アナル挿入命令中 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 四つんばいの奴隷のアヌスを後ろからペニスで貫く体位である。 調教者の[童貞]と奴隷の[バックバージン]を喪失させる。 No.65 乳ファック 【使用条件】奴隷におっぱいがある 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷の胸に擦り付けるようにペニスを扱う。 No.66 騎乗位 【使用条件】 【派生】 二輪刺し 挿入命令中 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷を上に乗せヴァギナにペニスを入れさせて腰を振らせる。 V調教フィルタがオンの時は実行できない。 調教者の[童貞]を喪失させ、奴隷の[処女]を破る。 No.67 騎乗位アナル 【使用条件】 【派生】 二輪刺し 挿入命令中 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷を上に乗せアヌスにペニスを入れさせて腰を振らせる。 調教者の[童貞]と奴隷の[バックバージン]を喪失させる。 No.68 対面座位 【使用条件】 【派生】 二輪刺し 1.調教者が前回助手で今回助手か、前回主人で今回主人かつ、 前回の調教が背面座位 2.挿入命令中 【派生2】 挿入Gスポ責め 前回の調教が正常位かつ調教者の技巧3以上 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷を座らせそのヴァギナを前からペニスで貫く体位である。 No.69 背面座位 【使用条件】 【派生】 二輪刺し 調教者が前回助手で今回主人か、前回主人で今回助手かつ、 前回の調教が対面座位 【派生2】 二輪刺しアナル アナル挿入命令中 【派生3】 挿入子宮口責め 前回の調教が後背位かつ調教者の技巧3以上 【派生4】 乱れ牡丹 羞恥プレイ中 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷を座らせそのヴァギナを後ろからペニスで貫く体位である。 No.70 対面座位アナル 【使用条件】 【派生】 二輪刺しアナル 1.調教者が前回助手で今回主人か、前回主人で今回助手かつ、 前回の調教が背面座位アナル 2.アナル挿入命令中 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷を座らせそのアヌスを前からペニスで貫く体位である。 No.71 背面座位アナル 【使用条件】 【派生】 二輪刺しアナル 1.調教者が前回助手で今回主人か、前回主人で今回助手かつ、 前回の調教が対面座位アナル 2.アナル挿入命令中 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷を座らせそのアヌスを後ろからペニスで貫く体位である。 No.72 下着ずらし挿入 【使用条件】 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 下着の隙間から奴隷のヴァギナをペニスで貫く。 No.73 下着ずらし挿入アナル 【使用条件】 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 下着の隙間から奴隷のアヌスをペニスで貫く。 No.74 対面立位 【使用条件】 【派生】 駅弁 前回の調教が対面立位 【派生2】 二輪刺し 1.調教者が前回助手で今回主人か、前回主人で今回助手かつ、 前回の調教が背面立位 2.挿入命令中 【派生3】 首絞めセックス 前回の調教が首絞めかつ調教者の技巧3以上 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷を立たせそのヴァギナを前からペニスで貫く体位である。 No.75 対面立位アナル 【使用条件】 【派生】 駅弁 前回の調教が対面立位 【派生2】 二輪刺しアナル 1.調教者が前回助手で今回主人か、前回主人で今回助手かつ。 前回の調教が背面立位アナル 2.アナル挿入命令中 【派生3】 首絞めアナル 前回の調教が首絞めかつ調教者の技巧3以上 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷を立たせそのアヌスを前からペニスで貫く体位である。 No.76 背面立位 【使用条件】 【派生】 二輪刺し 1.調教者が前回助手で今回主人か、前回主人で今回助手かつ、 前回の調教が対面立位 2.挿入命令中 【派生2】 スパンキングセックス 前回の調教がスパンキングかつ調教者の技巧3以上 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷を立たせそのヴァギナを後ろからペニスで貫く体位である。 No.77 背面立位アナル 【使用条件】 【派生】 二輪刺しアナル 1.調教者が前回助手で今回主人か、前回主人で今回助手かつ、 前回の調教が対面立位アナル 2.アナル挿入命令中 【派生2】 スパンギングアナル 前回の調教がスパンキングかつ調教者の技巧3以上 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷を立たせそのアヌスを後ろからペニスで貫く体位である。 4.奉仕系コマンド No.80 手淫 【使用条件】調教者にペニスがある 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷に手を使って調教者のペニスに奉仕をさせる。 No.81 フェラチオ 【使用条件】調教者にペニスがある 【派生】 3P 調教者が前回助手で今回主人か、前回主人で今回助手かつ、 前回の調教が正常位か後背位か正常位アナルか後背位アナル 【派生2】 二本フェラ 調教者が前回助手で今回主人か、前回主人で今回助手かつ、 前回の調教がフェラチオ 【派生3】 シックスナイン 前回と今回の調教者が同じかつ、 縄使用中でなく、前回の調教がクンニかフェラする 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷に唇で調教者のペニスをしごいたり舌でなめ回したりして奉仕させる。 No.82 パイズリ 【使用条件】奴隷にある程度胸がある 調教者にペニスがある 【派生】 69パイズリ 前回と今回の調教者が同じかつ、 縄使用中でなく、前回の調教がクンニかシックスナイン 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷に胸でペニスを挟み込みさすることにより奉仕させる。 No.83 素股 【使用条件】調教者にペニスがある 潤滑が2000以上ある 【派生】 ダブル素股 調教者が主人で、前回の調教が貝あわせ(助手) 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷に股でペニスを挟み、擬似的なセックスをして奉仕させる。 No.84 泡踊り 【使用条件】風呂場にいて、シャワー中でない 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷がソープを泡立たせ自分に塗りたくったあと、 その体を使って調教者に擦りつけて愛撫させる。 お風呂場プレイ中でないと実行できない。 No.85 足扱き 【使用条件】調教者にペニスがある 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷にペニスを奴隷の足裏で擦りあげさせる。 No.86 足舐め 【使用条件】 【依存度】 減少 奴隷に調教者の足を舐めることを強制する。 No.87 縦パイズリ 【使用条件】奴隷が大きな胸と技巧を持っている 調教者がペニスを持っている 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷の胸でペニスを包み込んで胸全体で揉み込む。 No.88 パイズリフェラ 【使用条件】奴隷がある程度の胸と技巧を持っている 調教者がペニスを持っている 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷に胸でペニスを挟み込みさすりながら口でペニスに刺激を与えて奉仕させる。 No.89 母乳飲み 【使用条件】奴隷が素質:母乳体質を持っている 【依存度】 増加 奴隷の乳首から母乳を吸い上げて飲む。 No.90 髪扱き 【使用条件】 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷の髪の毛にペニスを絡ませて擦する。 No.91 指チュパ 【使用条件】 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷に調教者の指を咥えさせる。 このコマンドの直後に指挿入れおよびアナル愛撫を実行すると痛みのソースが軽減される。 No.92 腋扱き 【使用条件】 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷の腋を使ってペニスを擦する。 5.SM系コマンド No.100 スパンキング 【使用条件】 【派生】 スパンキングセックス 前回の調教が後背位か背面立位で調教者の技巧3以上 【派生2】 スパンキングアナル 前回の調教が後背位アナルか背面立位アナルで調教者の技巧3以上 【依存度】 恋慕ルートなら増加、他は減少 奴隷の尻を手で叩く。 No.101 乳スパンキング 【使用条件】 【依存度】 恋慕ルートなら増加、他は減少 奴隷の胸を手で叩く。 No.102 鞭 【使用条件】 鞭を持っている 【依存度】 恋慕ルートなら増加、他は減少 奴隷を鞭で打ち据える。 奴隷が全裸でないと実行できない。 No.103 蝋燭 【使用条件】 低温蝋燭を持っている 【依存度】 恋慕ルートなら増加、他は減少 奴隷の体に火をつけた蝋燭から落ちたロウを垂らす。 奴隷が全裸でないと実行できない。 No.104 針 【使用条件】 針を持っている 【依存度】 減少 奴隷の乳首やペニスやクリトリスに針を突き立てる。 No.105 アイマスク 【使用条件】 アイマスクを持っている 【依存度】 恋慕ルートなら増加、他は減少 奴隷にアイマスクをつける。 装着状態で選択するとアイマスクを外す No.106 縄 【使用条件】 縄を持っている 【依存度】 恋慕ルートなら増加、他は減少 奴隷を縄で縛る。縛り方は想像に任せる。 縛られた状態で選択すると解放する。 実行するにあたって調教者の技巧が最低でもLv1必要である。 No.107 ボールギャグ 【使用条件】 ボールギャグを持っている 【依存度】 恋慕ルートなら増加、他は減少 奴隷の口にボールギャグを嵌めさせる。 装着状態で選択するとボールギャグを取る。 ボールギャグとは口枷の一種で、 口を使って喋ったりすることはできなくなるが呼吸のための穴はある。 また、実行するにあたって調教者のサドっ気が最低でもLv1必要である。 No.108 拷問 【使用条件】 【依存度】 減少 奴隷を拷問にかける。拷問の内容は想像に任せる。 口上が用意されていれば、拷問の方向性を決定する事が出来たりもする。 また、実行するにあたって調教者のサドっ気が最低でもLv4必要である。 No.109 射精止め 【使用条件】 リボンを持っている 【依存度】 恋慕ルートなら増加、他は減少 奴隷のペニスの根元にリボンをきつく結んで射精をせき止める。 もう一度選ぶとリボンを解いてやる。 No.110 家具にする 【使用条件】奴隷が従順2を持っている 【依存度】 減少 奴隷を家具代わりに使用する。 No.111 剃毛 【使用条件】奴隷がパイパンだと実行できない 露出癖+欲望+従順の合計が10以上 【依存度】 依存度が+で増加、-で減少 奴隷の陰毛を剃り落とす。 No.112 首絞め 【使用条件】従順が2以上 【派生】 首絞めセックス 前回の調教が正常位か対面立位で調教者の技巧3以上 【派生2】 首絞めアナル 前回の調教が正常位アナルか対面立位アナルで調教者の技巧3以上 【依存度】 恋慕ルートなら増加、他は減少 奴隷の首を絞める。 また、実行するにあたって調教者のサドっ気が最低でもLv3必要である。
https://w.atwiki.jp/gspink/pages/12.html
真宵×成歩堂⑤ 仕事が終わった後の入浴は極楽だ。 例えそれが自宅の狭い風呂であっても、丁度良い湯加減が疲れた体を芯から温め癒す。 「でも狭い…」 「そうだねぇ」 湯船に脚を縮めて浸かっているぼくの上に、半分乗っかるように向き合っている真宵ちゃん。 風呂に入ろうとした時、一緒に乗り込んできたのである。 浮力のせいで重くはないが、うぅ、身動きが取れない。 「二人で入るには浴槽が狭すぎるんだよ…」 「でも一緒に入るのは楽しいよ」 「…ぼくはもう出るから真宵ちゃんは温まってなよ」 「あ、だめ!なるほどくんが出ると、お風呂のお湯が少なくなっちゃうんだもん」 「お湯ぐらい足せばいいだろ、もう体洗うから」 立ち上がり風呂の縁を跨ぐと、腕を掴まれた。 「じゃあ、あたしが洗ってあげる」「ええぇ~?」 「何そのイヤそうな顔は」 真宵ちゃんも続いて湯船から上がる。不満げな顔に仕方なく、ぼくは小さな風呂椅子に腰を下ろした。 「フフフ、覚悟を決めたようねなるほどくん…」 「な、何の覚悟だよ…」 「やだな、冗談だよ。髪洗うでしょ」 そう云うと、豪快にぼくの頭にシャワーを掛けだしたので、慌てて目を瞑った。 「トノサマンシャンプーハットないの?」 「(あるわけ)ないよ…」 なんだそうなんだ~と云いながら、シャンプーを手のひらで泡立てて、髪をしゃかしゃかと洗い出す。 「かゆいところはありませんか~」 「右のこめかみの辺りが少し…」 「はい、ぽりぽりぽり…。なるほどくんの髪、硬いね~針金だよー。自分の手に刺さらないの?」 …失礼な…と思ったが、真宵ちゃんの洗髪は意外にもなかなかなのでぼくは黙っていた。 そうして、つつがなく真宵ちゃんはぼくの髪を洗い終えた。ふぅ、さっぱりした。 「じゃ、次はなるほどくん。あたしの髪お願いね」 「うえ、ぼくもやるの?」 顔を洗ったついでに髭剃りを始めていたぼくは、危うく手元が滑りかけた。 「当たり前だよ。やられたらやり返す、鉄則でしょ!目には目!」 「それはちょっと違う…」 ぼくのツッコミを完璧にスルーして、真宵ちゃんは頭のてっぺんにひとつに纏めていた髪を解いて、 ぼくの腰掛けていた風呂椅子を横取る。腰というよりお尻くらいまではある、艶やかで黒いなっがい髪だ。 「これをぼくに洗えと…?」 「思ったほど長くないでしょ」 「いやいやいやいや…」 どうしたものかと思いつつ、とりあえずシャワーをかけて髪を湿らせる。 指を差し込み梳かしてみると、しっとりしているがコシのある髪だ。 「カラスみたいだなあ」 「そういうのは濡れ羽色って云うんだよお…」 先程真宵ちゃんがやったのと同じように髪を洗おうとするが、他人の、しかもこんな長い髪なんか 洗ったことがないのでどうも要領を得ない。そのうち、真宵ちゃんは自分でも手を入れて洗い出した。 「どうせ不器用だよ…」 「…お姉ちゃんがねえ」 「?」 「生きてた頃は、こうやって髪の毛洗ってくれてたりしたんだよ」 「…そうなんだ」 「でもなるほどくん、ほんとヘタだねぇ」 「ほっといてくれ」 ようやく洗い終わると、真宵ちゃんは湿った髪を再び頭の上に結わき、ぼくは湯冷えしないように お風呂のお湯を掛けてやった。 「じゃあ、次はなるほどくんの体を洗います」「……」 そう云いつつも、真宵ちゃんは石鹸で自分の腕やら胸やらを洗い出した。 「ぼくを洗ってくれるんじゃなかったの」 「だから、こう洗うんだってば」 真宵ちゃんはぼくの背後にまわってぺっったりと抱きついた。 泡だらけの温かい二つの小さな膨らみが、ぼくの背中にすりすり上下に擦りつけられる。 「…こ、こんなことどこで覚えたの?」 「え??」 「…なんでもない」 …しかし、おっぱいで洗ってくれているというよりは、胸と腹全部を押し付けているといった方が 正確な気がする。まあそれはそうとしても、真宵ちゃんの柔らかい体が気持ち良いことに変わりはない。 シチェーションも手伝って、ぼく少しずつ善い気分になってきてしまった。 「男の子は洗いっことかしないの?」 「えッ?」 「あたしはみちゃんと背中洗いっことかするけど…。あ、でもこういうのはなるほどくんが初めてだよ!」 …なんだ、気色悪い想像をしてしまった…うぇ。 「うーん、素潜り競争とかは小学生の時したけど…そういえば、修学旅行かなんかで矢張に風呂に突き落とされた事もあったような…」 「あはは、楽しそうだね。あたしはお姉ちゃんのおっぱい揉んで怒られたことあるよ」 「…揉…それ昔の話?」 「そうでもないかなー。なるほどくん、お姉ちゃんのおっぱい触ったことある?」 「ななな何を訊くんだよ!」 おっぱいを使いながら、そういう生臭い話はしないでくれ…。 「すんごいぽよんぽよんして柔らかいんだよ」 「……」 「…あたしはこんなぺたんこなのに」 「まあ、ぼくは好き嫌いしないタイプだから…」 選り好みするような奴は、男とは思えない。 「そうなんだ…。でも…こっちのなるほどくんの背中は大きいから洗うのちょっと大変」 「手ぇ使ってもいいよ」 「だって…」 「ああ、それじゃ真宵ちゃんが気持ち良くならないもんね」 さっきから真宵ちゃんは、胸の先端だけが当たるように何度か擦りつけているのがわかったから。 「…っ、そういうわけじゃないよっ」 「そう?」 ぼくが思いっきりいぶかしんだ顔をして振り返ってやると、真宵ちゃんはぼくの肩に顎を乗せて、 ぼくの胸の先端を泡のついた指先で摘まみはじめた。あ…ちょっと、いいかもしれない…。 「…こういうのが出来なくなっちゃうでしょ」 「ふうん」 「なによぅ」 「別にぃ。背中の動きが止まってるよ」 「む…」ぼくは、伸ばされている真宵ちゃんの腕を掴んで云った。 「こっちの手を動かしたまま背中を洗ってくれよ」 「それじゃあやりにくいよぉ」 「いいから」 背中に張り付いて動けない真宵ちゃんは、じたばたと胸と腰を捩るので、押し付いている乳首が 強く擦られて、尖りきっていくのがわかった。その陰毛もぼくの腰に当たるのがこそばゆい。 「んもう、なるほどくぅん…っ!」 「はいはい」 これ以上怒られる前に、真宵ちゃんの腕を自由にしてあげる。 「いじわるするんならもう洗わないっ」 「もうしない、しないから」 後ろを振り向いて、膨れっ面の真宵ちゃんを、今度はぼくが洗ってやることにした。 その頬から首筋、丸い肩、そして腕、指先。うなじから脇の下、つつましく膨らむ乳房のほのかに 色付いた先端のみ避けてみぞおちに、舐め様にに手を這わす。僕の膝の上に片脚ずつ乗せさせて、 足指から太腿を洗い、体の後ろに手をまわして、背中から腰、腰から尻への滑らかなラインに手を伸ばす。 ぼくはその細く小さい少女の体とそれへの自分の行為に、非常に猥褻なものを感じた。 …何かいけないことをしている大人のようで…いやいや、法律的には問題ないわけなんだしさ… などと自分にフォロー入れつつ、今さら悶々としてみたりして…。 真宵ちゃんは体を捩じらせながら呟いた。 「あたしね…なるほどくんの大きい手…だいすき。すごく、体がぞくぞくする…」 …やっぱりそんなことを云われて、いきり立たない男はどうかとぼくは思う…そうじゃないのか? 「はぁ…」ささやかに膨らんだ乳房を両手で軽く包み込むように触れると、肩を竦めて溜息を逃がす。 片手で尻を掴むように撫で、もう片方の手で淡い薄紅色の胸の先端のまわりを優しく撫でると、 真宵ちゃんは目を瞑ってふるふると震えながら口走る。 「もっとちくびぎゅってして…」 …その言葉通りぼくは、固くすぼまった乳首をこりこり摘み上げたり、痛くない程度にきゅっと 引っ張ったりすると、真宵ちゃんは俯き身を縮こませてながらぼくに抱きつき、再び深く熱い吐息を洩らす。 「すごく…感じちゃう…」 真宵ちゃんは少し笑うと、僕の腕を自分の乳房に擦りつけ洗いだす。 「もう、先っぽがびんびんしすぎて痛い…。それに…ぁ、やっぱりすごい濡れちゃってる…」 自分の股間に手を伸ばし泡だらけにすると、今度はその股に僕の脚を挟んで前後に擦りだした。 「んっ…ン、…んぅッ…ぁ、はぁ…」 真宵ちゃんの陰毛やひだの感触をぼくの太腿に感じる。 自分で気持ちがいいんだろう、その童顔に似合わない腰使いは見ているだけで充分いやらしい。 するりと伸ばした小さな手がぼくの肋骨の辺りに触れると、ぞくりと堪え難い感覚を与えらえ、 むくむくとぼくは催してくる。 「…なるほどくん」 勃ち上がったそれを、真宵ちゃんはぼくらの腹の間に挟み込むようにしてぼくの膝に跨った。 「いじめちゃうよ…」 ぼくの肩を掴みながら、自分の乳頭をぼくの胸先に突付く様にくにゅんくにゅんと押し付ける。 「んン…ムズムズする…。なるほどくんも…おっぱい感じてる?」 「うん…」 …今は擦れてるペニスの快感の方が大きいんだけどね…。 「じゃ、ちょっと待ってね」 真宵ちゃんはぼくの胸についた泡をお湯で軽く流すと、ぼくの乳首に自分の唾液を塗して吸い付いた。 舌で転がされたり、ちゅうちゅうと吸われたりすると、次第にくすぐったさが下腹部への快感に変わる。 ぼくも真宵ちゃんに開発されつつあるのだろうか…末恐ろしいことに…。 そして、それに加えて、ぼくのペニスは左右に捻る様に軽く握られだす。 「うぁ…」 「気持ちいい?」 「ン…、でも、先っちょの方はあんまり石鹸で擦らないようにして」 「何で?」 「後でおしっこする時凍みるんだよ」 「ふぅん…」 真宵ちゃんはぼくの根本とその下の袋、尻から肛門にかけてまでも手を伸ばしてきた。 「ちゃんときれいにしてあげるからね」その指は余すとこなく丹念に ぼくの下腹部を這い回る。…うぅぅ…ぅ…、ぁー…恥ずかしさと快感で、ぼくはいい加減参ってきた。 お湯で全体の泡を掛け流されると、今度はペニスの先端を優しくお湯で洗われる。 「あたし、なるほどくんのおちんちん可愛がるの結構好きかも…」 亀頭の窪みに沿って擦られると、びくびくとペニスは震える。 「…っ」思わず滲み出る先走りはぺろりと舐め取られた。 「ねえ、一回出しちゃおうか」 「え?」 「その方が楽だよね」 「いや、そんな後でいいよ」 「だってこんなに大きいよ?」 「う…」 否定出来ないまま、真宵ちゃんは今度は泡をつけてぼくの根本をこしこしこしと素早く扱き出す。 「痛くない?」 「う…ん、…く、…ぁ、ぅ…ぅ…」 続け様にぼくを襲う快感に、言葉を失った。 手の動きをそのままに、真宵ちゃんは首を伸ばしぼくの乳首までも舐め出す。 「……うぅ~…ッ」 さすがに上下同時に責められては厳しいもので、ぼくはとうとう根を上げてしまう。 「真宵ちゃん…もう、出るからっ」 せき止められていたぼくの精は、数度かけて勢い良く噴き出でると、 真宵ちゃんは手に受け取められ、浴室に特有の匂いが広がった。 「…ご、ごめんね、真宵ちゃん…」 息を整えると、顔を伏している真宵ちゃんに謝った。 「ぅぇっ、ニガっ…」 「え、口に入っちゃった?」 「…ううん、さっき泡舐めちゃったみたい~」 「何やってるんだよ…」 「ぅ~」顔を歪めて唾液を 吐く姿に少し苦笑したが、まぁケナゲと云えなくもないので、ぼくはシャワーからお湯を出して、 真宵ちゃんにうがいをさせ、汚してしまったその手をきれいに洗い流してやった。 「いっぱい出たね」 「…う…」 改めて云われると、恥ずかしいのでやめてくれ…そうなんだけど。 …遅れを取り戻す様に、ぼくは真宵ちゃんの局部に触れて、粘液の糸を引く。先程洗った髪よりも、 太めで少しウェーブがかった陰毛を指で梳かし、それがひだのまわりや肛門の手前までうっすらと 生えているのを確認して優しく洗いだす。 「そんなじっくり見ないでよ…」 真宵ちゃんは目を伏せた。 石鹸でない液体で滑って少し洗いにくいひだの隙間と、その上部に位置する突起の包皮もきゅっと捲り、 刺激を与え過ぎないよう、しかし丁寧に滑る指でマッサージする。その時には真宵ちゃんの顔は真っ赤で、 目まで潤んでいるのがなんだか可愛いらしく、ぼくはその唇にちゅっとキスをした。 「べろも入れてぇ…」 その半分困ったようなとろんとした瞳は、なかなかそそるものがあり、 ぼくは一度下腹部の泡をシャワー流してから、口内に舌を差し込むと同時に、 滑りのいいそのひだの合わせの中へ、ぬるりと中指を挿し込んだ。 「…ンっ、…ぅ…ぁ、ぁあ…んんンぅ…」 唾液と喘ぎ声が溢れ出す。 「…この辺りだっけ?」 唇を離して様子を伺ってみる。 「もう、ちょっと手前かも…、ん、ンン、ぁ、…そ、そこそこっ!」 「ここだ…じゃあ、こうするのと…こうするの、どっちがいい?」 「…ぅ、んッ…あとの方っ」 「…こう…?」 熱く狭い真宵ちゃんの中を、探るように小刻みに擦りつける。 「そう…ン、ぁ…あ、あ…ぁァ、あ、来ちゃうっ!だ…ダメダメ!や、ややっぱりダメぇッ…!」 丁度いいところに当たるのか、真宵ちゃんは悶え仰け反って危ない。仕方ないので一旦膝から下ろし、 浴室の壁に寄り掛かるように立たせてから脚を少し開かせ、再度指を進入させる。 残りの手で、会陰から桃色づいたアヌスを軽く洗った。ついでにそこに軽く挿す様に触れてみると、 「そ、そんなところは洗わなくっていいよ!」と怒鳴られた。そうか…。 改めて、先程のところだけを執拗に責め始めると、真宵ちゃんの脚はがくがくと震えてきたので、 ぼくの頭にしがみ付かせ、壁に押し付けるように片脚を持ち上げて、さらに入り口を大きく開かせた。 「…ぁ、あぁ…ァ、あ、…ああ、アぁ…ッ!」 指の動きをさらに素早くしていき、同時にクリトリスやみぞおち、乳首をぺろぺろと舐めると、善がり声は高くなる。 「ちょ、ちょっと待って…!なるほどくん…ッ」 何かを必死に堪えながら、真宵ちゃんは叫んだ。 「…?」 「な…なんか、おしっこ…かな、ぁ…、出ちゃいそうなの…」 「ん…そういえば、そんな感じが…」 「やッ…そこ突付かないでっ」 「いいよ、別にここで出しちゃっても…」 「んンンぅ…や、やぁッ、 そんなのぉッ…汚いよぉっ」 「真宵ちゃんさっきトイレ行ってたし、多分違うと思うんだけど…。まあ、おしっこでもいいけど」 暴れ出す真宵ちゃんを、ぼくはがっちり壁に押し付ける。 「何云って…、ンぅ、あ…やだッ…で、出ちゃう…ッてばぁッ…あ、そんなに…動かしちゃ…!」 真宵ちゃんは力の抜けた体でなんとかぼくを引き離そうとするが、ぼくはそんな非力ではない。 指を動かすごとに、ちゅくちゅくくちゅくちゅと水気を含んだ音が響き渡る。 「あ、ぁ…やあぁぁ…もう、やだぁあぁ~…」 諦めたらしい真宵ちゃんがびくっと震えると、ぷしゅっと中から温かいさらさらした液体が溢れ出る。 指が与える刺激に合わせて、それはぼくの腕を伝って流れ出た。やっぱりそうだ…。 しかし、やっぱり何とも云えないな光景だなぁ…しかも、結構ムリヤリだったし…。 それらを全て掻き出すと、真宵ちゃんはベソをかきながらぼくを睨みつけてきたので、何か云われる前にと、平然とした顔をして云った。 「真宵ちゃん、これ、おしっことは違うんだよ」 「…え?そうなの…?」 「うん、出るところは同じみたいだけど、これは黄色くないし無味無臭だろ」 ぼくが指をぺろっと舐めると、真宵ちゃんは恐る恐る僕を伺い見た。 「女の人は感じてると生理現象としてこういうこともあるんだって」 「ええぇ…変なの…、そんなのあるんだ…」 「だから、出るものを我慢させる事は無いかなあと思って」 「…でも、そうだとしても、すっごく恥ずかしかったんだよ!そういうのはちゃんと先に云ってよ!」 「あーハハ、ごめんね」 真宵ちゃんはぶつぶつ云いながらシャワーでぼくらとそのまわりを洗い流しだした。 しかし、 潮吹きまでさせてしまうとは、ぼくはやっぱり悪い大人なのか?キチクか? …そうしてぼくは今、脚だけ湯船に浸けて浴槽のへりに座っている。 真宵ちゃんはお湯に浸り、当然のようにぼく脚の間のものを咥えながら扱いている。 「…うぅ、そんなにごしごしやったら…湯船に出しちゃうよ…」 「そうしたら曲げるから」 …曲…真宵ちゃんは本気だ、絶対に本気だ…。 「んー、なるほどくんのタマタマびくっとしたねーフフフ。それじゃあ、お風呂から出てからにしようかと思ってたけど、ここでえっちしちゃおうかな」 「え」 問答無用でぼくを湯船に引きずり込むと、真宵ちゃんはその上に股がる。 「ちょっと…、ゥっ」 ぼくの勃ち上がっているペニスを、真宵ちゃんはお尻でぐりぐりと踏みつけた。 「ひ、ひどい…」 「やられたらやり返す…それが綾里家の鋼の掟なの」 「……」ぐうの音も出ない。 「だから動かないでね…」 真宵ちゃんは待ち焦がれているぼく自身を掴むと、それを自分自身に あてがい、息を吐き出しながら、おっかなびっくり腰を下ろしだす。 「ゆっくり挿れなよ」 「うん…」 ようやく先端だけ収まった。 「痛くない…?」 「大丈夫…だけどまだちょっと怖いから」 深呼吸をして、再び真宵ちゃんはぼくに体を沈め出す。 「…入った」 真宵ちゃんの中は狭い。 「動いてもいい?」 「ちょっと待って…」 真宵ちゃんは僕に胸に顔と体を預けて云った。 「ごめんね、我慢させて…。あたし、なるほどくんを中に居れたままこうしたかったの」 なんだか急にしおらしく微笑む真宵ちゃんだが、やっぱり、いじらしいんだよなと思う。 乙女心というのは多分ぼくより複雑なのだ。そのまま、ぼくは下半身を踏ん張らせつつも、 真宵ちゃんの頭を撫でてあげていると、「もう、動いていいよ」とお許しが出た。 そして、ぼくが真宵ちゃんの腰を掴み、下から突き上げると、風呂場に嬌声が響きだす。 水中なので真宵ちゃんの重力がかからない分、ぼくは楽だが、やっぱり風呂は狭いものは狭い。 その動きにお湯は波立ち、真宵ちゃんの結い上げた長い髪はばらりと落ちて、水に浮かび広がった黒はぼくの胸をくすぐった。 「…最後は口で出す?」 切なげな表情のまま真宵ちゃんはぼくを見つめる。 「さっき苦い思いしたんだからいいよ」 ぼくは遠慮した。 「真宵ちゃんも…自分で動いてみる?」 「ん…」 少し緊張した趣で、自分の中を探るようにゆっくりと腰を動かし始める。 微妙にぎこちない動作が初々しく新鮮で、ぼくは噛み締めるようにそれを味わう。 「龍一…」 真宵ちゃんはか細い声で呟いた。…確かにそれはぼくの名前だが、こういう状況で 改まってそう呼ばれると、どうも恥ずかしい。それを覆えそうと、自分も「真宵」と耳元で囁いてみた。 真宵ちゃんは俯く。……。かえってぼくの方がものすごく恥ずかしい結果になってしまった…。 それを誤魔化すように「真宵ちゃんも感じる?」などと訊くと、やはり目を瞑ってこくりと頷いた。 あああ、云わなきゃよかった。でも、真宵ちゃんは嫌がってないしさ…と勝手に火が点いてくる。 …こうなったら男は早いもので、ぼくは一端自分を引き抜くと、真宵ちゃんを浴槽の縁に肘を つかせるように立たせて、腰を後ろからがっちりと掴む。そして、突き出たトマトの様なお尻の真ん中に、 改めてぼくを奥まで突き挿した。真宵ちゃんは体を弓なりにして、声にならない声を上げる。 その中は、ぼくを歓迎したいのか追い払いたいのか、ぼく自身をぎゅうぎゅうと締めつけた。 もう少し力を抜いて欲しいとは思うが、多分真宵ちゃんもそれどころではないのだろう…。 ぼくは腰を打ち突けながらも、真宵ちゃんに覆い被さるように顔を近づけ、振り向き様にキスをする。 喘ぎながらも、お互いの唾液を交換し合っていると、真宵ちゃんは腰の力が抜けたようで、必死に縁にしがみ付いている。 「…す、すっごい…おッ、奥まで当たるよぉ…っ、あっ、ぁッ」 それでも容赦なく、半泣きの真宵ちゃんを抱えるようにして、いけるとこまで一心不乱に腰を打つ。 「は…あッ、な、なるほどくぅんッ…あたしおかしくなるッ、おかしくなっちゃうよお…ッ」 ぜぇぜぇと息をつきながら、そろそろこっちも限界を感じ、ようやくペニスを引き抜こうとすると、 予期せぬところで、思いっきり中を締め付けられたので、手元(いや手ではないが)が狂い、 排水溝近くに出そうと思っていた精液を、思いっきり浴槽のお湯の中にぶちまけてしまった。 …やってしまった…。 「…ハァハァはァ…ぁ、お、おかしくなった…。……あ…、なるほどくん…やっちゃった…?」 湯船だけでなく、ぼく自身や腰崩しになっている真宵ちゃんの髪や体、 浴室にまで点々と白いものが飛んでいる。…どうやったらこんな風になるんだ。 ああああ、いい歳してまたコドモのようなことをしてしまった…。 「あーあ…、まぁでも、どっちにしろ体は洗い直さなきゃいけなかったし…」 フォローが余計痛い…。 「なるほどくん、すごくよかったよ。って云うか何が起きてるのかわかんないくらいあたしとんでた…。 で、そのお陰であたし今、全然力が入んないからなるほどくんおんぶして」 「……」 …うう、真宵ちゃんだってさぁ、既に脱力してたくせに変なところで力入れるから…。 いや、しかしそれは真宵ちゃんを操縦出来てないぼくがいけないわけで…ああああ。 「…でもさあ…、中に出しちゃわなくって良かったね」 ぼくは顔を上げて真宵ちゃんを見る。 「あたし、赤ちゃんは可愛いと思うけど、まだお母さんになる自信ないもん…」 …その言葉に、ぼくは腹の奥底から自分が情けなくなった。 ご、ごめん、ごめんよ真宵ちゃん…。謝って済めば、刑事も検事も弁護士は要らないよね…。 ぼくはぶくぶくと風呂に沈み込んだ。 「…なるほどくん、何もそんな自分の精液が浮いたお湯に潜り込むことないのに…」 …忘れてたんだよ、うううううう…。 「…それでその翌日、なるほどくんは風邪をひいて寝込んだって話!体は資本だよ! あたし…?あたしは風邪なんかひかないから当弁護士御用達の風邪薬を買いに行ってあげました」 おわり。
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/998.html
「またあの猫が来てるのだわ」 最近よく顔を出すようになった黒猫に、猫が嫌いな真紅はうんざりと独り言つ。 「誰かが餌でもやってんじゃないのぉ? 気にしすぎよ」 対して、水銀燈は雑誌を捲りながらめんどくさそうに対応する。 「今度猫を寄せ付けないやつでも買ってきてやるのだわ」 真紅が忌々しそうに言うと、傍にいた薔薇水晶が徐に立ち上がる。 「あの・・・それは、猫がかわいそう? ・・・なのでは・・・」 「え・・・? ええ、そうね・・・」 普段あまり発言をしない薔薇水晶に、少し戸惑い気味に答える真紅。 薔薇水晶はその答えに満足したのか、すぐに職員室を出て行った。 (薔薇水晶先生が餌あげてるのか・・・) その場にいた、真紅と水銀燈の考えが珍しく一致した。 「ナーウ」 お世辞にもかわいいとは言えない鳴き声の黒猫は、彼女の姿を見るとゴミバケツの上から飛び降り、擦り寄う。 彼女はそんな黒猫をあやしながらお弁当の残りと思われるものを猫に差し出す。 すると、猫はすぐさま弁当箱の中に顔を突っ込み、ガツガツと勢い良く食べ始めた。 「何をしてる・・・?」 想定外の第3者の声に、猫は咄嗟にゴミバケツの上に跳び乗り、薔薇水晶は慌てて後ろを振り向く。 そこにいたのは、ゴミ袋を両手に持った用務員、槐だった。 「猫、か・・・・」 薔薇水晶は、別に悪いことをしているわけではないが、先ほどのことがあってか後ろめたさがあった。 だから、彼女はつい、その場から逃げ出してしまった。 残された槐は、残った餌を猫に食べさせようと弁当箱を近づけようとしたが、猫に逃げられ失敗した。 次の日の朝、そろそろ朝のHRが始まろうかというタイミングで、職員室に槐が入ってきた。 誰もが困惑の表情を浮かべ、黙ってその動向を見ていると槐は薔薇水晶の元へと一直線に向かい、洗われてすっかり綺麗になった弁当箱を手渡した。 皆、先ほどとは違う沈黙に包まれ、槐が出て行ったのとほぼ同時に、水銀燈が口を開いた。 「へぇ~、いつの間にそんな関係になったの?」 薔薇水晶はただ、どう説明していいかわからず黙っていただけなのだが、それが逆に皆の好奇心をそそってしまった。 「いつの間に用務員さんと仲良くなったのー?」 「もしかして、最近ふらっといなくなってたのは用務員さんとあってたからなのかしらー?」 「薔薇水晶も相当な奥手だと思ってたのに、案外やりやがります」 と、皆が好き勝手に言う中、突如、机を思い切り叩く音に場を沈黙が支配する。 「くそ・・・ローゼンに続いて・・・どうしてばらしーの周りにはああいうわけのわからない奴ばかり・・・」 雪華綺晶はかなりまいっていた。 昼休み、薔薇水晶はまた、猫に餌をやりに来ていた。 程なくして、猫が餌を全て食べた後も、薔薇水晶は何故かその場に残った。 しばらく猫と遊んでいると、また、槐が姿を現した。 猫はすかさず逃げてしまったが、薔薇水晶は立ち上がり、一度、ぺこりと頭を下げる。 「どうした・・・?」 「この前は、逃げ出してすいません。・・・お弁当箱も、洗ってくれて・・・」 「・・・驚かせたのはこっちだしな・・・」 話が続かず、二人の間に重い沈黙が生まれる。 それを察したのか、猫が鳴いた。 「ナーウ」 咄嗟に二人の視線が猫に集中する。 「猫、好きなのか?」 槐は不器用ながら、沈黙を打破しようと話題をふる。 「はい・・・この猫、鳴き声がかわいくなくて・・・だから、妙に、親近感が・・・」 「へぇ・・・」 「すいません、こんな話・・・」 「いや、大丈夫」 また沈黙。 二人は、決定的に会話が下手だった。 様子を見かねた猫は、しぶしぶ、かわいくない鳴き声を発しながら、薔薇水晶の足元に擦り寄る。 薔薇水晶は屈むと、猫をなでながら軽く微笑んだ。 その微笑が、その仕草が、今まで女性経験の全くない槐の精神を揺さぶらないわけがなかった。 「・・・かわいい、な・・・」 「ええ、本当に・・・」 「ああ、そう、とるか・・・」 「え・・・?」 「いや、いいんだ」 「はい・・・」 また沈黙が訪れるかと思われたとき、槐が思い出したように言う。 「あ・・・この前の弁当、うまかった」 この発言に、流石の薔薇水晶も多少驚愕の表情を浮かべる。 「え、食べたんですか? 猫の食べかけ、なのに・・・」 「ああ、うまかった。少し、味が薄かったが・・・」 「猫用に作ったやつなんです・・・」 「うらやましいな・・・」 「え?」 「いや、猫が・・・」 「そんな・・・凄い、手抜いてて・・・ちゃんとしたの、今度持ってきます、から・・・」 「いいのか・・・?」 「はい、一人分くらい、変わりません、から・・・」 槐は腹の底から湧き上がってくる喜びを抑え、礼を言う。 すると、猫はどこへともなく去っていき、同時に昼休み終了のチャイムが校内に響き渡った。 次の日、槐にとっては待ちに待った昼休み。 逸る気持ちを抑えつつも、ついいつもより早めにいつもの場所へ向かった。 しかし、着いた瞬間、槐の高揚は地の底へ叩き落される。 猫の様子が、あきらかにおかしかった。 眼球は光を無くし、口はだらしなく開き、体は地面に沈んでしまいそうなくらい、ぐったりとしていた。 槐はゴミ袋を投げ出す、猫を抱きかかえ走った。 走っている最中、生徒たちに変な目で見られても気にしなかった。 何より、気にする余裕がなかった。 学校を抜け出し、着いた先は動物病院。 至極落ち着いた口調で医者は言った。 「・・・残念ですが・・・目立った外傷もないので、心臓病か何かだったのでしょう」 絶望、次に、動揺だった。 どうすればいい・・・? 猫が死んでしまったことを正直に伝えるのか、それとも、隠し通すのが正解なのか・・・。 抱きかかえた、もう冷たくなってしまった猫をたまに見ては、生き返ってないかと確認する。 生き返っているわけがない。 気付けば、あたりはもう真っ暗だった。