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【名前】傍系の病院坂迷路 【出展】世界シリーズ 【種族】人間 【性別】男 【声優】 【年齢】 【外見】 【性格】 【口調】 一人称: 二人称: 【呼称】 [[]]→ [[]]→ 【特異能力】 【備考】
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【名前】匂宮出夢 【出展】戯言シリーズ 【種族】人間 【性別】 【声優】 【年齢】 【外見】 【性格】 【口調】 一人称: 二人称: 【呼称】 [[]]→ [[]]→ 【特異能力】 【備考】
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【名前】真庭鳳凰 【出展】刀語 【種族】人間 【性別】男 【声優】 【年齢】 【外見】 【性格】 【口調】 一人称: 二人称: 【呼称】 [[]]→ [[]]→ 【特異能力】 【備考】
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逢魔が時(大凶刻)《後編》 「随分とまあ、ごてごてとした屋敷だな……」 「それ、あんたが言っていい台詞じゃないでしょうに」 とがめの呟きに、否定姫が速攻で突っ込みを入れる。とがめの住んでいた屋敷を指して言っているのだろう。 しかし当然、豪奢に見えるのは外側だけだった。 兵どもが夢の跡。その言葉に違わず、屋敷内は見事に荒涼としていた。とがめや七実、ともすれば否定姫にとっても見慣れぬ洋風の建築様式ではあるが、こうも内部が破壊しつくされた建築物をして様式もへったくれもあったものではないだろう。 入口付近はまだ元の形を維持できている程度ではあったのだが、奥に行けば行くほどその破壊具合は凄惨さを増している。 瓦礫の山というよりは、瓦礫の海といったほうが適当かもしれない。壁も扉も天井も調度の類も、あらゆるものが壊され、崩され、砕かれ、潰され、それらの残骸がいっそ芸術的なまでに床一面を覆い尽くしてしまっている。もとの形などわかるはずもない。わかるのはせいぜい材質と、この建物は爆撃に耐えうるほどの強度を有していない、ということくらいだ。 「暴れも暴れたりだな……倒壊していないのが、これだと逆に不思議なくらいだ」 七実を除けば、ここで戦闘を交わしていたのは四人。たった四人が暴れまわった程度でこの惨状である。 しかも七実の話によると、その四人全員がほぼ徒手空拳で闘っていたというのだから恐るべしだ。 「まにわにの忍者さんは言うに及ばずですけれど――」瓦礫の海を越えながら七実が言う。「他の皆さんも、それに優るとも劣らずの使い手さんたちでしたね。一進一退、引きも切らずの見事な攻防でした」 「そんな連中を、そなたはひとりで一蹴しておるわけなのだがな……」 加えてその四人の戦闘技能のほとんどは、七実の持つ技術――見稽古によって、既に取り込まれてしまっていることだろう。 つくづく化物と言わざるを得ない。 ……いや、化物すらも凌駕する――天才か。 「まあ、仕留められたのはひとりだけでしたけどね、結果だけをいえば失敗ですよ。……あの女が邪魔さえしなければ、あとひとりくらいは逃がさなかったのに。残念です」 「……空蝉、とかいう術を使うのだったか? そなたの話を聞いた限りでは、忍術と同じようなものだという印象を抱いたが……変わり身の術と似たような技術なのだろう?」 「構造としては、まあ同じようなものでしたね。素晴らしい技術でしたけど、種も仕掛けもある分、いちど仕組みが割れてしまえば以外に脆い――というのが非常に残念な点でした」 すぐに看破できてしまいましたし、と七実は言った。 まあ、それはそうだろう。 変わり身の術とは、要するに敵の盲点を突く、相手の眼を欺くための忍術だ。 盲点を突く。 眼を欺く。 鑢七実を相手に、これほど虚しく響く言葉もそうあるまい。 「あ、そういえば」と、とがめたちのほうを軽く振り返る七実。「先ほど少し、話しそびれていたことがあったのですが」 「…………?」 話しそびれていたこと? 「七花のことか?」 「いえ、この首輪のことです」 そう言って、こんこんと指先で自分の首輪を叩いて見せる。 「島でこの首輪についてお話しした時に、わたしは確か、中身を見ないことには詳しいことはわからない――と言いましたよね」 「言っていたな」 実際のところ、それがとがめにとって一番不気味に感じている点なのだが。 わからない、と言ったのだ。 あの鑢七実が、目前の物をして、わからないと。 「それがどうかしたのか? ……というか、その首輪の中身を調べるために、わざわざここまで歩いてきたのだろう?」 「見てました、実は」 「は?」 見ていた? 「見ていたとは――何を」 「ですから、この首輪の中身的なもの――みたいな?」 「みたいな?」 疑問形? 「……どういうことだ? 中身を見たって、いったいどこで、どうやって――」 「覚えていませんか? とがめさんたちも見ていたでしょう? あの奇妙な白い空間に、まにわにの忍者さん達が勢ぞろいしていたのを」 「あ――ああ、」 成程、ととがめは思った。 最初にとがめたちが連れてこられた、あの奇妙な白い空間での出来事。 真庭忍軍十二頭領――あの空間に並んでいた連中の頭部のうち、九つを一瞬にして消し飛ばしてみせたあの爆発。あれは確かに、この首輪によるものだった。 立て続けに九回の爆破。今でも鮮明に思い起こすことができる。 あの爆発のことを、七実は言っているのだ。 爆破が首輪の機能の一部ならば、その仕掛けは当然首輪の内側に組み込まれているはず。それが発動したとなれば、必然、爆破の残骸という形で中身が外側に晒されることになる。 見て――いるのだ。 「あの時に、首輪の中身を見たということだな? しかし、なぜ早くそれを言わなかったのだ。それを見るためにわざわざここまで来たというのに、余計な手間ではないか」 「見たとはいっても、所詮は爆発の残骸でしたから。結局それほどのことはわからなかったんですよ。爆発の規模や種類なんか、わかったところで何の役にも立ちませんしね」 「むう……」もっともな言い分だった。普通に考えれば、粉微塵に吹き飛んだ物の仕組みを後から見て分かれなど、無茶な要求もいいところだ。「……何か見えなかったのか? 些細なことでも、有益な情報になりそうなものは」 「うーん。何というか、ここへ来てからいまいち調子がおかしいんですよね、わたしの眼。以前と比べて、見定めがうまくいかないというか……眼にごみでも入ったんですかね――」 ごしごしと目元をぬぐう七実。そんな原始的な理由で見損なわれてたまるか。 「ですから、わたしがあの時に見ることのできた情報といえば、どれもまだ確信的に言えないようなものばかりなんですよ。どちらかといえば、印象に近い段階というか。だからどうしても予断で話すことになってしまうので、ちゃんと調べてからお話ししようかと思っていたのですけれど――」 なるほど、裏付けがとれていないがゆえに、話すのを保留していた――ということか。 しかしそれでも、情報は情報だ。 「別にそれで構わぬよ。そなたの印象ほど、信頼できるものもないからな」 言いながらもとがめは、あの時の、赤い服の男と真庭蝙蝠との会話を思い出していた。 バランス――均衡、配分を保つための制限。 まさかあれが、七実に対しても――? 「わかりました」と七実は言い、「では、わかっている範囲で説明させていただきます。まず問題の爆破の仕掛けに関してですけれど、どうやら首輪の中をぐるっと一周するように、環状に仕掛けが施されているようですね。どこか一ヶ所でも連結が途切れてしまうと爆発するようにできているようです。――まあ、これはわざわざ言わなくとも予想できることかもしれませんが」 確かに、とがめにもそれは聞く前から見当はついていた。一部でも断ち切られれば作動する仕掛け。外すことはおろか、解体することも容易ではない作りというわけだ。 「じゃどうするの? 中身調べるっていって、壊したら爆発するんじゃ調べる以前の問題じゃない」 「解体する前に、爆破の仕掛けのほうだけをどうにかできる手段があればな……」 「例えば?」 「……外側から電気を流し込んで、仕掛けを故障させるとか」 「はい却下ー。流した瞬間爆発する可能性大よそんなもん」 「なんだ、きさまには何か妙案があるというのか」 「さあ? どうしましょう七実さん」 「さあ? どうしましょうとがめさん」 「…………」 丸投げ式。 首輪の仕組みを調べるために解体しなければならないのに、解体するためには首輪の仕組みを知らなければならない。堂々巡りだ。 とがめは余計な手間だとは言ったが、このままでは無駄な手間になりかねない。 「まあ、そう簡単に外せたら苦労はいらないわよね」否定姫が言う。「とりあえず調べるだけ調べてみて、最悪、首輪の回収だけでもしておけばいいでしょ」 いいのか、と少し思ったが、妥当な線としてはそんなところなのかもしれない。 というか、何かもう色々と大雑把すぎる。 命がかかっていたはずではなかったのか。 廊下をしばらく歩いたのち、七実が瓦礫の山の前でふいに足をとめる。ぶん、と腕を振るうと、積み重なっていた瓦礫が音を立てて吹き飛び、その向こうに一枚の扉が現れる。 「この部屋です」 広い部屋だったが、そのぶん破壊の跡も一入だった。明かりがなく、足下がかなり見えづらい。光源となるべきシャンデリアが瓦礫の一部と化しているせいだろう。 「この暗闇の中で瓦礫の上を歩き回るのは危険だな……目が慣れるまで、ここでしばらく――」 言いかけた瞬間、顔へ唐突に光が浴びせかけられ「うわぁあぁ!」と思わず叫んで顔をそむけるとがめ。何事かと目を戻すと、いつの間にか七実がこちらを向いて目の前に立っている。その手には、光を放つ円筒形の何かが握られていた。 「荷物の中に入っていました。灯りとして使う道具のようです」 言われて、とがめも自分の荷物の中からそれと同じものを取り出してみる。七実のいう通りに操作すると、先から光の筋が放たれる。なるほど、これは便利だ。 「見て見てー、幽霊ー」と自分の顔を下から照らして遊んでいる否定姫をとりあえず無視し、慎重に足下を照らしながら瓦礫の上を進んでいく。 目的の「もの」はすぐに見つかった。 若草色の着物を着た、首から上が粉々の肉塊と化している、女の死体。七実から聞いていた通りの造形。 闇口憑衣の死体だろう。 首輪はすでに千切れた首から滑り落ち、瓦礫とどす黒く変色した血肉にまみれて転がっていた。七実はそれを特に何の感慨もなさそうにひょいと拾いあげ、光をあてながら目の前にかざす。 「生きた人間に、完全に気配を消すことが不可能なように――」じぃっと、内側まで抉り、覗き込むような眼で、「造られた物にも、綻びは必ずできる。どんなに完璧に近いものでも、隙は必ずあるはずです」 観察に入った七実から視線を外し、とがめは闇口憑衣の死体に目を落とす。 この闘いが「本物」である証拠だ。 なぜ自分がこんな闘いに――などという栓のない思考については、とがめは既にうっちゃっているが、この女はどんな心情をもってして、この闘いに挑んでいたのだろうか。 七実から聞いたところによると、この女は瀕死の重傷を負わされてなお、七実の足を掴み、戦闘の意志を見せたのだという。 そこまでする意味が、彼女にはあったのだろうか。彼女にとっての何が、それほどまでに強固な意志を自身に持たせたのだろうか。 自尊心? 使命感? 忠誠心? 何にせよ、事情をしらぬとがめに推察できたことではないが……。 「…………ん?」 「何? どうかした?」 「…………いや」 横から訊いてくる否定姫に首をふって、もう一度、目の前の死体に意識を戻す。死体の全身がよく見えるように明かりを照らし、七実と同じように、その若草色の着物をじっと見つめる。 目の錯覚だとは思うが、今、ほんの一瞬だけ―― 死体が――動いたような。 「分かりました」 「え?」 七実の声だった。視線は変わらず首輪へと向けられている。 「何か分かったのか、七実」 「ええ、この首輪の外し方が」 「はぁ!?」 さらりと。 あまりにもあっけなく、七実はそれを口にした。 「ほ――本当か?」 「ええ、今度こそ間違いなく。やはり爆破の瞬間を見ていたのが幸いしましたね。あの時に見ていたものと合わせて、ようやく全体の構造を見通すことができました」 「………………」 こんな、こんな簡単に……? 拍子抜けというか、もう逆にびっくりだ。 「馬鹿な……こういう大事なことは、最終話近くになってようやく判明するのが常識のはずではないか…………」 「はい?」 「あ、いや……何でもない」 何だろう、今の台詞は。 無意識のうちに口に出していた。 「じゃあ――」 じゃあ今すぐに外してくれ、と言おうかと思ったが、方法をまず確認しておくことにした。疑うわけではないが、あっさりすぎて信用するに足りない。 「――どうやって外すのか、まず説明してくれぬか」 「わかりました」確認のためか、首輪に顔をよく近づけ、「要するに、この首輪は――――」 言いかけた、その瞬間。 ぼぅん、と。 くぐもった音とともに、七実の持っていた首輪が爆発した。 「……………………え?」 ぐらりと、七実の身体が斜めに崩れ落ちる。 小規模な爆発だったが、それはあくまで殺傷目的の爆発。首輪を握っていた右手も、観察のために近付けていた顔面も、当然、無事で済むはずもなく―― 「…………な、」 どさり。 闇口憑衣の死体と並ぶようにして、瓦礫の上へと倒れこむ、七実の身体。 火薬の臭い。血肉の臭い。 右腕と、頭部の前半分を破壊され、鑢七実は絶命した。 「…………な、…………な、…………な、」 なんだこれは。 落ち着け。落ち着け。とがめは自分に言い聞かせる。冷静に、冷静に考えろ。冷静に、状況を把握しなくては―― しかし、状況はとがめを落ち着かせてはくれなかった。 ぼぅん、と、二度目のくぐもった爆発音。 反射的に明かりを音の方へと向ける。ぼんやりとした光の中に、否定姫の姿が浮かび上がる。 ただし、首から上を除く。 金色の髪も、青色の瞳も、そこには跡形すらない。歪に抉れた首の根本からぷしゅううううぅぅぅぅぅぅぅぅと噴水のように大量の鮮血が溢れ出し、エプロンドレスを真っ赤に染め上げていく。 べしゃりと、七実と折れ重なるようにして、否定姫もまた瓦礫の一部となった。 「…………!」 とがめはもはや絶句していた。 鑢七実と否定姫。 つい今まで会話を交していたはずのふたりは、一瞬にしてただの肉塊と化した。 爆発音の余韻が、頭の中でわんわんと反響する。目眩がするのはその音のせいだけではないだろう。 ……なぜだ? なぜ首輪が爆発する? それも片方は、既に死んでいる者の首輪が。 ――いや、そっちのほうはむしろ説明がつく。七実はその首輪を使い、解体の仕方を実演しようとしていたところだった。とがめの見た限りではまだ何かをしたようには見えなかったが、もしあのとき七実が「何か」をして、それが首輪の内部を刺激したとなれば、必然、仕掛けを作動させてしまうことになるだろう。 腑に落ちないところがあるとすれば、その場合だと七実の見定めが誤っていたということになる。ああも確信的に「分かりました」と言っていたにもかかわらず、解体に失敗したというのが納得いかない。 相手はあの七実なのだ。 誤爆などで死ぬ器だとは思えない。 仮にそうだったとしても、それでは否定姫の首輪が爆発したことに説明がつかない。首輪に触れてすらいないのだから、誤爆のしようがあるまい。 だとしたら……どうなる? 可能性。 妥当性のある可能性。 「…………まさか」 首輪の爆破。 それを見るのは、これで二度目だ。 一度目は? 一度目は、何が首輪を爆発させた? 真庭蝙蝠。 これはまさか、あれと同じく―――― 「脱獄囚は即ち死刑――そんなことすら理解していなかったのですか、貴女達は」 「――――!」 誰かいる! 身構えたとがめに、黒い人影が覆い被さるように組みつく。抵抗する間もなく瓦礫の上に仰向けに倒され、衝撃に軽く絶息する。 ぴたり、と。 首にかけられる、ひやりとした両手。 当然、首輪を避けて、素肌に直接。 死体のような、体温の伝わらない手のひら。 「…………ぐ、」 動けない。 腕の力は大したことはないが――いや、これは手加減しているのだろう。振りほどけない、そして息の根を止めないぎりぎりの力で絞め付けているようだ。 「まあ、状況に逆らって逃げ出そうとするのも分からなくはない。それは恐怖から来る本能、防衛意識の現れだ。しかし、やはり迂濶と言わざるを得ないな……愚かとまでは言わないが」 ほとんど独り言のような喋り方。 声の聞こえ方から、その声の主と、とがめを絞め付けている人物が別であることに気付く。 ……二人いるのか? 暗闇の中、ぼんやりとしか見えない人影は一言も声を発さず、男かも女かも知ることができない。すぐ目の前にいるのに、顔の輪郭すらも曖昧な、虚ろな暗影の集合体。 「ねえ貴女――白髪の美しいお嬢さん。人にはすべて、与えられた役割があるべきだと、そうは思いませんか?」 ……何を言っている? 「あの人も、僕に役割を与えてくれた。しかし僕は、その役割に甘んじることができなかった。僕の思う方法で、あの人の望むものを見せてやろうとした。でも結局それはあの人が望んでいたものとは違っていて、結果的に裏切りになってしまったんだけどね……まあ、それも僕にとってはむしろ望むところだったさ。僕はその選択を後悔してなどはいない。自分の役割をまっとうしたのだと、そう信じている」 囁くように、声だけが聞こえ続ける。 すぐ近くにいるはずなのに、どこから話しているのかすらも分からない。 「しかし――僕はその代償として、果たすべき役割を失った。……いや、果たすべき役割を果たすための能力を失った。それは僕にとって、存在理由を失うに等しかった。恐怖だったよ……首を落とされるより、手足を潰されるよりも激しい喪失感に、僕は苛まされることになった。あの時に、僕は一度死んだ。……死んだも同然だった」 ……何を、 「死とはそういうことですよ、白髪のお嬢さん。しかし、僕は今生きている。生き返ったんだ。力は再び僕のものとなり、僕は再び存在理由を得た。役割を与えられたんだ。この戦場の中で、僕の果たすべき役割を」 ……何を言って、 「僕は感謝している。この殺し合いを主催した人物に。そして僕を、参加者のひとりとして選んでくれたことに」 ……こいつは一体、何を言っている? 「だからこそ、僕はここでも与えられた役割を全うしなければならない。貴女だってそうだ、白髪のお嬢さん。逃げてはいけない。これは生き残るための義務のようなものだ。義務を果たさぬ者に、生きる権利は与えられない。ただ殺されて、死ぬだけだ」 「く……は…………っ」 じわじわと。 とがめの首にかかる力が増していく。 「決断の時だ、白髪のお嬢さん」 とがめの手に、何かが握らされる。細長く、しかしずしりと重い、ちょうど片手で握りこめる形状をした何か。 なぜかその感触だけで、それが小刀であることが明確に理解できた。 「殺らなければ殺られる。死にたくなければ、その小刀で目の前の相手を殺すんだ。それは貴女にとって権利を獲得するための手段であり、同時に果たすべき役割でもある。誰にも憚ることはない。さあ、生か死か。自分のその手で選ぶんだ」 ぎちぎちぎちぎち。 その言葉を合図にしたように、首への圧力が一気に強まる。 今度こそ本気の――本物の殺意を感じさせる力。 同時に、とがめの右手が小刀を強く握りこむ。 ぶつぅん、と、頭の中で何かが弾ける感覚。 「…………っ!!」 躊躇はなかった。 渾身の力をこめて、小刀を相手の胸部――心臓のあたりを狙い、一気に突き立てる。 血とともに、肉を破壊する生々しい感触が小刀を経由して、右手へと伝ってゆく。 人影は、びくんと身体を大きく痙攣させ、直立の姿勢のまま一瞬だけ固まり、そのまま断末魔も最期の抵抗もなく、あっさりと瓦礫の上に崩れ落ちた。 「かはっ……はあ……っ! ごほっ!」 喉をおさえ、苦しげに呼吸を整えるとがめ。頭がくらくらする。酸素か、血液か。どちらにせよ、あのまま絞められていたら確実に脳内部から死んでいた。 「お見事だ。よくやったよ、白髪のお嬢さん」 ぱちぱちぱち、と、乾いた拍手の音。 「これで貴女は、生き残る権利を得た。その首輪ももう大丈夫だろうね。そこに転がっている二人のように、首を吹っ飛ばされるようなことはもうないだろう」 「…………誰だ、きさまは」 ふらつく足で、とがめは無理矢理に立ち上がる。小刀はまだ、右手にしっかりと握られている。 「見えない所からこそこそと……不愉快極まりないな。話があるなら、直接わたしの前に出てきてみろ。顔も見せられぬような相手と、わたしはこれ以上話すつもりはない」 静かに虚勢を張る。 内心では、殺されかけた恐怖に加え、今の状況にも相手の言葉にも理解が追いつかず、焦燥状態だった。 「逃げも隠れもしないよ。僕はここにいる」 今度ははっきりと、声のする方向がわかった。とがめが小刀を突き刺した死体、それを挟んだ向こう側に、ひとりの男が立っていた。 姿を表した気配すらなく。 まるで、初めからそこにいたかのように。 「はじめまして、と言っておこうか」 とがめと対峙したその男は、微笑とともに名乗りを上げる。 「僕は時宮時刻という」 「…………」 とがめの前に姿を表して尚、男――時宮時刻の醸し出す雰囲気は、余裕の一言に尽きる。 「乱暴な真似をしたことについては謝罪しよう。『それ』を見せてくれないことには、僕としては安心できなかったんでね。不意打ちで暴力的な手段を使わせてもらった。悪かったとは思うが、しかしこれは貴女のためでもある」 「だから……きさまの言動はさっきから訳がわからぬのだ。苛つかせるのが目的でなければ、そして会話が目的だというのなら、もう少し分かる言葉で話せ」 言いながらもとがめは、頭の中で思考を展開する。自分と相手との距離、相手の持っている円筒形の灯り、自分の持つ小刀、死体の位置、出口の位置と、そこまでの距離、方々に意識を巡らせる。 「何なのだこれは……わかっているというのなら説明しろ。何者だきさまは。何の目的でここにいる。さっき、わたしに何をした。今わたしを襲ったのはきさまの仲間か。なぜ……このふたりは死ななくてはならなかった」 最後の質問については、実際のところ予想はできていた。襲われる直前に思い到った可能性。加えて、時宮時刻の語っていた言葉の一部。 脱獄囚は即ち死刑――。 首輪を外すという行為が、主催者側への反抗と見なされた――ということなのだろうか。 しかし、訊かずにはいられなかった。言葉を止めてしまうと、内側から沸き上がるどす黒い何かに自分が飲み込まれてしまいそうな気がした。 しかし時宮時刻は、そんなとがめに対し、ゆるりと首を横に振ってみせる。 「そのふたりは、死んでなどいない」 「…………何だと?」 「死んだのは貴女のほうだ。白髪のお嬢さん」 その呼称をもう一度でも使ったら「その呼び方はやめろ」と言い放って堂々と名乗りを上げるつもりでいたのだが、相手の言葉にまたも理解が追いつかなくなり、絶句してしまう。 「……だから、何を、言って――」 「残念だが、僕は貴女と会話することを目的とはしていない。僕の目的は既に終了している。貴女が自分の中の攻撃性を発露させた、その瞬間にね。貴女は自分自身を犠牲に、自分が生き残る権利を得た。今の貴女として、生きることを選んだ」 「何をいっておるのだ! きさまは!」 とがめは怒号を放った。 堰を切ったように、激情の奔流が全身を支配してゆく。怒り、敵意、そして殺意。あらゆる攻撃的な感情が、とがめの身体を動かしていた。 「答えろ! 何なのだきさまは! 死んでいないだと!? ではこの死体は何だというのだ! 死んだのはわたしのほう!? ふざけた事を吐かすのも大概にしろ! 何が生き残る権利だ! 何が果たすべき義務だ! これ以上訳の分からぬ言葉で煙に巻こうというのなら、その不愉快な舌ごときさまの身体を八つ裂きにする!」 小刀を振りかざし、修羅の如き様相で時宮に詰め寄るとがめ。 血走った両眼は、もはや溢れんばかりの殺意で満ち満ちていた。 殺す! 殺す! 殺す! 殺す! 殺す! 殺す! こいつを殺す! とめどなく噴き上げる、火炎のような殺意。 方々に巡らせていたはずの意識も、今や目の前の相手にだけしか向いていなかった。 ほとんど盲目的なまでの破壊的な意識に身を委ねるようにして、とがめは小刀の切っ先を、殺意とともに時宮時刻に向ける。 「『それ』が、今の貴女だ」 そんなとがめとは対照的に、時宮時刻は全く揺るがなかった。 涼しげな顔で、自分に向けられる暴力の視線と凶器による威嚇を軽くいなす。 「貴女が殺したのは貴女自身だ、と僕は言っている」 そう言って、時宮時刻は足下に光をあて、目の前の死体――とがめが小刀を突き立てた人影を照らし出す。 「貴女の手によって、理知的で理性的な貴女はこの世から永久追放され、攻撃性と破壊衝動に満ちた貴女が、今の貴女として残存した――平たく言えば、そういうことさ」 闇の中に浮かび上がった死体の容姿を、とがめは視界に捉える。 心臓のあたりを大量の血で染め、人形のように空虚な顔をした死体。それが誰なのかは、記憶を探るまでもなくはっきりと分かった。 見覚えがあるどころの話ではない。 小柄な体躯。絢爛な衣装。肩口で揃えられた白髪。 それは明らかに――とがめ自身の死体だった。 ――――――――――――。 とがめの意識が暗転する。 ◆ ◆ ◆ 「今度はどうやら、うまくいったようだね――」 時宮時刻は、自分が成した作業の結果をじっくりと確認しながら、そう言った。 言葉の内容とは裏腹に、その表情には満足感や達成感などの自惚れた感情は一切見受けられない。それは彼にとって、この程度の作業が「瑕疵なく成し遂げて当たり前」のものであり、また今までに何度となく繰り返してきたものであったからに他ならない。 「しかし、念には念を入れておいて正解だったのかな。特に、この黒髪の女性。控え目に見てもただ者じゃあない……恐怖を感じないというより、恐怖という感情そのものが欠落しているような人間、といったところか。僕にとって――僕らにとって、ピンポイントで相性の悪いタイプの人間だね……まあ、それならそれでやりようはあるが」 時宮の視線の先には、先ほどこの部屋に入ってきた三人の女性が、一言も言葉を発さずに佇んでいる。 無論、三人とも死んでなどいない。 とがめも、否定姫も、鑢七実も。 心臓を貫かれてもいないし、首を吹き飛ばされてもいないし、顔面を破壊されてもいない。首輪も勿論、装着されたままだ。 ただ、三人が三人とも魂の抜けたような無表情で、虚ろな目をしている。 あたかも人形のように。 「単純な方法でこそ先手を取りやすく、成功しやすい――まさに初心忘るべからず、だ」 驚愕法、と呼ばれる催眠導入法がある。 突然相手の目の前に手をかざしたり、大きな音を立てたりすることで、対象者を呼び名の通りに驚愕させる。それによって意識に一瞬の空白を作り、その隙をついて暗示を浸透させる、という手法。 催眠の誘導法としては、初歩中の初歩の技術。 三人が部屋に入った直後、とがめの顔に突然浴びせられた光。あの光は、七実の懐中電灯からのものではなかった。 あの瞬間に、時宮時刻は想操術を施したのだ。 それも、三人同時に。 「まっすぐこの部屋へ向かってこられた時には少々気を張ったが……結果的にうまいこと待ち伏せの形にできたのは幸運だった。手間が省けたと言うべきなのかな――」 かつてとがめは、鑢七実の『眼』を制するための奇策として、暗闇という効果を利用した。 時宮時刻が七実の能力を知らない以上、これは偶然と言わざるを得ないのだが――時宮時刻もまた、同じ効果を利用したのだった。 奇策士とがめは、暗闇による一瞬の死角という形で。 時宮時刻は、暗闇の中での一瞬の閃光という形で。 完全無欠の『眼』に風穴を空け、そこから一気に瓦解させてみせた。 忍法足軽により、限界近くまで身体が疲労しきっていたこともまた、術の効き目に拍車をかけた要因のひとつ。 時宮時刻。 想操術専門集団『時宮』の実力者にして追放者。 止めを刺すには十分な――彼もまた、異形の能力の持ち主だった。 鑢七実。 その究極の『眼』によって、あらゆるものを見通し、見定め、見極め、見取ってきた彼女が、他人の『眼』によって支配されるというのは、皮肉という以外にないだろう。 もしかしたらそれは、単に相性の問題だったのかもしれないが。 七実の『眼』が、相手の能力を見極め、飲み込む性質を持つものであるのに対し、時宮時刻のそれは、相手の内部に浸透し、内側から支配する性質を持つもの。 受け取る視線と、放つ視線の違い。 更にもうひとつ。 時宮時刻の使用した技術は、対象者と目を合わせると同時に術を施すことのできる、いわゆる瞬間催眠と呼ばれる種類の能力である。鑢七実の技術――見稽古は、その技量こそ途方もないものではあるが、かといって見た瞬間にそのすべてを取り込むことのできるようなものではない。 僅かなりとも、時間が必要なのである。 見切り――見極め――見取るまでの観察時間が。 一度見れば大抵は、二度見れば磐石に――である。 更に穿ったところまで言うなら、ゲームバランスを維持するための処置として、彼女の天才性そのものにある程度の制限が加えられていた、ということも挙げられるが――そんな理由付けはもう、どうでもいいことだろう。 そんな理屈に、もはや何の意味もありはしない。 あるのはただ結果のみ。 とがめも、否定姫も、鑢七実も。 それぞれがそれぞれの幻術の中で、自らの精神を破壊され―― 支配という名の、敗北を喫した。 「くだらないな……うん、我ながらくだらない。もともと適当に言った言葉とはいえ、実にくだらない」 三人が不承島から出てしまったことは、結果からいえば失策だった。 容易には渡ってこれない――よしんば渡ってこれたとしても、待ち構えている側としてはいくらでも対処のしようのある、いわば三人にとってこれ以上ない安全区域である不承島から、いくら脱出の策を練るための情報集めという目的があったところで、安易に外に出るべきではなかったのだ。 「果たすべき役割、生き残るための義務、自分の存在理由……確かにくだらない。そんなことは、僕にとってもどうだっていいことなんだ」 ただの戯言だ、と時宮は言う。 「僕はただ、僕自身の目的を、僕自身の手で成し遂げる。それだけだ」 西東天――十三階段と呼ばれる組織を作り、世界の終わりを目論んだ、人類最悪の遊び人と自らを呼称する男。 そんな人間の思想に唯一、心の底から純粋に共感し、同調した男――。 「さてと、貴女達の実力が如何ほどのものか、とくと見せてもらうとしようか。遠慮はいらない。急ぐ必要もない。――ここからは永久に、殺戮の時間だ」 世界の終わりを望む男、時宮時刻。 彼の蒔いた戦乱の火種は、緩慢に、しかし確実に、音を立てて燃え広がりつつあった。 【1日目 早朝 赤神イリアの屋敷 H-4】 【時宮時刻@戯言シリーズ】 [状態] 健康 [装備] なし [道具]支給品一式、ランダム支給品(1~3) [思考] 基本 世界の終わりを見る 1 操想術を使い殺し合いを促進させ、世界を終わらせることが出来る者を探す 【鑢七実@刀語シリーズ】 [状態] 想操術による精神支配 [装備] なし [道具]支給品一式、ランダム支給品(1~2)、キスショットの心臓 闇口憑依の支給品(確認済み) [思考] 基本 1 2 3 【とがめ@刀語シリーズ】 [状態] 想操術による精神支配 [装備] なし [道具]支給品一式、ランダム支給品(1~3) [思考] 基本 1 2 3 【否定姫@刀語シリーズ】 [状態] 想操術による精神支配 [装備] なし [道具]支給品一式、ランダム支給品(1~2) 防弾エプロンドレスと黒縁メガネ(装備中)@戯言シリーズ [思考] 基本 1 2 3 026← 026 →027 ← 追跡表 → ― とがめ ― ― 否定姫 ― ― 鑢七実 ―
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偽装観(疑想感)《前編》 「さて」 さて、という言葉を会話の切り出し文句に使用するというのは、探偵小説のセオリーに対する皮肉を孕んだかの有名な格言の示すとおりに、文章におけるオリジナリティの乏しさと一種の語彙の少なさを露呈する恐れのある、古典的な言葉遣いとして認知している人間は実のところそれなりに多い―――ということは恐らくないだろうが、とにかくそんな思考も考察も一切なく、奇野の隣に座る少女――萩原子荻はごく自然な口調で話を開始した。 「竹取山の麓においてこのゲームの主催者のささやかな配慮としてセッティングされていたと思われるジープを見事発見・獲得した私たちはそれに乗って竹林から森の中へと移動し、今現在進行方向上にある研究施設なる場所を当面の目的地として移動しているわけですけれど、異論はありませんね?」 「………セリフがえらいこと説明臭いのは異論の対象になるのか?」 「テンポ重視です」 何だそれ。 ジープの運転席に座っている男――奇野は、あたりの大木に注意を払いながらハンドルを左右に回す。ヘッドライトに照らされて見える景色は、草と木と砂利の埋まった土ばかりで、到底道と呼べるようなものではない。普通の車であれば、走ることもままならないような悪路だ。 子荻の指示により、スピードはあまり出ていない。安全のためというわけではないだろうが、今ここに限っては、その理由でも間違いではないのかもしれない。 「同じ風景ばっかで方向感覚狂うな――この方向でいいのかよ?」 「問題ありません。少し迂回する形にはなりますけど、傾斜の方向にそって行ったほうが効率もいいでしょうし」 地図も、どころかコンパスすら見ずにそんなことを言う子荻。 さっきからずっと、手元でシャープペンシルをカチカチ言わせて遊んでいる。 「目的地に異論はないけどよ」ハンドルを切りつつ、奇野が疑問を呈する。「そこに着いたら、何する予定なんだよ」 「とりあえずは調査、探索、情報収集ですね。またなにか、面白いものでもあれば見っけもんですけど――」 くるり、と指先でシャープペンシルを回転させながら言う子荻。 「ビギナーズ・ラックに期待するのは一度だけにしておきましょう。あらかた調査が終了したら、すぐに次の場所へ向かう予定です」 「ふぅん?」奇野は少し訝しげに声の調子を上げ、「そこに腰据えて待ち伏せるとか、そういうのはないのか」 まだ誰にも荒らされていない場所だとするなら、そこを拠点になるべく動かないというのも手のひとつだと思うのだが。 「それも有効でないことはないですけれど」疑問を予想していたかのように、するりと答えを返す子荻。「今の時点では、あまりお勧めできない策ですね」 「何でだ」 「まず理由のひとつとして、私たちには『眼』があります。それから『足』も」 子荻はポケットを指で弾く仕草を見せる。『眼』というのは、あのレーダーのことを言っているのだろう。 『足』というのは、このジープのことか――。 「これほどに使える機動力を手に入れて、ひとところにジッとしているというのもナンセンスでしょう。いつまで留まっていられるかどうかも分かりませんからね。地の利を得ようというならむしろ、ひとつでも多くの場所を把握しておく方が後々のためにもなります。ウォーゲームのマッピングよろしく、ね」 ゲーム――またその言葉を使うのか。 そしてさらに『眼』ですが――と子荻は続ける。 「遠くからでも、相手のいる位置がある程度把握することができる以上、相手の先をとるのはそう難しいことではありません。堅牢な城壁に頼る必要なく、私たちは迎撃の体制を整えることができる」 アドバンテージがあります。 子荻はそう言った。 「だから私たちに限っては、こんな森の中の施設で待ち伏せなんてしても、得られるメリットは少ないというわけです。精々、リスクが少ないという程度のことですね」 「成程――ね」 一応、納得した風を装った奇野だったが、内心ではいまいち釈然としていないところが大きかった。 それは一所に留まる必要性がないことを示す理由であって、待ち伏せという選択を否定する理由にはなりえないんじゃないか――? その疑念は間違ったものではなかったが、奇野がその考え方に対し違和感を拭いきれなかったのは、子荻が有効だと考える戦略の方向性が、奇野の持つ性質と噛み合わないことが原因としてある。 『呪い名』という、性質。 ――精々、リスクか少ないという『程度』のこと――― 奇野と子荻の戦闘に対する意識は、まるで別物といってもよい。 「僕としてはむしろ、籠城作戦のほうを推したい所ですけれどね」 奇野の疑念をあっさりと代言するような声に、子荻は後部座席を振り返り、奇野はバックミラーに目を向ける。 「どうにも体調が優れないもので。今はあまり、あちこち動き回ったりしたくない気分なんですよ。本調子に戻るまでは、なるべくジッとして過ごしたいところですね」 わざとらしく疲れた声。仮病を使おうとする子供のようだった。 「あら」そんな様子を気にとめる気配もなく、子荻がそれに応じる。「それは私たちに対する恨み言でしょうか? 石凪さん」 「いやあ、そういうつもりで言ったわけではありませんけど」 くすりと、口の端だけで笑い、 「何しろつい先程まで生死の境をさまよっていたも同然の身ですから。そういうつもりで言ったほうが、むしろ間違いではなかったかもしれませんね」 「安心してください石凪さん。今はちゃんと生きていますから」 「理解してますよ。生きてなければ、僕はこんなに不調を感じてはいませんからね」 「そうですか。一応、後遺症が残らない程度には治療してさしあげたつもりですけれど」 お互いに、とてもいい笑顔を向け合う二人。 恐ろしいくらいに含みのある笑顔ではあるが。 「………」 数時間前、奇野と子荻があの竹林の中で邂逅を果たしたすぐ後に、二人はこの少年――石凪萌太と出会った。 否、出会ったというのは正しくない。奇野たちと同じく竹林の中をさまよい歩いていた石凪萌太を二人が一方的に発見し、石凪がそれに気付くより先に二人が攻撃を仕掛けた――というだけのことだ。 攻撃に際し、子荻が『生け捕り』を提案したとき、奇野は確かに戸惑いを感じた。 中途半端だと思ったのだ。 この状況で、リスクを負ってまで生け捕りにするメリットがあるのかと。不意打ちまでふっかけるくらいなのだから、殺してしまうべきではないのかと。 結果的に、生け捕りには成功したのだが。 今のところ、それが正しかったのかどうか、奇野には判断がついていない。 なぜなら奇野は、会話のひとつも交すことなく、どころかまともな戦闘と呼べるようなものさえ行わないままに、石凪の身体を封じてしまったのだから。 有無を言わさず、というやつである。 奇野の能力――『病毒』を持ってして。 呪い名がひとつ、『奇野』に属する人間は、その身体に膨大な量の毒物を仕込んでいる。 微毒から猛毒まで。 既知のものから未知のものまで。 ありとあらゆる種類の、毒を。 その能力の凶悪さは、意識を取り戻す前の石凪の症状を見れば、火を見るより明らかである。 ただし奇野が勝利(と呼んでいいものかどうかも怪しいが)を収めることができたのは、その能力のおかげというわけではない。 子荻のおかげだ。 萩原子荻の弄した策が、見事なまでに物を言った。 完全なる不意打ち、芸術的なまでの騙し討ち。 勝負ですらなかった。 甲虫を捕えるが如き容易さで、子荻は奇野を『使い』、見事標的を生け捕りにしてみせた。 雀の竹取山という、彼女にとって「地の利」に恵まれた場所であったとはいえ――― 萩原子荻。 『策士』としての技量は、尋常ではない。 「まあ、前提だけで考えすぎても仕方ありませんけどね」 子荻は事なげに言う。 「石凪さんの言うとおり、闇に伏して待つのもひとつの手であることは事実です」 戸惑いを感じたと言えば、それは後部座席で優雅な笑顔を浮かべているこの男――石凪萌太に対してもあった。 今さっき生死の境がどうこうとか言っていたが、奇野が石凪に使用した『毒』はそれほど悪質な類のものではない。即効性で意識レベルを極端に低下させることはできるが、いわば麻酔に近い働きをするもので、解毒剤を使用せずとも、数十分から数時間で自然と回復する程度の持続性しかない。 だから実際には子荻の言ったような『治療』など行ってはいないし、後遺症など残ることもまずない。つい数十分前に自力で回復し、正常な意識を取り戻したばかりである。 そうして目を覚ました石凪に対し、子荻はさっそくといった感じで、奇野にしたのと同じような『交渉』を持ちかけた。 あまりにもあっさりと、側で聞いていた奇野が呆気にとられてしまったくらいにあっけらかんと。 私たちと一緒に行動しませんか―――と。 そして結果、『石凪』は――― ――構いませんよ。 ――ちょうど、誰かと組みたいと思っていましたから。 ――むしろこっちから頼むところです。 あまりにもあっさりと、奇野たちとの共同戦線を受け入れた。 何なんだ? こいつらは――― 「ああ、いや、さっきのはほんの軽口ですから、どうか気になさらず」 少年――石凪は言う。 「さっき見せてもらった地図ですけれど、いくつかこの目で確認しておきたい場所がありましたから――できるなら僕も、積極的に移動する方針に賛成です」 「そうですか。じゃあ――」 奇野は、自分の隣に座っている少女に対しどういう感情を抱けばいいのかどうか分からなくなってきていた。 ありきたりで、適当で、ざっくばらんで、場当たり的なように見えて――― それでいて、うまくいく。 手中に収めるが如く、思いの通りに事を運ぶ。 一見すると、何も考えていないようにすら見えてきてしまうくらいに。 「奇野さんは、どうされますか?」 だから奇野は、 「俺も別に、それで構わねーよ」 だから奇野は、考えることをやめた。 「今は行き先でグダクダしててもしょうがねーでしょ。どのみち行きあったりばったりに近いんだから、サクサク行こうぜ」 詳しいことはその後でいいだろ、と、奇野は適当な感じでまとめた。 今はまだこれでいい。今は迷う必要なんてない。疑惑なんて、最初からあってないようなものだ。 考えるな、戸惑うな、躊躇するな、思考に足を取られるな。 生き残るためには、今はこれでいいはずなんだ。 「では、満場一致で決定ということで」 かちり。子荻の手元でシャープペンシルが鳴る。 「迷わず惑わず、行くとしましょう」 話している間に、東のほうからうっすらと空に色が付き始めてきているのが木々の隙間から見えていた。あと一時間もすれば十分な明るさが得られることだろう。 そうすれば一層、他の参加者とのエンカウント率も高くなってくる。 本当の戦いは、まだこれから先か―――。 それからしばらくは、ただの雑談の時間となった。 「それにしても、山道の運転は疲れますね」 「否定はしねーけど、運転してるのは俺だからね」 「助手席には助手席なりの苦労があるんです」 「ほう、何だろな」 「ガタガタしてお尻が痛いです。何とかしてください」 「助手席関係ねーだろ! しかも確実に俺のせいじゃねえ!」 「僕としても何とかしてほしいものです。車に酔う体質ですので」 「文句あるなら運転代われ」 「奇野さん、着くまで寝てていいですか。私、もう眠くて」 「寝たら死ぬぞ」 「おやすみなさい」 「起きろコラ」 「じゃあ僕も。おやすみなさい」 「てめーら!」 言いあっている内に、唐突に道が開けた。森を分断するような一本道が、月の降りていく方向へとまっすぐに上りの傾斜を作っている。 その向こうに巨大な壁のようなものがそびえ立っているのが、薄闇の中にぼんやりと浮かんで見えていた。 ◆ ◆ ◆ 「まるで城壁ですね」 目の前にそびえ立った無骨なコンクリートの壁を見上げながら、萩原子荻は呟いた。奇野はどちらかというと、城塞よりも刑務所あたりを連想するなと思っていた。どちらにしても、第一印象としてこの向こうにまっとうな施設があるなどとは普通思うまい。 鋼鉄性の絶縁扉を抜けて中に入ると、研究棟らしき建造物が正面に見えた。窓も何もない、巨大なサイコロのような建物が並んで四つ、静かに存在している。 「堕落三昧斜道卿壱郎研究所――正式名称、斜道卿壱郎数量論理学術置換ALS研究機関。知ってるというほどでもありませんが、話に聞いたことくらいはあります。あの玖渚機関の息のかかった、随分と『閉鎖的』な研究施設―――まあ、ここが本物かどうかは分かりませんけどね」 歩きながら子荻が独り言のように言うのを、奇野は隣で聞いていた。やたら強調して言ったように聞こえたが、研究所が『閉鎖的』なのは当たり前のことなんじゃないのか………? 壁内部の敷地面積は思っていたほど広くなく、徒歩での探索も可能そうだった。ちなみにジープは入口から少し離れたところの森の中に駐車してある。一応できる限り目立たないようにはしたつもりだが、あのでかい車体では気休め程度にしかならないだろう。 「研究所っつーと、何か怪しい匂いがするよな」 「そうですか?」 「山奥の研究所にはロマンが詰まってんだよ」奇野はなぜか嬉しそうだった。「エイリアンみたいな実験動物がケージの中にひしめいてたり、秘密の地下室に人食いゾンビの群れが蠢いてたり、変質したミトコンドリアが巨大化して襲いかかってきたりするんだよ」 「変質したミトコンドリアがロマンですか」 軽く引いたような笑いを浮かべる子荻。 イメージが貧困すぎる。 一番手前の建物の前まで到着すると、子荻は奇野と石凪のほうを振り返り、 「では、各々の調査対象を決めましょうか」 と、自分の後ろを右手で示す。 「まずは建物の内部。あまり時間を割くのもアレですし、一棟につき約三十分の割り当てでいきましょう。私が一番手前のこの建物を担当しますから、奇野さんは二番目、石凪さんは三番目をお願いします。三十分経ったら、またここに集合ということで」 「あれ………? 皆バラバラに調べんの?」 「そのつもりですけれど、何か」 問題でもございますか、と言わんばかりに小首を傾げる子荻。時々こういう仕草を見せられると、何かわざとやっているようで微妙に腹立つ。 いつ何が起きるか分からないし、いつ敵が来るのかも分からないような状況なんだから、全員一緒に行動したほうが安全なんじゃないのか―――と奇野は思っていたが、それを台詞として口に出してしまうと、自分がヘタレチキン的なポジションに格付けされてしまうような気がしたので、とりあえず発言するのはやめておいた。 こんな所で単独行動とか、死亡フラグの臭いがプンプンするんだけどな………。 どうやらこの女子高生、ミステリの類は嗜まない種類の人間であるらしい。 「ただそうすると、突然の敵襲が心配ですね」 口を開いたのは石凪だった。 「簡易レーダーを持っている子荻さん以外の僕たちに敵の接近を察知する術はありませんし、互いの連絡手段もない。この状況でバラバラに行動するというだけで既に危険な香りがするのに、不測の事態に対し無防備すぎると思います。正直なところ不安です」 「………」 またしても、奇野の押し留めた不安をあっさりと代言してしまう石凪。 何この得も言えぬ敗北感。 「心配無用です」 そういって子荻は、デイパックから長い黒色の物体を取り出した。腕よりも長いそれを、平然と奇野たちの目の前に掲げる。 「確認し次第、私がすべて迎撃してさしあげますから」 「………」 狙撃銃――いわゆるスナイパー・ライフル。 もともとは石凪萌太のデイパックに入っていた武器だったが、気を失っている間に子荻がこっそり掠めとっていたものだ。「私は普通の女子高生ですから」などと言っていた少女はどこへ行ったのやら。奇野は微かに苦笑した。 石凪がさらにもう一歩踏み込む。 「僕ら以外の参加者がもともとこの場所にいて、既にトラップが内部に仕掛けられているという可能性は?」 「時間的に見てまずありえませんね。私たちがこのエリアに入ってきたのが、午前4時13分22秒。開始時刻が午前零時ですから、 所要時間もそれと同じ。その時点で確認しましたが、レーダーが示す同エリアの反応は私たち3人だけのものでした。そんな短時間に気の利いたトラップを仕掛け、あまつさえエリア内部から脱出するなんて芸当、よほどの変態でない限り不可能です」 ちょっと待て、何でトラップの話に変態が関わってくるんだ。 「さらにもうひとつ、わざわざトラップを仕掛けてまで造り上げた領域を、速攻で捨てて外へ移動する理由がありますか?相手は敵がレーダーを持っているなんて思ってもみないでしょうし、それこそ相手が罠にかかるまで『籠城』することを選択するはずです。 そもそも私なら、入口にこそ罠を仕掛けるでしょうね」 ああ………だから扉抜ける時「お先にどうぞ」とか言って先に行かせたのね………。 さりげなく人を毒味役に使いやがって。 ちょいちょい抜け目無え真似すんなこの女。 「他に質問は?」と尋ねる子荻に、奇野は無言で、石凪は肩をすくめてそれに応える。奇野としては質問がないというより、突っ込み所を整理しきれなかったといった感じだったが。 「では時間も惜しいですし、探索開始といきましょう。鬼の居ぬ間に御神託――ところで奇野さん、神を信じますか?」 「はあ?」 宗教勧誘? いきなり何言い出すのこの娘。 「いや……信じてはいないけど」 そうですか、とにっこり笑い、おもむろに顔を近づけてくる子荻。そして、 「ひとつ約束してください」 奇野の耳元で、そっと囁くように、 「何があっても絶対に、私を疑うことを止めないでください」 と、言った。 奇野が尋ね返す間もなく、子荻は長い黒髪をふわりと翻しながら背を向け、サイコロめいた建物の中へすたすたと入っていってしまった。 「………?」 奇野は首を傾げた。 何だ、そりゃ? 信じてくださいでも、疑わないでくださいでもなく―― 疑うことを、止めるな――? どういう意図の言葉だ、それは………。 ぽん、と、 唐突に肩を叩かれ、思わずびくっと身を震わせる。振り返ると、いつの間にか背後に移動してきていた石凪萌太が、奇野の肩に手を乗せながら、影を含んだ笑顔を浮かべていた。 「僕たちも行きましょう。いろいろと不安はありますけど、外部からの不安要素については、あの娘に任せておくことにしましょう。見た感じ、ただ者という訳ではなさそうですし――」 信じましょう、と石凪は言い、奥の方へ続いて並ぶ建物へ向かって、足を進める。 「信じましょう――ね」 奇野はその言葉を反芻してから、前を歩く少年の後に続いて歩き始めた。 信じろと言われて信じることは、不可能に近く難しい。なのに疑うことは、言われなくともこんなに自然。 疑惑は無限で、信仰は一瞬。だから即物的な人間ほど、信じるということに幻想的な価値を見い出そうとする。 疑わない自分を信じ、信じ続ける自分を疑わない。盲信という名の無限の中で、倒錯しきった価値感に溺れ続ける。 信用とはただの無関心だとは、よく言ったものだ。 「ただ疑うのもただ信じるのも、結局はバカのすることなんだよな……」 奇野は誰にともなく、そう呟いた。 適当な言葉だった。 ◆ ◆ ◆ 二人とも無言だった。 萩原子荻が第一棟内に入ってから、奇野と石凪は互いに一言も喋らず、次の建物へ向けて歩いていた。単に交わすべき言葉がなかっただけなのかもしれないし、何か言うべきことがあったからこそ、あえて何も言わなかったのかもしれない。 もっとも現実的に考えれば、互いに警戒し合っていただけのことなのかもしれないが。 『殺し名』――石凪萌太。『呪い名』――奇野頼知。 異端中の異端と、異形中の異形。 沈黙を生むには、十分に足る組み合わせ。 「………」 奇野は自分の能力について、子荻には既に(曖昧にではあるが)話してある。子荻が竹取山の中で論じていた、参加者のバランスと制限についての話は、奇野の持つ能力が健在だったことを根拠としたものだったのだろうが――ただ奇野は、その話に関わる最も重要な部分をひた隠しにしている。 奇野は自分の身体に制限が加えられていることに、ゲームの最初から気づいていた。 今の奇野頼知が使用できる――他人に『感染』させることのできる毒物の種類は、通常の時と比べ、極端に少なくなっている。使用できないと言うより、単純に『ない』のだ。すっぼりと抜き取られたように、大量の『毒』が奇野の体内から消滅させられている。 こういうのも一応、解毒というのだろうか。 奇野が使用することのできる『毒』の数は、今や百種類にも満たない。 体力のほうには、何の制限も加えられていないとはいえ――― 奇野にとっては、圧倒的すぎる制限である。 だがそれは同時に、奇野を安心させる材料でもあった。奇野にこれほど絶大な制限が加えられているということは、他の参加者――例えば隣にいる『石凪』にも、同様に制限が加えられているということ。実際、奇野たちがこの石凪を仕留めることができたのも、不意打ちの策が成功したことの他に、『殺し名』としての戦闘能力がある程度削がれていたことがあるのだろう。 加えて今は、回復してきているとはいえ、奇野の『病毒』が効いている。 油断さえなければ、簡単に殺されることはないはずだ。 「………ふぅ」 考えている間に、第二棟――奇野に割り当てられた建物の前に到着する。第一棟より一回り小さい。入口の造りは同じで、見た目としては自動ドアのような感じなのだが、どうやら手動で開ける必要があるらしい。扉の脇に数字キーのついたパネルのようなものが設置されていたが、押してみても何の反応も示さない。機能していないのだろうか。無言のまま中に入ろうとしたところを、「ところで奇野さん」と、後ろから唐突に呼び止められる。 奇野はとっさにサングラスを装着し、それをつい、と軽く押し上げながら、長髪を風になびかせるようにして振り返る。 「ヘイ、何かなボーイ」ばさあっ、と前髪を派手にかき上げ、「ひょっとして今、俺の名前を呼んだのかい?」 「無理矢理にキャラ作ろうとしなくてもいいんですよ」 ぐさっ。 「あのお姉さん――萩原さんですけど、気をつけておいたほうがいいと思います」 くそ、火傷覚悟で頑張ったのに。 氷河期召喚しちまったじゃねえか。 「あー……気をつけるって何に?」 「あの人は少なくとも、僕たちと相互関係を築こうなんて微塵も思ってはいませんよ。言っていることが、嘘とか本当とかの次元じゃないんです。魂がまるで籠っていない」 「………さっきは、信じましょうとか言ってなかったっけか?」 「信じたほうが効率的だったというだけの話です。数の利が欲しいのは僕も同じですし――今はなるべく、誰とも戦いたくはないですから」 「………死神が」 「元・死神ですよ、奇野さん」 石凪は笑う。笑顔の他に、表情を知らないといった風に。 「何を殺し、何を殺さないかは僕自信が決めます。『殺し名』も『石凪』も関係ない。こんなゲーム、真面目に参加する気なんて最初からありませんよ。ただ――」 あなたはどうか分かりませんけどね、奇野さん――と、石凪は静かに言う。 笑顔だが、目が笑っていない。 射すくめるような視線を、遠慮なく飛ばしてくる。 「………何だかんだ言って、結局根に持ってんのか?」 少し考え、奇野は虚勢を張ることにした。 「熱くなんなよ、ガキ。こーゆー場合、『内輪揉め』が一番の死亡フラグだってことくらい分かってんだろ? 無駄なことに燃料使うなって。今はお互い――」 「浅野みいこ」 不自然なくらいに感情の籠らない声。 「覚えていますか? この名前」 「………?」 浅野――みいこ? 誰だ? 聞き覚えはある………ような気はする。それも割と最近。みいこさん――誰かがそう呼んで………みいこさん………みいこだから、みーちゃ―― 「あ」 「いつぞやは、僕の身内がお世話になりました」 ぺこりと、慇懃に頭を下げる石凪。奇野にはもちろん、その仕草は皮肉以外の何にもとれない。 ………身内だと? 「誤解しないでくださいね。別にそのことを理由に、あなたとここで敵対しようだなんて思ってはいませんから。それとこれとは別、というやつです。ただあなたにとって、僕は全く縁のない相手ではないということを、ゆめゆめお忘れにならないよう………ああ、それとついでにもうひとつ」 そして実際、ただのついでと言わんばかりの軽い口調で、 「哀川潤もここに来ていますよ」 「………!」 「心ばかりの忠告ですけれど――哀川潤はおそらく、あなたを敵視するでしょう。十三階段の十二段目、《病毒遣い》、奇野頼知をね。後から恨み言のないように言っておきますが、僕は彼女を敵に回してまで、あなた達と仲良しこよしでいるつもりはありませんよ。僕が誰を殺すかと同じく、誰を味方とするかもまた、僕自身で判断させていただきますので、そのつもりで」 言うだけ言って、石凪は奥の建物の方へと向けて歩き始めた。すたすたと、軽やかな足取りで奇野から遠ざかっていく。 「………………けっ」 そんな後ろ姿を最後まで見送ることなく、奇野は目の前の無骨な絶縁扉に手を掛けた。 ずずぅ、という重々しい音とともに扉が開かれ、内側と外側の絶縁が解き放たれる。ひんやりとした風が中から吹き付け、それが肌を僅かに粟立たせる。 いっそのこと、異界にでも通じてりゃいいのに―――そう奇野は思い、中へと一歩、足を踏み出した。 それもまた、貧困な発想だった。 020← 021 →021 ← 追跡表 → ― 奇野頼知 ― ― 萩原子荻 ― ― 石凪萌太 ―
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【名前】水倉神檎 【出展】新本格魔法少女りすか 【種族】魔法使い 【性別】? 【声優】 【年齢】 【外見】 【性格】 【口調】 一人称: 二人称: 【呼称】 [[]]→ 【特異能力】 【備考】
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犬吠埼風&ライダー組 ◆nig7QPL25k 夢を見た。 私ではない誰かの夢を。 私と違う時間を生きた、違う場所での誰かの夢を。 その男の人の境遇は、おおよそまともなものではなかった。 私が最初に見たものは、培養液に浸されて、眠るその人の横顔だった。 そして同じ横顔が、10も20も並べられていて、まるで倉庫のようだった。 同じ顔をした人間が、まるで物を扱うように、無数に並べられていた。 戦うために生まれた存在。 人類を脅威から守る兵器を、ただ動かすためだけに作られた人間。 自分の命と引き換えに、敵を殺すためだけに、大量生産されたクローン兵士。 それが私が夢に見た、その男の人の在り方だった。 「無様だ? 死だぁ? リスクが怖くて戦えるかっ!」 それでも、その人は戦った。 嘆きも悲しみもすることなく、胸を張って戦い続けた。 プログラムされたからでもなく、自分自身の意志の下に、平和のために戦い続けた。 それは自分の出自を知っても、決して変わることはなかった。 「グレートと俺は、受けた仕事はきっちりやり切る! どんなにボロボロになろうが! 死ぬ寸前だろうが! 最後は必ず勝利を掴む!」 彼は自分を勇者と呼んだ。 人類を守る盾として、偉大な勇者の名を名乗った。 きっと彼のような人間こそが、本物の勇者なのだろう。 どれほどの死の恐怖に晒されても、どれほどの死を味わっても。 たとえその戦いが、誰かの都合で強いられたものでも。 「プロ勇者――なめんなぁあっ!!」 それでもと。 それでも自分は戦うと。 そう言い続けられる彼は、たとえどんな生まれであったとしても、本当の勇者に他ならなかった。 ◆ 犬吠埼風は勇者である。 侵略者・バーテックスの脅威にさらされ、明日をも知れない人類を守るべく、神樹様から選ばれた戦士である。 彼女は持ち前の人の良さから、その使命を素直に受け止め、勇者として戦い続けてきた。 学友達を同じ勇者として、戦いに巻き込まなければならないことへの負い目を押し殺し、懸命に剣を振るってきた。 犠牲を伴う真実を知らされ、道に迷い暴走した時も、仲間達に助けられ、許された。 多くのものを失いながらも、大切なものを手に入れたのだと、そう語る仲間達の胸の中で、彼女は涙を流し叫んだ。 「ライダーッ!」 そしてそんな犬吠埼風は、今まさに殺されようとしていた。 願いを叶える聖杯を賭けて、使い魔を操り戦う戦場。 その聖杯戦争に巻き込まれ、使い魔・サーヴァントを与えられた風は、しかし早々に手札を失い、脱落の危機に立たされていた。 「そんな……」 爆発の余韻が耳に残る。 左目を眼帯で覆った、緑の単眼が見開かれる。 空には既に何も残らず、ただ煙と鉄屑の雨だけが、サーヴァントの死を物語っていた。 風が召喚したライダーのサーヴァントは、敵サーヴァントとの戦いの末に、空中で爆発四散したのだ。 「終わりだな」 がちゃり、と具足の音が鳴る。 鎧を纏った使い魔が、風の目の前に降り立つ。 鋭い双剣を輝かせるのは、最優と謳われたセイバーのサーヴァントだ。 「くっ……!」 苦々しげな顔をしながら、風は自らの得物を構える。 勇者・犬吠埼風の武器は、黒光りする幅広の大剣だ。 大きさだけを見るならば、敵のサーヴァントの宝具よりも、風のそれの方が圧倒的に大きい。 「無駄だと分かっているだろうに」 それでも、セイバーは取り合わない。 やれやれといった身振りを取りながら、ため息混じりにそう呟く。 事実として、このサーヴァントなる存在の強さは、今までの敵とは桁違いだ。 風自身も戦闘には参加していたが、自分の攻撃のことごとくを、あの細い刀に弾き返されてしまった。 神話の双剣に比べると、自分の握るこの剣の、なんと頼りなく感じることか。 (怖い) 意図せず、半歩後ずさる。 圧倒的な脅威への恐怖が、冷や汗となって頬を伝う。 あるいは孤独な戦いという、これまでに体感したことのない状況もまた、それを助長しているのかもしれない。 (戦うことに意味なんて、あるかどうかは分からない) 自分達勇者は生贄だ。 体の機能を奪われながら、決して死ぬことも許されず、戦いを強いられ続ける道具だ。 こんな風にして死を恐れても、何の意味もないかもしれない。 たとえ元の世界へ戻れても、利用されたという虚しさが、胸を苛むだけかもしれない。 (それでも) だとしても、あそこには樹がいるのだ。 一番大事な声をなくしても、勇者になってよかったと、そう言った妹がいるのだ。 勇者部に入ることがなければ、弱い自分は生まれ変われず、後ろに立っているだけだったと、笑顔でそう言ってくれたのだ。 (だったら……!) だとすれば、死ねない。 彼女を、勇者部の仲間達を、あの町に取り残してはおけない。 自分は勇者部の部長なんだ。皆を戦いへと巻き込んだ張本人で、皆をまとめるリーダーでもあるのだ。 これから先どうするにしても、その責任は果たさねばならない。 そしてそれ以上に、あの愛おしい仲間達と、永遠にお別れすることなんてできない。 (やるっきゃ、ないっしょ!) だからこんなところでは死ねない。 殺されるわけにはいかないのだ。 命の終わりを受け入れることなく、みっともなく恐れながらでも、立ち向かわなければならないのだ。 震える両手で剣を握り、かすかに涙の滲んだ瞳で、風が敵サーヴァントを睨んだ瞬間。 『――ボサッとしてんじゃねえ!』 大音量の怒鳴り声が、頭上から戦場に響き渡った。 「えっ!?」 聞き覚えのある声だ。 もう聞こえないはずの声だ。 驚いた風は反射的に、声のする方を見上げる。 しかし声の主を見るより早く、体は何かに攫われていた。 「う、うわぁっと!?」 ぎゅうんと大気を切り裂く音が、正面から叩きつける風が、風の体を鋭く揺さぶる。 視界に広がったのは、赤だ。 鋭角的なラインを有した、真っ赤な戦闘機の姿だ。 そのコックピットから伸びた手が、風を空へと引っ張ったのだ。 「ら、ライダー!? あんたどうして……!?」 「んなもん後からいくらでも説明してやる! それより今は目の前の敵だ!」 戦闘機のシートに身を預け、赤いパイロットスーツを纏った男は、間違いなくライダーのサーヴァントだ。 先ほど敵の攻撃を受け、この戦闘機ごと爆散したはずの、犬吠埼風のサーヴァントだ。 それが何故か、生きている。 自らの戦闘機に乗って、ピンピンした状態でここにいる。 「いいか! 奴にはブレーンコンドルじゃ歯が立たねぇ! 俺の宝具を使う必要がある! 必要な魔力は、今までとは桁違いだ! そいつを受け止める覚悟はあるか!?」 そんな疑問を受け付けず、ライダーは風に向かって尋ねた。 勝つためには無茶をする必要がある。 それをする覚悟はあるのかと。 「……あーもう分かった! やったるわよ! こうなりゃ何でも来いだっつーの!」 答えなど当に決まっていた。 生き残るための手段があるなら、他に選択肢などなかった。 ライダーの言うとおり、考えるのは後だ。今はこの戦いに勝利し、生き残ることが先決なのだ。 覚悟を決めた犬吠埼風は、ライダーの問いに大声で答えた。 「了解だ! 巻き添え食わないようにじっとしてろよ!」 ライダーはそれを引き届けると、掴んだ風の手を払う。 手頃な建物へ向かって、思いっきり風を投げ飛ばす。 最初の一瞬は驚いたが、連れ出す時も強引だったのだ。すぐに状況を理解し、建物の屋根へと着地した。 「何をする気だ?」 追いついたセイバーが呟いた。 ブレーンコンドルなる戦闘機は、どんどん高度を上げていく。 距離を詰めてきたセイバーとは対照的に、ライダーはどんどん離れていく。 一体何を考えているのか。 そもそも彼の宝具とは何だ。それはブレーンコンドルではないのか。 セイバーのみならず風の中でも、疑問が渦を巻いた瞬間。 『よっしゃあ! マジィィーン――ゴォッ!!』 戦場に轟く雄叫びが、大地を揺るがす地鳴りとなった。 突き上げるような震動が、突如として風の足元を襲った。 「えっ、なっ、なに!?」 思わず態勢を崩して、座り込む。 狼狽しきった犬吠埼風は、周囲をきょろきょろと見回す。 瞬間、瞳に映ったものは、地面から湧き上がる光だ。 さながら大地を割るように、石畳から放たれた魔力の光だ。 その奥底に、何かいる。 何か黒くて巨大な影が、光の中からせり上がってくる。 『ファイヤー・オンッ!!』 ライダーの叫びが轟いた時、その正体は明らかとなった。 急降下するブレーンコンドルを、迎え入れたのは巨大な顔だ。 さながら西洋の兜のような、鉄で作られた顔面だ。 いいや、あるのは顔だけではない。 肩が、腕が、胴体が――鋼の光を放つ体が、地の底から姿を現してくる。 巨人? 違う、ロボットだ。 漫画の世界に出てくるような、人間の十倍はあろうかという、巨大なロボットの姿だ。 「これって……!」 瞬間、脳裏にビジョンが浮かぶ。 フラッシュバックのような映像が、風の記憶から湧き上がる。 あれを見たのは初めてではない。あれは夢の中で見た、ライダーの駆っていたロボットだ。 であれば、あの黒い巨体こそが。 さながら神話の魔神のような、威容を放つ姿こそが。 『見やがれ! これこそ偉大な勇者――俺のグレートマジンガーだッ!!!』 ライダーのサーヴァント。 その真名は、剣鉄也。 ミケーネ帝国が率いる、七つの軍団と戦うために、鍛え上げられた戦闘のプロ。 その剣鉄也の愛機こそ、人類の叡智と勇気の結晶。 天下無敵のスーパーロボット――『偉大な勇者(グレートマジンガー)』である。 「馬鹿な……!」 これには敵のサーヴァントも驚いた。 当然だ。身長20メートルもの巨体が、いきなり姿を現すなどと、想定できる方がおかしい。 鋭角的なラインを有した、漆黒のスーパーロボットは、金の瞳でセイバーを睨む。 全身から滲み出る気迫が、光となって突き刺さり、歴戦の勇士をたじろがせた。 『悪いがこんな前哨戦で、マスターに無理させるわけにもいかないんでな! 一発で決めさせてもらうぜ!』 光が奔る。 炎が唸る。 鉄の魔神のその胸の、赤いV字の装甲板が、眩い光を放ち始める。 灼熱を宿した輝きが、周囲の気温を上昇させる。 『ブレストバァァァ―――ンッ!!!』 剣鉄也の雄叫びが、三度戦場を揺るがした時、世界は光で満たされた。 ◆ 「――バックアップ?」 静けさを取り戻した街で、風が鉄也へと問いかける。 「ああ。元々剣鉄也ってのは、個人を指す名前じゃねえ……無数のクローン人間の集団こそが、剣鉄也って英霊なのさ」 パイロットスーツを脱ぎ、ジャケット姿になった鉄也が、風の問いかけに答えた。 元々剣鉄也とは、まともな方法で生まれた人間ではない。 戦闘のために作り出された、量産クローン人間なのだ。 そしてここにいない「剣鉄也」も、次元の向こうに存在している。 ここにいる「剣鉄也」が死んだ瞬間、その記憶と経験を引き継いだ、新たな「剣鉄也」が召喚される。 先ほどの劇的な復活劇も、そういう理屈だったのだそうだ。 やろうと思えば、複数の「剣鉄也」を、同時に召喚することもできるらしい。 「なんというか、すごいのね、アンタ……」 「もっともその入れ替わりもタダじゃねえ。俺が飛んできた瞬間、それに必要な魔力が、マスターの体から抜け落ちたはずだ」 だからもったいない使い方はするなよと、鉄也は風に釘を差した。 「いやいや、しないわよおぞましい」 速攻でそれを否定する。 右手を左右にブンブンと振って、それだけはやらないと強く言い切る。 そりゃあ確かにハーレムというのは、犬吠埼風の夢の一つだ。 素敵な異性と巡り会うべく、日々女子力アップに努めている風には、願ったり叶ったりの展開だ。 だが、さすがに風と言えど相手は選ぶ。 モミアゲの濃い厳つい男が、周囲をびっしりと囲んだ光景――そんなものは想像したくもない。 「ま、それは別にいいけどよ」 しないならそれで構わないと、鉄也は言う。 「で、どうだった。初の対サーヴァント戦は」 そしてそのように、続けた。 先の戦いの感想を、自らのマスターに対して、尋ねた。 「………」 返ってきたのは、沈黙だ。 片目の瞳を下へと伏せて、風は静かに押し黙った。 「まぁ、無理もねぇか。なにせマスターとサーヴァントとでは、地力が違いすぎるんだからよ」 「うん、まぁ……怖かったのはそうなんだけど……私が気にしてるのは、別のこと」 言いながら、風は顔を上げ、彼方を見やった。 緑の視線の先にあるのは、先程まで戦っていた場所だ。 敵マスターが操るサーヴァントを、『偉大な勇者(グレートマジンガー)』が撃破した戦場だ。 「相手のマスターにも、叶えたい願いがあったんだよね」 「だろうな」 「私は生き残れたけれど……結果的にその人の願いを、踏みにじっちゃったんだよね」 冷静になってみて、気になったのはそこだ。 聖杯戦争の戦いは、人類を守るためのものだった、バーテックスとのものとは全く違う。 襲ってくるのも人間ならば、自分が傷つけるのも人間なのだ。 相手を脱落させるということは、それと同じ数だけの夢を、叶えられなくしてしまうことなのだ。 犬吠埼樹の抱いた夢が、無慈悲な神の意志によって潰されたように。 「つらいんなら、やめるか」 このまま戦いを避けて、引きこもる道を選ぶかと。 鉄也は無感情な声で、風に向かって問いかけた。 「ううん……多分、そういうわけにはいかないと思う」 それはそんな選択肢などないと、突きつけているようにも聞こえた。 「どう足掻いたって、きっと見つかって、襲われることはあると思う。 その時には、きちんと戦うわ。私もまだ生きることを、諦めるわけにはいかないから」 逃れられないのなら、戦うしかない。 振りかかる火の粉を払うしかない。 愛すべき勇者部の仲間達のもとへ、再び帰るためならば、風は夢とも戦える。 「それに私にも……叶えたい夢くらい、あるからさ」 だから勝ちたいと願う自分も、心のどこかにはいるのだと、風は鉄也へと言った。 あらゆる願望を叶える聖杯。 きっとその力さえあれば、満開の代償を取り戻せる。 戦いの中で失われた、自分達の体の機能を――樹の声を取り戻すことができる。 神樹様によって奪われた、最愛の妹の夢を、もう一度掴み取ることができるのだ。 (それにしても、世界樹か……) ふと、そんなことが気になった。 何の脈絡もないことだが、風は自分のいる場所が、巨大な木の上であることを思い出した。 魔術都市ユグドラシルを支える、巨大な世界樹。 どうしてもその存在からは、あの神樹様の存在を、連想せざるを得なかった。 (私がここに呼ばれたことと、何か関係があるのかな) 神樹の勇者である自分が、世界樹の聖杯戦争に招かれた。 2つの木の間には、何か関係があるのだろうか。 そしてその関係性こそが、自分をマスター候補として選び、この地へ誘ったのだろうか。 そんなことを、ぼんやりと、犬吠埼風は考えていた。 【クラス】ライダー 【真名】剣鉄也 【出典】真マジンガーZERO VS 暗黒大将軍 【性別】男性 【属性】秩序・善 【パラメーター】 筋力:D 耐久:E+ 敏捷:E 魔力:E 幸運:C 宝具:A 【クラススキル】 対魔力:E 魔術に対する守り。 無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。 騎乗:B- 騎乗の才能。大抵の乗り物を自在に操れる。 ただし動物に関しては、野獣ランクの獣は乗りこなせない。 【保有スキル】 戦闘続行:EX 往生際が悪い。 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。 また、後述した宝具の特性により、「完全に死亡することがない」。 勇猛:A 威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。 また、格闘ダメージを向上させる効果もある。この効果は宝具にも適応される。 専科百般:D 戦闘のプロ。 様々な戦闘技術を修め、あらゆる状況に対応することができる。 【宝具】 『偉大な勇者(グレートマジンガー)』 ランク:B 種別:対城宝具 レンジ:1~70 最大補足:1000人 人が創りし鋼の魔神。魔術との垣根を踏破した、科学と叡智の結晶体。 剣鉄也が乗り込み操る、くろがねのスーパーロボットである。 今回のグレートはそれまでの平行世界の中でも最強と謳われた、 「マジンガーZEROがミケーネ帝国と交戦した世界」のものであり、 ダメージを修復する「再生」機能・エネルギー攻撃を「吸収」する機能・ 機体スペックそのものを「強化」する機能・より強力な形態へと「変態」する機能の、 計4つの「魔神パワー」を制御下に置いている。 しかしこの宝具の性能は、これだけには留まらない。後述した宝具と組み合わせた時、勇者はその真の姿を現す。 ……なお、そのすさまじいスペックの代償として、魔力消費量も相当に多く、 更には搭乗者にかかる負荷も殺人級のものとなっている。 そのため乱用はおすすめできないし、マスターをコックピットへ匿うことも推奨できない。 『皇の翼(グレートブースター)』 ランク:A 種別:対城宝具 レンジ:- 最大補足:- グレートの背部にドッキングされる、銀色の巨大な戦闘機。 その最大の真価は、2基積まれた光子力エンジンにより、魔神パワーを文字通り増幅(ブースト)できることにある。 この機能によってグレートマジンガーは姿を変え、勇者を超えた偉大な皇「グレートマジンカイザー」へと進化を果たす。 この宝具の解放――すなわちグレートマジンカイザーの顕現のためには、令呪3画分の魔力が必要となる。 『魔神戦線(アンリミテッド・ブレイドワークス)』 ランク:- 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大補足:- 剣鉄也というサーヴァントを、完全に殺しきることはできない。 剣鉄也は個人ではなく、戦闘用クローンの群体を指す呼称だからである。 仮に戦闘中に鉄也が死亡したとしても、その記憶と人格を引き継いだ新たな鉄也が、 次元の彼方からブレーンコンドルに乗って飛来するようになっている(死亡した鉄也の分のブレーンコンドルは消滅する)。 その気になれば全ての鉄也を同時召喚し、無数のブレーンコンドルで空を満たすことも可能。 とはいえそのための魔力はマスターが負担する必要があり、新たな鉄也が召喚された分だけ消耗することになる。 ちなみにこの宝具は完全なバイオテクノロジーの産物であり、一切の神秘性を持たない。 またこの宝具特性をもってしても、完全に破壊された『偉大な勇者(グレートマジンガー)』『皇の翼(グレートブースター)』は再生できない。 【weapon】 ブレーンコンドル 『偉大な勇者(グレートマジンガー)』のコックピットを兼ねた戦闘機。 頭部にドッキングすることで、グレートの戦闘準備が完了する。 ミサイルとレーザー砲を搭載しており、これ単体でも戦うことが可能。 【人物背景】 科学要塞研究所に所属するパイロット。 「戦闘のプロ」として鍛えられた生粋の戦士であり、スーパーロボット・グレートマジンガーを駆ってミケーネ帝国と戦う。 グレートの「偉大な勇者」という通称を、自らも度々自称している。2つまとめると、「プロ勇者」である。 豪快で好戦的な性格。青春よりも恋よりも、悪との戦いを優先する正義馬鹿である。 自分の実力に絶対の自信を持っており、それ故にプライドが非常に高い。 自分とグレートがいかに優れているかを、前任者・兜甲児とマジンガーZを引き合いにして語るなど、 ややナルシルト気味な面や子供っぽい面も見られる。 ただしプロとしての自負と、人類を守らんとする正義感は本物であり、受けた仕事はきっちりとこなす人物。 その正体は科学要塞研究所の所長・兜剣造博士を元にした戦闘用クローン。 生身の人間ではグレートの負荷に耐えられないため、それに耐えうる肉体・精神力を与えられ生み出された経緯を持つ。 更に科学要塞研究所には、彼のスペアが大量に保管されており、 鉄也が戦闘で死亡する度に、記憶や人格・戦闘経験が新たな鉄也に与えられ、復活する仕組みになっている。 当初鉄也自身はこのことを知らなかったが、事実が明かされた時には、 「生身の限界を超えて戦える体であれば、思う存分に戦うことができる」と全肯定していた。 今回召喚された鉄也は、繰り返される平行世界の中で、「マジンガーZEROと闇の帝王が一体化した世界」までを経験している。 【サーヴァントとしての願い】 とりあえず思いつく願いもないし、サーヴァントとしての仕事を優先する。 【基本戦術、方針、運用法】 間違っても『偉大な勇者(グレートマジンガー)』を常用しようと思ってはいけない。 一瞬で勝負を決しうる宝具ではあるが、それ故に消費も馬鹿にならず、あっという間にガス欠になってしまう。 目立ちすぎる巨体を隠すという意味でも、普段はブレーンコンドルで戦った方がいいだろう。 幸いにして、しぶとさは折り紙つきなサーヴァントであるので、宝具を使わずともそれなりに継戦能力は高い。 【マスター】犬吠埼風 【出典】結城友奈は勇者である 【性別】女性 【令呪の位置】右の太もも(ニーソックスで隠れる位置) 【マスターとしての願い】 勇者達が散華によって失った、身体機能を取り戻したい 【weapon】 スマートフォン コンピューター内蔵型の電話端末。電波圏外であるため、通話やインターネット機能は使用できない。 勇者への変身能力は、このスマートフォンのアプリケーションによって発動できる。 精霊 大赦から贈られた生命体。勇者をサポートする存在であると銘打たれている。 現実には、貴重な戦力である勇者の損耗を避けるための安全装置であり、 勇者に危害が及ぼうとした場合には、たとえ本人が自殺しようとした場合であっても、無条件に勇者の身を守るようになっている。 風の精霊は、「犬神」と「鎌鼬」の2匹。普段は勇者システム同様、スマートフォンに入っている。 【能力・技能】 神樹の勇者 日本の神族の集合体・神樹様によって、侵略者バーテックスと戦うために選ばれた戦士。 黄色い戦闘装束に変身することによって、戦闘能力が飛躍的に向上する。 風は大剣を扱う勇者であり、高い攻撃力と広い攻撃範囲を活かした、面制圧を得意とする。 満開 勇者の力を最大限に発揮する姿。 しかしこの姿になった勇者は、戦闘後に「散華」と呼ばれる現象によって、身体機能の一部を喪失してしまう。 風は既に一度、この満開を行っており、左目の死力を失っている。 家事 炊事洗濯、料理など、家事全般のスキル。 両親が他界して以降、風が家事を一手に引き受けていたため、見た目によらず高水準。 【人物背景】 讃州中学校に通う3年生の少女。 同時に、世界を守護する神樹様を管理する組織・大赦から、バーテックスを倒すために選ばれた勇者でもある。 讃州中学校の勇者のリーダーとして、候補者達を集めた部活「勇者部」を結成。 その真意を伏せながら、「人々が喜ぶ活動を勇んで行う」ボランティア部として活動していた。 明るく活発な性格で、ノリで周囲を引っ張っていくタイプ。 常に「女子力」を高めることを気にかけており、恋に憧れる乙女だが、高望みしがちな傾向もあるようで、浮いた話はほとんどない。 一方で、妹の樹の親代わりをしていることもあってか、実は責任意識が強い。 勇者の存在を隠していること、それが露見した後には仲間達を巻き込んでしまったことについて、一人で思い悩むことも多かった。 そして散華によって失われた身体機能が戻らず、結果樹の夢を潰してしまったと知った時には、遂に限界を迎えて心が壊れてしまう。 暴走する風は、復讐のために大赦を潰そうとしたのだが、樹や仲間達の必死の説得によって思いとどまり、初めて仲間の前で涙した。 【方針】 敵が向かってくるなら戦う。欲を言うなら、聖杯は欲しい
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156 名前: NPCさん 04/09/12 11 54 12 ID ??? トーグスレにて、 海外の日本の差別ネタサプリ(国内発禁、そのせいで国内サポートが 不可能になった)を持ってることを自慢したがるヤツが出て、困って います。 つまらんことはやめろとか言うと、英語コンプレックスがあるとか、 「そういう話も、さらりと受け流す寛容さが、TRPGには必要だ」 とか、「差別ネタを、人に見せたい自分を特別視するのは、同じ差 別だ」とか言い出してます。 困ってます・・・。 159 名前: NPCさん 04/09/12 12 42 53 ID ??? 156 西尾玄一? 160 名前: NPCさん 04/09/12 13 03 52 ID ??? 156,159 本当にリアルで西尾玄一と知り合いなのならば… 殺せ。俺が許可する。方法は問わない。とにかく確実にな。 161 名前: NPCさん 04/09/12 13 11 31 ID ??? 西尾玄一って誰さ? Goole先生に聞いても教えてくれなかったよ。 162 名前: NPCさん 04/09/12 13 28 20 ID ??? ../1068/1068466676.html#485 この辺か? 163 名前: NPCさん 04/09/12 14 03 31 ID ??? うむ西尾玄一が困ったちゃんだと理解した。 ここで語るとスレ違いだが。 164 名前: NPCさん 04/09/12 14 10 31 ID ??? 161 元wォーロック誌編集で、オレ式洋ゲー厨の老害DQN。 編集時代にライターの原稿を勝手に書き換えてヤスキン批判したり、Torg翻訳の 妨害に自作訳や個人輸入したサプリを許可なく販売したり、と悪行は枚挙に暇がない。 なお馬場尊師も西尾の配下。馬場理論はもともとNifty内での西尾とMヴィエの派閥 争いの際に、西尾側についた尊師が細江叩きのために捻出したもの。 スレ32
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春季リーグ フルーレ 優勝 上谷 浩之(九大 理-4) 準優勝 西野 博隆(九大 理-3) 3位 西尾 亮介(広大 経-1) エペ 優勝 西尾 亮介(広大 経-1) 準優勝 高下 朋之(九大 1) 3位 吉鷹 洋一 (西南大 2) 新人戦 優勝 西尾 亮介(広大 経-1) 準優勝 縄手 裕一郎(九大 経-2) 3位 吉鷹 洋一 (西南大 2) 全国国公立戦 エペ⇒12位 フルーレ⇒13位 ⇒全国国公立戦2012@東京大学 秋季リーグ フルーレ 優勝 西野 博隆 (九大 理-3) 準優勝 吉鷹 洋一 (西南大 2) 3位 坂口 将太郎(九大 農-4) エペ 優勝 西尾 亮介 (広大 経-1) 準優勝 高下 朋之 (九大 1) 3位 九十九 卓哉 (広大 工-2) 新人戦 優勝 山角 和久 (九大 工-2) 準優勝 西尾 亮介 (広大 経-1) 3位 縄手 裕一郎(九大 経-2) 四大学フェンシング選手権大会(四大戦) フルーレ 優勝 上谷 浩之 (九州大学) 準優勝 津田 直人 (広島大学) 3位 尾崎 紘暉 (神戸大学) エペ 優勝 石井 崇明 (神戸クラブ) 準優勝 山本 翔磨 (中区フェンシングクラブ) 3位 金井 元輝 (神戸クラブ) サーブル 優勝 石井 崇明 (神戸クラブ) 準優勝 滝口さん (中区フェンシングクラブ) 3位 森 拓人 (神戸大学) お弁当 優勝 のり弁当 (ほっかほっか亭) 準優勝 から揚げ弁当 (ほっかほっか亭) 以下同率