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113: 名前:サスライ☆06/21(日) 12 16 12 私、天童 宗厳は果たし合いの場所に居た。 格好は帝国の時代の軍服。やはり私は何だかんだで軍服が合うと思う。 その為に造られたのだから。 まさか、シェンフォニーが生き残りとは思わなかった。だからと言ってためらいは無かったが。 シェンフォニーは恐らく来るだろう。こう言う、情の関わるところでは変に義理堅い奴だから。 丈治の情報によれば奴は道筋を辿ると戦時中の輪から海流に乗って流れ着いたの事。記憶はその時に失ったと思われる。身分は不明。 しかし、当時の技は知っているらしい。 十分だ。 身体に身に付いた魂と言うべき技。それに全力でぶつかる。 輪の帝国でも西の国でも良い。 戦争から追い出されて、救えなかった私に奴を倒せるか?確かめたくなった。そう結論付けた。 刀を抜く。帝国の兵隊に一人一本づつ配給される刀。 兵の証と言ってもいい。島送りにされてもこれを取られなかったのは幸いだと思う。 私はどうしたい? シェンフォニーに何を伝えたい? 私の居場所は何処にある? 様々な思いが頭の中を暴れまわり、グシャグシャになったので素振りをして忘れる事にした。 http //y.upup.be/?AgY1BtQafg 114: 名前:サスライ☆06/21(日) 21 38 11 一人で茶をすすってた時俺に迫ってきた矢文。 全く、気配に気付いて頭に迫る矢を掴んでなければ即死だったぞ、シャイな奴め。 で、それに書かれていた地図によると山の随分奥…。 そこは古ぼけた扉が丘に埋め込まれていた。 そして、扉の前では宗厳が素振りをしている。何かを振り払う様な表情で。 俺は左手を上げて、それを振ってみせた。 「お~い、宗厳。来ちゃったよ~ん♪ 待ち合わせ30分前に居るとは君も中々…」 俺に気付いた宗厳は、刀をダランと垂らした。あ~、こりゃ、体重移動を利用した超移動からの薙ぎかな。 垂らした方向から察するに~… ガキン 「おいおい、挨拶位は返そうぜ。せっかちさんめ」 俺の身体の影に隠してあった右手に持つ杖と刀がぶつかる。 そして、杖を引く事で刀を受け流した。 「焦りは禁物♪無防備な姿を晒しちゃう」 目の前には宗厳の後頭部。何時もなら寸止めで「一本♪」とでも言って、コーヒーでも奢らせるんだが、 相手は人形兵だ。 俺はたまに傭兵をするからプログラムを弄くられて未だに兵器にされてるヤツを見たことがある。 だから実力は承知の上だ。 だから、鋼よりも硬い杖を後頭部に向かって、勢いよく振る。寸止めなんて出来ないスピードで。 115: 名前:サスライ☆06/21(日) 22 06 00 シェンフォニーは死合いに剣では無くて杖を選んだ。 これは自信か。使い慣れてるからか、それとも… 私は首を『180°』回した。 目の前には骨の杖。私は背筋力で跳ね上がり、寧ろ杖に向かう。頑丈な額でそれを受けて、弾いた。 衝撃。しかし戦闘に支障無し。 「おっとっと…」 杖を上に弾かれたシェンフォニーは体勢を崩してケンケンで後ろに下がる。 瞬時に身体を回転させ、首を元に戻し、左手をシェンフォニーに向けた。 私の上腕がパカリと開き、中から小型のマシンガンが出て来る。 撃つ。調所無く。 爆竹を破裂させた様な音がして銃弾はシェンフォニーの胴体へ突撃。 しかし、身を捻る事で回避。ならばと腕を逃げる方向にずらす。 「うっ ひゃあ!絶対当たったら痛いっての。殺す気かよ~、あ、その通りだった」 シェンフォニーは兎に角逃げて、そして扉に追い詰められた。 そして、止めの縦断を撃ち込んだ。 しかし、シェンフォニーは身を縮める事で回避。鉄の扉に跳弾する音がした。 つまり、回避がそのまま扉の影に隠れる事に繋がる。 だが、無駄だ。私には熱反応センサーが搭載されている。見れば移動して起きあがってる最中。 好機。そう思った時にシェンフォニー独特の呑気な声が聞こえた。 「水詰まりには気を付けようね~♪」 マシンガンが突然爆発した。 116: 名前:サスライ☆06/21(日) 22 24 43 突然爆発したマシンガン。マシンガンを構えていた左腕が原型を留めない程になっていた。 私が驚いているとシェンフォニーが得意気な顔をして杖で肩を叩いていた。 「さて、タネ明かしといこうか♪」 私は左腕を切り離す作業に徹して動けなかった。こうしないと、故障が他の機関にも出てしまう。 「まあ、なんて事はない。バドミントン、知ってるだろ?」 バドミントン。確か白鳥から剥いだ羽をコルクに突き刺して、中途半端なハンマーで打ち合う競技だったと思う! 「それでは瞬時に片手で羽を打ち返す事が出来てね。そう、どんな体勢でも…」 そして杖を見る。 まさかこいつは… 「銃弾を打ち返して、銃口に突っ込んだ…?」 自分でも馬鹿馬鹿しいと思ってる。状況が状況なら「電波ちゃん」なんてアダ名を付けられ悲惨な学園生活を送るだろう。 だが、私に出来るのはせいぜい通信電波を受信する程度だ。 そんな馬鹿馬鹿しい事にシェンフォニーは意地悪な笑顔を浮かべて、言った。 「大正解♪」 何やら意味の解らないポーズを決めていた。 そして、今まで理解できなかった事が理解できた。 「怪物め…」 「怪物じゃないよシェンフォニーだよ~ん♪」 117: 名前:サスライ☆06/21(日) 23 00 03 私はシェンフォニーに向かって行った。銃弾をも打ち返す怪物に右手一本刀一本で。 「宗厳。今の君の眼は、俺が希に見る奴の眼だ。自分を見失っている眼… 誰と戦っているかも解らず、勝手に相手と自分を照らし合わせて自滅する」 くそ、一太刀。一太刀で良いんだ。頼む、当たってよ! 何でコイツは軽く受け流す事しかしない、もっと攻めてよ、私を… 「私を壊してよ!」 嗚呼、そうか。これを伝えたかったんだ。 自分で死ぬ事も出来ず、決闘なんかを死ぬ理由にして、 シェンフォニーを自分と照らし合わせて、自分を見失った余りに自分とシェンフォニーを勘違いして、殺そうとして。 なんだ、結局は自傷行為だったんじゃないの…。 言葉にしてなんと馬鹿馬鹿しい。見てる奴が居たらきっと私を笑うのだろう。しかし、思い至るまで時間が架かる。 「嗚呼、解った…」 「ん?まだやんの?」 私は刀を突きで構えた。そして身体中のエネルギーを溜める。 力の全てを利用して爆発的な突進を生み出す。そのスピードは銃弾にも匹敵。 しかし、私は確信している。彼はこれを避けて反撃する実力がある。 だから良い。これで壊れよう。私は口を動かした。 「迷惑をかけて、御免なさい。 でも、私は最期まで兵士なんだ。 この刀に誓って」 瞬間、エネルギーが爆発する。 118: 名前:サスライ☆06/21(日) 23 23 45 風を切る。 景色が流れる。 過去が思い出される。 敵を殺せなくて島に流されて、クロガネや社達に会った。 社が居なくなって、丘に入り口が埋め込まれたこの研究所を二人で護ってきた。 そして、滅んで、生きる意味を失った。戦う為の機械なのに、結局何も出来なかった。 恥だらけだ。人生恥だらけだよ。 救えなかった私に戦闘から生き残ったシェンフォニーを倒せるかなんて、只の建前だ! 本当は、本当は、本当は…! 「あああああああ~~~~!!!」 突撃する私に彼は素早く杖を捻る。すると杖から仕込み刀が出て来た。 あんな隠し玉まであったのか。 良いね、バッサリやっちゃってくれ。 私に生きる意味なんて無いんだからさ。 そして、私の視界は暗黒へ落ちていった。何処までも…。 † † † 「…の、筈なのに何で私は生きているのだ?」 左腕が無い状態でシェンフォニーに話し掛ける。彼はやっぱり意地悪に答えた。 「あの時言ったよね♪ 『私は兵士なんだ。この刀に誓って』と」 「む…だから何だと…」 「つまり!刀が無ければ兵士じゃ無いって事だ♪」 白い歯を見せて彼は何かを見せた。嫌な予感がして、的中する。 それは、折られた刀。私の、刀…。 取り敢えず叫ぶしかない。 「イヤアアアア~~~!!」 119: 名前:サスライ☆06/21(日) 23 43 3 突撃する宗厳に向かって俺は仕込み刀を使った。 ただし、宗厳を斬る為では無い。宗厳を過去に縛り付ける刀を斬る為だ。 俺は仕込み刀を宗厳の刀の内側に斜めから入れて、仕込み刀が最高速になったところで相手の力に逆らわずつつ、手首を回し、外側に仕込み刀を持っていく。 千鳥流断刀術・【柳】 師匠に習った技だ。これは、相手の突きが速ければ速い程に威力を増す。 効果は、武器破壊。 宗厳の刀が真っ二つになったと同時に、宗厳の身体は地面に倒れた。 「へ?」 俺は宗厳を診る。すると様々な機関が弱まっている事が理解できる。 ならば取る方法は一つ。 様々な情報網や都市伝説的なもので大体の目星はついていた。 この山には実は研究所が存在する。 そして場所は、ここだ! 宗厳を担いで丘に埋め込まれた鉄の扉を蹴り破った。 中から表れるは埃だらけの通路。Gの名を冠する虫が居てもおかしくない。 と、それは良いとして彼女を助けられる所を探して、『兵器用エネルギー室』というプレートが貼ってある所を見つけたので、駆け込んだ。 お姫様抱っこで! 120: 名前:サスライ☆06/23(火) 22 31 11 また、生き永らえてしまった。しかも、敵に助けられて。 なんたる屈辱だ。 敵であるシェンフォニーは一刀両断された刀を私に見せた。 「てな訳でまぁ、君はもう兵士じゃありませんよ~っと♪」 噛みつきたい。しかし、身体が動かない。エネルギー不足だ、喋るのが精一杯だろう。 「くそっ!ならば壊せ! 兵士として造られた私から兵士を取ったら存在意味が無い!」 私は、無茶苦茶になった。そうとも。 私にもう存在意味は無い。ならば、居場所は無いと同じだ。 するとシェンフォニーは鼻から溜め息を出した。 眉をハにしてやや困る。 しかし、口と眼は笑っていた。知っている。これは暴れる生き物をなだめ、愛でる眼だ。 「宗厳。手紙に国が滅んだとあったが、君は恐らく丈治からそれを聞いたんだろうね そして、情報は正しいんだ」 情報が間違っていたという期待を持たせずに一気に喋る。 聞くに浸る私に言葉が続く。 「じゃあ、何で今の今まで聞くのをためらった? 実は失いたく無かったんだろう? 『今』 を」 『今』。その言葉が妙に強調されて脳内に響く。 そして私は動かない。 エネルギーが切れてなくともきっと、動かない。 121: 名前:サスライ☆06/23(火) 22 55 54 さて、俺は宗厳との決着の後に下山したら腹が減った。 だから24時間営業で有名な【居酒屋;すとろんぐ】で夜食を頼んでた訳だ。 で、気付いたら寝ちゃってさ~♪店長好い人だから毛布なんぞをかけたりしてくれたりね。 と、言う訳で… 「シェンフォニー様~、言いましたよね? 朝までには帰ってきてと言いましたよね?」 「怒っちゃ嫌ですよ~雪さ~ん」 「アハハ。 怒ってませんよ?折檻をしようとしてるだけですよ?」 と、言う訳で逃げてる真っ最中~。いやいやいや、折檻の根幹となる感情は怒りだからね! 口では笑ってるけど眼は殺意でギラギラだったからね! うん。まさかフライパンを構えたメイドに追い掛けられるという漫画や小説みたいな事が起こるなんて…。 あ、小説だった。 そういう訳で俺は山に向かっている。宗厳の家に隠れてやり過ごせば、怒りが収まる可能性も… 「ねーよ」 ああ、もう。雲吉、やってみなきゃ分かんねーだろ! 宗厳の家であるログハウスのドアノブに手をかける。 あの後放置したけど、エネルギーが動ける位に溜まって帰ってきてる頃だ。 そして俺の視界に入ってきたのは着替え中の宗厳の黒い下着姿で… 「キャアアアアアア!!」 声を聞き付けて鬼のような雪がやってくるのはそう、時間がかからなかった。 122: 名前:サスライ☆06/23(火) 23 19 23 私は天童 宗厳だ。 私の自分自身に対する怒りを全て受けきった男、シェンフォニーに昨日言われた事を思い出す。 「充電が終われば動けるから安心してね。 さて、陽も昇りそうだし俺はそろそろ帰るかね。 朝帰りなんぞしたら雪に平手打ち位は喰らいそうだ」 いや、雪ならフライパンでぶん殴る位はするのでは無いだろうか。 因みに重要なのはその続きである。 部屋を出ようとするシェンフォニー。突然歩みが止まる。 緩い顔をして此方を見た。 「宗厳や。お前の居る場所はこの現在だ。 確かに、宗厳の戦闘力を必要とする人間は居ない、 しかし、宗厳のキャラを必要とする人間ならいっぱいいるぜ。 雪とか、丈治とか、クロガネとか、そして… 俺とかな♪」 言い残し、シェンフォニーはポケットに手を入れて部屋を去った。 歯を合わせて思いっきり笑ったままの顔で。 様々な所に温かさを感じる。 それは充電のプラグからも感じられるし、部屋の空気からも感じられるし、私の心臓からも感じられた。 部屋には私一人しか居ないが、孤独とは無縁だった。 そして今。 「さぁてぇ~、どうしてくれましょ~かねぇ~♪ 馬鹿主が」 あの時、私を打ち負かした男はフライパンを持った従者に押さえ付けられて、ジタバタしていた。 何故か、笑いが込み上げてきた。 123: 名前:サスライ☆06/24(水) 00 06 31 私、銀田一 雪は部屋を見渡す。部屋とは天童ちゃんが着替える為にそさくさと奥に行ってしまって、二人しか居ないこの部屋だ。 昨日、私は晶ちゃんの部屋のインテリアを取りに行った。これが重かったが晶ちゃんの部屋に栄えが出て、やり遂げた感がある。 天童ちゃんの部屋も同じだった。必要最低限の物以外は置いていない。 サッパリしているが、詰まらない部屋だ。 と、言う訳で、 「はい、シェンフォニー様。これを持って下さい」 私はコンポをシェンフォニー様にヒョイと渡す。シェンフォニー様は物凄い顔で担いでいた。 「ぐ、おおお…重いってば雪…」 「これ位で音を上げちゃ駄目ですよ♪『お仕置き』なんですから。 ところで天童さん、身体全体を映す鏡は持ってます?」 天童ちゃんは辛そうにしているシェンフォニー様を見た。シェンフォニー様は「ヘルプぷりーず!」と言っている。 それに対して笑みで返して、彼女は言った。 「い いや、無いな♪そう言えば軍服以外は今着ている、昨日買ってもらった服以外は無い。 どうせだし買ってしまおうか」 太陽が青空にある。その下に彼女の笑顔がある。 輝いている。そのまま口を動かす。 「荷物持ちは当然シェンフォニーでな♪」 124: 名前:サスライ☆06/24(水) 00 08 22 第五話 完 125: 名前:サスライ☆06/25(木) 13 42 55 第六話 村雲島。何も無い様に見えるこの島だが、人が住み、 笑い、怒り、泣き、やっぱり笑い、感情に満ちている。 そして感情を生み出すのは周りとの関わり。仕事やら学校やらだ。 「…と、言う訳で学校は学業より周りとの関わりを重視する必要があると思う!」 俺、橘 文哉(タチバナ フミヤ)は威圧感丸出しの先生に言い放つと、向こうは言葉を返す。 「ほう。それが授業中消しゴムで作った彫刻で品評会をしていた言い訳か」 「その通りだ!見よ、この素晴らしい女体像!」 俺は消しゴムで作ったボインボインで水着のねーちゃんを先生に見せた。 そこで喰らいつく男が居る。夏でも毛皮のコートを着て、ゴーグルタイプのサングラスをかけて素顔が解らない男、新木 タオ(アラキ タオ)。 「甘いぞ文哉!時代は水着よりもメイドを必要としている!」 机の上に本格的に作りこまれたメイド像をのせて、格好良く言う。漫画なら「どきゅーん!」なんて効果音が付いてもいい。 「何!?何を根拠に!?」 「こないだ商店街でアイアンクローかますメイドさんを見た!」 「んな筈ねーだろ!」 俺は叫ぶ。流石に無理のあるそのギャグを否定する。 しかし、次の瞬間だ。ノックの音の後に誰かがこの「生徒指導室」に入って来た。 「雑用の銀田一ですが、お茶をいれに来ました~」 126: 名前:サスライ☆06/25(木) 23 42 13 事の始まりはシェンフォニー様のこの一言が始まりだった。 「雪、 ちょっと学校行ってくるわ」 「はぁ?」 多分私は灰色と深緑が混ざった渋い顔でシェンフォニー様を見ていただろう。 彼の行動が意味不明なのはよく在る事だ。が、何故に学校? まさかネタに詰まって学園編!? …と、いう裏事情的なものは置いといて、 教師でもやるのだろうか。いや、まず無いだろう。 では生徒しか考えられない。今から一般常識を知る為に学校に…。 しかし、髭を剃ったとしても無理があるだろう。ならば私がサポートすべき事は只一つ! 「シェンフォニー様!この銀田一 雪。必ずや良い特殊メイカーを探し出して見せます!」 「…え~と、どういう事?雲吉?」 シェンフォニー様は肩に乗っかってる雲吉に取り敢えず聞いてみた。うん、雲吉は便利なキャラだ。 「シェンフォニーが生徒になると考えてるんじゃねーの?」 「あ~、成る程~。そりゃ悪いねぃ。なんせ顔のツヤとか結構… ってオイ!どう考えたって教師だろうがよ! 代理を頼まれたんだよ」 私は己の耳を疑った。生徒になったとしても素敵なアウトローライフを送りそうな彼が教師? せめて見張り位は必要ではないか? だから突発的に言ってしまった。 「じゃ あ私も行きます!」 127: 名前:サスライ☆06/27(土) 11 43 06 始まりは、突然宗厳が出した試験用紙だった。 俺は兎に角やれと言われた物だから頬杖をかきながら問題を解く。 普段から暇潰しに書斎の本を読んでるから割と楽だった。 まだ、代わりの腕パーツが届いていないから彼女は片手。しかし器用に採点して言ってみせた。 「よしシェンフォニー。貴様は今から教師だ」 「え、 あ~、うん。別に良いけど…」 「いや、驚けよ!突然教師なんだぞ!?」 宗厳は顔を真っ赤にして受け流しに対して抗議する。 「… もしかして、今のが精一杯の茶目っ気なのか?」 「……」 明後日の方向を見て何も言わない。うわぁ、図星じゃん。ならば、俺に出来る事と言えば… 「オモシロイヨ~」 「うわあああ! 棒読みなのが痛いよ~!いっそスルーしてよぉお~」 腰に差した棒きれでペチペチ叩いてくる。 やっぱ刀に思い入れがあったんだね。 「ま、まぁともかく!貴様は今日は教師なのだ!」 「ナンデ~」 「私の剣の弟子が高等学校の校長をしていてな、どうにも教師の代用が必要だから、知識人を持ってこいという話だ」 「俺 が知識人なのは嬉しいけど、晶ちゃんもなかなかよ~?」 そこで宗厳は肩を震わせた。 「バ、バババババ…バカァ!アイツなんぞに頼めるかぁ!」 この後、これをネタに散々いじくってみた。 銀田一 雪さんとシェンフォニー様と後、なんかの話 続き6
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番外編① 今日は8時には帰るからな。 確かにそう言った。でも今はもう9時。 携帯も繋がらないし、いったいどこで油売ってやがるんだ、あの野郎。 アメリカに住み始めてからもう半年近く経つ。 慎也は高校の教師を勤めていて、俺はというとまだ英語に慣れてないから学ぶために学校に行っている。 就職活動を行ってない。 つまりまことに不本意ながら慎也に養ってもらってるってワケだ。オマケに学費も出してもらって。 捜しにいこうにも、家と家の間が50mも離れているような田舎町だから捜しようがない。 携帯も繋がらないし(二度目)。 だが家でただただボーっと帰ってくるのを待っているのもむず痒く、俺は慎也を捜しに行くことにした。 べ、別にヤツを心配しているわけじゃないからな! ガレージに駐車してある車を動かす。田舎は車がないとやっていけない。 とりあえず、慎也の勤める学校まで行ってみようと思った。 何キロ進んだだろうか。 都会に向かえば向かうほど、辺りは明るく、ビルが多くなっていく。 近くまでくると車を止め、慎也の行方を知らないか関係者の方に聞くため、学校の敷地内に入った。 慣れない英語でまだ職務をこなしている人に聞く。 その人曰く、ついさっき慎也は帰ったらしかった。 俺は元来た道を引き返すことにした。 もしかすると、慎也の車を見つけられるかもしれない。 「あ、慎也」 見つけることには見つけられたんだけど…。 「な!」 俺は女の人と楽しそうに喋る慎也を見てしまった。 二人きりで。 何だろう、この気持ち。 見てはいけないものを見てしまったようで俺の胸の音は高鳴る。 車に戻って一旦家に引き返した。 ふう。家の中に入って深呼吸して気持ちを落ち着かせる。 ……あれはなんだろう。 え…も、もしかして浮気…ってヤツじゃ。 慎也はカッコいいしモテる上に軟派だからそれもかなりの確率でありえる。 俺は段々不安になってきた。 何だよ慎也のやつ! 浮気は絶対しないって言ってたのに!! それとともに怒りも込み上げてくる。 椅子に座ってしばらく思案していると、 「ただいま」 俺の悩みの元凶が帰ってきた。 「ごめんな、8時に帰るって言ったのに」 慎也は俺の姿を見かけると真っ先に謝ってきた。 何がだよ。元からあの女性と会うつもりだったくせに。 内心怒り心頭の俺は慎也に対して何も言わなかった。 「旭、どうかした?」 慎也の手が俺に伸びてくる。それを俺は思いっきり払った。 パシンと渇いた音がする。 「どうかした、だと? 俺の気もしらねーで!! お前なんか、お前なんかなぁ!」 感極まったせいで目頭がカッと熱くなった。 ボタボタと目から涙がこぼれ落ちる。 「あさ…ひ?」 一方の慎也は驚いた表情で俺を見ていた。 「お前なんか…ッ」 嫌いだ、って言ってやりたいのに言葉が出ない。 慎也の胸倉を掴んで必死で涙を堪えようとする。 けど、ダメだった。とめどなく溢れてくる。 俺、慎也に嫌われたのか? 愛想尽かされたのか? 慎也は俺を切り離して、違う人のところに行くのだろうか? 不安ばかりが心の中を過ぎった。 「嫌だ、慎也…ッ。俺は絶対嫌だ!」 相変わらず慎也はきょとんとしている。 「…何のことだ?」 「え?」 俺も思わずつられてきょとんとする。 「そんなに早く帰ってきて欲しかった? ごめんな、この時期はテスト採点で忙しいんだ。 前にお前に言った約束、守れなくてホントごめん」 慎也は俺に向かって頭を下げた。 「じゃ、じゃあ遅くなったのは仕事だって言うのか?」 「そうだよ」 「嘘付け! 女の人と一緒にいるところ見たんだからな!」 俺が怒声でそういうと、慎也は間を置いて笑い始めた。 「ッあははは」 「何がおかしいんだよ?」 ったくこっちは真剣だってのに。 「だってそれ、妬いてるってことじゃん」 「なっ!!」 自分が浮気しといてよくそんなこと言えるな! 「あの人は小さい時に良く遊んだ人で、久しぶりに会ったから挨拶がてらに少し話してただけだよ」 笑いが収まると慎也は俺の方に歩み寄ってきた。 そして俺の身体を優しく抱擁する。 「妬いてくれて嬉しいけど、もうちょっと俺のこと信用しろよ。俺はずっと旭一筋なんだぞ? これからもな」 「………」 その脳髄を突き刺すような慎也の言葉に、酷く紅潮したのは言うまでもなかった。 結婚と来れば浮気!浮気ネタを書いてみたかったーw でも、 浮気と思ってたが実は違う→受けが翻弄 が萌えだと思いましたw てなわけでというわけです(謎 番外編② 「慎也!」 旭は妙に明るい声で掃除している慎也を呼びかけた。 掃除機のスイッチを一旦切り、呼ばれたほうを慎也は振り返る。 「トリックオアトリートっ!」 アメリカに住んでいるというのに全く発音のよくない英語でそう言いつつ旭は右手を突き出した。 慎也はぽかんとしたが、すぐにこの日がハロウィンだと気づいたようだ。 「ハロウィンだろ? コスプ…仮装してから来い」 軽くあしらってから再び掃除機のスイッチを入れて床のほこりを吸い始める。 「仮装とかいいじゃねーか。俺はお菓子くれりゃあそれでいいんだよ」 「いや、どうせやるなら真剣にやれよ。それってアメリカのイベント馬鹿にしてるぞ」 「そっそういうわけじゃねーよ。ただハロウィンにかこつけて慎也の作ったケーキとか食いたいなって…」 「じゃあ俺はハロウィンにかこつけて旭のセーラー服姿が見たいな」 ウイーンと鳴る掃除機を操りながらしらっと言う慎也の言葉に旭はひどく赤面した。 「アホか!! お前なんてランターンに食われてしまえ!」 「ランターンはポケモン。お前が言いたいのはジャックランタンのことか? あとジャックランタンは人を食ったりしないと思うけど」 揚げ足を見事に取られた旭は何もいえないままその場を去った。 テイク2。 (これでいいか。セーラー服なんて冗談じゃねー) なぜかクロゼットの中にあった魔女の衣装。 (い、言っとくけど仮装しろって言われたからしてるんじゃねーぞ。やっぱイベントは楽しまなきゃな。 うん、それだけのことだから。いやマジで。っていうか何で俺こんなに言い訳してるんだっけ?) 黒いローブを服の上からかぶって、魔女帽子をかぶるだけ。簡単にコスプ…いや、仮装ができる。 もう一度旭は深夜の元へ向かった。彼は掃除を終わらせ、ソファに座って読書していた。 ちなみにエロ本ではない。 「…トリックオアトリート」 一度目失敗して二度目にテンションあげて言うのは恥ずかしいのだろうか。 旭の声は先ほどよりも小さくなっていた。発音が悪いのは相変わらずだが。 「いいよ。じゃあここ座って?」 読んでる途中の本を閉じ、隣の空いているスペースをぽんと叩く慎也。 それに従い旭は指示された場所に座った。 旭の心には、あの慎也の舌がとろけそうなケーキの味しか思い浮かんでいない。 わくわくしながら待っていると、そっと慎也に横たわらされた。 「な、何だよ?」 「お菓子くれなきゃいたずらするぞ、なんだろ? お菓子はやらない。だから"いたずら"してみろ」 魔女の黒ローブの中へ慎也は手を滑り込ませる。 「お前それっ、お前がやってんじゃねーかッ!!」 声を張り上げて旭はもぞもぞと抵抗した。 「どっちも同じようなもんだろ。するもされるも」 「は、ッふざけんな…あ、ん…ッ」 テイク3。 「慎也このやろーッ」 お菓子を食べるつもりが食べられてしまった旭はギンと慎也を睨む。 「じゃあ、これでどうだ? スイートオアスイートだ!」 ビッと人差し指を前に突き出して旭は叫ぶ。 「…お前、トリックとトリートの区別つかないんだろ?」 嘲るように慎也は目を細めて旭を見た。 「んなことどーでもいいの! それよりケーキ作ってくれよ。俺仮装までしてバカみたいじゃん」 「そうだな…」 片手をあごに充てて考え込む。 それを見て旭は、今度こそケーキが食べられるのかと期待した。 だが、次の瞬間はなぜかすぐ目前に慎也がいて、唇に何か柔らかいものを感じた。 「ん…?」 旭がそれがキスだと気づいたときにはもう慎也の舌が口内に入り込んでいるわけで。 「…ん、ぅ」 くちゅっと鳴った音で今の状況を完全に把握した旭は慎也を突き飛ばした。 「はぁ、はぁッ、おま…お前…ッ」 「スイートって言ったよな。甘いものって言ったらキスだろ」 唾液のついた下唇をペロリと舐めると慎也は得意そうに笑んだ。 「違うだろおおお!」 旭が叫んだのは言うまでもなかった。 テイク4。 「もう知らん…もう慎也なんか…」 まだ魔女のローブを脱がないまま部屋の隅で頭を抱えている旭。 コスプレしろと言われたりイタズラされたりキスされたりするのは、もちろん旭は嫌がっているわけではない。 むしろ喜んでいるはずだ、…構ってもらえて。 じゃあなぜいじけているのか。答えは簡単、ツンデレだから。 「ごめん、そんな怒るなよ。ちょっとイジメただけだろ?」 旭の背後から寄り添い、片手で抱き寄せつつ頭をくしゃりと撫でる。 「ケーキ作ったからさ。一緒に食べようぜ」 ケーキと言われて途端に旭は元気になった。単純なところも…まあ彼の魅力だろう。 テーブルの上の、慎也が作ったチーズケーキを頬張ったころには旭の機嫌は既に治っていた。 「やっぱうめーな、お前のケーキって」 「そら良かったな。で? お前は俺にお菓子くれんのか?」 にこにこ笑いながら慎也は言った。もちろん旭が菓子など用意していないことを見越してのことだ。 「う、うー…な、い、です…」 チーズケーキを食べる動作を止め、旭はバツの悪そうな顔をした。 「ふーん。じゃあイタズラ、するからな」 ニヤリと慎也が嫌な感じの笑みを浮かべたことは描写しなくともわかるだろう。 その表情は旭を青ざめさせた。 …ハッピーハロウィン。 バレンタインや誕生日は王道イベントなんで、ちょっとマイナー(?)なイベントに。 でもハロウィンもコスプ…ゴホ、ゴホッ仮装や、お菓子くれなきゃイタズラするぞ?という言葉とか…けしからんですね^p^(お前や 日本も欧米のようにハロウィンが浸透すればとおもいますw 番外編③(by蝶々) すごーく好きだった小説キャラをお借りして二次創作(*´ω`*)@事前許可は貰ってますーw 作者であるかずいちゃんに渡せるのに間に合わなかったのが心から残念ですが…と思ってたら奇跡の再会を果たせたので載せますw キャライメージと合ってるか不安…^^; そして受験おつかれ^p^ __________ 風邪って馬鹿は引かないって言うけど……それなら変態はどうなんだろうな。 目が覚めて一番最初にあれ、と思う。 いつもなら先に目覚めるアイツに苦しい程抱き付かれて嫌な目覚めを迎える筈なのに何故か今日は様子が違った。 ベッドから身体を起こし隣の慎也に目を向ければ仰向けの状態で額に腕を乗せて荒い息を繰り返している。 ……まさかと思い額に手を当て確認すると尋常じゃない熱さ。 「お、おい慎也……まさか風邪引いたのかっ!?」 「……おー、旭……おはよ……。ゴメン……今日はおはようのセックスできな……ゴホッゴホッ!」 ……咳をしながら変態発言しないでくれますか。誰が朝っぱらからヤルか。 心配する気が一気に失せて自分に掛かっていたシーツを乱暴に慎也の顔に覆い被せる。 別に熱に浮かされて血迷った事を言ってる訳じゃない。 コイツ――中田慎也は自他共に認める変態で、朝だろうが夜だろうがお構いなしにこうやって常識外れな発言や行動をする問題児だ。 そんな慎也に俺は常に振り回されている。 それならコイツと離れたらいいだろって思うかも知れないだろうが、まあ……腐れ縁と言うか……なんやかんやあって今はケッコ……結……あ゛ー……二人で住んでいる。 あ、でも別姓! 俺にはちゃんと“雪代”って名字があるんだからな、ウン。 「……八度五分。バッカじゃねーの」 ピピ、と小さな電子音を合図にダルそうな慎也の脇から体温計を引き抜いて確認する。 本当なら心配しなくてはいけないのは解っている。 ついつい癖で病人に向かって掛ける台詞ではない事を言ってしまうのはコイツの日頃の行いが悪いんだ。 「何が……ゴホ、原因なんだろな……ゴホ」 いやいやいや。この真冬に薄着してたからに決まってんでしょーが。 元々の体温が高いからって油断し過ぎだバカ。 「今日が休みで良かったな。まあ今日一日寝まくってれば治るだろ」 「おー……」 素直に目を瞑る慎也にこっちが面食らってしまう。 ……本当に辛そうだな。 慎也の邪魔になってはいけないと、俺はそっとベッドを降りると静かに寝室を抜け出した。 ――その数時間後、俺はあるものを手にしてもう一度寝室へと入る。 覗き込む俺の気配に気付いたのか慎也は薄く目を開けて反応を示した。 「……お粥、食べるか?」 「ゴホッ、旭……俺の為にわざわざ作ってくれたのか?」 「違う。あー……あれだ。なんか急に食べたくなっただけだ」 特に良い言い訳も思いつかず慎也に向かってそう答えると、笑いながらありがとうと礼を言われた。 なんか……すっげー居心地悪いしもうさっさと早く食べて薬飲んでもう一回寝て欲しい。 なのに慎也はじっと器を眺めたままなかなか食べ始めようとしなかった。 「食欲無いのか?」 「っていうか旭が食べさせてくれないのか?」 「なっ……!」 質問の答えになってるんだかなってないんだか判らない言葉に思わず身じろぎしてしまう。 「なんで俺がそんな……っ、新婚夫婦みたいな事できるかぁ!」 「新婚だろ?」 …………そうでしたね。 「そ、それでも俺は嫌だっ! 自分で食べろっ」 「ちぇ。旭のツンデレー」 無理矢理慎也にスプーンと器を押し付けると慎也はしぶしぶ起き上がり、自らお粥を掬って食べ始めた。 ていうかデレてねーし。いつデレたかむしろ言って欲しいぐらいだ。 お粥なんてご飯をふやかしただけの料理なのに、それでも美味しいって言われて少しだけ安心した。 食べ切って薬を飲んだのを見届けてから俺はやれやれと食器を片付けようと立ち上がる。 これで俺の仕事はすんだな。後は夜まで寝てれば治るだろ。 「――旭、どこ行くんだ?」 「どこ……って、食器を片付けに……うわっ!」 慎也に腕を掴まれバランスを崩した俺は、そのままベッドへと倒れ込んでしまった。 整った慎也の顔がいきなり至近距離に見えてかぁっと顔が熱くなるのが自分でもわかる。 「俺が寝るまで添い寝しといてー」 「……寝言は寝て言えよ」 そのままぎゅっと強く抱きしめられるとトクトクと聞こえる慎也の心臓の音。 その音を聞いてたら暴れるのも段々面倒くさくなってきて、俺はされるがままの状態でしばらく慎也の胸に顔を埋める。 ……熱い。やっぱり尋常じゃなく熱い。 やっぱさっきより熱ヒドいんじゃねーのコレ? 「……なぁ慎也? 汗もかいてるみたいだし、着替えとかしないと風邪悪化するぞ?」 脱がしてやろうと慎也のパジャマのボタンに手を掛け一つずつ外していく。 「今日はいつになく大胆だな。……旭の所為で勃ってきたんですけど」 「はぁっ!? 違う、これは誘ったんじゃなくて、お前を心配して――」 慌てて起き上がろうとするのを、病人とは思えない力で抑えられそのまま組み敷かれる。 もう大人しく寝とけよー! なんで俺が寝ててお前が今上になってんだよっ! 「心配してくれなくてもまだお前を満足させる程の体力ならある。キスは……伝染るからな。我慢しろ」 俺が心配してんのはそんなとこじゃねーよ! そう叫びたくて口を開いたのに首筋に熱い舌がうねる感覚がして俺の口から洩れたのは情けない程弱々しい喘ぎ声だった。 「っあ、やっ……!」 「知ってるか? 風邪は運動して汗をかくと早く治るんだぞ」 耳元でそう囁かれながら俺は思った。 慎也には勝てない……。 ――そしてやっぱりコイツは変態なんだと。 __________ 人様のキャラで性描写はさすがにマズイかなと思い自重(・∀・) 風邪ネタはうちの愁×直人でも書いたけどキャラ変えるだけで全然違うくなるから楽しかったですw お粗末様でした~w
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182: 名前:+椎名+☆2011/07/26(火) 18 13 23 「ただいま・・っと」 家に帰っても誰も出迎えてくれない。 いつもなら龍が迎えてくれるのに・・・ あいつらのせいで・・もう龍の声も・・姿も・・二度と見れない。 絶対許さない。 許さない。 許サナイ。 来世も・・そのずっと先も。 そう思っているとリビングから声が聞こえる。 私の声だ。 「グス・・龍、龍ぅ・・グス・・・・」 そう、これはテープだ。 これを近所にかすかに聞こえるくらいの音量でかけておいた。 もちろん何度もリピートさせて・・・ だってあいつらを殺したのは龍を殺された恨みと見られちゃって私を疑うだろうし。 近所で一日中泣いてるアリバイだよ。 私はまだ・・死ぬ訳にはいかない。 気に入らない奴らを殺すまではね。 183: 名前:+椎名+☆2011/07/26(火) 18 34 38 次の日、 予想通り私の下に真っ先に警察が来た。 こいつらの頭って小学生以下ね。 「佐野蘭さん、警察です」 私は少し悲しげな顔で警官を見た。 「・・はい、何でしょうか・・?」 警官が口にしたのはやはりあいつらの事だった。 「昨夜、RIDEと言う怪しい店で殺された男が13人見つかりました」 私は演技に拍車をかける。 不機嫌そうに答えた。 「・・・だから何ですか?」 「昨日の晩、何をしてたか聞きたい」 ほら、やっぱ私を疑ってる。 警察は人間の屑の塊だよ。 「・・は?それって私を疑ってるんですか?」 怒ったような素振りを見せ、挑発した。 「龍君を殺されて憎かったんだろ。 お前があの男達を殺したんだろ!」 こいつあったまきた。 調子に乗りすぎだろ。 「ちょっと!やめなさいよ!」 玄関でもめているのを見て近所の人が止める。 「蘭ちゃんは龍君を殺されて・・昨日夜遅くまでずっと泣いてたのよ。 弟を・・たった一人の家族を失った子を疑うなんて最低よ!」 「私も聞きました。龍君の名前を何度も呼びながら泣く声が」 「私もです」 近所の人が次々に嘘のアリバイを言う。 これで警察の人気もがた落ち・・信じてもらえないかもね。 「ちっ・・」 舌打ちをして警官はパトカーに乗り、どこかへと行ってしまった。 「あの、皆さんありがとうございます」 ! 「いいのよ。蘭ちゃん・・気の毒だったわね」 やめて・・・ 「困ったことがあったら言ってね?」 やめて・・! 「蘭ちゃんの力になるから・・」 そんな同情の目で私を見ないでよ! 同情なんてしないでよ! 184: 名前:+椎名+☆2011/07/26(火) 18 45 43 同情なんていらないの・・ 誰も私の悲しみなんてわからないから・・ 「しかし酷いわね、あの警官。警察のトップとは思えないわ」 トップ・・? 何それ。 どこがトップなの? ! そうか。 あいつも殺せばいいんだ。 私は気がつけば気にいらない奴は殺して済ませようとしていた。 どうせなら苦しんでほしい。 極限までね。 その日、私はパソコンであいつのことを調べた。 パソコンはたまにバイトで使っていたが最近は使っていない。 「○○警察・・と」 検索すると○○警察のホームページが出てきた。 そこにはあの男の写真と名前がかいていた。 「山田哲自・・気に入らない名前。どうやって苦しんでもらおうかな」 そうだ、いいこと思いついたかも。 山田・・お前には死んでもらうから。 185: 名前:+椎名+☆2011/07/26(火) 18 59 11 その日私はいろいろ使えそうな道具をそろえた。 睡眠薬、ロープ・・・それにムチとか。 何するかって? 私に従ってもらうの。 さてさて、目をつけてた奴に従うのってどんな気分かな? さぞ屈辱でしょうね。 私はあいつが見回りする時を見計らって差し入れを用意する。 睡眠薬入りのね。 あいつはみまわりは一人でするらしいから都合いいのよね。 私の予想ならもうすぐ来るはず・・・ 私はかつらをかぶり、靴で背丈を変えてさらに服も着替えた。 男の変装。 靴見られたらばれるけど夜だしだいじょーぶでしょ。 と思っているうちに来た! 私は山田が運転しているパトカーに手を振る。 「はい?何ですか?」 良い子ぶっても、正体は知ってるのよ? 「あの、タクシーと間違えました・・」 「・・そうですか」 少し切れ気味に言う山田。 何きれてんの・・ 今すぐ殺してもいいのよ? 186: 名前:+椎名+☆2011/07/26(火) 19 18 55 「では、失礼します」 は? もう行くの? 予想よりはやい・・仕方ない! 「あの!」 「!!」 私は声を高くした。 「・・女の方でしたか」 「男にみえますか・・すみません」 「あ、いいえ。あの、よろしければお送りしますよ」 女には優しいのね。 くだらない奴。 「いいのですか?」 「はい」 まぁいいわ。 乗り込めたし。 私は予定通りすすめた。 「あの、もしよろしければケーキをお礼に」 「いえいえ。おかまいなく」 いや、無理やりにでも食べさせる! こうなれば恥ずかしいけど。 「いえ、どうぞ」 「・・!で、では・・」 無理やり口元に持っていく。 ちっ・・これもこいつを殺す・・いや、苦しめるため。 仕方ない。 「どうですか?」 「美味しいです」 山田は上機嫌。 笑った顔は気持ち悪い。 しばらくすると睡眠薬が効いてきたのか、眠そうにする。 「・・あら、うとうとしてますよ?車を止めてお休みになられては? よければ私が運転しますよ」 「いえいえ・・・それは・・」 と、言ってる途中で眠ってしまった。 私が指定した場所は近くの空き地。 ここから家に運んで・・・ ここからはお楽しみ・・ね? 187: 名前:+椎名+☆2011/07/26(火) 19 27 49 私は車のエンジンを止めた。 まぁ適当に押したらとまっただけだけどね。 私は山田を私の家まで引っ張る。 重たい・・食いすぎだろ。 私は家に着くと口にガムテープをはる。 さらに山田の持ち物を取り上げて手錠をかける。 足は・・ロープで縛っておくか。 え?こいつはまだ殺さないよ? こいつには龍の学校の奴らを殺すのを手伝わせるから。 で、私はこいつに殺されるの。 警察が罪もない人を撃ったとなればどうなるかな? 人生はどん底から始まるでしょうね。 あー楽しみ! 192: 名前:+椎名+☆2011/07/30(土) 15 20 57 「うぅ・・」 暗い私の家の中で山田が目を覚ます。 「オハヨウゴザイマス、山田さん?」 「うぅんーーっ!んーっ!」 ガムテープを貼っているのでうまく喋れてなかった。 私はかまわず話を続ける。 「聞いて?私ね、あなたが憎いの。龍を侮辱したあなたが。 だから殺そうと思うの」 「・・!」 山田は殺すと聞くと汗を流し、目を見開いて恐怖の色がうかぶ。 「でも、もし私の言うこと聞いてくれるなら開放してあげる。 あ、大声をだして逃げ出そうとしたり私のいないとこでいらないことしたら殺す」 私は山田の取り上げた銃をちらつかせる。 山田は必死に首を縦に振る。 「素直でいい子ですね、山田さん。ほら、ガムテープはずしてさしあげます。 おびえないでくださいよ」 私はガムテープをはずした。 そしてもう片方の手には銃をかまえていた。 「--っ!」 「・・山田、あんたには命令するまでここにいてもらうから」 私が案内したのはひとつの部屋。 外から鍵をかけるタイプの部屋。 以前は倉庫としていろんなものを入れてたが最近片付けをして物を結構捨ててしまった。 ここなら十分でしょ。 さてと、ここからがお楽しみよ。 193: 名前:+椎名+☆2011/07/30(土) 15 47 39 まずは・・手始めに万引きでもさせようかな。 いきなり殺す手伝いさせてもし従わなかったら。 そのことも考えないとね。 だからテストしないと。 「山田」 「はいっ!」 私は勢いよく扉を開ける。 おびえすぎ・・敬語になってるし。 「あんた、今からコンビニ行って万引きしなさい」 「えっ?」 刑事が万引き・・・なんてどんなに屈辱かな? 「わかった?」 「・・・はい」 私はさきほどのパトカーに乗る。 5分ほどでコンビニに着いた。 「じゃあペットボトル。あんたとあたしの分盗んで来なさい。 まぁ警察が万引きするとは思えないからだいじょうぶだと思うけど」 私は微笑むと耳元でささやいた。 「失敗して見つかったら・・顔は知れてるから一発でわかるよ? 多分クビかも・・いや、人に信用されないかも」 そうささやくとびくっと反応し、また首を縦に振る。 「よし、じゃあ適当になんか買ってついでに盗みなさい」 「はい」 山田は車から降りるとコンビニに走って行く。 私はその様子をパトカーの中からじっと見ていた。 194: 名前:+椎名+☆2011/07/30(土) 16 02 13 山田side くそ・・なんで俺がこんなことを・・・ 全部あの・・佐野姉のせいだ! なぜあんなガキに従わないといけないんだ・・・ 俺は警察トップだぞ・・!? でも今はあいつの飼い犬。 従わなければ・・殺される。 でも生きていればいつでも殺す機会はある。 だから開放された時、佐野姉を・・殺してやる。 今は我慢して言うことを聞くか。 たかがこんな事で済みそうだしな。 やはり考えることはガキか。 俺はコンビニに入る。 「いらっしゃいま・・あ、山田さん。お疲れ様です」 店員が言う。 まぁ俺の顔は知れ渡っているだろう。 俺はとりあえず愛想笑いをする。 そうだな・・おにぎりでも買っていくか。 俺はおにぎりを6つ取る。 いよいよ本題。 俺は後ろの飲み物のところに行く。 あいつのは炭酸のソーダでいいか。 俺はソーダを取り、ビールを取った。 俺はカメラのないところへ行き、鞄に入れる。 あいつも言っていたが・・もしばれたら・・・・ 「お仕事お疲れ様です。675円です」 「あぁ・・」 俺は千円を渡し、おつりの325円を財布にしまう。 ばれてないだろうか・・・ 「ありがとうございました」 ほっとして急いでコンビニを出ようとした。 「あっ・・山田さん」 店員に呼び止められ、びくっと立ち止まる。 「お仕事頑張ってください」 何だ・・ばれてないか・・・・ 「あぁ、ありがとう」 また愛想笑いをすると足早にその場を立ち去った。 195: 名前:+椎名+☆2011/07/30(土) 16 07 43 リリスside しばらく待っていると山田がコンビニから出てくる。 「お疲れさん」 「盗んで・・来ました」 山田は鞄から飲み物を取り出す。 「ふぅん・・・いいわ。合格」 「・・え?」 山田は驚いた顔を見せる。 「あれ?こんなので済むと思ってたの? あんた・・今のはちゃんと従うかのテストよ? これからは人を殺すのを手伝ったりしてもらうから」 「・・・!」 言い終わると私はソーダを一口飲む。 ね、覚悟してなさい。 これからあんたを徹底的に苦しめるから。 7日間の醜いゲーム。 続き12
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47: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/14(水) 21 03 20 「ばっっかじゃない!誰がっ……!?」 ちゅっ 私が反論し始めると、いきなり腕を掴まれ引き寄せられ、一瞬の間に唇を奪われた。 「~~~っ!?」 突然のことに、頭が働かず唇が離れた時も私はまだ茫然としていた。 「今ちょっとドキドキした?」 「なっ……//」 柄にもなく、赤面してしまう私。 「んじゃ、俺そろそろ出るわ。あ、コレ夏休みの練習の予定表な」 一枚の紙を私に手渡し、響は部屋を出ようとした。 「……わ、私使って遊ばないでよね!!」 「顔赤いから。説得力ねーから」 (腹立つ……!!) わ、私昨晩すっごい感謝したんですけど!何、この恩を仇で返す感じは!!(ちょっと違う) はー、さっき若干シリアスモードだったけど。やっぱりあいつはただの変態大馬鹿野郎だ。 (そりゃあ……ちょっとは、あいつに対する見方変わったけどさ?) 最後だって。 「ほんとにちょっとドキってしたじゃん……」 思いだして、一人また顔を赤くする私。 (駄目駄目!あ、そうだ、予定表……) さっき響に手渡された予定表に目を落とす。 「えー、何何?……合宿?」 そう、夏休み中に五日間ほど。結構長いな……。 それに、その合宿期間の日付のところに、手書きで「午後から練習試合」と書かれていた。 うちの学校だけじゃなく、色んな学校から参加するのだろう。 「えーと、場所は……お、沖縄!?」 な、なんで!?バスケで沖縄行くって初めて聞いたよ……。 けど、これは沖縄初上陸のチャンス? 「なんでもやってやろーじゃないの! あ、けどその前に、もう少しで普通に試合あんだよね、確か」 約二週間後の日曜日だ、それがたしか。 まずはそれに向けて私も気合い入れていこう。 * 私、バスケに関する知識は皆無に等しいのでかなり設定が捏造されてしまっています>< 特に、この莉恵達の通う学校は『バスケ全国1』の設定となっておりますが 実際、物語的にはバスケ<莉恵達の日常になる予定です。というか、なります← シーズン等も、私が好き勝手に考えています……。実際にバスケに詳しい方やクラブに参加している方、本当にすみません。 ご了承下さい。m(_ _)m 48: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/14(水) 21 21 40 キーンコーンカーンコーン 「莉恵、おはよー!元気出た?」 「おはよう沙耶! え……?えーっと、」 な、何だっけ……何かあったっけ…… (ああー!そうだ、私失恋……。すっかり忘れちゃってたよ、これって女としてどうなんだろう(汗) だけど、あれは恋だったの?それすら今じゃよく分かんない) 「まあ、忘れるってことはあいつは莉恵の運命の人じゃなかったってことだね! よし、莉恵、共に新しい恋を探そう!」 「はあ……」 私のその気乗りしないような反応に、沙耶が顔をしかめた。 あ、ちなみに沙耶には他校に2歳年上の彼氏が居るらしい。私も最近知った。 「何よ、この青春真っ盛りに……やる気ないわね」 「いや、ね?しばらく、部活の仕事に専念しようかと思いまして」 これも強ち嘘ではない。実際部活は忙しい、だけどやりがいがある。マネージャーだけど、部員のために何かしてあげられるのが嬉しいんだ。 まぁ、特に好きな人が出来ないからっていうのもあるけどね。 「あー、そういう時期もあるわね。 じゃあとりあえず、もうすぐ練習試合あるんでしょ? 夏休みには合宿もあるんだっけ。 それに向けて頑張ってねー」 「うん、ありがと!頑張るわ」 バスケ部員と汗水流して、一緒に青春してやろうじゃないの!! そう気合いを自分に入れ、お茶を口に含んで喉を潤す。 「あ、そういや莉恵?」 「ん?」 「莉恵って処女?」 「ぶっ!!」 私は思わずお茶を吹き出してしまった。 「うわ、汚!やめてよ莉恵ー」 私だって!人前でお茶吹き出すなんて、人生で初めてな気がするよ!! 49: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/14(水) 21 32 33 「いきなり沙耶がそんなこというからっ……」 「お。その反応は、まだなんだねぇ~」 「……//う、うるさいなぁ」 ていうかね、最近は一般的に早すぎると思うよ?私が決して遅いんじゃない。 だって、まだ高二!!それに私、今まで一回だけ付き合ってたのは中2から中3にかけてだし。その時点でやることやってたら、恐ろしいでしょう……。 「そんなんだったら相川くんに奪われちゃってもしらないからね」 「なっ……!なんでそこで響なのよ!」 沙耶の発言に、焦って私は大声をあげてしまった。 (……!や、やば) そう思った時にはもう遅くて。 周りはざわざわと騒ぎ始めた。(や、やめて!) 「莉恵ちゃん……。相川くんと名前で呼び合う仲だったの?」 こ、怖いです!その辺の怒った教師より全然怖いですから!!泣 「いや、これは違っ……ちょっと沙耶、こっち来て!」 私は沙耶を廊下まで引っ張り出した。 「何よ、いきなり。莉恵が大声出したのが悪い」 「何よはこっちのセリフだっての……。 なんでああなるんだか。私の初めてはね!絶対絶対絶っっっ対好きな人(恋人)って決めてるんだから!!」 「……ふーん」 ふーん、て。リアクション薄……もう良いよ。 キーンコーンカーンコーン 「あ、やば、授業始まる。 て、やっば今日数学小テストだ!!」 「まあせいぜい頑張んなさい。あっちの方もね」 「あっちって何!!そういう沙耶はどうなのよ!」 「あたし?最近なら、先々週の夜に泊まりに行った時、急に押し倒さ「ああああああもういいから!!」 さ、沙耶に聞いた私が馬鹿だった! 50: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/14(水) 21 44 30 ダンダンダン……シュッ ピーッ 「はぁ……」 練習の様子を眺めつつ、私はため息をついた。 何というか、朝の沙耶との会話が頭から離れない。最悪だ。 ピーーーッ 集合の合図がかかり、全員が円陣を組む。そしてそこで毎回斎藤先生の言葉や連絡やらを聞く。 「えー……練習試合の相手だが、前言っていた相手と都合がつかないらしく、北星になった。心しておくように」 「はいっ」 全員が威勢のよい返事をする。こういうところも私は好きだ。 ちら、とキャプテン(響ね)の方を見ると、驚いたことに響の表情は物凄く怒っているように見えた。 どうしちゃったんだろう。 解散した後、体育館のモップ掛けを手伝いながら、私は響にそれとなく聞いてみた。 「あの、響。さっき、なんであんなに」 「あ?」 言葉を遮られ、ジロ、と睨まれた。う……そんなに睨まなくていいじゃない。 「てめぇには関係ねーよ」 「何その言い方!人が心配してあげてんのに」 「お前はせいぜい好きでもない男に初めてを奪われないように心配しておくことだな」 「へ…… き、聞いてたの!?」 「あぁ」 響がニヤニヤしながら私の顔を覗き込んだ。 「最低っ……」 「何なら俺がもらってやろうか?」 「断固拒否!」 今までなら、絶対私からわざわざ心配の言葉をかけるようなことはなかった。 これでも、この前から少~しずつ接し方を変えようと努力してるのに。私だけなのかな。 それにしても、響にバレるなんて……。 「心配すんな、俺ァ上手いから」 「うるさい!!!」 51: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/14(水) 21 55 14 がちゃがちゃ 「御馳走さまでしたー」 「え、橋場もう食わねえの?」 「少ないんだよ。ほら、おかわりしろよ」 「いやいやいや、みんなの量が尋常じゃないんだと思うけど」 さすがは天下のバスケ部の男子高校生、食べる量は半端なく多い。学校なんかでも、うどん+ラーメン用の容器に入ったどんぶりを食べたりしている。 もちろん私はそんなに食べられないから、いつもみんなより一足先に部屋に帰る。 パタン 「はー、見てる方が気持ち良いくらいにいっぱい食べるな、みんな」 部屋に帰り、携帯を開く。 【メッセージ一件】 (……) いちいち聞かなくても分かる、お母さんからだ。 あの手紙を受け取って以来、私はお母さんに連絡を取っていなかった。 今は会いたくない。自分から連絡を取って、言いたいこと言えばいいのにね……。怖くてそれが出来ない。 なんとなく会わないように、うちの近くは通らないようにしたり。 (しばらくは、このままでいたい) しばらくは、とか今は、とか、逃げてるっていうことは分かってる。 でも、現実から目を背けたくなるときだってあるの。 「……バスケ部って、家族みたい」 そう呟き、私はふっと笑みを零した。 駿はお調子者の弟って感じだな。斎藤先生は頼れるお父さん、響は年上のお兄ちゃん。 それなら私は、みんなのお母さんかな。 想像していると、楽しくなって嫌なことを忘れられる気がした。少し気を良くして、私はお風呂に向かおうと部屋を出た。 52: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/14(水) 22 05 19 ダンダンダンッ 「いけーっ!駿」 「西南頑張って!」 ザシュッ 駿のシュートが決まった。やった! 時は流れて、今日は例の北星高校との練習試合だ。試合に出ていないメンバーや私は一緒に応援をする。 たった今、駿が2本目のシュートを決めたところ。 すごいよ、バスケの試合って!みんな体がバネのようだ。 うちの学校は、全国で一番になるくらいだから、今回の相手はそう強くないみたい。(ちょっと失礼) ピーーーーーッ!!! 試合終了。西南の圧勝だ。 戻ってきたメンバーに、私はポカリを一人一人に渡す。 「サンキュ」 「いえいえ、お疲れ。おめでとう」 「いや……まだまだだよ」 そう言いながら汗を拭く部員達。この人達は、どれだけ自分たちが点を稼いで勝利しても決して天狗にならないところがすごいと思う。 まだまだ、まだまだと言って上を目指している。普通こういうのあんまりないんじゃないかな。 「おい、さっきの試合の反省すんぞ」 響がチームメンバーに声をかける。 (すごいな……。もう簡単な反省会するんだ) そう思って眺めていると、一人の女の子が私に近づいてきているのが見えた。北星のマネージャーだろう。 「……西南のマネージャーさん?」 「あ、はいそうですけど」 「ねえ、キャプテンの相川響って、どうなの?」 「は?」 な、何この子。いきなり話しかけてきて、この話題? 響はやっぱり顔が広いのだろうか。 そう思っていると、その子が少しくすりと笑った。 「ごめん、急に。実は私響と中学が一緒だったの。それだけ」 「そ、そう?」 「うん、そう」 な、何?この子……。 すると、私は後ろからぐいとジャージの襟首を掴まれた。 「うがっ!な、何すんの!」 「行くぞ。もう出る時間だ」 そう言いながら私を引っ張っていこうとした響が、北星のマネージャーの顔を見たとたん顔を強張らせた。 53: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/14(水) 22 18 43 「……柏木」 「久しぶり、響」 柏木と呼ばれた女の子が、強気な笑みを零した。 よく見ると結構ケバいメイクをしている。 「何の用だ」 「何って、私北星高校のれっきとしたマネージャーなんですけど。 あぁ、それよりそこの西南のマネさん」 (私?) 「この男には気をつけなさいね。一緒にいるとめちゃくちゃにされるかもよ」 「てめぇっ……!!」 響が殺気立ったオーラを出して柏木さんに掴みかかろうとした。 や、やばい!しかも相手は女の子だ。 今言われたことの意味はまた今度考えることにして、私は響を止める。 「ひび、き……!何してんの!ここは相手の高校だよ?もうちょっと冷静になってよ!」 私は必至で響を押さえつけた。 こんなところで、騒ぎでも起こしたら。もとより名高い西南高校、しかもキャプテンの響だ。 響は尚、鋭い目つきで柏木さんを睨みつけていた。 「ほら、行くよ!!失礼しますっ」 私は響を引っ張り出すようにして体育館の外へ歩いた。その間もずっと、響は柏木さんのほうをじっと見ていた。柏木さんは笑みを絶やさない。 (あの子……何者? それに、響も様子がおかしいよ。取り乱し方が普通じゃない) 柏木という女の、あの笑顔が脳裏に張り付いて離れない。 (……なんか怖い。危険だ) 背中にぞくっと何かが走った。それに理由などはなく、本能的に私の中の何かが感じ取ったものだった。 54: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/15(木) 20 59 31 「……ふぅ」 ぽちゃん 夜。私は一人寮のお風呂に入っていた。 バスケ部と同じ棟のこの大浴場(学校の寮だよ、金持ちすぎる)だが、この時間は私が入ることになっているため誰も入っては来ない。 (何だったんだろ、今日のあれ……) 湯船に浸かりながら、今日の出来事を思い出す。 響とあの柏木さんって子の間に、昔何かがあったことは確かだ。 元カノとか? (違うだろうな) 全然そんな雰囲気じゃなかったし。仮にそうだったとしても、何も無しにあそこまで険悪なムードにはならないだろう。 「はーあ……逆上せるしそろそろ出ようかなあ」 気付いたら随分長い時間浸かっているようだ。そろそろ出ようかな。 ざぶっ 私が湯船から立ち上がった時、 ガラガラガラっ 「……え」 私以外は入ってこないはずの、浴室のドアが開いた。 55: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/15(木) 21 17 12 そこに立っていたのは響だった。 ……て、何私冷静に状況描写しちゃってんの? 見ての通り、私はバスタオル一枚しか身に纏っていない姿。響こそ、隠すべきところは隠してるけど……じょ、上半身裸だから!何で!? 「何で入ってくんのよぉおぉ!!この時間私専用なんだけど!!忘れたの!?」 必死でバスタオルを押さえながら私が叫ぶと、響は何も気にしていない様子で私の横を素通りし、ぼちゃん、と浴槽に浸かった。 ノ、ノーリアクションって逆にキツイんだけど!? 私が慌てて風呂場から出ようとドアの方に体を向けると、響の手ががしっと私の……腰を引き寄せた。 (!どこ触って……) 「ひゃっ!?」 つる、と床に足を滑らせて後ろに転びそうになったところを、そのまま響に抱きとめられる。 そして私はなぜか今、再び浴槽の中に居る。 「何すんのよ……何でこの時間に居るの」 「あぁ、やっぱこの時間で合ってたんだよな、良かった良かった」 「良くないっ!!……!?」 突然、響が私を引き寄せ自分の膝の上に座らせるような体制になった。 後ろからお腹の辺りにぎゅーっと腕を巻きつかれ、身動きが出来ない状態。 なななな何ですかこの少女漫画に出てくるいちゃいちゃしてるカップルみたいな体制は!← 「ど、どうしたの!?」 「……」 「響……?」 黙って私をぎゅっと抱きしめる響は、何だか何時もと雰囲気が違っていて。 小さな男の子が、お母さんに甘えるようにぎゅっと抱きつくような、それに少し似ていた。 「……どうしたの?」 何時もとあまりにも違うため、状況を忘れてさっきよりも柔らかい口調で、問いかけてみた。 56: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/15(木) 21 41 07 少し緊張して、響の返事を待つ。 「莉恵」 「なに?」 「……」 「……」 「……」 「あの。何でしょうか」 「……やっぱりいい」 えぇ!?これだけ期待させて待たせといて、それですか。 あんたはみのも●たか!? 「それにしても」 続けて響が不意に口を開いた。 「お前、本っっっ当に変な女だな」 「はあ」 あまりに響がきっぱりと、(しかも結構真面目な声音で)言うから私は反論する気力もなくし、そう返した。 黙っていると、響は好き勝手に話し始める。 「俺の知ってる女と違う。 自分が可愛いが為に嘘を並べ立てて、ちょっと良いと思った奴の前で簡単に股開くような」 「……あの。もしかして、私がそんな女だと思ってたの?失礼なんだけど、それ」 少しむっとして、私が言い返すと響がふっと笑ったのが気配で分かった。 「違いねぇな。 ……だから、余計に欲しくなる」 「……!」 突然、響の手が私の体に張り付いたタオルの上から体を撫で始めた。 すぐ後ろにある響の顔を見るなり、私はぞっとした。 (怖 い) 笑ってる。だけど、これは笑顔じゃない。狂気じみた目だった。 いつもの響じゃない……。 元々目つきが悪い響だけど、そういうレベルの話じゃない。 自分を見失った、野獣のような。 「……ひび、き?」 57: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/15(木) 21 54 48 今、私の背後で私を見るその人は何時もとは違った。 まるで、別人のように冷たい目をしていて。 (……っ!やだっ) 大きな手が太ももの内側を撫で始める。その手付きは、乱暴で全く感情が感じられなかった。 愛の無い行為。 そう言い表すのが一番相応しいのかもしれない。 「や、やめて……」 震える声でそう頼む私の声も、今の彼には届いていないようだった。 「!やっ!!!」 後ろから、響が私の両足を大きく開かせた。自然とタオルはまくりあがり、湯船の中で下半身が露わになる。 そして、こともあろうに大きな手が私の秘部を二本の指でがっと開かせた。 「っ……」 お湯の熱さを体の内側までが感じ取り、体がおかしくなってしまいそうだ。 (嫌、嫌、嫌――!!) 「響!!」 大声で彼に呼び掛けても、答えてくれない。 絶対におかしい。いくらなんでも、こんなの、無理やり…… そのとき、ある言葉が私の頭を過った。 『この男には気をつけなさいね。 一緒に居ると、 め ち ゃ く ち ゃ に さ れ る か も よ』 「…あ…!!」 響の指が、秘部全体を弄り始める。 その力の強さに、私は顔を顰めた。 駄目、このままじゃ! ――――パシン! 58: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/15(木) 22 09 04 (あ……) はあはあと、息を切りながら自分の掌を見つめる。 自分でも、何をしたのかが分かるのに多少時間がかかった。 「!……莉恵、」 響の目に、光が戻った気がした。 少なくとも、さっきとは違う……雰囲気が元に戻った。 「…ぁ……」 上手く声が出せなかった。私の体に染みついているのは、「恐怖」という感情だけだった。 響が次に何か言うのが耐えられず、私はバシャっと湯船から勢いよく出て、そのままの勢いでお風呂から飛び出した。 ドンッ (……!痛っ) 焦ってドアに肩を打ちつけてしまうが、構わず外に出る。外に出ずにはいられなかった。 ガラガラガラ、ピシャン! 浴槽のドアを開け、更衣室にへなへなと座り込む。 しばらく茫然としていたが、何分経っただろう、私はようやくふらふらと髪を乾かし、服を着てその場から離れた。 心臓がドキドキ鳴って止まない。 (……嫌) 部屋に逃げるように入り、がちゃっと鍵をかけベッドに倒れこむ。もう深夜だ。 いつも、響は自室に行く際この部屋の前を通るので、足音がする。それさえも聞きたくなかった。 (信じられない……) 冗談で初めてを奪ってやろうかだとか、俺は上手いとかふざけたことを何度も聞かされてきたけれど。本当に彼はそんな非情な人間だったのだろうか。 あのバスケ部を引っ張る、信頼の厚いリーダーの彼が。 私の内面を短い期間に見抜いていた、彼が。 さっき響を引っ叩いた右手の掌を見つめる。 (……信じたくない。違う、違う。あれは何?夢じゃないの?) それから二時間もの後、ようやく私はうとうとしてきた。 部屋の前を通る足音は、ついに聞こえることはなかった。 59: 名前:葵 (3e6wZ9rNfs)☆10/15(木) 22 31 43 バコン!! 「……ちっ」 苛立ちから物に当たることしか出来ない。つくづく餓鬼だと自分でも思う。 大きな木にもたれかかり、空を眺める。天気が悪いようで、星はひとつも見当たらない。 (……) 今日再会してしまった女を思い出すと吐き気がする。 体全体が拒絶していた。存在そのものを。 (たかだか女一人に振り回されて、俺は) ぐしゃぐしゃと髪を乱暴に触り、悪態をつく。 ずっと思い出すことをしなかった男の顔が、久しぶりに頭の中に浮かんできた。 (……シン) 「情けねえ……」 すると、次に一人の女の顔が浮かんできた。初めは笑顔だった。しかし、しだいに笑顔ではなく、おびえたような顔で自分を見つめるようになっていく。 そいつが人を信じることを密かに怯えていることを知っている俺は、余計に自分自身に腹を立てていた。裏切られた、という言葉をそのまんま表情に表していた彼女の顔を思い出すのは酷だった。 自分でも、ここまで一人の女に執着するのは意外だったが。 やはり変な女だ。 「……柏木」 忌々しいその名を口に出す。それだけで、体全体が怒りで熱を持った。 「……今度は俺が、お前を殺してやる番か?」 その呟きは、誰の耳に届くこともなく、闇の中に溶け込んで消えた。 * 初めての響視点でした なんというか、シリアスモードになっちゃってます うーん、話を上手く展開するのが難しい。展開が急すぎるような気もする…… そういえば、この話読んでくれてる人いるの?← young leaf 続き3
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ふざけた題名で申し訳ないです…。 一話完結みたいな形式で書いて行きたいと思います☆ おヒマがあれば、ご覧下さい^^ 当たり前なんですがフィクションですm(・・ 同姓同名の方が気分悪くしたら申し訳ないので((汗 昼休み、寝そべっていた東館の屋上から、嫌でも変態が目に入る。 「あいつまた何やってんだああ!」 せっかく飲むヨーグルト飲んでくつろいでたのに、また止めに行かなくてはならない。 ほっといたら犯罪おかしかねないからね。 全力疾走でオレは変態のいる西館へ向った。 「付き合えないならパンツ下さい。それか踏ませてください」 屋上から階段を駆け下りた時、女子がある男の顔を殴っているのが見えた。 …あーあ、間に合わなかったか。 名前も知らないけど、女の子に謝っておこう。ごめんなさい。 周囲の視線はオトコマエの面に鼻血を浮かべた彼に向っていた。 アホ。言わんこっちゃねえ。 「いい加減変態フル稼働させんのやめろよ、慎也」 「旭」 たった今最悪の告白をして女の子に振られたこの変態の名は、中田慎也(なかだしんや)。 本人いわく、なか"だ"と濁るところが重要らしい。 彼を一言で言うと、紛れもなく変態。変態の代名詞。 さっきみたいなことを言うのは日常茶飯事でございます。 だがすっげームカつくことに、自他共に認める超イケメンだ。 栗色のサラッサラの髪の毛を携え、目は淡い青色。 おじいちゃんがアメリカ人の、クォーターらしい。です。 身長180と長身で、程よく筋肉もついてて足は長く、まさにモデル体型。 男である俺もホレボレするくらいだ。…いや、変な意味でなく。 更に超ムカつくことに、(勉強面での)頭脳が明晰。 高校入ってから、5回ほど定期テスト受けたけど、トップ以外の成績になったことねーんじゃねえか? あ、蛇足だけど俺の自己紹介もしておきます。 俺は雪代旭(ゆきしろあさひ)。普通の高校二年生です。 ま、これ以上はいいじゃん。慎也の紹介の後だと、虚しくなるだけだし。 「旭。今日こそお前にフェラがしたい…ッぐはぁ」 バコーン! 俺はわざとさっきの女の子が殴った右頬と同じところを思い切り殴った。 「真昼間からなに放送禁止用語発してんだ! この変態がああ!!」 そのオトコマエな顔ぶっ潰してやろうか! 「旭…、もっと俺をなぶってくれ…」 一旦倒れたが直ぐ起き上がり、俺の手を掴んでこんなこと言い出した。 鼻血出したイケメン面が言う言葉ですか、それ。 …慎也は誰にでも――女子にも男子にも、オバチャンとか犬にも――真顔でこういうことを言う。 パンツください発言はまだマシなほうかも。 で、俺は何でこの変態と友達しているかというと、だ。 慎也の暴走を止めるため。 こんな変態、誰も手につけられないだろ…。 だから俺は変態とかじゃないんですよマジで。 「あー腹減ったー」 慎也のせいで昼飯食えなかったからな。 しかも5限目、つまり現在、体育だぜ? 教室内の授業だったら、パンでも食えたのに。正直きつい。 …ま、先生に注意されるまで運動場の隅に体育座りしてるだけなんだがな。 「旭ー」 そういって俺のところにやって来たのは先生ではなくて慎也だ。 クソ寒い真冬だというのに、一人ジャージ着ずに半袖で短パン。 「来ないで下さい、変態さん」 俺は更に隅に避難する。 コイツは例え授業中であろうと、みんなの見ている前であろうと平気でヒワイなことしてくるからな。 「どうしたんだ? 一緒にやろうぜ、サッカー」 「…腹減って死にそうなんだよ。慎也のせいでな」 「そうなのか? んじゃあ、俺を食べ…」 「いいですサッカーします。てかお前は黙れ」 そして時間帯を考えろ。 今は太陽が顔出してる昼だぞ? あ、いや、やっぱ夜でもそういうことはやめよう、な? 「見ろよ旭ィ、女子は高飛びだな」 突然慎也がネットを隔てた向こう側の、女子の方を見て言った。 「ん、ああ。そうだな」 どうでもいいという感じの返事を適当にする。 昨日の体育の時間も高飛びしていたけど。 なに感傷に浸ってんだろう。 「あ~、いいなぁ。あのバーの向こう側のマットになりてぇ…。何回も踏まれるんだぞ? 女子の身体に」 はい、スルーします。 「何だ旭、あのマットに嫉妬してんのか? 俺がいつでもお前を苛めてやるから心配すんなよ」 「爽やかな笑顔でサラッとキモイこと言うなッ!」 …あ、いつものクセで反応してしまった。スルーしようと思ったのに。 「マット…マットなぁ。あ、そうだ。旭、今度マットプレ…」 全部言い終わる前に俺は慎也の背中を力任せに叩いた。 「ケホッ…、何すんだよ、舌噛むじゃねーか」 さっと俺の方を振り返って肩をぐっと掴む。 「テメエが変なことぬかすからだろこの変態!」 「変態ではない。仮に変態だとしてもそれは変態という名の紳士だ」 どっかのギャグマンガですか。 っていうかすごい近いんだけど。息が当たるくらいなんだけど。 なんで必要以上にくっついて来るんだ、こいつは。 「おい、中田に雪代。いちゃついてないで授業に参加しろ。平常点マイナスするぞ」 遂に先生に注意されてしまった。 慎也の変態度合いを嫌というほど知っている先生は、極めて冷淡に言った。 いや、先生誤解です。一ミリたりともいちゃついてなんか無いですから。 慎也のアホが勝手にくっついてくるだけなんですよ。 「恋人同士みたいだって。良かったな旭」 全然良くねー! 俺まで変態に仕立て上げるな! 俺、雪代旭はただ今大変な目に合ってます。 俺がってわけじゃないんだけど。いや、俺がか。ん? 何かわかんなくなってきた。 とりあえず大変な状況にいることは確かだ。 俺は東館の屋上が大好きだ。今もそこで、昼に食べ損ねたパンを食べていた。 「…あ、あッ。ん、ダメ…ッゃ…」 そしたら誰かが屋上に来て、少しすると(おそらく男)の喘ぎ声が聞こえてきた。 「ぁ…はあ、んあッ、…僕ぅ…も、ダメぇ…」 声を発している人はおそらく、自慰しているのだろう。 タンクと扉がついている四角いフロアが死角となって見えないが。 (どこの誰だか知らないけど、俺のお気に入りの場所で自慰行為するなんて!) …と思うが、諌めにいく訳にもいかないし、 っていうか動いたら気付かれそうだし、どうにも出来なかった。 俺はパンを食べることも出来なくなってしまい、 ひたすらそいつがどこかに行ってしまうのを待つばかりだった。 「ん…んぅ、ふぅ…あ、ぁあ…な…かだ…くんッ、…ん」 …は? 今中田っていったか? もしかして、慎也とイメプレ? あの変態の? ちょっと待て。話がおかしい。 慎也は男だ。そして現在進行形で自慰してるやつもたぶん男だ(僕って言ってるし)。 「中田…く、ん…僕ッ…の弄って…よ、ぁ…ん」 マジかよ。 俺は同性愛とかに偏見はないので、男が男を想ってイメプレしてるのはすぐ納得した。 それに驚いているんじゃない。 慎也のことを好きな人がいる、ということに驚いている。 だってあんな変態ですよ? いくらオトコマエでも引くでしょう普通。 「旭、いるかー?」 一向に慎也好きさんの自慰行為が終わらないうちに、本人が登場してしまった。 「ちょっ、慎也タイミング悪すぎ!」 今まで沈黙を守っていた俺だが、あまりに焦ったためか不意に声が出てしまった。 慎也好きさんはぴたっと喘ぎ声をやめる。 「あれ…? 君はC組の立花くん、だっけ?」 慎也の声が聞こえる。 C組っていったら隣のクラスだ。立花くんは知らないけど。 もう隠れている必要もなくなったので、俺は二人のところへ出て行った。 「…雪代くん、もしかしてずっと見てたの…?」 ズボンが肌蹴ているのを必死で隠し、更に好きな相手が目の前にいるため真っ赤な顔をして立花くんは言った。 っていうか立花くん…本当に男か? 見た目完璧に俺より年下の女子に見える。 髪は短いが、目がくりっとしてて大きい。 まさか、いわゆる"ボクっ子"? いや、ズボンはいてるし。 「ゆ、雪代くぅん…」 「ごめん。別に覗き見しようって思ったわけじゃなくて、そちらが後から来て…」 「…う、ぅ…ごめんなさい…」 立花くんの大きい目が潤みだし、ついに涙がこぼれてしまった。 「あーあ、旭。泣ーかーしーたー」 え、俺!? 俺のせいなの? 俺は悪くねーよ、たぶん。 「それより慎也、立花くんはお前のことが好きなんだってよ」 「え、ホント? じゃあ俺と今すぐセックスしよう!」 お前はそれしか頭に入っとらんのか。と軽く慎也の頭を小突く。 「雪代くん!! バラすなんて酷いよ!!」 立花くんのうるうるした可愛らしい目が更に潤んだ。 「ご、ごめん」 今のは完璧に俺が悪いな。完全に失言だ。 本当ごめんなさい。 「立花くん。いや、葵くん。どんなプレイがしたい? 俺は何でもオッケーだよ」 「プ、レイ…?」 ふむふむ。立花くんの下の名前は葵くんか。 …なんていっている場合ではない。 慎也相手ではどんな変態プレイをさせられるか。 いくら立花くんが慎也を好きでも、彼の餌食にされるのはかわいそ過ぎる。 という俺の心配は拭い去られた。 「あ、あの…あのっ、僕のことは忘れてくださいっ!」 立花くんはそう言って慎也を撥ね退け、服が肌蹴た状態のまま校舎に通じる扉に走って行った。 慎也は立花くんが見えなくなると、スバッっと俺の方に顔を向けた。 気持ち悪いくらいの笑顔だ。 うわー、なんか嫌な予感がする。頼む外れろ俺の予感! 「旭、イメクラって知ってる?」 「はあっ!? な、何言ってんだよッ」 「まあ説明はやりながらするから」 説明されなくとも知ってます。 違う、そんなこと言いたいわけじゃねぇぇー! 俺の願いははかなく玉砕した。っていうかなんですること前提なんだよ! よく見ると慎也は大き目の紙袋を持っている。 そこからチラッと見える衣装の数々。 「立花くんと出来なかったからって、その性欲を俺に向けるな!」 「まぁそう妬くなよ。俺は最初から旭とするつもりだったぜ? 葵くんも交えて三人でするって言うのも燃えるけどな」 妬いてねぇ、こっち迫ってくんな。 そして燃えるな! …いやいっそ燃え尽きて死んでくれ。 俺は慎也の攻めを回避しつつも、狭い屋上では意味を成さなくなってきた。 実際は広いんだけど、(多分)電気モーターとかエアコンの室外機とかが設置されてあって 行動範囲は凄く限られている。 「まあそう逃げるなよ。獲って食おうってわけじゃないだろ?」 思いっきり食おうとしてんじゃないですかー! 健全男子である俺がナース服とかメイド服なんかを着てたまるか。 扉から校舎に逃げようとするけど、どう考えても扉の方に突き進むと捕まってしまう。 …と、慎也は溜め息をついてその場に座り込んだ。 (お? これは諦めたと見ていいのか?) なんて気を許したのが間違いだった。 「旭、ゲットだぜ」 素早く立ち、セリフの最後に黄色いモンスターの泣き声がしそうな言い草で慎也は俺に抱きついた。 「ぎゃーッッ! いやだぁぁぁぁ!! 俺は健全なままで高校生活送るんだぁぁ!」 慎也は見事俺を捕まえ、一瞬たりとも放しやがらなかった。 「ちょ、お前マジで…やめ――ボタンを外すな!」 学ランのボタンを一つずつ外していく慎也が本気で気持ち悪いです。 だが情けないことに慎也を振りほどけない。 あーやべぇ、マジで変態に襲われる! 「じゃあ聞くけど、俺とエッチすんのとコスプレするの、どっちがいい?」 どっち…? いやまそりゃ、男とR指定的なことするんだったら女装してる方がマシって言うか、 あ、マシってだけで俺はぜんっぜんコスプレに興味は無いし、 あれ? どちらを選んだとしても慎也がハァハァいいながら喜ぶだけじゃね? 俺全然利点ないですよね…。 っていうか、その二つを選択肢にするのおかしいだろ。 俺も何本気で考えてんだ? 馬鹿みてぇ。 「どっちも却下に決まってんだろッ!」 と渾身の力を込めて慎也の絡まった腕をこじ開けると、やっと離れた。 「旭…」 …はい? 振り返ると慎也は何とも言えぬ顔をしていた。 何でそんな困った顔されなくちゃなんねーんだ。困ってんのはこっちだろうが。 「何でそんな嫌がるんだ…俺、傷ついちゃったな」 普通嫌がるってそれ。完璧。 「旭は俺のこと嫌いなんだ…何だよ、せっかく似合うと思って買ってきたのにな…」 と言って萌えキャラがつけそうなアイテムを次々出していく。 「な、何そんなシラけてんだよ。俺は悪くねーぞ。 慎也が変なことしようとするからだろ?」 え、何で俺こんな罪悪感感じてる訳? 「旭がどっちもしないっていうなら言うなら全裸で校舎走り回ってやるからなー」 そう言いながら慎也は服を脱ぎだした。 …やばい、コイツなら本気でやりかねない。 「わかったよ、へんな服着てやるからそれだけはやめろ! 但し半径3メートル以内には近づくなよ」 気味が悪いくらいにやにやと慎也は笑っている。 「旭可愛いな。俺の勝ちだ」 さっきの悲しそうな顔は慎也の顔から一瞬で消え去った。 もしかして図られた? そんで、俺って学習能力ない?? どれでも好きな衣装を選んでいいと言われたので、 俺は多分一番ポピュラーだと思われるメイド服を選んだ。 なんだかんだ言って結局慎也の言いなりになる俺って…。 すっごい自己嫌悪に陥る。 「あれ、何だ。男物もあるじゃねえか」 紙袋の底には、セバスチャンとかいう感じの名前の執事が着ていそうな服があった。 しかし俺が着ると確実余りそうなくらい足の丈が長い。 「それは俺が着るの。旭はこっち」 「…ちょ、半径3メートル以内に近づくなって言っただろ」 執事服を取り上げられ、メイド服を押し付けられた俺はお返しに慎也を押しのけてやった。 …なんか。 すんっごく見られてるんですが。 執事服に着替える慎也の目は確実にこっちを向いている。 「着替えてる間くらい見んなよなっ」 「着替えを見るのがいいんでしょうが。俺に気にせず続けろ」 気にせずって言われても慎也の痛い視線は目をそらしてても嫌というほど気になる。 まぁ…。それよりこの服なんなんだ? 止めるところがファスナーとかホックとかじゃなくて、マジックテープだぜ? コスプレの衣装ってこんなもんなんだろうか。 慎也に手伝ってもらわずに済むからまぁいいか。 「おー、似合うじゃん。すっげぇ可愛い」 ごめん、それ全くもってひとかけらも嬉しくない。 何で女装が似合わなくちゃならないんだ。 俺より慎也の方が万人が見ても似合っていると思う。 じっとしてれば格好良すぎて動悸がするぞお前。本当に性癖が邪魔しすぎている。 「…も、もう脱いでいいか?」 「ダメー」 慎也は携帯を取り出して俺の姿を写真に撮り始めた。 「お前! 慎也ァァ、何やってんだッ」 こんな姿後世に絶対ぜーったい伝える訳にはいかない。 俺は携帯を奪うため慎也に飛びついた。 「半径3メートル以内に近づいちゃダメなんじゃなかった?」 「うるさい。今はそんなことどうでもいい」 慎也は持っていた携帯を執事服の中に入れてしまった。 「…あぁ!」 「携帯欲しかったら取ってもいいぞー」 言われなくてもやる。女の子なら躊躇するけど。 慎也のシャツの中に俺は手を突っ込んだ。 「旭って大胆だな」 「…なッ、バカじゃねーの!?」 慎也は俺の手を掴んで、抜き出した。 「あーあ。旭の姿想像して後で自分で処理すればいいと思ってたけど、やっぱ無理だわ」 「え? 何??」 「俺の性欲の強さは知ってんだろ?」 そりゃあ、どれくらいか計り知れないってことは知ってるよ。 「なのに俺の前だけでこんな格好するなんて、大胆すぎるよ?」 ここで俺は突然、自分の着ている服がマジックテープ仕様なのを思い出した。 「その服、マジックテープで留めてるだろ? 誰が着ても脱がせやすいよう、俺が細工した」 やっぱりかぁぁぁぁ!! 「いやだー絶対いやだあ――! 誰か助けてくれー」 「もう放課後だしな。屋上は本来は立ち入り禁止だし、誰も来ないだろ」 やっぱり変態だこいつは。男とこんなことして何が楽しいって言うんだ! 「執事×メイドっていいだろ。主人がいなくなったところを見計らってこっそりヤる、みたいな」 お前の好みは知らねえよー! 「旭サン、ご主人様はただ今外出しておいでです。僕とイイことしませんか?」 役になりきってんじゃねえー!! 「わーッ、服! が!」 マジックテープはいとも簡単に外れ、肌蹴た状態になった。 わざわざコスプレする意味なかったと思う。 「旭サン、僕に身を委ねてください」 「それやめろ! あと触んな、変態っ!」 「何でだ? こっちの方が楽しく出来るだろ?」 全然楽しくない。むしろ身の危険を感じている。 「触んなとか言うクセにあんまり抵抗しないんだな」 慎也はにこっと(嫌な感じの)笑みを浮かべると、俺の肌に舌を這わせた。 「ぅ…わッ」 ざらざらした感触が上半身に広がる。 「旭。もっと可愛い声出せよ」 ちょっと幻滅したって言う感じで慎也は言った。 可愛い声ってなあ、お前何考えてんだよ。 俺はそんな声は絶対出さないと、口をつむいだ。 「…はぁ。言っとくけど俺上手いから。10秒で声出させてやる」 慎也はレースのついた黒いスカートに手を入れた。 (そっちかよー!) …と思ったが下着までは手にかけない。 「期待したか? まだしてやらない」 期待なんかしてねえっつーの。 「……ッ」 「チクビ尖ってるぞ」 「うるさい! お前のせいだろ!!」 もう嫌だ。この地点でもう恥ずかしくて死にそうだ。 俺はこんななのに、慎也は凄く楽しそうに俺の上半身を舐め続ける。 「……ぁッ」 「お、今出ただろ」 「出てない!」 何かもう…頭では嫌だと思っているのに、どうでもよくなってきた。 開き直ったってヤツ。 慎也は尚も愛撫やめないし。っていうか自分が満足するまで絶対やめないと思うし。 尖ったチクビをずっと舐め続けられると、我慢していた口の筋肉がどんどん緩んで行った。 「…ふぁッ、ん……し、んやぁ…ゃめッ」 「やっぱり10秒で落ちたな」 慎也は小バカにしたように俺を笑う。めちゃくちゃムカつくのに何も出来ない。 「慎也…人きたら…どうすんだよ」 「来ても気にするな。俺に犯されることだけ考えてろ」 なんじゃそりゃ。やっぱ思考回路が変態だ。 慎也は俺の心配なんて無視して赤みを帯びた色に変色する突起物を銜える。 「あ…んッ…、」 「お前のここは柔らかいなー。感じてる状態でもふわふわしてるな」 いちいち口にせんで良い。 「よし、終わり」 と、いきなり慎也が愛撫をやめた。 …は? 意味が分からん。 終わり? 何で?? こんなこというと凄く恥ずかしいのだが、慎也が"最後"までやらないのはありえない。 と思う。 「え、どういう?」 「だって旭、したくなかったんだろ本当は?」 まぁ、したくありませんでしたけど。 「もう学ランに着替えていいぞ」 慎也は本当に立ち退いてしまった。 俺はもう自由だし、慎也に変なことされる心配もなくなった。 「な、何だよ! なら最初からしょーもないことすんなよなッ」 「ああ、ごめん」 謝る慎也に俺は更にムカついてきた。 立ち上がると俺は、メイド状態のまま慎也の腕を掴んだ。 「待てよ。最後まで責任持ちやがれ!」 「…ぶはッ」 「は?」 慎也は横を向いてケラケラ笑っている。 「旭なら催促すると思った。…俺がこんな状態でやめると思う?」 いや、思わない。先ほど述べたとおりだ。 しかしいちいちムカつくなコイツは。 「言われなくてもやりますよ、旭サン。でも屋外じゃ寒いだろ?」 そりゃ、気温8度の冬日に薄着で外にいたら寒いに決まっている。 (俺を気遣ったのか?) ちょっと待て俺!! ときめくな! 根底がおかしいんだ。屋外とか屋内とか関係ない。 薄暗い5階の階段の踊り場。 運動部の掛け声ですら聞こえてこない。 「ひ…ッ」 慎也は屋上の扉を閉めるとすぐ、俺の身体に指を絡める。 「ぁ…あッ」 「コレを触って欲しかったんだろ?」 黒いスカートの下に、慎也の指先の感触が感じられた。 「んなワケ…あるか」 「へえ? こんなに固まって勃ってるのに、か?」 と意地悪く言いつつ、パンツの下の性器を扱きやがる。 「…あ、んっ…、ふ…ぅ」 「いい声出ますね、旭サン」 「それ…っやめろ…つってんだろ」 鬼畜執事仕様は、慎也の場合本当に気持ちが悪いです。 って言うのに、慎也はそれにはまってしまったのか、やめようとしない。 「そんな目で睨まないでくださいよ。興奮するでしょう?」 女モノのレースとかがついたパンツを、慎也はずり降ろした。 「…ちょッ」 うわぁ…。 自分で自分の陰茎見てドン引きしてしまった。 「ゃ…なんて格好させんだよ…っ」 ぶっちゃけ言うと、俺は今慎也に両脚を押さえつけられ、 まぁ…M字開脚? みたいな感じになっている。 しかもスカートをめくりあげられ、下が全開だ。 …って言うかなんでこんな解説しなくちゃならないんだろう。 「旭…って、エロいな。ちょっと触っただけでこんな濡らしてさ」 俺は恥ずかしさがマックスになって、顔を手の平で覆い隠した。 「慎也の変態野郎!」 「あははっ、なんじゃそりゃ」 ちっくしょー、顔や成績だけじゃなくてこんなところでも負けるのかよ。 慎也のいいようにされてしまって、情けないことこの上ない。 「でも旭の言うとおりだな。今の旭見て勃起してきた」 今頃気付いたのか。 そんな恥ずかしいセリフをサラッというお前は紛れもなく変態だよ。 「旭サン。僕の…扱いてくれますか?」 果てしなく執事キャラ続けるんだなお前は。 「…自分でやってください」 俺は依然として否定する。 「あなたの指先と口でイきたいんです」 慎也は俺に寄り添い、再び俺の勃起した物を撫で始めた。 「あ…っ、ゃめ…ろ…ん、んぁッ」 そればかりか今度は、もっと奥の穴にまで指先を伸ばす。 「や…、慎…也ぁ…」 そこはくちゅくちゅと、AV上でしか聞いたこと無い音を立てた。 俺は止めるのを促すように慎也の腕を掴む。 「旭ばっか気持ちよくなってちゃ、不公平だろ?」 「ん…お前が…勝手にっ…」 慎也の指先は俺の穴の中に侵入した。 「あっ…あぁん」 自分でも嫌になりそうなくらいの喘ぎ声を発する。 「旭のメイド姿、校門の前の掲示板に貼ってほしい?」 「ふ…ふざけんなッ…んぁ」 「では旭サン、僕にフェラをお願いします」 慎也は更に穴の奥を中指で突く。 「ぁああっ」 しかもその状態のままもう片方の手を陰茎を撫でるのに使い、舌で上半身を這わせてきた。 「ッちょ…、あ、ふ…ぅ…ッん」 快感でどうにかなってしまいそうだ。 早く極限に達したい…が、慎也はそうさせてくれない。 「旭ー? イキたいなら俺の下半身の処理頼む」 調子に乗るのも大概にしろー! と言いたいが、言ったところで今の状態が変わるわけではない。 「また我慢するのか? 旭が俺に勝つと思う?」 は…腹立つ! ぶん殴ってやりたい。 でも…性欲のカタマリとあって、慎也の愛撫はすごく気持ちが良い。 早く落ちたい。 「わか…ったから、」 俺は自負心を捨ててそう言っていた。 認めたものの、やっぱり嫌なものは嫌だ。 男の性器を口にくわえるなんて、夢にも思わなかった。 「お前…すっげーな」 俺の倍…とまではいかないが、気持ち悪いくらい張っている。 「旭…下手くそ」 「はぁ? 嫌なの凌いでやってやってるんだぞ!?」 「…んッ、いいよ…たまにはそういうのも」 どういうことだよ。いちいち癇に障る野郎だ。 慎也の顔は、次第に紅潮していった。 もしや(下手くそなんていいつつも)感じている? 大逆転のチャンスじゃね?? 俺は指でなぞったり、舌でなめたり、色んなことを試みた。 「あ…旭、」 おー。なんか快感。 慎也の気持ち良さそうな顔を見て俺は優越感に浸っていた。 「旭…ワザとだろ…」 そうですよ。 今まで恥じかかせていただいた分、きっちりお返しします。 「じゃ、そのまま俺の…舐めといて」 というと慎也は、自分の長い腕で俺の下に手を出した。 「な、な…っ」 「扱くの、やめるなよ」 慎也は片手で俺の陰茎を愛撫する。 「あ…ぁッ、ん」 「手が止まってますよ旭サン」 とまってるって言われても、自分に意識が集中してしまってどうにもならない。 「や…慎、也…ッでる…」 「出せ…よ」 あーもー限界。 俺は行為している場所が校舎だってことも忘れてしまい、中に溜まった精液を噴射した。 「ふ…ぅ、…あ」 身体全体がピクピクする。 全てがどうでもいい…って感じの状態だ。 慎也の方は俺の精液でべとべとの手で、自分のモノを触っていた。 慎也の陰茎の先端から白濁としたものが飛び出、俺のと混ざり合う。 「俺より…先にイきやがったな」 更に汁がついた手で俺の身体を撫でて、慎也はにやっと笑った。 精液のせいで、慎也が俺の身体に触れるたびねっとりする。 「も…もういいだろ…」 「良くないな。最後まで責任持つ義務があるから」 やばい…アナルセックスフラグ…(汗 俺は自分の言った言葉を深く後悔した。 あんなモン挿れられてみろ、絶対裂けて血が出てくる。 「し、慎也…待て。お…お願いします、それだけは…」 痛いのは嫌だ。 「大丈夫。軟膏なら持ってる」 慎也は自分の制服のポケットから小びんを取り出した。 なんでそんなモン常時持ち歩いてんだーっ! 「安心しろ。いきなり入れたりしないから」 いやいやいや。 そういう問題じゃないんですよ。 そんな俺の心情なんて全く無視し、真也は指を穴の中に入れた。 「…ぁッ」 「動かして欲しい?」 「んなこと言ってな…ッあ…」 強がって言う俺に対して慎也はくすくす笑っていやがる。 ズブ…グヂュ…という効果音が交互に聞こえ、そのたび俺の中の慎也の指の本数が増えていく。 「や…ッだ、め…」 三本が限界ってところだ。 冷やかな慎也の指先の感触が、内部の肉壁にあたる。 「あ…あぁ…っ」 しわくちゃになるくらい俺は制服をきつく握っていた。 「慎…也ぁ…もッ、入ん…ない、って…」 慎也は三本の指を俺の中で開いた。 一気に穴が広がり、中まで冷たい外気があたる。 「ひ…んっ」 「まだ広がるじゃん」 まだってアンタ、それ以上開いたら俺のケツの穴裂けちゃうでしょうがー! 「もう大丈夫かな…?」 軟膏を塗りたくった後に慎也は言った。 マジですか。マジで入れるんですか。 慎也は俺の腰を持ち上げ、下半身を尻にすり寄せた。 「ん…ん、ぁ」 ちょっと…待ってくれない、か…。 「なるべく…痛くない方向で頼む」 「言われなくても分かってる」 どれだけ慎也が上手いって言っても、コレばっかりは物理的に無理です。 針の穴に木の棒が通るわけないもんな。 「ふ…ぁっ、あぁ」 だが、軟膏の助けもあってか俺が懸念しているよりかはすんなり入っていく。 「あっ…もっとゆっくり…」 「…は、これ以上ゆっくりは無理ってくらいまでゆっくりしてるぞ」 うわー、なんだろうこの言いようもない恐怖感は。 これが自分の体内に異物が入ってくる感覚ですか。 女の子はこんなこと体験してるんですか。 「旭…お前のアナル…すげー気持ちいい」 わーもう! 耳元でそういうこと言うなよッ。 「慎也…熱い」 っていうか暑苦しい。性器入れたまま抱きしめるなー! 「残念だな旭。…物理法則、完璧に無視されちゃって」 ホントだよ。 どうなってんだろ俺の身体は。 絶対容積足りないって思ってたのに、順応してすんなり入れやがった。 そんで結局、コスプレと慎也とセックス、両方するハメになってしまった。 何で俺はこんなに流されやすいんだよ…。 「旭、欲求不満になったらいつでもどこでも対処してやるからな」 いやいや、これは俺の欲求不満が原因で起こった末路じゃないだろ。 「あぁ、それと。旭のエロい姿はムービーに撮っておいた」 再び制服に着替える時、慎也はいつの間にか服の外にあった携帯電話を俺の前に突き出した。 「…は? おまっ、やめろ! すぐ消去しやがれ!!!」 慎也の手の内にある携帯を奪い、醜態ムービーを消そうとしたが、 …ロックをかけられていた。 「残念だったな。まぁ、他にばら撒いたりしないから。俺のオカズ用だ」 「そんなことに利用されてたまるかぁ―――!」 はぁ…、誰か慎也を改心させてやってくれないかな…。 続き
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240: 名前:乃愛☆05/08(土) 17 45 09 でぃあ*彩実様 もぅ、メロメロのきゅんきゅんですよね← 愛し合っちゃってこのこのっ…!!Σ、 でぃあ*あ様 あげ有難う御座いますっΣ、 また、こめお願いします♥← ஜஂ▷▫◁ஜஂ▶▪◀ஜஂ▷▫◁ஜஂ▶▪◀ஜஂ 啓斗Side 「 すー…すー… 」 隣には可愛らしい寝息を立てて寝ている結夏。 こいつって、ヤった後すぐ寝るんだよなぁ……。 …ったく、無防備すぎ。 こんな可愛い顔、他の野郎に見せてねえよな? 俺は結夏の頭を撫でながらそう考えた。 「 ん……啓…斗くん…… 」 はいっ! 急に結夏の口から俺の名前が出た。 思わず、心の中で返事をしてしまう。 今、"啓斗くん〟っつったよな? ………。 きゃーきゃー!まぁじで?超嬉しいんだけどおーっ。 …って、俺はギャルか! 自分に呆れつつ、寝言を言った結夏の顔を見つめる。 すると、結夏の唇が小さく開いた。 …どっきーんっ! め、めちゃくちゃ色っぽいんですけど。 何その潤った唇はっ…! キスしてえ…、今キスしてえ…。 窒息するくらい、してえなぁ…。 俺のドSキャラが現れそうになり、 慌てて、結夏を視界から外す俺。 ……ちゅ…… やはり欲望に負け、結夏に口付けする俺。 唇を離したとき、まだ物足りなさを感じた。 柔らかく健康的なピンク色の潤った唇。 この唇が俺…いや、男の本能をめちゃくちゃにさせる。 「 ん…にゅ…… 」 結夏の瞼が薄っすら開かれる。 その瞳はキラキラと輝いている。 お、起きたぁーっ! 俺は急いで目線を他に移した。 そして、何も知らなかったように振り返り… 「 ん、起きた? 」 何て、余裕かました言葉を発した。 うん…、我ながら良い演技。 「 ごめんなさいっ!…み、見た? 」 謝った後、少し間を空けた結夏。 そして、頬をぽっ…と赤らめ、シーツを目の下まで引っ張りながら問いかけてきた。 「 見たって、体? そりゃ、もう沢山見たよ 」 俺はにこっ…と悪魔の笑みを浮べながら上半身だけを 起した結夏にゆっくりと近づいた。 「 ちっ…違っ…! …て、見たの!? 」 「 おう、だってあんだけのことしたんだしさ 」 俺は結夏の寝ている隣に座り、髪を掻きあげた。 「 ……馬鹿 」 「 あれ、違った? 」 明らかに、顔を真っ赤に染めて怒っている結夏は、 俺の問いかけに小さく頷いた。 「 その…ね、寝顔…を 」 「 見た 」 「 ええっ!? 」 あ、やべ…言っちゃった。 隠した意味無いじゃん、馬鹿野郎っ。 まぁ、嘘なんか結夏につきたくねえし…いいよな。 「 可愛かった 」 「 っ…! 」 にこっと爽やかに微笑むと結夏の顔は、 違う意味で真っ赤に染まる。 「 いや… 」 「 ? 」 俺が言葉を変えると、結夏の顔は少し曇る。 そして、またにこっと微笑み言葉を続ける。 「 エロかったな 」 「 はぁ!? …な、何言ってるの? 」 顔を引きつらせて、聞き返す結夏。 「 だから、寝顔つうか…唇がエロかったって 」 満面の笑みで、何の遠慮も無く俺は言った。 結夏は自分の唇を両手で隠して、上目遣いで… 「 ばぁか… 」 …と小さく呟いた。 うーん、可愛すぎる。 もう一回してえなぁ…。 俺は"どーせ馬鹿ですよ〟といじける様に言って、 少し笑っている結夏を押し倒しながら抱きしめた。 「 きゃっ…! け、啓斗くん? 」 小さく声を出し、俺を覗き込む結夏。 その顔は、まるで小動物のようだ。 「 なぁ…もう一回しようぜ? 」 「 何言って…んっ…ふ…… 」 言葉を遮るように、俺は濃厚なキスをする。 最初は抵抗していた結夏だが、 次第に瞳は潤み始め、とろん…としてきた。 「 ……んんっ…啓斗くっ…苦しっ…けほっ… 」 俺の顎を持ちながら、自分の頭を離す結夏。 今まで見たことの無いくらい瞳が潤んでいる。 243: 名前:乃愛☆05/10(月) 20 52 05 でぃあ*↑↑様 あげアリ(●´・ω・)(●´_ _)ガトゴザイマス♪ ஜஂ▷▫◁ஜஂ▶▪◀ஜஂ▷▫◁ஜஂ▶▪◀ஜஂ 結夏Side 長い、長い濃厚なキス。 啓斗くんの舌の動き方は生き物のよう―… あたしに息をする余裕を無くすような、 そんな……熱く甘いキス。 「 ……んんっ…啓斗くっ…苦しっ…けほっ… 」 あまりにも辛くなったあたしは、 啓斗くんの顎を持ち、頭を離した。 急いであたしは酸素を吸う。 「 …大丈夫か? 」 子犬のような瞳であたしを見る啓斗くん。 そ…そんな可愛い顔して見ないでよぉーっ。 あたしはそんな啓斗くんの顔も見ずに、 ふい、と顔を逸らしてしまった。 「 …結夏? 」 そしてまた、心配そうな顔。 「 … 」 ちょっと無言になったりしてみる。 少し、啓斗くんのそんな顔も見たい…なんて。 力を入れていた腕が、 ぎゅっと掴まれ引っ張られる。 「 きゃっ…! 」 思わず、小さく声を出し 顔を上げて、啓斗くんを見る。 「 具合悪いのか? 」 さっきの子犬のような顔とは違う。 大人の……男の人って感じ。 どきんっ…。 ひゃあ、心臓がバクバクしてるよぉ…! どれだけ色々な顔を持ってるの? その度、ドキドキしてたら… あたしの心臓がもたないよ……。 「 だ、だ、大丈夫っ…ん…! 」 ちゅ…、と触れるだけの可愛いキス。 啓斗くんは子供のような笑みを浮べた。 「 無理は禁物、今回は止めとく? 」 薄い赤の唇から見える、白い歯。 そんなにあたしのこと考えてくれてるの…? 「 ……大丈夫 」 あたしは、赤くなった顔を隠すように 啓斗くんに抱きついた。 有難う…。 245: 名前:乃愛☆05/12(水) 20 33 42 でぃあ*りおき様 天才じゃないっすΣ 頑張りますbb* ஜஂ▷▫◁ஜஂ▶▪◀ஜஂ▷▫◁ஜஂ▶▪◀ஜஂ 啓斗Side 「 ひゃああぁあッやあぁっやめ、ああぁあンッ 」 目の前では、喘ぎ声を出し顔を赤らめている結夏の姿。 俺は腰を激しく動かし、乳首をコリコリとこねくり回している。 とんっ…、と結夏の奥に当たると、 結夏の声は一気に大きくなる。 「 ひゃぁうっ! 」 「 ここがいいんだ 」 俺はにこっと微笑むと、 そこを中心的に突いた。 「 あふうぅッ!や、あぁンッ 」 パンパン…と肌がぶつかり合う音。 結夏の顔が段々と苦しい表情となってきた。 「 イくぅッイッちゃう…ひゃああぁああ! 」 体を反らし、ぶるるっ…と大きく震わせながら、 結夏は大胆に絶頂に達した。 俺は結夏の中に入れたまま、 少し経った後に小さく絶頂に達した。 「 なぁ…、結夏 」 結夏の体に纏わりついた俺のものや、 2人の汗の始末をしている頃、俺は結夏に声をかけた。 「 …… 」 返事が無い。 俺は、くるりと振り返った。 「 すぅ… 」 がっくり。 やっぱり寝てんじゃねーか、この野郎…。 油性ペンで落書きすっぞ…。 ……まぁ、寝顔可愛いから許すか。 つか、こいつ。 裸のまま、もろ寝てるし。 「 犯すぞ、この馬鹿 」 俺は結夏の頭を撫でながら、小さく呟いた。 250: 名前:乃愛☆05/18(火) 17 03 39 でぃあ*彩実様 ヾ(●´□`●)ノ【゚+。・oアリガトウo・。+゚】ヾ(○´□`○)ノ でぃあ*たむたむ☆様 応援アリ(●´・ω・)(●´_ _)ガト♪ でぃあ*咲羅様 面白いですかッ!?Σ、 綺麗な名前ですねえ、咲羅…♪← 「空に届け」ですね、 時間があったら拝見させて頂きます! 啓「 どー、襲われてえ? 」 あ、啓斗の火がついちゃったぁ↑ 結「 ほ、ほえッ?/// 」 …、顔が真っ赤な結夏ちゃん← これからも宜しくお願いしますッ ஜஂ▷▫◁ஜஂ▶▪◀ஜஂ▷▫◁ஜஂ▶▪◀ஜஂ 結夏Side 「 ……か 」 何……? 「 ゆ…… 」 聞こえないよ…? 「 結夏…… 」 あたしの名前…? 「 …結夏 」 呼んでるのは誰…? 「 起きろ、結夏! 」 「 ひゃあいっ! 」 うう…、一気に現実に引き戻された。 目を擦っているあたしに向かって、 「ばーか」と言ってくる啓斗くん。 「 隙ありゃ寝やがって 」 むすっ…、と仏頂面の啓斗くん。 わ…、かっ…可愛い! あたしは頬を赤らめて、 目を光らせて啓斗くんを見た。 「 さぁて、帰るか 」 啓斗くんは、ベットから立ち上がり 猫のように体を伸ばした。 どうやら、啓斗くんは着替えが終わっているようだ。 ……、って! あたしだけ裸じゃんっ! 「 ん、どした? 」 何も知らずに首を傾げて微笑んだ啓斗くん。 はうっ…、その顔はズルイ! 「 あ、えと…啓斗くん、ちょっとあっち向いてて? 」 あたしはシーツの中で もぞもぞしながら、問いかける。 「 何で…… 」 途中で気づいた啓斗くんは、 急に不敵な笑みを浮べた。 そして、ずんずん…と近づいてくる。 な、何っ…!? 「 俺が手伝ってやるよ 」 啓斗くんはそう言って、 シーツをバッとめくった。 「 ~~▲□●☆@!? 」 声にならない叫びを出し、 あたしは両手で体を隠す。 あ、ありえないーっ。 だんだんと近づいてきた啓斗くんの手に抵抗は出来ず、 結局人形のように服を着せられてしまったあたし。 ううう…、 もう生きていけない~っ。 251: 名前:乃愛☆05/21(金) 19 38 15 啓斗Side 俺に無理やり着替えをさせられた結夏は、 ベットの上で体育座りをして蹲っている。 「 たかが裸見られただけじゃん? 」 俺はくすっ…と小さく微笑みながら、 結夏の頭を撫でてそう言った。 「 ……… 」 まったく動かない結夏。 「 …結夏 」 「 ………だもんっ… 」 何か小さく呟いた結夏。 最初の方が上手く聞き取れなかった。 「 子供みたいでっ…嫌だったんだもんっ…… 」 顔を上げ、潤んだ瞳で俺の足元を見る結夏。 どきんっ…、 そんな結夏の可愛らしい顔に俺の心臓が跳ねる。 「 ……いーじゃん 」 「 よっ、良くないっ…! 」 パッと俺の方を見て、 今にも泣きそうな顔をする。 「 実際、結夏は子供じゃねえんだから…な? 」 俺はまた、頭をポン…と軽く叩き、 にこっと微笑んだ。 「 ~~~っ!! 」 顔を真っ赤にさせて、俯く結夏。 ………あり? 俺なんかしたかぁ? 俺が考えていると、 結夏が俺の服の裾を小さく引っ張った。 「 ……ありがと 」 頬を赤く染めながら、 小さく微笑んでお礼を言う結夏。 「 ……何が? 」 俺はきょとん、と目を丸くする。 「 な、何でもないっ…! 」 結夏の照れた反応に俺は豆電球を光らせる。 くすっ…、と微笑むと俺は自分の荷物を持つ。 「 …さて、行くか? 」 俺の応答に結夏の蹲った体が、 ピクンと反応する。 「 行くっ! 」 少ししてから結夏の元気な返事が返ってきた。 あー…、もうこいつ可愛すぎ。 ん、ちょっと…ピンクオーラ出しちゃった? 253: 名前:乃愛☆05/26(水) 17 21 23 結夏Side どちらからとも無く、 自然に繋がれる手。 お互いの鼓動、体温を感じ取り、 さらに相手のことを好きになる―…。 あたしは、繋いでいた手の力を ぎゅ…、と強めた。 「 ん? 」 啓斗くんは、首を小さく傾げて 微笑みながらあたしを見つめた。 「 何でも無いっ… 」 あたしは啓斗くんから手を離し、 啓斗くんの腕ごと抱きしめた。 「 な、え…結夏? 」 明らかに動揺している啓斗くん。 きっと、顔赤いんだろうなぁ? あたしは啓斗くんにばれないように、 小さく微笑むと腕に力を込めた。 「 あのー…結夏? 」 「 んー? 」 あたしは抱きしめたまま、 適当に返事をした。 「 腕ごと抱きしめられると、 身動きが取れなくて苦しんだけど… 」 申し訳なさそうな声を出して、 啓斗くんはそう言った。 …、もぉーっ! せっかく甘い雰囲気になったのにっ。 「 ごめんね? 」 あたしは啓斗くんを見上げるように、 見つめると、微笑みながら謝った。 「 結夏… 」 啓斗くんはあたしが離した腕を、 引っ張るように掴んだ。 「 っきゃ…! 」 思わず目を閉じて、 体を預けてしまったあたし。 いい香り―…、 この香り、啓斗くんのコロン? あたしは恐る恐る目を開き、 自分が抱きしめられていることに気づいた。 「 そんなに可愛いことすると…、喰うよ? 」 低く甘い声で囁き最後にあたしの耳を舐める。 「 ひゃあっ…! 」 254: 名前:乃愛☆05/30(日) 13 22 21 啓斗Side 顔を真っ赤にさせて、 俺に舐められた耳を手で隠す結夏。 「 じゃあ、することはしたし… 」 俺はにやっ…、と悪魔のような笑みを浮べて 空を見上げながら考えた。 「 す、することって…言い方があるでしょ、 もっと丁寧に言えないの? 」 赤くなった顔を更に赤らめて、 俺を弱々しく怒る結夏。 「 言えない~っ。だって面倒じゃん 」 俺はけらけら、と不思議な笑い方をして 呆れ笑いをしている結夏を見下ろした。 「 帰るか 」 俺は、空を見上げて少ししてから 結夏を見つめながら言った。 すると、結夏の眉がぴくんっ…と動く。 子犬のようにすがりつく瞳で、 俺を見つめて、困ったような表情をした結夏。 「 そ、そんな顔で俺を見るなっ…! 」 俺は顔をふいっ…、と逸らして 多分赤くなったと思われる顔を急いで冷やした。 「 だって…寂しいんだもん 」 「 でも、明日は学校だぞ? 」 今すぐに結夏を抱きしめたい。 でも、甘やかしすぎはいけない。 俺は結夏の目線に合わせるようにして、 優しい口調でたずねる。 「 じゃあ、昼休み一緒にいてくれる? 」 「 勿論。昼休みだけとは言わず、何処へでも 」 俺はにこっ…、と微笑むと結夏に 顔を近づけてふざけるように唇を突き出した。 「 もう~、気持ち悪いっ 」 結夏はくすくす…、と笑いながら 俺の頬をぷにっ、とつまんだ。 「 んじゃ、家まで送る 」 俺は結夏の手を引っ張り、 ゆっくりと歩き出した。 俺達がいたところから家までは近かった。 だから、少しでも一緒にいるために… 帰り道はゆっくり歩いていた―…。 ― 「 送ってくれて有難う 」 目の前にいる結夏は、 家の前にある柵に軽く触れながら言った。 俺は黙ってにこ…、と優しく微笑み 背中を向けて柵を開けた結夏を見ていた。 「 じゃあ……、んっ!? 」 柵の中に入り、もう一度振り返った 結夏に俺はキスをした。 驚いた結夏は最初だけ 目を開いていたが、 状況を理解できた結夏は、 すぐに目を閉じてキスを認めた。 「 んっ…ふ…んんっ 」 結夏の小さな口から漏れる 可愛らしい声。 可愛く、何処か色っぽい 顔と声に…、 俺がどれだけ苦労してると思ってんの。 今すぐにここで犯したい―…。 そんな気分、結夏。 お前に分かるか……? 255: 名前:乃愛☆06/02(水) 19 55 25 結夏Side 突然のことで頭が真っ白。 日向ぼっこしてるみたいに、ふわふわしてる―…。 「 …っはあ… 」 啓斗くんの厚くもなく、薄くもない、 綺麗な唇があたしの唇から、ゆっくりと離された。 目の前に立っている啓斗くんの目は、 あたしを動かせないような術を持っているの? …、だって。 足が動かないもん。 「 じゃ、また連絡する 」 啓斗くんは、あたしを舐めるように見つめると にこ…、と余裕の笑みを見せた。 そして、片手を挙げたまま 曲がり角へと一回もこちらを見ずに 行ってしまったんだ―…。 啓斗くん―…? あたしは何処か不安を抱きながら 扉のドアノブに手をかけた。 カチャ…、 「 ただいまぁー… 」 あたしは小さく声を出しながら、 家の中へと入っていく。 「 おっかえり~ 」 リビングから足音を立てて、 出てきた結愛お姉ちゃん。 「 遅かったね~、友達の家に行くとしては 」 にこっ…、と何もかも見透かしたような 余裕の微笑みには勝てませんっ。 あたしは小さく溜息をすると、 苦笑いを浮べた。 「 お姉ちゃんのそうゆうところ嫌い… 」 ぼそっ…、と小さく呟き、 あたしはお姉ちゃんを抜きリビングに向かう。 「 で? 」 リビングのソファに座ったあたしの隣に お茶を持ってきて近づいてくるお姉ちゃん。 「 ありがと。…“で?”って、何? 」 あたしはお茶を受け取り一口飲み、 潤った口を動かし首を傾げる。 「 も~!お姉ちゃんをからかってるの? 」 「 ごめんごめん 」 頬を膨らませて、むっ…としているお姉ちゃん。 あたしは冗談混ざりに軽く謝る。 「 で? 」 「 しつこいなぁ 」 同じ顔をして、同じことを言って 問いかけてくる天然なお姉ちゃん。 あたしは鼻で笑ってから、 もう一度お茶を飲んだ。 「 け、啓斗くんと一緒にいたの 」 あたしは顔を逸らして、 小さく呟いた。 「 ふぅ~ん、啓斗くんとぉ 」 お姉ちゃんは意味有り気に微笑むと、 人差し指を自分の唇にそっ…と当てた。 「 そ、そうだよ。何か問題でも? 」 「 ううん、無いよ。…何処に言ったの? 」 興味津々。 お姉ちゃんの言葉に少しつまる。 「 え…? 」 「 だ~か~らっ。何処に行ったの? 」 「 ラブホ 」 やけになってつい即答。 お姉ちゃんの口は開いたまま。 「 ……んえ? 」 「 ラブホ、ラブホに行ったの 」 あたしはソファに横になり、 小さく蹲る。 「 そう…、ラブホに行ったの 」 まだ啓斗くんの温かみが残ってる―…。 太陽みたいなやわらかい温かさが…。 259: 名前:乃愛☆06/08(火) 18 48 42 でぃあ*留美さま ヾ(ゝω・`)oc<【。 +*ネ刀めまして*+ 。】 結「 か、感じやすくないですっ...Σ/// 」 ---------------------------------------------------- 啓斗Side 帰り道、俺は自分の唇に触れていた。 結夏の唇の感触がしっかりと残っている…。 家に着き、ドアノブに手をかけると。 …あれ?開いてる。 「 てれーまー 」 玄関にどさっ…と座り込み、 リビングの方を見る。 ぱたぱた…というスリッパを履き 小走りをしている音がする。 「 お帰りっ 」 「 母さん 」 真っ黒な肩まである髪を 1つに結び、しゃもじを持っている母さん。 「 今日ねー、カレーライス作ったのっ 」 いつもより笑っている母さん。 俺は荷物をソファに置き、椅子に座る。 「 いただきっ 」 俺は目の前にあるカレーライスに手をのばした。 2人だけの寂しい夕食。 俺の父さんはいない。 5年前、交通事故で死んだ。 あのときは母さんは壊れていた。 去年頃、やっと落ち着いてきたと思う。 それまでは俺に当たっていたり、 物に当たっていたり……。 それでも俺は家出もしなかった。 母さんが好きだったからだ。 「 俺だけのプリンセス 」 続き14
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412: 名前:マロン☆03/27(土) 20 58 52 手術室のドアの向こうでピッ――と長い音がする その音はあまりにも悲しくて…残酷な音色だった 私はおばさんを睨みつける 恨み、憎しみ、そして…怒りの米タメでおばさんを睨む こいつのせいで…こいつらのせいでッッ!!!!! 結華の人生はめちゃくちゃになったんだ!!!! 許さない… 許さないッッッッ!!!!!!!!!!!! それから、結華の葬式があった その日は、よくドラマで見る光景と同じく雨が降っていた その雨は結華の今までの悲しみの涙だったのかもしれない 私は葬式で結華のおばあちゃんから結華からの手紙と小さなかわいらしい袋を受け取った おばあちゃんは涙を浮かべながら「結華の友達でいてくれてありがとう…」と言われた 私のほうこそ… 私のほうこそ友達でいてくれてありがとう… 馬鹿で我侭で自己中で結華を傷つけた私とずっと親友でいてくれて本当に本当にありがとう…!! 私の目からは大粒の涙が零れ落ちてきた そして…結華が火葬場に運ばれた… 私も火葬場へとついていった おばあちゃんが結華の顔を最後に見てやってくれと言われたし…私も結華の顔を見たかったから… 火葬場に着いた私は火葬される前の結華の顔を見た 結華の顔は死んでいるとは思えないほどきれいだった 結華の顔を見ると思いだす… 結華との楽しい思い出… 色々な結華の表情がシャボン玉のように浮かんできてすぐに消える とうとう、結華が火葬される時が来た 結華が火葬するところに入ろうとする 「結…………華………!!」 私は火葬されようとしている結華の名前を呼んだ 勿論答えは返ってこない… 「やめて…!!結華を…結華を燃やさないで!!」 私は涙を流しながら結華を燃やすため火葬するところに入れる係の人に叫んだ 私が係の人を止めようとして行こうとすると一緒に来ていたお母さんが私を押さえた 私は必死にもがく 「やめてェェェェェェ!!!!結華を…結華を燃やさないでェェェェェェェェェェ!!!」 私は必死に叫ぶ 私の叫びが聞こえないのかのように係の人はどんどん結華を火葬していく 「やめてよォ…!!やめろォォォォォォ!!!!」 私は声がかれるくらいに叫んだ だけど、私の願いはかなわず結華は火葬されてしまった 「いやァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!! 結華ァぁァァァァ!!!!」 私は心の底で思って信じてたんだ 結華は死んだふりをしていてどこかで生き返って私にいつものような笑顔で笑ってくれるのを… 「ゆ……………いか…………………」 私は枯れた声で結華の名前を呼んだ やっぱり返事は返ってこない… 私はここでやっと分かった… 本当に結華は 死んだのだと 416: 名前:マロン☆03/28(日) 21 39 20 結華の死を理解した私は目の前が真っ暗になった… 悲しみの一色に心は染まって私の目からは多分光が失われたいたと思う 私はお母さんに支えられて家へと帰った 家に帰った私は部屋へと戻りドアの前で泣き崩れた 「結…………華………うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」 すっかり枯れてしまった声で泣いた 私はしばらくずっと泣き続けていた 私は、喪服のポケットの中に入れておいた結華からの手紙と 小さな可愛い袋が入ってあったのを思い出した 私はポケットからその二つを取り出した そして、手紙を開いて、見た 未那へ 今日、2月17日は何の日か分かる?? なんと!!私達が出会って親友になって10周年の記念日でした~ 今日渡したそっちの小さな袋は私達二人だけのお揃いだよ!! 世界にたった一つだけ!! 一応すごくお金がかかったんだよ!! 感謝してよね!!(笑) な~んてね!冗談だよ!! でも、最近未那と一緒にいることが少ないような気がするんだ… 未那はクラスのみんなから人気があるから仕方ないけど やっぱり寂しいなァ~ でも、私達の絆は一生切れることないものだと思ってるよ! これからもわがままで馬鹿で寂しがり屋の私をよろしくね!! そして、これからもいつも通りの優しくて笑顔の可愛い私の親友の未那でいてね!! 結華より 手紙を読んだ私は目からまた涙があふれてきた ごめん…ごめんね… 私…結華の様子に気づいてあげられなくて… もっと私が相談に乗ってあげればよかった… 結華の強がりは私を思いっきり頼っていた強がりだったんだね… 結華なりに私に頼ってたんだね… 私が鈍すぎて気付いてあげられなかったんだね 私がもう一つの小さな袋を開けるとその中には 私と結華の名前が掘ってあるハート形のペンダントと 私と結華のマスコットのストラップだった 私は結華からの贈り物を思いきりギュッと抱きしめた 「結華の馬鹿ぁ…嬉しいけどお揃いじゃないじゃん…結華と二人で持っていなきゃお揃いじゃないじゃんッ!!」 私は、泣きながら結華からの贈り物を強く強く抱きしめ今はいない結華に向かって怒った 神様……… 結華を… 私の大切な親友を ――返してください―― なんでもしますッッ!! だから、結華を 返してください 419: 名前:マロン☆03/29(月) 20 34 54 小学校を卒業し、春休みに私は転校した 見送りにはクラス全員が来てくれた でも、一人足りない… 一人…一人だけ足りない… クラス全員とそのほかの人たちに見送られて私は引っ越した 新しい家にも着き、あっという間に春休みは過ぎて行った とうとう私が転入する中学校への登校日がやってきた 私の心は不安で埋め尽くされた 中学校へ着くとクラス票が張り出されていた 私の名前は"1-A"に書かれていた 自分のクラスを確認した私は、クラスの担任である先生がいる職員室へと向かう 私達のクラスの担任の先生は女の先生で名前は小川麻奈美(オガワ マナミ)と言う先生だった 容姿としては、茶髪の髪の毛を軽くまいており、目にはブルーのアイシャドーを付けているぱっちりしている。唇は、薄いピンク色の色つきリップを付けていて、スタイルはいいけど意外に胸が小さい。 「では、神崎さん、クラスへ行きましょう」 私は小川先生の後ろをついていく 私は小川先生の後ろをついていきながらたくさんの生徒を見た 生徒達はみんな楽しそうに友達としゃべったり、ふざけ合ったりしている 私だって…此処に結華がいたら… 私の眼から涙があふれ出てきた ――結華―― この言葉を聞くだけで涙が出るなんて… 私弱虫だな… クラスに着くとホームルームが始まり転入生紹介で私は紹介された 自分の名前もかき紹介を終え、自分の席へと向かった 私の席の隣の子は雪咲祐梨亜と言う子だった 綺麗でつやのある腰まである黒髪を今日はそのままストレートしていた 瞳は、奇麗な黒で顔も整っていて唇も薄い桜色 スタイル抜群だった 「よろしくね!神崎さん」 これが私と祐梨亜との出会いだった 休み時間になると女子が雪咲祐梨亜のところへと群がっていく 隣の席の私としては凄く迷惑だ… 私は自分の席をたち屋上へと向かった 423: 名前:マロン☆03/30(火) 11 13 29 私は屋上でただ空を眺めながら結華との思い出を思い出していた 楽しそうな笑顔や、悲しげな顔、苦笑いしている顔や色々な表情を思い出していた 私の目からはまた涙が流れていた 涙は拭いても拭いても流れてくる 「私、いつからこんな弱虫になっちゃったんだろう… 結華にはいつも強がっていたくせに…」 私はその場に座り込む 私が一人で泣いていた時だった 後ろのドアが開いて、誰かが入ってきた 私は振り向いた そこにいたのは…雪咲祐梨亜だった 「神崎…さん?……泣いてるの?」 私の様子を見た雪咲祐梨亜は私のもとへと駆け寄ってきて心配してくれた なんだろう?この安心感は… 結華といた時と同じような安心感 「何か悩んでいることがあるの?それなら一人で抱え込まないで私に全部相談して…?」 雪咲祐梨亜は私に優しい声で言ってくる 私はそれから雪咲祐梨亜に私の思っていることを全部言った 祐梨亜は私の話を首を軽く縦に振りながら聞いてくれた そして、私に優しく微笑んで 「神崎さん!!私達は今日から友達ね?私のことは祐梨亜って呼んで?未那…」 ふと、祐梨亜が結華に見えた そして、私達は約束をした 何 が あ っ て も 決 し て 裏 切 ら な い と でも、この約束が簡単に破られて裏切られるだなんてこの時は思いもしなかった 428: 名前:マロン☆03/30(火) 21 07 28 それから私と祐梨亜は仲良くなった 毎日一緒に行動して、一緒に学校生活を過ごしていた 私は、結華といるようでそして、新しい友達ができてとてもうれしかった この幸せがいつまでも続けばいいと思っていた そんなひそかな願いは簡単にもろく壊された ある朝、私が学校へ行くと私の机には 「死ね」や「ワガママ」などと胸に刺さる言葉が書かれていた 多分、私が祐梨亜と仲良くしているのを恨んだ女子たちの仕技だろう 私はその落書きを雑巾で消す その日は早めに学校に来ていたので 祐梨亜が来る前に何とか消すことができた 祐梨亜に心配をかけたくない そして、祐梨亜が来た 私は笑顔で祐梨亜に話しかける 「おはよう!!祐梨亜ッ!!」 私が笑顔であいさつした横を祐梨亜が何も言わず通り過ぎていく え…? 「祐…梨……亜…?」 私が祐梨亜の肩を触ろうとした瞬間私を丸で汚いもの扱いするのかのように手を払い私を突き飛ばした 突き飛ばされた私はそのまま教室のドアにぶつける 「触らないで?汚らわしいっ!! 未那…私はもう、あんたの味方じゃない!!あんたの味方は、このクラスの誰一人としていないのよ!!」 祐梨亜は私を指さし見下す 「何で!!?私と祐梨亜は友達じゃなかったの?! 約束したよね?!私達はお互い絶対に裏切らないって…」 祐梨亜は私を見下し鼻でフッと笑うと 「ハァ?アハハハハハ…あんたみたいな馬鹿でワガママが私の友達なわけないじゃない!! それに…私あんたのこと一度も友達だと思ったことないよ!!!」 アレ?このセリフどこかで聞いたことがある… そうだ…私が結華と喧嘩した時だ また、結華と祐梨亜が重なって見えた 432: 名前:マロン☆03/31(水) 20 55 46 また…言われちゃったなァ… 私のこと友達だと思っていなかったなら 何で私に話しかけてきたの?! 転校してきた初日から無視してくれたほうがずっとましだったのに… 何で私に優しい言葉をかけてくれたの? それならいっそのことひどいことを言われたほうがましだったのに… 何で私と友達になったの…? 何で? ナンデ……? 私の目からは自然と涙があふれ出てきていた 「うわっ…こいつ泣いてるし…キモッ」 祐梨亜の仲間達が私に暴言を投げ捨てる 心が痛い… その日から私の地獄の日々が始まった 私が毎日学校へ行くと机には様々な暴言が書かれた紙が貼られており、迷惑メールや電話も増えてきた そんな日々を過ごすうちに私の身体も精神も心もボロボロになりかけていた 友達だと思っていた人に裏切られた いつしかこの思いは悲しみではなく『恨み』に変わって行った ある日、私がいつも通り学校へ行くと私はいきなり教室の入り口付近で足をかけられて転んだ 「……痛ッ…」 右膝には血がにじんでいた 「大丈夫ぅ?ずいぶんど派手に転んだねェ?キャハハハハ」 祐梨亜が私に話しかけてくる 私は祐梨亜を睨む 私の睨みを見た祐梨亜は私の髪の毛をつかみ 「この髪の毛長すぎね?私達が可愛くカットしてあげる!」 そして、祐梨亜はハサミを取り出し私の腰まであった髪の毛を首までのショートにした まぁ、ちょうど髪の毛がうっとうしいと思ってたからいいけどね… でも、確実に体も心も精神もまたぼろぼろにはなっていたんだ… 444: 名前:マロン☆05/16(日) 21 03 16 いじめに我慢しきれなくなった私はクラス全員をある日屋上に呼び出した お前らに地獄を見せてやる!!! 私が屋上のドアを開けると目の前に入ってきた景色は クラス全員がちゃんといた 「クスクス…遅かったじゃん…」 と祐梨亜が笑いながらいう 「あんたらが早いだけだよ…バーカ」 私はそれなりに反抗する 私だって、やられっぱなしじゃないんだから!!! 「いつからそんな口きけるようになったのォ~?」 と祐梨亜に付きまとっているブスでぶりっこ女・東条由美子(トウジョウ ユミコ)が言う 「お前はお母さんですか?私がいつこんな口を聞こうと私の勝手…お前らに教える必要はない… てか、ぶりっこ黙れ…臭い・キモイ・ウザい・この世から消えろ」 私は冷たい目で祐梨亜と由美子を睨む 「ヒドォ~イ!!由美子は臭くないし、キモイもないしウザくもないわよォ~!!!由美子は世界で一番可愛いんだからァッ!」 と由美子が言う はっきり言ってもいいなら言います みてて吐き気がする 「ゆ…由美子になんてこと言うのよ!!お前のほうがキモイし!!由美子に謝れよ!!」 と祐梨亜が言う 「嫌だね!!何で私が悪いわけ?私は親切に本当のこと教えてあげているだけじゃん!」 私が言っても誰も信じてくれないだろうけどね… 「でも、まぁいいや…これから貴方達にいいものを見せてあげる…」 私は不気味に笑うと屋上のフェンスのほうへと歩いて行った 「イッツ・ショータイム!!私は今からお前らの願っていることをかなえてあげる! 皆の願い事は一つ…『私が消える』ことでしょ?」 皆の口から相槌を打つのが聞こえてくる 「だから、私皆の前から消えてあげる…だけど、私はお前らを一生恨み続ける!!!!!!」 そう言って私はフェンスを飛び越える そして、最後に 『さ よ う な ら』 そういうと私は屋上から落ちる 「未那…?ぃやぁぁぁぁああああああ!!!」 と祐梨亜の叫び声とともに私は地面へと落ちて行った 448: 名前:マロン☆05/21(金) 21 27 07 祐梨亜目線 「祐梨亜!!どうしよぉ!!!私…私ぃ!」 と言って私の部屋に駆け込んでくるのは私の双子の妹の雪咲真里亜だった 私達は一卵性の双子 だから、私たちの顔つきなどもすごく似ていて 同じ格好すればばれない 昔から体の弱い私は私の格好をした真里亜に変わりに学校へ行ってもらっている でも、最近、真里亜の様子がおかしい なんというか、帰ってきても凄く悲しそうな顔して帰ってくる 私が理由聞いても答えてくれない 「どうしたの?」 私は真里亜に問いかける 「祐梨亜ぁ…私…私…人を死に追い詰めちゃった…」 と真里亜は涙を流しながらいう 「どういうこと…?説明して?真里亜」 と私は真里亜に聞く 真里亜は何もかも説明してくれた つまり、私の代わりをしていた真里亜は、東条由美子って子に頼まれて断ると 「断ったら、あんたの大切な妹とあんたの親友の未那を殺す。そして、あんたの大切なものからどんどん消していく」 と脅迫して断れなかった だって、東条由美子の家は有名な組(悪いほう)だったから 由美子ならやりかねない… 真里亜は由美子の脅迫に負けてしまったということだ 「私…人殺しだよォ…ぅっく…ヒック…」 真里亜…私が身体なんか弱くなければ真里亜も未那って子も悲しまずに済んだんだね… 全部私のせいだ… 「真里亜、大丈夫だよ?真里亜は悪くない…悪いのは全部私…もう、今から真里亜は真里亜。私は私で未那さんを虐めたのは私、未那さんを死まで追いつめたのも全部私 だから、真里亜が罪悪感を感じることはないんだよ!」 そう言って私はにっこり微笑む 私がすべて悪いんだ… だから、この問題の始末くらい私が自分でしなきゃね… 「祐梨…亜ァ…ごめん…ぅっく本……当に…ヒックごめん」 真里亜は言葉をとぎれとぎれに私に謝る 「真里亜、もう謝らなくてもいいんだよ!」 そう言って私は真里亜の頭を撫でる 罪をかぶるのは私だけでいいの… 皆か幸せになれるなら私は自分の自由を捨てたってかまわない!! 呪いの鬼ごっこ-助かる確率1%- 続き11
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1: 名前:みるみる☆05/12(水) 20 23 44 半径2mで愛して。 2: 名前:みるみる☆05/12(水) 20 27 31 こんにちは! ついこの間までカラダのほうで書かせて貰っていたみるみると申します。 かなり短編になると思います。 しかも、らぶとか言いながら多分そんなにらぶらぶしないと思います。 ちょっとしたファンタジーですから、苦手な方はお戻り下さい; あと、私の更新は亀どころではなく、でんでん虫より遅いので← 気長に見守ってくだされば嬉しいです! 3: 名前:みるみる☆05/15(土) 14 30 44 1. 旧・最新 例えば、なまこを最初に食べた人を尊敬するっておっしゃる方、沢山いますよね。 確かにあのような生き物を食べようとするなんて、尊敬に値する偉業だと思います。 でも、それまでに河豚を食べて死んだ人もたくさんいるんじゃないでしょうか。 どこに毒があるかなんて、もう半分動物実験的に危険な試しを繰り返した結果ですよね。 そう、数え切れない失敗の上に、一つの成功がある。 無数の実験の上に、初めて完全が出来上がるのです。 私は、そんな風に実験体として送り込まれた、不完全なモノのお話をさせていただきたいのです。 4: 名前:みるみる☆05/15(土) 22 24 35 ◆ 嫌に厳重な段ボールの包装を、おそるおそる開ける手には汗が滲んでいた。 この暑さの中では汗くらい出るだろう、そう男は自分に言い聞かせて、現れた白い発泡スチロールをゆっくりと持ち上げた。 「……おお」 そこには瞼を閉じた女がいた。何故か髪は真っ白である。 茶色の箱に横たわる様は、まるで棺桶のようだ。 ビニールのような、タイヤのような化学の匂いが漂い、そこで男はようやく、ああ、そういえばこいつは人間じゃなかった、と我に返った。 説明書など読む気も起こらない。恐れと好奇心がごちゃ混ぜになった男は、そのロボットの踵に繋がっているコードを引っ張り、部屋に1つしかないコンセントに差し込む。 音もなくロボットは起き上がった。 「うわ」 男には棺桶から目覚めたドラキュラにしか見えない。 しかも、声を上げた拍子に、ロボットは白いロングヘアーを揺らして首だけでこちらを見た。 無表情である。 慌てて後ずさろうとしたら、右足が攣った。 「っつー!」 どうしてこのタイミングで、と男は己の日頃の運動不足を呪った。 ロボットは無表情でそれを見つめている。 「Hello.Nice to meet you.」 「え?」 「Please set your...」 「ちょっと待って、英語無理だって! 日本語喋って! 郷に入りては郷に」 「ニホンゴ」 男の言葉を遮るようにロボットは呟いて、暫くの間硬直している。 何かを探しているような気がした。 「こんにちは」 「……日本語喋れるんじゃん」 ほっとしたように溜息をつく男。 「貴方の名前を教えてください」 6: 名前:みるみる☆05/16(日) 22 58 55 看鬼様 ありがとうございます……! こんな書き方するのは初めてなんです、だからとても内心びくびくで……。 安心しました。自分なりに頑張ります! ◆ 「安藤、優希」 「性別と年齢を」 「男で26歳だよ」 「結婚は」 「してなかったら何なんだよ。なんだこれ、尋問?」 「いえ、重要な設定項目です」 ロボットは何度か瞬きをした。どうやら中にあるコンピュータが情報の整理をしているようだが、瞬きをするなんて、良くできたロボットだと優希は思った。 「では、私を購入した理由と、主な私の任務、私の性格を決定してください」 「購入してない。お前を創った奴にモニターを頼まれただけだよ。任務って言うか、雑用してくれれば助かるかな。て言うか性格って何? 決めるの俺なの? どうでもいいよ、適当で」 そう、優希は知人の開発した所謂人型ロボットのモニターを任されたのだ。 開発といってもまだ途中で、不具合などをチェックする為にモニターを使った実験をすることにしたらしい。 だから理由なんて、お金が貰えるから、くらいしかない。 その素っ気ない解答にも関わらず、ロボットは全く動じない。 最新鋭のプライドなど無いのだ。 7: 名前:みるみる☆05/19(水) 20 52 57 「そうですか。では私の自己紹介をさせていただきます」 優希はそのロボットに興味があるわけではなかったし、自己紹介なんて人間のそれを聞くのも面倒なのにましてや機械かよ、とうんざりした。 しかし、日曜日の午後、他にすることもないので、胡座をかいてその自己紹介を聞き流した。 それによると、このロボットは介護から相談相手、恋人まで担当できる万能らしい。 髪が真っ白なのは、主人が設定した色に変えられるから。 手触りも本物の人間に近づけてあるらしく、優希が試しに太腿をつつくと、自分のとは違う、ゴムとも違う、滑らかで柔らかい感触がした。 関節から無骨なコードが見えることもなく、それは本当に1人の人間のように見える。 「声も性格も貴方の思うままに。私を便利な家政婦として扱うも良し、性欲の掃き溜めに使われても結構です」 優希は思わず顔をしかめた。 「ロボットとなんて、俺はそんなに悪趣味じゃないよ」 「自己紹介は以上で終わりです。宜しければ、後々便利だと思うので、私に名前を付けてください」 なんともちぐはぐな会話だと思いながら、優希は立ち上がり、クローゼットを開けた。 防虫剤の匂いがつんとする。 ハンガーに掛けられている服は、半分以上が女物だ。 これは別に、優希に女装癖があるわけではない。 そこから適当にワンピースを引き抜くと、ロボットに渡した。 「取り敢えず服を着よう。名前は、澪。澪でいいだろ?」 「みお、ですか」 その襟と裾に細やかなレースが印象的な、薄紫のワンピースを着ながら、ロボットは今貰ったばかりの名前を噛みしめるように呟く。 「この服は、誰のですか?」 「別れた彼女の。名前もそうだよ。なんだかんだ言って、未練たらたらだよな、俺」 2代目澪はここでやっと微笑んだ。 11: 名前:みるみる☆05/28(金) 22 43 02 ◆ 優希はまずは手始めに、とコインランドリーで乾かしたままの洗濯物を澪の前に山積みにする。 すると澪は、嫌な顔ひとつせずに、てきぱきと5日間溜まったタオルや下着をたたんでいく。 「ふうん。お前、便利だな」 「そういうものですから」 SF小説の読み過ぎなのか、優希はてっきり、何をしろこれをしろと逐一命令しなくてはいけないものだと思っていた。 流石最新鋭といったところだろうか。 友人も暇なのか凄いんだかわからない。 そのどちらとも言える可能性が高い。 優希は暫く4畳半の畳に寝転がって、驚くべき速さで積み上げられる真四角になった衣類を見ていた。 空はどっしり水分を湛えた大きな雲が大粒の雫をばらまき始めた。 暑い上にこの湿気では何のやる気も起きないくらい茹だる。 「腹減ったー」 半分口癖になっているその呟きを漏らすと、全ての洗濯物を畳み終えたらしい澪はすっと立ち上がった。 「はい、只今」 「ん? 作れんの?」 「勿論です。和洋中どれがお好みですか?」 「んー、冷蔵庫にある物で何か作って」 目の前を横切る人間のような踵とくるぶしを見つめながら、こいつはネコ型ロボットよりずっと凄いぞ、と優希は思った。 そのまま部屋の隅にある小さな流し台まで行くのだろうと思っていたら、歩みはその少し手前で止まった。 白い瞳が優希を見下ろした。 「緊急事態です」 「何だ?」 「コンロの所まで行けません」 そう言う澪の踵から伸びるコードは床から浮き、もう1歩踏み出せばコンセントが抜け落ちそうだ。 「…………」 優希は後で友人に電話をする事を決意をした。 12: 名前:みるみる☆05/30(日) 00 18 42 そもそもこの友人、同級生の中で頭はずば抜けて良かったのだが、どこか詰めが甘いというか、抜けている部分があった。 そんな性格だからこそ、優希とは1番交友が深かったのかもしれない。 優希は溜息をつきながら、冷蔵庫からチーズと発泡酒を取り出して、小さなちゃぶ台に置いた。 「昼間からお酒ですか」 「うるせえ。もう4時だ」 些か乱暴な動作でぶしゅ、とプルタブを引き上げ、そのまま口を付けて飲み下す。 特に酒好きというわけではないが、喉まで暑さに参っていたようで、冷たく苦い流れが心地いい。 13: 名前:みるみる☆05/31(月) 15 51 13 チーズも食べ終えた後、優希はタオルと髭剃りと石鹸類を適当な袋に入れて、ちょっと風呂に入ってくる、と言い残して家を出て行った。 これまでの話でも分かるように、優希は決して豊かな生活を送っているわけではない。 贅沢をしようと思えば、それなりにできる蓄えはある。ただ、そうしようと思わないだけ。 だから、部屋は四畳一間で風呂なしという嘘みたいな貧乏アパートを借りて暮らしている。 ちなみに家賃は月48000円。 当然そんなアパートが新築であるわけもなく、お隣から夜の営みの一部始終が響いてきて睡眠を妨げられることもしばしばであった。 ぺたんぺたんとゴム草履を鳴らして優希が帰ってくる時、その荷物は少し増えていた。 ただいまも言わずに、玄関に荷物を下し、前を見上げると澪は主人の帰りを待っていた。 ただし、その体は畳にうつ伏せになった姿勢から足を高く高く持ち上げ、そのまま顔の両隣に踵を着地させるという奇妙極まりない姿勢だった。 優希は感電したように飛び上がり、たった今閉めた扉に背中を強く打ち付けた。 一瞬で脳と心臓が握りしめられる感覚。 「ただいまくらい言ってください」 白い瞳は真っ直ぐ優希を見つめている。 「……お前、そのポーズなんだよ、あ、あれか、中国雑伎団、とか?」 「ただいま、と言ってください」 「っ、ただいま……」 「おかえりなさい」 そう言って澪はその姿勢のままこちらに歩いてくる。 がさごそ、畳を擦りながら。 「やめろやめろ、こっち来るな! その姿勢やめろ!」 「このようなジョークはお嫌いですか」 澪の両足が床を離れ、ばたぁんと元の位置に戻った。 15: 名前:みるみる☆06/12(土) 16 12 46 愛海様 遅くなって申し訳ありません; やっと自分的修羅場の1週間が終わりました。 こんなのろまですがよろしくお願いします。 あげありがとうございます! ◆ 一気に跳ね上がった心拍数を元に戻すように、優希は長い息を吐いてから、ゴム草履を脱いで部屋に入った。 「お前にエクソシストは絶対見せねぇ……」 勿論ロボットとして本日誕生したばかりの澪にそんな一昔前の映画のことが分かるわけもなく、ただ白い髪を揺らして首を傾げるだけだった。 そして、優希は雨粒に少し濡れたビニール袋を澪の目の前に置いた。 「何ですか? それ」 「コードが短すぎる君のために」 それは小さなカセットコンロとガスボンベだった。 優希はボンベをしっかりセットして、つまみを一気にひねった。 勢いよく青い炎が燃え上がる。 それを見て、満足そうに頷いた。 「包丁とまな板も持ってくる。水はペットボトルに詰めておく。冷蔵庫はぎりぎり届くだろ? ご飯、頼んだ」 16: 名前:みるみる☆06/12(土) 23 34 53 「それは、ここで料理を作れと言うことですか?」 澪は、早速水道水を空のペットボトルに詰め始めた優希の背中に尋ねる。 「それ以外の何物でもない」 流し台も含め4畳半の家に、コンロやらペットボトルやらを並べ、加えて人間1人分のスペースが無くなったとなれば、優希はこれから2畳分のスペースで生活をしていかなければならない。 ちゃぶ台が急に邪魔に思えてくる。 「有り得ねぇ、とんだ最新ロボだ」 とか何とか言いつつも、優希の表情は少し楽しそうだった。 18: 名前:みるみる☆06/20(日) 22 57 53 愛海様 すすすすすみません……更新遅すぎます。 すこし遠出をしてました;これからはもうちょっとペース上げていきたいです! 板が移動ですか? そんなことがあるんですねΣ あげありがとうございます! ◆ 2.隣人は変人 優希は澪を置いて、朝5時半の冷たい空気の中へ革靴を鳴らして行ってしまった。 優希は自家用車という物を持っていないから、駅まで歩いて、電車で移動するだけの時間を見積もると、いつもこんなに朝早い出勤になる。 澪は眠る必要がないので、朝3時半からそこらのレストランにも引けを取らないくらいの“break fast“を作り上げ、重箱にも詰まらないような弁当を用意し、優希に驚かれた。 「なぜ私が怒られたのでしょう、分かりません」 ほとんど手を付けられていない料理を目の前に、特に残念がるわけでもなく、澪は呟いた。 19: 名前:みるみる☆06/25(金) 21 50 15 暫く蝉のわんわん鳴り響く部屋に正座していると、隣からもの凄い爆音でR&Bが流れてきた。 蝉の声に風流を感じる心を持ち合わせていない澪は、さすがに眉をひそめることこそしなかった。 しかし、「最新」の脳によって、それが非常識な事であることくらいは分かる。 それと同時に、リズム感零の歌声が響き渡った。優希だったら怒るのだろうか。 声は歌いながら移動しているのが分かる。やがて優希の部屋の玄関までやってきた。 「腹減ったんすよー、優希さぁーん」 ごんごん、と乱暴な感じに扉がノックされる。 「優希さーん? 挨拶してないから怒っちゃった系? ちーっす、あ、仕事系?」 20: 名前:みるみる☆06/29(火) 00 41 53 一度澪はその声に応えるべきか否か迷ったのだが、なんだか自問自答をしているようにも聞こえて、暫く迷った後、「優希さんなら仕事に行きました」と答えた。 許可の言葉も無いのに、声の主は扉を開けた。 「……まじかよ」 相手は眉毛のない外国人だった。 地毛なのかは判断できないが、オリーブ色の髪をピンでこれでもかと言うくらい留めて、雑で小さなポニーテールにしている。 耳朶にはぎらぎら光るピアスと、携帯のストラップみたいな物(澪にはそう見える)を通している。 肩からちらりと覗くタトゥーもなんだか禍々しい。 スナイパーやってました、と言っても9割信じるぐらい、とても危ない感じの男だ。 でも、どこかちぐはぐなところがあって、威圧感は感じられない。 ひゅー、と男は口笛を吹いた。日本人よりは似合う。 「え、リアルリアル? 優希さんカノジョ系ー?」 澪の白い肩をがっちり掴み、その髪と同じ深い色の瞳で、澪の顔面を舐め回すように見つめる。 「えーやばい、まじ可愛いんですけど。てか白っ! あ、ひょっとしてあれ? 美白クリーム目と髪まで塗っちゃったーみたいな」 21: 名前:みるみる☆07/01(木) 16 11 46 外国人にしてはあまりにも流暢すぎる、というか通り越して崩れた日本語を使う男だ。 「失礼ですが、ご出身は?」 「ごしゅっしん? あ、俺のこと留学生か何かと思ってるー? 親はどっちもイギリス人なんだよねぇ。ま、俺は日本で生まれて日本で育った、生粋の江戸っ子的な」 ぺらぺらと喋っている間にも、澪は髪を触られたり、白い瞳をのぞき込まれたり、とにかくおもちゃにされている。 「そういうあんた、どこ出身? 名前は? あ、俺言ってなかったね、クレアっていうの。女っぽくて嫌なんだけど、優希さんも似たようなもんだしね」 22: 名前:みるみる☆07/05(月) 16 38 23 出身と言われても、澪にはどう答えて良いか分からない。 そんな回路は存在していないようだ。 「澪です。出身地は今のところありません」 「今のところって……」 「私は機械です」 澪のほっぺたをぶにぶにやっていた手がぴたりと止まった。 そして、色素の薄い睫毛が引っ張られるように上を向く。 比例するように、口角も上がる。 そしてクレアは、うくっ、というしゃっくりを無理に飲み込んだ様な声を出し、そして爆笑した。 何故そんなに笑われるのかは分からない。 ただ澪は、途中から目に涙を浮かべて腹を抱えるクレアを、呼吸でも苦しいのかと不思議そうに見つめるだけだ。 「……冗談がぶっ飛びすぎだよ、澪ちゃん」 「いえ、大真面目です」 そういって、澪は自分の踵に付いているコードを指さした。 23: 名前:みるみる☆07/12(月) 16 51 06 「だから『彼女』ではありません。優希さんは私のモニターです。お腹が減っているようでしたら、そこにある物をご自由に」 クレアはコードを見て固まっている。 澪は、フリーズでもしたのだろうかと思ったが、人間だから勿論そんなこともなく、やがておそるおそるコードが握られた。 くい、とコードが引かれると同時に、澪の踵もささくれ立った畳の上を滑る。 24: 名前:みるみる☆07/14(水) 17 22 57 今度はもっと強く引っ張られる。 何かを確認するかのように、何度も何度も畳を擦る音がする。 やがてクレアは、ふうん、と落ち着いたように言った。 そして、ジャンクフードでも摘むように、冷え切ったオムレツを手掴みで口に運ぶ。 その味が気に入ったのか、飲み込む前に右手はもう一切れを摘んでいた。 「君、ジョークの才能に長けてるのかもねぇ」 それはつまり、まだ澪のことをロボットだとは信じず、ただ周到に用意された「どっきり」だと思っているという事だが、澪にはよく分からなかったのか、「ありがとうございます」と感謝を口にした。 夕方になり、澪も夕飯の準備を整えた頃に優希は帰宅する。 ブリッジをしたまま近寄って行くと、上に向いた顎を叩かれた。 「本当にやりやがった……」 もうするなと言われてしまったことを何故やったのかと詰問されると、澪は「ジョークの才能があると言われたので」と反省する素振りもなく答えた。 「言われたのでって……誰に?」 「お隣のクレアさんです」 優希は重い溜息をつく。面倒なことが起こりそうな予感がしたのかもしれない。 こんせんとらぶ 続き
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130: 名前:HARU☆04/08(金) 22 31 33 入浴を終えた部員達が食堂に足を運び、夕食に手をつけ始める 「うんめーっ!生き返るわ!」 「相沢も手伝ったんでしょ?まじ幸せーっ」 「あんたらくるみのことばっか!私も作ったんだけど!」 二年同士のやりとり 千穂ちゃんが「食うな!」と悪戯気に皿をわざと取り上げたりする まぁ、作ったってゆうか食堂の人の手伝いしか本当にしてないんだけどね 「くるみ、お風呂行ってこよ」 「あ、うんっ」 のりが手招きをする 身体中ひりひりで痛いし汗臭いもんな私 「相沢風呂行くの?一緒に入る?」 「洗ってあげよっか?」 一年はまだしも、二年は口々に声をかける 「奏太くんならいーよ?」 くるみがわざと聞こえるように言うと、一人だけ大きく咳き込む それを見ると楽しげに食堂から退出する 「んだよー、やっぱり北條かよー」 「奏太後でまじシメる」 「大変だね、奏太」 佐々木が笑いを堪えながら奏太の背中を優しくさする 「…本当、何考えてんだあの人……」 はぁーっ、と奏太は頬を染めて長いため息をつく 131: 名前:HARU☆04/08(金) 22 59 07 お風呂からあがると寝間着に着替え、邪魔な髪を後ろでくくる いやー、生き返った 日焼けでお湯がしみて痛かったけど汗のべとべとは取れたしすっきり 「王子様は不機嫌な様子ですよ」 「へ?」 髪をくくりながら歩いているのりがそんな言葉を言う のりの視線の先に目をやると廊下の壁にもたれかかっている仏頂面 「奏太くんっ」 テンションが一気に上がって忠犬のように奏太くんの傍に行く すると頭をぺしっと叩かれた 「馬鹿か!」 「えぇぇっ!?」 「あんなこと友達や先輩の前で言わないで下さい!」 あんなこと…?あぁ、さっきの 叩かれた頭を自分でさする 「だって奏太くんならいいんだもーん」 「…あのねぇ、状況ってもんがあるでしょ」 「本当に奏太くんならいーよっ?」 反応が楽しくてついついからかってしまう 気付くとのりはすたすたと先に帰っていた 私があまりにも奏太くんににこにことして遊んでいると 急に肩を掴まれて呆気なく壁にトスッと押し付けられ、板挟み状態にされる 顔を見上げると真面目な表情 「そんなこと言ってると、……ここで襲いますよ」 胸がどきんと音を鳴らした 襲う、という単語の前の沈黙がいやにリアルで何も言えなくなってしまう 135: 名前:HARU☆04/09(土) 20 41 42 自分で仕掛けておきながら実際真に受けとられると …どきどきして心臓がうるさい 私が黙ったままでいると先に奏太くんが口を開く 「…ほら、こういうこと言うと何も言えないでしょ?」 「…や、やれるもんならやってみなよ!」 少し上から言う奏太くんに張り合ってしまったのか、ついついそんな言葉が出る あ、と慌てて口を押さえて奏太くんを見ると目を丸くして驚いている 変な緊張感が漂う すると曲がり角の遠くの方から数人の声がだんだんこちらに近づいてくる さすがに奏太くんとこんなところに二人だと奏太くんが部員に なんやかんや言われてからかわれてしまうと思い、急いで去ろうとすると 「こっち」 腕を掴まれて一番近い使われていない部屋に入り、扉を閉められる 私達がいることに全く気付かず、真っ暗な部屋の前を声が通り過ぎて行く 「―――………っ」 自然に抱き締められた状態 密着する身体が熱い お風呂上がりのせい…、じゃないよ…ね 139: 名前:HARU☆04/09(土) 22 55 57 熱い 「あ、の…。奏太く」 「デメリットを三つ」 「…へ?」 急にわけのわからないことを言い始める てゆか抱き締められたまま…っ 「合宿に参加するって知ってたら全力で止めてました。 だから初日でわかった"相沢くるみがいることによる俺へのデメリット"」 「あ、…はい」 デメリットって…、ひどー 私は奏太くんのサポートができたらなって思ったのに …まぁ、泊まりとか部活生姿とかに惹かれたけどさ 「まず一つ、暑いだるい焼ける」 「それ私に限りじゃん」 「二つ、外野がうるさい」 「…やきもちだ」 確かに二年はなかなかうるさいけど、ちゃんと適当にあしらってるし 「三つ目」 「あ、はい」 なんだろう?と思っていると、急にぎゅうっと抱き締める力が強くなる 「…俺が我慢できなくなる」 暗闇に目が慣れてきたころ、奏太くんの手が頬に触れ髪と一緒に掬われる 奏太くんの言葉と動作に胸がきゅうっと締め付けられる 何か言葉を発そうとした時には綺麗に唇を塞がれていた 140: 名前:HARU☆04/09(土) 23 12 23 奏太くんの熱を身体全部で感じてしまう 「待…っ、ふぁ…」 いつもそう 奏太くんは見た目じゃ想像できない濃厚なキス 私はついていくだけで精一杯 ズルズルと腰が砕けるように力が抜けていくのに奏太くんはお構い無し 真上から被せるように水音のするキスを続ける 「ひゃ…っ」 奏太くんの手が腰からするりと上へと伸びてくる さ、さすがにまずい! 「まっ、待って!ストップ!」 「…なんで」 「な、なんでって…っ。合宿中だし不謹慎、かな…って……」 あ、熱い… てゆか止めなかったら奏太くん本当に続けそうだったし…っ やっぱりみんな同じ棟にいるし、あくまで部活の合宿中だし… 「こ、声が…っ聞こえちゃうかも、だし…っ」 そう顔を赤らめて私が言うと奏太くんは口に手をあてて、 「……恥ずかしいこと言わんで下さい」 と困ったように言った わ、私何か間違ったこと言った? 焦り困っていると、ちゅっとリップ音を立てて私の唇に触れる 147: 名前:HARU☆04/11(月) 20 33 58 ひゃー!この萌え男子め! 私の頬が赤くなるのを見ると悪戯気に笑う ド、ドSか! 「と、とにかく合宿中は駄目!練習に専念すること!」 「そんなこと言うなら初めから来ないで下さいよ」 うっ、……確かに私、邪魔かも 初日からこれじゃ駄目だよね 「わ、かった。奏太くんに合宿中は話かけない」 「…本当に?」 「ほ、本当…に」 嘘だよー!本当は常にかまっていたいんだよー! …なんて言えるはずもなく 奏太くんの練習の妨げになるなら陰から見つめるだけ、にします 「…マネージャーらしく"部員"のサポートだけをします」 「ふーん…。わかりました」 さらりと返事をして触れていた手をぱっと離す それはそれで、…少し寂しいような気も 「じゃ、また明日もよろしくお願いしますね。"相沢先輩"」 「な…っ」 わざとらしく私をそう呼ぶと一人で部屋から出て行く な、何あの言い方ーっ! 148: 名前:HARU☆04/11(月) 20 45 48 * 次の日からあからさまに奏太くんから避けられ続ける 私が話かけないとかいう以前に奏太くんがわざとらしく逃げていく 「また喧嘩?」 ぶすっとした顔をしている私にのりが声をかける 部員達は部内でチーム練習中 「喧嘩じゃないもーん。私はマネージャーだもーん」 「はぁ?」 ツーンとしてそう言うと奇声を発する 私だって…わかんないんだもん すると部室内の掃除を終えた千穂ちゃんが戻ってきた 「くるみさ、北條くんと別れたの?」 「はぁ!?」 さらっと言う千穂ちゃんに今度は私が奇声をあげる わ、別れた!? 「あ、違うの?なんかここ数日二人共会話もしないで 変な空気漂ってるから破局っていう噂聞いたからさ。 部員が、"俺いけんじゃね?"とかちらほらほざいてるよ」 な、なんだその噂! 別れてないっつーの別れないっつーの! 「……合宿中はマネージャーだもん、私」 「は?」 「意味わかんないでしょ」 私の発言に千穂ちゃんが?マークを浮かべると、のりが同意を求める 私は奏太くんの力になりたかったのに、邪魔したくなかったのに …なんでこうなっちゃうかなぁ 152: 名前:HARU☆04/12(火) 20 30 00 合宿は折り返し地点を過ぎ、残り三日 合宿最終日は他校との練習試合が組まれている為、 日が経つにつれて部員達の士気も徐々に高まっている ……なんてことよりも、 「まだ無視されてんの?」 のりが片付けをしながらそう問いかける 「無視じゃないもん、話さないようにしてるだけだもん。 てゆうか私が"あえて"無視して"あげてる"だけだもん」 はぶてた顔で一つ一つ強調して伝える のりは「はいはい」と適当に返事をする よく考えてみると内緒で私が合宿に参加したのがいけないんだよね… 「でもっ!」 「わっ!うるさい!」 でもだからってあんなふうに言わなくたってさ! あからさまな態度をとらなくったってさ! 私だけが悪いんじゃないもん!そうだ! 「なんか…、くるみと付き合ったら面倒くさそうだよな」 「のり」 のりがぼそっと呟くもんだから、じろっと睨む 「おっと」とわざとらしくのりは口を手で塞ぐ でも奏太くんも面倒くさい…、のかなあ… 153: 名前:HARU☆04/12(火) 20 43 23 その日の練習を無事終え、夕飯も入浴も済ましたので部屋に戻ろうとする 「相沢先輩」 私を呼ぶ声がし、後ろを振り替えると廊下の曲がり角で手招きが見える 誰かわからずにとりあえずとたとたと小走りに行くと部屋着の部員 「あ、えーと…佐々木くん。だよね?」 「当たりです」 ひひっと笑う可愛らしい表情 奏太くんと仲良いから顔はよく覚えていた この子も可愛い顔してるんだよなあ 「なあに?」 「や、初日以来奏太と何かあったのかなーと。 先輩達は別れただの言ってますけど違うんですよね?」 「ち、違うよっ」 またそんな噂…! 二年はそんなことしか考えない暇人か! 「ですよね、よかった」 優しくはにかむ佐々木くん はうっ、きゅん! 年下萌えスマイル頂きました! 「!、わざわざそのために?」 「理由は詳しく知りませんけど、奏太も変に頑固で子供だから。 …あっ、今言ったことは内緒にしてて下さいよ!」 「やばっ」と言いながら自分の口元に人差し指をあてて「しーっ」とする か、可愛い! 奏太くんの友達は奏太くん並にきゅんとさせてくれるなあ うん、ごちそうさまでした 155: 名前:HARU☆04/12(火) 23 16 35 * 「ありがとうございました!」 部長の号令に習い、部員が挨拶をして6日目の練習が終了する 各自で片付けを始める 「くるみ、行くよ」 「うん」 のりに声をかけられて、夕飯の準備の為に食堂に向かおうとすると ―――ガシャーン! 大きな音が響き、部員達が騒々する 焦って私達も振り向くと片付ける為に運んでいたゴールが倒れたようだ 「だ、大丈夫っ?」 慌てて人集りに近寄るけどみんな「大丈夫ー」と気楽そうに笑う やっぱりみんな驚いてはいるけど、幸い大きなケガとかはなさそうだ 「あ」 ほっとした時に佐々木くんの足に目がいく 「佐々木くん、足っ」 「え?…あ」 本人も気付いてなさそうだったけど血が流れていた 切れた、とでもいうように縦に線が入り、真っ赤な血が滴っていた 「佐々木大丈夫か?」 「うわ!えぐっ!」 「痛くないわけ?鈍いなー」 佐々木くんは「うわー」と言いながらも冷静 や!痛いって絶対! 私は佐々木くんの手を握る 「保健室行こう!鍵借りたら入れるし!」 「大丈夫ですって。水道水で流せば」 「駄目だよ!行くよ!」 「え、あ、わっ」 ぐいぐいと引っ張って佐々木くんを連れて行く 「えー…、俺がケガすればよかった」 「俺も」 くるみと佐々木が手を繋ぐ姿を見て羨ましそうに呟く部員 奏太もその姿を不安気に見つめる 不安は佐々木のケガになのか、それとも ―――繋がれた手になのか 160: 名前:HARU☆04/13(水) 15 50 22 夏休みの為、保健室不在なので鍵を借りて扉を開ける さすがにこの傷は応急処置用の救急箱では補えない 「あのっ、本当に大丈夫ですって!痛くないし!」 「はい!座って!」 佐々木の言葉に耳も傾けずに、くるみは椅子の上にどかっと座らせる カタカタと消毒液やガーゼなどを探す 「痛くないってことは麻痺してるかもしんないし。甘く見ちゃ駄目だよ」 少し不慣れながらも手当てをしていく 血を拭き取ると縦に線が入った傷口が思ったよりも深いことに気付く じわ…っ、と真っ赤な血が浮き出てくる くるみは思わず身震いをする 「グロいのって女の子は無理なものなんでしょ?大丈夫ですから」 佐々木がくるみの様子に気付き、気を使ってそう言う 「だ、大丈夫!それにこんな状態でほっとけないもんっ」 ―――…トクン 佐々木の胸がふいに鳴る 一生懸命で頑張っているくるみの姿を見て そして、はっと我に返る 「や!ないない」 「?、佐々木くん?」 首をかしげて下から覗き込むくるみに再びドキッとする ―――…傷口よりこっちの方が重症かもしれない 佐々木は首を横にふるふるっと振り、雑念を掻き消す 162: 名前:HARU☆04/13(水) 16 30 26 佐々木はその後、顧問に連れられて一応病院に行ったが大事には至らなかった それでも明日の練習試合は安静の為に不参加 「あーあ、ついてない」 徐々に痛みが感じてきた足でぎこちなく歩く佐々木 奏太と共に自動販売機の前で飲み物を選ぶ ガコンッと音がし、かがんで炭酸を取り出す 「せめて試合はしたかった」 「いーじゃん。一生サッカーができないとかじゃないんだし」 奏太がそう言うと「まあね」とため息をつく佐々木 同じように奏太も飲み物を買うと部屋へと戻り始める 「…あのさ」 「ん?」 奏太が少し言いづらそうに口を開く 「あの人のこと…、ただの"先輩"だよ、な」 佐々木の胸が一瞬ドキリとした あの人、つまり相沢先輩のことだろうと 奏太の勘がいいのか、やきもちなのかは佐々木にはわからない 「先輩以外なんなの?ははっ、奏太変なの」 「…や。だよね、だよな」 奏太は「変なこと聞いてごめん」と笑いながら謝る それなのに二人の間に違和感が生じた気がするのはお互いの気のせいだろうか …いや、気のせいならいいと互いに感じていた 169: 名前:HARU☆04/14(木) 20 28 43 サッカー部合は宿最終日を迎えた 結果から言うと他校との練習試合は3-1で我が南原サッカー部の勝利 気持ちよく過酷な合宿を終えれそうで私達もサポートしたかいがあった だけど、 「佐々木くんっ」 ベンチに少し俯き気味で座っている佐々木くんに話しかける 足に巻かれた包帯 「残念だったけど、まだ一年なんだし。これからいっぱい試合できるよっ」 「ありがとうございます」 最終日直前のケガによって佐々木くんは試合に不参加 なんだか不慮の事故なのに可哀想で胸が痛い 笑って返してくれるけど本当は悔しいと思う 「奏太と話したんですか?」 「し、知らなーい」 わざとらしくツーンとしてみせる だって私だけじゃなくて奏太くんも悪いし 「仲直りしなくちゃ。駄目ですよ?」 「はーい…」 仕方なさそうに返事をすると「あはは」と笑う佐々木くん 可愛いなあ、くそう 私が慰めようと思ったのに逆に元気もらっちゃった 部員達が片付けを始めたので佐々木くんも手伝おうと腰を上げた するとケガした方の足がバランスを崩してよろっとなったので 「わ、危ないっ」 咄嗟に手を差しだし、私より大きい佐々木くんを支える 萌えます。年下男子 続き22
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どうも、雪代旭ですが。 俺は気付くと前方にろうそくが一本灯っているだけの、薄暗い部屋にいた。 (なんだ…ここは) 辺りを見回そうとしたが、何かで首を固定されているのか、動くことが出来ない。 (どうなってるんだろう…) 首どころか手足まで拘束されていることに気付いた。 微動するとジャラジャラと鎖の擦れる音が聞こえる。 わずかな光で部屋のつくりを見る限り、壁はレンガになっていて、扉は俺の目の前には無い。 俺は急に不安を感じた。 (だ…誰かいないのか?) 服は身についているはずなのに、すごく寒く感じる。 全然動けないし。 俺がこの状況にうろたえ始めてしばらくすると、いつの間にか部屋に人が入ってきた。 「誰…だ?」 何度も言うように部屋は薄暗く、相手の顔がはっきり見えない。 「いい格好だな、旭」 発された声は、どこかで聞いたことがあるものだった。 「な…っまさか、慎也?」 「正解。旭をオモチャにしたくて連れてきた」 突然、薄暗かった部屋に明かりがついた。 部屋は思っていたより広く、…というかレンガ造りでも何でもない。 四方は白く、慎也はまるで宙に浮いているかのように見える。 「え…なに、これ?」 俺の身体には頑丈に鎖が施されており、服を着ていると思ったのは間違いだった。 こんなとこに連れてこられたっけ? でもって、服脱がされてこんな状態にされたっけ? 学校から帰り、晩飯を食べ、風呂に入ったり宿題したり…という記憶は鮮明に残っているのだが。 「旭が可愛すぎるからいけないんだぞー?」 え、待て待て。慎也の野郎は何をほざいていやがるんだ? 「心配するな。後で旭をくださいって家族の皆様にお願いしに行く」 「そんなこと心配してる訳じゃない!」 っていうか何言ってんの? 全く理解が出来ない。 「じゃあ学校のことか? 俺がちゃんと首輪つけて毎日連れて行ってやるよ」 違う! いや違くはないけど。 そういうことを問題としているわけではなくて…。 というか俺自身も今の状態にあまり矛盾を感じていないことが不思議だった。 「ま、その前に…」 慎也は俺の下あごをくいっと上げ、 「第二ラウンド行くか?」 「ぎゃーーーっ!」 飛び起きた衝撃で、俺はベッドから転げ落ちていた。 床に頭をぶつけ、いつもは半寝の状態なのに、今日はいやにすっきり目覚めた。 横で目覚ましとして使っている携帯電話が鳴り響いている。 「旭くん!? どうしたの、大丈夫?」 小学二年生の妹が俺の部屋に入ってきた。 いつも通りの自分の部屋を見渡すと、さっきのが夢であったことがようやく分かった。 (あぁ、マジで覚めてくれて助かった…) 「じゃ、旭くん。あたし行ってくるね」 赤いランドセルと右手に紙袋を持った妹がそう言った。 こんな早朝から出て行く妹の行き先は学校ではない。 妹の名は、雪代霙(ゆきしろみぞれ)。 自分の妹をこんな風に言うのは嫌なのだが、彼女は子役タレントだ。 しかもドラマやCM、映画にも出ていて結構売れていたりする。 みぞれなんて変わった名前も、両親がタレントにすることを見越してつけたものだ。 母さんは、"雪と霙でしっくりくるじゃない?"と言っていた。 みぞれが出て行ってすぐ後、母さんが玄関まで寝巻きの俺を呼びに来た。 「旭、悪いけどみぞれに着いていってあげてくれない?」 「え、俺学校あるんだけど」 「学校始まるの8時半でしょ。歩いて10分もかからないところに学校があるんだから大丈夫よ。 私、今日早朝出勤なの。お父さんは一昨日から出張だし」 …正直面倒くさいが、仕方ない。 子役とは言ってもタレントであるので、結構変なヤツに過去狙われたりしていたからな。 俺は猛スピードで支度をし、妹の後を追いかけた。 全力で走ったので案外早く妹の姿を見つけることが出来た。 だがそれは、駅前の駐輪場で背の高い青年と何かを話している姿だった。 (やばい…早速絡まれてんのか?) ところが…ん? よく見るとあれ、俺の学校の制服じゃね? そして、みぞれの前には俺のよく知った人がいた。 「みぞれー!」 「あ、旭くん!」 みぞれは俺に気付くと、俺の元へ駆け寄ってきた。 「みぞれ、大丈夫か!? あの野郎になんかされたか??」 「ううん、でもなんか、君のつぼみは美味しそうだとか言われたよ」 やっぱりか! やっぱりかぁぁぁぁ!! 俺はその言った相手を睨みつけ、 「慎也! 人の妹に変なこと吹き込むな!!」 と怒鳴った。 「よう、旭。っていうか旭の妹さんだったのか、みぞれちゃんが」 慎也はみぞれを自分より高い位置まで抱き上げた。 みぞれはたのしそうにきゃっきゃ笑っている。 「兄妹揃って可愛いなー。雪代家は」 「旭くんも可愛いの? 男の子なのに?」 慎也の腕からみぞれが降りると、俺はすぐに彼から妹を引き剥がした。 そして、妹を慎也の変態の魔の手から守るべく、間に入り込む。 「あぁ、可愛いよ。ペニス握ってあげたらすっごい可愛い声出すんだよ」 お前なに言ってんだ、いたいけな小学二年生に!! 「ぺにすってなにー?」 みぞれも聞き返すな、頼むから! 「男ならみんな付いてるものだ。みぞれちゃんには付いてないけど、気持ちよくなら俺がしてやるぞ?」 「え、ホント?」 俺が突っ込む間もなく、みぞれと慎也の会話は淡々と続いた。 みぞれの前にしゃがみこみ、肩に手を置いて諭すように言った。 「いいか、みぞれ。コイツと喋るな。変なことされるぞ。 スカートどころか、パンツに手突っ込まれるぞ」 「あたし、そんなの慣れっこだよ」 …そうだった。 芸能人の(つまり顔もよい)妹は今までも、ロリコンの方々に油断したらそういうことをされまくっている。 小学二年生で身体を触られるのに慣れっこな妹って…とても不憫だ…。 「あ、そうだ。早くしないと収録時間に間に合わないんじゃないのか?」 みぞれは毎日、朝の子供向けの番組に出演している。 収録スタジオは駅一つで着くのだが、流暢にしている場合ではない。 …増して、慎也のアホに付き合っている暇はない。 「旭くんが一緒に行ってくれるの? ママは?」 「母さんは仕事だってさ。だから今日は俺が行く」 と俺が言うと、みぞれはやったーと、声に出して喜んだ。 それを見ると微笑ましくなる。あの悪夢を忘れさせてくれるくらい。 …だったのに、横の変態が、 「みぞれちゃん、俺も行っていい?」 その答えをみぞれは、俺に求めてきた。 うるうるとした瞳で俺を見つめる。断りたいのは山々なのだが…。 「はぁ…。ただし、子供たちに手を上げるなよ。司会の人とか、カメラマンとかもダメだ。 っていうか今から出会う人に絶対声をかけるな。電車内で変なことするな。分かったか?」 「それはそうと、慎也なんでこんな早朝からいるわけ?」 車内のつり革を持つと同時に、俺は慎也に聞いた。 「ん? 早朝でしかも今日みたいに風の強い日は下着がよく落ちてるんだよ。 それを拾って落とした人に届けにいくまでの過程がいい感じな気がしてな」 もういいや。まともな理由があると思ったの俺が間違いでした。 「なー旭ー、俺さ、痴漢やってみたいんだ。でもさすがに見知らぬ人にやったら犯罪だから、旭にやってもいいか?」 「ダメに決まってるだろ。車内で変なことするなって言っただろ」 見知らぬ人にやったら犯罪っていう常識は一応あるんだな。 普段から見知らぬ人にSMプレイはお好きですかとか聞いてるから知らなかったよ。 一駅だけなので、電車に乗っている時間は極短い。 俺はみぞれに手を引かれて電車を降りた。 「旭くん、きっぷここに入れるんだよ」 と、みぞれは改札口を指差す。 「へー、みぞれ凄いなぁ」 俺は愛想を持ってみぞれに言った。 改札口にきっぷを通すなんて誰もが知ったことだが、 それを言うと彼女の夢を壊してしまいそうな気がした。 そんな俺達のやり取りを、横で慎也は笑っていた。 「な…なんだよ」 「旭くんかっわいー」 「うるさいなっ!」 別にそういうわけではないと思うが、シスコンかのように見られて俺は赤面する。 …シスコンでも慎也みたいなヤツよりマシだけど。 駅を出るとすぐのスタジオにむかってみぞれは走り出した。 「ありがとう、旭くん。あたしはもう大丈夫だよ」 そういって手を大きく振り、ビルの中に入っていた。 俺は慎也が他の子役タレントに目をつけずに済んだことを心から安心した。 「みぞれちゃん、可愛いな」 「…絶対変なことすんなよ」 「しないよ。幼女相手は、例え相手が承諾しても犯罪になるらしいからな」 犯罪にならなければしてたのかよ。 ったく人の妹に、しかも小学二年生に手を出すなんて信じらんねー。 「子どもはいいよなー。調教しがいがあるっていうか。 俺以外に感じない身体にしてやりてえな」 どうですか、この朝っぱらからの変態発言。 俺は正直きついです。…でもそれに慣れさせられるくらい、今まで聞いてきた。 「雪代ー、C組の立花ってヤツがお前に用があるってさ」 三限目の休み時間、俺はクラスメートに肩を叩かれ、こういわれた。 教室の外側を見てみると、立花くんが困った表情で俺の方を見ている。 「どうしたの?」 立花くんにそういうと、彼は手招きした。 そのまま立花くんについていくと、階段の踊り場に行きついた。 「あ…あの、雪代くん。昨日は変なトコみせちゃって…ごめんなさいっ」 立花くんは深々と頭を下げる。 「いや、いいよ。俺の方こそごめん…なさい」 「ううん、雪代くんは悪くないよ…。でね、あの…お願いなんだけど、 ぼ…僕が中田くんを好きだって…誰にも言わないで、ほしいんだ…」 「あ…うん」 当の本人には言ってしまったけどな。 B組、つまりは俺の教室の前の廊下に、慎也はいる。 男子と話しているのでとりあえずは、犯罪になるようなことはしないだろう(男子相手でも油断できないけど)。 「立花くんは、」 「あ…葵でいいよ」 俺が話を切り出すと、立花くん、もとい葵はそういった。 「じゃ、葵。…てさ、本気で慎也が好きなの?」 聞くと葵はあからさまに顔を赤らめ、 「…うん、好きだよ」 「え、でもアイツあんなんだぞ?」 人差し指で向こう側にいる慎也を指差して言う。 変態なんですよ、あんなにという風に。 「やっぱ顔か?」 まぁ、顔・スタイルはずば抜けて良いしな。 彼の素性を知らない女の子がいつも寄り添ってくるし。 変態だって分かった瞬間、逃げていく子が多数だけど。 「顔もカッコイイけど…」 葵は恥ずかしいと言わんばかりに、顔を紅潮させる。 「人前であんなこと平気でいえるなんて、何か…羨ましくて」 ……。 俺は黙る以外のことが出来なかった。 だって、あんなヤツを羨ましいって言うんだぞ? 俺は絶対憧れたくないな。 憧れたくないランキング第一位だ。 「あーさひくん」 葵との話が終わると慎也がやって来た。 「なか、だくん…」 葵は顔面が沸騰するくらい赤面し、階段を下に駆け下りていった。 「あ、葵!」 俺の止める間もなく。 「あれ、もしかして俺、邪魔した?」 「そういうのじゃねえよ。お前と一緒にすんな」 慎也を無視して教室に戻ろうとする、と彼は俺の肩を掴んだ。 「次の時間部屋班決めるだろ? 旭、俺と一緒にならねえ? 二人一部屋だからいいことし放題だぞ」 部屋班…とは、来月の合宿の部屋班のこと。 「ぜーーーーったいに断る!」 「何で? 昨日セックスしたんだから、二回目以降も同じだろ?」 「だが断る。っていうか二回目以降が何であるんだよ!」 部屋班だから女子と一緒になることはないが、 慎也の場合男子でも平気で夜這いとかするだろう。 コイツと同じ部屋になる人には申し訳ないが、俺は絶対却下だ。 「旭もツンデレだよな。せっかく俺が誘ってんのに」 と、俺を抱きしめ耳元で囁いた挙句、舐めてきやがった。 「!!!!…なにするんだよ、アホ! 変態!! お前は誰とでもいいんだろ!? じゃあ葵を誘えよ」 「葵くんは隣のクラスだから、一緒になれないだろ。それに」 慎也は俺の視線上に、目を持ってきた。 俺のことをじっと見つめ、 「俺は旭がいいの。旭としたい」 「俺はしたくありません。というわけで断固断る」 そして毎度のことだが何故すること前提なんだ。 「じゃあしたくなるようにしてやるよ。合宿までにな」 またもや慎也は俺の耳たぶを舐めた。 「…ぁっ、やめろって!!」 そういってやめるような相手ではない。 「慎也…っ、ほら、チャイム鳴ったぞ」 休み時間終了のチャイムが鳴り響いた。 「あー嫌だー絶対中田とはなりたくない。 誰となってもいいから、先生でもいいから中田だけは嫌だぁぁ」 四時間目、ホームルーム。 担任の先生が部屋割りの話を持ち出した途端、男子軍団からはこの非難だ。 ヤツの変態度合いが女子のみに発揮されるのなら、 思春期の男子のちょっと行き過ぎた感じととらえることもできるが、 …(何度も言うようで恐縮ですが)男子をも餌食にするからな。 奇遇だな、俺もそう思っている。 とクラスメートの男子に相槌を打つ。 …奇遇ではないな、必然か。 そんな中、当の本人は窓際の一番後ろの席で――。 「中田、ホームルームとはいえ授業中だぞ。本をしまえ」 エロ本読んでました。 先生に注意されると慎也は、 「先生。先生はスカトロに興味ないんですか? 俺はあります。だから読んでいるんです」 と、持っているエロ本を前に突き出した。 いや、全く持って意味が分からん。答えにもなってないし。 「いや…もういい。なんでもない」 先生諦めちゃいましたよ。まぁコレも日常茶飯事みたいなもんだから。 学級委員が教卓のそばに行き、では部屋班を決めてくれと言った。 当たり前だが、みんな慎也に近づかない。 本人はまだスカトロ専門誌を読んでいる。 よし、今の内に違う人と組んでおこう。 「瀬戸、誰か決まってる?」 「あ、悪い。中田予防で大分前から決めてる」 「そ、か。桜田は?」 「俺も」 その後何人にも聞いたが、決まって答えは同じだった。 ちくしょーっ 俺も"中田予防"しておくんだった。 みんなそんなに嫌か。…当たり前だわな。 慎也は友達にはしたいタイプだけど、恋人は絶対に嫌だよな。 やばい。やばいです。 本気で早く決めないとマジで慎也とになってしまう。 あんな歩く性欲のカタマリと一晩でも同じ部屋で過ごすとどうなることか。 想像しただけでぞっとする。それでなくても俺の貞操は無茶苦茶なのに。 女子側はもう全員決定していた。 焦って辺りを見回すと、一人で居る人がいた。 「あ、…」 声をかけようとしたが、なんかかけづらい。 あまり、というか一言も喋ったことのない人だし。 いや、でも慎也となるよりは数段も数十段もマシ。 この機会に仲良くなれるだろうしな。 「あのさ黒崎、誰もいないんだったら、俺と…」 「え、あ…?」 黒崎は戸惑っている。 なんか俺、踏み外してる? 「雪代…、あの俺で良かったら…」 「ダメー旭は俺となるから」 アホが背部から抱きついてきた。 「黒崎くんはいつも津田くんと一緒にいるだろ? 旭は俺のものだからダメ」 津田は今日、インフルエンザで欠席だった。 ていうかお前…せっかく黒崎が了承しかけてくれたのに(身の危険が回避されそうだったのに)、 なんてこというんだよ。 そしていつ俺はお前のものになったんだ。 あと離れていただけませんか。すごく鬱陶しいです。 続き