約 4,043 件
https://w.atwiki.jp/dqff1st/pages/473.html
幾分、朝日が差しているとはいえ、城の大広間は未だに仄の暗い、 そんな中、はぁはぁと戦いの息遣いが聞こえて来る。 「ふんっ!」 ヘンリーは片手で持った斧を勢いよく振り下ろすが、その起動はわずかに波打っている。 それをティファは素早く飛び退って距離を取るが、次の瞬間肩を押さえて苦痛の表情を浮かべる。 そしてまた、はぁはぁと呼吸の音だけが続く。 「たあっ!」 今度もまたヘンリーから仕掛ける、すり足で距離を詰めると今度は斧を振り下ろすのではなく、 穂先をティファの方へ向け、突き出していく、 (後ろには避けると間に合わない、ならっ!) ティファは瞬時にしゃがみこんでヘンリーの突きを交わすとそのまま向う脛にローキックを入れる。 「ぐわぁっ」 鍛えようの無い急所に一撃を見まわれ、思わず斧を落とし足を押さえるヘンリー、 それには構わずティファは扉が設置されている広間の奥の小部屋へと急ぐ。 (チャンス!) ヘンリーは足を押さえながらも笑みをもらすと、火炎瓶を取りだしティファへと投げつける。 しかし・・・ ティファは何と火炎瓶をオーバーヘッドで蹴り返した、火炎瓶はひゅるひゅると音を立てて、 ヘンリーの頭上を超えて、廊下の方へと飛んでいった。 しかしそこに2つ目の火炎瓶が放たれる、着地寸前のティファには今度こそ命中するかと思われたが、 またしても、今度は何処かから放たれた石礫が火炎瓶を中空で砕く。 火炎瓶は爆発することなく床を濡らし、そしてティファは扉の中へと飛びこんでいった。 「誰だ!誰が邪魔をした!」 「私だ・・・まぁ、話を聞け」 ヘンリーの叫びに応じるかのように、いつの間にか開け放たれていた反対側の扉の影から、 女騎士-----アグリアスが姿を現した。 ティファとヘンリーが戦っていた頃、廊下ではイリーナとソロの追いかけっこが続いていた。 「あっ・・・そうだ、手榴弾があったんだ」 ようやく思い出したイリーナはすばやく手榴弾のピンを抜くと振り返りもせず後ろに投げる。 5つ数えたか、数えないうちに大爆発。 もうもうと煙が立ちこめる中、それでもイリ-ナは走り続ける。 と、その時 「!!」 自分のすぐ目の前にどこからともなく火のついた火炎瓶が飛んで来るのが見える。 イリーナは素早くスーツを脱いで手に持つと、それで火炎瓶を払い飛ばす。 火炎瓶は壁に当たって燃えあがり、周囲を明るく照らす。 と、明るくなった廊下に影が踊る、イリーナが振り向いたときには すでにソロは床を蹴って空中に飛び上がり、剣を振り下ろそうとしていた。 「なんの!タークス奥義っ!真剣白刃取りっ」 イリーナは両手を頭の上にかざしソロの剣を見事に受けとめ反撃する・・・はずだったが、 ソロの斬撃の鋭さはイリーナの予想を遥かに超えたものだった。 「え・・・」 そう、ソロの剣はイリーナの手をすり抜け、その頭上を直撃したのだった。 そのまま頭頂部から顔面の半ばまでを断ち割られ、こうしてイリーナは絶命した。 「お前が悪いんだぞ!お前が僕を裏切ったから悪いんだ!」 ソロはイリーナの死体に向かって罵声を放つ。 ラムザに・・・・そしてアリーナまでもが自分を裏切りデスピサロの走狗と成り果てて、 (ソロはそう思いこんでいる)いるのだ。 そして今、またしても、だが・・・・ 「違うよね・・ティファさんだけは違うよね、あの人だけは僕の味方だよね?」 うつろな瞳で自分に言い聞かせるようにソロはぶつぶつと呟く。 「会いたいよ・・・・早くティファさんに会いたいよぉ」 頭を抱えて悲しげにうめくソロの耳に何やら話し声が聞こえてくる この先の大広間のようだ。 再び剣を抜いたソロだったが、痛みに顔をしかめる、先程の爆弾は何とか避けたものの無傷とはいかなかった ここは自重すべきだ、そう考えたソロはベホイミを唱えるとしばらく床にもたれて休憩に入った。 そのころ大広間では、 「貴様ぁ!何故邪魔をした!」 ヘンリーは突如現れたアグリアスに向かって叫ぶ。 アグリアスは表情を変えぬまま答える。 「獲物を横取りした事については謝る、だが、あの娘は私のプライドに賭けて、私が仕留めねばならん!」 無手の相手に聖剣技を止められた・・・・初めての経験にして屈辱だった。 その屈辱は再戦をもって仕留める以外に晴らす方法は無い。 それに・・・アグリアスは額に巻いていた包帯を外す、そこには深々とした裂傷があった。 投げ飛ばされた時、ティファの指がアグリアスの額をえぐったのだ これだけ深いと治癒呪文でも傷跡は残ってしまうだろう。 「只倒すだけではあきたらん!私のプライドに、私の顔に傷をつけた報い、思い知らせてくれる!」 と、そこまで言ったところで、アグリアスはヘンリーに向い奇妙な提案をした。 「私と組まぬか?獲物を奪った詫びだ、手を貸してやる、その腕では満足に斧も振るえまい」 予想外の申し出にヘンリーはかなり面食らったようだ。斧を構えたまま、アグリアスの話を聞いている。 「私にはもはや何も残ってはおらぬ、今この胸中にあるのは己の命脈続く限り戦い抜き、 生き残りたいという渇望のみ」 ラムザの死を聞かされたとき、アグリアスの全身を言い様の知れ無い喪失感が駆け巡った そう、もはや生き残りフレイヤの元に戻る以外に、彼女にとっての救いの道は残されていなかったのだ それにあの娘を追うにしても、盾はあったほうがいい。 そのためには利用できる物は利用させてもらう。どんな手を使ってでも・・・・。 しばらく考え込んだ後、ようやくヘンリーが口を開く。 「生き残れるのは一人だぞ」 「ならば最後に決着をつけるのがお前と私ならいいわけだ、最も寝首を掻いても構わんぞ 出来るならな」 「そうか・・・いわばお前も俺と同じなのだな、いいだろう・・・力を貸してくれ、俺はヘンリー」 もちろんヘンリーもアグリアスを利用するだけ利用し、頃合を見て寝首を落とす そういう計算が成り立っての判断だった。 「私はアグリアスだ・・・では行くか、それと一言だけ言っておく、あの娘は私に譲れ」 こうして、奇妙な同盟は成立し、二人は連れ立って扉をくぐり そしてそれから遅れること5分、回復したソロも扉へと入っていった。 【ティファ(負傷) 所持品:ボムのかけら×5 第一行動方針:傷の治療 第二行動方針:クラウドたちを探す】 【現在位置:新フィールドへ】 【ヘンリー 所持品:ミスリルアクス イオの書×3 火炎瓶×1 最終行動方針:皆殺し】 【アグリアス@ホーリーナイト(アビリティ:時魔法、カスリ傷) 所持品:スリングショット ダイヤソード なべのふた 基本行動方針:ゲームにのる 最終行動方針:生き残る】 【現在位置:新フィールドへ】 【ソロ 所持品:エンハンスソード スーツケース核爆弾 イリーナの社員証 第一行動方針:ティファに会う 最終行動方針:デスピサロを倒す】 【現在位置:新フィールドへ】 【イリーナ 死亡】 【残り 64人】 ←PREV INDEX NEXT→ ←PREV イリーナ NEXT→死亡 ←PREV ティファ NEXT→ ←PREV アグリアス NEXT→ ←PREV ソロ NEXT→ ←PREV ヘンリー NEXT→
https://w.atwiki.jp/kowaero/pages/80.html
外伝1 「はぁ、はぁ・・・・・・んくっ・・・・・・」 暗い無人の体育館に、ボールの軋む音とちゅぷちゅぷという卑猥な水音が響く。 体育館の片隅で、バランスボールにまたがって腰を振る少女。バランスボールは足つきのタイプで、 少女は今自分の陰部にその足を突き刺し、オナニーをしていた。少女が腰を振るたび、バランスボールが跳ねる。 いつしか夢中になっていた少女は、激しい動きにボールが暴れまわるのも構わず腰を振っていた。 体育館内に、ボールのバウンドする音が響く。快感を感じた少女が、思わず達しそうになったその時。 「誰かいるのか?」 一人の男性教諭が、体育館を覗き込んだ。少女はすくみ上り、緊張に身をすくめた。 館内を静寂が支配する。 「おかしいな、確かにボールの跳ねる音が聞こえたんだが・・・」 男性教諭は、暗い体育館の隅にいる少女に気が付かず、ドアをしめ立ち去って行った。緊張の糸がきれた少女は、 気が緩んだせいか、バランスボールの上に失禁してしまっていた。あわてて雑巾を持ち出す少女だった。 外伝2 4時44分に女子トイレの鏡を覗くと、未来の自分が見える。興味本位で覗き込んだ若い女教師は、衝撃を受けた。 鏡に映っているのは、床に倒れた自分の姿。ブラウスはビリビリに破られ、うつろな目で天井を見ている。 スカートは剥ぎ取られタイツは破かれ、下着は鋭利な刃物で大事なところだけ切り取られているようだ。 そしてその切れ目からは、男の精液と思われる白濁液がごぼごぼととめどなく湧き出ている。 鏡に映った自分のあり得ない痴態に、女教師は自分の目を疑った。思わず目をこすり、もう一度鏡を見直そうとしたその時。 後ろから何者かにすごい力で羽交い絞めにされ、口元に布のようなものをあてられた。 女教師の鼻が薬品の臭いをかぎ取った時、薄れていく意識の中、鏡の姿が未来の自分であることを悟ったのだった。 外伝3 その少女は熱血で、正義感が強かった。東に弱いものがあれば行って助け、西に困っている人がいれば行って解決する。 少々短絡的で短気なところがたまに傷だったが、周りからも好かれ、学園生活は概ね順調に送っていた。 もっとも、彼女の鉄拳制裁をありがたく頂戴した、いわゆるワルモノたちからは、当然のように疎まれていた。 彼女の周りには、彼女に助けられた者たちがよく取り巻いていた。彼女はそれを気取るでもなく、友人として接していた 。 また友人たちは彼女の性質をよく理解し、彼女の耳に入る情報をコントロールすることで、彼女自身が真の意味で 危険にさらされることのないよう、彼女の気が付かないところで互いにかばいあっていたと言える。 あるとき、彼女が教室で昼食をとっていた時のこと。友達の一人が、ふと思い出したように、こんな話を持ち出した。 「そういえば、『赤いチャンチャンコ様』って知ってる?」 周りの友人たちはきょとんとして首を横に振る。この学校の七不思議では聞き覚えがなかった。 「友達の男子から聞いたんだけどね、夜中の1時に2階の女子トイレに入ると、どこからか声がするんだって。 『赤いチャンチャンコ、着せましょか~~~』って。もしそこで返事をしちゃうと、大変なことになるんだって」 「・・・ちょっと待って、なんで男子が女子トイレの話を知って――」 「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 雄叫びが会話を遮った。熱血で正義感が強く短絡的な少女は、教室どころかフロア中に聞こえるような大声で叫んだ。 「何という悪質な!!そんな幽霊、このあたしがぶちのめしてやる!!うおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 鬼神でも乗り移ったかのような物騒な雄叫びを上げ、少女は深夜の学校に忍び込むことを決意したのだった。 話を持ちかけた友人がククッと笑い声を漏らしたことに、その場にいた生徒は誰も気がつかなかった。 そして深夜。12時ころ、昼間に開けておいた1階の窓から校内に忍び込んだ少女は、2階の女子トイレに向かった。 手近な個室に入り、1時を待つ。普段ならとっくに床に就いて高いびきをしている時間だ。少女は欠伸をかみ殺した。 そろそろ1時。問題の時間だ。少女は拳を握り、幽霊を待ち構える。 (幽霊め、何か言ってきてみろ!『やれるもんならやってみろ!』って叫んで、すぐ殴り飛ばしてやる!) と、女子トイレのドアが開いた。何者かが女子トイレに入ってきたようだ。侵入者は、少女のいる個室の前に来ると、 お決まりの言葉をささやく。 「赤いマンマンコ、入れましょか~~~~・・・・・・」 「やれるもんならやってみろ!!・・・・・ってアレ?何か違う・・・・・・」 違和感は感じたもののとりあえず叫ぶだけ叫び、すぐに個室を飛び出す少女! 食らえ必殺の鉄拳!! しかし少女の鉄拳は、空中で手首を掴まれることで阻まれた。 個室の外には、10人以上の男子が待ち構えていた。どの男も少女が一度はぶちのめしたことのある不良たちだった。 「えっ、何で・・・?」 「ハッハッハ、望み通りマンコに入れてやるよ!!押さえつけろ!!」 左右から挟み撃ちのように男数人に取り押さえられ、少女はトイレの床に抑え込まれる。 必死に顔だけ上げて、男たちを睨み付ける少女。男たちは薄ら笑いを浮かべ、少女を見下ろしている。 と、リーダー格と思われる男が入り口にいた一人の男に声をかけた。 「おい、もういいぞ。連れてこい」「へい」 入り口の男は一度女子トイレから出ると、すぐに何かを引きずりながら戻ってきた。引きずられた何かは、 少女の前に放り出された。それは、はじめに赤いチャンチャンコの話を持ちかけた友人だった。 服は無惨に引きちぎられ、見る影もない。何度も中出しされたのだろう、秘部と肛門は精液にまみれ、口周りも汁で べたべただった。首から下には青あざや引っかき傷も見える。顔には傷一つないのは、バレないための用心だろうか。 床に放り出された友人は、ゆっくりと顔をあげた。そして少女の姿を確認すると、生気のなかった顔がさっと赤くなった。 友人は真っ赤な顔で叫んだ。 「あんたのせいよ!! あんたが馬鹿なことやめないから!! あたし脅されて!! ちゃんと言ったら帰してくれる はずだったのに!!! あんたが!! あんたが悪いんだ!! ああああんたがあんたがあんたがあんたが!!!!」 混乱した少女は、改めて友人を見た。ボロボロにやぶられた服は、どうやらもとは制服だったようだ。 一度家に帰って着替え直した自分と違い、学校が終わってからつい先ほどまで蹂躙され続けていたのかもしれない。 「へへ、そういうわけだ。全部お前をおびき寄せる罠なんだよ。そら、今度はお前のマンコを血で染める番だ」 「うあ、うわああああああああああああ!!!!」 翌朝、二階の女子トイレには、開脚してモップに縛り付けられ、尻たぶに「肉便器」と書かれた少女と、 目隠し状態でギャグボールを噛まされ、膣穴を広げられた状態でテープで固定された友人の二人が気絶していた。 二人は何度も犯されたせいで膣内をひどく裂傷し、赤く染まっていたという。
https://w.atwiki.jp/aaarowa/pages/506.html
第118話 鎌石村大乱戦 第二幕 ~龍を屠る赤き一撃~(後編) ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ (クソッ、視界がぼやける。腕にも力が入らない。結局俺はこのまま誰一人守り抜く事すら出来ずに死んじまうのか…。 クレス悪い…。あれだけ大口叩いて別れたってのに、アーチェの仇を討つ事も、この娘を守る事も出来なかった…) 思い返せばここ最近の記憶は後悔ばかりだ。 村を守れなかった事。再会したクレス達の足手纏いにしかなれていない事。 ここに来てから起きた分校での出来事。アーチェの死。 そしてこの女の子の事。 (せめてアシュトンだけは止めないと…。俺がこの娘に持ってきちまった災いだからな…。 くそっ、俺に力があれば…。何でもいい。俺に力をくれ。この娘を守れるだけの力をっ!) そう俺は願った。神様なんていないって思っている。それでも祈らずにはいられなかった。 心の底からこの女の子を守りたいとそう思った。その思いを遂げる為強く、強く願った。 そして、その願いが何かを起こした。 先程この女の子のデイパックから転がり落ちていた水晶玉が、俺の足元で赤く眩い光を放っている。 (これは…? あの娘の荷物から出てきた…。一体なんだろう?) 俺はそれに思わず手を伸ばした。触れた途端体に何かが流れ込んで来る。 その瞬間。今まで俺の頭の中にあった微かにしかない、 雲の様に掴み所の無い断片的なイメージが、一つ、また一つと、まるで実体を持つかの様に収束していった。 そう、これは特訓の中で浮かんでいた断片的なイメージ。これを習得できればきっとクレス達の助けになれる。 そう感じ、いつも掴もうとしては霞のように消えていってしまっていたその感覚が、今俺の中に確かに一つの形を成して存在していた。 触れていた水晶玉は光を失い、透明な水晶玉に戻っている。 今の現象が俺に何か影響を及ぼしたのかわからない。 わかる事は唯一つ。俺にはまだこの娘を守れる可能性が残されているという事。 矢を構える。 この技に必要なのは送った闘気が拡散しない様に矢に定着させる事。 そして、それを幾重にも重ね合わせ、ただ一点のみを貫く為に研ぎ澄ます。 そう、どんなに強固な鱗に覆われた龍でさえ、その一撃の下に屠る。 そんな意味を込めたこの技の名前は、 「『屠龍』! ぶちぬけぇええええ!!」 解き放たれた赤き必倒の一撃。 俺の想いの全てを乗せた一筋の光がアシュトンに襲い掛かった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「フギャー!(やばいぞアシュトン! 避けろ!)」 (出来ない。体が重くて思うように動かせない。『トライエース』の反動? 違う、もう呼吸は整えられてるし、さっきまでこんなに体が重いなんて事は無かった) ふと、前を見ると女の子と目が合った。その手に持っている杖が輝きを放っている。 (あの娘の紋章術? 重力操作の?) 「ギャース!(チッ、世話の焼ける宿主だ!)」 「フギャー!(全力で行く、踏ん張れよ!)」 ギョロとウルルンが同時に巨大なブレスを真っ直ぐ向かってくる赤い闘気を纏った矢に浴びせる。 それでもチェスターの放った矢は一向に止まる気配を見せない。二人の吐く炎と氷の渦を受けながらも真っ直ぐに迫ってきている。 体は未だにあの女の子の紋章術で動かせない。だから、せめて二人の応援をしようと彼らを見上げた時、僕は自分の目を疑った。 何故かはわからないけど二人の体が透けてきているのだ。 「二人共もう止めるんだ! このままだと君達が魔力を使い果たして消滅してしまうよ!」 こんな事今まで無かったけど、どう考えても今魔力を使い果たそうとしている事が原因なのは明白だ。 「ギャッ(何寝言を言っている)」 「ギャフッ(お前が死んだらどの道俺達も死ぬんだ。無駄口叩いてないで手伝え)」 「駄目だ、あの娘の紋章術の所為で体が動かないし剣も持ち上げられない」 尚も迫り来る赤い闘気を帯びた矢に懸命にブレスを放ち続ける二人。 それでも勢いを少し落とすのが精一杯。確実に僕らの命を奪おうとそれは迫って来ていた。 「ギャギャ(ウルルン)」 「ギャーフ(そうだな…)」 「どうしたのさ? 二人共?」 僕はいつもと違う雰囲気の声を発する二人に急に嫌な感覚を覚えた。 「ギャッギャギャフン(今まで楽しかったぞ。アシュトン)」 「ちょっと!? ウルルン? 何言ってるの?」 「ギャース(このままでは3人纏めてあの世行きだからな。お前だけでも生きろ、アシュトン)」 「ギョロ!? 何勝手な事を言ってるのさ?」 「ギャフフギャフー(なんだかんだ言って俺たちはお前の事が気に入ってるんだ)」 「ギャッギャー(だから、お前にはもっと生きていて欲しい)」 二人が信じられない事を言っている。僕を生かす為に死のうとしている。 止めなくちゃ、そんな事受け入れられるはずが無い。 「待ってよ! また僕を困らせる様な事を言って! お願いだからたまには言う事を聞いてよっ!」 「ギャー(いいか? これを凌ぎきれたら一旦退け。北西の方角から二人。まだ遠いが近づいてきている)」 「ギャッフ(ボーマンが味方を連れて来たとは考えにくい。『トライエース』を撃った疲労状態でこれ以上の戦闘は危険だ)」 もう二人の姿は目を凝らさなければ視認出来ない程に薄くなっている。 「ギョロ! ウルルン! 話を聞けよっ! 僕達はこれからもずっと3人でっ!」 つい語気が荒くなってしまったけど、二人が思い直してくれるならそんな事構わない。 「ギャフー(生きろよ)」 「ギャース(生きろよ)」 そう言い残し二人は更に吐き出すブレスを巨大にさせた。 僕らに迫る矢は漸く止まり、そして纏わせた闘気を拡散させるように巨大な爆発を起こした。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「これで決まって無ければ…」 もう駄目だ、立っているだけで精一杯だ。血と一緒に残された気力も流れ落ちてるみたいだ。 爆煙の先に人影が蹲っているのが見える。 突如として吹いた夜風が煙を晴らしてくれた。 ぼんやりとした視界で捕らえたアシュトンのシルエットに違和感を覚える。 (何かが違う…。いや、それよりも倒せたのか?) しかし、どうやら俺の願いはさっき叶えて貰った分で受付が終了したらしい。 フラリと立ち上がるその姿が見えた。でもおかしい。さっきより小さく見える。 完全に晴れた視界のおかげで漸くその違和感の正体に気付いた。 背中の龍がいないのだ。 「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」 突然叫び声を上げたアシュトンが続けて、ものすごい形相で俺を睨んできた。 「殺してやる! 次に会った時は必ず殺してやるっ! 二人が受けた苦痛を何倍にして味合わせてから殺してやるからなっ!!」 怨念の様なものを込めながら呟くアシュトンを中心に霧が発生したかと思うと、ややあってから霧が晴れた。 その時にはあいつはこの場から姿を消していた。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ (なんとか追っ払えたみたいだな…) チェスターが張り詰めていた緊張を解いた瞬間、急に膝がガクリと崩れ落ちた。 前のめりに倒れる彼を受け止めたのは硬い地面の感触ではなく、 何か別のやわらかい、擬音で例えるならフニャンといった感触だった。 「だっ、大丈夫ですか?」 意識を失いかけていたチェスターはその呼びかけで瞼を再び開けた。 その彼の目に飛び込んできたのは (特盛りっ!) 何が特盛りなのかは敢えて説明するまでも無い。 「ごっ、ごめん! 大丈夫、大丈…」 慌てて飛び退いたものだからまたしてもグラリときてしまう。 再び倒れようとするチェスターを受け止めようとしたソフィアだったが、 散らばった瓦礫に躓いてしまい、チェスターを支えきる事は出来ず二人仲良く転倒してしまった。 「ホントッ、ごめん。もう大丈夫だから゛!」 意図せずソフィアを押し倒すような形になってしまったチェスター。 そんな彼の眼前に広がった光景は童顔巨乳美少女のあられもない姿。 激しい戦闘の末所々破けてしまっているストッキング。 チラリと白い下着が見える様に捲くれ上がったミニスカート。 そして、先ほど彼を受け止めた豊かな胸。 その周囲の布地はアシュトンの『ハリケーンスラッシュ』やら何やらを受けて白い肌や下着が見え隠れしている。 更に、チェスターは健全な17歳男子である。目を逸らそうとしてもどうしてもチラチラとそれらに目が行ってしまう。 そう、彼は将来的には仲間内から『スケベだいまおう』というありがたい称号を賜る身。 そんな彼の男としての悲しい性がそうさせるのであった。 (イカン鼻血が…) そして、彼は昏倒した。 ただでさえ脇腹に穴が開いて血が足りない状況だというのに、余計なところからも出血してしまったのだから無理も無い。 チェスター・バークライト享年17歳出血多量にて死亡 【チェスター・バークライト死亡】 ○●○●○●○●○●○●○●○● (ここは…?) 俺はやけに眩しい所に寝転がっていた。 起き上がると鼻からツツーっと鼻血が垂れて来るのを感じ取ったので素早く袖で拭った。 (おかしい、さっきまで夜だったのに…。しかもさっきの女の子がいない) 「チェスターさん」 背後から聞き覚えのある声に呼びかけられた。俺は立ち上がって声の主の方に向き直った。 「お久しぶりです。お元気にしてましたか?」 そう言って礼儀正しい一礼と共に優しい笑顔を俺に向けたのは 「ミント? ミントじゃないか!?」 「はい」 そう、目の前にいるのはサラリと流れるような長い金髪と、聖母の様な微笑みを併せ持つ女の子。 どこからどう見てもあのミントだ。 そして、その横には栗色の髪をした小さな女の子が立っている。 その女の子は俺と目が合うと小さな会釈をしてきた。 俺はその会釈の返答として軽く微笑み返した後に、俺の中に湧き出た疑問をミントにぶつけた。 「どうして死んだミントが俺の前に? 待てよ? もしかして、俺死んじまったのか?」 錯乱する俺の質問に首を左右に振るミント。 「いいえ、チェスターさんはまだ生きていますよ。ただ、近くを通りかかるって話を伺ったものですから。一言挨拶を、と思いまして。 それと、どうしてもあなたに会いたいという人を連れてきました」 そう言ってミントは俺の視界から外れるように横に移動した。 ミントの背後に隠れていた人物が俺の目の前に現れた。 見間違うはずも無い。アイツの姿がそこにはあった。 ピンク色の髪をポニーテールに纏め、その髪と同じ色をした瞳でいつも挑みかかるように睨んできたアイツだ。 「アーチェ!」 アーチェに歩み寄る。話したい事がいっぱいあった。沖木島では再会して直ぐクロードに殺されちまったから。 だけど急に現れるものだから何を話せばいいかわからなくなっちまった。 よく見るとアーチェは俯いて小刻みに震えている。 そうかそうか。俺と会えてお前も嬉しいのか。こういうところはやっぱりかわいいなと思ってしまう。 「アーチェ…」 ズドム! 呼びかけながら一歩踏み出した俺の顔面にアーチェの鉄拳が炸裂した。 2HIT! 3HIT! 「何よ! 何よ! ちょっとあの娘がかわいいからってデレデレしてっ!」 4HIT! 5HIT! 6HIT! 「そんなに大きいのがいいのか!? 大きいのがいいのかぁー!!」 7HIT 8HIT! 9HIT! 「このスケベだいまおう! チェスターなんかーっ!」 訳もわからず連打を浴びた俺はグロッキー状態。頭の周りをヒヨコ達がくるくると回っている。 「巨乳の角に頭をぶつけて死んじゃえー!!」 10HIT! アーチェのアッパーカットが俺の顎にクリーンヒット。俺はマットの上に沈んだ。 「しばらくこっち来んな! 行こっ! すずちゃん! ミント!」 アーチェはそう叫び踵を返すと、ミントの傍らにいた少女を伴って光の中へと消えていった。 「あっ! 待って下さいアーチェさん。それではチェスターさんごきげんよう。クレスさんとクラースさんにも宜しくお伝え下さい」 (えっ!? ちょっとミント! この扱いは酷くないっすか?) そうして俺は、この眩しい真っ白な世界の中で暗闇へと落ちていった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「ってか、待てアーチェ! 巨乳に角なんてないぞ!!」 アーチェに向けて手を伸ばした俺の手は擬音にしてフニュンといった感触のモノを掴んだ。 【チェスター・バークライト生存確認】 次第に覚醒していく意識。今俺の右手に掴んでいるモノの正体を知覚するのに2秒程かかった。 どうやら俺はさっき助けた女の子に膝枕されている状態な様だ。 そして、伸ばした手は彼女の豊かな胸を下から持ち上げている様な格好になっていた。 「キャアッ!」「うわぁ、ごめん!」 慌ててその場から飛び退く俺。しまった。また急に動いちまったら。 「って、あれ? 傷が塞がっている」 「あの…、うなされていた様ですけど大丈夫ですか?」 胸を抱きかかえ、ちょっと涙目になりつつ上目遣いで俺に尋ねてきた。 (何だこれは? 反則だろ…) 「いや! もう! ホント大丈夫だから。それよりも君が傷を治してくれたのか?」 「はい。これを使って」 そう言って彼女はなにやら複雑な構造をした金属の塊を俺に見せてきた。 「もうエネルギーが切れちゃったから使えないけど、まだ痛みますか?」 傷はもう痛まない。服を捲くって確認してみたが綺麗に傷が塞がっている。 (どういった原理か判らないけど、きっとミントの法術を貯めこんでおける道具かなんかなんだろう。っとそれよりも) 「なぁ、君に聞きたい事があるんだ」 突然まじめな顔になった俺にこの娘も表情を強張らせる。 「君言ったよね。金髪の女の子を殺したって。アシュトンから君を守ったけど、事と次第によっては君を…」 殺す。そう続けようとしたが、どうしてもその続きは声に出せなかった。 命がけで守った娘だからだろうか。それとも、ずっとそばにいる長髪の男を守りながら戦っていた姿を見た所為だろうか。 不思議とこの娘が理由も無くあんな惨い殺し方をする訳が無いという確信があった。 少女は目を伏せポツポツと言葉を紡いでいく。 「多分あなたが言っている女の子は私達との戦いで負った傷が原因で亡くなったんだと思います。 でも、そうするしかなかったんです。でなければ私達は皆あの子に殺されていた…」 「ちょっと待ってくれ! あの女の子に? だって君達はそこの男の人と、 もう一人の金髪の男の人も含めて3人もいるじゃないか! それがあの子一人に?」 「そうだ! クリフさん! あの人はとても強いからきっと大丈夫だとは思うけれど、やっぱり心配。助けに行かなくちゃ」 そう言ってこの女の子は横たわる男を背負おうとして 「キャッ!」 つぶれた。 「おいおい、大丈夫か? 君の体格でそいつをおぶってくなんて無理だ。 それよりもさっきの続きを聞かせてくれ。納得できたら俺も手を貸すから」 男の下敷きになったこの娘を引っ張り出して、服についたホコリを払ってやった。 別にセクハラ目的とかそんなんじゃないんだからな。勘違いすんなよ。 「すみません。ありがとうございます。それでは続きですけれど…」 こうして彼女は自分達と金髪の少女との間に何があったのかを俺に話してくれた。 【D-5/深夜】 【ソフィア・エスティード】[MP残量:10%] [状態:疲労中] [装備:クラップロッド、フェアリィリング、アクアリング、ミュリンの指輪のネックレス@VP2] [道具:ドラゴンオーブ、魔剣グラム@VP、レザードのメモ、荷物一式] [行動方針:ルシファーを打倒。そのためにも仲間を集める] [思考1:レナス@ルーファスを守る] [思考2:クリフと合流する] [思考3:フェイトを探す] [思考4:四回目の放送までには鎌石村に向かい、ブラムスと合流] [思考5:自分の知り合いを探す] [思考6:ブレアに会って、事の詳細を聞きたい] [思考7:レザードを警戒] [思考8:チェスターを信頼] [備考1:ルーファスの遺言からドラゴンオーブが重要なものだと考えています] [備考2:ヒールユニット@SO3を消費しました] 【チェスター・バークライト】[MP残量:50%] [状態:クロードに対する憎悪、肉体的・精神的疲労(中程度)] [装備:光弓シルヴァン・ボウ@VP、矢×15本、パラライチェック@SO2] [道具:チサトのメモ、アーチェのホウキ、レーザーウェポン@SO3、荷物一式] [行動方針:力の無い者を守る(子供最優先)] [思考1:クロードを見つけ出し、絶対に復讐する] [思考2:このままソフィアについて行く] [備考1:チサトのメモにはまだ目を通してません] [備考2:クレスに対して感じていた劣等感や無力感などはソフィアを守り抜けた事で無くなりました] [備考3:スーパーボールを消費しました] [備考4:レーザーウェポンを回収しました] 【レナス・ヴァルキュリア@ルーファス】[MP残量:40%] [状態:ルーファスの身体、気絶、疲労中] [装備:連弓ダブルクロス、矢×27本] [道具:なし] [行動方針:大切な人達と自分の世界に還るために行動する] [思考1:???] [思考2:ルシオの保護] [思考3:ソフィア、クリフ、レザードと共に行動(但しレザードは警戒)] [思考4:四回目の放送までには鎌石村に向かい、ブラムスと合流] [思考5:協力してくれる人物を探す] [思考6:できる限り殺し合いは避ける。ただ相手がゲームに乗っているようなら殺す] [備考1:ルーファスの記憶と技術を少し、引き継いでいます] [備考2:ルーファスの意識はほとんどありません] [備考3:半日以内にレナスの意識で目を覚まします] [現在位置:D-5東部] ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「一体何が起きたっていうんだ?」 E-4を北東方向に突っ切ろうとしていたクロードが、目的地の確認をしようと探知機にスイッチを入れた時だった。 そこに表示されていたのは五つ集まっていた反応の内二つが北西に移動していた。 そしてそれを追う様にして少し離れた位置にあった光点も移動している。 他の三つの光点は位置を変えていない事から何かあった事は明確であった。 それを確認したのが一時間位前の出来事。 そしてD-5に足を踏み入れたので、再確認の為に探知機を起動したクロードは目的地に更なる変化が訪れている事に気が付いた。 「近くに誰かいる?」 目的地としていた三つの反応があった場所には現在二つしか反応が無かった。 そして、おそらくさっきまでその地点にいたと思われる反応が自分の直ぐ近くにあるのだ。 (何があったのかを聞かなくちゃ) 探知機の反応を頼りに周辺を探すクロード。 「この辺りの筈なんだけれど…。うわっ!」 夜の暗闇の所為で足元にあった何かに躓いてしまった。 やけに重たい感触だったのだが、今のは一体なんだろうと振り向いたクロードは驚いた。 「ちょっ!? 君大丈夫? って、アシュトンじゃないか!? しっかりしろアシュトン!」 アシュトンを助け起こし、肩を揺さぶる。 「うっ、クロード?」 目を開けたアシュトンと目が合った。何故倒れていたのか? とか、平瀬村に向かったんじゃないのか? 等の疑問が浮かんだが、 まず最初にクロードはアシュトンの体の変化について尋ねた。 「アシュトン。ギョロとウルルンはどうした?」 二人の名を呼ばれたアシュトンその身を強張らせる。 「…。あいつらが…」 今までクロードが見たことも無い暗い怒りを秘めた表情のアシュトンが先程の戦いで起きた出来事を語り始めた。 「…」 アシュトンの語った内容を聞き終えたクロードは言葉を失った。 「僕行かなくちゃ…」 フラリと立ち上がったアシュトンを慌ててクロードが止める。 「行かなくちゃってどこに? そんな体でどうするつもりなんだよ?」 「決まってるじゃないか、二人の敵討ちだよ。僕はあいつらが許せないんだよ。僕から大切な友達を奪っていったあいつらが。 あの時は二人が逃げろって言ったから逃げてきたけどさ、このままだとあいつらがどこかに行ってしまうからね。 少し休んで疲れも取れたから大丈夫だよ」 「アシュトン、君がどれだけ悲しいのかはよくわかるよ。でもね、敵討ちなんかしてもあの二人は生き返らないんだよ」 (そう、ここで死んでしまった皆も…) 「そんな事はわかってるよ! でもあの二人の為に何かして上げられる事がこれ位しかないんだ! だから僕は行くよ。クロードが止めたって無駄だからね」 それを聞いたクロードは少し悲しげな顔をした。 (あの温厚なアシュトンがこんなにも憎しみに囚われてしまうなんて…。 それにねアシュトン。ギョロとウルルンが命がけで守ろうとした君に対して望む事は、敵討ちとかそんな事じゃなくて、 二人はなにがあろうと君に生き抜いて欲しいって思っているんじゃないのかな?) そう口に出そうとしたがクロードはやめておいた。 今の彼にはきっと何を言っても心に届かない。そう判断したのだ。 だから変わりに 「わかった。僕も行くよ。敵討ちを認めることは出来ないけど、そんな危険な連中を野放しにするなんて出来ない」 アシュトンに対して同行を求めた。 こんなにも危うい状態の友人を放っておくなんて事は彼には出来なかったし、 近くにいればアシュトンの無茶を止める事が出来るかもしれないと思ったからだ。 「そう…。じゃあついて来て、こっちだよ」 アシュトンは剣を掴んで虚ろな眼をしながら北の方向へと歩みだした。 クロードも荷物を纏めてアシュトンの後について行く。 これが良くない兆候だとはわかってはいたものの、今のクロードにはどうする事も出来なかった。 【D-5/黎明】 【クロード・C・ケニー】[MP残量:100%] [状態:右肩に裂傷(応急処置済み、大分楽になった)背中に浅い裂傷(応急処置済み)、左脇腹に裂傷(多少回復)] [装備:エターナルスフィア@SO2+エネミー・サーチ@VP、スターガード] [道具:昂魔の鏡@VP、首輪探知機、荷物一式×2(水残り僅か)] [行動方針:仲間を探し集めルシファーを倒す] [思考1:アシュトンと共に行動] [思考2:プリシスを探し、誤解を解いてアシュトンは味方だと分かってもらう。他にもアシュトンを誤解している人間がいたら説得する] [思考3:レザードを倒す、その為の仲間も集めたい] [思考4:ブレア、ロキとも鎌石村で合流] [備考1:昂魔の鏡の効果は、説明書の文字が読めないため知りません] [備考2:アシュトンの説明によりソフィアとチェスターは殺し合いに乗っていると思っています] 【アシュトン・アンカース】[MP残量:60%(最大130%)] [状態:疲労中、激しい怒り、体のところどころに傷・左腕に軽い火傷・右腕打撲・ギョロ、ウルルン消滅] [装備:アヴクール、ルナタブレット、マジックミスト] [道具:無稼働銃、物質透化ユニット、首輪×3、荷物一式×2] [行動方針:第4回放送頃に鎌石村でクロード・プリシスに再会し、プリシスの1番になってからプリシスを優勝させる] [思考1:チェスターとソフィアを殺してギョロとウルルンの仇を討つ] [思考2:プリシスのためになると思う事を最優先で行う] [思考3:ボーマンを利用して首輪を集める] [思考4:プリシスが悲しまないようにクロードが殺人鬼という誤解は解いておきたい] [備考1:ギョロとウルルンを殺された怒りが原因で一時的に思考1しか考えられなくなっています] [思考2:イグニートソード@SO3は破損しました] [現在位置:D-5南西部] 【残り21人+α】 第118話(前編)← 戻る →第119話 前へ キャラ追跡表 次へ 第118話(前編) チェスター 第120話 第118話(前編) ソフィア 第120話 第118話(前編) レナス@ルーファス 第120話 第118話(前編) クロード 第120話 第118話(前編) アシュトン 第120話 第118話(前編) アーチェ 第134話 第118話(前編) ミント 第134話 第118話(前編) すず 第134話
https://w.atwiki.jp/jlcbr/pages/79.html
見よ!塾長は紅く燃えている 「わしが男塾塾長、江田島平八である!!」 「いえ、そのような大きな声を出さなくても聞こえますよ、江田島先生。 むしろ、そんな大声を出せばあたりの人に気付かれ」 「わしが男塾塾長、江田島平八である!!」 「…………はあ」 エリアでいえば、E-5にあたる川の傍の草原。 そこで、2人の男が会話をしていた。 1人は大柄な体躯に、見事なまでに髪のない頭、それでいて精悍な顔つきで立派なひげに和服を着た男。 もう1人は対照的に、端正な顔つきに金髪の優男といった印象の男だった。 大柄な男、江田島平八と青年、玉藻京介が遭遇したのはついさっきのこと。身構えた玉藻に江田島が「わしが男塾塾長、江田島平八である!!」と叫び、 玉藻が唖然としたところに江田島が自分はこのゲームに乗っていないことを申告。互いに自己紹介を始めたところだった。 ……ちなみに、もう江田島は自分の名前を叫んだのだから、さっきの自己紹介は本当は必要なかった、という ツッコミはしてはいけない。ていうかしても無駄だ。 「私は玉藻京介と言います。童守小学校で教育実習生をしています」 「ほう。教育実習生、ということはお主も将来は教師を目指すものか」 「ええ。今は見習いの身ですが、ね。いつか生徒達に学業を教えたいと思っています。 もっとも……それを叶えるためには、まずここを抜け出さなくてはなりませんが」 「うむ」 江田島はこのゲームに乗るつもりは全くない。 確かに人が生死をかけた戦いで自分を磨くということは知っている。 だが、これはそんなものではない。こんなものではそんなことは望めない、いや望んではいけない。 あのワポルという男はただ楽しみたいだけだ。そのような事は赦せない。 それにあの説明の時を見る限り、明らかに学生が何人か見受けられた。 若者は国の宝。その芽を殺し合わせて絶つなど、断じて赦せん! 「とりあえず、まずは人員を集めましょう。私たちだけではどうしようもありません。 私たちのように、このゲームに抵抗する人間はきっといるはず。その人たちと合流、結託。 それから、この首輪を外す方法なりを模索しましょう」 「うむ。それがよかろう。わしが男塾校長江田島平八である!!」 「それはもういいですから…」 玉藻があきれ果てながら、つっこんだ。 しかし、それはどうやらすこし遅かったらしい。 「ねえ。あんた、すっごい大きな声してるね」 声に2人が振り向くと、そこには白い布だけを羽織った銀髪の少年がいた。 「うむ。わしが「君は何者だい?」ある!!」 江田島の声を玉藻が遮り、少年に問う。 少年はすこし不機嫌な顔になった。 「俺が何者か、かー。……それは俺が一番聞きたいことなんだよ。 俺は自分が何者か分からない。脳細胞がずっと変異を続けててさ、どんどん記憶が失われてくんだ。 どこで生まれたのか、本当の名前がなんなのか、本当の性別も、親も分からないんだ」 「……君は何を言ってるんだ?」 玉藻が少年の奇妙な言動にいぶかしげな顔を見せる。少年はそれを無視して続ける。 「俺は自分が何者か知りたい。その為には、他人と自分を比べてみればいいと思うんだ。そうして自分の正体を探すんだ。 そう、他人の……――とさ」 「?今、何と言―」 次の瞬間、少年は玉藻の目の前まで接近していた。 一気に接近してきた。地を蹴って、ほんの刹那の間に。 (なんという、脚力!まずい、対応が…!) 玉藻が後ろに下がろうとするが、少年はそこで腕を振りかぶり、 玉藻に向かってそれが突き出され― 横からの鉄拳でその腕を防がれた。 「え!?」 「ぬおおおおおおおおお!」 鉄拳の持ち主、江田島が少年の伸ばした腕を殴り飛ばし、殴り飛ばされた腕に吊られて少年も吹き飛ばされる。 が、地面に激突するかと思った時、手を地面につくと、バク転のように体を回転させ、見事に着地した。 着地した少年は、驚いた顔で玉藻の前に出た江田島を見る。 「すげえ……今の力、ただの人間とは思えないよ!あんたもネウロみたいな魔人なの?!」 「魔人……?」 玉藻がその言葉に反応するが、少年はそれを意に介さず、江田島だけを見ている。 「俺のスピードにもついてこれたし……気が変わった。そこのお兄さんにしようかと思ったけど、やっぱあんたにするよ」 少年が身をくぐめるのを確認し、江田島も身を構える。 「玉藻よ。下がっておれ」 「……それがよさそうですね」 玉藻が江田島から距離をとる。この戦いに、自分は邪魔になる。そう悟った。 少年は喜悦に顔を歪ませ、言った。 「あんたの中身を、見せてくれ」 少年が地を蹴り、江田島に肉薄し腕を突き出す。明らかに細い腕、だがその力がとてつもないということは 既に江田島は先の拳で把握していた。少年の手は握り締められてはおらず、むしろ開かれている。じゃんけんで言えば、 グーではなくパー。ただし指を立て、掴むイメージのパーだ それに今江田島の目の前でおこる豪速、怪力が備わり、人間に直撃したならば……人間の肉がまるでワニに噛まれた ようにそがれてしまうに違いない。つまり、あれがどこに当たろうが危険だ。あの腕は、まさしく喰らい付くワニの顎も同然! 「ふん!」 その顎を紙一重でかわし、江田島も鉄拳を打ち出す。だが少年は身軽にそれをジャンプでかわし、今度は怪力の腕を振り下ろす。 江田島はそれを正面から拳で迎え撃つ 江田島の正拳と少年の腕が激突する。少年の開かれた指が江田島の拳に突き刺さる。 華奢な細腕とは思えない力。それが江田島の腕に一気に襲い掛かる。 「凄いなあんた!俺にこんなに対抗できた奴、始めてみた! あんたみたいな奴の中身を見れば、俺の中身もわかるかもしれない……なあ、何者なんだよあんた!ネウロみたいな魔人? まあ、後であんたの中身を見れば済む話なんだけどさ!!」 嬉々とした少年がもう片方の腕を空中で江田島に振りかぶる。もう一つのワニの顎が江田島に襲い掛かる。 「わしが何者か、知りたいか……」 「えっ!?」 が、次の瞬間少年の体勢が空中で崩れた。なぜか。 簡単な話。江田島が少年の指の刺さった拳を一気に引いたのだ。 ただ引いただけではない。それはもう恐ろしいまでの速さ。空中で踏ん張るものなどない少年は引っ張られ、 そして江田島に近づかせられる。 「あ、あんた…!まさか、この為に俺の指を……力を抜いてたのか!?」 全力を出して少年をただ吹き飛ばしてしまったらこうはいかない。肉を切らせて骨を絶つ。江田島は少年の力と自分の力が拮抗 するように、腕の力を調整したのだ。最初の手合いで少年の一撃が自分の全力より弱いと察した江田島は、目算でその力を調整、 ぶつかった時に瞬時に微調整をした。 力の調整、それは江田島ほどの男でなければそうそうできない所業である。 結果、少年は江田島に引き寄せられる。その先に待つのは、江田島の片方の鉄拳。 カウンター。こちらに向かう力と逆の力。その2つがぶつかった時、そのダメージは倍増する! 「わしが男塾塾長」 江田島の拳が少年の胴を直撃し 「江田島平八であーーーーーーーーる!!!!」 華奢な少年の体を紙のようにふっ飛ばし、埋まっていた指をも引き剥がし、少年は川の方へと吹っ飛んだ。 50メートルほど吹っ飛んだ少年の体が、無防備に川へと着水した。 やがて大きな水しぶきが上がったのを見て、江田島は安堵する 「あの者……恐ろしい相手であった。だがどうやら精神は童同然。是非わしが正しき道を導いてやりたいところだった……む?」 揺れる水面を見ていた江田島に奇妙なものが見えた 「あれは……何!?」 それはしゃれこうべ。要は、頭蓋骨。それが川の水面をいくつも揺れて動いているのだ。 さっきの少年のもの?いや、それにしては多い。川を漂い流れるいくつもの髑髏。それは果たして地獄のような光景。 百戦錬磨の江田島といえど、気を揺るがさざるを得なかった。 そして、そのわずかな心の隙を……『彼』は見逃さなかった。 「ぐうううう!!」 咄嗟に、地を蹴った江田島。だが、一歩遅かった。その背中を何かが大きく抉った。 江田島はその痛みに耐え、振り向きざまに拳を繰り出すが、彼はそれを軽々とかわした。 江田島の後ろにいた人物、それは当然1人しかいない。 「玉藻……お主……!」 「一気に致命傷を与えるつもりだったのですが……まさか背後の攻撃に気付くとは思いませんでしたよ」 江田島の怒りの視線を受けてなお、さっきまで友好的であった青年、玉藻京介は血の滴る刀、三代鬼徹を平然と構えている。 その表情には不敵な笑みが浮かんでおり、罪の意識はまるで感じられない。 「江田島先生。あなたはどうやら人間の中でもかなり強力な力を持っている方のようだ。 私はこのようなところで死ぬつもりはないのでね。素直に優勝するとしましょう」 「貴様!!」 裏切りに激昂した江田島が玉藻に向かって走り、拳を突き出す。だが、玉藻は先の少年のようにアクロバットではないものの、 身軽にそれでいて華麗にも見えるほどの動きでそれをかわす。 「おや、江田島先生。さっきより拳が鈍っているようですね。やはり背中の傷はそれなりに影響が出たようだ」 「ふん!!」 玉藻の言葉に答えず江田島は蹴りを玉藻に繰り出す。だが、その時背中の傷から痛みが走った。 「ぐ、ぬ…!」 本来の江田島ならば、これくらいの傷はなんてことはない。なにしろマグナムの一撃にすら耐えられる強靭な肉体だ。 だが、ここでは彼の身体能力は著しく弱まっていた。拳の威力。そして体の強靭さ。しかも理由はそれだけではない。 玉藻の使っている三代鬼徹。これは素でも石斧をたやすく切り裂くほどの切れ味があるが、肝心なのはこの刀が『妖刀』である点である。 「足を止めていいのですか?」 「なに?……!?」 すこし後ろに下がった玉藻を見て、江田島の瞳孔が開いた。さっきまでの玉藻とは明らかに違う点があった。 尾だ。玉藻の尻から金色の尾が生えているのだ。 「その尾は……狐か!」 「そう。教えてあげましょう。私は妖狐。古来より人間達に災厄と混乱をもたらしてきた、妖狐・玉藻です」 妖狐。要は、狐の妖怪である。古来より妖狐は400歳を越えると、人化の術を覚え人に化け人に災いをもたらす事を掟としている。 400歳をこえた彼、玉藻もそれに漏れず、完全なる人化の術を完成させるため、立野広の頭蓋骨を求めて童守小学校の教育実習生としてやってきた。 だが、それを鵺野鳴介に阻まれる。 その時の鵺野に興味を抱き、彼に再び術を仕掛けるがそれも突破され、ますます興味を持った。その矢先の出来事がこのゲームだった 先刻、江田島が気をとられた水面の髑髏。あれは、玉藻の仕業だ。妖狐の術の一つ、『幻視の術』。 古来狐は舞い落ちる木の葉で人を化かす、というのはよくある話。だが妖狐の場合は、木の葉だけに留まらない。 動いている物にならばどんな物にでも幻覚を纏わせる事ができる。 さっきの場合、玉藻は少年の着水によって川に起きた波紋。揺れて動くそれに髑髏の幻覚をつけ、江田島を動揺させた。 その隙に、三代鬼徹で切りかかった。さっきのからくりはこんなところだ。 先の鬼徹に話を戻そう。三代鬼徹は妖刀である。それは所持者が不幸にあったという逸話だけでなく、 これの持ち主ロロノア・ゾロが、目に見えない場所に鬼徹があったにもかかわらずそれを感知できたことから、 妖怪でいう妖気的なものが鬼徹にはあると伺える。 ではそれを妖怪であり妖気を操る玉藻が持てばどうなるか。ただでさえ強力な妖刀が、彼の妖気により強化されてもおかしくはない。 妖気により強化された妖刀、制限により弱まった肉体。この2つの要素が超人、江田島平八の背中に深い傷を負わせたのだ。 「鵺野先生を殺すのは残念ですが、私もここで死ぬつもりはない、もとより人間などに殺されるとは思っていない。 故に、私はあなた達を殲滅する。妖狐のプライドの下にね。もちろんあのワポルという男もただでは終わらせませんが」 「……」 「おや、裏切られた怒りで言葉も喋れなくなりましたか。その背中の裂傷で立っていられるとはたいしたものです。 このまま切り殺してもいいのですが、あなたの格闘術が優れているのはすでに把握しました。 ですから……あなたは一気に焼き殺すとしましょう!」 玉藻の尾が動き、摩擦を起こす。するとそこから炎が起こり、玉藻の周りを螺旋状に包んだ。 『妖狐 火輪尾の術』。妖狐は尾をすり合わせる事で炎を起こし、それを自在に操る。 俗に言う狐火と言う奴だ。ただの炎ではなく、霊的な炎であり、それは全てを焼き尽くすという。 「はっ!」 玉藻が江田島に指を向けると、炎が一気に江田島へと向かう。江田島が逃げる間もなく、炎は江田島の体を直撃した。 「ぐっ!!!!」 「ははははははは!悲鳴をあげないとは驚きましたよ。かつて、多くの霊能力者がこの術に敗れ去った。 ……最近唯一1人だけ、この術に耐え切った男がいましたが……彼は霊能力者であり、白衣観音経を使ってやっとだった。 この意味が分かりますか?江田島先生」 江田島の答えを聞くまもなく、江田島に襲い掛かる炎が強くなっていく。 江田島の服は焼け消え、彼の体がどんどん火傷に包まれていく。 「霊能力者ではないあなたにはこの術に耐えるすべなどありえないということです!」 炎のレベルは既に玉藻に言わせれば『道鏡レベル』に上がっている。道鏡とは奈良時代の僧であり、 要するにその彼が耐えられたレベルの炎、ということである。 江田島の体を灼熱が襲う。江田島の体に激痛が走る。 だが、その江田島の口がゆっくりと動いた。 「……玉藻、よ……一つ、問う……」 「!?ば、ばかな!このレベルで喋れる気力があるというのか!」 江田島の体は炎に包まれている。炎は酸素を消費する。江田島はもはや呼吸すら辛い状態のはずなのに、言葉をつむいでいる。 そもそも、常人ならば既に焼け死んでいるほどの炎のはずだ。 「……教育、実習生、というのは……おぬしの、偽りの、姿か……?」 「……ええ。それがどうかしましたか。そのような物、ある生徒の頭蓋骨を得たいが為の仮の姿! 汚らわしい人間どもなど、私にとってはどうでもいい!」 「そう、か……」 それを聞き、江田島の腕がゆっくり動く。 「まだ動けるとは!ですが、これで終わりです、『空海レベル』!!」 炎が更に勢いを増し、平安時代に天台宗を開いたという僧、空海が耐えられた炎にまで温度のレベルが達する。 江田島の体がどんどん焼け焦げていく。 「これで流石に終わりでしょう。あなたは恐ろしい超人でした。ですが、もうここが限界で……!?」 玉藻の言葉が止まった。いや、止まらざるを得なかった。 江田島の鋭い、威圧を伴った眼光が、玉藻を射抜いていたからだ。 (許さぬ、許さぬぞ玉藻京介!) 江田島は憤怒していた。 教師とは、若人を導く者。若人は、国の希望。若人は、国の未来。その若人を導く教師、それは誇りに溢れなければならない。 だからこそ、許せない。 若人を殺す為に、教師を目指す者を騙ったこの男が。 今から若人の命を刈らんとするこの男が! この男にこのまま殺されるわけには行かない。この炎に焼かれるわけには行かない。 「心頭滅却すれば、火もまた涼し!!」 江田島が叫ぶと、まるで炎が江田島の体を避けるようになった。それはまるで伝説に語り継がれるモーゼのよう。 もっともモーゼが割ったのは水であり、今江田島の体を避けて割れているのは炎だが。 「ば、馬鹿な!私の炎が!! な、なぜ……! !?まさか、あなたは……気の使い手!」 江田島平八は霊能力者ではない。 だが、百戦錬磨の戦士であり、闘士である。その過程で、彼は『気』を会得していた。 その『気』が無自覚か、それとも故意にか、霊的な炎から江田島を守っていたのだ。さながらそれは、『気』の鎧。 ……加えるなら、なにしろ彼は大気圏を突入しても平気だった男。恐らくその時もこの『気』が作用したのだろう。 つまり、肉体が弱まってるとはいえ、玉藻の業火には充分堪えることができたのだ。 江田島が構える。それは拳を打ち出す構え。 「っ!だが、例え気を使えたとしても!全身火傷に背中の裂傷!もうあなたは満足に動けないはず! ならば、私が今直接その心臓を貫いてあげましょう!」 江田島が接近してくる前に、玉藻は地を蹴って突進。三代鬼徹で江田島の心臓を貫く事にした。 妖気を伴った鬼徹の剣速と、満身創痍の江田島の拳、速いのは明らかに前者。玉藻はそう判断した。 (そう、人間如きに、霊能力者でもない相手に、この玉藻が破れるはずがない!) その思いとともに、玉藻は江田島に突進する。 玉藻は焦っていた。いや、動揺していたというべきか、無自覚のうちに。 彼の自慢の術が霊能力者でもない相手に破られた。それは彼のプライドをかなり傷つけていた。 ただでさえ鵺野に敗北してから間がない。その傷はかなり深いものだ。 そのプライドの傷による焦り、それが玉藻の正常な思考力を奪った。 江田島の構えが、玉藻の刀がとどくはるか前で突き出される。 「気が狂いましたか江田島先生!そのようなところでは、拳が届きま――」 彼は油断した。焦りから油断した。 江田島の『気』が腕に収束した事に気づかなかった。 いや、気付いたとしても、江田島はそれを放てないと思ったかもしれない。何しろその腕は、 気で防いだとはいえ、かなりの火傷に覆われているのだから。 「若人の、未来……若人の、希望……絶たせは、せぬ!!」 だが、彼は知らなかった。 目の前の男が何者なのか。 何回も聞いていたはずなのに。 彼は、若人を導く者、その頂点にいる男。 若人を導き、若人の成長を見守る男。 そして、若人の希望を守る漢! 「わしが男塾塾長、江田島平八である!!!!」 その叫びと共に放たれた拳、そこから放たれた、更なる拳、気でできたその拳が、接近していた玉藻を直撃した。 「なっ!!ば、馬鹿な、この、私が!!!」 『千歩氣功拳』。その技が、玉藻の体を遥か彼方まで吹き飛ばした。 ***** 「ぐっ……まだ、まだ」 江田島は、自分のデイパックと玉藻のデイパックを拾い上げると、ゆっくりと歩き始めた。 衣服はほとんど残っていない、裸同然。その裸の体には見るのも痛々しい火傷が広がり、背中には大きな裂傷がある。 普通の人間なら死んでいて当然の傷。だが、江田島は歩みを止めない 「我が命……風前の灯、なれど……若人の未来の為ならば!この命、まだまだ燃やしつくそうではないか!」 彼はまだ自分にやるべきことは残っていると思った。あの少年も、玉藻もおそらくまだ死んでいないだろう。 それに、まだまだこのゲームに乗った悪漢はいる、彼の勘がそう言っている。 彼は歩む。満身創痍の体。 けれど、歩む。全ては若人の未来のために。 なぜなら、彼は。 「わしは、男塾塾長、江田島平八である!!」 【E-5 川岸・中央部西側 / 一日目 黎明】 【江田島平八@魁!男塾】 【装備】 なし 【所持品】 支給品一式<江田島>、支給品一式<玉藻、地図以外>、不明支給品1~3<江田島>、不明支給品0~2<玉藻> 【状態】:全身火傷、背中に深い裂傷、全裸 【思考・行動】 1:ゲームに反抗し、若人を守る。 ※ 参戦時期は、後続の書き手に任せます。 ※ 江田島の傷はかなりの重傷です。放っておくと命を落としかねません。 ※ 玉藻京介、銀髪の少年を危険人物として認識しました。 **** 「くっ……まさか、妖狐である私が、2度も人間に敗れる、など……」 玉藻もまた江田島ほどではないが、かなりのダメージを負っていた、なにしろ千歩氣功拳が直撃したのだ。 妖狐といえどただではすまない。 「鵺野鳴介……江田島平八……何故だ、何故、人間はあれほどになっても、あんな力が出せる!」 鵺野鳴介は、傷だらけの体で玉藻に立ち向かってきた。結果、彼は一旦倒された。 火輪尾の術で試した時も、彼は生徒を守り、大きな霊力を出して術を破った。 そして、江田島平八。満身創痍だった彼。普通ならば動けないはずの彼が、その力を発揮して玉藻を撃退した。 「知りたい…あの大いなる力の秘訣が……私があの力を、手に入れる事ができれば!」 彼には元から興味があった。鵺野の力への興味が。脆弱で汚らわしいはずの人間が発揮した力の秘密。 その興味は、先の江田島の力によって更に強まった。 「……すこし、方針を変更しましょうか……どの道、これでは満足に戦えない。 回復を待ちつつ、窮地に陥った人間を観察……そして、あの力の秘密を見つけ出す! その後、人間の殺戮を始めましょう」 デイパックは失ったが、地図だけは携帯していたのが幸いだった。それを広げ、潜伏する場所を探す。 「ここから近い場所は……あのビル街でしょうか」 地図で見れば南のほうに、肉眼では左の方に確認できる大きなビル街。 その中でも、二つのビルがくっついているように見える建物が気になった。 「都庁に似ていますが……あのような場所なら、監視カメラなども完備しているはず。 それを掌握できれば、人間の観察も容易になる。それに、高い場所なら眼下で起こった事も見渡せる……」 玉藻は立ち上がると、ゆっくり歩み始めた。 玉藻は気付かない 2人の共通項は『教師』 そして、2人の力の源もまた、近しいものであることに 【E-3 橋の袂 / 一日目 黎明】 【玉藻京介@地獄先生ぬ~べ~】 【装備】 三代鬼徹@ONE PIECE 【所持品】 地図 【状態】:全身への痛み 【思考・行動】 1:都庁に似た建物に潜伏し、窮地に陥った人間を観察。人間の力の秘密を得る。 2:力の秘密を得た後は、人間の殺戮を開始、優勝を目指す。 ※ 参戦時期は、ぬーべーを火輪尾の術で試した直後です。 ※ 首さすまたがなく、自分の髑髏を取り出せないため妖狐本来の姿にはなれません なるには、首さすまたが必要です。 *** 時は僅かに遡る。 「あー、いったー。あのおじさん、本当凄いや。肋骨を折られるなんてネウロ以来だよ」 川、江田島たちのいるところの対岸、そこにさっきの少年、自身の世界で怪盗サイと呼ばれる者はいた。 先の江田島の鉄拳で川にたたき付けられたサイは、激しい痛みに耐えて水中を泳いだ。そして対岸までいき、切り立った崖のようになっている川岸を 痛みに耐えつつ、その怪力で強引によじ登り、崖からあがった後、今陸地をゆっくり歩いているところだった。 ちなみに、江田島たちがそれに気付かなかったのは、川の幅が広く対岸が遠かった事、まだ辺りが暗かった事、何より本人たちがそれどころではなかった事、が起因している。 「にしても、いつもより体が脆い気がするよ……いや、力も弱まってるし、今も回復が遅いなあ。 それでも、もう動けるくらいには治ってるんだけどさ」 ずぶぬれで歩きながらサイは考える。自分の身に起こっていることを。 サイにはいくつか普通の人間と違う点がある。 まず驚異の身体能力と怪力。それはさっき、江田島平八と渡り合ったところから察せられる。 本来なら人間の頭、体を一発で完全破砕できる。 それで、弱まっていてなお、江田島を恐れさせる威力が出る。 次に驚異的回復能力。その自己回復の速さたるや、銃で両足を打ち抜かれても、すぐ後には二階の窓から楽々と逃亡をはたし、 頭を銃でうたれても、腹をナイフで刺されても死なない。サイの身体はそれほどにまで強靭。だが、それもここでは弱まっている。 それでも常人に比べれば回復は速いのだが。 「デイパックの口ちゃんと閉めといてよかったよ。水が入ったら大変だしね……ん?」 呟きながら歩いていたサイは、前方にあるものに気付いた。 桜。綺麗に咲き誇る桜。辺りに花びらが舞い地面を覆い尽くすほど散っている。さながら桜色な絨毯のよう。 その絨毯の上で、少女が一人死んでいた。 一目で死んでいると判断したサイは別に驚きも悲しみもせず、桜の花びらに既にいくらか覆われた、 どこか幻想的なその死体に近づき、その死体をまじまじと見つめた。 「普通の女の子っぽいけど、でもあのおじさんみたいに実は凄いのかも。 ……ま、『見れば』わかるか」 そう言って、サイは腕を振りかぶり、躊躇いなくその豪速の腕を少女に振り下ろした。 もちろん、相手への言葉を忘れずに。 「あんたの中身を見せてくれ」 ***** ボキンメキメキブシャベキピチャ パキンメリメリメリップチュッズパッポキッ ボキ バキン グシャッ ***** 「ちぇっ、結局普通の女の子だった。がっかりだなー」 ミシ ミシ メキ 「やっぱり頭を一発か。顔見知りか、あの子がよほど油断してたのか」 ミシ ミシ メキ 「俺みたいに速い奴かも。俺だって額に銃を押し付けるくらいできるし」 ミシ ミシ メキ 「火傷があったからまちがいないよね。ま、俺には関係ないし」 ミシ ミシ メキ 「ここにいるのって、結構凄い連中ばかりな気がする。そいつらの中身を観察すれば、俺の中身もわかるかも知れない」 ミシ ミシ メキ 「さて、こんな感じかな?」 桜の木の麓、そこに少女が一人立っていた。 黒髪のショートカットに髪留め、愛らしい顔立ちに小柄な体駆。 それは、ここで死んでいた少女、西蓮寺春菜と瓜二つだった。ただし服だけは違う。ピンクを基調としたピンク色の女子高生制服。 童実野高校という学校の女子用制服だった。 「俺の支給品にこれが入っていたのはラッキーだったなー。あー、あー。…声帯の感じから声はこんなものかな」 春菜の姿をしたそれは、彼女によく似た声を出し、そして先ほどまでここにいたサイと同じ口調で話した。 これがサイの特徴の一つ、変装能力。いや、むしろ変形能力と言った方が妥当かもしれない。 サイは細胞の変化が著しい。先にサイが脳細胞の変化を言っていたが、それが一端。細胞は常に変化を続けている。 更に、サイはその変化の方向性を変えることができる。それにより、自身の姿を自在に変えられる。時には140cmの老婆になったことも、 果てには犬にまでサイは変化した事がある。 怪盗サイ。それが彼の呼び名である。ただ、これは略称であり本来の呼び名は、 『怪物強盗X・I』 サイの犯行は誰にも見られない。誰もその姿を目撃できない。陰も形も捉えられない。 正体が分からない、サイの姿は『未知』である。ゆえに『X』。 姿が見えない、サイは『不可視』である。ゆえに『Invidible』、頭文字は『I』。 それを率直に並べて『XI』。続けて読んで、『サイ』。それが、サイの呼び名の語源。 その理由がこの変形能力。誰にでもなれる。だから誰も目撃できない。ただそれだけ。 「口調は、まあ、その辺の女子高生のを見習おうかな。知り合いにあったら、無口でいようっと。 それに、そうすれば相手の反応で本来の性格、口調が把握できるし」 サイはしばらくはこの春菜の姿でいる事にした。 理由は、このゲームの攪乱だ。サイは、他人の中身が見たい。中身を見る事で自分の中身を見つけたい。 ここにいるのはそれにふさわしい人員ばかりかもしれない。 かといって、全員自分の手で殺したい、というわけではない。別に彼は中身が見れればいいので、死んでいても問題はない。 木っ端微塵でもない限り。となれば、ここにいる者をできるだけ混乱させれば、殺し合いは促進するはずだ。 「それには俺のこの能力は向いてる。なにせ、濡れ衣なんてお手の物だし。着せたい奴に化けて誰か殺せばいい。 それに……俺にはアレもあるし」 サイがここに来る直前、その身に取り込んだものがある。 電子ドラッグ。ある教授が作り出したそのプログラム、それは映像プログラム。だが、その視覚情報は人間の脳に多大な影響を与える。 脳内麻薬の大量分泌。それによる身体能力の著しい向上。 そして一番の効果、それは人間の深層心理の犯罪願望を開放する事だ。 たとえ犯罪者の素質がなく、良心的な人間だったとしても、そのプログラムを見せられたならば、誰でも持っているような願望が特化され、 犯罪願望となる。 人は誰でも理性を持つ。電子ドラッグは、犯罪を抑えるその理性を完全に消し去ってしまう。そんな悪魔のプログラム。 それをサイは脳内に持っている。そしてそれを、他人に見せて暴走させる事ができる。 それには目を合わせてかなり相手に近づく必要があるのだが。 これを使えば、たとえやる気のない人物でも、暴れさせる事ができる。サイはそう考えた。変身能力と電子ドラッグ。 この2つを使い分け、殺人者を増やしていこう。そしてそれで増えた死体の中身を、自分が見る。 生来、面倒くさがりなところがあるサイはそう決めた。 そう考え、サイは立ち上がり、桜の下を去る。と、足を止めて振り返った。そして笑顔で言う 「せっかく中身を見せてもらったし、サービスであんたの姿を借りさせてもらったよ 名前も知らないけど……ありがと。じゃあね」 そう言って、前を向くと、今度こそその場から去った。 後に残されたのは、桜色の絨毯と、その上に乗る……『箱』。 それは確かに『箱』だった。立法系の形に、さっきまでサイが来ていた布が包んでいる。一体それは何か。 サイの支給品か?いや、違う。 最後に、サイの犯行について記述しよう。 強盗、と呼ばれるからには何か盗み、怪盗と呼ばれるからには高価な美術品などを狙うと思うだろう。 確かにサイは芸術品を盗む。だが、それだけではない。芸術品が盗まれたところから、さらに1人、 人間が消えるのだ。 それだけではない。後日、その現場にあるものが届く。それが『赤い箱』。 ガラス張りで立方体のそれは、赤いとしか言いようがなく、ただただ赤い。 一体、それはなんなのか……ヒントは、その箱の重量。 その箱の重量は、ガラスを除けば攫われた人間とほぼ同じ。 更にヒントを言えば、細胞のDNAも完全一致する。 ここまで言えば、もう言うまでもない。 届く箱とは、攫われた人間そのものであり、人間がサイにより破砕され、箱に圧縮され成り果てた姿なのだ サイは人間の中身を見たい。余すところなく見たい。だから箱を作る。上下左右前後から見れる『箱』。 その為にサイは人を『箱』にする。 これがサイの犯行の全容である。 花びらが、箱になりはて、布に覆われた『西蓮寺春菜』の上に積もっていく。 たとえ知り合いがそれを見つけても、彼女と気づく事は、まずないだろう。 花びらは、それを哀れむかのように、まだまだ舞い散っていた。 【E-5 桜の木の下 / 一日目 黎明】 【XI@魔人探偵脳噛ネウロ】 【装備】 童実野高校の女子制服@遊戯王 春菜の髪留め 【所持品】 支給品一式 不明支給品(0~2) 【状態】:西蓮寺春菜の姿 肋骨損傷(数時間で回復可能) 【思考・行動】 1:この会場の奴らの『中身』を見て、自分の『中身』を見つける。 2:変身能力で混乱を起こす。できれば集団。自力での襲撃も行動範囲内。 ※ 参戦時期は、HALⅡからHALの目を得た直後です 故に、電子ドラッグを使う事ができます。本来はサイの指令を刻み込む、つまり支配下に置くこともできますが、 制限によりその力は使えず、また効果もそれほど大きくなく、 「犯罪への禁忌感を減らす」、要は相手を犯罪に走らせやすくする程度です。 サイはまだその制限を自覚していません。 ※ ワポルが定期放送で死亡者の発表について触れなかった為、死亡者発表については知りません。 ※ 春菜の名前を知りません ※ 江田島平八を『凄い奴』と認識。 ※E-5に、サイが着ていた布と、箱状に圧縮された春菜の肉塊が放置されています 024 小さな勇士 投下順 026 恐るべき妖刀 023 聞く耳持ちません 時間順 026 恐るべき妖刀 初登場 江田島平八 初登場 玉藻京介 初登場 XI 029 想い人
https://w.atwiki.jp/talesrowa/pages/402.html
落陽に帰り道は見えるのか 崩壊した村をすさまじい速度で駆ける影が1つ。 音速の貴公子こと漆黒の翼のリーダー、グリッドは中央地区へ向かうべく、自慢の足で走り抜けていた。 背にはメルディを負ぶさっている。腕が1本しかないため、残った手を彼女の臀部にあて、 彼女には服をぎゅっと掴んでもらうことで何とか背負うということが成立していた。 恐らくキールがこの事実を耳にしたら、グリッドは半殺しにされるか、もしくは本当にあの世行きになるだろう。 しかし、メルディの体勢はそれでも時折不安定になり、グリッドの速さもあってか、彼女は常に強く服を握っていた。 彼女の肩にポジションを取るクィッキーも、重傷であるにも関わらず必死にしがみついている。 天使となって感覚を失ってしまったグリッドがこのことに気付くのは、走ってしばらく後のことである。 ちらりを後ろを振り返ると、懸命にしがみつく彼女とクィッキーの姿が目に入って、慌てて彼は速度を落とした。 そしてもう1度体勢を直し、今度は少し速度を落として走り出した。 それでも速さだけはごく一般的な成人男性と比べたら相当のものである。 このときばかりは感覚の消失を少しばかり恨めしく思った。 「すまん、メルディ。気を遣えなくて」 「……ダイジョーブ。メルディも走ったら、きっと追いつけないから」 メルディの語調は静かというよりはどことなく暗く、遠回しに背負われている自分の無力さを伝えているようだった。 グリッドは、珍しく彼女にだけはどんな言葉をかければいいのか分からないでいた。 自分の願いというものが、彼女にはあるのだろうか? いつかのヴェイグの話で、元々彼女はとても元気で明るいと聞いた。 だが、今の姿しか知らないグリッドは、塞ぎ込んだ彼女をどうすればいいのかも分からない。 ろくに会話することさえも、メルディはずっとキールに付いていて自分はすぐ洞窟へ向かったのだから、実際今回が初めてのようなものだ。 自分の不甲斐なさに奥歯を噛みしめる。 過程はまるっきり別物であるにしろ、「無自覚に人を殺した」という点では、この2人に共通するものはある。 そしてそれを知った後、陰鬱に塞ぎ込んでしまったという点も共通している。 だが、彼と彼女は違う。似ているようで、ベクトルの向きは全く別物だ。 手段の直接性と間接性も、何に苦しんでいるのかも、自分を取り戻したか否かも――どんな言葉をかければいいのか分からないわけだ。 グリッドは、彼女をどうにかしたいと思いつつ、どう励ませばいいのか分からなかった。 言葉が届くかどうかというよりは、自分が差し挟んでいい問題だと思えなかった。 自分は彼女と感覚を共有できたとしても、戻るための道筋がまるで違う。 方法が違うのだから、アドバイスをしたとしても彼女のためになるとは思えなかったのだ。 それほど彼女の瑕疵は深い。だからといって、簡単に「はいそうですか」と言える人間でも、グリッドはないのだが。 夕闇の弱々しい光が街路を気持ちばかり照らす。 光よりは闇の方が濃くなってきた村では、前方も暗くなりはじめ、視界が悪い。 体温を奪い去っていくような夕方の風も、この闇から生まれてきたのではないかと思える。 荒廃した村では何の違和感もなかった。気分が悪いと、グリッドは心中で吐き捨てた。 「メルディ、マジカルポーチの様子は?」 「何もないな。何も出てこないよ」 「つっまんねーな。こう、ステーキとか景気よく出ないもんかねえ。黄色いケーキだっていいぞ。 ああ……ボルシチか、ビーストミートのポワレでもいいな。こう寒いとあったまるモンがいい」 その言葉にメルディは何も返さなかった。ただぎゅっと服を掴むばかりで、何かにぐっと堪えるようだった。 「……ダメだよ。きっといい結果なんて出ない。メルディの手は汚れてるんだから」 「ほう、その汚れた手で俺を掴んでくれてるとは、ありがたいこった」 彼女は手離そうとしたが、グリッドが速度を上げたため服を掴んでいらざるを得なかった。 「どうなるか分かんねえだろ。どうなるか分かんねえから、色々やるんだろ? 端っから読めてたらつまらんだろ」 グリッドが意気揚々と言う中、彼女は目を逸らすように顔を服に埋めていた。 深い橙色の髪が少しばかり見えるが、その奥で彼は何の疑問の浮かべず、とても輝かしく笑っているのだろう。 それくらいは彼女にも想像することができた。想像でも眩しかった。 この村の塵にまみれ澱んだ空気の方が、まだ自分には合っているのだと彼女は思う。 今も呼吸することさえ辛いが、晴々として澄みきった空気を吸う方が、きっともっと辛いだろうから。 涼やかな大気を吸い込んだときの心地よさが懐かしい。 セレスティアはいつも暗かったけど、インフェリアは空が青くて綺麗だったっけと、彼女の中で痛みに似たものが過ぎった。 その空の下で、あの3人はよく笑っていた気がする。 自分もその笑顔を奪ってしまったのだから、もうそれを見ることは叶わない。 だが、思い出すことはまだできる。瞼の裏に浮かぶ光景を思い出しながら、共に笑うことが――――できなくなるのは、怖い。 彼女が持っていたポーチから何かがぽんと飛び出て彼の後頭部に直撃した。 痛みこそないものの頭が下に向き、視界が激変したおかげで彼は見事につんのめった。 空を舞った何かをキャッチするメルディ。 「ニンジンな」 「っはあ? ニンジン? こう走らされてても、いくら何でも馬じゃねえぞグリッド様は」 1度メルディを降ろし、再度負ぶり直そうとした彼はメルディの方を向いた。 彼女は何故か飛び出してきたニンジンを見つめていた。 「でも、ボルシチの材料だよう」 彼女の言葉にはっとし何かを閃いた彼は、汗も出ない身体で指をぱちりと鳴らした。 「ちょっとずつ、ちょっとずつ、ってことだな」 静けさの支配する場所で、2人の青年が空を見上げていた。 夕焼けの空に時折走る閃光に、空にたなびく飛行機雲。 草葉がそよぐだけの静寂とは裏腹に、音もなく飛び散る火花の激しさは戦闘の激しさを物語っていた。 2人のうちの1人が不安そうな表情を見せる。そして片手に持った懐中時計に目をやる。 時は17時半過ぎ。ともすれば「もう18時か」と呟いても差し支えない時間の頃合だ。 互いが持っている情報を一通り交換していたため、知らぬ間に時間は過ぎ去ってしまっていた。 それからは時折言葉を挟む程度の沈黙が続き、夕方の風が心に冷たさを吹き込ませていた。 青年がタイムリミットという禁忌をを知りながら、時計に意識を伸ばしてしまったのはそのためである。 かの地は18時の放送と同時に封鎖される。 もしその前にエリアを抜けることができなければ、そこに命があるのなら容赦なく終わってしまう。 しかし、未だ終わりの見えない戦闘の気配が、青年の不安を駆り立てる。約束は果たされることなく終わるのかと。 「少しは落ちつけよ、ヴェイグ。お前らしくないぜ?」 傍らに座り込むもう1人の青年が語りかける。 ぽん、とどこからか緑の髪と同じ色の草を取り出して、風来坊がするかのように茎を口にくわえる。 「お前こそ妙に冷静だな、ティトレイ。らしくもない」 正反対の言葉を全く同じように言った。 ティトレイと呼ばれた青年は茎をたばこのように指で挟んで、やれやれといった顔をした。 小さく顔を上げて空に視線を移し、人工的に生まれた星の瞬きを眺めると、ティトレイは表情を真摯なものに変えた。 「あれはカイルの戦いだ、俺たちが口を挟んでいいことじゃない。あいつが俺らの戦いを黙って見ててくれたように」 「だが……」 「お前な、待つって決めたんだろ? 男ならびしっと約束は守れよな。もちろんカイルもだ。 男には、誰にも邪魔されない戦いってのがあるもんだぜ」 諭すかのように指を突きつけてティトレイは言う。 それは単にお前の理論ではないのかと、ヴェイグと呼ばれた男は口を挟みそうになったが、 邪魔をしてはいけないという思いは共通していた。 それでもカイルの行方を不安に思ってしまうのは、もはや彼の性なのか、年上の銀髪の男の宿命なのか。 ――――両足骨折。睾丸破裂。裂傷多数。単純に考えて、戦闘をできる身体ではない。 いくらディムロスがいるとはいえ、今しがた空の向こうで行われているような激しい戦いのやり取りは出来ないはずだ。 ……単純に考えて。 だが、現にカイルはそれをやってのけている。 どれだけの負担ががあるのかは分からないが、ただでは済まないことだけは、遠目に見ている2人にも分かった。 間違いなく、相応の動きに対する代償はある。 ましてやあんな煙さえ上げるほどの機動をカイルとディムロスは見せたことがない。 そして、そこにいるのだろうミトスもそれに応戦している。いや、相手の方が上手だろうか。 どれほど本気を出さねば戻ってこれないのか――戦闘が続いているのを見る限りまだ生きてはいるようだが、 それもいつ、どこまでか、不安になるのも仕方がなかった。 「今のカイルに、ろくに戦える力が残ってると思うか?」 錬術を発動させ、心持を隠すように傷の回復に努めるヴェイグ。 このような自己治癒の術が自分たちにはあるからいいものの、カイルは傷を癒す手段がほとんどない。 ティトレイもまたヴェイグを真似て術を発動させる。 「うーん、カイルのことは詳しく知らねえから何とも言えねえが、 いくら機動力があっても術だけでミトスに対抗するのは相当厳しいと思うぜ」 夕日の赤の中でもしっかりと浮かぶ青いフォルスの光。 その強い輝きは絢爛たるものだったが、反して彼らの心中には陰りが落ちる。 ミトスに関しての情報は、朝方にロイドからも聞いている。 おまけにティトレイは実際にミトスと2度対峙しており、それを踏まえての発言だ。 状況をしっかりと見極め、冷静な判断をした上で効率的な行動に出る。 権謀を謀るデミテルと共にいた青年にとって、この考え方は紛れもなく島に来て学んだ糧だった。 「けど、だからってそれでくたばるタイプでもないだろ、あいつ。やる時はやるし、土壇場で力を出すやつだな。俺もしてやられたし」 だが、同時にこの青年はティトレイ・クロウというヒトだった。 持ち前の前向きさで渦巻く不安を一気に吹き飛ばせる男だった。 ヴェイグは驚いたような目でティトレイを見ると、にかっと歯を見せた笑顔を浮かべていた。 大した面識もないカイルのことを何故こうも断言できるのかと、思わず溜息をつきそうになる。 (土壇場、か。だが、確かに一理ある。リオンの時も、シャーリィの時も、決定的な一撃を与えていたのはあいつだ) けれども、土壇場というのは比較的刹那のもので、長く続けばそれは全くの別物だ。 単なる不利――その一言に落ち着くのである。 そして、今のカイルが不利などという状況に収まれば、間違いなく勝てない。そうヴェイグは思い込んでいた。 要するに、約束は信じるにはとても弱々しいものなのだ。 だが、そういえば「死なないで」という確証の持てない約束をしたのは誰だっただろうかとふと思った。 その誰かはこれまでの死地をくぐり抜けて何とか守ってきた。 思い出して、ヴェイグは苦笑めいたものをこぼす。しかし、それは確かに「笑い」だった。 「そうだな。そう思う」 「だろぉ? そうでなくたって人はギリギリのところでこそ力を発揮するもんなんだよ。例えば、俺とか」 ヴェイグの言葉を聞き、笑いながらヴェイグの背中をばんばんと叩くティトレイ。 普段身に付けている胸甲がない分、叩く強さが負傷した身には少し堪えたが、それも懐かしいものと思えば別段気にはならなかった。 「確かにお前はサウザンドブレイバーの射角を変えていたな」 昨夜のことを思い出し、あの激動の光景を瞼に浮かべる。 目まぐるしく変わっていった情勢を思い返すだけで眩暈がしてくる。そして、罪悪感も。 自分の意識と身体が噛み合わない思考の狭間で、ヴェイグはふと違和感を覚えた。 そして記憶を掘り返し、あの記憶は紛れもなく真実だと確認する。 自分の身にも起きた「それ」を思い出し、やはり間違いないと自分の中で言い聞かせる。 生じた違和感は、疑問から不安へと変化していた。 本来なら「それ」は、ありえないはずなのだから。 否、何故今になって疑問を覚えたのだ。たったさっき、自分はすぐ近くの相手にやってみせたではないか。 「……ティトレイ」 「ん? 何だよ」 ただでさえ低い声が更に低くなり、威圧感を生み出した。 相手の真剣そうな声音を微妙なニュアンスとして受け取ったティトレイは、表情を硬くして相手の方を見返した。 名を呼んだが、ヴェイグは隣の親友の方を見ずにただ前方を見つめていた。 はっとしたような、呆然自失としたような、どこか別のものを視野に存在させているような顔つきだ。 ヴェイグは息を吸うことを思い出したように1つ咳を払い、ティトレイの方を向いてはっきりと言った。 「……俺たちは何故、聖獣の力を使える?」 中央地区へと到着していたグリッドは非常に焦っていた。探しても探しても椅子が見つからないのである。 このままでは四つん這い(正式には3)で人間椅子にされるどころか、言葉で責めて責めて責められて膝を抱えておしまいある。 まあ人間椅子になってもわざと身体をずらしてキールを転げ落とさせるのも面白いかなと思ったが、 それこそ今度は怪我をしたキールのために「歩く人間車椅子」にされそうな予感あらため悪寒がしたので、止めておくことにした。 子供にパパ、パパなどと呼ばれながらするならまだいいものの、誰が一体キールのためにそんなことをするものか。 自分は乗られる側ではなく乗る側なのである。あ、でも子供がキールみたいな奴だったらどうしようか。 とはいえ、そんな悪策あれこれを考えていても、見つからないものは見つからない。 まるで瓦礫の市場のようになってしまった中央広場では、完全な形をした椅子を見つけることすらままならない。 あったとしても脚が焦げてぼろぼろになっていたり、座ったら穴が空いて下半身が埋もれてしまいそうなものばかりである。 広場という性質上、民家がただでさえ少ないのだから、グリッドが焦るのも仕方がなかった。 「あー、俺の人生終わるよコレ。四つん這いなんかになったら羞恥心にTP使ってゲームオーバーだよマジで」 柄にもなくとぼとぼと俯いて呟くグリッド。 彼の様子をじっと見ていたメルディは、とてとてと歩いて傍にあった瓦礫の山に手をかけた。 「メルディ、大丈夫だ! 俺のせいでお前に小さな傷1つでもつけたって知られたら、俺キールに殺されっから!!」 「ロイドやコレットだったら、グリッドがこと手伝うよ、きっと。だから気にしなくていいな」 必死に止めるグリッドをよそに、彼女は手を止めようとしない。 まるで手を動かす理由をこんながらくたの山の中から見つけようとするかのような姿に、彼はメルディの手首を掴んだ。 「ロイドやコレットがするから、お前もするのか? そりゃあ唯のおままごとだろ。 他人がするから自分もする、なんての駄目過ぎるだろ」 その言葉は今のメルディの状態を鑑みれば酷なものだったが、それでも彼は伝えなければならないと思った。 案の定、彼女は黙り込んでしまった。瓦礫にかけた手が強く握られている。 下手すればその僅かな振動でもこの無骨な物質の山は崩れてしまうのではないかと、そう思わせる強さだった。 自分の情けなさを糾弾された恥よりも、あたかもロイドとコレットのことを侮辱されたような気がしたのだと、グリッドは悟った。 確かに彼女の行為は真似めいたものかもしれなかった。だが、それでも2人の心だけは汚されるものではない。 何より、そう思ったメルディの心はばらばらに切り刻んでいいものではないのだ。 手首にかけていた手を離し、彼も民家の残骸に手を伸ばす。 「ま、動かないよりはよっぽどマシか。そうしたい、って思ったのは自分だもんな」 がちゃがちゃと宝物でも見つけようとするようにグリッドは手を動かして山をあさる。 夕日の中、2人並んで大きなゴミを除く光景は何ともおかしかった。 「……メルディ、何がしたいかまだ分からないな」 「んん、俺もよく分かる。何をしても、結局ただのフリじゃないかって気がしてな。だからお前にさっきあんなことを言った。すまん」 「メルディも、フリか?」 「いや、違った。確かにロイドやコレットの真似かもしれないが、そこには確かにメルディの意思があった。 そこが俺とは違った。俺は自分すらなかったから、ただのフリだった」 「……よく分かんないな。メルディと、グリッドは違うか?」 俯くメルディにグリッドはにやりと笑う。 「違うね。そりゃもう190度くらい違う。それだけ自分で決めるってのは重いんだ。それに言ったじゃないか、あいつの傍にいるって」 下卑たいやらしい笑みを浮かべると、メルディの頬にほんのり赤みが差したような気がした。 というのも、単に夕日の光が広がっていたからそう見えたのかもしれなかったからである。 メルディは黙り込んだまま、作業に没頭するように残骸をあさった。それを、手を止めたグリッドは無言で見ていた。 自分が手を動かさずとも、メルディはちゃんと自分の手で探してくれているからだ。 先刻ユアンの記憶を垣間見て、否、混同しかねたことを思い出しながら、グリッドは彼女の後ろ姿に自分を重ねようとしていた。 ――とはいえ、傍から見れば唯のサボリなのだが。 「あ、グリッド。椅子、椅子があったな」 「本当か!?」 積もっていた瓦礫は周囲に散らばり、山があった場所には四本足で背もたれのある椅子が横たわっていた。 椅子の上に残っているがらくたをグリッドが除け、椅子を立たせる。 埋もれてこそいたが、元々頑丈な素材だったのか、これといった損傷はなかった。 脚の長さが合っていないのか、少々がたついてしまうことが唯一惜しかったが、キールも及第点を出してくれるだろう。 思わずにんまりと笑うグリッド。 「上出来だメルディ。頑張ればお天道様はちゃんと見ててくれるってこったな。これで脱・羞恥プレイ!」 グリッドの言葉を理解できていないのか、メルディは高々と腕を掲げるグリッドをきょとんとして見ていた。 そんなことも露知らず、グリッドは椅子を片手で担ぎ上げ、瓦礫のない平らな場所へと置いた。 1度周りを見渡し、まだキールたちが来ていないことを確認して、怪しげな笑みを浮かべる。 「メルディ、ちょっとあっち向いててくれないか?」 彼が指差した方向に、メルディは怪訝に思いながらも振り向く。 グリッドはどこぞの女神の生まれ変わりの少女のような、とても褒められたものではない笑みを上げた。 (ジファイブ市街戦トラップマスターのグリッド様を嘗めるなよォ……? 何なら命かけてこれに電撃流したっていいんだぜェ?) グリッドは手の中で転がしていたそれを、数個椅子の上へと置いた。 この島で4人、共にいた漆黒の翼のなごりが悪い形で発現されようとしていた。 ちなみに、これは古典的でありながらもなかなかの痛みを発させるのだが、 当のターゲットには通じなかったことはまた別の話である。 グリッドは空を見上げ、ある1点に目を移す。 どうみても自然に発したものではない多くの線状の雲が、赤い空を横切るように伸びている。 少なくとも、グリッドの才覚からすればきな臭さを嗅ぎ取るには十分過ぎたものだった。 ヴェイグの問い掛けを聞いたティトレイは面食らったような顔をして、そのまま沈黙してしまった。 どうやら自分が聖獣の力を行使したときのことを思い出しているらしく、腕を組んでうんうんと唸っている。 否定の声をすぐに上げないあたり、ティトレイにも思い当たる節があるのだろう。 確かに、聖獣の力については先程の情報交換でも話題の端にも上がらなかった。 それほど無意識の存在であり、認識の外にある当たり前のものだったのだ。 腕をほどき、口にくわえていた草を指でいじる。既に噛み過ぎて茎の根元はぼろぼろになっていた。 「確か、聖獣って俺たちがユリスを倒した後、カレギアを離れたんだから……使えないはずだよな?」 「そうだ。だが、現にこうして俺は使えている」 矛盾しながらも、確かに存在する事実。 異世界の人間が多く集まるこの世界には自らのあずかり知らないものや知識も多々あったが、 それでも自分たちの世界に関わることでは話が変わってくる。 「俺はあんな状態だったから、正直気にもしなかった……何でだ? 何で、使えるんだ?」 「分からない。……俺はこの島に来て、1度だけ……シャオルーンの声を聞いたような、気がする」 「シャオルーン? まさか、この世界に聖獣が来てるってのかよ?」 ティトレイの突飛な声にも、ヴェイグは首を横に振るばかりだった。 聞こえたというのも意識が朦朧とした時のことで、今は特に聞こえるわけではない。 理由も分からない上、いくら可能性を考えたところで当人たちから明確な答えを聞けないのでは、それらが推論の域を出ることはなかった。 旅を経るごとにうまく操ってきたからか、聖獣の力をこの世界で初めて意識したのは、 混濁した意識の中、ハロルドの手を止めようとしたときだ。 もっとも、あのときはそのまま気絶してしまったため、詳しく覚えてはいない。 その後イ―フォンの闇の力を使うティトレイと遭遇し、やっと明瞭に聖獣の力の存在を認識した。 違和感――というものがなかったわけではないが、状況の難解さがそんな暇を与えず、何より使わざるを得ない理由ができた。 だからこそ、今まで聖獣の力を使用してきたのだ。 ただの、存在は分かっていても、何故かというその理由にまで意識が向かなかっただけの話。 「でも、ま、理由が分からなくても実際使えるなら、それに越したことはねえんじゃないか? リバウンドもあるみたいだし、聖獣の力なのは本当みたいだ」 そんな自分の思考とは正反対に、あっけらかんとティトレイは朗笑を浮かべて言った。 考えても意味がないとでも主張するかのような結論に、深く考えている自分が馬鹿にされているような感覚に陥った。 「本当に頼ってもいいのか? 考え方によっては、得体の知れない……」 「おいおい、その得体の知れない力で俺を元に戻そうとしたヴェイグさんが言うなよ」 思わず押し黙ってしまったヴェイグはそのまま言葉を引っ込めるしかなかった。 確かに、使えるものは使っていった方がいいというティトレイの言説は、こんな状況下に放り込まれたこともあり、理にかなっている。 それでもヴェイグは、問題が解決したからこそ、歯と歯の間に何かが挟まったときのような不良感を覚えていた。 かつてジューダスと共に行動していたときもフォルスのことを聞かれ、更には首輪の解除方法にある程度の目処をつけたようだった。 考えたこともなかったが、もしかしたら自分たちの力は、自分たちが思っている以上に謎を秘めているのかもしれない。 「……けど、そうだな。おっさんは俺の力にかなり興味あったみたいだし。そんなに他の世界のとは違えのか……?」 ヴェイグの考えを読んだように、ティトレイが独り言をこぼす。 「あー、考えても分かりゃしねえ。こういうのは頭いい奴の仕事だよな!」 ふんぞり返って頭を組んだティトレイに、ヴェイグは「そうだな」と一言答えた。 頭のいい奴、と考えキールを連想した。 そうして西の状況と、自分を中央に向かうよう指示したキールに少しの不安を覚えた。 今頃あっちはどうなっているのか、まさか全員クレスに殺されてしまっているのではないか――そんな根拠のない不安ばかりが募った。 本当は、カイルを待つためとはいえここに残っているべきではないのだ。 ティトレイを引き連れて西に向かった方が、ロイドたちの手助けになる。 それにティトレイはクレスと組んでいたのだから、もしかしたら説得も可能かもしれない。 (そうだ、その方がよっぽど合理的じゃないか) ――――それでも自分の足は動こうとしなかった。 死体の山から目を逸らしたいのか、それとも仲間たちを信頼しているからなのか。 何にせよ、自分の身体はどうしようもなく不器用だった。 無事に椅子を設置し終えたグリッドたちは、改めて北地区へと向かっていた。メルディを背負い疾走する。 これまで落とし穴に引っ掛かっていないのは、彼の運がなす技か、それとも落ちる前に穴を通り抜けてしまっているからか。 天使化による強化は破壊的と言えるまでの力を引き出させていたが、肝心の背中の羽はただのお飾りなのか、 風にそよいで悠然としているだけだ。 背中のメルディが触れてみても後天性の羽であるため、簡単にすり抜けてしまう。 「グリッドのはロイドが翼よりちっちゃいんだな」 「甘いなメルディ。俺の翼は目に見えないところにあるんだぜ!」 「ううん、グリッドのはこのサイズな。でも、それでもグリッドは飛べてるよ」 あっさりと言われてしまったグリッドは頭をうなだらせ、本来感じないはずの重さがぐっと増したように感じたが、めげずに走り続けた。 住宅街を駆け、いくつかの倒壊した家屋が現れ始める。 そして村というくくりが終わりそうになり、軒のラインが切れた頃、目の前に見えてきたのは石に腰かける2人の青年―――― 「やあっとグリッド便終了だ。お届け物はモノじゃなく言葉、ってな」 とはいえただの言伝の上にモノもあるんだが、と付け足してから、グリッドは大きく息を吸い込む。 そして思いっきり叫んだ。 不安の影に囚われていた中、グリッドたちの訪問はヴェイグにとって僥倖だった。 腕が1本なくなっていることに驚きもしたが、当人はけろっとした表情で 「あー腕持ってきてヴェイグにくっつけてもらえばよかったかなー」などとのたまうものだから、ヴェイグの心配はあっけなく吹き飛ばされた。 それに、ティトレイが普通に行動を共にしていることに驚いたのは相手も同じだった。 北地区でのことを話すと、グリッドは笑ってうんうんと頷いていた。 そして、その笑顔ががらっと変わって、西ではロイドが死んだことがヴェイグ達に伝えられた。 ロイドたちを見捨ててきたも同然であるヴェイグは、複雑な思いを抱えながらも何も言うことが出来なかった。 自分を支えてくれた仲間の1人だというのに、最期に立ち会うこともなかった。得も言われぬ罪悪感が心中を漂う。 「そんな顔をするんじゃない。ここに来たのはお前の意思だろう。なら、悲しみはしても後悔はするんじゃない」 そう言うグリッドの表情も、眉間に皺が寄せられ、ぐしゃぐしゃになりかけていた。 少なくとも、遠くから守れなかったことよりも、その場にいて仲間を目の前で殺される方が辛い。 その発想に至ってヴェイグは申し訳なさげに俯いた。 「クレス……やっぱりあいつ……」 「クレスは俺とキールのユニゾンアタックで撃破した。……と、ティトレイだったか。1つ話がある」 手早くメルディを降ろし、つかつかと近寄るグリッド。ティトレイが返事の音を作る前に事は終わっていた。 一閃。 まさにそう例えてもおかしくはない左からのストレートが、ごうを音を立ててティトレイの頬をえぐっていた。 不意の攻撃と殴打自体の速さも相まって、ティトレイは受け身を取ることもなく地に転がった。 ヴェイグとメルディも多少なりとも驚いた顔をしていた――とはいえヴェイグはユニゾンアタックについて聞いた時点で驚いていた――が、 何よりも驚いているのはティトレイ自身だった。 「昨日はどうもお世話になりました。あんな超弩級の砲撃に、毒まで喰らわせおって!!」 「い、いや秘奥義はともかく、毒はおっさんがしたことだろ!?」 反論する前にもう一撃。半身を起こしたところで今度は裏拳で反対側に喰らい、両側とも赤くなってしまっている。 一方的な加虐にティトレイも怒気をはらんだ目つきでグリッドを見るが、当人は気にも留めず、目を閉じて鼻から息をもらした。 「……今のはジェイとヴェイグの分だ。2人でこの一発でおしまい」 噛みつかんとまでに膨れ上がっていた怒気が、すっと冷めていったようにヴェイグは思えた。 この言葉に驚愕したのは何もティトレイだけではなく、ヴェイグもその1人だった。 ジェイを死なせてしまったのは誤殺した自分が原因だと考えていたのに、グリッドは遠慮もなくティトレイを殴った。 確かにあの状況を招いたのはティトレイだ。だが、実際問題歩いていただけで、何の手も出していない。 むしろ殺されようとする側だったのだ。ヴェイグからしたら、何故こう非を咎められるのか、訳が分からなかった。 ――いや、もしかしたら。ヴェイグの中で1つの光景が蘇る。 グリッドは、ジェイが死ぬ状況を招いたことを責めているのではないのかもしれない。 それなら単に「ジェイの分」と、自分を含める必要はないのだから。 ティトレイは何も言わず沈黙していたが、殴られた頬に触れた後、ぱんぱんと両手で2回叩いた。 心なしか、左頬の方が赤く腫れている。 「分かってるぜ。俺はもう、嘘はつかないって決めてんだ」 それを聞いて、にやりとグリッドの口角が上がる。 「我らが新生・漆黒の翼はバトルロワイアルに抗う者なら誰でも入団可能である。というわけで! お前は今日から一員だ」 「勝手に決めんなよ! ……でも漆黒の翼ってあれだろ、ギンナルたちのだろ? なら結構楽しそうかもな」 あれを楽しそうと思う感覚がどうかと思うが、とヴェイグは呆れそうにもなったが、それでも気持ちは重苦しいものではなかった。 グリッドのこの才能は以前からもあったような気がするが、どこか違うように思えると、ヴェイグはリーダーを見ながら耽っていた。 「で、お前は何しに来たんだよ?」 「おお、そうだった。収集命令だ、キールが中央に集まれと」 その言葉を聞いても2人の表情はいまいちぱっとしなかった。 カイルのことを既に聞いていたグリッドは片腕でぽりぽりと頭をかいて、弱った様子を見せる。 「まあ、カイルも連れてこいと言っていたからな。分かった、だが必ず5分前には広場に来い。それともう1つ、条件がある」 グリッドはサックから、キールに渡された首輪とメモを取り出す。何も言わず、ヴェイグたちの方へと差し出す。 「……これを、どうしろと?」 「知らん。キールから言われたんだ。詳しくはそれを見ろ。あと、できればお前よりティトレイの方がいいとも言っていた」 「はあ? 何で俺が?」 「だから知らん」 鼻息を荒くし何故自信満々に語るグリッドに、ヴェイグは頭痛を起こしそうになったが、 とりあえず首輪を1つ受け取るとそれはティトレイに渡し、言われた通りにメモを見た。 内容はフォルスに関する記述ばかりで、大抵が以前キールに話したことばかりだ。 首輪と一緒に渡されたものの、首輪の構造などが書かれたメモは一切ない。 少なくとも、キールは首輪の解除方法を求めているわけではないのだろう。 メモの端々に書かれている追記にも、他系統の術との比較など、フォルスの特異性に関しての記述が目立つ。 (ティトレイも以前、ミトスの指示でフォルスによる首輪の爆破を行ったと言っていた。 キールもミトスも、あのデミテルも……やはり、フォルスは何か他とは違うのか……?) 沈黙したままヴェイグは一考する。 先程まで頭のいい人間の仕事だと思っていたことが、その人間から逆に返し手を食らってしまった。 ただ、わざわざあのキールが頼むということは、やはりキールだけでは出来ないことなのだ。 となると、やはり自分たちにしかないものを必要としているということなのか。 北の空に目を移すと、なおも光は絶えていない。むしろ、更に激しさを増しているようだ。 発生した雲や、明らかに一部帯だけにかかっている靄。 カイルとミトスは、互いの全力を出し合ってぶつかっているのだろう。 そうそう終わるものではないと、嬉しいのか悲しいのか分からずにそう思った。 「恐らく、これで俺たちの力を試せということなんだろう。引き受ける」 「そうか、助かる。じゃあ俺たちは……」 「いや、待て」 立ち去ろうとするグリッドを引き止めるが、ヴェイグの視線は彼ではなく、 その後ろで1人クィッキーの傷を看ているメルディへと向けられていた。 ぼんやりと青い毛並みを撫でていた彼女は、その視線に気づいたのか、ゆっくりと陰った瞳を3人の方へと向けた。 ヴェイグの隣にいたティトレイが、少しだけ瞳を大きくする。そのことに気がついたのは誰もいなかった。 「メルディ、こっちに来てほしい」 不思議そうな面持ちをしながら、メルディはクィッキーを肩に乗せて近寄る。 1歩分の距離を空けて立ち止まったが、ヴェイグは小さく手招きをして更に呼んだ。 手を伸ばせば簡単に顔に触れられる距離にまでなり、ヴェイグはティトレイの方に振り向く。 そして、キールに渡されたメモの一文を指差して示す。 『メルディの首輪をフォルスでコーティングしてほしい。変な気は起こすな。下手なことはするな。 ヴェイグなら外側を氷で、ティトレイの場合はヴェイグと同程度でいい。それ以上のことをしたら殺す』 大変物騒な内容である。自分が離れている間に一体何があったのかと疑いたくもなる内容である。 そこまで言うなら頼まなければいいのに、とさえ思ってしまう。 ヴェイグはティトレイの方を見たまま動かない。 「……俺の方がいいって、そういうことかよ。ヴェイグじゃ凍傷とかしちまいそうだもんな」 重たい息をついて、メルディの方へと向き直るティトレイ。 曇り切ってしまった深紫色の瞳は、彼には見るに堪えないものだった。 彼女の表情は鏡に見立てたガラスのようで、いつか見た自分の表情と全く瓜二つだったのだ。 かつての姿を想起させる彼女の姿に、こんな顔をしていたのだと胸が苦しくなる。 何よりも――何故そうなったのかまでは分からずとも――彼女は深い絶望を抱いているのだと分かるのだ。 それだけではあるが、それがどんなに辛く苦しいのかは、ティトレイも分かっている。 「……あんた、俺に似てるな」 聞こえるか聞こえないかの境目くらいの声量でティトレイは言う。 「大丈夫、諦めさえしなければ、絶対何とかなる」 それでも、届かないと思うのは何故なのか。 当然だ、その人にはその人の問題があり、それは自ら乗り越えていかなければならないのだから。 自分にできるのはせめてもの励ましくらいだ。きっと、届きはしないだろう。彼女の目は変わらない。 だが、言うことにこそ意味がある。自分がその証人だと、ティトレイは分かっていた。 フォルスを発動させ、首輪に蔓を巻きつけていく。おまけにティートレーイの花を一輪つけてあげた。 少し息苦しいのではないか、と思ったが、それはメルディの表情には表れなくてうかがい知れなかった。 「こんなもんでいいのか? イマイチよく分かんねえんだけど」 確かに、これが一体どんな影響を及ぼすのか、正直3人には皆目見当もつかなかった。 しかしこれ以上すれば逆にこちらがキールに首を飛ばされてしまう。 ましてや、首輪に手を出すというのは、普通に考えれば度胸のいることなのだ。 下手すれば爆発しかねないものを、何故わざわざ空の首輪ではなくメルディの首輪で確かめたのか、ヴェイグには疑問を禁じ得なかった。 「まあ、これで用件はおしまいだな。再度通告だが、時間までには必ず来い。それ以上は保障できんとのこと」 「……分かっている」 返事を受け取ると、グリッドは再度メルディをおぶり、中央に向かって走り出した。 最後に見たグリッドの表情は、陰りのない不敵な笑顔――だったように思う。 すぐに小さくなっていく後ろ姿を見送りながら、ヴェイグは背に広がる空の向こうのことを考えた。 果たして、時間通りに戻ってくることは出来るのだろうか、と。 さっきまで手に持っていた首輪が、形もないのに急に手の中にあるような気がしてきて、ずしりと更に重くなった。 密接に肌とくっつきそのまま身体の一部となって剥がれなくなってしまうようだった。 時間と、たった1つしかない掛け替えのない代償を自分に伝えてきている。 周りに漂う時間がどんどん遅延していき、手袋の中でゆっくりと汗が流れる。 思考と自分という存在だけが、やけにくっきりと浮かび上がっている。 自分の中で、どこか「大丈夫」だという気持ちがあった。 だが、突如突きつけられた時間という現実は、周りの空を冷たく、渇いたものにしていった。 そして何よりも、犯した罪はなおも自分にこびり付いているのだと、嘲り笑っていった。 グリッドたちの帰っていく最後の姿が目に映る。 今の自分の表情はあいつとは全く違うのだろう、とヴェイグは思った。 カイルは本当に戻ってこれるのか――――自分は、戻れるのだろうか。 遠くから聞こえた爆発音に、ヴェイグは我に返ったように身体を震わせた。 音がした方向を見ると、ティトレイが自前の弓を構えており、その前方には地面が焦げ付いたのだろう小さな跡が残っていた。 視線に気づいたのか、ティトレイは振り返ってヴェイグの方を見た。 「ヴェイグ? どうしたんだよ、ぼーっとしちまって」 まだぼんやりとした表情を浮かべていたのか、ティトレイは驚きと心配が混ざったような面持ちだった。 何も言わず焦げ跡の方を見ると、「ああ」と首を振りながら言い、そのまま言葉を続けた。 「早いとこ、これやっちまった方がいいんじゃねえかと思って。カイルたちがいつ帰ってくるか分かんねえんだから。 にしても意外とこれあっけなく爆発するんだな。俺が前やった時はもっと違ったのに――――」 爆発後を指し示しながら説明するティトレイの言葉も、ヴェイグには残骸としてしか頭に残らなかった。 どうしても、先刻の感覚が心身にこびりついて離れない。 昨夜の海岸で首輪を爆発させたときのことを語っていたティトレイも、親友の異変に勘づいたのか、 いつもは快活明瞭な笑顔を珍しく曇らせた。 「……俺、何となくだけどよ、今だけはお前が考えてること分かるよ」 そう呟いて、ティトレイはグリッドたちが消えていった街路の方へ顔を動かした。 姿はもう消えてしまっているが、網膜に焼きついた残像として、後ろ姿と影の幻が道に浮かび上がる。 「多分、俺も同じことを思ったんだ」 ヴェイグは答えはしない。少なくとも、何か言葉を発してしまったら、 この島に来て自分の中で欠けてしまったものはあるのだと、痛烈に感じてしまうから。 ティトレイも言葉を促すようなことはしなかった。欠落は2人とも同じことが言えた。 近くの岩にティトレイは腰かける。再び草を出して、それで口に鍵を掛けるように口内に差し込んだ。 周囲には夕闇と静寂だけが満ちる。それでも、赤い空に浮かぶ戦いの軌跡は消えそうにない。 帰ってこない空の星々、帰っていく後ろ姿、それらを思い浮かべながら、 2人は懐かしい世界の風景に自分の姿を重ねることがどんな意味を持つのか、浮かんでは消える思いを定めようとしていた。 【グリッド 生存確認】 状態:HP15% TP10% プリムラ・ユアンのサック所持 天使化 心臓喪失 自分が失われることへの不安 左脇腹から胸に掛けて中裂傷 右腹部貫通 左太股貫通 右手小指骨折 左右胸部貫通 右腕損失 習得スキル:『通常攻撃三連』『瞬雷剣』『ライトニング』『サンダーブレード』 『スパークウェブ』『衝破爆雷陣』『天翔雷斬撃』『インディグネイション』 所持品:リーダー用漆黒の翼のバッジ 漆黒の輝石 首輪×3 ジェットブーツ ソーサラーリング@雷属性モード リバヴィウス鉱 マジックミスト 漆黒の翼バッジ×5 基本行動方針:バトルロワイアルを否定する。現状ではキールの方策に従う。 第一行動方針:メルディを連れて中央広場に向かう 第二行動方針:キールにヴェイグたちと首輪のことを説明する 現在位置:C3村北地区→中央広場 【メルディ 生存確認】 状態:TP35% 生への失望?(TP最大値が半減。上級術で廃人化?) 神の罪の意識 キールにサインを教わった 首輪フォルス付加状態 所持品:スカウトオーブ・少ない トレカ カードキー ウグイスブエ BCロッド 双眼鏡 漆黒の翼のバッジ クィッキー(戦闘不可) マジカルポーチ ニンジン 基本行動方針:本当の意味で、ロイドが見たものを知る 第一行動方針:グリッドと共に中央広場に戻る 第二行動方針:キールを独りにしない 現在位置:C3村北地区→中央広場 【ティトレイ=クロウ 生存確認】 状態:HP20%(動くまで回復継続中) TP35% リバウンド克服 放送をまともに聞いていない 背部裂傷 不安 所持品:フィートシンボル メンタルバングル バトルブック(半分燃焼) チンクエディア オーガアクス 短弓(腕に装着) 基本行動方針:罪を受け止め生きる 第一行動方針:カイルの帰還を待つ 第二行動方針:ミントの邪魔をさせない 現在位置:C3村北地区 【ヴェイグ=リュングベル 生存確認】 状態:HP25% TP25% 他人の死への拒絶 リオンのサック所持 刺傷 不安 両腕内出血 背中3箇所裂傷 胸に裂傷 打撲 軽微疲労 左眼失明(眼球破裂、眼窩を布で覆ってます) 胸甲無し 所持品:忍刀桔梗 ミトスの手紙 漆黒の翼のバッジ ナイトメアブーツ ホーリィリング 基本行動方針:罪を受け止め生きる 第一行動方針:カイルの帰還を待つ 第二行動方針:ロイド達の安否が気になる 第三行動方針:カイルに全てを告げる 現在位置:C3村北地区 ※この後、ヴェイグとティトレイは356話のポプラおばさんの話に繋がる形になります。 前 次
https://w.atwiki.jp/aaarowa/pages/504.html
第118話 鎌石村大乱戦 第二幕 ~龍を屠る赤き一撃~(後編) ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ (クソッ、視界がぼやける。腕にも力が入らない。結局俺はこのまま誰一人守り抜く事すら出来ずに死んじまうのか…。 クレス悪い…。あれだけ大口叩いて別れたってのに、アーチェの仇を討つ事も、この娘を守る事も出来なかった…) 思い返せばここ最近の記憶は後悔ばかりだ。 村を守れなかった事。再会したクレス達の足手纏いにしかなれていない事。 ここに来てから起きた分校での出来事。アーチェの死。 そしてこの女の子の事。 (せめてアシュトンだけは止めないと…。俺がこの娘に持ってきちまった災いだからな…。 くそっ、俺に力があれば…。何でもいい。俺に力をくれ。この娘を守れるだけの力をっ!) そう俺は願った。神様なんていないって思っている。それでも祈らずにはいられなかった。 心の底からこの女の子を守りたいとそう思った。その思いを遂げる為強く、強く願った。 そして、その願いが何かを起こした。 先程この女の子のデイパックから転がり落ちていた水晶玉が、俺の足元で赤く眩い光を放っている。 (これは…? あの娘の荷物から出てきた…。一体なんだろう?) 俺はそれに思わず手を伸ばした。触れた途端体に何かが流れ込んで来る。 その瞬間。今まで俺の頭の中にあった微かにしかない、 雲の様に掴み所の無い断片的なイメージが、一つ、また一つと、まるで実体を持つかの様に収束していった。 そう、これは特訓の中で浮かんでいた断片的なイメージ。これを習得できればきっとクレス達の助けになれる。 そう感じ、いつも掴もうとしては霞のように消えていってしまっていたその感覚が、今俺の中に確かに一つの形を成して存在していた。 触れていた水晶玉は光を失い、透明な水晶玉に戻っている。 今の現象が俺に何か影響を及ぼしたのかわからない。 わかる事は唯一つ。俺にはまだこの娘を守れる可能性が残されているという事。 矢を構える。 この技に必要なのは送った闘気が拡散しない様に矢に定着させる事。 そして、それを幾重にも重ね合わせ、ただ一点のみを貫く為に研ぎ澄ます。 そう、どんなに強固な鱗に覆われた龍でさえ、その一撃の下に屠る。 そんな意味を込めたこの技の名前は、 「『屠龍』! ぶちぬけぇええええ!!」 解き放たれた赤き必倒の一撃。 俺の想いの全てを乗せた一筋の光がアシュトンに襲い掛かった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「フギャー!(やばいぞアシュトン! 避けろ!)」 (出来ない。体が重くて思うように動かせない。『トライエース』の反動? 違う、もう呼吸は整えられてるし、さっきまでこんなに体が重いなんて事は無かった) ふと、前を見ると女の子と目が合った。その手に持っている杖が輝きを放っている。 (あの娘の紋章術? 重力操作の?) 「ギャース!(チッ、世話の焼ける宿主だ!)」 「フギャー!(全力で行く、踏ん張れよ!)」 ギョロとウルルンが同時に巨大なブレスを真っ直ぐ向かってくる赤い闘気を纏った矢に浴びせる。 それでもチェスターの放った矢は一向に止まる気配を見せない。二人の吐く炎と氷の渦を受けながらも真っ直ぐに迫ってきている。 体は未だにあの女の子の紋章術で動かせない。だから、せめて二人の応援をしようと彼らを見上げた時、僕は自分の目を疑った。 何故かはわからないけど二人の体が透けてきているのだ。 「二人共もう止めるんだ! このままだと君達が魔力を使い果たして消滅してしまうよ!」 こんな事今まで無かったけど、どう考えても今魔力を使い果たそうとしている事が原因なのは明白だ。 「ギャッ(何寝言を言っている)」 「ギャフッ(お前が死んだらどの道俺達も死ぬんだ。無駄口叩いてないで手伝え)」 「駄目だ、あの娘の紋章術の所為で体が動かないし剣も持ち上げられない」 尚も迫り来る赤い闘気を帯びた矢に懸命にブレスを放ち続ける二人。 それでも勢いを少し落とすのが精一杯。確実に僕らの命を奪おうとそれは迫って来ていた。 「ギャギャ(ウルルン)」 「ギャーフ(そうだな…)」 「どうしたのさ? 二人共?」 僕はいつもと違う雰囲気の声を発する二人に急に嫌な感覚を覚えた。 「ギャッギャギャフン(今まで楽しかったぞ。アシュトン)」 「ちょっと!? ウルルン? 何言ってるの?」 「ギャース(このままでは3人纏めてあの世行きだからな。お前だけでも生きろ、アシュトン)」 「ギョロ!? 何勝手な事を言ってるのさ?」 「ギャフフギャフー(なんだかんだ言って俺たちはお前の事が気に入ってるんだ)」 「ギャッギャー(だから、お前にはもっと生きていて欲しい)」 二人が信じられない事を言っている。僕を生かす為に死のうとしている。 止めなくちゃ、そんな事受け入れられるはずが無い。 「待ってよ! また僕を困らせる様な事を言って! お願いだからたまには言う事を聞いてよっ!」 「ギャー(いいか? これを凌ぎきれたら一旦退け。北西の方角から二人。まだ遠いが近づいてきている)」 「ギャッフ(ボーマンが味方を連れて来たとは考えにくい。『トライエース』を撃った疲労状態でこれ以上の戦闘は危険だ)」 もう二人の姿は目を凝らさなければ視認出来ない程に薄くなっている。 「ギョロ! ウルルン! 話を聞けよっ! 僕達はこれからもずっと3人でっ!」 つい語気が荒くなってしまったけど、二人が思い直してくれるならそんな事構わない。 「ギャフー(生きろよ)」 「ギャース(生きろよ)」 そう言い残し二人は更に吐き出すブレスを巨大にさせた。 僕らに迫る矢は漸く止まり、そして纏わせた闘気を拡散させるように巨大な爆発を起こした。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「これで決まって無ければ…」 もう駄目だ、立っているだけで精一杯だ。血と一緒に残された気力も流れ落ちてるみたいだ。 爆煙の先に人影が蹲っているのが見える。 突如として吹いた夜風が煙を晴らしてくれた。 ぼんやりとした視界で捕らえたアシュトンのシルエットに違和感を覚える。 (何かが違う…。いや、それよりも倒せたのか?) しかし、どうやら俺の願いはさっき叶えて貰った分で受付が終了したらしい。 フラリと立ち上がるその姿が見えた。でもおかしい。さっきより小さく見える。 完全に晴れた視界のおかげで漸くその違和感の正体に気付いた。 背中の龍がいないのだ。 「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」 突然叫び声を上げたアシュトンが続けて、ものすごい形相で俺を睨んできた。 「殺してやる! 次に会った時は必ず殺してやるっ! 二人が受けた苦痛を何倍にして味合わせてから殺してやるからなっ!!」 怨念の様なものを込めながら呟くアシュトンを中心に霧が発生したかと思うと、ややあってから霧が晴れた。 その時にはあいつはこの場から姿を消していた。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ (なんとか追っ払えたみたいだな…) チェスターが張り詰めていた緊張を解いた瞬間、急に膝がガクリと崩れ落ちた。 前のめりに倒れる彼を受け止めたのは硬い地面の感触ではなく、 何か別のやわらかい、擬音で例えるならフニャンといった感触だった。 「だっ、大丈夫ですか?」 意識を失いかけていたチェスターはその呼びかけで瞼を再び開けた。 その彼の目に飛び込んできたのは (特盛りっ!) 何が特盛りなのかは敢えて説明するまでも無い。 「ごっ、ごめん! 大丈夫、大丈…」 慌てて飛び退いたものだからまたしてもグラリときてしまう。 再び倒れようとするチェスターを受け止めようとしたソフィアだったが、 散らばった瓦礫に躓いてしまい、チェスターを支えきる事は出来ず二人仲良く転倒してしまった。 「ホントッ、ごめん。もう大丈夫だから゛!」 意図せずソフィアを押し倒すような形になってしまったチェスター。 そんな彼の眼前に広がった光景は童顔巨乳美少女のあられもない姿。 激しい戦闘の末所々破けてしまっているストッキング。 チラリと白い下着が見える様に捲くれ上がったミニスカート。 そして、先ほど彼を受け止めた豊かな胸。 その周囲の布地はアシュトンの『ハリケーンスラッシュ』やら何やらを受けて白い肌や下着が見え隠れしている。 更に、チェスターは健全な17歳男子である。目を逸らそうとしてもどうしてもチラチラとそれらに目が行ってしまう。 そう、彼は将来的には仲間内から『スケベだいまおう』というありがたい称号を賜る身。 そんな彼の男としての悲しい性がそうさせるのであった。 (イカン鼻血が…) そして、彼は昏倒した。 ただでさえ脇腹に穴が開いて血が足りない状況だというのに、余計なところからも出血してしまったのだから無理も無い。 チェスター・バークライト享年17歳出血多量にて死亡 【チェスター・バークライト死亡】 ○●○●○●○●○●○●○●○● (ここは…?) 俺はやけに眩しい所に寝転がっていた。 起き上がると鼻からツツーっと鼻血が垂れて来るのを感じ取ったので素早く袖で拭った。 (おかしい、さっきまで夜だったのに…。しかもさっきの女の子がいない) 「チェスターさん」 背後から聞き覚えのある声に呼びかけられた。俺は立ち上がって声の主の方に向き直った。 「お久しぶりです。お元気にしてましたか?」 そう言って礼儀正しい一礼と共に優しい笑顔を俺に向けたのは 「ミント? ミントじゃないか!?」 「はい」 そう、目の前にいるのはサラリと流れるような長い金髪と、聖母の様な微笑みを併せ持つ女の子。 どこからどう見てもあのミントだ。 そして、その横には栗色の髪をした小さな女の子が立っている。 その女の子は俺と目が合うと小さな会釈をしてきた。 俺はその会釈の返答として軽く微笑み返した後に、俺の中に湧き出た疑問をミントにぶつけた。 「どうして死んだミントが俺の前に? 待てよ? もしかして、俺死んじまったのか?」 錯乱する俺の質問に首を左右に振るミント。 「いいえ、チェスターさんはまだ生きていますよ。ただ、近くを通りかかるって話を伺ったものですから。一言挨拶を、と思いまして。 それと、どうしてもあなたに会いたいという人を連れてきました」 そう言ってミントは俺の視界から外れるように横に移動した。 ミントの背後に隠れていた人物が俺の目の前に現れた。 見間違うはずも無い。アイツの姿がそこにはあった。 ピンク色の髪をポニーテールに纏め、その髪と同じ色をした瞳でいつも挑みかかるように睨んできたアイツだ。 「アーチェ!」 アーチェに歩み寄る。話したい事がいっぱいあった。沖木島では再会して直ぐクロードに殺されちまったから。 だけど急に現れるものだから何を話せばいいかわからなくなっちまった。 よく見るとアーチェは俯いて小刻みに震えている。 そうかそうか。俺と会えてお前も嬉しいのか。こういうところはやっぱりかわいいなと思ってしまう。 「アーチェ…」 ズドム! 呼びかけながら一歩踏み出した俺の顔面にアーチェの鉄拳が炸裂した。 2HIT! 3HIT! 「何よ! 何よ! ちょっとあの娘がかわいいからってデレデレしてっ!」 4HIT! 5HIT! 6HIT! 「そんなに大きいのがいいのか!? 大きいのがいいのかぁー!!」 7HIT 8HIT! 9HIT! 「このスケベだいまおう! チェスターなんかーっ!」 訳もわからず連打を浴びた俺はグロッキー状態。頭の周りをヒヨコ達がくるくると回っている。 「巨乳の角に頭をぶつけて死んじゃえー!!」 10HIT! アーチェのアッパーカットが俺の顎にクリーンヒット。俺はマットの上に沈んだ。 「しばらくこっち来んな! 行こっ! すずちゃん! ミント!」 アーチェはそう叫び踵を返すと、ミントの傍らにいた少女を伴って光の中へと消えていった。 「あっ! 待って下さいアーチェさん。それではチェスターさんごきげんよう。クレスさんとクラースさんにも宜しくお伝え下さい」 (えっ!? ちょっとミント! この扱いは酷くないっすか?) そうして俺は、この眩しい真っ白な世界の中で暗闇へと落ちていった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「ってか、待てアーチェ! 巨乳に角なんてないぞ!!」 アーチェに向けて手を伸ばした俺の手は擬音にしてフニュンといった感触のモノを掴んだ。 【チェスター・バークライト生存確認】 次第に覚醒していく意識。今俺の右手に掴んでいるモノの正体を知覚するのに2秒程かかった。 どうやら俺はさっき助けた女の子に膝枕されている状態な様だ。 そして、伸ばした手は彼女の豊かな胸を下から持ち上げている様な格好になっていた。 「キャアッ!」「うわぁ、ごめん!」 慌ててその場から飛び退く俺。しまった。また急に動いちまったら。 「って、あれ? 傷が塞がっている」 「あの…、うなされていた様ですけど大丈夫ですか?」 胸を抱きかかえ、ちょっと涙目になりつつ上目遣いで俺に尋ねてきた。 (何だこれは? 反則だろ…) 「いや! もう! ホント大丈夫だから。それよりも君が傷を治してくれたのか?」 「はい。これを使って」 そう言って彼女はなにやら複雑な構造をした金属の塊を俺に見せてきた。 「もうエネルギーが切れちゃったから使えないけど、まだ痛みますか?」 傷はもう痛まない。服を捲くって確認してみたが綺麗に傷が塞がっている。 (どういった原理か判らないけど、きっとミントの法術を貯めこんでおける道具かなんかなんだろう。っとそれよりも) 「なぁ、君に聞きたい事があるんだ」 突然まじめな顔になった俺にこの娘も表情を強張らせる。 「君言ったよね。金髪の女の子を殺したって。アシュトンから君を守ったけど、事と次第によっては君を…」 殺す。そう続けようとしたが、どうしてもその続きは声に出せなかった。 命がけで守った娘だからだろうか。それとも、ずっとそばにいる長髪の男を守りながら戦っていた姿を見た所為だろうか。 不思議とこの娘が理由も無くあんな惨い殺し方をする訳が無いという確信があった。 少女は目を伏せポツポツと言葉を紡いでいく。 「多分あなたが言っている女の子は私達との戦いで負った傷が原因で亡くなったんだと思います。 でも、そうするしかなかったんです。でなければ私達は皆あの子に殺されていた…」 「ちょっと待ってくれ! あの女の子に? だって君達はそこの男の人と、 もう一人の金髪の男の人も含めて3人もいるじゃないか! それがあの子一人に?」 「そうだ! クリフさん! あの人はとても強いからきっと大丈夫だとは思うけれど、やっぱり心配。助けに行かなくちゃ」 そう言ってこの女の子は横たわる男を背負おうとして 「キャッ!」 つぶれた。 「おいおい、大丈夫か? 君の体格でそいつをおぶってくなんて無理だ。 それよりもさっきの続きを聞かせてくれ。納得できたら俺も手を貸すから」 男の下敷きになったこの娘を引っ張り出して、服についたホコリを払ってやった。 別にセクハラ目的とかそんなんじゃないんだからな。勘違いすんなよ。 「すみません。ありがとうございます。それでは続きですけれど…」 こうして彼女は自分達と金髪の少女との間に何があったのかを俺に話してくれた。 【D-5/深夜】 【ソフィア・エスティード】[MP残量:10%] [状態:疲労中] [装備:クラップロッド、フェアリィリング、アクアリング、ミュリンの指輪のネックレス@VP2] [道具:ドラゴンオーブ、魔剣グラム、レザードのメモ、荷物一式] [行動方針:ルシファーを打倒。そのためにも仲間を集める] [思考1:レナス@ルーファスを守る] [思考2:クリフと合流する] [思考3:フェイトを探す] [思考4:四回目の放送までには鎌石村に向かい、ブラムスと合流] [思考5:自分の知り合いを探す] [思考6:ブレアに会って、事の詳細を聞きたい] [思考7:レザードを警戒] [思考8:チェスターを信頼] [備考1:ルーファスの遺言からドラゴンオーブが重要なものだと考えています] [備考2:ヒールユニット@SO3を消費しました] 【チェスター・バークライト】[MP残量:50%] [状態:クロードに対する憎悪、肉体的・精神的疲労(中程度)] [装備:光弓シルヴァン・ボウ@VP、矢×15本、パラライチェック@SO2] [道具:チサトのメモ、アーチェのホウキ、レーザーウェポン@SO3、荷物一式] [行動方針:力の無い者を守る(子供最優先)] [思考1:クロードを見つけ出し、絶対に復讐する] [思考2:このままソフィアについて行く] [備考1:チサトのメモにはまだ目を通してません] [備考2:クレスに対して感じていた劣等感や無力感などはソフィアを守り抜けた事で無くなりました] [備考3:スーパーボールを消費しました] [備考4:レーザーウェポンを回収しました] 【レナス・ヴァルキュリア@ルーファス】[MP残量:40%] [状態:ルーファスの身体、気絶、疲労中] [装備:連弓ダブルクロス、矢×27本] [道具:なし] [行動方針:大切な人達と自分の世界に還るために行動する] [思考1:???] [思考2:ルシオの保護] [思考3:ソフィア、クリフ、レザードと共に行動(但しレザードは警戒)] [思考4:四回目の放送までには鎌石村に向かい、ブラムスと合流] [思考5:協力してくれる人物を探す] [思考6:できる限り殺し合いは避ける。ただ相手がゲームに乗っているようなら殺す] [備考1:ルーファスの記憶と技術を少し、引き継いでいます] [備考2:ルーファスの意識はほとんどありません] [備考3:半日以内にレナスの意識で目を覚まします] [現在位置:D-5東部] ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「一体何が起きたっていうんだ?」 E-4を北東方向に突っ切ろうとしていたクロードが、目的地の確認をしようと探知機にスイッチを入れた時だった。 そこに表示されていたのは六つ集まっていた反応の内二つが北西に移動していた。 そしてそれを追う様にして少し離れた位置にあった光点も移動している。 他の三つの光点は位置を変えていない事から何かあった事は明確であった。 それを確認したのが一時間位前の出来事。 そしてD-5に足を踏み入れたので、再確認の為に探知機を起動したクロードは目的地に更なる変化が訪れている事に気が付いた。 「近くに誰かいる?」 目的地としていた三つの反応があった場所には現在二つしか反応が無かった。 そして、おそらくさっきまでその地点にいたと思われる反応が自分の直ぐ近くにあるのだ。 (何があったのかを聞かなくちゃ) 探知機の反応を頼りに周辺を探すクロード。 「この辺りの筈なんだけれど…。うわっ!」 夜の暗闇の所為で足元にあった何かに躓いてしまった。 やけに重たい感触だったのだが、今のは一体なんだろうと振り向いたクロードは驚いた。 「ちょっ!? 君大丈夫? って、アシュトンじゃないか!? しっかりしろアシュトン!」 アシュトンを助け起こし、肩を揺さぶる。 「うっ、クロード?」 目を開けたアシュトンと目が合った。何故倒れていたのか? とか、平瀬村に向かったんじゃないのか? 等の疑問が浮かんだが、 まず最初にクロードはアシュトンの体の変化について尋ねた。 「アシュトン。ギョロとウルルンはどうした?」 二人の名を呼ばれたアシュトンその身を強張らせる。 「…。あいつらが…」 今までクロードが見たことも無い暗い怒りを秘めた表情のアシュトンが先程の戦いで起きた出来事を語り始めた。 「…」 アシュトンの語った内容を聞き終えたクロードは言葉を失った。 「僕行かなくちゃ…」 フラリと立ち上がったアシュトンを慌ててクロードが止める。 「行かなくちゃってどこに? そんな体でどうするつもりなんだよ?」 「決まってるじゃないか、二人の敵討ちだよ。僕はあいつらが許せないんだよ。僕から大切な友達を奪っていったあいつらが。 あの時は二人が逃げろって言ったから逃げてきたけどさ、このままだとあいつらがどこかに行ってしまうからね。 少し休んで疲れも取れたから大丈夫だよ」 「アシュトン、君がどれだけ悲しいのかはよくわかるよ。でもね、敵討ちなんかしてもあの二人は生き返らないんだよ」 (そう、ここで死んでしまった皆も…) 「そんな事はわかってるよ! でもあの二人の為に何かして上げられる事がこれ位しかないんだ! だから僕は行くよ。クロードが止めたって無駄だからね」 それを聞いたクロードは少し悲しげな顔をした。 (あの温厚なアシュトンがこんなにも憎しみに囚われてしまうなんて…。 それにねアシュトン。ギョロとウルルンが命がけで守ろうとした君に対して望む事は、敵討ちとかそんな事じゃなくて、 二人はなにがあろうと君に生き抜いて欲しいって思っているんじゃないのかな?) そう口に出そうとしたがクロードはやめておいた。 今の彼にはきっと何を言っても心に届かない。そう判断したのだ。 だから変わりに 「わかった。僕も行くよ。敵討ちを認めることは出来ないけど、そんな危険な連中を野放しにするなんて出来ない」 アシュトンに対して同行を求めた。 こんなにも危うい状態の友人を放っておくなんて事は彼には出来なかったし、 近くにいればアシュトンの無茶を止める事が出来るかもしれないと思ったからだ。 「そう…。じゃあついて来て、こっちだよ」 アシュトンは剣を掴んで虚ろな眼をしながら北の方向へと歩みだした。 クロードも荷物を纏めてアシュトンの後について行く。 これが良くない兆候だとはわかってはいたものの、今のクロードにはどうする事も出来なかった。 【D-5/黎明】 【クロード・C・ケニー】[MP残量:100%] [状態:右肩に裂傷(応急処置済み、大分楽になった)背中に浅い裂傷(応急処置済み)、左脇腹に裂傷(多少回復)] [装備:エターナルスフィア@SO2+エネミー・サーチ@VP、スターガード] [道具:昂魔の鏡@VP、首輪探知機、荷物一式×2(水残り僅か)] [行動方針:仲間を探し集めルシファーを倒す] [思考1:アシュトンと共に行動] [思考2:プリシスを探し、誤解を解いてアシュトンは味方だと分かってもらう。他にもアシュトンを誤解している人間がいたら説得する] [思考3:レザードを倒す、その為の仲間も集めたい] [思考4:ブレア、ロキとも鎌石村で合流] [備考1:昂魔の鏡の効果は、説明書の文字が読めないため知りません] [備考2:アシュトンの説明によりソフィアとチェスターは殺し合いに乗っていると思っています] 【アシュトン・アンカース】[MP残量:60%(最大130%)] [状態:疲労中、激しい怒り、体のところどころに傷・左腕に軽い火傷・右腕打撲・ギョロ、ウルルン消滅] [装備:アヴクール、ルナタブレット、マジックミスト] [道具:無稼働銃、物質透化ユニット、首輪×3、荷物一式×2] [行動方針:第4回放送頃に鎌石村でクロード・プリシスに再会し、プリシスの1番になってからプリシスを優勝させる] [思考1:チェスターとソフィアを殺してギョロとウルルンの仇を討つ] [思考2:プリシスのためになると思う事を最優先で行う] [思考3:ボーマンを利用して首輪を集める] [思考4:プリシスが悲しまないようにクロードが殺人鬼という誤解は解いておきたい] [備考1:ギョロとウルルンを殺された怒りが原因で一時的に思考1しか考えられなくなっています] [思考2:イグニートソード@SO3は破損しました] [現在位置:D-5南西部] 第118話← 戻る →|―| 前へ キャラ追跡表 次へ 第118話 チェスター ― 第118話 ソフィア ― 第118話 レナス@ルーファス ― 第118話 クロード ― 第118話 アシュトン ―
https://w.atwiki.jp/giurasu/pages/1498.html
物議をかもしたMH4Gの看板モンスターである飛竜種にして11体目の遷悠種。 解禁はZ2.3アプデ翌週の2018/4/25。 生息地は砂漠と彩の滝。 千刃竜の異名を持ち「刃鱗」と呼ばれる鋭利な鱗を纏う。 自由に空を飛び発達した両脚でキックを繰り出したり刃鱗を飛ばしたりして地上に襲い掛かる。 遷悠にあたっての主な変更点として、 一部の攻撃時に翼が赤く染まりその際にゴゴモアのようなカウンターギミックが搭載されている。 また、裂傷やられは近い効果を持つ出血やられになっており、 HR5の個体があることに伴って止血玉がHR帯でも買えるようになる。 防具はそのままレギオスシリーズ。 自動発動スキルは「見切り+5」となっており、剛撃、一閃を全部位に備え、更にガンナー防具は新スキル「空隙」のSPを備えている。 属性耐性は雷-10<氷-5<0<水<龍<火、とゴアやシャガルの防具のような極端な耐性になっていないため、 遷悠装備のコンセプトである"辿異装備を作るまでの繋ぎ"はもちろんのこと、見切りが出しにくい辿異装備(非不退装備)でも非常に有用となる。 閃転やシジルで会心100%にすることは容易なため、秘伝書効果の会心UPを切って耐性を上げることなどもできる。 武器は既存のもの+穿龍棍であり、無属性。 攻撃力がイビルジョーのものと比較すると若干低いが会心率がいずれも50%、近接武器は匠無しで斬れ味が全て埋まり空ゲージ100を持つ。 遷悠武器では空ゲージが最も長い。 ちなみにCSのセルレギオス武器には巧流スキルに類似するような特殊効果が存在していたが、MHFではオミットされている。 攻略 刃鱗と機動力を生かした多彩な攻撃を持つ。 プレビューサイトでは翼を赤く染めて空中から突進したり、 大量の地面に刺さった刃鱗が爆発したりといった攻撃が紹介されている。 破壊可能部位は頭、翼爪、脚、尻尾(切断)。 翼爪と脚は左右両方破壊しないと成立しないので要注意。 見た目ではわかりやすくなっているので壊れていないほうを狙おう。 脚は打点の高い武器だと狙いにくいので、脚を狙うならば片手剣や双剣等打点の低い武器が良い。 翼爪は破壊すると少し軟化するがHR、G級ともにそれでも硬い。 防具の強化でG級個体の頭と尻尾の部位破壊素材が要求されがちなのできっちり破壊したい。 弱点属性は雷、次いで氷が通り水と龍が僅かに、火が一部位にだけ通る。 このため複属性では風や皇鳴が有効。 Z以降(正確にはGR100~に改定された後に開発されたアマツマガツチ以降)の遷悠種同様、スリップダメージや打ち上げコンボといった強力な攻撃を持たない。 G級では発覚や怒り移行の際に超咆哮を用いるが、万一喰らってもすぐに危険な状況にはならない。 出血やられについてはCSとは違い刃鱗ではなくキックに付与されており、辿異種ティガレックスやヒュジキキに比べ圧倒的に出血やられになりにくい。 この辺りも、辿異種戦の前段階であることを強く意識しているのだろう(勿論止血玉は持っていくべし)。 耐久力はHR、G級ともにやや高めになってはいるが、当該ランクの適正装備であれば十分勝機はある(逆に言うとククボやエントラでは苦戦必至だが)。 同時期から配信されている決意シリーズの武器は、弱点である雷と麻痺の双属性、さらに辿異強化で耳栓強化を持つため非常に相性がいい。 HR5~ フィールドは砂漠でガレオスがいる。 初期位置はエリア2かつBCスタートなのですぐに接敵可能。 暑さ+出血のスリップダメージは馬鹿にならないのでしっかり対策しよう。 弱点は斬が脚>腹、尻尾、打が頭、腹>脚、弾が頭、脚>腹。 また、毒も有効。 体力はアマツマガツチとほぼ同レベル、つまりHRでは最高クラスのタフネスであるが、 厄介な攻撃が殆どないこともあって面倒というほどでもない。 レア素材は反逆鱗。 本体と尻尾の剥ぎ取り、頭の部位破壊報酬、捕獲報酬、落とし物のほか、 G級でもクエスト基本報酬、捕獲報酬、落とし物で出る。 このうち一番確率が高いのはG級の捕獲報酬だが、狩衛戦の交換でも手に入る。 GR100~ フィールドは彩の滝。 初期位置はエリア4、BC→3→4と走ろう。 ガブラスやランポス、ヤオザミなどが居るが、 ガブラスについてはセルレギオスの刃鱗や超咆哮ですぐに無力化される。 砂漠に比べ狭いので位置取りに気をつけたい。 斬が脚>>頭、尻尾、打が頭>腹、脚、弾が脚>頭、腹。 耐久は★2辿異種より少し低い程度で、 毒はHRと比べてダメージ半減、耐性2倍となっているがなおも毒怪奇は有効。 属性は若干効きづらくなっているが吟味して損はない程度の水準はある。 レア素材は鏡玉で、HRでの反逆鱗同様に本体と尻尾の剥ぎ取り、頭の部位破壊報酬、捕獲報酬、落とし物で出る。 遷悠骨が出るが、新規の改G級武器はない。 モーション バックジャンプ刃鱗飛ばし 後に飛びながら放射状に刃鱗を飛ばす。 そのまま滞空し、ゆっくり前方に進んだ場合はすぐ着地、 そうでない場合は滞空からの攻撃に移る。 滞空 ドス古龍達のように滞空したまま刃鱗飛ばし、拘束など複数回攻撃を繰り出し最後にキックで着地する。 怯ませて撃墜すると落し物を落とす。 キック 当たると出血やられとなる。 素早く繰り出すもの、飛び上がってから単発のものと数回繰り出してくるものがある。 使用後は隙ができることがある。 その場刃鱗飛ばし ナルガの棘飛ばしのような飛び道具となっている。 尻尾振り 2回振る。切断前は後方に刃鱗が飛んでくる。 拘束→連続ひっかき 滞空から回り込むように突進、当たると拘束されてしまう。 HRクエの支給品にランダムボールがあるので予想していた人も多いだろう。 刃鱗爆破 地面に刃鱗を突き立てた後、着地と同時に周囲を爆発させる大技。 爆発前の刃鱗に当たると怯みダメージが発生するが、ここで焦ってコロリンしてしまうと爆発に見事に引っかかる。 爆発のタイミングはセルレギオスが着地した瞬間。 きりもみ突進 特定の攻撃のあと、翼を赤く染めながらきりもみ突進をしてくる。 その時がカウンターのチャンスであり、ゴゴモア同様攻撃を当てるだけで成立。 セルレギオスが着地に失敗し、少しの時間ダウンする。 連続で刃鱗を飛ばす攻撃の後すぐさまきりもみ突進してくるため、狙ってカウンターを行うのは少々難しい。 カウンターによるダメージは要検証だが、ダウン時間が短いので回避斬りなどで成功したらラッキー、くらいに考えた方がよさそうだ。 失敗してきりもみ突進に当たると出血やられになるので注意。 刃鱗飛ばし→きりもみ突進(G級) 片方の翼から刃鱗を飛ばした後突撃。 使用頻度は低め。 連続刃鱗飛ばし→きりもみ突進(G級) 左右の翼から刃鱗を飛ばした後突撃してくる。 刃鱗飛ばしから間髪入れず突撃してくるので刃鱗をガードor回避するとカウンターを狙うのは難しい。 回転刃鱗飛ばし→きりもみ突進(G級) その場で1回転するとともに刃鱗を飛ばし、その後ターゲットに対してきりもみ突進してくる。 密着してるともれなく吹き飛ばされるので注意。 こちらは突進まで一拍おくのでカウンターを狙い易い。
https://w.atwiki.jp/revenator/pages/181.html
「あぁ?俺のやることに文句あっか?俺はあの幽霊龍に命取られたダチ公と親の仇を取りに行きてえだけだ!」 「イラつくことばかりだけどぉ、それでもうやるしかねえ。旧支配者だぁ?んなの全部ぶっ潰してやるまでだぜ」 「春花市」に住む九条学園高等部1年、情報学科のヤンキー。白く荒立った髪が特徴。バットを良く持っている。両親を怪事件で亡くしており、父方の祖父祖母の世話になっている。スーパーのバイトをして学費を稼いでいる。 性格は荒く暴走族の集団にタイマンで勝てるほどの力を持つが流石に幽霊はだめだったよう。本当は不器用だが優しい一面を持つ。大人が大嫌いであり、特に自信の面子のために他者を傷つけ切り捨てる奴は問答無用で叩きのめす。 しかし一方で自身を理解してくれた者には忠誠心がとても強いようでハーネイトに対しても時に反論することはあれどそれは彼の体を気遣ってのことであり割と素直に従うほどである。煮え切らない態度に時折いらだつが、それは彼がハーネイトに期待を多く抱いているが故のことである。 幼い時から見えないものが見えており、須佐野という友人に奇妙なドラゴン型の幽霊がとりついたのを見てお払いに行けというが友人はゆうことを聞かなく3日後に事故に巻き込まれた。しかも事故の現場を見ており、なぜ早く助けに行けなかったのかと後悔していた。そして彼は霊という恐怖におびえていた。 それから人形使いの話を聞き、何者かが気になり仲間と共に調べていた矢先ハーネイト達と出会い、自分は今の自分を壊して、乗り越えて、強くなりたいという闘志の炎が再びよみがえる。彼はそうしてハーネイトたちの弟子となったのであった。親を殺され、友を奪われたのは力がなかったせいだ。それを乗り越えるため彼は再び巌鉄たちと共に立ち上がる。 小学生の弟と妹がおり、学費を稼ぐためにバイトをしているがハーネイトの元で探偵見習となったおかげで大量の給与をもらえるようになり何かと世話になっているが、正直彼に言わせると恩人でもあるハーネイトは嫌々戦っているのを無理やり我慢しているだけで見てられない、いつか先公ことハーネイトが戦わずに済むように強くなりてえ、そういった思いが実が一番彼を突き動かしていた。 それは、彼が初めて心底信じられる大人がハーネイトと伯爵だったからである。親を龍に殺された件も含め霊の話を信じてもらえたこと、全ての話を真剣に、決して茶化すこと無く聞いてくれた上で自身のやるべきことを導いてくれたことは彼を大きく成長させ、現霊使いとしても強力な存在になるきっかけであった。 また女体化したハーネイトにかなりドキドキしているようでもある。元々恋愛よりも喧嘩好きであったがどうも変わってきているようで素のハーネイトに対して態度が変わる時がある。 好きな物はバイク、モトクロス、機械の整備でコンピュータにも強い一面がある。これは先輩である巌鉄の影響もあるという。嫌いな物ははっきりしないこと全般とトマトなど赤系の食品。血にトラウマがあるがそれを克服しようと戦いに挑む。 セリフ + ... セリフ1 ったくよ、俺は準備できてるぜ。待たせんじゃねえぞあぁ? セリフ2 ケッ、何で面倒なことに巻き込まれなきゃなんねえんだ セリフ3 全部、俺の力で薙ぎ倒す。邪魔する奴は容赦しねえぞ! セリフ4 ククク、おもしれえなおい!強ええ相手程俺も燃えてくるぜ! セリフ5 まとめて粉みじんに砕いてやらぁ!かかって来やがれ怪物風情が セリフ6 セリフ7 セリフ8 セリフ9 セリフ10 人形使い、ハーネイト。あいつは確かに頼りねえしやべえなと思うがよ、それでも超えねえといけねえ目標だ。それに、あいつに泣き顔も憎しみの表情も似合わねえ、俺が代わりに全部……引き受けてやれるくらいに セリフ11 ったく、とんでもねえ存在がこうもいると感覚がマヒって来やがるぜ セリフ12 好きなこと 嫌いなこと 目標 龍について イベント レベルアップ スキル解放 現霊:素戔皇(スサオウ)/威叉薙(イサナギ) 黒い特攻服姿に赤いバイザーを顔につけた、鬼のようにも見える人型の具現霊。その手には七支刀に酷似した釘バットのような武器が握られている。 真現霊:威叉薙(イサナギ)は白と金の装飾が目立つ番長のようないでたちの現霊。武装も変わり天之瓊旗(あめのぬはた)という旗槍になる。三種の神器も身に着け攻防一体の姿となる。 ちなみにフラッグランスピアの開発に彩音と間城と共に携わっており、旗が変化する武器もこれの影響。 クラス適正 アタッカー シューター シールダー サーチャー アサシン サポーター 見た目と内面の差異に悩まされ、それを気にせず付き合ってくれる友達を救えなかった過去、思い出が強く現霊に反映されている。友達の分まで俺は強くなりたいという決意が無意識の力である幻霊を現霊にかえ、友達の名字から取ったスサオウになる。もう誰も失わせない、奪わせないと決意を固め、現霊を纏い決衣(けつい)として身に宿し彼は主力となる存在になっていく。 セリフ + ... セリフ1 いいぜ、俺はいつでも準備はできてる。あいつらをぶっ倒すためならどこにでも行くぜ セリフ2 俺は、大人たちを信用できねえ。保身に走り、苦しんでいる俺たちを見やしねえ。だがハーネイト、あいつは別だ セリフ3 俺らを率いる大将が、そんな調子じゃ俺たちも不安なんだよ、ああ? セリフ4 いいだろう、やってやるぜ セリフ5 セリフ6 セリフ7 セリフ8 セリフ9 セリフ10 セリフ11 セリフ12 好きなこと 嫌いなこと 目標 龍について イベント レベルアップ スキル解放 Aミッション 主にアタッカークラスとして、汚染されたマスを一気にまとめて消し飛ばしたり、中ボス、エリアボスに対して高い打撃力で攻める典型的なクラス役割を担う。 通常戦闘 単体、全体共に物理技が多く、ステータスと相まって他キャラとは違う次元の火力を見せるが、状態異常などを与える技は少ししかなく、味方への支援スキルはない。自己強化しながら殴り続ける、それが彼の戦い方だ。 ステータス Aミッション:目前マス3×2マス選択 通常攻撃:単体物理属性攻撃×2HIT Lv HP CP 力 霊 速 体 心 運 15 230 200 21 5 8 17 6 14 具現霊戦技一覧 名称 消費CP(%) 習得LV 効果 技説明 一剣破 1 - 単体に物理属性大ダメージ+恐慌 弐天縫 3 - 敵単体に2ヒットする物理+火炎属性大ダメージ 三刃鬼 5 17 全体に1体当たり3HITする物理属性大ダメージ 四壊刃 7 22「 単体に4HITする疾風+物理属性大ダメージ+眩暈・混乱・裂傷 五崩落 12 27 全体に物理属性最大級ダメージ 六衡颪 14 31 全体に疾風+暗黒属性特大ダメージ+複数バステ 七天刃 17 37 全体に一体当たり7HITする物理中ダメージ+猛毒+防御半減 八龍撃 24 45 単体に8HITする物理属性最大級ダメージ+沈黙+DOT10%(3) 九斬衝 27 50 複数体に合計9HITする物理+疾風+暗黒最大級ダメージ 十禍誓 21 50 自身のHPを10%支払い、5ターンの間攻撃・命中・会心・会心ダメージを1.5倍にする 千刃怒濤 無数の剣を召喚し撃ち込む 万閃乃一刃 無数の剣戟を放ち、それを最後に1つにまとめ横薙ぎで切り裂く 天壊乃億腕 無数の殴打を浴びせ、最後に必殺のストレート 阿僧祇ノ神刃 武霊堕威崇斬 零環虚閃斬
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/963.html
63話 焼け付く想いは憂い募らせる 放送を聞いた後も、赤髪のグラマーな女性、稲垣葉月と、 黒狼レックスは相変わらず熱い交わりを続けていた。 最初の6時間で14人の死者が出たという事実には二人も多少は動揺したが、 それだけで、禁止エリアを互いに記録した後は、今までの激しい行為の余波で すっかり空いた腹を満たすために朝食を取り、そして。 「うっ! ハヅキ……!」 「ああっ……! ん……はぁ、はぁ、はぁ、凄い……あれだけ出したのに、 まだこんなに出るんだ……」 「狼は一杯出すんだよ……知らなかった?」 「撮影で狼によく似た狼犬とかシェパードとかとならやった事あるけど、 こんなには出てなかったよ」 「撮影? ああ、ハヅキは女優さんだったんだっけ」 「女優って言っても、AVの、だけどね……あはは」 淫らな行為をしながら、他愛もない会話を交わす女と黒狼。 そして黒狼・レックスが葉月の身体に抱き付き、互いに体温を感じ合う。 「……好きだよハヅキ……愛してる……」 「私もよ、レックス……」 交わりを重ねていく内、二人の間にはいつの間にか恋愛感情が芽生えていた。 お互い――レックスは深層意識内での事だが――この殺し合いという状況下、 いつ襲われるかいつ殺されるか分からない状況下で、傍に居てくれる存在に餓えていた。 孤独に死んでいくのが嫌だったのだ。 だが今は、お互いの温もりを肌で感じ合える。 自分はもう孤独ではないのだという安心感が、いつしか別の特別な感情へと変わっていった。 もはや、葉月はレックスにとって、レックスは葉月にとって、なくてはならない存在になっていた。 行為の後始末を済ませ、衣服を着た葉月は、 レックスと共にリビングに移動し、これからの事について話し合う。 「そろそろ別の場所に移動しない?」 葉月がレックスに身を潜める場所の変更を提案する。 「ん~……別にいいけど、何でまた?」 「だってほら……この家の中、すごい、アレの臭いが、けっこう汚れちゃったし」 「ああ……確かに」 幾度も幾度も交愛を重ね、体液を床と言わず壁と言わず天井と言わず撒き散らした結果、 家の中に濃密な臭いが充満するようになってしまっていた。 レックスは気にはしていなかったようだが、葉月はその臭いを嗅ぎ続けている内、 段々と気分が悪くなり、どこか別の場所に生きたいという思いが強くなっていた。 そんな葉月の気持ちを察したのか、提案を呑んだレックスはテーブルの上に地図を広げる。 「俺達が今いるのって……」 「多分、エリアG-6だと思う」 「北に役場とかあるけど……地図に載っている施設だから人の出入り激しそうだし……。 学校とかもあるんだ。どうする?」 「うーん……ここは思い切って、役場に行ってみようか。 公共施設でプレイするのも悪くなさそうだし、それに……」 葉月は自分のデイパックから、木製銃床の突撃銃――AK-47を取り出す。 「いざという時はこれで戦うつもりだよ」 「でも、扱えるの葉月?」 「……説明書見て使い方は大体分かった、けど、拳銃も触った事ないんだよね、 実を言うと。ましてやこんなアサルトライフルなんて持った事ないし……でも、 これ、子供でも戦闘を可能にしたっていうぐらい扱い簡単らしいから、何とかなると、思うよぉ」 「語尾wwwwどこのじいさんwwwwwま、まあ、俺も一応戦えるよ。 このダマスカスソードと、爪と牙があるからね」 「でも、レックス剣扱えるの? 四足歩行なのに、基本」 「口に咥えればなんとかなるよ」 「そう……それじゃ、役場に行こう」 「分かった」 葉月とレックスはそれぞれ荷物を纏め、玄関へと向かった。 思えば外に出るのは何時間ぶりであろうか。 窓から差し込む日の光はすっかり強くなっていた。 同時刻、銀髪の学生服姿の少女、銀鏖院水晶は、エリアG-7東端付近の道路を、 とある場所に向かって歩いていた。 右手には小型の短機関銃・イングラムM10が握られている。 ある民家でシャワーを浴び、食事を取った後、行動を始めた。 向かう先は、エリアF-6にある島役場。 既に二人の参加者をその手に掛けた彼女は、次なる獲物を求め、 人が集まり易そうな場所へ向かい歩き続ける。 「あの黒狼に犯されたのは……この辺りだったっけ」 見覚えのある風景に、水晶は一旦足を止めた。 そしてとある裏路地に目を向ける。 そこは数時間前に、水晶が突然現れた黒い巨躯の雄の狼に、純潔を奪われた場所だった。 その時の思い出したくもない情景が、嫌でも水晶の脳裏に再生される。 口に獣のいきり立った――を、無理やり押し込まれしゃぶらされた。 ――の先端から溢れ出た、あの濃厚かつ生臭い、白く濁った汁の味は忘れられない。 トラウマ物の記憶が無意識の内に呼び起されるのと同時進行で、 水晶の中の黒狼に対する憎悪も強くなっていく。 「絶対、会ったら殺してやる。あの薄汚い―――をぐちゃぐちゃに踏み潰してやる!」 その瞳に底知れぬ憎しみの炎を宿らせながら、水晶は役場に向けて再び歩み始めた。 【一日目朝方/G-6市街地】 【稲垣葉月@俺オリロワリピーター組】 [状態]:肛門及び直腸裂傷(血は止まり治癒が始まっている)、 レックスに対する特殊な感情 [装備]:AK-47(30/30) [持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、AK-47のリロードマガジン(30×10) [思考]: 0:死にたくない。レックスと一緒にいる。 1:役場に向かう。 2:襲われたらどうする……? ※服を着ました。 ※レックスに対し特殊な感情が芽生え始めているようです。 【レックス@オリキャラ】 [状態]:健康、及び特殊な感情 [装備]:なし [持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、ダマスカスソード [思考]: 0:とりあえず死にたくはない。 1:ハヅキを死なせない。役場に向かう。 2:放送を待つ。 3:最悪の場合(ハヅキが死亡した場合も含む)、自害する。 ※稲垣葉月に対し特殊な感情が芽生え始めているようです。 【一日目朝方/G-7市街地】 【銀鏖院水晶@自作キャラでバトルロワイアル】 [状態]:健康、黒狼(レックス)に対する憎悪、F-6島役場へ移動中 [装備]:イングラムM10(30/30) [持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、S W M19(6/6)、.357マグナム弾(21)、 イングラムM10のリロードマガジン(30×7)、マチェット、モルヒネアンプル(3)、 水と食糧(二人分) [思考]: 0:殺し合いに乗る。優勝を目指す。 1:島役場へ向かう。 2:みんな殺す。とにかく殺す。クラスメイトでも容赦しない。 3:あの黒狼(レックス)は今度会ったら絶対に殺す。 ※本編開始前からの参戦です。 ※須牙襲禅には気付いていません。 Is it hope or despair? 時系列順 曉血殺傷 Is it hope or despair? 投下順 曉血殺傷 夜明けは悪夢の終わりではない 稲垣葉月 WOLF S RAIN 夜明けは悪夢の終わりではない レックス WOLF S RAIN 奇妙なすれ違い 銀鏖院水晶 WOLF S RAIN
https://w.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/501.html
Top 【シェア】みんなで世界を創るスレ【クロス】 異形世界・「異形純情浪漫譚 ハイカラみっくす!」 人と魔≒棒と傘 「やめるっつーなら、今のうちなんだが」 青年はそう言うと面倒そうに一度頭を掻き、棒を構えて見せた。 まぐれとはいえ、エリカ様を一撃で叩き伏せたところを見るにただの棒ではないようだが、 それは「邪の目」とて同じこと。いかに優秀な武器を有していても、所詮使い手が人間で あってはたかが知れている。 もちろんそんな威嚇に屈するはずも無く、露をたたえた芝生の上を静かに一歩、また一歩 と踏み寄るエリカ様。互いの間合いに入るか入らないかのところで一度足を止め、ぽつり と何か一言交わす。それをきっかけにいよいよ戦いが始まるのかと思いきや、エリカ様は 突然踵を返し、私の元へと戻ってらした。 「ふ、服着てくれって!」 言いながらそそくさと着物を抱え、慌てて袖を通し始めるエリカ様。どうやら先程の一撃 で自分が裸であることを忘れていたらしい。 私はそれと分かるように微妙な表情を作って、裸では戦えないのかと詰問してみたのだが 「むりむり」の一点張りで一向に譲る気配がない。 まあどちらにせよ青年を倒せるなら良しと着替えを手伝うも、どうも身体が強ばっている せいで上手くいかない。結局ところどころ裾をはみ出したまま一応それらしく形を成すと、 エリカ様はようやく邪の目を構え、ふたたび青年の方へと戻って行かれた。 その乱れた着こなしと私の切った髪の毛は妙に似合っているように思える。 「――お待たせしましたっ」 紅潮したエリカ様が間合いを踏み抜く。それと同時に青年が棒を抜いた。 ぶん、と風を切る音。高い金属音と白い火花が闇に散る。 打ち合された武器と武器。拮抗する力の軋みを境に、二人の顔が近寄った。 「速いわね、言うだけあるじゃない」 「そっちこそ、やっぱそのへんの奴らとは訳がちげえ……なっ!」 言葉と同時に蹴りを返す青年。しかしエリカ様もそれを見越していたのか、後ろへと跳ね 退く。武器を握り直し、構える二人。 単純な腕力だけならば恐らくは青年の方が上であろう。妖魔といえどエリカ様は馬鹿力を 有するような、そういった類の妖魔ではない。 それでも今一度の打合にて互角なところを見ると、武器においてはやはりこちらが有利か。 雨を凌ぐが如く「力を散らす」邪の目、単純な打撃だけならほぼ全てを無効にできるはず。 青年もそれに気づいてか、怪訝な視線を邪の目に向けた。 「おかしいな、本気で打ったが手応えがねえ」 「この傘は女の子用にできてるのよ」 言いながら笑顔で邪の目の先を軽く振る。と、青年はその動作を見逃さず膠着を破った。 人とは思えぬ速度で距離を詰め、気付いたときには二度目の火花が散る。 続けざま、雄叫びと共に雨のような攻撃を加えてくる青年とは対象的に、華麗にそれらを いなすエリカ様。 こと世事に疎いとはいえ、戦いに関しての身のこなしはさすが蛇の目家当主というところ。 暗いシノダ森を明滅させながら何度も何度も金属音を響かせ、やがて幾十度目にして一際 強い火花が青年の顔を照らした。 攻防の合間をぬって打ち入れていた裂傷により滲む血と汗。しかし未だ不敵な笑みは消え ていない。そのような猪まがいの攻撃を続けていて本気で勝てると思っているのだろうか。 「大分お疲れのようだけど、そろそろ諦めて私を抱いたら?」 青年は応えず唾を吐き、ただ大きく肩を上下させていたが、不意に動きを止めると覚悟を 決めたのか武器を上段に構えた。エリカ様はそれを見てから私に視線をよこし「言っても 聞かないみたい」と言いたげに肩をすくめる。 黙ってエリカ様を抱きさえすれば良いものを、なまじ力があるものだから抵抗するとは 愚か、いや哀れとしか言い様がない。 さすればその死後にでも、エリカ様の身体の中で快楽とともに果てるが良い―― 「でやああああ!」 猛々しい叫びとともに繰り出される渾身のひと振り。当然エリカ様は合わせるように邪の 目を斜めに構え、受ける。 ――と、聞きなれた金属音の中に信じられない音を拾った。 びきん、という鈍い軋み。その音が何なのか私が答えを出すよりも早く、エリカ様本人が 気づいたのだろう、攻撃を受けきらずにそのまま横へと流し、焦燥した顔を上げる。 「そんな……邪の目にヒビを入れるなんて」 「生憎こっちの武器は男の子用なんでね」 青年がにやと口元を曲げる。構え直されたその棒は不思議な青白い光を帯びていた。 こっからが本番だぜ――青年の言葉通り、再び始まった戦いは見た目先ほどと同じような ものではあるのだが、明らかにエリカ様が押されている。 嵐のような猛攻を受け、しかし受けきれずに下がる。守り一辺倒で攻撃を入れる隙もない のか、時折散る火花の中に浮かぶエリカ様の表情からも、既に余裕は消え失せていた。 「どうした、色ボケ姉ちゃん」 迫合の中、余裕を見せ始めた青年が足払いを放つ。 ほんの小技ではあったが、力で押されていたためかエリカ様は見事にそれ受けて転倒して しまった。間をおかず突き下ろされる棒をなんとか避けるも、青白い光がエリカ様の腰を 僅かに掠め、地面を穿つ。 これはどうしたことなのか、青年の持つ棒が光を帯びてから全く形勢は逆転している。 かつて幾匹もの妖魔が人の理を超えた武器によって討たれた例は少なくないが、私の豊富 な学識の中にもあのような棒の資料はなく、ただ目の前で繰り広げられる信じがたい戦局 に胸の鼓動だけが早まっていく。 接近戦は不利。エリカ様も思い至ったのだろうか、黒い翼を広げて上空へと飛び立った。 「あっ!」 しかし、地面ごと貫かれていた袴が下に残ってしまったことはエリカ様にとって予想外で あったらしく、白い足を月光にさらしながら前裾を抑えている。 なんとも情けない主の姿に溜息混じりの苦笑いを作ると、ここで初めて青年と目が合った。 そんな彼もまた同じように苦笑いを浮かべていた。 今この場では敵とはいえ、同じ感情を共有してしまうと中々憎めないものである。 「お前、あいつの使い魔だろ? こりゃあどうしたらいいんだ」 その問いかけに対し、言葉を話すことの出来ない私はなんとか身振り手振りで「そのへん に放っておいてください」といったことを伝えると、青年も頷きながら意図を汲みとって くれたらしく、汚いものでもつまむようにして袴を棒から外し、ぽいと投げ捨てた。 「ちょっと、投げることないじゃない!」 程なくして降りてきたエリカ様に対し、青年は棒を下段に構えると、そのまま地面へ突き 刺す。 「あんたじゃ俺には勝てねえ。悪いがおとなしく去ってくれ」 「あら、まだ分から――」 続きを言いかけたところで、一陣の強い風がエリカ様の衣を吹き上げる。 ひらひらと逃げようとする着物を必死に抑えながらも、淡い桃色の下着だけはエリカ様を 守る唯一の味方であるように見えた。 私と青年は再び顔を見合わせ、苦笑いを通り越した和み笑いをたたえあうより他はない。 「手加減はするが、殺しちまったらすまん」 振り返りざま、青年の口元がそう動いたように見えた。 上へ