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Beautiful Dreamer ~Smile Again ◆DNdG5hiFT6 気付いたら私は草原にいた。 視界いっぱいに広がる鮮やかな緑色の絨毯とどこまでも続く透き通るような青空。 草原を走る風が爽やかな匂いを届けて、ぽかぽかした陽気が体を暖めてくれる。 そんな心地いい世界で、私は草原に背を預けごろんと寝転がっていた。 ふと隣に気配を感じて、首を横に向けるとそこには私と同じように寝転がる“お姉ちゃん”の姿があった。 といっても年の離れた実の姉のゆいお姉ちゃんじゃなくて、私にとってのもう一人の“お姉ちゃん”。 血縁的に言えば従姉で、今は一つ屋根の下で暮らすこなたお姉ちゃんだった。 「やっほー、ゆーちゃん元気ー?」 いつも通りの声で私に笑いかけるお姉ちゃん。 「うん、元気だよ、こなたお姉ちゃん」 信じられないほどに体の調子がいい。 やはり空気のいいところにいると体の調子もいいものなのかな? 「うんうん、そりゃ何よりだよ」 そう言うお姉ちゃんは言葉とは裏腹にニヤニヤと笑みを浮かべている。 こういう場合は大抵かがみおねえちゃんをからかっている時なのでちょっと不安だ。 「それにしてもゆーちゃんがいい人とめぐり合えたみたいで私は安心したよ」 そう言われて脳裏に浮かぶのは顔の左側に大きな傷を負った男の人。 ただでさえ強面で――時々ほんとうに怖い顔になるけれど、私は知っている。 自殺しようとしていた自分を落ち着かせてくれて、行動を一緒にしてくれている優しい人だ。 「うん、Dボゥイさんはいい人だよ」 「そうだね、結構カッコイイし。 でもちょっとそこは意外かな? ゆーちゃんのタイプって純朴そうなのかと思ってたからさー。 まさか男ツンデレを攻略するとは……ゆーちゃん、GJ!」 えええええええええええ! い、“いい人”ってそういう意味!? そ、そうじゃない! Dボゥイさんはそういう相手じゃないよおねーちゃん! 確かに抱きしめられてドキドキしたりもしたけど! その時にちょっと「男の人の匂いってこんな感じなんだ……」とか思ったりもしたけど! 「……まさかゆーちゃんがそこまで進んでたなんて……ショックだよ……」 だから違うよ! 『ホントにショック受けた』って顔で言わないでよ! お、お姉ちゃんこそどうなの! 男の人の影がないって言ってたじゃない! でも、私がそう返すとお姉ちゃんはちょっと困ったような表情で。 「んー、私もいい人たちと出会えたかな。 ただちょっと……リアルLUCが足りなかったみたいでさ、そこで運が尽きちゃったみたい。 もしかしてレバ剣拾ったときに使い果たしちゃったかなー?」 その人たちとケンカでもしたのだろうか? そう訊くとお姉ちゃんは首を横に振った。 「ううん、ケンカはしなかったな。 でも、ここで“終わり”だと思うと残念かなって」 そう言って私を見る目はどこまでも穏やかで、不安になる。 だってなんでそんな――『遠く』から私を見るのだろう? 「な、に……言ってるの?」 お姉ちゃんの言うことが理解できない。 ねえ、“終わり”ってどういうこと? 「ははは……現実は非情なのにさ、こういうところは漫画みたいなんだね。 もしかしたらあっちには神様もいるかも……できれば綺麗な女神サマがいいんだけどね~」 そんな空っぽな笑い方、らしくないよ。 こなたお姉ちゃんはもっと明るい笑顔が似合ってるよ。 「ん……ありがとね、ゆーちゃん。 ……さてと、そろそろ行かなきゃ。 つかさも待ってるだろうし……もしかしたらお母さんにも会えるかもしれないしね」 体が動かない。声が出ない。何で? どうして? 言いたいことがあるのに。聞かなきゃいけないことがあるのに。 「あ、そうそう。お父さんに伝えといて。“『俺より先にいくな』って約束守れなくてごめん”って」 自分で伝えればいいよ。じゃないと叔父さんも悲しむよ。 「あはは、うん、でもね私、ここでバッドエンドみたいなんだ。 いやーセーブ&ロードが使えないってユーザーフレンドリーじゃないよね。 一昔前ならともかく今ならクソゲー呼ばわりだよ」 言ってることはいつも通りなのに私の中の不安は消えない。 それどころか不安がどんどん膨れ上がっていって体ごと破裂してしまいそう。 「でも大丈夫! ゆーちゃんならノーコンテニューで最後までいけるって!」 そう言いきった姿はいつも通り、自信満々なお姉ちゃんの姿。 でも、何処か寂しげで。その理由を訊こうとした瞬間、 「こなたさーん!」 「おーい、そろそろ時間だってよー」 声のした方に目を向けるとそこには中学生ぐらいの男の子とさっき会ったお姉さんと同じ服を着た眼鏡のおじさんがいた。 その時、私には何故か見覚えの無いその二人がお姉ちゃんを連れて行っちゃう存在に見えて、 失礼にも程があるのに『あの人たちについてっちゃだめ』と言いかける。 でも声が出ない。指も動かせない。動かなきゃいけないのに体の境界線が滲んでしまったみたいにあやふやで動かせない。 そんな感覚に戸惑う私の体を暖かさが包み込む。 そして――理解する。 ああ、抱きしめられてるんだ、私。 「春にゆーちゃんがうちに来てから色々あったよね。 夏祭りも行ったし、文化祭で踊ったの楽しかったね」 うん、楽しかった。だからもう一度――ううん、何度でもやろうよ、こなたお姉ちゃん。 「今はつらいけど、未来には楽しいことが色々待ってるから、挫けちゃダメだよ。 みなみちゃんやひよりん、パティ達とも仲良くね」 そこにはお姉ちゃんもいなきゃダメだよ。かがみおねえちゃんやつかさおねえちゃん、高良先輩たちもいっしょじゃなきゃヤダよ。 「私、一人っ子だったから、ゆい姉さんとゆーちゃんがホントの姉妹みたいで嬉しかったよ」 私だってそうだよ。お姉ちゃんが二人もいるなんて幸せだよ。 「もっと沢山話したかったよ。もっと色々遊びたかったよ。もっとずっと一緒にいたかったよ。 でもさ……私はここまでっぽいや」 耳元から聞こえる声は、優しくて、暖かくて。 なのに――なんで涙が溢れて止まらないんだろう。 「ゆーちゃん、泣かないで。いつもみたいに可愛い笑顔を見せてよ」 頬にやわらかい感触。お姉ちゃんの指が涙を拭き取ってるんだ。 「私が思うにゆーちゃんの笑顔はいわゆる一つの萌え要素ってやつでさ、きっと色々な人に癒しと幸せを運ぶと思うんだ。 これから辛いことや悲しいことが沢山あると思うし、泣きたいときは泣いてもいい。 でもさ、笑うことだけは忘れないで。私には出来なかったけど、ゆーちゃんなら出来るよ」 笑うから、きっと笑うから。だから――いかないで。 「じゃあね、ばいばいゆーちゃん。 ホントに……ホントのホントに大好きだよ。私の……自慢の従妹で、素敵な友達で、かわいい妹だったよ」 どんどん意識がぼやけていく。 気を失うのとは違う、夢から覚めてしまうような感覚。 ああ――そうか、これは夢なんだ。 覚めないでと願っても、夢だと気付いた瞬間にどんどん指からすり抜けてしまう幻みたいな記憶。 だから願いとは裏腹に温もりが、大好きなこなたお姉ちゃんの温もりが消えていく。 「もう……いいのか?」 「……うん、言い出したらきりが無いし。それにゆーちゃんはああ見えて強い子だから大丈夫だよ」 「こなたさんが言うならそうなんだろうね。僕も応援するよ」 「ああ、俺たちにできるのはもうそのくらいしかないしな。スバルの奴もきっと大丈夫だろうよ」 「そうそう、だってスバルもゆーちゃんも“萌え要素”の塊だもん」 「“モエ要素”?」 「んー、あっちに行ったらアル君たちにも教えてあげるよ。 “萌え”の真髄ってやつをさ――」 そう言いながら二人と一緒に歩いていくお姉ちゃんの背中を最後に、私の意識は光の中に落ちた。 * * * 「……たか……ゆたか!」 ゆたかの瞳に映るのは自分を心配そうに見つめる二つの瞳。 顔の左側に大きな傷――ああ、そうだ私はこの人を知っている。 「D……ボゥイ……さん……?」 Dボゥイは心配そうに自分の顔を覗き込んでいる。 「大丈夫か、ゆたか」 「え……何が……」 そう言われて頬を伝う冷たい感触に気付く。 そういえば、何かとても悲しい夢を見た気がする。 でも指の間から水が零れていくみたいに、夢の記憶が無くなっていく。 大切なことだったのに――思い出せない。 「――本当に大丈夫か?」 より深くゆたかの顔を覗き込むDボゥイ。 その距離はゆたかにしてみれば密着状態といっても過言ではない距離で 男性に免疫の無いゆたかは顔に血が上ってしまい、顔を背けてしまう。 そこで気付く。周りの光景が先程までいた公園ではないと。 「あれ……ここはどこですか?」 「地図でいうD-6の端……総合病院の裏側から少し離れたところだ」 * * * Dボゥイも最初はゆたかが目覚めるまで自然公園に留まっているつもりだった。 だがゆたかが気絶してから1時間ぐらいたった頃だろうか。 北の方から連続した銃声と建物が倒壊する音が連続して聞こえてきたのだ。 しかも音の元はこちらに近づいてきている。 ――今、戦闘に巻き込まれるわけにはいかない そう考えたDボゥイはその視界から消えるため、ゆたかを抱えたまま移動するという分の悪い賭けに出た。 周囲を警戒しつつ、喧騒から逃げるように南下。 そして物陰に隠れながら慎重を期しつつ、E-5から回り込むようにして 直線距離で言うとたったの1キロを1時間以上かけて移動した。 そして幸運なことに誰にも会わずに病院に辿り着いたのだが―― 「あの……何で病院に入らないんですか?」 目的地が目の前にある以上、それは当然の疑問と言えた。 その疑問に対してDボゥイは僅かに迷った後に、その理由を端的に答える。 「病院には……危険なやつがいる」 * * * その原因を説明するには、時間を約1時間ほどさかのぼることになる。 Dボゥイがゆたかを抱えて病院近くに到着したのは午前9時前のことだった。 そして見通しのいい道を避け、裏口から入ろうとしていたDボゥイを押し止めたのは、 内部から響いた何かが割れる音とその直後に病院から出てきた中年男性の姿だった。 男は身を隠したDボゥイたちに気付く余裕もないようで、全身がボロボロの状態で北に向かって行き、 その直後、またもや病院から――明らかに人間を超えた速度――二人組の男が中年が逃げた方向に走っていった。 その態度にただならぬものを感じたDボゥイが建物の影に隠れるようにその後の様子を窺っていると、 『ぎゃああああああああああああ!?!?』 そこには両腕を切り落とされ、さらに全身を何らかの電撃で焼かれ絶命する中年男の姿があった。 それは遠目に見ても圧倒的な実力差で、“嬲り殺し”という表現が一番しっくり来るように思えた。 その光景を見てDボゥイは自分の迂闊さを呪う。 病院ならば治療器具がある……そう考えるのは怪我したものだけではない。 そう考えた手負いの者を狙って動く殺戮者も存在するのだ。 恐らくはあの全身が青い男と東洋風の格好をした男もそうなのだろう。 男を殺した二人組が男の死体に何かをしている隙に病院から離れたが、これからの予定は白紙に戻ってしまった。 ――せめてあいつらがいれば。 Dボゥイの脳裏に浮かぶのはアキやノアルを初めとしたスペースナイツの仲間達。 信頼できる彼らがいれば、この少女を彼らに預けてあの危険人物たちと戦えるのだが―― だが、そこまで考えてDボゥイは己の思考をあざ笑う。 (まともな“人間”なら、まずこの殺し合いの戦場にあいつらの名が無くて良かったことを喜ぶべきだろう。 ……所詮俺もあの悪魔達と同類なのか) その証拠に今もしもシンヤと……エビルと会ってしまえば、自分はきっとゆたかを見捨てて殺しあうだろう。 そんなネガティブな思考を止めたのは自分の手を握る小さい手の感触だった。 すでにかつての仲間を殺した、血塗られたこの手を包み込む少女の柔らかな両手。 「Dボゥイさん……怖い顔してます。 その……辛いときこそ笑いましょう。きっと……大丈夫だって思えるはずですから……」 ――これが先程まで知り合いの死を嘆いていた少女の姿だろうか。 絶望の中で笑顔を作るのは難しい。それはDボゥイが誰よりも知っている。 だからこそ、この笑顔には確かな力がある。 儚げで、今にも消えてしまいそうだがそれでも咲き続ける一輪の花のような笑み。 その笑顔を見て、感じていた暗い思考が霞のように消えていく。 「ああ……そうだな。ありがとう、ゆたか」 ゆたかの笑顔に応えるように、Dボゥイは唇の端を持ち上げる。 それは微かであまりにも不器用だったが、彼がこの戦場に連れてこられてから初めて見せる笑顔だった。 【D-6/総合病院から少し離れたところ/昼】 【Dボゥイ@宇宙の騎士テッカマンブレード】 [状態]:左肩から背中の中心まで大きな裂傷(出血は治癒、裂傷に伴う痛みは若干残っている)、吹き飛ばされたときに全身に打撲、中度の貧血 [装備]:テッカマンアックスのテックランサー(斧) @宇宙の騎士テッカマンブレード [道具]:支給品一式、月の石のかけら(2個)@金色のガッシュベル!! [思考] 1:しばらく潜伏した後、何処に向かうかを決める 2:テッカマンエビル、相羽シンヤを殺す 3:2を果たすためなら、下記の思考を度外視する可能性あり 4:兎に角、ゆたかと自分が休める場所(ある程度安全でベッドや布団のある場所)を探す 5:ゆたかを知り合いか信頼できる人物にゆだねる、つもりだったが迷い中。 6:仲間を探すべきか? だがこの戦場で本当に信用できる人間がいるのか? 7:ゲームに乗っている人間を殺す [備考] :殺し合いに乗っているものはラダムと同じだと結論しました :テッカマンアックス撃破後、身体が蝕まれる前ぐらいを意識しました :ヒィッツカラルドの簡単に埋葬された死体の上にフィーロの帽子@バッカーノ! が置かれています。 :六課メンバー、クロ達、リザの仲間達の情報を入手。 :紙の詰まったトランクケースはD-7に放置されたまま。 :青い男(ランサー)、及び東洋風の服装の男(戴宗)を危険人物として認識しました 【小早川ゆたか@らき☆すた】 [状態]:肉体的疲労小、精神的疲労中 [装備]:COLT M16A1/M203@現実(20/20)(0/1)、コアドリル@天元突破グレンラガン [道具]:支給品一式、鴇羽舞衣のマフラー@舞-HiME、糸色望の旅立ちセット@さよなら絶望先生[遺書用の封筒が欠損] M16 アサルトライフル用予備弾x20(5.56mm NATO弾)、M203 グレネードランチャー用予備弾(榴弾x6、WP発煙弾x2、照明弾x2、催涙弾x2) [思考] 1:辛くても笑わなきゃいけない気がする 2:なんで私泣いてたんだろう……? [備考] :コアドリルがただのアクセサリーではないということに気がつきました。 :夢の内容は今のところぼんやりとしか覚えていません 時系列順で読む Back 野蛮召喚塔 Next 『真偽』と『真意』~危うい■■(前編) 投下順で読む Back 野蛮召喚塔 Next 金ぴかと本と熱血格闘家とあたし 106 悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱 Dボゥイ 148:捻 -twists and turns- 106 悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱 小早川ゆたか 148:捻 -twists and turns-
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第118話 鎌石村大乱戦 第二幕 ~龍を屠る赤き一撃~(後編) ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ (クソッ、視界がぼやける。腕にも力が入らない。結局俺はこのまま誰一人守り抜く事すら出来ずに死んじまうのか…。 クレス悪い…。あれだけ大口叩いて別れたってのに、アーチェの仇を討つ事も、この娘を守る事も出来なかった…) 思い返せばここ最近の記憶は後悔ばかりだ。 村を守れなかった事。再会したクレス達の足手纏いにしかなれていない事。 ここに来てから起きた分校での出来事。アーチェの死。 そしてこの女の子の事。 (せめてアシュトンだけは止めないと…。俺がこの娘に持ってきちまった災いだからな…。 くそっ、俺に力があれば…。何でもいい。俺に力をくれ。この娘を守れるだけの力をっ!) そう俺は願った。神様なんていないって思っている。それでも祈らずにはいられなかった。 心の底からこの女の子を守りたいとそう思った。その思いを遂げる為強く、強く願った。 そして、その願いが何かを起こした。 先程この女の子のデイパックから転がり落ちていた水晶玉が、俺の足元で赤く眩い光を放っている。 (これは…? あの娘の荷物から出てきた…。一体なんだろう?) 俺はそれに思わず手を伸ばした。触れた途端体に何かが流れ込んで来る。 その瞬間。今まで俺の頭の中にあった微かにしかない、 雲の様に掴み所の無い断片的なイメージが、一つ、また一つと、まるで実体を持つかの様に収束していった。 そう、これは特訓の中で浮かんでいた断片的なイメージ。これを習得できればきっとクレス達の助けになれる。 そう感じ、いつも掴もうとしては霞のように消えていってしまっていたその感覚が、今俺の中に確かに一つの形を成して存在していた。 触れていた水晶玉は光を失い、透明な水晶玉に戻っている。 今の現象が俺に何か影響を及ぼしたのかわからない。 わかる事は唯一つ。俺にはまだこの娘を守れる可能性が残されているという事。 矢を構える。 この技に必要なのは送った闘気が拡散しない様に矢に定着させる事。 そして、それを幾重にも重ね合わせ、ただ一点のみを貫く為に研ぎ澄ます。 そう、どんなに強固な鱗に覆われた龍でさえ、その一撃の下に屠る。 そんな意味を込めたこの技の名前は、 「『屠龍』! ぶちぬけぇええええ!!」 解き放たれた赤き必倒の一撃。 俺の想いの全てを乗せた一筋の光がアシュトンに襲い掛かった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「フギャー!(やばいぞアシュトン! 避けろ!)」 (出来ない。体が重くて思うように動かせない。『トライエース』の反動? 違う、もう呼吸は整えられてるし、さっきまでこんなに体が重いなんて事は無かった) ふと、前を見ると女の子と目が合った。その手に持っている杖が輝きを放っている。 (あの娘の紋章術? 重力操作の?) 「ギャース!(チッ、世話の焼ける宿主だ!)」 「フギャー!(全力で行く、踏ん張れよ!)」 ギョロとウルルンが同時に巨大なブレスを真っ直ぐ向かってくる赤い闘気を纏った矢に浴びせる。 それでもチェスターの放った矢は一向に止まる気配を見せない。二人の吐く炎と氷の渦を受けながらも真っ直ぐに迫ってきている。 体は未だにあの女の子の紋章術で動かせない。だから、せめて二人の応援をしようと彼らを見上げた時、僕は自分の目を疑った。 何故かはわからないけど二人の体が透けてきているのだ。 「二人共もう止めるんだ! このままだと君達が魔力を使い果たして消滅してしまうよ!」 こんな事今まで無かったけど、どう考えても今魔力を使い果たそうとしている事が原因なのは明白だ。 「ギャッ(何寝言を言っている)」 「ギャフッ(お前が死んだらどの道俺達も死ぬんだ。無駄口叩いてないで手伝え)」 「駄目だ、あの娘の紋章術の所為で体が動かないし剣も持ち上げられない」 尚も迫り来る赤い闘気を帯びた矢に懸命にブレスを放ち続ける二人。 それでも勢いを少し落とすのが精一杯。確実に僕らの命を奪おうとそれは迫って来ていた。 「ギャギャ(ウルルン)」 「ギャーフ(そうだな…)」 「どうしたのさ? 二人共?」 僕はいつもと違う雰囲気の声を発する二人に急に嫌な感覚を覚えた。 「ギャッギャギャフン(今まで楽しかったぞ。アシュトン)」 「ちょっと!? ウルルン? 何言ってるの?」 「ギャース(このままでは3人纏めてあの世行きだからな。お前だけでも生きろ、アシュトン)」 「ギョロ!? 何勝手な事を言ってるのさ?」 「ギャフフギャフー(なんだかんだ言って俺たちはお前の事が気に入ってるんだ)」 「ギャッギャー(だから、お前にはもっと生きていて欲しい)」 二人が信じられない事を言っている。僕を生かす為に死のうとしている。 止めなくちゃ、そんな事受け入れられるはずが無い。 「待ってよ! また僕を困らせる様な事を言って! お願いだからたまには言う事を聞いてよっ!」 「ギャー(いいか? これを凌ぎきれたら一旦退け。北西の方角から二人。まだ遠いが近づいてきている)」 「ギャッフ(ボーマンが味方を連れて来たとは考えにくい。『トライエース』を撃った疲労状態でこれ以上の戦闘は危険だ)」 もう二人の姿は目を凝らさなければ視認出来ない程に薄くなっている。 「ギョロ! ウルルン! 話を聞けよっ! 僕達はこれからもずっと3人でっ!」 つい語気が荒くなってしまったけど、二人が思い直してくれるならそんな事構わない。 「ギャフー(生きろよ)」 「ギャース(生きろよ)」 そう言い残し二人は更に吐き出すブレスを巨大にさせた。 僕らに迫る矢は漸く止まり、そして纏わせた闘気を拡散させるように巨大な爆発を起こした。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「これで決まって無ければ…」 もう駄目だ、立っているだけで精一杯だ。血と一緒に残された気力も流れ落ちてるみたいだ。 爆煙の先に人影が蹲っているのが見える。 突如として吹いた夜風が煙を晴らしてくれた。 ぼんやりとした視界で捕らえたアシュトンのシルエットに違和感を覚える。 (何かが違う…。いや、それよりも倒せたのか?) しかし、どうやら俺の願いはさっき叶えて貰った分で受付が終了したらしい。 フラリと立ち上がるその姿が見えた。でもおかしい。さっきより小さく見える。 完全に晴れた視界のおかげで漸くその違和感の正体に気付いた。 背中の龍がいないのだ。 「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」 突然叫び声を上げたアシュトンが続けて、ものすごい形相で俺を睨んできた。 「殺してやる! 次に会った時は必ず殺してやるっ! 二人が受けた苦痛を何倍にして味合わせてから殺してやるからなっ!!」 怨念の様なものを込めながら呟くアシュトンを中心に霧が発生したかと思うと、ややあってから霧が晴れた。 その時にはあいつはこの場から姿を消していた。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ (なんとか追っ払えたみたいだな…) チェスターが張り詰めていた緊張を解いた瞬間、急に膝がガクリと崩れ落ちた。 前のめりに倒れる彼を受け止めたのは硬い地面の感触ではなく、 何か別のやわらかい、擬音で例えるならフニャンといった感触だった。 「だっ、大丈夫ですか?」 意識を失いかけていたチェスターはその呼びかけで瞼を再び開けた。 その彼の目に飛び込んできたのは (特盛りっ!) 何が特盛りなのかは敢えて説明するまでも無い。 「ごっ、ごめん! 大丈夫、大丈…」 慌てて飛び退いたものだからまたしてもグラリときてしまう。 再び倒れようとするチェスターを受け止めようとしたソフィアだったが、 散らばった瓦礫に躓いてしまい、チェスターを支えきる事は出来ず二人仲良く転倒してしまった。 「ホントッ、ごめん。もう大丈夫だから゛!」 意図せずソフィアを押し倒すような形になってしまったチェスター。 そんな彼の眼前に広がった光景は童顔巨乳美少女のあられもない姿。 激しい戦闘の末所々破けてしまっているストッキング。 チラリと白い下着が見える様に捲くれ上がったミニスカート。 そして、先ほど彼を受け止めた豊かな胸。 その周囲の布地はアシュトンの『ハリケーンスラッシュ』やら何やらを受けて白い肌や下着が見え隠れしている。 更に、チェスターは健全な17歳男子である。目を逸らそうとしてもどうしてもチラチラとそれらに目が行ってしまう。 そう、彼は将来的には仲間内から『スケベだいまおう』というありがたい称号を賜る身。 そんな彼の男としての悲しい性がそうさせるのであった。 (イカン鼻血が…) そして、彼は昏倒した。 ただでさえ脇腹に穴が開いて血が足りない状況だというのに、余計なところからも出血してしまったのだから無理も無い。 チェスター・バークライト享年17歳出血多量にて死亡 【チェスター・バークライト死亡】 ○●○●○●○●○●○●○●○● (ここは…?) 俺はやけに眩しい所に寝転がっていた。 起き上がると鼻からツツーっと鼻血が垂れて来るのを感じ取ったので素早く袖で拭った。 (おかしい、さっきまで夜だったのに…。しかもさっきの女の子がいない) 「チェスターさん」 背後から聞き覚えのある声に呼びかけられた。俺は立ち上がって声の主の方に向き直った。 「お久しぶりです。お元気にしてましたか?」 そう言って礼儀正しい一礼と共に優しい笑顔を俺に向けたのは 「ミント? ミントじゃないか!?」 「はい」 そう、目の前にいるのはサラリと流れるような長い金髪と、聖母の様な微笑みを併せ持つ女の子。 どこからどう見てもあのミントだ。 そして、その横には栗色の髪をした小さな女の子が立っている。 その女の子は俺と目が合うと小さな会釈をしてきた。 俺はその会釈の返答として軽く微笑み返した後に、俺の中に湧き出た疑問をミントにぶつけた。 「どうして死んだミントが俺の前に? 待てよ? もしかして、俺死んじまったのか?」 錯乱する俺の質問に首を左右に振るミント。 「いいえ、チェスターさんはまだ生きていますよ。ただ、近くを通りかかるって話を伺ったものですから。一言挨拶を、と思いまして。 それと、どうしてもあなたに会いたいという人を連れてきました」 そう言ってミントは俺の視界から外れるように横に移動した。 ミントの背後に隠れていた人物が俺の目の前に現れた。 見間違うはずも無い。アイツの姿がそこにはあった。 ピンク色の髪をポニーテールに纏め、その髪と同じ色をした瞳でいつも挑みかかるように睨んできたアイツだ。 「アーチェ!」 アーチェに歩み寄る。話したい事がいっぱいあった。沖木島では再会して直ぐクロードに殺されちまったから。 だけど急に現れるものだから何を話せばいいかわからなくなっちまった。 よく見るとアーチェは俯いて小刻みに震えている。 そうかそうか。俺と会えてお前も嬉しいのか。こういうところはやっぱりかわいいなと思ってしまう。 「アーチェ…」 ズドム! 呼びかけながら一歩踏み出した俺の顔面にアーチェの鉄拳が炸裂した。 2HIT! 3HIT! 「何よ! 何よ! ちょっとあの娘がかわいいからってデレデレしてっ!」 4HIT! 5HIT! 6HIT! 「そんなに大きいのがいいのか!? 大きいのがいいのかぁー!!」 7HIT 8HIT! 9HIT! 「このスケベだいまおう! チェスターなんかーっ!」 訳もわからず連打を浴びた俺はグロッキー状態。頭の周りをヒヨコ達がくるくると回っている。 「巨乳の角に頭をぶつけて死んじゃえー!!」 10HIT! アーチェのアッパーカットが俺の顎にクリーンヒット。俺はマットの上に沈んだ。 「しばらくこっち来んな! 行こっ! すずちゃん! ミント!」 アーチェはそう叫び踵を返すと、ミントの傍らにいた少女を伴って光の中へと消えていった。 「あっ! 待って下さいアーチェさん。それではチェスターさんごきげんよう。クレスさんとクラースさんにも宜しくお伝え下さい」 (えっ!? ちょっとミント! この扱いは酷くないっすか?) そうして俺は、この眩しい真っ白な世界の中で暗闇へと落ちていった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「ってか、待てアーチェ! 巨乳に角なんてないぞ!!」 アーチェに向けて手を伸ばした俺の手は擬音にしてフニュンといった感触のモノを掴んだ。 【チェスター・バークライト生存確認】 次第に覚醒していく意識。今俺の右手に掴んでいるモノの正体を知覚するのに2秒程かかった。 どうやら俺はさっき助けた女の子に膝枕されている状態な様だ。 そして、伸ばした手は彼女の豊かな胸を下から持ち上げている様な格好になっていた。 「キャアッ!」「うわぁ、ごめん!」 慌ててその場から飛び退く俺。しまった。また急に動いちまったら。 「って、あれ? 傷が塞がっている」 「あの…、うなされていた様ですけど大丈夫ですか?」 胸を抱きかかえ、ちょっと涙目になりつつ上目遣いで俺に尋ねてきた。 (何だこれは? 反則だろ…) 「いや! もう! ホント大丈夫だから。それよりも君が傷を治してくれたのか?」 「はい。これを使って」 そう言って彼女はなにやら複雑な構造をした金属の塊を俺に見せてきた。 「もうエネルギーが切れちゃったから使えないけど、まだ痛みますか?」 傷はもう痛まない。服を捲くって確認してみたが綺麗に傷が塞がっている。 (どういった原理か判らないけど、きっとミントの法術を貯めこんでおける道具かなんかなんだろう。っとそれよりも) 「なぁ、君に聞きたい事があるんだ」 突然まじめな顔になった俺にこの娘も表情を強張らせる。 「君言ったよね。金髪の女の子を殺したって。アシュトンから君を守ったけど、事と次第によっては君を…」 殺す。そう続けようとしたが、どうしてもその続きは声に出せなかった。 命がけで守った娘だからだろうか。それとも、ずっとそばにいる長髪の男を守りながら戦っていた姿を見た所為だろうか。 不思議とこの娘が理由も無くあんな惨い殺し方をする訳が無いという確信があった。 少女は目を伏せポツポツと言葉を紡いでいく。 「多分あなたが言っている女の子は私達との戦いで負った傷が原因で亡くなったんだと思います。 でも、そうするしかなかったんです。でなければ私達は皆あの子に殺されていた…」 「ちょっと待ってくれ! あの女の子に? だって君達はそこの男の人と、 もう一人の金髪の男の人も含めて3人もいるじゃないか! それがあの子一人に?」 「そうだ! クリフさん! あの人はとても強いからきっと大丈夫だとは思うけれど、やっぱり心配。助けに行かなくちゃ」 そう言ってこの女の子は横たわる男を背負おうとして 「キャッ!」 つぶれた。 「おいおい、大丈夫か? 君の体格でそいつをおぶってくなんて無理だ。 それよりもさっきの続きを聞かせてくれ。納得できたら俺も手を貸すから」 男の下敷きになったこの娘を引っ張り出して、服についたホコリを払ってやった。 別にセクハラ目的とかそんなんじゃないんだからな。勘違いすんなよ。 「すみません。ありがとうございます。それでは続きですけれど…」 こうして彼女は自分達と金髪の少女との間に何があったのかを俺に話してくれた。 【D-5/深夜】 【ソフィア・エスティード】[MP残量:10%] [状態:疲労中] [装備:クラップロッド、フェアリィリング、アクアリング、ミュリンの指輪のネックレス@VP2] [道具:ドラゴンオーブ、魔剣グラム@VP、レザードのメモ、荷物一式] [行動方針:ルシファーを打倒。そのためにも仲間を集める] [思考1:レナス@ルーファスを守る] [思考2:クリフと合流する] [思考3:フェイトを探す] [思考4:四回目の放送までには鎌石村に向かい、ブラムスと合流] [思考5:自分の知り合いを探す] [思考6:ブレアに会って、事の詳細を聞きたい] [思考7:レザードを警戒] [思考8:チェスターを信頼] [備考1:ルーファスの遺言からドラゴンオーブが重要なものだと考えています] [備考2:ヒールユニット@SO3を消費しました] 【チェスター・バークライト】[MP残量:50%] [状態:クロードに対する憎悪、肉体的・精神的疲労(中程度)] [装備:光弓シルヴァン・ボウ@VP、矢×15本、パラライチェック@SO2] [道具:チサトのメモ、アーチェのホウキ、レーザーウェポン@SO3、荷物一式] [行動方針:力の無い者を守る(子供最優先)] [思考1:クロードを見つけ出し、絶対に復讐する] [思考2:このままソフィアについて行く] [備考1:チサトのメモにはまだ目を通してません] [備考2:クレスに対して感じていた劣等感や無力感などはソフィアを守り抜けた事で無くなりました] [備考3:スーパーボールを消費しました] [備考4:レーザーウェポンを回収しました] 【レナス・ヴァルキュリア@ルーファス】[MP残量:40%] [状態:ルーファスの身体、気絶、疲労中] [装備:連弓ダブルクロス、矢×27本] [道具:なし] [行動方針:大切な人達と自分の世界に還るために行動する] [思考1:???] [思考2:ルシオの保護] [思考3:ソフィア、クリフ、レザードと共に行動(但しレザードは警戒)] [思考4:四回目の放送までには鎌石村に向かい、ブラムスと合流] [思考5:協力してくれる人物を探す] [思考6:できる限り殺し合いは避ける。ただ相手がゲームに乗っているようなら殺す] [備考1:ルーファスの記憶と技術を少し、引き継いでいます] [備考2:ルーファスの意識はほとんどありません] [備考3:半日以内にレナスの意識で目を覚まします] [現在位置:D-5東部] ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「一体何が起きたっていうんだ?」 E-4を北東方向に突っ切ろうとしていたクロードが、目的地の確認をしようと探知機にスイッチを入れた時だった。 そこに表示されていたのは五つ集まっていた反応の内二つが北西に移動していた。 そしてそれを追う様にして少し離れた位置にあった光点も移動している。 他の三つの光点は位置を変えていない事から何かあった事は明確であった。 それを確認したのが一時間位前の出来事。 そしてD-5に足を踏み入れたので、再確認の為に探知機を起動したクロードは目的地に更なる変化が訪れている事に気が付いた。 「近くに誰かいる?」 目的地としていた三つの反応があった場所には現在二つしか反応が無かった。 そして、おそらくさっきまでその地点にいたと思われる反応が自分の直ぐ近くにあるのだ。 (何があったのかを聞かなくちゃ) 探知機の反応を頼りに周辺を探すクロード。 「この辺りの筈なんだけれど…。うわっ!」 夜の暗闇の所為で足元にあった何かに躓いてしまった。 やけに重たい感触だったのだが、今のは一体なんだろうと振り向いたクロードは驚いた。 「ちょっ!? 君大丈夫? って、アシュトンじゃないか!? しっかりしろアシュトン!」 アシュトンを助け起こし、肩を揺さぶる。 「うっ、クロード?」 目を開けたアシュトンと目が合った。何故倒れていたのか? とか、平瀬村に向かったんじゃないのか? 等の疑問が浮かんだが、 まず最初にクロードはアシュトンの体の変化について尋ねた。 「アシュトン。ギョロとウルルンはどうした?」 二人の名を呼ばれたアシュトンその身を強張らせる。 「…。あいつらが…」 今までクロードが見たことも無い暗い怒りを秘めた表情のアシュトンが先程の戦いで起きた出来事を語り始めた。 「…」 アシュトンの語った内容を聞き終えたクロードは言葉を失った。 「僕行かなくちゃ…」 フラリと立ち上がったアシュトンを慌ててクロードが止める。 「行かなくちゃってどこに? そんな体でどうするつもりなんだよ?」 「決まってるじゃないか、二人の敵討ちだよ。僕はあいつらが許せないんだよ。僕から大切な友達を奪っていったあいつらが。 あの時は二人が逃げろって言ったから逃げてきたけどさ、このままだとあいつらがどこかに行ってしまうからね。 少し休んで疲れも取れたから大丈夫だよ」 「アシュトン、君がどれだけ悲しいのかはよくわかるよ。でもね、敵討ちなんかしてもあの二人は生き返らないんだよ」 (そう、ここで死んでしまった皆も…) 「そんな事はわかってるよ! でもあの二人の為に何かして上げられる事がこれ位しかないんだ! だから僕は行くよ。クロードが止めたって無駄だからね」 それを聞いたクロードは少し悲しげな顔をした。 (あの温厚なアシュトンがこんなにも憎しみに囚われてしまうなんて…。 それにねアシュトン。ギョロとウルルンが命がけで守ろうとした君に対して望む事は、敵討ちとかそんな事じゃなくて、 二人はなにがあろうと君に生き抜いて欲しいって思っているんじゃないのかな?) そう口に出そうとしたがクロードはやめておいた。 今の彼にはきっと何を言っても心に届かない。そう判断したのだ。 だから変わりに 「わかった。僕も行くよ。敵討ちを認めることは出来ないけど、そんな危険な連中を野放しにするなんて出来ない」 アシュトンに対して同行を求めた。 こんなにも危うい状態の友人を放っておくなんて事は彼には出来なかったし、 近くにいればアシュトンの無茶を止める事が出来るかもしれないと思ったからだ。 「そう…。じゃあついて来て、こっちだよ」 アシュトンは剣を掴んで虚ろな眼をしながら北の方向へと歩みだした。 クロードも荷物を纏めてアシュトンの後について行く。 これが良くない兆候だとはわかってはいたものの、今のクロードにはどうする事も出来なかった。 【D-5/黎明】 【クロード・C・ケニー】[MP残量:100%] [状態:右肩に裂傷(応急処置済み、大分楽になった)背中に浅い裂傷(応急処置済み)、左脇腹に裂傷(多少回復)] [装備:エターナルスフィア@SO2+エネミー・サーチ@VP、スターガード] [道具:昂魔の鏡@VP、首輪探知機、荷物一式×2(水残り僅か)] [行動方針:仲間を探し集めルシファーを倒す] [思考1:アシュトンと共に行動] [思考2:プリシスを探し、誤解を解いてアシュトンは味方だと分かってもらう。他にもアシュトンを誤解している人間がいたら説得する] [思考3:レザードを倒す、その為の仲間も集めたい] [思考4:ブレア、ロキとも鎌石村で合流] [備考1:昂魔の鏡の効果は、説明書の文字が読めないため知りません] [備考2:アシュトンの説明によりソフィアとチェスターは殺し合いに乗っていると思っています] 【アシュトン・アンカース】[MP残量:60%(最大130%)] [状態:疲労中、激しい怒り、体のところどころに傷・左腕に軽い火傷・右腕打撲・ギョロ、ウルルン消滅] [装備:アヴクール、ルナタブレット、マジックミスト] [道具:無稼働銃、物質透化ユニット、首輪×3、荷物一式×2] [行動方針:第4回放送頃に鎌石村でクロード・プリシスに再会し、プリシスの1番になってからプリシスを優勝させる] [思考1:チェスターとソフィアを殺してギョロとウルルンの仇を討つ] [思考2:プリシスのためになると思う事を最優先で行う] [思考3:ボーマンを利用して首輪を集める] [思考4:プリシスが悲しまないようにクロードが殺人鬼という誤解は解いておきたい] [備考1:ギョロとウルルンを殺された怒りが原因で一時的に思考1しか考えられなくなっています] [思考2:イグニートソード@SO3は破損しました] [現在位置:D-5南西部] 【残り21人+α】 第118話(前編)← 戻る →第119話 前へ キャラ追跡表 次へ 第118話(前編) チェスター 第120話 第118話(前編) ソフィア 第120話 第118話(前編) レナス@ルーファス 第120話 第118話(前編) クロード 第120話 第118話(前編) アシュトン 第120話 第118話(前編) アーチェ 第134話 第118話(前編) ミント 第134話 第118話(前編) すず 第134話
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登録日:2011/11/05(土) 10 27 10 更新日:2021/02/22 Mon 22 44 18 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 TIME KILLERS ジャンプSQ. ジャンプスクエア 加藤和恵 娯楽 暇つぶし 漫画 短編集 集英社 青の祓魔師 T I M E K I L L E R S 加 藤 和 恵 短 編 集 本書は、加藤和恵がデビュー当時から現在までの間に掲載された記録のある11作品を1冊にまとめた短編集である。 刊行は集英社のジャンプスクエア名義になっているが、他誌での掲載作品も収録されている。 扉絵だけでなく色の付いたイラストは全てフルカラーで印刷されており、紙質を統一するためか通常の単行本用紙とは別の印刷紙を使っている。 お値段は何と定価780円(税込) 普通のジャンプコミックスと同じ大きさなのに、値段は約2倍である…… 余談だが、題名の『TIME KILLERS』は「娯楽」や「暇つぶし」という意味。 本書を手に取った方々にとって、この本が「いい暇つぶし」になりますように。 収 録 作 品 ●僕と兎 記念すべきデビュー作。しぶい。濃ゆい。 【あらすじ】 晴れて高校生になった朱里は、育ての親が経営する銭湯を手伝いながら、殺し屋の裏稼業も続けていた。 登校初日では何の縁か、昨晩裂傷を負った彼の右腕を名乗りもせず応急処置した少年・平と再会するが、次に舞い込んできた依頼では平の父親が標的となっていた。 藤堂朱里 表向きは高校に入学したての少年だが、殺し屋の仕事をして6年目になる。 ウサギのヘルメットにゴーグル装着、ジャージ姿で杵型の万能武器を振り回す。 弐村平 いつか父親のような医者になるのが夢。 見た目完全不審者の朱里の怪我を手当てし、翌日も拒絶まっしぐらの彼に付きまとうなどかなりの度胸の持ち主。 おやっさん 朱里の育ての親にして、彼の仕事の事務所にもなっている銭湯「卯の湯」番頭の老人。 年若くも凄絶な人生を送る朱里の身を心の底から案じている。 弐村平造 弐村総合病院院長。平の父。 医療ミスを隠蔽し、法から逃れて臓器売買も行う所謂悪徳医師である。 ●赤茄子(とまと) 赤マルジャンプ掲載作品。ふんどし。 【あらすじ】 荒野を往く2人の用心棒。金無し宿無し飯も無し。 彼らは地上げに遭っている畑と赤茄子を育てるオバチャンを守るという仕事にありつく、が。 宇佐うさ吉 チビオッサン白うさぎ。半人前の祭助のお目付け役兼相棒。 双村祭助 お馬鹿。人の話を聞かない。好きなものは親子鶏。 丘ノ杏 デブでオバサンな赤うさぎ。彼女がヒロインである。 彼女がヒロインである。 いやマジで。 ○赤い大地に生まれた戦士のはなし 季刊エスに掲載されたオールカラー作品。 加藤の欲望のままに描かれただけ。 ○USA BOY!!! 季刊エスに掲載されたオール(ry 加藤の欲望のままに(ry ○ひめごろも取説漫画 季刊エスに掲載された1P。 付録の取説だけどせっかくなので。 ○人生街道はぐれ星 季刊エスに掲載された読み切り作品。 マガジン志向で描いたがスベッた。 ○ニライ 季刊エスに掲載された(ry シロイルカ風人魚がキモ……キモクナーイ! ○主と某 季刊エスに(ry 年明けの深夜に訪れる夢の一時。 ○乙女の祈り 季刊(ry 加藤の欲ぼ(ry ★ホシオタ ジャンプSQU(スクエアセカンド)掲載作。 これまでの加藤の世界観そのままな作品と異なり、『好き勝手描くのをやめて読者のことを考えて仕上げた』と曇り無きまなこで豪語する一品。 ……しかし当時はファンに不評だった…… 【あらすじ】 「星オタ(天文オタクのこと)」とイジメられた昔の自分から脱却し、高校デビューを果たした(つもり)の藤子ヨシオは、星オタの手塚さんに恋をしてしまった……! 宇宙の話題に関わりたくないが手塚さんとは仲良くなりたいヨシオは独り苦悩するが、目の前にテンプレ過ぎる文句を述べる本物の宇宙人が現れて!? 藤子ヨシオ 元・星オタ。見た目はまんま奥村くん家の双子の弟。ただしホクロは一つも無い。 入学式の日から明るく話しかけてきた手塚さんに惚れているが、彼女が星オタだと知り絶望。 星オタの根性は抜け切っておらず、濃厚な知識をぶち撒けそうになることも。 手塚さん ヨシオの隣の席のミーハーな星オタ。でもカワイイからぜんぜんオッケーなみんなの人気者。 昨年廃部になった天文部の望遠鏡を使って星を観測しようとヨシオを誘う。 正直で勇気のある男性が好み。 ミニチュア宇宙人 手のひらサイズのUFOに相乗りする宇宙人の3人組。 滅亡させることにした地球人類の標本にしようとヨシオを追いかけ回す。 うち一人は「議長」と呼ばれ、ヨシオの自由意思を尊重したり約束を守ったりと割といい奴。 ◆深山鶯邸事件 ジャンプスクエア掲載作品。 本書収録作の中でも最も評価された読み切り。 現在スクエア本誌で連載中の『青の祓魔師』の原点と言われているが、厳密にはこちらの方が『青〜』を元にしてつくられているとのこと。 え!? 一応ラブストーリーなんだぜコレ! 【あらすじ】 東京・某所――深山鶯邸。 ある夜、祓魔師を名乗る青年が邸に押し入り、家元の最中を見遣って言い放った。 「この娘、悪魔に唾付けられてるぞ」 追い出そうにも教皇庁や政府に公認の祓魔師組織からの捜査令状を突き付けられ、対応に困った邸の者達は取り敢えず彼を招き入れることに。 見張りをすると言って寝室に居座る青年は、最中に何か話をしてほしいと頼まれる。 寝物語と称し、青年は昔話を語り出す…… 祓魔師の青年 邸に問答無用で上がり込んで来た悪魔祓い。退魔の術を心得、落ち着いて余裕のある態度を身に纏っており、精神的な強さが見られる。 武器には倶利伽羅に酷似した日本刀を用い、聖水も周到に用意している。 モデルは奥村燐。容姿は彼を大人にしたような感じだが、断然頼りになりそうな好青年。 深山鶯最中 深山華道家元四十七世。幼少時に川で溺れた際、自分を助けようとした両親を水死させてしまってから水を恐れ、外出も出来ない。 昔は素朴な草の姿を生ける技法を好んでいたが、事故以来織部に言われるまま派手で豪華な花を生けている。 モデルは杜山しえみ。草花を愛する優しい性格なのは彼女と同様。 織部 華道家、深山華道会会長。最中の叔父で、両親に代わって彼女を育てて支援してきた。 鬱屈し歪んだ精神の持ち主で、最中を邸の中に縛り無理矢理言うことを聞かせている。 夜 最中が幼い頃に出会った小悪魔。猫と間違えられていた。 元は若くて弱い名無しで、パズスの手下で虐待され常に血を流していた。 最中から愛情を注がれ、自然の美しさを知ったが…… パズス 名のある上級の悪魔。無数の手下を従え、塵芥のように使っている描写がある。 最中を見初め、時期を計って彼女を喰い殺そうと画策している模様。 本項目のみならず アニヲタwikiの閲覧や 項目の追記修正が 皆様の良き「暇つぶし」になりますように △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 名前 コメント
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【世界観】 現実の世界、空のある尸魂界、空のある虚圏、地獄、断界で単一宇宙×3+2α 【共通設定】 死神や虚(悪霊)、破面(進化した虚)は常人には見えない。壁抜けは任意で可能。全員物理攻撃は効く。 この手の漫画に多い魂を直接引きずりだしたりする攻撃を使えるやつはあんまりいない 参戦メンバーの連中の攻撃はどれも不思議攻撃なので幽霊にも効くかと思われる 【作品名】BLEACH 【ジャンル】オサレ漫画 【名前】グレミィ・トゥミュー(Gremmy Thoumeaux) 【属性】The Visionary ― 夢想家 ―。滅却師。人間。 【大きさ】子供の人間並み。本体は脳味噌のみ。 【攻撃力】空想で出したミサイルなどで径120m以上の爆発を起こす斬撃の直撃を受けて無傷の剣八にダメージを与えることが出来る。 【防御力】ヤミーを楽々切り裂ける剣八の攻撃を受けても無傷。 また、自分の空想の能力で自分の死のイメージを完全に消しているため死ぬことが無い。 【素早さ】常時全能であるユーハバッハの破壊行動に反応して避けられるペルニダと戦闘可能な更木剣八と戦闘可能なため0秒行動 【特殊能力】想像を現実にする力。 空想だけでなんでもできちゃう奴と他称で言われているため任意全能。 作中では想像で生命を造ったり地形を変えたり隕石を落としたり宇宙空間を作成した。 また死神を見ることが出来るので不可視の物を視認可能。 【長所】さらっと出てきた滅却師最強の敵。 【短所】剣八より強い自分を想像したら自分の身体が付いて来れず勝手に自滅した。 【戦法】全能を行使する 【関係】主人公の敵である星十字騎士団の一人。 【備考】美しさとは そこに何もないこと 参考テンプレ。http //www41.atwiki.jp/goronka/pages/1199.html 【名前】ヤミー・リヤルゴ 【属性】破面・第0十刃 憤獣 「憤怒」 【大きさ】体長50mのゴリラ並み 【攻撃力】余波で65km程度の高さの建造物を100kmに渡って破壊する以上の攻撃の4倍の攻撃力。 虚弾:拳から体長の2倍程度の大きさの光弾を放つ。拳を振る動作は反応速度相応。射程100m程度。即発動。 通常のパンチの動作から延長として繰り出せ、威力は上記以上。連射可能。 虚閃:口から体長以上の太さの光線を放つ。威力は虚弾以上で射程100m程度。溜め1秒程度。 【防御力】余波で65km程度の高さの建造物を100kmに渡って破壊する以上の攻撃で無傷。 口腔に同様の攻撃を受けても咽るだけですぐ立ち直りダメージ無し。 高さ60~70kmに及ぶ炎の爆発を不意に受けて驚きはすれど無傷。 これより遥かに弱い状態で体を氷結させられても軽く脱出した。 【素早さ】光速の35100倍以上の反応速度。移動速度は大きさ相応のゴリラ並み。戦闘速度は移動速度相応。 【特殊能力】霊体なので常人には不可視。物理攻撃は有効。 魂吸:自分の半径数百m内にいる生物から魂魄を吸い出して捕食する。 魂魄に力を持ち耐性がある者も疲労困憊となり倒れこむ。 速さは反応速度相応。魂吸は吸ったら即座に魂魄が抜かれる。 数百m距離が離れていても同時に抜かれる。 反膜の匪:角砂糖位の大きさの道具。最低1個は所持。 5cmの至近距離から使う事で人間大の相手を閉次元に永久に閉じ込める事が出来る。 憤怒:ダメージを受けて怒りを蓄え爆発させる毎に一回り以上に巨大化。 それまでに受けたダメージが全回復した上で攻撃力が倍増する。 怒りを爆発させる度合いは複数箇所の裂傷や手足を欠損する位。 胴体を大きく切り裂かれ致命傷を受けた場合には発動しない模様。 【長所】攻撃力が高く対戦相手が豊富なおかげでタフ、何気に強力な魂吸。 【短所】憤怒が受身発動、人気キャラ二人にいつの間にか倒されていた。 【戦法】初手魂吸。耐性があるようなら虚弾連発。 【備考】失くしたものを 奪い取る 血と肉と骨と あとひとつ vol.106 グレミィ考察 単一宇宙×3+2αの常時全能 ユーハバッハと= グレミィ・トゥミュー考察 35100倍以上の任意全能。 アゼル(ティンクル☆くるせいだーす) ○先手任意全能勝ち 渚カヲル ○先手任意全能勝ち マホロアソウル ○先手任意全能勝ち Almagest △相手が任意全能の範囲よりも大きい。分け ゼスト △先手任意全能出来るが相手のほうが全能による復活が速いので分けか 八俣遠呂智 ○こっちは死ぬことがなくなってるので即死は聞かないだろう。先手任意全能勝ち リベル・レギス ×先手任意全能負け 絶対的至高者 ×精神攻撃は無理。負け まぁこの上は無理 リベル・レギス>グレミィ・トゥミュー>八俣遠呂智 51 返信:格無しさん[sage] 投稿日:2014/06/18(水) 00 23 10.12 ID loCl3Kzx [1/2] 50 戦法が妄想スレみてーだなオイ 52 返信:格無しさん[sage] 投稿日:2014/06/18(水) 00 25 29.26 ID jBvWoeyZ 46 49 想像具現化で強くなったのを剣八が倒したんじゃなくて ただ剣八以上の体になろうとして自爆って それ不死とか全能とか関係なくね 53 自分:格無しさん[sage] 投稿日:2014/06/18(水) 00 32 37.50 ID INjzb+Y1 [2/4] 51 まぁ戦法が妄想だしね 52 全能の力で肉体越えようとしたら自滅したんだから関係あるでしょ 54 返信:格無しさん[sage] 投稿日:2014/06/18(水) 00 33 43.28 ID wgtSrh98 [1/2] 50 その戦法って「任意全能が能力で自分を常時全能にすることを願う」のと同じでは? 他の任意全能でそうするやついたっけ? 剣八に勝てない想像力でもいけるのかなあ? 55 自分:格無しさん[sage] 投稿日:2014/06/18(水) 00 40 37.14 ID INjzb+Y1 [3/4] 54 うん、同じだと思うよ 剣八に勝てない想像力~は上でも言ったけどそれ言ったら誰かに負ける全能も通らなくなるからいけるんじゃない 56 返信:格無しさん[sage] 投稿日:2014/06/18(水) 00 45 14.26 ID wgtSrh98 [2/2] 55 同じなら「相手を倒す想像」でいいでは?違うなら全部の全能書き直しか? 57 自分:格無しさん[sage] 投稿日:2014/06/18(水) 00 49 29.89 ID INjzb+Y1 [4/4] 56 まぁどっちにしろあんま変わらんと思う 全能になる。くらいは書き足すわ あとジャンプ読み直したけど 剣八の肉体になろうとして負けたってか化け物想像してその化け物に殺されてるっぽいから 剣八の肉体に耐えられなかったってわけじゃなさそう 禁書のアウレオルスみたいな感じの負け方か 58 返信:格無しさん[sage] 投稿日:2014/06/18(水) 14 14 30.79 ID loCl3Kzx [2/2] 57 能力が強すぎるから自滅もしやすいんだろうね
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Beautifull Dreamer ~Smile Again ◆DNdG5hiFT6 気付いたら私は草原にいた。 視界いっぱいに広がる鮮やかな緑色の絨毯とどこまでも続く透き通るような青空。 草原を走る風が爽やかな匂いを届けて、ぽかぽかした陽気が体を暖めてくれる。 そんな心地いい世界で、私は草原に背を預けごろんと寝転がっていた。 ふと隣に気配を感じて、首を横に向けるとそこには私と同じように寝転がる“お姉ちゃん”の姿があった。 といっても年の離れた実の姉のゆいお姉ちゃんじゃなくて、私にとってのもう一人の“お姉ちゃん”。 血縁的に言えば従姉で、今は一つ屋根の下で暮らすこなたお姉ちゃんだった。 「やっほー、ゆーちゃん元気ー?」 いつも通りの声で私に笑いかけるお姉ちゃん。 「うん、元気だよ、こなたお姉ちゃん」 信じられないほどに体の調子がいい。 やはり空気のいいところにいると体の調子もいいものなのかな? 「うんうん、そりゃ何よりだよ」 そう言うお姉ちゃんは言葉とは裏腹にニヤニヤと笑みを浮かべている。 こういう場合は大抵かがみおねえちゃんをからかっている時なのでちょっと不安だ。 「それにしてもゆーちゃんがいい人とめぐり合えたみたいで私は安心したよ」 そう言われて脳裏に浮かぶのは顔の左側に大きな傷を負った男の人。 徒でさえ強面で――時々ほんとうに怖い顔になるけれど、私は知っている。 自殺しようとしていた自分を落ち着かせてくれて、行動を一緒にしてくれている優しい人だ。 「うん、Dボゥイさんはいい人だよ」 「そうだね、結構カッコイイし。 でもちょっとそこは意外かな? ゆーちゃんのタイプって純朴そうなのかと思ってたからさー。 まさか男ツンデレを攻略するとは……ゆーちゃん、GJ!」 えええええええええええ! い、“いい人”ってそういう意味!? そ、そうじゃない! Dボゥイさんはそういう相手じゃないよおねーちゃん! 確かに抱きしめられてドキドキしたりもしたけど! その時にちょっと「男の人の匂いってこんな感じなんだ……」とか思ったりもしたけど! 「……まさかゆーちゃんがそこまで進んでたなんて……ショックだよ……」 だから違うよ! 『ホントにショック受けた』って顔で言わないでよ! お、お姉ちゃんこそどうなの! 男の人の影がないって言ってたじゃない! でも、私がそう返すとお姉ちゃんはちょっと困ったような表情で。 「んー、私もいい人たちと出会えたかな。 ただちょっと……リアルLUCが足りなかったみたいでさ、そこで運が尽きちゃったみたい。 もしかしてレバ剣拾ったときに使い果たしちゃったかなー?」 その人たちとケンカでもしたのだろうか? そう訊くとお姉ちゃんは首を横に振った。 「ううん、ケンカはしなかったな。 でも、ここで“終わり”だと思うと残念かなって」 そう言って私を見る目はどこまでも穏やかで、不安になる。 だってなんでそんな――『遠く』から私を見るのだろう? 「な、に……言ってるの?」 お姉ちゃんの言うことが理解できない。 ねえ、“終わり”ってどういうこと? 「ははは……現実は非情なのにさ、こういうところは漫画みたいなんだね。 もしかしたらあっちには神様もいるかも……できれば綺麗な女神サマがいいんだけどね~」 そんな空っぽな笑い方、らしくないよ。 こなたお姉ちゃんはもっと明るい笑顔が似合ってるよ。 「ん……ありがとね、ゆーちゃん。 ……さてと、そろそろ行かなきゃ。 つかさも待ってるだろうし……もしかしたらお母さんにも会えるかもしれないしね」 体が動かない。声が出ない。何で? どうして? 言いたいことがあるのに。聞かなきゃいけないことがあるのに。 「あ、そうそう。お父さんに伝えといて。“『俺より先にいくな』って約束守れなくてごめん”って」 自分で伝えればいいよ。じゃないと叔父さんも悲しむよ。 「あはは、うん、でもね私、ここでバッドエンドみたいなんだ。 いやーセーブ&ロードが使えないってユーザーフレンドリーじゃないよね。 一昔前ならともかく今ならクソゲー呼ばわりだよ」 言ってることはいつも通りなのに私の中の不安は消えない。 それどころか不安がどんどん膨れ上がっていって体ごと破裂してしまいそう。 「でも大丈夫! ゆーちゃんならノーコンテニューで最後までいけるって!」 そう言いきった姿はいつも通り、自信満々なお姉ちゃんの姿。 でも、何処か寂しげで。その理由を訊こうとした瞬間、 「こなたー!」 「おーい、そろそろ時間だってよー」 声のした方に目を向けるとそこには中学生ぐらいの男の子とさっき会ったお姉さんと同じ服を着た眼鏡のおじさんがいた。 その時、私には何故か見覚えの無いその二人がお姉ちゃんを連れて行っちゃう存在に見えて、 失礼にも程があるのに『あの人たちについてっちゃだめ』と言いかける。 でも声が出ない。指も動かせない。動かなきゃいけないのに体の境界線が滲んでしまったみたいにあやふやで動かせない。 そんな感覚に戸惑う私の体を暖かさが包み込む。 そして――理解する。 ああ、抱きしめられてるんだ、私。 「春にゆーちゃんがうちに来てから色々会ったよね。 夏祭りも行ったし、文化祭で踊ったの楽しかったね」 うん、楽しかった。だからもう一度――ううん、何度でもやろうよ、こなたお姉ちゃん。 「今はつらいけど、未来には楽しいことが色々待ってるから、挫けちゃダメだよ。 みなみちゃんやひよりん、パティ達とも仲良くね」 そこにはお姉ちゃんもいなきゃダメだよ。かがみおねえちゃんやつかさおねえちゃん、高良先輩たちもいっしょじゃなきゃヤダよ。 「私、一人っ子だったから、ゆい姉さんとゆーちゃんがホントの姉妹みたいで嬉しかったよ」 私だってそうだよ。お姉ちゃんが二人もいるなんて幸せだよ。 「もっと沢山話したかったよ。もっと色々遊びたかったよ。もっとずっと一緒にいたかったよ。 でもさ……私はここまでっぽいや」 耳元から聞こえる声は、優しくて、暖かくて。 なのに――なんで涙が溢れて止まらないんだろう。 「ゆーちゃん、泣かないで。いつもみたいに可愛い笑顔を見せてよ」 頬にやわらかい感触。お姉ちゃんの指が涙を拭き取ってるんだ。 「私が思うにゆーちゃんの笑顔はいわゆる一つの萌え要素ってやつでさ、きっと色々な人に癒しと幸せを運ぶと思うんだ。 これからさ、辛いことや悲しいことが沢山あると思うし、泣きたいときは泣いてもいい。 でもさ、笑うことだけは忘れないで。私には出来なかったけど、ゆーちゃんなら出来るよ」 笑うから、きっと笑うから。だから――いかないで。 「じゃあね、ばいばいゆーちゃん。 ホントに……ホントのホントに大好きだよ。私の……自慢の従妹で、素敵な友達で、かわいい妹だったよ」 どんどん意識がぼやけていく。 気を失うのとは違う、夢から覚めてしまうような感覚。 ああ――そうか、これは夢なんだ。 覚めないでと願っても、夢だと気付いた瞬間にどんどん指からすり抜けてしまう幻みたいな記憶。 だから願いとは裏腹に温もりが、大好きなこなたお姉ちゃんの温もりが消えていく。 「もう……いいのか?」 「……うん、言い出したらきりが無いし。それにゆーちゃんはああ見えて強い子だから大丈夫だよ」 「こなたが言うならそうなんだろうね。僕も応援するよ」 「ああ、俺たちにできるのはもうそのくらいしかないしな。スバルの奴もきっと大丈夫だろうよ」 「そうそう、だってスバルもゆーちゃんも“萌え要素”の塊だもん」 「“モエ要素”?」 「んー、あっちに行ったらアル君たちにも教えてあげるよ。 “萌え”の真髄ってやつをさ――」 そう言いながら二人と一緒に歩いていくお姉ちゃんの背中を最後に、私の意識は光の中に落ちた。 「……たか……ゆたか!」 ゆたかの瞳に映るのは自分を心配そうに見つめる二つの瞳。 顔の左側に大きな傷――ああ、そうだ私はこの人を知っている。 「D……ボゥイ……さん……?」 Dボゥイは心配そうに自分の顔を覗き込んでいる。 「大丈夫か、ゆたか」 「え……何が……」 そう言われて頬を伝う冷たい感触に気付く。 そういえば、何かとても悲しい夢を見た気がする。 でも指の間から水が零れていくみたいに、夢の記憶が無くなっていく。 大切なことだったのに――思い出せない。 「――本当に大丈夫か?」 より深くゆたかの顔を覗き込むDボゥイ。 その距離はゆたかにしてみれば密着状態といっても過言ではない距離で 男性に免疫の無いゆたかは顔に血が上ってしまい、顔を背けてしまう。 そこで気付く。周りの光景が先程までいた公園ではないと。 「あれ……ここはどこですか?」 「地図でいうD-6の端……総合病院の裏側から少し離れたところだ」 Dボゥイも最初はゆたかが目覚めるまで自然公園に留まっているつもりだった。 だがゆたかが気絶してから1時間ぐらいたった頃だろうか。 北の方から連続した銃声と建物が倒壊する音が連続して聞こえてきたのだ。 しかも音の元はこちらに近づいてきている。 ――今、戦闘に巻き込まれるわけにはいかない そう考えたDボゥイはその視界から消えるため、ゆたかを抱えたまま移動するという分の悪い賭けに出た。 周囲を警戒しつつ、喧騒から逃げるように南下。 そして物陰に隠れながら慎重を期しつつ、E-5から回り込むようにして 直線距離で言うとたったの1キロを1時間以上かけて移動した。 そして幸運なことに誰にも会わずに病院に辿り着いたのだが―― 「あの……何で病院に入らないんですか?」 目的地が目の前にある以上、それは当然の疑問と言えた。 その疑問に対してDボゥイは僅かに迷った後に、その理由を端的に答える。 「病院には……危険なやつがいる」 その原因を説明するには、時間を約1時間ほどさかのぼることになる。 Dボゥイがゆたかを抱えて病院近くに到着したのは午前9時前のことだった。 そして見通しのいい道を避け、裏口から入ろうとしていたDボゥイを押し止めたのは、 内部から響いた何かが割れる音とその直後に病院から出てきた中年男性の姿だった。 男は身を隠したDボゥイたちに気付く余裕もないようで、全身がボロボロの状態で北に向かって行き、 その直後、またもや病院から――明らかに人間を超えた速度――二人組の男が中年が逃げた方向に走っていった。 その態度にただならぬものを感じたDボゥイが建物の影に隠れるようにその後の様子を伺っていると、 『ぎゃああああああああああああ!?!?』 そこには右腕を切り落とされ、さらに全身を何らかの電撃で焼かれ絶命する中年男の姿があった。 それは遠目に見ても圧倒的な実力差で、“嬲り殺し”という表現が一番しっくり来るように思えた。 その光景を見てDボゥイは自分の迂闊さを呪う。 病院ならば治療器具がある……そう考えるのは怪我したものだけではない。 そう考えた手負いの者を狙って動く殺戮者も存在するのだ。 恐らくはあの全身が青い男と東洋風の格好をした男もそうなのだろう。 男を殺した二人組が男の死体に何かをしている隙に病院から離れたが、これからの予定は白紙に戻ってしまった。 ――せめてあいつらがいれば。 Dボゥイの脳裏に浮かぶのはアキやノアルを初めとしたスペースナイツの仲間達。 信頼できる彼らがいれば、この少女を彼らに預けてあの危険人物たちと戦えるのだが―― だが、そこまで考えてDボゥイは己の思考をあざ笑う。 (まともな“人間”なら、まずこの殺し合いの戦場に彼らの名が無くて良かったことを喜ぶべきだろう。 ……所詮俺もあの悪魔達と同類なのか) その証拠に今もしもシンヤと……エビルと会ってしまえば、自分はきっとゆたかを見捨てて殺しあうだろう。 そんなネガティブな思考を止めたのは自分の手を握る小さい手の感触だった。 すでにかつての仲間を殺した、血塗られたこの手を包み込む少女の柔らかな両手。 「Dボゥイさん……怖い顔してます。 その……辛いときこそ笑いましょう。きっと……大丈夫だって思えるはずですから……」 ――これが先程まで知り合いの死を嘆いていた少女の姿だろうか。 絶望の中で笑顔を作るのは難しい。それはDボゥイが誰よりも知っている。 だからこそ、この笑顔には確かな力がある。 儚げで、今にも消えてしまいそうだがそれでも咲き続ける一輪の花のような笑み。 その笑顔を見て、感じていたネガティブな思考が霞のように消えていく。 「ああ……そうだな。ありがとう、ゆたか」 ゆたかの笑顔に応えるように、Dボゥイは唇の端を持ち上げる。 それは微かであまりにも不器用だったが、彼がこの戦場に連れてこられてから初めて見せる笑顔だった。 【D-6/総合病院から少し離れたところ/昼】 【Dボゥイ@宇宙の騎士テッカマンブレード】 [状態]:左肩から背中の中心まで大きな裂傷(出血は治癒、裂傷に伴う痛みは若干残っている)、吹き飛ばされたときに全身に打撲、中度の貧血 [装備]:テッカマンアックスのテックランサー(斧) @宇宙の騎士テッカマンブレード [道具]:支給品一式、月の石のかけら(2個)@金色のガッシュベル!! [思考] 1:しばらく潜伏した後、何処に向かうかを決める 2:テッカマンエビル、相羽シンヤを殺す 3:2を果たすためなら、下記の思考を度外視する可能性あり 4:兎に角、ゆたかと自分が休める場所(ある程度安全でベッドや布団のある場所)を探す 5:ゆたかを知り合いか信頼できる人物にゆだねる、つもりだったが迷い中。 6:仲間を探すべきか? だがこの戦場で本当に信用できる人間がいるのか? 7:ゲームに乗っている人間を殺す [備考] :殺し合いに乗っているものはラダムと同じだと結論しました :テッカマンアックス撃破後、身体が蝕まれる前ぐらいを意識しました :ヒィッツカラルドの簡単に埋葬された死体の上にフィーロの帽子@バッカーノ! が置かれています。 :六課メンバー、クロ達、リザの仲間達の情報を入手。 :紙の詰まったトランクケースはD-7に放置されたまま。 :青い男(ランサー)、及び東洋風の服装の男(戴宗)を危険人物として認識しました 【小早川ゆたか@らき☆すた】 [状態]:肉体的疲労小、精神的疲労中 [装備]:COLT M16A1/M203@現実(20/20)(0/1)、コアドリル@天元突破グレンラガン [道具]:支給品一式、鴇羽舞衣のマフラー@舞-HiME、糸色望の旅立ちセット@さよなら絶望先生[遺書用の封筒が欠損] M16 アサルトライフル用予備弾x20(5.56mm NATO弾)、M203 グレネードランチャー用予備弾(榴弾x6、WP発煙弾x2、照明弾x2、催涙弾x2) [思考] 1:辛くても笑わなきゃいけない気がする 2:なんで私泣いてたんだろう……? [備考] :コアドリルがただのアクセサリーではないということに気がつきました。 :夢の内容は今のところぼんやりとしか覚えていません 時系列順で読む Back 野蛮召喚塔 Next 『真偽』と『真意』~危うい■■(前編) 投下順で読む Back 野蛮召喚塔 Next 金ぴかと本と熱血格闘家とあたし 106 悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱 Dボゥイ 106 悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱 小早川ゆたか
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Ace Combat -No Hero in Starry Heavens- 咽び泣くような啜る彼女の声に、あるはずのない肉感的な疼きをディムロスは覚えた。 本来ならソーディアンである自分たちには有り得ない、しかし決して不快ではないそれを掬いとって眺めるように楽しむ。 壊れているのは、自分も彼女も同じなのかもしれないなと思った―――――“奴”の言うとおり。 (!! しまっ―――――――) ディムロスの意識が戦闘用に組み替えられていくが、アトワイトの方に完全に注力していたそれが戻るのに数瞬のラグが生じる。 彼女の方だけを見つめていたからこそ、ディムロスは彼女の手を取ることが出来た。 『…………ミトス!?』 「アブソリュート――――――――絶対零度」 だからこそ――――――――ミトスがこのタイミングで動くのは至極当然のことと言えた。 アトワイトの声につられて真上を見上げるディムロス。そこには、転移の光の粒子を撒き散らしながら、両の手を添えるようにして抱えられた氷塊があった。 八割組み上げられた意識でディムロスは理解する。あの時ミトスはアトワイトを落したのではなく“手放した”のだ。 ディムロスの意識が戦闘から完全に乖離するこの一点の為の布石としてか。 その真意は別にしても、その推測は現実に符合していた。アトワイトの驚きがそれを裏付けている。 カイルの後頭部を目掛けて完全に分子運動を止めた氷塊が落ちるように飛ぶが、彼らの応対は一歩間に合わない。 『カイ―――――――』 「落ちろ、浄化の炎ッ!」 そう、たった一人を除いて。 無意味な警告が言い終わるよりも早く、ディムロスの身体が引っ張られた。 捩じるように振り向かされて、ミトスの方へと刀身が向けられる。 彼の核たるレンズが一層に輝くが、ディムロスの自覚的なものではなかった。 何事か、と理解するよりも早くディムロスは体感する。間に合ったのかと。 「『エンシェント、ノヴァ!!』」 剣二本を右手に収めて空いているカイルの左手に赤白い炎熱が集い放たれる。 自分の非力を剣の借力にて補って放たれるは、彼女の炎。 古代の焔と銘打たれていながらもディムロスのそれに比べて稚拙で、研鑽は無く、足りないものが多かった。 だが、それを補って余りある若さと熱気が風を巻き込んで爆ぜる。 アトワイト無きミトスの氷とディムロスを持つカイルの焔は互角の様相を見せ、一気に水蒸気が巻き上がった。 冷気と熱気が怨嗟の如く渦を巻いて、風を促す。 『この風、そうか、これがミトスの単独飛行……いや、単独遊泳の仕掛けか!?』 白い雲粒の流動をその眼に写しながら、ディムロスは現象の意味を掴んだ。 氷と炎―――――冷気と熱気。真逆の属性が、急激な温度差を生み、その温度差は気圧差を生む。 そして気圧の落差は気流を――――――――即ち、風を生む。 アトワイトとディムロス程の能力が条件を揃えてぶつかれば、台風と呼べるレベルにまで到達するであろう。 ミトスは空を飛んでいたのではない。人さえも吹き飛ばせるほどの風をその羽根に受けて、流れていただけなのだ。 『気象操作? だが、イクティノス無しでか? 間接制御だけでそこまでやれるのか!?』 『それが、出来るのよ…………ミトスは、唯の魔法剣士じゃない……』 ディムロスの驚きに、アトワイトが苦悶するように応じた。 この風の中でも聞こえるのか、耳聡いミトスの声が雲煙の向こうから響く。 周波数の微細な増加が、接敵していることを伝えていた。 「技術的にしかマナを捉えられないソーディアンには、理解が出来ないだろうけどね。 シルフ無しで制御なんて何百年ぶりかも忘れるくらい久し振りだったから、ここまで調伏するのに時間がかかった、よ!!」 風が威を弱め、雲が晴れた先からファフニールを持って迫りくるミトスの姿が映る。 それは魔術と剣技を操る魔法剣士でもなく、時間と空間を操る時空剣士としてでもなく、 自然現象の概念集合たる精霊との対話を為し得た、万世を統べる召喚士として風に乗っていた。 退くべきだと、太陽の傾斜を確認したディムロスの理性が当然の意見を口にする。 アトワイトは彼らの掌中にあり、厳しいとはいえ全力を出せる今なら“未だ”間に合う。 だが、ディムロスはそれを言わなかった。 「ァァァァぁぁあああああああああ!!!!!!!!!」 左手にアトワイトを移したカイルの剣が、ミトスの剣とぶつかる。互いの顔のブレが目に判るほどに痺れ合った。 両者の威力が反転し、二人が後方に弾き飛ばされる。 数メートル飛ばされたあたりで、カイルはブレーキをしたように急激に止まり、ミトスは微細な旋回で勢いを殺すように止まった。 前を向こうとしたミトスの眼前に何かが飛来し、それをミトスは危なげなく睫毛がそれに触る位置で掴んだ。 「…………何の真似だ?」 険悪そうに眉を顰めるミトスの目の前には、その手に握られたアトワイトがあった。 「真逆、騎士道を気取ってる訳じゃないんだろうな?」 「そんなんじゃない。返せるうちに、借りを返したかっただけだ」 指をアトワイトの刃に滑らせながら威圧を効かせて放たれるミトスの言葉を、カイルは真っ向から受けた。 「借り? 奪いこそすれ、貸したものは無かったと思うけど」 「アトワイトさんのことを、待っててくれた」 カイルの言葉に、諧謔的に綴ろうとしたミトスの唇が少しだけ硬く窄めて歪んだ。 その言が正鵠を射て驚いたというよりは、それを口にしたのがカイルであるということに不快を示すような態度だった。 『ミとス…………貴方…………』 動揺を顕わにしてアトワイトはミトスの方を向いた。彼女自身、考えてもいなかった発想だった。 アトワイトの方を一瞥することもなく、努めて賤しそうにミトスは彼女へと言葉を返す。 「勘違いするなよ。僕が待っていたのはあっちの生煮えの方だ。 ……熱が通るまで待ってみたけど、火が回っても不味そうとなると、本当に始末に負えないな」 意図的な背伸びが目につくその振る舞いに、アトワイトは見逃さなかった。 目尻が完全に泳いで、口がどうしようもなく釣り上ったその顔は、求めていたものがそこにあると云わんばかりの子供のそれであることを。 『…………だっタら、捨てるしかなインじゃない? フリーずドライにして粉ゴナあタりに』 嘆息を小さくついたアトワイトの言い返しに、ミトスは少しだけ驚きを浮かべた。 無言ではあるが、それでいいのかという疑問が目に映している。 『もウ私は何も言わないわ。本当にスきにしテイいわよ。……それでも、あノ人は一緒にいてクレるって、知ってルカら』 アトワイトもディムロスと同じことに気づいていた。それでも彼らはこうすることを選んだのだ。 ならば、もう自分が韜晦すべきことはない。彼らは一切の柵もなくこの場所に立っているのだと理解できた。 それが彼らに必要だというのならば、これほど上等な命の使い道も無い。 『……でも、アレは……出来れバ止めた方がいいと思うんダケど……無理、ヨね……』 「人の術力あれだけ使っておいて言うセリフじゃないよ。なあに、慣れれば結構楽にいける」 一種の清々しささえあったアトワイトの声が萎むように小さくなる。 そんなアトワイトの声を無視するようにして、ミトスは首に巻いて風に煽られているスカーフに手をかけた。 顎の辺りからぐいとに引っ張ったかつての魔王の外套、その下より現れたのは赤く染まった無数の生傷だった。 出血が薄い分目を凝らせば皮膚から肉に至る断面が鑢で念入りに濾されたようにぐずぐずになった処までがくっきり見えそうな傷。 自分の首にそんなものが付いているということなど意を解することなく、ミトスは右手に持ったファフニールを首筋に宛がった。 「魔界の眷属が一、強欲たる竜よ。汝が牙にて我が黄金の血を啜り慾渇を満たせしば、其の陽気を供物と我に捧げろ―――“メンタルサプライ”」 儀式めいた狂言が終わるや否や、ミトスの首に邪剣ファフニールが穿たれた。 飢えに餓えたと云わんばかりに、ミトスの皮膚の内側でその短い刀身がのた打ち回る。 まるで剣自らが意志をもっているかのように、いや、事実として存在するであろう本能が自らの歪んだ刃に少しでも血を塗りたくろうと蠢く。 この島に存在してから誰一人とし命を啜れていなかったその剣は例えそれが歪んだ命であろうと嬉しそうに心底嬉しそうに舐めた。 砂漠を彷徨う人間がオアシスに対して想うような感情が、魔力となってその剣に――――――――“蓄えられなかった”。 剣先から伝う命の通貨が、鍔を通り魔力となって、柄を握るミトスへと循環する。 外部に流出するはずの命を心の力と化して体内に回帰させるEXスキル・メンタルサプライ。 吸精の魔具を媒介として循環効率を高められたミトスの中で発動していた。 『…………せめて、治療は……無理なんデシょうね…………』 生理的な嫌悪感を隠すこともなく、アトワイトは諦めきれずに呟いた。 術力が不足しているから、代わりに生命力を削ってそれを充填するなど正気の沙汰ではない。 人間に比べて生体という概念から超越している無機生命体であり、魂喰いに食わせた命を逆に奪い取ることで変換率を増幅させているとは言え、 十分の一というこの世界の回復効率とは比べ物にならない。考え付いても誰もしなくて当たり前の、子供の発想だ。 だが、それをミトスは行った。それはつまり生きる力より戦う力が欲しかったからに、 死の淵に向かおうが為さなければならないことがあったからに他なからなかった。 やっぱり子供の考えることは、特に男の子の考えることはよく分からないと、向こう側の剣を見ながらアトワイトはそう思った。 ミトスの異常な行動を見て、ディムロスもまた気づく。 生呼精吸。信じたくない話ではあるが、それ以外にミトスの術力回復を説明する術がなかった。 体力を失ったこと、それをミトスが不利になったとは考えない。 ソーディアン・ディムロスの特性上、体力を後生大事に抱えて回復に徹してくれた方が読みが楽だからだ。 だが、ミトスは打って出ることをその体で示した。となればこの後に待つ戦いの形は決まっている。 遂に空中での自由を確保したミトスとの遠中近全ての距離で繰り広げられる、一〇〇〇〇発の砲弾を十数分で射耗し尽くすような最悪の総力戦だ。 カイルが以前ミトスと戦った時は痛み分けだったと聞いたが、今回はそれでは済まされない。 下手を打てば痕跡さえ残るまい。両陣に自分たちが居るが故に。 『カイル。俺は果報者だ。人ならざる選択を強いてきた剣には過分に過ぎるほどの、人としてのものを得た。 最早一切に後悔はない。俺にも、アトワイトにも』 そう云いながら、ディムロスは箒の状態を確認する。目には見えぬ、しかし全体として隠しきれない疲弊が蓄積されていた。 ソーディアンの全力を受けてこの箒を運用できるのは、もうあと数分もないだろう。 『だからカイル。後はお前だけだ。お前が選べ。自分の意志で、何を為すかを。俺は、その全てに力を貸そう』 答えを聞きたかったわけでは無かった。もし此処でカイルが退くつもりだったのなら、アトワイトを手放さなかっただろう。 ディムロスが彼女と交わした約束を無碍にするはずがないと知るからこそ、故に彼は自らが認めた3代目に忠義を示した。 「俺、少しだけ分ったんだ。ううん。思い出した」 ごそごそとポシェットより何かをとりだしてカイルはそれを握りしめる。 「俺は、未だ全然なんだって。未熟で、半人前で、ガキで。何にも分かってないんだって」 輝くそのエクスフィアは、カイルに生きることの意味を教えてくれた人の記憶だ。 「あの人が俺に生きろって言ってくれたから、今俺はこうして生きてる。 あの人や、父さんのように誰かを守れるような、誰かのために生きられるような、そんな人に」 自分の命を此岸に繋いでくれたその絆を、カイルは強く握りしめた。 軋らせた奥歯と同じように、ともすれば割れてしまいかねないほどに。 「俺は、生きるんだ。だから――――――生きるためにはまず“俺”が必要だったんだ」 カイルがディムロスを背負う。その小さな背中には不似合いなほどの剣だった。少なくとも今はまだ。 少年の氷は未だ解けていない。あの洞窟から、最後の最後の針が動いていない。 「俺は、ここに逃げに来たんじゃない。誰かを守りに来た訳じゃない。 何が正しいかを見つけに来たんでもない――――――――――――俺は、俺を勝ち取りに来たんだ」 カイルの双眼がミトスを射抜く。目指すべき一点、越えるべき壁がそこに屹立している。 「付き合ってくれる? ディムロス」 ディムロスは分かっていた。此処で退かなければ、もうあの村には帰れない。 箒の全スペックか、時間のどちらか。それがここからあの村に戻るための最低条件だ。 そして、今からカイルがやろうとしていることはその両方を使わなければ為せないことだった。 だが、それはディムロスにとって今更すぎる話だった。使う奴が軒並み碌でもないのだから仕方がない。 『反対する理由ならば山ほどあるが、マスターの頼みとあっては是非もないな。付き合うさ』 「ありがとう、俺、お前に会えて良かった」 肩を竦めるようなディムロスの返事に、カイルはありったけの気持ちを詰めた笑顔で応じた。 燃えた草木の灰が巻き上がった風に煽られて乱れる。 少しずつ夕の赤が夜の黒に滲み始めた空に浮かぶそれは雪か桜の舞い散るように世界を幻惑している。 その空に立つ二つの影。一人は堕ちた勇者で、一人は英雄を辞めた男。 世界は遂に閉ざされた。勝利は無く、名誉も無く、敗北さえも無い。唯、浮かび始めた星々だけが在った。 「戦う理由は見つかったか?」 全ての意味が死に封鎖された輝ける星空の下、 英雄<Hero>になれなかった英雄<Ace>達の、語られない最後の戦いが今その火蓋を切った。 「お前をぶっ倒す理由くらいは、ある。そこから先はその間に見つけるよ」 【カイル=デュナミス 生存確認】 状態:HP25% TP20% 両足粉砕骨折(処置済み) 両睾丸破裂(男性機能喪失) 右腕裂傷 左足甲刺傷(術により処置済み)背部鈍痛 覚悟+ 所持品:S・ディムロス フォースリング 忍刀血桜 クラトスの輝石 料理大全 ミスティブルーム 首輪 レアガントレット(左手甲に穴)セレスティマント ロリポップ クローナシンボル ガーネット 魔玩ビシャスコア アビシオン人形 漆黒の翼のバッジ ペルシャブーツ エメラルドリング 基本行動方針:それを決めろ 第一行動方針:ミトスをとの決着をつける 第二行動方針:ヴェイグのことはその後 SD基本行動方針:(結果がどうであれ)デアトワイトと共に在る 現在位置:B3・大草原 【ミトス=ユグドラシル@ミトス 生存確認】 状態:HP15% TP60% とてつもなく高揚 左頬に軽度火傷 右頬に小裂傷 首に傷多数 所持品(サック未所持):S・アトワイト ミスティシンボル ダオスのマント 地図(鏡の位置が記述済み)邪剣ファフニール 基本行動方針:??? 第一行動方針:カイルを殺す SA基本行動方針:(結果がどうであれ)ディムロスと共に在る 現在位置:B3・大草原 前 次
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献上 ◆/kFsAq0Yi2 夜の闇に紛れず、強い存在感を放つ白き影の名は、ン・ダグバ・ゼバ。究極の闇を齎す者、グロンギの王たる少年である。 歪な頭部を持つ獣のようなバイク、バギブソンを背に座り込んだ彼の眼前には、自らの巻き起こした惨状が広がっていた。 市街地を崩壊させるほどの戦いも、彼にとっては児戯にも等しい。そもそもこの世界存続を懸けたバトルロワイヤル自体が、彼にとっては面白そうなゲゲルであるという以上の価値がないのだが。 そのゲゲルのルールとして、参加者には制限が加えられている。仮面ライダーや怪人態といった超常の力を発揮する異形を保てる時間はわずかに10分のみ。それを一度過ぎれば、およそ二時間無力なただの獲物と化してしまう。 その制限は究極の力を持つダグバにも例外なく適用されていた。絶対者である自分を縛り付ける首輪を軽く叩いて、ダグバは笑みを深める。 彼の属する世界において、ダグバに太刀打ちできる者など同じ凄まじき戦士である究極の形態となったクウガだけだったが、異世界のリントは本当に面白い。他者に施すばかりであった自らに恐怖を与え、このような戒めまで施している。 純粋な力であればやはりクウガ――自らと同じ世界の熟練した戦士と、異世界より現れた未熟な、しかし究極の闇を齎す者へと到達したもう一人のクウガの二人以外、ダグバを害することの叶う者は存在しないだろう。だがこのゲゲルに招かれた者達は、その埋めがたき差をこのような道具で無きモノとして来る。ほんの30分前に持ち得る戦闘手段を浪費した今のダグバは、究極の闇を齎す絶対の暴君ではなく、首輪の効力によって脆弱なリントと等しき存在にまで堕ちていた。故に今、他の参加者が現れようものならダグバは恐怖のままに虐殺されるだろう。 自身と同等の存在との命の削り合いで覚える恐怖こそ、ダグバにとっては至高の感情だが、虫のようなちっぽけな存在に逆に蹂躙されるというのも面白いかなと、彼が思った時だった。 連続する鉄馬の嘶き――バイクのエンジン音がダグバの耳に届いたのは。 立ち上がり、それのする方を向いた究極の闇を齎す者の周囲に広がっていた脆弱な闇が、強い光に切り裂かれた。 ダグバの方に向かって来たのは深いワインレッドの、流麗なフォルムをしたバイク。それを駆る巨躯の軍人の顔は、ダグバに覚えのあるものだった。 「目的地が焼き払われたと思えば……やはりおまえか」 現れた軍服の男――カブトエクステンダーを駆るゴ・ガドル・バの言葉を、特にダグバは聞いていなかった。 リントの如き今の自分では、ゴ集団最強であるガドルに抗う術などない。ダグバは恐怖がむくりと起き上がるのを感じて…… 「……今、使える力はあるのか?」 そのガドルの問いに、急激に冷めた気分になりながら答えた。 「ないよ」 「そうか」 ガドルの返事は短かった。そうだろうな、とダグバは失望したように溜息を吐く。 ガドルはグロンギの中では、自分とはある意味最も近い存在だ。それは有する力のことではなく、その精神。二人はただの殺戮を喜ぶ他のグロンギと異なり、自身を脅かす強者との戦いを望む。ガドルは己を研磨し、最強へと近づくため。またダグバにとっては、それだけが手に入らないものであった故に。 そんなガドルが、本来の姿になれない自分を殺すとは考え難い。究極の闇を齎す者である本来のダグバを超越した、真の最強になることが彼の目的だからだ。 使える力があるかという問いを発する時点で、彼は自分が究極の力を先程使用したことと、制限の存在を把握しているというのは間違いないだろう。他の力があるとブラフを使ってもこちらから仕掛けなければガドルは今のダグバに手を出さないだろうし、リントの姿のままで襲い掛かっても相手にしないだろうことから、事実を伝えるしかなかった。 せっかく、恐怖を味わえると思ったのに…… そう嘆くダグバの前で、ガドルも考え込むようにどこかを見ていた。 バイクのアイドリング音だけが木霊する静寂の中、二人のグロンギがただそこに立っていた。 「……仕方がない、か」 やがて思案していたガドルはそう決断の溜息を漏らすと、ダグバの目の前で自身のデイパックを手にした。 そうして一瞬だけ躊躇するような表情をした後、ダグバに箱のようなものを投げて来た。 「――これで戦って欲しいの?」 スペードのマークの刻まれたその箱を笑顔と共に翳すダグバだが、ガドルは否と首を振る。 「持っておけ。究極の闇を以ってして及ばなかった相手ならともかく、下らぬ制限で弱き者に貴様が倒されることは許せん」 そして、とガドルはさらに付け加える。 「それは仮面ライダーの力だ。そのブレイドという戦士は特にその誇りを貫いた強き戦士だった。本来リントを護る戦士である彼らの力を、貴様に与える時点で矛盾しているが――せめてその力に恥じぬよう、無様だけは晒すな」 「へえ……」 少しだけ、ダグバの内に苛立ちがあった。 誰に向かって、何様のつもりでこんな言葉を吐くのだろうと――愚か者を見る目でガドルを見たが、そこで認識を改めた。 「ガドルが僕の前で、そこまで言うなんてね……」 王が見た破壊のカリスマを自称するグロンギの瞳は、驕りなき誇りを持つ強き戦士のもの。 ガドルはその、『仮面ライダー』の敵であるということに、心からの名誉を抱いているのだ。 これまでずっと、ダグバしか見て来なかったあのガドルが、そのダグバと同じくらいに、敵対者として『仮面ライダー』を認めている。 「……凄いんだね、仮面ライダーって」 「――ああ」 僅かな間は、返答への躊躇いなどではなく、胸中に蘇った強敵への想いを噛み締めるためのものだろうということは、ダグバにも見て取れた。 「そんな相手だからこそ、殺す価値がある」 そう満足げに呟くガドルは、どうやら相当仮面ライダーにお熱のようだ。だがそれは彼の隙になっているわけではなく、むしろ逆らしい。 テラーメモリの力でダグバがこのゲゲルの認識を改めたように、ガドルも仮面ライダーとの戦いを通じ、視野が広くなったのだろう。ダグバに挑むためのゲゲルの標的としか見ていなかった敵対者を、己の全霊を懸けて挑むべき強者だと認めたのだ。 ただノルマのようにこなす殺戮とは違う、互いの全てを懸けた真なる闘争。今のガドルはそれをいくつか乗り越えて来たのだろう。 午後に顔を合わせた時、単純にガドルはグロンギの中で自分の次に強いから――といった程度の理由でしか期待していなかったが、今のガドルは違う。一度戦うごとに、心身ともにグンとその力を増すだろう。 戦う理由は違えども、まるでクウガのように。 いつか、本当に究極の闇を齎す者に相対できるほどに。 「……その傷も、仮面ライダーにやられたの?」 それまでのガドルの動きから、左半身に酷い裂傷を負っていることはダグバには察知できていた。 ダグバの問いに、ガドルはにんまりと頷く。 「ああ。――別の仮面ライダーには、敗北さえした」 なら何故ガドルが生きているのか――それは問わない。 先程自分が殺した白い仮面ライダーをダグバも思い出す。彼の力は弱かったが、それを補う技量や――それ以上に、ダグバにはよくわからない面白さがあった。そして、既に絶命しているはずの身でダグバに一撃を入れて来たのだ。 おそらくは似たような状況で、その仮面ライダーは勝利まで後一歩、命が保たなかったのだろう。 (良いなぁ……) 負けたことを嬉しそうに報告するガドルを本当に変わったと思いつつ、自分と違って何人も命のやり取りができる好敵手が存在する彼に、そう素直に羨望を抱く。 そこでダグバは悪戯したくなって、少し試すことにした。ポケットに入れておいた自身のベルトの欠片を手に取り、ガドルへと投げ渡す。 「……何だ、これは?」 「ゴオマから返して貰った、僕のベルトの欠片だよ。……大丈夫、僕のバックルはちゃんと修復されているから」 「……どういうことだ?」 「大ショッカーは、別々の時間から僕やガドル、ゴオマを連れて来たみたいだよ」 その言葉に軽く衝撃を受けたかのように双眸を見開くガドル。まじまじと大きな掌に収まった金の欠片を注視し、再びダグバを向く。 「それでこれは、どういう真似だ?」 「これのお返しだよ」 ダグバはそう再びスペードの意匠をされたバックルを掲げる。 「それを使えば、僕の――究極の力の一部が手に入るよ」 ダグバの言葉に、ガドルは再び驚き、欠片へと視線を向けた。 だが特に迷うようなこともなく、ガドルはダグバにそれを投げ返して来た。 「――不要だ。俺は仮面ライダー達と戦い続けるが、ダグバ、貴様が俺のザギバスゲゲルの相手であることには代わりはない。その相手から施される力など要らん。力が欲しければ自分で奪い取る」 そのガドルの返答に、ダグバは笑顔を返す。 本人も知らない内に、少しだけ深くなった笑顔を。 「うん。僕も今のガドルなら、ザギバスゲゲルに来る頃には、僕を笑顔にできると思うよ」 もし欠片をそのまま持って行こうとしたのなら、これ以上は期待できないからこの場で殺すつもりだったが――やはりこのグロンギは、ゴオマのような盗んだ力で図に乗る愚か者とは違った。 あくまで己の力を鍛え上げ、自身が手にした力で究極を目指すガドルに、ダグバはそう本心からの期待を伝えた。 「ダグバ、待っていろ」 ブレイドという仮面ライダーについて、彼の見聞きした限りの情報をダグバに伝えた後、再びバイクを走り始めさせたガドルがそう、いつもの挨拶を残して行く。 ダグバが崩壊させた市街地の方へと鉄馬を従え向かうガドルは、直ぐに小さな点になってダグバの視界から消えつつあった。 その背に向けて、ダグバは呟く。 「――待ってるよ」 ――それはグロンギ同士が邂逅したにしては、あまりに穏やかな交流だった。 ただガドルにはダグバ以外にも倒すべき強き戦士が現れ、ダグバにとってクウガ以外に、本当に自分を笑顔にしてくれるかもしれない者を見つけることができたこのバトルロワイヤルの会場で、それぞれの現状が互いにとって望ましいものであったからだろう。故に、今は戦わず互いのゲゲルを続けることを優先したのだ。 ダグバはガドルから渡された仮面ライダー――ブレイドの力を見て、思う。 なるほどリントを護る宿敵の力を、リントを滅ぼすダグバに渡すことは抵抗があったのだろう。ただ敵に感化され過ぎることのなかったガドルにはやはり甘さはない。例え明らかに重過ぎる傷を負っていようと、おそらくは他のゴでも今のガドルには敵わないだろう。あるいは、あの時ガドルを殺した黒の金のクウガと戦っても、怪我にも関わらず結果は変わるのではないかとさえ思える。 そのガドルが自分の前に現れるか、あるいはそのガドルすら打倒し得るほどの強者が立ち塞がるか―― どちらにせよ笑顔になれそうだと思ったダグバは、バックルをデイパックにしまおうとして―― 「ブレイド……?」 ある事実に気づき、別のデイパックに手を出す。 夕方、別世界のクウガを怖くするために整理した男から奪った支給品。その内の仮面ライダーの力は先程の戦いで壊されてしまったが、他にも手に入れた物があった。 武器ではなかったために意識の隅に追いやってしまっていたのだが、その説明書には面白いことが書かれていた。 「あった……」 取り出したのは、一つの箱。 そのアイテムの名は、ラウズアブゾーバー。 仮面ライダーブレイドもしくはギャレンを強化フォームへと変身させるための装備。 そのままでも、今のガドルに称賛されるほどの力を持つ仮面ライダーの力を、さらに強化できるというアイテムはダグバの興味を引くのに十分だった。 「ガドルやクウガを待ってる間、これで遊んでみるのも面白そうかな」 ラウズアブゾーバーを使用するのに必要なカードは、今は手元に足りていないらしい。 それならガドルが言ったように、それを持つ参加者を見つけ出して奪い取るのも一興だろう。 ガドルの言う仮面ライダーの誇りというのは、ダグバには正直わからない。そもそもさほど興味がない。 善も悪も、リントもグロンギも、どんな存在が抱くどんな情念だろうと、それ自体にダグバは何も価値を見出さない。 ダグバが他者に求める本質は結局、それらを積み重ねた上での力が、どれほど自分を愉悦させてくれるのか、ただその一点のみ。 だから、その力への純粋な興味だけが、究極の力を持つグロンギの王の中にあった。 【1日目 夜中】 【E-2 市街地跡地】 【ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ】 【時間軸】第46話終了後以降 【状態】疲労(小)、ダメージ(小)、恐怖(小)、怪人態及びリュウガに1時間30分変身不可 【装備】ガイアドライバー@仮面ライダーW、モモタロスォード@仮面ライダー電王 、ブレイバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(スペードA~6.9)@仮面ライダー剣 【道具】支給品一式×3、不明支給品×1(東條から見て武器ではない)、音也の不明支給品×2、バギブソン@仮面ライダークウガ、ダグバのベルトの欠片@仮面ライダークウガ、ラウズアブゾーバー@仮面ライダー剣 【思考・状況】 1:もう1人のクウガとの戦いを、また楽しみたい。 2:恐怖をもっと味わいたい。楽しみたい。 3:ガドルやリントの戦士達が恐怖をもたらしてくれる事を期待。 4:新たなる力が楽しめるようになるまで待つ。 5:余裕があれば残りのスペードのカードを集めてみる。 【備考】 ※ガイアドライバーを使って変身しているため、メモリの副作用がありません。 ※制限によって、超自然発火能力の範囲が狭くなっています。 ※変身時間の制限をある程度把握しました。 ※音也の支給品を回収しました。 ※東條の不明支給品の一つはラウズアブゾーバー@仮面ライダー剣でした。 【ゴ・ガドル・バ@仮面ライダークウガ】 【時間軸】第45話 クウガに勝利後 【状態】疲労(中)、ダメージ(大)、左腕及び左上半身に酷い裂傷、カブトエクステンダーを運転中 【装備】ガイアメモリ(アームズ)@仮面ライダーW 、カブトエクステンダー@仮面ライダーカブト 【道具】支給品一式、ガイアメモリ(メタル)@仮面ライダーW 【思考・状況】 基本行動方針:ゲゲルを続行し、最終的にはダグバを倒す。 1:強い「仮面ライダー」及びリントに興味。 2:タツロットの言っていた紅渡、紅音也、名護啓介に興味。 3:蛇の男は、真の仮面ライダー。彼のような男に勝たねばならない。 4:仮面ライダーの「正義」という戦士の心に敬意を払う。 5:ゲゲルが完了したらキング(@仮面ライダー剣)を制裁する。 【備考】 ※変身制限がだいたい10分であると気付きました。 ※『キバの世界』の情報を、大まかに把握しました。 ※ガドルとタツロットは互いに情報交換しました。 ※海堂直也のような男を真の仮面ライダーなのだと認識しました。 ※参加者が別の時間軸から連れて来られている可能性に気づきました。 089 信じる心 投下順 091 Sを受け入れて/地獄の兄妹 088 太陽は闇に葬られん(後編) 時系列順 093 君はあの人に似ている (前篇) 087 防人(後篇) ゴ・ガドル・バ 096 Tを継いで♭再戦(前篇) 086 This Love Never Ends♪音也の決意(後編) ン・ダグバ・ゼバ 102 G線上のアリア/ファイト・フォー・ジャスティス
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Top 【シェア】みんなで世界を創るスレ【クロス】 異形世界・「異形純情浪漫譚 ハイカラみっくす!」 人と魔≒棒と傘 「やめるっつーなら、今のうちなんだが」 青年はそう言うと面倒そうに一度頭を掻き、棒を構えて見せた。 まぐれとはいえ、エリカ様を一撃で叩き伏せたところを見るにただの棒ではないようだが、 それは「邪の目」とて同じこと。いかに優秀な武器を有していても、所詮使い手が人間で あってはたかが知れている。 もちろんそんな威嚇に屈するはずも無く、露をたたえた芝生の上を静かに一歩、また一歩 と踏み寄るエリカ様。互いの間合いに入るか入らないかのところで一度足を止め、ぽつり と何か一言交わす。それをきっかけにいよいよ戦いが始まるのかと思いきや、エリカ様は 突然踵を返し、私の元へと戻ってらした。 「ふ、服着てくれって!」 言いながらそそくさと着物を抱え、慌てて袖を通し始めるエリカ様。どうやら先程の一撃 で自分が裸であることを忘れていたらしい。 私はそれと分かるように微妙な表情を作って、裸では戦えないのかと詰問してみたのだが 「むりむり」の一点張りで一向に譲る気配がない。 まあどちらにせよ青年を倒せるなら良しと着替えを手伝うも、どうも身体が強ばっている せいで上手くいかない。結局ところどころ裾をはみ出したまま一応それらしく形を成すと、 エリカ様はようやく邪の目を構え、ふたたび青年の方へと戻って行かれた。 その乱れた着こなしと私の切った髪の毛は妙に似合っているように思える。 「――お待たせしましたっ」 紅潮したエリカ様が間合いを踏み抜く。それと同時に青年が棒を抜いた。 ぶん、と風を切る音。高い金属音と白い火花が闇に散る。 打ち合された武器と武器。拮抗する力の軋みを境に、二人の顔が近寄った。 「速いわね、言うだけあるじゃない」 「そっちこそ、やっぱそのへんの奴らとは訳がちげえ……なっ!」 言葉と同時に蹴りを返す青年。しかしエリカ様もそれを見越していたのか、後ろへと跳ね 退く。武器を握り直し、構える二人。 単純な腕力だけならば恐らくは青年の方が上であろう。妖魔といえどエリカ様は馬鹿力を 有するような、そういった類の妖魔ではない。 それでも今一度の打合にて互角なところを見ると、武器においてはやはりこちらが有利か。 雨を凌ぐが如く「力を散らす」邪の目、単純な打撃だけならほぼ全てを無効にできるはず。 青年もそれに気づいてか、怪訝な視線を邪の目に向けた。 「おかしいな、本気で打ったが手応えがねえ」 「この傘は女の子用にできてるのよ」 言いながら笑顔で邪の目の先を軽く振る。と、青年はその動作を見逃さず膠着を破った。 人とは思えぬ速度で距離を詰め、気付いたときには二度目の火花が散る。 続けざま、雄叫びと共に雨のような攻撃を加えてくる青年とは対象的に、華麗にそれらを いなすエリカ様。 こと世事に疎いとはいえ、戦いに関しての身のこなしはさすが蛇の目家当主というところ。 暗いシノダ森を明滅させながら何度も何度も金属音を響かせ、やがて幾十度目にして一際 強い火花が青年の顔を照らした。 攻防の合間をぬって打ち入れていた裂傷により滲む血と汗。しかし未だ不敵な笑みは消え ていない。そのような猪まがいの攻撃を続けていて本気で勝てると思っているのだろうか。 「大分お疲れのようだけど、そろそろ諦めて私を抱いたら?」 青年は応えず唾を吐き、ただ大きく肩を上下させていたが、不意に動きを止めると覚悟を 決めたのか武器を上段に構えた。エリカ様はそれを見てから私に視線をよこし「言っても 聞かないみたい」と言いたげに肩をすくめる。 黙ってエリカ様を抱きさえすれば良いものを、なまじ力があるものだから抵抗するとは 愚か、いや哀れとしか言い様がない。 さすればその死後にでも、エリカ様の身体の中で快楽とともに果てるが良い―― 「でやああああ!」 猛々しい叫びとともに繰り出される渾身のひと振り。当然エリカ様は合わせるように邪の 目を斜めに構え、受ける。 ――と、聞きなれた金属音の中に信じられない音を拾った。 びきん、という鈍い軋み。その音が何なのか私が答えを出すよりも早く、エリカ様本人が 気づいたのだろう、攻撃を受けきらずにそのまま横へと流し、焦燥した顔を上げる。 「そんな……邪の目にヒビを入れるなんて」 「生憎こっちの武器は男の子用なんでね」 青年がにやと口元を曲げる。構え直されたその棒は不思議な青白い光を帯びていた。 こっからが本番だぜ――青年の言葉通り、再び始まった戦いは見た目先ほどと同じような ものではあるのだが、明らかにエリカ様が押されている。 嵐のような猛攻を受け、しかし受けきれずに下がる。守り一辺倒で攻撃を入れる隙もない のか、時折散る火花の中に浮かぶエリカ様の表情からも、既に余裕は消え失せていた。 「どうした、色ボケ姉ちゃん」 迫合の中、余裕を見せ始めた青年が足払いを放つ。 ほんの小技ではあったが、力で押されていたためかエリカ様は見事にそれ受けて転倒して しまった。間をおかず突き下ろされる棒をなんとか避けるも、青白い光がエリカ様の腰を 僅かに掠め、地面を穿つ。 これはどうしたことなのか、青年の持つ棒が光を帯びてから全く形勢は逆転している。 かつて幾匹もの妖魔が人の理を超えた武器によって討たれた例は少なくないが、私の豊富 な学識の中にもあのような棒の資料はなく、ただ目の前で繰り広げられる信じがたい戦局 に胸の鼓動だけが早まっていく。 接近戦は不利。エリカ様も思い至ったのだろうか、黒い翼を広げて上空へと飛び立った。 「あっ!」 しかし、地面ごと貫かれていた袴が下に残ってしまったことはエリカ様にとって予想外で あったらしく、白い足を月光にさらしながら前裾を抑えている。 なんとも情けない主の姿に溜息混じりの苦笑いを作ると、ここで初めて青年と目が合った。 そんな彼もまた同じように苦笑いを浮かべていた。 今この場では敵とはいえ、同じ感情を共有してしまうと中々憎めないものである。 「お前、あいつの使い魔だろ? こりゃあどうしたらいいんだ」 その問いかけに対し、言葉を話すことの出来ない私はなんとか身振り手振りで「そのへん に放っておいてください」といったことを伝えると、青年も頷きながら意図を汲みとって くれたらしく、汚いものでもつまむようにして袴を棒から外し、ぽいと投げ捨てた。 「ちょっと、投げることないじゃない!」 程なくして降りてきたエリカ様に対し、青年は棒を下段に構えると、そのまま地面へ突き 刺す。 「あんたじゃ俺には勝てねえ。悪いがおとなしく去ってくれ」 「あら、まだ分から――」 続きを言いかけたところで、一陣の強い風がエリカ様の衣を吹き上げる。 ひらひらと逃げようとする着物を必死に抑えながらも、淡い桃色の下着だけはエリカ様を 守る唯一の味方であるように見えた。 私と青年は再び顔を見合わせ、苦笑いを通り越した和み笑いをたたえあうより他はない。 「手加減はするが、殺しちまったらすまん」 振り返りざま、青年の口元がそう動いたように見えた。 上へ
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「あぁ?俺のやることに文句あっか?俺はあの幽霊龍に命取られたダチ公と親の仇を取りに行きてえだけだ!」 「イラつくことばかりだけどぉ、それでもうやるしかねえ。旧支配者だぁ?んなの全部ぶっ潰してやるまでだぜ」 「春花市」に住む九条学園高等部1年、情報学科のヤンキー。白く荒立った髪が特徴。バットを良く持っている。両親を怪事件で亡くしており、父方の祖父祖母の世話になっている。スーパーのバイトをして学費を稼いでいる。 性格は荒く暴走族の集団にタイマンで勝てるほどの力を持つが流石に幽霊はだめだったよう。本当は不器用だが優しい一面を持つ。大人が大嫌いであり、特に自信の面子のために他者を傷つけ切り捨てる奴は問答無用で叩きのめす。 しかし一方で自身を理解してくれた者には忠誠心がとても強いようでハーネイトに対しても時に反論することはあれどそれは彼の体を気遣ってのことであり割と素直に従うほどである。煮え切らない態度に時折いらだつが、それは彼がハーネイトに期待を多く抱いているが故のことである。 幼い時から見えないものが見えており、須佐野という友人に奇妙なドラゴン型の幽霊がとりついたのを見てお払いに行けというが友人はゆうことを聞かなく3日後に事故に巻き込まれた。しかも事故の現場を見ており、なぜ早く助けに行けなかったのかと後悔していた。そして彼は霊という恐怖におびえていた。 それから人形使いの話を聞き、何者かが気になり仲間と共に調べていた矢先ハーネイト達と出会い、自分は今の自分を壊して、乗り越えて、強くなりたいという闘志の炎が再びよみがえる。彼はそうしてハーネイトたちの弟子となったのであった。親を殺され、友を奪われたのは力がなかったせいだ。それを乗り越えるため彼は再び巌鉄たちと共に立ち上がる。 小学生の弟と妹がおり、学費を稼ぐためにバイトをしているがハーネイトの元で探偵見習となったおかげで大量の給与をもらえるようになり何かと世話になっているが、正直彼に言わせると恩人でもあるハーネイトは嫌々戦っているのを無理やり我慢しているだけで見てられない、いつか先公ことハーネイトが戦わずに済むように強くなりてえ、そういった思いが実が一番彼を突き動かしていた。 それは、彼が初めて心底信じられる大人がハーネイトと伯爵だったからである。親を龍に殺された件も含め霊の話を信じてもらえたこと、全ての話を真剣に、決して茶化すこと無く聞いてくれた上で自身のやるべきことを導いてくれたことは彼を大きく成長させ、現霊使いとしても強力な存在になるきっかけであった。 また女体化したハーネイトにかなりドキドキしているようでもある。元々恋愛よりも喧嘩好きであったがどうも変わってきているようで素のハーネイトに対して態度が変わる時がある。 好きな物はバイク、モトクロス、機械の整備でコンピュータにも強い一面がある。これは先輩である巌鉄の影響もあるという。嫌いな物ははっきりしないこと全般とトマトなど赤系の食品。血にトラウマがあるがそれを克服しようと戦いに挑む。 セリフ + ... セリフ1 ったくよ、俺は準備できてるぜ。待たせんじゃねえぞあぁ? セリフ2 ケッ、何で面倒なことに巻き込まれなきゃなんねえんだ セリフ3 全部、俺の力で薙ぎ倒す。邪魔する奴は容赦しねえぞ! セリフ4 ククク、おもしれえなおい!強ええ相手程俺も燃えてくるぜ! セリフ5 まとめて粉みじんに砕いてやらぁ!かかって来やがれ怪物風情が セリフ6 セリフ7 セリフ8 セリフ9 セリフ10 人形使い、ハーネイト。あいつは確かに頼りねえしやべえなと思うがよ、それでも超えねえといけねえ目標だ。それに、あいつに泣き顔も憎しみの表情も似合わねえ、俺が代わりに全部……引き受けてやれるくらいに セリフ11 ったく、とんでもねえ存在がこうもいると感覚がマヒって来やがるぜ セリフ12 好きなこと 嫌いなこと 目標 龍について イベント レベルアップ スキル解放 現霊:素戔皇(スサオウ)/威叉薙(イサナギ) 黒い特攻服姿に赤いバイザーを顔につけた、鬼のようにも見える人型の具現霊。その手には七支刀に酷似した釘バットのような武器が握られている。 真現霊:威叉薙(イサナギ)は白と金の装飾が目立つ番長のようないでたちの現霊。武装も変わり天之瓊旗(あめのぬはた)という旗槍になる。三種の神器も身に着け攻防一体の姿となる。 ちなみにフラッグランスピアの開発に彩音と間城と共に携わっており、旗が変化する武器もこれの影響。 クラス適正 アタッカー シューター シールダー サーチャー アサシン サポーター 見た目と内面の差異に悩まされ、それを気にせず付き合ってくれる友達を救えなかった過去、思い出が強く現霊に反映されている。友達の分まで俺は強くなりたいという決意が無意識の力である幻霊を現霊にかえ、友達の名字から取ったスサオウになる。もう誰も失わせない、奪わせないと決意を固め、現霊を纏い決衣(けつい)として身に宿し彼は主力となる存在になっていく。 セリフ + ... セリフ1 いいぜ、俺はいつでも準備はできてる。あいつらをぶっ倒すためならどこにでも行くぜ セリフ2 俺は、大人たちを信用できねえ。保身に走り、苦しんでいる俺たちを見やしねえ。だがハーネイト、あいつは別だ セリフ3 俺らを率いる大将が、そんな調子じゃ俺たちも不安なんだよ、ああ? セリフ4 いいだろう、やってやるぜ セリフ5 セリフ6 セリフ7 セリフ8 セリフ9 セリフ10 セリフ11 セリフ12 好きなこと 嫌いなこと 目標 龍について イベント レベルアップ スキル解放 Aミッション 主にアタッカークラスとして、汚染されたマスを一気にまとめて消し飛ばしたり、中ボス、エリアボスに対して高い打撃力で攻める典型的なクラス役割を担う。 通常戦闘 単体、全体共に物理技が多く、ステータスと相まって他キャラとは違う次元の火力を見せるが、状態異常などを与える技は少ししかなく、味方への支援スキルはない。自己強化しながら殴り続ける、それが彼の戦い方だ。 ステータス Aミッション:目前マス3×2マス選択 通常攻撃:単体物理属性攻撃×2HIT Lv HP CP 力 霊 速 体 心 運 15 230 200 21 5 8 17 6 14 具現霊戦技一覧 名称 消費CP(%) 習得LV 効果 技説明 一剣破 1 - 単体に物理属性大ダメージ+恐慌 弐天縫 3 - 敵単体に2ヒットする物理+火炎属性大ダメージ 三刃鬼 5 17 全体に1体当たり3HITする物理属性大ダメージ 四壊刃 7 22「 単体に4HITする疾風+物理属性大ダメージ+眩暈・混乱・裂傷 五崩落 12 27 全体に物理属性最大級ダメージ 六衡颪 14 31 全体に疾風+暗黒属性特大ダメージ+複数バステ 七天刃 17 37 全体に一体当たり7HITする物理中ダメージ+猛毒+防御半減 八龍撃 24 45 単体に8HITする物理属性最大級ダメージ+沈黙+DOT10%(3) 九斬衝 27 50 複数体に合計9HITする物理+疾風+暗黒最大級ダメージ 十禍誓 21 50 自身のHPを10%支払い、5ターンの間攻撃・命中・会心・会心ダメージを1.5倍にする 千刃怒濤 無数の剣を召喚し撃ち込む 万閃乃一刃 無数の剣戟を放ち、それを最後に1つにまとめ横薙ぎで切り裂く 天壊乃億腕 無数の殴打を浴びせ、最後に必殺のストレート 阿僧祇ノ神刃 武霊堕威崇斬 零環虚閃斬
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りゅーやとあまらがたたかうの 登録タグ【戦闘 流血表現】 戦う前に傾向と対策を模索するのは、戦闘を生業とする人間にとっては基本と言えるだろう。 リュウヤもその例に漏れず、アマラ対策に何か良い手は無いかと考えていた。 もっとも。 今まさに自分を叩き潰そうとひょうたんを振り回しているアマラを目の前に、早々良いアイディアが 出るはずも無かった。 「まじで?! もうやるの?! ちょっとたんましない?!」 構えを取ったのはいいが、踏ん切りのつかないリュウヤ。 「だがことわる!!」 そんなリュウヤの意見をばっさりと一言で切り捨てるアマラ。 彼の扱いは大体いつもこんな感じだ。 (くそ! このままじゃ○される! なんとかしないと!) じりじりと詰め寄ってくるアマラ。 間合いが広い槍に対して、アマラのひょうたんは間合いが比較的狭い。 突き出すことで最大の威力を発揮する槍だが、ハンマーは振り下ろしての打撃が攻撃の中心だ。 と、なれば、何とか間合いを開けながら戦うのが基本になってくる。 改めてみると、アマラの構えはあまり世間一般で見るものではなかった。 腕の盾で上半身を守り、片手でハンマーを振るう。 アマラの怪力から察するに、余程気合を入れないと槍は盾に弾かれるだろう。 かと言って下手に踏み込むとハンマーでぺしゃんこにされる。 (意外ときちんとした構えなのか。なんて面倒くさい!) 上半身への攻撃がだめと成れば、やはり下半身狙いしかないだろう。 脚を突いて動きを止めて、首元に槍を突き付けて勝負あり。 (これだっ!) アマラのだがことわる宣言から約五秒。 なんとか作戦を立てたリュウヤは、それに合わせた構えを取った。 腰を軽く落とし、槍の切っ先を地面に向け、石突きを高く上に掲げる。 成るだけ右手と左手の柄を握る位置を広く取り、突き出すときの長さを稼ぐ。 上から下へ素早く突き下ろせるこの構えは、攻撃を目的としたものだけではない。 足元を狙うから踏み込むと危ないぞ。 そういう警告の意味もあるのだ。 攻め続けられればそれだけ怪我をする恐れが増す。 それなら、にらみ合いに成った方が幾分かまし。 そう考えたのだ。 基本的に槍を突き下げると地面に刺さって抜けなくなってえらいことになるのだが、 まあその辺は魔獣戦士の腕力で何とかなるだろう。 むしろいつアマラが突っ込んでくるかとひやひやしている方が心臓に悪い。 リュウヤの意図に気が付いたのか、じりじりと詰め寄ってきていたアマラの脚が止まる。 生きてるって素晴らしいな。 一瞬去った危機に、思わず生命の神秘を感じるリュウヤ。 もっとも、長いこと浸っているわけには行かない。 なにせ危機が去ったのは一瞬なのだ。 未だに命が危険な状態には変わりない。 もうこうなったらいっそのこと攻めに出てやる。 槍はリーチが長い分、一方的に攻撃することも可能なのだ。 「こなくそー!」 完全にやられ役っぽい掛け声。 リュウヤは石突き近くを握っていた腕だけを動かし、アマラの脚を狙って槍を突き出す。 基本的に回避を考えないのがアマラの戦闘スタイルだが、流石に脚を串刺しにされるのは不味い。 後ろに飛びのいても、リーチが長い槍が相手ではすぐに次の攻撃が来る。 それよりは、懐に飛び込んだほうがはるかに戦いやすい。 そう考え、アマラは横に飛び退き槍を回避した。 このまま一気に距離をつめようと足元を踏み固めるアマラ。 だが、その行動はリュウヤの予想通りだった。 槍を横に滑らせ、柄をアマラの脚に当てる。 イクラ力を込めたところで、この状態からではアマラの脚を払うほどの力は込められない。 狙いはこの後だ。 咄嗟に足を払うように動かされた槍に、アマラは足元を固めてそれを受け止める。 自分を転ばせるほど力は込められないと踏んで、得物を抑えつつ攻撃をするつもりなのだ。 しかし、リュウヤの狙いはそうではない。 「そいやー!」 気合の声なのか何なのかいまいち分からない掛け声と同時に、リュウヤは思い切り槍を引く。 アマラの脚に当たっていた槍がその上をすべり、槍頭がアマラの脚に迫る。 刃を当てて引けば、物は切れる。 突きが強力なだけに忘れがちだが、槍の先についているのはようはナイフのようなもの。 こういう使い方でも、十分にその威力は発揮できるのだ。 アマラのふくらはぎが裂け、血が迸る。 それでも、リュウヤの中に歓喜は訪れない。 (なんつー硬い筋肉だよ! ほとんど切れねぇ!) 本来ならば骨まで食い込むほど切り裂けるはずだったが、相手があまりにも常識外過ぎたのだ。 予想外のことがもう一つあった。 リュウヤが槍を引く動きを見せたことで、アマラがその意図に気が付いていたことだ。 脚が動かなくなれば、攻撃を当てるのは難しくなる。 とは言え、既に柄が体に密着している今の状態では攻撃を回避するのは至難。 なら、動けなくなる前に一撃入れておこう。 自分の足が切り裂かれると分かりながら、アマラは回避行動をとらず突っ込んでいったのだ。 吹き出す血をまるで気にしないかのように、むしろそれが合図だったかのように。 アマラは渾身の力を込めてひょうたんを振り下ろす。 槍を引ききった直後だったリュウヤは、すぐに回避行動に移ることが出来ない。 脚に刃を押し付ける為に横方向に力を込めていたのが災いした。 勢いで横に流れた槍頭と崩れた体勢のせいで、防御することも出来ない。 「まじでかっ?!」 思わず叫ぶリュウヤ。 「ぶっつぶすぜぇー!」 楽しげに絶叫するアマラ。 振り下ろされたひょうたんは、リュウヤの肩に直撃。 ゴキリ、と言う嫌な音が自分の体の中で響くのを、リュウヤは聞いた。 叩き込まれたひょうたんは、その重量を遺憾なく破壊力として発揮する。 重心の不安定だったリュウヤの身体は、そのまま仰向けに地面に叩き付けられた。 土煙が上がり、骨が軋みをあげる。 それでも、リュウヤの意識はまだとんではいない。 槍からリュウヤの手が離れた。 離れてしまった、のではない。 離したのだ。 槍使いであるリュウヤが得物を手放す。 これはつまり、もう一つの武器を使うと言うことだ。 すぐにひょうたんを引き上げ、後ろに飛び退くアマラ。 その腹部ぎりぎりの位置を、獣の前足のような異形のものが掠めていく。 魔獣化したリュウヤの腕だ。 一蹴りで飛ぶ距離では、すぐに起き上がってくるだろうリュウヤの攻撃に対応できない。 そのままもう一歩飛ぼうとするアマラの脚に、激痛が走った。 切り裂かれたふくらはぎに負担がかかり、血がほとばしる。 顔をしかめながらも、それでもアマラは込める力を緩めず後ろに飛ぶ。 背中の力だけ跳ね起き、リュウヤは素早く当たりに視線を走らせる。 恐らく最初のビーストクラッシュは、でたらめに振るったのだろう。 しかし、あの距離でなら、相手の大まかな位置さえ分かっていればいくらでも当てられる。 リュウヤ的には苦しくてもがき苦しむ延長線上で放った技だったのだが、それでも脅威は脅威だ。 「おもったよりもやるなぁー!」 ふくらはぎの傷をちらりと見て、楽しそうに笑うアマラ。 そんなアマラを、(なにこのひとこわい)と思いながら眺めるリュウヤ。 ずきずきと痛む胸をさすり、骨とかが折れていないことを確認する。 自分は上半身を派手に打ちつけたが、骨は逝っていない。 対してアマラは、ふくらはぎに裂傷がある。 (其処を上手く突けば、殺されないですむ!) あくまでも目標は低いリュウヤだった。