約 40,744 件
https://w.atwiki.jp/homuhomu_tabetai/pages/2104.html
作者:hg1M/kvmo 第1部・『アンアン』と呼ばれた仔その1 その2 その3 第2部・蛇足、あるいはとある公園職員の独白 ジャンル:あんさや群れ ほむまど群れ ゲス稀少種 仲間割れ 共食い 実験 箱庭 誤認 食物連鎖 感想 すべてのコメントを見る ここにある中で一番つまんない
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/977.html
※この作品は以下のものを含みます 脇役な虐待お兄さん 比較的普通の良いゆっくり 比較的普通の悪いゆっくり あんまり目立たないドスまりさ タイトルで既にバレバレな内容 それでも良い方のみ、以下にお進みください 汝は餡狼なりや? やあ! 僕は虐待お兄さん! 最近、村の近くにドスのいるゆっくりの群れが住み着いたってんで、早速虐待しに行っているところさ! 武器は持たない! 空手だ! というか今日はあくまで様子見なので、特に何をするということもないのだけれど。 歌でも歌っちゃいそうな気分で歩いていると、すぐにドスまりさのデカ頭が見えてきた。 まずは定番の挨拶でもして、こっちに気を向けてやろう。僕は木陰から飛び出しながら、言った。 「やあ! ゆっくりしていって……ね?」 お決まりの言葉の途中で、僕は思わず声を止めてしまった。 というのも、ドスまりさやその周りのゆっくりの様子がおかしかったからである。 僕を目の当たりにしても、「ゆっくりしていってね!」と返さないどころか、警戒する様子さえない。 何やら複雑な事情がありそうである。 「ゆっ……なんだ、人間のお兄さんだね。ゆっくりしていってほしいけれど、まりさ達は今はゆっくりできないよ……」 しょぼくれた様子のドスまりさ。ますますワケが分からない。 「どうしたんだお前ら、何かあったのか?」 あまりに特異な状況に、思わずギャクタイズムソウルもなりを潜めてしまった。僕はドスまりさに近寄り、事情を聞くことにした。 「ゆっ、お兄さん、実はね……」 ドスまりさはぽつりぽつりと話し始めた。 その群れは、ごくごく普通のゆっくりの群れであった。 前いた場所に野生動物が増えてきたため大移動を行い、最近ここに住み着いたのだ。 中には人間に喧嘩を売るような愚かなゆっくりもいたが、案の定そういう連中は早死にしてしまった。 なので今では、残ったゆっくりだけで、できるだけ人間に関わらずゆっくり過ごそうということになったのだ。 しかしここで、ちょっとした異変が起きた。 或いはそれが全ての始まりであったのかもしれない。 「ゆゆっ! みなれないまりさだよ! ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていくんだぜ!」 流れ者の一匹のまりさが、群れの仲間に加わったのである。 まりさはすぐに一匹のれいむと仲良くなり、一緒に過ごし始めた。ここまでは群れも、新しい仲間を素直に歓迎していた。 だがしかしある朝、そのれいむが無残に食い殺された屍体となって発見されたのである。 近くには野犬やれみりゃもおらず、人間が近づいた痕跡もない。 疑いの目は、自然な流れとして、新参のまりさに向けられた。 昨晩れいむと最後までいたのもまりさだし、同じ巣に住んでいてれいむが外に出るのに気づかないはずがないと皆は思った。 「ちがうんだぜ! まりさはやってないんだぜ! どす、みっかだけまってほしいんだぜ! そのあいだにまりさが、しんはんにんをみつけてみせるんだぜ!」 その申し出は受け入れられた。まりさの必死さと、れいむを殺した犯人に向ける怒りに、嘘はないとドスは感じたのだ。 しかし翌朝、まりさは群れの縄張りの西端で屍体となって見つかった。これにも、食い殺されたようなあとがあった。 誰がやったかは分からない。事実なのは、犯人と疑われたまりさがもう死んでしまったことである。 多くのものは、れみりゃの仕業に違いないと思った。そのくらいしか犯人のあてがなかった。 しかしさらに翌朝、縄張りの中心にれみりゃの帽子とちぎれた羽が落ちているのが発見された。 群れのゆっくり達は昨晩は一歩も巣の外に出なかったが、何かが揉み合っているような音がしたと証言した。 ここに来て、ドスと側近のぱちゅりーは事態がただならぬ方向に動き出していると悟った。 静かなゆっくりの群れの中で起きた、連続殺ゆっくり事件── その犯人は、この群れの中の誰かである目算が高い── ゆっくり達は互いに疑心暗鬼に陥り、さりとて仲間を犯人と決め付けることもできない。 このままではゆっくりできなくなってしまう。そのことだけは皆漠然と感じていた── ……と、そういう事情であるらしい。 「ふぅむ」 中々興味深い話ではある。が、僕の虐待欲求とは全く関係がない。 関係がないが、この事件を放置してゆっくりを虐待しても、収まりがつかない気がするのだ。 なんというか伏線が回収されてない小説でも読んでいる気がして。どうにかできないものか。 ゆっくり共々車座になって思い悩んでしまった。その状況に違和感を覚えなかった時点で、虐待お兄さんとしては既におかしい行動だと自分でも思ったけど。 しかしそこはそれ、ゆっくりとは違う。僕はすぐに面白いことを思いついた。 「ねぇドス、こんなのはどうだい?」 「ゆっ、何?」 群れのゆっくりの注目を浴びる中、僕はコホンと咳払いして喋りだす。 「君達の話を聞いていて、どうやらこの群れの中に犯人がいるらしいという事情は分かった。 だがそれが誰なのかまではわからない。それで困ってる。そうだね?」 「むきゅっ、そうよ!」 ドス側近のぱちゅりーが合いの手を入れる。 「対応策は色々あるだろう。夜に寝ずの番を立てるとか、戸締りをするとか。 だが寝ずの番を立てたところで、その番が襲われたら意味がない。一晩中外にいることになるからね。 最悪、寝ずの番として選ばれたゆっくりが犯人だったら、そのまま逃げられたり、また誰か殺されてしまうかもしれない。 戸締りをしていても、相手はれみりゃさえ殺してしまうようなやつだ。家の中まで入られてしまえば一貫の終わりだろうね」 「ゆ、ゆゆゆゆぅぅぅぅ~~~!!!」 「いやだぁあああああ、ごわいよぉぉぉぉぉ!!!」 僕の煽り口調に、ゆっくり達が恐怖に震えだす。そうでなくっちゃいけない。 「そこで提案がある。君達の中で、最も犯人として疑わしいゆっくり。それを僕に差し出して欲しい」 「「「「「ゆゆっ!!!???」」」」」 ゆっくり達がいっせいに声を上げた。 「どういうことなの!? ちゃんと説明してね!!」 ドスが詰め寄る。こうして見るとほんと迫力あるなぁ。 「いいから、落ち着いて話を最後まで聞いてね。 何も、そのゆっくりをすぐに殺すって言ってるわけじゃない。僕の家に連れ帰って、監視するだけさ。 そして翌日以降、しばらく誰も殺されなかったら、僕が捕まえてるやつが犯人ということになるだろう?」 「むきゅ、でもはんにんがころすのをがまんしたら、むじつのなかまにつみをきせることになるわ……」 ぱちゅりーが反論してきた。こいつは中々に頭がいいみたいだね。 「まぁ、そう思うだろうさ。 でもねぱちゅりー、一度仲間の味を覚えたゆっくりというのはね、その味に取り憑かれて……」 できるだけ怖い表情を作って詰め寄っていく。 「む、むきゅ、むきゅきゅ……!」 怯えるぱちゅりー。 「ゆっくりを食べずにいられないゆっくりになってしまうんだ……!」 「むきゅきゅううーーーーー!!!」 口からデロリと生クリームを垂れ流して気絶するぱちゅりー。気の弱いやつである。 別に嘘は言っていない。甘いものが大好きなゆっくりにとって、同じゆっくりは最も身近な甘味である。 餓えた状態になくとも共食いに走るゆっくりというのは、自然の中でもたまに出てくるのだ。 なんとも業の深い生き物である。 すっかり怯えてしまった群れに向けて、僕は説明を続けた。 「で、さっきの続きだけど。 もし容疑者ゆっくりを捕まえた状態でいても殺ゆっくり事件が発生した場合、まだ群れの中に犯人がいるということになる。 その場合は、また一番疑わしいゆっくりを僕に差し出してもらう。 これを殺されるゆっくりがいなくなるまで続ければ、いつかは犯人が見つかるだろう?」 「で、でもそれじゃあなかまがたくさん死んじゃうよ!」 慌てた様子でドスが反論してきた。 犯人が捕まればそれでいいが、逆に言えば捕まらない限り犠牲が出続けるわけだからね。 「勿論、それは分かってるさ。でも他の方法で犯人を捕まえられる算段はあるのかい? 群れ全部を監視することは、いくらなんでも僕にもできないし」 「ゆ、それは……」 僕は元気付けるようにドスに言う。 「なに、そんな心配することはないよ。疑わしいゆっくりは、夕方に投票でもして決めればいいじゃないか。 昼の間は皆で協力して犯人の痕跡を探すなりして、効率的に時間を使えばいいんだから。 それで犯人が分かれば、それが一番いいわけだしね」 「ゆ……なるほど。お兄さんのいうことにもいちりあるよ」 時間を有効に使う、というところで納得したのか、ドスはしきりに頷いた。 そしてドスは皆に向き直って、声を張った。 「みんな! はなしはきいていたね! お兄さんのいうとおり、みんなできょうりょくして犯人をさがすよ!」 「「「「「ゆっくりりかいしたよ!!!!!」」」」」 解決の糸口が見え始めたからか、群れにも活気が戻ってきたようだ。 うんうん、良いことだね。なんだか僕まで嬉しくなってきたよ。 「さて、それじゃあ今日の容疑者ゆっくりを決めてほしいんだけど」 「「「「「ゆ゛っ!!!???」」」」」 いや、『ゆっ!?』て。 「だからさっき言ったじゃないか。皆で誰が犯人と思うか決めてくれって。 もうすぐ日も暮れちゃうし、早く決めてくれないとまた被害者が出ちゃうよ」 なんともおめでたい餡子脳っぷりである。本当に大丈夫かなぁ。 どのゆっくりも考え込みすぎて顔が赤くなってきたので、僕はいい加減助け舟を出してやることにした。 「まぁ、まずドスまりさは違うと思うよ。これだけ大きいのが夜中歩き回ってたら、さすがに皆気づくだろうしね。 あと、ぱちゅりー種も違うかな。いくらなんでもぱちゅりーにれみりゃは殺せないだろう。 同様の理由で、子供のゆっくりも違うだろうね。──だから残るのは、大人のゆっくりだ」 「「「「「ゆゆゆゆゆゆ~~~~~~……」」」」」 これで容疑者候補は半分程度にまで絞られたが、それでも皆悩んでいた。 だが効果はあったようで、やがて話し合っていた数匹のゆっくりが声を上げた。 「あのきのしたにすんでるありすがあやしいよ!!!」 と一匹のありすを名指しした。 当然、たまったもんじゃないのは当のありす本人だ。 「どぉじでぞんなごどいうのぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!」 発言したゆっくりに対してくってかかるありすだったが、別のゆっくりがその理由を語る。 「だってありす、あのまりさといっしょにすんでたれいむがうらやましいっていってたでしょ! だからきっとありすがれいむをころしたんだよ!!!」 「そうだとしても、ありずがまりざをごろずりゆうはもっどないでじょおおおおお!!!???」 「はんにんだってばれそうになったから、くちふうじをしたんだよ!!!」 何匹かのゆっくりがありすを攻め立てると、他のゆっくりもそれに迎合し始めた。おお、醜い醜い。 まぁそれだけ、連日連夜の殺ゆっくり事件にストレスがたまっていたということだろう。 なんでもいいから、罪を押し付けられる相手が欲しいのだ、要は。 「決まったようだね」 僕はありすを持ち上げ、しっかりと胸に抱いた。 「いや゛あああああああ!!! ありずはなにぼじでないいいいいいい!!!」 「はいはい落ち着いてね。何も殺すって言ってるわけじゃないんだから」 じたばた暴れるありすをなんとか押さえつけると、群れの中から数匹のゆっくりが現れた。 ありすが三匹にまりさが三匹。いずれも子ゆっくりである。 「おかーさんをはなせえええええええ!!!」 「おかーさんはなにもしてないよ!! きのうはゆっくりこもりうたをうたってくれたよ!!」 「おねがいじまずぅうぅううう!! おがーざんをだずげでえええええええ!!」 「みんな……!」 必死に無実を訴える子供達。自分を信じてくれた子供達に涙を流す母。 その姿に群れのゆっくり達の何匹かはほろほろと涙をこぼしている。実に感動的なシーンだ。ゆっくりじゃなければ。 「大丈夫さ。本当に君達のお母さんが何もしてないというなら、真犯人が捕まったときにちゃんと解放するよ。それまでの辛抱だよ」 僕もついつい情にほだされ(たということにして)、子供達を慰めた。 ありすも、こんな良い子供達を前にいつまでも無様に泣いているわけにはいかないと思ったのだろう。 「だいじょうぶよ、しんぱいしないで! おかあさんはきっとぶじにかえってくるからね! だからみんなはゆっくりまっててね!」 「「「「「「ゆっくりまってるよ!!!!!!」」」」」」 強い絆で結ばれた親子の姿がそこにあった。ドスも側近ぱちゅりー(いつの間にか復活していた)も滝のような涙を流している。 「じゃあ行こうか、ありす」 「ええ」 僕はありすを連れて、ゆっくりの群れを去った。 後ろからはいつまでも子ゆっくり達の声が聞こえてきていた。 そして、翌日。 結論から言えば、ありすは犯人ではなかった。群れで新たな犠牲者が出たからだ。 しかも殺されたのは、犯人として疑われたありすの長女まりさだった。 「どうしたものかな」 朝イチで群れに行ってそのことを聞いた僕は、ありすに事実をありのまま伝えるかどうか迷った。 残された子供達は意気消沈した様子であり、泣き叫ぶことすらしなかった。 だが結局、何も知らせないことにした。わざわざ心労をかける必要もなかろう。 ちなみにありすは牢獄代わりに透明な箱に入れてある。子供達を心の支えにしているのか、大人しいものだった。 え? 虐待しないのかって? いやいや、確かに僕は虐待お兄さんだが、無実のゆっくりを虐めるのは好きではないのだ。 ……というのは嘘で、これも考えあってのことである。 僕は既にある推理を打ち立てていた。まだ『もしかして』というレベルで、だけど。 でももしそれが正しいなら、容疑者ゆっくり達には事件解決まで健康に過ごしてほしい。 それに一応、ドスと約束したことでもあるしね。今後のためにも、信頼は得ておくに越したことはない。 そう、既に僕の中では、今後のプランが構築されつつあった。僕が最大限の利益を得る方法が…… 夕方になって再び群れを訪れると、今日の下手人はあるまりさに決定されたようだ。 「なにをいってるんだぜ! まりさははんにんなんかじゃないんだぜ!」 そう主張するが、決定は決定なので覆らない。 このまりさ、流れ者のまりさともありす一家とも普段から折り合いが悪かったらしく、犯人候補の槍玉に上がったらしい。 普段からのご近所づきあいって大切だよね。『イツカハヤルトオモッテタンデスヨー』ってやつだ。 「おかーさんひどいよ! わるいおかーさんはもうかえってこないでね!」 「おかーさんはもうまりさたちのおかーさんなんかじゃないよ! ぷんぷん!」 「ゆっきゅりちんでね!」 「どぉじでぞんなごどいうんだぜぇぇぇぇぇぇ!!!???」 しかも昨日のありす一家と違って家族からの人望すらないらしい。何気に末っ子が一番口が悪いな。 僕はまりさを連れ帰り、昨日のありすと同じく透明な箱に詰め込んだ。 ここからは似たような事態が続いていくので、できるだけ簡潔に追っていこう。 さらに翌日。 今度はまりさ一家の三姉妹の末っ子が殺されていた。 しかも昨日のありす家のまりさが殺されたのは巣の外だったのに、この末っ子は巣の中で殺されていたのだ。 巣の入り口は壊されており、誰かが侵入したものと思われた。 ドスは夜の番をしていたが、犯人の姿を見つけることはできなかった。 「なにかおおきなものがはいってきてあかちゃんをごろじぢゃっだぁあああ!!!」 「どぉじでえええ!!! まりざのいぼうどおおおお!!!」 ガタガタ震えるまりさ姉妹。これでまた、事件は振り出しに戻ったわけだ。 ドスも側近ぱちゅりーも色々考えているようだが、中々犯人を見つけ出す良い手立ては見つからないようである。 その日は一匹のちぇんが容疑者として僕に引き渡された。 昼の犯人捜索を、親代わりであった病気のらんしゃまの看病を理由に断ったためだ。ほとんど言いがかりである。 だが、やはりと言うべきか、ちぇんもまた犯人ではなかった。 縄張りの外れで、何かに絞め殺されたかのようならんしゃまの屍体が見つかったからである。 この日もドスが深夜遅くまで番をしており、らんしゃまが巣を出て行くのを見かけたらしい。 そして追いかけたものの途中で見失い、明け方近くになってようやく変わり果てたらんしゃまを発見したのだ。 子供を連れ去られ、伴侶を喪ったゆかりんはひどく消沈していた。 その日はある一家の母れいむが容疑者として引っ立てられた。 翌朝、れいむの巣の中で一人娘のまりさが殺されていた。 このとき父まりさは、子供を守るために、自分も群れを見張ろうと巣の前で歩哨に立っていたという。 しかしついうっかり眠ってしまい、朝になって巣の中に戻ると、ぺしゃんこになった子まりさの姿があったという。 巣の入り口は破壊されておらず、犯人の進入経路は謎なままだった。 容疑者として、一人ひっそりと暮らしていたみょんが上げられた。 その次の朝には、別の場所に住んでいたみょんの両親の、母みょんのほうが遺体となって見つかった。 遺体には暴行、もといすっきりー!した痕跡があり、幸いにも蔓に実った子供達は無事だった。 遺体は鋭利な刃物で下半分を切断されたような状態だった。凶器は恐らく、近くに落ちていた細長い石だろう。 なんとか無事に生まれた落ちた赤みょんは、そのまま父みょんが育てることになった。 容疑者として、群れ一番の性欲を誇るありすが引っ立てられた。 もうこの時点で、それまでの被害者の共通点を見出して犯人を決めるという余裕はゆっくり達から抜け落ちている。 翌朝見つかったのは、ありすのセフレ(笑)の一匹であった子ぱちゅりーの屍体だった。 同じくセフレ(笑)であったまりさ、れいむに事情聴取が行われたが、三匹は仲が悪かったらしく、お互いに何も知らないと主張した。 最近は子ぱちゅりーばかりがありすの寵愛を受けており、二匹は常々快く思っていなかったようである。 性欲全開ありす達とずっと仲の悪かった、別の理性的なありすが引っ立てられた。 また最近側近ぱちゅりーは、屍体発見の報を受けるたびに「むきゅー!」とクリームを吐き出して失神してしまうらしい。 全体的に、精神の限界が近いかもしれない。 さらに翌朝、理性ありすと同棲していたまりさが死んでいた。 巣の中にあった木の枝で目を刺し殺されていたのである。 しかもそれだけではなく、巣の入り口からは誰が入った痕跡もなかった。 またドスが一晩中見張りをしていたのだが、その間ありすとまりさの巣に誰かが入っていく様子もなかったという。 ドスが見張っていたすぐそばに二人の巣があり、この証言の信頼性は高かった。 この日の容疑者には、ある大家族を一人で支えていた母れいむが上げられた。 理由は巣が一番近いからだった。 そのまた翌朝、れいむ一家の末っ子の赤れいむが殺されていた。 この赤れいむは生まれつき跳ねることができない未熟児だった。 屍体は見るも無残な姿で、餡子の染みとしか分からないほどまでに念入りにすり潰されていた。 昨晩のまりさと同じく、密室状態での殺ゆっくりだった。 しかし赤れいむ以外の子供は一切被害を受けておらず、また殺されたことにさえ気づかなかったという 姉妹達は、元々ゆっくりできてない赤ゆっくりが嫌いだったようで、特段悲しむ素振りも見せなかった。 繰り返される悲劇に、群れのゆっくり達は、ゆっくりとその精神をすり減らしていく。 このままでは群れ自体が長く続かないことだろう。それは僕の望むところではない。 ──さて。 もうそろそろ、解答に入ってもいいかもしれない。 群れ全体のストレスも既に限界であるし、側近ぱちゅりーに至ってはいい加減クリームを吐き出しすぎである。 まぁ毎日野菜クズなんかを差し入れしてやってるから死ぬということはあるまいが。 僕は家を出て、いつもより早めに群れに向かった。 続き このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2621.html
※ゆっくりと畑と野菜(1)からの続きです 数日後、優男と若い村人はあの『畑』のところに向かっていた。 成果の確認と次なる仕込みを施すためだ。若い村人はその為に使う材料を包んだ風呂敷を提げている。 二人は、ゆっくり達のテリトリー手前で立ち止まって周囲を確認した後、 これからの行動について確認した。 「さて、ここから別行動な訳ですが、やるべきことは分かっていますね?」 「勿論だ。ゆっくりには絶対に見つからないようにする」 「私の方でも、なるべくこちらに注意が集まるよう話を持って行きます。では、お願いします」 確認を済ませると、優男は堂々と山を進み、若い村人は隠れるようにして進んでいった。 優男が『畑』に到着した。 すると、まるで畑を見張るようにしていた長まりさと幹部達が優男に気付き、 ゆっくりらしからぬ素早さで駆け寄っていく。 「やあ、長。ゆっくりし――」 「ジジイ!どういうことなんだぜ!?」 優男の挨拶を遮るようにして長まりさが突っかかった。再びの喧嘩腰だ。 その一言で、作戦が上手く機能していることを見て取った優男が平然と続ける。 「そんなに興奮してどうしたんだい、長?」 「どうもこうもないのぜ!ジジイは嘘をついたのぜ!」 「むきゅう!あのはたけさんからは、おやさいさんがはえてこないのよ!」 「あのはたけはとんだいなかものだわ!」 興奮して優男をなじるばかりの長に代わって、ぱちゅりーとありすが説明する。 二匹の方も、長よりは冷静だが、それでも憤懣やるかたないといった空気を発している。 「つまり君たちは、あの『畑』から野菜を採れていないということかい?」 「さいしょからそういってるのぜ!!」 「ばかなじじいはれいむたちにあやまってね!」 頃合いだな、優男は内心で呟いた。 ゆっくり達は冷静さを失い、目先の野菜しか見えないようになっている。 作戦を次の段階に進める条件は揃っている。 「そうなのか……。でも、それはおかしいよ」 「ゆっ!?だからそういってるのぜ!はえてくるはずのやさいさんがはえてこないのぜ!」 「ああ、違う違う。そういう意味のおかしいじゃなくてね、 野菜が生えてこないはずがないっていうことだよ。だってそうじゃないか? 畑があるのに野菜が生えてこないなんてそんなゆっくりできないことはありえないだろう?」 その言葉に、ゆっくり達が一瞬返答に詰まったのを見逃さずに優男が畳み掛ける。 「ねえ、長。長だってあの『畑』をとってもゆっくりした畑だって認めてただろう?」 「ゆ。たしかにそういったのぜ」 「ぱちゅりーとありすも、人間の畑にそっくりだ、都会派だって喜んでたじゃないか」 「むきゅう」「とかいはなれでぃはうそはつかないわ」 「だったら、野菜が生えてこないはずがないだろう? これまで色んな畑と野菜を見てきたみんながお墨付きを与えた『畑』なのに」 優男のその言葉に、それでも納得できないように長まりさが反論する。 「で、でも、じっさいはたけさんにはやさいさんがないのぜ?」 「うん。だからね、考え方を変えなきゃいけないんだ。 あの畑から野菜が生えてこないはずがない。でも実際畑には野菜がない。 じゃあ、野菜が生えてこなかったんじゃなくて、誰かが生えてきた野菜をこっそり持って行ってしまった。 その可能性の方が高いんじゃないかい?」 優男が言っているのは無茶苦茶な理屈だった。 特に、あの見せかけだけの『畑』から野菜が生えるはずがないと知っている者にとっては。 しかし、『やさいさんはかってにはえてくるもの』と信じ込んでいるゆっくり達には効果覿面だった。 みんなで確認したとってもゆっくりした『畑』。そこに野菜が生えてこない訳がない。 でも、今、現実に畑には野菜がない。ならば、生えてきたはずの野菜はどうなったのか。 優男の言葉、その意味するところがゆっくり達の餡子に染み渡っていく。 「ゆうぅ~!?たいへんなのぜ!やさいどろぼうがいるのぜ!」 「れいむたちのはたけさんからおやさいさんをぬすむなんてゆっくりできないよ!」 「はんにんは、きっととんでもないいなかものね!」 「むきゅう、でもだれがそんなことを……。はんにんをつきとめなきゃいけないわ」 ぱちゅりーの言葉を燃料にしてゆっくり達の怒りが燃え上がった。 そうだ、犯人を捜さなきゃいけない。そして制裁してやる。 群れの宝に手を出したことを後悔させながら永遠にゆっくりさせてやる。 優男はゆっくり達のそんな内心の動きを的確に把握していた。 そして、その感情の矛先を都合のいいように操るべくゆっくり達に声を掛ける。 「じゃあ、一つずつ整理してみようか。 まず数日前に、僕らがここに来て人間とゆっくりの仲直りの証に『畑』を作った」 「むきゅ、そのとおりね」 「そして、『畑』作りを終えた僕らは山を下りた」 「ええ、とかいはなおみおくりをしたわ」 「それ以来、仲直りしたこともあって村人はゆっくりの山に近づいていない」 「ゆっ!たしかににんげんさんをみたってほうこくはされてないのぜ!」 「それなら、ここ数日間で畑に近寄れたのはゆっくりか動物か虫かっていうことになるね」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「ところで、この山で主に野菜を食べるのは一体誰だい?」 「むきゅ、もちろんぱちゅりーたちよ」 「とかいはなおやさいさんは、とかいはなありすたちにこそふさわしいたべものだわ」 「どうぶつさんたちはおやさいさんなんてたべないよ!」 「ゆっ!ゆっくりしたやさいさんは、ゆっくりしたゆっくりにたべられるのがしあわせ~なのぜ!」 張り切って答えるゆっくり達を見ながら、男は若い村人のことを考えていた。 さて、どうやらこちらは上手く行きそうだ。ならば作戦の成功は彼が上手くやるかどうかに掛かってくる。 どうか頑張ってください。 優男は、ゆっくり達に見つからないよう慎重に慎重を重ねて 山を進んでいるはずの若い村人に内心でエールを送った。 そして、気分を切り替えると、満を持してゆっくり達に破滅の言葉を投げかける。 「と言うことは、野菜を盗んだのはゆっくりの誰かである可能性が高いということだね。 だってこの山には野菜を食べたがるのはゆっくり達しか居ないんだから」 「ゆっ!?」「ゆぅ?」「むきゅ?」「ゆゆゆ?」 ゆっくり達は混乱しているようだ。 ただそれでも、必死で今の会話を反芻して何とか優男の言葉を理解しようと努めている。 普段は、ぱちゅりーを除けば頭を使いたがらない傾向が強いゆっくりにここまでさせるとは。 食い物の恨みは恐ろしい。 「ゆ、ゆっくり、りかいしたの……ぜ?」 「むきゅう、たしかにおにいさんのいううとおりだわ」 「むれにそんないなかものがいるなんてゆるせないわね」 「そんなことするゆっくりがいるなんて、れいむはゆっくりりかいできないよ……。」 ゆっくり達は優男の言葉をそのまま受け入れた。 これには優男自身も驚いている。 優男としては、さすがに身内に犯人が居ると言えば抵抗されるだろうと想定して 気持ちと反論の準備をしていたのだった。 しかし、現実はこの有様。 どうやら、村のどの畑よりも広い『畑』を作って野菜を提供したというのが、 予想以上にゆっくり達の心を掴んでいたらしい。 優男も下調べの段階で掴んでいた情報ではあったが、ここまで食い意地の張った群れはさすがに珍しかった。 「なら、ここに群れのゆっくりを集めてみればいいのでは? もし集まることを嫌がる怪しいゆっくりが居ればそれが犯人かもしれないし、 みんな集まったら集まったで犯人捜しがやりやすくなるよ」 優男は気を取り直してゆっくり達を更に都合のいい方に誘導しようとする。 自分の方に注意を集めて若い村人を援護する為には、 群れのゆっくり全てに一カ所にまとまっていて貰った方がいい。 「ゆっ!?さすがはおにいさんなのぜ!そうするのぜ!れいむ、ありす、ぱちゅりー! むれにひとりのこらずあつまるようつたえるのぜ!こなかったゆっくりははんにんだとみなすのぜ!」 「ゆっくりりかいしたよ!」「とかいはなさくせんね」「むきゅ、けんめいなはんだんだわ」 長ともあろう者が、『さすがはお兄さん』と来た。 このゆっくり達はいまや完全に優男の掌の上に乗っていた。 しかも、本人達はそれに気付かず、むしろ『畑』を用意し、山から人間を遠ざけ、 野菜泥棒を捕まえる手助けをしてくれていると判断して全幅の信頼を寄せている。 その全てがここのゆっくり達を群れごと陥れるための仕込みだというのに! 先日、若い村人に注意をした身ではあるが、優男も笑い出したい衝動が湧き上がってくるのを感じていた。 必死で堪えて何でもない風を装っているおかげで表情や態度には変化がないが、 内心は狂ったように笑い出したいという気持ちで一杯だった。 掌の上で踊るゆっくり達の姿は、それほど哀れで惨めだった。 それからしばらく時間が経ち、群れの集合が完了した。 一人残らず集まるようにと厳命され、来なければ犯人と見なすと説明されているため、 本来ならまだ巣から出るべきでない赤ん坊から妊娠した大人まで様々なゆっくりが一堂に会している。 広い『畑』を作ってもまだそれなりに余裕のあった広場が埋まる程の数だった。 長まりさが少し高くなった斜面上にある切り株に乗り、幹部がその周りを固めた。 群れの集合では、幸か不幸か全てのゆっくりが集まって誰が怪しいか分からなかった。 そこで、これから犯人捜しを行うつもりなのだ。 「ゆっ!!みんなきくのぜ!!! まりさたちがてにいれたはたけさんに、やさいさんがないことにはみんなきづいてるとおもうのぜ!!! まりさたちがちょうさしたけっか、そのやさいさんはむれのだれかにぬすまれた かのうせいがたかいとはんめいしたんだぜ!!!」 集まったゆっくり達のあちこちから声が上がった。 自分は泥棒じゃないと主張する者、群れにそんなゆっくり出来ないゆっくりが居るなんてと怒る者、 野菜を楽しみにしていたのにと嘆く者。反応は様々だ。 幹部達が声を張り上げて、群れを宥める。 数分掛けてようやく静かになった。 長まりさが続ける。 「そこで、いまからはんにんさがしをおこなうのぜ!!! やさいさんをぬすんだゆっくりは、なのりでるのぜ!!! いまなら、ついほうだけでゆるしてあげるんだぜ!!!」 長まりさの言葉は勿論嘘だ。追放で許す気などあるはずがない。 野菜を盗んだゆっくりを永遠にゆっくりさせてやる気満々だった。 しかし、そう言ってしまえば名乗り出てこないだろうと考えて、 長まりさなりに知恵を働かせてああ言ったのだった。 しかし、当然誰も名乗りでない。 優男からすれば当たり前の結果だ。 そもそも、野菜泥棒どころか盗まれる野菜さえ存在しないのだから。 だが、長まりさは苛立った。 群れのゆっくり達が保身に走っていると考えた。 その感情の赴くままに更に続ける。 「あとになって、だまっていたことがばれたらひどいのぜ!!! いまのうちなんだぜ!!!」 群れのゆっくりも幹部達も誰も何も言わない。 沈黙が場を支配した。そのまま数分が経過する。 このままでは埒があかないと考えたのか、ぱちゅりーが長まりさに声を掛けた。 「むきゅう、だれもなのりでないわ。どうするの?」 「ゆゆっ」 長まりさは返答に詰まった。 そもそも、長まりさは優男に煽られた勢いのまま突っ走っていただけなのだ。 群れを集めて、犯人捜しをして、見つからなかったらどうするかなど考えているはずがない。 長まりさが助けを求めるように優男を見る。 優男はその時、自分の方に群れの注意を集めてから過ぎた時間を計算していた。 群れを集めるための時間、宥めるための時間、沈黙の時間。 充分だ。 若い村人が仕込みを行い、テリトリーから抜け出すのに充分な時間だ。 そう判断すると、にっこりと笑顔を作って、長まりさに助け船を出してやる。 ただし、その助け船の行き先は地獄であった。 「名乗りでないのであれば仕方がないね。 手当たり次第に家を捜索してみるのがいいかな。 あの広い『畑』から盗んだ大量の野菜を数日で食べきることは出来ないはず。 犯人の家には痕跡が残っているに違いないよ」 なるほど、長まりさは感心した。やっぱりお兄さんは頼りになる。 群れの方に向き直って宣言する。 「だれもなのりでないから、いまからみんなのいえにやさいさんがないかかくにんするのぜ!!! うらむならはんにんをうらむのぜ!!! れいむ、ありす、ぱちゅりー。そうさたいをけっせいするのぜ!」 長まりさの言葉の後半部分、自分たちへの指示を受け取った幹部達が動き出す。 自分に近しいゆっくりに声を掛けて、捜査隊として巣を改めに出かけていった。 長まりさがイライラと動き回っている。 捜査隊の出発から既に二十分ほど経っていた。 いつの間にか長まりさの相談役的な立場に納まった優男はそんな長まりさを宥めながら悠然と待っている。 作戦の成功を既に半ばまで確信していた。 そこへ一匹のゆっくりが口に何かをくわえて駆け込んできた。 幹部れいむと共に捜査隊として出てかけて行ったれいむだ。 捜査隊れいむが口にしていた何かを長まりさの前に置き、叫ぶようにして告げる。 「おさ、おうちからやさいさんのかけらがみつかったよ!」 「ゆぅ~!やっとみつかったのぜ!!だれのいえなのぜ!?」 「おおきなきさんのねもとにある、ちぇんとれいむいっかのすだよ!」 その言葉が発せられた瞬間、群れのゆっくりの一部がズザッという音を立てて動いた。 群れの中にぽっかりと空白ができたような状態になる。 その真ん中では成体のちぇんとれいむ、子供のちぇんとれいむ数匹が呆然としていた。 彼らがちぇんとれいむ一家であることは明白だ。 長まりさが目の前に置かれた何かを確認して言う。 「たしかにやさいさんのかけらなんだぜ! ちぇんとれいむいっか!!まえにでるのぜ!!」 長まりさが苛立ち混じりの声をぶつけるが、ちぇんとれいむ一家は動かない。いや、動けない。 嫌な空気に耐えながら早く犯人が見つかって欲しいと願っていたら、いきなり自分たちが犯人だと言われたのだ。 まともに物を考えられる状態ではとてもない。 しかし、そんな一家に周囲のゆっくり達は容赦しない。 最初はゆっくりと、徐々に激しく、罵声を浴びせる。 「どろぼういっかはゆっくりしないではやくまえにでてね!」 「このいなかものいっか!」 「みんなのおやさいをぬすむなんてわからないよー!」 そんな声に押し出されるようにして、ちぇんとれいむ一家はフラフラと長まりさの前に出た。 反論しようとしているのか、あり得ない状況に呼吸が乱れたのか、口をぱくぱくさせている。 そんな一家に長まりさは全く躊躇することなく告げた。 「おまえたちのいえからしょうこがでたのぜ! しかも、まりささまがなさけをかけてやったときになのりでなかったのぜ! ふたつのつみでおまえたちはしけいなんだぜ!ゆっくりしないでしぬんだぜ!」 そして、そのまま親ちぇんに飛び掛かる。 「わ、わからなべぇっ――」 無防備な状態で、通常の成体より二回り程大きな長まりさの体当たりを受けて、親ちぇんは吹っ飛んだ。 中身を盛大に漏らしながらピクピクと痙攣している。もう長くないだろう。 その光景にようやく我に返ったのか、親れいむが必死で弁解を始める。 「ま、まってね!れいむたちはおやさいさんをぬすんだりたべたりしていないよ!」 「じゃあどうして、いえからやさいさんのかけらがみつかったのぜ?」 「ゆ……。そ、それは……」 「それはなんなのぜ?」 「き、きっとちぇんがかってにやったんだよ!れいむとおちびちゃんたちはしらないよ!」 しかし、初めからこいつらが犯人だという結論ありきで裁いている長まりさは聞く耳を持たない。 「かたるにおちるとはこのことなんだぜ! いえのなかにやさいさんがもちこまれてきづかないはずないのぜ! どうせちぇんといっしょにたべたのぜ!」 親れいむの弁解を一蹴した長まりさが飛び掛かった。 そのまま何度も親れいむの上で跳ねて押しつぶす。 「しぬのぜ!しぬのぜ!」 「ゆげぇっ!やべでね゛!ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛」 「おまえはゆっくりしないでいいのぜ!ゆっくりしないではやくしぬんだぜ!」 「も゛、も゛っどゆ゛っぐり゛じだがっだよ゛……」 親れいむが死んだ事を確認すると、長まりさは震えている子供達にも容赦なく飛び掛かる。 「わかないよー」 「たすけておかあさんんん」 「れいむたちどろぼうさんじゃな――」 「……」 そして、助けを求める子も泥棒じゃないと主張する子も呆然としていた子もまとめて潰された。 「ゆっ!あくはほろびたのぜ!」 長まりさは満足げだ。 だが、群れの悪夢はまだ終わらない。 今度は、幹部ありすと共に出てかけて行ったまりさが駆け込んできた。 捜索隊まりさは駆け込んだ勢いそのままに叫ぶ。 「ゆっ!おさ!がけのしたのどくしんありすのいえでやさいさんをみつけたよ!」 「ま、またなのぜ!?」 野菜泥棒をやっつけたぞと一仕事終えた顔をしていた長まりさはその報告に仰天した。 その様子を敏感に察知した優男が長まりさに釘を刺す。 「長、あれだけ広い『畑』から採れる野菜は一家族で食べきれる量じゃないはず。 残念だけど泥棒はまだまだ居るはずだよ」 「ゆぅ~。たしかにそのとおりなんだぜ。こうなったらてっていてきにやってやるのぜ! どくしんありす!!まえにでるのぜ!!」 今度は誰もその言葉に反応しない。 群の後ろの方で何かもめ事が起こっていて、そちらに注目が集まっている。 長まりさがヒートアップする。 「なにやってるのぜ!?しずかにするのぜ! どくしんありすははやくまえにでるのぜ!!」 すると、もめ事が起こっていた辺りから一匹のボロ雑巾のような有様のありすが運ばれてきた。 どうやらこれが独身ありすらしい。 独身ありすを運んできたゆっくり達に長まりさが尋ねる。 「なにがあったのぜ?」 「ゆ!このどろぼうはにげようとしたんだよ!」 「だからみんなでつかまえたんだね、わかるよー」 「ぁでぃずはちがぅぅ」 どうやらこの賢明な独身ありすは、さっきの一家を見ただけで 身に覚えがあろうと無かろうと前に出た時点で殺されると判断して逃げだそうとしたらしい。 しかし、あっさり捕まって袋だたきというわけだ。 優男がまたも長まりさの思考を誘導する。 「長、逃げるというのはやましいことがある証拠だ」 「おにいさんのいうとおりなんだぜ!このありすはしけいなんだぜ!」 広場は魔女裁判の様相を呈している。 前に出ればすぐに長まりさに殺され、逃げようとすれば袋だたきにされてから殺される。 死刑はすぐに執行された。 「ゆっくりせずにしぬのぜ!」 「ゅぅぅ」 既に虫の息だった、本当は無罪の独身ありすは 碌に弁解も出来ないまま永遠にゆっくりした。 独身ありすの死刑が終わった。 群れのゆっくり達は、誰が泥棒で誰が違うのかまともに判断出来なくなり疑心暗鬼に陥っている。 そんな全くゆっくり出来なくなってしまった群れに、三つの捜索隊がまとまって帰ってきた。 捜索隊の帰還に群れ全体が緊張している。 長まりさが捜索隊にねぎらいの声を掛けようとして戸惑って止めた。 捜索隊が妙に暗い雰囲気なのだ。 「どうしたのぜ?なんだかゆっくりしてないのぜ?」 「ゆぅ……。おさ、とかいはらしくおちついてきいてね……」 「むきゅう、じつはれいむのおうちからおやさいさんがでてきたの……」 「やめてね!そんなこといわないでね!れいむはなにもしてないよ!」 長まりさに衝撃が走った。群れのゆっくり達もざわめく。 よく見ると、三つの捜索隊のメンバーは単にまとまっているのではなく 幹部れいむを取り囲むように動いていることが分かる。 逃げられないようにするための措置だろう。 長まりさが衝撃の抜けきっていない、いつも以上に回らない頭で尋ねる。 「ど、どういうことなんだぜ?」 「むきゅ。ぱちゅりーが、おさの『みんなのいえをしらべる』っていうしじにしたがって ねんのためにれいむのおうちをしらべたら、かじりかけのおやさいさんがあったの」 「ゆぅ。そこにたまたまありすたちがとおりかかって、ぱちゅりーからそうだんされて、 とりあえずおさのところにれいむをつれてくることにしたの」 「れいぶなにもやっでな゛い゛い゛い゛!」 長まりさは困った。 野菜泥棒は許し難い。 でも、この群れの幹部はぱちゅりーもありすもれいむも 幼い頃から友達だった特別なゆっくり達だ。 殺したくはない。 許すべきか、許さざるべきか。 その時、群れのどこかから、やさいどろぼうはしけいだよ!と言う声が響いた。 それを皮切りに、これまで容赦なく犯人を死刑にしてきた長まりさが 幹部の時だけ躊躇っているのを見た群れのゆっくり達から死刑コールが起こった。 山中の広場にゆっくり達による死刑の大合唱が木霊する。 長まりさとぱちゅりー、ありすはもうどうすればいいのか分からないようだ。 先ほどからオロオロし続けている。 れいむは虚ろな目で、泣いているような、笑っているような不思議な顔になっている。 死刑コールを続ける群れの中程から数匹のゆっくりが押し出されてきた。 成体まりさ一匹と赤ちゃんれいむ、赤ちゃんまりさが数匹。 幹部れいむのつがいと子供たちだ。 まりさが母親役を務める珍しいタイプの夫婦らしい。 押し出された家族達の顔には深い絶望が刻まれている。 死刑コールは鳴り止まない。 その大音声の中で、自分が計算して作り上げたこの状況に 満足感を抱きながら優男が長に話しかけた。 「長、この状況でれいむ一家だけを許せば酷いことになる。決断を」 長まりさとぱちゅりー、ありすがびくりと震えた。 三匹揃って優男の顔を見る。三匹揃って惨めさを感じさせる表情になっている。 「ど、どうにか、どうにかならないのぜ?……」 「どうにもならないよ、長。」 頼りにしている優男に一蹴された長まりさの顔に深い苦悩の色が浮かぶ。 目は潤んでいて、今にも泣き出しそうだ。 ただ、それでも気力を振り絞って顔を上げると、震える声で言った。 「れ、れいむいっかはやさいどろぼうなんだぜ……。 やさいどろぼうは、し、しし、しけ、しけいなの、ぜ……」 長まりさは、群れの長として私情を封印した。 群れのために己を殺すその姿は、とかくの問題はあるにせよ 長まりさが指導者に相応しいゆっくりである証明だと言えるだろう。 その決断には人々に感動を与える可能性さえあった。 ただし、今のこの状況の全てが優男によって仕込まれた茶番にも等しい舞台だと言うことを除けばの話だが。 長まりさがれいむの方を向いて、下を向きながらぼそぼそと喋って告げた。 「……これかられいむいっかをしけいにするのぜ……」 群れのゆっくり達から歓声が上がった。 自分が死刑にしてやる、いいや自分がと執行役に名乗りを上げる声まで聞こえてくる。 ゆっくりには、他のゆっくりに対して平気で暴力を行使する一面が元々存在している。 それは、ゆっくりの群れによくある『他のゆっくりを殺した者には罰を与える』と言う規則からも窺い知れる。 この手の規則は、それがなければそういう行為に手を染める者が居るからこそ作られるのだ。 もしも、ゆっくりがそんなことなど考えもしない純粋無垢な存在であれば初めからそんな規則は存在しない。 そして、ゆっくりにとってのそんな規則は、欲望を煽り立て、恐怖におびえさせ、 そうしても良いんだという大義名分を与えてやればあっという間に有名無実化するのだった。 極度の緊張状態の中で野菜泥棒は死刑だという正義をすり込まれたゆっくり達は、 少しでも怪しい存在が居ればもはや平気でそれを殺すだろう。 幼い頃からの親友を目の前にして、ようやく目に光が戻った幹部れいむが絶叫した。 「どぼじでぞんなごどい゛う゛の゛お゛お゛!!」 それに釣られて、いつの間にか捜査隊にがっちり囲まれていた幹部れいむの家族達も叫び出す。 「まりさたちはやさいさんなんてしらないよ!わなだよ!いんぼうだよ!」 「たしゅけてみゃみゃぁぴゃぴゃぁ」「ゆっくちできにゃいよぉぉぉ」 「ゆあああああああああんん」「れいみゅたちをいじめにゃいでえぇ」 「まりしゃにゃんにもしてにゃいのにいいいい」 幹部れいむ達の叫びをかき消すように、再び群れから死刑コールが起こった。 そして、それに突き動かされるかのように長まりさが跳躍した。 渾身の体当たりが幹部れいむに突き刺さる。 「ゆあああああああああああ!!」 「ゆっべ!どうじでばりざぁ!?どうじでぇ!?」 「ゆああああああああああああああああああああああああ!!」 「ゆぶぅ!ゆごっ!やべでっ!ぼっ!びゅっう!」 れいむの声を振り払うかのように長まりさは絶叫しながら体当たりを続けた。 長まりさが冷静さを少し取り戻した時、もう幹部れいむはどこにも居なかった。 ただ、元はれいむと呼ばれていた汚い餡子袋が転がっているだけだった。 捜索隊の方では、捕らえられていた幹部れいむ一家が今まさに死のうとしているところだった。 どうやら、群れの狂気にあてられた捜索隊ゆっくり達が徹底的に暴行を加えたらしい。 「ゆっへ、ゆひ、ゆひひひひ」 親友一家を殺して、精神のタガが少し緩んでしまったらしい長まりさを見て、優男は潮時を悟った。 今日はこのくらいにしておかないと長まりさが完全に壊れてしまう。 今なら少し時間をおけば正気に戻るだろう。 それにこれ以上は自分が仕向けなくとも、ゆっくり達自身が勝手に暴走して 坂を転がり落ちるように破滅への道を突き進んでくれるはずだ。 「ぱちゅりー、ありす。」 「ゆ?」「むきゅう?」 優男に声を掛けられたぱちゅりーとありすが虚ろな目つきで反応する。 茫然自失状態の二匹に活を入れるように続ける。 「しっかりして下さい! 長も消耗しているようだし、群れがこの状態で犯人捜しを続けるのは危険です。 今日は解散しましょう」 「え、ええ、そうね。そうだわ。そうしましょう、ぱちゅりー」 「む、むきゅ……」 体の弱いぱちゅりーは、中身こそ吐いていないものの まりさとれいむの有様を見るだけで相当酷い体調になっていた。 仕方なく、ありすと優男で群れを解散させる。 群れの興奮状態はなかなか治まらなかったが、日が暮れる頃になってようやく 広場からゆっくりが居なくなった。 「ありがとうお兄さん。ありすひとりじゃどうしようもなかったわ……」 「いえ、これくらい。」 「ねえ、これからどうしたらいいのかしら?」 「長とぱちゅりーは体調を崩しているし、れいむは、その、あれですし、 ありす一人ではどうしもうもないでしょうから、しばらく様子を見た方が良いのでは?」 嘘だ。あの狂気に感染した群れのゆっくり達をしばらく放っておくなんて自殺行為だ。 本当なら、今すぐ長まりさをひっぱたいてでも正気に戻らせて、 無理にでも対処しなければならない状態だった。 いや、今すぐ対処してももう手遅れかも知れない。 「そ、そうね。そうしましょう」 「ええ、僕も今日のところは帰りますが、また数日後に様子を見に来ますよ」 「おねがい、かならずきてね」 優男がありすと別れて山を下りていくと麓の辺りで若い村人が待っていた。 「どうなった?」 「ほぼ完璧です。あなたの野菜クズの仕込みも見事でしたよ」 「それは何よりだ」 存在しないはずの野菜を使って、存在しないはずの野菜泥棒を存在させたカラクリがこれだった。 優男がゆっくり達の注意を引きつける。 その隙に、優男が群れ見学の建前で調べ上げたゆっくり達の巣の配置図を若い村人が利用して、 村から持ってきた野菜クズを巣に仕込んでいく。 あとはそれをゆっくり達が発見するよう仕向ける。 別に難しいことをやったわけではない。 しかし、効果は絶大だった。 「今回生き残ったゆっくりどもはどうする?」 「僕らが直接手を下すまでもないですね。 疑心暗鬼と正義感と狂気とに炙られて、仲間同士で徹底的に殺し合うはずです。 まあ、一応数日後に確認に行きましょう」 そうなのだった。 今や群れのゆっくり達は、誰かは分からねど確実に群の中に野菜泥棒が存在し、 その野菜泥棒を殺すことこそが正義であり、殺すことで自分がゆっくり出来るという状態に置かれているのだった。 まず間違いなく近いうちに、ゆっくり達は、ほんの些細な行き違いや不安や疑いで憎しみ合い、 親兄弟や友人相手でも平気で殺し合い続けるようになるだろう。 身も心も傷ついた最後の一匹が勝者となり、 見せかけだけの『畑』と存在しない野菜を手に入れて、 誰も野菜泥棒ではなかったと気付くその時まで。 終 過去作 ゆっくりいじめ系2720 ゆっくりいじめ精神系 ゆっくりいじめ系2818 れいぱーありすはゆっくりできない このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4636.html
※ゆっくりと畑と野菜(1)からの続きです 数日後、優男と若い村人はあの『畑』のところに向かっていた。 成果の確認と次なる仕込みを施すためだ。若い村人はその為に使う材料を包んだ風呂敷を提げている。 二人は、ゆっくり達のテリトリー手前で立ち止まって周囲を確認した後、 これからの行動について確認した。 「さて、ここから別行動な訳ですが、やるべきことは分かっていますね?」 「勿論だ。ゆっくりには絶対に見つからないようにする」 「私の方でも、なるべくこちらに注意が集まるよう話を持って行きます。では、お願いします」 確認を済ませると、優男は堂々と山を進み、若い村人は隠れるようにして進んでいった。 優男が『畑』に到着した。 すると、まるで畑を見張るようにしていた長まりさと幹部達が優男に気付き、 ゆっくりらしからぬ素早さで駆け寄っていく。 「やあ、長。ゆっくりし――」 「ジジイ!どういうことなんだぜ!?」 優男の挨拶を遮るようにして長まりさが突っかかった。再びの喧嘩腰だ。 その一言で、作戦が上手く機能していることを見て取った優男が平然と続ける。 「そんなに興奮してどうしたんだい、長?」 「どうもこうもないのぜ!ジジイは嘘をついたのぜ!」 「むきゅう!あのはたけさんからは、おやさいさんがはえてこないのよ!」 「あのはたけはとんだいなかものだわ!」 興奮して優男をなじるばかりの長に代わって、ぱちゅりーとありすが説明する。 二匹の方も、長よりは冷静だが、それでも憤懣やるかたないといった空気を発している。 「つまり君たちは、あの『畑』から野菜を採れていないということかい?」 「さいしょからそういってるのぜ!!」 「ばかなじじいはれいむたちにあやまってね!」 頃合いだな、優男は内心で呟いた。 ゆっくり達は冷静さを失い、目先の野菜しか見えないようになっている。 作戦を次の段階に進める条件は揃っている。 「そうなのか……。でも、それはおかしいよ」 「ゆっ!?だからそういってるのぜ!はえてくるはずのやさいさんがはえてこないのぜ!」 「ああ、違う違う。そういう意味のおかしいじゃなくてね、 野菜が生えてこないはずがないっていうことだよ。だってそうじゃないか? 畑があるのに野菜が生えてこないなんてそんなゆっくりできないことはありえないだろう?」 その言葉に、ゆっくり達が一瞬返答に詰まったのを見逃さずに優男が畳み掛ける。 「ねえ、長。長だってあの『畑』をとってもゆっくりした畑だって認めてただろう?」 「ゆ。たしかにそういったのぜ」 「ぱちゅりーとありすも、人間の畑にそっくりだ、都会派だって喜んでたじゃないか」 「むきゅう」「とかいはなれでぃはうそはつかないわ」 「だったら、野菜が生えてこないはずがないだろう? これまで色んな畑と野菜を見てきたみんながお墨付きを与えた『畑』なのに」 優男のその言葉に、それでも納得できないように長まりさが反論する。 「で、でも、じっさいはたけさんにはやさいさんがないのぜ?」 「うん。だからね、考え方を変えなきゃいけないんだ。 あの畑から野菜が生えてこないはずがない。でも実際畑には野菜がない。 じゃあ、野菜が生えてこなかったんじゃなくて、誰かが生えてきた野菜をこっそり持って行ってしまった。 その可能性の方が高いんじゃないかい?」 優男が言っているのは無茶苦茶な理屈だった。 特に、あの見せかけだけの『畑』から野菜が生えるはずがないと知っている者にとっては。 しかし、『やさいさんはかってにはえてくるもの』と信じ込んでいるゆっくり達には効果覿面だった。 みんなで確認したとってもゆっくりした『畑』。そこに野菜が生えてこない訳がない。 でも、今、現実に畑には野菜がない。ならば、生えてきたはずの野菜はどうなったのか。 優男の言葉、その意味するところがゆっくり達の餡子に染み渡っていく。 「ゆうぅ~!?たいへんなのぜ!やさいどろぼうがいるのぜ!」 「れいむたちのはたけさんからおやさいさんをぬすむなんてゆっくりできないよ!」 「はんにんは、きっととんでもないいなかものね!」 「むきゅう、でもだれがそんなことを……。はんにんをつきとめなきゃいけないわ」 ぱちゅりーの言葉を燃料にしてゆっくり達の怒りが燃え上がった。 そうだ、犯人を捜さなきゃいけない。そして制裁してやる。 群れの宝に手を出したことを後悔させながら永遠にゆっくりさせてやる。 優男はゆっくり達のそんな内心の動きを的確に把握していた。 そして、その感情の矛先を都合のいいように操るべくゆっくり達に声を掛ける。 「じゃあ、一つずつ整理してみようか。 まず数日前に、僕らがここに来て人間とゆっくりの仲直りの証に『畑』を作った」 「むきゅ、そのとおりね」 「そして、『畑』作りを終えた僕らは山を下りた」 「ええ、とかいはなおみおくりをしたわ」 「それ以来、仲直りしたこともあって村人はゆっくりの山に近づいていない」 「ゆっ!たしかににんげんさんをみたってほうこくはされてないのぜ!」 「それなら、ここ数日間で畑に近寄れたのはゆっくりか動物か虫かっていうことになるね」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「ところで、この山で主に野菜を食べるのは一体誰だい?」 「むきゅ、もちろんぱちゅりーたちよ」 「とかいはなおやさいさんは、とかいはなありすたちにこそふさわしいたべものだわ」 「どうぶつさんたちはおやさいさんなんてたべないよ!」 「ゆっ!ゆっくりしたやさいさんは、ゆっくりしたゆっくりにたべられるのがしあわせ~なのぜ!」 張り切って答えるゆっくり達を見ながら、男は若い村人のことを考えていた。 さて、どうやらこちらは上手く行きそうだ。ならば作戦の成功は彼が上手くやるかどうかに掛かってくる。 どうか頑張ってください。 優男は、ゆっくり達に見つからないよう慎重に慎重を重ねて 山を進んでいるはずの若い村人に内心でエールを送った。 そして、気分を切り替えると、満を持してゆっくり達に破滅の言葉を投げかける。 「と言うことは、野菜を盗んだのはゆっくりの誰かである可能性が高いということだね。 だってこの山には野菜を食べたがるのはゆっくり達しか居ないんだから」 「ゆっ!?」「ゆぅ?」「むきゅ?」「ゆゆゆ?」 ゆっくり達は混乱しているようだ。 ただそれでも、必死で今の会話を反芻して何とか優男の言葉を理解しようと努めている。 普段は、ぱちゅりーを除けば頭を使いたがらない傾向が強いゆっくりにここまでさせるとは。 食い物の恨みは恐ろしい。 「ゆ、ゆっくり、りかいしたの……ぜ?」 「むきゅう、たしかにおにいさんのいううとおりだわ」 「むれにそんないなかものがいるなんてゆるせないわね」 「そんなことするゆっくりがいるなんて、れいむはゆっくりりかいできないよ……。」 ゆっくり達は優男の言葉をそのまま受け入れた。 これには優男自身も驚いている。 優男としては、さすがに身内に犯人が居ると言えば抵抗されるだろうと想定して 気持ちと反論の準備をしていたのだった。 しかし、現実はこの有様。 どうやら、村のどの畑よりも広い『畑』を作って野菜を提供したというのが、 予想以上にゆっくり達の心を掴んでいたらしい。 優男も下調べの段階で掴んでいた情報ではあったが、ここまで食い意地の張った群れはさすがに珍しかった。 「なら、ここに群れのゆっくりを集めてみればいいのでは? もし集まることを嫌がる怪しいゆっくりが居ればそれが犯人かもしれないし、 みんな集まったら集まったで犯人捜しがやりやすくなるよ」 優男は気を取り直してゆっくり達を更に都合のいい方に誘導しようとする。 自分の方に注意を集めて若い村人を援護する為には、 群れのゆっくり全てに一カ所にまとまっていて貰った方がいい。 「ゆっ!?さすがはおにいさんなのぜ!そうするのぜ!れいむ、ありす、ぱちゅりー! むれにひとりのこらずあつまるようつたえるのぜ!こなかったゆっくりははんにんだとみなすのぜ!」 「ゆっくりりかいしたよ!」「とかいはなさくせんね」「むきゅ、けんめいなはんだんだわ」 長ともあろう者が、『さすがはお兄さん』と来た。 このゆっくり達はいまや完全に優男の掌の上に乗っていた。 しかも、本人達はそれに気付かず、むしろ『畑』を用意し、山から人間を遠ざけ、 野菜泥棒を捕まえる手助けをしてくれていると判断して全幅の信頼を寄せている。 その全てがここのゆっくり達を群れごと陥れるための仕込みだというのに! 先日、若い村人に注意をした身ではあるが、優男も笑い出したい衝動が湧き上がってくるのを感じていた。 必死で堪えて何でもない風を装っているおかげで表情や態度には変化がないが、 内心は狂ったように笑い出したいという気持ちで一杯だった。 掌の上で踊るゆっくり達の姿は、それほど哀れで惨めだった。 それからしばらく時間が経ち、群れの集合が完了した。 一人残らず集まるようにと厳命され、来なければ犯人と見なすと説明されているため、 本来ならまだ巣から出るべきでない赤ん坊から妊娠した大人まで様々なゆっくりが一堂に会している。 広い『畑』を作ってもまだそれなりに余裕のあった広場が埋まる程の数だった。 長まりさが少し高くなった斜面上にある切り株に乗り、幹部がその周りを固めた。 群れの集合では、幸か不幸か全てのゆっくりが集まって誰が怪しいか分からなかった。 そこで、これから犯人捜しを行うつもりなのだ。 「ゆっ!!みんなきくのぜ!!! まりさたちがてにいれたはたけさんに、やさいさんがないことにはみんなきづいてるとおもうのぜ!!! まりさたちがちょうさしたけっか、そのやさいさんはむれのだれかにぬすまれた かのうせいがたかいとはんめいしたんだぜ!!!」 集まったゆっくり達のあちこちから声が上がった。 自分は泥棒じゃないと主張する者、群れにそんなゆっくり出来ないゆっくりが居るなんてと怒る者、 野菜を楽しみにしていたのにと嘆く者。反応は様々だ。 幹部達が声を張り上げて、群れを宥める。 数分掛けてようやく静かになった。 長まりさが続ける。 「そこで、いまからはんにんさがしをおこなうのぜ!!! やさいさんをぬすんだゆっくりは、なのりでるのぜ!!! いまなら、ついほうだけでゆるしてあげるんだぜ!!!」 長まりさの言葉は勿論嘘だ。追放で許す気などあるはずがない。 野菜を盗んだゆっくりを永遠にゆっくりさせてやる気満々だった。 しかし、そう言ってしまえば名乗り出てこないだろうと考えて、 長まりさなりに知恵を働かせてああ言ったのだった。 しかし、当然誰も名乗りでない。 優男からすれば当たり前の結果だ。 そもそも、野菜泥棒どころか盗まれる野菜さえ存在しないのだから。 だが、長まりさは苛立った。 群れのゆっくり達が保身に走っていると考えた。 その感情の赴くままに更に続ける。 「あとになって、だまっていたことがばれたらひどいのぜ!!! いまのうちなんだぜ!!!」 群れのゆっくりも幹部達も誰も何も言わない。 沈黙が場を支配した。そのまま数分が経過する。 このままでは埒があかないと考えたのか、ぱちゅりーが長まりさに声を掛けた。 「むきゅう、だれもなのりでないわ。どうするの?」 「ゆゆっ」 長まりさは返答に詰まった。 そもそも、長まりさは優男に煽られた勢いのまま突っ走っていただけなのだ。 群れを集めて、犯人捜しをして、見つからなかったらどうするかなど考えているはずがない。 長まりさが助けを求めるように優男を見る。 優男はその時、自分の方に群れの注意を集めてから過ぎた時間を計算していた。 群れを集めるための時間、宥めるための時間、沈黙の時間。 充分だ。 若い村人が仕込みを行い、テリトリーから抜け出すのに充分な時間だ。 そう判断すると、にっこりと笑顔を作って、長まりさに助け船を出してやる。 ただし、その助け船の行き先は地獄であった。 「名乗りでないのであれば仕方がないね。 手当たり次第に家を捜索してみるのがいいかな。 あの広い『畑』から盗んだ大量の野菜を数日で食べきることは出来ないはず。 犯人の家には痕跡が残っているに違いないよ」 なるほど、長まりさは感心した。やっぱりお兄さんは頼りになる。 群れの方に向き直って宣言する。 「だれもなのりでないから、いまからみんなのいえにやさいさんがないかかくにんするのぜ!!! うらむならはんにんをうらむのぜ!!! れいむ、ありす、ぱちゅりー。そうさたいをけっせいするのぜ!」 長まりさの言葉の後半部分、自分たちへの指示を受け取った幹部達が動き出す。 自分に近しいゆっくりに声を掛けて、捜査隊として巣を改めに出かけていった。 長まりさがイライラと動き回っている。 捜査隊の出発から既に二十分ほど経っていた。 いつの間にか長まりさの相談役的な立場に納まった優男はそんな長まりさを宥めながら悠然と待っている。 作戦の成功を既に半ばまで確信していた。 そこへ一匹のゆっくりが口に何かをくわえて駆け込んできた。 幹部れいむと共に捜査隊として出てかけて行ったれいむだ。 捜査隊れいむが口にしていた何かを長まりさの前に置き、叫ぶようにして告げる。 「おさ、おうちからやさいさんのかけらがみつかったよ!」 「ゆぅ~!やっとみつかったのぜ!!だれのいえなのぜ!?」 「おおきなきさんのねもとにある、ちぇんとれいむいっかのすだよ!」 その言葉が発せられた瞬間、群れのゆっくりの一部がズザッという音を立てて動いた。 群れの中にぽっかりと空白ができたような状態になる。 その真ん中では成体のちぇんとれいむ、子供のちぇんとれいむ数匹が呆然としていた。 彼らがちぇんとれいむ一家であることは明白だ。 長まりさが目の前に置かれた何かを確認して言う。 「たしかにやさいさんのかけらなんだぜ! ちぇんとれいむいっか!!まえにでるのぜ!!」 長まりさが苛立ち混じりの声をぶつけるが、ちぇんとれいむ一家は動かない。いや、動けない。 嫌な空気に耐えながら早く犯人が見つかって欲しいと願っていたら、いきなり自分たちが犯人だと言われたのだ。 まともに物を考えられる状態ではとてもない。 しかし、そんな一家に周囲のゆっくり達は容赦しない。 最初はゆっくりと、徐々に激しく、罵声を浴びせる。 「どろぼういっかはゆっくりしないではやくまえにでてね!」 「このいなかものいっか!」 「みんなのおやさいをぬすむなんてわからないよー!」 そんな声に押し出されるようにして、ちぇんとれいむ一家はフラフラと長まりさの前に出た。 反論しようとしているのか、あり得ない状況に呼吸が乱れたのか、口をぱくぱくさせている。 そんな一家に長まりさは全く躊躇することなく告げた。 「おまえたちのいえからしょうこがでたのぜ! しかも、まりささまがなさけをかけてやったときになのりでなかったのぜ! ふたつのつみでおまえたちはしけいなんだぜ!ゆっくりしないでしぬんだぜ!」 そして、そのまま親ちぇんに飛び掛かる。 「わ、わからなべぇっ――」 無防備な状態で、通常の成体より二回り程大きな長まりさの体当たりを受けて、親ちぇんは吹っ飛んだ。 中身を盛大に漏らしながらピクピクと痙攣している。もう長くないだろう。 その光景にようやく我に返ったのか、親れいむが必死で弁解を始める。 「ま、まってね!れいむたちはおやさいさんをぬすんだりたべたりしていないよ!」 「じゃあどうして、いえからやさいさんのかけらがみつかったのぜ?」 「ゆ……。そ、それは……」 「それはなんなのぜ?」 「き、きっとちぇんがかってにやったんだよ!れいむとおちびちゃんたちはしらないよ!」 しかし、初めからこいつらが犯人だという結論ありきで裁いている長まりさは聞く耳を持たない。 「かたるにおちるとはこのことなんだぜ! いえのなかにやさいさんがもちこまれてきづかないはずないのぜ! どうせちぇんといっしょにたべたのぜ!」 親れいむの弁解を一蹴した長まりさが飛び掛かった。 そのまま何度も親れいむの上で跳ねて押しつぶす。 「しぬのぜ!しぬのぜ!」 「ゆげぇっ!やべでね゛!ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛」 「おまえはゆっくりしないでいいのぜ!ゆっくりしないではやくしぬんだぜ!」 「も゛、も゛っどゆ゛っぐり゛じだがっだよ゛……」 親れいむが死んだ事を確認すると、長まりさは震えている子供達にも容赦なく飛び掛かる。 「わかないよー」 「たすけておかあさんんん」 「れいむたちどろぼうさんじゃな――」 「……」 そして、助けを求める子も泥棒じゃないと主張する子も呆然としていた子もまとめて潰された。 「ゆっ!あくはほろびたのぜ!」 長まりさは満足げだ。 だが、群れの悪夢はまだ終わらない。 今度は、幹部ありすと共に出てかけて行ったまりさが駆け込んできた。 捜索隊まりさは駆け込んだ勢いそのままに叫ぶ。 「ゆっ!おさ!がけのしたのどくしんありすのいえでやさいさんをみつけたよ!」 「ま、またなのぜ!?」 野菜泥棒をやっつけたぞと一仕事終えた顔をしていた長まりさはその報告に仰天した。 その様子を敏感に察知した優男が長まりさに釘を刺す。 「長、あれだけ広い『畑』から採れる野菜は一家族で食べきれる量じゃないはず。 残念だけど泥棒はまだまだ居るはずだよ」 「ゆぅ~。たしかにそのとおりなんだぜ。こうなったらてっていてきにやってやるのぜ! どくしんありす!!まえにでるのぜ!!」 今度は誰もその言葉に反応しない。 群の後ろの方で何かもめ事が起こっていて、そちらに注目が集まっている。 長まりさがヒートアップする。 「なにやってるのぜ!?しずかにするのぜ! どくしんありすははやくまえにでるのぜ!!」 すると、もめ事が起こっていた辺りから一匹のボロ雑巾のような有様のありすが運ばれてきた。 どうやらこれが独身ありすらしい。 独身ありすを運んできたゆっくり達に長まりさが尋ねる。 「なにがあったのぜ?」 「ゆ!このどろぼうはにげようとしたんだよ!」 「だからみんなでつかまえたんだね、わかるよー」 「ぁでぃずはちがぅぅ」 どうやらこの賢明な独身ありすは、さっきの一家を見ただけで 身に覚えがあろうと無かろうと前に出た時点で殺されると判断して逃げだそうとしたらしい。 しかし、あっさり捕まって袋だたきというわけだ。 優男がまたも長まりさの思考を誘導する。 「長、逃げるというのはやましいことがある証拠だ」 「おにいさんのいうとおりなんだぜ!このありすはしけいなんだぜ!」 広場は魔女裁判の様相を呈している。 前に出ればすぐに長まりさに殺され、逃げようとすれば袋だたきにされてから殺される。 死刑はすぐに執行された。 「ゆっくりせずにしぬのぜ!」 「ゅぅぅ」 既に虫の息だった、本当は無罪の独身ありすは 碌に弁解も出来ないまま永遠にゆっくりした。 独身ありすの死刑が終わった。 群れのゆっくり達は、誰が泥棒で誰が違うのかまともに判断出来なくなり疑心暗鬼に陥っている。 そんな全くゆっくり出来なくなってしまった群れに、三つの捜索隊がまとまって帰ってきた。 捜索隊の帰還に群れ全体が緊張している。 長まりさが捜索隊にねぎらいの声を掛けようとして戸惑って止めた。 捜索隊が妙に暗い雰囲気なのだ。 「どうしたのぜ?なんだかゆっくりしてないのぜ?」 「ゆぅ……。おさ、とかいはらしくおちついてきいてね……」 「むきゅう、じつはれいむのおうちからおやさいさんがでてきたの……」 「やめてね!そんなこといわないでね!れいむはなにもしてないよ!」 長まりさに衝撃が走った。群れのゆっくり達もざわめく。 よく見ると、三つの捜索隊のメンバーは単にまとまっているのではなく 幹部れいむを取り囲むように動いていることが分かる。 逃げられないようにするための措置だろう。 長まりさが衝撃の抜けきっていない、いつも以上に回らない頭で尋ねる。 「ど、どういうことなんだぜ?」 「むきゅ。ぱちゅりーが、おさの『みんなのいえをしらべる』っていうしじにしたがって ねんのためにれいむのおうちをしらべたら、かじりかけのおやさいさんがあったの」 「ゆぅ。そこにたまたまありすたちがとおりかかって、ぱちゅりーからそうだんされて、 とりあえずおさのところにれいむをつれてくることにしたの」 「れいぶなにもやっでな゛い゛い゛い゛!」 長まりさは困った。 野菜泥棒は許し難い。 でも、この群れの幹部はぱちゅりーもありすもれいむも 幼い頃から友達だった特別なゆっくり達だ。 殺したくはない。 許すべきか、許さざるべきか。 その時、群れのどこかから、やさいどろぼうはしけいだよ!と言う声が響いた。 それを皮切りに、これまで容赦なく犯人を死刑にしてきた長まりさが 幹部の時だけ躊躇っているのを見た群れのゆっくり達から死刑コールが起こった。 山中の広場にゆっくり達による死刑の大合唱が木霊する。 長まりさとぱちゅりー、ありすはもうどうすればいいのか分からないようだ。 先ほどからオロオロし続けている。 れいむは虚ろな目で、泣いているような、笑っているような不思議な顔になっている。 死刑コールを続ける群れの中程から数匹のゆっくりが押し出されてきた。 成体まりさ一匹と赤ちゃんれいむ、赤ちゃんまりさが数匹。 幹部れいむのつがいと子供たちだ。 まりさが母親役を務める珍しいタイプの夫婦らしい。 押し出された家族達の顔には深い絶望が刻まれている。 死刑コールは鳴り止まない。 その大音声の中で、自分が計算して作り上げたこの状況に 満足感を抱きながら優男が長に話しかけた。 「長、この状況でれいむ一家だけを許せば酷いことになる。決断を」 長まりさとぱちゅりー、ありすがびくりと震えた。 三匹揃って優男の顔を見る。三匹揃って惨めさを感じさせる表情になっている。 「ど、どうにか、どうにかならないのぜ?……」 「どうにもならないよ、長。」 頼りにしている優男に一蹴された長まりさの顔に深い苦悩の色が浮かぶ。 目は潤んでいて、今にも泣き出しそうだ。 ただ、それでも気力を振り絞って顔を上げると、震える声で言った。 「れ、れいむいっかはやさいどろぼうなんだぜ……。 やさいどろぼうは、し、しし、しけ、しけいなの、ぜ……」 長まりさは、群れの長として私情を封印した。 群れのために己を殺すその姿は、とかくの問題はあるにせよ 長まりさが指導者に相応しいゆっくりである証明だと言えるだろう。 その決断には人々に感動を与える可能性さえあった。 ただし、今のこの状況の全てが優男によって仕込まれた茶番にも等しい舞台だと言うことを除けばの話だが。 長まりさがれいむの方を向いて、下を向きながらぼそぼそと喋って告げた。 「……これかられいむいっかをしけいにするのぜ……」 群れのゆっくり達から歓声が上がった。 自分が死刑にしてやる、いいや自分がと執行役に名乗りを上げる声まで聞こえてくる。 ゆっくりには、他のゆっくりに対して平気で暴力を行使する一面が元々存在している。 それは、ゆっくりの群れによくある『他のゆっくりを殺した者には罰を与える』と言う規則からも窺い知れる。 この手の規則は、それがなければそういう行為に手を染める者が居るからこそ作られるのだ。 もしも、ゆっくりがそんなことなど考えもしない純粋無垢な存在であれば初めからそんな規則は存在しない。 そして、ゆっくりにとってのそんな規則は、欲望を煽り立て、恐怖におびえさせ、 そうしても良いんだという大義名分を与えてやればあっという間に有名無実化するのだった。 極度の緊張状態の中で野菜泥棒は死刑だという正義をすり込まれたゆっくり達は、 少しでも怪しい存在が居ればもはや平気でそれを殺すだろう。 幼い頃からの親友を目の前にして、ようやく目に光が戻った幹部れいむが絶叫した。 「どぼじでぞんなごどい゛う゛の゛お゛お゛!!」 それに釣られて、いつの間にか捜査隊にがっちり囲まれていた幹部れいむの家族達も叫び出す。 「まりさたちはやさいさんなんてしらないよ!わなだよ!いんぼうだよ!」 「たしゅけてみゃみゃぁぴゃぴゃぁ」「ゆっくちできにゃいよぉぉぉ」 「ゆあああああああああんん」「れいみゅたちをいじめにゃいでえぇ」 「まりしゃにゃんにもしてにゃいのにいいいい」 幹部れいむ達の叫びをかき消すように、再び群れから死刑コールが起こった。 そして、それに突き動かされるかのように長まりさが跳躍した。 渾身の体当たりが幹部れいむに突き刺さる。 「ゆあああああああああああ!!」 「ゆっべ!どうじでばりざぁ!?どうじでぇ!?」 「ゆああああああああああああああああああああああああ!!」 「ゆぶぅ!ゆごっ!やべでっ!ぼっ!びゅっう!」 れいむの声を振り払うかのように長まりさは絶叫しながら体当たりを続けた。 長まりさが冷静さを少し取り戻した時、もう幹部れいむはどこにも居なかった。 ただ、元はれいむと呼ばれていた汚い餡子袋が転がっているだけだった。 捜索隊の方では、捕らえられていた幹部れいむ一家が今まさに死のうとしているところだった。 どうやら、群れの狂気にあてられた捜索隊ゆっくり達が徹底的に暴行を加えたらしい。 「ゆっへ、ゆひ、ゆひひひひ」 親友一家を殺して、精神のタガが少し緩んでしまったらしい長まりさを見て、優男は潮時を悟った。 今日はこのくらいにしておかないと長まりさが完全に壊れてしまう。 今なら少し時間をおけば正気に戻るだろう。 それにこれ以上は自分が仕向けなくとも、ゆっくり達自身が勝手に暴走して 坂を転がり落ちるように破滅への道を突き進んでくれるはずだ。 「ぱちゅりー、ありす。」 「ゆ?」「むきゅう?」 優男に声を掛けられたぱちゅりーとありすが虚ろな目つきで反応する。 茫然自失状態の二匹に活を入れるように続ける。 「しっかりして下さい! 長も消耗しているようだし、群れがこの状態で犯人捜しを続けるのは危険です。 今日は解散しましょう」 「え、ええ、そうね。そうだわ。そうしましょう、ぱちゅりー」 「む、むきゅ……」 体の弱いぱちゅりーは、中身こそ吐いていないものの まりさとれいむの有様を見るだけで相当酷い体調になっていた。 仕方なく、ありすと優男で群れを解散させる。 群れの興奮状態はなかなか治まらなかったが、日が暮れる頃になってようやく 広場からゆっくりが居なくなった。 「ありがとうお兄さん。ありすひとりじゃどうしようもなかったわ……」 「いえ、これくらい。」 「ねえ、これからどうしたらいいのかしら?」 「長とぱちゅりーは体調を崩しているし、れいむは、その、あれですし、 ありす一人ではどうしもうもないでしょうから、しばらく様子を見た方が良いのでは?」 嘘だ。あの狂気に感染した群れのゆっくり達をしばらく放っておくなんて自殺行為だ。 本当なら、今すぐ長まりさをひっぱたいてでも正気に戻らせて、 無理にでも対処しなければならない状態だった。 いや、今すぐ対処してももう手遅れかも知れない。 「そ、そうね。そうしましょう」 「ええ、僕も今日のところは帰りますが、また数日後に様子を見に来ますよ」 「おねがい、かならずきてね」 優男がありすと別れて山を下りていくと麓の辺りで若い村人が待っていた。 「どうなった?」 「ほぼ完璧です。あなたの野菜クズの仕込みも見事でしたよ」 「それは何よりだ」 存在しないはずの野菜を使って、存在しないはずの野菜泥棒を存在させたカラクリがこれだった。 優男がゆっくり達の注意を引きつける。 その隙に、優男が群れ見学の建前で調べ上げたゆっくり達の巣の配置図を若い村人が利用して、 村から持ってきた野菜クズを巣に仕込んでいく。 あとはそれをゆっくり達が発見するよう仕向ける。 別に難しいことをやったわけではない。 しかし、効果は絶大だった。 「今回生き残ったゆっくりどもはどうする?」 「僕らが直接手を下すまでもないですね。 疑心暗鬼と正義感と狂気とに炙られて、仲間同士で徹底的に殺し合うはずです。 まあ、一応数日後に確認に行きましょう」 そうなのだった。 今や群れのゆっくり達は、誰かは分からねど確実に群の中に野菜泥棒が存在し、 その野菜泥棒を殺すことこそが正義であり、殺すことで自分がゆっくり出来るという状態に置かれているのだった。 まず間違いなく近いうちに、ゆっくり達は、ほんの些細な行き違いや不安や疑いで憎しみ合い、 親兄弟や友人相手でも平気で殺し合い続けるようになるだろう。 身も心も傷ついた最後の一匹が勝者となり、 見せかけだけの『畑』と存在しない野菜を手に入れて、 誰も野菜泥棒ではなかったと気付くその時まで。 終 過去作 ゆっくりいじめ系2720 ゆっくりいじめ精神系 ゆっくりいじめ系2818 れいぱーありすはゆっくりできない このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/fishingstrike/pages/26.html
ワールドツアーどう進めればいい? 釣った魚は売って良い? 攻略に詰まったらどうすれば良い? 周回するのはどこでも良い? 魚の群れレジェンドフィッシュの群れって何? [部分編集] ワールドツアー どう進めればいい? ワールドツアーは、他のゲームで言うところのノーマルクエスト、ノーマルミッションにあたる物です。 フロリダ、長江、珊瑚海、アマゾン川、モザンビーク海峡、北海の6マップからなり、世界中の名所を巡ります。 各マップには生態系に則った合計400種以上の魚が生息しこれらを釣り上げる事で様々なアングラーライセンスを入手可能です。 攻略中のマップをすべてクリアする事で新しいマップが解放され、マップ内の各ツアースポットで指定されたすべての魚を釣ると次のツアースポットが解放されます。 各ツアースポットにはレアやコモンの魚をはじめ 絶滅した古代種など希少なレジェンダリーや、さらに希少な二つ名持ちのネームドの魚たちがアングラーを待っています。 希少なほど程見つかり難く、釣りにくいかわりによりレアリティの高い報酬ボックスをドロップします。 各ツアースポットにおいてレジェンダリーやネームドはクリア条件に含まれませんので安心してください。 しかしながら、コモンの中には異常に警戒心が強くタックルに食いつかない隠しレアとも言えるような魚が居ます。 複数のプレイヤーが同じ魚に手こずっている報告が多く、中には一匹のコモンのために数十回も周回を強いられたアングラーも居ます。 タックルの動きなどにも関連性があるのかも知れませんが、検証は困難です。 うまみの少ないスポットでドハマリしない様アングラー達に幸あらん事を願うばかりです。 ポート・モレスビーの悲劇 釣った魚は売って良い? 基本的にほとんど売却して構いません。 ただしサイズがSSSの魚はレア度にかかわらず残す事がオススメです。 ネームドなどはSサイズでも十分に貴重です。 これは観賞用として価値があったり、アクアポイントなどの水槽関連ランキング報酬にもつながるからです。 また、アクアリウムで一括売却を選択すると売却した際に自動で報酬ボックスが開封されますので、個別に魚をクリックして報酬を受け取る必要はありません。 攻略に詰まったらどうすれば良い? フィッシングで勝てなくなる大きな理由の一つが魚とのレベル差です。 体感では魚にレベルを5以上離されると逃げられる確率がかなり高くなります。 順調に攻略が進み過ぎた時ほどこのパターンが多いので、その場合は2つ以上前のツアースポットを周回する事がオススメです。 なぜ2つ以上かと言うと、詰まった一個手前ではオートリールでの釣りが安定しない事が多いからです。 さすがに釣が楽しいとは言っても、絶対に負けない格下ツアースポットの周回は少し疲れますよね。 また攻略の手助けとして、攻略ガイドがありますので参考にしてください。 周回するのはどこでも良い? マップごとに入手できるアングラーが違うので、それを狙った周回がオススメです。 例えば、フロリダでリアン、珊瑚海でリックなど強いアングラーを狙うのも手です。 オススメのアングラーはアングラーから確認が出来ます。 ただし、プレイヤーのレベルを上げるために必要なEXP(経験値)は攻略が進むほど増えていきます。 また魚から獲得できるゴールドも同様に後半に行くにつれ多くなります。 ですので、あまり初期のマップばかり周回するのはオススメしません。 またアングラーの解放はマップごと固有ですが、解放したマップのアングラーはその先のマップに生息する魚からも入手可能です。 入手確率は低くなりますが、極短に確率が低くなる事はなく、確率は半分弱程度で入手することが出来ます。 ですので、アングラーのレベル上げはそこそこにして、プレイヤーレベルが上がったらマップ解放を優先していきましょう。 確率表は多岐に渡るため掲載しませんが、公式アナウンスの一番古い物から2番目の記事で確認できます。 魚の群れ レジェンドフィッシュの群れって何? 魚の群れはワールドツアーのどこかに特定の魚群が出現するゲリライベントの事です。 本来は発生時間はおろか発生するかもわからないゲリライベントですが、現在イベントで長江か珊瑚海にレジェンドフィッシュが毎日1回出現します。 魚の群れが出現すると残りの魚数と時間が表示されます。 つまり数も時間も限定のユーザー間での争奪イベントなんです。 4/23は19 00頃に開催された際は、ものの10分で狩りつくされてしまいました。 レジェンドフィッシュの群れでは、5回の釣りで3回レジェンドフィッシュに出会え、内2回が食いつく感覚でした。 しかしながら一瞬で終わってしまうので、フィッシングチケットを使用して時間短縮を試みるのも良いでしょう。 フィッシングチケットでもレジェンドが釣れる事は確認済みです。 4/24の19 00頃は開催が確認できず、時間に法則性はありそうなものの、現状は会えたらいいなと思う程度に留めるといいと思います。
https://w.atwiki.jp/n4908bv/pages/237.html
召喚呪文 周囲にいる魔物を呼び寄せ誘導する呪文。 対象は既に戦っているか識別出来ている魔物である必要がある。 周囲に魔物がいなくてもレベル上げするのに重宝する。 群れの一部を呼び寄せる場合、かなりの高確率で群れそのものを呼び寄せるので注意を要する。 範囲は非常に広い。消費MPは小。
https://w.atwiki.jp/ao_psp/pages/81.html
ブレイクオブジェクト破壊跡以外にもフィールドの光が存在する模様。 場所と得られたアイテムの情報を蓄積しよう。 セーブ&ロードにより、得られるアイテムが変化する。 第1章 西クロスベル街道 マップ②全40セピス宝箱付近:魔獣の卵×2、アカムシ×2 マップ③敵入宝箱付近:ミミズ×2 マップ④三叉路警察学校方面草地:アカムシ×2 第1章 ノックス森林道 マップ②登板路との合流手前の道中央:EP1 第1章 マインツ山道 マップ②滝を望む架台に向かう道中:水のセピス×10 マップ③全セピス×40の宝箱の右下:火のセピス×10 マップ③マップ④切り替え手前の路面脇:練り団子×2 マップ⑤人形工房手前石段下左:「何かが埋まっているようだ」 回避1、魔防1、行動力1、防御1、EP1、回避1、命中1、HP1、移動1、省EP1 ホーリーチェイン、ルミナスグラス、マーブルリング、クールネックレス フローラボトル、シルバーブローチ マップ⑥トンネル道。マップ④側道入り口からしばらく先:「何かが埋まっているようだ」 HP1、回避1、魔防1、妨害1 スティールリスト、ティンクルピアス、マーブルリング、クールネックレス 現段階での考察。 ブレイクオブジェクトからは、市販食材、釣り餌、魔獣食材×1、が得られる。 フィールドの光(便宜上、通常光)からは、釣り餌、魔獣食材×2、セピス、回復薬(状態異常のみ?)が得られる。 フィールドの光(便宜上、埋蔵光)からは、クオーツ、アクセサリーが得られる。 埋蔵光でも二度以上採取可能。山道分岐点の吊り橋下にて魔防2→スティールリスト取得。 メモ:埋蔵光を調べると敵が出現することがある。(マインツ大滝前でネペンテスの群れ出現を確認) 戦闘勝利後、ホーリーチェイン獲得。 (クロスベル東街道の灯台付近でサベージホーンの群れ出現を確認) 戦闘勝利後、回避3獲得 (ベルガード門の一つ前のマップでカエンギーヌーの群れ出現を確認) 戦闘勝利後、命中2獲得 (西クロスベル街道のセピス入り宝箱付近でエボニードローメの群れ出現を確認) 戦闘勝利後、EP2獲得 (西クロスベル街道の魔獣入り宝箱付近でブラックハンター×8の出現を確認) 戦闘勝利後、省EP1獲得 (1章西クロスベル街道のバス停マップ南西のカーブでカエンギーヌ×8の出現を確認) 戦闘勝利後、攻撃1獲得 コメント 終章初期、ランディ加入前のマインツへ向かう途中の滝前釣り場近くの光るオブジェクトから行動力3を拾いました -- 名無しさん (2011-10-15 22 56 12) 第2章1日目、ウルスラ間道の海岸線南端の階段を下りたところで埋蔵光から移動1が出た。戦闘なし -- 名無しさん (2011-10-15 23 21 34) ウルスラ間道・中洲の砂浜の光からケサランの群れ出現、EP2が拾えた(4章1日目) -- 名無しさん (2011-10-17 17 46 00) たぶん章によって拾えるモノがかわるんじゃないの?1章だと回避1ばっかりだったけど、4章だとEP3がでた。 -- 名無しさん (2011-10-17 18 00 36) 断章の森林道でEP2が埋まっていました -- 名無しさん (2011-10-18 15 04 37) 省EP3を4章で拾ったよ -- ken (2011-10-20 00 40 40) 地雷が埋まってるトンネルの中で攻撃3拾いました -- 名無しさん (2011-10-20 12 46 51) 第3章1日目、ウルスラ間道の病院前のマップ、階段の上で省EP1を拾った。戦闘なし -- 名無しさん (2011-10-22 00 36 03) 終章 大樹出現後、西クロスベル街道バス停上付近でガンテ?×8出現、倒して命中3だった -- 名無しさん (2011-10-22 19 22 07) 1章1日目 ノックス森林道②でホーリーチェイン埋まってました。 -- 名無しさん (2011-10-23 16 46 45) 「人形工房手前石段下左」最終章でマインツへ仲間を集めに行く際、人形工房寄り道中に調べたらグランドリュー(でかいモグラ)が出ました。バグかな?戦闘になりました。BGMは確かレベル付き宝箱のやつでした。 -- 名無しさん (2011-10-23 19 34 07) あ、すいません。説明文に敵が出ると書いてありました。 -- 名無しさん (2011-10-23 19 35 19) 第3章1日目、滝の釣り場の近くで埋蔵光からロックラッタx6出現、魔防2を入手 -- 名無しさん (2011-10-24 11 27 47) HP3拾いました -- 名無しさん (2011-10-29 08 44 43) 終章ウルスラ間道にて命中3ゲット。 場所は浅瀬があるマップの森に入る前にある袋小路。戦闘はなし。 -- 名無しさん (2011-10-29 15 49 42) 西クロスベル街道の埋蔵光にて、ガンテの群れと遭遇。HP3のクオーツでした。 -- 名無しさん (2011-11-02 15 37 24) 終章、アルモリカ古道の埋蔵光にてブレードファングの群れから精神3ゲット。 -- 名無しさん (2011-11-12 18 40 17) 終章。聖ウルスラ医科大学手前のMAP。クロスベル市方面入り口の近くと、星見の塔を望む高台(宝箱のあるとこ)で、埋まっている光を確認。それぞれ、敵なしで『行動力3』や『回避3』等を確認。たまに『防御2』などの一段階下のランクのクオーツも確認 -- 名無しさん (2011-11-16 21 26 15) 終章。ウルスラ間道の浅瀬。中央付近の岩のすこし東。上記と同じで1~3のランクのクオーツを敵なしで確認。たまにアクセサリーも -- 名無しさん (2011-11-17 00 03 14) ノックス森林道でハバネリアンの大群。 攻撃1を落としました。 -- BUMP OF HAYASHI (2011-11-27 13 24 36) ノックス森林道マップ②の埋蔵光?を加えました。複数のコメントがあったのに掲載されてなかったので -- 名無しさん (2011-11-30 13 27 19) 2章1日目 ベルガード門の一つ前のマップでカエンギーヌーの群れで勝利→ミスティストールでした -- 名無しさん (2011-12-05 00 05 45) 2章1日目ウルスラ間道の星見の搭方向への分かれ道付近でミミナガモンチの群れに勝利→回避1でした -- 名無しさん (2011-12-13 16 47 35) 2章1日目ウルスラ間道の星見の搭方向への分かれ道付近でミミナガモンチの群れに勝利→回避1でした -- 名無しさん (2011-12-13 16 48 24) 2章1日目ウルスラ間道の星見の搭方向への分かれ道付近でミミナガモンチの群れに勝利→回避1でした -- 名無しさん (2011-12-13 16 49 46) ↑、↑↑はサーバ混雑でミスりました -- 名無しさん (2011-12-13 16 52 22) 場所は(確か)ボート小屋の辺りでEP3をゲットしました。 -- 名無しさん (2011-12-27 17 29 16) 月の僧院前にて埋蔵光からの敵出現で、アビスワーム8体確認。超初期に行ったから、とても強くて経験値も大量に入りました。 -- 名無しさん (2011-12-27 17 32 30) ↑補足。ボート小屋のEP3は終章です。 -- 名無しさん (2011-12-27 17 34 37) ウルスラ浅瀬に8体のケサラン防御2 -- 誰か (2012-01-03 18 31 40) ノックス森林道でEP3見つけたよ? -- 名無しさん (2012-05-23 21 49 31) 4章1日目ノックス森林道でハバネリアン群れ→妨害2 -- 名無しさん (2012-08-21 00 50 35) 終章、ウルスラ間道の星見の塔へ分岐するマップの南側宝箱そばに埋蔵光。ゴーディオッサー8体出て、こっちは3人PTだったから最悪。倒したらEP3 -- 名無しさん (2013-11-30 18 41 21) 3章では、西クロスベル街道の宝箱付近の埋蔵光(ブラックハンター×8)より行動力2を入手できました。 -- 名無しさん (2014-03-13 00 20 57) あばばばばばば -- 名無しさん (2014-04-02 15 13 03) 1章 西クロスベル街道 セピス入り宝箱付近の埋蔵光にてエボニーメ×8を確認。 -- 名無しさん (2014-08-03 14 42 44) ↑戦闘勝利後にティンクルピアスを入手 -- 名無しさん (2014-08-03 14 44 11) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/tenngetu/pages/49.html
ササ空 ササ空 訳(笹食う) パンダについての会話での発言。(参照-群れ群れかw) どのモブがテイム対象ですか? どのモブってきっとササマンダーあたりじゃないですか? -- きんぐ (2008-04-10 12 38 32) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/681.html
*後半のゆっくりの会話は読みやすくするために翻訳しているものと思ってください。 ここはある農村。 人間たちが閉め切った一室に集まってなにやら相談していた。 それは畑を荒らす害ゆっくりに関するものだった。 この議題自体はありふれたものだったが、そこに二つの異なる要素が絡んでおり、問題をややこしくしていた。 まずひとつは、特定の害ゆっくりを退治することを命ぜられたということ。 村の有力者に縁ある人物が、自分の畑を荒らされて激怒しているのだ。 ただ荒らされただけではなく、捕まえようとしたところを取り逃し、捨て台詞を吐かれたらしい。 「あのゲスでいぶを殺せ! いや、生け捕りにしてこい! 俺の手で八つ裂きにしてやらなければ気がすまん! ゆっくりごときに舐められたのだぞ! こんな、こんな屈辱はありえない! あってはならない!」 村民たちは彼の一族にいろいろな借りがあるので従わなければならない。 ゆっくりの特定個体を広大な山から見つけ出すという無理難題はある理由で解決の見込みがあるのだが、 それが同時にもうひとつの頭痛の種にもなっていた。 ドスまりさの存在である。 もう解説するまでもないと思うが、ドスまりさは巨大なゆっくりであり、口からドススパークなる破壊光線を吐くことができる規格外の存在だ。 他のゆっくりを統率して群れを作る習性がある。 その畑荒らしのゆっくりはどうやらそのドスの群れに属しているらしい。畑荒らしのゆっくり自身が去り際にそう言ったのだという。 そのドスの群れへ行けば、問題のゆっくりが見つかる……というわけではない。 ゆっくりの個体の識別など到底不可能だ。そもそも畑荒らしのゆん相も大雑把にしか伝えられていない。被害者自身、相手の姿をよく見ていないのだ。 じゃあ何をしにいくかというと、適当なそれっぽい(ゲスっぽい)ゆっくりを何匹かドスに引き渡してもらうのだ。 そうすれば有力者も怒りを静めてくれるだろう。ドスを謝らせたという事実がほしいのだ。本物がその中に入っている可能性もあることだし。ゆっくりにしてみれば完全なとばっちりだが人間様の知ったことではない。 だが問題はドスにある。 畑荒らしが属していると思われるドスは普通のドスではなかった。 村と協定を結んでいないのだ。 いや、正確には結んでいる。 いかなる協定もしないという協定を。 そのドスはあるときふらりと村に現れ、「こちらは干渉しない。だからそちらも干渉するな」ただそれだけを告げて去っていった。 人間は、ドスにゆっくりを統率することを望んでいるため、このドスの態度は好ましからざるものだった。 「貢物を寄越せ」といわれるよりはましだが。 畑荒らしを引き渡せと要求したとして、あのドスがどうでるのかわからなかった。 「やつら殺そうぜ! いい機会だから皆殺しにすればいい! あいつらはゴミでしかないんだからな!」 村人の一人がずっとまくしたてていた。彼はゆっくりを見下しており、弱腰な意見に傾く村人たちを歯がゆく思っているようだった。 「あっちにはドスがいることを忘れるな。ドスを怒らせていいことはなにもない」 ドスは強い。ゆっくりを潰すようにドスを殺すことはできない。ドスは危険だ。ドスを怒らせてスパークを乱射されでもしたらひとたまりもない。 一農村にある装備でドスを最小の被害で確実にしとめるのは困難だ。政府もドス対策には腰が重く、支援は期待できない。 「協定ごっこにつきあってやってなんとかしのいでくれ」というのが本音なのだ。 「そこら辺でゆん相の悪いゆっくりを捕まえて、犯人ということにすればどうだろうか? ゆっくりは否定するだろうが、誰も信じはしまい」 「最終的にはそういう手も使うかもしれないが、まずはドスに会いに行かねばなるまい。 それを怠れば我々がおぼっちゃんの不興を買うことになるかもしれない」 「いい機会というのはある程度あたっているかもしれんな。あのドスの姿勢を知ることができるかもしれない」 「ともかく、ドスの群れに行かなければならないようだな……」 「俺はドスがふざけた態度に出たら黙っていられないぜ」 「ドスを刺激することは許さん。村全体が迷惑することになる」 意見はまとまり、人間たちは準備を整えると、山野の分け入りドスの群れへと赴いた。 「やあドス。ドスの群れでゆっくりさせていってね」 「……」 群れにたどり着いた人間たちは、まずはドスの顔を立ててゆっくり流の挨拶をした。 だが、ドスは返事をしなかった。ゆっくり嫌いの村人は表情をいっそう険しくさせた。 ドスの周りにはやはりゆっくりたちが集まっていた。人間を見てゆんゆん騒いでいる。 早くもぷくーと膨れて威嚇しているものもいる。あまあま寄越せとわめいているものもいる。 「ドスよ。あんたの群れゆっくりの中に、我々の畑を荒らしたものがいる。そのゆっくりを引き渡して欲しい」 村人たちのリーダー格が単刀直入に切り出した。よくないことが起きる前に仕事を済ませたかったのだ。 だが、ドスの返事は期待していたものではなかった。 「ドスの群れなんかないよ」 そう言い放ったのだ。 「群れがないって……ゆっくりたちが集まっているじゃないか!」 詭弁にしても酷いものだった。このドスは極めつけに愚かなゲスなのだろうか? 「この子たちは勝手に集まってるだけだよ。ドスの群れゆっくりじゃないよ。集まることを禁止していないだけ」 どうやらこのドスは放任タイプのようだった。 たまにいるゆっくりに味方しない方針のドスだ。ゆっくりを匿うことはなく、それどころか積極的に人間に売り渡すのだ。 人間の側についた方がいいと判断したのだろう。ゆっくりは愚かで弱くて役に立たず、引き換え人間はとても強い。 人間の敵に回るのはドスにとっても有益ではない。ならばいっそのことゆっくりを売ってでも人間に取り入る……という選択もあったのだ。 とはいえそれも浅知恵でしかない。ゆっくりを統率しないドスは結局のところ人間にとって無価値な存在だ。 しかも、破壊光線を吐き散らす危険な怪獣であることに代わりはない。こういった放任ドスは最終的に騙し打ちされてしまうことが多かった。 ドスにとっては理不尽な話である。「自分は人間に迷惑かけていないのに」だが、恐怖心の虜である人間はそれだけでは生存を許可してくれないのだ。 ゆっくりを統率することはドスにとって身の安全を計る効果があった。畑荒らしを抑えている限りはドスには価値がある。 「それじゃあ、ここにいるゆっくりを連れて行ってもかまわないな!」 「ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ゆっくりさっさとはなせくそじいい!!!」 ゆっくり嫌いの村人が手近にいたれいむを掴み上げた。このれいむが選ばれたのは器量が悪く、人間への態度も本来あるべきへりくだったものではなかったからだろう。 「その子を離しなさい」 静かだが力強い口調でドスはそういった。 「おい待てよ。こいつはおまえのゆっくりじゃないんだろ? なんでそんな指図してくるんだ? それともやっぱりおまえらお得意の下手な嘘なのか?」 れいむを掴んだ村人は今にも山刀を抜きかねない勢いだ。彼はゆっくり全般を軽蔑していた。 ドスの危険性を頭では理解していたが、心では独活の大木にすぎないと侮っていた。 「この子たちはドスのゆっくりではない。けれども、ドスはあなたたち人間の手先になったつもりもない。 ドスは言ったはず。干渉しない、だから干渉するな、って。ドスの前で勝手な行動は許さない。 あなたたちが手前勝手な事情で小さなゆっくりをスケープゴートにするのはドスの知ったことではないわ。 でも、ドスの前では許さない。ドスの見えないところで勝手にやりなさい。そして、ドスの名を勝手に使うことも許さない。 ドスはゆっくりを売るつもりはないし、あなたたちのしがらみに縛られるつもりもないのだから」 村人たちは唖然とした。このような態度に出たドスは前代未聞だったからだ。 このドスはゲスなのだろうか? ゲスだったとしてもこれまでにないタイプだった。放任タイプとも違う。 とはいえ困ったことになった。有力者をなだめるにはドスから引き渡されたゲスゆっくりという名目が必要だったからだ。 だが、ドスはそういった名義貸しを拒絶した。 「ふざけんじゃねえぞこのドゲス! 滅茶苦茶な屁理屈並べ立てて人間様を煙に巻こうってのか? ああん!? なんだかんだいっててめえはゲスでいぶを庇ってるじゃねえか! 下手に出てやりゃ付け上がりやがって! もう許さねえ! ゆっくりごときが人間様をコケにしてんじゃねえぞコラァ!」 ゆっくり嫌いの村人は山刀を抜き放ち、ドスへと突進していった。片手にはれいむを持ったままだ。 離さなかったのは人質として使えると計算したためだろう。彼の視点ではこのドスはゲスを庇いかわいがるゲスドスなのだから、躊躇させられると考えるのは自然なことだった。 ちょうどしんぐるまざーでいぶがどんなにゲスでも自分の子ゆっくりはかわいがるように。 「ドスは誰にも味方しない。でも敵になりたいというのなら、戦う覚悟はいつでもできている!」 ドスの口から閃光が放たれた。 視界が晴れると、あのれいむは消滅していた。 そして、れいむを掴んでいた村人も。 「うわあああああああ!!」 「おちつけ! みんなおちつけ! 刀を納めろ! ドスと戦ってはいかん!」 リーダーの叱咤によって村人たちはなんとか落ち着きを取り戻した。だが、仲間を殺された怒りが瞳の奥で燃え盛っていた。 一方、ドスの側に集まっていたゆっくりたちは蜘蛛の子を散らしたように四方八方森の中へと逃げ去っていった。 「ゆわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ドスがれいむをころしちゃったよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「ゆっくりできないよ! ゆっくりできないゲスドスだよ!」 「だじゅげぢぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!! ごろじゃりぇりゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」 群れ長にならないと明言されても、本能と習性でドスの周りに集まっていたゆっくりたちだったが、ゆっくりを殺したとなれば話は別だった。 それもドスの象徴たるドススパークでだ。ドススパークは人間への抵抗、ゆっくり守護のシンボルであった。 ドスは群れゆっくりを制裁するときでもなるべくスパークは使わない。ゆっくり相手にスパークを使うとしたら大規模な反逆をされたときだけだ。 何を言われるよりも雄弁な絶縁状だった。このドスは本当に群れ長ではないということをゆっくりたちは心でゆっくり理解した。 「ドス! 今の非礼を謝る。我々は戦いを望まない!」 「戦いを望まないなら、ゆっくりさっさとドスの側から離れてね。ドスは干渉しない。ただ身を守るためには戦う。 あなたたちも干渉しないで。ドスと戦いたくないのなら」 「なぜなんですか! 仲間が殺されたんですよ! 人間を殺したんですよ!」 「あいつは危険なドスだ! いや危険なんてもんじゃない。人間の敵だってことがはっきりしている! とんでもないゲスだ!」 「おまえたちの言い分もわかる。だがドスと戦えば大きな被害が出る。ことに今ここでいきなり戦いを始めるのは下策そのものだ。 我々は軽装だからドスに手傷を負わせるに留まるだろう。ドスは勢いで村にまで下りてくるかもしれない。 村にはおまえの女房も子供もいるのだぞ? 優先順位を間違えるな。村の安全が最優先だ。 あのドスを放置しておけないのは言うまでもない。だが今はそのときではない……」 村人たちは何の目的も果たせず、それどころか仲間を一人失って下山した。 彼の家族に報告することを考えると気が重い。 ゆっくりに殺されたなんてどう説明すればいいのだろうか……。 「やはりこうなってしまったね……」 群れ(ではないのだが)のゆっくりたちはすべて逃げてしまった。 ただ一匹のぱちゅりーだけがドスの側に残っていた。 ドスの側近……というわけではない。ここは群れではないのだから。ただの友ゆであった。 「あの人間たちはドスを殺しにくるでしょう。今すぐでなくとも、彼らにとってあなたは敵とみなされました。 人間の復讐心はとても強いです。このまま無事に済むことはありえません」 「わかっているよ。でもドスは逃げるつもりはないよ。逃げれば他所に迷惑がかかるからね。 ……人間はなぜドスをそっとしておいてくれないのだろう」 このドスは徹底的に人間に干渉しないことを選んだ。それはこのドスの性向にあっていたが、このぱちゅりーとの付き合いから考え付いたことだった。 このぱちゅりーは人間に関してとても詳しかった。ドスは人間との関わりを避けられない以上、人間のことを知っておくべきだと、このぱちゅりーから教えを乞うたのだ。 そうして知った意外なことは、人間が不幸であるということだった。 人間の世界というのは実のところとてつもないゆっくり地獄なのだ。そこでは一切ゆっくりすることができないのだという。 人間の群れはドスの群れなど問題にならぬほどの複雑で厳格な掟に支配されており、ひっきりなしに互いにゲス呼ばわりしては制裁しあっているのだという。 ドスの群れでは希少種が優遇され、通常種が冷遇される傾向があるが、人間の群れではそんなものでは済まず、実に多くの格差があるのだという。 あるものはたいして働かずとも毎日おいしいごはんをむーしゃーむーしゃーできるのに、一方では毎日大量の人間が飢えて死んでいるのだという。 ごはんはもとより、宝物を奪い合う争いも凄まじい。他人は無論のこと家族同士で騙しあい殺しあうことも珍しくないそうだ。 おうち宣言のようなことも盛んに行われている。しかもゆっくりのものとは規模が桁違いだ。おうち宣言をするたびにおびただしい数の人間が殺されるのだという。 ゆっくりにもゆん口爆発はあるが、人間は慢性的にその状態にあり、たくさんのちびちゃんを産みすぎたせいで、たくさんのおうちが必要なのだという。 人間たちが狂ったように山さんや森さんを次々に壊してはおうちを建てているのはそのためなのかもしれない。畑荒らしどころの騒ぎではない。 だがそのしわ寄せは人間たち自身にも返ってきており、大地のお母さんを苦しめたせいで次々に新しい病気が生み出され、それを治そうとしてより多くの苦しみを味わっている。 人間はゆっくりを透明な箱に閉じ込めて虐待するが、当の人間たちは自然から切り離されて灰色の箱に閉じ込められているという。 その中で頭がおかしくなってしまって完全なゲスになった人間も多くいるのだという。 しんぐるまざーでいぶなど歯牙にもかけぬとてつもない狂気に犯された人間が深い理由もなしに出会った人たちをたくさん殺してしまうこともあるのだという。 想像を絶する多種多様な苦しみが蔓延している様は、えーきが言うところのゆっくり地獄そのものだ。ゆっくり地獄はこの世にあるのだ。 では、人間たちは罪を犯したのだろうか? そうかもしれない。少なくとも自分自身で自分の苦しみの種を撒いたという点においては。 そもそも人間とは奇妙な、矛盾した連中だ。ゆっくりをゲスだゲスだと罵っておいて、自分たちは加工所を立ててゆっくりに凄惨な拷問をくわえている。 恐ろしく巧妙な装置を作ってはゆっくりの親子を意図的に殺し合わせて、その上で子殺しと非難するのだ。 それも、ただあまあまがほしいという理由だけでだ。 どの口があまあま寄越せとわめくゆっくりをゲス呼ばわりできるのだろうか。 だが、これらのことはゆっくりにとってもまったくの他人事ではない。 ぱちゅりーが言うには、ゆっくりもこの地獄に近づくことがあるという。 それはドスまりさ、ドスの群れだった。 前述したような種族格差や、掟に従わせるために凄惨さをましていく制裁。 ちびちゃんを虐待してしまうお母さん。飢えるゆっくりがいる一方、過食によって病気になるゆっくり。 これらは人間たちのゆっくり地獄に似ているのだという。 本来ゆっくりは家族単位でバラバラに気ままにゆっくり暮らしているのだが、ドスを中心に群れを形成すると、このような兆候が現れてくるのだ。 ぱちゅりーは富めるゆっくりと貧しいゆっくりがいて、貧しいゆっくりは毎日餌を集め続け、でも自分ではそれを食べることができず、富めるゆっくりに差し出さなければならない群れを見たことがあるという。 まったくもって理不尽な話だが、そこのドスの掟では正しいことなのだという。 そんなゆっくりは遠からず人間の畑に手を出すことになるだろう。そしてゲスとして制裁されるのだ。 ゆっくり同士で差別しあい、ゆっくりがゆっくりを支配する世界。そんな悪夢のようなゆっくり地獄が生み出されようとしているのだ。 それらのことを知ったこのドスは、群れを作らず、だが人間の走狗にもならない道を選択した。 ゆっくりも人間もドスに群れを作ることを望んでいる。強要しているといってもいい。 ドスはゆっくりたちにそれほどの義務感は持っていない。事実、身を守るためにれいむを吹き飛ばした。 だが、多くのゆっくりをゆっくり地獄へ導くとなると話は別だ。そんな恐ろしいことはできない。 ゆっくりを従えないだけでなく、人間にも従わないのは、人間のゆっくり地獄に組み込まれてしまう恐れがあったからだ。 人間はドスにすら自分たちの掟を適用して支配して奴隷にしてしまうことがあるのだという。そんなことになるなら死んだ方がましだ。 そうだ、死んだ方がましだ。なぜならゆっくり地獄はあの世にはないのだから。死すれば善良もゲスも等しく救われるのだ。人間が狭い了見で当てはめた善悪が何ほどのものか。 「こうなったのもぱちゅりーのせいですね。ドスには申し訳ないことをしました」 「ぱちゅりーのせいではないよ。ドスが自分で選んだ道だからね。 ……ドスはこれから人間たちに殺されるのだろうけど、憎いと思うよりなんだか可哀想になってきたよ。 人間たちはプライドを保つために生贄が欲しかったんだよね。そんなことで無意味に争うことになるなんてね。 人間にもたくさんの被害が出るというのにね。ドスには理解できないよ。 さて、ぱちゅりーはもうここから離れた方がいいよ。人間たちはドスだけでなく側にいるゆっくり全部を殺すだろうから。 みんなが逃げていったのは不幸中の幸いだったね。人間が襲ってくる前に戻ってこなければいいんだけど」 「ドスを焚きつけてしまったぱちゅだけが逃げるのは心苦しいですが、お暇させていただきます。 ぱちゅには語り合わなければならない次のドスがいます。ゆっくりの世界を根底から変えてしまうかもしれない種が」
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/1395.html
微調整しただけです。 ちょっとだけ以前自分の書いた作品『やってみよう何でも実験』と繋がっています。 群れは生き残ります。この群れはドスの概念がありません。 この作品のドスには特殊能力が無いドスがいます。 ゆっくりのジャンプできる高さは自分の身長の5倍と換算されています。 ドススパーク(ドスパーク)は一回放つと15時間は撃てない、というグラビトォーン!(大鉄人17)な設定になっております。 キノコの無いドス ある山の上の平原に平和なゆっくりプレイスがあった。天敵もなければ(たまに鷹や鷲に持っていかれることはあるが)自然災害もあまりこない、実にのんべんだらりとできる場所だった。 普通こんな場所で暮らせばさぞかしゆっくりしている(悪い意味で)ゆっくりが産まれるであろうが、このゆっくり達、ゆっくりにしてはいい意味で向上心あふれるゆっくりだった。 ゆっくり達は巣穴を作り、水が巣に流れるのを防ぐために居留地をすり鉢上に削ったり、と自分達が『末永く』ゆっくり暮らせるように努力を重ねた。 「きょうよりはあすもっとゆっくりすることがだいじなんだよ!」といったれいむもいたとか。 一度『ゆっくりの形をした大災害』で群れの数は半減したが哀しみを胸に結束を強めさらにこの群れは発展を続けていった。 そんなある日のことである。 あるまりさの巣穴から声がする。 「た……たすけてぇ~!」 「ゆゆっ、まりさどうしたの!?」 「か、からだがうごかないぃぃぃぃぃぃ!」 「と、とりあえずどあをあけて……ゆぁぁぁぁぁぁぁ!?」 れいむは驚いた。巣にみっちりとゆっくりの体が詰まっている状況を驚かないゆっくりがあるだろうか、いやない。 それはさておき、このままでは巨大になったまりさの命が危ない。主に圧縮された息苦しさでだが。 「た、たいへんだよ!これじゃあおうちをこわすしかまりさをだせないよ!みんなをよんでくるからまっててね!」 「わ、わかったよ!」 巣穴はまた掘ればいいが、ゆっくりの命は戻ってこない。餡子脳とバカにされているとは思えない的確な判断だ。 「「「ゆぅえす、ゆぅえす!!」」」 掘り始めて2,3時間たったころだろうか。やっと、巣穴からまりさが出てこれた。 「ゆ、ゆぅぅぅ……たすかったよぉ。ゆ?みんなちいさくなっちゃったね?」 息苦しさから開放されたためかまりさはほっとしていた。 「ま、まりさはかなりおおきくなったね……」 「ゆ? な、なにこれぇぇぇぇ!?」 気づいていなかったようである。そんな中群れの長である老ぱちゅりぃがやってきた。 「まりさ……あなたはどすになったのよ!」 「どす?」 「ゆっくりをもっとゆっくりさせることができるでんせつのゆっくりになったのよ!」 それからぱちゅりぃは自分の知る限りのドスの伝説を語った。 やれ熱線を放つことができる、やれキノコを使いいろいろなことができる、など。 「ゆゆっ!? でもまりさはきのこさんなんてたべたことはないよ!」 「むきゅ、そうなのよねぇ……、なんでどすになったのかしら」 「でも、どすになってもまりさはまりさだよ!」 「むきゅ、それもそうね!」 気にしない方針らしい。そもそもキノコがなければドスの能力などないも同然である。無いのなら大きくなったゆっくりと認識した方が楽だ。 幸いドス化しても食べる食料の量は変わらなかったことだし。 ドス化してもまりさの生活はいつもと変わらなく過ぎていった。 大きくなった分、通常のゆっくりより速く移動でき、食べ物を運ぶ際にも多く運べるようになったことが変わったところであろうか。 一度変な人間が来たこともあったがまりさを見るなり 『なかなかおもしろいねぇ、群れには迷惑をかけないから遠くから観察してもいいかい?お礼はしますから』と聞かれた。 別に見られるぐらいどうでもないので了承した。男は大量の果物(この辺りでとれるものばかりだったが秋頃だったのでありがたかった)を渡し、飼っているのであろうちぇんと一緒に遠くでしばらく群れを観察してから帰っていった。 大きいゆっくりであることから皆からも慕われ、春になったころにはまりさもドスらしさ(知性的な意味)が少しずつ出てきた。 ここからドスまりさは会話文に漢字を使うようになります ただ、攻撃用の新しい力はとんと得られなかった。 そんな平和な群れにある日また災厄が襲った。 別のゆっくりの群れが進攻してきたのである。そしてそちらの群れにもドスがいた。 ドスは熱線を放ち、こちらを脅してきた。 「おとなしく、このゆっくりぷれいすをこっちによこすんだぜ!そうしないとどすのどすぱーくがひをふくんだぜ!」 たちまち群れは混乱に陥った。降伏するべきだ、という意見とここ以外知らないから戦うべきだ、という二つの意見に。 先の冬にドスを知っていたりした賢いぱちゅりぃはもうあの世に行ってしまった為、纏め役はキノコの無いドスに託されていた。 「まりさ、どうするの?あっちはまりさがつかえないどすぱーくとかいうのをうってくるよ!」 「撃てないものを嘆いてもしょうがないよ………、あるものでどうにかしよう!」 「こうふくすればたすかるかもしれないよ!」 「降伏したら助かってもこのお家には住めなくなるよ!あいつらを追い払うしかないよ!!」 どう見ても人の意見を聞きそうに無い相手への対応はコレで十分だ、とぱちゅりぃが言ってたそうな。 そして、この群れは相手を迎え撃つ準備を始めた。 一方、やってきた無法ゆっくり共の群れ。 「どすぅ、あいつらなんかやってるんだぜ!」 「ゆゆゆ……、いつもならどすぱーくでほいほいでてったのになまいきなんだぜ……」 このドス…ドゲスの群れは別のゆっくり達のゆっくりプレイスを奪って生きてきた。 食料が無くなったら次の場所、また無くなったら次の場所、と移動していったのである。ある日、れみりゃなどもこない、という平和なゆっくりプレイスの存在を聞いた。 そのゆっくりプレイスは自分達にこそふさわしい、ドゲス達はそう信じていた。 「よぉし、こうなったらみなごろしにしてでもあのゆっくりぷれいすをうばうんだぜ!さいしょはせんけんたいがいくんだぜ!」 相手が動かないならそれでいい、皆殺しにしてあのゆっくりプレイスにほんとうにふさわしいのが誰かを教えてやる。 ゲスゆっくりの先遣隊がまず出ていった。 「ゆへっへっへ、てごろな美ゆっくりをみつけたらすっきりしてやるんだぜ!」 自分勝手な言葉をのたまいつつ、草むらを跳ねて行きどんどん距離を詰めていく。ふと一匹のまりさが違和感に気づく。 「ゆ?こんなにかずがすくなかったっけ?」 最初に飛び出した時点では15匹はいた先遣隊がいまや5匹。 「どういうことなんだゆひゅうっ!?」 また一匹声が途切れた。 そして気づけば一匹だけになった先遣隊のれいむはさけぶ。 「ど、どぉゆぅことなのぉ!?」 こーゆーことだよぉ、わかるねぇ? 次の瞬間、れいむは足元を弾かれ、草むらに沈んだ。 草むらには三匹のちぇんがいる。その向こうにはすでに事切れた仲間達の遺骸も。 「いっぴきじゃかてないからねぇ」「わるいけどたたかいなんだよぉ、わかるねぇ」「ふいうちじょうとうなんだね、わかるよぉ」 叫びを上げようとして れいむはちぇん達に引き裂かれて果てた。 「なかまごろしはいけないけれど」 「いまのおうちにちぇんたちがずっとすんでいたからね」 「よこどりはいけないよ、わかるねぇ」 こうして先遣隊はあっけなく全滅した。先遣隊の連絡が来ないことに業を煮やしたドゲスは総攻撃を宣言した。 ドゲスの群れが先住のゆっくりより数が多かったからだ。ドゲスは楽に勝てる戦いだ、とふんでいた。 しかし――― キノコのないドスの存在が戦局を大きく変えた。 基本、ドスのやる仕事は群れの統率・備蓄計画・巣の拡張である。基本、インドアの仕事が多く、元から強力な自分の力を伸ばすことなどそうない。 結果、与えられた力が弱体化することが多い。さらにドゲスの場合は怠惰なくっちゃね生活を送っていたためにその状態が顕著に現れていた。 自分にはドスパークという凄い力があるのだ、体が鈍くとも問題はない、とドゲスは思っていた。 しかし、キノコの無いドスは違う。ドスには新たに付与されるはずの攻撃は持っていない。また、少し前までは群れの統率は基本ぱちゅりぃが行っていた。 だから、自分はただ皆より大きいだけのゆっくりだ、と認識して同じ仕事に従事していた。 その結果、ただでさえゆっくりにしては高い能力値がさらに上昇していた。 5メートルを超える巨ゆっくりが長距離を跳ね回り、高高度から押しつぶしてくる。多分人間でも恐い。 キノコの無いドスの獅子奮迅の活躍・そして草むらからの奇襲攻撃にドゲス達は翻弄され、ドゲスの群れを完全に包囲してしまった。 「ゆぐぐ………」 頼みのドスパークもさっきの威嚇射撃で使ってしまい、チャージはできていないため、使えない。 「降参して元のお家に帰ってね!」 「わ、わがっだんだぜ……」 ドゲスはその降参を求める発言を聞き入れた。今は勝ち目が薄い。次はもう少し入念に準備してから挑むべきだ。主に人質とか。 だからここは一旦退いても問題は無い、と自己正当化しつつ撤退を開始しようとした。 「あ、その前に」 「ゆべっ!?」 声が聞こえると同時にドゲスはキノコの無いドスから体当たりをくらった。 余りの衝撃に口に含んでいたキノコを落とすドゲス。 「これは置いていってね!」 「ど、どずのぎのごがえぜぇぇぇぇ!」 大事なキノコを取られてはドゲスはろくに闘えない。慌てて、ドスに飛び掛る。 だが頑強なドスにまた弾かれてしまう。 「またあの熱線を撃たれたら困るからね! 判ったらゆっくり帰ってね!」 「ゆぅぅぅぅぅぅ……」 こうまで言われては仕方ない。ドゲスたちはすごすご帰っていった。(口内に胞子は残ってるだろうから数ヶ月すれば戻りそうだが) 「ところでまりさ、そのキノコはどうするの?」 「ゆ?これはこうしちゃうよ!」 そう言いながらまりさはキノコを噛み砕き上空にドスパークを放った。ドゲスの放ったそれより大きく力強い光。 「すごぉい!」 周りのゆっくりはびっくりするわ大はしゃぎだわ。 「ゆへぇ……あのドスがこんな熱いのを撃とうと思ったのかまりさはさっぱり判らないよ」 こうしてキノコの無いドスまりさは最初で最後のドススパークを使った。 怪我をしたゆっくりや死んでしまったゆっくりもいるが、このプレイスを守ることができたことに彼等は満足していた。 明日からまたこの地は平和なゆっくりプレイスに戻るだろう。 その頃ドゲス達は山を慌てて駆け下りていた。キノコまで奪われては勝ち目がない。 「まったく、よわいどすのせいでひどいめにあったよ!」 「にげかえるなんてとかいはじゃないわ!!」 と口々にドゲスをののしりながら移動していた。 「ゆべ!?」 前のれいむとまりさが何かにぶつかった。狭い一本道に見えない壁がある。知らずに下り道を駆け下りてくる後続のゆっくり達。 「と、とまるんだぜ!みえないかべがあるんだべヴぅ!?」 先に壁にぶつかったゆっくり達は後ろに押されどんどん潰れていった。一番後ろを走っていたドゲスを含む一握りのゆっくり達だけが生き残った。 「ど、どういうことなんだぜぇぇぇぇ!?」 「こういうことですが何か?」 壁の向こうには白衣の青年と同じく白衣で長髪の女が立っていた。 「主任、恐慌状態のゆっくり暴動対策に作った透明な壁、結構効きましたね!」 「ドゲスのほうが転がり落ちてきたからなぁ、あっちのドスだったらゆっくり移動してきただろうから効果薄かっただろうしなぁ」 「とりあえず、この結果を纏めて後はコイツら持ってちゃいましょう」 「そうだなぁ」 「も、もってくってど、どこに?まりさにもわかるようにおしえるんだぜ!」 「聞いたことありません?加工所って言葉」 同時に籠に詰め込まれていくゆっくり達。 「がががががごうじょぉぉぉぉ!?」「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆっぐじでぎないぃぃぃぃぃぃ!!」 「どずぅぅぅぅぅ、だぢゅげでぇぇぇぇぇ!!」 「ど、どずはゆっぐりにげるんだじゃががががが!」 「逃がしゃしねぇっつぅの」 主任と呼ばれていた女性が何か筒のようなものをドスの口内に撃ち込んでいた。一瞬辛いものかと思ったが辛くは無い、だが体がピクリとも動かなくなってしまった。 「が、がらだがうごがなぃぃぃぃぃぃ!どぼじでぇぇぇぇぇぇ!?」 「今主任が撃ったのは圧縮液体窒素弾っていってね?君の体の中の餡子は凍ってしまったんだよ、そりゃ動けるわけが無いね!」 とイヤににこやかに解説するお兄さん。 「し・か・も!これで凍った餡子は溶けた後もグズグズになっちゃうからもう二度と君は動けませぇん! 下手に動くとそのまんまグシャッ!!て未熟な赤ゆっくりみたいに潰れちゃうんだよ!ところで主任、この凍らせたドスどうするんですか?」 「まぁ、今ドスなんぞ持ってっても加工所じゃ大して役にたたねぇしなぁ、 あっちのドスならいい研究対象だったから五体無事に捕まえたろうがコイツはいらんわ」 「じゃぁ僕の研究……というか新商品の実験に使っていいですかね?」 「こないだは上の群れにれみりゃをぶつけてみただったっけか?今度はどんな実験思いついたんだ?」 「この凍らせたドスの餡子を溶かして生きたまま小豆アイスにしてみようかと」 「………小豆バーじゃなくてか?」 「はい、バニラアイスとかをありすやぱちゅりぃでまず作らなくちゃいけないし、 それからドスの頭を開いてバニラを入れながらかき混ぜてまた凍らせて……いやぁ楽しみだなぁぁぁぁ!」 「ゆぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」 白衣の男がうっとりしながら語る実験計画を聞いてドゲスは失神した。 「相変わらずえげつないなぁお前………んじゃお前等も加工所に行こうか。なぁに、お前等は食われたりはせんよ」 「ほ、ほんとに?」 「あぁ、だってお前らゆっくり用ハリセンや加工所製すぃーの試用テスト用だもの。どのくらいの強さで叩いたら死ぬか、とか、どのくらいの速度で壊れるか、とか………。 あと一応最大威力で殴ればどうなるかとかのテスト用もあったな。 だからその日が来るまでは死なんよ、つぅか死なせん」 「「「ゆっぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」」 「主任も負けず劣らずのエグさじゃないですか……」 「そうか?でも、自分をドスとして扱わないゆっくりかぁ……研究してみたかったなぁ」 「やるにしてもまた別の日にしてください。第一さっきのドススパークを見たでしょう?生半可なゆっくりじゃないですよ、きっと」 「ちっ……今日はお前のおごりで呑みにいくぞ、あ、あとこの籠お前が背負えよ」 「ドスの下に車輪つけても重いんですよコレ……」 「女に荷物持たせんのか?」 「はぁ……」 「だぢでぇぇぇぇ!」 「もうやだ!おうぢがえる!!」 「どぼぢでごんなごどずるのぉぉぉ!?」 ゆっくりの悲鳴と男のため息をBGMに加工所職員達は山を下っていった。 数週間後、人里では「さっぱりした甘さの」小豆アイスが発売された。 ドスの餡子といういままでの加工所でタブー視されていたものを使用したこのアイス、カロリー控え目・珍しい餡子の使用という売り文句にしたところ売れに売れたらしい。 「ははは、売れたらしいからもっと増産らしいよ、ドスまりさ!!さぁ、どんどん食べてねぇ!餡子増えたらまたアイス入れてあげるから!」 「ぼ、ぼうごろじでぇぇぇぇぇぇ……」 後書き。 キノコがなくて別に無闇にゆっくりしない群れだったら理想としてこんなドスができるんだろか、と書いてみた。 これが過剰にゆっくりする群れだったらドゲスとまで行かずもダメなドスになってたでしょうね。 オチは蛇足ですが因果応報が好きだったのでついやってしまった。 このSSに感想を付ける