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オフの日の昼下がり。 大きな窓から差し込む日差しと、コーヒーの香りが広がる部屋で、ソファにゆったり座って雑誌を読む。 ゆっくり流れるこんな時間が、私は何物にも変えられないほど幸せだった。 そして、その幸せは、隣に愛しい存在が寄り添ってくれているかどうかで、その度合いが大きく変わってくるのだ。 ――― 愛しい緑のあの子がいるかどうかで。 「シェリルさん!」 耳に馴染んだ澄んだ声に名前を呼ばれて、読んでいた雑誌からそっと視線をそちらへ移す。 そこには満面の笑みのランカちゃん。 ソファの上に両手を突いて私を見上げるその姿が、子犬が「遊んで、遊んで」と飼い主にせがんでるそれと重なって、自然と笑みが零れた。 私はどうにも彼女のその姿に弱くて、その姿を見ると、ついついその柔らかな髪を撫でてしまう。 手を伸ばして緑の髪を一つ梳くと、私がいつもそうした時と同じように、ランカちゃんは擽ったそうに肩を竦めた。 「どうしたの?」 髪を弄りながら問いかけたら、ランカちゃんは、ずい、とこちらへ身を乗り出した。 その表情がさっきよりも、何だか得意げになってる気がするのは私の気のせいかしら。 「あの、シェリルさんって、その、……キスとかって、ええっと、経験、多い方ですか?」 その質問の指す意味に、一瞬、髪を撫でていた手が止まった。 ――― “経験”というのは、回数の事を聞いているのだろうか。 その意図を考えたけれど、目の前の彼女は相変わらず嬉しそうに私を見ていて。 質問に何か裏があるとはどうしても思えなかった。 「……少ない方だと思うけど?」 物心着いた頃にはもうこの世界に入っていたし、駆け出しの歌手に恋愛に現を抜かしている暇なんてなかった。 メディアへの露出が増えてからは、それはそれで、違う意味で恋愛はリスクが高いもので。 まあ、それなりの経験もしれいるけれど、同年代の女の子のように自由な恋愛なんて許されなかったから、やっぱりそれに比べたら少ないはずだ。 質問の意味を図りかねて言葉尻を濁したけれど、ランカちゃんはそれで満足したようで。 笑みを更に深めた彼女は、また、ずい、と身を乗り出して、内緒話をするように私の耳に顔を近づけてきた。 彼女の吐息が耳朶をそろりと撫でる。 「シェリルさん、キスはですね」 私以外に聞こえないような小さな声でランカちゃんが話し始めた。 この部屋には私と彼女の二人きりだから別にここまでしなくても構わないのに、と思いながらも、 急な接近に嫌な気なんてこれっぽっちもしなくて、黙って耳を傾ける。 「たまに相手の舌を甘噛みしてあげたり、歯の裏を舌でなぞったりとかしてあげると、 凄く感じるんだって、友達が言ってました」 耳に届いた言葉に、私は、また一瞬反応が遅れた。 離れていったランカちゃんの顔を見やると、どこか得意げな笑顔とぶつかって。 彼女は「知ってました?」なんて、可愛く小首を傾げてみせる。 「……知らなかった、けど」 知ってるいるか、知らないか、で言えば、それは前者。 そんな風に具体的に言葉で教えてくれる人なんて今までいなかったし、 そもそも、そんな事を考えながらキスしたことがなかったから。 しかし、それを私に教えてランカちゃんは一体どうしたいのだろう。 彼女にそんな事を吹き込む友人については、一度よーく話し合わなければならないと思うけれど。 私の答えを聞いたランカちゃんは、得意げな笑みを深めて私を見つめる。 その笑顔からは、自分の知っている知識を披露する以外の目的は見つけられなくて、 本当に、その“キス”について私に教えたかっただけのようだった。 ――― けれど。 私は、その知識に黄色い声を上げて彼女とお喋りをする“友人”という関係ではくて。 キスをする対象の、恋人、で。 ―――― 大人、だから。 だけど。 ランカちゃんの発言に「そうなの」とにっこり笑って流してしまえるほど、できた人間ではないのだ。 髪の上に滑らせていた手を、するり、と項まで下ろす。 そして、そのまま引き寄せて、柔らかな唇に自分のそれを重ねた。 ランカちゃんは大きく目を見開いて、私の二の腕辺りに手を置いたようだったけれど、抵抗はしなかった。 潤んだ瞳を見つめながら、そろり、と唇に舌を這わせる。 途端に、ぴくり、と彼女の身体が震えて、耐え切れなくなったかのように、その瞼がきつく閉じられて。 私はその反応に内心ほくそ笑んで、それに続いた。 多くないランカちゃんとのキスから、彼女が私以上にこういう事に不慣れなのは知っていたから、 怖がらせないように、優しく唇を食んで、舐めて、その扉を開いてくれるようにお願いする。 そうして、薄く開いたそこから、舌を差し入れて、彼女の熱い熱いそれに絡ませて。 ランカちゃんがさっき言っていた事を実践。 もちろん、優しく優しく、丁寧に。 重なった隙間から漏れる鼻にかかったような声が彼女の声が、私の脳を溶かしていく。 熱に浮かされたように角度を変えながら、私は執拗にキスを繰り返す。 いつの間にか、二の腕に置かれてた彼女の手は私の首へ回されていて。 私の腕は彼女をかき抱くようにきつくその身体に巻きついていた。 どれくらい経ったのだろう。 最後に小さく唇の端に口付けて、私は、そろり、と唇を離した。 額を彼女のそれにくっつけ静に息を整えて、ゆっくりと瞼を押し上げる。 一番に飛び込んできたのは、上気した頬のランカちゃん。 彼女の熱く濡れた瞳と視線が交じる。 きっと自分も同じような目をしているのだろうな、なんて考えて、頬が緩むのを止められなかった。 「こういうことかしら?」 さっきの彼女を真似て内緒話をするように囁いたら、ランカちゃんは上気した頬を更に赤くして、 両の眉尻を困ったように下げた。 初々しい表情の中で、唾液で濡れた唇だけが妙に艶かしい。 暫く彼女は目を左右に泳がせていたけれど、観念したように上目遣いにこっちを見やり、 「……こういうことです」 ぽそり、と消え入りそうな声音でそう言った。 おわり 妄想が楽しすぎる。
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五等分の花嫁 ~彼女と交わす五つの約束~ 【ごとうぶんのはなよめ かのじょとかわすいつつのやくそく】 ジャンル ドキドキ夏休みデートADV 対応機種 Nintendo Switchプレイステーション4 発売・開発元 MAGES. 発売日 2023年9月7日 定価 パッケージ版 8,580円(税込)ダウンロード版 8,580円(税込)限定版 12,980円(税込)スペシャルボックス 19,980円(税込) 判定 良作 ポイント 2人だけの夏を楽しむラブストーリー番外編のエクストラストーリーもあり 少年マガジンシリーズ 概要 あらすじ ゲーム内容 キャラクター 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 『五等分の花嫁』の選んだ相手へのプロポーズに至るまでの過程を描いた、アドベンチャーゲーム。公式の略称は「ごとかの」。 2022年8月に開発中とされ、2023年4月の横浜アリーナでのイベントで正式にタイトルが発表された。 『夏の思い出も五等分』(以下ごとなつ)『君と過ごした五つの思い出』(以下ごときす)の系譜を引き継いだシステム・グラフィックとなっており、同年発売の『ごとぱずストーリー』とはシステムやグラフィックが異なる。そのため、コンシューマゲーム第3弾と銘打たれている。 限定版にはクリアファイルと新婚生活のドラマCD5枚組が同梱。風太郎との掛け合いもある。 スペシャルボックスにはアクリルスタンドと缶バッジも付いている。 あらすじ 大学4年生の冬。上杉風太郎は東京から故郷へ向かっていた。道中、思い出すのは大学1年生の夏休みのこと――東京の大学に入学し、勉学にバイトにと忙しい生活を送る中で告白した彼女との遠距離恋愛は順調に続いていた。それでも、やはりどこか満ち足りない日々……。そんな中、夏休みに彼女が東京にやってくることが決まる。『離れ離れで暮らす距離を埋める、素晴らしい時間を共に過ごしたい』そんな思いを胸に、久しぶりに会える喜びや緊張と共に風太郎は彼女を出迎える。果たして、2人のデートはどんな結末を迎えるのだろうか。 (公式サイト ストーリーより抜粋) ゲーム内容 今回も『ごときす』同様に単に読み進めるだけのゲーム。 開始時に「学園祭に告白した相手を選ぶ」という名目で五つ子のうち1人を選んでストーリーが始まる。 4日間の夏休みデートでその告白した相手との関係を深めていく。 一般的なアドベンチャーゲームのように、会話パートで発生する選択肢によって親密度が上がる。 何度か移動選択があり、移動選択の時は3つの場所を選択することができる。 最終的な親密度の数値によってEDが分岐する。EDはそれぞれグッドとノーマルが2種類ずつ存在し、数値が一定以上だとグッド、一定以下だとノーマルになる。 クリア後に以下の要素が解禁される。 各ヒロインのグッドEDを見ると、取材協力施設紹介のムービーが見れるようになる。今回はナレーションはなしで字幕のみ。 各ヒロインのグッドEDとノーマルEDを見ると、「ヒロイン視点」のシナリオが解禁される。 全てのノーマルEDを見ると、「なかの開店」のシナリオが解禁される。 全てのグッドEDとノーマルEDを見ると、「温泉旅館」のシナリオが解禁される。 過去作のセーブデータがあると以下の要素が解禁される。 『ごとなつ』のセーブデータがある場合「エクストラミニシナリオ・ごとなつ」が解禁される。 内容的には無人島で過ごした日々をまた別の話で1話振り返るもの。 『ごときす』のセーブデータがある場合「エクストラミニシナリオ・ごときす」が解禁される。 こちらは卒業旅行出発前の話が見られる。 『ごとぱずストーリー』のセーブデータがある場合「らいはのドラマ」が解禁される。 おはようシチュエーション、朝ご飯シチュエーション、おかえりシチュエーション、夕ご飯シチュエーション、おやすみシチュエーション、スペシャルドラマの6つがある。 キャラクター これまでに語られた大まかな設定等は過去作の記事を参照のこと。 上杉風太郎(うえすぎ ふうたろう) 東京の大学に進学。生活費のために家庭教師と塾講師のバイトにも力を入れている。スマホも手に入れている。(原作は旧式の携帯電話を使っていた) 中野一花(なかの いちか) 女優としてドラマやCM、映画など活躍の場を広げている。そのためか、眼鏡をかけている場面が増加している。『ごときす』で卒業後に東京で過ごす予定とされたが、夏休みデート開始時点ではまだ地元を拠点に活動している。 所属事務所の社長も登場する。 中野二乃(なかの にの) 料理の専門学校に通っている。定期的に風太郎に料理を送っている。 バイト先のケーキ屋の店長も登場する。 中野三玖(なかの みく) 料理の専門学校に通っている。劇中では専門学校で学んでいることについて話すこともある。 中野四葉(なかの よつば) 体育系の大学に進学し、陸上部で活躍している。 中野五月(なかの いつき) 教師になる夢を叶えるために大学に通っている。普段は敬語を使うが、大学4年生パートの部分では敬語を使わない。 評価点 選んだ相手と2人きりで紡ぐラブストーリー。 ストーリーに記載されている通り、本作は大学1年の夏(メインの部分)と大学4年生の冬(OPとED)と、原作でほとんど語られていない時期の話を扱っている。 『ごとなつ』は皆で過ごす部分が多く、『ごときす』でも他の姉妹と一緒の旅行で2人きりになれる機会は少なかったが、本作では多くの場面で2人きり。 風太郎と選んだ相手との掛け合いを存分に楽しむことができる上に、2人の関係も夏休みデートの4日間できっちり深掘りされている。 『ごときす』では高校卒業したばかりの時期ということもあり初々しさの比重が強めだったが、本作では遠距離恋愛とはいえ付き合ってそれなりに経過しているので関係性にある程度の余裕が見られる。 実在する様々な場所を訪れながらデートを楽しんでいる。選んだ相手によって行き先は違っている。 実在する場所は東京・横浜の東京駅、浅草寺雷門、ダイバーシティ東京、象の鼻パーク、横浜中華街、スカイガーデン、赤レンガ倉庫(*1)などの他、東海地方にあるJR名古屋駅(*2)、名古屋マリオットアソシアホテル、なばなの里、ラグーナテンボスなども存在する。生放送「五等分の花嫁 らいはの部屋」や公式Twitter(現X)でも情報開示されたが使われどころは伏せる形となっている。 学園祭以降の高校時代の回想シーンも要所要所に入っている。中にはクラスメイトが絡んでくるものもある。 エンディングでは、舞台は大学4年生の冬へとなり、選んだ相手へのプロポーズが描かれる。 シチュエーションやセリフ、構成は姉妹ごとに異なるものが用意されており、風太郎の男としての見せ場が描かれている。 また、二乃と三玖のEDでは店に関する話もある。立ち上げる理由も語られるがお互いの理由がブッキングしないようになっている。 五月のEDでは風太郎の職業が判明。それ以外のEDでは具体的な職業には言及されないので五月を選んだ場合そういう選択をするということなのだろう。 エクストラストーリーは原作の余白を埋めるシナリオになっている。 「なかの開店」は二乃と三玖の店の開店の経緯が語られた。また、店の名前も「なかの」であることがハッキリと口に出された。 「温泉旅館」は五つ子と母方の祖父の話になり(*3)、内容も秀逸な感動エピソードに仕上がっている。 グラフィック(立ち絵、CG、背景)も安定のクオリティ。 CG、背景にも各名所をしっかりと表現できている。風太郎が電車に乗っているものはJR東海の監修を受けていることが「らいはの部屋」で明言されている。 立ち絵は時系列的な都合もあり髪型などがちょっと変わったものが新規に用意された。無論、大学4年生パートの部分も新しく書き下ろされている。 なお、回想やエクストラストーリーでは『ごとなつ』『ごときす』で使われた立ち絵が使われている部分もある。元からクオリティの高い立ち絵なので質的な意味では問題ないだろう。 CGの量は1人当たり17枚(差分除く)、その他のCGが5枚(差分除く)で、総数は90枚(差分除く)と『ごときす』と同等の枚数となっている。 サウンドのクオリティも高い。 五つ子のメインテーマBGMの新アレンジや新曲は、感動的なシーンで泣けるようなメロディが増えている。 テーマソング「世界中たったひとつ」も、ある程度経過した風太郎と選んだ相手との関係性のイメージに合っている。 『ごとなつ』『ごときす』のBGMも五つ子のメインテーマBGMなど20曲ほど引き続き使われている。 セーブやロードは早い。 アドベンチャーゲームで必要である機能は一通り備えており、システムに関しても充実している。 オートモード、バックログ、クイックセーブや未読/既読スキップ、キャラごとの音量変更の機能も当然のように備えてある。『ごとなつ』『ごときす』にもあったシステムボイスも引き続き搭載。 賛否両論点 『ごとなつ』『ごときす』で豊富に見られた五つ子同士の掛け合いは控えめになっている。 あってもSNSでのやりとりや回想、エクストラストーリーで見られる程度。 上述したように2人きりでしかできない見せ場も豊富にあるため、一長一短と言えなくもない。 問題点 例によって風太郎の声が一部のみ。 ただし、『ごとなつ』『ごときす』と比べると、声が入っている場面は増加しており、一応の改善は見られる。 本作では基本的に風太郎と選んだ相手との掛け合いを行う都合上、声優の作業量がとんでもないことになるのは想像に難くないが、やはり物足りなさや違和感はある。 11を超えるEDがあった『ごとなつ』『ごときす』に比べると、流石にEDの数は10に減っている。また、多数の実在する場所が登場するが取材協力施設紹介のムービーは5つに減っている。 本作には『ごとなつ』『ごときす』になかったエクストラストーリーがあるため、そちらにリソースを割いた為だと思われる。EDもおまけムービーも単純に多ければいいというわけでもないので塩梅の難しい所ではあろう。 上杉勇也は一切登場しない。 それに伴いシステムボイスからもなくなっている(らいはやマルオはある)。二乃と三玖の店は、勇也の亡き妻の店の跡地を借りてできたものであるため、二乃や三玖のEDや「なかの開店」で絡ませられると思われるのだが登場しない。 写真撮影の時などに話題に出てきたりはする(*4)ので、存在自体が忘れられた訳ではないが…。 総評 原作を元にしたキャラゲーとしての完成度は高く、1つの恋愛物語としての完成度も良好。 ファンは押さえておいて損は無く、正に五等分の花嫁ファンに向けた一品と言える。 余談 愛知県で有名なひよこ型スイーツ「ぴよりん」が隠れぴよりんとしてこっそり出演している。 その関係で権利元のジェイアール東海フードサービスがスタッフロールにクレジットされている。 ぴよりんは2011年頃から誕生したが、1日30個が売れない日々も続いていたという。2021年に藤井聡太(当時二冠)が王位戦で名古屋マリオットアソシアホテルのシェフが手作りしたぴよりんアイスを食べた事で知名度が一気に全国に広まったという経緯を持つ。以降、ぴよりんが売られている名古屋駅にあるカフェジャンシアーヌに行列ができており、このことは「らいはの部屋」でも取り上げられた。 2023年7月には五等分の花嫁とコラボしており、各キャラクターをモチーフにしたオリジナルの五つ子ぴよりんが販売されていた他、五つ子とぴよりんが戯れる姿を描いたグッズ(アクリルスタンド、フォーク、ぴよりんマスコット等)も販売されていた。 本作に登場した名古屋マリオットアソシアホテル、なばなの里、ラグーナテンボスは2023年のJR東海とのコラボ「中野家の五つ子による上杉風太郎おもてなし大作戦 in 名古屋 愛知・三重」で五つ⼦が厳選した観光地にも含まれていた。 コースはそれぞれ一花コース、三玖コース、五月コースとなっていた。 名古屋駅中央コンコースイベントスペースでは2023年8月28日~9月15日に特別展示があり、本作のパッケージ(限定版含む)やPV、上記のぴよりんなども展示されていた。 過去のMAGES.製ゲームと同様に動画サイトでの実況・配信が公式にて禁止されている。参考サイト ゲーム本体のキャプチャ機能もほとんどの場面で使用不可能。ビジュアル集のようなものも今回はついていない。
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(投稿者:めぎつね) 「素体が、姉妹らしいわよ? 私達」 不意に飛び出したそんな話題に、少しだけ応えあぐねて。 幾許かの逡巡を経て突き返した台詞は、まぁ面白味のないものだったと思う。 「だとしても、わたし達には血縁の有無など無意味でしょう」 「それはまぁ、そうだけどね」 にべもなく突っ返してしまったこととその後の何か残念そうにしょげ返った彼女の表情に、多少の罪悪感を胸に奥に感じはしたが、嘘は言っていなかった。素体に血縁があったからといって、自分と彼女が姉妹ではないのは明白だ。共通の記憶も無ければ、共有する過去もなく、各々のコアに何かしらの特別な関連性もない。生まれた場所は同じだったが、それは他にメードの研究施設がない以上必然的にそうなるというだけの話だ。 「まぁ、誰が咎めるわけでもなし。姉妹であっても問題ないとは思いますがね」 一度否定されたものを急に肯定されて驚いたのか、彼女は目をぱちくりとさせて何度かまばたきした。 不安なのだろう。それは自分にも分かる。ここに居るメードは自分と彼女の二人だけ、生物兵器とさして変わらない立場にあるこの身に注がれる視線にはろくなものがない。幸いにして自分は割り切ることに成功したが、誰しもが納得できる環境ではないのは明白だった。彼女が縋れるような相手は、当面自分しか居ない。 尤もそれを口に出すことはせず、彼女への返答は肩を竦めるだけに留めた。言葉にできるほど、自分は大層ではない。 (わたしは、誰かに手を差し伸べてやれるほど器用じゃない) そも、起用云々の前に自分のことだけで手一杯だ。きっと彼女の期待には応えられない。それを解っているから、最初から期待させるべきではない。 「それなら、私が姉になるのかしら? 背丈から鑑みて」 「おや、妹の身長が姉より高くてはいけないなどという決まりは御座いませんよ。義理になれば、年上の弟妹すら幾らでも湧いて出るものなのですし」 「あら。それでは貴方がお姉さん?」 「いいええ、長男であれ長女であれ、一番上には何かと色々な責任が付き纏いますからねぇ。わたしは妹で結構」 「そう。分かった」 そう笑った彼女の顔は、今でもよく憶えている。 そして結局、彼女と言葉を交わしたのはそれが最後になった。別段珍しくはない。何れそうなるだろうとは思っていたし、覚悟というほど大仰なものではないが諦観の念はあった。少し違ったのは、予測していた未来――自分が死んでそうなるのだろうというもの――にはならなかったという所だけだ。 そうならなくて良かったというのは紛れもない今までの本音だ。 そうなればよかったというのは、今この瞬間の本音だ。 その姿を赤く濁った網膜に映し、自分に出来ることは一つしかない。 選ぶ余地など、何処にもなかった。
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18 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2008/04/08(火) 14 11 59 ID gt3KXEGT 俺は今、可愛い女の子と二人きりの状況にある。 エレベーターの故障かトラブルによりエレベーターに閉じ込められてしまったのだ。 もちろん、外部との連絡はつかない。 「私達・・・このまま死んじゃうのかな・・・」 彼女がぽそりと呟いた。 閉じ込められてからもう、2~3時間は立つだろうか。 いくらなんでもそれはないだろうとは思ったが、 「え!?あ・・・分からないけど・・・だっ、大丈夫・・・きっと助かるよ」 口ベタな俺は彼女を励ますのに必死だった。 こんな状況では不安になって当然だ、俺も腹が減った。 ふと、彼女がもじもじとせわしなく身体を動かしているのに気付いた。 「ど、どうしたの?」 答えは簡単に予想できる、が。 直接、彼女の口からそれが聞きたくて、俺はあえて尋ねていた。 「お、おしっこ・・・、したくなって」 彼女は恥ずかしそうに呟く。 「じゃ、じゃあ、俺は後ろ向いてるから、その間に・・・」 それ系が大好きな俺にはそれでも充分すぎる。 「エレベーターが汚れちゃうよ・・・。」 どうやら彼女はそういうことを気にする人らしい。 「だ、だったら・・・俺が君のおしっこを飲むよ!」 神の如き閃きが俺の口を飛び出していた。 「う、うん」 この閉鎖空間は彼女の精神をおかしくしてしまっていたようだった。 普段の彼女ならば、そんな血迷った返答はしなかっただろう。 しかし、そんなことは俺には関係ない。 俺は彼女がショーツを下ろすのを見届けると、 跪くようにして彼女のスカートの中に頭を潜りこませる。 ドキドキとしながら彼女の秘所に顔を近づけた、その時。 ウィーン、エレベーターのドアがスライドするような音が聞こえた。 俺は咄嗟に振り返る。 「あ・・・、ど、どうぞ、ごゆっくり」 作業着を着た若い男が、気まずそうにぺこりとお辞儀をすると、 ウィーン、エレベーターは開いた時と同じように静かに閉まった。 誰がどうみてもクンニしてましたという状況だ。 言い逃れはできない。 俺はゆっくりと彼女の方を振り返る。 ぴしりと固まっていた彼女と俺の視線が交錯した瞬間。 「いやああああっ!」 まるで、時間を取り戻すかのような彼女の膝蹴りは、 見事なまでに俺のアゴを打ち砕いていた。 名前 コメント
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台湾で人気沸騰中のドラマがDATVにて日本初放送! 事故で記憶を失くした主人公と彼女の恋人の心臓を移植された天才パティシエが織りなす心臓(ハート)が震える王道ラブストーリー!恋はドキドキ DVD 愛するの彼の心臓を持つパティシエとの偶然の出会いで、彼女の記憶は戻るのか!? そして自分に成りすまして父親に会いに行った親友は!? 2人の恋の行方は!? 交通事故×記憶喪失×身分入れ替わり、クセになる王道ラブストーリー!!プロポーズ大作戦 中国版 DVD チヤオ・ジアエン(マンディ・ウェイ)は父親と会うため、彼氏のワン・シウカイ(ナイロン・チェン)と台湾へ帰ってきた。途中事故に遭い、シウカイが脳死と判定され、ジアエンは脳振盪で記憶喪失になった。そこで多額の借金で追い詰められている親友のジャオ・アイリー(マンディ・タオ)はジアエンのフリをしてお金持ちのジアエンの父親に会うことに。昭王~大秦帝国の夜明け~ DVD 一方、パティシエ界の鬼才シン・シャオティエン(アンディ・チェン)は、海外から戻ってきたその日、披露パーティーで倒れ心臓移植しなければならない状態になり、脳死のシウカイの心臓を移植した。シウカイの心臓を持つシャオティエンがジアエンの記憶を呼び戻せるか?
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201. 梓「(か、噛んだ〜!!)//」 2012/01/08(日) 23 45 19.94 ID fV7H1ktG0 ーーーーー 空ききょうしつ! 唯「なぁに?話って。あっ、もしかして愛の告白!?どうしようそれは困っちゃうなぁ」テレテレ 純「真鍋先輩と付き合ってるからですか?」 唯「えぇっ!?どうしてそれを」 純「…やっぱり本当なんですね?」 唯「う、うん…」 202. 紬「ふふふっ、梓ちゃんったら。じゃあ行きましょっか」ギュッ 2012/01/08(日) 23 49 36.92 ID fV7H1ktG0 純「女子同士で気持ち悪い…」ボソッ 唯「えっ」 純「先輩たちってレズだったんですね。ホントけーべつしますよ」 唯「うぅ…」ジワッ 純「こんなことが学校中に知れ渡ったらどうなりますかね〜」ニヤ 唯「!?」 203. 梓「あっ…(手…)」 2012/01/08(日) 23 54 18.53 ID fV7H1ktG0 純「けいおん部から追い出されちゃうかも」 唯「そんな…」 唯「でも、私は和ちゃんが好き!」 純「!?」 唯「それにけいおん部のみんなだってきっとわかってくれるよ」 純「…そう」 205. ほんやさん! 2012/01/09(月) 00 01 23.88 ID HRXaFEGN0 純「でも真鍋先輩は…どうでしょうね?」 純「きっと内申なんかにも響くんじゃないですか?」 純「真鍋先輩はK大目指してるらしいですし、これはいただけないですよねぇ」 唯「!?」 純「きっとあなたはお荷物になりますよ」 唯「そんな…」 207. 紬「あったわ」 梓「先輩はN女子大を受けるんですよね?」 2012/01/09(月) 00 06 43.96 ID HRXaFEGN0 純「悪いことはいいませんから、別れた方がいいんじゃないですかぁ?」 唯「でも…」 純「それに私ってば口軽いからなぁ〜」 唯「!!」 純「こんなおもしろいこと、黙ってられないかもぉ〜」 唯「ま、待って!このことは誰にも言わないで…お願いだから」 208. 紬「えぇ」 梓「もうすぐ…卒業しちゃうんですよね…」シュン 2012/01/09(月) 00 10 23.26 ID HRXaFEGN0 純「えー、でもホントのことなんですよね?じゃあ別にいいじゃないですか」 純「まぁ、今まで通りの生活は送れないかもしれませんが」クスクス 唯「お願い、和ちゃんには迷惑かけたくないから…」 純「チッ…だから別れればいいじゃないですか」 唯「………」 209. 紬「梓ちゃん?」 梓「あっ…いえ、何でもありません!」 2012/01/09(月) 00 16 32.21 ID HRXaFEGN0 純「あー真鍋先輩かわいそー。こんなことで人生棒に振るなんてー」 唯「っ!」 唯「そうだよね…私なんかと一緒にいたら」 純「…」 唯「もう和ちゃんとはただの幼馴染に戻るから…だから今までのことは…」 純「わかりました。じゃあすぐに真鍋先輩と別れてくださいね」 唯「うん…」 211. 店員「アリヤシター」 紬「ごめんね、わざわざ付き合わせちゃって…」 2012/01/09(月) 00 23 10.65 ID HRXaFEGN0 純「話はそれだけです。それじゃあ」 タッタッタッ 純「っ…」ハァッ、ハァッ 純「…ごめんなさい」 213. 梓「いえ!私こそ変なこと言って…すみません…」 2012/01/09(月) 00 31 54.86 ID HRXaFEGN0 ーーーーー きょうしつ! 和「あ、唯。どこ行ってたのよ。早くごはん食べましょ」 唯「あっ…」 和「お昼から生徒会で会議があるから、早くしないと時間がなくなっちゃうわ」 唯「あの…」 215. 紬「…あ、そうだ!梓ちゃん、私行きたい所があるの!」 2012/01/09(月) 00 38 27.92 ID HRXaFEGN0 和「どうしたの?なんだか元気ないじゃない」 唯「ちょっと話したいことがあるから、そこの空き教室までいいかな?」 和「えっ?ええ。いいけど、どうしたの?」 唯「………」 217. 梓「へ?」 紬「ほら、行きましょ!」ギュッ 2012/01/09(月) 00 44 23.49 ID HRXaFEGN0 ーーーーー ふたたび空ききょうしつ! 和「それで、話って何かしら?」 唯「ごめん和ちゃん」 和「ん?」 唯「私たちやっぱり今まで通り幼馴染でいよ?」 219. 梓「ここは…」 紬「うん!駄菓子屋さんよ!」フンス 2012/01/09(月) 00 52 43.64 ID HRXaFEGN0 和「そう。じゃあ戻ってお昼ごはんを…」 和「え?どういう意味かしら…」 唯「だからその、前みたいに友達で」 和「ふふっ、あはははは!」 唯「!!の、和ちゃん?」 221. 梓「(ムギ先輩が…駄菓子屋さん?)」 2012/01/09(月) 00 57 18.49 ID HRXaFEGN0 和「あぁ、ごめんなさい」フフッ 和「そうよね、当たり前よね」クスクス 和「私は普通じゃないんだから」 唯「そ、そうじゃなくて!」 和「うるさい!!」 唯「っ!?」 223. 紬「見て、梓ちゃん!これ何かしら!」 梓「これはゼリーですよ」 2012/01/09(月) 01 07 08.72 ID HRXaFEGN0 和「話はそれだけ?」 唯「え…っと」 和「そうなんだ、じゃあ私、生徒会行くね」スタスタ 唯「の、和ちゃん…!」 唯「(生徒会室はそっちじゃないよぅ…)」 226. 紬「おじさんこれください!…どうやって食べるのかしら…」 2012/01/09(月) 01 13 35.07 ID HRXaFEGN0 ーーーーー スタスタ …タッタッタッ タッタッタッタッ ガラガラッ バタンッ、ガチャ 和「はぁ…はぁ…」 和「(そうよね…わかっていたことじゃない…)」 228. 梓「ふふふっ。これはこうやって食べるんですよ」ネジネジ 2012/01/09(月) 01 17 58.76 ID HRXaFEGN0 和「(…ここのトイレは滅多に人はこないし)」 和「(ここのでなら…おもいっきり泣いても…)」ジワッ 和「うくっ…ふぁ、」ポロポロ 和「わあぁぁぁぁぁぁあああああ!!」 230. 紬「へぇ〜、すごいわ梓ちゃん!」梓「これくらい普通ですよ」フンスッ 2012/01/09(月) 01 24 07.71 ID HRXaFEGN0 ーーーーー ポチャッ… ポチャッ… 和「………」 和「(…もうどれくらい経ったかしら…)」 和「(会議に…授業…さぼっちゃったわね)」フフッ 232. 紬「よかった」 梓「え?」 2012/01/09(月) 01 30 55.17 ID HRXaFEGN0 ガチャ キュッキュッ ザー バシャバシャ キュッキュッ 和「…酷い顔ね」 和「…一体あなたは誰なの?」 和「ねぇ…」 234. 紬「うん…梓ちゃん、なんだか落ち込んでるみたいだったから」 2012/01/09(月) 01 37 13.08 ID HRXaFEGN0 和「答えなさいよ!!」 ガシャン!! 和「はぁ…はぁ…はぁ…」 和「私は…一体なんなのよ」 236. 紬「でもやっと笑ってくれた」ニコッ 梓「!!///」 2012/01/09(月) 01 42 30.00 ID HRXaFEGN0 ーーーーー きょうしつ! ガラガラッ 澪「あっ、和!どうしたんだ?授業出てなかったけど…」 和「ちょっと体調が優れなくて。でももう大丈夫だから」 澪「そ、そっか。あんまり無理するなよ」 和「ええ、ありがとう澪」 240. 紬「あのね、私たちはもうすぐ卒業しちゃうけど…」 2012/01/09(月) 01 55 36.52 ID HRXaFEGN0 澪「そういえば唯のやつもお昼終わりからおかしくて」 和「そう?唯がおかしいのはいつもでしょ?」 澪「え?ど、どうしたんだ和…」 和「別に?それよりさっきの授業のノート、借してもらってもいいかしら?」 澪「あぁ…」 和「ありがとう、助かるわ」 澪「(和…何かあったのか?)」 241. 紬「でもね!放課後ティータイムは不滅だからね!」フンスッ 2012/01/09(月) 02 02 56.45 ID HRXaFEGN0 ーーーーー ほうかご! 梓「こんにちは」ガチャッ 唯「………」ボーッ 梓「あれ?」 律「おう梓。唯のやつ、昼休みからずっとこんな調子なんだ」 242. 梓「ムギ先輩…」ウルッ 2012/01/09(月) 02 07 19.46 ID HRXaFEGN0 澪「心焉に在らずって感じだな」 紬「ほんと、どうしたのかしら…」 梓「唯先輩…」 紬「唯ちゃん、お茶がはいったわよ」 唯「うん」ボーッ 律「ほら唯、お菓子だぞー!おっ、今日はミルフィーユか!」 唯「うん」ボーッ 244. 紬「だから安心して?みんな梓ちゃんのこと大好きなんだから」ニコッ 2012/01/09(月) 02 16 53.91 ID HRXaFEGN0 律「ほらほら見てみろよ!いちごがいっぱい乗ってるぞ!すげー!!」 唯「りっちゃんうるさい」ボーッ 律「うーん、唯がお菓子にすら興味を持たないなんて…こりゃ重症だぞ」 紬「どうしましょう…今日はもうお休みにする?」 澪「これじゃあ練習もできないしな…」 律「仕方ない、唯を送って今日は解散しよう」 245. 梓「えっ、ちょっ///」 2012/01/09(月) 02 22 54.97 ID HRXaFEGN0 ーーーーー ひらさわけ! ピンポーン 憂「はーい」ガチャ 澪「あ、憂ちゃん」 憂「けいおん部のみなさん、どうかしたんですか?」 律「唯が調子悪いみたいでさ、送ってきたんだけど」 246. 紬「あら?みんな卒業しちゃうのがさみしかったんじゃないのかしら?」 2012/01/09(月) 02 30 47.96 ID HRXaFEGN0 憂「そうなんですか!?お、お姉ちゃんだいじょうぶ!?」 唯「………」 梓「唯先輩、ずっとこんな調子で…」 憂「お姉ちゃん…」 紬「それとこれ。今日のお菓子なんだけど、憂ちゃんの分もあるから一緒に食べてね」 憂「紬さん…すみません、ありがとうございます」 247. 梓「そ、そんなことありません!//」 2012/01/09(月) 02 35 01.87 ID HRXaFEGN0 律「それじゃあ私たちはこれで。じゃあ唯、無理するなよ」 紬「今日はゆっくり休んで、早く良くなってね」 憂「みなさん、今日はありがとうございました」 澪「いいんだよ。憂ちゃん、唯をよろしく頼むよ」 梓「憂も何かあったら連絡してね」 憂「梓ちゃんありがとう」 澪「あっ憂ちゃん、ちょっといいかな」コソコソ 249. 梓「先輩たちがいなくても今以上のけいおん部にしてみせます!」フンスッ 2012/01/09(月) 02 40 32.61 ID HRXaFEGN0 憂「澪さん?」 澪「実は和の様子もおかしかったんだ。もしかしたら二人の間に何かあったのかも」 憂「!?」 澪「でも確証がなかったから…一応憂ちゃんには話しておこうと思って」 憂「そうですか…わかりました。わざわざありがとうございます」 250. 紬「そう、それは頼もしいわね」クスクス 2012/01/09(月) 02 44 06.09 ID HRXaFEGN0 ーーーーー 憂「お姉ちゃん大丈夫?病院行こうか?」 唯「……ごめん、今日は寝るよ」 憂「えっ、ちょっとお姉ちゃ…」 バタン 憂「(お姉ちゃん…)」 252. 梓「は!すみません、調子に乗りすぎました(は、恥ずかしー//)」 2012/01/09(月) 02 47 44.26 ID HRXaFEGN0 ーーーーー よくじつ! 憂「お姉ちゃん、調子はどう?」 唯「……」 憂「…学校にはお休みするって連絡入れておくね」 憂「じゃあゴハンはテーブルに置いてあるから。何かあったらすぐに電話してね」 253. 紬「梓ちゃん、これからもけいおん部をよろしくね」ニコッ 2012/01/09(月) 02 51 19.73 ID HRXaFEGN0 憂「…それじゃあ行ってくるから」 唯「…うい」 憂「なぁにお姉ちゃん?」 唯「…ありがとう」 憂「いいえ、お姉ちゃんも早く良くなってね」 ガチャ バタン 唯「…ごめんね、憂」 254. 梓「はい!あの…そこでムギ先輩、お願いがあるんですけど…」 2012/01/09(月) 02 55 05.58 ID HRXaFEGN0 ーーーーー つうがくろ! 憂「(お姉ちゃん、大丈夫かなぁ…)」 憂「あっ、和さん。おはようございます」 和「あ…」 256. 紬「なぁに?梓ちゃん」 2012/01/09(月) 02 58 17.65 ID HRXaFEGN0 憂「どうかしました?」 和「何でもないわ。おはよう憂」 和「悪いけど生徒会の仕事があるから先に行ってるわね」 憂「え?はい」 憂「(和ちゃん、今日はお姉ちゃんと一緒じゃないのに何も聞いてこなかった…)」 憂「(やっぱりお姉ちゃんと何かあったの?)」 258. 梓「その…今度お茶の入れ方、教えてもらえませんか?」 2012/01/09(月) 03 03 05.17 ID HRXaFEGN0 ーーーーー がっこう! さわ子「昨日、掃除の時間に一階のトイレの鏡が割られているのが見付かりました」 さわ子「掃除用のモップで故意的に割られていたようです」 さわ子「まあ、あなた達は大丈夫だと思うけど、こういった行為のないように」 「はーい!」 さわ子「それと今日平沢さんは欠席だそうです。あなた達も受験生だから体調管理はしっかりね」 和「………」 259. 紬「ええ、もちろんよ!」 梓「ありがとうございます!」 2012/01/09(月) 03 07 12.07 ID HRXaFEGN0 ーーーーー ひらさわけ! 唯「(学校さぼっちゃったなぁ)」 唯「(もうまともに和ちゃんに会えないよ)」グスッ 唯「(でもこんなんじゃダメだよね…みんなに、憂にも迷惑かけちゃうし)」 唯「(うん!私はお姉ちゃんなんだから、もっとしっかりしなきゃ)」 261. 紬「そうだ、次の後輩のために新しいティーカップも用意しなくちゃね」 2012/01/09(月) 03 11 08.28 ID HRXaFEGN0 ガチャ 憂「ただいま」 唯「うい〜、おかえりー!」 憂「お、お姉ちゃん、もう大丈夫なの?」 唯「うん!もうすっかり元気!これも憂のおかげだよ〜」 憂「……」 唯「あれ?どうしたの?」 262. 紬「さっそく食器屋さんにいきましょう!」ギュッ 2012/01/09(月) 03 16 43.35 ID HRXaFEGN0 憂「…お姉ちゃん、和ちゃん来てるよ」 唯「えっ!」ビクッ 憂「…嘘」 唯「なっなんだぁ、おおおどかさないでよぉ」ドキドキ 憂「どうしてそんなに驚くの?」 憂「…あのねお姉ちゃん、もしかして和ちゃんと何かあったの?」 263. 梓「ちょ、ムギ先輩!気が早すぎますってば!」 2012/01/09(月) 03 20 25.15 ID HRXaFEGN0 唯「そんな、あるわけないよ。何言ってるの憂」 憂「お姉ちゃんは和ちゃんのことが好きなんでしょ?」 唯「!?」 憂「そして和ちゃんもお姉ちゃんのことが好き」 唯「そんなことない」 憂「お願い、何があったのか話して。二人がその…好き同士っていうのは知ってるから」 唯「実は…」 264. 梓「(でも……)」 2012/01/09(月) 03 24 45.43 ID HRXaFEGN0 ーーーーー 憂「じゃあやっぱり二人は付き合ってたんだね」 唯「ごめんね…秘密にしてて」 憂「いいんだよお姉ちゃん、気にしないで」 唯「私…憂も和ちゃんのこと好きだって知ってたから…」 憂「え…」 265. 梓「(まぁ、いっか)」ギュッ 2012/01/09(月) 03 27 30.46 ID HRXaFEGN0 唯「だって姉妹だもん、わかるよそれくらい」 唯「憂は私なんかよりいい子だから、和ちゃんはきっと憂を選ぶと思っていたから」 唯「和ちゃんが私を選んでくれてすごく嬉しかった」 唯「それに憂に勝ったような気になって優越感さえ感じてた。ホント最低だよ…」 唯「でも憂に知られたら和ちゃんを取られちゃうんじゃないかって」 唯「憂はそんな悪い子じゃないのに…それなのに私…」ポロポロ 唯「だからバチが当たったんだよ」グスッ 266. おしまい 2012/01/09(月) 03 31 14.45 ID HRXaFEGN0 ギュウッ 唯「う、うい?」 憂「ごめんねお姉ちゃん…私も和ちゃんを好きになって」 唯「そんな…」 憂「実は日曜日、二人が…してるとこ見ちゃったんだ」 唯「う?えぇぇぇええ!?ちょ、ちょっとういぃ///」 267. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 03 36 11.33 ID HRXaFEGN0 憂「その時すごく悲しかった。でもそれ以上に訳分かんなくなって、心臓がすごくバクバクして、頭に血が上って」 憂「お姉ちゃん達がたまらなく憎かった」ボソッ 唯「!?」 憂「私はお姉ちゃんが思うほどいい子なんかじゃない」 憂「大好きなお姉ちゃんと和ちゃんのはずなのにこんな感情…私は悪い子なんだよ」 269. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 03 40 46.84 ID HRXaFEGN0 唯「そんなこと…」 憂「ううん」グスッ 憂「ごめんねお姉ちゃん…本当にごめんなさい…もう平気だから」ポロポロ 唯「うい…」ギュッ 271. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 03 44 18.29 ID HRXaFEGN0 ーーーーー 憂「お姉ちゃん、もう大丈夫だよ」 唯「うん…」 憂「でもどうしたの?和ちゃんと喧嘩でもしちゃったの?」 唯「ううん…もう別れたんだ」 憂「えっ?どうして…」 唯「実は純ちゃんにバレちゃって…」 272. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 03 48 44.55 ID HRXaFEGN0 憂「純ちゃんが!?」 唯「うん…このままじゃ学校中に知れ渡るのも時間の問題だし、そしたら和ちゃんに迷惑かけちゃうから」 唯「だから別れた方がいいって、純ちゃんが教えてくれたんだ」 憂「そんな…純ちゃんなんで」 唯「違うの!純ちゃんは忠告してくれただけだから、だから、ね?」 憂「……(純ちゃん…)」ギリッ 274. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 03 52 59.29 ID HRXaFEGN0 ーーーーー よくじつ! 純「あ、おはよう憂」 憂「おはよう純ちゃん」 純「そういえばさー、唯先輩と真鍋先輩、別れたらしいよ」 275. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 03 57 25.17 ID HRXaFEGN0 憂「うん、お姉ちゃんに聞いたよ。全部…」 純「そうなんだ。まぁ二人の愛なんてそんなもんだったんだよ」 純「そこで真鍋先輩はフリーな訳じゃん。今なら パシッ!! 276. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 04 01 28.63 ID HRXaFEGN0 純「っ!」 憂「純ちゃん、本気で言ってるの?」 純「な、何よ憂。せっかくの別れたんだしチャンスじゃん」 憂「お姉ちゃんに全部聞いたって言ってるんだよ?純ちゃんのことも」 純「えっ、それは 278. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 04 08 00.77 ID HRXaFEGN0 憂「今の純ちゃんは本当に最低だよ!お姉ちゃんや和ちゃんをあんなに傷つけて」 憂「それで何を言い出すと思えば…信じらんない!!」 純「っ!?」 純「…私だって、私だって好きな人には幸せになってもらいたいのよ!」 280. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 04 13 35.16 ID HRXaFEGN0 憂「何言ってんの!意味わかんないよ!!」 純「わっかんないかなぁ!」 憂「わかんないよ!!」 純「っ…ばか!!!」 タッタッタッ 憂「あっ、純ちゃん!!」 281. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 04 21 37.66 ID HRXaFEGN0 ーーーーー ハァ、ハァ… 純「(憂、すごい怒ってた)」 純「ははっ…ほっぺた、痛いなぁ」 純「(やっぱり私、間違ってた?…当たり前か)」ジワッ 和「あら?あなたは憂の友達の」 純「あっ…」 282. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 04 26 44.76 ID HRXaFEGN0 和「どうしたの?その、泣いてるみたいだけど大丈夫?」 純「これは、その」 和「ほら可愛い顔が台無しよ。これで涙ふいて」 純「なんで、なんで先輩はそんなに優しいんですか…」ポロポロ、ヒック 和「ちょっと、どうしたのよ?」 純「わ゛―ん、ばなう゛ぇぜんぶぁーい!!ごべんな゛ざーい!!」ダキッ 和「ちょちょ///一体なんなのよ///」 284. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 04 30 44.32 ID HRXaFEGN0 ーーーーー 和「…落ち着いたかしら?」 純「はい、すみませんでした」 和「で?一体なにがあったの?」 純「先輩、本当にすみませんでした!!」ドゲザ 和「ちょっとやめてよ!意味がわからないわ!」 286. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 04 33 12.08 ID HRXaFEGN0 純「実は唯先輩に真鍋先輩と別れるようにお願いしたんです!」 和「!?」 純「…私が言っちゃダメなことかもしれませんが、憂は先輩のことが好きだったんです」 和「えぇ!う、憂が!?」 純「でも憂は二人が幸せならそれで良いって言うんですよ。好きな人が幸せならそれで良いって…」 和「…憂」 287. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 04 36 13.19 ID HRXaFEGN0 純「でも私は納得できなかった。憂だって平気じゃないはずなのに、憂だって幸せになっていいはずなのに!」 純「好きな人には幸せになって欲しい!笑っていて欲しい!私だってそう思う!だから!」 和「…(この子…そういうことね)」 和「鈴木さん、目を閉じて歯を食いしばりなさい」 純「!…はい」 288. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 04 40 21.20 ID HRXaFEGN0 ペチッ 純「あいたっ!ってデコピン!?」 和「確かに唯にヒドイことを言ったのは許しがたいけど、その行動にはそれなりの理由があったみたいだしね」 純「すみませんでした…」 和「謝る相手は私じゃないわ。唯と、それに憂にもね」 純「はい…」 290. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 05 00 36.07 ID HRXaFEGN0 和「でも本当のこと、話してくれてありがとう。おかげでやるべきことがハッキリしたわ」 和「……」ポチポチ ピッ 和「もしもし、唯?」 和「…ちょっと話したいことがあるんだけど」 292. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 05 21 24.41 ID HRXaFEGN0 和「お願い、大事な話なの」 和「…えぇ、それじゃあ生徒会室で待ってるから」ピッ 純「あの、その…ホントにすみませんでした。私もこれからは二人のこと応援します!」 和「そうなんだ、じゃあ私、生徒会室行くね」ニコッ 和「それと鈴木さん、あなたもがんばりなさい」フフフッ 純「えぇ?あ…はぃ///」 295. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 05 26 34.00 ID HRXaFEGN0 ーーーーー せいとかいしつ! ガラガラ 和「唯、来てくれたのね」 唯「うん…」 296. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 05 31 24.09 ID HRXaFEGN0 和「鈴木さんから話は聞いたわ」 唯「あっ…」 和「唯、私はあなたの本当の気持ちを知りたいの」 和「私は唯のことが好き」 297. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 05 36 07.53 ID HRXaFEGN0 唯「…やっぱりだめだよ和ちゃん、みんなにバレたら」 唯「それに…(憂だって…)」 唯「和ちゃんは私なんかといちゃダメなんだよ。きっと誰も幸せになれない」 唯「だから今まで通りでいよ…ね?」 和「………」スゥ 299. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 05 44 02.52 ID HRXaFEGN0 和「それでも私は平沢唯を愛しています!!」 唯「!!」ビクッ 和「世間体なんて知らない!」 和「私だって…小学校から唯のことずっと、ずーっと好きだったんだもの!」 唯「えっ…」 和「はぁ、はぁ…」 和「だから…私の恋人になってくれませんか?」 303. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 05 51 18.99 ID HRXaFEGN0 唯「うぅ…ぐすっ…はい!」ニコッ 唯「私も真鍋和をずっと、ずーっと愛してます!」ポロポロ 和「唯…もう放したりしないわ」ギュッ 唯「ヒック、ごべんね、のどがぢゃん」ジュルジュル 和「いいのよ。ほら、鼻かんで」 唯「う゛ん」チーンッ 306. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 05 55 30.11 ID HRXaFEGN0 和「にしても、平沢姉妹の両方から愛されていたなんて、私は幸せものね」クスッ 唯「えぇぇええ!?なんでういが和ちゃんのこと好きだったって知ってるの!?」 和「あっ、それは…内緒よ」 307. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 06 03 47.27 ID HRXaFEGN0 唯「でも憂は…私たちのこと祝福してくれるかなぁ…」 和「えぇ、きっと大丈夫。それにあの子には強い味方がついてるもの」フフッ 唯「強い味方ぁ?」 和「そっ」ニコッ 309. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 06 10 15.43 ID HRXaFEGN0 ーーーーー よくじつ! 純「その、こないだはホントにごめん…」 憂「ううん、私の方こそ…。それに和さんに本当のこと話してくれたんでしょ?」 純「うん…私ってば何にもわかってなかったよ。唯先輩にもヒドイこと…」 憂「…大丈夫、きっとお姉ちゃんも許してくれるよ」 純「でも…私…なんて言ったら…」ジワッ 310. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 06 15 15.08 ID HRXaFEGN0 ギュッ 純「!」 憂「心配しないで。私も一緒に謝ってあげるから、ね?」 純「なんで…憂は悪くないじゃん」 憂「ううん、純ちゃんは私の大事な親友だもん」 純「憂…ありがとう。ほんとにごめんね」 純「大丈夫、気にしないで」ニコッ 312. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 06 19 28.82 ID HRXaFEGN0 純「…あ、あのさぁ、お詫びにって訳じゃないんだけど、今度どっか遊びにいかない?こないだのダメになっちゃったしさ」 憂「あ、そうだった。じゃあ梓ちゃんにも 純「えっと、その…たまには、二人で行かない?…久々にさ」 313. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 06 24 10.17 ID HRXaFEGN0 憂「…二人だけで?」 純「………やっ、やっぱ梓も 憂「そうだね。じゃあ二人で行こっか、久しぶりにだし」ニコッ 純「だよね……って、あれ?」 316. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 06 27 26.72 ID HRXaFEGN0 憂「梓ちゃんにはナイショだね」チロッ 純「憂〜!」 憂「これからもよろしくね、純ちゃん」ニコッ 純「うん!」 おしまい 319. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/09(月) 06 31 27.76 ID HRXaFEGN0 後半かなりやっつけですね。 名前欄はなんというか申し訳なかった。 とりあえずこれで完結ってことで。 風子ちゃんネタは昔書いてるから良ければそちらをどうぞ。 支援、保守して頂いた方々ありがとうございました。 またなんか思いついたら。 戻る
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彼女の想いで――(MAGNETIC ROSE) 後編 ◆EchanS1zhg (彼女の想いで――(MAGNETIC ROSE) 前編へ) 【Accelerator――(光速戦闘) 中編】 「どうしても思い通りにはいかないものね……全く」 半ば、廃墟のような有様と成り果てた警察署の中で、朝倉は天井に開いた大穴を見上げ大きく肩をすくめた。 天井に空いた穴は屋上まで貫通しており、室内に直接空の光景を見せることで建物というものの存在意義を破壊している。 その淵から飛び出している鉄骨はその先端がどろりと溶けており、高温の弾丸がここを通ったと想像するのは容易だった。 勿論、それは朝倉涼子が跳ね返した御坂美琴が放ったあの超電磁砲《レールガン》である。 「ふぅ……少し暑く感じるわ」 言いながら、朝倉は額に浮かんだ汗を制服の袖で拭った。 電磁砲が発射されたせいで室温があがったということもあるが、朝倉自身もオーバーヒート寸前であったりする。 《ベクトル操作》――それが朝倉が最後に計算した情報改変である。 別段、彼女にとってそれは特別難解だというものではない。 今回は跳ね返す規模が大きかったから大計算となったが式そのものは単純であり、後は負荷と効率の問題でしかない。 今回ギリギリだったのは、これは一度限りの手段で、また美琴が電磁砲を使っていなければ勝利はなかったということだ。 大前提として、電流を操作する以上、通常の電撃の槍では跳ね返したところで美琴自身には通用しない。 故に、跳ね返すとするならば警察署の壁をぶちぬいた電磁誘導による超高熱攻撃である電磁砲しか対象はなかった。 また、一度でも反射できることを覚られたら美琴は自滅の可能性のある電磁砲を使いはしなかっただろう。 「結果オーライという言葉はあるけれども、気休めにもならないわね……こんな言葉」 最後の大勝負に美琴が上手く乗ってくれて、電磁砲を使い、それを反射できる可能性は数字にするとどれくらいだったか。 会話を交わしながら算出した数字を思い出して朝倉は目を瞑り、頭をぶるぶると振った。 なにより問題だったのは電磁砲の威力だ。 美琴がこちらを思って手加減していれば、例え反射していても美琴を倒すことはできなかったろう。 逆に美琴が体力を残しており、室内であることも無視して本気の電磁砲を撃ってたら、今頃自分は蒸発していたはずである。 「――倒し損ねちゃうし」 そして、反射はしたものの、朝倉は美琴を仕留めることができなかった。 床を見下ろせばそこに夥しい量の真っ赤な血と、彼女が落としていった左腕が残されてはいるが、しかし彼女自身はいない。 そもそもとして電磁砲を反射されたのだとしたら美琴は熱と衝撃で跡形もなく吹っ飛んでいたはずなのだが、 それに加えて真横に反射された電磁砲がどうして美琴のいた場所から真上に進んでいるのか――? 「…………ごめんなさい。私のせいで、……こ、殺せなくて」 朝倉が振り返ると、そこに今回の決着を文字通り”捻じ曲げて”しまった原因が俯いて塞ぎこんでいた。 歪曲を使う、浅上藤乃である。 決着のつく瞬間。ちょうど目を覚ました彼女は視界の中にいた美琴を反射的に凶(まげ)ようとして、この結果を齎したのだ。 確かに美琴は歪曲の餌食になった。彼女としても避ける余裕はなかったらしく、一部ではあるが身体を捻じ切った。 しかし彼女に止めを刺すはずだった電磁砲もまた衝撃波諸共に曲げられてしまい、天へと打ち上げられてしまった。 結果として、美琴は左腕だけを捻られた後、衝撃波だけをくらって自分が空けた穴から警察署の外へと放り出されたらしい。 そしてその後はまんまと逃げおおせてしまった模様である。 過負荷でダウンしていた朝倉が確認しに行った時には、そこに残されていたのは僅かな血痕のみでしかなかったのだ。 「とりあえず、色々と問題が浮き彫りになったわね。私達」 朝倉はようやく回復してきた力で一気に汗を振り払うと、たった一言でその問題を的確に言い表した。 「――コンビネーションが最悪よ」 【生き残った話――(遺棄の凝った話) 前編】 お昼過ぎののどかな街の風景の中。四角い窓の向こう側に、降参という風に両手を挙げている女性の姿があった。 どうしてか粉々に割れている窓からは風が入り込み、その女性の美しい黒髪をそよそよと揺らしている。 女性の名前はわからない。彼女は必要な時には自分のことを師匠と呼ぶように言い、実際に師匠とだけ呼ばれている。 そんな不思議な彼女は今、表情を浮かべることなくあることを思案していた。 自分の後ろから拳銃を突きつけている少年をどう処分してしまおうかと、そんな物騒なことを。 少年が背後に近づく気配を感じ取れなかったのは何故か。 師匠は窓の外へと向けていた身体を振り返り、簡素な会議室の中にも意外と死角が存在したのだと知った。 それにしても不思議な所はある。もしかしたら仲間の張った結界のせいもあるのかもしれないと彼女はちらりと考えた。 「ここであんたを止めないと、リリアにも危険が及ぶと思うから」 自分に銃を突きつけていた人物は声色どおりの少年であった。 年の頃は先程、弾丸をいくらか見舞った少年と同じくらいかも知れない。 しかしその若さの割りには銃を構える姿も堂に入っており、こちらは素人ではないようだと一目で解る。 銃を突きつけているという状態の優位性を過信してもいない。少年の顔に浮かんだ強い緊張の色が証拠だ。 師匠はその少年を冷静に見つめ、無言で相手が何者かを計る。 「両手を頭の後ろで組んで、床に膝をつくんだ」 少年の要求に対し、師匠は無言と無反応をもってそれを回答とした。 このような場合において何よりも大切な基本は、殺せる相手は殺せる時に殺してしまうことである。 例え今のような状況でなくとしてもそれは人生のほとんどの場面に当てはまる。それを知る師匠は今までそうして生きてきた。 だがしかし、目の前の少年は違う。 殺せる時に殺していない。後ろを取ったのならばそのまま撃ち殺せばよかったのに、しかし彼女はまだ生きている。 別に足を撃つだけでもよかっただろう。何か聞きたいことがあるのならば口だけ残せばよいのだから。 なのに、そうはなっていない。それが何を意味するのか師匠は知っている。おそらくは少年の方も知っているはずだ。 「……言うとおりにするんだ」 でなければ撃つぞ。とまでは言わなかったことに師匠は目の前の少年に10点の評価を与えた。 しかし、その10点という評価は1秒ごとに1点ずつ減じてゆく。そして、0点になれば師匠は動く。 目の前の敵を相手に少年がそれでも撃てないというのなら、その時拳銃は存在しないも同然だと判断できるからだ。 そして、沈黙のままに10秒が過ぎた。銃声は鳴っていない。師匠は五体満足のままで、そして――動き出した。 互いの間に置かれた距離は3メートルほどで、室内としては十分な距離を確保していたと評価できるだろう。 少年が動き出した師匠を見てから反応するまでにコンマ3秒。それから撃つかどうかを決めるのにもうコンマ6秒。 合わせて1秒にも足りない時間だったが、師匠が肉薄するには十分な時間だった。 「くっ……!」 ちょうど1秒後。師匠は左の掌底をフェイントに伸ばした右腕で少年の持っていた自動拳銃を握ることに成功していた。 さてこの次の刹那には、握られてしまった拳銃を手放してしまうかどうかの判断が少年に求められる。 自動拳銃の場合、しっかりとスライドごと握りこまれていてはトリガーをいくら引こうとも弾丸は発射されない。 ならば手放して格闘戦に移るのが常套手段ではあるが、しかしその判断を行う余裕を師匠は少年に与えなかった。 「……――げぅっ!」 少年の口から蛙を踏み潰したような気味の悪い悲鳴が零れ、透明なよだれが床にまき散らかされる。 師匠に拳銃を引っ張られ、反射的に身体が踏ん張ったところに思いっきり体重の乗った前蹴りを腹に叩き込まれたのだ。 身体が裏返るような衝撃に拳銃も手から離れてしまい、結果として少年は最悪の状態で床の上へと無様に転がることとなった。 「――――――――」 唾を飲み込んで咽てしまわないよう、あえて息を殺したまま少年は床の上を転がり体勢を整えようとする。 蹴られた勢いをそのままに受身を合わせて三回転。幸いなことに師匠からの追撃はなかった。 しかし顔を上げたところで少年の身体が絶望に強張る。 彼女は壁際まで転がっていった自分を追うでもなく、ましてや奪い取った拳銃で撃ってくるでもなく、 少年に脅されて手放した機関銃を拾いに元の位置まで戻り、もうすでにそれを手に取りこちらへと向けようとしていたのだ。 例え手痛い一撃を貰っていたとしても格闘戦にもつれこめば十分勝機はあると、少年は計算していた。 相手は自分より体躯の小さな女性であるし、拳銃を奪われたとしても罠を警戒して使わない可能性は十分にあると踏んでいた。 そして実際に、彼女は敵の手にしていた銃はすぐに放ってしまった。ここまでは頭の中にあった可能性の内だ。 後はこういう流れができればそのまま飛び掛ってくるものだと考えていた。 自分が転がって遠ざかるようにすれば、反射的に追おうとするのが自然なのに……しかし彼女はあっさりと銃を拾いに戻った。 少年に与えられた猶予はおよそ2秒ほどはあった。しかし少年はその2秒を空白で埋め尽くしてしまった。 機関銃の銃口はその間にこちらへと向いてしまっている。 今更ながらに、目だけを動かし出口の位置を確認する。たった数メートルの距離だったが、今は何十メートルにも感じられた。 機関銃を構える女性は、ことここに至っても感情を表に現すことはなく無言を貫いている。 まるで人を殺す為の機械のようだと少年は思った。感情もなく、手本のままに人を殺す、優秀な殺人者。 助かるとはもう思ってなかった。最後に残されたほんの一瞬はリリアのことで埋め尽くされる。 今更ながらに後悔。どうしてリリアの名前を口に出してしまったのか。リリアがこの女性に殺されるのだけは嫌だと思った。 どうして”必要”な時に相手を撃つことができなかったのか。命を取り置いておくことなんてできるわけないのに。 もう遅い。ずっと遅かった。遅れた分は取り返そうと走りだしてみたものの、まだどこかに余裕を残していたと―― ――最後の最後の瞬間になって、ようやくそれに気づいた。 決着の瞬間。師匠の顔に怪訝な表情が浮かび――そして幾重にも重なった乾いた破裂音が部屋の中に響き渡った。 「…………………………あれ?」 10秒ほどか、それとも一分はそうしていただろうか、少年は恐る恐ると目を開き、呆けたような表情で辺りを窺った。 そしてもう10秒ほど時間を使って、どうやら自分は殺されなかったのだということをようやく理解する。 まだ耳の中に機関銃の残響音が残っているような気もしたが、部屋はがらんという静寂だけの空間に戻っていた。 「どうして殺されなかったんだ……?」 少年にはその理由が全く思い当たらなかった。 最後の最後に手心を加えられたのだろうか? そんなはずはない。少年は古泉が彼女に撃たれたところを目撃している。 もしかすれば、財宝の隠し場所を知る為に自分を泳がすのだろうか? いや、普通に痛めつけて聞き出せばいいだろう。 「とりあえず、ここを一刻も早く離れないと……」 脱力していた下半身に力を入れて少年は床の上に立ち上がる。 その時、ブーツの底と床とに挟まれたガラス片が砕けてパキリと軽い音を立てた。 振り返れば、背後にあった資料棚のガラス戸が砕けて、あたりにガラス片が散乱してしまっている。 中に入っていたファイルの束にしても被害は免れておらず、撃ちこまれた銃弾に食い千切られバラバラとなっていた。 しかし、こんな被害には何の意味もないだろう。 ただ自分がそうならなかった幸運をかみ締めるだけだと少年はまた振り返る。そして、彼は幸運の正体に気づいた。 「そうか、”君”が助けてくれたのか」 床に転がったままの拳銃を拾い、壊れていないことを確認すると、少年は壊れた窓枠から外へと飛び降りた――。 【彼女の想いで――(MAGNETIC ROSE)】 「師匠ったらどこに行っちゃったのかしら……?」 一応の決着を見た美琴との一戦を終えた朝倉と浅上の二人は、いつまで経っても師匠が戻ってこないということで 階段を使って2階へと上り、片っ端から部屋を覗き込んで、行方知れず(?)となった彼女を捜していた。 「まさか……あの、さっきので師匠さんは……」 「師匠が電磁砲の”流れ弾”で? そんなこと、考えられないわよ」 口ではそう言ってみたものの、もしかしたらそういうこともありうるんじゃないかと朝倉は少し心配になる。 いくら師匠と言えども、所詮は普通に人間でしかない。 あんな、偶然に電磁砲が建物を縦に貫通するだなんてそんなアクシデントを予想できる者などいないだろう。 回避できなかったとしても不思議でないと言えばそうで、むしろだからこそ師匠はこんなことで死んでしまうのではと思える。 仮に2階にいたのが自分だったとしても、あの電磁砲は避けられなかったろうし、当たれば死んでいたに違いない。 「でも、貫通した穴の周辺にはそれらしき痕跡もなかったし……やっぱり師匠がそんなことで死ぬとは思えないわ」 「そうですよね。……そんな事故が起こるわけがないですよね」 別に宝物を探しているという訳ではないので朝倉と浅上の2人は次々と部屋を移動してゆく。 そして、扉を潜る回数が二桁に繰り上がりそうだという頃、彼女らはその部屋に師匠がいた痕跡を発見した。 「ここで戦闘があったみたい。どうやら、古泉くんが言っていた仲間という人がまだ残っていたみたいね」 「じゃあ、師匠さんは、その古泉さんの仲間と……?」 それはどうかしら? と朝倉は部屋を見渡した。 押し倒された事務机に、バラバラに転がっているパイプ椅子。割られた窓に、銃弾を打ち込まれた書類棚。 ここで戦闘があったとありありと分かる散らかぶりではあったが、しかしここには血の一滴も流れてはいなかった。 「師匠が相手を撃って外したとなると、その仲間というのも超能力者だったのかしら……?」 朝倉は銃弾を目一杯叩き込まれた書類棚に近づき、ファイルの中にめり込んだ弾丸をひとつ摘み出す。 それは間違いなく、あくまで他に同じ物を持っている人がいないという前提ではあるが、師匠の銃から出たものだった。 師匠がここで誰かに向かって引鉄を引いたということだけは紛れもない事実らしいとわかる。 さりとて、それだけでは決め手に欠けるとそこを振り向いた時、朝倉は思わぬ人物がそこにいたことに驚いた。 「……どうして、あなたが……――”長門さん”がこんなところにいるの?」 正確に言えば、そこにあったのは長門有希ではなく彼女の”生首”であった。 一見ではわからぬような形で、破壊された書類棚の向かい側にある賞状棚の中に紛れるような形で置かれていたのだ。 図書館でこれを回収してきた古泉がどういう意図でこれをここに隠していたのか、それはもう誰にもわからないし そもそも今ここにいる朝倉と浅上はどうしてこんな所に首があるのかすらわからないが、師匠失踪の答えだけは解った。 「あー……、師匠ったら棚のガラス戸に映った長門さんの生首を見て……」 「そうか、師匠さんって……むぐっ?」 「(言ってはいけないわ。師匠がどこで聞いてるとも知れないし)」 「むぐむぐ……」 やれやれと首を振ると朝倉は窓へと近づき、ぐいと身を乗り出して駐車場の端の方へと視線を伸ばした。 そこには3人が乗ってきたパトカーがまだ止まったままで、よく見れば後部座席にカチカチに表情を固めた師匠の姿がある。 もう一度やれやれと首を振ると朝倉は浅上に師匠を見つけたと伝え、肩をすくめて大きな溜息をついた。 ■ 「さてと……、持っていったら師匠が怒りそうだし、これはここで”処理”してしまわないと」 朝倉は浅上に傍で待っているように言うと、安物のトロフィーが立ち並ぶ賞状棚から長門の首を丁寧に取り出した。 死んでから少なくとも四半日は経っているはずだが、その顔は生前とあまり変わらぬ美しさを保持している。 これは剥製だよと誰かに言われれば信じてしまいそうなくらいに、それは死体であり死体ではなかった。 「あの……それをどうするんですか?」 浅上が様子を窺いながら恐る恐るという風に尋ねてくる。 それはそうだろう。普通、死体などというものに人は興味を抱かない。嫌悪し遠ざけるのが通常の反応だ。 殺人鬼にしても、生きている者を殺すという過程や瞬間にならともかく、死体と成り果てたモノなんかに興味はもたない。 「言わなかったっけ? 私と長門さんは宇宙人なのよ。人間の”フリ”はしているのだけどね」 死体に嫌悪感を抱かないのか、それともそれを死体だと思っていないのか、朝倉は長門の首を机の上に置くと、 彼女の薄い色の髪の毛を掻き分けるように指を挿し入れ、普通であれば脳があるであろう場所を押さえながら目を瞑った。 ほどなくして、朝倉の長門の生首に触れている指先から淡い光が漏れ出してくる。 「”情報”を色々と回収しておきたいのよ。長門さんなら私よりも色々知っているはずだから――」 朝倉は自分の上司に当たるエージェントの記憶情報にアクセスしてそれを読み取ろうとする。 だがしかし、あまりそれは上手くいきそうにもなかった。 彼女が機能を停止していることは問題ではないが、やはり上位の相手である以上、こちらの権限(パスコード)が全く通じない。 しかし、どこかに――せめてここに来てからの記憶でも読めればと朝倉は情報の海の中に手を潜らせ―― 「…………ぅあぐ!」 ――逆に捕らわれ、その身体を振るわせた。 「(トラップ? 誰に向けて? 違う、これはコマンドワード……どうして? 私に? 長門さんは予測していた?)」 【エージェント・PN:[長門有希] はマスターとしてスレイブである エージェント・PN:[朝倉涼子]に行動指針を与える】 【■1_長門有希の存在をあらゆる外敵から防衛する】 【■2_長門有希の計画を妨げる要因に警戒し、これを発見すれば直ちに排除する】 【以上の行動指針はPN:[朝倉涼子]の中にあるなによりも優先され、それはPN:[朝倉涼子]の自己保全も例外ではない】 「(長門さんはもう死んでいるのに? 計画? この命令はいつ作られて――何がどうなって? これは、どうして?)」 「――………………ぅ」 捕らわれていた時間はどれくらいなのか。朝倉は壁に掛かった時計を見て、時間が進んでないことに安堵の息をついた。 そしてそれを確認すると、何事もなかったようにゆっくりと長門の頭から指を引き抜き、もう一度息をついた。 「……なにかわかったんですか?」 「ううん。長門さんったらガードが固くて全然」 浅上の問いかけに朝倉はそう明るく答えた――が、しかし実際はそれとは真逆で、朝倉はこれまでで一番の混乱に陥っていた。 長門が残した情報の中に自分への命令が残っていたことも随分と不可解だが、それよりも解らないことがいくつもある。 「(この長門さんは一体――誰なの?)」 彼女が、”長門有希”であることは確かだろう。しかし、朝倉が知っている長門有希ではない。 自分が消滅している間に何かがあって長門自身が変質させたと見るのが自然ではあるが、それにしても不可解だ。 まずエージェントとしての能力のほぼ全てに長門自身のロックが掛かっていた。能力だけでなく記憶の大部分に関しても同様に。 それはまるで……”長門有希自身が普通の人間として振舞おうとしているかのように”。 恐らく、自分宛への命令はここに関係すると朝倉は考える。 そしてそこからあるひとつの謎に答えが出たことを知った。つまり――”朝倉涼子を再生したのは長門有希”である。 これはもう間違いない、この舞台で行動できる分の情報を新しく付加して新しく作り出したのは彼女に違いない。 「(長門さんの”計画”……、人類最悪の”計画”……、一体、何がどうなって……)」 長門有希の情報の中で断片的に読みこめたシーンの中に、あの人類最悪と名乗る男の姿があった。 ただ彼女とあの男とが対面しているというだけであって、時間も場所も全くの不明であるが、 しかしまさかここに来てからではないと思われる。恐らくは、”これ”が始まる前に”長門有希と人類最悪は出会っている”。 「(”計画”ってなんなのよ。それがわからないと私、動けないじゃない)」 ここが明らかにおかしかった。命令はあるのに、その命令の意味が受ける朝倉にはわからないのだ。 ”計画”だなんて言われても、それに該当するような情報は自身の中には見当たりやしない。 「(……何かが破綻している。けど、何が破綻しているのかすら私には解らない)」 どうやらすぐに解ける謎ではないらしいとし、朝倉は静かに息を吐いて自身を落ち着かせた。 そもそもとしてこの命令自体が、有効であるとは言え間違いの可能性もある。長門有希自身の存在にも疑問点が多い。 「(長門さん不具合を起こしちゃったのかもしれない……)」 朝倉はそれを最もありえる可能性として、第一に置き、その他の可能性を暫定的に過少評価することに決めた。 なぜならば、”それ”はどう考えてもありえないことなのだ。”そんなこと”が情報統合思念体の端末に許されるわけがない。 その存在意義を根底から覆すような”そんなこと”。それは、つまり―― ――長門有希が、涼宮ハルヒの持つ”願望を実現させる能力”を奪い取っただなんてことは。 ■ それから15分ほど後、正午の放送からすればちょうど2時間ほど経った頃。 師匠、朝倉、浅上の3人は警察署の駐車場に止めてあったパトカーの中で合流を果たしていた。 「それでね。私は一度、3人でじっくりと話し合うべきだと思うのよ」 止めてあったパトカーは未だに止まったままで、3人が次にどう行動するかを、主に朝倉の提案により決めようとしていた。 「長くても3日。短ければ次の瞬間には死別する身です。特に親睦を深める意義は感じられませんが」 「何言ってるのよ師匠。今回、私達は警察署にいた得物を仕留めようとして結局一人も殺すことができなかったのよ」 「それはあなた達の不手際でしょう。私が撃ったあの少年はもう今頃は死んでいます」 「警察署の外に出たらノーカンよ。だったら私も殺しているかもしれないし。それに師匠はひとり逃がしたじゃない」 「………………」 「怒らないで聞いてよ」 「ええまぁ、我々の協力体制に有益であり、後に私個人の利益にも繋がると判断できるならば話は聞きましょう」 「うん、それじゃあ……そうね、浅上さんは何か言いたいことないかしら? あなたにも意見する権利はあるわ」 「そうですか? ……じゃあ、私はお昼ご飯が食べたいです」 「補給と休憩をとるついでに話し合いもするというのならやぶさかではありませんね」 「私も賛成。それじゃあ次はご飯食べながら作戦会議よ」 止めてあったパトカーは、5分ほどの短い会話の後、ブロロ……とエンジン音を立てて駐車場から車道へと出て行った。 ■ 「(キョンくん。今だけは少しの間見逃してあげる)」 朝倉はハンドルを握りながら、瀕死の古泉を抱いて走り去った彼のことを少しだけ考えていた。 彼はあの電撃使いの少女から神社へと行くよう指示を受けていた。口ぶりからすれば仲間が待っているのだろう。 傷を負って逃げ出した電撃使いの少女にしても今頃は神社へと向かっているかもしれない。 だが、朝倉はそのことを師匠には伝えないし、自ら赴くつもりもなかった。 「(とりあえず、”計画”ってのが判明しないことにはね。彼や涼宮さんには手は出せないわ)」 長門有希が主導しているならキョンという少年がキーパーソンに充てられている可能性があるし、 涼宮ハルヒについては今現在どういう状態なのか把握する必要がある。 ハルヒに関してはすでに師匠と契約を交わしているからまだいいが、キョンはそうではない。故に今は追わない。 「(まずは私自身の問題を解決しないと……)」 そう思い、朝倉は少しだけ自身の内側へとその意識を向けた。 そこには先程、警察署で”食った”長門の首が情報として存在しており、現在ゆっくりと消化を進めているところだった。 どれくらいかかるか見当はつかないが、もしかすれば有益な情報を得られるかもしれない。 あいにくと長門は自身の力を封じていたので攻性情報の補給にはならず、ならばそこは有機体の作法に倣うしかない。 「あー……、なんだかすごくお腹が空いたわ。ねぇ、師匠は何が食べたい?」 【D-3/警察署付近・路上/一日目・午後】 【師匠@キノの旅】 [状態]:健康 [装備]:FN P90(35/50発)@現実、FN P90の予備弾倉(50/50x17)@現実、両儀式のナイフ@空の境界、ガソリン入りペットボトルx3 [道具]:デイパック、基本支給品、医療品、パトカーx4(-燃料x1)@現実 金の延棒x5本@現実、千両箱x5@現地調達、掛け軸@現地調達 [思考・状況] 基本:金目の物をありったけ集め、他の人間達を皆殺しにして生還する。 0:食事と休息をとる。 1:朝倉涼子を利用する。 2:浅上藤乃を同行させることを一応承認。ただし、必要なら処分も考える。よりよい武器が手に入ったら殺す? 【朝倉涼子@涼宮ハルヒの憂鬱】 [状態]:疲労(大)、空腹、長門有希の情報を消化中 [装備]:なし [道具]:デイパック×4、基本支給品×4(-水×1)、軍用サイドカー@現実、人別帖@甲賀忍法帖 シズの刀@キノの旅、蓑念鬼の棒@甲賀忍法帖、フライパン@現実、ウエディングドレス アキちゃんの隠し撮り写真@バカとテストと召喚獣、金の延棒x5本@現実 [思考・状況] 基本:涼宮ハルヒを生還させるべく行動する(?)。 0:食事と休息をとり、3人で作戦会議をする。 1:長門有希の中にあった謎を解明する。 2:電話を使って湊啓太に連絡を取ってみる。 3:師匠を利用する。 4:SOS料に見合った何かを探す。 5:浅上藤乃を利用する。表向きは湊啓太の捜索に協力するが、利用価値がある内は見つからないほうが好ましい。 [備考] 登場時期は「涼宮ハルヒの憂鬱」内で長門有希により消滅させられた後。 銃器の知識や乗り物の運転スキル。施設の名前など消滅させられる以前に持っていなかった知識をもっているようです。 長門有希(消失)の情報に触れたため混乱しています。また、その情報の中に人類最悪の姿があったのを確認しています。 【浅上藤乃@空の境界】 [状態]:無痛症状態、腹部の痛み消失 [装備]:なし [道具]:なし [思考・状況] 基本:湊啓太への復讐を。 0:食事と休息をとる。 1:電話があればまた電話したい。 2:朝倉涼子と師匠の二人に協力し、湊啓太への復讐を果たす。 3:他の参加者から湊啓太の行方を聞き出す。 4:後のことは復讐を終えたそのときに。 [備考] 腹部の痛みは刺されたものによるのではなく病気(盲腸炎)のせいです。朝倉涼子の見立てでは、3日間は持ちません。 「歪曲」の力は痛みのある間しか使えず、不定期に無痛症の状態に戻ってしまいます。 「痛覚残留」の途中、喫茶店で鮮花と別れたあたりからの参戦です。(最後の対決のほぼ2日前) 湊啓太がこの会場内にいると確信しました。 そもそも参加者名簿を見ていないために他の参加者が誰なのか知りません。 警察署内で会場の地図を確認しました。ある程度の施設の配置を知りました。 ※ 「キャプテン・アミーゴの財宝@フルメタル・パニック!」は警察署のどこかに隠されたままになっています。 【Accelerator――(光速戦闘) 後編】 街は交流と集合の象徴と現実であり、そこには決して同じ形同士ではない人間達が集まり寄り添う。 近づけば触れ合えるが、しかし同じ形でないが故に、そのもの同士の間には埋めることのできない隙間が存在し続け、 集まれば集まるほど、その集合体の中にまるで罅割れのようにその隙間は広がってゆく。 石ころでそうしても同じだ。街の場合もそれは変わらない。そして街の場合、そういう隙間を裏路地などと呼称する。 警察署から這う這うの体で逃げ出してきた美琴は、学園都市にだって存在する裏路地の中をひとり彷徨っていた。 目の前が真っ暗だった。多分、裏路地の中に入ってきたからだと美琴は思ったが、そのせいではないかしれなかった。 足ががくがくといって覚束ない。それは裏路地がグネグネと曲がっているせいかもしれないが、そうでないかもしれない。 頭がガンガンと痛む。裏路地に溜まった生ゴミの腐った匂いのせかもしれいけど、そうでない気もする。 身体がガタガタと震えていた。きっと裏路地には陽が入ってこないからだろう。そうでないのかもしれないが……。 吐き気も止まらないし、嫌なことばかり思いつくし、涙がボロボロ零れるし、口からはちゃんとした言葉が出てこない。 裏路地のせいかもしれない。でも多分、全部そうじゃない。全部自分のせいだった――。 捻り切られた左腕を右手で押さえ、血をばたばたと零しながら裏路地を行く美琴は、フェンスを見つけるとそこに倒れこんだ。 すぐに美琴の額の辺りでバチリと弾ける音がして、金網のフェンスがメキメキと解され、左腕へ茨のように絡みついてゆく。 ほどなくして、絡みつく針金らは左肘の上で環を作るとぎゅうと窄まりとめどなく零れ落ちていた血をせき止めた。 そのままズルズルと地面に腰を下ろすと、美琴はようやく血塗れになった右手を傷口から離した。 血塗れなのは右手だけじゃない。捻りきられた時に噴出した血は全身を紅く染めて、流れ出ていた血に太腿は真っ赤だった。 唯一血に染まっていない顔にしても今は蒼白で、明らかに流した血が多すぎたことを表している。 美琴は緩慢な動作で背負っていたデイパックを下ろすと、また緩慢な動作で中から救急箱を取り出した。 片手だけで美琴はそれを開こうとするが、ずるりと血で滑った箱は手から零れて地面へと落ちてしまう。 落ちた箱はそうしようとしてたように開きはしたが、中身はヘドロに塗れた裏路地の上へと広がってしまっていた。 それでも、美琴はそれだけは取ろうと、震える指先を地面に転がった包帯へと伸ばし―― 「…………ぁ」 ようやく伸ばした指先で触れた包帯はタイヤのようにコロコロ転がると汚水の水溜りに転がり込んで灰色になってしまった。 自分は死んだと美琴はあの時思った。 まるで、あの”最強”みたいに自分の電磁砲を反射されて、コンマ1秒もないそれまでの間に色々なことを思い出した。 しかし、ギリギリのところで死は回避された。別に何をしたわけでもなく、それはただの偶然だと理解している。 だからこそ、心が死んだような気がする。 いつでも、どこでも、誰からも、何度でも、まるで都合のよいヒーローのように駆けつけてくれる”アイツ”。 その期待が叶えられなかったことが悲しいのか、それともそんなものを期待している自分に悲しくなったのか、 心身ともに混濁した今の美琴には答えがわからない。ただグルグルと気持ち悪く、悲しみが沸き続けるだけだった。 ただひとつはっきりしているのは、ここに来てそれを突きつけられ、なんども思い知らされているということ。 「(私……弱い、なぁ………………強く、なり……た………………)」 灰色の混濁に紫電は飲み込まれ、御坂美琴の意識は奈落へと落ちてゆく――。 【D-2/市街地・裏路地/一日目・午後】 【御坂美琴@とある魔術の禁書目録】 [状態]:気絶、左腕断裂(止血)、貧血(重)、肋骨数本骨折(手当済み)、全身に擦り傷、全身打撲、全身血塗れ、靴紛失 [装備]:さらし状に巻かれた包帯(治癒力亢進の自在法つき)、ポケットにゲームセンターのコイン数枚 [道具]:デイパック、支給品一式×2、金属タンク入りの航空機燃料(100%)、ブラジャー [思考・状況] 基本:この事態を解決すべく動く。 0:……………………。 1:強くなりたい。 2:神社へと帰る。 3:上条当麻に会いたい(?)。 ※ 周囲に応急手当キットの中身が散乱しています。 投下順に読む 前:提督の決断 次:死線の寝室――(Access point) 時系列順に読む 前:零崎人識の人間関係 次:とおきひ――(forgot me not) 前:「つまらない話ですよ」と僕は言う トレイズ 次:キノとトレイズ〈そして二人は探しに行った〉 前:「つまらない話ですよ」と僕は言う 師匠 次:「作戦会議」― IN Bennys ― 前:「つまらない話ですよ」と僕は言う 朝倉涼子 次:「作戦会議」― IN Bennys ― 前:「つまらない話ですよ」と僕は言う 浅上藤乃 次:「作戦会議」― IN Bennys ― 前:「つまらない話ですよ」と僕は言う 御坂美琴 次:人違いメランコリー
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autolinkTOP>【か】>彼女 彼女 (かのじょ) 分類1【言語全般】 ジャンル1【一般】 「彼女ってのは彼方の女とかくのさ。男には理解できないものだよ、シンジくん」 加待リョウジが何気なく碇シンジに言った一言が、何故か印象深く心に残っている。 登録日 2006/07/26 【か】一覧 ガードチェイサー カイザ 顔【かお】 鏡【かがみ】 カゲスター 影の軍団 陰星 ガサ 風間小太郎 風間唯 風見志郎 飾り職の秀 風の刑事 東京発! 科捜研の女 片岡篤史 ガチャポン カツカレーうどん 桂小枝 桂三枝 桂文珍 勝てたらいいな 加藤美佳 香取石松 金津園 金本兄貴のスタミナハラミ丼 金本知憲 狩野恵輔 彼女 花粉症 壁に耳あり障子に目あり 上沼恵美子 神谷明 仮面ライダー(1号2号) 仮面ライダー 仮面ライダーアギト 仮面ライダーアマゾン 仮面ライダーX 仮面ライダーカブト 仮面ライダーキバ 仮面ライダークウガ 仮面ライダー THE NEXT 仮面ライダー THE FIRST 仮面ライダースーパー1 仮面ライダー(スカイライダー) 仮面ライダーストロンガー 仮面ライダーZO 仮面ライダー電王 仮面ライダー響鬼 仮面ライダー555 仮面ライダーV3 仮面ライダーBLACK 仮面ライダーBLACK RX 仮面ライダー剣 仮面ライダー龍騎 貨物列車 カリス カリパク カルテNG カルビ 可哀相 川藤幸三 顔射 ガンダム世代 ■ トップページへ移動 ▲ このページ上段に移動
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彼女のことを可愛いと思う一瞬がある。 私の方が、年下なのに。 ――*** 「あーずにゃん!」 部室に入り荷物を置いたのと同時に、背中への衝撃。 抱きつかれた拍子に頬に触れた茶色がかった髪から 微かに甘い、クリームのような香りが届き、私の鼻腔を擽った。 「……唯先輩。先にケーキ食べましたね」 「えっ。何で分かったの」 ぱっと私から手を離し、驚いたように目を瞬かせながら先輩は言う。 「でもでも、全部じゃないよ? ちょっと味見しただけ!」 唯先輩の肩越しにムギ先輩へ視線を向けると 彼女はポットを手にしたまま「本当よ?」と笑った。 「みんなが来てからお茶にしようって言ってたんだけど、ちょっとだけ、ってね」 「だって今日のケーキ、いつもよりクリームたっぷりだったから、つい……」 ムギ先輩の言葉に、彼女は照れたように頬をかく。 その仕草を見ていたら、何故だろう。 胸の奥に感じる、ちりちりとした鈍い痛み。 「ほら、これだよこれ!」 私の腕を掴んでテーブルの方へと足を進める。 その掴まれた一瞬、私の心臓がとくっと速いテンポを刻んだことに先輩は気付かない。 否、気付かなくていい。 ちりちり。 「ね、ね。すごいよね!」 きらきらとした嬉しそうな表情を浮かべ、再びケーキを覗き込む彼女は まるで宝物を見つけた子どものようで、そんな彼女に思わず笑みが零れてしまう。 仕方ないなあ…なんて。 「あ、今あずにゃん『子どもっぽいなあ』って思ったでしょ! むぎちゃーん。あずにゃんがいじめるよお……」 いつの間にか、彼女はムギ先輩の隣に移動していて 私を指差しながらムギ先輩に泣きついている。 ちりちり。 ちりちり。 イライラ。 ―――イライラ? なにそれ、意味分からない。まさか、そんな。 一瞬浮かんだその感情に何かしらの理由を付けようと 次々と言葉が浮かんでは消えて行く。 誰が、誰に、何に? 私の視線の先、唯先輩とムギ先輩。 唯先輩はムギ先輩の腰に手を回して、ムギ先輩はそんな唯先輩の頭を撫でている。 いつもの軽音部の珍しくない光景。 それなのに、私は。 「あーずにゃん!」 ―――どうしたの、ぼーっとして。 後ろから不意に抱きしめられて、思わず裏返った声を上げてしまった。 恥ずかしさで顔を伏せる私に、彼女は何を思ったか自分の掌をぴたりと私の額に当てる。 普段温かい彼女の手が、どうしてだろう。ひどくひんやりとしていて気持ちがいい。 「顔、赤いよ。もしかして具合悪いの?」 「ちっ、違います!」 肩越しに覗き込まれて、唯先輩の声がすぐ耳元で聞こえる。 さっき腕を掴まれた時とは比べ物にならないほど速く、自分でもはっきりと 分かるほどリズミカルに鼓動を刻む心臓に、唯先輩には気付かれたくないなんて よく分からない考えがぐるぐると頭の中を駆け巡る。 ああそうか。 きっと、私は。 「本当に? ならよかった」 私は、彼女に。 安心した、と笑って私から離れようとする彼女に もう少しそのままでいてくださいとは、言えなかった。 抱きしめたあずにゃんの顔が、後ろからでも分かるほど真っ赤になっていて 当の本人は俯いたまま何も言わなかったから、てっきり具合でも悪いのかと思って 彼女のおでこに手を当てた。うん、熱はない。 「きっと、あずにゃんの顔があったかいから、そう感じるだけだよ」 振り返った彼女に慌ててそう答えたけれど、心臓は未だに いつもより少しだけ早いリズムを打ち続ける。 あずにゃん相手に緊張しているのか、私は。 らしくない。 らしくないとか考えている自分がらしくない。 「別に具合が悪いわけじゃないです。大丈夫です」 「本当に? ならよかった」 肩に回していた腕を解いてあずにゃんから少しだけ距離を置く。 あずにゃんに触れていた手やお腹の部分に残っていたほわほわとした 温かさが、すっと消えていくことに何となく感じる寂しさ。 本当は、もう少しあのまま。 あのまま、あずにゃんにくっついていたかったなあ―――なんて。 「……あ。律先輩たち、来たんじゃないですか?」 そう言いながらあずにゃんが扉の方へと視線を向ける。 耳をすませば確かに、二人の親友の慌しい声と足音が聞こえてきて ムギちゃんが「あら本当。じゃあ、お茶入れるわね」と立ち上がった。 「すまん、澪が遅くて遅れた!」 「はぁっ!? 元はと言えば律が真面目に掃除しないから……」 バタバタ、どすん、ばたん、なんて音を立てながら開いた扉から 雪崩れ込むように駆け込んできたりっちゃんと澪ちゃんに 部室の中が一気に、騒がしくて賑やかないつもの軽音部へと変わる。 「とりあえず、お茶にしましょう」 さあ、放課後ティータイム。 今はみんなとのおしゃべりをめいいっぱい楽しんで、それから少しだけ練習しよう。 少しだけですかっ、なんてあずにゃんや澪ちゃんのツッコミが聞こえてきそうだけど とにかくお茶とケーキを食べないことには、始まらない。 さっきの気持ちは、今は少しだけ置いておこう。 つづきは!? -- (名無しさん) 2012-10-31 20 11 38 続きお願いします。 -- (あずにゃんラブ) 2013-01-17 18 05 52 続きキボンヌ -- (名無しさん) 2014-10-08 12 51 28 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
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らぶ彼女!! ジャンル 学園恋愛シミュレーションオンラインゲーム 公式URL らぶ彼女!! デバイス スマートフォン PC ガラケー 対応OS Windows XP / Windows Vista / Windows7 / Mac OS / iOS / Android / docomo / au / softbank 対応ブラウザ Windows:Internet Explorer 7.x 9.x 10.x / Firefox3.x / Chrome / Macintosh:Firefox3.x / Chrome 会員登録 会員登録無料 ゲームレビュー http //ge-mu.net/g803.php 配信 概要 学園生活でのときめく出会いステキな美少女キャラが登場する恋愛ストーリー。 彼女たちとのラブラブ恋物語がいま始まります。 らぶ彼女とは!!とは・・・? 学泉生活でのときめく出会い。 萌え系美少女キャラが登場する恋愛ストーリーです。 彼女たちとのラブラブ恋物語がいま始まります! タイプの女の子を選ぼう! テニス部、園芸部、水泳部など、 いろんなタイプの美少女たちとの それぞれのストーリーが楽しめます! 女の子といっぱい話そう! クラブ活動などに励む萌え系の彼女たちと ラブラブな恋物語をどう展開していくか、プレイヤーの選択次第でストーリーは どんどん変わっていきます。 ログインボーナスGET! ログインするとボーナスがもらえるよ!! シナリオチケットをGETしてストーリーを進めよう。 スクリーンショット ll?06577810l