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登録日:2011/04/29(金) 22 28 46 更新日:2021/10/20 Wed 00 49 19 所要時間:約 2 分で読めます ▽タグ一覧 4月1日 TYPE-MOON エイプリル エイプリルフール フール 不死 嘘 四月の魔女の部屋 坂本真綾 引きこもり 星空めてお 逢倉千尋 魔女 わたしはエイプリル。 あなたはフール。 魔女エイプリルは死にました。 四月の魔女の部屋とは2011年の4月1日から15日にかけて紙芝居形式で公開されたTYPE-MOONのエイプリルフール企画作品である。作者は星空めてお。 2011年11月16日に星海社FICTIONS・星海社朗読館より、坂本真綾による朗読作品として商品化した。 イラストは逢倉千尋。 ◎ストーリー とある理由から部屋に引きこもり誰にも会わなくなったエイプリル。 だがやっぱり誰にも会わないのはあまりに寂しいということで、年に一度だけ部屋の鍵を外すことにした。 四月一日、その日にだけ魔女の部屋は見知らぬ誰かを招き入れる。 これは、魔女エイプリルと彼女の部屋を訪れる沢山の人間達とが作り出す、四月一日だけの物語。 ◎登場人物 ◆エイプリル 本作のメインヒロイン。本人は嘘等ついてないのだが人々に嘘つきと罵られ拷問を受けていた。その時に「わたしは魔女です」と嘘をついた為、神様から罰を受けた。引きこもりになったのもその罰のせい。 因みに彼女の部屋では嘘はつけない(嘘をつくとそれが本当になってしまう為) ◆フール エイプリルの部屋に訪れた人間の1人。他の人間が一度しか魔女の部屋を訪れないのに対し彼は何度も部屋を訪れる。 エイプリルの為に下手だがダンスを踊ったり、エイプリルと一回りするのに一分もかからないような小さな庭を散歩したり、エイプリルに手料理を振る舞ってもらったりする。 「四月の魔女の部屋」の世界での最後の死者であり、エイプリルの引きこもりを卒業させた人物。 ◆その他の人間 魔女の部屋を訪れる人々。老いた盲人、物好きな求婚者、死を目前にした病人等、共通点はほぼ皆無。 TYPE-MOONのエイプリルフール作品にしては珍しく、とても真面目なものとなっている。 まぁ、それまでのエイプリルフール企画がブッ飛んでいたぶん、真面目に見えるだけな気がしなくもないが…。 めておの後書き宜しく、つくなら優しい嘘にしてほしいものです。 追記・修正お願いいたします △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] エイプリルさんサラッとレイプされたり、結婚して子供生んだりしてるのね -- 名無しさん (2015-03-01 23 30 17) 今更見たけど、最初の感想がエイプリルさんエロいだった私を許してくれ…… -- 名無しさん (2016-05-25 14 58 46) 星空めておのツイートによると吸血姫メイはさっちん。ひびちかコンビも出てるとのことなのでおそらくジュニパとハネジュだろう -- 名無しさん (2017-01-29 02 44 58) Fakeのフランチェスカにぎゃふんといわせた魔女はアリスと彼女のどっちだろう -- 名無しさん (2020-01-11 16 22 17) 名前 コメント
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/ / } } / / ノイ / {―――― _ <、__ \ - / ―― 、__ , ― \ しゃーす! _ .</ //__/ヘ___ }´○ 〃 `ヽ ー _ _. < /, {{ _ - _ ノ ,―,{{ ノノ / よろしくお願いします!  ̄ ̄ / // 、ー ´ ,} \ ー―"´/\___/ / / >┬< >┬< \ヘ \-- / / >'´ , ト ト 、 | ∨\ / /´ ,| |/ム | \ \ |\, ト--\| _. <| || !斥佗心, |,ィf斥V7 /、 | \  ̄ ̄ ̄ヘ || |ヾゞ='′\j {ゞ= 'ノ,/| |/ 、 ト.... , ヘ, || |ム j{ /j{ノ\ 、 | `ヽ /イヘ || | ,/\ 、 _, , \_ \,| \,||リ/ / > __ イ\ ̄  ̄ イ }___{______ //ー―― '// //\ ,ー― ´/j{ /, // // } /|| / ,j{,ー―" // // ー、 / ,||○//j{ / | |○//ニニニ 、, \ / |i// j{,_/ ,| |// \\, \【榊 遊矢】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓【Status】 性別: 男性 学年: 3(アリスが2年生の時) 守備位置: センターミート: C パワー: C 走力: B 肩力: C 守備: C 捕球: B+────────────────────────────────────────|【Profile】榊遊矢。明和第一実業3年。右投右打。外野手。この作品で数少ない外野手であり、分かりやすい俊足センター。実は地味に出塁自体そこそこしているが、覚醒やっるの強肩の踏み台にもされてしまった。能力は全体的にバランスがいい。明和の下位打線は打力が皆無に近いので、彼の出塁はかなり重要であった。比企谷・阿部の穴も大きいが、榊の穴も実は結構大きい秋からの明和である。ちなみに彼女。 【1D100 79】で75以上でいる。 5スレ目9224━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ +1年春・初期データ ミート:D (50) パワー:C (60) 走力:B (70) 肩力:C (60) 守備:D (50) 捕球:B+ (75) +2年夏 ミート: C パワー: C 走力: B 肩力: C 守備:C 捕球: B+ 備考:
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795 :私≠彼女 02 ◆RgBbrFMc2c :2010/09/10(金) 22 02 49 ID eQJGz00C 「だからね、今度はグラウンドの線引きをしてみようと思うんだー」 「線引きって、何書くんだよ」 「陸上で使うトラックの線」 「ああ、そういえば大分消えてたっけ」 「そうなんだよ。それに、あのカタカタ押す奴楽しいから、一回全部描いてみたかったんだよね」 椚田はショートカットの黒髪を風に揺らせながらそう言い、コロッケパンにかじりついた。 すると、もとからたれ気味な目がさらにへらーと緩んでいく。 その表情が本当に幸せそうで、僕は思わず口に入れかけた自分のコロッケパンを放置し、その様子を眺めることにした。 これだけ安上がりな舌をもつ娘に育ってくれて、彼女の両親はえらく助かっていることだろう。 ちなみに椚田はコロッケパンが好きというより、コロッケが好き、というわけでもなく単純にお惣菜パンが好きなのだ。 焼きそばパンやカレーパンなども好物らしい。 だから、僕はそんな椚田に気を使って、パンを買う日はそういうものしか買わないことにしている。 それというのも椚田は僕と同じものしか昼食として選ばないので、そうしないと彼女が好きなものを食べられないからである。 どうしてそんな不便な規則で自分を縛っているのかは正直わかりきっているのだけれど、それでも好きなものぐらい好きな時に食べろと言いたい。 僕は別に毎日惣菜パンだろうとスナックパンだろうと特にこだわりはないので気にはしないし、本人がいいならそれでいいけど。 「悠一君、そろそろ食べ終えないと予鈴が鳴るよ」 いつの間にやらコロッケパンを全て胃の中へ収めた椚田が、右腕に嵌めた腕時計に目をやってそう言った。 もうそんな時間なのか。素早くパンを口に詰めてゴミを回収しながら、咀嚼も大概にさっさと飲み込む。 「次は、数Ⅰか」 「うん。今日は悠一君の列が当たるんだよね」 「お前もだろ」 僕の真ん前に座っているんだから。 「とりあえず、絶対に答えが合っている答案を、私は書いてきました」 「そうか。じゃあ、後でお互いに答案の確認をしよう」 「うんうん」 嬉しそうに数回頷いた椚田に一度相槌を打ってから、屋上の扉へと向かっていく。 10月下旬のやや冷たい風を全身に浴びつつ、ふと冬になってもここで昼食をとるつもりなのかと考えた。 まあ、防寒対策をしっかりしておけば問題ないだろう。 「明日は雨が降るらしいよ」 「そうか」 意味のない含みのない振りでも何でもない彼女の呟きに頷いて、僕らは屋上を後にした。 796 :私≠彼女 02 ◆RgBbrFMc2c :2010/09/10(金) 22 04 38 ID eQJGz00C *** 友人である雲井曰く、椚田は僕のストーカーらしい。 曰くも何も、雲井に言われるまでもなくそれぐらいは気付いている。大方同じ昼食を持参できるのも僕の行動を監視しているからに違いない。 見られて困るような日常生活は送っていないので、監視されていようが盗撮されていようが尾行されていようが構わないのだけど、 傍にいるのなら声をかけてくればいいのにと思う。 学校以外の場所で椚田と会った記憶がないから、一度くらい会ってみたいと思うのだ。好きな相手の私服姿なんて誰でも夢見るものだろう。 「どうしたの? 悠一君」 放課後、たまに立ち寄る図書室で向き合いながら読書に勤しんでいると(僕は少しも集中していなかったけれど)、 じっと見られていたことに気付いたのか、椚田が分厚い新書から顔を上げた。 その表情は疑問一点のみで占められており、こんな彼女が本当に自分を付け回しているのかと思うと妙な感じがした。 人間見た目や雰囲気だけでは分からないものだ。 「椚田って、休日は何してるんだ」 直接私服を見せてくれと言っても良かったのだが、どんな反応がくるのか想像もつかないのでやめることにした。 「休みの日は、勉強してる」 「クラスの女子とどっか行ったりしないのか」 「しないよ。高校生になって、いろいろ忙しくなっちゃったから」 遊ぶ暇がないんだよ。と椚田は何でもないように笑みを浮かべた。 「だって、悠一君とも外で会ったことないでしょ? できれば会いたいし、遊びたいんだけど、時間がないんだ」 「なら、仕方ないな」 「悠一君は私と外で会いたいと思う? 遊びたいって思う?」 「たまにな」 「そっか、そっか……うん、ええと……うん、じゃあ今度の日曜日は学校で遊ぼう!」 「小学生か」 反射的にそう突っ込むと、彼女はだよねーと呟きながら苦笑いを浮かべた。 そういえば、以前に椚田が見たい映画があると話したので、じゃあ見に行こうと言ったそのときも話は有耶無耶になってしまったのだったか。 どうやら、学校外で人と会いたくはないらしい。随分と変わった趣向である。 それでも、僕を付け回す時間はあるしそのためになら外へ出るなんて、変な話だ。 もしかすると、ずっと僕を付け回しているから忙しいのかもしれない。まあ、これはさすがに被害妄想か。 被害妄想……いやいや、僕自身は何も害は加えられていないのだから無害妄想、むしろ理想妄想。 こうだったらいいのにということをさらに妄想している。 好きな相手に追いかけまわされるのなら誰だって嬉しいだろう。 そんな調子でぐだりぐだりと会話をしていると、図書室のカウンターから大げさに本を閉じる音がした。 目を向けてみると、今日の受付当番らしき図書委員女子がこちらをじいっと睨みつけている。 同じ眼鏡でも雲井とはかけ離れたきつい目と、グラス越しに視線を合わせた。 「ごめん川瀬さん」 椚田が申し訳なさそうにそう言うと、 「これでもう8回目の注意ですよ椚田さんに遠野さんここは読書をする場なのであって男女がいちゃつく場所ではないのですお分かりですか?」 一息でこんなことを言い終えた。注意されるたびに思うが、この人は本当に滑舌が良い。 感心すべきところはそこかと言われそうだ。 「でも他には誰もいないんだし、いいんじゃないか」 「私がいるんですよ」 カチャリと音がしそうな程に、眼鏡を押し上げる仕草がさまになっていた。 なんとうか、とても古典的な図書委員。そう形容するのが一番正解に近いと思う。 確か同学年のはずだが、クラスも別であるため、川瀬さんに関する情報の持ち合わせはもうない。下の名前すら僕は知らない。 797 :私≠彼女 02 ◆RgBbrFMc2c :2010/09/10(金) 22 09 54 ID eQJGz00C 「そもそも、学校内での男女交際は禁止されているはずです図書室での決まりごとよりもよっぽど重要なことですよ」 「……前から思ってたんだけど、川瀬さんは生徒会長になるべきだよね」 「……それもまた古典的な生徒会長になりそうだけどな」 「……古典的って王道な感じでいいと思うよ私」 「……その前に川瀬さんが当選すれば校則強化は必須だ、誰も投票しないだろ」 「聞こえていますから」 声を細めてはいたものの、三人しかいない空間での秘密話なんてそうそう成立しない。 まあ、僕らに聞こえないようにしようなんて気遣いが全くなかったからだともいえる。 「それに、私は高校生活三年間を全て図書委員の委員会活動に充てようと思っているので、そんなものに立候補する暇はありません」 「自分で灰色学園生活のエンジョイ宣言しちゃったよ……」 今度こそぼそりと呟いた椚田と目を合わせて、そろそろ出るかということを確認し合い席を立とうとした時だった。 ガラガラ――ッと勢いよく引き戸を空ける音が室内に響き、その引き戸が壁へぶつかった衝撃音と共に 「みおちゃんゆうくん、みいいいつけたあああぁぁああ!」 爆音にも近い大声量の、聞き覚えのある声の持ち主が図書室へと入ってきた。 僕と椚田は慣れているため引き戸の音が聞こえると同時に耳を塞いでいたが、慣れていないらしい川瀬さんは目を白黒させてぐらぐらと身体を揺らせていた。 ああ、そういえば図書室へ襲撃に来たのは初めてか。ここまでくればもう兵器の威力だな。 「ふたりともひどいなあ! 今日は剣道の試合があるから見に来てっていったのに! もいくんは負けちゃったけど、あたしとこのちゃんは大活躍だったよ! さすがあたし、さすがこのちゃん! さてさてどうして来なかったのか理由を30字ぴったりで述べてね!」 無茶ぶりだ。 にこにこと笑顔でひたすら叫び続け(喋るという音量ではない)ながらポニーテールを揺らして近づいてくる小柄な先輩に、 とりあえず「すみません」と頭を下げた。 「椚田と話しこんでたもので」 「次の試合は見に行きますから」 ふたりで宥めるようにそう言うと、先輩は少しむうっと頬を膨らませてぷいっとそっぽを向いてしまった。 798 :私≠彼女 02 ◆RgBbrFMc2c :2010/09/10(金) 22 12 39 ID eQJGz00C 「次来なかったら、ホントに怒るからね!」 「わかりました」 空気を読んで、すでに怒ってるじゃないですかとは言わない。 もいくんとは、この人間拡声器という別称をもつ先輩――篠宮(しのみや)先輩と同じ剣道部に所属する僕の友人、雲井のことである。 それにしても、あいつ負けたのか。とりあえず、慰めの言葉を考えておこう。 「というかねっ、みおちゃんに返そうと思ってたものがあるから、ちょっと道場まで来てほしいと思ってね!」 「ああ、村主先生の課題レポートのですね」 「そうそう! あれめちゃくちゃ助かったよっ、むらさんの観点よくおさえられてて! これで評価はA行けそうだよ!」 「あの先生、結構やらしいところみてきますからね、正攻法じゃAなんて無理ですもん」 「そうなんだよそうなんだよ!! あたしのクラスで一番のかしこさんでも、毎回B+評価だもん! えっへっへ~みんなでいい評価とって、むらさんびびらせるんだあ!」 それは逆に不自然に思われそうだが、やっと先輩の機嫌が直ったところなので水はささないでおこう。 先輩に腕を引かれて出て行った椚田の「悠一君もきてね」という言葉に頷き、広げられたままの新書をもとの棚に戻してから椚田と自分の分の鞄を手に取った。 彼女の鞄が妙に重かったのは、きっと教科書をいちいち持って帰っているからだろう。 休日は勉強漬けで置き勉もしないとは、変なところで真面目な奴だ。そう受付カウンターの前を通り過ぎ、引き戸に手をかけたところで、 「遠野さん」 川瀬さんに呼び止められ、とりあえず足を止め振り返った。 「なに」 「前々から思っていたのですが……その、椚田さんは、どうしてあんなことができるんですか?」 怪訝そうに、そしてどこか不安げにそう聞かれて、僕は数回瞬きをした後その問いに答えた。 「あんなことって、教師のレポート観点を知ってるってところか」 「そうです。あなたたちは、ここでもよくテストや授業に関して妙な会話をしていますし……まさか職員室を荒らしているのではないでしょうね」 「さあ。聞くなら椚田に聞いてくれよ」 僕も知らない。教えてほしいぐらいだ。そう言い終えて今度こそ引き戸を開け、僕らは最後にこんな会話をした。 「いきなりですみませんが、あなたたちは本当にお付き合いをしているのですか?」 「いや、純粋な友達関係」 「純粋、ですか……しかし、それなら校則には違反していないのですね。それは良いことです」 799 :私≠彼女 02 ◆RgBbrFMc2c :2010/09/10(金) 22 14 16 ID eQJGz00C *** 「くーもーいー、もう疲れたし帰ろー」 「篠宮先輩が、戻ってくるまで帰るなって言ってただろ?」 「いいじゃん、試合おつかれさまーって感じで帰っちゃおうよー」 「お疲れ様の前に片付けな」 ぶつぶつと文句を垂れ流しながらも道場の片付けに励む緋本は俺の言葉へ「はいよ」とため息交じりに頷いた。 俺たち以外の剣道部員は今回の試合で芳しい結果を得られなかったため、篠宮先輩の刑罰宣言により道場裏の草むしりを行っている。 あの人は小柄で始終にこにこと笑っている可愛らしい先輩なのだが、部のことになると非常にスパルタになるのだ。 「みんな凄く頑張ったと思うよ! それは本当にそうなんだけどねっ、あたしも分かってるんだけどねっ、自分への戒めとして草むしり頑張ってね!」 道場内に大声を反響させてから、少し用があると言って先輩本人は素早くどこかへ行ってしまった。 ちなみに俺自身は負けている、にも関わらず道場内の掃除とはこれ如何に……緋本は結果を出したので当然だとして、これはおかしい。 「先輩に好かれてるからじゃないのー? うわあ、あやかりたいねー」 「んなわけあるか」 くるくるとした癖っ気のある茶髪を夕陽に照らし、緋本は皮肉めいた口調でそう言った。 先輩が俺を後輩以上に思っていることなんてあるわけがない。 それにしても、男女混合の部で男子は全敗、数少ない女子部員たちが全勝ってどういうことだ。情けないねえな男共、しっかりしろ。 その男共の中に自分を含めつつ、明日からの部活も頑張ろうと心に決めた。 誰とは言わないが、成果を見せたい相手くらい俺にもいるのだ。 しばらく緋本とは背を向け合ってお互い掃除に集中していると、道場の扉を開ける大きな音がしたので耳を塞いだ。 その数秒後、 「ただいまああぁぁぁああああ!」 という爆声音と共に帰ってきた先輩の方へ振り返ると、そこにいたのは篠宮先輩だけではなかった。 あの椚田ミオリも、いた。先輩の後ろ、入り口あたりで耳を塞いでいる。 どうして、こいつまでいるんだっ……。 800 :私≠彼女 02 ◆RgBbrFMc2c :2010/09/10(金) 22 15 33 ID eQJGz00C 「ああっとッ、もいくんとこのちゃんはみおちゃんと初対面!? じゃあ荷物とってくるから、その間に自己紹介でもどうぞ!」 ハイテンションにそう言って、篠宮先輩は奥へと行ってしまった。 緋本はけだるげに目を細めながら、俺は眉をひそめながら椚田と少し間隔をもって向き合う。 「1年C組の椚田ミオリ」 言って右手を軽く上げ、椚田はにこりと笑った。 「俺は、」 「1年E組の雲井君だよね」 「……雲井ー、知り合い?」 椚田から目を離さずに聞いた緋本の声は、いつも通りだるそうだった。 その言葉に首を横に振り「知らん」と返す。俺はまだ椚田本人と接触をとったことはなかった。 悠一を正気に戻すためにはいつか話を聞かなければいけないとは思いつつも、まだできていなかった。 得体のしれない体質をもつわけのわからない女と積極的に関わりたいと思えるほど、俺は物好きではない。 これを機に知り合っておけという何かのお達しだろうか。 「雲井君って、悠一君の友達なんだよね。もうすぐ、悠一君も来るよ」 「もう来てる」 そう言って入り口の影から淡々とした面持ちで出てきたのは、紛れもなく悠一だった。 「雲井負けたんだってな。次頑張れ」 「ありがとよ」 今回も頑張ったことは頑張ったんだけどな。地味に傷を抉る奴だ。 そうするのが当たり前のことのように椚田の横に立った悠一を見て、何なんだろうなあとため息をつきそうになったが、寸でのところでこらえた。 本格的に悠一へ忠告できないのは、椚田が悠一と付き合うつもりがないように見えるからだ。 それによって真意が全く掴めず、行動がとりづらい。 決定的な行動でもとってくれれば、それを理由に説得するなり問い詰めるなりできるんだがなあ……。 いや、ストーカー行為を許容してしまっているあたり、やっぱり説得は難しいのかもしれない。 違和感か……そんなものどうやれば取り戻せるんだろう。 「それで、君が大活躍の『このちゃん』か」 「雲井君のクラスメイトで、緋本此乃子(ひもとこのこ)さんだっけ」 「そーだけど」 クラスが同じというわけでも顔見知りというわけでもないのに名前を言われた緋本だったが、特に動じず頷いていた。 きっと悠一の言った『このちゃん』呼びは篠宮先輩の特権であるため、おおよそ先輩に話を聞いたのだろう。 椚田については今は何も言うまい。偶然知ったのかもしれないし、そうでないという可能性もある。 ちなみに、緋本も抗体のある体質ではないらしく、こうした部分へ違和感を持つことはない。 篠宮先輩もきっとそうなのだろう。なんだかひどく疎外感を感じた。 校内にひとりでも違和感を持っている奴がいれば、それだけで大分安心するんだけどな……。 「ちょっと、雲井」 「なんだよ?」 考え事をしている最中に緋本につつかれ目線をそちらへ向けると、 「椚田さんの自己紹介は聞いたけど、この男子だれ?」 「友達の遠野悠一」 「……遠野か。んー、りょーかい。ふたっともよろしくー」 寝ぼけているような口調で緋本がそう言い終えると同時に、再び道場の奥から軽い足音がドタドタと聞こえ始めたため、 四人一斉に聴覚器官の入口を封じた。 801 :私≠彼女 02 ◆RgBbrFMc2c :2010/09/10(金) 22 16 56 ID eQJGz00C 「自己紹介おわったかな!? わおいっ、ゆうくんも来てるねおっけおっけ! じゃあ、これ本当にありがとうねっ、みおちゃん!!」 「どういたしまして」 耳を完全に塞いだところでまだうるさい篠宮先輩から椚田は何やら紙袋を受け取り、笑顔で頷いていた。 ……何なのだろう。 「じゃあっあたしは草むしりに行ってくるから! もいくんこのちゃん道場よろしくね!!」 俺の疑問など露知らず、先輩は駆け抜けるように(実際駆け抜けていたが)にこにこと笑って道場裏へと向かって行った。 戒めとは言っても他人にだけさせるだけではなく、言いだした先輩本人もしっかりとやり遂げるため、試合直後に草むしりと言われても文句を言うやつはいないのだ。 「それじゃ、私は帰るね」 靴を脱ぐこともなく入り口でずっと立っていた椚田は、紙袋をもち直してからこちらへ手を振った。 とりあえず俺は「ああ」とだけ言って、緋本は「んじゃねー」と欠伸交じり。 「校門まで送っていく」 淡白にそう言った悠一に対し、椚田は嬉しそうに微笑んで「やったッ」と返事をしていた。 「雲井はまだ残ってるよな」 「あ? ああ……」 「なら、また戻ってくるから、一緒に帰ろう」 「わかった」 友達とは言え、男に下校の誘いをされるとは……なんてしょっぱいんだ。 何事か話しながら道場を去っていくふたつの背を目で追って、今度こそ俺はため息をつく。 「幸せはーため息つくと、逃げるんだー」 短歌のようなリズムでそう言った緋本へ向き直ると、そいつは珍しく目を完全に開けて、こういった。 「私、あいついやだよ」 *** 「ねー、悠一君」 「なんだよ、椚田」 「今さ、楽しい?」 「どういう意味で」 「学校とか、友達とか」 「まあ、楽しいな」 「そっかあ、よかった」 「それが何だ」 「何でもないよ、悠一君が楽しいならそれでいいんだー」 「そうか、俺もお前が楽しいならそれでいいよ」 「悠一君にそう言ってもらえて感動っ」 「大げさだろ」 「そうかな。大げさでも何でもいいよ、悠一君が楽しいなら」 「これからもっと楽しくなるといいね」 802 :私≠彼女 02 ◆RgBbrFMc2c :2010/09/10(金) 22 20 34 ID eQJGz00C *** 我慢だ我慢我慢我慢、我慢。 ああでも無理かなもう無理かもそろそろもうねえ限界、リミッター越え寸前誰か止めてくれればいいんだけど、誰かいるかな。 さてさてさてさて最初は誰にしよう彼に声をかけてくるあれか笑顔を見せるあれか彼に近いあれかさあさあさあどうしようね。 私はもう十分に我慢したよでも気付いてくれないんだもんならねさくっとぐいっとぼいっとがちゃっとぐにゃっとしようかな。 どんどんなくなっちゃえばいいんだよねえ消えちゃえばいいんだよ消してしまえばいいんだって私ずっと思っててね、あはは。 ええっと私が変だっておかしくなってるって? いやいやそんなことないよだって好きな人には自分だけ見てもらいたいもの。 こう思うのは当たり前でしょ、よし自己正当化完了私はもう限界を超えましたということでそろそろはじめようとおもいます。 てんきよほうではあしたのてんきはあめですよーって。 おもむきがありすぎ、むしろうんざり、だ。 明日は晴れがいいなー、雨って嫌いなんだね。あーあ。
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京太郎「はよーっす」 久「今日はちゃんと起きたみたいね」 京太郎「まあな」 京太郎(昨日は朝帰りだなんて言ったらどうなるかわかったもんじゃないな) 京太郎(よし、野依プロの話題は封印だな) 優希「そういえば、昨日プロを見かけたじぇ」 和「プロ……インハイの期間中だからでしょうか?」 咲「へぇ、私テレビでしか見たことないな。どんな人だったのかな?」 優希「なんかプンスコしてたじぇ」 咲「ぷんすこ?」 まこ「多分野依プロじゃな」 優希「おお、それそれ、それだじぇ」 和「野依プロですか……若い男性と朝御飯を食べていたとニュースになってますね」 咲「恋人なのかな?」 まこ「女子のトッププロは男の影がないことで有名なんじゃがの……」 和「写真もありますけど、ちゃんとは写ってないみたいです」 優希「なんだー、つまらないじぇ」 京太郎「……ふぅ」 久「なにホッとしてるのよ」 京太郎「してないしてない」 久「……」ジー 京太郎「な、なんだよ」 久「嘘ね」 京太郎「そ、そういえば!」 京太郎「和、サインしてくれないか!?」 和「さ、サインですか?」 京太郎「ああ、いきなりで悪いんだけど」 和(そんな、婚姻届にサインだなんて……) 和(いきなりすぎて嬉し……じゃなくて、戸惑っちゃいます) 和(でも、先輩が望むなら……!) 和「はい、構いません、むしろ是非っ」 京太郎「じゃあ早速この色紙に……」ゴソゴソ 和「え、色紙?」 京太郎「知り合いにお前のファンがいてさ、頼まれちゃったんだよ」 和「……」 京太郎「さ、サラサラっと書いちゃってくれ」 和「あ、はい」サラサラ 京太郎「サンキュ。じゃ、俺はこれを届けてくるから」ソソクサ 久「逃げたわね」 まこ「まーたなにかやらかしたんかの」 久「さぁね、とりあえずゴシップ誌にうちの副部長が取り上げられないことを祈りましょうか」 京太郎「お邪魔しまーす」 豊音「あっ、京太郎く――」 エイスリン「キョータロ!」ダキッ 京太郎「おっと、いきなり情熱的だな」 エイスリン「ニホンゴ、イッパイベンキョーシタ!」 京太郎「そいつは助かるな。こっちは英語は相変わらずだからさ」 エイスリン「ムム、フベンキョー」 京太郎「そう言うなって」ポンポン エイスリン「クルシュウナイ、フモンニショス」 京太郎「……なんか変な方に向かってないか?」 胡桃「あ! 早速不純異性交遊!」 塞「久しぶり、今日は一人なんだ」 白望「……ども」 豊音「え、エイスリンさんずるいっ」 エイスリン「トヨネ、ハンブンコ」 豊音「じゃあ、私はこっち側で」ギュッ 京太郎「おい待て、動けないんだけど」 胡桃「離れるのっ」グイッ エイスリン「ノーウェイ!」 豊音「わわっ」 京太郎「あー、話進めていいか?」 京太郎「これ、もらってきたぞ」 豊音「わぁ」キラキラ 塞「なにそれ? 色紙?」 胡桃「とりあえず怪しいものじゃないみたいだけど」 京太郎「俺をなんだと思ってるんだ」 エイスリン「ハラムラ……コノヒト?」サラサラ 京太郎「お、上手いな」 エイスリン「ヒビショウジン」 京太郎「そういや、そのボードはどうしたんだ?」 エイスリン「プレゼント、ミンナカラ!」 京太郎「俺が買ったのは使い切った感じか」 エイスリン「ウン……タカラモノ、イッショウ」 京太郎「嬉しいこと言ってくれるな」ワシャワシャ エイスリン「~~♪」 白望「ダル……お腹空いた」 塞「そういえば朝御飯まだだったね。須賀くんも一緒にどう?」 京太郎「あー、どうすっかなぁ」 京太郎(というか、久ちゃんたちもほったらかしだしなぁ) 京太郎(ほとぼりも冷めただろうし、戻るか?) 京太郎「やっぱ戻るよ。久ちゃんにどやされそうだ」 塞「あはは、かもね。じゃあ竹井さんたちによろしくね」 京太郎「わかったよ。小瀬川、元気でな」 白望「ダルくて死にそう。おんぶして」 京太郎「相変わらずみたいで良かった。じゃあな、エイスリンと姉帯とちっこいのも」 胡桃「ちっこい言うな!」 エイスリン「キョータロ、オゲンキデ」 豊音「……」 エイスリン「トヨネ?」 豊音「え? あ……ごめんなさい、サインが嬉しくてボーッとしちゃった」 豊音「こうやってサインもらうの、夢だったんだよ」 京太郎「……」 豊音「だから、ありがとね」 京太郎「色紙、何枚ある?」 豊音「え?」 京太郎「あと何枚かでいいんだったらもらってきてやるよ。超大物からさ」 京太郎「さて、預かった色紙は5枚……ちょうど知り合いの女子プロと同じか」 京太郎「小鍛冶さんとはやりんと三尋木プロは連絡先知ってるけど、藤田さんと野依さんは知らないんだよな」 京太郎「野依さんはホテルの方に行ってみるとして……藤田さんのほうは久ちゃんに相談してみるか」 京太郎「ま、連絡は朝飯のあとでだな」 久「靖子のサイン?」 京太郎「どうにかなんないか?」 久「連絡とるぐらいだったらできるけど……」 京太郎「やっぱり忙しいかな」 久「その前に、それって姉帯さん絡み?」 京太郎「よくわかったな」 久「あんたがサインほしがる理由なんて、それか転売かのどっちかでしょ」 京太郎「じゃあのどっちで」 久「あんたはなにを言ってるのよ」 京太郎「冗談だよ……大体、はやりんのサインを他の誰かに売るわけないだろ」 久「あー、はいはい、そうだったわね」 久「まあいいわ。靖子のは私がもらっておくから」 京太郎「え、マジで?」 久「ほら、早く渡しなさい」 京太郎「よし、じゃあ頼んだ」 久「じゃ、あとで色々聞かせてもらうから」 京太郎「う……わ、わかったよ」 理沙「ど、どうぞ」 京太郎「お邪魔します」 理沙(昨日の今日で訪ねてくるなんて……もしかして脈アリ!?) 理沙(どうしよどうしよっ!? まだ心の準備が……!) 理沙(こ、ここは落ち着いて深呼吸)スーハー 京太郎「いきなり本題に入らせてもらいますけど」 理沙「はいっ」ドキドキ 京太郎「頼みがあります。野依さんにしかできないことです」 理沙(私にしかできないこと……) 理沙(こ、恋人になってほしいとかっ)カァァ 理沙「そ、それでっ」ズイッ 京太郎「サイン、もらえます?」 理沙「……書いた!」プンスコ! 京太郎「ありがとうございます」 理沙「どういたしまして!」プンスコ! 京太郎「……怒ってます?」 理沙「知らない!」プンスコ! 京太郎「……なんかしたかな、俺?」 京太郎「怒ってない、じゃなくて知らないだもんな」 京太郎「やっぱ怒ってるってことだよな」 京太郎「……まあ、次行くか」 健夜「えっ、サイン!?」 京太郎「お願いします」 健夜「こ、これでいいかな?」グギギ 京太郎「いいと思いますよ」 京太郎(字は思いっきり歪んでるけど) 京太郎(この人、サインしたことないのかな?) はやり「サイン? いいよっ☆」サラサラ 京太郎「こ、こっちにもお願いします!」 はやり「えー? 京太郎くんにはこの前もあげたと思うんだけどなぁ」 京太郎「いくつあっても足りませんから」 はやり「しょうがないなぁ……じゃあ」チュッ はやり「キスマーク付きで☆」 京太郎「……」グッ 咏「サイン? 別にいいよ」 京太郎「じゃ、サラサラーっとお願い」 咏「いいとは言ったけど、タダとは言ってないんだよねぃ」 京太郎「……何が目的だ」 咏「さぁ? 保留ってことで」 京太郎「くっ、はやりんはタダでくれたのにっ」 咏「それはそれ、これはこれ」グリグリ 京太郎「扇子でグリグリすんなよ」 咏「なんかムカつくから仕方ないんじゃね? 知らんけど」 靖子「サイン? 別に構わないが」 久「じゃ、お願いね」 靖子「しかし瑞原プロならともかく、私にとはね」 久「あら、靖子のプレイスタイル、盛り上がるから私は好きだけど」 靖子「君にもサイン、書こうか?」 久「まこの店にでも飾ろうかしらね」 靖子「おいおい」 京太郎「集まりました!」 豊音「こ、これ本物なのかな?」 京太郎「そこは保証する。間違いなく本物」 京太郎(というか、今日中に集まるとは思ってなかった) 京太郎(昼休みだったからかもしれないけど、もしかして案外暇だったのか?) 豊音「きょ、京太郎くぅん」ポロポロ 京太郎「ど、どうした?」 豊音「私の名前、書いてるよぉ」ポロポロ 京太郎「あぁ、そう頼んだからな」 豊音「ちょー嬉しいよぉ」ポロポロ 京太郎「まぁ、とりあえず涙ふけって」 豊音「う、うん」 豊音「ありがとうございますっ」フカブカ 京太郎「別にいいって。友達だし」 豊音「お友達……うん、そうだよね」 豊音「私の初めてのお友達……」ギュッ 京太郎「……今日の抱きつきはソフトだな」 豊音「ダメかな?」 京太郎「いや、悪くない」 京太郎(柔らかい感触とかな) 京太郎(小さい頃、母さんに抱きかかえられてたことを思い出す) 豊音「京太郎くんはさ、誰かと恋人になったらなにしたい?」 京太郎「友達の次は恋人か。欲張りめ」 豊音「そ、そういうことじゃなくてねっ、ちょっと気になったから」 京太郎「恋人なぁ……」 京太郎(ある、めっちゃある) 京太郎(18歳未満お断りなこともしたい) 京太郎(でも、この場に即したことを言えば……) 京太郎「こうやって抱きつかれてるのもいいかもな」 豊音「ほ、本当? 背の高い女の子でも気にしない?」 京太郎「それも個性だろ、きっと」 豊音「そうかな?」 京太郎「そうだよ」 豊音「……うん、そうだね、きっと」ギュッ 豊音「じゃあね、京太郎くん」 京太郎「ああ」 京太郎「……こうして過ごしてる分には影響ないんだよな」 京太郎「ま、しばらく麻雀はできないな」 京太郎「意識しすぎたらダメって……今は無理だろ」 京太郎「ほんと、扱いに困るな、これ」 京太郎「それもこれも、俺の自惚れじゃなきゃだけど」
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「君の彼女になってあげる!(きみのかのじょになってあげる!)」とは、短編企画「空白」に投稿された作品である。作者は糠る海ルミ。愛称は「きみかの」。 жжжжжж目次жжжжжж 概要 あらすじ 登場人物 筆記試験第三十問について 関連項目 リンク жжжжжжжжжжжжжжж 概要 『ポケットモンスター』を題材にした、短編作品である。 短編企画「空白」に投稿された話の中でも異色臭を強く放つ作品で、思いつきとテンションだけで書き上げられた良くも悪くも作者らしさを表現した内容となっている。 ポケモンノベルでありながら、後述するようにポケモンはツタージャ以外一切登場しない。しかし、随所でポケモンの名前を用いた比喩表現などがふんだんに盛り込まれている。 あらすじ 「君の彼女になってあげる!」 恋愛経験ゼロ、町の“外”には一歩たりとも出た事がない、二十歳の引きこもり青年“ユート”の前に突然謎の美少女が現れて、そう告げた。ただし、少女は条件を突きつけてきた。それは、進化の石をプレゼントして欲しいとの事だった。進化の石をこの地方で手に入れるためには、許可証持ち【トレーナー】になるしかない。ポケモンなんて触った事はおろか、見た事すらないし、欠片も知識を持ち合わせていないユート。そんな彼がそう易々と許可証持ちになれるわけがない。だが、謎の美少女に一目惚れしてしまったユートは、どうしても彼女を物にしたい。そんなユートの元に、許可証持ちになれる話が舞い込む。 登場人物 ユート この物語りの主人公。男。二十歳。無職で引きこもりの典型的な駄目人間。ルックスの善し悪しについては作中では触れられていないため不明だが、美少女が「ブ男」と呼んでいる点からあまり良い方ではないと推測される。自分の部屋にいる時はゴーリキーより薄着をしている。つまり全裸。 己の欲望に忠実で、特にその性欲の強さは、ろくに解消される手段を持ち合わせていないためか鬱積しているらしく、並大抵でない。更に根性無しで図々しいどうしようもない性格。熱し易く冷め易い。ポケモンに関する知識や接触した経験は無に等しい。 名前の由来は、ユートという響きがニートと似ているからという単純な理由である。 謎の美少女 突如ユートの前に現れ、彼女になる事を条件にユートに進化の石を手に入れるよう依頼に来た少女。彼女の素性はほとんど作中でも解明されておらず、名前すら明らかになっていない。 端麗な容姿の持ち主で、具体的にどのような姿なのかは書かれていないが「ピカチュウやらミロカロスやら、ポケモンの名前を引き合いに出そうものなら、そのポケモンがかわいそうな程」と表現されている。 性格は非常に傲慢で暴力的。人に痛みや苦しみを与える事で快感を得るサディストで、事あるごとにユートを徹底的に痛めつけている。口も大分悪い。 所持しているポケモンはつるのムチ、リーフストームなどを覚えたツタージャ(性別は不明だがメスを希望)。他にもポケモンを持っている可能性はあるが、物語りにはツタージャ以外のポケモンは一切登場しないため不明である。また、ポケモンを所持していながら進化の石を欲しがっているため、彼女は不登録【アウトロー】である可能性がある。しかし、そうなると彼女はどうやって町の中に入ったのか分からないため、結局のところ彼女の正体は謎である。 筆記試験第三十問について 作中でユートは筆記試験に挑戦する。その問題は○か×を解答欄に書き込むタイプの二択問題で、問題の内容自体もほとんどがポケモンの基礎的な知識を問う、簡単なものばかりである。更にその問題の答えは全て○。しかし、最終問題(第三十問)で『ラムのみを持たせたポケモンが二つの状態異常に同じタイミングでかかった時に、そのポケモンがラムのみを使用した場合、両方の状態異常を回復する』というものがある。この問題の正解は○で、作者糠る海ルミがゲームをしている時に偶然発見し、問題として思いついたものである。作者は裏話で「つーか、ぶっちゃけこの小説はその知識をひけらかしたかっただけだったりします。」と語っている。 関連項目 糠る海ルミ 短編企画「空白」 リンク 作品本編
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7月某日 3話 文月 朝顔編 まだ梅雨の気配覚めやらぬ7月。 彼女は6月まで目にかかっていた前髪を直し、ツインテールに纏め上げて衣替え(ちょっと違うか…)を果たし、7月のあいつになっていた。 あの、いつもツンケンして可愛くないアイツに…… 「ほら、星霜! やる気あるわけぇ?」 「あるよ……ほら、手伝え! てめーの部屋だ」 5月6月と掃除のできない人格が続いたため、部屋は凄惨なことになっていた… 文月はそれを憂い、大掃除の宣言をだしたのだ……そんなことどうでもいいが、俺を巻き込まないで頂きたい。 「ぐだぐだうっさいわね! ほら手を動かす!!」 この暴虐不尽なるお嬢は、命令だけする癖して結局何もしていない…むしろ動いてもらったほうが迷惑なだけだが。 なんか、理不尽なのは俺だけだろうか? 釈然としない思いを抱え、ボロい安アパートの狭い部屋の掃除をすることになったのだ。 彼女特有のイライラとした怒りを内に隠した瞳が、全方位警戒態勢で俺の掃除を監視しつつ、彼女は急に口を開いた。 「ねえ、あんたさ……アノ子の気持ち受け取って上げたわけ?」 「アノ子って……お前の場合、卯月か?」 文月は質問には答えず、答えを促すようにこちらを睨み続ける。これは無言の肯定を示していた。 「出来なかった……あいつは……本当に真剣だ。だから軽い気持ちでハイとはいえない」 「………ねぇ、あんた…それ、本気で言ってるわけ?」 空気が…凍る。彼女のものとは思えない強い強い声は、ずしんと俺の心まで響いた 「あいつだけじゃないよ! 他の子だって、ずっとずーっと真剣なんだからねッ! わかっていってるわけ? しんじらんない……サイテー」 なに言ってんだこいつ? 「俺はそうは言ってないだろ?」 「じゃあ、なんで皐月ちゃんのとき…あんなによくしてあげたのよ」 「っ! ………」 言葉に、詰まった。俺はいつもと違う彼女を見て、ちょっと混乱したのだ……違う、そんな理由じゃない。 じゃあ、なんだ? 俺はあの時確かに、皐月に対してちょっと甘かった気がする…でもそれは咎められるような事か? 「本気で言ってるわけ? もういい、知らないッ! 出てってよ!!」 「なっ…おい!ああ、クソ出てってやるよ!」 何で俺が悪くなるんだよ、クソッ。 悪態をつきながら出た共通廊下は雨が差し込み、庭には大家さんが手入れをしているのだろうアジサイが咲いていた。 彼女と喧嘩をしたまま、一週間が過ぎた。 昼休み、期末試験も近くなりごった返す食堂の中、四葉は遠くに見えるのに文月はここには居なかった。 いつも一緒の彼らにとっては、とても珍しいことといえる。7月だけは例外的だった。 ( A`)「四葉の野郎、どうした? 喧嘩か?」 ( ^ω^)「アノ二人は7月になると必ず喧嘩するおっ」 ( A`)「仲が悪い……ってわけじゃないんだろ? なんでだ?」 ( ^ω^)「……よくわからんおっでも、仲直りしてほしいおっ、ちょっと話だけでも聞いてみるおっ」 ( A`)「行っちまいやがった…マンドクセ」 しばらくして、内藤が四葉を引き連れてドクオと同じ食卓を囲む。 内藤たちからの質問に、はじめは何も伝える気はなかったが、ちょっとずつ、文月との喧嘩について触れていった。 説明を受け、呆れ顔の二人は最後にきっぱりと言い放った。 ( ^ω^)&( A`)「「それはお前が悪い」おっ」 ( A`)「あのなあ、文月ちゃんはお前が皐月に優しくしたことじゃなくて、卯月につらくあたったことに怒りを示してんだよ」 「はぁ? だって、俺にはあいつが居るんだぞ?」 俺は意味がわからない、とでも言うように、疑問をぶつけたが帰ってきたのは呆れ顔だった。 ( A`)「お前な…まあ、いいや頭冷やして考えてろ、悩め悩め青少年……マンドクセ」 それだけ言い残すと、ドクオは残った蕎麦を掻きこんで、食堂を離れていく。 ( ^ω^)「あっ、待ってお…文月ちゃんには謝っておいたほうがいいお……あ、置いてかないでおっ」 こんなときに親友は、俺を置いて去っていく……弁当の冷たいご飯がなんか、いやだった。 部屋に帰るまでの沈黙が、隣にあいつが居ないことを痛感させる。 傘を持って歩く蛙のなく声に、意味のないイライラと哀愁を感じる。 居ないだけで、こんなにも大きかったのかと、心を蝕んだがなんとなく認める気にはなれなかった。 そんな時、携帯が胸で振るえた、アイツからだ。 件名:傘忘れた ごめん、持ってたよね? 持ってきて… まだ学校からはそんなに離れてない。5分待ってろと打ち込むと、きた道を全速力で駆け戻った…なんだ、うれしいんじゃないか、俺。 きた道を戻れば、昇降口にたどり着く前に彼女の姿を見つけることが出来た。 強く降りしきる雨の中、鞄を傘代わりにこちらへ駆けて来たのだ。 「え? …なんであんたが……」 「は? いや、お前が連絡してきたんだろ?」 「なにそれ?……あっもしかして…」 急に言い淀む彼女をはびしょ濡れで、なんかドブネズミみたいになってる癖して妙に色っぽくて…とりあえず、手招きした。 「入れよ…濡れるだろ?」 「どうしたの? なんかアンタらしくない…」 男物の黒くて大きな傘に潜るように入り込み、彼女は疑問をぶつける。俺は答えず、軽く微笑みかけてまた帰り道を歩き始めた。 「頼られてるのよ、私」 「誰に?」 彼女は、歩きながら訥々と語り始めた。なんでだろう、ちょっと、いつもと違う雰囲気を感じて俺は神妙に返す。 蛙はいっそう五月蝿く鳴き始め、彼女の小さな声など飲み込んでしまいそうで、だけど、決して聞き漏らさないように俺は耳をそばだてた。 「桜……卯月 桜にね」 初耳だった。そういえば、俺と一緒に居ないときの彼女たちは、いったいどのように生きているのだろう? いまさらかもしれない疑問が、ふつふつと浮かぶ。だけど、今は彼女の言葉を受け止めるので精一杯だった。 「桜は、何でも背負い込んじゃうから……私が見ていないとね?」 「うん」 ──卯月につらくあたったことに怒りを示してんだよ。 友人たちの声が聞こえた気がした、なんだ、一番理解していたようで、大事なところで理解できていなかったのは俺じゃないか。 「……わるかった」 「ばか、今謝ってもしょうがないんだからっ本当に悪いと思うなら、来年、卯月にあって態度で示しなさい。今日のことは言わないであげるから」 今は、本心を伝えなければならない気がして、俺はこいつに隠していたことを伝え始めた。 「なぁ、俺はアイツに惚れたんだ…あの時あいつからのプレゼントを貰えた」 「へーそうなんだ」 "やっぱり"、文月は知らないようだった 「だけどな、お返しくれるって言って、その気持ちを聞く前にアイツはアイツじゃなくなっていた」 つらい沈黙が俺たちを包む。 「だから、初めて知ったとき俺はお前たちを好きになれなかった」 「それが…桜?」 「間が悪いよな…だから、素直に直向に気持ちをぶつけて来る彼女に対して、素直になれなかったのかもしれない。だけど、多分違う……今はわからないけど、俺の多分ひどく利己的な内容だったと思うんだ」 「……なにそれ?」 彼女は理解できないという風にこちらを見上げた。濡れた髪が肌に張り付き艶かしい…雨はいっそう強くなったようだった。 「なんか引っかかるものがあるんだ、だから、卯月に会うまでにそれを理解しておく…それでいいか?」 暫し勘案の後、だがやがて納得したように俺を見上げると彼女は 「……わかった…だけど、桜を傷つけたら許さないからねっ」 と、明るく言って走り出す。傘の恩恵を離れ、蛙たちの合唱する雨の世界へと飛び出した。 「おいっ! ズブ濡れになるぞ!!」 「もうなってるっつの! ……桜を泣かすアンタなんか大っ嫌いだっ!」 それだけ叫ぶと、彼女は速い足を生かし、俺をグングンと引き離す。傘を握る俺はその俊足に追いつくことは出来なかった。 あーぁ…アイツ、最近答えに近づいてるなぁ…そしたら私たちは…ううん、違うよね。 桜を泣かすアイツなんか大っ嫌いなのに……鈍感で気の利かないあいつなんか大っ嫌いなのに…なんで涙が出てくるんだろ? もっと素直になっていい、のかな? でも、怖いよ…… 見せたくないから、走って逃げちゃったけど、ずぶ濡れだなぁ 思い、鏡を見ると夏服の薄いセーラー服の間からちょっとだけブラが透けて見えていた。 瞬間顔が沸騰したように熱くなる……もうっあいつなんか、大っ嫌い!! 3話 文月 朝顔編 完
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5- ぐったりとリリスに凭れかかるラムザ。 「貴様、ラムザに何をしたッ!?」 「暴れたら面倒だから、寝て貰っただけ。―今夜は良い夜ね」 「何!?」 「お酒の匂いでまた来てみれば、お酒の他にオ・ト・コ付き☆」 「ふ、ふざけるなッ!だいたい、逃げられると思うか!」 聖剣技を繰り出す。 リリスはラムザを離し、回避する 「聖剣技が使えるのね~。感心感心」 「ああ。神の加護より繰り出される剣技だ。ラムザは渡さんぞ、妖魔!」 「"は"…って。何?貴女、仕事よりラムザちゃんが大事なの?」 「む…つ、積み荷も渡さんぞ!」 「! は~ん、貴女、彼のこと好きなのね?」 「そ、そんな事は―」 「そう、そうなんですよ!隊長は――」 「アリシアァ!」 「………ゴメンナサイ。何デモナイデス」 「ラムザは隊の長だ。…尊敬はしている」 「それだけ?」 「それだけだ!」 「ふ~ん、そう」 少し思案した後、リリスは予想外の言葉を発した。 「ねぇ、貴女のしぶとさに免じてお酒、置いていってあげる」 「何?」 「お酒も良いけどたまには男も良いな~って☆」 「ふ、ふざけるな!それに貴様を倒す事がそもそもの目的!!積み荷は消えても、貴様をかえすわけにはいかん!」 「あ、そう。馬鹿ね貴女。折角私が見逃して上げるって言ってるのに」 リリスはヤレヤレと肩をすくめた。 「私ね。リリスの中でも結構好き嫌いない方だけど、どうしても我慢できないものがあるの。それが―」 高スピードで跳躍してくるリリス。 「―貴女みたいに自分の気持ちに嘘をついてる人よっ!!」 アグリアスに爪攻撃を仕掛ける それをを左後方に転がり避ける。 起き際に聖剣技を繰り出そうとするが、見当たらない 「鈍~い♪」 右後方から声がし、咄嗟に盾で防御 リリスの回し蹴りをもろに食らい吹っ飛ぶアグリアス。 「ホーリー!」 アリシアが唱えたホーリーがリリスに直撃する 「うふふ♪私には聖魔法なんて効かないわよ?」 「青き海に意識薄れ、沈み行く闇 深き静寂に意識閉ざす… 夢邪睡符!」 アリシアが力なく倒れる。 「ホーリーが駄目なら、これならどうだ!」 アグリアスの乱命割殺打がリリスに向かって放たれる。 しかしリリスはさっと飛び去り、聖剣技を避ける。 「はい、ハズレ」 「チッ!」 「貴女はだいぶ鍛錬を積んでるわね」 「何だと?」 「剣技を見てれば判るわ。所々鋭く、綺麗な剣線をしてるもの」 「――何が言いたい」 「リリス族って、相手の心が読めるの。心に隙のある人は特にね。だから貴女の攻撃も避けれた」 心が読める?―剣を極めて行くと相手の心が読めるようになると聞くが・・・。 「そんなんじゃないわ。例えば…ふ~ん、貴女、今の隊に居場所がないようね。強い人が入って居場所がなくなったってところかしら?」 ――! 本当に自分の心が読まれている事をしり、動揺を隠せない。 「その人が入るまで自分は腕のたつ剣士だ~、そこら辺の騎士より優れている~って思ってたでしょ?そう言うのをね、慢心って言うのよ!」 リリスの爪がアグリアスに迫る。 「クッ!」 アグリアスは迎撃するように剣を振る。 しかし、驚いた事にリリスの爪はアグリアスではなく、剣をしっかりと掴んでいた。 「貴女より強い人間なんて沢山いるわっ!―自分の慢心に気がつかない限り、貴女の居場所は見つからないし、自分より強い人にも勝てない! どんなに鍛錬を積んだってねッ!!」 言い終わるや、もう片方の爪がに迫る。 アグリアスはそれを寸前のところでかわす。 だが避けた直ぐ後、爪を追うように回し蹴りが迫って来た。 「心が影響を及ぼすのは剣だけじゃないわ。当然動きも鈍る!!」 ――避け切れない! アグリアスは咄嗟に盾で防御をする。 「そんなヘタれた盾じゃ防げないよ!」 リリスの回し蹴りをもろに受け盾が砕ける。 衝撃で吹っ飛んだアグリアスは山の岩肌に叩きつけられた。 「グハッ!」 拙い―!予想よりダメージが大きい。 だんだんと口の中に血の味が広がるのを感じる。 「あはは☆――動きも鈍い、剣も鈍い、そして自分の気持ちにも鈍い!ホントにイライラすわ、貴女を見てると!!」 確かに自分は慢心していたのかもしれない。 以前から雷神シドの噂は聞いてたし、騎士として尊敬している人物である。 騎士団時代はそのオルランドゥをも超えるよう鍛錬を怠らないようにしていた。 だから、聖剣技を自在に駆使し、ラムザと一緒に旅をするようになってからも頼りにされていた。 多種多数のモンスターを倒し、伝説に詠われるルカヴィとも渡り合った。 それがため、「もはや自分はオルランドゥ伯に並んだ。いや、超えたかも知れぬ」と慢心に繋がっていたのだ。 6- アグリアスは重い体に鞭をうちなんとか立ちあがる。 「まだ戦うの?シブトイわね」 戦況は確実に不利。 敵にこちらの攻撃はあたらなく、盾も壊れてしまった。 叩きつけられた影響で、体も重く感じる。 ケアルで何とか出来るだろうが、唱えている間にやられるのがオチだ。 「ねぇ、最後に教えてよ。何のために剣を振るうの?」 剣を振るう理由、戦う理由―― 「名誉を挽回したいから?」 そうじゃない違う。 「アハハ!騎士って人種は本当に哀れね。民を守るとか言いながら、心の中では卑下している。貴女が騎士になったのも地位と名誉が欲しかったからなんでしょ?」 私は―――― 「サヨウナラ、騎士さん」 リリスの爪がアグリアスに伸びる。 その攻撃を剣で弾くアグリアス。 「―確かに私は弱い。慢心し、守るべき君主の側にも居ず、今も貴様にやられそうだ」 突然のアグリアスの言葉に怪訝な顔をするリリス。 だが、止めを刺さんと再び回し蹴りを繰り出す。 「だが、どんなに弱くても、どんなに鈍くても譲れないものがある」 回し蹴りをしゃがんで避けるアグリアス。 「権力や地位など関係ない」 右斬上に剣を振り上げる。 「助けを求められれば助けたい」 (早い―!?) 予想外のスピードに避ける事も出来ず慌てて爪で受け止める。 「大切な人を守りたい」 リリスはいったん距離を取ろうと翼を羽ばたかせる。 「私は、私を必要としてくれる者の為に戦う!それが私の戦う理由だ!!」 アグリアスは逃げようとするリリスの手を掴む。 「死兆の星の七つの影の 経路を断つ! 北斗骨砕打! リリスはアグリアスに掴まれ避ける事ができず、放たれた北斗骨砕打が体を貫いた。 「あ…」 小さく呻き崩れ落ちた。 暫く倒れたリリスの様子を伺うアグリアス。 リリスからは殺気も戦意も感じ取れない。 北斗骨砕打が綺麗に決まったから良いようなものの、決らなかったらやられていたのは私の方だった。 妖魔リリス――、破廉恥で心を読む厄介な敵だった。 だが、おかげで自分の間違いに気づく事ができた。 それに忘れれかけていた戦う理由も。 きっと止めを刺そうとすればいつでも刺せたのだろう。 何のためにリリスがあんな無駄口を叩いたのかは判らない。 そういう性格なのかもしれない。 ――だが、もしかすると自分を諭すために? もしそうだとするなら相当な御節介者だ。 「…!」 突然、眩暈がし思わず片膝を付く。 やはり叩きつけられたダメージがそうとう効いているようだ。 ケアルラを唱え、体力の回復を図る。 癒しの光が体を包み、次第に体も軽くなって行く。 積み荷も完全な状態とは言えないが、なんと守る事も出来た。 ラムザとアリシアも夢邪睡符で寝ているだけだから、問題あるまい。 しかし、依頼とはこんなに大変なものなのだろうか? だとすればいつも儲け話に行っているラヴィアン・アリシアの評価をもっと上げる必要があるな。 ケアルラをかけ終わり、体に力が戻って来たのを確認するアグリアス。 ふと視線を上に戻すと、そこに倒れているはずのリリスの姿がない。 「逃げた――か?」 そう思ったが、倒れていた場所に掌大の石像が落ちている。 それは羽の生えた女性像で先ほどまで倒れていたリリスに似ている。 「あぁ、そうか。リオファネス城で倒したアルケオデーモンも倒したら石になったな」 悪魔種とはきっとそういうものなのだろう。 アグリアスは地面に落ちているリリス像を手に取った。 ――フフフ。私を倒すなんてやるじゃない。これからは自分の気持ちに正直になりなさいよ そんな、リリスの声が聞こえた。 少し驚いたアグリアスだが、直に苦笑する。 「本当に御節介だな、貴様は」 7- ハッー!ヤッ!フッ! ラムザ一行が宿泊する宿の裏手で、アグリアスはいつものように鍛錬に勤しむ。 依頼を受けてから4日目でドーターに戻った。 酒場では異例の速さに報酬にイロを付けてくれ、休暇を楽しんでいたメンバーも称賛の言葉をかけてくれた。 だが、夜間戦闘からの帰還で眠さがピークに達していた為、直ぐに寝てしまった。 そして今日にはドーターを発たなくてはいけない。 だから、朝から鍛錬に勤しんでいるのだ。 そんなアグリアスを心配して、ラムザが声を掛けて来た。 「アグリアスさん、大丈夫ですか?昨日帰ったばかりなのに休まなくて」 「なに、心配するなラムザ。今日は素振りだけにするよ。あと300回程で止める」 (300回のどこが軽いんだろう?) ラムザも鍛錬をするが、300回と言ったら普通の鍛錬と変わらない気がした。 「おぉ、今日も鍛錬をしておるのか。結構結構」 「あ、伯。おはようございます」 「おはようございます、オルランドゥ伯」 「うむ、二人ともおはよう」 一旦、素振りを止めたアグリアスだが、挨拶を終えると直ぐに素振りを始めた。 そんなアグリアスをじっと見るシド。 「―うむ。迷いがない良い剣線だ。迷いが吹っ切れたようだな」 「はい!ですが、まだまだオルランドゥ伯の足元には及びません」 「なに、儂は長い年月を経て今の力を手に入れたのだ。きっと貴殿と同じ頃の儂なら負けておるよ」 「ご謙遜を」 「ときにラムザ。報告書は読ませてもらったよ、妖魔リリスとはなかなかの相手だっただろう」 「いえ、僕なんか直ぐに眠らされちゃって戦ってないんです」 「ならば、君もアグリアスを見習って鍛錬に勤しむがよい。 君はどこか自分の命を軽率に見ている感がある。 己が死んでしまったら、多くの人が悲しむことになる。そうならないようにな」 「はい」 シドの言葉をおもおもしく受け止めるラムザ。 「とこで、リリスを倒したとなれば、リリス像が手に入ってのではないか?」 「あ、はい。あの像ですか。他の財宝と一緒に管理してありますよ?」 「うむ、昔からリリス像は持つ者の力を高めると云われ、歴代の武人が好んで収集したものなのだよ」 「へ~」 「でな、少し儂に貸してくれんか?」 「え?構いませんが――」 「そうかそうか。ではさっそく―――」 上機嫌に去っていくシド。 「ねぇ、アグリアスさん」 「何だ?」 「伯が言っていていたように依頼を終えてから、 特にリリスを倒したあとから以前のように何か吹っ切れたような気がするんですけど、何があったんですか?」 「ん―知りたいか?」 アグリアスは素振りを止め、ラムザに向き合う。 「ラムザもアリシアも眠らされた後も、あのリリスは色々な罵声を私に浴びせて来たんだ。 その中でリリスは私に戦う理由を詰問してきた」 「戦う理由ですか?」 「あぁ。だから言ってやった。私は私を必要としてくれる人のために戦うのだと」 「―なるほど。でも、リリスも何でそんな事を言ったんでしょうね」 「さぁ、私にも判らない。だが、おかげで自分を再認識する事が出来た」 少し間が空いた後、アグリアスが真剣な面持ちで言う。 「ラムザ、これからも――私を必要としてくれるか?」 それはとても深くて、重みのある言葉。 だけど、ラムザはいつもの笑顔で答える。 「もちろんです。僕にはアグリアスさんが必要です」 「ありがとう」 ラムザは出発の準備をすると言い、その場から離れて行った。 それを見送り、アグリアスは鍛錬を再開する。 正直にいえば、自分の気持ちを伝えたかった。 リリスは自分の気持ちに正直にと言っていたが、今はその時ではない。 ラムザはその身にアルマの事、ルカヴィの事、隊のメンバーの事などたくさんの重荷を背負っている。 そこに自分の気持ちを伝えれば、良いにしろ悪いにしろ私はスッキリするだろう。 だが、それはラムザにまた一つ重荷を背負わせる事に他ならない。 ならば、今は言う時ではない。 今は側にいてラムザを支える――― それが最善の方法だろう。 剣線は 黒珊瑚の海から吹きあげる風を切っていく。 その剣の鍛錬に一層の気合が入る。 以前のように己のためではなく―― ―――――その剣で自分の大切な人を守るために。 次の朝――― 「あれ~、フェニックスの尾が減ってる…。おかしいな~?昨日確認した時はもっとあったのにな」 「ラムザ!」 「あ、アグリアスさん。丁度良かった―って、どうしたんです?そんなに怖い顔して」 「見てくれ、これを!」 「あぁん、返してくださいよ!私のお酒ぇ~」 「あ、これって依頼で運んだ―」 「そうだ。幻の酒と言われるバッカスの酒だ!」 「でもあれってリリスに全部飲まれたんじゃ?」 「たしか もう飲んじゃったって」 「ヘッヘー、このアシリアがちゃんと手を打っておいたんですよ♪」 「お前が隠しておいただけだろうが!!」 「良いじゃないですか一本くらい。私達のおかげでイヴァリース中においしいお酒が届くんですから」 「だからと言って積み荷を盗ってしまっては盗賊と同じだろうがッ!!」 「む?なんの騒ぎかね?」 「あぁ、伯、見てください。アリシアが―って風呂あがりですか?」 「うむ。昨日の夜は少し鍛錬に気合が入りすぎての、朝までヤってしまったわい」 「朝まで鍛錬とは…私も頑張らねば」 「イイ汗かいたおかげで若返ったようだ!」 「そうそう、ラムザ。フェニックスの尾が必要だったのでちょっと使わせてもらったぞ」 「あ、伯だったんですか?でも、鍛錬でフェニックスの尾なんて何に使ったんです?」 「レイズでも良いのだが、それだとかなり手間がかかるのでな。体力がギリギリの状態で生き返ってた方が、鍛錬に勤しめるのだよ」 「?」 おしまい
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脚本が延期された日 サークルの集まりの場所として利用している部室で、僕は彼女と向かい合っていた。 歴代の部員が厄介払いとばかりに残していった雑多な物は、部屋の隅の段ボールに入れられており厚く埃を被っている。 掃除をあまりしないせいかあるいは物が多すぎるせいか、恐らくは両方が原因なのであろうが、 ともかくも古びた図書館の匂いがする部屋には、いつもは大勢のメンバーが揃っているのだが、 今は丁度僕と彼女しかいなかった。 一応は物がどけられている机の向かいに彼女は座り、僕が作ったシナリオを読んでいる。 普段彼女が他のメンバーと一緒の時には、それ程彼女については印象に残っていなかったのだが、 閉じた部屋の中で二人っきりでいると、急に彼女について意識をしてしまう。 細い体と白い首筋、小さく閉じられた形の良い赤い唇、ページの上を忙しなく動く赤い目、 綺麗な彼女に目を奪われてしまいそうになり、衝動を紛らわせるために彼女に気づかれない様に口の中をこっそり噛む。 暴れそうになる手を押さえるために膝の上で握り拳を作り、膝に押しつけて視線を固定する。 そして息が荒くならないように意識を内面に持って来て心を落ち着かせようとしていると、 シナリオを読み終えた彼女が僕に声を掛けてきたので、不意打ちの様になった僕はつっかえながらも返事をした。 「結構いいんじゃない。」 「そ、そう、良かったよ。」 ともすれば辛口の評価が多くなる彼女にしては、かなり良い印象を持ったようだ。そして彼女はなおも言葉を続ける。 「ただし、一点だけ違うところがあるとすれば、最後のこの部分かな。」 彼女は僕のシナリオを差す。シナリオの最後は途中は吸血鬼に対峙していた主人公が、 その存在を受け入れるという大団円で締めている。 「吸血鬼のような存在が、果たして人間の男性の愛をそのまま受け入れることで満足するかしら? そうね、私がヒロインならきっと彼を逃さないようにするんじゃないかしら。」 「どうしてそう思うのかな?」 「途中で主人公に拒絶されたヒロインなら、きっとまたいつか主人公が自分を捨てるんじゃないかと思って、 心の奥に不安を抱えるでしょうから。 そうしたら、ヒロインは吸血鬼なんだから、その力で主人公を自分から離さないようにしてしまうでしょうね。」 「ふうん。吸血鬼の考えなんて分からないと思うけどね。」 「あら、じゃあ今ここでやってみれば、きっと納得できると思うわ。」 彼女はパイプ椅子を立ち、机の横をゆっくりと歩いて僕の方に歩み寄ってくる。 まるで舞台のヒロインがフィナーレを演じる時そっくりに、片手を僕に差し出しオペラの様に声を上げる。 透き通る声が僕の耳に入り無意識のうちに綺麗だと思ってしまった。 「ああ、○○。貴方は本当に私を受け入れてくれるのかしら?」 シナリオの主人公がする通りに僕は返す。 「勿論だよ。」 すると彼女が僕に抱きついてくる。吸血鬼を演じる彼女は小さく細く、震えて不安で折れそうな様子に僕は役に飲まれて、 つい彼女をそのまま強く抱き留めてしまう。 「本当?」 ソプラノの声が僕の耳を通り越して脳に染み渡る。 「本当だよ。」 キザらしく顎を引き寄せてシナリオにはないキスをする。 嫌ならば振り解くかと思ったが、彼女は目を閉じて僕を受け入れていた。 「ずっと君を離さないから。」 毒を食らわば皿まで、とばかりに普段は言うことがなさそうな甘い言葉を彼女に注ぐ。 吐息を漏らした彼女の目が開き、僕を一層強く抱きながら顔を僕の首筋に埋める。 -愛しているよ-とお返しとばかりに彼女に囁くと、彼女が首にキスをする。 痺れる感覚と共に、顔に赤みが差した彼女の喉が小さくコクリこくりと動いていた。 幾らかの時間が経ち、彼女の顔が僕の首から外れる。恥ずかしくなった僕は彼女の目を見なくてもいいように、 自分の胸に彼女の顔を押し当てて尋ねる。さも全ては演じていたかのように。 「どう、吸血鬼の気持ちは分かった?」 「今回は…、貴方のシナリオを使うわ。」 小さく発せられた声には最初に入っていた自信は消え失せており、代わりに熱っぽい綾が入っていた。 感想 名前 コメント
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407 :再見 ◆ZUUeTAYj76 [sage] :2008/05/18(日) 00 52 15 ID guWKPB74 川の水が押し寄せる堤防を、僕は歩いていた 1週間前から降り続く雨のせいで河川敷は水没 堤防の下2メートルまで増水していた そんな景色を眺めていると、あの時の事を思い出す 彼女と初めて出会ったあの時を 僕が中学に上がって一月たった頃 その日、僕の住んでいる町は水の中に沈んだ 東西二つある堤防の西側が決壊し川の水が流れ込んだからだ 降り続いた雨、台風、そして堤防の虚弱性 水害など過去に例がなく、まったくの想定外だったからだ 流れ込んでくる水から逃げるため、僕は家族と反対側東の堤防へ非難した 堤防へ駆け上がり気づく、弟がいない、どこかではぐれたようだ 僕は慌てて探し回った、両親は僕と逆方向を探しに行った その時だ、彼女に出会ったのは 手を伸ばせばすくえるぐらいに増水した堤防の淵に彼女は立っていた 魂のない抜け殻のように呆然と水面を見つめ、雨に打たれずぶ濡れになった少女 年は僕と同じぐらい、見覚えがないのは多分別の学校だからか 弟を探すのを一旦止め、僕はそっと彼女に傘を差し出した その時、今まで人形のようだった彼女の目に光が宿り、涙が溢れだす 顔をくしゃくしゃにして涙を流し、彼女は言った 409 :再見 ◆ZUUeTAYj76 [sage] :2008/05/18(日) 00 55 16 ID guWKPB74 「お母……さん、が……お…父さん……が……っ」 最悪の場合も考えられる、でもそれは僕も同じだった 「大丈夫、きっと別の場所に非難してるよ、僕も弟とはぐれたんだ」 早く弟を探さなくては、でも彼女をこのままにしては行けない、だから 「よかったら、一緒に探そう、傘貸してあげるから、ね?」 彼女はコクリ、と頷いた それから僕らは互いの家族を探しに歩き始める 他に非難してきた人が大勢いて、はぐれてしまわないようにと手を繋いで 30分もしないうちに彼女の両親は見つかった 弟を見つけないといけないから、と別れようとした時 なかなか手を離してくれなかったのを覚えている 今思えばあの時が人生で初の相合傘か、それも可愛い子と手を繋いで、だ ちなみに弟は僕の両親が見つけた、意外とすぐ近くにいたようだった それからずっと彼女のことが気になっていたが 水が引いてからの後片付けや、学校の再開で多忙を極め記憶の隅に追いやられていった 彼女と再会したのはその半年後だ
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ヴァイスサイド 冴えない彼女の育てかた カードリスト ブースター トライアルデッキ+ プロモーションカード 総評 ブースター 番号 種類 レアリティ 色 カード名 レベル/コスト スペック 特徴 SHS/W56-001 キャラ RR 黄 乙女な本質 英梨々? 1/0 4500/1/1 《ゲーム》 《漫画》 SHS/W56-002 キャラ RR 黄 倫也の愛弟子 出海? 3/2 9500/2/1 《ゲーム》 《漫画》 SHS/W56-003 SHS/W56-004 SHS/W56-005 SHS/W56-006 SHS/W56-007 SHS/W56-008 SHS/W56-009 SHS/W56-010 SHS/W56-011 SHS/W56-012 SHS/W56-013 SHS/W56-014 SHS/W56-015 SHS/W56-016 SHS/W56-017 SHS/W56-018 SHS/W56-019 SHS/W56-020 SHS/W56-021 SHS/W56-022 SHS/W56-023 SHS/W56-024 SHS/W56-025 SHS/W56-026 SHS/W56-027 クライマックス CR 黄 八年ぶりの個別ルート? CX 1・風 SHS/W56-028 SHS/W56-029 SHS/W56-030 SHS/W56-031 SHS/W56-032 キャラ RR 緑 理想の女の子 恵? 3/2 9000/2/1 《ゲーム》 SHS/W56-033 SHS/W56-034 SHS/W56-035 SHS/W56-036 SHS/W56-037 SHS/W56-038 SHS/W56-039 SHS/W56-040 SHS/W56-041 SHS/W56-042 SHS/W56-043 SHS/W56-044 SHS/W56-045 SHS/W56-046 SHS/W56-047 SHS/W56-048 SHS/W56-049 SHS/W56-050 SHS/W56-051 SHS/W56-052 SHS/W56-053 クライマックス CR 緑 冴えない彼女の育てかた? CX 宝 SHS/W56-054 SHS/W56-055 SHS/W56-056 SHS/W56-057 SHS/W56-058 SHS/W56-059 キャラ RR 赤 クリエイターの矜持 詩羽? 3/2 10000/2/1 《ゲーム》 《小説》 SHS/W56-060 SHS/W56-061 SHS/W56-062 SHS/W56-063 SHS/W56-064 SHS/W56-065 SHS/W56-066 SHS/W56-067 SHS/W56-068 SHS/W56-069 SHS/W56-070 SHS/W56-071 SHS/W56-072 SHS/W56-073 SHS/W56-074 SHS/W56-075 SHS/W56-076 SHS/W56-077 SHS/W56-078 SHS/W56-079 SHS/W56-080 SHS/W56-081 SHS/W56-082 SHS/W56-083 SHS/W56-084 SHS/W56-085 SHS/W56-086 SHS/W56-087 SHS/W56-088 SHS/W56-089 SHS/W56-090 SHS/W56-091 SHS/W56-092 SHS/W56-093 SHS/W56-094 SHS/W56-095 SHS/W56-096 SHS/W56-097 SHS/W56-098 SHS/W56-099 SHS/W56-100 トライアルデッキ 番号 種類 レアリティ 色 カード名 レベル/コスト スペック 特徴 封入数 SHS/W56-T01 SHS/W56-T02 SHS/W56-T03 SHS/W56-T04 キャラ TD,RRR 緑 メインヒロイン担当 恵? 1/0 4500/1/0 《ゲーム》 SHS/W56-T05 SHS/W56-T06 SHS/W56-T07 SHS/W56-T08 SHS/W56-T09 キャラ TD,RRR 緑 原画担当 英梨々? 3/2 10000/2/1 《ゲーム》 《漫画》 SHS/W56-T10 クライマックス TD 緑 運命との出逢い? CX 宝 SHS/W56-T11 SHS/W56-T12 SHS/W56-T13 SHS/W56-T14 SHS/W56-T15 SHS/W56-T16 SHS/W56-T17 SHS/W56-T18 キャラ TD,RRR 赤 シナリオ担当 詩羽? 3/2 10000/2/1 《ゲーム》 《小説》 プロモーションカード 番号 種類 レアリティ 色 カード名 レベル/コスト スペック 特徴