約 109,467 件
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/22499.html
登録日:2011/11/02(水) 15 31 39 更新日:2021/03/27 Sat 11 28 28 所要時間:約 2 分で読めます ▽タグ一覧 PCゲーム アプリ ゲーム ミステリー 微グロ 林檎 欲望 無料 「…君は近い将来、ここで得たものと価値の等しいものを、差し出さなければならなくなる…」 ●概要 飽食の館とは、ゲーム制作集団sweet ampouleが制作しているビジュアルノベルゲーム、LTL(LOOP THE LOOP)シリーズの第1幕目である。(全3幕) 続編に錯綜の渦がある。最近スマホやPCに移植された。 元々docomo用でアプリが作られていたが、数々のアプリ紹介サイトやランキングサイトで上位をキープ。高評価を受けて、auやsoftbank、PCやスマートフォンに移植された(PC版のみ有料)。 しかし、元が携帯アプリということもあってか、あまり知名度はない。 ●あらすじ 繰り返される、退屈な毎日。普通の高校生・荒川零弥が目覚めると、そこは別世界だった。 『欲しいものが何でも手に入る』不思議な館で、12人の共同生活が始まる。 究極の飽和状態が生み出す、止められない惨劇。彼らは、この館から脱出できるのか? そして、この館の秘密とは…? (公式サイトより抜粋) 王道の『閉じ込められる』パターン。最初は12人全員和気藹々としていたが、惨劇が起こるにつれバラバラになっていき… 設定上、非現実的なものだが登場人物の人間さが深く描かれ、かなりリアルさを感じることができる。 ●主な登場人物 荒川 零弥(アラカワ レミ) この物語の主人公。 どこにでもいるような普通の高校生。 退屈に飽きていて、刺激を求めていた矢先に館入りしてしまう。 性格は消極的で受け身がち。口癖は「はぁ…」(溜め息ではない)。 冴木 麗(サエキ レイ) 大企業の若き社長。 12人の中で一番長く館にいる。レミが入ってきた時点で半年以上になる。 冷静で、プライドが高い。しかし、子供っぽいところもあり小言や皮肉をスルーできない。話が基本的に長い。 藍川拓都(アイカワ タクト) ただのサラリーマン(と本人はいっている)。 3人目の住人。人気投票で主人公を差し置いて1位に輝く(レミは8位)。 飄々としていて自由人。朝早く起きることが不摂生と言ったり、朝ご飯が缶コーヒーと語ったりと元々健康的な生活は送っていない様子。 この他にも魅力的な登場人物がいる。 追記、修正お願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/sw_takamori/pages/148.html
BACK INDEX NEXT 111 :ensemble ◆NN1orQGDus :2008/10/05(日) 17 44 17 ID KQ/bF66s #8 秋の夕日は釣瓶落とし。夕日が校舎を朱色に照らしている。風は涼しく、山の木々の葉を赤、或いは黄色に塗りつぶしながらそよいでいる。 「あれ? 二宮さんの足が違ってら」 「何言ってんの、遠矢」 校庭の片隅に佇んでいる二宮金治郎像の影が細長く伸びている。 その影を踏み荒しながら二宮さんの足元に座り込んだ遠矢を見て由良は、はあ、と溜め息を吐く。 「んー。この前はさ、右足を踏み出してたのに今日は左足を踏み出してんだよ、この人」 「そんなはずないよ。遠矢の見間違いじゃない? それよりもさ、早く行かないと」 由良は携帯を取り出してディスプレイを開いて時間を確認する。 四時半の少し前。早くしないとマクガフィンのお気に入りの窓際の席が埋まってしまう、と遠矢を急かす。 「紛らわしい事するなよ、二宮さん」 遠矢は像の頭をパシンと叩く。 「そんな事するとバチが当たるよ」 「大丈夫だって。二宮さんってバチ当てるケチな神様じゃないって」 口ではバチを否定するものの、目を泳がせながら叩いた頭を撫でる遠矢を見て、由良は手を口許に寄せてプッと吹き出す。 「二宮尊徳って神様じゃないよ? 確か学者とかそんな感じの人だよ」 「金治郎じゃなくて損得? 商売人? やっぱしケチなのかな?」 「うーん、ケチ……なのかな。質素倹約の人だし」 微妙な意思のスレ違いを感じながら由良は腕を組んで考え込む。が、ハッとして遠矢の手を引いた。 「だからマクガフィンなんだよ。早く行かないと、ね」 「ちょ、由良! 引っ張るなよ、転ぶ転ぶ! 足の長さが違うんだよ!」 「大丈夫だよ、遠矢の方が回転が早いんたから」 由良は振り向かずに走り出す。遠慮なしの本気のスピードだ。遠矢も由良に負けじとダッシュする。 体格の差はあるけれど、遠矢と由良を比べれば走る速さは遠矢の方が速い。 だけど遠矢は由良の速さに併せている。 ――子供の頃なら私を置いて行ったのに、今は私に併せる。小さいけれどオトナなんだな。 由良の呟きは密かに心に秘められて遠矢に届く事はない。 遠矢はそれを知ってか知らずか、由良に振り向いて子供のように無邪気に微笑む。そんな笑顔に由良は弱い。 「全く……厄介なんだから」 「ん、何か言った?」 「何でもない」 ――To be continued on the next time. BACK INDEX NEXT
https://w.atwiki.jp/tsvip/pages/617.html
「……グダァァアア゛ア゛…………」 「唸るな、伏せるな、はしたない」 「うるへー……この気持ちはお前にゃ判んねぇよ、畜生……」 べたぁ、と自分の机に張り付きながら顔すら上げずに言い返す。毎度ながら、竹馬の友に向けて何と言う言い草だろうか。俺はこんなにも親愛のこもった言葉を送っているというのに。 ……だが、結局その罵り一つにすら今日は微塵も勢いが乗らない。昼休みを迎えた周囲のざわめきすら正直ちょっと鬱陶しく思えてくる。 それもその筈で、只今俺の身体は紛れも無く調子その他が絶賛出血大サービス中なのだから仕方がない。テンションは墜落スレスレの低空維持のアクロバット飛行中である。 長めの髪が伏せた視界を遮ってくれているのが、ただ唯一の救いで安らぎ。ちっとは手間をかけて手入れしている甲斐もあるというものだ。 ああもう気分は悪いし腹は痛いし胸はむかつくし、以前の俺だったらこんな状態だと認識した時点で嬉々として休むなり下校するなりしている筈なのだ。そしてしたい、今だって。 ――これが、突発的な物だったら。 「それは勿論判りたくもないが……だがしかし、月の物で一々休むようでは出席日数どころの騒ぎじゃないだろう。割り切って過ごすより他にあるまいに……」 まるでそんな俺の気持ちを読んだかのように、『親友』もとい『恋人』は溜め息混じりで告げてくる。 ――占拠した前の席の背に右肘を乗せ、左手を額に当てて一つ溜め息。だが視線は俺の後頭部から放さない。 目の前は机のドアップしかないというのに、今浮かべているであろうその表情は手に取るように見えた。 ……それは確かにあまりに正論で、 だからこそ、少しだけムズムズと何かが昇ってくる。 重い身体を引き起こして顔を上げた。目の前には、先程木目の向こうに浮かんでいたのと寸分違わぬ姿。――普段と変わらないその態度が、何だか今はやけにムズムズする。 「……なんだよ、俺だって判りたくなかったさ。そうは言ったって仕方ないだろ、だって血ィ出るんだぞ血。しかもまあダラッダラダラダラ。俺は痔かっつーの。トイレの水が赤かったらテンパるっつーの。 なんじゃこりゃぁぁ!? って叫びたくなるっつーの。これなら男の時の風邪の方がなんぼなんぞかマシだよ本当……後仮にも乙女の前で堂々と、『月』とか言うな。今から月禁止」 「それは失礼した。だが普段から『男として扱え』と言って聞かないのはお前だろう。全く気分でコロコロと態度と意見を変えおってからに……たまには振り回されるこっちの身にもなってくれてもいいと思わないか? 後、月という単語を総て封印というのはあまりに横暴だろう」 言いながら、またハァと一つ溜め息。コイツのいつもの癖。珍しくも何とも無いいつもの態度。 ――なんなんだよ。 ムズムズが、モヤモヤへと変わりながら胸の奥に昇ってくる。まるで実際の下腹部の違和感が昇ってくるようで、胸のムカツキが増してくる。 ――苦しくて、少し目を伏せる。前髪が視界にサラリと揺れて、その程度の事が癇に触る。 両手で制服のリボンの上から柔い胸を抑えるが、モヤモヤしたものは一向に腹の奥に帰らない。 ――苦しい。 「…………るせーよ……マヌケ……」 「悪かったな、まぬ……おい、どうかしたか?」 そこまで言いかけて俺の様子がおかしい事に気付いたか、俺の顔を下から覗き込んでくる、 『アキラ』。僅かに表情に浮かんだ心配は、コイツの表情としてはかなりレアだろう。 ……それは少し嬉しくて、同時に俺こそがコイツに普段とは違うような顔をさせているという事にほかならない。 『いつも』を乱して、なのに喜んでいる。……ダメだというのに。 刹那、苦しさが少し引いて苦笑いが漏れた。 「……ん、大丈夫、かな……」 ――随分現金な乙女だこと。 そんな事を思いながら、俺は何とか胸の奥のムカツキを押し戻して、いつもの二人に戻ろうと―― ――したのに。 「全く……それならお前らしく罵声の一つでもまともに上げろ。レパートリーが少ないぞ阿呆」 何の変哲もない、人を小馬鹿にしたような軽口。いつもの態度。 ブワリと、突然止める間も無くモヤが喉まで湧き上がってきて。 「――――ああ悪かったな阿呆でなあッ!」 ――何故か、突然俺の両手が机を強打した。 そのままの勢いで立ち上がる。ヒリヒリする掌も、ズキリと響く腹の痛みも、喉元までくる吐き気も総てが忌々しくて、あまりに忌々しくて気にする余裕すらない。周囲の視線を集めた自覚もあるが、そんなもの意識の範疇にすらない。思考が出来ない。頭が熱い。 「な…………?」 予期せぬ出来事に、驚きすらせず呆然とコチラを見つめるアキラ。当然だ、コイツは何も悪くない。 なのに 「あーあーはいはい悪かったなこんな可愛らしさの欠片もない阿呆なクソ男女が彼女でわるぅございましたねぇ! 知らねーよバカ! お前なんか勝手に美人局に貢いでサラ金さんに追いかけられてろよ大マヌケェ!」 そこまで一気に捲し立てて鞄を手に取る。飛び出す。間三秒。反論の余地すら与えなかった。 ……不条理な事を言ってるなー、とは思ってる。だが何故か口も足も止まらない。 人にぶつかりそうになるのも構わず廊下を駆ける。 訳もなく視界がぼやけて、走るのが辛い。 そんな状態でただひたすら、周囲の目も気にせず昇降口まで走って。 唐突に、猛烈な吐き気と腹痛が襲ってきた。 「……ッグ、つぅ、あ、は――――」 地面に頭からへたりこむのを、なんとか下駄箱を掴んで阻止する。……何故か、顔より服より、長くて黒い『アイツの好きな』髪を汚すのが酷く嫌で。 「……っふ、っぐ――ひっく、きもち、わるい……ハァッ、おなか、ッ、いた、い……ッ!」 ぼろぼろと、後から後から泣き言と涙が零れ出す。周囲に人気がないのは幸か不幸か。それすら判断がつかない。 ……女々しい。 こうなるのが嫌だった。 こうだけはなりたくなかった。 こうだけはならないと心に決めていた。 ――アイツの重荷に、なりたくなかった、のに。 最、悪だ。 「ハッ、ふ、ぁ、グッ……ひっく、もう、ッわかんねぇよ――っく、いたいよっ、ッグ……たす、けろよ――――」 ――これは、言ってはいけないセリフ、なのに―― 「――――ア、キ」 廊下を豪快に突っ走る音が届いたのは、その瞬間で。 「ッ……! 大丈夫かッ!? おい、しっかりしろこの阿呆!」 ……こんな時にも律義に阿呆呼ばわりする声は、酷く俺を安心させた。 「はっきり言って俺はバカ兼トンマ兼マヌケだが、お前もまた救いようのない阿呆だな。それだけは譲れん。ついでに調子はもういいか」 「……うるせぇよ、バカ。ついでに調子はもう気にもならねーよ。そりゃまだ生理中だから完全に治まりはしないがな」 「そうか、良かった」 「バカか」 夕暮れに赤く染まった保健室は、どうにも妙な感じがして落ち着かない。元が白いせいなのか赤が強過ぎるようで、それが薬品の匂いと混ざってどうにも不可思議な感覚がしていけ好かない。……よく判らんな、うん。 少し硬いベッドに横になり、脇に座るアキラと会話を交わすだけの空間。保健の先生もいない。 それが何故かと問われると……まあそれが今寝ながら彼女の帰還を待っている理由にもなるのだが。 「大体いきなり全力疾走した挙句ナプキンがずれたのにも気付かんとは全く」 「だからやめれと。死なすぞ」 ……つまりそういう事だ。 俺を見つけたアキラが初めにした事。それはお姫様抱っこ……などではなく。 『……取り敢えず、これで太股を拭くといい』 『……ふぇ?』 奇妙に視線を逸らしながら、ティッシュを渡す事だった。 「いや、しかし太股に一筋走る血の一滴というのも、何か奇妙なエロスを感じさせ」 「よっ」 取り敢えずみぞおちに蹴りを入れて黙らせる。 「グッ、ハァ…………血染めの、パン、つ」 「死ねぇこのクソマヌケッ!?」 ……多くは語らない。もういやだ。 ……そんな、バカなやり取りがしばらく続いた後。 「……なぁ」 「おう」 ふと、いつかのような、笑える程真摯なまなざしを向けてくるバカ。 まあ、予想はついている。 ……もう、ダメなんだろう。 俺が答えるが早いか、いきなり深々と、ベッドに突っ込まんとばかりに頭を下げるバカ。 ……まあ恋人ごっこもここまでかね。 ――そうでなければ、コイツが謝る理由がないから。 やってはいけない事をしたのは、俺だから。 だから。 「スマン、本当に済まない」 「……何の事だバカ」 ……そう、笑って、返して。 「……お前をしっかり女として、いや、大切な人として扱ってやれていなかった」 俺達は、こうして終わりを―― 「……ハァ?」 ……思わずポカンとバカの顔を見つめる。いや、正直予想の斜め上をいった。 「……どうした?」 俺のリアクションを不審に思ったのか、疑わしげな顔でコチラを見つめるバカ。……なんかこのほうが睫毛が長く見え――ではなく。 「いや、だって……へ、いいのか?」 「何がだ」 しどろもどろな俺に鋭く切り返してくるのはいじめっ子精神の表れなのか。目付きが心持ち鋭くなった気がするのは、きっと俺の気のせい。 「いや、だって……お前、ウザいだろ?」 「……何の話だ」 ……どう見ても今、明らかに鋭くなった。――もしかして、コイツ。 「……いや、あの、だから、流石の俺もだいぶ女々しくウザくなったかなーと思いまして、ですね」 「つまり親友に戻ろうと言い出すと。……言いたい事はこれで合っているな?」 ――気付いてやがる。 「…………うん」 「……ハァァァァァァァァァ…………」 途端、今まででも最大級の溜め息が飛び出した。 と、ギロリ、とこちらを睨む双眸が視線にぶつかる。 「……ぅ…………」 思わずたじろいだ。……だが何故睨まれる。理不尽だ。 そしてたじろぐ俺を見て満足したのか、更に一息つくと、 「『月』の縛りを解除しろ」 バカはまた意味の判らん事を言い出した。 遠慮なく不審げな目を注ぐと、バカは不本意だと言わんばかりに腕を組んで憮然とする。 「……ハァ?」 「月だ月、昼のアレ」 ……ああ、そういやそんな事も言ったな。しかし何故今いきなり。そんなにセクハラがしたいのだろうか。イマイチ意図が掴めないが……まあいいか。 「まあ別に構わんが……」 「了解した。じゃあ言うぞ……」 そこまで言うと、いきなり胸を撫で下ろして深呼吸を始めるバカ。やはりよく判らん。 ……なのに 突然ついと見上げた視線は下らない程真っ直ぐで―― 「……月が、綺麗ですね」 ――やっぱり、よく判らん。 アホー、とカラスが鳴いている。 「……出て無いぞ?」 仮にも夕暮れである。 「判っている。理解はされない事は判っている」 判っているらしい。 「つまり解説すると、お前に判りやすく詳しい解説は総て省いてこれはアイラブユーという意味だ」 「おかしくねーかその日本語」 ……というか。 「……解説するなら意味ないだろ」 「……察しろ」 ……何故か、告白された俺は素面で奴赤面というおかしな状況である。 ……やっぱりテンパり型だなあ、コイツ。空回りもいいとこで、かっこつけようとして結局空回った挙句にこうやって窓の外とか見始めるタイプなのだ。見た目クール気取ったイケメンの癖に。 だから。 「おい」 「ん? どうし――」 振り向いた瞬間、首に手を回して引き寄せて。 「――――ンッ」 ――出来るだけ判りやすく、マウストゥマウスで答えてやった。 「………………」 「……お前は一々屁理屈が多いんだよ、バカ。俺に以前問答無用でフレンチキスかましてくれた、あの根性はどうした」 ポカンとしたままの顔にイタズラっぽくウィンクを一つ。 やばい、ニヤニヤが止まらん。 「……しかしお前がテンパるおかげで、結局俺のペースが取り戻せるってのもなんだが妙な話だが。しかしアナタまあ見事に私にべた惚れじゃないかですよぅ。うわあ、ちょっと悩んだのがアホらしー、うふふふふふ――」 そして都合が良くなった途端、一気に回り始める俺の舌。まあ我ながら単純というか何と言うか。こんな事を言いながらも結局、夕焼けに頬を真っ赤に染めているのだこのタチの悪い美少女は。 「うわーはっずかしーはっずかしー……仕方ねぇなあ、お前みたいな恥ずかしい奴俺以外に誰がもらってやれるかって話だからなあ、まあ不本意――いやそんな事は微塵もないが、しょーがないから受けてやろうかなあ」 ……強がりと判っちゃいるが、やめられないのが俺の性格なんでまあ仕方がない。 「……お前、な」 少し俯いて身体を戦慄かすアキラ。……それは良く見れば妙なのだが、浮かれている俺は気付かず答えようとして。 「おう、どうし――――」 ――いきなり、肩を掴まれて引き寄せられた。 「――――ふぇ?」 「なあ、物はついでだ、一つ教えてやろう」 目の前には、紛うこと無きアキラの顔。そこには先程の動揺は微塵も残っていない――というか。 「フレンチキスというのは、こういう行為だ」 「ちょ、え、お前なんか目が据わって、まッ――――ンッ!?」 ――『触れる』というよりは『奪う』と言った方が正しい勢いで、突然交わされる柔らかい唇の感触。 構える余裕も、閉じる余裕もなく、奪われた唇を蹂躙するように舌が入り込んでくる。 「ッ……ン、ンムゥッ!?」 突然の感触に、反射的に舌が、身体が逃げる。 もとい、逃げようとした。 「っふ――ンムッ、ハッ、あ――」 それを阻むように、肩の手が後頭部に回る。アキラの唇が唇を、舌が舌を追いすがる。 ――気付けば、優しく壁に追い詰められていた。 「ッ、ァッ……ンッ、ッヤ――ッヤ、ァ」 くちゃりと、粘膜の立てる音が保健室に響く。 ――逃げられない。 縮こまった舌を絡め取られ、撫でられ、力の抜けた所を吸われ。 一通り舌を嬲った後、上顎を、頬を、舌の裏を舌先でなぞり、潜り、口内を思うままに蹂躙していく舌。 下唇を、上唇を――柔らかく唇をハンでくる唇。 ――壁に押し付けられていながら苦しくないのは、おそらく後ろに回された手が守っていてくれて。 「――ハァッ、ッン……ッぷぁ、もう、やめ――ンッグ、ッ、ン――――」 腕の力が弱まったと思えば、掌はそのまま移動して耳を抑える。 刹那、ぐちゃりと、生々しい水音がはっきりと耳の中に響き始める。 蹂躙の音。 「――――ッア、っふぁ、これ、やめ――ァ、ッン……!」 くちゃりと、這い回り、舌を絡め、甘い唾液を啜る音。 貪られて、いる。 頭の中に響いて、まるで総てが掻き回されているような。 ――訳が判らない。 時折サラリと撫でられる髪の先まで、ゾクリと身体を直接愛撫されるような熱が走る。 脳の奥がひどく熱くて、まるで熔けているようで。 その熱が、脊髄を通り下へ。胸を焦がし、お腹に渦巻いて、どんどんと逃げ場をなくして溜まっていく。 ――気付けば、最早追いすがっている。 逃がさないと舌を絡め取り、攻め込み、思うまま嬲り尽くして、尽くされて。 離れる頃には、最早思考能力など完全に熔け落ちていた。 唇を橋渡し、引いた銀の糸すら惜しくて、お互いに舐め取りながら唇が離れる。唇の端から溢れた唾液が顎をつたうが、そんなものを気にするような思考能力すら残っていない。 視線の先には、普段の理知的な光の消えた瞳でこちらを見つめるアキラの姿。 その呆とした表情に、積もりに積もったお腹の熱が、ドクンと疼く。 「ッ………………!?」 身体が、突然ビクリと跳ねる。 「――あつ、い…………」 衝動的に下腹部を抑えた。プリーツスカートの奥でトロリとした熱の渦が、行き場を求めて暴れている。 「ハッ、ァ――――」 ――熱に浮かされた一対の瞳に映るのは、熱に浮かされたもう一対の瞳。 もう、ここが何処だとか、今はどういう状況だとか、そんな思考は疾うにトンでいて、 ただ、この熱の為にすべき事を知りたくて、 俺は、何の躊躇いもなく、 「――もっと、きてもいいよ――なあ……ア、キラ――――」 その言葉を、口に―― 「はいただいまー♪ 下着買って――――」 ……時が、凍り付いた。 「――――ゴメン、下着置いたらすぐ行くから用が済んだら職員室に呼びに来てくれると先生嬉しいなじゃあゴメンあそばせッ! 後生理中でも避妊はシテねッ!」 ……そしてピシャンと、時を動かす音が響いた。 「変態鬼畜外道畜生悪魔淫魔強姦魔」 「折角ならいっそ六道総て追加してくれ、天狗は一種俺の憧れだ」 「知らねぇよバカ」 言葉を交わし――もとい、ひたすらに横を歩くバカザルを罵倒しながら帰る暗い夜道。 日も落ちて、夜闇に彩られている空には白く輝く満月が昇っていて、疲れ切った俺の心を癒してくれた。 ……あの後、ハプニングのおかげでようやく正気に戻った俺は、 『折角赦しが出たのだ、さあ続きを』 などとほざくエロバカ魔人を瞬間的に叩き出して下着を代え、こうして何とか無傷で今に到る。……本当に間一髪で、保健の先生には感謝してもしきれない。今度粗品の一つでも持って行こうかと思う。 にも関わらず、 「……本当に、惜しかった……くぅ、もう少し急いでいればと思うと心底悔やんでも悔やみ切れん……」 「ああ、一度コンクリートオーシャンにダイブしてから東京湾に素潜りするといいと思うよ盛った動物は」 こんな事を心底残念そうにほざき続けるマヌケは、限り無く再起不能にした方が人類の為になるんじゃないかと切に思っていたりする訳だが。 ……本当にまあこんな時に、生理と何の因果もない頭痛を抱えるとは思わなかった。 「大体な……冷静になって考えれば生理だぞ俺は。血だらけだぞ。俺は当然としてお前だってやる気は失せるだろうに……」 溜め息で頭痛を吐き出しながら、恨みがましくジト目で横行く男を睨む。だが結局シレッとした態度が変わる筈もなく、増えた頭痛で再び溜め息。 ……いくらなんでも、好んで血だらけになりたがるバカは 「問題ない。俺の性癖の広さをあまりナメるなよ」 「胸はって自慢げに答えるんじゃねぇエロボケザルが」 ……こんなところにはいるらしい。 そうして、いつもの分かれ道に辿り着く。 コイツは右に、俺は真っ直ぐ。 いつだって、ここで別れなかった記憶はほとんど無い。連れ立って遊びに行く時はともかく。 別れるのが、いつもの事。 「送らなくていいか?」 「俺を襲いたくなる奴なんてお前だけだバカ。送り狼の方がよっぽど危ないっての」 若干心配そうな声音に軽口を返す。……正直嫌な訳はないが、ただでさえ今日は迷惑をかけたのだ。これ以上依存したら、本当に俺はダメになる。 だと言うのに、 「阿呆、お前を見て欲情しない男がいるものか。いたらそいつは間違いなく不能だ」 「……何小っ恥ずかしい事言ってんだマヌケ」 「事実を指摘しただけだ」 「……バカか」 「バカで結構」 ……足を止めて、そんな言葉を真顔で向けてくるバカに、思わずクラリと寄り掛かりそうになる。 ――温もりを求めて近付こうとする足を、全力で引き戻した。サラリと髪をかき上げて一つ息をつき、出来るだけ自然に笑みを送る。 「……大丈夫だよ、大した距離じゃない。じゃな、また明日」 心が引きつるような感触を堪えながら、その一言だけを何とか言い捨てると、俺はそのままクルリと踵を返して―― 「何を気にしているのかは判らんが、一つだけ言っておく」 ――そのまま、グイと手を引き戻される。 ……夜より黒い双眸が、まるで奥を見透かすように覗き込んできた。 「俺とお前は恋人だ」 「……ああ」 ――瞳の奥に、心の内だけで語りかける。 どうしてお前はこうして、いつも俺を揺るがそうとする。 ……だからこそこうして俺は頑張っているのに。いつまでも『恋人』でいられるよう頑張っているのに。 『親友』ではない、『恋人』として、隣りにずっといられるように―― なのに――なんで 「――だが恋人である以前に、俺はお前を俺の人生にして唯一無二、死ぬまでただ一人の心の友だと思っている事を忘れるな」 ……言いながら浮かぶ僅かな微笑に、その答えを聞いた。 「……本当、か?」 「ああ、たとえ恋人として成り立たなくなろうが、俺以外の彼氏を作ろうが俺は絶対にお前から離れんからな。お前が嫌がろうがいつまでもストーカーしてやる。 ……やはり前言撤回だ、彼氏など全力で潰してやる。想像するだけで不快極まりない。ましてやお前の純潔を他にやるなど吐き気がする。もっとも俺が襲う方がマシだとまでは言わんが」 「……駄々っ子かよ」 「みすみす指を咥えてお前を取られるのを見ているよりかマシだ。……嫌か?」 問うて不安げに揺れる瞳に、ただ安らぎを感じて―― ――結局また、悪戯心が復活してしまった。 ついと踵を返すと、そのまま颯爽と髪を靡かせ歩き出す。 「あ…………」 残念そうな声を尻目に、更に5歩。 そこで、立ち尽くしたままのバカにクルリと振り返った。 「――――約束するよ。俺とお前は、いつまでも親友だ――」 口にして零れる笑みは、思わず出ただけの事。 「――ああ!」 答える声も、まあ馬鹿馬鹿しい程喜色を湛えていて。 「あーちなみに、俺も今日の月は綺麗だと思うぞキザ男。ちなみにお前に判りやすくこの言葉の意味を詳しい解説は総て放置して説明すると」 「ええい早く回れ右をして真っ直ぐおうちに帰れ阿呆!」 「うふふふふふ、どうかしたかい? お姉さんには君が何で怒鳴るのか判らないんだぜ鬼畜君?」 「……だからそれは済まないと何度も」 「まあお前なら、別に生理じゃなければいつ済ませてもいいけど」 「――さて、手帳は何処だったか。取り敢えず貴様の生理の期間をきっちりと調べておかねばな。終わり次第即日やるぞ」 「うわあ、猿だな最早」 ――ただ白銀の満月だけが、どうにも締まらない二人を見下ろしていた。
https://w.atwiki.jp/shinatuki/pages/251.html
東方幽波紋決闘_二章『祭り』 ―三日後― 博麗神社敷地内には、幻想郷の住民達が集まっていた。 ―博麗神社― 「一体、何が始まるんです?」 「祭りがある」と、聞いてやって来た霊夢の親友、普通の魔法使い『霧雨魔理沙』は中々祭りが始まらないので、痺れを切らして霊夢に聞いた。 「第三次…いや…、もうそろそろだから少し待ちなさい」 そう答えながら霊夢は溜め息をつく。 (後少しで時間だけど、紫は間に合うかしら?紫ってこういう事で遅れた事無いのに…) 「ガオンッ」 「!」 霊夢の真横の空間が歪み、スキマが現れる。 「おまたせ~♪あら、皆集まったみたいね」 「きゅ、急に出ないでよ!吃驚するじゃあない!」 スキマから生えるように出て来た紫に霊夢は叫んだ。 「あらあら、ごめんなさいね~♪でもそんなに怒られたら、ゆかりん困っちゃう☆」 「「………」」 場に沈黙が流れる。 「エフンッエフンッ、ま、まぁそろそろ時間だし、祭りを始めようかしらね?ね?」 「「どッワーz_ァ!」」 先の沈黙が嘘のように盛り上がる。 「とりあえず、結界を張るからみんな集まって(な、なんとかやり過ごせたわ…)」 苦笑いしながら紫は言う。が。 「ポンポン」 「え?」 紫の肩に手が置かれる。 「鴉天狗の…文?」 手の主は、妖怪山の記者でもある鴉天狗、『射命丸文』だった。 「書かれたく無かったら、私のを―――にしてくださいね……ニヤニヤ」 ドス黒い笑みで文はカメラをちらつかせる。 「…なっ」 紫が唖然した顔で文を見る。 「何だ~文、何紫と話してるんだ~?」 二人の間へ魔理沙が割り込む。 「いぇ、大したことは無いですよ。ねぇ?」 文がカメラをちらつかせながら紫に視線を移す。 「え、えぇ、何も無いわ…」 「じゃあ早く祭りを始めてくれ~。こんなに集まってるから暑苦しいぜぇ」 ヤレヤレと魔理沙は言う。 「じゃあ、やるわよ…(何故あの事を…?)」 「―――」 紫は疑問に思いながらも術を唱える。 「ドドドドドドドドドドドド!」 場の空気が変わった。 「霊夢、今よ」 「りょーかい」 「―――」 待ってました、と霊夢は札を取り出し、紫と同じように術を唱えた。 「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!」 そして、博麗神社を取り囲む様に巨大な結界が出現した。 「凄いな……ん?」 「……あれ?」 「何か……」 「だんだん…眠…」 「ドサッドサッ」 それと同時に結界内の住人は事切れた人形の様に倒れていく。 「皆、"あっち"へ逝ったわね…」 と呟くと、最後に紫も倒れていった。 第二章完
https://w.atwiki.jp/esekouhaotoge/pages/296.html
うちさぁ、音ゲーあんだけど、やってかない?*108 52 : 爆音で名前が聞こえません[sage] 投稿日:2015/11/08(日) 20 03 36.61 ID luHbHUCp0.net [1/1回] タノシー消えろ うちさぁ、音ゲーあんだけど、やってかない?*114 577 : 爆音で名前が聞こえません[sage] 投稿日:2015/12/20(日) 12 19 29.39 ID XPnLQfRd0.net [3/4回] BEMANI名乗るならニデルルァでお馴染みのbeatnationやライズ、楽しい勢あたりに曲書いてもらわにゃいかんのと違うんか? どこの馬の骨とも知れない素人同人勢に頼るとかほんとひで うちさぁ、音ゲーあんだけど、やってかない?*125 821 : 爆音で名前が聞こえません (スプッ Sde9-G493)[sage] 投稿日:2016/02/27(土) 13 58 33.05 ID xFJeUtfhd.net [1/1回] EDPにTCNRC出演おお^~ええやん、気に入ったわ ん?ちょっと待って!?NNHRが入ってるやん! ハァ~~~~~~~~~~~(クソデカ溜め息)あほくさ うちさぁ、音ゲーあんだけど、やってかない?*126 655 : 爆音で名前が聞こえません (ワッチョイW 575e-thq7)[sage] 投稿日:2016/03/05(土) 01 54 35.85 ID Xzizbxib0.net [1/2回] ハンチングMTR兄貴とどう?いでよ?TKNUC兄貴見たかったゾ~ でもボルテ未プレイで出演者ほとんど知らないからね、仕方ないね 硬派兄貴じゃないけど今度は普通のビトネでオナシャス! でもNNHRはひでたるとまひろじゅんぺいなので申し訳ないがNG 明日行くホモ達は楽しんできてくれよな~頼むよ~ 6時間ずっと立ちっぱなしは足逝きますよ~逝く逝くだから本当に気をつけて、どうぞ あとEXITのブッチッパン!は学シュー…しないのか毎回毎回毎回毎回まいっかい阿鼻叫喚なんで 欲しいものがあるなら始発で行くか諦めるかの二択だと思った方がいいゾ 朝早く(not始発)に並んでも客が人気商品を求めて(会場周りを待機列で)ぐるぐるしているから 目ぼしいものは全て売り切れちゃ~↑う それじゃ明日レポ、ハイ、ヨロシクゥ! 659 : 爆音で名前が聞こえません (スプッ Sdcf-IXFy)[sage] 投稿日:2016/03/05(土) 02 27 58.67 ID gUoLauDLd.net [1/1回] 655 そうだよ(便乗) クソザコ公募勢ほんとひでたるとまひろじゅんぺいカーリー 次はビトネとライズとタノシーで三角形になってしゃぶり合わねえか?
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/3715.html
たんじょうび【登録タグ VOCALOID toya た 曲 鏡音レン】 作詞:toya 作曲:toya 編曲:toya 唄:鏡音レン 曲紹介 2008年の鏡音レン誕生日記念動画。 toya氏のマイリストの説明文では、レンへの愛の深さを感じ取ることができる。 ちなみに、toya氏宅のリンの誕生日記念動画はこちら。 2009年の「存罪」、2010年の「親不幸」に続き、2011年には3曲メドレー版が公開された。 歌詞 (PIAPROより転載) 今日は僕のおめでたい日のはずなのにおかしいな 黙った部屋はちっとも僕を祝ってくれない もう何年もこの家の時間は止まったまま テーブルにはいつもの置き書きと一枚の紙幣 「二人とも仕事で遅くなります。 好きなものを買って食べて下さい。」 ねぇ、今日が何の日かさえも忘れてしまったの? お父さん、お母さん そんなに仕事が大事ですか 「お前のために働くんだ」なんて、嘘はつかないで下さい だって二人がどんなに稼いでも 僕の欲しいものは買えない 「おかえり。」の無い玄関のドアを閉める音は 何度目かの溜め息と響き合って切れる 相変わらず無駄に広い僕の居場所があって テーブルには買ってきた夕飯と一切れのケーキ 誕生日おめでとう、僕。 嬉しいなえへへ・・・ 神様素敵な日を有り難う あれ、ケーキの味ってこんなにしょっぱかったっけ? お父さん、お母さん そんなに僕が嫌いなんですか 僕を愛することになんてもう飽きてしまったのですか この寂しさも“愛”というなら 僕はこんなもの、要らない お父さん、お母さん そんなに僕は悪い子ですか 一緒にいたい、と思うことがそんなにいけないことですか それを望むことさえダメなら 僕は良い子にはなれない ごめんなさい ごめんなさい 出来の悪い子でごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい・・・ ほら、あなた達が“愛している”という悪い子がここにいますよ だから早く、早く帰ってきて。 僕を本気で叱って下さい コメント なんか涙出てきたぞ・・・! -- 菖蒲 (2009-01-08 23 14 30) ちょ、やばい・・・涙が・・・ -- りこ (2009-09-15 08 37 53) 俺の誕生日もこんな感じだったぞwwww ……あれ? 歌詞見てたら目から汗が… -- 名無し (2010-03-28 02 07 15) 目からケフィアが止まらない… -- 雑魚 (2010-03-28 03 53 38) ここで歌詞見ただけで少し涙が出てきて、動画見に行ったら気づくと叫び(?)ながら大泣きしてた(つω;) -- 朱音 (2010-03-28 11 46 05) 泣きすぎてクラクラする -- アリス (2012-12-04 22 49 54) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/nolnol/pages/11713.html
産物系 溜め池 (タメイケ) 【知行産物】 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (溜め池.JPG) 性能 買値 売値 --文 文 知行:物資−加工−産物により生産可能 (工房Lv2) 分類 価値 重量 特殊効果 知行産物 2 25.0 なし 材料 溜め池 1 開墾鍬 2 桶 3 主な用途 知行施設改良 LV3→4 水田(3)
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/140.html
萌えのイツワリ直後SSのアルトverというか独白というか、書き散らかしただけのおまけ ちょっとネタ被りしちゃったのでお蔵入りにするつもりだったのですが、せっかくなのでこそっと投下します、すみません…; 箸休め的な感じでスルーっとしてもらえれば|д゚)ノエイッ<投下 眠れない。 二段ベッドの天井を見つめ、アルトは大きく息を吐いた。 シェリルの滞在するホテルから戻り、オズマに今日一日の活動報告をしたのは数時間前。 乾ききっていない髪に訝しげな視線を投げ掛けられたが、気付かぬ振りをした。 目まぐるしい一日に疲れ果て、寮の自室に戻るなり己のベッドにダイブしたアルトだが、まるで寝付けず先程からごろごろと寝返りを繰り返している。 人の気配に聡いルームメイトの『空とベッドの撃墜王』は、その名の通り自身が撃墜され、今日一日は検査入院で不在だ。 狭い小部屋で一人きり。 ダラダラと寝転びながら、手慰みにしていた守り袋から二つ目のお守りとなったイヤリングを取り出した。 そっと掲げ、薄灯りの部屋でもキラリと光る石を見つめる。 『…アルト、あたしね………』 あいつはあの時、何を言おうとしていたのだろう。 彼女のマネージャーが戻ってこなければ、あの言葉の続きを聞けたのだろうか。 考えたところで答えは見つからず、溜め息をついて寝返りを打つ。 昨晩の戦闘の影響か、身体は真綿のような倦怠感に包まれ、張り詰めた緊張感は奇妙な高揚感へと擦り変わった。 昂った精神は落ち着きを見せず、寝不足のまま向かった彼女の滞在先。 あぁそうだ。眠れないのは、あいつと一緒になって、変な時間に眠ってしまったからだ。 イヤリングを見つめたまま、アルトは眉を顰める。 そうだ、熱を出して寝込んでいたくせに、目を覚ましてすぐにシャワーを浴びるだなんて。下がりかけの熱が振り返したらどうするつもりだったのだ。 そして彼女の姿を探して慌てて駆け込んだバスルーム。うっかり見てしまった全裸の彼女の姿を思い出し赤面する。 不可抗力だ仕方がないと言い聞かせ、アルトは誤魔化すようにひとり、咳払いをした。 眠れない。 忘れたい。 『明日…待ってるわ』 部屋を出る直前、はにかむような表情を浮かべた彼女を思う。 ちゃんと髪を乾かして、暖かくして眠っただろうか。 また夢で泣いていないだろうか。俺の名を、呼んでいないだろうか。 彼女のことを思うたび、鮮明に甦るその姿。 涙に濡れた寝顔。唇を尖らせて拗ねる子供のような表情。頬を染め、俯いた首筋の細さ。潤んで光る空色の瞳。 『………SMSはあたしをスパイだと疑って…』 傷ついたように言葉を詰まらせ、俯いてしまった彼女の姿。 バスローブに包まれた細い肩を抱きしめてしまいたかった。 俺の前では、あいつはただの女の子だった。 投げ出された草原で、覆いかぶさる体勢になってしまった俺に、怯えた瞳をして男を怖がる仕種を見せた。 爆撃に晒された己より、バジュラの囮になるべく逃げるランカを助けるように必死に叫んでいた。 そんな彼女がスパイだなんて。 『銀河の妖精』がギャラクシーのスパイかどうかを見極めるため、俺はあいつの側にいるのか。 ギャラクシーの意図も、フロンティア政府の思惑も分からない。 ただ、あいつを信じると言った俺を、あいつが裏切ることなどないのだと、掲げたイヤリングを握り締めた。 眠れない。眠りたくない。 忘れたい。忘れられない。 そしてまた、昨晩の戦禍が閉ざした瞼の裏側でちらつく。身体の内を焦がすような言い知れぬ熱が甦る。興奮状態にある精神が、身体をも昂らせた。 それとはまた別の、先程から身体の中でじわじわと燻り続ける熱が引かない。 その熱の差異に気付けぬまま、冷静になれと警告を発する頭とは裏腹に、身体は熱の吐き出し口を求め暴走する。 アルトの雄は緩く頭を擡げていた。 「………」 アルトは一際大きな溜め息を吐くと、手にしたイヤリングをそっと枕元に置いた。 そして、ぞんざいなしぐさでボトムの前を寛げ、徐に己の雄を取り出した。 右手で熱を包み込むと、目を閉じて、ゆっくりとその手を上下させる。 見る間に硬さと質量を増していく劣情。 「……っふ」 背筋を這い上がる感覚に、アルトは短く息を詰める。 男の生理機能を煩わしく思う自分は、どこかおかしいのだろうか。 この行為自体好んでする気はなかったが、身体の機能的に仕方なく、限度を超えたら必要に迫られ処理をする。 そう、処理なのだ。思考など要らぬ。感情など要らぬ。 何も考えぬよう、機械的に手を動かしさえすればいい。溜まった欲の放出だけが目的なのだ。 それなのに。 『ある、と…』 まるでスライドショーのように、脳裏に浮かんでは消える彼女の残像。 淡い茂みの奥、朱鷺色のスリット。 肉芽を嬲り、ゆっくりと下の唇に舌を這わせる。 滴る蜜を指に絡め、ぬめる内部を開かせる。 ひくつくそこに、己の雄を擦り付ければ、甘い息を漏らす唇。 薄く開いた唇が、己の名を呼ぶ。 『アルト……』 くちゅりと水音を立てて、熱く狭いそこに劣情を突き入れれば、絡み付いてくる内壁。 律動に合わせ揺れる、白く、柔らかでいて張りのある乳房。 豊満な乳房の、つんと尖った桜色の頂を口に含んでしゃぶりつけば、もっともっとと強請る潤んだ眼差し。 触れ合わせればしっとりと吸い付くような、肌理細やかな熱く上気した肌。 汗ばむ首筋に鼻先を埋め、吸い込んだ甘い花のような彼女の香り。 その声が、眼差しが、体温が、匂いが。 その、想いが。 「…っ、シェリルッ…」 脳内で乱れる彼女の名を呼び、果てた。 閉ざしたはずの意識は、無意識に彼女の全てを呼び集めていた。 「…俺は………」 荒い息と共に、手の平に吐き出した白濁をぼんやりと見つめる。 のろのろとティッシュで汚した手の白濁を拭い取る。萎えた自身の始末をしながら、枕の傍らで光るイヤリングを見つめた。 自分の欲望の昇華に、あの子を、糧にしたのか? 今まで感じたことがないほどの射精の悦楽。背筋を這い上がる衝動にゾクリと身震いした。 男たちから向けられる、欲望に塗れたまとわりつくような視線にあんなにも嫌悪を感じ、歌舞伎の世界から飛び出した自分が。 メディアに向ける『銀河の妖精』の姿ではない。自分にだけ向けられた本当の彼女の笑顔を。 「………なんで、だ…」 渦巻く感情に翻弄される。 アルトは己の前髪をぐしゃりと掻き乱すと、その手で目を覆った。 眠れない。眠りたくない。 忘れたい。忘れられない。 …忘れたくない。 「……シェリル」 ぽつりとその名を呟いて、アルトは自分と彼女を繋ぐ、想いを伝える石に触れた。 名前を付けることが出来ない、この感情の意味を教えてくれと願いながら。 END
https://w.atwiki.jp/naianakikaku/pages/1448.html
短針は一番上をとうに通り過ぎた。 一人居間の椅子に体を預ける男は、窓越しに霞んだ空を見上げた。 時間の概念を持たない彼は睡魔に襲われることはない。 一家は既に上の階で寝ている。自分が迷惑をかけるわけにいかなかったのだ。 「…はぁ、今日は…いや、昨日哉?とにかく疲れる日だったな…。」 アカネを送り届けてから今までの経緯を思いかえし、彼はまた溜め息を吐いていた。 なんだかんだ自分はこの一家なしじゃ過去も今も語れない。その気持ちがあって付き添ったのもある。 月明かりだけを頼りに読み進めていた本を閉じ、しかしまぁ、と彼は呟く。 「なんとか無事におさまってよかったぜ。一時はどうなるかとひやひやしたが。」 夕刻頃のアカネの無言の重圧に耐えかねていた彼(しかも部屋の隅で正座である)。 ここでトラブルを起こそうものならただではすまないことは重々承知のつもりだったが、此処までとは思わなかった。 (流石のシンももうここには乗りこめまい…。) (って、その考えが甘いんだよ、俺。) 彼は自らの両頬をはたいた。 そうだ、あのシンのことだ。なにをやらかしてくるかわからない。 (なにはともあれ主とゲンブさんの対策が早くできる事、『アルマ』さんとの連絡が取れる事。それを待つことしか今の俺にはできないからな。) それまで体力充電だ、と彼は大きく伸びをし再び本を開いた。 「…それにしても遅いわね、カルーアトラズの皆さんが…。」 ウスワイヤの一室で彼女は腕組をしながら呟いた。 彼女の後ろでぎしぎしと物音がなる。 「…いや、まぁそうよね。貴方にとっちゃありがたいことよね。心の準備があるし。」 どうしたものかなぁ、と彼女は外を見た。 仕事が最優先なのか、ロビンから連絡が入ってないのか、はたまた何処かで事故ったか。 いずれにせよ、待つ側の「彼ら」は手の打ちようが無い。 背後の彼も未だそれ関連の未来が見えないという。都合の悪い能力と言えばそれまでだが。 「…今日も待っても無理ね。来間、今日は寝ましょ。」 彼女は踵を返し、扉を開けた。 扉が閉まる頃には、物音は一切消え去っていた。 ストラウルの奥地。 どさりと何かが落とされる音がした。 黒い人のような物体。しかしそれは跡形もなく消え去っていた。 暫く構えていた彼はゆっくりと周りを見回し、やがて警戒を解いて本を下ろした。 「…何なんだ、今のは?また「おかしな人」に襲われでもしたのかな、僕は。」 こんな夜中に外に出ている僕も悪いけど、と彼は言う。 周りに散乱するのはコンクリートの破片ばかり。 廃ビルにはその一部と思われる破片と(何故か)栞が突き刺さって大きく罅入っていた。 「…変わってないなぁ、僕…。」 その壁を見ながら彼はため息を吐くと、栞だけを抜き取ってその場を後にした。 …尚、彼は一枚だけ突き刺さった栞を忘れていた。 変わらぬ月夜の時間 ソノシズケサハ アラシノマエカ ソレトモアトカ
https://w.atwiki.jp/14sure74/pages/143.html
アスが眠りについたのを扉越しに感じ取ったネスは、石畳の通路を会場に向かって歩きだした。 それから間も無くのことである。 ネスの目に前方から慌てて走ってくる案内係の姿が映った。 彼はネスを見つけると大声で彼女の名前を呼びながら走り寄る。 「丁度良かった!!実は・・・」 「・・・試合だろ?大方、相手が棄権したとかで早まったってトコだな?」 「えっ!?・・・ええ、そうですが、なんで分かったのですか?」 自分の言おうとしていたことをずばり言い当てられ、案内係は驚きを隠せなかった。 ネスは彼の疑問に笑顔で答える。 「そりゃぁ、アンタの慌てぶりを見りゃ分かるぜ。それに・・・」 (あんなことまでやってきたんだ。当然、アスの回復を待つ時間はくれねぇよな。) 「それに・・・なんです?」 「・・・気にすんな。それより、急ぐんだろ?さっさと行くぞ。」 さっさと話を切り上げて走り出したネスの後を、案内係は慌てて追いかける。 ネスが入場口から会場内に駆け込むと、大地を揺るがす声援が彼女の入場を歓迎した。 ネスは両手を天高く突き上げて、笑顔で歓声に応えながら舞台上へと急ぐ。 「おっと、アメリア選手の負傷により棄権かと思われていましたが、大丈夫だったようです!」 観客は彼女に続いて相方が現れることを待っていたが、いくら待っても現れる様子がない。 観客がどよめき出した頃、実況者は中々相方が現れない疑問を代表して口にする。 「はて?どうしたことでしょう?一向にアメリア選手が登場する様子がありませんね・・・。」 審判は余裕綽々の態度で構えているネスに一向に現れない相方の行方を尋ねた。 「キミ、棄権ではないということは、相方は大丈夫だったのだろう?どうして来ないのかね?」 「アイツか・・・。アイツは来ねぇよ。控え室で寝てるからな。」 「なんだって!それでは、キミも一人で本選を戦うと言うのか?」 「そのつもりだが?」 ネスは何かを言おうとした審判を手で制すと、大きく息を吸った。 「聞け!アイツは此処には来ない!だが、私は戦う!」 どよめき治まらない観客に対して、ネスは声を張り上げた。 彼女の一言で会場内が瞬時に静まり返る。 「アイツは一人で戦い、そして勝った!それならば、私も一人で戦い、勝つ!アイツにできて、私にできないワケがない!そうだろ!?」 しばしの静寂の後、観客はそれぞれの思いを叫びだす。 「・・・よく言った!!俺はネエちゃんならできると思うぜ!!ガンバレ!!」 「ネス様最高!!カンドーした!!誠心誠意魂込めて応援させてくれぇ!!」 ネスは目を閉じ賞賛と激励の声に暫く身を任せると、審判へと向き直る。 「・・・だそうだ。つーワケで、構わんよな?」 「分かった・・・。いいだろう。・・・まったく、本選試合を何故か棄権する組も出るし、今年の大会はおかしなことが多い・・・。」 審判は相次ぐ異例の事態をぼやきながらも、開始位置に戻り試合開始前の合図をする。 「・・・そういや、彼女の対戦相手ってヤケに小さいが何者なんだ?」 「さぁ?ここまで勝ち残ったんだから強いんだろうけど・・・誰か知ってるか?」 ある観客が、ネスの対戦相手について周りに問いかけた。 その疑問は瞬く間に全体へと広がっていく。 「何か予選でもあのローブを被ったままだったみたいだぜ。」 「それなりに強かったみたいだけど、不戦勝も多かったらしい・・・。」 「さっきの試合も結局不戦勝だったしな・・・。強いのかどうかさっぱり分からねーぜ。」 しかし、集まった情報は殆どなく、それもあまり信頼できるような物ではなかった。 殆ど全ての観客の目が、ネス達の圧倒的強さに釘付けであったせいだった。 (・・・さてと、本選だと言うのにアス一人で倒せるような相手を投下してくるなんて、よくもガッカリさせてくれやがった。) ネスは突然身体を動かし始めた。 「おや?ネス選手、準備運動でしょうか?にしては、少し動きがおかしいですが・・・。」 「・・・何をやっているのだね?」 「アイツの言うとーり、準備運動ってヤツさっ♪なんせ、今日はまだ殆ど動いてねぇからよ、身体が温まってねぇんだ。」 ネスは準備運動と称した動きをしながら、ラス達の姿を見つけて目で合図をする。 「なぁラス、アレってまさか・・・。」 「・・・ええ、間違いありません。タクトさんが僕に密かに教えてくれた『ぼでぃらんげーじ』というヤツですね・・・。」 タクトはラスと結託し彼女が喜び勇んで首を突っ込もうとするであろう厄介事を事前に回避するため、彼に無声言語の使用を提案していた。 いくら彼女が二つ名に恥じない感覚の持ち主でも、流石に音も無く飛び交う暗号を解読することは無理だろう。 そう考え、彼女が熟睡している隙を突いて二人で密かに取り決めた物であった。 「・・・バレてたんだな。」 「ですね・・・。」 二人は同時に溜め息をつき、彼女から送られてくる指示を解読する。 「――では、行ってきます。タクトさんは此処に残っていてください。」 「ああ、分かった。頑張れよ、ラス。」 ラスはタクトを残し、彼女からの指示を果たすため人込みの中を掻き分け消えて行った。 (・・・それに、あんなんでも一応相方だ。可愛がってくれた礼はきっちり、させてもらうぜ?お偉いさんよ。) ネスは彼の動きを確認すると動きを止める。 そして、不敵な笑みを浮かべて目の前に居る頭一つ分ぐらい小さな二人組の方へと向き直った。 「では、これよりエイン、アイン組とネス、アメリア=L=リリス組の試合を開始する!」 ネスが二人の間へ真っ直ぐ突っ込んだ。 二人は左右に散開して突撃を回避すると、そのまま前後から彼女を挟み込むように対峙する。 (さて、どんな芸を披露してくれるんだ?お二人さんよぉ!) ネスは足を止め、迎撃態勢を整えて二人の出方を待つ。 二人は少しネスの様子を窺った後、突然構えを変える。 「おや?エイン、アイン両選手、同時に構えを変えましたね。しかし、あの構え方は何処かで・・・。」 実況者を始め、二人の見覚えのある構えに観客は首を捻っていた。 「『何処かで』って、目の前に居るじゃねぇか。アレは、あの隙だらけにしか思えない不思議な構えは・・・」 ただ一人、タクトだけは何処で見たかをすぐに思い出していた。 そして、嫌な予感がしてその使用者に視線を送る。 視線の先に居た人物は、相変わらずの余裕に満ちた笑顔で対峙したままだった。 (へぇー・・・中々面白い芸じゃねーか。だがな・・・。) ネスがゆっくり目を閉じると同時に、二人がゆらりと動き出す。 そして一瞬の内に距離を詰め、拳を真っ直ぐ打ち込んだ。 「私の真似じゃ、私は倒せねぇぜ!お嬢ちゃん達!」 「っ!?」 「な、何が起こったのでしょうか!?一瞬の出来事で、全く捉えることができませんでした・・・っ!?」 ネスは前後から打ち込まれた拳を紙一重でかわし、反撃を繰り出す。 ネスの攻撃は二人の脇を掠め、深く被っていたフードを吹き飛ばした。 二人はその風圧に圧倒され思わず飛び退いて体勢を立て直した。 「な、なんと!エイン、アイン両選手の正体は瓜二つの可愛らしい少女でしたっ!!」 二人は実況者の言うとおり、傍目では全く見分けのつかない奇麗な紫色の髪の少女だった。 ネスの前に居る方は、右側にサイドテールを携え左目が隠れるぐらいに長く垂れ下がっている。 一方の後ろに居る方は、左側にサイドテールを携え右目が隠れるぐらいに長く垂れ下がっていた。 二人は方や黒、方や白の目を覗かせネスを捉えていた。 前方で構えた黒い目を覗かせる少女がネスに叫ぶ。 「た、偶々避けれただけっす!アタイらは完璧に、オマエと同じ動きをしているっす!」 「そうだな。身体能力の差以外は完璧に真似できてるぜ。・・・だから、勝てねぇんだよ。」 「ワケの分かんないこと、言うんじゃないっす!姉貴!!もう一度やるっすよ!!」 「ア、アイン!ちょっと待つさ!」 アインと呼ばれた方の少女は、姉のエインの返事も待たずに再びネスに飛び掛る。 エインは慌ててアインの後に続いて飛び掛った。 二人の息の合った激しい連撃がネスに襲い掛かる。 しかし、ネスは涼しい顔で二人の攻撃を避け続ける。 「アインだっけ?もう諦めた方がいいと思うぜ?エインは感付いてるぞ。」 「五月蝿いっす!避けてばかりのヤツに言われたくないっす!」 「・・・『避けてばかり』、か。」 アインの攻撃が激情に流され勢い任せになった隙を突き、ネスは懐へと飛び込む。 「アインっ!!」 「なっ・・・!?」 「じゃあ、反撃してやんよっ!」 「うぎゃっ!!」 ネスの拳がアインの鳩尾に突き刺さり、数メートル吹き飛んで地面に転がった。 エインが慌ててアインの元に近づいて身体を支える。 アインは蹲り何度も咽び【むせび】ながら、涙目でネスを睨み付けた。 「どーだ?これで諦める気になったか?」 「げほっ!げほっ!・・・くっ・・・ま、まだまだっす!偶然、一発当てただけで・・・いい気になるなっす!!」 「あっ!アイン!もう止めるっさ!!」 エインの制止を振りきり、アインは再びネスに飛び掛る。 アインは戸惑いながらも、彼女を援護するため後に続く。 ネスはアインの闘志に感心しながら、笑顔で激しく降り注ぐ連撃をかわしていた。 「くっ!なんで、アタイらの攻撃が当たらないっすか!?」 「・・・しゃーねぇな、教えてやるよ。」 ネスは呆れた表情で溜め息をつき、徐に両手を翳す。 「なっ!?」「あっ!?」 翳した手に吸い込まれるように、エインとアインの拳が収まる。 「私の戦い方って、一人で戦うことだけに特化してるんだぜ!」 ネスは捕らえた二人の手首を掴んで思い切り引っ張る。 二人は彼女の凄まじい腕力の前に体勢を崩してしまった。 「だからな、アンタらみたいに息の合った連携ができるヤツが使うと返って戦いにくいのさ!」 「うわああーーっ!!」「きゃああーーっ!!」 ネスは前のめりになる二人の間に入り込み、掌で突き飛ばした。 二人は数メートルほど吹き飛ばされ背中から地面に叩き付けられた。 「まっ、真似る相手を間違えたってことだな・・・。」 ネスは軽く溜め息をつきながら両手を何度か軽く叩いた。