約 840,486 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4587.html
前ページ次ページゼロのエルクゥ 「おっほぉ! 王子さん達も無茶しやがるねぇ! おお、飛び降りやがった! こりゃ壮観だ! はっはぁ!」 爆音を上げ、砲弾を撒き散らしながら上空を通過していくイーグル号に、デルフリンガーはその刀身でオーク鬼の首を刎ね飛ばしながら興奮しきった声を上げた。 その甲板から、降下部隊の如く、マントを翻したメイジ達が出撃していく。勇壮な光景だった。 全ての乗組員が飛び降りたのか、イーグル号はそのままの速度で地面に激突し、まるで焼き討ち船と見紛うばかりに大きく爆発、炎上した。おそらく艦そのものも弾丸のつもりで、あの時の硫黄から作った火薬をしこたま積んであったのだろう。 「あ、あれは本陣の方向じゃないか!?」 「て、撤退だ! 撤退しろ! 本陣を守れぇ!」 「うわぁ! 化け物がこっちにきたあああ!!」 その腹に響くような地響きに、周囲の混乱がやにわに激しくなる。 れっきとした敵軍の襲撃を目の当たりにして、ただでさえ眼前の正体不明の黒い鬼に半ば以上崩壊していた戦線は、決定的に崩れた。 ガラ空きのはずのニューカッスル城に突撃するか、本陣に駆け戻るかして一手柄上げてやろう、という判断ができる腕と経験を持つ者は極わずかであり……そして、そのような猛者は、とっくの昔に黒き鬼から遠く逃げ出した後であった。 「■■■■■■■■■■■■■■■ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」 響き渡る咆哮は、精神を灼く。 中堅から後方に配置されていた、まだ徴兵されたばかりといった風情の若い兵達が、足元を黄色い水で濡らしながらばたばたと倒れ伏した。 かろうじて意識を保った兵達の逃げ惑う背中に爪を突き立てようと四肢に力をこめた、その時。 「ずいぶんと暴れてくれたじゃないか。ガンダールヴ」 背後から、強烈な風が吹きつけた。 『ウィンド・ブレイク』。猛烈な風を塊にし、相手にぶつける魔法。 それをぶつけられた身長3メイルの黒き鬼は、小揺るぎもせずにそちらへと振り返る。 「……吹き飛ばすつもりだったのだがね。まったく、規格外もいいところだ」 その黒い羽帽子とグリフォンが形どられたマントに、鬼の内なる黒い業火が音を立てて燃え上がる気がした。天を焦がし、地を焼く巨大なかがり火は鬼の心をも焼き、その四肢に莫大なるエネルギーを満ち渡らせる。 「くくく、まだ心が震えやがるか。なんてぇ使い手だ。おいそこのヒゲ。今の相棒の前に立つのはやめといたほうがいいぜ?」 「ご忠告感謝するよ、インテリジェンスソード君。なに、心配するな。そんな事、とっくの昔にわかっている」 赤い瞳の先では、ワルドが一分の隙もなく杖を構えていた。 「君のおかげで、『レコン・キスタ』陸戦隊五万が壊滅だ。ここで君を討ち果たさねば、僕の目的が果たされぬ。本陣には今から全力で飛んでも間に合わぬ故、僕の役目はここで君を討ち果たす事だ」 鬼は、肉食動物が今にも飛び掛らんとするように、全身を震わせている。 「……どうやら、その姿では言葉を話せぬようだな。ワーウルフ……にしては、随分と物騒だ。それとも、言葉が出ぬほど僕が憎いか」 既に二人の周囲には、生きて彼らを眺めるものは一人もいなかった。血臭をたっぷリ含んだ湿った風が通り抜けていく。 「行くぞ。『風』の真髄を以って君を討つ」 ユビキタス・デル・ウィンデ―――。 呪文と共にワルドの姿が蜃気楼のように揺らぎ、その幾つもの揺らぎがそれぞれに形を持ち始め、そして。 「風は『遍在』する」 「風の吹くところ、何処となくさ迷い現れ」 「その距離は意思の力に比例し」 「その身を風そのものと成す風のメイジは、世界に遍在する!」 4人のワルドが、全く同じ姿でその場にいた。間髪要れず別の呪文を唱えると、それぞれの杖が青白く光を放つ。 「風の刃を作り出す『エア・ブレイド』はそこの剣にやられたが……この『エア・ニードル』は杖そのものを超振動の刃と化す! 吸い込む事はできぬぞ!」 4人のワルドが刃と化した杖を構え、躍りかかるのに呼応するように―――エルクゥも、その身を大きくしならせた。 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」 § 「『エア・ハンマー』!」 ウェールズの杖の一振りで数人の警備兵がまとめて吹き飛ばされ、手近な天幕に激突した。布と柱に潰されて、しばらくは動けないだろう。 「パリー! 本幕はっ!」 「定石通りであれば、あれのはずですな」 傍らを駆ける侍従が指したのは、多くの衛兵が周囲を囲む一番大きな天幕だった。 「いかがなされますか?」 「こんなところまで連れてきておいて愚問だな、パリー!」 「ほっほ。この老骨、殿下の意向に従う事が仕事です故、なっ!」 パリーがぶん、と杖を振ると、地面から巨大な土のモノリスが隆起し、飛来した火球と風の矢を苦もなく受け止めた。 「さあ、行かれませ殿下! ここはこの『鉄壁』に任せられい! かぁーっ!」 一喝と共に、身の丈10メイルの黒光りするゴーレムが、侍従の左右に1体ずつ現れる。 二人の後ろを追っていたメイジが、その威容にたたらを踏んだ。 「来い! ケツの青い小僧どもが、この『鉄壁』を貫けると思うでないぞ!」 轟音と共に、鉄の巨人はその腕を振り上げた。 § 「か―――ふっ」 勝負は、一瞬でついた。 「く、ははっ」 体の一部がこそげ落ちた3人のワルドが、風に溶けるようにして消えていく。 残った一人の左胸を、丸太のような漆黒の腕が貫いていた。 「まったく……女性のご機嫌を伺うというのは、一番苦手なのだがね……勝利の女神というのは、ご機嫌を取らないと、ずいぶんへそを曲げてしまうらしい……」 「けっ、よく言うぜ。娘っ子相手にはさんざん愛想振り撒いてたじゃねーか」 「娘は騙せても、女神は騙せまいよ。あのような、下手な演技ではね。まあ……」 腕が引き抜かれ、ワルドがどさりと地面に崩れ落ちる。 「世間知らずのお嬢さんすら、騙せなかったようだけど、ね……」 剥き出しの地面に、赤い水たまりがゆっくりと広がっていく。 「ああ、苦しいなあ……苦しい、とは、一体何なのだろうなあ……」 誰に聞かせるでもないうわごとのように呟くと、ワルドはそのまま動かなくなった。 「…………」 「相棒」 まるで、周囲のもの全てを焼き尽くしてしまった炎のように、黒き鬼は鎮まり、無音でそれを見つめている。 ひゅう、と、血塗れの風が、そこに音を運んだ。 剣戟。爆発。悲鳴。怒号。それは、戦いの旋律。鬼の心を躍らせる血風の神楽。 「■■……■■■…………!」 その首が微かに動いた。 いまだ炎と煙が上がるその一角を眺めると、喉奥から、獣の呻きがせり上がってくる。 まだ殺す者がいる。 戦いを続けるものがいる。 ならば殺さねばならない。 殺し殺される場を作り出す人間など、主を危険に晒す人間など、すべて殺し尽くさねばならないッ! 『耕一さん!』 「■■■……―――ッ!?」 大きく雄叫びを上げようと鬼がその肺を膨らませた、その時だった。 「ア……ぐぁ……ぁ……!!」 「相棒? どうした、相棒!」 獣の声しか生み出さなかったその口が、人の声を放った。 がくり、と膝をつき、手で頭を支えるように抑える。 『耕一さん! 耕一さん! 耕一さんっ!!』 「あ、ぐあァッ! ぐああぁあっっ!!」 頭の中に直接響く声。 それは、懐かしい声。求めていた声。愛する者の声。 そして―――左手から身体中を貫いていく、強烈な激痛。 「あぁァぁぁぁああああぁっ!!」 牙を剥き、苦悶の声と共に吐き出した。 「か……え、でぇっ!!」 その眼に理性の光が灯り、弾かれるように天を仰ぐ。 「耕一さあんっ!!!」 確認する暇もなく、上空から落下してきたその人影は、そのままの勢いで鬼の首元に抱きつき、ぎゅうと手を回した。 衝撃に抗わず、鬼が尻餅を付く。からん、と音を立て、握られていた剣が手を離れて地面に落ちた。 黒く硬質な光を放つその腕が、震えながら、小さな背を抱き返す。 「耕一さん! 耕一さん!! 耕一さんっ!!!」 抱きついてすすり泣く声。抱きしめた小さな体の感触。戦場の血煙の中にそっと香る柔らかな髪の匂い……全てが、彼の、柏木耕一の愛する恋人だと示していた。 鬼が、ゆっくりと、その体躯を縮め始める。 巨躯を構成していた老廃物がばさばさと周囲に降り積もり、先程まで全ての命を狩り尽くす鬼であったそれは……ただの人間の青年にまで、その姿を変えた。 「楓、ちゃん……?」 「耕一さんっ……! よかっ、良かった……っ! 戻って、くれたっ……!」 抱きついたままの少女は、わんわんと声を上げて泣き出してしまう。 「俺、は……」 楓を抱きながら、耕一は鈍痛の走る頭を抱えた。 いつか見たあの夢のような、しかし確実に夢ではない実感―――命を奪う実感に、静かに体が震え出す。 「俺は、エルクゥに……っ!」 「違いますっ!」 エルクゥに支配されて暴走してしまった―――そう言葉にしようとした瞬間、楓がそれを遮った。 「楓ちゃん……?」 「さっきまでのは、きっと……違います。変だったんです」 「変、って……?」 呆然と問う耕一に、ゆっくりと首を横に振る楓。 「……わかりません。けれど、エルクゥの心が無かった。あの残忍な狩猟者じゃない、何か別の、黒い金属みたいなものに無理矢理力を引き出させられているような……そんな感じがして……」 まだ涙を浮かべながら言うそれはきっと、嘘ではない。 けれど、幾千もの人を殺した肉の感触は、体にありありと染み付いていて―――。 「……ありがとう、楓ちゃん」 「耕一さん」 耕一はゆっくりとうなだれ、すがりつくように楓を抱きしめた。 「く……ぅっ」 「……耕一さん」 その胸に顔を埋め、小さく肩を震わせる。 しばらく、くぐもったような嗚咽の声が、戦場の跡に静かに染み渡っていた。 § 幾人かの側近と共に衛兵を薙ぎ倒し、本幕に雪崩れ込んだウェールズが目にしたのは、たった一人の人影だった。 「やあ、皇太子。久しぶりだね」 「クロムウェル司教……」 緑色の法衣に丸帽を被った中年の僧は、静かに微笑みを湛えていた。 「覚悟を決めたか、司教」 「ああ、君達の秘密兵器にしてやられたよ。あれはなんだい? あの……我が軍勢をことごとく殺したという、黒い鬼というのは」 「…………我が王国への、最後の大使殿さ」 「それは、また私も運がない」 少し考えていったウェールズに、クロムウェルはくつくつと軽快に喉を鳴らす。 「さあ、その杖で私を討ちたまえ。君達の勝ちだ、皇太子」 「言われずとも!」 ウェールズの杖に渦巻いた『エア・ブレイド』が、寸分の狂いなくクロムウェルの心の臓に吸い込まれる。 ざしゅ、と粘ついた水音が、天幕に響いた。 「ふ、ふふ……」 「何が可笑しい、司教」 「いや、なに……久方ぶりに私を縛る糸が切れたのが、何とも爽快でね。思わず踊り出したくなりそうだ」 「糸、だと?」 「ああ。操り人形の糸さ。私の身体中に絡みついていた、ね」 ウェールズと側近の顔が、驚愕に強張った。 「……黒幕が、いるというのか?」 「ご聡明で何よりだ。私はただの傀儡だよ。魔法も使えぬただの司教に、これほどまでの勢力を築く力などないさ」 「何者だ! このアルビオンを同胞の血で汚そうとしたその者はっ!」 「ガリア王、ジョゼフ一世」 「なっ!?」 ためらいなく、クロムウェルはその名を口にした。答えが返ってくると思っていなかったウェールズは、目を見開く。 「ジョゼフ? あの『無能王』が!?」 「『無能』と侮られる事こそ、彼奴の狙いよ。武人である皇太子殿ならば、自らを侮る相手の足をすくう事がいかに容易いか、わかろう?」 法衣を血に染め、息を切らしながら話を続けるクロムウェルに、ウェールズは杖を鞘に収めた。 「……なぜ、僕に話した」 「感謝の気持ちだよ。私を縛る糸を断ち切ってくれた、ね」 膝をつき、傷口を抑え、クロムウェルは天を仰いだ。 「ジョゼフは智謀の王。私もその姦計に掛かり、こんな舞台に昇らされてしまった。ゆめゆめ気をつけられよ、皇太子。アルビオンを、頼む」 笑みを絶やさぬまま、その場に倒れ伏す。 すると、湯の中に入れた氷のように、見る見るうちにその体が縮んでいき……ころりと、一体のアルヴィーが床に転がった。 「『スキルニル』……!」 それは、血を与える事で、その者の写し身へと変化する魔法人形。 彼は、文字通りの傀儡であったのだ。 「……全軍に伝えよ。総司令官オリヴァー・クロムウェルは討ち取った。この戦、我等の勝利であると」 「はっ!」 ウェールズの言葉に、側近の一人が天幕の外へと駆け出していく。 「……許さぬぞ、ジョゼフ」 物言わぬアルヴィーを見つめながら、ウェールズは低く呟いた。 § 「負けちゃいましたね、クロさん」 「そうだね、サイトくん」 「はあ。やれやれ、あいつに何て言おうかなあ……」 中年とその秘書は、一騎の風竜の背の上で、揃って体操座りをしていた。 時は夕方。水平線の向こうに太陽が身を隠しつつある、束の間の朱の時間だった。 「……クロさん、なんか嬉しそうっすね」 「……そう見えるかい?」 その中年の方―――アルビオン反乱軍前総司令官オリヴァー・クロムウェルは、どこか憑き物が落ちたかのような穏やかな顔で、流れ行く雲を見やっていた。 「まあ、肩の荷がようやく降りたってところさ。元々、私は王なんて器じゃないんだからね」 「……羨ましいっす。俺なんて、やめたくてもやめられないし」 「はは。あんな物騒な舞台から五体満足で降りられるとは、私は幸運だな」 秘書の顔を隠していたフードは、吹き付ける風にはためき、その役目を果たしていなかった。 ハルケギニアには珍しい、まだ子供っぽさの残る黒髪の少年は、穏やかな表情のクロムウェルとは真逆の深刻な顔で、言葉を切り出した。 「クロさん、この前話した事なんですが」 「うむ。この『アンドバリ』の指輪だね。間違いなく、君の言う通りにしよう」 「そうです。すんません。危険な事頼んじゃって」 「気にするな。あの無能王に逆らえぬ身でありながら私を救ってくれた君への、せめてもの礼だよ。あんな事態を引き起こした私が楽隠居に落ち着く為の試練とでも思わせてもらうさ」 「お願いします」 深く頭を下げた少年が、思いついたように手を鳴らす。 「そうだ、これを持ってってください」 「これは……短剣?」 少年が差し出したそれは、細かく意匠の凝らされた銀色の短剣であった。 「"地下水"、頼めるか」 「ふふん。ま、お前についていくよりかは退屈そうだが、しゃーねえな。お前さんの恋しい恋しい娘っ子は、俺様が華麗に助けておいてやるぜ」 「な、ななな、何言ってんだ! そ、そ、そんなんじゃねーよ!」 けけけ、という意地の悪そうな笑い声は、その手の短剣から響いている。 「イ、インテリジェンス・ソードかい?」 「そうです。こいつ自身が魔法を使えるし、持ち主の体を操る事もできます。護衛にはもってこいだと思います」 「……すごいものだね」 クロムウェルが、短剣を手に目を丸くしていた。 「無事に終わったら、適当な賊にでもあげてください。そいつの体を操って、ついでに盗賊団でも一つ潰しながら勝手にこっちに戻ってくると思うんで」 「わ、わかった。ありがたく使わせてもらうよ」 クロムウェルが頷くと、眼下に夕陽に染まったハルケギニアの大地が近付いてくる。 俯瞰の世界は、変わらず静かに佇んでいるだけだった。 前ページ次ページゼロのエルクゥ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4323.html
前ページ次ページゼロのエルクゥ 「やれやれ、できればもう少しスマートにやりたかったんだがねえ……ま、すぐにバレるだろうが、逃げる間ぐらいは時間が稼げるだろ。ったく、ホントあのクソジジイのセクハラったら……!」 学院より四半日ほど離れた街道を、ロングビル―――『土くれ』のフーケは、ゆったりと幌付きの馬車で進んでいた。 周囲に人影が無いのを確認して、懐から何かを取り出し、しげしげとそれを眺める。 泥のついていない小奇麗なマツタケ。そんな風に見えるキノコだった。綺麗すぎて、どこか蝋細工のようでもある。 「"食べた者に、烈火の如き勇気と力を与えるキノコ"……ま、あたしはそんなんいらないし、いつものように、適当なルートに売り払おうかね」 自らを匪賊に貶めた連中に対する復讐、なんて感情も、とっくの昔に擦り切れてしまった。 話によれば、近いうちに自滅するみたいだが……たぶん、あの時にああしなかった貴族―――王族なんて、皆無だろう。良い意味でも悪い意味でも、王というのはそういうものだ。王弟だからと言って手心を加えなかったのは逆に高潔であるとも言える。 そういう意味では、最初から、別段、特定のどこかや誰かを殺したいほど憎いという訳ではない。代わりに、貴族、なんていうもの全てが嫌いにはなったが。 高慢ちきなお貴族様が宝物を盗まれてあたふたするのを眺めて楽しむ。そのぐらいで十分溜飲は下がった。 「さって、珍しく安定してた収入はなくなっちゃったし、これからどうしますか……」 キノコを懐にしまい直して、うららかな陽気に一伸びする。 目の前では街道が交差し、分かれ道になっていた。 「……キナ臭い話もあるし、秘書の仕事が忙しかったしね。久しぶりにテファのところにでも顔出そうかしら」 そう呟いて穏やかな笑みを浮かべると、フーケは馬車を北に向けた。 § 学院は、上へ下への大騒ぎだった。 「ふぅむ……まさかこの宝物庫に賊が侵入していたとはのう……」 衛視から報告を受けたオスマンは、確かに"烈火のキノコ"が無くなっている事を確認して、大きくため息をついた。 「土くれのフーケ! 貴族達の財宝を荒らしまくっているという盗賊か! この魔法学院にまで手を出すとは、随分とナメられたものですな!」 「衛兵は一体何をしていたんだ!」 「フーケは盗賊とはいえメイジ、平民の衛兵など当てになるか! そもそもいつ盗まれていたのかすらわからないんだぞ!」 集まった教師連中は、口々に好き勝手な事を喚き散らしている。話は紛糾するばかりで、実のある方向に向かっていく様子はなかった。 オスマンはもう一度ため息をつき、現場を検分していたコルベールに話しかけた。 「ミスタ・コルベール、書き置きを発見したのは彼等二人なのじゃね?」 「はい。足を滑らせて扉にぶつかった折、鍵が掛かっているはずの扉が開いてしまったので驚いて報告したと。間違いないかね?」 「ま、間違いありません」 「ふぅむ……教師諸君! ここ最近、宝物庫に入ったものはおるか?」 ざわついていた教師が一瞬静まり返り、顔を見合わせた。 その内の一人が、おそるおそると手を上げる。 「に、二ヶ月ほど前、授業に使うための『遠見の鏡』を持ち出しましたが……」 「その時には?」 「こ、こんなものはありませんでした。ハイ」 「では、二ヶ月以内に入った者は?」 再び顔を見合わせる。今度は、手を上げるものはいなかった。 「おらんか。犯行は少なくとも二ヶ月以内に行われた……手がかりナシに等しいの」 「あ、あの」 衛視の一人が、こわごわと言葉を紡いだ。 「なにかあるのかね?」 「ほ、本日は、ミス・ロングビルがいらっしゃいました。宝物庫の目録を作る、とかで……お昼前ぐらいだったでしょうか。半刻ほどして、何事もなく出て行かれましたが……」 「ふむ……そういえば、そのミス・ロングビルはどこじゃ?」 見渡してみても、あのぷりんとした尻は見当たらなかった。 「見当たりませんね」 「そのようじゃな。あー、君々、ちょっとミス・ロングビルを探してきてくれんか」 「わ、わかりました」 所在なさげに教師達を見やっていた衛兵の一人が頷き、早足で駆けていく。 「やれやれ。ガンダールヴといいフーケといい、新学期早々厄介事が続きおるわい」 オスマンは眉間に皺を寄せて、ため息をついた。 そのすぐ後、ロングビルの私室から『学院長のセクハラに耐えられないので辞めさせていただきます』という書置きが発見され、オスマンの眉間の皺がさらに深くなる事となったのだった。 なお、彼の秘書に対するセクハラは公然の事実であったので、ロングビルの予想に反し、誰も"ロングビルがフーケであり烈火のキノコを盗んで逃げたのだ"と言い出さなかったのは余談である。 § 「明日のフリッグの舞踏会が中止ですって? なんで?」 「さあ? 中止っていうだけで、理由は誰も教えてくれないのよ。もう! せっかく特製のドレスでダーリンを悩殺しようかと思ってたのにぃ!」 「……はぁ。ツェルプストーはろくな事を考えないんだから」 学院に帰ってきたルイズ達を待っていたのは、何やら慌しい雰囲気だった。 「まったく、今日は厄日かしらね、打つ手打つ手が全部裏目に出ちゃうわ。ルイズには先を越されるし、タバサもどこに行ってたのか話してくれないし」 「…………」 食堂で夕食を取った後、ルイズはキュルケ、タバサと食後の紅茶を飲むのが日課のようになってしまっていた。 キュルケは自分にとっても一族にとっても天敵だったはずなのだが、耕一が召喚されてからというもの、なんとなく印象が柔らかくなった気がして、話が続いてしまうのだ。(タバサの方は、キュルケが引っ張り込んで一緒に居るだけのようで、ほとんど喋らないが) その当人たる耕一は、いつもの通り厨房に行っていて、食堂内にはいない。そろそろ入り口に現れる頃だろう。 「なんでも、宝物庫に盗賊が入ったらしいわよ。あの『土くれ』のフーケ。先生が総力をあげて探してるから中止って話だけど」 「それ本当なの? モンモランシー」 今日は、長いブロンドの髪を豪奢な巻き毛にした少女―――モンモランシーも、その輪に加わっていた。 浮気者の恋人をワインボトルでしばき倒した、あの少女である。 紆余曲折の末によりを戻した恋人が級友の使い魔に妙に傾倒しているので、彼女もその主人と交友を持つようになっていた。 彼女自身、ルイズの事を内心バカにしていた一人で、使い魔とギーシュの決闘というのも見ていないのだが、プライドはえらく高い方であったあのギーシュが、あれ以来ルイズにも酷く丁寧に接するので、なんとなくそんな気持ちは薄れていたのだった。 「『土くれ』のフーケ……今日街でもその名前を聞いたわ。貴族の屋敷から宝物を次々と盗んでいる怪盗だって」 「トライアングル相当って聞いてたけど……ここの宝物庫から盗み出したとなると、スクウェアクラスかもしれないわね」 「スクウェアの土メイジなんて、エリート中のエリートじゃない。なんで盗賊なんてやってるのかしら」 フーケの件は厳重に緘口令が敷かれていたが、人の口に戸は立てられぬもの。 舞踏会の中止が告知されるや否や、それとほぼ同時に、その理由として噂の口に昇っていた。 「ま、ともかく作戦は最初から練り直しかぁ。どうしようかしら」 「もう、ホントに盗賊が入ってたとしたら、そんな悠長な事言ってる場合じゃないでしょ。色ボケもいい加減にしときなさいよ」 「て言ったって、あたし達がピリピリしたって犯人が捕まるわけじゃないわよ」 「それは、そうだけど……」 「…………餅は、餅屋。ルパンに、銭形」 「そういう事。捕り物なんて、先生とか衛士隊とかに任せておけばいーのよ」 うー、と黙ってしまったルイズを見て、難儀な性分ねぇ、とキュルケは苦笑し、紅茶のカップを傾けた。 「っていうかタバサ、るぱんとぜにがたって何?」 「…………あなたの、心です」 § 「学院長の方も、タバサちゃんの方も、手がかり無し、か」 本来ならば絢爛な舞踏会が行われていたはずの夜は、しかしいつもの静けさのまま、人々を安らぎの闇に包んでいた。 『すまんのう。図書館の文献を当たらせてはおるが、まだ手がかりと言えるようなものは見つかっておらんのじゃ』 『仕事で遠くに行っていて、もうしばらくは会わせる事が出来ない』 先程続けてもたらされた話を思い出して、耕一は肩を落とした。 秘書が辞めてしまったらしく、書類に忙殺されていた老人に無理を言うのは憚られたし、基本的に善意で言ってくれているタバサに至っては言わずもがな。 元々誰かに当たり散らすような性格ではないが、未だ慣れぬ異邦の世界ではうまく解消する術も無い。耕一は、肩を落とした姿勢のまま、腹に溜まった物を静かに吐き出した。 「ま、そう気を落とすなって、相棒」 「気が利くねえ、デルフ」 「任せな。相棒のためなら気ぐらいいつでも利かせてやるさ」 腰に差した剣―――デルフリンガーの鍔飾りが、カタカタと鳴る。 陽気な彼とのお喋りは決して嫌いではなかったので、耕一は鯉口を締める事はせず、常に彼を喋る事の出来る体勢に置いている。 それを気に入ったのか、彼は耕一を、相棒、などと呼んでいた。 「しっかし、別の世界から召喚された、ねえ。相棒も難儀なこったな」 「まったくだよ。なあ、お前は何か知らないのか? 六千年も生きてるんだろ?」 「残念ながら、そーいう細けえ事まで覚えちゃいねーよ。六千年つったって、最初の頃以外はホントつまんねえ事ばっかりだったしな。何十年も埃の被った棚に放置されたり、何百年も真っ暗な倉庫に入れっぱなしにされたりしてみ? ありゃ気が狂うね。マジで」 「はは、つかえねーの」 「ひでえ。でもま、相棒なら許してやる」 「そりゃどうも」 広場に出ると、月明かりの中、まだ仕事を片付けている奉公人がちらほらと残っている。 「あ、それで一つ思い出した」 「何を?」 「相棒、俺を抜け」 言われた通りに鞘から抜き放つと、錆びついていたその刀身が、微かに光り始めた。 「デルフ?」 「最初の持ち主が死んじまってから、ホントつまんなくてよ。世を儚んで、こんな格好にしてたんだが」 「う、おっ……!」 その光は徐々に強くなっていき、やがて夜を切り裂き、視界を覆うほどに膨れ上がる。 それが収まった時……耕一の手には、錆び一つ無く銀色に光り輝く、見事な名剣が握られていた。 「最初の頃は、こんなだったんだよ、俺」 「……先に言ってくれ。結構びっくりしたぞ」 「悪ぃ悪ぃ。驚かしたくてよ」 「こんにゃろ」 広場に残っていた奉公人達が何事かと目を向けてきたので、慌てて女子寮の塔に飛び込む。 「ま、お前さんといると面白そうだからな。俺なりの誠意ってヤツだ。よろしく頼むぜ、相棒」 「ああ、よろしく。デルフリンガー」 何千年という時を過ごしながらどこまでも陽気な剣の声に、少しだけ気持ちが軽くなった耕一だった。 前ページ次ページゼロのエルクゥ
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/5611.html
autolink() ZM/WE13-19 カード名:砂漠のエルフ ルクシャナ カテゴリ:キャラクター 色:緑 レベル:1 コスト:0 トリガー:0 パワー:5000 ソウル:1 特徴:《魔法》? 【起】集中[② あなたの山札の上から1枚をクロック置場に置く]あなたは自分の山札の上から4枚をめくり、控え室に置く。それらのカードのクライマックス1枚につき、あなたは自分の手札のレベル2以下の《魔法》?のキャラを1枚まで選び、舞台の別々の枠に置く。 ノーマル:あら、お言葉ね。逃しに来てあげたってのに パラレル:なるほどね。あなたがテファのライバルって訳ね レアリティ:C illust. 12/04/23 メールマガジン かなり特殊な集中?。コストはストック2つ+クロック1枚とかなり重いが、成功すれば手札から《魔法》?のキャラを早出しできる。 “忘却の魔法”ティファニアや勇者の“騎士” タバサなど、アンコール?を持つキャラを出せれば早い段階から場を制圧しつつソウル2の打点で攻撃することが可能。 もしくはレベル1の段階から無意識の力 ルイズをチェンジさせて相思相愛 ルイズを出すなんて芸当もできる。 注意点としては、出せるキャラは《魔法》?のみであることと、手札から出すということ。 折角集中が決まったのに出したいキャラが手札にいなかったり、特徴を持っていなかったなんてことがないようにしたい。 コストの都合上、通常の1枚見るタイプのデッキトップチェックでは成功が確約されない点も気をつけたいところ。 パラレル版はイラスト・フレーバー共に別。 ・関連ページ 「シャナ」?
https://w.atwiki.jp/wrtb/pages/5097.html
ジョーイ 名前:Joey Hippo デビュー:『子ぞうのエルマー』(1936年) 概要 水兵の格好をしたカバの男の子。 肺活量が凄まじく、ティリーの誕生日ケーキのろうそくを代わりに消そうとしたところ、ケーキごと吹き飛ばしてエルマーの顔にぶつけてしまう。 登場作品 1930年代 1936年 子ぞうのエルマー 声 クラレンス・ナッシュ(1936年)
https://w.atwiki.jp/amazonapp/pages/73.html
とのクリスマスのエルフ物語 とのクリスマスのエルフ物語 期間 2015/2/5 コメント 名前
https://w.atwiki.jp/ukagaka_establish/pages/18.html
公開サイト ソフィ フルネーム 年齢 性別 身長 種族 職業 現在位置 ソフィ・レゼント 人間で言えば16歳程度 女 160cm エルフ ? エルフの森 リエール フルネーム 年齢 性別 身長 種族 職業 現在位置 リエール・レゼント 人間で言えば16歳程度 女 162cm エルフ ? エルフの森 ジック フルネーム 年齢 性別 身長 種族 職業 現在位置 ジック・レゼント 人間で言えば19歳程度 男 ソフィより20センチほど高い エルフ ? エルフの森 ソフィ設定 リエールの双子の妹。 子供や老人の世話をよく焼いている心優しい少女。奥手で女性として自分を見られることに慣れていない。 おっとりした性格で、食いしん坊。薬の調合や回復魔法が得意。 リエール設定 ソフィの双子の姉。 活発で、男女問わず友人が多い。妹想いであるがよくセクハラをしている模様。 踊りが得意。 ジック設定 ソフィとリエールの兄。誕生日は9月30日。好物は果物。 妹(特にソフィ)のことを大切に想っているが、少々冷たい態度をとっている。 呪術が得意。歌も得意らしく、声変わりする前は妹達に歌を教えていた。 極度の人間嫌いで、人間であるユーザには冷たい。 世界観設定 ネタバレ +重大なネタバレ ジックが人間を嫌っているのは母親を人間に強姦されたあげく殺されたためである。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4414.html
前ページ次ページゼロのエルクゥ 「根元から見ると圧巻だなぁ……」 ラ・ロシェールの『港』である巨大な世界樹の枯れ木を見上げ、耕一は呆然と呟いた。 その丈は数百メートルにも届こうかという大樹。既に枯れて葉はなく、太い枝だけが『桟橋』として残されている。その枝々には、まるで花か木の実のようにいくつもの船がくっついていた。 枯れていても朽ちないのは、この大樹全てに『固定化』の魔法が掛けられているからという。 「チャーターした船は中腹ほどにある『マリー・ガラント号』だ。行こう」 根元には、洞窟よろしくいくつもの穴が空いている。 中に入ると、大樹はまるまる中身がくり抜かれていて、遥か上方へと続く階段の向こうに、『桟橋』たる枝への出口などが垣間見えた。 超高層ビルをまるまる吹き抜けにしたような光景に、耕一はルイズ達の後ろを歩きつつ、真上を向いて口をあんぐりと開けていた。 ―――これ、階段で昇るのか。いや俺は大丈夫だけどさ。普通の人とか、無理だろ。 耕一の心配をよそに、ワルドに抱きとめられたルイズは、ワルドの『フライ』の魔法によって階段を無視して飛んでいく。 「い、いいわよ。階段で昇るから」 「あの使い魔君ならともかく、君では昇りきる頃にはへとへとになっているよ」 などという会話が聞こえてきて、おいおい俺でも疲れるんだぞ、とぼやいたら、数百リーグ走って息も切れねぇ奴が何言ってやがんだ、とデルフリンガーにツッコまれた。いい相棒である。いや、この場合、相方、と言うべきか。 目的の『桟橋』は、言葉通り、大樹の中腹ほどにあった。枝からまさに木の実のように船が宙吊りにされていて、タラップで降りるような構造になっている。 ギシギシと枝がたわみ、折れないのだろうか、とちょっと心配になった。 「どうも子爵様。お待ちしておりましたよ」 「ああ。早速出発してくれ」 「へえ。お急ぎと言う事なんで、既に準備は整えさせてありやす。おいてめえら! 出港だ! 錨を降ろせぇ!」 「アイアイ・サー!」 一体いくらの追加料金を渡されたのか、急な依頼に応対した初老の船長の顔は終始笑顔であった。 『錨を降ろせ』とは耕一には聞き慣れない言葉だったが、この場合の『錨』とは船と桟橋とを繋いでいる縄であるらしい。 船員達は、先端に重りのついているそれを一斉に解きに掛かり、解き終わると、がくん、と一段下がるような感覚の後、船はさーっと空を滑り出した。 「おお、すげー!」 飛行機にもろくに乗ったことのない耕一は、結構感動の目で船の縁から顔を出していた。 「向こうへは、約半日ほどだったね」 「へえ。今からなら、夕方にはスカボローの港に到着しまさ」 「と言う事だ。スカボローからニューカッスルまでは馬で一日ほど。昨日と同じ強行軍でいけば夜半には到着するだろう。今のうちに休んでおくといい」 ワルドの言葉に従って、あまり睡眠の足りなかったらしいルイズは早々に船室へと入っていく。 ワルドもその後を追い、甲板にいるのは耕一だけとなった。 「相棒は、休まなくていいのかい」 「半日もあるんなら、少しぐらいいいさ。昨日も早く寝たしな」 「そうかい。ま、なかなかの絶景だからな」 地上の大樹は、もう小さくなりかけている。船はぐんぐんと高度を増しているようだった。 「しかし、ルイズの話だともう少し時間が掛かるような事を言ってたけど、結構早く着くんだな」 「娘っ子、前に家族で旅行に来た記憶で話をしたらしいぜ。港も、スカボローじゃなくてロサイスって言ってたしな。観光と強行軍を一緒にしちゃいけねえよな」 「あらら。って、なんでデルフがそんな事知ってるんだ?」 「一昨日と昨日、娘っ子が寝る前に呟いてた」 一刻を争う密使としてはまったく笑い事ではなかったが、異邦人根性の抜けない二人は、わはは、と大口を開けて笑った。 § 「あれが、アルビオン……」 耕一は、ラ・ロシェールの『港』を見た時以上の驚きを込めて、それを見上げた。 ゲームに出てきた、天空に浮かぶ城を思い出した。雲の大地に乗った城。同じように、下半分を雲に包まれた巨大すぎる岩石の塊。空に浮かぶそびえ立つ山脈。乗っている船が豆粒に思えるような、幅も高さも何百キロとある岩塊。 それが、浮遊大陸アルビオンだった。 「こりゃあ、とんでもないなあ……」 仮眠から起きて甲板に出ると、あまりにファンタジックな光景が目の前に広がっていて、思わず足を止めてしまったのだった。 「驚いているようだね、ミスタ。アルビオンは初めてかい?」 既に甲板にいたワルドが、微笑みながら近寄ってくる。傍にいたルイズも、その後ろに付いてきていた。 「ええ。ハルケギニアじゃないところから召喚されてきたんで、こんなのがある事すら知りませんでしたよ」 「ほう……それは興味深い。惜しいな。もっと早く言ってくれれば、詳しい話が聞けたというのに」 「……ワルド?」 ワルドは珍しく好青年の態度を崩し、どこか研究者のような深い目の光を湛えて、本気で悔しがっているようだった。 「まだ到着までには時間があるでしょう? 話ぐらいは出来ますよ」 「いや……どうやら、そんな暇はなさそうでね」 「え?」 ワルドの言葉に、耕一とルイズが視線の方向を見ると、黒い粒のようなものが空に浮かんでいた。 それは、見る間に粒から大きさを増していく。 「……船?」 「右舷上方の雲中より、船が一隻接近してきます!」 耕一が呟くと、見張り台の船員が声を張り上げた。 船長が何事かを指示し、船員の一人がぱたぱたと手旗信号を送り始める。 「は、反応ありません! あの船は旗を掲げていないそうです!」 「は、旗がない? 空賊船か!? 逃げろ、取り舵いっぱい!」 「空賊ですって!?」 マリー・ガラント号がようやく離れようと慌て始めた頃には、黒船は既に向こうの甲板に乗る人影が見えるぐらいにまで距離を縮め、並走していた。 その人影は数十を下らず、全員黒い服装にバンダナを巻き、弓やら銃やらで武装している。接舷したら今にも飛び掛ってきそうに、気勢を荒げていた。 「海だから海賊、空だから空賊ってわけか……」 「この状況でまだ余裕だね相棒ってうひゃあ、大砲撃ってきたあ!」 デルフリンガーの緊張感の少ない悲鳴から刹那、どごん! と遠くから響く花火のような重音が響き、放たれた砲弾がマリー・ガラント号の鼻先を掠めていった。 甲板に繋がれていたワルドのグリフォンが、ぎゃあぎゃあと騒ぎ始める。 「くっ、反撃は?」 「商船だ。ろくな武装はなかろう」 耕一の呟きに、隣にいたワルドが冷静そのものの声色で答える。事実、マリー・ガラント号には側面据付の艦砲などは無く、甲板に古めかしい車輪つきの砲台―――石火矢と言った方が適切かもしれない―――が3基ほど置かれているだけであった。 側面にズラリと20ほどの砲を並べている黒船とは、とても勝負にならなそうだ。 「に、逃げ切れるの? ど、どんどん追いついてくるんだけど!」 「相手の船は専用の砲台がある軍事用だ。足もあちらの方が明らかに早いな」 「何とかする方法は? 魔法とか」 「遺憾ではあるが、僕の風を全力でこの船のスピードに当てても、あの船を振り切る事は出来まい。撃退しようにも、あまり強行に抵抗すれば、船ごと撃沈される怖れもある」 「風のスクウェアのあなたでも、無理なの?」 「ああ。商船というのは、荷物を多く積めるように設計されている分、速度に優れてはいない。対して向こうの船は機動性を重視したつくりのようだ。それに……ほら、向こうにもメイジがいる」 視線の先を見ると、暴れていたグリフォンの周囲に青白い霧のようなものが発生していた。こてん、とグリフォンが首を落とし、寝息を立て始める。 「トライアングル・スペル、"スリーピング・クラウド"だ。いくら僕がスクウェアでも、相手にもトライアングルがいたら機体の性能は埋めきれない。ま、空賊は商船を撃墜はしないよ。船を壊してしまったら積荷が手に入らないからね」 冗談だか本気だか判断のつきかねるワルドの言葉にひきつった笑みを返すと、船長の弱々しい声色の指示に従って船員達が帆を裏返し、船の速度が下がっていく。 がくん、と船が接舷の衝撃に揺れた。 § 「船ごと全部買った。料金はてめえらの命だ」 真っ黒なちぢれ毛の頭髪に赤いバンダナを巻き、無精ひげに覆われた顔に片目だけ黒い眼帯をつけた男が、マリー・ガラント号の船長から帽子をひょいと奪い取って言う。 幅広のシミターをひたひたと船長の頬に貼り付けているそいつが、空賊の頭であるらしかった。 ―――黒ひげ危機一髪。 あまりにあまりなその風貌に、耕一は緊急事態に緊迫しながらも、日本人の8割が連想するであろう名前を思い浮かべていた。 「あん? 貴族の客なんか乗せてんのか。貨物船なのに珍しいな。へへ、こいつはカモネギだ」 黒ひげが、ワルドとルイズを見やってニヤニヤと近付いてくる。 耕一は近くに寄ったそれを見て……どこか不思議そうに眉を顰めた。 「おいおめえら! 丁重にお貴族様のお杖をお持ちしてやんな! 従者の兄ちゃんのご立派そうな剣も忘れずにな!」 「へい! おかしら!」 「くっ、は、離しなさいっ!」 取り付く空賊達に、ルイズが身をよじらせる。 「ルイズ、抵抗すれば船の人々が危ない。ここは大人しく従おう」 「ワルド……っく、わかったわ」 ワルドの言葉に、歯噛みしながら杖を渡すルイズ。 「てめーら! 剣はもっと丁寧に運びやがれ!」 「うわ、剣が喋った!?」 「へえ、インテリジェンスソードか。さすが貴族様の従者、珍しい品をお持ちだ。おら、何してやがる! お貴族様をお部屋へお連れしなきゃ失礼だろうが! 身代金が貰えなくなるぞ!」 「へい! おかしら!」 「くっ……」 デルフリンガーは杖と一緒にどこかに運ばれていき、3人は両脇を空賊達に挟まれ、空賊の船へと連れていかれる。 耕一はされるがままにしながら、じっと空賊の頭目を見つめていた。 § 連れていかれた先は船倉だった。 空間自体は狭くないが、何かの樽だのずだ袋だの砲弾だのが種々雑多に積まれていて、お世辞にも快適な空間とは言えなかった。 唯一の扉がばたんと閉められ、鍵がかけられた。 「くっ……こんなところでモタモタしてる場合じゃないのに……」 ルイズは立ったまま俯き、身を震わせている。 「落ち着くんだ、ルイズ。空の上では僕達の方が不利だ」 「でも……」 ワルドはその肩を叩いて、耳元に口を寄せ、扉の外で見張っている看守に聞こえないよう、穏やかに語りかけた。 「焦っても仕方ない。行動を起こすなら、船が奴等のアジトに着いた時だ。こちらには、ミスタという心強い使い魔がいるんだからね」 「……そう、ね」 杖がないメイジは平民と変わらないが、剣を取り上げられても耕一の力はそのままだ。 まだ切り札はある。八方塞りじゃない。 そう思い直し、ルイズは一つ深呼吸をすると、手近な樽に腰を下ろした。 「というわけだ、ミスタ。今は大人しくしているしかないようだな」 「ですね……」 耕一も、やる方なく床に座り込んだ。 ワルドは、積まれた荷物を興味深そうに眺め始める。 「……む」 しばらく荷物を検分していたワルドは、目を見開いてしゃがみこみ、ぶつぶつと呟いた後……耕一のところに近寄ってきた。 「そうだ、ちょうどいい。ミスタが住んでいたところの話というのを聞かせてくれないかい?」 「俺の、ですか?」 「ああ。歴史や文化には個人的に興味があってね。ハルケギニアの外の世界の話というのは是非聞きたいんだ。……あと、一人の戦士としては、ミスタの能力にも、ね」 そう言って浮かべた微笑みは、ぞっとするほど深いものだった。 そう、まるでそれは、あの当時、夢に出てきていたエルクゥのような―――。 「―――まあ、ぼーっとしてるのもアレですしね。いいですよ。たぶん、期待とは違うと思いますけど……」 「新鮮な驚きこそ知識を得る醍醐味、望むところって奴さ。そう聞けばますます聞きたくなるね」 「そうですか……じゃあ、どこから話そうか―――」 そんな感想を飲み込んで、耕一は1ヶ月前まで住んでいた日本の事を頭に浮かべ始める。 話し始める二人を見やって、呑気なものよね、と半分呆れながら同時に、あれが自分の実力に自信を持っている者の余裕なのだろうか、とルイズは知らず、唇を噛んでいた。 § 「アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ。アルビオン王国へようこそ、大使殿。さて、御用の向きをうかがおうか」 黒ひげ船長がバンダナと眼帯とカツラと付け髭を取り去った姿である金髪碧眼の美青年が、恭しく頭を下げた。 ルイズは呆然として口を開け、ワルドと耕一はどこか予想通りだという様子で空賊の頭―――ウェールズ王子を見つめていた。 「おや、殿方達にはあまり驚いてもらえなかったようだね。結構、自信があった変装だったんだが」 「なんというか……あまりに海賊っぽすぎて、コスプレみたいで逆に怪しかったというか」 「船倉の荷物に、王立空軍御用達の火薬や砲弾があっては、本気で誤魔化す気もなかったでしょう、王子」 「はは、ディテールに凝りすぎたか。そちらもよく見つけられた。厳重にカモフラージュはしておいたはずなんだがね。さすがは大使の任を授けられた方々だ」 耕一とワルドの感想を、はははと笑い飛ばすウェールズ。さすが船乗りと言うべきなのか、見た目とは違い、結構豪放な性格であるらしい。 ルイズは、開いた口が塞がらない、という様子でそれを見つめていたが、やっとという風情で声を絞り出した。 「ほ、本当に、ウェールズ王子、なのですか?」 「ご婦人は逆にまだ信じられぬらしい。ああ、本当だよ。いや、大使殿には真に失礼を致した」 「なぜ、空賊に扮したりなどと……」 「なに、今や趨勢を決め、勝ち馬に乗ろうとする各所の援助に事欠かぬ金持ちの反乱軍には、次々と物資が運び込まれる。さて敵の補給を断つは戦の基本だが、堂々と王軍の旗を掲げては、この『イーグル』号一機だけの王立空軍など、数十倍ある反乱軍の艦に囲まれるだけ」 「だから、混乱に乗じて私腹を肥やそうとする空賊を装って、商船やら輜重隊やらを狙っていた、というわけですか」 「ま、そういう事さ」 軍事的な話題には疎いルイズは、打てば響くようなウェールズとワルドの話に首をひねるばかりだった。 「何度も試すような真似をしてすまなかった。なにせ、あんなにも正直に我々に味方する勢力がいるとは、とても信じられなかったのだよ」 「……お恥ずかしい限りですわ」 「頭を上げてくれ、レディ。僕はそういう貴族の方が好きさ。今や裏方の我々としては裏仕事を否定するつもりもないが、敵と死と裏切りを前にしても引かなかったそのまっすぐな誇りは、とても好ましいものだと思うよ」 ま、密使としてはどうかと思うがね、と笑って付け加えたウェールズに、ルイズは、羞恥やら喜びやら恐縮やら……色々な表情の混じった複雑な表情を浮かべた。 「それで大使殿は、亡国の王子に何の御用かな?」 「は。トリステイン王国は、アンリエッタ姫殿下より、密書を言付かって参りました」 ワルドがさっと膝をついて頭を垂れた。ルイズと耕一も慌ててそれに倣う。 「ふむ。姫殿下とな。君たちの名を伺おう」 「申し遅れました。私は、トリステイン王国魔法衛士、グリフォン隊隊長、ワルド。子爵の位を授けられております」 そして、その長い腕を、ルイズと耕一に向かって広げる。 「こちらが姫殿下より大使の任を仰せつかった、ラ・ヴァリエール公爵嬢。そして、その使い魔の青年、ミスタ・カシワギにございます」 ウェールズは、零れるような笑みを浮かべた。 「ほう! 人の使い魔とな! なるほど、君達のような者があと十人ばかり我が親衛隊にいれば、このような惨めな今日を迎える事もなかったであろうになあ。して、その密書とやらは?」 「こ、ここに」 ルイズが慌てて、胸のポケットから手紙を取り出す。 しかし、ウェールズの前まで進み出たところで、逡巡したように足を止めた。 「あ、あの……」 「どうかしたのかね?」 「その、失礼ですが、本当に皇太子さま?」 ウェールズは、一瞬キョトンとした後、豪快に笑った。 「ははは。まあ、さっきまでの様子を見れば無理もない。よろしい、証拠をお見せしよう」 ウェールズは自らの薬指に光る大きな宝石の着いた指輪を外すと、ルイズの手を取り、同じデザインである『水のルビー』の指輪に自分の指輪を近づけた。 「わっ?」 途端に光り出した二つの宝石に、ルイズが驚いた声を上げる。 共鳴するように、それらは虹色の光を放ち始めた。 「これは、我がアルビオン王国に伝わる『風のルビー』だ。ミス・ヴァリエールが嵌めているこれは、アンリエッタが嵌めていた『水のルビー』。そうだね?」 ウェールズの言葉に頷くルイズ。 そうしているうちに、虹色の光は宝石と宝石を繋ぎ、小さな虹そのものを作り出した。 「水と風は、虹を作る。王家の間に掛かる虹の橋さ」 「た、大変失礼をば致しました」 ルイズは恐縮した様子で一礼すると、手紙をウェールズに差し出した。 手紙を受け取ったウェールズは、表面の宛名書きを見て、愛しげにその手紙を撫で付けた。 耕一の顔が強張る。 ―――この人も、こんな顔しやがって。 一見して幸福そうなウェールズの顔に、耕一は別のものを見出していた。 人なる身では届かぬ高みの崖に咲いている一輪の花を、崖の下から静かに見上げるような……穏やかで、清らかな諦めに満ちた、優しく見守るような……そんな感情だった。 ウェールズはその花押に恭しく口付け、慎重に封を開いて、真剣な顔で手紙の文字を追い始めた。 「……姫は結婚するのか。あの……愛らしいアンリエッタが。私の可愛い……従妹は」 ウェールズが言いよどみ、飲み込んだその先の言葉を―――耕一には、正確に予想する事が出来た。 ワルドとルイズは、無言で頭を下げる。 「あいわかった。私が姫より賜ったあの手紙を返して欲しいという事だね。何より大切な姫からの手紙だが、姫の望みは私の望みだ。そのようにしよう」 ウェールズの言葉に、ルイズの顔が、安堵したように輝く。 「しかしながら、今、手元には無い。ニューカッスルの城に置いてあるんだ。姫の手紙を、下賎な空賊船に置いておく訳にはいかぬのでね」 何事もないように微笑む金髪の美青年に、耕一はまるで自分の事のように、奥歯を噛み締めていた。 「多少面倒だが、我らが最後の砦までご足労願いたい。なに、航海中の安全は保障しよう。アルビオン王家テューダー朝、歴史上最後に迎えた大使に何かあったとなれば、我が王立空軍は歴史に一生の汚点を残すだろうからね」 自らの破滅を示唆しながら、ウェールズの笑顔には、一点の曇りも無かった。 それがまた、耕一の焦燥を煽るのだった。 前ページ次ページゼロのエルクゥ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4256.html
前ページ次ページゼロのエルクゥ 「や。ご期待には添えたかな、ご主人様」 「……あ、うん、よ、よくやったんじゃない?」 がっくりとうなだれたままのギーシュをよそに、コキコキと腕を鳴らしながら平然と歩いてくる耕一に、ルイズは気の抜けた様子で返事をした。 「あーん! すごいすごーい! ねえあなた、やっぱりただの平民じゃなかったのね! あの動き! 只者じゃないわ!」 「うわあっ!?」 ルイズの隣にいたキュルケの褐色の肌ががばちょっと目の前に現れて、耕一は素っ頓狂な声を上げた。 抱き付かれたのだ、と気付いたのは、その豊満な感触が腕に当たった時だった。 ―――ぐお。ちょ、ちょっとこれは楓ちゃんでは味わえない感触……い、いかんいかん! 邪念退散! 「あん、つれないお方」 半ば振りほどくように離れると、キュルケは流し目で誘うような視線を向けてきた。このプロポーションでそんな事をされると、心臓に悪い。 「ちょ、ちょっとキュルケ! 人の使い魔に色目使ってんじゃないわよ!」 「凱旋した殿方を迎えるのは女の役目よ。ねーダーリーン?」 「だだだ、ダーリンて何よ! ダーリンて! だだ、ダーリンて!」 「…………」 女三人寄れば姦しい、と言うが、一人はじっと耕一を見つめるのみだったので、二人で十分騒がしかった。 「……あなた」 「ん?」 その一人、蒼い髪の少女がぽつりと漏らした言葉を聞き取る事が出来たのは、ルイズとキュルケが舌戦から視線での戦いに移行していたからという幸運のおかげだった。 「……何者?」 「……俺の事かい?」 聞き返すと、こくりと頷いた。 「えるくぅ、なんていう亜人の種族は、聞いた事がない」 「……まあ、こっちにもいたらそれはそれで困るけど」 「?」 「いや、なんでもない。うーん、そうだなぁ……」 どう説明したものか、と耕一は顎をしゃくった。 「ずっとずっと遠いところ……歩いては行けないようなところから召喚されてきたんだよ。だから、聞いた事がなくてもしょうがないんじゃないかな」 「…………」 答えを聞いて、蒼髪の少女はじっ、と耕一の目を見つめた。 「……トーキョー、アキハバラ、チキュー、ニホン」 「へ?」 「聞いたことある?」 「へ、トーキョー? 東京? 秋葉原? 地球、日本!?」 「…………」 いきなり聞いた事のある単語を言われ、一瞬呆然とした後に―――耕一は、がっしと少女の肩を掴んでいた。 「き、君、日本を知ってるのか!?」 「知らない。……痛い」 「あ、ご、ごめん」 無感情に首を振る少女に、耕一は少し冷静になり、その肩を離した。 「じゃあ、どこでその言葉を?」 「遠いところ……あなたと同じように、歩いて行けないところから来たと言っていた知り合いが、そんな単語を口にしていた。……あなたも、そこから?」 「ああ。俺の故郷の名前だ。そっか、俺みたいに地球から飛ばされてきた奴もいるんだな……」 それは、とても重要な手がかりだ。広い世界に一つだけなら例外だが、狭い世間に二つもあれば希少なだけだ。イレギュラーな事故ではなく、どこか繋がりがある可能性が格段に増えた、という事だ。 耕一は、どこか張り詰めたままだった心の芯の部分が、ホッと緩んだように息をついたのだった。 「なあ、君、名前は?」 「タバサ」 「タバサちゃん、その知り合いっていうのには会えるのかい?」 「……しばらくは、無理」 「そっか。是非その人に会ってみたいから、会えそうな時に教えてくれないか?」 こくり、と頷くタバサに、耕一は自然とその頭を撫でていた。 ……改めて見ると、なんだか恋人に似ている気がした。人形然とした表情のない表情も、冷たさを纏った奥に暖かい芯が垣間見えるところも、無口そうなところも……その体型も。 「ダーリン、あなた……そういう趣味だったの?」 「は?」 「そ、そんな小さい子の頭を撫でて、そ、そんな幸せそうな顔して……へ、へ、変態? 変質者? 犬? 犬ね? 鬼とか言ってたけどサカりのついた犬よね? しかも変態の」 「ちょ、る、ルイズちゃん? 目がブッソウな事になってるよ?」 「なるほどぉ……そういう趣味だから、ちんちくルイズの使い魔にふさわしいってワケか。あたしへのつれない態度といい、納得だわ」 「ま、待て待て。それは―――」 「だっ、誰がちんちくりんですってぇ!?」 「あーら。貴方以外に誰かいらして?」 「むきーっ!」 盛大な爆弾発言を残したまま、再びバトり始める凸凹コンビ。 「誤解だー……って言っても聞いてませんね二人とも……」 はぁ、と肩を落としてため息をつく耕一を、タバサは相変わらずの表情のない瞳で見つめていた。 § 「……ミスタ・コルベール?」 「おお、ミス・ロングビル。いかがされました?」 「ああ、いえ。すいません、何でもないですわ」 漂う雰囲気のあまりの違いに、人違いだろうか、とおそるおそる声をかけたロングビルだったが、振り向いたのはいつもの穏やかなハゲ頭だった。 「オールド・オスマンがお呼びです。学院長室までお越しください」 「了解しました。ミス・ロングビルはすぐに学院長室に戻られますか?」 「いえ、私はまだ外での仕事がありますが……何か?」 「そうですか。いえ、彼らも連れて行こうと思いまして。すぐに戻られるのであれば、少し時間が掛かる旨、伝えてもらおうと思っただけです」 「そうでしたか。わかりました。それだけ言付けておきますわ」 「ありがとうございます。それでは」 ぺこり、と頭を下げて、コルベールは視線を戻し、それまでじっと目を向けていた方向へと歩いていく。 その先には、野次馬連中に遠巻きに眺められている事に気付かないままじゃれあう男女がいた。 男が一人の女が三人。渦中の人、ガンダールヴとその主人+αだった。 「……これまでの昼行灯とは別人みたいだねありゃ。ただの研究ハゲじゃなさそうだ。宝物庫の知識は持ってそうだが、引き出そうとするのは危険かねぇ」 ロングビルは、彼らに話し掛けるコルベールを見やりながら、小さく呟く。 「目があっちに向いていてくれれば、少しはやりやすくなるか。せいぜい注目されておくれよ」 そして、学院では誰も見たことのないような、口の端を釣り上げるはすっぱな笑みを浮かべると、くるりとそれに背を向けた。 § 「なるほど、話はわかった」 コルベールと、耕一、ギーシュからの話を聞き終えたオスマンは、重く頷いた。 「ギーシュ・ド・グラモン。明日より3日間の謹慎、及び反省文の提出を命ずる。本来であれば、決闘を受けた方にも同じ罰を受けてもらうところじゃが……ミスタ・カシワギは生徒でも貴族でも奉公人でもない故、咎めはなしとする」 「ご配慮、慎んでお受け致します」 言って、ギーシュが頭を垂れる。 事情の説明の際も、彼は何か吹っ切れたように、素直に自分の罪を認めていた。 ルイズはその変貌ぶりに目を丸くしていたが、耕一はうんうんと頷いていたりする。 ギーシュが退出し、ルイズがそれに続こうとした時。 「あの、ぶしつけで申し訳ないんですが、少し話があるんです。お時間はありますか?」 耕一が、オスマンに向かって話を切り出した。 「ちょ、ちょっとコーイチ、いきなりどうしたのよ」 「いや、聞きたい事があってね。先に行っててくれ」 「聞きたい事って……そんなの私に聞きなさいよ。オールド・オスマンのお手を煩わせるんじゃないの。ほら行くわよ」 「まぁまぁ、ミス・ヴァリエール」 手を取って引っぱろうとしたルイズをなだめるように、オスマンが手を振った。 「うちの生徒が迷惑をかけた詫びと言ってはなんじゃが、少しぐらいなら構わんよ。ミス・ヴァリエールは授業に戻りなさい」 「……オールド・オスマンがそう言うなら……」 ルイズは、しぶしぶと言った様子で学院長室を出て行った。 「さて、聞きたい事とは何かな?」 「単刀直入にお聞きしますが……召喚されたものを元に戻す魔法っていうのは、あるんですか?」 「ふむ……」 オスマンが、髭を撫でながら鼻を鳴らした。 ちょうど責任者に目通る事が出来たので、聞きたかった事を聞いておこうと思ったのだった。 「そんな魔法は聞いた事がないのう」 「……そうですか」 予想通りの答えに、肩を落とす耕一。 先程のタバサの話がなければ、本気で途方に暮れていたところだった。(まあ、その彼女の知り合いという人も同じ状況っぽいから、帰る方法の見当がつかないという点では変わらないのだが、気分的な意味でだ) 「コルベールさんはどうですか? その、生徒のやり直しを防ぐ為っていうのはなしで、あるかないか」 「いえ、残念ながら私も知りません。しかし、そのような事を聞くという事は、あなたは元の場所に帰りたいのですか?」 「ええ。向こうに大事な人達を残してきてますんで」 妥当かつ事実な答えを返すと、コルベールはふぅむと唸った。 「残念じゃが、直接送り返す魔法はワシでも知らん。以前居たところがわかれば、そこまでの旅費を渡す事ぐらいは出来るじゃろうが……」 「おそらく無理でしょうね」 「ふむ? ここからの帰り道がわからないほど遠くから来なすったかな?」 「それもありますが……おそらく、歩いては行けないところだからです」 「どういう事ですか?」 緊張していたコルベールの声が、途端に好奇心に彩られた。 「異世界、と言ってわかるでしょうか。たぶん、こことは違う世界から召喚されたんだと思います。自分がいたところでは、魔法なんてありませんでしたから」 オスマンとコルベールの目が、驚きに見開いた。 「魔法がない違う世界……それは、本当ですか?」 「本当です……と言っても、自分はまだここがどこかもよくわからないので断言するのもおかしいですが。少なくとも人間の版図では、魔法なんて物語の中だけの存在でした。そのあたりの確認もしたくて、責任者の人と話したかったんですよ」 「ふむ……」 オスマンは重く息を吐き出し、頷いた。 「わかった。詳しい話を聞こう」 § 「……チキュー、ニホン、そしてエルクゥ……荒唐無稽すぎて、にわかには信じられませんな」 「こっちもびっくりですよ。ハルケギニアって、こっちのヨーロッパにそっくりだ」 広げられた地図を見ながら、耕一は思考をめぐらせる。と言っても、並行世界だのなんだのなんてゲーム用語以上のものは知らないから、実のある事を考えているわけではなかったが。 「でも、ヨーロッパにだって、魔法なんて存在しないはずで……そもそも、トリステインやゲルマニアなんて国は存在しないし、空に浮かぶ島なんて論外だ」 「……なるほど。確かに歩いて行けるところではなさそうじゃな。なにせ……」 「はい。地球では、『歩いて行けるところ』は、既に行き尽くされてるんです」 「じどうしゃに、ひこうき……内燃機関を搭載した乗り物で、世界を行き尽くす。いやはや、何とも夢が広がりますなあ」 「こっちにしてみたら、魔法や空飛ぶ島やエルフなんてものの方がよっぽど夢が広がりますけどねえ」 何やら興奮を隠し切れない様子のコルベールに、苦笑しながら軽口を返す耕一。 「さて、とすると、ますます厄介な事じゃな。今の話が全て本当だとするなら、お主がチキューに戻る事は、今の時点では不可能じゃ」 「……やっぱ、そうなりますか」 「うむ。よしんば君を送り返す事が出来たとしても、自由に行き来が出来ねば、今度はミス・ヴァリエールの使い魔がいなくなってしまうでな。 色々な理由で使い魔を持たぬメイジも少なくはないが、君が存在している以上、新しく呼び出す事もかなわん。それは問題があるのじゃよ」 「使い魔契約の解除だけの魔法っていうのも……」 「ない」 「ですか……」 つくづく一方的だ、と耕一はやるかたない気持ちになった。 「力になれんですまんの」 あまり残念そうでもなくオスマンが嘯く。 とはいえ、耕一はここで諦めるわけにはいかなかった。 「出来ればでいいので、そういう魔法があるかどうか、探してみてもらえますか?」 「努力はしてみよう。じゃが、期待はせんでくれよ」 「お願いします」 頭を下げる耕一。今のところはそれが唯一の方法だった。 § 「ねえ、お昼にオールド・オスマンと何を話してたの?」 夜。 湯浴みを終えたルイズをネグリジェに着替えさせていると、ずっと気になっていたのか、そんな事を聞いてきた。 「俺を元の世界に戻す魔法はないかってね。結局なかったけど、あとこの世界の事を少々」 「あたしがないって言ったじゃないの……」 返事を聞いて、ルイズは不機嫌そうに頬を膨らませる。 「いや、儀式のやり直しをさせない為に、生徒には秘密になってるかもって思ったんだよ。ルイズちゃんが嘘をついてるなんて思ってないさ」 「……ふん。どうだか」 着替えが終わるなり、ぷいっと顔をそむけてそのままベッドに倒れ込むと、 「あぁ、今日は疲れたわ」 心底疲れたような、それでいて芝居がかった当てつけのようなため息をついた。 魔法失敗の爆風を受け、吹き飛んだ教室を片付け、決闘を観戦し……充実した一日だった事は疑いない。 「……ねぇ」 「ん?」 椅子にそのまま寝させるのはさすがに心苦しかったのか、与えられた毛布にくるまって背中を向ける耕一に、ルイズは小さく呼びかけた。 「……元の世界に帰りたいの?」 「そりゃあね」 「そう……」 てっきり、『ダメよ! あんたは私の使い魔なんだから!』とかんしゃくでも起こすかなと思っていた耕一は、おや、とルイズに向き直った。 「な、何よその『てっきりダメよ帰るなってかんしゃくでも起こしそうだったのに意外』って顔は!」 「いや、昨日はそんな感じだったし」 「……あんたに言われて、考えちゃったのよ。もし私がいきなり、全然知らない別の世界―――そんなのは想像つかないから、例えば、ロバ・アル・カリイエとかに飛ばされちゃって、家族に会えなくなっちゃったらって」 「そっか」 ロバ・アル・カリイエってのは、確か、人類の天敵であるエルフに邪魔されて行く事の出来ない東の地方だっけか、と昼間に聞いた事を思い出しながら、震えた声を聞いていた。 考えちゃったその結果は、聞くまでもなさそうだ。 「ま、学院長のじーさんからも望み薄って言われちまったしな。しばらくは使い魔でいるさ」 「……ふ、ふんっ」 安心させるように言うと、ルイズは慌てたようにぱちんと指を鳴らして明かりを消し、ぷいっと背中を向けてしまった。 苦笑しながら、耕一も毛布に体を埋める。 ここハルケギニアがヨーロッパに似ているとしたら、そのロバ・アル・カリイエ……日本列島なんかはどうなっているんだろう、という好奇心が首をもたげたが、元の世界に戻る手がかりとしては関係が薄そうなので、考えるのをやめた。 ……イギリスに当たる島が空に浮いているところからして、想像力の範疇外というのもあったが。 窓の外に目を向けると、昨日と変わらない、蒼紅の双月が夜を照らしている。 車の通る音や家電製品の駆動音なんかが全くない夜の静けさに、昨日は気付かなかった。何だかんだ言って、余裕がなかったという事だろう。 ルイズの微かな寝息だけが、部屋に響いていた。 前ページ次ページゼロのエルクゥ
https://w.atwiki.jp/isekaikouryu/pages/1090.html
無念 Name としあき 13/01/14(月)01 59 26 ID Y21RBmE2 No.167103534 del 遺伝子的にピンと来た奴隷を見受けして世界樹の枝の元に連れ帰るエルフってのは居るかも知れんね 過去に好きになった相手にそれはそれは酷く拒絶されて心傷のエルフがラムールの奴隷に惚れて、金でその奴隷を買って 「あなたは私の物・・・だから私を愛してちょうだい・・・」 とちょっと病んだ目で奴隷の頬を愛おしそうに撫でる そんな光景が! のレスから [赤毛のエルフさん] 「あなたは私の物・・・だから私を愛してちょうだい・・・」 とちょっと病んだ目で奴隷の頬を愛おしそうに撫でる そのエルフの外見は金髪ストレートが常のエルフにあって異端とも言える赤毛で 複雑にウェーブがかかった髪はエルフの美的感覚からすると醜いものだった そして彼女の片目は黒く、碧眼のエルフ達からは奇異の目で見られた 乱れた赤毛で顔の片側を隠し、卑屈に人の顔色を伺うような様は、お世辞にも美しいとは言えない それと言うのも彼女がエルフとドワーフとの間に生まれた子であった為なのだ 遺伝的形質の殆どはエルフのそれが発現しているが、髪質や片方の瞳にドワーフの遺伝子が発現してしまい このようなアンバランスな外見となっているのだが、彼女のこの外見に奴隷までもが目を背けた 次の瞬間、奴隷の頬に五筋の赤い線が付けられた それ以来醜い赤毛のエルフは奴隷を傷つける事に快感を覚えるようになってしまい 事ある事に奴隷をなじり虐めて快感を得るようになっていきました その奴隷は口を聞けません。文字だけが彼の意思を人に伝える手段です そんなある日、エルフはとうとう奴隷に両腕が折れる怪我を負わせてしまいます 奴隷の命が真の意味で自分の手の内にある事に、赤毛のエルフは至上の喜びを感じました もっと奴隷を独占したい。そう願いはじめた彼女は、ついにその奴隷の両手両足を使えなくしてしまったのです 今や奴隷は芋虫も同然でした。そんな彼を赤毛のエルフは彼を好きになじり、いじめ、救い、幸せでした しかし彼女はまだ・・・ 赤毛のエルフは奴隷の目が許せませんでした 彼女がこんなに酷い事をしていると言うのに、彼の目はいつまでも自分を見てくれないからです そんなに自分の事が嫌いなのか、見る事も嫌なほど醜いのか 赤毛のエルフはそう思い、ならいっそ一生自分の事を見れないようにしてやろうと思いました 自分では食べる事も歩く事も用を足す事も出来ず、喋る事も出来ない奴隷は、とうとう見る事さえ出来なくなってしまったのです エルフはそしてやっと、彼に口付けを交わす事が出来ました しかしその次の日、奴隷の姿が見えないのです一体どこに行ったのか?赤毛のエルフは探しました 家の中住探しても見つからず、エルフはもしやと思い外に出ました。 そして見たのです。庭先に書かれた血の文字を 「君があまりに美しかったから、僕は見る事が出来なかったんだよ」 それは汚い字でしたが、確かにそう書かれていました 手も足も使えない奴隷は、最後の手段として舌を使って、舌を噛んだ血で書いたのです それを見た瞬間、赤毛のエルフは本当に醜かったのは自分の心だったと気付きました そして彼女がその場に泣き崩れた時、裏の井戸の方から「ドボン」と言う、何かが水に落ちた音が聞こえましたとさ めでたしめでたし 相手を理解するというのは重要なことだが理解していく中で自分自身に欠落したものが多すぎると何も分からないですよねという恐ろしい状況が -- (名無しさん) 2013-01-18 17 54 45 それぞれの生い立つや行動の根底にあるものを考えると何が美しく何が醜いのか悩ましい話でした -- (名無しさん) 2015-11-29 18 48 45 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/ganba_s/pages/64.html
006弾スペシャルカード スペシャルカード / 006弾カードリスト 006-054 水のエル 006-055 仮面ライダーインペラー 006-056 オロチ 006-057 仮面ライダー煌鬼 006-058 兄弟ラーメン 006-059 仮面ライダーキバ 飛翔態 006-060 バットファンガイア 006-061 仮面ライダーレイ 006-062 仮面ライダーエターナル レッドフレア 006-063 NEVER 006-064 最強怪人グランザイラス 006-065 ドクロ暗殺隊 006-054 水のエル アギトを狩るもの 「アギト」に登場する怪人。「アギト」になる可能性がある人間を狩り続けていた。 裏面はアギトのマーク。 006-055 仮面ライダーインペラー 悲しき因果 バトル開始時ライドパワー+2 ただし、次のラウンドから、ひっさつ-1000(?) 003-059 仮面ライダーオーディンの下位互換(デメリットが無くなっていたら相互互換)。まさに「悲しき因果」。 「龍騎」に登場するライダー。ライダーバトルで勝つ前に願いが叶ってしまうが、ライダーバトルを抜けられないまま命を落とす。 006-056 オロチ 戦国最強の魔化魍 次の1ラウンドのあいだ、コウゲキ+300、 あいてのコウゲキ-300 劇場版「響鬼」に登場する怪物。他の魔化魍よりも更に大きく、「鬼岩城」を根城としている。 TV版終盤にも同様の名称が出てくるが、内容は全く違う。 裏面は鬼の三つ巴のマーク。 006-057 仮面ライダー煌鬼 音撃拍・軽佻訃爆(おんげきひょう・けいちょうふばく) 1ラウンドだけ、コウゲキ+500 劇場版「響鬼」に登場する、戦国時代の鬼(仮面ライダー)。スキル名は必殺技から。 006-058 兄弟ラーメン 底辺の絆 オイウチミガワリとライダーガッツの発生確率がアップする。 「カブト」第39話で、地獄兄弟が食していたカップ麺。「兄貴塩」と「弟味噌」。 裏面はホッパーのマーク。 確率上げだが、永続効果なので仕込んでおいても損はないくらいの認識でいいと思われる。 006-059 仮面ライダーキバ 飛翔態 想いの力 2ラウンドのあいだ(?)あいてのコウゲキ・ボウギョ・ヒッサツ-200 さらに、じぶんのゼンエイがキバの場合、ヒッサツ+600 無条件の悪魔スキルと同等の弱体化、前衛キバ指定の必殺ゲイン、どちらの効果も優秀なのだが、 SPに多い「2ラウンドのあいだ」=「ラウンド2まで」の持続時間の短さがネックになってしまうか。 2ラウンド必殺を決められれば、キバの必殺威力は容易に3000以上に達する。 「キバ」に登場する、紅渡が「想い」を最大限に高ぶらせて、仮面ライダーキバ エンペラーフォームから更に変身した姿。 もちろん仮面ライダーダークキバには効果がない。 スキャン時、キバットバットIII世が喋る。 「ウェイク、アーップ!」 006-060 バットファンガイア 暁が眠る、素晴らしき物語の果て バトル開始時、あいてのチームタイリョクを15%減らす。 さらに、ラウンド1だけ、あいてのアタックポイント-10 「追加効果が無い」サポートカードアタックは、全て15%の固定ダメージに変更されており、 このカードの効果は変わっていないのだが、相対的にそれらの上位互換となった。 「キバ」過去編に登場する怪人。仮面ライダーダークキバにも変身できる、当時のファンガイアの「キング」。 スキル名は、ファンガイアが種族(○○ファンガイア)の中で個体を区別するために持っている「真名」。 006-061 仮面ライダーレイ 3WAのライダーシステム 2ラウンドのあいだ、コウゲキ+300 アタックポイント+10 劇場版「キバ」に登場するライダー。モンスターハンター組織「3WA」がキバを研究して作った。 006-062 仮面ライダーエターナル レッドフレア 私、ゾッとします Vシネマ「仮面ライダーエターナル」に登場するライダー。スキル名は変身した加頭順の台詞から。 レッドフレアに対し、大道克己が変身する仮面ライダーエターナルは「ブルーフレア」と呼ばれる。 006-063 NEVER ようこそ、死神の世界に 劇場版「W」に登場する、エターナル=大道克己が率いるテロリストにして怪人。スキル名は大道克己の台詞から。 裏面はエターナルのマーク。 006-064 最強怪人グランザイラス クライシスの最強破壊兵器 1ラウンドのあいだ、ボウギョ+250。 あいてのコウゲキ・ひっさつ-250 「BLACK RX」に登場する怪人。10人ライダーの攻撃を防ぐ装甲と、街1つを廃墟にしてしまう爆弾を体内に持つ。 裏面はBLACK RXのマーク。 006-065 ドクロ暗殺隊 死を運ぶドクロの面 1ラウンドごとに、あいてのひっさつ-100 「スカイライダー」に登場する、大首領直属のドクロの面を被った戦闘員。