約 1,257 件
https://w.atwiki.jp/ssf4/pages/2938.html
スパ4AEしたらばBBSのスレッド、スパ4AE公式ブログに書かれているキャラ調整案を集計するページ。 スト3、スパ4新キャラ、AE新キャラ、ボスキャラの調整案とその他。 調整案まとめ1 スト2、四天王、ZEROキャラの調整案 したらばスパ4AEBBSスレッド SSF4AEキャラ調整案 SSF4AEキャラ調整案 Part2 SSF4AEキャラ調整案 Part3 キャラダッドリー いぶき まこと ハカン ジュリ ユン ヤン セス 豪鬼 剛拳 殺意リュウ 狂オシキ鬼 システム・ゲーム性 演出 キャラランク カプコンに言いたいこと 小野Pの調整関連発言 コメント/調整案への批判・考察 キャラ ダッドリー 超不利キャラ・・・ザンギエフ 不満点 調整案 考察・可否 ジャンプ技のリーチが短い、特に垂直J リーチを伸ばす 現状コマ投げを垂直Jで回避したとき何も当たらない バクステ狩りなさすぎ&地上戦強化 中足の発生を早くリーチを長く 大足の発生を10Fくらいに さしあいに取り入れることも何とか可能 ザンギ対策 弱ダッキングの派生以降時間をもっと早くもしくは弱ダッキングの移動距離自体を短く 少ない踏み込みで派生ストレートが打て、ザンギの弱スクリューを喰らわない当て方がやりやすくダッキングコンボがしやすくなる効果も 弱ダッキングストレートの隙を短くする ↑と大体同じ 要望 調整案 考察・可否 ジェットアッパーに上半身無敵 初心者的配慮とスト2的シンプル性能の追求地味に対空のリターンが少ないのもある ジェットアッパー発生3Fに (要考察) 立大P、前大Pのリーチを伸ばす 足払い対策 立大P発生5F (要考察) 立大K>ダッキングがガードで反確なのを無くす ガードで微不利ヒットで微有利カウンターで立大Kが入るように テクニカルな要素なのでぜひ欲しい永久コンボには注意 弱マシンガン ガードで-1F ヒット硬直とガード硬直のフレーム差を3F以内にしないと永久コンボが可能4F技小技しかない相手に猛威を奮う可能性 小ダッキングを使いやすく 移動距離を短くする コンパクトに距離調整に使えるように ダッキングは相手をくぐれるように (要考察) ダッキングストレートガードで-2F サンダーボルト 空中判定に EXショートスウィングブローしゃがみにすからないに ローリングサンダー突進距離伸ばす いぶき スト3を再現しようとしたわりには動きがぎこちない? 不満点 調整案 考察・可否 クナイが強い、うざい クナイの色を見やすく、弾速を遅く発生を遅く 弾速が遅ければ通常技で潰しやすい ガード不能連係を食らわなくなるよう被めくり時の食らい判定の変更 要望 調整案 考察・可否 前中Kをスト3並の飛距離 セビがあるので強くて問題ない 前大K使いづらい 1F空中判定、下段無敵 前に歩きながら出せる 上二つにが前提で大足をスト3並に遅く スト3のころの使い勝手に忍者らしい? しゃがみ大K→近立ち大ターゲットコンボ追加 築地越え 1F空中判定に まこと 不満点 数字調整案 考察・可否 体力を950に戻す 体力のあるワンチャン一発キャラというコンセプトがだるい 不満点 調整案 考察・可否 吹き上げ強すぎ 発生を遅くする、上半身無敵はそのまま 吹き上げの発生を早くして上半身無敵は無くす 要望点・不満点 調整案 考察・可否 剣のやられ判定を大きく EX颪に投げ無敵付加 体力950と引き換え ハカン 不満点 調整案 考察・可否 せめてEX技は通常時もオイル状態のものに変更する 対空がない、使いづらい オイルスライディングに足の方まで攻撃判定を付けベガのサイコテイルみたいにひき逃げ対空が出来るように 安定対空じゃないのがハカンらしい 要望 調整案 考察・可否 ハカン中段追加、通常時コマ投げ間合い増加 (要考察) オイルロケットキャンセルEXオイルスライディング、もしくはオイルロケットEXセビウルコン2が出来るように 追撃の場合オイルロケットの落下ダメージは当然なしに コマ投げに投げ無敵を付ける 投げキャラのはずなのに投げに弱い 油を地面に撒いて敵を滑らすような新必殺技追加 (要考察) ラウンド開始時に油状態に オイル状態でダッシュ途中ガードポジションが慣性移動 (要考察) ウルコンもオイル状態でダッシュから出せるように 通常時に投げ間合いを広くし、油状態で投げ間合いを狭く、必殺技に投げ無敵をつける 本格的なオイルレスリングに近くなるダッシュかセビにも投げ無敵つけないと逆に辛くなるかも 総評 安定対空をつければ途端に化けるはず・・・? ジュリ 不満点 調整案 考察・可否 EX風車を発生まで無敵に 現状潰されたり相打ちからコンボ喰らったり 要望 調整案 考察・可否 前J大P地上ヒットは受身不能に 疾空を強化 弱中強の硬直をそれぞれ1F減らす 弱の2Fコマ投げ確定がなくなる EX疾空を追加入力型に 風車強化 弱がしゃがみにも当たるようにする 風破刃(蹴)強化 浮きをもっと高く EX風車の追い討ちが安定 浮かせ技にして大足が繋がるように EX風車は初弾でダウン、セビキャンからUCで追い討ちに 当身はリバサのブレイク属性不可は無視できるように 風水エンジン発動中にゲージ貯められるように ただしゲージ増加量は通常の半分がいいかも ユン 不満点 数字調整案 考察・可否 雷撃強すぎ雷撃裏表択強すぎ 近小P、遠小P、屈小K、遠中P、屈中P、屈中K、中絶詔、大二翔の威力を減らす 一回のコンボの威力を減らすめくり起き攻めにいける中絶招、大二翔は特に 中Pターゲットコンボ強すぎ 威力を下げる、(立中P)→(35)→(50)に 虎撲子強すぎ ダメージを100に ゲージ増加量を大幅減、当てないとあまり増えないように 不満点 調整案 考察・可否 雷撃蹴強すぎ 雷撃の高度制限を上げる 強弱の使い分けなど工夫の必要が出てくる現状スト3とは別技みたいに低空で出せてしまう 速度を遅く 雷撃ガードの有利フレーム減少 雷撃裏表択が糞すぎ 遠中P必殺技キャンセルなし コンボ威力減めくり起き攻めにいける中絶詔、大二翔締めのためにコンボ数、威力を下げる必要が出てくる 遠小Pのリーチを短く、しゃがみに当たらないように コンボを繋がりにくいようにし、一回のコンボのダメージを減らす EX絶詔強すぎ、ガードで+1Fはやりすぎ EX絶詔ガードで-1F 投げスパコン、ウルコンが確定 EX絶詔ガードで-2F 投げキャラのコマ投げが確定 発生を2~3F遅くするか速度を遅くする 見てから返せる状況が増えるように 虎撲子強すぎ ダメージ120、持続も減らす(硬直増やす) 強すぎる判定、隙のなさを修正する 初心者(中級者も)は冗談じゃなしにこれの連発だけで死ぬ。 虎撲子フェイントをなくして運ゲー要素排除 コマ投げ強すぎ 前方転身発生8Fか9Fに 発生10F以上にすると小技キャンセルから掴める 間合いを通常投げくらいに減らす EX前方転身発生8F投げ無敵無し、リーチのみ ゴウケンみたいに通常投げに、発生5F投げ抜け可 補正を付ける できれば二発分 バクステのキャンセル可能フレームを無くす 中Pターゲット強すぎ、お手軽すぎ 二発止めでも確定反撃があるようにする 遠中Pのリーチを短くする 要望 調整案 考察・可否 体力を850に 打開の発生を早く、それか判定強化 近中Kからの追撃は追撃判定のある技のみに 鉄山めくりをなくす 幻影締めからの二択を無くす 幻影陣締め→鉄山めくりからのウルコン追撃を無くす 鉄山修正 鉄山をアマブレに(絶詔は非アマブレに) 弱鉄山をガードで-2Fに 中、強絶詔先端当てで五分、有利を無くす 二翔脚修正 上半身無敵のみに 二翔脚の無敵はEXのみ EX二翔脚発生5Fに 大二翔の無敵を無くす 大二翔の移動距離を短くする EX虎撲子をアーマー付きに、跳ね返りは無くす 弱くしたあとの面白要素補完 幻影陣をウルコンに、揚砲をスパコンに 幻影陣→揚砲コンボを無くす幻影陣は毎ラウンド発動 総評 絶対修正して欲しいという点が多すぎ。 雷撃表裏択、EX絶招歩法有利、虎撲の判定、虎撲の空振りゲージ増加量などなど。 反面防御性能はこれ以上落とすとまずそうな感じ。 雷撃蹴だけで地上戦がぶち壊しなので雷撃蹴はそこそこの性能にして地上戦も起こりえるように。 ヤン 不満点 数字調整案 考察・可否 蟷螂斬のゲージ増加量を減らす 三段目の10/40はやりすぎ 白虎双掌打のゲージ溜め酷い 空振り増加量を20くらいに減らす 星影の威力がやばい 威力を三分の二~二分の一に ガードで400いくのでもっと、もしくはガード威力だけでも減らした方がいいかも 屈中Pの威力を下げる メインダメージ元なので効果大 不満点 調整案 考察・可否 雷撃強すぎ 速度を遅く 高度制限を更に上げる 現状スト3の比じゃないくらい低空で出せる 雷撃蹴の有利フレームをユンの雷撃と同じに 垂直ジャンプから出せなく 起き上がり無敵バグ削除 小足のやられ判定を大きくする 現状グラ潰しを逆に潰し、そのままコンボに繋げられる コマ投げ強すぎ EX転身の投げ無敵削除 コンボ補正をつける できれば二段階 ゴウケンみたいに通常投げに、発生5F投げ抜け可 要望 調整案 考察・可否 白虎双掌打強すぎ 強すぎる判定、隙のなさを修正する 初心者は冗談じゃなしにこれの連発だけで死ぬ。 立小Pの有利フレームを減らす 小足のリーチを少し短く 立小Kキャンセル不可に 現状スト4サガットの立小Kを髣髴とさせる性能 近中Kからの追撃は追撃判定のある技のみに 穿弓腿セビキャン不可に 穿弓腿EXのみ無敵に 弱穿弓腿の無敵を打撃無敵のみに 投げは喰らうように 弱穿弓腿でかかり空中くらいを地上くらいに 蟷螂斬修正 追加入力の猶予時間を減らす ヒット確認、ディレイできなく 二段目セビキャンの有利フレームを減らす 白虎修正 ダメージ120、持続も減らす セス 不満点 調整案 考察・可否 空刃裏表択を弱く ジャンプをゆっくり大きめに 天魔空刃脚の高度制限を上げる 現状、ゴウキ、殺意リュウより低く出せる 丹田エンジン強すぎ ガード時有利フレームを無くす リスクはあるものの飛びを通したと同等かそれ以上の状況を容易に作り出せるのは異常 EX技オンリーにする 現状のEX丹田エンジンは無くす 要望 調整案 考察・可否 ジャンプズームを復活&ジャンプズームを弱く ジャンプをゆっくり大きめにする 今のジャンプ攻撃強すぎ近距離の戦闘力を落とし弾とズームパンチのキャラに 三角飛び強すぎ 三角飛び飛距離を抑える 奇襲に、逃げに、ありえない強さを修正 鷹爪の持続は今よりもう少しだけ増やす AEの調整が極端? 垂直Jで下に強い技をつける EXスクリューの発生を3F→5Fにする (要考察) ウルコン1を飛び道具判定に二発分の判定で通常弾突き抜けEX弾と相殺 豪鬼 不満点 調整案 考察・可否 百機投げのPK同時押し判定をもう少し緩く 要望 調整案 考察・可否 遠大Kヒットで+4F 遠大Kを背の高いキャラ以外二発目が当たらないように 斬空のリスクを減らす 斬空波動拳の発射前の滞空時間を短縮(8/2→6/0) 従来作よりも弱体化がアレだから、丁度良いのでは? EX斬空を二発とも強軌道に 阿修羅での安易な逃げを無くす 動作中完全無敵でEX技化 ゲージの数だけ安全に逃げれる・・・ 阿修羅の投げ無敵を無くす ザンギなどに弱くなってちょうどいい? 百鬼豪砕威力を減らす→120 百鬼豪衝威力を減らす→100 百鬼豪斬(百鬼スラ)セビキャン可に UC2は判定拡大、阿修羅派生版は発生早く (要考察) 剛拳 不満点 調整案 考察・可否 波動のためを短く 現状はちょい長すぎ 電刃ガードでも白ダメ 中閃空を前作の小に EX百鬼が密着で相手を飛び越すのを直す 当身改善 当身を元に戻す 深めジャンプ攻撃が上段当身で取れないのは致命的 現状維持の場合は威力を上げる せめてリターンを得られるように 要望 調整案 考察・可否 しゃがみ大Pのダメージを100に上げる レバー入れ中段を2段技に 近強P→弱剛波動拳を全キャラ安定に 波動溜め中をKでキャンセル 中、強閃空の吹き飛び具合を抑え、キャンセルスパコンがフルヒットするように 百鬼剛壁、百鬼剛刃をもっと早く出せるように EX百鬼で多段アーマー 百鬼剛壁を当身に 無敵の短い多段対空技を返せるように替わりに着地からフルコンはなくなる、リスクリターンは小さめ EX竜巻がしゃがんでいる相手にも当たるように 近距離戦弱い後ろ投げの性能が通常技にしては半端ない 後ろ投げをコマンド技に空中ダウン判定でウルコンカス当たりに 決めにくいコマ投げならウルコンフルヒットしてもOK? 殺意リュウ 体力が低いわりには攻撃力も逃げ能力も低い? 最弱の呼び声も 不満点 数字調整案 考察・可否 体力は950に 現状の性能なら950でも強くない 不満点 調整案 考察・可否 差し合いきつい 中足6F、大足7Fに 現状中足いまいち振りづらい小竜巻→大足入るキャラが増える 大足も6F 小竜巻→大足入るキャラが大幅増 要望 調整案 考察・可否 近大Pの認識距離を広げる 前中Kをガードで五分か有利に セービングがあるのでこれくらいでも 空刃の判定を大きく、条件限定でめくりができるくらいに 空刃の有利フレームを増やす 飛び道具の威力と硬直の増加 よりハイリスク・ハイリターンに 昇龍拳の威力と着地硬直の増加(リュウ並に) 弱竜爪をガードで-5Fに 中竜爪をガードで±0Fに 強竜爪をガードで+2Fに EX竜爪をダウンでなく通常のけぞりに そこから連続技に 阿修羅をゴウキと同じ性能に 滅殺豪昇龍の威力の適正配分 演出未移行時の威力の安定を確保 空中竜巻を浮かせ技に ゴウキと同じに 総評 体力を上げるか、逃げ能力を上げるか、火力を上げるかのどれかをしないとかわいそうな感じ。 狂オシキ鬼 不満点 調整案 考察・可否 ウルコン1の上と横の技の名前を同じにする 暗転時のウルコン名表示で上か横かばれる Ex竜巻カスヒット修正 要望 調整案 考察・可否 J中Kの持続を増やす J強Kの判定を拡大 波動の硬直減 (要考察) 弱羅漢をヒット+2F、ガード-1Fにする 大足のリーチアップか発生を早く さしあい仕様に 空中赤星の追加、斬空波動掌から出せるように EX羅漢は移動中ボタンで攻撃可能に 裏表が任意に選択できるように 多分強すぎ 滅殺豪斬空の発生速く、着地時隙減少 (要考察) ウルコンを瞬獄殺に 空中斬空からの瞬獄がキャラ個性 br()毎ラウンド狙える ウルコン2を真空波動コマンドに ボス版に関してはジェネラル並の凶補正を施す 難易度を大幅に底上げし、達成感を向上させる システム・ゲーム性 不満点 調整案 考察・可否 相手がセービング溜め中に後ろに下がれないのがめんどい。ゲーム性も運要素が強い上にリスクリターンが大きい。 セービングの影縫い効果(後ろに下がれない)を無くす 裏表の択、ラッシュが強すぎる セービング継続中は何回でも攻撃を受けられるように セービングするかしないかだけのゲームになる恐れが ガード不能を無くす 相打ちからの追い討ちを無くす セービングのせいで差し合いが薄い差し合いによる横押し合戦を復活 セービングを弱くする タメキャラはセービングダッシュしてもタメ技が出せないのでセビダッシュはレバー下要素いれっぱなしでも出るように レバガチャリバサを無くす最低でもタイミングを計って出すように リバサの猶予時間を短くする 見えない裏表択を減らす 弱の弾の速度を落とす 飛び込まれにくくなる、弾抜けしづらくなる本体との連係が強くなる 弾、もしくは弾判定の打撃技同士が打ち消しあうときのヒットストップを無くす これのせいで間に合わなくなったりガードが間にあったりするのが多い演出的には悪くない? フェイント系は運ゲーなので全部無くす 小を除くジャンプ攻撃の持続を少しだけ増やす 全体的に持続が短い 要望 調整案 考察・可否 着地硬直の投げ抜け可能時間を無くす 投げ受身が欲しい 投げ受身導入ダウン(受身とらない)を選ぶとスタン値回復し始める リバーサルでのアーマーブレイク付加を無くす セービングの弱体化が条件Lv3のガード不能を無くすなど 演出 要望点・不満点 調整案 考察・可否 投げ抜けを各キャラ個性的に BBのプラチナが至高 スクリューの吸い込み感をもっと出す スクリュー成立時に「フンッ」 演出 キャラランク Sユン ヤン Aフェイロン Bヴァイパー まこと ケン Cザンギエフ ベガ 豪鬼 ルーファス さくら バイソン ブランカ 狂オシキ鬼 サガット アドン D-リュウ ダルシム アベル ジュリ コーディー キャミィ いぶき 春麗 ホーク 本田 セス D+ガイル ローズ バルログ 元 ダッドリー ディージェイ 殺意リュウ ダン Eフォルテ ガイ 剛拳 Fハカン S しっかり弱体化が必要 A Sまでとはいわないが弱体化が必要 B 現状維持もしくは微弱 C 現状維持もしくは微強 D 微強。細かい強化が必要 E 強化が必要 F しっかり強化が必要 カプコンに言いたいこと 弱体化調整ばかりでなく弱いキャラを強化するのが大事。 面白くなる弱化調整もあるよ。特定の技が強すぎるとそればっかりやって単調になる。 特定キャラを詰ませるような技性能は真っ先になくして欲しい。 今のユン・ヤンに基準をあわせると確実につまらなくなる。将棋の歩を全て飛車にしました!見たいなゲームに。まじめに考察してもユン・ヤンに合わせてあれに無敵、これを威力倍増と調整案を考えたら最終的に別のキャラが出来上がる。また特定の技が強すぎて~状態にもなる。 荒らし能力の高いキャラは弱くても上位を食えるし、強いとうざい。荒らし能力が高ければ高いほどその分性能を低く。 小野Pの調整関連発言 EVO終わりくらいまでには、調整着手開始くらいの目処は言いたいですね。火力(ダメージ値も含めて)の数値調整を中心に、動きたいですね。 今のTAITOさんのNESYSを使って、技術的に可能ならアーケード版も対応したいですね。アーケードを日本人としては捨てたくないので・・・ もし、調整パッチの許可が会社から下りたら、PS3/360 同様に、Nesysを使って、パッチ配信は考えたいですね。 コメント/調整案への批判・考察 ざっくり二つに分けました。 編集の枠内のスクロール半分くらいで。 -- (名無しさん) 2011-08-14 00 56 58 剛拳使ってるけど EX竜巻のロック判定の下方・前方拡大 前投げの威力の増加 屈弱Kをリュウ・ケン並に 百鬼剛壁の着地硬直減少 を望みます。 -- (名無しさん) 2012-09-10 14 11 49 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/dangerousew/pages/192.html
ガシャア――――ン 山乃端一人はガラスが砕け散るけたたましい音を聞いた。 それは彼女が乗るバイクがショッピングモールの自動ドアへと突撃し、ガラス戸が開くのを待つことなくそれをぶち破りながら入店したことによる轟音だ。 とはいえ山乃端が操縦しているわけではない。山乃端は運転手の背中に必死になってしがみついている、いわゆる二人乗りの状態だ。 少女は無理やり被らされたフルフェイスヘルメットの中で固く目をつぶっているがそれでも全身を伝う衝撃と耳に入る音が惨状をありありと伝えている。 山乃端を乗せた二人乗りバイクは何も知らぬ一般客が歩いている店内通路を爆走する。目をつぶっている山乃端には見えないが、現在彼女達が居るこのエリアは三階から一階まで吹き抜けとなっており、三階と二階は両サイドの通路とその二本を繋ぐ通路が並んでおり、上から見れば工工工(ハシゴ) 状に通路が続いている。 突如現れた暴走バイクにモール内の一般客の反応は様々だ。慌てて逃げ出す者、唖然として見つめる者、端末のカメラを構える者。いずれにせよ近付こうとする者は少数派だ。 少数派、つまりゼロではなく近付く者が存在する。 ババッ、とバイクの進行方向から向かって左手側、アウトドア用品を取り扱うショップから数名の武装集団が飛び出した。 「柳生新陰流の匂い、生かしてはおけぬ。死ねぃ!」 ――山乃端も知らぬことであったが、それらはこの戦いの関係者である柳煎餅を抹殺すべく自動生成される柳生追手の一派である。 柳生追手はターゲットである柳煎餅を殺すべく活動するが、知性の低い彼らは近くの人間にも襲い掛かる性質も有している。 そして柳生追手にとって、柳煎餅と縁がある山乃端一人はただの一般客よりも優先すべき対象である。 飛び出して来た三人――アウトドアグッズに身を包んだアウトドア柳生達はそれぞれ手に持ったペグハンマー、ストック、火かき棒を刀のように構え、バイクに乗る二人へと突き出す。 時速100キロ超で走るバイクから見ればすれ違うように放たれる刺突は三本の死線に等しい。 逡巡の余地はコンマも無く―― 直進していたバイクはその車体を右方向へと倒した。……いや、地面に倒れる直前に車輪の回転力で独楽のようにぐるりと一周した。 まさにバイクによるブレイクダンスのように。そして柳生追手からすれば自分達の下半身を刈り取る薙ぎ払いに等しく。 「ちぃ――!」 柳生追手達は刺突の態勢のまま跳躍、スライディングキックの如き曲芸走行を飛び越え攻撃失敗の代わりに回避を得た。 自らの足元を潜って行った目標が遠心力で体勢を立て直し再び直進して遠ざかるのを見送りながら着地し即座に反転。柳生追手は逃げる山乃端一人を本能のままに殺すべく。 「逃げすか、追」 え、と発音する前に三人の胴体は上下に別れた。 彼らが最期に見たのは自らの体を切り裂いた青白く輝く三日月の如き斬撃であった。 なんということはない。 山乃端一人の首を切り落とすべく放たれた自動追尾斬撃がその経路上に居た柳生追手をついでに殺害せしめただけである。 飛来する青白き斬撃の数は五つ。その全てが時速約120キロの速さで山乃端一人を追い、そしてバイクはそれよりも少し遅く山乃端一人を乗せて逃走している。 ……山乃端一人を狙い最短距離で真っすぐに飛翔する斬撃と違い、バイクは一般客や柳生追手にぶつかればそれだけスピードを失う。故に運転手はテクニックでそれらを回避していたがやはり柳生追手を避けるための曲芸走行はいくらかスピードに影響を与えてしまったようだ。ジリジリと斬撃との距離が縮まる。 そしてショッピングモールはコースとして有限ではない。 前を見ればそこにはモール三階に併設された映画館エリア。通路はここが終端でありスピードをなるべく落とさないように走り続けるにはロビーをUターンして反対側の通路へと行くしかない。 しかし流石はモールシネマと言ったところか、人が多く一切接触せずにターンするのは不可能に近い。そして接触による減速は斬撃に追い付かれることを意味する。 時間が無い。 距離が無い。 空間が無い。 「……」 そうして。 運転手はロビーへと突入する前に通路の横幅で可能な限りドリフトさせバイクを反転させるような軌道を描きながら。 吹き抜けへと車体を投じた。 「―――」 突然の浮遊感に山乃端が声にならない悲鳴を上げる。キュルキュルキュルと地面から離された車輪が行き場の失った回転音を響かせる。 山乃端を狙う斬撃は吹き抜けを落下する哀れなターゲットの首を切り落とすべく一直線に飛び掛かり。 ガダ、と車体が着地する。 それは三階のモールシネマへと直通の大型エスカレーターで、安全のためか昇り降りのレーンの間に比較的広めの幅が取られていた。 バイクが走れる程度の幅が。 空転していた車輪がエネルギーの伝達先を見つけたことにより車体は一気に前進する。特に三階から一階への直通のため重力が初速を後押しする。 迫っていた斬撃は加速するバイクに追い付けず、やがて一階へと辿り着いた頃になって有効射程が切れたのか青白い輝きは次々に消滅していった。 「……」 この一連の出来事を山乃端は正確に把握できていたわけではない。ただジェットコースターよりも余程危険なアトラクションだったことは分かりたくないほどに痛感していた。 (どうして、こんなことに) そうして少女は現実逃避のように、このショッピングモールへとやってきた今朝の出来事を思い出していた。 ☆ ☆ ☆ 休日の朝。折角早起きしたのだからと行きつけのカフェ(シャーロキアン) に足を運んだものの。 「臨時休業……」 と、店の張り紙に出鼻を挫かれることとなった。 確かに約束こそしていなかったものの、ここに来れば会えるかもしれないと楽観視し過ぎていただろうか。 「星羅さん大丈夫かな……」 ――先の一件。山乃端は友人の瑞浪星羅と共に侍の姿をした魔人に襲われ負傷した。 幸い山乃端の怪我は大したことが無かったが瑞浪はサークル(ベイカー街) の仲間に連れられて病院へと運び込まれていたらしい。 結局大ごとでは無かったとは聞いていたが実際に顔を合わせたかったのも事実。とはいえ。 「閉まってるならしょうがないよね」 ここでとやかく言っても詮無いこと。山乃端は踵を返しプランを変更することにした。 舌はすっかりコーヒーの気分だ。ショッピングモールに入っているコーヒーショップでサイフォン式コーヒーとホットサンドのモーニングでもいただくとしよう。 (鍵掛くんも最近いろいろ忙しいって言ってたし、みんな大変だ) 脳裏に別の友人を思い浮かべる。 最近配信業で高額スパチャを受けていた彼は「いやぁ裏で企画とかやっててさ」とかなんとか言っていて以前より付き合いが少なくなったように感じる。 代わりに「これいつも付けておいて!」と防犯ブザーを渡された時は流石に子ども扱いし過ぎだと思ったものだ。 (そういえば) 友人と言えば。例の一件で知り合った人物を思い出す。 言動こそ少し珍妙だったが、魔人に襲われた自分と瑞浪と助けてくれた恩人。 出会い頭に早口で名乗られたその名は。 (――柳煎餅さん。結局ちゃんとお礼も言えなかったな) ☆ ☆ ☆ ハーフサイズの卵ホットサンドにグァテマラのモーニングセットを堪能した山乃端は、特に目的も無くモールをぶらぶらと散策していた。 雑貨屋、本屋、ついでに靴もいくつか吟味し、どの店も空手のまま出て来た彼女の手には今は映画のチラシが数枚取られていた。 「これ星羅さん好きそう」 来月公開予定の新作をチェックして満足して頷き、丁寧に畳んでポーチに仕舞う。 そのまま店先を眺めながらハシゴ状の通路を歩き、まだ昼前で人も疎らなフードコートに辿り着いた。 普段こういう場所には学校の友人で集まってわいわいと楽しむものだが、一人の今はわざわざ立ち寄る必要は無い。 と思っていたのだが。 「……まぁクレープがあったからしょうがないよね」 女子高生らしく甘いものに負ける。 折角なのでお行儀悪く歩き食べなどしていたら、クレープを食べ切った際に持ち手の紙部分の処遇に困ることとなった。 (ゴミ箱どこだったかな……ついでに自販機も) このために踵を返してフードコードに戻るのもなんだか嫌な気分だ。 そうしてゴミ箱を探しながら歩いていると、駐車場エリアの清算コーナーに自販機とゴミ箱が揃っているのを発見した。 これ幸いと包み紙を畳んで捨てつつ、自販機のラインナップを確認する。 麦茶、ウーロン茶、オレンジジュース、アップルジュース、コーラ、コーヒー。 (……豚汁? カレースープ?) 定番の物に並んでやけに癖の強い色物が入っていた。 「なんだろう、これ。おにぎりと一緒に食べてとかそういうのかな」 首を傾げつつ、硬貨を入れてミネラルウォーターのボタンをプッシュ。ガコン、と思ったより大きな音と共にペットボトルが排出され、取り出し口のカバーを開けて掴み上げた。 キャップを開けて水を一口飲みながら、さてこれからどうしようと少女は考える。 (せっかく街まで出て来たんだから、午後から誰か誘ってみようか。もし誰も暇じゃなかったら図書館で勉強でもしようかな) ふと。 何気ない思考のまま視線を漂わせていた山乃端の視界の端に、少女の姿が映った。 お世辞にも小綺麗とは言えない恰好の彼女はまさに先日知り合ったばかりの。 「……あれ。柳煎餅さん?」 「……」 まさかこんなところでバッタリと再会できるとは思わなかったと、山乃端は驚きと喜びが混ざった声で恩人の名を呼ぶ。 だが当の柳は真顔のままゆっくりと山乃端へと歩み寄り。 膝を曲げ、まるで放たれる矢のように低い姿勢のまま山乃端へと突進してきた。 「え――」 呆然とする山乃端の胸元目掛けて柳の左手が伸びる。見た目よりもずっと強い力で掴まれた山乃端はそのままグイと引っ張られ無理やり地面へと転ばされた。 「痛っ、え、何」 バランスを崩し肩から転がるように地面に倒れる山乃端は苦痛に悲鳴を上げつつ、細めた目でそれを見た。 自分に目掛けて飛んできた青白く輝く何かを、柳が空の右手の振り下ろしで迎撃した光景を。 「……あれェ? 今の完璧に決まったと思ったんだけどなァ……」 思わず痛みを忘れて言葉を失う山乃端は、そう言いながら姿を現したその女性を見た。 黒いパンツスーツ姿の小柄の女性、だがその手に握られた彼女自身の身長よりも長大な太刀が異様さを放っている。 「乱暴にしてごめん山乃端さん。でも私から離れないでください」 「や、柳さん? 何がどうなって」 「――あれは殺し屋。あなたを狙ってる」 殺し屋。現実離れしたその単語に、再度言葉を失う。 「いやーご紹介に預かりました御首級(みしるし) てがらですっ。って名乗ったらダメなんだっけ?」 あ、と目と口を一瞬見開き困ったように左手で自らの口を押さえる御首級と名乗った殺し屋。それだけを見ればまるで害意を感じられないのが逆に恐ろしかった。 だって、落ち着いてよく見れば。御首級の後方、駐車場には何人もの人が倒れていて―― 「でも全部殺せば口封じもバッチリっ。だからその首、置いてってくださいね!」 そう言って凶手は何気ない動作で右手の太刀を振り上げ。 ――秘剣・首級(しるし) 返し 太刀の軌跡から青白い輝きが出力される。それは先ほどと同様に山乃端へと一直線に飛来し。 そして先ほどと同様に柳の振り下ろしによって撃ち落される。 ――無刀取り さらに。 「『剣禅』――」 振り下ろしの姿勢から手首を返し、柳は御首級に向けて逆袈裟の斬撃を振るう。 ……振るおうとした直前、追加で放たれていた青白い斬撃が柳に迫っており。 「っ! 『一如』!」 ギリギリでそれに対応した柳は、狙いを御首級からそちらへと切り替える。振るった軌跡からビームが放たれ、青白い斬撃と正面からぶつかり合いそれを打ち消した。 ビームの余波が駐車場の壁を削る。それを見て御首級は感心したように頷く。 「いい腕ですねっ。それにその動き、どうやら何もないところからエネルギーの剣? みたいなモノで斬撃ができるってことか!」 「そっちこそ、直接首を狙う飛ぶ斬撃の能力。まさに殺人鬼ってカンジだね」 今の交戦で柳と御首級は互いの魔人能力をある程度理解していた。 御首級の能力は太刀の軌跡から青白い斬撃を放つ。それは対象の首に向けて飛来する。 柳の能力は一見空手のようで実体の無い剣を振るう。さらに無の剣からはビームのような斬撃を放てる。 互いに遠距離攻撃ができる斬撃の能力。 そして剣士として高い力量。 ――強い。 「『剣禅』――」 動き出しは同時。 柳は上段からの振り下ろしの体勢を、御首級は即座に横方向へと駆け出しを。 「――『一如』」 放たれる斬撃ビーム。それは御首級の進行方向を偏差射撃のように狙った一撃だった――が。 「フッ!」 如何なる歩法か、御首級は一定のように見える足の動きから歩幅を僅かに調節することで速度を見誤らせ柳の目算をズラした。 ビームが御首級の目前を過ぎる。あと一歩で死をもたらしていた距離。その一歩が永遠に遠い。 回避されたことを認めた柳は振り下ろした姿勢から再度剣禅一如を発動させようとする。 が、御首級はその場で跳躍し見事な前方宙返りを決めてみせた。大振りな太刀を持ったままのそれはまさに曲芸と言わざるを得ない。 そしてそれがただのパフォーマンスなわけもなく。 「そうか……!」 柳は歯噛みする。前方宙返りをしながら放たれた斬撃がこちらへと飛来してきたからだ。 その数は三。ご丁寧に、柳に一・山乃端に二と振り分けられた軌跡。 (あの女の能力が自動追尾する斬撃を放つというのなら……どの方向に向けて刀を振ろうと関係無いということ!) 山乃端を庇うように下がりながら、三発の斬撃を迎撃。その間に御首級は駐車場に停車する車の群れへと姿を隠していた。 単純に、能力の遠距離攻撃としての性質を見るなら威力も貫通性も柳の剣禅一如の方が上だ。ぶつかり合いならこちらに分があるだろう。 だが、殺すための性能としては御首級の能力が優れている。相手と距離を取りながら正確に致命的な攻撃を行えるのは明確な強みだ。 何より。 「山乃端さん、怖いとは思うけど後ろで隠れていて。逃げちゃダメだよ、余計に危なくなる」 「わ……か、った」 強い子だ。訳も分からないだろうに、混乱と恐怖を飲み込んで必死になっている山乃端の姿に柳はひっそりと息を吐く。 何より、こちらには山乃端一人という明確なウィークポイントが存在する。彼女を守るため本来ならここからさっさと離れてもらうべきなのだが、自動追尾攻撃がある以上中途半端に逃げられるのが一番面倒事になる。 幸い御首級の飛ぶ斬撃は攻撃をぶつければ相殺できるのは立証済み。近くにいれば守ること自体は可能、だが。 「来た――!」 構える。 柳と山乃端、二人の目に車を貫通して次々に飛来する斬撃の群れが映った。 少女の悲鳴を背後に聞きながら、柳は横薙ぎのビームを放ち斬撃の半分を撃ち落とした。 それでもなおこちらへと襲い来る攻撃を無の刃によって切り結ぶ。 柳の無刀取りは文字通り無を刀とする。これの大きなメリットとして、実際に刀を振るうのと違い刀の向きや重さを気にすることが無いという点がある。 何せ、無である。斬撃の後に切り返す際に、通常であれば刀を反転させる際の重さによる負担や、刃を返さなければ峰や腹で撃つことになってしまうが、無の刀であれば重さを気にせずに切り返すことができ、振るった瞬間瞬間に常に最適な刃の方向を向けることができる。 故にその斬撃乱舞は御首級が予想していた迎撃不可能な量を越えて全てを撃ち落としてみせた。これには流石に殺しの天才も舌を巻く。 そして一瞬の空隙を縫うように。 「――『剣禅一如』」 柳は御首級が潜んでいる場所にアタリを付け、突きと共にビームを放つ。慌てて車の影から飛び出した御首級が隠れていた車体に大きな風穴が開いた。 ……本来なら、柳としてはこのまま距離を詰めて白兵戦へと持ち込みたい。 今の競り合いこそ柳が優勢だったものの、長引けば長引くほど不利になるのは明らかだ。 そもそも可能な限り平気な顔をしているが剣禅一如は体力の消耗を要する技、いつまでも続けられるものではない。 だが敵に接近するということは山乃端から離れるということであり、それは山乃端への自動追尾斬撃に対する守りを失うという意味だ。 “山乃端を見捨てれば勝てる” 柳の脳裏にその考えが浮かぶ。何の意味も報酬も無い、ただの自己満足で始めた護衛。やめてしまえばいいのでは? (……イヤだ) そしてそれを即座に否定した。これはただのエゴ。だからこそ彼女を守り、自分の心を守る。 そのために命を賭ける価値がある。 「……柳さん!」 背後から悲鳴のような声が聞こえる。自分の名前を呼ぶ声がする。 「大丈夫だよ山乃端さん。ここは私が」 「違う! あっち!」 安堵させようと声を返せばそんな不明瞭な返答。御首級の警戒を緩めずに視線だけで駐車場のスロープに意識を向ける。 「ヒャッハー! 殺せ殺せー!」 「逃げ柳生は消毒だー!」 「脱走者は居ねがぁー!」 喧噪。そこにはバイクに乗った何人かの――見るからに治安の悪い集団が立体駐車場三階へとなだれ込んで来ていた。 これこそ柳煎餅が背負う柳生の呪いの一つ。脱走者たる柳を抹殺すべく自動生成される柳生追手。 バイクを駆るモヒカン柳生の集団である。 「ああもう、こんな時に空気を読まない!」 釘バット、釘日本刀、釘火炎放射器などの凶器を手に駐車場で暴れ始めるモヒカン柳生に柳は苛立ちを隠せない。 自動生成柳生追手は知性が低く近くの相手に適当に襲い掛かることが多い。 だが、流石に本来のターゲットである柳がこの場に居る以上は柳を優先して攻撃してくるだろう。 ……既にギリギリの拮抗状態が崩れかねない。 柳は幾度目かの剣禅一如を放ち御首級を牽制、そのついでにモヒカン柳生を三人ほど吹き飛ばす。 「山乃端さん、手を!」 一瞬の空白、その隙に柳は離脱を提案する。せめてもっと狭い場所でなければ、自動追尾斬撃交じりの乱戦で山乃端を守り切るのは不可能だ。 柳の伸ばした左手に、一瞬の逡巡の後に山乃端が手を取る。伸ばそうとした。 「死ねぇぇぇ!!」 モヒカン柳生の一人がバイクに乗ったまま柳へと突撃して来る。回避は容易だがそうすれば山乃端が逃げ切れない。 「この!」 柳は先ほど吹き飛ばしたモヒカン柳生の得物、足元へと転がって来ていた釘バットを器用に蹴り上げ撃ち出す。 釘バットはブーメランのように回転しながら正面からバイクの前輪に衝突、ガガギッ、という不快な異音と共にバイクは横転し勢いのままモヒカン柳生は地面に叩き付けられ柳と山乃端の隣を転がり過ぎて行った。 数秒のロス。柳は慌てて周囲を――御首級の気配を警戒する。 居た。殺し屋は既に斬撃を放っている。真っ直ぐに飛来するそれを、しかし直前に気付けたことで余裕を持って迎撃し。 「……二方向!?」 ――同時に別方向から飛来してきた青白い輝きに虚を突かれた。 御首級の遠距離斬撃は斬撃の方向に関わらず対象の首を一直線に追尾する恐ろしい能力。 だがその強力さ故に「常にターゲットまでの最短のルートを辿る」という融通の利かなさが数少ない短所であった。 極端な話、「御首級と山乃端の間」にさえ居れば迎撃は難しくはない。 なのに。この斬撃はその御首級と山乃端を結ぶ直線とは異なる軌道を描いている。 一瞬の動揺。既に眼前の斬撃を迎撃するために振り下ろしを完了している。ここから次を止めるためには再び振り上げを――姿勢を――刀を――。 そこで、ようやく気付いた。 (違う! これは止めなくていいんだ!) そう思った時には既に柳は無理な体勢での斬撃を終えてしまっていた。 放っておいても誰にも当たらない攻撃を止めるために貴重な手番を消費してしまっていた。 (今の斬撃は――先ほど吹き飛ばしたモヒカン柳生を狙った物! こいつらはバイクで走り回っているから斬撃がすぐに追い付かず、この駐車場内を飛び回っていたんだ!) そしてターゲットになっていたモヒカン柳生が山乃端の近くに転がり込んだことでそれを狙った斬撃があたかも別方向から山乃端を狙っているように誤認してしまった。 御首級は狙っていたのか。ただの偶然か、それとも偶然を利用したのか。 いずれにせよ、柳が山乃端をカバーできない数瞬が生じてしまったことに変わりなく。 「――その御首、いただきましたァ」 放たれた青白い輝き、御首級の斬撃は真っ直ぐに山乃端一人の首へと飛び。 柳は無理な体勢のまま、さらに無理をして刀を振ろうとし。 間に合わず、呆然と立ち尽くしている山乃端一人の体を。 一台のバイクがすれ違った。 ☆ ☆ ☆ そのバイクに乗った人物は山乃端とすれ違い様に彼女を片手で抱き抱えていた。 抱えられて去る山乃端を追い、斬撃は軌道変更しバイクを狙う。 「――《Au clair de la lune,Mon ami Pierrot(月の光と、我が友ピエロ来れり) 》」 突然、バイクを追う斬撃の前に何も無いところからピエロの格好をした人影が出現。 ピエロは手に持ったナイフを斬撃へと叩き付けると斬撃は破砕し――しかしその余波でかピエロも霧散した。 その光景に呆然としながらも体勢を直した柳は、バイクがドリフトをしながら急停止するのを見た。 「……可能な限り努力はしたが、無傷でとはいかなかった。すまない」 少し申し訳なさそうにバイクを操縦していた男が苦し気な山乃端に言う。見れば、男が山乃端を抱えていた腕には格闘家が練習で使うような衝撃緩和用のクッションが装着されていた。 とはいえ、あのバイクの速度でぶつかるように抱えられたのなら、あのクッションがあっても相当な衝撃だっただろう。 「ピエロを呼び出すサングラスの男。先輩に聞いたことがあります、あなたフリーランスの月光・S・ピエロ――月ピさんですね?」 「そういうあんたこそ、その『ジェノサイド丸』。噂に聞くブラッド・エージェンシーの新人……御首級てがらだな」 「おおっ、私そんな有名になっちゃいましたか? 故郷に自慢できちゃうな~」 照れ隠しのようにくねくねと体を揺らしつつ――御首級は太刀を振れる姿勢を崩さない。 体勢を立て直した柳がピタリとこちらを狙っているのが見えている。先ほどとは状況が変わってしまった。今慌てて山乃端の首を狙ったところで、フリーに動ける柳が迫って来るだけだ。 そして柳からしても突如乱入してきた謎の人物が掴めない。山乃端を助けに行きたいのところだが、結局御首級の存在が邪魔になる。 「でもでも月ピさん、困りますよ。あなたが山乃端一人の殺害を拒否しているから私に出番が回ってきたのに、そのあなたがそれを邪魔するなんてっ」 「今の私は山乃端一人を守る必要がある。諦めろ」 そう言いながら、月ピと呼ばれた操縦手はどこからか取り出したフルフェイスヘルメットを山乃端の頭に被せた。 「……え? えっ?」 しばらく苦しそうにしていた山乃端は、ヘルメットを被せられ――されるがままに命綱のようなもので月ピと体を巻き付けられていた。ほんの数秒の早業に少女は目をパチパチとさせることしかできない。 月ピと山乃端、結果的に二人乗りのような形になり。 「山乃端さん! ちょっとあんた!」 「もう既に分かっているかもしれないが――御首級てがらの斬撃は最大時速120キロ程度で対象の首を自動追尾する」 柳の言葉を制するように月ピは一方的にそう言って。 「山乃端一人は守る。こちらは任せた」 話は終わりだと言わんばかりにバイクは走り出す。 柳は月ピと御首級、どちらにするか一瞬逡巡して。 「人の能力ペラペラ喋っちゃダメですよっ!」 月ピに向けて――正確にはその背中にくっ付けられた山乃端に向けて飛ぶ斬撃を放った御首級に向けて駆け出した。 バイクに本気で逃げられたなら今から徒歩で追いかけても間に合わない。 そして月ピが敵であろうと味方であろうと、御首級は倒さねばならない。 ――困りますよ。あなたが山乃端一人の殺害を拒否しているから私に出番が回ってきたのに。 ――今の私は山乃端一人を守る必要がある。諦めろ。 あの会話が本心であると信じる。柳煎餅は迷いを捨てた。 「――斬る」 ☆ ☆ ☆ 本来なら立体駐車場からそのまま外に離脱するのがベストではあった。 だがスロープ部には既にモヒカン柳生達が集まりつつあり脱出には手間取ることが予想できた。 (既に御首級の斬撃は放たれている。今はロスが惜しい) 結果、月ピは迷いなくショッピングモールの内部を逃走経路とすることを選択した。 立体駐車場エリアからショッピングモールへと繋がる通路、そこの自動ドアへと突撃しカチ割る。 ハシゴ状になっている通路は幸い真っ直ぐ走るための距離を確保できる。 御首級てがら能力、秘剣・首級返しによる飛ぶ斬撃は時速120キロほど。つまりバイクでそれ以上の速度で走れば追い付かれることはない。 故に走る。通行人は障害物に等しい。速度を落としうる要因を全て回避せよ。 (どうして、こんなことに) ――そうして、現在に至る。 シャーロキアンが臨時休業していた。 ショッピングモールで時間を過ごした。 偶然にも柳煎餅と再会した。 突然魔人の殺し屋の襲われた。 突然大量のモヒカンに襲われた。 突然謎のサングラスに連れ去られた。 現実逃避気味に朝からの出来事を思い出していた山乃端は、しかし結局何も分からないままだった。 分かるのは、柳と目の前の男がなんとか自分を助けようとしているということで。 “そもそも、何故自分が命を狙われているのか?” その大前提となる疑問は考えても答えの出ないことなのだろう。 (だったら、私がやりたいことは) 山乃端一人が、やるべきことは。 「――あのっ!」 意を決して、顔を上げる。月ピと呼ばれていたこのサングラスの男に声を掛けようとして。 月ピの肩越しに、再度現れた柳生追手達と、再度放たれた御首級の飛ぶ斬撃が見えた。 そして操縦手はそれらを回避すべくアクロバット走行を開始し――。 (……ダメカモー) 早速少女の決心は折れそうだった。 ☆ ☆ ☆ モヒカン柳生をバイクごと逆袈裟に両断する。 さらに一歩踏み込み上段からの振り下ろしで飛ぶ斬撃を撃ち落とす。 止まらない。歩みを進めながら無の刀を振り、全ての障害を打ち払う。 (……強い) バックステップからの切り下がりによって斬撃を放ちながら御首級は改めて目の前の相手を脅威と感じる。 敵の急所に向けて自動追尾斬撃を放つ御首級の能力、その真髄は「全ての動作が致命傷になり得ること」――転じて「全ての動作がフェイントとなり得ること」。 刀を中空に振るうだけの動作が脅威となるこの能力は対戦相手に集中を強いる。その緊張は距離を取るほど強まり、接近したい、白兵戦に持ち込みたいという欲求を生む。 だが遠距離攻撃能力が強力故に錯覚するが、御首級はそもそも白兵戦こそ強いのだ。接近すれば勝てるという甘い見込みこそが一番の落とし穴。 (でもこの人は違う。私とインファイトでもやり合える技量がある) 実体の無い刀。そしてここまでの攻撃を全て凌ぐほどの技量と判断力。接近を許すのは危険だと御首級の直感が告げ続けている。 (……強い) 対する柳は山乃端一人の護衛という重荷こそ無くなったものの、しかし劇的に楽になったかと言うとそうでもない。 (山乃端さんを守るためとはいえ、剣禅一如を使い過ぎた。あれは体力の消耗が激しいのに) 遠距離攻撃手段が無い、あるいは気軽に使えない。と相手に知られるわけにはいかなかった。『その気になればお前を殺せる』という圧は何もなくても相手の選択肢を狭められる。 見た目や言動こそ軽いが御首級は存外にストイックな剣士だ。合理的に殺すための手段を選んでいる。 そしてこれは柳の直感だが、この相手はまだ何かを隠している。そんな気がする。 だからこそ今こうやってジリジリと消耗戦を強いられているのが歯がゆい。 「てやっ!」 御首級は連続で斬撃を放つ。その半分は真っ直ぐに柳の首を狙うが、もう半分は駐車場の地面を貫通して行く。 あれはバイクで逃げた山乃端達を狙った物だろう。あの男が山乃端を守れているのかやや心配ではあるが。 (山乃端さんを狙った斬撃が発動しているということは、まだ山乃端さんは死んでいない! ……はず!) そう信じて、柳は駆ける。狙いは一直線、御首級の元へ。 ずっと待っていた。最短距離で駆け抜けられる位置取りを、斬撃を放った直後の後隙が重なるタイミングを。 柳の首へと飛来する三連の斬撃。だが今の柳には『軌跡が分かり切っている斬撃』など物の数では無い。最小の動きで全てを迎撃する。 一歩、一歩、さらに一歩。 「御首級ィ!」 柳は叫ぶ。御首級は太刀を構えている。狙いは逆袈裟。射程内に踏み込んだ瞬間にその剛剣が炸裂するだろう。剣禅一如を用いない限り、刀の間合いでは敵わない。 それでも、行く。太刀の射程まで残り一歩。 一歩を踏み込んだ。 太刀が振り上げられる。射程内に踏み込んだ柳を両断するのに、まさに最適なタイミング。 本来ならば、そうだった。 如何なる歩法か、柳は一定のように見える足の動きから歩幅を僅かに調節していた。太刀のタイミングを見誤らせるために。 「私の――技を――」 それは先の交戦で御首級が見せた技、剣禅一如を見切ったその歩法を柳は完全に再現していた。 柳は無の刀を構える。御首級の能力により空振ってもさらに追撃が来る。それを撃ち落とせば最早反撃はない。 「――使うことは」 本来ならば、そうだった。 「――分かっていましたよ」 太刀が、伸びた。 「……!?」 予想外の挙動に驚愕しながらも、柳は半ば本能的にそれを無の刀で受け流す。 そして改めてその光景を目にした。 太刀が分離している。 元々長大だった太刀が、いくつもの節に分離しワイヤーで接続された形になっている。 その数、十六。十六の節に分離した太刀が、まるで鞭のように、蛇のように、柳を囲っている。 ――蛇腹剣、という。剣と鞭の性質を兼ね備えた変形武器であり、ほぼ架空の存在である。 何故なら、そのような機構を内蔵しても武器としての実用性は薄く、カラクリのために耐久性を大きく削がれてしまう。 漫画やアニメのようなフィクションの世界でしか通用しないロマン武器。 だが、御首級が使うのなら話は別である。何故なら十六の節があるということは『刃が十六ある』ということであり。 柳の眼前で、十六に分離した太刀がそれぞれ青白く輝く。この戦いで何度も何度も見た光景。 「真秘剣・首級返し――“十六夜”」 十六の斬撃が、十六の方向から柳の首を狙って殺到した。 ☆ ☆ ☆ 飛来する十六の斬撃を見ながら、柳は世界がゆっくりとなるのを感じた。これが走馬灯というものだろうか。 (迎撃……一つ一つは可能。だけど一振りで落とせるのは精々二つ。十六を落とし切るには……八回?) 間に合うわけがない。どれだけ速く動いても今から放てる攻撃は三回か四回が限度だろう。 (ここまでかな。ごめん山乃端さん、せめてあの男に守られていて) できることなら最後まで守りたかった。 殺人の剣、殺しの業。それでも誰かを守れると、誰かを救える活人の剣であれると信じたかった。 ――そなたには、先達として一つ見せてやらねばなるまいな。儂のように、ならないように。 ふと、脳裏に声がした。これは誰の声だっただろうか。 ――こい。若いの。活人剣の技を見せてくれようぞ。 これは誰の技だっただろうか。 空を翔ける鳥のように。隼のように。疾く、精密で、美しく―― (私の剣は……) 手を伸ばす。そこには何もない。あるのはただ空のみ。 空が、ある。 (私の剣は、隼を墜とした剣だ――) 柳の首を狙う十六の刃。 その内の二つを――柳は両の手で掴んだ。 「無刀――取り!」 裂帛。一閃。 柳は掴み取った二つの斬撃を刀とし、別の二つに打ち付ける。 二つと二つ、合わせて四つの斬撃はそれぞれぶつかり合い、相殺し、消滅した。 「なっ……」 その光景に目を見開いたのは御首級だ。それを気にもせず柳はさらに二つの斬撃を掴み、同じように別の二つと相殺させる。 流れるように、踊るように――空を翔けるように。繰り返すこと四度。十六の斬撃は、全てが相殺された。 「そんな、そんな……私の“十六夜”が」 動揺を隠しきれないまま、それでも蛇腹剣を連結させ、再度太刀の形に戻しながらバックステップで距離を取る。 対する柳は滝のような汗をかきながら肩で息をしていた。 「っはぁー、きっつぅー……」 先ほどの極限の技は流石に大きく消耗したようだ。狙うなら今、そうだと分かっている。 だが。 (――本当に、私の技でこの人の首を落とせるの……?) 正真正銘、御首級てがらが誇る最強の技が防がれた。その事実は彼女の誇りに、認識に、大きな瑕疵を与えていた。 それでも。御首級はかぶりを振る。自分の役目は山乃端一人を殺すこと。そしてその障害となるこの女剣士を殺すことだ。 「これで……これで終わりですっ!」 あえて大きな声を上げながら御首級は太刀を逆袈裟に振り上げた。 能力発動、秘剣・首級返し。 青白く輝く斬撃が対象である柳の首を狙って飛翔する。柳もそれを見て無の刀を構える――が、まだ回復し切っていないのか足元が不確かだ。 いける。殺せる。 落とせる。 「――《Ma chandelle est morte, Je n ai plus de feu(私の灯は消えてしまった) 》」 一台のバイクがすれ違った。 そのバイクに乗った人物は柳とすれ違い様に彼女を片手で抱き抱えていた。 その人物は、ピエロの格好をしていた。 ハッ、と視線をスロープへと向ける。 「――《Ouvre-moi ta porte, pour l amour de Dieu.(頼む友よ、扉を開けてくれ) 」 ピエロを追うようにもう一台のバイクが――背中に山乃端(ターゲット)を括り付けた月ピが姿を現していた。 ――あのっ! ――お願いがあります! ――柳さんを助けてください! 大切な……恩人なんです! 「柳煎餅の救助……これで依頼は果たした」 緊張と疲労のせいかとうとう背中で意識を失った少女の――意識を失う前の必死なお願いを思い返しながら、月ピはそう呟いた。 (月ピさん――山乃端一人(ターゲット)――いや、あの女剣士は――) 御首級は迷った。突然現れたターゲット狙うべきか、難敵である柳を狙うべきか。 その一瞬で太刀を構えるのが遅れ――御首級はそれを見た。 ピエロが操縦するバイク、その後ろで立ち上がる柳の姿を。 最上段の構えで、力を溜めている姿を。 直進していたバイクはその車体を右方向へと倒した。……いや、地面に倒れる直前に車輪の回転力で独楽のようにぐるりと一周した。 まさにバイクによるブレイクダンスのように。そして。 そして、バイクの上で立ち上がる柳は、それを物ともせずに無の刀を振り抜く。 「――『ローリングバスター剣禅一如』――!」 独楽のように回転するバイクに合わせて、無の刀から放たれた斬撃ビームは駐車場を広範囲に撃滅せしめた。 月ピ達に届かないように。 御首級の逃げ場が無いように。 「か、はっ――」 剣禅一如のビームによって御首級は胴体から下が爆散した。どう控え目に見ても致命傷。 (負け、た――) 御首級は自らの死を受け入れた。任務の成功報告を諦めた。 (私はブラッド・エージェンシー期待の新人、御首級てがら――) だが、任務の成功自体は諦めていない。 「――逃がさない!」 全身を。残された全身を使い、最後に一度だけ斬撃を放つ。それは斬撃と言うには不格好で太刀を空中から地面に引き落とすような形ではあったが。 それでも、魔人能力は発動する。 (首級――返し!) 最期の一撃。青白い斬撃が山乃端を狙い飛翔する。 柳が御首級を狙い駆け出す。迎撃が間に合わないと悟って、首級返しが山乃端に命中する前に御首級にトドメを刺し能力を強制終了させる算段か。 (構いません。どちらせよもう遅い) 月ピが山乃端を乗せてバイクで逃げているのは知っている。だがあの先で逃げるには下層に降りるためのスロープしかなく、狭いカーブが続くあの場所では時速120キロ以上で逃げることは不可能。 落下防止の柵もあるため外に飛び出すこともできない。必ず減速する、そして柳が御首級にトドメを刺すより斬撃が山乃端の首を刎ねる方が速い。 事実、月ピは追い詰められていた。可能な限りスピードを落とさないように下りスロープをドリフトする――が限度がある。 そもそも御首級の斬撃は最短距離でターゲットまで飛ぶ。カーブに沿って曲がらざるを得ない以上、勝負になるはずもない。 二階に到着、そのまま直進。加速、加速、加速――間に合わない、すぐ背後に斬撃――。 月ピはバイクに乗ったまま立ち上がり、反転した。進行方向に背中を向けながら後ろ手にハンドルを握る形。 単純な話、このようにした方が山乃端が斬撃から遠ざかる。 当然の話、そのようにしたら斬撃の過程にあるものは斬られる。 「ぐ! うおおおおおおおおお!」 山乃端の首を狙う斬撃が、月ピの胴体に突き刺さる。男は苦悶の声を上げ、しかしハンドル操作は誤らない。 (山乃端一人の選んだ死因は――事故死では――無い――!) 果たしてその地獄のような時間はどれほどだったか。一秒か、二秒か。 唐突にそれは消滅した。それは柳が御首級の首を斬り潰したのと同時だった。 ☆ ☆ ☆ 御首級にトドメを刺した柳が立体駐車場二階へと降りた時、地面に横たわる山乃端と彼女に背を向けて立っている月ピの姿を認めた。 「山乃端さん!」 「心配するな。巻き込まれた諸々で寝ているだけだ。多少の打撲くらいはあるかもしれないが……大した怪我は負ってない」 月ピの言葉を聞いているのかいないのか、柳は山乃端の体をペタペタと触って無事を確かめてから安堵の息を吐いた。 「それで? 結局あなたは?」 「――鏡助には会ったか?」 名前を出され、柳は一瞬首を傾げたが。 「? ……あ、鏡の人? それじゃあもしかして……」 山乃端一人を殺そうとした自分を、よりによって助けたと勘違いして護衛を依頼してきた魔人、鏡助。その名前を出したということは。 「私の名は月ピ。おそらくお前と同じく、鏡助に山乃端一人の守護を依頼された者だ」 男の言葉に、ようやく合点が行ったと柳は頷く。確かに山乃端を助けるのを手伝ってくれたわけだし、少しばかり冷たく当たり過ぎてしまっただろうか? 「だからあなた……月ピ? さん? は山乃端さんを助けるために御首級を倒しに来たんだね」 「……」 月ピは懐からスマートフォンを取り出し、画面をタップし操作をし始めた。 「……ちょっとー? 話聞いてないのー?」 「柳煎餅、音楽は好きか?」 「はい? まぁ結構好きですけど」 脈絡の無い質問に柳は思わず素直に答える。こちらの世界にはまだ不慣れだが、様々な音楽は結構気に入っている。 「そうか、ならばよく聞くといい」 言いながら、月ピはスマホを持った手を広げる。柳にはよく分からなかったがその画面には音楽再生アプリが起動しており、月ピの指は「プレイリストからランダムに再生」をタップしていた。 「お前の運命を決める一曲だ」 スマートフォンから音楽が流れ出す。 男性シンガーの歌声が聞こえる。 (この声、聞いたことある。何だっけ、お米みたいな感じの……剣士みたいな名前の……) 柳の思案を遮るように、月ピは、ほう、と息を漏らし。 「なるほど――『感電死』か」 かんでんし。カンデンシ。感電死。 「ああそうそう、感で……ん?」 月ピは、凶手は振り返る。 柳は見た。彼の目に映る、自身への殺意を。 「柳煎餅。山乃端一人の命を危険に晒す者。依頼に基づき、お前を『感電死』で殺す」 ☆ ☆ ☆ ――ターゲットは山乃端一人。やり方は一任する、それがお好みなんだろう。月光・S・ピエロ。 月ピが山乃端一人殺害の依頼を受けて数日。彼は拠点で山乃端殺害の準備を整えていた。 既にターゲットの情報は集め終えた。今夜暗殺を結構する算段だ。 部屋には、凶器となる武器や薬剤は勿論、彼にとって欠かせないもの――即ち殺害方法を決める手段が並んでいる。 カードデック……お手軽で最も利便性が高い。だからこそやや物足りなさを感じてしまう。 御神籤……スムーズに出すには慣れが必要だが、和風な感じが海外の被害者にも人気。 ガラポン抽選……お祭り感はあるが大型で持ち運びに不便。特賞が出た時は流石にテンションが上がった。 最近はランダムチョイス用のアプリも導入しておりいざという時はそれを使うようにもしているが、月ピ自身はどうしても「手作りの温かみ」を大事にしたいタイプなので極力使いたくない方針だ。 そうしていつものように淡々と準備をしている月ピはふと、この部屋に起こるはずのない他者の気配を感じた。 鏡だ。 振り返り、拳銃を向ける。素早くガスマスクを装着することも忘れない。その気になればこの部屋を致死性のガスで充満させることも容易い。 『初めまして。お話を聞いていただいてもよろしいでしょうか、月光・S・ピエロさん』 果たして。鏡に映る男は信じられないほど敵意を感じさせずにそう言った。 鏡に映る男は鏡助と名乗った。 『……正直、即座に攻撃をされることを想定していたのですが』 「お前がその気になればもっと早く、気付かれることもなく私に攻撃できていただろう。ただの合理的判断……信頼に依るものではない。続きを話せ」 促し、鏡助は頷く。 『月ピさん。あなたが山乃端一人さんの殺害を依頼されたことは知っています。――率直に申し上げると、彼女を殺すのをやめていただきたいのです』 「断る」 即答だった。あまりの迷いの無さに鏡助は一瞬言葉に詰まる。 『……結論から説明すると、”山乃端一人”が死ぬことによってハルマゲドンが発生します。そういう仕組みになっているのです。あなたの依頼主も元を辿ればそれが目的。どうか――』 「そうか。断る」 『……』 月ピは、いいか、と前置きして。 「事情があるのは理解した。だがそれは私とは関係ない。如何なる裏があろうと依頼があれば殺す。それが私のルールだ」 『……それが世界を滅ぼすとしても、ですか』 「それはそれだ。私の仕事を妨げる理由にはならない」 要求を聞き入れるつもりはないと、月ピは鏡助にはっきりと告げる。 『でしたら……お願いです。最終的に死ねばいいのなら、彼女が寿命で亡くなるのを待っていただけませんか』 「……ふざけているのか? 一体何十年待たせると思っている。それとも山乃端一人は難病で余命幾許(よめいいくばく)も無いとでも嘯(うそぶ)くつもりか? 生憎だが、彼女が健康体であることは調査済みだ」 呆れたように殺し屋は言う。だが転校生は真面目な表情で言葉を続けた。 『山乃端一人さんがこの世に生まれて何年か、ご存じですか?』 「調査済みと言ったはずだが。十六歳だろう、彼女は」 『三年です』 ☆ ☆ ☆ ヒュンヒュン、と耳元をコインが掠める。 月ピの両手から放たれる指弾を回避しながら、柳は接近すべく踏み込む。 「《Au clair de la lune, Pierrot répondit. Je n ai pas de plume, Je suis dans mon lit.(月光の下で友は答える。生憎だがペンは無い、もう今日を終えるところだ)》」 振り返り、無の刀を薙ぎ払う。その一撃で、背後から飛び掛かってきたピエロは両断され、霧散した。 (――キリが無い!) ここまで来れば柳にも目の前の男の能力は分かる。歌うことで分身を作り出し操る能力。分身をいくら倒しても本体にダメージは無い。 ハッキリ言って単純な戦闘力なら柳は月ピよりも上だという自負がある。体捌きは中々だし戦闘慣れこそしているようだがどうやらダメージを負っているらしく動きが悪い。 だがそれを言えば柳も同じ。御首級との戦いで直接的なダメージこそ少ないものの心身共に疲労が蓄積している。剣禅一如も果たしてあと何度使えるか。 加えてこの分身だ。いくら本体の動きが悪くても分身は生み出される度に十全であり、無視するわけにはいかないが倒してもリターンが無い。一方的に徒労を押し付けられているような気分になる。 「今日の相手、こんなのばっかり!」 愚痴りながら、車を片っ端から切り倒す。月ピは木から木に飛び移るように、車体の影を遮蔽にして逃げ回っている。時折分身による強襲と、コインによる指弾を放って来る。別にコイン程度、当たったところでそれほどダメージは無い――が、この男は的確に目や喉を狙って来るのが嫌らしい。 「《Va chez la voisine, Je crois qu elle y est, Car dans sa cuisine On bat le briquet.(火打石の音がする、頼るなら隣人を訪ねてみるといい)》 再び歌声、そして人の気配。――僅かに風を切る音。 (分身を囮にしての指弾――怯んだところで挟み撃ちの算段!) そこまで読んで、柳はピエロに対応するのではなく身を屈めてコインを回避し、そのまま月ピ本体へと接近することを選択する。 頭上をコインが通り過ぎるのを感じながら、指弾のために僅かに身を晒した月ピへと踏み込む。この距離なら逃げる前に捕らえられる。 ガコン。 背後からの音に、少女は思わず気を惹かれた。油断なく周囲を警戒していたからこそ敏感に反応してしまう。 結論から言えば、別に何の異常も無い。 単に月ピが指弾として投擲したコインが自動販売機のコイン投入口に入り、別のコインがボタンを押すことで飲み物が排出されただけだ。 柳の意識は一瞬だけ背後に向き。 慌てて月ピに意識を戻した時、既に月ピは武器を発射し終わっていた。 それは銃の形をしているが弾丸は発射せず、パシュッという音と共に小さな矢のような物体を放つ。 殺意から遠いその形状は柳を困惑させ、左手に命中し効果を発揮した。 その武器を、テーザー銃と言う。非殺傷を目的とした電撃兵器である。 「ヅゥ――――!?」 左手から感じる電流の痺れ・痛みに本能的に右手の無の刀を振るう。それはテーザー銃から電気を供給する有線を切断し、それ以上のダメージを抑えた。 柳は左手に刺さった電極棘を叩き落とし、車体に隠れて回復を図る。……柳は知らないことであるが、テーザー銃は一発ごとにカートリッジの交換が必要なほぼ使い切りの武器であり、この時間は月ピにとっても有り難いものであった。 ――お前を『感電死』で殺す。 (なるほど、そういう意味と) 柳は先ほどの月ピの不可解な宣言の意味を理解する。つまりこの男は前もって選んだ殺し方に拘るようで、そのためにわざわざこんな遠回りなことをしていたのだろう。 ……舐められているような不快感を覚える。別に殺しの上手さを殊更に示したいわけではないが、「お前相手ならこれで十分」と見下されるのも納得がいかない。 「……ねぇ、なんで私を殺すの」 「依頼されたからだ」 意外にも、話しかけたら律儀に答えが返ってきた。 「誰に依頼されたの」 「さてな。心配性のシャーロキアン(探偵好き)でも居たんじゃないのか」 言っている意味がよく分からない。山乃端なら分かっただろうか。 (まぁでも、訳も分からず殺されかかるのはいつものことか) 柳は気にしないことにした。今大事なのは如何にしてあの男を斬るか、それだけだ。 左手を確認する。既に痺れはだいぶ無くなっていた。 柳にとっては業腹なことではあるが、彼女の体に注入された“柳生”の力により常人よりも頑健な肉体を持っている。テーザー銃程度であればこの通り。 行動は即座に。柳は立ち上がりながら無の刀を振り上げる。狙いは一つ。 「『剣禅一如』――!」 月ピは当然その攻撃を警戒していた。故に無造作に放たれたのを見て一瞬困惑し――それが天井を穿ったのを見てその意味を理解する。 二階の天井、即ち三階の床。先ほど大暴れした――ローリングバスター剣禅一如によってガタガタになった三階の床である。 崩落。 天井が、車ごと降り注ぐ。轟音、異音、鳴り響く不快な音を掻き分けるように柳は跳ぶ。 (いくら無傷の分身を作れたところで、本体が大規模攻撃に巻き込まれる分にはどうしようもない。それにこの砂埃の煙幕の中で悠長に歌っているのは無理でしょう) 指弾もテーザー銃も精密な狙いを前提とした攻撃。他方で柳の無の刀は雑に振り回すだけでも十分。この状況では圧倒的に有利だ。 (気配は――そこ!) 刀を突き出す。手応えは無い、だが反応はあった。何かが飛来する音。掠りもしない。 近い。ならばと刀をコンパクトに振りながら前進。逃げる気配――逃がさない。 無刀取りの利点。それは無手のまま動くことができること。行動の自由度が段違いだ。 煙幕から脱出するように逃げる月ピの軌跡を追う。果たして、砂埃を抜けた先、そこにはテーザー銃をこちらに向ける凶手の姿。 発射される電極。だが、既にタネは割れている。 「てやぁ!」 電極が柳の体に命中する。――だが、その頃には既に無刀によって有線が切断されている。電気が供給されなければただの針でしか無い。 月ピはすぐさまカートリッジをリロードしようとする。遅い。柳の蹴りが銃を叩き落とす方が速かった。 (感電死に拘るというのなら、これで手は一つ潰れた) 月ピは次の武器を取り出すつもりか、ポケットに手を突っ込んだ。それを見逃すつもりもない。その手を掴み、得物ごと引きずり出す。 奇しくも、取り出そうとする武器の元を抑えるというのは、この世界における正しい無刀取りの形であった。 そうして月ピから奪い取ったそれは―― 「……?」 思わずパチリと目を瞬かせる。音楽が鳴るそれは、先ほども見た月ピのスマートフォンだ。武器でも何でもない。 それは一種の油断か。ほぼ制圧した状況、攻撃の手段が無い相手、あと一撃で決着の間合い。それらの要因が柳に空隙をもたらした。 「――《Ouvre-moi ta porte, pour l amour de Dieu.(頼む友よ、扉を開けてくれ) 」 その歌に、途端に周囲を警戒する。月ピ本体に動きはない。ならば分身は? 居た。いささか離れた距離から――柳に向けて何かを投擲してきている。攻撃か! 一閃。柳はピエロが放った投擲物を切り裂く。 ――切り裂かれた投擲物からは液体が溢れ出し柳と月ピの体に降り注いだ。 「うわっ!?」 思わず毒を連想するが、しかし柳生の直感がそれを否定する。そもそも月ピ本体にもかかっているのに毒物とは考えにくい。 ……というか、やけに美味しそうな匂いがする。 「……カレー?」 なんということはない。ピエロが投げたのは、先ほど月ピがコインの投擲で自動販売機から排出させた豚汁缶とカレースープ缶だ。それらが二人の体に降り注いだだけだ。 ところで、このような話がある。 ひと昔前には風呂場で入浴中にドライヤーを浴槽に落としてしまい感電するという事故があった。 テレビドラマでもそれを使って殺人事件を起こす、というような描写もある。 しかし最近のドライヤーは安全装置によって浴槽に落ちても感電しないように設計されている。 その一方で、最近の時代では別の機械によって似たような事故が多発している。 入浴中にスマートフォンを利用して、浴槽に落とすという事故だ。 「知っているか? 塩水は、電気を通しやすいんだ」 柳の手には、バッテリーが剥き出しになったスマートフォンが。 ――曰く。感電で人が死ぬには、0.1アンペアほどの電流で十分らしい。 ☆ ☆ ☆ 「三年……いや、そんなはずがないだろう」 鏡助の言葉に、月ピは反論をする。山乃端一人は何ら特別な事情はない一般人だ。それでも三年前に生み出されたクローンとでもいうのか? 『ある意味、近いかもしれません。彼女は……特異点なんです』 「……説明しろ」 『山乃端一人が死んだらハルマゲドンが起こる。それは事実ですが――そもそも何故ハルマゲドンが起こるのか? それは山乃端一人という存在が“様々な事情が重なり合い、圧縮された特異点”だからです』 鏡助は説明を続ける。 『私が山乃端一人の守護を依頼した人物はあなた以外にも何人か居ます。ですが、それぞれが主観で観測する山乃端一人という人物は全て別人なのです』 「意味が分からない……」 『そうですね。我々一人一人に別個の山乃端一人という人生があると思ってください。それらは一種の舞台装置、僅か数年であなた方の人生と絡み合うように育ち、そして役目を終えれば一生を終える』 そして。 『周囲はそれを認識できない。“気が付けば、山乃端一人はその年齢になっており”“気が付けば、山乃端一人は寿命を迎える”。……僅か数年の間に、一人の人間が生まれ、老いて死ぬのを不自然と思うこともできないのです』 「……」 『だから私はあなたに依頼したい。“あなたが観測する山乃端一人が、その人生を終えるあと数年”を……何もせずに見守ることを』 説明を終え、鏡助は月ピの反応を待った。やがて殺し屋は口を開く。 「依頼されれば殺す。それが私の絶対のルールだ。如何なる例外も挟むつもりはない」 ……だが。と月ピは鏡助の反応を遮り。 「だが、選んだ結果には従おう」 そう言いながら月ピは一枚の白紙のカードを取り出し、手早く何かを書き込んだ。 『孫に囲まれながら老衰で死ね』 「もしも。万が一にもこの殺し方が選ばれることがあったなら。それが彼女の運命だ。……それ以上は無い」 『……ありがとうございます。十分です』 『ところでそれ、何ですか?』 「知らないのか? 一種のネットミームなんだが……最近はいろいろハマっていてな、Vtuberとか」 ☆ ☆ ☆ 山乃端一人は自分自身の運命を選んだ。 ならば月ピは、一人の殺し屋として、信念として、それを遂げる。 邪魔をする者、妨げる者は許さない。 だから。 「……何が、起こった」 地面に横たわりながら月ピは呆然と呟いた。 塩水とスマートフォンのトラップにより柳煎餅は間違いなく感電するはずだった。特注の強化された電流は心臓を停止させるに十分な殺傷力だったはず。 なのに。 「……その子に、手を出さないでください」 それを言ったのは外でもない。山乃端一人、その本人だった。 彼女が手に持っているのは―― 『だからこれいつも付けておいて! 防犯ブザー!』 鍵括錠から渡された防犯ブザー。それは彼の魔人能力によって生み出された――“山乃端一人が起動すると炸裂する、非殺傷式のトラップ”だ。 意識が戻り二人の戦いを目的した山乃端はそれを起動し、結果として月ピと柳は揃って吹き飛ばされた。見れば、彼女も向こうで目を回してノビている。 「……ロックと山乃端一人。そうか、お前たちに妨げられたか」 溜め息を吐く。まさか、こんな形で仕事を失敗することになるとは。 御首級に斬られた傷が疼く。もう武器も全て失われた。正真正銘、手詰まりだ。 「分かった。私はこれで消えよう。柳煎餅が起きたら、よろしく言っておいてくれ」 山乃端の言葉を待たず、月ピは自ら召喚したピエロに抱えられてその場を去る。 山乃端は途方に暮れつつ、ひとまずカレーの匂いが漂う恩人を起こすべく歩き出した。
https://w.atwiki.jp/dangerousssig/pages/31.html
【プロローグ】 【臨】 少女は、どのような言葉も口にしなかった。 父の亡骸を前にして。それでも、目を逸らさなかった。 ただ、ひとしずく、頬を伝うものがあり。 そこに忍ぶ想いに、男は、彼女を守ると決めた。 自分の手に、その資格がないのだとしても。 命を賭してすら、己が許されることがないのだとしても。 【兵】 森の中を、女は走る。 影から影を伝うように。 乱れる呼吸を押さえつけるように。 こうなることは最初からわかっていた。 現代においても、否、現代においてこそ、忍びの掟は厳格で、絶対だ。 女は優秀な忍びであり、そしてその結果、多くを知り過ぎた。 だから、彼女がこの稼業を辞めようとすれば、口封じに追手が差し向けられるのは自明の理だった。 女を追い立てているのは、抜け忍狩り。 追い忍と呼ばれる者。 機密の保持のため、忍びの中でもより技量の高い者が選ばれる汚れ仕事だ。 女の頭に、最悪の想像がよぎる。 忍びの中においてなお、最悪と言われる存在。 追い忍代行で名を馳せた忍び衆。 ――不忍池忍軍。 忍びならぬものを不(ひてい)するが故に、不忍の名を負った、追い忍の里。 その鋼の規律は内部にも徹底され、先代の長すら、掟に抵触したとして処されたという。 もしや、今自分を追っているのは、その「最悪」ではないか? 湧き上がる恐怖を、後悔を、振り払うように女は首を振る。 こうなることをわかっていて、それでも女は里を抜けたのだ。 忍びは、ただの諜報員ではない。 内閣情報調査室、警察庁警備局、法務省公安調査庁、防衛省情報本部。 国内にも様々な情報機関は存在するが、そうした組織に所属する情報員、工作員と、忍者は決定的に違う。 忍者とは、業ではなく、道なのだ。 生き方を、常人とは違えることなのだ。 だから、人としての情に流されてはならない。 人としての幸せなど求めてはならない。 人でなく、一つの機構として、振舞わねばならない。 ならば、なぜ、自分は人という種に生まれてしまったのか? 一たび生まれた疑問に、女は答えを出せなかった。折り合いをつけられなかった。 その種は芽吹き、育ち、いつしか、忍びとしての彼女にひびを入れてしまった。 だから、逃げ出した。 自分は人だと。 忍びという職務ではなく、人という種こそ自分の本質だと決めた。 その決断を、やり直すことはできない。やり直す気もない。 鋭敏に研ぎ澄まされた聴覚が、背後に迫る足音を捉える。 追い忍ならば当然に、無足忍(しのびあし)の心得はあるはずだ。 にも関わらずその足音を聞き取れるということは、すぐ背後まで追いつかれたということに他ならない。 倒れ込むように身を投げ出し、体を丸めて三度地面を転がる。 髪が数本引き抜かれる痛み。相手の攻撃が頭を掠めたのだろう。 猫めいた挙動で態勢を立て直し、屈んだ状態から背後を確認する。 仕掛けてきた相手には見覚えがあった。 同じ忍び里の同僚。 忍者として将来を嘱望されながら、自己顕示欲の強い性格に難ありとして、女に出世の道を奪われた男だった。 余計な言葉は交わさない。 忍び同士の戦に、会話は不要。 何かを口にするならば、意味ある情報を求めるとき。 あるいは、言葉そのものが戦いの布石であるときのみ。 顕示欲。嫉妬。攻撃衝動。 追手の相手の表情から、女はおおまかな状況を理解した。 追い忍は、身内が刺客を出す場合と、情に流されぬよう、第三の忍軍から刺客が派遣される場合がある。 先ほど女が危惧した「不忍」の追い忍は、後者だ。 手の内がわかっている者同士では、情に流され、千日手となることも少なくない。 成功率が高いのは外部の刺客である。 それでもなお男が刺客として追ってきたということは、個人的な意趣返しのつもりだろう。出世争いで負けた腹いせ、あるいは、より鬱屈した欲望か。 焦りに跳ねる鼓動を呼吸で御して周囲を伺う。 目の前の男の他に、抑えた気配が、一つ、二つ、三つ、片手では数えられぬほど。 技量は不明。だが、忍びとしての心得のある人間が十名程度潜んでいることは確か。 そして、目の前には、女とほぼ互角の力量を持つ男が短刀を構えている。 絶体絶命。 忍者とは、奇道奇策にて力量差を覆すものだ。 弓馬を極めた誉れある武士を影で殺すものだ。 しかし、相手が同等の戦術を持つ忍者であり、数で圧倒されているこの状況を、一人でひっくり返す奇道など、女は持ちあわせていなかった。 ならばせめて。 最期まで、人として、在る。 手裏にしこんだ棒剣を構え、女は自分に残された時間を覚悟した。 そして―― しゃん、しゃん、しゃん 死を前に研ぎ澄まされた聴覚が、奇妙な音を聞いた。 【闘】 しゃん、しゃん、しゃん、しゃん それは、金属が擦れる音だ。 ならば、人が近づいているのか? だが、足音はしない。ただ、金属が擦れる音だけが、森の奥からやってくる。 迫る音からすれば、距離は相当に近い。だが、足音はない。 忍びか? であれば、無足忍(しのびあし)の技量の高さに納得できる。 だが、ありえない。忍びだとすれば、身に着けるものの音まで消すのが当然だ。 しのびの心得に、三無忍あり。 曰く、一に無足忍。忍びは足音を無にせねばならぬ。 曰く、一に無息忍。忍びは息音を無にせねばならぬ。 曰く、一に無臭忍。忍びは体臭を無にせねばならぬ。 その全てを具備しながら、全く無遠慮に、身に着けたものの音を隠さない。 忍びの理想の歩法を体現しながら、最も初歩的な禁忌を犯している。 なんて矛盾。なんて異常。なんて愚行。 追手の男たちも、怪訝そうに音の方向を警戒している。 少なくとも、男たちの仲間ではないらしい。 忍び里にほど近い、人里離れたこの森に、この奇妙な音。 一体、何者――? 「っしゃー! 発見(エンカ)したし! よろよろー!」 能天気な声が、一触即発の鉄火場に響いた。 思考が、停止する。 常にあらゆる奇策を想定し、その中でも冷静な判断を瞬時に弾きだす歴戦の忍びである女と、それに拮抗する経験を積んだ追手の男。 その二人の戦術思考をして、この状況の理解を、ほんの一瞬だけ脳が拒絶した。 明るく染められ、緩く巻かれたミディアムロングの髪。 着崩されたブレザー制服。 手にしたスマートフォンは無数のビーズでデコレーションされ、肩から下げられた鞄には無数のマスコットつきキーホルダーがぶら下げられている。 音を立てていたのは、このキーホルダーの金具だ。 そこにいたのは、女子高生であった。 ギャルっぽい、女子高生であった。 せめて武器でも隠し持っていたのならば、擬態の類と理解できただろう。 だが、その女子高生は、武器になるものを何も手にしていなかった。 武器を手にしたものが戦場に立てば、必ずそれをいつでも取り出せるような重心の偏り、あるいは意識からくる視線の動きのクセが発生する。 しかし、突然現れた女子高生には、その様子が皆無だったのだ。 今にも命のやりとりが始まる、その鉄火場に、完全な丸腰。 場違いという言葉すらまだ生ぬるい。 「――何奴――」 本来ならば忍びに不要な誰何(すいか)の声を上げた男を、女は愚かと断ずることはできなかった。 明らかに異質なものを前にして、当然の反応である。 だが、その「当然」こそが、忍者の奇策の付け込みうる隙なのだ。 (お嬢様。座標報告。壬乾、丑巽、酉乾三、卯兌、乙兌双、辰乾、子坎三 央離(伏兵の包囲網、うち5は樹上、1は真上)。都合十三にて) 抜け忍びの女の鋭敏な聴覚が、女子高生のデコスマホから微かに響いた音を捉えた。 一部の忍び衆の用いる、十二支八卦を用いた座標報告。 ならばこの女子高生(ギャル)もまた――忍びということか。 「委細承知(かしこまり)っ☆」 意識の虚を縫うように、女子高生の手が、十三回、精確に、大気を切り裂いた。 【者】 女子高生の手には、最後まで何も握られていなかった。 すぐ傍にいた女が、忍びとしての類まれな動体視力で視認したのだから間違いない。 だが、その手の振るわれた先には、苦無、手裏剣、鎖鎌、吹き矢――様々な得物を弾き飛ばされ、両断された追手たちがいた。 「畢竟(とりま)、このおねーさんは妾(あーし)ら――「ぱりなリサーチ事務所」が預かれりー。おっさんらは撤退要請(ひいてもろて)。よろ?」 女子高生は、抜け忍の女を庇うように立つと、場違いな明るさで言い放った。 ぱりな、リサーチ、事務所。 聞いたことがない。名前からするに、探偵事務所や、興信所の類だろうか。 「やれ」 しかし、謎の投擲による攻防で逆に冷静さを取り戻したのか、男の号令一つで木々の影から追手たちが動き出した。 全くわけのわからない存在から、明確な敵対存在へと、女子高生に対する認識解像度が上がったことによる即座のマインドセット。合理的な判断だと、女は感心した。 交渉の余地なし。 女子高生が何をしたのかはわからないが、武器を一つ跳ばしただけで、忍者が戦意を喪失するはずがない。 無数の剣を手の裏に隠し持ち、使い分けることこそ忍びの華であるのだから。 「爺や。準備完了(バってり)?」 (十全に) 胸ポケットにいれたデコスマホとの言葉少ない応答。 この女子高生の先ほどの動き、何も握ってはいなかったが間違いなく手裏剣術。 忍びの技だった。 であるならば――この少女にもまた、まだ、手の裏に隠し持った、忍びの華がある。 「――『手裏に秘するがしのぶの華よ(シノブレード)』」 踊るように、円弧を描くように、女子高生が大きく腕を振るった。 大気を斬るように。世界を切り取るように。 瞬間、ぽっかりと、空が切り取られた。 違う。錯覚だ。 視界を覆い、空を隠していた森の木々が、高い位置で横薙ぎに切り倒された。 折れた枝が、幹が、その下で隠れていた追手たちへと降ってきたのだ。 やはり、女子高生が「何かを投げた」ようには見えない。 暗器の類ではない。物理的な因果ではこの状況を説明しえない。 魔人能力。 認識によって世界を捻じ曲げる超常の力。 かまいたちを発生させるか、対象を断絶させるものか。 この女子高生の力は、おそらくそういった「斬撃」に属するものだろう。 切り落とされた枝、幹、葉といった落下物に追手たちが気を取られた、その時。 周囲から、無数の人影が押し寄せてきた。 抜け忍である女の知り合いでもない。 男が率いる追手の増援ではない。 第三勢力。――おそらくは、女子高生が引き連れてきた手勢。 身のこなしでわかる。忍者。 しかも、統率の取れた忍び里の精鋭たちだ。 してやられた。 これが、女子高生が、完璧な隠形、三無忍を体現できる技量をもちながら、あえてキーホルダーの金具がたてる音を隠しもしなかった理由。 あえて騒がしく近づくことで自分一人にのみ注意を引き付け、後に続く味方の隠形を完璧にするための囮となったのだ。 忍び同士の戦に、会話は不要。 何かを口にするならば、意味ある情報を求めるとき。 あるいは、言葉そのものが戦いの布石であるときのみ。 ならば、第一声のわざとらしく明るい大声も、突拍子もないギャル語も。 すべては、忍ばずして、味方の存在を隠すための布石。 不忍(しのばず)の、忍。 「っ!!」 次々と制圧されていく追手たち。 その中にありながら、追手の統率役であった男は、投げられる網を、縄を掻い潜り、抜け忍の女を目指して駆けた。 「なぜ! おまえは――! おまえばかり――!!!」 もはや敗北を悟ったからであろう。 忍びとしての術理に反して、吐き出すように叫ぶ。 分身めいた不規則な軌道で捕縛を避け、女に――そして彼女を庇う女子高生に、肉薄する。 「――今更、まともな、人間になど――おまえだけが――!!」 女子高生の動きが、わずかに鈍った。 「瞠目結舌(ちょま)……っ」 男の短刀が、女子高生(ギャル)忍者の手を掠め、赤い雫が白の肌に浮かぶ。 「……おっさんも(・)かよう」 だが、そこまで。 まるで鋭い刀に断たれたように、短刀の切先が宙を舞った。 「廉頗負荊(まじめんご)。妾(あーし)が助けられんのは、抜け忍(フリー)の人と、うちの社員だけだし」 女子高生の謝罪が、男の耳には届いたのか。 ぐらり、と姿勢を崩し、男が地面に倒れ込む。 その背後には、手にした杖で男を打ち据えた姿勢のまま残心する、白髪の老人がいた。 「お嬢様。まずは御身を第一に」 「感恩戴徳(あざまる)、爺や」 どこか寂しげに、女子高生は笑った。 【皆】 「うおおおおお、申し訳ございません、お嬢様あああああ、この爺が不甲斐ないばかりに! このような! お嬢様の玉の肌に傷を! 血を!」 「維摩一黙(だまてもろて)、爺や。無駄に血圧上昇(てんあげ)でぶち倒れるとか笑えないし」 抜け忍の女は、かしましいやりとりを繰り返す老人と女子高生をぼんやりと眺めていた。 女子高生の名は、不忍池ぱりな。 老人の名は、白烏(しろがらす)。 この女子高生(ギャル)、不忍池ぱりなは、かつて追い忍の里として名を馳せた、不忍池忍軍の、現棟梁だという。 古い忍び里でありながら、表の世界で興信所の資格を取って活動しつつ、忍び業界の離職トラブル――抜け忍の保護にあたっているのだと、ぱりなは言った。 「やっぱホワイト企業しか勝たん! この少子化で人材の使いつぶしとか朽木糞牆(なしよりのなし)だし!」 そう力説するぱりなに、女は呆気にとられ、言葉を失った。 「忍者ってば、常識(とーぜん)ひっくり返して活躍し(パリっ)てきたしょ? なのに伝統とか慣習とかでブラック化って、わかりみ浅くてむしろ濡れんわ」 忍びとは、生き方だと思っていた。 そう生まれたら、そう死ななければならない。 そんな、不可避な宿業だとすら感じていた。 だから、抜け忍となることに、命すら賭けるつもりでいた。 半ば、第二の生を諦めていたのだとも言えるかもしれない。 「だから、『忍び里働き方改革』ってわけ!」 だが、忍者とて、人なのだ。 そのため、人として自然な感情を押し殺さずとも、よいのだ。 そう、この少女は主張している。そのように、世界を変えようとしている。 (なぜ! おまえは――! おまえばかり――!!!) (――今更、まともな、人間に――) (瞠目結舌(ちょま)……おっさんも(・)かよう) (廉頗負荊(まじめんご)。妾(あーし)が助けられんのは、抜け忍(フリー)の人と、うちの社員だけだし) あの時の不可解なやりとり、彼女が動きを鈍らせた理由も、合点がいった。 追手の男に、忍道の束縛から逃げようとする女を妬み、「まともな人間」への憧れがあったとするのならば。 それは本来、不忍池 ぱりなが救いたいと願う存在、そのものだったからだろう。 「うち――不忍池忍軍は、『ぱりなリサーチ事務所』として生まれ変わったの。おけ? サビ残休出一切なし! 福利厚生制度完備! 守秘義務の範囲内で離転職の自由も確保! 今は個人事業だけど、お金を集めて知名度上げて、夢はでっかく法人化だし!」 「でしたらお嬢様。社長を目指すならまずは、そのじぇいけい? ぎゃる? 言葉をおやめになってはいかがかと」 「忍装七方出の最後っていえばJKだし。忍者の正式服装でそ」 「……七方出の第七装は常形(ふだんぎ)であって、JKではございませぬぞ……」 「妾(あーし)らの年齢の正装は制服だし! 常形はJK! かしこま?」 忍び世界への宣戦布告にも等しいやりとりにも関わらず、そのあまりの牧歌的な様に、女はくすりと笑いを漏らした。 それを目ざとく見つけ、ぱりなはデコスマホを構えて女ににじりよる。 「あ、お姉さん、笑った! いいじゃんありじゃん羞月閉花(きゅん)ですわー。 友プ撮る? 入社の証明写真代わり!」 入社? 自分が? どこに? 戸惑う女に、ぱりなは、なれなれしく肩を組みながら答えた。 「決まってるじゃん。ぱりなリサーチ事務所は、経験者採用も大歓迎! おねーさんは後ろ盾が出来て追手から身を守れる。妾(あーし)らは、ゼロから研修せずに優秀な人材をゲット! win-winってやつ!」 だが、自分のような外れものを匿っては、ぱりなの組織が迷惑を被るのではないか。 そんな懸念を先回りするように、白烏と名乗った翁が、からからと笑う。 「……お嬢様はすでに、貴女のような抜け忍を、何人も引き入れておりまする。心配御無用。我ら、不忍池の衆、生半可な追手に遅れを取る鍛え方はしておりませぬ故」 不忍池の忍び。 抜け忍狩りを本分とし、忍びの中でなお恐れられた最悪の忍びたち。 それが今、忍びの在り方を変えようと嘯くのか。 そんなことが、できると、本気で思っているというのか。 「本当に、できると、思っているのですか」 女は、ぱりなに問うた。 忍びという在り方がこの国に根差してから、長い時が過ぎた。 その間、変わらずにあり続けた因習を、宿業を、あなたは一代で覆せる気なのか、と。 その不躾な問いに、後見人であろう白烏翁は何も言わなかった。 おそらくは、彼もまた、少なからずそのような意見を持っているのだろう。 長く忍びの世界に身を置いているものほどに浮かび上がる、自然な疑問だ。 「当然!」 だが、不忍池ぱりなは、言葉に詰まることはない。 自然体の、どこか間違ったギャル口調で、それでも持論をためらうことなく口にする。 「妾(あーし)の名前は不忍池ぱりな。守破離だなんてまどろっこしい。 守るの一字は蹴っ飛ばし、”破”りて”離”す革命の”名”の女だし!」 明らかに愚かな、それでも、永遠を信じたいと思わせる、真夏の夜の宴を思わせる言葉だった。 【陣】 タッグ名:ぱりなリサーチ事務所 構成メンバー:不忍池ぱりな(しのばずいけ・ぱりな)、白烏(しろがらす) 参戦目的:自社のPR及び経営資金の獲得 【烈】 少女は、どのような言葉も口にしなかった。 父の亡骸を前にして。それでも、目を逸らさなかった。 ただ、ひとしずく、頬を伝うものがあり。 そこに忍ぶ想いに、男は、彼女を守ると決めた。 自分の手に、その資格がないのだとしても。 命を賭してすら、己が許されることがないのだとしても。 【在】 「――御館様。お嬢様は、この爺が、何に代えてでも――」 【前】
https://w.atwiki.jp/studykorea/pages/204.html
トップページ>韓国>東方学志 『東方学志』160、2012.12 企画:実学の公共性 백민정「儒教知識人の公概念と公共意識:李瀷、丁若鏞、沈大允の場合を中心に」 박영도「茶山の実学的公共性の構造と性格:いくつかの批判的考察」 이승률「「道」の認識:地下の書籍と紙上の書籍を通じて見た『老子』哲学の形成と展開Ⅱ」 論文 김선민「両晋の宗廟制度と「太祖廃位」」 정연식「居陀知説話の新しい解釈」 류대영「マティー・ノーブル(Mattie W. Noble)の日誌:ある婦人宣教師の生涯と「女性の領域(Women s Sphere)」」 辛珠柏「植民地期新しい知識体系としての「朝鮮史」「朝鮮文学」「東洋哲学」の形成と高等教育」 企画 「社会人文学の対話4:韓国社会の公共性と公的知識人:その構造的特徴と変化:김동춘教授との対話」 『東方学志』159、2012.9 特集:感性と公共性 최기숙「朝鮮時代感情論の推移と感情の文化規約:士大夫の物書きを中心に」 李ハナ「反共主義感性企画、「反共映画」のジレンマ:1950-1960年代「反共映画」論争を中心に」 論文 이승률「「道」の早産論:地下の書籍と紙上の書籍を通じて見た『老子』哲学の形成と展開Ⅰ」 김만태「星宿信仰の一環としての北斗七星の信仰的化現様相」 박봉주「朝鮮時代国家祭礼と籩・豆の使用」 한영호、이은희「『交食推歩法借令』研究」 김진희「泠斎柳得恭の漢訳詩歌「東人之歌」研究」 洪性讃「韓末ソウル東幕客主の米穀取引と荷主:「東泰元」の帳簿を中心に」 김동노「民族主義の多元化と理念の葛藤」 企画 「社会人文学の対話3:新自由主義時代学問の照明と社会人文学:孫歌との対談」 『東方学志』158、2012.6 윤경진「泰封の地方制度改編:『三国史記』地理志高句麗条の分析を中心に」 신성재「高麗の水軍戦略と後三国統一」 朴平植「朝鮮初期の貨幣政策と布貨流通」 연규동、이전경、김은희、김남시「朝鮮王朝実録に現れた「文字」の意味」 김미정「移行の時間性と主体性:開化主体についての一説明」 최경봉「近代的言語観の展開と国語定立という課題の認識様相:韓国の特殊性を中心に」 백문임「朝鮮映画の「風景の発見」:連載劇と空間の専有」 김승구「解放期劇場の映画上映活動についての考察」 조경희「「朝鮮人死刑囚」をめぐる専有の構図:小松川事件と日本/「朝鮮」」 김소남「1970年代原州地域災害対策事業委員会の鉱山地域長期救護事業研究:信用協同組合運動を中心に」 企画 「韓国人文学の脈と延世5:「文字に埋れた」楽しい人文学者:英文学者이상섭の生涯と学問」 『東方学志』157、2012.3 特集:戦争:圏域の事態、境界の事件 서동주「「新しい戦争」と日本先後文学の思想空間」 장세진「トランスナショナリズム、(不)可能そして在日朝鮮人という例外状態:在日朝鮮人の韓国戦争関連テキストを中心に」 신형기「ベトナム派兵と越南の話」 권혁태「「国境」内から「脱/国境」を創造する法:日本のベトナム反戦運動と脱営兵史」 論文 박종진「高麗前期開城府の変遷と地理的範囲」 박경안「高麗時代土地利用と人間の暮らし:土地政策と関連して」 임채우「柳得恭『京都雑志』柶占(윷점)の易哲学的解釈」 이선호、박형우「19世紀末アメリカ北長老会の韓国宣教推進過程についての研究」 仲林裕員「1910年代朝鮮総督府の教育政策と在朝日本人教員統制:朝鮮教育(研究)会を中心に」 양태근「戸籍の研究方法論成立過程、応用及びその影響についての考察」 정용서「1920年代天道教新派の「民族自治」構想」 企画 「社会人文学の対話2:古典学者の生涯・学問・世界、その拡張と新化の道程:韓国文学研究者임형택」 『東方学志』156、2011.12 Arif Dirlik「超国家化と大学:グローバル・モダニティの観点」 박명림「知識の人間性、学問の社会性、教育の公共性:知識と学問と教育の統合体系としての社会人文学」 許紀霖「最近10年間の中国の知識生産と知識社会」 富山一郞「公的知識人と連結のための知:生成の過程を共有するという事」 Richard E.Lee「知識生産危機、その後?:歴史社会科学と社会人文学」 草郷孝好「幸福追求を可能にする地域社会の創造:水俣のもやい直しと地元学から学ぶ事」 김선민「東晋南朝褅祫祭原則変化の礼学的根拠と論理」 이승률「『荀子』「天論」篇の天人分離論研究」 企画 「社会人文学の対話1:日常のアジトから公共性を共に作る:文化人類学者조한혜정」 『東方学志』155、2011.9 박미선「新羅占察法会と密教」 한영호、이은희「麗末鮮初本国暦完成への道程」 오이환「『晋陽誌』の出版」 조용호「古典小説『南柯録』の比較文学的研究:中国小説『三国演義』の影響を中心に」 권도경「古典叙事文学・デジタル文化コンテンツの叙事的相関性と古典叙事原型のデジタル・ストーリーテリング化の可能性」 최기숙「恵寰・無名子・沆瀣の批評的物書きを通じて見た「人-文」の境界と物書きの形而上学」 장미현「1950年代「民主的労働組合」運動の始まりと帰結:「臺諫紡績争議」と全国労働組合協議会を中心に」 企画:東西の実践的知識人 孫歌「竹内好と丸山真男」 박영도「アーレント(Hannah Arendt)、ハーバーマス(Jürgen Habermas)、省察的公共性:社会人文学的考察」 書評 이재원「熱帯学研究の可能性を模索する:이종찬『열대와 서구 에덴에서 제국으로』새문결、2009年」 『東方学志』154、2011.6 이호석「僧肇の常滅本性と宗密の本覚真心の比較:僧肇の「涅槃無名論」と宗密の『原人論』に限定して」 李貞薫「高麗前期文散階の実際運営:開府儀同三司と特進を中心に」 박경안「高麗時期巫教の自然観とその推移:「移風易俗」の論理を中心に」 송양섭「18-19世紀公州牧の財政構造と民役庁の運営:『民役庁節目』『蠲役庁(追)節目』を中心に」 소영현「「知」の近代的転換:トルストイ受容を通じて見た「近代知」の編成と流通」 김용흠「「朝鮮後期実学」と社会人文学」 박용규「文世栄『朝鮮語辞典』の編纂過程と国語辞典史的意味」 홍성찬「崔虎鎮の経済史研究と叙述の社会史:1940-60年代」 박윤재「解放後韓医学の再建と韓医師制度の成立」 書評 孫歌「東アジア未来についての横断的事由」 『東方学志』153、2011.3 特集:東アジア文化交流と通信使筆談唱和集 구지현「1763年筆談資料を通じて見た江戸における文士交流:『傾蓋集』序文に見える認識を中心に」 高橋昌彦「福岡藩と通信使」 箕輪吉次「壬戌1682年使行と富士山詩:祖辰を中心に」 진영미「『問槎餘響』と『日観唱酬』所載南玉の酬応詩比較研究」 민후기「西周王朝の族の再配置と同姓不婚:東征以後西周王朝の族統一政策についての検討」 김선숙「上古期韓半島西南部と日本九州地域間交流と文化的相関関係」 김성근「崔漢綺と西周の歴史哲学と近代的「人間」理解」 香野展一「日帝下中部幾次郎の林兼商店経営と「水産財閥」への成長」 이은희「日帝下朝鮮・満州の製糖業政策と砂糖流通」 企画 「韓国人文学の脈と延世4:実践する文人、省察する学人の足跡:国文学者이선영の生涯と学問」 『東方学志』152、2010.12 企画:社会人文学の視角から見た雑誌 백낙청「社会人文学と批判的雑誌に関するいくつかの考え」 Mark Selden「ポスト印刷時代における電子出版と批判的知性:アジア・太平洋の観点から」 呉重慶「中国の社会変遷に対する応答:『開放時代』を中心に」 論文 김연재「複雑系理論から見た周易とそのメタ的世界観:東アジア的事由原型の模索を中心に」 허태용「朝鮮後期「南北国論」形成の論理的過程の検討」 李炫植「「渡江録序」、『熱河日記』のための偽装」 이철호「霊魂の巡礼:19-20世紀韓国知識人の「霊魂」認識と再専有の軌跡」 윤덕영「1926年民族主義勢力の情勢認識と「民族的中心団体」結成の模索:「研政会復活」計画についての再解釈」 廉馥圭「植民地権力の都市開発と伝統的象徴空間の毀損をめぐる葛藤の様相と意味:「京城市区改修第六号線」の事例分析」 이경란「1950-70年代歴史学界と歴史研究の社会談論化:『思想界』と『創作と批評』を中心に」 論壇 金基鳳「「暮らしの批評」としての歴史」 『東方学志』151、2010.9 誌齢150号特集:『東方学志』と国学、東方学研究 정호훈「韓国の実学研究と『東方学志』」 김현주「『東方学志』を通じて見た韓国学総合学術誌の軌跡」 論文 장원태「『老子』38章の徳概念についての試論:儒家の徳概念との比較を中心に」 田寛秀「仏国寺創建説話研究」 한정훈「高麗後期漕運制の運営と変化」 이상현「アンダーウッドの二重語辞典刊行と韓国語の再編過程」 정종현「日本帝国期「開城」の地域性と(脱)植民の文化企画」 배석만「朝鮮製鉄業育成をめぐる政策調律過程と清津製鉄所建設(1935-45)」 李ハナ「1950-60年代再建談論の意味と志向」 企画 「韓国人文学の脈と延世3:家隸からの終わらない脱走:박동환の哲学的問題」 『東方学志』150、2010.6 特集:社会人文学の概念と方法 박영도「省察的社会批評としての社会人文学と境界の事由」 김용흠「韓国中世国家研究の方向と社会人文学」 서은주「科学としての文学概念の形成と「知」の標準化:主要「文学概論書」を中心に」 論文 余昊奎「高句麗初期の王位継承原理と古鄒加」 이정훈「高麗前期文散階運営についての再検討」 이강한「高麗・元間「交婚」法制の衝突」 최윤오「大韓帝国期忠州郡量案の地主制と農民層の分解」 김동노「朴正煕時代伝統の再創造と統治体制の確立」 企画 「韓国人文学の脈と延世2:開かれた、倫理共同体を夢見る省察する「知性人」の肖像:社会学者박영신の生涯と学問」 『東方学志』149、2010.3 特集:人文学の現実と社会人文学の課題 백영서「社会人文学の指標を開いて:その出発点である「公共性の歴史学」」 박명림「社会人文学の創案:「社会の人文性」レベル、「人文学の社会性」発揚へ向かう融合学問の模索」 김상환「人文的想像力:ドイツロマン主義の時代の人文主義再考」 辛珠柏「韓国現代歴史学の三分科制度形成と歴史認識・歴史研究方法」 김건우「韓国文学の制度的自立性の形成:大学制度を中心に」 나종석「学会を通じてみた公共性と学問性の結合の可能性:韓国社会と哲学研究会を中心に」 論文 박동인「賈誼礼論の特徴:等級秩序と制度論」 최진열「北魏平城時代胡人の生活と習俗:胡俗維持とその背景を中心に」 이경록「朝鮮初期『郷薬済生集成方』の刊行と郷薬の発展」 최기숙「古小説に現れた「夫婦不和」の統計分析を通じて見た「夫婦葛藤」と「結婚生活」の想像構図」 企画 「韓国人文学の脈と延世1:民族の言葉の研究に向かった夢と熱情:김석득名誉教授の生涯と学問」 『東方学志』148、2009.12 강종훈「蔚珍鳳坪新羅碑の再検討」 채웅석「『高麗史』刑法志所在「判」についての考察」 윤경진「高麗時代西京畿の形成と再編:『高麗史』地理志沿革の補正を中心に」 조용호「「履霜曲」の意味と淫辞的性格」 조성산「18世紀後半~19世紀前半「朝鮮学」形成の前提と可能性」 김종준「1895-1907年平安道地域の「軍土」調査事業と関連紛争」 임성래「『발別春香伝(발별춘향전)』について」 전재진「三竹趙榥の儒家事業と歌曲集『三竹詞流』」 김영민「近代啓蒙期文体研究:兪吉濬を中心に」 『東方学志』147、2009.9 特集:21世紀韓国学:世界普遍談論を目指して 백영서「地球地域学としての韓国学の(不)可能性:普遍談論を目指して」 박명규「ネーションと民族:概念史から見た意味の間隙」 김성보「内在的発展と国際的疎通の観点から見た韓国近現代史」 松本武祝「朝鮮の「植民地近代」に関する最近の議論について:日本の文脈から」 박명림「普遍韓国学としての韓国民主学序説」 企画:総力戦下の文化事情 김예림「戦争スペクタクルと戦場実感の動力学:中日戦争期帝国の大陸統治と生命政治あるいは朝鮮・朝鮮人の配置」 백문임「「軍人になりなさい」:植民地末期戦前劇映画の朝鮮女性たち」 소영현「戦時体制期の欲望政治」 論文 尹秉模「長寿王代高句麗の西方進出とその境界」 池培善「前秦苻堅について:A.D358-365を中心に」 김경태「壬辰倭乱後、明駐屯軍問題と朝鮮の対応」 백민정「茶山の『中庸講義(補)』条対内容分析:正祖『経史講義・中庸』御製条問及びその他条対との比較を中心に」 정소이「丁若鏞の性記号説:倫理的自然主義の視角に立脚して」 김병길「「黄真伊」説話の歴史小説化とその系譜」 『東方学志』146、2009.6 特集:延世大学校所蔵古書の文献的価値 심경호「延世大所蔵類書及び漢字語彙集の価値」 혀경진「13種叙述を通じて見た官人鄭元容の記録態度」 論文 田寛秀「麒麟窟神話研究」 박애경「朝鮮後期、開化期詩歌研究の現況と課題」 金哲「同化あるいは超克:植民地朝鮮における近代超克論」 차승기「揺れる帝国、脱植民の文化政治学:皇民化のテクノロジーとその逆説」 이인영「伝統の詩的専有:徐廷柱の「新羅精神」を中心に」 李承律「『荘子』の「自然」と『荀子』の「性偽之分」」 『東方学志』145、2009.3 特集:東アジアの知識疎通と韓国 도현철「『三峯集』の典拠を通じて見た新儒学受容」 안대회「楚亭朴斉家の燕行と日常の中の国際交流」 金鳳珍「西欧「権利」概念の受容と変容:兪吉濬と福沢諭吉の比較考察」 論文 조경철「百済王室の三年喪:武寧王と聖王を中心に」 洪性讃「日帝下韓日貿易ネットワーク上形成の一様相:1920、30年代初絹織物貿易業界の事例」 안종철「文明開化から反共へ:李承晩と改新教の関係の変化、1912-1950」 김용천「『荀子』『礼記』「王制」の礼治構想」 황동연「地域視角、超国家的観点、「東部アジア」地域概念と「東部アジア」急進主義歴史の再構成の試論」 全寅初「劉基行状と『南渓聯譚』『南渓演談』」 『東方学志』144、2008.12 特集:植民地期在満朝鮮人の暮らしと記憶 金度亨「韓末・日帝下韓国人の満州認識」 김왕배、이수철「1930年代満州の朝鮮族邑共同体:黒竜江省五常県朝鮮族邑形成過程を中心に」 길태숙「在満朝鮮人抗日闘争歌の過去と現在の意味:「新興武官学校校歌」を中心に」 문백란「カナダ宣教師たちの北間島韓人社会認識:合邦後から庚申惨変対応時期までを中心に」 企画:知訥と退渓、東アジアの知識疎通 최연식「知訥禅思想の思想史的検討」 이봉규「『延平問答』議論を通じて見た退渓学の指標:東アジア儒学者の脈絡と関連して」 論文 제장명「丁酉再乱期鳴梁海戦の主要争点と勝利要因の再検討」 具萬玉「朝鮮後期「儀象」改修論の推移」 李勛相「朝鮮後期地方派遣画員とその制度、そして彼等の地方形象化」 기광서「ソ連共産党政治局の対韓半島関連「決定」と北韓政府の性格構想(1945-1948年)」 池培善「前秦苻堅について:358年までを中心に」 이현식「『熱河日記』の「第一壮観」、清国中華論と清国文化受容論」 『東方学志』143、2008.9 特集:「朝鮮学」再読:世界、民族、東西和衷 김하수「時代転換期についての崔鉉培とペスタロッチの対応:東洋と西洋の知識人交流についての試論的考察」 崔在穆「鄭寅普「陽明学」形成の知形図:「世界」との「呼吸」、その重層性と関連して」 류시현「韓末・日帝時代崔南善の文明・文化論」 宮嶋博史「日本の国学と韓国の朝鮮学:比較のための試論的考察」 論文 이강한「高麗忠宣王・元武宗の財政運用と「政策共有」」 한영호、남문현「朝鮮の更漏法」 김용흠「南渓朴世采の変通論と皇極蕩平論」 이준식「日帝の映画統制政策と満州映画協会:巡回映写を中心に」 방기중、Suzy Kim「政府樹立期北韓の国家自主性認識」 김성보「戦争と農業共同化による北韓農民生活の変化」 이상돈「朱熹修養論における涵養と体認」 『東方学志』142、2008.6 特集:分断体制下南北韓の社会変動と民族統一の展望 이상의「政府樹立後労働委員会の設置と労働問題」 허수열「1940年代韓国工場工業の連続性の程度についての分析」 배성준「解放~韓国戦争直後ソウル工業の再編成」 정진아「李承晩政権の経済復興計画」 공임순「韓国社会の進歩と保守についての一省察:朴正煕の「代表/再現」の議論と「指導者像」の構築を中心に」 윤인진「韓民族離散(ディアスポラ)と韓民族共同体形成方案」 論文 박재연「晋州柳氏家墓出土諺簡の語彙論的考察」 고운기「徳川家蔵書目録に現れた『三国遺事』伝承の研究」 김현주「1920年代近代的学知とテキストの位相」 이상익「大山李象靖の理主気資論:退・栗性理説と対比して」 『東方学志』141、2008.3 特集:為堂鄭寅普の学問と『薝園文録』 이만열「為堂鄭寅普の韓国古代史認識」 김영봉「為堂鄭寅普の墓道文字に現れた時代意識」 한정길「鄭寅普の陽明学観についての研究」 論文 朴晋勲「高麗時代人々の改名」 도현철「高麗末廉興邦の政治活動と思想の変化」 鄭多函「朝鮮初期野人と対馬島に対する藩籬、藩屛認識の形成と敬差官の派遣」 옥성득「初期韓国改新教礼拝堂の発展過程と特性:キリスト教近代性と土着化の問題、1895-1912」 이민희「朝鮮と中国の書籍仲介商と書籍流通文化研究」 최기숙「「遁甲」の生理、その欲望と受容の文化的脈絡:「遁甲説話」と『雍固執伝』に投影された「遁甲」行為の文化的前提と文学的想像力」 황병기「茶山における易詞の任意性と易象の根本性が与える哲学的意味」 1-20 21-40 41-60 61-80 81-100 101-120 121-140 141-160 161-180
https://w.atwiki.jp/tisnrail/pages/131.html
この街『冬木市』には現在さまざまなマスター、サーヴァントが集まっている。そのためいろいろな噂が流れている。 例えば――犯罪者を狩る、サムライとニンジャの二人組のような。 冬木市から外れた地区には、大きな森がある。 そう、少々の銃声程度では周囲の住民に気づかれないほどに。 その中で起こる爆音、そして炎。周囲に立ち込める硝煙の匂い。 森は四人の男により正しく戦場と化した。 追う側は二人。 一人はボディアーマーにフルフェイスヘルメットの完全武装の兵士。 一人は迷彩色のズボンに上半身は何も着ず、筋骨隆々の身体をさらしている男。肩には弾帯をたすき掛けにしている。 二人の軍人は、手にそれぞれFN F2000とM134を抱えていた。 追われる側は二人。 1人は下半身に黒い小袴、足袋。上は手に手甲、長袖の黒い着物の上から羽織を着た総髪隻眼の男。 彼は人間業とは思えないほど、縦横無尽に林を駆け、十数mを飛び跳ねる。 もう一人はジャケットにジーンズ。顔に掛けたサングラスの淵からのぞく目尻には、頬まで届く深い傷跡。手にする杖から見ても、彼が盲目である事は一目瞭然だった。 だが、彼は盲目とはとても思えないほど、まるで見えているかのように走っている。 もし、彼らの生死を分けた理由を求めるとするならば。 それは、心構えだったのかもしれない。 林の中、木の裏側に片目総髪のサーヴァントは逃げ込んだ。 軍人が木ごと砕かんとミニガンのスイッチを押そうとした瞬間、総髪の男は手より輪状の武具を召喚し、上空へ投げた。 その行動に何の意味があるのか、軍人が一瞬思考したことで、二人の生死を分けた。 暗闇の中、ぷつん、と何かが切れる音が鳴り、次に軍人の真上から銀で編まれた網が落下した。 軍人の身体に絡みつく網。皮膚にまとわりつく違和感。男は自分の慢心に対し激怒する。 初めからあのサーヴァントはこの場所に罠を仕掛けていたのだ! だが、この程度ならミニガンの銃口を相手に狙い、スイッチを押すのに支障はない。 男は銃口を向けようとし――そこで初めて罠が一つだけでないことを悟った。 男の真上から独特の飛来音を発し、落下する輪状の武器。総髪のサーヴァントは既に棍を召喚し、振りかぶっている。 「輪とこの棍、どちらを避ける!」 総髪の男が叫ぶ。 軍人のサーヴァントは一瞬戸惑う。だが瞬時に思考を切り替え、遠くの間合いより投げられる棍より近くの輪を避ける方が先決と判断。 地面に転がり、輪を避け――そこで思考が途絶えた。 軍人のサーヴァントは総髪のサーヴァントの操る棍の特性と威力、速度を見誤っていたのだ。 総髪の男はまるで稲妻のごとく棍の節を外して伸ばし――節の間に鎖が仕込まれている七節棍と呼ばれる武器だ――軍人の男の頭蓋を打ち砕いていた。 軍服と盲目の男の戦いも佳境を迎えていた。 軍服の男は弾倉を落とす。球を打ち尽くしたと見た盲目の男は、目の前の男に向かった突進した。 だが、実は軍人の男はライフルの薬室に一発弾丸を残していた。 この距離なら外しようが無い。男はヘルメットの中でほくそ笑む。 その余裕が、二人の生死を分けた。 ライフルから銃弾が発射。頭部へと確実に命中するはずだった弾丸は、正眼に構えた刀に直撃し――二つに分かれ、男の背後にある木に当たった。 ライフルの弾を剣で斬った!? 驚愕した男は慌てて弾倉をライフルに挿入しようとし。 「遅い!」 瞬間、盲目の男は軍人のマスターに斟酌の間合いまで接近していた。十間を一息で詰める古流剣術の歩法だ。 男は真上に刀を掲げ、振り下ろす。軍人はとっさにライフルを掲げ盾にした。 刀とライフル。本来ならば防げるはずが、ライフルは鏡のような断面を残し、切断された。 さらに男は振りおろした両腕を返し、瞬時に切り上げる。徹甲弾でさえ防ぐNIJ規格レベルIVのボディアーマーがあっさりと切り裂かれた。 軍人のマスターは切断面から血を噴出させ、どう、と音を立て倒れた。 男は刀の血振るいをし、残心。周囲に殺気を感じないことを確認し、杖に納刀した。 杖を地面に突いた男に、暗闇の中何処からか近づいてきた総髪のサーヴァントが話しかけた。 「護、そちらも無事だったようだな」 「無事と言えば無事だが……今一つな戦いだった、土鬼」 サングラスをかけた盲目のマスター――土方護は総髪隻眼のサーヴァント――土鬼に対し、不満をあらわにした。 「一撃で相手を仕留めるべきだった。切り上げの際に予備の拳銃を突きつけられたら、そこでお仕舞いだったからな」 護はサングラスのフレームを中指で押し上げ、土鬼に対し顔を向けた。まるで、見えているかのように。否、彼は真実盲目だが『見えて』いるのだ。 護の視界を見る者がいれば、一昔前の3Dゲームか3DCADを想起するだろう。護の目に映る光景は、黒いバックに白いワイヤーフレームで構成された世界だからだ。 その理由は護の書けるサングラスにある。このサングラスは、サングラスと杖の先端から発せられた超音波の反響音から立体映像を分析、構成し網膜に直接投影する最新鋭の視覚障害者用補助システムなのだ。 本来は単体だと解析が遅れ、スパコンのバックアップがあってリアルタイムで機能する代物だが、なぜか現在も問題なく使用できている。 聖杯戦争に参加する盲人に対する、せめてものハンディってやつか。そう護は判断していたが、理由は不明である。 何時停止するか分からないゆえさほど期待はしていないが、敵が見えないと勘違いするなら利用する。その程度には護はサングラスの利点をとらえていた。 実際護は見えずとも他の四感で戦える鍛錬を積み、殺気で敵の位置を判断する事が可能なのだから。 「そっちこそ、お前がその気なら一撃で仕留められたんじゃないのか」 「かもしれん。だが俺はまだ、サーヴァント戦にも現代戦にも熟知していない。敵を知り、己を知らばというやつだ。 特に、サーヴァントとマスター2人に対しどのように接すれば、一騎ずつ分けられるか知りたかった」 「そういえばお前の望みからすればそれを知るのは当然か。全く『サーヴァントとの一騎討ち』ってのは……およそ暗殺者(アサシン)らしくない望みだよな」 「クラスは俺が決めた訳じゃない。俺を、いや英霊を完全に召喚するのは聖杯といえど不可能だった。そのためクラスを当てはめる必要があった。 そして俺の適性はアサシン以外になかった。それだけの事だ」 「俺は聖杯なんぞ興味は無いし、勝手に人を呼び出し殺し合いをさせる奴の思惑通りに動きたくない気持ちもあるが」 護は杖の先を指で弾いた。 「一方でそんな事はどうでもいい、と考える自分もいる。俺が求めているのはこの剣を振るえる『戦場』と『理由』だからな」 「戦場ならお前の時代にもあるのではないか?」 「お前のように剣術や棒術が実戦で使われる時代ならまだいいさ。 だがさっき戦った連中のように、銃器が戦闘の主たる武器に変わった現代で剣を振るう事しかできない阿呆がどう生きていけばいい?」 護は杖の先で地面をたたいた。 「だから、手前勝手に人を呼びつけサーヴァントとやらを召喚させ、さあ戦えというのは腹が立つが、戦いそのものはむしろ望むところなのさ」 「随分と身勝手な理屈だ」 「自ら望んだ道だ。その程度の覚悟は必要だろう。俺は『手段』のためなら『目的』は選ばんからな」 「そこは俺も同じだ。俺がこの聖杯戦争に求めるのは、聖杯を手中に収める『結果』ではなくそこまでの『過程』。俺の修めた裏の武芸が古今東西の英霊相手にどこまで通用するかだからな」 土鬼は袖の内に手を収めた。 「問題は、この聖杯戦争の場合、誰がマスターに選ばれるか、俺たちサーヴァントには基準が不明という事だ。最悪の場合、何も知らない女子供がマスターになる可能性もある」 「そういう事態も有り得るか。覚悟も戦う術もない奴を戦争に巻き込めば、面倒くさい事になると決まっているんだ。全く、ふざけやがって」 冷静な土鬼に対し、護は忌々しげに舌打ちした。 「そういう女子供となると、剣も鈍るか?」 土鬼の問いに対し、護は足を止め、土鬼を睨みつけた。 「勘違いするなよ。相手がサーヴァントという『凶器』を俺にぶつけるのなら、例え女子供だろうと敵だ。そして俺自身が追い詰められれば、何者の命も絶つ! 過去そうしてきたようにな」 「祖に遭うては祖を斬り、仏に遭えば仏を斬る……というところか。それでも、無辜の人間まで殺そうとしないあたり、凶刃を振るう血に飢えた人斬りという訳でもないのはありがたい」 「もし、俺がそんな虐殺者だったらどうする気だった?」 「そんな奴、さっさと打ち殺して他のマスターを探すか、次の機会を狙ったさ」 「こいつ……」 護と土鬼は互いを見つめ笑いあった。 常識の枠を踏み越えた行動を、人は時に『狂気』と呼ぶ。それを為す者を『鬼』と呼ぶ。 この二人は正しく習得した技を極める事のみを目的とする『剣鬼』であった。 【サーヴァント】 【CLASS】 アサシン 【真名】 土鬼 【性別】 男性 【出展】 闇の土鬼 【パラメーター】 筋力C 耐久D+ 敏捷A 魔力E 幸運A 宝具B 【属性】 中立・中庸 【クラス別能力】 気配遮断:A+ サーヴァントとしての気配を絶つ。完全に気配を絶てば発見することは不可能に近い。 ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。 【保有スキル】 千里眼:D 視力の良さ。動体視力、遠近感、周辺視野、暗順応の向上。 直感:A 戦闘時に常に自身にとって最適な展開を“感じ取る”能力。 鍛錬、戦闘経験により研ぎ澄まされた第六感はもはや未来予知に近い。視覚・聴覚に干渉する妨害を半減させる。 一寸の見切り:A 敵の攻撃に対し、間合いを計り回避する能力。同じ敵の同じ技は一度見れば完全に見切ることが出来る。 但しランク以上の見切りを阻害するスキルでの攻撃、範囲攻撃や技術での回避が不可能な攻撃は、これに該当しない。 常在戦場の心得:B 常に十全の戦闘能力を発揮するため、盤石の態勢を整える技術。 デバフを無効化し、状態異常の防御や回復に有利な補正を得る。 戦闘続行:A+ 万人に一人の生命力。 HPが0になっても、判定次第で蘇生する。 左腕不随:B+ 前兆なく突発的に左腕が麻痺し、長くて2時間は指一本動かすこともできなくなる。 頭部に打撃を加えられると発症する可能性が高まり、回復するまでの時間も長引く。 【宝具】 『闇の土鬼』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:― 最大補足:― 裏の武芸を極めた土鬼の象徴。 闇の武芸における全ての武具を魔力の続く限り無限に召喚し、自在に操る。 武具はDランク相当の宝具として扱われる。 七節棍:七つの節に鎖が仕込まれてあり、土鬼の技術により伸縮自在。 土鬼はこれを主武器とし、両端を敵の間近で投げる戦法を用いる。 霞のつぶて:指で石、または鉄の玉を弾く。他の武芸では「指弾」「如意珠」とも呼ばれる技。 ただの石ころが、土鬼の手にかかればDランク相当の宝具と化す。 錫杖:先端が尖っていて、槍としても使える。 尺八:吹けば毒針が発射される。 仕込み傘:傘の根元に針が仕込まれており、さらに骨も針になっている。 心臓を突いても痛みはなく、肉が閉まり傷跡を残さず出血もしないが、数十分後確実に死ぬ。 輪:中国武術で使う圏に近い。 投擲や紐を付けて振り回して用いる。 銀線:極細で出来た鋼の糸。 太い木の幹や人間の首も両断する。 銀網:髪のように細い鋼の糸で編まれた網。 蜘蛛の巣のように相手をとらえる。 梅吒:梅の花を模した武具。ひもにつけて振り回す。 先端の針には毒がある。 飛孤:熊の爪を模した武具。紐に付けて投擲する。 当たれば爪が肉に食い込むよう作られている。 多条鞭:ある時は一本に纏わり相手を打ち据え、ある時は十数本に分かれ相手を絡め取る。 双条鞭:二本の軟鞭。当たれば骨も折れる威力を誇る。 毒針:長さ二寸程度の細い針。 土鬼は飛ばした武具の影に隠れるよう投擲する使用法を好む。 手甲鉤:手甲に取り付けられる熊の爪の様な武具。 投縄:両端に分銅が付けられており、相手に絡みつくように作られている。 縄に針が付けられている物もあり、針には毒が染み込ませてある。 編笠:目元まで覆い隠す深い編み笠。 頭頂部には鉄板が仕込んであり、盾としても使える。 仕込み槍:先端部に鎖を仕込んだ節があり、伸縮自在。 角手:手にはめる太い針が付いた、ナックルダスター状の武具。 含み針:口中に含み、不意を突いて吐き出す。 弓矢:Dランク相当の宝具ではあるが、ごく普通の弓矢。 刀:Dランク相当の宝具ではあるが、ごく普通の打刀。 『血風陣』 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:2~50 最大補足:100人 生前戦ってきた血風党の党員を召喚し、連携による波状攻撃、一斉攻撃を仕掛ける。党員の武具は上記『闇の土鬼』にある物と同一である。 本来この宝具は土鬼の物ではないが、並行世界の同一存在『直系の怒鬼』の影響により、使用できるようになった。 【weapon】 宝具欄を参照。 【人物背景】 横山光輝作「闇の土鬼」の主人公。 元は貧しい農家に生まれ、口減らしに土へ埋められる。 だが極めて稀な生命力を持っていたこの赤子は土中で泣き叫び、恐れた父親に鍬を振るわれるが、それでも生きていた。 その生命力に注目した大谷主水という裏の武芸を修めた武芸者に拾われ、土鬼と名付けられた。 十数年後、血風党という暗殺集団の脱党者だった主水は元同士に襲われ、死の間際に土鬼に対し裏の武芸で天下一の武芸者を目指す夢、それを土鬼に託そうとした旨を語る。 それを聞いた土鬼は要人暗殺のために結成されたはずが、平和な時代で単なる血に飢えた暗殺集団に堕ちた血風党を滅ぼし、その過程で裏の武芸を究めんと決意した。 紆余曲折の末、血風党の長、無明斎と対峙するが、無明斎は圧倒的な優位にありながら土鬼を殺そうとしなかった。 幕府の急速な大名弾圧から血風党の末路を悟り、せめて自分が編み出した裏の武芸を土鬼に残し、完成させてほしいと願ったからであった。 血風党の四天王を倒し、本拠の血風城まで辿り着いた土鬼に無明斎は稽古をつけ、裏の武芸のすべてを伝えた。 その後、刺客として現れた柳生十兵衛と戦い、無明斎の前で打ち破り裏の武芸を極めた事を証明する。 土鬼は血風党の始末をつけ自決する無明斎、炎に包まれる血風城を見届けた後、いずこかへと去った。 その後の土鬼の行方は、定かではない。 人生の目的は裏の武芸の神髄を見極める事で、対戦した宮本武蔵(土鬼はそうとは知らず戦っている)から「お前は死ぬまで敵を求めてさまようだろう」と評されている。 【方針】 サーヴァントとの一騎打ちを望む。 【把握媒体】 横山光輝作「闇の土鬼」全三巻が発売中です。 【マスター】 土方護 【出展】 死が二人を分かつまで 【性別】 男性 【能力・技能】 一刀流、新当流、無外流、示現流など複数の流派を習得している。 達人の腕前と「断罪」が合わさり、飛来する拳銃、小銃の弾丸、鉄パイプ、自動車のドア、超硬合金、果てはミサイルまで切断する。 【weapon】 単分子刀「断罪」 鞘が盲人用の杖に偽装されている仕込み刀。銘の断罪は刀匠が犯罪に対する思いにより入れてある。 切れ刃の部分が単分子層で形成されており、理論上あらゆる物質を切断できる。 大太刀「鬼包丁」 刀身三尺を超える実戦刀。 こちらも切れ刃が単分子層なのか、ビルの鉄柱をも一刀両断できる。 ナイフ ジャケットの内に忍ばせている。数は十数本。 刀の間合いより遠い相手に対し用いる。 サングラス 超音波の反響音を解析した映像を、網膜に直接投影する。 銃の弾道予測プログラムが搭載されており、銃口の向きから事前に弾丸の予想軌道を映像にして示す。 他に音声を識別し、人物を登録する機能や、骨振動を利用した通信機能、補聴機付。 【人物背景】 漫画『死が二人を分かつまで』の主人公。 少年の頃、飲酒運転の事故に巻き込まれ両親を失う。その後祖父の知人である剣術の師範に引き取られ、剣の修行に没頭していた。 他者から見て異常な程の鍛錬の量は如何なる理由か不明だったが、もしかしたら両親の敵を討つためだったのかもしれない、と推測されていた。 そして中学二年の時、事故を起こした男が酔っぱらい道端で寝ている姿をまるでゴミを見るかのような目つきで見据え、敵に対する関心を失ってしまう。 だが剣術をやめることなく、さらに激しい修行を自らに課してゆく。稽古時間は日に15時間という常軌を逸した量だった。 二十歳を越えた頃、師匠との闇稽古で師を打ち殺し、真に剣鬼の道へと突き進むことになる。 その後、繁華街でヤクザ相手に喧嘩を吹っ掛けたりしていたようだが、エレメンツ・ネットワークという犯罪被害者を母体としたヴィジランテグループに所属。 現代戦闘の軍事訓練を受けた後、派遣先のチェチェンで戦闘中、炸裂弾の破片を至近距離で浴び視力を失う。 日本に帰還後、目が見えなくても戦えるよう鍛錬を積んでいたが、エレメンツ・ネットワークによる最新鋭の視覚補助システムの提供及び実験を条件に都市犯罪に対する自警を承諾する。 そして、テスト中に将来の伴侶となる遠山遥と出会う事になる。 性格は天邪鬼。自称剣を極める事しか頭にない一般社会不適合者。 悪人相手には容赦がなく手足三本を切り落としたり、一度斬った腕の腱を、縫合手術を受けた後もう一回斬りに行ったりとかなりドS。 かといって外道というほどでもなく、独自の正義感をもち、子供相手には悪態をつきつつも優しい一面がある。 子供でも犯罪者なら剣で掌を刺し貫いたりするが。 この護が召喚された時間軸は最終回、全てが終わった後、数年後に結婚するまでの間である。 【マスターとしての願い】 剣を振るえる戦場を望む。相手が強者で悪党ならば尚良し。 【方針】 マスターとの一騎打ちに持ち込めるよう、状況を整理していく。 【ロール】 剣術道場の主 【把握媒体】 漫画が全26巻発売中です。
https://w.atwiki.jp/orirowa2nd/pages/95.html
忍者武芸帖◆oY7Ldqi/eg ――闇に生きる者達がいる ――影に生きる者達がいる ――名を残さず、姿も残さず、 ――歴史の陰に生き、歴史の闇に消えて行った者達がいる ――古きは飛鳥の昔から、厩戸皇子の耳となりて、 ――平安の世にあっては坂東、蝦夷の草原に跳梁し、 ――その後の騒乱の世には源平の間を飛び交って、 ――鎌倉の御代は北条の手足となって裏より世を動かし、 ――南北朝にあってはある時はスメラミコトに、ある時はモモノフに付いて闇を這い、 ――戦国の御代にあっては群雄割拠の間を縦横無尽に駆け抜けて、 ――徳川の天下太平にあっては謀略を以て治国太平に大きく寄与し、 ――文明開化と共に、時代に忘れられ、人知れず影から陰へ消え去った者達… ――彼らを人は「忍び」と呼んだ。 ◆ 「はぁ…はぁ…」 砂漠のど真ん中にあるオアシスの周辺には、 ヤシの木などを中心とした小さな林が幾つかあったが、その内の一つの中を、 一人、汗を滝の様に流しながら疾走する一人の少女が居る。 彼女の名前は芳賀唯。 ちょっと変わったその姓名と可愛らしい容貌を除けば、どこにでもいる平凡な一女子高生だ。 訳も解らずこの殺し合いに参加させられた彼女は今、背負ったデイバックの肩ベルトを握りしめながら、 蒼褪めた表情で走る走る走る… 後ろは振り向かない。否、振り向けない。 もし振り向いてしまえば、きっと恐怖に足がすくんでしまうから… 彼女は走る。走り続ける。 背後から迫る殺人者より逃れるために。 しかし―― 「キャ…きゃぁぁぁぁっ!?」 彼女はさして運動神経が良い方でも無く、ましてや今は真夜中。 ヤシの太い木の根に躓いた彼女は、どしゃーっと顔より砂の地面に倒れこむ。 口の中に大量に入り込んだ砂を、ペッ、ペッと必死に吐きだすその背後に、 「あ~ら、もう鬼ごっこは終わりィ~♪」 気持ちの悪い、相手の心を舐め回す様な猫撫で声が掛る。 唯は、ビクリと肩を振るわせ、恐る恐る後ろを振り向いた。 そこにいたのは、キャミソールにホットパンツのスレンダーな美女で、 「だったらさぁ~…大人しくワタシに殺されてね♪」 その両手の爪は、まるで日本刀の様に長く鋭い。 爪先が、月明かりを浴びて光、四散した。 女の名は上奏院彩華と言う。 ◆ 「ね~え…カルネアデスの板って知ってる?」 彼女、上奏院彩華は唯に不意にそんな事を尋ねて来た。 最初に二人が邂逅した時、彩華の態度は至って気さくなお姉さんと言う印象であった。 唯の聞いた所、その年齢は18と、唯と一つしか違わないが、 そうとは思えぬとても世慣れた大人、という風に唯の目には映っていた。 だが、そんな彼女の印象は、上の言葉を切っ掛けに徐々に変わり始めた。 「法律用語…の一つなんだけどね。まあこんな意味なのよ」 「あるところに一隻の船いました」 「船は難破し、乗組員は全員海に投げ出されました」 「乗組員の内の一人の男が命からがら、一片の板切れにすがりつきました」 「するとそこへもう一人、同じ板につかまろうとする者が現れたのです」 「でも、二人がつかまれば板そのものが沈んでしまいそうでした」 「そこで男は、後から来た者を突き飛ばして溺れ死にさせてしまったのです…」 「その後救助された男は殺人の罪で裁判にかけられましたが、罪に問われなかったそうです」 彩華は、背筋が凍る様な笑みを唯に送りながら、最後にこう締めくくった。 「さて♪ここでワタシがキミを殺しちゃった場合、果たして罪に問われるでしょ~か?」 彩華がこの言葉を言いきるや否や、唯は大急ぎで彼女の傍から逃げ出した。 彩華の両手には、何時の間にか、両の太股に仕込んだ鉤爪が装着されていた。 ◆ 「フフフ…キミ、意外とカワイイ顔してるじゃない」 右の人差指に装着された鉤爪の切っ先を舌でチロチロと舐めながら、 彩華は這って逃げんとする唯を追い、その背中を思いきり 「きゃ、きゃっ!?」 踏み付けた。 そのまま、ロングブーツの踵で唯の背中をグリグリすると、 唯はくぐもった悲鳴を上げた。 「アハハ…いい声ね…もっと啼いてよ♪」 「うう…ううううう…」 「ほらもっともっと♪」 「うぇっ!?」 彩華は唯の脇腹を蹴って無理矢理仰向けに蹴転がすと、 今度は唯の、同年代の平均以上はあるふくよかな胸を足で押し潰す。 「ほらほらもっともっともっと♪♪♪」 「うが…うげぇ…ぎお…」 「アハハ…きたない声~♪折角のカワイイ顔が台無し♪」 彩華は前屈みになると、右人差指の鉤爪の先を、唯の頬にスーッと這わす。 絹糸の様な細い切り傷が一筋、唯の頬に走り、切っ先についた唯の血を、 彩華は恍惚とした表情で舐めた。 「フフフ…やっぱりカワイイ♪こんな可愛い唯ちゃんが、これからワタシに 身も心も、その綺麗な顔もズタズタにされて唯の肉の塊になっちゃうなんて… 本当にゾクゾクするわぁ♪」 「何で…」 「ん~?」 「何でこんな事を…」 唯は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔で、 うれしくてたまらないといった表情の彩華を仰ぎ見る。 「何で…ねぇ~そんなの簡単よ」 彩華は唯の顔を覗き込むと、透き通った無邪気な笑顔で答えた。 「合法的に…何の後腐れも無く人を殺せるチャンスなんて、滅多に無いじゃな~い」 「ホラ、娑婆で人殺すと、何かと面倒でしょ。アリバイ作りとか、死体の始末とか…」 「罪だって強盗とかに比べてぐ~っと重くなるし…だからワタシ、相手は半殺しにしても、 身ぐるみはいで路地裏にポイッしても、殺しだけは絶対にしないように心掛けてきたの」 「でもさ~興味はあったのよね~人殺しって、ほら、何事も自分で経験する事が重要じゃなぃ」 「それでこの殺し合い…内容的に充分“カルネアデスの板”が適用されると思わな~い」 「つまりチャンスじゃな~い♪だから、死★ん★で♪」 ――あまりにも晴れやかで、澄み渡った、無邪気な笑顔であった。 それ故に、唯の背筋は、まるでつららの様に恐怖で凍りついた。 アメリカ陸軍の研究によれば、 この世の多くの人間が、同じ人間を加害、あるいは殺害することに、 心を病ませ、時には崩壊させるほどのストレスを覚える半面、 おおよそ100人に1人か2人の割合で、 他人を加害・殺害することに一切の精神的ストレスを感じず、 むしろそれに快楽さえ覚えてしまうような人間が、人類社会には確かに存在するのだと言う。 そういう種類の人間を医学的には『攻撃的精神病質者』と呼称するが、 上奏院彩華はまさにその『攻撃的精神病質者』と呼ばれる人間であった。 彼女の両親の育て方が悪かったのではない。 彼女の両親は、むしろ真面目で道徳的に非の打ちどころのない善人達であった。 娘の異常性にうすうす感づいて彼らは、彼女を真っ当な人間に育てようと、様々な努力を重ねて来た。 しかし、結局、全ては徒労に終わり、彼女の両親は、半ば匙を投げる形で、彼女を東京に送りだしたのだ。 かくして、鬼子は野に放たれた訳である。 「それじゃ~さ~よ~な~ら♪」 彩華は、唯を切り裂かんとその右腕を振り上げる。 腰も抜けて、最早逃げる事も叶わぬ唯は、両眼を見開いてその輝く長い鉤爪の先を見つめ、 顔に温かい液体がかかるのを感じる。 赤く、温かく、鉄の臭いのする液体…血液。 しかし誰の? 「「えっ?」」 その言葉を発したのは、彩華、唯の両者である。 彩華の右頬が、何時の間にか切り傷が刻まれ、血が噴き出している。 彩華が右頬を伝う血の流れを拭い、不思議そうに指先の自身の血を眺めた正にその瞬間、 彼女の全身の彼方此方が、一斉に裂け、血をまき散らした。 「!?!?ギャァァァァァァッ!?」 何が起こったか理解できない。 彩華は身をよじり、身を襲う“何か”から逃れんと、 闇雲に両手の爪を振り回しつつ、その場から走り出す。 しかし彩華を狙う見えない攻撃は、彼女を逃がしてはくれない。 「がぁぁぁぁっ…目が…私の右目がぁ…!?」 正体不明の攻撃は彼女の右目を傷つけ、彩華の視界の右半分は忽ち闇に覆われる。 余りに突然かつ唐突な展開に、金魚のように口をパクパクするしかない唯だったが、 もし彼女が冷静で、現状よりも優れた動体視力を持っていれば、 彩華の周囲を漂う“それ”に気付いたかもしれない。 それは、非常に細く色の薄い、何条もの糸であった。 ――忍法『鎌鼬』 テグスサンという蛾の幼虫の絹糸腺を原料に、限界まで細く作った糸を、 ある種の特殊な薬品に浸して強度と透明度を上げ、先端に非常に小さな鉤針を取りつける、 それを風に流して、まるで伝説中の妖怪「鎌鼬」の如く、 離れた距離から術者の姿を見せずに対象を攻撃する伊賀流忍法の一つである。 この術は、使用するのが細く小さな鉤針であるため、それほど敵手に大きな傷は負わせる事が出来ず、 したがって、今回の様に相手を混乱させるか、鉤針に毒を塗って毒殺を狙う…といった風な用途で用いられる。 さて、この奇怪なる術の仕掛け人は、彩華、唯の両名より少し離れたヤシの木の裏にひっそりと佇んでいた。 そこにいたのは、身長170センチぐらいの、肩幅などから恐らくは男性だと思われる人物である。 山中や森の中で周囲の色彩に溶け込みやすい茶褐色と柳色を中心とした、和式の野良着の様な恰好である。 上は柳色の筒袖に、茶褐色の羽織、両腕には鎖籠手と手甲を付けており、下着に鎖襦袢を身に付けている。 下は関節部を鞣革で補強した焦茶色の伊賀袴に、同色のゲートル・革足袋履きである。 首に巻いた焦げ茶の襟巻で顔の下半分を覆い、大きめの菅笠を目深にかぶっているため、 その容貌は一切覗えない。 背に何やら、大きなものを背負っているらしく、背後の何かと繋がった革紐が、首に掛けらていた。 男は木越しに彩華が『鎌鼬』により混乱し唯より離れたのを確認すると、 背に負うたモノを手で取り上げながら、静かに、音もたてず木の陰より出現する。 そして、右手で静かに背後より取り出したモノを構えた… 残った左目で彩華は見た。 宵闇の中、何時の間にか出現した正体不明の人影。 ソイツは右手で何かを構え… ――ビュワッ! 投げつけて来る! 彩華はとっさに、飛来物の軌道上に盾の如く右腕を翳す。 右腕に仕込まれた三日月状の刃が飛び出してくる。 強化セラミックで作られたこのブレードであれば、大概の飛び道具は弾き返せる…筈であった。 「…ぎゃわっ!?」 飛来物は、彩華の断末魔を残して、 彼女の右腕をブレードごと、そして彼女の首を切断して、背後の木に突き刺さってようやく止まった。 ポーンっと彩華の頭部は宙に舞い上がり、その生首は、唯の足元へと転がってくる。 首無しの彩華の体はしばし噴水のように血液を噴き出していたが、それもじきにとまり、 どしゃりと地面に崩れ落ちて、幾度かの痙攣の後、全く動かなくなった。 唯は、この凄絶たる光景を暫く呆然と眺めていたが、 彩華の体が崩れ落ちると同時に、意識を手放し、闇に落ちた。 ◆ 音も無く男は、木に突き刺さったソレに近づくと、 無造作にソレを抜き取った。 ――ソレは巨大な手裏剣であった。 形状はいわゆる、十字手裏剣状で、さほど珍しい形でも無いが、 この手裏剣の特異なのはその大きさの巨大さである。 直径50センチ、刃は恐ろしく肉厚で先は鋭く、 十字の交差点には穴が開いており、そこに革紐が通してある。 伊賀流忍術においては『風車』と呼称される手裏剣で、 重たく持ち運びには不便だが、使う者が使えば甲冑武者だろうと一撃で屠る恐ろしい武器であった。 再び革紐を首に掛け、風車手裏剣を背負った男は、 彩華の死体の首の付け根から首輪を取ると、手拭いで血を取り、懐に入れた。 男は、首に巻いた襟巻を緩め、笠を取って、空を仰いだ。 ここで、初めて男の相貌が明らかになったが、それは些か意外な物であった。 恐ろしく地味な容貌である。 目鼻口、どれとっても平平凡凡、一度見ただけならば、30分もすれば忘れてしまいそうな顔立ちだった。 しかし、平凡な顔立ちと違って奇妙なのは、その顔の持つ『色』と言うか『気配』である。 今しがた、この男は一人の少女を――人間的に問題のある相手ではあったが――残虐に殺めたにもかかわず、 この男の表情には、人を殺した事に対するなんらかの感情、怒り喜び後悔気負い悦楽… とにかく、普通の人間ならば、浮かべてしかるべきあらゆる感情が全く感じられないのだ。 まるで、晴れた日曜に公園に出て昼寝をしに行く…そういった感じの、恐ろしく気の抜けた表情であり、 昼下がりの公園のベンチなら兎も角、殺し合いの会場の、しかも殺人者が浮かべている表情とは、 とても思えぬ平凡故に却って奇怪な表情であった。 実際、この男、タダモノではない。 名は『鍔隠誠也』。 表の顔は極々普通の平凡極まる影の薄い男子高校生。 裏の顔は現代人でありながら、伊賀流忍術秘伝の「忍法相伝七六箇条」を年若くして会得した、 時代遅れの忍びの俊英、「最後の伊賀者」であった。 「人を殺したのは流石に初めてだけどさ…」 夜空を見上げながら、誠也は一人つぶやく。 「日々の鍛錬のたまものかなぁ…思ったよりどおってことねぇや」 「いや、“術”が効いてるのもあるんだろうけど…」 伊賀流忍術の達人である以外は、 特にメンタルな面では平凡極まり無い「普通」の男子高校生に過ぎない誠也である。 本来ならば、初めての殺人に何らかの感情の動きがあってしかるべきである。 それが無いのは、幼少より鍛えた伊賀流の技のお陰であった。 ――忍法『剣刃上(けんじんじょう)』 これは一種の自己催眠術で、 幼少よりの“すりこみ”と“暗示”で、 非常事態に陥った時、いかなる状態でも揺れぬ氷の心に自身の精神を変異させる術である。 この術が発動している限りは、彼はたとえ五体を損なおうと、冷静さを失う事は無い。 たとえ、命を失おうと、最後の瞬間まで使命を全うするために機械の如く闘い続けるのである。 自身が殺し合いの場に呼び出された事を認識した誠也は、この術を自身にかけたのだ。 「(生まれてこのかた…忍術が役に立つ日が来るとは思わなかっけどさ…)」 誠也は平凡な日常を愛している。 忍びの術も、集団生活に蹉跌無く溶け込む為に使う程度で、 習慣的に土日に近所の山野を使って鍛錬をするとき以外は、滅多に使う事は無かった。 誠也の死んだ祖父は忍びの伝統に生きた人であった、 伊賀流忍術を改良し、現代戦の場に呼び戻さんとする事に生涯腐心した人で、 誠也もモノ心つく前からこの祖父に、『忍法相伝七六箇条』と呼ばれる76の忍法を叩きこまれて来た。 結果、誠也は中学2年生ごろにはこの恐るべき術技を極めたが、 誠也は祖父から術は受け継いでも、祖父の野心だけは決して受け継ぐ事は無かった。 何度も言うように、彼は平凡な日常を愛していたからだ。 普通に高校を出て、普通に大学も出て、就職し、結婚し、 子供を作って、家を建て、静かに老いて、そして死ぬ… 自身が『非日常』の側に生きている事を無意識的に自覚している為か、 彼は一層、そういう平凡な生き方に憧れ、そう生きようと努めてきた。 「だけどそうもいかねぇよな…」 相澤猛、芳賀唯、神楽夢、祝伴内、加藤清正… 彼の通う高校の同級生者や先生達。彼の『日常』に生きる人々。 彼らを守らねばならぬだろう、この殺し合いから。 誠也自身の日常を守る為にも。 その為には… 「汚れ役が必要だよな…」 これは殺し合いだ。 全員が一致団結して、この殺し合いを打破する…そうできれば万々歳だが、そうもいくまい。 今しがた、自分が殺した女の様な、殺し合いに乗る奴が必ず何割か出て来る筈だ。 だとすれば、そういう連中を始末したり『説得』したりする人間が必要になってくる。 できれば殺さずに済ましたいが、あの女の様に明らかに性根が腐った連中もいる筈だ。 いざとなれば容赦するつもりは微塵も無い。 「(爺さん…俺は生まれて初めてアンタに感謝するぜ。忍びの技を授けてくれた事を)」 習慣ゆえに続けて来た、日曜日の山野地帯での忍術訓練中にこの地に呼び出されたのは幸運だった。 忍び装束と、風車手裏剣、鉤付きテグスの2つの忍具は少なくと手中にある。 火薬や普通の手裏剣や毒薬や工作道具が何のは色々と不便だが、まあ仕方あるまい。 忍びを鍛錬中に攫うなど、相手も並大抵の相手じゃないが、反抗しない訳にはいかない。 「(俺の日常を守る為にも…ね)」 誠也は、襟巻で口元を覆い、笠を再び被ると、 木の袂で気絶しているクラスメートの芳賀唯を御姫様だっこし、音も無く夜道を駆けだした。 「(まずは情報収集と…唯ちゃんを安心して預けられる相手を探さないと)」 神楽や、相澤先生も探しだして、守ってやらねばなるまい。 加藤と祝先生は… 「あの人達…タダモノじゃないしなぁ…合流して協力しあいたいが…うまくいくかね」 誠也は忍者の第六感と観察眼で、両者が唯者でないのを見抜いていた。 二人とも、武芸の達人らしく歩法が規則的かつ、体の重心の動きに揺れがなかった事に加え、 加藤は女子高生らしからぬ恐るべき殺気の持ち主で、祝先生は逆に恐るべき不動心の持ち主だった。 ああいう心持は、ある程度修羅場をくぐってなけらば会得し得ぬものであるのを、誠也は知っていた。 「まあ、何とかするさ…」 「(見てやがれ…この腐ったゲームの主催者さんよ…)」 「(伊賀流が無足人、鍔隠誠也…推して参る!)」 少女を抱いた「最後の伊賀者」は、 修羅のゲームを打破すべく、音も無く闇夜に繰り出した。 【上奏院彩華 死亡】 【一日目・深夜/E-6 オアシス近辺の林】 【鍔隠誠也】 【状態】健康 【装備】忍装束、風車手裏剣、鉤付きテグス 【所持品】 基本支給品、彩華の首輪 【思考】 0、この殺し合いから脱出する。 1、唯を守る 2、相澤猛、神楽夢、祝伴内、加藤清正と合流したい 3、情報収集を行う 4、殺し合いに乗った人間を『始末』したり『説得』したりする 【備考】 ※【忍法相伝七六箇条】 伊賀流忍術秘伝の76の忍法の事。 純粋な伊賀流の技に加え、甲賀・根来・柳生の忍法剣術体術を加味し、 取捨選択、洗練した76の技は、多様性に富んでおり、 摩訶不思議な幻術の類から、催眠術、変装術、格闘術、剣術、 火薬術(鉄砲・爆破工作)、潜入術などその内容の範囲は多岐に渡っている。 ――・本編中に登場した技(2/76) 鎌鼬/剣刃上 【芳賀唯】 【状態】 健康、気絶 【装備】 なし 【所持品】 基本支給品、不明支給品(1~2) 【思考】 0、気絶中… 20 教祖の代償 時系列順 22 そして僕は途方に暮れる 20 教祖の代償 投下順 22 そして僕は途方に暮れる 上奏院 彩華 死亡 芳賀 唯 [[]] 鍔隠 誠也 [[]]
https://w.atwiki.jp/sinobi/pages/96.html
概要 忍法考察 大判 【逢魔時】 【神隠】 【狂骨】 【木魂】 【付喪神】 【生剥】 【鵺】 【野衾】 【震々】 【見越】 【夜雀】 【猟犬】 【荒吐】 【鬼火】 【怨霊】 【呑口】 【百眼】 【蛭子】 隠忍流派ブック 【強威】 【黒手】 【業弓】 【怪病】 【鏖殺】 【精霊風】 【雷獣】 【虚舟】 【夢喰】 【金毛】 【朽縄】 【香魂】 【三尸】 【朱盤】 【長壁】 【物気】 【紙舞】 【目競】 【置行】 【赤舌】 【大太郎】 【白面】 【邪魅】 【鬼胎】 【岩肌】 概要 どれもこれも判定もコストも必要ない狂った性能である。 まあ敵が使うためのものだからいいだろうと思いきや妖魔化することでPCも使用可能になる。 妖魔化する方法としては【秘棺】、「死霊粉」、背景【魔人】」がある。 この3つ以外はプライズや「一般人」関係ぐらいだろう。 妖魔化しない場合でも【真蛇】などで覚えられる。 ※改訂版の内容には※がついています。 明文化や表記の変更のみの改訂に関しては考察しませんのでご了承ください。 ※9月26日に行われたエラッタに関しての内容にも※がついています。 忍法考察 大判 【逢魔時】 体術からランダムに選んだ特技での判定を誰も成功できなかったら 生命力を2点追加できる忍法。 「誰も成功できなかったら」という条件は厳しめに感じるが、 そもそも体術からランダムに選んだ特技での判定は成功率がそこそこ低いうえ、 この判定は失敗すると接近戦ダメージ1点を受けるリスクがあるので、 それを嫌って判定しない忍も多く、割と成功する。 ただ、サポートする手段は少なく、【判定妨害】や【点楔】ぐらいしかない。 発動さえできればかなり強力な忍法なので、上手く工夫して使ってみてほしい。 ※最大6点までと増やせる生命力に制限が付いた。それでも依然強いのであまり気にする必要はない。 【神隠】 妖魔忍法中では珍しく弱い忍法。 自分のシーンで目標1人に「行方不明」の変調を与えられるだけ。 しかも、変調を与えられるかどうかは相手の判定に依存する。正直弱い。 ※目標を選ぶのルール改訂により大幅に弱体化した。 自分のシーンに誰かを呼び込む手段はシノビガミでは基本的に存在しないので、この弱体化により発動できる機会が大幅に減った。 こうなると【彷徨】と組み合わせれば確実に効果を発動できる【騎行】の方が圧倒的に優秀である。 ※「シーンに登場していないキャラクターの中からも目標を選ぶことができる」とエラッタされ、少し強くなった。 【狂骨】 攻撃忍法の間合を「自分よりも上のプロット全て」に変更するという頭のおかしい忍法。 状況によっては【大詰】などが目じゃない程間合を伸ばすことができる。 純粋に強く、修得されることが多い。 また、雑魚にこれを持たせてやると、プロット管理がいらなくなるのでGMがとても楽になる。 シナリオを作る際にはぜひ。 【木魂】 自分に感情を持っているキャラに無条件で接近戦ダメージ1点を与える忍法。 普通に強いが、わざわざ妖魔化してまで修得する忍法じゃない。 なので、エネミー用の忍法だろう。この忍法を修得させるとヘイトが溜まって メインフェイズ戦闘を仕掛けてきてくれやすくなるので、このエネミーを倒したら○○ってアイテムが手に入る みたいなギミックを組み込みたい時に修得させると良いだろう。 ※目標を選ぶのルール改訂により大幅に弱体化した。 ※情報や感情をトリガーとする忍法の改訂により、この忍法には目標を選ぶのルール改訂が適応されなくなったため、 改訂版以前の使い方ができるようになった。 【付喪神】 手番消費で器術からランダムに選んだ特技での判定に失敗した者は「マヒ」の変調を受けるという忍法。 判定に失敗しないと発動しないので、妖魔忍法の中では比較的おとなしめ。 とはいえ、判定不要で一方的に判定を押し付けつつ、複数目標、間合なしはやっぱり凶悪。 【生剥】 ダメージを与えた時に発動でき、妖術からランダムに選んだ特技での判定に相手が失敗したら 【影斬】の効果を追加で与えられる忍法。 間合の長い攻撃忍法と合わせることで【影斬】の欠点であった間合の短さを改善でき、 しかも、コストもなしになっており、さらに、複数を対象にとれる。 発動するかどうかは相手依存ではあるが、それを差し引いてもかなり強い。 【鵺】 奥義の内容を【範囲攻撃】に変更する忍法。 奥義情報が更新されるわけではなく、元の奥義に戻すこともできず、変えるのに手番も消費するため、 結構使いづらく、妖魔忍法の中では比較的弱い。 【野衾】 自分がいるプロット以外のプロットにいるキャラからの射撃戦ダメージを0点にする忍法。 【悪食】と違い、コストがなしであるため、攻撃に転じやすく、 生命力の回復はできないものの、その分かなり使いやすい。 自分がいるプロットからの攻撃には発動できないというデメリットも 【影分身】や【無拍子】などである程度対応できる。 ピン刺しでもこの忍法を主軸にしても強い便利な忍法。 【震々】 回数制限があるとはいえ相手を逆凪にさせれる点と、手番を消費せず、これを使った後でも攻撃できるのが強い。 また、この忍法は【幽霊部員】が修得している。 【見越】 間合もダメージも追加できる狂気の忍法。しかも、コストがない。 その強力さは【長肢】と【獣化】を足したうえでコストもなくしていると考えると分かりやすい。 純粋かつ単純に強く、修得して損はない。 【夜雀】 【閻魔】のサポート版。分かりやすく強い忍法。 特に【誘導】や【艶花】の判定を確実に成功させることができ、強くなれる。 ただし【閻魔】とは異なりサポート忍法になっているため、1シーンや1ラウンドに1回しか使えなくなっている事には注意。 【猟犬】 プロットを自由に移動できる忍法。 間合を無制限に伸ばせるようなものでこれだけでも十分強いが、【鏡地獄】と組み合わせると 奥義で攻撃するか、完璧にプロットを読む以外ではダメージを与えられない無敵の要塞が出来上がる。 【荒吐】 攻撃系の奥義を奥義破りすると接近戦ダメージを2点食らわせる忍法。 攻撃系の奥義しか対象でない点や、相手は奥義を打たないという選択もできる点などが微妙。 他の妖魔忍法と比べると見劣りするが、ボスに搭載する分には結構強い忍法。 【鬼火】 【自動反撃】の《火術》版。 【自動反撃】同様普通に強く、耐久型にも合うしピン刺しでも強い。 【怨霊】 自分の秘密が明らかになっていなければ、ダメージを半減する恐ろしい忍法。 NPCには普通に通じるし、【無面目】などを持っていればPC相手にも発動させやすい。 同様の条件で発動する【設定貼】などとも相性良し。 【呑口】 防御系の奥義を奥義破りすると2点回復する忍法。 防御系の奥義しか対象でない点や、相手は奥義を打たないという選択もできる点などが微妙。 しかし、攻撃系よりは奥義を使わざるをえない場面が多く、発動の機会も多い。 ボスが使うにしてもPCが使うにしても、普通に強いだろう。 【百眼】 自分の奥義破り判定にプラス2修正と【博識】の上位互換の性能を持ち、 おまけに、見切り判定を自動成功でき、【揺音】と【秘中の秘】の存在価値を無に帰すことができる。 加えて【一見】などと組み合わせてやれば相手は死ぬ。 【蛭子】 奥義によるダメージを1点軽減できる忍法。 決して弱くはないのだが、他の妖魔忍法と比較すると相対的に弱く見える。 ボスのバランス調整用としては便利。 隠忍流派ブック 【強威】P25 【接近戦攻撃】の威力を強化できる装備忍法。 やっていることは【ジョーズ】に近いが、前提条件とコストが不要になった代わりに強化値が1下がっている。 正直、妖魔化や【真蛇】のリスクに見合っている効果とは言えないだろう。他に良い選択肢は幾らでもある。 「妖魔忍法表・攻激」を引いた際、選ばれたもう一つの忍法が構成と合わない場合の保険、という意味合いが強い。 完全に余談だが、この流派ブックで追加された他の妖魔忍法は全てP28~29に一括で纏められているにも関わらず、 何故かこの忍法だけはP25に単独で掲載されており、よく読んでいないと存在を見落としやすかったりする。 【黒手】P28 妖術戦1点が追加された【接近戦攻撃】。 コストも無いため【接近戦攻撃】の完全上位互換ではあるが、正直後述の【鏖殺】の方が強いと思う。 【業弓】 妖術戦1点が追加された【千矢】。 間合が長いので普通に強い。癖が無く扱いやすい忍法だろう。 【怪病】 妖術戦になった【夜叉】。 悪くない忍法ではあるが、妖術戦ダメージ自体が狙った効果を出しにくい不安定さを抱えており、修得するリスクに見合っているかは微妙。 【鏖殺】 回避判定に-2修正が付くようになった【修羅】。めちゃくちゃ強い。 元の【修羅】でも十分強いのに、回避しづらくなって弱い訳がない。しかも条件を満たせば、あちらと違い中忍でも修得できる。 この流派ブックで多数の妖魔忍法が追加されているが、その中でも最強クラスの忍法だと思う。 【精霊風】 戦場が変更できなくなった代わりに、ダメージが妖術戦になり「猛毒」が追加された【海原】と言ったところか。 効果自体は強いが間合4のため、プロット6から1が攻撃できない弱点がある。そもそも同プロや上の相手も狙えない。 修得にリスクがある妖魔忍法にしては、総じて扱い辛さが目立つ。 【雷獣】 間合が伸び、誰に対しても妖術戦2点を与えられるようになった【六芒刃】の亜種。 攻撃が成功すると、そのラウンド間ダメージを軽減できる効果が地味に有難い。 ただどの特技になるかは完全ランダムなので、命中判定も回避判定もランダム性が高く安定しない。 幅広く妖術分野の特技を持っているキャラなら、上手く使いこなせるだろう。そうでないならあまりお勧めはできない。 【虚舟】 「戦場表」を二度振り、好きな方を択べるサポート忍法。 【誘導】とは異なり自手番で変更できる即効性はあるものの、不確実であるため戦場型では扱いにくい。 正直即効性を求めるだけなら【征野】でよく、わざわざこれを使うメリットを見いだせない。 【夢喰】 スペ型メタのサポート忍法。スペった相手に問答無用で集団戦ダメージを与えつつ、 ついでに自分は追加の【生命力】スロット(最大3)を得られる面白い忍法。 遠隔忍法でもあるためメインフェイズ中でも腐らない。攻めにも守りにもなるため、相手にスペ型がいるならかなり強い。 そうでなくても、どちらの効果も優秀でありあって損はないだろう。 装備忍法ではないため、この効果により得た追加【生命力】スロットは、この忍法が未修得になっても消えないと思われる。 そのため【真蛇】で一時的に修得してもいいし、効果を使用しきった後は【双子】等で忍法枠を有効活用できる点も便利。 【金毛】 【生命力】を回復した時使用し、達成値「8」以上で攻撃忍法に成功したとき射撃戦1点を追加できる忍法。 単体ではぱっとしない効果にも感じるが、2回累積するのは悪くない。 この効果を有効活用するなら、【大権現】や奥義【完全成功】と組み合わせていきたい。 ただ射撃戦ダメージを2点追加するだけなら他に手段は無数にあり、わざわざ妖魔化してまでする事かと言われると微妙かもしれない。 【朽縄】 相手にダメージを与えた時、「猛毒」を与えつつ【石仏】と同じ効果を付与できる面白い忍法。 ただあちらとは異なり、相手が回避判定と《縄術》の二度の判定に失敗する必要がある事が欠点。 これで相手に判定を振らせずに使えれば強かったのだが……相手依存であるためあまり安定しないだろう。 【香魂】 自分の【生命力】が減少したとき、好きなだけ目標を選んで《香術》に失敗したら集団戦ダメージ1点を与えるサポート忍法。 間合の制限が無く、【生命力】が減る度に何度でも使える為、回復能力を持つキャラが使うと中々にいやらしい効果だろう。 下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるし、相手に自分を狙う事を躊躇わせることもできる。ビルド次第ではあるが、割と強い部類だと思う。 これを使うなら、ぜひ背景【梟雄】も修得しておきたい。 【三尸】 自手番にノーコストで変調1つを回復しつつ、【痛打】か【陽炎】か忍法改造【宿し】の追加効果を1つ選べる。 変調を無条件で何回でも回復できる時点で充分強いし、追加効果も皆優秀であるため、持久力に優れるシノビなら修得するのも良いだろう。 ただ回復できるのは「1種類」ではなく「1つ」であるため、同じ変調が複数累積していても治せるのは1つだけである。 大量の変調を与えてくる相手に対しては、【毒飼】の方が強い。 いっそ1つしか治せないのを逆手に取り、【虹海月】【朽木】のコンボを使う場合の保険にするのも便利かもしれない。 【朱盤】 誰に対してでも使える様になった【外連】。 あちらとは異なり、ダイスを振るのが自分ではなく目標に代わっている。 面白い効果ではあるが、相手依存なのがやや厳しいか。 指定特技が代用しやすい位置にある《歩法》なのも評価を下げる。 一応奥義【判定妨害】と組み合わせれば、成功率は上げられる……が、それでも確実ではない。 【長壁】 同プロットの相手からのダメージを2点まで軽減できるサポート忍法。 この手の忍法は「2点以上のダメージを受けた時1点だけ軽減」するものが多く、1点でも確実に防いでくれるのは中々優秀。 ダメージの種類にも制約が無いため、集団戦ダメージや妖術戦ダメージでもきっちり防いでくれる。 ただし同プロット以外には効かず、「ダメージ」ではない奥義に対して無力な為、過信もできない。 とは言えメイン戦闘であればプロット6を選びがちだろうし、あれば便利かもしれない。【影法師】との相性も良い。 総じてやや使いにくさもあるが、それでも十分強い忍法ではあるだろう。 【物気】 奥義破りの前に《千里眼の術》の判定を強要し、失敗した相手が奥義破りする場合には更に【生命力】1点の消費を強いるサポート忍法。 相手の特技次第ではあるが、奥義破りを躊躇わせるには十分な効果があるだろう。持久戦を得意とするシノビなら相性が良い。 【紙舞】 同じプロットに居る相手に「あらゆる判定-1」を強要する、「神舞」を2つプロットできる面白い忍法。 ただしこの効果は累積しないため、二つを同じ場所にプロットしても意味はない。 相手の判定を失敗させることに意義がある【刃隠】や【飛筒】等と組み合わせると良いだろう。 癖はあるが広範囲にデバフをばら撒けるため、上手く使いこなせれば結構強いかもしれない。 【目競】 自分の奥義に対して奥義破りを失敗した相手に、妖術戦ダメージを与える忍法。 ダメージを与える相手は一人しか選べないのが難点だが、相手に判定を振らせずダメージを与えることができる点は優秀。 やっていることは仕掛け【忌み】(隠40)に近く、自身への奥義破りに侮れないリスクを持たせられる。 奥義型であれば修得しておくことで、自身への奥義破りを躊躇わせることができるだろう。 【置行】 好きなだけ相手を選び、ランダムな忍術分野の特技判定に失敗したもの全員は忍具一個を失い、それら全てを自分が獲得できる。 遠隔忍法であるため誰に対してでも発動でき、対象の制限も無いため結構強い。 忍具の種類に制限もないため、相手によっては特殊忍具も奪える。 PCやNPCの数が多ければ多いほど成功率も得られる忍具も増える為、多人数戦にとても強い。 ただ全体攻撃になるので、ヘイトを買いやすい点には注意。とはいえ、目標は任意で選べるため柔軟性も高い。 メイン専用であるため、クライマックスフェイズではお役御免。 【赤舌】 同じシーンにいる自分以外全員の、スペシャル値とファンブル値を1ずつ上げられる装備忍法。流石に累積はしない。 地味だが堅実な効果であり、単純に出目レースにおいて有利に立ちやすくなる。 特にファンブル型のビルドと相性が良いだろう。 【大太郎】 【頑健】に、追加の【生命力】がある限り接近戦忍法の間合を2伸ばすおまけが付いたお得な装備忍法。 完全な【頑健】の上位互換であり、おまけの効果もクリティカルヒットに効果が無いとはいえ【長肢】の倍の効果がある。 間合が2伸びれば相手のプロットを読まずとも安定して殴れるようになるため非常に便利。単純に強い。 この手の「追加の【生命力】がある限り」の類は他の効果による追加【生命力】が残っていてもいいので、 本家【頑健】など、他の追加【生命力】を得られる忍法と組み合わせる程安定する。 【約定】で従者に与える忍法に迷ったら、取りあえずこれを覚えさせると良いだろう。 エネミーの場合追加の【生命力】スロットを区別しないため、死ぬまで恩恵を受けることができる。 【白面】 自分の【生命力】が半分以下のとき、-修正の最大値が2になる装備忍法。 条件が厳しくかなり相手依存ではあるが、【開祖】【神奈備】や【殺神】、【玲瓏】など致命的なコンボに対する解決策には成り得る。 ただ一般的には感情修正が2つ累積するくらいだろうし、戦場が「水中」なら-の感情修正を受けなくなる位の恩恵しか受けられないだろう。 状況次第では有用にも成るが、状況が限定的すぎる為扱い難さは否めない。 【邪魅】 自分以外に「極地・乙」の効果を与える装備忍法。ついでに【鬼力】1点も得られる。 ファンブル型なら非常に便利な効果だろう。それ以外にもあって困りはしないが、不確実であるためうまみが薄い。 また協力型であったり、仲間がいた場合、仲間にも悪影響がある点も問題になる。バトロワ型でこそ輝く忍法だろう。 【鬼胎】 「特技の代用」を行う時、得意分野であれば1マスを0.5マスとして数える(端数切り上げ)装備忍法。 あって困る効果ではないのだが、他の派手な効果と比べると少し見劣りしてしまう。 ただ堅実な効果である事は間違ないため、【形無】など指定特技が可変の忍法と組み合わせれば便利ではあるだろう。 【岩肌】 与えるダメージが接近戦ダメージになり、以降の命中判定に-修正を付けられるようになった【刃隠】。 メインの効果とおまけの効果が上手く嚙み合っており、相手に自身への攻撃を躊躇わせることができる。 ただし「接近戦による攻撃」にしか対応しなくなっている点には注意。射撃戦ダメージには無力であり、当然奥義にも効果はない。 【刃隠】を使うビルドなら、追加で修得できればより戦術を強化できるだろう。
https://w.atwiki.jp/chaosdrama2nd/pages/934.html
水の国、大和某所 人間と白鬼、この二つの種族の血塗られた歴史が、水の国の美しい景観の影に潜み、今宵の街に深海の静けさをもたらしていた。 深淵の中から現代のこの国を覗き込む、散っていった者達の命と想いは、今ではただならぬ妖気を放つ亡霊のように掴み所の無い『国風』として海の波音と共に長きにわたってこの国に染み渡っていた そんな中、1人の少女が闇夜に紛れ、己が使命を胸にビルとビルの間を飛んでいた。 ジャック「(月無き夜に白銀の髪を揺らしながら宙を舞う。黒いマントはカラスの翼のように黒く雄々しく。軽やかな着地とジャンプを繰り返しながら進路を進めていく、)……わたしたちが頑張らなきゃ。あのヒトが残したあの場所を守るには、この国の力が必要ッ!(これまで飛んだ中で最も高いジャンプ。綿毛のように脱力した身に優しい風が不意に包み込む。一種の心地良さを感じた彼女は目を伏せながらそのまま地上へと落下していく)――――ズッッ!! (数秒後、石床の上に勢いよく着地。轟音ではなく、まるで高い所から落ちてきたボールのようにそれは軽やかな音だった) 」 ジャック「(飛び降りた場所、それは人気のない路地裏。数日前に配られたであろう新聞が丸めて乱雑に捨てられ、荒野を転げる草のように風に乗って端の方まで渡っていくのが見えた)……ここをこえて、偉い人に会えば、きっとわかってくれる。(マントの裏側に仕込んだ文書をそっと撫でて、そのまま靴音もならさぬ独特の歩法で進んでいく。―――――が) 」 ジャックの背後から強い気配を感じた。思わずナイフを引き抜き振り返るが、そこには誰もいない。あれほどの気配を、ただ気のせいで片付けることが出来ないのは、ジャックの生まれ持っての性だ。……ジャックは能面のようにかたまった表情のまま、ある可能性をを脳内に提示する。 ジャック「(誰かに、着けられてる? いや、そんなはずはない。でも、あれ?)……(ここへ来て急な出来事。確かに数日ほどここに潜伏していたが、足が出るようなことはしなかったはずだ。しかし、この鋭いメスのように心に刺さる違和感がどうもぬぐえない。)まさか、初めからわたしたちが来ることを……でも、情報は全部消してある。なんで? 」 ナイフを手に、気配のした方を警戒しながら、尚も進もうとした直後 「俺はお前に近づかない」 ジャック「(その言葉とは裏腹に、発現の内部には明確な殺意があった。それに気づいたジャックはナイフをもう一本。二刀流で眼光鋭く、周囲に視線を回しながら相手の出方を探る。姿は見えない。だが、たしかにここにいる)……誰? わたしたちは急いでる。邪魔しないで 」 ????「それはこちらの台詞だ(暗闇の中から、まるで黒く塗りたくられたキャンバスから出てきたかのように、黒いトレンチコートをまとった白黒が反転した目をした男が現れる)……貴様のような奴にチョロチョロ動かれるのは面倒なんだ。おっと、とぼけようとしても無駄だ。我々の情報網から逃れられると思ったか? この国の陰でコソコソと動き回る連中の情報はすでに把握している。貴様もそのひとりだ。……もっとも、グラナードの連中同様、貴様もかなり変わった組織の者らしいが、な 」 ジャック「――――!!(暗闇から現れた男の言葉に一瞬反応する。なにより、彼の口からグラナードの言葉が出てきた為、肝を冷やす)どう…して……? アナタは、誰?(怯えたようにナイフを構えながらも、彼女の脳内では無数のパターンを用意している。これはブラフだ。情けない姿を敢えてさらし、相手を油断させている) 」 ????「(…………)一見か弱そうな半人前にすら見えてしまうその仕草。相当訓練されたものか、果ては元来持つものを天性のものをそのまま次の一手につなぐための手段として使っているだけか。とにかく貴様のそれには油断ならない気配がある。俺の決断は変わらない。……尋問は専門外だが、それもやらなければならないというのが暗殺という仕事の理不尽さだ(男の気配から濃密なまでの精神力が溢れ出てくる。)――――来るがいい。ここで俺を殺して見せろ。でなければ。 」 「 お前はここで死ぬ 」 ジャック「(お互い向き合って数秒、男に至っては一向にこちらに対し攻撃行動をとってくる気配はない。それが余計に不気味だった。銃を持っているわけでもなければ、なにか刃物を持っているわけでもない。)……動かないんだね。能力者ってわけじゃなさそうだけど。それじゃわたしたちは殺せないよ? 」 ????「勘違いをするな。まだ殺しはしない。だが、お前は俺を殺さなければヤバいことになるぞと言っているだけだ(黒白目から覗く明確な意志が眼光となってジャックに向けられる。こうして立っていること自体が、自分の全ての行動だとでもいうように) 」 ジャック「(目の前の男の発言に眉をしかめる。同時にもう一本ナイフを引き抜く。どちらにしろ油断ならない相手だ。路地裏という狭い世界でこうして退治している以上お互い逃げ場はない。あぁして無造作に立っているだけなら、こちらの素早い動きを以て急所を抉れば問題はない)わたしたちの邪魔……しないでッ!!(ジャックが先に動く。いかに狭い通路とは言え、小さな体を持つ彼女からすれば十分な広さだ。直線に駆け抜けたかと思えば、何度も壁を蹴って宙を移動しながら翻弄。そして一気に背後から頸動脈を刈りに行く) 」 「一向に突っ立ったままのこの男を殺すことは、彼女自身容易かと思っていた。 」 「後はこのナイフの刃を頸動脈に滑らせれば全てが終わる。自分の速さにはついてこれないだろうと思っていた。――――だが。 」 ????「貴様の得物はナイフ類。小さな身体を使って相手を翻弄し、素早く相手の急所を突く。暗殺者として相応しいかもしれんが射程はせいぜい1m前後といったところか。……それさえはわかればやり方は……『できている』 」 その直後だった。ジャックの両腕に激痛が走る。それは思わず得物であるナイフを手放してしまうほどに悍ましい痛みだった。少女の美しくきめ細やかな肌をした両腕からなにかが筋肉や血管を突き破って外部に這い出てきている。――――剃刀、釘、メス、その他諸々の金属類。それがジャックの腕を食い破るようにし一気に飛び出た。 ジャック「うぐッ! ……あ、ぁ、ああ゛!! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!!?(突然内部から出てきた金属によって腕をズタズタに引き裂かれた彼女はバランスを崩し、????を斬ること叶わずそのまま彼の真前にまで勢いよく落下した)あがッ!! あ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!(断末魔が木霊する。腕からは大量の血液と無数の金属類。自分が何をされたかもわからぬまま、涙を流し、嘔吐でもするかのように顔を歪め叫び散らす) 」 ????「(叫び声をあげ無様に泣き叫ぶジャックに近づいていく)貴様がなぜここへ来たのか。誰に会うつもりだったのか。興味がある。―――フンッ!!(そう言って倒れている彼女の腹部目掛けて強烈な蹴りをいれる)……ん? これは(彼女のマントから筒を見つける)これは、中身は文書だな。 」 ジャック「――――おっぶぅうッ!!(腹部を蹴られ、小さな体は血を巻き散らしながら壁に激突する。その際、大切に持っていた書類を奪われ、瞳を極限まで収縮させる)か、げふ……かえし、て……やだ、やだよぉ。ひどいこと、しないでぇ…・(そうしてグズグズと泣き始めながらも、ズタズタの腕を伸ばした) 」 ????「――――(ジャックを無視しながら、筒の中の文書に目を通す。そこには悪霊山が水の国との関わりを持つこと、並びに今後の方針などがキッチリとまとめられていた)……これを誰に渡そうとしていたかはしれないが、そうはさせない(そう言ってマッチを取り出し文書に火を点ける)さて、話してもらおうか? 誰に会おうとしていた? でなければ……(そういってジャックをにらんだ直後、彼の持つ"力"の根源が発動した) 」 バ サ ッ (その刹那であった。一陣の旋風が巻き起こり黒羽が円を描くようにして夜景に溶ける。紙吹雪のような羽は???の視界を遮ると、ジャックの姿は彼の視線の先から消失していた) 」 ジャック「やべて…・・あぁ、かえ、して。おねが――――(またしても異変を感じる。喉の奥から込み上げてくる鋭利な異物感。そして、左足の太ももから感じるザクリとした衝撃と激痛。)うぎゃッ! あ゛あ゛あ゛あ゛ッ! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!! いだい、いだいよぉおおお!!! やめて、いやぁあいだいやぁああああああッ!!!(左足の太ももから一気に突き破るように出てくる巨大な刃、それが太ももを切り落とした)あぁぁあああああッ! …う、うげぇえええ、ぐぇえええああああああッ!!(喉から口へ、無数の剃刀が濁流がごとく吐き出る。喉や口の内部を鋭い切れ味で痛めつけ、大量の血をジャックからそこなあわせた。彼女の意識が激痛と噴血により飛びかける)) 」 巨大な烏「―――――ギャーハッハッハッハ!!見ろよべによるチャーン!?こいつで雑巾掛けしたら床真っ黒になるぜってぐらいスタボロだァ!なあいいかな?実際試してみていいかなぁ!!?(ジャックよりかは一回り小さいが、それでも通常の認識にある烏よりかは巨大な黒影が、下卑た笑い声と、あろうことに人語を発し月光を浴びていた。両足にはジャックを吊るすようにして捕まえ、すでに???より10m以上離れている)おいおいおい、なんんか四次元ポケットよろしく物騒なもん吐き出してるぜこの嬢ちゃん。大丈夫か? 」 ????「――――ッ!!(突然現れた巨大なカラスに度肝を抜かす。一瞬何が起こったかわからなかったが、即座にジャックの援軍かなにかと察知する)何者だ貴様……なぜ俺の邪魔をする? 」 紅夜「――――鳥の血に悲しめど、魚の涙に哀れみは覚えず。声なき者にこそ救いあれ(闇夜に一筋の紅が記される。その頭髪をなびかせ皮表紙の本を片手に、その紙面に隈を作った窪んだ瞳を落とす。歌うようにしてその一節を読み上げ、その抑揚に合わせるようにして手にした杖を回転させ、恐ろしくゆっくりと、???と一定の距離を保ちつつ歩み寄った)――――彼女は声なき魚だ。例によって、俺は救わねばならない……『お前さえもだ』 」 巨大なカラス「だ、そうだぜ?悪いなこいつ詩人ちゃんだから面倒な言い回ししかできないの。要するにこの城ちゃんも『てめーも』救ってやるってこったよ!ヒヒヒッ!!(大げさに翼を上下させると紅夜の手前まで高度を下げ、ジャックを手ごろな岩の上にそっと下ろし寝かせた) 」 ????「――――救う、だと? その小娘だけでなくオレもか?(ほんの数秒の沈黙。その間、彼の黒白目は彼等をじっと映していた。だが、その眼光の鋭さは変わらず)なにを言っているののかは知らんが、要するにだ。お前は俺の邪魔をするということだな? (ユラリと男の雰囲気が更に殺気で濃密な物へと変化していく。ジャックと同じように攻撃するつもりだ) 」 紅夜「―――――(ジャックを流し目で二秒ほど一瞥すると、すぐさま眼前の男へ視線を戻し、杖を軽く宙に浮かせてから持ち直し、再びペン回しのように玩びながら皮表紙の本を閉じ懐に仕舞うと)―――間合いだ。俺は『お前に近づかない』。鉄分だ、『今の俺と魔獣にはそれが通用しない』(ジャックを、小柄な子供の彼女さえも億劫そうになんとか抱え上げ、聖書の一節を読み上げるような掠れた声で述べる)だが俺にはお前に勝つ手段はない。だからあえて言おう。やめろ、無駄は好まない 」 ????「……(紅夜の観察眼を前に、自らの力を推察されても尚表情を崩さない)そこまで見抜いたことは褒めてやる。――――だが、それがなんだ?(射程外なら近づけばいいと言わんばかりに、小さく一歩踏み出す)貴様がその小娘とどういう関係かはわからん。そしてお前のそれは誰かに命令されたものではない。自分の意思での行動によるものだ。……だが、問題はそれ"以外"だ。気になるな。その小娘を助けた後、貴様がそいつをどこへ連れて行くのか? 見た所医者でもない。そもそもそいつは医者で治せるような存在でもない。それを分かったうえで助けようとしている。―――――貴様は、そいつを連れて、どこへ行くのか。 」 紅夜「――――俺がお前に与えにきた情報は”それではない”(あたかも、他に渡す情報があるとでも言いたげな、含んだものいいを、月光差し込む表通りを挟んで、???の潜む暗がりと大局的に位置する裏路地で銀の瞳を光らせる)まあいい、質問には答えるさ……それがお前への礼儀であり信頼だ。”救いたい人がいる”、”彼女”ならこの娘を治せる。どこへは言えない、だがこの大和国内だ(距離を詰めることを厭わないと言わんばかりに一挙一動を注視しつつも微動だにしない) 」 ????「……見ての通り俺は殺し屋だ。殺し屋を相手に礼儀だ信頼だと情報を渡すとは。(フードから覗く銀色の髪を指でいじりながら、踏み出した一歩をそっと柔らかく引いた)……俺も仕事でな。"クローバー"の指示に背くわけにはいかない。――――が、俺に与えに来た情報とやら。それの内容次第では考えてやってもいい。 」 紅夜「命のやり取りにおいても、互いに『信条』があるなら礼節が生まれる、俺はそれに準じるだけだ。(???が一歩間合いを話したことを確認すると小さく頷き)俺が優先とするのはいつだって、この愛すべき故郷『ケイオス』だ。お前もその一部であり、この娘も例外ではない。闘争はいかなる時もあり得るが、だが今『ケイオスではないここ』で『ケイオスの民同士が流血を流し合う必要はない』。ここまで言えば察しがつくだろう、この大和は―――― 」 紅夜「――――― 『 大 和 帝 国 』 は ケ イ オ ス で は な い 」 ????「―――――(一陣の風が彼と自分の間を通り抜けていく。その言葉に嘘の気配はなかった。一見素っ頓狂にも思えるこの発言に、ガラにもなく彼は冷や汗をひとつ)……大和がケイオスではない。仮にそれが真実として、どうなるというんだ? ――――と、言い返すのは野暮か。この大和がケイオスではない。……イイだろう、信じてやる。 」 紅夜「――――大前提を思い出して欲しい、俺は『ケイオスを最優先する』(杖の先端を???へ向け、軽く上下させると)『大和』の繁栄を阻止する必要がある。そうだろう? ある意味俺とお前の利害は一致している。だが、お前はプロだ。獲物を見逃せというのは無理な相談だろう(掌の上で杖の腹を弾ませ)パシッ(それを握ると)―――だから提案だ。『優先順位』を変えないか。俺はお前の任務を遂行する上で優先して抹消すべき対象をリークする。それら全てを抹消してからが、そこからがこの娘をどうするかだ 」 ????「(大和の繁栄、か。)――――優先順位の変更か。簡単に言うがそれこそが仕事の難しい所だ。時間や場所によって、状況は大きく変わる。アルバイトのシフト変更のように軽い問題ではないのだ。それに、誰を殺すか否かの情報はすでに俺は頭に叩き込んである。貴様にリークされようとされまいと関係はない――――だが、そうだな。俺も貴様に敬意を払い…"一人"だけ。そう、一人だけなら変更可能かもしれない。どうだ? 対象一人分だけ、その小娘は長生きできるかもしれない。――――どうだ?(黒白目が一瞬鋭くなる) 」 紅夜「―――――いいだろう(トンと自身の首筋に指を当てて捻り、軽くノックさせ挑発的にシャフ度で目を細める)ただし鵜呑みにはできない。そこでどうだろう……―――――『 』を最優先にする……というのは。先に断っておくが、あれが現存する限りお前も俺も、『この大和から出られはしない』 」 ????「――――(『 』の名を聞き、一瞬目の色を変える。なぜなら、それは彼の最終目的。無論、『 』も殺すつもりでやってきたのだが、これを最優先にしろと言われて半ば曇ったような表情になる)……ふん、最優先にしろ、か。(ここで初めて軽く乾いた笑みを見せる)……貴様自身、自分が無理難題を言っているのは承知の上でのことだろう。現実はかなり切迫した状況である、というのがお前の口調からヒシヒシと伝わる。――――が、だ。無論それも対象には含んでいる。だが、その為には段階というモノがある。将棋やチェスで最初の一手から王手(チェックメイト)を取れないように、まずはそのまわりの敵を刈り取る必要がある。理屈はわかるだろう? ――――そこでだ。その小娘を長くもう少しだけ長く生きさせてやる。だから、教えろ。―――ある人物の居場所を。それならどうだ? 最優先ではないが、お前にとっても、これは"近道"となる。どうだ? 」 紅夜「――――(ある人物と聞き眉を潜める)――――人物か(一切変えなかった目の色を一瞬曇らせ杖の先端を床に付ける)――――確かに、駒を積むのは手順の一つだ。だがその駒もまた生かすことで毒壺の蛇となり得る。『誰でも」という訳にはいかないが、対象を聞こうか 」 ????「……候補は二つ。大和見廻組、『伊蒼義隆』。情報統制がきつくてな、俺の『網』ですら掻い潜るほど情報戦に長けた奴だ。コイツの首を取る。そして――――……グラナードファミリエ首領、『エリザベス・ヴァン・シュテイン』。俺の網にかかった連中の中でも飛びぬけて存在感のある奴等だ。この時期に連中がくるのには大体想像はつくが、訳がある。―――――好 き な 方 を 選 べ(目を見開き、紅夜の輝く目とは対照的な眼光を見せる) 」 紅夜「――――――――ニッ(????の提案に対し口元をほころばせ) 『 』 (彼は快くその名を告げた) 」 < Back Log Home Next Log >
https://w.atwiki.jp/magichappy/pages/1076.html
▼ A Generous General? 依頼者: グ・ゾ(Gu'Zho) / ムバルポロス旧市街 依頼内容: クゥダフ兵団の脱走将校グ・ゾは 仕官の口を求めてムバルポロスに来たが、 道に迷って面接会場にたどり着けなかった。 彼に代わって、推薦状を 傭兵教官に届けるのだ。 しかも、モブリンに怪しまれないように…… ムバルポロス旧市街 Gu'Zho Thunderblade やァやァ 遠からん者はァ音にも聞けェッ! 近くばァ寄ってェ目にもォ見よォ! Gu'Zho Thunderblade 我こそはァ クゥダフ兵団にィその人ありとォ謳われたァ 雷音剣のォ、グ・ゾなるぞォッ! 愚昧なるゥ冒険者めェ、往生せィッ! Gu'Zho Thunderblade ……………… ………………………なぜェ逃げぬゥ? Gu'Zho Thunderblade グハハハハハッ。 待てィ。腹が減ってはァ戦はァできぬゥ。 本当はァぬしとォ戦いとゥないのだァ。 Gu'Zho Thunderblade 我が名はァ、グ・ゾ。 ワールン装甲兵団のォ将校だったがァ 今はァ脱走してェ寄辺なき身よォ。 Gu'Zho Thunderblade 毎日ィ毎日ィ 冒険者とォ坑道を奪い合ィ まだァ殻がついたァ若い兵ォ死地にィ送りこむゥ。 そんな生活にィ自分はァ嫌気がさしたのだァ。 Gu'Zho Thunderblade 若ィ兵もォ誘ったがァ、 背甲のォ重さにィ耐えられずゥ 1人ィ、2人とォ脱落していきィ………… 気づけばァ、自分1人だったァ…………… Gu'Zho Thunderblade 1人にィなって分かったァ 卵ォ出でてからァこの方ァ軍隊生活一筋ィ。 自分はァ戦うこと以外にィ 何もしらぬしィできぬことにィ。 Gu'Zho Thunderblade ほとほとォ 困っていたところォ、ここムダルボロンスでェ 傭兵ォ集めているとォ耳にしたのだァ。 Gu'Zho Thunderblade それでェゴブリ代筆屋にィ 宝石ォ払ってェ推薦状ォ書かせェ 勇んでェここまでェやってきたのだァ。 Gu'Zho Thunderblade ぬしはァ ここにィ詳しいのかァ? 選択肢:ここに詳しい? いいえ Gu'Zho Thunderblade でェあるかァ ぬしもォ迷うておるのかァ。 誰しもォ道にィ迷うものォ。邪魔したなァ。 はい Gu'Zho Thunderblade それはァありがたィ。 話ォ続けるとしよゥ。 Gu'Zho Thunderblade 問題がァあったァ。 このムダルボロンスゥ、どうやらァ 特殊なァ磁場がァ発生しておるらしィ。 Gu'Zho Thunderblade おかげでェ 自分らァクゥダフのォ方向器官がァ狂ってしまィ 何度ォトライしてもォ途中でェ道に迷ってしまゥ。 Gu'Zho Thunderblade そこでェ頼みがあるゥ。 ムダルボロンスにィ詳しィぬしがァ このォ推薦状ォモブリのォ傭兵教官にィ届けてェ 自分がァここにいることォ伝えてェほしいのだァ。 選択肢:伝えてやる? いいえ Gu'Zho Thunderblade でェあるかァ。 それなりのォ謝礼はァするつもりだったがァ 邪魔したなァ。 はい Gu'Zho Thunderblade かたじけなィ。 礼はァたんまりィするつもりだァ。 Gu'Zho Thunderblade だがァ待たれよォ。 ぬしはァ戦いにィ行くのではァなィ。 そのォ格好ではァ目立ちすぎるゥ。 Gu'Zho Thunderblade 血がァ流れればァ、 話も流れるかもォしれぬゥ。 もっとォ目立たなィ格好はァできぬものかァ? Gu'Zho Thunderblade たとうればァ ゴブリやァモブリがァ被っているゥ あのォ円ィレンズのォ革のマスクゥ。 あれォ誰かにィ作ってェもらうのはどうだァ? Gu'Zho Thunderblade 人間はァ賢くてェ器用だァ。 自分らはァ人間はァ好かぬがァ その技はァ常にィ見習ってきたァ。 自分はァぬしォここでェ待つゥ。頼んだぞォ。 南サンドリア Faulpie あら、何かご用? わざわざ私に相談するということは…… そうね、何か特注の品でもご入り用なのかしら? Faulpie ………… Faulpie ゴブリンになりたいですって? それはまたずいぶんと無茶な注文ね。 マスクを被ってるから一見そっくりに見えるけど 彼らどうしはすぐに誰だか分かるみたいだし…… Faulpie まぁ、やってみましょう。 私は型紙を検討してみるから、 その間に、あなたは野牛の毛皮と 大羊のなめし革を探してきてくださる? Faulpie それと、手数料の話だけど 材料はそっち持ちだから20000ギルでいいわ。 一緒に用意して、渡してちょうだい。 Faulpie まだ、デザインに悩んでる最中よ。 それに、あなたが野牛の毛皮と 大羊のなめし革を持ってきてくれないと……。 あ、それから20000ギルも忘れずにね。 Faulpie それとも…… 材料費もそれなりにかかるし やっぱり、あきらめたい? あきらめた場合、クエストはキャンセルされ、 オファー前の状態に戻ります。 あきらめて、クエストをキャンセルしますか? あきらめる あきらめない(キャンセル) 本当にあきらめてよろしいですか? 本当にあきらめる やっぱりあきらめない(キャンセル) クエストがキャンセルされました! (Faulpieに材料と20000ギルをトレード) + ... 野牛の毛皮 がさがさしたバッファローの毛皮。 大羊のなめし革 柔軟な大羊のなめし革。 Faulpie ……必要なものはそろったわね。 じゃあ、型紙にそって大まかに裁断しておくから しばらくしたら取りにきてくださる? Faulpie ……もう少し待ってほしいの。 特殊な細工を施しながら裁断してるんですもの。 焦らせないで…… ※ヴァナ0時経過後。 Faulpie ……待たせたわね。 はい、コレ。頭巾のシートよ。 きっと待った甲斐があると思うわよ。 ゴブリン頭巾シートを手にいれた! ゴブリン頭巾シート Rare ゴブリンに扮する頭巾製作のために裁断された革。 Faulpie さて、後はそれを仕上げて被るだけで、 あなたもゴブリンそっくりに変身できるはずよ。 Faulpie ……だけど手伝えるのはここまで。 私たちにとって、カバンを作るゴブリンは マスクを思い出すのも憎たらしい商売敵なの。 仕上げなんてありえないわ。手が震えてね。 自作できるスキルがある場合 + ... Faulpie ……さてと、 これからはあなたが腕を振るう番。 いちおう材料は教えるけれど、 1回しか言わないから、よく聞いてちょうだい。 Faulpie 材料には、そう…… ゴブリン頭巾シート、スチール板、亜麻布、 不死の皮、大羊のなめし革、モブリン糸を 使うとよさそうね。それとレンズには…… Faulpie そうだわ。人工レンズだと ぴったりよ、きっと。2個用意してね。 あとは土のクリスタルを使って合成すれば、 ゴブリンそっくりの頭巾ができるはずだわ。 Faulpie ……それと あなたなら材料からピンときてると思うけれど 鉄と布を扱う技術も必要なの。注意してね。 Faulpie ……だいじょうぶよ。 あなたならきっとゴブリンそっくりの 素敵な、いえ不気味な頭巾を作れるはずだわ。 自作できるスキルがない場合 + ... Faulpie ……でも、だからって 技を磨いて独力で頭巾を完成させなさい ってあなたに言うのも酷よねぇ………… Faulpie ……そうよ! ウチのギルドで皆伝を授けた 革細工師を見つけて、作ってもらいなさいな。 Faulpie いいこと? 作り方は一度しか教えないから、 しっかり覚えて、彼らに伝えてちょうだい。 Faulpie 材料には、そう…… ゴブリン頭巾シート、スチール板、亜麻布、 不死の皮、大羊のなめし革、モブリン糸を 使うとよさそうね。それとレンズには…… Faulpie そうだわ。人工レンズだと ぴったりよ、きっと。2個用意してね。 あとは土のクリスタルを使って合成すれば、 ゴブリンそっくりの頭巾ができるはずだわ。 Faulpie ……待って。それと、 これを作るには鉄と布も扱える職人でないと。 依頼する前に、一度確認してみることね。 Faulpie ……ウチで皆伝を許された 革細工師は、みな厳しい修行に耐えた方ばかり。 きっと、嫌な顔ひとつせず協力してくれるわ。 Faulpie ……だから、 お礼は忘れないで。 ゴブリン頭巾シートを捨てた場合 Faulpie ひょっとして…… またゴブリン頭巾シートの注文じゃないわよね? 選択肢:ゴブリン頭巾シートを作ってほしい? はい いいえ(キャンセル) やっぱりあきらめる(クエストのキャンセル) Faulpie ……もぅ、しょうがないわね。 いいわよ。まだ革も余ってることだし。 けど、今度は正規の特注手数料として 100000ギルいただくことになるけれど? 選択肢:100000ギル払いますか? はい いいえ(キャンセル) Faulpie あら、潔いのね。 分かったわ。私、裁断しておくから しばらくしたら、また受け取りにきて。 (指定された材料を合成する) + ... スチール板 鋼の板。 亜麻布 亜麻糸を編んで作った布。 不死の皮 脈動している、ぶよぶよとした皮。 大羊のなめし革 柔軟な大羊のなめし革。 人工レンズ 錬金術師が作り出したレンズ。 モブリン糸 モブリンが開発した人造繊維から作られた糸。 ゴブリンコイフを手にいれた! ゴブリンコイフ 防5 耐火+5 耐氷+5 耐風+5 耐土+5 耐雷+5 耐水+5 耐光-25 耐闇+5 Lv61~ All Jobs ムバルポロス旧市街 (ゴブリンコイフを装備してエリアチェンジする) Gu'Zho Thunderblade やァやァ 遠からん者はァ音にも聞けェッ! 近くばァ寄ってェ目にもォ見よォッ! Gu'Zho Thunderblade ……………… Gu'Zho Thunderblade なんだァぬしかァ。 てっきりィゴブリのォ衛兵かとォ…… Gu'Zho Thunderblade しかしィこれはァすごィ。 どこからァどゥ見てもォぬしはァゴブリだァ。 ではァ、おまえにィこれォ預けよゥ。 だいじなもの ゴブリンの推薦状を手にいれた! ゴブリンの推薦状 クゥダフのグ・ゾが、ゴブリンの代筆屋に 大枚をはたいて書いてもらった彼の推薦状。 見慣れぬ文字でそれらしく書かれているが、 もっともらしい精巧な捺印がむしろ怪しい。 Gu'Zho Thunderblade ムダルボロンスのォ どこかにィ傭兵のォ受付箱がァあるそうだァ。 それにィ推薦状ォ入れるとォ教官がァ来るらしィ。 Gu'Zho Thunderblade これでェ自分もォ やっとォ食ィぶちにィありつけるゥ。 ぬしがァ戻ったらァ祝宴ォあげねばァ。 (Iron Boxを調べる) 誰かが近づいてくる足音が聞こえる! ??? ……おい~待てい。 きさま~人間な分際で傭兵ななら~なんざ~ て~して度胸ざ~な? Goblin Preceptor 我輩な傭兵どむの 訓練をまくされた~る教官であ~り。 貴様な実力、見さ~てむらあ~ではな~か? Goblin Preceptor のかのか見所なあ~り 傭兵であ~り。しかるが態度な生意気であ~り。 我輩、そな腐り~な根性な指導せてゆら~う。 [Your Name]は、Grimoire Guru Grimogekを倒した。 [Your Name]は、Dread Dealing Dredodakを倒した。 [Your Name]は、Bugbear Portermanを倒した。×4 [Your Name]は、Goblin Preceptorを倒した。 (Iron Boxを調べる) ??? まったく ゴブリンときたら、ほんっと頭が悪いんだから。 採用基準として、まず相手の強さを調べるように あれほど私が言っておいたのに………… Mighty Minded Generajiq まぁ! 遠目にまさかとは思ったけれど…… なんだ、やっぱり冒険者じゃない。 道理でゴブリン傭兵が勝てないわけよね。 Mighty Minded Generajiq まぁ、この際 強くて賢ければ、人間でも亀でも鳥でも 何でもござれ。忠誠を誓ってくれるならね。 Mighty Minded Generajiq あら、申し遅れたわね。 私はジェネラゥィック。 ここムバルポロスの……そうねぇ 人間風にいうと「軍師」ってとこかしら。 Mighty Minded Generajiq 驚くのも無理ないわ。 私はこっそり地上に出て見聞を広めてたおかげで 人間の共通語だって普通にしゃべれるし、 大聖堂の屋根裏で女神神学だって学んだのよ。 Mighty Minded Generajiq もっとも、こうして ムバルポロスが地上とつながるまでは 故郷を捨てたつもりだったんだけど……。 あなたも私と同じ。好奇心の塊なんでしょう? Mighty Minded Generajiq …………… Mighty Minded Generajiq 傭兵希望は あなたじゃないですって? じゃあ、何で推薦状を受付箱に入れたの? Mighty Minded Generajiq …………… Mighty Minded Generajiq あきれたお人好しね。 そのグ・ゾとやらに伝えてちょうだい。 腕が立つなら雇ってあげてもいいわ。でも…… たとえ何年かかっても自分の足で来なさい、とね。 Mighty Minded Generajiq それはそうと あなた自身は傭兵になる気はないのね? ……残念だわ あなたほどの手練なら教官として即採用なのに。 Mighty Minded Generajiq まぁ、いずれにしても あの単細胞の勘違いで私たちは配達人に襲いかかり あまつさえ怪我をおわせてしまったってわけよね? この場合は…と、人間はお詫びするのが慣例だわ。 Mighty Minded Generajiq ……そうだわ! その私たちを真似た悪趣味な頭巾を使いましょう。 あの受付箱の上に、それを置いてちょうだい。 (Iron Boxにゴブリンコイフをトレード) Mighty Minded Generajiq …… ずいぶん素直な人間ね。 あなた、私がだますとは考えなかったわけ? なんだか、拍子抜けしちゃったわ…… Mighty Minded Generajiq いいでしょう。 もちろん、私も約束は守るわよ。 チョプリクス先生、いらっしゃる!? Choplix Limblopper なんじゃう、ジェネラ。 気安く呼ぶでねぃわ。あ? 患者な誰じゃ? いってぇ、だこな切り落とすばえぇんじゃ? Mighty Minded Generajiq 違うわ、先生。 この冒険者についていって 道中、治療してあげてほしいのよ。 Choplix Limblopper おぃおぃ、ジェネラ。 冗談な過ぎりぞぃ。くやつら人間なないか? なんど、ワヒなやうな名医様や人間なざ…… Mighty Minded Generajiq あら、先生。 この間、貯蔵庫のワインを盗み飲みした件、 議会に報告して公開裁判にかけてもいいのよ? そうね。あれは90年ものだから、刑期も…… Choplix Limblopper あぁ、もぅ 分くった分くったぁ。皆もで言ぅなぃ。 やりばいぃんじゃろぃ。やりばぁ! Choplix Limblopper おぃ、えぇくぁ、人間~ ワヒなだってぇ評判ったものなあらぃ。 人間な看てなんて同業者な知るてら偉ぇこたじゃ。 Choplix Limblopper さこなじゃ。 おなえな、こなコイフな被って時でけぇ ワヒゃ酔っ払っと、おなえとゴブリン勘違いして うっから治療したまった!というなで手な打たぅ。 Choplix Limblopper ジェネラ ころでいぃじゃらぁ? Mighty Minded Generajiq ええ、合格よ。 それと先生。普段は例の歩法を使って 隠れるように、彼らについていくことね。 ほら、私が教えた東方の…… Choplix Limblopper 言わらんだも、さうすらぃ。 ワヒなて人間な街で袋叩けすれるなごめじゃらぁ。 いぃのぉ、人間? いつなぁ、治療したるとな 限らんぞ。ワヒな気分しでぇじゃて。覚えたけぃ。 Mighty Minded Generajiq はい、どうぞ。 このコイフを返すわ。 チョプリクスコイフを手にいれた! チョプリクスコイフ Rare Ex 防10 耐火+10 耐氷+10 耐風+10 耐土+10 耐雷+10 耐水+10 耐光-50 耐闇+10 エンチャント ゴブリンヒーロー召喚 Lv75~ All Jobs 30/30 0 30/[20 00 00, 0 30] Mighty Minded Generajiq あの先生 いつもあんな調子だけど、腕だけは確かなの。 Mighty Minded Generajiq 今までも 落盤事故にあった何人ものモブリン労働者が 彼のおかげで一命をとりとめてきたわ。 Mighty Minded Generajiq きっと、あなたも 彼に命を救われることがあるはずよ。 Mighty Minded Generajiq それでは、お別れね。 あなたはクゥダフに顛末を伝えなきゃならないし 私は優秀な傭兵教官を探しに地上に旅にでなきゃ。 ……んっもう、あなたのせいよ。 Mighty Minded Generajiq フフフ、冗談よ。 あなた、なかなか見所があるわ。そうね、もし 人間社会が嫌になったら、ここにいらっしゃい。 Mighty Minded Generajiq ここは、暗くて 暑くて、じめじめしたところだけど、少なくとも あなたの安らげる場所は用意してあげられるわ。 Mighty Minded Generajiq じゃあ、また どこかで会いましょ。グゥ・ビォンゴッ! 称号:モブリンキンズマン (Iron Boxを調べる) ……鉄の箱がある。 なにやら文字らしき紋様が縁に刻まれているが モブリン文字なのか、読むことはできない。 (チョプリクスコイフを装備してエリアチェンジする) Gu'Zho Thunderblade おお、ごくろゥだったなァ。 それでェ担当者はァどこにィ? 自分ならァ技ォ見せるゥ準備もォ…… Gu'Zho Thunderblade ……………… Gu'Zho Thunderblade ……そうかァ。 いたし方ァ、あるまィ。 そのモブリのォ言うとおりだァ。 Gu'Zho Thunderblade しかしィ、自分にはァ 時間がァなィ。さっきィ通りかかったァ ゴブリにィ聞いたのだがァ…… Gu'Zho Thunderblade 脱走したァ自分にィ 金剛王がァ莫大なァ懸賞金ォかけたそうだァ。 全国のォ賞金稼ぎがァ自分ォ血眼になってェ 探しているといゥ。ここもォ危なィ。 Gu'Zho Thunderblade これはァ少ないがァ 約束のォ礼だァ。ぬしはァ自分とのォ 約束を守りィ推薦状ォ届けたのだからなァ。 獣人金貨を手にいれた! 獣人金貨 クゥダフの鋳造した金の硬貨。 獣人社会で広く流通している。 Gu'Zho Thunderblade 自分はァ決めたァ。 近々ァ大きなァ戦がァ近東でェあるらしィ。 自分はァそこに渡りィ生きる場所ォ探してみるゥ。 Gu'Zho Thunderblade ぬしにはァ世話になったァ。 もっとォ早くゥ互いにィ知り合っていればァ…… ……いやァ止めておこゥ。 Gu'Zho Thunderblade もゥ会うこともォあるまィ。 達者でなァ………… Gu'Zho Thunderblade もしィ、ぬしがァ 近東にィ渡ることがあったらァ、自分ォ訪ねろォ。 自分がァ成功していたらァ、一のォ部下としてェ 雇ってやるぞォ。グハハハハハハハッ…… ▲ ■関連項目 オークの謙譲 , クゥダフの博雅 , ヤグードの勇胆 , ムバルポロス旧市街 Copyright (C) 2002-2021 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
https://w.atwiki.jp/marcher/pages/160.html
←Dive into the“FUTURE”(中)その微笑みは春の風。 その唇は野花の吐息。 そのまなざしは、美しき闇。 里沙は、その名を知っている。 里沙は、その優しさを知っている。 里沙は、その強さを知っている。 その名は、安倍なつみ。 その優しさは、闇に囚われた心を淡雪で照らしてくれた。 その強さは、暗黒の中を生き抜く術を授けてくれた。 茫漠とした無機質に覆われた精神空間を、高橋愛の姿をした里沙は一歩ずつ踏みしめるように歩いていく。 この時、里沙はまだ気付いてはいない。 安倍なつみに近づいていくその歩みは、巣立ちなのだという事を。 「…ちょっとだけ…力を貸してね」 元の姿に戻った里沙のその言葉は、静かな声ではあったが、強い決意が込められていた。 里沙には戦う理由がある。 里沙は知らなければならない。里沙は取り戻さねばならない。 ガーディアン安倍なつみの両手から無数の白い破壊エネルギーの鷹が生み出された。 己の目の前にいるサイコ・ダイバーが先程まで相手にしていた者よりも相当に手ごわいと、そう察知したのだろう。 天空にかかる星座のように白の鷹が里沙を取り囲み、そして一斉に襲いかかった。 「発火ァ!」 一陣の炎が、空を駆ける竜のように里沙の手から放たれ、迫りくる破壊の鷹を焼き尽くす。 この力は紛れもなく、リゾナンター銭淋の発火能力だ。 ここにきて、吉澤ひとみは自分が里沙のために稼いだ1分間がどういうものであったかに思いを巡らせた。 考えてみれば、里沙は変身を得意とするダイバーである。 ものの1秒かそこらで猛禽の翼を生やしたり、四肢を獣に変えたり出来る里沙が、 良く知っている人間に化けるのに必要な時間が、たとえ能力を再現するとしても、1分というのは長過ぎる。 「まさか…あいつ…!?」 驚嘆に満ちた声が、吉澤の唇からこぼれ落ちたのと時を同じくして、 炎の壁の向こうから破壊エネルギーに生み出された白の虎が里沙の喉笛めがけ牙をむいた。 里沙は、すうっと息を吸って虎を睨みつけ、そしてその再び姿を変じた。 グロゥ! 一閃! 獣に変じた里沙の鉤爪が、虎の顔面を一瞬にして吹き飛ばした。 白い破壊エネルギーのスパークが、獣の腕をズタズタに引き裂きながら天に帰っていく。 ホワイトスノーを李純の獣化能力で『殴った』のだ。 破壊エネルギーの結晶を直接殴るなど、あまりにも無茶である。しかし、無茶はしても無謀はしないのが新垣里沙だ。 血を流す獣の腕が、人間のそれに戻ったと同時に、ガーディアン安倍なつみの右腕から鮮血が迸った。 なつみは、己の腕からこぼれ落ちる血に視線を落とし、そして里沙を不思議そうな顔で見つめた。 里沙の目は、真夜中の湖面にも似た静けさを湛えている。この静けさの持ち主は、亀井絵里をおいて他にはいない。 湖面の静けさが白い陶器のような肌と長い黒髪に彩られていくにつれ、里沙の傷がふさがっていく。 亀井絵里の傷の共有。そして道重さゆみの治癒能力。 ぐっ、と里沙は右手で拳を作った。こちらの傷は治ったという意思表示だろうか。 「あいつ…!一人でリゾナンターをやるつもりか!?」 里沙の1分は、つまり吉澤ひとみが命がけでもぎ取った1分は、つまりはこの為にあったのだ。 単独で安倍なつみに勝る能力者はいない。 ならば力を結集するしかない。 響き合う心の戦士達の力が、数多のたたかいで傷一つ負わなかったあの安倍なつみに一矢報いたのだ。 …忘れて、下さいね 先程の里沙の言葉が吉澤の脳裏に響いた。 新垣里沙はもう、こちら側の人間ではない。少なくとも心はこちら側にはない。 その事を、たったひとかけらの言葉も使わずに、諜報機関の長である吉澤の前で、あまりにも饒舌に物語ってしまっている。 「お前…何やってんだよ…」 かつて、里沙は己の精神干渉能力を“薄汚い力”だと自嘲した事があった。 サイコ・ダイバーは他人の心に潜り込み、操る。それを里沙は、薄汚い行為だと言った。 人の心は聖域なのだ。他人が気安く触れていいものでは決してない。その事を里沙は誰よりも強く知り抜いていた。 その新垣里沙が今、己の聖域をさらけ出しながらダークネス最強の能力者安倍なつみと死闘を繰り広げている。 それが何を意味しているのか、どれ程重大な事なのか、本人に自覚はあるのだろうか。 一体何がそうさせる?お前を衝き動かす力は何処から来ている? 吉澤は唇を噛みしめながら、かつての(最早そう言うべきだろう)部下のたたかいを目に焼き付けていた。 「忘れられる訳…ないだろうが」 ゆらり、と里沙が動いた。 このしなやかな四足獣を思わせる独特の緩急をつけた歩法は、田中れいなのそれだ。 迫りくる白の獣どもの攻撃を恐るべき反射神経と身体能力でくぐり抜け、そして更に久住小春の念写能力を併用し、 安倍なつみとの距離を詰めるのに最も適した位置へその身を滑り込ませていく。 ―安倍さん。教えて下さい 迫りくる狼の一撃をすり抜けながら、里沙は思う。「いつからだろう?」と。 なつみの顔から微笑みが失われてしまったのは、一体いつからだろう。 心に一輪の花を咲かせてくれたあの微笑みは、何故失われたのだろう。 ―もう一度、あの笑顔を見せて下さい。 里沙には分かるのは、きっとなつみは何かとてつもない運命と向き合っているという事だ。 誰よりも強く、誰よりも優しかった安倍なつみが、その笑顔を捨てて挑まざるをえない運命。 それが一体何なのか、ひょっとしたら飯田圭織の精神にその手掛かりがあるのではないか? 里沙の直感は、すがるような気持ちで吉澤の誘いに乗り、そして今、ガーディアン安倍なつみと対峙している。 ―そのためなら私、安倍さんとだって… ざりっ、と無機質の精神空間に里沙の足音がした。里沙が動きを止めたのだ。 いつの間にか、里沙の周囲をホワイトスノーの猛獣どもが取り囲んでいる。 意志を持つ破壊エネルギーは、すり抜けられていると見せながらも、巧妙に里沙の退路を塞いでいたのだった。 この手際のあざやかさは、安倍なつみという完成された一個の戦士が生み出した芸術であると言ってもいい。 最強の戦士の水も漏らさぬ包囲網が一斉に里沙に襲いかかった。 「戦います!」 里沙の姿がかき消えた。 次の瞬間、里沙の姿は安倍なつみの丁度真後ろにあった。空間を跳躍したのだ。 敵のすぐ後ろにテレポートして強烈な蹴りの一撃をお見舞いするというのは、高橋愛が最も得意とする戦法である。 実戦の中で磨き上げられてきたリゾナンター高橋愛の技が、里沙の道を切り開いた。 中空から里沙の右足が安倍なつみの後頭部へ振り下ろされようとしたその時、声が、聞こえた。 「…オリ…カオリ…」 里沙の動きが止まった。この声を聞き間違える事は絶対にない。 ―安倍さんの声…?どこから? なつみの口から発せられているものではない。 基本的にガーディアンは喋らない。喋る必要がないからだ。 里沙の視線が、なつみの右手から滴り落ちる血を捉えた。 ―右手?右手から声が聞こえる? 里沙となつみの周りを、夥しい数の白い獣どもが取り囲み、そのまま動かずにじっとしている。 二人の距離があまりに近すぎるため、仕掛けようにも仕掛けられないのだ。 本物の安倍なつみならこの距離からでも相手を倒す手段は持っているのかもしれないが、飯田圭織にはその知識がない。 つまり、これ程なつみに肉薄した能力者の存在が皆無であったという事の証明でもある。 「待って!」 間合いを離そうとするなつみの右腕を、里沙は反射的に掴んだ。 なつみがその手を振り払おうとすると、血がしぶいて里沙の頬にかかった。 声が、さらに鮮明に聞こえてくる。 「どうしても…カオリが犠牲になんなきゃいけないの…?」 「犠牲だなんて思ってないわよ私は。こうするしかないからやるだけよ」 なつみの会話の相手は飯田圭織本人のようだ。 里沙はガーディアン安倍なつみを構成する精神が、この二人の会話による物だという事に気付いた。 熟練のダイバー二人を全く寄せ付けない圧倒的な戦力は、この時の飯田圭織の思いの強さの表れだったのだ。 「世界を守るためなら何でもやるって、決めたのはアンタでしょ」 「でも、だからってカオリが」 「私が消えなきゃダメなのよ。私は予知能力者なんだから」 「そんなのあんまりじゃない!」 「いい年こいて何甘ったれた事言ってんのよ!」 飯田圭織の声が荒くなると同時に、これまで殆ど無表情であった里沙を見つめるなつみの顔が悲痛な色に染まった。 まるで子供が「イヤイヤ」をするように、激しく手を振って里沙から逃れようとしている。 断片的な会話からではあるが、この時の二人が話している内容は、なつみと飯田圭織、組織についての重大な秘密に関わる物だと里沙は直感した。 「お願い!声を聞かせて!」 絶叫に近い声で、里沙は必死になつみの腕を掴む。 なつみが激しくもがく度、腕からの血が里沙の頬を濡らしていく。 声は、さらに鮮明さを増した。 「私の予知は当たるのよ」 「うん…知ってる」 「私の見た未来は、未来の世界は……」 「駄目…だったの?」 「組織は世界を征服しようなんてやってるけどさ、それは世界あっての話でしょ?」 「私達、あれだけの事したのに、まだ足りないの?」 「まだ足りないかどうかはもう私には分からない。でもアンタはやんなきゃなんない」 「未来に何の希望も無いんだったら、私だって頑張れないよ!」 「何の希望もない未来は、少なくとも私が見た未来は、私が責任持って連れていく」 ―飯田さんの見た未来…? 数ある超能力の中で、予知能力というものは、最も特殊な力の一つであろう。 現に、リゾナンター7人の能力をコピーしてのけた里沙でさえ、光井愛佳の予知能力は再現できない。 「私が見た未来はね、“私ありきの未来”なのよ。だから私がいなくなれば、未来は変わるかもしれない」 「でも全然保証なんてないんでしょ?」 「私の予知は当たるの。何回も言わせないで」 「カオリ…」 「保証なんてこれっぽちも無いけどさ、私を未来に連れてくわけにはいかない」 「カオリが犠牲になんなくても、どうにかできる方法探そうよ?」 「なっちさあ…私、アンタのそういう優しい良い子ちゃんな所、昔っから嫌いだったのよね」 ガーディアン安倍なつみは里沙の顔を凝視したまま、その目から涙をこぼした。 里沙は今、紛れもなく飯田圭織の聖域を目の当たりにしている。 少女の坂をやっと登りきったばかりの里沙の胸に、一人の予知能力者の凄烈な決意がのしかかる。 「でも、信じてるからさ、なっちの事。アンタならやり遂げられる」 「私…そんなに強くないよ…」 「安倍なつみ!アンタは誰よりも強い!アンタがくじけたら世界はお終いなのよ!」 「私、強くなんなきゃいけないの…?」 「今まで私達はどれだけ血を流してきた?どれだけの屍を踏み越えてきた?7年前の中国の事、忘れてないよね?」 「忘れられる訳、ないよ」 「私達はまだ途中なの。私達は未来を次につながなきゃならない。それが私達の責任なのよ」 「私…今まで数えきれないくらい酷い事してきた。ここで逃げたら、私はただの酷い奴になっちゃう」 「そう。どっちにしろ私達のやってきた外道は消す事は出来ない。だったらせめてさ」 「世界を守った酷い奴になれって?」 「世界を守った酷い奴か!いいね、それ!」 ガーディアン安倍なつみは口を開け、何か言葉を発しようとしている。 ガーディアンが喋る。里沙の経験の中には前例が見当たらない。 それが、ホワイトスノーの獣どもの包囲網が狭まっていた事への里沙の反応が遅れた一因になった。 「カオリ!」 なつみがそう叫んだと同時に、白の破壊エネルギーが一斉に里沙となつみに襲いかかった。 きっと、飯田圭織が最後に聞いた言葉だったのだろう。 それがガーディアンごとこの聖域に踏み込んできたダイバーを排除するためのトリガーだったのだ。 「ちいい!」 とっさに里沙は高橋愛の姿を借りて瞬間移動能力を発動した。 とてもではないが、なつみを無理やり引っ張って跳ぶ余裕はなかった。 ギリギリのところで獣の脅威から逃れ、里沙は上空に身を躍らせた。 「安倍さん!」 上空から、破壊エネルギーのスパークが安倍なつみの小柄な体を飲み込んでいく光景が見えた。 まるで雪がなつみを覆い隠していくようだった。 白雪の光が収束した、と思った瞬間、なつみが立っていた場所から闇が奔流となって噴き上がってきた。 ―くぅ! 闇は天空に立ち昇り、物質的な質量をもって里沙の体を包み込んでいく。 闇の奔流に翻弄されながらも、里沙は目を見開いて闇の奥を見通そうとした。 この闇。この闇こそが飯田圭織の精神のガーディアン安倍なつみが守ろうとした物に違いない。 ―闇が溢れる…!これが飯田さんが予知した未来? ガーディアンが消え去ると共に、飯田圭織のパンドラが開け放たれたのだ。 彼女はこの闇を抱え込んで己の精神を封じ込めたのだろう。 世界を闇に包みこませるわけにはいかない。そのために、飯田圭織は己の精神を殺した。 なつみはその意志を引き継ぎ、笑顔と、優しさを捨てたのだと、闇に包まれながら里沙は思った。 ―真の闇…こんな物が世界を飲み込む未来が来てしまうの…? 絶望的な闇の奔流を受け止めながら里沙は、闇の奥にぽわんと揺れる、小さな光を発見した。 光はだんだんと里沙に近づいてくる。 そして近づくにつれ、光の中に浮かぶ風景が里沙の目に入ってくる。 夜の駅のホームで、制服姿の少女がベンチに座り、物憂げに俯いていた。 この少女を里沙は知っている。あまりにもよく知っている。 「光井…!」 飯田圭織が己の精神と引き換えに託した希望は、パンドラの底にあるものの名前は、光井愛佳であった。 リゾナンターの予知能力者、光井愛佳。もう一人の予知能力者であるこの少女に、彼女は未来を託したのだろうか? 里沙は闇の奔流をくぐり抜け、少女が浮かぶ光に手を触れた。 瞬間、光が弾けた。 一つの光が、九つの光となって、闇の中を天に昇っていく。 光の一つ一つに、ビジョンが浮かんでいる。すべて人の顔であった。 すべて里沙がよく知っている人物の顔だった。 高橋愛。 亀井絵里。 道重さゆみ。 田中れいな。 久住小春。 光井愛佳。 李純。 銭淋。 そして、新垣里沙。 ―私?私がみんなと一緒にいる? ―私はリゾナンター? ―飯田さんが未来を託したのは私達? 瞬間、急速に里沙の意識が遠のいていった。 「……おい、生きてるか?」 里沙は、誰かに頬を叩かれた感触で意識を取り戻した。 ドッドッドッドと、地鳴りのような音がする。 「とんでもない奴だねえ、まったく」 「吉澤さん…?」 「あんだけやりゃ、もうヘロヘロだろ。乗んなよ」 そう言って吉澤は後ろに顎をしゃくった。 吉澤が作り出したバイクがエンジンを唸らせている。地鳴りのような音はこの音だったのだ。 「あの…吉澤さん」 「さっきの約束なら憶えてるよ、忘れろっつうんだろ?」 「すいません…」 「これ以上ここにいてもしょうがねえし、詳しい話は後にしよう」 吉澤は殆ど抱きかかえるようにして里沙をバイクに乗せ、出口へ向けて走り出す。 タンデムシートで里沙は吉澤に寄りかかりながら、全身を包む疲労感に身を任せていた。 午前3時。新宿。BAR『ドレイク』 落ち着いた内装と、アジアン・テイストの音楽が特徴のこのバーは、吉澤ひとみ行きつけのバーの一つである。 組織の転送ゲートが開く予定の時間まで、ここで里沙と吉澤の二人は時間を潰すことにした。 元々飲みに行くという名目で本部を抜け出してきたのだから、アルコールが入っていた方が都合がいい。 「で、何か収穫はあったかい?」 吉澤はマティーニに添えられたオリーブを弄びながら、里沙に声をかけた。 飯田圭織に一体何があったのか?その答えを手に入れなくては今夜の一件は完全に徒労である。 「飯田さんは、自分から眠りについたんです」 「自分から?何で?」 「…分かりません」 果たしてあの時の二人の会話を、誰か別の人間に話すべきなのかどうか、里沙には分からなかった。 自分がこの先どう振舞うべきなのか、それも里沙には分からなかった。 「そうか…分かった」 「え?」 「分からねえって事が分かったって事さ」 軽く微笑んで、吉澤はグラスに口を付けた。その仕草が様になっている。 里沙もそれに倣ってぐいっと喉の奥に流し込んだ。途端に胸が熱を帯びて、視界が揺れた。 「強いですね…コレ」 「マティーニ一気でいっちゃってまあ…大丈夫か?」 しかも、里沙が飲んだのは吉澤好みのとびきりドライなやつだ。 酔いが急に回り、里沙の口から滑るように言葉が吐きだされた。 「吉澤さん。私どうすればいいんでしょう」 「どうするって、何をだよ」 「分かりません」 「分かっている筈だ」吉澤は口に出さず、そう確信していた。 ガーディアン安倍なつみとの戦いで見せたあの力は、本人に自覚がなかったとしても、 その心が今何処にあるか何よりも雄弁に語っていたのだから。 ―私と、この新垣と、何が違うのだろう? 吉澤ひとみにも新垣里沙にも守りたい物はある。きっと、安倍なつみにも、飯田圭織にもあったのだろう。 しかし、新垣里沙が守ろうとしている物は、他者のそれとは意味合いが違うのだ。 里沙が守りたい物は、こちら側にいては守り通せない。 だから里沙は、里沙の心はルビコンを越えた。 その事に自身が気付くにはもう少し時間がかかるかもしれないとしても、里沙は向こう側へ渡ったのだ。 何かかける言葉を探しながら里沙の方に視線を移すと、里沙はカウンターに肘をついたまま眠りに落ちていた。 限界を超える能力発動の疲労が、さっきの一杯でどっと表に出てきたのだろう。 その寝顔のあどけなさときたら、まるで子供かと思う程だ。この小さな体に、どれだけの決意が秘められているのだろうか。 「面倒な事になんなきゃいいけど…」 吉澤ひとみは里沙の寝顔と手元の酒を見比べながら、そうポツリと呟いた。