約 1,257 件
https://w.atwiki.jp/kenkaku/pages/93.html
血だるま剣法/おのれらに告ぐ◆F0cKheEiqE 獲物を求め、休む事も知らず、ただ夜道をひた走る一匹の狂犬がいる。 その狂犬は、左右に長い太刀を引っ提げ、月代はおろか髷すら結わぬ蓬髪を風に靡かせ、 血や土や埃で汚れきった着流し一枚に、粗末な腰帯を一つ締め、 ぼろぼろで今にも潰れてしまいそうな草鞋を素足に直接履いている。 顔も着物と同様、血や埃でドロドロに汚れきっており、 元々どちらかと言えば細い頬は、斬って削いだ様に扱けて、 その異様な精気に輝く恐るべき双眸がなければ、乞食浮浪者にしか見えないだろう。 口からは、グォォ、と人の発するとは思われぬ異様な獣の如き呻きあげ、 一心不乱に唯走り続ける姿は、正に鬼気迫ると言う形容が相応しい… この男、岡田以蔵が以上の様に走り始めていったいどれ程の時が経ったか。 小半刻ほどだったかも知れないし、それ以上、あるいはそれ以下だったかも知れない。 一つだけ確かな事は、最初に遭遇した老人、“剣聖”上泉伊勢守を除いて、 この島の南西部に広がる城下町や、 聳え立つ帆山城の天守閣がすぐそこに見える程度に城下に近づくまでの過程では、 人っ子一人出会わなかった事だけであろう。 だが、そんな寂しい孤独な道行きも、これで終いだ。 城下には恐らく人が集まっているだろう。 老いも若きも、男も女も。 多くの人が集まっている事だろう。 そして、その全ての人間が余すことなく、以蔵の『復讐』の対象なのだ。 このまま走れば、すぐに到達できるほどの距離に、橋の様な物が見えてくる。 外堀で隔てられた城下町と外とを結ぶ『渡し』の一つだ。 求めるものが見えて、以蔵は初めてニコリと血笑し、さらに足を速める。 ただでさえ異様に速かった足をさらに速めた為か、 草鞋の緒が切れて、ボロボロだった草鞋の片方が、バッとほつれながら宙に飛ぶ。 砂利などで、たちまち以蔵の足はズタズタになるが、気にとめない。 そもそも、ここに来るまでの間に、伊勢守との戦いや、野の草や枝の為に、 彼の体には少なからず傷が付き、血を滲ませているのだが、 彼は見向きもしないのだ。 正に、葉隠れに言う『死狂ヒ』の境地に、彼はあった。 『渡し』は既に目前であったが、その時であった。 ユラリと、陽炎の如く、『渡し』の上に、細い人影が一つ、出現したのである。 黒装束を着たその男は、まるで闇から抜け出て来たの如くであった。 常人なら少なからずぎょっとする様な不気味な出現であったが、 今の岡田以蔵は尋常の精神状態に無い。 グ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ッ ! 獣の如き咆哮を挙げ、頬まで裂けるような邪悪な笑みを浮かべると、 二本の凶刃を天に振り上げ、黒い青年に襲い掛かったのであった。 『渡し』の上で刃鳴が散った。 ◆ 岡田以蔵は土佐の『郷士』の生まれである。 『郷士』と言う階級は、江戸時代においては実に複雑な存在であり、 その定義付けにはかなりの解釈の違いがあり、一概に語る事は出来ない。 ただ、土佐において『郷士』と言えば、土佐藩主の一族である山内一族が入って来る前、 土佐を支配していた土着の長宗我部氏に仕えていた在地の武士達の事である。 関ヶ原の結果、西軍についた長宗我部氏は改易になり、土佐は山内一豊の知行地になったが、 彼ら長宗我部氏遺臣団は山内氏に支配に抵抗し、たびたび一揆を行った。 山内一豊は断固としてこれを粉砕し、 結果、長宗我部氏遺臣団は、外来の山内の家臣達『上士』より下に位置する『郷士』として、 山内氏の土佐支配の機構に組み込まれてしまったのである。 『郷士』は一応名目上は武士階級であるが、 『上士』との身分差は絶対的で、『郷士』は徹底して差別され、 直接刃を交えるような戦いは、慶長八年の「滝山一揆」以来途絶えたものの、 水面下での陰湿な対立は幕末まで続いた。 岡田以蔵はこの『郷士』の生まれなのだ。 一応彼は父の由来で上士である「足軽」の身分を持っていたが、 それでも、武家社会の最底辺に属することには変わりはない。 彼は人間としてかなり歪んだ精神の持ち主であった事は周知の事実だが、 彼の人格形成にこの生まれの卑しさが深く関係しているのは、恐らく間違いあるまい。 長い江戸を通じて、武士階級の大半は困窮し、下級武士など、 なまじ身分的制約故にその生活は悲惨なものだったと言うが、 岡田家も決しては豊かではなかった。 武市半平太に誘われ、小野派一刀流に入門した以蔵だったが、 道場稽古では度々常軌を逸した凶暴性を見せたという。 恐らく、生まれの卑しさに故に、 常に見下げられて生きてきた事に対するねじくれた怨念が、 時に噴出し、数々の乱暴に結実したものだと思われる。 土佐勤王党に入った後も、 『腕は立っても、それだけしか能の無い、無教養で卑しい生まれの男』と言う、 周りの偏見の目は変わらなかった。 否、なまじ腕が立ったが為に、数々の暗殺の血名と共に、一層恐れられ、煙たがられた。 そして、回りが彼をのけ者にすればするほど、以蔵はより一層世を拗ね、精神はねじくれ、 それ故に世間のとの溝はさらに深まると言う負の螺旋は、 下方へと向けて怒涛の如く下がるにまかせていた。 この負の螺旋が極まれば極まるほど、反動の様に武市への精神的依存も強くなっていった。 以蔵にとって、武市はこの世にあって唯一信頼できる人物であった。 神のように信頼してもいい人だと信じていたのだ。 その武市が、彼を裏切った! 武市に対する絶対的な敬愛は、 最早収まること知らないこの世への憎しみ、そして怒りとして爆発した。 果たして彼は、彼を見下げ続けたこの世に対する復讐を開始したのである。 ◆ 月下の『渡し』の上で、血煙りが宙を舞っていた。 しかし、それを生み出しているのは、以蔵の二本の凶刃では無い。 意外な事に、その発生源は鱠切りにされた以蔵の肉体であった。 「ガァァァァァァァッ!」 獣の如き咆哮と共に、二本の豪刀がぶぅんと唸りをあげて振るわれる。 一刀流はおろか、介者剣術ですら無い盲目滅法な出鱈目な太刀筋だが、 箍の外れた恐るべき怪力によって風車の如く振るわれる白い刃の旋風は、 まるで台風の様であり、迂闊にその射程圏内に入れば、 力任せにブツ切りにされるか、怪力に弾き飛ばされるか、といった具合の凄まじさであった。 にもかかわらず… ゆ ら り 以蔵と対峙している黒装束の美貌の若者の影が揺らぐ。 つい先ほどまで青年があった空間を、空振りの豪刀が通り過ぎた。 そして、 ゆ ら り 再び青年の影が揺らぐ。 気が付けば、青年は以蔵の懐に飛び込んでいた。 「グォッ!」 以蔵は急いで青年に向けて太刀を振るうが、 青年は逆手の脇差を振るうと、 例の奇妙な動きで以蔵の太刀をかわしながら間合の外に逃げ出してしまう。 再び以蔵の太刀は空を斬ったのみで、 以蔵には新たな傷が一筋増えていた。 致命傷には程遠いが、傷よりの出血は確実に以蔵の体力を奪っていく。 既に全身の彼方此方に同様の傷を無数に作った以蔵は、 流れ出る自身の血液により血だるまになっていた。 さきほどから、これの繰り返しであった。 今の以蔵の豪刀は、一撃でも相手の体に触れれば、 ただ斬れるでは済まない恐るべき重傷を相手に与えるだろう。 だが、触れられないのだ。 『渡し』の上に突如出現した黒衣の青年は、 逆手に構えた脇差以外には如何なる武器も持ってはいなかったが、 にも関わらず以蔵はかつてない苦戦をこの青年相手に強いられていた。 苦戦の原因は、青年の奇妙な動きにあった。 それはおよそ一切の流派に、聞いた事も見た事もない奇怪な動きであった。 まるで地面を滑るような奇妙なその歩法は、 緩急自在に流れるように動き、 まるで陽炎でも相手にしているかのごとく以蔵を幻惑し、 以蔵の豪刀は悉くこの動きにすり抜けられてしまう。 そして、気が付けば相手はこちらの懐に入り、逆手の脇差で斬りつけて来るのだ。 否、脇差ばかりでは無い。 空いた片方の拳、両の足すらも青年は自在に操り以蔵を撃つ。 “柔”と動きを異にする、以蔵にとって未知のその格闘術に、以蔵は為す術も無い。 恐らく、理性がある時の以蔵でもこれには抗しがたかったであろう。 青年の操る“拳法”は、土佐の田舎者である以蔵など知る筈もない、 日本の格闘技とまるで体系が異なる大陸伝来の武術なのだから。 常の剣術の使い手で、この若き美貌の“忍法”剣士、 四乃森蒼紫に対抗できる剣士がどれほどいるだろう。 弱冠一五にして、御庭番衆御頭の地位を先代より継いだこの恐るべき若者は、 『流水の動き』という、独自の技を操る。 『流水の動き』 その名如く、まるで己を流水であるかのごとく、 緩急自在に移動し、相手の攻撃を避け、幻惑する技である。 静動のハッキリとした常道の剣術を修めた者には、 その動きを見切るのは著しく困難だ。 ましてや、技も忘れた今の以蔵には不可能と言っても過言では無い。 皮肉な話だが、先ほど以蔵が圧倒した上泉伊勢守ならば、 蒼紫の『流水の動き』の動きとて容易く破ったであろう。 いかにそれが異形の剣であろうと、 天下を巡ってあらゆる奇剣・妖剣、果ては忍術や妖術とすら対戦し、 その悉くを打ち破ってきた伊勢守に見切れぬはずなどあるまい。 技無きが故に伊勢守を退けた以蔵は、 今度は逆に技無きが故に、 この技術主義の極致ともいえる『流水の動き』に手も足も出ないのである。 青年と以蔵が遭遇してから早十分… 以蔵の足元には血の池が広がっていた。 全身余すことなく刀傷と打撲に覆われ、凄絶無比の様相を呈している。 一方、蒼紫の体には傷一つ無く、怜悧な美貌には笑み一つ浮かんでいなかった。 (そろそろか) 蒼紫は、地面に染み込んだ以蔵の血の量と、 息の上がりきった現在の以蔵の様子を見て、 この勝負の終りの時も近いと判断した。 以蔵の二本の豪刀… あれは危うい。 “天才”のあだ名に恥じぬ蒼紫の慧眼は、 以蔵の二本太刀の秘める恐るべき威力を即座に喝破したが、 それ故に以蔵の剣に真っ向から立ち向かうという道を真っ先に捨てた。 技も糸瓜も無い滅茶苦茶な太刀筋だが、 力のままに振るわれるその剣速たるや相当なモノであり、 蒼紫と言えども迂闊に踏み込む事は出来ない。 突っ込んでくる猪に真っ向から構える猟師などいない。 蒼紫は、イスパニアの闘牛士のように、 徐々に徐々に以蔵の体を傷つけ、体力を奪う戦法を執った。 そしてその戦法は確実に効を現しつつあった。 依然、獣の様な呻き声をあげつつ太刀を振り回す以蔵だったが、 その剣速は確実に速さを失い、足はふらつき、息は上がりきっている。 自制する事無い無軌道な体の行使と、大量の出血が、確実に以蔵の体力を奪っていたのだ。 「最後に…御庭番衆剣法の真髄で屠ってやろう」 最早何太刀目かすらわからぬ空振りを避け終えた蒼紫は、怜悧な無表情のまま、 血走った眼でこちらを睨みつける以蔵にそう抑揚の無い声で告げた。 ゆらり、と蒼紫の姿が揺らぐ。 しかし、それからの動きが、これまでの彼の動きとは一変していた。 まるで踊るような、正に剣舞の如き誘幻的な太刀の運びをしながら、 ゆっくりと以蔵の周囲を回り始めたのである。 それは、長い歴史を持つ隠密御庭番衆により編み出された実戦剣舞… 「終りだ…」 蒼紫のかつてない動きに、本能的に危機感を覚え、 一層出鱈目に振るわれた以蔵の太刀筋をするりと避けた蒼紫は、 いつの間にか以蔵の背後で跳躍し… ザンッ! 「流水の動き」の真髄、『柔』からの翻る様な『激』への反転、 疾風の如き三筋の剣撃は、とっさに盾の如く翳された以蔵の研無刀もろとも、 以蔵の胸部を三筋に断った。 回転剣舞 四乃森蒼紫が、これまで江戸城に侵入した敵隠密を、悉く血の海に沈めてきた必殺の秘太刀であった。 ◆ 蒼紫は地に臥した以蔵を背にして、城下へ再び戻ろうとしていた。 恐るべき怪物ではあったが、所詮彼の敵では無い。 最後の御庭番衆御頭として、 戦うべき時に戦えず、死ぬべき時に死ねなかった男が、 望んでも得られなかった、彼が求めてやまなかった戦場がここにある。 故に求める物は戦い。 新たなる戦いを求めて再び血戦の城下へと蒼紫は足を進める…つもりであった。 「ありがとな…」 驚愕に眼を見開いた蒼紫が背後を振り返る。 「血ぃ抜けたお陰で…少し眼ぇ覚めたぜよ…」 胸部から血を流しながら、右手の野太刀を杖に立ちあがる岡田以蔵の姿がそこにはあった。 さらに言えば、目は相変わらず血走ってはいるものの、そこには理性の光が戻っている。 「貴様・・・何故生きている?」 「さあな・・・ワシもてっきり自分が死んだもんだと思うたが、どっこい生きとるなぁ」 以蔵が今生きているのは、鍛え抜かれた胸の筋肉と、盾として翳された研無刀の異様な頑丈さ、 そして、回転剣舞が入りきる直前に蘇った剣士の本能故であった。 「来いや・・・まだ終わっとらんぜよ」 「死に損ないが・・・いいだろう。今度こそ仕留めてやろう」 傍から見ればどう見ても死に体にも関わらず、以蔵の眼にはさらに強くなった殺意と闘志が宿っている。 以蔵の言葉に、蒼紫は戦士として相手を斃すべく、再び死の剣の舞を舞う。 「無駄だ…今の貴様には、俺の『流水の動き』を捉えることなど不可能だ」 「へへへ・・・・」 事実である。理性が戻ったところで、以蔵の腕で敗れる術理では無い。 しかし、以蔵の顔に浮かんでいるのは不敵な血笑であった。 「今度こそ・・・本当に終わりだ!」 逆手の脇差が、死の白光を閃かせ、以蔵の背後より遅いかかる。 以蔵は振り向くが、太刀での防御は間に合わない。 白刃は以蔵の体に迫り… 「馬鹿な」 以蔵の空いた左手に捕獲されていた。 回転剣舞唯一の弱点、『流水の動き』から逆手小太刀の一撃に切り替わる『動』の一瞬、 それを、剣の腕では蒼紫に遥かに劣る以蔵が捉えられたのも、 これまで文字通り血を流して『流水の動き』を喰らい続けたが故であった。 その代償は左手一本。 鉄拵えの鞘を輪切りにし、研無刀をも斬った回転舞の太刀筋は、 受けた以蔵の掌を中指と薬指の合間より割り切って、腕の半ばまで到達し、 骨に引っ掛かってようやく止まっていた。 もう左手は使い物になるまい。 が、 「捕まえたぞ…」 「!」 「ようやくてめぇを捕まえた!」 「クッ!」 以蔵の叫びに、蒼紫は咄嗟に体を逃がそうとするが、 「遅ぇっ!」 以蔵の野太刀の方が速い! 誰が予想し得た? 若き天才剣士の首は、血の糸を引きながら宙を舞った。 ◆ 城下、南西部の一角。 『渡し』の傍の白い塀の一角に、一つの生首が晒されていた。 若く美しい、驚愕の表情を今尚残した四乃森蒼紫の首であった。 その首のすぐ上の塀には、蒼紫自身の血で書かれた一つの宣言があった。 おのれらに告ぐ おれはおのれらを みなごろしにしてやるのだ いぞう それは、虐げられ続けた一人の哀れな剣鬼のこの世への宣戦布告であった。 【四乃森蒼紫@るろうに剣心 死亡】 【残り七十三名】 【へノ弐 城下町の何処か/一日目/黎明】 【岡田以蔵@史実】 【状態】左腕に重傷(回復する見込み薄し)、全身に裂傷打撲多数、この世への深い憎悪と怒り 【装備】野太刀 【所持品】なし 【思考】 基本:目に付く者は皆殺し。 【備考】 ※理性は取り戻しましたが、尋常の精神状態にありません 時系列順で読む 前話 忠臣、亡霊と会い、少女、闇に消える。 次話 暗雲 投下順で読む 前話 鳥獣戯剣 次話 暗雲 剣聖の決意、狂犬の末路 岡田以蔵 活人剣の道険し 御庭番衆御頭 四乃森蒼紫 【死亡】
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/39741.html
登録日:2018/06/12 (火) 00 19 39 更新日:2023/04/24 Mon 13 14 03 所要時間:約 ? 分で読めます ▽タグ一覧 FGO Fate TYPE-MOON そこまでにしておけよ武内 まじんさん アルターエゴ オルタ コハエース サーヴァント セイバー セイバー→アルターエゴ ノッブ成分/Zero バ美肉 フュージョン 中村悠一 守護者 巨乳 帝都聖杯奇譚 悠木碧 抑止力 水着鯖 沖田ちゃん 沖田オルタ 褐色 設定がふわふわしている 魔神アルターエゴ 魔神セイバー ――――――いまこそ 全てを……おわらせる時…… 運命よ…… 我が終末の唄をきけ…… 我は『運命(Fate)を終わらせる者』 魔 神 人 セ イ バ | 身長:雰囲気 体重:ほどほど 血液型:謎タイプカプさば 誕生日:コンプの発売日 イメージカラー:煉獄 特技:Fate殺し 好きなもの:おでん 苦手なもの:10連ガチャでレアしか出ないパターン 天敵:君と僕のFateはこれからも永遠だよね!っていう気持ち ◇概要 魔神セイバーは『コハエースXP』の登場人物。 本当は神の下に人を合わせたフォントの存在しない漢字だが、当然書けないので以下は「魔神」で代用させていただく。 ぐだぐだ進行をしていた型月一武道会の中、 FGOに出れない恨みから沖田とノッブがフュージョンして生まれた存在。 今では人気キャラの二人も当時は実装が確定しておらず、恨みが溜まっていたのである……! ちなみに外見は褐色で長髪の沖田であり、武器は黒刀を使う。 え?ノッブ要素?んー、髪が長いとこ?服装? なお、見開きカラーイラストは社長が仕事の合間に描いていたものらしい。 社長「最近セイバー書いてなかったから……」 当主「うそつけ」 ちゃりん子「毎日描いてるじゃないですか」 運命(Fate)という概念に対する『終末の魔神』。 即ち、世の型月厨の「もうFateとかいいんじゃないかな?」という負の想念がカタチになったもの。 Fateという概念に対する天敵であり、Fateの概念を持つ者、つまりFateの登場人物に対する絶対的な特効を持つ。 ちなみに他作品からのゲストキャラはノーカン。 その力によってモーさんと青セイバーをワンパンで倒し、いよいよFateを終わらせようとするが、 その危機に続々と救援が駆け付ける! オレがいるかぎり父上はやらせねぇ!! 初めておまえと意見があったなモードレッド!! 円卓はキャメロットに座するにあらず 我ら王とともにあるがゆえに円卓なり!! 王を守るために戦う円卓の騎士! フ……青をオワコンにできるのは余だけよ!! 黄金劇場によって魔神セイバーを世界から切り離す赤セイバー! 私達もFGOとか出たいし 助けとけばワンチャンあるかも こいつら最悪だ!! FGO出たさに魔神セイバーを拘束する真祖と魔法使い! よくわからんが全主砲斉射てーっ! 艦これとかそーゆーのもういーんで!! 特に関係ないけど応援に駆け付けたビッグセブン! 他にも助っ人希望の方はこちらで受付をお願いします バーカバーカ! 数が多いのでまとめられたFate助け隊! みんながFateを応援してくれている…… Fateを愛する全ての人達の力が私に集まってくる…… 今こそ放ちましょう運命の光を……っ! そんないい話じゃなかっただろ!! エターナルFateカリバ―!! みんな『技名だせええええええ』 こうして魔神セイバーは滅び、Fateの危機は去ったのであった…… あ、沖田とノッブは普通に戻ってきました。 こんな感じで最初は完全にノリと勢いで出てきた感じだったのだが…… ◇帝都聖杯奇譚 我は――――抑止の守護者 『帝都聖杯奇譚』にて再登場。 キャスターが召還した『人造の神』を倒すため、五騎のサーヴァントの霊基を取り込んだ聖杯によって沖田が再臨した姿。 抑止力の後押しを受けているため、この状態は「とにかく何でも殺すマン」とでも言うべき状態らしく、 本来であれば帝都聖杯奇譚の時代(1945年)では消滅させることのできないキャスターの半身を、『絶剱・無穹三段』によって人造の神ごと消し飛ばした。 あ、沖田とノッブは普通に(ry。ノッブは小さくなってた(というか多分外見上はノブ)けど。 無辺の光を放つ『無穹三段』をはじめとする12の必殺技、カッコいい黒刀『煉獄剣』、『極地』という謎次元機動などがあるとかないとか。 しかしそこはコハエース。ページの都合で無窮三段以外は全カットとなった。 この設定変更は社長のデザインを惜しんだ経験値が「何とかまた出したいな……せや!沖田オルタっぽいのにしたろ!」ということで行われたらしい。 あと「FGOに出たい」という身も蓋もない理由もあったとかなんとか。 そしてノッブ成分は面影程度に残して完全に消えた。 そしてついに…… ◇Fate/Grand Order 我が銘は魔神・沖田総司。召喚に応じ参上した。 この身の霊基が砕け散るその時まで、共に戦おう。 念願のFGOに沖田総司[オルタ]として参戦。 クラスはセイバー…ではなくまさかのアルターエゴ。設定上妥当っちゃ妥当だが、突然のクラスチェンジに当人も驚いていた。 なお、セイントグラフには『魔神・沖田総司』と書かれており、他のオルタとはやや毛色が異なる。 ILLUST:武内崇 CV.悠木碧 身長:163cm 体重:51kg 出典:史実 地域:日本 属性:中立・中庸 ◆ステータス 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 B C A B C A ◆スキル ○クラススキル 単独行動:A 抑止の守護者として単独での行動が可能。 絶望的な状況下に顕現させ、単騎で目標を殲滅、もしくは相打ちでの消滅を目的として調整されたため高ランク。 対魔力:B 本来の沖田とは異なり、超常の者との戦いを想定されているためセイバークラス相当の対魔力を保持する。 ちなみに病弱は克服されている。ずるい? そんな事いわれてもだな……。 ○個別スキル 極地:A あらゆる空間での十全たる動きを可能とする究極の歩法。 ゲームでは、自身のQuickとBusterカード性能を強化する。 不断:B 絶え間なく続く戦いの道行きを照らす不断の光。それはあの日の記憶の証。 ゲームでは、自身のNPを増やすと共にスター集中率を上昇させる。 無辺:A 一切の世界をあまねく照らす無辺の光。天魔を滅す金色の極光。 ゲームでは、自身に宝具威力上昇効果と回避(1回)を付与する。 ◆宝具 『絶剱(ぜっけん)・無穹三段(むきゅうさんだん)』 ランク:A 種別:対界宝具 起きろ煉獄、出番だ。 塵刹を穿つ。無辺の光を以って、天明を断つ。 無量、無碍、無辺。三光束ねて無穹と成す。 『絶剱(ぜっけん)・無穹三段(むきゅうさんだん)』!! ぜっけん・むきゅうさんだん。 無量、無碍、無辺、三光束ねて無穹と成す。 光り輝く黒光を放つ魔神・沖田総司必殺の魔剣。 本来、存在しえないもの、してはいけないものすら強制的に世界から退去、消滅させることが可能。 特殊な大太刀『煉獄剣』を使用して放つ。 大太刀の銘『煉獄』は勝手につけられたもので本来は無銘の謎兵装。 どういうわけか自律意思のようなものがあるらしく、使用者の気分に合わせて性能がかなり変動する。 調子がいいときは刀身の中央が赤く輝く。煉獄という銘はそれなりに気に入っている模様。 イベント内ではノッブが全魔力の5分の3を注ぎ込んだ大太刀となっていた。手作り炸裂弾で壊されそう。あとこのストーリー見た後だとEXアタックのシメが終の秘剣にしか見えなくなる バトルではBuster属性の全体宝具。敵全体に強力な攻撃とバスター耐性ダウン効果を与える。 なおオリジナルの沖田さんは、オルタとはいえついにビームを撃っちゃったことに驚愕している。 「ビーム出す剣術とか嫌ですよ」と言っていたのも今は昔の話であった……。 ◆概要 イベントクエスト『ぐだぐだ帝都聖杯奇譚』のキーパーソンとして登場。 沖田総司の別側面という触れ込みで、見た目も褐色肌の沖田さんだが、当人は記憶がなく、その自覚もない。 抑止力の側のサーヴァントと思われる描写や説明がちらほらとみられるが…。 マイルームではクールな性格だが、割と天然。結構素直に気持ちを吐露してくれる素直クール。 と言うよりも、純真無垢な子供そのもの。 その日の楽しかった出来事を書き残しておく「まじんさんノート」なる日記をつけているらしい。 カルデアでは時々お風呂などの掃除を手伝ってるとの事。お駄賃はアイス。まじんさん偉い。 周囲もその精神年齢の幼さを理解しているらしく、水着沖田さんの謎のヒロインXX対応台詞では、 ジェットの外し方を訊かれて「いい子にしていればそのうち外れる」と誤魔化そうとしたXXに「私、オルタじゃないんだから騙されませんよ」と言い返している。 好きなものはおでん。特にちくわぶ。 その好きっぷりは、「夏におでんを頼む」願いを聖杯に叶えてもらおうとするほど。 最近ではみそ田楽(串に刺して茹でたこんにゃくにお味噌を付けた料理)にハマったらしい。 なお、基本的にボイスはオリジナルと比べてかなり低い声色のため、台詞の内容次第ではかなりシュールなことになる。 「ちくわぶだ」(キリッ) 「忘れたッ!」(宝具の真名を) マスターに対する態度は非常に好意的で、絆度を上げるとストレートに「好きだ」と言ってくる。やだ…イケメン……(ボイスも)。 天然っぷりや素直クールらしさが可愛らしい台詞と、時折発するイケメンボイスにやられたマスターは多い。 オリジナル(または母親の片割れ)である沖田さんには若干対抗意識のようなものを持っており、対応台詞では身長と胸は自分の方が上だとアピールしてくる。 イベントシナリオでも主人公に『沖田さん』と呼ばれている(らしい)オリジナルに対抗して『沖田ちゃん』と呼ぶように要請していた。 沖田さん側は『私オルタ』というあだ名(?)で呼んでおり、対抗意識も少し持っているようで、 あちらの対応台詞ではどちらが真の「沖田」かで軽い口論になりかけている(*1)が、仲が悪いわけではないらしい。 他に対応台詞があるのはノッブ(水着含む)、茶々、土方とオルタサーヴァント。 ノッブは彼女に対しては母親のように(ある意味ではそうだが)優しく接しており、彼女もノッブには安らぎのようなものも感じている。 …が、二人があまりにもぐだぐだで情けない為か、普段は茶々が彼女の面倒を見る事が多いらしい。 2019年の正月イベント『閻魔亭繁盛期』では、会った当初は呼び捨てだったのが「茶々様」に変わっており、二人のやり取りは叔母と姪っ子そのものであった。 プレイヤー間での呼称は『沖田』と『オルタ』を掛けての『沖タ』、イベントシナリオに準じての『沖田ちゃん』の他、 台詞や一部イベントでの自称から『まじんさん』等、あだ名までふわふわしている多岐にわたる。 ちなみにバトルキャラはよく見ると一定間隔でうたた寝をしており、寝ていたことを示唆する台詞も。 「ううん……はっ。寝てない。寝てないぞ。寝て…寝てた!」 宝具も適当に真名開放してたりと、コハエース産鯖であることをこれでもかと見せつけるぐだぐだっぷりを見せている。 普通にしてれば格好いいのに… なお、最初の姿は完全に色黒な沖田さんだが、第一再臨でお馴染みの姿となり、第三再臨では最早完全に沖田とノッブの中間のような姿となる。 また、2022年のイベント「ぐだぐだ新邪馬台国」では、愛刀「煉獄」が身体の主導権を得たことで男体化した(ついでにCVも中村悠一氏になった)簡易霊衣「煉獄オルタ」が登場。 男体化しているとはいえ、見た目は胸が平らになり、目の色が変わった第一段階なので、中村氏の声といい具合にミスマッチ。 声色自体はカッコいいのだが、主の性格に影響されているのか時折ぐだぐだ成分が垣間見える。「主、起きて。……ダメ?」 ちなみに、中村氏がマフィア梶田氏と配信しているYouTubeチャンネル「わしゃがなTV」で語ったところによると、 「最初はキャラ作りをして挑んだが、現場で『素の中村さんの感じでお願いします』とディレクションを受けた」とのこと。 ◆ゲーム中の性能 ユニットとしては、豊富な自己バフに優秀なカード性能を備えたアタッカータイプのアルターエゴ。 同レアリティのアルターエゴの中ではメルトリリスを抜いてトップのATKを持つ。 宝具は全体宝具だが、自身にスターを集中させることもできるため、 宝具込みのバスターブレイブチェインで取り巻きを薙ぎ倒しつつボスをクリティカル連打で沈める、という荒っぽい攻め方も可能。 反面、アルターエゴというクラスと防御スキルの貧弱さによりかなり脆い。 運用する場合はタンクタイプのサーヴァントと一緒に運用したい。 また、いずれもヒット数が多いカード性能は確かに優秀なのだが、通常攻撃だけでは同属性のブレイブチェインを組めず(B・Q×2、A×1)、 Artsカードが一枚しかないのでカードの引きとスターの量次第でNPが貯まりにくくなったりもするため、ある程度はパーティメンバーや礼装でフォローする必要はある。 ちなみに合体素材(ママ二人?)である沖田さんとノッブ(弓・狂)とは割と相性が良かったりする(前者はスター稼ぎ、後者はNP回収効率の上昇と同属性宝具の面で)。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ※作品やキャラクター、製作者などへの愚痴や文句、誹謗中傷や罵倒や批判、それらを肯定するコメントは禁止されています。守られないようですとコメント欄の撤去やIP規制といった処置が執行されます。 ▷ コメント欄 [部分編集] 依頼によりコメント欄のリセットと警告を追加しました -- 名無しさん (2018-06-13 22 53 09) 実装タイミング的に沖太の水着は無くなったのかな? -- 名無しさん (2018-06-14 09 39 02) ↑コハエースでも「大事な社長枠を使ってしまった」と沖田さんが嘆いていたな。今年の水着イベントの社長担当はジャンヌあたりだろうか? -- 名無しさん (2018-06-14 12 24 14) FGOイラストから谷間の露出を死守するという社長の鉄の意志と鋼の強さを感じる -- 名無しさん (2018-06-14 14 50 34) まじんさんが新たな愛称だろうか 色んな呼ばれ方されてるけど -- 名無しさん (2018-06-14 22 53 31) 性格的には本当にただテンションが低くなった沖田さんって感じだな。てっきりツンデレになると思ってた。 -- 名無しさん (2018-06-18 00 30 13) 第二、第三再臨ではノッブ成分も結構あるっちゃあるんだよな -- 名無しさん (2018-06-28 21 37 27) シナリオでの消滅(未遂)のシーンは反則。あれでひたすらにガチャを回す羽目になったマスターも多いんじゃないだろうか。 -- 名無しさん (2018-06-28 22 35 53) ↑3 CMのドシリアス敵役っぽいイメージからまさかの味方デッレデレは予想外だったわ。まあCM詐欺は今に始まった事じゃないっすけど… -- 名無しさん (2018-06-29 22 37 45) ↑1戦ってる沖田さんの方が敵役なんだからCM詐欺でも何でもない訳で。強いて言えばミスリード -- 名無しさん (2018-06-29 22 46 48) 見た目な大人、頭脳は子供ってイメージ。 好きっていうのも恋愛よりも親愛寄りだろうし -- 名無しさん (2018-07-24 10 07 51) 水着イベ絶対ネタになる -- 名無しさん (2018-08-09 12 04 14) 見た目に反して無垢な感じがしてかわいい。 -- 名無しさん (2018-08-29 11 52 35) この沖田さんは無窮の狭間で何と戦い続けてるんだ?バレンタインボイス気になる… -- 名無しさん (2020-03-24 01 10 23) まさかの水着鯖…予想できるかこんなもん!!(褒め言葉) -- 名無しさん (2021-09-09 02 09 13) プロトギル実装の布石か。 -- 名無しさん (2021-09-13 07 22 36) 魔神さんかわいいよ魔神さん。 -- 名無しさん (2022-02-14 23 11 53) 水着版と煉獄の記述もまとめないと -- 名無しさん (2022-09-30 02 07 47) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/odiobr/pages/173.html
◇ ――想いには力を与える能がある ◇ ザ・ヒーローは走っていた。 その内心の大きな割合を占めるのは、ヒーローに相応しくない逃避の念。 何かに追い立てられるような必死さで、すぐさまここを離れねば。 そんな人間臭い、自己保存の本能に忠実な逃走。 それほどまでにパパスの抱擁は、彼にとって致命的だった。 その温かさは、その感触は、その優しさは。 彼の理想。 彼自身の主観の中にしか存在しない、悪魔のいない世界。かつての世界で完結した、父を思わせるそれ。 叶うまで、理想はそこにあってはならぬ。 叶うまで、満ち足りることは許されない。 貪欲に、ただひたすらに貪欲に。 夢追い人は止まれない。 たとえ一度だけであったとしても。 立ち止まってしまっては二度と同じ夢を見ることはできないのだから。 その温かさが、その恐怖が、パパスの命を救ったことに気付かないまま、彼は走り続けた。 そして、見つけた。 一目でわかる。あれは敵だ。 だから斬りかかった。 ◇ 魔神竜之介は改造亡霊である。 悪しき主催に肉の身体を与えられた彼は。 輝かしきニンジャソウルをその身に宿し、人類の未来のため闘うのだ! ◇ 死者が死者に祈るとはなんと面妖なことか。 流れる放送、連なる名前。 多くの失われた生命を想い、竜之介は嘯く。 彼の主観に合わせれば、彼は一度足りとも死してはいない。 彼に信仰はない。 ただただ剣に応えるための生を歩んできた。 肉体の死は一度経験した。 だがそれでも失われぬ強固な自我は、減衰することなく継続し続けている。 剣理とはすなわち人生そのものである。 あらゆる道を極めた先が同じ一点に集中するように、一見関係ない物事であっても全ての経験は剣理に繋がる。 故に彼は失わない。 善行も悪行も区別なく、全ての経験が自己を育みし剣理に繋がる故に。 死とは喪失である。 死とは停滞である。 死とは到達点である。 なれば彼は未だに死せぬもの。 生き永らえ、道を歩みし探求者。 強者を求めるは剣士の本能に近い。 ムラマサを守る目的が強者と死合う手段を求めてこそであったように。 おぼろの意に触れ枝葉は変われど、最強を求める芯に変わりは無く、 だから後背より迫る斬撃は、踏み出した一歩に空を斬る。 ここは不自然なほどに命の息吹絶えた冥界。 故に接近を示す信号を遮る”生”の気配は無く、奇襲の成り立つ理もない。 「問う……なぜ、お前は戦う?」 振り向きながらに放たれた音無しの剣は金属音と共に弾かれた。 重い、と斬りかかったこちらが感じるほどに揺るぎない剣圧。 返答はない。そのことをどこか、喜ばしく感じる自分を意識する。 イカレタ宗教屋でも、取るに足らぬ童子でもない。 死合いとは、こういう者とこそできるものだ。 戦意を向ける敵こそをおぼろへの言い訳に、今度の戦に意を傾ける。 ◇ 命題 Q.亡者は人間なりや? ◇ 枝葉で眩ませればそれごと刈られ、幹を盾にすればそれごと断たれる。 森そのものを斬り伏せながらザ・ヒーローは往く。 それも一つの豪の暴剣。 対する竜之介は柔の理剣。 盤面を見降ろしチェスの駒を進めるように、理尽くめに完成された境地の一つ。 木々を盾に、枝葉を陰に、世界を味方に彼は往く。 その手にムラマサはない。カネサダもまた良き刀ではあるが、かの名刀と比するにはいささか格が落ちる。 故に打ち合う事は論外で、三又に別たれた剣身は流し受けることを不可とする、防御手は限定される。 無数に広がる選択肢、その中で敵がつかみ取るであろうそれを、 体捌き、目線、気迫、地形条件、あらゆる要素と合わせて予測し、最善手を模索する。 異常と言えるほどに鋭く重い剣閃は、体勢を崩そうが足場が崩れようが、何時でも変わらぬ威の込められた渾身の必殺。 伺い知れぬ程の鍛錬と経験によってのみ生まれるであろう太刀筋と不釣り合いに、その組み合わせは乱雑で直線的だった。 一流の太刀筋と、不釣り合いに未熟な戦の組み立て。 竜之介には奇妙としか映らず、推測不可能な領域の事ではあったが、それは両者の出所となる”世界”があまりにも異なるがために生まれた事態であった。 ザ・ヒーローの世界には古来より”人ならざるモノ”たちが存在した。 一般に知られていたかは別の問題として、それ故にその”武”は一撃の重さを前提とし追求する道となる。 ”悪魔”に対抗する手段としての性質が”武”の歴史に組み込まれていた。 対する竜之介の世界。そこでの”武”は人と人が争うための手段である。 ”人ならざるモノ”はイレギュラーでしかなく、”武”を歪める程の存在感を持たない。 人は死ぬ。ほんの数センチの切れ込みが入るだけであっさりと。 故に彼の世界では”見切り””当てる”。対人に特化した剣術が生まれた。 そうして生まれた剣質の違いが、僅かばかりではあるがこの死合いを竜之介優位に進めることへと繋がった。 轟と、空気を裂く剣の音。 剣の横腹を叩き逸らし、余裕を持ってそれを避け懐に入る。 拳の間合いで反撃の一撃を叩きこみ擦れ違う。 竜之介の攻撃は当たり、ザ・ヒーローの動きを少しずつ鈍くしていく。 ザ・ヒーローの攻撃は当たらず、豪剣はただ空を斬る。 決定打となるほどの深い当たりこそ無けれども、確実に場は動く。 ◇ A. 村正の妖刀伝説の由来は曖昧であり、その真贋は怪しいという声も大きい。 彼の世界のそれがそうであったか、どうであったかはわからないが、人の口に戸は建てられず、情報は広まるごとに歪んでいく。 実際がどうであったかなどは関係なく、真実を必要とせずに伝承は歪み、新たに力を育んでいく。 偶然ではない、面白味も無い。どこにでもある、ただの必然の話。 死者は動かない。死者は語らない。 死者に意思はない。死者に意志はない。遺志は都合よく捻じ曲げられる。 死者はただ思い出の中にのみ宿り、記録の中に残り、他者の心の中でのみ育ち変容する。 死者に自我は存在せず、ただただ生者の望むようにしか存在できない。 死者に力を与えるは生前の行いではなく、他者の認識だ。 それはモノとどう違う? 故に、亡者は人間足りえない。 そういうものを人は”悪魔”と呼ぶのだから。 ◇ 竜之介優位、と先に触れていたが、その優位は決して容易に訪れたものではない。 何時崩れても不思議ではない、薄氷の上に成り立つ優位。 轟と、空気を裂く剣の音が聞こえる。 苦もなく避けるも、反撃に回るほどの余裕はない。 踏み込みは浅く、疲労に速さを鈍らせた剣は、その分立ち直り早く次手へと向かう。 再度、剣閃。避ける。 竜之介とザ・ヒーロー。 その身体能力には大きな開きがある。 その開き故に、竜之介は攻めきれず、ザ・ヒーローは無為に剣を振る、そんな構図が生まれた。 だからこそ竜之介は短期決着の一撃必殺ではなく、積み重ね身体能力に鈍りを与える、そういう長期戦に挑んだ。 状況を見るにその判断は正しい。その判断は正しかった 。 この場に至るまでの疲労もあったのだろう。 目に見えてその動きは鈍ってきている。 ただ一つ、誤算であったのは、鈍りを補い余りあるほどの勢いで、ザ・ヒーローは成長し続けていたことだ。 初見で見受けられた未熟さは、一太刀毎に払拭される。 未来予想図は常に変化し、更新を重ねられ、現実に追いつけない。 それが何よりも嬉しい。 剣閃。避ける。 一太刀毎に余計な認識が剥がされていく。 剣閃。音が消えた。 剣閃。色が消えた。 剣閃。鼓動が消えた。 剣閃。景色が消えた。 余分は全て消える。戦闘のみを求める処理思考は、それ以外の余分を全て捨て去る。 温かみのない、白黒でコマ送りな景色。 間合いが開き、動き続けた景色が止まる。 身体能力にはまだ開きがある。戦闘技術にもまだまだ開きがある。 それでも天秤は釣り合い、戦闘力は拮抗した。 この素晴らしき時の終わりを最高の形で終わらさんと願う。 次の 一太刀こそが頂点であると言葉なく、互いに理解し構えを変える。 生涯最大最高の一撃こそを望み、場は硬直する。 凍てついた空気が場に広がって行った。 ◇ 目視叶わぬ虚空を睨む。虚空を測る。虚空は全てに繋がっている。虚空に手を伸ばす。 自己も他者も曖昧な世界に溶け広がって行く。 阿迦奢を認識し、世界と繋がる認識を持ち、先に見ゆるは万物一体の仁。その高みからあえて目を逸らす。 力はただ力であってはならぬ。意思はただ漫然とした意思のままではいかぬ。 ただ広まるに任せてはいられない。それは神の所業。何かを為す望み持つ人には無用の境地。 御せよ。広がるに任せるではなく、己の身の丈に合わせた小ささに、目的に合わせた形に加工して、全てを収めよ。 アカシャ・アーツ。 そこに真の武はない。ただただ破壊に向かい矮小化され、凝縮された一つの境地。 ◇ 接触時とは対照的に、先手を打ったのは竜之介であった。 「半月流、外式――――」 本来、掛け声は不要であり、徒に呼吸を見出す害悪と言っても過言ではない。 しかし、この技だけは。 刃を合わせた彼の者を想い、言葉を紡ぐ。 速さでは無い、独特の緩急織り交ぜた歩法により旋回し、気当てを混じらせ距離を狂わせ、クルクルと肉薄していく。 「矢車草ッ!!」 交差して、終わる。 背後では倒れ付す音。 遅れてキンと鍔鳴りの音が一つ。 飛んだ首は思い出したように、ぽとりと音をたて落ち、存在を主張して。 そして、静寂。 ◇ 老君に導かれ訪れたカテドラル頂上。 そこで僕は見、知った。 全てが集約する世界の中心、そこに立つことで初めて、全てが繋がっている事を。 そこはほんの少しだけ特別な場所。 知っている人ならどこであろうと変わりなく見ることが出来るものが、ほんの少し知らない者にも見えやすくなっている場所。 物質界と精神界の境界がもっとも曖昧な場所。 フツオは人間だ。 ワルオやヨシオのような異能はなく、周囲の誰よりも人間の範疇にいたと言える。 そんな彼だったから、誰かに寄りかかる事はしなかった。 特別じゃない彼は恐ろしくて仕方ない。 特別じゃない彼は兎のように臆病に周囲を見渡していた。 法も混沌も、どちらの理も利も理解出来たから、集団に寄り掛かることなく個として生き続けた。 特別じゃない彼は特別な周囲に負けぬよう、彼らに勝てる部分で勝負していった。 力比べで彼に勝る者は多い。 知恵比べで彼に勝るものは多い。 速さ比べで彼に勝るものは多い。 魔力の持ち合わせは彼に無かったし、 体力も無限と持ち合わせた訳ではない。 運であっても彼に勝てる者は数多くいただろう。 それでも彼は負けなかった。 彼は一度足りとも死なずに生き残り続けた。 彼は無敵では無い。幾度となく傷を負い、幾度となく立ち上がった。 彼は不敗では無い。勝てぬと見ればすぐさま逃げ出し、機会を測った。 故に彼は生き続け、最強となる。 ◇ 結局のところ、勝敗を分けたのは簡単なことだ。 竜之介は剣士であり、ザ・ヒーローは剣を持った戦士であった。 ただそれだけの話。 竜之介が駆け出したその時、ザ・ヒーローは天空の剣を”使った”。 その場に流れた”いてつくはどう”は彼の身体から鈍りを拭い去り、天秤を傾ける。 来たる必殺の一撃。それは最も速く、重く、鋭い一撃。 防ぐことも避けることも敵わぬ絶殺の一撃。 それは逆に言えば、最も刀身に負荷を掛ける、遊びの無い一撃でもある。 ほんの一瞬のドーピング、まるで世界そのものと一体となったような広い感覚の中、針のように細い刹那を引き寄せる。 矢車草、その剣の威力が最も乗った、最上位の瞬間に合わせて。 ザ・ヒーローはカネサダを半ばから断ち折った。 ”いてつくはどう”に取り戻された圧倒的な膂力を持って、勢い殺さず軌道が変わる。 折られた刀に驚愕する間もなく、竜之介の首が飛んだ。 斬られ飛ぶ頭部は空にて驚愕の表情を浮かべ、主を失った身体は最後の命令に忠実に動き続ける。 駆け抜け鍔鳴り、ようやく身体は死を認識し、地に落ちた頭部はようやく敗北を理解した。 驚愕に固まった表情が緩む。 声に成らずも「見事」と口を動かして、動きは止まった。 生きて、斬って。生きて、斬られて。 死して、斬って。死して、斬られて。 竜之介という魔が成す刃は、ザ・ヒーローという魔を断つ剣に砕かれた。 ただそれだけの話。 【魔神竜之介@LIVE A LIVE 死亡】 ◇ 難題 Q.ザ・ヒーローは人間なりや? ◇ 最も手慣れたアナライズ。 自己を見直し一息をつき、その場に倒れ伏す。 まだ英雄ではない。まだ魔人でもない。確かな人間としての自己を確認出来た。 視界の端に映る悪魔の死体は、マグネタイトに霧散せずそのままの姿を維持している。 ここは人間界よりも、魔界に近い環境なのかもしれない。 ぼんやりと、そんなことを考えた。 自身が削れている実感がたしかにある。 世界と自己を隔てる境界は、実のところ曖昧なものだ。 人が魔に転じる例は数多く、人のままで居続けることは難しい。 彼は、派手にやりすぎた。 ロウを滅ぼし、カオスを滅ぼし、歩みゆく姿はあまりにも多くの者に眩しく映り過ぎた。 畏怖とともに向けられたのは、かくあれという信仰にも似た想いたち。 それらが、フツオに向けられた”ザ・ヒーロー”という偶像。 復讐に猛り鎧に狂う狂戦士を救おうとした魔女の術のように、境界は曖昧で。 想い人の黄泉帰りを願った男が縋る卵の逸話のように、それを踏み越える手段は容易で。 親友を斬り想い人を失い、空洞になった心に憎しみを宿した男のように、想いは何よりも強い。 魔と人を隔てる境界は脆く、想いは容易くそれを砕き、侵す。 放送は聞いている。 ヨシオやミカエル、アスラ王を倒す程の実力者が殺し合いに乗っていて、なおかつあの死者の数。 既に亡い、放送以前に遠間より聞こえた、ベンとやらの仕事も混じっているのかもしれないが、好都合な程にハイペースだ。 ならば必要以上に焦り過ぎることはないだろう。 人で在れるうちに戦いを終わらせる。 カテドラルで世界を覗き込み、世界に覗かれたその時から抱き続けた焦り。 その焦りからここまで忙しなく動き続けたが、一度休む必要がある。 支給品に手だけを突っ込み、感触だけで荷物を漁る。 寝転がりながらに取り出したのは、にくまん。 懐かしく温かな文明の味は、かつての東京への郷愁の念を掬い出す。 もう、父の顔は思い出せなかった。 【D-5/森林地帯/1日目/朝】 【ザ・ヒーロー@真・女神転生Ⅰ】 [状態]:疲労(極大) 怪我(小) [装備]:天空の剣@DQ5 [道具]:基本支給品4式(松明1つ消費)、キメラの翼4枚@DQ5、不明支給品1~5 [思考・状況] 基本行動方針:殺し合いに勝ち残り、神と契約する 1: 少し、休む [参戦時期]:ニュートラルルートエンディング後 [備考] 大きな力について、意識すればいくらか感知することが可能です。 ”ザ・ヒーロー”と関わり薄い記憶から少しづつ失われています。 零式超吸着掌打を習得しました。 対人戦術を覚えました。 ※竜之介の支給品は死体の傍に放置されています。 056:なんとも醜い復讐劇の序章 投下順 058:再始動 056:なんとも醜い復讐劇の序章 時系列順 058:再始動 054:愛を取り戻せ ザ・ヒーロー 065:ザ・ヒーローの孤独なグルメ、改め強くてニューゲーム 041:楽園の素敵な妖精と通りすがりのお侍の話 魔神竜之介 GAME OVER
https://w.atwiki.jp/niconicomugen/pages/9644.html
+ 史実の牛若丸(源義経) 源義経(みなもとの よしつね 1159年-1189年6月15日) 平安時代末期の武将。鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝は異母兄。幼名は牛若丸(うしわかまる)、仮名は九郎(くろう)。 『義経記』や『平家物語』、「浄瑠璃」の語源である『十二段草子』で知られる。 清和源氏の流れを汲む河内源氏の源義朝の九男として生まれる。 一度は平清盛を筆頭とした平家に一族徒党の連座処刑の憂き目に遭いかけたが、母親が身代わりになってなんとか生き延び、 元服後に平家打倒のために兄の源頼朝と共に立ち上がったとされる。 史実において挙兵する前の半生は謎に包まれているが、一説によれば鞍馬寺に預けられた牛若丸は、 山で陰陽師である鬼一法眼(鞍馬天狗であったとも)と出会い、兵法を授かったと伝えられている。 しかし平家討伐に多大な功績を上げながらも頼朝に討伐令を出され、最終的に(一時は義経を匿っていた)藤原泰衡に討伐された。 頼朝が義経を粛清した理由としては、「義経の大きすぎる武勲による下克上を恐れた」が有名だが (間接的ではあるが歌舞伎の『勧進帳』が生まれた理由であり、そこから「判官贔屓」と言う言葉も生まれた)、 歴史家からは、 「頼朝の許可を得ずに朝廷からの官位を賜り「武士の官位は征夷大将軍(頼朝)が与える」とした頼朝の面子を潰したから」 (そもそも朝廷自体、頼朝の面子を潰す事が目的で義経達に官位を与えたとされている) 「義経が勝手な行動を繰り返し(結果論とは言え安徳天皇を入水自殺に追い込み(厳密には平家の自決に巻き込まれた)三種の神器も失った等)、 頼朝の政治的な根回しを台無しする事が多々あったから」 と言う説も挙げられており、本頁の『Fate/Grand Order』版等では最後の説が採用されている。 また「実は死んでおらず、蝦夷に逃れてアイヌの将軍に成った、大陸に渡ってジンギスカンを名乗った」と言うトンデモ説も存在し、 『吾輩は猫である』や『ルパン三世』(アニメ版第二期)でもネタにされている。 「我が流離譚──いざ!」 真名:牛若丸(源義経) 身長:168cm 体重:55kg 出典:『義経記』『平家物語』 地域:日本 属性:混沌・中庸 性別:女性 CV: 早見沙織 ソーシャルゲーム『Fate/Grand Order』に登場するサーヴァント。 型月世界では、本来の性別は女性であったとされている…が、創作時代劇においては珍しくもなかったりする。 MUGENにも型月義経の発表前から女性義経が居たし。 と言うのも「腕力は女性並み」と言う伝承が拡大解釈されて「女性と見間違うほどの美少年」「実は女性」という三段論法が発動したからである。 女性並みの腕力(脚力)で八艘跳なんて出来るのかだって?天狗じゃ、天狗の仕業じゃ! (元ネタの方に書かれている通り、牛若丸の師匠は鞍馬山の大天狗とされている) そもそも格ゲーでは華奢(軽量)な女性の方がジャンプ力が高い事が多いのは内緒だ!ガリレオ涙目 幼名が真名とされている通り若い頃の姿で召喚されており、真っすぐで嘘のつけない性分の若武者気質。 元々愛されたがり故に忠義に篤い良い部下のように見えるのだが、一方で人並みの倫理観や共感性を持たず、失敗を知らないため、 効率が良いと感じたら平気で命令を待たずに出撃し、敵の悉くを首だけに変えて帰ってくる。 普通の人間がこれをやると大抵は失敗して反省し、次から失敗しないようにと色々と計画を練り、考察するのだが、 彼女は「天才」であるため、失敗することなく困った性質のまま成長してしまったのである。 戦いにおいては非情・冷酷・最適手の権化で、部下達(特に常陸坊弁慶)への扱いは鬼で嗜虐的な面がある。 一応、FGO主人公をはじめとする召喚者に対しては、配下としてへりくだった態度を取る為そういった素の牛若丸を見られる機会は非常に少ないが 本来の牛若丸は「生き延びる見込みのない戦場であるなら、私を役立てるために死ね」と言い放つ冷酷さと、 「犠牲に見合うだけの成果を約束してやる」と約束する独特の義理堅さ、そして絶体絶命の窮地でもふてぶてしく笑ってみせる豪傑であり、 それは若い頃の姿で召喚されても変わらない。 作中の顕著な例として、捕らえた子供を殺すことなく逃したキングゥに対して「戦の素人(つまり自分が逆の立場なら殺していた)」と評している (とはいえ、これは生前の敵軍である平家が幼少の牛若丸ら源氏の子供達を見逃した事が原因で滅びてしまった経験に基づいているので説得力しかない)。 アニメ版においても、主人公側のサーヴァントとは思えない程の顔芸冷徹ぶりを垣間見せる。 主である召喚者には極めて忠実に尽くすが、源氏武者の価値観ありきで事あるごとに敵の首級を献上せんとしたり、 時には主に楯突いた(と牛若が見做した)味方の首すら狩ろうとするなど困った面も。 上記の通り、型月世界の義経の性格は「勝手な行動を繰り返した結果、頼朝に粛清された」説に基づいている。 幼い頃に親元から離され寺に預けられた牛若丸は「愛」を知らず、 武士として「主君に仕え、忠誠を誓う」事を信奉し、それ以外は度外視していた。 その育ち故に人間らしさを身に付けられなかった義経はブレーキの壊れた忠犬のような獣に近いモノであるため、 「権力による利益関係にも全く馴染まない」「何かのきっかけで味方にも牙を向けるかも知れない」非人間性を持ち、 頼朝が義経討伐令を出したのも「新しい時代」を作る為の障害とみなされたからとされた。 前述の「ブレーキの壊れた忠犬」という評価はとある人物のサンタ版が初出。 しかし牛若丸本人も「天魔御伽草子 鬼ヶ島」で「ブレーキの壊れた忠犬をお忘れなく!」と言っており、自覚はあるらしい…。 ブレーキの意味の方は分かってるんだろうか エイプリルフールイラストでは「くれいじーちゅうけんサーヴァント」と評された。 あと、このキャラをこの項目で知った人にはいい加減冒頭画像にツッコミが入っているだろうが、服装が非常に際どい。 「どう見ても現代の洋物パンツなの時代考証どうなってんだ」とか、「この格好で戦場で斬り合いとか舐めてんのか」とか、 「そもそもこんなキャラデザを通した絵師と公式何考えてんだよ」とか色々言いたいだろうが、 だいじょうぶ、なんだかんだでユーザー達は、慣れた。是非はともかく イラストレーターである坂本みねぢ氏曰く「どうしたって女の子にしか見えない、というのがコンセプトです」との事。 でも胸はそんなにだから、これでも軽装の少年とかで通っちゃうんj、あれ、胴体がなんであんな所に ゲーム中は兎も角としてアニメ『Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-』に登場した際は、 胸の方にはニップレス的なものが付けられていた。じゃないと飛んだり跳ねたりしたら確実に見えるし 加えて、アニメ版における生前の回想シーンでも軍記物に描かれるような武者姿が登場している。 ゲーム中では霊衣(バトルグラフィックや台詞を変更する着せ替え衣装)として、もう少し露出度を抑えた服装も登場している。 + 劇中における活躍 2015年7月末の『FGO』リリース日から実装されている初期組の一騎で、キービジュアルで描かれている他TVCMにも登場している。 設定上でも初期からカルデアに召喚された古参として扱われているが、 イベント「天魔御伽草子 鬼ヶ島」でメインキャラとして坂田金時と共に活躍しこそしたものの、 メインシナリオで登場したのは第1部七章である。しかし……(詳細は後述)。 第2部5.5章「地獄界曼荼羅平安京」では蘆屋道満により変則的な形で召喚され、 「平景清」として敵として立ちはだかった。 本作における景清は「源頼朝暗殺を目論んだ刺客たちの怨念の集合体」という形を取っており、 生前に自由奔放で一途に兄を慕う義経の姿を目撃し、またその最後を知っているが故に、 義経の霊基を(良く言えば守るため、悪く言えば取り込むため)乗っ取っている。 本来は例外な形であったが、イベント「いざ鎌倉にさよならを ~Little Big Tengu~」において、 この時生じた縁と鬼一法眼が所持していた打出の小槌の効果が噛み合った結果、 正式にサーヴァントとしての霊基を確立するに至った。 イベント「南溟弓張八犬伝」では正体不明の敵対者が同じ源氏の源為朝である見込みが高いという理由から、 レイシフト組に志願していたのだが、八犬士ソウスケの干渉により岡田以蔵とヘシアン・ロボが巻き込まれ、 そのせいで彼らに枠を奪われる形で置いてけぼりを喰らい不貞腐れてしまった。 騒動終了後の祝賀会でも活躍の場が無かった事を引っ張ってヤケ酒しており、これには以蔵も流石に気を使い牛若丸の前ではしゃぐのを自重していた。 + 宝具 遮那王流離譚(しゃなおうりゅうりたん) ランク:A++、種別:対人宝具(自身)、レンジ:1、最大捕捉:1人 由来:牛若丸が源義経となり、奥州で果てるまでに産み出された様々な伝説の具現化。 彼女が成し遂げた伝説の数々が宝具として具現化したもの。 ゲームで採用された「壇ノ浦・八艘跳」もこの一つであり、それ以外にも残り四種が存在する他、 一部「外伝」が存在し、多種多様な攻撃や効果を実現する。 + 一覧 壇ノ浦・八艘跳 ランク:C、種別:対人奥義、レンジ:1、最大捕捉:1人 壇之浦の戦いにおいて船から船へと飛び移り八艘彼方へ去った逸話の具現化。読みは「だんのうら・はっそうとび」。 どれほど足場が悪くとも、足を乗せる箇所がわずかでもあれば跳躍による移動が可能。また、跳躍力そのものの強化も行う。 本来は逃亡の逸話だが、『FGO』では超脚力で一気に敵に近付き攻撃する用途で使用している。 リリース初期は小舟サイズで船同士の距離も短かったが、モーション改修後は大きめの船になり、背景には海も追加された。 自在天眼・六韜看破 種別:対軍奥義 フィールド上にいる全員を強制転移させ、 自陣を圧倒的有利に、敵陣圧倒的不利に変更する。 六韜は中国の武術書、いわゆる「虎の巻」だが、牛若丸は師匠の鬼一法眼(あるいはその娘)を騙くらかして盗み見たと言われる。 薄緑・天刃縮歩 種別:対人奥義 天狗の歩法による縮地で近付き、薄緑による煌光の斬撃を放つ。 弁慶・不動立地 種別:対人奥義 武蔵坊弁慶の肉体のみを擬似的に再現。 弁慶への信頼が強ければ強いほど、盾として強固となり、最大でBランクの対軍宝具までなら防ぎきれる。 吼丸・蜘蛛殺 種別:対軍奥義 薄緑の本来の「力」を発揮する。周囲の「魔」を打ち払い、音によるダメージを与える。 なお、愛刀の薄緑は魔物退治で名高い渡辺綱が愛用した髭切の兄弟刀であり、 かの英傑である源頼光が土蜘蛛退治に用いた蜘蛛切、すなわち源氏の宝刀である。 喜見城・氷柱削り 壁を駆け上がり独楽のように回転しながら放つ斬撃。 使用する際に「遮那王流離譚が五景外伝」と口上を述べており、宝具解説の際に触れられている5つの奥義にも含まれていない。 性能 クラスはライダーで、カード構成はバスター1枚・アーツ2枚・宝具含めてクイック3枚のクイック主体。 レア度は星3でフレポガチャで入手可能なため、無課金でも宝具を強化しやすい。 しかし、PVでは愛馬の太夫黒(たゆうぐろ)と思しき馬に跨っていたのにゲーム内では一切登場しないため、 ライダーのクラスでありながら乗騎が不在な件にツッコミを受けたりもした。 スキルは自己強化と全体強化が揃っており、味方をサポートしつつアタッカーとして使用できる。 恒常の星3ライダーの中ではマンドリカルド実装まで唯一の単体宝具のライダーだったサーヴァントであり、 さらにそのマンドリカルドは有用だがデメリット持ちなので癖が強く、 サーヴァントの数が少ない初心者の頃は牛若丸がライダーの主力になりやすい。 クイック単体宝具ということで、2018年夏に実装されたスカサハ・スカディとの相性が良いのも魅力。 スカディ登場によりクイック宝具の性能が上がり、無課金でも入手できる牛若丸の火力と評価が向上した。 自分とフレンドのWスカディ編成で有利クラスのキャスター相手なら、礼装次第で何十万のHPですら宝具でワンパン可能。 更にクリティカルスター数やカード枚数に左右されるが、自前のNP獲得量強化バフで宝具2連射も狙えなくはない。 敵の数が多いボックスガチャ周回には不向きだが、短期撃破狙いや高難易度、採集決戦レイドボスと活躍する場面が多い。 上記の通り、別霊衣として「サイケデリック流離譚」も存在する。 + その他の牛若丸 牛若丸(ケイオスタイド) 第七章「絶対魔獣戦線バビロニア」に登場したサーヴァント。 ギルガメッシュに召喚された牛若丸がティアマトの泥で洗脳・反転した存在。 いわば、「牛若丸・オルタ」ともいえる。 クラスがバーサーカーに変化している他、理性や善性を剥ぎ取られた結果、 非道な戦いぶりで敵を蹂躙した、殺戮者としての側面が強く出ている。 また、個体増殖のスキルが付与されており、泥がある限り無限に増殖する。 NPC専用であり、主人公の敵として幾度となく立ちはだかる存在だが、 いずれの戦闘も非常に難易度が高く、おまけに当時はバーサーカーに有利となるフォーリナーのサーヴァントが実装されていなかった事もあり、 七章屈指の難関として知られていた。 更にはそのままの仕様で登場し、増殖までするイベントもあった。 「だから言っただろう。 殺して進ぜよう、と。」 水着牛若丸 2018年の水着イベント「サーヴァント・サマー・フェスティバル!」で実装。 レア度は星4で、クラスはアサシンに変化している。 水着姿の方が肌色が減っているじゃねーか、というツッコミも。 精神性は山で動物達と遊びながら修行していた頃に近くなっており、平時よりも無邪気で奔放な子供らしい言動が目立つ。 また、戦法も師匠譲りの法術や羽団扇で風を操って戦うスタイルに変化している。 余談だが、待機モーションが『源平討魔伝』の義経が挑発する際のポーズ(足の向きが逆だが)を模したものとなっており、 上記の台詞をはじめ、本作では『源平』ネタが随所で使われているのは金ピカと同じ理由であろう。 平景清 第2部5.5章「地獄界曼荼羅平安京」から登場。 景清は伝説では殺しても合計37度に渡って復活・挙兵し、源頼朝を襲撃した不死身の武者とされるが、 その実態は、源氏に滅ぼされた平家や落ち武者たちによる怨念が如何なる理由か「平景清」という人物像に凝縮された存在で、 上記の逸話も別々の人間が平景清の名で源頼朝の討伐を目指したもの。 このため、サーヴァントとしての平景清は源氏に恨みを持つ存在が「景清」の力と名を被る形で現界する。 頼朝の命により討伐された義経は皮肉にも「源氏に滅ぼされた」と言う条件を満たしており、 「源義経」が景清の構成要素として取り込まれたか、あるいは義経の怨念が景清の核となったかは定かではないが、 ともかく疑似サーヴァントに近い形で誕生した。 見た目は「源義経」の頃で、クラスはアヴェンジャーとなっている。 格闘ゲームにおいては『MELTY BLOOD TYPE LUMINA』にて、巌窟王と共に『FGO』からのゲスト枠として参戦。 リーチは平均~やや下位だが機動力・跳躍力及び突進技の性能が優秀で、近接戦に秀でている。 あと流石にそのままの姿では出せなかったのか、インナーを着けられるなど露出度が下げられた MUGENにおける牛若丸 Dry-Mugen氏による『JUS』風ドットを用いたMUGEN1.1以降専用のちびキャラが公開中。 非情に高い機動力とジャンプ力を持ち、アクロバティックな立ち回りを得意とする性能となっている。 また、ストライカーとして弁慶を呼び出せる。 AIもデフォルトで搭載されている。 DLは下記の動画から 出場大会 きぼぜつグランプリ~新たなる絶望の訪れ~
https://w.atwiki.jp/prdj/pages/1971.html
マーシャル Marshal 個人としてだけではなく、軍隊を鼓舞し、倒れたものを再起させ、従うものを最大限に活用することに関する偉大な力を獲得するものもいる。マーシャルはまさにそのような指導者であり、見識、勇気、戦略的な洞察力を兼ね備える。そのような指導者の下で働く機会を得ようと、兵はマーシャルの旗に集まる。その技術が何より困難な試練でさえも見通してくれると確信しているのだ。 役割:マーシャルとしての君の能力のお陰で、君は神話的な仲間にも非神話的な仲間にも同様に大いなる力を呼び起こすことができる。集団の中で君は仲間を守り、英雄的な行いすらも上回る行為へと仲間を押し上げる。いつだって君はマーシャルの力を用いて主導権を握り、仲間を助け、敵に戦いを仕掛けるのだ。 クラス:インクィジター、キャヴァリアー、クレリック、バード、パラディンは、マーシャルの道で有益な能力を数多く見つけることができるだろう。事実、戦闘中であれ戦闘後であれ他人を助けるキャラクターも同様に、マーシャルの道にその気高い努力を助けてくれる価値ある能力がいくつも含まれていることに気付くだろう。 ボーナス・ヒット・ポイント:マーシャルの階梯を得る毎に、君は4ボーナス・ヒット・ポイントを得る。これらのヒット・ポイントは累積し、ヒット・ダイス全体や他のデータに影響を及ぼさない。 階梯 道の特徴 1 マーシャルの指令、道能力 2 道能力 3 道能力 4 道能力 5 道能力 6 道能力 7 道能力 8 道能力 9 道能力 10 道能力、先見の指揮官 マーシャルの特徴 Marshal Features 階梯を得るたびに、君は以下の能力を得る。 マーシャルの指令/Marshal s Order:以下の能力から1つを選択する。一度選択すると、変更することはできない。 決定的な打撃(超常)/Decisive Strike:即行アクションとして、君は神話パワーを1回分消費することで、君のターン中にもかかわらず30フィート以内にいる仲間1人に1回の近接攻撃もしくは遠隔攻撃を直ちに行わせることができる。この攻撃ロールには君の階梯をボーナスとして加える事。この攻撃で生じたダメージは、全てのダメージ減少を無視する。この攻撃は仲間のターンにおけるアクションの総数としては扱わない。 再起(超常)/Rally:即行アクションとして、君は神話パワーを1回分消費することで、仲間を再起させることができる。これにより、君と30フィート以内にいる仲間全ては、任意の1回のd20ロールについてロールが行われた後に再ロールするオプションを得る。与えられた再ロールは次の君のターンの開始までに使用されなければならず、例え結果がより低い値になったとしても、再ロールされた後の出目を選択しなければならない。 進歩(変則)/Advance:即行アクションとして、君は神話パワーを1回分消費することで、戦場で戦略的な進歩を想起することができる。これにより、君は自分と30フィート以内にいる味方全てに、そのキャラクターが選択する1回の移動アクションもしくは5フィート・ステップを行わせることができる。対象はそれらのアクションが行える状況でなければならない(例えば、気絶状態のキャラクターは、この能力をもってしてもアクションを行うことはできない)。この能力で与えられたアクションは、クリーチャーが自分のターンで行えるアクションの総数としては扱わない。 道能力/Path Ability:第1階梯と以後の各階梯の時点で、マーシャルの道能力一覧もしくは共通道能力一覧から新しい道能力を1つ選択すること。一度選択すると以後変更できない。特記無い限り、各能力は1回だけ選択することができる。クラス能力や最低神話階梯など、能力には前提条件のあるものもあり、それらを選択するにはその前に前提条件を満たさなければならない。 先見の指揮官(超常)/Visionary Commander:第10階梯の時点で、君もしくは30フィート以内にいる仲間がイニシアチブ判定をロールする際、常に2回ロールしていずれかの結果を選択する。戦闘の第一ラウンドが不意討ちラウンドの場合、君と30フィート以内にいる仲間全ては、移動アクションか標準アクションのいずれかを1回行う代わりに、ラウンド全てに行えるアクションを行うことができる。1ラウンドに1回、君もしくは30フィート以内にいる仲間1人が神話クリーチャーに対してクリティカル・ヒットをしたならば、君は神話パワーの使用回数を1回分回復させる。 第1階梯マーシャル神話の道能力 1st-Tier Marshal Path Abilities 君は以下の道能力を全ての階梯において選択することができる。 悪を討つオーラ(超常)/Smiting Aura:君が悪を討つ一撃能力を使用する際、君は神話パワーを1回分消費することで自分を中心とした半径20フィートのオーラを作り出すことができる。このオーラは君の階梯に等しいラウンドだけ持続する。悪属性のクリーチャーがこのオーラ内で自分のターンを開始したかこのオーラの中に侵入したなら、君の階梯に等しいダメージを与える。このダメージは聖なる力に由来するものであり、ダメージ減少やエネルギーに対する抵抗の影響を受けない。君がこの能力を修得するには、悪を討つ一撃能力を持っていなければならない。 命奪う助言(変則)/Deadly Guidance:君は敵の防御の弱点を指摘することができ、仲間は君の戦略的洞察から利益を得る。即行アクションとして、君は神話パワーを1回分消費することで、君から30フィート以内にいる目標1人を指名することができる。指名された目標から30フィート以内にいる仲間は皆、目標を攻撃する際に急所攻撃能力を得る。すなわち、目標を挟撃しているか、その他ACに【敏捷力】ボーナスを加えられない状況であれば、+1d6ポイントのダメージを与えることができる。この急所攻撃ダメージは他の能力による急所攻撃ダメージと累積する。この能力は君の階梯の半分(最低1)に等しいラウンド数だけ持続する。君はこの能力を4回まで修得することができる。修得するたびに、この能力による急所攻撃ダメージが1d6ずつ増加する。 英雄的妨害(変則)/Heroic Block:驚くほどの速度で君は仲間を守るために飛び込むことができる。敵が仲間の1人に対して近接攻撃を行う際、君は割り込みアクションとして神話パワーを1回分消費することで、移動速度の2倍まで移動するか5フィート・ステップを行うことができる。君はこの移動を攻撃しようとする敵に隣接したマスで終了しなければならない。移動の終了時、君は仲間のACにボーナスを与えるために援護アクション(Core Rulebook 197)を行うことができる。このボーナスは起動条件となった敵の攻撃の前に適用される。これらのアクションはこのターンにおける君のアクションとして扱われない。 脅かす存在(超常)/Menacing Presence:君に関するものは何であれ人を不安にする。君は1分ではなく全ラウンド・アクションとして、クリーチャーの態度に影響を及ぼすために〈威圧〉判定を試みることができる。戦闘において、君は移動アクションとして、敵の士気をくじくために〈威圧〉判定を行うことができる。君が神話パワーを1回分消費することで、君は標準アクションとして30フィート以内の敵全ての士気をくじくために〈威圧〉判定を試みることができる。もし君が《威圧演舞》特技を使用する場合、移動アクションで行うことができる。 確実な技能(変則)/Assured Skill:必要な時に、君は技能を用いてほぼ確実に成功する。技能判定の前にフリー・アクションとして、君は神話パワーを1回分消費することで、技能判定を2回ロールしてより高い結果を選択し、結果に自身の階梯を加えることができる。 活性貸与(超常)/Lend Power:君は仲間にとって価値ある資源だ。割り込みアクションとして君は神話パワーもしくは信任能力を1回分消費することで、30フィート以内にいる神話級の仲間に君の活性能力の利益を与えることができる。仲間は君の活性ダイスを用いる。 完璧なる援護(変則)/Perfect Aid:君が援護アクションに成功したならば、仲間は援護ボーナスに君の階梯を加える。君が援護ロールに活性能力を使用したならば、活性ダイスの出目もこのボーナスに加えられる。 好機の活用(変則)/Press the Advantage:仲間が敵を手ひどく傷つけた時、君はきっかけを掴む。30フィート以内にいる仲間が君が機会攻撃範囲に収めるクリーチャーに対してクリティカル・ヒットを確定させたなら、そのクリティカル・ヒットの目標は君から機会攻撃を誘発する。この機会攻撃が命中したならば、仲間全ては1ラウンドの間このクリーチャーに対する攻撃ロールに+2のボーナスを得る。 攻撃指示(変則)/Directed Assault:敵の防御の隙を見抜いて仲間に伝えることで、君は仲間を優位に立たせることができる。君が敵に対する近接攻撃もしくは遠隔攻撃でクリティカル・ヒットを確定させたなら、この敵の30フィート以内にいる仲間は、この敵に対するクリティカル確定ロールに、君の階梯を加える。このボーナスは君の階梯に等しいラウンドだけ持続する。持続時間の間に君は神話パワーを1回分消費することで、仲間の命中した攻撃をクリティカル可能状態とすることができる。この仲間は30フィート以内にいなければならず、通常同様に確定ロールにこの能力に因るボーナスを得る。一度に攻撃指示の対象とすることができる敵は1体のみである。君が他のクリーチャーにクリティカル・ヒットを確定させたなら、新しい相手にこの効果を与える(ただちに以前の効果は終了する)か、現在の効果を維持するかを選択することができる。 鼓舞する活性(変則)/Inspiring Surge:君の活性は非神話級の仲間の武技をより優れたものへと押し上げる。君が活性能力を使用するたびに、30フィート以内にいる非神話級の仲間は、次の君のターンの開始までに行う次の武器攻撃において、攻撃ロールとダメージ・ロールに+1のボーナスを得る。このボーナスを得るには、その仲間は君の姿を見、君の声を聞くことができなければならない。君はこの能力を3回まで修得することができる。2回修得すると、攻撃ロールとダメージ・ロールにおけるボーナスは君の階梯の半分に等しい値に増加する。3回修得すると、攻撃ロールとダメージ・ロールにおけるボーナスは君の階梯の半分ではなく、君の階梯に等しい値に増加する。 集中(超常)/Focus:君の強力でやる気を起こさせる存在感は、仲間の英雄的な活性力を高めてくれる。30フィート以内にいる神話級の仲間が活性能力を使用する際、ボーナス・ダイスを2回ロールしてより高い出目を選択する。 集中を削ぐ襲撃者(変則)/Distracting Assailant:君は無数の攻撃と素早いフェイントを叩き込み、他の攻撃する相手全てに対する集中力を削がせることができる。君が近接武器もしくは肉体武器で敵を攻撃するのに成功した際、君は即行アクションとして神話パワーを1回分消費することができる。1ラウンドの間、この敵は君以外の者が行う全ての攻撃に対するACに【敏捷力】ボーナスを失う。この能力が効果を及ぼしている間、この敵を挟撃している味方はこの敵に対する攻撃ロールに通常の+2ではなく+4のボーナスを得る。敵がこの能力の効果を受けている間、君が攻撃を命中させるたびに、持続時間が1ラウンドだけ増加する。君のターンが終了した時に目標が君の近接攻撃の間合いの中にいない場合、この効果は自動的に終了する。 上級活性(超常)/Greater Surge:君の活性は限界を超えて強力だ。神話級の活性ダイスを決定する目的において、君の階梯は3だけ高いものとして扱う(最大で第10階梯)。君が第10階梯になったならば、君の活性ダイスは2d8となる。 神速の呪芸(変則)/Lightning Performance:君の舌は刃のように早い。君は標準アクションではなく、即行アクションとしてバードの呪芸を開始することができるようになる。神話パワーを1回分消費することで、君は代わりに、バードの呪芸をフリー・アクションとして開始することができるようになる。 神話級恍惚(超常)/Mythic Fascination:君が恍惚の呪芸能力もしくは示唆の呪芸能力を使用する際、非神話級クリーチャーはセーヴィング・スローに君の階梯の半分に等しいペナルティを被る。君はこれらの呪芸を起動する際に神話パワーを1回分消費することで、このペナルティを神話級クリーチャーにも適用することができる。 説得力のある顔貌(超常)/Persuasive Countenance:君に対する態度が悪くても中立的であるクリーチャーと遭遇した時、その態度は1段階よいものとなる。クリーチャーの態度が最初から協力的である場合、君は〈威圧〉もしくは〈交渉〉判定に+5のボーナスを得てそのクリーチャーに要請を行うことができる。 戦術の天才(超常)/Tactical Genius:君はボーナス特技としてチームワーク特技を1つ得る。君はこの特技の前提条件を全て満たしていなければならない。君がこのチームワーク特技から得られるボーナスを決定する際、君から30フィート以内にいるすべての仲間はチームワーク特技を有していると見なされる(実際にこの特技を持たない場合、仲間はボーナスを得ない)。1日の開始に、君は10分を費やして神話パワーを1回分消費することで、このチームワーク特技を君が前提条件を満たす別のチームワーク特技1つに置き換えることができる。君はこの能力を3回まで修得することができる。そのたびに、君は追加のボーナス特技としてチームワーク特技を1つ得る。この能力を2回以上選択したならば、1日の開始時に君はこの能力により与えられたチームワーク特技をいくつでも置き換えることができるが、1つ特技を置き換えるたびに神話パワーの使用回数を消費しなければならない。 忠誠(変則)/Loyalty:君はボーナス特技として《統率力》を得る。君が既に《統率力》特技を修得している(あるいは後のレベルでこの特技を修得した)ならば、統率力値に君の階梯を加えること。君がマーシャルの指令能力を使用し腹心が100フィート以内にいるならば、君は指令の影響を受ける追加の仲間に腹心を含めることができる。 手下鼓舞(変則)/Inspire Minions:君が士気ボーナスもしくは技量ボーナスを与えるために呪文やバードの呪芸その他のクラス特徴を使用する際、君より4ヒット・ダイス以上少ないクリーチャーへのボーナスが2だけ増加する。例えば、君が6レベルのバードで勇気鼓舞の呪芸を使用するならば、2ヒット・ダイス以下のクリーチャーは[恐怖]へのセーヴに(+2ではなく)+4の士気ボーナスと攻撃ロールと武器ダメージ・ロールに対して(+2ではなく)+4の技量ボーナスを得る。 動揺知らずの技能(変則)/Unwavering Skill:たとえ脅威にさらされていたり、危険な状況であったとしても、君はクラス技能を使用した判定で常に出目10もしくは出目20を選択することができる。君は本来ならば出目10や出目20を選択できない技能に対しては、この能力を使用することはできない。 反撃の叫び(超常)/Shout of Defiance:君は聖なるエネルギーを、高潔なる反撃の叫びとして放出することができる。標準アクションとして君は神話パワーを1回分消費することで、エネルギー放出もしくは癒やしの手の使用回数を1回分消費して半径100フィート拡散の範囲に治癒のエネルギーを作り出すことができる。この拡散の範囲の中にいる仲間は皆、1d6+君の階梯の2倍に等しいヒット・ポイントを回復する。この効果がヒット・ポイントが負の値となっている仲間を0以上のヒット・ポイントにまで回復したならば、その仲間は機会攻撃を誘発することなく、直ちに伏せ状態から立ち上がる。 復帰の言葉(超常)/Resurging Words:神話級存在の力を使用して、君は全てが失われた状況であってさえ仲間を励ますことができる。この能力を使用するには10分間かかり、何者にも邪魔されてはならない。この間君は30フィート以内にいる仲間全てに演説を行う。演説の終わりに神話パワーを1回分消費することで、君の仲間は君の階梯+君の【魅力】修正値に等しい一時的ヒット・ポイントと、[恐怖]に対するセーヴィング・スローに君の階梯の半分に等しいボーナス(最低1)を得る。最大の1/4以下しかヒット・ポイントを持たない仲間は、この能力から通常の2倍の一時的ヒット・ポイントを得る。この一時的ヒット・ポイントとセーヴィング・スローへのボーナスは24時間持続する。仲間がこの能力から利益を得られるのは、24時間毎に1回だけである。 奮起(超常)/Rise Up:君の仲間は君の勇気と指導力から力を引き出す。標準アクションとして、君は神話パワーを1回分消費することで、30フィート以内にいる非神話級の仲間全てに活性能力を1回使用できるようにすることができる。この際、活性ダイスは君のものを用いる。この活性は君の階梯に等しいラウンド以内に使用しなければならない。仲間がこの能力から利益を得られるのは、24時間に1回だけである。 防護鼓舞(変則)/Inspired Defense:君がバードの勇気鼓舞の呪芸を使用する際、(魅惑)および[恐怖]効果に対する技量ボーナスは、代わりに全てのセーヴィング・スローに適用される。君がバードの勇気鼓舞の呪芸を使用するために神話パワーを1回分消費するならば、このボーナスに君の階梯を加える。 歩法付与(変則)/Granted Stride:君は神話的なまでに洗練されており、君と仲間はあっさり全力で下生えを通過する。君の30フィート以内にいる仲間は、君の姿を見、声を聞くことができる限り、(レンジャークラス特徴の)森渡りの利益を得る。即行アクションとして君は神話パワーを1回分消費することで、30フィート以内にいる仲間に自然の移動困難な地形を無視させることができる。この移動困難な地形は君の得意な地形のものでなければならず、この効果は君の階梯毎に1分だけ持続する。この能力を選択するためには、君は森渡りと得意な地形クラス特徴を持っていなければならない。 骨折り損の対峙(変則)/Painful Gambit:仲間が君の傍らに立つ時、君と対決するものに安全な選択肢などない。君に機会攻撃が命中した際、君は割り込みアクションとして神話パワーを1回分消費することで、このクリーチャーに対して全ての仲間に機会攻撃を誘発させることができる。この際、機会攻撃を行えるのは、君を攻撃したクリーチャーを近接武器の間合いに収めているもののみとなる。 マーシャルの指令追加(変則)/Additional Order:君はマーシャルの指令能力を1つ追加で修得する。君はこの能力を2回まで選択することができる。 明快な呼び掛け(変則)/Clarion Call:君は仲間に自分の怒りを授ける。即行アクションとして君は神話パワーを1回分消費することで、30フィート以内にいる全ての仲間に、君が使用している一撃もしくは挑戦能力の利益を与えることができる。この目標は現在君が目標としている相手と同じとなる。一撃もしくは挑戦から常に得られる利益だけをこの能力で授けることができ、一度しか使用できない利益を授けることはできない。この能力は君の神話階梯に等しいラウンド数が経過するか、戦闘の終了まで、もしくは一撃もしくは挑戦の対象が死亡したか気絶状態になるまで持続する。 有益な叱責(変則)/Helpful Rebuke:君は厳しいが役立つ助言を素早く口にする。視線の通る仲間が君の修得している技能による技能判定に失敗した時、君は割り込みアクションとして神話パワーを1回分消費することで、その仲間に君の神話階梯に等しいボーナスを得てその技能判定を再ロールさせることができる。新しいロールが成功したなら、その仲間はその判定に失敗せず成功したことになる。技能判定に失敗した仲間が再ロールするためには、君の姿を見、声を聞くことができなければならない。君はこの能力を修得していない技能に対しても使用することができるが、そうするには神話パワーを2回分消費しなければならず、仲間は再ロールの際に君の神話階梯に等しいボーナスを得ることもできない。 揺るがぬ立ち姿(超常)/Stand Tall:君が30フィート以内にいる1体以上の仲間とともに目標となった呪文もしくは効果に対してセーヴィング・スローを試みる直前に、君は割り込みアクションとして神話パワーを1回分消費することができる。そのようにするなら、仲間全員は、仲間全員と君のセーヴィング・スローの結果のいずれか高い方を使用することができるようになる。 第3階梯マーシャル神話の道能力 3rd-Tier Marshal Path Abilities これらの道能力を選択するには、君は最低でも第3階梯でなければならない。 栄光の突撃(変則)/Glorious Charge:君は仲間に号令をかけ、同時に連携した突撃を行う。君が突撃を行う際に割り込みアクションとして神話パワーを1回分消費することで、君の突撃が完了した後に直ちに仲間1人に突撃を行わせることができる。君は神話パワーを追加で1ポイント消費するたびに、突撃する仲間の数を1人増加することができる。仲間の突撃はその仲間の次のターンにおいて、行ったアクションとしては扱わない。 影の主(変則)/Master of Shadows:君は目に見えず音も出さないものの主であり、音もなく気づかれもしない動きでもって他人に道を示すことに熟達している。君もしくは30フィート以内の仲間が〈隠密〉判定を試みる際、それぞれが2回ロールしてより良い結果を選択することができる。即行アクションとして君は神話パワーを1回分消費することで、仲間1人が次に行う1回の〈隠密〉判定に君の階梯を加える事ができる。この仲間は30フィート以内にいなければならず、1分以内に判定が行われなければならない。 希望の言葉(超常)/Words of Hope:標準アクションとして君は神話パワーを1回分消費することで、半径30フィート以内にいる仲間を鼓舞することができる。そのようにするなら、仲間それぞれは攻撃ロール、セーヴィング・スロー、技能判定、能力値判定のいずれかを2回ロールして高い方を選択する能力を得る。仲間はこの能力をラウンドに1回使用することができる。この効果は君の階梯の半分に等しいラウンドだけ持続する。2回ロールするかどうかはロールの前に選択しなければならない。これは[言語依存](感情)効果である。 恐怖除去(超常)/Dispel Fear:君は仲間をけしかけ恐怖を取り除くことができる。即行アクションとして君は神話パワーを1回分消費することで、30フィート以内にいる仲間に影響を及ぼしている全ての[恐怖]効果を除去するか、視線が通る仲間1人(君の姿を見、君の声を聞くことができなければならない)に効果を及ぼしている全ての[恐怖]効果を除去することができる。 警戒共有(変則)/Shared Alertness:君の存在と指示は他人を罠や危険から回避させる。君から30フィート以内にいて君の姿を見、君の声を聞くことができる仲間は、罠感知能力を得る。君が身かわしか身かわし強化を持つならば、君は割り込みアクションとして神話パワーを1回分消費することで、30フィート以内にいる仲間1人にこの能力を与えることができる。この効果は君の次のターンの開始まで続く。 指示下す存在(変則)/Commanding Presence:君の存在力はあまりに圧倒的で、たとえ君が話す言葉を理解できないとしても、他人は君の求めることを知り、君が言わんとすることを理解する。君は自分の話す言語を知らないものに対して、身振り手振りや声の抑揚のみを用いて、質問をしたり意見を述べたりすることができる。君とのやりとりにおいて彼らが回答や反応をする際、君は返答として何を言っているかの概要を理解するために、DC20の〈真意看破〉判定に成功しなければならない。加えて、君が[言語依存]の補足説明を持つ呪文か能力を使用する際、君が使用する言語を理解できないクリーチャーにも効果を及ぼすことができる。ただし目標は君の声を聞くことができなければならず、【知力】が1以上なければならない。 慈悲体得(超常)/Master of Mercy:君の接触は偉大なる除去能力を持つ。君が慈悲クラス特徴を持つならば、君が癒しの手を使用する際に神話パワーを1回分消費することで、選択した慈悲だけを適用するのではなく、君のレベル以下の全ての慈悲を適用することができる。君が慈悲クラス特徴を持たない場合、君は神話パワーを1回分消費することで、接触したクリーチャーの状態を1つ取り除くことができる。どの慈悲が君に与えられるかは、君の階梯に等しいパラディン・レベルを持つものとして考える。君はこの能力を使用するたびに異なる慈悲を選択することができる。 柔軟な信任(変則)/Flexible Confidence:君の決意は他のものより有益だ。君は信任能力を、マーシャルの道能力における神話パワーの使用回数として使用することができる。 術者の友(変則)/Caster s Friend:君は隣に立つ仲間が呪文を発動する際、その精神集中を促進する。君に隣接する呪文の使い手は、精神集中判定に君の階梯に等しいボーナスを得る。更に、君に隣接している呪文の使い手が精神集中判定に失敗したなら、君は割り込みアクションとして神話パワーを1回分消費することで、代わりにこの精神集中判定に自動的に成功させることができる。 信任(超常)/Confidence:君は必要なときに深い信任を引き出すことができる。1日に3回まで、君は信任を呼び下ろすことで、神話パワーを消費することなく活性神話能力を使用することができる。君はこの能力を3回まで修得することができる。追加で選択するたびに、君は1日の信任の使用回数を追加で3回得る。 神話級の絆(変則)/Mythic Bond:君の狩人の絆能力は最高のものよりもさらに強力だ。君の絆が動物の絆ならば、その動物は君の得意な敵ボーナスの半分を得る。君の狩人の絆が仲間の絆ならば、君は絆を即行アクションで起動でき、仲間は得意な敵ボーナスを半分ではなく全て得る。 抵抗砕き(変則)/Shatter Resilience:君は目標のダメージ減少を弱めるために、攻撃を通して神話パワーを放出することができる。DRを持つクリーチャーに君が攻撃を命中させた時、君は攻撃の一部として神話パワーを1回分消費することで、目標のDRを君の階梯に等しい値まで減少させる(最低0)ことができる。この効果は1分間持続する。この能力を同じ目標に複数回使用しても、効果は累積しない。 デマゴーグ(超常)/Demagogue:君は指令を下す存在感とよどみのないレトリックをもって群衆に呼び掛け心を惑わす、特殊な能力を持つ。小さな町やそれより大きな居住地において、君は神話パワーを1回分消費することで群衆を集めることができる。この行為には4d10分かかる。君の階梯と【魅力】ボーナスの合計を5倍しただけのクリーチャーが、群衆の人数となる(居住区が人を集めるのに十分な人数がいる限り。詳細はGMが決定する)。例えば、【魅力】+6ボーナスを持つ第4階梯のマーシャルは50体のクリーチャーを集めることができる。群衆は1時間の間留まり、君はこの群衆に指示するために行う〈威圧〉および〈交渉〉判定に+10の技量ボーナスを得る。君はさらに神話パワーを1回分消費することで、この効果を1時間延ばすことができる。これは[言語依存]効果である。 忍耐のオーラ(変則)/Aura of Perseverance:君の指導力は仲間が死の扉の前にいる時でさえ彼らを前に進ませる。君の30フィート以内にいる仲間は、ヒット・ポイントが0以下にまで減少しても気絶状態や行動不能に陥らない。ヒット・ポイントが0以下の仲間と君との距離が30フィート以上離れると、その仲間は自動的に気絶状態もしくは行動不能となる。君は神話パワーを1回分消費することで、30フィート以内にいる瀕死状態の仲間全てを容態安定化するとともに、この範囲内にいる仲間全ては君の階梯に等しいラウンドの間よろめき状態の影響を受けなくなる。 第6階梯マーシャル神話の道能力 6th-Tier Marshal Path Abilities これらの道能力を選択するには、君は最低でも第6階梯でなければならない。 希望の灯台(超常)/Beacon of Hope:君は仲間を希望と決意で満たす超常的なオーラを放出する。30フィート以内にいる仲間は全て、[恐怖]および(感情)効果に対して+2の士気ボーナスを、容態安定化判定に+4のボーナスを得る。加えて、これらの仲間の1人が(治癒)呪文や効果の目標になると、それらは君の階梯に等しいヒット・ポイントを追加で治療する。1日1回標準アクションとして、君は神話パワーを1回分消費してこのオーラを終了させることで、30フィート以内の仲間全てのダメージを君の階梯毎に1d6ヒット・ポイントだけ治癒することができる。無効化した場合、このオーラは24時間後に自動的に再び起動する。 鼓舞する強襲(超常)/Inspiring Assault:即行アクションとして、君は神話パワーを1回分消費することで、戦場にいる仲間の重要さを思い起こさせることができる。1ターンに1回フリー・アクションとして、君の仲間は皆移動速度まで移動するか、最大の基本攻撃ボーナスを用いて1回の近接攻撃もしくは遠隔攻撃を行うことができる。これらのアクションはその仲間のターンにおけるアクションとして扱わない。起動したなら、この能力は君の階梯に等しいラウンドだけ持続するが、君が自分のターンに攻撃や呪文を用いて敵にダメージを与えない場合、即座に終了する。この能力はヘイストや同種の効果と累積しない。仲間がこの能力の利益を得るためには、自分のターンの開始時に君の30フィート以内にいなければならない。 非難(超常)/Castigate:君の言葉は仲間をなだめ助けることもできるが、同様に敵を威嚇することにも活用できる。即行アクションとして、君は神話パワーを1回分消費することで、1分間30フィート以内にいる全ての敵の士気をくじくことができる。これは〈威圧〉技能による判定が成功したかのように扱う。これらの敵は君の姿をはっきりと見、声をしっかり聞くことができなければならないが、この能力は[言語依存]能力ではない。 閃く活性(超常)/Surge of Inspiration:君の大いなる存在感は、君の周りにいるものに最善を尽くさせる。割り込みアクションとして、君の視線の通る仲間が攻撃を外したりセーヴィング・スローに失敗した時、君は神話パワーもしくは信任能力を1回分使用して、その仲間の攻撃ロールもしくはセーヴィング・スローに君の活性の利益を適用することができる。その仲間は君の活性ダイスを用いる。この効果は結果が明らかになった後に使用することができ、失敗が成功に変わることもあり得る。 奮闘(超常)/Fight On:指令や決然たる表情で、君は傷ついた仲間を戦わせ続けるように励ますことができる。割り込みアクションとして君は神話パワーを1回分消費することで、君以外のクリーチャーがヒット・ポイントが0未満にまで減少した場合でも、意識を保ち生き続けさせることができる。このクリーチャーは君の次のターンの開始まで、ヒット・ポイントへのダメージで死亡することはない。君は君の次のターンの開始時にフリー・アクションとして神話パワーを追加で1回分消費することで、この効果の持続時間を1ラウンド引き延ばすことができる。このクリーチャーはヒット・ポイントへのダメージでは死亡しないが、ダメージは依然として現在のヒット・ポイントに適用され続ける。この能力の効果が終了したなら、現在のヒット・ポイントやクリーチャーに効果を及ぼしている他の状況などに従い、クリーチャーは気絶状態となるか死亡する。この効果を開始したり持続時間を引き延ばすためには、このクリーチャーが君の30フィート以内にいなければならない。 勇気の言葉(超常)/Words of Valor:わずかな演説により、君は仲間を敵に立ち向かわせるよう力を与える。標準アクションとして、君は神話パワーを2回分消費することで、30フィート以内にいる仲間全てを鼓舞し、ヒロイズム呪文の効果を与えるとともに[恐怖]効果に対する完全耐性を与えることができる。この効果は階梯毎に1ラウンドだけ持続する。この能力の対象となった神話クリーチャーはこの持続時間の間、神話パワーを1回分消費することなく自らの活性能力を使用することができる。 揺るぎない忠誠(超常)/Unswerving Loyalty:君は力と決心の拠り所であり、何より強力な(魅惑)や(強制)からでさえも精神を守る能力を備えている。君は神話級でない[精神作用]効果に完全耐性を得る。しかし君が望むなら、その効果を受けることもできる。神話級の存在が用いた[精神作用]効果の目標となった時、君は割り込みアクションとして神話パワーを1回分消費することで、この効果に対して完全耐性を得る。 マーシャルの構築 Marshal Builds マーシャルの道能力を選択するにあたり、以下のテーマを考えたいと思うかもしれない。それぞれは補完的な道能力の多様性を提案しており、戦場を制御する神話的指導者が意味するものについて、異なるインスピレーションを見出してくれる。また、君はいくつかのテーマからいくつかの能力を選び出し、より包括的なマーシャルを作り出すこともできる。 軍神:マーシャルの道で与えられた能力を用いる君は戦闘の達人だ。第1階梯道能力―悪を討つオーラ、好機の活用、攻撃指示; 第3階梯能力―栄光の突撃、希望の言葉、信任、抵抗砕き、忍耐のオーラ; 第6階梯能力―希望の灯台、勇気の言葉。 支援者:君は仲間を補助し敵を妨害することで、勝利に向けた必要な一歩一歩を静かに進めていく。第1階梯道能力―英雄的妨害、活性貸与、完璧なる援護、好機の活用、攻撃指示; 第3階梯能力―警戒共有、術者の友、神話級の絆; 第6階梯能力―閃く活性、揺るぎない忠誠。 指導者:君のマーシャル能力はとりわけ非神話級キャラクター向けに注力しており、駆け出しの戦士を偉大な存在とする。第1階梯道能力―鼓舞する活性、忠誠、手下鼓舞、防護鼓舞、復帰の言葉、明快な呼びかけ; 第3階梯能力―希望の言葉、恐怖除去、忍耐のオーラ; 第6階梯能力―希望の灯台、奮闘。 戦略家:君の能力を用いることで、君は戦場で味方を自由に移動させ、攻撃を連携させる。第1階梯道能力―攻撃指示、好機の活用、戦術の天才、歩法付与; 第3階梯能力―栄光の突撃、影の主、希望の言葉; 第6階梯能力―鼓舞する強襲。 暴君:君の声は暴力となり、演説となる。仲間はその力を振り絞り、敵は恐怖を想起する。第1階梯道能力―命奪う助言、脅かす存在、神話級恍惚、反撃の叫び、有益な叱責; 第3階梯能力―デマゴーグ; 第6階梯能力―非難。
https://w.atwiki.jp/tmnanoha/pages/330.html
Flame vs Rider 1 ――― トレーラーが時速100km以上の速度で突っ込んだかのような有様―― その森林の入り口を端的に現すとすればこうなるだろう 木々は為す術も無く薙ぎ倒され、見るからに惨々たる様相を呈している それは大木を掻き分けるように突入したナニか―― いや正確には凄まじい力で無理やり打ち出され、突入させられたナニかが残した跡であり 例えるならばボーリングを大砲で打ち出して、ピンを爆砕したらこうなると言った具合か… そして今回、そのボーリング玉の役割を担わされたモノはどうやら鉄の玉とは似ても似つかない 生物で、人間で、生身で、しかも女性の形をしていた 超絶ストライクで間違いなく10本以上は薙ぎ倒したであろう快挙は彼女にとっては何も喜ばしい事は無い 要はそれだけ盛大に打ち出され……叩きつけられた証明にしかならないのだから 「―――、……………」 美しい肉体を地に横たえ、自慢の長髪をも泥に塗れさせている彼女 チカチカと火花が飛ぶ視界、所々がズキズキと傷む自分の肉体を呆然と見下ろし、 「―――、ああ」 ようやく自身に何が起こったのかを理解する 先ほどまで金髪の愛しい獲物を追い立て、追い詰めていた自分 彼女が射程に入ったと見るや満を持して宝具を展開 そのか弱い背中を轢き潰してやろうと思い立った瞬間―― 視界が紅く染まり………気がつけばこのザマ 元いた森へと叩き返され、無様に地に伏せているというわけだ 荒い吐息でゆっくりと大気を吸い、吐いて、、体を起こそうと、―― 「ッ――――ッつぅっっっ!!?」 少しでも身体をずらしただけでこれだ 全身を火箸を入れられたような感覚に彼女は身を震わせ、再びその場に崩れ落ちる 「…………………そうですか………そういう事ですか……」 まったく―――やってくれますね、と口に出そうとして 代わりにゴボっと喉の奥から何かが競り上がってくる ご丁寧にナカまでぐちゃぐちゃらしい 身を無理に身じろがせて、痛みの発信源である自身の胴体に視線を移し 己が身に刻まれた焼け爛れた傷跡を認めるのだった そしてあの一瞬、入れ替わるように踏み込んできた紅蓮の剣に薙ぎ払われた記憶も徐々に蘇ってくる 咄嗟の反応で短剣から伸びた鎖を使い、最低限の受身は取った だが騎士の剣をカウンターで、よりによって宝具発動の瞬間に叩き込まれたのだ とてもその威力の全てを相殺出来るはずがない それは紛う言なき致命の一撃 ダメージが、自身の体のどの辺りまで届いているか どの程度の損傷を受けているか――改めて測るまでもなかった 先の戦いとて無傷ではなかったが、まだ自分には受けたダメージを遊ばせる余裕があった もともと強大なる悪神――ゴルゴンの怪物の記憶を併せ持つ彼女 並の人間とは比べるベくも無い耐久力 無力なニンゲンが必死に打ち込んでくる攻撃を心地良い痛みと嘲笑うゆとりが先ほどまではあったのだが、 だが、コレは違う………流石にこの損傷は無視出来ない いわば肉体の芯に届いた斬撃をその身に感じ取り 戦いが始まって初めてライダーは冷たい汗が体に滲んでくるのを感じていた 「―――、…」 そして現状――自分にはそんな事を長々と考えている余裕など無い事も理解する これほどのクリティカルヒットを奪っておいて敵がこの身を捨て置くはずは無い 案の定、アイマスクで隠された彼女の双眸は、木々を掻き分けて猛然と突進してくる炎の剣士―― ランサーと交戦していた女騎士の姿をはっきりと映し出す まあ、そうなるだろう……当然、この身にトドメを刺しに来るのは当たり前の流れ しかしアレと戦っていた当のランサーは何をやっているというのか…? まさかこの短時間で無様にやられ腐ったとも考えにくいが―― ともあれ状況を整理すべく彼女に与えられた僅かな時間は今、終わりを告げる 「………ふん!」 それは野卑な怒号をあげる事なく、こちらの姿を認めるやいなや一瞬で距離を詰めてきた 身に纏う熱気の所業か、彼女の駆け抜けた跡には紅蓮の火の粉が舞い上がり 針葉樹の茂る湿った地面にF1カーが走り抜けた後の炎の道のようなものを発生させている 派手な女だ 舌打ち一つで身構える騎兵――いや、身構えようとした騎兵 だが普段とは比べるべくもない緩慢な動作はダメージの深さ故 またも軽く舌打ちするライダーだったが当然、相手はそんな事に考慮してくれるわけもない 女騎士――彼女の名は烈火の将シグナム その上手に抱え挙げた剛剣が唸りを上げて翻り 「でぇあッッ!!!」 ほどなくライダーの頭上に振り下ろされたのだ 「―――、くっ!!!」 警告も何も無しに躊躇いもなく、いきなり自分の頭を割りに来た一撃 先の相手とは随分と違う対応だなどと思う余裕も無い 死に物狂いの体に鞭打って騎兵は斬撃を両の短剣で受け止める ズギャァァン、!という、鈍物に亀裂の入るような炸裂音 「ぅ、……つうっ!!」 脇腹の損傷にズシンと響く一撃に顔をしかめるライダー 体の芯に届くそれは先ほどの相手とは明らかに一線を画すもの 敵を叩き斬る事を生業とした剣士のそれに他ならない 初弾の激突――鍔迫り合いはおろか 踏み止まり、押し返す事もままならず そのままヨロヨロと後ずさりしてしまう そして間髪の入れぬニ撃目 体ごと叩きつけるような一撃をこれまた短剣で打ち返そうとする騎兵 だが、やはり踏ん張りが利かない…! 三合目――再び上段から降ってきた剛剣を受ける 両足が地面に沈み込み、体が折れ曲がりそうな感覚に顔をしかめる (反応出来ない一撃では無いのですが、――如何せん…) このガラクタのような身体ではキツイ攻撃だ ダメージが尾を引き押し返せず、受け流せず、後退を続け―― 一太刀ごとに押し込まれていくその体 美しい肌や髪を焼いていく炎熱の剣 かつて孤島の神殿に住まう神話の女怪に対し 挑みかかるは異世界の炎の魔剣士 灼熱の刃の一振りは、周囲の木々を容赦なく燃やし尽くし 立ち映える樹林は瞬く間に紅蓮の炎に包まれて 辺りはほどなく火踊る赤が支配する空間と化す そこはさながら煉獄山――罪人たちを焼き殺す焦熱地獄 暑苦しい趣向だ……これもまた神話の再現などと銘打つつもりか? まったく熱くて敵わない その身を焼き尽くす炎熱の火柱が、じりじりと互いの肉体を苛んでいく そんな熱波と紅い炎に包まれた中 蜃気楼のように――歪む空間を駆ける影絵二つ 詰める影は勇猛な女剣士、詰められるは紫紺の長髪をなびかせる騎兵のサーヴァント 騎兵の頼みの機動力は怪我によってなりを顰め……そも足を使おうにも攻める騎士がそうはさせない 「せぇえあっっ!!」 「―――こ、の…ッ!」 金属同士のぶつかる鈍い音が断続的に業火の戦場に響き渡る 卓越した身体能力と反射神経を持つライダーではあるが 普通にやれば将の剛剣は、騎兵の持つ軽量武器では到底受けきれるものではない 加えて足の踏ん張りの効かぬ今となっては、彼女にシグナムの剣を推し留める力を期待するのは難しく そしてここで勝負所を見誤る烈火の将ではなかった (……このまま押し潰す) 無骨な、ほとんど体当たりじみた剣戟 敵に反撃、退避の余力すら与えず鍔迫り合いに持ち込む将 二つの短剣と一本の長剣が凌ぎをけずり、ぎゃりぎゃりと、甲高い音を立てる そして出力全開で詰める騎士のプレッシャーを押し留められず後退を重ねる騎兵のサーヴァント 「は―――、ッッ…」 こうなっては力士と子供の押し相撲だ 後方につんのめる肢体を何とか堪え 押し倒され、後ろに転倒しなかっただけでも騎兵を褒めたものである だが――その背面には木 絶望的に揺ぎ無き大木がこれ以上、彼女の後退を許してはくれない そして全体重、全出力を預けたシグナム 後方の巨大樹に女怪を思いっきり叩きつけたのだ 「く、――はッッ!」 グシャッ、!!という肉のひしゃげる鈍い音と共に女の、息の詰まる声が騎士の耳に入る 生涯がそのまま戦士のキャリアであるこの剣士に 切り結ぶ相手の余力を計れぬほどの未熟な要素は無い 衝撃で身をよじらせる相手の、その短剣に遮られている刃を力任せに、間断なく押し込む騎士 もう少しだ――この相手はここで倒し得る その剥き出しの肩に食い込む業火の剣 白い肌を焼く匂いが鼻腔をくすぐる 「っ、―――はぁ、、」 女の苦悶の表情と共に口元からギリっと歯を食い縛る音が聞こえた 奇妙なアイマスクで隠された双眸に浮かぶは屈辱か、それとも恐怖か? 「………投降する気は無いか」 全霊で相手に剣を押し付けながら低い声で一言だけ 管理局員たる義務の元に降伏勧告をする女騎士 眉間に深い皺を寄せ、苦悶の表情を見せながらも相手の女はフン、と鼻で嘲笑う 「――愚問です」 これほどの殺気を孕んだ剣を叩き付けておきながら今更何を言うのか、といったところか 「ならば悪いが死んでもらう事になる」 互いに押し殺した声での問答 声帯を開く事すら至難な全力の力比べの最中に行われたそれは互いの一言を以ってあっさりと終了 あの槍兵と変わらず、この女も危険な相手である事は間違いない 空戦S+の魔道士であるフェイトをあそこまで傷つけた相手だ 手傷を負っているとはいえ手加減をする要素など見出せるはずも無い 故に容赦なく、抵抗の術を全て殺ぐ その決意、意思を伝えるに足る騎士の刃が息も絶え絶えのライダーを徐々に犯し―― その命に押し迫っているのだった ―――――― 間奏 1 ――― 単純なスペック、パフォーマンスで相手に上回られた場合とて 不意に不意を重ねる事でコンマ一秒以上の隙を生み出す事は十二分に可能である 均衡状態に陥った戦況に些細な変化を投じる事により 決して崩せぬ相手の鉄壁に亀裂を生じさせ、勝負を一気に終わらせてしまう それが 「戦力」 を凌駕する 「戦術」 というものであり―― ライトニング1、同2の阿吽の呼吸によって繰り出された絶妙の連携が この勝負に大きな局面を与え、サーヴァント二体という難敵を窮地に陥れていた 念話やその他、こちらの特性を生かした絶妙のシフトは タイミングにも助けられ、相手にとって最上の奇襲となる 相手は恐るべき戦闘力の持ち主 未だその深い底を見せていないとしたら――長引けば不利 少しでも気を抜けば途端に劣勢に追い込まれる ならば――その前に捻じ伏せる 敵がその懐を広げる前に一気に畳み掛ける コンマの隙に全戦力を投入し 一気にランサーとライダーを潰しに行くフェイトとシグナム そう、、それは確かに功を奏した フェイトの雷光の一撃に飲み込まれたランサー シグナムの剛剣にその身を薙がれ、瀕死のライダー 勝負の趨勢は―――ここに決したかに思われた ―――――― Lightning vs Lancer 1 ――― シグナムがライダーを追撃すべく飛び込んだ森の、対面の林道 そこは何かが蒸発したような湯気が辺り一面に立ち込め モノの焦げた臭いが周囲に充満していた それはさながら火災の跡か――落雷の痕跡 取り巻く空気は熱気と、そして電磁波をバチバチと発生させている それはこの地を襲った力が決して時間を置いたものではないと容易に顕しており 森林の出口からアスファルトの狭い小道に向かって生じる 地を割く巨大な亀裂が―――その破壊力を物語っていた 大地に生じた地割れはまるで全長50mほどの芋虫が地面を抉って通り過ぎたかのようだ 薙ぎ倒された木々が所々燃え盛っているのは、それが単なる物理的な膂力によってではなく 先も言ったように熱線を伴う何かによって薙ぎ払われた証 そう、、降り注いだのは天災でも自然的現象でもない 他ならぬSランクオーバー魔道士による魔力行使の爪痕だった 雷光一閃――時空管理局執務官・フェイトテスタロッサハラオウンの放つフルドライブ プラズマザンバー・ブレイカー ――― バルディッシュザンバーの巨大な刀身から生ずる稲妻が敵を薙ぐ 黒衣の魔道士の必殺奥義が今、このフィールドに炸裂したのだった 「はぁ、、、はぁ……」 細い両肩を激しく上下させて肺に酸素を送り込む魔道士 大魔法の行使による負荷は確実に彼女の体を苛み 全身にびっしりと汗を滲ませていた 前方に鋭い視線を向けて立つフェイト 未だ濛々と立ち込める粉塵により視界は遮られ その先にいる敵――シグナムを苦しめた槍兵の様子を窺い知る事は出来ない 黒煙と硝煙の渦巻く中、全神経を集中させる 警戒を微塵も解くこと無く、フォルムチェンジした剣を構える彼女 ――申し分の無いタイミングだった ――最善の奇襲に確固たる手応え (倒した………) ――そして奥義に対する自信が この戦いが終結したという確信を彼女に持たせるに至る そうだ……無事なはずが無い 事の顛末を求めて見据えるその視線の先 もうじき噴煙も晴れ、そこには倒れ付す敵の姿が、、、 「ふーぃ…………」 「!!!」 息を呑むフェイト その場からすかさず半歩後退 巨大なザンバーを構え直し、キッと前方を睨み据える その先で――男の場違いな、間の抜けた声が確かに…聞こえた そして目を凝らして見据える先には槍を両手で上方に構えて立つ 痩身ながら完璧な造形を持つシルエットが垣間見えたのだ (ま……まさか…) そして――― 一閃ッ!!! 「ううっっ!??」 バォウ、!!!という風を切る音と それに伴うソニックブームが場に劈く 眼前の相手が手に持つ槍を横に凪ぎ払い 周囲にまとわり付く熱気や粉塵を吹き飛ばしたのだ 噴煙から目を庇うように見据えるその先 もはや言うまでもなく、、蒼き衣に身を包む男――ランサーは健在! 肉体の過剰運用によって火照ったフェイトの全身に今度は冷たい汗が滲む つ、――と、頬を伝う冷や汗 それを拭う事も忘れて睨みつけるその先 男は槍を構え、変わらぬ獰猛な笑みをフェイトに向けるのだった ―――――― (効いて、ないのか……?) 焼け焦げた匂いと硝煙の渦巻く地にしかと両の足を食み―――雄々しく立つその男 まるで何事もなかったように佇む表情 苦しげな様子も感じられぬ佇まい フルドライブの一撃を受けて、、倒したどころか、無傷…? ―――――いや、 どうやらまったく手傷を負ってないわけではないようだ 武器を握る指の何本かは歪に曲がり、巨剣を受けた衝撃で爪が剥がれた出血が見て取れる 全身から仄かに上がる黒煙は感電のダメージによるものだろう 涼しい顔をしているが決してノーダメージではない事をフェイトは瞬時に読み取っていた (雷の使い手か――) 対して槍兵も目の前で大層な剣を構える相手を値踏みするように見据える 周囲に光彩著しいプラズマを撒き散らして立つ黒衣の女 その激しくも美しい魔力光に密かに眼を見張る 神代の世から数えてすら雷を己が武器とする闘士は稀だ 地水火風の四大元素の上位に位置するその力 威力、規模のほどは後ろ――遥か後方まで延びる亀裂を見れば一目瞭然だろう 故に稲妻を行使する者はかの時代、例外なく神聖視され 天よりの御使い、または権化として世に名を記される者がほとんどだ つまり目の前の相手は百戦錬磨のこの英霊に戦慄たらしめるほどの やっかいな相手である事を予感させる者だという事 「第二ラウンド突入か――そちらは選手交代って事でいいのかい?」 その戦慄は男にとっては何より望んだもの かの槍を竦ませる要因になる事は決してない 炎の次は雷――豪華な品揃え、痛み入る、というやつだ 彼にしてみれば目の前に高級料理を並べられたようなものである この熱烈な歓迎に対し、男の狂気じみた闘志は衰えるどころかはちきれんばかりに燃え盛る ブスブスと肉の焦げた匂いを醸し出しながら、それでも歓喜の表情を絶やさないのは更なる死闘の予感故 先の女剣士との決着がうやむやになってしまったのは気にいらないが それも戦場の機微というもの――多少の浮気は仕方がない 要は強敵と相まみえ、心躍る戦いが出来れば彼はそれで良いのだから 一薙ぎの風が場を撫で付けると―― 辺りに立ち残っていた噴煙が舞い上げられ、泡沫のように消え去っていく それは小休止となっていた舞台が再び幕を開けたかのような光景だ そして佇むフェイトとランサー 互いにその姿、輪郭を今はっきりと認め―― 男は口の端を釣り上げて哂い、魔道士は端正な顔立ちに戦士の魂を宿す 挨拶は無い――戦いは既に始まっている ゆらり、と無造作に歩を進めるランサーに対し、 「っ………はぁ!!!!」 「む、――!」 自ら仕掛けるのは何と執務官の方だった キィン――、と、聞きようのない歪な音を残し 光が走ったとしか思えない速度で彼女は一瞬にして男の間合いに入る 踏み込みの凄まじさにランサーの顔色が変わる こちらの身が無事と分かるや否や、この金髪の大剣使いは間髪いれずに自分に襲い掛かってきたのだ フェイトを知る者ならば目を疑ったであろう 彼女が自分から仕掛ける事など珍しいにもほどがあるからだ しかしてそれは期せずして副隊長・烈火の将の取った判断と同じもの 離れていても通じる二人の呼吸が導き出した答えに他ならない (良い判断だ――) 感嘆の意を示す槍兵 魔道士の精悍な相貌、金の髪を目の前に見据え 巨大な獲物を手にして、この埒外の域に達した踏み込みに溜息をつく (なるほど…瞬間移動じみた速度と威力が身上の一撃必殺剣か――) 「はあぁぁぁあッッッッ!!!」 気合と共に彼女の細腕には不釣合いな武装を振り翳すフェイト またも鼓膜を劈く、音も風も置いてきぼりにする歪な協音 それが響き渡ったかと思えば、槍兵の眼前には既に巨大な刃物が現出していた 大剣使いがこの速度を出せるとは――僅か一撃にして、その技量測り難し (――暢気に構えてられる状況じゃねえか) 歓喜に咽ぶ槍兵の心中 だが機関銃の弾丸すら容易く見切る彼をしてこの斬撃を前に悠長に構えている暇は無い 機動は横薙ぎ――地面と水平に払われる黄金の稲妻に対し ランサーもまた一歩、踏み込む そしてこの瞬間、、 大気を震撼させる超速の攻防が今、始まっていた ―――――― 踏み込みはフェイトが先を取り 後を受けるようにしてランサーが一歩 金色と青の閃光が瞬時に交わり、互いの間合いを犯す 巨大な稲妻の剣は十分な間合いと速度をもって男を一撃で薙ぎ倒そうと放ったものだ 反応も防御も許さない そんな心積もりで放たれた彼女の切り札 「―――、と!」 それを、、事も無く掻い潜るランサー! フェイトの視界からはまるで男が大剣をすり抜け、消えたように見えただろう 透かしを食らうとはまさにこれだ 確実に伝わる筈の手応えが得られず、陽炎を凪いだような錯覚にすら襲われる そして身を屈め、横薙ぎの刃の下を潜って駆ける蒼い肢体 その背中と髪が雷に接触して焼け焦げるのも構わずに 薙いだ剣の死角を突いた踏み込みはまさに達人の業 死角に隠れた影に辛うじて反応するフェイトだったが、 「残念だったな! 姉ちゃんッ!」 「く、ッ!」 この時点で大剣使い・フェイトの敗北は確定したも同然 大剣という武器は懐に入れば容易く無力化する事が出来る 圧倒的な間合いと攻撃力が長所である巨大剣は、そのまま小回りの効かなさ、重量が短所となるからだ 故に一撃で仕留めるか、入られて仕留められるか――そうした勝負になるのが従来のセオリー 近接での反射神経と圧倒的な速度を身上とするこの槍兵には威力重視の巨大剣との相性は極めて良い 男にとって、威力だけの武器など攻略するのはさして難しくないのだ 「シィッ!」 薙いだ刃の下方から伸び上がる蒼い肢体 その経験――幾度と無く繰り返し、もはや身体に染み付いた体裁きを違える男ではない 刃の内側に身を置いた事により、相手は攻め手を失い無防備な体をこちらに晒す スルリと霞が侵入したかのような男の捌きに間近で見たフェイトに寒気が走る 一寸の見切り、まるで無駄のない歩法 凶器が頭上を通り過ぎたというのにまるで乱れぬその体勢 全力の振り抜きを透かされた事により体の開いたフェイトの中心線に今、ランサーの槍が翻る ―――気づいた時には既に決まっている それが彼ら速度を重んずる者同士の戦いだ 自分が仕留められた事すら認識出来ずに戦いが終わる事も珍しくは無い 故に槍兵……呆気無い幕切れだったとは思わない ほんの少しの反応、踏み込みの遅れで結果が逆になっていた事も十分考えられたからだ 「バルディッシュ!」 Yes sir ――Acceleration... ならば――もはやフェイトは為す術も無く全身を貫かれるしか術が無い? 「むうっ!?」 ランサーが相手の挙動に目を見開く 否―――それはフルドライブによって構築された彼女の切り札 近接特化型・バルディッシュザンバーを甘く見すぎというものだ 右凪ぎによって彼女の背面まで大きく流れた刃は その重量、遠心力から、再び自身の懐に戻すまで多くの時を有す 刹那の時を奪い合う近接の攻防でその隙はまさに死活問題 通常ならば、巻き返しなど利かない……ここで敵の刺突に急所を突かれればそれで終わりの筈だった ――――あくまでも、、通常ならば、の話である 今、魔道士を打ち抜こうと踏み込んだ蒼いサーヴァント 右からの刃を見事掻い潜った槍兵の 「左側」 に再び現出する刃は――何だ? 「な、んっ!?」 「それ」は完全ノータイムで往復するように右から左へと切り返し 戻ってきたザンバーの巨大な刀身に他ならない フェイトの懐に飛び込んだランサーの背側面を突くべく 「それ」はうなりを上げて迫っていたのだ ―― 初撃と変わらぬスピードで、である ―― 「マジかッ!!?」 これにはランサーも驚嘆の声を挙げざるを得ない 絶妙のタイミングで相手の斬撃を抜けたにも関わらず 黄金の剣のリカバーが冗談のような速さで行われたからだ 咄嗟に槍の柄を返して巨大な刃の返しを受け止めるランサー 辛うじて受け切れたのは男の卓越した反応速度によるものだが―― 「はッ…何だこりゃ!?」 グン、と体のずれる感覚に苛まれるサーヴァント 衝撃を受け流せずにモロに食らった軽量の身体が地面を食む足ごと宙を浮き――― 詰めた距離の数倍を数える距離を無様に吹き飛ばされていたのだ ゴム鞠のように吹き飛んだ肉体 必殺の間合いの突きよりもなお速く翻る剣により 打ち負け――力負けした その状況を迅速に消化するランサー 比較的、力の乗らない柄に近い部分で受けた相手の一撃の――何という破壊力か! 「野郎……どんな原理だ、そりゃ…?」 「バルディッシュ、速攻!」 Continuation... 息も付かせぬとはこの事か またも自分方からランサーに肉迫するフェイト 「ええぇぇいっ!!」 あの巨剣を抱え、またも光の如き速度で突撃する雷光の剣士 未だにランサーの足が宙につかぬうちに彼女は、既に男の間合いの中にいた 金色に黒衣のシルエットが男の眼前に再び顕現 腰を落として両足を低く踏ん張り――バッティングのフルスィングの体勢のように力強く振り被る彼女 「んなろっ!」 これはやばい――反射的に防御を硬くするランサー この自分が近接においてたじろいでいる…… まずはこの事実を正しく受け止め、今は相手の速攻を一つ一つ捌いていくしかない 未だ空中に浮かされているその肢体 宙にて槍を構えて受身の体勢を取るが、地に足が着いていないのでは歩法もへったくれもない 男を支える体裁き、身のこなし、そして移動能力の大半は今―――殺された 「覚悟ッ! はぁあッッッ!!!!!」 そして彼の眼前に現れたのは―――巨大な、雷を纏った扇風機 叩きつけられるフェイトテスタロッサの稲妻の巨剣 一気呵成に叩きつけ、繰り出される刃の超絶回転は まさに巨大なそれにしか見えないものだった (しかも、こりゃ…!) そう、この扇風機はスイッチON・OFFで瞬時に逆回転をして来るのだ……高性能にもほどがある 宙に浮かされた状態で眼前に迫る、金色の輝き放つスクリューシャフトが今、男を滅多打ちにするのだった (………凄え!) ゴガガガ、! ゴガガ、!と スクリューに異物を放り込んだような音が木霊する この攻撃――下手をすれば先ほどの女騎士よりも、重い! 刀身を考えれば当然だ 相手の女の持つ得物は剣というカテゴリにおいて最も巨大とされるツヴァイハンダーをも軽く超えた代物 所謂、「斬馬刀」等に類する超重武装に類するものだ 白兵戦ではむしろ使い勝手の悪い、ヒトならざるものを相手に猛威を奮う特殊武装 故に重いのは当たり前なのである ならば言うまでもなく―――白兵戦でそれをここまで縦横無尽に振るう事こそ異常…! そう、これはまるで――信じられない事に あのバーサーカーの暴風のような剣戟に酷似するものではないか!? 「く、おおっ……!」 浮かされたままタコ殴り――右に、左に、上に、下に 打たれる方向に身体ごとずれる蒼い肢体 まるでコインランドリーにぶちこまれた小動物のように翻弄されるサーヴァント その状態で、それでも力に逆らわず、流れに身を任せつつ、 刃の直撃を受けきる彼こそ究極の域に達する武人と言えよう だが、それでも受けきれない何発かが高圧電流を伴い 肉体のところどころに食い込んでいた 「ぐ、おっ――!?」 あのシグナムを相手にとって、ついにはまともに被弾させなかったこの英霊が いとも簡単にスタン効果の雷撃を叩き込まれ、全身に痙攣を走らせる ギ、と血を滲ませるほどに歯を食い縛り感電に耐えるクランの猛犬 神経を焼く凄まじい熱電流にその身を苛まれながら、必死に耐え抜く 並の戦士ならば、これで既に動けなくなっている事だろう 「うお、らぁぁぁぁっ!!!!」 雷光の魔道士の攻撃はまさに至宝に位置する絶技である だが、彼もまた返す返すも並の戦士ではなかった 気合一閃――自身に接触してくる無数の刃の一つ 縦横無尽に飛来する相手の攻撃の中から、比較的甘く入ってきた一つを選び 己が感電のダメージすら構わずに、力任せに思いっきり打ち返したのであった 「ぅうッッッッッッ!!!!!!」 空気を震撼させる炸裂音と共に 紅い魔槍と稲妻剣が衝突し、大きく弾かれる ――――途端、苦悶に顔を歪めるフェイト (――――、む?) 一気呵成に攻め続けていたフェイトが後方に飛び荒び、自ら距離を離す それによって強制的にお手玉状態だったランサーの体も無事、落着を果たし 再び一時の間を置き―――魔道士と槍兵が睨みあう形となった ――― この間、時間にして一分弱 ――― スピード違反同士の戦いがいかに周囲を置いてきぼりにするかが改めて分かろうというものだ だがランサーにしてみれば久しぶりの地上こんにちわである 下手をすればこのまま延々と宙に浮かされ続けながらの交戦を余儀なくされていたのだろうからゾッとしない 「……………ッ、」 「――――、」 額に脂汗を浮かべるも一瞬 それを拭い、再び凛とした表情で男に立ち塞がるフェイト 巨大な雷刃を正眼に構え――それは徹底抗戦の意思に他ならない (…………) 対して敵の凄まじい剣戟の攻略に苦心するも 魔道士の微かな変調に訝しげな表情を見せるランサー 脅速の闘志達―― フェイトテスタロッサハラオウンとサーヴァント・ランサーの邂逅は未だ始まったばかりである ―――――― Flame vs Rider 2 ――― 英霊―― 星の記憶に名を刻まれた 数々の偉業を成し遂げ、伝承となった彼ら 決して偉業ではなく悪行を以って名を知られた者も多いが、ともかく―― そんな英霊にはそれぞれ特質・属性など、彼ら自身のパーソナリティを形成する様々な要素がある それは英霊のタイプ、性格付けと言っても差し支えはない 彼らは本来、その用途に沿った場にしか現出せず 自身の特質に合った行動によりその奇跡を体現し 己が持つ属性以外の行動を取る事はほとんど無い 大まかな例えになるが、世界を破滅から救って欲しいと悪魔を呼び出す者はいないし 逆に呪詛を以って他者に仇為すために太陽神の加護を求める阿呆もいない 超常の力を持っている者とて万能ではなく、得手不得手というものは必ずあるという事だ 凄まじい力を行使出来る彼らであるがその「キャラクター」とでも言うのか―― 伝承、記憶に記された以外のパフォーマンスを発揮する事はやはり難しい ――――――故に、彼女には 騎兵として召還されたサーヴァント、このライダーには―――― 「窮地から脱出する」 「ピンチを凌ぐ」 ――――と、いう特質が無い ライダー ――堕ちた女神 ゴルゴン三姉妹の末妹メドゥーサ 彼女は圧倒的な力と恐怖で勇者たちを獲物として狩り殺して来た怪物である だがしかし、高町なのはやセイバー等が持つ不屈、奮起、などの折れぬ精神 決して挫けぬ魂で困難を切り開いて行く者かと聞かれれば、首を傾げざるを得ないだろう 劣勢を逆転する要素を持つのはヒロイック・サーガ等に出てくる主人公達の特権だ この騎兵はむしろ、その手の輩に倒される存在として伝承に名を残しているのだから 故に―――今現在、彼女は騎士の剣によって危機的状況にあるが 己が身を苛む剣を押し返し、覆す力を果たして得られるのか? ――――苦しい かつて幾度と無くその身を討たれた忌わしい記憶が 彼女にこの状態から生還できる確率は五分もないであろう事を告げている 絶体絶命の窮地 紛う事なき死の危険に歯噛みしながら 今はただ抗うサーヴァント・ライダー かの者を救い給う支えと成り 力を与へる存在が無い限り―― 彼女の命運はきっとここで、尽きる事になるだろう ―――――― (………テスタロッサ、) 相手にトドメを刺そうと詰めるシグナムが遥か後方で戦っている戦友に思いを馳せる そう―――戦っている……未だ交戦中 背中に感じる気配である程度の戦況は読める 震える地面、空気を切り裂くソニックブームの余波がここまで響いてくる あの魔道士がプラズマザンバーを抜いた以上、狙うは一撃必殺の勝利であったはず だのに戦闘が未だ続いているという事は――あの巨大な雷撃剣を相手が凌いだ事に他ならない 何という男か……紫電一閃に引き続き、テスタロッサのフルドライブですら奴は受けきったというのか? バルディッシュザンバーは接近戦特化のスタイルだ 敵との距離を一気に詰めて切り伏せるいわば短期決戦用のスタイル その凄まじさはこの身を以って知るところであるが―― ――― 同時にあの武装の特質、欠点というべきものも ――― この騎士は十二分に識っている あの剣を抜いた以上、攻め手は自ずと近接に寄ってくる 初撃で敵を斬って落とせなかった場合、あの魔道士ならばいくつかの選択肢があるだろう 一対一ならば一旦距離を取るのが奴の最善 だが互いに奇襲をかけ、相手を斬って落とさねばならないこの状況 どちらか一方が敵を討ち漏らすわけにはいかない ならばどうするか……知れた事 あいつは敵を釘付けにし、そこで仕留めるべく 相手に近接を仕掛ける方を取るに違いない 他ならぬ、この自分の背後を突かせないために――― (まずいな…) そしてそれは考えうる最悪の展開だ 力任せに決めに行くというのは本来、格下の相手や弱りきった相手に対して最大の効果を発揮する だがもし相手に未だ余力があり、力量が上の相手にそれをやった場合――見るも無残な結果に終わるは明白 奇襲が失敗した以上、あの敵と……ランサーと正面から斬り合うのは危険すぎる 奴は、あいつは、技量においてこの自分の剣を嘲笑うほどの力量の持ち主なのだ (何にせよ、ここでもたつくわけにはいかん……) ならば一刻も早く自身の敵を掃討し、友のフォローに回らねばならない 微塵の猶予も無いその状況 剣に更なる力を込め、敵を容赦なく押し潰さんとするシグナム その豪腕同士による力比べは続いていた 灼熱の熱波渦巻く樹林の奥で、既に地面は煮え滾る溶岩の如く溶け出し 片や膨大な魔力を出力に変換し、重機の如き圧殺力を醸し出す騎士 片やヒトとは肉体を形成する元素からして懸け離れた神域の存在 ギチギチと筋肉が悲鳴を上げながら互いを組み伏せようと行使する力のぶつかり合いは もはや屈強な男の戦士さえも青ざめるほど凄まじいものだ 互いに端正で美しい容姿を持つ二人が 表情を鬼相に歪ませて敵を捻じ伏せようと唸る さながらプレデター同士の凄惨な食らい合い だがその均衡は―――続き、シグナムに傾いていく 徐々にライダーの双手刃を炎の一刀が押し切っていく 腕相撲と同じだ 一旦傾いた形勢を覆すには二倍の膂力を必要とされ そんな力を搾り出すにはもはやライダーの身体は損傷が激しすぎる 「―――、、」 将の剣は先ほどの金髪の魔道士と違い、一片の迷いもなく相手を断ち切ろうとしている 武装局員ならば皆、その時の覚悟は持っている事だろうが、やはり本当に「それ」をしてきた剣とは格が違う この紫紺のサーヴァントに本気で死を連想させるだけの気迫が今の騎士の剣にはあった 「お、のれ―――喰らえッ!」 何とか相手を剥がしたてエスケープしたいライダー 木に寄りかかり、両腕は塞がれたまま、片足で相手のどてっ腹に前蹴りを叩き込む 優雅さとはかけ離れた死に体で放った一撃は、それでも確かなる感触を足底に残す 手の三倍の力を持つ脚による打撃 事にライダーのそれは小型のショベルカーをも蹴り飛ばす桁違いの脚力だ 普通ならばただでは済まない――― 並の相手ならば内蔵をぶちまけながら吹き飛ばされてしまうだろう だが、、 「…………!」 騎士はまるで動じない! 体をくの字に曲げて嗚咽に咽ぶどころか 焔のように燃える瞳は微塵も怯まず、力にも些かの衰えも無い 更に険しく彼女を射る烈火の双眸 騎兵の心胆を焼くには十分過ぎるものだった (―――硬い…!) 先ほどの金髪はこれでダメージを与えられた だが今の感触はまるで違う 分厚い城壁を蹴ったような感覚は、逆にこちらの足をヘシ折るほどの反発を受け 逆に体勢を大きく崩してしまう そして――そんな隙を逃がすシグナムではない 「ぬあッッ!」 ライダーの双剣と上方で絡み、凌ぎを削っていた長剣を渾身の力で跳ね上げるシグナム 騎兵の上体が更に崩され、無様に起こされてガラ空きになる その空いた胴体に目掛け、剣士は全体重を自身の肩に乗せ その体にタックルをぶちかましたのだ 「―――ぐ、ふッ!!!!!」 そのチャージはミチミチ、と潰される肉の感触、骨が砕ける鈍い音を確かにシグナムの肩越しに伝える ライダーの両足が一瞬、宙に浮き、指先までビーンと伸びる そのショックで四肢がビクンと跳ね上がり、内腑を押し潰された彼女の口から吐き出された真っ赤な吐奢物が将の顔を汚す 「―――、、」 神経の隅々にまで伝わる電気を通したような痙攣がニ、三度続き そしてほどなく黒い薄布で覆われた彼女の腰がガクンと落ちる そしてずるずると木に寄りかかりながらに崩れ落ちるサーヴァントの上体 フィールド付きの騎士甲冑のチャージを受けたのだ 生身の肉が、それに耐えられるはずがない 普通ならばこれで絶命だ だが、、腰を落とし、力尽きかけている身体にさえ女騎士は微塵の休息も与えなかった へたりこもうとする騎兵の体の更に内側にその身を滑り込ませるシグナム そしてだらしなく上がったサーヴァントの顎を―――肩で思いっきりカチ上げる! ガチンッッッ、という、上歯と下歯が無理やり噛み合わさる音が響く! 弛緩したライダーの両足が今度は上方にと伸び上がり 倒れる事も許されぬ肢体が無理やり立ち起こされていた 顎部を硬いショルダーで打ち上げられ、視界が、意識が、彼女の体から叩き出される 「覚悟……!」 そしてほとんどグロッキー状態のライダーに対し、下から剛剣を跳ね上げる将 狙いは――首! 相手の上がった顎の下に刃を叩き込み 一刀の元にライダーの首級を挙げるつもりだ! 巻き上がる豪炎と共に繰り出されるシグナムの下段斬り上げがライダーの細い首に迫る 翻る将の肢体―――その目は海の暴徒・鮫が捕食対象を仕留める瞬間に見せるのと同様の冷酷な光を放ち 相手の女を物言わぬ躯にする最後の動作を機械的に実行に移す この姿だけは――主にも友にも見せたくはない… 森の奥の、深い闇の中で一つの命を終わらせようとする一匹の修羅 木々が醸し出す闇よ―― 愛する者の目から、この醜い姿をせいぜい隠しておいて欲しいと切に願い―― 剣士は、躊躇う事なく殺戮の刃を振り上げた ――――――
https://w.atwiki.jp/minnasaba/pages/1006.html
聖杯戦争 1日目 知らぬ間に、手にはべっとりと汗を掻いていた。 目の前には夕焼けの色に染まった教会の扉。初めて入るその場所に士郎は緊張していた。 なぜなら士郎にとって教会は避けるべき場所の一つであったからだ。だが今日、ここに入らなければ行けない用事があった。 深い深呼吸のあと、意を決して重厚な扉のドアノブを回した。 ここ、冬木に怪しげな事件が舞い降りた。 五日ほど前の明け方、路上に三人の学生が昏倒状態で発見された。三人とも、真面目な男子学生で夜遊びするような輩ではなかった。 そこで本人たちに問うと、そのときの記憶がほとんどっていうほど飛んでいたため、わからないとのことだったらしい。 ……ここで事件が終わっていれば、季節はずれの怪談話として、人々の記憶から風化していくのだっただろう。 しかし、事件は被害者に増大という形で進展した。発生から次の日、ほぼ被害者の数はほぼ一、五倍で発見された。さらに日がたつにますます増えていき、当初の何倍にも膨れ上がった。 おかげで、藤ねえはこの五日間、衛宮邸に足を踏み入れていない。 警察も、この不可解な事件にどう対応したかわからず、集団帰宅や早期帰宅を呼びかけたり、見回りを強化したりすることしかできなかった。 やがて事件は不穏な怪しさを帯びて行った。 曰く、大陸の魑魅魍魎がこの冬木に巣くっている。 曰く、その化生は若い男の精気を求め、夜な夜な男を誑かす。 どれもバカらしく悪い冗談にしか思えなかったが、士郎は否定できずにいた。なぜなら自分の養父は魔法使い――――正確には魔術師だがであったためである。 だがそれが化生でなく、特殊な術式を持った魔術師であったならば、それに気づくことが出来るのは魔術使いである自分だけではないのか。そんな思いから士郎はこの事件の調査に乗り出した。 最初の被害者である三人が暈けていた記憶中で、どの学生も一人の女性に出会ったらしい。間違いなくこの事件に大きく絡んでいるだろう。 その女性を捜すために士郎はその学生たちが住んでいる冬木教会の近郊にねらいをつけた。 「その聞き込みの一環に訪れたんだがなあ」 荘厳で静寂。その重苦しい空気を何とかしょうと呟いた言葉は見事にかき消された。 二列に分かれた長椅子は幾重にも並び、懺悔と祈りの染みこんだ白い壁は士郎を圧迫した。 士郎の脳裏に、紅そまった死の世界が蘇る。胸をぎゅっと押さえながら士郎は 改めて思ってしまった。ここは自分はいていられないと。 「何の用かね。教会の仕事が混みっているから、用がある早くしてもらいたいのだが」 声のする方に目を遣ると一人の神父が立っていた。張り付いた見せかけのだけの微笑浮かべた神父はゆっくりと祭壇へと近づいていく。 士郎はその男を見た瞬間、漠然とこいつとは分かり合うことはありえないだろうと感じた。 「ア、アンタは……」 「あんた、か。年長者に対する礼儀がなっていないな。まぁいい。私は言峰、言峰綺礼だ。 で、少年。何の用だと聞いていている」 士郎は素早く用件を伝える。教会で、さらにこの男と長居はしたくなかった。 「えっと、五日前にこの写真の学生をどこかで見かけませんでしたか?」 言峰という男の言葉で、口調を改めたと思われるのは癪ではあった。 だが士郎は神父と初対面であったし、人にものを尋ねるのならそれ相応の態度を示さなければいけないと感じた。 神父は写真を受け取り、ふむと頷いた。 「見かけていないな。…………五日前か。すると少年は男子学生連続昏倒事件の犯人を追っているのか。 でなければ、教会にこんな事を尋ねに来る酔狂者はいるまい。 だが、やめておきたまえ、この事件は不気味すぎる。下手な殺人鬼を相手にするよりも危険だぞ。 それにな少年。モノを尋ねるときは、自分から名乗りべきものだぞ」 「む、衛宮士郎です。別にそれほど深い追いなんてしません。ただ周りの人が苦しんでいるのに 自分だけなにもできないのがいやなだけです。 では、これで失礼します」 とんだ無駄足だったなと思いながら、一礼して出て行こうとしたが、顔あげた先には 固まった言峰綺礼の顔があった。 「えみや、衛宮……だと」 見開かれた目をみると本当に驚いているようだった。士郎は出て行くタイミングを逸してしまった。 「あの、どうかしました」 「いや、なんでもない。ではな衛宮士郎。最後に神父として忠告だ。 忘れてはいけない『何か』を見るという行為は『何か』に見られることと同義であることを」 士郎は言峰綺礼の不吉な予言を背中で聞きながら教会を後にした。 「ダメか。今度は新都の方へ言ってみようかな」 教会を出たあとも何軒か聞き込みをしてみたが、 それらしい情報は得られなかった。ふと辺りを見渡せばすっかり暗くなってしまった。 今日は桜も家の用事で来られないといっていたし、 藤ねえもおそらく来られないから簡単も物ですまそうなどと考えながら帰途につこうとした。 瞬間 うふ、ふふふふふふ 響き渡る艶やかな笑い声はどこからか聞こえてくる。 「!」 思わず士郎はばっと振り返った。 ……………………………………………………………………。 が、そこにあるのは沈黙と民家から漏れる仄かな光。そして粘つくような濃い闇しかなかった。 汗を拭い、再び坂を下ろうとする。 『忘れてはいけない『何か』を見るという行為は『何か』に見られることと同義であることを』 脳裏にあの神父の声が蘇った。 士郎は知らず知らずの内に後を振り返えていた。 ……………………………………………………………………。 頭をふるう。それはきっと神父が言った悪い冗談だ。と士郎は腹から履き上がってくる不安共々、不吉な予言を押し殺した。 足早に、教会の近くの坂を降りていく。 …………… ………………………………… …………………。 降りていきながら、士郎から汗がさっと引いていった。自分の足音だけしか聞こえないのだ。どう考えても静かすぎる。その静けさは生き物の吐息が聞こえる森の静けさとは異質な荒野の静けさに近い。 その瞬間、士郎は全速力で、走り出し――――――――― 「ちょっと、坊や。どこ行くの?」 ―――しかし、その一言と肩にある掌の感触が、士郎の体を硬直させた。 それは振り向いてはいけない。そんな本能の制止を振り払いながら、士郎はギチギチと首を後に向ける。そこには、楽しそうに笑った女性がいた。 「どうしたの? 固まっちゃって。あ、もしかして綺麗すぎて吃驚しちゃったかな? うふ、かわいい子だなぁ。 あ、でもけっこう年喰ってそうだなとか思ったら、お姉さん、特別に爪切りもとい指斬りしてあげるわぁ。ふふ」 まるで、久々に会った知人と話すような気軽さで現れた女は尋常でない色香を纏っていた。 黄金律とも言える整った顔立ちに、薄い紫の長い髪を簪で持ち上げてそこから見られる白磁のような首筋は思わず触れてしまいそうなる。 目を下に向けると金の刺繍の入った鮮やかな紅いチャイナドレス。 大きく入ったスリットから覗く太股は見る者をその場にひざまつかせる相応しい魔力を秘めていた。 士郎はこの女と知り合いではなかったが、何者であるかは判断することが出来た。 「むー、少しは喋りなさいよぉ。あなたが私を捜しているから、わざわざ出てきたのに」 その女はぶすうとほっぺを膨らませながら、柳眉逆立てた。しかしその可愛らしい行動とは裏腹に纏った魔力は士郎のような三流魔術師でもわかってしまう。 まるで、その女の周りが魔力のせいで歪んでいるようにみえるのだ。 あれほどの魔力を人型に詰め込められるものなのか。明らかに人が持ってはいけない魔の領域到達していた。 それは神話の世界で人々を蹂躙し、英雄と雌雄賭けて戦うような怪物。 ――――曰く魑魅魍魎は若い男の精気を求め、夜な夜な男を誑かす。 そんな与太話が現実味を帯びてくる。目の前にいる女はおそらくこの事件の犯人。このままでは殺される。士郎はそう確信した。 わざわざ女が自分の姿を晒したということは、生きたまま返さず、 もしくはそれに準ずる行為するということだ。頭をフル回転させる。武器はだた一つだけあった。 「どうして俺が捜しているって知ったんだ?」 「うふふふ、喋れるじゃなーい。えーとボク、風水って知っている? トイレを綺麗にすればうんぬんかんぬんの運が上がる。 あれ。あれって別に運に限ったじゃないのよぉ。要するに」 その女の注意を反らしながら、こっそり右ポケットに、お目当てのものを捜す。 「歪曲でもない土地。つまり普通の地脈をね。魔術的な物の配置で、マナの操作し意図的に自分好みの歪曲を作り出す代物なの。凄いでしょ」 指先に、ヒンヤリとした感触。おそらく柄の部分だろう。こっそりとたぐい寄せる。 「此処一帯に作った歪曲を利用して、情報操作と情報収集の陣を組んでいるの」 一、二、三回。親指と人差し指が上下した。ようやく武器が士郎の掌に収まる。 「まあ他にいろいろ効果はあるけど、内緒よぉ。そういうわけでボクが捜していることわかったのよぉ。――――で、ボクは何をしているのかな」 「!」 士郎の体がビックと飛び跳ねる。武器を出そうとした矢先に掛けられた声だった。 この女を欺くのは不可能だったようだ。 「ふーん、日常品に、何かしらの……強化、強化の魔術を付加しただけみたいねぇ。これで、ボクはどうするつもりだったのかな? これじゃ私はもちろん一般の魔術師も倒せないなぁ。うふ」 士郎の手にあったものをさっと引ったくり、女は手の中で遊ばした。 「んん? この出っ張り何かしら」 カチッと音と共に、世界は一変し、辺りは一瞬光に包まれた。 しめた、と思いながら、士郎は目を開け一気に走っていく。士郎の武器として持参したのは魔力で光を強化した懐中電灯だった。強化された懐中電灯はスタングレネードに匹敵する光量を発した。 運悪く電灯を望み込むようにスイッチをいれたあの女は光の強さに目を回しているだろう。これこそが士郎の狙いだった。 半人前である士郎が成熟した魔術師に勝てるはずがない。ならば生存率を上げる工夫をすればいい。 どこにでもある日常品に、簡単な魔術。持っていても警戒されないだろうし、逆に先ほどの女のように油断するかもしれない。 士郎は一心不乱に走っていく。目指すはあの教会だ。この距離だと家は遠すぎるし、逆に自分がどこに住んでいるのかバレてしまう。教会ならば恐らくそれだけで結界の役目をはたしてくれそうだ。 だが、それはあくまで希望的観測にすぎない。しかし、この絶望的な状況に生まれたわずかな可能性を捨てきれるほど士郎はあきらめの良い男ではなかった。 やばい、やばい。 止まってしまえば一巻の終わりだ。 そんな警告に似た焦燥がガソリンとなって、ただ足を速く回し続けた。 あれは、指一つで自分を殺させる生き物だ。 ならば、逃げ続けるしかない。 走る。全神経を足だけに集中させるかのようにただ、ただ速く走った。 「はぁ、はぁ、っく。はあ」 あ、見えた。体の中から、歓声が起こる。冬木の教会まで、あと数百メートルもない。 鼓動を激しく打ちすぎて心臓が飛び出そうな感覚に襲われながらも、士郎はラストスパートを掛けようと、右足に力を入れた。 ぼっと。 「はぁ、はぁ、え?」 世界が傾いた。一瞬何が起こったのか理解できなかったが、顔にかかった鮮血でわかった。ああ、自分の足が切れただけなのだ。 その女が、目の前に現れた。目の錯覚なのか女が何人もいて士郎を囲むようにしている。 その女達は士郎を見るとにぃぃと嗤った。 「ああああああああああああああああああああああ」 呆然と立ちつくす少年にゆっくり、女が後から優しく抱きついた。 「もう、変な事するから、ヒック、シャックリが止、ヒック、まらないじゃん。むう、あ姉さん、罰として幻術の刑にします。しばらく苦しんでなさい」 女は楽しそうに、少年も耳元で囁いた。 「随分と楽しそうだな。キャスター」 そんな冷めた声が、教会の扉の方から聞こえた。キャスターと呼ばれた女は、玩具を取り上げられた子供のように顔を歪ませながら、忌々しく叫ぶ。 「教会の監督役が……! 何の用よ。今は聖杯戦争中よね」 「こちらとしても、こんな事で出向きたくわないがね。だが、教会の前で、そうもいかん。 それに此処はな、聖杯戦争中は不可侵地区だぞ。本来ならマスターに罰則を与えてもおかしくない場所だ。貴様マスターは、何を……………ああ、成る程な。その魔力量を見ればわかる。貴様、マスターを傀儡してしまったな」 「さー、どうかしら。もしかしたら、ヒック、違うかもしれないなぁ」 「まあ、どちらでも良い。その少年の身柄を返したまえ」 綺礼は、手を前に突き出していう。 「ふふ、取ってみなさい」 「元よりそのつもりだ」 神父は片腕を水平に上げる。そして、神父の纏う空気がガラリと変わった。 殺すためだけのモノになるかのように、瞳には一縷の情もなく、殺意しか浮かび上がってこないように見えた。 槍のような殺意がキャスターに注がれた。しかしキャスターはほくそ笑んでいた。 洗礼詠唱か、それとも、黒鍵か。どちらにしてもキャスターは負ける気がしなかった。 前者は相性においては最悪だが、こちらは魔術の雄。神父が組み立てた術式に介入し、 逆に反撃に転じることだってできる。 後者は魔術に特化している『キャスター』のクラスであるため突破口かもしれないが、 このキャスターにとっては弱点ですらなかった。生前は敵と派手に打ち合ったこともあった。 神父の片腕から赤い燐光が上がり、莫大な魔力が迸った。 その魔力は術式に組み立てことなく、神父の体の中に入っていく。 身体強化か。そう思った瞬間。 「え」 目の前に神父がいた。ヤツがやってのけたのは、洗礼詠唱でも、黒鍵でも、まして代行者が使う怪しげな体術でもなかった。 それは中国拳法――八極拳の震脚。 接近戦で、絶大な威力を最大限発揮するために編み出された歩法。さらに『強化』された肉体を持ってすれば、 あの程度の距離などなきに等しい。 少年を抱いていたキャスターの手首が神父に捕まった。人間の頭蓋骨を叩き割ることのできるほどの腕力をもつ キャスターが腕を引っ張り、 そこから体勢を崩させようとするが、神父はビクともせず、絶技を繰り出された。 名は六大開・頂肘 綺麗に決まった一撃が胸に槍を突かれたような激痛を走らせた。破れかぶれになりながらも、 崩れ落ちる体に鞭を打ち蹴りを繰り出す。が、そこに神父は居ていなかった。 居たのは先ほど神父が立っていた場所だった。恐らく技を決めた瞬間、少年を拾い上げ震脚で離れたのであろう。 「起きたまえ。エミヤシロウ。今は寝ているような場合ではないぞ」 軽い痛みがほほを伝う。士郎を幻術から救ったのは、 さも面倒臭さ気な低い声だった。ぼやけた視界一面現れたのは言峰綺礼の顔だった。 「ギャー!? テメェ何してやがる」 「フン、助けておかれておいて何という言い草だな」 その一言で士郎は状況を理解する。 「あの女は!?」 「ここよぉ。ボクちゃん」 地面に仰向けになっている女が手を挙げ、ふりふりと振ってみせた。 「フ、落としたと思っていたのだがな――――――衰えたな」 「いいえ、卑下する必要はないわぁ。けどここはもう私の庭。防御手段なんていくらでもあるわよ。それよりもぉ」 女は足を勢いよく地面を叩きつけた。何かが砕ける大きなくぐもった音が響き渡り、 見ればそこには小さなクレーターができていた。 「ふふ、うふふふ。騙された神父さん。まさか八極拳の使い手とは。改めてお相手してもらいたいわねぇ」 「――――禍々しさが増したぞ。キャスター。怪力か。やはり貴様は正規の英霊ではないな。 そのあり方は亡霊や魔物に近いな」 そう言いながら、言峰はキャスターの方に向き直る。左手には獣の鉤爪のように黒鍵が握られていた。 「エミヤシロウ、生きたいか? どんなことがあっても」 視線を変えずに言峰は、士郎だけに聞こえるように問うた。 そんなの当たり前だと頷く。 「よろしい。ではこれから言うことを実行してもらう。これを見たまえ」 言峰は右手から黒鍵を出す動作をしながら、器用にかみ切れを士郎の前に落とす。 キャスターに気づかれないようしながら、士郎は紙を拾った。そこには、不可思議な図面と呪文が書かれていた。 「…………俺、召喚なんかしたことないぞ」 「この召喚は普通の召喚とは違う。必要なのは覚悟だ。それさえあれば大雑把であろうがいささか誤りがあろうが、構わん。ただ、急げよ。教会の書斎。 机の近くに赤色の筆がある。それを使いたまえ。その間、私がアレの足止めをする。 といっても今の私なら十分も持てばいい方だ。 だが、その間は絶対に死守しよう。 ―――――頼んだぞ」 終。掲示板使いぬくっ。なんどもエラー出してしまった。
https://w.atwiki.jp/dangerousss2/pages/61.html
第一回戦畜生界 法帖紅 名前 性別 魔人能力 鬼屋敷凉 男性 ナンバーズ・オブ・デス 法帖紅 女性 永劫逢魔が刻 クレナイ 夜魔口工鬼&夜魔口断頭 男性/女性 グレムリンワークス 採用する幕間SS なし 本文 ◆88xxx8888-88 88xx(Timestamp error) 鬼屋敷涼 鬼屋敷凉にとって一番の誤算は、この戦場であった。 血肉に飢えた獣が闊歩するこの畜生界は、彼の戦闘スタイルにとって不利が大きい。 狼が如き不定の獣たちは、多少の痛みなどものともせず襲いかかる。 「数も数えられねぇ能無しクソッたれな肉塊どもめ。俺の歩みと数学を邪魔するものは、何もかも容赦しねぇぞ」 強化された彼の身体と戦闘術クラヴ・マガは、風車のように畜生どもを蹴散らしていくが、いかんせん人間対人間を想定した戦闘術であるクラヴ・マガは四足歩行の生物への急所攻撃を不得意としていた。 結果。彼の周りには、傷つきながらも立ち上がり、彼を喰らわんと狙いを定める獣がたちが群れを成す。 瞬間、空気が動く。背後に気配。 奇襲を察知した鬼屋敷は、すんでのところで背後から迫り来た一撃を回避する。 獣の群れに紛れながら鬼屋敷を不意打ったのは、対戦者である殺すべき相手、法帖紅。 彼女の右手には裁ちバサミが握られている。 「テメェーも同じだぜ、クソ女! 世界のすべては数学であり、数学つったらこの俺だ。そんな俺に立ちふさがるってことが、何を意味するかわかるか?」 「知らないわ、そんなこと」 「今から徹底的に教授してやるぜ。授業料はテメェーの命から差っ引いてやるから覚悟しておけッ」 向かい合う二人の魔人。 鬼屋敷は、改めて己の能力を発動するため、脳の奥深くに眠る魔人能力のイメージを強く認識する。 ――『ナンバーズ・オブ・デス』!! ――無理数を暗唱することで敵にダメージを与えたり、自分を強化することができる能力。 ――小数点以下、無限に増えて行く桁数をより多く暗唱すればするほど、その力は爆発的に増大する。 鬼屋敷はクラヴ・マガの教えを思い出す。前進転の構えから拳を握る。腰を落とし、瞬発力を溜めた。 フッっと息を吐く次の瞬間には、彼は敵との距離をゼロにまで詰め寄っている! そして叫ぶ。 「√2!」 彼の瞬間的な歩法に、紅は対応することができていない。 (この女、戦闘系魔人じゃあねぇな) フェイントも何も必要ないと判断。渾身の右ストレートを叩き込む。 紅は避けることも防御することも出来ず、左の肩にまともにそれを受け、衝撃とともに転がり飛んでいく。 「俺の拳を喰らったな?」 鬼屋敷はニヤリと笑う。 1.41421356237309504880168872420969807856967187537694―― それは無理数の暗唱。彼の能力発動のための詠唱。 膝をついた紅が、彼の拳を受けた肩を見やると、殴られた箇所が不自然に発光している。 それこそ、鬼屋敷涼の能力ナンバーズ・オブ・デス発動の証。 ――8073176679737990732478462107038850387534327641572、0ッ!! 「まずは一発、味わってみろ。これが数学の力だ!!」 強烈な発光と衝撃。 一直線に張り裂ける大気。 それはありえざる遠距離攻撃のごとき拳撃。 紅に叩き込まれた打撃位置を起点に発生する、2段構えの爆発攻撃。 「今のはジャブだぜ、女ぁ…。まさかこの程度の一撃で死ぬわけはねぇよなぁ?」 「……当たり前でしょ」 一瞬の間隙。 鬼屋敷は見ていた。 ナンバーズ・オブ・デスがその威力を現す一瞬、紅を守るように出現した影。 大蛇の姿を。 (確か、この女の能力。一瞬のタイミングにも割り込める防御能力だったか……) 鬼屋敷は、事前に調べがついていたこの対戦者の魔人能力を思い出す。 (ハッ、それがどうした。この女自体に大した戦闘力はねぇ) 「だったら、テメェーの能力と俺の能力、どっちが強いか格の差を思い知らせてやるよ」 二人の魔人の激突が始まる。 ”弱ったほうを襲ってやろう”とハイエナの如き狡猾さで趨勢を窺っている周囲の畜生たちを尻目に懸けながら、 彼はむしろ安堵していた。 奴らに一斉に襲いかかられたらヤバかったな、と。 鬼屋敷は、自分に優位な展開になりつつあることを実感する。 脳裏では、すでに目の前の魔人を倒したあとに倒すべき、もう一人の敵について思いを巡らせていた。 ††† 繰り返される拳撃と瞬間防御の応酬は、すでに開始から10分を超えていた。 「どうだぁ、女ぁ。テメェーは俺に敵わねぇってことがよくわかっただろう」 10分の間、攻撃のすべては鬼屋敷の拳から放たれるのみ。紅の反撃のすべては彼に届くことはなかった。 圧倒的運動性能の差である。 彼の拳は右から左から、上から下から、前から後ろから、フットワークと組み合わされ無数の方向から放たれる。 問題は、その攻撃が紅に対する致命の一撃には届かないということだった。 (チッ、威力が足りねぇか) 100桁級の無理数詠唱では、大蛇の防御性能を貫けない。 「だったらよぉ。1000だろうが10000だろうが、暗唱すればいいんだろ? それでQEDだ」 証明終了。勝利確定だ。 紅側に、彼の無理数詠唱を止めるだけの攻撃力は存在しない。 鬼屋敷は叫ぶ。 「√11!」 3.31662479035539984911493273667068668392708854558935―― 暗唱は続く。500桁を超えて、まだ詠唱を切るつもりはない。 紅もこの莫大な暗唱量に危機感を覚えたのか、専守の体制を崩して攻勢に出る。 鬼屋敷は、それに付き合う必要はまるでない。 紅の鈍い踏み込み、鈍い一撃を往なして弾く。 1分、2分、と暗唱は続いて行く。 ――19002140082024685763510576959827552952570326742584…… 1000桁を超える。 ――6573174993463673181778967078930496112694294237633、0ッ! これで5000桁! 「俺の、数学はああああ、さいッきょうだあああああ」 大型爆弾級の局地破壊を実現する、これが鬼屋敷涼の魔人能力の真の姿。 閃光のナンバーズ・オブ・デス。 右拳の一点に破壊力のすべてを集中するストレート・スマッシュ! 「わたしは別に、貴方より強くありたいわけじゃないわ」 そんな紅の囁きを、彼は聞かなかった。 「叶えたい願いが、あるだけ」 その瞬間、紅が小さく笑う。 ――鬼屋敷が放つ拳が迫る。 ――紅が笑っている。 鬼屋敷の瞬間的な思考。 何か、見落としがあるのだろうか。 この女がこの瞬間から逆転する一手が存在する? このタイミングを待っていた? 俺が大技を繰り出す瞬間を? そう、俺は最初、なぜ小技で様子を見るような真似をしたのか。 大技を放つ隙を狙った横槍が入らないようにと―― 「今だッ、グレムリン。両方まとめて叩ッ斬れ!」 「あいさー先輩ッ」 周りを囲む畜生どもの陰に身を潜め、機を窺っていた新たなる闖入者。 夜魔口工鬼(グレムリン)&夜魔口断頭(デュラハン)! ††† ◆88xxx8888-88 88xx(Timestamp error) 夜魔口工鬼 グレムリンは、デュラハンの指示の下、召喚した小悪魔の視界を借りて一部始終を観察し、機会が訪れるのを待っていた。 デュラちゃん先輩が言うことにゃ、俺達の優位は、俺の魔人能力グレムリンワークスの諜報能力にあるらしいス。 「いいかグレムリン。私達にあって他のヤツは持ってない力。それはなんだ?」 「なんスかぁ先輩。そういう哲学的な小難しい話、俺にはわかんねぇッスよ」 「バカ、違う! 能力だよ能力。私達にあって他のヤツらは持ってない力。それはお前の小悪魔たちの諜報能力。そしてな、今から大事なことを言うぞ。私達が生き残るために、私達は協力して立ち向かう。私が考え、お前が動く。私達は、二人だ。それが他でもない。もっとも強力な優位点になる」 「先輩……。俺泣けて来たッス。デュラちゃん先輩が俺を頼りにしてくれてるッス。感激ッス。この勢いで告白したら成功確実ッス。先輩……好きッス。愛してるス」 「グレムリンお前……ぶん殴るぞ」 「先輩、今、身体無いッスよ」 「チッ」 ――『グレムリンワークス』夜魔口工鬼が持つ特殊能力!! ――体長5cmほどの小悪魔を生み出す。一度に出せるのは10体前後。 ――小悪魔と術者間でテレパス会話や視覚共有も可能。 「まず、グレムリンワークスで周囲を警戒。敵との接触を避ける」 「ふむふむ」 「そうしたら、敵二人がバトり出すのを観察できる」 「さすがッス、先輩頭いいッス。俺達は一戦やらかしたあとの、残ったボロボロのヤツを相手にするんスね!」 「いや、ただ待つだけじゃない。より確実な勝負のために、機会を窺うんだ。敵が相手にトドメを刺そうとする、その一瞬こそが最大のチャンスだ。その一瞬こそ、敵が一番油断する機会なのさ。それで二人の敵のうち、”強い方”を倒す」 「おお!」 「あとは、トドメを刺されそうなっていた”弱い方”を私達二人で相手する」 「先輩、よくこんな作戦思いつきましたね」 「ああ、ハンターハンターを読んだからな」 「先輩……」 「あ? なんだその顔は! 文句あんのかコラ」 ††† 鬼屋敷涼が、法帖紅に必殺の一撃をぶち込む。 その瞬間を、デュラハンとグレムリンの二人は待っていた。 向かい合う鬼屋敷と紅。 その周りを囲み、どちらかが倒れるときを今か今かと待ち望んでいる地獄の畜生ども。 その畜生どもの陰に、グレムリンの生み出した小悪魔たちの視界を紛れ込ませておいた。 そうして二人は、戦うべき敵の能力の詳細と戦闘能力を間近に観察することができた。 「俺の、数学はああああ、さいッきょうだあああああ」 鬼屋敷が叫び、拳を振り上げ飛びかかる。 「今だッ、グレムリン。両方まとめて叩ッ斬れ!」 「あいさー先輩ッ」 グレムリンは、マリーアントワネットの断頭斧を振りかぶる。 幾多の首を斬り落としてきた呪いの一振り。 鬼屋敷の不意を突けるよう、死角を走る。畜生どもの影を縫い、背後を取る。 「な、何?!」 鬼屋敷がこちらの行動に気づくが、もう遅い。 トドメを刺すという殺意の気配が、グレムリンの隠形の気配を隠し通し、接近を許す。 必殺の一撃は、それこそ渾身の力を込めて振るうもの。 その際、身体は硬直し、不意の動作で回避に移れるものではないのだ。 大斧を鬼屋敷に叩きこむ。 背骨を狙った背後からの完璧な一撃。 肉に食い込む感触、骨を砕く手応え! 遂には鬼屋敷の身体を突き抜け、その向こう、法帖紅までもその凶刃にて両断する! 「ギャアアアアアアアア」 鬼屋敷のノドから出る、肺の空気を絞り出すような絶叫。 「お? なんだなんだ、もしかしてまだ生きてるンすか?」 「ぐああ、こんな一撃で俺が、俺があああ」 「まあいいッス。どうせすぐ動けるような傷では無いッス。あとの処理は畜生どもに任せればいいッスね」 「な、何。なんだと……」 鬼屋敷は恐怖におののく。 ”弱ったほうを襲ってやろう”とハイエナの如き狡猾さで趨勢を窺っている周囲の畜生たち。 今まさに、鬼屋敷は畜生どもにとって”弱った獲物”でしかなかった。 「やめろ、食うな。俺を食うな。こんなクソ肉塊どもに、俺の数学が負――」 目を覆いたくなるような鬼屋敷の惨状にも動じないグレムリン。 「デュラちゃん先輩ー。終わったッスよぉ」 振り返る。 「バカ、よそ見するな! 女のほうはまだ生きてる!」 そんなことが起こり得るのだろうか。 俺は確かにあの女の、法帖紅の身体まで斬り裂いた感触が……!! 慌てて戦闘態勢を取るグレムリン。 目線を向け直し、倒れ伏したと信じていた女の姿を探す。 しかしそれが逆に仇となった。 紅はグレムリンを相手にしようなどとは欠片も思っていなかったのだ。 彼はまず真っ先に、デュラハンの元へと駆け戻るべきだった。 グレムリンの脇をすり抜け、紅が走る。 目標は、夜魔口工鬼&夜魔口断頭の二人組のうち片割れ、”頭脳”派の司令塔デュラハン。 「先輩!」 慌てて後を追うグレムリン。失策を重ねる。 ここはデュラハンの頭部を運んでいる小悪魔たちに命令し、彼女を避難させるほうを優先するべきだった。ミスからの焦りと、自分の愛する人が狙われているという危機感から冷静さを失う。対応が後手に回る。 (先輩のもとへは行かせない!) 今度こそ紅の息の根を止めようと、マリーアントワネットの断頭斧を振りかぶる。 スピードなら負けていない。 特筆するべき身体能力を持たない法帖紅相手ならば、この短い距離でもその背に手が届く。 大斧を振り下ろす。 紅の背に振りかかる刃。 しかしそれが肉に食い込む前に、大蛇が召喚される。 法帖紅の瞬間防御能力! 大蛇は一瞬にして大斧の露と消える。呪いの斧の一撃を、防ぎきれるものではない。 しかしそれはこの場合関係がなかった。重い一撃が身体に届くタイミングを、一瞬、遅らせるだけでよかった。 斧は、背の皮一枚斬り裂いただけ。紅の命には届かない。 「クソッ」 グレムリンの体勢のバランスが崩れる。走る足がもつれる。 その隙に、紅はデュラハンのもとへとたどり着く。 小悪魔たちを蹴散らし、デュラハンの首を手中に収める。 首だけのデュラハンの眼球が、紅を睨みつける。 「ああ゛ん?! 私を人質に取ろうっていうのか?」 「そうよ」紅が答える。 「願いを叶えるために、できることはすべてやるって決めているの。そこの貴方には、自分の足で場外へ去ってもらいます。それで決着です」 「ああ、そうかよ……」 その言葉を聞いてデュラハンは諦めたかのような、意を決したかのような表情へと変わる。 「グレムリン!」デュラハンが呼びかける。 「先輩!」グレムリンがそれに答える。 「近づかないで!」紅がグレムリンを牽制する。 手に持っている武器は、裁ちバサミ。グレムリンと戦うのは難しいだろうが、首だけのデュラハンに傷を負わせるには十分な凶器である。 「いいか! グレムリンようく聞け」 「はい! 先輩」 「思いだせ、私達は二人組だ」 その言葉を聞いて、グレムリンは押し黙る。 デュラハンがこれから何を言おうとしているのか、察しがついてしまったからだ。 「早く来いグレムリンッ。両方まとめて叩ッ斬れ!」 「それは出来ませんッ! 先輩!」 「お前が勝てば、すべて元通りだ。私の頭がカチ割れようが私達二人組で勝てばいいんだ」 「それは、でも俺には……。俺たちは夜魔口の名を持つ兄弟ッスよ。兄弟は、斬れないッスよ。それに……先輩は……俺にとって、大切な人ッス!」 弱音を吐くグレムリンに、デュラハンが優しい目をして語りかける。 「そうだろう、だがなぁ兄弟(ぐれむりん)。私達は生き残る。勝ち上がって生き返る。そう決めたよな。だったら私に、弟分の足引っ張ったなんて不名誉を与えてくれるなよ……」 「生き返る……」 グレムリンの目に逡巡の色が灯る。 「それに、なぁ。こうやってこの女に捕まってると、新しい発見があるもんなんだぜ。ああ、ここからならよくわかる。聞け、グレムリン―― この女、さっきからこの地獄の畜生どもからまったく害意を向けられてねぇ!! この女にはきっと、何か私にも知らない隠し玉g――」 紅が持つ裁ちバサミが、デュラハンの言葉を遮る。ノドを刺し貫くように突きこまれて。 「先輩――!」 瞬間、グレムリンは動いていた。 ††† ◆88xxx8888-88 88xx(Timestamp error) 紅 昔から夜が嫌いだった。 夜は怖い。悪夢を見る。 紅の魔人能力が、それこそ魔を呼ぶ力であるように。 法帖紅の人生には、常に魔が付き纏っていた。 ††† デュラハンとグレムリンの会話を、紅は黙って聞いているしかなかった。 兄弟。 その単語を耳にしたとき、彼女の意識のすべてが真っ白に染まっていた。 兄弟、弟。 「――私の弟分――」 大切な、弟。 紅にも弟が居る。たった4年間。そんな短い時間の交流だったけれど、その記憶は紅の心に深く刻み込まれている。 その子の名前を、道之せんとう、という。 3つ年下の、可愛い男の子。 一緒にたくさん遊んだ。たくさん話した。一緒にたくさんのことを学んだ。 わたしのことを姉と呼んでくれた。 それなのに、わたしは彼にお別れをいうことも出来ず、こんな地獄に落ちてきた。 重くのしかかる足枷。断ち切れぬ楔。家族の絆。 彼の存在は、こんな地獄に落ちてもわたしの心を現世への苦難の道へ繋ぎ止めている。 「ああ、もう一度会いたいよ。セン君――」 そう、意識は彼方に飛んでいた。 だからこそ、紅は、自分の身体がとった行動に、動揺する。 人質にとったはずのデュラハンに、凶器を突き立てる。 逆上するグレムリン。 「一瞬で済ますッスから!」叫び飛び来るグレムリン。 斬る。斬るのか。 弟が、兄弟である姉を。 わたしがそれを強要したのか。 一瞬のフラッシュバック。 飛び散る血。姉弟の絆が断ち切れる。 グレムリンが振り下ろした大斧が、今度こそ紅の身体を両断する。 意識が暗転する。 ††† 毒だ。これは、法帖の毒。 あるいは呪いと言い換えてもいい。 すべてを台無しにし、滅茶苦茶にする能力発動の詠唱。 ――別れの夜は訪れない。 ――永久に暮れない紅色の時間。 ――『永劫逢魔が刻』 それは召喚者の精神の一部を顕在化する召喚能力。 その力によって呼び出されるのは、禁忌の魔獣。 紅の生命の危機に対処するためだけに出ずる、それこそ『道之崎オンセ』!! すべては一瞬の出来事。 グレムリンの喉元に噛り付く雌ライオンの姿が、紅の瞳に焼き付いた。
https://w.atwiki.jp/letsrebirth/pages/54.html
―― Now! Wake Up People! Yo! ―― 秘めた巨大な力(パワー)がこの灰色の街の至るところで蠕動している気配を肌で感じながら。 そびえ立った塔(タワー)の一室で、男は生まれて初めてのこの高度からの景色を淡々と見下ろしていた。 アスファルトに網目状にヒビが入ったような髪型の男である。 「これが『21世紀』……いい時代がやってくると言ったが、『20世紀少年』もその先は想像出来なかったようだな」 デラウェア河に沈めたかつての相棒のことを僅かに思い出しながら、その男――ウェカピポは独りごちた。 ウェカピポは19世紀末のネアポリス王国を追われ、アメリカ合衆国で国家の敵となり死んだはずの男である。 この街で目覚め、自分が百年以上も未来の太平洋の向こう側にいるのだと知った時は少なからず動転したものだが、 今のウェカピポの精神状態は王族の護衛に臨む時のような緊張感を伴う平静として保たれていた。 冬木ハイアットホテルの一室に仮の拠点を構えながらも、ウェカピポは思う。 「だが、この仮初の街もまた……オレの居場所ではないのだろうな」 ウェカピポの人生は――少なくとも、妹を暴力で苦しめた義弟を決闘にて討ち果たし、その結果王国を追われて以降の人生は、 ただ自分の居場所を、帰るための場所を求めるためのものであった。 ただのそれだけ……他には何も求めてなどいない。帰る場所のないことこそが、真なる孤独であったからだ。 しかし、Dioに利用する形で死に、その瞬間に今も何処かで生きているという妹に思いを馳せ、 その思いが『未練』となって、自分でも自覚していないほど僅かな『やり直しの願い』として聖杯に感知された今も。 ウェカピポは、この街にとっても自分は異邦人なのだろうと感じている。そして、それは事実なのだろう。 「だから居場所を得るために聖杯を求める……つまらない男ね」 独り言に対して返ってきた辛辣な言葉にも顔をしかめることなく、ウェカピポはベッドの方へと視線を向けた。 声の主は、金髪碧眼の美女であった。氷か刃物を思わせる怜悧な魅力が、その無表情な横顔にはあった。 彼女に、ウェカピポは未だ指一本触れていない。それどころか、ほとんど会話を交わしてすらいなかった。 ウェカピポにとって彼女は、ただの相棒という言葉では言い表せないほどの繋がりを持つはずなのだが。 「ランサー」 ウェカピポがサーヴァントとしてのクラス名で呼ぶと、彼女は鉄面皮を崩さずに青い瞳だけをこちらに向けた。 決して自らと契約しているこの英霊の真名を知らないというわけではない。 単純にサーヴァントの真名をみだりに呼ぶべきではないと考えたからだし、そういう一線を引くのがウェカピポという男だった。 槍兵のサーヴァント、『ミリア=レイジ』。 この仮初の21世紀よりも更に未来、22世紀のロシアに生まれた美貌の暗殺者。 時の暗殺組織の長の弟子にして恋人という地位にありながら暗殺者としての生き方へ疑問を抱いて組織を裏切り、 過去に追われながら過去を振り切るために終わりのない戦いを続けていた女性である。 その美しい金色の髪には禁忌の術式が宿り、その一本一本が変幻自在の『槍』として彼女の武器になるという。 ウェカピポには、このミリアという美しい女性と親しくなりたい、などという浮ついた考えは欠片もない。 しかし彼女の人生にはどこか共感めいたものを感じていたし、英霊という存在自体に『敬意』を抱いていた。 英霊とはすなわち、語り継がれる存在。何かを『成し遂げた』存在であるからだ。 「なにかしら?」 その英霊の言葉もまた、ウェカピポのそれと大差ないぐらいには素っ気ない。 ウェカピポがランサーに必要以上の関心を抱いていないのと同様、ミリアにもマスターと慣れ合う気はないようだった。 それはそれでいい。ウェカピポはコミュニケーション不全がストレスとなるタイプの人間ではない。 だが、伝えるべきことは伝えておかねばいざという時に齟齬を来たすということは理解している。 だからこそ、これだけは話しておかなければ。聖杯を求める理由、これだけは。 「君の言う通り、つまらないものだ。オレが求め続けているものはな……。 オレはただ、家と金と仕事とを手に入れて、ささやかに生きていきたいだけだ。 必要以上の欲を持っちゃあいない……野心もない。ただ居場所を手にしたいだけだ」 ミリアは興味なさそうにこちらを睥睨している。 ウェカピポはそれに苛立ったりはしなかった。視線を向けてくれるだけで十分だった。 「オレは憂いのない生き方がしたい。過去に追い立てられるのでも、未来に押し潰されるのでもなく。 必要なのは『ささやかな幸せ』だ。そして願わくば、祖国の妹にもそれを与えてやりたいと思っている」 この聖杯戦争に全力を懸けて挑んでいるマスター達にとっては、それは鼻で笑い飛ばされるような『願い』だろう。 そんな下らない願いのために殺人儀式に挑もうとするウェカピポの姿は、滑稽に映るのかもしれない。 だが、少なくとも目の前の彼女は、ミリア=レイジはそれを笑ったりはしなかった。 「――『ささやかな幸せ』には『生命を賭す価値』がある。オレはそう考えている」 ならばこそ。 ウェカピポは、彼女とともに、このささやかな願いを抱いて、聖杯戦争へ挑むのだ。 対するランサーの表情には、相変わらず何の感情も伺えない。 しかし、僅かに気配が軟化しているように感じられるのは、ウェカピポの気のせいではないはずだ。 「……つまらない男は言い過ぎたわ。でも、カタいだけでは女を満足させられないことは覚えておくべきね」 その美しい金髪を波打たせながら、ランサーはベッドの上で身を起こした。 一切男を惑わすような素振りを見せないにも関わらず、時折ひどく男を惹きつける仕草を見せるところが彼女にはある。 しかしそれに対して目立った動揺を見せるわけでもなく、ウェカピポは答えた。 つまらない男というのはある意味では事実なのだろう、と考えながら。 「……オレはこういう男にしかなれない。そういうサガに生まれついた。君にとって魅力を感じる男にはなれないだろう」 「そう? 少なくとも、令呪をチラつかせれば女を好きに出来ると思う男よりはマシなんじゃないかしら」 ミリアはその金髪を掻き上げ、どこか遠くを見るような目をした。 「私が聖杯に託す願いは、ある男を英霊の座から永久に消し去ることだけ。 結局、英霊になっても私は過去から完全に解き放たれることはなかったから」 英霊の抹殺という物騒な願いを口にしながらも、その瞳には僅かに親愛のようなものが浮かんでいるように思えた。 だからといってウェカピポはそれを問いはしなかった。踏み込んではいけない世界だ。自分の過去がそうであるように。 「だから、そうね……理解は示すわ。あなたの、そのささやかな願いに」 彼女はそう言い、ウェカピポは思う。 彼女と共に歩み、共に聖杯戦争を戦うのは、少なくとも不可能な道程ではないと。 ならば。その戦争が真に始まりを告げる前に、自分にはやらなければならないことがある。 「感謝する、ランサー。おかげで覚悟が決まった」 ウェカピポは、視線だけでミリアに出立を促した。 「行きたいところがある。オレの、居場所になるかもしれないところだ」 ▼ ▼ ▼ 古くからの邸宅が並ぶ深山町の一角に、その洋館はあった。 この地域では決して目立つほどの大きさではない、しかし確かな歴史を感じさせる造りの館。 その中の一室、館に相応しい上品な調度品に囲まれながら、彼女はウェカピポを迎えた。 「お久しぶりです、お兄様。お元気そうで何よりです」 「お前も壮健そうだな。亭主は良くしてくれているか」 「ええ、それはもう。妻として可愛がっていただいております」 妹の穏やかな笑みに、ウェカピポは内心の澱が溶けていくような心持ちになった。 それは自然な微笑みであった。幸せに嫁いだ娘が、幸せな妻として浮かべるような微笑み。 取り立てて特別なものではなく、だがそれゆえに、ウェカピポの胸を突く。 「あの人もじきに戻ってくるでしょう。喜びますよ、お兄様にお会いできたら」 「いや、長居するつもりはない。最後に、お前の顔を見たかっただけだ」 「最後に? 変なことを言うのですね」 お茶を勧めようとする妹を押し留めようとして、ウェカピポが腕を動かしたその時。 手がテーブルの上の花瓶に触れ、それは運悪く転がって床に落ち、砕け散ってしまった。 妹はそれを自然に目で追い、やれやれ仕方のない人ね、という呆れ半分の微笑みを浮かべた。 「……すまない。高価な品だったか」 「いえ、お怪我がなくてよかった。珍しいですね、お兄様がこんな」 自然な会話。自然な反応。 花瓶が落ちたことに妹が気付かない、などということは起こらなかった。 当たり前だ。それこそが、本来あるべき形であるはずなのだから。 自分に背を向けて屈み込み、破片を集める妹に向かって、ウェカピポは静かに一歩踏み出した。 その手には、見つからぬよう隠して持ち込んだ、短剣の柄が握られていた。 妹は掃除に夢中で、背後で兄が何をしようとしているかなど気にもしていない。 ウェカピポはもう一歩を踏み出した。 そして短剣を彼女の背に向け、僅かに振り上げた。 それから――妹が初めて海を見た日のことを、その幸せそうな姿を、思い出した。 ウェカピポは、短剣を構えたまま身を震わせた。 唇を噛み締め、目を見開き、金縛りに遭ったようにその身を硬直させた。 そして、最後には目を伏せ、短剣を持った腕をゆっくりと降ろし、小さく呟いた。 「済まない、ランサー……苦しませないで、やってくれ」 それだけ言い残し、ウェカピポは妹に背を向けた。 背後で霊体化を解いたミリアが、その髪の槍で妹を貫くのが、気配で分かった。 悲鳴はなかった。きっと痛みも感じずに逝ったのだろう。 そしてその気配もすぐに……ミリアの髪に溶け込み、消えた。 玄関のほうでガタリと音がしたのに気付き、ウェカピポは目を上げた。 そういえばそろそろ戻ると言っていた……妹の夫が、死んだような目でこちらを見ていた。 見られたか。自分でも意外なほど冷静さを保ったまま、腰のホルスターの留め具を外す。 「貴様ッ! ウェカピポ! 我が妻に何をしたァァァーーーーーッ!!」 激昂した義弟の頭蓋に抜き打ちの鉄球を叩き込んで黙らせ、ミリアを促す。 ミリアが髪針を瀕死の義弟に撃ち込むと、義弟の体は分解されてその髪へと吸い込まれた。 魂食い……僅か二人でも、魔術師でないウェカピポにとっては馬鹿にならない魔力になるだろう。 「……良かったの?」 ミリアが案ずるような言葉を掛けた。 ああ、と言おうとしたもののすぐには声が出ず、数回深呼吸して、ようやく返事をする。 「この街の人間は幻だ。俺達マスターを除いてはな……。だが紛れもなく、あれは妹そのものに見えた。 それでもオレの帰るべき居場所は、ここじゃあない。ここに安心してしまえば、きっと聖杯には届かない」 この仮初の街の幸せな妹ではなく、故郷の目の見えない妹のために戦わねばならない。 その決意をこんな救いのないやり方でしか示せないのが、ウェカピポという男の持つ掟の複雑さであった。 ミリアは彫像のように堅い表情のウェカピポに視線を向け、それからいつもの鉄面皮で言った。 「勝ちましょう、マスター。ささやかな願いが、聖杯を動かすに足ると証明するために」 ウェカピポは、ああ、とだけ答えた。不思議と、今度は自然と声が出た。 妹の映し身は消した。もはや完全に、この冬木にウェカピポの居場所は無くなってしまった。 だが、これで良かったのだろう。その証拠に、覚悟は完全に定まっている。 まだ見ぬマスターに『敬意』を払え。己の実力を過信せず『謙虚』に振る舞うことを忘れるな。 偽りの居場所で見る夢は終わりだ。さあ、目を覚ませ(Wake Up People)――。 【クラス】 ランサー 【真名】 ミリア=レイジ@GUILTY GEAR 【パラメーター】 筋力C 耐久E 敏捷A+ 魔力C 幸運E 宝具B 【属性】 中立・中庸 【クラススキル】 対魔力:C 魔術に対する守り。魔術詠唱が二節以下のものを無効化する。 大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない。 【保有スキル】 気配遮断:C サーヴァントとしての気配を断つ。完全に気配を断てば発見する事は難しい。 アサシンのクラスではないのにこのスキルを保有しているのは、暗殺者であったかつての自分を捨て切れていないからか。 追撃の女王:A+ 戦いの中で生じた隙を狙って一気呵成に攻め立てる戦闘技術。 体勢を崩した状態の相手に対して、追撃の成功率および与ダメージが上昇する。 当然追撃中に相手が再度崩れれば更なる追撃が可能となる、一方的に攻め続けることに特化したスキル。 縮地:C 瞬時に相手との間合いを詰める技術。暗殺術として身につけた歩法の極み。 単純に地上での機動力を高めるだけでなく、中空を蹴って加速や方向転換を行うことすら可能。 禁呪:? 宝具の代償として身に宿すデメリットスキル。 長時間に渡る戦闘や必要以上の魔力の投入などで宝具を酷使した場合、ランサーは宝具に心身を乗っ取られるリスクを伴う。 このスキルを外すことは出来ないが、精神力によりある程度の抵抗が可能である。 【宝具】 『卑・泥獄墜法第六法(アングラ)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~30 最大捕捉:30人 ランサーの髪に施された、法術に許された領域を踏み越えた禁断の術式。 この禁呪法の力により、ランサーはその美しい金髪を文字通り自由自在に武器として使うことが出来る。 槍兵のクラスに相応しい黄金の槍だけでなく、剣や翼、花や月に変化させて多彩な攻撃を行う。 スピードや射程、攻撃手段の豊富さなど多くの強みを持つが、その最大の脅威はスキルと組み合わせての圧倒的な連撃性能である。 【weapon】 投げナイフ。 ただし飛び道具は基本的に髪の槍で事足りるため、意表をついての牽制や迎撃用の一部の技でしか使わない。 【人物背景】 ロシア出身の元暗殺者。金髪碧眼の美女。 機械めいて冷静かつドライな性格であり何事も損得勘定で判断するが、その奥には人間らしい感情が芽生えている。 かつては孤児であり、アサシン組織に拾われて髪に禁呪を施され、以来暗殺者として生きてきた。 アサシンの長ザトー=ONEとは師弟であると同時に愛人関係でもあったが、暗殺者としての生き方に息苦しさを感じたミリアは彼を裏切る。 ザトー捕縛の功によりアサシン時代の罪を許されたミリアは、以来アサシン組織からの刺客に追われながら生きることとなる。 自ら罠にかけたザトーに対しては愛憎入り交じる感情を抱いており、過去を精算するため抹殺を誓いながらも未練を捨て切れていない模様である。 なお、趣味は猫を追い回すこと。一番大切なものは貞操である。 【サーヴァントとしての願い】 ザトーを英霊の座から抹殺し、過去から解き放たれた真の平穏を手に入れる。 【マスター】 ウェカピポ@ジョジョの奇妙な冒険 第七部 スティール・ボール・ラン 【マスターとしての願い】 自分と妹のささやかな幸福。 【weapon】 鉄球。腰のホルスターに収めている。 【能力・技能】 『レッキング・ボール(壊れゆく鉄球)』 ネアポリス王族護衛官が修める鉄球の技術。 14個の小鉄球「衛星」が表面に付いた独自の鉄球を用い、投擲時に衛星が飛び散って相手を攻撃する。 衛星が直撃すれば重傷は免れないが、かすっただけでも衝撃波により十数秒間『左半身失調』の症状に陥る。 この状態では自分の左側にあるものを認識できなくなる(触っても脳が認識できない)という強力な効果である。 スタンドでも超能力でもない純然たる技術にも関わらず、ウェカピポは黒幕である大統領にすら通用させてみせた。 ちなみに王族護衛官の戦闘技術としての回転だけでなく、肉体の硬質化など「ツェペリ一族の回転」も使用可能。 ただしツェペリ一族の奥義である『黄金の回転』は習得していない。 【人物背景】 ジョニィとジャイロの刺客として登場した、元ネアポリス王族護衛官の男。31歳。 刈り込んだ短髪に網目状に剃り込みを入れた独特の髪型をしている。 ジャイロ以外で劇中に直接登場する唯一の鉄球使いで、ジャイロのものとは違う戦闘技術を用いる。 かつては王族護衛官としてネアポリスのために尽くしていたが、よかれと思って同僚と結婚させた妹が暴力を受けていることを知る。 婚姻無効の訴えに逆上した義弟を決闘で討ち果たすが、義弟の父親は王国の重要人物であり、ウェカピポの勝利は初めから許されていなかった。 ジャイロの父グレゴリオにより国外追放の汚名を浴びたウェカピポは自分の居場所、合衆国の永住権を求めてジョニィ達へ挑む。 その鉄球技術と決して慢心しない姿勢で二人を追い詰めるが、最後は偶然が呼んだ奇跡に敗北する。 自決を試みるもジャイロに妹の生存を知らされて思い留まり、以降はジャイロの依頼を受けて行動。 その過程でディエゴ・ブランドーと共闘する形でヴァレンタイン大統領と敵対するが、土壇場でディエゴに利用され死亡した。 【方針】 すべての敵に敬意を払い、謙虚に振る舞いながら聖杯を求める。 自身の魔力の乏しさと、ランサーが奇襲・強襲向きのサーヴァントであることを鑑み、ヒット&アウェイで確実に戦果を上げる。
https://w.atwiki.jp/p2rdj/pages/888.html
マーシャル・アーティスト Martial Artist 出典 Advanced Player's Guide 182ページ 君は武術を訓練している。君の素手打撃は命を奪いうるものだ。君は神秘や悟りを求めてはいないし、これらの訓練を叡智の大いなる道と見なしてもいない。君の訓練は肉を打つ拳であり、素手を刃に並ぶものに変えるものであり、蹴りで敵を打ち砕くものだ。君の訓練は集中と実践に向けたものであり、体の全ての部位が武器に変えたいのであって、自分がそれ以外の存在になる手段を求めてはいない。君は肉体を鍛えることに特化した道場や学校でその技術を学んだのかもしれないし、通りの乱闘や酒場の戦いであっさりと身につけたのかもしれない。君は激しい体の動きを命を奪う連撃のためにその天性と組み合わせる。 《マーシャル・アーティストへの専念》 特技2 Martial Artist Dedication アーキタイプ 専念 出典 Advanced Player's Guide 182ページ アーキタイプ マーシャル・アーティスト 君は拳を恐ろしい武器として使う訓練をしてきた。君の拳による素手攻撃のダメージ・ダイスは1d4から1d6になる。君は非致傷の素手攻撃で致傷ダメージを与える際に-2のペナルティを受けない。君が特定の武器に熟練かそれより良い熟練を与えるクラス特徴を得たなら、君は全ての素手攻撃にも同様の習熟度ランクを与える。 特殊 マーシャル・アーティスト・アーキタイプから他に特技を2つ得るまで、君は他の専念特技を選択できない。 《狼の構え》 [one-action] 特技4* Wolf Stance モンク 構え 出典 Core Rulebook 159ページ アーキタイプ マーシャル・アーティスト 必要条件 君が鎧を着用していない。 * この《狼の構え》はアーキタイプでの使用を想定したもので、元の特技とは異なるレベルで使用権を得る。 君は両手を牙のようにして地面に低く構え、狼の構えに入る。これは狼顎の素手攻撃である。これは1d8の[刺突]ダメージを与える。また、この攻撃は剛腕種に属し、機敏、巧技、素手、奇襲、非致傷の特性を持つ。 狼の構えをとっている間に目標を挟撃したなら、君の狼顎の素手攻撃は足払いの特性を得る。 《剛腕への集中》 特技4* Brawling Focus モンク 出典 Core Rulebook 160ページ アーキタイプ Bullet Dancer, Martial Artist * この《剛腕への集中》はアーキタイプでの使用を想定したもので、元の特技とは異なるレベルで使用権を得る。 君は白兵戦で、攻撃を最大限に活用する方法を知っている。剛腕種に属する素手攻撃と剛腕種に属する武器によるクリティカル開眼効果を使用できるようになる。君が《修道士の武器》を持つなら、君は同時に習熟している全てのモンク武器のクリティカル開眼効果を使用できるようになる。 《ゴリラの構え》 [one-action] 特技4* Gorilla Stance モンク 構え 出典 Advanced Player's Guide 128ページ アーキタイプ マーシャル・アーティスト * この《ゴリラの構え》はアーキタイプでの使用を想定したもので、元の特技とは異なるレベルで使用権を得る。 君は地面に腰を下ろし、堂々とした四足歩行の姿勢をとる。この構えに入っている間、君は“打撃”で「猩々拳(しょうじょうけん)/Gorilla Slum」素手攻撃のみを使用できる。猩々拳は1d8の[殴打]ダメージを与え、剛腕種に属し、付勢、加圧、組みつき、非致傷、素手の特性を持つ。ゴリラの構えに入っている間、君は“登攀”のために行う〈運動〉判定に+2の状況ボーナスを得るとともに、“登攀”のために行う〈運動〉判定で成功すると、代わりに大成功になる。 《酔拳の構え》 [one-action] 特技4* Stumbling Stance モンク 構え 出典 Advanced Player's Guide 128ページ アーキタイプ マーシャル・アーティスト 前提条件 trained in Deception * この《酔拳の構え》はアーキタイプでの使用を想定したもので、元の特技とは異なるレベルで使用権を得る。 君は酒に酔った人の動きを真似て――うわ言を呟いたり、うとうとしたり、見せかけの隙を残したり――本当の動きから気を逸らさせる、一見集中していないように見える構えをとる。この構えに入っている間、君は“フェイント”における〈ペテン〉判定に+1の状況ボーナスを得る。君が“打撃”で使用できるのは「杯手(はいしゅ)/stumbling blow」素手攻撃だけだ。杯手は1d8の[殴打]ダメージを与え、剛腕種に属し、機敏、奇襲、巧技、非致傷、素手の特性を持つ。この構えに入っている間に敵の近接“打撃”が君に命中したなら、攻撃したものは君のターンの終了時までに君が行う次の杯手による“打撃”に対して立ちすくみ状態になる。 《鶴の構え》 [one-action] 特技4* Crane Stance モンク 構え 出典 Core Rulebook 158ページ アーキタイプ マーシャル・アーティスト 必要条件 君が鎧を着用していない。 * この《鶴の構え》はアーキタイプでの使用を想定したもので、元の特技とは異なるレベルで使用権を得る。 君は鶴の構えに入り、鶴の翼を模した、腕を持ち流れるような防御的な動きを使用する。君はACに対して+1の状況ボーナスを得るが、君が行うことができる唯一の“打撃”は鶴翼拳による攻撃のみとなる。この攻撃は1d6の[殴打]ダメージを与え、剛腕種に属し、機敏、巧技、素手、非致傷の特性を持つ。 君が鶴の構えをとっている間、君が行う高跳びと幅跳びのDCは5減少する。加えて、君が“跳躍”するとき、追加で水平方向に5フィート、垂直方向に2フィートだけ移動できる。 《虎の構え》 [one-action] 特技4* Tiger Stance モンク 構え 出典 Core Rulebook 159ページ アーキタイプ マーシャル・アーティスト 必要条件 君が鎧を着用していない。 * この《虎の構え》はアーキタイプでの使用を想定したもので、元の特技とは異なるレベルで使用権を得る。 君は虎の構えに入り、虎爪攻撃を行うことができる。これは1d8の[斬撃]ダメージを与える。また、この攻撃は剛腕種に属し、機敏、巧技、素手、非致傷の特性を持つ。君が虎爪による攻撃で大成功すると、ダメージを与えた場合、目標は1d4の持続[出血]ダメージを受ける。 虎の構えをとっている間、移動速度が20フィート以上あるなら、君は“ステップ”で10フィート移動できる。 《山の構え》 [one-action] 特技4* Mountain Stance モンク 構え 出典 Core Rulebook 159ページ アーキタイプ マーシャル・アーティスト 必要条件 君が鎧を着用しておらず、地面に接触している。 * この《山の構え》はアーキタイプでの使用を想定したもので、元の特技とは異なるレベルで使用権を得る。 君は雪崩の重さで打撃することができる、無慈悲な山の構えへと入る――これはドワーフのモンクによって初めて発見された技術である。君が行うことができる唯一の“打撃”は、落石打の素手攻撃である。これは1d8の[殴打]ダメージを与える。また、この攻撃は剛腕種に属し、加圧、素手、非致傷の特性を持つ。 君が山の構えをとっている間、君はACに+4のアイテム・ボーナスと“突き飛ばし”および“足払い”に対する全ての防御に+2の状況ボーナスを得る。ただし、君はACに対する【敏捷力】修正上限が+0になり(ACに【敏捷力】修正値を加えられなくなる)、君の全ての移動速度は5フィートだけ減少する。山の構えによるACへのアイテム・ボーナスは、探検家の服のアーマー・ポテンシィ・ルーン、メイジ・アーマー、ブレイサーズ・オヴ・アーマーと累積する。 《竜の構え》 [one-action] 特技4* Dragon Stance モンク 構え 出典 Core Rulebook 158ページ アーキタイプ マーシャル・アーティスト 必要条件 君が鎧を着用していない。 * この《竜の構え》はアーキタイプでの使用を想定したもので、元の特技とは異なるレベルで使用権を得る。 君は竜の構えに入り、竜の尾を振り回すような、強力な脚で攻撃を見舞う。君は1d10の[殴打]ダメージを与える竜尾脚攻撃を行うことができる。この攻撃は剛腕種に属し、素手、非致傷、付勢の特性を持つ。 竜の構えをとっている間、君は“歩行”するとき、移動困難地形の最初のマスを無視できる。 《追補撃》 [one-action] 特技6 Follow-Up Strike アーキタイプ 卓越 出典 Advanced Player's Guide 182ページ アーキタイプ マーシャル・アーティスト 前提条件 《マーシャル・アーティストへの専念》 必要条件 君の直前のアクションが外れた、近接素手攻撃による“打撃”だった。 君は体のあらゆる部位を武器として用いる訓練をしてきた。攻撃を外した時にも異なる部位で攻撃を続けてダメージを与え続けることができる。外れた“打撃”と同じ複数回攻撃ペナルティを用いて、別の近接素手“打撃”を1回行う。 《狼の引きずり》 [two-actions] 特技8* Wolf Drag モンク 出典 Core Rulebook 162ページ アーキタイプ マーシャル・アーティスト 前提条件 Wolf Stance 必要条件 You are in Wolf Stance. * この《狼の引きずり》はアーキタイプでの使用を想定したもので、元の特技とは異なるレベルで使用権を得る。 君は敵の足を引き裂く。狼顎による“打撃”を行う。この“打撃”において、君の狼顎は深手:d12の特性を得る。この攻撃が成功したなら目標を伏せ状態にする。 《ゴリラの胸打ち》 [one-action] 特技8* Gorilla Pound 感情 卓越 精神 モンク 出典 Advanced Player's Guide 129ページ アーキタイプ マーシャル・アーティスト 前提条件 〈威圧〉の熟練;《ゴリラの構え》 必要条件 君が《ゴリラの構え》をとっている。 * この《ゴリラの胸打ち》はアーキタイプでの使用を想定したもので、元の特技とは異なるレベルで使用権を得る。 君は敵に向かう前に胸を打ち鳴らす。“士気をくじく”ための〈威圧〉判定を試みた後、同じ目標に対して猩々拳による“打撃” を1回行う。この“打撃”が命中したなら、君はそのダメージ・ロールに目標の恐れ状態値の3倍に等しい状況ボーナスを得る。 特殊 この特技を持つなら、君は《ゴリラの構え》をとる間、15フィートの登攀速度を得る。 《酔拳フェイント》 特技8* Stumbling Feint モンク 出典 Advanced Player's Guide 129ページ アーキタイプ マーシャル・アーティスト 前提条件 〈ペテン〉の熟練;《酔拳の構え》 必要条件 君が《酔拳の構え》をとっている。 * この《酔拳フェイント》はアーキタイプでの使用を想定したもので、元の特技とは異なるレベルで使用権を得る。 君は弱いと思わせる一振りで当惑させると同時に、何も知らない敵に危険な連打を浴びせることができる。“連打”を使用する際、君は“打撃”の直前にフリー・アクションとして“フェイント”の判定を試みることができる。成功すると、目標は次の攻撃に対してではなく“連打”の両方の攻撃に対して立ちすくみ状態になる。 《大衝撃》 [two-actions] 特技8 Grievous Blow アーキタイプ 卓越 出典 Advanced Player's Guide 182ページ アーキタイプ マーシャル・アーティスト 前提条件 《マーシャル・アーティストへの専念》 君は敵の抵抗を貫く、集中した強力な一振りを伝達させる術を知っている。素手攻撃による近接“打撃”を1回行う。これは複数回攻撃ペナルティにおいて攻撃2回分として扱う。この“打撃”が命中したなら、君は武器ダメージ・ダイス2つ分を追加で与える。君が18レベル以上なら、この追加ダメージは武器ダメージ・ダイス3つ分に増加する。 この攻撃は[物理]ダメージへの抵抗といずれかの[物理]ダメージに属するダメージ種別への抵抗を、君のレベルに等しい値だけ無視する。 《鶴のはばたき》 [reaction] 特技8* Crane Flutter モンク 出典 Core Rulebook 161ページ アーキタイプ マーシャル・アーティスト 前提条件 《鶴の構え》 トリガー 君が、自分の見ることができる相手による近接攻撃の目標になる。 必要条件 君が《鶴の構え》をとっている。 * この《鶴のはばたき》はアーキタイプでの使用を想定したもので、元の特技とは異なるレベルで使用権を得る。 君は自分と相手の間に腕を挟む。トリガーとなった攻撃に対する、《鶴の構え》からのACへの状況ボーナスは+3に増加する。トリガーとなった攻撃が外れると、君は-2のペナルティを受けて、攻撃した者に対して鶴翼拳による攻撃を即座に行うことができる。このとき、攻撃した者が君の間合い内にいなくてもよい。 《虎の斬撃》 [two-actions] 特技8* Tiger Slash モンク 出典 Core Rulebook 161ページ アーキタイプ マーシャル・アーティスト 前提条件 《虎の構え》 必要条件 君は《虎の構え》をとっている。 * この《虎の斬撃》はアーキタイプでの使用を想定したもので、元の特技とは異なるレベルで使用権を得る。 君は両手を猛烈な勢いで振り回す。虎爪による“打撃”を行う。この攻撃は武器のダメージ・ダイスを追加で2つ(14レベル以上なら追加ダイス3つ)、“突き飛ばし”に成功したかのように目標を5フィート押しやる。 この攻撃が大成功してダメージを与えた場合、虎爪攻撃からの持続[出血]ダメージに【筋力】修正値を加える。 《山の要塞》 [one-action] 特技8* Mountain Stronghold モンク 出典 Core Rulebook 161ページ アーキタイプ マーシャル・アーティスト 前提条件 《山の構え》 必要条件 君が《山の構え》をとっている。 * この《山の要塞》はアーキタイプでの使用を想定したもので、元の特技とは異なるレベルで使用権を得る。 君は地とのつながりに思いを集中させ、自分への攻撃を防ぐために山を呼び覚ます。次のターン開始時まで、君はACに+2の状況ボーナスを得る。 特殊 君がこの特技を有しているなら、山の構えをとっている間のACに対する【敏捷力】修正値の上限は+0から+1に増加する。 《竜の咆哮》 [one-action] 特技8* Dragon Roar 聴覚 感情 恐怖 精神 モンク 出典 Core Rulebook 161ページ アーキタイプ マーシャル・アーティスト 前提条件 《竜の構え》 必要条件 君は《竜の構え》をとっている。 * この《竜の咆哮》はアーキタイプでの使用を想定したもので、元の特技とは異なるレベルで使用権を得る。 君は敵に恐怖を植え付けるために咆哮する。15フィートの放射内にいる全ての敵は、君の〈威圧〉DCに対する意志セーヴを行わねばならず、失敗すると恐れ状態1(大失敗の場合は恐れ状態2)になる。咆哮によって恐れ状態となったクリーチャーが君と隣接してターンを開始した場合、そのターンの間、恐れ状態の値を1未満に減少することはできない。君が咆哮を発してから次のターンの終了時までの間に、恐れ状態のクリーチャーに命中させた最初の攻撃は、そのダメージに+4の状況ボーナスを得る。 《竜の咆哮》を使用した後1d4ラウンドの間、君はこの能力を再使用できない。君が竜の構えでなくなると、この効果は即座に終了する。君の咆哮の範囲内にいたクリーチャーは、1分間の間一時的耐性を得る。 《鋼歩法》 [three-actions] 特技14 Path of Iron アーキタイプ 卓越 出典 Advanced Player's Guide 182ページ アーキタイプ マーシャル・アーティスト 頻度 1分に1回 前提条件 《マーシャル・アーティストへの専念》 努力の成果を示すことで、君は敵の間を通り抜ける道を見出し、その中を通過する際にそれぞれの敵を順番に攻撃できる。君は“歩行”する。この移動はリアクションのトリガーにならない。君はこの移動の任意の地点で“打撃”を3回まで行える。それぞれの攻撃は異なる敵を指定すること。それぞれの攻撃は複数回攻撃ペナルティにおいて攻撃として扱うが、ペナルティは君の全ての攻撃が終了するまで増加しない。 《山の震脚》 [one-action] 特技16* Mountain Quake モンク 出典 Core Rulebook 164ページ アーキタイプ マーシャル・アーティスト 前提条件 《山の要塞》 必要条件 君は《山の構え》をとっている。 * この《山の震脚》はアーキタイプでの使用を想定したもので、元の特技とは異なるレベルで使用権を得る。 君は地面を強く踏み、立つ地面を揺らす。20フィートの放射の範囲内の地面にいるクリーチャーは君の【筋力】修正値に等しいダメージ(最小0)を受ける。これらのクリーチャーは君のクラスDCに対する基本頑健セーヴで抵抗できる。抵抗に失敗すると伏せ状態になる。このアクションを使用した後1d4ラウンドの間、君はこのアクションを再度使用できない。 特殊 君がこの特技を有するなら、《山の構え》をとっている間のACに対する【敏捷力】修正値の上限は+1から+2に増加する。