約 2,363,203 件
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/287.html
子どもの権利委員会・一般的討議勧告:子どもの経済的搾取 一般的討議勧告一覧 (第4会期、1994年) 原文:英語 ※一般的討議が行なわれたのは第4会期だが、以下の勧告は第5会期に関する報告書に掲載されたものである。 日本語訳:平野裕二 子どもの経済的搾取に関する勧告 委員会は、第5会期において、とくに児童労働に関連する子どもの経済的搾取(家事労働、子どもの売買、児童買春および児童ポルノのようにインフォーマル部門におけるものを含む)についての一般的討議の際に検討された問題の重要性を認め、かつ委員会と国際連合機関、専門機関およびその他の権限ある機関(とくに非政府組織)との間で交わされた実りのある意見交換を踏まえ、その活動の枠組みのなかでこの現実に引き続き注意を払っていくとともに、この分野における一連の勧告を採択することを決定した。 はじめに 1.子どもの経済的搾取に関する一般的討議は、子どもの権利条約で強調されている、子どもの人権に対する重要なホリスティックアプローチを反映したものだった。この精神にのっとり、子どもの権利委員会は、すべての権利が相互に不可分でありかつ関連していて、そのひとつひとつが子どもの人間の尊厳にとって本質的なものであることを想起する。したがって、条約に掲げられたひとつひとつの権利を実施していく際には、経済的搾取から保護される権利の場合にそうであるように、子どもが有する他のすべての権利の実施およびそれらの権利の尊重を考慮するべきである。 2.委員会はさらに、締約国が、条約に基づき、条約で認められているすべての権利を、自国の管轄下にあるすべての子どもに対し、いかなる種類の差別もなく尊重しかつ確保すること(第2条)、その目的の達成のためにあらゆる適切な措置をとること(第4条)、および、とられるすべての行動において子どもの最善の利益を第一次的考慮事項と位置づけること(第3条)を約束していることを想起する。さらに、子どもに影響を及ぼすすべての事柄について、子どもの意見が正当に重視されるべきであり、かつ、子どもに対し、自己の生活に影響を及ぼすいかなる意思決定過程にも参加する機会が与えられるべきである(第12条)。 3.この一般的枠組みは、当然、子どもの経済的搾取の状況においても適用される。ここで条約は、他の場合と同様に、締約国に対し、十分な法的枠組みおよび必要な実施機構を条約の原則および規定に一致する形で確立することを通じた行動をとるよう求めているのである。 4.そのような措置は、経済的搾取の状況およびそれが子どもの生活に及ぼす有害な影響の防止を強化することにつながるであろうし、子どもの保護の制度の強化を目的としてとられるべきであるし、かつ、いかなる形態の経済的搾取の被害を受けた子どもについても、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を、子どもの健康、自尊心および尊厳を醸成する環境のなかで促進することにつながるであろう。 5.条約は、その報告制度(条約第2部参照)を通じ、締約国が条約の実施に関して達成された進展の定期的な評価を確保することの重要性も強調している。締約国は、このような監視活動により、自国の法律および政策を定期的に見直し、かつさらなる行動またはその他の行動が必要とされている分野に焦点を当てることができるようになる。そこで委員会は、子どもの状況の改善における報告制度の関連性を想起するとともに、各国、国際連合機関、専門機関および他の権限ある機関に対し、経済的搾取からの子どもの保護の枠組みのなかで以下の一連の勧告を検討するよう慫慂する。 (a) 委員会は、子どもの権利の分野で活動するすべての関連の主体による包括的かつ協調的な行動を通じて初めて、経済的に搾取されている子どもに関わる防止、保護およびリハビリテーションの政策を向上させ、かつその成功を確保することが可能になることを認識する。このような理由から、委員会は、国レベルおよび国際的レベルの双方における調整の重要性および必要性を強調するものである。(i) 委員会は、これとの関連で、政策を調整しかつ子どもの権利条約の実施を監視するための、経済的搾取からの保護の分野で具体的な権限を有する国家的機構の設置を勧告する。a. 国レベルで活動するさまざまな権限のある機関によって構成される(子どもの権利条約に関する国家委員会などの)このような調整機構は、条約の実施に対する総合的かつ学際的なアプローチを確保し、かつ発展する活動の効果的な相互作用および補完性を促進するのに適した立場にある。さらに、あらゆる関連の情報の収集を容易にし、現実の体系的かつ正確な評価を可能ならしめ、かつ子どもの権利の促進および保護のための新たな戦略(経済的搾取からの保護の分野におけるものを含む)の検討への道を開くこともできる。 6.このような調整機構は、協力を奨励すべき{調整非政府組織](労働者団体および使用者団体を含む)調整の活動にとっての重要な参照窓口にもなる。実際、世界人権会議でも認められたように、このような組織は、とくにアドボカシー、教育、研修またはリハビリテーションの分野――あらゆる形態の経済的搾取から子どもを保護するうえでもきわめて重要な分野――で、条約の効果的実施において重要な役割を担うのである。 (ii) 委員会は、子どもの権利条約が国際協力に必要不可欠な役割を与えていることを想起する。委員会はさらに、条約の実施を支えるために国際的な協力および連帯を促進する必要があること、および、国際連合システムにおいて子どもの権利が優先的課題として位置づけられるべきであることが、世界人権会議において認められたことを想起するものである。a. そこで委員会は、各国に対し、とくに二国間および地域間のレベルで、子どもの権利の促進のための協力および連帯を強化する方策を検討するよう奨励する。 b. 委員会はまた、関連の国際連合機関および専門機関、国際金融機関ならびに国際開発機関に対し、あらゆる形態の経済的搾取からの子どもの保護の分野におけるものも含む活動の調整および相互作用を増進させることも奨励する。 c. 委員会はさらに、国際連合機関および専門機関に対し、それぞれの権限にしたがい、子どもの人権および状況についての検討および監視を恒常的に行なうよう奨励する。この枠組みにおいて、委員会は、技術的な助言および援助のプログラムにとって、条約が示唆に富む法的枠組みとして決定的関連性を有していることを想起するとともに、委員会が、国際連合システム全体の行動における子どもの権利についての中心的機関として引き続き果たしていこうと考えている触媒としての役割を再確認するものである。 (b) 委員会は、経済的搾取の状況の防止を確保し、かつ経済的搾取の栄養を受けた子どもの保護およびリハビリテーションを図るために、情報および教育が不可欠な重要性を有することを強調する。(i) この枠組みにおいて、委員会は、締約国が、この条約の原則および規定を、適切かつ積極的な手段により、大人および子どもの双方に対して同様に広く知らせることを約束していることを想起する(第42条)。a. この目的のため、委員会は、締約国が、子どもが自己の権利(学習する権利、遊ぶ権利および休息をとる権利を含む)、自己が享受することのできる保護措置、および、経済的搾取の状況に置かれた場合に――健康にとって有害であり、調和のとれた発達を妨げ、教育を阻害し、または犯罪活動への関与につながる活動の場合などのように――直面するリスクについて認識できるようにすることを目的として、子どもをとくに対象とした、条約に関する幅広い広報キャンペーンを開始するよう勧告する。 b. 同様に、条約に関する意識啓発および理解の深化を図る目的、とくに子どもの尊厳の尊重を確保し、差別的な態度を防止し、かつ経済的搾取の状況からの子どもの効果的保護を達成する目的で、公衆一般を対象とする広報キャンペーン(家庭およびコミュニティのレベルにおけるものならびに労働者および使用者を対象とするものを含む)が構想されるべきである。子どもとともにまたは子どものために働く特別な専門家集団(教員、法執行官、裁判官およびソーシャルワーカーを含む)を対象とする研修も開催されるべきであり、このような研修は、子どもに対する差別ならびに周縁化およびスティグマを防止し、かつ子どもの視点を正当に考慮するよう奨励することに資するであろう。 c. これらのさまざまな活動は、政府機関および非政府機関と緊密に協力しながら発展させられるべきであり、かつ、そこではメディアが重要な役割を果たすことになろう。このような活動は、違法かつ秘密であることが多い経済的搾取の状況に光を当てること、ならびに、このような状況に対する公衆の無関心および冷淡さを克服することに資するはずである。このような活動は、さらに、現在存在する問題の規模を理解し、かつ、これらの問題に立ち向かっていくために必要な措置の採択を検討することも可能にしてくれるだろう。 (ii) 委員会は、子どもの経済的搾取の状況に対抗するための不可欠な防止手段のひとつである教育の重要性を強調する。そこで委員会は、とくに初等教育をすべての子どもに対して義務的かつ無償とすることにより、教育を正当に重視するよう勧告するものである。さらに、教育は、子どもの権利条約で認められているように、子どもの人格、才能および能力の全面的発達を確保するための決定的手段として、また十分な情報に基づく自由な選択を行なう平等な機会を享受しつつ、社会において責任ある生活を送るための準備をしながら子ども時代を経験するための機会を子どもに与える好機として、構想されるべきである。 委員会はまた、条約を、学校カリキュラムの枠組みのなかで、人権のための教育を意味のある形で例示したものとして、また子ども団体の設立または支持等も通じて学校生活および社会生活への子ども参加を奨励するためのインセンティブとして位置づけることも勧告する。合法的に就労している子どもの場合、条約第32条にも照らして、柔軟な教育制度が実施されるべきである。 (c) 経済的搾取からの子どもの保護の分野において、委員会は、子どもは家庭および社会における尊重および連帯の利益を与えられるべき人間存在であると考える。(i) 性的搾取または労働を通じての搾取の場合、委員会は、子どもは保健、教育および発達の観点から特別の保護の利益を与えられるべき被害者であると考える。 (ii) いかなる場合にも、以下の活動は厳格に禁じられなければならない。子どもの発達を脅かす活動または人間の価値および尊厳に反する活動。 残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱い、子どもの売買または隷属状況をともなう活動。 子どもの調和のとれた身体的、精神的および霊的発達にとって危険もしくは有害である活動、または子どもの将来の教育および訓練を脅かしそうな活動。 とくに被害を受けやすい状況および周縁化された状況に置かれた社会的集団との関連で差別をともなう活動。 子どもの権利条約第32条第2項で言及されている最低年齢、および、とくにILOが勧告している最低年齢に満たないすべての活動。 薬物または禁制品の取引など、法律により処罰される犯罪行為のために子どもを使用するすべての活動。 (iii) 子どもの権利条約第32条にしたがい、すべての子どもは経済的搾取から保護される権利を有する。締約国は、子どもの最善の利益を考慮しながら、子どもがいかなる形態の搾取からも法的に保護されることを確保する目的で、基準の策定または現行法の改正を行なわなければならない。締約国は、あらゆる形態の就労(家庭内および農業部門における就労ならびにインフォーマルな就労を含む)を考慮しながら、子どもの保護の確保を目的としたあらゆる立法上、行政上その他の措置をとるよう慫慂される。 (iv) 締約国はまた、経済的搾取の結果、深刻な身体的および道徳的危険にさらされている子どものリハビリテーションを確保するための措置もとらなければならない。これらの子どもに対して必要な社会的および医学的援助を提供すること、ならびに、子どもの権利条約第39条に照らし、これらの子どものための社会的再統合プログラムを構想することが不可欠である。 付属文書IV:子どもの経済的搾取に関する一般的討議 国際連合・子どもの権利委員会は、国際連合諸機関および非政府組織の参加を得て、1993年10月4日、子どもの経済的搾取に関する一般的討議を開催した。委員会はその後、討議のフォローアップ方法を提案するための作業部会を任命した(CRC/C/20、パラ196参照)。作業部会のメンバーに任命されたのは、ルイス・A・バンバレン・ガステルメンディ氏、アキラ・ベレンバーゴ氏、トマス・ハマバーグ氏およびマルタ・サントス・パイス氏である。 勧告 1.一般的討議の記録の拡大版として一件書類がまとめられるべきである。そこには、1993年10月7日に委員会が採択した声明(前掲、付属文書VI)、1993年10月4日の討議の議事要録、委員会を代表して行なわれた発言の書面(前掲、付属文書V)、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する国際連合特別報告者が行なった発言の書面、および、この分野における現在の主要な政策文書(とくに、国際連合人権委員会が決議1993/79で採択した「児童労働の搾取を撤廃するための行動計画」および同人権委員会が決議1992/74で採択した「子どもの売買、児童買春および児童ポルノの防止のための行動計画」)を含めることが求められる。一件書類の作成および配布に際してはILOとの協力が希望されるところである。 2.これらの文書は、カバーレターを添えて、子どもの権利条約の全締約国、1993年10月7日の委員会の声明で挙げられている諸機関(世界銀行、IMF、UNDP、UNESCO、UNICEF、WHO、ILO、インターポール、および、NGOコミュニティの諸代表)およびこの分野で活動してる他のすべての権限ある機関に対して送付されるべきである。 3.WHOおよびIMFへの書簡では、経済改革プログラムにおける子どもの権利の保護について、両機関と委員会との討議を開催するべきである旨の提案をあらためて繰り返すことが求められる。 4.UNESCOへの書簡では、同機関が、今後の活動プログラムにおいて、学校教育を児童労働(子どもの性的搾取を含む)の効果的な代替的選択肢としていくことを重視するよう勧告することが求められる。 5.ILOへの書簡では、同機関が実施している有害な児童労働撤廃のためのプログラムの重要性、ならびに、最低年齢および就労条件に関するILOの基準(とくにILO第138号条約)の批准および効果的実施の重要性を強調することが求められる。 6.WHOへの書簡では、到達可能な最高水準の健康の享受ならびに疾病の治療および健康の回復のための便宜に対する子どもの権利の重要性を強調することが求められる。 7.すべての書簡で、子どもの権利条約およびこの分野で行なわれている関連のプログラム(児童労働の搾取の撤廃ならびに子どもの売買、児童買春および児童ポルノの防止を目的とする国際連合の両行動計画など)の重要性を強調することが求められる。 8.子どもの権利委員会は、子どもの権利の分野で活動する国際連合諸機関(子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する人権委員会特別報告者、ならびに、差別防止およびマイノリティ保護に関する小委員会および現代的形態の奴隷制に関する同小委員会の作業部会を含む)との効果的な交流および協力を確保することに対して委員会が付与している重要性を踏まえ、条約の実施に関する報告書の検討の枠組みのなかで締約国と行なったこの問題に関する議論について、これらの機関に恒常的に情報を提供していくことを決定する。 更新履歴:ページ作成(2017年2月17日)。
https://w.atwiki.jp/kodomoteatehou/pages/15.html
ざっくり概要を記載してみました。 大まかな認識の把握などにどうぞ。 違っている部分などがあれば、後段のコメントで教えてください。 子ども手当法の目的と責務 政策目的 次代の社会を担う子ども1人ひとりの育ちを社会全体で応援する 子育ての経済的負担を軽減し、安心して出産し、子どもが育てられる社会をつくること 責務 子ども手当の支給を受けた者は、給付金を子どもの成長及び発達のために使用する責務がある ※この目的と責務を先に知っておかないと、問題点や、2chまとめ記事のおもしろさやおかしさがわからない場合もあります。 ※「日本の少子高齢化対策のため、子どもの教育や生活環境が整いやすいよう、お金が支給されているはず」という理解で大丈夫です。 ※不安がなくなって、その結果、消費が増えて、景気がよくなるというのは、二次的な効果です。 子ども手当法の問題点 おおまかに言えば、問題点は下記の2点が原因であり、そのために、色々な細かい問題点や穴が山積みとなっているのが現状です。 国が行う多額の資金を使う政策にもかかわらず事前に効果の調査が十分にされていない 事前に給付の仕方や要件など工程が全く検討・整備されていない 経営者が会社の存続をかけて、何も考えずノリだけでやってみたという次元・レベルだと思えばOKです。(好意的に解釈すれば、成功するかどうかは感性と運次第ではあります。) 細かい問題点は、Wikiの問題点の項目に沿って次のとおりです。 1 財源が不足 単純に財源が足らない。 これは、埋蔵金だのなんだの言っていたが、実際は財源は何もなかったにもかかわらず、民主党が見切り発車しちゃったため。 2 扶養控除・配偶者控除廃止などによる実質増税 足らない中やってるから、どこかで増税(または減税の中止)が必要。 子ども手当のせいで、家庭の負担が結果的に増えそうという本末転倒なケースも。 3 受給対象外の日本の子どもが実は多い 親が支払対象なので、児童養護施設の子どもなどで両親が不明・不詳の場合、その子どもには支払われない。(見直し検討中) 4 外国人労働者の海外に残してきた子ども分も支給される 日本の少子高齢化対策としたなら、ほとんど意味が無い。(日本国内に子供が増えるかどうかで考えた場合、直接的な効果はない) 国外にいる外国人の子ども分として、既に約10億円が支給済で今後も続く予定。 5両親が海外にいる場合、日本に居住する日本国籍の子どもには支給されない 日本の少子高齢化対策、子どもの生活環境の整備を考えた場合、支給しない理由がない。(普通は問題4と支給・不支給を逆にするものだと思いそうなものだが、優先度でもあるのかね?) ちなみに、自民党などが指摘するも、民主党の強行採決でこうなっている。 6 人数制限がない 海外の養子を作りまくれば、形式さえ整えば条文上いくらでも支給される。 なお、自治体の判断により養子数百人といったあからさまなケースは拒否できているが、明示的な解決策は示されていないため、多少のお手盛りが可能。 7 不正受給防止策がない 海外の養子縁組の証明書が本物かどうか確認する手法が国から示されず、自治体に丸投げされている。 多様な言語、多様な海外の自治体、書式、証明書すべての確認は困難で小さな不正支給はほぼ免れない。(海外の生活水準では、数人分で現地の20年分の収入に相当するケースも多く小さい負担は積み重なりやすい) 8 税金のばらまき 選挙前に不整備なまま強引に「現金給付」という目に見える形で行われた。 事前に子ども手当の効果の調査が全くされていない。 保育所の整備など、より公共性・効果が高い課題はたくさんあるが、優先的に子ども手当が行われたため、深く考えない層を狙った選挙目的のバラマキという意見も多い。 9 公平性 所得が低いほど恩恵が大きい仕組みにはならないという批判もある。 10 期間・金額の不足 中学卒業まで毎月2.6万円では、経済的に安心して消費が増えるという効果は期待できないという批判もある。 そもそも金銭の給付が少子化に効果があるかなど未検討・未調査。 11 年齢と学歴の混同 不整備なまま実施されているので、学歴と年齢が混同されており、マニフェストや法律条文などで色々齟齬が生じている。 12 出生月による格差 誕生月によって、総支給額が異なる。(最大11ヶ月分差が出る) 早生まれが損。 13 未申請・支給漏れ 申請した人しかもらえない。 支払条件がわりとややこしいので、支給漏れもある。 案内やフォロー体制も自治体で異なる。 その他問題点を指摘したリンクなど http //www21.atwiki.jp/kodomoteate/pages/56.html http //tamtam.livedoor.biz/archives/51261612.html http //pub.ne.jp/shadow/?entry_id=2787021 コメント欄 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/286.html
子どもの権利委員会・一般的討議勧告:武力紛争における子ども 一般的討議勧告一覧 参考:武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書(2000年):政府訳(PDF)/平野裕二訳 (第2会期、1992年) 原文:英語(PDF) ※CRC/C/10(第2会期の報告書)へのリンク。以下では、第3会期の報告書(CRC/C/16)の関連パラグラフもあわせて訳出した。 日本語訳:平野裕二 CRC/C/10(第2会期の報告書) 5.一般的討議のフォローアップ 75.行なわれたさまざまな貢献および検討された諸問題に鑑み、委員会は、その権限の枠組みのなかで、武力紛争における子どもという突出した複雑な問題に対して継続的に対応していく必要があることを認識した。したがって委員会は、この問題に立ち向かうためにとりうるさまざまな措置を構想した。 (a) より関連性の高い規定、とくに第38条および第39条の実施に関する、より具体的な指針を策定すること。 (b) 一連の勧告を起草すること。 (c) 予備的な一般的意見を検討すること。 (d) この問題の特定の側面に関する一般的研究を実現すること。 (e) 軍隊への子どもの採用年齢を18歳に引き上げる、子どもの権利条約の将来の選択議定書を予備的に起草すること。 76.これらのさまざまな措置について検討するため、委員会は、一般的討議を踏まえ、数名の委員から構成される作業部会の設置を決定し、1993年1月に予定されている委員会の次回の通常会期に最終的提案を提出する任務を委ねることとした。 77.さらに、委員会は、 締約国報告書の審査という任務を遂行するにあたり、以下のことを構想できることを強調した。 (a) 一部の締約国が行なった、18歳未満の子どもを採用しない旨の決定に関する宣言を歓迎すること。 (b) 第38条の適用に関するかぎりで、締約国の立法および実務に関する情報の必要性を強調すること。 (c) 第41条に照らし、もっとも権利の実現に資する規範が適用されているか否かについての情報を求め、またはいっそうの保護につながる規定を国レベルで採択することを奨励すること。 (d) 締約国に対し、軍隊への採用が18歳未満で認められている場合に、この状況において子どもの最善の利益がどのように第一次的に考慮されているかを検討するよう奨励すること。 (e) 締約国に対し、進展を監視する継続的プロセスのなかで、自国の管轄下にあるすべての子どもに対して子どもの権利の全面的実現を確保するためにあらゆる必要かつ適切な措置がとられてきたかどうかを検討するべきであることを強調しかつ奨励すること。 CRC/C/16(第3会期の報告書) 173.武力紛争における子どもについての一般的討議を第2会期に開催したことを受けて、委員会は、数名の委員から構成される作業部会の設置を決定し、表明されたさまざまな懸念および提案された多様な措置を踏まえて、当該討議のフォローアップとして確保されるべき対応についての提案を、委員会の第3会期で提出する任務を委ねることとした(CRC/C/10、パラ76)。 174.作業部会は、委員会に対し、この点に関してとりうる多数の措置についての検討結果(それぞれの措置にふさわしいと思われる優先度を含む)を反映した、作業部会の活動についての報告を口頭で行なった。作業部会は、この突出した現実について研究しかつ理解を深めるうえで、また作業部会の将来の活動についての重要な枠組みを確立するうえで、一般的討議が妥当性を有するものであったことをあらためて強調した。 175.委員会は、今後の措置を構想するために、とくに一般的意見または一連の勧告もしくは具体的指針の草案を検討するうえで、この問題に対して継続的に注意が払われるようにし、かつ締約国報告書の検討の経験を活かしていく必要があることを認識した。 176.委員会は、以下の措置を優先的にとることを構想した。 (a) 武力紛争が子どもによる基本的権利の享受に深刻な形で影響を及ぼしていることに鑑み、かつこの現実に対していっそうの注意を向ける目的で、条約第45条(c)に照らし、総会に対して、事務総長が武力紛争の悪影響からの子どもの保護を向上させる方法および手段についての研究を実施することを要請するよう勧告すること(本報告書の付属文書VI参照)。 (b) 委員の1名に対し、条約第38条に掲げられている年齢を18歳に引き上げる、条約の選択議定書の予備草案の作成を委託すること。この予備草案は本報告書に付属文書VIIとして掲載されている。この枠組みのなかで、委員会は、締約国に対し、第38条に掲げられている年齢を18歳に引き上げることを目的とする可能な措置をとることを検討するよう奨励した。 (c) 世界〔人権〕会議準備委員会の第4会期に提出する勧告で、武力紛争への子どもの関与の問題を取り上げること。委員会は、実のところ、総会による世界会議の暫定的議題の採択を受けて、この問題が、女性および男性が有するすべての人権(被害を受けやすい集団に属する者の人権を含む)の全面的実現における現代的傾向および新たな課題に関する議題の枠組みのなかで提起すべき、重要な論点のひとつになる可能性があると考える。 (d) 条約第39条に照らし、委員会が特定する論点のリストに、検討の対象となりうる主題として回復および再統合の問題を含めること。 (以下略) 付属文書V 武力紛争における子どもについての覚書(略) 付属文書VI 武力紛争における子ども:総会に対する勧告 1.条約第45条(c)の規定にしたがい、子どもの権利委員会は、総会が、事務総長に対し、子どもの権利に関連する特定の問題についての研究を委員会に代わって行なうよう要請することを勧告できる。 2.委員会は、1992年9月~10月に開催された第2会期で、1日を割いて「武力紛争における子ども」の問題に関する一般的討議を行なった。討議された主な論点としては、武力紛争における子どもの枠組みにおいて適用される現行の基準の妥当性および適切性、武力紛争の状況下にある子どもに効果的保護を確保するための措置、ならびに、身体的および心理的回復ならびに社会的再統合の促進などがあった。第2会期に関する委員会の報告書(CRC/C/10、パラ61-77)ならびに第38回および第39回会合の議事要録(CRC/C/SR.38 and 39)に、委員会の第2会期で行なわれた諸論点についての討議の内容が反映されている。委員会は、第3会期(1993年1月11~29日)でこれらの問題についてさらに討議した。 3.委員会は、武力紛争における子どもという深刻な問題にいっそうの注意を向けるために、大規模な国際連合研究が実施されるべきであるとの結論に達した。現在の武力紛争において子どもたちが著しく苦しんでいることは明らかであり、また人道法の基準の違反がしばしば行なわれており、かつこれらの基準はあらゆる関連の状況を網羅しているわけではない。人道上のニーズを満たすために「平和の回廊」または「静穏の期間」を組織しようとする試みも、当事者によって常に歓迎されてはこなかった。したがって、これらの緊急の問題に対する国際的対応を見直し、かつその解決に対する新たなアプローチを議論することが必要である。そこで委員会は、条約第45条(c)にしたがい、総会に対して、事務総長が武力紛争の悪影響からの子どもの保護を向上させる方法および手段についての研究を実施することを要請するよう勧告する。この目的のため、事務総長として、関連の専門機関、その他の国際連合機関、非政府組織および赤十字国際委員会の協力を慫慂することも考えられる。 4.委員会は、事務総長に対し、この勧告に対する総会の注意を喚起して第48会期における検討に供するよう要請する。 付属文書VII 武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書予備草案(略) 更新履歴:ページ作成(2017年2月17日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/28.html
子どもの権利委員会・一般的意見11号:先住民族の子どもとその条約上の権利(2) → 先住民族の子どもの権利(1)に統合
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3063.html
教科書系列は、古長SS教科書文通を中心とした同作者の関連作品になります。 SS内に捏造設定(古と橘が幼馴染等)や、オリジナルキャラの登場があります。 苦手な方は、ご注意下さい。 4年前~分裂時 「とある超能力者の動機」 9~10月 『お客様は宇宙人』『超能力者を訪ねて』 『教科書文通1/2/3/4/5/6/7/8/9/10(前/後)』 「お姉さんなのです(ハ/キ/長/古)」『待たせたな』 10月末 『Please wait for someday in the rain.』 『水族館へ出発!』『水族館へ到着!』『水族館のその後に』 11~12月 『お待たせしました』「愛にあるのは真心、恋にあるのは下心」 以下、後日談 2月『ヴァレンタイン編』 9~10月の流れが少々入り組んでいますが、大体どこから読んでも大丈夫です。 『』が恋愛がテーマのSS、「」が男女間の友情がテーマのSSになります。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/275.html
子どもの権利委員会・一般的意見20号:思春期における子どもの権利の実施(後編) 一般的意見一覧 (思春期の子どもの権利 前編より続く) IX.子どもに対する暴力 あらゆる形態の暴力からの保護 49.委員会は、締約国に対し、あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利についての一般的意見13号(2011年)および有害慣行についての一般的意見18号(2014年)に掲げられた、あらゆる形態の暴力を終わらせること(あらゆる場面における体罰を法律で禁止することを含む)およびあらゆる有害慣行を変容させかつ終わらせることを目的とした包括的な立法上、行政上、社会上および教育上の措置に関する勧告を参照するよう、求める。締約国は、防止およびリハビリテーションならびに被害を受けた思春期の子どもの社会的再統合に関する制度的プログラムの規模拡大のために、いっそう多くの機会を設けなければならない。委員会は、防止戦略および暴力被害者に対する保護対応の策定に思春期の子どもたちの関与を得る必要があることを強調する。 X.家庭環境および代替的養護 親および養育者への支援 50.子どもに安全、情緒的安定、励ましおよび保護を提供する親および養育者の役割は、思春期全体を通じて依然として重要である。委員会は、条約第18条第2項および第3項に掲げられているように親および養育者に適切な援助を与え、かつ、第27条第2項と一致するやり方で、最適な発達のために必要な支援および生活条件の提供に関して親を援助する締約国の義務が、思春期の子どもの親についても平等に適用されることを強調する。このような支援においては、思春期の子どもの権利および発達しつつある能力、ならびに、思春期の子どもが自分自身の生活に対して行なう貢献度の高まりが尊重されるべきである。各国には、伝統的価値観の名のもとで、暴力を黙認しまたは容認し、家族環境における不平等な権力関係を強化し、かつ、そのことによって思春期の子どもから基本的権利の行使の機会を奪うことがないようにすることが求められる [24]。 [24] A/HRC/32/32 参照。 51.委員会は、思春期の子どもたちが暮らしている、デジタル時代とグローバル化を特徴とする環境と、思春期の子どもたちの親および養育者が成長した環境との間で分断が大きくなりつつあることの重要性に対し、締約国の注意を喚起する。思春期の子どもたちは、世代間の理解を阻害しうるグローバルな商業世界(この世界は、親またはコミュニティの価値観に媒介されないままの場合もあれば、これらの価値観による統制を受けている場合もある)にさらされており、かつその影響を不可避的に受けている。このような状況の変化は、思春期の子どもと効果的なコミュニケーションを図り、かつ子どもの生活の現在の実情を考慮に入れたやり方で指示および保護を提供する親および養育者の能力にとって、課題を突きつけるものである。委員会は、各国が、世代間の経験の相違への対処に役立てるために必要な指針、援助、研修および支援はどのようなものかについての調査を、思春期の子どもたちならびにその親および養育者とともに実施するよう勧告する。 代替的養護を受けている思春期の子ども 52.大規模な長期入所施設で生活している思春期の子どもが十分な成果を達成できていないこと、および、程度ははるかに弱まるとはいえ他の形態の代替的養護(里親養護および小規模集団養護など)を受けている思春期の場合も同様であることについては、相当の証拠が存在する。このような思春期の子どもは、成績の低下、社会福祉への依存、ならびに、住む場所の喪失、収監、望まない妊娠、早期の出産、有害物質の誤用、自己危害および自殺のリスクの高まりを経験している。代替的養護を受けている思春期の子どもは16~18歳になった時点で離脱を求められるのが通例であって、支援システムまたは保護を欠いており、かつ自分自身を守るためのスキルおよび能力を獲得する機会も与えられてこなかったことから、性的虐待および性的搾取、人身取引および暴力の被害をとりわけ受けやすい状況に置かれる。障害のある思春期の子どもは、コミュニティで生活する機会を否定されて成人施設に移送されることが多く、そこで引き続き権利を侵害されるおそれがますます高まる。 53.各国は、代替的養護を受けている思春期の子どもの支援に対する強い決意を示し、かつそのような支援への投資を増やすべきである。里親養護および小規模ホームを優先する方針を補完するものとして、差別と闘い、思春期の子どもが置かれている個別の状況が定期的に検討されることを確保し、これらの子どもの教育を支援し、自己に影響を及ぼす手続において真の発言権を認め、かつ、複数回の移動を回避するために必要な措置をとる必要がある。各国は、施設措置が最後の手段としてのみ用いられることを確保するとともに、秘密が保持される苦情申立て機構および司法へのアクセス等を通じ、施設で生活しているすべての子どもの適切な保護を確保するよう、促される。各国はまた、代替的養護を受けている思春期の子どもの自立を支援し、かつそのライフチャンスを高めるための措置、および、代替的養護を離脱するのに十分な年齢に達するなかでこれらの子どもが直面する特別な脆弱性および不安定性に対処するための措置もとるべきである。 54.代替的養護を離脱する思春期の子どもには、移行の準備、就労、住居および心理的支援へのアクセス、家族との関係修復への参加(これが子どもの最善の利益に合致する場合)ならびにアフターケアサービスへのアクセスに関わる、子どもの代替的養護に関する指針 [25] に一致する方法で提供される支援が必要である。 [25] 国連総会決議64/142付属文書。子どもの権利委員会の一般的意見9号も参照。 思春期の子どもが世帯主である家庭 55.相当数の思春期の子どもが、自らが親であるために、または親が死亡しもしくは失踪しまたは存在しないために、家族の主たる養育者となっている。条約第24条および第27条が求めるところにしたがい、思春期の子どもである親および養育者に対しては、子どもの健康、栄養および母乳育児に関する基礎的知識が提供されなければならず、また自らが責任を負っている子どもへの責任を果たせるよう援助するための適切な支援、ならびに、必要なときは栄養、衣服および住居に関する物質的援助が提供されなければならない。思春期の子どもである養育者が教育、遊びおよび参加に対する権利を享受するためには、追加的な支援が必要となる。とくに、各国は、ライフサイクルの重要な段階における社会的保護のための支援策を導入し、かつ、思春期の子どもである養育者に特有の要求に対応するべきである。 XI.基礎保健および福祉 保健ケア 56.保健サービスが思春期の子どもに特有の健康上のニーズに配慮して整備されていることはまれであり、この問題は、年齢、性別および障害ごとに細分化された人口動態上および疫学上のデータおよび統計が存在しないためにいっそう悪化させられている。思春期の子どもが援助を求めても、法律上および金銭上の障壁、差別、秘密保持および尊重の欠如、暴力および虐待、スティグマならびに保健ケア関係者による審判的態度を経験することが多い。 57.思春期の子どもの健康に関わる状況は、主として、個人、同世代、家族、学校、コミュニティおよび社会の各レベルに存在する、行動および活動によって媒介された社会的および経済的決定因子ならびに構造的不平等の結果である。したがって、締約国は、思春期の子どもたちと連携し、今後の包括的な保健政策、プログラムおよび公衆衛生戦略の基盤とするため、思春期の子どもの健康問題の性質および程度ならびに思春期の子どもがサービスへのアクセスにあたって直面している障壁についての、多面的な関係者による包括的検討を実施することが求められる。 58.自殺、自己危害、摂食障害および抑うつのような精神保健上の問題および心理社会的問題は、思春期の子ども、とくに脆弱な状況に置かれた集団の子どもの健康障害、疾病および死亡の主たる原因である [26]。これらの問題は、遺伝的、生物学的、人格的および環境的原因の複雑な相互作用から生じ、かつ、たとえば紛争、避難、差別、いじめおよび社会的排除の経験ならびに身体イメージに関わる圧力および「完璧」志向の文化によっていっそう悪化させられている。レジリエンスおよび健康的発達を促進し、かつ精神的健康障害からの保護につながることがわかっている要因としては、重要な大人との強い関係およびこのような大人からの支援、肯定的な役割モデル、適切な生活水準、良質な中等教育へのアクセス、暴力および差別からの自由、影響力の行使および意思決定の機会、精神保健に関する知識、問題解決および対処のスキル、ならびに、安全かつ健康的な地域環境などがある。委員会は、各国が、過剰な医療化および施設措置ではなく公衆衛生および心理社会的支援を基盤とするアプローチをとるべきであることを強調する。親、同世代の子ども、より幅広い家族および学校の関与を得た統合的な思春期精神保健ケア制度、ならびに、訓練を受けたスタッフによる支援および援助の提供を通じた、包括的な部門横断型の対応が必要である [27]。 [26] 到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての一般的意見15号(2013年)、パラ38参照。 [27] A/HRC/32/32 参照。 59.委員会は、各国に対し、思春期の子どもを対象として、セクシュアル/リプロダクティブヘルスに関わる、ジェンダーおよびセクシュアリティに配慮した包括的な政策を採用するよう促すとともに、思春期の子どもがこれらの情報、物資およびサービスに平等にアクセスできないことは差別にあたることを強調する [28]。このようなサービスにアクセスできないことは、思春期の女子が、妊娠および出産の際に死亡しまたは重大なもしくは生涯にわたる外傷を負う危険性がもっとも高い集団になることを助長する。思春期のすべての子どもが、セクシュアル/リプロダクティブヘルスに関わる、無償の、思春期の子どもへの反応性が高くかつ差別のない、オンラインでも対面でも利用可能なサービス、情報および教育にアクセスできるべきである。これには、家族計画、避妊(緊急避妊を含む)、性感染症の予防、ケアおよび治療、カウンセリング、受胎前のケア、母子保健サービスおよび生理衛生に関するものが含まれる。 [28] 経済的、社会的および文化的権利に関する差別の禁止についての社会権規約委員会の一般的意見20号(2009年)、パラ29参照。 60.セクシュアル/リプロダクティブヘルスならびにこれらに関わる権利についての物資、情報およびカウンセリングに関しては、第三者による同意または許可の要件などのいかなる障壁も設けられるべきではない。加えて、たとえば思春期の女子、障害のある女子ならびにレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーおよびインターセックスである思春期の子どもがこのようなサービスにアクセスする際に経験する、スティグマおよび恐怖の障壁を克服するために特段の努力が必要である。委員会は、締約国に対し、女子が安全な中絶および中絶後のサービスにアクセスできることを確保するために中絶を犯罪化し、思春期の妊婦の最善の利益を保障する目的で法律を見直し、かつ、中絶関連の決定において思春期の妊婦の意見が常に聴かれかつ尊重されることを確保するよう、促す。 61.科学的根拠および人権基準を基盤とし、かつ思春期の子どもたちとともに開発された、年齢にふさわしい、包括的かつインクルーシブなセクシュアル/リプロダクティブヘルス教育が、必修学校カリキュラムの一環に位置づけられるべきであり、かつ、学校に行っていない思春期の子どもにも提供されるべきである。ジェンダー平等、性の多様性、セクシュアル/リプロダクティブヘルスに関わる権利、責任のある親としてのあり方および性的活動ならびに暴力の防止に対して、また若年妊娠および性感染症の予防に対して注意を向けることが求められる。情報は、思春期のすべての子ども、とくに障害のある思春期の子どもにとってのアクセシビリティを確保するため、代替的形式で利用可能とされるべきである。 HIV/AIDS 62.思春期の子どもは、AIDSによる死亡数が増加している唯一の年齢層である [29]。思春期の子どもは、抗レトロウィルス治療にアクセスし、かつ治療を受け続けるうえで課題に直面する場合がある。HIV関連の治療にアクセスするために保護者の同意を得なければならないこと、情報を開示されるおそれがあることおよびスティグマを付与されることは障壁の一部である。思春期の女子は人口比に照らして不均衡なほどの影響を受けており、新たな感染者数の3分の2を占めている。思春期の子どものうち、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルおよびトランスジェンダーである子ども、金銭、現物または好意と引き換えにセックスをする子どもおよび薬物静注を行なう子どもも、HIVに感染するリスクがいっそう高い。 [29] http //apps.who.int/iris/bitstream/10665/112750/1/WHO_FWC_MCA_14.05_eng.pdf?ua=1, p.3 参照。 63.委員会は、各国に対し、思春期の子どもの多様な現実を認めて、これらの子どもが、訓練を受けた要員(これらの者はプライバシーおよび差別の禁止に対する思春期の子どもの権利を全面的に尊重するものとする)によって提供される、秘密が守られるHIV検査およびカウンセリングサービスならびに科学的根拠に基づくHIV予防・治療プログラムにアクセスできることを確保するよう、奨励する。保健サービスには、HIV関連の情報、検査および診断、避妊およびコンドームの使用に関する情報、ケアおよび治療(HIV/AIDSのケアおよび治療のための抗レトロウィルス薬その他の医薬品および関連技術を含む)、適切な栄養に関する助言、霊的および心理社会的支援、ならびに、家族、コミュニティおよび自宅を基盤とするケアが含まれるべきである。HIVに特化した立法のうち、意図せずにHIVを感染させたことおよび自分がHIV感染者である旨を明らかにしなかったことを犯罪とする法律の見直しを検討することが求められる。 思春期の子どもによる薬物の使用 64.思春期の子どもは、薬物の使用へと引きこまれる可能性および薬物関連の危害を受けるリスクが大人よりも高く、かつ、思春期に開始された薬物の使用は依存へと至ることがより多い。薬物関連の危害を受けるリスクがもっとも高いことがわかっている思春期の子どもは、路上の状況にある子ども、学校から排除された子ども、トラウマ、家族の崩壊または虐待の経験がある子どもおよび薬物依存に対処中の家族と生活している子どもである。締約国には、麻薬および向精神薬の不法な使用から思春期の子どもを保護する義務がある。締約国は、このような有害物質ならびにタバコ、アルコールおよび溶剤の使用に関わる思春期の子どもの健康権を確保するとともに、予防、ハームリダクション(危害軽減)および治療のためのサービスを、差別なく、かつ十分な予算を配分して整備するべきである。思春期の子どもとの関連では、懲罰的または抑圧的な薬物統制政策に代わる措置をとることが歓迎される [30]。思春期の子どもに対しては、有害物質の使用から生ずる害の防止および最小化を目的とする、科学的根拠に基づく正確かつ客観的な情報も提供されるべきである。 [30] A/HRC/32/32 参照。 受傷および安全な環境 65.不慮の事故による受傷または暴力による受傷は、思春期の子どもの死亡および障害の主たる原因のひとつである。不慮の事故による受傷のほとんどは、路上での交通事故、溺水、火災、転落および毒物摂取によって生じている。締約国は、リスク低減のため、部門横断型の戦略を策定するべきである。このような戦略には、保護装置の使用を義務づける立法、飲酒運転および免許発行に関する政策、教育、スキル開発および行動変容に関するプログラム、環境への適応、ならびに、受傷した者のケアおよびリハビリテーションのためのサービスの提供を含めることが求められる。 十分な生活水準 66.貧困の影響は思春期において深甚な意味合いを有しており、極度のストレスおよび不安定感ならびに社会的および政治的排除につながることもある。経済的苦境に対処するために思春期の子どもが余儀なくされるまたは自らとる戦略には、学校を中退すること、児童婚または強制婚の対象となること、性的搾取または人身取引の対象となること、危険なもしくは搾取的な労働または教育の妨げとなる労働に従事すること、ギャングの構成員になること、民兵に加入することおよび移住することなどがある。 67.各国は、身体的、精神的、霊的、道徳的および社会的発達のためにふさわしい生活水準に対するすべての子どもの権利を想起するよう求められるとともに、思春期の子どもおよびその家族が基礎所得の安定を保障され、経済的衝撃および長期の経済的危機から保護され、かつ社会サービスにアクセスできるようにする、社会的保護の最低基準を導入するよう促される。 XII.教育、余暇および文化的活動 教育 68.普遍的、良質かつインクルーシブな教育および訓練に対する権利を保障することは、思春期の子どもの直近の発達および長期的発達を確保するために各国が行ないうる、単独の投資としてはもっとも重要な政策投資であり、とくに中等教育の肯定的影響を明らかにする証拠はますます増えつつある [31]。各国は、すべての者が広く利用できる中等教育を緊急に導入するとともに、高等教育を、すべての適切な方法により、能力に基づいてすべての者がアクセスできるようにするよう、奨励される。 [31] www.unicef.org/adolescence/files/SOWC_2011_Main_Report_EN_02092011.pdf 参照。 69.委員会は、女子および男子の平等な就学を達成し、かつ初等教育後も女子が教育を受け続けるようにするうえで多くの国が直面している課題を深く懸念する。女子の中等教育への投資は、条約第2条、第6条および第28条を遵守するために必要な公約であり、児童婚および強制婚、性的搾取ならびに若年妊娠から女子を保護するのにも役立つとともに、女子およびその子どもの将来の経済的可能性を高めることに相当に貢献する。女子にとっての障壁となっている法的、政治的、文化的、経済的および社会的障壁を克服する目的で、肯定的なジェンダー関係および社会的規範を促進し、性暴力およびジェンダーを理由とする暴力(学校におけるものを含む)に対応し、かつ、肯定的な役割モデル、家族支援および女性の経済的エンパワーメントを促進する戦略への投資も行なわれるべきである。さらに、各国は、就学しない男子および在学し続けない男子の人数が増えていることを認識し、その原因を特定し、かつ、男子の継続的教育参加を支えるための適切な措置をとるよう求められる。 70.委員会は、周縁下された状況に置かれている思春期の子どもであって中等教育進学の機会を与えられない子ども(貧困下で暮らしている子ども、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーおよびインターセックスである子ども、マイノリティに属する子ども、心理社会的障害、感覚障害または身体障害のある子ども、移住している子ども、武力紛争または自然災害の状況下にある子どもならびに路上の状況にある子どもまたは働いている子どもなど)の人数が多いことに、懸念とともに留意する。集団化された集団が教育へのアクセスについて直面している差別に終止符を打つための積極的措置が必要である。このような差別を終わらせるための手段には、現金移転プログラムを設けること、マイノリティおよび先住民族の文化ならびにすべての宗教コミュニティの子どもを尊重すること、障害のある子どものインクルーシブ教育を促進すること、教育制度におけるいじめおよび差別的態度と闘うこと、ならびに、難民キャンプで教育を提供することなどが含まれる。 71.識字能力を身につけないまままたは資格を取得しないままの早期退学の水準の高さに鑑み、学校への継続的参加を妨げる障壁について思春期の子どもたちと協議するための取り組みが行なわれるべきである。委員会の見るところ、助長要因には次のようなものがある――授業料および関連費用が必要であること、家庭の貧困であることおよび十分な社会的保護制度(十分な健康保険を含む)が存在しないこと、女子のための十分かつ安全な衛生設備が設けられていないこと、妊娠した女子生徒および母親となった女子が排除されること、残虐な、非人道的なおよび品位を傷つける処罰が根強く使用されてること、学校におけるセクシュアルハラスメントを解消するための効果的措置がとられていないこと、女子が性的に搾取されていること、環境が女子の包摂および安全に資するものになっていないこと、教授法が不適切であること、カリキュラムが関連性を有しておらずまたは時代遅れになっていること、生徒を自分自身の学習に関与させられていないこと、ならびに、いじめが行なわれていることである。加えて、学校には、思春期の子どもが仕事および(または)家族のケアの責任と教育を両立できるようにするために必要な柔軟性が欠けていることが多く、思春期の子どもは就学関連費用を負担し続けることができなくなる場合がある。各国は、条約第28条第1項(e)およびSDG〔持続可能な開発目標〕4にしたがい、これらのすべての要因への対処、ならびに、就学および通学の状況の向上、早期退学の減少および退学した者への教育修了の機会の提供を目的とした、包括的かつ積極的な措置を導入するべきである。 72.委員会は、教育の目的に関する委員会の一般的意見1号(2001年)に対して注意を喚起する。委員会はそこで、教育は子ども中心の、子どもにやさしい、かつ子どものエンパワーメントにつながるようなものでなければならないと主張するとともに、より協働的なかつ参加型の教授法の重要性を強調している [32]。中等教育のカリキュラムは、思春期の子どもが主体的参加の力を身につけられるようにし、人権および基本的自由の尊重を発展させ、市民的関与を促進し、かつ思春期の子どもが自由な社会で責任ある生活を送れるようにすることを目的として立案されるべきである。思春期の子どもの可能性を最大限に発達させ、かつこれらの子どもが退学しないようにするため、思春期の子どもの学習能力、同世代の仲間とともに活動する動機およびエンパワーメントを活用し、経験学習に焦点を当て、かつ試験を限定的に用いるような学習環境を確保する目的で、学習環境のあり方の検討を行なうことが求められる。 [32] 教育の目的に関する子どもの権利委員会の一般的意見1号(2001年)、パラ2参照。 教育から訓練および/またはディーセントワークへの移行 73.思春期の子どもの相当数が教育もしくは訓練を受けておらず、または就労していないことから、成人期への移行にかけて不均衡なほどの水準の失業、不完全就労または搾取につながっている。委員会は、各国に対し、就学していない思春期の子どもがディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に移行することを促進する目的でこれらの子どもをその年齢にふさわしいやり方で支援する(教育法と労働法の整合性を確保することも含む)とともに、これらの子どもの将来の就労を促進するための政策を採択するよう、促す [33]。条約第28条第1項(d)にしたがい、各国は、思春期の子どもが教育上および職業上の情報および指導を利用しかつこれらにアクセスできるようにするべきである。 [33] 持続可能な開発目標のターゲット8.6は「若者」(15~24歳の思春期の子ども)に関連したものである。国連総会決議70/1参照。 74.教育および訓練は、公式なものであれ非公式なものであれ、現代労働市場で必要とされる21世紀型スキル [34] を目的として設計されなければならない。これには、ソフトスキルおよび転換可能なスキルをカリキュラムに統合すること、経験学習または実践学習の機会を拡大すること、労働市場の需要に基づいて職業訓練を発展させること、起業、インターンシップおよび実習に関する官民パートナーシップを確立すること、ならびに、学業上および職業の機会に関する指導を提供することが含まれる。各国はまた、労働組合および職能団体への加盟に関する権利を含む就労者の権利についての情報も普及するべきである。 [34] 「21世紀型スキル」とは、今日の世界、とくに大学プログラムならびに現代的職業および職場で成功するために決定的に重要であると――教育者、学校改革論者、大学教授、雇用主等によって――考えられている、一連の幅広い知識、スキル、労働習慣および性格特性をいう。 余暇、レクリエーションおよび芸術 75.休息および余暇に対する思春期の子どもの権利、ならびに、思春期の子どもが、オンラインとオフラインの双方で、遊び、レクリエーション活動および芸術活動に自由に従事しかつ参加する権利は、思春期の子どものアイデンティティの模索にとって根本的に重要であり、思春期の子どもが、自己の文化を模索し、新たな芸術形態を創り出し、人間関係を形成し、かつ人間として成長していくことを可能とする。余暇、レクリエーションおよび芸術は、人間の尊厳、最適な発達、表現の自由、参加およびプライバシーに対する権利にとって根本的に重要である、自分はかけがえのない存在であるという感覚を思春期の子どもに与えるものである。委員会は、これらの権利が、とくに女子について、思春期において広く軽視されていることに遺憾の意とともに留意する。公共の空間で思春期の子どもたちに恐怖および敵意が向けられており、かつ思春期の子どもにやさしい都市計画、教育施設および余暇施設が存在しないことは、レクリエーション活動およびスポーツに従事する自由の妨げとなりうる。委員会は、条約第31条に掲げられた諸権利、および、休息、余暇、遊び、レクリエーション活動、文化的生活および芸術に対する子どもの権利についての一般的意見17号(2013年)にまとめられている委員会の勧告に対し、各国の注意を促すものである。 XIII.特別な保護措置 移住 76.生活水準の向上、教育または家族再統合を求め、出身国の内外に移住する思春期の子どもの人数が増えつつある。多くの子どもにとって、移住は重要な社会的および経済的な機会を提供してくれるものである。しかし、身体的危害、心理的トラウマ、周縁化、差別、排外主義、性的搾取および経済的搾取、ならびに、国境を越える場合には入国管理当局による摘発および収容を含むリスクを突きつけるものでもある [35]。移住者である思春期の子どもの多くは、教育、住居、保健、レクリエーション、参加、保護および社会保障へのアクセスを否定されている。サービスに対する権利が法律および政策で保護されている場合でさえ、思春期の子どもは、そのようなサービスへのアクセスに関して行政上その他の障壁に直面する場合がある。身分署名書類または社会保障番号を要求されること、有害かつ不正確な年齢鑑別手続がとられていること、金銭面および言語面の障壁があること、ならびに、サービスにアクセスすることによって収容または退去強制の対象とされることなどである [36]。委員会は、移住者である子どもについて詳細に述べた委員会の包括的勧告を参照するよう求める [37]。 [35] www.ohchr.org/Documents/HRBodies/CRC/Discussions/2012/DGD2012ReportAndRecommendations.pdf 参照。 [36] Fundamental Rights Agency, "Apprehension of migrants in an irregular situation - fundamental rights considerations"(2012年9月9日付)参照。https //fra.europa.eu/sites/default/files/fra-2013-apprehension-migrants-irregular-situation_en.pdf より入手可能。 [37] www.ohchr.org/Documents/HRBodies/CRC/Discussions/2014/DGD_report.pdf 参照。 77.委員会は、条約第22条において、難民および庇護希望者である子どもがその権利を享受し、かつ国際難民保護体制を通じて与えられる追加的保障措置の利益を受けられるようにするためには特別な措置が必要であることが認められていることを強調する。難民および庇護希望者である思春期の子どもは、国外追放のための迅速手続の対象とされるべきではなく、むしろその入国を認める方向で検討がなされるべきであり、また、子どもの最善の利益についての判断が行なわれ、かつ国際的保護の必要性が確認される前に送還されまたは入国を拒否されるべきではない。自国の管轄内にあるすべての子どもの権利をその地位にかかわらず尊重しかつ確保する第2条上の義務にしたがい、各国は、難民および庇護希望者である思春期の子どもであって保護者のいない者および養育者から分離された者ならびに移住者の双方を規律する、年齢およびジェンダーに配慮した立法を導入するべきである。このような立法は、最善の利益の原則を土台とし、出入国管理法上の地位の決定よりも保護のニーズの評価を優先させ、出入国管理関連の収容を禁止し、かつ、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する一般的意見6号(2005年)の勧告を参照しながら、これらの思春期の子どもが有する特別な脆弱性に対応するものであることが求められる [38]。各国はまた、思春期の子どもを移住へと向かわせる諸要因、ならびに、親が移住した場合に残された思春期の子どもが直面する脆弱性および権利侵害(退学、児童労働、暴力および犯罪活動の被害の受けやすさならびに負担の大きい家事責任を含む)に対処するための措置も導入するべきである。 [38] 出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する一般的意見6号(2005年)参照。 人身取引 78.多くの思春期の子どもが、経済的理由または性的搾取を目的とした人身取引の対象とされるおそれに直面している。各国は、子どもの売買、人身取引および誘拐に関するデータ収集のための包括的かつ体系的な機構を確立するとともに、当該データが細分化されることを確保し、かつもっとも被害を受けやすい状況で生活している子どもに特段の注意を払うよう、促される。各国はまた、被害を受けた子どもを対象としたリハビリテーションおよび再統合のためのサービスならびに心理社会的支援への投資も行なうべきである。脆弱性および搾取が有する、ジェンダーを基盤とする諸側面に注意を払うことが求められる。国内の人身取引および国際的人身取引双方の危険性を親および子どもたちが理解するようにするため、ソーシャルメディア等も通じた意識啓発活動を行なわなければならない。各国は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書を批准し、かつ、同議定書にしたがって立法の調和を図るよう促される。 紛争および危機 79.武力紛争および人道上の災害の状況により、社会的規範ならびに家族およびコミュニティによる支援体制の崩壊がもたらされている。そのため、思春期の子どもであって避難民となった子どもおよび危機の影響を受けている子どもの多くが、大人としての責任を引き受けることを余儀なくされ、かつ性暴力およびジェンダーを理由とする暴力、児童婚および強制婚ならびに人身取引のおそれにさらされている。さらに、このような状況に置かれた思春期の子どもは、教育、スキル訓練、安全な就労機会、ならびに、セクシュアル/リプロダクティブヘルスに関わる適切なサービスおよび情報へのアクセスを否定され、かつ、孤立、差別およびスティグマ、精神保健〔上の問題〕ならびにあえてリスクを冒す行動に直面する可能性が高い。 80.委員会は、人道プログラムにおいて思春期の子どもの特有のニーズおよび権利への対応が行なわれていないことを懸念する。委員会は、締約国に対し、保護システムの開発および設計ならびに和解および平和構築のプロセスにおいて主体的役割を果たす体系的機会が思春期の子どもたちに提供されることを確保するよう、促すものである。紛争後および移行期の再建への明確な投資は、思春期の子どもたちが、自分の国の経済的および社会的開発、レジリエンスの構築ならびに平和的移行に貢献する機会ととらえられるべきである。加えて、緊急事態対応準備プログラムでは、思春期の子どもたちの脆弱性および保護に対する権利のいずれをも認識し、かつ、コミュニティの支援およびリスク緩和の援助に関してこれらの子どもたちが果たしうる役割を認めながら、これらの子どもたちに対応することが求められる。 軍隊および武装集団への徴集 81.委員会は、思春期の男子および女子が、ソーシャルメディアの利用等も通じて、国の軍隊、武装集団および民兵に徴集されていることに深い懸念を表明するとともに、すべての締約国に対し、武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書を批准するよう促す。委員会はまた、思春期の子どもが、テロリストのプロパガンダ、過激主義的見方およびテロ活動への関与にそそのかされやすいことも懸念するものである。思春期の子どもをそのような活動への参加に駆り立てる要因を模索するための調査研究が思春期の子どもたちとともに実施されるべきであり、各国は、社会的統合を促進する措置に特段の注意を払いながら、当該調査研究で得られた知見に応じた適切な対応をとるべきである。 82.各国は、軍隊および武装集団に徴集された思春期の子ども(移住の状況にある子どもを含む)の回復およびジェンダーに配慮した再統合を確保するとともに、あらゆる敵対行為において、かつ和平または停戦に関わる武装集団との交渉および協定において、思春期の子どもの徴集または使用を禁止するべきである [39]。各国は、支援介入の持続可能性および文化的適切性を確保する目的で、平和運動に思春期の子どもたちが参加する機会、および、地域コミュニティに根ざした非暴力的紛争解決に対する同世代間働きかけアプローチを支援するよう求められる。委員会は、締約国に対し、思春期の子どもに対して行なわれた紛争関連の性暴力、性的搾取および性的虐待ならびにその他の人権侵害の事案について迅速かつ適正な対応がとられることを確保するため、断固たる措置をとるよう促すものである。 [39] A/68/267、パラ81-87参照。 83.委員会は、世界の多くの場所で、思春期の子どもがギャングおよびパンディーヤ〔訳者注/ギャングを意味するスペイン語〕に引きこまれていることを認識する。これらの集団は、社会的支援、生計維持手段、保護およびアイデンティティの感覚を、合法的な活動を通じてこのような目標を達成する機会が存在しないなかで提供してくれることが多い。しかし、ギャングの構成員が生じさせる恐怖、危険、脅威および暴力の雰囲気は、思春期の子どもの権利の実現を脅かすものであり、思春期の子どもの移住を助長する主要な要因のひとつである。委員会は、攻撃的な法執行アプローチに代えて、少年の暴力およびギャングへの加入の根本的原因に対処する包括的な公共政策の策定をいっそう重視するよう、勧告する。学校、家庭および社会的包摂のための措置を重視しながら、危険な状況に置かれた思春期の子どもを対象とする防止活動、思春期の子どもにギャングを離脱するよう奨励するための支援介入、ギャングの構成員の更生および再統合、修復的司法、ならびに、犯罪および暴力に反対する自治体連合の創設への投資を進めることが必要である。委員会は、各国に対し、ギャングの暴力に関連する理由で自国を離れることを余儀なくされた思春期の子どもに正当な考慮を払い、かつ、このような子どもに難民資格を付与するよう、促す。 児童労働 84.委員会は、思春期のすべての子どもに経済的搾取および最悪の形態の児童労働から保護される権利があることを強調するとともに、各国に対し、条約第32条第2項ならびに国際労働機関の最低年齢条約(1973年、第138号)および最悪の形態の児童労働条約(1999年、第182号)の規定を実施するよう促す。 85.年齢にふさわしい形態の労働への導入は、思春期の子どもの生活において重要な発達上の役割を果たすのであって、これによって思春期の子どもはスキルを身につけるとともに、責任を学ぶこと、ならびに、必要なときは、家族の経済的安寧に貢献し、かつ自らの教育へのアクセスを支えることができるようになる。児童労働に反対する行動は、学校から労働への移行、社会的および経済的開発、貧困根絶プログラム、および、良質かつインクルーシブな初等中等教育への普遍的かつ無償のアクセスを含む、包括的措置から構成されるべきである。思春期の子どもには、国内法上の最低就労年齢(これは国際基準および義務教育に整合したものであるべきである)に達した段階で、教育ならびに休息、余暇、遊び、レクリエーション活動、文化的生活および芸術に対する権利を正当に尊重されながら、適切な条件下で軽易労働を行なう権利があることを強調しておかなければならない。 86.委員会は、各国が、思春期の子どもの生活において労働が果たす積極的役割と、義務教育に対する思春期の子どもの権利を差別なく確保することとの間でバランスをとることに向けた経過的アプローチをとるよう勧告する。学校教育およびディーセントワークへの導入は、思春期の子どもの生活において、その年齢にしたがって両方を促進するための調整が図られるべきであり、またそのような労働を規制し、かつ思春期の子どもが搾取の被害を受けた場合に救済措置を与えるための効果的機構が導入されるべきである。18歳未満のすべての子どもを危険な労働から保護する旨を、具体的な有害労働の明確な一覧とともに規定することが求められる。有害な労働および労働条件を防止することに向けた努力が、家事労働に従事している女子およびその他のしばしば「不可視化された」労働者に特段の注意を払いながら、優先課題として行なわれるべきである。 思春期の子どもを対象とした司法 87.思春期の子どもは、法律に触れたことによって、犯罪の被害者もしくは証人として、または養護、監護もしくは保護のようなその他の理由で、司法制度と関わりを持つ場合がある。思春期の子どもが、被害者としても犯罪加害者としても権利を侵害されやすい立場に置かれにくくするための措置が必要である。 88.締約国は、条約第37条および第40条ならびに少年非行の防止に関する国連指針に一致するやり方で社会的要因および根本的原因に対応するため、修復的司法、司法手続からのダイバージョン、拘禁に代わる措置および予防的介入を重視する包括的な少年司法政策を導入するよう促される。少年司法における子どもの権利についての一般的意見10号(2007年)に掲げられた勧告にしたがい、焦点は、テロリズムに分類される活動に関与した思春期の子どもを対象とするものも含む、更生および再統合に当てられるべきである。拘禁は、最後の手段として、かつもっとも短い適切な期間でのみ用いられるべきであり、また思春期の子どもは成人とは分離して収容することが求められる。委員会は、18歳未満のときに行なった犯罪について有罪とされたいかなる者に関しても死刑および終身刑を禁止することが絶対要件であることを強調するものである。委員会は、刑事責任年齢を引き下げようとしている国が多いことを深刻に懸念するとともに、各国に対し、刑事責任年齢を漸進的に18歳まで引き上げるよう奨励する。 XIV.国際協力 89.委員会は、条約の実施は締約国にとって協力的な営みであることおよび国際協力が必要であることを強調する。委員会は、締約国に対し、思春期の子どもの権利の実施について貢献を行ない、かつ、国際連合および地域機関の技術的援助を適宜活用するよう奨励するものである。 XV.普及 90.委員会は、締約国が、この一般的意見を、すべての関係機関、とくに議会およびすべての段階の行政機関(省庁および自治体/地方当局内の部局を含む)、ならびに、思春期のすべての子どもに対して広く普及するよう勧告する。委員会はまた、この一般的意見を関連のすべての言語に翻訳するとともに、思春期の子どもにやさしい版および障害のある思春期の子どもにとってアクセシブルな形式として刊行することも勧告するものである。 更新履歴:ページ作成(2016年12月25日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/261.html
子どもの権利委員会・一般的討議勧告:デジタルメディアと子どもの権利 一般的討議勧告一覧 (参考)国連人権理事会・意見および表現の自由に対する権利の促進および保護に関する特別報告者の報告書:表現の自由に対する子どもの権利(2014年) (第67会期、2014年) 原文:英語 日本語訳:平野裕二 VI.勧告 84.各国が自国の政策およびプログラムにおいて考慮すべき問題を特定する目的で子どもの権利に関する意識の喚起および討議を図る場であるというDGD〔一般的討議〕の趣旨に照らし、またデジタルメディアの文脈における子どもの権利の尊重、促進および充足に関する指針を他の関連の主体に提示する目的で、委員会は以下の勧告を公にする。以下の勧告は、第一義的に義務を負っている国を名宛人とするものである一方、家庭、学校、市民社会および民間セクターを含む他の関係者の積極的関与および参加も要求するものである。 一般的勧告(立法、政策および調整に関するものを含む) 85.国は、デジタルメディアおよびICT〔情報通信技術〕にアクセスしかつこれを利用することの子どもにとっての重要性、ならびに、すべての子どもの権利(とくに表現の自由、適切な情報へのアクセス、参加、教育ならびに休息、余暇、遊び、レクリエーション活動、文化的生活および芸術に対する権利)の促進にとってのこれらのメディアおよびテクノロジーの可能性を認識するべきである。加えて、国は、インターネットを含むデジタルメディアおよびICTへの平等かつ安全なアクセスがポスト2015年開発アジェンダに統合されることを確保するよう求められる。 86.国は、デジタルメディアおよびICTへの子どものアクセスについて統合的に定め、かつ、デジタルメディアおよびICTを利用する際に条約およびその選択議定書に基づく全面的保護を確保する、人権を基盤とした包括的な法律および政策を採択しかつ実施するべきである。この問題が変化を続けていることに照らし、国はまた、法律および政策の実施状況の定期的監視ならびに法律および政策の評価を確保することも求められる。 87.国は、法律、政策、戦略およびプログラムを採択する前にならびに被害を受けた子どものためのサービスを設置する際に、恒常的な公的議論と、あらゆる関係者、とくに子ども、親およびその他の養育者、子どもとともにまたは子どものために働く専門家(教育分野の専門家を含む)、市民社会ならびにICTおよびその他の関連産業の積極的関与を促進しかつ容易にするよう、求められる。さらに、国は、デジタルメディアおよびICT関連の政策、プログラム、実務および決定がすべての子どもの権利、福祉および発達に及ぼす影響の効果的評価を行なうよう勧告されるところである。これによって国は、条約の基本原則(差別の禁止に対する権利、子どもの最善の利益を第一次的に考慮される権利、生命、生存および発達に対する権利ならびに自己に影響を与える事柄について意見を表明する子どもの権利を含む)が効果的に優先され、かつ意味のある形で実施されることを確保するよう求められる。 88.国は、子どもの権利とデジタルメディアおよびICTに関連するすべての活動を部門横断的にならびに国、広域行政権および地方のレベルで調整し、かつ国際協力を推進する明確な任務および十分な権限を備えた、国家的な調整枠組みを採択するべきである。国はまた、当該調整機関に対し、その効果的活動のために必要な人的資源、技術的資源および財源が提供されることを確保することも求められる。 データ収集および調査研究、監視ならびに取り組みの評価 89.国は、子どもによるデジタルメディアおよびソーシャルメディアへのアクセスおよびその利用ならびにそれが子どもの生活に及ぼしている影響についての理解を深めるための調査研究、データ収集および分析を継続的に行なうべきである。データは、子どもにとってのリスクおよび機会の双方を対象とするとともに、すべての子ども(とくに被害を受けやすい状況に置かれた子ども)の状況に関する分析を促進する目的で、年齢、性別、地理的所在、社会経済的背景、障害、マイノリティ集団および(もしくは)先住民族集団の構成員であること、民族的出身または適切と考えられる他のあらゆる属性によって細分化されていることが求められる。 90.委員会は、これらのデータを、進展を測定できるようにするための基準線の設定、関連の法律、政策、プログラムおよびプロジェクトの立案および評価ならびにその実施状況の監視のために活用することを勧告する。国はまた、これらのデータが、公的機関によって、検閲または他のいずれかの政治的および経済的干渉を奨励するために利用されないことを保障するための保護措置も確保するべきである。 91.委員会はさらに、締約国が、あらゆる関係者(とくに子ども)との考え、情報、経験および優れた実践の交流を、国レベル、国際地域レベルおよび国際的レベルで、プラットフォームの創設等も通じて促進するよう勧告する。 独立の監視 92.国は、人権の保障に責任を負う国内機関(国内人権機関、オンブズパーソンまたは平等機関など)に対し、条約およびその選択議定書の遵守状況の監視において主要な役割を果たせるよう、権限および十分な資源を与えるよう求められる。このような機関は、デジタルメディアおよびICTに関連する子どもの権利に対応する具体的任務を委ねられるとともに、子どもからの苦情を子どもに配慮したやり方で受理し、調査しかつこれに対応すること、被害者のプライバシーおよび保護を確保すること、ならびに、被害を受けた子どものために監視、フォローアップおよび確認の活動を行なうことができるべきである。 市民社会との協力 93.委員会は、子どもがICTおよびデジタルメディアにアクセスできることを確保し、かつこれらの手段を利用する際に子どもの権利を保護するうえで非政府組織(NGO)が果たしている重要な役割を認識する。委員会は、国が、関連の法律、政策およびプログラムの策定、実施、監視および評価ならびに調査研究およびデータ収集に、デジタルメディアと子どもの権利の分野で活動しているすべてのNGOの関与を組織的に得るよう勧告するものである。 意識啓発および研修 94.委員会は、締約国が、ICTおよびデジタルメディアの利用に関連する機会およびリスク(自作コンテンツがもたらす意図せざる結果を含む)について公衆一般およびとくに子どもの感受性を高めるための、年齢にふさわしい意識啓発プログラムを実施するよう勧告する。国は、子ども向けにとくに制作された関連の情報資料、ならびに、特定の年齢層および親その他の養育者ならびに子どもとともにまたは子どものために働くすべての専門家向けに制作された関連の情報資料を配布するとともに、意識啓発プログラムの組織化および実施に際して市民社会との緊密な協力を求めるべきである。 95.委員会はさらに、デジタルメディアおよびICTの責任ある利用ならびに子どものリスク回避能力および危害から身を守る能力を増進させる目的で、国が、子どもに対し、そのそのデジタルリテラシーおよびソーシャルリテラシーに関わるスキルの発達を確保するための十分な訓練および支援を提供するよう勧告する。国はまた、親その他の養育者ならびに子どもとともにおよび子どものために働く専門家(教育分野の専門家を含む)に対しても、その技術的スキルを増進させ、リスクおよび潜在的危害についての情報を提供し、子どもがテクノロジーをどのように利用しているか学び、かつ、責任ある安全なやり方によるデジタルメディアおよびICTの利用に関して子どもを支援できるようにするための十分な訓練および支援を提供するべきである。 子どもの権利と企業セクター 96.企業セクターが子どもの権利に及ぼす影響に関わる国の義務についての委員会の一般的意見16号(2013年)ならびにこの分野における他の国際的規範および基準に照らし、国は、締約国で操業するICTその他の関連産業に対して子どもの権利の尊重を要求する、明確かつ予測可能な法的環境および規制環境を確保するべきである。国はまた、ICTその他の関連企業の説明責任を向上させる目的で子どもの権利侵害の調査および救済を行なう監視機構を設置するとともに、子どもの権利とICTに関連する基準の策定に関する規制庁の責任を強化することも求められる。 97.委員会は、国が、企業に対し、デジタルメディアおよびICTを利用する際の子どもの権利に企業が及ぼす影響を特定し、防止しかつ緩和する目的で子どもの権利に関する相当の注意(デュー・ディリジェンス)を払うことを要求するよう、勧告する。さらに国は、ICTその他の関連産業の慣行が条約およびその選択議定書ならびに他の国際的規範および基準に全面的に一致することを確保するため、ICTその他の関連産業による、自発的、自主規制的、職能的および倫理的な指針および行動基準その他の取り組みの発展(オンライン上の安全を促進する技術的解決策を開発し、かつICTおよびデジタルメディアの利用に関する子どもにやさしい取引条件を採用すること、ならびに、年齢にふさわしいコンテンツを発展させることなど)を奨励しかつ促進するべきである。加えて、国が、ICTその他の関連産業との討議および協力のための空間を確保することも勧告される。 差別の禁止 98.国は、自国の管轄内にあるすべての子ども(とくに女子、障害のある子ども、遠隔地に住んでいる子ども、貧困下で暮らしている子ども、マイノリティに属する子ども、先住民族の子ども、路上の状況下で暮らしている子ども、施設で生活している子どもならびに被害を受けやすい状況および周縁化された状況に置かれたその他の子ども)が差別なくデジタルメディアおよびICTにアクセスできることを確保するべきである。とくに委員会は、締約国がとりわけ以下の措置をとるよう勧告する。 (a) インターネット・インフラが利用できる範囲を拡大して農村部も含まれるようにするための措置をとること。 (b) 年齢を考慮しつつ、デジタルメディアおよびICTにインクルーシブな形でアクセスできることならびにテクノロジーおよびデジタルコンテンツが金銭的に負担可能な形でデザインされることを促進するとともに、知的所有権が、子ども(とくに障害のある子どもおよびマイノリティまたは先住民族集団に属する子ども)が文化的資料にアクセスすることにとっての不合理または差別的な障壁とならないことを確保すること。 (c) デジタルコンテンツの言語的および文化的多様性を促進すること。 (d) 女子に対するあらゆる形態の差別の効果的撤廃を確保し、かつ、意識啓発プログラム等を通じ、女子によるテクノロジーへのアクセスおよびその利用を制限しているジェンダー・ステレオタイプおよび社会的規範に対応するための取り組みを強化すること。 (e) コンピューター設備および接続の費用をまかなうための援助を学校およびコミュニティに提供するとともに、低コストな技術的解決策の開発を促進すること。 (f) 反差別の法律、政策、戦略およびプログラムに、デジタルメディアおよびICTへの子ども(とくにもっとも被害を受けやすい立場および不利な立場に置かれた集団に属する子ども)によるアクセスに対応する見地を含めること。 これとの関連で、委員会は、国が、とくに国際連合児童基金(ユニセフ)、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)、国際電気通信連合(ITU)および国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)の技術的援助を求めるよう勧告する。 子どもの意見の尊重 99.国は、デジタルメディアおよびITCに関連する法律、政策およびプログラムの策定ならびにサービスの立ち上げその他の措置において子どもたちの意見および経験を考慮に入れる目的で、子どもたちが協議の対象とされることを確保するべきである。これには、男子のみならず女子も、また被害を受けやすいまたは周縁化された状況に置かれた子どもも含めることが求められる。デジタルメディアおよびICTの安全な使用(オンライン上の安全を含む)を促進するための取り組みの立案および実施にも、子どもたちの積極的関与を得るべきである。とくに、国は、子どもたちが責任のある安全なやり方で意見および見解を表明できるオンライン上の空間を設置するよう奨励される。 表現の自由、適切な情報へのアクセス、結社および平和的集会の自由に対する権利 100.委員会は、各国に対し、条約ならびにその他の国際的な人権規範および人権基準との整合性を図るため、いかなる場面(オンライン環境を含む)においても、表現、適切な情報へのアクセスならびに結社および平和的集会の自由に対する子どもの権利を制限する国内法令および政策を改正するよう求める。 101.国はさらに、あらゆる場面(オンライン環境を含む)において、表現、適切な情報へのアクセスならびに結社および平和的集会の自由に対する子どもの権利を積極的に促進するべきである。とくに、国は、子どもが主導する活動の回路の創設ならびにさまざまな年齢の子ども向けの教育的および娯楽的コンテンツ(子どもたち自身が制作するコンテンツを含む)を促進するよう求められる。 プライバシーに対する権利 102.国は、デジタルメディアおよびICTとの関連でプライバシーに対する子どもの権利の保護を保障するとともに、条約で定められた子どもの権利の全面的享受を不当に誓約することなく、濫用に対する効果的な保護措置を発展させるべきである。国はまた、デジタルメディアおよびICTの利用ならびに自作コンテンツに関連したプライバシー上のリスクに関する子ども向けの意識啓発プログラムを発展させかつ強化することも求められる。 103.委員会はさらに、すべての子どもが、自己のデータがどのように収集され、保存され、かつ利用されているかおよびどのように他人と共有される可能性があるかについて、意味のある、かつ子どもにやさしい情報を得ることを国が確保するよう勧告する。これとの関連で、国は、デジタルメディアおよびICTを利用する子どものために、明確な情報および警告を付記した年齢にふさわしいプライバシー設定が利用可能とされることを確保するべきである。 適切な情報へのアクセス 104.国は、プライベートメディアを含むマスメディアに対し、子どもにとって社会的および文化的利益がある情報および資料(たとえば健康的なライフスタイルに関するもの)を普及するよう奨励するべきである。 暴力、搾取および子どもの虐待を含む危害からの保護 105.国は、条約およびその選択議定書で定められた子どもの権利の全面的享受を確保するホリスティックな戦略を通じて、デジタルメディアおよびICTが子どもの安全にもたらすリスク(オンライン上のいやがらせ、子どもの性的搾取、暴力的および性的コンテンツへのアクセス、性的目的での勧誘および自作の性的コンテンツを含む)に対応するべきである。国は、そうすることによって、デジタルメディアおよびICTが提供する機会の促進と危害からの子どもの保護との間で常にバランスを確保することが求められる。とくに、国は以下の措置をとるべきである。 (a) 子どもたち、かつての被害者、関連のNGOおよびICTその他の関連産業の関与を得る等の手段により、危害を防止することならびにデジタルメディアおよびICTがもたらすリスクに対処することを目的としたプログラムを発展させかつ強化すること。 (b) 子どもがリスク管理を行ない、かつどこの助けを求めればいいか知ることができるよう、子どもたちに対し、デジタルメディアおよびICTを利用する際の安全に関する年齢にふさわしい情報を提供すること。 (c) ICT産業との調整を図ることにより、当該産業が、暴力的資料および不適切な資料ならびにデジタルメディアおよびICTが子どもにもたらすその他のリスクから子どもを保護するための十分な措置を発展させかつ整備するようにすること。 (d) デジタルメディアおよびICTを利用する際のリスクの防止およびこれへの対応に関する子ども向けの意識啓発プログラムおよび教育プログラムを、子どもたちの関与を得ながら、子どもにやさしい広報資料の開発等も通じてさらに強化すること。 (e) 法執行要員、司法機関の構成員ならびに子どもとともにおよび子どものために働く専門家を対象として、その技術的スキルの増進を目的とした、十分かつ継続的な研修を実施すること。 (f) デジタルメディアおよびICTに関連する子どもの権利侵害を通報するための、アクセスしやすく、安全で、秘密が守られ、年齢にふさわしく、子どもにやさしく、かつ効果的な通報経路(子どもホットラインなど)を確保すること。 (g) 子どもを対象として、自作の性的コンテンツを関連の公的機関に報告するための安全な、子どもにやさしい、かつ秘密の守られる窓口を提供すること。 (h) 子どもを巻きこんだ有害な資料を削除するための迅速かつ効果的な手続を用意すること。 (i) 条約および選択議定書で対象とされているすべての犯罪について、被害者の特定ならびに責任者の摘発、捜査、訴追および処罰を強化すること。 (j) 事案の付託および被害を受けた子どもへの効果的支援を確保する保護制度における、あらゆる主体および部門間の調整を強化すること。 (k) 適用される法的枠組みの効果的執行を確保するための国際的・地域的調整および連携を促進しかつ推進すること。 効果的な救済措置および賠償ならびに被害者への援助 106.国は、適切な場合には国家賠償を通じ、被害を受けた子どものために効果的な救済措置(こうむった危害に対して迅速かつ適切な賠償を求めるための援助を含む)へのアクセスを確保するべきである。国はまた、デジタルメディアおよびICTに関連する人権侵害の被害を受けた子どもに対し、その子どもの全面的な回復および再統合を確保するための包括的サービスを含む十分な支援および援助を提供するとともに、被害を受けた子どもの再被害を防止することも求められる。 家庭環境 107.国は、親、他の養育者および法定保護者に対し、デジタルメディアおよびICTの責任ある安全な利用について、子どもをその発達しつつある能力を尊重しながら指導できるようにするための訓練、援助および支援のサービスを提供するべきである。訓練および支援は、技術的能力に関するものに限定されるべきではなく、一般的な子どもの養育責任の履行における支援も含めることが求められる。 障害のある子ども 108.委員会は、国が、民間セクター、国際協力および公共調達に関連する政策にアクセシビリティ要件を編入する等の手段により、障害のある子どもがデジタルメディアおよびICTにアクセスできることを確保するための法律および政策を策定し、実施しかつ監視するよう勧告する。この文脈において、国は、公的資金がデジタルメディアおよびICTの享受および利用を促進するためにもっぱら活用されることを確保するとともに、サービスおよび製品にアクセスできないことから生じる差別を生み出しまたは固定化しないようにするべきである。さらに国は、障害のある子どもたちと積極的に協議する等の手段により、インクルーシブなコミュニティおよび教育制度の創設を強化し、かつ否定的なステレオタイプの流布と闘うためのデジタルメディアおよびICTの利用を促進するよう求められる。委員会はまた、国が、障害のある人の権利に関する条約および「盲者、視覚障害者または印刷物を読むことに障害を有するその他の者による公刊物へのアクセスの便宜を図るためのマラケシュ条約」を批准することも勧告するものである。 教育 109.委員会は、国が、子どもの発達しつつある能力にしたがい、基礎教育カリキュラムの一環としてデジタルリテラシーの発達を促進するよう勧告する。訓練および教育は、技術的能力に関するものに限定されるべきではなく、倫理的原則および価値観に関する意識の喚起も含まれるべきであり、またオンラインでおたがいに交流および関係を持つ際に責任あるやり方で振舞い、かつリスクに対して適切かつ安全に対応するスキル(ソーシャルリテラシー)を子どもに教えるようなものであるべきである。加えて委員会は、国が、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関する教育が学校の義務的カリキュラムの一環として位置づけられ、かつ思春期の女子および男子を対象として行なわれることを確保するよう勧告する。 CRC〔子どもの権利条約〕およびOP〔選択議定書〕に基づく定期的報告 110.委員会は、締約国が、条約およびその選択議定書に基づく定期報告書に、子どもの権利とデジタルメディアおよびICTに関する情報を体系的に記載するよう勧告する。 更新履歴:ページ作成(2015年5月17日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/165.html
子どもにやさしい司法に関する欧州評議会閣僚委員会指針 採択日:2010年11月17日 原文英語(日本語訳:平野裕二) 前文 閣僚委員会は、 欧州評議会の目的が、とくに法律上の問題に関する共通の規則の採択を促進することによって加盟国間におけるさらなる統一を達成することであることを考慮し、 子どもの権利を保護しかつ促進する、拘束力を有する既存の国際基準および欧州の基準(とくに以下のものを含む)の効果的実施を確保する必要があることを考慮し、 難民の地位に関する1951年の国際連合条約 市民的および政治的権利に関する1966年の国際規約 経済的、社会的および文化的権利に関する1966年の国際規約 子どもの権利に関する1989年の国際連合条約 障害のある人の権利に関する2006年の国際連合条約 人権および基本的自由の保護に関する条約(1950年、ETS NO.5)(以下「ECHR」) 子どもの権利の行使に関する欧州条約(1996年、ETS No. 160) 改正欧州社会憲章(1996年、ETS No. 163) 子どもに関わる面接交渉に関する欧州評議会条約(2003年ETS No. 192) 性的搾取および性的虐待からの子どもの保護に関する欧州評議会条約(2007年CETS No. 201) 子どもの養子縁組に関する欧州条約(改正)(2008年、CETS No. 202) ECHRで保障されているとおり、かつ欧州人権裁判所の判例にしたがって、司法および公正な裁判に対し――そのすべての構成要素(とくに情報を知らされる権利、意見を聴かれる権利、弁護人選任権および代理人選任権を含む)に関して――アクセスするすべての者の権利は、民主的社会において必要なものであり、かつ子どもにも平等に適用される(ただし、その際には自己の意見を形成する子どもの能力が考慮される)ことを考慮し、 関連する欧州人権裁判所の判例、欧州評議会諸機関の決定、報告書その他の文書(拷問および非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰の防止に関する欧州委員会(CPT)の勧告を含む)、ならびに、欧州評議会人権コミッショナーの声明および見解ならびに欧州評議会議員会議の種々の勧告を想起し、 閣僚委員会が子どもの権利の分野で加盟国に対して行なった種々の勧告(庇護希望者の収容措置に関する勧告Rec(2003)5、少年非行に対する新たな対処法および少年司法の役割に関する勧告Rec(2003)20、入所施設で暮らす子どもの権利に関する勧告Rec(2005)5、欧州刑務所規則に関する勧告Rec(2006)2、制裁または措置の対象とされた少年犯罪者のための欧州規則に関する勧告CM/Rec(2008)11、および、子どもを暴力から保護するための統合的国家戦略についての政策指針に関する勧告CM/Rec(2009)10を含む)に留意し、 第28回欧州法務大臣会議で採択された、子どもにやさしい司法に関する決議第2号(ランサローテ、2007年10月)を想起し、 以下のもののような、国際連合による子どもの権利の保障の重要性を考慮し、 少年司法の運営に関する国際連合最低基準規則(「北京規則」、1985年) 自由を奪われた少年の保護に関する国際連合規則(「ハバナ規則」、1990年) 少年非行の防止に関する国際連合指針(「リャド・ガイドライン」、1990年) 子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国際連合指針(経済社会理事会決議2005/20、2005年)〔Word〕 「国際連合事務総長指針覚書:子どものための司法に対する国際連合のアプローチ」(2008年) 子どものための代替的養護の適切な利用および条件に関する国際連合指針(2009年)〔PDF〕 人権の保護および促進のための国内機関の地位および職務に関する原則(「パリ原則」) 加盟国がより高い基準またはより望ましい措置を導入しまたは適用することを妨げることなく、子どもの権利に関する既存の拘束的規範の効果的実施を保障する必要があることを想起し、 欧州評議会プログラム「子どもたちのためにおよび子どもたちとともに築くヨーロッパ」を参照し、 子どもにやさしい司法の実施に向けて加盟国で達成された進展を認知し、 にもかかわらず、司法制度に子どもにとっての障壁が存在していること(とくに、司法にアクセスする権利が存在せず、部分的でありまたは条件付であること、手続が多様かつ複雑であること、種々の事由に基づく差別の可能性があることなど)に留意し、 子どもが関与するまたは子どもに影響を与える手続において、子どもが司法制度による二次被害を受ける可能性を防止する必要があることを想起し、 現存する欠陥および問題点について調査し、かつ子どもにやさしい司法の原則および実務を導入しうる分野を特定するよう、加盟国に対して慫慂し、 欧州評議会加盟国全域で協議の対象とされた子どもたちの意見および見解を認知し、 この指針が、法律上および実務上存在する欠点の実際的是正策を明らかにすることに対する貢献を目的としていることに留意し、 加盟国が子どもの具体的な権利、利益およびニーズにあわせて司法制度および司法外制度のあり方を修正するための実践的ツールとして以下の指針を採択するとともに、加盟国に対し、司法における子どもの権利に責任を負いまたはその他の形で関係しているすべての公的機関の間でこの指針が広く普及されることを確保するよう、慫慂する。 I.適用範囲および目的 1.この指針では、司法手続およびそのような手続に代わる措置における子どもの立場および役割ならびに意見、権利およびニーズの問題について取り扱う。 2.この指針は、いかなる理由に基づいてであるかおよびいかなる立場においてであるかを問わず、子どもが、刑事法、民事法または行政法の実施に関与するあらゆる権限ある機関および部局と何らかの方法で接触するあらゆる場合に適用されるべきである。 3.この指針の目的は、そのようないかなる手続においても、子どものすべての権利、とくに情報に対する権利、代理人選任権、参加権および保護に対する権利が、子どもの成熟度および理解力ならびに事案の事情を正当に考慮しながら全面的に尊重されることを確保することである。子どもの権利を尊重することにより、他の関係当事者の権利が脅かされるべきではない。 II.定義 子どもにやさしい司法に関するこの指針(以下「本指針」)の適用上、次の用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 a.「子ども」とは、18歳未満のすべての者をいう。 b.「親」とは、国内法にしたがって親責任を有する一または複数の者をいう。親が存在しないか、またはすでに親責任を有していないときは、後見人、または指定された法定代理人をいうこともある。 c.「子どもにやさしい司法」とは、以下に列挙した諸原則に留意し、かつ子どもの成熟度および理解力ならびに事案の事情を正当に考慮しながら、すべての子どもの権利の尊重および効果的実施を到達可能な最高水準で保障する司法制度をいう。「子どもにやさしい司法」とは、とくに、アクセスしやすく、年齢にふさわしく、迅速であり、怠惰に陥ることがなく、子どものニーズおよび権利に適合しおよび焦点化され、ならびに、子どもの権利(適正手続に対する権利、手続に参加しかつ手続を理解する権利、私生活および家族生活を尊重される権利ならびに不可侵性および尊厳に対する権利を含む)を尊重する司法のことである。 III.基本原則 1.本指針は、前文で言及されている諸文書および欧州人権裁判所の判例に掲げられた既存の諸原則を基礎とし、それらを発展させたものである。 2.当該諸原則の発展については、以下の節においてさらに詳しく述べられる。これらの諸原則は、本指針のすべての章に適用されるべきである。 A.参加 1.自己の権利について知らされ、司法にアクセスするための適切な方法を与えられ、ならびに自己が関与するまたは自己に影響を与える手続において相談されおよび意見を聴かれるすべての子どもの権利が、尊重されるべきである。これには、このような参加を意味のあるものとする目的で、子どもの成熟度および子どもが有している可能性のある意思疎通上の困難に留意しながら、子どもの意見を正当に重視することも含まれる。 2.子どもは完全な権利保有者として見なされおよび取り扱われるべきであり、ならびに、自分自身の意見を形成する能力および事案の事情を考慮に入れた方法で自己のすべての権利を行使する資格が認められるべきである。 B.子どもの最善の利益 1.加盟国は、自己が関与するまたは自己に影響を与えるすべての案件において自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利が効果的に実施されることを保障するべきである。 2.当事者である子どもまたは影響を受ける子どもの最善の利益を評価するに際しては、以下のことが守られるべきである。 a. 子どもの意見および見解が正当に重視されること。 b. 子どもが有する他のすべての権利(尊厳、自由および平等な取扱いに対する権利など)が常に尊重されること。 c. 関係するすべての利益(子どもの心理的および身体的ウェルビーイングならびに法的、社会的および経済的利益を含む)が正当に考慮されるよう、関連のすべての公的機関によって包括的アプローチがとられること。 3.同一の手続または事案に関与するすべての子どもの最善の利益は、相反する可能性がある子ども同士の利益を調和させる目的で、個別に評価されおよび衡量されるべきである。 4.終局決定を行なう最終的権限および責任を司法機関が有しているときは、加国は、必要に応じ、子どもが関与する手続においてその最善の利益を評価するための学際的アプローチを確立する目的で協調のとれた努力を行なうべきである。 C.尊厳 1.子どもは、その個人的状況、ウェルビーイングおよび具体的ニーズに対して特段の注意を払われ、かつその身体的および心理的不可侵性を全面的に尊重されながら、いかなる手続または事案においても、その全体を通じ、配慮、繊細さ、公正さおよび敬意をもって取り扱われるべきである。このような取扱いは、子どもが司法的もしくは非司法的手続またはその他の介入のいずれの対象にされたかを問わず、かついずれかの手続または事案においてどのような法律上の地位および立場にあるかに関わらず、子どもに対して行なわれるべきである。 2.子どもは、拷問または非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰の対象とされてはならない。 D.差別からの保護 1.子どもの権利は、性、人種、皮膚の色もしくは民族的背景、年齢、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的もしくは社会的出身、社会経済的背景、親の地位、国民的マイノリティとのつながり、財産、出生、性的指向、性自認またはその他の地位のようないかなる事由に基づく差別もなく、保障されなければならない。 2.移住者である子ども、子どもの難民および庇護希望者、保護者にともなわれずに入国した子ども、障害のある子ども、ホームレスの子どもおよびストリートチルドレン、ロマの子どもならびに入所施設の子どもなど、より脆弱な立場に置かれた子どもに対しては、特別な保護および援助を与える必要がある可能性もある。 E.法の支配 1.法の支配の原則は、成人に適用されるのと同様に子どもに対しても全面的に適用されるべきである。 2.罪刑法定主義および比例性の原則、無罪推定、公正な裁判に対する権利、法律上の助言を得る権利、裁判所にアクセスする権利ならびに上訴権のような適正手続の諸要素は、成人に対して保障されるのと同様に子どもに対しても保障されるべきであり、子どもの最善の利益の名目で最小限に抑えられまたは否定されるべきではない。このことは、すべての司法的および非司法的手続ならびに行政手続に適用される。 3.子どもは、適切な、独立した、かつ効果的な苦情申立て手続にアクセスする権利を認められるべきである。 IV.司法手続の前、最中および後における子どもにやさしい司法 A.子どもにやさしい司法の一般的要素 1.情報および助言 1.子どもおよびその親は、司法制度または他の権限ある公的機関(警察、出入国管理部局、教育部局、社会部局または保健ケア部局など)に最初に関与することになった時点から、かつ当該プロセス全体を通じて、とくに以下のことに関する情報を速やかにかつ十分に知らされるべきである。 a. その権利(とくに、子どもが関与しているまたは関与する可能性のある司法的または非司法的手続との関連で有している具体的権利)、および、その権利が侵害された場合に利用可能な救済手段(司法的もしくは非司法的手続またはその他の介入を利用する機会も含む)。これには、手続が継続する期間の見込み、不服申立て手続にアクセスする可能性および独立の苦情申立て機構に関する情報が含まれる場合もある。 b. 関連する制度および手続。これに関する情報提供の際は、子どもが置かれる特定の立場および子どもが果たす可能性のある役割ならびに種々の手続的段階を考慮に入れるものとする。 c. 司法的または非司法的手続に参加する際に子どもを支援するために設けられている機構。 d. 定められた法廷内手続および法廷外手続の妥当性および考えられる結果。 e. 適用可能なときは、子どもおよびその親の苦情申立てについて行なわれた告発またはフォローアップ。 f. 子どもが当事者であるときは、裁判手続その他の関連の出来事(聴聞など)の期日および場所。 g. 手続または介入の一般的進行状況および結果。 h. 保護措置の利用可能性。 i. 子どもに影響を与える決定の再審査を行なうために設けられている機構。 j. 司法手続、代替的な民事上の手続その他の手続を通じ、犯罪者または国から賠償を得るために設けられている機会。 k. 諸サービス(保健サービス、審理サービス、社会サービス、通訳および翻訳サービスその他)または支援を提供できる機関の利用可能性、および、(適用可能なときは緊急の金銭的支援を得て)当該サービスにアクセスする手段。 l 子どもが他国の住民である場合にその最善の利益を可能なかぎり保護するために特別な取決めが存在するときは、当該取決め。 2.子どもに対する情報および助言の提供は、その年齢および成熟度に適合した方法、子どもが理解できる言語ならびにジェンダーおよび文化に配慮した言葉遣いで提供されるべきである。 3.原則として、子どもおよび親または法定代理人の双方に対して直接情報が提供されるべきである。親に対する情報の提供は、当該情報を子どもに伝達することの代替的手段とされるべきではない。 4.関連の法的情報を掲載した子どもにやさしい資料が利用可能とされかつ広く配布されるべきであり、また子どもを対象とする特別な情報サービス(専門のウェブサイトおよびヘルプラインなど)が設けられるべきである。 5.子どもに対する告発の情報は、告発が行なわれた後、速やかにかつ直接に与えられなければならない。この情報は、子どもおよび親の双方に対し、告発の正確な内容および告発によって生じる可能性のある結果が理解できるような方法で提供されるべきである。 2.私生活および家族生活の保護 6.司法的または非司法的手続およびその他の介入に関与しているまたは関与した子どものプライバシーおよび個人データは、国内法にしたがって保護されるべきである。このことは、子どもの身元を明らかにしうるまたは間接的にその開示につながりうるいかなる情報または個人データも、とくにメディアにおいて利用可能とされまたは公表されてはならないことを一般的に含意する。このような情報または個人データには、画像、子どもまたは子どもの家族に関する詳細な描写、氏名または住所、録音および録画等が含まれる。 7.加盟国は、立法措置またはメディアによる自主規制の監視を通じ、6に掲げられたプライバシー権がメディアによって侵害されることを防止するべきである。 8.加盟国は、とくに子どもが関与する手続において、子どもの個人データおよび要配慮データを記載したあらゆる記録または文書へのアクセスの制限について定めるべきである。子どもの最善の利益を考慮しつつ、個人データおよび要配慮データの転送が必要となるときは、加盟国は、関連のデータ保護法制にしたがってこのような転送の規制を行なうべきである。 9.司法的もしくは非司法的手続またはその他の介入において子どもが聴聞されまたは証言を行なうときは常に、これを非公開で行なうことが望ましい。原則として、直接の当事者のみがその場に出席するべきである。ただし、当該出席によって子どもの証言が妨げられないことを条件とする。 10.子どもとともにおよび子どものために働く専門家は、子どもに危害が生じるおそれのある場合を除き、秘密保持に関する厳格な規則を遵守するべきである。 3.安全(特別防止措置) 11.子どもは、すべての司法的もしくは非司法的手続またはその他の介入において、脅迫、報復および二次被害を含む危害から保護されるべきである。 12.子どもとともにおよび子どものために働く専門家は、必要なときは、子どもとともに働くための適格性を確保する目的で、国内法にしたがい、かつ司法の独立を妨げることなく、定期的な適性資格審査の対象とされるべきである。 13.加害者であると疑われる者が親、家族構成員または主たる養育者であるときは、子どもに対して特別な警戒措置が適用されるべきである。 4.専門家の研修 14.子どもとともにおよび子どものために働くすべての専門家は、さまざまな年齢層の子どもの権利およびニーズならびに子どもにあわせて修正された手続についての、必要な学際的研修を受けるべきである。 15.子どもと直接接する専門家は、あらゆる年齢および発達段階の子どもならびにとくに被害を受けやすい状況に置かれた子どもとの意思疎通についての訓練も受けているべきである。 5.学際的アプローチ 16.私生活および家族生活に対する子どもの権利を全面的に尊重しつつ、子どもについて包括的に理解し、かつその法的、心理的、社会的、情緒的、身体的および認知的状況についてのアセスメントを可能とする目的で、種々の専門家間の緊密な協力が奨励されるべきである。 17.決定を行なう専門家に対して必要な支援を提供し、特定の事案において子どもの利益を最善の形で実現できるようにする目的で、子どもが関与しまたは子どもに影響を与える手続または介入において子どもとともにまたは子どものために働く専門家(弁護士、心理学者、医師、警察官、出入国管理官、ソーシャルワーカーおよび調停官など)を対象とした共通アセスメント枠組みが確立されるべきである。 18.学際的アプローチを実施する際には、秘密保持に関する職業上の規則が尊重されるべきである。 6.自由の剥奪 19.子どもの自由の剥奪は、いかなる形態であれ、最後の手段とされ、かつもっとも短い適当な期間で用いられるべきである。 20.自由の剥奪が行なわれるときは、子どもは原則として成人とは別に収容されるべきである。子どもが成人とともに拘禁される場合、これは例外的な理由により、かつ子どもの最善の利益を唯一の根拠として行なわれるべきである。あらゆる状況において、子どもはそのニーズに適した施設に拘禁されるべきである。 21.自由を奪われた子どもの脆弱性、家族の絆の重要性および社会への再統合を促進することの重要性にかんがみ、権限ある公的機関は、国際文書および欧州の文書に定められた子どもの尊重を確保し、かつその充足を積極的に支援するべきである。他の諸権利に加え、子どもに対してはとくに以下の権利が認められるべきである。 a. 司法の利益および子どもの利益に照らして制限が必要とされる場合を除いて、面会および通信を通じ、親、家族および友人と定期的かつ有意味な接触を維持する権利。この権利の制限が懲罰として用いられることがあってはならない。 b. 適切な教育、職業指導および職業訓練ならびに医療ケアを受け、かつ、思想、良心および宗教の自由ならびに余暇(体育およびスポーツを含む)へのアクセスを享受する権利。 c. 子どもの情緒的および身体的ニーズ、その家族関係、住居、就学および就労の可能性ならびに社会経済的地位について十全な注意を払いつつ、子どもが自己のコミュニティに復帰するための準備を前もって整えられるようにするためのプログラムにアクセスする権利。 22.保護者にともなわれずに入国した未成年者(庇護希望者を含む)および入国前に養育者から分離された子どもの自由の剥奪が、在留資格がないことのみをきっかけまたは根拠として行なわれることはあってはならない。 B.司法手続の前における子どもにやさしい司法 23.刑事責任に関する最低年齢はあまりに低くあるべきではなく、かつ法律によって定められるべきである。 24.調停、(司法制度からの)ダイバージョンおよび裁判外紛争解決手続のような司法手続に代わる手段は、これが子どもの最善の利益にかなう可能性があるときは常に奨励されるべきである。このような代替的手段を予備的に活用することが、司法に対する子どものアクセスを妨げる理由として用いられるべきではない。 25.子どもは、裁判手続または裁判所外の代替的手段のいずれかを利用する機会について余すところなく情報を提供されかつ相談されるべきである。このような情報の提供に際しては、それぞれを選択した場合に考えられる結果についても説明が行なわれるべきである。裁判手続に代わる手段が存在するときは常に、法律上その他の十分な情報に基づき、裁判手続と当該代替手段のいずれを利用するかが選択できるようにされるべきである。子どもに対しては、提案されている代替手段の妥当性および望ましさについて判断するに際し、法的助言その他の援助を得る機会が与えられるべきである。このような決定を行なうにあたっては、子どもの意見が考慮されるべきである。 26.裁判手続に代わる手段においては、同等の水準の法的保護措置が保障されるべきである。この指針および子どもの権利についての関連のあらゆる法的文書に掲げられた子どもの権利の尊重は、裁判所内外のいずれの手続においても同等に保障されるべきである。 C.子どもと警察 27.警察は、すべての子どもの人格権および尊厳を尊重するとともに、その脆弱性を顧慮する(すなわち、子どもの年齢および成熟度、ならびに、身体障害もしくは精神障害がありまたは意思疎通の困難を有している可能性がある子どもの特別なニーズを考慮する)べきである。 28.子どもが警察に逮捕されたときは常に、子どもに対し、その年齢および理解力の水準にふさわしい方法および言葉遣いで、拘束の理由が知らされるべきである。子どもに対しては弁護士のアクセスが提供されるべきであり、かつ、その親または子どもが信頼する者に連絡する機会が与えられるべきである。 29.例外的事情がある場合を除き、親は、子どもが警察署にいることを連絡され、子どもが拘束された理由の詳細を知らされ、かつ警察署に来るよう求められるべきである。 30.拘束された子どもは、弁護士または子どものいずれかの親もしくは親が立ち会えないときは子どもが信頼する他の者の立ち会いがなければ、犯罪行為について尋問され、または犯罪行為への関与に関する調書を作成しもしくはこれに署名するよう求められるべきではない。親または子どもが信頼する他の者については、当該犯罪行為への関与が疑われるときまたは司法妨害に相当する行為を行なうときは、立ち会いを認めないことができる。 31.警察は、可能なかぎり、留置中のいかなる子どもも成人とともに拘禁されないことを確保するべきである。 32.公的機関は、警察に留置されている子どもが、安全であり、かつそのニーズにふさわしい環境で収容されることを確保するべきである。 33.これが検察官の権限とされている加盟国においては、検察官は、捜査手続全体を通じて子どもにやさしいアプローチが用いられることを確保するべきである。 D.司法手続の最中における子どもにやさしい司法 1.裁判所および司法手続へのアクセス 34.子どもは、権利の保有者として、自己の権利を効果的に行使し、または自己の権利侵害について行動するための救済措置を利用できるべきである。国内法は、適当なときは、自己の権利についておよび自己の権利を守るための救済措置の利用について十分に理解している子どもが十分な法的助言に基づいて裁判所にアクセスできることを容易にするべきである。 35.手続の費用または弁護人の不存在など、裁判所へのアクセスを妨げるいかなる障壁も取り除かれるべきである。 36.子どもに対して行なわれた一部の特定犯罪または民事法もしくは家族法の一部の側面に関わる事件については、裁判所へのアクセスは、必要なときは子どもが成年に達してから一定期間が経過するまで認められるべきである。加盟国は自国の時効を見直すよう奨励される。 2.弁護人および代理人 37.子どもと親その他の当事者との間に利益相反があるまたはその可能性がある手続においては、子どもに対し、自らの名義で自分自身の弁護人および代理人を選任する権利が認められるべきである。 38.子どもは、成人と同一の条件またはより寛大な条件で無償の法律扶助にアクセスできるべきである。 39.子どもの代理人を務める弁護士は、子どもの権利および関連の問題について訓練を受けかつ精通し、継続的かつ徹底的な研修を受け、かつ子どもの理解力の水準にあわせて子どもと意思疎通する能力を有しているべきである。 40.子どもは独自の権利および完全な地位を有する依頼人と見なされるべきであり、子どもの代理人を務める弁護士はその子どもの意見を提出するべきである。 41.弁護士は、子どもに対し、子どもの意見および(または)見解によってもたらされる可能性がある結果についてあらゆる必要な情報および説明を提供するべきである。 42.親子間に利益相反がある事件においては、権限ある公的機関は、子どもの意見および利益を代弁する訴訟後見人または他の独立の代理人を任命するべきである。 43.とくに親、家族構成員または養育者が犯罪の被疑者である手続においては、十分な代理および親とは独立の代理人を選任する権利が保障されるべきである。 3.意見を聴かれる権利および意見表明権 44.裁判官は、自己に影響を与えるあらゆる事案において意見を聴かれ、または、少なくとも、当該事案について十分な理解力を有していると見なされるときには意見を聴かれる子どもの権利を尊重するべきである。この目的のために用いられる手段は、子どもの理解力の水準および意思疎通を図りかつ事案の事情を考慮する子どもの能力に適合したものであるべきである。子どもは、意見を聴かれたいと希望する事案に関して相談の対象とされるべきである。 45.子どもの意見および見解は、その年齢および成熟度にしたがって正当に重視されるべきである。 46.意見を聴かれる権利は子どもの権利であって、子どもに課される義務ではない。 47.子どもは、年齢のみを理由として意見を聴かれることから排除されるべきではない。裁判官は、子どもが自己に影響を与える事件で意見を述べたいと申し出たときは常に、意見を聴かないことが子どもの最善の利益にかなう場合を除いて意見を聴くことを拒否せず、当該事件においてその子どもに影響を与える事柄についての意見および見解に耳を傾けるべきである。 48.子どもに対しては、意見を聴かれる権利を効果的に活用する方法についてのあらゆる必要な情報が提供されるべきである。ただし、意見を聴かれかつその意見を考慮される権利が必ずしも最終的決定を左右しない場合もあることが、子どもに対して説明されるべきである。 49.子どもに影響を与える判決および裁判所の決定、とくに子どもの意見および見解のとおりにならなかった決定においては、子どもが理解できる言葉でしかるべき理由が付されかつ説明が行なわれるべきである。 4.不当な遅延の回避 50.子どもが関与するあらゆる手続において、法の支配を尊重しながら迅速な対応を行ないかつ子どもの最善の利益を保護するため、緊急性の原則が適用されるべきである。 51.家事事件(たとえば親子関係、監護権、親による奪取)においては、裁判所は、家族関係に悪影響が生じるいかなるおそれも回避するために格別の注意を払うべきである。 52.必要なときは、司法機関は、仮の決定または予備的判決を言い渡し、一定期間監視した後に再審査する可能性を検討するべきである。 53.司法機関は、法律にしたがい、決定の即時執行が子どもの最善の利益にかなう事件においてそのような決定を行なうことができるべきである。 5.手続のあり方、子どもにやさしい環境および子どもにやさしい言葉遣い 54.子どもは、あらゆる手続において、その年齢、特別なニーズ、成熟度および理解力の水準を尊重しながら、かつ子どもが有している可能性がある意思疎通上の困難に留意しながら取り扱われるべきである。子どもが関与する事件は、恐怖心を覚えさせることのない、子どもに配慮した環境で扱われるべきである。 55.子どもは、手続の開始前に、裁判所その他の施設の配置ならびに関係職員の役割および身分についてよく知る機会を与えられるべきである。 56.子どもの年齢および理解力の水準にふさわしい言葉が用いられるべきである。 57.司法的および非司法的手続においてならびにその他の介入の際に子どもが意見を聴かれまたは事情聴取されるときは、裁判官その他の専門家は敬意および繊細さをもって子どもとやりとりするべきである。 58.子どもは、親、または適当なときは子どもが選んだおとなにつきそってもらうことを認められるべきである。ただし、理由を付された決定により、当該人物について別段の判断が行なわれたときはこのかぎりでない。 59.録画もしくは録音または非公開の審理前聴聞のような事情聴取手法が活用され、かつ証拠能力を認められるべきである。 60.子どもは、可能なかぎり、その福祉にとって有害となる可能性のある画像または情報から保護されるべきである。有害となる可能性がある画像または情報を子どもに開示するか否か決定する際には、裁判官は、心理学者およびソーシャルワーカーのような他の専門家の助言を求めるべきである。 61.子どもが関与する審判期日は、子どものペースおよび注意持続時間にあわせて定められるべきである。定期的な休憩が予定されるべきであり、また審判の時間が長すぎてはならない。子どもがその認知能力を最大限に活用して参加することを促進し、かつ子どもの情緒的安定を支えるため、中断および混乱は最低限に抑えられるべきである。 62.適当かつ可能なかぎり、子どものための、子どもにやさしい環境を備えた事情聴取および待機のための部屋が手配されるべきである。 63.法律に抵触した子どものため、可能なかぎり、専門の裁判所(または法廷)、手続および制度が設けられるべきである。これには、警察、司法機関、裁判制度および検察機関内に専門の部局を設置することも含まれる場合がある。 6.子どもの証言/陳述 64.子どもの事情聴取および子どもからの陳述の取得は、可能なかぎり、訓練を受けた専門家によって行なわれるべきである。子どもの年齢、成熟度および理解力の水準ならびに子どもが有している可能性がある意思疎通上の困難を顧慮しながら、子どもが、もっとも望ましい環境およびもっとも適切な条件下で証言を行なえるようにするため、あらゆる努力が行なわれるべきである。 65.被害者または証人である子どもによる視聴覚手段を用いた陳述は、当該陳述の内容について争う相手方の権利を尊重しつつ、奨励されるべきである。 66.複数回の事情聴取が必要なときは、子どもの最善の利益に照らしてアプローチの一貫性を確保するため、同一人物によって行なわれることが望ましい。 67.事情聴取の回数は可能なかぎり限定されるべきであり、かつ、その長さは子どもの年齢および注意持続時間に適合したものであるべきである。 68.被害者または証人である子どもと、加害者であると申し立てられている者との直接の接触、対面またはやりとりは、被害者である子どもが求める場合を除き、可能なかぎり回避されるべきである。 69.子どもは、刑事事件において、加害者であると申し立てられている者と相対することなく証言する機会を与えられるべきである。 70.証言に関する規則が緩和されていること(宣誓または他の同様の宣言が要求されないことなど)または子どもにやさしい他の手続的措置が設けられていることのみをもって、子どもの証言の価値が減殺されるべきではない。 71.子どもの証言の有効性を補強するため、子どものさまざまな発達段階を考慮した事情聴取標準手続が立案されかつ実施されるべきである。当該標準手続においては、誘導尋問を回避することによって信頼性が高められるべきである。 72.裁判官は、子どもの最善の利益および福祉にかんがみ、子どもが証言しないことを認めることができるべきである。 73.子どもの陳述および証言が、当該子どもの年齢のみを理由として無効であるまたは信頼性に欠けると推定されることがあってはならない。 74.被害者および証人である子どもの陳述を、特別に設計された子どもにやさしい施設および子どもにやさしい環境において録取する可能性が検討されるべきである。 E.司法手続の後における子どもにやさしい司法 75.子どもの弁護士、訴訟後見人または法定代理人は、子どもに対し、言い渡された決定または判決について子どもの理解力の水準にあわせた言葉で伝達しかつ説明するとともに、上訴または独立した苦情申立て機構への申立てなど、とりうる措置に関する必要な情報を提供するべきである。 76.国の機関は、子どもが関係するおよび子どもに影響を与える司法決定/判決が遅滞なく執行されることを促進するため、あらゆる必要な措置をとるべきである。 77.決定が執行されないときは、子どもに対し、可能であればその弁護士、訴訟後見人または法定代理人を通じて、非司法的機構または司法へのアクセスのいずれかを通じて利用可能な救済措置についての情報が提供されるべきである。 78.強制による判決の実施は、子どもが関与する家事事件では最後の手段とされるべきである。 79.争いの激しい手続における判決後は、子どもおよびその家族に対し、専門機関による指導および支援が、理想的には無償で提供されるべきである。 80.ネグレクト、暴力、虐待またはその他の犯罪の被害者に対しては、特別な保健ケアならびに適切な社会的および治療的介入のためのプログラムまたは措置が、理想的には無償で提供されるべきであるとともに、子どもおよびその養育者に対し、当該サービスが利用できることについて速やかにかつ十分に情報が提供されるべきである。 81.子どもの弁護士、訴訟後見人または法定代理人に対しては、子どもが被害者である刑事手続の際にまたはその後に損害賠償請求を行なうためにあらゆる必要な措置をとる権限が認められるべきである。適当なときは、当該費用を国が負担し、かつ加害者から回収することも考えられる。 82.法律に抵触した子どもを対象とする措置および制裁は常に、比例性の原則、子どもの年齢、身体的および精神的福祉ならびに発達および事案の事情に留意した、行なわれた行為に対する建設的かつ個別化された対応であるべきである。教育、職業訓練、就労、更生および再統合に対する権利が保障されるべきである。 83.社会への再統合を促進する目的で、かつ国内法にしたがい、子どもの犯罪記録は、子どもが成年に達するのと同時に司法制度外では開示されないこととされるべきである。重大な犯罪の場合には、当該情報の開示に関する例外は、とくに公の安全を理由としてまたは子どもに関わる職業への就労が関連する場合に、認められる場合がある。 V.その他の子どもにやさしい行動の促進 加盟国は、以下の措置をとるよう奨励される。 a. 子どもにやさしい司法のあらゆる側面(子どもに配慮した面接技法ならびにそのような技法に関する情報の普及および研修を含む)についての調査研究を促進すること。 b. 子どもにやさしい司法の分野における実践交流および協力の推進を国際的に図ること。 c. 関連の法律文書を子どもにやさしく解説した資料を刊行し、かつ可能なかぎり広く普及すること。 d. 可能であれば弁護士会、福祉機関、(子ども)オンブズマン、非政府組織(NGO)等と連携した子どもの権利に関する広報事務所を設置し、または維持しかつ必要なときは強化すること。 e. 裁判所および苦情申立て機構への子どもによるアクセスを促進するとともに、裁判所および独立した苦情申立て機構への子どもによる効果的アクセスを国内的にも国際的にも支援するうえでNGOおよびその他の独立機関(子どもオンブズマンなど)が果たしている役割をさらに認めかつ促進すること。 f. 子どものための専門裁判官・弁護士制度の確立を検討するとともに、子どもおよびその家族のために法的措置および社会的措置の双方をとることができる裁判所をさらに発展させること。 g. 国内的救済措置が存在しない場合または尽くされた場合に正義および権利保護を追求できるようにすることを目的とした、人権および子どもの権利の保護のための国際的なおよび欧州レベルの機構を発展させ、かつ、子どもおよび子どものために行動する他の者による当該機構の利用を促進すること。 h. 子どもの権利を含む人権を、学校カリキュラムにおける、および、子どもとともに働く専門家を対象とした、義務的学習要素とすること。 i. 子どもの権利に関する親の意識啓発のための制度を発展させかつ支援すること。 j. 子どもが鑑定目的の面接および検診を受け、包括的なアセスメントの対象とされ、かつ、適当な専門家によるあらゆる関連の治療サービスを受けられる、子どもの被害者および証人を対象とした、子どもにやさしい、複数の機関による学際的センターを設置すること。 k. 無償のオンライン相談、ヘルプラインおよび地域コミュニティサービスのような、専門的でかつアクセスしやすい支援・情報サービスを設置すること。 l とくに子どもが関与するまたは子どもに影響を与えるすべての種別の手続において子どもの最善の利益を評価する際に子どもの権利を十分に保障しかつ実施する目的で、司法制度において子どもに接しながら働くすべての関連の専門家が適当な支援および研修ならびに実践的指導を受けることを確保すること。 VI.監視および評価 加盟国はまた、以下の措置をとることも奨励される。 a. この指針の実施のために必要な改革を確保するため、国内の法律、政策および実務のあり方を見直すこと。 b. 子どもの権利に関わる関連の欧州評議会諸条約を、未批准であれば迅速に批准すること。 c. 子どもにやさしい司法現場における活動方法を定期的に再検討しかつ評価すること。 d. この指針の実施を促進しかつ監視する目的で、自国の司法制度および行政制度にしたがい、適当な枠組み(一または複数の独立機構を含む)を維持しまたは確立すること。 e. 市民社会(とくに市民社会組織)、および、子どもの権利の促進および保護を目的とする諸機関が監視プロセスに全面的に参加することを確保すること。 更新履歴:ページ作成(2012年2月27日)。
https://w.atwiki.jp/kodomonomachi/pages/21.html
*子どもがつくるまち「ミニさくら」 「遊びのまち」だから子どもたちは面白く、楽しく、自発的にミニさくらの“まちづくり”に参画し創造性を発揮する。結果として「職業や社会の仕組みの体験的な学習」の効果もあるが主目的ではない。 子どもたちは、受付で市民カードを手に入れて「ミニさくら市民」となり、職安でやりたい仕事を選び、選んだ仕事場(ブース)で、好きなだけ働く。そして労働時間に応じた給料を独自通貨<モール> で、銀行で受け取り、自由に使うことができる。 *目次 1 概要 2 歴史 3 仕事ブース 4 大人の会議(例) 5 子どもの会議(例) 6 話題(例) 6.1 (始まりの頃の特筆すべき点) 6.2 (現在の特筆すべき点) 6.3 (外部の協力者) 7 参考文献 8 関連項目 9 外部リンク *概要 当市のこどものまち「●●●●●●」は●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●という特徴を持つ。 *歴史 第1回 2002年 3月28日~31日 中志津中央商店街 (主催:NPO佐倉こどもステーション) 第2回 2003年 3月21日~24日 七井戸公園自由広場 (主催:ミニさくら実行委員会) 第3回 2005年 3月27日~4月2日 中志津中央商店街 (主催:NPO子どものまち) 第4回 2006年 3月24日~27日 中志津中央商店街 (主催:NPO子どものまち) 第5回 2007年 3月23日~26日 中志津中央商店街 (主催:NPO子どものまち) 第6回 2008年 3月27日~30日 中志津中央商店街 (主催:NPO子どものまち) *仕事ブース それぞれの仕事場では大人のサポーターが、子ども達の活動を見守りながらもサポートする。一度、開催場所は変わったが商店街で開催し、地域の人も子どものまちを目の当たりにする。そのために地域住民、商店主、付き添いの父母や祖父母など様々な大人への対応が大きな課題である。 例年用意される、または少数回でも特徴的に設置された仕事ブースは、次の通り。 市役所、市議会、銀行、職安、大人の学校、清掃局、警察、看板や、ちっちゃい子センター、放送局、新聞社、病院、市場、手作り工房、ギフトショップ、チョコバナナ、手打ちうどん、わたがしや、タクシー芸能プロダクション、竹とんぼ屋、リサイクル工房、ちんどん屋など *大人の会議(例) こどものまちを主催する大人による会議は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。 ●●月 ●●●●●●として開催 ●●月 ●●●●●●として開催 ●●月 ●●●●●●として開催 *子どもの会議(例) こどものまちの主役である子どもによる会議は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。 ●●月 ●●●●●●として開催 ●●月 ●●●●●●として開催 ●●月 ●●●●●●として開催 *話題 **(始まりの頃の特筆すべき点) ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。 **(現在の特筆すべき点) ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。 **(外部の協力者) ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。 *主催団体 任意団体「NPO子どものまち」 子どもが主役になって生き生きと主体性を発揮できる体験活動 「こどもがつくるまち”ミニさくら”」や「こどもの居場所“ワイワイ広場”」などの開催・発展・普及を促進し、子どもたち一人一人が夢や希望を持って、主体的に生きていける地域社会の実現を子どもたちとともにめざして活動しています。 事務局: 〒285-0843 佐倉市中志津4-1-7 Tel 043-488-2839 / Fax 043-463-0196 kodomonomachi@yahoo.co.jp *参考文献 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。 *関連項目 ●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●● 写真 https //photos.app.goo.gl/Zu2xLpwCGt7D93hX9
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/334.html
子どもの権利委員会・一般的意見25号:デジタル環境との関連における子どもの権利 一般的意見一覧 関連資料一般的意見25号最終草案(有料記事) 参考資料欧州評議会 デジタル環境と子どもの権利ガイドライン(2018年) CRC/C/GC/25 配布:一般 2021年3月2日 原文:英語 日本語訳:平野裕二(日本語訳PDF) 子どもの権利委員会 デジタル環境との関連における子どもの権利についての一般的意見25号(2021年) I.はじめに 1.この一般的意見のための協議に参加した子どもたちは、デジタルテクノロジーは自分たちの現在の生活および未来にとってきわめて重要なものだと報告している――「デジタルテクノロジーで、世界中から情報を手に入れることができる」、「(デジタルテクノロジーは)自分のアイデンティティをどう考えればいいかについて、大切な視点を与えてくれた」、「悲しいときには、インターネットが楽しめそうなものを見つけるのに役に立つ」[1] 。 [1] “Our rights in a digital world”, summary report on the consultation of children for the present general comment, pp. 14 and 22. https //5rightsfoundation.com/uploads/Our%20Rights% 20in%20a%20Digital%20World.pdf より入手可能。子どもたちの意見に関するすべての言及は同報告書による。 2.デジタル環境はやむことなく変化・拡大しており、情報通信技術(デジタル化されたネットワーク、コンテンツ、サービスおよびアプリケーションを含む)、インターネットに接続された機器および環境、バーチャルリアリティおよび拡張現実、人工知能、ロボティクス、自動化システム、アルゴリズムおよびデータ分析、バイオメトリクスならびに人体埋め込み型テクノロジーが含まれる [2]。 [2] 用語集は委員会のウェブページより入手可能である。https //tbinternet.ohchr.org/Treaties/CRC/Shared%20Documents/1_Global/INT_CRC_INF_9314_E.pdf 3.デジタル環境は、教育、政府のサービスおよび商業を含む社会的機能が徐々にデジタルテクノロジーに依存するようになりつつあるなか、危機の時期を含め、子どもたちの生活のほとんどの側面を通じてその重要性を増しつつある。デジタル環境は、子どもの権利の実現のための新たな機会を提供すると同時に、これらの権利が侵害されるリスクをもたらすものである。子どもたちは、協議の際、デジタル環境は自分たちの安全かつ公正な関与を支援し、促進しかつ保護するようなものであるべきだという意見を表明した――「政府、テクノロジー企業、先生たちには、オンラインの当てにならない情報に対応する手助けをしてほしい」、「自分のデータが実際どうなるのかについて、はっきりさせてほしい。……誰がデータを集めるの? どんなふうに集められるの?」、「自分のデータがシェアされることが心配」[3]。 [3] "Our rights in a digital world", pp.14, 16, 22 and 25. 4.デジタル環境においてはすべての子どもの権利が尊重され、保護されかつ充足されなければならない。デジタルテクノロジーの革新は、子ども自身はインターネットにアクセスしない場合でさえ、子どもたちの生活および権利に広範かつ相互依存的なやり方で影響を及ぼす。デジタルテクノロジーに意味のある形でアクセスできることは、子どもたちが自己の市民的、政治的、文化的、経済的および社会的権利を余すところなく実現することの支援につながり得る。しかし、デジタルインクルージョンが達成されなければ、すでに存在する不平等がますます大きくなる可能性が高く、かつ新たな不平等が生じかねない。 5.この一般的意見は、締約国報告書を審査してきた委員会の経験、デジタルメディアと子どもの権利に関する一般的討議、人権条約機関の先例、人権理事会および特別報告者の勧告、コンセプトノートおよび発展版草案に関する各国、専門家その他の関係者との2度にわたる協議、ならびに、複数の地域の28か国において多種多様な状況下で暮らしている子どもたち709人との国際的協議を踏まえたものである。 6.この一般的意見は、委員会が発表した他の関連の一般的意見、および、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する条約の選択議定書の実施に関する委員会のガイドラインとあわせて読まれるべきである。 II.目的 7.委員会は、この一般的意見において、デジタル環境で子どもたちの権利の促進、尊重および保護を図る際の機会、リスクおよび課題に照らし、各国がデジタル環境との関係で条約をどのように実施すべきかについて説明するとともに、条約およびその選択議定書に基づく自国の義務の全面的遵守を確保するための関連の立法上、政策上その他の適切な措置に関する指針を示している。 III.一般原則 8.以下の4つの原則は、条約に基づく他のすべての権利の実施の際に持つべき視点を提供するものである。これらの原則は、デジタル環境との関連における子どもたちの権利の実現を保障するために必要な措置を決定するための指針とされるべきである。 A.差別の禁止に対する権利 9.差別の禁止に対する権利により、締約国は、すべての子どもが、子どもにとって意味のあるやり方で、平等かつ効果的にデジタル環境にアクセスできることを確保するよう要求される [4]。締約国は、デジタル面での排除を克服するためにあらゆる必要な措置をとるべきである。これには、専用の公共空間において子どもたちが無償でかつ安全にアクセスできるようにすることや、すべての子どもが、教育現場、コミュニティおよび家庭において負担可能な費用でデジタルテクノロジーにアクセスし、かつこれらのテクノロジーを賢く利用することを支える政策およびプログラムに投資することが含まれる。 [4] 一般的意見9号(2006年)、パラ37-38。 10.子どもたちは、デジタルテクノロジーの利用から排除されることによって、またはこれらのテクノロジーの利用を通じてヘイトスピーチ的な通信または不公正な扱いを受けることによって、差別される可能性がある。情報フィルタリング、プロファイリングまたは意思決定につながる自動化されたプロセスが、バイアスのかかった、部分的なまたは不正に入手された子どもに関する情報に基づいて進められる場合、その他の形態の差別が生じる可能性もある。 11.委員会は、締約国に対し、性、障害、社会経済的背景、民族的もしくは国民的出身、言語または他のいずれかの理由に基づく差別、ならびに、マイノリティおよび先住民族の子ども、庇護希望者、難民および移住者である子ども、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーおよびインタセックスである子ども、人身取引または性的搾取の被害者およびサバイバーである子ども、代替的養護下の子どもならびにその他の脆弱な状況に置かれた子どもに対する差別を防止するため、積極的措置をとるよう求める。 B.子どもの最善の利益 12.子どもの最善の利益は、特定の文脈にふさわしい評価を必要とする動的な概念である [5]。デジタル環境は、もともと子どもたちのために設計されたものではないが、子どもたちの生活で重要な役割を果たしている。締約国は、デジタル環境の整備、規制、設計、管理および利用に関するすべての行動において、すべての子どもの最善の利益が第一次的に考慮されることを確保するべきである。 [5] 一般的意見14号(2013年)、パラ1。 13.締約国は、このような行動に、子どもの権利の充足を監督する国および地方の機関の関与を得るべきである。締約国は、子どもの最善の利益を考慮するにあたり、情報を求め、受けかつ伝える権利、害から保護される権利および自己の意見を正当に重視される権利を含むすべての子どもの権利を顧慮するとともに、子どもの最善の利益の評価および適用された基準に関する透明性を確保するよう求められる。 C.生命、生存および発達に対する権利 14.デジタル環境によって提供される機会は、子どもたちの発達にとってますます決定的な役割を果たすようになりつつあるとともに、とくに危機の状況下においては子どもたちの生命および生存にとってきわめて重要なものとなる可能性がある。締約国は、子どもたちをその生命、生存および発達に対する権利へのリスクから保護するため、あらゆる適切な措置をとるべきである。コンテンツ、接触および契約に関連するリスクには、とくに、暴力的および性的コンテンツ、ネット上の攻撃およびハラスメント、賭け事、搾取および虐待(性的な搾取および虐待を含む)、ならびに、自殺または生命を危うくする活動(犯罪者によるものまたはテロリストもしくは暴力的過激主義者の指定を受けた武装集団によるものを含む)の促進または扇動が含まれる。締約国は、子どもたちが直面している特有のリスクの性質に関して子どもたちの意見を聴くことなどの手段により、多様な状況下で子どもたちが直面する新たなリスクの特定およびこれへの対処を図るべきである。 15.デジタル機器の利用は、害をともなうものであるべきではなく、また子どもたち同士のまたは子どもと親もしくは養育者との直接の相互交流にとって代わるべきでもない。締約国は、脳がもっとも可塑性に富んでおり、かつ子どもの認知的、情緒的および社会的発達のあり方の形成において社会環境(とくに親および養育者との関係)がきわめて重要である乳幼児期におけるテクノロジーの影響に、具体的注意を払うべきである。乳幼児期には、テクノロジーの設計、目的および利用のあり方によって、予防的対応が必要になる場合がある。デジタル機器の適切な利用に関する訓練および助言を、デジタルテクノロジーが子どもの発達(とくに乳幼児期および思春期の神経学的成長加速の臨界期における発達)に及ぼす影響についての調査研究を考慮しながら、親、養育者、教育者その他の関係者に対して提供することが求められる [6]。 [6] 一般的意見24号(2019年)、パラ22および一般的意見20号(2016年)、パラ9-11。 D.意見を聴かれる子どもの権利 16.子どもたちは、デジタル環境が、自分たちに影響を与える事柄について声が聴かれるようにするためのきわめて重要な機会を与えてくれていると報告している [7]。デジタルテクノロジーの利用は、地方、国および国際社会のレベルにおける子ども参加の実現に役立つ可能性がある [8]。締約国は、子どもたちが個人としておよび集団として自分たちの権利を効果的に唱道する存在になれるよう、子どもたちが意見を表明するデジタル手段についての意識およびこれらの手段へのアクセスを促進し、かつ、子どもたちが大人との平等を基礎として、必要な場合には匿名で参加するための訓練および支援を提供するべきである。 [7] "Our rights in a digital world", p.17. [8] 一般的意見14号(2013年)、パラ89-91。 17.デジタル環境との関連における子どもの権利についての法律、政策、プログラム、サービスおよび訓練を発展させる際、締約国は、すべての子どもたちの関与を得て、そのニーズに耳を傾け、かつその意見を正当に重視するべきである。締約国は、デジタルサービスの提供者が、製品およびサービスの開発にあたり、適切な保障措置を適用しながら積極的に子どもたちの関与を得て、かつその意見を正当に考慮することを確保するよう求められる。 18.締約国は、関連する立法上、行政上その他の措置について子どもたちと協議するためにデジタル環境を活用するとともに、子どもたちの意見が真剣に考慮されること、および、子ども参加が、プライバシー、思想および意見の自由に対する子どもたちの権利を侵害する不当な監視またはデータ収集につながらないことを確保するよう奨励される。国はまた、協議のプロセスが、テクノロジーへのアクセスまたはテクノロジーを利用するスキルを欠いている子どもたちを包摂するようなものであることを確保するべきである。 IV.発達しつつある能力 19.締約国は、子どもが能力、理解力および主体性を徐々に身につけていくプロセスを扱った、権利行使を可能にする原則としての子どもの発達しつつある能力 [9] を尊重しなければならない。このプロセスは、子どもが親および養育者の監督からいっそう独立して参加できるデジタル環境においては、特有の重要性を有している。デジタル環境への子どもの関与に関連するリスクおよび機会は、子どもの年齢および発達段階に応じて変わっていく。締約国は、デジタル環境で子どもたちを保護し、または子どもたちによるデジタル環境へのアクセスを促進するための措置を立案する場合には常に、これらの考慮事項を指針とするべきである。年齢にふさわしい措置の立案に際しては、さまざまな学問分野から得られる、利用可能な最善かつ最新の調査研究を参考にすることが求められる。 [9] 一般的意見7号(2005年)、パラ17ならびに一般的意見20号(2016年)、パラ18および20。 20.締約国は、現代世界における子どもたちの変化しつつある位置づけおよび子どもたちの主体性、スキルおよび活動の諸分野全体で不均等に発達する子どもたちの能力および理解力、ならびに、関連するリスクの性質を考慮するべきである。これらの考慮事項については、支援のある環境において自己の権利を行使することの重要性ならびに個人のさまざまな経験および状況との衡量が図られなければならない [10]。締約国は、デジタルサービスの提供者が、子どもの発達しつつある能力にふさわしいサービスを子どもたちに提供することを確保するべきである。 [10] 一般的意見20号(2016年)、パラ20。 21.子どもの養育責任の履行にあたって親および養育者に適切な援助を与える国の義務にしたがい、締約国は、子どもの発達しつつある自律性、能力およびプライバシーを尊重する必要性に関する親および養育者の意識を促進するべきである。締約国は、デジタル環境における子どもたちの権利(保護に対する権利を含む)の実現に関して子どもを援助することに関して親および養育者を手助けするため、デジタルリテラシーおよび子どもたちにとってのリスクに関する意識の獲得に関して親および養育者を支援するよう求められる。 V.締約国による一般的実施措置(第4条) 22.デジタル環境における子どもの権利の実現および子どもの保護のための機会は、広範な立法上、行政上その他の措置(予防的措置を含む)を必要とする。 A.立法 23.締約国は、デジタル環境が条約およびその選択議定書に掲げられた諸権利と両立することを確保するため、国際基準にのっとって国内法の見直し、採択および改定を図るべきである。立法は、テクノロジーの進歩および新たな慣行の誕生のなかで妥当であり続けることが求められる。締約国は、デジタル環境に関連する法律、予算配分およびその他の行政決定に子どもの権利を確実に位置づける目的で子どもの権利影響評価の活用を指示するとともに、デジタル環境に関連する公的機関および企業の間でその活用を促進するべきである [11]。 [11] 一般的意見5号(2003年)、パラ45、一般的意見14号(2013年)、パラ99、一般的意見16号(2016年)、パラ20。 B.包括的な政策および戦略 24.締約国は、子どもの権利に関連する国家的政策においてデジタル環境が具体的に取り上げられることを確保するとともに、規制、業界規範。設計基準および行動計画(これらはすべて定期的な評価および改定の対象とされるべきである)を実施するよう求められる。このような国家的政策においては、デジタル環境への関与から利益を得る機会を子どもたちに提供すること、および、子どもたちによるデジタル環境への安全なアクセスを確保することが目的とされるべきである。 25.オンラインにおける子どもの保護が、子どもの保護に関する国家的政策に統合されるべきである。締約国は、子どもたちをリスク(ネット上の攻撃、ならびに、デジタル技術によって促進されるおよびオンラインで行なわれる子どもの性的な搾取および虐待を含む)から保護するための措置を実施し、このような犯罪が捜査されることを確保し、かつ被害者である子どもたちに救済および支援を提供するよう求められる。締約国はまた、(必要な場合には関連のマイノリティ言語に翻訳された)子どもにやさしい情報を提供するなどの手段により、不利な立場または脆弱な状況に置かれた子どもたちのニーズにも対応するべきである。 26.締約国は、子どもがデジタル環境にアクセスするすべての現場(家庭、教育現場、ネットカフェ、ユースセンター、図書館ならびに保健ケアおよび代替的養護の現場を含む)において、オンラインにおける子どもの保護のための効果的なしくみおよび安全確保方針が運用されることを確保するべきである。 C.調整 27.デジタル環境が子どもたちの権利に及ぼす分野横断的な影響に網羅的に対処するため、締約国は、中央政府の諸部局および各レベルの行政機構の間で子どもの権利関連の政策、指針およびプログラムの調整を図る任務を委ねられた政府機関を指定するべきである [12]。このような国家的調整機関は、部門横断的にならびに国、広域行政圏および地方のレベルにおいてデジタル環境に関連する子どもの権利を実現するため、学校および情報通信技術部門との連携ならびに企業、市民社会、学界および諸団体との協力を図るよう求められる [13]。このような機関は、必要に応じて政府内外の技術的専門性および他の関連の専門性を活用できるべきであり、かつ、その義務の履行における有効性に関して独立の評価の対象とされるべきである。 [12] 一般的意見5号(2003年)、パラ37。 [13] 前掲、パラ27および39。 D.資源配分 28.締約国は、デジタル環境における子どもの権利の全面的実現およびデジタルインクルージョンの向上を目的とする法律、政策およびプログラムの実施のため、公的資源の動員、配分および活用を図るべきである。このような対応は、デジタル環境が子どもたちの生活に及ぼす影響の高まりに対処し、かつ、サービスおよびコネクティビティへのアクセスの平等および負担可能性を促進するために、必要とされる [14]。 [14] 一般的意見19号(2016年)、パラ21。 29.資源が企業セクターから拠出されまたは国際協力を通じて獲得される場合、締約国は、自国の委任事務、歳入動員、予算配分および支出に関して第三者による干渉または阻害が行なわれないことを確保するべきである [15]。 [15] 前掲、パラ27(b)。 E.データ収集および調査研究 30.恒常的に更新されるデータおよび調査研究は、子どもの権利にとってのデジタル環境の意味合いを理解し、デジタル環境が子どもたちに及ぼす影響を評価し、かつ国の介入の有効性を事後に評価することにとって、きわめて重要である。国は、しっかりした包括的なデータが十分な資源を得たうえで収集されること、および、データが年齢、性別、障害、地理的所在、民族的および国民的出身ならびに社会経済的背景によって細分化されることを確保するよう求められる。このようなデータおよび調査研究(子どもたちとともにおよび子どもたちによって実施された調査研究を含む)は、立法、政策および実務の参考とされるべきであり、かつ公有物とされるべきである [16]。子どもたちのデジタル生活に関するデータ収集および調査研究では、子どもたちのプライバシーが尊重され、かつ最高度の倫理基準が満たされなければならない。 [16] 一般的意見5号(2003年)、パラ48および50。 F.独立の監視 31.締約国は、国内人権機関および他の適切な独立機関の委任事項においてデジタル環境における子どもの権利が対象とされ、かつこれらの機関が子どもおよびその代理人からの苦情申立てを受理し、調査しかつこれに対応できることを確保するべきである [17]。デジタル環境関連の活動を監視する独立の監督機関が存在している場合、国内人権機関は、子どもの権利に関する委任事項を効果的に遂行するため、当該機関と緊密に協力することが求められる [18]。 [17] 一般的意見2号(2002年)、パラ2および7。 [18] 前掲、パラ7。 G.情報の普及、意識啓発および研修 32.締約国は、とくに子どもたちに直接または間接の影響を及ぼす行動に従事している人々に焦点を当てながら、デジタル環境における子どもの権利に関する情報の普及および意識啓発の実施を進めるべきである。締約国は、子どもたち、親および養育者ならびに一般公衆および政策立案に携わる人々を対象とする、デジタル製品およびデジタルサービスに関連した機会およびリスクに関わる子どもの権利に関する知識を増進させるための教育プログラムを促進するよう求められる。このようなプログラムには、子どもたちがデジタル製品およびデジタルサービスからどのように利益を得られ、かつデジタルリテラシーおよびデジタルスキルをどのように発達させられるか、子どもたちのプライバシーの保護および被害化の防止をどのようにして図るか、ならびに、オンラインまたはオフラインで加えられる害の被害を受けた子どもをどのように認識し、かつどのように適切に対応するかについての情報が含まれるべきである。このようなプログラムにおいては、調査研究ならびに子どもたち、親および養育者との協議を参考にすることが求められる。 33.子どもたちおよび企業セクターのためにならびに子どもたちおよび企業セクター(テクノロジー産業を含む)とともに働く専門家は、デジタル環境が複合的状況下で子どもの権利にどのように影響を及ぼしているか、子どもたちがデジタル環境でどのように自己の権利を行使しているか、および、子どもたちがテクノロジーにどのようにアクセスしかつそれを利用しているかに関するものを含む研修を受けるべきである。これらの専門家はまた、デジタル環境への国際人権基準の適用に関する研修を受けることも求められる。締約国は、あらゆる教育段階で働く専門家を対象として、その知識、スキルおよび実践の開発支援を目的とした、デジタル環境に関連する着任前研修および現職者研修が実施されることを確保するべきである。 H.市民社会との協力 34.締約国は、子どもの権利に関連する法律、政策、計画およびプログラムの策定、実施、モニタリングおよび評価に、市民社会(子どもの権利の分野で活動している子ども主導のグループおよび非政府組織を含む)およびデジタル環境に関係している人々の組織的関与を得るべきである。締約国はまた、市民社会組織が、デジタル環境に関連する子どもの権利の促進および保護に関わる活動を実施できることも確保するよう求められる。 I.子どもの権利と企業セクター 35.非営利組織を含む企業セクターは、デジタル環境関連のサービスおよび製品の提供に際し、子どもたちの権利に直接・間接の影響を及ぼしている。企業は、子どもたちの権利を尊重し、かつ、デジタル環境との関連で子どもたちの権利侵害の防止および救済を図るべきである。締約国には、企業がこれらの責任を履行することを確保する義務がある [19]。 [19] 一般的意見16号(2013年)、パラ28、42および82。 36.締約国は、自社のネットワークまたはオンラインサービスが子どもの権利(プライバシーおよび保護に対する権利を含む)の侵害を引き起こしまたは助長するようなやり方で利用されることを防止する義務、ならびに、子ども、親および養育者に対して迅速かつ効果的な救済を提供する義務が企業によって遵守されることを確保するため、法律、規則および政策の策定、モニタリング、実施および評価などを通じた措置をとるべきである。締約国はまた、企業に対し、子どもたちによる安全かつ有益なデジタル活動を支援するための公的情報およびアクセシブルで時宜を得た助言の提供も奨励するよう求められる。 37.締約国には、企業体による権利(デジタル環境におけるあらゆる形態の暴力から保護される権利を含む)の侵害から子どもたちを保護する義務がある。企業が有害な行為の実行に直接関与するわけではない場合もあるとはいえ、企業は、デジタルサービスの設計および運用などを通じ、暴力からの自由に対する子どもたちの権利の侵害を引き起こしまたは助長する可能性がある。締約国は、暴力からの保護に対する権利の侵害の防止、ならびに、デジタル環境に関連して生じる権利侵害についての捜査、判決および救済を目的とした法令を整備し、モニタリングしかつ執行するべきである [20]。 [20] 前掲、パラ60。 38.締約国は、企業セクターに対し、デジタル環境が子どもたちに及ぼす、それぞれ異なった、かつ時として深刻になることもある影響をとくに考慮しながら子どもの権利デューディリジェンス(相当の注意)を履行すること、とくに子どもの権利影響評価を実施しかつ公衆に開示することを求めるべきである [21]。締約国は、企業による子どもの権利侵害を防止し、モニタリングし、調査しかつ処罰するために適切な措置をとるよう求められる。 [21] 前掲、パラ50および62-65。 39.締約国は、法律および政策の策定に加え、デジタル環境との関連で子どもの権利に影響を及ぼすすべての企業に対し、自社の製品およびサービスの設計、エンジニアリング、開発、運用、流通およびマーケティングに関する最高水準の倫理基準、プライバシー基準および安全基準にしたがった規制枠組み、業界規範および利用規約を実施するよう求めるべきである。これには、子どもたちをターゲットとする企業、エンドユーザーに子どもたちがいる企業またはその他の形で子どもたちに影響を与える企業が含まれる。締約国は、これらの企業に対し、高水準の透明性およびアカウンタビリティを維持するよう求めるとともに、子どもの最善の利益にのっとった革新のための措置をとることを奨励するべきである。締約国はまた、子どもたちに対するまたは乳幼児の親および養育者に対する、利用規約についての年齢にふさわしい説明を要求することも求められる。 J.商業広告およびマーケティング 40.デジタル環境には、収益創出コンテンツまたは有料コンテンツのターゲティングを目的とする個人データの処理に財政的に依拠している企業も含まれており、このような処理が、意図的か否かにかかわらず、子どもたちのデジタル経験に影響を及ぼしている。これらのプロセスの多くに複数の事業提携先が関与していることから、子どもの権利侵害につながる可能性がある商業活動および個人データ処理の供給網がつくり出されている。このような子どもの権利侵害には、子どもがより過激なコンテンツに向かうことを想定しかつ誘導する広告デザイン上の特徴、睡眠を妨げる自動通知、または商業的動機によるコンテンツであって有害である可能性があるもののターゲティングを目的とする子どもの個人情報もしくは位置情報の利用を通じて行なわれるものが含まれる。 41.締約国は、子ども向けのおよび子どもがアクセスできる広告およびマーケティングを規制する際、子どもの最善の利益を第一次的に考慮するべきである。スポンサーシップ、プロダクトプレイスメントおよび商業的動機による他のあらゆる形態のコンテンツは、他のあらゆるコンテンツと明確に区別されるべきであり、かつ、ジェンダーまたは人種に基づくステレオタイプを固定化させるようなものであるべきではない。 42.締約国は、実際の属性または推定された属性のデジタル記録(グループデータもしくは集約データ、相関分析によるターゲティングまたは嗜好性プロファイリングを含む)に基づいて子どもたち(年齢を問わない)を商業目的のプロファイリングまたはターゲティングの対象とすることを、法律で禁止するべきである。製品、アプリケーションおよびサービスの販売促進を目的としてニューロマーケティング、感情解析、没入型広告ならびに仮想現実および拡張現実の環境下における広告に依拠する慣行についても、子どもたちに直接または間接に働きかけることを禁止することが求められる。 K.司法および救済措置へのアクセス 43.子どもたちは、さまざまな理由により、デジタル環境との関連で司法にアクセスする際に特段の課題に直面する。このような課題は、とりわけ、デジタル環境にとくに関連する子どもの権利侵害について制裁を科す法律が存在しないこと、証拠の取得および加害者の特定が難しいこと、またはデジタル環境における子どもの権利についてもしくは何が子どもの権利の侵害に当たるのかについて子どもたちおよびその親もしくは養育者が知らないことから生ずるものである。子どもたちが機微なまたは私的なオンライン活動の開示を求められる場合、または仲間からの報復もしくは社会的排除に対する恐れを理由として、さらなる課題が生じる可能性もある。 44.締約国は、デジタル環境に関連する子どもの権利侵害についての適切かつ効果的な司法的および非司法的救済の仕組みが、すべての子どもおよびその代理人にとって広く周知され、かつ容易にアクセスできることを確保するべきである。苦情申立ておよび通報のための仕組みは、無償で、安全で、秘密が守られ、応答性が高く、子どもにやさしく、かつアクセシブルな形式で利用可能であることが求められる。締約国はまた、クラスアクションおよび公益訴訟を含む集団的苦情申立て、ならびに、デジタル環境においてまたはデジタル環境を通じて権利を侵害された子どもに対する法的その他の適切な援助(専門サービス機関によるものを含む)についても定めるべきである。 45.締約国は、このような事案を付託し、かつ被害を受けた子どもに効果的支援を提供するための枠組みを確立し、調整し、かつ定期的にモニタリングおよび評価を実施するべきである [22]。枠組みには、被害を受けた子どもの特定、治療およびフォローアップケアならびに社会的再統合のための措置を含めることが求められる。付託のための仕組みには、被害を受けた子どもの特定に関する研修(デジタルサービス提供者を対象とするものも含む)が含まれるべきである。このような枠組みのなかでとられる措置は、捜査過程および司法手続を背景として生じる子どもの再被害および二次被害を防止するため、複数の機関が関与する、子どもにやさしいものであることが求められる。そのためには、秘密を保持しかつデジタル環境に関連した害を是正するための特別な保護措置が必要となる場合もある。 [22] 一般的意見21号(2017年)、パラ22。国連総会決議60/147付属文書〔訳者注/著しい国際人権法違反および深刻な国際人道法違反の被害者の救済および賠償に対する権利に関する基本的原則および指針〕も参照。 46.適切な被害回復措置には、原状回復、補償および満足が含まれ、かつ、謝罪、是正措置、不法なコンテンツの削除、心理的回復サービスへのアクセスその他の措置が必要となる場合もある [23]。デジタル環境における権利侵害との関連で、救済のための仕組みにおいては、子どもたちの脆弱性ならびに継続的および将来的被害を迅速に終了させる必要性が考慮されるべきである。締約国は、関連の法律および政策の改革ならびにその効果的実施などを通じ、侵害が再発しないことを保証するよう求められる。 [23] 一般的意見5号(2003年)、パラ24。 47.デジタルテクノロジーは、国境を越えて行なわれる場合もある子どもに対する犯罪の捜査および訴追をいっそう複雑なものとする。締約国は、デジタルテクノロジーの利用が子どもに対する犯罪の捜査および訴追をどのように容易にしまたは阻害し得るかについて対処するとともに、国際的パートナーとの協力なども通じ、防止、執行および救済のために利用可能なあらゆる措置をとるべきである。締約国は、デジタル環境ととくに関連する子どもの権利侵害に関して、国際協力なども通じ、法執行官、検察官および裁判官を対象とする特別研修を実施するよう求められる。 48.子どもたちは、デジタル環境において企業体による権利侵害を受けた場合に、とくに当該企業が世界的に操業している状況下では、救済を得ることに関して特段の困難に直面する可能性がある [24]。締約国は、企業による域外での活動および操業との関係で、自国と当該行為との間に合理的な結びつきがある場合には、子どもたちの権利を尊重し、保護しかつ充足するための措置を検討するべきである。締約国は、企業が効果的な苦情申立ての仕組みを提供することを確保するよう求められる。ただし、これによって、国を基盤とする救済措置に子どもがアクセスできなくさせられるべきではない。締約国はまた、子どもの権利に関連する監督権限を有する機関(健康および安全、データ保護および消費者の権利、教育ならびに広告およびマーケティングに関連する機関など)が、デジタル環境における子どもの権利侵害に関する苦情申立ての調査および十分な救済措置の提供を行なうことも、確保するべきである [25]。 [24] 一般的意見16号(2013年)、パラ66-67。 [25] 前掲、パラ30および43。 49.締約国は、子どもたちに対し、子どもの権利、ならびに、デジタル環境に関連して自己の権利が侵害された場合に利用可能な通報および苦情申立ての仕組み、サービスならびに救済措置についての子どもに配慮したかつ年齢にふさわしい情報を、子どもにやさしい言語で提供するべきである。このような情報は、親、養育者ならびに子どもとともにおよび子どものために働く専門家に対しても提供することが求められる。 VI.市民的権利および自由 A.情報へのアクセス 50.デジタル環境は、子どもたちが情報にアクセスする権利を実現するための、比類のない機会を約束するものである。この点に関しては、デジタルコンテンツおよびオンラインコンテンツを含む情報通信メディアも重要な機能を果たす [26]。締約国は、子どもたちがデジタル環境で情報にアクセスできること、および、当該権利の行使の制限が、法律で定められており、かつ条約第13条に規定された目的のために必要な場合以外には行なわれないことを確保するべきである。 [26] 一般的意見7号(2005年)、パラ35および一般的意見20号(2016年)、パラ47。 51.締約国は、子どもの発達しつつある能力にしたがった、年齢にふさわしくエンパワーメントにつながる子ども向けのデジタルコンテンツを提供しかつその制作を支援するとともに、子どもたちが、文化、スポーツ、芸術、健康、公民・政治問題および子どもの権利に関する多種多様な情報(公的機関が保有する情報を含む)にアクセスできることを確保するべきである。 52.締約国は、多様な形式を活用し、かつニュースメディア、放送事業者、博物館、図書館および教育・科学・文化組織を含む国内外の多数の情報源から発信される、このようなコンテンツの制作および普及を奨励するべきである。締約国はとくに、障害のある子どもおよび民族的、言語的、先住民族その他のマイノリティの子どもを対象とする多様な、アクセシブルなかつ有益なコンテンツが提供されることを増進するために努力するよう求められる。子どもたちが理解する言語で関連の情報にアクセスできることは、平等に対して相当に肯定的な影響を及ぼし得る [27]。 [27] 一般的意見17号(2013年)、パラ46および一般的意見20号(2016年)、パラ47-48。 53.締約国は、すべての子どもたちが、オンラインの多様かつ良質な情報(商業的または政治的利益集団から独立したコンテンツを含む)についての情報を提供され、かつこれらの情報を容易に見つけられることを確保するべきである。締約国は、自動化された検索・情報フィルタリング(推奨システムを含む)において、商業的または政治的動機を有する有料コンテンツが、子どもたちの選択よりも、または情報に対する子どもたちの権利を犠牲にする形で、優先されないことを確保するよう求められる。 54.デジタル環境には、ジェンダーのステレオタイプを反映した情報、差別的、人種主義的、暴力的、ポルノ的および搾取的な情報のほか、虚偽の言説、誤情報および偽情報ならびに不法なまたは有害な活動への関与を子どもに奨励する情報(武装テロ集団による情報を含む)が含まれている可能性がある。このような情報は、他のユーザー、商業的コンテンツ制作者、性犯罪者またはテロリストもしくは暴力的過激主義者の指定を受けた武装集団を含む、多様な主体から発信されている場合がある。締約国は、有害コンテンツおよび信頼できないコンテンツから子どもたちを保護するとともに、関連の企業その他のデジタルコンテンツ提供者が、子どもたちをその権利および発達しつつある能力にしたがってこのような有害な資料から保護しつつ、情報および表現の自由に対する子どもたちの権利を認識して、子どもたちが多様なコンテンツに安全にアクセスできるようにするためのガイドラインを策定しかつ実施することを確保するべきである [28]。情報普及のためのインターネットを基盤とするシステム、電子的システムその他のシステムの運用に対するいかなる制限も、第13条にのっとっていることが求められる [29]。締約国は、いかなる地域においても、部分的にか全体的にかを問わず、電力供給、移動体通信ネットワークまたはインターネット接続を意図的に妨害しまたは他者に対してそのような妨害を認めるべきではない。このような妨害は、情報および通信に対する子どものアクセスを阻害する効果を有する可能性がある。 [28] 一般的意見16号(2013年)、パラ58および一般的意見7号(2005年)、パラ35。 [29] 自由権規約委員会、一般的意見34号(2011年)、パラ43。 55.締約国は、子どもたちが利用するデジタルサービスの提供者に対し、たとえばコンテンツの年齢へのふさわしさまたは信頼性に関する、簡潔明瞭なコンテンツのラベリングを行なうよう奨励するべきである。締約国はまた、子ども、親および養育者、教育者ならびに関連の専門家集団を対象とする、アクセシブルな指針、訓練、教育資料および通報機構の提供も奨励するよう求められる [30]。年齢にふさわしくないコンテンツから年齢またはコンテンツに基づいて子どもたちを保護するためのシステムは、データの最小限化の原則に一致しているべきである。 [30] 一般的意見16号(2013年)、パラ19および59。 56.締約国は、デジタルサービス提供者が、関連のガイドライン、基準および規範を遵守し [31]、かつ法律にのっとった、必要かつ比例的なコンテンツモデレーション規則を執行することを確保するべきである。コンテンツ管理、学校フィルタリングシステムおよびその他の安全指向技術は、デジタル環境における情報への子どもたちのアクセスを制限するために用いられるべきではない。これらの技術は、有害な資料が子どもたちに供給されることを防止するためだけに用いられるべきである。コンテンツモデレーションおよびコンテンツ管理においては、子どもたちのその他の権利、とくに表現の自由およびプライバシーに対する権利とのバランスを図ることが求められる。 [31] 前掲、パラ58および61。 57.ニュースメディアその他の関連組織が定める職業行動規範には、子どもたちに関わるデジタル関連のリスクおよび機会についての報道のあり方に関する指針が含まれるべきである。このような指針は、被害者およびサバイバーである子どもの身元を明らかにせず、かつ国際人権基準にしたがった、エビデンスに基づく報道につながるようなものであることが求められる。 B.表現の自由 58.表現の自由に対する子どもの権利には、自ら選択するすべての媒体を使って、あらゆる種類の情報および考えを求め、受けかつ伝える自由が含まれる。子どもたちが報告するところによれば [32]、デジタル環境は、子どもたちの考え、意見および政治的見解を表明する相当の機会を提供するものである。不利な立場または脆弱な状況に置かれた子どもたちにとっては、自分の経験をシェアしてくれる他の子どもたちとの、テクノロジーによって容易になる相互交流は、自分自身を表現する一助となり得る。 [32] "Our rights in a digital world", p.16. 59.デジタル環境における表現の自由に対する子どもたちの権利のいかなる制限(安全措置を含むフィルターなど)も、法律にしたがっており、必要であり、かつ比例性を有するものであるべきである。そのような制限の根拠を透明なものとし、かつ子どもたちに対して年齢にふさわしい言葉で伝えることが求められる。締約国は、他者の権利および尊厳を尊重し、かつ法律(憎悪および暴力の扇動に関連するものなど)に違反しないようにしながらこの権利を効果的に行使する方法(とくにデジタルコンテンツを安全に制作しかつシェアする方法)についての情報および訓練の機会を、子どもたちに提供するべきである。 60.子どもたちがデジタル環境で自己の政治的その他の見解およびアイデンティティを表明する際には、批判、敵意、脅迫または処罰の対象とされる場合がある。締約国は、ネット上の攻撃および脅迫、検閲、データ漏洩およびデジタル監視から子どもたちを保護するべきである。子どもたちは、デジタル環境で意見を表明したことを理由として訴追されるべきではない(ただし、条約第13条と両立する刑事法で定められた制限に違反した場合、このかぎりではない)。 61.特定の世界観を推進しようとする商業的および政治的動機が存在することに鑑み、締約国は、情報フィルタリング、プロファイリング、マーケティングおよび意思決定に関する自動化されたプロセスの利用が、デジタル環境において自己の意見を形成しかつ表明する子どもたちの能力を代替し、操作しまたはこれに干渉しないことを確保するべきである。 C.思想、良心および宗教の自由 62.締約国は、デジタル環境における思想、良心および宗教の自由に対する子どもの権利を尊重するべきである。委員会は、締約国に対し、デジタル環境で(たとえば感情の解析または推論によって)思想および信条の自由に対する子どもたちの権利を操作しまたはこれに干渉する慣行を特定し、定義しかつ禁止するデータ保護規則および設計基準を導入しまたは改定するよう、奨励する。自動化システムは、子どもの内心に干渉するために利用される可能性がある。締約国は、子どもたちの行動または感情に影響を与えもしくはこれを左右すること、または子どもの機会もしくは発達を制限することを目的として自動化システムまたは情報フィルタリングシステムが利用されないことを確保するべきである。 63.締約国は、子どもたちがその宗教もしくは信条を理由として処罰されず、または他のいかなるやり方によっても将来の機会を制限されないことを確保するべきである。デジタル環境において自己の宗教または信条を表明する子どもたちの権利の行使に対しては、法律にのっとった、必要な、かつ比例性を有する制限しか課すことができない。 D.結社および平和的集会の自由 64.デジタル環境は、子どもたちが自己の社会的、宗教的、文化的、民族的、性的および政治的アイデンティティを形成し、かつ、仲間として結びついたコミュニティならびに熟議、文化交流、社会的結束および多様性のための公的空間に参加することができる [33]。子どもたちが報告するところによれば、デジタル環境は、関心を共有する仲間、意思決定権者その他の人々と会い、交流しかつじっくりと議論する、貴重な機会を与えてくれるものである [34]。 [33] 一般的意見17号(2013年)、パラ21および一般的意見20号(2016年)、パラ44-45。 [34] "Our rights in a digital world", p.20. 65.締約国は、自国の法令および政策において、部分的にまたはもっぱらデジタル環境で活動している団体に参加する子どもたちの権利が保護されることを確保するべきである。デジタル環境における結社および平和的集会の自由に対する子どもたちの権利の行使には、法律にのっとった、必要でありかつ比例性を有するもの以外のいかなる制限も課すことができない [35]。このような参加が、それ自体として、これらの子どもたちに対する否定的な結果(停退学、将来の可能性の制限もしくは剥奪または警察による個人ファイルの作成など)につながることがあるべきではない。このような参加は、安全であり、プライバシーが守られ、かつ官民の機関による監視から自由であるべきである。 [35] 自由権規約委員会、一般的意見37号(2020年)、パラ6および34。 66.デジタル環境における公的な注目およびネットワーキングの機会も、子どもが主導する行動主義を支え、かつ人権擁護者としての子どもたちのエンパワーメントにつながり得る。委員会は、デジタル環境によって、人権擁護者である子どもたちおよび脆弱な状況に置かれた子どもたちが、相互にコミュニケーションを図り、自分たちの権利を擁護し、かつ結社を結成できるようになることを認識する。締約国は、特別なデジタル空間の創設を促進するなどの手段によりこれらの子どもたちを支援し、かつその安全を確保するべきである。 E.プライバシーに対する権利 67.プライバシーは、子どもたちの主体性、尊厳および安全ならびに権利行使にとってきわめて重要である。子どもたちの個人データは、子どもたちに教育上、健康上その他の利益を提供する目的で処理されている。子どもたちのプライバシーに対する脅威は、公的機関、企業その他の組織によるデータの収集および処理からも、個人情報の不正な取得・利用のような犯罪活動からも生じ得る。脅威はまた、デジタル環境における子どもたち自身の活動からも、家族構成員、仲間その他の者の活動(たとえば親が写真をオンラインでシェアすることまたは見知らぬ者が子どもに関する情報をシェアすること)からも生じ得る。 68.データには、とくに子どもの身元、活動、位置情報、通信、感情、健康および人間関係に関するデータが含まれる場合がある。生体データを含む個人データのある種の組み合わせは、子どもを一意的に特定するために利用し得る。自動データ処理、プロファイリング、行動ターゲティング、義務的本人確認、情報フィルタリングおよび大量監視のようなデジタル慣行が、当たり前に行なわれるようになりつつある。このような慣行は、プライバシーに対する子どもたちの権利への恣意的または不法な干渉につながる可能性がある。このような慣行は子どもたちに悪影響をもたらす可能性があり、子どもたちは人生のその後の段階においても影響を受け続ける場合がある。 69.子どものプライバシーへの干渉が認められるのは、それが恣意的または不法でない場合のみである。したがって、このようないかなる干渉も、法律で定められ、正当な目的の達成を狙いとし、データの最小限化の原則を維持し、比例性を有しており、かつ条約の規定、目的および趣旨に抵触しないものでなければならない。 70.締約国は、子どものデータ処理を行なうすべての組織によっておよびそのようなデータ処理が行なわれるすべての環境において子どもたちのプライバシーが尊重されかつ保護されることを確保するため、立法上、行政上その他の措置をとるべきである。法律には、強力な保障措置、透明性、独立の監督および救済措置へのアクセスを含めることが求められる。締約国は、子どもたちに影響を及ぼすデジタル製品およびデジタルサービスへの、プライバシー・バイ・デザインの統合を要求するべきである。締約国は、プライバシーおよびデータ保護に関する法律を定期的に見直すとともに、手続および実務によって、子どもたちのプライバシーの意図的または偶発的侵害が防止されることを確保するよう求められる。暗号化が適切な手段であると考えられる場合、締約国は、子どもの性的搾取・虐待または子どもの性的虐待表現物の発見および通報を可能にする、適切な措置を検討するべきである。このような措置は、法律適合性、必要性および比例性の原則にしたがい、厳格に限定的なものとされなければならない。 71.子どものデータ処理に対する同意が求められる場合、締約国は、同意が、子どもによって(または、子どもの年齢および発達しつつある能力に応じてその親もしくは養育者によって)、十分な情報に基づいてかつ自由に与えられ、かつ当該データの処理の前に取得されることを確保するよう求められる。子どもの個人データを処理するのに、子ども自身の同意では不十分であると考えられ、親による同意が必要とされる場合、締約国は、同意が十分な情報に基づく意味のあるものであり、かつ子どもの親または養育者によって与えられたことを、このようなデータの処理を行なう組織が確認するよう要求するべきである。 72.締約国は、合理的かつ法律にのっとった制限に服することを条件として、子どもおよびその親または養育者が、保存されているデータに容易にアクセスし、不正確なまたは古くなったデータを訂正し、かつ、公的機関、私人またはその他の機関によって不法にまたは不必要に保存されているデータを削除できることを確保するべきである [36]。締約国はさらに、データ管理者がデータ処理のための正当なかつ優先されるべき理由を示せない場合には、子どもが同意を撤回しかつ個人データ処理に異議を唱える権利を確保するよう求められる。締約国はまた、子ども、親および養育者に対し、子どもにやさしい言葉およびアクセシブルな形式で、このような事柄に関する情報を提供するよう求められる。 [36] 自由権規約委員会、一般的意見16号(1988年)、パラ10。 73.子どもたちの個人データへのアクセスは、定期的監査およびアカウンタビリティ措置のような適正手続上の保障を遵守しながら当該データを処理することについて法律に基づく指定を受けた公的機関、組織および個人に対してのみ、認められるべきである [37]。定められた目的のために収集された子どもたちのデータは、いかなる場面(デジタル化された犯罪記録を含む)においても保護され、かつ当該目的のためにのみ用いられるべきであり、また不法にもしくは不必要に保持されまたは他の目的のために利用されるべきではない。ある場面で提供された情報を他の場面で(たとえば学校教育および高等教育の文脈で)利用することが子どもにとって正当な利益となり得る場合、そのようなデータの利用は透明であり、説明責任が確保され、かつ子ども、親または養育者の同意に適宜服するものであることが求められる。 [37] 前掲および子どもの権利委員会、一般的意見20号(2016年)、パラ46。 74.プライバシーおよびデータ保護に関する法律および措置によって、子どもたちのその他の権利(たとえば表現の自由または保護に関連する権利)が恣意的に制限されるべきではない。締約国は、データ保護法がデジタル環境との関連で子どものプライバシーおよび個人データを尊重することを確保するべきである。継続的な技術革新を通じてデジタル環境の範囲は拡大しつつあり、ますます多くのサービスおよび製品(衣服・玩具など)も含むようになっている。自動化システムに接続された埋込センサーの利用を通じて、子どもたちが時間を費やす環境が「接続した」状態になっていくなか、締約国は、そのような環境に寄与する製品およびサービスが、データ保護およびその他のプライバシーに関わる確固たる規制および基準の対象とされることを確保するべきである。これには、路上、学校、図書館、スポーツ・娯楽施設および商業施設(店舗や映画館を含む)のような公的な場所ならびに家庭が含まれる。 75.子どもたちを対象とするいかなる監視も、関連する自動化された個人データ処理とともに、プライバシーに対する子どもの権利を尊重して行なわれなければならず、かつ、日常的に、無差別に、または子どもが(もしくは乳幼児の場合にはその親もしくは養育者が)知らないところで実施されるべきではない。そのような監視は、商業的場面ならびに教育およびケアの場面において、当該監視に反対する権利が認められないまま行なわれるべきでもなく、かつ、所期の目的を果たすために利用可能なもっともプライバシー干渉度の低い手段が常に考慮されるべきである。 76.デジタル環境は、プライバシーに対する子どもの権利の尊重に関して、親・養育者に特有の問題を生じさせる。安全目的でオンライン活動をモニターするテクノロジー(追跡デバイスや追跡サービスなど)は、慎重に運用されなければ、子どもがヘルプラインにアクセスしたりデリケートな情報を検索したりすることの妨げとなる可能性がある。締約国は、子どもたち、親および養育者ならびに公衆に対し、プライバシーに対する子どもの権利の重要性について、また自分自身の対応が当該権利をどのように脅かしかねないかについて、助言を提供するべきである。どのように対応すれば、子どもたちの安全を保ちつつ、デジタル環境との関連で子どもたちのプライバシーを尊重しかつ保護できるかについても助言を提供することが求められる。親および養育者による子どものデジタル活動のモニタリングは、比例性を有しており、かつ子どもの発達しつつある能力にしたがって行なわれるべきである。 77.身元を保護するオンラインアバターまたはオンライン名を使用している子どもたちは多く、このような対応は子どもたちのプライバシー保護に関して重要なものとなり得る。締約国は、匿名による実践が有害なまたは不法な行動(たとえばネット上の攻撃、ヘイトスピーチまたは性的搾取・虐待など)を隠すために常用されないことを確保しつつ、匿名性に対するセーフティ・バイ・デザインおよびプライバシー・バイ・デザインを統合したアプローチを要求するべきである。デジタル環境における子どものプライバシーの保護は、親もしくは養育者自身が子どもの安全にとって脅威となっている場合または子どもの養育をめぐって紛争中である場合に、きわめて重要になり得る。このような事案では、プライバシーに対する子どもの権利を保護するため、さらなる介入および家族カウンセリングその他のサービスが必要となる場合がある。 78.デジタル環境における子どもたち向けの防止サービスまたは相談サービスの提供者は、子どものユーザーが当該サービスにアクセスするために親の同意を得なければならないとするいかなる要件からも免除されるべきである [38]。このようなサービスは、プライバシーおよび子どもの保護に関する高い基準の遵守が求められる。 [38] 一般的意見20号(2016年)、パラ60。 F.出生登録およびアイデンティティに対する権利 79.締約国は、保健、教育および福祉を含むサービスへのアクセスを促進するため、すべての新生児が国の公的機関によってその出生を登録されかつ公式に承認されることを可能にする、デジタル身元確認システムの活用を促進するべきである。出生登録が行なわれないことは、条約およびその選択議定書に基づく子どもたちの権利の侵害を助長する。締約国は、とくに遠隔地の子ども、難民および移住者である子ども、危険な状況にある子どもならびに周縁化された状況にある子どもを対象として出生登録へのアクセスを確保するため、移動登録班を含む最新のテクノロジーを活用するとともに、デジタル身元確認システムの前に出生した子どもも対象とするべきである。このようなシステムが子どもたちにとって有益なものとなるようにするため、締約国は、意識啓発キャンペーンを実施し、モニタリング機構を設置し、コミュニティの関与を促進し、かつ、民事登録担当官、裁判官、公証人、保健担当官および子どもの保護機関要員間の効果的調整を確保するよう求められる。締約国はまた、プライバシーおよびデータ保護に関する確固たる枠組みが整備されていることも確保するべきである。 VII.子どもに対する暴力 80.デジタル環境は、子どもが暴力を経験する状況や自分自身または他者に害を与えるよう感化される可能性がある状況を助長することにより、子どもたちに対して暴力が加えられる新たな道を開く可能性がある。パンデミックなどの危機にあっては、このような状況では子どもたちがバーチャルプラットフォームで過ごす時間が増えることに鑑み、オンラインにおける害のリスクが高まるおそれがある。 81.性犯罪者は、性的目的で子どもを勧誘したり、オンラインでの子どもの性的虐待に(たとえばライブビデオストリーミングによって、子どもの性的虐待表現物の製造および頒布によってならびに児童エロチカを通じて)参加したりする目的で、デジタルテクノロジーを利用する可能性がある。デジタル化で容易になる諸形態の暴力および性的搾取・虐待は、子どもが信頼する人間関係のなかで、家族もしくは友人によってまたは思春期の子どもの場合には親密なパートナーによって行なわれる場合もあり、またネット上の攻撃(いじめおよび名誉への脅威を含む)、同意を得ずに行なわれる性的テキストまたは画像の作成またはシェア(誘惑や強要による自製コンテンツなど)および自傷行動(刃物による自傷、自殺行動または摂食障害など)の促進などが含まれ得る。子どもがこのような行動をとった場合、締約国は、可能な場合には常に、関係する子どもを対象とする予防、安全確保および修復的司法のアプローチを追求するべきである [39]。 [39] 一般的意見24号(2019年)、パラ101およびCRC/C/156〔子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書の実施に関するガイドライン〕、パラ71。 82.締約国は、デジタル環境における暴力から子どもたちを保護するための立法上および行政上の措置をとるべきである。これには、デジタル環境におけるあらゆる形態の暴力に関わってすでに認識されているリスクおよび新たに生じつつあるリスクから子どもたちを保護する確固たる法令上および制度上の枠組みを定期的に見直し、改定しかつ執行することが含まれる。このようなリスクには、身体的または精神的暴力、傷害または虐待、ネグレクトまたは不適切な取扱い、搾取および虐待(性的搾取・虐待を含む)、子どもの人身取引、ジェンダーに基づく暴力、ネット上の攻撃、サイバーアタックならびに情報戦が含まれる。締約国は、子どもたちの発達しつつある能力にしたがって安全措置および保護措置を実施するべきである。 83.デジタルテクノロジーは、テロリストまたは暴力的過激主義者の指定を受けた武装集団を含む非国家集団が、暴力への関与または参加を目的として子どもたちを募集しかつ搾取するための新たな道を開き得る。締約国は、テロリスト集団または暴力的過激主義者集団による子どもの募集が法律で禁じされることを確保するべきである。このような文脈で刑事上の罪を問われた子どもは第一次的には被害者として扱われるべきだが、告発される場合には子ども司法制度を適用することが求められる。 VIII.家庭環境および代替的養護 84.多くの親および養育者は、デジタル環境との関連で子どもたちを援助するための技術的理解、能力およびスキルを発展させるために支援を必要としている。締約国は、親および養育者がデジタルリテラシーを獲得し、テクノロジーがどのように子どもの権利の支えになり得るかを学び、かつオンラインの害の被害を受けた子どもを認識して適切に対応するための機会を持てることを確保するべきである。不利な立場または脆弱な状況に置かれた子どもたちの親および養育者に対し、特別な注意を払うことが求められる。 85.デジタル環境に関する支援と指針を親および養育者に提供するにあたり、締約国は、子どもの発達しつつある能力にしたがって子どもたちの自律性の高まりおよびプライバシーの必要性を尊重することに関する意識を促進するべきである。締約国は、子どもたち(親および養育者が想定するよりも低い年齢の子どもたちを含む)はデジタルな機会をしばしば積極的に利用して実験するものであり、かつリスクに遭遇する可能性があることを考慮するよう求められる。子どもたちからは、とくに親および養育者のアプローチが懲罰的であり、過剰に制限的であり、または自分の発達しつつある能力にあわせて修正されていない場合に、自分たちのデジタル活動に関してもっと支援と励ましがほしいと報告する声もあった [40]。 [40] "Our rights in a digital world", p.30. 86.締約国は、親および養育者に提供される支援と指針が、親子関係の特殊性および特有の性質に関する理解に基づくものであるべきことを考慮するよう求められる。このような指針は、親が、禁止または管理よりも相互の共感と尊重に基づき、子どもの保護と高まりつつある自律性との間で適切なバランスを維持することを支援するようなものであるべきである。親および養育者が親としての責任と子どもの権利とのバランスを維持する一助とするため、子どもの発達しつつある能力の考慮とあわせて適用される子どもの最善の利益を指導的原則とすることが求められる。親および養育者向けの指針では、デジタル環境における子どもたちの社会的活動、創造的活動および学習活動が奨励されるべきであり、かつ、デジタル機器の利用が、子どもたち同士のまたは子どもたちと親または養育者との、応答性に満ちた直接の相互交流にとって代わるべきではないことが強調されるべきである。 87.家族と離れ離れになった子どもがデジタルテクノロジーにアクセスできることは重要である [41]。科学的知見が示すところによれば、デジタルテクノロジーは、たとえば親が別居している場合〔もしくは〕子どもが代替的養護に措置された場合に家族関係を維持するうえで、子どもと養親または里親の候補との関係を確立するうえで、または人道危機の状況下にある子どもが家族と再会できるようにするうえで、有益なものとなる。したがって、家族が離れ離れになっている状況下で、締約国は、子どもの安全および最善の利益を考慮しながら、子どもたちおよびその親、養育者またはその他の関係者を対象として、デジタルサービスへのアクセスを支援するべきである。 [41] 一般的意見21号(2017年)、パラ35。 88.デジタルインクルージョンを増進させるための措置は、親もしくは他の家族構成員または養育者(同居しているか別居しているかを問わない)が子どもを危険な状況に置く可能性がある場合には、子どもを保護する必要性とのバランスが図られるべきである。締約国は、このようなリスクが、デジタルテクノロジーの設計および利用を通じて(たとえば人権侵害を行なう可能性のある者に対して子どもの位置情報が明らかにされることによって)発生する可能性があることを考慮するよう求められる。締約国は、これらのリスクを認識して、セーフティ・バイ・デザインおよびプライバシー・バイ・デザインを統合したアプローチを要求するとともに、親および養育者がこのようなリスクおよび子どもを支援しかつ保護するために利用可能な戦略について十分に認識していることを確保するべきである。 IX.障害のある子ども 89.デジタル環境は、障害のある子どもたちが他の子どもたちと社会的関係を結び、情報にアクセスし、かつ公的意思決定プロセスに参加する新たな経路を開くものである。締約国は、このような新たな経路を追求するとともに、新たな障壁が生み出されることを防止し、かつデジタル環境に関連して障害のある子どもたちが直面している障壁を克服するための措置をとるよう求められる。 90.さまざまな態様の障害(身体障害、知的障害、心理社会的障害、聴覚障害および視覚障害を含む)がある子どもたちは、コンテンツの形式がアクセシブルではないこと、家庭、学校およびコミュニティにおける負担可能な支援テクノロジーへのアクセスが限られていること、学校、保健施設その他の環境でデジタル機器の使用が禁じられていることなど、デジタル環境へのアクセスに関してさまざまな障壁に直面している。締約国は、障害のある子どもたちがアクセシブルな形式のコンテンツにアクセスできることを確保し、かつ、これらの子どもたちに差別的影響を及ぼす政策を廃止するべきである。締約国は、とくに貧困下で暮らしている障害のある子どもを対象として、必要な場合には負担可能な支援テクノロジーへのアクセスを確保するとともに、障害のある子どもたち、その家族および教育施設その他の関連の現場の職員がデジタルテクノロジーを効果的に活用するための十分な知識およびスキルを身につけられるよう、意識啓発キャンペーンおよび訓練の実施ならびにリソースの提供を図るよう求められる。 91.締約国は、さまざまな態様の障害がある子どもの必要を満たす技術的革新を促進するとともに、デジタル製品およびデジタルサービスが、すべての子どもが例外なくかつ調整を必要とせずに利用できるよう、ユニバーサルアクセシビリティを目指して設計されることを確保するべきである。デジタル環境における障害のある子どもたちの権利の実現に影響を及ぼす政策、製品およびサービスの設計および提供には、障害のある子どもたちの関与を得ることが求められる。 92.障害のある子どもたちは、デジタル環境において、ネット上の攻撃および性的搾取・虐待を含むリスクにいっそうさらされる可能性がある。締約国は、障害のある子どもたちが直面するリスクを特定しかつこれに対処して、これらの子どもたちが直面する過剰な保護または排除につながりかねない偏見に対抗しつつ、デジタル環境がこれらの子どもたちにとって安全であることを確保するための措置をとるべきである。デジタル環境に関連する安全情報、保護方策および広報情報、サービスならびにフォーラムは、アクセシブルな形式で提供することが求められる。 X.基礎保健および福祉 93.デジタルテクノロジーは、保健サービスおよび保健情報へのアクセスを促進し、かつ妊産婦、新生児および児童期・思春期の子どもの身体的および精神的健康ならびに栄養のための診断・治療サービスを向上させ得る。デジタルテクノロジーはまた、不利な立場もしくは脆弱な状況に置かれた子どもたちまたは遠隔地の子どもたちにサービスを行き届かせる重要な機会を提供するものでもある。公の緊急事態または保健上もしくは人道所の危機の際には、デジタルテクノロジーを通じた保健サービスおよび保健情報へのアクセスが唯一の選択肢となる場合もあり得る。 94.子どもたちが報告するところによれば、子どもたちは、健康およびウェルビーイングに関連する情報および支援(身体的健康、精神的健康、セクシュアル/リプロダクティブヘルス、第2次性徴および避妊に関わるものを含む)をオンラインで検索することを重視している [42]。とくに思春期の子どもたちは、精神保健およびセクシュアル/リプロダクティブヘルスに関する、無償で、秘密が守られ、年齢にふさわしくかつ差別的ではないサービスにオンラインでアクセスしたいと考えている [43]。締約国は、子どもたちが、信頼できる保健情報および保健サービス(心理相談サービスを含む)に安全に、安心してかつ秘密が守られる形でアクセスできることを確保するべきである [44]。これらのサービスは、サービス遂行のために必要な限度を超えて子どもたちのデータを処理するべきではなく、かつ専門家または適切な訓練を受けた者によって提供されるべきであり、また規制された監督の仕組みをともなっていることが求められる。締約国は、デジタル化された保健製品および保健サービスによって、対面型保健サービスへの子どもたちのアクセスにおける不平等が生じまたは強化されないことを確保するべきである。 [42] "Our rights in a digital world", p.37. [43] 一般的意見20号(2016年)、パラ59。 [44] 前掲、パラ47および59。 95.締約国は、子どもたちの特有の保健ニーズに焦点を当て、かつ技術の進歩を通じて子どもたちにとっての肯定的な健康アウトカムを促進するような調査研究および開発を奨励し、かつこのような調査研究および開発への投資を行なうよう求められる。デジタルサービスは、子どもたちに対する対面型保健サービスの提供を補完しまたは向上させるために利用されるべきである [45]。締約国は、規制の導入または改定により、保健テクノロジーおよび保健サービスの提供者に対して、その機能、コンテンツおよび頒布の中心に子どもの権利を位置づけるよう要求することが求められる。 [45] 前掲、パラ47-48。 96.締約国は、誤情報ならびに子どもの精神的または身体的健康を害する可能性がある資料およびサービスの拡散を防止するため、既知の害に対して規制を行なうとともに、公衆衛生セクターで新たに判明した調査研究の結果およびエビデンスを積極的に考慮するべきである。デジタルゲームまたはソーシャルメディアへの不健康な関与を防止するための措置(子どもたちの発達および権利を阻害するデジタルデザインの機制など)も必要になる場合がある [46]。 [46] 一般的意見15号(2013年)、パラ84。 97.締約国は、身体活動および社会的活動を含む健康的なライフスタイルを促進するためのデジタルテクノロジーの利用を奨励するべきである [47]。特定の食料品および飲料品、アルコール、薬物ならびにタバコその他のニコチン製品を含む不健康な製品の販売促進に子どもたちがさらされることを防止するため、締約国は、ターゲティングによるまたは年齢にふさわしくない広告、マーケティングまたは他の関連のデジタルサービスを規制するよう求められる [48]。デジタル環境に関連するこのような規制は、オフライン環境における規制と両立しかつ足並みを揃えるようなものであるべきである。 [47] 一般的意見17号(2013年)、パラ13。 [48] 一般的意見15号(2013年)、パラ77。 98.デジタルテクノロジーは、休息、運動ならびに仲間、家族およびコミュニティとの直接的相互交流の必要性とのバランスがとられている場合には、子どもたちが健康およびウェルビーイングを向上させる多くの機会を与えてくれる。締約国は、子どもたち、親、養育者および教育者を対象として、デジタル活動と非デジタル活動および十分な休息との健康的バランスの重要性に関する指針を策定するべきである。 XI.教育、余暇および文化的活動 A.教育に対する権利 99.デジタル環境は、質の高いインクルーシブな教育(フォーマルな学習、インフォーマルな学習、子どもたち同士の学習および独学のためのリソースを含む)への子どもたちのアクセスをおおいに可能にしかつ増進させることにつながり得る。デジタルテクノロジーの活用により、教員・生徒間および学習者間のエンゲージメントも強化される可能性がある。子どもたちは、教育へのアクセスを向上させ、かつ学習および課外活動への参加を支えるうえでデジタルテクノロジーが重要であることを強調している [49]。 [49] "Our rights in a digital world", pp.14, 16 and 30. 100.締約国は、多様かつインタラクティブなデジタル学習リソース(先住民族に関するリソースを含む)および子どもたちが理解できる言語でのリソースに子どもたちがアクセスできるようにするため、文書館、図書館および博物館のような教育・文化施設を支援するべきである。これらのものをはじめとする貴重なリソースは、子どもたちが自分たち自身の創造的、市民的および文化的実践に従事することの支えとなり、かつ他者の実践について学べることにつながる可能性がある [50]。締約国は、オンライン学習および生涯学習のための子どもたちの機会を増進するべきである。 [50] 一般的意見17号(2013年)、パラ10。 101.締約国は、学校その他の学習現場における技術インフラに対して公平な投資を行ない、十分な数のコンピューター、良質かつ高速なブロードバンドおよび安定した電源、デジタル教育テクノロジーの活用に関する教員研修、アクセシビリティならびに学校テクノロジーの時宜を得たメンテナンスが利用可能でありかつ負担可能であることを確保するべきである。締約国はまた、多様かつ良質なデジタル教育リソースが子どもたちの理解できる言語で制作されかつ普及されることを支援し、かつ、既存の不平等(女子が経験している不平等など)が悪化しないようにすることも求められる。締約国は、デジタルテクノロジーの活用が対面型教育を阻害しないことおよび教育目的のために正当なものであることを確保するべきである。 102.学校に物理的に出席していない子どもたちや、遠隔地に暮らしておりまたは不利な立場もしくは脆弱な状況に置かれている子どもたちにとっては、デジタル教育テクノロジーによって遠隔学習または移動学習が可能となり得る [51]。締約国は、遠隔学習のために必要な基本的便益(機器、電気、接続環境、教材および専門的支援へのアクセスを含む)にすべての子どもたちがアクセスできるようにするための適正なインフラが整備されることを確保するべきである。締約国はまた、学校が親および養育者に対して家庭での遠隔学習に関する指針を示すための十分な資源を有すること、ならびに、デジタル教育のための製品およびサービスが、対面型教育サービスへの子どもたちのアクセスに関する不平等を生じさせまたは悪化させないことを確保するべきである。 [51] 女性差別撤廃委員会の合同一般的勧告31号/子どもの権利委員会の合同一般的意見18号(2019年)、パラ64ならびに子どもの権利委員会、一般的意見11号(2009年)、パラ61および一般的意見21号(2017年)、パラ55。 103.締約国は、学校と、価値のある教育上の利点の提供を増進させることを目的として教育テクノロジー・教材の調達および利用に責任を負うその他の関連機関を対象とする、エビデンスに基づいた政策、基準およびガイドラインを策定するべきである。デジタル教育テクノロジーに関する基準においては、これらのテクノロジーの利用が倫理にかなっておりかつ教育目的にとって適切であること、ならびに、子どもたちが暴力、差別、個人データの悪用、商業的搾取またはその他の権利侵害(子どもの活動を記録し、かつ子どもが知らないまままたは子どもの同意を得ずに当該記録を親または養育者と共有するためにデジタルテクノロジーを利用することなど)にさらさないことを確保するよう求められる。 104.締約国は、デジタルリテラシーが、就学前の段階から全学年を通じて基礎教育カリキュラムの一環として学校で教えられること、および、このような教育方法がその成果に基づいて評価されることを確保するべきである [52]。カリキュラムには、幅広い範囲のデジタルツールおよびデジタルリソースを安全に取り扱うための知識およびスキル(コンテンツ、制作、合作、参加、社会化および市民的関与に関連するものを含む)を含めることが求められる。カリキュラムにはまた、批判的思考、信頼できる情報源を見つけ出しかつ誤情報およびその他の形態のバイアスがかかったまたは虚偽のコンテンツ(セクシュアル/リプロダクティブヘルス関連の問題を含む)を判定する方法に関する指針、デジタル環境における子どもの権利を含む人権ならびに利用可能な形態の支援および救済措置も含まれるべきである。締約国はまた、コンテンツ、接触、行動および契約に関連するリスク(ネット上の攻撃、人身取引、性的搾取・虐待その他の形態の暴力を含む)にさらされることによって生じる可能性のある悪影響と、害を低減させるための対処方策ならびに自分自身および他人の個人データを保護する方策および子どもたちの社会的・情緒的スキルとレジリエンスを構築するための方策に関する意識を、子どもたちの間で促進するべきである。 [52] 一般的意見20号(2016年)、、パラ47。 105.子どもたちが、デジタル環境(そのインフラ、事業慣行、巧みな誘導戦略ならびに自動化処理および個人データの利用ならびに監視を含む)と、デジタル化が社会に及ぼす可能性のある悪影響について理解することは、ますます重要になっている。教員、とくにデジタルリテラシー教育およびセクシュアル/リプロダクティブヘルス教育を行なう教員は、デジタル環境に関わる安全確保についての研修を受けるべきである。 B.文化、余暇および遊びに対する権利 106.デジタル環境は、子どもたちのウェルビーイングおよび発達にとって不可欠である、文化、余暇および遊びに対する子どもたちの権利の促進につながる [53]。すべての年齢層の子どもたちが、自ら選んださまざまなデジタル製品およびデジタルサービスに関与することを通じて喜び、興味および気晴らしを経験したこと [54] とともに、他方で、デジタル環境での遊びがどれほど大切か、またそれを友達とどのように共有できるかについて大人がわかってくれないかもしれないと心配していることを報告している [55]。 [53] 一般的意見17号(2013年)、パラ7。 [54] "Our rights in a digital world", p.22. [55] 一般的意見17号(2013年)、パラ33。 107.デジタルな形態の文化、レクリエーションおよび遊びは、子どもたちの支えおよび利益になり、かつ子どもたちのさまざまなアイデンティティ、とくに文化的アイデンティティ、言語および遺産を反映しかつ促進するようなものであるべきである。このことは、子どもたちの社会的スキル、学習、表現、音楽・芸術などの創造的活動、帰属感および共有された文化の促進につながり得る [56]。オンラインでの文化的生活への参加は、創造性、アイデンティティ、社会的結束および文化的多様性に貢献する。締約国は、子どもたちが、情報通信技術を試し、自己表現し、かつオンラインで文化的生活に参加するために自由時間を利用する機会を持てることを確保するべきである。 [56] 前掲、パラ5。 108.締約国は、デジタルテクノロジーおよびデジタルサービスであって余暇時間の子どもたち向けのもの、余暇時間に子どもたちがアクセスするものまたは余暇時間の子どもたちに影響を及ぼすものが、文化、レクリエーションおよび遊びに関する子どもたちの機会を増進させるようなやり方で設計され、頒布されかつ利用されることを確保するため、規制を行ない、かつ専門家、親および養育者向けの指針を示すとともに。デジタルサービス提供者と適宜連携するべきである。これには、子どもたちの自律、人格形成および楽しみを支えるデジタル環境での遊びおよび関連の活動に関する革新を奨励することも含まれ得る。 109.締約国は、デジタル環境における文化、余暇および遊びの機会の促進と、子どもたちが生活している物理的場所での魅力的な選択肢の提供とのバランスがとられることを確保するべきである。とくに乳幼児期には、子どもたちの言語、協調、社会的スキルならびに感情的知性は、もっぱら身体運動および他者との直接の対面型相互交流をともなう遊びを通じて獲得される。年長の子どもたちにとっては、身体活動をともなう遊びおよびレクリエーション、チームスポーツならびにその他の野外レクリエーション活動は、健康上の利益ならびに機能的および社会的スキルの獲得をもたらし得るものである。 110.余暇時間をデジタル環境で過ごすことにより、子どもたちは、たとえばそれとはわかりにくい広告もしくは誇大広告または著しく誘導的もしくは射幸的なデザイン上の特徴を通じて、害を受けるリスクにさらされる可能性がある。締約国は、データ保護、プライバシー・バイ・デザインおよびセーフティ・バイ・デザインのアプローチならびにその他の規制措置を導入しまたは活用することによって、企業が、これらの技法および子どもの利益よりも商業的利益を優先させることを目的としたその他の技法を用いて子どもたちをターゲットとすることがないようにするべきである。 111.締約国または企業が、デジタル環境における特定の形態の遊びおよびレクリエーションに関して指針の提示、年齢によるレーティング、ラベリングまたは認証を行なう場合、それらの指針等は、デジタル環境全体への子どもたちのアクセスを縮小し、または子どもたちの余暇機会もしくはその他の権利に干渉しないような形で作成されるべきである。 XII.特別な保護措置 A.経済的、性的その他の形態の搾取からの保護 112.子どもたちは、デジタル環境との関連で、その福祉のいかなる側面にとっても有害なあらゆる形態の搾取から保護されるべきである。搾取は、児童労働を含む経済的搾取、性的搾取・虐待、子どもの売買、取引および誘拐ならびに犯罪活動(サイバー犯罪を含む)に参加させるための子どもの募集など、多くの形態をとって行なわれる可能性がある。子どもたちは、コンテンツを制作しかつシェアすることによってデジタル環境で経済的主体となり、その結果として搾取される可能性もある。 113.締約国は、子どもたちが経済的、性的その他の形態の搾取から保護され、かつ、デジタル環境での仕事に関わる子どもたちの権利および関連する報酬の機会が保護されることを確保するため、関連の法律および政策を見直すべきである。 114.締約国は、適切な執行の仕組みが設けられることを確保するとともに、適用される保護へのアクセスに関して子どもたち、親および養育者を支援するべきである [57]。締約国は、子どもたちが有害な物品(武器もしくは薬物など)またはサービス(賭け事など)から保護されることを確保するための法律を制定するよう求められる。子どもたちが自己所有または自己使用のために不法な製品およびサービスにアクセスすることを防止するため、しっかりした年齢認証システムが利用されるべきである。そのようなシステムは、データ保護および安全確保に関わる要件に一致したものであることが求められる。 [57] 一般的意見16号(2013年)、パラ37。 115.人身取引(その構成要素である行動および関連の行為を含む)を捜査し、訴追しかつ処罰する国家の義務を考慮し、締約国は、人身取引対策法を策定しかつ更新して、テクノロジーによって容易になる犯罪集団による子どもたちの募集が禁止されるようにするべきである。 116.締約国は、デジタル環境で発生する犯罪(詐欺および個人情報の不正な取得・利用を含む)子どもたちを保護し、かつデジタル環境における犯罪が捜査および訴追の対象とされることを確保するために十分な資源を配分することを目的とした、適切な法律が整備されることを確保するべきである。締約国はまた、このような犯罪のリスクを最小化するため、子どもたちが利用するデジタルサービスおよびデジタル製品に関して高水準のサイバーセキュリティ、プライバシー・バイ・デザインおよびセーフティ・バイ・デザインを要求することも求められる。 B.子ども司法の運営 117.子どもたちは、サイバー犯罪法に違反したとして申し立てられ。罪を問われまたは認定される可能性がある。締約国は、政策立案者が、このような法律が子どもたちに及ぼす影響を考慮し、防止に焦点を当て、かつ、刑事司法上の対応に代わる選択肢を設けかつ活用するためにあらゆる努力を払うことを確保するべきである。 118.子どもたちによる自撮りの性的表現物であって、本人の同意を得て、かつ自分たち自身の私的利用のみを目的として所持しかつ(または)シェアするものは、犯罪化されるべきではない。性的にあからさまな自撮りコンテンツに関して子どもたちが安全に助言および援助を求められるようにするための、子どもにやさしい回路が設けられるべきである。 119.締約国は、犯罪の防止、捜査および訴追において配備されているデジタルテクノロジー、監視機構(顔認証ソフトウェアなど)およびリスクプロファイリングが、刑事犯罪について容疑をかけられまたは告発されている子どもを不公正に対象とする目的で使用されず、かつその権利、とくにプライバシー、尊厳および結社の自由に対する権利を侵害するようなやり方で使用されないことを確保するべきである。 120.委員会は、裁判手続のデジタル化によって子どもとの対面での接触が行なわれなくなる場合、子どもとの関係の発展を踏まえた更生措置および修復的司法措置に悪影響が生じる可能性があることを認識する。このような場合には、また子どもが自由を奪われている場合にも、締約国は、裁判所に意味のある形で関与する子どもの能力および子どもの更生を促進するため、対面での接触を行なうようにするべきである。 C.武力紛争下の子ども、移住である子どもおよび他の脆弱な状況に置かれた子どもの保護 121.デジタル環境は、脆弱な状況下で暮らしている子どもたち(武力紛争下の子ども、国内避難民である子ども、移住者、庇護希望者および難民である子ども、保護・養育者に付き添われていない子ども、路上の状況にある子どもならびに自然災害の影響を受けている子どもを含む)に対し、その保護にとってきわめて重要な死活的情報へのアクセスを提供し得る。デジタル環境はまた、これらの子どもたちが、家族との接触を維持し、教育、保健その他の基礎的サービスにアクセスし、かつ食料および安全なシェルターを手に入れることも可能にし得る。締約国は、このような子どもたちがデジタル環境に安全に、確実に、秘密が守られかつ有益な形でアクセスできることを確保するとともに、あらゆる形態の暴力、搾取および虐待からこれらの子どもたちを保護するべきである。 122.締約国は、子どもたちがデジタル環境を通じて紛争(武力紛争を含む)で徴募されまたは使用されないことを確保するべきである。これには、たとえばソーシャルネットワーキングプラットフォームまたはオンラインゲームのチャットサービスを通じてさまざまな形態で行なわれる、テクノロジーによって容易になる子どもたちの勧誘およびグルーミング〔性的目的での勧誘〕を防止し、犯罪化しかつ制裁の対象とすることが含まれる。 XIII.国際的および地域的協力 123.国境および国家を超えるデジタル環境の性質により、国、企業その他の主体がデジタル環境との関連で子どもたちの権利を効果的に尊重し、保護しかつ充足することを確保するためには、強力な国際的および地域的協力が必要となる。したがって、締約国が、国内的および国際的非政府組織、国連機関、企業ならびにデジタル環境との関連における子どもの保護および人権を専門とする組織と個別かつ多面的に連携することは、きわめて重要である。 124.締約国は、専門的知見および優れた実践の国際的・地域的交流を促進しかつこれに貢献するとともに、デジタル環境における子どもたちの権利のすべての国による実現を可能とする能力構築、資源、基準、規則および保護措置を、国境を越えて確立しかつ促進するべきである。締約国は、デジタル環境における犯罪の共通定義の策定、共助ならびに証拠の共同収集および共有に努めるよう求められる。 XIV.普及 125.締約国は、この一般的意見が、デジタルテクノロジーも活用しながら、すべての関係者、とくに議会および政府機関(横断的および部門別デジタルトランスフォーメーションを担当する機関を含む)ならびに司法機関、企業、メディアおよび市民社会の関係者、公衆一般ならびに教育舎および子どもたちに広く普及され、かつ、複数の形式および言語(年齢にふさわしいバージョンを含む)で利用可能とされることを確保するべきである。 更新履歴:ページ作成(2021年4月28日)。