約 892,040 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/803.html
直接的な虐待はありません 愛でられたゆっくりについてはまったく知りません ドスまりさが出ます ちょろっとあにゃる ここは加工所にあるゆっくり養殖場、ここでは名の通りゆっくりを養殖しそれを実験等に使っている。 ここで生まれてくるゆっくりは四種、れいむ、まりさ、ぱちゅにありす。どれも植物型にんっしんで生まれてくる 食用にされる事は無く、ドスのいる群れゆっくりとしてなるべく野生に近く育てられる。 必要に応じ赤ゆっくり、子ゆっくり、時には成体ゆっくりを繁殖飼育させていた。 そんなある日いつものようにゆっくり収穫作業をしていた加工所の職員は思った。 (ここで育つゆっくりや野性ゆっくりはほとんどがゆっくり出来ずに死んでいく。愛でられた飼いゆっくりは人の手でゆっくりさせられたものだし、野生に近い状態で最後の最後までゆっくりさせ続けたらどうなるのか?) 思い立ったが吉日、職員は上司に掛け合いまだ実の状態の赤れいむをそれはそれはゆっくりと育てる事にした。 「ゆっきゅりちていってね!」 「「ゆー!!この赤ちゃんれいむはとってもきれいおかざりをしてるよ!」」 この赤れいむは生まれた瞬間からとてもゆっくりしていた。 ここでは固体識別のため、実の状態からそれぞれの飾りにタグが付けられている。職員がれいむのそれを特別綺麗なものにしたので 大好きな母れいむと父まりさがこの特別なれいむの誕生を一番喜んでくれたのだ。 れいむは五匹姉妹の真ん中、姉も妹もとっても褒めてくれた。 赤れいむはとてもゆっくりしていた。 おかーさんは初めてのご飯のときれいむにだけ口移しでくれた。 おとーさんはれいむに一番長くすーりすーりしてくれた。 皆と一緒にドスにあいさつしに行ったときドスと補佐役のぱちゅりーは群れで生まれた赤ちゃんの中で一番気に入ってくれた。 この赤れいむが子れいむになるときにはとてもゆっくり出来る友達が出来た。 狩りが得意なまりさ、れいむもびっくりするほど綺麗で上品なありす、おとーさんおかーさんより物知りなぱちゅりー。 いっつも四匹で遊んでいた、時々群れの広場から離れて冒険したときは必ずあまあまさんを見つけた。 れいむに嫉妬しいじめるゆっくりは何故か次の日になると居なくなっていた。 れいむが成体近くになる頃、まりさとぱちゅは次のドスと補佐役と言われるほどになった。 友達がそれ程になるのはれいむにとっても嬉しかったし自慢になったけれど とっても綺麗で皆に優しいありすにけっこんしましょうと言われた事がれいむにとって一番だった。 おとーさんおかーさんが居なくなった時、群れの子供や赤ちゃんが突然消えたとき、ドスやぱちゅが引退すると言ったとき とても悲しかったけど、その都度ありすやドスとなったまりさ、たくさんの言葉で慰めてくれたぱちゅやありすと育てた子供達がいたおかげで立ち直れた。 それかられいむはとてもとてもゆっくりと過ごした・・・ そしてれいむにとって最後の日 その日は群れ総出でれいむの最後を見守った。 「ゆぅ…れいむはもうたくさんゆっくりできたよ…みんなのおかげだよ」 「でいぶうううう!ありずをおいてかないでええええ!!」 「おがーざあああんゆっぐりじでよおおおおお!!!」 「むきゅ…ありすにこどもたち、かなしんじゃだめ。れいむをみて、いまとってもゆっくりしているわ、これはゆー往生といってとくべつなものなのよ」 「ゆー往生?ぱちゅ!ドスにそれをおしえてね!」 「とてもゆっくりしたゆっくりだけがたどりつけるさいごのことよ、れいむもみんなもゆっくりできるの」 「でもれいむはゆっくりしてないよ!れいむ!ゆっくりして!」 「ゆ…こどもたち…ゆっくりしたおとなになってね。まりさにぱちゅ、これからも皆をゆっくりさせてね」 「ありす、れいむひとりになるのがこわいよ・・・さみしい・・・よ」 「「「「ゆううううう!!!れいむうううううう!!!!」」」 「ご、こどもだぢ!おがあざんにずーりずーりじまじょうね!!」 「おがあざん!ずーりずーり!だいずぎだよおおおお!!!」 ゆー往生って何だ、それより何も起きないのかとモニタ越しに見ていた職員が思ったその瞬間 「ありずはでいぶとずっといっいっいっんほおおおおおお!」 突然発情したかと思えばありすの目、口、あにゃるからカスタードがゆっくり目で見て致死量だと分かるほど漏れ出す。 「ゆ、ゆぎゃああああおどおざああああゆっぐ、ぐるじ・・・ゆっゆっあぶっゆ゙っ!」 ありすの異変に駆け寄ろうとした子供達はなんと爆裂してしまった 「ぱちゅ!こ、これはいったいどういうこと!?ありすとこどもたちががしんじゃったよ!」 「むきゅうううううん!わからないわ!なんでごっ!!ぶっ・・・ぶぎゅう!」 続いてぱちゅりーも、そしてまわりで見ていたゆっくりたちも 「ゆー!どうなっでぐっぐぅ・・・」 「おかーしゃんどうちたの?ゆっ!ゆううううう・・・」 「ゆうう・・・こわいのけどなんだかすっきっきっきゆ゙っゆ゙っ」 「ま、まりさはとにかくにげゆばっっ!!」 「ごんなのどがいばじゃなびっ!!」 「むきゅっきゅっゆっゆっゆっ」 「みっみんなゆっくりしてね!ぱちゅはおへんじしてね!ドスどうすればいいかわかんないよ!」 どういうことだ、ありすの死を皮切りにほとんどのゆっくりが死んでいく。 ゆー往生、今わの際にゆっくりが餡の底からゆっくり出来たと思って初めて起こる・・・だっけか。 うーん、恐らくそれを見てゆっくりしたら中身を漏らして昇天、ゆっくりできなかったら爆発。 多少取り乱したが常々冷静にと言われていたドスと無関心だったゆっくりだけ免れたのか こいつらはとことんゆっくりできない運命にあるんだな・・・ 地獄を見た後さっさと帰ってしまったゆっくり、オロオロしているドス、男の心配を他所に れいむはとてもとてもゆっくりしていた。
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/792.html
ショータイム 34KB 『ショータイム』 序、 「ゆっくりできないにんげんさんはどこかいってね!!」 バスケットボールぐらいのサイズの饅頭…通称ゆっくりの“れいむ種”が頬に空気をため目の前 に立つ人間に向かって叫んだ。その饅頭の後ろには、四匹ばかりの赤ちゃんゆっくり…赤れいむと 赤まりさがそれぞれ二匹ずつ、震える身を寄せ合って泣いていた。 「あぁ…お前は別にどうでもいいんだ。後ろのガキをよこしなよ」 人間の男は親れいむを踏みつけ、棒読みで言い放つ。大好きなお母さんを足蹴にされた悔しさか らか勇敢な赤まりさは、親れいむの後ろから飛び出すと、小さな体を限界まで膨らませて、 「ぷっきゅぅうう!!!やめちぇにぇっ!まりしゃたちのおかーしゃんにひじょいこちょちにゃい でにぇっ!!!!!」 「ちび…ちゃん…かくれでてぇ…ゆぶぶぶぶぶぶ」 男は親れいむが潰れない程度に足に力をかけ、赤まりさに向かって唾を吐きかけた。男の唾液が 赤まりさの柔らかな顔と素敵な帽子に降りかかる。 「ゆきゃっ…き…きちゃにゃいよぅ…っ!!」 「汚物の分際で何言ってやがる」 男は笑いながら、もう二度三度唾を吐きかけた。赤まりさはたったそれだけで先ほどの威勢はど こへやら。ぴーぴー泣き出して親れいむの後ろにまた隠れてしまった。赤れいむの一匹が赤まりさ の頬をぺーろぺーろしながら慰めている。 どうやら、親れいむは自分の身に何があったとしても、赤ゆたちを渡すつもりはないらしい。歯 を食いしばり、涙目ではあるが芯の一本通った力強い眼差しで男を睨みつけていた。踏まれて顔の 形がやや変化しているものの、そこには野生動物の意地を感じた。 ゆっくりにしては珍しいタイプだろう。大概は自分の命と引き換えに子供の命など簡単にくれて やるゲスが多いはずなのだが、この親れいむは違った。 「さすが野生ゆっくり…。まだまだ純情なんだな…」 男は言いながら親れいむの顔の両側を両手でつかみ、持ち上げる。震える赤ゆたちが露わになる。 親れいむの大きな体に寄り添っていた赤ゆたちは、ぽてぽてと倒れ込む。 「ゆっ!」「ゆぅ…」「ゅ」「ゆうっ!」 親れいむは男に掴まれながらも必死にお尻を振って振りほどこうとしている。しかし、頭を抑え られていては動くことなどできない。挟まれた両手の中で、前に出ようとしたり後ろに顔を引っ込 めようとしたり、あらゆる方法を取ってみたが男の手から抜け出すことは叶わなかった。 「ゆ…ゆっくり…ゆっくり…」 頭が混乱すると極端に語彙が減る。鳴き声のバリエーションが減る…とでも言えばいいだろうか。 男はサーカス団の団員だった。まだ新人である彼は自分の芸というものを確立できてなどいなか ったのだ。そんなある日、街の中で小学生くらいの子供たちがゆっくりの家族を潰して遊んでいる 姿を見かけた。そこには子供たちの幸せそうな笑顔があった。笑顔のヒントを得た男は、適当に野 良ゆを捕まえると、それをゆっくり踏みつけ、徐々に潰していった。 足の裏にゆっくりの髪の毛と柔らかい頭の感触が広がり…足を押し込むことで変形した頭の皮が 足を包み込む…。甘美なる悲鳴と絶叫を耳に感じながら、さらに足を押し込む。目玉が飛び出す瞬 間のびくんっ!と皮ごと跳ねる一瞬の感触もたまらない。そして裂けた皮の間から漏れ出すあんこ のぬっとりした感覚。 「ひゃ…ヒャッハアアアアア!!!!!!」 人目も憚らず男は咆哮を上げた。湧きあがる高揚感を抑えることはできない。顔が…自然にほこ ろんでくる。 男は動物に芸を仕込む代わりに、ゆっくりに芸を仕込もうと考えた。上手くいけば新しいジャン ルが確立でき、上手くいかなったとしたら潰して捨てればいい。替えの効かない動物を調教するよ りも遥かに効率がいい。死ねばまた拾ってくればいいだけの話なのだから。 そんなわけで男は自然の中に足を踏み入れ、ゆっくり回収に勤しんでいたのだ。野生のまりさが 巣穴の中に入ろうとした瞬間を狙って捕まえ、踏みつぶし、巣穴の中に投げ入れる。それだけで家 族はぴょんぴょん飛び跳ねて巣穴の外に出てきた。そこを一網打尽にする予定だったが…親れいむ の思わぬ抵抗に遭い、現在に至るわけである。 抵抗、と言っても頬を膨らませ赤ゆたちの壁になるくらいのものでしかなかったわけだが。その 壁も今は綺麗に取り払われ、守るべき小さく儚い命は風前の灯である。男に捕まるのは恐ろしくて たまらなかったが、大好きな親れいむを置いて逃げるのも辛い。どうしていいかわからない赤ゆた ちは互いの顔をきょろきょろ見合わせながら、 「ゆっ」「ゆゆっ?!」「ゆ゛っ…」「ゆぅ…!」 泣き続ける。 「だいぶ混乱してるな。“ゆ”としか言えてませんよ?おちびちゃん…?」 男が赤ゆたちを嘲笑する。自分の子供を笑われた親れいむは当然ゆっくりできない。親れいむは 男に向かって唾を吐きかけた。汚い饅頭のねちょねちょした唾液が男の服を垂れる。親れいむは口 をもごもごさせると、 「ゆっくり、ぺっ、するよっ!!ぺっ!ぺっ!!」 親れいむの勇敢な行動に感動したのか、赤れいむと赤まりさは男の足元に近寄ると、 「ぴぇっ、すりゅにぇっ!」「ぴぇっ!!!ぴぇっ!!!!」 「にんげんさん、れいむをゆっくりはなしてねっ!そうしないとまた、ぺっ、するよ?」 男は親れいむを離さない。親れいむはまたぷくーっと頬を膨らませ口をもごもごさせる。 「ぺっ!!ぺっ!!!んべぇっっっ????!!!!!!」 素早い動きで親れいむの髪の毛を左手で掴むと、勢いよく右の拳を叩きつけた。その際、衝撃で 餡子が押し込まれたのか、親れいむのあにゃるからうんうんが少しだけ飛び出る。 「ゆ゛っ…ゆ゛っ…」 「お…おがああああじゃあああん!!!!」 「ゆっくちやめちぇにぇっ!!!!」 「おきゃーしゃんいちゃがっちぇりゅよっ!?」 殴る。 「ゆ゛げぇっ!!!」 殴る。 「ゆぼほぉっ…!!!」 まだ殴る。 「ぎびぃ!!!」 殴られた勢いで親れいむの汚い尻が力なく前後に揺れる。飛び出切らなかった親れいむのうんう んもあにゃるにくっついたまま、ぷらぷらしている。 「ゆ…ぐぢぃ………や…べ…でねぇ………」 親れいむの口から声が漏れる。赤ゆたちは恐ろしーしーを漏らしながら、大量の涙を流し続ける。 体中の水分が全部なくなるのではないかと思うほどだ。 「やめちぇえええ!おかーしゃんをいじめにゃいでぇぇ!!!」 赤まりさが叫ぶ。殴られた部分は腫れあがり、目を半分ほども覆っている。ぐしゃぐしゃのボロ 雑巾のようになった親れいむを草むらに放り投げる。餌に群がるピラニアのように集まる赤ゆたち。 「おきゃーしゃん!!おきゃーしゃああん!!!」 「ゆっくちしちぇにぇっ!!!ぺーりょ…ぺーりょ…」 「ゆっくちぃ!!!ゆっくちぃぃぃぃ!!!」 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆん…」 親れいむにすがりつく四匹の赤ゆたちを一匹ずつ掴んでは袋の中に投げ入れる。 「ゆああああん!!!くりゃいよぅ!おきゃーしゃん!!たしゅけちぇぇえぇえ!!!」 「ゆぶっ!ここはゆっくちできにゃいょう!!!」 「おきゃーしゃん!どこぉ??!!!!」 「どおちちぇこんにゃことしゅりゅにょぉおお???!!!!」 袋の口を縛り、地面に置く。四つの盛り上がりがもそもそと動く。真っ暗な袋の中を必死に歩き 回っているのだろう。どこにもない出口を探して。 「さて…このクソ饅頭…」 「ゆぎっ!!い゛い゛ぃっ!!ゆべ!!!ゆびゅっ…」 男は親れいむの揉み上げを掴んで、何度も何度も草むらに叩きつけた。叩きつけるたびに、しー しーがぴゅっ、と噴き出たり餡子を吐いたり、うんうんが飛び散ったりする。やがて掴んでいた左 の揉み上げが引きちぎれた。 「ゆがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!」 親れいむの赤ゆたちがこれまでに聞いたことのないような絶叫に、動きを止める。もそもそと声 のする方へ袋の中を移動し、 「おきゃーしゃん!おきゃーしゃん!!」 「ゆんやあああああああ!!!!」 「ゆっくちしちゃいよっ!!!もうやめちぇえぇぇぇ!!!」 「ゆびゃあああああああん!!!!!」 「かひゅっ…こひゅぅ…ゆ…ゆ゛…ゆ゛っ!!!」 鳴き声が徐々に濁っていく。死ぬ間際だ。赤ゆたちの入った袋を親れいむの傍まで持ってくる。 親れいむの死に際の声を聞かせてやろうという、男のせめてもの情けだった。 「ちび…ちゃん…だちぃ…ぞご…ぃ…いる゛…の?」 「おきゃーしゃん!!!れいみゅはここにいりゅよっ!!」 「まりしゃもだよっ!!」「れいみゅもっ!!!」「まりしゃだよっ!!!」 「ゆ…ぐぃ…じだ…ちび…ちゃ…じあわ゛…ぜ………にぃ…………ゆぐふっ…」 切れ切れの“最後の言葉”を最愛の子供たちに残し、絶命する親れいむ。中身が餡子のゆっく りたちにも、今、まさに最愛の母が死んだのだということが理解できた。袋越しに赤ゆたちの震 えが見て取れる。 「おきゃーしゃんともっちょ…いっちょに…」 「ゆっくちしちゃかっちゃよおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」 二匹の赤ゆの叫びを皮きりに大声で泣き出す赤ゆたち。そんな赤ゆたちを気にも留めず、男は 袋を持ち上げ肩に引っ掛ける。袋の中で四匹の赤ゆたちはごろごろと転がり、袋の底で止まった。 更に大きくなる泣き声。泣けばどうにかなる、と思っている根性が気に入らない。泣いても親れ いむは生き返らないのだ。泣いても袋からは出られないのだ。これだから無知な饅頭には腹が立 つ。 男は親れいむの死体を蹴り飛ばすと、夕暮れの緋色に染まった道を歩き、家路に着いた。 一、 「おいおい…なんだぁ?そりゃ、ゆっくりか?」 「どうしたんだよ…飼うのか?」 「違いますよ。ちょっとこいつらに芸を仕込めば、客寄せになるかなぁと思って」 「猛獣使いならぬ、ゆっくり使いってか…」 「言葉も話すし、面白いんじゃないかしら?頭の上にリンゴを乗せて、私の投げナイフの的に してもいいかも」 「乗せるならリンゴよりも赤ゆだろ」 「何それ、どうやっても死ぬじゃない」 陽気に笑う団員たちが囲むテーブルの上で四匹の赤ゆはお互いにぴったりと身を寄せ合い、 がたがたがたがた震えていた。とめどなく溢れる涙はテーブルを濡らし、まるでお漏らしをし ているかのようだ。 「でもこんな饅頭にできることなんてたかが知れてるだろ…?何をやらせるんだ?」 「そうですねぇ…空中ブランコに火の輪くぐり…玉乗りとか…」 「どれも絶望的なまでにできそうにないわね…」 「できなきゃ潰して捨てます。餌は自分らの残飯でも置いとけば日持ちするでしょうし」 「そうだな。確かに動物は人気だが餌代が馬鹿にならない」 団員たちはこの赤ゆ四匹を自分たちの一座の一員として迎え入れることにした。赤ゆたち に選択権などなかった。たかが饅頭にそんな権利などはない。こんなクソ饅頭などではなく 市販で売られている美味しい饅頭でさえ、売れ残って賞味期限が切れたら捨てられるのだ。 生まれながらにして賞味期限切れのゆっくりに、希望に満ちた明日などない。かくして、四 匹の赤ゆたちは、男によって水槽の中に放り込まれた。 「明日からビシバシ仕込んでやるから覚悟しとけよ」 「「「「ゆゆぅ………」」」」 四匹は水槽ごしに男を潤んだ目で見つめる。近くに転がっていた小さな釘をつまむと、赤 まりさの額に突き刺した。釘の刺さった箇所から痛みが波紋のように広がり、目を見開く赤 まりさ。 「ゆっびゃああああああ!!!いちゃい!!いちゃいよぉぉぉぉ!!!!これとっちぇぇえ!!」 「ゆーしょ!ゆーしょ!!」 赤れいむが釘を咥え、赤まりさから引き抜く。泣きじゃくる赤まりさ以外の三匹が水槽の 外に向き直り、一様にぷくぅと頬を膨らませるが、もう男はいなかった。 「ひじょい…よぅ…」 消え入るような声を漏らす。どの赤ゆが言ったかはわからない。だが、どの赤ゆもそう思 っていることだろう。痛みに震え、涙が止まらない赤まりさを囲んで三匹の赤ゆは頬をすり 寄せた。 「ゆぅ…ゆぅん…ゆっく…」 優しさが嬉しいのか、赤まりさはまた涙をこぼす。その涙を赤れいむがぺーろぺーろして あげる。四匹は本当に仲のいい姉妹だったのだ。寂しさを紛らわすかのように、ぴったりと くっついて、お互いに泣いていることを悟られないよう、水槽の中での最初の夜を過ごす。 疲れたのだろう。四匹はいつのまにか静かな寝息を立てていた。 夢を、見ていた。 親れいむがいて、親まりさがいて…暖かくて大きな体で自分たちを守ってくれる。親まり さのおさげに噛みついてぷーらぷーらさせてもらったり、親れいむのゆっくりできるおうた を聞かせてもらったり…そこには幸せな自分たちがいた。口を揃えて“ゆっくりしていって ね”と言い合い、笑い合う。ただそれだけのゆん生。 何でもないようなことがしあわせー!だったと思う。なんでもない夜のこと。二度とは戻 れない夜。 今、ここにある“夜”は、暗く…冷たい、ただの闇だ。 夜が明けて行く。小さな窓から朝日が入り込み、死んだように眠る赤ゆたちを照らした。 赤れいむのまんまるな目がぱちり、と開く。そして、力いっぱいのーびのーびすると、三匹 を振り返り、 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇっ!!!」 叫ぶ。 「「「ゆっくちしちぇいっちぇにぇっ!!!!」」」 本能で挨拶を返し、その段階で餡子脳が覚醒する。一日の始まりだ。赤まりさは元気よく 「おかーしゃん!!!まりしゃ、ゆっくちおきちゃよっ!!あしゃのしゅーりしゅーり……」 「「「…………ゆぅ…」」」 三匹が涙目になって俯く。言いかけて赤まりさも気づく。ここは昨日までのおうちではな い。無機質な壁に囲まれた箱の中だ。 「ゆっ…ゆっくち…ごめんにぇ…」 帽子で顔を隠し、震える赤まりさ。悪いことをした、と思っているのだろう。赤れいむが ずりずりとあんよを引きずり、赤まりさの帽子を持ち上げる。案の定、涙を流している赤ま りさにすーりすーりしながら、 「ゆっ!!れいみゅはげんきだよっ!!!だからまりしゃもげんきだしちぇにぇっ!!!」 「ゆぅ…ゆゆゆゆぅ…」 「ったく…てめぇらのくだらねー友情ごっこなんかどうでもいいんだよ…」 赤ゆたちの上から声が聞こえる。水槽の中から一斉に上を見上げる赤ゆたち。男がいた。 「メシだ、食え」 言って、動物たちの餌の残りカスや、野菜クズ、卵のカラ、果てには昨日の味噌汁の残り がべちゃべちゃと注がれ、上を向いていた赤ゆたちの顔に残飯シャワーが浴びせられる。 「く…くちゃいよぉ…!!」 「ゆっくちできにゃいぃぃぃぃぃぃぃ」 「こんにゃのたべりゃれにゃいよっ!!!!」 「いもむししゃんでいいかりゃちょうらいにぇっ!!」 お玉に掬った小さな豆腐を、最後のセリフを吐いた赤まりさに叩きつける。豆腐は赤まり さの額に当たり、弾け飛んだ。 「芋虫でいいから、だと?お前らがそんな風に言える生物なんて、この世界にはいねぇんだよ」 「ゆっ…!れいみゅたちはいもむししゃんとかたべりゅんだよっ!!!いもむししゃんはれ いみゅたちよりも…」 「芋虫は成長したら、綺麗な羽を持つ蝶々になれる」 「ゆっ?!」 「お前らは成長したら何になれるんだ?顔がでかくなって、無駄に生意気なことしか喋れな い中身の餡子が増えるだけだろ?お前らは育ったところで誰にも喜ばれないんだよ」 「ゆぐぅっ!!!!」 “ちびちゃん…ゆっくりゆっくりおおきくなってね…!”そう言ってくれた親れいむと親 まりさを馬鹿にされているようで、悔しくてたまらない四匹は一斉に頬を膨らませる。 「お前らゆっくりはなぁ…成長しようがしまいが、殴られるか蹴られるぐらいしか価値がな いんだよ」 「ゆ…ゆっぐぢぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」 ますます頬を膨らませる。顔は真っ赤だ。よほど悔しかったのだろう。男はそんな赤ゆた ちを無視して部屋の外に向かう。扉の前で振り返り、 「早くそれ全部食えよ」 言って、立ち去る。そして、残された残飯タワー。臭いような気がしてきた。 「く…くちゃあああああい」 「こんにゃの…じぇったい…たべにゃいよっ!!!」 赤ゆたちは、残飯の山から可能な限り離れて悪臭と空腹に耐えていた。残飯から一番遠い ガラス壁に顔を押しつけ、そのまま動かない赤ゆたち。 しばらしくして、男が部屋に入ってきた。残飯には一切手をつけていないようだ。四匹の 赤ゆは一様にきゅるるる…と腹を鳴らし、表情は疲れ切っている。空腹の限界なのだろう。 それでもその“餌”を食べないとは強情な饅頭だ。 「ゆゆっ?!」 赤れいむが男の手に掴まれ、水槽の外に出される。一斉に抗議を始める三匹。男の耳には 当然入らない。男は、用意した箱の中に熱湯を注ぐ。そして、おもむろに掴んだ赤れいむの あんよを少しだけ熱湯の中に鎮めた。 「あぢゅうううううういょぉおおおお!!!!!!」 「やめちぇにぇっ!!!れいみゅ、あちゅがっちぇりゅよっ!!!!」 赤まりさが、ぷんぷんしながら異議を申し立てる。男はすぐに赤れいむを熱湯から出した のでそこまで大きなダメージはなかったはずだが、赤れいむは体をじたばた振り回して泣き 叫んでいる。手に伝わる振動がこの上なくイライラさせられる。 「じたばたしてんじゃねぇよっ!!!次はその汚ぇ顔から沈めてそのまま殺すぞっ!!!」 汚い言葉で赤れいむに怒鳴りつける男。そのあまりの迫力に赤れいむは体をビクッと震わ せ、ゆっく…ゆっく…としゃくり上げながら涙をこぼした。男の剣幕に静まり返る水槽の中 の赤ゆたち。 「…大人しくできるじゃねぇか…。熱がってるフリでもしてたってか?たかが饅頭の癖に小 賢しいマネしてんじゃねぇよ。次やったら、即、ぶっ潰すからな」 がたがたと震える赤れいむ。男は水槽の方に向き直り、 「てめぇらもだ。覚えとけよ」 三匹の赤ゆたちは視線を逸らす。みな、一様に震え、涙を流すものもいた。 男は、熱湯の入れられた箱の上に小さな空中ブランコの模型をセットする。そして、 「オラ、これ噛め」 「ゆゆっ??!!」 「ゆ、じゃねぇよ。さっさと噛めっつってんだろうが」 赤れいむは小さな木の棒に噛みつく。その状態で男は赤れいむに説明を始めた。 「いいか?今からお前を俺の手から離す。ずっとそれ咥えてろよ。でなきゃ、また下の熱湯 にドボン、だ。次は助けない。落ちたらそのまま死ね」 「ん…んぐぃぃ…!!!」 言われた通りに木の棒を咥えたまま、涙を流し顔を横に振る赤れいむ。水槽の中の姉妹た ちもそれがどんなに恐ろしいことか理解しているのだろう。心配そうに一人と一匹のやり取 りを見ている。 男が赤れいむから手を離す。途端に下へ下へと引っ張られる赤れいむ。木の棒を咥える力 が強くなる。ギリギリと木の棒に噛みつき、必死で耐えている。男は必死の形相の赤れいむ に向かってなおも淡々と説明を続けた。 「で、だ。今からお前の咥えている木の棒と、向こう側にある木の棒を揺らす。そして、向 こう側の木の棒に飛び移れるタイミングを見計らって、飛び移れ。つまり、上手く向こう 側の木の棒に噛みついてぶら下がれればいいんだ」 そう言って、赤れいむとは反対側のブランコをまず揺らし始める。 (あんにゃにはやくうごきゅものになんちぇとびうちゅれにゃいよっ!!!) 心の中で叫ぶ。続いて、赤れいむのブランコが揺らされる。木の棒を咥えたまま、前後に 空中移動する饅頭の光景はなかなかに間抜けなものだった。と、そのとき。 「ゆっ!!!おしゃりゃをとんd…ゆっ!!!ゆあああああああああ!!!!!」 「「「れいみゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」」」 叫んだ瞬間、木の棒を咥えていた口が開かれ、真っ逆さまに落ちて行く赤れいむ。やがて 熱湯の中に着水する。飛び上がって 「ゆぎゃあああああ!!!あぢゅい゛っ!!!!あちゅいよ゛っ!!!!だじゅげぢぇ!! だじゅけちぇくだちゃい゛い゛い゛!!!!おにぇがいしましゅうううう!!!!」 熱湯の中をバシャバシャと跳ねながら必死の懇願を続ける赤れいむ。男は無視。水槽の中 の姉妹も、 「おにいしゃん!!!おねがいしましゅぅぅぅぅ!!!れいみゅを…れいびゅをたちゅけて あげちぇくだしゃいいいいいいい!!!!!」 「おにぇぇぇちゃあああああん!!!あちゅいよぅぅぅ!!!たちゅけちぇぇえ!!!」 「れいびゅぅ!!!!ゆあああああああああああああああ!!!!」 赤ゆたちの絶叫が殺風景な部屋の中にこだまする。熱湯の中の赤れいむはと言うと、皮が 真っ赤に腫れあがり、熱で溶かされたのか、体中の穴という穴から液状化した餡子が漏れ出 ている。もはや、跳ねる力さえ失った赤れいむは目を見開き、びくびくと痙攣を起こし始め た。 「おにいぃぃぃぃしゃああああああああん!!!!!!!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛………っ!!!!」 水槽の中からの叫び声。そうこうしているうちに、赤れいむの皮はふやけていき、顔の形 を構成していた部分が崩れ始めていた。両の目玉は力なく溢れ出し、綺麗に揃っていた歯も 次々と抜け落ちて行く。そして、舌に当たる部分がだらしなく垂れ下がると、 「もっちょ……ゆ………くち………しちゃ………………」 言い残し、赤れいむは絶命した。死体はとても目を向けられるようなものではなかった。 空洞になった目の部分からも溶けた餡子が未だに外へと漏れ続けている。赤ゆのまだ薄い皮 が破れ、水面を漂う。 「ゆ…ゆげぇっ!!!!」 あまりの凄惨な光景に、赤まりさが思わず餡子を吐く。男はため息をつくと、 「“お空飛んでる”もある意味、条件反射みたいなもんだったな…空中ブランコは駄目か」 言いながら、空中ブランコの模型を片付ける。目の前のゆ殺装置が取り除かれたのを確認 した姉妹たちに刹那、安堵の色が見える。男は赤れいむの死体の入った箱を持ち上げると、 流し台に赤れいむごと熱湯を流した。アルミ製の流し台がベコンと音を立てる。皮と餡子は 綺麗に流れたが、髪の毛と飾りの赤いリボンは排水溝のネットに引っ掛かったので、ゴム手 袋をしてそれを取り除いた。 「れい…みゅ…?」 一匹の赤ゆの呼びかけに、男は無言で空っぽになった箱を姉妹たちに見せつける。 「ゆんやあああああ!!!!!」 「れーみゅ!!!れーみゅどこぉぉぉぉぉ?!!!」 叫んで叫んで、叫んで。叫び疲れて眠りにつくまで、三匹になった赤ゆは叫び続けた。返 事を返してくれる赤れいむはもう、死んでいるというのに。 二、 「まりしゃ……もう…」 「おにゃか…ぺこぺこ…だよぅ…」 姉妹の壮絶な死を目の当たりにし、あれほど絶叫していた赤ゆたちは、空腹で目覚めると 次の難題を前に右往左往していた。動けばそれだけエネルギーを消費する。体内の餡子を熱 エネルギーに変換して移動の力に当てているので、餡子はどんどん体の中から消えていく。 この餡子の量が三分の一になると、自分の意思とは無関係に熱エネルギーに変換するための 機能が完全に停止する。そうなると、もうそこから一歩も動けない状態になり、生命の維持 だけを優先するようになるのだ。当然、餡子の量が三分の一以下になると息絶える。瞬間的 に体内の餡子を失った場合は、熱エネルギーに変換した分の力が残っているために、 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 と言ったような声を残し、直後に逝くのだ。逆に、 「もっとゆっくりしたかった…」 と言うような言葉を残すときは、顔などの皮に壊滅的なダメージを受け、熱エネルギーを生 み出す器官そのものが破壊された場合や、体内の餡子が徐々に漏れ出してしまった場合など によく見られる。…御託はどうでもいい。とりあえず、死ぬのだ。 そんなわけで、三匹の赤ゆたちは、今すぐにでも食事をし食べた物を餡子に変換しなくて は、生命の維持が危うい状態にまで達していた。すでに夕方になってはいたが、空中ブラン コの件以降、男はこの部屋には一歩も踏み入れてなかった。赤ゆたちの目の前にはるのは、 今朝の残飯だけである。 「ゆぅ…ゆぅ…」 残飯の前に進んでは、引き返す。そんな無駄な行動を赤ゆたちはずっと繰り返していた。 生きるためには目の前の残飯を食べるほかない。しかし、それはとてもゆっくりできるよう な代物ではない。もう泣く気力も失せていた。 そのとき、赤まりさがずりずりと残飯の元に向かい、目にいっぱいの涙を溜めながら、 「…ゆっくちたべりゅよっ!」 「「ま…まりしゃっ!!!」」 「むーちゃ、むー…ゆぶるぇぇえぇぇええぇ!!!!」 すでに腐臭を放っている、キュウリの切れっぱしを口に含んだ赤まりさは、餡子と一緒に それを吐き出す。本能が赤まりさに危険信号を送る。赤まりさはすでに動かなくなりつつあ るあんよに全神経を集中して、先ほど吐いた自分の餡子と腐ったキュウリの切れっぱしを口 に入れて、飲み込んだ。 「…ゆぐぅ…ゆべっ………ふちあわちぇ…」 それだけでも違うのだろう。幸せか不幸せを判断する程度の思考能力と、それを口に出す だけの力は戻ったらしい。予断を許さぬ状態であることには変わりないが。赤まりさはもう 一度吐き出しそうになる餡子を必死に口の中で抑え、またそれを飲み込んだ。 「むーちゃ。むーちゃ…ゆぐぅっ!!!!んうぐっ…んゆぇ…まじゅいよぅ…」 「むーちゃ……む…ゆぐぎぃ……ぎぐ…ゆぐ…りぃ……ふちあわちぇ~…」 想像を絶する酷い味だ。口の中に入れた瞬間、ぬめっとしたものと腐臭が広がる。飲み込 まないといけないのに、体の中からは餡子が逆流してくるため、それを容易には行わせてく れない。 「ゆっくち…ゆっくち…いもむししゃんが…たべちゃいよぅ…」 「ゆぇぇ…もう…ざっそうしゃんまじゅいにゃんていわにゃいよぅ…」 「ゆぇっ…ゆぐっ…ちあわちぇ~…しちゃいよぅ…」 食事は命の洗濯、である。それだけは人間もゆっくりも共通事項であったようだ。食べな ければ、死ぬ。食べても死ぬような思いをする。これから、この地獄を毎日繰り返すと思う と、どれからともなく赤ゆたちは泣き出し始めた。 「よう。飯は食ったか?…おぅおぅ、食ってんじゃねーか。よくそんなもん食えるな」 血気盛んな赤まりさが頬を膨らませ、 「おにぃしゃんが…もっちぇきちゃんでしょっ!!!こんにゃのじゃまりしゃたちちんじゃ うよっ!」 「何言ってやがる。それが食えない、ってんなら飢えて死ね」 「ゆゆゆゆゆっ???!!!!」 「何度も言わせんなよ。お前らが何匹死んでも誰も困らないの。さっきも饅頭一匹死んだけ ど、泣いてんのはお前らぐらいのもんなんだよ」 「ゆぐ…ゆっくちぃ……」 どうしてこの人間さんはこんなに酷いことばかり言うのだろう?赤まりさは悲しくて悔し くて涙をぽろぽろとこぼし始める。少なくとも、おかあさんたちは悲しんでくれるはずだ。 思い、在りし日の母を思い出し、更に涙が込み上げる。残りの姉妹も同じことを考えている のだろう。それぞれ、体全体を震わせ嗚咽を上げる。 「泣いてもなんにもなりゃしねぇよ。何もできない、ってわかりゃびーびー泣くだけか?だ からお前らは屑なんだよ」 あまりにも理不尽な物言いだった。自分たちから何もかも奪い去っておいて、無理矢理こ こへ連れてきて、屑だ死ねだと言われる。悔しくて悔しくて涙がいつまでたっても止まらな かった。それなのに、この人間は“泣けば済むと思ってるのか”と問うてくる。 男は戯れに赤まりさの帽子をむしり取った。悔し泣きが一転、この世の終わりのような顔 をして男に向き直る赤まりさ。涙も止まり、必死に体を伸ばし、 「お…おぼうち…!まりしゃのだいじにゃおぼうちしゃん!!!ゆっくちしにゃいでかえし ちぇにぇっ!!!!!」 「そんなことより、後ろを見てみなよ」 「ゆっ?」 振り返り際、何かが自分の顔に激突し、残飯の海の中に叩きつけられる。赤まりさの体は 残飯と腐った汁にまみれ、ぐちょぐちょだ。赤まりさは自分に激突したものの正体を悟った。 それは他でもない、赤まりさの姉妹たちだった。 「かじゃりのにゃいゆっくちはゆっくちできにゃいよっ!!!」 「ぼうちのにゃいまりしゃはゆっくちしにゃいでちんじぇねっ!!!!!」 帽子をかぶった赤まりさが、帽子をかぶっていない赤まりさを罵倒する。 「おいおい…お前ら、それでも姉妹かよ」 男が笑いながら水槽の中の赤ゆたちに声を掛ける。右手の指でつまんだ赤まりさの帽子を ぷらぷらと揺らしている。まるで、汚物でも見るような二匹の姉妹たちの視線に耐えられな かった赤まりさは、水槽に顔を押しつけて、 「おでがいじばじゅぅぅぅぅぅ!!!!まりじゃの…おぼうぢぃ…がえしちぇぇえ!!!」 「くっだらねぇ」 男は、水槽の壁の外に赤まりさの帽子を置いた。目の前にある帽子に向かって赤まりさが あんよをずりずり必死に拾いに行こうとする。 「ゆああああ!!!かべしゃん!!!!いじわりゅしにゃいでゆっくちどいちぇにぇっ!!」 水槽の壁に遮られ、一ミリたりとも帽子に近づくことができない赤まりさ。理由は不明だ が、ゆっくりという生き物は帽子やリボンといった飾りに異様なほどの執着を見せる。そし て飾りのないゆっくりは、生涯迫害され続けて生きていくか、同族によって執拗に苛めぬか れた末に殺されて、そのゆん生を終えることになる。この姉妹も例外ではなかった。 「まりじゃの…おbゆげぇっ?!!!」 背後から赤れいむの体当たりが炸裂し、赤まりさの顔は水槽の壁に押しつけられ皮が伸びた 状態で張り付いていた。これには男も腹を抱えて笑った。 「れい…みゅぅ…」 もうそこには、昨夜まで互いに身を寄せ合い、励まし合った姉妹たちはいなかった。ゆっく りという種族は“自分と違うモノ”を極端に毛嫌いし、それを迫害することに快感を覚える。 例としては、めーりん種という言葉を喋れないゆっくりがいるのだが、そのめーりんが他の ゆっくりに見つかろうものなら、酷いことになる。何もしてなくても、暴力を受け群れの中 に引きずり込まれ、死ぬまで集団リンチの的にされるのだ。 ゆっくりが弱いモノ苛めをできるのは、ゆっくりだけなのだ。それは、自らの手で自分たち が生物界の底辺に位置すると証明しているようなものなのである。 「ゆ…ゆっくちやめちぇにぇっ!!!!」 「かざりのにゃいばかなゆっくちはちねっ!!!!」 あんなに優しくしてくれた赤れいむが、鬼のような形相で何度も何度も赤まりさに体当たり をする。帽子をかぶった赤まりさは、帽子のない赤まりさのおさげを咥え、動けないようにし ている。何度目の体当たりかはわからないが、ついに帽子なし赤まりさの皮が破れ、中身の餡 子が飛び出した。 「ゆぎいぃいぃいいいぃ!!!!」 「ゆぷぷっ!いいきみだにぇっ!!!」 「はやくちんじぇにぇっ!!」 赤れいむは、帽子なし赤まりさの頭に飛び乗り、ばむばむと踏みつけた。破れた箇所から餡 子がさらに飛び出す。赤れいむは、確実に殺しにかかっていた。そして、体内の餡子のほとん どを失った帽子なし赤まりさは 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ…」 悲鳴を上げ始めた。男は、赤れいむをふりほどくと、赤まりさの頭に帽子を乗せた。瞬間、 「ま…まりじゃあああああああああっ???!!!!!!」 先ほどまで悲しみを分かち合っていたはずの赤まりさの顔はボロボロだ。片目が飛び出し、 顔はアザだらけで所々破れており、餡子が伝っている。すでに言葉を発するだけの餡子を備え てはいないのだろう。苦しそうにうめき声を上げるだけだった。焦点も定かではなくずっと宙 を向いていた。 「しゅーりしゅーり…」 「ぺーりょぺーりょ…」 赤まりさに瀕死の重傷を負わせた当の本人たちが、傷をなめたり頬をすり寄せたりしている のは滑稽以外の何物でもなかった。ほどなくして、赤まりさは死んだ。男はずっと笑っていた。 「おもしれぇなお前らは。それから明日の朝飯はヌキだ。先にそれ全部食え。全部なくならな い限り、餌は持ってこない。じゃあな。ちゃんと食べとけよ。明日はきついぞ」 半笑いのまま、男は部屋を後にした。鍵をかける音が狭い部屋に短く響いた。ついに二匹と なってしまった赤れいむと赤まりさの目の前には、少量の残飯と赤まりさの死体。命に替える ことはできないため、二匹の赤ゆは何度も何度も吐きそうになるのをこらえ、残飯を食べ終え た。…空腹はそれでも満たされなかった。 三、 「あっはっはっはっは!!!!!信じらんねぇ、なんなんだお前ら!!!!!」 残飯を…腐った生ごみを二匹はすべて食べ終わっていた。それだけならここまで笑いごとに はならない。男が笑っていたのは、申し訳なさそうに水槽の片隅に置かれていた、昨日の赤ま りさのものと思われる帽子と、散らばった無数の金色の髪の毛だった。 「食ったの?ねぇ、食ったの?姉妹を?最悪だな、お前ら!!!腹が減ったら家族も食うのか!」 ゲラゲラと大笑いする男の言葉を聞きながら、二匹はぷるぷる震えて涙を流す。 「泣いてんじゃねぇよ、共食い饅頭どもが。オラ、今日の餌だ」 汚物と言ってもいいような液体や食べ物であったものが、どちゃどちゃと注がれる。空腹で 必死に残飯の元へたどり着く、二匹の赤ゆ。口を開けたところで動きを止め、そわそわしなが ら男に視線を送る。 「みられてりゅと…ゆっくちちあわちぇー…できにゃいよ…」 「おにぃしゃんは…あっちむいちぇちぇにぇ…」 「早く食えよ。お前らが残飯食うとこしっかり見ててやるからよ」 「ゆぅ…ゆぅぅ…」 残飯を食すところを見られるのはかなりの屈辱のようだ。それでも、べちゃ…べちゃ…とい う音を立てながら、口の中に入れていく二匹の赤ゆ。顔面蒼白だが、咀嚼する口の動きは止ま らない。二匹は気づいていた。自分たちがとてもゆっくりできていないゆっくりになっている ことに。そして、それこそが最大の恥辱であった。 「むーちゃ…むーちゃ…ゆぐぅ…」 ゆっくりできていない姿を見られるのは悔しくてたまらなかった。ゆっくりできていないゆ っくりは制裁されるのだ。それを思えば二匹の反応は至極当然のことであると言える。 泣きながら“餌”を食べるゆっくりの傍ら、男は何やらまた準備を始めた。昨日の赤れいむ の姿が頭をよぎる。今度は何をやらされるのだろう。 男は取りだした小さな縄で造られた輪っかをセットする。三本の支柱から鎖が伸び、その輪 っかを固定している。男はライターを取り出すと、その縄の輪っかに火をつけた。灯油が染み 込ませてある縄は、突如として勢いよく燃え上がる。 突然の閃光に二匹の赤ゆは目を点にして固まる。開いた口から魚の目玉がこぼれた。 「ゆ…ゆっくちしちぇいっちぇにぇっ!ゆっくちしちぇいっちぇにぇっ…!!!」 嫌な予感がしたのだろう。赤まりさが必死に男に呼びかける。赤れいむは言葉も出せずにが たがた震えている。ぱちぱちと音を立てて揺らめく炎を初めて見る赤ゆたちも、それがゆっく りできなさそうなものだということを本能で理解しているようだ。 「何が“ゆっくりしていってね”だ。俺はゆっくりしてるっての」 男が水槽の中に手を伸ばす。まるでカエルのようにぴょんぴょん飛び跳ね水槽の中を逃げ回 る二匹の赤ゆ。やがて、赤まりさのおさげが男の手に捕えられた。おさげを掴まれ宙に釣られ る赤まりさ。 「ゆんやあああああ!!!いちゃいよぅっ!!!!はなちちぇぇええええ!!!!」 顔をぐしゃぐしゃにして泣き叫ぶ。自身にはどうすることもできない、ということを悟った 赤れいむは、水槽の角でぷるぷるぷるぷる震えながら赤まりさを見つめている。もう、水槽の 中に身を寄せ合う姉妹はいない。水槽の中に赤れいむのしーしーが広がる。それにさえも気づ かない。否、気づけない。それぐらい心が恐怖で支配されていた。 赤まりさは、燃え盛る炎の輪の目の前にちょこんと置かれると、熱風と強烈な光に身をくね らせ男の手から逃げようとする。しかし、男の緊縛はそれを許さない。男は、赤まりさの頭を 潰さないように注意しながら踏みつけると、 「いいか。その輪っかの中をジャンプしてくぐれ。お前がやるのはそれだけだ。できないなら 潰す」 理不尽な二択を迫られ、歯をカチカチ鳴らし震え始める赤まりさ。熱気と恐怖で意識が飛び そうになるのを必死で耐えている。二度、三度、目眩がした。額から大粒の汗が流れる。この ままこの場に留まっていたら、水分を失い乾燥死するだろう。 「ゆっくち…しゃしぇちぇよぅぅぅぅぅ!!!まりしゃ…なんにもわりゅいことしちぇにゃい にょにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!!」 踏みつけている足の下から、赤まりさの声が響く。靴越しに震えが伝わってくる。そんな赤 まりさに男は一言。 「飛ぶか、潰れるか、選べ」 赤まりさは声を出すのをやめた。涙は流れ続けたままだ。赤まりさは、男の足からずりずり と這いだすと、赤い巨大な魔物と対峙した。迷っている暇はなかった。飛ぶ前に水分を失って 死ぬ。そう判断した赤まりさは、決しの覚悟で業火の中に身を投げた。 「ゆ゛ぎい゛い゛い゛い゛い゛っっっっっっ????!!!!!!!!」 もともと、そんなに広くない直径の輪っかに赤まりさの帽子が引っ掛かって身動きができな くなる。 「ゆ゛があ゛あ゛っ??!!!あ゛ぢゅい゛!!!あ゛ぢゅい゛よ゛お゛お゛お゛!!!!!」 炎が、赤まりさの素敵なお帽子を、柔らかな皮を、綺麗な金髪を舐めまわす。 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!!」 完全に帽子が焼け落ちるとともに、半身を炎に包まれた赤まりさが輪っかから落ち、周囲を 跳ねまわる。恐ろしい形相の赤まりさを見た赤れいむは勢いよくしーしーを噴出する。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ…」 恐怖を抑えられない赤れいむは混乱に陥り、視点の定まらない瞳をぐるぐる回し始めた。男 がオレンジジュースを赤れいむにかける。正気を取り戻す。水槽のガラス越しに、全身を炎に 蹂躙されている赤まりさの姿。皮のほとんどを焼かれ、動くことすらままならない赤まりさは 焼けて膨張した目玉が今にも飛び出そうな状態で、赤れいむを見つめながら、 「ゆ゛…ぐぢぃ…ゆ゛…ゆ゛…ゆ゛…」 流れ出した傍から蒸発していく涙。顔の半分以上は既に炭化し、それでもなお炎は赤まりさ を捕えて離さない。 「お前は観客だよ。水槽の中という安全な場所から、もがき苦しむ姉妹を観賞するだけの存在。 どうだ?なかなか見れないだろう?自分の姉妹が焼け死ぬところなんか」 「…っ!!!…ぅ……ぁ…ゅ…………ゅぅ…」 やがて、赤まりさが朽ち果てた。水槽の中は観客席だった。水槽の外はステージ。未だ燃え 盛る炎が赤れいむの瞳に映る。次は自分の番なのだろうとゆっくり理解した。男は、赤れいむ のリボンをつかむ。ステージの上に放り出される。 「…イッツ…ショータイム…」 観客は男ただ一人。ステージの上には、赤れいむと赤い悪魔。炎の輪っかは、まるで大きな 口を開けた怪物だった。赤まりさ同様、熱気が全身を襲い、それだけで意識を失いそうになる。 とめどなく溢れる涙と汗のせいで、喉はカラカラだ。赤れいむは意を決して、眼前の炎から逃 げ出した。男が腕を振り上げる。それでも距離がある。赤れいむは逃げ切る自信があった。 「ゆびいぃっ??!!!」 赤れいむの頬が弾ける。破れた皮から餡子が飛び出した。風を切る音が赤れいむの顔の周り を行ったり来たりする。 「ゆぎっ!!!ひぎぅっ!!!ゆべぇっ!!!!!!」 男は鞭を振り回していた。鞭が無知を襲う。何度も何度も柔らかな頬を、あんよを…汚い尻 を打ちつける。 「ゆっぐちぃ…しちゃい゛よ゛おぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」 「何逃げようとしてんだよ、カス。逃げられるわけねーだろ。お手玉もどきが」 何度目の衝撃だろうか。ついに赤れいむの片目が弾け飛ぶ。突然狭まる視界と強烈な痛みに 床の上をのた打ち回る。 「いぎゃああああああああ!!!!れいみゅの…おべべがあああああああ!!!!!!!」 この期に及んで目玉一つの心配とは恐れ入る。男は鞭を振るう手を止めなかった。鞭に弾か れた赤れいむは、右に左に飛ばされる。膨れ上がった顔は、もはや原形を留めていなかった。 ころころと転がることもない。衝撃がリボンをむしり取り、揉み上げを吹き飛ばし、赤れいむ はゆっくり…ゆっくり…ただの饅頭になろうとしていた。 「い゛ぢゃい゛よ゛ぅぅぅ!!!おがあ゛じゃあああああん!!!たじゅげぢぇええええ!」 なおも叫び続ける。生命力だけは凄まじい。こんな状態になってまでまだ生きようというの だろうか。最後に、力任せに振り下ろした鞭は、赤れいむを真っ二つに寸断した。 「う゛…ゆ゛…ぎぃぎぃ…」 二つに割れた饅頭は、しばらくうねうねと動いていたが、やがてぴたりと動きを止めた。死 んだのだ。 ゆっくりに芸を仕込む、という計画は失敗に終わった。しかし、まだたったの四匹だ。四つ の饅頭が駄目になったからと言って、諦めるには早すぎる。ゆっくりたちはよく、“おやさい さんはかってにはえてくるんだよ!!”と言う。しかし、男は言う。 「ゆっくりは勝手に生えてくるからなぁ…」 と。 空っぽの水槽の中。半分以上残された残飯の山は、まるで身を寄せ合い震え続ける四匹の赤 ゆたちのようだった。 終わり。 何度かボリューム少ない、と言われたから増やしてみたよっ!! 日常起こりうるゆっくりたちの悲劇をこよなく愛する余白あきでした。 過去作一覧 ふたば系ゆっくりいじめ 317 田舎の少年たち ふたば系ゆっくりいじめ 325 ローテーション ふたば系ゆっくりいじめ 329 アリ×まり ふたば系ゆっくりいじめ 338 水上の弾幕 ふたば系ゆっくりいじめ 341 手近なもので ふたば系ゆっくりいじめ 348 ペトショの裏 その1 ふたば系ゆっくりいじめ 350 ペトショの裏 その2 ふたば系ゆっくりいじめ 352 ペトショの裏 その3 ふたば系ゆっくりいじめ 356 働かざるモノ食うべからず 余白あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ↓そーなのかー -- 2011-11-03 00 42 38 下の米で新人がどーたらもめてるけど、サーカスで持ち芸のない人なんて8割くらいいるぞ。 ステージで道具を持ってくる人も、雑務も、数年間やってからステージに立つんだよ… -- 2011-09-22 18 50 06 空中ブランコが面白かった -- 2011-04-06 20 48 12 ↓だから下っぱなりに新しいスキル獲得に挑戦してんじゃねえか。 なんか勘違いしてるようだが、ゆっくりを操る能力に関しては今現在習得の途中段階だろ。いきなり操れるようになんてなるわけが無し。 芸が無くてもサーカスで働く新人はいておかしくないし、こんな勤勉な新人クビにしてたらサーカス団こそ潰れちまうだろ。 -- 2011-01-09 19 44 25 こいつ自分の立場分かってんのかな? サーカス団も慈善事業じゃないんだから、自分の芸もなく ゆっくりを操る能力もないんじゃサーカス団にとってはただの無駄飯食い。 新人だし早々にクビだな。 -- 2010-10-30 00 11 26 おにいさんがばかすぎてゆっくりできないよ・・・・ -- 2010-10-14 21 20 39 すっ!すっきりー!! これめっちゃおもしれえ!! 最高にQNQNできました このお兄さんがDQNっぽいところがまたいい! 自分でやらせておいて、何やってんだよゲラゲラの王道がいいねw -- 2010-09-28 08 33 18 クソゴミの扱いが妥当です -- 2010-09-28 00 53 11 >上手くいかなったとしたら潰して捨てればいい。替えの効かない動物を調教するよりも遥かに効率がいい。 >死ねばまた拾ってくればいいだけの話なのだから。 すごく効率が悪くて、永久に無理な気がする。 言動に矛盾が多く、仕事するふりしてオナニーしてるこの男の頭の悪さがイライラした。 -- 2010-08-28 23 01 52 ゆっくりできたが…これ日常で起こりうるか?w -- 2010-07-10 23 27 46 この男の計画性のなさと効率の悪さに少しいらいらした あと自分で食えと言っといて食ったら笑う系の虐めはゆっくりできね -- 2010-03-03 11 46 55
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1877.html
「ふたば系ゆっくりいじめ 897 酔っ払い/コメントログ」 しんぐるまざーは鉄板ネタだな。面白い。 まりさは可愛かったのに捨てられて可哀想。 ゆっくりは馬鹿でワガママなほうが可愛いだろ。 -- 2010-08-18 21 35 04 面白かった 最後に遂に店主がゆっくり対策したのがツボだった そりゃあんな汚い汚物が二回も店に入ってくりゃ嫌だよね~ 飲食店は清潔第一だから -- 2010-08-18 22 38 37 あんな糞饅頭を店に連れ込むとかホント酔っ払いは性質悪いな -- 2010-10-16 17 02 50 汚い饅頭に食べ物用意しなきゃいけない店主さんも大変で御座るなwww 店主の対応に吹いたわww -- 2010-11-20 19 49 20 酔っ払ってもゆっくりを甘やかす↓ 通常種として当たり前のことをする(でもまだまだ甘かったけど) ゆっくり側で見てみたい -- 2010-12-11 23 31 26
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1318.html
ループ・プレイス 19KB 虐待-普通 制裁 観察 自業自得 差別・格差 飾り 自滅 家族崩壊 同族殺し 駆除 妊娠 ツガイ 野良ゆ 赤子・子供 都会 現代 独自設定 うんしー 八作目 「ループ・プレイス」 ・「ふたば系ゆっくりいじめ 604 ロンリー・ラック」からの続編という形を取っています。 ・人間視点ですが主軸はゆっくりです ・駄文注意 ・いくつかの独自設定を使っています ・うんしー注意 ・自滅モノです 冬のゆっくりと言うのは越冬をする。これは当然の常識だ。 いくつかに分類するなら越冬型、冬眠型等があるが巣ごもりすることには変わらない。 だが街のゆっくりは違う。山野のゆっくりと違い食料なら冬でも何とか手に入るからだ。 なので遠出とはいかなくとも巣の周辺を出歩いたりすることはある。 さて、街のゆっくりがいる所…と言えば路地裏、空地、そして公園の大体三つだ。 特に空地、公園にはゆっくりが集まるいわゆる「コロニー」(饅頭にコロニーという言葉は似つかわしくないかもしれないが)のような状態になっている。 なので時折加工所の職員がやってきて定期的に「掃除」をするのだ。 あの時、私と羽付きが見たのは公園に吸い寄せられうように集まったあるゆっくりの悲劇である。 冬の公園を私と羽付きは歩いていた。冬は相変わらずどんよりとした雲が立ち込め冷たい風が嫌がおいにも荒涼とした雰囲気を演出していた。 大きな公園であるがためにゆっくりが大量にここに居ついている。 近々大規模な加工所による掃除が行われると告知されているので、その前にここのゆっくり達の様子を観察して置きたかったからだ。 早速の如く私と羽付きの周りにはピンポン玉サイズの子ゆっくりからバスケットボールサイズのゆっくりまで大小様々なゆっくりが寄ってきていた。 「きゃわいいれいみゅにあみゃあみゃしゃんをおいちぇいっちぇね!」 「まりしゃはちゅよいんだじぇ!あみゃあみゃをおいちぇいきゃにゃいちょいちゃいめにあうんだじぇ!」 「むきゅ!ここはぱちぇのしきちよ!かってにはいってきたのならあまあまさんをおいていきなさい!」 「ゆゆーん!れいむはしんぐるまざーなんだよ!はやくあまあまさんをおいていってね!」 「はやくするんだぜ!まりささまはぐずがきらいなんだぜ!」 「みすぼらしいじじいはさっさとあまあまをおいていくんだねーわかるよー!」 「いなかものはさっさとあまあまをおいていきなさい!」 耳をふさぎたくなるほどの音だ。口々に勝手な事を言いながら小麦粉の皮をグネグネと押し合い形を変えながら私の足へ寄ってくる。 赤ゆっくりや子ゆっくりは膨れながら威嚇を繰り返し、私の靴やズボンのすそを口で噛んでいた。 私は羽付きを見て「なんとかならないか?」といった。 羽付きは私に帽子をとってくれと言った。秘密兵器があるらしい。 私は羽付きのとんがり帽子をとる。そこに現れたのはれみりゃの帽子であった。 「うー!こんなところにあまあまがいっぱいいるんだどー!」 羽付きがれみりゃのまねをしながら上下にピョンピョンと跳ねた。 次の瞬間、私の鼓膜が破れると思うほどの大音響が響きわたった。 「「「「「「でびりゃだああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」」」」」 蜘蛛の子を散らすように四方八方に飛び跳ねて退散するゆっくり達。10秒ほどたてば辺りには踏まれたのか押しつぶされたのか、それともその両方か分からないが餡子やクリーム、チョコレートを口から吐き出しながら悶絶するいくつかのゆっくりの姿以外無くなっていた。 「むぎゅぅぅ…えれえれ…」 「ゆ”!ゆ”!ゆ”!」 「わがらないよおおおおおおお!!おそらがじだにあるよおおおおおおおおお!?」 「ごんなのどがいばじゃないわあああああああああ!!あでぃずのおがざりざんんんんんんんんんんんんん!!」 体当たりを受けすぎて餡子を大量に吐きだしたのか、手前に帽子を投げだしたまま寒天の白目をむいて痙攣しているまりさ種、ありす種は飾りを途中で落としてスタンピートに巻き込まれたのか、無残にボロボロになった飾りの欠片を舌で拾い集めながら喚き散らし、ちぇん種に至っては跳ね飛ばされ転がったのか逆さに向いて叫んでいた。底部の方がグネグネと不規則に動き、砂糖水の涙を流しながらすごい勢いで喚いている(ゆっくりはその特性上逆さまになると自力で元に戻れない) 私は羽付きの方を向くとこう言った。 「…凄い効果だね」 「こうえんひっすの"あいてむ"だぜ。おにいさんももってるといいんだぜ」 「いや…遠慮しとくよ」 ニヤリと羽付きが笑って答えた。 ひと段落ついた所で羽付きはそのトレードマークの帽子を被り、私も公園の中心部へと進んでいく。 人気のない一角、魚が泳ぐ池の前にある木の麓に、ポツンとダンボール箱が置いてあった。 どうやらゆっくりの「おうち」の様だ。横に倒しておかれて、ボロボロではあるがゴミ袋の様な袋がかぶさっている。 袋が飛ぶのを防いでいるのか、いくつかの小石がダンボールの上に置かれていた。 私が近づくと中からガサガサと2匹のゆっくりが飛び出してきた。 「ここはまりさとありすのおうちなんだぜ!ゆっくりできないじじいとへんなまりさはさっさとかえるんだぜ!」 大きく膨れて威嚇しているその口ぶりの「ゆっくりまりさ」は私と羽付きを睨みつけている。 奥の方には下顎が不自然に膨れているありすとその横で小麦粉の皮をぴったりとくっつけている、2匹のソフトボールほどの子ありすと子まりさがいた。 比較的よくある組み合わせだ。ありすの様子を察するに胎生型にんっしんっ(ゆっくりの場合はこう表記する)をしている様で、これがまた珍しい。 子ありすと子まりさ、そしてありすが巣の奥で私と羽付きに声を投げかける。 「いなかものなにんげんさんとまりさはゆっくりかえりさない!」 「しょうじゃよ!ゆっきゅりかえりなちゃい!」 「まりしゃはちゅよいんだじぇ!しゃっしゃとどっきゃいきゃにゃいちょゆっきゅりできなきゅしてやりゅんだじぇ!」 …あくまで推定だがあまりよいゆっくりではないようだ。れいぱーありすになっていないのが判断の迷う所である。 私は羽付きの方を見る羽付きは私を横目で一瞥するとこう言いだした。 「ゆ!ゆゆうううう!?ま、まさかこんなつよそうでとかいはなありすやまりさがいるとはおもわなかったんだぜ!?ゆっくりまりさのけらいといっしょににげるんだぜ!」 そう言うと羽付きは急いで別の所へ跳ねだす。私もそれについていった。 少し離れたベンチに羽付きは跳ねていった。私も息を切らせながら何とかたどり着く。 「そういえばにんげんさん、げすゆっくりをみるのははじめてかぜ?」 「最初のありす以来だね」 「だったらちょうどいいんだぜ、ああいうゆっくりがどうなるかがわかるんだぜ」 私はメモ帳を取り出しあのまりさ一家の様子を眺めていた。 「ゆゆーん♪だーりんはつよいのね!とってもとかいはよ!」 「ゆ!そうだぜ!まりさはつよいんだぜ!」 「だーりんすーりすーり!」 「ありすすーりすーり!」 そんな事を言いあいながら小麦粉の皮を上下に伸び縮みさせて擦り合わせる二匹のゆっくり。 後ろの方で子ゆっくり二匹ピョンピョンと跳ねまわっている。 「ゲス」であろうか?街ゆっくりはそれが判断の難しい所である。 「でいぶ」や「れいぱーありす」の様に明らかに問題のあるゆっくりではなく、かといって「だぜ」という言葉遣いだったり人間に対して積極的と言わずとも近づいてくれば傲岸不遜な事を言うゆっくりがいる。 それらは中間のゆっくりと位置付けられているので判断が非常に難しいのだ。(羽付きはゲスと断定しているし、私もそうだとは思うがありす種が何ともないのが妙に引っかかる) 改めて様子を見てみよう。 「ゆゆ!おなかすいたんだぜ!」 「ゆ!じゃあごはんさんにしましょう!」 どうやら外で食べるようだ。 ありす種がいるつがいはよくこう言った一見無駄に見える行動をとる。葉っぱの上に何かを乗せたり、役にも立たない石っころを「とかいはなたからもの」なんて言っておいて言ったりと。 「とかいは」の概念からなる行動だと言われているが正直な話、全く無駄な行為だ。 ダンボール箱の奥から食糧が詰まったビニール袋をありすが引っ張り出す。 ガサガサと振ると中からパン切れや魚の骨、野菜くず等が出てきた。 また、ありすが平たい石の上にそれらを並べた。そうしてそれを中心にまりさ一家が円を組むように並ぶ。 そして一斉にむさぼる様に口をつけ始めた。グネグネと押し合いを繰り返しながら食べていくその光景は「とかいは」(少なくとも私の持つイメージとは)とはかけ離れたものだった。 「うめっ!めっちゃうめっ!」 「む~ちゃむ~ちゃ!ちあわちぇえええええ!!」 「む~ちゃむ~ちゃ…ちょっちぇもちょかいはにぇ!」 「がぶがふ!ごふ!がつ!ぐちゃ!ずるずるっ!とってもとかいはなごはんさんね!」 パンきれを砂糖水の涎を垂らしながらむさぼり、魚の骨をバリバリとかみ砕き、野菜くずをグチャグチャと咀嚼し生麺をずるずるとすする。 あまり言いたくないが見ていて気分のいいものではない。少なくとも私が今まで見てきたゆっくりの中では一番食べた量が多いのではないかと思う。 「ゆっくりとしたごはんなんだぜ!」 「おながのおぢびぢゃんもよろごんでるわ!ゆげぇっぷ!」 「ゆゆ~ん・・・おなきゃいっぴゃいだじぇ!」 「のーびのーび!しょくごのうんどうをしゅりゅわ!」 一様に勝手気ままな行動をしている。どうやらゲス寄りのゆっくりの様だ。 その後はダンボール箱の中にぴったりと納まり、ありすに子ゆっくりがすーりすーりを繰り返している。 「ゆゆ~ん!おきゃあしゃんしゅーりしゅーり!」 「まりしゃもしゅーりしゅーり!」 「すーりすーり!とってもとかいはね!」 羽付きがその光景を眺めてただ一言呟いた。「気に入らない」と。 その後言った一言を私は今でもよく覚えている。 「なにが"とかいは"だ。」と 私は何も言う事が出来なかった。何か並々ならぬありす種に対する想いがあるようだ。 羽付きはただ私の方へ視線をやってこう聞いた。 「…そろそろかこうじょがくるんだぜ。おもてへいくと"そうじ"がみられるんだぜ」 私は時計を見た。確かにあと数分ほどで切りのいい時間帯だが何故羽付きがその時間を知っているのか?それが不思議でならない。 私がその事を尋ねるとただ一言「きまったじかんにやるだからそとからみればわかるんだぜ」といった。 急いで羽付きとその場を後にする。 すぐに戻っては来れたが一斉に掃除が始まっている様だ。棒の先に鋭いフックをつけた物を持ってそこら中に人がゆっくりを追い回している。 あれでダンボール箱をひっかけたり、ゆっくりをひっかけて袋に詰めるようだ。 一様に逃げ惑うゆっくりや袋に番いや子ゆっくりを入れられ体当たりや威嚇を繰り返すゆっくりで辺りはあふれかえっていた。 「ゆんやああああああああ!!いだいいいいいいいいいい!!」 「までぃざのおぼうじざんがえずんだぜええええええええええ!?」 「ぢぇええええええええええええええん!?」 「どぐんだぜえええええええ!!までぃざいがいのぐずなゆっぐりはゆっぐりじねえええええええええ!!」 「までぃざあああああああああ!ごのうらぎりぼのおおおおおおおおおお!!」 「いだいいいいいいいいいい!!ばぢぇのがわざんびっばらないでええええええええ!!」 「ごんなのどがいばじゃないわああああああああああああ!?」 どこもかしこも袋詰めにされたゆっくりと辺りを跳ねまわるゆっくりばかり。 あまりにも多くのゆっくり達がつかまり袋に詰められる。そんな中で私はふと先ほどのまりさ一家が気になって。戻ってみることにした。 羽付きも渋々付いていく。私の周りから少しでも離れればそれは捕獲対象になってしまうからだ。 …私と羽付きがついた頃には頃にはすでにまりさ一家はダンボール箱から蹴りだされて木の根元をバックにひと固まりになっていた。 「ゆゆ!ありす!おちびちゃんたち!ゆっくりうしろにいるんだぜ!まりさがいまからこのじじいをせいっさいっしてやるんだぜ!」 「ゆんやあああああああ!!きょわいわああああああ!!」 「おとうしゃんはちゅよいんぢゃよ!ゆっきゅりどっかいっちぇね!ぷきゅー!」 「ゆゆ!だいじょうぶよ!だーりんはつよいからきっとあんないなかものたおしてくれるわ!」 後ろで子ゆっくり二匹が小麦粉の皮をありすにくっ付けて様々な行動を取っていた。ありすの方もキリッとした表情でまりさを見ている。 私も羽付きもあのゆっくり達はもう捕まったと思った。あまりにも不利すぎるからだ。 職員がフック付きの棒をびゅっとふるう。本来なら側面や後部の小麦粉の皮に引っ掛けるのが普通だが、あまりなれていないのか。とんでもない方向に刺さる。 「ゆがあああああああああああ!!までぃざのおべべがあああああああああああああ!!」 棒をふるったのとまりさが体当たりを仕掛けようとしたのが同じタイミングだったからだろうか?まるで導かれるようにまりさの寒天の右目にプッスリと刺さった。 かなり狼狽しているのか。職員がグイグイと引っ張る。当然寒天の右目がブチンと音を立てて離れてしまった。 「いだいいいいいいいいいい!!」 「「おどうじゃあああああああああん!?」」 「だーりんんんんんんんんんんんんんんんん!?」 後ろで余裕をこいていた子ゆっくりとありすが驚く。人間にも勝てる強いゆっくりと思っていたのだろうか?だが現実は無常だ。 目の前で砂糖水の涙と涎を吐き散らしながら帽子を投げだしゴロゴロと転がるそれが私と羽付きと、そしてあのありす達が見た「強いまりさ」の真実だった。 職員が動きまわるまりさを四苦八苦してとらえようと何度も棒をふるった。 だがわざとかと思うほどきれいに刺さらず。小麦粉の皮がまるでふらんに引っ掛かれるかの如くズタズタになるばかりで餡子を飛び散らせながらのたうち回るばかりであった。 「いだい!いだいいいいいいいい!!ゆぎいいいいいいい!!やべでぐださいいいいいいいいい!!あ”あ”あ”あ”!?あでぃずううううううう!だづげでええええええええ!!あでぃずうううううううう!?」 ボロボロの体で必死にありすの名前を呼ぶ。だが… 「こんないなかものなまりさとはゆっくりできないわ!さっさとにげましょう!」 「きょんなぐじゅにゃんきゃほっちょくわ!ゆ!ゆ!」 「じゃこのまりちゃはしゃっしゃちょしにゅんだじぇ!」 そう吐き捨てながらくるっと後ろを向くと一斉に跳ねて逃げ始めていた。ここで私は間違いなくゲスゆっくりであると断定したのである。 「ぞんなああああああああああああ!!ゆがあああああああ!!だずげでえええええええええ!!」 まりさが地面に突っ伏したまま凄まじい声で泣き叫ぶ。先ほどの威勢はどうしたのかという勢いだ。 職員が逃げるありすに棒をふるった。かなり焦っている様だ。慣れない手つきから見て新入りではないかと推測する。 フックはありすの上部前方にスコンと刺さり、グイッとありすの体が持ち上がる。 「ゆっがあああああああああ!?あでぃずのあだばがあああああああ!?」 グネグネと底部を動かしまるでメトロノームの様に勢いをつけて前後に揺れている。そのおかげだろうか。ミチミチと音がして小麦粉の皮と飾りがフックの先についてありすはボトンと地面に落ちた。 「ごんなのどがいばじゃないわあああああああああああああああああああああ!!」 「ゆびぇえええええええええええん!!きょわいんだじぇえええええええええ!!」 「ちょかいはにゃありちゅをたしゅけちぇねええええええええええええ!!」 口々に勝手な事を言いながら寒天の目を血走らせ涎をまき散らし逃げるありす達。 職員は諦めたのか「ゆ”!ゆ”!」と餡子が出すぎて息も絶え絶えのまりさを袋に詰めると、キョロキョロと辺りをうかがってそのまま引き上げていってしまった。 私と羽付きはあのありす達の言った方向へと向かった。 まだそんなに遠くへは言って無いだろう。 人気のない公衆便所の壁面の端にありす達がいた。 だが、私と羽付きはその目を疑った。 先ほどまでともに逃げていた子ゆっくり二匹をなんとあのありすが攻撃していたのである。 子まりさの方はすでに帽子と砂糖細工の髪の毛以外は判断できない程に潰れていた。恐らくありすが踏みつぶしたのだろう。 そして残った子ありすはありすの舌で持ち上げられ、硬い地面に底部をドカドカと打ちつけられている。 「ゆびゅあ!ゆぎゅっ!ゆげぇっ!やべぢぇええええええ!!ありぢゅのぢょがいばなぎゃおぎゃあああああああ!?」 「ありすをおいてにげるようないなかものはゆっくりしになさい!」 …既に子ありすは小麦粉の皮が数倍にも腫れてどこがどうか判別できなくなっていた。中のクリームが不規則に移動しているからだろう。 口からカスタードクリームを吐きだしてもがき苦しんでいる。だが、あと二度ほども叩きつけられて 「ゆ”!…ゆ”!…ゅ”!」とピクピクと震えるだけになってやがて動かなくなってしまった。 ありすはそれを見て満足そうに 「ゆゆーん♪いなかものがきえてすっきりしたわ!」と満足げにニタニタと笑っているのだ。 私は怒りを通り越して呆れ果てた。目の前でニタニタと笑っている泥やゴミを砂糖細工の髪や小麦粉の皮につけているありすを見ていると、そんな事しか浮かばない。 私は振り向いて歩き出す。羽付きもそれに呼応して跳ねて着いてきた。 たった一匹残った胎生型のありす…羽付きの予想を聞かなくともどうなるかは大体想像がつくからだ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あれから一週間後。私は再び公園の様子を羽付きとともに見に来ていた。 まだ数は少ないなれども、再び全く別の所からやってきたゆっくり達が住み着いている様だ。 羽付きが言うにはあの掃除から零れ出たとしてもここから出ていくゆっくりが殆どで、後は全部新しいゆっくりがやってくるから「掃除」に永遠に気づかないらしい。 その話を聞きながらあのありすの事を思い出していた。あのありすは今何をしているのだろうか? 羽付きにその事を尋ねると「もういないかもしれない、いるとすれば他のゆっくりの"家来"になっているだろう」と答えた 家来?それは一体どういう意味なのか? 歩いていくと池の周り、まりさ一家がいたダンボール箱がそのまま残っていた。 「ほらほら!はやくまりささまとれいむのうんうんをたべないとそこのちびがつぶれちゃうんだぜ?」 「ゆゆ!すっきりー!」 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”おぢびぢゃんんんんんんんんんんん!?」 そこにはふた回りも大きいれいむとまりさがいた。一様にあにゃるを突き出してうんうんを一か所にかましている。 うんうんがよく見ると動いている。いや…中に何かがいるようだ。 良く見てみるとそこには三匹のミカン程の小ささの子ありすが三匹、苦しそうにウネウネとうんうんの中で動いていた。 「ゆ”・・・ゆ”…!」 「ぐざいわあああああああ!!」 「ぢょがいばじゃないいいいいいいい!!」 だが、それより目についたのはあのありすの風貌だった。 頭の飾りが無くなったのは当然だが、何より砂糖細工の髪の毛が全て無くなっていた。 毟られたのだろうか?後部の上方に木の枝が三本刺さっているのを見るとどうやらあのれいむとありすにやられたのではないかと思えてくる。 ボロボロになったありすは必死にれいむとまりさの餡子…うんうんをグチャグチャとかき分けるように顔を突っ込んで食べながら必死に寒天の両目から涙を流していた。 「おぢびぢゃんまっででね!いばだずげるがらね!がふ!ぐふっ!ゆおげぇぇぇえええ!!ゆげぇぇえええっ!」 何度もえずきながらうんうんをぐちゃぐちゃと食べながら時にクリームと餡子が混じった物を吐き出して必死に子ありすを探す。 全て片付けるまで約二分近くかかっただろうか。ボロボロのありすの横に怯えるように小麦粉の皮をくっつけて震える子ありすの姿。 「あでぃずのおぢびぢゃんがああああああ!?ゆっぐりよぐなるのよ!?ぺーろぺーろ!」 だがもう一匹の子ありすの方はかなり致命的の様だ。口からカスタードクリームをぼとぼとと吐き出し、しわしわになって地面に潰れかけている。 ありすが必死にぺーろぺーろしようにも全く意味はない。やがて「ゅ”!」と小さく跳ねると完全に動かなくなってしまっていた。 「あ”あ”あ”あ”あ”!?あでぃずのおぢびぢゃゆがあああ!?」 「うるさいよ!ぎゃーぎゃーさわがないでね!」 悲しむ間もなくれいむに弾き飛ばされるありす。まりさが帽子から木の枝を取り出してありすの右側面に突き立てる。 「ゆぎゃあああああ!!いだいいいいいいい!?」 「これでよんかいめなんだぜ!つぎごはんさんをさがしにいってもごはんさんをとれないのならおなじことをもういっかするんだぜ!」 「れいむあまあまさんがたべたいよ!さっさととってきてね!」 「そうだぜ!さっさとごはんさんをとってくるんだぜ!あとばつとしてきょうのごはんさんはそこのまんじゅうなんだぜ!」 まりさとれいむがことごとく注文をつけるとよろよろと立ち上がり、子ありす二匹を口に入れ力なくズリズリと這いだした。 それを見たまりさが一匹の子ありすの髪の毛を口でくわえて乱暴に引っ張る。 「おまえはこっちにくるんだぜ!かってににげだされたらこまるんだぜ!」 「ゆんやあああああ!!いぢゃいわいいいいい!!ありぢゅのぢょがいばなぎゃみをひっびゃらにゃいぢぇえええええ!!」 「おぢびぢゃんんんんんんん!?」 「なにかもんくあるの!?かざりのないゆっくりはだまっててね!」 どうやら子ありす一匹を盾に取っている様だ。容赦なく自分の子ゆっくりを潰したありすならそのまま逃げだしそうだがそうはいかないらしい。その辺の事は私や羽付きでもその心情を察する事は出来なかった。 「ゆうう…ゆっくりまってるのよ…!ありすがいっぱいごはんさんをとってくるから…!」 「ゆええええええええん!おねえしゃんだけぢゅるいわあああああ!!ゆんやああああああああ!!」 子ありすの悲鳴に振り返りもせずとぼとぼと跳ねていくありすと子ありす。 それを見ながられいむとまりさは小麦粉の皮を合わせてすーりすーりを繰り返している。 「ゆゆ!れいむすーりすーり!」 「ゆゆ~ん♪まりさすーりすーり!」 そのすぐ横には残ったうんうんをしかめながらちょぼちょぼと口に運ぶ子ありすの姿があった。 「ゆうう…くぢゃいわぁぁ…でもゆっきゅりちゃべりゅわ…む~ちゃむ~ちゃ…」 …その対照的な姿を見ても何の感情すらも思い浮かばない。なんとなくこうなるだろうと言う事はあのありす達の達振る舞いを見ていたら予想がつくからだ。 羽付きはそれを見ると「もう帰ろう」と言うとそのまま振り返りもせずに飛び跳ねだした。 私も踵を返して池の周りを後にする。 羽付きと別れた帰り道の途中、あのありすを見た。 ありすはただひたすらに寒天の両目から涙を流して道路の端に生えた雑草をブチブチと引き抜いていた。 子ありすの方も同様だ。一様に心配そうな表情を浮かべてありすの後部を見ていると言うこと以外は。 「ゆ”!ゆ”!もういやだわぁぁ…!ゆっぐりじだいよぉぉ…!どぼじであでぃずがごんなめにあわないどいげないのぉぉ…」 そう言いながらブチブチとただひたすらに雑草を引き抜きありすを尻目に私はそこを後にした。 羽付きが言うにはあの公園に居ついたゆっくりは大体ああいった末路をたどるという。あのありす達が特別なのではなく。少し足を延ばせばどこでも見られる光景だそうだ。 家路につく途中にあのありす達の事を思い返していた。シビアな冬の街をあんな気楽な心持ちで生きていたのだ。もしかすればまりさ種の方がとてつもなく優秀だったのかもしれない。 だが、整理して考えてみるとあのまりさ一家も同じように「掃除」によってあぶれたゆっくりを「家来」にして越冬用の食料を集めたと思うのが妥当だろう。 ――――あの公園には今日も外から吸い寄せられるようにゆっくりが集まっていく。まるで「ドスまりさの群れ」がいると聞きつけたかのように… 過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 504 かりすま☆ふぁいたー ふたば系ゆっくりいじめ 516 サバイバル・ウィンター ふたば系ゆっくりいじめ 527 シティ・リベンジャーズ ふたば系ゆっくりいじめ 582 ビルディング・フォレスト ふたば系ゆっくりいじめ 587 バトル・プレイス ふたば系ゆっくりいじめ 592 コールド・ソング ふたば系ゆっくりいじめ 604 ロンリー・ラック トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る いつもコメ欄に涌くキモ厨二あきさん乙ですwwwwww批判する前に自分で書いたらどうすかwwwwwwwww -- 2013-03-22 14 54 12 毎度ながらハゲェェェが笑えて仕方ないな -- 2011-09-02 21 57 45 ひはんちゅうはまりさがせいっさい!するんだぜ! -- 2011-08-11 21 34 05 ゆっくり達は直接虐待しなくても観察するだけでホッコリするねぇ -- 2011-06-06 17 25 29 こいつがトップで噂のキモいしか語彙が無いゆとりDQNの荒らしか…噂通りだなwきめえ -- 2011-03-09 08 03 16 うわっww本当にいたよキモ荒らしwキモッww -- 2011-03-09 00 00 47 俺赤ゆありす虐待大好きだからゆっくりできたわ。 -- 2011-03-08 23 42 04 ふむふむ、羽付きがとんがり帽子を取るとそこに現れたのはれみりゃの帽子であったと・・・ 更にれみりゃの帽子を取ると邪気眼が現れるというわけだ キモいんだよハゲェェ!! なんかどんどんキモい方へキモい方へと突き進んでいるな 次はいったいどんなキモい厨二設定が出てくるのかと思うと 吐き気を押さえらんねえぜ -- 2011-03-08 08 48 01 羽付きの秘密兵器に吹いたw このゆっくりは好きだわー 胎生出産した子ゆっくりは特別なのかねぇ。 お腹痛めて生まない赤ゆっくりって簡単に見捨てられるのかなぁ -- 2010-10-21 15 33 41 ゆっくりがみんなゲスだったらいいのに・・・ -- 2010-08-25 21 28 29
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/282.html
「ふたば系ゆっくりいじめ 83 ある加工所の一幕/コメントログ」 ゆんてりあ ありだね -- 2011-05-21 16 24 19
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2138.html
「ふたば系ゆっくりいじめ 1022 どすおい/コメントログ」 すこしは考えて物書いてほしい。 -- 2010-06-16 04 29 12 気持ち悪い。地元に似たような祭りがあるんで、馬鹿にされた気がした。 -- 2010-07-08 22 42 27 わけもわからず追い込まれるドスがおもしろかった -- 2010-08-23 03 44 35 ドスは他の群れとの横のコネクションがありそうだから、この祭りのことは分からんもんかねぇw -- 2012-09-14 12 50 59 オンバァァァァァァスィィィィィらぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!! -- 2013-07-21 04 53 57
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1676.html
「ふたば系ゆっくりいじめ 799 深夜の通販は敵/コメントログ」 ゆっくりのほうが高いのかよ -- 2014-09-21 12 41 09
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1211.html
けがれなきゆっくりパーク 24KB 観察 理不尽 実験・改造 れいぱー 加工場 現代 独自設定 あらぬ方向にいった個人的考察 ※独自設定垂れ流し ※人間虐め要素あり 「ゆっくりしていってね!」 まどろむように穏やかで、しかし底抜けに朗らかな声が響く。 野生のゆっくりのような余裕のない響きも、野良のゆっくりのような下卑た響きも、飼い ゆっくりのような人に媚びた響きも、その声には全く含まれていない。 世に有象無象とあふれた生首ナマモノ、普通のゆっくりの発するそれとは明らかに違う声。 まさに純粋無垢なゆっくりとしたその言葉は、しかしこの場所でだけはありふれたものだ った。ここはゆっくりパーク。 「原初に限りなく近いゆっくり」が住まうという触れ込みのテーマパークなのだ。 けがれなきゆっくりパーク ゆっくりパークは、ドームの中に作られた広大な自然公園だ。敷き詰められた芝生に、木 々や茂みが適度に配置されている。小高い丘や噴水などもある。人間が散歩できるよう沿 道や、休憩できるベンチもある。見た目は普通の自然公園とそう変わるものではない。 その最大の特徴はもちろん、そこにいるゆっくりたちだ。 「ゆっくり!」 「ゆっくりしてるね!」 「ゆっくり! ゆっくり! ゆっくりー!」 元気にはね回るのは、れいむ種とまりさ種の二種だ。ゆっくりの始まりにしてもっともポ ピュラーなこの二種がこのゆっくりパークの主役だ。 ゆっくりパークを回るときは気軽に声をかけるといい。 「れいむ、まりさ、ゆっくりしていってね!」 「ゆ! おにいさん、ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 どこか得意げな、それでいて憎めない特徴的な笑顔、そして「ゆっくりしていってね」と いうセリフ。 ゆっくりたちは、遊びに来る人間を心から歓迎してくれる。 その実にゆっくりとした挨拶だけで、誰もがゆっくりとした気分になれることだろう。 それだけでも心が和むものだが、ゆっくりたちも触れ合うこともゆっくりパークの大きな 楽しみのひとつだ。 「れいむの髪、サラサラだなあ」 「ゆっくりー!」 「まりさのほっぺも! もっちもちで気持ちいい!」 「まりさもきもちいいよ! ゆっくりできるよ!」 「ほーら、たかいたかーい」 「ゆうう! おそらをとんでるみたい! ゆっくりー!」 素朴なゆっくりたちとのふれあいは、つかの間、人を童心に帰らせてくれる。 食べ物の持ち込みは禁止されているが、公園内ではゆっくりにあげるお菓子が売られてい る。機会があれば、これらを購入してゆっくりに与えることをお勧めする。 「むーしゃ、むーしゃ! しあわせー!」 食事のおいしさに打ち震えしあわせを叫ぶゆっくりの姿は、見ている方もしあわせ気分に 浸らせること請け合いだ。現代人が忙しさの中で忘れがちな食事の楽しさというものを、 ゆっくりたちは思い出させてくれる。 もちろん、ゆっくりたちは眺めているだけで楽しいものだ。 「ちょうちょさんまって! ゆっくりー!」 「ゆっくりまわるよ! こーろころ! ゆっくり!」 「のーびのびするよ! ゆっくりー!」 「むーにゃ、むーにゃ! すーや! すーや!」 ドームに包まれた自然公園は、柔らかな人工灯に照らされ、空調により常に春の気温と湿 度が保たれている。ゆっくりたちはこの常春の楽園でのびのびとゆっくりするのだ。 その姿を見て、触れて、聴いて、味わう。そうすれば、きっと誰もが心休まるしあわせに なれる。ゆっくりできる。 ゆっくりを見る、というだけならこのゆっくりパークでなくてもいいだろう。世にゆっく りはあふれている。 だが、それらは実のところ、その名ほどゆっくりしていない。 野生のゆっくりは厳しい自然を生き抜くのに必死で余裕がない。都会の薄汚れた野良もま た同じ。飼いゆっくりにしても、人間の都合にあわせて躾られており、従順ではあっても 純粋ではない。加工場の製品はもともとゆっくりさせてはもらえない。 どのゆっくりも、ゆっくりを餡子の底から求めながら、ゆっくりしているとはほど遠い状 況にある。だから人間の畑に忍び込んだり、人の家に押し入ったり、あるいは人間に無謀 な要求を突きつけたりする。その行動の根元は、よりゆっくりしたいから、だ。 このゆっくりパークのゆっくりたちは違う。これ以上ないほど純粋にゆっくりとしている。 だから人に今以上のなにかを求めたりはしない。無垢に無邪気にゆっくりとしているだけ なのだ。 だからここのゆっくりは評されるのだ。「原初のゆっくりに限りなく近いゆっくり」だ、 と。 純粋にして無垢。けがれなきゆっくりたち。 このパークのゆっくりを求めるものたちは多い。だが、残念ながら一般に販売はされてい ない。 禁じられれば欲しくなるのが人の性。だが、このゆっくりパークのゆっくりに手を出すの はやめたほうがいい。パークの各所には死角なく監視カメラが設置されており、ゆっくり たちのお飾りには発信機能つきのICタグがつけられている。ゆっくりたちは厳密管理さ れ、大切に守られているのだ。 まさに地上に現れたゆっくりたちの楽園。それがここ、ゆっくりパークなのだ。 「ゆっくりしていってね!」 ゆっくりパークでは、いつもゆっくりたちの声が響き渡る。その声には、生きることのし あわせが、満ち足りた穏やかさがある。 だが、なにより。 ――みんなにゆっくりしてほしい。 その願いが、つまっている。 だからここ、ゆっくりパークを訪れる者はみな、ゆっくりできるのだ。 ゆっくりパークは口コミで伝わり、日に日に訪れるものは増えていった。 ・ ・ ・ 「おにいさん! ゆっくりしていってね!」 ある日のこと。ゆっくパークの従業員である男は、二匹のゆっくり、れいむとまりさに呼 び止められた。 「ああ、ゆっくりしていって……ね」 男の言葉を詰まらせたのは、れいむの頭から生えた茎と、鈴なりに生った赤ゆっくりだっ た。 「まりさ、れいむとずっとゆっくりすることにしたよ!」 「かわいいあかちゃんができたよ! ゆっくりしていってね!」 男は目をしばたたかせ、「ちょっと待ってろ」と告げると足早にその場を去った。 れいむとまりさはきりっとしたゆっくり特有の表情を浮かべてじっと待つ。 ほどなくして、男は乳母車のようなものを持ってきた。 「さ、ここに行こうか」 乳母車はれいむとまりさが乗るのにちょうどいい大きさだった。乳母車のクッションの心 地よさに、れいむとまりさはぐんにょり乳母車に同化するみたいに潰れた。 そして、男は乳母車を押し歩き始めた。 「ゆ? れいむ、まりさ、どうしたの?」 「ゆっくりしてる? ゆっくり! ゆっくりー!」 道すがら問いかけてくるゆっくりたちに、男は二人に子供ができたのでしばらくパークを 離れることを告げた。 「れいむ、まりさ! ゆっくりしていってね!」 みんなの祝福を受け、乳母車の上のれいむとまりさは実に誇らしげだった。 だが、男の表情はどこか暗い。 パークの入り口にさしかかったところ、男は先輩の従業員に呼び止められた。 「どうした?」 「先輩、この子たちが……」 「……ああ、そうか。子供ができたんだな」 「ええ、そうなんです……」 男の沈んだ声と表情を、先輩と呼ばれた男は見とがめた。 「……そうか、お前は初めてだったな。よし、俺も同行しよう」 「すみません……」 そして、二人と二匹はゆっくりパークの外へとでた。 外、と言ってもまだパークの敷地内、パークに隣接する建物の中だ。 無機質なリノリウムの廊下を足音が高く響く。 乳母車の上のゆっくりたちは、希望に瞳が輝かせている。この廊下の先にはどんなゆっく りしたことが待っているのだろう。そんな期待で全身を膨らませていた。赤ゆっくりの生 った茎は、そんな親ゆっくりの上で穏やかに揺れていた。 そして、その部屋についた。 「ゆ?」 「ゆ、ゆっくり……?」 れいむもまりさも疑問の声を上げた。 殺風景な部屋だった。床も壁もコンクリートの打ちっ放し。木片やアルミの板などの資材 が並べられている。 そこは部屋、というより舞台裏と称した方がふさわしい、どこか寒々とした場所だった。 これからゆっくりたちは子供を産む。だから、すごくゆっくりした場所に行くはずだと思 いこんでいたのだろう。きょろきょろと、物珍しそうに辺りを見回している。 不安は感じていないようだった。信じているのだ。世の中のなにもかもが、ゆっくりでき るものだと。 男は痛ましげな瞳でそんなれいむとまりさを見つめる。 「先輩、こいつら、どうにかなりませんか?」 「ダメだ。例外は許されない」 「でも……!」 「規則だ。お前がやらないのなら、俺がやる」 男達のやりとりに、れいむとまりさにもようやく不安の影が射した。二人の声も様子もゆ っくりしていないことがわかったのだろう。 「おにいさん、ゆっくりしてないの?」 「ゆっくり! ゆっくりしていってね!」 「ああ、大丈夫だよ」 自分ではなく、まず相手をゆっくりさせようというゆっくりたちに、男は弱い微笑みを返す。 「すぐ終わらせる。だから、心配しないで」 そして男は強く奥歯を噛みしめ、心を決めた。 部屋の一角からずた袋をひっぱり出す。そして、近くに立てかけられていたバットも手に 取る。それらを手にすると、ゆっくりたちの載る乳母車へと戻った。 「ゆっくり……?」 「ゆっくりしてね……?」 不安げなゆっくりたち。 男はもうためらわなかった。覚悟を決めていた。 そして、有無を言わさずゆっくりたちをずた袋に放り込むと、ひもで袋の口を縛った。 「ゆゆゆ!? どうしたの? なにするの?」 「ゆっくり!? ゆっくりしようよーっ!?」 戸惑いの声。だが、非難の言葉はない。信じているのだ。ゆっくりパークの男を。 男は唇を噛み、その言葉に耐える。 そして、バットを振りあげると、ゆっくりたちの入った袋へと叩き下ろした。 「ゆぐううううっ!?」 「まりさ、どうしたの? ゆっくりしてる?」 「いだいいいいい! ゆっぐじでぎないいいい!」 どうやらまりさに当たったらしい。男はゆっくり達の戸惑いの声を振り払うように、再び バッドを降り下ろした。 「ゆぎゃあああ! めがああああ! まりさのおめめがあああああ!」 「まりさ! まりさああああ!」 「いぢゃい! いぢゃい! いぢゃいよおおお!」 「やめてあげてね! まりさ、いたがってるよ!」 袋がうごめく。中では何が起こっているのか、外からではよくわからない。いや、見えな いからこそいっそうその声に、悲惨な状況が思い浮かべさせられる。 ゆっくりたちの苦しみの声に、男は手を止めた。 「休むな。一気にやれ。時間をかける方が残酷だ」 「わかってます!」 先輩に促され、男は再びバットを振るい始めた。 やすまず、何度も、何度もたたきつける。 「ゆべ! ゆぎっ! ゆぐうう!」 「ゆぎゃあっ! ゆびぃ! ゆびゅうう!」 ゆっくりたちは何度も叫んだ。ゆっくりパークでずっと暮らしてきたゆっくり。痛みも苦 しみもない、ゆっくりすることだけが全てだった無垢なゆっくり。 初めての痛みはどれほど激しく感じるだろう。今まで感じたことのない苦しみはどれほど のものだろう。理由もわからない暴力は、どれほど理不尽に思えることだろう。 それなのに。 「おにいざん、ゆっりじでえええ!」 「ゆっぐじ、ゆっぐじ、ゆっぐじぃぃぃ!」 ゆっくりたちは男を非難しなかった。ただ、男がゆっくりすることを願った。 それを叩き伏せるように、ただ一心不乱に男はバッドを振るい続けた。 やがて声は止み、袋も動かなくなった。 「確認しろ」 先輩の指示に、男は荒い息を吐きながらバッドを投げ捨て、袋の紐をほどいた。中をのぞ き込もうとし、 「ゆーっ!」 飛び出してきたものに驚きのけぞった。 れいむだ。 しかし、ひどい有様だった。どこもかしこもぱんぱんに腫れ上がり、その顔は袋に入る前 より一回りは大きくなっている。それとは逆に頭の後ろ半分は完全に陥没しており、ひど くアンバランスだった。 そんなひどい有様でありながら、まだかろうじて生きていた。 だが、限界は近い。袋から跳ねて出てきただけでも奇跡的といえる。ずりずりと這い進む 後には、体のそこかしこから漏れ出た餡子の道ができている。 「まりざあああ……あがぢゃん……」 乱れた髪に隠れて見えないが、おそらくその目も潰れてしまっているのだろう。どこへ向 かうともなくふらふらと這い進むばかりだった。 驚いたことに頭から茎はもげていなかった。だが、そこに実っていた赤ゆっくりは、いず れもれいむの黒髪に沈み込むようにして潰れていた。 あまりにも悲惨な姿だった。 見かねて、先輩が動こうとしたとき、男はバットを拾い、れいむの前に立った。れいむは 男の足にぶつかり、「ゆっ」と呻いて止まった。 「れいむ」 「おにいざん……?」 「すまない……こんなことを言えた立場じゃないが、でも言わせてくれ。すまない」 「どうじで……ごんなごど……ずるの……?」 地の底から響くようなれいむの問いかけに、男は震えた。バットを振りかぶり、男は努め て事務的に言った。 「……規則なんだ。『こどもをつくったゆっくりは処分する』。それが、このゆっくりパ ークで決められた、絶対守らなくちゃいけない規則なんだ」 「ぞんな……あがぢゃんは、ゆっくりできるんだよ……」 「そうかもしれない。でも、ここではだめなんだ」 「れいむたち……ゆっぐりしてたんだよ……」 「そうだったな。でも、だめなんだ」 男はバットを振り下ろそうとした。 れいむは顔を上げた。黒髪の隙間から、眼下からこぼれた右目と、潰れた左目が見えた。 機能してないはずのそれらが、男をにらんだ。男はバットを振りかぶったまま固まった。 「しねえ……」 ぞくり、と男の背筋を冷たいものがかけた。 その言葉。とてつもない恨みのこもったそれは、「原初のゆっくり」ならば決して発しな いはずのものだった。 れいむは、叫んだ。 「こんなことをするおにいさんは、ゆっくりしないでしねええええええ!」 その声に引きずり込まれるように、声もなく男はバットを振り下ろした。 そうして、れいむとまりさは「永遠にゆっくり」した。 ・ ・ ・ 「……あいつらは、いったい何なんですか……」 ゆっくりパークの外。「永遠にゆっくり」したれいむとまりさをゴミ捨て場に片づけたと ころで、男は先輩に問いかけた。 「俺は、あいつらは原初のゆっくりそのものだと思っていました。なのに、あいつらは普 通のゆっくりみたいに子供を作ってしまった。それに、それに、最後のあの言葉……!」 男は震える自らの身を抱いた。 「こんなことをするおにいさんは、ゆっくりしないでしねええええええ!」 あれは一生忘れられないのではないかと思った。 先輩はため息をついた。 「あれは原初のゆっくりなんかじゃない。触れ込み通り、『限りなく近い』ってだけだ」 「でもっ……!」 「落ち着け。お前もゆっくりにあんな言葉を吐かれるのは初めてじゃないんだろう? 元 加工場職員のくせに、ビクついてるんじゃない」 「!?」 男の目が驚きに見開かれた。 先輩はやれやれと肩をすくめた。 「ここのことをなにも知らずに働いてたのか。噂も聞いたことはないのか?」 「し、知りませんよ。ただ、俺はゆっくり加工場になんだか嫌気がさしてやめて……それ から、ここのことを知って、ぜひ働きたいって志願して……!」 「特殊なパターンだな。元加工場職員ってことで仕事に就けたんだろうが……採用したや つも、本当になにも知らずにお前がここに来たなんて、夢にも思わなかったんだろうなあ」 「さっきからなに言ってるんですか? 加工場加工場って……ここ、加工場となにか関係 があるっていうんですか?」 「関係もなにも、ここはゆっくり加工場の施設のひとつさ。表向きはまったく別系統の会 社が運営していることになっているが、な。ここの職員はみんな、加工場からの転属だよ。 ああ、お前は例外らしいがな」 男はあんぐりと口を開けた。 純粋で無垢なゆっくりがゆっくりと過ごすゆっくりパーク。ゆっくりの天国であるはずの ここが、ゆっくりの地獄である加工場のものだったとは、男は想像だにしなかったのだ。 先輩は完全にあきれていた。 「そもそもガキを作ったゆっくりをつぶすなんて規則がある時点で気づけよ」 「でもっ……それはパークの環境を適性数を保つためで……!」 「そんなの表向きの言い訳に決まってるだろ。ズレてんなあ……まあ、そんなだから加工 場を辞めて、なにも知らないままにここに就職なんておかしなことになってるんだろうけ どな。まあ、いい機会だ。一から教えてやる」 男は深々と息を吐き、ゴミ捨て場の外壁によりかかると語り始めた。 「まずこのゆっくりパークについてだ。ここはな、元々は野生のゆっくりの生産場だった んだ」 「野生のゆっくりを? なんでまた」 「野生のゆっくりは加工場産と比べて甘みの質が違う。あいつら、駆除を名目に大量に手 に入るものの、手に入るタイミングが安定しない。安定した供給を保つってことでここが できたんだが、結局採算があわなくて頓挫した」 「野生のゆっくりなんていくら駆除してもわいてきますしね」 「あいつら流に言えば『勝手に生えてくる』からな」 先輩はククッと笑った。 「で、廃棄されたその施設が、加工場で新たに生まれたゆっくりによって復活した」 「新たに生まれたゆっくり……でも、原初のゆっくりなんですよね? 新たにって言うの とは違うんじゃ……」 「何度も言わせるな。原初のゆっくりじゃない。限りなく近い、というだけだ。まがいも のだよ、あんなの」 先輩は顔をしかめ、吐き捨てるように言った。男にとっては好ましい、ゆっくりパークの ゆっくりたち。だが先輩は、それを嫌っているようだ。 「先輩。結局、あのゆっくりたちはどういうものなんですか? 俺にはどうしても、加工 場であんな純粋なゆっくりが生まれるとは思えません」 「純粋、か。ああ、純粋さ、あいつらは。紛れもなく純粋培養。無菌状態の箱入りゆっく りってやつだ」 「……?」 「お前、機械式生産場は知っているか?」 「……ええ、一応は」 今度は男が顔をしかめた。 機械式生産場。それは、加工場の新たな大量生産手段だ。 従来の加工場では、ゆっくりの大量生産といえばれいぱーありすが利用されることが一般 的だった。 ところが、ついに加工場の技術陣は精子餡の秘密を解き明かし、低コストで大量に生産す る術を確立した。 機械式生産場は、それを最大限に活かした大量生産の極地だった。 機械式生産場で母体として選別されたゆっくりは、生まれた瞬間に目と口とお飾りと髪、 およそゆっくりがゆっくりであるもの全てを奪われ、あんよも焼かれる。そして成長促進 剤とオレンジジュースによって急速に成長、成体まで育った時点で定期的に精子餡をそそ ぎ込まれ、子を産む。 見えず、動けず、喋れない。その苦しみの中で生み出されるゆっくりは、良質な甘さを持 つ。 この機械式生産場の最大の利点は、ゆっくりの成長・生産を厳密に管理できることと、そ の手間が少ないことだ。なにしろ母体ゆっくりはうごきもしゃべりもしない。成長するの も子を産むのもチューブでそそぎ込むオレンジジュースや精子餡で完全に制御できる。機 械式生産場は、ゆっくりをまさに饅頭を産む機械として運用するのだ。 今や、維持に手間がかかり品質も機械式に比べればバラツキのあるれいぱーありすは、大 量生産には不要なものとなった。大量生産においては生産の安定、品質の均一化の方が重 要事項なのだ。 だが、それでもやはり通常のすっきりーの方が高品質なものができやすい。れいぱーあり すは今では高級品の生産に使用されている。皮肉にも、ありす種の望む「とかいは」に近 い扱いを受けているのだ。もっとも、当のれいぱーありすはそんなことを知る由もないこ とだが。 男は機械式生産場の光景を思い出し、気分が悪くなった。 整然と並んだ母体ゆっくりと、機械的に産み落とされる赤ゆっくり。ゆっくりをまったく 生き物として扱わない、加工場ではなく「工場」と呼ぶべき光景。 男が加工場をやめるきっかけになったことのひとつだった。 だから、 「ゆっくりパークのゆっくりは、加工場の母体ゆっくりだ」 先輩の言葉を男はすぐには理解できなかった。 「……え? えと、あの……なにを言っているんですか?」 「だから、ゆっくりパークのゆっくりどものことだ。あのゆっくりどもは、加工場の母体 として数世代を過ごした末に生まれたものだ」 「だって……あいつら、機械みたいに扱われて……」 「そうだ。今まで誰も母体ゆっくりがどんなゆっくりか知らなかった。なにしろ生まれた 瞬間なにもかも失うんだ。わかりるはずもない。それがあるとき、品質チェックの一環と して母体ゆっくりを普通に育ててみることになった。そうしたら、あの通りさ」 先輩はゆっくりパークのドームを指さした。 男の脳裏にゆっくりたちの姿がよぎる。 実にゆっくりした、無垢で無邪気で純粋で、なにより相手をゆっくりさせようという気持 ちにあふれた、愛すべきゆっくりたち。 それが、機械の部品のように扱われた、その慣れの果てだなんて。 「どうして……なんで……」 男にはなにもかもわからなくなっていた。 呆然と空を仰ぎ、ぶつぶつとつぶやいていた。 「どうして、か。俺は知らねえ。まったくわからねえ。わかりたくもないね!」 先輩はまくし立てた。まるで、何かから目を背けているようだと男は思った。 「……あのゆっくりたちが、機械式生産場出身なのはわかりました。でも、どうして子供 を産んだらつぶしてしまうんですか? 生まれがどうあれ、あんなにゆっくりとした無垢 で純粋で、いいやつらなのに……」 先輩はくくっと笑った。 「無垢? 純粋? そんなゆっくりが、すっきりーして子を産むのか?」 「そ、それは……!」 「だめなんだよ。確かに、母体ゆっくりは原初のゆっくりに近いくらい、純粋にゆっくり とした存在だ。だが子供を作るようになったらだめだ。普通のゆっくりになっちまう。だ から処分する」 「だって、あいつらあんなにゆっくりして……」 「だめだだめだ。所詮ゆっくりだ。長く生きれば自分をゆっくりさせることを優先させる ようになる。子供を作るようになるのはその兆候だ」 「子供ができても、あいつらならみんなをゆっくりさせてくれるかもしれない!」 「いいや、ありえない。あいつらは原初じゃない。限りなく近いってだけだ。一般に販売 されないのもそのせいだ。飼われるうちにあいつらは普通のゆっくりになっちまう。ゲス なった例すらある。だからゆっくりパークに限定して開放してるんだ」 「でも、でも……!」 男は言い返したかった。 だが、耳に残るあの声が邪魔をする。 「ゆっくりしないでしねええええええ!」 死の間際、ゆっくりパークのれいむは普通のゆっくりだけが使う、最低の言葉を残したの だ。 「人間だって大人になれば汚れていく。いつまでも子供じゃいられない。綺麗なままでな んていられない。ゆっくりならなおさらだ」 先輩はそっぽを向き、独り言のようにつぶやいた。 「先輩……?」 「まあ、今日のところはお前はもう、帰れ。いろいろ考えを整理したいだろう。それで、 これからどうするか決めろ」 「これから、どうするか……?」 「お前はここ向きじゃないかもしれない。イヤなら辞めたっていい。ただ、ここの秘密は 墓までもってけ。ゆっくりパークの本当のことなんて、きっと誰も知らない方がいいに決 まっている」 先輩の言葉に、男はうなずきもせず、ただボウッとしていた。 ・ ・ ・ 「ああ、ちくしょう! なんだってんだ!」 あれから、男は家には帰らず飲み歩いた。 納得いかなかった。 もともと男はゆっくりが嫌いではなかった。だから加工場で働きもした。だが、気づいた のだ。 「嫌いではない」、ではなかった。「好き」だったのだ。あの小生意気で憎らしい生首饅 頭を、男はなぜだか好きだったのだ。それに気がついたら、ゆっくりが苦しみ続ける加工 場の仕事はやっていられなかった。 だからゆっくりパークのことを知ったときは喜び、そしてそこで働けるようになったとき は飛び上がってはしゃいだものだ。子供をつくったゆっくりを処分しなくてはならないと いうのも、適正数の管理のためやむをえないことだと思いこんで自分をごまかしていた。 しかし今日、現実を知ってしまった。 離れたはずの加工場から離れていられなかった。それも、自分が愛したゆっくりパークの ゆっくりたちが、加工場の、それも最悪の場所で生まれたものだなんて。 男はヘベレケに酔って、どこともしれない電信柱に寄っかかって座り込んでいた。 そんなときだった。 「や、やいじじい! ゆっくりしないでさっさとあまあまをよこすんだぜ!」 「あん?」 男に声をかけるものがいた。 男は首を左右に回してみるが、声の主は見当たらない。上を見て、次に下を見て、ようや く気がついた。 ゆっくりまりさだ。 「なんだおまえ、きったないなあ……」 酔った意識のまま、男はとりあえず見たままの感想を言った。 「なにいってるんだぜええ!? ぜっせいのびゆっくりのまりささまをつかまえて、なに を……」 「いや、お前汚いって。みたところ、山で暮らしてたんだろ? それを何の用意もなく町 中うろついて、すっかり埃まみれってわけだ」 「ゆ、ゆゆう!?」 まりさは激しく動揺した。図星だったようだ。酔ってはいても男のゆっくりに対する審美 眼は確かだった。 確かにこのまりさ、泥も油汚れもそう深いものではない。街に降りてきて間がないのだろ う。人間を侮り、不用意にあまあまを要求するのもその証拠と言えた。 「お前らはあ、そんなふうに地面をはいずってるからすぐによごれちまうんだよお……」 「ま、まりさはよごれてなんかいないんだぜえええ!」 「汚れてる汚れてる。地べたをはいずって、人間が吐き出した汚いものみーんな体中にこ すりつけて……」 「ゆがあああ! じじいい! だまるんだぜええええ! このまりささまのうつくしさも わからないばかでむのーなじじいは、さっさとあまあまだすんだぜええ!」 男は苦笑した。 ゆっくりパークのゆっくりたちとはえらい違いだ。 あそこのゆっくりたちは、純粋で無垢で、綺麗だ。こんな汚い言葉遣いなんて決してしな い。 そう、こんな人間が吐き捨てたような汚い言葉なんて決して使わない。 いったいこのまりさはどこでこんなに汚れてしまったのだろう。 体も汚れ、汚い言葉を使う心もまた汚いに違いない。 せめて、街に降りてこなければ体がこんなに汚れてしまうこともなかっただろうに。 「ああっ!?」 叫びとともに男は立ち上がった。 足下のまりさをまじまじとみる。 地べたをはいずるゆっくりは、土ボコリも車の排気ガスもまともに浴びることになる。だ から、体が汚れる。 では心はどうだ? 原初のゆっくりは「ゆっくりしていってね!」以外の言葉をほとんど使わず、実にゆっく りしていたのだという。 心は、どうして汚れた? 汚い言葉は、どこで覚えた? 酔いはすっかり醒めた。 男の中で、引っかかっていたものがつながった。男は、わかってしまった。 「お前は、お前らは……人に触れて、けがれてしまったのか……?」 先輩は言った。 ゆっくりパークの純粋で無垢なゆっくりたちは、機械式生産場で代を重ねたゆっくりだと いう。 機械式生産場では、その名の通り機械化されており、人間がゆっくりに触れることはほと んどない。 だから、母体ゆっくりは人にまったく触れないままに代を重ねたことになる。 そしてその純粋培養された母体ゆっくりも、飼えば普通のゆっくりのようになり、時には ゲス化してしまうという。 ゆっくりパークのゆっくりたちでさえも、やがて子供を作り、そして普通のゆっくりとな り、汚い言葉も使うようになってしまうのだろう。 先輩は言った。 「ゆっくりパークの本当のことなんて、きっと誰も知らない方がいいに決まっている」 そうだ、誰だってこんなこと知りたくないに違いない。 人に触れて、ゆっくりはけがれていく、なんてこと。 「お前らがそんなに醜いのは、醜く見えるのは……人の醜さそのものだからか……?」 「じ、じじいはなにをいってるんだぜ……?」 「お前らをそんなにけがしてしまったのは、俺たちなのか……?」 「じじいはわけのわからないことをいってないで、とっととあまあまをよこすんだぜええ ええ!」 男はまりさの要求には応えなかった。 ただ、冷めた瞳でまりさをじっと見つめた。 そして、 「……すまない」 まりさを踏みつぶし、永遠にゆっくりさせた。 ・ ・ ・ あれからも、男はゆっくりパークで勤めている。 男はゆっくりの醜さを、その正体を知った。 だが、男は好きなのだ。そんな醜さを持つゆっくりたちのことが。 男は考えようと思っている。美しさと醜さ。誰もが、ゆっくりさえも持つそれらとどう向 き合い、どう折り合いをつけ、どう受け入れるか。ゆっくりと、欺瞞に満ちたこの場所で、 目を背けることなく考えていこうと思っている。 「ゆっくりしていってね!」 今日もゆっくりパークでは、ゆっくりたちの純粋で無垢で、実にゆっくりとした声が響い ている。 了 by触発あき ・過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 163 バトルゆ虐! ふたば系ゆっくりいじめ 172 とてもゆっくりした蛇口 ふたば系ゆっくりいじめ 180 ゆっくりばけてでるよ! ふたば系ゆっくりいじめ 181 ゆっくりばけてでるよ!後日談 ふたば系ゆっくりいじめ 199 ゆっくりたねをまいてね! ふたば系ゆっくりいじめ 201 ゆっくりはじけてね! ふたば系ゆっくりいじめ 204 餡小話の感想れいむ・その後 ふたば系ゆっくりいじめ 211 むかしなつかしゆーどろ遊び ふたば系ゆっくりいじめ 213 制裁は誰がために ふたば系ゆっくりいじめ 233 どすらりー ふたば系ゆっくりいじめ 465 おぼうしをおいかけて ふたば系ゆっくりいじめ 469 おぼうしをぶん投げて ふたば系ゆっくりいじめ 478 おぼうしのなかにあったもの ふたば系ゆっくりいじめ 513 ネリアン ふたば系ゆっくりいじめ 534 ラストれいむロストホープ ふたば系ゆっくりいじめ 537 地べたを這いずる饅頭の瞳に映る世界 上記以前の過去作品一覧は下記作品に収録 ふたば系ゆっくりいじめ 151 ゆっくりみわけてね! 触発あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ↓原初の純粋なゆっくりは、子どもなんて作らないし、そもそもおちびちゃんなんて存在しない。原初の純粋なゆっくりは、『どこからともなく沸いてくる存在』だから、種の存続も気にならない -- 2012-09-25 17 55 56 あいつらは原初のゆっくりそのものだと思っていました。なのに、あいつらは普 通のゆっくりみたいに子供を作ってしまった。 いやこいつ馬鹿だろ。原初の存在なら、それこそ「ゆっくるする、させる」って本能に従って純粋におちびが欲しいと思うだろ。 原初のゆっくりがすっきりーもしなかったなら、どうやって種を維持してたの?ばかなの?しぬの? -- 2012-09-18 22 36 17 毎回この作者の話はよく練り込まれていて面白い。 人と関わるから穢れるってのは実は初期型の頃にもテーマに挙がったことがあるけど、いつしか汚い言葉を話す奴らばかりになってしまった。それはそうと純粋ゆっくりのテーマパークは俺得だよ。行きたいよ。 -- 2012-07-19 21 10 39 ゆっくりぎゃくたいにはんたいなんて、げすなじじいだね! -- 2011-08-09 18 38 34 ________________________ -- 2011-03-02 21 06 23 人間だって赤ん坊のころから世間とは完全に隔絶された 争いも差別もない働かずして衣食住が確保されている箱庭に閉じ込め 一切の苦労を知らずに育てば純粋な人間なると思うよ まあ純粋というよりかは世間知らずの馬鹿かもしれないけどw -- 2011-02-17 17 19 27 原初ゆっくりかわいいよ -- 2010-12-14 08 20 32 鏡…ですかゆっくりが、ある意味新しい解釈 -- 2010-11-26 08 01 26 むしろお兄さんのが今時珍しいくらい純粋な人間だな -- 2010-11-10 19 53 53 まぁ良いんじゃないかな。来る人達を幸せにできる職場なんだから、誇りを持とうぜ -- 2010-10-17 12 02 39 何このビキッと来るテーマパークw 誰得ww -- 2010-09-30 06 47 33 こういう解釈もいいね。 俺は原罪が好きだけど -- 2010-07-26 00 58 16 モデルが腋巫女とか神様とか妖怪とかだしな。 -- 2010-07-09 06 00 26 うまくいかないよね、どうも。 -- 2010-06-08 22 31 29
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/918.html
「ふたば系ゆっくりいじめ 431 投稿しよう 起・承/コメントログ」
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2754.html
過去に書いたもの ふたば系ゆっくりいじめ 775 ゆっくりと黒豆 ふたば系ゆっくりいじめ 911 ゆっくりとお預かり ふたば系ゆっくりいじめ 930 ゆっくりとバレンタイン ふたば系ゆっくりいじめ 1031 ゆっくりと津波 ふたば系ゆっくりいじめ 1132 ゆっくりと毛皮のフード 作:しがないあき 『ゆっくりと寒の戻り』 私はしがない虐待お兄さん。 現在は冬物のコートをクローゼットから引っ張り出し、愛犬・ミニチュアダックスのポチと夜の散歩中である。 ここ数日は寒の戻りだと天気予報が言っていた通り、四月だというのに寒い日が続いている。 だが、寒いからといって散歩はお休みにはならない。 犬は喜び庭駆け回りとは雪の事だが、この程度の寒さでもやはりポチは元気一杯なのである。 「ゆゆっ! じじい、れいむはしんぐる(ry」 ……ゲスが沸く事に定評がある近所の公園付近を散歩コースから外すべきか本気で迷う。 何せ、最近は今のように野良のゆっくりから絡まれる事が少なくないのである。 私一人なら即ヒャッハータイムに突入なのだが、如何せん私の隣には尻尾を振ってれいむを歓迎モードのポチがいる。 お陰で私は攻撃出来ないのだが……むしろ最近は、ポチを連れている時を狙ってきているのではないかとすら思う始末である。 「じじい、むししないでね! れいむはしんぐる(ry あまあまを(ry」 それにしても、相も変わらず脳内お花畑な饅頭である。 ここ数日は冬に逆戻りしたみたいな気候だというのに、頭の中が春真っ盛りとは羨ましい事この上ない。 「……テンプレ台詞はもう聞き飽きたぞ。ていうか寒いのによくそんなに動けるな、お前」 「ゆっ? なにいってるの? いまははるさんなんだよ? ふゆさんはもうおわったんだよ? じじいはばかなの? しぬの?」 今の台詞もそうだが、こいつの声のトーンからさり気ない嘲笑を含めた表情まで、もう全てがムカついて仕方がない。 ポチがいなければ即刻ミンチにしてやりたいくらいである。 ……それはともかく、こいつはまさか寒さを感じていないのだろうか? 「はるさんはとてもゆっくりしているんだよ! ぽかぽかしてあったかくてしあわせーなんだよ!」 「いや、確かに今は春だが、ここ数日は普通に寒いだろ。天気予報でも気温が五℃とか言っていたし……」 「ゆゆっ? ……いわれてみれば、なんだかさむくなってきたよ……」 ……まさかこいつ、春が来たと思い込んでいる為にここ数日の寒さに気付いてなかったのだろうか? 「……ゆわわわわ! さっさささ……さぶいいいいいいいいいいい!」 「こいつ、本当に寒さに気付いてなかったのか……」 恐らくは、ゆっくり特有の"思い込み"の作用だろう。 ゆっくりは人間に比べても凄まじく思い込みが激しく、それがモロに自身に影響するものである。 ご飯を十分に食べていても餓えを感じれば途端に餓死するし、逆に明らかに致命傷を負っていてもそれに気付かず生きている事もある。 まあ、要するにいい加減な生物なのである。 だから、即凍死するような氷点下という訳でもない現在の寒さ程度なら、素で気付いてなくても不思議ではないのだろう。 何せこいつは今の今まで、"もう春が来ているのだから寒い筈がない"と思い込んでいたのだから。 「どっどぼじで!? れいむはさくらさんをむーしゃむーしゃしたよ!? たんぽぽさんだってむーしゃむーしゃしたんだよ!?」 「春は来てるけど寒さが戻ったって事だろ……冬が戻ってきたと言うべきか? まあ、今まで気付かなかったのがすごいな」 「さ、さむいよぉ……どうしてふゆさんかえってきたの……? れいむ、もうおうちかえる……」 ガチガチと歯を鳴らし、れいむは近所の公園の中へ撤収していく。 いつもながらの饅頭のアホさを楽しんだ私は、ポチを連れて帰路に着いた。 ※ ※ ※ 亡きまりさの忘れ形見である子れいむと子まりさのご飯を探しに出たれいむは、結局何も手に入れる事なく公園の住処へと帰ってきた。 しかも、まるで真冬のようにガタガタと体を震わせながらである。 「ゆ、ゆっくりただいま……」 「「ゆっくりおかえりなさい、おかあさん!」」 「お、おちびちゃん……きょうはごはんはないけど、おかあさんとすーりすーりしようね……」 ダンボールを横倒しにしただけの簡素極まりない自宅に入り、両脇に子れいむと子まりさを侍らせるれいむ。 「すーり、すーり……おかあさん、あったかいね!」 「すーり、すーり……ゆゆーん! ごはんがなくても、まりさとってもしあわせーだよ!」 二匹の子ゆっくりは、最愛の母とのスキンシップに幸せ全開である。 ……が、二匹の真ん中に陣取るれいむの方はというと―― 「お、おちびちゃん! もっとおかあさんにくっついてね! もっとすーりすーりしてね!」 「「ゆっ……ゆゆっ?」」 と、更なるすりすりを要求する始末。 「お、おかあさんどうしたの?」 「おかあさん、なにかゆっくりできないの?」 明らかに通常に比べて過剰な……まるで、真冬の一番寒い頃のようなその要求は、二匹の子ゆっくりを困惑させ始めていた。 二匹がスキンシップの為でなく、むしろ摩擦熱を生じさせんが為にすりすりを繰り返し始める中で、歯をカチカチと鳴らすれいむ。 なにか、ゆっくりできない――その思いは、確実に伝染していく。 「すーり、すーり……さっささままままままま……」 「すーり、すーり! おかあさん、そんなにふるえてだいじょうぶ!?」 「すーり、すーり! おかあさん、ゆっくりしてね!?」 目を見開き、歯茎を剥き出しにして強張るれいむの両脇で、二匹の子ゆっくりの懸命のすりすりは続いていた。 だが、家がフタもしていないダンボール箱では、隙間風どころか冷たい風がもろに直撃する。 たかが子ゆっくりのすりすり程度でれいむの体温が上昇する筈も無く、むしろ益々下がっていくばかりなのである。 「さ、さむいよぉ……」 「おかあさん、ゆっくりしてね!? いまはもうはるさんだよ! さむいさむいふゆさんはもうおわったんだよ!?」 「おかあさん、きのういっしょにさくらさんをむーしゃむーしゃしたよね! ゆっくりしてね!?」 「お、おちびちゃん……いまはね、またさむくなってるんだよ……ふゆさんがかえってきちゃったんだよ……」 「「……ゆ?」」 れいむの告げた衝撃の一言に、ただでさえ絶望的に動作不良の餡子脳が完全に停止する子れいむと子まりさ。 だが、目の前のれいむの震え方は……今にして思えば、寒がっているのか……は、やがて今の一言と結ばれていく。 「……そういえば、なんだかれいむもさむいきがしてきたよ……」 「ま、まりさも……さむいよ……」 冬型の気圧配置に逆戻りしてから二日目を迎え、ようやくれいむ一家は世間の反応に追い付いた。 ……勿論、それは破滅の始まりを意味するのであるが。 ヒュオオオオオ…… 「さっさっさっさまままままままままあ!?」 「さむいよおおおおおおおおおおおおお!?」 「さむいいいいいいいいいいいいいいい!?」 今までに無い強く冷たい風が公園を吹き付け、ダンボールの家の中で飛び上がるれいむと子ゆっくり二匹。 "春だから寒くない"という思い込み……言わば彼らの最初で最後の盾が粉砕した今、もはやこの場は地獄と化した。 「お、おちびちゃん! すりすりしてね! おかあさんをすりすりしてね!」 「おかあさん、まりさ! れいむのよこですりすりしてね! れいむさむくてしにそうだよ!」 「まりさをすりすりしてね!? まりささむいのいやだよ!」 狭苦しいダンボールの中で彼らが取った行動は、傍から見れば押し競饅頭。 ……よく見てみれば、三匹の真ん中を陣取り、風除け確保&両脇ですりすりさせての体温確保を狙って押し合っているだけなのだが。 「おちびちゃん、おかあさんはさむいさむいでつらいんだよ! ゆっくりりかいしてすりすりしてね!」 「なにいってるの!? れいむはさむいんだよ! かわいそうなんだよ! だかられいむをすりすりしてね!」 「まりさはさむくておなかまですいてるよ! おかあさんはごはんをもってきてね! れいむはまりさをいっぱいすりすりしてね!」 「ゆゆっごはん! おかあさん、れいむにきょうのごはんをはやくもってきてね! たくさんでいいよ!」 「こんなにさむいのにごはんなんてさがせるわけないでしょおおおおおおおお!? ゆっくりりかいしてねええええええ!?」 「「ごはんもさがせないなんておかあさんはげすだね! こどもがかわいくないの!?」」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおおおおお!?」 ヒュオオオオオ…… 「「「さっさっさっ……さむいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」」」 互いに温めあう事すら忘れて罵り合う親子には、なおも冷たい風が吹き付ける。 風は喧嘩を一時仲裁し、そしてその直後に再び争いを生み出すのだが……幸いな事に、この風はこの晩、休む事無く吹き荒ぶ事になる。 ※ ※ ※ 私はしがない虐待お兄さん。 先日の寒い一日から一夜明け、早速今朝もポチとの散歩中である。 出勤前のこの散歩にもすっかり慣れた物だ。朝早くに散歩とは少々年寄り臭い気もするが、今や私の生活の一部になっている。 ――おっと、近所の公園の入口に行き倒れゆっくりを発見。 ポチが近寄らないようにリードを短く持ってゆっくりに近付いていく……成体のれいむと、子ゆっくりのれいむとまりさのようだ。 三匹とも見るからに色が白くなっている……間違っても美白ではなく、顔面蒼白という意味で。 恐らくはここ数日の寒さにやられ、公園から逃げ出そうとして力尽きたと言った所か。 「……たす、け……」 おお、成体のれいむはまだ息があるらしい。とは言っても虫の息だが。 「……きのうの、じじい……さむいよ……」 ……何だ、こいつはどうやら昨夜の散歩で出会ったれいむらしい。 この分だとあの後、たっぷりと寒の戻りを満喫出来たようだ。 「じ、じい……れいむのさむさをなんとかしてね……あまあまもだよ……そこのげすにはなにもあげなくていいから……」 ……昨日れいむはシングルマザーだよ(キリッっとか言っていたのを見るに、横の子ゆっくり二匹はこいつの子供なのだろう。 母性溢れるれいむ種らしいほのぼのとしたお願いである。 ここはれいむの目の前で子ゆっくりをたっぷり厚遇してやるのが適切なのだが…… 「まあ、お前の子供には何もやらんよ。そいつらもう死んでるし……」 「ゆ? ……ゆへへ……げすはしんだんだね……れいむをゆっくりさせなかったけっかがこれだよ……」 うーむ、台詞を聞くだけで昨晩の一家の奮闘ぶりが目に浮かぶようである。 それによく見ると三匹とも体のあちこちに傷がある。 わざわざリスクの高い寒い時に親子で血みどろの喧嘩をするとは、さすがはゆっくりだ。 「……じじい……あまあまを……れいむ、さむいよ……」 それにしても余程寒いのだろうか? 何でまだ生きているのか不思議な位に色が白い。 饅頭である事を考えれば皮膚の色として適切な気もするが、それでも欠片も食欲が沸かないのが不思議である。 「……フーッ」 「ゆっぴぉおおおおおおおおお!?」 れいむの前に屈み込んで、口から思いっきり息を吹きかけてみたのだが……凄い悲鳴である。 ポチが怖がらないかと慌てて振り返ったが、ポチは頭上のモンシロチョウを尻尾を振って見つめていたのでセーフだった。 しかし、寒がっているので嫌がらせのつもりで息を吹きかけてやったのに、下手な虐待より凄い悲鳴を聞けるとは予想外である。 「さ、さむさむさむさむさむ……」 「フーッ!」 「ゆっぴっぷっ!?」 もう一度、さっきより強く息を吹きかけてやると、今までに聞いた事がないような悲鳴を上げて硬直するれいむ。 ……そのまま全然動かなくなってしまった……まさかとは思うが……やはり、死んでいた。 氷漬けにされたような白さ、顔のあらゆる場所を刻み込んだ深い皺、見開かれた両の眼……れいむの最期は、あまりに壮絶な物だった。 単に冬場に凍死したゆっくりに比べても、実に無残なその姿。 春を謳歌している最中に真冬同然の寒さに晒されたという落差の結果なのか……これは、今後の虐待で試してみたいと思う。 何にせよ、息を吹きかけただけでゆっくりが死んだというのは、虐待お兄さんとして箔が付くのではないだろうか。 私がれいむ親子に別れを告げた時、ポチもまた、頭上のモンシロチョウとお別れの時間を迎えていた。 ヒラヒラと去っていく蝶を少し寂しそうに見ているが、私が歩くのを再開すれば、途端に走って横をぴたりと行進する。 ポチの姿を見ていると、今日もまた、夜の散歩まで一生懸命働こうと思えるものだ。 それにしても、ゆっくりの思い込みがこれ程の面白い事態を引き起こすとは……私は内心声を出して笑いたいのだが、必死に堪えていた。 子ゆっくりがいつ死んだのかは定かではないが、少なくとも今この場で死んだれいむはもうアホとしか言いようがないのである。 ゆっくりの"春なのに寒くなった"という思い込みの酷さは……本当に笑うしかない。 ちなみに、現在の気温は十五度。凍死するには程遠い、実に穏やかな晴れの天気だった。 【完】 このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! ◆SS感想掲示板 10作品未満作者用感想スレへ ※書き込む時はSSのタイトルを書いて下さい。 コレをコピーしてから飛びましょう→『ふたば系ゆっくりいじめ 1319 ゆっくりと寒の戻り』 トップページに戻る