約 592,779 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2508.html
ゆっくり先生 「はい注目ー!今日の授業はゆっくりの行動についてだ。いいか、よく聞くように。」 教壇に立って大声を張り上げている彼の名前は、鬼意山。 もともとは生物学者だったが、今は小学校の教師をやっている。 彼の担当は理科。中でもゆっくりを使った実験で生徒から人気を集めている。 その残酷で楽しい授業から、いつしか「ゆっくり先生」と呼ばれるようになっていた。 「まず、ここに1匹のゆっくりがいる。どうだ?ゆっくりしてるだろう。」 「ゆっくりしていってね!!!」 『ゆっくり』という言葉に反応して、鬼意の連れてきたゆっくりが鳴き声をあげる。 教室の生徒も「すげぇ!ゆっくりだぜ!」「あたい、ゆっくり見たの初めてだよ。」などと騒ぎ出す。 生徒が興奮するのも無理はない。ここは大都会のど真ん中だ。 ゆっくりなんて、めったに見かけない。 見つけたとしても、死体で発見される場合が多い。 鬼意は教卓をバンバンと叩いて、教室の空気を鎮めると、再び授業を再開する。 「さっきの行動だが、あれは条件反射という。頭で考えるんじゃなくて、体が自然に反応するんだ。 ほら、もう一回いくぞ。ゆっくりしていってね。」 「ゆゆっ!?ゆっくりしていってね!!!」 またも『ゆっくり』に反応して鳴き声をあげる。 そう、このゆっくりは実験教材なのだ。 もともとは、群れでゆっくりしていたのだが、運悪く鬼意に捕まってしまって現在にいたる。 「この反射は自分の意思とは無関係に起こる。じゃあ、ゆっくりにエサを与えてみるぞ。ホラ食え。」 鬼意は理科室の水槽から、水草を1本出してゆっくりに与える。 もちろん、ゆっくりはそれを「む~しゃむ~しゃ」しながら食べ始める。 「ゆっくりは今エサを食べているな。今こいつの頭の中はエサを食べることで一杯だ。ゆっくりしていってね」 「む~しゃむ~、ゆゆゆ!?ゆっくりしていってね!!!」 「おk!こいつは今、意識的に反応したんじゃないぞ。頭の中はエサのことで一杯だったが、体が「ゆっくり」という言葉に反応したんだ。」 「ゆぅ!ごはんのときはしあわせ~!させてね!ゆっくりできないよ。ぷんぷん。」 ぷくぅ~、と膨らんで怒りをあらわにするが、鬼意は顔色ひとつ変えずに授業を進める。 「反射には始動させる原因になる刺激がある。車でいうキーみたいなもんだ。たとえば、この場合は「ゆっくり」という言葉。 こういった刺激のことを『かぎ刺激』というわけだ。はいここ、テスト出るから。」 カツカツと黒板にチョークを走らせながら説明を続ける。 この説明の間も、ゆっくりは「む~しゃむ~しゃ」しているわけなのだが、鬼意の説明で「ゆっくり」という単語が出るたびに反応してしまう。 エサをまともに食べられない状態では、ゆっくりのストレスがマッハだ。 しかし、本当の地獄はここからである。 「じゃあ、これ回すからみんなでやってみろ。殺すんじゃないぞー、これ次も使うから。」 そういって鬼意は最前列右端の生徒にゆっくりを渡す。 「へへっ!ゆっくりだぜ!初めてさわったよ。ゆっくりしていってね。」 「ゆ~おそらをとんでるみたゆゆゆゆ!ゆっくりしていってね!」 「はははっ!おもしれー、マジで反応するぜ。ホラ、ゆっくりしていってね~」 「ゆぅ!ゆっくりしていってね!」 生徒は生まれて初めてのゆっくり苛りにテンションが上がっている。 ゆっくりは完全に生徒たちのオモチャと化してしまった。 「オイ俺にも貸せよ!」 「早く~!あたしもやる~。」 「ほらほら~ゆっくりしていってね!」 「ゆぐぅ・・・ゆっくりできな・・・ゆっ!ゆっくりしていってね!」 「お前ら一人一回だー!あとのヤツはノート取れー。黒板消すぞー!」 どんどん広がるゆっくり苛りの輪。もはや教室の空気はカオスだ。 ゆっくりは自分の意思とは関係なく「ゆっくりしていってね」と無理やり鳴かされて、どんどん弱っていく。 生徒が全員さわり終わって、鬼意のところに帰ってきたゆっくりは、「ゆ・・?ゆっぐ、ゆゆっぐ!ゆっぐ?!」 などと始終ブツブツ言うだけの気持ち悪い饅頭になっていた。 「あー、お前ら苛りすぎだ。ほら見ろ、もう死にそうじゃねぇか。」 「せんせー!そのゆっくり死ぬんですかー?」 「バカいうな。こういういい加減な生き物はな、こうすると生き返るんだ。」 鬼意は『業務用特濃オレンジ全力800』と書かれたビンに入っている怪しげなオレンジの液体を、死に掛けているゆっくりに掛けてやる。 「ゆ。。。。ゆ。。。。ゆゆゆうゆ~~~ん!」 ゆっくりは跳ね起きると、アゴを張って「ゆっくりしていってね!!!」と鳴いた。 「おぉおおおおおおおお!」「すげぇーーー!」「ゆっくりちゃん死ななくてよかったねー。」 教室から歓声が巻き起こる。授業開始から20分が経っていた。 「じゃあおまいら、校庭出ろー!10分以内な。ゆっくりしてると成績下げるぞ。」 「ゆっ!ゆっくりしていってね!」 またもゆっくりが反応し、ドッっと教室中が笑いに包まれる。どうやら生徒はゆっくりを気に入ったようだ。 10分後、生徒は校庭に集合し、鬼意はさっきのゆっくりを連れてやってきた。 「じゃあ次は、ゆっくりの移動について説明すっぞ。ゆっくりは基本的に跳ねて移動する。これは体の弾力を使った移動方法だ。 じゃあ実験するぞ。ホラ、取ってこい。」 鬼意は飴玉を10mくらい離れたところに投げる。 ゆっくりはそれを追って「ゆっ!ゆっ!」と跳ねていく。 ていんていんとバカみたいな効果音が校庭に響き渡る。 「また、ゆっくりは食べ物や虫に「○○さん」などと敬称をつけて鳴く習性がある。これは反射ではなく本能行動だ。反射と違って、かぎ刺激などは必要ない。 しかも通常種のすべてのゆっくりが例外無くこの鳴き方をする。良く見ていろ。」 「ゆっ!ゆっ!あまあまさん、ゆっくりたべられてね!」 鬼意の言ったとうりに行動するゆっくりを、生徒達はニコニコ見守っている。 「では次は底面だけの移動だ。これは内部の餡子を使って、底面を波打たせることによって移動する方法だ。」 「ゆぐ!?ゆゆゆ!ゆげっ!ゆげぇ・・・・」 突如、餡子を吐き出し始めるゆっくり。 鬼意は黙って見ているが、生徒達は心配そうだ。 「せんせー!ゆっくりが苦しんでるよ?オレンジジュースあげないの?」 心配した優しい女の子が、ゆっくりの所に駆け寄ろうとするが、鬼意はその肩をつかんで制す。 「今ゆっくりに与えた飴には毒が混ぜてある。これで体内の餡子を半分ほど吐き出させるんだ。 そうすることによって、弾力を失い跳ねることができなくなると、ゆっくりは底面を波打たせて移動するようになる。 これは授業だ。よく観察したまえ。」 鬼意の顔からは、さっきまでの笑顔は消えていた。 それは以前加工所に勤めていた時のような恐ろしい顔だ。 「ほら!ゆっくり!ここにオレンジジュースがあるぞ。さぁ取りにこい!」 どこから出したのか、鬼意はビーカーに入ったオレンジの液体を手に持っている。 「ゆ・・・ゆげぇ・・・・そろーり・・・そ・・ゆげぇ・・・そろーりそろーり・・・」 ついさっきまでの元気は無く、餡子を吐きながら、ゆっくりと地面を這って来る。 鬼意はニヤニヤとその様子を見守っている。 「ゆっ・・・ゆっぐりしだいよ・・・おにーざん・・・あまあまかけてね・・・ゆっくりのませてね・・・」 鬼意はビーカーを傾けると、液体をゆっくりに頭から掛けてやる。 しかし、ゆっくりの様子が変わらない。 なにやらジューーという変な音が聞こえてくる。 「ゆぅううううううぎゃぁあああああ!あづいいいぃいいいい!あづいよぉおおおおお!じにだくないぃいいいい!おうぢがえるぅううう!」 「ふふふ・・・ハハッハッハ!ヴァカめ!塩酸だよ、それは!絵の具で着色してあるけどねーーーー!ヒャッハァアアア!」 鬼意の虐待スイッチは、いつのまにかONになっていた。 こんなことを生徒の前でやっていいわけがない。 だが、ゆっくりを虐待するのは俺の本能行動だ。 「ゆっくりしていってね!!!」を聞くと殺さずにはいられないのは俺の脊髄反射だ。 ゆっくりはしばらく苦しんだ後、黒こげの塊となって動かなくなった。 生徒たちの空気が凍りつく。 あの優しい鬼意先生が、まさか虐待おにいさんだったなんて。 普通なら、生徒からの信頼を失い、もうだれも真面目に授業を聞いてはくれないだろう。 しかしこのクラスは、何かがズレていた。 「やだ・・・なにこれ・・・イイじゃない・・・」「う・・うほっ!おっきしてきた!」「キャハ!ゆっくりってこんな風に叫ぶのね・・・」 「じにだくない~♪あん!たまんないわ!」「フーハー・・・・フーハー・・・・フゥウウウウハァアアア!!」 「いいぞ!もっとやれ!」「もう終わり?つまんなーい。」「先生、今度ウチにおいでよ。フフ・・・僕様の美麗なる虐待を拝見させてあげるよ。」 生徒は皆、ゆっくりの断末魔を聞き、キラキラと目を輝かせていた。 鬼意はスッキリとした顔で空を見上げた。 鬼意の様子を見て、生徒もまた、空を見上げた。 その視線の先には、大きなくじら雲が浮かんでいた。 キーンコーンカーンコー-ン 授業終了のチャイムが鳴り響く。 次は皆大好きな昼休みだ。 「今日の授業はここまで。みんな家に帰ってから復習するように。ところで、ここに1匹の子ゆっくりがいるのだが・・・」 鬼意はポケットから、テニスボールサイズの子ゆっくりを取り出す。 一瞬にして生徒の目つきが変わる。 「俺は飼わないから、ここに逃がしてやろう。」 鬼意はニヤニヤしながら、子ゆっくりを校庭の隅に置いた。 「ゆっくりしていってね。」 「ゆっくちちちぇっちぇにぇ!」 別れの挨拶を交わすと、子ゆっくりに背を向けて歩き出す。 子ゆっくりは、いきなり広い校庭に置き去りにされ、キョロキョロと戸惑っている。 生徒達は1ミリも動かない。ただじっと鬼意の背中を見つめる。 鬼意が校庭を出て、校門の門を曲がった。次の瞬間。 「「「「「「「「「ッヒャァアアアアアアア!!!虐待ッダァアアぁあああああああああ!!!」」」」」」」」」」 「ゆゆ!?ゆっくちやめ・・・」 「ハッハッハ。目覚めたか・・・少年達よ・・・」 鬼意はニヤリと黒い笑みを浮かべたまま、理科室へと戻るのだった。 あとがき 読んでいただいてありがとうございます。 この前、体付きのれいむ&まりさのSSを書いた人です。 感想ありがとうございました。 今回は虐待描写を多くするように頑張ってみました。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2313.html
■注意 fuku2740.txt および ゆっくりいじめ系996の続き 現代設定、ペットゆっくり。虐待されないゆっくりが居ます。 想定外の途中ぶったぎり 苦痛を味わうゆっくりは居るけど虐待というか……なんというか…… タイトルに反してうちのれいむの出番極小 ■前回までのあらすじ れいむを買ってきたけど喜怒哀楽の怒哀が無いよ!どうしよう? 暖かい布団の中でうとうとと幸せを噛み締めていた俺は 目覚ましの音で叩き起こされた。 自分で設定した時間とはいえ、どこかやり場の無いイラッと感があるのは仕方ない。 昨日はあの後、ネットでもゆっくりに関して調べて夜更かししちゃったしな……。 さて、れいむはどうなったかな。ちゃんと眠れてるといいんだけど。 自室から出てリビングのれいむの様子を見に行くとしよう。 扉を開けると、ゆっくり用寝床の上でゆらゆらと揺れている赤いリボンとタオルの塊があった。 「ふわぁ~あ、おーい、れいむ起きてるか~?」 「ゆ~ん……ゆゆっ!ゆっくりおきたよぉ~!ゆっくりして……ゆべっ!!」 ビクッ!!と反応してからこちらに振り返り、返事はするもののその瞳は半分閉じたまま、 元気さをアピールしようと軽く跳ねているが足取りは不安定。 不規則な軌道を描いたそれは近くの壁の頭をぶつけてうつぶせに転がってる様を見る限り、 やっぱり新しい寝床に馴染めずにしっかり眠れてなかったみたいだな。 「眠いならゆっくり寝てていいぞー、今日はれいむはお留守番だしな」 「ゆぅ……わかったよ、ゆっくりねむるね……」 「おう、起きたらにあるエサ食べていいからな」 そう言うと、ずりずりと体を引きずりながら寝台に上ってタオルに包まるれいむ。 その間にリビングの家具や冷蔵庫、本棚なんかを調べてみたがやはりちゃんと躾けられているゆっくりだけに 何の被害もなかった。そういう所は流石である。 リビングに面したキッチンで昨日のカレーを温めている間に大きく「れいむ」と書かれているゆっくりの頭部を模した食器皿を袋から取り出し、 1kg1000円のゆっくりフードと昨日のカレーで出た野菜クズを盛って広げた新聞紙の上に置いておいてやる。 れいむは流石に眠いのか、エサに反応せずにゆぅ……ゆぅ……と揺れていた。 うーん、やっぱ朝食べるカレーは格別だな……。味の馴染み方が違う。 俺は眠っているれいむを見ながらカレーと牛乳をたいらげつつ、今の現状と今日やる事を考えていた。 夜、ネットで調べたがゆっくりの大まかな飼い方、習性の説明は結構詳しく掲載されているものの、 ゆっくりの病気や感情に関してはよくわからなかった。 よくかかる病気としてはゆっくり風邪やゆっくりエンザなんかの説明や対処法は載っていたが そういう病気ではないだろうしな……れいむの感情の欠落は。 俺には専門的な知識はもちろん無い。そうなると、困った時はやはり詳しい人に直接聞くのが一番だろう。 買ってきたゆっくりショップの人に聞きにいくのも手だけどあそこ開くの昼からなんだよな……。 よし!それじゃ午前中のうちに大家さんの所に行ってみるか!入居者にゆっくりを飼わせるくらいなんだから相当に詳しいはずだろう。 となると善は急げ、食べ終わった食器をシンクに放り込んでから急いで身支度、準備完了!! 待ってろよれいむ、ちゃんと調べてきてやるからな……。 「ゆぅ……ゆぅ……ゆっくりしていってねぇ……むにゃむにゃ……」 すっかり熟睡したのか、幸せそうによだれを垂らしながら寝言を言ってるれいむの頭をなでてから 近くに住む大家さんの家を訪ねる事にした。 ピーンポーン……ピーンポーンピンポンピンポンピンポン 「誰?今日は特に予定もなかったはずだけど……」 「おはようございまーす、ゆっくりの話をしに来たんですが~」 「定期的に話をしにきてとは言ったけど、流石に次の日の朝からいきなり来たのは君が初めてだよ……おはよう……」 どうやら寝起きだったらしく、ところどころ寝癖がついた顔をこすりながら大家さんは出てきた。 低血圧のようだ。うちのれいむも見習って欲しい。 「という訳なんですけど、どうしたらいいんですかね?」 「いや……もしかして君、あの子を選んだのは特に理由無かったの?」 「ええ、ただ単に周りと比べて浮いてたのでつい。悪かったですかね?」 「はぁ……まぁ、そんな事だろうとも思ってたけどね……」 大きく溜息をついて呆れる大家さん。てっきり、俺が全部わかっていてれいむを選んだと思っていたようだ。 我ながら計画性の無い選び方だったのは事実なので少々胸が痛い。 「うーん、どこから説明しようか。まずあの子がどういう経緯でこうなったのか、でいいかな?」 「ええ、本人に聞いてもさっぱりわからないので手の打ち様が無くて……」 「そりゃそうだろうね、基本的に市販されてる飼いゆっくりは出荷前に記憶消されるし」 「そうなんですか?どうりで……」 「といっても、大方見当は付くけどね。まぁ、口で言うのもなんだし家で映像資料でも見てみる?」 「はい、お願いします」 「ちょっと待ってて、軽く片付けてくるから」 数分後、大家さんの家に入らせてもらった。 部屋はこざっぱりとしていながらも生活感のある感じのリビングで……ん? 「あれ?大家さんはゆっくりを飼ってないんですか?」 「ああ、うちはちょっとね……仕事の関係でゆっくりは飼えないんだよ。大好きなんだけどね~。 生態や環境によるゆっくりの未知の習性、生態の分析が仕事だから、キッツい資料も多いんだよ。見返すことも多いし。 だからうちでペットとして飼う訳にはいかないんだよね……。君たちに今、ゆっくりを飼ってもらってる理由の一つかな」 「なるほど……他にも何か理由が?」 「それはまだヒミツ。まぁ、じきにわかると思うよ」 会話を交わしながら大家さんが奥の部屋から一枚のDVDと、二人分の飲食物の乗ったトレイを持ってきた。 タイトルは……「N○Kスペシャル ペット化するゆっくり~ゆっくり加工場、新たな産業へ~」 それをリビングの端にあるTVの下のデッキにセットしながら大家さんが話しかけてきた。 「ちょっと昔のだけど、基本的に今と同じはずだよ。多少の差異がある部分は説明するからとりあえず黙って見てみてね はい、飲み物とポテチ。ちょっと長いけど今の君の知りたい事が全部入ってると思うから」 そう言ってTVの電源を付け、コーラを抱えて隣に座る大家さん。1.5リットルとは……サイズが異常にでかい。甘党なのか。 とりあえず俺も麦茶を貰い、黙ってDVDを見ることにする。 チャラララーン、チャッチャ~、チャララララー、チャララ~ 新たな需要、求める人々の声、増える需要 チャラララーン、チャラチャチャッチャ~、チャラララー、チャララ~ 見つかった可能性、眩い未来、希望の光 ■N○Kスペシャル ペット化するゆっくり~ゆっくり加工場、新たな産業へ~ ●序章:ゆっくり誕生から今日への歴史 昭和初期に突如出現した謎の生物、ゆっくり。人語を解し何でも食べる彼らは、突如日本の山林に現れた。 日本語を使用できる野生の獣の存在は山神様として里の人間に愛され、彼らもまた、人間を貴重な話し相手として共存していた。 しかし昭和中期に入り都市開発、山林の開拓が進むにつれゆっくりの生息域は大幅に減少。彼らは人里に姿を現すようになる。 そして新たな問題として文化の相違、つまりは都市部におけるゆっくり害が社会問題になる事となった。 ゆっくり達は性格こそ様々で人語を解するが、行動においては野生動物のそれとまったく変わらなかったのである。 農村部では畑への被害が増加し、都市部ではゴミ荒らしや道路に突入しての事故死、商店への被害も多々発生した。 ゆっくり固有の問題としては言語を解せるという事が大きな問題となった。 日本語で泣き喚き、命乞いをされればそう簡単に迎撃できる物ではなくなってしまう。 かといって言語による説得も、野生動物と似た思考を前提とするゆっくり達にはまず効果が期待できず、 ゆっくり自体の迎撃は容易だがこれによる精神的な負担も当事者の肩に大きく圧し掛かり、ノイローゼになる人も多発した。 これらの問題に対して国がついに対策を行う。「ゆっくりの捕獲、駆除による管理を行う機関」としてゆっくり保健所を各地に設立。 捕獲されたゆっくりや人里に侵入したゆっくりを捕獲し、それらの駆除処理によって頭数を管理する事のみを目的とした機関である。 精神的に負担の大きい仕事ではあるが、より負担をかけずに捕獲、駆除する為に新技術もいくつも開発された。 また、その存在はゆっくり達のコミュニティ内でも恐れられ 「人間の嫌がる事をすると自分がゆっくりできなくなる」 「人間の住処でゆっくりするには、まず先住ゆっくりに聞いてルールを知る必要がある」 などと言うことが常識化した事や、 野生のゆっくりとの交渉術の周知、各地の住人自体がゆっくりの扱いを理解、適応し始めた事も問題解決に大きな影響を与えたと言える。 このような対策によって大半のゆっくりは人間にとって、大きな脅威となる存在、害獣では無くなったのだ。 とはいえ、ゆっくり保健所は本来の目的を果たすと同時に新たな問題を抱えることになった。 単純に駆除機関としてだけの存在としてはゆっくり側からの自発的な被害の軽減により逆に大きくなりすぎてしまったのだ。 そこで保険所は縮小化するのではなく、第一次転向期を迎える事になった。それがゆっくりによる加工製造技術の研究、利用。 すなわちゆっくり加工場の誕生である。昭和後期の事であった。 加工場の出現によって様々な便利商品や食品が生み出され、ゆっくりは人間の生活にとって欠かせないものになった。 しかしここでも大きな問題に当たる事になる。民営会社による独自研究とその商品化だ。 結果、国立機関としてのゆっくり加工場は民営各社との競争に付いて行けずに解体、民営化。 関係者はスペシャリストとして各会社に吸収され、ゆっくりの商品価値がより大衆に認知される事になった。 そして近年、ゆっくりの新しい活用法として人間はより親密な「ペットとしての商品化」を計る事になった。 元々ゆっくりをペットにする好事家は少なからず存在したのだが、野生のゆっくりは前述の通り野生の獣に近い習性である。 また、それらよりも高い知能を持っているが故に既存の動物におけるセオリーが通用しなかったりと飼うには敷居が高いのだ。 個体の性格差も大きく、素直で従順な個体ならばまだしも、我侭で自己中心的な唯我独尊ゆっくりだと飼い主を見下す事もしばしばある。 そしてやはり、ゆっくりがペットとなる上で最大の長所であり問題点でもあるのが「人語を話す」という事だ。 話し相手として共に喜びや楽しみを共有するには最高の長所だが、悪態や悲鳴などで大声を上げられてはたまらない。 困った事にゆっくりは感情表現が激しく、泣いたり怒ったりすると非常に大声になってしまう個体が多い。 これが都市部でのゆっくり飼育の大きな妨げになっているのだ。 この問題を解決する為に、ゆっくりのペット化において ゆっくりの種別による均一化、事前調教 喜怒哀楽の調整、大声の習性 これらが最大の課題であり、必要不可欠な要素となった。 そして今日、それらの問題は全て解決を迎えるに至った。これが新たな歩みである。 それでは、ペット用ゆっくりの誕生から出荷までの流れを順序だてて見てもらう事にしよう。 続く このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/632.html
虐待描写無し・俺設定 適当にちょこちょこと書いていたのですが、捨てるにはもったいなので纏めてみました。 完成度低い上に数値等は適当です。 設定を考える遊びの延長で作成された文章です。内容を他者に強要するものではありません。 俺設定満載、他の作者様の設定も参考にさせていただきました。 ゆっくり解体新書 0.はじめに 幻想郷に突如現れた謎の物体ゆっくりも、すでに幻想郷に広く浸透し受け入れられた様に思われる。 しかし、その数の多さに比例して多くの人のゆっくりに対する認識は、動く饅頭だとか畑を荒らす害獣程度のものであり、その詳しい生態等はあまり知られていない。 私がこの報告書を作成しようと思った切っ掛けは、ゆっくりがどの様なものかということを、広く幻想郷の住人に知らしめたいと思ったからである。 また、この報告書の公開を持って、多くの資料や意見を寄せていただいた、ゆっくり研究者のみなさん、八意永林氏および稗田阿求氏に対する謝意と代えさせていただきたい。 1.ゆっくりとは何か まず、ゆっくりとは何かを考えてみたい。 ゆっくりは饅頭やそれに類似する甘味類であるが、まるで生き物のように活動し、人語を解し、食事をし、排泄をする(一部排泄を行わないゆっくりも確認されている)。その生殖は植物のようであり、また哺乳類のようで有るかと思えば卵生のゆっくりを見ることもできる。 現在幻想郷で主流となっている学説では、ゆっくりは饅頭妖精や饅頭妖怪と言われているが、妖精にしてはその生態は生々しすぎ、妖怪にしては妖気のかけらも無く脆弱すぎる。 幻想郷における始めのゆっくりは、博麗神社のゆっくりれいむと言われているが、調査によると人里離れた森の深部に博麗神社のゆっくり発見以前のゆっくりの痕跡を認めることができるという。 ゆっくりの発見当初、ゆっくりは「ゆっくりしていってね!」の言葉しか発しなかったといわれているが、その住処を人里近くに移し人と接触するにつれて、いつのまにか人語を話すようになったとも言われているし、はじめから人語を話していたとも言われている。 ゆっくりが確認されてから数年後にはドス級の存在が確認されたが、あれほどの巨体にもかかわらず、それまで人妖含めて誰一人その存在を目にした者がいなかったというのも解せない話である。 ここまでゆっくりについて述べた事柄が殆んど想定となっているのは、ゆっくりを調べるにつれてその存在がますます曖昧模糊としたものとなり、確信を持って断定できる自信がなくなってしまったからである。ゆっくりについての真実を知っている者がいるとすれば、あの境界を操る大妖ぐらいしかいないのでは無いだろうか? しかし、近年その大妖を模したゆっくりが発見され、その説も怪しくなってしまっている。(自分の姿を模したゆっくりがいることを大妖が容認するとは思えない) ここまでくると、最早ゆっくりはゆっくりであるとしかいえなくなってしまうが、それでは真実を目指す研究の徒としてどうかと思うので、現時点で最大公約数的に判明している事を纏めたいと思う。 2.ゆっくりの構造 幻想郷の饅頭妖精(妖怪?)であるゆっくりは、種類の差はあるがおおむね甘味類でその体が構成されている。 ゆっくりの体は文字通り甘味類でできているが、ゆっくりが生きていれば、よほど劣悪な環境に無い限り痛むことが無い。 ゆっくりの体組織はゆっくりの死後、またはゆっくりより長時間離れると、ごく普通の甘味としての性質になってしまう。 一例を挙げると、ゆっくりの髪の毛は飴細工で出来ており、ゆっくりに生えているときは人間の髪の毛と同じような質感を維持しているが、切除後ゆっくりからはなして一晩ほど放置しておくと、普通の飴細工となってしまう。 れいむ種のリボンや、まりさ種の帽子などは赤ゆっくりのころから身に着けており、成長とともに大きくなっていく。 しかし、帽子やリボンなどの髪飾りを、ゆっくりから放しておくと、ゆっくりが成長しても大きくなることが無い。 なぜこのような現象が起こるかについては色々と議論されているが、一説としてはゆっくりはその餡子からゆっくりの形態形成場のようなものを展開しているという説がある。その為に、ゆっくりはゆっくりとしての形態を保っていられるが、その形態形成場の範囲からはずれると、現実の法則に従いただの甘味になってしまうと考えられている。 この形態形成場説は未だ何も確証の取れていない推論の類であるが、脆弱な体構造のゆっくりが椎の実などの木の実を砕く咬筋力を持つこと、飴細工の歯で地面を掘って巣を作れること、それだけの力がありながら人間やある程度の大きさの動物に対してはその力が十分に発揮できていないことを説明できる。 つまり、ゆっくりの餡子から発せられる形態形成場よりも弱いもの――木の実、草花、昆虫など――にたいしては本来の体組織以上の性能を発揮するが、それよりも魔力、霊力、気力などが大きなものに対しては体構造本来の強度しか発揮できなくなってしまうと考えられるからだ。 代表的なゆっくりである「れいむ」種を例に挙げると、その体組織は次のようになる。 2.1 ゆっくりれいむの体組織 皮膚: ゆっくりれいむの皮膚は体の表面を覆う表皮と、その下の筋肉と同様の働きをする真皮に分かれてる。 表皮は体を汚れや水などから守る働きをしているが、しょせんゆっくりであるのでそれほど強度は無い。 ゆっくりの真皮は餅またはそれに類似する物で出来ており、その柔軟性と弾力性により体を構成する餡子を包み込んでいる。ゆっくりは体内に体を支える骨や筋などを持たずに、真皮によりその形容を保っている。真皮は筋肉のような役割もしており、真皮の伸縮によりゆっくりは跳ねたりして行動する。 ゆっくりの皮膚の厚さは、概ねその体長の一割程度である。 髪の毛: ゆっくりれいむ髪の毛は飴細工で出来ている。 髪は切断すると一定の長さまで再生するが、それ以上伸びることは無い。 毛根部分を焼却処理すると生えてこなくなるが、むしりとった程度では傷が癒えしばらくすると再び髪が生えることがある。 ごく一部において、髪を触手のように使用するゆっくりの存在も確認されている。 歯 ゆっくりの歯は飴細工でできている。 ゆっくりは雑食性であり、草の茎や木の実なども食べるため、その歯は飴とはいえそれなりの硬度を持っている。 また、ゆっくりの歯は赤ゆっくりのころから永久歯であり、一度失った歯が再生することは無い。 成体のゆっくりの場合、栗や椎の実程度の木の実ならばその皮を噛み砕くことが可能であるため、人が噛みつかれた場合に怪我をする恐れがある。乳幼児の指などは下手をすると切断される恐れがあるために注意が必要である。 舌 ゆっくりの舌は、弾力性のある求肥のような物でできている。 ゆっくりはその顔だけの生首のような体形のために舌が器用に動き、ある程度手のような役割をはたしている。 眼球: ゆっくりの眼球は寒天または葛餅のようなもので出来ている。 眼球内部にはゲル状のシロップがつまっている。 髪飾り: れいむ種のリボンはでんぷん質の繊維で出来ている。髪飾りのレース部分は飴細工であることが多い。 餡: 餡子はゆっくりの脳髄であり内臓器官である。 ゆっくりは餡子が無くならなければ死ぬことは無いと言われているが、大量の餡子を失うと死に至る。 生存に必要な最低限の餡子量は、おおよそ全体の1/3程度といわれている。 また、餡子が失われなくても、極端な温度変化によりゆっくりは死亡することが確認されている。 一例を挙げると、高温の蒸篭で蒸し上げた場合(絶妙な温度管理によって生きたまま蒸し上げる手法も存在する)、焼き上げられて餡子が高温になった場合、極低温の環境にて餡子が凍結した場合などがある。 ゆっくりには中枢餡と呼ばれるものが存在し、バスケットボール大のゆっくりのだと、大体ピンポン玉程度の大きさの密度の濃い餡が存在する。 中枢餡はゆっくりにとって重要な器官であり、中枢餡が傷ついた場合、回復後にも何らかの障害が残る恐れがある。 赤ゆっくりの場合は体内の餡子の大部分が中枢餡で占められているために、外傷などによる餡子流出に非常に弱い。また、栄養を蓄える餡子の量が少ないために頻繁な食事が必要となっている。 中枢餡の大きさは赤ゆっくりから成長するにつれてその体長に対する比率が小さくなっていく。たとえば、直径二十五センチの成ゆっくりの中枢餡は直径四センチほどだが、三メートルのドス級の場合だと中枢餡の直径は三十センチ程になる。 ゆっくりの餡子を入れ替える実験を行った記録によると、餡の種類によって性格などに変化が現れるとなっている。 他のゆっくりの餡子を移植した場合、少量であれば母体となるゆっくりに吸収され問題ないが、量が多いと記憶の混濁等の影響が現れる。また、中枢餡ごと移植された場合は一体のゆっくりに複数の意識が存在することになる。 ゆっくりの餡密度は、赤ゆっくりのころが一番大きく、大きく育つにつれて小さくなっていく。 成体のゆっくりの餡がぱさぱさしているのはこのためである。 中枢餡の密度は成長度合いに限らず一定である。 餡密度 g/1000cm3 赤ゆっくり(植物型) 1200 赤ゆっくり(胎生型) 1100 幼ゆっくり 900 小ゆっくり 800 成体ゆっくり 700〜600 大ゆっくり 〜 ドス級 600〜 中枢餡 1200 一般的な成体サイズ(バスケットボール大)のゆっくりの場合、その重さはおおよそ四〇〇〇グラム程度となる。 3.ゆっくりの体格および身体能力 3.1 体格 直径(mm) 通称・備考 赤ゆっくり(植物型) 25〜40 プチトマトサイズ 赤ゆっくり(胎生型) 40〜65 ピンポン玉、テニスボール 幼ゆっくり 65〜100 野球ボール、ソフトボール 子ゆっくり 100〜180 ソフトボール、ハンドボール 成体ゆっくり 180〜250 バレーボール、バスケットボール 大ゆっくり 〜 ドス級 3000〜7000 (1) 赤ゆっくり 赤ゆっくりの大きさは、植物型出産、胎生型出産により異なる。 成体サイズのゆっくりが植物型出産をした場合は、だいたいプチトマト程度(25-30mm)の大きさの赤ゆっくりが六〜十数匹生まれる。 大型のゆっくりが植物型出産をした場合、体格に比例して茎も太くなるためにピンポン玉サイズまで育つ場合がある。 成体サイズのゆっくりが胎生型出産をした場合は、ピンポン玉からテニスボール程度の大きさの赤ゆっくりが三,四匹生まれる。 胎生型出産は、成体でもバスケットボール程度まで育った個体で無いと行われることが少ない。 (2) 幼ゆっくり 幼ゆっくりは誕生してからある程度育ったゆっくりである。 植物型出産の場合は二週間程度、胎生型出産の場合は一週間程度で幼ゆっくりに成長する。 幼ゆっくりになると、巣から外に出て巣の近くで外界のことを学び始める。 赤ちゃん言葉は残るが、ある程度発音もしっかりしてくる。 (3) 子ゆっくり 誕生から一,二ヶ月でソフトボール程度の子ゆっくりへと成長する。 言葉もはっきり発音できるようになり、親ゆっくりに着いて巣から離れた狩場まで狩をしに出かけるようになる。 子ゆっくりサイズまでの成長速度は非常に速いが、これから成体ゆっくりまでの成長は緩やかなものになる。 (4) 成体ゆっくり 誕生から六〜八ヶ月で成体サイズのゆっくりへと成長する。 成体サイズになると、すっきりーをしてにんしんっしても餡子を吸われて命を落とす危険性が少なくなる。 (5) 大ゆっくり 成体サイズまで育ったゆっくりが恵まれた環境下で数年生きると、一般の成体サイズを超えた大ゆっくりに成長することがある。 大ゆっくりはドス級と違い普通のゆっくりなので、ドス級のように急激な身体能力の上昇は無く、マスタースパークなどの特殊能力を使用することもできない。 (6) ドス級 ドス級のゆっくりの発生条件は未だに解明されていない。 ゆっくりの中にある一定の割合でドス級に進化する因子をもったゆっくりが誕生し、なんらかの切っ掛けによりそれが覚醒してドス級に進化すると言われている。 ドス級になると、一般のゆっくりよりも格段に生命力、身体能力が上昇する。 また、マスタースパーク、ゆっくりオーラなどの特殊能力を使用できるようになる。 3.2 身体能力 ゆっくりの身体能力は一般に思われているよりもかなり高い。ゆっくりの主な移動方法は、這うと跳ねるの二つである。 生れ落ちた赤ゆっくりは、初めのうちは這うことしかできないが、親の指導により植物型出産の場合で2、3日、胎生型出産の場合は大体その日のうちに跳ねるという動作が可能になる。 植物型出産のゆっくりが跳ねるのに時間がかかるのは、誕生まで頭頂部で茎にぶら下がっていたために、足となる体の下部がしっかりと発達していないためである。誕生後に這って動くことにより下面部が刺激され足として発達し、跳ねることが可能になる。 出産時に親が死亡した場合など、稀に跳ねることができない個体が見られるが、成長する段階で他のゆっくりの跳ねる様子などを参考にして自ら跳ねる事を覚えていく。しかし、親のいない赤ゆっくりが群れに属していない場合、無事に成長できる可能性は殆んど無い。 ゆっくりに身体能力は種族によって差があり、各種族ごとの成体の平均的な身体能力は下記のようになる。 最大跳躍力(垂直)cm (水平)cm 巡航移動速度※1 持久力(分)※2 れいむ 60 80 1.5Km/h 10 まりさ 70 100 1.8Km/h 15 ぱちゅりー 40 60 1.0Km/h 5 ありす※3 60 80 1.5Km/h 15 ちぇん 80 140 2.5Km/h 10 みょん 70 120 2.2Km/h 15 ※1 最大速度は約二倍となる ※2 巡航速度で平地を連続して移動できる時間 ※3 発情時のアリスは一時的に身体能力が上昇し、同程度の大きさの固体であればまりさを上回る。 基本的に、最も平均的な能力を持つのがれいむ種となり、まりさ種はその上位互換的な能力値である。 ぱちゅりー種は身体能力が最も低く、体力的にはまりさ種の半分程度しかない。 ちぇん種は成長した成体でも体格がバレーボール程度だが、身体能力が高くなっている。 みょん種は跳躍力や移動速度がちぇん種に劣るが、持久力が勝っている。 ゆっくりは持久力が総じて低く、ある程度連続して移動をした場合、五〜十分程度の休憩が必要となる。 それ以上の運動を強制的に継続させると、足部の弾力性が無くなり跳ねることができなくなったり、餡子を吐いてしまったりする。 大サイズのゆっくりの跳躍力は、餡子の重さと筋肉となる皮の厚さのバランスにより成体のゆっくりとそれほど変わらない。 しかし、ドス級となるとその身体能力は劇的に向上する。 これは、ドス級となることにより一段階上位の種として進化し、餡子力により発せられる形態形成場が強化されるためと思われる。 参考までに、四メートルサイズのドスまりさの身体能力を下記に示す。 最大跳躍力(垂直)cm (水平)cm 巡航移動速度 持久力(分) ドスまりさ 600 800 18Km/h 60 4. ゆっくりの生殖 ゆっくりの代表的な出産方法には、頭頂部付近から発生する茎にまるで実がなるように赤ゆっくりが実る植物型と、体内である程度の大きさまで成長させる胎生型がある。また、極まれに卵生型の出産を行う個体も確認されている。 ゆっくりの生殖行為(すっきりー)に関しても複数の方法が存在し、体を摺り寄せることにより精子餡のやり取りを行う「すりすり型」、ぺにぺにと呼ばれる男性器に相当するものを、まむまむと呼ばれる女性器に相当する器官に挿入し精子餡の受餡を行う「ぺいまむ型」がある。卵生の場合は前にあげた二つの方法のほかに、母体となるゆっくりが産卵した卵に対して父親役のゆっくりが精子餡をかけて受餡させる方法、「たまたま型」が確認されている。 4.1 ゆっくりの生殖器 ゆっくりは雌雄同体であり、「ぺにぺに」と「まむまむ」と呼ばれる生殖器官を持っている。 「ぺにぺに」と「まむまむ」は同一の器官であり、ゆっくりのあごに当たる部分に存在する。通常時は皮膚がぴったりと合わさって隠れているため判別することは困難である。。 「まむまむ」は膣にあたる器官で、交尾時にぺにぺにを受け入れて交尾を行う。交尾時に事前にすりすり等の性的刺激をうけ興奮すると、入り口が開き潤滑剤に相当する粘液を分泌する。体組織が何らかの甘味で構成されているゆっくりらしく、この粘液は成分的には葛湯のようなものである。 「ぺにぺに」は雄役のゆっくりの「まむまむ」が体外へ勃起することにより発生する器官である。交尾時に雄役のゆっくりは「まむまむ」に「ぺにぺに」を挿入し、雌役のゆっくりにたいして精子案を受餡させる。一般的な成体のゆっくりでぺにぺにの大きさは根元の直径20mm、長さ50mm程度の円すい形の物体である。 受餡が可能な器官としては「すりすり型」交尾のときに一時的に精子餡を透過しやすい構造に変化する頬部分や、通常には排泄器官として使用される「あにゃる」などがあるが、便宜上こちらは生殖器として分類しないことにする。 4.2 ゆっくりの交尾 (1) すりすり型 すりすり型の交尾は成体となりまだ間もない個体や未成熟な個体で多く見られる。 多くの場合は親愛の表現である頬を摺り寄せる行為(すりすり)がそのまま生殖行為に発展した場合に行われることが多い。 すりすりを行い性的興奮が高まると、ゆっくりは潤滑剤となる粘液を体から分泌する。さらに、その分泌物と頬への刺激が引き金となり頬の対組織の一部が精子餡を透過しやすい構造に変化する。 性的興奮が高まり、「すっきりー」の絶頂とともに雄役の頬部分から精子餡が分泌され、雌役の頬部分を通して受精が行われる。 このときにどちらが雄役でどちらが雌役になるかは、そのときのゆっくり同士の精神状態により決定すると考えられる。まれに、普段の生活の役割において、雄役、雌役の区別がはっきりとついていない場合や、両方のゆっくりが「にんしんっ」を望んだ場合に、両方同時に「にんしんっ」する例が報告されている。 (2) ぺにまむ型 ぺにまむ型の交尾は、雄役のぺにぺにを雌役のまむまむに挿入して射餡することにより精子餡を受餡(にんしんっ)させる方法である。ぺにまむ型の交尾は成熟した成体の交尾においてよく見られる。 一般的にぺにまむ型交尾は、愛し合った番の場合は向かい合ってお互いに性感を高めあい行われるが、ぺにぺにをあにゃるに挿入する形で行われることもある。後者の方法は無理やりすっきりーを行うレイプの場合に多く見られる方法である。 4.3 ゆっくりの出産 (1) 植物型 植物型のにんしんっは、母体が完全に成熟した成体で無い場合や、生息環境が厳しい場合などに行われる。 また、すりすり型の交尾をした場合は、ほぼ100%近く植物型のにんしんっとなる。 植物方妊娠は、妊娠期間が短いために妊娠中に外敵の脅威に襲われる可能性が少なく、母体となったゆっくりも出産後直ぐに餌集めなどが行うことができる。また、多くの赤ゆっくりを生むことで成体まで育つ確立を上げていると考えられる。 植物型の場合、受餡後暫くすると頭頂部から1,2本の茎が生え、その茎に赤ゆっくりが6〜十数匹果実のように実る。 赤ゆっくりは大体1〜3日で誕生し、その大きさはプチトマト程度である。 赤ゆっくりが生まれた後、頭頂部の茎は自然に根元から外れ、それが赤ゆっくりの最初の食事となる。 この茎を最初に口にすることにより、赤ゆっくりは免疫等を身につけると考えられている。 生まれたばかりの赤ゆっくりは、茎を噛み砕けない場合があり、その場合は親が噛み砕いてペースト状にして赤ゆっくりに与えることになる。 (2)胎生型 完全に成熟した成体ゆっくりは、胎生型のにんしんっを行うことができる。 胎生型のにんしんっはぺにまむ型の交尾によって妊娠が可能である。 胎生型の妊娠期間は、大体十四日ほどであり、母体となったゆっくりはその間は巣穴で安静にする必要がある。 そのために、周囲の豊富な餌場があり、片親でも妊娠中の餌集めが十分に可能な場合に胎生型妊娠が行われる。 胎生型妊娠の赤ゆっくりの数は三,四匹であり、その大きさはテニスボールほどになる。 赤ゆっくりは母体の体内にいる間に、母体を通じて免疫等を獲得する。 また、ある程度育った状態で生まれる為に、短い期間で巣の外に出る事が可能である。 (3) 卵生型(たまたま) たまたま型の出産は、片親または両親の生存が難しい場合、山岳地などで冬季の餌が確保できない場合などに稀に見ることができる。 たまたま型の出産方法は多くの卵を出産する魚類型と、少数の卵を出産する爬虫類型があるが、どちらも報告例が少なく正確な情報は判明していない。 (3-1) 魚類型 雄役、雌役のゆっくりが互いにすりすりを行い性感を高めていく、通常のすりすりが三分から五分程度であるのに対して、この行為は三十分から二時間もの長い間継続して行われる。このすりすりは、すっきりーするためのものではなく、雄役は大量の精子餡を、雌役は大量の卵を体内に生産するためのものである。 じゅうぶんにすりすりし、体内に精子餡と卵を蓄えたゆっくりは、すっきりーの掛け声とともにまず雌役のまむまむから大量の小豆の様な卵を産卵する。続いて、雄役のぺにぺにから産卵された卵に対して大量の精子餡が振り掛けられることにより受餡を行う。 交尾を終えたゆっくりは、その生命力を精子餡と卵の製造に使い果たして死亡する。 受餡した卵は、冬の間に死亡した卵を栄養として吸収し、その数を減らしながらだんだんと大きくなっていく。 最終的にピンポンだまより一回り大きい卵が、多いときは十数個程度生き残り、春の訪れとともに赤ゆっくりが誕生する。 赤ゆっくりの最初の食事は、残された親ゆっくりの死体となる。 (3-2) 爬虫類型 爬虫類型出産の交尾は、胎生型と同じくぺにまむ型の交尾によって受餡が行われる。 受餡から二、三日程で、ピンポン玉大の卵を五〜六個出産する。 爬虫類型の卵はゴムのような弾力性のがあり、海亀の卵に良く似ている。 卵は親ゆっくりが抱卵をする場合は三,四日程度、越冬する場合は外気温がある程度上がると孵化する。 5 ゆっくりの生態 ここでは、ゆっくりの生態に関して一般的な事例を紹介する。 各種別の典型的な特徴や、ゆっくりの生活に関して解説する。 5.1 各種ゆっくりの特徴 (1) まりさ種 まりさ種はゆっくりの中でもその個体数が多く、全体の3割程度をまりさ種が占めている。 ゆっくりの中では身体能力が高く、群れなどではリーダー的役割に収まっていることが多い。 まりさ種の一番の特徴は、被っている黒い三角帽子にある。 帽子の中に食料などを入れて持ち運んだり、赤ゆっくりや幼ゆっくりなどを中に入れて移動することが可能である。 また、帽子を水面に浮かべその上に乗ることにより、流れの緩い川などを渡ることが可能である。 一般的な性格 責任感が強く、男性的役割を果たすことが多い。 下種 語尾が「だぜ」となることが多い。 自己中心的な性格をしており、自分のゆっくりの為に他のゆっくりを犠牲にすることを厭わない。 それには、自分のつがいや子供もふくまれる。 (2) れいむ種 れいむ種はまりさ種と同程度に個体数が多い。 身体能力は一般的で、取り立てて特徴といったものはない。 一般的な性格 母性が強く、女性的役割を果たすことが多い。 下種 自分の子供などを理由に、つがいや他のゆっくりに不当な要求をすることがある。 自分と自分の子供のゆっくりの為に他のゆっくりを犠牲にすることを厭わない。 自分の子供が思い通りに育たない場合に、躾と称して虐待を加えることがある。 (3) ありす種 れいむ種、まりさ種に続いて個体数が多い。 ありす種に関しては異常発情状態のありすが取り沙汰される事がおおいが、本来は理知的で賢いゆっくりである。 ありす種の巣は、他のゆっくりの巣に比べるときれいに整頓されていることが多く、花を飾るなどの行動も見られる。 ありす種の特徴としては、都会派と称したありす種独特の感性と、天邪鬼的な言動がある。 一般的な性格 理知的で姉的役割を果たすことが多い。 下種 異常発情状態となると、目に付くゆっくりに対して見境なくすっきりーを強要するようになる。 対象となるゆっくりは特にまりさ種を好むようだが、症状が進むと自らの子供に対しても欲情をするようになる。 異常発情状態のありす種は身体能力が向上し、相手をすっきり殺すまですっきりーを強要することも多い。 (4) ぱちゅりー種 ぱちゅりー種は身体能力が脆弱で生命力も弱いため個体数が少ない。 ぱちゅりー種は知能が高いことが多く、群れのリーダーの補佐的役割を果たすことが多い。 また、薬草などの知識を持っている個体は医者的役割をする場合がある。 「むきゅ」と泣き声を上げる。 一般的な性格 ゆっくりの中では知能が高く、群れの管理などをしていることが多い。 一方で、群れに不利益をもたらすゆっくりを切り捨てるなどの非常な面も持っている。 本などの文字が書かれた印刷物に強い関心を示す。 下種 親や群れの指導者的ゆっくりからの知識の継承を受けなかったぱちゅりーは下種化することがある。 自分知能が高いことを鼻に掛けて他のゆっくりを見下すことがある。 しかし、知識が継承されていないぱちゅりーの場合はただの自意識過剰となり、間違った指示により群れなどを危険にさらすことがある。 (5) ちぇん種 ちぇん種は他のゆっくりと違い猫耳と二本の尻尾を持っている。 体格は他のゆっくりより一回り小さいが、そのかわり身体能力が高い。 ちぇん種はらん種に懐くように種族として刷り込みが行われているようである。 「わかるよー」「わからないよー」の言葉を発するが、実際に分かっているのかはあやしい。 一般的な性格 素直な性格で、他のゆっくりに対して従属的な立場にいることが多い。 下種 ちぇん種が率先して下種な行動をすることは少ないようである。 他種の下種なゆっくりに追従していることが多い。 (6) みょん種 みょん種は身体能力が高いが個体数が少ないため、群れの用心棒的存在であることが多い。 ゆっくりみょんは常に棒状の武器を携帯しており、それを器用に使いこなして狩や戦闘を行う。 みょん種に関しては、「ちーんぽ」などの男性器を呼称する言葉しか喋れないものと、語尾が「みょん」となるものが確認されている。 どちらのゆっくりみょんも不思議なことに、他のゆっくりとの会話が成立しているらしい。 一般的な性格 信義に厚く仲間思いの個体が多い。 下種 みょん種は力を信条とすることが多いので、辻斬りのようなことを常習するものが発生することがある。 5.3 ゆっくりと四季 (1) 春 ゆっくりにとって春は、生命の謳歌を楽しむ季節であり、また恋の季節でもある。 長い越冬を終えたゆっくりは、辛く厳しい冬を越えたことを喜び、春の恵みをその腹いっぱいに収める。 巣立ちをしたゆっくりはパートナーを探し、子どもが独り立ちした親ゆっくりは次の子どもをその身に宿す。 ゆっくりには発情期が無く通年発情可能であるが、越冬の間すっきりーできなかった反動で春ににんしんっするつがいが多い。 梅雨の季節になると、巣穴の雨対策の不備により巣が水没したり、雨が降り続き巣の中で餓死したりして少なくないゆっりが命を落とす。 (2) 夏 夏になると春に生まれた赤ゆっくりも大きくなり、家族で狩りをおこなう姿などを見ることができるようになる。 夏は草花の成長も早く、昆虫類も豊富なために、ゆっくりたちは十分にゆっくりとした生活を満喫する。 しかし、夕立の季節でもあるので、巣から離れたゆっくりが突然の豪雨により命を落とすことも多い。 (3) 秋 ゆっくりにとって秋は、秋の恵みを楽しむと共に、冬篭りの為の食料を備蓄する季節である。 草、花、昆虫、木の実、果物などの食料を巣の備蓄庫一杯になるまで集めて越冬の準備をする。 ゆっくりには食糧の備蓄に関する知恵があり、水気の多い痛みやすいものを日々の食料にして、日持ちの良い木の実や干した草などを越冬用に備蓄するようである。 初秋の台風により、巣が水没したりして少なくないゆっくりが死亡する。 (4) 冬 ゆっくりにとって冬は巣篭もりの季節である。 この頃になると、春に生まれた子ゆっくりはバレーボール程度まで成長しており、ほとんど成体サイズとなっている。 越冬を経験して無事に春を迎えることができれば、子ゆっくりは一人前として独り立ちするために巣を出て行くことになる。 (まれに、大きな巣がある場合は複数世帯が同居している場合もある) 越冬に関しては「5.4 ゆっくりの越冬」を参照願いたい。 5.4 ゆっくりの越冬 ゆっくりは冬になると巣に篭って越冬を行う。 巣篭もりの次期は、大雪から冬至の雪が降り始めるころに始まり、啓蟄の頃までとなる。 ゆっくりの越冬方法には巣篭もり型と冬眠型があり、冬眠型は比較的気温の低い地域に見ることができる。 どちらの越冬方法でも、食料の備蓄が足り無かったり、雪の重さに耐え切れずに巣が崩落したり、巣の作りに問題があり凍死したりと、越冬の成功率は一般的なゆっくりで平均六割程度となっている。 越冬の失敗には、下記の様な要因が挙げられる。 越冬の失敗例 - 食料の備蓄が足りない。 - 食料消費の配分を考えずに食料が足りなくなる。 - すっきりーしてしまい、子供が生まれて食料が足りなくなる。 - 長期間狭い巣の中で生活することによるストレスから、喧嘩などを行い自滅する。 - 雪の重さに耐えられず巣が崩落する。 - 巣の造りに問題があり、凍死する。 - れてぃ種に襲われる (1)巣篭もり型 巣篭もり型の越冬は冬の間に気温が氷点下を越えることが少ない地域で行われることが多い。 ゆっくりは冬の間、溜め込んだ食料を少しずつ消費しながら春を待つことになる。 巣篭もり型での越冬の失敗要因は、巣の中で生活を行うために、喧嘩、すっきりー、食料の不足などが上位として挙げられる。 メリットとしては、巣の入り口に穴があいた場合など、不測の事態に対処することが可能である事があげられる。 また、比較的幼いゆっくりでも親ゆっくりが面倒を見ることにより越冬可能である。 (2)冬眠型 冬眠型の越冬は気温が氷点下以下になることが多い地域で行われることが多い。 また、越冬に十分な食料が集まらなかった場合に、食料の消費量を減らすために冬眠を行う場合もある。 ゆっくりは秋の間に収集した食料を大量に摂取して栄養を備蓄し、巣の中に詰め込んだ藁や枯葉などに包まれて冬眠して春を待つことになる。 冬眠の途中で何度が目を覚まし、備蓄した食糧を食べて再び眠りにつく。 冬眠型の場合、子ゆっくりより小さいゆっくりでは栄養の備蓄を十分に行えないことと、餡子の容量が少ないため気温の低下に対する耐性が低くいため、越冬の確立率が低くなる。 また、何らかの事故により巣の入り口に穴が開いてしまい、そのまま全員が凍死する事もある。 各越冬方法の特徴 巣篭もり型 冬眠型 地域 比較的気温の高い地域 比較的気温の低い地域 食糧消費 大 小 ストレスによる自滅 大 小 不測の事態 対処可能 対処は難しい ゆっくりの大きさ 特になし 子ゆっくり未満では難しい 6 おわりに 以上でゆっくりに関する報告を終わらせていただく。 現在この文章を執筆している間にも、ゆっくりたちの新たな生態の発見例が私の元には届いている。 今回の報告書では説明しきれない内容も多数あるのだが、機会があれば次回の報告書に記載したいと思う。 きわめて曖昧で中途半端な内容になってしまった事をお詫びしたい。 それでは、みなさんがこの報告書を役立てていただけることを願っている。 おまけーね ■「文々。新聞」より抜粋。 記者「本日は、ゆっくり解体新書の著者の方にお話をお聞きしたいと思います」 よろしくおねがいします。 記者「執筆に当たって、苦労された点などはあるでしょうか?」 そうですね……ゆっくりというのは本当にでたらめな存在でして、その生態を調べて原稿に纏めると、次の日にはまた違った目撃例が発見されたりするんですよ。 記者「それは大変そうですね」 ええ、書いても書いても新しい事実が出てきて、ちっとも原稿が完成しないんですよね。 いったい何度原稿を破り捨てたか分かりませんね。 記者「そうなると、ストレスなどもかなり溜まったのではないでしょうか?」 一時期は胃に穴が開くかと思いましたが、執筆協力者から良いストレス解消法を教えていただいたのでなんとかなりました。 記者「なるほど、それはいったいどの様な解消法でしょうか?」 まぁ、ゆっくりで溜まったストレスはゆっくりで解消すると言えばよいでしょうか――ヒャハ 記者「……えーと、その協力者とはどなたですか?」 情報源の秘匿として、黙秘させていただきます。 記者「話は変わりますが、その腰に下げている物は何でしょうか?」 これですか? これは玄翁ですね。なかなかの一品ですよ。 記者「そうですか――とりあえず、何に使うかは聞かないでおきますね」 実に手に馴染みます。 記者「それでは、本日はありがとうございました」 おわり
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/941.html
幻想郷にゆっくりたちが現れて早数年。 そんなゆっくりに対して、人は愛でたり、駆除したり、いじめたりと十人十色な対応をした。 私はというと正直生活に関わってくることも無かったし特にかわいいとも思わなかったので 別にどうでもいいという態度を取っていた。 ただ、夜空の星を眺めているようなゆっくりとなると話は違った。 星好きの私は、夜、平原で星を眺めていたゆっくりの隣に座って尋ねた。 「何をしているんだい?」 「ゆ?おそらのおほしさまをゆっくりみてるよ!」 そのゆっくりは笑顔を浮かべて私の質問に答えた。 「星、好きなのか?」 「ゆ~!まりさはおほしさまだいすきだよ! おにいさんも?」 「ああ」 星のことを尋ねられてゆっくりはぷよんぷよんと跳ねた。 私はそれを見ながら軽くうなずく。 余り周りに星好きの仲間が居ない私はそのゆっくりに興味を覚え、色々と教えてやろうと思い立った。 「星座って知ってるか?」 「ゆ~しってるよ!みせてあげるね! ……………… まりさのあしじゃできないよぉ…」 ゆっくりはしゅんっとして俯いた。 その正座じゃない。 「そういうのじゃなくてだな、星と星を繋げると動物なんかの形に見えるんだ」 「ゆ!?ほんとに!?」 「ほんとほんと、例えばあの星と星をつなげるとだな…」 俺は指差して星座を示した。 「こーなってそーなって…と、あれがやぎ座」 「ゆ~~ぜんぜんやぎさんにみえないよぉ~~」 ゆっくりはぷく~っと頬を膨らませて不満を言った。 「でもおもしろいよ!ゆっくりしてる!」 が、それなりに気に入ったようだ。 「あっちが射手座でそっちだな…」 「ゆ~!すごいすごい!」 ゆっくりは目を輝かせて私の話を聞きながら星を眺めた。 「やぎさん!おそらでずっとゆっくりしていってね! まりさもふゆごしがおわったらまたあいにくるよ!」 「いや、冬越えたら見えなくなるんだけどね 一年中見えてる星座ってそんなにないから」 「ゆぅ!?」 俺の何気ない一言にゆっくりは口を大きく開き、愕然とした表情を見せた。 一体何事かと俺が話しかけようとすると、突然ゆっくりは泣き叫んだ。 「どおぢでゆ゛っぐり゛ぢでいっでぐでないのおおおおおお!? やぎざんどばがああああああああああああああああ!!」 「いや、だって秋の星座だしあれ」 私は額から汗を垂らして困ったように頭をかいた。 「ゆぅぅぅううう!ゆっくりしてないやぎさんはしね!!」 ゆっくりは憎しみを込めた顔で天を仰いで唾吐いた。 さっきとは打って変わって酷い言い草である。 「そうは言うけどさ、そんなこと言ったらこの星だってゆっくりしてないことになるぞ」 「ゆぶぇ?!ど、どういうこと!?」 ゆっくりはガタガタと震えながら不安そうな顔でこちらに向き直った。 「いやそんなに怯えなくてもいいから」 私は手でゆっくりの頭を撫でて落ち着かせた。 「ゆぅ~、ゆっくりせつめいしてね!」 「わかった、この地面も実はあの空の星みたいに空に浮いてる球体なんだけどさ わかるか?」 「ゆっくりりかいしたよ!」 ゆっくりは顎を膨らまして自慢げに言った。 「そうか、理解が早くて有難い で、その地面は実はすごいスピードで太陽の周りをぐるぐる廻っているんだ」 「ゆうううううううううう!?どお゛い゛う゛ごどおお!?」 「こういう風にさ、お前を太陽に見立てると…」 私は指をぐるぐると回しながらゆっくりの周りをぐるりと一周させた。 「とまあこういう風に動いてるわけだ」 「ゆ…ゆ…い、いいいいいつゆっくりするの!?いつゆっくりするの!?」 「いや、ずーっと動きっぱなしだからゆっくりすることはないな で、そういう風に地面が動くから星が動いているように見えたり 星座が時期によって見えたり見えなかったりするだけで別に星座がゆっくりしてないということは」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 そこまで言って、ゆっくりの悲鳴が私の話をばっさりとさえぎった。 「お、おいどうした?」 私は慌ててゆっくりに話しかけたがもはやそれどころではないらしく ゆっくりは白目をむいてガタガタと震えながら絶望の表情を見せていた。 「ごごじゃゆっぐりでぎないいいいいいいいいいいいいいいい!!!」 そう叫ぶと、ゆっくりは凄まじいスピードでゴロゴロとどこかへと転がっていった。 「おーい!星は丸いからどこまで転がっていっても同じ星の上だぞー!!」 「ゆ゛っぐり゛いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?!!?!?!?!?」 そう言うとゆっくりはさらにスピードを上げてどこへともなく消えていった。 「いらんこと言ったかなぁ…」 私はせっかくの星好きの仲間があんなことになってしまって残念だなぁ嘆きつつ頭をかいた。 それから数日後 どこかの平原で 「ここじゃゆっくりできない!ここじゃゆっくりできないよおおおおお!!」 と叫びながら空にむかって必死にジャンプし続けるゆっくりまりさが目撃されたとか。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/174.html
早苗から相談を持ちかけられた時、魔理沙にはそれがどういう内容か何となく見当がついていた。 早苗がゆっくりを可愛がっているのは魔理沙も耳にしている。大方、今回の相談もゆっくりに関した事だろう。 「それで、相談っていうのはなんなんだ?」 座布団の上に腰を下ろし、話を促す魔理沙。早苗から早々に出された羊羹は、既に食べ終わっている。 「はい……。実は、ゆっくりの事なんですが……」 やっぱりか、と心の中で呟く。 「どうした? 長い間飼ってたら鬱陶しくなってきたか? 鬱陶しいなら食べるに限るぜ!」 「そ、そんな事ないです! あの子達は可愛らしいですよ! それを食べるなんて……」 魔理沙のセリフに早苗の返事は怒りの込められたものだった。 普通ならあり得ない反応に魔理沙は心底驚く。 幻想郷でゆっくりといえばその言葉とは裏腹に、煩い、鬱陶しい、ストレス解消玩具で知られるまんじゅう型のナマモノの筈だ。少なくとも魔理沙の周りにあれを可愛いと思っている奴なんて1人もいない。良い感情を持つとしてもせいぜい美味しいぐらいだ。 てっきり早苗も食用として飼っていると思っていたのだが、まさか愛玩動物として飼っているとは思わなかった。 魔理沙は素直に思った。物好きな奴だ、と。 「それじゃ、何が問題なんだよ?」 「実は……ゆっくりが大きくなってしまって……」 「ああ、あいつらはすぐ大きくなるからな」 魔理沙の脳裏に、紅白色のふてぶてしい顔をしたまんじゅうが何体か浮かぶ。どのまんじゅうも、霊夢に叩きつぶされたものだ。 切り出しづらいのか言い淀むが、たどたどしく早苗は話を続けた。 「はい……すぐ大きくなるんですけど……ちょっと違ってて」 「違うって、大きくなるに違いなんてあったのか? 初めて知ったぜ」 「ええ、その……大きくなりすぎてしまって……」 「なんだ、可愛がりすぎだぜ。どのぐらいになったんだ?」 「えっと……これぐらいです」 早苗は指を一本立てた。 「1メートルか。よくもそんなに育てたな」 呆れた様子の魔理沙に、慌てて早苗が答えた。 「あ、いえ違うんです。これは数字とかじゃなくて……」 早苗は指を立て、そのまま上に動かした。 「この部屋の天井に当たるぐらい……」 「なんだって?」 魔理沙はまず、早苗の正気を疑った。 なんてふてぶてしい姿なんだ……。 部屋に入り、まず魔理沙が思った事はそれだった。 取りあえず現物を見ないと何とも言えない魔理沙は、早苗の案内でそのデカゆっくりれいむのいる部屋へ足を踏み入れる。 部屋は10畳ほどある広々とした和室。壁際に押し入れがあるものの、普通なら静かにお茶を飲みながらのどかに過ごすための部屋なのだろう。 その部屋の半分を今、まんじゅうが征服していた。 「……でかいな」 「やっぱりそうですか……」 せっかく落ち着いて過ごせる筈の場所が、座っていればまんじゅうが気になり、気が散るようになっていた。 デカゆっくりれいむは、あまりにデカすぎてもはやまんじゅうの原型を留めておらず、もうまんじゅうというよりは部屋に出来た小さな山のようだ。現に顔もどこにあるのかよく分からず、その特徴的なリボンとまんじゅうの皮でどうにか判別出来るぐらいだ。 そのデカゆっくり山の側では、デカゆっくりの姉妹なのか、普通のゆっくりれいむ達が飛び跳ねながら「早く動いてね!」「早く遊ぼうね!」としきりに騒いでいた。 「この子達もこんな事は初めてらしく、こうやって心配していて……」 早苗の言葉に、魔理沙はれいむ達が心配して騒いでいるんだと初めて理解した。てっきりいつものように鬱陶しく自己中に動き回っているかと思ったのだ。 れいむ達を見ている内に魔理沙は「サッカーしようぜ!」と1匹ぐらい蹴り飛ばしてレヴァリエで突き刺したい衝動に駆られるが、その瞬間、魔理沙の知らない早苗を知ってしまいそうなので我慢した。怖い巫女は1人だけで充分だ。 「こいつ、喋らないのか? ゆっくりとも言わないぜ?」 デカゆっくりはこれまで一言も喋っていない。ゆっくりが出会って開口一番に言う「ゆっくりしていってね!」もなければ、姉妹達の言葉にも口一つ動かしていない。顔の位置はわからないが、どうも眠っているようにしか見えなかった。 「ちょっと大きくなった頃は普通に喋っていたんですが、大きくなるにつれて喋らなくなって……今だと食事時にご飯を持ってきたら口を開いてくれるぐらいなんです」 「贅沢な身分だぜ。変な物でも食べさせたんじゃないか?」 「普通に私たちと同じものを用意していたんですが……それが原因だったのかな」 魔理沙はだんだん頭が痛くなってきた。 普通ゆっくりに食べさせるのは、良くて残飯、普通で生ゴミ、悪くて食事時だけ外に放り出すという流れだ。普通なら食べられない金属類を無理矢理食べさせたなんて話も聞いたことはあるが、自分と同じご飯を用意した奴は聞いたことがない。 「どうすればこの子を元に戻せるんでしょうか……?」 「ああ……」 深刻そうな早苗の様子に、魔理沙は迷い始めた。 こんなにでかくなったゆっくりは初めてみたが、でっかくなった理由も、そして元に戻す方法には心当たりがある。しかしその方法は……。 「……早苗、このタイミングで相談したのは正解だったぜ」 「ど、どういうことですか……?」 魔理沙はデカゆっくりのまんじゅう肌に触りながら、 「これはな、妊娠しているんだ」 早苗の思考回路は停止した。 「え?」 「ここまで大きい奴は私も初めてみたが、ゆっくりがこんなに大きくなる理由なんてそれしかないぜ」 真面目な口調の魔理沙に冗談で言っていないと理解した早苗は、なんと返したらいいか悩んだ。ゆっくりが妊娠するなんて考えもしなかった事だ。いやそういえば、以前はずっと仲良くしていた別のゆっくりがいたけど、最近姿を見ないような……。 あれこれ考え、取りあえず浮かんだ事を口に出した。 「……お、おめでたいですね!」 「そうだな、普通ならおめでたいかもしれないが……」 早苗の言葉に笑いもせず、魔理沙は話を続けていく。 「ゆっくりが生む赤ちゃんの数は、そのゆっくりの大きさに比例するんだ。詳しくは私も知らないが、どうも中身のあんこに徐々に皮が付き始めて小さな子ゆっくりになるらしいぜ」 「そ、そうなんですか! 初めて知りましたそんなこと!」 「知ってたらむしろ驚くぜ。これだけ大きかったら、平然とはしてられない筈だからな」 「……え?」 「生む子供の数は大きさに比例するって言っただろ? ゆっくりは体の中で出来た子供を口から吐き出して出産するんだが、それは体の中身を吐き出すようなものだぜ? 激痛だろ。私が見た大きさでも、全部生んだ頃には瀕死になっていたからな」 「それって……それじゃ」 「このまま出産させたら死ぬな、このゆっくり」 自分の聞き間違えかと訪ねるが、魔理沙からは同じ言葉しか返ってこない。 早苗は自分の顔から血の気が引いていくのを感じた。 「たくさんの子供が欲しいなら、このまま放っておけば──」 「い、嫌です!」 魔理沙の言葉を振り払うように早苗は叫んだ。魔理沙に助けを求め、縋りつく。 「あるんですよね魔理沙さん! この子を助ける方法、あるんですよね!」 「……」 「魔理沙さん!」 「……ある」 早苗の顔が一瞬にして豹変した。目が見開き、後光でも差したかのように魔理沙を見つめている。 その表情の変化に魔理沙は焦った。 どれだけゆっくりが大切なんだこいつ……。 「ほ、本当ですか?」 「ああ、本当だぜ。ただこれだけでかいとかなり辛くなるが、それでもやるか?」 「元に戻るなら何でもします」 「それじゃ……まずは家に帰って道具を取ってこないとな」 さっさと行ってしまおうとする魔理沙。しかし早苗に腕を掴まれ、動けない。 「それで、ど、どんな方法なんですか!」 押し迫る早苗。一筋の冷や汗が魔理沙の顔から流れ落ちる。 「……ああ、それはな」 魔理沙はもう隠そうとはせず、はっきりと内容を伝えた。 デカゆっくりはゆっくりしていた。この上なくゆっくりしていた。 今の自分は昔のように飛び跳ねる事は出来ない。喋る事も出来ない。 それは子供が出来たから。 動けない事や喋れない事は苦にならない。今こうして子供が生まれようとしているのは嬉しいし。自分のお母さんもきっと喜んでくれるからだ。 デカゆっくりが思い浮かべているお母さん。それは早苗の事だった。 外敵に襲われ、姉妹そろって瀕死になっているところを助けてくれたお母さん。1匹の時は一緒に遊び、4匹が一緒に楽しそうにしている時は遠くから見守ってくれる。毎日美味しいご飯を用意してくれて、1匹でも居なくなっていたら深夜でも見つかるまで一生懸命探してくれるお母さん。一緒にゆっくりしてくれるお母さん。 そんなお母さん的な存在の早苗に喜んでもらいたい。デカゆっくりはそう思いながらゆっくりしていた。 「大丈夫か? 震えてるぜ?」 「は、はい! 大丈夫です!」 「他のゆっくり達はこの近くにはいないんだよな?」 「はい。魔理沙さんが準備しに帰った後、言われた通り遠ざけておきました……」 「上出来だぜ」 ふと、話し声が聞こえてきた。徐々にはっきりと聞こえてくるので、こっちに向かって来ているんだなとデカゆっくりは思った。 ご飯の時間にはまだ早い。また心配してやってきたんだろうか? ゆっくりしていれば良いのに。自分が大丈夫なのは自分が一番よく知っている。 お母さんを悲しませているのは辛いけど、デカゆっくりは気にしないで、変わらずゆっくりすることにした。 部屋の襖が開かれ、2人が入ってくる。 「あらためて見てもやっぱりでかいぜ。早苗、準備はいいか?」 「は、はい! 頑張ります!」 叫ぶとともに、決死の表情でデカゆっくりに近づいていく早苗。 目の前までいくと、その場で何度か深呼吸をする。決心はした。しかし躊躇せずにはいられない。 臆病になりそうな自分の心を必死に支えながら、早苗は構える。 その手には、光沢の目立つ金属バットが握られていた。 「ええぃ!」 「ぐぼぁっ!」 それまでゆっくりしていたデカれいむの顔が凍り付く。 突然伝わってきた衝撃に、デカゆっくりは大量のあんこを吐き出した。 「ひ、ひぃっ!」 ぼとぼとと口から落ちてくるあんこ。思わず早苗は手を止めてしまう。 「手を止めるなよ、続けないと元に戻らないぞ」 「は、ハイ!」 慌ててバットを握り直し、大きく振りかぶってデカゆっくりの体を殴打す る。 「げぼぇあっ!」 ゆっくりしすぎて喋れなくなっているデカゆっくりは悲鳴が出せない。ただあんこが吐き出される時に、口から音が聞こえるだけだ。 ゆっくりは何をされているのかわからなかった。あれほど優しく自分達とゆっくりしてくれたお母さんが、どうしてこんな苦しいことをするのか。叫んで止めたかった。「ゆっくりさせて!」と叫びたかった。 「まだまだ大量にあるが、あんこは全部吐き出させるなよ。子供用のあんこは全部吐き出してもいいが、生命維持するためのあんこまで出したら死ぬぜ」 「ハイ! えい、えいえいえいえい!」 「ぎゅごげぎゃごごじゅばう゛ぉええぇっ!」 早苗がバットを振るたびに吐き出されていくあんこ。飛び散ったあんこが早苗の顔を、服を汚していく。 このあんこの一つ一つが、ゆっくりの子供みたいなものだ。 気づけば、早苗の顔には涙が浮かんでいた。 「えぃ! うぅ……えぃ! え゛ぃっ!」 「早苗、振りが弱くなってるぞ。助けたくないのか?」 「たずげまず!」 強く振り抜いたバットはゆっくりの体を大きく凹ませ、大きなバットの跡をつけていた。 「頑張らないと、このゆっくり死んでしまうぜ。それともこいつは見捨てて新しく生まれてきた子を育てるか?」 「いや゛です! この子の代わ゛りな゛んでいま゛せん!」 何度も何度も殴打する。「ぐぎょぎゃ!」「ぎょぎゅえっ!」と押し出されていくあんこは、ゆっくりの替わりに畳の上へ山を作ろうとしていた。 「早苗にとって家族のような存在なんだろ?」 「そうでず! 神奈子様や諏訪子様とばまがっう、わたしのかぞぐでず!!」 早苗の顔はあんこと涙でぐしゃぐしゃになっている。それでも早苗は手を休めず、ひたすら目の前のデカゆっくりに金属バットを振り続けた。 「ぐぉげぁ……ゆ゛、ゆ゛ぐ゛り゛っ」 「……えっ?」 思わず、早苗の手が止まった。 「ゆ゛っぐり゛ざぜでよ゛ぉっ!!」 「……ま゛、ま゛りざざん! 喋ってぐれま゛じた!」 「ああ、喋れるぐらいには吐き出したみたいだぜ!」 喜びはしゃいでる早苗がゆっくりはわからない。ゆっくりさせてと言っているのに、どうしてお母さんは邪魔をするの? 「だ、だずげでぇ……っ!」 「ご、ごめ゛んね……っ、でもごれも貴方のだめなのっ!」 また一つ、ゆっくりの体にバットの跡がつけられる。 「いだいよぉおぉっ、くるじいよぉおぉおっ!」 「ごめんゆっくり、がま゛んじてっ! がんばっでずぐすまぜであげるがら……っ!」 「れ゛いぶのあ゛かぢゃんじんじゃう゛よぉっ!」 「えっ!」 早苗はデカゆっくりが、自分が妊娠したことを理解していないと思っていた。あれだけ心配しても何も言わず、焦ることなくゆっくりしていたので、てっきり大きくなった理由なんて気にしないでゆっくりしているのかと思っていた。 でも実際には、赤ちゃんが出来て喜んでいた。産もうと思っていたゆっく りがいた。 その赤ちゃんを、今自分が殺している。 止めどなく涙があふれて来る。罪悪感と後悔が自分を襲う。 「うっ! うぅ……っ」 「だずげでよぉっ! やめ゛でよっ、おがあ゛ざんぅぅぅっ!」 「うっ……!」 「よ゛ろごんでよぉぉお゛ぉっ、おがあ゛じゃんぅぅっっ!!」 「うあ゛あ゛ぁぁあ゛あ゛ぁあ゛あ゛ぁぁあ゛っ!!」 早苗はデカゆっくりの言葉を振り切るように、必死にバットを振り続けた。 「……うっ……う、うぅっ……!」 「……」 「うあっあああ、ひぃっ!」 「……ほら、泣くなよ早苗」 床に座り込み泣き続ける早苗。その目の前には山となった大量のあんこ、そして吐き出すものを吐き出し、皮が余りまくったデカゆっくりが横たわっている。顔の位置は相変わらずわかりづらいが、どこからか「ゆっ……、ゆっ……」と聞こえてくる。瀕死だが生きてはいるらしい。 魔理沙は泣きやまない早苗の肩に手を置いた。 「赤ちゃんはまた作れるぜ、だけど死んでしまったらそれまでだろ?」 「はい……はいっ……!」 「今は泣くより、このゆっくりをちゃんと治してやる方が先決だぜ?」 「はい……はいっ!」 返事はするものの泣きやまない早苗。しかし泣きながら立ち上がると、目 \の前にあるゆっくりの皮を破れないように畳み始めた。 魔理沙は適当にまとめて持って行くのかと思っていたので、こんな時でも 几帳面な早苗に少し笑ってしまう。 「これだけ大きいといつになるか分からないが、皮は徐々に小さくなっていくからな」 「はいっ、……ぐずっ」 泣きながら、出口の襖へ向かう早苗。 「このあんこはどうするんだ?」 「……こ、この子のこどもだから、あとで埋葬してあげまず……」 「そうか」 その言葉を最後に魔理沙に背を向け、早苗は静かに去っていった。 「……ゆっくりのどこがそんなにいいんだか」 ぽつりと呟くと、魔理沙はあらためて部屋を見渡していく。あんこが一面に広がって甘ったるい空間。早くこんな所からは出て行きたいところだが、魔理沙にはまだ確認しないといけない事があった。 魔理沙はあんこを避けながら、壁際にある押し入れの襖へ手をかける。 そのまま襖を開けると、中には口を塞がれ、身動きがとれないように箱詰めにされたれいむ姉妹の姿があった。 準備があると家へ戻った振りをしていた魔理沙は、姉妹達が早苗から離れた瞬間に全員捕まえ、この押し入れの中へ隠しておいたのだ。 「聞こえたか? さっきの」 魔理沙の言葉に、しかし姉妹達はあまり反応を示さない。全員が全員震えながら涙を流している。 「その様子だと聞いていたみたいだな」 そのまま姉妹達を箱から出し、1匹1匹きちんと口を開けてやる。 「いいか? 子供なんて作ろうと思うなよ。あのでかいのみたいに潰されるぞ」 「やぁだぁ!!」 「れいむたちゆっくりしたいのっ!!」 「たすけてよおねいさんっ!」 「ゆっくりしたいなら子供を作らない事だな。お前達が子供を作ると迷惑な 奴らもいるんだぜ。神様とかな」 「わかった!」 「子供は作らないよおねえちゃん!!」 「ずっとゆっくりしていくね!」 そこまで聞ければ充分だ。どこまで守れるかはわからないが、ゆっくりを教育するにはやはり恐怖心を訴えるのがいい。 魔理沙は姉妹達を押し入れから出してやる。 「ようやくゆっくり出来るよ!」 「ゆっくりしようね!」 その時、魔理沙の頭に妙案が舞い降りてきた。 「……そうだお前達、腹が減ってるだろう」 「お腹空いたよ、でもそろそろお母さんがご飯くれるよ」 ご飯が出来るのが当たり前のようにいうゆっくりに魔理沙は腹が立った。むしろ食用のまんじゅうが、どこまで甘やかされてるんだこいつらは……。 「そのお母さんから言われているんだ。そこにあるあんこ、食っていいぞ」 「ほんとに?」 「ああ、私は嘘なんかつかないぜ」 魔理沙が早苗と仲良く話していたのを覚えているのだろう。対して疑いもせず、ゆっくり達は喜んであんこを食べ始める。もっと知能があれば、早苗が去り際になんと言ったか覚えていただろうが、ゆっくりには無理な相談だ。 「うめぇ」「メチャうめぇ!」と声が響く中、魔理沙はあんこくさい部屋から逃げるように外へ出る。 「やれやれ、神奈子の苦労がよくわかるぜ」 以前、話していた時に、「早苗のゆっくり溺愛はどうにかならないか」と愚痴っていたのを思い出す。もしあのデカゆっくりがそのまま子供を産んでいたら、神奈子はもう我慢出来なかっただろう。 あんこ食ってるゆっくりを見て、早苗もゆっくりがどういう奴らか考え直したらいいが。 魔理沙はそのまま箒に跨ると、自分の家に向かって飛び去っていった。 後日、魔理沙が早苗に会いに行くと、周りにいたゆっくり達が早苗を怖がるように震えている。 早苗とゆっくりの間に何があったのか、魔理沙は触れようとしなかった。 End 最後まで読んでくれてありがとうございます。 何かいい虐待ネタはないかと考えていたら、レスに茎が生えていく以外の繁殖方もそろそろ読みたいとあったので、それじゃお母さんれいむのでかさをシンプルに妊娠として腹バットを書いてみた。 なんだかゆっくり虐待というより早苗いじめに(ry 不満はありますが、腹バットと愛しているから叩くという微妙にアンビバな心理状態が書けたのは個人的に満足しています。 しかしなんで俺は気づいたら姉妹だか家族だかのれいむを虐待してしまうんだろう、わからない。 本当に虐待したいのはれみりゃなんだけどな……。 by 762 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/2224.html
※ゆっくりを野生動物として扱われるのを不快に感じる方 ※捕食種設定を不快に感じる方 ※ゆっくりの戦闘シーンを不快に感じる方 ※酷い目に遭ってしまうゆっくりがいるのを不快に感じる方 ※素晴らしい小説を求めている方 は、この小説に合いません。 申し訳ありませんが、ゆっくりお引き返しください。 それでも良ければどうぞ ミリィのゆっくり冒険記 第十一話 自分達はゆっくりしているゆっくりを食べないからゆっくりできる存在。 ゆっくりしているゆっくりを食べる捕食種はゆっくりできない。 そして、虫はゆっくりしてないし生き物でもないから食べてもゆっくりできる。 マーサはそう信じていた。 しかし、自分が食べていた虫も、自分が食べなければゆっくりしていたと言われた。 マーサは何を信じればいいのか分からなかった。 「ここらでいいでしょうかね」 辺りはもう薄暗くなっていた。 先頭を跳ねていたメイシャが立ち止まる。 大きな大木の根元。 3匹はここを今晩限定の住処に決めた。 「ふぅ…着いたよ、お姉様…」 レインは背中に背負っているミリィを慎重に地面に寝かせる。 起こさないように、傷つけないように。 慎重に慎重に。 「さて、ミリィさんの御飯をとってこなければいけませんね」 「…さっきのゆっくりで良かったんじゃないの?」 今更だけど、と付け加えながらもレインはメイシャに反論する。 「ふ~…やれやれです」 「何よ、その馬鹿にしたような態度」 「いえいえ、これは失礼」 レインは苛立ちの態度を見せたが、メイシャはそれをスルーする。 またも話が脱線してしまうのはメイシャとしても避けたかった。 「ミリィさんがゆっくりを食べてくれる訳ないじゃないですか。強引に口の中に入れるというやり方はさすがに私も引きましたよ」 「う~ん…ああでもしないと絶対に食べてくれないと思ったんだけど」 「まあ仕方ないです。レインさんにしては考えた方ですよ」 「…あんたやっぱり私をバカにしてるでしょ」 拳を握りながら怒りに震えだすレイン。 が、自分のやり方が少し強引過ぎたということは否定できなかった。 「まあまあ、まずはミリィさんの御飯を探しに行かないと。レインさん、野苺でも探してきて下さいよ」 「…あんたは行かないの?」 「私はここでマーサさんと一緒にミリィさんを見てますよ。疲れたら戻ってきてください。私と交代しましょう」 レインはマーサをちらりと見る。 マーサは先程からずっと何も喋らない。 そんなマーサにレインは諦めたように溜息をつく。 「…まあ、こいつだけに任せるよりはマシか…」 そう呟くと、レインはメイシャの案を渋々ながら了承する。 次の瞬間、レインは翼を広げ夜の空へ飛び立つ。 「お姉様に何かあったらあんたら食べるからね!」 レインはそう言い残すと、薄暗い空へ消えて行った。 「おお、こわいこわい」 メイシャはレインが飛び立った方向を見ながらそう呟く。 どう見ても恐がっているようには見えない。 こうして、この場にはマーサとメイシャと気絶しているミリィだけが残された。 「マーサさん」 この場に来て初めて、メイシャはマーサの方を向く。 マーサは何も答えない。 それどころか、メイシャの顔も見ていない。 気にせずメイシャは話しかける。 「私達捕食種は貴方のような基本種と呼ばれるゆっくりを主食としております」 さすがにそのことはマーサも知っていた。 目の前で家族が食べられたのだから。 痛いほどに分かっていた。 「そうしなければ生きていけないからです」 マーサの耳にはそれは真実でもあるし、言い訳のようにも聞こえた。 「ですが、私達のような捕食種のゆっくりも食べられないという訳ではありません。ここまで食べられなかったのは運が良かっただけです。私もレインさんもいつか報いを受ける時が来るでしょう」 「…?」 マーサの予想外の方向に話が飛んだ。 ここで初めてメイシャの方に顔を向ける。 「私が魔法の森で住み始める前の話です。私には一匹の友達がおりました」 メイシャが静かに語り出す。 マーサは黙ってそれを聞いていた。 「同じしゃめい丸種でしてね…。その娘は新聞を書きたいという夢を私に毎日のように語っておりました。まあ、手足がなければ書けないんですけどね」 メイシャは苦笑する。 しんぶん…マーサにはその言葉の意味がわからなかった。 メイシャはそれを察して再び苦笑する。 「ああ、すみません。新聞というのは…そうですね、文字でその日の出来事を伝える紙のことです。例えば、マーサさんは昨日ゆっくりしていましたよ~とか」 「…それっていいものなのぜ?」 マーサは初めて口を開く。 新聞というものに興味を惹かれたからだ。 「う~ん…ゆっくりの間ではあまり必要ないかもしれませんね。大抵のゆっくりは文字を読めませんし…」 「そうなのぜ…」 「その娘はそれでも新聞を書きたかったんでしょう。まあとにかく、私は新聞を書くには手足が必要だと思ったのですよ」 メイシャが脱線してしまった話を戻す。 「ですが、その娘は手足なんてなくても新聞を書ける!と言って、色々な場所で見たことを拾った紙や葉っぱに小石や木の棒を使って書いていたのです。まあ、とても読める物ではありませんでしたが」 マーサにはますますその新聞を作る意図が分からない。 というより、こんな話をするメイシャ自体が何を言いたいのかさっぱり分からなかった。 「大抵はくだらないことでしたけどね。例えば、ゆかりん種の少女臭とは一体何なのか、とか」 本当にくだらないことだった。 マーサはそんなことを別に知りたいとは思わなかった。 ますます新聞の存在意義が分からなくなってしまった。 「しかしそれでもあの娘は新聞を書いていったのです。人里に行って、幻想郷で使われている文字を見様見真似で勉強しながらね…」 大抵のゆっくりは文字を書くことが出来ない。 野生の世界を生き抜く上で必要がないからだ。 また、ゆっくりに文字を教えるという人間や妖怪もまずいないと言っていい。 それ故、ゆっくりが文字を勉強するということ自体がほぼありえないことだった。 「…ですが、その娘は新聞を書けなくなってしまったのです」 「…?…ど、どうしてなんだぜ…?」 マーサは戸惑う。 話を聞く限りでは順調そうに聞こえたのに。 「…その娘は食べられてしまったんですよ。人間に、ね」 「ゆっ…!!!!」 食べられる、その言葉は今のマーサにとって恐怖でしかなかった。 思わず戦慄してしまう。 「あの娘は勉強をする為に人里に何度も行ってましたから、目を付けられてしまったんでしょうね…」 メイシャは遠い目をしながら話を続ける。 マーサは何も言えなかった。 恐らく、この話が出来るようになるまで何度も何度も怒りや悲しみを乗り越えたのだろう。 自分も家族の事をこんな風に誰かに話す時が来るのだろうか。 マーサは来るかどうかもわからない未来に思いを馳せた。 「まあ、こんなところです。私もいつかその娘同様に報いを受けるのでしょう。散々ゆっくりを食べてきたんですし」 「…メイシャがどうつきになりたいのは…」 「私はあの娘に比べて不器用ですからね。文字を書くにはミリィさん達のような手がどうしても必要なんですよ」 メイシャはその娘から夢を受けついだのだろう、それはマーサにもわかった。 ならば自分はなんなのか? 自分は親から受け継ぐべきものは無かったのか? 捕食種への恐怖を一時忘れて、マーサはそんなことを考え始めた。 「…おや?」 メイシャがマーサとは逆方向の空を見て、声を上げる。 マーサもそちらを見れば、暗くて見えづらかったが、虹色の羽を付けたゆっくりが飛んでいるのが見えた。 レインで間違いないだろう。 「ふう…」 地面に着地し、溜息を吐くレイン。 さすがに少々疲れているようだ。 「…見つかりました?」 「苺が…ちょっとだけ…ね」 レインは少々落ち込んでいる。 その右手には、数個程度の苺が乗っていた。 レインはミリィにお腹いっぱい食べてもらいたいと思っていた。 その結果がこれではさすがにショックだったのだろう。 「…疲れた…」 苺をその場に置くと、そのまま寝転んでしまう。 「次は私が行ってきますね。レインさん、マーサさんにおかしなことしちゃダメですよ?」 「…わかってるわよ…早く行きなさい…」 「では、清く正しいメイシャが行って参ります」 メイシャはそう言って、翼を広げ、夜空へ消えて行った。 マーサはメイシャならともかく、レインに対してはどうも苦手意識があった。 その加虐性も危険なものだが、実際にレインに攻撃された事があるという事実が、マーサに恐怖を与えていた。 「何もしないわよ…あんたに何かしたらまたあのカラスに嫌味言われるだけだし」 「ゆっ…」 マーサの様子を見かねたレインが声を掛ける。 その言葉をマーサは信じきることは出来なかった。 不信そうな眼をレインに向ける。 「はぁ…」 最近溜息が多いレイン。 彼女も色々と我慢している証拠だった。 沈黙だけがその場を支配する。 それは永遠かと思われたが、突如、マーサが口を開いた。 「レインは…」 「…ん?」 マーサの言葉にレインが反応する。 「レインは…えーっと…ミリィのことがすきなのぜ?」 マーサの苦し紛れの質問。 その言葉に、レインは得意げに笑う。 今更何を言っているのか、というように。 「当たり前じゃない!私はお姉様に一生付いて行くわ!他のれみりゃとは比べ物にならないくらいのカリスマをお姉様は持っているわ!」 「…そ、そうなのぜ…」 カリスマというものがよくわからなかったが、マーサはとりあえず頷いておいた。 レインが恐かったからだ。 捕食種への恐怖とは違う意味で。 恐怖と沈黙に耐えきれなかったので苦し紛れな質問をしてみたのだが、マーサは正直に言うと質問したことを後悔していた。 「ああ!私は感謝しているわ!お姉様と巡り合えた運命に!」 『かんしゃ』 その言葉がマーサの耳に残った。 レインはその後もミリィについて色々と喋っていたが、マーサの耳には入らなかった。 『かんしゃ』…その言葉がマーサの中で渦巻いていたからだ。 どこかで聞いたようなことがある言葉。 とてもゆっくりできる言葉だった。 「おはなさんやむしさんをたべるときはかんしゃしないといけないんだぜ!」 「かんしゃ…なんなのぜ?」 「ありがとうっていみなんだぜ!たべたらかんしゃしないといけないんだぜ!」 「わかったんだぜ!まりさはこれからかんしゃするのぜ!」 「さすがまりさのおちびちゃんなんだぜ!いいこなんだぜ!」 両親と一緒に初めて狩りに行く時、確かにそんな会話をした事をマーサは思い出した。 その後の両親の死が衝撃的過ぎて、すっかり忘れていた。 『かんしゃ』…虫や花を食べる時は感謝をしなければいけない、親は確かにそう言っていた。 あの言葉の意味を考えてみる。 もしかしたら、実は両親は知っていたのではないだろうか。 虫達にも命があるということを。 「…ちょっと!ちょっと、あんた!」 「…ゆ?」 マーサは思考を中断し、声が聞こえた方向に視線を向ける。 そこには、地面に横たわりながら少し怒ったような顔をしたレインの姿が見えた。 「あんたから質問してきておいて話を聞いてないなんてどういうつもり?」 「ゆっ…ごめんなんだぜ…」 マーサは素直に謝る。 さすがに今回ばかりはこちらに非があると思ったからだ。 「…っふん!ま、あんたも私の事を散々邪魔してくれたけど、食べることはしないでやるわ。お姉様に嫌われたくないし」 「ゆっ…」 「だからそのオドオドとした姿は鬱陶しいからやめなさい。ぶん殴りたくなってくるから」 誰の所為だ、とマーサは反論したくなった。 が、殴られるのも嫌なのでやめておく。 「…私は、最初にあんたと出会った時、あんたを食べるつもりでいたわ」 「ゆっ…?」 今度はレインの方から話を切り出してきた。 マーサは最初にレインと出会った時のことを思い出す。 当時のレインはまだ胴なしで、一方的に攻撃されたことを思い出した。 が、今はその当事者が目の前にいても恐怖に震えることはなかった。 何故だろうか、マーサには分からなかった。 「だってそうでしょ?食べなきゃ生きていけないんだから。それはあんたも同じなはず。まあ、結果的にあんたは食べられなくなっちゃったけど…」 「マーサは…あのとき、レインにおそわれたとき…こわかったんだぜ…」 今度はマーサがゆっくりと語り出す。 自分の体験を、恐怖を。 「…そりゃそうでしょ。誰だって命の危機に遭えば恐くなるわ。私も今日お姉様と戦った時、凄く恐かった。正直もう空腹の限界だったし…」 「でも…マーサがたべてきたむしさんたちもこわかったのぜ…?」 「え…?」 レインはしばし沈黙する。 虫の気持ちについてなど考えたことがなかったのだ。 しかし、先程の自身の言葉を思い出す。 「そりゃあ…やっぱ虫だって恐いんじゃないの?だって食べられるんだもん。死んじゃうんだもん。まあ、虫にそんな気持ちがあるかどうかなんてわからないけどね」 「そうなのぜ…うん…そうなんだぜ…」 「何あんただけで納得してるのよ…」 一匹で頷くマーサ。 レインには、マーサが何を言いたいのか分からなかった。 が、レインの顔が突然微笑に変わる。 今度は、マーサにその笑みの意味がわからなかった。 「どうしたのぜ…?」 「いえ、あんたとこうやって話すの初めてだな、って思ってね。初対面の時は敵同士でしかなかったのに。ゆっくりしね!って言ってたのにね」 こうして考えると非常に奇妙な関係だとお互いは思った。 初めて出会った時は狩る者とその獲物でしかなかったはずだが、今はこうしてお互い向き合って話している。 「…ミリィのおかげなんだぜ…」 「…別にあの時のことを後悔している訳ではないけど、今もそんなに悪くは無いわね。やっぱりお姉様のおかげよね…」 「ミリィにかんしゃかんしゃなんだぜ…」 「そうね…さすが私のお姉様だわ…」 マーサは少しだけ、レインとの距離が近付いた気がした。 実際には微妙にすれ違っていたのだが。 「あら…」 レインがマーサとは反対方向の空を見て呟く。 マーサもそちらを見てみるが、先程よりも暗くなってきたせいで今度は何も見えなかった。 しかし、メイシャが帰ってきたのだろうという事はわかった。 「…ふう…」 マーサの隣に着陸したメイシャは一息つく。 「…収穫は?」 「…苺が…3個ほど」 「また苺?しかも少なっ!」 「やっぱりこういう時は胴体が欲しくなりますね…」 苺は帽子の中に入れていたらしい。 やはり胴なしでは物を運ぶだけでも一苦労なのだろう。 「…お姉様、足りるかしら?」 「う~ん…私の家で食べていた量を考えると厳しいでしょうね…」 「どうすんのよ…もう私は疲れたわよ…でもお姉様の為ならあと一度くらい飛んでみるか…」 「いえ、やめておきましょう。途中で墜落なんてされたらそれこそ面倒です。また明日探すことにしましょう」 「…墜落…そんなドジなことを私が…まあ、今日はやめておきますか」 レインはメイシャの言葉に反論しようとするが、思いとどまる。 今の体調では、無いとも言い切れなかったのだ。 そして、レインとメイシャは翼の無いマーサに探してきてもらうという選択肢はさすがに考えていなかった。 食料を探しに行ったところで、ここまで帰ってこれるかも怪しかったからだ。 食料を探している途中で捕食種に襲われてしまいました、なんてことになったらさすがに笑えなかった。 「メイシャ…レイン…きいてほしいことがあるんだぜ…」 マーサが2匹に声を掛ける。 レインとメイシャがその声に振り返る。 「どうかしましたか?」 「…何よ、さっさと言いなさい」 どうやら2匹とも聞いてくれる姿勢のようだ。 そのことにマーサは安心する。 「マーサはさっきこんなことおもいだしたんだぜ…おとうさんがたべるときはかんしゃしなきゃいけないっていってたんだぜ…」 「かんしゃ…?感謝、ですか?」 「ん、何?お姉様への感謝の話?」 2匹はマーサの言いたい事がよくわからなかった。 何への感謝だろうか? 2匹の頭に疑問符が浮かぶ。 「マーサには…レインにもメイシャにもたべるなとはいえないんだぜ…マーサもむしさんをたべてるから」 それを認めるのはマーサにはつらいことだった。 しかし、確かにメイシャが言っていた通りだった。 虫は確かに動いていた。 自分達と同じように。 ならば認めるしかなかった。 虫も生きているということを。 そして、虫の命も自分達ゆっくりの命と変わらずにあるということを。 虫だから食べてもいい、ゆっくりだから食べてはいけない、そのような話にはならないということを。 命の価値に差があるとは考えられなかったから。 誰にでもゆっくり出来る権利はあると思ったから。 マーサはそう考えた。 誰にでもゆっくり出来る権利はある…そう、マーサの家族にもその権利はあった。 しかし、それは自分の家族を食べたれみりゃも同じこと。 自分の家族は運が悪かった。 そう考えるしかなかった。 「でもこれからは、マーサもむしさんをたべたらむしさんにかんしゃをするから、レインとメイシャにもゆっくりをたべたらそのゆっくりにかんしゃしてほしいんだぜ…ゆっくりさせてくれてありがとう、って」 マーサの願うことは、自分の家族を食べたれみりゃが自分の家族に感謝をしていること。 そして、自分の家族があのれみりゃの中でゆっくり出来ていること。 それだけだった。 あのれみりゃに対して何かを思うことはこれで最後にしよう。 マーサは心の中でそう決意した。 あのれみりゃとて、無意味に自分の家族の命を奪った訳ではないということはマーサにもわかっていたからだ。 あのれみりゃもゆっくりしたかったのだ。 勿論、マーサの中の家族を失ってしまった悲しみは消えたわけではない。 しかし、それとあのれみりゃに関しては別の件だと思うことにしよう、マーサはそう考えたのだ。 「…そうね、確かにあんたの言うとおり感謝しなきゃいけないのかもしれない」 意外にも、先に賛同したのはレインの方だった。 マーサは心の中だけで少しだけ驚く。 メイシャよりレインの方が納得させることは難しいと思っていたからだ。 「私が今までそいつらを食べて生きてこなかったら、私はお姉様に会えなかったんだから」 「…そうですね、私も新聞を書くという夢を追う為に、ゆっくりを沢山食べてきました」 メイシャも納得がいったようだ。 マーサは2匹にわかってもらえたことが嬉しかった。 「なんか今更だけど…そいつらには感謝するわ…ちょっと柄じゃないけどね…」 「ええ…私達が食べてきたゆっくりや植物は、決して無駄にはしてはいけないんでしょう」 「マーサもかんしゃするんだぜ…おはなさんも…むしさんも…おとうさんも…おかあさんも…ありがとうなんだぜ…」 3匹が眼を瞑り、それぞれ食べてきた物へ感謝の想いを胸に秘める。 それは決して口には出さない。 しかし、それはこの場にいる者ならば口に出さなくてもわかった。 今、ゆっくり出来ているのは誰のおかげかということを。 この3匹に初めて共通の想いが生まれたということを。 そして… この瞬間、この3匹が初めて仲間になれたということを。 この際だ、みんな菜食主義者になれ! ところでパチュリーも文字が読めないの? -- 名無しさん (2011-03-09 17 20 51) >2011-03-09 17 20 51さん このシリーズを読んでいただき誠にありがとうございます。 ご質問の方ですが、このシリーズではゆっくりパチュリーに限らず文字を勉強したことがないゆっくりは文字を読むことができません。 知能や知識欲は射命丸種同様に高いゆっくりが多いでしょうが、知識が追いついていない…という感じでしょうか。 このシリーズに出てくる大抵のゆっくりには文字を勉強する環境がありませんから。 一方、一話に出てきた紅魔館の図書館に住んでいるゆっくりパチュリーは、小悪魔に言葉を教えてもらったので平仮名を読むことは出来ます。 ご参考になりましたら幸いです。 -- asai26 (2011-03-09 20 49 18) 虫けらに恐怖なんて高等な感情があるのかね -- 名無しさん (2011-03-17 17 10 37) もしかしたら今回の話がこの物語のテーマなのかもしれない -- 名無しさん (2011-05-02 17 28 57) これは人間にも言えることだよなぁ… もし人間を食べる人間がいたら「普通の人間も動物食ってるだろ?」って話になると思うし -- 名無し (2012-12-15 21 08 37) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/82.html
●至高のゆっくり料理 まず、二匹のゆっくりを捕まえ、 数日間餌を与えずに放置します。 最初は、 「お腹空いたよ!ここから出してよね!」 「何か食べさせてよね!」 などと元気に騒ぎたてますが、無視しましょう。 「ゆっ…ゆぅ…」 と身を寄せ合って小さく呻くだけになるのが、 大体の目安です。 この頃には、ゆっくりのサイズも最初の三分の二ほどに 縮まっているはずです。 砂糖漬けの果物、あるいは無塩バター、 好みによってはチョコレートなどを用意します。 どれもゆっくりの大好物であり、 ご馳走を手にしてやってきた貴方に、 ゆっくり達は大喜びするはずです。 「ゆっくりしていってね!」 「早く!早く食べさせてね!」 ですが、この「ご馳走」は ゆっくりのうち、どちらか片方(より小さい方が好ましいです) にしか食べさせてはなりません。 「!!は、放してよね!ゆっくり食べさせてよね!」 「一緒にゆっくり食べたいよ!」 長い監禁生活に耐えて来たゆっくり達の間には 一種の連帯感が生まれており、二匹とも大騒ぎするでしょうが、 この「ご馳走」はあくまで片方にしか食べさせることはできない、 もう一匹には、あとで別のもっとたくさんの餌をあげる、と 説明してあげてください。 知性の低いゆっくり達はなかなか納得しないでしょうが、 結局は餓えが仲間を裏切らせることになります。 「あとで、ゆっくり食べてね!……うまうま!めっちゃうめぇ!」 「ゆっ!ゆぅぅうううううっ!!」 おあずけを食らわされたほうのゆっくりが泣き叫ぶ中、 もう一匹のゆっくりは浅ましくご馳走にかぶりつきます。 明らかに一匹では食べきれないほどの食べ物を、 がつがつと貪りくらうのです。 「うまぁ…ゆっくり食べたよ!」 「ゆ…ゆぅ…」 満腹して幸せそうな顔で叫ぶゆっくり。空ろな目をして呟く仲間のことなど、 忘れてしまったかのようです。 さて、これで下ごしらえは完了です。 次に皮剥き器を用意します。 「ゆ?ゆ、ゆっくりしていってね!」 満腹した方のゆっくりを捕らえ(急激な飽食で、身動きも取れなくなっており、簡単です)、 「ゆ”!ゆ”!」 絶叫を無視して、満腹ゆっくりを「剥き」ます。 「ゆ”ぅぅ!ゆ”っぐりや”べてよぉぉ!」 中を破いてしまわず、表層の皮だけを削りとれるよう、細心の注意を払って 作業しましょう。帽子やリボンは勿論、髪や目などもとってしまって構いません。 歯は抜き取り、口と舌だけは残しておくのが本場のやり方です。 腕に覚えがある調理者は挑戦してみましょう。 平行して、後頭部に穴をあけ、餡子を吸出します。 取りすぎると死んでしまいますし、穴が深すぎると、さっき食べさせた 「下ごしらえ」と餡が混ざってしまうので、注意しましょう。 「……!!!」 餓えた方のゆっくりには、仲間を助けるだけの力は残っていないので、 放置しておいて大丈夫です。たとえ余力があったとしても、 さっき自分を裏切った「仲間」を助けようとするかは疑問ですが…。 恐怖に震えるゆっくりに、 「これが済んだらご飯にしようね」とやさしく告げ、 満腹して膨らんでいたはずの仲間が、 また小さくなっていくのをたっぷりと見せてあげましょう。 震えているもう片方のゆっくりと見比べ、 「ちょうど良い」大きさまで処理できたら、 その、もはや「ゆ”っ!ゆ”ぅ…ぐりぃ…」 と意味の分からないことを呟いているだけの塊を横に置いてください。 もはや薄皮一枚しか残っていない状態だと思うので、 破かないように、丁寧に扱ってください。 「さぁ、今度は君が食べる番だ。たーんとお食べ……」 未処理のゆっくりに、「それ」を示してあげてください。 「?…!!!やぁっ、ゆっくりできないよぉ!」 理解しても、すぐには食べようとしないでしょう。 自然界ではゆっくりの「共食い」は特定種間以外では見られないものです。 それに、こちらが餓えに餓えた状態であり、そしてあちらがいくら「小さくなった」とはいえ、 どちらもサイズ的には大差ありません。 このままの状態では、「ゆっくり食べていってね」とはいかないでしょう。 そこで、こちらのゆっくりも処理することになります。 包丁でもって、ゆっくりの口を大きく切裂き、広げてあげてください。 「ゅゅゅ!ゆ”ぅぅぁぁぁあああああっ!」 邪魔なので歯は抜いてしまってください。 更に、開いた口から手を入れ、ゆっくりの消化器官を最大まで押し広げてやってください。 長い断食の間にかなり萎縮しているはずなので、思い切り力を込めなければなりません。 やはり後頭部に小穴を空けておき、餡子を少し出しながらだと上手くいくでしょう。 「ゆ”…ゆ”…ゆ”…」 そうして、「ご馳走」が入るだけのスペースが空いたら、 待ちに待ったお食事のお時間です。 果物と餡がたっぷり詰まった小饅頭―すなわち第一のゆっくりを、第二のゆっくりの中に 詰め込んであげてください。 「ごぉお!ゆごごぉりぃぃいい!」 久しぶりの食事に、感動に打ち震えている外側ゆっくりのお口を縫い合わせて、料理は完了。 これこそが至高のゆっくり料理、「ゆっくりのゆっくり詰めびっくりゆっくり饅頭風」! 食べる直前に、管を挿し、最上質のこしあんを入れると、 一時的にゆっくりが元気を取り戻し、いきの良い食感が味わえます。 「「ゆ”ぅっぐり…じでいってねぇ…!」」 内と外、二匹のゆっくりの奏でる二重奏を楽しみながら、 ゆっくり食べていってね!
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2330.html
寒くてゆっくりできない場所。それが目が覚めた子供のれいむが周りを見渡してみた感想だった。 気がついたらここにいた。確か自分は、さっきまでおかーさんとおとーさんと妹たちとおうちでお歌を歌っていたはずなのだが。 ここはどこなのだろうか?何故か頭とあんよに違和感を感じる。ゴツゴツとしたものが付いてる気がした。 「ゆ・・・だれかいるの?ゆっくりしないでへんじしてね!!!」 不安に駆られたれいむは大声を出した。するとどこからか返事が返ってきた。それも4つ 「ゆゆ!おねーしゃん?れーみゅはここにいるよ!」 「おねーちゃん!ゆっくりしてるよ!」 「ありちゅはこんなへんぴなばしょじゃゆっきゅりできにゃいよ!」 聞き覚えのある声だった。間違いなく自分の妹たちだ。 「わからないよ。でもみんながゆっくりしていてよかったよ!みんなであつまろう・・・ゆ?」 そういって声のする方へ向かおうとして、初めて体の異変に気づいた。どれほど動こうとしても、体が動かないのだ。 まるで地面に固定されてるような感覚。横も向けずただただ正面を向くだけだ。 「ゆゆ!どうしてうごけないの!」 ガタガタと揺らすが何度やっても効果はなかった。そしてこれは妹たちも同じだったようだ。 「どうちてうぎょけないの!!!!」 「れいむうごけないよおおおお!!!やだおうちかえりたいいい!!!」 「ときゃいはのありちゅがどうちてええええ!!!!」 泣きだす妹たち。本来ならば姉の自分が宥めるのだろうが。そんな余裕はなかった。ただ自分の状況を把握しようとしていた。 「ほかにだれかいるの!おとーさん!おかーさん!」 いくら呼びかけても妹たちの鳴き声以外に聞こえる物はなかった。 前方から光が延々と漏れていた。ただ妹たちは泣き疲れ寝ていた。そして自分もお腹が空いてきた。 「ゆ・・・はやくあいたいよ・・・みんなのかおがみたいよ・・・」 とにかくこの暗闇が嫌だった。前方だけに光があるが、横は真っ暗なために妹たちの顔も見れないのだ。 唐突にガチャっと音がした。それと同時に目の間に大きな手が現れた 「ゆ?だれなの?」 それは人間の手だった。その手は何をするわけでもなく、ただ自分たちの目の前に白い塊を置いてくれた。 そしてまたガチャンと音がした。ぴかーんだの、ピコピコだのうるさい音が流れ始めた。 「うるちゃいよ!れーみゅねむれにゃいよ!」 「おねーしゃんたち!このちろいのおいちいわ!ペーロ、ペーロ、ちあわちぇー!」 ありすがそう言うとみんながいっせいにそれを舐めはじめた。 「ペーロ、ペーロ、ちあわちぇー!」 「ゆ!れいむこれしってるよ!かくざとうっていうんだよ!ぱちゅりーがいってた!」 「ゆ!おねーしゃんちゅごいね!さすがれーみゅのおねーしゃんだね!」 「ゆっへん!」 みんなが目の前の角砂糖に夢中になっていた。しかし食べ終わると、またあのうるさい音が気になり始めた。 「こんなへたなおんがくをながすなんて!ここはゆっくりできないところだね!」 そうやってみなが文句を言っていた。 それからいくらかたった頃、突如大きな声が聞こえた。 「ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ!ばかなにんげんさんはごはんをおいてゆっくりしないできえてね!!!」 「ゆゆ!なにいってるの?ここはれいむたちがさきにいたんだよ?ばかなの?しぬの?」 次女のれいむがおうち宣言に真っ先に反応した。 それと同時に何かが動きだす音がした。ギーガチャっという動きと共に、突然地面が動きだした 「ゆ!だれなの!おさないでね!れいむおこるよ!」 しかしその『誰か』はそんな抗議を無視してドンドン地面は動いていく。れいむは自分の意思と無関係に前へ進んでいった。 暗闇を抜け目の前に見えたのは、母親でも父親でもなく、手に何かを持った人間だった。 そして人間はその手にもったものを自分に目がけて振り下ろした。 「ゆげぇ!」 ピコ!っという音と共に頭に痛みが走った。 「ゆ!なにするのにんげんさん!ゆっくりあやま・・・」 人間に起ろうとしたが、何故か自分はどんどん後ろに下がっていた。そして最後まで言えずに元の位置に戻っていた。 そして初めて妹たちも同じ目に合っていることに気づいた。 「いぎゃい!れーみゅになにちゅるの!」 「どがいぎゃ!ありちゅになにぢゅ!」 「おにーさんやめてえ゛え゛え゛え゛!!!!」 何度怒ろうが、謝ろうが、体は勝手に前に進みそのたびに頭を殴られた。 時には素手でなぐられた。たまに殴られない時があるのが救いだった。 そうしてみんなが元の位置に戻った。聞こえるのは泣き声だけだった。 「いぎゃいよおお・・・・みゃみゃとぴゃぴゃはどうちてたちゅけてくれにゃいの・・・」 「こんなゆっくりできにゃいとこありずいやあ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「もうおうぢがえるううううううううう!!!!」 「おねがいだからゆっくりさせてえええええええ!!!」 何が起きてるのかただ分からずに、泣きだした。 するとまたしても先ほどの声が聞こえた。 「ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ!ばかなにんげんさんはごはんをおいてゆっくりしないできえてね!!!」 そしてまた殴られる 「ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ!ばかなにんげんさんはごはんをおいてゆっくりしないできえてね!!!」 また殴られた 「ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ!ばかなにんげんさんはごはんをおいてゆっくりしないできえてね!!!」 また殴られた 「ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ!ばかなにんげんさんはごはんをおいてゆっくりしないできえてね!!!」 また殴られた 「ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ!ばかなにんげんさんはごはんをおいてゆっくりしないできえてね!!!」 また殴られた「ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ!ばかなにんげんさんはごはんをおいてゆっくりしないできえてね!!!」 「ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ!ばかなにんげんさんはごはんをおいてゆっくりしないできえてね!!!」 また殴られた「ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ!ばかなにんげんさんはごはんをおいてゆっくりしないできえてね!!!」 「ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ!ばかなにんげんさんはごはんをおいてゆっくりしないできえてね!!!」 また殴られた「ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ!ばかなにんげんさんはごはんをおいてゆっくりしないできえてね!!!」 「ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ!ばかなにんげんさんはごはんをおいてゆっくりしないできえてね!!!」 「もういやああああああああああ!!!!ゆっぐりじだい゛い゛い゛い゛い゛!!!!!!」 俺は最近近所にできたとあるゲームセンターに行ってみた。 内装はあまり普通のゲーセンと変わらなかった。しいて言えばメダルゲーが4割を占めているところか。 格ゲーや音ゲーがあまり目立たない端の方に置いてあるのを見て何か悲しくなった。 店内をうろついてると、人の列を見つけた。結構な人数が並んでいた。何か新しいのでも入ったのだろうか。 俺はとりあえず列に並んでみた。そして列から顔を出して前を見ると、そこに一台の機械があった。 『ゆっくりパニック~ゆっくり叩いていってね!!!~』 そう書かれたディスプレイには得点が記載されていた。そして『注意※あんまり強くゆっくりを叩かないでね!!!」と書かれていた。 それ以上前がよく見えなかったので見るのをやめた。ただプレイし終えた人達が嬉しそうな笑みを浮かべていたのはわかった。 30分は並んだろうか。やっと自分の番になった。台の前に立った俺は台を眺めた。 目の前には5つの穴が開いていた。そして手前には畑らしき絵が描かれてた。そして脇にはピコピコハンマー それでルールは把握した。このハンマーで穴から出てくる何かを、畑に入る前に叩くのだろう。 そういやこんなゲームが昔あったなあ・・と思いでに浸りつつコインを入れる。1プレイ200円だった。 コインを入れると同時に、 「ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ!ばかなにんげんさんはごはんをおいてゆっくりしないできえてね!!!」 といった声が聞こえた。いよいよゲームスタートだ。 俺はてっきり中からゆっくりの機械でも出てくるのかと思ったが、それは大きな間違いだった。 穴の中から出てきたのは本物のゆっくりだった。 「おにーざんゆるじでえ・・・」 頭にボタンのような機械を付けたゆっくりれいむだった。頭の上は何度も叩かれたのだろう、黒く変色していた。 俺はとりあえず叩いてみた。できるだけ優しくだが 「いぎゃ!!!」 か細い声をあげて穴に戻っていくれいむ。それから時間まで同じ事を続けた。 出てくるゆっくりはみな元気をなくしていた。中には涙目でこちらに助けを求めるゆっくりも居た。 俺はプレイしおえると、そこから少し離れて、他人のプレイを観察することにした。 あるものは注意書きを無視して、餡子が出るほど強く叩き、あるものは複数人で叩いた。 ある男はコイン投入口脇のボタンを操作してた。どうやら難易度を変えれるらしい。 高速で動きだしたゆっくりは 「ゆっくじざぜでえええええええ!!!!」 と言いながら高速で叩かれていった。 俺はあのゆっくりが気になったので店員に尋ねてみた。店員は忙しそうにも関わらず丁寧に答えてくれた。 「あああれですか。一昨日入ったばっかのででしてね。中のゆっくりはちょっといじってあるんですよ?」 「いじるってどこをですか?」 「まずはあいつらの足をスライドレールに固定するんですよ。んで動くようにして、後は頭にセンサーを取り付けるんですよ。 これで前後の動きや、殴られた時の後退を制御してるんですよ。 中々人気あるんすけどね~難点はほら、生物でしょ?餌がかかるんですよ。それに加減をしらないお客さんがいっぱいいると すぐに死んじゃいますし。一応予備は居るんですけどね。」 「はあ、わかりました。ありがとうございます」 俺はお礼を言うと、そのままゲーセンを出た。今日のブログのネタにでもしようかと思いながらそのまま帰った。 ゲーセンの店長は奥の休憩室にいた。そこで二つの饅頭をお茶請けにお茶を楽しんでいた。 怒りと絶望に包まれた顔のままの饅頭は非常に美味かった。昨日練習したゆっくりの取り付けの副産物だった。 なんでもこのゲームのゆっくりは取り換えが簡単らしい。頭のセンサーは取り外し可能。そしてレールへの固定も簡単だとのことだった。 ためしに適当なゆっくりを捕まえてやってみたが、確かに簡単に出来た。これなら週ごとにいろいろと工夫ができそうだ。 発情中のありすを並べるもよし。胴なしれみりゃやふらんを並べるもよし。 難点なのは成ゆっくりは使えないことぐらいか。ある程度幅を調節できるが、成ゆっくりでは大きさが合わないのだ。 そう考えながら少ない休憩時間を楽しんだ。 【あとがき】 長編構想中にちょっと書いた結果がこれだよ! 未だにゲーセンで見かけたらプレイしてます。 俺・・・この長編を書き終えたら名乗るんだ・・・ 過去作 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!1 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!2 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!3 お兄さんとドスれいむ 鬼意屋敷殺人事件 どすの加工所 幻想樹の迷宮 幻想樹の迷宮Ⅱ 徹夜でゆっくりしようぜ! 徹夜でゆっくりしようぜ!2 地震 ゆーうーかい ゆーうーかい 解決編 ゆーうーかい番外編 ~ゆっくりプレイス~ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2203.html
ゆっくりゆうぎ ある日、俺はゆっくりを放し飼いにしている庭で奇妙なゆっくりを見つけた。 「ゆっくりちからくらべしようね!そぉーれゆっくり!ゆっくり!」 そのゆっくりは額に角が生えていた。他のゆっくりを追いかけまわしている。 「ゆゆ!もっとゆっくりしてね!それじゃゆっくりできないよ!」 「なにいってるの!ちからくらべ!ちからくらべしよう!」 逃げ回るれいむに素早い動きで追いつき、激しくすーりすーりしようとする。 すりすりというよりはずりずりという感じだ。 「ゆぶっ!もっと……ゆっくり……」 「れいむはよわいね!ほらもっとゆっくりがんばってね!!」 「もうやめでええええ!!!」 「それそれ!ゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃ!!!」 何この新種。 「ゆぎゅぎゅぎゅぎゅぅぅぅぅ!!!」 「はーい、そこまでー」 俺は阿鼻叫喚のるつぼと化した庭へと踏み入った。 新種は今まで絡んでいたれいむを放り出しこちらを振り向く。 「ゆっ!ほねのありそうなにんげんがきたよ!ゆうぎとちからくらべしようね!」 新種は俺の足元へ跳ねてくると、足に対して攻撃してきた。 「ゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃ!!!」 「………」 やはり所詮はゆっくり。口で言うほどの力はないのだった。 「ていっ」 足を軽く振っただけで「ゆべふっ!!」と吹き飛ぶ新種。 「なかなかやるね!おもしろくなってきたよ!ゆっくりぃぃぃ!!!」 再度飛び掛ってくる。 「なんつうか……暑苦しい奴だな……」 * * * * 「ゆうぎのなまえはゆうぎだよ!ゆっくりちからくらべするよ!」 さっきからずっとこれだ…庭のゆっくり達はおびえて物陰に隠れてしまっている。 「おにいさん!そいつをゆっくりおいだしてね!」 「ゆっくりできないよ!」 「ゆっくりひとのはなしをきいてね!!」 それはお前らもだけどな。 「まあまあ、そんな事いわずに仲良くしてあげなさいよ」 俺は飛び掛ってきたゆうぎを手で掴むと、物陰で口を尖らせるゆっくりどもの方へ投げる。 「しょうぶ!しょうぶ!ゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃ!!」 「ゆあああんん!!!」 半刻ほども暴れた後、ようやくゆうぎは沈静化した。 「ゆゆゆゆゆ……」 「どぼちてゆっくりざぜてくれないのぉぉぉ……」 あたりは死屍累々たる有様だ。 「いいしょうぶして、すっきりー!!」 そりゃあお前はそうだろうがね。 「まずは、ゆうぎの鼻っ柱を折ってやることが第一と考えました」 誰に説明してるんだ?俺… ともかく、ゆっくりれみりゃを檻から出し、ゆうぎと対面させてみた。 「うー☆めずらしいゆっくりだどぅ~♪たっべちゃうどぅ~♪」 ぎゃお~☆と威嚇するれみりゃ。しかし、相手の反応はいつもと違うのだった。 「ゆゆ!あいてにとってふそくはないよ!わくわくしてきたよ!! ゆっくりぃぃぃぃ!!!!」 天敵であるはずの、自分より何倍も大きい体付きのれみりゃへ突進するゆうぎ。 「あう~?おちびちゃんのぶんざいでぐれいとなおぜうさまにたてつくなんておろかだっどぅぅ~☆ おもいしらせて……うぁ?」 あ、角が刺さった。 「う゛あ゛~!!いだいどぅ~!!」 「そぉれゆっくり!ゆっくり!ゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃ!!」 れみりゃはじたばたと逃げ惑う。 「い゛だい゛の゛やぁだどぅぅーー!!」 実際の痛みはそれほどでもないのだろうが、想定外の反攻に恐慌を起こし、 まるでふらんにいじめられている時のように縮こまってしまうれみりゃ。逆にゆうぎの方は気迫充分だ。 「おっきいくせにだらしないよ!もっとゆっくりちからくらべしようね!!」 「や゛へ゛て゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛~!!」 勝負はあっけなく決した。 「う゛う゛う゛…」 「ゆうぎのかちだね!!」 「つ゛の゛つ゛の゛こ゛あ゛い゛どぅ゛……」 通常種に続いてれみりゃまでも心的外傷を負ってしまったらしい。 知り合いにはゆふらん持ちもいるが、この調子ではうっかり勝ちかねない。対面させるのはやめておこう。 「うーむ、与えられた特権的地位に安住するだけではいかんということさなぁ…」 憐れを誘うれみりゃの姿を見て、俺は無意味にそう思ったのだった。 それからどうなったのかというと。 「しょうぶ!しょうぶ!」 ゆうぎはそのまま家に定着した。 「やめてね!!ゆっくりできないよ!!」 大抵は一方的に勝負を持ちかけては周囲のゆっくりを困らせているが、 俺が相手をしてやって程よく勝負欲を発散したあとでなら、他のゆっくりとゆっくりすることもある。 俺は今まで隔離していたれみりゃも庭に放つことにした。 ゆうぎは俺に次ぐ実力者としてれみりゃを認識しているため、好んで勝負をもちかける。 そのため他のゆっくりの被害軽減に役立つのだ。 「ゆゆっ!れみりゃだ!!れみりゃしょうぶだよ!!」 「おぜうさまはいないいないだどぅぅぅ~!!」 頭をかかえて丸まり、いないふりをするれみりゃだがそんなことをしても無駄だ。 「ゆっくり!ゆっくり!」 なすすべもなくゆうぎの猛攻にさらされるれみりゃ。 「あ゛う゛ぅ゛~!!!」 「れ゛い゛む゛!!ま゛り゛さ゛ぁ゛!!た゛す゛け゛て゛ほ゛し゛い゛ん゛だどぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!」 通常種とれみりゃの間には、反ゆうぎ同盟とでも呼ぶべき協調体制が生まれていた。 「れいむのかわりにゆっくりあいてしてあげてね!!」 「まりさよりつよくておおきいれみりゃならだいじょうぶなのぜ!! めいしょうぶをきたいしてるのぜ!!」 この程度のものだが。っていうかまりさ煽ってんじゃねえ。 「そうだどぅ!とんでにげるっどぅ~!!れみりゃあたまいいどぅ~♪」 おお、よく気づいたぞれみりゃ。かれこれ三日も前から気づくのに期待してたんだが。 「ゆゆっ!!にげるとはひきょうだよ!!ゆっくりおりてきてね!!」 しかし心配はいらない。れみりゃを放すにあたり、敷地を覆うように網を張ってある。 いつまでも逃げ続けることはかなわないのだ。 いくらもしないうちに滞空能力の限界を迎えるれみりゃ。 「う゛ぁぁ~!う゛ぁぁ~!つかれたどぅぅぅぅ~!!」 「はやくおりてきてしょうぶしようね!!ゆっくりまってるよ!!」 泣き叫びながら懸命に翼を動かすれみりゃ。ヒャァ!たまんねぇ!これが見たくて三日も仕事休んだ甲斐があったぜ! 「や゛だどぅ!や゛た゛どぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!!」 だんだん高度が落ちてくる…あ、落ちた。すかさず突進するゆうぎ。 「もうやだどぅぅぅぅーーー!!!たずげでじゃぐやぁぁ~!!!!!」 「ゆっくりぃぃぃぃぃ!!!!!」 ゆうぎの勝ち鬨が、庭に響いたのだった。 おしまい。 □ ■ □ ■ このお兄さんは虐待にも飽きてしまった”観察”お兄さんです。 あまり自分では手を下さず、勝手に面白行動を取るゆっくりを眺めて楽しむ的な。 俺も庭にゆっくり飼って隠棲したいよ… 読了ありがとうございました。 今までに書いたSSです。よかったらどうぞ 豚小屋とぷっでぃーん 豚小屋とぷっでぃーん2 エターナル冷やし饅頭 れみりゃ拘束虐待 無尽庭園 ゆっくりできない夜 ゆっくりぴこぴこ 何かがいる 踊り師とれみりゃ 小ネタ-瓶ゆっくり このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/3087.html
その6より れいむは朝早く目が覚めた。 今日が来るのを待ち切れず、興奮のあまり、目を覚ましてしまったのだ。 遠足前の子供のようである。 お腹がすいたので、もうこれも食べることも無くなるのだなと、感慨深げにドッグフードに口をつける。 「む〜しゃむ〜しゃ、しあわせ〜〜♪♪」 ここにきて、初めての「しあわせ〜〜」である。 どんなに美味しくても、虐待の後に食べたり、負い目を感じながら食べても、全然幸せになれなかった。 やっぱり「しあわせ〜〜」が出来ると、一日の気分がいい。 その後、れいむは嬉しさを堪え切れず、部屋の中を行ったり来たりしていた。 早くお兄さんが来ないかな? まだかなあ? いつもなら男が来なければ良いのにと思うのに、解放されると分かった途端、現金なものである。 しかし、男は中々やってきてくれない。 無理はない。まだ早朝、夜が明けたばかりなのだから。 試しにまりさとありすに声をかけてみる。 しかし、二匹とも寝ているのか、ちっとも返事を返してくれなかった。 話し相手が居ないのは残念だが、無理やり起こすのは可哀そうだ。 それに、ゆっくりにとって、ゆっくりしすぎることは悪いことではない。むしろステータスだ。 そんなゆっくり出来てるまりさと、これから一生ゆっくり出来ると考えるだけで、体が熱くなってくる。 れいむは無意識のうちに壁に寄り添い、上下に体を擦りつける。 次第に興奮が高まってくるれいむ。 もしかしたら、今日にでもまりさといっしょにスッキリを……と、ここにきて、れいむは火照る体を無理やり押さえつけた。 気分が高まってしまい、うっかりと一匹スッキリをしてしまうところだった。 そんなことをしなくても、これからはいつでもまりさと一緒にスッキリをすることが出来る。 こんなところで一匹で寂しくしていることはない。 れいむは、高まる興奮を無理やり押さえつけるため、毛布に包まり目を閉じた。 一匹で起きているから、抑えきれないのだ。 男が来るまで、二度寝するに限る。 初めは興奮してなかなか寝付けないれいむだったが、元々昨夜は十分な睡眠が取れていなかったのだ。 れいむは、すぐに夢の中へと吸い込まれていった。 「おきろ、れいむ」 誰かのれいむを呼ぶ声によって、れいむは目を覚ました。 毛布からモゾモゾ出てきて、声の主を確認する。 それは、今まで虐待を繰り返し、今日ここから出してくれるといった男であった。 男は部屋を開けて、れいむの部屋に入っていた。 「ゆっ!! ゆっくりおはよう!! おにいさん!!」 「ゆっくりおはよう。呑気だな、敵である俺に挨拶をするなんざ……」 「ゆゆっ!! そうだったよ!! れいむ、ゆっくりまちがえたよ!! ゆっくりおはようしないでね!! おにいさん!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 男は、れいむを適当にあしらう。 「さてと、れいむ。今日は何の日か覚えているな?」 「ゆっ!! おぼえてるよ!! れいむたちが、おそとにでられるひだよ!!」 「そうだな。今日はお前をここから解放してやる日だ。ただし、出る前にやってもらうことがある」 「ゆゆっ!!」 れいむは焦った。 すんなり出してもらえると思っていたのだ。 もしかしたら、出るために条件でも出されるのだろうか? それとも、出る前に虐待をさせるのだろうか? しかし、そんなれいむの不安そうな表情にピンと来たのか、男は「安心しろ」と言葉をかける。 「今日お前を虐待する気はない。ただ、外に出る前にやってもらうことはあるがな」 「やってもらうこと?」 「ああ。まあ、それは後で教えよう。問い合えずこの箱の中に入れ?」 そう言って男は、いつも虐待部屋とこの部屋を渡るときに使っていた木箱を、れいむの前に置いてくる。 「ゆぅぅ……」 木箱を見せられて怖気づくれいむ。 虐待はしないと言っていたが、やはりこれを見せつけられると、不安が押し寄せてくる。 しかし、男に逆らいでもしたら、折角出られるチャンスを不意にしてしまうだろう。 れいむは仕方なく木箱の中に入った。 男は木箱の蓋を閉めると、「どっこらせ」と掛け声をかけて、れいむを持ち上げ運び出した。 そして、目的の部屋に連れて来ると、れいむを木箱から出してやった。 部屋を見渡し、青ざめるれいむ。 そこかしこに散らばている虐待道具。 あの悪夢のような動く絵を見せる箱。 そこは、もう二度と来たくないと思っていた虐待部屋であった。 「な、なんでここにくるのおおおぉぉぉぉ―――――――!!!! もうぎゃくだいはじないっでいっでだのにいいいぃぃぃぃ――――――――――!!!」 れいむは男に向かって叫ぶ。 男は、そんなれいむを宥めるように、淡々と説明を告げてくる。 「落ち着け、れいむ。さっきも言ったが、今日は虐待はしない。ここに連れてきたのは、まりさとありすに会わせるためだ」 「ゆゆっ!!」 そう言えば、まりさとありすにまだ会っていなかった。すっかりと失念していた。 「ゆっくりはやく、まりさとありすにあわせてね!!」 「今連れてくる。ここで待ってろ」 男はれいむを置いて、部屋を出ていった。 早くまりさに会いたい。早くありすの顔を見たい。 れいむは、落ち着かなかった。 数分後、男は両脇に何かを抱えて、部屋に戻ってきた。 何かと言うのは、男が抱えているのが、真っ黒な布を被せてあり、四角い形をしているので分からなかったのだ。 しかし、れいむにはピンときた。 形からして、男が持っているのは箱。その中に、まりさとありすが入っているに違いない。 箱が布を被っている理由は分からないが、れいむは気にしなかった。 男がれいむの目の前に、二つの箱を置く。 そして、れいむに目を向けた。 「れいむ。この中に、まりさとありす入っている」 「ゆっくりしっていたよ!!」 「今から会わせてやろう。お前が待ちに待った瞬間だ」 男はそう言って、両箱の布に手をかけた。 「この布を取れば、お前は二匹に会うことが出来る。心の準備はいいか?」 「ゆっ!! ゆっくりはやくあわせてね!!」 「準備はいいようだな。それじゃあ、2か月半ぶりにご対面だ。ごかいちょう――――――――――――!!!!」 男は勢いよく布を持ち上げた。 れいむは初めて会って以来、久しぶりに二匹の顔を見ることが出来た。 待ちに待った瞬間だった。 だったのだが…… 「…………ゆっ!? ゆゆっ!? ゆ……ゆゆ………ゆぎゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――――!!!!」 そこにいたのは、確かにまりさとありすだった。 しかし、透明な箱の中に入っていた二匹は、れいむの記憶にあった面影がほとんど残っていないほど凄惨なものだった。 これが本当に、あのまりさとありすなのか? 二匹の髪は、無理やりむしり取られたような跡がたくさんあり、所々禿げあがっていた。 まりさなど、毛より地肌の部分が多いくらいであった。 もっちりと張りのあった皮は見る影もなく、皺々でかさかさ。 余りに乾燥しすぎていて、所々ヒビ割れを起こしている。 両者とも片目が抉り取られており、その部分はポッカリと空洞が出来ていた。 歯も無理やり抜き取られたようなところが、たくさん見える。 足に当たる底辺は、焼かれてしまったのだろうか? 真っ黒になって、もう使い物になりそうもない。 もはやまりさとありすの面影など、殆ど残っていなかった。 美ゆっくりであったまりさも形無しである。 それでいて、れいむがすぐに二匹だと気づいた理由。 それは、帽子とカチューシャのおかげであった。 体は凄惨な状態でありながら、二匹の帽子とカチューシャは、れいむが初めて会った時の状態そのままであった。 ゆっくりは、飾りで相手を特定する。 一切無駄な皺のない帽子、光沢を放つカチューシャ。 それは、間違いなく二匹の付けていた物であった。 れいむは、二匹のあまりの状態に、アングリと口を開けたまま放心した。 その様子を見た男が、面白そうに声をかけてくる。 「どうだ、れいむ。久しぶりに会った感想は?」 「な、な、な、な、なんでえええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ―――――――――――――!!!!!」 「なんでって何がだ?」 「なんでまりざがごんなめにあっでるのおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――――――――――!!!!!」 「こんな目にと言われてもなあ……二か月半ずっと繰り返してきたことだし」 二か月半繰り返してきた? あり得ない。あり得るわけがない!! 確かに虐待は受けてきた。しかし、三匹とも同じ虐待を受けてきたのだ。 それなのに、れいむは殆ど傷がなく、まりさとありすはこうもボロボロになっているのだ? 「どうやら、訳が分からないことだらけのようだな。ま、取り敢えず、まりさとありすを起こしてやろう」 男は透明な箱の蓋をあけて、まりさとありすを思いっきり拳を叩きつける。 辛そうな表情で寝ていた二匹は、それによっていきなり目を覚ます。 「ひぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ――――――――――――!!!!!」 「ゆぎゃああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――!!!!!」 断末魔の様な悲鳴を上げながら、無理やり覚醒させられる二匹。 しかし、男は起きたにもかかわらず、面白そうに二匹を殴り続けた。 「やめでえええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ――――――――――!!!!!」 「ごめんなざい!! ごめんなざい!! ごめんなざい!! ごめんなざい!! ごめんなざい!! ごめんなざい!! ごめんなざい!! ごめんなざい!!!!」 二匹の必死の懇願に、男はようやく暴力を働くのを止めてくれた。 そして、二匹に向かって、口を開く。 「お前たち、目の前を見てみろ。お前たちが会いたがっていたれいむが、すぐ目の前にいるぞ」 男はそう言って、れいむを指差した。 二匹はびっくりしたような表情で、男の指す方に目を向ける。 「遠慮なく語り合え。俺は一切手を出さん」 れいむは、変わりに変わってしまった二匹のことを見てるのが辛く、つい目を背けてしまいそうになった。 しかし、それでも何とか勇気を振り絞って、二匹から目を離さなかった。 例え、姿は変わってしまっても、まりさはれいむの婚約者である。 どんなに変わってしまっても、れいむはまりさを愛していた。 そして、ありすは親友である。 自分を恨むどころか逆に祝福して貰い、その後も親友でいてくれると誓ったありすである。 二匹がいなければ、れいむはここまで生きていられなかっただろう。 心が折れていただろう。 目を背けられす筈がなかった。 「まりざっ!! ありずっ!! じっがりじでええぇぇぇぇぇぇぇ―――――――――!!!!」 れいむは、心の底から呼びかけた。 しかし、れいむに帰ってきたのは、思いもよらない罵声であった。 「れいむ―――――――――!!!! きざまのぜいでえええぇぇぇぇぇ――――――――!!!! きざまのぜいでええぇぇぇぇぇぇ――――――――!!!!」 「じねええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ―――――――――――!!!!! れいむうううううううううぅぅぅぅぅ―――――――――――!!!!」 「ばりざざまが、ごんなめにあうのは、きざまのせいだああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――!!!!」 「どがいはのびぼうをがえぜえええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ――――――――――――――!!!!」 「ゆっ!! ま、まりさ!? ありす!?」 なぜ自分が罵声を受けるのか分からないれいむは、二匹のあまりの様子に困惑した。 自分はまりさの妻なのだ。なのに、なぜ罵倒される? ありすは親友のはずだ。なのに、ありすもれいむを責めてくる。 しかも、れいむのせいとはどういう意味だ? 都会派の美貌を奪ったのは、れいむだというのか? 訳が分からなった。 「ま、まりさ!! ゆっくりちゃんとみてね!! れいむだよ!! まりさのおよめさんのれいむだよ!! ありす!! ゆっくりれいむのこえをきいてね!! ありすのだいしんゆうのれいむだよ!!」 考えに考えた末、二匹は勘違いをしているという結論に至った。 れいむと出会ったのは、初日だけだ。 もしかしたら顔を忘れてしまったのかもしれない。 片目では、うまく見えないのかもしれない。 でも、れいむの声を聞けば、ゆっくり理解してくれる。何しろ、毎日のように壁越しに語り合ったのだから。 しかし、れいむの希望はまたしても打ち砕かれた。 「だれがおよめざんだああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――!!!!! きざまのようなきだないゆっぐりが、まりざざまのおよめざんなわげ、ないだろおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――――!!!!」 「どかいはのありずが、おまえのじんゆうなわげないでじょおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――――――――!!!!! いながものはじねえええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ―――――――――――――――!!!!! ずっきりざぜろおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ―――――――――――――――――!!!!!!」 れいむは耳を疑った。 一体二匹とも何を言っているのだ。 れいむはまりさのお嫁さんではないか!! れいむのプロポーズを受けてくれたではないか!! ありすはれいむの親友でしょ!! 田舎者なんて、一度も言われたことないよ!! それに、スッキリさせろって、そんなレイパーみたいなこと言わないでよ!! れいむの知っている二匹は、決してこんなことを言うゆっくりではなかった。 男に無理やり言わされているのだろうか? いや、れいむがこの身に受ける呪詛にも似た言葉は、間違いなく真実であると語っている。 二匹は心の底から、れいむを憎んでいる。 となると、二匹はもしかしたら偽物……!! 「おにいさん!! このまりさとありすはにせものだね!! ゆっくりほんとうの、まりさとありすをかえしてね!!」 れいむは男に振り向き叫んだ。 こいつ等が偽物であると確信した理由。それは帽子である。 前述の通り、ゆっくりは飾りで個体識別を図る。 二匹はこれでもかというほどボロボロにされているのに、何故か飾りだけは新品同様である。 最初から不自然だと思ったが、偽物なら納得が出来る。 大方、男がボコボコにした偽物に、本当のまりさとありすの飾りを付けたのだろう。 だから、目の前にいるのは二匹だと感じても、その正体は偽物なのだ。 「なぜ、偽物だと思う?」 「かんたんだよ!! ぼうしだけきれいだよ!! きっとにせものに、まりさのぼうしとありすのかちゅーしゃをつけたんでしょ!!」 「ほう、そこに気付くか。やはり、お前は頭がいいな」 男は感心したような表情を見せる。 れいむは確信した。やはり、自分の考えは正しかったと。 「ゆっくりはやく、ほんとうのまりさたちをつれてきてね!!」 れいむを男を急かす。 こんな偽物に合わせていったい何を企んでいたのかは知らないが、もう種はお見通しだ。 しかし、男はれいむの言葉を聞かなかった。 未だにギャアギャアとれいむを罵倒している二匹の顔面に、思いっきりパンチを叩きこむ。 静かになった二匹を見て満足した男は、部屋の隅にある虐待道具置き場に近づいていく。 そして、ある道具を引っ張り出してきた。 「ゆうううぅぅぅ!!!!! きょうはぎゃくたいしないっていったでしょおおおおぉぉぉぉぉぉぉ―――――――――――!!!!」 「安心しろ。虐待の為に出したわけじゃない」 れいむを怯えさせた物。 それは、かつて幾度となくゆっくりの凄惨な虐待風景を見せつけた悪魔の箱、“てれびじょん”と“べーた”であった。 男はそれに一本のテープを挿入し、れいむに見ろと命令をしてくる。 拒むれいむだが、「虐待されたいのか?」という男の一言に、聞かざるを得なかった。 仕方なく、映像に目を向けるれいむ。 「ゆゆっ!! まりさ!!」 そこに映っているのは、虐待風景ではなかった。 しかも、れいむが愛した本当のまりさが映っている。 映像は男がまりさを抱えて知らない部屋に入ってくるところからスタートする。 まりさは男に抱えられたまま、泣き続けている。 見ている方が気の毒なほどの泣きっぷりだ。 しかし、次の瞬間、「まりさ、もういいぞ」と男が声をかけると、いきなりまりさは泣きやんだ。 『ゆゆっ!! まったく、なきつかれたんだぜ!!』 『みごとな演技だったぞ、まりさ』 『あたりまえなんだぜ!! まりさはめいじょゆうなんだぜ!! なきまねくらいかんたんなんだぜ!!』 『おお、怖い怖い』 『それにしても、あのれいむのかおったらなかったんだぜ!! かんぜんに、まりささまにほれていたんだぜ!! みのほどをしれなんだぜ!! このまりささまが、あんなきたないゆっくりをあいてにするわけないんだぜ!! ばかなゆっくりはこれだからこまるんだぜ!!』 『まったくその通りだな。ははは!!』 『ゆっへっへっへっへっへ!!』 『取り敢えずありすがくるまで、菓子でも食ってろ』 『ゆっ!! わかったんだぜ!! むーしゃむーしゃ、しあわせ〜〜〜♪♪』 ……自分はいったい何を見ているのだろう? 箱に映されているのは、見間違いようのないまりさその物であった。 美ゆっくりであるのは間違いない。その美しさは、紛れもなく本物だ。 しかし、れいむの知っているまりさとは、明らかに別物であった。 まりさはあんな嫌な目をしていない。 まりさは、決して「だぜ」なんて、不良言葉を使わない。 まりさは、あんな汚らしい笑い方をしない。 まりさなわけが……まりさなわけがない……… その後、映像に砂嵐が出た後、場面が切り替わった。 そして、男がありすを抱えて、部屋に入ってくるシーンが映される。 ありすもまりさ同様泣いていた。 しかし、男が言葉をかけると、これまたまりさ同様、ピタッと泣きやんでしまった。 『ゆう!! なきすぎて、かおがめちゃくちゃになってしまったわ!!』 『済まなかったな、ありす』 『まったくよ!! とかいはのありすに、こんなえんぎをさせておいて、やすくすむとはおもわないことね!!』 『へいへい、分かってるよ。報酬はしっかりと払ってやる』 『ちゃんと、そこのまりさのように、きれいにしてくれるんでしょうね!!』 『してやるとも。安心しろ』 『おい、じじい!! まりささまのほうしゅうも、わすれるんじゃないんだぜ!!』 『分かってる。お前は、美ゆっくり100匹だったな。しかし、そんなにゆっくりを集めてどうするんだ?』 『ゆっへっへ!! きれいでかわいいまりささまの、すっきりよういんにしてやるんだぜ!! えらばれたゆっくりも、こうえいなんだぜ!!』 『まりさばっかりずるいわ!! ありすにもゆっくりをいっぱいよこしなさい!!』 『はあ? お前の報酬は、美ゆっくりに整形することじゃなかったのか?』 『とかいはのありすに、あれだけのえんぎをさせておいて、それだけですむとおもわないことね!! それだけじゃ、だいじょゆうのありすにはすくなすぎるわ!!』 『お前もゆっくり100匹かよ。そんなに集めてどうする……って、聞くまでもなかったな。お前レイパーだもんな』 『そんなねもはもないことをいわないでちょうだい!!』 『いや、根も葉もあるだろ』 『とかいはのありすがあいしてあげてるのよ!! あいては、ゆっくりかんどうするにきまってるわ!!』 『正しくレイパーの言葉だな……』 『それにしても、あのへやにいたれいむ、いなかくさいったらなかったわ!!』 『ゆっへっへ!! あのれいむ、このまりささまに、ほれてたんだぜ!! まったくばかなれいむなんだぜ!!』 『だいたいいなかれいむのくせになまいきなのよ!! このとかいはのありすに、がっかりしたようなかおをしたのよ!! いなかもののれいむのくせに!!』 『ほんとうのこというなだぜ!! あんまりいってやったら、かわいそうなんだぜ!! ゆっひっひ!!』 『ゆっくりはやく、いなかもののれいむが、がっかりするところをみたいわ!! だまされてるともしらないで、どんなかおをするのかしら!!』 『おい、じじい!! まりささまにも、れいむのはずかしいすがたをみせるんだぜ!! おもいっきりばかにしてやるんだぜ!!』 『ああ、見せてやるとも。お前らには、重要な役割が残っているんだからな』 またもや映し出されるのは、あり得ない映像。 そこの出てきたのは、れいむの親友であるはずのありすであった。 しかし、ありすでは無かった。 ありすは優しく、他者を思いやるゆっくりであった。 なのに画面の中のありすには、そんな姿は微塵も見られなかった。 田舎者と何度も口にしたことも引っ掛かる。ありすは、田舎者などと滅多に他者を馬鹿にしたりはしなかった。 何よりもおかしいのは、レイパーの件。 ありすはレイパーを憎んでいるはずだ。 なのに、そのありすが率先してレイパーの発言をしているとは、いったいどういうことなのだろう? まりさの顔をした誰かと、ありすの顔をした誰かが、画面の中でれいむを馬鹿にしている。 れいむにはそう感じられた。 次に、画面の中の男の顔が大きくなった。アップ撮影に切り替わったらしい。 男は画面の中で『コホン』と一度咳払いをすると、カメラ目線で、淡々と事の次第を説明してきた。 『ああ、れいむに告げる。あ、いや、その前に、まだ家の出来ていないれいむにと言わないとな。自分のことだと分からないと困るしな。 家の出来ていないれいむの為に、この映像を用意する。れいむ、初めに言っておこう。この映像は、すべて真実である。 俺の虐待が成功したなら、お前はきっとこの映像が信じられないだろう。しかし、くどいようだが、映像は真実である。 これを撮ったのは、森からお前を連れてきたその日である。おそらくその時のことは、よく覚えているだろう。 お前の前に、まりさとありすが違う部屋に連れていかれたはずだ。最初の映像は、連れていかれた後の光景である。 実はまりさもありすも、その日は虐待されなかったのだ。虐待されたのは、おまえだけだ。と言っても、お前を虐待するのは今からだがな。その証拠がこれである』 そう言って、男が映像の中から消えると、突然、画面が揺らぎだした。 男がカメラを抱えて、まりさとありすにレンズを向ける。 そこには、口元にお菓子のカスをベタベタ付けた二匹が、ふてぶてしい表情で写っていた。 『お前たち、れいむに一言何かコメントしろ』 『ゆっへっへ!! ばかなれいむにおしえてやるぜ!! さっきのはぜんぶえんぎなんだぜ!! ばかなれいむは、ゆっくりだまされたんだぜ!! それから、れいむはきもちわるいんだぜ!! まりささまがかわいいからって、もうそうはたいがいにするんだぜ!! それじゃあ、れいむ!! じじいにいじめられて、ゆっくりしぬんだぜ!!』 『れいむ!! あなたってほんとうにいなかものね!! からだには、つちがいっぱいついているし、とってもくさかったわ!! とかいはのありすとは、ぜんぜんつりあわないわね!! あなたなんて、すっきりさせてあげるのもごめんよ!! ゆっくりしんでちょうだいね!!」 『と、こう言う訳だ』 再び男が画面に映る。 『初日、お前が虐待されている間、こいつらは見ての通り、とてもゆっくりしていたのだよ。残念だったねえ、れいむ。 でも、がっかりする必要はないよ。何しろ、君にとっては、三匹全員が虐待されているのと変わりないのだから。 君はこれから、俺によって三匹全員が虐待されたと思い込むはずなのだから。あ、でも、この映像を見ている時は、それを知っちゃうんだよね。ご愁傷様、れいむ!!』 男は、そこで映像を止めた。 そして、れいむに振り向き、一言呟いた。 「という訳だ、れいむ」 「……」 れいむには、訳が分からなかった。 一体、何がどういうことなのだ? れいむの婚約者のまりさが、あのゲスまりさ? れいむの親友のありすが、あのレイパーありす? それじゃあ、そこでボロボロにされている二匹は、本物のまりさとありすってこと? れいむはずっと騙されていたってこと? 最初から騙されていたってこと? でも、それじゃあ毎日れいむとお喋りしていたのは、いったい誰? それに、なんでまりさとありすが、ボロボロにされているの? 何もかもが、れいむの理解の範疇を超えていた。 「ふむ、だいぶ状況が分かってきたようだな。いや、逆か。情報が整理しきれなくて、混乱しているか。なら、そろそろ種をお見せしよう」 男はれいむの前に行くと、れいむに手を伸ばし、自分の脇に抱え込んだ。 「ゆ、ゆっくりやめてね!! れいむをゆっくりおろしてね!!」 「安心しろ、今日は苛めないって言ったろ。お前にすべて教えてやるよ。すべてな」 男はそう言って、部屋の扉を出た。 その8?へ