約 592,779 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/396.html
ゆっくりいじめ系110 髪飾りの続きです。 前の騒動の際に拾ったゆっくり霊夢。 こいつは仲間の死を見たせいか、仲間を殺してしまったせいか、ずっと固まったまま動かない。 口に物を入れれば食うし、生きてもいるようだが心が死んでしまっている。 俺自身も痛みを与えたり、髪飾りを死んだゆっくりの物交換してみたりと色々な方法を試みたが、何一つ反応を見せない。 「こうなったら代案ならぬ代餡として、中身でも入れ替えてみるか……? でもなぁ……」 それではつまらない。このゆっくり霊夢だからこそ期待できるものがあるのだ。 悩んでいても大して良い案は浮かばずに数日が過ぎた。 今日も今日とて歩きながら考えていると、道脇の草むらで何かが動いた。 「ゆぅ……くりぃ……」 ゆっくり魔理沙だった。どうやら傷ついて餡子が減っているらしく、かなり皮のたるみが目立つ。 別にどうでもいいか、と無視しようとした時、ふと妙案が思い浮かび、足をゆっくり魔理沙の前で止める。 「おい、大丈夫か? しっかりしろ!」 「ゆっ……りぃ……」 うーむ、我ながらうそ臭い演技だ。しかし、ゆっくり魔理沙の方は本当に重体らしく、返事をする元気すらない。 おそらく何らかの理由餡子を吐き出してしまったため、生きていくぶんの餡子が足りていないのだろう。 「よいしょっ、と……!」 ゆっくり魔理沙を抱え上げて、家に走り帰る。早くしなければ死んでしまうかもしれないのだ。 「待ってろ……! すぐに助けてやるからな!」 家に帰り、ゆっくり霊夢用の餡子とオレンジジュースを与えると、ようやく危機は脱したように見えた。 さっきよりも少しふくらみ、顔ツヤも良くなっている気がする。 「ありがとぅ……おにいさん……」 「無理に喋るな。とりあえず、ここでゆっくりしていけよ」 「うん、ゆっくりしていくね……」 ゆっくりぱちゅりーぐらいのか細さである。これは休ませておいた方がいい、と判断し、その日は俺も就寝した。 寝る前にゆっくり魔理沙をあえて、ゆっくり霊夢の近くに置いておいた。 次の日、ゆっくり魔理沙の様子を確認すると、本調子ではなさそうだったが、昨日よりかは随分良くなっていた。 「どうだ? 身体はもう大丈夫か?」 「ゆっくりやすめたから、すこしだいじょうぶになったよ」 やはり、答える声にはゆっくり種特有の無駄な元気さはない。もう少し置いてやるべきかな。 「ゆっ、おにいさん、あのこどうしたの?」 「ん、ああ、ゆっくり霊夢か……」 ゆっくり魔理沙は置物のように鎮座したゆっくり霊夢を気にしていた。ゆっくり同士の連帯感故だろうか。 思惑通りに事が進んでいる。俺はいくらか考えたふりをして話してやった。 「あのゆっくり霊夢は家族がみんな死んでしまって、酷い目にあったんだ。それで動かなくなっちゃったんだ……」 簡潔すぎるほど簡潔だが、ゆっくりに小難しい話をしても分からないだろう、と判断して適当にまとめた。 「……ゆっ!」 傷が癒えきっていない身体で飛び跳ね、ゆっくり霊夢の隣に行くゆっくり魔理沙。そして、いつもの言葉。 「ゆっくりしていってね!」 「………………」 相変わらず、反応しないゆっくり霊夢。……よし、実験開始。 「なあ、ちょっといいか?」 「ゆ?」 「このゆっくり霊夢を見ててやってくれないか? 食べ物はちゃんと渡すし、見てるだけでもいいんだが」 「いいよ! ゆっくりみてる!」 心なしか元気が戻ってきているように見える。やけに聞き分けがいいところにが何かありそうだ、と感じさせる。 『ゆっくり同士の交流で心は戻るか』という目論見であるが、どちらに転んでもどうでもよかった。 その日から、俺は朝食と昼食二匹分の食べ物を渡し、仕事をして、夜にまた食べ物を渡しながら一日の経過を聞くという生活になった。 ゆっくり霊夢は自分から食べようとはしないため、誰かが与えてやらなければならなかったが、それはゆっくり魔理沙がやってくれた。 ゆっくり魔理沙もゆっくり霊夢のことが気になるらしく、傍から見ていても姉のように甲斐甲斐しく世話をしている。 それが理由なのか、近頃ではゆっくり霊夢が微妙に反応を示し始めている。 小さくだが「ゅ……ゅ……」という声が聞こえるのだ。それを聞いて、ゆっくり魔理沙は嬉しそうに語りかけたりしている。 ゆっくり魔理沙は出来ないことも弁えているらしく、「れいむをあらって、すっきりさせてあげて」などと頼まれた。 ゆっくり霊夢は動かないので、ゴミや埃が積もって汚れてしまうのだ。 ついでにゆっくり魔理沙も洗ってやろうとすると、「まりさはいいよ」と拒否したので無理やり洗ってやった。 くすぐったそうにしながらも、暴れずに大人しくしているゆっくり魔理沙。 ゆっくり種としてはその聞き分けの良さ、おとなしさは奇妙というか異常であった。 俺は今までの経緯や行動から、ゆっくり魔理沙の事情をだいたい予測していた。確証を得るために語りかける。 「なあ、魔理沙。お前、仲間からいじめられたりしてたんだろ。だから、あんなに傷ついてたんじゃないか?」 「…………」 ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢が乗り移ったかのように黙り込む。やがて、ゆっくりと口を開いた。 「まりさはね、ぼうし、なくしちゃったんだ……」 「そうか……」 それだけ聞けば何があったのかは予想できる。そして、現在のゆっくり魔理沙は帽子をつけている。 「他のゆっくりから取ったのか?」 ゆっくり魔理沙は一瞬迷ってから、言った。 「しらないゆっくりの、しんじゃったゆっくりのぼうし、ひろったんだ」 「知らなくて、しかも死んでるなら別にいいんじゃないか? 誰も使わないわけだし」 俺はてっきり、生きているゆっくりから帽子を奪ったから、いじめやリンチにあったんだと思っていたのだが。 むしろ、帽子やらリボンやらがないと、元いた群れであっても仲間扱いされなくなるのは前回の実験で判明したことだ。 「しんじゃったゆっくりのぼうしだとね、みんなからきらわれちゃうんだ……」 嫌われる……? どういうことだ。帽子をかぶってるのにいじめられただと? まさか、ゆっくりは分かるのか。そいつに合っていない髪飾りや、死んだゆっくりの髪飾りを使っているのが。 これは、非常に興味深い。俺はゆっくり魔理沙から当時の状況を詳しく聞くことにした。 ゆっくり魔理沙の言ったことをまとめてみると、 1、「帽子を失くす」といじめられた。群れから無視される立場となる。 2、「生きている他のゆっくりの帽子」を奪ったら、仲間として認められた。しかし、帽子を奪い返されると、以前の立場に逆戻り。 3、「死んでいるゆっくりの帽子」をかぶったら、群れの仲間どころか、行く先々のゆっくりに攻撃された。で、倒れて拾われる。 という経過らしい。 ……成る程。ゆっくり種の髪飾りにはここまで意味があるとは。驚愕の思いを隠しきれない。 そして、ゆっくり魔理沙がゆっくり霊夢を世話するのも、群れから追い出されて寂しかったからだろう。 しかし、もしもゆっくり霊夢が目を覚ましたら、どんな行動を取るのだろう。 それはそれで楽しみである。 「ゆっくりしていってね!」「ゆぅ!」 ある朝、二匹分の声で目が覚めた。まさか、と思い居間へ確認しに行くと、そこにはゆっくり魔理沙とゆっくり霊夢が仲良く並んでいた。 「おにいさん、ゆっくりおはよう!」「ゆっ!」 「……帽子、気がついてないのか?」 ゆっくり魔理沙の言うことが真実なら、ゆっくりには死んだゆっくりの帽子を判別する能力があるみたいなんだが。 「だいじょうぶだよ! ゆっくりしてるよ!」「ゆゅ!」 と、そこで気づく、家にいたゆっくり霊夢は大きさであれば、それなりに成長してる個体のはず。 しかし、先ほどからまるでほとんど喋ってしない。精々、「ゆ」の一文字文ぐらいだ。 思い浮かんだのは幼児退行という言葉。しかし、そんなのゆっくりにも起きるのか? 疑問を持ちながらも、さらなる観察を続けることにした。 「ゆっくりしていってね!」「ゆっ!」 最初に気づいたのは、このゆっくり霊夢は「ゆっくりしていってね!」と一切言わないことだった。 ゆっくり子霊夢ですら「ゆっくりちていってね!」と返事するのに、何度も呼びかけても何も返さない。キョトン、としたままだった。 ゆっくり種としての常識でもぶっ壊れてしまったのだろうか。 個の識別は出来ているようである。ゆっくり魔理沙は当然としても、俺ですら家族の一人のように反応する。 しかも、言葉の識別も出来ているらしく、「お~い」と呼ぶと普通に寄って来て、「ご飯だ」と言うとやたらと速く寄って来る。 何故だか身体能力もあがっているらしく、己の背丈を越えるほどの跳躍力を見せることもあった。 それに引っ張られるように、ゆっくり魔理沙の能力も上がってきている。単純に傷が癒えた、というだけでは説明がつかない。 傷の治りが妙に早かったり、語彙が増えたり、知能が上がっているような気配すらある。 ゆっくりとしての禁忌を破ったからなのだろうか。よく分からない。 こうなってくると、最早ゆっくりとは違う種とすべきか! と一人盛り上がってみたが、即断するにはまだ早い。 近頃では二匹が仕事を手伝ってくれるようになった。仕事といっても農作業だが。 「おんがえしだよっ!」「ゆ~!」 と言っては泥だらけになるのも構わず、文句も言わずにせっせと働いている。いや、楽だね。 今日もまたゆっくりたちが俺の手伝いをしていると、草むらから音がした。ぴょん、と飛び出る塊。 「ゆっくりしていってね!」 野生のゆっくり魔理沙であった。それだけなら別にどうということはないのだが、今はまずい。 「ゆ……!? ゆっくりしねぇ!」 「ゆぐぅ!?」 野生ゆっくりが、俺のところのゆっくり魔理沙を見た途端、人格が変わったように体当たりをしてくる。 相手が大きかったこともあり、吹っ飛ばされるゆっくり魔理沙。野生ゆっくりは攻撃の手を緩めない。 「ゆっくり! しね! しねっ! しねぇぇっ!!」 「ゆぶっ! ぎゅぶ!」 鬼のような形相で攻撃し続ける野生ゆっくりと、口から餡子が出始めているゆっくり魔理沙。 放置するのも面白いのだが、まだやってもらわねばならないことがあるので助けようとする。 と、そこへ駆けつけるゆっくり霊夢。ゆっくりとは思えない速度で野生ゆっくりにぶつかる。 「ゆーーーー!!!」 「ぐべぇ!?」 二倍近く体格差があったように見えるのだが、それを物ともせず、今度は野生ゆっくりが弾き飛ばされる。 どれほどの力が込められていたのか、野生ゆっくりは木にぶつかると、餡子を撒き散らして潰れた。 普通のゆっくりとは比べ物にならない力の強さである。普通のゆっくりだと、集団で攻撃してようやく一匹を潰せる程度の力だ。 ゆっくり霊夢は野生ゆっくりのことなど眼中になく、すぐさまゆっくり魔理沙のところに駆けつけた。 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!?」 ゆっくり霊夢が悲痛な叫び声を上げる。何事か、と見てみれば、ゆっくり魔理沙の皮が破れて餡子が飛び出していた。 どうやら、吹っ飛ばされた時に木の枝にひっかけてしまったらしい。 「ちっ……まずいな。大丈夫か?」 「ゆぅぅ……」 だらり、と返事も出来ずにへたりこんでいるゆっくり魔理沙。そこまで、餡子の流出が大きいのかとも思ったが、何か違う。 身体がぶるぶると震るわせ、悪夢にうなされているように「ゆっ、ゆっ、ゆっ」と呻いている。 とりあえず、症状を観察するのは後回しにしてゆっくり魔理沙を家の中に運び込むことにした。 一応の手当ては終了した。傷口にテープを貼り、オレンジシュースを飲ませておく程度のものであったが、応急処置にはなる。 状態が良くなったわけではないが、傷よりも精神的に弱っているようだった。 「みつかった……みつかっちゃたよぅ……」 涙を流すわけでもなく、生気の抜け落ちた顔でぶつぶつと呟き続けている。 ゆっくり種の禁忌を犯しているゆっくり魔理沙は、制裁を恐れているのだろう。 「大丈夫だって。襲ってきたやつは潰しただろ? もう来ないんじゃないか?」 「そうかな……?」 怯え切った顔つきだ。俺としてもゆっくり種にそこまでの探知能力はないと思う。第一発見者がいなければ犯罪は露呈しない。 「もう、ゆっくりできないできないよぅ……」 なおも呟き続けるゆっくり魔理沙。どうしたものかな、と思った時、 「ゆぅ、ゆっ、ゆ、ゆっくり、しない、でね!」 なんとゆっくり霊夢が喋り始めた。ぴょんぴょん、と跳ねながら、頑張って話そうとしている。 「ゆっくり、しなくても、だいじょうぶ、だよ? おかー、さんは、れいむが、まもるよ!」 たどたどしく、けれど、はっきりと宣言した。 母親と認識していたことにも驚きだが、「ゆっくりしなくていい」とはゆっくり種としての存在意義に関わるのではないだろうか。 「さっきのは、ちがう、ひと。れーむたち、とは、なんかちがうの」 どうやらゆっくり霊夢は明確な境目を他のゆっくりに感じているらしい。 これは……面白い。その背中を押してみるべきだろう。 「そうだ、違うぞ。。あいつらはお前たちみたいなのが嫌いなんだよ」 「? どーして?」 「お前たちの髪飾り、リボンや帽子は死んだゆっくりのものでな。普通のゆっくりはそういうのを許さないらしい」 「だから、おかーさんを、いじめたの?」 「そうだ」 簡潔に伝えてみると、ゆっくり霊夢は身体をぶるぶると震わせ始めた。 怒りの感情かもしれないが、そこには何かしらの決意みたいなものが感じられた。 「じゃ、れーむは、ゆっくりじゃなくていい! そんなこというひと、みんなおいはらうよ!」 「へぇ……」 そっちの方向へ行くのか、と俺は感心していた。種であることよりも親を守る。 もしかすると、自分が既にゆっくり種から受け入れられないと分かっているのかもしれない。 「お前はもうゆっくりしないのか?」 「しないよっ!」 「じゃあ、お前は今度から『ゆっくりまんじゅう』っていう名前にしてみたらどうだ? ゆっくりとは違うってことで」 「ゆっ!? ゆっくりまんじゅう! れーむはゆっくりまんじゅうだよ!」 思いのほかあっさり承諾した。むしろ、喜んでいる。俺としては、人づてに聞いた小噺から思いついたものなんだが。 これで、本当にゆっくりとは違うものになったんだろうか、明日はどうしてみようか。 そんなことをワクワク考えながら、俺たちは眠りについた。 夜中。声と気配で目を覚ます。ゆっくりまんじゅうたちのいる部屋からしているようだ。 「なんだ……まさか!?」 急いで、居間に繋がっている扉を開けようとする。が、何かにつっかえているらしく、僅かの隙間しかできない。 その隙間から声が聞こえてきた。 「おかーさん! おかーさん! やめぐっ!?」 「ゆ、ゆゆ……」 「ゆっくりしないでね!」「ゆっくりできないよ!」「すっきりさせてね!」 まんじゅうゆっくりたちとは別の無数の声。俺は事態を察して、扉からではなく、窓から外に出て、玄関へと向かった。 「うわっ……」 表から見ると、玄関は開け放たれており、何匹ものゆっくりが部屋に入ろうとしていた。 しかし、既に入っているやつが多すぎて入れていない。それでも、まだ部屋の中に入ろうとしている。 「邪魔だ! どけっ!」 玄関周辺のゆっくりを潰して道を作る。ようやく、部屋の中を見るとそこには床一面にゆっくりが蔓延っていた。 「ゆっくり!」「ゆっくりできないやつはしね!」「じゃまなひとはどっかいってね!」 どうやら、俺には全く感心を抱いていないようだ。ゆっくりまんじゅうたちを目で探してみると、 「ゆぅ! ゆっ!? ゆぅぅぅぅぅ!!」 多くのゆっくりに圧し掛かられているまんじゅう霊夢がいた。 力で押し返そうとしているが多勢に無勢。潰されてはいないが、完全に身動きを封じられていた 「おかーさん! おかぁ、さん!」 その声で今度はまんじゅう魔理沙を探すと、テーブルの上で何匹かゆっくりがまとまっていた。 まさか、とテーブルに手を伸ばすが、玄関からでは遠く、突っ込むにはゆっくり達で動けない。 「ゆ、ゆ……ゆ。ごめんね、ごめんね……」 テーブルでは魔理沙が頭から食べられていた。何度も謝罪の言葉を呟きながら。誰に向かって謝っているのだろう。 「ゆっ、ゆっ! あのひとたち、へんなゆっきゅだよ! しんじゃえばいいのに!」 「みたよ、おひるにここのおうちでゆっくりしてたよ! ゆっくりじゃないのになまいきだよ!」 他のゆっくりよりも嬉々として、ゆっくりまんじゅうたちに攻撃を加えている二匹のゆっくり魔理沙。 あれは、もしかして昼間の野生ゆっくりの家族だろうか。現場を見られていて、仲間に場所を伝えたというわけか。 第一発見者がいなくても、第二発見者がいれば犯罪は露呈するか。くそ、あの後、周辺を警戒しとくんだったな。 「れーむもおかーさんも、だれにもめーわくかけてない! やめて、やぶぎゅ!?」」 動き回ってゆっくりたちを引き剥がそうとするが、さらに多くのゆっくりに圧し掛かられて、餡子が出そうになる。 「ゆっ、くりぃぃぃぃ!!」 その光景を見た魔理沙は最後の力を振り絞って、もう半分以上、無くなっている身体で飛んだ。我が子を守るため。 霊夢の近くに落ちる魔理沙。その衝撃と気迫に驚いて、群がっていたゆっくりたちはわらわらと散っていく。 「おかー、さん? おかーさん!? おがーざぁん!?」 「ごめんね……ごめんね……」 「 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」 最後まで謝りながら息絶えていく魔理沙。泣きすがる霊夢。 「ようやくしんだの? ばかなの?」「あとひとつ、つぶせばゆっくりできるね!」「すっきりしようね!」 口々に汚く罵るゆっくりたち。流石に見ていて腹が立った。俺がやってみたかったのに。 先ほどの、場所を教えたゆっくり魔理沙がまんじゅうへと寄ってくる。 「ゆっくりたべるよ! どいてね!」 餡子を食う気だろう。完全に余裕の笑みを浮かべている。 「おいしそう~♪ あ~ぐぎゃ!?」 ゆっくり魔理沙は食べようとして突如、吹き飛ばされた。壁にぶち当たって、中身が飛び散る 「ゆっくり!? ど、どうしたのぉ!?」「ゆっくりしんじゃったよ!」 「ゆっくり……」 ゆっくりたちが声した方を見る。ゆっくりたちの認識において、そこには潰され、食べられる予定の獲物しかいないはずだった。 「ゆ、ゆ!?」「ゆゆゆ!?」「ゆぅ!?」 「ゆっくり、するなぁぁぁぁっ!!!」 そこにいたのは狩人だった。否、狩人という言葉すら生ぬるい。それは戦士だった。 周囲のゆっくりを比較にならない力と素早さによる体当たりで叩き潰すまんじゅう。その凄まじい勢いにゆっくりたちは恐慌を来たす。 「い゛や゛ぁ゛ぁぁ!?」「おうぢがえる! おうぢにがえりだいよぉ!」「だじでぇぇっ!!!」 先を争って俺の方、すなわち玄関へとへ向かおうとするが、数が多いのが災いして思うように動けない。 その様子を見てから、俺はまんじゅうに声をかけた。 「おい、まんじゅう。一人で出来るか?」 「ひとりで……ひとりでできる! まかせて! みんな、ゆっくりできなくさせるよ!」 「だ、そうだ。お前ら、全員そこの『まんじゅう』にやられちまえよ」 指でまんじゅうを指し示してやってから、ゆっくりと玄関の扉を閉める。外にいたゆっくりもついでに放り込んでおく。 俺自身もイラついていたのだ。気分的には収穫しようとした果実を目の前で掻っ攫われた気分に似ている。 中の様子を窓から見てみる。 多数のゆっくりが外に出ようと扉に張り付いているが、結局開かず、後ろから来た他のゆっくりに潰されている。 「だぢでぇぇ!! ごごがらだじでぇ!」「 ゆ゛っぐり、じだいよおおおお!」「まんじゅういやぁぁ!!」 皆が逃げようとすればするほど、潰されていくゆっくりたち。しかし、後ろから今だ危機が迫っているのだ。 「ゆっ、くりぃ!」 まんじゅうは上空から勢いをつけて、一匹のゆっくりを叩き潰す。広がる餡子。見せつけるようにまんじゅうはそれを食べた。 「むしゃり! むしゃり! ぺっ!」 リボンを吐き出す。さらに震え上がるゆっくりたち。 髪飾りを盗った許せないゆっくりがいると知って群れで潰しに来たはずなのに。しかし、現実は過酷だった。 「どうじでぇ!? どうじでこうなるのぉ!?」「ゆっぐりざぜでね!?」「「まんじゅうはこないでぇぇぇぇ!」 「どうして? ゆっくりたちがれーむの、ゆっくりまんじゅうのおかーさんをころしたからだ!!」 今更、たわ言を抜かしていたゆっくり魔理沙を潰す。それは母に似ていても、決定的に母ではなかった。 「まんじゅう!?」「まんじゅうごわ゛い゛!」「ま゛んじゅう゛、やべでぇ!」 「ぼうしやリボンをなくしたゆっくりは、まんじゅうになってイジメられるんだ! おぼえとけ!」 「お゛ぼえ゛る゛! お゛ぼえ゛る゛がら゛だずげでぇぇ!」「ゆっぐいじだがっだよ゛う゛!」 「じにたくないよ゛おお゛お゛お゛お゛お゛!」「ぎゅっぐりぃ!!」「おがあざぁん!」 まんじゅうは飛び上がって、扉に群がっているゆっくりに思い切り体当たりをぶちかます。その勢いで扉が開け放たれた。 既に大半のゆっくりはやられていたが、それでも残ったゆっくりが我先にと逃げ出していく。当然、仲間に潰されたゆっくりもいた。 「まんじゅう゛ごわい! ま゛ん゛じゅうごわいよぉ!」「ま゛んじゅうなりだぐな゛いぃぃぃ!!」 「ずっぎりじだがっだだげなのにー!!」「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!???」 それぞれがまんじゅうに対して恐怖を口にしながら、どこかへ行った。 「いいのか、そこそこの数を逃がしたけど」 まんじゅうの狙いは分かっていたが、あえて聞いてみる。 「いいよ。あれで、まんじゅうがこわいっておもってくれれば、いいんだよ」 やはり計算してやっていたか、と少し感心していると、まんじゅうが俺の方を向いて小さくお辞儀をした。 「なんだ、どうした?」 「おとーさん、いままでそだててくれて、ありがとう。ここにいると、ゆっくりがいっぱいきて、めーわくがかかるからどこかにいくね」 「何……?」 俺ってお父さん扱いだったのか、と思いながら、なんとなくある推論が思い浮かんだ。 このゆっくり霊夢、もといゆっくりまんじゅう霊夢は、本当にゆっくり種とは違うものに変質しまったのではないだろうか。 きっかけは先日の惨劇であり、髪飾りを変えたことかもしれない。 しかし、俺や元ゆっくり魔理沙と暮らすことでゆっくりとしての常識を失っていったのかもしれない。 あの身体能力はそんな中でも生き残るために発揮されている、所謂「火事場の馬鹿力」だろうか。 そうだとすると、その寿命は長くは保てないだろう。 これはこれで興味深い事例であった。 俺はまんじゅうに、餞別として潰れたばかりの餡子を包んでくれてやった。 面白いものを見せてくれた礼でもある。 「元気で、とは言えないが、まあなるべく死ぬなよ?」 「うん。おとーさん、おかーさんのぶんまでしなないよ。ばいばい」 どこか穏やかな顔つきでまんじゅうは、消えていった。 その後、やけに強いゆっくりとして、まんじゅうの存在はたまに人々の噂にされることもあったが、死んだかどうかは分からない。 普通に考えて、いくらまんじゅうでも敵の数が多いと生き残れないのではないか、と思う。 それでも、時折だが山からある叫び声が聞こえるそうだ。そう、 「ま゛ん゛じゅ゛う゛ごわ゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛っ!!??」 と。 ここらで一つ、後書きっぽいものをどうぞ。 ゆっくりに「まんじゅうこわい」と言わせたかった結果がこの長文だよ! 「髪飾りの失くしたゆっくり」だと長いので適当に名前をつけてみたら、「まんじゅう」になった。反省している。 「ゆっくりまんじゅう」を正式名称にしたのは、流石に「ゆっくり」って言葉がついていないとマズイだろ、という判断から。 地の文で書く時、または他のゆっくりが呼ぶ時には「まんじゅう」になります。「饅頭」に非ず。 「まんじゅう」の脳内設定も一応書いておきます。使っても使わなくても、どっちでも構いません。 名称だけ使うとかも大丈夫です。設定改変もご自由に。 ……そもそも、こんな設定を使ってくれる人がいないだろうけど。 「ゆっくりまんじゅう」 髪飾りを失くしたゆっくりのこと。 髪飾りが無くなったゆっくりは種として迫害される運命にある。特に仲間の死体から髪飾りを盗んだ者は絶対に許されない。 「ゆっくりまんじゅう」は、それでも生き残るために変化した突然変異型ゆっくり。 髪飾りを失くしただけでは変異しないが、他のゆっくりったいによって迫害されることで変異することがある。 身体能力や知能は通常のゆっくりを遥かに凌駕するが、それは体内餡子の糖分を使っているため。 故に、通常のゆっくりよりも寿命は短く、中の餡子も甘みがなくて不味い。 「ゆっくりするな!」などの「ゆっくり」という言葉に対して否定的な言葉をぶつける。 自分から他のゆっくりを襲うことはしないが、襲われたら相手がれみりゃであろうと、群れであろうと死ぬまで戦う。 子ゆっくりであろうと容赦せず、相手の餡子を食らうことも平気でする。
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/1695.html
広いんだか狭いんだかわからない世界のとある神社。 そこには素敵な巫女さんと、巫女さんにそっくりのおまんじゅうが住んで居ました。 「れいむはおまんじゅうじゃないよ!おまんじゅうっぽいだけだよ!」 失礼、巫女さんにそっくりな『ゆっくりれいむ』と言うおまんじゅうが住んで居ました。 Σ「あんまかわってない!?」 神社にはお客さんがあまり来ませんが、巫女さんの友達はしょっちゅう遊びに来ます。 巫女さんは「友達とかそういうのじゃない」と言いますが、 れいむは巫女さんがツンデレなのを誰よりも理解していたので、影でニヤニヤ… 「だいたいツン8 デレ2くらいだよ、攻略するときはきをつけて ゆっくり選択肢をえらんでね!」ニヤニヤ れいむはその友達を「ゆっくりしていってね!」とお出迎えするのが楽しみでした。 友達は巫女さんがおでかけする度に増えていき、 それにしたがい、れいむも色んな人に「ゆっくりしていってね!」をして… いつの間にか、れいむは皆から『ゆっくり』と呼ばれるようになったのでした。 「安直きわまりない!」 そんな日が続いていき、 れいむは自分も誰かに「ゆっくりしていってね!」をしてもらいたいと思うようになりました。 「どうせならおなじゆっくりだとはずれがないね!」 しかし神社でお留守番をしていても… 巫女さんのおでかけについていっても… れいむが他のゆっくりに出会うことはありませんでした。 協力してくれた天狗さんからの話も『見つからない』がずっと続くばかり… 「ならしかたないね!」 ですが、いつも通りのほほんとした調子でれいむは縁側へ昼寝をしに向かいます。 ・ 別に同じゆっくりがいなくても困らない たまにご飯よりおうどんが食べたくなる事もあっても 夕飯がおもいっきりご飯なのもよくある事。 だから期待してた分、ちょっとガッカリするのも仕方ないね。 それでも食べるご飯はちゃんとおいしいし、毎日楽しい。おんなじ事だよ! 「なんくるないさー♪」 そう思いながら縁側につくもれいむは眠気がせず、ぼーっと庭中の落書きをみていました。 全部れいむが今まで書いた巫女さんや友達の似顔絵。 最初はそのつもりで描いていた落書き。 「ゆっくりしていってね!」 でも、れいむが自分への「ゆっくりしていってね!」を願うようになった頃から、 落書き達はれいむがいつか会えると想像していた仲間達の絵になっていました。 こんなに仲間がいたら、きっと「ゆっくりしていってね!」だけで日が暮れちゃうね! こんなに仲間がいたら、ご飯もいっぱいなくちゃだめだからみんなで宴会だね! こんなに仲間がいたら、きっと毎日ゆっくりゆっくりしてられないよ! でもこの世界にはほかのゆっくりなんていないよ―「ゆっくりした結果がこれだよ」 れいむはこの時、初めて思いました『ゆっくりしたくない』と ―――― 居間へ行くと巫女さんはすやすや眠っている。 起こさないように、音をたてないように れいむは巫女さんがお菓子をのせるお盆に乗ります。 『おまんじゅうに変身する術』 なんのためにつかうかわからなかったけど、きっとこのためだったんだとれいむは思いました。 (起きたらおいしいおまんじゅうがあるから、それでゆっくりしてね!) 「さあ、おたべなさい!」パカッ れいむがそう唱えると、その場所には二つのおまんじゅうだけが ちょこん、と残っているのでした… ■■■■■■■■ 「…ゆ?」 …しかし、れいむはまだれいむでした。 おまんじゅうになったはずなのに…。れいむが不思議に思っていると、 隣のおまんじゅうが突然もぞもぞと動きはじめました。 「ゆゆ??」 やがておまんじゅうはぷくぷく膨らみ、れいむと同じ大きさにまでなって、 最後にてっぺんが『ぽんっ!』と弾け、おまんじゅうがまっ黒帽子をかぶりました。 「ゆっ!」 「ゆゆゆ?!」 振り替えったまっ黒帽子の姿は、れいむが書いた『だぜ』の絵そっくり。 『れいむはおまんじゅうになったのに、れいむはれいむで、 なのにれいむのはんぶんがだぜで、でもこのだぜはれいむの絵だったけど、いまのだぜは…』 れいむにはとにかくわけがわかりません。 でも一つわかる事があります『待ちに待った仲間ができた!』する事は一つ。 「ゆっくりして…」 「さあおたべなさい!」パカッ 「ええええ!!」 せっかく出会えた仲間は光の速さでおまんじゅうになってしまい、 れいむは予測外のショックをうけました。 しかし、しばらくすると… 「たべないと…」「「ふえちゃうぞ!!」」 今度は『だぜ』のほかに『お人形のおねーさん』も増えました。 今度こそ… 「ゆっくりしていっ「「さあおたべなさい!!」」パカッ 「またぁ!?」 そしてまた今度も 「「たべないと…」」「「「「ふえちゃうぞ!!」」」」 天狗さん、お花のおねーさん、おぜうさま、メイドさん… 増えても増えても「おたべなさい!」は続き、そのたびに新しいゆっくりが生まれて… ゆっくり達の声は妙に楽しげなリズムにのって、れいむもそれに自然と続きました… さあおたべなさい!たべないと…ふえちゃうぞ! さあおたべなさい!たべないと…ふえちゃうぞ! さあおたべなさい!たべないと…ふえちゃうぞ! さあおたべなさい!たべないと…ふえちゃうぞ!・・・・ ――――――― 狭いんだか広いんだかわからない世界、 そこには様々な住人と、住人達にそっくりなおまんじゅう達が居りました。 「おまんじゅうじゃないよ!れいむたちはおまんじゅうっぽいだけだよ」 失礼、ゆっくりというおまんじゅうっぽい住人達がたくさん居りました。 「うー、いぇす!」 相変わらず巫女さんの神社にはお客さんがこないので、今日もれいむは遊びにでかけます。 れいむにもたくさんの友達ができました。 本人は「ひとづきあいってめどいよ!」とか言ってますが、 巫女さんは自分の事もあってか苦笑しながら「はいはい…」と流すのが定番でした。 れいむはその友達をお出迎えしたり、こうして遊びにいってお出迎えされたりするのが楽しみでした。 「ゆっくりしね♪」「ゆっくりなのかー」「はるですよー!」 たまに思ってたのとだいぶ違うのもいるけど… 「ゆっ、ゆっ」 思ったより大した感動もなかったけど… 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ!ゆっくりしていってね!」 れいむは毎日にちょびっとの達成感をてにいれたのでした。 ゆっくり、ゆっくり… おまけ ・ ・ ・ 「こあ、ぱちゅりーさま?これ、ほんとのおはなしなんですか?」「こぁ?」 「むきゅ、どうかしら?ただのお伽噺なのか…ほんとうの事なのか…」 「ぱちゅりーさまでもわからないんですか?」「ですかー?」 「わたしがいた頃はもうたくさんゆっくりがいたもの…わたしの中の事実はそれだけよ」 「ほんとはじぶんのなかにこそある、ですか」「かー?」 「そういうものね。さ、これを棚にもどしてきて」 「こあ!」「ぁぃぁぃこぁー!」 おしまい。 by.とりあえずパフェ あとがき じつは自分のなかでここ最近秋のおたべなさいSP、みたいなくくりで書いたりしてました。 不思議な籠はゆっくり達が自分を「おたべなさい」 らんの焼き芋はゆっくり達が食べる「おたべなさい」 そして今回が「おたべなさい」→「ふえちゃうぞ!」のコンボでお送りしました では、今度こそ失礼します… この短編、地味に名作だと思う。 -- 名無しさん (2009-12-10 14 06 10) かわいいストーリーですね^^ -- kanndou (2011-07-28 12 11 39) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/441.html
巷で話題のゆっくり。あれに関して、俺はいくつかの持論がある 一つ、「人間には人間の規則、ゆっくりにはゆっくりの規則がある」 二つ、「相手の規則を乱さない限り、それは尊重するべきである」 三つ、「相手の規則を乱した場合は、それは罰せられてしかるべきである」 四つ、「俺が関わる場合は、人間の規則を乱したゆっくりだけ」 五つ、「関わったゆっくりがどうなろうと、俺の知ったことではない」 だいたい、こんなものだ。 まあ、単純な話として、ゆっくりにはゆっくりの生活があるのだから無闇に関わるべきではない。というだけの話。 うざったいから、という理由だけで殺すのは俺の性に合わない。 しかし、人間の生活を乱し、家を荒らし、作物を勝手に盗んでいく、というところまでいくと駄目だ。 しかも、家や作物を「これは自分のものだ」などとぬかす身勝手な理屈、ゆっくりとしての規則を人間に押し付けてくる。 ならば、よろしい。相手が自分の規則を押し付けるのであれば、こちらもこちらの規則を押し付けよう。 それこそが、弱肉強食。自然界の摂理というものだろう。 そんな風に俺は考えて、この仕事をやっている おっと、自己紹介が遅れた。俺は「ゆっくり調教師」。ゆっくりに関する躾や調教を専門にしている者だ。 今日もまた、俺のところにゆっくり達が運ばれてくる。ゆっくり霊夢が二匹、ゆっくり魔理沙も二匹だ。今は薬で眠っているようだ。 今回は新たに開発した器具も用意してあるので、箱に閉じ込めるやり方とは違う方法も試せる。 箱での調教は楽なのだが、箱から出さないため、運動不足とストレスが極度に溜まるゆっくりがたまにいるのだ。 用意したものは新開発の代物なので、正式名称はまだない。とりあえず、俺は『首輪』と呼んでいる。 それは、大きな虎バサミのようなものあった。今は何かを掴もうとするように左右に開いているが。閉じれば輪となる。 ゆっくりにある程度の自由度を持たせつつ、かつ確実に拘束する器具として開発した。 今回は万力のように捕らえるだけだが、今後の発展型として、爆弾型・電気型なども考えてみている。 『首輪』は如何にして重さをなくし、かつ強力な力を発揮できるかが問題であったが、河童との共同作業によって完成した一品である。 とりあえず、四匹の経歴を渡されていた紙を見て確認。ほうほう、成程成程。 どうやらこいつらは相当悪知恵が働くらしく、作物荒らしの常習犯であるらしい。四匹はその指揮をしていたようだ。 長いこと農家を荒らしてきたが、この度有志によってめでたく捕まり、加工場送りとなった、と。 しかし、加工場でも同じ部屋にいた他のゆっくりを食い荒らしたり、食べ物を横取りしたりと横暴が目立つ。 餡子にするのは簡単だが、その前に人間の怖さを思い知らせて調教してみてくれないか、ということで俺の出番と相成ったわけか。 条件は整っている。ならば、調教開始といこう。 まず、外に通じる扉を開けておく。次にゆっくりたちを床に並べていく。 最後に、ゆっくりたちを横から挟める位置に『首輪』を置く。部屋にある柱に『首輪』から出ている縄を括り付けるのも忘れずに、と。 位置をしっかりと確認して……よし、起動! 手に持った機械を操作すると、がちぃぃんっ! と大きな音と共に『首輪』が閉まる。 首輪がゆっくりたちの身体に思い切り食い込んだ。 「ゆぶっ!?」「ゆっぐり!?」「いだいぃぃぃっ!?」「ゆ゛ゅぅぅぅぅ!!」 急激な痛みで悲鳴と共に目を覚ますゆっくり。痛みから逃れようと暴れるが、『首輪』は挟んだまま逃がさない。 鋏部分が皮に食い込み、中の餡子にまで触れているのだから、相当な激痛だろう。 ふむ、耐久性は大丈夫か。ゆっくりを潰さない程度に挟む力加減も出来ている、と。完璧だぞ、河童よ。 俺が感慨に浸っていると、ゆっくりたちはこちらに気がつき、泣きながら騒ぎ始めた。 「なにずるのぉぉっ!?」「いだいよぉ!」「どって! どっでぇねぇ!」「ゆっぐりざぜでぇぇぇ!!」 「まあ、落ち着け。少し話がある」 そう言って俺が話を始めようとすると、一匹のゆっくり魔理沙が扉が開いていることに気がついた。 「おぞと! おぞとにいぐぅぅっ!! 」 流石、ゆっくり魔理沙だ。目端が利くな。残ったゆっくりも扉に気づいて、魔理沙の後に続こうとした。 「おうぢ、がえるぅ!」「ゆっぶぐっ!?」「いだぎゅっ!?」 即座に二匹のゆっくりを上から潰すように押さえ込んだが、一匹のゆっくり霊夢はあえて逃がした。 そして、捕まえた二匹にだけ聞こえるように囁く。 「おい、お前ら。よく見ておけ」 外に出ようとするゆっくり魔理沙と、それを追うゆっくり霊夢。涙を流しながらも嬉しそうだ。 「おうぢにがえるよっ! ゆっぐりじんでいっでね! ゆっぐりじ、いいぃっぃぃっぃぃぃ!!??」 「ゆ゛う゛ぅ゛ぅぅ!? な゛んでぇぇぇ!? ま゛り゛ざんのながみがぁ、あ゛ぁあぁぁぁ!!??」 首輪の縄が限界まで伸びきった結果、二匹のゆっくりは餡子を撒き散らしながら、べちゃりという弾まない音と発して地面に落ちた。 いくらか遅れて『首輪』も地面に落ちる。 ゆっくりの前に進もうとする力と『首輪』の縄が戻ろうとする力が互いに引っ張り合って、身体が柔らかい方が千切れたというだけの話だ。 ある程度、自由度を持たせ、しかし行動範囲は完璧に制限する『首輪』。中々の効力だ。これならば実用化もいけるかもしれない。 これは外の世界に関する本を読んだ時、犬が逃げないように付ける『首輪』という物があることを知って作ってみたのだ。 残ったゆっくりたちを見ると、声も出さず、逃げようとした二匹『だったもの』を恐怖に固まった表情で見つめている。 「見たか? 逃げようとすると、首輪に引っ張られて、あんな風に死ぬ」 ゆっくりにも分かるよう、噛んで含めるように言葉を発する。 それがきっかけとなったのか、ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙は泣き叫び始めた。 「い゛や゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!? ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛い゛ぃぃ!!!」 「だずげでぇ゛ぇ゛!? お゛う゛ぢに゛がえ゛る゛ぅ゛ぅぅ゛ぅっ!!!」 「お前たちは悪いゆっくりだから、ここからは帰れない」 「れ゛いむはい゛い゛ゆっぐりだよぉ!?」「な゛んに゛もぢでないぃぃ!!」 ここからは特に重要だ。「いい」か「わるい」かは既に決定していることだ。それをゆっくりたちにも分からせねばならない。 「しかし、お前たちは今も逃げ出そうとし、人の野菜を盗み、加工場では仲間を食べた」 「じらな゛い、ぞんな゛のじらない゛ぃぃ!」「お゛ぼえでな゛いよぉぉぉっ!!」 「しらを切っても駄目だ。お前たちは悪いゆっくりなんだ。しかし、まだ大丈夫だ」 「ゆ゛っ!?」「ゆゆ゛っ!?」 大丈夫という言葉に希望が見えたのか、一途に俺の言葉を待つゆっくり。 「俺は悪いゆっくりを良いゆっくりにする人だ。俺の言うことを聞けば、良いゆっくりになれる」 「いいゆっぐり!」「なる゛、いいゆっぐりにな゛りだいっ!」 嘘はついていない。何が「悪く」て、何が「良い」のかを伝えていないだけだ。 「分かった。だが、もしも俺の言うことを聞かない時はあんな風になるからな」 そう言って、外に散らばったゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙を指差す。 「いうごどぎぎまず! いうごどぎぎますがらぁ!!」」「あ゛んなぶうにな゛るのはい゛や゛ぁぁ!!」 第一段階成功。ゆっくりを調教するには、鞭と飴が必須だ。まず、鞭によって上下関係をはっきりさせる。 先に飴を与えては、間違いなく有頂天になるからだ。 しかし、鞭だけではストレスが溜まって死んでしまう。今は飴の時間だ。 「ふむ、そこまで言うのなら、良いゆっくりにしてやろう。とりあえず、ここで待っていろ」 「「ゆっぐりまっでるよ!!」」 涙を流しながら答えるゆっくりを部屋に残して、外に向かう。その際、千切れた二匹の『首輪』の縄を柱から外す。 縄があっては扉を閉められないからな。 外に出ると、二本の『首輪』を回収する。と、ゆっくり霊夢の方はまだ息があるようだった。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ」 一目見て、先は長くないと分かる。おそらく死ぬ間際の痙攣みたいなものだろう。 特に構わず、皮ごと餡子も回収する。台所で餡子をこね回していると、 「ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ、ゆ゛、ゆぐ!」 痙攣が激しくなって、そのまま動かなくなった。無視して、皮を除いて二匹分の餡子をまとめておいた。 今後のゆっくり用の食事としよう。 「待たせたな」 「ゆっ! ゆっぐりまっでたよっ!」「いいごにじでだよ!」 『首輪』の痛みか、恐怖のためか、まだ言葉が不明瞭だ。 「ちゃんと待ってたご褒美だ。食え」 二匹の目の前に餡子を盛った皿を置いてやる。ちなみに床には汚れてもいい敷物を敷いてある。 「なにこれ! すごくおいしいよ!」「うめぇ、めっちゃうめぇ!」 瞬く間に食べ散らかしていく。あの皿はゆっくり専用の皿とするかな。 食い終わった頃合を見計らって、立ち上がり声を張り上げる。 「さて、お前たちが良いゆっくりになるには、俺の言うことに絶対に従ってもらう!」 何が始まったのか、という顔で俺を見上げるゆっくり。規則は明確に決めないといけない。 「俺の言うことが出来たらご褒美をやる。その餡子とかだな」 「ゆっくりー♪」「ごほうび、ごほうび、うれしいなー♪」 ご褒美と餡子と聞いた途端に喜色満面のゆっくり。 「俺の言うことが出来なかったらお仕置きだ。ご飯抜きとかだな」 「ゆっくりー!?」「ごはんたべたいよぅ!」 「ついでに、発情してゆっくりするのも駄目だ」 「ゆっ!?」「いやだよ、ゆっくりしたいよ!」 ご飯が食べられない、ゆっくりしたいと騒ぎ出すゆっくり。黙らせるために最後の規則を口にする。 「もしも逃げ出そうとしたり、言うことを聞かなかったら、お前たちに後ろにくっついている『首輪』で死ぬことになるからな」 軽く『首輪』の縄を引っ張る。背中に直結しているので、嫌でもその存在と先ほどの惨劇が思い出されるようだ。 「ゆ゛うぅっぅう゛!? いうごとぎぎまずぅぅっ!!」「え゛ぐぅぅぅ! じぬ゛のはいやぁぁ!?」 第二段階成功。この後、何度か教え込んで『首輪』の危険性と柱に繋がっていて外れないことを覚えさせた。 とりあえず、首輪がある限り逃げられないことが分かれば十分である。 その日から、俺のゆっくり調教生活が始まった。 まずは単純な復唱から始める。俺の言葉を繰り返して言うという単純なものだが、鞭と飴という規則を覚えこませるのにちょうどいい。 この段階では複雑なことは覚えられないという経験則もある。 「ゆっくり」 「「ゆっくり!!」 「霊夢」 「「れいむ!」 「魔理沙」 「「まりさ!」」 「餡子」 「「あんこ!」」 「首輪」 「「くびわぁぁっ!?」」 少し乱れがあったが、順調にこなしていく。一通り復唱したら、食べ物をやることも忘れない。 こうすることで「言うことを聞く=食べ物をもらえる」という図式を植えつけるのだ。 知り合いから借りてきた飼い犬を見せる。犬は「お手」や「お座り」などの芸をゆっくりたちの前でやってみせた。 「すごい、すご~い!」「かっこいい~!」 「お前たちも犬みたいに言うことをちゃんと聞くんだぞ」 試しに「お手」は出した手に顔をすり寄せること、「お座り」は顔を伏せることとして、練習させてみたが一向に覚える気配がなかった。 「お手」「ゆっ? なにかくれるの?」 「お座り」「ゆぅ? な~に?」 「……昼食は抜きだな」「「ゆ゛ぅぅ~~!?」 何度も「あの犬みたいに出来るようになれ」と言葉をかける。勿論、俺だってそんな短期間でゆっくりが芸を覚えられるとは思わない。 ここでは「犬みたいに」という言葉に重要な意味を持たせ、「犬みたいに=言うことをきく」と条件付ける。 ちなみに俺は別に犬が嫌いなわけではない。 調教を開始し出した頃の、夜中には注意が必要だ。 「……ゆっ、……ゅゆ……!」「ゆ……っ……ゆぅ……!」 大して広くもない部屋に二匹のゆっくりを放置しておいたら、やることなど大体決まっている。 俺は音もなく、ゆっくりたちのいる部屋に近づき、耳をすませた。 「ハァハァ! ゆっ! ゆふん! ふぅ~! ゆん!」 「ゆんゆんっ。ゆっくりぃ~! 」 「ゆっゆっ! ゆっ、ゆ゙ーっ!」 「 ゆ゙うううう!!」 大層盛り上がっているようだ。しかし、初日に生殖行動はするなということを言っておいてある。 ゆっくりたちはそれを破ったわけだ。ならば、罰を与えねばいけない。 バタンっ! とあえて大きな音を立てて、扉を開ける。威圧するためと、どれだけ怒っているのかを教えるためだ。 「ゆ゙っ!? ゆ、ゆっくり!」「ゆ! し、していってね……」 突然、行為を中断させられたため、最初は入ってきた者を睨むゆっくりたちであったが、俺だと分かった瞬間、意気消沈する。 「……お前たち、言ったはずだよな? 発情はするな、と」 最初と同じように噛んで含めるように話す。俺の怒りを感じ取ったのか、慌てだす二匹。 「ま、まりさじゃないよ! れいむがゆっくりしようっていったんだよ!」「ゆっ!? ちがうよ! れいむじゃないもん!」 「黙れ」 醜く騒ぎ出そうとした二匹を一言で黙らせる。 「最初に言ったよな? 言うことを聞かない悪いゆっくりは首輪で……」 そこまで言ったところで、力を込めて『首輪』の縄を引っ張る。勿論、千切れない程度の力で、だが。 「ゆ゙ゔううぅ!? やめでぇ!?」「いだい、いだいよぉ!!」 「お前らがすることは何だ? そんなことも分からないのなら、このまま千切るぞ」 「ごべんなざいぃ! ごべんなざいぃぃぃ!!」「もうじまぜん! もうじまぜんがらぁぁっ!!」 ここで、即座に謝るのならまだ芽はある。まだ責任転嫁するのであれば、本当に千切っていただろう。 「生殖をする=悪いゆっくり」という図式がここで出来上がる。したくとも『首輪』の痛みを思い出せば、そうそう出来ないだろう。 この日を境に、ゆっくりたちが生殖をすることはなくなった。早めに調教出来て楽になったというところかな。 いくらか調教を進めていくと、『首輪』とゆっくりの皮膚が薄皮一枚分ほど一体化し、あまり痛くなくなったようだった。 勿論、引っ張れば痛いのだろうが、普段の生活や運動に支障は来たさなくなった。 もしかすると、『首輪』を己の一部分と捉えて、無意識的に痛覚などを麻痺させているのかもしれない。 ここらへんの興味は尽きないが、調教も進めねばならない。 たまに、『首輪』を引っ張っては、命令をきかせる。それを繰り返すことで身体の中の異物を意識させ続けるのだ。 「ゆ゙ぐゔぅぅぅ!!??」「や゙め゙でぇぇ!!??」 『首輪』を異物と認識させ、「異物がある=言うことをきく」という条件付けをさせる。 ゆっくりは忘れることはあっても、痛みに慣れる生き物ではない。常に鞭を意識させ続ければ、命令をきかせることも容易となる。 苦労の甲斐あってか、ゆっくりたちもかなり言うことを聞き、出来ることも増えてきた。 前は出来なかった「お手」や「お座り」も易々とこなす。 「れいむはいぬさんみたいにできるよっ!」「まりさもいぬさんみたいに、ちゃんとできるよ!」 二匹いるという環境も良かったのか、適度にお互いが張り合って刺激を与えあっている。 多くのことを覚えたり、出来たりした方のゆっくりには食べ物を多めに与える、という形を取っているので、よりそういう風になる。 ちなみに食べ物などのことで喧嘩をしようとしたら、即座に『首輪』を引っ張る。 何度も伝えるべき言葉は「わるいゆっくりは死ぬ」「犬みたいに言うことをきけ」「言うことをきいたら食べ物がもらえる」だ。 鞭と飴の対比は7対3ぐらいである。ゆっくりにはそのぐらいで十分だ。 たまには『首輪』の縄を持って散歩にも出かける。屋内にだけ居るのでは、ゆっくりのストレスが溜まっていくからだ。 近頃では俺から離れすぎないように注意しながらも、それなりにゆっくりできるようになっている。 当初は外に出ても『首輪』が怖くて、 「ごわいよぉ! がえろうよぉ!」「あるぎだぐないいぃぃ!」 と、俺の周りから一歩も動けなかったものである。 今では、『首輪」についてる縄の範囲を把握したのか、俺の足元から離れて飛び跳ねたりもしている。 無論、調子に乗ったりすれば『首輪』の警告を発して、ちゃんと戻らせる。 ここまで調教出来れば、もう十分だ。後は最後の仕上げにかかるとしよう。 続く このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1360.html
ゆっくりれみりゃが空き家に住んでいた。 空き家でもそれなりに丈夫な外観、そしてまだ綺麗な状態のベッド。 自称紅魔館のお嬢様を自負するれみりゃのぷっでぃん脳では、随分と豪華なお屋敷に映っている事だろう。 「う~♪ さくや~だっご~♪」 起き掛け、一人空き家でそんな事を言うれみりゃ。 れみりゃは取り合えず朝はこう言って起きる、たとえ咲夜が居なくても。 しかし、このれみりゃは違った、きちんと咲夜がいたのだ。 「おぜうさま!! さくやがまいりましたぁ!!!」 勢いよく寝室に入ってきたのは、一匹の饅頭。 青紫の髪の毛にカチューシャ、そして青い瞳。 ニコニコとれみりゃに話している顔。 その外見的特長からゆっくり咲夜と呼ばれている。 「う~♪ しゃくや♪ だっご~♪」 そう言って手を伸ばすれみりゃ、しかしどう考えても体の大きいれみりゃを饅頭の咲夜が持ち上げられるはずも無く、渋々ベッドから降りるれみりゃ。 「おぜうさま!!! おきがえのじかんです!!!!」 笑顔のまま、そう言ってれみりゃに着替えを促す。 勿論、紅魔館でご寵愛を受けて無残に食べられるれみりゃは代えの服は有るのかも知れないが、唯の空き家に住んでいるぷっでぃん脳しか持たないれみりゃに代えの服が有るはずも無く、一度服を脱いでまたその服を着る、という作業をするだけである。 「う~♪ れみりゃはひどりでおきがえできるぉ~♪」 前が見えなくなり十六回ほどあちこちにぶつかりながら上着を脱ぐ。 足がもつれ、十六回ほどあちこちにぶつかりながらスカートを脱ぐ。 裏返しになりながらシャツを脱ぎ、一回頭をぶつけてドロワーズを脱ぐ。 それを逆に繰り返せばお着替えは終了である。 「はぁはぁ!! おぜうさま!! おうつくしい!!!」 その様子をじっと見ていた咲夜はそんな台詞を呟きながら、何故かある鼻から蕨餅を滴らせていた。 「しゃくや~♪ れみりゃおぎがえおわっだどぉ~♪」 俗に言うれみりゃスマイルと言う破壊力抜群の笑顔で咲夜に報告する、自分でパチパチと拍手までしている。 「おぜうさま!! さすがです!!! ……そろそろちょーしょくです!!」 「う~♪ しゃくやおがじたべどぅ~♪」 二つの食べ物は仲良く一階に移動する。 奥の部屋、そのぽっかり空いた床は二メートルほどの穴が開いていた。 穴を見ればゆっくり霊夢一家。 「ゆ!! おかーさんおなかへったよ!!!」 「ゆっくりできないよ!!!」 「がんばってここからでようね!!!」 どうやらここに落ちたらしい、しきりにジャンプして上がろうとする一家。 それが叶わないとピラミッドを組んで上がる。 しかし、重みと人数が足らずそれも無理。 するとさっきの事は忘れてまたジャンプ。 その繰り返し。 一日三回ピラミッド中に潰れた子供を食べるので、ドンドン人数が減っていく一家。 そうやら霊夢の中でもオツムが極端に弱いらしい。 「う~♪ おまんじゅ~おまんじゅ~♪」 言うが早いか穴に飛び込むれみりゃ、勿論今日の朝ごはんだ。 「ゆゆ!! こんにちは!! れいむたちゆっくりできないの!! ゆっくりたすけてね!!!」 「「「ゆっくりしようね!!!」」」 「う~♪ た~べちゃ~うぞ~♪」 大きい母親霊夢から食べ始める。 「ゆ!!! なにずるのーー!!!」 必死に抵抗するが、今まで散々意味の無い運動を続けていたゆっくり達は殆ど抵抗できない。 「ゆゆ!! ゆっぐりやめでね!! れいむはだめののじゃないよ!!!」 「「「やめてね!!! おかあさんをゆっくりはなしてね!!!」」」 「う~♪」 子供たちの抵抗なんて何のその、ゆっくり半数の饅頭を食べ終えたれみりゃはお腹を擦りながらご機嫌な様子で穴から出てくる。 「ゆっ! ゆっくり、……ゆっくりしてたけっかがこれだよーーー!!!」 「おがーざーん」 「どうじでおがあざんをたべだのぉー!!!」 今度はそのゆっくりが掴まれた、感動の親子再開である。 「う~♪ おいじがっだどぉ~♪」 「おぜうさま!!! それはよかったですね!!!!」 それを聞いて、ゆっくり独特の笑顔で返答する咲夜。 この穴に一家が入ったのは偶然ではない、このゆっくり咲夜がやったのだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 と屋敷の周りで言えば。 「ゆっくりっするよ!!!」 とゆっくりが駆け寄ってくる。 「なかでもっとゆっくりできましゅよ!!!」 そういってすんなりと中へ招き入れる。 「ほんとだ!!」 「おかーさん!! ここれいむたちのおうちよりおおきいね!!!」 「ここならもっとゆっくりできるよ!!!」 「そうだね!! ゆっくりみんなではなしあったけっか、ここはれいむたちのおうちになったよ!!!」 「ゆっくりできないゆっくりは、でていってね!!!」 れみりゃスマイルと同程度の破壊力を持った発言。 それを聞いてもゆっくり咲夜は顔色一つ変えないで言い放つ。 「いいですよ!! でもこのおくに、もっとゆっくりできるばしょがありましゅよ!!!」 「ゆ!! さっさとはやくあんないしてね!!!」 つまりはこういう訳である。 これで食事に事欠かなくて済むれみりゃ。 咲夜の自身は他のゆっくりと同様の食事で困らないので、これは全てれみりゃのご飯になる。 れみりゃが足りないと我侭を言っても、直ぐに咲夜が調達してくる。 やはり、れみりゃは何処でも我侭なのだ。 そのご飯に今までゆっくりアリスが入っていなかった事を付け加えておく。 「う~♪ おでかけするぉ~♪」 「おぜうさま!!! ごいっしょいたしますわ!!!」 安っぽい、一部剥がれたビニール傘をさしながらお屋敷を出る。 特に目的は無い、ただ周りを見て回るだけだ。 「う~♪ おはないっぱいだどぉ~♪ !!! じょうじょだどぉ~♪ までー♪」 「おぜうさま!!! おまちになってください!!!」 とてとて歩くれみりゃの後ろをピョンピョン付いていく、れみりゃは目の前の蝶を追いかけるので精一杯だ。 「う~? じょうじょどご~? どご~?」 蝶が目の前から居なくなり、漸く周りの景色に目を向ける。 「おぜうさま!!!」 「う~♪ おっきなおやしぎ~♪」 目の前に映る屋敷に目を奪われているれみりゃ。 追いついた咲夜も目を奪われる。 それは正真正銘の紅魔館。 当然、れみりゃは大きなそのお屋敷に吸い込まれるように近づいていく。 「う~♪ れみりゃのおやしきだどぉ~♪」 辺りをぐるっと回って正面へ、勿論門番が立っていた。 のだが先ほどの魔理沙との先頭で気絶中。 「う~♪ ばぁ~か♪」 その横を得意げに通って行くれみりゃ、勿論傘で叩くのも忘れない。 「う~~~~~♪」 目の前には綺麗な庭、そして大きなお屋敷。 そして…… 「「「「う~♪」」」」 数匹のゆっくりれみりゃ、みな一様にれみりゃスマイルでヒゲダンス。 「う~♪ れみりゃもずるどぉ~♪」 当然ものれみりゃも参加する。 口をニヘラァと開けて笑顔を作る、両手を腰にあてお決まりの言葉を発すれば、そこには楽しそうに踊っているれみりゃの姿を見ることが出来る。 「うっう~♪ あうあう♪」 本人達は楽しそうに踊っていたその頃、ゆっくり咲夜は未だばてている門番の所に居た。 「も~しょうがないわね!!!」 がぶり。 普通のゆっくりより遥かに鋭いその歯で門番の腕に噛み付く。 「!!! ちゅ~~~~ごっく!!!」 鋭いとはいえゆっくりの歯、妖怪やましてや人間の皮膚を傷つけるには居たら無いが、門番を起こすことは出来るようだ。 意味不明な叫び声をあげて飛び起きる、必死に咲夜の姿を探すが近くにはその顔をしたゆっくり咲夜だけ。 「??? 咲夜さん……?」 完全に覚醒しきれていない門番は何が起きたのか理解できない。 「もう! はやくゆっくりしごとにもどってね!!!」 それだけ言って屋敷の中へ消えていく咲夜の頭。 「?」 取り合えず、言われたとおり仕事に戻った門番だった。 「うっう~♪ れみりゃう~♪」 その頃庭では踊りも終盤、全員が肉汁だらだら出しながら満面の笑みで踊っていた。 「う~、……! れみ☆りゃ☆う~☆ ニパ~」 極上の笑顔を残し、肉まん集団御遊戯会は終了した。 それを待っていたかのように、屋敷から一人の人影が近寄ってくる。 「れみりゃ様。すばらしいダンスでしたよ!! さぁさぁ疲れてでしょう? プリンをお持ちしました」 本物の十六夜咲夜だ。 差し出されたプリン丁度全員分、ご丁寧にスプーンまで用意されている。 「う~♪ ぷっでぃん♪ ぷっでぃんだべどぅ~♪」 「ぷっでぃ~~~んちょ~だい~♪」 一目散に咲夜に駆け寄ってプリンを奪い取っていくれみりゃ達。 「う~? う~♪」 勿論、あのれみりゃも例外ではない。 少し不思議がってはいたが、一目見るとあっという間に上機嫌。 「うっう~♪ おいち~♪」 他のれみりゃと同じように、スプーンをグーで持って食べ始める。 たくさんのれみりゃがニコニコしながらプリンを食べている。 「「「「「ん~♪ おいちいどぅ~♪ れみ☆りゃ☆う~☆ 」」」」」 それをニコニコしながら見つめる咲夜。 と。 「さくやさ~ん? どこですか~♪」 自分を呼ぶ小悪魔の声、仕方が無いがその場を後にする咲夜。 なに、これだけ人数が増えてのだ、また明日見ることが出来るだろう。 「どうしたの小悪魔?」 「はい。ぱちゅりー様が御用時があるそうです」 「そう」 連れだって図書館へ赴く。 この時、小悪魔が後ろを振り向いてプリンを貪るれみりゃ達に笑みを浮かべたことは、咲夜は死んでも知らない。 「うっう~♪ ぷっでぃ~んおいしいどぉ~♪」 「うーー!! もっどぷでぃんだべたいどぅ~♪」 「「「「「「「ぷっでぃ~んたべたいどぅ~♪」」」」」」」 「おぜうさま!!!」 ゆっくり咲夜が着いた時には、既にプリンは食べ終えられ高級なカップが地面に転がっていた。 「う~♪ ざぐや~♪」 ゆっくり咲夜のもとへ、あのれみりゃが近づいてゆく。 「しゃくや? しゃくやどご~♪」 「どご~、ざぐや~♪」 その一声に、他のれみりゃも近づいてくる。 「う~ざぁぐや~♪」 「おぜうさま!!! なんでしょう!!!!」 腰を屈めて、両手を自分の胸の前に持ってくる。 所謂ぶりっ子の仕草をする、このれみりゃがゆっくり咲夜に我侭を言う時のポーズである。 周りを見ると、他のれみりゃも大分近寄ってきた。 ぷっでぃん脳でも人間ではなくゆっくりだと理解できるらしい。 始めてみるゆっくり咲夜だが、生得的なものか、これが自分に対してどういう存在か知っているようだ。 「れみりゃね~、おがしだべだいの~♪」 代表して言うのは勿論あのれみりゃ、ここぞとばかりにれみりゃスマイルを浮かべて話を続ける。 「おぜうさま!!! おがしですね!!!! れいむですか?まりさですか?」 「ん~ん♪ れみりゃ、ぷっでぃ~んがたべたいのぉ~♪」 にぱーっと笑顔を浮かべてゆっくり咲夜にお願いするれみりゃ。 外野でもぷっでぃ~んコールが沸き起こる。 「ぷっでぃ~ん? ぷっでぃ~ん。……ぷっでぃ~ん!!!!!」 「う~♪ ぷっでぃ~ん♪ ぷっでぃ~ん♪」 咲夜が連呼したぷっでぃ~んに合わせて自分も叫ぶ。 咲夜の目が真っ赤になっているとも知らないで。 「しょくりょーが!!!」 そのまま声を張り上げ目の前のれみりゃへ。 勢いよく跳躍し、自慢の歯でれみりゃの両腕を噛み千切る。 「ほんじゃぎゃーーーーーーー!!!!!!」 今まで自分の我侭を聞いていたゆっくり咲夜の突然の行動と腕の痛みに、涙を流しながら転がり悶えるれみりゃ。 「こんなのおぜうさまじゃないわーーーーー!!!!!!!」 そう言って、引きちぎった両腕を貪る咲夜。 「うがぁ!! れみりゃの! ……それはたべものじゃなぐでれみりゃのー!……」 そんな声はお構いなしにそのまま全身を貪っていく咲夜。 「う~!! ♪ えい! えい♪ うっう~れみりゃはつよいどぉ~♪」 咄嗟に、回復した右腕でビニール傘を使い反撃にでる。 しかし、お世辞にも早いとは言えないその攻撃を食らうほどゆっくり咲夜は馬鹿ではない。 「むっしゃむっしゃ!!!」 あっけなく再生したての右腕を再び口ちぎられ、その牙はれみりゃの頭に向けられる。 「おぜうさまとはちてもにつかないわ!!!」 「んぎゃーーー!!! うっ、う゛わ゛ーーー!!!」 頬を食いちぎる、そのまま顔面を恐ろしいスピードで飲み込んでいく。 周りのゆっくりは逃げもせずただおろおろするばかりである。 「う~!! う~~~~!!!!」 「ばっ、ばぁ~か!! ざぐやにいいづげでやどぅ~!!!」 「ざぐや!!! ざぐやーーー!!!! どごーーーーー!!!!」 通常自分たちが食すゆっくり饅頭。 それが攻撃してくると、れみりゃは唯おろおろしてなすがままにされるしかない。 それは、アリスに襲われた時、自らの子孫を残すためでもあるのだ。 それだけを遺して息絶えるれみりゃ。 間髪居れず次の肉まんへ狙いを定めるゆっくり咲夜。 「こんなにぐまん!!!! しょぶんじますーーーー!!!!!」 次の肉まんも圧倒的だった。 足を食いちぎりそのままお腹へ。 たくさんの肉まんの具を掻き出しながら飲み込んでいく。 「ざぐやーーー!!! ごわいひどが!!! ごわいひどがいるどぉーー!!!」 それを言い終わる頃には既に残すは首から上のみ。 「ざぐやーー!! だずげでーーー!!! それがらぷっでぃ~ん!!!」 それが最後の言葉になった。 次の肉まんは珍しく、飛んで逃げようとした。 「う~♪ れみりゃはどべるんだぞぉ~♪」 しかし、見せびらかすようにゆっくり咲夜の目の前で浮かんでいたため即座に羽が食べられる。 そして落下する体。 「んびょん!! ……!! う~!!」 勢いよく地面にぶつかったこのれみりゃはそこで抵抗を諦めたようだ。 それ故、一番早い時間で完食された。 「ふー……。!!!」 まだ残っているれみりゃ達の方へ向き直るゆっくり咲夜。 「う……。う~♪」 「う~♪ う~♪」 「うっう~あうあう♪」 一致団結してご機嫌をとる、それを白けた顔で眺める咲夜。 「う~~♪」 「「「うっ~♪」」」 れみりゃ達も、その様子を見てほっと一安心、もう食べる気は無いと判断したのであろう。 「れみ☆ry、うーーーー!!!」 咲夜のもとへ近づいてきた一匹に狙いを定めて食事を再開する咲夜。 御遊戯の雰囲気から一変、再びそこは地獄絵図と化した。 「おぜうさまのにせものめ!!!」 「う゛わ゛ーーーー!!! ざぐや゛ーーーーーー!!!!!」 今まさに食べられている一匹が発した言葉、それが咲夜に届くことは無かった。 そして、ゆっくり咲夜に耳にも届くことは無かった。 ……。 「それではこれで失礼します」 「ご苦労様」 「おう、ありがとさん」 「お二人とも、プリン食べたくないですか?」 パチュリーと魔理沙に紅茶をだして図書館を後にする咲夜。 「今日は安心して普通の紅茶を飲みたい」 そう言われて小悪魔に変わって紅茶を淹れた。 時間を止め、出来る限り最速で淹れ終えたのだが、時間を戻した時に運悪く躓いていた小悪魔とぶつかって淹れなおし&後始末。 おかげで大分時間が掛かってしまった。 そうだ、何時も一つで不満げだったからたまにはもう一つ作ってあげよう。 それで機嫌がよくなれば、もう一度可愛い可愛い御遊戯会が鑑賞できる。 先ほどよりも、本気を出してプリンを作っていく咲夜。 おいしければおいしい程御遊戯会を見れるチャンスが増すのだ、そう考えれば一段と気合が入る。 「できた」 何時ものプリンの上にさくらんぼと生クリーム。 その懇親の一品をお盆に載せる。 そうだ、と思い立ち以前ご機嫌を取るのに使ったきぐるみの帽子も被る。 準備万端、いざ庭へ。 「れみりゃさまー!! ぷっでぃ~~んをお持ちしましたよ!!! ……」 元気よく先ほどまでれみりゃが居た場所に向かった咲夜。 そこにはパラパラと散らばっている肉まんの具と人数分のれみりゃの服と帽子。 そのうち一枚は何故かシャツが裏返っていた。 呆然と立ち尽くす咲夜。 ゆっくりフランなら唯の悪戯だけだし、門番はきつく言い聞かせているから食べない。 ……? 全く原因が分からず呆然としている咲夜、一点を見つめたまま辛うじてお盆を支えている。 そこに近づく一人の人影。 「さくやさん。おいしそうなぷりんですね♪ もらってもいいですか?」 「…………」 無言で首を縦に振る咲夜。 「えへへ、有難うございます♪」 そう言って彼女は、もと来た道を戻っていった。 その頃、ゆっくり咲夜は紅魔館の中へ入り込んでいた。 「ゆ! そこ、ちゃんとしごとしなしゃい!!!」 「そこはみょういいわ!! こっちのおしょうじをよろしくね!!!!」 そんな事を言いながらまるで本物のメイド長のような態度で屋敷をうろついて行く。 「咲夜~? 紅茶を入れて欲しいんだけど」 「ゆっ!」 昼間、博麗神社へ行っていたため起きていたこの屋敷の真の主、レミリア・スカーレット。 従者に紅茶を入れて貰おうと、掴まらない咲夜を探していた所だった。 それと丁度かち合ったゆっくり咲夜。 ゆっくり咲夜の顔に笑みがこぼれる。 「おおおお!!!! おぜうさまー!!!!! ほんもののおぜうさまーーー!!!」 鼻から蕨餅をダラダラ垂らし、まるで発情したゆっくりアリスの様にピョンピョンと近寄っていく。 勿論、今のコイツは素面である。 対するレミリアは特に驚かず、一瞥の後に。 「何、コイツ?」 「はぁはぁ、おぜうs……んびゃお!!!」 一発の弾幕で中の餡子を飛び散らせて朽ち果てるゆっくり咲夜。 勿論意識は一瞬で途切れた。 「? まぁ良いわ。さくやー! ……庭かしら?」 …… 「このプリンとても美味しいわね。小悪魔が作ったの?」 「いえ、咲夜さんが作りすぎたようなので、貰ってきたんです」 「こいつはうめぇぜ! 流石メイド長だけはあるぜ!」 「はい、(元に)戻ったら伝えておきますね♪」 …… 「ゆっくりたすけてねーーー!!! おかーさーん」 「ゆー!!! ゆっくりたすけてねーー!!!」 「おなかへったねー!!!」 「はやくおうちにかえって、おかあさんたちとゆっくりたべようね!!」 「ゆー、おにゃかへったー」 「……。!!! まんじゅう!! いっぱい!!!」 「ゆゆ!! れいむはまんじゅうじゃないよ!!! ぷりてーなかわいいれいむだよ!!!」 「むっしゃ!! これめっちゃいめぇ!!!!」 True End
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3627.html
内容がブラックです。 自分設定を垂れ流しています。 古本屋の虐待(?)SSです 一応交尾はありません、ぺにまむも無いです。 『人間がたくさん死にます』 『でもゆっくりもたくさんしにます』 それでもよければ、読んでいただけると嬉しいです。 【ゆっくりの世界】 野鳥、野良猫、野良ゆっくり わけても都心部では昨今の野良ゆっくりによる衛生の悪化は社会問題になっている。 ゴミ捨て場荒らしに始まり、町中に散乱する死骸は衛生面だけでなく 交通機関にも多大な影響を与え、美観も損ね悪臭を撒き散らす。 想像してみて欲しい 生ゴミの詰まった袋が、数百数千と街中を跳ね回っているのだ。 条約で野良ゆっくりに餌を与える事が禁止され、飼いゆっくりを捨てる事が禁止されても 焼け石に水にすらならない、元から誰も餌など与えないし 捨てられる飼いゆっくりはますます増えたがそれに関係なくネズミ算ならぬゆっくり算式に増える野良たちに 市民の苦情を一手に受ける保健所も必死だった。 そしてついに、行政が重い腰をあげる。 汚臭を放つ生きた生ゴミは、法整備を皮切りに 汚臭とともに絶叫を、街中で上げることになり ボランティアの公衆衛生に加えて自衛隊も狩り出され、生ゴミ被害は夏季を前に解決した。 市街からは汚臭を放つ生ゴミは姿を消し 野良ゆっくりが現れてから十数年間の間喪われていた ゆっくりのいない衛生的な生活が取り戻され 忌まわしい事件が起こった。 * * * 【わーむゆうっど】 三年前、ゆっくり駆除法に合わせて 専用の処理施設として国費を投じて造られた 世界最大のゆっくり処理施設 世界最大規模のリサイクル施設として 世界中にバイオ燃料や最上級の有機肥料を 安価で提供する施設として話題になり 国内外から多数の見学者が連日訪れる ゆっくり再利用の一大施設が 爆音/悲鳴/怒号 燃え上がり、照らし出され 我先に雪崩出る人々 人類の長い歴史の中で、決して絶えない 思想による争い、その最悪の形の一つである 「Take it Easy!!!」 「F××k!!!」 蛮声を挙げながら重火器を乱射し 次々と爆薬を起爆させていく 数十人もの覆面をかぶった集団 見学に訪れていた人たちと施設で働いていた職員達が逃げ惑い まさに阿鼻叫喚の地獄絵図となった【わーむゆうっど】 このテロによる死傷者の数は300人以上に昇り 世界的にも大きく報道された。 世界初の【ゆっくり愛護派】によるテロ事件として。 * * * 「まりさ…こわいよ…」 「れいむ…なにがあってもずぅっといっしょだよ…」 二匹のゆっくりは、寄り添い震えている。 【わーむゆうっど】の生産プラントで生まれた900世代目以降の促成ゆっくり種 遺伝子組み換えにより、生後4日で成体に成長し 二日間で20回の植物型出産をさせた後 センサーによる判別で一定以上の質量を持つ物は分解して肥料又は飼料に そうでないものはバイオ燃料に精製される 人工物に生態系ピラミッドがあるとすれば その最底辺の存在として不動の地位を確立しているのが このプラント産ゆっくり達である。 品種改良した雑草が自家製のゆっくり有機肥料でプラント中の草原を形成しているため 一体あたりの終身生育コストは僅かに20円 決められたスケジュールによって定められた繁殖には 繁殖用ありすすら使われない。 都合よく組みかえられた培養精子餡が、機械によって噴霧される。 計画的に世代を重ねるだけ 数百代に渡って子孫へと受け継がれる情報は 誕生⇒管理⇒繁殖⇒精製されるだけが自分達の全てだと伝えるだけ 死ぬために生きなければならない事を理解しながら、逆らう事など出来るはずも無い。 人工物と言える彼等が生態系のピラミッドに属するならば バクテリアに分解される廃棄物と同等かそれ以下の位置に属する底辺。 それが【わーむゆうっど】で生まれるゆっくりのゆん生の全てだった。 遺伝子的に受け継がれるゆっくりの基本情報が おぼろげに伝える【加工場】ですら このプラントのゆっくり達にとっては羨望すら抱く境遇なのだ 此処には一片の【ゆっくり】すら存在しない 【ゆっくりできない場所】より【ゆっくりがない場所】の方がかれらには恐ろしいのだ。 そこで生まれて三日 ともに最終生産固体であるこの二匹は 一瞬たりとも親というモノに触れることは出来なかった。 植物型発生と同時に茎ごと濃縮培養液槽にうつされ(この時点でコンベアによって母体ゆっくりは各工程に処分される) 1時間後に生れ落ちた場所が、たまたまプラントの同じエリアだっただけの固体だ。 与えられた茎のペーストを言葉も無く咀嚼し 適温に維持された室内で 定刻どおり照明が落とされた時 偶然一番近くに居た固体に、寄り添って眠っただけだ。 それから三日間、離れる理由も無いので一緒に居ただけの二体だ 「…」 「…」 只それだけの二体は今、理解できない状況に怯えながら 言葉も無く身を寄せ合って、身体を揺らす爆音と人間の悲鳴に恐怖している。 何が起こっているのかは判らないが とても恐ろしいモノが迫っているのだけは、わかる。 * * * 憐憫・侮蔑・嘲笑、あるいはそれ以外の何か 連日のように訪れる見物客の視線は 【ゆっくりしたい】という本能を捨てきれないプラントゆっくりにとっては 耐え難い苦痛だったし 一人で居る事は、それだけでいらぬ視線を集める事になるのを識っている彼等は 或る程度の数群れて、見学時間中殆んど動く事をしない。 すこしでも、ほんの僅かでも【ゆっくりしている状態】に近くあろうとする。 何代にも渡って受け継がれた体内時計は、自分達を観るために人々がやってくる時間が来る事を知らせていた。 「いこうか」 「そうするぜ」 見学用の窓にからもっとも遠い壁際が、二体の定位置だった。 壁が落とす僅かな影に隠れ、二体で見学時間が終るまで草を食み続ける。 生まれてから3日間、おそらく何代も前から繰り返してきた 可能な限り消耗しない時間つぶし 新しい事など、試そうとも思わない そういう事をするのは世代の浅いゆっくりか 時折生まれるドス化の兆候を見せる固体だけだ。 二体は最初期からのプラントゆっくりの系譜であり そういう事をして消耗する事が、いかに無意味かを餡子で理解している。 二体が影に移動してから、僅か数分で見物客が姿を見せだした 「…」 「…」 ただただ身体を小さく、気配を消して耐え続ける。 校外学習の小学生達が喚き散らしながらバンバンと強化硝子を叩きながらはしゃいでいる。 遮断されているため、音は聞こえないが 硝子を叩く衝撃だけは本能的に身体をすくませる。 あの硝子がもし割れれば、あの人間たちは自分達を捕まえて踏み潰しにかかるのではないか ありえない、だが本能的な恐怖に駆られて 自分達の安全を確かめたいと 二体が震えながら、ほんの僅かに視線を見物人に向けたその時。 「っ…!」 「ゅ…!?」 強化硝子に貼り付きゆるゆると滑り落ちていく 放射状に広がる子ゆっくりの死骸 おそらく子供達の誰かが持ち込んで、悪戯に投げつけたのだろう 二体にはその口が【たすけて】と動いたような気がした。 「ゆ、ゆあ、ああああああああああああああ゛!!!」 離れた所で一匹のまりさが猛然と駆け出し、見物客の並ぶ窓に体当たりを繰り返す。 余りの形相に、一瞬だけ見物客がたじろいで その後は皆、思い思いに懐から四角いものを取り出して パシャパシャと光を放つ何かを体当たりを続けるまりさに向ける。 薄笑いを浮かべて。 「…」 「…」 二匹は声も上げない、哀しいとさえ思わない ただ【見なければよかった】という想いだけを共有して ひたすらに草を食み続けた。 間も無く昼時になり、見物客が飲食コーナーに移動しだすと 円筒型の清掃ロボット(別エリアで行われるゆっくり発電で稼動する)が 体当たりを続けるまりさを排除するために、僅かな音を立てて現れ 精密な動きをするロボットアームで取り押さえられる 「や゛べろ゛を゛っ、は゛な゛ぜぇ!!までぃざを…」 プシュっと音を立てて、清掃ロボットの頭部が開き その中にゆっくりと、アームがまりさを運んでいく。 「ふざけるなぁっ!ばでぃざはゆっぐりなんだぜっ!!!ゆっくじするたべに…やべっ、やべで!!」 エリア中のゆっくりたちが眼をそらし、耳を塞げない事に絶望する。 清掃ロボットは、そのまま精製ロボットでもある。 問題行動を起した固体や、繁殖に問題の有る固体を発見した場合 その場で内蔵センサーによる質量測定を行い、適切な形に精製する。 「い゛や゛た゛!!」 視界に無くとも、全方位の音を聞き続けるゆっくりにとって 「た゛す゛け゛て゛ぇ゛!!!」 その絶叫は雄弁であり 「【ゆ゛っ゛く゛り゛し゛た゛い゛】!!!!」 その断末魔は【わーむゆうっど】の全てのゆっくりの祈りだった。 現れた時と同じく、僅かな音を立てて姿を消す清掃ロボット ぷらんとゆっくりの恐怖の代名詞である機体が回収口に姿を消した瞬間 悲鳴に鋭敏になった全てのゆっくりの聴覚に 殴りつけるような爆音が襲い掛かった。 * * * 「まりさ…こわいよ…」 「れいむ…なにがあってもずっといっしょだよ…」 相互依存 理解不能の恐怖を感じている今、それだけが二体を支える最後の砦だった。 野生のゆっくりであるならば、その情動は番うに値するかもしれないが プラントのゆっくりからはそんな先の見えた楽観はとうに喪われている。 立て続けに起こった正体不明の恐怖 時間はまだのはずなのに突然消える照明、環境系の停止による暖房の停止。 あまりにも唐突な状況の変化に、急性ノイローゼを起し 失神、気絶、痙攣、発狂…果ては(餡子)脳死するゆっくりまで現れる中で 二匹はただただ震えて、怯えていた。 やがて、覆面をした男たちが現れ 証明は点り、部屋が余所に暖かさを取り戻していった。 男たちは、生き残ったゆっくりを集め 一体一体丁寧に体中を調べつくした。 男達に解放されたゆっくりたちの中から 僅かに勇気の有る固体が『自分たちはこれからどうなるのか』を恐る恐る尋ねると 親指を立て覆面をしているから、顔の全体は見えないがそれでも理解できるほど快活に プラントのゆっくりたちが忘れ去った【笑顔】で、宣言した。 「「「Take it Easy!!!」」」 それは、意味こそ理解できなかったが 【希望】そのもののような、自分達の未来そのものの様な言葉だった。 男たちが作業を終えて立ち去った後 静寂が戻ったプラントエリアで生き残ったゆっくりたちは フワフワと浮き足立つような感覚を味わいながら 餡子の詰まった総身に、何か熱いものを感じていた。 「れ、れいむ…」 「まりさ…れいむね、れいむね…」 なかでも、数少ない最初期からの遺伝情報が伝える絶望を植えつけられてきた二体は 歯の根も合わず、打ち震えている 何かが、起ころうとしている なにかを、取り戻せそうな気がする。 「れ、れ、れいむっ!」 「まりさぁっ!!」 「「ゆっくり、して……っ!!」」 * * * この日 過激派ゆっくり愛護団体によるテロ行為によって 死者129名 重軽傷者290名を数える大惨事となり 【わーむゆうっど】全施設が保有していた 六億匹のゆっくりも喪われた 同日インターネット上に犯行声明が発信され 『人類に歪められた、全ての哀れな【ゆっくり】を開放するまで我々の活動は終らない』 という宣言が世界中を愛護派排斥の動きに傾かせる結果になったのは、皮肉としか言いようが無い。 年をまたいで同日 過激派テロの起こったこの日が 【わーむゆうっどの日】と制定され 三年後の2×××年の【わーむゆうっどの日】を目処に 化石燃料を安価で安全なゆっくり由来のバイオ燃料に完全移行する事を目的に 世界中に大規模なゆっくり精製工場が建設される事が ×カ国協議で正式に発表された。 地球上の全ての人類が ゆっくりに感謝し、依存して生活している 世界は今、ゆっくりで繋がろうとしているのだ。 by古本屋
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/216.html
はじめてのゆっくりSS ゆっくりよめないね! ある所に変わったゆっくり魔理沙が居ました。ですが、見た目も大きさもも全く同じです。 その子はたった一つだけ変わったところがありました。そのおかげでいつも独りぼっち。 そのせいでゆっくりすることができませんでした ですがその子は信じていました。いつか何処かゆっくりできる場所があると ―――とある森の中 「おーーいそっちに居るかーー?」 「いやーー全然いないな」 二人の男が大きな籠を背負い人里近くの林を歩いている。 「粗方ここ等辺のゆっくりを取りつくしてしまったのかね?やっぱり山狩りが効いたのかなぁ」 「まぁそうらしいな。いずれ増えるとは言え、居て欲しくもない時にたくさん居やがる癖に こういう時に限って居ないとはな…冬になる前にできるだけ捕まえて宵越しの銭を稼ぎたいってのによ」 2人の男がため息をついてると何処からともなくか細い声が聞えてきた 「むきゅー!むきゅー!ゆっくりしんでね!」 「おい…この声」 「間違いない…ゆっくりパチュリーだ。今日はツイてるぜ」 2人の男は顔見合せると互いに頷き静かにそこへ近づいた。そして物陰から声のする方を覗くと意外な光景が目に入 「むきゅー!むきゅうー!偽ものはゆっくりはやくしね!」 ゆっくりパチュリーがゆっくり魔理沙に圧し掛かり、ゆっくり魔理沙が押しつぶされよう・・・・・と言う風には見えず、2匹でじゃれあってるようにしか見えない。 しかしゆっくり魔理沙の方はかなり衰弱してるらしく、涙とその他体液でグチョグチョになりながらも必死に逃げようともがいている ゆっくり種の中で最弱であるゆっくりパチュリーにゆっくり魔理沙がゆっくり苛められているという何ともきみょんな光景が繰り広げられていた。 「や゛あ゛あ゛ぁー!おあちゅりー!お゛れ゛ま゛り゛さ゛いじめないでだぜー!」 「おれまりさはゆっくりしね」 男達が驚いたのはその光景でなく別の事だった。男たちは茫然と互いを見るとすぐさま我に帰り動きだした ガボッ! 「む…むきゅ…む…」 ゆっくりパチュリーの顔面に小石がのめり込みゆっくりパチュリーあっさり息絶えた ゆっくり魔理沙は突然の事に呆然としたが我に返り、目の前に突然現れた男達に弱弱しくか細い声でこう言った 「おにいさんたちはゆっくりできる人だぜ?」 2人の男は満面の笑みを浮かべて口を揃えてこう言った 「「ああ!できるとも」」 「やっと…おれ…ゆ…っくりできる…ぜ」 と言うとそのまま寝息を立て始めた 一人の男ゆっくり魔理沙を大事に抱えると二人は幻想郷の外れにある竹林へと向かった .............. .......... ...... ... . 一面にお花畑が広がっている。心地よい風に乗って花の香りが漂い、その中を蝶が舞う平和な光景が広がっている そのお花畑の中に洞の空いた切り株が一つ。そこにゆっくり魔理沙が住んでいた。 物心ついた時からずっと一人ではあったが幸いにも食料とゆっくりする場所には困ることはなかった。 しかし一緒にゆっくりする相手が居なかった。ゆっくりは一部を除きを生涯の大半をゆっくりする相手と過ごす 「おれまりさもだれかとゆっくりしたいぜ!」 顔は笑っていてもどこか悲しげに呟いた。 黄昏ているとどこからともなく賑やかな声が聞こえてきた 「ゆっくりできるね!」 「ちーんぽっ!」 「むきゅう!」 ゆっくり魔理沙が近づいて見ると3匹のゆっくりが蝶をおっかけて遊んでいた。ゆっくり魔理沙にとっては初めて見る同種だった。 嬉しく思いつつも今まで孤独だったゆっくり魔理沙にはどう声をかけ良いかわからなかった 「だれかゆっくりしてるよ!」 ゆっくり霊夢が言うと他の2匹も気づいて3匹はゆっくり魔理沙の元にまる 「いっしょにゆっくりしようね!」 「ちーんぽっぽ!」 「むきゅ!」 「おれまりさもいっしょにゆっくりするぜ!」 始めて声をかけられたゆっくり魔理沙は大きな声でと叫んだ…が その次の瞬間騒いでいた3匹が急に黙りこくり、冷たい視線を投げかけた 「どうしたんだぜ?」 「こいつまりさじゃないよ」 「むきゅ!まりさはおれなんていわないよ!」 「おれまりさだぜ!」 何度も自分はゆっくり魔理沙と訴えるが3匹は冷たい言葉を浴びせかけて否定する 「きもわちるいからゆっくりどっかいってね!」 「ゆっくりさわらないでね!」 悲しくなってゆっくり魔理沙は泣き出してしまった 「い゛っし゛ょて゛ぃゆ゛っぐでぃさ゛せ゛て゛よぉぉぉぉぉッ!!」 3匹は泣き叫ぶゆっくり魔理沙に困りはて相談し、そして霊夢が言った 「ゆっくりいうこときたらいっしょにゆっくりしてあげるよ!!」 「ほんと?ゆっくりきくぜ!!」 4匹は草原の開けた場所に出るとゆっくり魔理沙が中央に立ち、他の3匹それを取り囲むよう立った 「どうすればいいだぜ?」 そしてゆっくり霊夢が口を開いた 「ゆっくりけられてね!!」 そういうとゆっくり霊夢はゆっくり魔理沙にとびかかり弾き飛ばした 「だぜぜぜぜ!」 ゆっくり魔理沙は奇声を上げながらロケットの様に一直線に吹っ飛びながらゆっくりパチュリーの場所へ転がる 「ゆっくりとんでね!」 ゆっくりパチュリーが弾くと今度はボールの様に跳ねながらゆっくり妖夢の方へ転がる 「ちーんぽっ!」 ゆっくり妖夢は上空へと跳ね飛ばす こうしてしばらく間3匹の間を何度も何度も弾かれ転がされた。 そのせいで地面の砂利で表皮が傷つき顔の各所から餡が滲みだしている。顔は餡と泥にまみれて真っ黒になってしまった 「ゆっくりあきたね!」 「むきゅ!」 「ちんーぽっ!」 そう言うと3匹はゆっくり魔理沙を蹴るのを止めどこかへ去ろうとした。 「ま゛って゛ぇぇぇぇ!お゛れ゛も゛い゛っし゛ょに゛ゆ゛っく゛て゛ぃし゛て゛った゛せ゛ぇぇぇぇ!」 とゆっくり魔理沙が叫ぶと 「きもちわるいからゆっくりしね!」 というとどこかへ走り去ってしまった。 .............. .......... ...... ... . 「ゆっ!」 眼をうっすら開けるとそこには暖かな夕日の日差しが飛び込んできた。 眩しく一度目を閉じたがおかげで意識が覚醒した 「あらお目覚めかしら?」 ゆっくり魔理沙が声をする方を向くと銀髪の白衣を着た女性が座椅子に座りながらこちらを見ていた 「おねえさん…ここでゆっくりできるだぜ?」 「ええ…勿論よ。あなたは今弱っているからここでしばらくゆっくりしていきなさい。ご飯も持ってくるから少し待ってなさい」 「ゆっくり待つだぜ!」 ―――永遠亭 「まさか本当に実在してたなんて…」 2人の男は幻想郷のゆっくり研究の権威である八意永琳の元にゆっくり魔理沙を連れてきていた 「ゆっくり俺魔理沙…とある学者がその存在を何十年も前から指摘しながらも、証明できず周囲から『新参乙!』『俄かはカエレ!』 との批判を浴びて学会を追われ失意のうちに死んだが…最期までその存在を死の床で唱え続けたと言われる伝説の種…」 「はい俺たちも初めて見た時は目と耳を疑いましたよ!」 「いやぁツチノコ発見どころの騒ぎじゃないでしょうねぇ。あ…ツチノコはもう発見されてたな」 色めき立つ3人を横目にポカンとした表情でその様子を見る鈴仙と薄笑いを浮かべながらその様子を見ているてゐ 「全くあのどこにでもいそうな饅頭のどこが凄いのか理解に苦しむわ」 「鰯の頭も信心からウサ」 「何を言ってるの鈴仙!私たちは今歴史の目撃者なのよ!いい?この事が幻想郷の歴史さえ揺るがしかねないの!!わかる!?」 「は・・・はぁ。そもそもゆっくりってつい最近出現し始めたんですよね?刻む歴史なんて…」 「アナタ?後で新薬の実験台になりたい?」 「ひッ…ひぃーーーー!なんでもありません!」 続く? ゆっくり俺魔理沙 見た目・大きさ・生態全ては原種と変わらない突然変異種。一人称におれと語尾にだぜを使う点で区別できる。 他のゆっくりからは何故か嫌われており、ゆっくり魔理沙である事を否定されると「おれまりさだぜ!」と言うので余計嫌われるという 希少性ゆえにその価値だけは高いが滅多に見つかることはない 参考:どういう訳か愛されてるようです。アリガトね! (注:愛でWIKI作品) http //www33.atwiki.jp/slowlove/pages/28.html
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/152.html
こんにちは、真実を常に追い求める孤高の記者、射命丸文です。 今回の取材にいきますのは、人間たちの畑。 最近、話題になったある作物に関する畑です。 おっと、「文々。新聞」は別に農業の業界紙ではないですよ。 私が出向くのは、そこに読者の興味を引く異変があるがゆえ! これから赴きますのは、家屋内にある大農園。それも、場所はあの知る人ぞ知る加工所です。 どうです、少しは興味がわいてきたでしょう。 では、興味がわきましたら、この「文々。新聞、購読申込書」へサインをどうぞ。まずは六ヶ月間購読でいかがでしょうか。 大丈夫、内容は保障します。どこぞの賽銭箱に投げ捨てるより、よほどいいお金の使い道になるでしょう。 それに、今なら毎月うちの犬走椛を集金に向かわせますよ。毎月、上目遣いで「お、お願いします、怒られちゃいます……」と涙目であなたの袖にすがりつくんですよ! ……はい、まいどありー。 『射命丸の突撃リポート、ゆっくり農園の謎』 「量産化の成功が、業績悪化のきっかけとなってしまいまして」 ため息混じりにそう語ったのは、今回、我々を案内してくださるゆっくり加工所の主任さん。 その指し示すグラフを見ればわかるとおり、ゆっくりの繁殖と効率のいい餡子の収穫方法で潤沢な在庫を抱えることになりましたが、そのために単価が暴落。気候で収穫量が激変することから、かつては赤いダイヤモンドとまで呼ばれた小豆市場も見る影もなしという有様で、バランスシートを見るまでもなく採算割れがうかがえます。 「甘味だけでは需要の限界があるのですよ」 在庫の山を見た記憶が蘇ったのか、主任さんは若干青ざめた顔色。 確かに甘味というのは嗜好品。その上、ゆっくりの案は腐敗します。需要を上回るだけ生産しても、消費されずに損が増えて単価を押し下げるだけ。 生産調整をするのが一般的だとは思うのですが…… 「ゆっくりは繁殖が簡単ですから、うち以外にも生産者がたくさんおりまして……正直、把握しきてれいないために音頭をとって調整とはいかないのです」 なるほど、中々利害関係の絡みそうな話で大変面白そうですね。 その辺のこと、詳しく。 ……あ、今日の取材とは関係ないですか。 「もちろん、うちもただ手をこまねいているわけではなく、いろいろと新商品の開発で需要の掘り起こしを狙っているのですが」 あ、今年はゆとり線香に大変お世話になりました。 ゆっくり羊羹、大変おいしゅうございました。水羊羹、この時期には堪りません。インスタントゆっくり汁、椛の哨戒の必需品です。 はい、ヒモ付き取材なのですいません。でも私、嘘は申しません。真実の報道記者、射命丸ですから。 そんなことを考えながら、文花帖にペンを走らせていますと、主任さんのため息が聞こえてきました。 「とはいえ、焼け石に水といった有様で、ついに資金繰りに窮してゆっくりの買取も中止したこともあります」 覚えています。加工所のゆっくり買取の中止は、野良ゆっくりの放置と生息数の拡大、人間社会への被害をもたらしました。 完全にゆっくりを駆除する選択肢も検討されましたが、結局は補助金がついて、かろうじて存続できた制度。 それがこのところ、急にゆっくり需要が高まってきました。 益獣から害獣となって絶滅すら視野に入ってゆっくりを救う、突然の需要増。当然、裏には加工所の存在がありました。 それこそが、私が今回こちらに取材に参りました最大の理由です。 さて、おとなしく吐いて下さいね。 「それは、発想の転換でした。私たちは餡から野菜に生産をシフトすることで、苦境を乗り越えたのです」 野菜? ゆっくり加工場から野菜とは面妖な話です。 「まあ、百聞は一見に如かず。ちょうどこれから作業が始まるところですから、行ってみましょう。農園へ」 頭をかきながら立ち上がる主任さん。 私はその後姿を追いかけて、加工所の最深部へと向かいます。 「ここが、ゆっくり農園です」 主任さんの肩越しに見える室内。 まず、驚いたのはその広さです。 私の速さをもってしても向こう側の壁まで、分単位を要するでしょう。紅魔館の図書館を移設できそうなほど。 次に目を引いたのは床の構造ですね。その床には向こう側の端まで続く長方形の四角い窪み。それが何列か並んでいます。 四角い溝が何本もの入った床とだだっ広い空間。この部屋を端的に言い表すと、そうなります。 思わず写真を一枚。 薄暗い室内に輝くフラッシュの光。 そういえば、この暗さで植物が育つのでしょうか? 「射命丸さん。あちらの区画で今から栽培を始めます」 主任が指し示した一角は、不思議な光景となっていました。 前述の四角の窪み。 ですが、よく目をこらすとその溝はぎっしりと肌色の何かで覆い尽くされています。 あれこそが、この加工所の秘密なのでしょう。 私は主任さんに案内されるのを待つことすらもどかしく、その傍らに降り立ちました。 その窪みに詰め込まれた肌色を覗き込もうとして、私は気づきます。 いえ、正確にはそいつら自身から答えが聞こえてきました。 「ゆっぐり……ざぜでええ……」 「ゆゆゆ……」 「おねーさん、ここからだして……おうち、かえる……」 それらは、なんと巷で話題のゆっくりたちでした。 れいむ種、まりさ種などの雑多な種類のゆっくりたちが、天井を向けられた体勢で隙間無く四角の窪みに敷き詰められ、気色の悪いゆっくりプールができあがっています。 上を向いて身動きもとれず、お気に入りの帽子もリボンもひしゃげたまま、ただ流れる涙。 その珍妙な姿に、私の部下カラスの文々丸も興味を引かれたのでしょう。 いつの間にか、ゆっくりの絨毯をきょろきょろと動き回っていました。 こらこら、商品を傷つけたらだめじゃないですか。 「ゆぐっ!」 「づめが、いだひいいい!」 ……まあ、いいような気がしてきたのはなぜでしょう。 ともかく、私たちがいるこの空間は、果たして何なのでしょうか。敷き詰めたゆっくりの意図は一体? 「それは、苗床です」 疑問に応えてくれたのは、私に追いついてきた主任さん。 苗床という言葉の意味を確認しようとしたその時でした。 「あ」 短い主任さんの声。その視線は私の後方、『苗床』の位置で固まっています。 なんでしょうか。 振り向く私。そして、その視線も固まります。 「カラスさん、まりさをゆっくりもちあげてね!」 「ずるいよ! れいむも連れてってね!」 苗床のまりさの口に足でも突っ込んだのか、噛み付かれている文々丸。 ばたばたと翼をはためかせて逃げようとする文々丸を離すものかと、真っ赤な顔でしつこく食い下がっている。 あの腐れ饅頭野郎、私の可愛い文々丸になんてことを! 「ガア!」 無論、文々丸はゆっくりごときにどうにかできるようなカラスじゃない。だって、私の部下なんだから。 「まりざのおめめがあああああああ!!」 一際高いまりさの悲鳴。 文々丸のくちばしには、たった今えぐりとったばかりのまりさの眼球らしきものが。 「まりさのきれいなおめめがあああ!?」 「からすさん、か゛え゛し゛て゛ええええ!」 ひたすら泣き叫ぶまりさに代わり、隣のれいむの絶叫。夫婦なのだろうか。 まあ、そんなことは文々丸には興味がないことだろう。 「ゆぐううう! 今なら許すから、かえじでぐだざいいいい!」 そんなこと言われても、文々丸はもう目玉をのみこんでますよ、ごくんと 「どうじでぞんなごどするのおおおおっ! まりさを怒らせたら、からすさんもただじゃおかないよおおお!!」 えらい剣幕ですが、毛づくろいにふける文々丸に耳に届いたかどうか。 代わりに私が怖がってあげましょう。 おお、こわいこわい。 ……て、我に返ってみると、これはまずいですね。 取材対象の財産を損壊したことになります。 ちらりと主任さんの顔を見てみます。 私に向けられていたのは請求書ではなく、なぜか笑顔でした。 「いや、別にゆっくりは生存していればどんな状態でもいいんですよ……おや、準備ができたようです。さ、作業開始ですよ」 言いながら、部屋の隅に向かって手を振る主任さん。 気がつけば、そこに作業服姿の従業員さんが数人。それぞれ、その両手に抱えるのは柵。手馴れた動作で、ゆっくりの苗床を囲むように 柵を立てていきます。 ただし、完全には囲みません。 一方に出入り口をつくって、そのまま部屋の片隅へと柵で通路をつくっていきます。その通路の先は、壁面に小さく張り出した扉へと。 こうして出来上がったのは、扉から苗床までをぐるりと囲む柵の通路。 主任さんは準備が整ったのか、こほんと咳払い。 「まずは、種まきからです」 種まき。 主任さんの言葉に、私は籠に種籾を入れた農家の姿を思い浮かべますが、それから始まった光景は、まったくそれとは似ても似つかぬものでした。 主任さんの合図に合わせて開放される通路に接した扉。 同時に、加工所を揺るがした凄まじい振動でした。 「まっまっまっ、まりさああああ!!!」 「まりさはどこおおおおお!!!」 「れいありもいいよねええええ!!!」 「ぱちゅありも、じゃすてぃいいいいっす!」 扉の向こうには、地鳴りを響かせてゆっくりありすの、顔、顔、顔。 何十匹いるのでしょう。 魔法の森のアリスさんとは似ても似つかぬゆっくりアリスの群れが、性欲にテカテカと輝くアリスの瞳が、次から次と扉の向こうから姿をあらわします。 共通するのは発情しきって上気した赤みと、血走ってまりさを求めるその眼。 すごいです。 そういえば、先日うっかり毒きのこを食って寝込んでしまった魔理沙さんを、文句を言いながらも看病を続けたアリスさん。 深夜二時頃、熱にうなされ、胸元をはだけて荒い寝息を吐き出す魔理沙さんをじっと見下ろすアリスさんの相貌を、なぜか不意に思い出しました。 もちろん、それは本件とはまったく関係ございません。上海人形に八つ裂きにされたネガも戻ってきませんし。 さて、ゆっくりありすの集団は後続に押し出されるように、通路を前に前に進んでいきます。 向かう先は、ゆっくりの苗床。 その待ち受けるゆっくりたちは怒涛のように押し寄せるアリスの足音には気づいていますが、なにせ天井しか見えない体勢のため、何が起こっているのかわかりません。 歯を食いしばり、流れる涙を増やすばかりです。 ですが、足音が止んで見えるのは、覗き込む同じゆっくりの顔。通常なら、親切な性質を持つゆっくりありすのものです。 助かったと思ったのでしょうね。 「ゆっくり、ひっぱりだしてね!」 髪の毛や装飾品すらも詰め込まれて、唯一相手が噛んで引っ張り出せる舌を伸ばします。 けれど、ありすの受け止め方は違いました。 「いきなり、でぃーぷなんて、まりさは焦りすぎよ!」 「でも、大丈夫! ありすがきちんとリードしてあげるね、まりさああああ!」 数十匹のアリスが、ゆっくりの苗床にびっしりと圧し掛かり、下を向くなりいきなり響きわたる湿った音の大合唱。 くぐもった下のゆっくりの絶叫と、とろけたようなアリスたちのあえぎ。 新しい拷問のようで、思わず私は耳を塞ぎたくなるものの、加工所の方々はまったく平気な顔。 顔色一つ変えず、今回の予想収穫量なんかを話しています。 人間の主な特徴、適応性というものは一種の狂気ですね、ほんと。 「まりさまりさまりさああああああ!!!」 「やめでええええ!!! すっ、すっきりしちゃううううう!」 「やめては、とかいではやめないでということよおおお、いぐううううううんほおおおおおおお!」 「ひぎいい、隣にれいむがいるのにいいいいい、いぎだぐないいひぎいいいいいい! ずっぎりいいいい!」 最後の抵抗の声もむなしく、まりさたちの悲鳴をバックに種まきは終わりました。 いや、終わったと思ったのですが。 「あと、2セット」 冷静な主任の言葉に応じて、一斉に苗床に向かう職員たち。 ご丁寧にも、すっきり満足していたアリスたちを揺らし、再び発情へとのぼらせていきます。 こんな変態生物の発情を助けるぐらいなら馬でも種付けでもした方が100倍マシだと思うのですが、そこはプロ根性。匠の技です。 「だめだよおおお! あかじゃん、ごんなにでぎだら、じぬのおおおおお!!」 ねとねとの粘液に覆われたれいむの顔が、目を血走らせて必死に叫んでいます。 「そんなことより、アリスをちゃんとすっきりさせてね! きっと、愛があればだいじょうぶなの!」 ですが、そんな愛の足りない戯言はアリスに通じません。すぐさま、欲情の囀りにかき消されるばかり。 結局、アリスが職員に引き離されて扉に蹴りこまれるまで「種まき」は続きました。 ゆっくりの生態の神秘は、やはりこの生殖後の反応でしょう。 犯されつくしたゆっくりたちから、次々と発芽する茎たち。 通常茎が生える頭の上は他のゆっくりや壁に塞がれているので、唯一の隙間、天に向けてにょきにょきと伸びていきます。 これが、種まきの成果。 この伸びた茎が、加工所の新たな生産物とのことです。 出産後、親が朽ちても赤ちゃんをしばらく育てられるほどに栄養価が高く、人間にとっては煮ると口当たりのよい、ほのかな甘味が野菜嫌いのお子様にも人気の新商品。ゆっくりの茎。 まさか、ゆっくりから野菜がとれるとは驚きです。 「次は、肥料ですね」 ですから、各工程の呼び名が農業のような呼び名になるのでしょう。 確かに、アリスに蹂躙されて黒ずみ始めたゆっくりたちの様子からすると肥料は必要なように思えますが、さて何を与えるのでしょうか。 応えは、手押し車に詰まれた黒い物体でしょう。 植物であれば、まず間違いなく腐葉土の黒土でしょうが、相手はゆっくり。 「あれは、餡子ですか?」 「そのとおりです」 私の問いかけににっこりと応じる主任さん。 こうしている間にも、「むーしゃ……むー……」「……しあわせー」「めっちゃ……うめ……」と、かすれた声が響いてきた。 ゆっくりの中身も餡子だけに、効果は抜群といったところでしょうか。 「餡子は、繁殖もできなくなった末期のゆっくりや、商品にならなかったもの、間引きした子供らを与えています。化学肥料を使わず、コストにも気を配っています」 主任さんの淡々とした説明に、経営不振を乗り越えたこの加工所に培われたコスト意識が伺えます。 こういう企業は力があります。株を上場するときは教えてください。けして、私はインサイダーなど行いません。 それはともかくとして、ゆっくりたちはその栄養満点の肥料に元気を少しだけ取り戻していました。 そんな中、主任さんは次の指示を伝えます。 「さて、次はお水をあげましょう」 水? 見れば、桶に汲まれたオレンジ色の水がめを台車にのせて、従業員たちが押してきます。 はてさて、あれは一体なんなのでしょうか。 膨らむ私の期待でしたが、私の期待は報われません。 本当に、主任さんの言葉とおり、染料でオレンジ色に着色されただけのただの水でした。 ですが、それを知るのは私と職員の方々だけ。当然、ゆっくりは知りません。 「ほうら、口を開けろ。オレンジジュースだぞー!」 棒読みの職員の台詞を耳にするなり、一斉に口を開くゆっくりたち。 ひしゃくで注ぐそのオレンジ色の液体を一滴ももらすまいと、食虫花のようにぱっかりと大口を開けています。 その間抜けな光景に脱力の私ですが、ゆっくりたちの反応は、さらに私の足腰から力を奪うものでした。 「うっめ、これ、めちゃうめ!」 「しゅっごく、おいしい♪」 「あんまあああああい!」 なんですか。 ゆっくりとはいえ、蒙昧すぎるでしょう。 「プラシーボもあるでしょうが、たっぷり口に水を含んだせいで、口の中の餡子が溶けているんですね」 「でも、それじゃあプラマイ0では」 「いいんです。これは、ゆっくりたちの心のケアですから」 ゆっくりの心なんか、ケアする必要があるのでしょうか。 それならば、霊夢さんに「印刷してある文字が邪魔だから、今度から白紙で頂戴。森近さんに売るから」と、凄まじい要求をされた私の心をまず最初にケアしてほしいところですが。その日の夜のお酒は、ひどくしょっぱい涙酒。霊夢さんは時々、無意識に萃香さん以上の鬼ですよね。 そんな感じに私がちょっぴりブルーになっているというのに、ゆっくりたちからは案の定な能天気な声が沸き始めます。 「すっきりしたよ」 「この子のために、がんばれるね!」 顔面から伸びていく茎も色艶がよく、その先に鈴なりにふくらみつつある子供の実。 実ってしまえば、可愛いわが子なのでしょう。 「ゆー……♪ ゆゆーゆー♪」 「ゆっくりそだってね」 「まりさの赤ちゃんが、いちばん大きくてゆっくりしているー♪」 歌ったり、話しかけたり、自慢したり、ゆっくりたちはたちまちのうちに元気を取り戻していきます。 もうすぐ、この実がぷっくりと膨らんで子供をなすのでしょう。 「では、次は害虫駆除と茎の手入れです」 主任さんの宣言に、不意に私はリグル・ナイトバグさんを思い出します。なぜでしょうか。 ともかく、確かに害虫というのは問題ですね。 風見幽香さんなら、リグルさんの首に腕を回しながら耳元にそっとお願いすれば済む話でしょうが、人間はそうもいきません。 まず、職員が最初のまりさと向き合うように覗き込みます。 「ゆ? お兄さん、まりさのこどもゆっくりしているでしょ♪」 「れいむの方がもっとゆっくりしているよ! とくべつに、お兄さんもゆっくり見ていっていいよ!」 対抗するれいむたちの声は、おそらく職員の方にとって耳朶を吹き抜ける風のうねりのようにしか感じていないのでしょう。 無言でその手を茎へと、その茎に実る赤ちゃんへと伸ばしていきます。 「ゆ! 赤ちゃんを、いいこいいこしてあげ……」 ブチャ。 湿った破裂音が響きました。 職員の方は一瞬で至福から白目をむいた表情の親を気にもとめず、その手を次の実へ。 「お、おにいさん?」 ブチ。 「なっ!?」 ブチ。 「やめ……」 ブチャ。 「あがちゃ……!」 ブチャ。 ろくな台詞言えないまま、瞬く間に手馴れた手つきで赤ちゃんを全て潰された親まりさ。 もう、口を開いたまま固まってしまっているが、やがてぷるぷると震えだします。 「ま、まりさのあがぢゃんがあああああああああ!!!」 その言葉がゆっくりたちの間を漣のように駆け巡っていく。 「どうじだの、まりさああああ!?」 不安と恐怖にまみれた仲間たちの声も、あえぐような嗚咽が応じるのみ。 再び始まる身動きできず、周囲の様子も伺えない狂乱のゆっくりタイム。 特に、その隣で赤ちゃんの顛末を視界の端に捕らえていたれいむは、笑顔がひきつって今にも崩れだしそう。 そのこわばった笑顔は、やがて媚びの色彩をともなって職員の方に向けられるのですが。 「れ、れいむの赤ちゃんは大丈夫だよね! だって、こんなにかわい……」 ブチ。ブチャ。ブチャ。プチ。 「がわいいのにいいいいい、なんでええええええっ!?」 職員の指先は熟練の動きでした。 一息に、れいむに芽生えた命をこそぎ落とします。 あとはもう、流れるような作業の連続でした。 「こどもだけは、ゆっぐりさせ……ああああああああああ!!!」 「早く、うまれでええええええ……っ! ゆっくりしないでえええ、ゆぎいいいいいいい!!」 「初めてのこどもなのおお、もってかないでえええ……むきゅううううううううん!」 職員の方が一歩進むたび、茎の成長を阻害する害虫たちは的確に駆除されていきます。 食の安全が叫ばれる今、このように薬品に頼らず、手作業で剪定していく細やかさに思わず感動してしまいます。 「さて。この作業はしばらくかかりますので、一足先に収穫間際の畑をごらんにいれましょう」 私が一通りその様子を写真に収めると、それを見計らって声をかけてくれる主任さん。 案内されて行ったのは、今の畑とは反対側の一角。 青々とした茎は豊かで、かすかに揺れる様子はまるで湖畔の波のよう。圧巻の光景。 害虫をきっちり駆除して手入れをすれば、ゆっくりの茎ですらここまでに実りを結ぶのでしょうか。 「これでも、本職の農家さんに比べるとまだ素人仕事なのですが」 主任さんの言葉は明らかに謙遜ですが、新規事業として進出しただけに農家への兼ね合いもあるのでしょう。 私も余計なことは言わず、ただその鮮やかな緑に見蕩れていました。 とはいえ、私には記者としての役目があります。しゃがみこみ、その茎を一本もちあげてみますと、ずっしりとした手ごたえ。 「おもい……よ……」 「ちぎれえ……」 「あかちゃん……あかちゃん……」 かすかに聞こえるのは、ゆっくりのうめき。 新鮮なはずです。苗床すら生きているのですから。 「実は、先ほどの状態からここまで育つのに十日もたっていません」 主任が自負と、ちょっぴりの自慢を秘めた口調で話し始めます。 ゆっくりの生命力は、まさに恐るべし。 けれど、脅威の生命力に驚くにはまだ早い。 「それどころか、数日おけばまたこの畑で連作が可能なのです。」 それは、人間生活にどれだけの恩恵を与えることでしょう。 うまく流通にのれば、博麗神社の貧乏人ですらビタミンB2やベータカロチンを摂取できます。もう、障子の紙を食べる必要はありません。 ……ごめんなさい、一部悪意に基づいた偏向記事がありました。 それはともかく、ゆっくり農園。 実に魅力的な存在ではないでしょうか。 おかげさまで、取材当初の思惑を超えて実に有意義な取材となりました。 そのことを、快く取材に応じていただきました関係各位に深く謝意を表し、今回の取材の終わりの言葉と代えさせていただきます。 以上、現場の射命丸文でした。 PS: 以前のゆっくりの単価暴落で一時は捕獲者がいなくなり、触れすぎた野生ゆっくりたち。 有益性も低い害獣のために全面駆除が検討されておりましたが、今回の発明と、ゆっくりを 愛好する諸氏及びゆっくりを虐待する諸氏の嘆願により、全面駆除は見合わせとなりました。 ゆっくりは、いつ幻想から消え去るかわからない、儚いもの。 息の長いお付き合いを、節に望むところであります。 by小山田 茎トークから、妄想拡大。 あと、地霊殿の委託までちょっとだけお休みします。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3010.html
ゆっくり人面瘡2/2 ■■■再発■■■ 切除手術を受けた次の日。 またもやうーうーうーと、うなるような音でおにいさんは目が覚めます。 左腕に何かが動く感覚があります。 しかも自分の腕からその音が聞こえてくるではありませんか! 布団から跳ね起きて袖をまくります。 包帯のしたでうねうねと何かがうごいています。 そのうごきに合わせて「うあーー」「ゆーー」とくぐもった声を出しているのです。 おにいさんは恐る恐る包帯を外します。 腕になにかがついています。 「ぷはー♪」 呼吸しています。 「ゆー♪」 しゃべりました。 わけのわからないもの。 おにいさんは昨日とは異なるおどろきのあまり声が出ませんでした。 なにをしていいのかわかりませんでした。 そこには前日の午前中までは寄生し、午後には永遠亭での手術により除去されたものが、あの憎たらしいゆっくりがいたのです。 大きさは、小ぶりのあんまん位でしょうか。 目玉があり、口もあり、金髪の髪、とんがり帽子の様なものまでくっついています。どうみても再びまりさ種です。ほんとうにあry 初めてExtraステージのボス戦で瞬殺されたように惚けていると、そのゆっくりの目が動きおにいさんと目が合います。 「ゆっくりしていってね♪」 「っっっっっっっっっっっっ!??」 驚きはしましたが、それよりも先に何故?どうして?という疑問符?しか出てきませんでした。 「どうして、また……!?昨日切除したはずだ!?」 「ここはまりさのゆっくりプレイスにしたよ♪ゆっくりできないおにいさんははやくえさをもってきてね♪」 いつもの冷静さを忘れ、ただ不快感が感情を支配します。 「うがぁあああぁああっっ!!」 部屋の柱に自らの腕をブチ当てます。 ばんっ!と大きな音と共に「ゆげぇぇっ!」と声がし、家全体が軋みます。 普通のゆっくりならこれほどの衝撃に耐えきれずつぶれてしまうはずです。 しかし 「どおじでごんなごとずるのぉぉぉぉ!!」 生きています。 まりさの顔全体が赤くなっていますが餡子が飛び出る様な様子はありません。 「このくそまんじゅうがぁあああああっっ!!」 再度、そして何度も柱に裏拳を叩き付けます。 「うげぇ!」「あばぁ!」「いげぇ!」などとうめき声が聞こえる意外は、木人形を相手に訓練するジャッキーチェンの様です。 「はぁ、はぁ、はぁ…わけがわからない……」 自身の裏拳によって、まりさだけでなくおにいさんの腕全体が打撲により腫れ上がっています。 まりさはというと白目を剥いて気絶していました。 おにいさんは自らを傷つけた痛みで冷静さをとり戻してきたようです。 「とにかくまた永遠亭に行ってみよう。」 ■■幕間03■■ ゆっくりに苛ついたのが原因とはいえ、感覚を共有していたことを忘れていたのは誤算だったようです。 打撲傷特有の時間差のあるゆっくりとした痛みがやってきます。 ましてやおにいさんはゆっくりを潰すために手加減なしで柱を打っていますから、もしかすると骨折しているかもしれません。 痛みが自身の冷静を欠いた行動をけなしているようで、お兄さんはモーレツに反省します。 冷水で冷やしつつ、朝食をとりながら、ここまでの事を再考しています。 山で野生のゆっくりと出会い、その時不甲斐無くもかすり傷を負わされる。 次の日には傷はほとんど塞がっていたが、傷周辺がかぶれていた。 その次の日の朝、お面の様なゆっくりまりさが腕に寄生していた。しかも感覚まで共有し、加えて糖尿病という合併症のおまけつきだ。 永遠亭で切除手術をうけて(その時は完全に無くなっていた!)、その日の夜には気分爽快で床につき 朝には気分爽快な目覚めが待っている、はずだった。 だが今日になって、昨日の就寝間際の爽快さは颯爽と無くなり、この奇病の再発という気分最悪な朝になってしまった。 怒りに任せて自らを傷つけ、冷静さを欠いた行動を思い出しますが、その度にゆっくりに苛つき、ムカつき、 自分の未熟な行動が自尊心を傷つけます。 獲物を目前にしたあの時のように、感情や感傷を表にださず、落ち着き、冷静に思考し行動する。 もっと落ち着いているべきだった。そう、このゆっくりのように。 「ゆー」 どうやら寄生したまりさが気絶から目を覚ました様です。 「おなかいっぱいになったよっ!まりさしあわっぜえぇええおおぼぼぼぼぼぽぉぉぉ」 食事も終わったので打撲の冷却もかねて水瓶に腕をつっこみます。 ふとそのまま溺死させる方法も考えましたが、 栄養をお兄さんと共有している事からおそらくそう簡単には無理だろうと判断します。 そして最悪の場合を思いつきます。 俺が死んだらこいつも死ぬだろう。ならこいつが死んだら…!? 恐ろしくなり、考えを打ち消します。 死ぬのか生きられるのかで悩むより、生きたまま専門家に引き渡す方が懸命ではないかと判断し 当初予定通り、永遠亭へ再度向かいます。 その足取りは心持ち昨日より重くゆっくりしていました。 ■■■再度永遠亭■■■ 「来ると思っていたわ。またゆっくりが腕に現れたのでしょう?」 会うなり永琳はそう伝えます。 「不思議な顔をしないで、あれからちょっと調べたのよ。でもその腕の治療が先ね」 永琳は湿布を貼りながら説明していきます。 「骨には異常無いみたいだから冷やして安静にすることね。 さて本題のこのゆっくりだけど…… ゆっくりが人間に寄生するなんて聞いた事ないからね。 だけど図書館の魔女が教えてくれたわ。 人面瘡と呼ばれる奇病に酷似していると。」 「じんめんそう?」 「人の面の瘡と書くのね。 奇病とも、それ自体が妖怪だとも言われている。 原因には妖怪や生霊が取り憑いた呪い、宿主自体の精神疾患からくる肌荒れの特殊な症状とも言われ、はっきりしていないみたいね。 中には高等妖怪が作り出したアイテムって話もあるそうよ。 共通していることは、人の身体のどこかに人の顔の様な傷ができ、話をし、食事もする。 めんどくさい事に直接宿主を殺したりはしない、というかできない。 迷惑をかける。醜い顔が、煩わしい口調で、理不尽な要求をしてくる。それだけしかできないから妖怪のレベルとしては低俗よ。 しかし、宿主に大してのそういった精神攻撃は恐ろしいわね。最弱故に最強ってとこかしら。」 「ち治療法、というか駆除法はあるんですか?」 「昨日手術したように切除する方法では、再度発症するという場合が報告されているらしいからまた来ると思ったのよ。 それに、あなたから切り取った方のゆっくりの最後の言葉ね。曰く『おうぢにがえるぅぅぅ』」 「おれはっ!おれはこいつらのうちじゃないっ!」 「まったくその通りね。文献によれば薬や毒で消えたそうだから試してみましょう」 「…そう、してください……」 「薬は今イチ原因がハッキリしないから、毒で試しましょうか。 気負わなくて良いわ。ゆっくりには毒で人間には毒でないもので試せばいいのよ」 「というと……?」 「目には目を、歯には歯を、毒を制するには毒を。ゆっくりにはゆっくりよ」 ■■幕間04■■ おにいさんは替えの湿布や薬と共に、ゆっくり加工場への地図をもらいました。 永遠亭からの帰宅途中に寄生したゆっくり対処用の薬となるものを受け取りにいくためです。 永琳曰く 「加工場には連絡を入れておくわ。あとは言った通り治療なさい。」 加工場向けにゆっくりを捕まえた事もありましたが、工場に来るのは初めてでした。 広い敷地内に立派な工場が建っており、ほのかに甘い香りが漂ってきます。 受付で訪ねた目的と永遠亭の名を出すとすんなり話が進みます。 しばらくすると大きめの箱を抱えたおじさんがやってきました。 「じゃこれ。永遠亭からのお願いだから良質なのを選んでおいたよ。あ、ここにサインだけ頂戴ね。」 おにいさんは受領書にサインし受け取ります。 箱の中身はもちろんゆっくりです。 かつて誰かが言いました。 「悪魔は人の身に宿る」 永琳は言いました。 「あなたが考えているように、この寄生したゆっくりの生死があなたと繋がっている可能性を否定できない以上、 私は医者として駆除剤を調合する事はできないわ、できるのは糖尿病に対処する薬の調合だけ」 「医学的な所見は共存の道が一番良いわ」 「それを許さないならあなたは自分の力でなんとかするしかない。協力はしましょう」 おにいさんは考えます。 「ゆっくりとの共存?」 「確かにペットといて飼い成らす人もいると聞く、適度に可愛く、癒しを与えてくれるならそれもいいだろう」 「だが、俺に寄生しているこいつはどうだ?」 「何もせず、ただゆっくりし、理不尽にもエサを要求しつつ俺のエネルギーの一部を奪い、俺はこの若さで糖尿病だ」 「共存など誰がするものか!!」 「俺は俺だ!俺一人だ!俺以外の他人が!しかもこんなまんじゅうと一緒になんてなれるか!!」 ■■■治療/宴の支度■■■ 家に戻り、部屋が暖まってきたところで加工場からもらってきたゆっくりを部屋に放ちます。 今まで狭い箱に収められ、初冬の冷たい風に凍みていた数十匹のゆっくりは、その開放感から歓喜の叫びをあげます。 「ここはとてもあったかいよ♪」 「ゆっくりー♪」 「この部屋がしばらくお前らの家だ。おれはお前らの飼い主、そしてこいつがお前らのルームメイトだ。仲良くしろ」 そう言うと巻いていた包帯を外します。 「ゆゆ♪ここはまりさのゆっくりぷれいすだぜ♪みんなゆっくりしていってね♪」 「「ゆっくりしていってね♪」」 他のゆっくりとはまったく異なる外見の寄生したまりさですが、 顔のパーツだけで判断しているのか、ほかのゆっくりたちにも仲間として認められた様です。 試しに、一匹のれいむを腕によせると、習性なのか頬ですーりすーりをはじめました。 「すーり♪すーり♪あなたは変わったゆっくりだね♪でもおおきなからだですてきだよ♪」 「すーり♪すーり♪ゆぅー♪気持ちいいよー♪ゆっくりしていってね♪」 「……」 寄生したゆっくりのお家宣言にも、このムカつく挨拶にも以前ならイラっときていたでしょう。 ですが、ここは我慢してニコニコと作り笑いをします。 そして戸棚からお菓子を持ってき、自ら食べはじめます。 「うほほぉ!これめっちゃうめぇ!むしゃ♪むしゃ♪むしゃ♪しあわせー!」 「ゆぅー。れいむたちもゆっくりほしいよ!」 「そうよ、みんなにエサを与えないなんてとはいはじゃないわ!」 「むきゅー。あかちゃんたちにもわけてあげてね」 「おにゃかへっちゃーー!!」 「まぁ、落ち着け。俺はお前らの飼い主、つまりボスだ。 俺の言う事を聞けば、お前らにたべものをやろう。」 「ゆゆぅー?」 「わかったよ!ボス!だからおかしをちょうだいね!」 「おにゃかへっちゃーー!!」 「よしまずは跳ねろ。その場でジャンプっ!!」 「「ゆっ!ゆっ!」」 一部のゆっくりは状況を飲み込んでいませんでしたが、言う事をきいて、全員ジャンプしています。 流石加工場で良質と言われたゆっくりだからか飲み込みが早いです。 「はい、やめー。」 そういって、クッキーを適当に砕いて皿に載せると、ゆっくりはまるで蟻の様に群がり。 「「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせー♪」」 と言う時には既に無くなっていました。 「よし、次は二匹ずつ組になって整列!」 既に腹を膨らませてくれた安心感からか、あっと言う間に整列します。 「よし、お前どれか好きな組選べ」 「ゆ?」 腕に寄生したゆっくりに声をかけます。 「じゃ、このゆっくりでいいよ!」 「よし選ばれた二人組、どっちかにこの角砂糖をやろう」 と言って、自ら食すと 「ゆゆーー♪これめっちゃあまあまだぜぇ♪しあわせぇー♪」 と腕がうずきます。 それを見て残ったゆっくりたちも「ゆぅおー♪」と歓声をあげます。 「わたしにちょうだいね!」 「とかいはなわたしにもちょうだいねぇ!!」 ちなみに選ばれたゆっくりはれいむとありすの成体です。 「ふたりにはやらん、どちらか一方だけだ。はやくきめろ」 「ゆー、わたしたちふたりにちょうだいねぇっ!?」 「そうだぜ、ふたりにもわけてげてねぇ…あめぇ…しあわせぇー♪」 仲間意識をみせる寄生したまりさですが、途中でおにいさんがつまんだ角砂糖に反応してしまい説得力がありません。 「ほれ、食べたいだろぉー?あまいぞぉー?どちらか一方にはあげるからゆっくり決めてね!」 「とかいはなわたしがたべるから、いなかくさいれいむはどっかいってね」 「ゆっくりしてないありすのほうこそゆっくりどっかいってね!あのあまあまはれいむがたべるよ!」 「…めんどくせえ、お前が決めろ」 めんどくさくなったおにいさんは腕の寄生まりさに問います。 「ゆわ、ゆ、ゆぅー」 「まりさぁぁぁぁーわたしよね!とかいはなありすをえらんでねぇ!」 「れいむにきまってるよ!さっきいっしょにすーりすーりしたでしょぉー!!」 どうやらこのれいむはさっき適当に選んだれいむだったようです。 それが効いたのか 「さっきすーりすーりしたれいむにするよ♪」 「よし決定!」 ガッシ!ボカッ! 「スイーツ(笑)」 おにいさんは、寄生まりさが選ばなかったありすを掴み、一口で平らげました。 流石加工場産のゆっくりです、ただほんとりとした甘みとカスタードの風味が口いっぱいに広がります。 「このまりさに選ばれたれいむには約束通り角砂糖を進呈」 「「ゆぁ?あっ?どおしでえぇええ!なんでぇぇぇぇぇ!ゆばぁあああああ!」」 寄生したまりさと選ばれたれいむが泣きわめきます。 先ほどまで自らの欲望忠実に仲間と対峙いていましたが、まさか食われるとは思っていなかったのでしょう。 「どぼじでえぇぇぇ!!!ありずぅぅぅぅぅぅ!」 「お前が選ばなかったからだ。さて、次にこの角砂糖がほしいゆっくりはいるか?」 流石に、いきなり仲間を食われた衝撃があるのか我先にとはいきません。 「もうまりざはえらばないんだぜぇぇぇぇ!!うばあぁぁぁ!」 「うん、もうおまえはいいや。次は俺が決める。おいそこのゆっくり組」 「ゆぅぅ?やめちゃね。れいむたべにゃいでねぇ。」 「そうよ、あかちゃんいじめないでぇええ!!たべるなられいむにじでぇぇぇ!」 「お、おかあしゃんを、みんにゃを、い、い、いじめにゃいでねぇ!!!」 勇敢にも娘であろう、赤れいむが向かってきます。 「おぉ家族愛。家族愛。お前に決めた!」 「いやあああぁぁぁぁ!!!れいむのあがじゃぁぁんん!!」 おにいさんはつまむと口へ持っていきます。 しかし、今度は食べる事はしませんでした。 ぼそぼそと赤れいむにつぶやくと、頭の上にのせました。 「わーふきゃふきゃー♪」 「ほれ、角砂糖をお食べ。」 「むーちゃ♪むーちゃ♪あみゃーーい!しあわちぇー♪」 食われると思っていた他のゆっくりたちが何が起きたのか混乱していましたが、 おにいさんの頭上に乗った赤れいむが高らかに宣言します。 「ここはれいみゅのゆっくりぷれいちゅになったよ!みんなゆっくりしちぇってね!!」 「さてれいむさん、今回ありすが食べられてしまいましたが誰が悪いんでしょうか?」 「このまりさがわりゅいよ!」 ゆっくりたちの視線が一同に寄生したまりさに集まります。 「このまりさがわりゅいよ!」 「そうだね、このまりさが一方を選んだから悪いよねぇ」 「そ、そうだよあのまりさがわるいよ!」 「そうよ、わたしのあかちゃんはうそなんかつかないのよ!」 「あのまりさはとかいはじゃないよ!」 「「あのまりさはゆっくりできないよ!!」」 「ゆあ?あ、あ、あ…?」 急に仲間達から一斉に罵声をあびます。 先ほどありすと組んでいたれいむの側に腕を持っていくと、すーりすーりした仲なぞ忘れて体当たりしてきました。 「ありすをかえしてねぇぇぇぇ!!」 ポコンと当たりますが、もちろん全然痛くありません。ですが、寄生したまりさには精神的に効いた様です。 「な、なんでぇ…まりざわわるぐないのにぃ…なかまでしょぉ…」 「なかまをころしたゆっくりはなかまじゃないよ!」 「そうよ!なかまじゃないよ!」 「ここわ、ゆっくりぷれいすよ!ゆっくりできないまりさはしんでね!」 「なんでぇ…なんでぇ…!」 訳がわからないといった表情で寄生まりさは混乱しています。 おにいさんは、あたまの赤ゆっくりにちょんちょんと合図を送ります。 「みんにゃ!ごはんにすりゅよ!ゆっくりたべていってね!」 「ほらみんなエサだぞぉ。」 おにいさんはその合図に従って、お菓子や野菜を大皿に盛りました。 「「ゆへふぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」 と飛びついてきますが、皿を持ち上げてそれを一旦阻止します。 「まぁまてお前ら。一番箸は一番偉いリーダーと相場が決まっている。リーダーは誰だ?」 「「そんなの決まってるよ!」」 おにいさんは頭に載せていた赤れいむと皿をゆっくり下ろします。 「わー♪おそりゃをとんでるみちゃーい♪」 目の前に大量のエサを目の前にしてますが、 みんな静かに待っていることを不思議がっているようです。 「ゆ?ゆ?おきゃーさーん?どこー?」 ときょろきょろしているところに、その親であろう成体のゆっくりが近付きます。 「さぁ、れいむ。ゆっくりたべていいのよ」 おそるおそる 「むーちゃ♪むーちゃ♪しあわちぇー♪」 と言った側から 「「そのれいむがりーだーだよ!」」 「「このれいむがわたしたちのりーだーよ!」」 と言いながら押し寄せます。 「れ、れいみゅがりーだーだよ♪えしゃをよういしたからみんにゃでたべてね!ゆっへん♪」 ■■■治療■■■ おにいさんも腹が空いていましたが、我慢して一旦その場から離れ、煙草をふかします。 皿の周りでは群れの新しいリーダーが決まった事でお祭りの様です。 そして匂いに釣られたのか、寄生したまりさも冷めてきます。 「あ、ああ、なんでぇ…?」 「………」 「おなかへったぁ……」 「さっき食ったじゃん」 「?」 「はは。忘れたのかその餡子脳は?お前はありすを食っただろうがっ!!」 最後の文節をワザと大きな声で言いました。 騒いでいたゆっくりも気づきます。 「お前が!選んだありすはっ!俺が食って!お前の栄養にしただろうがっ!!」 「!」 その一言が再び群れに怒りを込み上げさせます。 「そうなんだぜ!まりさはありすをたべたなかまころしなんだぜ!」 「なかまをたべたゆっくりはゆっくりじゃないよ!!」 「ゆっくりどこかいってね!!!」 再び再開する罵倒の嵐、おにいさんが近付くと罵声はさらに大きくなります。 「…まりさは……ここはまりさのぉぉ……ありすぅ……」 潮時を感じておにいさんは先ほど傀儡と化した赤ゆっくりを呼びます。 「…おいリーダー!」 「ゆ?」 赤ゆっくりは再びおにいさんの頭にのせられます。 「さぁ、教えてあげて下さいよ。ここはどこですか?」 「ここは、れいみゅのゆっくりぷれいすだよっ!!」 「加えて、おまえはありすを食った」 「なかまをたべちゃゆっくりはゆっくりじゃにゃいよ!」 「……うぅぉぉぉおおお………お、お……」 「そろそろしめるか…」 おにいさんは一匹の成体れいむをつかみ上げます。 「ゆゆー♪そらをとんでるみたーい♪」 「ゆ♪おきゃーしゃーーん♪」 どうやらこのリーダーとなった赤ゆっくりの母親のようです。見分けがまったくつきません。 「お前、腹減ってるんだったな?」 腕に寄生したゆっくりに一声かけてから、母ゆっくりにかじりつきました。 「ぎゃぅばぁあぁぁぁぁぁ!!??」 「うばあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」 「うむ。うまい」 またしても、ゆっくりたちの目の前で起きた仲間の悲劇を目の前にしてまさしく阿鼻叫喚。 「「なんでぇえええええええええええええ!!!!!!!!!!!」」 「「どぼじでぇええええええええええええ!!!!!!!!!!!」」 「おがぁぁぁぁぁぁぁじゃぁぁあん!」 「わりぃわりぃ、こいつが食えって言ったから」 「ごのありずぅがぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 「なんでたべたのぉぉ!!!わだじじゃないぃぃぃぃぃ!!!」 「お前だよ。ほれ、これからまた食べる」 おにいさんは、半分だけ食べ残したれいむを寄生したまりさの口に放り込みます。 「あわぁぉぉお!お!!おぉ!!!」 「おがぁあじゃぁああああん!!」 「れいむううううううううう!!!!」 リーダーとなった赤ゆっくり。他のゆっくりも含めて、ただ叫び声しか聞こえてきません。 「お仲間の味はうまいか?」 寄生まりさに残りのまんじゅうを押し込んで聴きます。 「おいじぐなんがないぃ!!ゆっぐりできなぁいいいいい!!ばびぶべぼおおおぉぉぉぉ!!」 ぶ ず り ぃ ょ ぉ ……びっ!ちゃぁ!! と生ゴミを捨てた様な擬音を発しながら、腕からずり堕ちました。 「仲間を食し、加えて仲間に裏切られる気分はどうだ?何もわるくないのにね」 「ゆっくりできないまりじゃはみんなでちゅぶしてねぇえええ!!!!」 「よぐもあぉぉぉぉりずををををををををっれいむををををを!!!!」 「なかまをかえじでぇえええええええじねえええええええええ!!!!」 「おがぁじゃぁあん!おかぁじゃぁああん!!おかぁじゃぁああん!!」 堕ちたまりさは、他のゆっくりたちに踏みつぶされて形が無くなっていきます。 「うぶぁぉ!ゆぅっ!げぇっ!!!びゃぁ!!!!………」 「永琳は毒を持って制しろと言った。お前らは毒だ。毒蟲め」 まるで魔女裁判の様にゆっくり達の集団ヒステリーのなか、おにいさんは、腕をさすりながら部屋を出て行きます。 傷跡もなく、元の状態に戻ったようです。 「ああ……」 と何処となくため息をついて更なる宴の準備をします。 ■■■治療/宴の始末■■■ 持ってきたのは大きな風呂敷でした。 ゴミが散乱した部屋では一部は残り物をあさり、一部はまだ虐殺を続けています。 「リーダー!」 と呼ぶと赤ゆっくりが頭の上に登ってきます。 「もっとゆっくりできる所につれていきますよ。みんなこの風呂敷の上に載せて下さい」 「ゆゆ♪わかっちゃよ!みんにゃ♪ここにゆっきゅりあつまってね♪」 子供でもリーダーとなればなかなかの統率力です。 残りのゆっくりはぞろぞろと広げた大風呂敷に乗っていきます。 そのまま引きずって行くなど、やさしいことはせずにそのまま包み込みます。 「ゆげぇ、せまいよぉお?!」 「つびゅれりゅーうううう!」 「おにいしゃん、みんにゃくるしがっちぇるよ。やめてあげてね!」 などと聞こえますが、無視して持っていきます。 ぎゃぁぎゃぁと騒ぐ風呂敷を担ぐ姿はサンタクロースのようです。 ですがまさしく、プレゼントとしておにいさんは出かけていました。 いつも収穫を卸している問屋に付くと準備はできていました。 「やぁ!待っていたよ!」 「遅れてしまいましたか?」 「大丈夫大丈夫!あっちに用意できてるから」 そこには大きな釜が用意され、既に薪で火が焚かれ水が茹でられていました。 釜は人間が風呂に出来るくらいの大釜です。 直ぐ側では問屋の若い衆が餅をついています。 「じゃぁこれが僕からのプレゼントです!」 と言いうと担いでいた風呂敷を渡します。 渡されたゆっくり達は次々に鍋に投げ込まれました。 「ゆー♪やっとついたのえええええええええええええ!!!」 「わー♪お空をとんびゃあああああああああああああ!!!」 「あじゅびいいいいい!!!どけるぅどげびゅううう!!!」 「ごごどごぉぉぉぉ!!どげじゃぶぅぅぅ!あづびぃ!!!」 「いやぁ、よかったよかったデザートが足りなかったからねぇ、連絡があってすぐ準備したよ」 「でも、クリスマスパーティーにお汁粉なんてよかったですか?」 「寒いしいいと思うよ?でもよく思いついたねぇ、ゆっくりでお汁粉だなんて」 「ええ、前にそういう事をした話をした文献を読みましてね」 「ま、酒でも飲みながらわいわいやろう!」 クリスマスの宴はこれからのようです。 ■■■終章■■■ 問屋さん達とのクリスマスパーティー翌日。 またもやうーうーうーと、うなるような音でおにいさんは目が覚めます。 昨日の酒が残っているのでしょうか? しかし髪の毛の仲で何かが動く感覚があります。 しかも自分の頭からその音が聞こえてくるではありませんか! 布団から跳ね起きてそっと触れます。 何かがうごいています。 「ゆぅーー」とくぐもった声を出しているのです。 おにいさんは恐る恐る鏡の前で髪をかき分けます。 頭になにかがついていました。 「ふぁぁぁ……」 涙を流しながら呼吸しています。 「ゆぅぅぅぅ……」 しゃべっています。 昨日忘れていた赤れいむ。おにいさんの頭でおうち宣言をし寄生まりさから奪った赤れいむのリーダーです。 おにいさんは昨日とは異なるおどろきのあまり声が出ませんでした。 頭皮と一体化しているそいつは、眠っており第五部ボスのスタンドのようです。 おにいさんはなにをしていいのかわかりませんでした。 了 あとがき 初めて書いたものです。人面瘡の人とでも名乗っておきます。 ゆっくりが人間に取り憑く話を思いついて、そのままドス化する話を思いついたのですが、ただの人面瘡のホラーになってしまいました。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/181.html
ゆっくり魔理沙はご満悦だった。 今までお友達のゆっくり霊夢たちと思う存分ゆっくりしていたからだ。 日があるうちはぽかぽかとしたお日様の下で草原を走り回り、蝶々を追いかけばったと一緒に飛び跳ねる。 お腹が空いたら蝶々やばったを食べたり花の蜜を吸ったりした。 夜はゆっくり霊夢たちの巣で、夜通しゆっくりとおしゃべりに興じたり、星を眺めて眠ったりした。 この数日間は、ゆっくり魔理沙にとって本当に幸せな日々だった。 もっとゆっくりできるといいなと思いながら、ゆっくり魔理沙は自分の巣に戻ることにした。 お友達のゆっくり霊夢たちは、もっとゆっくりしてほしそうだったが、たまには別のゆっくりをしたくなるのだ。 「ゆっくりしていってね!」 おおよそ四日ぶりに巣に戻るゆっくり魔理沙。 その巣は落雷で死んだ木の洞だ。 ゆっくり魔理沙一匹には広すぎるが、自分が気に入ったものを並べたりできるから、そこはまさに楽園だった。 巣の周りには緑鮮やかな木々が立ち並んでおり、草も豊富で色とりどりの花々が思い思いに咲き誇っている。 そばには川も流れていて、そこで暮らしている限りゆっくり出来ないことなどないと思える。 大勢でゆっくりするのもいいが、一人でゆっくりするのもまたいい。 ゆっくり魔理沙は久しぶりにするそれに、期待で目をぎらぎらさせながら飛び跳ねていた。 鼻息も荒く、興奮で頬ははちきれんばかりにふくらみ、いつも以上に赤らんでいる。 焼け焦げが目立つ折れた木が見えてきた。 そこには四匹のゆっくり魔理沙たちがいた。群れのようだ。みな微笑みながらゆっくりしている。じつに楽しそうだ。 同種のゆっくり同士には、基本的に縄張りの意識はない。 だから帰ってきたゆっくり魔理沙は元気よくその群れに飛び込み一声あげた。いつもどおりの鳴き声だ。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 次々と聞こえるそれはやまびこのようだった。 帰ってきたゆっくり魔理沙は手近なところにいた中くらいの、と言っても帰ってきたゆっくり魔理沙と同じくらいのゆっくり魔理沙にほお擦りをした。 「ゆぅ~」 「ゆゆゆ」 気持ちよさそうな声をあげて親愛の情を返す中ゆっくり魔理沙。 その様子を微笑ましそうに見ている群れの長だろう大ゆっくり魔理沙。これは帰ってきたゆっくり魔理沙よりも一回り大きい。 明らかに繁殖経験ゆっくりだ。きっと群れの仲間はこれの子供たちなのだろう。 しばらく五匹でゆっくりしていたが、小さな声が聞こえてきた。 「おかーさーん、ゆっくりしようね!」 「しよーしよー!」 「ゆーゆー!」 大きな木の洞から小さなゆっくり魔理沙が三匹でてきた。中ゆっくり魔理沙よりも一回り小さいそれらは、今まで眠っていたのか大きなあくびをしている。 「ゆゆっ!?」 帰ってきたゆっくり魔理沙は戸惑いの声をあげた。 今、小ゆっくり魔理沙たちが出てきた見覚えのある洞は、自分の巣ではないか? そんな疑問を抱いたゆっくり魔理沙をよそに、小ゆっくり魔理沙たちは大ゆっくり魔理沙に頬をこすられて気持ちよさそうにしている。 「ゆゆゆゆっ!?」 いぶかしげな顔をしながら、ゆっくりと巣に近づいて、中の様子を探るゆっくり魔理沙。 「ゆ゛っ!?」 中は酷い有様だった。ゆっくり魔理沙が集めた宝物の鳥の頭蓋骨は粉々に砕かれていてもはや白い残骸だ。 布団代わりに敷き詰めた草は半分以上がむさぼられていたし、後で食べようととっておいた桃はどこにもなく、代わりに食べかけのカボチャがでんと置かれていた。 なかでも一番嫌だったのが、巣の中から自分の臭いがまったくしないのに、それとは違うゆっくりの臭いがしていることだった。 急にゆっくり魔理沙の頭に餡子が上る。 その視線の先には飛び跳ねている小ゆっくり魔理沙の姿があった。 「ゆぅううーーーっ!」 跳躍し、小ゆっくり魔理沙の一匹に体当たりする。 「ゆぎゃっ!!」 吹っ飛ばされ転がる小ゆっくり魔理沙。 続いて他の小ゆっくり魔理沙を弾き飛ばそうとするが、それは出来なかった。中ゆっくり魔理沙が思い切り体当たりしてきたのだ。 「なにするのー!」 「ゆぐっ!」 家族を攻撃されて、こちらも頭に餡子が上った中ゆっくり魔理沙。威嚇なのか「ぷんぷん!」といいながら帽子のリボンをひときわ大きく広げている。 他の中ゆっくり魔理沙も無言でにじりよってくる。 弾かれた小ゆっくり魔理沙は、ほかの小ゆっくり魔理沙たちと一緒に、大ゆっくり魔理沙にすりよって慰められていた。 体勢を立て直したゆっくり魔理沙は、その場で勢いよく飛び跳ねて声高に訴える。 「ゆっゆっ!わるいのはそいつらだよっ!」 「わるくないよっ!まりさたちはいいものだよっ!!」 すぐさま言い返す中ゆっくり魔理沙。リボンはまだ大きい。 言い合いは続く。他の中ゆっくり魔理沙もそれに混じる。 「ゆぅ~、ここはまりさのおうちなのっ!ゆっくりしないでね!」 「なにいってるの?ここはまりさたちのおうちだよ!!!」 「ちーがーうーの~!まりさのおうちなの~~!いいからさっさとでてってね!!」 「いやだよ!ここはまりさたちがゆっくりするおうちだよ!!」 「ちがうもん!ちがうもん!!はやくでてけっ!」 地団太を踏むように小刻みに跳ね続け、顔を真っ赤に染めてゆっくりしないで叫ぶゆっくり魔理沙。 中ゆっくり魔理沙たちは、そんな様子を餡子が腐ったようなものを見る目でみつめている。 「ここはまりさたちがみつけたんだよ!」 「まりさたちのおうちだもん!ゆっくりしないでさっさとどっかいってね!!」 「はやくきえてね!まりさたちはゆっくりするから!」 「「「ばーかばーか!うそつきー!どっかいけ!!かえれー!!!」」」 ゆっくり魔理沙は三匹に立て続けに言われてとうとう怒ったのか思い切り飛び掛った。 「いいからさっさとでてくのーーー!」 体当たりされて転がる中ゆっくり魔理沙。それを見て勝ち誇るように鼻で笑うゆっくり魔理沙。 「なにするのーッ!!!」 「ゆ゛ッ」 同時に重い音とともに潰されるゆっくり魔理沙。大ゆっくり魔理沙が飛び乗ったのだ。 すぐさま中ゆっくり魔理沙のもとへと跳ねよる大ゆっくり魔理沙。だが中ゆっくり魔理沙は大丈夫だと言うように跳ねている。 そのままゆっくり魔理沙へと向かう。 「ゆ~~」 体を起こすと、ゆっくり魔理沙は中ゆっくり魔理沙に囲まれていた。いや中ゆっくり魔理沙だけではない、六匹の群れが全員でゆっくり魔理沙を取り囲んでいるのだ。 ゆっくり見渡したところ、逃げられるような余裕はなかった。とたんにきょろきょろと慌てるゆっくり魔理沙。 「ゆっゆっゆっ?」 なぜ囲まれているのかゆっくり魔理沙には理解できない。自分はただ、自分の巣でゆっくりしたかっただけなのだ。 「ゆー!」 べよん。 小ゆっくり魔理沙が体当たりする。少し痛かったが、すぐにしかえそうとするゆっくり魔理沙。 しかし逆側からも体当たりされる。 「ゆぅっ!!」 そちらを向く。 すると背中に衝撃が。 「ゆぐっ!?」 ほどなくゆっくりリンチが始まった。 大ゆっくり魔理沙がのっかり攻撃し思い切り飛び跳ねる。 まわりで中ゆっくり魔理沙は三方向から勢いよく体当たりをする。 その隙間からは小ゆっくり魔理沙が噛み付いているのが見える。 みんな思い思いの方法で、ゆっくり魔理沙に暴行を加えている。 ゆっくり魔理沙は最初こそ反抗的だったが、ものの数秒もしないうちに号泣し、命乞いの声をあげていた。 しかし群れの攻撃はやむどころか弱まる気配すらない。ぼこぼこぼこぼこといい音がしている。 それに混じる悲鳴や泣き声。なにかが飛び出る音。 「ゆっゆ゛っゆっゆ゛っゆっゆ゛っ!!!」 「いや゛っ!いや゛っ!よじでっ!びゅっ!」 「ぐるぢいよ!だぢでっ!やべでぇっ!!だぢでよおおお!!!」 「どお゛じでごん゛な゛ごどずる゛の゛ぉ゛お゛ぉ゛!?」 「い゛や゛ぁあ゛ぁぁぁ゛ぁ゛ぁあ゛ぁ゛ぁぁぁ」 「も゛う゛や゛め゛て゛ね゛っ゛!」 「い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛」 「ゆ゛っぐり゛じだい゛よ゛ぅ」 「ゆ゛……っぐり゛……ざぜ……でぇ……ぜっぜっ」 「……ッ!……ぅっ!!…………っ」 ぴくぴくと動くゆっくり魔理沙のようなもの。 それは涙と鼻水、よだれや泥で汚れきっており、餡子まみれで帽子もこれ以上ないほどによれて、ところどころに噛み跡が見える。 もはや虫の息でゆっくりとしているゆっくり魔理沙。 「ゆっ!」 仕上げとばかりに大ゆっくり魔理沙はそれに思い切り体当たりをする。 餡子を撒き散らしながら声もなく転げていくそれを追いかける三匹の中ゆっくり魔理沙たち。 それは近くの川岸でゆっくりと止まった。 その様子に明らかに不満顔で膨れていく三匹。顔を見合わせると、何かを決めたように頷く。 「「「ゆぅ~う~うぅ~っ!!!」」」 声を合わせて、三匹は汚れたゆっくり魔理沙を川に投げ入れてやった。 「「「ゆっくりしんでね!」」」 汚れたゆっくり魔理沙が川をゆっくりと流れていく様子を、げらげらげらげらという笑い声が見送っていた。 ぶくぶくと泡をだしながらゆっくりと薄れていく意識の中でゆっくり魔理沙は思った。 こんなことならゆっくり霊夢たちの巣でもっとゆっくりしてればよかった……と。 おわり。 著:Hey!胡乱 選択肢 投票 しあわせー! (3) それなりー (5) つぎにきたいするよ! (8) 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1119.html
突如大量発生したゆっくりによって人間の里が占拠されてしまった。 人間たちが持てる限りの食料を持って脱出した後の里では普段虐げられているゆっくりが我が物顔で闊歩していた。 里はゆっくりに陵辱されつつあった。 見張りをしているはずの紅白饅頭は勝利の余裕からか居眠りし、 巡回歩哨の黒大福は任務を果たさずに民家の棚と言う棚全てを漁っていた。 その油断が良くなかった。 突然、ゆっくりたちの体に響くゴロゴロゴロ…という重低音。 人間が里を取り返しに来たのだ。 「ゆっくりの奴ら、もう勝ったと思っているな。」 「そうらしい。では教育してやるか。」 突然現れた小さな家ほどもある鋼鉄の塊、TigerIを見上げて固まるゆっくりたち。 その後はお決まりのようにゆっくりがゆっくりしていけと挨拶をし、それが受け入れられないとでてけと言い、結果ゆっくりは吹き飛ばされた。 「目標 真ん中の饅頭ども!弾種榴弾! フォイア!」 アハト・アハトが咆哮をあげるたびに、何匹か、何十匹かのゆっくりが炭化水素と炭素の混合物へと変えられた。 正面以外には攻撃できないと考えた聡明な黒大福の指揮で数百匹のゆっくりが虎の側面に突撃したが、 何かが飛び出したかと思うと全てズタズタに切り刻まれた。 おそろしい鉄の棒は連続で爆発を起こせない事に気づいた紅白饅頭たちが砲撃の間隙を縫って虎の正面に突進したが、 矢張りというべきか、車体機銃で蜂の巣にされた。 里に戻った人間たちはカラメル焼きのような香りを感じ、そこらじゅうに転がった黒い塊を見た。 ゆっくりにとっての地獄が現出していたのだ。 WTMのヴィットマンタイガーを見てたらつい書いてしまった。設定ガン無視サーセン