約 593,080 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3712.html
『真冬のゆっくり対策 7』 早朝村にて 「おはようございます」 「なんだ、起きられたじゃないか」 「ええ。なんとか」 「そろそろ出発だ。おい!これで全員揃ったか?」 「多分これで全員ですよ」 「よし、さあ行くぞ。ここから結構あるからな。暗いから足元に気をつけろよ」 彼らは西にいるドス退治に出発した。虐待お兄ちゃんもそのメンバーに加わっている。 1時間後 「これで準備はいいわね。じゃあ行こうかしら」 彼女は軽トラを走らせた。途中まではこれで移動する。荷台には加工所特製の透明な箱が2つ、台車、シャベルが積まれていた。 そして彼女の頭には昨日とは別のれいむのリボンが結ばれていた。 「ここまでね…仕方ないわここから先は歩きましょう」 軽トラで行けるところまで行くと彼女は軽トラを降り荷台から台車を出しシャベルと2つの箱を乗せ山道を進んだ。 「結構きついわね…帰りが心配だわ…」 さらに1時間後洞窟にて 「ゆ!ゆ!ゆううう!!!!」 「やっとでられたね!!!ゆううう!!!さむいい!!」 「だいじょうぶだよ!!ちょっとさむいけどもこもこさんをきてるからだいじょうぶだよ!!」 数匹のゆっくりが綿を身に纏い洞窟から出た。 「お…おで…がい…」 「が…ん…ばっで…ね…」 巣の入り口では雪山をどかすために徹夜して疲れ果てたゆっくり、雪を食べすぎて破れて死んでいったゆっくりや腹の中で雪が解け ぶよぶよになったゆっくりが多数転がっていた。 「ありがとう!!みんなのおかげでそとにでられたよ!」 「みんなすのなかでゆっくりしててね!」 「「「「いってくるよ!!」」」」 数匹のゆっくりが洞窟を出発した。 「「「「いってらっしゃい!!!」」」」 「「いっで…だ…じゃ…いい」」 「むきゅ!このままじゃゆっくりできないわ!ゆっくりしないでこのこたちをすのなかへいれてあげて!」 「ゆっくりよ!ゆっくりはこぶのよ!」 「ゆーえす!ゆーえす!」 「ゆううう!!!!ばじゅりいいい!!!!」 ついさっき出発したゆっくりが引き返してきた。 「どうしたの?」 「おひさまがしずむところってどこなんだぜえ!!??」 「むきゅ!!!」 ぱちゅりーは唸った。太陽が沈む方向、すなわち西がどこだか分からないのだ。 「おひさまさんいまでてないよおお…」 「くらくてわからないよお…」 「む…むぎゅうううう…ぱ…ぱちぇにも…わ…わからないわ…」 いつもならしったかぶりをして適当な方角をさしていただろう。しかし今は群の存続がかかっている。流石に嘘をつくことはできなかった。 「「そ…そんなあ…」」 「…むうう……むぎゅううう……!!!そ…そうだわ!!」 ぱちゅりーは何か閃いた。 「あなたたち!2人1組になりなさい」 「ゆ?」 「ゆっくりしないでぺあをつくるよ!!」 4組のペアが作られた。 「あなたたちはあっちのほうがくね、あなたたちはこっちのほうがく、あなたたちはそっちをいって。あなたたちはむこうよ。」 4組を別々の方角に向かわせる作戦だ。 「さすがぱちゅりーだね!」 「こうすればだれかはどすにあえるね!!」 「むきゅ、でもきをつけてね!ずっとすすんでなにもなかったらひきかえしてね!」 「いってくるよ!」 「みんなのためにはしるよ!」 「どすをみつけてくるよ!」 4組のゆっくりは別々の道へ分かれていった。 さらにさらにそれから1時間後 「着いたわ…ハァ…ハァ…」 台車を押しながら彼女は昨日の洞窟のところまでたどり着いた。 「この穴は何?……ああ、予想通りね。ついさっきゆっくりが外に出たようね」 彼女は洞窟の入り口に向かった。 (やるわね…ここまで掘り進むなんて中々根性があるじゃない) 彼女はシャベルで雪山を崩した。そして黙って入り口に倒れこんでいるゆっくりを見つめていた。 「ゆふぅ…ゆふぅ…」 「ゆゆ!みたことないれいむがいるよ」 「れいむは…どこのれいむなの…」 「むきゅう…おおきいわね…」 「れいむはね、お日様が沈むところからやってきたんだよ」 彼女はそう答えた。 「おひさまがしずむところ!!」 「も…もしかして…どすの!!」 「れいむううう!!!!!どすはどこなんだぜええ!!!??」 お日様が沈むところから大きなれいむがやってきたと知り入り口に多くのゆっくりが走ってきた。 「ドスはね、今来れないんだ。だから代わりにれいむがやってきたんだよ」 「れいむは?まりさは?ありすは?ちぇんは?」 「もしかしてドスのところにきたゆっくり?」 「そ…そうだよ!どこにいるの?」 「ドスのところでゆっくりしてるよ」 「よ…よかったあああ!!!!」 「やったね!」 「これでゆっくりできるね!!」 「にんげんにふくしゅうできるんだぜええ!!!」 (昨日のことなのにもう忘れてるのかしら?こんなに簡単に騙せるとは思わなかったわ) 彼女はゆっくりに言った。 「今からみんなをドスのところに連れて行くわ。ドスが助けてあげるって」 「で…でもおそとはさむいよ…」 「れいむはにんしんしてるんだよ…とおいところまであるけないよ…」 「心配しないで」 彼女は透明な箱を2つ入り口に持ってきた。 「この中に入ってね。れいむがドスのところまで運んであげるよ」 「い…いいの?」 「任せて。ドスが用意してくれたのよ」 「みんな!!!!れいむがドスのところまで連れて行ってくれるって!!!!」 「「「「ありがとおおおお!!!」」」」 「さ、ゆっくりしないで。もうじき人間が来るわ。みんなを集めてちょうだい」 巣からゆっくりが飛び出した。昨日多くのゆっくりが死んだとはいえ百匹程のゆっくりが彼女の前に集まった。 「じゃあ大きい子から入れていくわよ。ちょっと狭くて苦しいかもしれないけど我慢してね」 「がまんするよ!!」 「まりさはじょうぶだからだいじょうぶだよ!!」 大きいゆっくりから箱の中へ入れられていった。次々とゆっくりが箱の中に入れられ最後に赤ゆっくりと雪を食べ過ぎて ぶよぶよになったゆっくりを入れて蓋をした。丁度2箱で納まった。 「あら…この箱は防音仕様なのね。声が聞こえなくなったわ」 彼女は箱を台車に乗せた。 「よいしょっと…ふう…こいつら重いわね…」 台車を押し山道を歩いた。 「…………」 「……………」 「……」 「何を話しているのかしら?どうせ碌なことじゃないでしょうけど」 数十分ほど歩き彼女は台車を止めた。 「少し休憩しましょうか…あ、そうだわ。ここなら大丈夫ね。…蓋もちゃんと閉まってるわ」 彼女は箱の前に立つと頭に着けていたリボンを解いた。 「(どすのところについたらゆっくりしようね)」 「(どすがいればにんげんなんかやっつけられるね)」 「(きっととかいはなどすよ。たのしみだわ)」 「(ゆ?とまったよ)」 「(きっとついたんだよ!)」 「(どすどこ?)」 「(あれ?れいむがまえにいるよ)」 「(れいむ!ゆっくりしないでどすにあわせてね)」 「(れい…む…?)」 「(あ…あれ?りぼんがとれちゃったよ)」 「(あ…あれは…)」 「(れ…れいむじゃないよ…)」 「「「「「(どぼじでにんげんがここにいるのおおおおお!!!!!)」」」」」 「「「「「(きのうのにんげんだあああ!!!!!なんでえええ!!!!)」」」」」 「「「「「(いやあああああ!!!!!!ごわいよおおおお!!!!)」」」」」 「「「「「(だじでええええ!!!!!ごごがらだぜえええええ!!!!)」」」」」 「一体何て言ってるのかしら?でもいいわ。顔を見れば分かるわ」 彼女の正体に気付いたゆっくりはみな絶望に満ちた顔をしていた。あるゆっくりは泣き出しあるゆっくりは気絶しあるゆっくりは箱から出ようと 体当たりをしたりジャンプをしている。 「無駄よ。無駄」 彼女はまた歩き出した。 「あらいけない。前を見ないで箱ばっか見てると転んじゃいそうだわ」 彼女は笑いながら軽トラを止めているところまで歩いていった。 −同時刻− 「ゆゆう…ここってにんげんがすんでるところだよね…」 まりさとれいむのペアが向かったのは東の方角だった。その方角には村があった。 「で…でもここをとっぱしたらどすにあえるかもしれないよ!」 「そうだね!にんげんにみつからないようにゆっくりあるくよ」 「ゆっくりぃ…ゆっくりぃ…」 2匹は慎重に歩き始めた。 「「そろーり…そろーり…」」 前言撤回。声に出して歩くただの馬鹿であった。 「うわ!なんだこの物体」 早速村人に見つかった。2匹は綿に包まれている。それを知らなければ丸い綿のようなものが歩いているように見える。 「何だよ…これは…あ!」 「これって…ゆっくりだよな」 あっさりと正体がばれてしまった。 「へぇ〜珍しい。冬なのにゆっくりだよ」 1人の男が2匹を捕まえ綿を外してしまった。 「ゆぴいいいい!!!!さぶいいいい!!!」 「はなしてね!!まりさはいまからどすのところにいくんだよ!!」 「じじいはなせえ!!!!ふくしゅうするんだあああ!!!」 「何言ってんだこいつ?」 「さあ?」 「どうしようかなあ…うるさいから潰しちゃうか」 「あ!ちょっと待ってください!」 別の男がやってきた。 「よかったらそのゆっくり、実験に使わせてくれませんか?」 「実験?」 「実際にこいつらを畑に向かわせてみましょうよ。俺の畑はもう壁も設置してますし」 「ああ…なるほど、そうだな。試してみよう」 「ちょっとこいつら持っててくれません?」 彼はまりさとれいむから帽子とリボンを奪った。 「まりさのおぼうしがあああ!!!!」 「おりぼんかえじでええええ!!!!ゆっくりできないよおお!!!!」 「ついてきて下さい」 彼らは少し歩いた。数分歩いたところで止まった。 「ここからあの畑が見えますか?」 「ええ」 「あの木は?」 「見えますよ」 「そうですか。じゃあここから始めましょう。ちょっと待っててください」 まりさとれいむの飾りを手にした男は自分の畑に向かった。 「ああ、君ちょっといいかな」 村人とすれ違った。 「村の皆を集めてくれないかな?全員でなくていい。数人ぐらいでいいよ」 「今すぐにですか?」 「できれば。今からちょっと実験するから」 「わかりました」 彼は畑に着くとどこからかピアノ線を持ってきて帽子とリボンを木に吊るした。 「よし、これでいいか」 彼はさっきのところまで戻った。彼が戻る頃には数人の村人が集まっていた。 「おい…何でゆっくりがいるんだよ…」 「復讐してやるって言ってるぞ。何があったんだ?」 「お待たせしました。その2匹俺に渡してください」 彼は男からまりさとれいむを受け取ると2匹を畑を見せた。 「おい、あの畑が見えるか?」 「ぼうじがえじでよおおお!!!!!!ばりざのおぼうじいいいい!!!!」 「りぼんがああ!!!!りぼんがないとゆっくりできなよおおお!!!!!」 「うるさい!!てめえらの飾りはあっちに吊るしてあるだろ。見てみろ!」 すると2匹は泣き止んだ。 「ほ…ほんとだ!!おぼうしさんがあるよ!!」 「お…おじさん!!れいむにりぼんかえしてね!!」 「今からお前らが取りに行くんだよ。そうだな、取り返せたら甘い果物をあげよう」 彼は2匹を地面に置いた。 「ゆっくりしないでおぼうしさんをとりかえすよ!!」 「おりぼんさんまっててね!!」 2匹は畑へ走っていった。 「おーい!お前らドスのところに行くんじゃなかったのか?」 村の誰かがそう言った。 「ゆゆ!!そうだよまりさ!!ゆっくりしないでどすのところにいこうよ!!」 「で…でも…おぼうしさんがないと…まりさのことをまりさだってどすにわかってもらえないよ…だから…」 (*1))) 2匹は畑を目指した。だが 「ゆ?」 「はたけさんがなくなっちゃよ!」 「このあかいのはなあに?」 「はたけさんどこおお!!!」 「「ゆええぇえぇん!!!!」」 レンガの壁のせいで畑がどこにあるのか分からなくなってしまったようだ。 「おい、ここだここ。この中にお前らの帽子とリボンがあるぞ」 見かねた男が飾りを吊るしてある畑を教えた。 「ゆっくりしないでなかにはいるよ!!」 「おりぼんさんまっててね!」 2匹は走りだした。 「「ゆ…ゆあああああああ!!!!!」」 まりさとれいむは畑の前の堀に落っこちた。 「「「アッハッハッハ!!!!」」」 見ていた村人達は大笑いだった。 「ストレートに落ちていきましたよ」 「こいつは傑作だ」 「だじでええ…ここがらだじでよおお…」 「どぼじでごんなどごろにあながあいでるのおおお!!!」 幸い堀に水が入っていなかったため2匹は生きていた。もし水が入っていたらそこで終わっていただろう。 「ほれ、出してやるよ」 畑の持ち主である男は2匹を堀から取り出し地面に置いた。 「まずは堀をクリアですね」 「ちょっと俺疑問だったんですけど…壁の高さはアレくらいでいいんですかね?」 1人の村人が隣にいた男に話しかけた 「大丈夫だと思うよ。まあ見てなって」 まりさとれいむは壁に体当たりをしていた。 「ゆ!かべさん!!ゆっくりしないでまりさをなかにいれてね!!」 「あかいかべさん!!!れいむをなかにいれてね!!」 しかしレンガの壁はびくともしない。 「ゆっくりできないかべさんなんかこうだ!!」 「ゆっくりしないでこわれてね!!!」 ゆっくり程度の力では壁を壊すことなどできるはずがない。 「「ゆえぇええん!!!かべさんこわれてよおおお!!!」」 ここで男が2匹に話しかけた。 「壊れないんだったら飛び越えればいいじゃないか」 「ゆ!そうだよ!!まりさはたかくとべるんだよ!!」 「ぴょん!ぴょん!!!ゆうううう…」 「たがずぎでとどがないよおおおお!!!」 さらに男が助言をする。 「おい、高く飛びたいんだったら助走つけりゃいいだろ」 「ゆ!そうだね!」 「ゆんしょ!ゆんしょ……ゆ!…ゆあああああ!!!!」 「「「「「アハハハハハハハ!!!!」」」」」 まりさは助走をつけようと壁から離れたが自分の後ろにあった堀の存在を忘れ、また堀に落ちてしまった。村人たちはまた大爆笑だった。 「こいつはいい。下手なお笑い芸人より面白いぞ」 「なるほど。こういうわけですか」 「俺達だって助走無しじゃあまり高くは飛べないぞ」 「ま…まりさあああ!!!!だいじょうぶ!!!??」 れいむは地上からまりさに呼びかけた。 「お…おじさん!!まりさをたすげであげでえええ!!!!」 「へいへい。まだまだ死んでもらうわけにはいかないんだよな」 男はまりさを堀から拾い壁の前に置いた。 「ちょっと待ってな」 彼は畑の中へ入り裏からレンガを抜いた。 「ゆ!あながあいたよ!!」 「ここからはたけさんにはいれるよ!」 2匹は穴に飛び込んだがあまり大きい穴ではない。れいむはギリギリ中に入ることができたがまりさは大きすぎて入れなかった。 「れ…れいむう…まりさには…ちいさくてはいれないよ…」 「だいじょうぶだよ!れいむがぼうしもとってくるよ!まりさはそこでまっててね!」 れいむは畑に生えている木の前まで歩いた。 「おぼうしさんとおりぼんさんだよ!!れいむがたすけてあげるからまっててね!」 れいむは飛び跳ねたが帽子とリボンには届かなかった。 「ゆううう!!!!ゆっくりしないでれいむにとどいてね!!」 れいむはひたすらジャンプし続けた。 一方彼は畑を出て老人と話していた。 「あ、おじいさん。例のものなんですが…」 「ああ。ほれ。これくらいで充分だろ」 「ありがとうございます」 彼は老人から丸い実を数個貰った。この実がドクウヅキの実である。 「おーい、まりさ。腹が減っただろ。これでも食え」 彼はドクウヅキの実をまりさの前に投げた。 「あれが…」 「確かに見た目は美味しそうだ」 「まあ見てみましょうよ」 初めてみるドクウヅキの実に村人達はざわめいた。 「お…おいしそうだよ…むーしゃむーしゃ…しあわせぇ♪」 まりさは実を美味しそうに食べていった。 「まだ?」 「ゆっくりには効果無い?」 村人達がまりさを見つめた。数分後… 「ゆ…なんだ…ぎゃああああ!!!!」 まりさが叫んだ。 「いだいいいい!!!!!おなががいだいよおおおお!!!!!ぎゅびぇえええええええええ!!!!!!」 まりさは苦しみだし餡子を大量に吐き出してしまった。 「これは凄い」 「これ程とは」 「死んだんですかね?」 男がまりさに近づく。 「ぐるじい……よ……ゆうう……ぅぅぅ…」 「いや…まだ息がありますよ。微かにですけど。もうじき死にますよ」 「効果ありますね」 「昔これ食って子供が死んだって話聞いたことあるよ」 「言っておかないと子供は食べちゃうな。美味しそうだもん」 一方畑ではれいむが必死に帽子とリボンに飛びついていた。 「とどいてよおおおおお!!!!!ゆっくりできないよおおお!!!!!」 ついに泣き出してしまった。 「まあ…実験は終わったな。もういいだろう…。ほれ返してやるよ」 帽子とリボンが地面に落とされた。 「れいむのりぼんさああん!!!よがっだよおお!!!!」 れいむはリボンと帽子を咥えると穴から出て行った。 「まりさあああ!!!!ぼうしとりかえしたよ!!!まり…さ…?」 れいむの前には瀕死のまりさがいた。 「ま…まりさあああ!!!!どうじだのお!!??じっがりじでええええ!!!!」 「で…で……い…ぶ…」 「だめだよおおお!!!!あんこはいちゃったらゆっぐりできないよおおお!!!」 「むううううう………」 れいむの前にドクウヅキの実が投げられた。 「おいれいむ。お前も腹が減っただろう。これ食えよ」 「ゆ…おいしそうだよ…」 れいむは実を食べた。 「むーしゃむーしゃ…あまああい♪」 れいむはいくつか食べると残りをまりさの口に入れた。 「まりさ!まりさ!これおいしいよ!これたべたらきっとよくなるよ!」 一瞬まりさの目が見開いた。そんなまりさ見て村人達は笑いを必死にこらえていた。 「ふ…ふ…ふ…」 「へ…っへ…」 「ゆ…ゆ…へ…んだよ…なに……!!!ゆぎゃあああああ!!!!!」 れいむも苦しみだし餡子を吐き出した。 「ゆぎぇええええ!!!!ぐるじいいいい!!!!!ぎゅええええええ!!!!!」 「で…い…ぶう……びゅううううううう!!!!」 まりさも更に餡子を吐き出した。 「「「アハハハハ!!!」」」 「それ食ってそうなったんだっつうの!」 村人達は大笑いをした。 「とりあえず実験は成功しましたね」 「ええ。これで大丈夫そうですね」 「じゃあ作業に戻りましょう」 村人達は自分達の仕事に戻っていった。 「このゆっくりは…肥料にするか」 2匹は男に畑に運ばれ鍬で潰されてしまった。 「ゆうう!!!!ゆううう!!!」 「はしるよ!」 「どすはどこなの?いたらへんじをしてね!!」 「みんな!ぜったいどすをみつけてみせるよ!!」 「どすううううう!!!!!どこなんだぜえええ!!!!」 「つかれたよ…でもはしるよ!!!!みんながまってるもん!!!」 走り続ける3組のゆっくりペア。果たしてドスに会うことができるのであろうか? つづく by 虐待おにいちゃん このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/1043.html
I県にUFOが墜落したがその乗組員はなんとゆっくりだったとの目撃情報を得た そのゆっくりは丸耳のネズミのようなシルエットをしていたという 墜落現場は熊雄持参という男性が管理する山の中との事だ 葉加瀬博士は早速愛車をかっ飛ばした 「熊雄氏は気難しい男のようじゃが。これは行ってみるしかあるまい」 助手席に座っているのは助手のジョシュ君だ 「グリズリーのような大男で、通称熊おじさんとよばれているそうデスね」 「笑ったところを誰も見たことが無いらしいの。ま、あたって砕けろじゃ」 「しかしネズミのゆっくりデスか・・・お隣の夢の国から脱走したアレを目撃したのでは?」 「ばばば馬鹿な事言っちゃいかんよジョシュ君!滅多な事いうと訴訟されたあげくゆっくりの各種権利を丸ごとガッポリ持って行かれるぞ!」 「HAHAHA!」 「いやいや笑い事じゃないのよ!?」 「そこを右デース」 「しかしあれじゃな、ユーフォーはゆっくりの乗り物ではないかと前々から思っておったぞい ユーフォーは正式名がアンノウンなんたらというそうだがそれはA国の情報操作による表向きの発表で、 ユーフォーのユーはゆっくりのゆーというのが真実じゃないかとわしゃ睨んどるんだ」 「YUKKURIならYFOになるはずデスが?」 「・・・そうともユー」 目的地へは静かにたどり着いた 「帰ってくれ」 「開口一番にこれだよw」 「ほんとデスネw」 猟銃を鼻先に突きつけられてコンビは手を上げた。そう言えば猟師だと聞いていた ログハウスの壁に鹿や何かの獣の首の剥製が並んで生えているのが玄関越しで見える 猟師は仕留めた獣に負けず劣らず髭もじゃで毛むくじゃらでジャイアントだった 「私たちはUFOに乗ったゆっくりの現場を見に来ただけなのデス。怪しいものじゃありまセーン」 「そうなのじゃ。それに少しお話を聞きたくての。なんならゆっくりの事でお困りの事とかあれば相談に乗ってもよいぞ」 無言で銃をぶっ放す 背後で木の枝が落ちた 「何も困っていない。帰ってくれ」 「こりゃかなわん!」 「退散デース!」 珍妙な2人組が慌てて逃走したのを見計らい熊雄は壁に声をかけた 「もう出て来ていいぞ」 壁の剥製が揺れてゆっくりが飛び出した 男やもめの小屋にそれ以上の身を隠す場所は無かった 「意外と分からないものだな」 「おなじなまくびでチュー」 ネズミのゆっくりは笑ったがすぐにしょげる 「やはりごめいわくでチュー。このまえもブンヤがおしかけてきたでチュー」 「・・・気にするな。今までが静か過ぎただけだ」 熊雄は椅子を引き寄せゆっくりに話を促した 「それよりもお前の話の続きを聞かせてくれ。俺の知らない宇宙の話を」 「ゆ!ではゆっくりきいてね!でチュー!」 大きなイノシシを仕留めた I県にイノシシがいるかどうかは知らないが、もしいなければ紛れ込んできたんでしょ とにかく今日はイノシシ鍋だ 「ゆっくりおかえりなさいでチュー!」 ゆっくりが出迎える光景は熊雄の日常の一部になっていた 「ああ。変な奴は来なかったか?」 「あのふたりのあとはゆっくりこなくなったでチュー」 「そうか」 ゆっくりが目撃されて以来にわかに騒がしくなった山は再び静けさを取り戻していた 「そういえば、お前の乗りものの修理はどんな調子だ?」 「ゆ、ゆっくりぜっさんなおしているさいチューでチュが、だ、だいぶじかんがかかりそうでチュ」 尋ねられてネズミのシルエットがビクリと震えた 「それは本当か」 「ゆ!?べ、べつにつくるのをわざとおくらせてるわけじゃ・・・」 「・・・長居されるなら、お前用の部屋をつくってやらにゃいかんな」 「ゆ!?」 「ゆっくりいるんだろう?」 そう言って口を歪めた 「・・・あれが出来たら追い出されると思ったか?」 「くまおじさんってば、ゆっくりおどろかさないでほしいでチュー」 ゆっくり体当たりするが猟師はびくともしない 熊おじさんとゆっくりは楽しそうに笑った 「ふむ、いい顔をしよるわい。何が誰も笑う所を見たことが無いじゃ ゆっくりには陰気な人間を陽気にさせる力、つまりゆっくりさせる力があるのではないかと常々わしは考えておった その証明を確認できたわけじゃから、直接逢えずとも来て正解だったのじゃよ。わかるかねジョシュ君」 「覗きは犯罪だという事はわかりマース」 「やめて通報しないでいますぐ下りますから」 「HAHAHA!」 葉加瀬がログハウスの見える木の上から慌てて下りてくる 手には双眼鏡。この犯罪者! 「犯罪者じゃないもん。博士だもん」 「シカーシ、なんであんな事をしたんデスカ?」 「ふむ。ああ言った手前、何もせん訳にはいかんだろうて」 「何かいいましたっケ?この犯罪者」 「犯罪者じゃないもん!ゆっくりの事で困ったら相談に乗っちゃるって言ったんだもん!」 「HAHAHA!」 熊おじさんとゆっくりは新聞や週刊誌なんか読まないから 2人組が山中で見つけた某ネズミ国の風船がゆっくりの正体だった話、知りはしないのだ 「それにしてもお前、何かに似てるな」 「ばばばばかなこといわないでね!めったなこというとそしょーされたあげくゆっくりのかくしゅけんえきをどさくさまぎれにもってかれるでチュー!」 「・・・自覚はあるのか」 どこ行ってもナズリンのネタはコレかよwww -- 名無しさん (2009-04-10 02 36 59) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2978.html
2008年、夏、東京。 俺はカメラ片手に繁華街をうろついていた。 幼女を盗撮しようとかそういうワケではない。 ターゲットはゆっくりだ。 最近発見された、生きる饅頭。 日本では大量に見つけることができるが、海外にはほとんどいない。 台湾やアメリカの一部の州ではゆっくりの生息が確認されたそうだが、ほぼゼロだ。 そのふてぶてしい顔、そしてその不思議な生態は日本だけでなく世界の注目を浴びている。 なんでも去年、日本に訪れた観光客が例年の3倍近く増えたという。 ゆっくりバブルと、世間は騒ぎたてていた。 俺はそこに目をつけた。 海外で放送されているゆっくりのドキュメンタリーは、ほとんどが田舎が舞台になっている。 元気いっぱいに跳ね回り、力いっぱい「ゆっくりしていってね」と発声する。 そんなハツラツとしたゆっくり達ばかりが主役だ。 だから俺はあえて、都会に住む、みすぼらしいゴミクズのようなゆっくり達にスポットライトを当てようと思った。 時代はインターネット。 世界はつながっているのだ。 既にブログは開設済み。 英語の読み書きだけは得意だったので、日本語ページと英語ページが用意されている。 あとはyoutubeにメインとなるゆっくりの動画をアップするだけ。 ブログは主に、動画の制作に関する話題や、日本にゆっくりを見に観光する際のお勧め情報を載せるつもりだ。 アフィうめぇと言える日を夢見て、俺は早朝の繁華街を歩いていた。 「おっ、第一ゆっくり発見」 建物と建物の間に、1匹のゆっくりがいた。 飲食店が多い繁華街なのですぐに見つかるとは思っていたが、こんなにすぐ見つかるとは。 こんなウジムシのごとくブリブリ湧いてるモノを見に、わざわざ日本にやってくる外人がいるとは驚きである。 「ゆっ・・・!」 さっそく、カメラを録画モードにする。 ドキュメンタリーのつもりなので、あとで編集はする。 流れとしては、日本語で喋る俺の声はそのままに、画面下のほうに英語の字幕をつけるつもりだ。 「まりさ種発見です」 まりさは膨れて威嚇はしないものの、、ぶつぶつと喋る俺に警戒をしているようだ。 「 ゆゆ・・・ゆっくり・・・」 田舎に住むゆっくりのように、嬉しそうに挨拶はしてこない。 それが都会に住むゆっくりの特徴だ。 「それでは挨拶をしてみましょう。ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっ、ゆっくり・・・ゆっくりしていってね・・・・」 ゆっくりとは思えない挨拶と媚びるような笑顔。 恐怖に脅える顔が透けて見える。 本心から発した言葉ではないのだろう。 だが、俺にはそんなことどうでもいい。 都会に住むゆっくりの典型的な例なので、撮影に協力してもらおう。 俺はズカズカと、まりさの方へ歩いて行く。 「ゆっ!ゆっくりこないでね!」 そう言いつつ、逃げようとはしない。 何かあるのだ。 ゆっくりが身を挺して守るものなど、赤子くらいなもの。 まりさの頭上から奥を除くと、ダンボールの中にソフトボールほどの子ゆっくりが4匹ほど眠っていた。 アタリを引いたようだ。 「やあ、まりさ。ちょっとお話があるんだ」 俺はまりさに撮影の話をした。 都会のカラスと同じで、都会のゆっくりは田舎のゆっくりに比べて知能が高いことが多い。 このまりさも普通のゆっくりよりも若干賢かった。 説明はすぐに終わり、撮影の許可をいただくことができた。 「じゃあ、これからまりさの生活を見せてもらうよ。よろしくね」 「ゆっくりりかいしたよ!」 許可してもらったのは、まりさの行動をすぐ後ろで撮影させてもらうこと。 そして、まりさはカメラを意識しないで普段通りに生活してもらうこと。 報酬としてエサをやるといったら、すぐに了解してくれた。 ただ、野良ゆっくりにエサをやるのはマナー違反である。 なので撮影が終了したら黙って帰ろうと思う。 「そうだな、それじゃちょっとまりさの体を見せてくれるかな」 「ゆっ。ゆっくりながめてね」 狭い場所なので、くるくる回って撮影ができなかった。 しょうがないので、まりさを近くにあった板に乗せて回転させる。 本当に、汚いまりさだった。 最初に感じたのは、顔の皮の色だ。 全体的に茶色に染まり、擦り傷がアチコチに見られる。 試しに触ってみると、油汚れのようなネットリとした不気味な粘着を感じた。 底部は硬かった。 連日、コンクリートを這っているため、タコのようになっているのだろうか。 髪の毛はボサボサで、ところどころにゴミや木の枝などが巻き込まれていた。 後頭部の髪には、噛んだガムがねっちょりとこびり付いていた。 しかもひとつだけでなく、いくつもついていたため、後頭部はガムまみれ。 「にんげんさんがむりやりつけたんだよぉ・・・!ま、まりざはっ!まりざはやべでっでいっだのにぃいぃぃ」 と、泣きだす場面もあった。 帽子も変な形をしていた。 トンガリ帽子のはずなのに、べっこりと潰れてプリンのような形をしていた。 また、帽子に巻かれているはずの白いリボンはなかった。 まりさ曰く、ガムをつけてくれたお兄さんに目の前で焼かれたらしい。 あらかた撮影したので、まりさを板からおろした。 「じゃあ俺は撮影してるから、まりさは普段通りに過ごしてくれよ」 「ゆっくりするよ」 まりさは子供達の眠るダンボールに向かっていった。 俺もすぐに後を追う。 「おちびちゃんたち・・・きょうもゆっくりできるといいね」 子ゆっくりは笑顔で眠っていた。 体は親同様、汚く着色されているのでお世辞にも可愛いとは言えないが。 まりさ種が3匹と、れいむ種が1匹。 よくある組み合わせだ。 「もう1匹、親のゆっくり霊夢はどこにいるんだ?」 「ゆぐっ・・・!」 今にも泣きだしそうな顔。 それをグッとこらえる仕草をしながらまりさは言った。 「れ、れいむはっ!まりざのぜいでじんじゃっだんだよ・・・・」 「ほー。それはなぜ?」 「へんなおにいざんが・・・!まりざのれいむをぉお!!!ゆぅうぅぅぅぅうっ!!!」 そのまま、まりさは泣き崩れてしまった。 勝手な推測だが、きっと悪い人間にれいむは殺されたのだろう。 まりさを逃がすために囮になったのか、それとも単にグズだったのかは分からないが。 「ゆっくり虐待かー・・・」 以前、youtubeにゆっくりアリスの虐待画像をアップした人間がいた。 グチャボロになりながらも、必死で生きようとするありすの姿が記憶に新しい。 アップロード者は、そのまま動物愛護法でしょっぴかれてしまったのだが。 「ま、ドキュメンタリーなら大丈夫だろ」 俺はカメラを子ゆっくりに向け、その薄汚い笑顔をアップで撮った。 日が高く上った頃、ようやく子ゆっくりが目を覚ました。 「ゆっくりさせてね!」 「れいむはおにいさんとゆっくりしたいな」 「まりさ、すごくゆっくりしてるよ」 「すりすりしてあげるね!」 と、俺の存在に気がつくとすぐに話しかけてきた。 意外と人懐っこい・・・というよりは媚びるのが得意のようだ。 1匹の子まりさがすりすりをして媚を売ろうとしてきたが、汚い皮ですりすりされても嬉しくない。 ウニクロで買った俺の服が汚れてしまう。 早々に親まりさに説明をさせた。 「ゆぅー・・・」 「れいむはひとりでゆっくりするよ」 「ゆっくり・・・」 「すりすりしてあげないよ」 すぐにエサをくれない人間だと理解したようで、俺への関心を失ったらしい。 単純で良い。 「ゆっ!それじゃあみんな。かりにいくよ」 「ゆー!」 「ゆっくりするよ!」 「ゆっくりしたい!」 「がんばってゆっくりしようね!」 親まりさの掛け声に、4匹の子ゆっくりが嬉しそうに応える。 狩り。 いったい、都会のど真ん中でどのようなことをするのだろうか。 ピョンピョコと跳ねる5匹の後を、カメラ片手に俺は足を進めた。 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 やってきたのは、すぐ手前にあったコンビニ。 狩りではなく乞食であった。 コンビニの外に置いてあるゴミ箱に隠れて、店に入る客に声かけをするだけだ。 みじめである。 乞食慣れしているのか、声も大きい。 「おじさん!まりさとかわいいおちびちゃんたちに、ゆっくりできるものをちょうだいね!」 コンビニから出てきた腰を曲げた老人に、親まりさは声をかけた。 「おじいさん!ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしたいよ!おいしいごはんをちょうだいね!」 「ごはんたべたいよ!おねがいだよ!」 「れいむ、おじさんとごはんたべたいよ!」 「まりさにはいらないから、こどもたちだけでもゆっくりさせてね!」 親まりさが最後にそう言うと、子ゆっくり達は親まりさにすり寄り、「おかあさんもいっしょにゆっくりしたいよぉー」などと言うのであった。 演技派のようだ。 その老人は5匹に近寄り、とても外見からは想像もできないような回し蹴りを親まりさに放った。 「ゆぼげっへぇっ!!」 駐車場を転がっていく親まりさ。 老人は、それを呆然と見ている子ゆっくりにツバを吐きつけると、そのまま帰って行った。 「なんというモラルの低下。高齢化した結果がこれだよ!」 少し遠くから、俺はその様子を撮影していた。 まりさの帽子にはマイクが仕込んであるので音声もバッチリだ。 親まりさは派手な転がり方のワリに、意外とすんなり立ち上がった。 それどころか、レンズ越しに映る親まりさの体に特にキズは見当たらなかった。 その後も親まりさと子ゆっくりは、コンビニ前で乞食を続けていた。 お昼頃になると、その存在に気がついた店員に箒で追い出されてしまったが。 「ゆぅ・・・このままじゃゆっくりできないよぉ・・・」 「おなかずいだよぉぉお!!!ゆっぐりじだいのぉおお!!!」 「れいむはやくゆっくりしたい・・」 「もううごけないよおおお!!!」 「まりざおながずいだのにぃぃい!!!」 繁華街の中心を、貧相な一家が彷徨っている。 道行く人々は、視界に入らないよう歩いているようだ。 ずりずりと這う親ゆっくりが、あるものに気がついた。 「ゆ!これはゆっくりできるものだよ!!」 なんだろうと思っていると、親まりさは地面に顔を近づけた。 「これはあまあまだよ!ゆっくりできるんだよ!」 その笑顔といったら。 あれほど明るい笑顔を、あんなもので・・・。 「うわぁ・・・」 思わず声がこぼれた。 「ゆゅー?それなあに?」 「ゆっくりできる?」 「はやくたべたいよ!」 「ゆっくりちょうだいね!」 それは、道にこびりついていたガム。 誰かが吐き捨てたであろうガム。 多少硬くなっているようだが、親まりさの髪についているものほど硬化してはいないようだ。 親まりさはそれをくわえ、必死でひっぱっている。 哀れすぎて何も言えない。 「ゆゆっ!!とれたよ!!」 勢いあまって後ろに倒れこんだ親まりさ。 その口には、不衛生極まりないガムが。 「それじゃあおちびちゃんたち、ゆっくりたべてね!」 周囲の冷たい視線など、まるで無いかのように微笑む。 ただ、人の目があるのでおいそれとゆっくりを殺すワケにもいかない。 もしや、それを理解しているのだろうか。 「ゆー!あまあましあわせー!」 最初に食べさせてもらったのは、子れいむだった。 正直、見てて凄く気分が悪い。 誰が噛んだかも分らんガムを、よくもまああんなに嬉しそうに食べられるものだ。 「ゆ!まりさもたべたい!」 「れいむばっかりずるいよ!」 「まりさも!まりさも!」 「れいむ、そろそろこっちのおちびちゃんにもあげてね」 子れいむは聞き分けの良い子供だったらしく、ペッとガムを吐き出した。 すぐに別の子まりさがガムを口に含む。 「ゆー!まりさもあまあまー・・・・・・?」 顔にハテナマークをつける子まりさ。 「ぜんぜんあまぐないよぉおおおっ!!どぼじでなのぉおお!!?」 そりゃそうだ。 ただでさえ誰かが噛んで甘さが無くなっているのだ。 子れいむが噛んだことで、もはやただのグニュグニュしたものになってしまっているだろう。 「れいむがまりざのあまあまをどっだんだぁあああっ!!」 怒りの矛先は子れいむへ向いた。 猛烈な勢いで、子れいむに跳ね寄る子まりさ。 しかし、それは親まりさによって防がれてしまう。 「れいむになにをずるのぉおお!?だいぜづなしまいでじょおぉお!!?」 ボインっと膨れ、子まりさはそのまま吹き飛ばされてしまった。 ケガはしていないようだが、親まりさに弾かれたことが悔しいのか悲しいのか、起きあがろうとはしなかった。 「まりざもおぉお!!まいじゃもあまあまたべぢゃいのにぃいいっ!!!おぎゃーざんのばかぁああっ!!!」 子まりさの醜い声が繁華街に響き渡る。 「うるせーぞ糞饅頭が!」 すると、目の前の店から一人の男が現れた。 どうやら店員らしい。 「ゆゆ!みんなにげるよ!!おちびちゃんもゆっくりにげてね!」 おちびちゃん、泣き叫んでいた子まりさを呼ぶ親まりさ。 だが親の心なんとやら、子まりさはそれを拒む。 「や゙ぢゃよぉお゙ぉ゙お!!まりざのあ゙まあま゙っ!!ばりじゃのあ゙ま゙あま゙がえじでよぉぉぉおっ!!!」 「ゆぅうううっ!!!みんな、あのこはゆっくりできないこだよ!!いそいでにげるよ!!」 子まりさがあまあまを諦めるよりも、親まりさの見捨てる決断のほうが早かった。 親まりさと子ゆっくり3匹は、瞬く間に逃げて行った。 「ゆっ・・・!?おかあしゃ・・・!?ど、どぼじで・・・!」 茫然自失。 涙も止まり、声も止む。 それに満足したのか、店の男は戻って行った。 残されたのは、親に見捨てられた子まりさ1匹。 もう死ぬしかないだろう。 俺もそれに見切りをつけ、逃げた4匹を追った。 「あ゙ぁぁあ゙ああぁ゙ぁああぁ゙ああぁ゙ああぁぁぁ!!!ばりざのごどぼがあぁああっ!!!」 小さな公園で、親まりさがボロボロと泣き崩れていた。 「おかあさん、ゆっくりしてね・・・?」 「そうだよ、まりさたちがいるよ!いっしょにゆっくりしようね」 「あのこのぶんもゆっくりしようね」 それを3匹の子ゆっくりが慰めていた。 「おかあさんにすりすりするよ!」 「すりすりでゆっくりしてね!」 「すーりすーり♪」 そして始まるすりすり。 目糞に鼻糞を擦り付けているようなおぞましい光景だ。 「ゆっ・・・!みんな、いっしょにゆっくりしようね!あのこのぶんもゆっくりしようね!」 時計の針が午後3時も回った頃、ようやく親まりさは立ち直った。 「きょうはおうちにあるごはんでがまんしようね!かりはあしたやろうね!」 今日の狩りは終了したらしい。 何も得るものがない狩り。 逆に子まりさがいなくなって、何が狩りなのか。 「狩られ」だと思う。 そんなことを考えているうちに、4匹は帰路についていた。 「どぼじでごはんがないのぉぉぉおおっ!!!?」 帰って来た4匹を待っていたのは、残酷な現実だった。 「ごごにごはんがあっだのにぃいいい!!」 ここ、といって覗いているのは空のビール瓶のケース。 もともと黄色い色のケースだったようだが、色褪せてクリーム色になっていた。 キリンのビールケースだ。 子ゆっくり達は、すでに腹が減って喋る気力もないらしい。 マイクは親まりさの嘆きだけを記録していた。 「ゆっ・・・!でもおにいさんがごはんをくれるよ!きょうはゆっくりできるはずだね!」 それに気がつき、声が喜色に染まった。 体をふりふりさせながら、俺がエサを持って帰ってくるのを待っている。 「よし、今日の取材はここまでにするか」 youtubeにアップロードするのが目的なので、あまり長々としたものにするつもりはない。 せいぜい10分、長くても15分に収めるつもりだ。 なので、これ以上この一家の相手をするつもりはなかった。 「あとは編集して・・・、あれして・・・これして・・・・」 ぶつぶつと呟きながら、俺は親まりさに近づいた。 「よ、まりさ」 「おにいさん!やくそくのごはんをちょうだいね!」 「ごはんちょうだいね!」 「れいむにごはんちょうだい!」 「まりさにおいしいごはんをちょうだいね!!」 俺の姿を見ると、子ゆっくり達も気力を振り絞って声をかけてきた。 だが、相手をするつもりはない。 「マイク返してね」 帽子に仕込んだマイクを取り返す。 そして、そのまま背を向ける。 「ごっ・・・!?ごはんはっ!?まりさたちにごはん!」 なんだか生ゴミが騒いでいるが、気にしない。 蹴飛ばすのも嫌だったので、俺は全力疾走で駅まで駆け抜けた。 数日後。 俺はまた繁華街にやってきた。 アップロードした動画は、大好評だった。 アメリカをメインターゲットにしたつもりだが、世界中でウケたらしい。 英語、フランス語、スペイン語、中国語、ハングル、ロシア語で書かれたメールが山のように届いた。 英語しか読めなかったが。 そんな感想で目立ったのが、あの家族はあの後どうなったのか、という質問だ。 そんなワケで俺は再度、繁華街、あの建物と建物の間を見にやってきた。 「いるかな・・・?」 そこには、3匹のゆっくりの変わり果てた姿があった。 親まりさが1匹、子まりさが2匹。 子れいむはいなかった。 この数日の間に死んだか、逃げたか、食べられたかしたのだろう。どうでもいいことだ。 これは番外編としてブログに載せるつもりなので、今日はデジカメで写真撮影をする。 親まりさはゲッソリと痩せ細り、アンコが透けて見えそうだ。 表情は暗く、全てに絶望しながら死んだかのよう。 対して、子まりさ2匹は比較的まともな顔だった。 一体、この家族がどうやって死んだのか。 それは誰にも分らないだろう。 東京では、今日も数えきれないほどのゆっくりがゆっくりを求めて死んでいく。 誰にも存在を気づかれることなく消えていくモノもあるだろう。 この家族は少しはマシだ。 俺のアフィ収入になるのだから。 俺は次の企画を考えていた。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/537.html
ここは、ゆっくり達が住む森の更に奥。 そんな森の中に、ゆっくり一家が住んでいた。 そして、森の奥深くに住んでいたので、人間については話に聞くだけだった。 「ゆ~っくりしようね!!」 「ゆっくりおさんぽするよ!! しっかりついてきてね!!!」 日課のお散歩。 今日は天気が良いので、少し遠くまで出かけるようだ。 「ゆっくり!!」 「ゆっゆ!!」 「ゆ~~♪」 この一家は特に仲良し。 それは、この母親がはじめての子育てだからだ。 交尾相手のゆっくり魔理沙は交尾が終わると干からびて死んでしまった。 残された魔理沙の子供と自分の子供、合わせて十数匹を育てる母親霊夢。 根が純粋なので、一家もどこかのほほんと育った。 「ゆっゆ♪」 お母さん霊夢の周りを、未だ飾りが生えていない赤ちゃんゆっくり達が踊るように飛び跳ねる。 珍しく、誰も離れないので、何時もより長い距離を散歩できた。 「ゆゆ!!!」 そしてたどり着いた人里。 大きな家々はこの一家には高い洞窟のように見えるかもしれない。 その中の一軒、新しく建てたのであろうその家に一家は心を奪われた。 「ゆ~!! すっご~~い!!」 「かっこいいど~くつ~♪」 「おか~さんはいってみようよ!!!!」 「「「「ゆっゆゆゆ~♪」」」」 家に目を奪われながら、ゾロゾロと庭まで入ってゆく一家。 しかし、厳重に施錠がしてある家に、進入手段を見つけられない。 「ゆ~……。ゆゆ!! ここからなかがみえる!!!!!」 「すごい!! ここからはいれるよ!!!」 一枚のガラス越しに、中を見ていた一匹の赤ちゃん霊夢が叫んだ。 即座に、ガラスに向かって体当たりするお母さん霊夢。 「ゆゆ!! まくがあるよ!! !!! ゆーーーーーくり!!!!!」 思い切り助走をつけ、ガラスに当ってゆく。 その衝撃に、ガラスはゆっくりが通れる程の穴を作った。 「ゆ~♪ ひろいどーくつ~♪」 「すご~~い!!!」 入った先はリビングだった。 物珍しそうに辺りを伺うゆっくり一家は、この後探検を始めた。 ―― 男が家に帰ると、リビングの明かりが点いている事に気付いた。 消し忘れか、と思い急いで玄関を開けると、中からは楽しそうな話し声が聞こえてくるではないか。 その言葉の中には、ゆっくり、という単語も含まれていた。 全てを悟った男は、勢いよくリビングのドアを開け放つ。 「ゆ~っくりくり♪ ゆっゆゆ~♪」 一番初めに目に付いたのは、壊されたテレビの近くて歌を歌っていたゆっくり霊夢の赤ちゃん。 次は、買い置きしていた瓶の中身を床にばら撒き美味しそうにのんでいる赤ちゃん魔理沙。 壊れた窓、中の綿が飛び出しているソファー。 そこで追いかけっこをしている沢山の赤ちゃんゆっくり。 「ゆっくりしていってね!!!!!」 声の下方向へ向き直ると、そこにはソファーの中身を集めている一匹のゆっくり霊夢。 どうやらこれが親らしい。 男は確信した。 「ゆっくりしていってね!!!!」 言葉に反応を示さなかったのが気になったのか、お母さん霊夢は今一度男に呼びかける。 「おにーさんもここをみつけたの? れーむたちもここをみつけたんだよ!!! いまね、あかちゃんたちにゆっくりできるべっどをつくってあげてるの!!」 今まで、話でしか人間を知らなかったお母さん霊夢が、ピュアな瞳で話を続ける。 「おにーさんもこのどうくつでゆっくりする? ここにはゆっくりできるものがいっぱいあるよ!!!」 「ゆゆ~~♪」 「ゆっくり~~♪」 赤ちゃんゆっくり達も、男の近くに集まり出してきた。 そのどれもが、ピュアな瞳を男に向けて言葉を発している。 「ここは、俺の家だよ」 その視線に呆気に取られていた男だが、何とかそれだけを口に出した。 「ゆゆ!! そうなの!!!!」 心底ビックリしたようにお母さん霊夢は呟いた。 もしも、これで引いてくれるなら、まだ考えてやっても良かっただろう。 「だったらおにーさんもいっしょにゆっくりしよう!!!」 ニパー、っと、満面の笑みを浮かべて男に提案するゆっくり霊夢。 更に、彼女の話は続く。 「みんなでゆっくりするのはたのしいよ!!!」 「「「「「ゆっくりしていってね!!!!」」」」」 最後は、子供達も声を合わせての大合唱。 それが終わると、この話は終わったようで、子供達は男の周りでキャッキャと飛び回る。 「おかーしゃん、おなかへっちゃ~!!」 そんな中、一匹のゆっくり魔理沙が母親に食事を催促する。 「ゆゆ!! そうだね!!!」 催促された母親は、男の方を向き、先ほどの笑顔で言い放つ。 「おにーさん!! はやくごはんたべようね!!! れーむはあかちゃんたちのめんどうをみてるから、おにーさんはごはんをじゅんびしてね!!!!」 夫に話しかけるように、フレンドリーに男に食事の用意を言い放ったお母さん霊夢。 男が怒りで震えている事は、気が付かないようだ。 しかし、男はこの場は一旦引いた。 そして、リビングのドアから奥へと消えていった。 ―― 「おい。ごはんを持って来たぞ。お母さん霊夢、は何処だ?」 暫くしてリビングへ戻ってきた男。 その手には、確かに何か持っている。 「ゆゆ!!! いまいくよ!!! ゆっゆゆゆ~♪ ゆっくり~していってね~♪」 一塊の、音痴な合唱をしていた集団から声が上がる。 呼び出された母親だ。 元気よく男の下へ駆け寄っていく。 瞬間。 ズボ! 「ゆ!! ゆゆゆ!!!!!!」 霊夢の頭に何かが刺さった。 「ゆーーー!!! いだいよーーーー!!!! ゆぐりさせでーーー!!!!!」 それは、筒の先に注ぎ口が付いた様なもの。 こちらの世界で例えるなら、ボトル容器のポンプ部分。 男はそれをお母さん霊夢の頭に突き刺したのだ。 「ゆーーーー!!!!! おうじがえらせでーーー!!!!」 「おかーーさーーーん!!!!」 「ゆっくりさせてあげてーーーー!!!!!」 やがて、お母さん霊夢の周りに子供達が駆け寄ってくる。 全員がそろった事を確認すると、男は数回ポンプを押した。 ベチョ! ベチョ! 母親の目の前に集まっていた赤ちゃんゆっくりの前に、餡子が次々に落ちてゆく。 「いだいよ!!! ゆっくりさせでーー!! おうじかえるーー!!!!」 「ゆっくりさせてあげてね!!!」 「ゆっくりさせてあげてね!!!」 半透明なチューブ部分、そこを黒い物体が移動するのを見て、何かが母親の体から抜けている事は分かるのだろう。 赤ちゃんゆっくり達は、必死に声をあげてゆっくりさせてあげて、と男に良い続ける。 「ほら、ごはんだよ。ゆっくりたべていってね!!」 「ゆーーーー!!!」 既に大粒の涙をこぼしている母親の前で、赤ちゃんゆっくり達を急かす。 赤ちゃん達も、それが母親の所から出た事はなんとなく理解しているが、何となくなので意識では理解していない。 「ゆ? ゆゆ?」 一匹の赤ちゃん霊夢が、ソロソロと餡子の山に近づいていく。 パク! 一口食べる。 「!!!!! おいちい!! あまくておいちい!!!!」 直ぐに、驚いた顔を浮かべ更に一口・二口と食べ進めてゆく。 「ゆゆ!! ほんとうだ!!!!」 「れーみゅもたべるーー!!!」 「まりしゃもーーー!!!!」 次々と、餡子の山に赤ちゃん達が群がってゆく。 「ゆっゆゆゆ~♪」 「ゆゆゆ~♪」 「ゆ~~~~~!!!! ゆ~~~~~~!!!!!」 その様子を見て、更に涙を流すお母さん霊夢。 それは自分から出たもの、それを美味しそうに食べる赤ちゃん達。 どうして良いのか分からずに泣いているのだ。 「おい!!! 自分の母親の餡子を食べるとは何て奴だ!!!」 「ゆぶ!!!」 ここに来て、漸く男がお母さん霊夢の心労を軽減させた。 餡子を食べるのはお仕置き、という手段で。 真上から殴られたゆっくり霊夢は、一番最初に駆け寄ってきたゆっくりだった。 今は、体から大量の餡子を流しながら、必死に他の赤ちゃんの元へ近づいてゆく。 「ゆ! ゆっぐり……しようね!……」 餡子の後を残し、その赤ちゃんは、他の赤ちゃんの目の前で命を落とした。 「ほら、お前もだ!」 「ゆぐひゃ!!!」 その近くに居た赤ちゃん魔理沙へも鉄槌を下す。 今度は、力が入りすぎたのか一瞬で絶命した。 「まだまだ終わってないぞ!!」 「ゆっくりしゃせてね!!」 「にげよーーね!!」 「おうちかえるね!!!」 「ゆ……!! ぐえ!!!」 騒然と逃げ惑う中の一匹に的を絞り、後ろからBBQ用の串を放つ。 見事、後ろから口に向かって貫通したそれを、カセットコンロにかけ焼き饅頭に仕上げていく。 「あじゅいよーー!!! たずけでーーーー!!!!」 「れーみゅをはなしてね!!!」 断末魔の叫びを上げながら焼かれている赤ちゃん霊夢の元へ、一匹の赤ちゃん魔理沙が駆け寄ってきた。 「あずいーー!! おかわにはいろーー!! おがーーさーーーん!!!」 無謀にも、男に攻撃しようとしているのだ。 「れー!! むびゃら!!!!」 スリッパで簡単に潰されてしまった魔理沙。 時を同じくして、喋らなくなった焼き饅頭も完成した。 「!! むひゃ!!!」 「あぎゃああ!!!!」 「こっこぁ!!!!」 「うぎゃーーーーー!!!!」 焼き饅頭片手に、男は次々とゆっくりを駆逐していく。 「やめてあげてね!!! あかちゃんがゆっくりできないよ!!!!」 「やめてあげてね!! れーむたちはもとのどーくつにかえるから、こどもたちをおこしてね!!!」 痛みは引いたが、頭にポンプを差し込まれ目の前の光景を見せられているお母さん霊夢は、ただただ男に語りかけるしかない。 「やめ!! ゆゆゆ!!!」 それも、終わりを迎えた。 全ての赤ちゃんゆっくりを処分した男は、煩いお母さん霊夢のポンプを更に数回押したのだ。 あれほど煩かったお母さんゆっくりは黙り、代わりに大量の涙を流す。 「それじゃあ行こうか?」 「ゆーー……。どごへ?」 男に抱きかかえられながら、何とかそれだけ言葉をひねり出す。 「加工場だよ。これが製品化されれば、一攫千金だからね!」 「いいいやだーーー!!! おうじ!! おうじにかえらせでーーーーー!!!!!!」 加工場の事を知っているのか、はたまた自分の運命を感じ取ったのか。 闇夜に浮かぶ加工場の看板を見ながら、男はそんな事を考えていた。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3726.html
前 『真冬のゆっくり対策 最終話』 「さぁて、まずは分別しないとね」 村に帰った彼女は昨夜食事会が開かれていた施設の地下に向かった。許可は取ってある。箱を貸してくれた村の虐待鬼意山から さらに2つ箱を借りてきた。 「これはこの箱…これはここに…」 彼女は回収した100匹ほどのゆっくりを赤ゆっくり、子ゆっくり、大きめのゆっくり、大きいゆっくりの4つのグループに分けていた。 「ゆうう……」 「ゆっくり…しようね…おねえさん…」 ゆっくりはもう抵抗はしなかった。罵声も上げていなかった。頼みの綱であったドスが簡単に人間に敗れ希望を失ってしまったのだ。 「潰れちゃってるのがいるわね……赤ん坊は10匹ね」 箱に詰めていたため十数匹ほどが潰れていた。彼女は赤ゆっくりを箱から取り出すとボウルに入れ水道に向かった。 「ゆっきゅりちようね」 「ゆっきゅちちていっちぇね!」 「おねえちゃんはゆっきゅりできるひちょ?」 他のゆっくりと違いまだ元気であった。 「「「ちべちゃあい」」」 キャッキャと騒ぐ赤ゆっくり。彼女は赤ゆっくりを水で洗っていた。 「「しゃっぱりー」」 「「しゅっきりー」」 赤ゆっくりは綺麗になった。赤ゆっくりは彼女をゆっくりできる人だと思い幸せそうな顔をしていた。 「おちびちゃん…ゆっくりしてるね」 そんな姿を見て他のゆっくりの顔が明るくなっていった。もしかしたら自分達もゆっくりできるのではないかと淡い希望を抱いた。 「きりぇいきりぇいになっちゃね!」 「まりしゃきゃわいいでしょ」 嬉しそうに彼女に懐く。彼女はにっこりと微笑みながら言う。 「じゃあおやつね」 「「やっちゃにぇ!!」」 「「あみゃあみゃしゃん!」」 「「ゆっくちゆっくち!」」 嬉しそうにはしゃぎだす赤ゆっくり。彼女は皿と串を持ってきた。 「「おねえしゃんおやちゅ!おやちゅ!」」 「はいはい。そう急がなくてもおやつは逃げてないわよ」 彼女は1匹の赤ゆっくりを掴んだ。彼女の右手には串が握られている。 「あみゃあみゃしゃ〜ん…」 赤ゆっくりは口を開けた。 「何で口を開けているの?」 「ゆ?」 彼女は串を赤ゆっくりの右目に刺しそのまま貫通させた。 「「「ゆ!!!!!!」」」 他の赤ゆっくりは一瞬固まってしまった。 「…ゆぎゃあああ!!!!いちゃいよおおおお!!!!」 右目を刺された赤ゆっくりは悲鳴を上げた。その悲鳴に共鳴するかのように他の赤ゆっくりやゆっくりも騒ぎ出した。 「「「きょ…きょわいよおおおお!!!!」」」 「「「どぼじでぞんなごどずるのおおお!!!!」」」 彼女は笑って言う。 「誰がおやつをあげるだ何て言ったの?"おやつね"とは言ったけど。おやつは貴方達よ」 続けてもう1匹を掴み同じように右目を刺し貫通させた。 「「いぢゃいよおおおおお!!!!!にゃんぢぇええええ!!!!」」 他の赤ゆっくりは逃げ出そうとしたがボウルを登ることができない。 「「だじぢぇえええ!!!!きょきょきゃらだじでえええ!!!」」 「「おきゃあじゃんどぼじでだじげでぐれないのおおおお!!!」」 彼女は黙って更に赤ゆっくりを串に刺した。1つの串に3匹を刺すと皿に乗せ新しい串を取り出した。 「おねえさん!!!!やべであげでえええ!!!!」 「どぼじでぞんなごどずるのおおおお!!!!ゆっぐりじようよおおお!!!!」 「ごべんねええ!!!おちびじゃんだずげであげられなぐでごべんねえええ!!!」 箱の中からゆっくりが叫ぶが彼女は相手にしない。残りの7匹も串刺しにされた。 「3本だけね…これじゃ足りないわ」 彼女は外へ出かけ数分後オレンジジュースを持って戻ってきた。 「…あら?串が1本無いわ」 3匹が刺さっている串は3本とも皿の上にあったが1匹だけ刺しておいた串が皿からなくなっていた。 「ゆんちょ…ゆんちょ…」 微かに声が聞こえる。見れば赤ゆっくりが串を貫通させられながらも逃げていたのだ。 「ばばあ!!!ばーか!ばーか!あかちゃんはもうにげちゃったよ!!」 親であろうゆっくりが注意を引こうと必死に罵声を上げるが彼女は耳を傾けず串を拾い上げた。 「はなちてね!!!はなちぇえええ!!!!」 「心配することはないわ。後でちゃんと焼いてあげるから自分からコンロに行かなくてもいいのよ」 「ゆええぇえぇえん!!!!!ゆっくちちたいよおおおお!!!」 彼女は皿の上にあった串を含め4本の串をタッパーに入れると冷蔵庫にしまった。 「さて…団子を作るわよ」 彼女は箱から大きいありすを取り出した。 「な…なにするのよ!!!ありすをはなしなさい!このいなかもの!!」 「ねえありす。すっきりしたくない?」 「そ…そんなことしたくないわ!!!ありすはれいぱーじゃないのよ!とかいはなれでぃーよ!」 「はいはい」 彼女はありすをマッサージしたり揺すったりした。 「ゆうう"う"う"う"う"う"う"う"う"う"う"うう"う"う"うう"う"う」 「我慢しなくてもいいのよ。誰とすっきりしたい?まりさ?れいむ?ちぇんかしら?」 更にマッサージを続ける。 「おおおんんっほおおおおおおおっ!!!!」 ありすは堕ちた。 「さぁて…誰とすっきりしたい?」 「あ…ありずううはあああ…ま…ままままりさと…すっぎりいしたいわああ!!」 「どうぞ。思う存分やっちゃいなさい」 彼女は箱からまりさを放り投げた。 「ままままままままりさあああああああ!!!!!」 「あ…ありす!!!やめるんだぜ!!!もとにもどるんだぜえ!!!!」 「ゆっゆっゆ!まりさあああ!!さいこうよよよぉ!!」 「ゆぎいいいいい!!!!やべでえええ!!はなじでえええ!!!」 まりさはありすに組み伏せられレイプされた。 「いいわああぁ!!!もっど…もっとはげしくしましょうよぉぉ!!!!」 「やめでええええ!!!!ゆっぐりざぜでよおおおお!!!!」 「んほおおおおおおおおおおおお!!!…すっきりー♪」 「ず…ぎ…りい…」 まりさのあたまから茎が生えてきた。餡子を吸われまりさはどんどん黒くなっていく。 「そう簡単に死なないでね」 彼女は注射器にオレンジジュースを入れまりさに注射した。 「いじゃいい!!!!」 まりさの体はみるみる回復していった。 「ほら、ありす。第二ラウンドよ」 「まっ、まりさささあああああ!!!まだまだいぐよおおおんん」 「ゆぎゃあああああ!!!!!」 レイプは続く。 「すっきりー♪」 「ずっぎりいいいい……」 オレンジジュース注射 「すっきりー♪」 「……ぎりいい…」 オレンジジュース注射 「ゆゆっゆゆゆゆゆっゆゆゆゆ…やめでよお"お"お"お"おお!!!! じんじゃうよお"お"おおお!!!!」 「ゆううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ…すっきりー……」 数回繰り返した結果まりさより先にありすが死んでしまった。 「ゆあああああああ……あがじゃんがごんなに…」 まりさの顔が見えないくらい茎が茂っていた。赤ゆっくりはざっと30匹は実ってるだろう。 「ゆ……」 赤ゆっくりがふるふる震えだした。オレンジジュースを注入し続けたため赤ゆっくりの成長も早い。もうじき生まれそうだ。 「ゆっくちうまりぇるよ!」 「ゆっくち!」 「みゃみゃあ♪」 まずは5匹の赤ゆっくりが生まれた。 「「「「「ゆっくちちていっちぇね!」」」」」 「ゆっくりしていってね!」 レイプされて生まれた子とはいえ自分の子供。まりさは嬉しそうな顔をしていた。 「はいはい。おやつね」 彼女はボウルを持ってまりさに近づいた。 「だ…だめだよ!まりさのあかちゃんはだれにもわたさないよ!!!」 「やれるもんならやってみなさい」 彼女はさっさと赤ゆっくりを回収してしまった。 「ゆう……」 大量に茎を生やされ動きが重いまりさは成す術が無かった。 「あかちゃあん…かえじでよお…」 「また生まれるわよ」 「ゆ?」 「ゆっくちい」 「ゆっくちおちりゅよ」 「ゆうう」 次も5匹生まれた。 「ゆっくりしてってね!」 「「「「「ゆっくち…」」」」」 赤ゆっくりが挨拶を終える前に彼女は回収してしまった。 「どぼじでえええ…」 結局まりさは1匹も赤ちゃんを救えなかった。 「さて、おやつにしちゃいましょう」 彼女はボウルに入れた赤ゆっくりを洗うと先程と同じように3匹ずつ串を右目に刺し貫通させていった。 「いちゃいよおおおお!!!!」 「おきゃあしゃんたすぎぇでえええ!!!!」 「どぼじでええ!!!!ゆっぐぢいいいい!!!!」 「にゃんでおきゃあしゃんはたしゅげでくれにゃいのおおおお!!!」 「ゆっくちできにゃいおきゃあしゃんなんかちんじゃえ!!」 「いくぢほうきだにぇ!さいちぇいにゃおやだにぇ!!」 「ぢがうよおおおお!!!!だずげだいんだよおおお!!!!!うごげないんだよおおお!!!!」 赤ゆっくりたちは親に恨み言を吐きながら串刺しにされていった。まりさは体力的にも精神的にも尽き果て死んでいった。 「まだまだ足りないわね」 彼女は箱から別のありすを取り出し同じように発情させた。 「ありすはだれとすっきりしたい?」 「ああああああああ…ありすはああ!!!!れ…でいぶどおおおお!!!!」 「はいどうぞ」 「いやああああ!!!!!ごっぢごないでええええ!!!!!!」 「づんでれなでいぶもがわいいわよおおおおおお!!!!」 「ゆっぐりできなあいいいいい!!!!!!だずげでええええ!!!!!」 「つかまえたわ♪とかいはなてくにっぐでめろめろにじであげるわああああ!!!!!!!!!」 こうして相当数の赤ゆっくりが生まされ串に刺されていった。 「残りカスは外に出しておきましょう。乾燥した餡子は良い肥料になるらしいわね」 ありすだったもの、まりさだったもの、れいむだったもの……部屋に散らばった餡子やカスタードは空になった箱に集められ外に放置された。 「いやあ…今日は大猟でしたよ」 今夜も食事会が開かれている。いつもより盛大だ。一番害が大きいであろうドスの群を退治したのだから。 「みなさーん。甘いものはいかがですか?」 出されたのは串団子だ。ただの串団子ではない、赤ゆっくりで作った串団子だ。 「おお、赤ゆっくりは美味いんだよな」 「こちらは焼いてあります。こっちは揚げてます。お好きなのをどうぞ」 赤ゆっくり団子はどこへ行っても人気お菓子だ。味が良いだけではない。 「お!こいつまだ微かに息があるぞ」 「この感触が堪らん」 意外にゆっくりというのはしぶとい生き物で焼かれても揚げられてもかろうじて生きている場合がある。 「…"…"…"…!!!!」 「ゆ"!」 「た……びぇ…にゃ……」 「ぼ……ど……ゆ…」 団子は人気であっという間に無くなってしまった。 「もっとないのか?」 「ありますよ。今追加の作ってますから」 虐待お兄ちゃんは彼女と話していた。 「なるほどね、使うってこういうことね」 「大きいゆっくりはあんまり美味しくないわ」 「よくこんなに赤ゆっくりを集めたな」 「元々はそんなにいなかったわ。無理矢理作らせたのよ」 「ふうん」 「まだ大きいのが残ってるから明日も出せるわ。ちょっと大変なんだけど」 「へえ…」 「………」 「……」 「俺そろそろ帰るわ」 「え、もう?」 「俺明日仕事あるんだ。だから帰るよ。この時間に帰らないと間に合わない」 「もうちょっとここでゆっくりしててもいいのに」 「そうしたいけどね。まあ楽しかったぜ」 「私もよ。清々したわ」 「あんたはどうするんだ?」 「私はもうちょっとここにいるわ」 「そうか」 「また何か起こったらここにきて下さい」 「そうするよ。妹さんによろしく」 「ええ」 「じゃあ帰るわ。さようなら」 「さようなら」 彼女は彼を見送った。 「ただいまあ」 深夜彼は帰宅しそのまま寝ようと寝室へ入ったがすぐに部屋を出た。 「まさか…いないよね。俺の家に」 彼はそう呟きながら床下を調べた。 「いるわけないか」 彼の家は頑丈にできているためガラスを割られたり隙間から侵入されることはない。戸締りさえしておけばゆっくりが入ることは不可能だ。 「あとは倉庫かな」 外に出て倉庫を開けた。 「…嘘!!!」 「「「「ゆ!!!!」」」」 倉庫の中に家族であろうゆっくりが4匹いた。 「おじさん!ここはまりさのゆっくりぷれいすだよ!!」 「ゆっくりできないじじいはさっさとでていってね!!」 「でていっちぇね!」 「あみゃあみゃしゃんよこしぇえええ」 「まったく…ゆっくりってのはどこいってもゆっくりなんだな」 彼は4匹を捕まえると家に入り虐待部屋に放り込んだ。 「近いうちに遊んでやるよ。俺は寝る」 部屋に鍵をかけ彼は寝室へ向かった。 数ヶ月が過ぎ春が訪れた 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 ゆっくり達が外に飛び出した。数ヶ月ぶりの外は気持ちが良かった。 「ちょうちょさ〜ん…まってえー」 「むーしゃむーしゃ…このくささんおいしいよ!」 久々に体を動かす。大人も子供も嬉しそうだ。 「ごはんだよ!!!」 「むしさんをつかまえたよ!」 「このおはなはおいしそうだよ。むーしゃむーしゃ」 「「「「「しあわせぇ♪」」」」」 冬篭りを終えて数日は巣の周りで餌を調達する。体力が完全ではないためそう遠くまでは動けないからだ。 「ままま…まりざああ…」 「れれ…れいむううう…」 数日するとほとんどのゆっくりが交尾をする。冬の間は交尾ができず性欲が溜まっているためだ。 「「すっきりー!!!!」」 胎生型にんっしんをするゆっくりや植物型にんっしんをするゆっくり。 「ゆっくりしたあかちゃんだよお…」 「ゆっくりそだってね!」 妊娠をするとより多くの餌を食べなければ赤ちゃんは満足に育たない。体力が完全に回復したこともあって遠出をし餌を探す。 「あかちゃんのためにおいしいごはんをもってくるよ!」 一部のゆっくりは子供のためパートナーのため赤ん坊のためいつもより美味しい餌を探していく。 「あのおやさいさんはおいしかったよ!あかちゃんのためにおやさいさんをとりにいくよ!」 野菜やお菓子などの味を一度でも覚えてしまうとこうした場合人里へ向かい人間の食糧を盗みに行くケースが多い。 「ゆゆ〜ん…だれもいないね!いまのうちにおやさいさんを…」 ゆっくりの対策を施したあの村にもゆっくりが現れた。あれだけ駆除してもゆっくりはいる。 「はたけさんにいくよ!」 「そろーり…そろーり…」 去年と同じように畑へ向かうゆっくり。しかし今年は何かが違う。 「ゆ?はたけさんがきえちゃったよ!!!?」 「はたけさんどこなのお??」 遠くからなら畑が見えていたがいざ畑に向かうと視界から消えてしまった。レンガで作った壁で畑が見えないのだ。 「どぼじでええええ!!!!!」 「このあかいかべさんがあやしいよ!」 壁の向こうに畑があると見破るゆっくりもいる。 「ゆあああああああ!!!!おちるうううう!!!」 勢いよく走り堀に落ちてゆくゆっくり。堀は川から水を引いているため落ちたゆっくりは流されていった。 「ゆ!ゆ!ゆ!ゆうううううう!!!」 「まりさはかわをわたれるんだよ!」 大き目のゆっくりは助走をつけて思いっきりジャンプをし堀を越えた。まりさ種は帽子で堀を渡った。真似をして落ちていくゆっくりも多数いる。 「かべさん!なかにいれてね!」 「このかべさんゆっくりできないよ!!」 「ゆっくりできないかべさんなんかこうしてやる!」 壁に体当たりをするがレンガでできた壁を壊せるわけが無い。 「どぼじでええごわれでぐれないのおおおお!!!!!」 「ながにいれでよおおおおお!!!!!」 ここで諦めて帰っていくゆっくりもいる。 「ゆぎゃあああ!!!!!」 「わすれでだよおおおお!!!!」 帰るときに先程越えた堀の存在を忘れ堀に落ちていくゆっくり。 「ゆ!こんなところにあながあいてるよ!」 壁に小さいゆっくりが1匹なら入れそうな隙間が空いていることが時たまあった。無論罠である。 「そろーりそろーり…」 「やったよ!はたけについたよ!…ゆああああああ!!!!」 目の前に広がる畑につい嬉しくなって走り出した途端落とし穴に嵌っていくゆっくり。 「いだあああああいいい!!!!……ゆぎゃああああ!!!!あんごがもれでるよおおおお!!!」 隙間を歩いていると顔の辺りを斬られた。前方に糸鋸が備え付けられていた。 「ゆゆ!こんなところに美味しそうな実があるよ」 「これをあかちゃんにあげるよ!ゆふふ…あかちゃんまっててねえ!」 村のいくつかの場所に美味しそうな実をつけた鉢が置いてあった。 「むーしゃむーしゃ…しあわせぇ♪」 「あまあまぁ♪」 その場で嬉しそうに食べるゆっくり。 「これおいしいよ!あかちゃん、ゆっくりそだってねえ♪」 「むーちゃむーちゃ…ちあわせぇ♪」 巣の中で食べるゆっくり。 「…ゆびぇええええ!!!!ぐるじいいいよおおお!!!!」 「ゆぎいいいいいい!!!!!」 「ぎゅええええええ!!!!!おええ"え"え"え"え!!!」 「ぎゅるちいいいいいい!!!!たちゅげでえええ!!!!」 鉢に植えられていたのはドクウヅキだった。美味しそうな外見に騙されて死んでいくゆっくりが多かった。 この村が冬に対策した効果は充分にあった。だが賢いゆっくりはいる。 「あれ?何でこいつら堀を渡れたんだ?」 ある男が堀の先にいるゆっくり達を見て呟いた。まりさ種はいるが1匹だけで残りは皆違う種だった。ジャンプして飛び越えられる程 大きくはない。 「あ、そうか。これか」 彼が見つけたのは木の板だった。多分このゆっくり達が木の板を運び堀の上に敷いて橋にしたのだろう。 「邪魔だ」 彼は板を堀に落とした。 「ああああ!!!!はしがああああ!!!!」 「おじさん!!!!どぼじでごんなごどするのおおおお!!!!」 「はしがないどがえれないよおおおおお!!!!」 「そんなに橋がほしかったら取って来い」 彼はゆっくり達を堀に落としていった。地上に上がれるはずも無く板ごとみな流されていった。 「あれ?何でコイツ俺の畑にいるんだよ!!!??」 「ゆ!!」 またある男は朝起きてみると小さなゆっくりが畑にいるのを発見した。 「ゆっくりしないでにげるよ!おじさんはそこでゆっくりしててね!!」 ゆっくりは逃げ出したが壁を前に困っていた。飛び跳ねたが壁を飛び越えられない。 「どぼじでええええ!!!!」 「はあ??どうなってるんだ??」 彼は壁の外に目をやった。 「「ゆ!」」 外には2匹のゆっくりがいた。大き目のゆっくりが2匹いた。 「はっは〜ん。考えたね」 大きなゆっくりの上にもう1匹の大きなゆっくりが乗っかりその上にこの小さなゆっくりが乗っかって壁を越えたのだろう。 中々の連係プレイだ。多分家族なんだろう。 「おい、この壁の外に出られたら殺さないでやるよ」 「なんでえええ!!!!なんでえとどがないのおおお!!!!」 「おちびちゃん!!ゆっくりしないでこっちにきてえええ!!」 必死に飛び跳ねるが全く届かない。 「時間切れ。サヨウナラ」 彼は小さなゆっくりを踏み潰し壁の外にいた2匹のゆっくりを畑に運び鍬で滅茶苦茶に潰した。 「戻れなきゃ意味無いじゃん」 彼の呟く通り少しばかり賢しいゆっくりは堀を越えたり壁を越えたりできたが帰りのことを全く考えていなかった。 「今はいいよ…」 今はこうしたレベルで済んでいる。しかしそのうちまた対策をする必要があるだろう。例えばうーぱっくというゆっくりの仲間が 空からやってきたら……。ドクウヅキだってそのうちバレる。また違う毒草や実を設置しなければならないだろう。 「めんどくさいねえ…」 男はそう呟くと畑を耕し始めた おわり by 虐待お兄ちゃん このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/376.html
冬の足音が聞こえてきた秋の昼時、枯れ木の根元に出来た穴から小さな影が4つ現れました。 「きょうはなにちてあしょぼーか!」 「おいかけっこ!」 「ゆ~それじゃゆっくちできないよ!」 「じゃあかくれんぼ!」 仲良く遊び始めたのはゆっくりれいむと呼ばれる最近になってあらわれたナマモノです。 ゆっくりれいむは紅いリボンと黒髪がトレードマークのもっとも多くいるゆっくりでした。 遊んでいるれいむたちは人間で言う子供で大きさは野球ボールぐらいでした。 まだ生まれて1年も経ってない4匹は仲良くかくれんぼを始めます。 最初ということで一番大きいおねーちゃんれいむがオニになりました。 残りの3匹は思い思いに隠れ場所を探しに行きます。 「も~い~かい!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ~・・・いーち!にー!さーん!だー!らーぶ!・・・」 「ゆゆっ、ここはれいむがかくれちぇるよ!べつのところにいってね!」 「ゆ!わかっちゃよ!」 「れいみゅはこっちにいくよ!」 「じゃあれーむはむこうにいくね!」 一匹のれいむは石の影にかくれました。 もう一匹は枯葉の下に。 「もーいーかい!」 「ゆっくりできたよ!」 「じゃあいくよー!」 石に隠れたれいむも枯葉にかくれたれいむはすぐに見つかってしまいます。 「次はれいみゅのばんだよ!」 「ゆゆ・・・まだれぃむがのこっちぇるよ!」 「みゅ~さっさとみちゅけるよ!」 しかし、残り一匹はなかなか見つかりません。 それもそのはず、最後の一匹はかくれる場所を探して今も移動していたのです。 「ゆ~、なかなかみちゅからない・・・」 この子れいむは遊びということも忘れてゆっくり出来そうな場所を探していました。 やがて、今まで来たこともない遠い場所に来てしまいます。 「ゆー・・・ゆっ!ここどきょ!」 れいむは知らない場所でいることに不安を感じます。 「おねーちゃああああ!れぃむはここだよおおおおおお!」 しかし、叫んでも叫んでも返事は返ってきません。 姉れいむとは子れいむが思っていたよりも離れていました。 子れいむはもときた道を思い出して戻ろうとします。 しかし、隠れ場所を探しながら来たのでどこを通ったか覚えていませんでした。 もう少し大きくなっていれば巣に戻るための方法を親れいむから教えてもらっていたはずでした。 もう少ししたら、きっとお姉ちゃん達が来てくれる。 そう信じて子れいむは木の近くで姉達をじっと待つことにしました。 子れいむが木に寄り添うようにゆっくりし始めると、美味しそうな匂いがどこからか漂ってきます。 「ゆゆ!おいしそうなにおひ!」 子れいむは匂いに引き寄せられます。 匂いの元はある木の根元に生えているたくさんのキノコでした。 「ゆ~!おいしそうなきにょこ!」 子れいむはキノコに飛び込んでいきました。 姉れいむたちは探しても探しても見つからないれぃむを心配になり、巣にいた母れいむを呼びに戻りました。 子の訴えを聞いた母れいむはすぐに巣の周りを探し始めました。 姉れいむ達は危ないからと巣でお留守番です。 母れいむは危険そうな場所を一つずつ調べていきます。 しかし、れぃむはどこにもいません。 母れいむはあきらめずに探し回りました。 やがて、普段は来ない森の奥に足を踏み入れます。 「れいむのかわいいれぃむー!どこにいるのー!」 母れいむは懸命に叫びました。 「ゆっ?」 子れいむがお腹を膨らませてゆっくりしていたころ、どこからか母親の声が聞こえました。 「おかーしゃああああああああん!」 先ほどまでキノコを食べることに夢中で自分が迷っていることを忘れていたれぃむは母親の声で自分のおかれている状況を思い出しました。 そして、母親に見つけてもらおうと声を張り上げます。 先ほど食べたキノコのおかげで大分大きな声が出せました。 大きな声は森に響き、とうとう母親の耳に入ります。 「ゆゆ!れぃむのこえだよ!」 「おかああさああああぁぁぁぁあぁん・・・」 「いまいくよ!そこでゆっくりしててね!」 母れいむは子れいむの声に耳を澄まして位置を探ります。 森の中では声が反射し場所がわかりにくかったですが、子への愛なのか母れいむは迷わずに足を進めていきました。 やがて、一つの木の下で泣き叫んでいる子れいむを見つけました。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていっちぇね!・・・おかーしゃん!」 「だいじょうぶだった?けがしてない?」 「れぃむはごたいまんぞくだよ!」 母れいむは子れいむの声を聞き、自分の目で確かめて子の無事を確認します。 「だいじょうぶそうだね!」 「おかーしゃんごわがっだよおおおおおおおお!」 「もうひとりでこんなとおくまできちゃだめだよ!」 「ゆぅうううう、おかーしゃんごめんなさい・・・」 「わかればいいよ!もうくらくなるからはやくかえろうね!」 「ゆっ!そうだ!おかーしゃん!れいむきのこみちゅけたよ!」 「ゆゆっ!きのこ!?」 「しょーだよ!このうらにいっぱいはえちぇるよ!」 子れいむはそういって木の裏へと跳ねていきます。母れいむは道に迷わないように確認してから子れいむの後を追いました。 「このさきにきのこあるよ!!」 「ゆっゆ!・・・しゅご~い!」 「いっぱいあるからおねーちゃんたちにもあげりぇるよ!」 「そうだね!ぜんぶもってかえろうね!」 いそいそと口にキノコを含んでいく母れいむ。 子れいむはどんどん口に入っていくキノコを見て目をきらきらと輝かせました。 「おかーしゃんのいぶくろはうちゅうだね!」 「ゆふん!」 子れいむの声援に答えるように母れいむはキノコを口に含みます。 やがていっぱいになると母れいむは子れいむと共に巣に戻りました。 巣では帰りの遅い母れいむを残った子れいむが心配していました。 「おかーしゃんおかえりなさい!」 「ゆゆっ!おかーしゃんおおきくなっちぇる!」 子れいむが驚いていると母れいむは口から大量のキノコを吐き出しました。 「ゆゆゆ!おいしそう!」 「おかーしゃんどうしたの!」 「れぃむがみちゅけたんだよ!」 そういって母れいむの腋から現れた妹れいむに子供達はさらに驚きます。 「さすがれーむのいもうとだね!」 「でもしんぱいしたんだよ!」 「そうだよ!おかーさんがいないのにとおくにいかないでね!」 「うん、もうひちょりでそとにはいかにゃいよ!」 「れーむたちもきをつけるよ!」 母親と一番上の姉れいむに注意され、もう二度と勝手に遠くに行かないと子れいむ達は誓いました。 そんな子供達への説教が終わると、眼の前のキノコに話が移ります。 「これならしばらくだいじょうぶだね!」 「おかーしゃんがとりにいかなくてもへいきだね!」 「ゆ!そうだね!しばらくは巣でいっしょにゆっくりできるよ!」 「やっちゃね!」 「れぃむといっちょにいようね!」 突然降って湧いた幸運にれいむ達はうれしくてたまりませんでした。 それからしばらく、このれいむ家族は一度も巣から出ることなく、巣の中でゆっくりとしていました。 食べ物が無くなったらまたキノコを採りに行けば良い。母れいむは久しぶりにゆっくり出来たので上機嫌です。 子供達もそんな母親の様子を見てうれしくなり、母親に擦り寄って遊びました。 れいむ家族はずっとゆっくり出来ると思っていました。 しかし、四季の変わり目はもうすぐそこまで来ています。 巣からあまり出なくなったれいむ家族にはそれが分かりませんでした。 「まったく、れいむたちはなにをやってるのかしら!」 風が冷たく感じ始めたころ、一匹のゆっくりありすがれいむの巣に向かっていました。 このゆっくりありすは母れいむの友達で冬篭りの準備が出来てもやってこない母れいむに痺れを切らしてやってきたのでした。 巣の前までやってくるとありすは中にいるであろうれいむ達に声をかけます。 「ゆっくりしていってね!」 しかし、待てども待てども返事が返ってきません。 このまま待っていても埒が明かないので、ありすは巣に入りました。 中ではれいむ達がキノコを食べてとてもゆっくりしていました。 「ゆっ!おいしそうなきのこね!」 「ゆゆっ!ありす!」 いきなり現れたありすに子供達は母れいむの後ろにかくれました。 「こわがらなくていいよ!このありすはれいむのともだちだよ!」 「そうよ!さっきからよんだのにへんじがなかったわ!だからとかいてきじゃないけどあがらせてもらったわ!」 「ゆ~ありすごめんね!」 ありすの声に気付かずゆっくりしていたれいむはありすに申し訳無さそうに謝りました。 ありすはそれで少しだけ悪かった機嫌を直して笑顔を見せます。 「ありすはきにしてないわよ!・・・ってそうじゃないわ!」 「ゆゆっ、どうしたのありす!」 「れいむたちがふゆごもりにこないからよびにきたのよ!」 「ふゆごもり?」 聞いたことのない単語に子れいむが不思議がります。 母れいむは子れいむに教えようとしましたが、時間がないのかありすが急かしました。 「いまはじかんがないわ!すぐにじゅんびしてゆっくりすぽっとにむかってね!」 「ゆ!わかったよ!」 「じゃあありすはもういくわ!れいむもゆっくりしないでね!」 ありすは言いたいことを言うとすぐにれいむの巣を離れました。 れいむ達が住む地域は冬にはかなり冷え込み、ゆっくり家族だけでは越冬できませんでした。 なので、ゆっくりスポットと呼ばれる大きな洞窟などに集まって身を寄せ合って眠り春を待つようになっていました。 ゆっくりスポットにはゆっくり制限があり、主にぱちゅりーの判断で入れるゆっくりの数を制限していました。 ありすが急いでいたのはゆっくり制限で入れなくなってしまうのを恐れたからです。 母れいむも一度ゆっくりスポットで越冬を経験していたのですぐに準備を始めようとします。 「おかーしゃんふゆごもりってなーに?」 「ゆーっとね、もうすぐここじゃゆっくりできなくなるんだよ」 「ゆゆゆゆ!?」 「だから、みんなのいるばしょにあつまらないといけないの!」 「そーなのかー!」 「れーむたちもじゅんびしてね!すぐここをでるよ!」 母れいむはすぐにゆっくりスポットに行く準備を始めました。 母れいむは子れいむもすぐに準備してくれると思っていました。 なので、れぃむが反対したのに驚きました。 「やだ!れぃむはまだうごきたきゅないよ!」 「どおおおしてええええ!はやくうごかないとゆっくりできなくなるよ!」 「でもきのこしゃんまだいっぱいあるよ!」 「ゆゆゆ・・・」 冬篭りには食料は必要ありません。 だから巣に残っている食料はすべて捨てる必要がありました。 れぃむは自分が見つけた食べ物を残していくことが不満だったのです。 「まだあっちゃかいよ!きのこたべてからでもまにあうよ!」 「ゆゆゆ・・・」 れぃむの発言に母れいむは困ってしまいます。 これを見た他の子れいむは相談してれぃむの方に回ります。 この子れいむ達もキノコに不思議な魅力を感じていたのでした。 「きのこちゃべちぇからいこうよ!」 「そうだよ!」 「もっちょゆっくりしちゃいよ!」 「ゆっくち!ゆっくちぇ!ゆっくりょ!」 母れいむは子れいむの反論に去年の冬篭りの記憶を思い出そうとしました。 母れいむが入ったゆっくりスポットはまだ時期が早かったので洞窟の中はすかすかでした。 母れいむは仲間が集まる間スポットの周りの食べ物を食べたり、他のゆっくりと話したりして冬眠まで過ごしたのを思い出します。 今回もまだまだ空きがあるだろう。母れいむはそう結論付けました。 「わかったよ!きのこがなくなるまでここでゆっくりしようね!」 「おかーしゃんだいちゅきー!」 「ゆっくりしようね!」 母れいむが賛成してくれて子供達は大喜びです。 そんな姿を見て母れいむも反対しなければ良かったと思いました。 こうして、ありすの忠告も無視して母れいむは巣でゆっくりし続けました。 今は友達よりも子供達のほうが大事でした。 母れいむはしばらく巣から出てないことも忘れて、巣で子供達と仲良くゆっくりとしていました。 「ゆ~、とうとうさいごのきのこだね!」 「これをたべたらゆっくりすぽっとにむかおうね!」 「とうみんたのちみ!」 「しゅっごいゆっくりできそうだよ!」 「ゆっくちできりゅといいね!」 あれからもキノコを食べ続けて3日後、とうとうキノコがなくなりました。 キノコ以外の食べ物も残っていたので残さず食べました。 もう巣には食べ物は残っていません。 れいむ達は巣を枯葉と枝で上手に隠して外に出ました。 「ゆ~、しゃ、しゃぶいいいいいいいい!」 「ゆっくりできないいいいいいいい!」 「ゆぐぐぐぐぐぐう!」 「ぐるじお・・・」 保温効果のあった土の中からみて外の世界は極寒です。 震えてる子れいむに母れいむは用意していた白いもこもことした綿を被せました。 「これでさむくないよ!」 「ゆ・・・ほんちょだ!さみゅくないよ!」 「ぽかぽかー!」 「これならゆっくりできるよ!」 「ゆぅ~ん」 母れいむの用意していた綿は子れいむ達をすっぽり覆いました。 上手に穴を開けているので動きを妨げることもありません。 元気になった子供達を連れて母れいむは記憶の中で一番近いぱちゅりーの巣に向かいました。 ゆっくりスポットはぱちゅりーが管理してることがほとんどです。 ぱちゅりーの巣の近くには必ずと言っていいほどゆっくりスポットがありました。 れいむ達がゆっくりスポットにつくと、スポットは冬眠のために入り口を閉じている最中でした。 れいむ達は急いで中に入れてもらおうと指揮をとっているパチュリーのところに向かいます。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ぱちゅりー!れいむたちもなかにいれてね!」 「「「「いれちぇね!」」」」 れいむ達はすぐに中に入れてもらえると思い巣の入り口に向かいました。 しかし、ぱちゅりーが行く手を塞ぎます。 「ゆゆっ、ぱちゅりーじゃましないでね!」 「れいみゅたちはさむさでこごえしょうだよ!」 「はやくいれちぇね!」 母れいむの抗議に子れいむも声を重ねます。 それでもぱちゅりーは動きません。 ぱちゅりーは言い聞かせるようにれいむ達に話しました。 「ざんねんだけどもうゆっくりせいげんよ」 「ゆ!?」 母れいむは驚きます。 「そんなわけないよ!まだいっぱいあきがあるはずだよ!」 「あなたたちはくるのがおそすぎたのよ!こんなじきじゃあいてるわけないわ!」 「ゆぐぐぐぐ・・・」 何とか入ろうと穴の辺りを見ましたがこちらをまりさとみょんが見ていました。 ぱちゅりーだけならどうにでもできましたが、まりさとみょんが一緒では勝てません。 「もういいよ!いじわるなぱちゅりーのとこなんかいかないよ!やさしいぱちゅりーをさがすよ!」 「いじわるー!」 「ゆっくりちね!ゆっくりちね!」 れいむ達は別のゆっくりスポットに向かいます。 罵声を受けたぱちゅりーは怒るわけでもなく、どうしようもなかったのだと自分に言い聞かせ、スポットの入り口を防ぎに戻りました。 「どおしてどこもあいてないのおおおおおおおお!」 「「「「ゆわああああああああん!」」」」 あれからいくつかのゆっくりスポットを巡りましたがどこも入れてもらえませんでした。 思いつく限りの場所に向かいますが、制限になっていたり、もう既に冬眠していたりしていました。 最初は強気であったれいむ達も辺りが暗くなるころにはこのまま入れないのではないかと不安げな表情を隠せなくなっていました。 「おかーしゃん・・・」 「ゆっ、だいじょうぶだよ!きっとはいれるところがあるよ!」 「しょ、しょうだね!」 「ゆうううう・・・」 子れいむの不安を母れいむは必死に宥めます。 そんな中キノコを見つけたれぃむがみんなに向かいました。 目には涙が溜まっています。 「おかーしゃん、おねーしゃんごめんにゃさい!」 「ゆゆゆ、どーしたの!?」 「れぃむのせいでこんなことになっちゃから・・・」 「れぃむ・・・」 子れいむは自分のせいだと責任を感じていました。 母れいむも姉れいむも何も言えません。キノコのとき一緒に賛成したことを忘れていませんでした。 母れいむはそんな子れいむににっこりと微笑みました。 「つぎのすぽっとはぜったいあいてるからだいじょうぶだよ!」 「おかーさんほんとう?」 「ほんとうだよ!あそこはいちばんおおきいからね!」 母れいむの自身に満ちた顔に子れいむは涙を止めました。 他の子れいむにも元気が戻ります。 母れいむは嘘を付いていました。 しかし、今は元気であってほしいと母れいむはばれない様に懸命に演技しました。 次のスポットが母れいむの知る最後のスポットです。 ここに入れなかったられいむ達は死ぬしかありませんでした。 「ゆゆっ、ここだよ!」 「ゆ~、おおきいね!」 れいむ達は大きそうに見える洞窟の前にいました。 幸い、入り口にぱちゅりーが見えました。 まだ冬眠してはいないようです。 れいむは今度こそと自分に気合をいれ、ぱちゅりーに向かいました。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「れいむたちをいれてください!」 頭を下げてぱちゅりーに頼み込みます。 子れいむはその様子を心配そうに見つめていました。 「ゆぅ・・・もういっぱいだったかしら・・・」 「だいじょうぶだよ!れいむたちはいれるよ!」 制限に来ているか考えるぱちゅりーをみてれいむは入れてもらおうと必死に食らい尽きます。 ぱちゅりーが難しい顔をしているとれいむ達のしった顔が現れました。 「あら!れいむたちじゃないの!?」 「ありす!」 友達の顔を見てれいむは笑顔を取り戻します。 「あなたたちどこもはいれなかったの!?」 「ゆぅ・・・」 「だからゆっくりしないでっていったのよ・・・」 ありすでも制限はどうしようもありません。 れいむが再び不安な顔になろうとした時、奥から二匹のゆっくりが現れました。 「わかるよー、はいりたいんだねー」 「そこのおおきいれいむだけならはいれるんだぜ!」 奥からやってきたのはゆっくりちぇんとゆっくりまりさでした。 ちぇんが入り口の騒ぎに気付き、まりさと一緒に数を調べてくれていたのです。 やっと掴んだ一匹の空き。しかし、れいむ達は4匹。 「おかーしゃんれーむたちははいりぇないの?」 「おかーしゃん・・・」 「ゆぐぅ・・・」 母れいむに置いていかれるのではないかと子れいむは急に不安になりました。 母れいむよりそって離れたくないと頬をむにゅっと引っ付けます。 困った母れいむにまりさは提案しました。 「いっぴきぶんのあきだけどちびたちなら4ひきいけるんだぜ!」 「かなしいのはわかるよー、でもどっちかしかはいれないよー」 「れいむ・・・」 母れいむは決断を迫られました。 答えはもう決まっていましたが。 「じゃあこどもたちをおねがいするよ!」 「わかるよー、かなしいけつだんだねー」 「わかったんだぜ!こどもたちはまりさがかならずせわするぜ!」 「れいむ、ほかにあてはあるの? れいむの決断にちぇんが同情し、まりさが子供を置いていくれいむに心配させないように話しかけ、ありすはれいむの心配をしました。 「だいじょうぶだよ!まだすぽっとはあるよ!」 「そう、ならいいわ!いそいでむかったほうがいいわよ!」 れいむの自信満々な顔にありすも納得し、れいむに激励を送りました。 「むきゅー。きまったようね」 「こどもたちをおねがいね!」 「わかったわ。じゃあここもしめるわね。」 母れいむを置いてゆっくりスポットの入り口が閉まりだします。 子れいむは徐々に見えなくなる母れいむに向かって飛び跳ねていきます。 母れいむは心配そうな子れいむを安心させるように微笑みました。 「ニヤ・・・」 「ユッ!?」 その母れいむの表情は子れいむ達の動きを止めました。 とうとう入り口が完全に閉まってしまいます。 もう子れいむではどうすることも出来ませんでした。 「おかーしゃん・・・」 「だいじょうぶだぜ!ほかのばしょにきっといけるんだぜ!」 「そうよ!それよりはるにおかーさんにあえるようにとうみんするのよ!」 子れいむ達はスポットの奥に向かいます。 初めて入ったゆっくりスポットには様々なゆっくりが犇めいていました。 「ゆ~、なんだかあかるいね!」 「ほんちょだ!おうちはこんにゃにあかるくなかっちゃよ!」 「どこかあいてるのかな?」 「ゆぅぅうん・・・」 子れいむ達はみょんに明るいスポットを不思議そうに思い、辺りを見回します。 やがて空中に浮いている白い物体を見つけました。 「あれだよ!あれがあかりゅいんだよ!」 「あれなんだろ?」 れいむの質問にまりさが答えます。 「あれはみょんのはんれいってやつだぜ!」 「はんれい?」 「よくわからないんだぜ!でもだいじなものらしいぜ!」 「ゆゆっ!」 だいじなものと聞いてれいむは自分のリボンを思い浮かべます。 「あいつがみょんだぜ!」 「ちーんぽ!」 「ゆっくりしていってね!」 初めて会ったみょんは変な泣き声でしたが子れいむ達は不思議と挨拶していました。 他にも様々なゆっくりと会った後、まりさの言っていた空きにつきました。 「ここだぜ!ちょっとまわりにうごいてもらってありすとちぇんもはいれるようにしたんだぜ!」 「さすがまりさね!」 そこには藁が敷かれていました。 これなら暖かそうです。 「わかるよー、ちょっとすくないよねー」 「さすがちぇんだぜ!」 いつの間にかいなくなっていたちぇんが戻ってきました。 子れいむ達からはまりさに隠れて見えませんでしたが、すぐに口に藁を咥えたちぇんが見えました。 「きみたちはそれじゃたりないよー」 ちぇんはそういい、子れいむ達の周りに藁を積んでいきます。 「ぽかぽか~」 「ちあわちぇ~」 子れいむは母れいむとちぇんの用意してくれた藁と綿でぬくぬくです。 しかし、まりさたちの顔はまだ晴れていませんでした。 「ゆぅぅ、これじゃたりないんだぜ・・・」 「こまったわ・・・」 「もうわらはなかったよー・・・」 悩んだ結果、まりさが防止を脱ぎだしました。 「まりさどうしたの!?」 「このぼうしをかぶせばあったかくなるんだぜ!」 「わかるよー!それならじゅうぶんだよー!」 まりさは子れいむの上に帽子を置きます。 「ゆ~、なんだかねみゅくなっちぇきた・・・」 「れーむも・・・」 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 「ゆゆゆゆ・・・」 子れいむ達は冬眠のための眠気で船を漕いでいました。 「もうだいじょうぶだぜ、まりさたちもいっしょにねるんだぜ」 「またはるにあいましょうね」 「わかるよー、ぜったいだよー」 既に眠っている子れいむを見ながら3匹はゆっくりと眠りにつきました。 「ざ、ざぶいいいいいいいいいい!」 木枯らし吹き荒れる森に母れいむの悲鳴が響きます。 母れいむは必死にスポットを探しました。 しかし、開いている場所を見つけれず、辺りは暗くなっていました。 さらに追い討ちをかける物が空から降り始めます。 「ゆゆっ!?ゆきだあああああああ!」 母れいむには死の雪でした。 たまらずれいむは近くにあった木の根元の穴に逃げ込みます。 雪は降り止む気配を見せませんでした。 「ゆ~、もうつかれたからあしたさがすよ!」 れいむは独り言を呟いて眠り始めました。 一日中飛び跳ねていたれいむはぐっすりと眠ってしまいます。 雪はれいむのことなど気付かないかのように世界を白く変えていきました・・・ 「ゆゆっ・・・すっきりー!」 母れいむは十分な睡眠を取り、元気に目を覚ましました。 そして穴から外に元気よく飛び跳ねます。 そんなれいむの飛込みを白い地面はしっかりと受け止めました。 「ゆ?ゆゆゆゆううううう!」 森は姿を変えていました。 白くなった地面はれいむのとんだあとを綺麗に残していました。 れいむは気付いてしまいました。 もう開いているゆっくりスポットはないのだと。 それでもれいむは探すしかありませんでした。 ちっぽけなれいむなど白い世界では唯の点です。 「ゆーしょ!ゆーしょ!」 「ゆ~、しろくてどこかわがらないいいいいいいい!」 「ゆぅ、なんだかちからがはいらないよ・・・」 「れいむのあかちゃんたちだいじょうぶかな・・・」 「ゆっ、れいむもがんばりゃないt・・・」 ちっぽけな点はやがて見えなくなってしまいました。 「おきるんだぜ!はるがきたんだぜ!」 まりさがまわりのゆっくりを起こし始めます。 その声で周りのゆっくりが目を覚まし始めました。 あれからなにも起きず、スポットの住人は無事春を迎えることが出来ました。 「「「「ゆ~、しゅっきりー!」」」」 子れいむ達4匹も初めての越冬を無事乗り越えれたようでした。 「まりしゃおねーちゃんありがと!」 「しゅっごいあたたかかっちゃよ!」 「それはよかったんだぜ!まりさもうれしいぜ!」 まりさは帽子を被りなおしました。 そこに入り口を開けにいっていたありすとちぇんが戻ってきます。 「いりぐちがあいたわよ!」 「そとははるだよー」 「わかったんだぜ!」 三匹は子れいむに向かい問いかけます。 「れいむたちはどうするんだぜ?」 「れいむはまだきてないみたいね・・・」 「わかるよー、まだおきてないんだよー」 子れいむの返事は決まっていました。 「「「「おうちでゆっくりまちゅよ!」」」」 「わかったよー!ならこれもっていってねー」 「それがあればしばらくもつんだぜ!」 「れいむがもどったらもっとおいしいものをもらいなさい!」 三匹が渡したのは巣の近くで取った植物や虫をまとめたものでした。 「ありがちょー!」 「おいししょー!」 「ちょっとたべちゃいよ!」 「だめだよ!おかーしゃんがかえるまでゆっくちたべるよ!」 それぞれ食べ物を抱えたれいむ達は3匹とぱちゅりーに見送られてこれまで暮らしていた巣に戻りました。 「ひしゃしぶり~!」 「やっぱりここはゆっくちできるね!」 「おねーちゃんゆっくちちていっちぇね!」 「れぃむもゆっくちしていってね!」 巣には食べるものは何もありませんでしたが、それ以外は何も代わりがありませんでした 貰った食べ物を置き、4匹の子れいむは母れいむの帰ってくるのを待ちました。 いつまでもいつまでも待ちました。 それでも母れいむは帰ってきません。 もう貰った食べ物は食べ尽くしてしまいました。 「おねーしゃん、おにゃかすいた・・・」 「もうすぐおかーしゃんがもどってくるからゆっくちまとうね・・・」 子れいむ達はもう食べ物をとりにいく元気は残っていませんでした。 話しているのも二匹だけで、もう二匹は既にうつろな目で上を見つめています。 それでも子れいむ達は母れいむの帰りを信じていました。 子れいむ達の巣の外では、冬を乗り越えた生き物が元気よく動き回っていました。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1853.html
ゆっくりの掃き溜め。 そこは奇形ゆっくりや人間に虐待され五体(?)満足でなくなったゆっくり達が唯一生きられる場所。 もともとはとあるゆっくりの群れが住んでいたのだが餌となるものを採り尽くしてしまったため群れが別の場所に移ったのだ。 ろくな食料も無く近場に水場も無い。 しかもここは外敵となる獣や大型の鳥が多く生息する。 そんな場所のため普通のゆっくりは近づこうともしない。 迫害されたゆっくり達が暮らしていける場所はそんな所しかなかったのだ。 幸い巣穴は元の持ち主であったゆっくりの群れたちが大量に掘っていたため多数存在した。 自らの巣穴を掘る力すらない彼女達が何とか生きて…そして数日、数十日のうちに死んでいく環境が存在していた。 「ゆぅ!ゆぅ!」 いつものように複数人分の餌を採りに行っていき集落へ帰って来たれいむ。 彼女はただ飾りを失っただけというこの集落ではもっともましな状態だった。 しかし彼女は食事すらできず苦しむ仲間の姿を我慢できなかったのだ。 気づけば動けぬ仲間達のために餌を採ってきていた。 だが自分に可能な限界の量の食料を採ってなお足りなかった。 朝、日が昇ってすぐに餌を採りに行き、日が暮れてようやく巣に帰り着く。 そんな生活が一月ほど続いていた。 しかしもともと餌は少なく外敵も多い場所。 ゆっくりには採れない大型の果実が多くありそれを餌とする獣が多くいる場所なのだ。 獣に襲われ逃げ帰ることもしばしばだった。 実際同じ志を持った仲間達はその多くが命を落とし、多くが罪悪感を持ちながらも諦め自分の分の餌だけを探していった。 (こんなところではおわれないよ…!しんでいったみんなのぶんまでがんばるよ!) そんな決意を持ってこのれいむは今日も狩を続けていた。 「む、こんなところにゆっくりが?」 そこに突然現れたのは全身を白い服に包んだ人間の青年だった。 「ゆ?おじいさんだあれ?」 れいむのいうとおり青年と言うにはその人間はあまりにも疲弊していた。 頬は痩せこけ髪は白くその表情からはあまりにも生気が無い。 まさしくその外見は老人のそれに近かった。 「私は旅の者だよ。ここは君達の集落かい?見たところ皆あまりゆっくりしていないようだが…」 「ゆぅ…みんなびょうきやけがをおってるの」 れいむはこの青年にこの集落の事情を話した。 どの群れも自分たちを受け入れてくれないこと。 ここがそんなゆっくり達が集まった場所であること。 採れる食料が限界に来ていること。 青年は黙ってそれを聞いていたがやがて口を開いた。 「よし、私に任せなさい。」 そして奇跡が始まった。 青年が足の焼けて動けないゆっくりに触れればそのゆっくりは元気に跳ね回り始めた。 生まれつき目が見えないゆっくりに触れればその目が開いた。 また、青年は時折集落を離れるとゆっくり達が取れない果物を大量に採ってきた。 まさに奇跡がそこにあった。 いつしかこの集落は「奇跡のゆっくりプレイス」と呼ばれゆっくり達に広まった。 そのうわさを聞きつけ多くの迫害されていたゆっくり達が集まった。 集落を襲おうとするゲスなゆっくり達もいたが人間でもとりわけ体の強い青年の力には到底及ばず撃退された。 迫害されていたゆっくり達の奇跡がそこにあった。 彼女たちの本物のゆっくりプレイスが確かにそこにあったのだ。 ある、暑い日。 いつものようにその集落のうわさを聞きつけたとあるゆっくりまりさが青年の前に寝かされていた。 「ゆ!まりさはあしがわるいんだよ!さっさとなおしてね!びょうにんはいたわるものだよ!」 「ふむふむ、そうか」 青年はゆっくりのふざけた態度にまったく不快感を示さずにその言葉を受け入れた。 目の前のゆっくりは確かに足が悪いが少しすりむいた程度のものだ。 正直青年が手を出すまでも無い。しかし、 「わかった、俺が直してやろう!」 「ゆ!ものわかりがいいじじはゆっくりしていいよ!ゆっくりしないでさっさとなおしてね!」 「まあそう焦るな、この足を直すゆっくり秘孔は確かここだ!」 ドス! 「ゆがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!いだい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!!!!!!!!」 「ん?間違ったかな?」 「ゆ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っあ゛っあ゛ゆ゛びでば!!!!!!」 ボン!!! 盛大な音を立ててまりさは爆発した。 「ふむ、ここも違ったか。だがここはここで面白い。」 そうメモを取りながら青年はつぶやいたのだ。 「ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!ゆ゛っぐりでぎな゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!!」 「や゛べでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!い゛た゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!」 「ゆ゛べがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あぶびら゛!!!」 ゆっくり達の地獄がそこにあった。 青年が一度ゆっくりに触れればそのゆっくりは苦しみながら死んでいった。 あるものは一日中死ぬような痛みに泣き続け干からびた。 あるものは餡子を自分の意思とは関係なく死ぬまではき続けた。 あるものは交尾もしていないのににんっしんっし無数の茎を生やし絶命した。 あるものは全身から液状化した餡子を激痛と共に噴出し続け死んだ。 「おにいさん!これはどういうことなの!?」 青年が集落に来て最初に会ったれいむが彼に詰め寄った。 今の集落の異変は間違いなく彼によるものだ。 いつの間にかおじいさんからおにいさん呼び名を変えた彼に事情を話してもらわなくてはならない。 彼女の集落内の饅頭にしては賢い頭は誰から見ても明らかな犯人をゆっくりでは唯一突き止めていた。 「おお!お前か!探していたんだぞ!」 そんなれいむの疑問を一切無視し青年はれいむを抱きかかえた。 「飾りこそ無いが肉体はゆっくり一倍健康かつ強靭!お前は最高の木偶になる!」 「な、なにいってるのおにいさん!ゆっくりしないでせつめいしてね!」 そんなれいむの叫びを一切無視し彼女を診察台の上におくと、彼はいきなり指を突き入れた。 ドス! 「ゆぎっ゛!!!」 いきなりの激痛に短く声が漏れる。 れいむは抗議の声を上げようと再び口を開いた、しかし 「っ!!!!!!っ!!!!!」 口から声が出なかったのだ。 それを見た青年は満足げに言った。 「やはり今のゆっくり秘孔は声を上げられなくなる秘孔だったのか!感謝するぞ! お前のおかげで俺様の研究はまた一歩完成に近づいた!」 れいむには分からない。 なぜ自分がしゃべれないのか、この青年が自分に何をしたのか、なぜやさしいこの青年が集落をあんなことにしたのか。 ゆっくりの頭ではとても理解できない。 「さて、お前はもう用済みだな。この前発見した花火のように全身の餡子が爆発するゆっくり秘孔で葬ってやろう。 なあに、怖がることは無い。痛みを感じる暇すら無く一瞬で死ねる。」 ドス! 「!!!!!!」 診察室という名の研究室に爆音が響いた。 健康的な黒い髪を持つ青年の手の中でれいむはその派手にその生涯を閉じた。 かつて「奇跡のゆっくりプレイス」と呼ばれた集落はもうそこには無い。 そこにあるのはただ大量の、本当に大量のゆっくりの死骸のみ。 「ふう、時間はかかったが有意義な実験ができた。」 そう満足そうな顔でつぶやくのはこの集落に奇跡と地獄をもたらしたあの青年だ。 彼は元は加工所の研究者だった。 しかしゆっくり秘孔、ゆっくりの体に無数に存在する特殊な現象を引き起こす箇所の存在を発見し彼は変わった。 ゆっくり秘孔の実験と開発を繰り返すうちにそれに見入られ次々と、研究体以外の商品となるようなゆっくりをも殺した。 それが原因で彼は加工所をおわれたのだ。 職を失い研究環境を失った彼は浮浪者のように行く当ても無く森の中を彷徨った。 研究できないストレスで髪は白くなり栄養失中で頬がやせた。 そんな時発見したのがあのゆっくりの集落だった。 最初は治療の研究だけにしておこうと思っていた。 しかし彼のあふれる研究心は耐えられなかった、耐える気も無かった。 そうして生み出されたのが目の前の光景だ。 大量の餡子を前に、彼らに送る最後の言葉を彼はつぶやいた。 「俺の求めるゆっくり神拳はまだ遠い。」 彼は今日もどこかで自らが求める研究と拳法の完成めざしゆっくり達を付き続けている、かもしれない。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2243.html
人間と山のゆっくり 古緑 「コレが目を開いてから三日目の写真でな、 コレが初めて喋った時の写真、キーホルダーみたいだろ?」 「えぇ、そうですね」 「なぁA」 「んでこれが初めて牛乳パン食べた時の写真、 こっちの写真はれいむが初めて」 「A!」 「何?B」 「もういいだろ」 「何が?」 「その…それだよ 写真見せたりお前ん家のゆっくりの話するのだよ ちょっと反応に困ってるだろ」 「何で?」 「……いやもういい」 「そんでコレがな…」 僕は今電車の中でA先輩の持ってきたアルバムを見ている(見せられている) 挟んである写真は先輩の飼っている4歳になるゆっくりれいむ。 先輩は地元の家の近くの叢でこのゆっくりれいむを拾って来てから4年間もの間 そのゆっくりれいむを愛し続け、写真ももうアルバム7つ分にもなっているという。 正直その写真を半強制的に見せ続けられるのは少し辛いが、 全く興味の無い事でもない。 これから行く場所には写真の中のものと同じ生き物が数多く生息しているというのだから。 今日も見れるかもしれないとB先輩も言っていた。 電車の向かう先は○○山のある○○駅。 15kg超えのザックを背負い、700gの新品の登山靴を履いた僕は 初めての登山に赴く○○高校登山部の高校一年生だ。 A男先輩は高校三年生の同部活の先輩だ。 今回の山行では A男先輩がチーフリーダー(山行の企画をし、登山時は最後尾で班員を見守る)を務める。 登山歴は中学の頃かららしく、頼れる先輩だ(少し強引だが) B太先輩はA男先輩と同じく二年生で 今回はサブリーダー(登山時に先頭に立ち、班員を導く役割)を務める。 どこかミステリアスな雰囲気(暗くてなんか怖い)を漂わせる先輩だが 普段から優しい人でAさんの親友だ。 あとは僕と同じ一年生が二人。太ってるC君と痩せてるD君。 この一年生親睦山行で仲良くなれると良いんだが。 目的地を告げる電車のアナウンスを聞き、僕達はザックを荷台から降ろしてホームへと降りた。 改札口を出て見えるのはカラフルなザックと登山者風の服装の中高年。 今回行く山はやはり登山者にとって人気の山という事なんだろう。 駅にある水道で2リットル程水筒に水を入れてから バスに乗って山の麓まで行く。 そこからが脚を使う登山のスタート地点だ。 バスの中は人こそ少ないが大きなザックがスペースを取るのでやはり座席は埋まってしまう。 バスが赤信号で止まってる間、 ぼんやりとガラス窓から見える林を眺めていると 赤のリボンと黒いトンガリ帽子の球体が林の方に跳ねて行くのが見えた。 「先輩、今なんか…」 「あ、見てたか?アレがゆっくりだよ」 振り返って後ろの座席にいたA先輩に ゆっくりらしきモノを見たと言おうとしたところ先輩も見ていたようで、 このあたりのゆっくりの説明を受ける事になった(少し後悔した) 山と人の住む場所の境にはゆっくりが良く現れるらしく 特にこの山では多いらしい。 最近は数が減ってきたのか見れる機会は少し減ってきているそうだ。 A先輩の話を聞きながら田んぼばかりの田舎道をバスが青信号を進んで行く。 「ゆっ?れいむ、にんげんがおりてきたんだぜ! おいにんげんども!まりささまにごはんよこすんだぜ!」 「おにいさん!かわいいれいむにごはんちょうだいねぇ~ん?」 目的地のバス停で降りると見慣れない生物が出迎えてくれた。 先に降りた中高年夫婦の登山客にまとわりついている。 先輩二人には見慣れた光景のようで特に気にしている様子はない。 「先輩、アレ…」 「あー酷いだろ アレがここら辺のゆっくりだよ 人の集まるバス停に溜まるんだ」 ゆっくり好きの筈であるA先輩に訊いたところ、 全く興味無さそうに答えてくれた。 「なにモタモタしてるんだぜぇ?はやくよこぶぇ!!」 「ばでぃざぁぁぁああぁあぁ!?」 その時前にいた中高年夫婦の旦那さんの方がトンガリ帽子を蹴ってどかした。 まさかあんな温和そうな人が…と僕はその光景に驚いたが、 B先輩が言うには 「さっきの駅前でもそうだが、バス停付近で人にタカろうとするゆっくりは 後片付けをするならお前等も殺してもいいぞ」 らしい。 この辺じゃゆっくりを殺す事自体は禁止されているそうだが 殺しても誰も咎めないし、誰もそれを守っていないそうだ。 中高年夫婦は後片付けまでする気がないのか ある程度動けなくなるまで踏んだところで山道に入って行った。 B先輩が地図を広げて現在地を確認すると、 B先輩を先頭、一年生を挟み、A先輩を後尾にして5人は一列となって山道に入って行った。 肩に食い込む荷物と、登山靴がしっかりと土を踏み込んで行くのをその足に感じながら、 僕等は今日の目的地であるテント場へと歩いて行った。 「ゆっ?ゆっくりしていってね! ここをとおりたければ『つうこうりょう』をはらってね! あまあまでいいよ!」 「ここはれいむたちのゆっくりぷれいすだよ! にんげんさんたちはあまあまをゆっくりちょうだいね!」 テント場に行くまでには歩いて数時間かかる。 その間一時間に一本取る十分間の休憩の中でガサガサとどこかからまたゆっくりが現れた。 紅いリボンのが二匹。 どこかさっきのバス停の奴等よりもマイルドな話し方だ(初めて『ゆっくり』というのを聞いた) 「先輩、コイツ等は…」 「あぁ、コレが山の入り口あたりのゆっくりだよ 人間にタカってくるのは変わりないけどさっきのよりはちょっとはマシだろ? コイツ等オレ達のザックの中にメシが入ってる事知ってるんだよ」 B先輩に訊いてみたところ山の入り口のゆっくりは ザックの中の僕等のオヤツやご飯が有る事を知っているらしい。 この時先輩から受けた注意によると、 主に登山初心者がやってしまうミスの一つに、 ゆっくりにカロリーメイト等のお菓子を与えてしまうのがあるそうだ。 与えられれたその味を一度知ってしまったら最後、 町に降りて来たり、人が来る入り口付近等でタカってくるのを止めないらしい。 そういえばこの休憩場所のちょっと向こうにある看板に 『ゆっくりに餌を与えないで下さい』と書いてある。 (この時休憩時間の10分を過ぎたらしく、A先輩が皆にザックを持つよう言いだした) 「山の中の如何なる物に対しても出来る限り人間の影響を残してかないのが 登山者のマナーだと俺は思うんだがね、 まぁコイツ等も所謂人間の被害者って事かな…」 「ゆっくりあまあまをちょぶぇ!!」 「どぼじでごんなごどずるのぉおぉぉぉ!?」 そう言いながらも笑顔でゆっくりを蹴りどかして行くB先輩。 『ちょっとは痛い目に遭った方が人の住む所に近づかなくなる』そうだ。 山に影響を与えず云々とは言っていたが、難しいところだ。 予定通り6時間程歩いた僕等は無事テント場に辿り着いた。 歩いてる間、ずっとA先輩と話していたC君とD君も 疲れているようだが問題は無さそうだ(僕は脚がガクガクだ) テントを建てる前にA先輩達は顧問への電話、 B先輩はテント場管理人への連絡の為、僕等一年生はその場に残されてしまった。 僕は親睦の為の良い機会だと思ったので、テント場にある山小屋で ココアを飲みながら一年生だけでトランプで遊びながら親睦を深めた。 二人とも面白い人みたいで仲良くやって行けそうだ。 夕方5時半にお米をコッヘルで炊いて、レトルトカレーと海鮮サラダを食べ終えた僕らは テントの中で学校の話、倶楽部の話、一年生の話、さっき見たゆっくりの話等、色んな話をした。 その話の中でB先輩がゆっくりを飼っているA先輩以上に 『異様に』ゆっくりの体の構造や習性に詳しい事が分かり、 D君がちょっとした冗談を言った。 「もしかしてB先輩ゆっくり虐待とかしてるんじゃないですか?」 僕もどこかのニュースで『ゆっくりに対して拷問や暴力を働くのを 止められないと言う男』がモザイク付きでインタビューに答えているのを見た。 『ゆっくり虐待』って言うんだな。 そりゃ失礼だろ、とC君がフォローしようとしたその時 「はああぁぁああぁぁ!!?虐待とか無いし!! 俺ゆ虐とか全然興味ねーから!!赤ゆとか大好きだし!!超可愛いし!!」 「「「………………」」」 まるで何百回と口にしたような流暢な発音で出て来た『ゆ虐』とは恐らく 『ゆっくり虐待』を略したモノなのだろうか? 『赤ゆ』ってなんだろう? 踏み込んではいけない領域に踏み込みそうになったので 一年生が沈黙し出すとA先輩がポテチとジュースとUNOを出し始めたのた。 それを見た僕等はこの話をお流れにした。 「ゆっくりしていってね!」 「ン?」 カードを片手にポテチを食い終えようとしたその時 テントの外から例の声が聞こえた。 外を覗くとトイレに行っていたC君の近くにトンガリ帽子がいる。 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 「何だ、コイツ?」 またゆっくりだ。 でもさっきの奴みたいに横柄な口を利く事も無く、 ただ『ゆっくりしていってね!』としか言わない。 その姿は見ようによっては少し愛らしくもある(僕はちょっとキモイ生物が好きだ) 「先輩…アレって…」 「あぁ、アレがテント場近くのゆっくりだよ ラッキーだな、色んなゆっくりが見れて 奴等はもう寝てる時間だろうが人の声を聞きつけて来てたんだろ」 B先輩に訊いてみたところテント場には 食べカスを残して行ってしまう人がたまにいるらしく、 それを知っているゆっくり達は『人の近くはゆっくり出来る』と思ってしまい、 夕方の人のテント近くに集まって来る事があるらしい。 「C、ちょっとそのゆっくりまりさ小突いて追っ払ってやれ」 「えっ…」 「いいんだよ、そいつ等の為にもなる それにこれからはお前等がやる事になるんだから」 A先輩が言うにはテント場に集まるゆっくり達も 心の何処かで『人がゆっくりさせてくれる』と思ってしまっており、 人がその状態のゆっくりと関わるのはゆっくりにとって良くない事らしい。 小突いて追っ払えば『人とはゆっくり出来ない』と思ってくれるそうだ。 これは人にとってもゆっくりにとっても良い事だ。 このゆっくりに安易に『人はゆっくり出来る』と思わせてしまうと 多くのゆっくり達が人の住む町に来しまうとA先輩が言っていた。 さっきの山の入り口にいたようなゆっくりに変わってしまうんだろうか? 「ホレ、アッチ行きな」 「ゆっ?やめてね!やめてね!ゆっくりできないよ!」 C君が登山靴から履き替えたサンダルの先っぽで トンガリ帽子(ゆっくりまりさという名前らしい)を小突いて追い返した。 あれでゆっくりまりさは人に近づくのを止めるだろうか。 止めた方がいいのだろう。 あのバス停のゆっくり達や入り口近くのゆっくりの様になってしまうのなら。 それからまた暫く遊んでから僕等は夜の8時には寝袋を敷いて就寝する事になった。 朝の4時半に起床。 最低限の荷物を小さな鞄に持ち替えて、 僕らはテント場から山の頂上まで朝日を見に登って行く。 雲は無いしきっと綺麗な朝日を見れるだろう。 そうA先輩はアキレス腱を伸ばしながら僕らに言うと デジカメをポケットから出してカメラのチェックを始めた。 山の朝はとても寒く、暗い道を頭につけたランプで照らしながら進んで行く。 隊列は昨日と同じ。 だが歩き始めてから一時間と40分程でその隊列は変わる事になった。 馴れない早朝の運動にヘバってしまったのか、休憩を申し出て来た。 「B先輩…ちょっと休憩貰っていいですか…」 「頑張れC、頂上もう見えてるからよ オイA、ちょっとCに先頭行かせるか?」 A先輩が言うには先頭に立って自分のペースで歩かせた方が 疲労感が抑えられるらしい。 B先輩はCにポカリを飲ませるとCとの位置を交換した。 そしてCはゆっくりと自分のペースで山頂までの岩だらけの道を歩き出した。 「おぉーし!お疲れ!C、あそこの平らなトコまで行って休憩だ」 ようやく頂上まで辿り着いたC君は安堵の顔を見せながらも完全にヘバっており、 ホッとしながら死にそうな顔という器用な顔を見せている。 C君はA先輩に言われた通りに平らなところに向かって歩き始めた。 「ゆっくりしていってね!」 「ちょっと…通してって」 どこからかまたゆっくりれいむが現れた。 へとへとにヘバっていたC君は道を阻まれた事で少し苛立ったのだろうか テント場のゆっくりにした様にゆっくりを小突いてどかそうとした。 その時 「待てC!!」 突然B先輩が叫んだ。 休憩場所で容赦なくゆっくりれいむを蹴りつけていた人とは思えないような発言だ。 だがB先輩が叫ぶまでもなく、C君は脚を止めていた。 「ゆっくりしていってね?」 「…あぁ、ゆっくりしていくよ」 C君はザックを背負ったままそのままそこにゆっくりと座り込むと、 丁度出て来た太陽光をその体に浴びて日光浴を始めた。 ゆっくりれいむはその一年生の膝まで跳ねて行くと 膝の上に乗ってその一年生と同じ様に目を閉じて日光浴を始めた。 B先輩が言う。 「今回はツイてるな、やっぱり」 「あのゆっくり、なんか…どっかおかしくないですか? どこから出て来たんですかアレ」 班員の皆も気付いていると思うが、 山頂付近は石や岩ばかりで樹も草も無く、前方の視界を遮る物が無い。 あんな紅いリボンが灰色の道で動いていたら気付かないわけが無い。 あのゆっくりれいむは浮かんで来るように現れたのだ。 「あれが人の影響を全く受けてない山奥のゆっくりだよ 晴れの日の山頂にも稀に出てきてな、落ち着いてない生き物を落ち着かせるんだ 急に現れた様に見えたのは…まぁ『湧いて出て来た』っていい方は変だが そんなところだ。まだよく分かってないらしい 滅多に見られるもんじゃないぞ」 Aさんが解説する。 よく見るとそのゆっくりれいむは丸い体を包み込む様に 僅かな光を纏っている様に見える。 ゆっくりれいむを膝に乗せたC君はまるで 晴れの日に縁側で昼寝をする猫のように目を細めていた(その顔はゆっくりみたいだった) 「二年ぐらい前はそれ程珍しくも無かったんだけどな やっぱ山頂でもエサやる人間がたまにいるからどんどん山を下って行っちまうんだ コイツ等は元々、人の食い物が欲しくて人に近づくってワケじゃないのにな… そうなったらもうコイツ等は別物になっちまう あの肉を持たない妖精のような存在から、昨日見た醜く口汚い生物になっちまうんだ」 B先輩が少し辛そうにそう言った。 「どうしてそうなっちゃうんでしょうね?」 C君を見ながらD君がA先輩に訊いた。 「人と同じなんじゃないかな? 自分にとってとてつもない快楽が手の届くところに有れば どうしてもそれを得ようと必死になっちゃうモンだ 奇妙な事だが、人に干渉出来る様に肉体を持つのもそのせいかもしれない きっとゆっくりも同じなんだろうな」 僕はこの日初めてこのゆっくりと出会い、 班員達はC君の膝の上でゆっくりしているゆっくりれいむの周りで休憩しながら 30分間の休憩の予定を倍の1時間にしてしまった。 僕はゆっくりさせてくれたゆっくりれいむに感謝すると共に あぁ、山に来て良かったな。そう思った。 そして一時間後、十分ゆっくりしていった僕等は ザックを背負って頂上から降りようとしていた。 「またいっしょにゆっくりしようね!」 「あぁ、またゆっくりしに来るよ」 それを聞いたゆっくりれいむは嬉しそうに目を細めると 風景に融ける様に消えて行った。 そして僕等はリラックスした気分でテント場まで下り、 テントを片付けて、バス停まで戻って行った。 その日のスケジュールはハードだった筈だが 何故かこの日は辛いなんて思わなかった。 きっとあのゆっくりの御陰なのだろう バス停近くのアスファルトの道を登山靴で鳴らしながら 僕はまたあのゆっくりれいむに会いたい、そう思った。 「んほぉぉぉぉおぉおぉぉぉおぉ!!!」 「やべるんでぜぇごのぐぞれいばぁあでぃず!!」 「ゆ”っ!かわいそうなれいむにごはんをもってきてね!はやくしてね! なにしてるの?れいむはにんっしんしてるんだよ?もたもたしないでね!」 「つんでれまでぃざがわいいぃぃいちゅばちゅばしであげるわぁああぁ!!!」 「ばぁ~きゃ!とっととあまあまよこちぇじじぃ!」 「「「………………」」」 バス停の前でまた出迎えてくれたゆっくり達を見て A先輩は萎えきった顔になって降ろしたザックの上に座り込んだ。 バスが来るまでの二十分間コイツ等と待ち続けなければならない A先輩はウンザリした顔つきで僕等に向かって言った。 「オイ、昨日も言ったがバス停付近に出てくるゆっくり殺しても 片付けるんなら誰も困んないから、そうしたければ殺ってもいいぞ ゴミ袋もほら、ここに」 僕らを使わないで下さい。 急にそんな事言われても困る。 ウザくてもイキナリ殺すなんて事は 「ん?しょうがねぇな!美しい町づくりの為だからな!うん!」 B先輩だけはノリノリのようで ぷくーっと膨らんで威嚇?するお腹の大きい不細工なゆっくりれいむの方に向かって行った。 「オイB、駅まで水道とか無いから産道に手突っ込んで 中身取り出したりすんなよ、いつもみたいに」 「はぁああぁぁあぁあ!?いつもそんな事してないし!! 子供引きずり出して親に見せつけるとかないし!!」 「「「…………………」」」 ー完ー
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2911.html
■注意事項 大半のゆっくりが生き残ります ゆっくりが人間に勝ち(?)ます ゲスまりさは死にます ■正義の味方のゆっくり 悪い人間からゆっくりを助ける「正義の味方のゆっくり」が居るらしい。 ゆっくりが虐められている畑に颯爽と現れて、 人間を倒してゆっくりを助けるのだと言う。 「む~しゃ、む~しゃ、しあわせ~!!」 「ゆっくりおやさいおいしいね!」 「まだあるからね!ゆっくりたべていってね!!」 本来であれば、瞬殺、全滅モノの光景が広がっている。 しかし、ここはゆっくり選ばなければ成らない。 どのゆっくりを潰すか、どのゆっくりを逃がすか、どのゆっくりを痛めつけるか。 「ゆっ?にんげんさん?ここはれいむのゆっくりぷっぷぴゅぷぷぷぷぷぶぷぶぶべぇ」 比較的身体の大きな成長したれいむを足で踏みつけて圧力をかける。 口や目や、何の為の器官なのか余り想像したくない穴っぽい部分から 餡子がムニュ~っと押し出される。 一気に踏むと皮が破れて汚くなるが、圧力を徐々に掛ける事で中身が穴から流れ出し、 皮の部分の損傷を抑える事が出来る。 「ゆぅぅ!!れいむがぁぁぁっぁ!!!」 「にんげんはしね!ゆっくりしないでじね!!」 その恩恵は大きく、ゆっくりはれいむが殺された事を正しく一瞬で理解した。 以前一気に踏み潰したり、叩き飛ばして爆裂飛散させた際には、 「ゆっ?れいむがいなくなったよ?」 とか 「ゆゆっ!こんなところにあまあまさんがあるよ!」 「ゆっきゅりたべりゅよぉ~!!」 「ぺ~ろぺろ!ちあわちぇー!」 とか言い出したので非常に計画が困った。 「れいむはしねばいいんだぜ!まりささまはにげげげげぇぇぇぇ!?」 「コレは駄目だな。さっさと潰すか」 「どうじでまりざのほうにくるんだぜ!?!?・・・ゆべぇぇ!!」 周囲をゆっくり観察し、ゆっくり選ぶ。 真っ先に仲間を見捨てて逃げ出した大きい固体から叩き潰す。 あの大きさまで育っていると今後も考え方は変わらないだろうし、 畑荒らしを繰り返す可能性も高い。 何より仲間より大きいくせに、見捨てて真っ先に逃げる所が気に入らない。 「ゆぅ~!!ちにちゃくにゃいよぉ~!!」 「れいむ・・・ごめんね!ゆるしてね!」 「まっててね!たすけをよんでくるからね!!」 小さいヤツや、仲間を気にしながらも恐怖で離れていくゆっくりは 今はまだ見逃してやる。まだ役目が残ってるからな。 「ゆっくりたいへんだよ!!」 「れいむたちがにんげんにいじめられてるんだよ!!」 「ゆっくりしないでたすけにいくんだねー!わかるよー!!」 命からがら逃げ果せたゆっくりは、群に戻って仲間の救出を訴えた。 ゆっくり達はこの期に及んで仲間の救出を諦めては居ない。 普通に考えれば、ゆっくりが人間に勝つのは無理であるし、 畑から群の住処までゆっくり移動する間に皆殺しである。 だが、このゆっくり達は希望を捨てていなかった。 「ゆっくり助けてね!ドス!!」 畑では既に潰されて息絶えたゆっくりが散見されたが、 意外な程に死んでいる者は少なかった。 「ゆぐぐぅぅ・・・いだいよぅ」 「だずげて・・・だずげてくだざい」 「おきゃ~さ~ん!いちゃいよぉ~!!」 しかしゆっくり達は、自力では逃げられぬ程に痛めつけられ、 しかし瀕死と言う程のダメージは負わず致命傷も与えられず、 そして心地よい悲鳴が良く聞こえる程度に元気良く弱っていた。 「まりさ・・・もうたすからないのかな?」 一匹のまりさが弱気な台詞を吐く。 「しっかりして!あきらめるなんてとかいてきじゃないわ!」 「でも、もうだめだよ・・・」 何とか仲間を励まそうとするが、言葉が浮かばない。 それ程絶望的なまでに人間は強かった。 「だれか・・・だれかたすけて・・・」 もう駄目かと諦めかけたその時。 「ゆっ!ソコまでだよ!!」 何処からともなく声が響く。森の中からゆっくりの援軍が現れた!! 「ゆっくりを虐める悪い人間さんは絶対に許さないよ!」 「みんな!今助けるから待っててね!!」 勿論助かる訳はない。 威勢の良いゆっくりが数匹人間に襲い掛かるが、返り討ちにあう。 苦しむ仲間、殺されたゆっくりの死体。返り討ちにあう、腕自慢のゆっくり達の姿。 援軍として現れた筈の、群のゆっくり達は恐怖の震える。 飛び出した最初の数匹に続くものは居ない。 「ゆっ!ソコまでだよ!!」 再び声が響く。皆一斉に声の方を振り返ると、ソコには額に正義の味方と書かれた ゆっくり達が居た。 良く見るとヒーローマスクっぽい意匠や、眼帯風やら、何がしかのラクガキが顔に 描いてある。 「やっぱり助けにきてくれたんだね!!」 「せいぎのゆっくりがたすけにきたよ!!」 「なかまたちのかたきはとるよ!!」 「何だお前ら?人間に勝てると思ってるのか俺は一回刺されただけでしぬぞうわー!!」 現れた正義のゆっくりの活躍によって、人間は倒された。 しかし犠牲も大きい。中間達の多くは傷つき、殺された者もいる。 その光景を間近で見ていたゆっくり達のショックは大きい。 「ゆ!人間は危険だから近づいちゃいけないと教えた筈だよ!!」 群のゆっくりに話しかけているのはドスまりさである。 額に肉と書かれているが、幸いな事に笑うものは居ない。 昔ドスが、人間と戦って付いた傷である為、皆ドスを信頼していた。 正義のゆっくり達の顔に油性マジックで刻まれた傷跡も、多くの戦いを潜り抜けてきた 証である。 「今回はコレだけの犠牲で済んだけど、助けに来るのがもう少し遅かったら」 「皆殺しにされてたんだねー!判るよねー!?」 「ゆ、ゆぅ・・・」 畑に来て殺されかけて傷を負ったゆっくり達は皆うな垂れている。 助けに来た森のゆっくり達も、人間に敵わなかった事や、目の前でゆっくりが 殺されている事を見ている為、ドスには逆らえない。 「他の人間が来る前に早く森へ戻るよ!!」 「ドスが人間からお野菜を手に入れたわ!運ぶの手伝って!!」 「動けるゆっくりは怪我をしたゆっくりに手を貸してね!!」 ドスと、正義のゆっくりの指揮の元で迅速に撤退作業が開始される。 ドスは皆から信頼されていた。 群の危機を何度も救っている実績がある。人間とも戦った。 人間を倒して野菜を手に入れた事もあるし、冬に備えて食糧の備蓄が必要だからと その大事な野菜を自分は食べずに群の皆に分けてくれる。 普通のドスと言えば、人間に逆らうな!だの、畑に行くな!だの、命令ばかり。 畑に行った仲間を助ける事もせずに、逆にルールを破ったからと制裁したりする屑だ。 群の集めた食料を、備蓄と称して自分だけで独占したりもする。 ドスが居るとゆっくり出来ないが、この群のドスは格が違う。 今回だって人間に殺されそうな仲間を助けてくれた。 群のゆっくりは皆、肉ドスの事を心から信頼していた。 だが、そうは考えないゆっくりも居た。 ゲスまりさである。 このまりさは、こう考えていた。 「ドスがにんげんに勝てたのは、にんげんがよわいからだぜ!!」 まりさは一匹のゆっくりぱちゅりーと対峙していた。 「むきゅ!まりさ、なんのつもりなの?」 「もうおまえたちのいうことはきかないんだぜ!!」 ぱちゅりーの顔には眼帯のラクガキがある。 群の中では正義の味方のゆっくりとして慕われているゆっくりだ。 「むきゅ!群のルールは守って貰わないと困るわ!」 「そんなひつようはないんだぜ!まりささまはつよいんだぜ!!」 突然まりさが飛び掛り、ぱりゅりーを突き飛ばす。 人間と戦った勇者である正義のぱちゅりだったが、まりさは一撃で倒してしまった。 「やっぱりまりささまのほうがつよいんだぜ!!」 まりさ種がぱちゅりー種を倒す事など珍しい事ではないが、 顔にラクガキのある正義のゆっくりを倒したと成れば話は別だ。 まりさの実力は周囲の認める所となり、群でも一目置かれるだろう。 群のルールに不満を持っていた一部のヤンチャ者達は、増長したまりさに率いられて 人間を討伐に畑へ出かけていった。 「ゆへへ!にんげんをたおせばドスにでかい顔はさせないんだぜ!!」 自分も人間を倒して力を誇示し、野菜を奪って食料を握れば 群のゆっくりを掌握できる権力の座に就ける。 もう誰かに従う必要も無い。森で一番偉い存在になれるのだ。 「たいへんなんだよー!わからないよー!!」 「むきゅ~ドス・・・ごめんなのだわ」 この異変は直ぐにドスの耳にも入る。 (ドスとは勿論、額に肉の文字がある哀れなアレである) 正義にゆっくりに手を出したまりさが、群のルールを破って人間の畑へ行った。 「大変だね!何匹付いていったの?」 「むきゅ・・・3匹よ。前から問題のあった子だわ」 「この前助けてあげた畑を襲ったゆっくりだよー!」 「仕方ないね・・・群の皆を集めてね」 「“助け”に行くんだねー?わかったよー!」 「ゆぐぅっ・・・こんなはずがないんだぜ!?」 畑に横たわる三体のゆっくりは既に動く力も残っておらず、 うめき声を上げるばかりである。 まりさだけはまだ闘争心を捨てずに挑みかかるが、自惚れの激しいまりさでも それが遊ばれて居る事ははっきりと感じていた。 だが、敵わないと悟ったとしても、頭に血の上ったまりさには逃げ出す事も、 諦めて命乞いする事も選択肢には無かった。 「今回はスパンが短かったな。まぁ数が少ないし離反者か?」 「まりささまがさいきょうなんだぁー!!」 「ほれ!」 飛び掛ったまりさをボレーシュートした所で、声が聞こえた。 「ゆっ!ソコまでだよ!!」 声のした方を振り返ると、ソコには額に肉と書かれたドス達が居た。 「ふっバカな奴等だ!勝てると思ってるみたいだな」 「ゆっ、群の仲間を虐めるお兄さんは絶対に許さないよ!!」 「いけぇぇー!ドスゥゥ!!」 「ドスバックブリーカーだぁ!!」 「さぁ来い!ドス!実は俺は一回さされただけでしぬぞうわぁぁぁっぁぁぁっぁ!?」 「そこだよ!いまだよ!」 「ジャイアントドスバスターを出すんだ!!」 「くそっ!危なかった・・・直撃なら死んでた、ってうわぁぁぁっぁぁ!?」 「とどめよ!あいてはむしのいきだわ!!」 「でるよ!ドスのキメワザ!空中真空ドスチョップが!!」 「ヘルメットが無かったら即死だった・・・まだ死ぬわけにうぎゃあぁぁぁっぁぁ!!」 「ありえないんだぜぇぇぇぇーーー!?!?!?」 自分は正義のゆっくりよりも強い筈だ。ドスや人間にだって負ける筈は無い。 でも人間には敵わなかった。人間はケタ外れに強かった。 自分が勝てなかった事は悔しかったが、だが、ドスも死ぬ。 人間より強いと自惚れ、本当は強くないくせに群のボスとしてイイ思いをして 今までまりさ達を騙して来た報いに、この超強すぎる人間に殺されて思い知るがいい。 そう思っていたのに、目の前の光景は理解を超えていた。 「なぜなんだぜ?」 本当を言えば、今現在自分が人間に負けて死にかけてる事実でさえ、理解したくは無い。 しかし目の前で自分が勝てない人間が、ドスに負ける光景など、 今のまりさの餡子脳をフル回転しても到底判らない事であった。 「うぐっ!!こんな筈ではぁぁぁー!!ドサッ!バタン!キュゥー!」 人間はまりさの直ぐそばに倒れてしまった。最早虫の息である。 「なぜ・・・どうして・・・なぜ・・・」 「ん?知りたいのか?まぁいい。明度の土産だ」 幾ら人間がゆっくりを殺して、怖いと思い知らせても、ゆっくりは直ぐに忘れる。 それに、畑で仲間が殺された事を見ていない、森のゆっくりは 人間の怖さなど直接見ていないから知らないのだ。 命からがら逃げ延びたゆっくりは、野菜の美味しさと、生き延びた自信だけを学習する。 そこで、八百長を演じるのである。 ゆっくりに畑を襲われた場合に、ワザと殺さない程度に痛めつけ、数匹は逃がす。 逃がすのは、ゲスではなく出来るだけ賢く仲間思いのヤツが良い。 森に逃げたゆっくりが、群に緊急事態を知らせる。 畑で人間に虐められていると。 そうしてドスや、正義のヒーローゆっくり達が助けに来るのだ。 群のゆっくり達も、仲間の危機に畑まで駆けつけて、その惨状を目にする。 目の前でゆっくりを殺して人間がとても怖く危険な存在である事を見せつけるのだ。 その後でドスや正義のゆっくりにワザと負けて、生ゴミや屑野菜を渡す。 冬篭り用の貴重な食料だが、人間が直接渡すとゆっくりは増長するし、 食べ尽くしてもまた人間から貰えば良いと考えるようになる。 人間を倒した強いドスと正義のゆっくりの功績を、判り易い形で見せる事で、 群のゆっくり達に、ドスに従う気持ちを起こさせるのだ。 畑を襲ったゆっくりを、ドスが制裁しては群のゆっくりの心象も悪くなる。 野菜が食べたいのに畑は駄目だと意地悪するドスの命令も聴かなくなる。 理解出来るゆっくりも居るが、知能の低いゆっくりも多いのだ。 畑に行っては行けないと言う理屈を、仲間を目の前で殺される所を見て学習させる。 ドスが制裁するのではなく、人間に殺される所を実際に見せる事の意味は大きい。 そしてソレをドスが助ける事で、畑は危険であるので近付いては駄目だと言う事と ドスはゆっくりを守っている事を、バカでも判り易く教育する。 駄目だと叱ったり、○○するなと教えたり、暴力で制裁しても 奴等は逆恨みする上に教えた事は直ぐに忘れる。だからドスの群の教育は大抵失敗する。 ドスは叱る役ではなく、助ける役に徹する事で、群の信頼を得るのだ。 実際、ドスと言えど人間に敵わなかったり、冬篭りの食料管理を、 「群が集めた食料を独占してる」と勘違いしたり、群の維持は楽ではない。 ドスの力を判りやすく誇示し、ドスのお陰で手に入った食料だと認識させる事で 群のゆっくり達に、ドスや正義のゆっくりに従う事が正しいのだと教育するのだ。 正義のゆっくりを演じているのはドスと人間が選んだ幹部ゆっくりで、 比較的知能の高い個体を宛がっている。 幹部ゆっくりは、通常は群の為に高い知能を生かして助言などをするのだが、 知能の低い一般のゆっくりの中には、目先の事しか考えない余りに 言う事を聞かない者も居る。 「すっきりするな」「食べたいだけ食べるな」など、ゆっくりに反する教えを 敵意と誤解し攻撃するケースさえある為、幹部ゆっくりが弱いと群の規則が 維持できない。正しい助言を暴力で返り討ちにされるぱちゅりー種などがその良い例だ。 全てを悟り、己の浅はかさと無力さを知ったまりさは怒っている。 「なぜなんだぜ!?なぜこんなことするんだぜ?」 人間が強いのは判った。でも何故こんな真似を!? あのドスや正義のゆっくりに勝たせてやって、あいつ等は良い思いをしてるのに! 何故自分はこれ程苦しめられて、殺されるのだ?まりさの怒りも最もである。 「まりさを騙して・・・こんな目に合わせて!!」 まりさはゲスだが、バカではなかった。自分より強い相手には逆らわず、 命の危険は回避して生きてきた。 そしてゆっくりの中では比較的上位の強さを持っていた。 人間がこれ程強い事を知っていれば、迂闊に戦いを挑んだりはしなかっただろう。 故に、群のドスや正義のゆっくりが理不尽な理屈をかざして自分達に圧政を強いて 良い思いをするのが納得行かない。 事実、連中は人間より弱い筈だ。今、人間に殺されかけている自分よりも弱かった。 森のゆっくりを騙して人間より強いと思わせ、訳の判らない規則を作って自由を奪い、 奴等の性で人間が弱いと勘違いして死に掛けてるのだ! 「どぼぢで・・・ごだえろぉぉ・・・!!」 「強いて言えば、そうだなぁ~・・・お前がゲス、だからかな?」 ゆっくりは人間の近くに住むとゲス率が高く成ると言う統計がある。 情報の信憑性や精確性に疑問もあるが、一説によると人間に接する事で 本来のユックリズムに変調をきたしてしまう可能性があるらしい。 他にも、人間の浅ましさや他者を出し抜こうとする汚さを学だとか、 人間の良い生活を知って森の生活に満足出来なくなるとか、 森の自然が人間に破壊されている影響だとか、諸説ある。 とにかく、森のゆっくりのゲス率を下げて、無害化する方法もあるかもしれない。 その調査の一環として、ゲスを駆除し、賢いゆっくりに群を統率させ、 人間の怖さを学習させる実験をしているのだ。個人的に。 普通に潰しているとゲスは大抵逃げて生き延びるし、 賢いヤツもゲスに潰されたり、周りに流されるだけの無知なゆっくりに殺されたりで 悪循環していくと予想している。 今回のまりさのような強いゲスは人間が殺して、周りに流されるゆっくりは群に管理させ 賢いヤツを選んで八百長で権力を持たせて群のトップにおいた場合、果たして森の ゆっくり達がどう変化するのか見てみたかった。 「ぐあぁぁっぁ!!まさかこんな強いドスが居るなんてぇぇぇ!!!」 「ゆっ!?」 説明を終えて突然大声を上げる男にまりさは一瞬驚く。 「だがタダでは死なんぞ!!畑を荒らしたまりさも道連れだぁぁぁぁ!!!」 「ゆ!?ゆゆゅっ!?ゆっ!!ゆー!!」 男の手がゆっくりとまりさの方に伸び、その口を塞ぐ。 最早叫び声も、真実を語る事も出来ない! 天高く掲げられたまりさは、群のゆっくり達の眼前で握り潰された。 「ゆっ!人間さん、いつもありがとうね!!」 結果としては、ドスの話では群の統率力は格段に良くなって、群のゆっくりも ドスや幹部の言う事を聞くように成ったらしい。 すっきり制限も冬の食料も、以前よりは管理しやすくなったそうだ。 一方で今回クーデターを起こそうとしたまりさの様なゆっくりも定期的に現れるし、 ゲスも少なくなりつつあるとはいえ、その数が一定数以下には成らない。 ゲスがゲス化するのは、ゆっくりが全滅しない為の、種としての多様性の確保ナンタラ なのかもしれない。 まぁ群の管理体制が崩壊して、畑にゆっくり波状お食事されてはコッチも堪らないので ドスには今後も頑張ってもらいたい。 肉に対する負い目もあるし、出来るだけ協力するつもりだ。 どうせ新陳代謝で消えるだろうと安易な気持ちで書いた額の肉は 時間が経っても一向に消えることは無かった。 「額の肉、似合ってるぞ」 「ゆへへ~ん!」 最初遊びで描いてやった時は子供みたいに一日中凄い泣き喚いて困ったものだ。 八百長で一回勝たせてやると言って何とか宥めたが、結果的にはこの演出も ドスが群れを纏めるのに役立っているのだから無駄ではなかったのだろう。 別に群の幹部の連中にまでラクガキする必要は無いんだが、ドスを気遣って 人間と戦った時の傷設定を吹聴したら、なんか顔にラクガキされたがる様になった。 しかし、まぁ、いい加減毎回死んだ人間が生き返って畑で八百長試合してるんだから バレそうなモノだが・・・ いや、冬篭りの餌の備蓄も出来ない連中にそのレベルの知能は無いか。 それに気付く位賢いヤツはドスの真意も判ってるって事なのかね・・・? 「じゃ、ドスたちは森に帰るね」 「ん?あぁ・・・って、ゲスに付いてきた奴等まだ生きてるけど良いのか?」 ゲスまりさに唆されて畑に来たゆっくりが三匹ほど居たが、 皆そそくさと帰り始めている。 気が付くと、ドスと数匹の幹部しか残っては居ない。 「そのこ達は再犯だから仕方ないよ。良かったら食べてあげてね!」 「あぁ、じゃ、非常食にでもするか」 ドスが駄目なゲスを見捨てるのは珍しい事ではないだろう。 八百長の正義の味方ゴッコも、畑の危険性を教えるのが本来の狙いなので、 畑を襲ったバカなゆっくりを無傷で帰すつもりも無いのだが。 しかし群のゆっくり達は仲間を助ける為にドスを呼びに行ってココに駆けつけた筈では? なんかドスの活躍見て屑野菜貰って満足して帰って良いのか? 本当に忘れてるのか?もしかして最初から助ける気ねーだろ・・・ 「ドス・・・タイガーマスクって知ってるか?」 「ゆ?お兄さん、そのマジックで何する気なの?」 「キイロとクロだからまりさにはよく似合うと思うんだ」 「や、やめてね!!考え直してね!!」 人間からゆっくりを守る英雄「タイガーまりさ」の試合は大人気で 噂を聞きつけ一目見ようと遠くから訪れるゆっくりも増えた。 ドスまりさの群れは見物料の興行収益で大層潤ったそうな。 作者当てシリーズ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/11995/1227272050/(※リンク切れ) このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2887.html
※ あるマンガに出てくる道具あり このSSのキモなんで「ちょwwwwwなんでこれが幻想入りwwwwww」ってなツッコミは無しの方向で一つたのんます 男は香霖堂への道を歩いていた。 無論、香霖堂へ行くためであり、何をしに行くのかと言えば、言うまでもなく買い物のためである。 とはいっても、生活用品を買うためではない。 こんなことを言ってはなんだが、あの店はそういった日用品を買うには、幻想郷一不向きな店である。 男も何か特別必要な物があって香霖堂に行くわけではない。 男の趣味はゆっくり虐待である。 初めのころは、毎日のようにゆっくりを虐待しては一人悦に入り、ゆっくりが死ねば新しいのを補充することを繰り返していたが、最近虐待もマンネリ化してきて、いまいち面白さに欠けてきた。 そこで新機軸を打ち出すためにも、外界の珍しい品物を扱う香霖堂に行くことにしたというわけである。 「ふう、ようやく着いた」 男は小さな店の前でホッと一息ついた。 店も風変りなら、店主もそれに比肩しておかしな人物である。 ここの店主は、自分の気に入ったものは、どんなに金を積まれても売らないことで有名だった。 だったら、客の目に付くところに置いておかずに、倉にしまっておけと言いたい。 それに、まっとうな商売人なら、こんな人通りの無い場所に店を構えるようなことはしないだろう。 誰の目から見ても、変人なことは明らかだ。 まあ、それで売り上げが上がろうが下がろうが、男にはどうでもいいことだ。 面白い品物が格安で手に入りますようにと願掛けをして、ドアを開き中に入った。 「いらっしゃい」 男は、可愛い女の子の声に迎えられた。 「ゆっ!?」 れいむは目を覚ました。 目を覚ました第一感想は、ここはどこだ? というものであった。 れいむのすぐ目の前には、木で出来た壁がそびえている。 一切のゆがみもなく、真っ直ぐなそれは、決して自然界には在り得ないものであった。それがれいむの四方を隙間なく固めていた。 訳が分からず自身の足元を見ると、これまた目の前の壁のように真っ直ぐな木が敷かれている。れいむはその上に座っていた。 これで上も木の壁で覆われていたら、れいむは完全に狭い木の壁の中に閉じ込められてしまう。 恐る恐る上空に目を向けて、ホッと一息つくれいむ。 運がいいと言っていいのか分からないが、上空には木の壁がなかった。 しかし唯一視界の利く上空を見て、れいむは一層自分がどこにいるのか理解できなかった。 そこにはいつも見ていた空や洞窟の天井はなく、やはり見たことのない物体で埋め尽くされていた。 飼いゆっくりならそれが人間の家の天井であることが分かるだろうが、生憎と森から一度も出たことのないれいむには、それが摩訶不思議な物体としか認識できなかった。 れいむは己の理解が及ばないながらも、まずここから出ることを試みることにした。 ゆっくりは広々とした空間を好む傾向がある。 この訳の分からない状況に不安を感じたこともあるが、それ以上にこんな息の詰まりそうな狭い場所に長居はしたくない。 目の前の木の壁は、れいむの身長の二倍の高さと言ったところである。ジャンプすればギリギリ跳び越えられる高さだ。 れいむは足に力を貯え、一気に解放すると、目の前の木の壁を無事に跳び越えることに成功した。 勢いあまって、着地と同時に地面を転がるれいむ。 壁に当たってようやく止まると、れいむはクラクラする頭を振って、周りを見渡した。 そこにあるのは、今までれいむが見たこともない物ばかりだった。 四方八方自然界にはあり得ない真っ直ぐ均一のとれた物体が囲んでおり、出口らしいところは見受けられなかった。 いや、出口はあったのだが、れいむにはそれが“扉”であるということが分からなかったのだ。 すぐ目の前にはれいむを閉じ込めていた四角い木の物体がある。 木箱だ。それがこの空間に3つも存在していた。 見る物触る物すべてが、れいむの常識から外れた物ばかり。 もしかしたら自分はどこか知らない世界にでも迷い込んでしまったのだろうか? れいむは記憶を辿って、思い出せる限り最近の自分の記憶を振り返った。 先日、れいむは晴れて成体の仲間入りを果たし、今まで慣れ親しんだ家から離れ独立することになった。 愛する両親に別れを告げ、新たなゆっくりスポットに適した場所を一匹探し求めた。 三日後、れいむの頑張りもあって、まだ誰の手も付いていない大きな木を見つけると、一目でそこが気に入り、根元に穴を掘り巣を作り始めた。 ようやく工程の半分ほどを終え、ゆっくり一休みしていると、一人の人間がれいむの前にやってきた。 れいむは今まで人間に出会ったことがない。 親であるぱちゅりーからは、人間は粗暴でゆっくり出来ないと耳タコが出来るほど聞かされていた。 それでいて、決して不用意な真似をしてはいけないとも言われていた。 人間はゆっくりより強い。 いきなり暴言を吐いたり、逃げたりしようものなら、不信を買ってあっという間に捕まってしまい、死より苦しい目に遇わされてしまう。 人間に出会ったら、どんな事があろうと殊勝な態度で接しなければならない。決して刃向ってはならない。 家を出る直前まで言われていたことだった。 そんなこともあって、れいむは男を刺激しないように、「ゆっくりしていってね!!」と、元気よく笑顔で声をかけた。 人間もそれに対して返事を返してくれた。 「おや、巣作りかい?」 「そうだよ!! れいむはおとなになったんだよ!! だからおうちをつくってるんだよ!!」 「ほう、それはめでたいな!! それじゃあ、一人前になったお祝いに、お兄さんが美味しい物をあげよう」 「ゆゆっ!! おいしいもの!!」 「ほら、ビスケットだ。ゆっくりお食べ」 「ありがとう、おにいさん!!」 男は、ポケットからビスケットを取り出すと、れいむの前に差し出してくれた。 親であるぱちゅりーなら、ただでゆっくりさせてくれる男の行動に疑問を抱いたであろう。 しかしながら、親ぱちゅりーの言葉に反して、自分をゆっくりさせてくれるこの男は、きっと優しい人なのだろうとれいむは考えた。 決して、目の前に置かれたビスケットの香ばしい匂いに釣られた訳ではない。 ぱちゅりーの助言もむなしく、疑いもなくビスケットに食らいつく。 「むーしゃむーしゃ!! しあわせ〜〜〜〜♪♪」 丁度、巣作りでお腹が空いていたこともあり、ボリボリと溢しながらビスケットを口に入れる。 かつて味わったことのないその味にすっかり心を奪われたれいむは、男にもっといっぱい頂戴と要求した。 図々しい物言いだが、れいむに悪気は全くない。ゆっくりとは、そういう生き物なのである。 やさしい男は、そんなれいむの態度を特に気にするでもなく、更に何枚かのビスケットを取り出すと、れいむの前に置いてくれた。 れいむは、再びビスケットに食らい付く。 しばし至福の一時を過ごすれいむ。 しかし、初めのうちはおやつタイムを存分に満喫していたれいむだが、そのうち急な眠気に襲われた。 「ゆっ? なんかれいむ……ねむくなってきたよ」 「きっと一生懸命頑張ったから疲れたんだね。でも、巣はまだ入れるほど大きくないし、外で寝るのは危険だな。よし、お兄さんがゆっくり寝られる所に運んであげるよ」 「ありがと…う……お…にい……さ………」 最後まで口にすることなく、れいむは睡魔の急襲にあい、意識を失った。 その後の記憶はない。 そして、再覚醒したのが、ついさっきというわけである。 「あのおにいさんが、れいむをここにつれてきたんだね!!」 考えに考えた末、れいむはあの男が連れてきたことにようやく気が付いた。 確かに周りは見たことのないものばかりだが、ここなら冷たい夜風に吹かれることもないし、急な雨もへっちゃらだろう。 何より天敵ともいえるれみりゃやふらん、大型の野生生物がいないため、ゆっくり安心して睡眠を取ることが出来る。 れいむがあの狭い木箱の中に入っていたのは、きっと男が安全策として念には念を押していたのだろう。 男の気配りに、れいむは心の中で感謝した。 しかし、いつまでもこんな場所には居られない。 季節は秋。 この時期、ゆっくりは食料を巣に溜め込み、冬ごもりに向けて餌を溜めこむ重要な時期だ。 言うまでもなく森の資源には限りがある。 餌取りは早い者勝ちであり、怠け者、体が弱い者、要領の悪い者は、満足な量の餌を溜めこむことができず、大自然の驚異の前に次々と地に帰っていく。 れいむは一匹での越冬ということもあって、自分の分の餌を溜めこむだけで済むため、家族持ちのゆっくりほど切羽詰まってはいないが、代わりに住む家が出来ていないというハンデを抱えている。 いつまでもここに長居をすれば、れいむも帰らぬゆっくりの仲間入りを果たすのは目に見えている。 そんなことは死んでもごめんである。 「おにいさ〜〜ん!! れいむ、おきたよ〜〜!! ゆっくりしないでかえるから、ここからだしてね〜〜〜!!!」 れいむは、この出口のない奇妙な空間から抜け出すべく、大声でお菓子をくれた男を呼んだ。 男がどこにいるのかは分からないが、れいむは男がすぐに来てくれるだろうと楽観していた。 元々疑うということを知らないれいむである。美味しいお菓子をくれた人間を完全に信用していたのだ。 しかし、すぐに来てくれるだろうという安直な考えとは裏腹に、男からの反応は全くなかった。 呑気なれいむは、「そっか!! きこえなかったんだね!!」と、ポジティブシンキングを発揮し、特に気にせず再度大声を張り上げた。 腹(?)の底から捻り出すような声量。 これで男が来てくれるだろうと、れいむは自信満々でいたが、れいむの声に対し、思いがけないところから反応が返ってきた。 「ゆ〜〜……まだねむいよ……ゆっくりおおごえをださないでね」 その声はれいむをここに連れてきた人間とは明らかに違っていた。 しかも明らかに自分のすぐそばから発せられたのである。 れいむは周りを見渡した。しかし、声の主らしき者は、れいむの見える範囲には存在しなかった。 「だれなの? かくれんぼなの? ゆっくりこたえてね!!」 声の主に呼び掛けるれいむ。 すると、れいむの呼び掛けに再び返事が返ってきた。 「ゆっ? そっちこそだれなの? ゆっくりせつめいしてね!!」 声の返ってきた方を向くと、そこには木箱が置いてあった。 れいむの入っていた木箱の隣にあった物だ。 れいむはその木箱に近づいていくと、その中にいるであろう者に向かって声をかける。 「れいむはれいむだよ!! このなかにいるんでしょ? だれなの? ゆっくりおしえてね!!」 訳の分からない自己紹介をするれいむ。 例えるなら、「私の名前はれいむです」と言ったところなのだろう。 人間が聞いたら、なんのこっちゃと思うような紹介だが、箱の中の者にはそれで充分だったらしい。 「まりさはまりさだよ!!」 れいむと同じ自己紹介を返すまりさ。 どうやらこれがゆっくりの自己紹介のスタンダードなようだ。 「れいむ!! どうしてまりさのまわりにきのかべがあるの? れいむがやったの?」 木箱の中にいるまりさは、先程のれいむ同様、状況に戸惑っているようだ。 まあ誰だって突然周りを塞がれてしまえば、困惑するのも無理はない。 「まりさ!! うえがあいているよ!! ゆっくりじゃんぷして、きのかべをとびこえてね!!」 「ゆっ? ほんとうだ!! うえにはかべがないよ!! ゆっくりじゃんぷするよ!!」 まりさは、「ゆっゆっゆー!!」の掛け声とともにジャンプすると、木箱の中から跳び出してきた。 ギリギリの高さで飛び越えることが出来たれいむとは対称に、まりさは余裕を持って木箱を跳び越える。 さすがは身体能力に富んだまりさ種である。 無事にれいむの隣に落ちると、れいむのように転がることなくその場に「しゅた!!」と、華麗に着地する。 実に優雅な物腰だ。 箱から出てくるや、まりさはれいむの方に向き直った。 そしてその顔を一目見たれいむは、一瞬で放心にとらわれる。 な、なんて素敵なまりさなのだろう!! それはれいむが今まで生きてきた中で、見たこともないような美ゆっくりであった。 端正な顔立ち、瑞々しくもっちり張りのある皮、艶のある髪、仄かに香る甘い匂い、一切の無駄な皺のないゆっくりとした帽子…… どれをとっても野生のゆっくりではお目にかかれないほどの物であった。 それは人間に飼われているゆっくりでもあり得ないだろうというレベルのものである。 「ゆっ? れいむ、どうしたの? まりさのおかおになにかついてるの?」 そんなれいむの態度が気になったのか、まりさが首を捻って質問してくる。 れいむはそのまりさの言葉でようやく我にかえった。 そして、まりさに見とれていた自分を顧みて、「な、なんでもないよ!!」と精一杯自分の態度を誤魔化した。 独り立ちしたとはいえ、れいむはようやく成体になったばかり。 ゆっくりでいう成体とは、スッキリして子供が作れるようになった個体を指す言葉であり、人間の年齢で例えるなら、12〜14歳という微妙なお年頃である。 要は思春期であり、体は大人でも精神はまだまだ幼稚さの抜け切らない子供なのである。 余談ながら、ゆっくりが成体かそうでないかを見分けるには、ゆーりが来たかそうでないかで判断される。 ゆーりとは、成長したゆっくりなら誰でも体験するものである。 ある日突然、体全体から甘く粘着質な液体が分泌されることで、次代を作る態勢が整えられる。 知識を持たない当事者は、突然自分の体から変な物が出ることに慌てふためくが、同じく経験してきた親や周りの大人たちが、それが危険でないことを説明してくれる。 それは大人になった証であり、子供を作れるようになった証であると。 そしてその日は大抵ご馳走になることが慣例となっている。 ちなみにれいむの居た群れは、成体になってから三か月以内、要は次の季節に移るまでに、生まれ育った巣から出ていくことが習わしである。 理由は、自立心を養わせることと、手狭になった巣を広くするためである。 これは冬場や、余程の切迫した問題がない限り、誰しもが行っている。 とは言え、所詮はまだまだ未熟なゆっくりたちだ。 狩りが不得手であったり、まだまだ子供気分が抜けない者が多く、巣から出るといっても、すぐそばに新たな巣を構える者が大半である。 れいむのように、遠く親元を離れて生活するというゆっくりのほうが稀なのである。 閑話休題 れいむは純朴である。口悪く言えば田舎娘とも言いかえられる。 森で一緒に駆け回っていた友人達は、皆伸び伸びと元気なゆっくりであったが、反面泥臭くスマートさに欠けるゆっくり達でもあった。 最近ようやく色を知り始めたれいむが、優雅で大人びた、見ただけで気品に満ち溢れたまりさを見て、一目惚れしてしまうのも無理のない話であった。 自分を見てモジモジしているれいむを見ても、まりさにはそんなれいむの機微など分からないらしく、自分が何か不味いことでもしてしまったのではないかと、心配そうな顔をしていた。 傍に寄って行って、れいむの顔を覗き込む。 「れいむ!! ぽんぽんでもいたいの? だいじょうぶ?」 そんな美まりさに近寄られて一層心拍数(?)の上がるれいむ。 近寄られて嬉しい反面、こういうことに慣れていないれいむは、自分からまりさとの距離を取った。 「ゆゆゆっ!! だだだだいじょうぶだよ!! どどどこもいたくないよ!!」 「ほんとうなの?」 「ほ、ほんとうだよ!!! ゆっくりしんじてね!!」 「わかったよ!! ゆっくりしんじるよ!! でもなにかあったら、すぐにまりさにいってね!! まりさがたすけてあげるからね!!」 「ゆぅぅ……あ、ありがとう!! まりさ!!」 初めて会ったばかりのれいむに優しく声をかけるまりさ。 余程れいむの態度が気になっていたのか、何でもないと分かるや、ホッと息をもらす。 容姿もさることながら、優しく思い遣りまであるとあって、れいむのまりさに対する親愛度は急上昇していった。 出来ることなら、いつまでもこの時間が続いてほしい。いや、一生このまりさと一緒にゆっくりしていきたい。 乙女心全開のれいむは、まりさとの幸せな家庭を妄想する。 朝起きると隣ではまりさと子供たちが寝ており、れいむがゆっくりと起こしてあげる。 起きたら全員一緒に「ゆっくりしていってね!!」という掛け声とともに、楽しい一日が始まるのだ。 朝ごはんを食べたら、みんなで小川にピクニック。 まりさと寄り添って、子供たちの遊ぶ様子を見守り、お昼はその場でお花や虫さんを食すのだ。 お腹がいっぱいになった昼下がりには、明るい日差しの下でお昼寝タイム。 気の済むまで寝入り、太陽が山に差し掛かる頃起きて、お歌を歌いながら帰るのだ。 帰ったらまりさは狩りに行き、その間れいむは子供たちの面倒を見て、まりさが帰ってきたら全員そろっていただきます。 危険な夜はお家の中で家族団欒の時間を過ごし、子供たちが寝入ったら、今度はまりさと二匹だけの時間。長い夜の始まりだ。 そして疲れた二人は寄り添い合って、静かに目を閉じていく。 いつまでもいつまでも、ゆっくりとした時間が永遠に続いていくのだ。 涎を垂らしながら、妄想を繰り広げるれいむ。 目の前ではまりさが、やっぱり体の調子が悪いんじゃと言った顔をしてても何のその、妄想はどこまでも続いていく。 まりさの好物は何かな? 子供は何匹がいいだろう? お家は大きい方がいいよね!! 場所は小川の近くが…… とここにきて、れいむはハッと現実に戻っていった。 お家。そう、お家だ。 れいむは未だ自分の住むべきお家を作り終えていないのだ。 お家を早く作るためにも、れいむはお兄さんを呼んでいた最中だったのだ。 まりさの美貌に見とれて、肝心なことをすっかり忘れていた。 一旦現実に戻るや、何を馬鹿な妄想を繰り広げていたのだろうと、れいむは自己嫌悪に陥った。 そもそも現実的に考えて、こんな美ゆっくりであるまりさが、自分如きを好きになってくれるはずないではないか。 事実、れいむの体や髪の毛、自慢であるリボンは、巣作りの途中だったせいもあり、汚れに汚れている。 まりさと比べて、あまりにもみすぼらしい格好だ。 しかも自分はようやく成体になったばかり。反してまりさはすでに立派な成体。自分などまだ乳臭い子供でしかないだろう。 欲望や願望に忠実なゆっくりは、明るい未来だけを想像し、暗く辛く苦しいことをすぐに忘れ去る傾向にあるが、親ぱちゅりーから熱心な教育を施されたれいむは、ゆっくりの中では、比較的珍しい現実主義者であった。 妄想は妄想。現実にあり得るはずはない。 「はー……」と盛大に溜息をついて、俯くれいむ。 しかし、落ち込んでいても始まらない。切り替えの早さもれいむの持ち味だ。 夢を見る時間はここまでにして、ここから出るべくまりさと情報交換を始めることにした。 「まりさ!! まりさはどうしてここにいるの? まりさもおにいさんにつれてこられたの?」 「ゆっ!! きゅうにれいむがふつうにもどったよ……」 まりさはと言えば、自分を見て赤くなったり、間抜けな顔で涎を垂らしたり、急に欝になったりするれいむを不思議そうな様子で見守っていた。 いや、この言葉からして若干引いていたらしい。 しかしそこは大人だからか、それ以上れいむの傷を広げようとはせず、質問に答えてくれた。 「そうだよ!! まりさはおにいさんにつれてこられたんだよ!!」 「まりさも?」 「ゆー!! おにいさんはやさしいひとだよ!! まりさにおかしをくれたよ!! いっぱいおかしをたべたら、まりさ、ねむくなってきちゃったんだよ!!」 「ゆゆっ!! れいむとおんなじだよ!! れいむもおいしいものをたべたら、ゆっくりねちゃったんだよ!! そして、おにいさんがつれてきてくれたんだよ!!」 「ゆっ!? れいむもなの!! ゆっくりおそろいだね!!」 「ゆ、ゆっくりそうだね……」 お菓子をもらい、共に食べている最中眠り連れてこられたということもあって、まりさはれいむにシンパシーを感じたようだ。 嬉しそうに、「あのおかし、おいしかったね!!」と、顔をほころばせる。 れいむもれいむで、美ゆっくりのまりさとの共通点を発見し、再度なんとも言えない気分になった。 恋をしている者にとっては、こんな些細な共通点にすら接点を見出すものである。 なぜお菓子を食べて突然睡魔に襲われたのかという重要な疑問は、今の二匹にはどうでもいい事らしい。 「それじゃあ、いっしょにかえろうね!! よるになると、れみりゃがでるかもしれないからきけんだよ!! まりさがゆっくりおうちまでおくってあげるよ!!」 「ゆゆっ!! いいの!?」 「もちろんだよ!! それにいっしょにかえったほうが、ゆっくりたのしいよ!!」 「ありがとう、まりさ!!」 優しい言葉をかけられ、今日何度目になるか分らない温かい気分になるれいむ。 気を抜けばこのまま妄想の世界に再度行ってしまいそうなところを、僅かばかりの理性を持って制御する。 まりさは親切心で言ってくれているだけなのだ。決して自分に気があったり、下心があって言ってる訳ではない。 その言葉通り、成体になったばかりのれいむ一匹では危ないし、二匹でお喋りしながら帰った方が楽しいというだけだ。 頬を染めながらも、れいむは冷静にまりさと話を続ける。 「それじゃあ、さっそくかえろうね!!」 「ゆっ? まりさはどうやってここからかえるかわかるの?」 「わからないけど、おにいさんがつれてきてくれたんだから、おにいさんをよべばいいんだよ!!」 「れいむもさっきおにいさんをよんだけど、きてくれなかったよ!! かわりにまりさがおきたよ!!」 「きっとれいむのこえがちいさかったから、おにいさんがきがつかなかったんだよ!!」 「そうだね!! きっとこえがちいさかったんだね!!」 「そうだよ!! いっしょにおおきなこえでおにいさんをよぼうね!!」 「ゆっ!! ゆっくりりかいしたよ!!」 まりさの「ゆっせいの…」の後に続けて、二匹は大声を張り上げた。 「「おに〜〜さ〜〜〜〜〜ん!!!!」」 二匹は今にもお隣さんが苦情に来そうなほどの声量を発する。 しかし、待ってみたものの、お兄さんはやって来なかった。 再度挑戦する。それでも結果は変わらない。 「ゆぅ……おにいさん、こないね」 「そうだね」 二匹とも喉(?)が破れるのではというくらい声を張り上げているので、声が小さいということはあり得ない。 もしかしたらお兄さんは近くに居ないのかもしれないという結論にようやくたどり着いた二匹は、未練が残りながらも男を呼ぶのを諦めた。 と言っても、ここから出ることを諦めたわけではない。 まりさは兎も角、れいむにはあまりのんびりしている時間はないのだ。 まりさと一緒に居られるこの時間は貴重であるが、いつ来てくれるか分からないお兄さんを愚直に待っていることは、そのまま死につながる危険性がある。 「まりさ!! ここからでるほうほうをかんがえようね!!」 「わかったよ、れいむ!!」 二匹は部屋の中を探索し始める。 出られる隙間はないか? 食べるものは落ちていないか? 使える道具はないか? 注意深く隅々まで視線を落としていく。 “扉”を知らない二匹は、目の前にあるそれを、周りと色の違う壁という認識しか示さない。 もっとも、人間の使う扉が非力なゆっくりに開けられるはずもなく、その存在を知りつつ如何しようも出来ないという敗北感を味わうよりは、ある意味幸運と言えるのかもしれないが。 二匹は注意深く探し回ったが、所詮は狭い部屋。どこにも出口がないことを確認したにすぎなかった。 唯一この部屋にある物は、れいむたちが寝ていた木箱だけ。中に何もないことは、すでに本人たちが確認済みだ。 しかし、ここでお忘れになっていないだろうか? この部屋にある木箱は計三つ。れいむとまりさは二匹。 となると、残り一つに何かが入っている可能性がある。 「まりさ、このきのなかには、なにがはいっているのかな?」 「きっとここからでるためのなにかだよ!!」 「そうだね!! ようやくここからでられるね!!」 「まりさがなかにはいってゆっくりたしかめてくるよ!!」 「がんばってね、まりさ!!」 「ゆっ!!」 既にれいむは、箱の中に役立つ道具が入っていると信じ切っている。 餡子脳とは、実に幸せである。 まりさは盛大にジャンプし、最後の箱に飛び込んでいった。 すると、まりさの着地と同時に、「ゆぎゃあぁぁぁぁ―――――!!!」という声が聞こえてきた。 それはまりさの悲鳴ではなかった。 「ど、どうしたの!? なにがあったの!?」 突然出てきた第三者の悲鳴に、驚き確認を取るれいむ。 その問いに対して、まりさと第三者の問答が答えをくれた。 「い、いきなり、ねていたありすをふみつけるなんて、とかいはのすることじゃないわ!!」 「ゆ、ゆっくりごめんね!! ありすがいるなんて、しらなかったんだよ!!」 「ごめんですんだら、どすはいらないわ!!」 「ゆぅ……」 二匹の言葉を聞く限りでは、木箱の中にはありすがいたらしい。 寝ていたありすを、まりさが思いっきり踏みつけた格好だ。ありすでなくても、怒るのは無理もない。 その後、まりさが何度も謝罪し、どうにかありすの許しを貰うと、二匹は連れだって箱の中から飛び出してきた。 まりさ同様、ありすも上手に着地する。れいむよりも、幾分か運動神経に富んでいるらしい。 れいむは二匹の会話で、木箱の中に誰がいるかは分かっていたが、出てきたありすを見て少しばかり身構えた。 都会派を自称し、一旦タガが外れると問答無用で襲いかかってくるレイプ魔。それが、れいむのありす種に持っているイメージだったからだ。 イメージというのは、実際に見たわけではなく、伝聞によるものだったからである。 れいむの生まれ育った群れには、ありす種は生息していなかった。 しかしながら、知識の塊である親ぱちゅりーは、いつありす種に会っても対処できるようにと、ありす種について様々なことを教えてくれた。 ありす種はぱちゅりー種と並んで頭の良い個体が多く、ぱちゅりー種と違い体も丈夫なため、あらゆる場面で活躍できる多才派だ。 都会派と気取ることが多いが、それ自体は他のゆっくりに迷惑をかけることではないので、気にしなければどうということはないらしい。 しかし、それだけならマルチに活躍できる最高のゆっくりなのだが、ありす種特有の欠点も耳ダコが出来るほど聞かされた。 それが、色情魔、レイプ魔というもう一つの顔である。 ありすは非常に性欲が強く、一度レイプ魔になると、手が付けられなくなるらしい。 普段は、全力を出すのは都会派らしくないという認識で力を抑えているそうだが、レイプ魔となるとその枷が外れ、最強のゆっくりへと変貌する。 それは、場合によっては捕食種であるれみりゃにすら対抗できるほどであるといえば、どれだけ強いか分かるというものだろう。 とは言え、すべてのありすがレイプ魔という訳ではない。 むしろ、レイプ魔のありすなど少数派であり、殆どは多少性欲の強いだけの普通の個体である。 しかしながら親としては、ありすの利点より危険性を重点的に教え込むことは、子供の安全面を考えれば仕方のないことである。 その結果、実物のありすを見たことがないことも併せて、れいむの頭の中では、ありすがレイプ魔であるというイメージが強くなってしまったのである。 「あら、はじめてみるれいむね!! ゆっくりしていってね!!」 「……ゆ、ゆっくりしていってね」 木箱から出てきたありすが、れいむに気付き、声をかけてくる。 ちなみにこの場合の「ゆっくりしていってね!!」は、ここでゆっくりしようねという意味ではなく、「はじめまして」の意味である。 対して多少戸惑いながらも、れいむもありすに返事を返した。 いくらありすに苦手意識を持っていても、このありすがレイパーであるとは限らない。 それに挨拶を返さない子はゆっくり出来ないと、親ぱちゅりーから厳しく躾けられていたからでもあった。 ありすはそんなれいむの葛藤など気付きもせず、部屋の中を興味深げに見まわした。 そして一通り確認を済ませると、れいむとまりさに向き直る。 「まりさ、れいむ!! ここはどこなのかしら? とかいはのありすにおしえてくれてもいいわよ!!」 「ゆっ!? ありすもここがどこかわからないの?」 まりさは驚き聞き返す。 口には出さずとも、れいむも同じ心境だった。 少々疎ましく思いながらも、このありすならきっと出口を知っているに違いない。特に意味もなく、安直にもそんな考えでいたれいむは、大いに落胆した。 それと同時に、元々低かったありす株も一気にがた落ちしてしまう。 ありすにとっては、勝手に思い込まれて、勝手に落胆されただけなので、実にいい迷惑である。 れいむほどではないが、まりさも同じ気持ちだったらしく、若干渋い表情をしていた。 しかし、出口を知らないのであれば、それはそれで仕方がない。 情報交換をすべく、まりさがありすに問いかける。 「ありすはどうやってここにきたの?」 「ゆっ? そ、そうね、ちょっとまってね!! いまおもいだすから!! とかいはをあせられるものじゃないわ!!」 なぜか知らないが、自分が失望されているということは二匹の表情から分かったようで、ありすは失点(?)を取り返すべく、必死でここに来た経緯を思い出す。 「ゆぅぅ!! たぶんだけど、にんげんのおにいさんにつれてきてもらったんじゃないかしら?」 「にんげんのおにいさん? もしかして、おかしをくれたおにいさんのこと?」 「よくわかったわね!! なかなかとかいはなにんげんだったわ!! もりでおかしをたべてたら、きゅうにねむくなってきちゃって、きがついたらここでねむっていたの!!」 「ゆゆっ!! まりさたちとおんなじだよ!! まりさたちも、おにいさんにおかしをもらって、ここにつれてきてもらったんだよ!!」 「そうだったのね!!」 「それじゃあ、ありすもまりさたちといっしょにかえろうね!!」 「しかたないわね!! ゆっくりとかいはのありすをえすこーとさせてあげるわ!!」 ありすも同じ境遇であると知り、それならみんなでここから帰ろうという結論に達したまりさ。 しかし、それが面白くないのはれいむだ。 せっかくまりさと二人きりで帰れると思っていたのに、余計なお邪魔虫が付いてしまった。 とは言え、まりさとありすはすでに一緒に帰る気でいるし、「ありすとは一緒に帰りたくないよ!!」なんて言えるはずもない。 れいむは気落ちしながら、どうやってここから出るかという作戦会議に混ざった。 その2へ