約 1,001,262 件
https://w.atwiki.jp/maid_kikaku/pages/536.html
(投稿者:怨是) Sep.15/1943 今日はシュナイダー教官の叱責を受けてしまった。 頬と額に、まだ痛みが残っている。 人とMAIDは姿形はそっくりなのに、何故こうも違ってしまうのだろうか。 私はただ、ただ、教官の片腕の代わりになりたいだけなのに…… 少しの恋心と、教官の力になりたいだけなのに。 ゼクスフォルト少佐とシュヴェルテは、あんなにも仲良しなのに。 頬が痛いし胸も痛い…… 感情の整理がまったくつかない。 (後略) 作戦が終わり、軍用車両で本部へ帰還した時の話だった。 ――アシュレイ・ゼクスフォルト。 エントリヒ皇室親衛隊所属。階級は少佐。 シュヴェルテの担当官であり、まばゆい銀の長髪と端正な顔立ちは、親衛隊一の色男とさえ云わしめた。 「私は、お役に立てましたか?」 表情を曇らせるシュヴェルテに、ゼクスフォルトが柔和な笑みでフォローを入れた。 粗雑な言葉だが、確かな包容力がある。 「当たり前だろ。俺が教えたんだ。役に立てない訳が無いさ」 「ありがとうございます、教官。 しかし、教官の援護射撃が無ければ危うかったと思います……精進しますわ」 「MAIDだって生きてるんだ。ミスはあるだろ。いいんだよそれで。また俺が守ってやる。 おっ、そうだ。明日から一週間の休暇だ。お気に入りのカフェに案内するよ」 「楽しみにしております。では早めに床に就かねばなりませんね」 恋人のようなやり取りでゆっくりと車を後ろに進める。 砂利が擦れる音に紛れず、会話は極めて和やかに行われる。 駐車しつつ談笑する二人を横目で見ていたジークフリートは、面白くなかった。 自分にはここまで親密な関係が無かったからだ。 “生まれて”この方、シュナイダーとの関係はただの上司と部下。 それも悩み事の相談なども一切存在しない、周囲から見れば非常に冷淡なものなのである。 犬と飼い主でさえ会話する。 もはや道具と持ち主か? 否、世の中には銃に話りかける兵士だって居るのだ。 ――私だって、あれくらい仲良くなりたい。 心に秘めたる嫉妬を、ジークは否定できなかった。 「ゼクスフォルト少佐ならびにシュヴェルテ。私語は慎め。 貴様らのだらしない態度にジークフリートがお怒りだぞ」 「うッ、失礼いたしました! 軽率でありました!」 そんな二人を、こちらの運転手の士官が咎めた。 ジークは急いで眼を逸らすが、その様子もまた誤解を生んでしまうのである。 彼らは焦燥と若干の苛立ちを含んだ面持ちで口をつぐむ。 「だらしのない奴だ。注意したのが私だったから良かったものの……」 別に恋路を邪魔するつもりは無かった。 無いものねだりをしていただけである。 ああ、シュナイダーもああいう風にフォローしてくれたら…… そのシュナイダー少佐は、ジークの隣に座っていた。 隻腕にして隻眼。 無表情にして無愛想。 戦闘中の事故によって欠損してしまった右目と右手はいかんともしがたく、車両の運転は代理の士官に行わせるのである。 彼は鉄仮面などと形容できたものではなかったが、この瞬間くらいしか隣に並ぶ時間は無かったのだ。 報告に行くときならまだしも(それでもゼクスフォルトとシュヴェルテは隣に並ぶのだが)、 せめてプライベートの時くらい隣にいてくれたって良いのではないだろうか。 自然と、憮然とした表情へと変えて行くジークをバックミラー越しに見た運転手が振り向く。 「お怒りはご尤もですが、何、彼らも反省しておりますよ。 どうかご容赦くださいませ」 違うと反論したいのに、いつも声が出なかった。 咄嗟に出た小声も、むしろ両目に篭った不機嫌の塊のせいで別の意味を成してしまう。 運転手にはどうやら“ああ”と聞こえたようだった。 「流石は我等が英雄。寛大な心をお持ちでらっしゃいますね」 皮肉ではないのだろうが、盛大な勘違いに胸が痛む。 そうこうしているうちにサイドブレーキを引き、ギアーをパーキングに。そしてキーを引っこ抜く音が聞こえてくる。 「お疲れ様でした。私はこれより駐車後のチェックをいたします」 「……ご苦労」 シュナイダーがやや間を空けて車のドアを開ける。それに続いてジークもドアを開けた。 空はとっくに日が落ちて、荒涼とした空気を月が照らしていた。 レンガ造りの兵舎の扉を左手のみで器用に開けたシュナイダーに、小走りで追従する。 規定時間までに、タイプライターで報告書を仕上げねばならない。 いかなる私語も許されないのはここでも同じ事であり、『カタ……カタ』と断続的な音を立てて報告書が書き上げられる。 ここは代理を用意することが出来ないため、必然的に残った左手のみで仕上げる事となる。 利き腕を失った今では、精一杯のリハビリを以ってしても両腕があった頃の倍の時間まで縮めるのが精一杯なのだ。 手書きなら、私が文鎮代わりになる事もできるのに…… 「代筆だって教えていただければ私が、」 「――貴様」 思わず口をついて出てしまった言葉に、咄嗟に次の言葉を両手で覆う。 完全に、やってしまった。 タイプする音が止まり、若干の沈黙が背筋を乱雑に掴む。 唾液の分泌が止まり、耳鳴りの群れが遠くから行軍を始めた。 鳥肌は寒さだけのせいではない。 「……私語は厳禁だと以前教えたはずだが」 もう駄目だった。 胸倉を沈黙に捕まれるような感覚に襲われ、硬直列車が心理駅に到着し、緊張乗客がホームへと雪崩れ込む。 身の毛がよだって凍りつく。 「それに、代筆の手順を学んだ上での発言か?」 まだ機械の熱が残る報告書をブリーフケースに丁寧に仕舞いこみながら、シュナイダーはこちらを振り向かずに咎める。 席を立ち、片手で椅子を動かす。 以前、椅子を戻すのを手伝ったことがあったが、無言で振り払われただけだった。 「……で、でも、しかし教官。私は……」 椅子を戻し終えたシュナイダーがこちらに振り向く。 眉間に寄せた皺からはその感情を俄かには察し難かったが、それが決してポジティヴなものでないことは察知できた。 上の歯と下の歯の震度が4を超えた所である。 ブーツの音がこちらへ近づく。 眼はしっかりとジークの顔を見つめ続けていた。 表情は、より険しさを増して行く。 「……己の慢心が口を緩めたか」 「ぃ、ぃゃ、そういうわけじゃ……」 沈黙がエターナルコアを鷲掴みにする。 「余計な手出しが大きなリスクが伴うことも教えた筈だ」 蛍光灯が、両者の表情をより青白く照らす。 暖色のレンガの壁さえ灰色に見えた。 「ですが、ですが、いつも、不便ではありませんか……? 私は、戦いだけでなく、他のところでも、お力になりたくて……」 「馴れ合いなら――」 「――私だって、パートナーでありたいのです。きょ、教官の心の支えになりたくて、だって、わっ、私、私は……」 ……途切れ途切れに、言葉が紡ぎ出される。 「私は教官をもっと知りたい。もっと好きになりたいのに……」 ……。 張り詰めた空気は、シュナイダーの左拳の一撃となって爆発した。 右頬に突然の衝撃を受けたジークは床に倒れこみ、暫く手で押さえるしかない。 鈍痛が頬骨に響く。 「MAIDが恋愛感情を持つなどと……そんな軟弱な考えを何処で知った」 「ぅ……」 「……立て」 顔を上げたジークの眼に、眼を見開いたシュナイダーの顔が映りこむ。 無言のまま、胸倉を掴もうとするシュナイダーはそのまま右肩を引いたが、 直後に右肩を見、見開いた眼に苛立ちが篭る。 「立てと云っている! ッ――?」 右手で殴ろうとしたのだろう。 しかし、そこにあるべき右肩から先が無かったのである。 次に後ろ髪に剣山のような痛みが走り、上に引かれる心地がした。 直後に視界が上から下へと急降下する。 あとは床と額が衝突するのを痛みと共に実感するだけであった。 霞む視界を上に移せば、シュナイダーの見開いた左目と、震える左手。 そして息を荒くして上下する肩が見えたのだった。 「反省の意思があるなら立て。私は報告へ向かう」 ブーツの音が無機質に響き、苛立たしげにドアが閉じられる。 冷え込んだ空気は、ジークフリートの涙で視界と共に淀み始めていた。 ――およそ一ヵ月後の1943年10月28日。 シュナイダー教官は、ジークフリートがスパイを13名討伐した日に担当官の任を解かれる。 MAID育成や指揮における優秀な手腕を買われ、国際対G連合統合司令部からスカウトがかかった為である。 上官らの計らいにってエントリヒ皇帝による勲章授与式の日程とは重複を避けるも、体調不良を理由に欠席したという。 ジークに授与された勲章は、実際には柏葉・剣付騎士鉄十字勲章である。 帝都栄光新聞で発表された金柏葉・剣・ダイヤモンド付騎士鉄十字勲章はこの時点では存在しておらず、新聞記事の内容を知った政府幹部が急ぎこれをギーレン・ジ・エントリヒ宰相に報告。 後に予想されるジークフリートの数々の武功に備えて製造することとなったという。 新聞は幹部から秘密警察を通して、これらを踏まえた修正案を伝達され、公には“後の武功に備えて前以て授与されたものである”と説明。 なお、翌日の記事では授与式にてGに見立てた赤い柱を一刀両断するジークフリートの写真が掲載され、 その鋭い太刀筋は映像メディアによっても発表されることとなる。 BACK ◆ NEXT
https://w.atwiki.jp/eva-ss/pages/104.html
353 名前:1[sage] 投稿日:2009/07/25(土) 16 10 36 ID ??? 天狗道。地元でそう呼ばれる山道を登ること、およそニ、三十分といったところだろうか。 滴る汗や、飛び交う羽虫、けたたましい蝉の鳴き声に私は気が変になりそうだった。 事の発端は、休暇で訪れた旅館での私の発見。 ミサトが夕食も待たずに酔い潰れ、 シンジはイヤホンで両の耳を塞ぎ、座布団を枕に横になっていた。 そんな部屋の中にあって、私は退屈で仕方がなかった。 ふと、この土地の評判を思い出した私はベランダへと向かった。 ベランダに出ようとガラス戸を開くと、真夏の外気が私の体を室内へ押し戻そうとしたが、 絶景と評されるこの土地の景色を望見しようという私の意思がそれを打ち破った。 ベランダの縁に手をかける。辺りが一望出来た。 陽が傾き始め、にわかに赤味を帯びた景色は私を圧倒するのに充分な美しさだった。 この国に育ったわけではない私だったが、ノスタルジーを感じずにはいられなかった。 目の前に広がる絶景を前に、この時ばかりは日々の疲れとかそういったものも消し飛んだ。 遠方に連なる山々。手前に目をやれば理路整然とした田畑が一面に広がる。 旅館のすぐ近くを流れる川は舗装されておらず、父子が釣りを楽しんでいた。 こうした風景に感動を覚える自分に少し驚きもし、また同時に何故か安心もしていた。 辺りを見渡すうちに、蝉の鳴き声が一段とうるさい、他に比べればちっぽけな山が目に入った。 それは旅館からすぐの所にあって、山というより小山と言った方が適切に思えた。 私は夕陽に照らされるその小山の中程に、何か異質な物を見た。 目を凝らすとそれが人工物であり、所謂神社であろう事がわかった。 緑一色の中にそびえるそれは、この時の私にはひどく神秘的に見えた。 行ってみたい。幸い山はちっぽけに見えた。何より、私は退屈だった。 私は部屋に戻ってシンジを叩き起こし、ミサトに出掛ける旨を伝えた。 ミサトは唸り声のような音だけを返した。私はそれを返事と取った。 私達は部屋を飛び出した。 その後山の麓に着いて、偶然出会ったおばあさんに神社までの経路を聞き、そして今に至る。 354 名前:2[sage] 投稿日:2009/07/25(土) 16 12 35 ID ??? 最初の十分こそ自然を満喫するだとか、そんな気分でいた私だったが、 今となってはその自然が鬱陶しくてたまらなかった。 「アスカ。もう下りようよ」 後ろでへばりながらもついて来ていたシンジが言った。 もっとも、これでもう四回目にもなるが。 「うるさいわね。ここまで来たら最後まで行くわよ」 私は意地になっていた。後ろでシンジの三度目の溜め息を聞いた。 辺りは陽も落ちかけ、少しずつ夜の空気へと移り変わっていた。 それから少し道なりに進むと、地面剥き出しの山道は石段へと変わり、 程なくして私達は目的地へと辿り着いた。 小さな鳥居があり、古びた賽銭箱があり、そしてちっちゃな社がある。 ちっぽけな山の、ちっぽけな神社だった。 旅館のベランダから眺めた私はよくここが神社だとわかったものだ、と不思議に思った。 それ程にちっぽけなものだった。 私達は社の周りを回り、いつ書かれたかもわからない絵馬を見て、それから境内を見渡して、 それでも神秘的なものなんて何もない事に落胆し、石段に腰を降ろした。 ひんやりとした石の感触は心地よかった。 木々の間から射す陽は濃い橙色となって、今が黄昏時である事を知らせた。 「なんにもないじゃない。つまんないわね」 「アスカが来ようって言ったんじゃないか」 「うっさいわね。男のくせに」 反論を飲み込む音だけ残してシンジは黙り込んだ。 蝉は幾分静まり、暑さも和らいで過ごしやすくなってきた。 私達は並んで座り、手に寄り付いてきた蟻を払ったり、 手元にあった小石を石段の下に向かって投げたりなんかして過ごした。 「アスカ。見てよ」 登山からの体の火照りも冷めたところでシンジが言った。 「なによ」 そう言ってシンジが指差す先を見ると、 数匹の猫が社の屋根の上に集まっているのが目に入った。 355 名前:3[sage] 投稿日:2009/07/25(土) 16 15 59 ID ??? よく見ると親子のようで、母猫と思しき猫は私達を警戒しているようだった。 私達は寸刻、その猫と見つめ合った。 気付けば黄昏時もとうに過ぎていよいよ夜が迫っていた。 「……帰ろっか」 折れた様にシンジが言った。 「そうね」 私達は疲れから重くなった足を上げて石段を下り始めた。 帰りの道は暗かったが、澄んだ空気は涼しく、 蝉の鳴き声はいつしか心地好い程度になっていた。 月明かりが木々の間から漏れ射し、幻想的な雰囲気を醸し出していた。 「いたっ!」 突然、斜面を滑る音と共に、私の後ろを歩いていたシンジが尻もちをついた。 「何してんのよ!鈍臭いわね」 「ご、ごめん」 私が咎めるとシンジはすぐに立ち上がり、ズボンの砂を払った。 それから手首を数回振る仕草を見せると、私に先を促した。 私達は再び山道を下り始める。全行程の三分の二程は既に下っただろう。 それからは黙々と道なりに下り、あっという間に旅館の前まで辿り着いた。 シンジは疲労困憊といった様子で私の後に付いて来ていた。 旅館を前にして短い橋に差し掛かる。下を流れる川に夕方見た父子の姿は無かった。 この橋を渡り切ればすぐに旅館の玄関口だったが、私はその前に足を止めた。 「悪かったわね」 「え?」 私の言葉でシンジも足を止めた。 「手首。痛いんでしょ?連れ出して悪かったわね」 「あ、いや、平気だよ」 文句の一つでも言われた方が楽なのだろうか。だが、こいつは言わない。 356 名前:4[sage] 投稿日:2009/07/25(土) 16 18 41 ID ??? 「嫌な事は嫌って言ったら?」 「嫌じゃないよ。楽しかったよ」 「本気で言ってんの?」 「うん」 特に何をしたわけでもなく、壮麗な名所へ行ったわけでもなく、 ただ汗を流して名も無い山を登って、ちっぽけな神社を見て、 そして下る時には怪我までして、それでも楽しかったとコイツは言った。 「アンタ、ほんとバカね」 私はシンジの返事も待たずにさっさと玄関口をくぐり、ミサトの待つ部屋へと向かった。 アイツが腹立たしいやら、よくわからなくて、とにかく一緒には居られなかった。 その後部屋に戻ると、すっかり酔いも覚めて、 私の言った事もすっかり忘れたミサトが居た。 シンジも揃ったところで説教が始まる。 自分はビールを飲んで眠りこけていたにもかかわらず、だ。 私は反論する元気も無かったので、黙してミサトの言葉を右から左へ流した。 説教が終わると私は浴場へ向かい、それから遅目の夕食をシンジと摂った。 私はひどく疲れていて、布団に入るとすぐに眠りに落ちた様に思う。 翌日、帰り支度も済んだ私とシンジはフロントでミサトを待っていた。 あの山からは蝉の鳴き声がやかましく響いていた。 釣りをしていた父子は母親を加えて今日はどこかに出掛けるらしかった。 虫採り籠を携え、家族は旅館を後にした。 「散々だったわね」 私はシンジの右手首に貼られた湿布を一瞥して言う。 「そうかな?」 「そうよ」 しばらくして化粧を済ませたミサトが現れた。 チェックアウトをミサトに任せる間、私は玄関口からすぐの短い橋へと出ていた。 雲一つない空から注ぐ陽光は肌に刺す程に感じられ、 風はなく、川のせせらぎとあの小山からの喧騒だけが耳に残った。 休暇としてはそんなに悪くなかったのかもしれない。そんな風に感じられた。
https://w.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/139.html
act.11 「……あれも破壊すべきだな」 エレが卵に視線をやる。 イザークはハッとした。あれは龍の卵だ。殻を破り、生れ落ちたならばシアナを狙いにやってくるだろう。 でも、まだあれは生まれてもいない命だ。それを奪うのは、イザークの中の良心が咎める。 だが。 刻印を持たず、シアナの苦悩を知らない自分に止める権利があるのか。 「隊長……」 善悪など分からない。シアナの行為が正しいとか正しくないとか、そういうことは分からない。 それでも、それでも、まだ生まれてすらない者の命を剥奪してしまうのは、断じて正しいことではないはずだ。 縋るような目でシアナを見るイザーク。シアナはハア、と息を吐いた。 「そうね。あれは卵だわ。でもあれが……龍の卵かはわからない」 「え……」 「気でも狂ったか? ここは龍巣。産み落とされたものは龍卵以外ありえないだろうに」 そんなことはシアナも分かっているだろう。龍に噛まれた部位から血がしたたる。傷ついた腕を押さえ、止血を行うシアナ。 「それは生まれてくるまで分からないわ。もしかしたら蜥蜴かもしれないし鳥の卵かもしれない」 「……貴様……」 「隊長……!!」 「そういうことよ。もうここにいる理由はないわ。帰りましょう」 それは、単なる気まぐれだったのか。 それとも部下の懸命な姿を見て故の慈愛だったのか。シアナは卵を見逃すことにした。 自分を庇った者の願いだ。……これくらしいしか聞き届けられないが、せめてもの行い。 三人は、そのまま山をくだりフレンズベルに帰還することにした。 なだらかな道を黙々と進む。イザークは二人の後ろから着いてきていたが、先程から口数が少なく、しきりに俯いてばかりだった。 重苦しい気配が、三人の上にのしかかる。 「あれでよかったのか。あの卵が孵れば、お前を狙いに必ず現れるぞ。……なんせ母龍を殺した憎い仇だろうからな」 「……そうね」 石粒を蹴って、シアナは俯く。 「もしあの時の龍がお前を殺しにきたらどうするつもりだ」 今更聞かれるまでもない。決まりきったことだ。 龍は、命を背負う覚悟があるかと問うた。 ああ、出来ている。この刻印を手にした瞬間から、私は、そう生きると決めた。 今までもこれからも。……自分は背負い続ける。十字架を背負い、戦い続ける。いつか自らが滅びるまで。 「その時は勿論――殺すわ」 自分の行く先は地獄だろう。 いや、もしかしたら既にこの世界が地獄なのかもしれなかった。 呪われた刻印を刻まれ、殺しを行い続ける自分は咎人であり、 その咎人に罪を与えるこの世界は、流刑地である。 咎人は赦されることなく、狩り手から死さえ与えられない。 永劫流転する責め苦は、耐え難き孤独である。それが罰なのだと、どこかで声がした―― 城に到着し、シアナはすぐさま報告をしにズイマの元へ向かった。 エレもしぶしぶ動向する。 シアナの傷を見て、顔を曇らすズイマ。 「怪我をしているな、シアナ。……事の次第はよく分かった。今は傷を癒すといいだろう」 「……はい。申し訳ありません」 「謝ることはない。お前はよくやった。 ……しかし、たった一人の為に隊長二名が救援に向かうのは決して隊の為にはならない。 二人とも殺される可能性もあった。それを考慮せず龍巣へ向かったのは正しい判断とは言えない。 総長の立場から、それについてはきつく言及せねばなるまい」 「はい。今回の事は全て私の責任です。罰を与えるのならどうか私にお与え下さい」 「ふん。お前の責任? 笑わせるな。あの間抜けがそもそも龍にさらわれなければこんなことにはならなかったのだ」 「む……っ」 「二人共、やめるがいい。今は仲違いをしている場合ではないだろう」 ズイマに諌められ口を噤む二人。 手を組んで、ズイマは何かを考えているようだった。口を開く。 「……そうだな。シアナ、お前には一ヶ月間の任務停止を命じる。第三騎士隊も同処分とする」 任務停止。隊を伴っての、このような措置は異例だ。……シアナはそれを重く受け止めて、返事をした。 「はい、承知致しました」 「シアナ、お前のやったことは自らを危険にさらす、隊長としては遺憾な行為だ。……しかし、私個人としては、 たった一人の為に救援に向かったお前を誇らしく思う。龍を打ち倒し、……よく戻ってきてくれたな。 一ヶ月間、ゆっくり身体を休めて静養に努めるといい」 ズイマの真意が伝わる。それは決して罰ではなく気遣いだった。ズイマの言葉が疲労した体に暖かく染み込む。シアナは頷いた。 敬礼して部屋を出る。エレもそれに続いた。 部屋を出ると、多数の騎士達がシアナ達を出迎えた。 「隊長、よくご無事で戻られました……!!」 「私共全員、信じておりました、お二方が必ず戻られると」 「私は祈りを捧げておりました。……お二方、そしてイザークの生還を願って。それが神に聞き届けられたようで、 感動で震えております……お帰りなさいませ隊長」 全員がお帰りなさい、と唱和した。 第三騎士隊だけでなく第二騎士隊の者もちらほら見える。 「みんな……」 「エレ隊長もお帰りなさいませ!! お怪我はございませんか?」 エレはそっけなく「ない」と一言告げると、マントを翻し踵を返す。騎士達の前を通過し、その場を立ち去った。 「……まったく愛想も何もない男ね」 「シアナ隊長、腕が……」 ああ、とシアナは自分の腕に目をやる。酷い怪我をしていた。……肩も痛む。今まで気を張っていたので あまり痛みを感じなかったらしい。ここにきて急に痛みを取り戻した。 「救護室へ行かれて下さい。リジュ隊長がおります」 「分かった」 救護室に入ると、本を読んでいたリジュが顔をあげた。 いつもと変わらない柔和な顔で、にっこりと微笑む。 本を机に置いて、シアナに向き直る。 「お帰りなさいシアナさん」 「……ただいま」 椅子の上に腰を下ろす。 リジュはシアナの腕を見やって、僅かに顔をしかめた。 「酷い怪我ですね。……すぐ治療します、腕を貸してください」 リジュはシアナの腕に触れる。リジュは魔術を使える。その中に治療魔術も含まれていた。 呪文を詠唱すると、暖かな光がリジュの手先に生まれる。 それはシアナの腕を包み込み、怪我を癒していく。 元々リジュは魔術を専攻していた学士だったらしい。フレンズベルの大学を主席で卒業し、将来は医者か優秀な研究者か との呼び声が高かったが、本人はあっさりと騎士隊へ入隊した。 シアナはそれを不思議に思い、以前リジュに志願の理由を聞いたことがある。 騎士隊なら、傷ついた人を沢山癒せるし、それに戦闘で攻撃魔術も使い放題でしょう?とにっこり笑われて言われた時には、 もしかしてこの人物はとんでもない食わせ物なのではないかと思ったものだが……。 「はい、終わりましたよ。包帯を巻いておきます。一応消毒と治療はしておきましたけど、しばらくは安静にしててくださいね」 「ありがとう。……そうね。しばらくは休むことにするわ。謹慎処分も出たことだし」 「それがいいと思います」 「あ……そういえば」 急に気になった。イザークはどうしただろうか? 怪我はしていない様子だったが、今までにないくらい意気消沈していた。 明るいだけが取柄のような男だ。しばらくすれば元気になるだろうが―― (何であいつが悲しむのよ……) 刻印の事を口にしてから、その後ずっとイザークは暗い顔をしていた気がする。 「どうかされましたか?」 「ううん、なんでもない。その、助けた部下の様子が気になって」 「……そうですか。さきほどイザーク君なら中庭で見かけましたよ」 「中庭で?」 「ええ。剣を持って……一人で訓練しているようでした」 「――」 リジュはふふっと笑って、まだ続いていると思います、と告げた。 シアナはもう一度礼を言うと、急いで駆け出した。 暗くなった中庭。夜の帳が下り、空には満天の星が煌々と輝きを灯す。 その下で、風を切る音。素振りの音が響いていた。 イザークは一心不乱に剣を振っている。 シアナはその姿を見つけると、すぐさま近寄った。 「……イザーク。もう夜も遅いわ。今日は休みなさい」 .
https://w.atwiki.jp/buttobasour/pages/99.html
チェイス【CV:上遠野太洸】(仮面ライダーチェイサー/魔進チェイサー/仮面ライダープロトドライブ/狩野洸一) (※同一のセリフを各項目で聞く場合、耳にする頻度の高い項目にそのセリフを置き、同一のセリフを同ページ内に重複して書くことがないようにして下さい) 長くなってしまった項目は、場合によって折りたたむなどの措置をお願い致します。 タイトル画面 ブットバソウルの世界へようこそ! 説明 スキャン バトル チャンスタイム プレイ終了後 特定のキャラに対する反応 汎用セリフ シチュエーション不明 その他 別ページにあるクロスオーバー コメント欄 [部分編集] タイトル画面 タイトルコール「仮面ライダーブットバソウル。激レアメダル、とは、そんなに人の心を乱すものなのか?」 「仮面ライダーブットバソウル。それでも、俺は今、激レアメダルが欲しいんだ」 プレイ開始「胸が……キュン?」 「俺は、人間を、守る!」 [部分編集] ブットバソウルの世界へようこそ! 自分について「ブットバソウルの世界……俺も入れてもらおう」 「俺の名は……チェイス。仮面ライダーチェイサーだ」 「俺はチェイス。仮面ライダーチェイサーだ」 「仮面ライダーである者同士、共に戦おう。よろしく頼む」 ブットバソウルについて「ブットバソウルの世界……。この世界は、一体なんなんだ? ブッ飛ばす……という行為は、そんなに人の心を乱すものなのか?」 「俺にもよくわからん。ブットバソウルの世界では『よくあること』……なのかもしれない」 「教えてくれ。激レアメダル……とは、そんなに人の心を乱すものなのか? 皆、メダルが絡むと平常心を失う」 「ブットバソウル……。まったく理解できない世界だが、進ノ介や剛に勝るとも劣らない人間たちが集まっている。ここなら俺も、さらに人間に近付けるのかもしれない」 このシーンのみのセリフ「なるほど。これがお前の、『つい、乱れちゃう……』か」 「これも、『つい乱れちゃう』……というヤツなのか。難しいものだな、人間というのは」 「……なぜだ。皆、何故か楽しそうだ。ブットバす……という行為は、そんなに人の心を乱すものなのか。これも、『つい乱れちゃう……』というものなのか。難しいものだな、人間とは」 説明 ゲームシステムの説明 エナジーアイテムの効果チェ「……剛、エナジーアイテム、とは、なんだ?」 剛「チェイスお前、そんなことも知らねえのかよ! エナジーアイテムっていうのはな、あ。つか俺も知らねえわ。ま、なんとかなるっしょ」 チェ「何? そんな得体の知れないものをスキャンしていいのか?」 剛「うっせえ! 邪魔すんな! はい、スキャンスキャン!」 チェ「む。待て剛。安全確認が先だ。待て。待てと言っている!」 ライドウォッチの効果チェ「剛、ライドウォッチ、とはなんだ」 剛「お前またかよ! いーんだよ! スキャンすると、とにかくライダーパワーが上がるんだよ!」 チェ「また正体不明の物体と言うことか」 剛「いーから! さっさとスキャンしとけ!」 マッハで! ほら、マッハで!」 チェ「待て剛。剛! 待てと言っている!」 各キャンペーンの説明キャンペーン名「キャン、ペーン? なんだ、それは……」 ゲーム開始「プレイ開始だ」 「ブットバソウル、始めるぞ!」 説明を飛ばした際のコメント「もう一度……やり直せ。俺はかつて死神と呼ばれていたが、説明は飛ばさない。ロイミュードにも、やり直すチャンスを与えていた。だがお前は、説明を飛ばし、プレイ時間を減らす! ……真の死神は、お前だ!」 [部分編集] スキャン スキャン全般「スキャン成功」 「このメダルでよければ、ボタンを押せ」 エントリーメダル「ライダーパワーゲージが、大きくなったようだな」 メダル「次だ、二枚目のメダルをスキャンしろ」 エナジーアイテム「次は、エナジーアイテムスキャンだ」 フルボトル「最後だ、フルボトルをスキャンしろ」 バトル 敵の登場「仕方ない。実力行使だ」 各ボスへの名指しのセリフはこちらへ移動しています。 ルーレット「マークボーナスルーレット」 「ドリームベガスと違って、ハズレなしか。高性能だな」 バトル開始「バトル開始だ」 「正々堂々と勝負だ」 「仮面ライダーたちの登場だ」 カットイン「よし、これで終わりだ」 「人間を救うのは……俺の本能なのかもしれない」 「ライダァー……キーーック!」 HIT数「なんというHIT数だ。人間に、このようなことが可能なのか?」 「ライダーキック! ボタンを……押せェ!」 エナジーアイテム発動「エナジーアイテムの力、見せてもらうぞ」 決着勝ち「ボスの撲滅、完了だ」 負け [部分編集] チャンスタイム 戦闘員準備中「……ロード時間が長すぎる……ダメだ、意識が……、遠のく……あぁ、そうだ……大当たりする時、俺もあんなに幸福に感じたじゃないか……戦闘員も、みんなも、同じ気持ちなんだ……だったら……。俺は、大当たりして、激レアメダルをゲットしたいと願った……。そのために今、一番必要な力は……。ありがとう戦闘員、お前は俺に、つかの間のロード時間をくれた……。でも……もう……! いらない!」 チャンスタイム専用セリフ特殊演出のあるセリフはこちらへ移動しています。ゴルドドライブチャンスは上記へ移動しています。 通常時「 」 ピンチ時「つい……らく……だと?!」」 特殊演出専用セリフ 当選結果 プレイ終了後 「何?! 忘れているかもしれないだと?! 耳の裏を見せろ!」 「ブットバソウルをプレイするのは、俺の本能なのかもしれない……。俺は、もう一度、やり直す! お前も、もう一度、プレイしてくれ」 [部分編集] 特定のキャラに対する反応 +仮面ライダードライブ 仮面ライダードライブ 泊進ノ介/仮面ライダードライブ チェイス/仮面ライダーチェイサー「人間を救うのは……俺の本能なのかもしれない」 +仮面ライダー作品名 仮面ライダー(作品名) [部分編集] 汎用セリフ 喜び ツッコミ 驚き 悲しみや哀れみ 怒りや咎める口調 戸惑い・疑問「む……そういうものなのか?」 励まし 威勢がいい・挑発的「よし、ここはまかせろ!」 不特定多数に向けて 作中内での台詞や口癖「頼む。教えてくれ」 「人間を救うのが……俺の本能なのかもしれない……」 「なるほど。これがお前の、『つい、乱れちゃう……』か」 「……誰も、聞かなかったからだ。」 その他「よろしく頼む」 [部分編集] シチュエーション不明 [部分編集] その他 [部分編集] 別ページにあるクロスオーバー ブットバソウルの世界へようこそ! 個性的な仲間に囲まれ、「皆、何故か楽しそうだ」と言うチェイスが見られる。 「俺の身体はボロボロだ!」と困っている橘朔也。それを聞いて、進ノ介から借りてきたマッドドクターで治療にあたるチェイス。マッドドクターによる治療は死ぬほど痛いのだが……。 チェイスと桜井侑斗を「友達」にしようとするデネブ。 左翔太郎の探偵事務所に疑問を聞きに行くチェイス。 「門矢士、お前は一体何なんだ?!」「通りすがりの仮面ライダーだ!」 自分を追ってきた詩島剛と再び出会う。再会と、宝物の返還。 ※本編ネタバレ ボス登場 例の敵と遭遇するマッハとチェイサー。※本編ネタバレ 特殊チャンス演出 戦闘員が例の敵の襲撃に遭ってしまう。剛と進ノ介と共に阻止を試みている。 ※本編ネタバレ ソウルチャンス チェイスと魔進チェイサーとプロドドライブに囲まれ混乱する剛。「免許の更新に行く」と言って聞かないチェイスを剛が必死に止めようとしている。 ホットけない!チャンスタイム 何故かアタッシュケースから出てきた『ひとやすミルク』と、それを見つけたソウゴ・戦兎・万丈に、詩島剛と一緒にツッコミを入れている。 コメント欄 情報や誤載の指摘等、何かありましたらお気軽にどうぞ。 名前
https://w.atwiki.jp/hazamarowa/pages/23.html
まどかを救う。それが彼女の最初の気持ち。 今となっては、たったひとつだけ最後に残った道しるべ。 ただそれだけの為に、何度も何度も、同じ時間を繰り返してきた。 何度も何度も、絶望を乗り越えてやり直してきた。 誰と敵対しようとも、誰と死別しようとも、誰に信じてもらえなくとも。 何度も何度も。 何度も、何度も、何度も何度も何度も何度も何度もーー。 いつも結末は変わらなかった。 まどかが死んでしまうという最悪の袋小路。 そこから引き返して違う道に進んでも、必ず袋小路は現れる。 どこで曲がっても、どこで真っ直ぐ進んでも、それが当たり前だとでも言うように。 抜け出せない、永遠の迷路。 袋小路はいつも絶望だけを叩き付けてくる。 それでも、彼女が大切だから。大切な友達だから、何度でも立ち上がる。 どんなに足が疲れようとも、どんなに心が折れかけようとも。 「ほむらちゃん、過去に戻れるって言ってたよね」 「だからね……お願いがあるの」 数えるのも気が遠くなるほどに同じ時間を繰り返しても、決して薄れることのない記憶があるから。 ーーキュウべえに騙される前の馬鹿な私を、助けてあげて……くれないかな。 だから、歩き続ける。 未だ果たせてない約束の為に。 「なん、で……?」 何度もやり直してきた時間の中で、ほむらは少しずつ立ち回りを変えてきた。 同じことをしてもまどかを救えないのだから、当然のことだ。 けれど、結末の他にも変わらないことはあった。 例えば佐倉杏子との対立であったり、美樹さやかの魔女化であったり。 必ずそれらが起こるわけではないが、何度も起きたことでもある。 いつしか驚くこともなく、淡々とそれらの事象に対応できるようになった程には、大同小異の時間を駆け抜けてきた。 けれど、けれど。 こんなことは知らない。 あまりにもイレギュラーな事態。 殺し合い? 首輪? パレス? そんなの知らない。今まで一度だって、こんなことは起きなかったのに。 「まどかと殺し合え? 冗談じゃないわ……!」 まどかもあの空間にいたのを見た。 ほむらの大切な友達。ほむらが戦い続ける、唯一にして最大の理由。 そんなまどかと殺し合うなど、これまでの時間を全て無に帰すも同然のこと。 言われるままに殺しに走るわけがーー (……いえ、待って) 自分自身はまどかを殺さなければならない道など選びとる気はない。 けれど、もし願いを叶えるという姫神の甘言に惑わされた者がいれば、もし殺戮を望む根っからの狂人がいれば。 そして、そんな者たちの凶刃が、魔法少女の契約をしていない、いたって普通の女子中学生の今のまどかに向かってしまえば。 どうなるかなど、分かりきっている。 (まどかを探して、なんとしてでも守らなきゃ……) 他の誰がどうなろうとも、まどかだけは守らなければならない。 これまでだって、何度も通り過ぎていった命があった。助けられなかった命があった。 それでも止まらずに駆け抜けてきたのだ。ただひとり、まどかの為に。 殺し合いだろうとなんだろうと、やることは変わらない。 決意と共に混乱が収まりつつある頭で、もうひとつ考えることがあった。 姫神葵というあの男。 性別からしても、魔法少女や魔女のような力など持っているはずがない存在。 にも関わらず、あれだけ多くの人数に干渉し、あまつさえ時間を操る力を持つほむらすらも気付かない内に連れてきてしまった。 そんなことができるということは、ほむらの聞いたことがない、未知の力でも持っているのではないか? 繰り返してきた時間の中で触れることがなかったその力を知ることができたら、近付くことができたら。 まどかを救う足掛かりにできるかもしれない。 例えこの殺し合いを生き抜いて見滝原に帰れたとしても、待ち受けるものは何ひとつ変わらないのだ。 まどかの強い力に目を付けているキュウべえと、最強の魔女ワルプルギスの夜。 これらに同時に抗える可能性やヒントがあるのなら、その道を模索しなければならない。 (この殺し合いを開く為に使われた力を紐解いて、魔法少女と魔女のサイクルよりもエネルギーを効率よく集められるようにできるなら) (その力が、ワルプルギスの夜をも倒せるほどのものだったなら) (まどかを救うことができるはず) 殺し合いを開く為に使われた力が目的に沿ったものである保証はない。 けれど、これまでの道になかった新たなしるべに、どうして手を伸ばさずにいられよう。 たったの1%に満たなくても、例えそれが自分の身を滅ぼす選択肢だとしても。 まどかの為なら、迷わず掴み取る。 優勝者の願いを叶えるという言葉は当てにしない。 報酬をちらつかせることで殺し合いに乗る者を増やすという、詭弁でしかない可能性も十分にあるのだ。 そもそもまどかを殺すわけにはいかないし、話が本当だとしてもほむらの途方もない歩みを知らないまどかを優勝させたところで、その先の結末はきっと変わらない。 ならどうするか。 「まどかを保護できたら……その後は、あの主催気取りとコンタクトを取る方法を考えなきゃ」 直接、姫神葵との接触を図る。 そして、魔法少女とは異なる力についての情報を引き出す。 この殺し合いには、恐らく別の目的があるだろう。 ただ人々の殺し合う姿を見て愉悦に浸りたいだけならば、まどかのように心優しい者や、姫神に反抗の声を上げた坂本という少年のように正義感の強い者などは呼ばず、血の気の多い人間ばかりを集めればいい。 何より、一度参加者を全員集めたにも関わらず、こうしてバラけさせる必要がない。 あくまで仮定ではあるが、当たっているならば、目的への協力と引き換えに彼の力の情報の引渡しを求める、などの取引を持ちかけることも可能のはず。 (待ってて、まどか。今度こそ、新しい道を拓けるかもしれない。あなたを救う道に辿り着けるかもしれない) ふと、潮の香りに気が付く。 目的がはっきりしたことで、ようやく周囲を見る余裕を取り戻せたようだ。今自分が立っているのは港らしい。 眼前に広がるのは、ただひたすらに伸びていく真っ暗な水平線。 か細い月明かりしか映さない。道しるべもない。縋れる藁すら浮かんでいない。 「……上等だわ」 出口の見えない迷路よりも抜け出すのが困難であろう、暗闇だけを湛えた海を見て呟いた。 ザックを開いて、地図を取り出す。 四方を全て海に囲まれているが、港があるのは1ヶ所のみ。現在地は西の端で間違いないだろう。 次に手に触れた銃を取り出し、角度を変えながら数度構えてみる。 何度か使ったことがあるものであるため、それなりに手に馴染む。これならまどかを守ることもできるだろう。 潮風がひとつ吹き、濡羽色を揺らす。 少し肌寒かったけれど、銃を握る手が震えることはなかった。 ねえ、まどか。 多くの人が巻き込まれてるのにあなた以外の命を見ていない私を、あなたはどう思うかな。 優しいあなたのことだもの、きっと咎めるでしょうね。 でもね、私はあなたを救う為だけにここまで来たの。 たったひとつのその想いが潰えた時、私はきっと私でいられなくなっちゃうから。 あなたを理由に魔女になるなんて、嫌だから。 そうなったら、あなたもきっと絶望するから。 だから。 私にあなたを守らせて。 【C-1/港/一日目 深夜】 【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:健康 [装備]:89式小銃@現実 [道具]:基本支給品 不明支給品(0~2) [思考・状況] 基本行動方針:まどかを保護し、主催側と接触する方法を探す 一.まずはまどかの安全を確保しないと。 【支給品紹介】 【89式小銃@現実】 アニメ本編でも暁美ほむらが使用したことのある銃。自衛隊などで制式採用されているものと言えば分かりやすいのではないだろうか。 Back← 004 →Next 003 永遠はここに 時系列順 005 異種間コミュニケーション(みんな人間ですけどね) 投下順 暁美ほむら 036 Nocte of desperatio
https://w.atwiki.jp/3edk07nt/pages/158.html
ベッドに入ってから一睡もできなかったというのに、頭は妙にスッキリしていた。 気怠さや、疲れも感じない。肌だって瑞々しくて、パッと見、荒れた様子はなかった。 これが若さなのかな? と蒼星石は洗面所の前で、小首を傾げてみた。 鏡の中の彼女は、不思議そうに、自分を見つめ返している。 そこに、昨夜の雰囲気――柏葉巴の影は、全く見受けられない。 今日、学校に行ったら……話しかけてみよう。 夕暮れの体育館で見た凛々しい姿を思い出しながら、もう一度、昨夜の決心を繰り返す。 おとなしそうな彼女だけど、果たして、呼びかけに応えてくれるだろうか。 人付き合いは、やはり、第一印象が大事。変な人と思われないように、気を付けないと。 蒼星石は、鏡の中の自分に、ニッコリと笑いかけてみた。 大きな期待の中に、ちょっとの不安を内包した、ぎこちない微笑み。 少しばかり表情が硬いな、と思っていると―― 「朝っぱらから、鏡の前で何ニヤついてるです?」 「わぁっ! 驚かさないでよ、もぉ……」 いつから見ていたのだろう。 蒼星石は耳まで朱に染めて、ニタリと笑っている姉の脇をすり抜けた。 第三話 『運命のルーレット廻して』 揃って朝食を済ませ、支度を終えた姉妹は、一緒に玄関を出た。 秋も深まり、日一日と風が冷たくなる時候ながら、今日は普段より暖かい。 小春日和の日射しに包まれていると、なんだか…… 何年もそうしていなかったような、とても懐かしい気がする。 (姉さんも、ボクと同じ気持ちなのかな?) ちらりと盗み見ると、翠星石は口に手を宛い、大きな欠伸をしていた。 しばしばと瞬いて、滲み出した涙を堪えている様子が微笑ましい。 「随分と、眠そうだね」 言ったそばから、姉の欠伸が移ったのか、蒼星石も大きな欠伸を放つ。 それを見て、翠星石は愉しげに目を細めた。 「蒼星石だって、他人のこと言えねぇです」 「……らしいね。シャワー浴びたせいか、あれから目が冴えちゃってさ」 「実は、私も――――ずっと眠れなかったですよ」 そう呟いて、隣を歩く妹に、咎めるような眼差しを向ける翠星石。 「蒼星石が、あんなコトするから……」 「はは……ごめん。そう言えば、姉さんってスキンシップに弱かったっけ」 「知ってるクセに抱きつくなんて……とんだ悪党ですぅ」 赤らめた頬を、可愛らしく膨らます姉の仕種は、しかし、長く続かなかった。 やおら真顔に戻ったかと思うが早いか、蒼星石の背中をバシンと引っ叩く。 照れ隠しのためとは言え、あまりの手加減のなさに、蒼星石は息を詰まらせた。 「い、痛いよ姉さん! 何するのさ」 「それでチャラにしてやるですぅ。さっ、気を取り直して、学校に行くですよ」 「……はいはい。とにかく、授業中に居眠りしないように、気をつけなくっちゃね」 「今日は土曜日ですから、午前中さえ凌げば大丈夫ですぅ」 答えた途端に、またぞろ大欠伸をする姉を見て、蒼星石は、ふっ……と口元を綻ばせた。 そして、こんな二人だけの時間が、もっと欲しいと思って―― 「今日の午後、たまには二人で、パフェとか食べに行かない?」 翠星石を、遊びに誘った。彼女から誘うなんて、真夏に雪が降るくらいに、珍しいことだ。 だからこそ、彼女は翠星石が「はい」と頷いてくれるものと信じていた。 しかし、蒼星石の期待は、呆気なく拒否される。 「とっても嬉しいですけど……今日は都合が悪いですよ」 「そう……なんだ。残念だなぁ」 「ゴメンナサイです、蒼星石。この埋め合わせは、近い内に、きっとするです」 「別に、いいよ。気にしないで」 心底、申し訳なさそうに項垂れる彼女を、蒼星石は笑って宥めた。 けれど、二人の間に漂うギクシャクした空気は、学校に着いても薄れることがなかった。 学校に到着して、カバンを机に置くなり、蒼星石は隣のクラスに向かった。 昨日から頭を離れない彼女――柏葉巴と、一言でも話をするために。 HRが始まるまで、まだ十分ほど余裕がある。 (もう来てる頃だよね) 学級委員を務めるほどだ、遅刻するような問題児ではあるまい。 そう思って、教室の後ろの扉から、そぉっと様子を窺うと…………居た。 なんの偶然か、彼女が丁度、教室から出てくるところに鉢合わせたのだ。 巴は、蒼星石の姿を認めると、控えめに微笑んだ。 「おはよう。誰かに用事? 呼んできてあげようか」 「あ……おはよう、柏葉さん。ボクは……キミに会いに来たんだ」 「わたしに?」 「ちょっと、話がしてみたくてさ。今、少しだけ時間つくれる?」 問いかける言葉に、不思議そうな表情を浮かべる巴。その反応は、蒼星石の想定内だった。 体育の授業は隣のクラスと合同で行うから、二人は一応、顔見知り。 だけれども、今日に至るまで、交流を図る機会には恵まれていなかった。 「……ダメかな?」 蒼星石が不安げに訊ねると、巴はシンプルな造りのアナログ腕時計にチラと目を遣り、 「いいわよ」と、にこやかに応じた。 巴にしてみれば、なぜ今になって蒼星石が近付いてきたのか、その理由に興味があったのだろう。 クラスメートの視線を気にしてか、廊下に出た彼女は、後ろ手で教室の扉を閉ざした。 室内の喧噪は遮られ、話をする環境が整えられる。 巴は、背格好の似通った娘の双眸を、その鳶色の瞳で、ひた……と見据えた。 「それで、お話ってなぁに? 蒼星石さん」 「ボクの名前……知ってたの?」 「ええ。自覚してないみたいだけど、貴女は割と有名だもの」 「正しくは、ボクの姉さんが有名……でしょ」 姉と自分は、二人でひとつ。生まれながらにして、二人はいつも一緒だった。 別個の存在でありながら、一心同体。 蒼星石の半分は翠星石であり、姉の半分は妹で占められている。 そう。本来ならば、彼女たちは対等の関係である筈だった。 しかし、等しく浴びる筈だった陽光は、いつだって姉にのみ注がれてきた。 蒼星石の存在は、煌びやかに光り輝く姉の足元に落ちた影と同じ。 言わば、彼女の『おまけ』でしかない。名前を間違えられることも、しばしばだった。 (でも、ボクは――それがイヤじゃない) 寧ろ、姉の名で呼ばれると嬉しくなったし、彼女とひとつになることは密かな望みだった。 触れ合い、癒着し、どろどろに溶けて、混ざり合ってしまいたい。 そして、コールタールの様な混沌から、たった一人―― 至高の美しさを持った少女として生まれ変われたのならば、どんなに素晴らしいだろう。 ――が、所詮は、実現不可能な世迷い言。正気と妄想の狭間に産まれた悪夢。 我ながら、馬鹿げた願望だ……と、蒼星石は自嘲した。 「ごめんなさい。何か、気に障ること言ったみたい」 間近で紡がれた声で、蒼星石は我に返った。 声の主は、困惑の表情を浮かべて、自分を見つめている。 「ご、ごめん。ちょっとボーっとしちゃってた。怒ってたワケじゃないよ」 「……よかった。急に黙っちゃうから、心配したわ」 その言葉どおり、巴は安心したように小さく笑って、付け加えた。 「でも、貴女が有名っていうのは本当のことよ。魅力的な人だなって、わたしも思うもの」 「ボクが? ははっ……まさかぁ。ボクなんかよりも、キミの方がずっと素敵だよ」 「え?」 「昨日の放課後、体育館で剣道の練習してるキミを見たんだ。 すごくカッコよくて…………思わず見惚れるくらいに綺麗だった」 「汗まみれな姿を見られてたなんて、恥ずかしいわ。それに、お世辞でも誉めすぎよ」 両手で頬を包み、はにかむ巴の仕種は、蒼星石の眼に、とても初々しく映った。 やがて、HRの始まりを告げる予鈴が鳴り、廊下にまで溢れていた喧噪が静まる。 もう、それぞれの教室に戻らねばならない。だけど、もう少し話していたい気分だった。 だから彼女たちは、ごく自然に、同じ言葉を口にしていた。 「また、後でね」 第三話 おわり 三行で【次回予定】 相まみえて、たちまち意気投合する乙女たち。 縁と浮世は末を待て。彼女たちは時を積み、言を重ね、情を育む。 その間も、運命のルーレットは休みなく廻る、回る―― 次回 第四話 『今日はゆっくり話そう』
https://w.atwiki.jp/loveuntouchable/pages/45.html
「見知らぬ人でなく」by148さん 投稿日2010/07/28 洸至にとって、7日ぶりの我が家の風呂、7日ぶりの布団。 内偵捜査がようやくヤマを越え、監視体制の縮小が決定し家に帰ることができた。 明日からは記録の作成という心踊らない仕事が待っているが、足を伸ばして風呂に入り 布団に寝られることの解放感に浸っていた。 風呂上がりに、布団の上で少し休むつもりで横になったはずが、疲れからかそのまま熟睡 してしまった。 子供のころからの癖で、熟睡していてもわずかな物音で目が覚めるようになっていたが、 仕事からの解放感と自宅にいる安心感に浸りきっていたせいで、自分の上に誰かが 乗っている重みを感じるまで、洸至は深い眠りの中にいた。 「だ、誰だ…」 首に腕が巻かれている。 絞められるのか。 状況を判断するより先に、排除するため反射的に肘を相手の脇腹に叩きこもうとした その時。 「しろうちゃ~ん」 妹の妙にうわついた声が部屋に響いた。 「遼子…?」 やっぱり疲れていたのだろう。自宅に居て、いきなり暴漢に襲われることより、 同居の妹が酔っぱらって部屋に来ることの方がはるかに起こりやすいことなのに、 それをすっかり忘れていた。 「しろうちゃーん、なんでさっきは冷たいこといったのよぉ。いま部屋で私のこと 待っててくれるのにぃ」 部屋中がアルコールくさくなったと錯覚する程、妹は酒臭かった。 そして、どちらかというと酒癖が悪いくせに、量をわきまえずに飲むところがあったが、 今日は格別だった。 「ど、どうした遼子?ここはお前の部屋じゃなく、俺の部屋だぞ。お前、飲みすぎだって」 「名前で呼んでくれるの?うれしいなあ、しろうちゃん。 いっつも他人行儀な態度ばっかりとって、鳴海君って呼んでたのにぃ。 やっと素直になってくれたんだあ~」 洸至の方を見ているようで、遼子の眼の焦点は合っていない。 瞳の奥で結ばれた像が、洸至を映していないことだけは確かなようだった。 酒のせいか、目じりがほんのりと赤くなり、蕩け切ったような視線には、 いつもの妹にはない色気が含まれていて、洸至は戸惑った。 その遼子が洸至の首に抱きつき、兄の顔に頬ずりをしている。 「お、おい」 「しろうちゃんのおひげ気持ちいい。うれしいな、私のこと待っててくれて」 「だから違うって、遼子…。いい加減に」 妹を押しのけようとしたその時、洸至のジャージに灰色の染みが、ぽつぽつとついた。 驚いて顔を上げた洸至の顔を、しなやかにだが、しっかりと遼子の手が包む。 洸至の顔の真正面に、大きな瞳から涙をこぼす妹の顔があった。 とめどなく溢れる涙にくれる妹の瞳と、何かを堪えるように震える唇を間近に見て、 慰めなければと思うより先に、見惚れていた。 「さっきどうしてあんなに冷たいこと言ったの…?」 「遼子、一体何を…」 「私が史郎ちゃんのこと好きだって知ってて、ずっとつれない態度ばっかり…。 私、こんなに史郎ちゃんのこと好きなのに」 洸至の唇に柔らかい感触が訪れた。 アルコール臭など気にならなかった。ただ、甘く感じていた。 少し力を入れれば押しのけるのは簡単だ。 妹の力に負けてその腕から抜けられなかった訳ではない。 ただ、そこから抜けたくなかった。 押しつけるだけでは飽き足らなくなったのか、もどかしそうに、遼子が洸至の唇を ついばむ。 妹を引き離すために出された洸至の腕は空中で止まったままだ。 頭の片隅でこのままではいけないと思いながらも、残りの大部分は、この感触を 手放すべきではないと叫んでいた。 しかし、微かに残っていた理性が勝利した。 遼子の肩を掴み、唇の感触に名残惜しさを覚えながらも己から引き離した。 「りょ、遼子落ち着け。良く見ろ。俺だって、お前の兄貴の」 「ここまで来て、そんな言い訳しないで」 「言い訳も何も、俺はお前の兄貴だっ」 最後まで言い終わらないうちに、またも遼子に押し倒された。 遼子が、洸至を押さえつけ、上から覗き込む。 朝露が花を彩る様に、まつげについた涙が瞳を縁取り輝いている。 「三十近いから、きれいじゃないから…?」 「大丈夫。充分きれいだよ…」 本心だった。 いつしか、遼子のペースに巻き込まれている。 「でも、私のこと好きになってくれないのね」 遼子の声に滲む哀しみを感じて、洸至は妹の顔を見つめた。 吸い寄せられるように手を伸ばすと、妹の頬にこぼれ落ちる涙をぬぐう。 妹が酔い潰れて帰ってきたことは幾度となくあったが、酔ってここまでおかしく はなったことはなかった。 つまりはいつも以上に飲んだということだ。 遼子の場合、ひどく酔うと記憶をすっかり失うことが多かった。 もし、このことを遼子が忘れてしまうのなら。 それならば、少しだけなら。 せめてお前の夢の中だけでも、恋人のふりをするだけだ。 現実で叶わなかった思いを、ここでだけ叶えてやるだけだ。 ―――それだけのことだ。 やましさを打ち消すように、言い訳ばかりが駈け廻る。 遠くにおきざりにしたはずの良心が痛みだすより先に、本能で動いていた。 妹の背中に手を廻すと、抱き寄せた。 「俺も好きだよ…。だから、もう泣くな」 妹に囁くと、唇を重ねた。 最初は重ねるだけだが、それがそのうち、お互いについばむような動きへと変わる。 唇全体を幾度となくついばんだ後、唇の端、そして頬へとキスの雨を降らせた。 遼子の唇を再びとらえると、洸至の唇の不在を咎めるように先ほどよりも強く己の 唇を合わせてきた。 待ちかねたように、遼子の唇が開く。洸至は、その中へ舌を潜り込ませた。 最初は歯の表面を撫で、それから、半開きの歯と歯の間へ、送りこむ。 舌を見つけると、それと洸至のものをゆっくりと絡み合わせた。 絹のような感触の舌。 妹の悲しみにつけ込んで、ひどい兄貴だと思いながらも、妹と舌を絡ませ合うことを 中断できそうになかった。そうするには遼子の舌はあまりに柔らかすぎたし、 解放されたことで溢れ出た妹への想いは奔流となって洸至の理性を押し流していた。 舌だけでは飽き足らずに、歯の裏や奥歯の方まで舌で撫でまわす。 それからまた舌を絡める。 自分の唾液と遼子の唾液が混ざり合うように口と口とを深く合わせて舌を送り続けた。 もっと遼子に触れたい、もっとこの柔らかな身体を知りたいという己の気持ちを抑える ために、洸至は遼子の体をきつく抱きしめていた。 そうしていないと、不埒な自分の手が何をするかわからなかった。 どれだけそうしていただろう。 洸至は、時間の感覚を失う程没頭していた。 気が済むまで唇を貪ると、ようやく妹の唇を解放した。 うっすらと開いた遼子の眼と洸至の眼が合う。 遼子は満たされきった子供のような顔をして、洸至に微笑んだ。 洸至の首に廻していた遼子の腕から、次第に力が抜けて行く。 そしてそのまま目を閉じると、遼子は静かな寝息を立て始めた。 「これで満足なのか…」 少しの間ののち、洸至は静かに笑い始めた。 「そうか、お前、これから先を知らないんだもんな」 洸至はすぐに遼子をベッドに横たえずに、しばらく腕の中のその寝顔を見つめていた。 「ここで寝られてもな…。俺が寝られないじゃないか」 澱のようにからだに絡みつく疲労が眠りをもたらすまで、中途半端に昂ぶった心を持て 余すしかなかった。 151 GJ! 兄よ、そのまま遼子に「その先」も教えてやれ! 152 ヒャッホイGJ!! 優しいんだけど、自制出来なくなっちゃうお兄ちゃんイイ! 153 ありがとう! 夢中で読みました。 お兄ちゃん惚れ直してしまった。 いいわぁ洸至さん。 154 GJ!!!! 最高!!!
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/7261.html
関連スレ 新人加入で本性発覚 12 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/04/16(月) 22 00 52.78 ID ??? OKぽいので困と言うには少し弱いかも知れないんだが、前スレでちょっと書いた話を。 鳥取のメインGMぽいヤツが鍛えてやろう困っぽかったって話の続編みたいなもんなんだけど この前新人がPLやった時に「PLってのは気楽でホントいいねぇ」とか露骨に圧力かけに行ったり 割と理不尽なデータ変更したりと、それまでやってなかった様な行為を始め出した。 ちょっとどうしちゃったの、と言っても「これも新人のためだ。俺だってこんな役目やなんだからな」 とか言って取り合わない。皆別に新人をしごいてくれなんて頼んで無いのに。 理不尽なデータ変更って言うのは、SW2やったんだけど、新人は首切り刀という クリティカルすると威力が上がる武器持って、必殺攻撃と言うクリティカルしやすくする特技使ってたんだけど 最初にキャラ作って連絡用掲示板にうpした時から何か感じたのか 全ての敵がサイボーグだとか言い出して「機械の体」っていうクリティカル無効のデータを持ち出して 完全に新人のキャラ特性殺しちゃったんだ。GMが言うにはたまたま封殺される事もTRPGでは良くあるって事を分からせないと、とか。 マジどうしちゃったのって感じ。別に俺がそういう封殺やってストレス溜まった何て事も無い。 13 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/04/16(月) 22 14 31.50 ID ??? 12 乙。 むしろそのGMを鍛えてやった方がいいんじゃないか? TRPGはGMとPLが勝負してるんじゃなくお互いが楽しむためのもので、わからせてやる必要なんかどこにも無いんだよ。 その基本も分かってないそいつに新人鍛える資格なんざねぇよ。 自分もそんな役目は嫌だ、おそらくその封殺された新人も楽しめなかったろう。 じゃ一体誰が得をしたんだよ。 14 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/04/16(月) 22 16 03.56 ID ??? 乙。 不備や穴を咎めるならまだわからんでもないが、 後出しで相性の悪いの出して鍛えてやるも無いもんだ。 15 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/04/16(月) 22 21 09.12 ID ??? GMやりたくなくなったんじゃね? 16 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/04/16(月) 22 25 36.29 ID ??? 12 読んだ感じその新人にGMをやらせたいんじゃないかと予想 GMじゃなくてPLやりたいんじゃね? 17 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/04/16(月) 22 31 13.52 ID ??? 12 「俺がそういう封殺やってストレス溜まった何て事も無い」 ここがちょっと文脈的に繋がらないんだが。 ・鳥取のGMは困と報告者の2人だけ ・新人というのが実は報告者 のどっちかでないとわざわざ「俺が」という文章にはならない気がするんだが、それ如何によっては結構評価が変わる。 18 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/04/16(月) 22 34 23.01 ID ??? 17 前スレ523見ればわかるが、報告者の鳥取では報告者とそいつの2人がメインGMだったらしい。 19 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/04/16(月) 22 36 36.90 ID ??? 12 今まではそいつが一番の新入りだったんかな?「後輩が出来た!」と変な勘違いして威張り出したとか…とまれ、 「新人のため」って妄言を周囲が全否定 新人からも「迷惑、キモいです」と伝えてもらうしかないんじゃない。 どれだけ周囲が諌めたとしても 「みんなイイヒトでありたいから俺を叩くが、本当に新人の事を考えてる俺はこの程度で負けない!」 って脳内お花畑に逃げ込むばっかりで話にならん危険性もあるし。自然に収まれば一番なんだけどなー 20 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/04/16(月) 22 37 16.94 ID ??? 18 なるほど。 それは「文句があるならお前らがGMやれ」という流れを狙ってるんじゃね?w 21 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/04/16(月) 22 48 49.11 ID ??? 17 ごめん、ちょっとした予防線みたいなもんで 「報告者が過去にPCの長所封殺やって、長所封殺はやっても良いとか思い込ましたんじゃないの」 とかそういう話が出るかもと思って無理やり詰め込んだ形なんだ。 18で補足入れてくれてるけど俺と、そいつがほぼメインでGMやってる。 19-20, 15-16 そいつは俺と同時期に入ったから新人って事はないんだけど 周囲からすごい否定されても断固として「この方が良いんだ」って聞かなくて。 GMよりPLやりたいってのは確かだと思うんだけど、俺だけでも限界があるからね… 22 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/04/16(月) 22 56 32.84 ID ??? GMやらねぇ奴は本当にやらねぇからなぁ… それはそれとして、 12の困みたいな輩がいたら GMやろうって奴すら怖くてGMできないと思うの 23 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/04/16(月) 22 59 15.71 ID ??? つか他のやつはGMやらんの? 24 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/04/16(月) 23 06 19.71 ID ??? 23 何だかんだ理由付けて拒否ってくるんだよね 難しそう、とかメイン二人との腕の差がつき過ぎちゃってるから恥ずかしい、とか シナリオ書くのは良いけど自信無いからGMは勘弁、とか(何度かシナリオは書いてもらった事ある) ただ、最近一人エンギア専門だけどやってくれるようになった。男所帯なのに。 25 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/04/16(月) 23 09 29.00 ID ??? 24 困GMが、つき過ぎた腕の差を埋めようとしているようにしか思えなくなってきたw 26 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/04/16(月) 23 12 06.33 ID ??? 24 んじゃあ、皆がGMやるようになれば問題が解決するかも知れんな。 新人を困の餌として放り出して、早晩脱退させるよりは有意義だ。 27 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/04/16(月) 23 15 07.54 ID ??? 本当は面倒くさいとかその程度の理由なのに、顔立てて「腕の差がつき過ぎちゃってますからー」とか 言ってるのをマジに受けて「鍛えてやる!」な流れならどっちもどっちな気がしてきたよー 28 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/04/16(月) 23 18 30.93 ID ??? ・追放したらGMがいなくなるので皆困る。 ・文句を言われたら「じゃあGMやれ、文句が出る程度のGMなんだから腕の差なんてないだろ」と言える。 ・皆が我慢するなら、それはそれでPLいびってストレス解消できる。 あれ? 困GMが負ける気がしないw 29 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/04/16(月) 23 20 20.77 ID ??? 12 乙。 それてオンセ? オフセでやっているなら、まず新人抜かして全員で話し合う機会作れ。 GMする側される側で、どういうマスタリングをしてほしいのか、無理矢理でも話せ。 新人なんて、ある日ぱったり来なくなるもんなんだから、その日が来る前に手を打つべき。 スレ321
https://w.atwiki.jp/hotrowa/pages/14.html
壁に耳あり天狗に目あり ◆9OL6ub.jZ2 暗闇に包まれた深夜の森。 そこにその少女は立ちつくしていた。 綺麗な金色の髪を二つに括り、緑色の瞳は恐怖で潤ませている。小柄な体は少女がまだ小学生ぐらいの年齢なのだろうと予測させた。 少女の名は三千院ナギ。 大富豪である三千院家の令嬢であり、13歳ながらにして名門、白皇学院へと飛び級したほどの頭脳の持ち主である。 そんなナギが今、周囲を見渡しながらただ恐怖に震えていた。 「は、ハヤテぇ……マリア~……」 彼女がピンチの時は必ず駆けつけてくれる執事であり、ナギの最愛の男性、綾崎ハヤテ。 普段は彼女の生活態度に終始文句を言っていたりするが、誰よりナギのことを理解してくれているメイド、マリア。 最も頼りにしている二人の名を呟くが、その声は闇に吸い込まれ何の反応も返ってこない。 闇。 日頃気丈な彼女が恐れているもの、それがこの一面に広がる暗闇だ。 幼いころ起きた『不幸な事故』により、彼女は人一倍暗闇を恐れる。 普段大豪邸に住み夜も明かりが絶えない都会にいては、街灯の一つもない夜の森は例えナギでなくとも恐怖を覚えるだろう。 その上先ほどの出来事……殺し合いの宣言が彼女の思考を更に混乱させていた。 「な、なんなのだこれは……いつからサ○デーはこんな悪趣味なイベントをやるようになった? 少年誌的にまずいだろう……」 言葉の端々に意味のわからないものがあるが、恐怖と混乱のためである。 「い、いや待て、クールだ、クールになるんだ三千院ナギ……常識的に考えてこんな殺し合いなどというものが行われるわけがないだろう、日本の警察だってそこまでザルではあるまい」 これはただのイベント、殺し合いなんて非常識な物が実現できるわけがない。 そう考えようとするが、あの生々しい血の臭いを忘れることができなかった。 ナギ自身豊富すぎるほどの財力を持っているが故、命の危険に陥ることも少なくない。誘拐されることなど日常茶飯事である。 それでも、いや、だからこそか、今の状況が本当に危険だということを感じ取っていた。 「ぅ……」 涙が零れそうになる。 それを弱いと言うのは酷だろう、ただでさえ苦手な暗闇の中、たった独りでいるのは限界があった。 だが、その瞳から雫が流れ落ちる直前、ナギは自らの頬を叩き顔を上げる。 「こ、この程度で私が参ると思うなよ! こんな森がどうしたというのだ! これぐらいで泣いていては三千院家の名に傷がつく!」 無論強がりだ、そう簡単に恐怖を払拭できるほど人間は強くできていない。 それでもこのまま怯えてるだけでは何も変わらない、そのぐらいの事は考えられる。 震える体を無理矢理抑え、足元に置かれていたデイパックを開く、あの女達が言っていたことが本当ならこの中身は絶対に必要だ。 紙のようなものやペットボトルらしきものが入っているのがわかるが、森の枝葉が月明かりを遮りよく見えない。 馴染みのないランタンに多少苦戦しながらも灯りを点し、改めて中身を取り出す。 「なんだ、この名前の羅列は……名簿だと? おい、まさかこれ全員が殺し合いに連れてこられた奴なのか!? ハヤテやマリア達までいるじゃないか!」 自分が最も頼りにする者達がいることに一瞬安堵するが、それ以上に殺し合いをさせられている事実に驚愕する。 ――ナギ、助けて……! ――や、やだ、お姉ちゃん…… ――逃げて、ナギっ! ――生き延びてください……お嬢様……! 「な、何を考えているのだ、私は!」 脳裏に浮かんできた光景を振り払う。 親しい者たちが死ぬ瞬間など、考えたくない、絶対にごめんだ。 「ハヤテ達が死ぬなんて、ダメだ、そんなの絶対!」 とにかく森を抜けるのが先だ、このままでは悪い考えばかりが浮かんでしまう。 そう思い地図を取り出すが、周り中が木のこの場所では地形の当たりをつけることすら困難だ。 「くっ……と、とにかく一方の方角を目指せば森は抜けられるだろう!」 言うが早いか、コンパスを片手に走りだす。 ハヤテ達と合流してどうするのか。 ここから脱出する方法はあるのか。 そもそも何故自分たちがこのようなことをさせられるのか。 あの女達の目的は何なのか。 その解への道は、彼女の頭脳を持ってしても導けない。 【F-7 森/1日目・深夜】 【三千院ナギ@ハヤテのごとく!】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:支給品一式、不明支給品1~3 [思考・状況] 基本:ハヤテを始め、知りあいを探す。 1 とにかく森を抜ける。 「綾崎ハヤテさんにマリアさん、肝心のあの子は……あ、三千院家って言ってたわね、三千院ナギさんか」 ナギが走り去るのを見送りながら、黒い羽を生やした少女、射命丸 文はメモ用紙へと今しがた得た情報を書き込んでいく。 先ほどナギが戸惑ったように、彼女の手元にも光など届いてはいないのだがそれが障害になっている様子もなくその筆先は滑らかだ。 それもそうだろう、彼女はその羽を見てわかる通りただの人間ではない、幻想郷と呼ばれる世界の鴉天狗である。 彼女は最初からナギのすぐそばの木の上にいたのだ。そのまま音一つ立てずにナギを観察し続けていた。 文にとって、人間がどれだけ死のうが関係はない。 むしろ自分や博麗の巫女、紅魔館の地下に閉じ込められていたという癇癪娘なんかを拉致した方法の方が興味がある。 今すぐにでもあの五人組に取材をかけて自身が作る新聞の記事にしたいぐらいだ。 「……でもま、殺しじゃね」 途端に冷めた眼に変わる。 別に殺しを咎めるだとか、そんな偽善者めいたことを言う気はない。 自分だって、振りかかる火の粉を払う時は容赦なく相手を殺す気でやるだろう。殺し合いとやらにスペルカードルールが適用されてるとは思わない。 とはいえ、それを記事にしたいかというと話が別だ。 自分は新聞に魂を賭けている。その新聞に殺しの記事など入れてたまるものか。 そこでようやく走らせ続けていたペンを止め、文はナギが走り去った方向へと木々の枝の上を飛ぶように駆け抜ける。 文は積極的に殺し合おうとは考えてない。言われた通り最後の一人になったところで助かる保障など、何もないからだ。 とはいえ逃げる手段があるのかどうか、一度自分は気づく間もなく捕らえられている、ただ逃げたところでまた捕まって終わりだろう。 だからこそ、彼女は自分が最も信じる武器を頼る。 その武器の名は『情報』 この殺し合いの中における施設の配置、参加者の関係など、ありとあらゆる情報をかき集めるのだ。 その結果、有力な脱出方法が見つかればそれでよし、もしも見つからないのならば―― 「……さて、と。しばらくはあの子の様子を見るとして……とりあえず考えるべきは、これかしらね」 幻想郷一の俊足を持ってあっという間にナギの姿を確認できる位置まで追いつき、手にした名簿に目を落とす。 「何で――私の『名前が載ってない』のかしら……」 ナギ自身や、その知り合いの名前は載ってるいるようだ。 それに文の知り合いである、博麗霊夢を始めとした幻想郷の面々の名も書いてある。 何故自分だけ……いや、自分だけではないのか? 「あややや……まずは、同じ立場の方がいないか探しましょうか。清く正しい射命丸、突撃取材を始めさせていただきます!」 営業用の口調へと切り替えながら、文はナギの様子を窺いメモとペンを構える。 その二つの鋭い眼光は、ナギの姿を捉え続けていた。 【F-7 森/1日目・深夜】 【射命丸文@東方】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:支給品一式、不明支給品1~3 [思考・状況] 基本:まずは情報集め、殺し合いに関してはその情報を吟味してから決める。 1 ナギの尾行。 2 名簿に名前が載っていない人物がいないか捜索。 01 こんな殺し合いくだらない、ってジュンとミサカは思っていたり 時系列順 03 Fate 01 こんな殺し合いくだらない、ってジュンとミサカは思っていたり 投下順 03 Fate 三千院ナギ 39 洞窟ツアーにようこそ 射命丸文 39 洞窟ツアーにようこそ
https://w.atwiki.jp/storyteller/pages/1216.html
天誅 4 part42-139~143,203~206,209,210 139 :天誅4:2008/11/02(日) 10 37 42 ID 3bf9lFaEO 普及活動(笑)の為に天誅4投下します 気に入ったらプレイしてみてください。 140 :天誅4◆l1l6Ur354A:2008/11/02(日) 10 39 18 ID 3bf9lFaEO 力丸:大名・郷田松之信に仕える東忍流の頭領。 今まで数々の悪人に天誅を下してきたが… 彩女:十四歳で東忍流忍術皆伝した才女。 松之信の一人娘である菊姫を妹のように思っている。 郷田松之信&菊姫:名君のようだがなぜか領内から悪事が絶えない。 菊は彩女を姉のように慕っている。 関谷直忠:先代より郷田に仕える忠臣。 抜けた所があるお茶目なじいさん。 鬼陰:齢八百歳と言われる伝説の忍者。シリーズお約束のボス。 倒しても何度でも甦ってくる困った奴。 女忍者:清濁(しだ)流忍者。本編で名前が出てこない。 141 :天誅4◆l1l6Ur354A:2008/11/02(日) 10 41 51 ID 3bf9lFaEO 力丸編 郷田の命により、領内で悪事を働く商人・権平金蔵に天誅を下すため屋敷に潜入した力丸。 その屋敷内の蔵の中で大量の武器を発見する。 何者かが領内で戦を仕掛けようとしている事を察した力丸は権平を問い詰めるが 突如放たれたクナイによって妨害されてしまうのだった。 城へ戻りその事を郷田に報告する。郷田が関谷に意見を求めると、 城下によく当たる易者が来ているとの事で、早速呼んでみる事に。 菊姫も交え、一同が見守るなかでた占いの結果は… 最悪の下降運、まもなく凶事が降り掛かるというものだった 易者を咎める関谷だったが、その時部屋が閃光に包まれる。 易者はその隙に菊姫をさらい天守閣から逃亡する。慌てて後を追う彩女。 力丸も後を追おうとするが郷田は私情を押さえ、姫の事は彩女にまかせ 最近活動している山賊の成敗を命じるのだった。 142 :天誅4◆l1l6Ur354A:2008/11/02(日) 10 43 32 ID 3bf9lFaEO 首尾よく山賊の親玉を倒した力丸は、生き残りの山賊から 隣国の領主・多頭物成がバックにいたことを聞き出す。 権平に武器を集めさせていたのも多頭の仕業の様だった。 怒りに震える郷田は開戦を決意、関谷に城の留守を任せる。 無駄な血が流れぬようにと、力丸に多頭の暗殺を命じる郷田。 酒に毒をまぜ無事に任務を成功させるが、そこに清濁(しだ)の女忍者が現れる。 激しい戦闘の末にあと一歩の所まで追い詰めるが逃げられてしまう。 姫を無事救い出したとの連絡を受け郷田より一足先に城へ戻るが、突如門番に襲われる。 関谷から力丸が裏切ったと聞かされていたようだ。 天守閣へ向かうと彩女が襲ってきた。彩女は菊姫を連れ城から逃げていってしまった。 関谷の話によると彩女から力丸が裏切ったと聞いていたらしい。 急ぎ二人の後を追う力丸。 143 :ゲーム好き名無しさん:2008/11/02(日) 10 47 05 ID 3bf9lFaEO 力丸編はここで一旦終了、次は彩女編になります。 203 :天誅4◆l1l6Ur354A:2008/11/09(日) 11 35 28 ID UevCFe0TO 彩女編 易者にさらわれた菊姫を追う彩女だったが見失ってしまう。 そんな折り、菊姫に似た女子が武士にかどわかされているのを見つける。 向かった先は多頭の一夜城であった。 娘を助け出す事に成功するが、菊姫ではなかった。 しかし娘から別の隠れ家である廃村の情報を得る。 急ぎ向かう彩女の姿を見やり娘は怪しげな笑いを浮かべる。 廃村は山賊の住みかになっていた。奥地にいたのはなんと悪徳商人の権平。 どうやら菊姫は権平の屋敷にいるらしい。しかも白髪の忍者に脅かされてやったとか。 一度城に戻り関谷に報告するが、力丸が裏切ったとは信じられない二人。 取り敢えず捕われの菊姫を救出しに向かう彩女。 無事に菊姫を助けだすが、そこになんと力丸が現れ二人に襲い掛かってくる。 なんとか窮地を逃れるが、疑心暗鬼になる彩女に菊姫は力丸を信じろと言う。 無事城に戻ると、関谷は菊姫の着物が汚れているから早く着替えるようにと半ば強引に部屋から追い出す。 何かあったのか訊ねると、やはり力丸は裏切ったらしい。 しかもいましがた城内に現れ、城の者達を殺め始めていると言うのだ。 204 :天誅4◆l1l6Ur354A:2008/11/09(日) 11 37 00 ID UevCFe0TO 危険なので、姫を連れ安全な場所に身を隠せと言う関谷。 姫が着替えから戻り、事情を説明しようとした所へ力丸が現れる。 城外へ逃れた二人。力丸の追跡を逃れる為に逃げ続けるが何やら菊姫の様子がおかしい。 なんと姫は女忍者(易者もこいつ)が化けていたのだ! 不意をつかれ、傷を負う彩女に止めを刺すべく敵の刃が迫る… 彩女編 終了 力丸編 彩女が襲われている所へ駆け付けた力丸。女忍者を倒すがそこへ松之信が現れ、関谷が裏切ったと告げる。 松之信達を城から追い出している隙に城を乗っ取り、城に火を放ったのだ。 業火に包まれる城に侵入し、姫を捕らえていた関谷に天誅を下す。 気を失っていた姫を起こし、脱出しようとする二人だったが ふと関谷のいた方へ目をやると…死体が無く、血の跡が点々と続いていた。 追い掛けた先―天守閣―にて待っていたものは関谷の変装をした鬼陰であった。 例によって全ての黒幕はこいつだったのだ! 205 :天誅4◆l1l6Ur354A:2008/11/09(日) 11 39 00 ID UevCFe0TO 大儀の名のもとに人殺しが出来てよかったなぁ、と煽る鬼陰と決着をつけるべく刀を手に取る力丸。 鬼陰は菊姫を人質にとるが、姫は覚悟を決め自分には構わず鬼陰を倒すよう諭す。 遅れて辿り着いた彩女は止めようとするが、放たれた力丸の刃は菊姫ごと鬼陰を貫いていた。 「我が魂魄は忌むべきお前と共に常にあるのだ、忘れるな力丸」と言い残し息絶える鬼陰。 「天誅など笑わせる 俺はただの人殺し…なのか…」 苦悩する力丸。 その時、菊姫の遺体にすがりつき泣いていた彩女が静かに立ち上がる。 異変を感じた力丸が振り向くと妖しい笑みを浮かべる彩女。 「我が魂魄は忌むべきお前と共に… 力丸ぅ また会ったな」 …その声は鬼陰のそれと同じであった。 天誅4 終了 206 :天誅4◆l1l6Ur354A:2008/11/09(日) 11 57 05 ID UevCFe0TO まとめ 今作は4~6の三部作構成(予定) 関谷に化けた鬼陰は清濁流忍者と手を組んで、隣国の多頭に戦を仕掛けさせる事で松之信と力丸を、 菊姫を誘拐することにより彩女を城から誘きだした。 そして城を乗っ取り火を点ける。 全ては憎い力丸の悲しむ姿を見たいから。 力丸の今までの天誅を、人殺し大好きなんだろと批判し、煽る鬼陰。 菊姫という犠牲を出しながらも鬼陰を倒すが、姫を失い悲しみにくれる彩女が鬼陰に乗っ取られた。 どう考えても、アクワイアは今回のシリーズで天誅を終わらせる気満々です。本当にありがとうございました。 209 :ゲーム好き名無しさん:2008/11/10(月) 01 13 04 ID 9gvv6xvI0 206 天誅4の人乙です。 アクワイアさん、いろいろあったけどやっぱりアクワイアさんの天誅が一番だぜ… 天誅シリーズ終わるのかよ(´;ω;`)ブワッ 210 :天誅4◆l1l6Ur354A:2008/11/10(月) 12 03 13 ID qPs9Dsk9O 209少なくとも力丸と彩女の物語は終わらせるんじゃないかと。今回で郷田壊滅、5では力丸対彩女(鬼陰or正気モード)、6で鬼陰と最終戦と仮定すればすっきりしますし、 決着をつける、という事で今回の天誅の開発がアクワイアになったような気がします。