約 50,304 件
https://w.atwiki.jp/narimite/pages/69.html
片足だけあげて 前編 雪村 芽衣子 セーラーカラーはひるがえさないのが私立リリアン女学園じゃなかったのか? それが、芽衣子の聖香に対する第一印象であった。 日曜日の午前。いつもなら昼過ぎまで寝ている私が公園に来たのには理由があった。他でもない、従姉妹の香ちゃんがうちに来るのだ。普段なら母ひとりに言われることを今日は二人に言われてしまう。『リリアン受験』。リリアン卒の母は幼稚舎から私をリリアンに入学させるつもりだったらしい。けれど突然の父の病気、不幸が重なり受験はとりやめ。母は私に愛情を注ぐことに専念してくれた。……が。香ちゃんのリリアン女学園中等部合格の頃からだろうか。母が半ばあきらめていた私のリリアンへの進学を夢見るようになってしまった。香ちゃんは剣道というものがあってリリアンはそれなりに剣の道において過去に業績のある学校であるし満足であろう。だけど私は……。何ができるだろう。何になりたいのだろう。芸術家? そんな大それたものではない。自分の中でも答えが出ないまま、ただただ、リリアンからは逃げていた。もはや子供のだだだとわかっていながら。 クロッキー帳と鉛筆を数本もって公園に着いた私は、池のほとりのベンチへ向かった。とりあえずそこで亀がいるか探して、そのあと鳩をながめるのがいつもの習慣だった。……が。私は自分の目をうたがった。ベンチに颯爽と立ち、背もたれに片足を着いてカメラのシャッターをひたすら切る、その女性は……深緑色の制服を着ていた。自分の席をとられたことよりもその姿がショックで、しばらく唖然とその光景を見ていた。セーラーカラーはひるがえさないのが私立リリアン女学園じゃなかったのか? 周りからかなり注目を浴びているというのに気がつかない様子のその女性を私は向かいのベンチで観察することにした。鉛筆が面白いように彼女の表情をとらえていく。何枚目かにさしかかったとき、彼女がこちらを振り返った。私はあわてて次のページへめくり、適当に目の前にあった木を描いた。なにか、腰のあたりをまさぐっている。どうやら、私に気づいたわけではないようだ。すると、こちらにコロコロ……と黒いなにかが転がってきた。もしかしてこれ? 「落としましたよ」 緊張よりも好奇心のほうが強かった。私は彼女に声をかけた。
https://w.atwiki.jp/c-atelier/pages/102.html
Recipe012 ◆9Xa2eSisyo でぃ ぽろろ シリーズ:ウロボロス シーナ タカラ ニャラギ ノル 作品 警察官 警察官の後輩 実際に読む(リンク) 次話ウロボロス中編 概要 このへんな生きものは まだ2chにいるのです。たぶん。 レシピ追加 無 登場キャラ 初登場 警察官の後輩 本編 50 ぽろろ 本編 81 登場 シーナ ノル ニャラギ タカラ でぃ 警察官 元ネタ解説 69 でぃ「ボッシュート」 テレビ番組「日立 世界・ふしぎ発見!」で主にひとし君が没収されてしまうときに使われる。 79 ノル「氏ね士ね市ね師ね~氏んじまえ~♪」 「しねしね団」のメインテーマ。反日派。 92 ノミよりも小さい心臓 蚤よりも小さいのだから慣用句「蚤の心臓」よりも(悪い意味で)上位であろうと推測される。
https://w.atwiki.jp/viptndr/pages/80.html
170 名前:纏さんと夢遊病~前編~ 1/10[sage] 投稿日:2011/04/26(火) 23 05 39.96 ID kirrBhHIO [21/29] それは、月怪しく光り桜の花散る、夜の出来事――。 その日、俺は休日だったのをいいことに、山田の家で遅くまで遊んでいた。 「もうこんな時間かよ。親にどやされるー」 時計は既に午後10時を示している。門限なんか無いに等しい緩い家庭に生きてはいるが、 さすがに嫌味か怒声の一つも聞かされる時間である。 どう言い訳したものか。まさか、おっぱい談義に花を咲かせていたなどとは口が割けても言えまい。 あれやこれやと悩むうち、ふと前方を見ると、誰もいない路地をふらふらと歩く人の姿があった。 肩まで伸びた黒い髪、そして時代錯誤の和服姿。 遠目に見ても間違いようのない、纏の姿だった。 171 名前:纏さんと夢遊病~前編~ 2/10[sage] 投稿日:2011/04/26(火) 23 07 13.45 ID kirrBhHIO [22/29] (なんだあいつ、こんな時間に出歩いてたら補導されんぞ?) 自分のことは棚に上げ、他人の心配なぞしている俺である。 「おーい、纏ー。何してんだお前ー?」 そう、声をかけたが、纏は聞こえているのかいないのか、一向頓着せずに歩みを進めていく。 「聞こえてなかったのか? おぉぉぉぉい! 纏ぃーーー!!」 今度はさらに大きな声を出し、纏の気を引こうとするが効果は現れない。 聞こえているのに無視されているのかと思うほど、清々しいほどに反応がない。 あまり大声を出し続けても近所迷惑ではあるし、焦れったくなってもきたので、次は走り寄って声をかけることに決めた。 「おい、無視すんなよ。お前、纏だろ?」 そう言って、纏の肩に手をかけようとしたまま、俺は立ち止まった。 その時、纏の身に見つけた重大な違和感。それに気づいた瞬間、俺の背筋に冷たい物が走っていた。 纏は、靴を履いていなかった。 裸足のままアスファルトを踏み、外へ出歩いていたのである。 172 名前:纏さんと夢遊病~前編~ 3/10[sage] 投稿日:2011/04/26(火) 23 09 06.06 ID kirrBhHIO [23/29] 唖然とする俺を尻目に、纏は相変わらずのらりのらりと遅い歩みを進めていた。 意を決してその横顔を覗き見ると、確かに纏は纏なのだが、何処かいつもの纏ではないように感じてしまう。 顔つきが、虚ろなのだ。目に光がなく、まるで死んだ魚か苔のようだ。 そもそも顔を覗き込まれているのに、相手を一瞥すらしないこと自体異様である。 一体纏の身に何が起こっているのだろう。これは纏の意思によるものなのか、それとも何かの陰謀か。 そんな俺の心配も意に介さず、纏は、住宅地の中心に位置する児童公園へと入っていく。 纏のおかしな様子が気になった俺は、彼女が何をするつもりなのか、こっそり覗き見ることにした。 173 名前:纏さんと夢遊病~前編~ 4/10[sage] 投稿日:2011/04/26(火) 23 10 38.64 ID kirrBhHIO [24/29] 纏が入っていった公園は、遊具も少なく、大して規模も大きくない貧弱なものである。 昔は二人してよく遊んだりもしたのだが、今は少子化に拍車がかかり、夕方でさえ子供の姿を見ることは少ない。 そんな場所に何の用かと思っていると、纏はおもむろに、ジャングルジムに登りはじめた。 和服の裾から艶かしい太股がちらりし、普段なら目を逸らすところなのだが、場合が場合なのでそれも出来ない。 鉄格子の山を登りきると、纏は頂上から虚ろな表情のまま下界を見下ろし、登ったのとは反対側から下りてゆく。 それを三度繰り返した後、次に纏は砂場へ向かって砂山を盛り始めた。 砂で足が汚れるのは気にならないのだろうか。そう思った矢先に、作った砂山を蹴たぐって俺の心配を見事破砕してくれたりする。 それも何度か繰り返しすと、最後に纏はブランコに尻を落ち着けた。 うつむきがちに顔を伏せ、キィキィと錆びた音のするブランコをゆする。 その様子は、まるで迎えに来る親を待っている子供のようだ。 そのまま五分が経ち、十分が経ち、十五分が経とうとした頃、ようやく纏はすくと立ち上がり、 もう用はないとばかりに公園を後にしようとした。 そこまでが、我慢の限界だった。 176 名前:纏さんと夢遊病~前編~ 5/10[sage] 投稿日:2011/04/26(火) 23 12 23.53 ID kirrBhHIO [25/29] 「纏!!」 俺の横をすり抜け帰ろうとする纏の肩をつかみ、乱暴に揺らした。 「纏、俺が分かるか!? おい、纏!!」 そこまでして、纏はやっと俺の方を振り向き、そして 「……タカシ?」 消えていた蝋燭に火が灯るように、意識が戻ってきたようだった。 「良かった……いつもの纏だ」 「タカシ、主ゃあこんなところで何をしとるんじゃ?」 「それはこっちの台詞だ! お前、ここがどこか分かってるのか?」 「何処って……え?」 纏は、自分が公園にいることに気づいていなかったらしい。 俺が簡単に事のあらましを伝えると、纏は真っ青になってこう答えた。 「なぜこんなところにいるのか、全く覚えていない」、と。 177 名前:纏さんと夢遊病~前編~ 6/10[sage] 投稿日:2011/04/26(火) 23 14 02.46 ID kirrBhHIO [26/29] 公園に備えられたベンチに腰を落ち着け、俺は纏の話を聞いてやることにした。 「最近、朝起きると妙に足の裏が汚れているとは思うておったんじゃが……」 そりゃ、毎夜毎夜公園まで出かけてたら足も汚れるだろう。 ということは、纏のこれは今日に始まったことではないらしい。 「しかし、なんでこんなことになっとるのか、皆目見当がつかぬ……」 「それってもしかして、夢遊病って奴なんじゃないか?」 俺は纏の様子を観察している間、ずっと頭に浮かんでいた病名を口にした。 「夢遊病とは、なんじゃ?」 「寝てる間に無意識に体が起きだして、勝手に行動しちまう病気だよ」 夢遊病。心のうちに抱えた葛藤やストレスが原因で、就寝後に体が動き出す睡眠障害のことだ。 尤も、俺の知識は漫画によるものがほとんどなので、本当に夢遊病なのかは分からないが。 「そんな病気があるのかえ……儂はどうすればええんじゃ」 纏は困惑したまま、瞳に涙をためていた。 そんな様さえ可愛いと思うのだから、俺の業は深いと思う。 179 名前:纏さんと夢遊病~前編~ 7/10[sage] 投稿日:2011/04/26(火) 23 15 53.87 ID kirrBhHIO [27/29] 「とにかく、一度病院に行ってみな? 纏んちの親もまだ気づいてないんだろ?」 「嫌じゃ。両親に心配をかけるような真似はしとうない」 「だからってこのままうろつき続けたら、いつか警察にだって補導されちまうぞ」 この数日、纏が夜半に出歩いて捕まらなかったのは、単に運が良かったからに過ぎない。 これから何もないと考える方が都合のいい考えというものだ。 「……タカシ、儂を助けておくれ。こんなことを頼めるのは、主しかおらぬ」 「助けるったってなぁ……」 こういうことは専門家に任すべきだという俺に対し、纏はあくまでも自分で対処したいらしい。 「明日の夜、儂の家にこっそり来てくれぬか。そして儂が起き出したなら、縄で縛ってでも捕らえて動かぬようにしておくれ」 「うーん……」 個人的には了承しかねる提案だったが、ノーと言えば纏が納得すまい。 しぶしぶながら俺は、纏の案を呑んでやることに決めた。 181 名前:纏さんと夢遊病~前編~ 8/10[sage] 投稿日:2011/04/26(火) 23 17 31.61 ID kirrBhHIO [28/29] その翌日の、午後九時――。 俺は約束通り、纏の家へやって来ていた。正確には、纏んちの倉の中、であるが。 纏の家の敷地は地味に広く、中には物置小屋と化した土蔵がある。 纏は機を見て家を抜け出し、その土蔵に隠れているので、俺は纏がおかしな 行動をしないよう、そこで見張っていてくれろ、ということだそうだ。 全くもって我が儘な要望な上に、根本的な解決には何一つなっていない。 なっていないが、他に代替案もないので素直に従わざるをえない。 纏の両親に密告しようかとも考えたが、それもなんだかすっきりしないので、やはりこうするしかなかったのだろう。 正面玄関をさけ、裏の勝手口から纏宅へ侵入すると、すでに纏は倉の中で膝を抱えて待っていた。 「よう来たの……」 そう呟く纏の顔は、すでに眠気でとろんとしている。 「そりゃ約束だからさ。にしてもお前、こんな時間にもう眠れるのか」 「儂は毎日九時には布団に入る……家族も同様じゃ」 なんという健康優良一家なのか。全く羨ましくない。 182 名前:纏さんと夢遊病~前編~ 9/10[sage] 投稿日:2011/04/26(火) 23 19 51.55 ID kirrBhHIO [29/29] 纏の横に腰を下ろすと、体育座りで毛布を膝にかけ、纏は俯いていた。 「……なぁ、タカシよ」 「うん?」 「なんでこんなことになったんじゃろうな……」 本人にも分からない原因を、俺が知る由もない。 「さぁな。でかい葛藤やストレスなんかがあれば、かかる病気らしいけど」 「葛藤……か」 「心当たりはないのか?」 「……無くはない」 「じゃあ、それを取り除かなきゃ夢遊病は治んないぞ?」 「うるさい、そんなことくらい分かっとるわ!」 纏は小声で怒声を放ち、毛布を俺に放り投げる。てっきり自分の膝掛けにしている毛布を 放ったと思ったのだが、それは纏の膝に乗ったままだ。 「……これ、俺にか? 気が効くじゃん」 「主に頼み事をして、風邪でもひかれたら後味が悪いでな」 そんないつも通りの会話をつらつらと続けるうち、纏は眠りへと入っていった。 これで襲われないと思われているんだから、男として誇るべきか嘆くべきかは実に悩ましい所だ。 そして一時間が経ち、時計が午後十時を指し示したころ、纏の体に異変が起こった。 191 名前:纏さんと夢遊病~前編~ 10/10[] 投稿日:2011/04/27(水) 00 03 37.49 ID Bd7qJKghO [1/3] 暇を持て余した俺が携帯をいじっていると、体育座りで眠っていた纏が、 何の前触れもなくすくりと立ち上がった。 「どうした? トイレか、纏……」 そうではなかった。纏の顔からは昨日と同じく、色と意識が消えていたからだ。 「……ついに、来たか」 そしてこれは、俺の選択の分水嶺でもあった。 纏からの要望に応えるなら、ここで纏を捕まえて、起こすなり縛るなりしなければならない。 そして、もっと根本的な解決を目指すなら、纏本人とその一家に怒られるのを承知で、纏の両親に報告すべきなのだ。 しかし、俺はそのどちらも選ばなかった。俺はあえて、纏を放置することにしたのだ。 それでどうなる保証もない。けれど、纏の望みが我が儘なものなら、俺だって多少の我が儘を通してもいいはずだ。 それに、昨日の纏を見た時から、何故か俺には纏の葛藤が、俺に原因がある気がしたのだ。 今日は土蔵の中にいたので、纏が裸足で歩き回ることを心配する必要もなかった。 俺を信用してくれた纏には悪いが、俺は俺の直感を信じて、また纏の後を着けさせてもらおう。 (後編へ続く)
https://w.atwiki.jp/newani4/pages/507.html
妹(前編) ◆3LWjgcR03U 夢。 夢を見ている。 ☆ どこからか、虫が飛んできた。 纏流子は、不快げにそれを握りつぶす。 「その服を脱ぎ去る時は近い」 気が付くと、傍らには女騎士が立ち、語りかけていた。 「私の告げたことは、きっと成就されるだろう」 「だまれ」 一閃。 刀が胴を抉り、騎士の姿はかき消える。 勝ち誇り――どこからか、視線を感じる。 「よう、久しぶりだな」 「……」 茶髪に黄色いリボンの少女が、流子をじっと見つめている。 「望み通り、暴れてやったぜ」 「……」 少女は流子の言葉にも、何の表情の変化も示さない。 虚ろな目で、ただじっと見つめ続ける。 「あんだよ、私の仕事が気に入らねえのか?」 「……」 「っ、舐めんじゃねえぞクソガキ!」 逆上して殴りかかり―― 「やあ。忠告に来てあげたよ、化け物さん」 それを庇うように、黒いコートの男が現れる。 「――暴れ回るのはいいけど、人間をあんまり舐めない方がいいよ。 人間は、俺の愛した人たちは、そう簡単には折れたりはしない」 「はっ、人間は生命戦維に着られるために生まれてきたんだ。雑魚が何匹集まろうと意味はねえんだよ」 「そうかい。まあ、くれぐれも気をつけることだね。古今東西、化け物を倒すのはいつだって『人間』なんだからさ」 「その通りだ、纏流子」 コートの男を叩き潰そうとした流子の体が、背後からむんずと掴まれる。 「この蟇郡苛が果たせずとも、何度倒されようとも、必ず誰かがやってくる。貴様の神衣を脱がすためにな!」 「暑苦しいんだよ、この変態野郎が!」 苛立たしげに拘束を振りほどく。 見ると、流子の前には彼女が殺した者たちの姿が並んでいる。 「へっ、死人どもが雁首揃えて、お説教でもしにきたってわけかよ? もう一度死なねえと分らねえようだな――純潔の前じゃ、お前らなんざカスってことがな」 「違いない、妹よ」 彼らを押しのけて、セーラー服の少女がずいと前に出てきた。 「どうした、皐月ちゃんよ。死人の頭でも気取りだしたか?」 皐月は、挑発を受け流す。 「死人であるこの者たちは、貴様に傷を付けるどころか触れることすらできん。 カスと侮るそんな彼らが、なぜ幻影となって貴様の前に現れたか――分るか」 ビシィと右手の指先を突きつけ、言い放つ。 「分らんなら言ってやる。お前は、心の奥底では彼らを恐れているからだ」 「はぁ?」 呆れたように、流子は肩をすくめる。 「こいつは驚いたぜ、よりにもよってこの私が死人ごときにビビってるだと?」 「分らんなら何度でも言ってやる。幾億の死体を積み上げようと、貴様が彼らを恐れる限り幻影は無限に現れ続けるだろう」 「……はっ」 唾を吐き捨てる。 「上等だ、死人の幻なんざ所詮幻に過ぎねえ。 ――いつまでも湧いて出てくるっていうなら」 刀を振りかぶり。 「その度にぶち消してやりゃ、いいだけの話だろうがァァァァァァァァァ!!!!!」 そこで、夢は潰えた。 ☆ 「っ……」 旭丘分校。 濃厚な死臭が立ち込め、破壊の痕跡が明らかに残るそこで、纏流子は目を覚ました。 「寝覚めが悪ぃ」 ひどい夢を見ていた気がする。 大きく伸びをする。 休息は取ったとはいえ、戦いの連続で受けた傷は癒えきってはいない。 純潔に生じた綻びも、修繕はできていない。 「世話の焼ける連中だぜ」 放送によれば、生きているのはまだ30人以上。 太陽は、すでに西に傾いている。 あと何人殺せば、この正体の分らない苛立ちは消えるのかは分らない。 分らなくても、その苛立ちを消すために。 纏流子はまた、誰かを殺すために発つ。 ☆ 時刻はそれより遡る。 空条承太郎たち一行の姿は、ゲームセンターの中にあった。 ゲームセンターに来た目的は通信機器を探すことだったが、承太郎にはもう一つの目的があった。 それは、『殺人事件』の被害者――越谷小鞠の遺体の確認。 取り逃がしはしたが、『容疑者』の筆頭である衛宮切嗣をはじめ、今はもういない折原臨也、そして平和島静雄に対する疑念は、未だ全く解消などされてはいない。 その疑念を少しでも取り払う助けとするために、現場を見ておく必要がどうしてもあった。 下階の捜索は風見雄二たちに任せ、遺体があるというフロアに向う。 (なるほど) フロアに入ったとたん、少女の遺体が目に飛び込んできた。 ゲームの筐体で頭部を潰され、背後の壁はあたかも誰かがそこから飛び出したかのように割れている。 確かに、間違いはない。衛宮切嗣が言った通りの状況だ。 (……?) しかし、何かがおかしい。 その正体は何なのか。 「……街が」 思考を制すように声をかけたのは、言峰だった。 「外の状況に比して、この遺体は……」 「……ああ」 ほどなくして、承太郎も気付く。 ゲームセンターの周囲は、風見雄二の言った通り、銃火器などの使用の形跡がないのも関わらず、めちゃめちゃに破壊されていた。 生身での近代的な都市の破壊。 聖杯戦争のクラスの一つ、バーサーカーならば、そうした行為もなしえるのかもしれない。 だが、乱雑を極めるゲームセンターの外の破壊痕と比べて、この遺体はあまりにも。 「綺麗すぎるぜ」 そうなのだ。 街の破壊を行った者と、越谷小鞠を殺害した者が同一人物だとする。 だが、これは明らかにおかしい。 なぜなら、本当にこれが同一人物ならば、小鞠の遺体はもっと正視に堪えないほどぐちゃぐちゃにされていなければならないはずだ。 傷痕などがないことから、小鞠は恐らく抵抗できないままに眠らされたか気絶させられ、その上に筐体を倒れさせられたと思われる。 バーサーカーは、大幅に力が上る代償として、多大な魔力を要求し、理性を失うサーヴァント。 理性を失った者に、そのような器用な真似ができるはずもない。 これは、どういうことか。 分るのは、小鞠を殺害した人物と街の破壊を行った人物は、恐らくは間違いなく別人であるということだ。 (……) 風見雄二に教えられた、自分にはあえて話さなかったという折原臨也の『推理』が頭をよぎる。 DIOに肉の芽を埋め込まれた平和島静雄が、小鞠を殺害したという説。 非常に納得のいく説だが、ゲーム開始直後に言峰はDIOと会っている。 すなわち、DIOがその頃に静雄に肉の芽を不可能なのだ。 『殺人事件』の犯人候補。衛宮切嗣、平和島静雄、DIOらのうち、少なくともDIOは候補から外れることになる。 「……そろそろ、行くぜ」 承太郎は言峰を促す。 こうして現場にやって来たが、結局のところ『殺人事件』の解明どころか、大きな手がかりを掴むこともできなかった。 だが、承太郎は決して、それで落胆するような男ではない。 別にある目下の目標に向かい、2人は歩んでいく。 ☆ 階下のコーナーでは、場違いにも思える矯正が響いていた。 「チノ、もっと上だ!」 「え、ええと、こうでしょうか」 「あっあっ、違う違う」 チノ、リゼ、遊月の女子3人、そして雄二の4人が、真剣な表情でUFOキャッチャーに向き合っている。 やっていることは遊びにしか見えないが、4人はそんな気は全くない。 殺し合いの最中、なぜそんなことをやっているのか。 話は、6人が通信機器を求めて来たことに遡る。 牛車で到着してすぐ、ゲームセンター内を探し始め――機器は、意外な場所にあった。 薄暗い建物の中で、まばゆい光を放っているUFOキャッチャー。 その中に、携帯ゲーム機やゲームソフトに交じって、箱に入った旧式で大型の携帯電話が一つ、無造作に置かれていたのだ。 裏方の事務室のような場所を捜索する予定だったが、そこにあるならば、それを取らない手はない。 「!」 「やった!」 始めてから10分ほどだろうか。 クレーンが携帯の入った箱を掴む。そして、取り出し口から転がり出てきた。 「でかしたぞ、チノ!」 遊月が、携帯を掴んだチノに抱きつく。 「わっ、も、もう。やめてください、ココアさん」 口では嫌がりながらも、チノは振りほどこうとはしない。 乱暴に髪を撫でられるに任せている。 (……) そんな2人の微笑ましい様子を見守る雄二の顔は、どこか浮かない。 そもそも、UFOキャッチャーの中の携帯電話は、発見した時点では雄二は、拳銃なり周囲にある重みのある道具なりを使って、ガラスを破って取るつもりでいた。 だが、『私が取ってみせます』とチノは言い、それに遊月も同調した。 そんな2人を押しのけて乱暴な手段を使うことは、雄二にはできなかった。 「風見さん……」 2人からそっと離れたリゼが、不安げに雄二に問いかける。 「……今は、何も言うな」 2人には、分かりすぎるほど分かっている。 遊月を『ココア』として認識してしまったチノと、それに乗ってしまった遊月。 その関係は束の間のごっこ遊びに過ぎず、すぐに瓦解する脆いものでしかないことが。 「……2人だって、ずっとあれを続けることができるはずがないことは、理解しているはずだ。 そのことは、君が一番よく分かっているだろう」 リゼはわずかに頷いてみせる。――が、不安は消えない。 その頃の彼女と実際に交流があったわけではないが、リゼは知っている。 自分が来て、そしてココアが来る前のチノは今よりもずっと内気で、たった一人の親である店長とも疎遠だったということを。 そんなチノがはっきりと変わっていったのは、ココアが来てからだ。 笑顔を見せてくれるようになった。ココアや自分だけでなく、ほかの友人たちともよく遊ぶようになった。 付き合いの長さだけなら、自分のほうが上だ。 けれど、チノの心を解きほぐすことは自分にはできなかった。 ――自分は、もういないココアの代わりになることはできない。 だから、脆いものだとしても。 「チノはすごいな! 私はこういうの、あんまり得意じゃないや」 「え、えへへ。それほどでもないです。ココアさん」 偽りの姉妹の間の絆を壊すことは、できない。 ☆ 「……よう」 階上から承太郎と言峰が姿を見せた。 「電話はどうだ」 「……取れたが、今はダメだな。この通り、通話機能しか付いていない」 言峰の問いかけに、雄二が答える。 箱にあった写真の通り、携帯電話は折原臨也の持っていたスマートフォンと比べれば玩具のような旧式のものだった。 通話機能も、午後6時までは使用できない。 「手に入っただけでも僥倖だぜ。……そろそろ行くか」 促す承太郎に、雄二と言峰が頷き、一泊遅れて女子3人も頷く。 通信機器が手に入らなければ、この後は南にある「万事屋銀ちゃん」なる店も調べてみるつもりだったが、こうして手に入った以上は用はない。 6人はぞろぞろと牛車に乗り込んでいく。 人数が増え、2頭の牛の片方が殺されてしまったため、最初に言峰とポルナレフと希が乗っていた時のようなスピードは望むべくもないが、それでも歩くよりは遥かに速いスピードが出る。 ちなみに、窮屈さを和らげるために、今の牛車には元々はポルナレフの支給品だったリヤカーを、これも元は希の支給品だったロープで繋ぎ、そこに承太郎と雄二が乗りこんでいる。 6人が目指すのは、島の南端を走っている道路。 通信機器を手に入れ、次の目的は仲間たちの捜索だ。 特に、リゼとチノの友人の宇治松千夜、遊月の友人で「セレクター」の小湊るう子。 そして、朝に折原臨也とともに旭丘分校に向かい、そのまま行方が分からなくなっている一条蛍。 放送を信じるならば、臨也は死に、戦う力を持たない彼女が生き残っている。 これはどういう状況なのか。 考えられるなら、何者かに襲撃され臨也は死亡、蛍は逃げのびた、あるいは襲撃者に誘拐された、といった可能性。 いずれにせよ、今なお危険に晒されている確率が高く、かつある程度の居場所が分かっている彼女が、まずは危急の捜索対象だった。 ☆ さらに時間は遡る。 騎士王アルトリア・ペンドラゴン――セイバーは、犬吠埼風たち、そして4人の集団との接触を避け、車で南下していた。 単独行動を選んだ風。DIOから手を出すなと命令された2人。どちらに固執する理由も、今のセイバーにはない。 それならば、まだ行っていない南に向かうことがずっと有益に思えたのだった。 途中、「万事屋銀ちゃん」なる店に少しだけ寄ってみたが、一階にあったバーでも、2階の「万事屋」でも、大した成果は挙げられなかった。 武器の類を期待したが、見当外れだったようだ。 次に向かったのは、現代の遊技場、ゲームセンター。 ここでは、頭を潰された少女の遺体を見つけた。だが、それ以上の収穫は得られない。 ウィクロスという『遊戯』がこの殺し合いの鍵になっている可能性があることからして、ここにあるゲームが重要かもしれない、ということも考えられるが。 あいにく聖杯から与えられた知識は、ここにあるゲーム1つ1つを簡単に攻略できるほど詳細ではないし、第一時間が惜しい。 あの橋のように全てを破壊する余裕はないが、手がかりを渡すのは惜しい。 そう思った彼女は、目に付いたいくつかの筐体を倒し、誰かが訪れても簡単には遊べないようにしておいた。 さらに車を走らせる。 そしてゲームセンターをやや離れたあたりで、スピードがふと緩んだ。 (これは) ゆっくりと車を止め、市街地の舗装されていない部分を調べる。 そこには、牛のものらしき蹄と、複数の車輪の後が刻まれていた。 誰かが、牛車を使用して移動したものらしい。 (しかも、僅かだが魔力も感じる……) 思い起されるのは、第四次聖杯戦争にてライダーのサーヴァントが操っていた宝具。 間違いはない。この車輪の痕跡を付けた主は、あの宝具を使用している。 (名簿には、ライダーの名前はない) だが、どうやらこの殺し合いにおいては、各参加者にゆかりのあるアイテムが無作為に黒のカードとなって配布されているようだ。 この車輪も、その一例なのだろう。 追うべきか、ほかの場所を探索すべきか。セイバーは少しだけ迷う。 だが、彼女の頭には気にかかっていることがあった。 ――この殺し合いが始まってより、もうすぐ半日。 始めに侍を討ち取って以降、誰の首級も挙げられていない。 得られたものは、聖杯と似た効果をもたらすこのカードデッキが関の山。 DIOともう一度会った時のためにも、この辺りで誰かを討った実績を作っておく必要がある。 あるいは、先ほどの少女のような戦えない者を手にかけてでも――。 (――) その考えを頭の隅に追いやり、決意を固める。 (追う価値は――ある) 車輪の痕跡の風化の具合から見て、これを操っている者たちがまださほど遠くには行っていない。 ならば、車に纏わせる魔力を全開にせずとも、騎乗スキルの力のみでも追いつけるはず。 逡巡の後、セイバーは車輪の後を追い始めた。 ☆ 「誰かいるぜ」 首輪探知機をちらちらと見ていた承太郎が、その数の増加に気付き、手綱を操る言峰に鋭く声をかける。 「複数人か」 「いや、一人だ。 ――待て。気配がどんどん近づいてやがるぜ」 スピードは緩めないまま、2人は会話を交わす。 新たな人物の接近に、6人は一様に緊張感に包まれる。 「振り切るか」 「いや――無駄だな」 手綱を握る手に力を込めた言峰を制したのは、雄二だった。 「もうそこまで来ている」 夕日を浴びながら、巨大な若葉マークのついた奇抜な車がすぐそばに迫っていた。 敵か味方か。考えるまでもなく、それはすぐに牛車に追い付く。 そして、運転席からは金髪の少女が降り立った。 (6人か) 後部に繋いだリヤカーを含め、止まった車輪に乗っているのは6人。 身を寄せ合っている3人の少女は、戦力外だろう。戦えるのはリヤカーに乗った2人、そして。 「言峰、綺礼――」 その男の存在に、セイバーの瞳がわずかに驚愕に見開かれる。 衛宮切嗣が最も警戒していた男。 殺し合いに乗っているのではないか、とも考えただけに、こうして女子供も含んだ大集団の中に混じっているのはやや意外だった。 (サーヴァント……) 降り立った言峰が、セイバーに相対する。 衛宮切嗣の言った通り、原理は分らないがこの場ではマスターとサーヴァントは切り離されている。 ならば、あの魔術師殺しとは違う行動原理で動く彼女ならば、仲間に引き込むことも不可能ではない――そう一瞬、考えたが。 「悪いが、今は貴殿らとは敵のようだ」 だが、言葉を発する前に。 「戦えない者は、下がれ」 不可視の剣が、首をもたげた。 「――ち、風見、女どもを頼む!」 承太郎が雄二に言い放つ。雄二はすぐさま御者台に飛び乗り、牛車の方向を転換させる。 「……人の身が、サーヴァントにどれほど通用するかは分からぬが」 高潔な騎士であったはずの彼女が、なぜ殺し合いに乗っているのか。 「この言峰綺礼、全力でお相手する」 疑問は尽きないが、今はこの状況を何とかするのが先決だった。 傍らの承太郎も、既に水色のスタンドを現出させ、臨戦態勢に入っている。 その時だった。 時系列順で読む Back ろうたけたるおもい Next 妹(後編) 投下順で読む Back リボルバーにくちづけを Next 妹(後編) 164 足りない箇所をただ埋め合うように 香風智乃 妹(後編) 164 足りない箇所をただ埋め合うように 天々座理世 妹(後編) 164 足りない箇所をただ埋め合うように 紅林遊月 妹(後編) 164 足りない箇所をただ埋め合うように 風見雄二 妹(後編) 164 足りない箇所をただ埋め合うように 空条承太郎 妹(後編) 164 足りない箇所をただ埋め合うように 言峰綺礼 妹(後編) 153 時は来たれり セイバー 妹(後編)
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/652.html
モンスターバスターズ・前編 ※後編が18禁です 「うー…トイレトイレ…っと、静かに…」 仕事が長引いた為、そのまま会社に泊まった俺とユキ ユキがクレイドルでスヤスヤと眠っている為に、そっと仮眠室を抜け出しトイレへと向かう俺 非常灯を頼りに歩いていく …そこのカドを曲がれば… 「…ん?」 カドに一瞬なんか白い物が浮いていたような…? カドに行って先を見てみるが、何もない 「気のせいか…」 そのままトイレへと行き、用を足す 「ふぅー、スッキリした」 トイレから出て、仮眠室へ戻ろうと… 「あれ?」 まただ 一瞬、白い影のような物が見えたが、またフっと消えた いや、先に進んでいったような気がする… 「はは、まさかな…」 気のせいだ、と思い込むようにして部屋へと戻る しかし、その先々で白い影が見える… まさか… ようやく白い影が見えなくなった。しかしそこは、仮眠室前の通路であった 「まさか…仮眠室に?」 仮眠室にはユキがいる! 走って仮眠室へと向かい、部屋のドアをバァンと開ける 「ユキッ!大丈夫か!」 「…うにゅ…どうしたの、お兄ちゃん…?」 部屋に白い影は無く、ユキも眠っていたようだった 「よかった…なんでもないようだな…」 ユキを抱え上げ、撫でてやる 「どうしたのお兄ちゃん、ヘンなの…」 事情を説明する 「…見間違いじゃないのかなぁ?」 「でも、一回や二回じゃないからなぁ…防犯カメラを確認してみるか」 仮眠室からセキュリティルームへと行く この間も見ながら進んでいったが、白い影は見当たらなかった 「すいません、こんな時間に…」 事情を話し、警備の人に確認を取って貰う 時間と場所が分かっているので調べるのは簡単だった 「写ってないですね…」 「やっぱ見間違いかな。ならいいんですが…」 「そうだね…あ!」 ユキが何か見つけたようだ 「お兄ちゃんこれ、かなり見づらいけど…」 ユキが見ている画像には特に何も写ってる様子がない 「お兄ちゃん達じゃわからないかもしれないけど、ここに高速で動いてる物の残像らしき影が…」 画像をコンピューターにかけ、処理をする すると… 「あ、ここ、なんか写ってますね」 何かが通り過ぎた様な影が映っている 「しかし、センサー等には何も…警報装置にもひっかからないなんて…」 「となると…やっぱりアレか…?」 「聞きましたよセンパイ!出たんですって?」 「情報が早いな。どこで聞いた?」 あの後、画像解析を警備会社にお願いして箝口令を敷いたはずなんだが… 「誰って…部長から」 「部長~!誰にも言わないでっていったでしょ…」 「…てへっ…でも…まだ…新道さんと…愛澤さんにしか…言ってません…」 「まだ確認中なんですから、余計な不安を煽る真似はしたくないんですよ。コレ以上広げないでくださいね。新道もだぞ!」 「…大丈夫です…相手を選んで…話ししてます…」 「そーいうことで、部長に口止めされてますから。ただセンパイに確認をとりたかっただけです」 「ふぅ…ならいいんだが」 新道は口が軽いようでいて、秘密を漏らす様な真似はしない。あれだけ喋ってて、よくポロリと言ったりしないもんだ 「でもセンパイ。この科学万能の時代にオバケだなんて…」 「そうでもないさ。まだ解明されてないことなんて、ゴマンとあるだろ」 「…意外ですね。センパイはそういうのを真っ先に否定するかと思ってました」 「起きた現象を素直に受け止め、解析する事が重要なのさ。で、まだ解明出来てない事が多いだけだ」 『ピー』 「っと、社内メールが来たな。4課と5課からか。ちょっと行って来る」 「あれ、なんかテストですか?」 「いや、個人的に頼んでおいた物が出来たって」 「またユキちゃんとラブラブになる為の物ですか?たまには私がお相手しますよ!」 「魅力的な提案だが丁重にお断りする。あと今回のはユキといちゃいちゃする為の物じゃない」 「あら残念。またの機会にでも考えて置いて下さいね」 いつか新道の思いに答えられる日が来るのだろうか。それとも新道が他の男に… 俺は自分勝手な考えを振り払って、4課へと向かった 「香田瀬さん、こんなのどうするんですか?」 「ちょっと気になることがあってな」 4課の那俄世から頼んで置いた物を受け取った 「ホントに注意してくいださいね。香田瀬さんじゃなかったら、到底渡せない物なんですから」 「ああ分かってる。大丈夫だって」 「いよう香田瀬。お前も好きだなぁ」 「そんなんじゃねーよ、4課で貰ってきた物のために、どうしても必要な物なんでな」 5課の三都衣に4課で貰って来た物を見せる 「…なるほどな。何があったかは聞かないが、気を付けろよ」 そして夜 残業の後、俺はユキにタイマーモードで昨日の時間に起きて貰う様に指示をした 勿論、例のオバケ騒動の究明の為だ なるべく昨日の状況を再現するべく、眠っておくことにしたのだ 「でも大丈夫かなぁ、二人だけで」 「俺の予想通りなら大丈夫だと思う」 「え?検討付いてるの?」 「まぁおそらくは、だがな。だからソレを用意した」 ユキは昼間貰ってきた物を装備している 白い上着に赤いスカート、そして先に白いヒラヒラが付いた棒 「ソレって、この巫女さんのカッコ?」 そう。ユキは巫女さんのカッコをしていたのだ 「オバケ退治といえばやはり巫女さんだろう。ちゃんとその為の機能もついてるぞ」 「そ、そうなの…?」 「まぁそういうわけで、時間まで寝てよう。おやすみ、ユキ」 「うん。おやすみなさい、お兄ちゃん」 「お兄ちゃん起きて、時間だよ」 ユキが小声で起こしてくれる 「…よし、それじゃあ行って来る」 ポケットにインカムを忍ばせ、トイレへと向かう 問題の手前のカド… いた。一瞬だが見えた そのまま気付かないフリをしてトイレへと入る 用を足すついでにインカムのスイッチを入れる。コレがユキへの作戦開始の合図となる トイレから出ると… やはりカドに見え、スっと移動する カドを曲がっていき、仮眠室の3つ手前のカドでインカムを付ける 今頃ユキも仮眠室の中で待機しいているはずだ ヤツは俺を確認するとその次のカドまで移動しているようだ つまり、次のカドで俺を見れば、仮眠室を通過してその反対のカドまで移動するはず そこがチャンスだ 作戦発動ポイントとなるカドへと行く。白い影が一瞬見えた 「今だユキ!」 バチバチバチッ! 「にょわ~~~~~~!」 かかった! 俺はダッシュし、仮眠室前へと移動する 「やっぱり…」 そこには、対神姫用特殊パルスを受け、目を回しているちるちるがいた 「ちるちるって…いうな…」 「うーむ、敵ながらアッパレ」 「お兄ちゃん。今なんかスゴイ音がしたけど…?」 「おおユキ、作戦成功だぞ」 といってドアをあける 「どれどれ…あ!ミチルちゃん!?大丈夫?」 「ああ、大丈夫だ。一時的に行動不能にするだけだから。しかしさすがに丈夫だな。普通完全に動けなくなるのに…」 ミチルを拾い上げ、向かって叫ぶ 「観奈ちゃん!来てるんだろ?でてきなさい!」 すると、仮眠室の奥の部屋から、観奈ちゃんが出てきた 「あう…その…」 「なんでミチルにこんな事させたんだ?」 「う…その…大人の恋愛が知りたかったのじゃ…」 「は?」 「だって…わらわの好きな人の周りには…大人の女性ばかりおるのじゃ…」 「観奈ちゃん…」 「だから、ケンシロウとユキ殿を見て、どのようなのが大人の恋愛なのか、しりたかったのじゃ…」 「知る必要は無いんじゃないかな?」 「え?」 「だって、観奈ちゃんは観奈ちゃんだろ。今からそんな背伸びしなくても、いまのままの観奈ちゃんでいることを、その人も望んでるんじゃないかな?」 「でも…その人は鈍感だから…」 「きっと通じてるさ」 そういって観奈ちゃんに近づき ちゅ… おでこに口づけをする 「…あ」 「想いが伝わるおまじない」 「あ…ありがとうなのじゃ…」 「それじゃ家まで送っていくよ」 「…うん」 おれは観奈ちゃんを家まで(といっても敷地内なのでスグだが)送っていった 後半のエロへ続く
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1608.html
ヤイバと白い馬 前編 「ヤイバ、今日は元気か?」 「はい主、私は元気です」 いつものように私は主に、自分の思っていることを応えます。あのとき以来、主は穏やかな表情になりました。そのようになってくれたのも、勝てば良いという考えを捨てたからです。私は主の事を信じて今まで闘ってきました。でも、それは主にとっては勝つための手段でしかありませんでした。そのことが無意味だと知ったとき、主は勝ち負けにこだわるのを捨て去る事ができたのです。 今日も私は茶室でお茶を立てて心を落ち着かせます。この時間が私にとって裕福な時でもあるのです。 「ヤイバ、ここにいるか」 茶室の外から主に声が聞こえました。何か用事でもあるのでしょう。 「どうしました、主」 お茶を飲み干した私は、茶室から出て主の前に向かいました。 「実はお前に会いたいという方がいてな、ぜひ会って欲しいんだ」 会いたい人…?誰でしょう…?私は主にその相手は誰なのですかと聞いてみました。 「どんな相手かか?会って見れば分かる」 私はその人に会うために、主の車で待合場所へと移動しました。 私たちが向かった場所は、とある研究所でした。この中で私にお会いしたいという方がいるそうなのです。私と主は待合室でその方が来るまで待つことにしました。 「その方はいつ現れるんでしょう?」 「もう少し待てば来るから。それまでここで待ってるんだ」 暫くして向こうのドアから研究員らしき方が一人、待合室に現れました。 「よくいらっしゃいました本田さん、私がこの研究所のサポートマシン部の緒方です」 緒方と名乗る研究員は私のほうをじろじろと見ました。 「あなたがヤイバですね。お待ちしていました」 「あ、は、始めまして、緒方殿」 …しまった、つい言葉が硬直してたどたどしくなってしまいました。初対面の方にはちゃんとした挨拶をしなければいけないのに…。 「始めましてヤイバさん。さっそくですが、私の後に付いて来てください」 おそらくこの奥に、私に会いたがっている方がいるのでしょう。私は頷くと主の肩に乗り、そのまま緒方殿の後に付いていきました。 暫く廊下を歩きますと、突き当たりに自動ドアが見えてきました。 「ここに相手がいるんですか?」 「はい、この奥にいます」 一体どんな方なのでしょう…。私に会いたいということは、私自身に興味があるということなのでしょう。私達は自動ドアをくぐり、中に入りました。 「ここです、この中にヤイバさんに会いたがっている方がいます」 私は緒方殿が指差しているケースの中を見てみました。…その中には、一匹の白いロボット馬が横たわっていました。 「この馬が、私に合いたがっている方ですか…?」 「はい、この子がヤイバさんに会いたがっている方です」 驚きました…。てっきり私と同じ神姫か、ヒューマノイドタイプだと思っていましたから。白馬は私が来たことに気付いたのか、起き上がって私の目を見つめました。 「…どうして私の事を知っているのですか?」 「実は、この子が偶然テレビで放送されていたあなたの試合を見てしまいまして、それ以来会いたいとごねまして」 なるほど…。一目ぼれというわけですね。人なら分かるのですが、メカとはいえまさか馬に一目ぼれされるとは思っていませんでした…。 「それで、私はどうすれば宜しいのですか?」 「この子をヤイバさんのパートナーにしてほしいんです。この子はあなたを見る前は乱暴で手が付けられなかった暴れ馬でした。でも、あなたを見てからはこのようにおとなしくなりました。それなら、ヤイバさんに預けておけばこの子のためになると思ったんです」 そうですか、私の側にいればおとなしくなる、というわけですか。私はこの白馬の目を見て、決意しました。 「ひとつお聞きしたいのですが」 「何でしょうか?」 「この白馬のお名前は?」 一緒に住むのなら、名前くらい聞かないといけませんね。私は緒方殿に名前を聞いてみました。 「この子はまだ生まれてまもないですから、形式番号でしか言われていません。宜しければヤイバさん、あなたが名付け親になっていただけませんか?」 「そうですか…。分かりました、私が名前を付けてあげましょう」 私がこの白馬の名付け親になる…。でも、気に入ってもらえるのでしょうか。私は深呼吸をして、はっきりと言いました。 「白雷…、この子の名前は白雷です」 「白雷?」 「白い雷と書いて白雷と呼びます。この子は速そうですし」 緒方殿は黙ってしまいました。もしかして、お気に召さなかったのしょうか…。 「似合いません…ですか?」 「いいえ、いい名前だと思いますよ。この子はひとたび暴れだしますと、手が付けられないほど走り回りますから」 どうやら緒方殿は白雷の名前を気にいられたようです。それにしてもあの反応を見たときは一瞬ドキッとしました。 「それでは、よろしいのですね?」 「はい、この子も白雷という名前、気に入ってくれたようです」 白雷は嬉しそうに声を鳴らしました。私がつけた名前をお気に召したのは本当のようです。 「では、この子…じゃなかった、白雷のこと、お願いします」 「分かりました」 私と緒方殿は同時にお辞儀をしました。 こうして私と白雷の生活が始まりました。しかし、そうすんなりとはいかないもので…。 後編へつづく もどる ヤイバと白い馬 後編へ
https://w.atwiki.jp/vip_sw/pages/39.html
前編 16 自分:パスタ短編[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 21 19 07.78 ID hfMbdPed0 [7/32] 「君は一体何を見ているんだい?」 彼女は空を見上げていた。 「………………何って…………………空…ですが?」 彼女の眠たげな翠色の瞳に映るのはスオムスの寒空。 「そうか……。」 でも、彼女が見ているものはきっと別のものだ。 「………。」 俺には到底知り得ない、ずっと遠くのものを見ている。彼女はそんな雰囲気を醸し出していた。 「隣………いい?」 俺に割り当てられたハンガーの仕事の休憩時間を彼女といっしょに過ごしてみよう。何故だか分からないけど、なんとなくそう思ったんだ。 「…………………どうぞ。」 彼女は気だるげにそう答えた。 これが、俺とジュゼッピーナ・チュインニ准尉の出会いだった。 『パスタ准尉は空を見上げて何を思う』 17 自分:パスタ短編[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 21 24 12.27 ID hfMbdPed0 [8/32] 俺「ふわぁ……。」 だらしなく欠伸が出た。昨日は出撃があったから、掃除が夜遅くまで終わらなかったからなぁ。 俺が今いるのはスオムス対ネウロイ戦線最前線カウハバ基地のハンガー裏手にある大きな木の下。 この木の根っこは腰かけるのにちょうどいい形をしており、幹を背もたれにすると、とても快適なイスとなりうる。 俺「休憩時間はあと20分か…。」 ここを見つけて以来、作業の合間の休憩時間はいつもここで過ごしている。ハンガーの休憩室はオッサンが吸うタバコが臭くてしょうがないんだよな。 まだ18にも満たない俺にとっては、タバコなんて何がいいのか分からない。煙たいだけじゃん。 ここは、休憩時間を快適に過ごせる場所。ここを見つけたのは、 ジュゼッピーナ「………。」ボーッ チュインニ准尉に初めて出会った3日前のことだった。 俺「なぁ、君は一体何を見ているんだ?」 ジュゼッピーナ「…………何って…空ですが?」 ジュゼッピーナ・チュインニ准尉はいつも通りに空をボーッと見上げている。 この娘と会ったのはつい3日前。 休憩時間中に暇だったから基地の周りを散歩していた時、この木の下で今みたいに空を見上げるこの娘を見つけた。 19 自分:パスタ短編[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 21 29 04.37 ID hfMbdPed0 [9/32] 俺「ええと……空に何かあるのか?」 ジュゼッピーナ「………ご覧の通り何もありません。」 俺「うん……そうだね…。」 出会ってからの3日間、俺は何度もこの質問をしてきた。 それに対するチュインニ准尉の答えはいつも同じ。 『ただ空を見上げているだけ。』 う~ん……そんなことはないと思うんだけどなぁ…。 ジュゼッピーナ「………。」 この娘は何か空とは違うものを見ている。そんな気がしてならないのだ。 この娘の故郷のロマーニャか? いや、違うな。 もっと違う………俺なんかじゃ想像することすら出来ないものを見ているはずだ。 俺「はぁ……まだまだ暖かくならないなぁ。」 ジュゼッピーナ「………。」 俺はそんなことを思いながら、チュインニ准尉の隣に座っている 21 自分:パスタ短編[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 21 31 37.32 ID hfMbdPed0 [10/32] 日が当たる場所は限られているから、必然的に二人の距離は近くなる。 わずかに褐色の入ったカフェオレのような美しい肌と透き通るような翠眼を持つこの娘は、女性をあまり見たことがない俺の目から見ても美人だと分かる容姿をしていた。 平気に振る舞っているが、内心では気が気でない。 俺「………。」ポリポリ ちょっと体を動かせば、肌と肌が触れ合う距離。女の子とそんな状態になるなんて、今までまったくと言っていいほど無かった。 だから…緊張してほとんど同じこと以外話せなくたってヘタレじゃないよな? ジュゼッピーナ「………。」ボーッ 俺「休憩時間はあと10分か……。」 眠たげに空を見上げ続けるチュインニ准尉の横で、胸の鼓動が高鳴るのを抑えて休憩時間を浪費する。 それは、俺の日課となりつつあった。 22 自分:パスタ短編[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 21 36 08.91 ID hfMbdPed0 [11/32] 俺「よっ! やっぱり今日もいたか。」 今日は久しぶりにカウハバ基地に大雪が降った。そのおかげで今日は朝からずっと雪かきをしている。 今は休憩時間だから、いつもの木の下にやって来た。 だろうとは思ったけど、こんな日でも君はいつも通り空を見上げているんだね。 ジュゼッピーナ「………。」ボーッ 俺「ほらほら、雪が積もっちゃってるよ。」 チュインニ准尉に積もった雪を払ってやり、部屋から持ってきたコートを被せてやる。 この娘はいつも通りロマーニャ軍の冬用軍服しか着ていない。 俺「まったく、穴拭中尉が心配していたよ?」 ついさっき聞いたことなんだけど、どうもこの娘は昔の記憶を忘れているらしい。 そんな彼女がこんな大雪の日にいなくなってしまったのだ。隊長が心配するのも当然だ。 ジュゼッピーナ「………。」 記憶がないのか……なるほど、チュインニ准尉のこのミステリアスな雰囲気の正体はそれか。 24 自分:パスタ短編[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 21 42 12.77 ID hfMbdPed0 [12/32] 俺「空を見上げて、失くした記憶でも探しているの?」 柄にもなく詩的なことを言ってみる。 俺だって年頃の男なんだから、ちょっとくらい格好つけてもいいじゃないか。 それに対する彼女の答えは、 ジュゼッピーナ「…………ただ空を見上げているだけです。」 やっぱりいつもと変わらない。 ちぇー、つまんねぇの。人がせっかくカッコつけたんだから、乗ってくれてもいいのに。 う~ん………どうも、チュインニ准尉からは人間味を感じることが出来ないなぁ…。 ジュゼッピーナ「……………あの…。」 俺「?」 ジュゼッピーナ「……コート、ありがとうございます…。」 俺「………。」 びっくりして言葉が出なかった。 今まで、俺の質問に答えること以外は一切話さなかったこの娘がまさか感謝の言葉を口にするとは……。 何だよ……妖精か何かだと思っていたけど、れっきとした人間じゃないか。 26 自分:パスタ短編[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 21 48 08.36 ID hfMbdPed0 [13/32] 俺「ハハハ…どういたしまして。」ニコッ それが、嬉しかったから。何故だかとてつもなく嬉しかったから。 とびきりの笑顔をチュインニ准尉に向ける。彼女の瞳は空にしか向いていないから、俺の顔は目に入っていないだろうけど、それでもいいや。 そうしたいっていう俺の自己満足だ。 ジュゼッピーナ「………。」 今日は世界全体が真っ白だ。その中で、彼女の褐色の肌は一層映えて見えた。 ジュゼッピーナ「……あの…。」 俺「ん?」 ジュゼッピーナ「あなたは……寒くないの?」 俺「おうっ! スオムスっ子をなめるなっ!」 本当はかなり寒い。すぐにでもハンガーに戻りたい。 でも、これは日課だから。休憩時間をこの娘と過ごすのは日課だから。 それを疎かにしたら、調子が狂ってしまう。 ジュゼッピーナ「不思議です……。貴方が近くにいると、ちょっとだけ暖かい気がします…。」 俺「うん。俺もだよ。」 29 自分:パスタ短編[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 21 54 11.31 ID hfMbdPed0 [14/32] ジュゼッピーナ「私が見ているものを知ったら、貴方はどう思うの?」 俺「は?」 チュインニ准尉と出会って一週間が経った。 今日はこの前の大雪が嘘のような爽やかな晴天。今日も今日とてこの娘は眠たげに空を見上げている。 ジュゼッピーナ「私が見ているものが何かを知ったら、貴方は私のことを嫌いになりますか?」 視線を空に向けたまま、チュインニ准尉は表情一つ変えずに俺にそう問うた。 あの大雪の日以来、准尉とはちょっとずつ言葉を交わすようになっており、准尉から話しかけくれることも割とあったのだが…… こんなに意味不明な質問は初めてだ。 俺「えっと………君が見ているものを言ってくれないことには…。」 ジュゼッピーナ「それはそうですね。すいません、このことは忘れてください。」 准尉はそう言ったきりまた黙ってしまった。 う~ん……結局何が言いたかったんだ…? でも、これだけは言っておこう。 俺「まぁ、たとえ君が何を見ていようとも、俺が君を嫌いになることはないよ。」 31 自分:パスタ短編[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 22 00 09.11 ID hfMbdPed0 [15/32] ジュゼッピーナ「………ありえません。私の正体を知ったら、貴方はきっと…」 俺「君が何者だろうと、友達のいなくて暇な俺に付き合ってくれている君を嫌いになったりはしないさ。」 俺の言葉を聞いたっきり、チュインニ准尉は何も言わなくなった。 彼女はいつもと同じように、眠たげに空を見上げ続ける。 俺「あっ……もうこんな時間か。それじゃあ、作業に戻るよ。またね。」 俺がそう言って立ち上がった時、 ジュゼッピーナ「………。」ニコッ 体中を電気が走りぬけた。 チュインニ准尉が………俺と目を合わすことすらしなかった准尉が、俺に笑いかけたのだ。 俺「……ッ!」ダッ 頬が熱くなるのを感じ、彼女に背を向けて走り出した。 ヤバイ、胸が苦しい。どうなってるんだこれは。たった1秒足らずしか見なかったのに、彼女の笑顔が頭から離れない。 いつもの生命を超越した何かのような眠たげな表情からは想像もつかない、子犬のような可愛らしい笑顔。 この笑顔が俺の頭の中をグルグル回り続けている。 ハァ……ハァ……どうしちまったんだ、俺は? 68 自分返信:パスタ短編[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 23 12 17.78 ID hfMbdPed0 [23/32] 俺「う~ん……ちょっとずつだけど、暖かくなってきたかなぁ。」 ハンガーの掃除任務の休憩時間、いつもの木の下で伸びをする。 3月になって、スオムスにも春がやってきた………はずなのだが… 俺「君は一年中あったかいロマーニャの出身だろ? この寒さは応えない?」 北欧のここスオムスはまだ雪も降り止まないし、気温もほとんど上がらない。 生まれも育ちもスオムスの俺なら微妙に暖かくなっていることも気付けるんだけど、余所から来た人は全然分からないだろうな。 ジュゼッピーナ「………私にはロマーニャにいた頃の記憶がありませんので…。」 俺「そ、そうだったなゴメン…!」 しまった……この娘には以前の記憶がないんだった…。 多分気にしてないだろうけど……悪いことしちゃったな…。 ジュゼッピーナ「…………貴方は寒さは平気なの?」 俺「ん~…平気っていうわけではないけど、もう慣れたからそこまで苦痛ではないね。」 俺達はお互い目も合わせずに言葉を交わしている。 傍から見たら奇妙な光景だろうな。 70 自分:パスタ短編[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 23 18 04.75 ID hfMbdPed0 [24/32] ジュゼッピーナ「…………そうですか。ずっとここスオムスに住んでいるんですか?」 俺「うん。俺の家はけっこうこの基地に近くてね。」 この娘は空を見上げていて、俺は足元に雪だるまを作っている。 昨日、チュインニ准尉の笑顔を見て以来、何故か准尉の顔を見るたびに顔が赤らんでしまうのだ。 下を見て雪だるまをシコシコ作るなんて、我ながら情けない姿だ。 ジュゼッピーナ「…………それで、この基地に?」 俺「そうだよ。家が近かったから司令さんにここで働かせてくれないか、って言ったらハンガーの掃除係として雇ってくれた。」 ジュゼッピーナ「………。」 俺「それにしても、急にどうしたの? 今日は妙に俺のことについて訊いてくるけど。」 こんなに話す准尉は見たことないぞ? ジュゼッピーナ「…………貴方のことをもっと知りたいから。」 そう言って、 ジュゼッピーナ「ダメ……かな?」ニコッ 彼女はまた俺に笑いかけた。 71 自分:パスタ短編[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 23 23 34.05 ID hfMbdPed0 [25/32] 俺「い、いやっ………全然いいよっ!」 やっぱり、胸の鼓動が速くなった。顔も雪に突っ込みたいほど熱い。 ジュゼッピーナ「………貴方がここで掃除係になる前の話が聞きたいです。」 苦しい。でも、決して悪い気分ではない。 こんな気持ちは初めてだ。 そういえば、幼馴染のハンスが言っていたな。 俺「そうか…。俺の生まれた村はこの森を抜けてすぐの所にあってさ……」 人を好きになると、胸が苦しくなって、その人のことしか考えられなくなるって。 知ったかぶりのハンスが言うことだから、にわかには考えられないことだけど……もしそれが本当なら、 俺はチュインニ准尉のことが好きだっていうことになるよな。 72 自分:パスタ短編[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 23 30 11.48 ID hfMbdPed0 [26/32] 俺の生まれた村はとても小さな村だ。子供も数えるほどしかいない。 だから、俺の生活には『女の子』という存在は皆無だった。歳が近い子供は幼馴染のハンスだけ。 そのせいで俺はこの歳まで誰かを好きになったことはなかった。 確かに、近所に住んでいたお姉さんに憧れたりしたことはあったけど、あれは好きという感じとは違うよなぁ。 つまり、 俺「今日は君に伝えたいことがあるんだ。」 このチュインニ准尉に対する思いは、俺の初恋ということになる。 ジュゼッピーナ「………………………………何ですか?」 いつものように眠たげな反応を返された。准尉の視線はやっぱり空を向いている。 俺「俺は……」 不思議と緊張はしていない。愛の告白っていうのは心臓が壊れそうになるほど緊張するものだとハンスは言ってたけど、あれは嘘だったのかな? ジュゼッピーナ「………。」ボーッ いや、この娘がそばにいるからか。 チュインニ准尉といっしょにいると、妙に安心出来るんだよな。 74 自分:パスタ短編[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 23 32 12.57 ID hfMbdPed0 [27/32] 俺達人間を超越した何かを感じさせるその雰囲気に、何故だかはよく分からないけど心が休まる。 俺「俺は君のことが好きだ。」 思いをぶつける。 熱くて、苦しくて、あたたかいこの気持ちを君にぶつける。 学の無い俺らしく、単純で陳腐なブリタニア語だけど、精一杯の気持ちを込めた愛の告白を君にぶつける。 ジュゼッピーナ「………。」 俺を不思議と安心させてくれる、君の佇まいが好きだ。 そのキレイな褐色の肌が好きだ。 君の子犬のような笑顔が好きだ。 俺「俺は君と特別な関係になりたい。」 このまま、ただ休憩場所を共有するだけの関係でいるのは嫌なんだ。 ジュゼッピーナ「………好き…ですか…。」 告白しておいてなんだけど、この娘には好き云々の感情というのはあるのだろうか? 普段から感情をまったく見せないからなぁ。 76 自分:パスタ短編[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 23 34 29.97 ID hfMbdPed0 [28/32] ジュゼッピーナ「その好きという感情は正直よく分かりません。でも、ハルカ一飛曹が智子中尉に言っていたような意味なら、」 チュインニ准尉は俺の方に目すら向けず、 ジュゼッピーナ「私は貴方のことが好きなのでしょう。」 俺の一世一代の告白を受け入れてくれた。 お互い目も合わせずに好きだと言い合うなんて、なんとも変な光景だな。 ジュゼッピーナ「私という存在は………貴方には想像が及ばないような異質なものです。」 准尉は独り言を言うようにポツポツと言葉を紡ぐ。 ジュゼッピーナ「…………それでも、貴方は私の傍にいてくれるんでしょ?」 俺「当たり前だ。」ニッ ジュゼッピーナ「その言葉を聞くと……心臓の鼓動が速くなります。これは、好きという感情でいいんですよね?」 俺「うん。俺も君の笑顔を見た時そうなるからね。」 ジュゼッピーナ「……私も、貴方と特別な関係になりたい。特別な関係ってどういうことをするの?」 ふむ……そう言われると困るな…。当然だけど、今までに経験がないからな。正直何をしたらいいか分からん。とりあえず、今したいことをそのまま口に出すとすると… 俺「とりあえず、俺に笑いかけてくれない?」 ジュゼッピーナ「お安いご用です。」ニコッ 77 自分:パスタ短編[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 23 36 33.28 ID hfMbdPed0 [29/32] その日は、俺の初恋が叶った日。 あの笑顔を最も愛する者が俺だと証明された日。 その日は俺の人生で2番目に忘れられない日になるだろう。 「俺、聞いたか? 実は、ジュゼッピーナ・チュインニ准尉はネウロイに操られていたらしい。」 告白をした次の日、彼女の真実をレイヴォネン中尉のストライカーを整備していたおっちゃんが告げてくれた。 この日は俺の初恋が潰えた日。 俺の愛する彼女がいなくなった日。 この日は俺の人生で1番忘れられない日になるだろう。 後編へ続く
https://w.atwiki.jp/onmyoju/pages/50.html
第二十四章 生贄の巫女・前編 出現式神:普通 困難 絡新婦 清姫 吸血姫 清姫 吸血姫 清姫 絡新婦 1 1 1 1 1 1 1 キョンシー兄 黒無常 海坊主 黒無常 海坊主 黒無常 キョンシー兄 3 2 3 2 3 2 3 白無常 白無常 白無常 1 1 1 二回戦目 清姫 1 ボス 清姫 1 骨女 1 絡新婦 1 白無常 1
https://w.atwiki.jp/srwk/pages/115.html
第16-1話 『激闘!ダンナーベース!!・前編』 勝利条件 コアガンナーHP10%以下 コアガンナーHP10%以下後 敵の全滅 敗北条件 ゴオの撃墜 コアガンナーの撃墜 コアガンナーHP10%以下後 ゴオの撃墜 ステージデータ 初期 初期味方 ゴーダンナー(PU不可) 初期味方 マジンガーZ 初期味方 選択22機 初期敵 コアガンナー 初期敵 飛行獣&地底獣×6 初期敵 地底獣&飛行獣×4 初期敵 擬態獣13号*2×8 コアガンナーHP10%以下 ゴーダンナー隣 味方増援 ネオオクサー(PU不可) 敵データ 初期 機体名 パイロット LV HP 最大射程(P) 獲得資金 基本経験値 数 撃破アイテム 備考 コアガンナー マックス +4 16200 7(3) 8000 300 1 フライトモジュールAスーパーリペアキット援護攻撃Lv+1ガンファイトLv+1 - 飛行獣 擬態獣 +2 6600 5(1) 1300 120 10 - HP回復Lv1EN回復Lv1PUのメインとして6機PUのサブとして4機 地底獣 擬態獣 +1 8600 5(1) 1400 130 10 - HP回復Lv1EN回復Lv1PUのメインとして4機PUのサブとして6機 擬態獣13号 擬態獣 +1 4600 3(3) 1200 110 16 - HP回復Lv1EN回復Lv1PU8 イベント・敵撤退情報等 シナリオ開始時ゴーダンナーとマジンガーZのHPが80%に。 コアガンナーHP10%以下でコアガンナーのHP・EN・弾数が全回復、マックスの気力が150になりゴーダンナー隣へ移動。 攻略アドバイス マックスのステータスが高いため、てかげんが通用しない可能性が高い。だがマックスは底力Lv9を所持しているので、10%以下という条件は然程難しくはない。 イベントでコアガンナーが移動するので、地形効果を与えないようゴーダンナーの位置を調整しておこう。 雑魚敵が地形Sだらけ。コアガンナーばかりに気をとられて撃墜されないように。 戦闘前会話 マックス:甲児(ミラ救出前)、ゴオ(ミラ救出前)、カガリ、ゲイナー、ルージ、剣児、ダイヤ、ロール、杏奈、ヴァン、ミスト 隣接シナリオ ベルリンルート 第15A話『エンジェルダウン』 竜宮島ルート 第15B-2話『悲しみの飛翔・後編』 第16-2話『激闘!ダンナーベース!!・後編』
https://w.atwiki.jp/animeyoutube/pages/32.html
イナズマイレブン 37話「帝国の逆襲・前編!」 01 別ページで見れます!→イナズマイレブン 第37話「帝国の逆襲・前編!!」 イナズマイレブン 37 アニメ トップページ