約 3,690,717 件
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6474.html
※小ネタ 1:とーかときょーたろう- それは、まだ私が幼かった頃の話…… まぁ、私がまだあまり世間を知らなかったころってところですわね まだ一も衣も智紀も純も居なかった頃 「とーかさまー」 「とーかさまー」 「よくってよ、よくってよ!」エッヘン 子供たち、と言っても同じ歳の女の子たちと遊ぶのは、公園ぐらいだった 私もお嬢様だけれど公園ぐらいには良く行っていた、そこで私のことをとーかさまと呼ぶのは私のお友達、いやお友達かどうかも怪しいけれど…… けれど、その時は私もその子たちを友達だと思ってたいた お友達がとーかさまと呼べば、私は機嫌を良くしてアイスやらお菓子やらをあげるから、ですわね 馬鹿なお嬢様と言われればそれまでですけれど……それでもその時、私はそれ以外に友達を作る方法を知らなかった 小山の大将、まさにそんな言葉が似合う私は公園の遊具やら砂場やらを独占していたわけだけど……? 「おいお前、じゃま」 「は?」 その少年は、私の前に立った 「いや砂場だろここ」 「でもわたくしが今は使っていますわよ?」 「砂場の中心じゃなくてはしでやれよ」 「わたくしがはしなんて、ありえませんわ!」ビシィッ 「おまえってバカだよな」 少年にそういわれて、子供のころの私は激怒した まぁ今思えばそれはバカでしょうけれど、あまりにもストレートに言われたのに激怒しないわけがない そんな言葉を言われたのは生まれてこの方初めてでしたもの 「なんですって!?」 「ためしになにもあげないでみろよ」 「は?」 「バカはみつかるはずだぜ」 それだけ行って少年はサッカーボール片手に友達と遊びに行く……私はそこに立ち尽くしたまま友達が来るのを待っていた もちろんすぐに友達は来て、私は少年の言うことを鵜呑みにしてみる まぁ結果は簡単、数日で遊ぶ相手はいなくなって、部屋に籠ってネトマばかり だけど一週間もしてから、私は久しぶりに公園に行ってみた 前に友達だった相手もいたけれど、その子たちが寄ってくるわけもない 「おい」 「げっ」 「げっ、ってなんだよ……で、どうだった?」 子供ながらに言っていることの意味はわかった 「バカはみつかりましたわ」 「ふぅん、オレのほう見て言うなよ」 「……かえりますわ」 「……サッカーするか?」 「サッカー?」 「一緒にさ」ニッ その少年は楽しそうな顔で私にサッカーボールを渡してきた 「……仕方ありませんわね」 私はそれを受け取って一緒にサッカーをすることにしたけれど、もちろんぼろ負け あまりにも悔しかった私は何度も挑戦して、結果勝てないと思い麻雀の勝負を挑みぼろ勝ちした まったく子供らしい子供、だったのでしょう 「ずりーよとーか!」 「ずるくありませんわ、わたくしはせいせいどうどうと戦ったまでですわよ、きょーたろう!」 でも正直、あの時はその少年、須賀京太郎にこんな感情を抱くだなんて思ってなかったけれど…… ……か……とう……とうか! 透華「?」 京太郎「おう、起きた」 ここは、車?……って顔が近い! 透華「は、離れなさい!」 京太郎「おう悪い」 透華「まったく……」 今日はたしか、ピクニックをしようという話でしたわね 純「もうすぐ着くぞー」 衣「よし、向こうに付いたらなにする!?」 一「体動かしたいよねー」 智紀「私は……別に……」 衣「ふふ~ん♪」 透華「サッカー!サッカーがしたいですわ!」 京太郎「はぁ?」 透華「決定ですわ!」 みんなが、私の友達たちが、笑う 京太郎「そうだな、サッカーするか」 純「おし、スポーツならオレの出番だな!」 一「まぁ、楽しそうだしね」 智紀「……」ダラダラ 衣「うお、すごい冷や汗だ」 ハギヨシ「ボールはございますよ」 京太郎「さすがハギヨシさん!」 透華「行きますわよっ!」ビシィッ! カン!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3480.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1390033543/ ??「おやおや、これは」 京太郎「」 _________ _____ __ 京太郎「んん…」 ??「気づいたかい。どこか痛むところとかは?」 妙齢の女性だ、どことなく気品がある。だがおもちはない 京太郎「ええと…体の方はなんともないんですが。この状況は…」 ??「あんたうちの目の前に倒れていたんだよ。体には異常がないみたいだったから救急車は呼ばなかったけどね」 京太郎「そう…なんですか。助けていただいてありがとうございます」 ??「どういたしまして。で、あんた名前はなんていうんだい?」 京太郎「須賀京太郎といいます。清澄高校の1年生で麻雀の全国大会に来ているんです」 ??「全国、大会…?」 京太郎「ええ、まっ僕はただの雑用なんですけどね」 ??「うーん…?そういえばどうしてあんなところに倒れていたんだい?」 京太郎「ええと、確か部長に買出しを頼まれて、外を歩いていたのは覚えているんですけど……」 ??「倒れた理由はよく分からない、と」 京太郎「まあそうですね、たぶん疲れがたまっていたんだと思います」 ??「なるほどね。ところで須賀君、あんたその格好は寒くないかい?羽織るものなにか貸そうか?」 京太郎「え?いえ体が丈夫なのが取柄なんで心配には及びませんよ」 ??「そう、かい。うーん、なるほどねえ…」 ??「でも体の方は大丈夫そうでよかったよ。あんまり時間をとらせてもあれだし、そろそろ行くかい?」 京太郎「はい、みんなも待たせていると思うんでもう行きます」 京太郎「このお礼はいつか必ず…お名前と電話番号だけ教えていただいてもかまわないでしょうか?」 ??「私は熊倉トシ。電話番号は――だよ。それよりも須賀君、もしかしてあんた…」 京太郎「?」 トシ「……いや、なんでもないよ。気をつけて行ってらっしゃい。あと困ったことがあったらまた来なさい」 京太郎「はい!では失礼します。ありがとうございました!」ペコリ __________ ______ __ 30分後 ピンポーン トシ「ハイハイ、どちら様?」 京太郎「すいません、須賀京太郎です。困ったことがあったのでまた来ました」 トシ「来ると思ったよ。とりあえずお入り」 京太郎「あの変なこと聞くようですいません、ここってどこですか?」 京太郎「それに、なんというか古臭いとういか、いや失礼…なんだか懐かしいレトロな町並みですし」 京太郎「いったい何がどうなっているのかさっぱりで……」 京太郎「さっきの口ぶりからするともしかしたら何かご存知じゃないんですか?」 京太郎「何でもいいんです、教えてください!!」 トシ「まあとりあえず落ち着きなさい。ここは、茨城県だよ」 京太郎「……へ?」 トシ「麻雀の全国大会の会場である東京都からはだいぶ離れている」 トシ「しかし、さっき須賀君は麻雀の全国大会に来ていると言っていたね」 トシ「さらに今の季節は冬、そしてどう見ても須賀君、君の服装は夏服のそれだね」 京太郎「……はい」 トシ「普通の人ならこの季節にそんな格好はしないよ」 トシ「さて一つ、こちらから質問してもいいかい?今は西暦何年だい?」 京太郎「……20××年のはずです」 トシ「そうかい、やっぱりね。でも残念ながら今は20△△年、つまり君の言った年より12年も前なのさ」 トシ「まさかと思うかい?でもそろそろ君も気づいているはずだよ。君の身に一体何が起こったのか」 京太郎「……」 トシ「答えは単純、君は時空を越えたんだよ。いわゆるタイムリープというやつさ」 京太郎「タイム…リープ?」 そんなアホな、と思ったが口には出せなかった だってこの部屋の、いやこの部屋だけじゃない 外の様子、人の服装、携帯電話、電子機器、世間話の内容、それらは明らかに過去のものだったから だから黙ることしかできなかった トシ「とりあえず、こんなところかね。何か質問あるいかい?」 京太郎「ええと…すいません、話の内容は分かるんですが、いまいち実感がわかなくて」 トシ「そりゃあそうかもしれないね」 トシ「まあでも、そんなに気に病むことはないよ。君くらいの年頃の子にはよくあることなのさ」 京太郎「え゛?そ、そういうもんなんですか……?」 芳山和子みたいなことを言うな トシ「まあね。実は私は多少の知識ぐらいなら持っているんだよ」 トシ「君だって麻雀をやるなら見たことぐらいあるだろう」 トシ「この世の中には常識では説明のつかない力、いわゆるオカルトが存在するのさ」 トシ「そういうものの一種と考えれば、理解できないこともないんじゃないのかな?」 まあ分からなくもないが、なんだか煙に巻かれた気もしなくもない しかし、現状頼れるのはトシさんだけだ 京太郎「まあなんとなくは理解しました。けどじゃあ、僕はこれからどうすればいいんでしょうか?」 トシ「とりあえずは、ここでの生活に慣れることだね。ということで暫くはうちにいなさい」 京太郎「うぇっ、いいんですか。自分で言うのもなんですけど、僕明らかに不審者ですよね?」 トシ「不審者か、ははは、そりゃそうだ。でも大丈夫、私の人を観る目は確かだからね」 トシ「それに迷える青少年を導くのも年寄りの仕事のうちさ」 トシ「でもタダで住まわすことはできないよ。家事の手伝い、それと私が買い物に行くときは必ず付き合うこと」 トシ「この二つだけはしてもらおうかな」 京太郎「そんなことでいいんですか?それなら家事でも買い物デートでも何でもしてみせますよ!」 トシ「デートだなんて嬉しいことを言うねえ。まあでもよろしく頼むよ、"京太郎"」 京太郎「こちらこそよろしくお願いします、"トシさん"!!」 その後、いろいろと細かいことを決めなければならなかった まず設定として、俺はトシさんの孫ということになった そして変な誤解を避けるため、俺は熊倉京太郎と名乗ることにした 少々語呂が悪い気もするが、まあ我慢しよう 元の時代に帰る方法だが、それはトシさんが調べてくれるらしい なんでも、トシさんはそっち方面のことには詳しいらしいのだ 俺にはどうしようもないことなので、これについてはトシさんを信じるしかない またトシさんの助言で、元の時代のことはなるべく言わないようにと釘を刺された もちろん、トシさんに対してもだ どんな発言が未来に影響を与えるか不明確だからだ。注意するに越したことはない また、なんと信じられないことに学校に通えることになった 俺としてはニート生活を満喫したい気持ちでいっぱいだったのだが… トシさんはその人脈をフルに活用し、俺を近隣の高校にねじ込むことに成功したのだ 戸籍とか住民票とかどうしたんだろうか?トシさんにそのことを聞くと 「世の中には知らないことが良いってこともあるんだよ」ニコ と言われた。トシさんあなた一体何者なんですか… そんなこんなで、俺の新しい生活がスタートした 大丈夫かなぁ…… ――3月 この2ヶ月弱の間にこちらの生活にはだいぶ慣れることができた すべてはトシさんのおかげと言っても言い過ぎにならないだろう 本当に感謝している お金のことを話すと、「気にしなくていい」と一蹴されてしまったことがある だから元の時代に戻ったら全力でお礼をするつもりだ 12年という歳月は中々長いもので、色々と面食らうことはあった この時代にはスマートフォンがないのは知っていたけど、まさかあんなオモチャみたいなものを使っていたとは… パソコンのCPUがセレロンで回線がADSLだったのには少々呆然とさせられた しかし、今ではその速度が逆に心地よい 子供のころ見ていたアニメや戦隊ものの番組を、この年になって再び見てみるのは意外と感慨深いものがある そうこうしているうちに4月に入った、いよいよ高校の入学式だ ――4月上旬 入学式 トシ「なかなかきまっているじゃないか、似合ってるよ」 京太郎「ありがとう、なんだか照れるね。でも今までと違う制服だからやっぱり違和感があるよ」 ちなみに、孫設定だから敬語は基本無しだ トシ「はは、仕方が無いね。でも第二の母校になるんだから慣れなきゃならないよ」 トシ「ほら時間がない、遅刻するから早くお行き」 京太郎「はい、行ってきます!!」 近所の人たちに挨拶をしながらバス停に向かう 近所の人といえば、幸いなことに俺がトシさん家の前で倒れていた様子は誰にも見られなかったらしい なので俺は近所の人たちにも孫ということで通っている そして通学のためにトシさんのところにお世話になっている設定なのだ 高校まではそれほど遠くないが徒歩や自転車では少々時間がかかる なのでバスを利用することになっている 30分もすればもう目の前だ 校門の前には初々しい新一年生が群れを成している 桜が綺麗だ まさか一年経たないうちに、また満開の桜を見ることになろうとは、夢にも思わなかったが 教室に向かい扉を開けるとすでにかなりの席が埋まっている 自分の席に向かい着席する 何人かの生徒は談笑しているが、おそらく同じ中学だったのだろう しかしほとんどの者は静かに着席し、先生が来るのを待っている 俺もその一人だ。ぼっちだよー 仕方ないので、隣の女の子にでも話しかけますか 手入れのされた綺麗な黒髪のセミロング 容姿は整っているが、少々暗い雰囲気をまとっている 残念ながらおもちはない しかしこの子、前にどこかで…… 京太郎「ちょっといいか?」 ??「う゛ぇ!わ、私…ですか?」ビクビク 驚かれた、俺ってそんなにいかついか?地味に傷つくぜ 京太郎「うんそうそう。俺は須…じゃなかった、熊倉京太郎っていうんだ」 京太郎「知り合いがいなくて暇なんだ。先生来るまで少し話そうぜ」 ??「え、はあ…」ビクッ 人見知りだな、こりゃあ 京太郎「実は俺長野からこっちに来たから知り合いが誰もいないんだよ」 京太郎「だからこれからよろしくな」 ??「は、はい…」ビクビク 京太郎「同級生なんだから敬語はいいよ」 これはなんだか駄目そうだぞ。出会ったころの咲を思い出させるな 京太郎「そういえば君は地元の人なの?」 ??「は…う、うん。小さいころからずっとこの辺に…」 京太郎「おーそうなんだ、じゃあもうすでに知り合いとかいるのか」 ??「い、いやその…えと」カァァ 目線を下に向けてわずかに顔を赤らめる あちゃーこの反応、友達いなかったパターンだ。悪いことしたな とりあえず話題を変えよう 京太郎「そういえば最初に聞くの忘れてたわ、名前はなんていうの?」 ??「え、名前?こか…」 ガラガラガラ 担任「おーい、みんなー席につけー」 京太郎「わるい。タイミング悪かったな」 ??「う、うん…」シュン 京太郎「……」 京太郎「あー、また後でな」 ??「う、うん!」ニコ おお、笑うとかわいいな しかし本当に見覚えがあるんだよなあ… こう、口まで出かかってるんだが……うーん分からん 先生は簡単な自己紹介をし、今日の日程を説明した この後入学式で教室に戻った後、所属する委員会を決めて解散らしい うん、いたって普通だ 担任「体育館に行く前に点呼しておくぞー」 先生は次々と名前順に呼び上げていき、ついに俺の隣の子の名前を呼ぶときになった その名前は彼女の口から聞きたかったが、まあ仕方がない。そう思っていると―― 担任「小鍛治健夜ー」 京太郎「…………」 京太郎「へ?」 驚いてすぐに隣を向くと逆に驚かれたが、それでも凝視してみる なるほど、確かにその面影がある、むしろそっくりだ。おもちがないのも頷ける 気がつかなかったのが不思議なくらいだ 小鍛治健夜プロその人である しかしなんでここに?なぜよりによって小鍛治プロが? そんなことを考えていると、いつの間にか俺の名前を呼ばれたので返事をする 俺の挙動がおかしかったのか、隣の小鍛治さん…いや小鍛治はキョトンとしていた びっくりしてしばらく頭が回らなかった 頭の中は小鍛治のことでいっぱいだった 別に恋に恋する男子高校生ってわけじゃないが 近くの男子と会話したけど、生返事だったと思う、正直すまん 気付いたら式は終わり教室に戻っていた 相変わらず小鍛治の周りには誰もいない というかさきほど、俺と喋った以外誰とも会話してないと思う 本読んでるし。お前は咲か!!と言ってやりたくなるがこらえる しかし俄然興味が湧いたのは事実なので、思い切って小鍛治に話しかけてみる 京太郎「さっきは悪かったなー。先生に先越されちまった」 京太郎「小鍛治、って呼んでいいか?」 小鍛治「う、うん。いいよ…」 京太郎「おう分かった。俺のことは熊倉…?うーん、やっぱ下の名前の京太郎で呼んでくれ」 京太郎「こっちの方が慣れているし」 小鍛治「えっ、え、急に言われても……」 京太郎「だめか?」 小鍛治「ええと…うーん…じゃあ、きょ、京太郎くんと……呼ばせていただきます////」カァァ 京太郎「おう、改めてよろしくな。小鍛治!」 京太郎「そういや委員会なにやるのか決めた?」 小鍛治「えと、私、本とか好きだから図書委員やろうかなって思ってるんだけど…」 小鍛治「京太郎くんは?」 俺かあ…正直いって何でもいいんだがなあ 京太郎「そうだなあ、体育委員でもやるかなー(適当)」ボケー 小鍛治「そう、なんだ…」 京太郎「でも小鍛治の図書委員は似合ってるんじゃないか。少なくとも体育委員とか学級委員て感じじゃないしな」 小鍛治「もう、なにそれ!ま、まあ…本当のことだけど」 今の反応は少し素っぽかったな 京太郎「はは、すまんすまん」 ガラガラガラ 京太郎「おっ、先生来たみたいだからまたな」 小鍛治「うん」 早速先生は委員決めに取り掛かる 先生が挙手を促し、それに応じて各委員が次々と決まっていく 担任「じゃあ次、図書委員やりたい奴いないかー」 誰も手を挙げようとしない。小鍛治も手を挙げずになんだかモジモジしている なるほど、これはあれだ。誰も挙手しないから逆に挙げづらくなるアレだ はあー……仕方ない 京太郎「ハイ!俺やります!」 担任「おっ、熊倉か。ありがとな。他にはいないかー」 すかさず小鍛治に視線を向ける。とまどいながらも何か決心したようだ 小鍛治「は、はい、私もやりましゅ…」 意図が伝わって良かった。しかし噛んだな。まったく世話のかかる… でも未来の小鍛治プロはもう少しちゃんとしてたから、これから成長していったんだろうな そう思うとなんだか無駄にじーんとしてしまった とりあえず今日の日程は終わり解散となった すると小鍛治の方からから話しかけてきた 小鍛治「さ、さっきはありがとう…」カァァ 小鍛治「それだけだから、じゃあ////」 それだけ言うと、挨拶するまもなく、早足で教室から出て行ってしまった さて俺も帰りますか _________ _____ __ 京太郎「ただいまー」 トシ「おお、おかえりなさい。学校はどうだった?」 京太郎「うーん普通だったよ、二回目だしそりゃあね」 京太郎「ただ気になることが一つあったよ。元の時代で知ってる人がいたんだ」 京太郎「それも同じクラスの隣の席に」 まあ小鍛治"プロ"のことは話さないほうがいいだろう 京太郎「なにかあまりにもでき過ぎていて不自然じゃない?」 トシ「ふーむ、確かにねえ…ちなみにその子の名前は?」 京太郎「小鍛治健夜」 トシ「小鍛治さんちの子かねえ?」 京太郎「知ってるの?」 トシ「ああ、この家から徒歩で10分くらいのところの家なんだけどねえ」 京太郎「ふーん、ご近所さんかもしれないのか小鍛治のヤツ」 トシ「おや、もう呼び捨てかい。手が早いねえ」 京太郎「そんなんじゃないよ。なんだかほっとけないオーラがすごくてさ……」 トシ「ああ、なるほど…京太郎は世話焼きだもんねえ。偉いじゃないか」 トシ「しかし偶然にしては確かにでき過ぎてる…元の時代で面識とかなかったかい?」 京太郎「いや…無いはずなんだけどなあ…」 ただ、タイムリープ直前の記憶がないのでなんとも言えないが… トシ「なんにせよ、仲良くしてあげなさい」 京太郎「もちろん」 小鍛治で思い出したが、そういや咲の奴は元気にしているだろうか? タコスを作ってやれないで大丈夫だろうか? 母さん、カピに餌ちゃんとやってるだろうか? いやそもそも向こうの時間って進んでるのか? なら大丈夫なのか? 分からん! ―4月中旬 入学式から1週間が経った。そろそろ、部活を決めるころだ。何にするかなあ 仮入部とか部活見学して決めるかな。まあ、麻雀部でもいいんだけどね ガラガラガラ 京太郎「おはよー」 教室の扉を開けて挨拶する。男友達の何人かが挨拶してくれる 1週間もすればクラスの雰囲気にも慣れてくる。友達も何人かできた 小鍛治とも最初に比べれば打ち解けてきた、と思いたい… そんな小鍛治は今日も一人でぽつんと読書をしている。いつものことだ さて今日は何を読んでいるのかな? 『時をかける少女』筒○康隆著 うわーお… でもこの時代だとまだアニメ映画はやってないんだよな 話題に出さないように気をつけねば 京太郎「おう、おはよう!」 小鍛治「う、うん。おはよう」 この1週間で挨拶くらいなら普通にできるようになったのだ ときどき会話はたどたどしくなるけどな 京太郎「何の本読んでるんだ?」 小鍛治「『時をかける少女』っていう短編集」 京太郎「へぇー、どんな話があるんだ?」 小鍛治「うーんやっぱりメインはタイトルにもなってる『時をかける少女』かな」 小鍛治「他の短編も既にいくつか読んだけど、私はあんまりって感じだった」 京太郎「ふーん、どういう内容なんだ?」 小鍛治「主人公の女の子が偶然タイムリープできるようになって、その秘密に迫っていくんだ」 小鍛治「そしてその中で少年少女たちの淡い…その…こ、恋心を描いていくんだよ///」カァァ 乙女か!まあ乙女なんだけど しかし趣味のことになるとなかなか饒舌になるな。小鍛治プロもかつては普通の女の子だったわけだ 小鍛治「ま、まあ、よくあるジュブナイル小説だよ」 小鍛治「京太郎くんはこういう話に興味あるの?」 京太郎「ああタイムトラベルものはけっこう好きかな」 なにせ自分で体験しているんでね 小鍛治「そ、そうなんだ。だったらこれよりも高○京一郎さんの『タイムリープ あしたはきのう』の方がおもしろいよ!」 小鍛治「『時をかける少女』はどちらかというと少年少女向けって感じだけど」 小鍛治「高畑さんのはタイムリープの現象を正面から扱ってるんだ」 小鍛治「だからSFとしてもちゃんと読めて、読み応えが全然違うんだよ!」 小鍛治「さらに主人公の相手役の男の子がいるんだけど、最初は『他人なんか興味ないぜ』って感じのクール系キャラなんだ」 小鍛治「だけど主人公とのやり取りを通じてだんだんと心を開いていくのがまたいいの!それに――」 京太郎「わ、分かったから、とりあえず落ち着いてくれ」 また一つこいつのことが分かった、興奮すると止まらなくなるタイプだ 小鍛治「あっ、ご、ごめんね、私調子に乗って…」アセアセ 京太郎「べつに気にしてないよ。誰だって自分の好きなことは話したくなるもんだろ?」 京太郎「だから今度その本貸してくれよ、小鍛治のこともっと知りたいし」 小鍛治「う、うん…///」 そんなやりとりをしていると先生が入ってきた。一日の始まりだ 次々と授業をこなしていく。一度習ったことを再び学ぶってのも悪くないなと最近思うようになった まあほとんどの場合退屈なのだが。しかしその分俺はクラスでは勉強のできるやつと認識されるようになった また授業を受けていて気づいたことがある 小鍛治のやつは運動が苦手で、勉強は得意なようだった。予想通りというかなんというか…こちらの期待を裏切らない また昼食はいつも小鍛治ととるようにしている 一人で弁当をモソモソと食べていたので、見かねて小鍛治を誘って食べるようになったのだ 男子連中からは最初からかわれたが、今ではそれが当たり前になり誰も気にしない 別に小鍛治がいじめられてるとかじゃないが、クラスの皆はどう接していいのか良く分からないようだ からかったりすると面白いんだけどなこいつ 授業、掃除が終わると皆は部活を見ていくようだ 俺もサッカー部とか野球部、陸上部などに一緒に行かないかと友達に誘われたが断った 小鍛治は文芸部に行くと言っていた 心の中で「君には誰にも負けない麻雀の才能があるのだよ」、なんて思ったが口には出さなかった 俺は結局麻雀部に見学に行くことにした。なんだかんだ言っても麻雀好きだしね ここが麻雀部の部室か… ガラガラガラ 京太郎「失礼しまーす!!」 第一印象が肝心なので元気よく挨拶する。中には女子生徒が4名いたが男子はいない このパターンは清澄での雑用ルートを彷彿とさせるが…とりあえず入ってみる 部長?「おお見学かな?よく来てくれたね、ささ座って!」 いかにも部長という感じの利発そうな人だ。容姿も整っていて、なによりなかなかのおもちの持ち主だ。 久パイ+αといったところか 副部長?「さ、お茶どうぞ」 京太郎「あ、ありがとうございます」 この人もまた美人さんだが部長さん?に比べるとこちらは落ち着きのあるタイプと見た、自己主張しないタイプの しかし目線を少し下に向けると、ものすごいものが自己主張していた。 なんなんだいったいこれは!! ブレザーという名の拘束具がまったく役に立っていないではないか! これはのどパイに匹敵するかあるいはそれ以上か……いやおもちに貴賎なし!! みんな違ってみんないいのだ、当たり前のことだ…… 今以上にタイムリープしてきて良かった思ったことはない、いやこれからもきっと!!! お母さん、お父さん。俺を生んでくれてありがとう! 俺こっちの時代で幸せになるよ! 部員1?「おう!よろしくー。まあゆくっりしていってな」 元気娘といったところか、雰囲気は優希に似てる。おもちなし。はい次 部員2?「よ、よろしくお願いします」 ちょっと緊張してる。真面目そうな人だ。おもちは平均くらいかな、このくらいのもなかなかよいではないか 京太郎「はい、こちらこそよろしくお願いします!」 京太郎「それで、今日は見学させていただいてもよろしいですか?」 部長?「そんなに硬くならなくても大丈夫だよ」 部長?「まずは簡単に自己紹介しとくね、私が部長であのでかいのが副部長、そこの二人が部員1と部員2だね」 でかいのって…その通りだが、副部長さんが顔を赤らめてらっしゃる。セクハラとはいい趣味してる、ぐへへ 京太郎「はい、分かりました。僕は1年生の熊倉京太郎といいます」 部長「熊倉くんねえ……もしかして、熊倉トシさんのところに来ている孫というのは君のことかな?」 京太郎「祖母のこと知っているんですか?」 部長「ああ。知ってるかもしれないが、熊倉さんはここら辺の子達を集めて月に何度か麻雀教室をしてるんだ」 部長「で、私達もそれに参加しているんだが――先月だったかやけに嬉しそうにしていてね」 部長「それで聞いてみると長野から孫が来ているとおっしゃっていたんだ」 部長「とても嬉しそうに君の事を教えてくれたよ。あんなこと珍しいんじゃないかな、なあみんな」 「「うんうん」」 そんなことがあったのか。なんだか色々な感情がこみ上げてきて、胸にじーんと来る 今日の夕飯はうんとおいしいものしよう 京太郎「なんだか恥ずかしいですね……」 副部長「とういうことは、熊倉くん麻雀はもう打てるのかしら?」 京太郎「ややこしいので京太郎でいいですよ。麻雀は初心者に毛が生えた程度ですね、残念ながら」 部長「なあに、一年生なんだからこれからどんどん強くなっていけばいいのさ」 京太郎「はは、そうですね。ところで質問いいですか?男子部員の方はいないんでしょうか?」 部長「ああ、残念ながらね。だからこのまま京太郎くんが入部しても団体戦に出場するのは正直かなり厳しいと思う」 部員1「でも、それは私達も同じだよねー」 部員2「先輩達が卒業しちゃって、もう四人しかいないもんね…」ハァ 清澄や鶴賀みたいに部員で苦労してるとこは他にもあるんだな あのときは咲がいたからよかったが…… いやまてよ、小鍛治がいるじゃないか そもそも、小鍛治プロは高校生のころインターハイに出場していたと聞いたことがある このまま行くと、小鍛治が麻雀をやらなくなって、もしかしたら未来が変わってしまうかも …………よしっ! 京太郎「あの、それだったら心当たりがあるかもしれないです」 部長「えっ!?」 京太郎「うちのクラスの女子に麻雀に興味持ってそうなやつがいるんで、明日にでも誘ってみましょうか?」 部長「ぜひっ!といいたいところだが、やはり本人の意思が一番大事だからな。無理に誘う必要はないぞ」 部員1「相変わらずかたーい。ま、でもよろしく頼むよ新人くん。我が麻雀部の命運は君にかかっているのだ!」 京太郎「はい、了解です!!」 とりあえず初日はこんな感じだった なんだかいつの間に俺の入部は決まっているかのような雰囲気だったが、俺もこの部が気に入ったので構わなかった 決しておもちで決めたわけじゃないよ?念のため ちなみにその後皆と麻雀を打つことになって、とても盛り上がった。久々に麻雀を打てて楽しかったのもある え、結果だって? もちろんラスばっかりだったよ(笑) トシさーん、俺にも麻雀教えてくださーい! ――4月中旬 翌日の放課後 さて放課後だ。朝に言おうかと悩んだが、小鍛治みたいなタイプは時間をかけると逆効果になりかねない よって速攻とその場の勢いを使う作戦を試みる 今教室には俺と小鍛治しかいない…絶好のチャンスだ! ガシッ 京太郎「小鍛治大事な話があるんだ、聞いてくれないか?」キリッ いきなり腕をつかむ。スキンシップには慣れていないだろうよ。さあどうだ 小鍛治「わっ、ひゃあ! どどどどどど、どうじたのさっ////!?」 効果はばつぐんだ!次いで肩をつかむ 京太郎「話は後だ!何も言わずに俺について来てくれ!」キリリッ 小鍛治「えっ!ででででででもなんで私なんかが――」 ここで決める!! グイッ 京太郎「…なんかじゃない小鍛治、お前じゃなきゃダメなんだ」ミミモト 小鍛治「は、はひ…////////」ボンッ アラフォー敗れたり。誰か俺に敗北を教えてくれ というわけで ガラガラガラ 京太郎「お届けものでーす!」 小鍛治「えっ、え、ここどこ? 麻雀部???」 正気に戻ったか、だがもう遅いぜ 部長「おおいらっしゃい京太郎くん、その子が昨日言っていた子かな?ささ座って」 京太郎「ありがとうございます。さ、小鍛治座ろうぜ」イケメンスマイル ゴゴゴゴゴゴッ 小鍛治「京太郎くん…これはどういうことなのかな?」グギギ イケメンスマイルでは誤魔化されんか…しかし、なんという圧力。咲以上か 京太郎「す、すまん小鍛治、騙したりして悪かった。だからカン(物理)だけはゆるしてくれー」ビクビク 小鍛治「カン(物理)ってなに!?私そんなことしたことないよねっ!?」 京太郎「はは、悪い悪い。いつもの癖でな…」トオイメ 小鍛治「はあ…もう分かったよ。で、話ってなに?」 京太郎「ああ実はな――」 先輩方が卒業して団体戦に出られないこと なので俺が一肌ぬいで小鍛治の勧誘をしたこと 小鍛治の麻雀の実力がぜひ必要なこと 俺も入部してくれると嬉しいこと などを一生懸命説明した 小鍛治「話は理解したけど、私が麻雀できること言ったっけ?」 やっべえ…そうだった、うまく誤魔化さんと 京太郎「ほ、ほらこの前小鍛治、色川○大の本読んでたじゃないか」 京太郎「そのとき阿佐○哲也の話になって、ついでに麻雀の話をしたじゃんか」 小鍛治「確かに阿○田哲也の話はしたけど……うーん?」 誤魔化しきれないか… 部長「おーい二人とも、話は終わったかい?」 ナイスタイミングです、部長! 健夜「!」ササッ 部長が再度話しかけてくると、小鍛治は俺の斜め後ろに隠れてしまった てかこいつ今まで興奮してて部長達のこと忘れてたな 京太郎「はい、とりあえず終わりました」 部長「そうか、でもダメじゃないか。ちゃんと説明してから勧誘しないと」 京太郎「すみません」 部長「私じゃなくて、その子に謝るべきなんじゃないかな?」 京太郎「すまなかった小鍛治」ペコリ 京太郎「でもさっき説明したことは本当だし、小鍛治が入部すれば俺としても嬉しい」 京太郎「だから真剣に入部の件考えてくれないか?」 小鍛治「う、うん……考えておく…」 うーんこのテンションの落差、他に人がいるとこうも違うものか 部長「京太郎くんの責任は部を預かる私の責任でもある、嫌な思いをさせてすまなかった」ペコリ 小鍛治「い、いえ…そんなに怒っていないので…」 部長「そうか、だが君に入部してもらいたいというのは本当だ」 部長「だから今日は見学だけでもしていかないかな?」 副部長「そうそう、おいしいお茶もあるわよ」 京太郎「見学だけじゃつまんないし、一緒に打とうぜ。俺の実力見せてやるよ!」 部員1「京太郎の実力見せられても、反応に困るだけだって」ケラケラ 部員2「ちょっと本当のこと言うのやめなよ」 京太郎「ひどい!」 小鍛治「…ふふ」 京太郎「!」 小鍛治「分かりました。と、とりあえず見学させてもらいます//」 やっぱり笑ってる方がかわいいな 部活二日目はこんな感じだった 小鍛治のやつは終始ビクビクしたりどもったりしていたが、帰るころには多少和らいでいた だが俺がサポートしてやらないと、まだうまくコミュニケーションを取れないようだった 意外だったのは、対局のときだ 俺は勝手に小鍛治は魔物クラスなのでは、と考えていたがこの頃はまだそこまでじゃないようだった 手加減をしているという可能性もあるが、あの誠実な部長相手に小鍛治がそんなことをするとは考え難い 確かに小鍛治は繊細で他人の気持ちに対して敏感だが、相手の思いを踏みにじるほど鈍感ではない きっとこれからどんどん練習して強くなっていったに違いないのだ そう思うと俺もやる気が湧いてくるというものだ ちなみにその日初めて小鍛治と一緒に帰った 前にトシさんが言っていたことは本当だったようで、小鍛治の家とはわりと近かったのだ なのでバス停から少しは一緒だった 京太郎「今日は悪かったな」 小鍛治「もう気にしてないよ」 京太郎「先輩達いい人だったろ?」 小鍛治「京太郎くんに比べるとずっとね」フン 京太郎「小鍛治にしては言うじゃないか」 小鍛治「さ、さっきのお返しだよ//」 小鍛治「あっ、私こっちの道だから」 京太郎「そうか」 なら、最後に一番聞きたかったことを聞こう 京太郎「また明日も来てくれるか?」 小鍛治「ふふ、考えておくよ。また明日ね!」 まったく…素直じゃないな 京太郎「ああ、また明日!」 また明日、か…いい言葉だな さて、夕飯はなににしますかね ――4月下旬 体験入部終了後 あのあと体験入部の期間中、小鍛治は毎日麻雀部に顔を出してくれた 麻雀部が気に入ったのか、あるいは誘った俺に気をつかったのか… なんにせよ、ありがたいことは確かだった なぜなら俺達以外の一年生は結局一度も部室に姿を現さなかったから これで小鍛治が入部してくれれば、とりあえず女子の団体戦の人数は集まる 部員は全員三年生なのでぜひ団体戦には出場して、悔いの残らないようにしてもらいたい 京太郎「おはよー」 小鍛治「うん、おはよう」 京太郎「今日は何を読んでるんだ?」 小鍛治「うん今日はね―――」 こうして小鍛治の読んでる本を尋ねるのがもはや日課になっている こいつ意外と雑食で、いろんなジャンルのものを読むから聞いていて飽きないのだ 興奮した様子で本の内容を話してくれるので、楽しさも人一倍伝わってくる このおかげか俺に対してはかなり打ち解けているといえるだろう。継続は力なり 京太郎「そういえば今日入部届けの提出日だろ、ちゃんと持ってきたか?」 小鍛治「もう!おかーさんみたいなこと言って、持ってきたよ!」 京太郎「おおそうか、えらいぞ」 小鍛治「えへへ、ありがと…じゃなくて、だから何!?」 京太郎「ええと、小鍛治さんはどこに入るのかなーと気になりまして…」 小鍛治「はあ…素直に麻雀部に入るか聞けばいいじゃん」 京太郎「そうは言ってもほとんど無理やり誘ったようなものですし…」 小鍛治「変なところで気をつかうんだから」 京太郎「うぅ、すみません…」 小鍛治「確かに最初のアレはどうかと思ったよ」 小鍛治「でもいくら私だって嫌ならそう何度も行かないからね?」 京太郎「それはつまり気に入ったから毎日来ていた、ってことでオーケー?」 小鍛治「ま、まあ、ありていに言えばそうなるかな…///」 この恥ずかしがり屋さんめ 小鍛治「みんなで何かするのって久しぶりだったし」ボソ 今のは聞かなかったことにしておこう 京太郎「で、結局入部届けにはなんて書いたんだ?」 小鍛治「はいっ!」 返事の変わりに入部届けを突き出してきたが、そこには―― 京太郎「ゲスリング部……」 小鍛治「ちがうよね!?ほら、ちゃんと麻雀部って書いてあるじゃん!」 京太郎「すまんすまん、読み間違えた」 小鍛治「どうやって間違えるのさ!?一文字も合ってないよね!?第一ゲスリング部ってなに!?」 やはり小鍛治はいじってこそ、その真価を発揮する 担任「おーい時間だ席につけー」 担任「あとそこー、夫婦漫才はほどほどにしとけよー」 「すごいツッコミだったのよー」 「ウチより目立っとるやないかい、なんとかせな」 「ダルい…」 あのやりとりを見られていたとは…さすがにこれは少々はずかしい。小鍛治はというと 小鍛治「あ、穴があったら入りたい、うぅ…//」カァァァァ 下向いて顔を真っ赤にしていた、南無三 その後入部届けを回収し、いつも通り授業を受けた ホームルームでの失態は確かに恥ずかしかったが、小鍛治がクラスの話題にのぼったのはよい傾向だと思う このまま俺以外にも心を開いていけばすぐに友達なんかできるはずだ 俺以外にも、もっとその魅力を知ってほしいと思う…少々寂しい気もするが さて放課後、我ら学生のもう一つの本分、部活動の始まりだ 京太郎「小鍛治ー、一緒に行こうぜ」 小鍛治「ふん」プイッ あ、あれ!? もしかして朝の件、まだ怒ってらっしゃる… 京太郎「からかいすぎたのは悪かったって、何度も謝ったんだから許してくれよ…」 小鍛治「女の子に恥をかかせたんだから、当然の報いだよね」 恥をかかせた、って…聞きようによっては誤解を招きかねないぞ 「まーたはじまった」 「熊倉は責任を取るべきだね」 「最近の高校生は、わっかんねーな」 おおう、またこのパターン 京太郎「さ、とりあえず行こうぜ」 小鍛治「う、うん、そうだね…///」 「ほな、またなー」 「小鍛治さーん、またなのよー」 京太郎「おう、みんなまた明日なー!」 京太郎「ほら、小鍛治も」ボソ 小鍛治「う、うん……じゃ、じゃあ、また…//」 みんな小鍛治との接し方を学習しつつあるな さすが高校生、そういうとこは早い ガラガラガラ 京太郎「こんにちはー」 小鍛治「こ、こんにちは」 部長「こんにちは、来てくれて嬉しいよ!」 京太郎「あれだけ毎日通っていたんですから、当然ですよ」 部長「はは、進入部員の名簿は先ほどもらっていたんだが、それでも来てくれるか不安でね…」 結局最後まで部長達は俺達に入部するのか聞いてこなかった 彼女達なりに配慮があったのだろう ということは、今の今まで俺達が来るのを不安に感じていたに違いない 京太郎「でもこれで俺達も晴れて麻雀部員ですね。あらためてよろしくお願いします」ペコリ 小鍛治「…お願いします」ペコリ 部長「ああ、こちらこそよろしくな!」 部長「ではさっそく練――」 副部長「あだ名を決めないとね」 部員1「おっ、それいいね!」 部員2「えっ!? まずは歓迎会じゃないの?」 部長「練――」 部員1「歓迎会は部活終わった後だな」 副部長「あらそれなら駅前におしゃれな喫茶店できたから行ってみない?」 部員2「こんな田舎にそんなのできたんだ。でもいつものガ○トとかマ○クとかじゃ普通過ぎるもんね」 部長「れ――」 京太郎「俺まだ駅の方あまり行ったことないんで、ついでに駅周辺のこと教えてくださいよ」 部員1「そういうことなら私にまかせな。嫌になるほど案内してやるぜ!」 副部長「まあまあ、その話はまた後にしましょう」 部員2「そうだね、まずはあだ名決めないとね」 部長「r――」パクパク 小鍛治「ほ、ほら部長。練習なら二人でもできますから、ね、一緒にやりましょ」アセアセ 部長「うん」 部員1「まず京太郎はそのまま京太郎でいいだろ?」 副部長「そうね」 部員2「異議なし」 あっさりしすぎでは!? 京太郎「ま、まあ別にそれでいいですけど…」 部員2「小鍛治さんはどうするの?」 部員1「女の子だし名前そのままはかわいそうだよね、『こかっじ』とか?」 副部長「それなら私前から考えてたのよ」 部員1「へえ、どんなん?」 副部長「ずばり『すこやん』ね、かわいいでしょ!」 部員2「ありきたりだけど悪くはないね」 副部長「ね、どうかしら「すこやん」さん」 小鍛治「えっ、わ、私ですか!?」 隅っこで意気消沈した部長と練習をしていた(単に部長の愚痴を聞いていただけだが)小鍛治が反応する 小鍛治「え、えとですね…」アセアセ 案の定なかなか答えられないのでフォローする 京太郎「いいじゃないか小鍛治」 小鍛治「そ、そう…///」 京太郎「うん、小鍛治のポンコツっぷりが滲み出ていて初対面の人にも安心設計だな」 小鍛治「なにそれポンコツって!わたしそんなんじゃないよ!?」 部員1「小鍛治さんはポンコツだったかー」 部員2「確かに普段はちゃんとしてるけど、京太郎くんと話すとすぐボロが出るよね」 京太郎「部屋の掃除はお母さん任せだもんな」 小鍛治「えっ、えっ!?な、なんでそれを…///」 本当なのかよ…… 小鍛治「あ!い、今のは違うんでひゅ。し、信じてください…」アセアセ もうボロボロだよ小鍛治さん 部長「みんなもう止めないか」キリッ あ、部長がいつの間にか立ち直ってる 部長「すまない、こいつらも悪気があるわけではないんだが…なかなか止まらなくてな」 小鍛治「い、いえ、嫌ではなかったですから…」 慣れてないだけだもんな 部長「そうか、でも愛称というものがあったほうがいいというのは私も同意する」 部長「だから君さえよければ、さっきのでかまわないかな?」 小鍛治「は、はい…私はそれでも//」 部長「そうかよろしくな、すこやん!」 その後は麻雀卓を囲み普通に練習した 小鍛治は、その「すこやん」という呼び名を最初こそ恥ずかしがってはいたが だんだんと慣れてきたようで顔を赤らめることもなくなっていった むしろ、そう呼ばれるたびに嬉しそうにしていたように思うのは俺だけだろうか? ちなみ俺は未だに「小鍛治」と呼んでいる だってなんだか男が「すこやん」って恥ずかしいじゃん? 小鍛治は若干不満そうな顔をしていたが許して欲しい 男の子には譲ることのできない、チープでいて大事なプライドというものがあるのだ そして練習が終わると、予定通り駅前の喫茶店に行くことになった ________ _____ __ カランカラン 店員「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」 副部長「5人です」 店員「かしこまりました、ではこちらのお席にどうぞ」 確かになかなかこじゃれたお店だ、BGMには心地よい音楽が使われている あ、ちなみに、注文するときに魔法のような専門用語を必要とするあのお店じゃない 京太郎「いいお店ですね」 副部長「そうね、この辺じゃあ珍しいくらいね」 これは持論だが喫茶店にもっとも必要なのはリラックスできる環境だ たとえばド○ールや☆バックスなどはとにかく席が狭く居心地が悪い、もちろん店にもよるが また隣の人との間隔も狭いため落ち着いて休むこともできやしないではないか なので俺は都内の珈琲チェーン店が基本的に嫌いなのだが、唯一ル○アールだけはなかなか良いと思う よく効いた冷暖房に落ち着いたBGM、そしてなんと言っても広々とした空間にフカフカの座席 さらに居眠りしていても起こされることはないし、メインの品の後には必ず緑茶が出される ただ完全に分煙されていないのは改善してほしいが 多少値段が高かろうとも、そのことが分かっていない喫茶店など行く気にもならん 失礼、話がずれたがこのお店は少なくともそういうことを満たしているお店ということだ さて、みんなの注文した品も届いたので歓迎会が始まる 部長「あらためて入部してくれてありがとう、二人とも」 部員2「これで今年も団体戦に出ることができるもんね」 京太郎「そういえば何か目標とかはないんですか?部としての」 部員1「やっぱ最後だからまた団体戦で全国行きたいなー」 小鍛治「個人戦はどうなんです?」 副部長「私と部長は去年個人戦で全国に行ったから、今年ももちろん狙うわ」 通りで二人とも強かったわけだ 部長「しかし何といっても団体戦はおもしろいからな、個人戦にはないものがあるよ」 部員1「そうそう、自分の結果がチームの勝敗を左右するからな、燃えるぜー」 部員2「去年は最後に捲られて順位下げてたけどね」 部員1「うるせー」 小鍛治「そ、それって私も出るんですよね?緊張します……」 部長「はは、県予選が6月で今は4月の後半に入ったところだよ。まだまだ時間はある」 副部長「そうね、それまでにゆっくり準備していけばいいわ」 京太郎「でもみんないいですね、俺も団体戦出たかったなー」 部長「来年にまたお得意の勧誘をすればいいさ」 それはそうなんだが……俺に来年なんてあるのか、この時代に? 部長「だから今年の目標は団体戦で全国出場、もちろん個人戦でも頑張って欲しい」 京太郎「じゃあ俺の目標はどうしましょう?」 部長「そうだな、今の実力を考慮に入れると6月の県予選で上位入賞ってところが妥当だろう」 京太郎「けっこうハードル高いですよねそれ…」 部員1「大丈夫、私達がみっちり教えてやるよ」 部員2「部活では私達に、家では熊倉さんに教えてもらうといいんじゃないかな」 けっこうスパルタですね 小鍛治「がんばればいけるよ、たぶん…」 たぶんかよ!? こうして部としての目標が決まり、歓迎会は進んでいった どうやらこれからの俺の生活は麻雀が中心になってきそうだ だが、さっきも少し考えたが俺はいつまでこの時代にいることができるのだろうか? トシさんの情報待ちだが、さすがに1年もこちらにいるとは考えにくい そんな短い時間しかこの人達と過ごせないのかと思うとなんだか…… こんなとこと考えていると心配そうな顔をした小鍛治が「どうかしたの?」と聞いてきた 俺は「なんでもない、小鍛治に心配されるなんて一生の不覚だよ」とごまかした でも本当は悲しかった いまこの時の思い出は恐らく未来にも、みんなの中に残るのだろう しかし12年後のその時、俺が熊倉京太郎であることを信じてくれる人はいない それがどうしようもなく寂しかったのだ __________ ______ __ 部長「ではこれで新入部員の歓迎会を終了とする」 「「おつかれさまでしたー!」」 副部長「じゃあ帰りましょうか」 部員2「うん 部員1「一緒に帰ろうぜー」 部長「分かった分かった、今日は寄り道は無しだぞ」 京太郎「んじゃ、俺達も行くか」 小鍛治「そうだね」 俺と小鍛治は他愛のない話をしながらバス停に向かい、バスに乗り込んだ そこそこ混んでいたので車内ではほとんど会話はできなかった 小鍛治「けっこう混んでたね」 京太郎「ああそうだな、俺がいないときは痴漢に気をつけるんだぞ」 京太郎「…ま、でも、小鍛治に限ってその心配はないか」 小鍛治「そ、そんなことないよ!私だって東京の満員電車とか乗ったら、きっと痴漢されちゃうよ!?」 い、いや、そんなこと熱弁されましても… 京太郎「ハハ、ソウデスネー」 小鍛治「あからさまに棒読みだよね! わ、私だって大人になればもっとこう……」 まあ、小鍛治プロのを見る限りそうはならないんじゃないでしょうかねえ そんな小鍛治も、12年も経てば俺のことを…… 小鍛治「京太郎くん? どうかしたの?」 京太郎「い、いや、なんでもない」アセアセ 今日2回も小鍛治に心配かけちまった、なにやってんだ俺は。いつもは逆だろうが… 小鍛治「さっきも同じような顔してたよ、もしかしたら何か悩んでるんじゃない?」 京太郎「ほんとに何でもないんだよ、だから――」 小鍛治「うそだよ!入学式から今日までずっと京太郎くんといたんだよ。私にだってそれくらい分かるよ!」 いつになく語気が強い、でも話せないことなんだよ 京太郎「いやでも――」 小鍛治「いつも私に構うくせに、こういうときは関わらせてくれないの!?」 小鍛治「私たち、と、とも……同じ部員なんだから相談くらいしてくれてもいいじゃない!?」 そこでヘタれるんだ!? しかしあの小鍛治が勇気を振り絞って俺のために言ってくれたんだ 京太郎「わかったよ、すまん、ありがとう」 京太郎「正直小鍛治のこと見くびってた、見直したよ」 小鍛治「わ、分かればいいんだよ…///」 ほんとのことは言えないから何て言おうか 京太郎「…実はな、この生活を続けることに何か意味はあるのか、って悩んでいたんだよ」 なんだかこれだけ聞くと中二病のポエマーみたいだな… 小鍛治「それって中島○道的な、人生に生きる意味はあるのか、ってこと?」 中島○道って…チョイスが女子高校生じゃないよ小鍛治さん 京太郎「ま、まあ似たようなものかな?」 小鍛治「京太郎くんでもそういうこと考えるんだ、へえ…」 こんな突飛なこと馬鹿にされると思ったが、小鍛治は真剣に考えてくれているようだった しばらく小鍛治はうーんとうなっていたが、突然しゃべり出した 小鍛治「身も蓋もないかもしれないけど、そんなの人それぞれなんじゃないかな」 小鍛治「そういうことって、本を読んだりしても書いてないでしょ?」 小鍛治「…いや、書いてあるにはあるけど、でもそれって結局その人ものでしかないわけで…」 京太郎「うん?」 小鍛治「例えば仏教の本を読んだ人みんなが悟りを開くってわけじゃないよね?」 小鍛治「それと同じで、私が京太郎くんにどうこう一般論を言っても意味なんてたぶんないんだよ」 京太郎「つまり?」 小鍛治「つまり生きる意味なんてものは、日々の生活の中で様々なもの…」 小鍛治「例えば楽しい事とか苦しい事とかを経験して、そのたびに一生懸命自分なりに考えていく…」 小鍛治「その過程にしかないってこと、かな?」 京太郎「うーん……なるほど」 小鍛治「ご、ごめんね、かっこつけて偉そうなこと言って。あまり参考にならないよね…///」アセアセ なんとなく理解はできる 難しいこと言っていたが、つまり小鍛治は、そんなのは自分で考えるしかない 取りあえず今をがんばれ、と言っているのだ なるほどその通りじゃないか。俺らしくなかったな 京太郎「いやそんなことない、なんとなく分かった気がするよ」 京太郎「俺のために考えてくれてありがとうな、小鍛治」ニコ ナデナデ 小鍛治「ちちちちちょっとーーーー!!ななななななな、何してるのさ!!!?////」バッ 京太郎「あ、わるい。その、いつもの癖でな!?嫌だったろ、すまん!」 やべぇ、いつも咲にやってるみたいに同じことしちまった というか、いきなり(相手が小鍛治とはいえ)女の子の頭なでるとかありえんだろ普通 小鍛治「い、いや。そ、そのびっくりしただけだから、そんなに嫌ではなかったっていうかそのー……//////」カァァ 京太郎「そ、そうか!?」 小鍛治「う、うん…///」 小鍛治「そういえば、さっきの…癖って言ってたけど、いつも女の子にあんなことしてるの?」ジトー 京太郎「い、いや、小鍛治さん!?誤解しないでほしいのですが、いつもってわけではないんですよ?」 小鍛治「じゃあどういうときにしてるのさ?」 京太郎「ええとそうだな…長野にいたとき仲の良い女の子がいたんだけど…その子がまた小鍛治に似てるんだよ」 京太郎「すぐ道に迷うわ、何もないところでこけるわ、コミュニケーションに不安があるわ……」 京太郎「まあ、小鍛治とは少し方向性がちがうかもしれんが」 小鍛治「へぇー、わたしより酷い人もいるんだね」 自覚がないって恐ろしい 京太郎「ま、まあとにかく世話のかかる子だったんだよ」 京太郎「で、そういう子がさ、いつもより頑張ったりするとするじゃん?」 京太郎「そうすると何かムラムラっときて思わず頭をなでたくなっちゃうんだよ」 小鍛治「ま、まあ分からなくはないけど…」 京太郎「だから父性っていうのかな…娘の頑張る姿を見守る父親の気持ちというか…」 京太郎「つまり決して小鍛治の想像するような、やましいものではないんだよ!」 小鍛治「そ、そうなんだ」 京太郎「おう、分かってくれて嬉しいよ」 小鍛治「…でもそれって私のこともそういう目で見てるってことじゃあ――」ジロ 変に追及される前にスタコラサッサだぜ 京太郎「おおっともうこんな所か!今日はありがとな小鍛治またなー!」ダッ 小鍛治「ちょ、ちょっと話はまだ―――」 小鍛治「もう!」 俺は小鍛治の追撃を見事かわし、無事自宅という名のトシさんの家に到着した 京太郎「ただいまー!」 トシ「おやおかえり、少し遅かったね」 京太郎「今日は麻雀部の歓迎会があったからね、駅前の方まで行ってたんだ」 トシ「おや、結局麻雀部に入ることにしたのかい?」 京太郎「まあその…いろいろあってね」 小鍛治を入部させるため、ってことが一つの理由だがこれはさすがに話せないな トシ「…そうかい」 トシさんも何かを察しってくれたようだ 京太郎「それでなんだけど、改めてきちんと麻雀の指導をお願いしたいんだけどいいかな?」 トシ「それなら今でもやってるじゃないか」 京太郎「それはそうなんだけど…今まで以上に真剣に麻雀に取り組みたいんだ」 トシ「どういう心境の変化だい?」 俺の表情を見てトシさんも真面目に聞いてくる 京太郎「いつになるかわからないけど、俺は一年もしないうちに元の時代に帰ると思うんだ」 トシ「……」 京太郎「それでふと考えたんだ…ならこの時代での生活に何の意味があるのかなって」 京太郎「確かにこの時代の思い出は元の時代にまで残るのかもしれないよ」 京太郎「でも今の知り合いに、たとえ元の時代で会えたとしても誰も俺だとは信じてくれないと思うんだ」 京太郎「結局みんなにとって、熊倉京太郎と須賀京太郎は別人」 京太郎「そう考えると無性に寂しくなっちゃってさ…」 京太郎「それでこのことを、友達にに相談してみたんだ」 京太郎「そしたら、とりあえず今をがんばれ。意味は後からついてくる、って言われて…」 京太郎「だから、今できることを真剣に取り組みたいと思うようになったんだ」 トシ「……いい友達を持ったね」 京太郎「ちょっと頼りないけどね」 トシ「よし分かった。じゃあ今日からビシバシ行こうか」 京太郎「ありがとう!」 トシ「ただし、ひとつ条件を付けるよ」 京太郎「条件?」 トシ「私の指導を受けるときにはもう一人誰か連れて来なさい」 京太郎「誰かって?」 トシ「そうだね……例えばその『ちょっと頼りない友達』なんかいいんじゃないのかい」 ばれてたか…恐れ入りました 京太郎「了解です」 トシ「ああそれとね…さっきの話には一つ間違いがあるよ」 京太郎「えっ?」 トシ「私にとっては熊倉京太郎も須賀京太郎も同じさ」 トシ「たかが12年、私が自慢の孫を間違うはずないだろう?」 驚くほど優しく、自信たっぷりに、いくらか茶目っ気を込めて、そう言ってくれた さすがにその日の特訓には小鍛治は呼ばなかった トシさんの指導はそのセリフ通りなかなかビシバシと行われた しかし麻雀がうまくなるためならと思うと不思議と苦痛ではなかった トシさんのあの最後の言葉はとても印象に残った 誰かが自分のことを覚えていてくれる、そのことだけでいくらか救われた気持ちになった ――4月下旬 部活終了後 「「おつかれさまでしたー!」」 今日の部活終わりー。毎回やられっぱなしだと妙に疲れるぜ この状況を打開するために家に帰ってトシさんと特訓なのだが… さて小鍛治にはどうやって切り出そうか 小鍛治「相変わらずボロボロだったね」 京太郎「うるせー、こっちだって頑張ってんだ」 京太郎「……」 京太郎「そういや聞いたことなかったけど、小鍛治はどうやって強くなったんだ?」 小鍛治「わ、私はそんなに強くないよ。部長さんとかによく負けるし…」 小鍛治「でもルールなんかは本とか読んで知ったたし」 小鍛治「それに今時インターネットで麻雀できるからね」 この時代からネト麻って存在してたんだ…知らなかった 小鍛治「だから実践だって一人でできるから、そこそこ強くなることぐらいならできるよ」 京太郎「にしても俺より断然強いけどなー」 小鍛治「ま、まあね。才能の違いなんじゃないかなー、なんて///」ドヤァ 京太郎「……」 小鍛治「……」 京太郎「……」 小鍛治「な、なんか反応してよ!冗談なんだから//」アセアセ 京太郎「あー今の言葉傷ついたわー(棒)。なので謝罪と賠償を要求します!」 小鍛治「謝罪と賠償って……あ、でも麻雀を教えてあげることくらいならできるかも」 京太郎「ほー、そいつはありがたい」 小鍛治「だったらこの後――」ボソボソ 京太郎「でも残念! 俺には既に優秀な指導者が付いているのだ」 小鍛治「え、そ、そうなんだ…」シュン 京太郎「トシさんって言うんだけど…というか俺の祖母なんだけどね」 小鍛治「ああ、熊倉さん?」 京太郎「知ってるのか?」 小鍛治「うん、昔よく近所の子供とか集めて麻雀教室開いてたからね。私は参加したことないけど……」 小さい頃からコミュ障気味だったんだね、小鍛治さん… 京太郎「実はさ、トシさんからもう一人くらいなら指導できるって言われてるんだ」 京太郎「だから、良かったら俺と一緒にトシさんから教えてもらわないか?」 小鍛治「え、いいの?」 京太郎「おう、モチのロンだぜ」 小鍛治「め、迷惑じゃないかな」 京太郎「んなこたーない、むしろ小鍛治が来てくれるとトシさん喜ぶと思うぜ」 小鍛治「そ、そうかな?」 京太郎「そうとも」 小鍛治「……」ウーン 小鍛治「だ、だったらお願いしちゃおうかな」 京太郎「よしっ!では早速わが家に向かおうではないか」 小鍛治「え!?今からなの?」 京太郎「善は急げだぜ、小鍛治!」 小鍛治「で、でも菓子折りとか用意しなくちゃならないし。それに服装だって――」 京太郎「おまえは彼女の父親に挨拶に行く男か!そんなこといいからとっとと行く!」 ________ _____ __ 小鍛治「はぁー緊張してきたー…何か変なところない?」 京太郎「いつも通りきれいですよ、お嬢さん」 小鍛治「もうっ!そういうのはいいから!」 ガラガラガラ 京太郎「ただいまー!」 小鍛治「え、ちょっとまだ心の準備が――」 トシ「おかえりなさい。おや、今日はかわいらしいお嬢さんも一緒だね」 小鍛治「あ、あの初めまして、小鍛治健夜と申します!」ペコリ トシ「ご丁寧にどうも、私は熊倉トシだよ。今日は遊びに来たのかい?」 小鍛治「い、いえ。そのー…」アセアセ 京太郎「俺が一緒に特訓しようって誘ったんだ」 小鍛治「そうなんです」 トシ「そうだったのかい、じゃあ今日からよろしくね」 小鍛治「は、はい、よろしくお願いします」ペコリ 京太郎「じゃあ俺は飲み物でも用意してくるよ、小鍛治は何がいい?」 小鍛治「うーんと、じゃあ紅茶お願いできるかな」 京太郎「はいよー」 小鍛治は俺に助けを求めるような顔をしていた 初対面のトシさんと二人でいるのに不安を感じていたのだろう でもあえてここは心を鬼にしてそれを無視した トシさんなら全く問題ないだろうと思ったのだ 俺は先に台所に向かい飲み物の準備をした 10分ほどしてから応接間に行くと二人の楽しそうに談笑する声が聞こえてきた どうやらこの短時間に打ち解けることができたらしい あの小鍛治相手にすごい。どうやらトシさんはコミュ力もカンストしているようだ 京太郎「二人とも楽しそうに何の話をしてるの?」 トシ「女性の会話には首を突っ込まないほうがいいよ」 小鍛治「…ひみつ」 さいですか… トシ「では始めようかね」 この日も何事もなく順調にトシさんの指導が行われた トシさんの指導にはあの小鍛治も何度も感心していた 何回か三麻をしたが小鍛治ですら相手にならなかった しかしトシさんの指導の賜物か、俺もそこそこ上達してきたと思う 京太郎・小鍛治「ありがとうございましたー!」 トシ「こちらこそ楽しかったよ。健夜ちゃんは明日もくるのかい?」 小鍛治「とてもタメになったので、できれば毎日来たいくらいです」 小鍛治がこんなとと言うなんてかなり珍しい トシ「そう言って貰えて嬉しいよ、ありがとう」 トシ「じゃあ平日部活が終わったら来なさい。休日は復習でもしてるといいんじゃないのかな」 小鍛治「はい!ぜひそうします」 京太郎「話はまとまった?時間の方は大丈夫か小鍛治?」 もう夜7時を少し過ぎている、良い子は帰る時間だ トシ「なんだったら夕ご飯の用意もできるけど…」 小鍛治「いえ、そこまでして貰うわけにはいきません。今日は帰ります」 トシ「そうかい。じゃあまた明日ね」 トシ「京太郎、健夜ちゃんを送っておやり。最近は変質者だって出るんだから」 京太郎「え、歩いて10分くらいだし、それに小鍛治なんか襲うやつ――」 小鍛治「……」ギロリ 京太郎「送らせていただきます」 トシ「ふふ、いってらっしゃい」 とりあえず小鍛治を送ることになったので、二人で小鍛治の家に向かう 京太郎「今日はどうだった?トシさんすごいだろ」 小鍛治「京太郎くんのおばあさんにしておくには、勿体無いくらいね」フン 機嫌を損ねてらっっしゃる 京太郎「さっきのは悪かったって。実際こんな片田舎に変質者なんて現れないだろ?」 小鍛治「まあ、それはそうだけど…」 京太郎「でも驚いたよ、行く前は緊張しまくりだったのに10分そこらで仲良くなってるんだから」 小鍛治「うーん、それは私も不思議だったけど…でも実際すごくいい人だし」 まあ俺みたいのを住まわせてくれるくらいだからな 小鍛治「麻雀の腕も相当なものだよね、三麻やったときなんかたぶん全然本気出してないよ」 京太郎「まじで!」 小鍛治「うん、たぶんだけど私たちの実力を考えて最適なレベルで打ってたんだと思う」 そんな会話をしているとついに小鍛治の家に着いた 小鍛治の話によるとこれは借家らしい、だが十分立派なものだ 小鍛治「送ってくれてありがとうね、それに京太郎くん家も意外と楽しかったよ」 京太郎「意外とは余計だ。じゃあまた明日学校でな」 小鍛治「うん、また明日ね」 小鍛治を送り届けた後、家に戻ってきた 結局変質者なんか見かけなかったけど。あ、ちなみにタヌキはいました トシ「おかえり、ありがとうね」 京太郎「どうってことないよ」 トシ「でも健夜ちゃんとてもいい子だったじゃないか。話に聞いていた以上だよ」 京太郎「あれで人見知りがなければいいんだけどね」 トシ「はは、それは京太郎がしっかり面倒見てあげるんだよ」 京太郎「うん、分かってる。それで麻雀の方はどうだった?」 トシ「健夜ちゃんのかい?」 京太郎「うん」 そういうとトシさんは少し考える素振りをした 指導中何度か小鍛治のことを気にしていたので、恐らく既にその才能には気付いているのだろう なにせ将来は世界でもトップクラスの実力になるんだから トシ「はっきり言ってとてつもない才能があるね、あの子は」 トシ「まだ開花はしてないがいずれ世界を舞台に戦うようになると思うよ」 さすがトシさん、先見の明がおありで ――4月下旬 もう4月の最終週に入った。色々なことがあり時が経つのを早く感じる 最近気付いて驚いたのだが、この高校は文化祭を5月中にやってしまうらしい いちおう進学校とのことで、受験のために学校行事は早めにすることになっているそうだ で、今現在ホームルームでクラスでの出し物を決めているのだが 「ハイハイ!わたし演劇やりたい!」 「えー、無難に喫茶店とかでよくない?」 「お菓子食べたい…」ギュルギュル 「目立てればなんでも構いませんわ!」 「ダルいから動かなくていいもので…」 「タコスしかないじぇ!!」 「おもちもちもち、おもち喫茶だね!」ドヤァ 「わたしは衣装が作れればなんでもいいなぁー」 この通りみんな好き放題である。これでは一つに決まるわけがない ……いや待てよ、一見するとてんでバラバラな意見にも思えるが しかし大別すれば、演劇などの非日常空間の演出と食べ物の提供の二つに分かれる ならばこの二つの要求を満たしてやればいいではないか! 京太郎「安西先生!コスプレ喫茶がやりたいです!!」 けっして、おもち持ちの女子にきわどいコスプレさせたいなんて考えてない 「うーん、意外と面白そうじゃない?」 「それならわたし衣装作れそう」 「まあタコスを出すなら構わないじぇ」 「ダルい…けどまあいいかな」 「んほー!!えろい衣装きたーーー!!!!」 あれー、半分冗談だったのに意外と好感触? 小鍛治はというと 小鍛治「ふーん」 正直どうでもよさそうである 実行委員「ではここで多数決を採りたいと思います」 ________ _____ __ 結局その場のノリと勢いで、俺の意見が採用されコスプレ喫茶になってしまった 若さって時として恐ろしいね、うん 部員1「コスプレ喫茶って、意外と大変そうなの選んだなー」 京太郎「2年、3年になると受験とかあるじゃないですか。だから今のうちに大変なのをやっておこうかと」 もちろん嘘である 部長「うん、いい心がけじゃないか。しかし6月には県予選があるからな、練習の手は抜かないぞ」 副部長「でもなかなかおもしろそうじゃない。私必ず行くわ」 京太郎「ぜひ来てください!お客さんもコスプレできるようにしておきますから(ゲス顔)」 小鍛治「なんか悪い顔してる」ジー 京太郎「大丈夫、君には関係の無い話さ」キリッ 小鍛治「なんだか知らないけどバカされた!?」 いつも通りバカ話をしつつ、その日も部活をきちんと行った ――5月上旬 5月に入りいよいよ文化祭の準備が始まった 俺と小鍛治は内装担当ということになっている 正直衣装作りをやりたかったのだが、なぜか小鍛治に全力で止められてしまった ちょっぴり胸元の布面積が少ない衣装を提案しただけなのに…… 京太郎「小鍛治ー、そこのセロハンテープ取ってくれないか?」 小鍛治「はいどうぞ、変態さん」フンッ ごらんの有様である しかしせっかくの文化祭の準備、小鍛治にとっても皆と仲良くなる絶好の機会なのだが 当の小鍛治は変態である俺のそばからなかなか離れようとしない、どうしたものか 「イタッ!針刺さったー!」 「ちょっと!そこ縫い間違えてるよ!」 小鍛治「……」チラチラ 京太郎「ん?」 「だれかー、ミシンが動かなくなっちゃたんだけど助けてー!」 「ごめん針落とした、動かないでー!」 小鍛治「……」ソワソワ 京太郎「…」 「あわわ、あわわわわわ…」 「だめだこいつら…」 小鍛治「……」ドキドキ 京太郎「ふむ…なるほど」 俺は持ち場を離れ、衣装作り班のところに向かう 京太郎「大変そうだから俺にも少し手伝わせてくれよ」 「えっ、熊倉君裁縫できるのー」 「教えて、教えて!」 小鍛治「えっ」 京太郎「裁縫はそんなに得意じゃないんだけどなー」ドヤァ そう言って、針に糸を通し少々危なげに縫っていく 「意外とうまいじゃん!」 「私よりうまくできてる…」 小鍛治「……」ソワソワ うーんまだか、ならば 今度はすそ上げしたところをわざと並縫いにしていく 「へ、へぇ意外とやるじゃない」 「女として負けた……」 京太郎「惚れてくれったって構わないんだぜ、お嬢さ――」 小鍛治「それじゃダメだよ!」 京太郎「へ?」 小鍛治「すそ上げには並縫いじゃななくてまつり縫いにしないとだめだよ、貸して」 そういうと小鍛治は慣れた手つきで素早く縫っていく 小鍛治「ほら、この縫い方なら表からほとんど糸が見えないから見栄えがいいんだ」 「小鍛治さんすごーい!!」 小鍛治「そ、そんなこと無いよ//」 「熊倉くんより全然うまいよ!私にもそれ教えて!」 小鍛治「えっ、で、でも私内装担当だし…」 「いいじゃん小鍛治さん、熊倉君に任せちゃえば」 「内装班って男ばっかりでむさいからこっちこようよ」 むさいは余計だ 小鍛治「いいの…?」チラ 京太郎「おう、こっちは任せとけ!」 「決まりね、じゃあ小鍛治さん借りてくから」 最初の方は小鍛治もオドオドしていたが、徐々にあの女子グループにも慣れていっているみたいだ べ、別に小鍛治のことが気になって、こまめに様子を伺ったりしてたわけじゃないんだからね! 一方俺はというと… 「おう熊倉、暑いだろ?上着脱げよ、な!」 「なかなかいい筋肉してるじゃないか、触ってもいいか?」サワサワ 「飲み物買って来たよー、熊倉君はアイスティーでいいよね?」 「小鍛治がいなくなって寂しいんだろ?今夜俺の部屋来いよ、慰めてやるから」 身の危険を感じていた。なんかこの班分け偏ってません!? ――5月上旬 土曜日 え、土曜日は休みだって? 何を言っているのかな皆さん、12年前はまだ半ドンが主流ですよ さて、いよいよ文化祭の準備も本格的になってきた それと共にあのなんとも言えない、非日常的な独特の雰囲気が辺りに充満するようになってきた なので皆も授業中でありながら、どこかソワソワしているのを感じることができた そんな時、珍しく小鍛治の方から話しかけてきた 小鍛治「きょ、京太郎君ちょっといいかな?」 京太郎「おう、どうした」 小鍛治「あのね、今共同で使ってるミシンが壊れちゃってね…」 京太郎「そりゃ大変だ、家庭科室行って借りてこうぜ」 小鍛治「いや、さっき行ったらもうストックが無いんだって」 小鍛治「だから、私の家から持っていこうかと思うんだけど…」 京太郎「けど?」 小鍛治「わ、私だけじゃちょっと持っていけそうないから、授業が終わったら一緒に運んでくれないかな?」 うーむ、まだ女子連中には頼めないか 京太郎「おう、いいぞ」 _____ __ 午前中の授業も終わり、俺達は約束通り小鍛治の家の前までやってきた ていうか中に入るのは初めてじゃね?あーなんだか少し緊張してきた 小鍛治「どうかしたの?」 京太郎「男の子は女の子の家に訪問するとき、緊張するもんなのですよ」 小鍛治「ふーん」 ガチャ 小鍛治「ただいまー」 小鍛治母「おかえり、今日は早いのね」 小鍛治「ううん、違うの。文化祭の準備で使うミシンを取りに来たんだ。持って行っていいでしょ?」 小鍛治母「それは構わないけど……」 小鍛治母「ん?あら、あらあらあらあらあら」 俺の姿を確認してなにやら嬉しそうな顔をしている 小鍛治母「ちょっと待ってね……もしかしてあなた熊倉京太郎くんじゃない?そうでしょ?」 京太郎「ええ、その通りですが…」 小鍛治母「健夜からいつも話しを聞いてるわー、お世話になってるみたいで」 小鍛治「もう、おかーさん。そういうの止めてよ!」 小鍛治母「あらいいじゃない。そうだ!せっかく来たんだからおばさんの世間話に付き合ってくれない?」 京太郎「おばさんなんてとんでもない!まだまだお綺麗ですよ」 これはお世辞でもなんでもない、十分綺麗だ 小鍛治母「あら、ありがとう。お世辞でもうれしいわ。さ、上がって」 小鍛治「はあ…、私は自分の部屋に行ってるから終わったら呼んでね」 小鍛治母「あなた熊倉さんとこのお孫さんね。こんな好青年だったなんて、うらやましいわ」 京太郎「そんなことないですよ。でもありがとうございます」 小鍛治母「こっちこそ、ありがとうと言いたいわ、健夜と仲良くなってくれて」 京太郎「いえ、そんな」 小鍛治母「ほらあの子かなりの人見知りじゃない?だから最初は友達できるか心配してたのよ」 小鍛治母「でも入学してすぐくらいだったかしら…健夜が珍しく学校での話をしてね」 小鍛治母「まあでも、ほとんどあなたの話ばかりだったけどね」フフ 小鍛治母「しかもいきなり麻雀部に入るって言い出したりしてね、これもあなたのおかげでしょ?」 京太郎「はは、ほとんど無理やり引き込んだようなものですけどね」 小鍛治母「でも本当に嫌だったら入部しなかったと思うわ、あの子意外と頑固なところあるし」 小鍛治母「きっとあなたがいたから、入るのを決めたんだと思うわ」 なんだか歯がゆいことを言ってくれる 京太郎「そうでしょうか?」 小鍛治母「ふふ、そうよ」ニコリ その笑顔は小鍛治にそっくりだった 京太郎「すみません。そろそろ時間なんで行かないと…」 小鍛治母「あら、そうなの?引き止めてしまってごめんなさい」 小鍛治母「あとこれお詫びに貰ってくれないかしら」 そう言うと、なにやら水族館のチケットを手渡された 京太郎「いいんですか?」 小鍛治母「私が使うことなんてないからいいのよ、彼女とのデートにでも使ってちょうだい」 京太郎「彼女なんて生まれてこのかた、いたことなんてありませんよ」 小鍛治母「あらそうなの?なら尚更ね」ニコ 京太郎「?」 その言葉の意味はよく理解できなかったが、とりあえず頂くことにした そして小鍛治を呼び、ミシンを携えて再び学校に向かう 小鍛治「結局お母さんと何の話をしてたの?」 京太郎「小鍛治が家でいかにゴロゴロしてるかとか、未だに服はお母さんに買ってきてもらっている事とか――」 小鍛治「えっ!う、嘘だからそんなこと!?信じたりしたらダメだからねっ!?」 小鍛治「もうおかーさんたら、帰ったら……」ブツブツ あとは、如何に小鍛治のことを愛しているか、とかね―― ――5月中旬 文化祭二日目 いろいろあったが無事文化祭を迎えることができた (特定の)男友達からの執拗な攻撃に耐えることができたのは奇跡といってよいくらいだ だって彼ら、自分の仕事は韋駄天の如き早さで終わらせてほとんど俺にセクハラしてたもん 衣装作りの方は小鍛治が加わったおかげか、何とか終わらせることができたみたいだ 初日は学内のみでの開催だったが、今日2日目は一般公開される日だ なので今日が文化祭本番と言って差し支えないだろう 俺と小鍛治は午前中クラスの出し物を手伝い、午後は遊べることになっている 小鍛治「はぁー、何か緊張してきたよ…」 京太郎「昨日大丈夫だったんだから、今日も大丈夫だろ」 小鍛治は店員役はやらない、全力で拒んでたからね 小鍛治「それにしても…その衣装妙に似合ってるよね……」 俺はというと、上は工事済みで下は未工事の緑色の髪をしたキャラクターのコスプレをさせられている 最初は俺も慣れなかった。しかし時々男子の熱のこもった視線を浴びるうちになんだか… 京太郎「き、んきもぢいいぃぃ///」 小鍛治「どうしたの!?」 京太郎「すまん、少しトリップしてた」キリッ 小鍛治「そ、そう…」ドンビキ アホなやりとりをしているといつの間に開始を告げる放送が流れ、ついに2日目が始まった 30分もするとお客さんがそこそこ入るようになってきて、忙しくなってきた しかし俺はまったく別の意味ですごく忙しくしていたのだが… 「すみません、こっち向いてください!」パシャパシャ 「ポーズお願いします!そう、いいねっ!!」パシャパシャ なぜか俺のみコスプレ撮影会が開催されていた…他にもいるじゃん!? どうやら昨日の噂を嗅ぎ付けて、特殊な性癖をお持ちの大きなお友達がご来店してしまったようだ でも止めてなんて言えない、だって気持ちいいだもの ああ今ならアイドルとかレイヤーの方々の気持ちがよく分かる だから… 「いいね、いいね!ほらもうちょっと裾上げてごらん、ほーら(ゲス顔)」 仕方が無く… 「ふおおおーーーきたああああーーー!!!!」 「ブヒーーー!!ブヒブヒブヒ!!!」 こんなことを… 小鍛治「て、だめでしょ!!!?」 _________ _____ __ 京太郎「すまない小鍛治、迷惑をかけたな」キリッ 小鍛治「もう京太郎くんはコスプレ禁止!!分かった!?」 京太郎「はい…」 小鍛治の懸命の阻止もあり、撮影会は中止となった 男子のみんながネガの没収をしたが、その内何人かはそれをくすねようとしていた さらにそれを発見した女子がそいつらに金的を食らわせていた、おおう… そういうわけで俺は接客を外され主に料理を担当するようになっていた 「いらっしゃませー!」 小鍛治「あ、熊倉さんと……おかーさん!?」 小鍛治母「えへへ、きちゃった」テヘ トシ「ちゃんとやっているかい、京太郎」 京太郎「まあね。来てくれてありがとう!さ、こっちに座って下さい二人とも」 そういって2人分の席を引いて着席を促す 京太郎「2人は知り合いなんですか?」 小鍛治母「そうよ。でも会ったのはたまたまなの」 トシ「学校の前で出くわしてね。聞いてみたら行き先は同じみたいだから一緒に来たのさ」 京太郎「なるほど」 小鍛治母「でも京太郎くんと健夜はコスプレしてないのね、楽しみにしていたのに」 京太郎「まあ、その、いろいろありましてね……」トオイメ 京太郎「代わりにといってはあれですけど、最高のものを振舞いますよ。なにします?」 トシ「私は京太郎にまかせるよ」 小鍛治母「私もそうしようかしら、京太郎くん料理得意みたいだし」 京太郎「かしこまりました、では少々お待ちくださいませ」ペコリ 母親が来てコソコソしていた小鍛治を呼ぶ 京太郎「せっかく来てもらったんだ、コソコソしてないで手伝ってくれ」 小鍛治「別にコソコソなんてしてないもん!」 京太郎「はいはい」 まあ小鍛治の気持ちも分からなくない なんか知らないけど家族を友達に見せるのってちょっと恥ずかしいよね しかしお二方が来るのは予想していたので、準備は万端だ。特別に食材も調達してある まずは退屈させないように、食前の飲み物だ さて頑張るか __________ ______ ___ 小鍛治母「信じられないくらいおいしかったわ。まるで高級料理店のお料理みたい」 京太郎「そう言ってもらえて嬉しいです、作ったかいがありますよ」 小鍛治母「特にあの煮込み料理はよかったわ、作り方を教えて貰いたいくらいよ」 京太郎「それだったら、今度教えに行きましょうか?」 小鍛治母「いいの?ぜひ来て頂戴。ついでに健夜にも料理を教えてほしいくらい」 ちなみに小鍛治は全然料理できないみたいで、ほとんど雑用をしてもらった 小鍛治「私だってちゃんと手伝ったんだよ!?」 小鍛治母「あなた食材運んだり、レンジで温めたり…ほとんど雑用だったじゃない」 小鍛治「うっ…」 トシ「まあまあ、暇があれば私が教えてあげるから」 小鍛治「ほんとうですか!ありがとうございます」 俺達と会話を終えると2人は帰っていった もともと俺達の様子を見に来たのだから当たり前だが 小鍛治のお母さんは、娘が思いの外がクラスに溶け込んでいて安心したようだ 午前の、俺達の店番が終わりに近づいた頃、麻雀部の先輩達が遊びにきた 副部長「遊びにきたわよー」 部員2「あら、2人はコスプレしてないんだ」 京太郎「いろいろありましてね…」 小鍛治「私は全力で拒否しました」 副部長「なら私が代わりにしようかしら、たしかできるんだったよね」 そのセリフ待ってましたよ副部長 京太郎「ええ、もちろんお客様にも貸し出ししてますよ」 京太郎「副部長には特別な衣装をご用意したんで、こちらで着替えてください(ゲス顔)」 部員2「うーん、なんか悪い予感するし私はいいや」 ちくしょう!だがまあいい、メインディッシュの副部長さえいればね、ククク この時のためにどれだけ苦労したことか… 副部長のための衣装を作るために何度徹夜したことか… さらにトシさんの高級一眼レフカメラも土下座して借りたのだ、抜かりは無い 小鍛治「京太郎くん、また変なこと考えてるでしょ」ジロリ 滅相も無い しばらくすると副部長が俺が秘密裏に作成した衣装を身にまとい現れた 副部長「ど、どうかしら。なんだか少しスースーするけど////」カァァ 京太郎「すばらっ!すばらっ!!」パシャパシャ 小鍛治「やっぱり……」 部員2「うわあ……」ドンビキ 副部長「ちょっと恥ずかしいわね////」 京太郎「恥ずかしがることないです!これこそ長野スタイルなんですよ!!」パシャパシャ 京太郎「さあ、こちらの個室で記念撮影しますのでどうぞ」パシャパシャ 部員2「既にめちゃくちゃ撮ってるじゃん、それに個室ってなに!?」 京太郎「さあ、好きなポーズをとってー。はい、いい表情ですね!」パシャパシャ 副部長「そ、そうかしら////」 京太郎「素材がいいですからね!さあさあ前かがみになって!!」パシャパシャ 副部長「こ、こう///?」 京太郎「はあはあ///いいですよその調子です!さあ全てをさらけ出してっ!!!」パシャパシャ 副部長「///////」 京太郎「んほーーー!!すばっ!すばらーーー!!!!すばらすばら、す、すば――」ブヒブヒブヒブ 小鍛治「いいかげんにしようか」ニコリ ____________ _______ __ 京太郎「ハッ!?ドリームか……?」 京太郎「あれ!?副部長達は??」 小鍛治「2人とももう違うところに行ったよ」 京太郎「そうだっけ!?なんだか記憶が飛んでるような…」 小鍛治「これ、大切なものでしょ」ニコリ 小鍛治は手に持っていた俺のカメラを渡してくれた。あれなんで小鍛治が持ってるんだ? それに何かとても大切なものを写真に納めた気がするのだが…気のせいだろうか それになんだか顔がボコボコなんですけど…… いろいろとハプニングはあったものの、何とか自分達の仕事は全うできたと思う 午後の自由時間は小鍛治と一緒に部室で過ごすことにした ちなみに初日には俺は男子連中と一緒に回った 小鍛治も、あの衣装作りをしていた何人かと一緒に回ったらしい。たいした進歩だと思う 小鍛治は普段しないようなことをこの2週間しっぱなしで疲れたのだろう だから静かに過ごせるここを敢えて選んだ 小鍛治は本を読んでいたが、ふと顔を上げた 小鍛治「そういえば、これ返し忘れてたよ」 すると俺が作った長野スタイルの衣装を渡してきた 京太郎「ド、ドウシテコレヲ」ビクビク 小鍛治「どうせ副部長にでも着せようと思ってたんでしょ?」 京太郎「ナ、ナゼソレヲ」ダラダラ 小鍛治「はぁー、もういいよ、別に怒ってないから…」 京太郎「あ、ありがとうございます!小鍛治さまー」 小鍛治「調子いいんだから、まったく…」アキレ 小鍛治「あとこれ、すこしほつれてた所あったから直しておいたよ」 小鍛治「素人が作ったとは思えないほどきれいにできてたから、勿体ないしね」 京太郎「……そうか?まあ頑張って作ったからな」 小鍛治「裾上げの所のまつり縫いも、びっくりするくらいちゃんとできてたしね」 京太郎「……ふーん、そうだったか」 小鍛治「そうだよ。だから、そ、その……ありがとう////」 京太郎「ふふ、どういたしまして」 小鍛治「あーでも///よく考えたらこの服京太郎くんが持っていても仕方ないよね?」 小鍛治「だ、だからしばらく私が預かっておきます///」 京太郎「ひどい!」 その後もまったりと部室で過ごし、俺の高校生活始めての文化祭が終了した ――後日小鍛治家にて 小鍛治「あ、これ名前の刺繍までしてある…凝りすぎだよ京太郎くん……」 私、小鍛治健夜は今、京太郎くんの作った衣装を着ている 小鍛治「うわ、胸の部分ブカブカ…」 別に自分にも似合うかな?とか思って着たのではなく、単なる好奇心…ということにしておこう だからちょっとポーズをとったりしたっておかしくなんか無い、ついでに笑顔になったりして 小鍛治「キャハっ!」グギギ あ、だめだこれ でもこの格好はあまりにもきわどすぎるよ!胸なんか角度しだいでは見えちゃうしね! こんな痴女服着て外歩いたら一発で捕まっちゃうよ、犯罪だよ!? だからこの服を世に出さないためにも、私が管理しないとダメだよね、うん ふぅー、そろそろ着替えよう。こんなとこと誰かに見られたら変態だと思われるちゃうもんね ガチャ 小鍛治母「健夜ー、さっきのことなんだけど――」 小鍛治「あ」 小鍛治母「」 小鍛治「……」 小鍛治母「……」 小鍛治「……」 小鍛治母「……」 小鍛治「…なんか言ってよ」 小鍛治母「ごめんね、今度からそういう服買ってくるわね」ニコリ ガチャ 小鍛治「………」グスッ 小鍛治「ちがうよ!私の趣味じゃないよ!!」 小鍛治「お願い信じて!!おかーーさーーーん!!!!」 この後誤解が解けるのに2週間かかった もう絶対あんな服着ない!そう心に誓った ――6月 県予選前日 文化祭も終わり、いよいよ明日から県予選が始まる 俺を含め部員全員が集中して部活に取り組んできた 俺もこの二ヶ月でだいぶ上達することができたと思う だがそれと同時に他人との実力差を肌で感じることができるようになった 部長と副部長は全国区の選手だが、この2人には未だになかなか勝つことができない だからこそ簡単に、自分が全国大会へ進めるとは正直思っていない なので難しいことを考えず全力を尽くす、それだけだ 部長「今日はここまでにしよう、お疲れさま」 部長「いよいよ明日から県予選が始まる」 部長「日程はもう知っての通り、団体戦が先で個人戦は後だ」 部長「1年生は不慣れな部分もあると思う、なのでそこは3年生がしっかり面倒を見るように」 部長「細かいところはこのプリントにまとめてある、各自見ておくようにしてくれ」 部長「戦術、戦略はしっかり頭に叩き込んであると思う」 部長「実力だって、昨年と遜色ない…いやそれ以上だと私は考えている」 部長「だから今日はゆっくり休んで明日に備えてほしい」 部長「以上、解散!」 小鍛治「はぁー…緊張して今日は眠れなさそうだよ」 小鍛治「なんで部長は私を大将に置いたんだろう…ストレスで試合中吐くかもだよ……」 京太郎「たのむ、それだけはやめてくれ」 小鍛治「いいよね、京太郎くんは個人戦だけで」 小鍛治「一回団体戦に出て、この苦しみを味わった方がいいよ」 京太郎「はいはい分かりました。だから今日はゆっくりお休み」 小鍛治「もう!またおかーさんみたいなこと言って」 帰り道、分かれるまでずっと小鍛治の愚痴を聞かされた まあいきなりの本番で試合のトリを勤めるのは大変だろう。小鍛治ならなおさら ちなみに団体戦のオーダーは、部長、部員1、部員2、副部長、小鍛治の順番だ さて、明日の初戦どうなることやら… ――6月 インターハイ県予選大会初日 俺達6人は会場に到着し、荷物を控え室に置き待機することになった 俺達は去年団体戦で全国に行ってるので、シード扱いだ だから一回戦はお休みで二回戦からなのでけっこう余裕がある それまで俺は観客席で他の試合と見ることにした 会場の雰囲気に慣れたかったし、他校の実力を知っておきたかったからだ 二回戦が始まる頃に控え室にもどると、小鍛治以外はほとんど緊張した様子はなかった 部長「じゃあそろそろ行くよ」 部員1「いってらー」 _________ _____ __ 結果だけ見れば圧勝だった。なにせ次鋒で決着がついてしまったからだ 部員1「ごめん、飛ばしちった」テヘ 部長「すこやんを試合に慣らすために抑えとけと言ったろうが、アホ」 小鍛治「べ、別に大丈夫ですって。雰囲気には慣れましたし」アセアセ 部員1「ほら、すこやんもそう言ってるからいいじゃん!」 部員1「それに、そういう部長さんだってかなり相手を削ってたような」ニヤリ 部長「うっ、それは部の代表としての威厳をだな――」クドクド 結局初日はこれだけで終わってしまった、あっけない ――6月 県予選2日目 今日は団体戦の決勝だ 昨日の試合振りを見る限り大丈夫そうだが、最後まで何があるか分からない 部長も決して気を抜かないよう注意していた 部長「昨日はたまたま圧勝してしまったが、今日の決勝はそう簡単にはいかないだろう」 部長「なのでみんな気を抜かず、全力で試合に臨んで欲しい」 部長「特に小鍛治は昨日、誰かさんのせいで打てなかったから十分注意してくれ」 部長「他校の試合を見る限り、恐らく大将戦までには2位とそこそこ差をつけられると思う」 部長「だからと言っていきなりの決勝で緊張するなというのは無理だろう」 部長「なので状況しだいでは最初から守りに徹してしまっても構わない」 小鍛治「は、はい!がが、がんばりましゅ」 なんだか駄目そう…… _________ ________ __ 試合開始から順調だった 昨日ほどではないが火力のある先鋒、次鋒のふたりが点を取る その後堅実なうち方を得意とする中堅、副将のふたりが確実に守る 結局小鍛治の大将戦までには、2位と約3万点の差をつけて1位だった 普通ならもうほとんど勝ちは決まったようなものだが、肝心の小鍛治がなあー 小鍛治「い、いいいいいってきます」ガクガク はあー… 京太郎「うーん、なかかなあがりまで持っていけないですね」 部員2「あ、満貫」 副部長「まだ大丈夫だろうけど、緊張するわね…」 部長「当たり牌か、らしくない」 部員1「やばい追いつかれたぞ…」 副部長「ついにオーラスね…」 部員1「おっ、聴牌!」 「「…………」」 京太郎「うっしゃあーー!!ロンきたーーーー!!!!!」 部長「うるさい!」ポカ 小鍛治「た、ただいまです……」グッタリ 京太郎「おう!内容はともかく良くやったな、おめでとう!!」 部員1「2位のやつに追いつかれたときはさすがにやばかったけどな」 部長「まあいい、今日の試合は中身より結果が大事だった。勝ててよかったよ」 小鍛治「あ、ありがとうございます」グスッ 京太郎「お、おい!大丈夫か」 慌ててポケットからハンカチを取り出す 小鍛治「ち、違うの。追いつかれたとき、もうダメだって思って…それでも何とか勝つことができて――」 京太郎「そうか…わかったわかった」ナデナデ 小鍛治「うぅ…よかったよ~」ポロポロ しかし普段あまり感情を表に出そうとしない小鍛治が人前で泣くなんて 相当のプレッシャーだったに違いない そりゃそうだ、自分が負けてしまえば先輩達のインターハイが終わってしまうんだから まあ今は落ち着くまで存分に泣かせてやりますか ああもう、こんなに涙と鼻水が……制服、後で洗わないとな 京太郎「落ち着いたか?」 小鍛治「うん…」 先輩達には先に帰ってもらった 団体戦が終わったとはいえまだ個人戦があるし、それに小鍛治のこともあったから 先輩からは 部員1『すこやんのことよろしく頼むぞ、王子様!』ニヤニヤ とからかわれたが… 京太郎「改めておめでとう、小鍛治」 京太郎「まあ、その…内容はなかなかひどいものだったが勝ててよかったじゃないか」 小鍛治「ひどいって……まあぐうの音も出ないよ」シュン 小鍛治「勝てたとはいえ悔しかったよ…自分が思っていた以上に」 京太郎「………なら次、それでもダメならまた次打って、俺にかっこいいとこ見せてくれ」 小鍛治「…前向きなんだね」 京太郎「それくらいしか取り柄がないからな。約束だぞ」 小鍛治「うん。今度は絶対先輩達の足手まといなんかにならない。本当の意味で勝ってみせるよ!」 ――6月 県予選 個人戦 いよいよ俺の本番、個人戦だ 俺のいた時代とはルールが異なり、普通のトーナメント形式だ ちなみに小鍛治は参加しない。小鍛治いわく 小鍛治『団体戦だけでもやばかったのに、個人戦なんて出たら絶対雀卓にリバースするよ!』 とのことだ。まあ昨日の決勝戦を見る限り、胃に穴が空いてもおかしくなかったからな さて初日の午前の結果だが俺は見事三回戦を突破し、準決勝に駒を進めた 先輩達は部員1さんだけ三回戦で敗れたが、他3名は見事に1位通過をすることができた そして、三回戦を終えた俺は、今まさに準決勝の真っ只中 ここで最低2位なれば、部長の言った目標である上位入賞が確実となり決勝に進める 「ツモ、3000・6000!」 っ…!終盤でこれはきつい。2位でも決勝に進めるが…なんとか凌いで おっ、ツモった 京太郎「ツモのみ、1500・800」 よしっこれでいい!このまま無理せず2位通過を目指す!! それにしても1位の人やけにあごが尖ってるような… ???「きたぜ。ぬるりと……」 ____________ _______ ___ 部員1「おう!どうだった大将!!」 部員2「なにそのノリは…」 京太郎「………」 小鍛治「ど、どうしたの?」 副部長「あまりよくない結果だったのかしら」ボソ 小鍛治「きょ、京太郎くん元気だしなよ。ほら準決勝までこれたんだし十分頑張ったじゃない」 京太郎「………」 部長「京太郎くん…?」 京太郎「………」 京太郎「や、やりましたよ俺!!2位通過ですけど決勝進出ですっ!!!」 部長「へ?…………やったじゃないか!!上位入賞を目標にしろとは言ったが、ここまでやるとは…」 副部長「やったわね、すごいわ京太郎くん!」ムニュムニュ あ、ちょっ!たわわに実った果実の感触が…… 京太郎「いやぁー…そ、そんなことないっすよー//」デレデレ 小鍛治「むっ…!まだ全国行きが決まったわけじゃないんだからデレデレしない!!」 そういうと無理やり副部長を引き剥がしてしまった、おのれ小鍛治! 京太郎「そういえば、先輩達はどうだったんですか?」 部長「残念ながら副部長のみ決勝進出だ」 京太郎「そう、なんですか」 部長「なに、気にすることはない。君は次の試合のことだけ考えていればいいんだ」 小鍛治「今度は私たちも応援するから、頑張って!」 京太郎「おう!」 そしてついに決勝戦 まさか自分がこの舞台に立てるとは入部当初は全く考えてなかった 最初の大会ではすぐに負けてしまって、悔しさを感じることもなかったように思う だが今は違う。トシさん、小鍛治、部活のみんなに教えてもらって頑張ってここまで来たんだ きっと負ければ泣きたくなるほど悔しくなるだろう。だからこそ負けられない!! この人達に、俺は勝つ!!! 「狂気の沙汰ほど面白い………!」 「あンた、背中が煤けてるぜ…」 「御無礼」 ____________ _______ ___ 京太郎「あわ…あわわわ、あわわわわわわわ……」 小鍛治「だ、大丈夫…?」 京太郎「な、なんだよあれ…部長達はおろかトシさんより強いじゃんか……」ブツブツ 小鍛治「おーい」 京太郎「ぜってー高校生じゃないよ……強くてニューゲーム何度もしてるよ………」ブツブツ 小鍛治「……」 京太郎「そんなん考慮しとらんよ…」 京太郎「」ブツブツ 小鍛治「いいかげんしなさいっ!」スパーン 京太郎「はっ…!俺はいったい何を…」 小鍛治「いつまでグチグチ、京太郎くんらしくない」 小鍛治「いくらあの人外みたいな人達にボコボコにされたからって」 京太郎「そうだな……ありがとう」 小鍛治「でも負けて、ちゃんと悔しかったんだよね?」 京太郎「そりゃあ、まあ、かなり…///」 小鍛治「なら大丈夫だよ。熊倉さんも言ってた、悔しさを感じるうちはまだまだ強くなれるって」 小鍛治「さ、先輩達のところに行こう」 ???「ちょっと待ちな」 京太郎「あ、あなたは…アカギさん!」 アカギ「今日は酷い死合だったな…」 京太郎「っ……!!」 アカギ「だが…」 京太郎「?」 アカギ「だが、可能性は感じた…」 京太郎「!!」 アカギ「だから、また来い…!もう一度死線をくぐりに……!」 京太郎「は、はい!!」 アカギ「じゃあな」 こうして、俺達の県予選は終了した 女子の決勝では見事副部長が1位になり全国大会出場が決まった 結果だけ見れば、女子は団体戦優勝、副部長は個人戦でも優勝、俺は決勝まで進むことができた かなり上出来といえるのではないだろうか しかし負けは負けだ、いくらあの決勝の相手が人外の化け物だったとしても悔しいのは変わらない だから次こそは必ず、たとえ化け物相手だとしても、勝って全国に進んでやる! ――7月上旬 部員1「うい~、あっつー」パタパタ 県予選からしばらく経ち7月、かなり暑くなってきた 県予選を突破した俺達はインターハイに向けて猛練習を繰り返してきた 副部長「確かにここのところ妙に暑いわね~、なかなか集中できないわ」 汗でおブラが透けてますぜ、ぐへへ 小鍛治「こらっ!」スパーン 京太郎「いてっ!」 部員2「すこやんのツッコミも板についてきたね」 部長「ほら夫婦漫才はそこまでにして、対局に集中する」 小鍛治「め、夫婦なんかじゃありませんからっ///」 京太郎「その通りです。わたしはおもちにしか興味のない紳士ですから」キリッ 部員2「うわぁ…」 しかし暑い。クーラーは無いし、風もなかなか入ってこない。集中できないのも納得だ 部員1「ううーあちいよう~、集中できないよう~、やる気がおきなよう~」 部員2「うるさいなー、さっきから。なら一人で海でも行ってくれば?」 部員1「それだっ!!!」 部長「ダメに決まってるだろうが」 副部長「あらいいじゃない、県予選の打ち上げも結局しなかったし、ちょうどいいんじゃないかしら」 部長「いや、しかしだな…」 部員2「まあ、たまには息抜きも大事だと思うよ」 部長「うーむ」 京太郎「いいじゃないですか海!」 京太郎「照りつける太陽、砂浜を行く恋人達……はじける青春の象徴ですよ!!」 京太郎「先輩ッ!共に青春を謳歌しようぜっ!!」 部長「お、おう…」 ククク、見える見えるぞ!海=水着=ポロリ。完璧じゃあないかね、諸君 小鍛治「私は別にどっちでも――」 それは悪手じゃろ、小鍛治んコ ちっ!仕方ねえ… 京太郎「アー、小鍛治ノ水着姿タノシミダナー。キットスゴク似合ウンダロウナー」 小鍛治「た、たたたた楽しみ///!?」 小鍛治「んんっ…実は私も行きたかったんですよねー」スットボケ ちょろい 部長「んー、まあみんながそう言うなら、今週の日曜日にでも行くか?」 「「よっしゃーーーー!!!」」 部員2「私まだ水着買ってないんだよね、誰か一緒に買いに行かない?」 部員1「いくいくー!」 小鍛治「私も行っていいですか?実はそういうのよく分からなくて…」 副部長「なら私がいいの選んであげるわ」 部長「私も同行させてもらおうかな」 京太郎「私も行きますぅー。先輩にぃ似合うの選んであげるんだからっ!(裏声)」キャピッ 「「…………」」 京太郎「あげぽよ~(裏声)」 「「…………」」 部長「今日はもう終わりにしようか」 部員2「そうだね」 部員1「水着買いにいくのは土曜でいいよな?」 副部長「そうね、今から楽しみだわー」 小鍛治「どこに買いにいくんですか?」 副部長「えっとね駅前のデパートがやっぱり品揃えがいいわね。それに――」 ガラガラガラガラ 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「ありえんてぃ~、まじウケるんですけど~(裏声)」キャピッ 京太郎「……意外とイケルなこれ」マガオ ――7月上旬 日曜日 ピンポーン トシ「はーい」 小鍛治「おはようございます」ペコリ トシ「おはよう健夜ちゃん、今日はかわいらしい格好だね」 小鍛治「そ、そうですか//ありがとうございます」 小鍛治「ええと…京太郎くんお願いできますか?」 トシ「はいはい、分かってるよ。今呼んで来るからね」 -------------------- 小鍛治「お、おはよう///」 めずらしく、というか小鍛治の私服を見るのは初めてかもしれない 京太郎「おうおはよう、待たせたな。さっそく行くか」 トシ「こら、女の子がおめかししてるんだから、何か言うことがあるんじゃないのかな?」 小鍛治「べ、別におめかしなんてしてませんから///」 と言いつつ顔を赤らめてるんだから世話無い 下からブラウンのサンダル、白~ベージュのロングスカート、紺色のシャツ 手にはさっきまで被っていたであろうキャスケットを持っている まあ、正直言えば… 京太郎「かわいい」ボソ 小鍛治「え?」 京太郎「い、いやその…似合ってると思うぞ」 小鍛治「そ、そうかな//ありがと///」 京太郎「……」ジー 小鍛治「///」 トシ「……」 トシ「あーこほん、時間は大丈夫なのかい?」 京太郎「あ、そうだった早く行かなきゃ!じゃあ行ってきます」 小鍛治「い、行ってきます//」 トシ「はいはい、気をつけて行ってらっしゃい」 その後先輩達と駅で合流し、そのまま近くの海水浴場まで向かった 長野には海がなかったので、こういう行為自体とても不思議に感じたものだ そして俺は今、荷物番をしながら着替えに行った女性陣を待っているのだが… 京太郎「おうふ、緊張してきたでござる」 あー早く部長と副部長の水着姿を拝みたいものだぜ なんたって今日のメインイベントにして、人生最高の瞬間が目の前に迫っているのだ 緊張しないということがあるだろうか、いやないっ!! 部員1「京太郎ー!またせたな」 部長「荷物番ありがとう」 副部長「ふふ、おまたせ」 部員2「ごめんね、荷物番させちゃって」 京太郎「……」 おお、神よ……トイレを我慢してるときにしか信じないけど、あの神よ この機会を私に与えてくれたことを心より感謝しております 京太郎「エイメン…」 部長「どうした!?」 部長は黒を貴重としたビキニ、ビキニですよっ!?しかも紐!? もともとモデル体系なので、そのシンプルさが逆にそのスタイルを際立たせている、実にけしからん 京太郎「ブラボー、ブラボー!!」 部長「頭大丈夫か?」 副部長もまたビキニなのだがこちらは明るい色が基本だ。だがなんといってもそのパレオ! うーむ、エロいことこの上ない。その隙間から見える太ももがたまらんですたい 胸なんかこぼれそうになってるしね。支えてあげなきゃ(使命感) 京太郎「名前を付けて保存!名前を付けて保存!!」 副部長「大丈夫?日陰で休んできたら?」 部員2さんは控えめなワンピースタイプで、その性格と非常にマッチしている、うーん実にいい なんかこういうの見るとおじさん脱がせたくなっちゃうよね、ぐへへ 京太郎「エクセレントッッ!」 部員2「うわ…きもっ!」 部員1さんは……まな板かな? 京太郎「そういえば小鍛治はどこ行ったんですか?」 部員1「あれ、私は!?ひどくね!」 すると先輩達の後ろからオズオズと小鍛治が姿を現した 京太郎「ってパーカーかよ!?」 副部長「どうしてもって言ってきかなくてねー」 小鍛治「あぅ…///////」モジモジ まあ小鍛治らしいといえばその通りか… はあー… それからは全くの平和そのものだった みんな思い思いの過ごし方をしていた ビーチボールで遊んだり、泳いだり、砂遊びしたり、肌を焼いたり 決して、副部長がヤンキーに絡まれて困っているところを俺が颯爽と登場して解決したり… 部長が遊泳中に足をつって溺れかけてるところを俺が助けて、ついでに人工呼吸したり… なんてことはございません、ポロリもございません ただ、俺が作ってきた昼食をみんなに振舞ったらすごく喜ばれたのは素直に嬉しかった そして日が沈み始めて、そろそろ帰ろうという頃に小鍛治が話かけてきた 小鍛治「ね、ねえ…」 京太郎「ん、どうした?」 小鍛治「ちょっとこっち来て////」グイッ 小鍛治に連れられて、歩いていく すると人目のつかない岩場まで案内された この状況は…ま、まさか!? 京太郎「やめて! 私に乱暴する気でしょう? エロ同人みたいに!」 小鍛治「何言ってるの!?」 京太郎「すまん、言わなきゃいけない気がして…」 小鍛治「もうっ!」 京太郎「んで、どうしたんだ?」 小鍛治「ええと…さ、その…」モジモジ 京太郎「どうした?も、もしかして具合が悪いのか?」 京太郎「待ってろ、今先輩達呼んでくるから!」 小鍛治「いや、違くて……その…見たい…?」カァァ 京太郎「へ、何をだ?」 小鍛治「だ、だから!その……私の水着…姿//////」ゴニョゴニョ 京太郎「う゛ぇ!?そ、そりゃあ…まあ…できれば///」 なに正直に言ってるんだ俺のおバカ 小鍛治「わ、わかった///」 小鍛治「でもあくまで京太郎くんが見たいって言ったから!仕方なくなんだからね!」 京太郎「お、おう」 パーカーのジッパーを下ろし、恐る恐るといった感じで脱いでいく なんだか知らんが、手汗がびっしりと出てきた。つまり俺も緊張している 脱ぎ終わると… 小鍛治「///////」モジモジ 白を基調としたシンプルなビキニだ 京太郎「意外、だな…」 小鍛治「せ、先輩達がこれがいいっていうから//」 京太郎「そ、そうか」 小鍛治「で、どう…かな?」 いつもならからかう場面だ しかし、夕日を浴びたその姿は正直言ってとても… 京太郎「すごく、き――」 部員1「おーい、すこやんと京太郎ー!どこだー!帰るぞー!!」 小鍛治「ひゃ、ひゃい!?」 京太郎「Oh…」 タイミング良過ぎませんかねぇ、先輩… その後、帰り支度をすぐに済ませ、帰途についた 先ほど先輩の邪魔(?)があったせいか、小鍛治とは気まづくなってしまっていた 駅で先輩達と別れ、今は小鍛治と一緒にバスが来るのを待っている 京太郎「今日は楽しかったな」 小鍛治「う、うん」 京太郎「いい気分転換になったし、これでインターハイに向けての練習に集中できるな!」 小鍛治「そう、だね」 京太郎「…なあ、あの時の水着姿だけど」 小鍛治「っ…!!さささささ、さっきあれは無し!!無しですっ!!」 小鍛治「京太郎くん忘れて!私も忘れるからっ!!そうっ、これでイーブンだから!!」 京太郎「お、おう」 なにがイーブンなのだ… 京太郎「あ、バスきた」 乗車すると俺達以外は誰もいなかった この時間帯、それに加えて元々利用者が少ないから仕方ない 小鍛治はというと相当疲れたのかバスに乗るとすぐさま『寝て』しまった 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「あー小鍛治、寝てるよな?」 小鍛治「……」ピク 京太郎「一回しか言わないからよく聞いておいて欲しいんだが…」 小鍛治「……」 京太郎「さっきは悪かった。せっかく勇気出して俺に見せてくれたのに感想も言えないなんて」 小鍛治「……」 京太郎「でもあのときすぐに言葉が出てこなかったのは、その…見とれてたからなんだ」 小鍛治「…//」 京太郎「すごく似合ってたよ。部長や副部長よりずっと」 小鍛治「…///」 京太郎「はい、恥ずかしい話おしまい。おれも寝るから着いたら起こしてくれ」 小鍛治「……ばか///」ボソ
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3479.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1395056778/ ギーコ ギーコ ギーコ 錆びついた車輪が耳障りな悲鳴を上げる中、俺はあくびまじりに自転車を漕いでいた。 京太郎「……ふわぁーあ、ったく、何で俺が朝っぱらからこんなことしなくちゃいけないんだよ?」コギコギ 咲「えへへ、えっと、ごめんね」 京太郎「そう思うんなら、自転車の荷台から降りてくれよな。お前が重いせいで、車輪が悲鳴あげてるんだけど」コギコギ 咲「お、重くないよ! 大体、京ちゃんがこんなボロボロの自転車を出すから悪いんじゃん」 京太郎「仕方ねえだろ。お前、何の連絡もなしにいきなり訪ねてくるし」 京太郎「大体、こっちはプロ入りが決まってるお前と違って、受験勉強が忙しかったんだぞ」 咲「あ……ごめん」 俺の八つ当たりじみた言葉に、咲は申し訳なさそうに謝る。 京太郎(はぁ、こんなこと言うつもりなかったのに、何やってんだよ、俺のばか) 京太郎「あ、いや、俺の方こそ僻みみたいなこと言って悪かったよ」 咲「ううん、私の方こそ無神経なこと言って、ごめんね。京ちゃんも忙しかったのに……」 咲「……って、思わず謝っちゃってたけど、よくよく考えたら受験勉強と自転車が錆びついてるのって全然関係ないよね!?」 京太郎「ん……そういえばそうだな」 咲「もうっ、罰として駅までちゃんと私を運んでもらうからねっ」ギュッ そう言うなり、幼なじみは俺に抱き付いてくる。 京太郎「おっ、おいっ、咲っ、ばかっ、離れろって」 咲「へっへーん、離れませんよーだ」ギュゥッ 京太郎(ったく、こいつ、どういうつもりだ? こんな無防備に抱き付いてきやがって) 咲「ほらほら、京ちゃん、上り坂だからってペース落ちてきてるよー」 京太郎「あのなー、お前が抱き付いてくるから――」 咲「んー? 私が抱き付いてくるから、何なのかなー?」ギュゥゥ 京太郎「な、何でもねえよっ」 咲「ふふっ、京ちゃんってば、もしかして照れてるのかなー?」 京太郎「んなわけねーだろ。大体、お前のぺったんこな胸なんて押し付けられても嬉しくねえっての」 咲「むぅっ、何さっ、私だってちょっとは膨らんできてるんだからねっ」 京太郎「へぇ、膨らんでるってどこが? 俺には全然わからねえなぁ」 咲「ほんのちょっとだけなんだから仕方ないじゃんっ、京ちゃんのばかっ」ギュゥゥ 拗ねたように口を尖らせながら、ますます抱き付く力を強くする咲。 京太郎「だから、抱き付いてくんなって! わかったよ、ぺったんこなんて言って悪かった。咲の胸は優希よりあるから!」 咲「どうして、そこで優希ちゃんの名前が出るのかなー?」ジロッ 京太郎「いや、それは――」 咲「京ちゃん、もしかして優希ちゃんと……」 京太郎「ばかっ、そんなわけねーだろ!」 咲「……ふふっ、そうだよね。京ちゃんが優希ちゃんとなんて……そんなの、ありえないよね……」ギュゥゥ 京太郎「ははっ、当たり前だろ――って、あの、咲さん、さっきより抱き付く力が強くなってる気がするんですけど?」 というか、角が背中に刺さってるんだが。 咲「えっ!? あっ、うっ、うぅっ、ち、違うのっ、これはっ、そのっ、ほ、ほらっ、もうちょっとで坂道が終わるから、ラストスパートだよっ」アセアセ 京太郎(何がラストスパートなんだか。ったく、こんな朝っぱらから一人で怒ったり焦ったり忙しい奴だなー) そんなことを思いながら、それに付き合ってる自分も大概だなーなんて自転車を漕ぎつつ思う。 静かな街中、俺の自転車の耳障りな車輪の悲鳴だけが響いていた。 京太郎「…………」 咲「どうしたの、京ちゃん?」 京太郎「いや、まだ日も出てない朝っぱらだから仕方ないけど、町が静かすぎてさ」 京太郎(……なんか、こうしてると世界中に二人だけみたいだなって) 咲「ん? 何か言った? 聞こえなかったんだけど」 京太郎「な、何でもねえよ!」 咲「えー、意地悪しないで教えてよ~」 京太郎「絶対教えないっ」 こんなこと教えるくらいなら、死んだ方がマシだっての。 咲「いいじゃん、教えてよ――あっ……」 京太郎「ん、どうしたんだよ? 何かあったの――うわ……すげえな」 それ以外の言葉がなかった。 坂道を上った俺たちを迎えてくれたのは―― 咲「うん、朝焼けってこんなに綺麗なものだったんだね……」 京太郎「ああ、そうだな……」 今まで見たこともないくらい大きくて綺麗な朝焼けだった。 咲「ふふっ、ありがとね、京ちゃん」 京太郎「何でありがとうなんだよ?」 咲「ん、何でだろ? 何となくかな、ふふっ」 京太郎「そっか……変な奴」 咲「私、変かな?」 京太郎「いや、そうでもないかも……」 咲「もうっ、どっちなのさ?」 京太郎「ははっ、どっちなんだろうなー」 咲「さっきから適当なことばっかり言って~私のことからかってるでしょ? 人と話すときはちゃんと顔を見て話すって習わなかったの?」 京太郎「ばかっ、自転車乗ってるのに後ろ向いて運転する奴がどこにいるんだよ?」 咲「むぅ、確かにそうかもしれないけど、少しくらいは私のこと見てくれてもいいじゃん」ムスッ 京太郎「無茶言うなっての……」 京太郎(……ったく、振り向けるわけねーだろ) こっちは今にも泣きそうで、それどころじゃねえんだから。 京太郎「ちゃんと切符買えたかー?」 咲「もうっ、子供扱いしないでってば。いくら私が方向音痴でも切符くらい買えるよっ」 京太郎「ははっ、そりゃそうだよな。これから東京に行くのに、長野で迷ってたら洒落になんねえもんな」 京太郎「今度、俺が東京に行くことがあったら、咲に案内頼むからよろしく頼むぜー」 咲「そんなっ、案内なんて無理だよ~」 京太郎「冗談だって」 咲「もうっ、京ちゃんのいじわるっ」 京太郎「ごめんごめん、悪かったよ。でも、マジで気を付けろよ。お前、ただでさえ危なっかしいんだから」 咲「ふふっ、心配してくれるんだ?」 京太郎「ばっ、そんなんじゃねえよっ。ポンコツな幼なじみが迷子で警察に保護されたりしたら、こっちが恥ずかしいだろ」 咲「わ、私だって少しは成長してるんだよっ」 京太郎「へぇ~、この三年間のインターハイで、お前の迷子で何回、俺が駆り出されたか知っててそれを言えるのか?」 咲「あっ、うぅ、ごめんなさい」 京太郎「……とにかく、お前はすぐに迷子になるくせに、うろちょろするからな」 京太郎「俺がいたときはまだ良かったけど、もう俺はいないんだから、うろちょろすんなよ」 咲「うん、わかってる。向こうには京ちゃん、いないもんね……」シュン 京太郎「あ……い、いや、そういう意味じゃなくて」 だったら、どういう意味かって聞かれたら、俺も困るけど。 京太郎「ほ、ほら、和も東京の大学に合格したし、照さんだって東京でプロやってるんだから」 京太郎「咲の迷子なんて、そこまでたいした問題じゃないかも」 咲「ふふっ、どっちなのさ?」ニヤニヤ 京太郎「えっと、だから、それは……」 俺が答えに困って、しどろもどろになっていると咲がニヤニヤしながら、こちらを見ていた。 京太郎「おい、お前、もしかして俺のことからかってないか?」 咲「えっ、な、何の事かな~」 目を逸らしながら、吹けもしないくせに口笛を吹こうとする咲。 京太郎「ったく、心配して損したぜ。そんだけ図太けりゃ、問題なさそうだな。っと、俺も入場券買うから、そこどいてくれよ」 咲「えっ、ホームまで見送りしてくれるんだ?」 京太郎「まあ、いくらポンコツでも幼なじみだし、それくらいはな」 咲「もうっ、ポンコツじゃないもんっ」 京太郎「どの口が言ってんだよ」 軽口を叩き合いながら、券売機の前に立つ。 入場券のボタンを押しながら、咲に気付かれないように小さくため息を吐いた。 京太郎(咲はこれから東京なのに……俺はただの入場券か) 京太郎(ほんの少し前まで、隣りにいる幼なじみと思ってたのに、なんかもう遠い世界の人間みたいだ) 咲「京ちゃん、どうしたの?」 京太郎「いや、何でもねえよ」 咲「でも――あっ、鞄の紐が……」グィッ 改札口に鞄の紐を引っ掛けた咲が俺を見ていた。 京太郎(おいおい、これからってときに何してんだよ……) 咲「きょ、京ちゃ~ん」グィグィ 今の情けない咲の姿を見て、絶対無敵のインターハイチャンピオン『清澄の嶺上使い』として 君臨していた姿を想像できる人間が、果たしてどれだけいるだろうか? そんなことを思いながら、目を合わせないように頷いて、鞄の紐に手を掛ける。 京太郎(こんな紐なんてすぐ外せるだろうに、咲も何やってんだか……) 咲「……京ちゃん、取れそう?」 京太郎「…………」 京太郎(ほんと、何やってんだろうな……俺) どうしてだろう? こんな紐なんて簡単に外せるはずなのに、なかなか外れてくれない。 京太郎(ああ、そうか。このまま紐が外れずに咲が電車に乗り遅れたら――なんて、そんな……) 咲「……あっ、外れた。ありがとね、京ちゃん」 京太郎「……ほら、そろそろ電車の時間だろ。行こうぜ」 そんなことあるわけないのに、そんな都合のいいことを考えてしまう俺がいた。 ジリリリリリリリリリリ 京太郎「電車、来たみたいだな」 咲「うん、そうだね」 京太郎「…………」 咲「…………」 京太郎「…………」 咲「…………」 京太郎「……見送り、俺だけで良かったのか?」 無言の中、絞り出すように俺はどうでもいい疑問を口にする。 咲「うん、大勢に見送られるのって苦手だし、それにみんながいたら、私、電車に乗る勇気が消えちゃうかもしれなかったから」 京太郎「そっか……」 咲「それじゃ、京ちゃん」 京太郎「……ああ」 咲「行ってきます」グッ 京太郎(行ってきます、か……もしも、もしも、俺がここで引き留めたりしたら、咲はこの一歩を踏み出さずにいてくれるんだろうか?) 京太郎(だとしたら俺は、俺は――) 京太郎「咲っ……」 何万歩よりも距離のある一歩を踏み出そうとする咲に声をかける。 咲「ん? どうしたの?」 振り返る咲に向かって、俺は―― 京太郎「――が、頑張れよ……」 咲「……うん」 幼なじみは笑顔で頷いた。 俺は――結局言えなかった。 京太郎(……駄目だ。俺なんかが咲を引き留めて良いわけがない) 京太郎(咲はもう俺とは違う世界の人間なんだ) 京太郎(きっと遠くない未来、咲は世界を舞台に戦うことになる……そんな凄い奴の未来を俺のわがままなんかで壊せるわけがない) 京太郎「…………」 咲「京ちゃん……」 京太郎「何だよ?」 咲「約束だよ、必ずいつの日かまた会おう」 京太郎「…………」 京太郎(……無理だよ。お前はもう俺とは違う世界の人間なんだ。お前だって、それくらいわかってるだろ!?) 俺は応えられず俯いたまま手を振った。 せめて、この別れを互いに笑顔で迎えられるように。 咲の顔を見たら、俺は泣いてしまうかもしれない。 だから、咲が笑って行けるように。 けれど、 咲は泣いていた。 閉まっていくドアの向こうで、俺の幼なじみは大粒の涙をこぼして泣いていた。 震える声で、声にならない声を上げて、咲は泣いていた。 瞬間、俺の中で何かが弾けた。 京太郎「咲っ、俺はっ、俺は――」 走り出す電車に向かって、喉が張り裂けそうなくらい大声で名前を呼ぶ。 俺の声に気付いた咲が俺の方を見る。 京太郎「俺は、お前のことが――」 走って走って電車を追いかける。 けれど、 京太郎(駄目だ。届かない……) そう思った瞬間、俺はフェンスを乗り越えて、立てかけていた自転車に飛び乗っていた。 京太郎「はぁっ、はぁっ、くそっ、根性出せよ、このボロチャリ!」 さっきまで咲を乗せて上っていた坂を、今度は電車を追いかけて全速力で下っていく。 錆びついた車輪が、これ以上無理だと悲鳴を上げるが、そんなの知ったことか。 京太郎「はぁっ、はぁっ、咲っ、俺はずっとお前のことが――」 線路沿いの下り坂を風よりも早く飛ばしていく。 俺の頭の中にあるのはただ一つ。 京太郎(俺はずっと咲に追い付きたかったんだ) ずっと隣にいると思っていた幼なじみは、気付いたらずっとずっと遠くを歩いていた。 俺なんかのボロチャリじゃ追いつけないくらい、ずっと遠くに。 京太郎「でも、それでも俺は――」 錆びついた車輪が自分でも耳障りなくらい悲鳴を上げて、電車と並ぶ。 最後尾の車両から、こちらを見ている咲の姿が見えた。 幼なじみは泣きながら俺に向かって、何かを叫んでいた。 電車がスピードを上げる。 なんとか精一杯電車と並んでいたけれど、やっぱりどうしようもなくて、ゆっくり離されていく。 遠くなっていく幼なじみの姿。 その姿を目に焼き付けながら、俺は、 京太郎「――約束だ! 必ずいつの日かまた会おう!」 離れていく幼なじみに見えるように大きく手を振りながら、大声で叫ぶ。 俺からはもう咲の姿は見えない。 けれど、電車が見えなくなるまで手を振り続けた。 京太郎「はぁっ、はぁっ、はぁっ」 ここ数か月、ずっと受験勉強をやっていたせいか、なかなか息切れが治まってくれない。 京太郎(我ながら、バカなことしたもんだな……) そんなことを思いながら、目を閉じる。 どれくらい、そうしていただろうか。 気付けば、俺の周りには通行人の姿。 ほんの数十分ほど前に『世界中に二人だけみたいだな』なんて言ったのが嘘のように、町は賑わいだしていた。 京太郎(でも、もう俺の隣りにあいつはいないんだよな) 遠い世界に行ってしまった幼なじみ。 それを思うと、 京太郎「まるで……世界中に一人だけみたいだなぁ」 こんな風に小さくこぼすくらい、許してくれよ、なんて思う。 ギーコ ギーコ ギーコ 錆びついた車輪に悲鳴を上げさせながら、俺は自転車を漕ぐ。 京太郎(元々ボロチャリだったけど、無理させすぎたせいか、車輪の悲鳴がひどくなってきたな) それでも先ほどまでとは違って、後ろに幼なじみは乗ってないから、家に辿り着くまでは踏ん張ってくれると思うけど。 通行人を避けて、車輪の悲鳴を響かせながら街中を行く。 穏やかな春の早朝。 ふと気が付けば、まるで先ほどまでの出来事は夢だったのかもしれない、そんな風に思ってしまう自分がいて。 でも、 京太郎「確かに咲は俺の後ろにいたんだよな」 背中に残る微かな温もりとともに、俺は小さく笑った。 咲(……やっぱり、こういうパーティーとか苦手だな) 周りの人が楽しそうにお酒を飲みながら談笑している中、私は部屋の隅でちびちびとお酒を飲んでいた。 はやり「咲ちゃーん、飲んでる~?」 咲「あっ、瑞原さん」ペコッ はやり「もうっ、今夜は無礼講なんだから、はやりんで良いって言ってるのに」 咲「あはは……じゃあ、はやりんさんで」 私は苦笑いを浮かべながら、頭を下げる。 はやり「……ねえ、やっぱり、こういうパーティーってまだ苦手?」 咲「いえ、そんなことは……すみません、やっぱりまだ苦手です」 はやり「そっか。でも、スポンサーの人たちも私たちの優勝を祝ってくれてるんだから、せめてパーティーの間くらいは笑顔でないとね」ニコッ 咲「……すみません。そうですよね」ニコッ 無理やり笑顔を作る。 プロになって一番上手くなったのは、麻雀じゃなくて作り笑顔かもしれない。 そんなことを考えながら、私はずいぶんと遠いところまで来てしまったんだな、なんて思った。 実際、プロの雀士になったからといって、ただ麻雀を打っていれば良いというわけではなかった。 今さらな話だけど、プロになって数年が経ち、当初は受け入れられなかったそのあたりのことも、 ようやく呑み込めるようになったのかもしれない。 国内の大会だけじゃなくて、海外の大会にも参加して活躍するようになると、ますますそれは増えていったし。 お姉ちゃんはそのあたりのことは完全に割り切ってるみたいだけど、私はまだそうはいかない。 なんとか呑み込んではいるけど、喉の奥に何かが引っ掛かる感じが取れなかった。 もしかしたら、小鍛治さんもそういうのが嫌で、隠居しちゃったのかな、なんて。 でも私には小鍛治さんほどの勇気はないし、自分に期待してくれている人たちに背を向けられる度胸もなかった。 それにあの日、頑張れって言ってくれた幼なじみがどこかで応援してくれてる。 あの時の思い出があれば、私はどんなことでも頑張れる。 そう思えたから。 はやり「あれ? 咲ちゃん、良い笑顔だね。もしかして、昔の彼氏のことでも思い出してた?」 咲「ち、違いますよっ。それに彼とは恋人なんかじゃ……ありませんでしたし」 はやり「だとしても、咲ちゃんみたいな良い子を何年も放っておくなんてひどいよ」 咲「別に……私はいいんです。思い出は綺麗な思い出のまま取っておいた方が素敵ですし」 はやり「ふぅん、本当にそう思ってるのかな?」 瑞原さんは3■歳とは思えないほど澄んだ目で、私の目をじっと見てくる。 私はこの人のこういう真っ直ぐなところが苦手だった。 はやり「ふふっ、いじわるしてごめんねっ☆」 咲「いえ、私は別に……」 はやり「そうそう、咲ちゃんも最近忙しいし、マネージャーさんが付くって話聞いてるよね?」 咲「話だけは聞いてますけど。マネージャーって言われてもピンと来なくて」 はやり「監督に聞いてみたんだけど、長身のイケメンさんなんだって」 咲「そうなんですか……」 はやり「反応が薄いねー。やっぱりまだ昔の彼氏さんのことが――」 咲「だから違いますって!」 パーティー中だというのに、大きな声を上げてしまった。 みんなの視線が一斉に私に向く。 会場内は何とも言えない空気になっていた。 咲(やっちゃった。どうしよう……) はやり「はややっ、咲ちゃん、飲みすぎちゃって気分が悪いの?」 咲「えっ? あの、瑞原さん?」 はやり「うーん、それは仕方ないね。気分が良くなるまで、外の風に当たってきたらどうかな?」 咲「瑞原さん……そ、そうですね……そうします。すみません」 周りの人たちに頭を下げながらパーティー会場を出る。 その際、瑞原さんが「ごめんね」とウィンクしながらテヘペロしているのが見えた。 咲(後で瑞原さんにお礼言っておかなくちゃいけないかな) そんなことを考えながら歩く。 お酒で火照った体と頭に夜風が気持ち良かった。 咲(京ちゃん、色々とつらいこともあるけど、私、頑張ってるよ) 確かに楽しいことばかりじゃないけど、瑞原さんや一緒に戦ってくれるチームメイト、それに応援してくれる人たちが私にはいる。 咲(ねえ、京ちゃん、貴方は今どこで何をしてるのかな?) あの日から京ちゃんとは連絡を取ってない。 実家に帰った時も会えずじまいだった。 久しぶりに会った優希ちゃんから聞いた話だと、大学でも麻雀を頑張ってたみたいだったけど。 咲(私とは違って、やっぱりもう彼女とかいるよね?) でも私が活躍したら、もしかしたら連絡くらいはしてくれるかもしれない。 そんな風に考えて――本当はそんなことあるわけないのに――気付いたら、こんな遠くまで来てしまっていた。 咲(ほんと私ってバカだよね) 自分から電話すればいいのに変な意地を張って、こうして一人で落ち込んで。 咲(あんな約束、京ちゃんだって忘れてるに決まってるのに) 咲「……って、あれ? ココどこ?」キョロキョロ 気付くと私は全く知らないところに立っていた。 咲「もしかして、迷子になっちゃったのかな?」 ううん、もしかしなくても迷子に違いないんだけど。 咲(連絡を取ろうにもパーティーの途中だったから、携帯電話も持ってきてないし) 多分、オフィス街だとは思うけど、遅い時間帯なせいか、怖いくらいに人通りがなかった。 咲「……ふふっ、迷子なんて、何年ぶりかな」 面白くもないのに、なぜか笑ってしまう。 東京に来てからは、できるだけ一人で出歩かないようにしてたから、久しぶりの感覚だった。 この感覚はちょっとだけ懐かしくて、ちょっとだけ寂しい。 咲(あの頃は迷子になっても京ちゃんがすぐに見つけてくれだけど) 今はもういないんだよね。 ここには私が迷子になっても見つけてくれる人はいない。 咲「ううん、違うか……」 咲(私はあのときからずっと迷子のままで、それに気づかない振りをしてただけなんだ) 咲(ずっと遠くまで来た気になってたけど、やっぱり私は一歩も前に進んでなくて) 咲(本当に大切なものを置き去りにして、目に見えないものを必死に追いかけてた) そんな大事なことに、今になって気付くなんて。 咲(私ってほんとバカだよね) 咲「こんな歳にもなって、迷子だなんて……」 視界がぼやける。 それが涙だって気付いたときには、もう目から溢れ出していた。 咲「……うぐっ、ひぐっ、また会おうって約束したのにっ」 咲「……ひぅっ、何で会いに来てくれないのさっ」 堰を切ったように流れ出した涙は止まってくれない。 咲「……うっ、うぅっ、私が迷子になったらっ、見つけてくれるんじゃ……なかったの?」 道路に座り込んで私は泣いていた。 咲「……会いたいっ、会いたいよっ」 「――ったく、ようやく見つけたぞ」 懐かしい声が聞こえた気がして、私が振り向くとそこにいたのは―― 咲「……なん……で?」 「何でも何もあるかよ。迷子になったお前を見つけるのが俺の仕事だろ?」 咲「で、でも……何でここにいるの?」 「まあ、色々あってな。そこらへんは瑞原プロに聞いてくれ」 咲「もしかして、瑞原さんの言ってたマネージャーさんって……」 「約束……したからな、お前と」 咲「……覚えててくれたんだ」 「ずいぶんと遅くなっちまったけどな」 咲「でも、ちゃんと約束守ってくれたんだね……京ちゃん」 京太郎「ああ、ようやくお前を見つけられたよ――咲」 困ったように笑う幼なじみの顔を見ながら、私も小さく笑う。 どこかで祝福するように、錆びついた車輪が悲鳴を上げた気がした。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/878.html
京太郎「ロン。 二本場だから5800は6400だ」 優希「あいたたー…、また降っちまったじぇー」 京太郎「よーっし、連チャン連チャン」 和「あら……いい待ちですね」 まこ「うむ、いい引っ掛けになっとるな」 京太郎「たまたまっすよ。優希だからこそ引っ掛かったんでしょうし」 優希「な、なにー!」 京太郎「ははっ」 久「最近の須賀くん……調子良さそうね」 咲「そうですねー」 久「良い練習相手でも見つかったのかしら……?」 咲「さあー? どうでしょうねー」 久「ま、私には遠く及ばないけどね」 咲「そうですねー」 久「……咲?」 咲「今日も良かったね、京ちゃん」 京太郎「そうだな。 久々に連チャンした気がするわ」 咲「引っ掛けも上手く決まったし、良い感じだよ。 部長も褒めてたし」 京太郎「部長がそんなことを? そりゃ嬉しいな」 咲「……私も…嬉しいよ?」 京太郎「ああ、そうだな。 ありがとう、咲」 京太郎「お前に褒められるのが一番嬉しいよ」 咲「……えへへ」 京太郎「今日もやるか?」 咲「勿論。 予習復習は大事だからね」 京太郎「んじゃ、また5時頃な」 咲「うん! 待ってるからね!」 咲(今日の京ちゃん。カッコ良かったなぁ……) 咲(京ちゃんに麻雀教えるのがこんなに楽しいなんて思わなかった……) 咲「もっともっと京ちゃんに麻雀を教えなきゃね」 咲(……ダメダメな京ちゃんが一番だけどっ) 京太郎「ロン。 タンピンドラ1赤1で7700」 咲「うん、いいね。 牌効率もわかってきたんじゃない?」 京太郎「ボチボチだけどなー。 基本的なことしか出来ないし」 咲「それでいいんだよ、京ちゃん。 基本無しの応用なんて出来ないんだから」 京太郎「さすが元文学少女。 言うことは真面目だな」 咲「もう……今でも本は読むよ…」 京太郎「へぇ、最近は麻雀ばっかりだと思ってたけど。 どんなの読むんだ?」 咲「え? それは……その……」 京太郎「?」 咲「べ、別に関係無いでしょ! 今は麻雀! ハイ、集中!」 京太郎「な、なんだよいきなり」 咲「い・い・か・ら!」 京太郎「お、おう……」 咲(幼馴染とのラブコメばっかなんて言えるわけないよ……) 咲「ん……カンッ!」 咲「ツモっ! ツモ嶺上開花三暗刻ドラ4……倍満ですっ」 京太郎「っ、かー! 一気に逆転された―!」 咲「ふふっ、私に勝つのはまだまだ早いよ? 京ちゃん」 京太郎「今日は行けると思ったんだけどなー……」 咲「それじゃあ罰ゲームだよ、京ちゃん」 京太郎「これも恒例化してきたな……」 咲「はい、どーぞ」スッ 京太郎「せめて楽なのでありますように……」ゴソゴソ 京太郎「っと……。 どれどれ?」スッ 京太郎「……うっ」 咲「何だった?」 京太郎「お、幼馴染に……膝枕」 咲「膝枕かー。 じゃあやろうかー」 京太郎「いや……これはちょっと」 咲「なんでー? 楽なのがいいって言ってたじゃんー。 膝枕は楽なほうだと思うけどなー」 京太郎「そうだとしてもこれは……」 咲「京ちゃんー? これは罰ゲームなんだよー?」 京太郎「鼻息荒いよお前。 落ち着け、どうした」 咲「京ちゃん、これを見て?」 京太郎「あん?」 咲「ひーざーまーくーら」 京太郎「おう」 咲「しなきゃ!!」 京太郎「……はい」 咲「あー」 京太郎「………」 咲「うー」 京太郎「………」 咲「あうあー」 京太郎「………」 咲「んふー」 京太郎「………」 咲「んふふー」 京太郎「………」 咲「ふぅ……。 お疲れ様、京ちゃん」ツヤツヤ 京太郎「……罰ゲームの途中いつもお前があげてるあの奇声はなんなんだ」 咲「え? ……ああ」 咲「ああでもしないと正気が保てなくて」 京太郎「……は?」 咲「ハイ! 今日はここまで!」 京太郎「おう、ありがとうございました」 咲「……こちらこそ」ボソッ 京太郎「ん?」 咲「な、なんでもないよー」 京太郎「また明日な」 咲「うん! 今日やったこと、明日に活かせるようにしとくんだよー」 京太郎「……膝枕をか」 咲「そ、そっちじゃないよお!」 京太郎「ははっ」 咲「……もうっ、京ちゃんはー!」 京太郎「……おやすみ、咲」 咲「うん。 おやすみなさい、京ちゃん」 京太郎「ん、きたきた」 京太郎「リーチっと」 久「あら、早いわね」 和(牌効率がわかってきてる……? もう初心者とは思えなくなってきましたね) 優希「う……うーん……。 こっち!」 京太郎「ところがどっこい、ロンだ」 優希「うげー!」 まこ「なんじゃ京太郎のやつ。 最近強うなってきたのう」 咲「えへへー。そうですよねー。 京ちゃん、強くなってきてますよねー!」 まこ「な、なんじゃ急に……」 咲(京ちゃんがまたほめられた! 嬉しいなぁ!) 咲「……えへへー」 まこ「……?」 和「ツモ。 6000オールで終了です」 久「お疲れ様。 流石は和ね」 和「どうも」 京太郎「あー……逆転されちゃったか……」 和「……あれ……」 和「須賀くん……テンパイしてたじゃないですか」 京太郎「ん……いや、そうなんだけどさ。 この点差じゃリーチかけても届かねーなと思って。 変化待ってたんだけど……」 和「ああ、でしたらこっちでリーチをかけるといいですよ。 単騎待ちとは言え出やすいですし」 京太郎「ん?でも出和了りでも届かないぜ?」 和「いえ、多分……。 ほら、裏ドラが乗ってます」 京太郎「……おお、なるほど! 裏ドラの牌効率も考えるのか!」 京太郎「やっぱ和は凄いなぁ! ありがとう和!」 和「あら……」 和「……ふふっ」 京太郎「牌効率はツモだけじゃない……っかぁ。 なるほどー」 和「須賀くん須賀くん」チョンチョン 京太郎「ん?」 和「……よかったら明日の放課後、一緒に打ちませんか?」 京太郎「えっ」 和「主に麻雀の勉強の為、ですけどね」 京太郎「そんなっ、願ってもない! いいのか!?」 和「ええ。 私なんかが参考になるといいですけど……」 京太郎「参考にならないわけない!」ガシッ 和「あっ……」 京太郎「ありがとう、和!」 和「……ふふっ」 和「どういたしましてっ♪」 咲「和ちゃんが?」 京太郎「ああ。 どういう風の吹き回しだか知らんけど」 咲「ふーん……」 咲「あ、それカンッ」 京太郎「へ?」 咲「っと、ツモ。 嶺上開花ドラ12」 京太郎「は?」 咲「責任払いでトビだよ、京ちゃん」 京太郎「……」 咲「はい、罰ゲーム」 京太郎「おかしい……。 やり始めて10分も経たない内に罰ゲームとは……」 咲「ブツブツ言わない! トんだから3つ引いてね!」 京太郎「お、おう……。 ……何怒ってんだ?」 咲「お、怒ってないもん!」 京太郎「えーっと……」 幼馴染と手を絡ませる 幼馴染と腕を組む 幼馴染にハグ 京太郎「……」 咲「やたっ」ボソッ 京太郎「あん?」 咲「な、なんでもないー」 ―幼馴染と手を絡ませる ギュッ 京太郎「……」 咲「あうっ……あうっ……」 京太郎「……」 咲「きょ、京ちゃん」 京太郎「な、なんだよ」 咲「そ、その……」 咲「もっと強くしてもいい……よ?」 京太郎「……」 ギュウッ 咲「ふわっ……」 咲「うわぁ! わーわーわー!」 京太郎「……」 京太郎( ……隣がうるさくて全然ドキドキしない ) ―幼馴染と腕を組む 咲「それじゃあその……失礼します……」 京太郎「お、おう」 キュッ 咲「あうぁ……」 京太郎「おぅ……」 咲「あう……うあ……」 京太郎「………」 咲「……きょきょ、京ちゃんが…京ちゃんが近い」 京太郎「お、落ち着け。 大丈夫だ傷は浅い」 咲「そそそそっか、京ちゃん……京ちゃんがこんなに……」 京太郎「いや、だから落ち着け」 咲「えへ、えへへへへへ」 京太郎(なにこいつこわい) ―幼馴染とハグ 京太郎「……心の準備は良いか? 咲」 咲「え? 準備って?たかがハグに準備なんて必要なの?」 京太郎「えっ……」 咲「この歳にもなってハグの一回や二回も出来なきゃ高校生としてどうなの?」 京太郎「……」 咲「意外と京ちゃんっておくびょ……」 ダキッ 咲「 ふぁっ 」 京太郎「……きょ、虚勢張ってるのバレバレだっつの……」 咲「 」 京太郎「おい、なんとか言ったらどうなんだ……? ……咲?」 咲「 」 京太郎「き……気を失ってる……」 サキー アッ,オネエチャーン コッチコッチー マッテヨー ―――― ――― ―― 咲「ハッ!!?」 京太郎「あ、起きた」 咲「今……天国でお姉ちゃんと追いかけっこをしてたような……」 京太郎「実のお姉さんを勝手に殺すな」 咲「ああでもなんか……胸がすごくポカポカする……」 京太郎「そ、そうか」 咲「それじゃあ京ちゃん。 今日やったことを明日も活かせるようにするんだよ?」 京太郎「罰ゲームやった記憶しかないんだが」 咲「き、気のせい気のせい」 咲「それじゃあ京ちゃん。おやすみ」 京太郎「おう、おやすみ」 ―翌日 放課後 咲「いい、京ちゃん? 和ちゃんの迷惑になるようなことは絶対しちゃ駄目だからね?」 京太郎「わかってるって」 咲「ホントに解ってる? ……帰ったら講義の成果、見せてもらうからねっ」 京太郎「はいはい」 咲「むぅ……」 和「須賀くーん」 京太郎「あ、はいはーい。 今いくよ-」 京太郎「それじゃ行ってくる」 咲「……京ちゃん!」 京太郎「あん?」 咲「……待ってるから……ね?」 京太郎「……」 京太郎「おうっ」 和「さて、では始めましょう」 京太郎「うん。 何からやるんだ?」 和「これといって特別なことはしませんよ」 和「須賀くんはネット麻雀をしてください。 私は横から見てます」 京太郎「ネトマかー」 和「あ、私のID使っていいですよ」 京太郎「おうサンクス」 京太郎「て……天使なんて段位があるのか……」 和「天使は10段になった後に免許皆伝試験を受けるとなることができますよ」 京太郎「へぇ……なんか難しそうな試験だな」 和「結構単純ですよ。 同じ10段の人と半日打って、ポイント総数で一位になればいいだけです」 京太郎「……半日?」 和「はい。 半日」 京太郎「……」 和「な、なんですか……」 京太郎「いや、やっぱ和はすごいんだなって……」 和「わ、私のことはいいですからっ。 早く打ってください!」 京太郎「あ、はい」 京太郎「……」カチッ 和「……ふむ」 京太郎「……」カチッ 和「……うん」 京太郎「……」カチッ リーチッ 和「……いいですね」 京太郎「……うん」カチッ 京太郎(なんか、気不味いな)カチッ ロンッ 京太郎「……」カチッ 和「……うん」 京太郎「んっ、……」 和「あ、ここはこっちを打つといいですよ」カチッ ムニュッ 京太郎「おおうっ!?」 和「?」 京太郎「あ、いやいや。 ……なんでもない」カチッ 和「そうですか? …あ、和了れますよ」 京太郎「あ、はい」カチッ ツモッ 京太郎(今、背中におもちが……) 京太郎「うぅ……」 和「?」 京太郎「……」カチッ 和「うんうん」 京太郎「……」カチッ 和「いいですね」 京太郎(もっかいおもち来ねえかなぁ……) 京太郎「っと……」 和「あ、そこは……」 京太郎「こっちだな」カチッ リーチッ 和「えっ?」 京太郎「っと来た、カンッ」 カンッ 和「ええっ?」 京太郎「んでもって……」 ツモッ 和「あれぇ!?」 和(理想的1-4-7,2-5の5面待ちを捨てての単騎待ち……?) 和(狙って打った……? いや、でも須賀くんなら打ち間違えって可能性も……) 京太郎「ツイてたよ、和」 和「そ、そうですね。 今のはツイてましたね」 和(や、やっぱりツキですよね……。 良かったぁ……) 和「す、須賀くん。 今のはツイてたから良かったですけど、こっちを切ればより多面待ちになりますよ」 京太郎「え……? ……お、ホントだ。 俺、こういうの慣れないんだよなー」 和「大抵のネトマだと待ちを教えてくれますよね。 私はあまり好きじゃないからその機能切ってますけど……、戻しますか?」 京太郎「いや、いいよ。 自分で考える方が覚えられると思うし」 和「あら……」 和(意外ですね……。 てっきり戻すと思ったんですが……) 和「ふふっ」 京太郎「?」 ―そんなこんなで。 京太郎「ありがとうございました!」 和「お、お疲れ様でした……」 京太郎「だ、大丈夫か? お疲れな様子だけど……」 和「お、お構いなく……」 和(まさか一試合で嶺上開花を4回も見るなんて……) 和(まるで咲さんのような打ち方……) 和(っ、……まさか……?)ジッ 京太郎「? 水、飲む?」 和「……」 和「はい。 ……頂きます」 和(……そんなわけないか)クスッ 京太郎「というわけだったのさ」 咲「へ、へぇー。 それはよかったねー」 京太郎「? なにニヤニヤしてんだ?」 咲「べ、別にニヤニヤなんてしてないよっ!」 京太郎「あ、そう……」 咲(うわっ、わわっ。 どうしよどうしよっ) 咲(京ちゃんが私と同じような打ち方してたなんて……) 咲「嬉しい!」 京太郎「っ、! な、なんだよ突然……」 咲(一試合で嶺上開花4回とかもう偶然じゃないよね!) 咲(むしろここまで来たら運命だよねっ! すごいすごい!) 咲「えへ……えへへへ」 京太郎「いつにも増して不気味だ……」 京太郎「あ、それロン。 8000だ」 咲「うわぁー満貫手に振っちゃったー。 でも5面待ちなんだし振ってもしょうが無いよねーえへへー」 京太郎「うーわ、ワザとっぽい口調。 つーかわざとだろ」 咲「すごいな京ちゃんいつの間にか多面待ちなんてできるようになってたんだねー」 京太郎「和と勉強したってさっき言ったろうが」 咲「すごいなぁ京ちゃんはー。 えらいえらーい」ナデナデ 京太郎「……」 咲「えへへー。えらーいえらーい」ナデナデ 京太郎「……まいっか」 京太郎「おら、連チャンだ連チャン! 次行くぞー!」 咲「はーい♪」 カンッ ! モイッコカンッ ! サラニカンッ ! ツモッ ! ギャー ! 優希「っしゃーロンだじぇー!! 16300!!」 京太郎「げっ、倍満かよ」 優希「一本場のサービス付きだじぇー♪ おらー! 点棒よこせー!」 京太郎「ぐぬぬ」 咲「京ちゃん、別に無理に大きい手を狙う必要は無いんだよ?」 和「そうですよ。 さっきのだって、ピンフで流せる手でしたのに……」 京太郎「わかっちゃいるんだけどなぁ……。 中々大きい手で和了ったことがないもんだから……」 優希「それは流れが読めない証拠だじぇ!」 京太郎「優希……。 流れか……まだ俺にはわからねえな……」 優希「ふぅ……、やれやれ。 ダメ犬を持つと苦労させられるじぇ……」 京太郎「腹立つわぁ……」 優希「ふふふっ、ペットの責任は主人の責任……」 京太郎「?」 優希「喜べ京太郎! いっちょこのアタシがしごいてやるじぇ!」 咲「明日の朝? 優希ちゃんと?」 京太郎「ああ、流れを掴む練習だとさ。 ……朝練なんて中学以来だな」ナデナデ 咲「ふぅん? 何時頃に行くの?」 京太郎「あっちが決める。 多分そろそろメールが来るはず」ナデナデ ♪~♪~ 京太郎「と、噂をすれば。 どれ」 from 優希 『明日午前6時! 麻雀部にて! お前を待つ!』 京太郎「なんで決闘風なんだよ」カチカチ 咲「……」 京太郎「……ふふっ。 アホかっ」カチカチ 咲「むぅ……」 咲「京ちゃん! 手が止まってるよ! 続けなさい!」 京太郎「あ、ああ。 悪い悪い」ナデナデ 咲「んっ……。 ~♪」 ―罰ゲーム:幼馴染の頭を撫でる。 ―翌朝 AM5 50 京太郎「おはようございまーす」ガララッ 京太郎「……あれ? いねえな、アイツ」 「お、おお……主人より先に来るとは……。 殊勝な犬だじぇ……」 京太郎「おわっ! び、ビックリした……。 いきなり後ろから話しかけんなよ……」 優希「おおう……。 きょーたろー……大きい声出すなぁ……」 京太郎「わ、悪い……。 ……随分と眠そうだな」 優希「そりゃあ……一睡もしなけりゃこうなる……」 京太郎「は? 寝てないのかお前」 優希「ベッド入ると……ドキドキして眠気が来なかったんだもん……」 京太郎「翌日が遠足の幼稚園児みてえなこと言うなよ……」 優希「だって……」 優希「京太郎と打てるの……楽しみだったから……」 京太郎「……」 京太郎「あー……。 そりゃ悪かったな」 優希「そうだ……全部きょうたろーが悪い……」 京太郎「んで?どうするよ?」 優希「あー……きょーたろー……」 京太郎「はいはい。 ここにいるよ。 どうした?」 優希「ベッドまでおぶってぇ……」 京太郎「寝る気満々っすね」 京太郎「よっと……、お前軽いなぁ」 優希「あう……ちっこい言うな……」 京太郎「言ってない言ってない。 ほら、ベッドだぞ」 優希「あー……きょーたろー」 京太郎「なんだー?」 優希「あり……がと……」 京太郎「……おう。 しっかり寝ろよ」 優希「んぅ……? ふぁ……」 優希「……タコスの匂い……」 優希「タコス!?」バッ 京太郎「タコスの匂いで起きるなんてお前らしいな」 優希「きょ、京太郎! 今何時だ!?」 京太郎「7時40分くらいか。 まだ寝足りないだろうけど、とりあえずこれ食っとけ」スッ 優希「タコス……。 わざわざ買ってきたのか!?」 京太郎「まさか。 俺特性の朝食用タコスだ。 俺なりに研究して作ってみたんだ」 優希「お、おおお……京太郎特性……!」 京太郎「ほら、冷めねえうちに食っちまえ」 優希「う、うん! 頂きますじぇ!」パクッ 京太郎「……味はどうだ?」 優希「うん! 美味いじぇ!!」 優希「毎日食べたいくらい!!」 咲「……え? 結局朝練しなかったの?」 京太郎「様子が様子だったからなぁ。 食った後は暴眠してたし」 京太郎「だからまた今度の日にすることになった」 咲「なんかふんだり蹴ったりだね、京ちゃん」 京太郎「まぁ優希だからな。 そこら辺は諦めてる」 咲「あははー」 咲(なにこの『アイツのことは俺が一番解ってる感』……) 京太郎「ああ、それと。 試食してもらってた朝食用タコスだけどさ」 咲「ああ、あれ? タコスなのに軽く食べられるから好きなんだよねー」 京太郎「明日から毎朝優希に作ってやることになった」 咲「へぇ~」 咲「………へぇ!!?」 京太郎「あいつが毎日食べたいくらい美味いって言うからさ」 咲「ええっ!?」 咲(そ、それって……) ~♪~♪ 京太郎「……っと、優希からだ」 from優希:『タコスが楽しみで眠気が来ない! どうしてくれる!!』 京太郎「んな理不尽な……」カチカチ 咲「……」 京太郎「……ったく……。 しょうがねえな……」 咲「……むぅ」 京太郎「……ははっ。 アホらしっ」 咲「~~!!」 咲「京ちゃん! メールしてる場合じゃないよ! まだ東風一回しかしてないんだから!」 京太郎「え? 今日はもう終わりってさっき……」 咲「知らないもん! ほら、卓に着いて! 早く罰ゲームするんだから!!」 京太郎「趣旨が違くなってねえか!?」 咲「うー!!」 京太郎「わ、わかったよ。 そんな睨むなって……」 咲「カン! カン! カン! カン! ツモ!」 京太郎「 」 咲「四槓子四連刻四暗刻単騎!」 京太郎「 」 咲「ロン!」 咲「大四喜字一色八連荘!」 京太郎「 」 咲「ロン!!」 咲「純正九蓮宝燈!!!」 京太郎「 」 咲「まだまだいくよ……!」 京太郎「ちょ」 咲(京ちゃんは絶対に……渡さないんだから!!) カンッ! ギャー! ―――――――――― おしまい。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3320.html
――車内―― 咏「いやねぃ、タコス生地ねぃ、また持ってくるとはねぃ。」 京太郎「忙しい中練ってもらったんだぁ……」 京太郎「それも師匠に // / / ;ィ | | | i゙、 ゙、 ゙、 ゙、 /// / / / ハ /| | ハ |\゙、 | ゙、/// // / / | | |;ハ ゙、 | | _゙、 |__\ | ゙、//| | | | | | |┼--゙、 ゙、 | | _ ゙、 `l | ゙、/ | | | | |l |゙、| _=|\ | / ,-ァ=〒、_| | | | | | | | i | | | ´}._ol冫 V人_ ー゜ " | i |;、 |. | | | | | | トヽ /' \゙、 /.| /,ベ、 | ゙、N| | |゙、N i゙、 /l // } i / また騙されてるんですから ゙、 ゙、| ハ ゙、 | ` // / /リ 須賀君、今回はやめといたほうが…… ゙、| ゙、 ゙、| ___ |/.__/;ィ/ ゙、 ゙、゙'゙、 `ー=' ,/ /'/ \ /| / `i 、 _/ |;;/ ,| ` ー- ´ _,'゙}、_ /|ゝ、_ __, -‐ァ' ,! . . .\ / . . /ヾ_/¥ 、_/‐'_´,| . . . . . `r、_ ,..-‐/ . . . / `> _/`  ̄ | . . . . . . . ゙、 .`ー-、__ _,..-‐ .´ . . / . . . . . / ,イ ハ i ゙、 | . . . . . . . . . ゙、 . . . . . . .`ー-、_ .´ . . . . . . / . . . . . ./ / / / | | | | . . . . . . . . . . . ゙、 . . . . . . . . . . . .`ー-、 | って言われてるところを。」 京太郎「なにいってんですか、そんなわけないでしょう!」 ハーヴェストタイム 京太郎「前回野菜を作ったんですから今回は収穫ですよ!」 宮永父「なんで師匠の言う事聞かないの……普通の人はわかるんだよね、大体。」 京太郎「生地頼むのまだ早かったなぁ……まだトマト青かった……」 宮永父「でも、でも言わせて貰ったらあれだよ? なにもね、料理をやるからと言ってね。」 宮永父「てめぇで勝手にね、龍門渕まで前日出向いてね、タコス生地作ってくれなんてこっちは一言も言ってないわけだよ。」 宮永父「師匠に悪いだの何だの言ってるけど、確かに悪いさ、でも悪いのは君だろう?」 京太郎「おお、なるほどなるほどー。」 京太郎「おーい、宮永さん、えぇ? あんた気持ち良い事言うなぁ、おーい。」 京太郎「宮永さん……あなたの肉親をー……オレはどんどん、おみまいしてくぞぉ……」 宮永父「家族に手ぇ出すなよ。」 京太郎「何言ってんだよ。」 京太郎「選べよ。」 京太郎「東京か? それとも長野か? どっちだ? 行くぞ俺は。」 京太郎「タコスが腐らねぇ内に。」 尭深「んふふふふ……」プルプル 京太郎『どーも咲さん、知ってるでしょう?』 京太郎『須賀京太郎でございます。』 京太郎『おいタコス食わねぇかぁ?』 京太郎『優希たちもおいでぇ、タコス焼くぞぉ。』 京太郎『辛いかい?』 京太郎『オレはもっと辛い物を、咲のお父さんにぃ、食べさせられてるんだよぉ。』 京太郎『残さず食えよぉ。』 咏「こえー!」ケラケラ 宮永父「片手にこう、包丁を持って、座ってるわけだろ? シェフの格好したやつが、俺んちで。」 宮永父「で、もう家の咲が泣きながら『私が食べます!』」 尭深「んふふふ……」プルプル 咏「あははは!」ゲラゲラ 京太郎「そしてそれが終わったら東京に飛ぶんだよ。」 京太郎『お姉さん、知ってるでしょう?』 京太郎『京太郎でございます。』 京太郎『パイ食わねぇか』 京太郎「東京だったら急がねぇとな……皿焼いたら直ぐ行くよ。」 夏野菜スペシャル終了 こっから屋久島の釣り 栗生五年一組(京太郎・穏乃(のー)) 宮浦五年三組(霞(みすかー)・誠子) 咏「やっぱりルアーがいいんじゃないかねー? 沈むもの、わっかんねーけど」 京太郎「おい……宮浦!」テクテク 誠子「?」 京太郎「おまえなに使ってんの?」 京太郎「それおまえ、栗生のルアーだべや」 咏「あはははは!」ゲラゲラ 京太郎「おいのー! ちょっこれ見てみ、これ絶対うちのルアーだってこれ」 咏「いちゃもんつけてる!」ゲラゲラ 穏乃「まじ?」タッタッタッ 咏「来た来た来た! のーが来た!」ゲラゲラ 京太郎「のー、これうちんだよな、これ?」 穏乃「あれー?」 京太郎「これ先週……給食費と一緒に盗まれたルアーじゃねぇのか?」 京太郎「これ栗生のルアーだべや、これ」 誠子「やめやめやめて……」 誠子「みすかー! みすかー! みすかぁー!」 誠子「やめやめ、やめてください! やめてください!」 霞「ちょっと……ちょっと!」タッタッタ 京太郎・穏乃「なんだよ(ですか)……」 霞「返してあげなさいよ!」タッタッタッ 誠子「ちょ!? みすかー!?」 咏「あははは! 戻っていった!」ゲラゲラ 誠子「ルアー欲しいんですか? ルアー欲しいんだったらあそこにたくさんありますよ……」 咏「あるぞみんなそこに、そこにたくさんあるぞーわっかんねーかな?」 穏乃「あっこれ全部栗生んじゃねぇ?」 京太郎「洒落になんねぇべ宮浦ァ……」 咏「ルアーをねぃ、真ん中につけると錘になっていいみたいだよー、知らんけど」 京太郎「真ん中スか?」 咏「あと15分ー知らんけどー」 ――残り15分―― 京太郎「釣れてる?宮浦……」 誠子「? あ、はい」チッカチッカ 京太郎「おい、お前これ光んじゃんこれ……」 京太郎「お前これ栗生んじゃねぇ?」 穏乃「あーこれ栗生って書いてあるね」 穏乃「これ、おとつい盗まれたやつじゃない?」 誠子「みすかー! みすかー!」 霞「ちょおっと!」タッタッタ 京太郎・穏乃「またきた……」 霞「返してあげなさいって!」 咏「あははは!」ゲラゲラ 穏乃「栗生んですよそれ!」 京太郎「どうよ?」チッカチッカ 咏「着けたからどうだって話だよ!」ゲラゲラ 穏乃「もう人のモノ盗っちゃだめですよ」 咏「余計な事言ってると知らんよー……あと十分だねぃ」フフフ…… 京太郎・穏乃「やっべー!」ガタガタ ――残り10分―― 京太郎「みすかーってやつ、勝負捨てねぇヤツだなぁ」 咏「うん?」 京太郎「スゲェもん、捨て身だもん」 京太郎「おまえ本当にオレらと学年同じ?」 咏「あっはははは!」ゲラゲラ 霞「おぉわ!」 咏「来た来た来た! みすかー君来た!」 咏「しなってるしなってる!」 京太郎「みすかー君かっこいいよなぁ……」 霞「……うふふ」グイグイ 京太郎「みすかー君、だってなんか骨格できてるもんな」 京太郎「からだ大人じゃんあれ……」 京太郎「みすかー君5年生じゃねぇよな」 咏「お、来た来た、みすかー君20ポイント!」 咏「宮浦合計110じゃね? 知らんけど」 京太郎「おかしくねえ? 宮浦ばっかり……」 京太郎「あれそれ栗生のじゃねぇ?」 京太郎「のー来てみ! のー来てみ! おいちょっとこれ……」 京太郎「これ栗生んじゃねぇ?」 穏乃「あ、これ栗生のです」 京太郎「これうちで飼ってるやつじゃねぇ?」 咏「くくくくく……」ケラケラ 霞「よっと」ポイッ 京太郎・穏乃「あ」 京太郎「みすかーくん絶対5年じゃねぇよ」 京太郎「だいたい、宮浦に外人いるなんてきいたことねえもん」 穏乃「みすかーなんておかしいよ、日本人なのに」 咏「んなこといったら"のー"ってなんだよ!」ゲラゲラ 京太郎「みす家くんってことねえもんな」 咏「はい、あと五分じゃねぇ? 知らんけど」 京太郎・穏乃「やっべー!」バタバタ ――残り5分―― 京太郎「栗生がやべぇんじゃねぇの? 宮浦にしねぇ?」 穏乃「あ、釣れそうな気がする」 京太郎「だべ?」 京太郎「あのジャージほしいなぁ……」 穏乃「あいつから取りますか……」テクテクテク 誠子「?」 京太郎「そのジャージ栗生んじゃねぇ?」 誠子「!?」 咏「あははははは!」ゲラゲラ 穏乃「これ絶対栗生んですよ」 霞「……ちょっと」テクテクテク 霞「返してあげなさいって!」ヌギヌギ 咏「こっちは巫女服脱ぎ始めた!」ゲラゲラ 穏乃「さっさと返せー」 咏「はいあと3分ー」 京太郎・穏乃「やっべー!」バタバタ 咏「はい残り30秒だよ~!」 咏「はい残り20秒……」 咏「あ、来ました! 来ました! 来ました!」 京太郎「だって……みすかーくんタバコ吸ってんじゃん!」 咏「あははは!」 京太郎「くわえタバコじゃん! みすかーくん」 咏「残り15秒~」 霞「ん~」 咏「おお、みすかー20ポイント獲得ー」 咏「はい、終ー了ー」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3354.html
俺は須賀京太郎。言わずと知れた清澄高校麻雀部唯一の 男子部員だ。 この部の特徴はやたら女の子が多い事だ。 俺は普段麻雀の勉強をする事もなく、彼女たちの雑用ばかりしている。 しかし、今日俺は限界を迎えた。 久「ロン。12000は12300」 京太郎(俺はこの半荘が終わったら部長を誘う) 久「ふむ…」 京太郎(メンタンピンドラ1…良い手だ。これでこの半荘は終わる) 咲「カン!もいっこカン!リンシャンツモ!倍満です!」 京太郎(ぐぬぬ 咲イイイイイイイイイ) 咲「じゃあ連荘ですね」カチッ カラカラ チャッ チャッ チャッ カタカタカタ 久「…」(良い牌牌だわ) 京太郎(終わったな) 咲「カン!もいっこカン!カンカンカン!ツモ!」 京太郎(ブッチーン) 京太郎「おい咲 お前いい加減にしろよ」 咲「え?京ちゃんなんか言った?」 京太郎「え?いや何でもない。空耳だろ」 咲「そう…またまた私の親!がんばるよ!」カチッ カラカラ 優希「咲ちゃん今日はツイてるじぇ」 チャッ チャッ チャッ カタカタカタ 久「うーん」(一通も見えるけど三色かしら!) 京太郎(この三色が完成したら俺は部長を誘う) 久「ロン!メンピン三色ドラドラ!飛んだわね」 まこ「やれやれ…かなわんのお」 京太郎「部長…ちょっとコーヒーを買いに行きませんか」 久「え…?」 まこ「コーヒーなら冷蔵庫にあるじゃろ」 京太郎(ワカメはだまってろ もうしんぼうたまらん) 京太郎「俺は部長とコーヒーが飲みたいんです」 久「」 優希「」 咲(え…京ちゃん何言ってるの…?) まこ(ほう…京太郎も隅におけんのお) 京太郎「いやですか…?」 久「別にいいわ。じゃちょっといってくるわー」 *** まこ「おいおい ホントにいってしもたの」 優希「そ…そんな…京太郎に限って…」 和「そんなオカルトありえません!」 そんな訳で俺達は自販機の所にやってきたのだ 久「ふう」ガタン 夕陽に映える部長の横顔が美しい 久「それで…何?」 京太郎「ええ 実は俺の国士無双が爆発しそうなのです」 久「」 京太郎「では参りますよ」 久「ちょちょちょっと」 俺はてっとりばやく部長の唇という名の三色同刻をうばう 久「う」 京太郎「どうですか 俺じゃあだめなんですか」 久「ぷはっ まってまって何か須賀君変よ?どうしたの」 京太郎「俺は何時も普通でしたか それはそう見えていただけかもしれませんよ」 そう、俺の肉欲は限界を突破していた 優希「この泥棒猫だじぇ!」 久「優希・・・」 通路の陰から優希が飛び出して来た 優希「このバカ犬!女の子に無理矢理キスするなんてどうかしてるじぇ!」 そう言うと優希は俺の股間に拳を繰り出してきた ズン! 京太郎「はぅあっ!」 久「須賀君!?」 俺は肉欲も不完全燃焼のまま地に崩れ落ちた 久「ちょっ・・・須賀君、大丈夫!?」 京太郎「うぅ・・・あっ・・・///」ムクムク 上を見上げると、そこには部長のスカートの中が目の前に広がっていた 不覚にも俺は勃起した 久「へ・・・?って、どこ見てるのよ///」 優希「地面を転がりまわるふりをして部長のスカートの中覗くなんて最低だじぇ!死ねっ!」 優希は俺の股間を蹴り上げる 京太郎「はぅあっ!」 俺は息を呑み悶絶した 久「優希・・・貴女なんてことを・・・!須賀君に謝りなさい」 優希「うるちゃいうるちゃいうるちゃーい!」 咲「何があったの・・・?」 和「須賀君が・・・死んでる・・・!?」 いつの間にか、優希を追ってきたと思われる麻雀部員たちが集まっていた 久「私にも何が何だか・・・」 優希「・・・部長がみんな悪いんだじぇ」 久「えっ」 周囲が騒がしい 京太郎「・・・ここは?」 内木「生徒議会室です。なにやら廊下で倒れているのでここまで運んできたのですが」 京太郎「ありがとうございます。でも俺、もう行かないと・・・うぁっ!?」 立ち上がろうとする俺の股間に痛みが走った 内木「無理しないで下さい。それより股間を押さえてどうかしたんですか?」 京太郎「な、何でもないんです。本当に!」 内木「怪我でもしていたら大変だ。おい、彼のズボンを脱がせろ!」 男子生徒A「はっ!」 京太郎「や、やめてくれ・・・!」 俺は筋骨隆々とした男子生徒たちの手によってあれよあれよという間にズボンのみならず 上の制服も脱がされ、1分と経たぬうちに全裸に剥かれていたのだった 内木「ほう、これはこれは・・・」 京太郎「み、見ないで下さい・・・///」 周囲を取り囲む生徒議会副会長と、その配下と思われる逞しい肉体を持つ男達・・・ 彼らのねばついた視線に俺は湧き上がる衝動を抑え切れなかった・・・ 内木「竹井会長の麻雀部唯一の男子部員、須賀京太郎君。貴方の事はよく存じ上げてますよ」 内木「そしてもしここで貴方の介抱をしなければ会長に顔向けできない」 京太郎「いやいや、ほんと大丈夫ですから」 内木「そうは言っても立ち上げれないのでしょう?さ、その股間を押さえる手をどかして下さい」 そう言うと副会長は俺の手を無理矢理どかせた 内木「これは・・・」 男子生徒B「おお・・・」 生徒議会室にどよめきが走る そう、俺は勃起していたのだ 内木「神聖な生徒議会の一室でここをこんなにして・・・。恥ずかしくないのですか?」サワッ 京太郎「くっ・・・!?」ビクンッ 副会長にただ股間を撫でられただけだというのに、俺のペニスは大きく跳ね上がる 内木「おやおや、これじゃあ確かに立つことすらできないでしょう。もっともここはこんなに勃っていますが」 京太郎「や、やめてくれ・・・」 言葉とは裏腹に、俺の肉体はこれから俺に降りかかるであろう快楽に歓喜していた 内木「うぶっ!!!」ゴキイッ その瞬間黒い稲妻が走り内木以下生徒会役員のホモどもは一掃された ハギヨシ「大丈夫ですか京太郎様 偶然廊下を通りましたら悲鳴が聞えましたので」 京太郎「ああ…ありがとうございますありがとうございます…」 そして俺は部長の所へ戻った 久「あら、須賀君!」 京太郎「部長…俺…」 久「大丈夫?さっきは何か様子が変だったから…」 京太郎「今俺の九蓮宝燈は完全に復活しました」 久「」 そう、俺の中では既に九種九牌倒牌のイメージが克明に浮かんでいた しかしそれは犯罪である いくら欲に駆られようとも俺は部長の悲しい顔を見たくはない 京太郎「部長 実は俺…部長の事を愛してるんす…なんて言っていいか…すみません」 久「…そう」 久「…」 俺は知っている。まずはこの様に真意を伝える事が重要だ。 京太郎「やっぱり変ですね…頭冷やしてきます」 久「まって」 京太郎(北) 先ほどの愛の告白が心とすればこれが技 一度降りる事により部長の心をわしづかみにするテクだ 京太郎「部長!」ガバッ 久「あっ!」 そして体 すなわち 心・技・体 これぞ最強の麻雀奥義 俺も伊達に麻雀やってないのである 久「ちょっと待って。私こういうのは本当に好きな人だけにしたいのよ。須賀君は一時の勢いではないと断言できるの?」 久「私は須賀君の事は好きだし大事な麻雀部員の一人だわ。でもそんな風に思っていたなんて知らなかったのよ」 北。これはまことの壁。いわゆるノーチャンスというやつだ。 ここは絶対いい加減に答えてはいけない。 俺の今の本心 それは…! 京太郎「国士無双が止まりません」 久「…」ニヤリ 京太郎「あっ」 ガバッ 久「須賀君…からかってるの?面白いわねえ」 久「いい?こういう事するとどうなるか教えてあげる」 京太郎「あああ」 部長の闇の部分が目を覚ましてしまった。まさに理想的な展開。 京太郎「ちょっちょっと止めてください」 久「許さないわ」 アーレー カン
https://w.atwiki.jp/toarukyoutarou/pages/273.html
892 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/10(火) 02 00 20.49 ID 6YZTehBto 【合宿:3日目 午前5時】 絃「……あふぅ」 菫「ふわぁ……っとすまん」 玄「ふみゅふみゅ……」ウツラウツラ 春「……」コクコク 咏「ううっ……ねみー」 京太郎「皆さん、おはようございます!」 菫「ああおはよう。と言うか朝から元気だな」 京太郎「まぁ普段から早起きしてランニングが日課なもんで」 玄「私も朝早く起きれるけど、ランニングは無理だよぉ……」 絃「凄いですね。私は朝が弱いので……」 春「……」zzz 咏「私も朝はギリギリまで寝てるからねー」 京太郎「とは言え、全員分の朝食作るのには時間かかるんでこれくらいの時間に起きないといけないんで我慢してください」 京太郎「あとはるる、起きろー」 春「……キスしてくれたら起きる」 京太郎・絃・菫・玄・咏「「「「「!?」」」」」 春「……冗談」 京太郎「っ!?当たり前だ、ってか今こそお前が普段食べてる黒糖の出番じゃないのか?」 春「……もう食べた」 春「京太郎も食べる?」 京太郎「じゃあ一応頂いておくか」 京太郎「……うん。何時食べても美味いな」 / / / | ∨ |∨ | l | |./ l | ||V ∨ 斗-l l | /  ̄ \i/ | |i| | l ∨ l\ | l | l | /||! | |l| ⊥ヽ ∨ \\l └‐' || l 自 そ||l l ぃイ l \\>‐'´ x-‐==气 | 慢 れ.l |l l ぃヽ ´ ‐'´勹 |」 l : が{ l ヽ斗 x_=气 ∨二ノ| 〉 |i 〈'´ ) | /// | //\ _ / |i ∧ 乂ン | l | .(つ li ∧ /// ′ | | l lニ⊇|i ∧ . ‐ ァ / | | |/ ̄└ュ | |i ヽ ` | | |l /└‐┘|i ||  ̄ ¨ ―-< /| | 八 894 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/10(火) 02 17 35.11 ID 6YZTehBto 春「……皆もどうぞ」 絃「すみません。ありがとうございます」ポリポリ 玄「ありがとう……うん、美味しい」ポリポリ 咏「この程よい甘さが身体に染み渡るねぃ」ポリポリ 京太郎「あれ?菫さんは食べないんですか?」 菫「あ、いやその私は朝から甘いものはちょっと……」 京太郎「そうなんですか?でも朝は血糖値が低くくなるので、朝から脳を働かせるには食べやすくてすぐに血液に吸収される黒糖はオススメですよ?」 菫「そうなのか?……ふむ。じゃあ私も一つ良いだろうか?」 春「……はい」 菫「すまない。いただきます」ポリポリ 菫「!?」 菫「こ、これは!?」 菫「コクがあって風味が良く、すっきりとした甘さが口いっぱいに広がっていく!」ポリポリ 菫「なのに食べやすくて、いくらでも食べられる気がするぞ」ポリポリ 菫「一体何処の物なんだ!?」 京太郎「それはもちろん――」 春「……喜界島産」 京太郎「200g300円からとお値段もお安くなっています」 春「今なら更にもう一つ付ける」 京太郎「なのにお値段そのまま!」 春「……買うなら今」 菫「買った!1kg頼む」 京太郎・春「「毎度あり」」 895 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/10(火) 02 29 55.64 ID 6YZTehBto 玄「って通販番組みたいになってるよ!?」 絃「弘世さんも1kgも買ってどうなさるんでしょうか?」 咏「太るぞー?しらんけど」ニヒヒ 菫「あ、いやその、照や淡達にもやろうかと思ってだな」アセアセ 春「……大丈夫。黒糖は太らない」 菫「ほ、本当か!?」 春「本当。私が証拠」 京太郎「確かにはるるって四六時中食べてる気がするけど、別に太ってないもんな」 咏「むしろ憎らしいくらいに一部分に集中してるし」 絃「確かに羨ましい限りですね」 / . . . . . . . . . . . ./ . . . . . . . . . | . . . . . . . . | . . . . . . . . . ゚。 . . . . . . . . . . . . . . . . } } . .| . . . . . . . . | . .| . . .| . . . . | | | . | . . . . // . /| . . . . . . . . | . .| . . .| ... . ゚ | . .| . . . | . . . . . ト、! . . .// . / . . . . . . . | | . .l . . .| |i . . . } | . .| . . . | . . . . . |.ノ`≧ュj/,_./i. . . . . . . jム斗匕} |i . . . | | | . .| . . . | . . . . . | .ノ=云=ミ イ . . ./ノx=云リ jノi . イ / | . .| . . . | . . . . .i|/_人 +ハ / ./ _人 +ハ‘, }. . // j/ . . . .゚, . . .| . . . . .i| マY . oノ マY . oノ/厶イ!{ / . . . .゚。. | . . . . .i| ー'″ `ー'゙ / | | ′ . .___@∨ . . .i| . . . . . . ′ . . . . . | |/ . . . ´ ハ 。 . .八 /ー―‐1 { / | . . ./ 、| ヘ ゚。 . / )、 { } ィ ∧; ┐ おもち…… . / / ̄)/ / . 、 > ゝ--- ′< ノ /// ′ _ | 丁 | |` ミ \ ̄/,,_ |彡"彳/ / .___ | 、__) ー | ,. ┐t'⌒{ } 入 | r v // r― ′! r‐、} '^ | | {ニ=- ∨ _ノ┴ュ'′/ } 〈_/ \ し ー |ニニニ{ニ}ニニニニ} / ,ノ、 rヘ,_〉 } / ニニニィ¨ト=ニニ7 { ‘,  ̄} .. イ∧ /ニニニ/ マニニニ\ , /し' . / ゝ /'⌒ヽ/ マ> ´ \ / i } 913 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/11(水) 00 56 49.12 ID 8ZDdcHBzo 春「それもこれも黒糖のおかげ」エッヘン 咏「それが本当なら10kgでも買うんだけどねぃ」 絃「それは流石に……その前に病気になっちゃいます」 咏「冗談冗談。健康第一だね」 京太郎「まぁ黒糖の話はここまでにして、朝食作りに入りましょうか」 京太郎「で、問題ですけど皆さん料理の腕前は?」 絃「えっと、私は人並みには出来ると思っていますが……」 菫「も、もちろん 914だ」 玄「わ、私は 915かな?」 春「…… 916」 咏「自慢じゃないけど 917だねぃ」 コンマ判定(コンマ反転) 01~50 出来ない 料理スキル:C (メシマズ) 51~98 出来る 料理スキル:B (メシウマ) ぞろ目44以外 料理スキル:A ぞろ目44 破魔矢発動(振りなおし) 926 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/11(水) 01 12 48.05 ID 8ZDdcHBzo これは酷い。だが安心して欲しい、一応改善の余地は有るから……多分 全員出来ない 菫「も、もちろんその……自信は無いと言うか経験がほとんどないと言うか……」ゴニョゴニョ 玄「わ、私はその料理は板長さんにおまかせしてたから……」 春「……味見係」 咏「自慢じゃないけど出来ないねぃ」アハハ 京太郎「……」 京太郎(もしかしなくても人選ミスった?) 京太郎「ま、まぁ調理そのものは俺と絃さんで何とかなると思いますので、皆さんには下準備をお願いします」 菫「そ、それくらいなら大丈夫だ……多分」 玄「お、おまかせあれ!」 春「……味見なら」 咏「その前に悪いけど、着物の裾締めてくれない?邪魔なんだよねぃ」 京太郎「――と言う訳で絃さん、貴方が俺の最後の希望です」 絃「え、えっと……が、頑張ってみます」アセアセ 929 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/11(水) 01 31 30.94 ID 8ZDdcHBzo 【調理場】 京太郎(どうやら俺が作る事に決まったせいか、あの人は居ないようだ……) 京太郎(あの人が居たら、きっともっと大変だっただろうし良かった) 京太郎(で、肝心の料理内容だが最初はたくさん作ってビュッフェスタイルにしようかと思ってたが無理だな) 京太郎(俺と絃さんだけじゃ、どう考えても数を作れないし……) 京太郎(とは言え最低でも和食と洋食の2種類は作った方が良いだろうから、二人で分担するか) 京太郎「絃さんは和食と洋食、どちらが得意ですか?」 絃「えっと……どっちも同じくらいでしょうか」 京太郎「そうですか。じゃあ俺が 932作りますね」 ※どちらを選んでも大して変わりません。 1.和食 工程【ご飯・味噌汁・魚・漬物】 2.洋食 工程【パン・スープ・目玉焼き・ベーコン】 934 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/11(水) 01 50 25.79 ID 8ZDdcHBzo 洋食 京太郎「じゃあ俺が洋食を作りますんで、絃さんは和食をお願いできますか?」 絃「分かりました。上手くできるかどうかはわかりませんが、頑張ります」 京太郎「お願いします。本当、絃さんだけが頼りなんです」ギュッ 絃「だ、大丈夫だと思いますからその手を離していただけると///」 咏「で、私達はいつまでラブコメを見てれば良いのかねぃ?」 春「……」ポリポリ 菫「ほ、ほら!時間も無いんだから早くしろ!」 玄「そ、そうだよ?早くしないと皆起きちゃうし」 京太郎「す、すみません。えっと、それじゃあ 937さんと 939さんは俺を手伝ってもらえますか」 1.菫 2.玄 3.春 4.咏 942 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/11(水) 02 18 29.99 ID 8ZDdcHBzo 玄 菫 京太郎「それじゃあ、玄さんと菫さんは俺を手伝ってもらえますか?」 玄「やった!おまかせあれ!」 菫「分かった。……その、よろしく頼む」 京太郎「はるると咏ちゃん先生は絃さんの手伝いをお願いします」 春「ん……分かった」 咏「りょーかい。でもさぁその前にちょっとお願いがあるんだけど」 京太郎「何ですか?」 咏「……その、な?えーっと……」ゴニョゴニョ 京太郎「あのー言いたい事があるのでしたらはっきりとお願いします。時間も限られてますし……」 咏「わ、分かったよ。その……だな///」 京太郎「はぁ……?」 咏「ええい!このニブチン!見て分からないのかねぃ……届かないんだよ!このままじゃ!///」ペチペチ 京太郎「は?……あ、ああ!確かに」 咏「やっと分かってくれたか……。ああは言ったけど、私が料理作れないのはこのせいでも有るんだからな?……本当だぞ?」 京太郎「はいはい、分かってますって。今、台を用意しますから」ニヤニヤ 咏「くっ……その分かってますよー的な顔がむかつくねぃ」 咏「1学期の評価下げてやろうかねー。しらんけど」 京太郎「ちょっ!職権乱用禁止!!」 960 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/12(木) 01 40 57.90 ID MHoG+ttto 京太郎「ではまず菫さんと玄さんにはこれを」 菫「エプロン?」 玄「あ、これ龍門渕さんの?」 京太郎「ええ。予備ですけど」 京太郎「それから咏ちゃん先生と絃さんとはるるにはこっちを……」 咏「これってあれか、いわゆる割烹着じゃん」 絃「こういうのは初めてですけど、動きやすいですね」 春「……サイズぴったり」 京太郎「三人とも服が服ですし、それにそれを着けてると和食作ってるなぁって気になりません?」 菫「まぁ確かに、何事も形からって言うしな」 玄「皆、お似合いなのです」 咏「ま、確かに私とか滝見は裾が邪魔になるからこっちの方が良いねぃ」 絃「私も裾が長いですから、こちらの方が良いですね」 春「……でも何故京太郎は割烹着がある事まで知ってたの?」 京太郎「!?」ギクッ 京太郎「い、いやぁ偶然見つけたんですよ偶然」 京太郎(い、言えない。メイド服を見つけたときに一緒に見つけていたなんて……) 961 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/12(木) 02 03 05.16 ID MHoG+ttto 京太郎「と、とにかく時間も無い事ですしすぐに取り掛かりましょう」 絃「そうですね。それではお二人共こちらへ」 咏「へいへーい」 春「……」 京太郎「それではこっちも始めましょうか」 菫「ああ」 玄「うん」 京太郎「ではまずは、パンを焼きましょう」 菫「なんだ、それなら大丈夫だ。パンを焼くくらいなら私にでも出来るぞ」 京太郎「そうなんですか。それは良かった」 京太郎「じゃあこれ、お願いしますね」ドンッ 菫「!?」 菫「な、なぁこれは何だ?」 京太郎「何ってパン種ですが……?あの……もしかして何かおかしなところでも?」 菫「いや、これ自体はおかしくない……いや、やっぱりおかしい」 玄「もしかしてこれ、きょーくんが作ったの?」 京太郎「勿論そうですよ。いやぁ流石透華さんですねー。良い素材使ってます」 京太郎「ま、おかげでちょっと勝手が分からなかった部分も有りますけどね」アハハ 菫「いやいやいやいや」 菫「パンを焼くってまさか……」 京太郎「はい。そこのオーブンで焼くんですよ?」 菫・玄「「ええっ!?」」 964 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/12(木) 02 49 03.58 ID MHoG+ttto 京太郎「やっぱりパンは焼きたて作りたてが一番ですからね」 京太郎「いやぁ前日に仕込んだ時は大丈夫かなと思いましたが、案外何とかなるもんですね」 菫「いや普通はならないだろう」 玄「もうパン屋になれば良いんじゃないかな?」 京太郎「またまた、ご冗談を」 京太郎「パン屋になるには心を込めたパンが作れないといけませんし……」 菫「……一体何を目指してるんだ?」 京太郎「とまぁ話はこれくらいにして、実際に焼いていきましょうか」 京太郎「まずは麺棒で平たく伸ばしましょう」 菫「ふむ。こうか?」 京太郎「ええ、そんな感じで」 玄「う~ん、難しいね意外と」 京太郎「まぁ初めてなんで、そんなに気合いれずにやってください」 京太郎「出来たら4つに折りたたんで、パン型に入れます」 菫「なるほど、これで焼くのか」 玄「やってみると簡単だね」 京太郎「いやいや、ここからあと30分ぐらい置いておいて膨らましてから焼くんですよ?」 菫・玄「「え?」」 975 名前: ◆UNNCnfZIx6[sage] 投稿日:2013/09/13(金) 00 27 01.30 ID N1D1Vv+yo 京太郎「ではパンが膨らむのを待っている間に野菜スープを作りましょうか」 京太郎「......あの最初に聞きますが、まさか包丁を持つのも初めてとかじゃないですよね?」 菫「ま、まさかこんな年になってなぁ?」 玄「そ、そうだよ?」 京太郎「......本当に?」ジィーッ 菫「うっ......えっと 978です」 玄「わ、私は 980です」 コンマ判定(コンマ反転) 01~30 包丁も持った事がありません 31~70 ほ、包丁くらいは何とか 71~98 自慢じゃないけど包丁捌きには自信が 【料理経験値に+1(10貯まるとレベルアップ)】 ぞろ目44以外 我に斬れるものなし! 【料理経験値+3】 ぞろ目44 破魔矢発動 988 名前: ◆UNNCnfZIx6[sage] 投稿日:2013/09/13(金) 00 57 27.66 ID N1D1Vv+yo 菫 包丁も持ったことなし 玄 包丁くらいは何とか 菫「うっ……えっと包丁も持った事がありません」 玄「わ、私は包丁くらいは何とか板長さんに教えてもらったから……」 京太郎「菫さん……」アワレミノメ 菫「ち、違うんだ!いや違わないんだが、これには深い訳が有ってだな」 京太郎「……ちなみに聞きますけど、どのような理由が?」 菫「まず、自慢じゃないが私は今まで麻雀に全てを懸けてきた」 京太郎「まぁ菫さんストイックそうですし」 菫「次に小中高と私は全寮制だったのでな。故に料理を作る必要が無かった」 京太郎「分からなくもないですね。けどご実家では手伝いとかは?」 菫「……そしてまぁこれが最大の理由かもしれんが、両親……特に父親が過保護でな」 京太郎「は、はぁ……」 菫「それはもう目に余ると言うか何と言うか……」 菫「怪我したらいけないからって、包丁も持たせてくれなかったんだ……」 京太郎「……今どきそんな父親がいるんですね」 菫「本当、私が嫁にでも行ったら死んでしまうんじゃないかと心配だよ」 京太郎(菫さんと結婚する人、大変そうだな……) 京太郎(いやその前に料理も出来ないと貰い手が――) 菫「……何か言ったか?」ギロッ 京太郎「イエナンデモ」 36 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/17(火) 01 07 54.79 ID 8hfKPeoYo 京太郎(しかし……どうするべきか?) 京太郎(包丁も使えない菫さんを何とかするべきか) 京太郎(それとも菫さんには他の事をしてもらい、玄さんと材料を切るか……) 京太郎(なんか菫さんは放っておくと危なっかしそうだし……) 京太郎(でも時間から言えば玄さんと一緒にした方が早いし……) 39 1.菫さんを指導する 2.玄さんと料理する 3.その他(内容併記) 41 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/17(火) 01 26 02.90 ID 8hfKPeoYo 菫さんを指導する 京太郎(いやここで菫さんを放っておくと、後々怖いし……) 京太郎(それに高三にもなって包丁も握った事がないのは流石に、ねぇ?) 京太郎「菫さん」キリッ 菫「な、なんだ?」ドキドキ 京太郎「この際です。包丁の扱い方を学びましょう」 菫「は?いやいや、今はそんな事をしてる場合じゃ……」 京太郎「ですがこの機会を逃すと扱えないままですよ?」 菫「そ、それはそうかもしれないが……」 京太郎「……菫さんが料理できないこと、照は知ってるんですか?」 菫「えっと、その……今までは誤魔化してきたから知らないと思う」 京太郎「ぶっちゃけ、あのぽんこつ照ですら料理はそれなり包丁はちゃんと扱えます」 菫「そ、そうなのか?」 京太郎「つまり今の貴方は料理に関しては、あの照よりぽんこつなんですよ!」 菫「!?」 京太郎「その事を照が知ったら――」 -─===‐-ミ ´. . . . . . . . . . . . 、/. . . . . . . . . . . . . . . \. . . . . . . . . . . . ト、 . . . . `、. . . . . . . . .|. . . . | \. . . . ',. . . . . . . |. . . . | \|. . .. . |. . | |. ‐/、|. . l . | -‐. |、. . .. . |. . | |. / |. . 八ノ ハ . | . .. 八. |┬─┬}/ ┬‐┬‐ . . |`ヽ}. /⌒ヽ} | | 三 | | .'. . |. { '└─┘  ̄ └‐┘ l. . |人_ j. . |i. . . .> )‐┤ イ.l 'i. . . i . _;〕ト _/| h ≦. . .| 八/ト、. . |/⌒ 、_| | | | ト、`〉、|/| \{ .,_ \| |/ ハ / ヽ > | ノ / ∧ 照「菫がぽんこつ……」プププ 菫「い、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」 42 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/17(火) 01 50 33.54 ID 8hfKPeoYo 菫「頼む!今すぐ私に包丁の扱い方を教えてくれ!頼む!」 京太郎「だ、大丈夫ですから。そんなに必死に頭を下げなくてもちゃんと教えますし」 京太郎「ですから頭を上げてください」 菫「ほ、本当か?」 京太郎「ええ、任せておいて下さい」 京太郎「そう言う事なんで玄さん。申し訳ないですが、下準備の方をお願いします」 玄「う、うん。下準備くらいなら大丈夫だと思うから、その……頑張ってね?」 京太郎「……何とかして見せます」 京太郎「――と言う訳でまずは包丁を持ってみてください」 菫「こ、こうか?」ギュッ 京太郎「持ち方は特に問題ないですが、無駄に力を入れ過ぎです」 菫「しかしだな……」 京太郎「じゃあ深呼吸して、落ち着いてください」 菫「すーはー」 京太郎「って包丁持ったままやらないでくださいって!!」 菫「す、すまん!」 京太郎「だから包丁はちゃんと置いて!!」 菫「そ、そうだな」ストン 京太郎「だからってまな板に刺さないでくださいってば!!」 京太郎(……前途多難すぎるだろ) 京太郎の指導 45 コンマ判定(コンマ反転) 京太郎の指導により(知力72 + 精神力41 ÷ 4 = 28.25≒28 +28) 01~30 菫さん…… 31~70 まぁこれくらいならマシでしょうか? 【菫の料理経験値+1 10でレベルアップ】 71~98 やれば出来るじゃないですか! 【菫の料理経験値+3 好感度+1】 ぞろ目44以外 あれはSSS(シャープシェフスミレ)!? 【菫の料理経験値+5 好感度+3】 ぞろ目44 破魔矢発動 48 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/17(火) 02 18 47.42 ID 8hfKPeoYo 12 + 28 = 40 まぁこれくらいならマシでしょうか? 京太郎「まぁこれくらいならマシでしょうか?」 菫「そ、そうか」 京太郎「一応素材を切る事は出来ましたし」 京太郎「と言っても明らかに大きさがバラバラですけど」 菫「うっ……」 京太郎「まぁ包丁を初めて握ってこれなら大丈夫でしょう」 菫「そ、そうだよな!」 京太郎「ですが一口に切るといっても、繊切り、針切り、みじん切り、あら切り、ぶつ切り、乱切り、笹がき、輪切り、筒切り、小口切り、斜め切り、削ぎ切り、半月切り、いちょう切り、拍子切り、短冊切り、さいの目切り、あられ切り、隠し包丁、桂むき、飾り包丁、飾りきり、面取り、切り違い、手綱切り、花形切り、菊花切り、茶筅切りと有りますが」 菫「……は?」 京太郎「まぁこれらはこれから覚えていけば良いですからね?俺も手伝いますし」 菫「そうか……」ホッ 菫「って京太郎も手伝ってくれるのか?」 京太郎「当然です。乗りかかった船ですし」 京太郎(それに教えた手前、怪我でもされたら困るし……) 菫「そうかそうか……。うん、頼んだぞ♪」 京太郎「?ええ、まぁ任せてください」 58 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/18(水) 01 16 21.32 ID zyNSNUAgo 玄「きょーくん、こっちは出来たよー」 京太郎「あ、すみません玄さん。一人で任せてしまって……」 玄「大丈夫大丈夫。これくらいは平気だから」 玄「そっちはどう?」 京太郎「まぁ……なんとか?」 菫「ほら見てくれ松実妹、この通り包丁捌きも――」ビュンビュン 玄「ひっ!?」ビクッ 京太郎「だーっ!だから包丁を振り回すのは駄目ですって!!」 菫「す、すまん……」 京太郎「包丁が扱えるようになって嬉しいのは分かりますが、はしゃぎ過ぎです」 菫「……面目ない」シュン 京太郎「玄さんにも謝ってくださいね」 菫「本当にすまない」ペコリ 玄「あ、いえ私は気にしてないですから良いですよ」 京太郎「とにかく、時間も余りありませんし一気にベーコンと目玉焼きを作りましょう」 一緒に作るのは 61 1.菫 2.玄 62 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/18(水) 01 29 34.24 ID zyNSNUAgo 玄 京太郎「それでは俺は玄さんとベーコンと目玉焼きを作りますんで、菫さんはスープの鍋を見ててください」 菫「わ、分かった」 京太郎「……一応言っておきますが、見ると言うのは本当に見てるだけじゃなく、時々鍋をかき混ぜたり火加減を見たりするんですよ?」 菫「だ、大丈夫だ。そ、それくらい分かってたぞ?」 京太郎(……嘘だな) 玄(嘘だね) 菫「な、何だその疑いの目は?えーい!絶対成功させてやるからな!!」 京太郎「いやただ単に鍋をかき混ぜていただければ良いんですけど……」 63 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/18(水) 01 38 35.71 ID zyNSNUAgo 京太郎「……本当に大丈夫かなぁ」 玄「えっと……私も菫さんの事は言えないけど多分大丈夫なんじゃないかなぁ?」 京太郎「まぁ菫さんも心配ですけど、今は玄さんの番ですからね」 玄「は、はい!」 京太郎「ベーコンは良いとして、卵……割れます?」 玄「うぅ~馬鹿にしないでよ。卵ぐらい――」 66 コンマ判定(コンマ反転) 01~30 スベって転んでおでこで割る 31~70 多少殻が入ったものの合格点 【玄の料理経験値+1 10でレベルアップ】 71~98 やれば出来るじゃないですか! 【玄の料理経験値+3 好感度+1】 ぞろ目44以外 あれは阿知賀のドラゴンロード!? 【玄の料理経験値+5 好感度+3】 ぞろ目44 破魔矢発動 68 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/18(水) 01 55 59.71 ID zyNSNUAgo スベって転んでおでこで割る 玄「あうっ!?」ステッ 京太郎「あ」 玄「イタッ!」グシャッ! / . / / /. | | ヽ /. . ./ . . / /. . /| . . . . . . |. . .|. . . |. | . i. . . .i . . . . / /. . . i/ i_;. イ| . . | . . |. . .ト. .;_|. | . |. . . .i . . . . . /) / / . . i . . i/| . . |八 . 八. . . .|. . .|. . /|/\|. . . .i. . . . .i 〈 <00 rュ φ . ./ . .i . . i 斗テ宀ミ . . . \. .∨斗宀弌ミ /j| . . j . i . .| \) ∩┌─ 、 ○ o . ./i . i . . 〃 んuノハ \|\|\| んuノハ ∨|. . .リ. . i . .| ⊂ニ ⊃  ̄)丿 {. . ;. i . 人 . {i { .. .. } { .. .. } レ. . . .i. . i . .| ( ○ | / __ __ xく '| . i . . . .ト、| とつ_ノ ゝ._(つo厶ィj . i. . i 八  ̄∪ \ ゙っ) / . . . . / | . i . . . .i |//// ′ ////| ! . i. . i . . . 、 '⌒ア. . .ノ ノ . i . . . 从 从 ノ. 八 . . . \ 玄「あぅあぅ……」ベチョーッ 京太郎「く、玄さん大丈夫ですか!?」アタフタ 玄「おでこいたいよー……ぬるぬるするよぉ……」エグエグ 京太郎「ほら、これで早く拭いてください」 玄「ありがとう」ゴシゴシ 70 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/18(水) 02 11 58.21 ID zyNSNUAgo 京太郎「……まったく、どうしておでこで割ろうなんて事を」 玄「ち、違うよぉ。あれはたまたまスベって転んで割っちゃっただけで……」 京太郎「あはは。分かってますってば」 京太郎「でも本当に大丈夫ですか?結構な勢いで打ち付けましたけど」 玄「えっと……ちょっとまだヒリヒリするかも」 京太郎「ちょっと良いですか」ファサッ 玄「えっ?」 京太郎「うーん、切れたり怪我したりはしてないですけど赤くなってますね」ジッ 玄「ううっ///」 玄(ち、近いよきょーくん。でも真剣に私を心配してくれてるんだね///) 京太郎「あれ?何か益々赤くなってるような……。ちょっと計りますね」ピトッ 玄「!?///」 / .. .. .. / . . . . . . . . . . . ./ | . . .ハ . . . j . . . .} ゚。 |\ . . . . .| .. 。 .. .. .. .\ / .. .. .. / . . . . . . . /|__;.ム斗 ./ | . . .し . .;\_} . |__ ゚。. . . .| . ..゚。 .. .. \ .゚。 / .. .. .. / .i . . . i . /│ ./ | .′ | . . . . . ./ Ⅵ 。 . . | . . .. 。 .. .. .. }ⅵ /....... . ., . . . | . . . レ彡| ./三ミ {、 | . . . ./ 彡=リ三ミト、 . .| . . . . ゚ .. .. .. | リ / .. .. . . ′ . .| . ./〃 リ リヾ 、 . . . ./.〃 ヾ 、リ . . . . i .. .. ..| / .. .. . . イ . . . . .| /il{ }li } . ./ il{ }li | . . . . | .. .. ∧ / .. .. ./ |. . . . . リ il{ }li l/ il{ }li | . . . .| . . .. .∧ / .. ./.. . . .|. . . . . .| ミト、 ィj/ ミト、 ィj/ | . . . .| . . . .. .∧ j ./ . .. . . . .| . . . . . | ゞ=====彡 ゞ=====彡 │ . . .| . . . . .. ∧ イO/ . .. . . . . .| . . . . . |////////////////{ . . . .| . . . . . .. ..∧ / ..// . .. . . . . . .| . . . . . |、 r――――― 、 ι ノ . . . .| . . . . . . . .. ∧ / .. ..// .. .. . . . . . . .| . . . . . | .\ ι | | イ | . . . . .| . . . .゚ , . . .. ..∧ / .. .. ..// . .. . . . . . . . . | . . . . . | . . 个 . . ノ ---―‐ ____} . . 个 . . .| . . . . .| . . . . . ゚。 . .. .. ∧ 〃 .. /|〃 . .. . . . . . . . . . | . . . . . | . . . .ハ . . .≧==- __ -==≦ .ハ. . j . . . .| . . . . .| . . . . . . |i .. . . . .∧ / ../ l/ .. . . . . . . . . . . . | . . . . . | . . / } . . . . / { } \ . . . / }. . . . . | . . . . .| . . . . . . }ト . .. .. ..∧ 京太郎「う~ん、ちょっと高いですね。もしかして風邪引いたんじゃ――ってあれ?玄さん?」 玄「きゅ~」プシューッ 京太郎「え?ちょっ、玄さん!?玄さん!大丈夫ですか!?」 82 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/19(木) 00 45 29.17 ID D6I04Nl6o 京太郎「大丈夫ですか?玄さん。いきなり倒れるから心配しましたよ」 玄「ご、ごめんね」 京太郎「まぁ大丈夫そうだから安心しましたけど……」 京太郎「でも念の為に休んだ方が良いんじゃ?」 玄「だ、大丈夫だよ。ほらこの通り!」ブンブン 京太郎「はぁ……でもさっき熱が――」スッ 玄「だ、ダメッ!!///」サッ 京太郎「へ?」 玄「本当に大丈夫だから!時間も無い事だし続けよう?ね?」アセアセ 京太郎「分かりました。玄さんがそう言うなら……」 京太郎「でも本当に調子が悪い時は言ってくださいよ?」 玄「う、うん///」 京太郎(大丈夫かなぁ?まぁ注意して見てよう) 京太郎(……でもさっき露骨に避けられたのはちょっとショックかもなぁ)ズーン 玄(ううっ……///) 玄(きょーくんってば不意打ちが過ぎるよぉ) 玄(まだドキドキしてるし、さっきもう一度されそうになった時に思わず全力で避けちゃった) 玄(気にしてないと良いけど……) 83 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/19(木) 01 00 28.79 ID D6I04Nl6o 【数分後……】 京太郎「とりあえずベーコンと目玉焼き出来ましたね」 玄「うん……ちょっと焦げたりしちゃったものも有るけど」 京太郎「……まぁその辺りはご愛嬌と言うか、目玉焼きが潰れなかっただけ良かったと思いますよ」 京太郎「ただし一部除く」 玄「あうっ」タジタシ 京太郎「あはは。冗談ですよ」 玄「もう!いじわる……」 菫「……仲の良さそうなところ済まないが――」 京太郎・玄「「!?」」ビクッ 菫「そろそろパンを焼く頃だと思うが?」ジロッ 京太郎「そ、そうですね」 京太郎(やべー菫さんの事すっかり忘れてた……) 86 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/19(木) 01 21 38.34 ID D6I04Nl6o 京太郎「それではパンを焼いていきましょうか」 京太郎「十分に熱したオーブンにパンを入れて、約30分ほど焼いていきます」 京太郎「……」 菫「……」 玄「……」 京太郎(……焼いてる間の沈黙が気まずい) 京太郎(な、何か言わないと) 89 1.それにしても二人とも、予想よりは酷くなくて安心しました 2.菫さん、スープはどうですか? 3.玄さん、おでこ大丈夫ですか? 4.絃さん達はどうかなーっと 5.その他(内容併記) 91 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/19(木) 01 38 15.54 ID D6I04Nl6o 菫さん、スープはどうですか? 京太郎「えっと、あの……菫さん、スープはどうですか?」 菫「ん?あぁ大丈夫だ。言われたとおり、見ながらかき混ぜてたぞ」エッヘン 京太郎「ありがとうございます。じゃあちょっと味見して味を調えましょうか――」パカッ スープ「具?何それ?刹那で忘れちゃった」 京太郎「……」 菫「どうだ。ちゃんとかき混ぜて綺麗になってるだろ?」 京太郎「…… 94」 1.そ、そうですね…… 2.菫さん。そこに正座 3.よ、良く出来ました(ナデナデ) 4.その他(内容併記) 97 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/19(木) 01 53 51.29 ID D6I04Nl6o 菫さん。そこに正座 京太郎「……菫さん。そこに正座」 菫「え?」 京太郎「良いから正座してください」 菫「な、何故だ?」 京太郎「正座!」 菫「は、はい!」ビクッ 京太郎「……俺は確かに菫さんに火加減に注意してかき混ぜてくださいとは言いました」 菫「ああ、だから私はちゃんとかき混ぜて――」 京太郎「かき混ぜ過ぎです!なんでスープの具が無くなってるんですか!?」 菫「いやだってかき混ぜてたら段々……」 京太郎「どんだけかき混ぜたら具が無くなるんですか!?」 京太郎「ってか無くなって来てるのが分かってたなら止めると言う選択肢は無かったんですか?」 菫「だ、だって京太郎がかき混ぜろって……」 京太郎「言いましたが時々、しかも具がなくなるまでかき混ぜろとは言ってません!」 菫「ううっ……」 98 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/19(木) 02 08 01.00 ID D6I04Nl6o 京太郎「俺より年上なんですから、それくらいは分かると言うか作ってて変だと思うくらいの事は……」ブツブツ 玄「きょーくん、きょーくん」ツンツン 京太郎「大体――ってどうしました玄さん?」 玄「えっと、その……」チラッ 菫「ぐすっ……だって京太郎が見てろって言うから私は」グスグス 京太郎(げぇーっ!?やり過ぎた?) 京太郎(ってかまさか菫さんがこんなに打たれ弱いとは……) 京太郎(ど、ど、ど、どうしよう?) 101 1.で、でも料理は味ですから味さえ良ければ…… 2.えっと俺も言い過ぎました。ごめんなさい 3.いい年して泣けば許されると思ってるんですか?(ドSの目) 4.その他(内容併記) 106 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2013/09/19(木) 02 33 53.07 ID D6I04Nl6o えっと俺も言い過ぎました。ごめんなさい+何かあったら気軽にオレを頼ってください! 京太郎「えっと……俺も言い過ぎました。ごめんなさい」 菫「ふぇ?」 京太郎「よく考えれば料理初心者の菫さんに対して、詳しい説明を怠った俺が悪いです」 京太郎「火加減に注意してかき混ぜろと言っただけで、中身の事に関しては言ってませんでしたし……」 菫「いや……だが……」 京太郎「ちゃんと側に居て指導するべきでした。本当にごめんなさい」 菫「その……こちらこそ取り乱してすまない」 菫「ちゃんと出来たと思って浮かれてしまっていた。よく考えれば、あれだけ野菜を切っておきながら具の無いスープなんてありえないしな」 菫「本当にすまなかった」ペコリ 京太郎「良いんですよ、さっきも言ったとおり悪いのは俺で……」 菫「いや私が!」 京太郎「俺が!」 菫「私!」 京太郎「俺!」 玄「すとーっぷ!」 玄「もう!二人ともそこまでなのです」 玄「どっちが悪いかじゃなくて、どっちも悪かったと言う事で終わりにしよう、ね?」 菫「……松実妹がそう言うのなら」 京太郎「分かりました。でも今後何か疑問があったら気軽にオレを頼ってくださいね?」 菫「分かった。そうさせてもらうよ」ニコッ 玄「うん。これで仲直り成功なのです♪やっぱりみんな仲良しが一番だよ」ニコニコ <<前に戻る|6月へ|次に進む>>
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6322.html
須賀母「じゃあ私は池田さんと三つ子ちゃんと一緒にお出かけしてくるから」 池田父「華菜を頼んだよ」 京太郎「はい」 池田父「華菜も、京太郎くんと仲良くな」 華菜「わかってるし」 須賀母「それじゃあねー」 京太郎「行ってらっしゃい」 華菜「行ってらっしゃいだし」 華菜(須賀京太郎かぁ) 華菜(見た感じ普通っぽいけど) 華菜(まあ、話してみないとわかんないし) 緋菜「やだし、わたしたちもおねーちゃんといっしょがいいし」 菜沙「ぱぱとおばさんはいやだし」 城菜「ねー」 須賀母「おばっ」 池田父「おいお前たち、そう我儘を言うんじゃないぞ、京太郎くんも困るだろう」 京太郎「あの」 池田父「うん?どうかしたかい」 京太郎「俺は構いませんよ?」 池田父「そ、そうかい?」 京太郎「はい、それにその子達もこれから一緒に暮らすことになるだろうし、折角だから仲良くなりたいです」 池田父「しかし……」 須賀母「華菜ちゃんはどうなの?」 華菜「私も一緒でも構わないよ」 池田父「それなら頼んでも良いか?」 華菜「華菜ちゃんにお任せだし」 池田父「だそうだ、行っていいぞお前たち」 緋菜「やったー!」 菜沙「おねーちゃん」 城菜「わーい」 華菜「よしよし、でもちゃんといい子にしなきゃ駄目だぞ?」 「「「わかったー」」」 うん、良い姉妹みたいだな。 俺も馴染めると良いけど……。 京太郎「それじゃあ中へどうぞ、えっと……」 華菜「うん?」 京太郎「何て呼べば良いかなと」 華菜「ああ、そうだな。呼び方は……」 華菜(呼び方かぁ、どう呼んで貰えばいいかな) 華菜「姉さんでいいし、あと別に敬語じゃなくていいよ」 京太郎「ん、わかったよ姉さん」 華菜「それじゃあ入ってもいい?」 京太郎「ああ」 華菜「ほら、入っていいぞー」 緋菜「わたしがいちばんだし!」 菜沙「にばんー!」 城菜「さんばんー」 京太郎「お昼まではまだあるな……」 華菜「これからどうする?」 菜沙「どうするのー?」 緋菜「おやつたべるし!」 華菜「まだ3時じゃないからおやつは駄目」 緋菜「えー」 城菜「けちー」 【午前】 華菜「そうだ、それじゃあお前自己紹介するし」 緋菜「なになにー?」 華菜「これから緋菜達のお兄ちゃんになる人が自己紹介するんだよ」 城菜「じこしょうかい?」 菜沙「おにーちゃん?」 京太郎「ああ、俺は須賀京太郎。もうすぐ皆のお兄ちゃんになるから、仲良くしてくれよな」 菜沙「きょーたろーおにーちゃん」 緋菜「なかよくするし!」 城菜「するー」 京太郎「よしよし、ありがとうなー」 仲良くしてくれると言った二人の頭を撫でてやる。気持ち用に目を細めて、姉さんもだけど猫みたいで可愛いなぁ。 菜沙「ふたりともずるいし」 華菜「菜沙もお兄ちゃんと仲良くする?」 菜沙「するー」 華菜「いい子だな、それじゃあ代わりに姉ちゃんが撫でてあげる」 菜沙「おねーちゃんじゃやだし」 華菜「何をー!?」 華菜(でも、いい奴そうで良かった) 華菜(妹達もなついたみたいだし、上手くやっていけるかな) 華菜「お昼も済ませたし、次はどうしようか」 京太郎「午後かー、そうだな……」 【午後】 緋菜「ねーねー、おにーちゃんはまーじゃんするの?」 京太郎「麻雀?俺はやらないけど、何で?」 菜沙「おねーちゃんはまーじゃんつよいんだよ」 城菜「たいしょーだもんね」 京太郎「姉さん麻雀部なんですか」 華菜「まあな」 京太郎「そう言えば学校は?」 華菜「風越女子だし」 京太郎「へー、風越って麻雀強いって聞いた覚えがあるけど、全国とか行ったりしたの?」 華菜「風越は強いんだ……でも、去年はやばいのが居て負けちゃって」 京太郎「やばいの?」 華菜「そう、天江衣って言うんだけど、去年の私じゃ全く歯が立たなくて……」 無意識にか、拳を握りしめる姉さん。 よほど悔しかったのだろう、嫌なことを思い出させちゃったかな……。 華菜「でも今年は勝ってみせるし!」 京太郎「おお」 華菜「天江を倒して今年こそキャプテンと全国に行く!」 キャプテン……?チームメイトなのかな。 麻雀はよくわかんないけど、こういうの結構好きだな。 京太郎「姉さん」 華菜「なんだ?」 京太郎「俺応援するよ」 京太郎「そんで、かっこ良く麻雀打つ姉さんを見せて欲しいな」 華菜「とーぜん!」 華菜「って、もうこんなに暗くなったのか」 京太郎「時間が経つのは早いなぁ」 緋菜「おねーちゃんずっとしゃべってたし」 菜沙「わたしたちもはなしたかったー」 城菜「ねむいし」 華菜「は、恥ずかしいからやめるし!」 【夜】 緋菜「おなかへったし」 華菜「さっきおやつ食べただろ」 京太郎「晩御飯出来たぞー」 菜沙「わあ!」 城菜「おいしそー」 華菜「お前、料理上手いんだな」 京太郎「まあそれなりに」 緋菜「たべていい!?」 京太郎「いいぞー」 緋菜「わー!」 京太郎「待て待て、食べる前にいうことがあるだろ?」 緋菜「わ、わすれてただけだし」 京太郎「じゃあ皆で言おうか?」 華菜「菜沙と城菜も一緒に言うんだぞ」 菜沙「わかった」 城菜「うん」 華菜「それじゃあ、せーの」 「「「「「いただきます」」」」」 京太郎「空いてる部屋に布団四組用意したから姉さん達はそっちで」 華菜「ありがとな京太郎」 京太郎「まあ俺の家だから」 緋菜「ねむいし」 菜沙「んぅ」 城菜「むにゃ……」 京太郎「ありゃ、寝ちゃったか」 華菜「運ぶの、手伝ってくれる?」 京太郎「もちろん」 三つ子達を運び終えて自室に倒れこむ。 一気に姉と妹が増えて賑やかになったのは楽しいけど、結構疲れるな。 明日も姉さん達と一緒だ、今日は早く寝るか……。 ……朝だ。 耳元でけたたましく鳴る目覚ましを止めたまま一向に布団から出れない。 このまま気持よく二度寝しちゃうかな……? 【朝】 うん、寝よう。 このまま起きるなんて無理無理。 少しだけ、少しだけだから……。 どたどたっ。 ん?何だか騒がしいような……。 緋菜「おにーちゃん起きるし!」 どすっ 京太郎「ぐおっ!?」 理解した時には既に遅く、俺の大事な部分に緋菜ちゃんが着地。 激痛が走り俺を三度目の眠りに誘う。 華菜「きょ、京太郎大丈夫か!?」 菜沙「すごいこえだったし」 城菜「めがしろいよ?」 華菜「きょうたろおおおおおおおっ」 京太郎「死ぬかと思った」 華菜「ごめんな……ほら、緋菜も謝れ」 緋菜「ごめんなさい……」 京太郎「あはは、緋菜ちゃんは起こそうとしてくれたんだから悪くないよ」 京太郎「ただ次から飛び乗るのはやめような?」 緋菜「わかったし……」 【午前】 京太郎「よし、そんじゃあ起こしてくれたお礼にお昼まで遊ぶか!」 城菜「ほんとう?」 京太郎「ああ!」 緋菜「わーい!」 菜沙「やったー!」 京太郎「よーし、それじゃあ何して遊びたい?」 緋菜「うーん」 菜沙「なにしてー?」 城菜「おやつたべる?」 京太郎「おやつ食べるのは遊びじゃねえ!ってかさっき朝飯食ったばっかだろ」 城菜「えー」 京太郎「なんかあるだろ?例えばー……おままごととか?」 華菜「何で疑問形だし」 緋菜「じゃあおままごとするー」 華菜「しかもそれでいいのか」 菜沙「わたしねこねー」 城菜「そしたらいぬー」 緋菜「えーと、えーっと……かえる!」 京太郎「動物ばっかだな!?しかも蛙!?」 緋菜「じゃあおねーちゃんがままでおにーちゃんがぱぱね」 京太郎「おっ、まともだ」 華菜(私がママで京太郎がパパ、か) 城菜「わたしむすめー」 菜沙「わたしもー」 京太郎「よーし、それじゃあパパが抱っこしてあげよう!」 菜沙「たかい!」 城菜「すごい!」 華菜(何だろ、この気持ち……) 京太郎は私にとってどんな存在になったのかな。 まだ曖昧だけど、言うなればそう、家族……って感じなのかな。 一日一緒にいてわかったけど、京太郎がいいやつだし、妹達の面倒も一緒に見てくれる。 きっと嬉しかったんだ、自分と一緒に妹達の面倒を見てくれる奴が出来て。 だから、これからもこんな関係で仲良くやっていけたら良いな。 姉弟として、家族として……。 京太郎「姉さん?」 華菜「なっ、なんだし!?」 京太郎「ぼーっとしてるけど大丈夫?」 華菜「ちょっと考え事してただけだから」 京太郎「そっか」 華菜「それより午後はどうするんだ?」 【午後】 京太郎「せっかくだから出かけよう」 緋菜「おでかけ?」 京太郎「お出かけだよ」 菜沙「どこいくのー?」 京太郎「それは……プールだ!」 城菜「おぉー」 華菜「温水プール?」 京太郎「そうだよ」 緋菜「いこういこう」 菜沙「はやくいこう」 京太郎「すぐ準備するからなー」 京太郎「というわけでやって参りました!」 菜沙「ましたー!」 緋菜「ねえ、もういっていい?」 京太郎「しっかり準備運動したか?」 城菜「したー」 京太郎「ようし、それなら存分に遊んでこい!」 「「「わーっ!!」」」 三つ子達が浅いプールで戯れる様子を姉さんと二人で座って眺める。 楽しそうな姿に思わず笑顔を浮かべていると姉さんの手が俺の手を包んだ。 京太郎「?」 華菜「ありがとな、色々」 京太郎「いやぁ、俺も楽しんでるから」 華菜「そっか」 京太郎「そう」 華菜「また、来ような」 京太郎「おう、何回でも来よう」 京太郎「プール楽しかったかー?」 緋菜「たのしかった!」 菜沙「さいこー!」 城菜「またいきたい!」 京太郎「そうかそうか、喜んでくれて兄ちゃん嬉しいぞ」 【夜】 京太郎「そろそろお風呂にするか」 華菜「それじゃあ私が緋菜達と……」 緋菜「おにーちゃんとがいいー」 菜沙「わたしもー」 華菜「何言ってるんだ、そんなの駄目に決まってるだろ」 城菜「えー」 華菜「えーじゃない」 京太郎「……」 これは……どうするべきなんだ。 俺は一緒でも良いけど。 三つ子と一緒に入るって大丈夫か……? いや駄目だ、ここは姉さんに任せよう。 華菜「それじゃあ入ってくるよ」 京太郎「おう、ごゆっくりー」 ふぅ、何がとは言わないが危ないところだった。 「こら!しっかり洗え!!」 「湯船に飛び込むなぁ!!」 「まだ出ちゃだめだしっ!」 姉さん、大変そうだなぁ。 ……気になる。 いや覗いたりしないぞ、絶対覗かないからなっ!! 華菜「あー、疲れたし」 京太郎「お疲れ様」 緋菜「きもちよかったし」 菜沙「あったまった」 城菜「ぽかぽかー」 耐え切った……よくやった、俺。 京太郎「それじゃあ寝ようか」 華菜「あ、京太郎……」 京太郎「ん?」 華菜「えっとっ……」 華菜「お前も一緒に寝るし!」 京太郎「へっ?」 華菜「いやその、チビ達が一緒に寝たいってうるさいから」 京太郎「ああ、わかった」 華菜「!」 京太郎「布団、もう一組持っていくな」 華菜「う、うん」 布団を運び、俺と姉さんで三つ子達を挟んで横になる。 すぐに寝息を立て始めた三つ子の寝顔を眺めていると姉さんと目が合った。 華菜「京太郎」 京太郎「うん?」 華菜「ホント、ありがとな」 もう朝かぁ。 朝日に目を細めて姉さん達の方を見る。 まだ皆ぐっすり寝てるみたいだ。 昨日は起こされちゃったけど今日は……なんて言いたいところだけど眠いんだよな。 どうしたもんかね。 【朝】 いや、起きよう。 あんまりだらしないところを見せるのもな。 ってことで、取り敢えず姉さんから起こすか。 京太郎「姉さ……」 起こそうとして、姉さんの寝顔を見て思わず声が止まる。 その寝顔はとても幸せそうで、起こすのが躊躇われた。 起こす代わりに手を伸ばし、姉さんの頭に起いてゆっくりと撫でる。 撫でると気持ちよさそうに頬を緩ませる様は猫の様で愛くるしい。 華菜「うん……?」 しばらくして起きた姉さんはぼーっと俺の顔を見たあと状況を把握して俺の手を払いのけた。 華菜「な、なにしてんだっ」 京太郎「いやつい」 華菜「ついじゃないっ!」 そう言い合っていると三つ子達も目を覚ます。 緋菜「どうしたのー?」 菜沙「けんかしちゃだめ」 城菜「あさごはんは?」 華菜「……朝御飯、つくろうか」 京太郎「うん」 朝食を終えると家の前で車が停まる音がして我が家のドアが開けられた。 須賀母「ただいまーっ」 池田父「いい子にしてたか?」 菜沙「ぱぱー!」 緋菜「おばさんもー」 城菜「もぐもぐ……」 京太郎「おかえり母さん」 須賀母「ただいま京太郎、華菜ちゃんとは仲良くなれた?」 京太郎「ああ」 池田父「三つ子の面倒を見させちゃってすまないね京太郎くん」 京太郎「いえ、楽しかったです」 池田父「そうかそうか、ありがとう」 華菜「それじゃ帰る支度をしようか」 緋菜「えー?」 菜沙「おにーちゃんとあえなくなるの?」 城菜「さびしい……」 華菜「大丈夫、またすぐに会えるよ。な、京太郎?」 京太郎「……もちろん!」 《池田華菜編 カンッ!》
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/5681.html
479 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/16(土) 14 40 56.64 ID FlHkyIZPO [2/7] 今までありがとうございました それではヒロイン座談会を始めます 481 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/16(土) 14 53 15.92 ID FlHkyIZPO [3/7] とある時空間の狭間。 何かに呼ばれた少女達の醜い争いが。 ――今宵始まる。 照「……」コンコン 「入れ」 照「失礼します」ガチャ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄││ │ S E E L E ││ │ ── ── ││ │ │ / │ | ││ │ │ / │ ── ││ │ │/ │ | ││ │ ── ── .││ │ SOUND ││ │ ││ │ ONLY ││ │ ││ │ ││ │ ││ │ ││ │ ││ │ ││ │ ││ │ ││ │ ││ │ ││ │ ││ │ ││ │ ││ │ ││ | |/  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 照「!?」ビクッ 「これで全員揃ったな、まぁ座れや」 照「……」ドキドキドキドキ 482 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/16(土) 14 58 31.57 ID FlHkyIZPO [4/7] ____ ____ |\ \|\ \ _ |_| ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄ ̄ ̄ ̄|\ \ |\ \Sound...| | Sound | \ \ | | ̄ | Only. | l Only .| | ̄| | | ||\ ̄ ̄ ̄\|\ ̄ ̄ ̄\| | | | || | ̄ ̄ ̄ ̄|| | ̄ ̄ ̄ ̄| .| | | || | || | | .| | | || | || | | .|. \.l || | || | | .|.  ̄.| | || | | ̄ \| l\| | 照(帰りたい……)ガクガクブルブル 恒子「全員揃いましたね、それでは司会進行は私が行いますね」 「すばらですね」 「異議なし、素晴らしき人選だ」 「異議なしやな」 「ご飯は出ますか?」 「空気読んでよ……異議なし」 「私も異論は無い」 「ダルッ……」 「異議なしやでー」 「うちも異議なしや」 「テルーを怖がらせないでよ!異議なしー!」 照「あっ……淡……」ホッ 483 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/16(土) 15 11 14.18 ID FlHkyIZPO [5/7] 怜「まぁ……冗談は置いといて」ヒョイッ 衣「……」ヒョイ 洋榎「これ気に入ってたんやけどな」スッ 一「涼しくなったね」ヒョイ ゆみ「悪ふざけはやめてくれよ」ヒョイ 憩「おおー照さんやったんやな」ヒョイ 白望「……見えなかったの?」ヒョイ 煌「あれは……穴が空いてる筈ですが?」ヒョイ 穏乃「穴……塞がれてますね」ビリビリィポイッ 淡「ど……どんな力してるの……?」ビクゥッ 照「既にこの時点で文を圧迫してるから何人かは自重するべき」 怜「分かっとるわ!」クワッ 穏乃「やけに不機嫌ですね」 憩「最後のシメを取られたからなー」 淡「自分だって本編のシメを取った癖にねー」 484 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/16(土) 17 19 36.24 ID FlHkyIZPO [6/7] 怜「今回は読者様との共同企画やからな」 照「読者様は大事にするべき」 煌「その心……すばらですっ!」 白望「合間合間にエイスリンとか敗れた人達が来るらしい……」 照「えっ……」 怜「あんまり会いたく無いわ……」 穏乃「また襲ってきても返り討ちにするよ」ニッコリ 淡「裏話もちょこちょこ入れるよー」 恒子「それでは最初の質問を受け付けますね」 憩「今回はマッタリ進行やで」ニコニコ 恒子「最初の質問は……」 恒子「 484!」 ゆみ「疑問に思った事、気になった事、文句なんでもいい」 衣「文句ばかりになってしまうぞ!?」オロオロ | | o マ`ー ' 7´ " . ⌒ヾト/ // | / / | | とつ_`ー― ' / ハ ヘYイ / / / | | 〃 `¨ {o{ 爿 || |,/ / / | | || ∨廴ノ(_).,リ / / / | | || ' \z_ノ /'|/ , イ ./ | | || `とつ./ ///! | | || /イ/イ | | | || , ― 、 / ! .! /! i! ii  ̄`’ / | |. / i! i! ii / i! !/ | ト、 ii .イ | i! ,! i | \!i . < i! .i! | /! | | じゝ. . < \i! | !. / i! | | > ,. _ . < \ | ! |/ | | | / \ ヽ ! | | 485 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/16(土) 17 31 49.09 ID FlHkyIZPO [7/7] 怜「何自分で安価取ってんねん」 照「……」ドンビキ 恒子「失礼しました」イラッ 恒子「 486さんお願いします!」 491 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/17(日) 01 34 56.42 ID 5oXhsFNeO [1/9] 洋榎「言ってる側からゾロ目やん……」 怜「うちもビックリやで……」 洋榎「そうやな、ここはうちの出番やな」 洋榎「8スレ目辺りからゾロ目がウミガメの卵みたいにポンポン出てきたやんかー?」 恒子「1スレ目から結構出てるねー!」 洋榎「8スレ目はもうストーリーにならへんやんって感じやったからな、ちょっとゾロ目の出過ぎはこたえるわ」 恒子「システム上拙い部分と当時の 1のやる気の無さもあったよねー!?」 洋榎「まぁバッドエンドスレは正直意味不明やったな」ガハハ 恒子「洋榎ちゃんの誕生日だからじゃない?」 怜「理不尽や!」ブーブー 照「訴訟も辞さない」ブーブー 恒子「それでは洋榎さんがヒロイン?の時の物を全てプレイバックしましょう」 492 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[saga] 投稿日:2014/08/17(日) 01 45 57.62 ID 5oXhsFNeO [2/9] 洋榎「これが始まりやな、3スレ目でうちの最初の好感度判定」 428 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] あ 2014/05/11(日) 19 38 00.88 ID 5Nfj5bcCo 憩「その次がこれって……マジなんー?」ドンビキ 441 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] あ 2014/05/11(日) 19 46 44.44 ID 4Xl7irlNo 洋榎「うわぁ……キッモ……」ドンビキ 白望「私と違ってコンマに恵まれてる……」 恒子「そしてこれがVTRです」 ――― 洋榎「ここにピルがあるやろ?」 京太郎「!」 洋榎「これで避妊出来るねん」 京太郎「っっ!」 洋榎「条件があるんやけど」チュッ ――― 一同「うわぁ……」 照「許せない」 洋榎「終わった事やからええやろ!?」 恒子「俗に言う天和編は読者様も驚愕していましたね」 洋榎「絹かて天和かましてたやろ」 怜「なんなんこの兄弟……」 493 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/17(日) 01 55 49.49 ID 5oXhsFNeO [3/9] 洋榎「次が本当にうちがヒロインになった時の奴や。8スレ目と9スレ目や」 怜「ヒドインである事を自覚せーや」 洋榎「これが最初の好感度判定や」 957 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] ほい 2014/07/05(土) 02 17 06.77 ID DlBgK7yfo 洋榎「次が好感度低下安価」 976 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] ふ 2014/07/05(土) 03 36 16.22 ID co/wjy4/o 穏乃「何が、ふ。ですか」 洋榎「次は行動フェイズの安価」 985 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 2 2014/07/05(土) 05 06 42.88 ID COQ1FpTnO 怜「既に連続やん……」 洋榎「次はこれ」 23 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 1 2014/07/05(土) 16 11 07.99 ID 0sNMF5UIo 照「自分が関係する物全てでゾロ目……!?」ウワァ 恒子「今回に至ってはVTR無しでいいよね?」 衣「無論」 494 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/17(日) 02 03 26.72 ID 5oXhsFNeO [4/9] 洋榎「次が問題のスレや……バッドエンドスレ」 怜「牌に呪われし少女達やな」 憩「趣旨は鬱、救いなし、どうしようもない過去、牌に呪われた少女達を京太郎がほんの1ミリの可能性でもあれば救う事を目指すスレですって……完璧にフリやなー」ニコニコ 照「確かに難易度は確実に過去最大だった」 淡「臨海の大将も凄いことやってたよね」 洋榎「そこは置いといて……行くで、問題の奴」 420 ◆3tY9LUZmV5E6[] 運命を決めろ! 0~99 両足を失う ゾロ目 助かる 2014/07/17(木) 21 34 16.17 ID UW+mbJhnO 421 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] こい 2014/07/17(木) 21 34 36.11 ID An3gbt70o 怜「腹痛い……」クククッ 照「ぷっ……」ククッ 恒子「 1はこの辺りから薄々と察してたねー!」 ――― ドンッドンッドンッ バンッ 雅枝「!!」 雅枝「嘘……やろ?」ヘナヘナ 京太郎「そんな……」ガクッ 雅枝「ちょっと前までは元気やったんやで?」ポロポロ 雅枝「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」ポロポロ 0~70 洋榎容体急変 71~99 洋榎の元へ 2014/07/18(金) 01 05 12.51 ID 9Z3gPsKYO 530 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage] はい 2014/07/18(金) 01 05 59.22 ID gyGdXbYq0 495 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/17(日) 02 07 52.65 ID 5oXhsFNeO [5/9] ゆみ「私もこれぐらい簡単だったら……」 照「貴女も最後はかなり簡単だった」 ゆみ「うっ……」 恒子「 1はファッ!?って言ってますね」 洋榎「次はこれや!」 533 ◆3tY9LUZmV5E6[] ゾロ目ボーナス! 京太郎「……」 洋榎「オカン……手話出来たんやな」 京太郎「うぅ……」 京太郎「ごめんなさい……ごめんなさい……!」 洋榎「きぬぅ……」ポロポロ 由子「……」 0~10 洋榎容体急変 11~99 奇跡が起きる。全て治る 2014/07/18(金) 01 10 20.55 ID 9Z3gPsKYO 534 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] おまかせあれ! 2014/07/18(金) 01 10 58.22 ID 34Qzu0Xjo 535 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage] ファッ!? 2014/07/18(金) 01 11 39.19 ID 1iRC9F4z0 536 ◆3tY9LUZmV5E6[] ファッ!? 煌「すばらどころでは無いですね」 一「意味不明だね」 洋榎「これに関しては黒歴史やな、これのせいでバッドエンド(笑)になってもうたわ」 496 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/17(日) 02 13 01.12 ID 5oXhsFNeO [6/9] 照「救いのない話でギャグをやるのは流石だと思う」 洋榎「やめてーな……もう」 恒子「開き直って全員生き返らせたからね!開き直って」 怜「しかも自分が関係するコンマ判定三連続ゾロ目やん……」 衣「衣もこれに関しては寒気を隠し切れないぞ」 一「外道だね」 穏乃「まぁ……うん」 憩「穏乃ちゃんも近い事やってるからなー?」 恒子「それでは次の質問に行きます!」 恒子「次の質問は……」 怜「はよせーや」 恒子「 497!」 499 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/17(日) 02 34 18.67 ID 5oXhsFNeO [7/9] 穏乃「憧と宥さんルートの可能性?」 淡「あっ……」 照「あっ……」 憩「あっ……」 ゆみ「あっ……」 一「あっ……」 穏乃「宥さんはともかく憧も無かったかもね」 穏乃「最初に私がやらかした時点で無かったらしいよ」 穏乃「でも……阿知賀編に突入した最初は皆を普通に視野に入れてたよ」 淡「でも、ほぼ天和決めてたじゃん」 穏乃「えへへ……こまっちゃうよね」 穏乃「憧ルートだったら……多分絶対離さないってなると思うよ。物理的に」 穏乃「宥さんルートだったらバッドエンドなのにハッピーエンドみたいな」 穏乃「展開まではわからないや」 恒子「それでは次の質問です」 恒子「 500!」 503 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/17(日) 02 52 03.79 ID 5oXhsFNeO [8/9] ゾ、ゾロ目ボーナス! 照「……」フフン 怜「何勝ち誇った面しとんねん」 照「え……そう?」ドヤァ 怜「しばき回すぞボケェ……」 照「人気投票で勝ったのは私」 怜「もう一回やもう一回!」 ゆみ「異論ないな」 一「入れてくれると嬉しいな」アハハ 穏乃「痴女みたい……」 淡「私が次は勝つよー!」 憩「人があんまりおらんけどなー」 衣「片腹大激痛!衣が勝つ!」 恒子「今回はアピールタイムなしだよー!」 白望「本当に……だるい」 洋榎「まぁ、うちの勝ちやろ」 煌「どちらにせよすばらです!」 恒子「照、怜、ゆみ、白望、一、穏乃、淡、憩、衣、白望、洋榎、煌でいいかな……?この中から選んでください!」 恒子「もしこの中には居ない京太郎と結ばれたお気に入りのキャラが居ましたらそちらを選んでください!」 安価下~好きなキャラを思いのままどうぞ 適当な時間(15分ぐらい)で切りますのでそれまでに本妻記入お願いします。今回はアピールタイム無し 524 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/17(日) 13 41 39.67 ID ImZbO45vO 恒子「途中経過……発表するまでも無いですね」 怜「陰謀や!これは策略や!」 怜「この女に騙されてはアカン!」 照「……」ニコッ 淡「復讐編は無くなりそうだねぇ……」 怜「なんでや!?復讐編関係無いやろ!」 ゆみ「復讐編のヒロインにまでなっているのにこのザマか……」 洋榎「笑えるわ」アハハ 怜「続行や続行!」 恒子「照、怜、ゆみ、白望、一、穏乃、淡、憩、衣、白望、洋榎、煌、この中から選んでください!」 恒子「もしこの中には居ない京太郎と結ばれたお気に入りのキャラが居ましたらそちらを選んでください!」 安価下~好きなキャラを思いのままどうぞ 深夜再開です。今はまだ時間がありません 552 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/17(日) 23 20 46.22 ID F6ovLjuwO 怜「なんでや!?」 怜「この女は最後まで待ってしかおらんやろ!?」 照「できる女は待つ女」ドヤッ 怜「ちゃうわ!側におる女や!」 洋榎「好き勝手言わせたれや」 白望「……」 恒子「照、怜、ゆみ、白望、一、穏乃、淡、憩、衣、白望、洋榎、煌、この中から選んでください!」 恒子「もしこの中には居ない京太郎と結ばれたお気に入りのキャラが居ましたらそちらを選んでください!」 安価下~好きなキャラを思いのままどうぞ あと30分で再開 568 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/18(月) 04 21 39.55 ID Mx8Y0Jz+O [2/5] 必ず終わらせますよ 照 20 衣 4 淡 5 洋榎 5 怜 8 白望 10 穏乃 1 煌 1 一 1 ゆみ 0 憩 0 /. /. ,'. ; ;イ i ヽ. /. /. i i/i i!iハ i .. /. /. /. i. i! i i ハ i! . /. /. i! ! i! iィ!厂ヽ ii i i . . . !i i i ! i ! .ハ i ヽ茫弐 ゝ ! i i . . . i!i イ i i ii ! ヽ !゛゛ .-・゙'ヽ!i!ヾ ! . .. . イ ! /i !ハ ハi ' ヽ i/i ! ! . . . / !/! ! i ハヽヽ /'i ! i i i . . /. ヽi !' ヽ , ‐ - /. i !ハ ! . . /. . ´ ,イ /. i !i . / . /. /. /. > / ! /. i i! / . イ. /. /. / ヤ ` / ヽ i i . / . /. /. /. ノ 乂 } /iヽ } `ヽ } . . / . /イ /. ;; -゙ ニ ヘ } ヽ . } ヽ;;_ノ. . { !ィ 二 ヘ ヽ . ;;} ニー._ . / ヽ ヤ . ヘー-、 . ' } 〃/ ヽ / ヽヤ . ヘ _ - ‐ 、 } 〃/ .ハ. / ィ ヽヤ . ヘ } 〃/ ヽ 恒子「決まったァァァァ!!!!!!」 恒子「絶対王者宮永照っっっ!!!」 怜「と……登場が早ければうちだって……」チラッ 白望「……」ホクホク 怜「ちゃ……ちゃうねん……本当は雀荘での再安価でまたうちを取ってくれたらうちが本当のヒロインに……」 洋榎「ぷっ……」クスクス 淡「そんな意味でも負けてたんだねー」 怜「カハッ!」ドサッ 照「よしよし」ナデナデ 怜「うぇぇん……」ギュウッ 569 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/18(月) 04 39 05.55 ID Mx8Y0Jz+O [3/5] 憩「……」ゴゴゴゴゴゴ 照「!」ビクッ ゆみ「ほぅ……」ゴゴゴゴゴゴ 洋榎「あかん……闇が大きい」 怜「復讐編……無くなってもうた……」 淡「勝っても負けても復讐編はお蔵入りだよ!」ドヤッ 怜「ゲフッ!?」ドサッ 穏乃「貴女は次回作でヒロイン確定だから羨ましいですよ」 照「投票……嬉しい」 / / / / i | ハ l丶 i ∨ | / / i i /l | | | .斗‐卞  ̄ i ∨ | / ′ i i__i | | ´ ';i \ i i | / 少 | 斤i i }` ∨ | .;イ竿三ミⅥ i |. / / i i i彳=三ミ ∧ |. ら i 》i i i | // .i i i i. ら i. \i 乂 ソ i /i ト ; | _, -───- .i /i i ゙ 从 リ  ̄ / / i/ ∨ | '´ Ⅵノ '  ̄ // i | / ゞ ゞ ' ´ / | , _ Ⅴ ∧ _ _/ |/ ´ \ ゝ ゝ= 、 / i | / ゝ \ イ i | |/ ∧ ト < .i i イ イ | / i i > _ -= i i / / | | / i i ∧ / i i .i ̄//ヾ | | ※ 隣でくたばっているのは怜ちゃんです 怜「え……次回作……?」 憧・健夜「本当!?」バーンッ 洋榎「おっ……かませや」 憧「」 健夜「もう慣れたよ!」 照「尊敬に値する」 怜「次回作ってなんなん?次回作ってなんなんな?」ワクワク 照「私も出るからよろしく」 白望「私が二番目……でもダルい……」 570 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/18(月) 05 06 48.43 ID Mx8Y0Jz+O [4/5] シロの人気に驚きました。白郎効果? 照「おめでとう」 白望「ん……ありがとう」 憧「ヤンデレ投票を要求するわ!」 健夜「そうしたら私か憧ちゃんが絶対勝つよ!」 洋榎「へぇ……舐めとるな」 淡(絶対この人か戒能プロか外人さんか穏乃になると思うんだけどなー) 憧「ヤンデレ投票よ!ヤンデレ投票!」 照「そもそも本当にヤンデレなのかを考えるべき」 安価下~ すぐ締め切ります ヒロインになったキャラでもOK このスレでヤンデレになったキャラで好きなキャラをどうぞ 575 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/18(月) 05 56 02.12 ID Mx8Y0Jz+O [5/5] 恒子「はい終了です」 憧「早いわよ!」 健夜「物凄くドライだよ!」 恒子「それでは宮永咲さんの入場です」 ガチャ 咲「あ……どうも」キョロキョロ 咲「ありがとうございます」 (_) / / ヽ ハ /\ / / / / ヽ V \ ハ / / i i ∧ { V/ / i /. .〉  ̄ヽ ∧.V ハ i i V . ハ ー- { \Vハ 人 川 ハ /. 〃 } / l ハ \ミ. .ヽV /. . 彡 フ ハ し j ∧ ヽ、ミ ヽ∨ 彡 / ∧ / 〈 \__人`゙〒テ'"人 _/ 〉 | \__ イ //∧ 〉、__ / |人_ ハ } //!/∧/ ∧ ハ } {/∧//ハ / } { ヘ } !//∧/∧ / !_ ∧ヘ } !//ハ//∧.イ.\. . >―. ._ /./. ∧ ト!//7\/∧.\. . . . . . . . . . . . .┐ /./ . . ∧ !.!/j./ ∧/〉.ヽ\. . . . . . . . . .// /./ . . . .∧ !V./ ∧∨. . .\. \ . . ―. //. /./ . . . . . . i ヽ./ /. i. . . . . .ヽヽ. . . ー-. // /./ . . . . . . . { Y ノ. ハ. . . . . . .〉ヽ\. . ./ / / . . . . . . . . ゝ / /. .ハ . . . . . i. . ヽ.ヽ〃. / / . . . . . . . . . .ゝ{//ノ. . .i .i. . . . . ./ . . ヽ// 照「……」 淡「綺麗なサキだね!」 照「うん」 咲「あはは……ごめんね」 576 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/18(月) 06 29 59.87 ID nLreuDl1O 怜「もう質問は取らんの?」 洋榎「次で最後でええやろ」 恒子「 577さん!質問をどうぞ!」 584 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[saga] 投稿日:2014/08/19(火) 23 14 34.49 ID MW3DK8fNO [1/3] ヒロイン’s「えっ……」 洋榎「うちは人としての原型を留めないやろうな」 照「身体をぐるぐるされてた」 怜「うちはヤンデレになって京太郎を……な」 衣「衣はころころ?されるらしい」 憩「どうなるんやろうなぁ~」 穏乃「もっと平穏に進んだと思うよ」 白望「一回目でも殺されないし、白郎も産まれた」 ゆみ「わたしは……分からないな」 一「ボクは蜂の巣……かな?」 淡「うーん……普通に幸せになるかなぁ……?」 煌「私は関係ないですね!」キリッ 恒子「煌さん以外は全員ゾロ目ありきのヒロインだね!」 怜「洋榎なんかゾロ目が無ければこの世に存在しとらんやろ」 洋榎「やめーや」 586 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/19(火) 23 30 19.83 ID MW3DK8fNO [2/3] 洋榎「そもそもゾロ目無かったらあんたら全員ヤンデレになっとったやろ!!」 照「本来それが望まれていた」 怜「うちとチャンピオンと憩ちゃんと衣ちゃんのヤンデレを一番描きたかったらしいで」 洋榎「遅いわっ!」 洋榎「そもそもゾロ目が無かったらここまで進行早くないやろ」 怜「ライブ感とスピード感重視やで?」 洋榎「そうやったんか!?」ガーン 照「描写しようとするとスピードが落ちる」 洋榎「安価スレなんやからそこ頑張りや……」 淡「次回作期待してね~!」フリフリ 怜「復讐編は!?」 照「無い」 カンッ 587 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/08/19(火) 23 33 33.48 ID MW3DK8fNO [3/3] 本当に、本当に、ありがとうございました
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6076.html
優希「のどちゃん」 和「? なんですかゆーき」 優希「好きな人が出来たらどうする?」 和「え? そう、ですね。どうしましょう」ウーン 優希「私が思うに、行動あるのみだと思うんだじぇ」 和「ゆーきらしいですね」 優希「だから、決めたじょ」 和「何をですか?」 V /(__,ハ __ V////}  ̄ . ∨//人 `ヽ |`ヽ i ‘," \ .ミ . | } i \ ̄ `ヾハ. .| } ハ ! . \ | | /_厶 i .}\ . ヽ i ;' ,斗 ./ . }. ,' . .\ . | . // | . / i .;'i / . i 、 、 . | ; / j /斗斧ミ、! / !. / |‘ i丶 _____ | / xf" r i ,イ , 'i j/ . | | l \ . / \ |/ ´ h . . .し' |ィ行i .| | i \ i / : 堕 京| 乂 . ノ 'た !| |i .| | i \ i i :. と 太.i  ̄ _/ ! !! ! | / \ i | : す 郎| ,' | |i .| ヽ | : じ を.| / | . |i ,' | // ぇ | _ イ /i ;' ノl / - = ニ ・・ .! ( ) イ / / //j / \____/ r< i i /i / /. / _≧ ‐-‐ ≦ | r'^ 7三二,/イ=-、 _ -‐ ニ二ニ=-辷‐-~辷‐~^ /彡仁二ニニニニ>-= ニ二二二ニニニニニニ==-≧=- /ニニニニニニニ≦三三三二ニニニニニニニニニニニニニニ==-三三二ニニニニニニニニニ≦三三三三二ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ=- 第四章 厨二病タコス! 聖雀士と化した少女 ことの始まりは小学3年生のときだった ルイズやシャナに憧れ、私は他の能天気なガキどもとは違うと思い始めていたじょ それまで明るく社交的で友達も多かったけど、 男との関わりを全て絶ち、小学校にいながらにして 丸1日釘宮ボイスで男子共にツンツンすることも多く そして意味もなくマントを羽織ったり、 人目につく場所で突然胸を押さえて苦しむフリをしたりと、 周囲の人間からは完全に痛い奴という目で見られていた 優希「私のツンデレ体験はここから始まる」 中学に進学し、私の雀力はメキメキと伸び、 学年で一番は当然のこと、 町の大会でも町内でベスト3に入る程に成長した 部活にも入り、親友とも呼べるのどちゃんとも出会い 高校に進学し……一緒に入った麻雀部 そこで、私の前に【~忠実なる下僕~サーヴァント】が現れる 麻雀部唯一の男子が私と話してくれるようになったのだ 今にして思えば 京太郎「お前ってすごいな。麻雀強いんだ!」 という中身の無い会話ばかりだったけど、 当時の私はただ一人話しかけてくるその男子をサーヴァントとして意識するようになる とは言っても当然男子に免疫がなかったので自ら話しかけることはなく 主な活動は放課後の部室で夕日を見ながら サーヴァントの使ったコップやフォークをチュパチュパする程度の活動だった 優希「京太郎が使った……んちゅ、ぺろぺろ……ちゅるるるっ」 サーヴァントの住所は尾行によって突き止め、 登下校の際わざわざ遠回りしてサーヴァントの家の前を通り 念を飛ばしたり洗濯物を眺めたり 周りに座り小便をひっかけて マーキングを行うのが日課になった 優希「んっ……」チョロロロ ポタポタ 優希「えへっ、えへへっ」タタタッ コソコソ 京太郎「ふんふふ~ん……ん? おわっ! 家の前に犬の小便!?」バッ 優希「(犬はお前だじょ)」プンプン そして表向きはツンデレ少女 裏では犬の生活を見守るのが日課になっていったじょ そして、県大会が終わって少しした時に事件は起こった サーヴァントの体操服(使用後)が盗まれるという事件が起こったんだじぇ! 京太郎「あれ? 確か部室に置いておいたハズなんだけどな」 久「それはおかしいわねー」 優希「……」 サーヴァントは気丈に振る舞っていたけど、私の心中は穏やかではなかった もちろん体操服を盗んだ奴が羨ましかった(先を越された)というのもあるけど サーヴァントを守るご主人様気取りだった私には赦すことのできない事件だった これは早くサーヴァントの雀士(彼女)にならなければと思った私はすぐに行動に出た 優希「……」キョロキョロ 朝イチで登校し、サーヴァントの机の中にフリーのメアドを書いた紙(匿名)を忍ばせ、 サーヴァントからの連絡を待つことにした 匿名にしたのももちろんちゃんとした理由があるじぇ この頃デスノートにハマりきっていた私はLのような正体不明の探偵に憧れていて サーヴァントに体操服盗難事件の犯人捜査の助言を、正体を明かさぬまま行おうとしたんだじぇ そして事件解決後に全て打ち明け、正体はお前だったか……愛してるっ/// という展開になるだろうことは容易に予測できた 優希「ふんふふ~ん♪」 案の定、その後すぐに 『誰ですか? もしかして和か!?』 というメールが届いた。 和とは、とーぜん麻雀部最高の美女のことである 優希「あのバカ犬め、お仕置きが必要だじぇ」カチカチ それに対する私の返信 『親愛なるサーヴァントへ 私はあなたのホーリィ・タコス(H・T)です。(和じゃありません^^;) サーヴァントの体操服を盗んだ犯人は必ず私が捕まえます 私はあなたやあなたの周囲の人間の行動パターンや自宅の位置を把握している なので容易く犯人を割り出せます。 あと私は表向き存在しないことになっており 極秘の捜査を行うので他の人間には私のことを話さないようにお願いします H・Tより (タコスの画像を添付)』 優希「……」 返事は来なかった 翌日、学校に行くとサーヴァントが私を見るなり 京太郎「……あ、えっと。おは、よう」ササッ 明らかに拒絶の意を示していた なぜ? まさか正体がバレてしまったのか? そう悩んでいると、ふと重大な過ちに気づいた 私のフリーのメアドは yuuki-kataoka.xxxx@~(xxxxは私の誕生日) となっていて、完全に正体がモロバレだったのだ 京太郎「あのさ。俺、体操服とかはもう、大丈夫、だから」 涙目で私を見つめるサーヴァントを前に 私も涙が溢れそうだった その放課後 私は部長に呼び出されて、お説教を受けた というのも、サーヴァントが私の頭を心配して部長に相談したからだ 久「ホーリィ・タコス……ぷふっ、可愛いじゃないwww」クスクス 優希「……」ギリギリ 久「サーヴァント……ぷくくくっ」 今にして思えばサーヴァントの優しさだったけど 私は完全に逆恨みして、サーヴァントへの復讐を誓った 私は早速、身元のバレない新たなメアドを作成し サーヴァントに脅迫用のメールを送ることにした 優希「これで完璧だじょ」ニヤリ 私の脅迫メール 『私との約束を破った罰だじぇ 聖地ヤングガンガンを追放された堕天使は ホーリィ・タコス(H・T)によって討ち滅ぼされる ちなみにお前が部員に密告するのを防ぐために、 “裏切りの使徒ユダ”(つまりスパイ)を部員の中に潜ませてもらったじょ 君がこのことを部員に漏らし、スパイの耳にそのことが入れば H・Tは君を殺すじぇ 部長に密告したとしても、捕まる前にお前を殺すじょ この無間地獄から逃れる方法はただ一つ 聖雀士ホーリィ・タコスの永遠の伴侶になることを誓うのだ』 優希「……あっ」 私はサーヴァントを諦めきれていなかったことに、メールを打っていて気付いた 優希「京太郎ぉ……」グスッ もちろんスパイの話もデタラメだし脅すネタも犯罪クラスだったけど 当時の私は本当に自分がご主人様だと思い込んでいたので、当然赦されると思っていたじぇ 次の日、休みの日だというのに親に連れられ 私は学校に連行された 優希「……」 京太郎「優希……ごめん。俺達だけの問題じゃ、無いと思って」グスッ そこには部長・染谷先輩・サーヴァントが揃っていて お父さん、お母さん、私を併せた6者面談が始まった まずお父さんとお母さんに昨日送った脅迫メールがコピーされたプリントが配られて お父さんが声を上げて泣き出した なぜ泣いているのか私にはさっぱりわからなかった 別に悪いことはしてないと今でも思うじょ 優希「?」 京太郎「……」 面談の内容は主に 立派な犯罪だがサーヴァントが警察に通報しないという方針だということ これ以上、事を荒立てたくないということ 一度精神科に診てもらうこと というようなものであったけど 警察に連絡しないのは全国大会前に問題がばれないようにするためだろうと 容易く読めた私には納得できるようなものではなかった 優希「こんなのおかしいじぇ!」 どうせが通報しないだろうと踏んだ私は強気の態度をとった 優希「私を誰だと思っているんだ。新世界の聖雀士(H・T)だじぇ!」 京太郎「!」 優希「そっちだって体操服を盗んだのを私のせいにしたじょ!」 京太郎「別に、お前がやったなんて思ってないよ」 優希「なのに私だけ捕らえられるなんて、それはお前らのエゴだ!!」 京太郎「ごめん……優希」ウルウル 優希「冤罪が露見するのが怖けりゃ私を見逃すんだな」ドヤッ 生まれて初めて、お母さんから平手打ちを食らった 優希「う、うわぁっ、うわぁぁぁぁんっ! ぶったぁぁぁぁ!!!」ビエーン 私は声を上げて泣いた それはもう、校舎全体を揺るがすほどの大声で このまま、当事者の私が暴れることで話は平行線になるかと思われたけど ある意外な出来事によって状況は一変することになったじょ 京太郎「……皆さん、もうやめませんか? 話を大きくした、俺が悪いんです」 優希「……じぇ?」 / ̄ ̄ ̄ミヽ⌒'x___ / ,.ィ(⌒)" ` 、 | / `¨ \ { / ヽ \|ヽ/ /|/| |‐"/ ゙, ,' / (◯)´Χ /゙ . | i≦ミ(⌒)_.レ| |\| U  ̄ フ / . ト、. /⌒xヘ/⌒{ <___Χ . . | .) { //__|_/沁、 \ `ー_.\ . リ"ヽ ,.ィ" ̄ ∪)、{i込. } (◯)/` / . . } {||───⊂) ̄/\ ∪ / , ,ィ | `ー───‐゙ー" `゙''ー---‐'ー─‐'゙ム彡" ソ 頬の痛みで床を転げまわっていた私を サーヴァントは優しく起こしてくれた 京太郎「俺がコイツの気持ちに気づかずにいたから、追い詰めたんだと思います」ペコリ 優希「……」 京太郎「俺が、責任を持って優希を元に戻します。だから、だからっ!」バッ 久「須賀君……」 まこ「京太郎、お前……」 涙目になりながら、私の両親や部長達に土下座をするサーヴァント 優希「……うぇぇっ」 このとき、長かった私のナイトメアが漸く消滅していくのを肌で感じた それからサーヴァントは、宣言通りに私に向き合ってくれた 京太郎「優希、帰りにタコス食いに行こうぜ」 優希「う、うん!」 京太郎「聖なるタコスは無いけどな」クスクス 優希「あ、うぁ……もぉっ」ポカッ 時々こうして、あの時のことをネタにするのは サーヴァントなりの、もう気にしていないというアピールなのだろう 京太郎「あははっ。まだ、お前の気持ちに答えられねぇけど」ナデナデ 優希「わわっ!」 京太郎「今はとりあえず、いい友達でいようぜ」ニコッ 優希「……うんっ」カァッ 私はその日の夜、サーヴァントの縦笛を盗んで家でオナった こうして、私の厨二病な日々は終わりを告げ 全国大会も無事終了した 今思い返してみると、京太郎には本当に迷惑をかけたじぇ 優希「ただ、気になるのは」 京太郎の体操服を盗んだのが誰なのか 私でなければ……一体? 京太郎「でさ、その時に優希が」 和「え? そんなことを?」クスクス 優希「もぉぉぉぉ! 変なこと言うな!」 京太郎「あはは、悪い悪い」 優希「むむぅ」 京太郎「今度タコスおごってやるからさ」 優希「えへへ、なら許す!」 和「もう、ゆーきったら」 京太郎「和にも今度奢ってやるよ」 和「え? い、いいんですか?」 京太郎「ああ、当たり前だろ」 和「……ふ、ふふっ」グッ 優希「(まぁ、別にいっか。私も一着持ってるし)」ニヘラ 放課後の部室 ガチャッ ?「……全く、優希もセンス無いわね」クスクス 京太郎のロッカー「」キィッ ?「サーヴァントだの、ホーリィだのと」ガサゴソガゴソ クンクン ?「はぁっ……」ゾクゾクッ バタン ?「ふふ、それなら私がお手本を見せてあげなきゃ」スッ ゙l ゙l ゙l ゙l ゙l ゙l ゙l ゙l ゙l ; ゙l ゙l ゙l i ゙l ゙| ゙l `、 イ i ゙l l| ゙| ヽ. ,,、 / ゙l lll ゙l `、ヽ、 / ヽ | || ト `、 `ヽ、 / `、 | |ト | `、 `-、 / `、 | | | `、 ヽ、 `ヽ、..._ ,, 爪 ヽ | / ` 、_  ゙̄`'ー‐‐---------ゥ-‐'' / / ;/, ;;;;;;`、;;ノノ `、 `ー--、......____,,,....,、、‐'' ,/ / / /二,,,、、_z `、 ,,,/ ク // ゙l |ト ハ `、 ,,,// ;" ;;/ / 人 ハ `、 ヽ ,,,,,,,, ∠ニニ=== _ク/ Y \ `、 `ヽ、,,,,,,,, ,,,,,,/ / ハ / 久「この、【放課後のロッカー】がね」ニヤリ 第四章 厨二病タコス! 聖雀士と化した少女 カンッ