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灼「んんっ……」モゾモゾ 京太郎「あ、やっと起きた?」 灼「…………おはよ、きょうたろ……」ボーッ 京太郎「おはよう灼さん、朝食の準備はできてるよ」スッ 灼「ん……いまいく……」モゾッ 京太郎「……んー、すぐに起きるのは良いことなんだけどさ」ポリポリ 灼「……?」ポケーッ 京太郎「そのかっこでごはんを食べるってのはいかがなもんかと思うんだが……」ニヤニヤ 灼「…………っ!?」バッ 灼「き、京太郎のすけべ……///」 京太郎「そんなの今さらだろ……待ってるから、早く着替え終わらせとけよ?」ガチャッ バタンッ 灼「………もう」はぁ… 灼(いまだに信じられないけど、もう結婚して一ヶ月すぎたんだよね……)スッ 私、鷺森灼は……一月前に長年名乗っていた自分の名字に別れを告げた 今の私の名前は須賀灼……京太郎のお嫁さんになって、もう一ヶ月が過ぎた 京太郎「ごちそーさまでした」パンッ 灼「ご馳走さま……なんかまた料理上手くなってない?」 京太郎「ふっふっふ、まーこんだけ作ってりゃ上手くもなりますって」スッ 灼「あ……片付けなら手伝う」 京太郎「いいっていいって!……灼さんまだ昨日の疲れとれてないだろ?今日はゆっくり休んでて……」 灼「お願い、やらせて……」 京太郎「灼さん……?」 灼「最近朝も夜もごはん作ってくれてるの京太郎でしょ?こういうのって普通…お……お嫁さん…の仕事…だから……///」ゴニョゴニョ 京太郎「……分かったよ、じゃあ一緒に片付けようか」ニッ 灼「う、うん……」コクンッ ジャーゴシゴシ 灼「……そういえば、私も聞きたいことがあったんだけど」キュッキュッ 京太郎「なに?」 灼「京太郎ってなんで未だに私の事さん付けするの?」 京太郎「なんかもう灼さんでなれちゃってさ……無意識にそう言っちゃうみたいなんだよ」 灼「そうなんだ……でも昨日の夜は私のこと呼び捨てで……よ、呼んでたよね///」カァァ 京太郎「そりゃあまぁ……な、……俺だってヒートアップしたら、そーいう風に呼ぶことだって、あ…あるさ///」 京太郎(じ、自分で言っててけっこー恥ずかしいな、これ)ハハ… 灼「……///」ボッ 京太郎(……いかん、思い出したらなんかムラムラしてきた………けど朝っぱらからこーいう事するのはいくらなんでとダメだよな……)ソワソワ 灼「……ねぇ」 京太郎「な、なんだ……?」ドキッ 灼「私は京太郎のこと呼び捨てで呼んでるのに、京太郎だけ私の事呼び捨てにしないのはズルいと思う……」ギュッ 京太郎「あ、灼さん……せっかく着替えたのにまた汚すのは……」 灼「今日は私もオフの日だし……時間もいっぱいあるから……だ、だから」ドキドキ 灼「京太郎は、京太郎の好きな時に、私を好きにしていい……」スッ 灼「京太郎………いっぱい、愛して……?///」 京太郎「ーっ、灼……!!」ドサッ 灼「きゃっ……」 京太郎「もう止めてって言ってもやめないからな……覚悟しとけよ?」 灼「あ……きょう……たろぉ……」ギュゥッ 京太郎「灼……」ギュゥッ 続きはWebで!カン!
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良子「何をしているんだ京太郎。ラジオ局へ向かうぞ」 京太郎「今行きますー」 ―――ラジオ局 良子「今週も『のーうぇいらじお』の時間だ。パーソナリティは私、戒能良子が」 京太郎「アシスタントは須賀京太郎でお送りします」 良子「今週でレギュラー2週目だがどうだ?京太郎」 京太郎「いやー、結局付き人始めてから毎週出さしてもらってましたからあんまり心境的な変化はないですね」 良子「私もここまで流暢に喋れるとは思っていなかったな」 京太郎「俺もはじまるまではそう思ってましたよ」 良子「よし、それじゃあお便りのコーナー行こうか。頼む京太郎」 京太郎「りょーかいです」 京太郎「えー、RNおねえさん(28)からのお便りです」 『近頃自分が大勢の人に襲われてるような夢をよく見るんです。 これはなにかの暗示でしょうか。 オカルト方面に詳しそうな戒能さんお願いします』 京太郎「だそうです。なんか怖い話ですね」 良子「少なくともいいことではないな……」 良子「霊的なものかどうかはこのお便りからだけでは判断しかねるが」 良子「あまりにも長く続くなら病院なり、霊的な専門家のところに行くべきだと思うぞ」 京太郎「とのことです。何事も無く終わることを祈ってます……」 ――― ―― ― 京太郎「お疲れ様」 良子「……ああ、京太郎。今日来ていたお便りのことなんだが」 京太郎「1通目のことか?」 良子「なにか気になってな。ちょっと調べてみようと思うんだ」 京太郎「わかった。何か手伝えることがあるなら言ってくれ」 良子「ああ、頼りにしてるぞ京太郎」
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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1379605327/ 京太郎「そうだったのか……。気が付かなかったぞ」 咲「中学生の時にお姉ちゃんに人生相談したら気持ち悪がられてね」 京太郎「もしかしてそれが別居の理由?」 咲「……うん。私と居ると身の危険を感じるんだって」 京太郎「咲が何かするとか思えねーんだけどな」 咲「私も一生懸命、弁解したよ。でも、何か同じ空間に居るのが嫌みたいで」 京太郎「まぁ…仕方ねぇよ」 咲「…そうだね。私が女の子好きなのは身内の恥だと思ってるだろうし」 京太郎「うーん。なんで俺にカミングアウトしたんだ?」 咲「京ちゃんも私と同じって思ったから」 京太郎「……俺は巨乳好きの女好きだよ」 咲「嘘だ!私、見たもん!京ちゃんが嬉しそうな顔して男の人の車に乗るの」 京太郎「チッ…」 咲「あんな顔、私達の前では見せなかった!和ちゃんの胸を見てる時より目がキラキラしてたよ」 京太郎「しゃーねな。咲もカミングアウトしてくれたんだ……。俺も…」 京太郎「今、付き合ってる彼氏とデートしてたよ」 咲「彼氏!?やっぱり、京ちゃんは……」 咲「京ちゃんはホモ?」 京太郎「そうなるな。今、好きな人は男の人だ」 咲「私も……好きな人は女の人」 京太郎「咲は付き合ってないのか。片思いか?」 咲「う、うん。最近その人の事を考えると夜も眠れないの」 京太郎「……完全に恋する乙女モードだな」 咲「毎日毎日の部活が楽しくて…、楽しくて…。 こんな日がずっと続けばいいのにって思う反面、もっと違う関係になれたらとも思う」 京太郎「なぁ、咲の好きな人当てていいか?」 咲「え?部活には四人も居るよ。当てれるの?」 京太郎「麻雀は下手くそな俺だが、これだけは当てる自信がある。99%当てれる」 咲「最低でも25%だよ!?い、言ってみてよ。一回で当てたらレディースランチ奢ってあげる」 京太郎「その言葉、忘れるなよー」 咲「当てれなかったら、京ちゃんが私にレディースランチ奢ってよ?」 京太郎「へいへいその条件のった」 咲(私がかなり有利だよね。三人もハズレが居るわけだし) 咲(やっぱりこう言う賭けはフェアじゃないと駄目だよね) 咲「ヒント出した方がいい?四択ってよく考えたら難しいよね」 京太郎「いらねぇ。むしろ全国含めても良かったくらい」 咲「ホント!?私、ずっと普通の女の子演じてたはずだよ!普通、ノーマル。バレてるわけがないよ!」 京太郎「いやー……、もしかすると部長も気付いてると思うぞ」 咲「嘘だ嘘だウソだ!そんなのバレてたら、もう私学校に来れないよぉ……」シュン 京太郎「部長と話した事はないんだけどな。何となくそう思うだけだよ」 咲「……で誰だと思うの?」 京太郎「和」 咲「~~~~~ッッ!?!??!??!」ビクッ 京太郎「レディースランチご馳走さん」 咲「う、うん///当たってるよ」 京太郎「咲は和に恋愛感情を持ってたのか……。友情にしては…こう…、少し異質な物を感じてた」 咲「同じ部活仲間に恋愛感情を持つっておかしいよね?私、頭おかしい子だよね?」グスン 京太郎「そうだな。頭がおかしいのかもしれない」 京太郎「部活仲間と恋愛はよく聞く話だ。俺と咲なら何の問題もなく付き合ってるだろうな」 京太郎「けどさ……。俺もホモだからわかるけど、好きになっちまったもんは仕方ないって思うんだよな」 咲「うっうっ…、和ちゃんってなんで女の子なんだろう…。 もし男の子に生まれてくれてたら、私も告白して玉砕出来るのに」ポロポロ 京太郎「和は女だからなぁ……。こればっかりはどうにも」 京太郎「後、二年以上あるぞ。ずっと秘密にするのか?」 咲「墓まで持って行こうと思う。和ちゃんとはずっと親友で居たいから……」 京太郎「それがいいかもなぁ……。和がレズならワンチャンあるけどさ」 咲「絶対ないよ!和ちゃん、真面目だもん」 京太郎「俺も真面目なつもりなんだが……」 咲「嘘だー。宿題もロクにやってこないのに?」 京太郎「宿題は……咲の写せばいいからな」 咲「そんな事だから嫁さん言われるんだよ。わ・た・し・が」 京太郎「ごめんな。カモフラージュにはちょうどいいって思ってるぜ」 咲「京ちゃん恋人居るんでしょ?私が嫁扱いされて、怒ったりしないの?」 京太郎「あの人は大人だからなぁ……。嫉妬なんかしないんじゃねぇかな」 咲「大人の人と付き合ってるんだ」ドキドキ 京太郎「おおぅ、大人はいいぞー。奢ってくれるし、帰りは送ってくれるし」 咲「そっかー。いつの間にか京ちゃんは大人の階段登ってたんだね……」 京太郎「まぁな」ドヤッ 咲「ど、どんなデートしてるの?」 京太郎「気になるの?」 咲「もちろん」コクコク 京太郎「咲は俺の秘密を知る数少ない友人だから、話してやるか」 咲「うんうん」コクコク 京太郎「彼氏は俺と違って働いてるから、ホモバレは絶対避けたいはずなんだ」 咲「だよねぇ」 京太郎「だから室内デートが多いよ」 京太郎「咲が見たのは……、多分、俺達映画を見に行ってたかな」 咲「映画かー。いいなぁ……。私も和ちゃんと映画行けたら……」 京太郎「映画くらい行けるだろ?誘えよ」 咲「優希ちゃんがセットで着いて来るから……。私が行きたいのは映画デートで、映画見に行くんじゃないもん!」 京太郎「和って映画のラブシーンで表情変えたりするのかな?」 咲「わかんない。意外にアタフタするかもしれないし、シレッとしてるかもしれない」 京太郎「和は精密機械みたいな印象あるからな。やっぱり何もなかったかのようにポップコーンを食べ……」 咲「恋人さんはどうだったの!?」 京太郎「男同士だからアクション見てたよ。もちろん手を繋ぐ事もなく」 咲「きゃーーーーー!きゃああああああ!!!!!」 咲「こうやって手を重ねるとかないの?」ピトッ 京太郎「ねぇよ。男同士が、手を重ねてたら気持ち悪いだろうが」 京太郎「ってか、俺に触るな!」ババッ 咲「ご、ごめん。つい」 京太郎「女に触られると蕁麻疹が出るんだよ」スリスリ 咲「ごめん、気をつけるよ」ペッコリン 京太郎「手を繋ぐで思い出した。咲、お前和の布団に入りこんだらしいぞ」 咲「うそッ!?」 京太郎「ホントホント。全国大会個人戦の夜な」 咲「あの日かな……。お姉ちゃんに会いに行って叩かれて、トイレで泣いた日」 京太郎「トイレで泣いてたの?花子さんかよ」 咲「みんなの前では泣かないようにって……。でもさ……」 咲『ごめん。今日は一人させ……』 和『咲さん。ウサギさんみたいに目が真っ赤ですよ』 優希『そうだじぇ!ほっとけないじぇ』 咲『ううっ…うぐっ…、えぐっ…な、な、な泣いて…なんか……』ポロポロ 和『咲さん』ダキッ 優希『さーきーちゃーん』ダイブ 和『何があったか聞きません。知りたくもありません』 優希『泣きたいのに我慢しちゃ駄目だじぇ。私なんか試合が終わってからすぐ大泣きしてたじぇ』 咲『わたわわわわたし、昔から変な子で!お姉ちゃんにいっぱい迷惑かけて!ぐすっ…えぐっ…、それで…、それで!』ポロポロ 和『咲さん、今日は私と優希がずっと側に居ますから……』ギュウゥゥゥ 優希『私達、ズットモだじぇ!』ビシッ 咲『うん!うんうん。和ちゃんと優希と友達になれて良かった』ポロポロ 咲「で、三人で仲良くガールズトークしながら寝たの」 京太郎「その後。その後だ、話は。和が言うにはなぁ~」 モゾモゾモゾ…… 和『なんだか寝苦しいです』 咲『くーかー』スピー 和(咲さん!?) 咲『お姉ちゃん…今までごめん。そしてありが…と…う…。変われなくてごめんなさい』ムニムニ 和『んっ…くぅ…、咲さん咲さん、私はお姉さんではありませんよ』小声 咲『最後に…これで最後だから…、昔みたいに…』ポロポロ 和『……咲さん』 咲『甘えさせて下さい』モミモミ 和(今夜だけですよ?寝苦しい夜になりそうですね) 京太郎「ってわけよ。おかげで和には目のクマがばっちりと」 咲「あーーーーーーーー!あの日の翌朝、和ちゃんが眠そうにしてたのは私のせいなんだ」 京太郎「安心しろ。本人的には青春の一ページの思い出として話してた。レズビアン特有の行動とは思ってないはずだ」 咲「ううっーーー恥ずかしい///私、何やってるの……」ドヨーン 京太郎「このままだといずれボロが出るかもしれないぞ」 咲「ごめん。気をつける」 京太郎「俺に謝られてもなぁ……。咲は和に触れたいのか?」 咲「そりゃ…少しは…、思ってるよ…」 京太郎「咲にも性欲があるのか。お兄さんびっくりだ」 咲「むっ!?性欲なんかじゃないもん!もっとこうピュアな感情だよ」 京太郎「性欲でも肉欲でもいいよ。咲は、和の体に触れたいんだろ?」 咲「……」コクン 京太郎「レズならバレずに触れ。優希にもベタベタしつつ、和ともベタベタすればいい」 咲「う~ん、難しいなぁ」 京太郎「女はまだマシだぞ。ベタベタしてても、同性愛とは疑われにくい」 咲「そうだね。私も優希がこっち側の人間かと思ってたけど」 京太郎「アイツは違う」 京太郎「男同士なんか人目がある所でイチャイチャ出来ないんだぞ!?この辛さがお前にはわかるのか?」 咲「でも京ちゃん、恋人居るし……。私よりずっとずっと、幸せだよ!」 咲「いや…私も十分に幸せなはずかな。とても仲のいい友達が居る、好きな人が同じ部活に居る」ブツブツ 咲「和ちゃんの横顔を眺めている時間は私にとって、とても…とても…幸せな時間のはず」ブツブツ 京太郎「そうそう。今以上の幸せを望むなら、失う覚悟もしないとな」 咲「それって和ちゃんとの信頼関係って事?」 京太郎「そうだ。俺がホモだとバレたら、きっと俺はクラスで孤立するだろう」 咲「……うん。私もバレたら、優希ちゃんも余所余所しくなるかもしれないね」 京太郎「和はもっとひどいかもしれん」 和『咲さんってレズビアンの方ですか?すいません、私はそっちの気はないので……、その…とても…困ります』ビクビク 咲「うわあああああああああ!!!!!!!!!!」 京太郎「落ち着け!それはまだマシなパターンだ!もっと最悪なパターンもある」 咲「どうしよ…どうしよ…」カタカタ 京太郎「今のままの付き合い方だとバレる可能性があると思う。部長が勘付いてるくらいだし」 咲「うっう…、私が和ちゃんを嫌いになればいいの!?無理、無理ムリムリ!嫌いになんかなれるわけない」ポロポロ 京太郎「恋心を隠して上手く付き合って行くしかないんじゃないか?」 京太郎「レズなら少しくらいベタベタしても大丈夫だからさ」 咲「……うん」 京太郎「元気出せよ。帰りにマグロナルド奢ってやるから」 咲「京ちゃん優しいね。男の人にもモテるわけだよ」 咲「そーいえばさー」モグモグ 京太郎「ん?」 咲「京ちゃんの彼氏ってどんな人?写真ある?優しい人?」チューチュー 京太郎「優しいよ。咲の知ってる人だよ」 咲「誰だろ……。全くわかんないなぁ」パクパク 京太郎「ハギヨシさん///」 終わり
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http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1388925097/ 清澄に入学して一週間が過ぎました まだ名前も知らない彼は、たまに通学路で背中を見たり、廊下を歩いているのを教室から見かける程度 追いかけて、声をかければ届く距離 それにも関わらず、私は彼に話しかける勇気を持ち合わせていませんでした クラスこそは知っているものの、彼の名前は知らないまま 私と彼の問題で面倒をかけるのは気が進まないので、ゆーきに彼に話しかけてきてくれるように頼む、ということはできず 彼と同じ中学校に通っていた同級生の方と仲良くはなりましたが、 彼女から彼について聞き出すことも気恥ずかしく、とてもできるようなことではありませんでした ,.ー-‐.、 ヽ、 ヽ __ /,..-ニ‐- '"_,..) / ̄\ _,.‐-、 ' ´/ , _ 、´ / ヽ ' 、 .ノ _ _ ,. ''" ,. -‐/ _  ̄\ / _| r ヽ i'´ ` ! , ',. -一' ./..'/ .} / <_ ,..-、 ! l i ヾ、_ / ,. '′ ,..,. ,/ ./ `ー-イ \ / ヽ ! ! し , iヽ、i / / { \ヽ i' _,/ ,.イ ̄`'´ /! ゙、 l ! / ヾ | ー'´ `´\ ヽヽ ! / ̄ // / / | └! .i! .!┘ ヽ r'´ ,.'⌒ `,. l ! 〈 \| | | | l !l .! ヽ ! ! ゝ-‐'´ /l .! ヽ r/ ヽ/ | l .l ! l i ゙、 \ / } .}ー"ヽ ヽ ヽ__// _ r、__, ,、 __,ノ l .! l .! | ト、゙、 `ヽヽ j ノ`ー-、 } ./ / | | ≧、__|  ̄ ____r' 」 l、゙、_ノ」__ン____________゙、`' /__ ヽ/_/ ./ | |________  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ } ./ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄"'´ ̄ ̄ ゙、. | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ヽノ ヽ、ノ 『第二話 踏み出した足』 和「こんなことで大丈夫なのでしょうか……」 優希「朝から元気無いぞ!のどちゃん!」 和「今日は早いんですね」 優希「エトペンの目覚ましより三十分も早く起きられたんだじぇ!」 和「私があげた甲斐があったというものですね、偉いですよ、ゆーき」 優希「ふははーもっと褒めて遣わすじぇ」 和「それは逆の立場で言う言葉ですよ」 和「早く起きた分は何をしていたんですか?」 優希「えーっとねー……」 優希「40分くらい二度寝してたじぇ」 和「プラスマイナスゼロどころか寧ろマイナスではないですか!」 優希「目覚ましに勝ったことに変わりはない!」 和「どうしてそう胸が張れるんですか……」 優希「のどちゃんは垂れやすそうだじぇ」 和「慣用句ですよ、余計なお世話です」 優希「見てると半分くらい分けて欲しくなるじゅるり……」 和「そういう語尾にもできるんですね」 優希「そーだ、のどちゃん、今日の放課後は暇?」 和「暇じゃないですよ、忘れたんですか?」 優希「じょ?」 和「今日麻雀部に突撃しようって言っていましたよ」 優希「じぇじぇじぇ!?」 和「入学式へ行くときにゆーきが言ったんですが」 優希「んー…………」 優希「そう言えばそんな気がするじぇ」 和「ゆーきが忘れていてどうするんですか」 優希「てへっ☆」 和「てへっ☆じゃないですよ、しっかりしてください」 優希「今の可愛かった!もう一回頼むじぇ!」 和「やったところでどうする気なんですか」 優希「携帯で撮って全世界に発信!」 和「脅迫に使う文句の一例ですよね!?」 優希「のどちゃんのその可愛さはもっと有効活用するべきだと思うじぇ」 優希「グラビア撮影の依頼とか来ないの?」 和「来ませんよ、されてもしません」 優希「そう言うと思って去年の夏に撮っておいたのどちゃんのスクール水着と麻雀部プールに」 優希「遊びに行った時の水着写真を奥っておいたじぇ!」 和「何を勝手にしくさってですかあああああっ!」ガシッ 和「どこに!どこに送ったんですか!」ガシガシッ 優希「うぷっ……ラーメンタコスをリバースしそうだじょ……」 和「朝からどんなものを食べているんですか……」 優希「ラーメンの残り汁にタコスを漬けて食べるんだじぇ」 和「…………シチュータコスよりはマシみたいですが、食文化が違いすぎます」 優希「タコスであれば何でもいけるじぇ!」 和「わかってましたが凄い雑食ですね」 優希「それほどでもないじぇ~」 和「まったく褒めてません」 優希「送ったって言うのは冗談だじょ」 和「そういう冗談ばかり言っていると友人が減りますよ」 優希「のどちゃんがずっと友達でいてくれるから気にしないじぇ」 和「褒めても昼食のタコスしか出ませんよ」 優希「やった!のどちゃん太っ胸!」 和「意味が分かりません」 優希「こう、器が大きい、みたいな?」 和「納得してしまったのが悔しいです」 和「それは太っ腹、というのですよ」 優希「のどちゃん太っ腹!」 和「最近気にしてるんですからやめてください!」 優希「どう言えばいいのかわかんないじょ!?」 優希「閑話休題、須賀京太郎とはどうなったの?」 和「須賀……京太郎?」 優希「例の金髪だじぇ」 和「須賀君、というのですか?」 優希「知らなかった?」 和「……はい、お恥ずかしながら」 優希「クラスは1-B、のどちゃんからのクラスだと少し遠いくらいだじぇ」 和「そんなことを調べてくれたんですか?」 優希「のどちゃんの恩人は私の恩人でもあるからな!」 和「そうですか……ありがとうございます」 優希「いくら教えたところでのどちゃんがヘタレのままじゃ意味ないんだけどね!」 和「うっ…………ゆーきの言う通りです」 優希「そーこーでー!」 優希「今日須賀京太郎を麻雀部に誘ってみるじぇ!」 和「今日ですか!?」 優希「今日だ!」 和「今日なんですか!?」 優希「今日だじぇ!」 和「そ、それは些か急というか……」 優希「今の内に先制攻撃しておかないと、他の部活に入っちゃうじぇ?」 和「ですが、彼と話すのは……っ」 優希「やる前から諦めていたら、何もできない」 優希「恥ずかしい、恐い――――そうやって諦めていたら、須賀京太郎はもっと遠くに離れちゃう」 優希「一回勇気を出すだけ、もう少しだけ精一杯」 優希「のどちゃんなら、多分……ううん、絶対大丈夫だじぇ」 和「優希……」 優希「頑張れ!のどちゃん!」 和「わかりました!私、頑張ります!」 和「今日話しかけて、須賀君を誘います!」 私の隣にいる子は正真正銘ゆーきなのか 学校に着くまでタコスの話を飽くことなく延々と続けるゆーきを見ていると、そんな疑念はいつの間にか消沈していました クラスの下駄箱へ歩く間にB組の方の下駄箱を一瞥して、早速気にしてるじぇ、というゆーきのからかいを一蹴 今度こそはと決意を握りしめて、私の今日は始まりました ところが、彼の身にあんなことが起こっていようなどと この時の私は、知る由もありませんでした―――― ――翌日 「須賀君なら今日風邪で休みだよ」 和「ぇ――――――――――――っ」 和「せっかく……せっかく勇気を出したのに……」 優希「何て言うか、まーそんなこともあるじぇ」 和「はぁ……」 優希「麻雀部に無事入部できて、部長たちもいい先輩で良かったからプラスマイナスゼロってことでいいんじゃないか?」 和「そうですね……」 優希「須賀京太郎の住所も調べたけど、行く?」 和「ちょっとアグレッシブすぎやしませんか」 優希「隣の席の子が同じクラスだったらしいので教えてもらったんだじぇ」 和「よくそこまで聞き出せましたね」 優希「今朝言ったのどちゃんの水着写真二枚あげたら大喜びで働いてくれたじぇ」 和「冗談だと言っていたではないですか!何しているんですか貴方はぁっ!」ガシッ 和「去年もその写真を男子に一枚二千円で売っていましたよね!そろそろ懲りましょうよ!」ガシガシッ 優希「ううっ、揺れる空がデジャブだじょ……」 和「そろそろ腕が痛くなってきました」 優希「のどちゃん太りがちだからいい運動になるじぇ」 和「気にしなくて結構ですよ!」 ――翌日、昼休み 「須賀君なら、他の教室に行ったみたいだけど?」 和「アッハイ」 ――また翌日、昼休み 「今日は須賀君いるよ、呼んでこようか?」 和「え………………」 和「あ………………………………」 和「う………………………………………………」 和「ふ、腹痛が痛いので今日はやめておきます……」 ――そのまた翌日、昼休み 和「行って来ます!」 優希「頑張れのどちゃん!草葉の陰から見守ってるじぇ!」 和「物陰から見守っていてください」 和「……すぅー」 和「はぁー……」 和「…………」 和「はぁー…………」 和「はぁー……………………」 京太郎「よっ、原村さん」 和「!?」 和「ごほっ、げほっ、えほっ、げぼぉっ!」 京太郎「女の子らしからぬ声!?原村さん大丈夫!?」 和「……はぁっ、はい、大丈夫です、至って問題ありません」 京太郎「そっか、病気かと思ってヒヤヒヤしたぜ」 和「……あの、どうして私のことを……」 京太郎「ほら原村さん有名人だし、昨日俺に用があったんでしょ?」 和「あ……はい」 京太郎「立ち話も難だ、学食行こうぜ」 和「お昼ご飯でしたら私が払います」 京太郎「ははっ、そんなのいいよ」 京太郎「女の子に払ってもらうなんて真似させられないもんな」 和「いえ、お礼をさせてください!」 京太郎「お礼……って、そんなん寧ろ……」 京太郎「…………!」ピコーン 京太郎「じゃあ一つ頼みごと、いいかな?」 和「はい!」 和「レディースランチです」 京太郎「ありがと!原村さんは頼まなかったの?」 和「私はお弁当がありますので」 京太郎「もしかして自作?」 和「……はい」 京太郎「すっげー!やっぱ原村さんって何でもできるんだな!」 和「そんなことありませんよ」 京太郎「いやいや、だってすごく美味そうだぜそのお弁当」 京太郎「可愛い、スタイルいい、お弁当もおいしそう、勉強できる、運動もできる、麻雀が強い!完っ璧だろ?」 和「いえ、その……可愛いなんて…………」カァァ 須賀君はまるで、昔からの友人であるかのように、私と話してくれました 私がどもっても話し出すのを待ってくれて、しっかりと応答してくれて、とても楽しそうに私との会話を続けてくれる 会話の内容は、お互いの自己紹介に始まり、中学校のことや、あの日のこと 彼と和やかな雰囲気で過ごす昼休みは至福に感じられました ゆーきや他の生徒の視線も忘れて、彼との会話を楽しみました 京太郎「原村さんに消しゴム渡した後、照れくさくなっちゃったんだよ」 京太郎「ほら、原村さん可愛いから」 京太郎「テレビにも出てるの知ってて、テスト中に気付いた」 京太郎「それから休み時間に原村さんの隣にいるのがなんか恥ずかしくて」 和「ああ、通りで……」 京太郎「気分悪かったよな、ごめん」 和「全く全然これっぽっちも……少し不思議でしたが」 京太郎「でっすよねー」 京太郎「原村さん五限何?」 和「数Ⅰですね」 京太郎「そっか、俺は化学で別棟だからさよならだ」 京太郎「トレー下げてくるよ、じゃあね」 和「あっ…………す、須賀君!」 背中を向けた彼に、声を 教室の前で話しかけるのに、勇気は不必要でした 彼との会話に、恐怖は感じませんでした 羞恥も感じませんでした 彼の先回りが私から臆することを忘れさせてくれたのです けれど、これからの私の発言は彼が知りもしないこと 彼の先回りのしようのないこと つまり、私自身で勇気を出して、恐怖も羞恥も取り払わなければならないこと 「一回勇気を出すだけ、もう少しだけ精一杯」 一歩だけ、足を踏み出そう 振り向いた彼に、声を 和「入試の日!本当にありがとうございました!」 和「感謝しきれないほど、ありがとうございました!」 和「あ、あと!話は変わりますが……」 和「私と……私と、麻雀部に入ってくれませんか?」 京太郎「うん、いいよ」 和「二つ返事!?」 続く
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94 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/02(水) 21 46 28.22 ID WkIFPeFoo [2/6] 優希「犬!遅い!!」 京太郎「集合時間には間に合ってるだろ!?」 ホテルの奥。 宮永さんと共に出てくる彼。 ぽりぽりと頭を掻く姿が何処か抜けてもいるような、そんな顔。 私は小さく微笑み、口を開く。 それは優希を窘めるような、周囲に優しく響くだろう私の声だ。 久「はいはい、優希ー。約束した時間には間に合ってるんだから気にしない」 優希「じぇ~……」 京太郎「ぶ、部長ぉ……!」 優希が何か言いたげな、そして須賀君が希望を持った瞳で私を見る。 くすり。 私は笑う。 それを須賀君にうっすらと見えるような笑みで返し、私は腰に手を当てて目を瞑る。 ただし。 そう、少し悪戯めいた声色で私は釘を刺すことを忘れない。 久「で・も、確かに一番遅かったのは須賀君ね」 須賀「うぐっ!?」 久「そうね……そうだ、後で雑用を手伝って貰うわ。いいかしら?」 須賀「りょ、了解っす…」 久「ん、よろしい!」 95 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/02(水) 21 47 59.69 ID WkIFPeFoo [3/6] 私が大仰に頷く。 それに優希が「がんばれよー」と笑い、まこが「何時も迷惑かけるの」と苦笑している。 咲も和も、困ったように顔を見合わせ、微笑みあうだけだ。 この光景で、誰も困る人はいない。 須賀君も、まこも、優希も、和も、咲も。 そして、私も。 最高の幸せだ。 この関係が崩れないということ。 私の夢を叶える、誰も不幸にならない。 そうして今、全国の舞台に立つことが出来ている。 それも全て私の仲間たち。 彼女たち……そして、彼だ。 県大会に参加できるようにしてくれた須賀君。 本気の文句も言わず私たちのために汗を流してくれる須賀君。 私たちの現在を支えてくれる須賀君。 須賀君との出会いを私は思い出す。 京太郎『カモ連れてきたぞー』 そう言って最後のメンバーになった咲を連れてきた彼。 当初、何処までも初心者であるあの子に麻雀を教えていたのは私。 彼の人となりに身近に接する機会が多かったのは、咲に続いて私だ。 咲には及ばないけど、彼を一番に知るのは私だ。 ふふん、と笑いたくなるのは少し抑える。 地下鉄を利用し、会場へ。 抽選会のため、他の県代表の部長たちと共に並んで待機する。 ふと、目があった。 須賀君が観客席に座っているのが見える。 京太郎「行けー!清澄ー!!」 と、そんな声。 周りの部長が私をちらりと見た。 96 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/02(水) 21 48 48.27 ID WkIFPeFoo [4/6] 『女子大会なのに男子部員?』 そんな視線だ。 思わず、吹き出す。 ああまったく、やっぱり彼は良い。 退屈しない子だ。 そうして、抽選会が終わる。 私は皆と合流して、口を開いた。 久「じゃ、明日はよろしく!須賀君、朝の通りお仕事よー」 京太郎「うーっす……」 がっくりと肩を落とす須賀君。 私はからからと笑い、彼の腕を引く。 びくり。 そう反応したのが、すぐにも分かった。 私が笑う。 須賀君は少しだけ顔を赤くして、私に手を引かれるままになっている。 だけど、彼は男の子。 こういったのはやっぱり恥ずかしいんだろう。 でもこうした部分が、可愛いんだけれど。 久「さて、須賀君。命令があるのだけれど」 京太郎「へへぇ、何でごぜぇましょうかお代官様」 へへー。 そんな芝居がかったような返事。 諦めた様子というより、私に対する意識の変え方。 咲や優希ならば軽く、からかうように。 和やまこには真正面からしっかりと受け答えるように。 私には、こうして少しのジョークを交えた芝居がかった対応で。 私だけの特別。 フレンドリーに付き合える、そう思ってくれてるからこそだ。 だから、私はその距離を縮めるつもり。 彼を困らせるように腕を組み、微笑みかけた。 この時間。 それを奪われることは不愉快だと、今は気づかぬ思考を奥底に抱えながら。 【※魔性型は一線越え、または他女子とのレベル3が存在した時……】 105 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/02(水) 22 23 21.83 ID WkIFPeFoo [5/6] ――――部長と合流して向かうスーパー。 俺が買い物籠を持ち、部長に続いて増えつつある買い物を見る。 ペン、紙、テープ、携帯保存食料。 部費じゃなくて部長の実費での買い物だから、個人的な用品だろう。 意外とずっしり。 男の俺でも結構重いと感じるくらいだ。 なるほど、今日の雑用依頼というのは必須だ。 でもこれくらいなら、言ってくれれば普通に手伝えるのに。 そう部長に言ってみよう、そう思ったが、ふと気づく。 部長の髪型。 何時もの流した髪型じゃない、部長が試合の時にしかしないおさげ髪。 こうして見ると新鮮なものだと俺は思う。 白いうなじ。 良く、親父が『女は後ろ姿が良い子がいい』とか言っては母さんに殴られてたが、それが少し分かる気がする。 新鮮さもあるけど、なんというか。 色気、という奴だろうか。 エロじゃなくてエロスというか、もっと高尚なものだ。 そんなことをだらしない顔で考えているとふにょんとぶつかる。 固まって、視線を下に。 こちらを見上げる部長の姿が、俺の前にあった。 わぁい、やわらかーい。 久「須~賀~君~?」 京太郎「」 笑顔の部長。 “ふにょん”で怒ってるんですか?あ、はいそうですか。 久「須賀君、私の胸の柔らかさに対して自分で雑用増量ね」 京太郎「はい……」 ………許してくれるレベルって、どんくらい仕事するべきなんだろうか? 112 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/02(水) 22 40 44.58 ID WkIFPeFoo [6/6] 久「さ、入ってー」 そんなことをうんうんと悩みつつ、ホテルへ。 そのまま俺は部長の部屋へ。 勿論だが、荷物を運ぶためだけだ。 ……別に、本当の部長の家じゃない。 レンタルであるホテルの一室なのになんでこうドキドキとするんだろうか? やっぱりあの“ふにょん”が印象強く残ってるせいか? いやいや、俺だってそんな単純な男じゃ……。 久「あー疲れた!」 京太郎「ブッ!?」 ベッドに飛び込む部長。 ベッドのスプリングでポン、と体が少し浮いた。 仰向けで、片足を曲げてこちらを見る。 そのアングルが、どうにもやばい。 何がどうとかじゃなく、やばいのだ。 久「んー?どうしたのかしら、須賀君?」 こちらを寝転んだまま見上げる部長。 何処か眠たげな声が俺の耳に届く。 えーと…… えーと、うーんと。 思わず無言の空間。 何を言うべきか、と考える。 腕を組みたいけど組めない。 俺と部長の視線が揃ってる間、この空気をどうにか晴らすべき案を考える。 個室、部長、おさげ、制服、ふにょん、おさげ、おさげ、おさげ、おさげ、パンツ。 ………パンツ? 視線は足へと向かう。 そして少し視線は上に、タイツの下に見える三角の……。 京太郎「………」 久「あら、なんで目を覆うのかしら?」 足を組み替え、そんな声。 ……なんでそんなに挑発的なんですか、部長。 思わずそう嘆くが答えてくれる相手はいない。 言うしかない。 言って、さっさと帰ろう。 そうしようったらそうしよう。 京太郎「部長、見えてます……」 久「ん?」 とぼけた声。 いやもう、本気で勘弁してください…。 久「あ、もしかして見たの?」 京太郎「えーと、その」 久「見たのね?」 京太郎「………はい」 久「へぇ……?それは何を?」 にやり。 そんな風に笑う部長に俺は泣きたくなる。 いじめるのを楽しんでるとしか思えない。 もうこれ逆セクハラなんじゃねーかな。 そんな諦めすら混じった声。 俺が短く、口を開いた。 京太郎「……部長のパンツっす」 久「ふぅ~ん」 京太郎「言ったんだから少しは恥じて隠してくださいよ!?」 久「だるいのと、動きたくないのよ」 疲れたー! そう言ってベッドで転がる。 子供かあんた。 そんな乱暴な物言いになる俺は悪くない。 そう思っていると、差し出される。 何を? 足を。 足を組んだ部長がタイツを穿いた足を、俺に差し出していた。 久「ねぇ、脱がせてくれないかしら?」 京太郎「自分で着替えて下さい!?」 もう俺この人が分からねぇ!! 【8月13日終了→8月14日(朝)に続く】 170 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/04(金) 00 49 53.07 ID Hyu07NMLo [6/6] 【8月14日:朝】 一夜明け、天気はからりと晴れ。 東京の夏本番という熱さが肌を焼く。 俺は手に持ったパンフレットを片手に小さく汗を拭い、息を吐く。 今日から大会開始。 その予定は実に単純なものだ。 14~24日:団体戦 25~27日:個人戦 という、約2週間の長丁場。 清澄……俺の高校も、個人戦に咲と和が参加する。 あの二人が呆気なく終わる、なんてことは想像できるものじゃない。 多分、28日まで大会は続いていくだろう。 京太郎「しっかし部長には参った参った……」 あんなご褒美……じゃなくて尋問。 遊ばれてるのか、楽しげだったあの人にはかなり困ったものだ。 まぁ、昨日のことは昨日のこと。 俺は待機部屋から出ていき、優希のタコスを初めとした買出しへと行く。 前もってここらの地理は把握しているし、もう成れたもんである。 そんなことを思って歩いていると、ふと視線が移動していった。 あれは、制服だろう。 手には赤ペンとファイルを持った女生徒がモニターに集中しているのが目に入った。 片方が巻いたような、特徴的な髪型をしている。 試合を見ていることから選手なんだろうけど……。 やえ「っと」 京太郎「あ」 その時だった。 彼女が持っていた書類が零れ落ちる。 ふわりと、俺の足元へ。 拾い集めている彼女に渡そうと、俺はおれを拾う。 そこにあるのは、個人戦の名簿だ。 京太郎「あの、落としましたよ」 やえ「す、すまないな」 京太郎「いえいえ。……個人戦の選手なんですか?」 少し慌てたように、ほんのりと羞恥からか紅葉した頬。 俺はそれに気づかないように、少し話の方向性を変える。 それに目の前の女性は「ああ」と、大仰に答えた。 194 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/04(金) 10 47 00.38 ID HFUoB/OUo [2/5] やえ「奈良、晩成高校3年。個人の小走やえだ、よろしく」 京太郎「俺は須賀京太郎です。一年で、麻雀部のお手伝いみたいな立ち位置でやってます」 やえ「やはり選手ではない、か。まぁ、女子大会だから当然だったな」 そう苦笑して書類を払う。 なんというか、かっこいい人だ。 自信に満ちているというか、なんというか。 言うならば王者の風格とでも言うべきだろうか。 実力に裏打ちされた自信が、彼女の根底を成している。 例えるなら、派手すぎない龍門渕高校の龍門渕透華さんという感じだろうか。 そんなことを思い出すと、俺は「あっ」と声を漏らす。 京太郎「や、やっべ!?買い物の途中だった!失礼します!!」 やえ「あっ、お、おい!」 慌てて走り出す俺。 小走さんの声が聞こえたような気がしたけど、そんな場合じゃねぇ! やえ「ふむ……須賀君、か……」 【8月14日:昼】 優希「遅いー!タコスは!?」 京太郎「ぜぇ、はぁ……!!」 まこ「ほれ、水でいいかの?」 息荒く俺が帰還。 返ってきたのは優希のタコスをせがむ声と心配そうに水を差し出す染谷先輩。 優希にこんにゃろう、とも思いつつ例を言って水を受け取る。 ああ、美味い。 東京って正直暑すぎるだろ…… 久「ナンパでもしてたのかしら?」 京太郎「ブッフゥ!?」 優希「じぇぇぇぇえ!?」 昼、接触対象を指定してください↓2 258 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/04(金) 23 09 11.74 ID mKgbOrn8o [2/3] 全国大会。 その試合は野球の甲子園と同じで、一つの雀卓によって行われる。 俺たち清澄が所属するBブロック第一回戦。 それはこの大会における一発目の爆弾だ。 中堅での他校飛ばしての勝利。 優希も、染谷先輩も、その3人が全員大爆発した結果だ。 これだけで、今三つのチームが全国から消える。 俺はその様子を清澄の待機室で見ながら、小さく声を漏らしていた。 京太郎「はぁー……緊張した…!」 和「どうして須賀君が緊張するんですか?」 咲「あはは、京ちゃん落ち着かなかったね」 そうは言うけど、部屋の空気は随分と柔らかいものだ。 そう思っていると、足音が聞こえる。 扉が開けば、薄い笑みを顔に貼り付けた部長がそこに居た。 久「先ずは一勝、もぎ取ってきたわ。さ、今日の試合はここまでだから帰るわよー」 まこ「随分と急ぎ足じゃの」 久「帰って他の勝ち抜き校の牌譜チェックしたいのよ」 和「ですね」 咲「あ、じゃあ先にちょっとお手洗い行ってきます!」 京太郎「あ、ちょ待て咲……もういねぇ!」 慌てて走り出す咲。 俺の脳裏に甦るのは何時もの迷子状態だ。 ただトイレに行く女の子を男が追うというのもひじょーにアレであって……。 気づけば、咲が部屋を出てもう10分も過ぎていた。 京太郎「………すいません、ちょっと探してきます」 和「私も手伝います」 優希「私も行くじぇ!」 まこ「ワシも行くかの」 久「じゃ、私はここで咲が帰ってくるか一応待ってるわね」 全員が揃って立ち上がる。 なんとも締まらないものだ。 そんなことで皆が苦笑。 さてさて、さっさと見つけてやろうか。 259 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/04(金) 23 10 19.54 ID mKgbOrn8o [3/3] ―――だけど探すとは言っても、実は簡単だったりする。 あいつは迷子になると右に左にと、角を曲がっていく。 典型的な迷子の原因なのだが、無意識でやってるのが性質悪いものだ。 俺は女子トイレ近くから道をざっと見る。 人ごみは多い。 となると、きっと流されるようにこっちに行ってるはずだ。 京太郎「………見つけた」 発見。 意外とあっさりすぎるものだ。 手を組み、うろうろとしている背中。 笑うのを堪えて、俺は咲の肩を叩いた。 京太郎「見つけたぞ。ったく、またか」 咲「きょ、京ちゃぁ~ん……!」 半泣き状態の咲。 俺は携帯を取り出し、部長に繋げる。 部長から皆にメール送信してくれるそうだ。 俺はそれを受けたら咲へと向き直った。 咲「あ、あああのね京ちゃん。私、また迷子になったんじゃ」 京太郎「“また”って自分で言ってるじゃねーか」 咲「あう」 ぽこん。 軽く小突くと頭を摩る咲。 それに俺は小さく息を吐くと、咲の手を引く。 全く、このポンコツ魔王さんはどうしてこうなんだろうか……。 そう思う俺の手を、咲が少し強く握ったのに、俺は気づかなかった。 【8月14日:夜】 夜。 夕食が終われば自由が出来る。 基本的にミーティングと練習。 それだけなのでやることが無い俺は静かなものだ。 今も部屋では和、優希、染谷先輩、部長が卓を囲んでいる。 俺と咲は静かにその様子を見守っていた。 しかし、熱い。 狭い部屋に6人も集まっているというのもあるだろう。 しかし、冷房を強くすると寒い。 俺は冷蔵庫を開き、飲み物でも出そうかと探ってみたが何もない。 どうせついでだ。 皆の分の飲み物でも買ってくるか。 京太郎「お茶買ってきますけど、注文は?」 久「あ、私りんごジュースで」 まこ「ワシは緑茶がいいのう」 優希「あたしはコーラでいいじょ」 和「紅茶でお願いします」 咲「じゃあ私は―――」 京太郎「お前は俺を手伝え」 咲「ひどっ!?」 俺が何を言ってるんだという顔をする。 それにショックを受けたような、そんな顔をする咲。 というか当たり前だろうが。 手が空いてるのは俺とお前だけ。 むしろこれで休めると思うほうが間違っているというものである。 274 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/05(土) 00 27 54.24 ID TPglUBpoo [2/8] 咲と並んでホテルの廊下を歩く。 会話は無いまま自販機についた。 俺はコインを取り出し、それぞれの注文を買う。 咲に振り返って、俺は尋ねた。 京太郎「咲、お前はどうするんだ?」 咲「あ、うん。お水でいいよ、京ちゃん」 京太郎「水でいいんだな、じゃあこれか」 水を購入し、咲に手渡す。 咲はそれを両手で抱えるように持ち、ふと俺を見た。 なんというか、困ったような、そんな顔だ。 咲「………ありがとね、京ちゃん」 京太郎「ん?何がだ?」 咲「今日、私を見つけてくれて」 京太郎「ああ、そのことか。気にすんなって、もう中学時代で慣れたし」 咲「うん……」 いや、そこでうんと言われても逆に困るんだけどなぁ。 俺は小さく息を吐く。 さっさと戻るぞー。 そう声をかけて。 咲は小さく微笑んで、俺を見た。 うん。 そう答えた、裏側の声。 俺の耳には届かない。 咲「そう……京ちゃんは、私を一人にしない……よね……?」 281 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/05(土) 00 52 37.99 ID TPglUBpoo [4/8] 【8月15日:朝】 ふと視線を動かせば目に入る。 そんな経験は無いだろうか? よくTVで見るCMであったり、広告であったり。 多種多様の注意を引く物が人それぞれにはある。 俺が今日、ホテルの食堂に向かう足で目についたのは片方のドリル。 その俺の視線と、ふとそのドリル髪の持ち主である小走さんと目が合ったのは偶然だった。 やえ「ああ、須賀君だった…か?」 京太郎「どうも、小走さん。小走さんもこのホテルに泊まってたんですね」 やえ「ほどよく、会場に近いからね」 席、失礼しても? そう問いかけると、構わないよ、と返される。 俺はその言葉を受けるとそのまま小走さんの対面に座る。 何を話そうか? そう思ったのだが、やっぱりこういう時の会話は麻雀が一番だろう。 別に話さなくてもいい、とかもあるがそれはそれでアレだ。 間が持たないだろう。 会話の切り出しは俺。 少なくとも、静かすぎるよりは十分マシ。 それくらいには会話が出た。 奈良の代表。 そこも清澄と同じように5人ぎりぎりだとか、今日一回戦があるだとか。 やっぱり、そういうどきどきというものは何処も同じだ。 京太郎「まぁ、ウチも負けませんよ」 やえ「それは楽しみだな、須賀君」 341 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/05(土) 20 49 43.05 ID gmHgiAquo [1/3] 【8月15日:昼】 昼、ホテルに戻った俺が部屋でネット麻雀をしていた時。 部屋をノックする音が聞こえた。 なんだ、と思いつつ俺はドアを開く。 見れば、そこには見覚えある姿があった。 そうだ、今日の試合は見所だけはもう見て、先に帰った……… 久「あ、ごめんねー須賀君」 京太郎「ぶ、部長ぉ!?」 そこには、片手に小さい鞄を持った部長の姿。 時間的に昼、昼食の誘いだろうか? そう俺は思っていると、部長は「あっはっはー」と、何処か困ったように笑っていた。 久「ごめんねー須賀君、ちょっとお風呂貸してくれないかしら?」 京太郎「……はい?」 俺の隣は部長の部屋。 何があったと聞けば、ちょっと来てと言われてしまった。 ドアを開き、見る。 そこには一面、紙、紙、紙、紙。 壁や床に張られ、置かれた紙……牌譜の数々。 うわぁ。 そう俺が思わず声に出すほど、何処か狂気的な光景だ。 見れば、部屋の隅。 そこに水のボトルと人が座っていたような小さな空間がある。 失礼して、俺は浴室を見る。 ………そこにも、無数の牌譜。 俺の頬が引きつくのが分かった。 振り返れば、後ろ手で部屋の扉を閉じる部長の姿。 にこりと、微笑んだ。 ゙l ゙l ゙l ゙l ゙l ゙l ゙l ゙l ゙l ; ゙l ゙l ゙l i ゙l ゙| ゙l `、 イ i ゙l l| ゙| ヽ. ,,、 / ゙l lll ゙l `、ヽ、 / ヽ | || ト `、 `ヽ、 / `、 | |ト | `、 `-、 / `、 | | | `、 ヽ、 `ヽ、..._ ,, 爪 ヽ | / ` 、_  ゙̄`'ー‐‐---------ゥ-‐'' / / ;/, ;;;;;;`、;;ノノ `、 `ー--、......____,,,....,、、‐'' ,/ / / /二,,,、、_z `、 ,,,/ ク // ゙l |ト ハ `、 ,,,// ;" ;;/ / 人 ハ `、 ヽ ,,,,,,,, ∠ニニ=== _ク/ Y \ `、 `ヽ、,,,,,,,, ,,,,,,/ / ハ / 375 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/06(日) 00 14 20.72 ID iBHONMC3o [1/19] 京太郎「何をどーしたらこうなるんですかぁぁぁぁぁ!?」 久「いやー、昨日から熱入っちゃってねー」 部屋の惨状に俺が悲鳴を上げる。 この人、天井にまで張ってるよ! その労力と見合うだけの見易さはないよこれ! こうやってするんだったらファイリングした方がマシだよ本当に! 俺は真っ先に風呂場に突入。 散らばっている牌譜をかき集める。 見れば見るほど、色々な名前が多い。 って、これは……。 京太郎「あ、これって……小走さんの…?」 書いてある雀士の名前は小走やえ。 奈良県個人一位、と記されている。 他のも見れば、多くが県代表選手や、代表校のものだ。 咲と和の個人戦にもすでに目を向けているからこそのこのデータ量。 確かに、団体なら多くても20校くらいのデータで済むだろうけど、個人はそれじゃきかない。 部長なりの応援の準備、という奴なのかもしれない。 久「――――ふぅん、知り合いなの?その小走さんと」 京太郎「――――ッ!」 びくり、と体が震える。 後ろから肩に手を置かれ、俺の横に顔を出す。 横を向けば、部長の頬がある。 体勢で言えば抱きつかれてるような、そんな形。 ここがシャワールームという密室であるからこそ妙に色香が香ってくる。 京太郎「………」 ごくり。 そんな、俺の生唾を飲む音が妙に木霊した。 久「………須賀君」 若いのは勢いで。 そんなことを無責任に言う教育者が居た、ような気がする。 今だけは、それに納得しよう。 俺は背中に抱きついたまま、俺の手を握っている。 えてして、俺の手の牌譜を持っているようにも、後ろから抱きしめてるだけにも見える。 そんな光景。 それが俺が置かれた光景だ。 ふわふわとした柔らかさと、部長から漂う女の子の香り。 嫌でも、俺が男であるというのを再確認するだけの空間。 それだけの力を持つ空気が、ここにはあった。 京太郎「牌譜、片付けませんと……」 久「ん、よろしくね」 そっと、部長が離れる。 それに安堵の息を俺は漏らし、牌譜を拾う。 ああ、ドキドキした。 こんなの一生に何度あるかわかりもしないぞ、きっと。 俺はそんなことを思いつつ、ため息をつく。 いやま、部長のことだ。 どうせからかってるだけに違いないけど、俺だって若い。 こういうのはこれっきりにして欲しいくらいだ。 俺が息を吐いて、意識をクリアに。 そうすることで今まで妨害されてたような情報もはっきりと認識できるようになる。 そう。 例えば。 後ろで聞こえる、衣擦れ音とか。 バチンッ、という甲高い音とか。 一瞬で暗くなる俺の意識。 それがスタンガンであるというのに気づかぬまま、俺は長い夜を迎える。 目覚めた時、もう、何も言い逃れできないという刷り込みをなされて。 【END――秘密共有】
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. 私は、逃げ出した 私の夫のことをとても楽しそうに話すあの女狐から逃げ出した あのとき、間違いなく夫とあの人は繋がっていた 年甲斐もなく、泣き喚きながら走った 『俺は、泉が頑張ってるのを知ってる』 『いつも感謝してるんだよ、泉には』 『何があったって傍にいる』 そう言って抱きしめてくれた彼の心は、もう私の方を向いていない そもそも、彼との生活は全て偽りだったのだ 彼は私を愛してくれてはいなかった、あくまで金づるとして取り入っていただけだった けれど、そうやって彼を憎み、嫌おうと思うほど、かつての私たちの思い出が蘇ってきた 彼と初めて出会った日 彼と友だちになった日 彼が私を慰めてくれた日 彼と初めて出かけた日 彼を私が慰めた日 彼と私が初めてキスをした日 彼が私を救った日 恋に堕ちた私が彼と過ごした日々 彼が私を救った日 私が彼に告白した日 帰宅し、そんな諸々の記憶を思い出していると、電話が鳴った 彼が事故に遭ったという連絡が入った 雨の中、急いで彼が搬送された病院へ向かった 彼の容態はさほど悪くないらしく、安堵した 私が病室へ入ったとき、彼は天井を眺めていて、こちらに気づいて、声をかけてきた 京太郎「泉……か」 泉「戒能プロとかのがよかったやろ?……ごめんな」 京太郎「……いや、謝るのは俺の方だ」 京太郎「……やっぱり、会場で見てたんだな」 京太郎「泣いてる泉と、笑ってる良子さんを見てわかった」 京太郎「良子さんとは、あの後別れたよ」 京太郎「元々、今日で最後のつもりだったんだ」 京太郎「身勝手な話だけど、聞いてもらっていいか?」 黙ってうなずいた私の目を見て、彼は話し出した 京太郎「俺は、辛くなったんだ」 京太郎「こんな身体になっちまって、泉に全部押し付けて」 京太郎「俺が主夫やってる間に、プロで頑張ってる泉は負け続けて」 京太郎「俺なんかが泉の隣にいたらダメだって思い始めた」 京太郎「こんな自分に嫌気が差したんだ」 京太郎「こんな俺を好きだって言ってくれる泉に申し訳なかった」 京太郎「幸せそうな泉を見てると、ますます自分が嫌になっていった」 京太郎「だから、俺は悪い男になった」 京太郎「何人とも関係を持って、泉と別れる理由を作ろうとした」 京太郎「金も稼がない、女にだらしない、そこまで来れば、泉の方から離婚届を突き付けてくれると思った」 京太郎「別れてくれ、って言ったときも、あんな薬まで飲まされて、襲われて」 京太郎「俺は、どれだけ愛されているのかがわかった」 京太郎「それから、俺はお前のために生きようと思った」 京太郎「今までの関係を全て断ち切ろうと思った」 京太郎「……それでも、俺はダメな人間なんだ」 京太郎「最後だから、って一回ずつ、あの人たちとセックスをした」 京太郎「つくづく自分が嫌になって、下を向いて歩いてたら自動車に轢かれてベッドの上」 京太郎「これが、お前の好きだったクソ野郎だ」 京太郎「本当に、すまなかった」 彼は、シーツの上、銀色に冷たく光る右手と左手の前に頭を下げ、私に謝った 京太郎「いくら謝っても赦されないことだと思う」 京太郎「俺が今話したことも、言った言葉も、言う言葉も全て信じられないだろうけど」 京太郎「俺は、泉のことを愛している、愛し続けて、愛していたい」 京太郎「また、二人だけの幸せな生活が送りたい」 京太郎「……なんて、都合良すぎるよな」 泉「……いや、そんなことない」 泉「私も、京太郎とやり直したい」 泉「今の言葉、信じる」 京太郎「は、はぁ?なんでだよ」 泉「それは、私が京太郎の嫁だからや」 泉「京太郎が変わるって言うんやったら私はそれを信じる」 泉「それが、嫁ってもんやろ?」 泉「……私やって」 泉「京太郎のこと、愛してるんやから」 視界が涙で滲んだまま、京太郎に笑いかけた 歪んだ京太郎の顔も笑っているようで そのまま二人で泣き続けた .
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/543.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1343292209/ 京太郎「嶺上ツモ。16000オールだ…」 京太郎100000 咲-30000 和-30000 タコス-40000 咲「つ…強すぎる…」 和「こんなオカルト…ありえません…」 タコス「犬がこんな強いとは…知らなかったじぇ…」 京太郎「俺なんか別に強かねえよ。今日は偶然運がよかっただけだ」 久「…ふ~ん。偶然ねぇ。私にはまだ実力の20%も出してないように見えたけど?」 京太郎「部長まで何を言い出すんですか。俺みたいな素人を買いかぶりすぎですって」 京太郎「それにみんなも知っての通り、俺の麻雀ランクは"F-"だぜ?」 京太郎「Aランクの皆に勝てたのは偶然に決まってるじゃないか」 咲「そっかぁ~。でも、今日の京ちゃん・・・ちょっとかっこよかったかも・・・///」ポッ 和「(須賀君、多分実力を隠していますね・・・凄い・・・///)」 ワカメ「・・・」ニヤニヤ 京太郎「(・・・ったく、こうなるから隠しておきたかったんだ・・・)」 京太郎「(ワカメの野郎にまさかランク"SSS+"の通知書が見られるとは・・・迂闊だったぜ)」 放課後、部室 京太郎「これでいいんですよね?約束はちゃんと守ってもらいますよ?」 ワカメ「分かっとる分かっとる。あんたの麻雀ランクについては誰にも言わんでおく」 ワカメ「それにしても・・・まさかお前さんが世界に一人しかいないと言われてるランク"SSS+"の雀聖だったとはのぅ」 京太郎「ちょっと染谷先輩、あまりそういう事を口外しないで下さい。ここではランク"F-"って事になってるんですから」 京太郎「誰が聞いてるかわかりませんからね」 久「(・・・須賀君がランク"SSS+"ッ!?)」ゾクゾクゾク 久「(マコと須賀君がコソコソ怪しかったから隠れてたけど・・・凄い事を聞いてしまった・・・・///)」ドキドキ 帰り道 京太郎「今日は厄介な事になっちまったな…」 タコス「お~~い!バカ犬~!」 京太郎「…なんだタコスか。俺になんか用か?」 タコス「何だもタコスもないじぇ!この資料はどういう事だじぇ!」バンッ! 京太郎「…俺の事、調べたのか?」 タコス「今日の犬の打ち筋があまりにも凄かったから気になって調べたけど…」 タコス「この資料…嘘だらけだじぇ!」 タコス「出身地も出身中学も趣味も特技も何もかも全部デタラメだじぇ!」 タコス「そして何より!バカ犬が麻雀ランクF-って資料が何処にも見当たらないじぇ!」 タコス「お前…何者だじぇ…」ドキドキ 京太郎「(人の個人情報を他人に渡すとか…まずいだろ清澄…個人情報保護法的に考えて…)」 京太郎「(にしてもめんどくさい事になったな…)」 照「京ちゃん…こんにちは…///」 京太郎「ちょっ!照!お前なんでこんな所に!?今日は例の日じゃないだろ!」 タコス「てる…?その人は誰だじぇ?」 照「突然来てしまってごめんなさい。京ちゃんに一日でも多く麻雀を教えt」 京太郎「照!ちょっとこっち!」グィッ! 照「京ちゃん…大胆…///」ポッ タコス「あ、こら!バカ犬!逃げるなぁ~!!」 タコス「クソ~逃げられたじぇ…」 タコス「それにしてもさっきの人…なんだか咲ちゃんに似ていたような…」 タコス「バカ犬…きょ…京太郎とどんな関係なのか気になるじぇ…」 白糸台 京太郎「結局なんだかんだで白糸台まで着てしまった…」 照「私達の為に…ありがとう…京ちゃん…///」 淡「須賀く~ん!!来てくれたんだね~!///」 菫「須賀…その…なんだ…今日もその…よかったら特訓を頼む…///」ドキドキ 京太郎「しょうがねぇ…じゃあ早速打とうか。向こうでは実力を隠してるから腕が訛っちまってるかもな」 菫「そういえば清澄の方では須賀の実力を知っている者はいないんだったな」タン 淡「須賀君の凄さが分からないなんて!清澄の人達の目は節穴です!!」タン! 照「…淡、良い事言った」タン 京太郎「いや、それが実は昨日バレちまった。なんとか誤魔化したが十中八九バレてると思う」チャ 京太郎「よし、ツモ。8000オール」パタパタパタ 淡「それにしても須賀君に買出し行かせたりタコス作らせたり荷物持ちさせるなんて」 淡「私本当に清澄の人が許せません!今度の大会でボコボコにしちゃいますよ!」タンッ! 京太郎「まぁ淡、そう言うなって。向こうじゃ実力隠してる俺が悪いんだし・・・」ドンッ! 京太郎「それに俺だって清澄の一員だぞ?」 照「白糸台に転校すればいいのに・・・」タン 菫「須賀・・・ちょっと待て」 京太郎「ん・・・?どうした菫?」 菫「須賀、そのリストバンド、外してみろ」 京太郎「ん?これの事か?」パッ ズドーンッ!! 照「このリストバンド・・・200㎏はある・・・」 菫「須賀、私達の前では素のお前でいてもいいんだぞ?」 京太郎「わり。癖になってんだ。力抑えるの」 東1局2本場 京太郎「じゃ、久々に能力使うか・・・」 照「京ちゃんの能力見るの久しぶり・・・///」ドキドキ 菫「ようやく須賀の本気を見れるのか・・・」 菫「ではまずは出鼻挫きの先制リーチだ!」 京太郎「ふ、ならばおっかけリーチだ!」 淡「あ~・・・こりゃ~岩手の姉帯さんの"オリジナル"かな?」 京太郎「ツモ!4000オール!」 照「やっぱり本物は凄い・・・///」 淡「姉帯さんじゃなくて私にこの能力を教えてほしかったなぁ~・・・///」 菫「卓上に夢を描きつつ追っかけリーチか。本当に恐ろしい奴だ・・・///」ゾクゾク 東1局3本場 京太郎「(じゃ、軽く12巡先でも見てみるか)」キュイィィィン! 京太郎「(11巡目で菫がツモるか・・・随分早いな。ならば・・・)」 京太郎「(その未来を"消し飛ばす"!)」ゴゴゴゴゴ 照「!?!?」ゾクゾク! 菫「ッ!?」ビクッ! 淡「・・・?」 菫「(今大切な"何か"が変わった気がした・・・)」 照「(まさか京ちゃん・・・"未来"を変えた・・・ッ!?)」 11巡目 京太郎「ツモ。タンヤオのみ。1000点だ」 照「さすが京ちゃん…///」 菫「物凄く良い手配なのに和了れなかった…」 淡「須賀君凄すぎる…///」 京太郎「なぁ。」 菫「?」 照「ん?」 淡「どしたの?」 京太郎「そろそろ"目を開けて"打っていいか?」 みんな「!?」 京太郎「それと学ランの上着も脱がせてもらうぜ」ズドーンッ! 菫「…まだ力を抑えてたのか」 京太郎「わりぃな。子供の頃から色々抑えてて。家庭の事情でね」 京太郎「ま、これで70%ってとこか?教える分には丁度いいだろ」 照「…京ちゃんがそういうなら…///」 淡「……ワイシャツ姿の須賀君…かっこいい///」ポッ 菫「す…須賀…///もし私が須賀に勝ったら…そ…その…一緒に喫茶店にでも付き合ってくれんか?///」 淡「あっ~!菫ちゃん!抜け駆けは禁止~!」 照「京ちゃん…私も…///」 京太郎「わり、俺珈琲とか苦手なんだ。それに…」 京太郎「俺に勝つなんて無理だろ?」ニコッ 照菫淡「(…かっこいい///)」 東1局4本場 京太郎「……」シュバババ 菫「(は…速いッ!今理牌を何秒で終わらせたッ!?)」 菫「(二秒…いや…一秒!?いや、もしかしたらそれ以下か!?フェイントも5回以上は入れてたな…はは…考えられん…)」 京太郎「俺のターンだ」シュバババ 照「(…す…凄い…。さっきとはスピードが段違い…。今1ターンで2回…いや、3回はツモったか?)」ハッ! 照「そうかッ!!京ちゃんの河を確認すれば…ッ!?」 京太郎の河 1ピン 9ソウ 北 南 中 照「(ご…5回…だ…と…?)」ガクガク 京太郎「わりぃ、ちったぁ力抑えた方がいいか?」シュバババ 菫「い…いや!結構だ。70%の須賀の実力を見ておきたい…///」 照「風圧で目が見えない…ッ!!今まで京ちゃんはこんな状態で打っていたの!?」ポロッ 京太郎「…わりぃな、それ、ロンだ」パタパタパタ 照「くっ!」 照ライフ8000→6100 淡「(か…辛うじて見えた…ッ!!ドラの表示牌とてるてるのロン牌が入れ替わっているッ!な…なんてスピードッ!!」 京太郎「まだまだ行くぜ…?」 京太郎「倍プッシュだ」ニヤッ 一時間後… 京太郎「みんな、お疲れさん」 京太郎100000照-20000菫-40000淡-30000 照「……///」ピクピク 淡「……///」ジョワァァ 菫「……///」ジュワァァ 京太郎「…あちゃ~みんな気絶しちまってる…」 京太郎「こりゃやっぱ次からは力抑えないとダメだなぁ」 京太郎「反省反省」 京太郎「ま、みんなも倒れてるし、龍門渕にでも遊びに行くか。ハギヨシさんもいるし」 龍門渕高校麻雀部 透華「あら、あなたは確か清澄の雑用係じゃありませんこと?」 京太郎「あ、その節はどうも。清澄の須賀京太郎と言います。ハギヨシさんいますか?」 透華「生憎今ハギヨシはいませんわね…」 透華「ところであなた、京太郎さんと言いましたっけ?あなた麻雀は出来ますの?」 京太郎「…麻雀ですか、一応出来る事は出来ますけど…」 透華「ナイスですわ!」 透華「今丁度麻雀が出来る人間が3人しかいなくて…ハギヨシが戻るまで入ってもらってもいいですわね?」 京太郎「はぁ…。(ま、ハギヨシさんが戻るまでくらいならいっか…)」 衣「お~、と~か。新しい友達か?」 一「む…男の人…」イラッ 透華「どうやらハギヨシのお友達のようですわね」 京太郎「始めまして、須賀京太郎と申します」 一「透華が男の人を連れてくるなんて珍しいね」イライラ 透華「一は何をイライラしてますの?それより京太郎さんは麻雀が出来るようなので早速打ちますわよ~!」 衣「お~、きょーたろーも麻雀が出来るのか。強いのか?楽しみだなぁ~」ニコニコ 京太郎「いや~俺なんて全然弱いですよ…はは…」 京太郎「(ふ~ん。この子、麻雀ランクA+はあるな。やるじゃん)」 東3局目1本場 親 透華 透華36000 衣35000 一28000 京太郎1000 透華「ふふ、きましたわ!リーチですわ!!」 京太郎「いや~これは困ったなぁ~…ははは」 衣「今日のと~かは強いなぁ~」 一「ちょっと透華~?初心者の京太郎君もいるんだし、もう少し手抜いてあげたら?」 透華「初心者とは言え手を抜くのは失礼ですわ!!ふふ、覚悟なさい!京太郎さん!」 京太郎「はは、透華さんは手厳しいなぁ~(う~ん、ちょっと手抜きすぎたかな?)」ニコニコ 今の京太郎のハンデ 200㎏のリストバンド×4、1tの上着、利き腕縛り、視力縛り、全能力縛り、聴牌縛り 京太郎「(ま、ここで飛ばされて終わらせるってのもありっちゃありだな~)」 一「ごめんね~京太郎君。透華ってば大人気なくて~」 京太郎「いえいえ、俺の方こそ相手にならないくらい弱くてごめんね~…はは」 衣「………なぁ」 衣「いつまで"人の土俵"立っているつもりだ?」 一「…?衣?それってどういう…」 京太郎「…あ~、やっぱA+レベルにはわかっちゃうか~…」 透華「???」 衣「お前も"こっち側"の人間であろう?」 衣「有象無象の化け物め!!」 一「衣…?私には衣が何を言ってるのかさっぱり…」 衣「そやつの腕を持ってみればわかる」 一「腕…?ちょっと失礼…」グッ 一「ッ!?重ッ!!な…何なんだこれぇ~!?」 透華「ど…どういう事ですの!?まさか手を抜いてらしたんですの!?」 京太郎「ん~、ま、A+がいるしバレるわなそりゃ」パッ ズドーン! 京太郎「ごめんごめん。ちょっと俺、力抑えんの癖になってて」ニコッ 透華「な…なんて重さ…」ガクガク 一「ぜ…全然気がつかなかった…」ブルブル 京太郎「まぁでも、今呪霊錠は解いたから、能力だけは開放させて貰うぜ?」 京太郎「さすがにこのまま飛ばされて終わりってのはつまんないからな」ニヤッ 今の京太郎のハンデ 1tの上着、足技縛り、利き腕縛り、聴牌縛り 東3局1本場 透華「よ…よくもまぁ騙してくれましたわね!」 透華「しかし、私が先ほど掛けたリーチでツモ和了りすればあなたのトビは確定しますわ!」 京太郎「ま、そうなりますね。"ツモれれば"の話ですけど」 京太郎「(とりあえず15巡先まで見ておくか…)」キュイィィィィン 京太郎「(あ~、こりゃ6巡目で和了るなぁ~)」 京太郎「(だがその"未来"は…)」 京太郎「(俺が"消し飛ばす!")」ゴゴゴゴ 衣一透華「ッ!?」ビクッ!! 東3局1本場30巡目 透華「ぜ…全然和了れませんわ…」 一「(この感じ…衣の場の支配と同じようでまるで違う…)」ガクガク 衣「(ハイテイすら和了れる気がしない…)」ガクガク 京太郎「ふぅ、流局だな。でも俺の河を見て欲しい」 透華「…ッ!?ま…まさか!!」 京太郎「………そう」 京太郎「"流し満貫"だ…」フッ 一「(こ…この人…一体何者…!?///)」ドキドキ 衣「(……きょ…きょーたろー…かっこいい…///)」ポッ 透華「(京太郎さん…素敵ですわ…///)」キュンッ 一時間後… 結果 京太郎1192296 衣794 一-999999 透華-300ペリカ 京太郎「あちゃ~やっぱA+を飛ばすのは無理だったかぁ~」 衣「振り込まない様に逃げ回るだけで精一杯だったぞ…///」 衣「なぁきょ~たろ~…?///きょ~たろ~にトバされなかったご褒美に…今度衣を遊園地にだな…その…///」 一「衣~!抜け駆けは禁止だよ!京太郎君!」 一「もしよかったら今度僕のマジックショーを見に来てくれないかな?一番前の特等席を用意するよ!///」 透華「ちょっとお待ちなさい!京太郎さんはわたくしと龍門渕専用リゾートで遊びになりますのよ!///」 衣「いや衣と!」 一「いいや私と!」 透華「わたくしと!」 京太郎「(あちゃ~めんどくさい事になってきちまったなぁ…)」ヤレヤレ バーン! 咲「京ちゃん!やっと見つけた!」 透華「清澄の!?どうしてここに!?」 タコス「おい犬~!私と結婚するじぇ!」 淡「清澄の人なんかに須賀君は渡さないよ!須賀君もしよかったら私と…」 衣「白糸台!?」 照「いいや、私と」 久「須賀君、私と…」 和「部長、さすがにこればかりは譲れません」 菫「須賀、私と…」 衣「きょ~たろ~…衣と…」 みんな「私と」 みんな「結婚して下さい!」 京太郎「…まぁ能力もバレちまったし。しゃあねぇか」 京太郎「みんな俺の嫁にしてやるよ」フッ おわり
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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1341640004/ 咲「鶴賀と合宿……ですか?」 まこ「合宿ならこの前も龍門渕や風越と一緒にやったのう」 久「ええ。でも全国を相手にすると考えたら、まだまだ練習を重ねたいと思ってね」 和「わかりました。楽しみにしています」 優希「京太郎、おとなしくご主人様の帰りを待っているんだじぇ!」 京太郎「誰がご主人様だ、誰が」 久「あぁ、それで須賀君のことなんだけど……今回は一緒に合宿に来てほしいの」 京太郎「へ?」 久「前回はお留守番で寂しい思いをさせちゃったからね。本当は来たかったんでしょ?」 京太郎「そ、そりゃあ行きたいですけど……でもいいんですか? 何か問題でも起こったら……」 久「あら、須賀君は問題起こす気なのかしら?」 京太郎「い、いやいやいや! そんな気はめっそうもありません!」 咲「京ちゃん……(ジトー」 久「まぁ、須賀君なら大丈夫って判断よ。もちろん鶴賀にも了承済みだから、遠慮することはないわ」 京太郎「そ、そうですか! ならぜひ参加させていただきます!」 優希「私の可愛さのあまり、夜這いをかけるんじゃないじょ!」 京太郎「安心しろ、それだけは絶対ありえない」 優希「なにをー!」 まこ(なぁ、大丈夫なんじゃろか……?) 久(須賀君なら平気でしょ。それに雑用係がいないと色々不便だし) まこ(鬼じゃ……) 加治木「そういうわけで、次の週末は清澄と合宿がある」 蒲原「ワハハ、佳織も少し鍛えてもらうといいさ」 妹尾「う、うん。頑張るね」 加治木「あと、清澄からは以前の合同合宿には来なかった男子部員が一人来るそうだ」 妹尾「男子……ですか?」 津山「清澄に男子部員なんていたんですね」 蒲原「ワハハ、別に問題ないだろう?」 妹尾「まぁ、別にいいけど……」 津山「私も構いませんが」 モモ「……男子っすか……」 加治木「モモ、何か不満でもあるのか?」 モモ「まぁ……女子の中に男子が一人ってのはちょっと危険じゃないっすか?」 蒲原「ワハハ、大丈夫さ。清澄の部長からも安全だってお墨付きだから」 モモ「でも、それはあくまで清澄内の話っす」 モモ「加治木先輩みたいな美人を見たら、理性を失うかもしれないっすよ!」 加治木「り、理性って……」 蒲原「ワハハ、もう了承しちゃったから今更どうこうできないけどな」 加治木「みんな、くれぐれも失礼のないようにな」 モモ「…………」 モモ(まずいっすね……男子なんてろくに喋ったこともないけど、みんなエッチだって聞くっす) モモ(あの調子じゃ他の先輩たちや、清澄には期待できそうにない) モモ(もしもの時は、私が先輩を守らなくちゃ……!) 合宿当日 加治木「それでは、三日間よろしく頼む」 久「こちらこそよろしく。須賀君は初対面だから簡単に挨拶して」 京太郎「は、はい。一年の須賀京太郎です。よ、よろしくお願いします!」 加治木「君が須賀君か。先の大会でも裏方としてずいぶん貢献したと話は聞いている」 蒲原「ワハハ、男子だからといって遠慮せず、気軽に接してきてくれ」 京太郎「は、はい! お世話になります!」 京太郎(いやー、加治木さんって近くで見るとホント綺麗だなー) 京太郎(胸もそれなりだし、やっぱりこの合宿来てよかったぜ!)デレデレ モモ「……」ムッ 加治木「モモ、お前も挨拶を……」 モモ「……東横桃子っす」スタスタ 妹尾「あ、ちょっと桃子さん!」 和「行っちゃいましたね……」 まこ「なんか、えらい睨んどったのう」 久「須賀君、もしかして彼女に何かした?」 京太郎「い、いえ、初対面のはずですけど……」 加治木「すまないな。男子だということでちょっと警戒してしまっているようだ」 加治木「普段はいい奴なんだ。気を悪くしないで仲良くしてやってほしい」 京太郎「は、はぁ……」 咲「ツモ、嶺上開花。4000オールです」 加治木「ふぅ……さすがだな。トップを取られてしまったか」 京太郎「た、ただいま……」 優希「おー、遅いじょ京太郎! タコス持ってきたか!」 和「須賀君、ありがとうございます」 久「買い出しお疲れ様、須賀君。早速だけど次は夕食の支度をよろしくね」 京太郎「は、はい……わかりました……」 咲「京ちゃん、頑張って」 加治木「久、彼にばかり雑用を押し付けるわけにはいかない。こちらからも人手を……」 京太郎「いや、大丈夫ですよ……」 加治木「しかし……」 モモ「いいんじゃないすか、本人が大丈夫って言ってるんだから」 加治木「モモ!」 モモ「実際そうっすよ。この合宿は、清澄が全国に向けて力をつけるためのもの」 モモ「だったら、私たちが卓を離れるわけにはいかないんじゃないっすか?」 加治木「う……それは……」 京太郎「……いえ、慣れっこだし問題ないですよ! それじゃ、麻雀頑張ってください!」 妹尾「ツ、ツモりました。えっと……トイトイ、純チャン……でしょうか?」 まこ「」 優希「」 津山「」 京太郎「よしっと……さすがに11人分の夕食の準備はなかなか大変だな」 京太郎「ちょっとトイレっと」 モモ「……ん?」 京太郎「あ……」バッタリ モモ「…………」 京太郎「よ、よぉ……」 モモ「……須賀さん。加治木先輩を見て、鼻の下伸ばしてたっすよね」 京太郎「な、何言ってんだ! 別にそんなこと……!」 モモ「私の目が黒いうちは、加治木先輩には手を出させないっすからね!」 モモ「一つ、忠告しておくっす。それじゃ、夕食頼むっすよ」 京太郎「て、手を出すって……」 咲「ふぅ……いいお湯だったね」 和「やっぱり温泉はいいですね」 京太郎「お、みんなあがったか」 久「ええ。鶴賀も一緒にあがったから、須賀君も入っていいわよ」 まこ「今日はずいぶん働いてくれたからのう。ゆっくり休むといい」 京太郎「ありがとうございます。それじゃ、行ってきます」 妹尾「……あれ? 東横さんは?」 津山「そういえば、温泉でも見かけませんでしたけど」 加治木「いたけど、ステルスモードになってたからな。もうしばらく温泉でゆっくりしたいそうだ」 蒲原「ワハハ、ぴりぴりしてたからなぁ今日のモモは」 モモ「はぁ……」 モモ「須賀京太郎……やっかいな奴っすね……」 モモ「でも、働いてくれてはいるんすよね……料理もおいしかったし……」 モモ「加治木先輩も仲良くしろって言ってたし、まぁ少しくらいなら甘く見てあげても……」 モモ「いやいや、でも……あーもう、よくわからないっす!」 モモ「とりあえず、のぼせかねないしそろそろ出るとするっすかね」ザバァ 京太郎「しかし……東横さんだっけか?」 京太郎「何だか知らないが、えらく嫌われてしまったな……」 京太郎「下手すりゃ追い出されかねないし、せめてこれ以上問題を起こさないようにしないと」 京太郎「それはそうと、温泉は楽しみだなー」 ガラッ 「「……へ?」」 モモ「……だから、もう我慢ならないっす! あの男を今すぐつまみ出すっす!」 加治木「お、落ち着けモモ……話を聞く限り、彼に罪はない」 久「ごめんなさい、東横さんのことを確認してなかった私が悪かったわ」 津山「いえ、こちらこそ一言告げておくべきでした」 モモ「うぅ……もう、お嫁に行けないっす……」 蒲原「ワハハ、ならいっそ彼に責任を取ってもらうかー?」 まこ「京太郎はなかなかの優良物件じゃけんのう」 久「あ、でも高校生らしい付き合いをしないとダメだからね。大会出場停止になったら大変だし」 「「「あっはっはっはっは!」」」 モモ「無理矢理お笑い方向に持ってって誤魔化してるっすよね!?」 咲「きょ、京ちゃん……大丈夫?」 京太郎「」 優希「全身の打撲が死因と見られるじぇ。なーむー」 和「優希、死んでませんから……」 久「それより、合宿の間は彼はもう動けそうにないから雑用の人手が問題よね」 加治木「まぁ、こうなった以上はみんなで分担して……」 モモ「いいっすよ。私がやるっす」 久「いいの? かなり量あるけど」 モモ「あんなスケベ男一人で出来ることなんて、私でも余裕っすよ」 加治木「ま、まぁモモがそう言うなら私は止めないが……」 久「ふーん……いいわ、なら明日から須賀君の仕事任せたわよ、東横さん」 モモ「了解っす」 翌朝 久「では、いただきます」 モモ「うぅ……眠いっす……」 蒲原「ワハハ、朝食の支度お疲れさん、モモ」 優希「京太郎はどうしたんだじぇ?」 咲「もうしばらくは安静だってさ」 モモ「それで、この後は何をすればいいんすか?」 久「そうね……まず朝食と布団の後片付け、それとみんなのシーツの洗濯、昼食の買い出し。街までかなり遠いけど頑張ってね」 久「あと部屋の掃除に夕食の準備と片付け、布団の用意……あ、もちろん牌譜の整理もね。後は……」 モモ「」 まこ「改めて言われると、相当な量じゃのう」 妹尾「でも、東横さん大丈夫なの?」 モモ「さ、さすがにちょっと……」 久「やっぱり無理よねぇ……須賀君なら一人で出来たんだけどね」 モモ「……! や、やるっす!」 加治木「お、おいモモ……」 モモ「大丈夫っす! あいつには負けてらんないっす!」 久「ありがとう。じゃあお願いするわ」 和「ツモ。1300・2600です」 久「あらら。捲られちゃったわね」 モモ「か、買い出し戻ったっす……遠すぎ、重すぎっす……」 加治木「だ、大丈夫かモモ……」 モモ「ぜ、全然へーきっす……次の仕事、あるんで……」フラフラ 蒲原「ワハハ、何だかやつれたなモモは……」 加治木「……なぁ、やはり我々も手伝うべきじゃないか?」 和「でも……あの様子じゃ、素直に言うことを聞くとも思えません」 蒲原「だなぁ……元々は彼一人でやってた仕事だし……」 加治木「しかし、須賀君とモモじゃ力も体力も全然違うんだ。それに雑用自体不慣れだし、無理があるだろう」 久「その通りね。でも、心配いらないわ」 加治木「?」 久「須賀君も東横さんも一年同士、長い付き合いになる。だったら多少無理してでも、仲良くなっておくべきじゃない?」 加治木「……何か、考えでもあるのか?」 久「ええ、きっとうまくいくわ。だから、ここは全部東横さんに任せてみましょう」 モモ(もう、みんな寝たっすかね……) モモ(私はこんな遅くまで頑張っても、まだ仕事が終わってないのに……) モモ(あいつは、これを全部一人でやってたんすか……) モモ(なのに私は……自分にも出来るに決まってるなんて言って、この体たらく……) モモ(これじゃあ、あいつをけなす資格なんて……) モモ(ざまぁないっすね……) モモ(えっと、後は……) モモ(部屋の掃除と……牌譜の整理も全然進んでない……) モモ(はは……どう見ても今夜中に終わりそうにないっすね……) モモ(私が、変な意地を張ったばっかりに……みんなに迷惑を……) モモ(最低っす……) 京太郎「……東横さんか?」 モモ「す、須賀さん!?」 モモ「……もう起きて大丈夫なんすか?」 京太郎「あぁ。一日休んだらだいぶ楽になったからな」 モモ「……謝らないっすからね」 京太郎「そんな必要ないさ、俺も悪かったんだし。それより、今日一日俺の仕事代わってくれたそうじゃん。ありがとな」 モモ「別に……」 京太郎「まだ仕事残ってるんだろ? 後は俺がやるから、東横さんはもう休みなよ」 モモ「いいっすよ。私がやるっす」 京太郎「んじゃ、一緒にやろうか」 モモ「……勝手にするっす」 京太郎「……よしっと、だいぶ進んだな。大丈夫か? 少し休んでも……」 モモ「……須賀さんは、いつも一人で雑用全部やってるんすか?」 京太郎「んー、まぁ大体な」 モモ「……なんで、それで平気なんすか?」 京太郎「平気……って?」 モモ「他の人たちに本来やるべきことを全部押し付けられて……腹が立たないんすか?」 モモ「やめたいって思ったこと……ないんすか?」 京太郎「あー……なるほどな。それはちょっと違うぜ、東横さん」 京太郎「これは押し付けられてるわけじゃない。、完全にとは言わないが、俺が望んでやってる部分もあるんだよ」 モモ「望んで……っすか?」 京太郎「そりゃ俺だって麻雀強くなって大会で活躍したいし、そのために練習したいとは思ってるさ」 京太郎「でも俺は咲たちに比べて全然強くないからさ、現段階じゃ麻雀では全く貢献できない」 京太郎「だったら雑用を俺がすることで、そのぶんみんなが強くなれればって思ってな」 モモ「でも……っ」 京太郎「それにな……俺は嬉しいんだよ、自分が役に立ってるのが」 モモ「嬉しい?」 京太郎「だって清澄の麻雀部なんて、最近まで人数不足で大会にも出られないって状況だったんだぜ」 京太郎「それが今や県大会を制して、全国制覇まで見据えてるくらいだ」 京太郎「俺も影ながら、その躍進を支えていられるんだって思うと、雑用も悪くないってさ」 モモ「……須賀さんは、すごいっすね」 京太郎「凄い? 俺が?」 モモ「自分が活躍できなくても、みんなをしっかり支えてる。今回だって、須賀さんにずいぶん助けられていたのに……」 モモ「私なんて、須賀さんを目の敵にしてばかりで、何一つできやしなかった……」 京太郎「……いいんじゃないか。俺だって最初は失敗続きで、優希にどやされたりしたもんだぜ」 京太郎「東横さんは加治木さんのために麻雀を打ってるって聞いたけど、その想いであれだけ活躍してるんだ」 京太郎「十分すぎるくらい部に貢献してると思うし……そういうのって、尊敬するよ」 モモ「…………」 京太郎「今日だって、俺が寝てる間一人で頑張ってたそうじゃないか。もっと自信を持っていいと思うぜ」 モモ「……ふふっ、ありがとっす」 京太郎「な、何か東横さんに素直にお礼言われると調子狂うな」 モモ「なんすかそれ! 私だって礼くらい言えるっすよ!」 京太郎「はは、ごめんごめん。さ、残りの仕事片付けちまおうぜ」 モモ「はいっす!」 チュンチュン モモ「ん……朝……」 モモ「あ、もしかしてあの後、途中で寝ちゃって……」 モモ「やばっ……って、ここ、どこっすか? 誰かの部屋……?」 モモ「と、とりあえず残りの牌譜の整理をやりに行かないと……」 京太郎「zzz」 モモ「須賀さん……完全にあのまま寝落ちしちゃったみたいっすね……」 モモ「あれ……全部、終わってる……?」 久「あら、東横さんおはよう」 モモ「あ、清澄の部長さん……」 久「あなたが寝ていたのは須賀君の部屋よ。きっと、彼が運んであげたんでしょうね」 モモ「須賀さんが……」 久「ねぇ、一緒に仕事をしてみて何か分かったんじゃないかしら?」 モモ「…………」 久「私たち清澄麻雀部は、大体の雑用を須賀君にやってもらっている」 久「その理由は彼が唯一の男手だからってだけじゃない。もちろん、ただの嫌がらせでもない」 久「確かに麻雀はまだまだ弱いけど……清澄になくてはならない人だし、みんな頼りにしてるのよ」 モモ「…………」 久「そのことを、あなたはもう気付いているんでしょう?」 モモ「……それでも……」 久「?」 モモ「それでも、あいつがエッチな奴だってことには変わりはないっす」 久「あははっ、まぁそれは否定はしないわ」 加治木「それでは、三日間世話になった」 久「こちらこそ、いい特訓になったわ」 蒲原「ワハハ、特に須賀君にはずいぶん迷惑をかけてしまったな」 京太郎「いえ、お互い様ですから」 加治木「うむ。麻雀もあまり打てなかっただろうし、よければいつでもうちに遊びに来るといい」 京太郎「本当ですか!? ありがとうございます、加治木さん!」 加治木「かしこまることはない。君ならいつでも大歓迎だ」 京太郎「いやー、そう言ってもらえると嬉しいですよ!」 モモ「……」ムッ 京太郎「東横さんも、またな」 モモ「……モモでいいっす。みんなそう呼んでるっすから」 京太郎「……ああ。今度は一緒に打てるといいな、モモ!」 モモ「ふん、私に勝とうなんて十年早いっすよ……京さん」 久「あらあら、予想以上に仲良くなったみたいね」 和「ふふ……青春ですね」 優希「のどちゃん、おばさんくさいじぇ」 和「えぇ!?」 蒲原「ワハハ、それじゃみんな乗った乗った。またなー、清澄の諸君!」 ブロロロロ・・・ モモ(はぁ……) モモ(何なんすかね……最後、先輩と京さんが親しく話してるのを見たら、ムカッとしたっす……) モモ(これってまさか……いやいや、そんなわけないっす!) モモ(私が好きなのは京さんじゃなくて加治木先輩! 間違いないっす!) モモ(そう、京さんのことなんか何とも思ってないっすから!) モモ(京さんなんか、好きなわけ……) 蒲原「……で、モモは好きなのか?」 モモ「はぁ!?」 蒲原「ワハハ、どうなんだモモ?」 モモ「す、好きなわけないっすよ! あんなエッチな奴!」 モモ「そうっす! 京さんのことなんか、ぜーんぜんこれっぽっちも好きじゃないっすからね!」 加治木「……モモ……」 津山「……あの、これからみんなで蕎麦でも食べにいこうかって話をしてて……」 妹尾「桃子さんは蕎麦好きかって聞いたんだけど」 モモ「……へ?」 蒲原「ワ、ワハハ……こりゃ地雷を踏んでしまったかな……」 モモ「なっ……なっ……」 加治木「しかし、実にわかりやすい反応だったな……」 妹尾「桃子さん、頑張って!」 津山「うむ」 モモ「~~~~~!」 モモ(あーもう、どうしてこうなるっすかぁ!) モモ(こうなったのも全部、あいつのせいに違いないっす! そうに決まってるっす!) モモ「須賀京太郎……やっぱり、大っ嫌いっす!」 END
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須賀母「それじゃあ京太郎をよろしくね咏ちゃん」 咏「はいお義母さん、まあしっかり世話出来るかはわっかんねーけど」 須賀母「あらあら、三尋木プロの生わっかんねーが聞けてお母さん嬉しいわ」 咏「そっすか」 須賀母「それじゃあ私は行くからー」 咏「はーい」 咏(さて、それで私の義弟になるのは……) ピンポーン 京太郎「はーい」 咏(うーん、パッとしないねぃ) 京太郎「はーい」 咏「よっ」 京太郎「……」 新しくきょうだいが増えると聞き待っていた俺の前に現れたのは着物姿のロリだった。 えっ? 姉弟?それとも兄妹? えーっと…… 京太郎「よしよし、よく来たな。俺は須賀京太郎、好きに呼んでくれて構わないぞ」 咏(……うん?) 京太郎「それじゃあ次は君が名前教えてくれるかな?」 咏(あー……勘違いしてんのか) 咏(どうすっかなー、まあ面白そうだし妹のフリでもしてみるかねぃ) 咏(っと、それじゃあ何て呼べばいっかなー) 咏(うん、兄上様とかでいいんじゃね?知らんけど) 咏「私は三尋木咏、よろしくねぃ兄上様」 京太郎「おお、よろしくな」 兄上様かぁ、普通にお兄ちゃんとか来ると思ったから驚いたぜ。 でも和服も相まってなんか様になってるな。 いやそうじゃなくて、俺はこの娘のことを何て呼ぼうか。 京太郎「よし、それじゃ中に入ってくれ咏ちゃん」 咏「わかったよ」 京太郎「まだ昼までは時間があるな……咏ちゃんはどうしたい?」 咏「なんでもいいんじゃね?知らんけど」 京太郎「そっか……」 【午前】 京太郎「そう言えば咏ちゃんはいくつなんだ?」 咏「ん?そりゃ私はに――」 京太郎「に?」 咏「年生、かな。中学の」 京太郎「へえ中2かー。それじゃ俺と二つ違いだな」 咏「じゃあ兄上様は高1なのかぃ?」 京太郎「ああ、今年からな。良いだろー」 咏(危ない危ない、すぐにバレちまうところだった) 咏(にしてもコイツ、面白いな。わっかんねーけど) 京太郎「さて、昼も食ったことだし」 咏「ことだし?」 京太郎「ことだし……そうだな」 【午後】 京太郎「ゲームでもしようか!」 咏「いいよー、何すんのか知らんけど」 京太郎「そうだなートランプとか?」 咏「そんじゃポーカーやろうポーカー」 京太郎「いいぜー!」 京太郎「フルハウス!どうだっ!」 咏「フッ……ロイヤルストレートフラッシュ」 京太郎「マジでっ!?」 咏「マジマジ」 京太郎「えぇーこれで何回目だよ……イカサマとかしてんじゃねえの?」 咏「してないよ、知らんけど」 京太郎「知らんけどって」 咏「んー、まあ強いて言うなら私がカードに愛されてるってことかな。兄上様と違って」 京太郎「なんか、馬鹿にされてる気がする」 咏「そりゃ馬鹿にしてるし」 京太郎「なんだとっ」 咏「文句は私に勝ってから言うんだねぃ」 京太郎「うぐぐ」 咏(って、こんな時間……随分夢中になってたのか) 咏(まあ、結構楽しかったしねぃ、知らんけど) 京太郎「大分暗くなってきたな」 咏「そうだねぃ」 京太郎「そろそろトランプも終わりだな」 咏「えー」 京太郎「散々勝ったんだから良いだろ!?」 【夜】 京太郎「さあ、夕食の用意出来たぞー」 咏「悪いねぃ」 京太郎「妹なんだから遠慮すんなって、さあ食え食え」 咏(やばい、笑いそう) 京太郎「どうした?」 咏「いや、嬉しくてちょっと」 京太郎「……そっか、親父さんと二人だったんだもんな。大変だったよな」 咏(うん?) 京太郎「でも、これからは俺も一緒だ。だからいつでも俺を頼っていいんだぞ」 咏「……うん」 咏(コイツ、結構良い奴なのかもな……し、知らんけど) 京太郎「んじゃ咏ちゃんはこっちの部屋な」 咏「わかったよ」 京太郎「俺は隣の部屋で寝てるから何かあったら呼んでくれ、それじゃおやすみ」 咏「おやすみー」 さて、咏ちゃんも部屋に行ったし俺も寝るか。 それにしても、妹ってのも良いもんだなあ。 うーん、まだ眠い。 けど、目覚まし時計はうるさく鳴ってるんだよな。 起きるか、それとも二度寝か……。 【朝】 いや、起きよう。 妹も起こしてやらねばならんしな。 ということで。 京太郎「うーたちゃーん」 ………。 扉を開け放つと可愛い妹はぐっすり眠っていた。 近寄って寝顔を覗きこむ。 すーすーと寝息を立てる様子に頬を緩めていると閉じていた両目がぱっちりと開いてこちらを見つめ返す。 咏「妹の寝顔を見てニヤけるとか……変態?」 京太郎「ばっ、ちげえよ!」 咏「ふーん、そう」 京太郎「ああ。それより起きろ、朝だぞ」 咏「はーい」 咏「眠いねぃ」 京太郎「ほらさっさと朝飯食っちまえよ」 咏「わかってるよ、わっかんねーけど」 京太郎「どっちだよ」 咏「わっかんねー」 京太郎「はいはい」 咏「そういや朝食とったら何すんの?」 京太郎「わかんねー……ってのは冗談で、今日は……」 【午前】 京太郎「昨日のリベンジだ」 咏「んー?」 京太郎「ポーカー、今日は負けないぜ」 咏「あー、いいよー。兄上様じゃ無理だと思うけどねぃ」 京太郎「言ってろ、行くぞ」 京太郎「これは勝ったな」 咏「へぇ」 京太郎「フォーカードッ!」 咏「ファイブカード」 京太郎「えっ」 咏「ファイブカード」 京太郎「えっ」 咏「だーから兄上様じゃ無理だって」 京太郎「くっそ、もう一回だっ」 咏「まあ良いけどさー」 対面に座る少年と視線がぶつかり心臓が跳ねる。 何故だろう、凄くドキドキする。 最初会った時は何とも思わなかったのに、一日一緒に過ごした今は……。 あー、わっかんねーすべてがわかんねー。 優しさか、それともその純粋で真っ直ぐな視線のせいなのか。 理由はわっかんねーけど唯一つ分かること、それは……。 私がコイツに惚れちまったってこと、かな。 咏「なあ、兄上様」 京太郎「うん?」 咏「そろそろ小腹が空いて来ないかい?」 京太郎「そうだな……ってもうこんな時間っ!?」 京太郎「待ってろ、今昼食用意すっから!」 【午後】 京太郎「そういや咏ちゃんはどうして和服に扇子なんだ?」 咏「だ、ダメかぃ?」 京太郎「いや、似合ってると思うけど」 咏「にあっ……そ、そっか」 京太郎「顔赤いけどどうかしたか?」 咏「へっ!?別に何でもないよ」 京太郎「でも熱とか有ったらマズイからっと」 咏「あっ……」 咏(私の額に手が……) 京太郎「うーん、熱はねえな……って咏ちゃん?」 咏「……っ」 京太郎「俯いてどうかしたのか?やっぱり体調が悪いんじゃ」 咏「な……なんでも、ないから」 京太郎「そうか?」 咏「うん……」 咏(やべーって、何がかとかわっかんねーけどこれはやべーって) 京太郎「もう暗くなってきたな」 咏「……そうだねぃ」 京太郎「咏ちゃん?」 咏「なんでも無いから……わ、わっかんねーけど」 【夜】 京太郎「そろそろ寝るかな」 咏「そ、そうだねぃ」 京太郎「じゃあ」 咏「あっ、兄上様っ」 京太郎「おわっ……急に抱きついて、どうした?」 咏「……兄上様は、妹と姉のどっちが欲しかった?」 京太郎「え?」 咏「実はさ、私妹じゃないんだよね」 京太郎「それはどういう……」 咏「私は本当は兄上様の姉で、今は24歳」 京太郎「……」 咏「10歳もサバ読んでたってわけさ……引いたかぃ?」 京太郎「いや、引いてなんか」 咏「優しいよな……だから私は、そんなお前が……あぅ、その……」 きっと咏ちゃん……いや年上だから咏さん? あー、面倒だ。呼び捨てでいいか。 それでなんだっけ……っと、そうだ。 きっと咏は俺と同じ気持ちなんだ。 だから本当の事を打ち明けて、そして今その気持ちを伝えようとしてくれてる。 俺も、同じ気持なんだ。だったらここは、俺が言うべきだろ……! 京太郎「咏」 咏「っ」 京太郎「俺は姉とか妹じゃなくて、咏と出会えてよかったと思ってる」 咏「京太郎……」 京太郎「好きだ、咏」 咏「……っ!」 京太郎「咏は、どうだ?俺のこと、嫌いか?」 咏「……すき、私も京太郎のこと、好きっ」 京太郎「……そっか」 咏「うん」 京太郎「目、閉じて」 咏「わかった」 京太郎「大好きだよ、咏」 チュッ 咏「そ、そろそろ寝たほうが良いんじゃないかねぃ。し、知らんけど」 京太郎「あっ、そうだな。すまん、今離す」 咏「ふぅ……」 勢いでキスしちゃたけど、嫌がられてない……っていうかむしろ喜んでもらえたみたいだしよかった。 さて、もう寝るわけだが……。 咏「そんじゃおやすみ」 京太郎「あっ、咏」 咏「ちょっ、引っ張んなよ」 京太郎「すまんすまん」 咏「で、何?」 京太郎「今日は一緒に寝ようぜ」 咏「なっ……変態」 京太郎「ばっ、そういう意味じゃねーよ」 咏「へぇー?」 京太郎「そんな目で見るなぁっ!」 咏「ま、良いよ。私も京太郎と寝たかったし」 京太郎「……ったく」 咏「それじゃベッドまで案内してくれよ、ダーリンっ」 京太郎「はいはい、わかりましたよ」 小さいなぁ。 布団の中で抱きしめながらそんなことを思う。 俺の服を掴みながら胸に頭を擦り付けてくる咏の頭を撫でながら目を閉じる。 告白、出来てよかったな……。 【朝】 唇になんだか柔らかい感触が……。 いったい、何だ? ゆっくり瞼を開けると、咏が俺にキスをしていた。 京太郎「……んんっ!?」 咏「あ、おはよう」 京太郎「な、何やってんだ!」 咏「いやー、京太郎が起きないからねー」 京太郎「ほう……それならっ」 咏「ひゃっ、急に抱き寄せっ。んっ……ぷはっ」 咏「突然何をっ」 京太郎「これであいこってことで」 咏「ば、ばかっ」 須賀母「ただいまー」 京太郎「おかえり」 咏「おかえりなさい」 須賀母「あらあら、二人共仲良くなれたみたいで何よりだわ」 咏「それじゃ私は帰るので」 須賀母「お父さんによろしくね」 咏「わっかりました、じゃあ」 京太郎「あっ、玄関まで送るよ」 須賀母「あらあら、良い感じじゃないの」 京太郎「次会うまでかかりそうなんだっけ」 咏「そうだねぃ」 京太郎「次会うの楽しみにしてるぜ」 咏「私も」 京太郎「じゃあな」 咏「うん……あ、忘れてた」 京太郎「へ?」 咏「ちょーっと頭下げて耳こっち」 京太郎「ん」 咏「……大好きだよっ」 チュッ 咏「それだけ、じゃあねぃっ」 そう言って俺の頬に口付けをすると咏は去って行った。 京太郎「ったく、次あったらお返ししてやんねーとな」 《三尋木咏編 カンッ!》
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. 京太郎「ここが岩手か……何もないところだな」 歩きながらつぶやく 1人で歩くのは、もう普通のこととなっている。 高校に入ってから、俺はいつも1人で学校へ行き、1人で昼飯を食べ、1人で学校から帰るようになってしまっていた そう、俺はいわゆるぼっちというやつなのだ そんな俺は、ネット麻雀に入り浸るようになった ネット麻雀の世界で俺は無敗、いつしか「ぼっちの王」と呼ばれるほどになった するとある日、こんな誘いが来た 京:お疲れさまでした モブ1:お疲れー モブ2:おつー とよねー:お疲れさまだよー とよねー:ねえ、京くん、ちょっといいかなー? 京:はい、なんでしょうか? とよねー:私たちのチャットルームに来ないー? 京:チャット…ですか? とよねー:うん、いつもみんなでワイワイやってるんだけど、京くんも良ければどうかなーって とよねー:京くんが来ればもっと楽しくなると思うんだー とよねー:だから、来てくれますか? とよねーさんの言葉は、それこそ単なる文字列ではあったけれど、俺の寂しさで冷えた心を暖めてくれた こうして俺は、ネット麻雀のとあるチャットルーム―名称「ぼっち部屋」―に入り、仲間たちと一緒に一人ぼっちの寂しさを分かち合った そして今、俺は夏休みを利用して とよねーさんに会いに岩手まで来ている 京太郎「待ち合わせ場所は…このバス停でいいんだよな」 古びたバス停の前に立ち止まり、時刻表を見てみると次のバスが来るのは約3時間後となっている…… うん、さすが田舎、長野も似たようなもんだけど、さすが田舎 京太郎「とよねーさんか、どんな人なんだろうな」 あの口調からすると、俺が飼っているカピパラみたいに小さくて可愛い女の子なのだろうか 京太郎「何にせよ楽しみだなー……っと」ノビーッ コツン、と伸ばした腕が隣にいた女の人に当たってしまった 京太郎「あ、すみません」 ??「ううん、全然だいじょーぶだよー気にしないでねー」 京太郎「そうですか、すみません」 隣の女の人はスラッと背が高い、2m近くありそうだ……ってそれ背が高いとかそんなもんじゃねえぞ! まあそんな人が俺の隣に立っていた ??「あーまだかなー」 京太郎「誰かを待っているんですか?」 ??「うん、今日はねー、知り合いが私の家に泊まりに来るんだー」 京太郎「奇遇ですね、俺も知り合いの家に泊まりに行くんですよ」 ??「おー凄い偶然だねー、その人とはどこで知り合ったのー?」 京太郎「インターネットで知り合った人なんですけど、今度家に来ないー?って誘ってくれたんですよね」 ??「へー、私は自分から誘ったんだー」 その後、俺はしばらく彼女と談笑をしていた 彼女の名前は姉帯豊音さんというらしく、綺麗な顔立ちと常人離れしたモデル体型からは想像もつかないほどに、可愛らしい人だった 京太郎「今は…10時10分くらいか」 待ち合わせ時間からもう10分くらい経っている 取り敢えず、メールをしよう 『待ち合わせ場所にいますが、今どの辺りにいるんですか?』っと ヴーッ ヴーッ 豊音「あわわ、メ、メールだよー!」 豊音「うーん……」ピッピッ ピッ ヴーッ ヴーッ なになに? 『私はもう待ち合わせ場所にいるよー、背が高いからすぐわかると思うんだけど…』 ……待てよ、これってまさか 豊音「まだかなーちょー楽しみだよー」ワクワク 京太郎「つかぬ事をお訊きしますが……姉帯さんって、「とよねー」っていう名前でネット麻雀やってません?」 豊音「うんー、だけどどうしてそのことをー……あ、それじゃあ須賀くんは、京くんなのー?」 京太郎「はい、はあ…まさか姉帯さんだったと、うはっ!」 豊音「わーい、京くんだー!」ダキッ 京太郎「ちょっ、豊音さん!?締まってる!締まってます!」 豊音「やっと会えたねー!ちょー嬉しいよー!」ガシッ 京太郎「ちょ、も、もうギブ、ギブです!」パシッパシッ 豊音「ちょーちょーちょー嬉しいよー!!!……って、あれ」 京太郎「」チーン 京太郎「う……ん」パチッ 豊音「あ!京くん起きたー?」パァ 目を開けると、見知らぬ天井が…… ではなく、豊音さんの顔があった……何故だ?ああそうか夢か 京太郎「う……ん」トジッ 豊音「あれれー気のせいだったのかなー…」シュン さっきの光景と、俺の頭の下にある柔らかい感触からして…… 俺は、膝枕をされているのか? そうとわかれば……うむ、そうだな姉帯さんの太ももに埋まってみよう 京太郎「う……あ……」モゾモゾ これで位置は確保、そして…… 京太郎「ふぅ……」モフッ 豊音「ちょっ、ちょっと、きょ、京くん…そこは、く、くすぐったいよー」 京太郎「ふぅ……ふぅ……」モフモフ 豊音「も、もうやめて、よー///」 京太郎「ふぅ……、ん……ここは…?」 豊音「あ…やっと…起きた…はぁ…よー」ナミダメ 京太郎「ところで、姉帯さん、ここは?」 豊音「ここはねー、私の家なんだよー」 京太郎「へぇ、結構広いんですね」 豊音「うん、私はここに1人暮らしだから、尚更広く感じるんだー」 京太郎「1人暮らしなんですか?」 豊音「うん、私、お母さんもお父さんもいないんだ…」 京太郎「っ……すみません、ひどいこと訊いて」 豊音「ううん!別に大丈夫だよー!それに、京くんなら話しても大丈夫だろうし」 京太郎「話って、姉帯さんの家族の話……ですか?」 豊音「うん、そうだよー」 豊音「この家は、元々別荘みたいなものでね、昔は夏になるとお母さんとお父さんでここに来て山に登ったり、街に行ったりしてたんだ」 豊音「でも、お父さんがたくさんの借金を抱え込んじゃってね」 豊音「売れば借金なんて返せたのに、お父さんはこの別荘を売ろうとしなかったんだ……」 豊音「それが原因でお母さんと喧嘩になっちゃって、2人は離婚しちゃった」 豊音「私はお父さんとここに越してきて、一緒に暮らすことにしたんだ」 豊音「結局お父さんは心労がたたって死んじゃって」 豊音「お母さんも交通事故に遭って死んじゃったらしいんだ」 豊音「これで私は家で1人ぼっちになった」 京太郎「そんな……ことって」 京太郎「じゃあなんでまだここに?」 豊音「どうしてここを売らなかったのー?って、お父さんと暮らしているときにきいたんだ」 豊音「そしたらね」 豊音父『ここは俺たち家族3人の思い出の場所だから』 豊音父『だから、絶対に、誰が何と言うと手放したくなかったんだ』 豊音「って、それで私はずっとここで暮らしてるんだ」 京太郎「それで、『ぼっち部屋』に来たんですか?」 豊音「うん、それに、お父さんとお母さんが死んじゃってから、私は周りの人と壁を作っちゃってね」 豊音「それで私は家族も、友達もいない、ぼっちになっちゃったんだ」 豊音「それで私は『ぼっち部屋』に入ったんだ、孤独を紛らわすために」 豊音「これが、私の話」 豊音「京くんなら、受け止めてくれるって思ったから、話したよ」 豊音「京くんとなら、ここで一緒に新しい思い出を作ってくれるって思ったから、誘ったんだよ」 豊音「だから、この2日間、一緒に楽しもうね!」 京太郎「……はい」 京太郎「いいでしょう!この須賀京太郎!友達は見捨てません!」 京太郎「一緒に、楽しみましょう!」 京太郎「……そういえば、今って何時くらいですか?」 豊音「今は……わっ、もう5時だ!夕方だよー!」 豊音「どうしよー!?」 京太郎「ふんふむ…」 京太郎「それじゃあ2人で夕食を作りましょうか!」 豊音「うん!それ、いいかも!」 豊音「ちょー楽しそーだよー!」 京太郎「ん……もう朝か…」 京太郎「今日は姉帯さんと街で遊んで、そのまま帰るんだったな」 京太郎「さて、姉帯さんを起こしに行くか」 ガチャ 京太郎「姉帯さーん、朝ですよー……っと」 豊音「すぅ……すぅ……」 京太郎「机に突っ伏して寝てるけど…何かしていたのかな」 京太郎「とりあえず掛けるものを……っと」 豊音「ちょー……うれしい……よぉ……」 京太郎「朝食、作ってくるか」 京太郎「よし、これで完成だ」 豊音「あれー?京くんもう起きてたのー?」 京太郎「おはようございます、姉帯さん」 京太郎「朝食作っておきましたよ」 豊音「えー、また京くんと作ろう思ってたのにー」 京太郎「それは…悪いことしましたね」 豊音「ううん、別にいいんだよー。さ、食べよ食べよ」 京太郎「そうですね」 豊音「このお味噌汁、ちょーおいしいよー」 京太郎「そう言ってもらえると、うれしいです」 京太郎「ところで姉帯さん、その指どうしたんですか?絆創膏が何枚か貼ってありますけど」 豊音「い、いや!なんでもないよー!」 豊音「あ、朝ごはんも食べ終わったことだし、早く出かけようよ!」 京太郎「うーん…そうですね!今日はいっぱい遊びましょう!」 【妖怪ショップ】 豊音「京くん、見てこれ!」 京太郎「どれですか?」 豊音「この目玉おやじのストラップ、ちょー可愛いよー」 京太郎「え…どこが…」 京太郎「それならまだこっちのぬらりひょんストラップの方が」 豊音「それもいいけどー、やっぱり目玉おやじだよー!」 豊音「あ、こっちには一反もめん画面クリーナーもあるよ!可愛いー!」 京太郎「独特だな……でも…」 京太郎(そうするか……) 【喫茶店】 豊音「ねえ、京くんこれ頼んでみない?」 京太郎「カップルケーキ、ですか?」 京太郎「おいしそうですね……って、いや!俺らカップルじゃないですしダメでしょ!」 豊音「京くんは、私とカップルじゃ……嫌なの?」シュン 京太郎「うぐっ……わかりましたよ、頼んでみましょう」 豊音「ほんとに!?京くん大好きー!」ガバッ 京太郎「ぐっ……だから抱きつくのやめてください!止まる!息止まりますから!」 豊音「カップルケーキおいしかったねー!」 京太郎「はい……おいしかったですね」コヒューコヒュー 豊音「あ、あそこにかわいいワンちゃんがいるよー!」 京太郎「少し、待ってくださいよ……」コヒューコヒュー 豊音「わー!ちょー柔らかいよー」モフモフ 京太郎(はぁ……仔犬をモフモフする姉帯さんか…) 京太郎「可愛いな…」ボソッ 豊音「え?京くん、今…」 京太郎(あれ、口に出てた!?) 豊音「あー!」 豊音「人面犬がいるよー!あの子もちょーかわいいよー!」 京太郎「それ近寄っちゃいけないんじゃ!?」 【公園】 京太郎「はぁ……疲れましたよ…もう」 豊音「京くん疲れたの?それじゃあ、ここにおいでよ」ポンッポンッ 京太郎「?膝を叩いて、どういうことですか?」 豊音「あーもー!こういうことだよー!」ガシッ 京太郎「うわぁっ、てなんだ、また膝枕ですか」 豊音「もう、気付くの遅すぎだよー」 京太郎「あはは、すみませんね」 【街の高台】 豊音「京くん、こっちこっちー!」 京太郎「どこまで元気あるんですか……」 豊音「えー京くんさっき寝たばっかなのに、もう疲れたのー?」 京太郎「いえ、そういうわけじゃないですよ」 京太郎(緊張して寝れなかったのは黙っておこう) 京太郎「それで……ここは?」 豊音「ここは昔家族3人でよく遊びに来たところなんだー」 豊音「ここからだとさっき行った街がぱーって見えるんだよー」 豊音「京くん見てみてー」 京太郎「本当だ……」 京太郎「最初に寄った妖怪ショップとか、ケーキを食べた喫茶店とか」 京太郎「膝枕してもらった公園とか、全部、見える」 豊音「すごいでしょー!京くんが岩手に来たらここに連れて来るんだーって、決めてたんだー」 京太郎「はい、すごいですよ……」 京太郎「本当に……ありがとうございます、こんな場所に、連れて来てもらって」 豊音「京くん、ううん、京太郎くんは、私の大事な大事な友達だから、いいんだよー」 豊音「あ、そうだ」ゴソゴソ 豊音「これあげるよー!」 京太郎「これは……姉帯さんの人形、ストラップ…ですか?」 豊音「うん!ほら、見てこれ」 豊音「京太郎くんのストラップ!携帯につけたんだー」 京太郎「上手ですね、じゃあその指の怪我は、ひょっとして…」 豊音「昨日遅くまで作っててね、それで怪我しちゃったんだ」 京太郎「そういうことだったんですか、じゃあ、こうして……」 京太郎「これで、装着完了です!」 豊音「えへへー、これでお揃いだね!」 京太郎「ちょっと違う気がするんですが……」 京太郎「それじゃあ俺も…」ゴソゴソ 京太郎「はい」 豊音「これ、目玉おやじのストラップ…」 京太郎「姉帯さんがかわいいって言ってたので、買っちゃいました」 京太郎「俺の分も買ってあるんで……これで、本当にお揃いですね」 豊音「わぁ!ちょー嬉しいよー!」 豊音「ありがとね、京太郎くん!」 京太郎「いえ、こちらこそありがとうございました、あね「ちがうよー」」 京太郎「え?」 豊音「姉帯じゃなくて、豊音、豊音って呼んでほしいなー」 京太郎「わかりましたよ、豊音さん」 豊音「うん!合格っ!」ニコッ マモナクーデンシャガーマイリマース 豊音「……あーあ」 豊音「電車、もう来ちゃうねー」 京太郎「残念ですけど、俺、帰りますね」 京太郎「2日間だけでしたけど、ありがとうございました」 京太郎「豊音さんと遊べて、楽しかったですよ」 豊音「えへへ……」 豊音「……ねえ、京太郎くん」 豊音「最後に一つだけ……いいかな?」 京太郎「いいですけど、何ですか?」 豊音「えーっとね……こほん」 豊音「京太郎くん、今日は本当にありがとうだよー」 豊音「それで……これは、その……」モジモジ 豊音「お、お礼だよっ!」 チュッ 豊音「あはっ!」 京太郎「ととと、豊音さん!?」 京太郎「なななな、何を!?」 豊音「えへへ、京太郎くん、ほんとーに……」 豊音「ほんとーに、ありがとうだよー」ニコッ