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http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377983742/ 陽光を遮る葉と梢の天蓋。木の根と緑の苔の絨毯。 緑葉の合間から差した日差しに一瞬だけ視界が眩み、俺は目を細めながらそれを手で遮る。 真夏の暑さを感じさせない木々の隙間を縫うように、僅かに湿った苔に脚を取られない様に気を配りながら緩く傾斜した地面を進む。 何故、俺がこんなところを1人で歩いているのかと問われれば単に高鴨穏乃のお目付け役を仰せつかったからである。 宿泊施設から少し行った場所にある森林の先にある小高い丘へ行きたいと言い出し穏乃が俺を誘い、 拒否しようとしたところをその友人と顧問に言い包められてこんな場所までわざわざ付き合ってここまで来たのだが、 現地に着いた穏乃は俺の存在など忘れてしまったかのように、 弾かれたように走り出し俺が声をかける間もなく木々の奥へと消えていった。 仕方なく穏乃の走り去っていった方向へとゆっくりと歩き出し林へ足を踏み入れて今に至る。 アウトドアやサバイバルの経験も知識も皆無な俺は、 森の中で他人を追跡する術など存在せず脚と目と耳を使って地道に少女を探すことにした。 京太郎「とは言え、見付からない」 もう少し先まで行ってみようか、そう思いさらに歩を進めようとしてふと違和感に気付く。 鼻先を掠める、濃い緑の匂い。 まるで深い森に迷い込んだかのような感覚。 一陣の風が吹き抜ける。耳朶を打つ音。 京太郎「…………っ」 俺はそれを声と認識した。誰かが呼んでいる。 何故そう思ったのか、そう感じたのかは俺にもわからない。 不思議と恐怖心はなかった。俺は向かおうとしていた方から踵を返し、 風が吹き抜けていった方、俺を呼ぶ声の方へと歩き出した。 歩き続けていると開けた場所に出た。 展望台、っというほど整備はされていないがハイキングコースかなにかのなのか歩くには さほど苦労はしない程度には均された高台といった感じか。 落下防止の欄干が左右に伸び、その向こう側には街並みが見える。 視線を巡らせると、見慣れたポニーテールと上半身をすっぽりと覆ったぶかぶかのジャージ姿の背中が目に入った。 俺はガシガシと後頭部を掻くと、そちらへゆっくりと近付いていく。 後数歩というところまで来て、俺は先にも感じた違和感を再び感じた。 目と鼻の先にいる少女から漂う、霞にも似た儚さ。 これは本当に俺の知る高鴨穏乃なのか? 普段の騒がしさをまるで感じない、なんて静かな気配。 俺は違和感を振り払い穏乃の背後に立つ。 京太郎「おい」 俺は緩く拳を握り、手の甲で穏乃の頭を後ろから小突く。 穏乃「お?」 そこまで来てようやくこちらに気付いたのか、打たれた頭を片手で押さえながらこちらに振り返る。 穏乃「お! おっす京太郎」 手を上げて気軽に挨拶してくる穏乃、同じように片手を挙げてそれに応じる。 京太郎「おっす。…………じゃねぇよ、勝手にどっか行くなよ。心配するだろ」 穏乃はそんなことを言われるとは思っていなかったのか目を丸くする。 穏乃「心配してくれたの?」 京太郎「まぁ多少はな、いくら穏乃がこういうとこに慣れてるっていっても目の届かないところに行かれるとな」 穏乃「そっか」 小さく微笑む。 穏乃「私はずっと京太郎の近くにいたけどなー」 京太郎「あん?」 穏乃の言葉に俺は怪訝な声を上げる。ずっとというのはここに着てから、っということだろうか? 京太郎「いやいや、お前ここに着いた途端俺のことなんて放って1人で突っ走っていったじゃん」 穏乃「ん~、そうだけどそうじゃないというか」 顎に人差し指を当て天を仰ぎながら考え込むように言葉を選ぶ。 穏乃「京太郎、途中で道に迷ってたよね。あのまままっすぐ進んでたら急な坂になってたよ?」 穏乃「もしかしたら、足を滑らせて転んで怪我してたかも知れなかったよ」 京太郎「は?」 穏乃の言葉が理解できなかった。俺とこいつはつい今再会したばかりで、森を抜ける間は別々に行動していたのだから、 こいつが俺がどの道をどう歩いてきたのかなど知っているはずがないのに。 穏乃「だから呼んであげたんだ。そっちじゃないこっちだよって」 京太郎「……」 あの音……俺が感じていた風の中にあった声は俺を呼ぶ穏乃の声だったというのか? そんなバカな。和ではないが、そんなオカルトありえない。 普段ならそう考えるはずなのに、何故か穏乃の言葉がゆっくりと身体に浸透していきすんなりと受け入れることができた。 京太郎「穏乃は、ずっと俺と一緒にいたのか?」 穏乃「うん!」 元気よく朗らかに頷く。よく知る穏乃らしい笑み。 穏乃「私はいつでも、何処にでもいるよ。京太郎の見るもの感じるもの」 自由を知る鳥が両翼を広げるように、穏乃はその両腕を左右に目一杯広げる。 穏乃「風の先にも大地の上にも」 そしてその右の人差し指の先がゆっくりと俺の胸に触れる。 穏乃「京太郎の中にもね」 そういって笑う穏乃の笑顔にはどこまでも透き通るような純真さがたゆたっていた。 京太郎「俺は……」 胸に触れる穏乃の指。 京太郎「俺はそういう観念的な話はよくわからないけど」 そこから繋がる右手をそっと握る。 京太郎「そのどれでもない今、目の前にいて手に触れられる『この』穏乃がいいな」 ハッと息を呑むのが聞こえた。 穏乃「あは、そうだね」 頬を掻きながら照れたように笑う。 穏乃「私もそう思う」 そういって穏乃は俺の手を握り返してきた。 京太郎「なにをしてたんだ?」 穏乃「風と話してた」 京太郎「そっか」 抽象的でいまいち要領を得ないが、俺ははっきりと頷く。 俺達は肩を並べて眼下に木々の群れとその先に見える街並みを眺めている。 穏乃「中学生の頃……」 急な切り出しに、俺は疑問に思うでも戸惑うでもなく静かに耳を傾ける。 穏乃「流れでみんなバラバラになっちゃって、だから山に1人でいることが多かった」 穏乃「だから自分ってものがハッキリと感じ取れたし、いろいろ考える時間もあった」 穏乃「いつしか意識は自然の中に溶け込んで、深い山のすべてと一体化してるようなそんな感覚」 京太郎「風……いや、大地と語るって感じだな」 穏乃「! そっか。うん、そうだね」 穏乃「ほっ!」 掛け声ひとつ。穏乃は勢いよく地面を蹴ると、その勢いで欄干の上に立つ。 京太郎「おい、あぶな、」 穏乃「とう!!」 そこまで言いかけて俺は言葉は霧散して消えた。細い手摺りの上で器用にターンを決めると、俺のほうに向かって跳びかかってきた。 穏乃は身長も相まって身体が非常に軽い。けれど勢いがあればそれなりの運動エネルギーが生まれ、当然衝撃もある。 それでも俺はなんとか踏ん張り、背中と膝裏に腕を回して横抱き、所謂お姫様抱っこの状態で受け止める。 ここで倒れ込んでは男の沽券にかかわる! 京太郎「バッカ野郎! 危ねぇだろ!」 穏乃「京太郎なら受け止めてくれるった信じてた」 一点も曇りもなく本当にそう思っているかのように言われ、俺は僅かに言葉に詰まる。 京太郎「それでもダメなもんはダメ。次はないからな」 穏乃「はーい!」 わかってないなこいつ。 俺は穏乃を落としてしまわないように、しっかりと抱き上げる。 肌に感じる体温と、微かに聞こえる吐息の音。 穏乃は俺の中にも自分はいるといっていた。けれど当の本人は今、俺の腕の中にいる。 それは俺の内なる世界と外なる世界。 俺の見ている世界と、穏乃の見ている世界は別々でそれは互いに不可知の領域のははずだが。 京太郎「なにを見てるんだ?」 穏乃「空、かな」 視線をたどり同じように空へと目を向ける。 晴れ渡った何処までも続くような青空。 俺の見ている青空と穏乃の見ている青空は果たして同じものなのか。 感覚所与、感覚与件、センス・データそう呼ばれる外界からの情報を内面で構築して世界を感じている。 だから人は内なる世界と外なる世界の二重構造を持っている事になる。 ならその世界はどうやって線引きされるのか。 人は外なる世界の共通部分で間接的にしか交われないのか。 自分、青空、木の根、虫、土、梢のざわめき、穏乃。 そよ風が吹き抜ける。 京太郎「!」 一瞬、自分が何処にいるのかわからかった。 ただ俺が感じるすべての中に俺自身も含まれているんだと、上手く言葉にできないがそんな気がした。 京太郎「穏乃」 穏乃「ん?」 下から穏乃の大きな瞳が俺を見上げてくる。 京太郎「少しだけわかった気がする」 これが穏乃の感じている世界。 穏乃「~♪」 それを感じ取ったのか穏乃はなにもいわず俺の首筋に鼻先を近づけてくるだけ。 穏乃「もっと、いろんな世界を感じたい」 穏乃「もっとずっとずっと遠くへ行きたいね。京太郎と一緒に」 京太郎「たとえば?」 穏乃「そうだな~」 再び青空を、その先にあるずっと向こうも見据える穏乃。 穏乃「この深く蒼い瞳のような空の終わりまで……かな」 幕間- __ ´ ` 、 / / \ / / 、 ヽヘ / / / | ヘ ヽ ィ ,. -――-j / /l / / | l _ λヽ . { ( /" ̄ ̄ ̄ ̄/ / / | !__/;イ /l 斗!| { | | l 「!i } \.、 /´ / / /彡| ´| ///ノ/ ムリ.lλ|| |j |リ ` `ー――- __ , イ/ / / ,. 、 l l伝丁` ム '乏灯ハn /.ハ `二ニ=‐- / / {⌒゚l 代ツ ゞ' ハ 〈イ ヾ { , -‐ 二_____ __// 人___l |"" ` ". l ヽ_ У`ー-. __ \、 // ̄ , ィ´ ア //__ イ l | ( ̄ア イ | |入 ̄ `ヽ_ヽ\マ、 `ー//===テ´ ,、 >-‐´ ̄ ̄ 八 l ト` x _´ .イ .l | ⅰ `ト \.\` ` ==イ`ー┴' ̄`´ ̄`ー….  ̄ - _ \ | ヽlλ|/Yヽ_レ、 人/イ ハ ` 、 } .r- ` /ミ ` ー _ - _ \ .| ヾ「 ̄`r{ . . . .{ { 彡イ ヽ_ ヘ __ノ . `  ̄└- _ ― ` / 入 . . 水\__ト |  ̄ ヽ ヾ、  ̄ ̄ ̄ ̄¨¨ ̄ アァ―ァ‐‐ァ‐-‐ァ…'ー―‐-- ____/ ー、 .` ./ λ . / . } |ヽ. // { /_ イ / / `ヽ、. ヽ∧/ ´ | l j | リ `ー=ニ二二__ イ /_r‐く ` o 丿 ノイ ノ `ー―一' /| ̄`>‐  ̄ ヽ、 ィ __ ´ ー‐ ' ` ー―一「 ̄ ̄ . / くヽ ー一o / マ . . . . ./ \\ o r´ あいむしんかーとぅーとぅーとぅーとぅとぅートゥットゥルー } . . . ハ ー` -―一 ´ r'ーf クロチャー☆なのですのだ! rー ´ . . .ヽ \ o __ィ /__ . | ヽ . . . . . . /\__ ` 大o / . . . `ヽ \ . / ./ . . . . . `ヽ /{ . |ヽ/ . .ヽ . . ./ `У . . . . . . . ハ`´ . . . ヾ、 . . . . . . . 〉´| ィ'`ー、 . . . . { . . | . . . . . . . . \_/ λ {三三三天 ̄ ̄| . . . . . ._イト----一 /| ` ̄` <_入  ̄ ̄_ハ|////////| `マ ̄ ̄///ハ.////////| V//////∧/////// ∨/////.∧//////’ ヽ//////ハ/////.j /! ______,イ//∟_____________イi , _, r '' " " _,._,._,._,._,._,_,._, ~`''ー-.、 // _,r''""◎ ヽ _,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._~`''ー-.、 / / ゙ヾ,, | _,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,.. ~`''=´ | ∠´___ ノ_,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,. _..-‐'''" \ ヽ ~`''ー-.、_______________________________,,...-‐'''" \ ヽ \ | \| / 、 \ r三ミY_ソヽ _/ / / / / ヽ ヽ / iソ \ /// /< ハi Vハレ ! ハ / / \ / ハ ! ハ! V\ イ´Vハ ハ / / <魚ぉぉぉぉぉぉぉマグロォォォォォォォッ!!! \ / i V ハ { r≠ミ r≠ミ } ノ リ ,.´ / \ V i ゝ 、、 丶 、、イ レ´ / /、 \⌒{ { /⌒ ┐ ! } / / \ \{ .{ i ′ ィ レ / \ { .ト\ ー ´ / ,.} } / / \ V{ Y  ̄ Ti ´} _/ } .j /. / \ V ゙三 ニ 〉〉彡 レ / i {\ / ヽ《 / Vi ハ { ヽ }} ヽ ; ´ ハ ハ{ V }} V / V { \ { }} V V\ 、 ! }} ', ` ゝ } }} ; l }} i. } }} ' ! }} } __,.ィ ̄ ̄`ヽ/ヽ__ > ´ ̄ / ` `、 、 、 - ´ / ' } ヽ ヽ\ \ `  ̄ >' / , | ∧/! | } ヽ ヽ /,ィ / ' / /| _/,.ム斗}-/ ハ . {/.' ,| ,.|-}/-{ | / ,ィチ斧ミ }/ } | . <それカツオだけど… / イ/{ ! ィ斧从}/ Vzソ ノ /イ , <__ ´// 从{ Vソ / / イ- 、 | {'{ { , ' /' ⌒ } | 从Ⅵ u /. ノ | 叭 v_ ̄ヽ ,rー' 从 、 イj / / . < |' /}/ 、__ ´ } イ从/ | |/ 「 ̄| 「 ̄ ̄ ̄ ̄} |//l| |//////// 、 ,. <// ∧ |//////////> 、 / \ ,.' \ / \ / . . . . . . . . ', . ` .、. / ヽ ヽ 、 Χ 、 . !¨ヽ 、 ヽ 牌 / \、 . /`ΧV ', 「 } . . . . \\. . / ヽ/ヽ代J}ヽN !) / . . . . . ヽ の / ; イ ハ \__ `' V ! 「 ! ! ヽ ヽ }ヽ} // |/ .V 〉 ` リ .| /! ハ } ハ } \! ヽ 悪. / | V ト、 ,_ァ / ´ ̄¨| √} 厂 }!、 j V / `i r- 、 j . . !/`、| / >、 魔. V j! } 「! l / /\ `>、 j ハ l l ヽ ... ≧x を 叩 /y ! 〉、 > 7/ /=l ,_... / } /´ V / い 〃 { /=≦ム //' ∨ _ ,小 `ー―.v´ >'"¨∨/ て x ´ / ハ Lヘ´ 'i / / / , , ,. 砕 / ;イ / く ` , , l / | / }` } ! く | / l / / . . l l l / l / / . , ! N / ,7 ..... . j | 〃 ,’ { _.. -‐……‐- .._ ´ `丶、 / 、 \\ \ `、 ヽ /, i i、 `、 `、 // i | 「\ \ ゙, ゙, ; .. . '/ , i |j `、-‐…‐-ミ.゙. 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V / 〃 ̄ i / ヽ ヽヽ ) V 〃 // Vハ ハ / 〃 / ノハ ハ / 〃 / ∨ / 》 ′ / 〃 { / 〃 l /〃 〃 ヾ ヽ 〈〃 《 》 〉 /三三三〃三三三ミY └┬―‐ Tニl ̄  ̄! ' { / l }´ { l l l | l 、 l { ,′ ! ,′ r 、 ! ,′ ', ├  ̄ \ } l ! -<\_ミ} | | └ '´ ,. ´ ̄ ̄ ` 、__ / , / /⌒Y / / , | ̄\ . ' ' /__/ , | \__ / / ///\/ / .' 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' ! l / / l ! l! l l !l } '; 丶、! !/ / / ,' l ,' l l ! }l ; ', Y 从 _ / // // / 〃l /,' ,' /.}/ ∧ γ! | .斗均弍ミ、-' ' /_ _ / ./ /// / / 〃 ヽ { ! |,《 ) 汽 戔芝ミt-'-- ' ' / ヽ, l ! ..{ リ ) 灼 ! くヽ l |. ゝ ==' { // l \ , ! ¨ ,' l \ /. , ! ' / l / < .', |ヽ __ ィ ! / /, ! >..., ィ ´| ,' / ´ / ', l /` ー ´ .! /(自販機で飲み物を選んでるはるる) ハ ヽ / / l l l ', ∨ l , ヽ ! / ,' l! l ', ∨ ! ' ! l / / l ! l! l l !l } '; 丶、! !/ / / ,' l ,' l l ! }l ; ', Y 从 _ / // // / 〃l /,' ,' /.}/ ∧ γ! | .斗均弍ミ、-' ' /_ _ / ./ /// / / 〃 ヽ { ! |,《 ) 汽 戔芝ミt-'-- ' ' / ヽ, l ! ..{ リ ) 灼 ! くヽ l |. ゝ ==' { // l \ , ! ¨ ,' l \ /. , ! ' / l / < .', |ヽ __ ィ ! / /, ! >..., ィ ´| ,' / ´ / ', l /` ー ´ .! /(今日の晩御飯は筑前煮がいいなと思ってるはるる) ハ ヽ / / l l l ', ∨ l , ヽ ! / ,' l! l ', ∨ ! ' ! l / / l ! l! l l !l } '; 丶、! !/ / / ,' l ,' l l ! }l ; ', Y 从 _ / // // / 〃l /,' ,' /.}/ ∧ γ! | .斗均弍ミ、-' ' /_ _ / ./ /// / / 〃 ヽ { ! |,《 ) 汽 戔芝ミt-'-- ' ' / ヽ, l ! ..{ リ ) 灼 ! くヽ l |. ゝ ==' { // l \ , ! //// ///,' l \ /. , ! ' / l / < .', |ヽ ー ィ ! / /, ! >..., ィ ´| ,' / ´ / ', l /` ー ´ .! /(黒糖を食べてるはるる) ハ ヽ / / l l l ', ∨ l , ヽ ! / ,' l! l ', ∨ ! ' ! l / / l ! l! l l !l } '; 丶、! !/ / / ,' l ,' l l ! }l ; ', Y 从 _ / // // / 〃l /,' ,' /.}/ ∧ γ! | .斗均弍ミ、-' ' /_ _ / ./ /// / / 〃 ヽ { ! |,《 ) 汽 戔芝ミt-'-- ' ' / ヽ, l ! ..{ リ ) 灼 ! くヽ l |. ゝ ==' { // l \ , ! ¨ ,' l \ /. , ! ' / l / < .', |ヽ __ ィ ! / /, ! >..., ィ ´| ,' / ´ / ', l /` ー ´ .! /(スクエア三大ゲーは武蔵伝とアインハンダーと後1つなんだろうと考えてるはるる) ハ ヽ / / l l l ', ∨ l , ヽ ! / ,' l! l ', ∨ ! ' ! l / / l ! l! l l !l } '; 丶、! !/ / / ,' l ,' l l ! }l ; ', Y 从 _ / // // / 〃l /,' ,' /.}/ ∧ γ! | .斗均弍ミ、-' ' /_ _ / ./ /// / / 〃 ヽ { ! |,《 ) 汽 戔芝ミt-'-- ' ' / ヽ, l ! ..{ リ ) 灼 ! くヽ l |. ゝ ==' { // l \ , ! ¨ ,' l \ /. , ! ' / l / < .', |ヽ __ ィ ! / /, ! >..., ィ ´| ,' / ´ / ', l /` ー ´ .! /(純刃マラソンに飽きてきたはるる) ハ ヽ / / l l l ', ∨ l , ヽ ! / ,' l! l ', ∨ ! ' ! l / / l ! l! l l !l } '; 丶、! !/ / / ,' l ,' l l ! }l ; ', Y 从 _ / // // / 〃l /,' ,' /.}/ ∧ γ! | .斗均弍ミ、-' ' /_ _ / ./ /// / / 〃 ヽ { ! |,《 ) 汽 戔芝ミt-'-- ' ' / ヽ, l ! ..{ リ ) 灼 ! くヽ l |. ゝ ==' { // l \ , ! ¨ ,' l \ /. , ! ' / l / < .', |ヽ __ ィ ! / /, ! >..., ィ ´| ,' / ´ / ', l /` ー ´ .! /(京太郎に会いたいなーと思ってるはるる) ハ ヽ / / l l l ', ∨ l , ヽ ! / ,' l! l ', ∨ ! ' ! l / / l ! l! l l !l } '; 丶、! !/ / / ,' l ,' l l ! }l ; ', Y 从 _ / // // / 〃l /,' ,' /.}/ ∧ γ! | .斗均弍ミ、-' ' /_ _ / ./ /// / / 〃 ヽ { ! |,《 ) 汽 戔芝ミt-'-- ' ' / ヽ, l ! ..{ リ ) 灼 ! くヽ l |. ゝ ==' { // l \ , ! ¨ ,' l \ /. , ! ' / l / < .', |ヽ __ ィ ! / /, ! >..., ィ ´| ,' / ´ / ', l /` ー ´ .! /(京太郎に会えて嬉しいはるる) ハ ヽ / / l l l ', ∨ l , ヽ ! / ,' l! l ', ∨ ! ' ! l / / l ! l! l l !l } '; 丶、! !/ / / ,' l ,' l l ! }l ; ', Y 从 _ / // // / 〃l /,' ,' /.}/ ∧ γ! | .斗均弍ミ、-' ' /_ _ / ./ /// / / 〃 ヽ { ! |,《 ) 汽 戔芝ミt-'-- ' ' / ヽ, l ! ..{ リ ) 灼 ! くヽ l |. ゝ ==' { // l \ , ! //// ///,' l \ /. , ! ' / l / < .', |ヽ ー ィ ! / /, ! >..., ィ ´| ,' / ´ / ', l /` ー ´ .! /(京太郎が黒糖を持って来てくれて嬉しいはるる) ハ ヽ / / l l l ', ∨ l , ヽ ! / ,' l! l ', ∨ ! ' ! l / / l ! l! l l !l } '; 丶、! !/ / / ,' l ,' l l ! }l ; ', Y 从 _ / // // / 〃l /,' ,' /.}/ ∧ γ! | .斗均弍ミ、-' ' /_ _ / ./ /// / / 〃 ヽ { ! |,《 ) 汽 戔芝ミt-'-- ' ' / ヽ, l ! ..{ リ ) 灼 ! くヽ l |. ゝ ==' { // l \ , ! ┘└ ¨ ,' l \ /. , ! ┐┌ ' / l / < .', |ヽ __ ィ ! / /, ! >..., ィ ´| ,' / ´ / ', l /` ー ´ .! /(京太郎が黒糖を持って来なくて怒ってるはるる) / | |.. . ゙、 . ゙、゙、. \ |. i | i |. ∧ 、.i. .i . ` 、. ! | |、 | | i | ! | | | 、 > | | i 「! ヽート!、 リ ! |ハ ト | ̄ ̄. ,..-、| i | !゙、 _、!二゙、-| イ リ ! |ヽ | / へ.゙、 丶ヾヽ ´{ i` ヽ! 1!| /| !ノ゙、リ ヽ \ !丶  ̄ Vイ ハ |\ i. 丶 \゙、 ` リ ` 「ちょっと待てなんかおかしくないか?」ヽ `┬ 、 ヾ / i ;ィノ U ,....-ィ /,, ‐レリ _  ̄ /゛=!_ \ `ー-、_ _/ ゛== 、 \ / ̄ヽ、 ゛===-、 ハ ヽ / / l l l ', ∨ l , ヽ ! / ,' l! l ', ∨ ! ' ! l / / l ! l! l l !l } '; 丶、! !/ / / ,' l ,' l l ! }l ; ', Y 从 _ / // // / 〃l /,' ,' /.}/ ∧ γ! | .斗均弍ミ、-' ' /_ _ / ./ /// / / 〃 ヽ { ! |,《 ) 汽 戔芝ミt-'-- ' ' / ヽ, l ! ..{ リ ) 灼 ! くヽ l |. ゝ ==' { // l 「?」 \ , ! ¨ ,' l \ /. , ! ' / l / < .', |ヽ __ ィ ! / /, ! >..., ィ ´| ,' / ´ / ', l /` ー ´ .! / / | |.. . ゙、 . ゙、゙、. \ |. i | i |. ∧ 、.i. .i . ` 、. ! | |、 | | i | ! | | | 、 > | | i 「! ヽート!、 リ ! |ハ ト | ̄ ̄. ,..-、| i | !゙、 _、!二゙、-| イ リ ! |ヽ | / へ.゙、 丶ヾヽ ´{ i` ヽ! 1!| /| !ノ゙、リ ヽ \ !丶  ̄ Vイ ハ |\ i. 丶 \゙、 ` リ ` 「なんで俺に会えた時より、俺が黒糖持って来た時の方が嬉しそうなんだよ」ヽ `┬ 、 ヾ / i ;ィノ U ,....-ィ / 「そんでなんで俺が黒糖持って来なかったらそんな怒ってんだよ」,, ‐レリ _  ̄ /゛=!_ \ `ー-、_ _/ 「その感情を式で表すと、俺+黒糖=正の値で、俺-黒糖=負の値」 ゛== 、 \ / ̄ヽ、 ゛===-、 「この不等式を解くと黒糖>俺という事になるが?」 / / / | ∨ |∨ | l | |./ l | ||V ∨ 斗-l l | /  ̄ \i/ | |i| | l ∨ l\ | l | l | /||! | |l| ⊥ヽ ∨ \\l └‐' || l 自 そ||l l ぃイ l \\>‐'´ x-‐==气 | 慢 れ.l |l l ぃヽ ´ ‐'´勹 |」 l : が{ l ヽ斗 x_=气 ∨二ノ| 〉 |i 〈'´ ) | /// | //\ _ / |i ∧ 乂ン | l | .(つ li ∧ /// ′ | | l lニ⊇|i ∧ . ‐ ァ / | | |/ ̄└ュ | |i ヽ ` | | |l /└‐┘|i ||  ̄ ¨ ―-< /| | 八 さ す が は る る ! 最初に耳にしたのは水音。 勢いよく噴出した水が地面を叩く音に、徐々に意識が覚醒してくる。 小さく震えた目蓋の隙間から夏の日差しが差し込み、視界が白く染まる。 右手で目元を擦りながら現状確認すると、どうやら場所は屋外。 いまだにぼんやりとする頭でようやく状況を把握する。 夏の昼下がり、旅館の中庭の木陰にベンチを見付けた俺は食後の昼休みとばかりにそこで優雅に昼寝を決め込んでいたのか。 ?「ごめんね。起こしちゃったかな?」 この頭がふにゃふにゃしてきそうな癒し系ボイスは……。 京太郎「宥さん?」 声の方に視線を向けると、中庭の隅に設置された花壇に水遣りをやっている宥さんの姿が目に入る。 8月の太陽光の下、相変わらずのコートにマフラーの重武装形態。マスクとメガネはしていないのでフル武装形態ではない。 俺が投げ出したいた両脚を地面に下ろし、ホースで水遣りをやる宥さんをしばらく観察する。 宥「~♪」カタカタカタカタ 表情だけなら機嫌が良さそうなんだが、その実は全身を駆使して凄まじいビートを刻んでいる。 夏場と言えど冷水は宥さんには堪えるようだ。大丈夫かなこの人? 京太郎「あの」 宥「ん~?」 故につい声をかけてしまった。 京太郎「よかったら代わりましょうか? 水遣り」 宥「ありがとう。でも大丈夫だよ? 私、慣れてるから」ニコ 笑顔でやんわりと断られてしまった。 食い下がってもいいのだがあんまりしつこいのも鬱陶しいかなと思うので、ここは静観することにする。 宥「~♪」カタカタカタカタ 可愛い。 高く上げたられた水流の放物線が太陽の光を反射、屈折させ円弧状の大気光学現象。所謂、虹を作り出す。 花壇に植えられた花々と、水滴と光の乱反射。その中に立つ宥さん。それは間違いなく現世に光臨せし女神そのものだった。 ああ゛~ゆうキチになる~。 宥「ごめんね。待たせちゃって」 京太郎「いえ、俺が勝手に待ってただけですから」 さすがに後片付けは手伝わせてもらう。 水を抜いたホースを巻いて、蛇口の脇に寄せておく。 宥「うう……ちめたい……」 両手と両目をギュッと瞑り寒さに震える宥さん。 俺は無言で両の手の平を前に差し出す。 意図を察した宥さんが俺の両手を握る。 宥「あったか~い」ポヤァー あら咲いてる。 京太郎「喜んでもらえてよかったです」 宥さんは手があったかくて幸せ。俺は宥さんと手を繋げて幸せ。 誰も損をしない完璧な構図。これこそ世界平和の第一歩である。 京太郎「他のメンツには俺の手は冷たいとあまり評判はよくないんですけどね」 宥「そうなんだ」ムム なにやら考え込む宥さん。 宥「手が冷たい人は、心も冷たいっていうよね?」 京太郎「……」 本当は逆で手が冷たい人は心が温かいというのが通説だが。とは言えそれを自分で訂正するのはなんかイヤだ。 俺が渋い顔をしていると、俺を観察していた宥さんと視線が衝突する。 宥「~♪」ニコ 微笑む宥さん。脳裏に雷光。 からかわれたんだ、からかわれたんだ! ちくしょうなんか恥ずい! 京太郎「まったく、人が悪いですよ宥さんも」 宥「ごめんね? なんだか京太郎君が可愛くって」 可愛い……か。 まぁ宥さんがそれで笑ってくれるんなら俺は甘んじて弄られキャラに徹しようか。 京太郎「そういえば宥さん手袋も持ち歩いてましたよね? そっちを使ってもよかったんじゃ」 宥「あ……そ、そうだね」ゴソゴソ 普段、腰の辺りに紐で吊られている宥さんの手袋。 宥「あ、あれ……」 京太郎「どうしました?」 宥「あの、手袋なくなっちゃって……」 京太郎「え? 落としちゃったとかですか?」 宥「う、うん……たぶん……」 宥「どうしよう……」 心なしかいつもより振るえが大きい気がする。目元もフルフルしている。 京太郎「あれって大事なものなんですか?」 宥「うん……玄ちゃんがプレゼントしてくれた大切な……」グス あちゃ……そういうことか。 京太郎「じゃあ、探しにいきますか」 なんでもないことのように言う。 宥「え、でも……」 京太郎「いいからいいから。どうせ俺、昼寝くらいしかやることないですし」 そういって俺は宥さんの手を取って歩き出す。 京太郎「狭い旅館ですし、2人ならすぐ見付かりますよ」 いまだオロオロしている宥さんに笑いかける。 宥「うん」コクン 俺の言葉に少しだけ笑ってくれた。 宥「それで、どこを探せば」 京太郎「まぁ中庭周辺にはなかったですし、あるとすれば館内ですね」 ?「あれ?」 俺と宥さんがこれからの捜索方針を話し合っていると横合いから声がかかる。 玄「おねーちゃんに京太郎くんではないですか」 それは宥さんの妹さんの玄さんだった。 京太郎「こんちは、玄さん」 宥「く、玄ちゃん……」 罪悪感か、少したじろぐ宥さん。 玄「御二人はなにをしてたですのだ?」 京太郎「ああ、花壇で少し」 玄「ボードゲーム?」 京太郎「玄さん、そのボケめっちゃ突っ込み辛い。流しで」 玄「う、はい……」 俺はこっそり宥さんに耳打ちする。 京太郎「この際だから玄さんにも協力してもらいます?」 宥「でも……」 京太郎「大丈夫、玄さんはそんなことで怒ったりしませんよ」 京太郎「逆の立場なら。宥さんは玄さんを怒りますか?」 宥「ううん」フルフル 京太郎「なら大丈夫ですよ」 宥「うん」 玄さん「2人ともどうしたの?」 京太郎「ああ。玄さん、実は……」 玄「ふ~む、なるほどなるほどなるほど~」 宥「ごめんね玄ちゃん。玄ちゃんがせっかくプレゼントしてくれたのに」 玄「おねーちゃん!」ダキ 宥さんに力一杯抱き付く玄さん。 玄「そんなに大事にしてくれてたなんて感激だよ!」 宥「玄ちゃん……///」 玄「おねーちゃん……///」 見詰め合う2人。 京太郎「あの」 宥玄「わわわっ!?」 俺が声をかけると慌てて離れる宥さんと玄さん。前々から思ってたけどなんかこの2人怪しくない? 京太郎「それで、玄さん。なにか心あたりとかないですか? どこかで見掛けたとか。もしくわ宥さんがうっかり仕舞い込みそうな場所とか」 玄「おねーちゃんがうっかり置いてきそうな場所…………………………………………こたつ?」 宥(妹にダメな子って思われてる!?) それからあーでもないこーでもないと議論し玄さんは別れて別の場所を探すことになった。 じゃあ三手に別れようと俺も別の場所に向かおうとしたところ、玄さんに宥さんに着いててほしいと頼まれた。 理由を聞いても教えてくれず、玄さんは「真実はいつもじっちゃんの名に懸けてたった一つのQ.E.D.!」 とか言いながらさっさと行ってしまった。大丈夫かなあの人? 少し心配だ。 京太郎「ね? 言ったとおりでしょう」 宥「うん」 京太郎「いい妹さんですね」 宥「私には勿体無いくらいの、自慢の妹だから」 京太郎「それ、玄さんに直接言ってあげるといいですよ。まったく同じ返ししてきますから」 その光景を想像すると、つい口元がニヤけてしまう。 松実姉妹恐るべし。 阿知賀女子の泊まる部屋。 初日に俺が炬燵を運んだあの部屋にやってきた。 宥「う~ん」 着くや否や。宥さんは炬燵布団を捲るとそのまま炬燵の中に頭を突っ込んで探し出す。 京太郎「ま、宥さん! ちょっと」 四つん這いで頭を突っ込んでいる姿勢はまぁなんというか臀部を突き出すような姿勢でもあるわけで、 なんというか……物凄く目のやり場に困る。 宥「ない~」 ないなら早く出てきて下さい! 俺の切なる願いなど露知らず宥さんはさらに腹ばいになってどんどん奥へと潜っていく。 ああっ! そんなズルからスカートの裾が捲くれ上がって……いいぞ、もっとやれ! いや違う! 目を覚ませ俺! 京太郎「宥さん! ちょっと待って」 自分の欲望に決して屈したりしないという内なる絶対律。感情を理性で屈服させ、制止に入る。 宥「京太郎く~ん……」 布団越しに聞こえる篭った声。 宥「引っ張り出して~」 ええ~、もうなんなのこの人ぉ~? 京太郎「もしかして、もしかすると俺を誘惑してるんではなかろうか」 宥「なに~?」 京太郎「なんでもないです」 俺はいわれたとおり宥さんを引っ張り出そうとし、……て、硬直する。 京太郎「」 どこを持てというんだこの人は。 京太郎「あの、どこを持って引っ張れば……」 宥「脚でいいよ~」 そういって自らの脚をパタパタと漕ぐ。 これに触れろというのか。 京太郎「わ、かりました……」 搾り出すような声で承諾。俺はゆっくりと宥さんの脚に触れる。 フニッ 柔っこい! 温かい! 俺の理性は脳髄をぶち抜き成層圏まで達しそうだった。 落ち着け俺。ここで不埒な事をして宥さんからの信頼を損なっては俺の築いてきた人物像とかなにか大事なものが失われる、永久に。 そうだ。俺はただ宥さんの脚を持って後ろに引き宥さんを炬燵から引っ張り出すだけの機械。 心を無にしろ。心象風景は深山の清流。 ガラッ 憧「は~暑、い……」 京太郎「」 穏乃「憧~どうしたんだよ、早く入れよー」 憧「……」 ピシャリ 1mmの弁解を挟む余地もなく、戸は無常にも閉められた。 憧のあの目が忘れられない。 男子高校生が巨乳物のエロ本をこっそり購入しているのを目撃した時のような、 そいつをゴミとしか思っていような氷結地獄の冷血な視線だった。 いや、その状況に実際に出くわした事があるのでかなり正確な表現だと思う。 宥「京太郎君。大丈夫?」 気遣わしげに声をかけてくれる宥さん。 京太郎「はい、まぁなんとか……」 乾いた笑いを浮かべつつ、なんとか返事を返す。 女性の前では弱さを見せない。 女性の目の届く範囲で格好をつけたがるのは男の悪い癖だが、一方で見栄を張らなくなった男は最低の生き物だと思う。 そんなことは今はどうでもいい。 京太郎「ここにもなかったですね」 俺はフラつく膝でどうにか立ち上がる。 京太郎「ありませんでしたね」 宥「うん……」 意気消沈の宥さん。 京太郎「宥さんは本当に玄さん、大切なんですね」 宥「うん……うちおかーさんいなくて」 そういえば少し聞きかじっただけだが宥さん達のお母さんは2人が小さかった頃に他界しているらしい。 詳しくは知らされていないががないが、その辺りのことも伺っていいのだろうか。 宥「私、こんなだから玄ちゃんいつも私のこと助けてくれて」 宥さんの独白が続く。 宥「それで、ある時に玄ちゃんがあの手袋をプレゼントしてくれて『これでもいつでも寒くないね!』って……」 思い出は記憶。想いは無形。けれど形に残しておきたい大切なものも確かに存在する。 京太郎「元気出してください。絶対見付けますから!」 それにないより俺はこの人に笑っていてほしいから。 ?「あ、いた」 俺が宥さんを励ましていると、背後から声がかかる。 この平坦な声の主は、 灼「やっと見付けた」 鷺森灼先輩がゆっくりとこちらに歩いてくるところだった。 京太郎「チューッス!(舎弟風)」 灼「ん」 俺の挨拶に目礼で返してくる鷺森先輩。いやん、もっと構って! 灼「宥さん、これ」 そういって差し出したのは件の、 宥「これ、私の手袋」 灼「落ちてるのを見付けて、汚れてたから洗ってから返そうと思って」 灼「それで乾くのを待ってたら玄が探してたって」 灼「だから持って来、」 宥「」フルフル 灼「宥さん?」 宥「灼ちゃん!」ダキッ 灼「わぷ!?」 宥「ありがとう。本当にありがとう」 感極まったのか鷺森先輩に抱き付く宥さん。身長差の所為で先輩の顔の下半分くらいが胸元に埋もれている。けしからんもっとやれ! 俺も宥さんに抱き付かれたい。そして、俺も先輩に抱き付きたい。 2人ともそこ代わってくんないかなぁ。 ………………それ俺が俺と抱き合ってるだけじゃねぇか。恐ろしく最悪な絵面だ。 一瞬でも想像してしまった自分の妄想力を呪い殺してやりたい。 灼「宥さん、胸……苦し」 宥「わわ、ごめんね。灼ちゃん!?」 鷺森先輩の言葉に慌てて拘束を解き、解放された先輩に紅潮した顔で謝る宥さん。 なんか和んだ。 かくして今回のちょっとした騒動は解決した。 小説の物語のように劇的な顛末など存在せず、終わってみれば俺達が無駄に騒いだだけになってしまったようだ。 鷺森先輩と別れて中庭。 俺と宥さんはさっきまで俺が昼寝をしていたベンチに肩を並べて腰を下ろしていた。 宥「ありがとう。京太郎君。おかげで無事に見付かって」ニコニコ 両手に手袋を嵌めた宥さんが嬉しそうに笑いながらお礼を言ってくれる。 京太郎「いやいや、俺はなんにもしてないですから」 謙遜でも過小評価でもなく事実そのものでもある。 もうちょっと俺の活躍する場面があっても良かったんじゃないかなぁ~とも思う。 宥「そんなことないよ。京太郎君が励ましてくれたときとっても嬉しかったから。だから」 俺の手を取る宥さん。布越しに伝わる宥さんの手の温もりが心地良い。 宥「ありがとう。これからもよろしくね」 そういって微笑む宥さんの手を俺は優しく握り返した。 それを俺の答えとして。
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京太郎「もう麻雀部にいても俺の存在意義は無いよな……」 京太郎「なんだかんだで和目当てで入っただけだし、ここらが辞め時かな」 京太郎「ちわーっす」ガチャ 咲「あっ、京ちゃん」 優希「おおー犬!ちゃんと今日は来たな、えらいじょ!」 京太郎「ちゃんと毎日来てるだろ……」 久「こんにちは須賀君」 京太郎「あ…どうも……部長」 久「来てもらって早速で悪いけど、あなたに買い出し頼んでもらっていいかしら?」 久「えっとねぇ……今日はクリーナーと何か甘い物を」 京太郎「無理ですよ部長。今日は無理なんです」 久「無理?えー、どうして?ひょっとして今日は体調が悪かったりする?」 京太郎「俺、今日限りで麻雀部辞めるんで」 久「ほうほう、麻雀部を辞めると……それはそれは」 咲 久 優希「!?」 京太郎「これ、退部届です」スッ 京太郎「ハンドボールで全国を目指すからです」 久「ハンド……ボール?」 まこ「はて?なんで急にハンドボールなんぞに目覚めたんじゃ」 咲「……京ちゃんはこう見えて、中学の時ハンドボールで県大会決勝まで行ってるんです」 まこ「ほぉ!それはすごいの」 優希「初耳だじぇ」 和「わ、私もです」 京太郎「はは……一応、清澄に入る前に色んな所からスカウトは来てたんだ。全部断ったけど」 久「どうして?清澄に来たってハンドボールなんて有名じゃないのに」 京太郎「それは、やっぱり咲をほっとけなくて…」チラッ 咲「えぇっ?!わ、私?」 京太郎「でも、もう俺が居なくても大丈夫そうだし、俺もあいつみたいに自分に合った人生を歩もうかなって思って」 京太郎「だから麻雀は今日で終わりにします」 咲「京ちゃん……」 京太郎「部長。退部届受け取ってくれますよね?」 久「………」 久「あなたの人生よ、好きにしなさい」 京太郎「ありがとうございます……お世話になりました」 咲「ぶ、部長!」 優希「どうして引き止めないじょ!?」 久「私には須賀くんを引き止める権利なんてない」 久「それに、本人もそれは望んでないみたいだし」 和「……あの、須賀くん」 京太郎「和にも色々世話になったな。麻雀教えてくれてありがとな」 和「いえそれはいいんですが…本当に辞めてしまうんですか?麻雀部」 京太郎「ああ」 和「私が入って、優希も入って、それからあなたが入って……ずっと盛り立ててきた麻雀部を」 京太郎「そうだよ」 和「……分かりました。なら、もう私は何も言いません」 優希「わ、私は絶対認めないじょ犬!飼い主を捨てて遠くへ行くなんて許さないからな!」 久「遠くって大袈裟ね優希は。清澄にいるんだからいつでも会えるでしょ?ねぇ、須賀くん」 京太郎「………」 久「……まさかあなた」 京太郎「実は」 京太郎「体育推薦転入で白糸台へ行くことになってます」 優希「ぎゃぽ!?」 咲「そんな……嘘でしょ?だって、そんなこと昨日まで一言も!」 京太郎「ウソじゃない。もう手続きも全て済ませて、東京に行く準備も済ませてある」 まこ「ちゅーことはずいぶん前から麻雀部だけじゃなく清澄も辞める気やったってことじゃな」 久「……私が麻雀部を辞めるのダメって言ってたらどうしたのかしらね?」 優希「ふざけるな!!そんな話聞いてないぞ!」ガシッ 京太郎「うわっ!」 優希「京太郎は清澄だじぇ!白糸台なんかに行かせたりしないじょ!」 京太郎「お、おい!足に引っ付くなって!靴とかの汚れがついちまうぞ」 優希「首を縦に振るまで離れないからなー!」ギュウウ まこ「まるで駄々っ子じゃの」 和「ゆーき……」 京太郎「……困ったな」 咲「……」 京太郎「ああ、咲。ちょうど良かった、お前からも何か言ってやってくれ」 咲「一つさ、ルール追加してもいいかな?」 京太郎「何だよ」 咲「京ちゃん達三人は十万点持ちのスタートで私は0点からのスタートってことで」 優希「じぇ!?」 咲「それ以外はいつもと同じルールだよ」 和「さ……咲さん、いくらあならでもそれは無茶ですよ」 久「随分イカれたルールね。で、何の為にそんなルールを作ったの?」 咲「特に理由は何もありませんよ」 京太郎「清澄に留まってもらう、とか言うんじゃないだろうな?」 京太郎「そんな賭けに乗るつもりは無いぞ馬鹿馬鹿しい」 咲「もう、本当に何もないってば!」 京太郎(持ち点が0点なんて何企んでんだ咲は) 京太郎(俺だけじゃともかく優希も和もいるってのに、一回でも和了されたら終わりじゃねーか) ――――― ―――― 和「………」 和(誰も振り込まない……) 優希「………」 優希(誰も和了しないじぇ……) 咲「あ、またみんな聴牌で流局だよー」 咲「これじゃ中々終われないね」ニコッ 久(驚いた…これ支配なんてそんなレベルじゃないわ……) まこ(全員が全員聴牌するものの誰も和了できないとは。天江衣の一向聴地獄みたいじゃのう) 京太郎「咲……そろそろ」 咲「え?」 京太郎「もう俺の負けでいいからさ、やめにしないか?」 咲「何言ってるの京ちゃん」 咲「この一局が終わるまでは清澄に居てくれる約束だよね?」 京太郎「そ、そうだけどさ……」 咲「ならこの一局が永遠に続けばずっと清澄に居られるよね」 京太郎(い……いや流石に冗談だろ……冗談だよな?) 京太郎(しかし、俺はいいとしても……) 和「………」フー 優希「うう…頭がクラクラしてきたじぇ」 京太郎「咲、二人とももう限界だ。やめよう」 咲「ダメだよ。そしたら京ちゃんがいなくなっちゃう」 京太郎「そんなこと言ってる場合かよ!」 京太郎「和も優希もお前の大事な友達だろ!」 咲「早く終わらせたいんだったら和了すればいいじゃん」 京太郎「お前……」 京太郎「本当に咲か?」 咲「あはは、何言ってるの」 咲「私は京ちゃんがよく知ってる、読書が趣味の地味でドジな宮永咲だよ」 京太郎「っ」ゾクッ 京太郎(咲は……こんな奴じゃ無かった) 京太郎(ドジで地味だけど、一緒に居るとすげー安心できる女子だったけど……いまはただただ怖い) 咲「あ、また聴牌で流局だよー!」 京太郎(……いや、咲を麻雀部に連れてきたのは俺だ) 京太郎(くだらない理由で連れてきて咲を変えてしまったのは俺のせいじゃないか) 咲「本当に………麻雀って楽しいよね!」 カン
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都内某所に存在する、巨大な学園。 近年若年層に増加してきた、超能力――オカルト能力者を保護、監察、監督し、 その特異な能力を、停滞しがちな近年の人類の先進とすべく育成する――。 ここはそんな彼らの生活の基盤となる、学園都市であった。 新たなる風を、世界に送るために日夜能力に磨きをかける生徒たち。 しかし、光があるところに闇がある。 人のいる場所には、摩擦が生まれ、やがてそれは軋轢となる。 未来を目指す超能力を、今の欲望を叶えるために利用する。 そんな――所謂超能力犯罪も存在していた。 法になき悪は、法では裁けない。 ときの内閣によって制定された、 『精神感応によって引き起こされる超常現象(以外超能力)とそれに伴う不当事由に関する法』は、 未だその詳細は定まらず、十分な判例が存在せず、リベラリストの弁護士の手により、半ば形骸化していた。 だけれども――法のあるなしは問題ではない。 法では涙を拭えない。法では人を癒せない。 誰かの心を助けるのは、いつだって人間の手によってなされるもの。 闇があれば、光もある。 実際オカルトじみた超能力者たちとは異なる、孤高のヒーロー。 『魔法使い』が――このまちには存在する。 京太郎「貴女の思い出は、俺が取り返してみせる」 京太郎「俺が、貴方の最後の希望になる」 京太郎「さあ――ショータイムだ!」 強力であるが1つの力しか使えない超能力者に対して――。 『魔法使い』となる主人公は、4つのフォームを使い分けて対抗する。 ――炎を操る、フレイムフォーム。 京太郎「マジカル☆ファイヤーが利かない……?」 京太郎「だったら、マジカル☆フレイムスパローの出番だな」 京太郎「なるほどな……随分と、数を揃えやがって」 京太郎「いいぜ」 京太郎「こうなりゃ、召喚魔法だ」 京太郎「マジカル☆スライム(モロトフカクテル)!」 京太郎「マジカル☆ゴーレム(ガソリン入りドラム缶)!」 ――光と電気を操る、『シャイニングフォーム』。 京太郎「スタンロッドよし、スタンガンよし」 京太郎「テーザーガンよし、塩水よし、裸二股コードよし」 京太郎「スタングレネードよし! 軍用フラッシュライトよし!」 京太郎「フォームチェンジ完了!」 ――気体と風を操る、『ストームフォーム』。 京太郎「マジカル☆ハバネロスプレー!」 京太郎「マジカル☆圧縮水素ガスベアリングガン!」 京太郎「マジカル☆釘打ち機!」 京太郎「強敵だったな……」 京太郎「まさか、俺に……マジカル☆一酸化炭素ガスを使わせるなんて」 ――そして、固体を司る『グランドフォーム』。 京太郎「いつから……魔法使いが、素手じゃ何も出来ないと錯覚していた?」 京太郎「マジカル☆マーシャルアーツ!」 京太郎「マジカル☆フリーランニング!」 京太郎「マジカル☆鉄山靠!」 京太郎「マジカル☆崩拳!」 京太郎「マジカル☆劈拳!」 京太郎「マジカル☆カウロイ!」 京太郎「マジカル……えーっと、リバーブロー!」 京太郎「マジカル☆キドニーブロー!」 京太郎「マジカル☆ストマックブロー!」 京太郎「マジカル☆コークスクリュー!」 京太郎「マジカル☆スープレックス!」 京太郎「マジカル☆パイルドライバー!」 京太郎「マジカル☆テキサスニーホールド!」 京太郎「んううう、うううう!(マジカル☆毒霧!)」 京太郎「マジカル☆シャイニングウィザードからの――」 京太郎「マジカル☆轢き逃げアタック!」 そして……。 京太郎「全ての魔法が通用しない……だと?」 京太郎「なら、これを使うしかないな」 京太郎「師匠直伝……マジカル☆古代超能力カラテを」 京太郎「この街にいる以上、俺だって超能力者だ」 京太郎「普通にやってたら、野球ボールを50キロで飛ばす事もできない」 京太郎「そんな、落ちこぼれだけどな……」 京太郎「力がないなら、技を磨けばいい!」 京太郎「ひとつひとつがちっぽけなら……繋ぎ合わせればいい!」 京太郎「全身の関節を超能力でフル稼働!」 京太郎「ひとつひとつを、40キロで動かせば――」 京太郎「末端の速度は、音速を超えるッ!」 京太郎「これが俺の最終奥義!」 京太郎「マジカル――真・マッハ・拳ッ!」 京太郎「でも殴ると痛いから、ボールを投げるぜ!」 京太郎「喰らいな……」 京太郎「マッハ5の、マジカル☆レーザービームを、なッ!」 ――オカルトスレイヤーKYO。 ――毎週土曜深夜32時、放送予定! 京太郎「あんたら、ちゃんとした超能力者は――この世界の希望なんだ」 京太郎「俺とは違って、いくらでも人を助けられる力があるんだ」 京太郎「なんでそれが……絶望を生み出しちまってんだ」 京太郎「超能力が絶望を生むなら――」 京太郎「俺が、魔法が……希望を取り戻してやるよ!」 京太郎「俺は魔法使い……人の笑顔を守る魔法使い……」 京太郎「正しい人間関係は、正しい挨拶から生まれる」 京太郎「俺は、挨拶の魔法使いだ!」 京太郎「サヨナラ! ハイクを読む暇なんて与えない!」 __ __ __ __ __ __ __ __ __ __ __ __ やえ「あのバカ……これでスタントなしだなんて」 やえ「手に怪我でもしたら、どうするのさ」 菫「……いや」 菫「いいんじゃないか、魔法使い」 菫「リアル……邪道ものの魔法少女に、勧善懲悪のヒーローものを加えたんだろう」 菫「アリと言えばアリだ」 やえ「……は?」 菫「これで、ファンが増えるかもしれないし……」 菫「あいつもランカーになったんだから、二つ名が必要だろう」 菫「オカルトスレイヤーKYO……オカルトスレイヤーでいいな」 やえ「……」 菫「あいつのスタイル的にも、実にぴったりでいいんじゃないか!?」 菫「なあ!」 やえ「……」 やえ「……それでいいんじゃないの、もう」
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~インハイ会場~ 優希「おー…ここがインハイ会場かー!」 和「長野のモノとはやはり規模が違いますね」 久「まぁ、日本中の高校生が集まる訳だしね」 まこ「高校生だけじゃなくてマスコミまでやってきとる訳じゃしのぅ」 咲「うぅ…なんだか緊張してきた…」ブル 京太郎「…先にトイレでも行っておくか?」 咲「こ、これは武者震いだよ!!」カァァ 京太郎「じゃあ、案内はいらない?」 咲「…………後でお願いします」メソラシ 優希「ホント、咲ちゃんはポンコツだじぇ」 咲「ぽ、ポンコツじゃないよ」 咲「ちょっと緊張するとトイレに行きたくなって、たまに方向が分からなくなるだけだから」 まこ「それが方向音痴と言うんじゃと思うがなぁ…」 久「さて、それじゃあ、派手に乗り込みましょうか」 優希「ヒャッハー!」 まこ「長野の品性が疑われるような真似だけはしてくれるなよ」 和「大丈夫ですよ…………多分」 咲「その多分に不信感がにじみ出てるよ、和ちゃん…」 優希「ま、今日の私は大人しくしてるじぇ」 優希「どの道、一回戦からは否応なく目立つ訳だからな!!」ドヤァ 京太郎「あぁ、あの赤マントでか」 優希「麻雀の腕で!だじぇ!!」 久「…そうね」 久「私達は地方予選からさらに強くなった」 久「今なら全国の強豪達にもそうそう負けたりしないはずよ」 久「だから…リラックスして目にもの見せてあげましょう」 咲「はい」 和「えぇ。頑張りましょう」 まこ「(…ふふ。自分がいっちゃん、緊張しちょる癖に)」 久「…で、京太郎君は…」 京太郎「あぁ。俺は適当に会場の中をぶらついてますよ」 京太郎「いざと言う時、迷子になった咲を見つけてやらないといけませんし」 咲「そ、そんなに簡単に迷子になったりしないよぉ」 和「…私が咲さんと知り合ってから今までの間に五回は迷子になってたと思うんですが」 咲「少ないよね?」キョトン 優希「…いや、普通は一回でも多い方だと思うじぇ」 咲「うぅぅぅ…何処もかしこも道が複雑なのが悪いんだよ…」 京太郎「幾ら複雑だからってバックヤードに紛れ込んだりしないと思うがなぁ…」 久「まぁ、京太郎君はそんな咲発見のエキスパートだからね」 京太郎「何を隠そう、俺は迷子探しの達人だ」キリッ 優希「キャー!」 久「最悪の事態は彼に任せて、私達は行きましょうか」 優希「京太郎、ステイ!ステイだじぇ!!」 京太郎「犬じゃねぇっての」 京太郎「…ま、開会式だから何かあるとは思わないけど…皆、気をつけてな」 咲「…京ちゃんの方もね」 京太郎「(…さーって…ではどうするかなぁ)」 京太郎「(一人だと色々と手持ち無沙汰だ)」 京太郎「(まぁ、スマホは持ってきたから時間潰すの事態は楽なんだけどさ)」 京太郎「(でも、折角、インハイ会場まで来てるのにスマホ使うのもなんか勿体無いし…)」 京太郎「(ここはやっぱり探検だな!!)」 京太郎「(まぁ、所詮、インターハイの会場だからそんなに見るものもないだろうけれど)」 京太郎「(でも、やっぱり新しい場所って言うのは冒険心が疼くもんだ)」 京太郎「(いざいかん神秘を求めて…なーんて)」 尭深「…あの」 京太郎「え?」クルッ 京太郎「(…こ、これは…なんて素敵なおっぱいなんだ…!)」 京太郎「(流石に和には負けるが…制服をここまで持ち上げるのは…!)」 京太郎「(おっぱいマイスターである俺としては是非B級おっぱいの称号を差し上げたい…!)」 尭深「…その、不躾で申し訳ありません」 尭深「私と同じ制服を着た金髪ロングの女の子を見ませんでしたか…?」 京太郎「え…いや、ごめんなさい。見てないです」 尭深「そうですか…もう。何処に行っちゃったんだろう…」 京太郎「…もしかして迷子ですか?」 尭深「はい。ここに来るまでは一緒にいたんですけれど…」 尭深「ちょっと目を離した隙にいなくなってしまって」 尭深「まぁ…方向音痴と言う訳ではないので何時か帰ってくるとは思うのですが…」 京太郎「あー…もうすぐ開会式ですもんね」 尭深「はい。流石にそろそろ帰ってきてくれないとまずいなと…」 京太郎「では、俺も手伝いましょうか?」 尭深「…良いんですか?」 京太郎「えぇ。丁度、俺も暇していますし」 京太郎「それに何を隠そう。俺は迷子探しの達人なので!」ドヤァ 尭深「……え?」 京太郎「…………すみません。滑っちゃいましたか」 尭深「あ、いえ…その、ごめんなさい」 尭深「ちょっとびっくりしちゃって反応が…」 尭深「…あの…達人さんなんですか?」 京太郎「…まぁ、達人と呼べるほど大したものじゃないですけど」 京太郎「でも、日常的に迷子になる幼馴染がいるんで、迷子探しには慣れてます」 尭深「…そっちもですか」 京太郎「そっちも?」 尭深「…はい。その…身内の恥を晒すようで恥ずかしいのですが」 尭深「こっちにも一人、迷子の常習犯がいまして…」 尭深「その人は何とか全員で監視して迷子にならずに済んだのですが…」 尭深「結果、もう一人の監視が薄くなってしまって」 京太郎「あぁ、なるほど」 京太郎「それで白糸台としてもそっちの監視が必要であんまり人員を裂けないって感じですか」 尭深「…ご存知だったんですか?」 京太郎「この会場にいる奴で、白糸台の制服を知らない奴はモグリですよ」 京太郎「ついでに貴女の事も知っていますよ」 京太郎「そのおっぱいは渋谷尭深さん…ですよね」キリ 尭深「…おっぱい?」 京太郎「(…は、しまった…!?)」 京太郎「(あ、あんまりにも素晴らしいおっぱいだったんだ口が!口が素直に!!)」 京太郎「…ごめんなさい。口を滑らせてしまいました」 尭深「…ふふ。ユニークな方なんですね」クス 尭深「よろしければ、貴方のお名前を聞かせてもらって良いですか?」 京太郎「あ、清澄一年の須賀京太郎です」 尭深「清澄…?」 尭深「(…照さんと同じ名字の子が大将で…特に気にしてたあの…)」 京太郎「まぁ、清澄なんて言われても分かんないですよね」ハッハッハ 尭深「ううん。知ってますよ」 京太郎「マジっすか」 京太郎「やっべぇ。初出場だからあんまりマークされてないと思ったのに…」 京太郎「流石ですね、渋谷さん…!」 尭深「まぁ、地方予選に出てくる学校の数なんて知れてますから」 尭深「それにあの魔境・長野を勝ち抜いてきた学校となれば当然、チェックもしてます」 京太郎「あ、やっぱ外でも魔境扱いなんですか」 尭深「うん。…と言うか、地方予選決勝、すごかったですよね」 尭深「去年より強くなってた龍門渕と言い、ダークホースの鶴賀と言い、名門の風越と言い…」 尭深「何処が勝ち上がってきてもおかしくなかったと思います」 京太郎「そう言って貰えると有り難いっす」 京太郎「清澄が勝ち上がったことで長野が弱くなった…なんて事言う人もいますし」フゥ 京太郎「あ、いや、まぁ…敵である白糸台さんには油断しててもらった方が嬉しいんですけど」ワタワタ 尭深「…ふふ」 尭深「やっぱり須賀くんって面白い人ですね」 尭深「ううん、ただ面白いだけじゃなくて、とても学校思いで良い人」クス 京太郎「あー…ぅ」カァァ 尭深「…もしかして照れてます?」 京太郎「そりゃ面と向かって言われたら照れますよ」 尭深「…可愛い」 京太郎「うーあー…!」カァァァ 京太郎「そ、それよりもアレっすよ、アレ!」 尭深「アレ?」 京太郎「俺の方が年下なんて敬語とかいらないっす」 京太郎「気軽に京ちゃんって読んでくれても良いんですよ?」 尭深「…うん。じゃあ、京ちゃん」ニコ 京太郎「ごふ」 尭深「ど、どうかしたの?」ビックリ 京太郎「…いや、何処ぞの貧乳幼馴染と違って、破壊力が凄いな、と」 尭深「…そんなにおっぱいが好きなの?」 京太郎「大好きです」キリリ 尭深「そうなんだ…変わってるね」 京太郎「…変わってますか?」 尭深「うん。男でおっぱい好きなんてあんまり聞いたことないよ」 尭深「まぁ…私自身、あんまり男の人と面識ないけど」 京太郎「あー…白糸台って女子校ですもんね」 尭深「うん。まぁ…麻雀は好きだから白糸台に進んだことは後悔してないけど…」 尭深「…たまーに自分の灰色の青春が気になる事も…」ズーン 京太郎「(…そうか。女子校って事は、俺の感覚で言えば、男子校みたいなもんだし…)」 京太郎「(周り皆が男の中、青春を終えるって思ったら、そりゃ凹むよな)」 京太郎「…でも、ほら、俺とこうして友達になれたじゃないですか」 尭深「…え?」 京太郎「あ、馴れ馴れしすぎました」 尭深「う、ううん。そんな事ないけど…良いの?」 京太郎「昔の偉い人も、一度会ったら友達で毎日会ったら兄弟だって言ってますしね」 尭深「…それNHKじゃなかった?」 京太郎「細かい事は良いんです。大事なのは自分が感銘を受けたかどうかって事ですし」キリ 京太郎「それにまぁ、おっぱい大きい渋谷さんとならこっちの方がお友達になってほしいくらいですし!」 尭深「…もう。そんなにおっぱい好きなんだ」クス 尭深「…………じゃあ、触ってみる?」 京太郎「え?」 尭深「あ、勿論、服の上からだよ?」 尭深「直接、触られるのは流石に恥ずかしいし」 京太郎「い、いや…ふ、服の上からって…)」 京太郎「(って、それでも十分ヤバイんですけど!?)」 京太郎「(つーか、どうなってんの!?これホント、どうなってんのよ!?)」 京太郎「(おっぱい好き公言してたら、初対面の美少女に触っていいって言われるとかホントマジそれどんなエロゲ!?)」 京太郎「ほ、本当に良いんですか…!?」 尭深「うん。別に減るものじゃないし」 京太郎「(な、なんという痴女…!!)」 京太郎「(おとなしそうな顔してコレとかもうヤバイっすわ)」 京太郎「(股間にギュンギュンくる…って言うか…正直、辛抱堪らん…!!)」 京太郎「(正直、何も考えずパイタッチしてしまいたい…!)」 尭深「(…触ってくれるかな?)」 尭深「(正直、こんなに大きく育ったおっぱいとか…あんまり良いものじゃないと思うんだけど)」 尭深「(でも、これだけフェチ公言してるなら…きっと触ってくれるはず)」 尭深「(…と言うか、触ってくれないとちょっと凹むかも)」 尭深「(おっぱいフェチの美男子とか…絶滅危惧種に近いくらいだし)」 尭深「(正直…結構、触れてもらえるのに期待しちゃってる私がいたりして…)」ドキドキ 京太郎「じゃ、じゃあ…ちょっとだけ…」プニ 尭深「ん…♪」ピクン 京太郎「(うぉおお!うぉおおおおお!!)」 京太郎「(分かる!分かるぞ…!!)」 京太郎「(服とブラ越しだが…はっきりと分かる!!)」 京太郎「(この柔らかさ…!おっぱいだ!!)」 京太郎「(俺の探し求めていたおっぱいがここにある…!!)」 尭深「(…京ちゃん、凄い顔しておっぱい突いてる…)」 尭深「(本当にこの子おっぱいフェチなんだ…)」 尭深「(すっごい可愛い…出来ればこのままお持ち帰りしたいくらい…)」 プルルル 尭深「」ビクッ 京太郎「あ…っと」ハッ 尭深「(…もう。良いところだったのに…)」 尭深「…はい。もしもし」 尭深「…え?淡ちゃん見つかった?」 尭深「うん…うん…」 尭深「…あぁ、そうなんだ」 尭深「暇になって抜けだした…と…」 尭深「淡ちゃんらしいね」クス 京太郎「(…くぅぅ…良いところだったのに!)」 京太郎「(我が世の春がそこにあったはずなのにいいいい!!!)」 京太郎「(…まぁ、でも、おかげで少し冷静になれた)」 京太郎「(実際触っても、特に表情、エロいって感じじゃなかったし)」 京太郎「(多分、女の子にとっておっぱいは以前ほど大事なセックスアピールじゃないんだろう)」 京太郎「(つーか、その価値観が大分、男に近くなってる事を考えれば…)」 京太郎「(男で言う筋肉とか…そういう感じなのかもしれない)」 京太郎「(実際、初対面なのにあっさり触らせてもらえたしな)」 京太郎「(だから…)」 京太郎「(…その気になれば、その辺の女の子の胸も触らせて貰えるんじゃないか?)」 京太郎「(いや、仲良くなっていけば、触るだけじゃなくて揉ませて貰う事だって…)」ゴクッ 京太郎「(って…お、俺は何を考えてるんだよ…!)」 京太郎「(この世界は俺の所為でおかしくなってるんだぞ…!)」 京太郎「(そんな世界で役得を味わおうなんざゲスにもほどがある…!)」 京太郎「(今の事は忘れてしまおう…うん、忘れろ忘れろ)」 京太郎「(…………まぁ、でも、今の感触で一回くらいオナニーしても…)」 尭深「…京ちゃん」 京太郎「ひゃいっ」ビクッ 尭深「…どうしたの?」 京太郎「あ、いや、何でもないっす。本当に」シドロモドロ 尭深「…そう?なら良いけど…」 尭深「後、ごめんなさい。探してる子が見つかったから私もそろそろ戻らないと」 京太郎「あ、そうですか」 京太郎「俺は何もしてないですけど、見つかったようで何よりです」 尭深「うん。ありがとう」ニコリ 尭深「…それで…ね」 尭深「あの…おっぱい触ったからって訳じゃないけど…その…」モジモジ 京太郎「…えっと、連絡先、交換します?」 尭深「っ、い、良いの!?」 京太郎「良いも悪いも、俺も渋谷さんと交換したかったですし」 京太郎「渋谷さんさえ良ければ、またお話もしたいですから」 尭深「…私もだよ」 尭深「私も…京ちゃんともっともっとな…仲良くなりたいし…」カァァ 京太郎「はは。じゃあ、お揃いですね」 尭深「ぅん…」コクン 京太郎「じゃあ、もっと仲良くなる為にさっさと交換しましょうか」 京太郎「あんまり待たせちゃうと渋谷さんの方が迷子扱いされちゃうかもしれませんし」 尭深「…流石にそれは嫌だなぁ」 尭深「だから…うん。交換お願いします」スッ 京太郎「喜んで」スッ 咏「はぁー…」 咏「(まったく…何も開会式からプロが出なくても良いと思うんだけどねぃ)」 咏「(解説の本番は明日からなんだし、打ち合わせとかも当日で良いじゃん)」 咏「(なのに見栄の為にもう出勤させられるとか…ホントわっかねー)」 咏「(…まぁ、一応、ギャラは発生するからちゃんとお仕事するけどさー)」トテトテ 尭深「ん…♪」 京太郎「おぉぉぉ…」 咏「(…ってなんだよ、あのカップル)」 咏「(こんなところで胸なんか触らせてさー)」 咏「(こっちは万年貧乳かつ喪女だってのに…魅せつけるなんて)」 京太郎「…」ゴクッ 咏「(…ってか、男の方、結構、格好良いよなぁ)」 咏「(まぁ、流石に夏場だって言っても、第二ボタンまで開けてるのはちょっと恥じらいがなさすぎるけど)」 咏「(でも、愛の無いお付き合いをするには悪くない相手かもねぃ)」 咏「(…ま、こっちは処女だけどさ!!)」 咏「(でもさ、一応、腕力としてはこっちの方が強い訳だし)」 咏「(無理矢理、手錠でもハメて、驚いてるところを唇奪って…)」 咏「(そのまま顔中ベタベタにする勢いでなめまわしながら、服の中にてぇ突っ込んで…)」 咏「(乳首とか色々と触りながら前戯して、勃起したら即座に合体)」 咏「(そのまま処女穴で射精するまで何度も何度も生レイプ…)」 咏「(…うん。良いね、すっごく良い)」 咏「(あんなに大きな身体の男が私の下で泣きじゃくりながらよがり狂うの想像しただけで…)」 咏「(子宮からドロドロっとしたのが漏れでて来ちゃうくらい…)」 咏「(…………ってあれ?)」 咏「(なんであの二人、連絡先交換してんの?)」 咏「(…え、もしかして私、援交現場とか見ちゃってる?)」 咏「(なんて羨ま…い、いや、違う。そうじゃない)」 咏「(…とりあえず観察して……)」 咏「(ふーん…なるほど)」 咏「(…あの二人、まだ出会ったばっかりなんだ)」 咏「(あの男も…出会ったばっかりなのに…あんな事するような淫乱なんだ…)」キュン 咏「(だったら…)」ゴクッ 尭深「…じゃあ、京ちゃん、またね」 京太郎「えぇ、また」 京太郎「(ふっふっふ…やったぜ、俺)」 京太郎「(これで俺の持つ巨乳連絡先が一つ増えたぞ!!)」 京太郎「(…まぁ、増えたところでどうこうなる訳じゃないんだけどさ)」 京太郎「(まだ友達にはなったばかりでお互いに恋愛感情はない訳だし)」 京太郎「(だが、巨乳の連絡先と言うだけで、俺にとっては黄金に値するほど尊い…!!)」 京太郎「(これを縁に仲良くなって、今度はあのおっぱいを直接触ったり…)」グヘヘ 咏「見ちゃったぞー」 京太郎「うぇ?!」ビクッ 京太郎「ってみ、三尋木プロ!?」 咏「って、私の事知ってるんだ」 京太郎「そりゃ当然じゃないですか」 京太郎「日本でもトップクラスの女子プロとなれば、顔と名前くらい覚えてますよ」 咏「そっかそっかー」 咏「若いのに関心だねぃ君」ケラケラ 咏「(…こりゃ思いの外、簡単に食べられちゃうかもねぃ)」ペロ 咏「ところで君はどうしてここに?」 咏「今日は女子の開会式だぜ?」 京太郎「あ、俺は付き添いです」 京太郎「俺の通ってる学校…えっと、清澄って言うんですけど」 京太郎「そこが今日の開会式に出るんで」 咏「清澄清澄……あぁ、長野の?」 京太郎「えぇ。そうです」 京太郎「ご存知なんですか?」 咏「まぁ、これでもプロだからねぃ」 咏「わっかんねー事は沢山あるけど、調べ物は欠かさないぜ」 京太郎「すげー…っ」キラキラ 咏「(…なんて純真な目)」 咏「(淫乱そうな見た目とは裏腹に、割りと清純派なのか?)」 咏「(…まぁ、どっちにしろ…超そそる)」ゾク 咏「(こんな子を穢すと思っただけで…もう今日は眠れなくなっちゃいそうだよ…)」 咏「しかし、清澄の男子は…」 京太郎「あぁ。俺は初戦敗退でインハイには来れなかったッス」 京太郎「まぁ、初めて数ヶ月ですし仕方ないんですけどね」 京太郎「でも、来年は必ず自分の足でここにやってきてみせますよ」 咏「(これは…チャンス…!)」キュピーン 咏「ほうほう。最近の男子にしちゃ随分とやる気に満ちてるねぃ」 咏「気に入ったよ、それだけやる気があるなら私が直接指導してあげる」 京太郎「ま、マジっすか!?」 咏「うんうん。まぁ、私も解説の仕事とか色々とあるけれど…」 咏「インハイが終わるまではあっちこっち飛び回ったりはしないからねぃ」 咏「君一人の指導くらいはしてあげられるよ」 京太郎「で、でも…ほ、本当に日本のトッププロが俺なんかの為に…」 咏「後進の育成もプロの務めだよ」 咏「それにわっかんねーけど、君には見どころがありそうだしねぃ」 京太郎「ほ、本当ですか!?」パァァ 咏「(…うん。まぁ、精液奴隷としての見どころだけどねぃ)」 咏「(麻雀の腕?そんなの本気でわっかんねー)」 咏「(一喜一憂するこの子をどう穢すかで頭が一杯で、麻雀の実力なんかまったくこれっぽっちもわっかんねー)」 咏「で、良ければ私とも連絡先を交換しない?」 咏「こっちの都合が良い時になるけれど、指導してあげるぜぃ」 京太郎「お、お願いします!」ペコ 咏「(…掛かった…!)」 咏「(ふふ…これでこの子は半分、堕ちたも同然…)」 咏「(まぁ、今日はこのままお仕事だから、そのままパクリって訳にはいかないけどさ)」 咏「(でも、さっき私が言った通り…時間をつくる事は可能なんだから)」 咏「(今日は肉が熟成するのを楽しみに待ちながら…)」 咏「(思いっきり部屋でオナニーでもしよう)」ジュン 京太郎「ふんふふんふんふーん」スキップ 京太郎「(やべー。今日マジやっべー)」 京太郎「(東京に来て一日目でおっぱい美少女のおっぱい触った上、知り合いになって…)」 京太郎「(さらには日本のトッププロから直接指導を受けられるようになったなんて…!)」 京太郎「(東京ってすげぇよ…マジチャンスの宝庫だよ…!)」 京太郎「(やっぱり若い内は無理をしてでも東京出てチャンスをつかむべきなんだな…!)」ルンルン ツル 京太郎「っ!?」 京太郎「(って、しまっ!?)」 京太郎「(床すべ…ワックス…!?)」 京太郎「(ダメ、止まれな…)」 由暉子「…ん?」 京太郎「(前…人…!?逃げ……!!)」 由暉子「ひあ…!?」ガツン 京太郎「ぬぉあ…!!」ドシン 京太郎「い…ててて…」 京太郎「(…くっそ…ワックスか何かが残ってたのか…)」 京太郎「(アソコだけやけに滑って…人にぶつかってしまったじゃねぇか)」 京太郎「(…まぁ、何とか反応間に合って俺の方が下になれたけれど…)」 由暉子「………」ウマノリ 京太郎「(って口で愚痴ってる場合じゃないよな)」 京太郎「(ほぼ曲がり角での事故だったとは言え、俺が巻き込んだのは事実なんだし)」 京太郎「(まずこの子にお詫びしないと…)」 京太郎「あ、ごめんなさい」 由暉子「あ、いえ、こちらこそごめんなさい」ペコ 京太郎「え…?」 由暉子「…この態勢…所謂、ToLoveってしまったと言う奴です」 京太郎「(…あー…まぁ、確かに服さえなければ騎乗位っぽい態勢になってるけど)」 由暉子「なので、私は責任をとらなければいけません」 京太郎「はいぃ!?」 京太郎「(責任!?一体、何の!?)」 由暉子「大丈夫です。安心して下さい」 由暉子「不慮の事故とは言え、私は責任逃れするつもりはありませんから」 由暉子「この子と一緒に強く生きていきましょう、アナタ」サスサス 京太郎「ちょ、ま!?待って!待ってください!!」 由暉子「…?」クビカシゲ 京太郎「あ、可愛い」 由暉子「…いきなりそんな事言われると恥ずかしいです」 由暉子「出来れば、そういうのはベッドの中で…」モジ 京太郎「あ、う、動かないで!そ、そこ真上だから!!」 京太郎「って言うか、その早くどいてくれると嬉しいんですが…!!」 由暉子「……そうですね」 京太郎「(何故、今、一瞬の躊躇があったのかは聞かないでおこう)」 由暉子「…まずは役所に婚姻届を出しに行かなければいけません」 京太郎「どうしてそう飛躍するんですか…!」 由暉子「幸せな未来に羽ばたかなければいけないので」 京太郎「誰が上手いこと言えと…!!」 由暉子「上手い事…?」キョトン 京太郎「しかも、素かよ!くっそ可愛いなぁ、マジで!!」 由暉子「…」テレテレ 京太郎「…まぁ、それはさておきですね」 由暉子「はい」 京太郎「そろそろ本気でどいてください」 由暉子「…このままじゃダメですか?」 京太郎「ダメです」 由暉子「…そうですか。残念です」 京太郎「(…ふぅ。渋々って感じだけどのいてくれたか…)」 京太郎「で、まずお聞きしたいんですが」 由暉子「あ、私は有珠山の一年、真屋由暉子といいます」ペコリ 京太郎「これはご丁寧に」 京太郎「俺は清澄の一年、須賀京太郎です」ペコリ 由暉子「…なるほど。同い年なんですね」 由暉子「安心しました」 由暉子「これで二人一緒に大往生を迎えられる可能性がグっと上がりましたし」 京太郎「とりあえず結婚から離れて下さい」 由暉子「…でも、私が押し倒してしまった訳ですし」 由暉子「現実は少女漫画のように甘くはないのですからちゃんと責任をとるべきだと思います」 京太郎「その責任感の強さは魅力的ですが、今は発揮しなくて大丈夫です」 由暉子「…魅力的ですか」テレテレ 京太郎「はい。ですが、個人的には後ろの方をより注目してくれると嬉しかったです」 由暉子「ちなみに須賀くんは男の子と女の子はどれだけ欲しいですか?」 京太郎「男1女1が理想だと思ってますが、結婚の話題からそろそろ離れて下さいお願いします」 由暉子「そうですか。私も同じです」 由暉子「やっぱり私達、相性が良いですね」 京太郎「はい。真屋さんほどの美少女と相性が良いのは俺も嬉しいですが、とりあえず話を先に進めましょう」 由暉子「あ、私は由暉子で結構ですよ。後、敬語も必要ありません」 京太郎「いえ、お願いですから敬語でいかせてください」 由暉子「……須賀くんは意地悪です」 京太郎「寧ろ、俺は今、人生で最も寛容だと言っても良いと思います」 京太郎「後、押し倒したとかそういうの気にしなくて良いですよ」 京太郎「つーか、ぶつかったのはこっちの方なんですから」 京太郎「真屋さんは被害者です」 由暉子「…そう言えばそうでしたね」 京太郎「(普通に忘れてたのか、この人)」 由暉子「男の人を押し倒してしまったって事で頭が一杯でした」 京太郎「あー…その、ホント、ごめんなさい」ペコ 由暉子「謝らなくても大丈夫です」 由暉子「…と言うか、須賀くんの方こそ大丈夫でしたか?」 由暉子「私の下敷きになって重かったのでは…」 京太郎「いや、重いなんて事はなかったですよ」 京太郎「買い出しの荷物の方がよっぽど重かったくらいです」 由暉子「……そうですか」テレ 京太郎「(…女と男の価値観なんかが逆になってる感じだけど…)」 京太郎「(やっぱり今でも女の子はこの辺、気になるもんなんだな)」 京太郎「(ただ、真屋さんは本当に軽かったし、気にするほどでもないと思うんだけど)」 京太郎「(…つーか、身体もびっくりするほど小さいし、もっと食うべきだって言っても良いと思うんだよな)」 京太郎「(そうすれば和並の巨乳もさらに大きく…ってそれはさておき)」 京太郎「真屋さんの方は怪我とかありませんか?」 由暉子「はい。須賀さんが庇ってくれたおかげで何ともないです」 由暉子「…女としては情けない話ではありますが」 京太郎「いやいや、そんな事気にしないでください」 京太郎「大体、真屋さんは有珠山の選手でしょう?」 京太郎「それが怪我で牌を握れなくなった…なんて事になったらこっちの方が申し訳なくなっちゃいます」 由暉子「ご存知だったんですか?」 京太郎「勿論です。これでも全国に出てくる学校は全てチェックしてますから」 京太郎「(…世界が変わってから買い出しに行かされなくなって暇になったからなぁ)」 由暉子「それは素直に嬉しいですね」 京太郎「はは。まぁ、俺は敵側の人間なんで、素直に応援してあげる事は出来ませんけれど」 由暉子「敵…?」 由暉子「…………あれ、もしかして男の人じゃなくて女の人だったんですか?」 京太郎「男です」キッパリ 由暉子「そうですか。安心しました」 由暉子「こんなに可愛い女の子がいたら、ちょっと太刀打ち出来ないので」 京太郎「いや、俺は可愛いとは縁遠い気がしますよ」 京太郎「と言うか、太刀打ちって一体、何ですか?」 由暉子「有珠山は打倒瑞原はやりを掲げていますので」 由暉子「ゆくゆくは牌のお姉さんの座を奪うのが目標…らしいです」 京太郎「らしいって」 由暉子「個人的にはあまり興味がないものですから」 由暉子「ただ、皆と色々な事をするのは楽しいですし…」 由暉子「何より、先輩たちには返しきれないほどの恩があります」 由暉子「それを返すためにも全力で取り組む所存です」 京太郎「(…あぁ、なるほど)」 京太郎「(この子、ちょっと変…と言うかかなり天然入ってるけど)」 京太郎「(でも、一生懸命で友達思いの良い子なんだな…)」 京太郎「(さっきその独特の勢いにびっくりして敬語のままで…なんて言ったけれど)」 京太郎「(ちょっと悪い事をしてしまったかもしれない)」 由暉子「まぁ、そういう訳なので、今はこのインハイで目立とうと思っているんですが」 京太郎「ですが?」 由暉子「…ちょっと不安もあります」 由暉子「ここに来て周りを見れば私よりも可愛かったり綺麗な子ばっかりで」 由暉子「そんな人達の中で、一際目立つ事が出来るのかな…と」 由暉子「先輩たちは私ならば大丈夫だと言ってくれていますが…」 京太郎「…大丈夫ですよ」 由暉子「え…?」 京太郎「真屋さんは色々と独特な雰囲気のある人ですから」 京太郎「そのまま自然体でいれば、人の目も惹くでしょうし」 京太郎「何より、貴女はとても可愛くて魅力的です」 京太郎「顔立ちも整っていますし、スタイルだって抜群じゃないですか」 京太郎「正直、うちの貧乳幼馴染にも分けてあげて欲しいくらいですよ」 由暉子「…ごめんなさい、流石にそれは無理です」 京太郎「分かってます、言葉の綾ですから」 京太郎「まぁ、何はともあれですね」 京太郎「俺が言いたいのは真屋さんならインハイで一番目立つのも不可能じゃないって事ですよ」 京太郎「それは他の出場校全部をチェックしている俺が断言します」 由暉子「…須賀さん」 京太郎「まぁ、麻雀ではウチも負けませんけどね」 京太郎「こっちの雀士は粒ぞろいですから」 京太郎「アイドル勝負では負けても、麻雀では勝ってみせます」 由暉子「…ダメですよ」 由暉子「アイドル勝負でも麻雀でも…勝つのは私達、有珠山です」 由暉子「先輩たちはとっても欲張りで…そして頑張り屋なんですから」 由暉子「清澄がどれだけ強かろうと、私達が優勝してみせます」 由暉子「……でも」 京太郎「ん?」 由暉子「…ありがとうございます、須賀さん」 由暉子「こんな事先輩達には言えなかったので、少し…いえ、とても気が楽になりました」ニコ 京太郎「(うぉお…や、やべぇ…今の笑みドキッとした…)」 京太郎「(さっきまでほとんど表情が変わらなかったのに、この瞬間だけ子どもみたいに嬉しそうにして…)」 京太郎「(こんなの絶対反則だろ…!)」 由暉子「…須賀さんは不思議な人ですね」 京太郎「そ、そうですか?」 由暉子「はい。初対面の私がついつい弱音を漏らしてしまったのもそうですけど…」 由暉子「私が男性器に触れてしまったのにあっさりと許してくれるなんて…」 京太郎「その話はもう忘れましょう」 由暉子「…責任とらなくて良いですか?」 京太郎「とらなくて大丈夫です」 由暉子「……やっぱりこういう事に慣れてるんですか?」 京太郎「慣れてません」 由暉子「じゃあ、責任…」 京太郎「話題、ループしてますよ」 由暉子「…じゃあ、せめて連絡先だけでも聞かせてもらえないですか?」 京太郎「連絡先…ですか?」 由暉子「はい。さっき励まして貰ったお礼もしたいですし」 由暉子「それに生殖器同士で接触してしまった縁をここで終わりにするのも寂しい話ですから」 京太郎「接触はしてません」 京太郎「って言うか、それお願いですから他の人に言わないで下さい」 由暉子「……ダメですか?」 京太郎「ダメです」 京太郎「…まぁ、でも、連絡先交換してくれるのであれば、喜んでお受けしますよ」 京太郎「他の部員と違って、俺、麻雀弱いんで色々とアドバイスなんかも欲しいですし」 由暉子「私で良ければ何時でもお付き合いしますよ」 由暉子「ネト麻のアカウントも持っていますから対局も可能です」 京太郎「あ、じゃあ、そっちもまた聞かせてください」 由暉子「はい。勿論です」 京太郎「…はい。登録完了っと」 京太郎「…あ、そう言えば、真屋さんはどうしてここに?」 京太郎「そろそろ開会式も始まる頃だと思うんですが」 由暉子「………あ、そう言えば」 京太郎「そう言えば?」 由暉子「…私、トイレに行こうとしてたんでした」 京太郎「え?」 由暉子「……思い出したら尿意が」ブル 京太郎「ちょ、ストップ!ストップです!真屋さん!!」 京太郎「ここでやっちゃうと色々とアウトですから!!」 由暉子「頑張ります」 由暉子「…でも、トイレってどっちの方角にありますか?」 京太郎「…俺が入り口まで案内しますね」 由暉子「宜しくお願いします」フルフル ~インハイ会場~ 京太郎「(って訳でインハイもスタートした訳だけれど)」 京太郎「(あんまり俺がやる事がある訳じゃないんだよなぁ)」 京太郎「(勿論、俺の立ち位置はほとんどマネージャーだし、色々とサポートする事はあるけれども)」 京太郎「(でも、皆が見れない試合を見に行くくらいで牌譜作りとかを任されてる訳じゃなく)」 京太郎「(暇って程じゃないけれど…なんとなく手持ち無沙汰って言うか)」 京太郎「(もうちょい色々とやらせてくれても良いんだけどなぁ)」 京太郎「(気遣ってくれるのは有り難いんだけれど、俺だって皆の事をもっとサポートしたい)」 京太郎「(まぁ、とりあえずタコス娘のタコスは俺でも作れるようになったし)」 京太郎「(わざわざ外に補給しに行かなくても良くなったって言うのは大きいはずだ)」 京太郎「(これを期にまたいろんなことを任せてくれれば良いのになぁ…って)」 ネリー「んーっ!」ノビー 京太郎「(…あの特徴的な服は…)」 京太郎「…どうしたんです?」 ネリー「え?」 京太郎「もしかしてボタン届きません?」 京太郎「俺で良ければ押しましょうか?」 ネリー「…あ、じゃあ、そこの剛拳武茶って奴を…」 京太郎「はい」ピッ ガコガコン ネリー「ありがとう。助かった」ニコ 京太郎「いえいえ」 京太郎「じゃあ、俺はこれで」 ネリー「あ、ち、ちょっとまって」 京太郎「はい?」 ネリー「……」ジィィィ 京太郎「(…なんで俺は自販機の前にいた合法ロリを助けたらじっと見つめられているんだろう)」 京太郎「(しかも、視線に隙がない…って言うか、思いっきり値踏みされてるみたいな感じだし…)」 京太郎「(…とりあえず相手は臨海の大将だって事は分かるけど…何か気に障ってしまったんだろうか)」 ネリー「うーん……分かんない」 ネリー「…資産レベルは中金持ちってところだと思うのに…」 ネリー「なんでこんなにヤバイ匂いがするのかなぁ…」 京太郎「…え?」 ネリー「ねぇ。君のところって何かすっごいお宝とかない?」 ネリー「それも…多分、普通の資産では換算出来ないような奴」 京太郎「そんなものあるはずが…」 京太郎「(…いや、あるわ)」 京太郎「(結局、封印出来ないまま放置してたあの石版)」 京太郎「(今は実家のタンスに幾重にも布被せて隠してはいるけれど…)」 ネリー「…へぇ、あるんだ」ニヤ ネリー「ね、ちょっと色々と『お話』しない?」 京太郎「い、いや、俺、ちょっと忙しいんで…」 ネリー「忙しいって言っても、どうせ他校の偵察かなんかでしょ?」 ネリー「それなら大丈夫。私も同じだから」 ネリー「良ければ、色々と解説してあげたりもするよ」 京太郎「う…」 京太郎「(…確かにそれは魅力的だ)」 京太郎「(ド素人の俺とは違って、この人はあの名門臨海の大将)」 京太郎「(いずれ世界でも活躍する事を約束されている若手ホープなんだ)」 京太郎「(その人が解説してくれるとなれば、俺一人で色々と見て回るよりも効率が良い)」 京太郎「(それは…俺も分かってるんだけど…)」 ネリー「…どうどう?」 ネリー「『お話』するだけでこんなにサービスして貰えるなんて滅多にないよ?」 ネリー「普段ならお金取るからね!それもガッツリ!」 京太郎「どんだけ守銭奴なんですか」 ネリー「そりゃ未来のトッププロの解説だもん」 ネリー「安売りしちゃ相場崩して他のプロにも迷惑掛けちゃうしね」 ネリー「それくらい当然です」キリリ 京太郎「(…それっぽい事言ってるけど、確かこの人、まだプロじゃなかったんだよなぁ)」 京太郎「(それにまぁ…性格的にどう考えても守銭奴だし)」 京太郎「(多分、この人、まず何よりお金が好きってタイプだ)」 ネリー「あ、それと私に敬語使わなくても良いよ」 ネリー「もうわかってると思うけど、私一年だから、多分、同い年か、君の方が年上だから」 ネリー「呼び方もネリーで良いし」チラッ 京太郎「(…だから、話しようぜって事ですね分かります)」 京太郎「……分かったよ」フゥ ネリー「ホント!?」パァ 京太郎「あぁ。…でも、家の資産の事とか突っ込まれても応えられないからな」 京太郎「流石にそこまでは俺も知らないし」 ネリー「大丈夫。流石にそこまでは聞いたりしないよ」 ネリー「ただ、ちょっとお話して仲良くなって…それからちょっと調べるだけだから」ニヤリ 京太郎「…調べるって?」 ネリー「日本って便利だよね」 ネリー「お金は掛かるけどこーしんしょってところでほとんど資産が丸裸になっちゃうんだから」ニッコリ 京太郎「こえぇ…」 京太郎「(…なんだ、この合法ロリ)」 京太郎「(普通の高校生と発想が違うぞ)」 京太郎「(まぁ、外国育ちだから、価値観が違うのも当然かもしれないけど…)」 京太郎「(普通の高校生で興信所の事しってる奴なんてどれだけいるんだってレベルだと思うんだが…)」 ネリー「それに私はあんまり君のトコの資産には興味ないし」 ネリー「これでも色々とパトロンもいるから、大金持ちレベルとの付き合いもあるしね」 ネリー「中金持ちレベルだって分かってる君のところを調べて無駄金使いたくないもん」 京太郎「…ちなみにそれ何で分かるんだ?」 ネリー「え?匂い」 京太郎「こえぇよ、マジで」 ネリー「えー。なんとなくだけど分かるでしょ」 ネリー「お金の匂いとかそういうの」 京太郎「いや、普通は分からないし、分かったとしても相手のレベルを判断出来るレベルじゃないと思う」 ネリー「まったく…これだから平和ボケしてる日本人は」 京太郎「平和ボケは関係ねぇよ」 ネリー「むむむ…」 京太郎「何がむむむだ」 ネリー「まぁ、私が興味あるのは君の家の資産以外」 ネリー「それも私がビビビって来るような何かだけだから安心して」 京太郎「まったく安心出来ねぇよ」 ネリー「あ、もしかして私の事好きになった?」 ネリー「ダメだよ、私の事、好きにしたいならせめて大金持ちレベルになってくれないと」 京太郎「安心してくれ。貧乳にはまったく興味はない」 京太郎「(…ただ、どうしてだろうな)」 京太郎「(あまり人を見る目があるってつもりはないんだけれど…)」 京太郎「(この子はあんまり悪い子には見えない)」 京太郎「(まぁ、確かに守銭奴だし、価値観が違うって感じる事も多いけれど)」 京太郎「(でも、ここまでオープンだといっそすがすがしいって言うかさ)」 京太郎「(ちょっと変わった子ではあるけれど…まぁ、嘘のつけない子ではあるんだろう)」 京太郎「(まぁ、その価値観が独特ではあるから、色々と警戒が必要だけれども)」 京太郎「(こんな子にあの石版の事知られたらどうなるか分からないからなぁ…)」 京太郎「ま、それよりもそろそろ行こうぜ」 京太郎「あんまりここにいて試合始まっちゃ偵察の意味がなくなるし」 ネリー「そうだね。ってあ、そうだ」 京太郎「ん?」 ネリー「私、まだ君の名前聞いてない」 京太郎「あぁ。須賀だよ」 京太郎「清澄一年の須賀京太郎」 ネリー「あ、じゃあ、やっぱり同い年なんだ」 ネリー「多分、そうだと思って普通に話してたけどちょっぴり安心した」ニコ 京太郎「(…この子、守銭奴な癖に笑顔だけは綺麗なんだよなぁ)」 京太郎「(ロリロリしい外見に相応しい純真な笑みにころっと騙されそうに…)」 ネリー「…後、名前もあっさり教えてくれたし…これで調べるキッカケも出来たよ」ニヤリ 京太郎「ホント、油断も隙もねぇのな」 ネリー「ふふーん。油断する方が悪いんだよー♪」 京太郎「(…で、まぁ、色々と話しもしていたけれど)」 京太郎「(なんつーか、思った以上に常識的な話しかしなかった)」 京太郎「(まぁ、勿論、油断も隙もないのは確かなんだけれども)」 京太郎「(でも、思ってた以上に踏み込んだ話はしなかったっていうか)」 京太郎「(ごくごく普通の友人同士としての話で始終してた)」 京太郎「(本人は油断を誘う為だって言ってたけど…まぁ、そのとおりなんだろうな)」 京太郎「(実際、ネリーに用事が出来た頃には連絡先くらい交換してもいいかって気になってたし)」 京太郎「(…なんだか上手く乗せられちゃってる気がするんだけど…)」 京太郎「(まぁ、それがあんまり嫌じゃないっていうか)」 京太郎「(あっちも割りと正直で、打てば響くような会話を続けられるからそれなりに楽しかった)」 京太郎「(…まぁ、それももう終わっちゃったけど…あのネリーの事だ)」 京太郎「(まだ石版の事に何も確信を得られてないって事で、頼んでもないのに話しかけてくるだろう)」 京太郎「(それよりも今は喉が乾いてるしジュースジュース…っと)」 照「……あ」バッタリ 京太郎「あれ?」バッタリ 京太郎「(…ってアイエエエエエエ!?チャンピオン!?チャンピオンナンデ!?)」 京太郎「(いや、まぁ、一応、ここインハイ会場だし、エンカウントしてもおかしくないんだけども!!)」 京太郎「(でも、相手はチャンピオンだぞ!!去年一位だった人なんだぞ!?)」 京太郎「(まさかこんな普通の草むらみたいな場所でバッタリ会うなんて想像出来るか!!)」 照「……やっぱり京ちゃんだった」 京太郎「え?」 照「京ちゃんの匂いが尭深に染み付いてたから…きっと京ちゃんもこっちに来てると思って…」 照「一生懸命、探した甲斐があった…」ニコ 京太郎「いや、連絡先知ってるんだから、LINEの一つでもくれればよかったのに」 照「……久しぶりの再会には、やっぱりロマンが必要かなって」 京太郎「(あ、これ完全に忘れてたな)」 照「…それより久しぶり、京ちゃん」 京太郎「ですね。まぁLINEとかで連絡はしてますけど」 照「…以前に比べて連絡してくれる事は減った」 京太郎「い、いや、その…照さんも忙しいかなって思って」 照「忙しいけど、幼馴染をないがしろにするほどじゃない」 照「…………どうせ、おっぱいの大きい子に夢中になってたんでしょう?」 京太郎「い、いやぁ、んな事ないですよ、えぇ」メソラシ 京太郎「(…丁度、照さんが引っ越した時期とモモと知り合った時期が重なるけれど言わないでおこう)」 照「…隠してもバレバレ」 照「これでも私はお姉ちゃんだから」 照「京ちゃんがどういう本を何処に隠してるのかもバッチリサーチ済み」フンス 京太郎「プライバシー侵害で訴えるぞ、宮永」 照「…大丈夫。私はお姉ちゃんだから」 京太郎「それは何でも許される免罪符じゃないんだよなぁ…」 照「…それより京ちゃん」 京太郎「はい?」 照「お姉ちゃんに何か言う事ない?」 京太郎「あー…その、綺麗になりましたね」 照「…」テレテレ 照「…って違う。そうじゃない」 京太郎「あー…それじゃあ咲の事ですか?」 京太郎「知ってると思いますが、あいつもこっちに来てますよ」 照「…それも違う」 照「と言うか私に妹なんていない」スネー 京太郎「はいはい」 京太郎「じゃぁ…えっと…」ウーン 京太郎「…………すみません。分かんないっす」 照「…京ちゃんは本当にダメな弟」 照「略してマダオ過ぎ」 京太郎「マはどっから来たんだポンコツ姉」 照「そんなマダオな京ちゃんに私が応えを教えてあげる」 京太郎「聞けよ」 照「…………私の胸、2cm大きくなったよ」ドヤァ 京太郎「…………あ、おめでとうございます」 照「うん。ありがとう」 照「日頃頑張ってた成果が出ました」ニコリ 京太郎「…うん。で、それを俺に言った意味は?」 照「…京ちゃんおっぱい好きだから、大きくなった私の胸揉むかなって」 京太郎「まな板にどれだけ+してもまな板である事には変わらないんだよなぁ」 照「…」ゲシゲシ 京太郎「い、いてててっ」 照「まったく京ちゃんは素直じゃないんだから」 照「どれだけ釣らない態度をとっても私には京ちゃんの視線が胸にいってる事はお見通し」 京太郎「いや、照さん小顔だからそっち見ると自然にまな板まで視界に入るだけなんですが」 照「…」ゲシゲシ 京太郎「いてて!だ、だから脛は!脛はNGだって…!」 照「…揉みたいでしょ?」 京太郎「いや、まったく」 照「…揉みたいに決まってる」 京太郎「貧乳に興味はねぇよ」 照「揉みたいって言え」ギュルルル 京太郎「ちょ、待って!それ洒落にならない!!」 京太郎「それ絶対にダメな奴だから!!!」 照「…大体、尭深の胸を揉んだのに私の胸を揉まないとか不公平…」スネー 京太郎「貧乳と巨乳が同じ権利を享受出来ると思うなよ」 照「…私はこの日の為に頑張ってバストアップに勤しんできたのに…」 京太郎「どうせお菓子食べてたとかそんなのだろ」 照「…どうして分かったの?」 照「まさか私と離れてる間に京ちゃんがエスパーに…」ハッ 京太郎「目覚めてねぇよ」 照「…良かった」 照「私が京ちゃんに対して行ってるアレやコレやと言った妄想を知られたら生きていけない」 京太郎「俺も出来ればそれを知りたくなかったかなぁ」 照「ちなみに京ちゃんの匂いで私の下着はもうグチョグチョになってるから」 照「…後で履き替えるけど、今のショーツいる?」 京太郎「いらねぇよ!!!」 照「一応、シルクのだから扱き心地は良いと思うよ」 京太郎「そういう問題じゃねぇんだよ」 照「…………あ、すべすべよりもゴワゴワの方が好み?」 照「ごめん。私、あぁいうの肌があれて苦手だから…」 京太郎「種類の問題じゃないって言ってるダロォ!」 照「…………で、こうやって隙見せてるのに何時になったら揉んでくれるの?」 京太郎「俺はもう今の会話で完全に手一杯だったよ!」 照「…京ちゃんの癖に中々、上手な切り返し」 京太郎「そういう意味じゃないから!!」 京太郎「…と言うかアレだよ」 京太郎「久しぶりに会った幼馴染との会話がコレってどうなんだよ」 京太郎「他の男にこういう会話してないよな…?」 照「…もしかして独占欲?」クス 京太郎「寧ろ、照さんが嫁入り出来るかどうか心配してるんだよ、こっちは」 照「大丈夫。他の人の前では猫かぶってるから」 京太郎「…まぁ、記者会見とかだと結構、マトモっぽく見えるけどさ」 照「…見ててくれたんだ?」 京太郎「そりゃ…まぁ、幼馴染の晴れ舞台だしさ」 照「…そっか」ニコ 照「…でも、ごめん。私、京ちゃんの晴れ舞台とか見てなかった…」 京太郎「あぁ、うん。折角、いい話になりかけてたのに台無しになったな」 照「…だから、その分、身体でお詫びを…」 京太郎「いらねぇって言ってるだろ」 照「……京ちゃんのイケズ」 照「私…京ちゃんとズッコンバッコンするのを楽しみに今日まで待ってたのに…」 照「どうしてエッチな事してくれないの?」 京太郎「公衆の面前でそんな事言い放つ幼馴染の相手で一杯一杯だからだよ」 照「…普段は我慢してるんだからこれくらい許して欲しい」 京太郎「まぁ、それだけ信頼してくれてる事に感謝する気持ちがない訳じゃないけど」 京太郎「でも、出来れば異性って事で控えてくれると俺は嬉しいかな」 照「…まだこれは先走りだよ?」 京太郎「何故、それで例えようと思った」 照「こっちの方が京ちゃんも馴染みがあるかなって」 京太郎「うん。そういう心遣いはいらないかな」 照「…………まぁ、でも」 京太郎「ん?」 照「……こうやって私が自分を曝け出せるのは京ちゃんだけだから」 照「私が私でいて引いたりしないのは…京ちゃんだけだから」 照「だから…久しぶりに会えて…本当に嬉しい」ニコ 京太郎「照さん…」 照「…………じゃあ、再会を祝して、一緒にラブホ、行こっか?」 京太郎「せめて一分はこの雰囲気持たせろよ!!!」 京太郎「はぁぁぁ…」 京太郎「(疲れた…いや、ホント、マジ疲れた…)」 京太郎「(なんかこうアレだけ世界観が違うレベルで疲れきったわ)」 京太郎「(まぁ…決して楽しくなかった訳じゃないけどさ)」 京太郎「(初対面の他人ならともかく、相手は照さんだし)」 京太郎「(子どもの頃から見知った相手との会話はやっぱり久しぶりで…)」 京太郎「(まぁまぁ…楽しかったとそう言えるものではあったんだけど…)」 京太郎「(この前まで普通だったじゃん!!)」 京太郎「(俺が照さんと別れた時はあくまでも普通だったじゃぁああん!?)」 京太郎「(なのに、なんで再開したらオープンスケベの変態になってるんだよおおおお)」 京太郎「(いや、石版の所為なんだろうけどね!)」 京太郎「(ひいては俺の責任なんだろうけれども!!)」 京太郎「(…なんか俺が知らないだけで昔からあんな感じだったのかなぁって思うと)」 京太郎「(ちょっと…いや、結構、ショックを受けてる俺がいて…)」フゥ 竜華「…ね、そこの君」 京太郎「ふぇ?」クル 京太郎「(って、こ、この人は…!?)」 京太郎「(大阪の名門、千里山の大将…清水谷竜華さんじゃないか!!)」 京太郎「(おぉ…雑誌で見てたけど…やはり良いおっぱいだ…!)」 京太郎「(千里山はあまりおっぱい偏差値高くはないが…)」 京太郎「(その分、一人で他校のおっぱい担当と渡り合えるほどの大きさ…!!)」 京太郎「(だが…彼女が特筆すべきはおっぱいだけじゃない)」 京太郎「(生まれた時からおっぱい派閥であった俺でさえ認めざるを得ない…その太もも!!)」 京太郎「(く…思わず宗旨替えが脳裏に浮かぶほど…魅惑的なむっちりさ加減じゃないか…)」 京太郎「(これもう凶器だろ、どう考えても青少年の育成に不適切だって)」 京太郎「(18歳未満は見られないようモザイクを掛けるべきだとボクぁ思うな)」 京太郎「(…いや、それだったら余計にエロくなってダメか、うん)」 竜華「あ、あの…」 京太郎「あ、い、いや、ごめんなさい」 竜華「ううん。うちの方こそいきなり話しかけてごめんね」 竜華「その、さっきから結構、ため息吐いとるからちょっと気になって」 京太郎「あー…もしかして心配させちゃいましたか」 竜華「心配って程大したもんやないけどね」 竜華「でも、まぁ…目の前でそうため息を吐かれるとやっぱ気になるし」 竜華「何か悩み事があるんやったら吐き出していかへん?」 竜華「これでも口は硬い方やで」ニコ 京太郎「…天使だ、天使がいる」 竜華「え、えぇぇ…」カァァ 竜華「い、いきなりそんなん言われたら照れるやないの…」モジ 京太郎「(あぁ、なんて常識的な反応…)」 京太郎「(照さんで荒んだ心が癒やされていくのを感じる…)」 竜華「それに…うちは天使とかやあらへんよ」 竜華「一応、これでも下心もあって…あ、いや、その…別にナンパとかやないんやけど…」 竜華「で、でも、あの…君、可愛えぇし仲良くなれたらええなって…」 京太郎「お近づきになるどころか、もうそのまま恋人までいっちゃっても良いくらいっす」キリリ 竜華「え、えぇぇ…!?」カァァ 京太郎「はは。まぁ、流石に冗談ですけれど」 竜華「そ、そうやね。幾ら何でも早すぎやもんね…」 京太郎「でも、そんな風に気にしてくれて有難うございます」 京太郎「清水谷さんほどの美少女に気にしてもらえるなんてちょっと…いや、かなり嬉しいです」 竜華「…アレ、うちの名前…まだ名乗っとらへんよね?」 京太郎「あ、すみません」 京太郎「一応、これでも麻雀部員なのでめぼしい人はチェックしてて」 京太郎「その関係で清水谷さんの事も事前に知ってました」 竜華「そ、そうなんや…」 竜華「ちょっと照れくさいなぁ」テレテレ 京太郎「(可愛い)」 竜華「…で、君の名前は?」 京太郎「あ、申し遅れました」 京太郎「俺、清澄一年の須賀京太郎です」 竜華「あー…清澄っちゅーと、確かインターミドルチャンプの原村さんがいる…」 京太郎「です。まぁ、他にもポンコツとかタコスとか色々いますけど」 竜華「ぽ、ポンコツ?タコス…?」クビカシゲ 京太郎「あ、気にしないでください」 京太郎「清水谷さんのおっぱいに比べれば、あまりにも貧しい連中なので」 竜華「…おっぱい?」キョトン 京太郎「あ、いや、その…」 竜華「…須賀くんっておっぱい好きなん?」 京太郎「大好きです!」キリリ 竜華「へ、へぇ…そうなんや」 竜華「でも、今時、おっぱい好きって珍しい子やね」 京太郎「そうですか?」 竜華「うん。だって、今の流行りって手のひらに収まるサイズくらいやろ?」 竜華「あんまり大きすぎても見栄えが悪いっちゅーて相手はされへんらしいよ」 京太郎「何と勿体無い…!」 竜華「え?」 京太郎「良いですか!おっぱいとは宇宙の心です!真理です!!」 竜華「う、うん」 京太郎「その中には人類の夢と希望…!いや、ありとあらゆるロマンが詰まっていると言っても過言ではありません!」 京太郎「それを見栄えが悪い!?」 京太郎「手のひらサイズが流行だああ!?」 京太郎「清水谷さん、そのような流言に耳を貸す必要はありません!」 京太郎「おっぱいは常に正義! おっぱいイズびゅーてぃふる!!」 京太郎「貧乳や普乳よりも遥かに尊いのが貴女のおっぱいなんです!!!」 竜華「そ、そうなんやー…」 竜華「う、うん。まぁ…ともかく」 竜華「須賀くんがうちのおっぱいを気に入ってくれたのは良く分かったよ」カァァ 京太郎「(…ハッ、この流れ…!)」 京太郎「(昨日の尭深さんの時と同じだ…!!)」 京太郎「(さっきは意識してなかったけど…もしかしたら…)」 京太郎「(本当にもしかしたら…このまま清水谷さんのおっぱいを揉ませて貰えるかも…)」 竜華「……だーめ」カクシ 京太郎「え?」 竜華「そんな目で見ても触らしてあげへんよ」 竜華「流石に初対面の男の子にポンポン触らせるほどうちのおっぱい安くはないしね」 京太郎「ですよねー」 京太郎「(…まぁ、幾ら男と女の立場が入れ替わったってそう上手くいくはずないよなぁ)」 竜華「…まぁ、仲良くなってくれたらちょっとは考えてあげるかもしれへんけどね」クス 京太郎「な、仲良くなります!もう滅茶苦茶、仲良しになります!!」 京太郎「クレジットカードの暗証番号教える勢いで仲良くなりますとも!!」 竜華「さ、流石にそれはこっちが困るかなぁ…」 竜華「…まぁ、でも、須賀くんは本当におっぱいが好きなんやね」 竜華「さっきとは雰囲気、全然、違うよ」クス 京太郎「あー…まぁ、ちょっと色々あって気疲れしてただけですから」 京太郎「清水谷さんのおかげでおっぱいパワーも溜まりましたし元気百倍です」 竜華「ふふ。安い子やね」 竜華「じゃあ、おっぱいは触らせてあげんでもええかなー?」チラッ 京太郎「あ、すみません。俺、ちょっと今にも病院に運ばれそうなくらい元気がないんで…」 竜華「もう。流石にそんなんじゃ騙されへんよ?」 京太郎「ダメですか」 竜華「ダメでーす」クス 竜華「ま、元気になったんやったら良かったよ」 京太郎「すみません。そちらも忙しいでしょうに」 竜華「んーん。大丈夫」 竜華「うちは今、休憩中やったから」 竜華「寧ろ、ちょっと暇やったし須賀くんが通りがかってくれて渡りに船やったんや」ニコ 京太郎「なら、良かったッス」 竜華「それに…ちょっとコンプレックスやったおっぱいの事、褒めてくれたのなんて君くらいやしね」 京太郎「間違っているのは世界の方ですから」キリリ 竜華「…うん。いっそそこまで自分を信じられるのは凄いと思うよ」 竜華「それがおっぱいの事やと思うと、あんまり見習いたくはないけど」 京太郎「解せぬ」 竜華「まぁまぁ、一応、これでも2割くらいはほめとるし」 京太郎「残りの八割は?」 竜華「ドン引きしとるよ」 京太郎「ぐぬぬ」 竜華「ま、それでも須賀くんが面白い子やって言うのは分かったしね」 竜華「暇やったら君もここでちょっと一服していかへん?」 京太郎「え?良いんですか?」 竜華「うん。折角やし、色々と話も聞いてみたいしね」 京太郎「そ、そう言って俺から仲間の事を聞き出すつもりなんでしょう!?」 京太郎「俺がそのおっぱいに逆らえないって知ってて!!」チラッチラッ 竜華「うーん…」 竜華「じゃあ…こんなんどう?」タニマツクリ 京太郎「ぐふっ」 竜華「うわぁ…効果絶大やな」 京太郎「何でも聞いて下さい、貴女の下僕となった須賀京太郎が全てお答えします」キリリ 竜華「ホンマに安い子やねぇ」クス 竜華「まぁ、そんな風にかしこまらんでええよ」 竜華「今のところ、清澄の事にあんまり興味ないしね」 竜華「それよりも単純に須賀くんと仲良ぅなりたいから」ニコ 京太郎「ふんふふんふんふーん」 京太郎「(いやぁ…清水谷さんと過ごした時間は素晴らしかったな)」 京太郎「(流石にあのおっぱいは触らせてもらえなかったけど、すっごく常識的な人だったし)」 京太郎「(俺のくだらない会話にも何だかんだ言って付き合ってくれてた)」 京太郎「(やはり巨乳は心が大きくて余裕があるんだな、ハッキリと分かったよ)」 京太郎「(…まぁ、あんまり深くは言わなかったけど…あっちにも色々とあるんだろうけれどさ)」 京太郎「(一瞬、清水谷さんが見せた自己嫌悪の色は決して小さいものではなかったし)」 京太郎「(おっぱいが大きすぎるとあんまり良い顔をされないっていうのは事実だったんだろう)」 京太郎「(それを正す為にもあの石版を……い、いや、ダメだろ)」 京太郎「(確かに俺がやった事の責任を取る意味ではそれはアリかもしれないけれど…)」 京太郎「(でも、アレはそうそう簡単に使って良いものじゃないんだ)」 京太郎「(それが世界に与える影響を考えれば、もっと良く吟味しないと…)」 明華「あ、あの…」 京太郎「ん?」 明華「もしかして貴方…須賀京太郎さんでは…」 京太郎「(…なんか俺の方が名前知られてるって珍しいパターンだな)」 京太郎「(しかも、こんな美乳っぽい子に知られているなんて…)」 京太郎「(今日は清水谷さんとも知り合えたし、空から隕石でも降ってくるんじゃないだろうか)」 京太郎「(ってそれはさておき)」 京太郎「はい。そうですが…」 明華「や、やっぱり!」ガシッ 京太郎「お、おうふ」 明華「わ、私、フランスで貴方の記事を読みました!」 明華「日本のハンドボール界に世界で通用する逸材が現れたって!」 明華「試合のシュートもすごくて…!こっちでもすぐにでもやっていけると私も思います!!」ブンブン 京太郎「(な、何故だ…)」 京太郎「(どうして美乳美少女が俺の手をいきなり掴んだ挙句、ここまで興奮しているんだ…!?)」 京太郎「(い、いや、まぁ、中学の頃にやってたハンドボールでファンになってくれたっていうのは分かるんだけど!!)」 京太郎「(いきなり過ぎてちょっと…い、いやかなり追いつけないんだけれども!!)」 明華「で、でも、どうして、急にハンドボールを止めてしまったのですか?」 明華「私、貴方の試合を生で見られる事を楽しみにしていたのに…」シュン 京太郎「あー…その…深い理由はないんですが…」 京太郎「(…ぶっちゃけ、ハンドに行き詰まりを感じたってだけだからな)」 京太郎「(怪我とかそういう大した理由じゃないし…)」 明華「…」ゴクッ 京太郎「(…しかし、それをこのままこの人に言ってしまっても良いだろうか)」 京太郎「(明らかに俺に対して期待してくれているのが伝わってくる眼差しだし…)」 京太郎「(こ、ここはやっぱり…適当に誤魔化してしまおう)」 京太郎「じ、実は…膝に矢…もといボールを受けてしまいまして」 京太郎「以前のような動きが出来なくなってしまったんです」 明華「そ、そんな…」 明華「須賀さんはこちらでも特集が組まれるほどの逸材だったのに…」 明華「それが世界に羽ばたくのをずっと楽しみにしながら…貴方でオナニーしていた私は…一体、どうすれば…」 京太郎「(…うん。今のは聞かなかった事にしよう)」 京太郎「(と言うか、割りとマジで忘れてしまいたい)」 京太郎「(海外から俺のファンだって言ってくれる子が来たのに、それが照さんに並ぶオナニストだったとか…)」 京太郎「(正直、俺の人生の中でも2位にランクインするほどの黒歴史だからな)」 京太郎「(勿論、不動の一位は照さんだけれど)」 明華「で、でも、大丈夫です!」 明華「私の母は最先端医療にも関わる技術者ですから!!」 明華「きっと母の同僚ならば、貴方の傷を治してくれます!!」 京太郎「(うわぁ…とんでもない事になっちゃったぞ…)」 京太郎「い、いえ、大丈夫です」 明華「で、でも…」 京太郎「それにハンドボールへの未練って実はもうなくって」 明華「え?」 京太郎「元々、行き詰まりのようなものを感じてたんです」 京太郎「だから、俺は自分の怪我も積極的に治すつもりがなくって」 京太郎「それに今は麻雀をやってる方が楽しいので大丈夫ですよ」 明華「そ、そう…ですか…」シュン 京太郎「(やべぇ。目に見えて落ち込んでるよ)」 京太郎「(憧れの選手が再起不能だっただけならばまだしも…)」 京太郎「(昔の情熱を完全に失っている状態だからなぁ…)」 京太郎「(そりゃファンとしては落ち込んで当然だろう)」 京太郎「(正直、その気持ちが分かるだけに何とかしてあげたいけれど…)」 京太郎「(でも、ここで下手に何か言って希望を持たせる方が可哀想だ)」 京太郎「(だから…)」 京太郎「それに男ばっかりに囲まれているよりも、やっぱり女の子がいる環境の方が楽しいですしね」 京太郎「やっぱり男はボールよりもおっぱい追いかけてる方が正しい姿かなって」 明華「…………」 京太郎「…アレ?」 明華「…………私、貴方の事を誤解していました」 明華「私が貴方のファンになったのは…ただ実力や才能だけではありません」 明華「誰よりもハンドボールを楽しそうにプレイしていたからです」スッ 京太郎「え、えっと…」 明華「…でも、そんな人は最初からいなかったんですね」 明華「まさかそんな不真面目な人だったなんて…」 明華「…幻滅しました」プイッ スタスタ 京太郎「あ…………」 京太郎「(…やっちまったなぁ…)」 由暉子「~♪」 爽「あれ、珍しく上機嫌じゃん」 爽「何か良い事でもあった?」 由暉子「はい。さっき新しく友達が出来たので」 爽「へぇ。どんな子?」 由暉子「えっと」ポチポチ 由暉子「この人です」シャメミセ 爽「…………え?」 由暉子「どうかしました?」キョトン 爽「…男?」 由暉子「はい。男性です」 爽「イケメン?」 由暉子「多分、一般的にはそう呼べる顔立ちだと思います」 爽「…友達?」 由暉子「はい。馬乗りになった私をトイレに連れてってくれました」 爽「どんな過激なプレイしてんの!?」 由暉子「はい。生殖器同士が触れ合った私をトイレに連れてってくれました」 爽「どんな過激なプレイしてんの!?」 爽「つ、つーか、ちょっとまって」 由暉子「はい。待ちます」 爽「(お、落ち着け、私)」 爽「(これはかなりの大事件だぞ…)」 爽「(今まで私達以外にろくな友達がいなかったユキに友達が出来るだけならともかく…)」 爽「(しかも、男!イケメン!ただならぬ関係っぽい!!)」 爽「(その上、ユキがここまで上機嫌になるって事はかなり気に入ってる訳で…)」 爽「(割りとチョロいユキが堕ちないはずないじゃん!!)」 爽「(でも、この写メ見る限り、相手は大分遊んでる感じだし…)」 爽「(恋愛初心者なユキの手に負える相手じゃない…!)」 爽「(私としても出来れば応援してあげたいけれど…)」 爽「(でも、私だって今まで男の子と遊ぶ以上の事はした事ないし…)」グルグル ピポーン 由暉子「…あ」 爽「ど、どうかしたの?」 由暉子「京太郎さんからのLINEです」 爽「き、京太郎さん!?」 爽「(も、もう下の名前で呼んでいるなんて…)」 爽「(あの根暗だったユキがって思うと感慨深いものを感じるけれど…)」 爽「(でも、それ以上に騙されてるような気がしてお姉さん、心配だよ!?)」 由暉子「…~♪」 爽「(…で、でも、幾らユキが素直だって言っても、騙されてるかも、なんて言ったら気分を悪くするだろうし…)」 爽「(実際、私もその男の人を知ってる訳じゃないもんね…)」 爽「(……だから、とりあえず今は様子見に徹しておこう)」 爽「(で、後で皆を招集してその男の子の情報を集める…のがベストかな)」 爽「(しっかし…ユキに男友達かぁ…)」 爽「(…テンパって結婚しようとか言い出してなきゃ良いんだけど……)」 ネリー「んー…」ゴロゴロ ネリー「(夜になるとやっぱり暇だよねー…)」 ネリー「(これは自分の家だと電気代もったいないから早く寝よう!って気になるけど…)」 ネリー「(基本、寮暮らしで電気代掛かんないしー)」 ネリー「(何かお金稼ぐネタ探そうにも株価や為替のチェックも終わっちゃったしー)」 ネリー「(とは言え、寝ようとしても眠気が出てくる訳じゃないしー)」 ネリー「(今日は偵察ばっかりで麻雀も打ってないから疲れてないしー)」 ネリー「(それも特に得るものがなかったからちょっと今日一日無駄にしちゃった気分…)」 ネリー「(…あー、いや、でも…あのキョータローが居たか)」 ネリー「(私でも価値が分からないようなお宝を持ってる人)」 ネリー「(でも、その割には正直で…表情もコロコロ変わって)」 ネリー「(ちょっぴり馬鹿っぽいけど…でも、まぁ、男は多少、馬鹿っぽい方が愛嬌があるし)」 ネリー「(外見からして大分、チャラそうな感じだったから、きっと女をとっかえひっかえして遊んでるタイプだと思うんだけど…)」 ネリー「(それでも…あんまり嫌いなタイプじゃないんだよね)」 ネリー「(体を売る男の人とか見てきたし、貞操観念じゃお金稼げないって思ってるからかもだけど…)」 ネリー「(でも…キョータロー、私の事、嫌ったりしてなかった)」 ネリー「(この国では私の事を知ると嫌そうな顔をする人がほとんどなのに…)」 ネリー「(お金お金って言っても特に嫌わず、私の事を受け止めてくれて)」 ネリー「(まぁ…正直、名前が分かった以上、もう会う必要もないんだけどさ)」 ネリー「(名前さえわかれば、芋づる式に色々と調べる事が出来るし)」 ネリー「(寧ろ、出会ったところで特にお金になったりしないんだから適当に煙に巻くべきなんだろうけれど…)」 ネリー「(でも、また会っても良いって思うくらいには気に入っちゃってるし)」 ネリー「(…予定が合えば、また解説してやっても良いかなぁ)」 ネリー「(もしかしたら、私の金づるにもなってくれるかもしれないし…ね)」 咏「あ…あぁ…っ♪」クチュクチュ 咏「このままイかせてやる…ぅ♪」 咏「私の中でっ?子宮…でえっ♪」 咏「あは…はっ♪今更、嫌だって言っても…遅いぃっ?」 咏「このまま一滴も金玉の中に残らないくらい…にぃっ♪」 咏「レイプ…してやるぅっ?搾精レイプぅ…♪」 咏「泣きじゃくってもっ♪嫌がってもっ♪壊れてもぉおっ♪」 咏「容赦してやらな…いからあぁぁああああっ?」ビクン 咏「あ…あぁぁ…あぁぁぁ…っ♪」フルフル コテン 咏「(…あー…凄かった…)」 咏「(今のオナニー…人生で一番、気持ち良かったかもしれない…)」 咏「(今日初めて会った男をオカズにしたとは思えないほど妄想がマッチして…)」 咏「(子宮からイけちゃったぜ…♪)」ハフン 咏「(運命の赤い糸とか信じるほど子どもじゃないけど…)」 咏「(これだけ相性が良いなら…もしかしてあの子が私の運命なのかもねぃ)」 咏「(…ま、一般的に言う恋人とか夫婦とかじゃなくて…)」 咏「(精液奴隷としての運命…だけどさ…?)」ペロ 咏「(まぁ…でも、仕方ないよね…)」 咏「(こんなにエロい身体なのに…第二ボタンまで開くような格好しちゃってさ)」 咏「(その上、子どもっぽいくらい素直に喜ばれたら…もう我慢なんて出来るはずないって)」 咏「(存在そのものが女にレイプされる為にあるような子だよ)」 咏「(…だから、私が保護してあげないとねぃ)」 咏「(このまま放置してたら、どんな酷い女に奴隷されるかわっかんねーし…)」 咏「(私だったら多少はほら、大事にしてやらなくもないから…さ♪)」 咏「(…だから…早く私のモノになりなよ、京太郎…?)」ペロ 咏「(壊れるまで…ううん、壊れても…)」 咏「(その骨の髄まで…レイプし続けてやるからねぃ?)」 照「…うーん」 照「(私の誘い方は完璧だったはず)」 照「(その上、京ちゃんと離れてる間に、胸も大きくなって…より大人っぽくなったのに)」※当社比 照「(どうして京ちゃんは私とラブホに行ってくれなかったんだろう?)」 照「(…やっぱり照れてる? 照だけに)」 照「(………うん、今のは良かった)」 照「(心のボキャブラリーの中に登録しておこう)」ウンウン 照「(…まぁ、それはさておき)」 照「(問題は京ちゃんの事…)」 照「(渾身と言っても良い誘い文句が効果をなさなかった今、次の策を考えないと)」 照「(…折角、京ちゃんが東京にいるのに何もしないとか耐え切れないもんね)」 照「(インハイ中だったら邪魔者の咲も、私を止められないだろうし…)」 照「(このままグチュンと一発、京ちゃんとヤってセフレになりたい)」 照「(…って言うかならないと欲求不満で死んじゃう)」 照「(幼いころから私の性の対照は京ちゃんだけだった)」 照「(どれだけ格好良い男の子を見ても、どれだけ可愛い男の子を見ても…)」 照「(私はまったく心を動かされる事はなかった)」 照「(多分、それは私の身体が、もう京ちゃんじゃないとダメだから)」 照「(幼いころから一緒にいて、弟みたいに思っていて…)」 照「(私の事をお姉ちゃんって呼んでくれた京ちゃんじゃないと興奮出来ない変態が私…)」 照「(急にオスの匂いをさせるようになった京ちゃんで、一日中オナニーしまくった時から…)」 照「(私の身体は京ちゃん以外を受け付けなくなってしまった)」 照「(どれだけエッチにAVを見ても、オマンコが濡れないのに…)」 照「(京ちゃんの顔を思い浮かべただけで、もう疼いて止まらないくらいに)」 照「(…そんな私がもう一年以上も京ちゃんから引き離されて…マトモでいられるはずがない)」 照「(もう頭の中で何回だって犯した)」 照「(こそっと持って帰ったパンツで何百回もオナニーした)」 照「(…でも、もう妄想や匂いの薄れたパンツじゃ我慢出来ない)」 照「(私は…私は京ちゃんが欲しい)」 照「(ほかの人なんていらないから…京ちゃんとセックスがしたい…)」 照「(だから……)」 憧「(う、うわぁ…)」コソコソ 憧「(たまたま会場の中歩いてたら…なんか凄い光景を見ちゃった…)」 憧「(人が人を軽蔑する瞬間なんて普通見れるもんじゃないよね)」 憧「(いや、まぁ…正直、見たいもんじゃないけどさ)」 憧「(普通の修羅場とはちょっと違ったけど…下手に動けずに困ったくらいだもの)」 憧「(…しっかし、あの男も酷いよね)」 憧「(一体、何があったのか知らないけど…)」 憧「(ファンだって言ってくれてる女の子の前で、あんな事言うなんて…)」 憧「(見た目通りと言えば見た目通りなんだろうけど…それでも最低)」 憧「(なんか困った顔してるけど軽蔑されて当然でしょ)」 憧「(…ただ、あの男ほど酷いのは稀だろうけれどさ)」 憧「(多かれ少なかれ、世の中の男ってそんなもんだよね)」 憧「(どれだけ清純そうな男でも、腹の中には黒いもの溜め込んでいるだろうし)」 憧「(綺麗な笑みを浮かべて、内心、相手の事を軽蔑してるなんて珍しくともなんともない)」 憧「(勿論、例外はいるだろうけれど…そんなのは極少数でしょ)」 憧「(昔は良く日本男子なんて言ってたらしいけど…)」 憧「(でも、そんなの最初から幻だったか…)」 憧「(或いは男の社会進出によってほとんど絶滅しちゃってる)」 憧「(…だから、やっぱり女の子を裏切らない二次元が一番だよね)」ポチポチ 憧「(はぁ…今日も加州はイケメンだなぁ)」 憧「(綺麗だし一途だし…)」 憧「(リアルとは大違いだわ)」デレデレ 京太郎「(うーん…失敗だったなぁ)」 京太郎「(出来れば暗い雰囲気吹っ飛ばせれば…ってそんな風に思ってたんだけど)」 京太郎「(暗い雰囲気だけじゃなくて好感度までふっ飛ばしてしまうとは)」 京太郎「(ぐああああっ!惜しかった!本当に惜しかった…!!!)」 京太郎「(俺に対して、あそこまで好意を示してくれる美乳少女なんて少ないのに!!)」 京太郎「(絶滅危惧種だって言っても良い女の子にあそこまで失望されるなんて…!!)」 京太郎「(……出来れば連絡先の一つくらい聞きたかったけど…アレじゃもう無理だよなぁ)」フゥ モモ「…京さん?」ムスー 京太郎「ってモモ、どうしたんだ?」 京太郎「…なんか不機嫌そうだけど」 モモ「…これが上機嫌に見えたら、眼科言ったほうが良いと思うっす」スネー モモ「(…京さん、さっきの子にデレデレしてたっす)」 モモ「(近くに私が来たら…大抵、気づくはずなのに)」 モモ「(そんなの気づかないくらいにあの人に呑まれてて…)」 モモ「(まぁ…確かにあの人は綺麗だったと思うっすけど…)」 モモ「(…でも、やっぱりどうしても釈然としないっす)」 モモ「(胸の中、モヤモヤして…腹が立つっすよ」スネー 京太郎「えーっと…モモ?」 モモ「…何っすか?」 京太郎「…なんでそんなに怒ってるんだ?」 モモ「ふーんだ…」 モモ「京さんには教えてあげないっすよ」ツーン モモ「(…と言うか言えないッスよ)」 モモ「(私自身、どうしてこんなに腹が立つのか分かってないんっすから)」 モモ「(ううん…分かっているけれど…それはわかっちゃいけない事で…)」 モモ「(だから…)」 京太郎「もしかして、嫉妬か?」 モモ「~っ!」カァァ 京太郎「そっかー嫉妬かー」 モモ「ち、違うっすよ!」 モモ「と、言うか…ど、どうして私が京さんに嫉妬しなきゃいけないんっすか!」 モモ「べ、別に私は京さんの事なんてどうとも…」 京太郎「思ってない?」 モモ「…そ、そういう訳じゃ…ないっす…けど…」 京太郎「じゃあ、嫌いか?」 モモ「う………き、嫌いと言う訳でも…」 京太郎「なら、好きか?」 モモ「~~~~っ」プシュゥ 京太郎「はは。ホント、モモは可愛いなぁ」ナデナデ モモ「ふ、ふにゃあ…」フルフル モモ「(あうぅぅ…ま、また京さん気軽に私の頭撫でて…)」 モモ「(わ、分かってるっすか?)」 モモ「(それって…男の人のオチンチン周りを撫でるに近い行為なんっすよ…?)」 モモ「(ただ、心地良いのとはまた別の気持ち良さを…相手に与えるんっすから)」 モモ「(…普通、こんな事しちゃったら…そりゃもうオッケー状態だって思われても仕方ないっす)」 モモ「(何時でもレイプされても構わないんだって言う…ビッチアピールっすよ…っ)」 京太郎「まぁ、アレだ」 京太郎「嫉妬なんかさせちゃってごめんな」 モモ「べ、別に嫉妬してた訳じゃ…」 京太郎「でも、なんか俺が不機嫌にさせちゃったのは事実なんだろ?」 京太郎「だから、ごめん」 モモ「……………京さんは卑怯っす」 京太郎「何故かモモにはそう言われる事が多いけど、俺は普通だと思うぞ」 モモ「(ど、何処が普通なんっすか…)」 モモ「(自分で友達だって言ってる女の子の頭をこんなに気軽に撫でて…)」 モモ「(優しく…暖かく…胸の奥まで幸せにしてくれて…)」 モモ「(…そんな男の子が普通な訳ないっす)」 モモ「(…正直、私じゃなかったらレイプされてるっすよ?)」 モモ「(そっちから誘ったんだろうって…一滴残らず絞りとるような本気レイプされちゃうんっすからね?)」 モモ「(…まぁ、それが分かっているからこそ、京さんもこうして私の事をなでてくれているのかもしれないっすけど…)」 モモ「(…どっちにしろ、京さんが危なっかしい事には代わりがないっす)」 モモ「(今は良くても…何時か絶対、誰かにレイプされて…心から傷ついちゃうっすよ)」 モモ「(外見は淫乱そのものだし…色々と誤解されがちな仕草もするけれど…)」 モモ「(でも、京さんは今時めずらしいくらい純情なんっすから)」 モモ「(…だから、それを防ぐ為にも…)」 モモ「(私が…護ってあげなきゃ)」 モモ「(私の家で…他の誰にも合わないように…)」 モモ「(私だけを見て…私だけを撫でてくれるよう…にぃ…?)」ハァ 京太郎「…モモ?」 モモ「ハッ…」 モモ「(…私、何を考えてたっすか)」 モモ「(……いや、流石に監禁とかそういうのはダメでしょう)」 モモ「(そもそも監禁とか…ガチ犯罪じゃないっすか)」 モモ「(今はストーカーしても京さんが見逃してくれるっすけど…)」 モモ「(流石に監禁までやったら、京さんでも誤魔化せないっす)」 京太郎「…大丈夫か?」 モモ「だ、大丈夫っすよ」 モモ「(………でも、もし)」 モモ「(もし、絶対に見つからなくて…)」 モモ「(二人でずっと一緒になれるなら…私は……)」グゥ 京太郎「…ぷっ」 モモ「あ、い、いや、その…」カァァァ 京太郎「分かってる分かってる」 京太郎「たまたま腹が鳴っただけだよな」 モモ「そ、そうっすよ」 モモ「じ、実は最近、お通じが悪くてお腹の調子が」ワタワタ 京太郎「はは。じゃあ、健康に良い物でも食べに行こうか」 モモ「…良いんっすか?」 京太郎「俺も丁度、小腹がすいてきたところだしさ」 京太郎「折角だし、一緒にコンビニにでも行こうぜ」 京太郎「また今日も奢ってやるからさ」 モモ「…もう。普通、逆だと思うんっすけどね」 京太郎「いいんだよ、可愛い子におごるのは俺の趣味みたいなもんだからさ」 モモ「…また調子の良い事言って…」 モモ「…何時か監禁されたりしても…知らないっすよ?」 ~清澄宿泊所~ 和「…ふぅ」 京太郎「…あれ、和?」 和「あ、須賀くん」 京太郎「どうしたんだ、なんだか疲れてるみたいだけど」 和「…そう見えますか?」 京太郎「あぁ。だって、普段はため息なんか吐かないだろ?」 京太郎「なんかあったのか?」 和「いえ、改めて何かあったと言う訳ではないのですけれど…」 京太郎「けど?」 和「…少しネト麻に集中し過ぎまして」 和「何時もならリクライニングチェアであまり疲労も感じないんですが…」 和「ここはそういうのはないので何時もよりも疲れやすくって」 京太郎「あぁ、なるほど」 京太郎「(確かにここ和室ばっかでちゃんとした椅子もあんまりないもんなぁ)」 京太郎「(長時間ネト麻やってれば、そりゃネト麻魔神の和でも疲れるか)」 京太郎「(ましてや、和の場合、胸に重たいものぶら下げてる訳だしなぁ)」 和「…須賀くん?」 京太郎「え?」 和「また胸見てるのバレバレですよ」 京太郎「う…い、いや、ほら」 京太郎「なんだか重そうだって思ってさ」 和「…まぁ、実際、重いのは否定しませんけれど」 京太郎「だろう?だ、だからさ」 京太郎「俺がマッサージしようか?」 和「マッサージ…ですか?」 京太郎「あぁ。俺はこれでも元運動部だしさ」 京太郎「ストレッチやマッサージに関しては日常的にやってたし」 京太郎「そういうのには手馴れてる方だし、きっと和にも満足して貰えるんじゃないかと…」 和「…そう言って胸を触るつもりなんでしょう?」 京太郎「そんな事はしないよ!」 京太郎「でも、マッサージ中の事故は仕方ないよね!!」キリリ 和「…本当にもう…理解出来ないくらいのおっぱいフェチなんですから」フゥ 和「まぁ、良いですけどね、別に揉まれても減るものじゃないですし」 京太郎「…え?」 和「…いや、え、じゃないですよ」 和「自分から言ったんじゃないですか」 京太郎「あ、い、いや…でもさ…」 京太郎「(エロい事に忌避感持ってる和にそう言われるなんて思ってもなかったんだよ!)」 京太郎「(日頃から俺がおっぱいネタ言ってるのは知ってるし、引かれる事はないと思ってたけれど…)」 京太郎「(でも、拗ねた顔で釘の一つでも刺されると思ったのに…そんな事言われたら…)」ゴクッ 和「…?」タユン 京太郎「(…首傾げるだけでも揺れるあののどっぱいを心ゆくまで堪能してしまいたくなる…!)」 京太郎「(マッサージにかこつけて…思いっきり揉みしだいてやりたくなるじゃないか…!!)」 和「……それで、どうするんですか?」 京太郎「あ、え、えっと…」 京太郎「や、やるよ。い、いや、やらせてください!」 京太郎「何でもしますから!」 和「…いえ、何もそこまで言わなくても最初からやって貰うつもりですし…」 和「(…そんなにこのおっぱいが好きなんですかね)」 和「(正直、ここまで育っちゃうと男の人に引かれるだけであんまり好きではないんですけれど…)」 和「(…何だかんだと仲良くしていますが、やっぱり須賀くんは理解できないです)」ウーン ~京太郎の部屋~ 和「じゃあ、お願いしますね」ゴロン 京太郎「お、おうふ…」 京太郎「(あ、あの和が…俺の部屋に来て寝転んでる…!)」 京太郎「(い、いや…まぁ、正確にはここは俺の部屋じゃなくって、俺が寝泊まりしてるだけの部屋なんだけど…)」 京太郎「(それでも興奮するって言うか…もう夢見心地って言うか…)」 京太郎「(浴衣姿の和が布団にうつ伏せになってる光景だけで…もうムスコがウェイクアップしちゃいそうだ…)」 京太郎「(正直、浴衣を持ち上げるその安産型なお尻に思いっきりこすりつけたいけど…)」 京太郎「(でも、和がこうして俺に無防備な姿を晒してくれているのは信頼が故なんだ)」 京太郎「(その信頼は絶対に裏切りたくはないし)」 京太郎「(何より…仮にも気になってる女の子を傷つけるなんて男のやる事じゃないからな)」 京太郎「(ここはまじめにマッサージしよう)」 京太郎「じゃ、じゃあ…ちょっと重いかもしれないけど我慢してくれよ」ヨイショ 和「…いえ、これくらいなら大丈夫です」 京太郎「そ、そうか。じゃあ…始めるぞ」モミモミ 和「ん…♪」 和「(…須賀くん、言うだけの事はありますね…)」 和「(私の気持ち良いところを的確に揉みほぐしてくれて…)」 和「(思わず…声が出ちゃうくらいに気持ち…良い…)」 和「(…その上、一つ一つがとても丁寧で…じっくりやってくれるから…)」 和「(須賀くんのマッサージが終わったところはもう軽く火照って…)」 和「(筋肉も甘く蕩けちゃってる…みたいです…)」 和「(…正直、癖になっちゃうかも…しれません)」 和「(こんなの味わったら…電動マッサージとかじゃ満足出来ません…)」 和「(血の通った…人の手の…)」 和「(とても丁寧で優しいマッサージ…)」 和「(身体がこれじゃないと受け付けなくなっちゃいくらいに…)」 和「(私…ダメになっちゃいます…よぉ)」トローン 和「(それに…何より…)」チラッ 京太郎「しょっと…」モミモミ 和「(…須賀くん、きっと気づいてないですよね)」 和「(私の前に窓があって…その姿が見えちゃっている事…)」 和「(さっきまではちょっとぎこちなかったけれど…)」 和「(でも…今はとっても真剣です)」 和「(私の身体に全神経を集中してくれているのがハッキリと伝わってくるくらいに)」 和「(…そんな顔見たら…意識…しちゃうじゃないですか)」 和「(ただの友達だってそう思ってたのに…初めての男友達なんだってそう思ってたのに…)」 和「(そんなに真剣に私の事マッサージされたら…)」 和「(幾ら鈍感な私でも…気づいちゃうじゃないですか…)」 和「(本当は…須賀くんの事好きだったんだって…)」 和「(咲さんの言う通り…ずっとずっと意識しちゃってたんだって…)」 和「(…恋なんて知らなかった私が…それを知ってしまうじゃ…ないですか)」ギュゥ 和「(…私、嬉しくなって…しまってます…)」 和「(須賀くんが…私にこんなにも真剣になってくれている事)」 和「(私を誠心誠意癒やそうとしてくれている事)」 和「(…何より、今の私が彼の事を独占出来ている事)」 和「(それが…それがとてもうれしくて…堪りません)」 和「(これが…これが恋なんですね)」 和「(誰か一人にこんなにも気持ちが集まって…)」 和「(そして胸の奥から…嬉しく…幸せにさせられてしまうような心地…)」 和「(私、こんなの…こんなの初めてです)」 和「(でも…嫌じゃありません)」 和「(それはきっとマッサージが心地良いだけじゃなくって…)」 和「(相手が須賀くんだから…)」 和「(こんなに大きな胸で…男の人に驚かれる事も少なくない私に…)」 和「(それを好きだって言ってくれて…まったく忌避感なく接してくれて…)」 和「(そんな須賀くんだからこそ…私は…)」 京太郎「ふぅ…」 京太郎「(…とりあえず背中の方は終わったか)」 京太郎「(しかし…やっぱ凝ってるもんだなぁ)」 京太郎「(たまに咲相手にもマッサージするけど…こんなに凝ってないし)」 京太郎「(思わず、マッサージの方に集中し過ぎちゃったぜ…)」 京太郎「(まぁ…その御蔭で、あんまり不埒な事考えなかったんだけどさ)」 京太郎「(正直、和の身体って胸だけじゃなくてそのほかの柔らかいから…)」 京太郎「(下手に意識してたら勃起してたかもしれない) 京太郎「(まぁ、それはさておき…だ)」 京太郎「和、終わったぞ」スッ 和「お、終わって…ないですよ…」 京太郎「…え?」 和「…」コロン 京太郎「…………え?」 和「…まだこっちのマッサージが残ってます…から…」 京太郎「こ、こっちって…」 京太郎「(いやいやいやいやいやいや)」 京太郎「(待ってくれ、ほんとに待ってくれ)」 京太郎「(背中がまだ良いんだ、うん)」 京太郎「(あの素敵過ぎるのどっぱいが見えなくなってるからさ)」 京太郎「(で、でも…こ、ここで…仰向けになんてなられたら…)」 京太郎「(どうしても和のおっぱいを意識しちゃうっていうか…)」 京太郎「(マッサージしたくなるっていうか…!!)」 和「良い…ですよ」 京太郎「…な、何が…?」 和「だから…胸の…マッサージ…です…」 和「…須賀くん、こっちもマッサージ…したいんです…よね?」チラッ 京太郎「~~~っ」ゴクッ 京太郎「(あああああああ!もう!!!)」 京太郎「(ほんっとうにもおおおおおおおお!!)」 京太郎「(何なんだよ!本気でなんなんだよおおおおお!!)」 京太郎「(そんな事言われたらホイホイいっちゃうだろうが!!)」 京太郎「(マッサージとか関係なしに胸にダイブしたくなっちゃうだろおおおおお!!!!)」 京太郎「(正直、これだけ据え膳用意されたら食わない方が失礼だわ!!)」 京太郎「(一も二もなくケダモノのようにむしゃぶりつきたいのが本音だよ!!!!)」 京太郎「(………………でも、さ)」 京太郎「(…でも、これは本当に和の意思なのか?)」 京太郎「(いや、まぁ…ここで強制される理由なんてないし…和の意思である事に間違いはないんだろうけれども)」 京太郎「(それはまったく何の影響も受けていない和の意識なんだろうか?)」 京太郎「(…多分、違う)」 京太郎「(和は元々、そういった事に忌避感を感じているタイプだったんだから)」 京太郎「(自分から男を誘うなんて出来るはずがない)」 京太郎「(…だから、これはきっと俺が石版に書いてしまったあの言葉の所為)」 京太郎「(女が男に対して積極的になるっていう…あのルールに従った故なんだろう)」 京太郎「(…だから、俺はここで据え膳を食べる訳にはいかない)」 京太郎「(渋谷さんの時みたく軽く振れるだけならばまだしも…)」 京太郎「(マッサージまでしてしまったら…俺は間違いなく…最後までいってしまう)」 京太郎「(そして…最後までいったら、俺はきっと一生、後悔する事になるはずだ)」 京太郎「(気になってる女の子に酷い事をしてしまったんだと…負い目を抱え込み続ける事になる)」 京太郎「(…それは、嫌だ)」 京太郎「(だから…)」 京太郎「ご、ごめん!」 和「え…?」 京太郎「お、俺、ちょっと急用を思い出したからさ!!」 京太郎「ほ、本当は和の胸も丹念にマッサージしたいけど…!!」 京太郎「こ、今回は急いでるからナシにしてくれ…!」 和「え…あの…須賀くん…?」 京太郎「じゃ、じゃあ…またな、和!」ダッ 和「あ…」 和「(…逃げられてしまいました)」 和「(……相手から言われるのはともかく、自分から言うのは結構、勇気が必要だったんですけど…)」 和「(正直、ちょっと…いえ、かなり残念ですけれど…)」 和「(…でも、なんだか安心…と言うのは初心な須賀くんの姿が見れたから…ですよね)」 和「(あんなに派手でエッチな格好をしているけれど…あの反応を見る限り、やっぱり彼は純情で…)」 和「(そんなところが可愛いとそう思ってしまうほど、私はもう彼の事を好きになってしまっているんですから…)」 和「…………次は逃しませんよ、須賀くん」
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京太郎→穏乃 京太郎「元気だよなー、あいつ」 京太郎「むしろあいつとボウリングしてみたかった」 京太郎「無邪気なとこも眩しいっていうかさ」 京太郎「一緒にいたら童心を思い出しそう……スカート捲りとか」 京太郎「いや、冗談だけど。あいつのを捲ったら大変なことになりそうだし」 京太郎「ま、元気のいいちびっこは嫌いじゃない」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3442.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361874491/ 京太郎「東横ー。いるか?」 桃子「いるっすよ。席に座ってるっす」 京太郎「ああ、そこにいたのか。何やってるんだ?」 桃子「パソコンで麻雀をやってるっす。見ればわかるじゃないっすか」 京太郎「見ればってお前……」 桃子「……」 京太郎「……」 桃子「……はぁー。ノリ悪いっすね! ここは『いや見えねえよ!』とか言うところっすよ!」 京太郎「それで悩んでる奴にいきなりそんなこと言えるか!」 桃子「まったく、次からは気をつけるっすよ」 京太郎「はいはい……。で、麻雀って誰とやってるんだ? ネット麻雀ってやつ?」 桃子「んーネットはネットっすけど、学内ネットでやってるっす」 京太郎「そういうのもあるのか。てことは相手は同じ学校の人だな」 桃子「そうっす。麻雀部が最近始めたみたいっすね。掲示板にチラシが貼ってあったっす」 京太郎「へー。挑戦者来たれ! みたいな感じか?」 桃子「そういう感じではないっすね。チラシには麻雀に興味ある人歓迎って書いてたし」 桃子「何度か勧誘も受けてるから部員集めの一貫だと思うっす」 京太郎「初心者歓迎ってことか」 桃子「興味あるなら須賀くんもやってみたらどうっすか?」 京太郎「いや、俺はいいよ。ノートパソコン持ってないし、そもそも麻雀の役もわからないしな」 京太郎「興味はあるからよければ観戦させてくれ」 桃子「いいっすよー。私の勇姿を見るがいいっす!」 京太郎「おう、期待してるぞ」 桃子「くーっ! また勝てなかったっす!」 京太郎「麻雀部3人を相手に2位なら十分凄いじゃないか」 桃子「これでも麻雀の腕には自信があるんすよ。そこらの麻雀部員にも引けをとらないくらいには」 桃子「なのにこのかじゅって人にはなかなか勝てないっす」 京太郎「麻雀って運に左右されるんだろ? そういうこともあるさ」 桃子「20局以上打って勝ったのは数回だけ。さすがに悔しいっす……」 京太郎「20局で数回……。麻雀はよくわからないんだけど、それはどのくらい強いってことなんだ?」 桃子「ええと、そうっすね。風越女子は知ってるっすか?」 京太郎「そりゃもちろん。長野の女子麻雀部では一番強いとこだろ」 桃子「その風越でレギュラーになれる。少なくともそれくらい強いと思うっす」 桃子「まあもちろん、実際に打つのはダメって人も中にはいるっすけどね」 京太郎「そんなに強いのか……ん? なんか書いてるみたいだぞ」 かじゅ『打ち筋からしていつも打ってくれている人だろうか? 今日も来てくれてありがとう』 むっきー『また負けちゃいました。やっぱり強いですね。一度だけでも麻雀部に見学に来てくれませんか?』 カマボコ『しつこかったらごめんなー。でも毎日来てくれて本当に嬉しいんだ』 カマボコ『見学に来たから入れ、なんてことは言わないし、それに来てくれればきっと気に入ると思うんだ』 かじゅ『気が向いたら来て欲しい、と言いたいところなのだが私たちには時間がない』 かじゅ『だから君が麻雀のことを好きなら、ぜひ部室に来て欲しい。後悔はさせない』 京太郎「おお……。凄い勧誘だな。ほら、返事書こうぜ」 桃子「……今書くっす」 default player『気持ちは嬉しいです。でもごめんなさい』 ---default playerはログアウトしました--- 京太郎「……ってあれ?」 桃子「どうかしたっすか?」パタン 京太郎「いや、見学くらい行ってもいいんじゃないか? あれだけ熱心に言ってくれてるんだしさ」 桃子「……まあいいじゃないっすか。ほら、帰るっすよ」 京太郎「あっ、おい」 桃子「先に行ってるっすよー」 京太郎「ちょ、ちょっと待て。先に行かれたらまた見つからなく……」 桃子「校門から出るまでに見つけられなかったら明日の昼ご飯おごりっす!」タッタッタッ 京太郎「いきなり何言って……って待て、走るなー! 見つからなくてもおごらないからな!」 桃子「見つけたら私がおごってあげるから頑張って探すっすよー!!」タッタッタッ 京太郎「絶対見つけてやる……!!」 その後東横のことは校門の辺りで電話をかけて、その着信音で見つけた。 東横には卑怯っす! ノーカウントっす!! と怒られた。理不尽だ。 ---3日後--- 京太郎「東横ー、いるか? 今何やってる?」 桃子「パソコンで麻雀っすよ。見ればわかるじゃないっすか」 京太郎「見れたらこんなこと聞かないっての」 桃子「……他人のコンプレックスにズバズバ切り込んでくるっすね」 京太郎「この前スルーしたらノリ悪いとか散々言ったよな!?」 桃子「記憶にないっす!」 京太郎「まったく……。麻雀はこの間の麻雀部の人とか?」 桃子「そうっすよー」 京太郎「俺あれから役とか覚えてみたんだよ。また見せて貰っていいか?」 桃子「いいっすよ。今ちょうど終わったところなんでちょっと待つっす」 京太郎「了解」 桃子「……いつもはすぐ次の局に入るんすけど今日はちょっと時間かかるっすね。席を外してるみたいっす」 京太郎「まあそういうこともあるさ。ゆっくり待とうぜ」 京太郎「……ん? あれ、今日はこの前みたいにチャットで勧誘されてないんだな」 桃子「そうなんすよね。今日は勧誘してこないみたいっす」 京太郎「脈なしと思って諦めたんじゃないか?」 京太郎「4月が終わっても勧誘してたってことはメンバーが足りないんだろうし、他の人を探すことにしたとか」 桃子「そう、かもしれないっすね。まあ何度も断っちゃったししょうがないっす」 京太郎「……毎日のようにパソコンで打ってるんだし麻雀は好きなんだろ? なんで入らなかったんだ?」 桃子「んー、まあ大した理由じゃないっす。こういう体質っすから集団行動とか苦手なんすよ」 桃子「今までこんなに必要とされたことがなかったから嬉しかったは嬉しかったっすけどね。ただ……」 京太郎「ただ?」 桃子「言うのはちょっと恥ずかしいっすけど、やっぱり、直接言ってもらうのに憧れる」 桃子「目の前で、私の目を見て必要だって言って欲し――」 そこまで言ったとき、突然教室のドアが開かれ ゆみ「麻雀部3年の加治木ゆみだ!」 そんなことをいいながら、上級生が1人教室へと入ってきた。 穏やかな放課後に突如乱入してきたその人は、教室の真ん中までツカツカと足を進め、 忙しげに周りを見渡したかと思うと大きく息を吸い込んだ。 そして―― ゆみ「私は君が欲しい!!」 京太郎・桃子「「!?」」 大声でそんなことを叫んだ。 クラスメイト達は遠巻きにして成り行きを見守っている。 下級生の教室で突然あんなことを大声でいう上級生が相手だ。普通なら俺だって関わろうと思わない。 でも事情を知っているからにはどうにかしないとなーみたいな責任感が芽生えてしまう。 だからまずは、目を白黒させている友人を焚きつけてやろう。 京太郎「東横。よかったな、まだ勧誘諦めてなかったみたいだぞ!」 桃子「その笑顔をやめるっす!」 京太郎「でもほら、東横の望み通り直接誘いに来てくれたわけだし」 ワタシノハナシヲキイテホシイ!!> 桃子「まあそれは心底嬉しいっす」 桃子「須賀くんは茶化してると思うっすけど、私の中では嬉しさが溢れかえってるっすよ」 マジか。いやまあ茶化しているわけではないんだけど。 桃子「ただそれはそれとして、今あそこに行くのはちょっと恥ずかしいっす……」 ワタシニハキミガヒツヨウナンダ!!> 京太郎「注目の的になれるぞ。本望じゃないか」 桃子「限度があるっす!」 今も叫んでるもんな。見た目と違って情熱的な先輩らしい。 スコシデイイ、ハナシヲシヨウ!!> 京太郎「冗談はともかく、ここまで来てくれたんだし、麻雀部に入りたいとは思ってるんだろ?」 桃子「それはそうっすけど……」 京太郎「よし、じゃあ行くぞ」 桃子「ちょ、手を引っ張らないで……!」 ゆみ「頼む、姿を見せて――」 京太郎「あの、ちょっといいですか?」 ゆみ「!! ああ! もち、ろん……だ…………」 念願の新入部員が来たというのになぜか語尾が弱々しい。 ってそうか、東横のこと見えないんだったな。 ゆみ「その、もしかして君が私たちと麻雀を一緒にやっていた人、なのか……?」 俺しかいないと思って目に見えて落ち込む先輩。 美人のしゅんとした姿を見ていると、なんというか、もっといじめたくなってしまう。 まあかわいそうだからやらないけど。 京太郎「あれは俺じゃないですよ。ちゃんと女子です」 ゆみ「本当か!! あ、い、いや、これは君が悪いとかそういうわけではなくてだな」 落ち込んだ様子から一転して明るい表情に。そして間を置かず見せる焦った姿。 ああ、可愛いなこの人。クールビューティーな見た目とのギャップが凄くいい。 京太郎「大丈夫ですよ、事情は聞いてますしわかってます」 ゆみ「そ、そうか。ありがとう」 京太郎「それで俺の隣にいるのが先輩の探しているやつです」 ゆみ「……? すまない。隣には誰もいないように見えるのだが」 京太郎「見えないけどいるんですよ。ほら、ここです」 桃子「どうも、初めまして。東横桃子っす」スゥ ゆみ「」ビクッ 京太郎「あ、やっぱり驚きますよね。いつものことなんで気にしないでください」 桃子「他人に言われると無性に腹が立つっすね」 ゆみ「君は一体いつからそこに……いや、そうか。君はそういう体質なんだな」 桃子「自分で言うのもなんですけど、受け入れるの早いっすね」 ゆみ「チャットの会話から何か理由がありそうだとは思っていたのでな」 ゆみ「我ながら少々派手なことをしたかなと思ったが、結果的には間違っていなかったようだ」 京太郎「いま少々って言ったか?」ヒソヒソ 桃子「言ったっすね。ちょっと見習いたいっす」ヒソヒソ ゆみ「聞こえてるぞ……まあ、それはともかくだ。改めて言わせてもらいたい」 ゆみ「東横くん。私は、私たちには君が必要だ。麻雀部に入って欲しい」 加治木先輩は、真っ直ぐに東横の目を見つめてそう言った。 傍から見ていてもこの上なく真剣に言っているのだと感じる。 東横の望み通り、もしかしたらそれ以上のシチュエーション。 これならきっと麻雀部に入るだろうと東横のほうを見ると 桃子「…………」 あれ、なんか微妙な表情。 京太郎「東横?」 桃子「うーん」チラリ 京太郎「?」 ゆみ「……」ソワソワ 桃子「えっと、一つ条件、というかお願いがあるっすけど……」 ゆみ「何だ? 何でも言ってくれ」ガタッ 東横はなぜか加治木先輩ではなく俺の方を向く。 そして―― 桃子「……須賀くんも麻雀部に入って欲しいっす」 京太郎「……は?」 突然、そんなことを言い出した。 ゆみ「……その、須賀くん……でいいのかな」 京太郎「……へ!? あ、はい!」 ゆみ「今の東横くんの提案なのだが君としてはどうだろうか」 京太郎「ええと、そのですね……。と、東横? なんでいきなりそんなこと」 桃子「えっと、どうしても嫌なら無理にとは言わないっす。わけも……」チラリ ゆみ「?」 桃子「……別に隠すようなことじゃないしすぐ教えるっす。ただ、出来れば須賀くんにも麻雀部に入って欲しいっす」 桃子「ダメっすか……?」ウワメヅカイ 京太郎「う……」 京太郎「か、加治木先輩はどうなんですか」メソラシ ゆみ「あ、ああ。突然で驚いたが麻雀部としては断る理由はない」 ゆみ「……というか、その、入って貰わないと凄く困る」 ゆみ「君にとっても突然みたいだし困惑していると思う」 ゆみ「君にも都合があるだろう。だから助けると思ってとは言わない」 ゆみ「それでも、君がもし少しでも麻雀に興味を持っているなら、麻雀部に来て欲しい」 ゆみ「……だめだろうか?」ウワメヅカイ 京太郎「うう……!」 右を向けば東横が、左を向けば加治木先輩が、上目遣いで俺を見ている。 タイプは違うけれど美人といって差し支えない2人。 京太郎(……こんなの断れるかー!!) 京太郎「俺でよければよろしくお願いします」 ゆみ「本当か! ……ありがとう」フカブカ 京太郎「ちょ、頭を下げるのはやめて下さい!」 京太郎「さっき麻雀に興味があるなら来て欲しいって言ってたじゃないですか。だから入るんですよ」 ゆみ「……うん、そうか。須賀京太郎くん。入部してくれてありがとう」 ゆみ「東横くんは……」 桃子「女に二言はないっす! 加治木先輩、よろしくお願いします」 ゆみ「ああ、よろしく。……東横くん、ありがとう。君のおかげで私たちは大会に出ることが出来る」 桃子「私も興味があったからネトマしてたんですよ。何度も断ってたのに直接誘いに来て貰えたなんて……本当に嬉しいっす!」 桃子「それより、誘った私が言うのもなんっすけど須賀くんはこの場で決めちゃってよかったんすか?」 京太郎「どうせ放課後暇してたしさ。それに麻雀に興味を持ったってのも本当だぜ」 桃子「無理してないならよかったっす」エヘヘ ゆみ「2人とも、入部ありがとう」 ゆみ「それでは早速だが、2人がよければ今から麻雀部に来て貰いたい。部員の紹介もしたいんだ」 桃子「私は大丈夫っす」 京太郎「俺も特に予定はないです」 ゆみ「よし、じゃあ私は先に廊下に出ているよ。あまり長居しても迷惑だろうし」 京太郎(……はっ!? 急展開すぎてここが教室だって忘れてた) 京太郎(冷静になるとクラスメイトの視線が痛い……!!) ゆみ「ん? どうかしたか?」 京太郎「い、いえ、なんでもないです。廊下で待ってて下さい」 京太郎(明日の反応が怖いな……)ハハハ 加治木先輩が先導して、俺と東横はその後をついていく。 意識しないと声が聴こえないくらいの距離を取り、ついて来ているか確認しているのかときおりこちらを振り返る。 京太郎(東横と話しやすいように気を遣ってくれたのかな) 京太郎(せっかくだし今のうちに聞いておくか) 京太郎「なあ、東横。俺を誘った理由って何だったんだ?」 桃子「え? ああ、ほら、私ってこういう体質じゃないっすか」スゥ 京太郎「話してるときに消えるな!」 桃子「冗談っすよ。こうやって意識して消えることも出来るっすけど、基本的には人に見つけてもらえない厄介な体質なんすよ」 京太郎「ああ、知ってる。俺が見つけられたのも偶然だったしな」 桃子「加治木先輩が教室に来て、誘ってくれて嬉しかった。でも私がこういう体質なのは知らなかったじゃないっすか」 京太郎「まあそんな体質があるなんて普通思わないよな」 桃子「それで、こういう体質の私とコミュニケーション取るのって大変っすよね」 桃子「私から話しかければ驚かれる。話しかけて貰おうにも私のことは見えないから、いるかわからないところに声をかけるしかない」 京太郎「ん……楽と思ったことは確かにないな。けど面倒だとか思ったことも一度もないぜ」 桃子「ありがとうっす。須賀くんはそうやって受け入れてくれたっすね」 桃子「麻雀部の人たちは私を必要としてくれた。でもそれと私を受け入れるかっていうのは別っすよね」 桃子「加治木先輩もきっと私に合わせてくれると思うっす。だけど他の人たちもそうやって受け入れてくれるか不安だったっす」 桃子「だから私との付き合いに慣れてる須賀くんが入ってくれたら安心だなって。それが理由っすよ」 京太郎「……気にしすぎじゃないか?」 桃子「そういうと思ったっす。須賀くんは私の体質は知ってても苦労までは知らないっすからね」 京太郎「それを言われるとな……。まあ不安だっていうなら、俺でよければいくらでもいくらでも入るよ」 京太郎「でもあそこまでして必要としてくれる麻雀部だ。きっと東横の心配するようなことにはならないと思う」 桃子「私の取り越し苦労だったらそれが一番っすね。そうすると須賀くんには迷惑かけただけになっちゃうっすけど」ニコッ 京太郎「さっきも言ったろ。好きで入ったんだって。……お、着いたみたいだぞ」 ゆみ「ここが麻雀部だ。入ってくれ」ガラッ 京太郎「おじゃまします」 桃子「おじゃまするっす」 智美「ゆみちんおかえりー。期待の新入部員はどうだ……ってあれ?」 睦月「ええと、先輩。もしかして麻雀の相手はそっちの男の子だったんですか?」 ゆみ「ああいや、ちゃんと女子だったよ。ええと……」キョロキョロ ゆみ「すまない東横くん。姿を見せて貰えるか」 桃子「はいっす。私はここっすよ!!」バーン 智美「」ビクッ 睦月「」ビクッ ゆみ「」ビクッ 京太郎(おー、みんな驚いてるなー) ゆみ「すまない、どうもまだ慣れていないようだ……」ドキドキ 桃子「私は慣れてるので気にしないで欲しいっす」 ゆみ「そうか……なるべく早く慣れるようにするよ」 智美「ゆ、ゆみちん……」 ゆみ「ん? どうした」 智美「私はついに霊感を獲得したみたいだ!」 ゆみ「失礼なことをいうな!」 睦月「その、先輩。彼女が新入部員ですか? 今のは手品かなにかですか?」 ゆみ「ああ、彼女が今日から麻雀部に入部する東横桃子くんだ。今のについては彼女自身から聞いたほうがいいだろう」 桃子「改めまして、今日から麻雀部に入部することになりました東横桃子っす」 桃子「私は極端に存在感が薄くて、中々気づいて貰えない体質なんすよ。 さっきのも隠れていた訳じゃなくて私はずっとそこにいたっす」 桃子「こういう体質っすから迷惑かけることもあると思うっすけど、これからよろしくお願いします」ペコリ 睦月「そうだったのか……ごめんなさい、驚いてしまって」 智美「私もごめんなー。でももう驚かないぞ」ワハハ 智美「しかし世界は広いなー。こんな体質もあるなんて」 睦月「そうですね。目の前にいたのに気づけなかったなんて……」 京太郎(2人とも驚いたみたいだけど、気味悪がったりはしていない) 京太郎(別に特別な反応じゃない。普通の人なら誰だってこんな反応をするはずだ) 京太郎(まあでも……)チラリ 桃子「……」 京太郎「な、俺の言ったとおりだったろ」 桃子「……そうっすね!」 智美「ところでゆみちん。そこの金髪の子は誰なんだー」ワハハ ゆみ「ああ、こっちは須賀京太郎くん。彼も同じく新入部員だ」 京太郎「須賀京太郎です。麻雀は初心者ですがよろしくお願いします!」 睦月「うむ、よろしく。一気に2人も入ってくれて嬉しいよ」 智美「君も新入部員かー。鶴賀麻雀部史上初めての男子部員だな!」 睦月「まあ共学化したのも今年からですしね」 京太郎「ははは……泥を塗らないように頑張ります」 智美「頼むぞー少年」ワハハ ゆみ「さて、次は私たちが自己紹介する番だな」 智美「まずは部長の私からかなー」ワハハ 京太郎「えっ」チラリ 桃子「えっ」チラリ ゆみ「……私は部長じゃないぞ」 智美「……このくらいでは泣かないぞ」ワハハ 京太郎「す、すみません!」 桃子「ごめんなさい!」 智美「冗談だよ、冗談。期待通りの反応してくれて嬉しいぞー」ワハハ 智美「私は蒲原智美だ。麻雀部の部長をやってるぞー」 京太郎「いやその、すみません。よろしくお願いします、蒲原部長」 智美「智美」 京太郎「え?」 智美「智美って下の名前で呼んでくれ。私たち3年生は早ければ6月の頭には引退しちゃうからなー。早く仲良くなりたいんだー」ワハハ 京太郎「ええと、それじゃよろしくお願いします。智美部長」 智美「よろしくなー京太郎」 桃子「よろしくっす! 智美部長!」 智美「よろしく……モモって呼んでいいかー?」ワハハ 桃子「……! はいっす! 嬉しいっす!」 智美「よかったー。よろしくなーモモ」 睦月「じゃあ次は私が。私は津山睦月。部長たちとは違って2年生だ」 京太郎「よろしくお願いします、えっと……」 睦月「……? ああ、そうか。よろしく、京太郎くん」 京太郎「はい! よろしくお願いします、睦月先輩」 睦月「うむ」 桃子「私もよろしくっす! 睦月先輩!」 睦月「うん、よろしく。モモ」 ゆみ「さ、最後は私か……」 京太郎「どうかしましたか?」 ゆみ「い、いや。なんでもないんだ」 ゆみ「2人とも知っていると思うが改めて」コホン ゆみ「私は加治木ゆみ。3年生だ」 桃子「よろしくっす! ゆみ先輩もモモって呼んで欲しいっす」 ゆみ「ああ、わかった。よろしくな、モモ」 京太郎「よろしくお願いします、ゆみ先輩」 ゆみ「――!」カアァ 京太郎「……ええと、本当に大丈夫ですか?」 ゆみ「だ、大丈夫だ!」 ゆみ「よろしく、きょ、きょう……うぅ」 ゆみ「ちょ、ちょっと待ってくれ」スーハー 京太郎「はい、ゆみ先輩」 ゆみ「――――!!」カアァァァ 桃子(空気読まないっすねー) 睦月(あれはわざとやってるのかな) 智美(期待の新人だなー)ワハハ ゆみ「……その、すまない。須賀と上の名前で呼ぶことにしていいだろうか」 京太郎「え? え、ええ。いいですよ」 ゆみ「それと私のことも加治木先輩と呼んでくれると助かる」 京太郎「わかりました……」 京太郎(俺嫌われたのかな……)ズーン 桃子「そんなことないから安心するっす」ポン 京太郎「え、今の声に出てたか!?」 桃子「顔見れば須賀くんの考えてそうなことくらいわかるっす」 桃子「……あ、そうだ。今度から須賀くんも私のことはモモって呼んで欲しいっす」 京太郎「ああ、これから頑張ろうな。モモ」 桃子「一緒に頑張るっす! 京太郎!」 --------------------------------------- ゆみ「自己紹介も済んだことだし麻雀を打とうか。モモとはネットで何度も打っているが実戦での実力も知りたいしな」 桃子「私は実戦のほうが得意っすよー」フフフ ゆみ「それは楽しみだな。須賀くんも一緒に入ってもらっていいか?」 京太郎「いえ、俺は実戦どころかネットでもやったことないので……」 ゆみ「それなら最初は見学からだな」 京太郎「はい、そうさせてもらいます」 智美「誰か一人のをじっくり見てるといいと思うぞー」 京太郎「わかりました。じゃあモモ……」 桃子「あ、私はやめたほうがいいっすよ」 京太郎「え?」 桃子「勉強するつもりなら私のは見ないほうがいいっす」 京太郎「……? まあそういうなら。ええとそれじゃあ――」 京太郎(やっぱり強い人のほうがいいよな。かじゅは加治木先輩だろうし) 京太郎「加治木先輩。見てていいですか?」 ゆみ「わ、私か!?」 京太郎「だ、駄目なんですか?」 ゆみ「い、いや。ちょっと驚いただけだ」コホン ゆみ「私で良ければ参考にしてくれ」 京太郎「え、ええ。もちろんです」 智美「ゆみちん。そういうのちょっと直した方がいいなー」ワハハ ゆみ「わ、わかってるっ」 智美「じゃあ始めるぞー」タン 桃子「負けないっすよ」タン 睦月「ネトマで何度も負けてるけど、先輩として最初くらいは……!」タン ゆみ「私も譲る気はないぞ」タン ………… ……… …… … 【南二局】 智美「リーチ。ゆみちんをまくってやるぞー」ワハハ 桃子「……」タン 睦月(うーん……降りよう)タン ゆみ(蒲原の捨て牌は……)チラ ゆみ(こっちかな)タン ……… …… … 智美「テンパイ」 桃子「ノーテンっす」 睦月「ノーテンです」 ゆみ「テンパイだ」 智美「うっ、また止められてたか。今回はわからないと思ったんだけどなー」ワハハ ゆみ「蒲原とは何度も打ってるからな。なんとなくわかるさ」 京太郎(南二局まで終わって、振り込んだのは睦月先輩と蒲原先輩が一回ずつ) 京太郎(加治木先輩ももちろんだけど、他の3人も全然振り込まないな) 京太郎(……見ててもどうやって止めてるのかさっぱりわかんねえ!!) ゆみ「須賀くん? どうかしたか?」 京太郎「あーその。染め手とかは分かるんですけど、今のとかどうやって止めてるのかなと思いまして」 ゆみ「ああ、なるほど。基本的には捨て牌を見て予測しているんだ。筋とか色々あるんだが……まだ君には早いな」 京太郎「はい」キッパリ ゆみ「そう断言されても困るな」ハァ ゆみ「他にも相手を直接観察して理牌や目線を見ているが、これは慣れるまではやめたほうがいいだろう」 ゆみ「まあ特に理牌は相手の癖を知らなければわからないから、あまり使うべきではないのかもしれないが……ん?」 京太郎「」ポカーン 智美「」ポカーン 睦月「」ポカーン ゆみ「ど、どうした?」 京太郎「い、いえ。そんなことまで考えて麻雀をしているんだなと」 ゆみ「まあ必ず当たるわけではないし、そんなに大したことではないさ」 ゆみ「というか須賀くんはともかく、蒲原と津山は知っているだろう」 睦月「いえ、そういう技術があるのは知ってますがこんな身近に実践している人がいたなんて……」 智美「私はそこまでの余裕はちょっとないなー」 ゆみ「何もずっと見ているわけじゃないぞ? 重要なところだけ見ればいいんだ」 ゆみ「まあその辺りは対局が終わったら教えようか。雑談はこの辺りにして、次の局に行こう」 桃子「…………」 京太郎(そういえばモモのやつさっきから全然話してないな。集中してんのかな……?) 【南三局】 睦月(ラス親かあ。まだ焼き鳥だしここでなんとか)タン ゆみ(今のところトップで2位のモモとは約1万5千点差) ゆみ(配牌は四向聴か)タン タン タン タン タン タン…… 桃子「リーチっす」タン 京太郎(モモは索子の染め手っぽいな。これくらいはわかるぞ!) 睦月(一向聴から中々進まない……!)タン ゆみ(形聴は狙えそうだな)タン 智美(ううん、引きが悪いなー)タン 京太郎(あれ、リーチしたのにみんなあんまり反応してないな) 桃子「……」タン ゆみ(役牌が重なった。これなら上がりも狙えるか)タン 京太郎(索子!? しかも1枚も見えてない三索!?) 桃子「ロン! 立直、混一色で7700っすよ!」 ゆみ「なっ!?」 智美・睦月「えっ!?」 ゆみ「モモ、リーチ宣言は……」 桃子「ちゃんとしたっす!」 京太郎「俺も聞いてました。そんな小さな声じゃなかったと思うんですが……」 ゆみ「ん……そうか。それはすまない」 ゆみ(さっきの反応からして蒲原も睦月も、モモのリーチ宣言を聞いていない) ゆみ(かといってモモも須賀くんもそんな嘘を付きはしないだろう) ゆみ(つまりおそらく――――) 【南四局】 ゆみ(配牌はあまり良くないか……どこまで対抗できる分からないが、やるだけやってみるとしよう)タン 智美(今のは何だったんだー?)タン 桃子(フッフッフ。ネトマのリベンジ達成はもうすぐっすよー)タン 睦月(リーチが聞こえなかったなんて、こんなの初めて)タン ゆみ「チー!」タン 桃子(仕掛けが速いっすね) ゆみ「ポン!」タン 智美(東を鳴かれたかー。いや、でもこれは速いというか……) ゆみ「チー!」タン 睦月(こんな先輩らしくない無理矢理な仕掛けをなんで……?) ゆみ「ポン!」タン 京太郎(四副露!? なんでここまで急ぐ必要が……) 桃子(ううー、なるほど。そういう手もあるんすね……) ゆみ「ロン。東のみ」 1位 加治木ゆみ 2位 東横桃子 3位 蒲原智美 4位 津山睦月 【終局】 桃子「いやー参ったっす。初見では絶対負けない自信があったんすけどねー」 ゆみ「たまたま運がよかっただけだよ。トータルではおそらく私が負け越すさ」 桃子「そもそも東場で消えられるのが普通なんすよ。まさか南二局までかかるとは思わなかったっす」 京太郎「ええと、モモ。何の話?」 桃子「最後の二局のことっすよ。ゆみ先輩が私に振り込んだのは見たっすよね?」 京太郎「ああ。加治木先輩にしてはおかしいなと思った」 ゆみ「あのときだが、私にはモモの捨て牌が見えていなかった……いや、それでは正確ではないな」 ゆみ「私にはリーチ宣言も聞こえていなかった。モモのことが認識できていなかったんだ」 京太郎「……はい?」 睦月「よかった。聞こえなかったの私だけじゃなかったんですね」 智美「むっきーも聞こえてなかったか。私も聞こえてなかったぞー」ワハハ 京太郎「いや、確かにモモは存在感薄いですけど一緒に麻雀してて消えるなんて……」 桃子「ほら、来る途中にもやったじゃないっすか。私は自分の意志でも消えられるんすよ?」 京太郎「……あー。そういえば」 桃子「麻雀でやると私だけじゃなく牌も消せるんすよ。正確に言えば気づかなくさせるっすけど」 京太郎「つまり相手に警戒されなくなるし、振り込むこともなくなるってことか? そりゃすごいな」 桃子「気づかれない私の唯一の利点といっても過言じゃないっす! まあまさか初見で破られるとは思わなかったっすけど……」 京太郎「ああ、加治木先輩が鳴きまくってたのはそれで……」 ゆみ「破るなんて大層なものじゃないさ。たまたま運よく行っただけだ」 ゆみ「どうせ見えないなら防御するのも不可能だからな。上がられたら確実に まくられてしまうし、なら鳴いて速く手を進めてしまえというだけだよ」 桃子「まあ理屈ではそうっすけど……私が鳴けないから手が遅いってのもわかった上でやったんすよね。凄いっす!」 ゆみ「ネトマのときから極端な面前思考で気になっていたから試してみたんだ。上手くいって幸いだった」 京太郎「なんというか……追いつける気がしない」 智美「気にするな京太郎。私もだー」 睦月「私なんてリーチ宣言聞き逃したとしか思ってませんでしたよ……」 ゆみ「さて、じゃあもう1局打とうか」 桃子「次は負けないっすよー」 智美「京太郎、私が抜けるから代わりに入るんだー」ワハハ 京太郎「え!? でも俺ほんと初心者で……」 睦月「私も入ってすぐ打たされたよ。とりあえずやってみよう?」 ゆみ「とりあえず簡単なルールさえ分かっていれば大丈夫だ。別に練習だし軽い気持ちでいいぞ」 京太郎「……そうですね。よろしくお願いします!」 ………… ……… …… … 京太郎「」ズーン 智美「見事に飛んだなー」 桃子「見事に飛んだっすねー」 睦月「先輩の倍満と跳満に続けて振り込み……」 ゆみ「その、すまない。どうも運がよすぎたようで……」アセアセ 京太郎「い、いえ。手加減しちゃ練習になりませんしね……」ハハハ ――帰り道―― 智美「それじゃあ私たちはこっちだから」 桃子「また明日っすー!」 睦月「さようなら先輩。京太郎くん、また明日」 京太郎「はい、お疲れさまでした」 ゆみ「ああ、また明日」 下校途中の大きな交差点。鶴賀の生徒の多くはここで大きく二手に分かれて帰宅する。 俺達麻雀部もそのご多分に漏れず、俺と加治木先輩は右へ、部長と睦月先輩とモモは左へと分かれることになった。 京太郎「……」テクテク ゆみ「……」カラカラカラ 京太郎「……その、加治木先輩自転車押してますけど家遠いんですか?」 ゆみ「あ、ああ。学校まで大体自転車で20分ちょっとかかるな」 京太郎「そうなんですか。……急いでるようでしたら俺に気を遣わなくても大丈夫ですよ」 ゆみ「いや、今日は特に何もないから大丈夫だ。途中まで……い、一緒に帰ろう」 京太郎「そうですか……」 ゆみ「……」カラカラカラ 京太郎「……」テクテク 京太郎(……き、気まずい!!) 京太郎(なんか会話もぎこちないし、嫌われたのか苦手に思われたのか……) 京太郎(こっちから話しかけないほうがいいかな。でもこのまま無言ってのも……) 京太郎(うん、悪いところがあったら直せばいいんだしな。もう一回声をかけて) ゆみ「須賀くん!」 京太郎「は、はいぃ!!?」 京太郎(な、なんだ!? なんかしたか俺!?) ゆみ「その、だな……」 京太郎「……」 ゆみ「……」 京太郎「…………」 ゆみ「……すまない、ちょっと情けないことで話すのに心の準備が必要でな」 京太郎「……?」 ゆみ「ふぅ……」スーハー ゆみ「……その、私は男子と話すのが得意ではなくてな」 京太郎「……は?」 ゆみ「君に対してそっけない態度を取っていると思うのだが、決して君のことが嫌いとかそういうわけではないんだ」 京太郎「え、いやでも部活とか教室ではそんなこと全然」 ゆみ「麻雀なら君に対しては指導するという立場でいられるからな。普通に話すのに比べれば大した緊張はない」 ゆみ「教室は……あのときの私はどうかしていた」カァァァ ゆみ「部員を見つけることだけを考えていて、他のことは何も頭になかった。緊張なんてする暇もなかったよ」 京太郎「そうだったんですか」 ゆみ「だから、その、だな。君を不快にさせてしまったかもしれないが、決してわざとというわけではないんだ」 京太郎「ははは、嫌われたのかと思ってましたよ」 ゆみ「す、すまない……」シュン 京太郎「い、いえ。そういうつもりでは」 京太郎「言ってくれて嬉しかったですよ。言われなかったら誤解したままだったかもしれないです」 ゆみ「ん……そうか。そういってくれると助かる」 京太郎「でも意外ですね。男子とか苦手な風には見えないです」 ゆみ「ふむ、まあ女の子らしい見た目ではないからな」 京太郎「そんなことないですよ!」 ゆみ「はは……うん、そう言ってくれるのは嬉しいよ」 京太郎(本心なんだけどなあ……) ゆみ「男子と話すのが苦手な理由は、まあ単純に話す機会がなかったんだ」 京太郎「小さい頃から女子校だったんですか?」 ゆみ「いや、そういうわけではないんだが、私は小さい頃から何かと男子を注意するような役回りになることが多くてな」 京太郎「あー……」 ゆみ「今日一日一緒にいただけだが、何となく分かるだろう?」 京太郎「ええ、なんとなくわかります」 ゆみ「自分から言うことはそんなになかったんだが、女子から注意してくれとよく頼まれた」 ゆみ「そのせいで男子からは敬遠され、女子からはさらに頼られ、男子と普通に話す機会をほとんど持てなかった」 ゆみ「その上女子校に入学してしまったからな。自業自得ではあるんだが、慣れようがなかったんだ」ハハハ 京太郎「共学化したときとかはどうだったんですか?」 ゆみ「麻雀部に来るかもしれないと思ってやはり緊張したよ。結果は……まあ今日見た通りだが」 京太郎「あはは……」 ゆみ「まさか1人も入らないとは思わなかった。まあ確かに麻雀をやりたい子がわざわざ鶴賀に来るわけはないんだが」ハァ ゆみ「だから今日、モモと君、2人も入ってくれて本当に感謝している」 京太郎「モモはわかりますけど俺もですか?」 ゆみ「ああ、もちろんだ」 京太郎「でも俺は男子ですし、麻雀も初心者ですよ」 ゆみ「確かに大会には出たいし、そのために部員を集めていた。 でも私が卒業した後、部員不足で麻雀部が潰れてしまっては悲しいだろう?」 ゆみ「女子だろうと男子だろうと、麻雀の経験があろうとなかろうと関係ない。私は君が入ってくれてとても嬉しかったよ」ニコッ 京太郎「――!」カァァ ゆみ「うん? どうかしたか?」 京太郎「い、いえ。なんでもないです」 京太郎(ほんと先輩はストレートだな……!) 京太郎「そういえば部員って今日いたので全員なんですか?」 ゆみ「? あれで全員だがそれが?」 京太郎「いえ、麻雀の団体戦って5人でやるじゃないですか。1人足りないんじゃないかと」 ゆみ「ああ、そのことか。確かに説明していなかったな」 ゆみ「蒲原には幼馴染がいるんだが、その子が4人集まったら入ってくれると言っているらしいんだ」 京太郎「ああ、じゃあモモが入ったからその人も入ってくれるんですね」 ゆみ「そういうことだ。彼女は初心者と言っていたかな。君と一緒だ」 京太郎「へーそうなんですか。よかったです、1人初心者で気後れしてたんで……」ハハハ ゆみ「誰だって始めたときは初心者だよ。これから上手くなればいい」 京太郎「今日の加治木先輩とモモの会話聞いてたらそうは思えませんよ……」 ゆみ「モモのは彼女の生まれ持った資質だけど、私のは練習の賜だ。努力次第だが私くらいにはなれるさ」 京太郎「うーん、なれますかねえ」 ゆみ「なに、これから私たちが教えるんだ。独学で学んできた私より上手くなって貰わないとな」 京太郎「ははは、そうですね。ご指導よろしくお願いします」ペッコリン ゆみ「ああ、任された」フフッ 京太郎「それじゃあ俺はこっちなんで」 ゆみ「ああ、それじゃあ……もうこんなところか。君との話に夢中で気がつかなかった」 京太郎「ありがとうございます。――あ、そうだ。加治木先輩」 ゆみ「なんだ?」 京太郎「加治木先輩が男と話すの苦手っていうの、きっと思い込みだと思いますよ」 ゆみ「そうだったらいいが、現に私は君にぎこちない態度を取ってしまっていたと思うのだが……」 京太郎「全くないとは言いませんが、そういうのって大体俺が急に話しかけたときとかじゃないですか」 京太郎「多分話すのが苦手というよりは、何を話せばいいのか分からないんですよ」 ゆみ「それは確かにそうだが、その2つにあまり差はないんじゃないか……?」 京太郎「だってほら、先輩と俺、帰り道は普通に話してたじゃないですか」 ゆみ「ふむ、確かに言われてみればそうだな」 京太郎「あんまり固く考えなければいいんですよ。そうすればきっとすぐ直ります」 ゆみ「ああ、君の言うとおりかもしれないな。でも、須賀くんだからというのもあると私は思う」 京太郎「えっ……」ドキッ ゆみ「私に話しかけてくる男子はほとんどいなかったからな。高校に入ってからは須賀くんが初めてだ」 京太郎「あ、ああ。そういう……」 ゆみ「すぐには慣れないと思うが、これからも話しかけてくれると嬉しい」 京太郎「え、ええもちろんです」 ゆみ「ありがとう。それではまた明日。部室で」 京太郎「さようなら……」 京太郎「……」 京太郎「…………」 京太郎「天然でやってんのかあれは!?」 ――自室―― 京太郎「お、咲からのメールか」 京太郎「1日ぶりだな。どれどれ……」 咲『京ちゃん元気?』 京太郎『おう、元気だぞ。昨日はメールなかったけどどうしたんだ?』 咲『本を読んでたらそのまま寝ちゃって……』 京太郎『はは、お前らしいな』 咲『うぅ……そ、そんなことより、今日私文芸部に行こうとしたんだよ!』 京太郎『おお、ついに入部し……行こうとした?』 咲『う、うん。その、ドアの前までは行ったんだけど、中がすごく和気あいあいとしてて入りづらくて……』 京太郎『まあもう5月だからなあ』 咲『どうしよう京ちゃん! 私文芸部に入れないよ!!』 京太郎『いやそのくらい気にせず入れよ……そもそもなんで4月に入らなかったんだ?』 咲『ええと、ほら、清澄に行った友達がいるじゃない?』 京太郎『ウチの中学から清澄に結構行ってたよな? 図書委員のやつ?』 咲『ううん、そっちじゃなくて班で一緒だったクラスの子』 京太郎『ああ、あいつか。結構仲良かったよな』 咲『そうそうその子。まあ京ちゃんとほどじゃなかったけどね』エヘヘ 京太郎(俺基準って……まあいいか) 京太郎『それでそいつがどうしたんだ?』 咲『うん、その子に一緒に文芸部に見学に行かない? って誘ったんだけど断られちゃって』 京太郎『へー、見学くらい行ってくれてもいいのにな』 咲『まあ先週誘った私も悪かったんだけど』 京太郎『先週!? ちなみにあいつ部活入ってるのか?』 咲『入学してすぐ園芸部に入ったよ。私も見学に付き合ったの』 京太郎『断られるに決まってんだろ!!』 咲『やっぱりそうだよね……』 京太郎『っていうか4月に行ってない理由にはなってなくないか?』 咲『ええと、さっき言ったとおり4月の初めにあの子と一緒に園芸部に行ったんだけど、私も体験入部したんだ』 京太郎『咲は花育てるのも好きだったよな』 咲『うん、最初はお花を育てるの楽しいし、本は1人でも読めるからここに入ろうかなと思ったんだけど……』 京太郎『ふむふむ』 咲『園芸部って土とかお花の鉢運んだりするんだ。それが結構重くて……』 京太郎『あー、それがきつくてやめたのか』 咲『そのくらいじゃやめないもん!』 京太郎『え? じゃあなんでやめたんだよ』 咲『ええと、頑張って運ぼうとしたんだけどお花植えてるプランターこぼしちゃって……』 京太郎『お、おう。まあでも一回くらいならやめるほどではないんじゃないか』 咲『ううん、何度も』 京太郎『…………』 咲『無言はやめてぇ!!』 京太郎『ま、まあ居づらくなって園芸部やめたのはわかった。それで?』 咲『え?』 京太郎『体験入部のうちにやめたんだろ? なら文芸部だって体験入部期間に行けたんじゃないか?』 咲『そ、それはそのう……』 京太郎『……うん、言わなくていいぞ。大体わかった』 咲『うぅ……で、でも勇気出したよ! 先週は友達誘ったし、今日は部室の前まで行ったもん!』 京太郎『まあなんだ。咲が頑張ったのはよくわかった。でももう少し頑張ろうな』 咲『京ちゃぁん……』 京太郎『入っちゃえば意外となんとかなるもんだぜ。俺も今日部活入ったけどみんな歓迎してくれたよ』 咲『京ちゃん部活入ったの!? 何部?』 京太郎『麻雀部』 咲『麻雀……京ちゃん麻雀出来たっけ?』 京太郎『いや全く。完全に初心者だよ。でも歓迎してくれた』 咲『そっか』 京太郎『咲は麻雀出来るのか?』 咲『……うん、出来るよ。昔よく家族でやってた』 京太郎『へー、なら麻雀部入ったらどうだ?』 咲『麻雀部?』 京太郎『ほら、清澄の麻雀部って聞いたことないからきっと強くないだろ? なら5月からでもウチみたいに歓迎してくれるさ』 京太郎『それに麻雀部なら大会でお前と会えるかもしれないしさ』 咲『……そうだね。考えてみる』 京太郎『まあ最終的には咲が後悔しないようにすればいいと思うけどな』 咲『これだけ言っておいて結局それ? ……うん、でもありがと』 京太郎『おう』 咲『ところで京ちゃん。大会で会えるかもってもしかして女子と合同の部活なの? そういえば鶴賀って元女子校だったよね?』 京太郎『ああ、というか俺以外全員女子だよ』 咲『な、何それ!!』 京太郎『何って……去年まで女子校だったし麻雀部も俺含めて今のところ5人だしな。そういうこともあるだろ』 咲『どうせハーレムだー! とか思ってるんでしょ!』 京太郎『初心者俺1人だぜ? そんな余裕ねえよ。……まあ嬉しくないって言ったら嘘になるけど』 咲『京ちゃんのバカ! もう知らない!!』 京太郎「おおう……まあ部活入れないって相談してきたのに、俺は部活でハーレムだって言ったらそりゃいい気分はしないか」 京太郎「なんて返すかなあ。ってあれ、咲からメールが」 咲『言い忘れてた、おやすみ!!』 京太郎『おやすみ。別に男子が俺だけだから入ったわけじゃないからな!』 咲『うん……その、私急に怒っちゃったけど、京ちゃん怒ってない? 明日もメールしていいよね?』 京太郎『これくらいで怒るわけないだろ? 明日は俺からメールするよ』 咲『京ちゃんありがとう!!』 京太郎『俺も悪かった。また明日』 京太郎「10時半か。ちょっと早いけどもう寝……ん? 加治木先輩からメール?」 ゆみ『今日はありがとう。男子と話したのは久々だったよ』 京太郎『いえ、俺も楽しかったですよ。それにしてもアドレス交換しましたけど、まさか今日メール貰えるとは思いませんでした』 ゆみ『蒲原に話したらその日のうちにメールするべきだと言われたんだが……』 京太郎(早く仲良くなるようにって部長が気を遣ってくれたのかな……うん、まあ嬉しいんだけど) ゆみ『男子にメールしたのは初めてなのだが何かおかしなところがあっただろうか』 京太郎『いえありませんよ。せっかくですし、教本で気になったところがあるのでよければ教えて下さい』 ゆみ『勉強熱心だな。いいぞ、なんでも聞いてくれ』 京太郎『それじゃあ――』 ………… ……… …… … 京太郎「ロ、ロン!! 立直平和で裏ドラは……乗った! 3900です!」 ゆみ「む……」 京太郎「よっしゃあ! やっと加治木先輩から直撃取れた!」 智美「ついにゆみちんから直撃かー。気分はどうだー」ワハハ 京太郎「最高です!」 桃子「後は私から直撃取れば全員制覇っすね!」 京太郎「モモ、一度消えないでやってみないか?」 桃子「消える前に頑張るっす!」 京太郎「せめて東場は消えないでくれよ……」 桃子「気合で頑張るっす!」 京太郎「うぅ……」 佳織「うわー凄いね京太郎くん!」 京太郎「ははは、佳織先輩には負けますよ」 佳織「? 私加治木先輩からロンしたことないよ?」 京太郎「あははは……」 京太郎(代わりに初めての麻雀で役満上がってるんだよなあ……) 睦月「おめでとう京太郎くん。でもまだ打ってる最中だからほどほどに」 京太郎「あ、すみません。つい嬉しくて」 睦月「ふふ、私も初めてのときははしゃいだから気持ちはわかるよ」 京太郎「睦月先輩がはしゃぐのってあんまり想像つかないですね」 ゆみ「今の須賀くんのような感じだよ。まあそのうち見られるさ」 京太郎「そのうち?」 ゆみ「津山はプロ麻雀せんべいをよく食べているだろう?」 京太郎「そうですね。俺も睦月先輩に影響されて食べ始めましたよ」 ゆみ「いつの間に……まあいい。津山はレアカードが当たったとき、人が変わったように喜ぶんだ」 睦月「そ、そんなことないですよ!」 京太郎「へー。楽しみにしてますね」 睦月「しなくていいから!」 智美「3人とも、そろそろ次の局行くぞー」 ゆみ「そうだな。すまない」 京太郎「この勢いでトップを狙います!」 ………… ……… …… … 京太郎「結局3位か。配牌は良かったんだけどなあ」 桃子「京太郎は牌効率がまだまだっすね。いくら配牌がよくてもそれじゃ勝てないっすよ」 京太郎「一応考えてるつもりなんだけど難しいな。筋とか壁とかそういうのは決まってるから覚えやすいんだけど」 桃子「え? もう覚えたんすか?」 京太郎「ああ、教本読んだり加治木先輩に教わったりしてるからな。もうバッチリだ!」 桃子「見た目と違って真面目っすねー……ってゆみ先輩に?」 京太郎「見た目は関係ないだろ! そうだけどどうかしたか?」 桃子「部活でそんなにじっくり話してるの見たかなーと」 京太郎「ああ、帰ってからメールで教えて貰ってるんだよ」 桃子「む。個人指導っすね」 京太郎「まあそうなるな」 桃子「羨ましいっす!」 京太郎「は?」 桃子「私もゆみ先輩に教えてもらいたいっす!」 京太郎「それを俺に言われてもなあ」 ゆみ「私なら構わないぞ」 京太郎「加治木先輩!?」ビクッ ゆみ「あんまり驚かれると傷つくな……」 京太郎「す、すみません」 ゆみ「い、いや、冗談だ。気にしないでくれ。……それよりモモ、聞きたいことがあったらいつでもメールしてくれて構わないぞ」 桃子「ほんとっすか!?」 ゆみ「ああ、後輩の指導も先輩の役目だ。なるべく速く返信するよ」 桃子「嬉しいっす! ゆみ先輩大好きっすー!」 智美「ゆみちん、ちょっと来てくれ」コイコイ ゆみ「?」テクテク 智美「部員が集まって嬉しいのはわかるけど、最近ちょっと詰め込み過ぎてないかー?」 ゆみ「そんなつもりはないんだが……」 智美「牌譜持ち帰る量も増えたし、他校の研究も本格的に始めたんだろー?」 ゆみ「バレていたのか」 智美「これでも部長だぞー」ワハハ ゆみ「……まあそうだな。お前の言うとおり以前より熱心にやっているよ」 ゆみ「折角部員が集まったんだ。1回戦で負けて終わりなんて嫌じゃないか」 智美「それには同意だなー。でも少しくらい分けてくれてもいいんだぞ」 ゆみ「そうだな……」ムゥ 智美「私とゆみちんの仲だろ? 遠慮せず言ってくれていいぞ」 ゆみ「ん……こういうのはなんだが、私のほうが向いていると思うんだ」 智美「やっぱり私じゃ力不足かー」ワハハ ゆみ「いや、性格的に」 智美「想定外の方向から突き刺さったな……」 ゆみ「遠慮するなと言ったのはお前だろう」 智美「そっちから来るとは思わなかったぞ」 ゆみ「まあ1人でやったほうが効率的だというのもなくはないがな」 智美「じゃ、じゃあアドバイスの方なら! それなら私でも出来るぞ!」 ゆみ「私がやると言ったことだしな。それを任せるというのも」 ゆみ「それに……」チラッ 智美「?」 ………… ……… …… … 桃子「むっちゃん先輩! この間話してた喫茶店に行く話っすけど、今日の帰りどうっすか?」 睦月「今日は予定もないし……うむ、行こうか」 桃子「かおりん先輩はどうっすか?」 佳織「~♪」 京太郎「佳織先輩、モモが呼んでますよ」 佳織「えっ!? ご、ごめんね桃子さん」 桃子「私はこっちっすよ」 佳織「あわわわ……」 京太郎「気にしないでください。そのうち見つけられるようになりますよ」 桃子「京太郎が言うんじゃないっす!」 睦月「あはは、京太郎くんはどうする? 一緒に行く?」 京太郎「行きたいんですが課題が残ってるので……」 睦月「そう……あ、そうだ。この前約束したプロ麻雀カード、ダブってるやつ持ってきたよ」 京太郎「おお、ありがとうございます!」 佳織「キラキラだねー」 睦月「結構貴重なレアなんだ。大事にしてね」 京太郎「はい!」 ゆみ「」ジー 智美「どうしたゆみちん。恋する乙女かー」ワハハ ゆみ「なっ!? バ、バカを言うな!!」 智美(からかいがいがあるなー)ワハハ ゆみ「……私はあんな風に仲良くなれていないからな。せめて麻雀で距離を縮めたい」 智美「そんなことないと思うけどなー」 ゆみ「それに実際大した負担ではないんだ。頼ってもらえるというのは純粋に嬉しいしな」 智美「まあゆみちんがそういうなら。でも無理はダメだぞ」 ゆみ「ああ、わかってるよ」 京太郎「智美部長、加治木先輩! 早く帰りましょう!」 ゆみ「すまない、今行く……っと」フラッ 京太郎「大丈夫ですか?」 ゆみ「少しふらついただけだ。心配ない」 桃子「先輩も喫茶店行かないっすか?」 ゆみ「ありがとう。だけど牌譜の整理があるから遠慮しておくよ」 桃子「残念っす……」 智美(……やっぱり心配だなー) 京太郎「こんにちはー……ってあれ。部長だけですか」 智美「みんなまだみたいだなー」 京太郎「じゃあ来るまで教本でも読んで……」 智美「なあ京太郎、息抜きするなら何がいいと思う?」 京太郎「唐突ですね」 智美「いいからいいから」 京太郎「そうですねー……まあ普通に遊びに行くのが一番じゃないですか?」 智美「やっぱりそうだよなー」ワハハ 京太郎「急にどうしたんですか?」 智美「最近ゆみちん根詰めてるだろ? 息抜きに買い物に誘ったんだけど断られちゃってなー」 京太郎「そういえばたまに辛そうにしてますね」 智美「だろー? 大会まで時間がないのは確かだけど、あれで持つのか心配なんだ」 京太郎「時間がないといっても無理が続くほどではないですしね」 智美「気を抜いてくれればまた違うと思うんだけどなー。京太郎、何かゆみちんに息抜きさせるいい方法はないかー?」 京太郎「ただ誘うだけだとダメだったんですよね? うーん……」 智美「まあすぐじゃなくてもいいさ。考えておいてくれ」 京太郎「わかりま……」 ゆみ「」ガラッ 京太郎「」ビクッ 智美「」ビクッ ゆみ「ど、どうしたんだ?」 智美「い、いや。なんでもないぞー」ワハハ ゆみ「怪しいな……何かよからぬことでも考えてたんじゃないだろうな」 京太郎「そ、そんなことないですよ! それよりその雑誌はなんですか?」ガタタッ 智美(ナイスフォローだ京太郎!) ゆみ「バ、バカっ! 近い!」カアァァ 京太郎「はっ! す、すみません!」カアァァ 智美(……わざではないんだろうなー) ゆみ「ざ、雑誌だったな。これは麻雀の専門誌だよ」コホン 京太郎「そ、そういえばそういう名前の見たことあります」 ゆみ「初心者向けのコーナーもある。参考になるだろうから読んでみるといい」 京太郎「へー、読んでみますね」ペラペラ 京太郎「……ん?」 ゆみ「どうかしたのか?」 智美「どれどれ……高校生チャンプ宮永照?」 京太郎「ええ、はい」 智美「確かに美人だから気になるのもわかるけど、女子2人の前でそれは感心しないなー」ワハハ ゆみ「須賀くん、そうなのか……」ジー 京太郎「違いますよ!」 智美「ワハハ、冗談だ」 ゆみ「わ、私はわかっていたぞ」 京太郎「加治木先輩……まあいいです。えっと、前に住んでたところに宮永って幼馴染がいるんですよ」 ゆみ「なるほど、同じ名字だな」 京太郎「そいつも女子なんですけど、なんとなく雰囲気が似てるなーと思いまして」 ゆみ「宮永照のいる白糸台は東京だろう? 須賀くんは前に住んでいたところも長野だったと聞いた覚えがあるのだが」 京太郎「ええ、そうなんですけど他人の空似とは思えなくて」 智美「ふーん。なら親戚なのかもしれないなー。その子も麻雀は強いのか?」 京太郎「いえ、そもそも打ってるところも見たことが……」 京太郎「あ、いや。そういえば家族麻雀はしていたみたいです。俺も最近聞いたんですが」 ゆみ「ふむ、仮に宮永照がその幼馴染の親戚だとすると、我が部には高校生女子麻雀チャンピオンの 親戚の幼馴染がいることになるわけか」 智美「世間は狭いなー」 京太郎「近いのか遠いのか微妙な繋がりですけどね」ハハハ 佳織「何を話してるんですか?」ガラッ モモ「私も入れて欲しいっすー!」 佳織「わっ! 桃子さん!?」 睦月「最初からいたよ」クスクス 智美「みんな来たかー。今は京太郎が女子麻雀チャンプの知り合いだって話をしてたんだー」ワハハ 京太郎「ちょっと部長!?」 桃子「なんと、衝撃の事実っす! さては今までの麻雀素人っぷりも演技っすね!?」 佳織「京太郎くんそんな人と知り合いなの!? 凄いねー。でもおんなじ初心者だと思ってたからちょっと寂しいな」 京太郎「モモ悪ノリするな! 佳織先輩、智美部長のもモモのも嘘ですからね!?」 佳織「智美ちゃん嘘だったの? もう、信じちゃったじゃない」 ゆみ「正確にはチャンピオンの親戚の幼馴染かもしれないというところだな」 睦月「反応が難しいですね……」 京太郎「雑誌見てての雑談ですから! もうやめて下さい……!」 桃子「その屈辱は麻雀で晴らすっすよ! さあ勝負っす!」 京太郎「お前のせいでもあるからな!? 畜生、今日こそは勝ってやる!」 桃子「受けて立つっすよー!」 ゆみ「はは、今日は最初は1,2年生に譲ろうか」 智美「私たちは見学だなー」 睦月「ありがとうございます。モモも京太郎くんも、2人で盛り上がってるけど私も負けないよ」 佳織「私も頑張ります!」 ………… ……… …… … ――帰り道―― 京太郎「それじゃみなさんまた明日」 佳織「また明日」 睦月「さようなら」 智美「2人ともまたなー」 モモ「今日の雪辱はまた果たすっすよ!」 京太郎「今日だけで何度も果たされたよ!」 ゆみ「はは、4人ともまた明日」 京太郎「……」テクテク ゆみ「……」カラカラカラ 京太郎(何度も一緒に帰ってるけど、やっぱり別れてすぐは会話が途切れるなあ) 京太郎(俺から話しかければいいんだろうけど……)チラ ゆみ「……」ソワソワ 京太郎(……うん、もうちょっと待ってみよう) 京太郎「……」テクテク ゆみ「……」カラカラカラ 京太郎「……」テクテク ゆみ「……す、須賀くんっ」 京太郎「はい、何でしょう」 ゆみ「その、だな。今日は初めての2位おめでとう」 京太郎「ありがとうございます!!」 ゆみ「うわっ」ビクッ 京太郎「いやもうほんと嬉しかったんですよ! いつ話振ってくれるかなってそわそわして……って」 ゆみ「」 京太郎「そ、その、すみません……」 ゆみ「ふっ、くくっ……」 京太郎「加治木先輩?」 ゆみ「ふふ、すまない。ついおかしくてな」 京太郎「う……ついはしゃぎすぎましたけど、初めての2位なんですよ。嬉しくて当然じゃないですか」 ゆみ「それにモモの上を行ったのも初めてだった」 京太郎「そうです。目標が2つ同時に達成できたんですよ。そりゃ喜びますって!」 ゆみ「うん、まあ気持ちはわかる。でもな」 京太郎「?」 ゆみ「まだ君は部に入って間もないが、その努力を私は誰よりもよく知っているつもりだ」 ゆみ「君はよく努力している。そんなに喜ばなくともこれから何度でもなれるし勝てるよ。私が保証する」 京太郎「加治木先輩……」ジーン ゆみ「うん? どうした」 京太郎「いえ、感動してました」 ゆみ「なっ!?」 京太郎「他人に真正面から評価されるってこんなに嬉しいものなんですね……!」 ゆみ「大げさだな……そういう感動はもっと大事なときに取っておいたほうがいい」 京太郎「じゃあ今度は1位になったときにまた言って下さい」 ゆみ「ん……まあいいだろう」 京太郎「はい、頑張ります!」 ゆみ「ではそのためにはもっと実力を上げなければな」 京太郎「え……」 ゆみ「須賀くんの牌譜も集まってきたしな。ちょうど言いたいことがあったんだ」 京太郎「ええと、今日のところはいい気分のままでいさせて頂けたりとかは……」 ゆみ「1位を目指すんだろう? わかっているとは思うが、須賀くんの実力はまだまだ足りていないぞ」 京太郎「それはまあ、最初に2位になった後はいつも通り3位や4位ばかりでしたし……」 ゆみ「なら勉強だ。まず君は対子を集める傾向があるな。何か意味はあるのか?」 京太郎「いや、その、ポンってどこからでも鳴けるから得だなーと」 ゆみ「まあそんなところだろうと思っていた」ハァ ゆみ「単純に有効牌の数を考えてみてくれ。塔子なら両面待ちで8枚、嵌張や辺張でも4枚あるだろ? 対して対子では2枚しかない」 京太郎「……おお、言われてみれば!」 ゆみ「まあもちろん場に出ている枚数や手役との兼ね合いもあるがな。基本的には対子より塔子を残すことを考えてくれ」 京太郎「勉強になります」 ゆみ「さて、次は……」 京太郎「ま、まだあるんですか!?」 ゆみ「当たり前だ……む、もうこんなところか」 京太郎「あ、分かれ道ですね。それでは俺はここで……」 ゆみ「帰ってからメールするから返信するように」 京太郎「ですよね……」 ゆみ「ああ、それじゃあまた夜に」カラカラカラ 京太郎「はい、さようなら」テクテク 京太郎「加治木先輩結構スパルタだよなあ。まあ親身になってくれてるってことだけど」テクテク 京太郎「……ん? あれ、なんで加治木先輩歩いて帰ってたんだ? ……ん、メールが」 ゆみ『さっきはああ言ったが、正直君がモモに勝てるのはもっと先のことだろうと思っていた』 ゆみ『モモのステルスは偶然だけで勝てるようなものじゃない。麻雀を初めて一週間ほどで勝てたのは誇っていいと思う』 ゆみ『君の打ち方については帰ってからメールで言うつもりだったんだが……その……』 ゆみ『君に言われたことが恥ずかしくて、誤魔化すように言ってしまった』 ゆみ『きつい言い方になってしまったと思うんだが、よければこれからも頼ってほしい。すまなかった』 京太郎「……頼らないわけないのになあ」ハハ 京太郎(歩いてたのはすぐメールするためだったんだな) 京太郎「さて、なんて返そうかな。まずは気にしてないということと、それからお礼と……」 ――自室―― ゆみ『今日はここまでにしておこう。また明日』 京太郎『ありがとうございました。また明日よろしくお願いします』 京太郎「ふー……おお、2時間も付き合って貰ってたのか!?」 京太郎「部長に言われたばっかりなのに頼りすぎた……ちゃんと息抜きのしてもらい方考えないとなあ」 京太郎「ま、今はそれより咲からのメールに返信を……っと」 京太郎『悪い悪い、返信遅れた』 咲『もーいつもはすぐ返ってくるのに1時間も来ないから心配したよ』 京太郎『悪かったよ。それより今日は何かあるのか?』 咲『ううん、特にはないかな。今日は京ちゃんの話聞かせてよ』 京太郎『その言葉を待ってた! 聞いてくれ!』 咲『な、何?』 京太郎『今日初めて2位になれたんだよ!』 咲『京ちゃんおめで……2位?』 京太郎『2位だよ! 悪いか!』 咲『すっごく喜んでたから1位になったのかなって思ったんだけど……』 京太郎『初心者が麻雀部相手に2位になったんだから十分凄いだろ!』 咲『京ちゃんも今は麻雀部じゃない』 京太郎『それはそうだけど! 初めてトップ2になれたんだよ!』 京太郎『咲も麻雀やってたなら初めて2位になったときの気持ちわかるだろー』 咲『……そうだね。きっと嬉しかったんだと思う』 京太郎『思う?』 咲『昔のことだもん。でも、うん。昔は楽しくやってた気がする。だから思う、かな』 京太郎『そうか……それと、咲に聞きたいことがあるんだけどいいか?』 咲『なあに?』 京太郎『今日麻雀の雑誌読んだんだ』 京太郎『それに高校生女子麻雀チャンピオンのインタビュー載ってたんだけど、そのチャンピオンの名前が宮永照っていうんだよ』 京太郎『その宮永照って人は東京の高校に通ってるんだけど、なんとなく雰囲気がお前に似てるから気になったんだ』 京太郎『もしかして親戚だったりするか?』 ………… 京太郎「メール返って来ないな……なんかマズイこと聞いちまったか? とりあえず……」 京太郎『その、答えにくかったら無理に答えなくていいぞ? こっちも突然聞いて悪かったし』 咲『ううん、大丈夫……その人は、宮永照は私のお姉ちゃんだよ』 京太郎『お前にお姉さんなんていたのか?』 咲『うん、京ちゃんと会う前にお父さんとお母さん別居しちゃってたから』 咲『私は長野でお父さんと住んでるんだけど、お姉ちゃんは東京でお母さんと一緒に住んでるの』 咲『……そういえば京ちゃんに私の家族の話したことなかったね』 咲『ちょうどいいし聞いてもらっていいかな? ちょっと相談したいこともあるんだ』 京太郎『確かになかったけど……俺が聞いていいような話なのか?』 咲『別に隠すようなことじゃないし気にしないで』 京太郎『そっか。それなら咲、久々に電話かけてもいいか?』 咲『うん、いいよ。……ありがとう京ちゃん』 京太郎『もしもし、聞こえるか?』 咲『もしもし、聞こえるよ』クスクス 咲『それじゃあ話すね。ええと、どこから話そうかな』 咲『家族麻雀をよくしてたって話はしたよね?』 京太郎『ああ、この間聞いた』 咲『私ね、実は家族麻雀そんなに好きじゃなかったんだ』 京太郎『そうなのか? 家族で出来るなんて楽しそうだななんて思ってた』 咲『うん、私の家ではね。お金をかけて麻雀やってたんだ』 京太郎『それで負けてたのか?』 咲『ううん、そんなことないよ。多分勝ち越してた』 京太郎『じゃあお金をやり取りするのが嫌だったとか?』 咲『それもちょっと違うかな。勝っても怒られてたんだ。負けたらお金を取られるし、勝ったら怒られる。京ちゃん、これどう思う?』 京太郎『なんというか……酷い話だな』 咲『でしょ? だから私は麻雀のことがそんなに好きじゃないんだよ』 京太郎『……』 咲『それで相談っていうのはここからなんだけど……』 京太郎『おう、ゆっくりでいいぞ』 咲『えっとね。京ちゃんが読んだっていう雑誌なんだけど、私も見たんだ』 京太郎『もう知ってたのか?』 咲『うん、お父さんから見せてもらってたんだ』 咲『私ね、一度東京へ、1人でお姉ちゃんに会いに行ったことがあるんだ』 京太郎『1人で行けたのか?』 咲『ちっちゃい子じゃないんだから行けるよ! 京ちゃんは私のことをなんだと思ってるの!?』 京太郎『悪い悪い。続けてくれ』 咲『うん、それで家まで行ったんだけど、お姉ちゃんは一言も口を聞いてくれなかった――』 咲『お姉ちゃん、きっとまだ私のこと怒ってるんだ』 京太郎『怒ってる?』 咲『家族麻雀の話で、負けたらお金を取られる、勝ったら怒られるって話はしたよね? それで私はどうしたと思う?』 京太郎『どうしたって……麻雀をやらなくなったとかじゃないのか?』 咲『ううん、違うよ。私はね、±0にしちゃえばいいんだって思ったんだ』 咲『それならお金を取られないし、取らないから怒られることもないから』 京太郎『……は? いや、そんなの狙ってできるものじゃないだろ?』 咲『狙ってやったんだ。狙えるようになったって言ったほうがいいかな。ちっちゃい私の精一杯の抵抗だった』 京太郎『……凄いな』 咲『あはは、ありがと。でもお姉ちゃんは私の勝ちを狙わないやり方が気に入らなかったんだと思う』 咲『きっと、だから今でも私と話してくれないんだ』 京太郎『……咲はお姉さんと仲直りしたいのか?』 咲『うん、だから雑誌の記事を見て、麻雀部に入ればお姉ちゃんとまた会えるかもしれないって思ったんだ』 京太郎『ああ、俺もそう思う』 咲『それで麻雀部に入ろうかどうか迷ってるの』 京太郎『結局文芸部には入らなかったんだろ? 麻雀部に入ればいいじゃんか』 咲『でもさ、京ちゃん。お姉ちゃんを怒らせた原因は麻雀なんだよ?』 咲『その麻雀を使ってお姉ちゃんに会おうなんて余計に怒らせたりしないかな?』 京太郎『それは……』 咲『麻雀部に入らなければ、時間はかかるかもしれないけどその内お姉ちゃんは私のことを許してくれるかもしれない』 咲『麻雀部に入ればすぐお姉ちゃんに会いに行ける。でも、もっと怒らせて私のことをずっと許してくれなくなるかもしれない』 咲『京ちゃん、私はどうしたらいいのかな……』 京太郎『……咲は麻雀のことどう思ってるんだ?』 咲『え?』 京太郎『だからさ、咲は麻雀のこと好きなのか?』 咲『……さっき言ったじゃない。あんまり好きじゃないよ』 京太郎『でもさ、それは勝つことじゃなくて、±0を目指してたからじゃねーのかな』 咲『……』 京太郎『俺はさ、麻雀始めたばっかだけど、勝てるとすげー楽しいよ』 京太郎『初めて3位になれたときでも嬉しかったし、今日初めて2位になれたときなんかは思わず叫んじまった』 京太郎『まだ1位になったことはないけど、なれたらきっともっと楽しいんだろうなって思う』 京太郎『咲はどうだ? 1位になって楽しいとか嬉しいって思うことなかったか?』 咲『……昔、まだ家族で仲良く麻雀でやってたとき、1位になれたら凄く嬉しかった』 咲『そうだね。京ちゃんの言うとおり、あの頃は家族仲良く、楽しく麻雀やってた』 京太郎『そっか。それなら咲は麻雀部に入るべきだ』 京太郎『今度は勝つことを目指して、楽しんで麻雀をすれば、それをお姉さんに見てもらえば、きっと咲のこと許してくれるよ』 咲『そう、かな』 京太郎『ああ』 咲『……うん、そうだね。会わなきゃ何も始まらないよね。わかったよ京ちゃん。明日、麻雀部に行ってみる』 京太郎『ああ、それがいいよ』 咲『相談に乗ってくれてありがとう、京ちゃん』 京太郎『気にするな……そうだ。咲、ちょっといいか?』 咲『何?』 京太郎『さっきお前麻雀部に入ればお姉さんにすぐ会えるみたいなこと言ってたよな? 県大会に勝つ前提とは随分偉くなったなあ』 咲『ふぇっ!? も、もう、揚げ足取らないでよ! 京ちゃんのバカ!』 京太郎『ははは……実際咲は強いのか?』 咲『京ちゃんなんか足元にも及ばないくらい強いよーだ!』 京太郎『……』 咲『な、何か言い返してよぉ……』 京太郎『いやまあ、あの宮永照と家族麻雀で±0狙ってるやつだと思うと……』 咲『お、お姉ちゃんだって高校入って上手くなってるはずだよ!』 京太郎『と言ってもなあ』 咲『うぅぅ……』グスン 京太郎『はは、冗談だよ』 咲『もう、あんまりからかわないでよ……』 京太郎『面白いからついな』 咲『ついじゃないよ! こっちは本気で気にするんだからね!』 京太郎『悪かったって。それじゃあな』 咲『またね。……京ちゃん、今日はありがとう』 京太郎『気にするなって。またなんかあったら電話しろよ。大会で会おうぜ』 咲『うん、大会で』 女生徒「残りは私がやっておくから。須賀くんは部活行ってていいよ」 京太郎「いいのか?」 女生徒「いいっていいって。私帰宅部だし。部活頑張ってねー」 京太郎「おう、ありがとな」 京太郎(今日こそは1位になるぞー! ……あ、階段に加治木先輩が) 京太郎「加治木先輩、これから部活に行くところですか?」ウエミアゲ ゆみ「ん、須賀くんか。そのつもりだよ」 京太郎「じゃあ一緒に行きましょう。昨日聞きそびれたところがあるんですけど途中で聞いていいですか?」 ゆみ「ああ、構わな……」フラッ 京太郎「加治木先輩!?」 ドタッドタタタタッ! 京太郎「いてててて……加治木先輩、大丈夫ですか?」シタジキ ゆみ「あ、ああ、大丈夫だ。ありがとう、今どく……痛っ!」 京太郎「どうしたんですか!?」 ゆみ「き、気にするな。なんでもないっ」 京太郎「なんでもないわけないじゃないですか! ……足ですか?」 ゆみ「……そうだとしても君に迷惑をかけるわけにはいかない。先に部室に行っていてくれ」 京太郎「……そういうこと言うならこっちにも考えがありますよ」ムッ ゆみ「?」 京太郎「だっことおんぶと肩を貸す。どれがいいですか?」 ゆみ「……は?」 京太郎「保健室まで連れて行くって言ってるんです。さ、だっことおんぶと肩を貸す。どれにします?」 ゆみ「ま、待て! そんなどれを選んでも恥ずかし……い、いや。そもそも必要ないと言っているだろう!?」 京太郎「あんな声出して何言ってるんですか。選ばないならだっこで運びます」 ゆみ「なっ」 京太郎「よいしょっと」グイッ ゆみ「う、うわっ! な、なんでよりにもよってお姫様だっこなんだ!? というかそもそも重いだろう!?」 京太郎「一番持ちやすいからです。それとむしろ軽いくらいですから大丈夫です……さあ、保健室まで行きましょうか」 ゆみ「わ、わかった! 肩を借りるから! だから下ろしてくれ!!」 京太郎「始めからそうやって人の好意を受け取ればいいんですよ……っと」 ゆみ「好意じゃないとは言わないが、とてもではないが素直には受け取れないな……」 京太郎「加治木先輩、腕はちゃんと肩に回しました?」 ゆみ「ああ、回した」 京太郎「じゃあ行きますよ。ゆっくり歩きますね」 ゆみ「ありがとう」 京太郎「……」 ゆみ「……」 京太郎(加治木先輩と話すのは最近慣れてきたけどさすがにあんなことした後だとキツイな……) 京太郎(なんであんなことしたんだろう……)ズーン ゆみ(ん……私が肩に手を回しやすいように少し屈んでくれているのか) ゆみ(その体勢で歩くのは決して楽ではないはずなのに。……優しいやつだな) ゆみ(さっきの強引な三択も、普段の須賀くんなら絶対にやらないはずだ) ゆみ(それでもやったということは、それはきっと――) ゆみ「なあ須賀くん」 京太郎「はっ、はい!」 ゆみ「そんなに力を入れなくても……いやそういう話になるかもしれないな」 ゆみ「その、さっきのことなのだが……」 京太郎「?」 ゆみ「さっきの君は怒っていたのか?」 京太郎「……当たり前じゃないですか」 ゆみ「……理由を聞いてもいいか?」 京太郎「決まってるじゃないですか。加治木先輩がまた無理しようとしたからです」 ゆみ「私は無理なんて――」 京太郎「してるから倒れたんです」 ゆみ「ぐっ」 京太郎「無理して倒れたのに、なんでさらに無理しようとするんですか」 ゆみ「君には――」 京太郎「関係ない、なんて言わないでくださいよ。自分が麻雀部にどれだけ大切か知らないわけでもないでしょう」 ゆみ「むぅ……」 京太郎「ほら、早く言わないとまたお姫様だっこしますよ」 ゆみ「や、やめろ! わかった、言うから!」 ゆみ「……麻雀部は私が麻雀をもっと本格的にやりたいから、なんて身勝手な理由で作ったんだ」 ゆみ「だから自分で出来ることなら自分でやりたい。他人に無駄な負担はかけたくない」 ゆみ「雑務は私がやるから、君たちには純粋にただ麻雀を楽しんで欲しいんだ」 京太郎「……はあ」 ゆみ「な、なんだ」 京太郎「加治木先輩は優秀なんですから、出来ること全部やろうなんて思ってたらパンクするに決まってます」 ゆみ「そんなことは……」 京太郎「実は部長から加治木先輩をなんとか息抜きに誘えないかって相談を受けてたんですよ」 ゆみ「何?」 京太郎「部活の仲間が辛そうにしてるのに純粋に麻雀を楽しむなんて出来ませんよ」 ゆみ「…………」 京太郎「あ、保健室ですね。その、無理しないって考えて貰えると嬉しいです」 ゆみ「……ああ」 京太郎「失礼します……先生はいないみたいですね」 ゆみ「ああ、外出の張り紙はないからすぐ戻ると思うのだが……」 京太郎「とりあえずこの椅子に座って下さい。湿布探しますね」 ゆみ「ああ、ありがとう」 京太郎「ええと、湿布は……お、あった」 ゆみ「ああ、それじゃ渡してく――」 京太郎「それじゃ脱がしますね。足上げて下さい」 ゆみ「ああ……って、え?」 京太郎「」スルッ ゆみ「んっ」 京太郎「」スルスルスルッ ゆみ「ふあ」 京太郎(綺麗な足だな……触ってみた――はっ!?) 京太郎(な、何やってんだ俺!? 咲の手当てずっとしてたからその癖か!?)ダラダラダラ 京太郎(か、加治木先輩が意外と平気にしてるかも……) ゆみ「……」カアァァァァ 京太郎(やっちまったー! ど、どうする!?) 京太郎(……ああ、でも白くてスラっとして艶々としてて、いつまでも見ていたくなるような――) ゆみ「す、須賀くん。あまり見られていると、その、恥ずかしいのだが……」カアァァァ 京太郎「す、すみません!!」バッ ゆみ「あ……」 京太郎「あ……」 謝ろうと顔を上に向けると、顔を真っ赤にした加治木先輩と目があった。 ゆみ「……」 京太郎「……」 ゆみ「…………」 京太郎「……………」 ゆみ「――き」 保険医「誰かいるの? ごめんね席外しちゃ……」ガラッ 保険医「……ええと、お邪魔だったかしら?」 京太郎・ゆみ「「そんなことないです!!」」 保険医「んー軽い捻挫ね。病院に行く必要はなし。湿布を貼ってれば明日、明後日には治ってると思うわよ。もちろん安静にね」 ゆみ「ありがとうございます」 保険医「それと疲れてるみたいね。顔色悪いわよ。若いから無理は効くでしょうけど、ちゃんと休みは取ったほうがいいわ」 ゆみ「……はい」 保険医「部活はやってるの?」 ゆみ「麻雀部に入ってます」 保険医「それならやっても大丈夫ね。これから行くのかしら」 ゆみ「そのつもりです」 保険医「そう。ここには松葉杖とかはないから、彼氏くんはちゃんと連れてってあげるのよ」 ゆみ「かっ……!? 京太郎「ただの後輩です!」 保険医「そう」クスクス 保険医「まあ無理はしないことね。大会も近いんだし怪我で実力を発揮できないのはつらいわよー」 ゆみ「……わかりました。ありがとうございます」 保険医「お大事にー」 京太郎「ありがとうございました」ガラッ 京太郎(……さっきまでは怪我に気が行って意識しなかったけど、肩を貸すとかなり密着するな……) 京太郎(加治木先輩、普段凛としてるけど触れると女の子らしく柔らかいんだな……特に胸とかバストとかおもちとか) 京太郎(それになんかいい匂いも……) ゆみ「須賀くん」 京太郎「ひゃいっ!」 ゆみ「ど、どうした?」 京太郎「い、いえ。なんでもないです」 ゆみ「そうか。……須賀くん、ちょっと聞きたいことがあるのだが」 京太郎「なんです?」 ゆみ「……君は躊躇せずお姫様だっこをしたり私のソックスを脱がしたりしてきたが……女性の扱いに慣れているのか?」 京太郎「……はい?」 ゆみ「普通はああいうことをやるときは多少なり躊躇するものだと思うのだが」 ゆみ「君は自然にやるものだからこっちも反応が遅れてな……」 京太郎「お姫様だっこなんて慣れてないですよ! やったのも初めてです!」 京太郎「……その、あのときはちょっとカチンと来まして、勢いでといいますか……」 ゆみ「ふむ」 京太郎「脱がした方はですね。その、幼馴染みの手当てをいつもやっていたのでついそれと同じように……」 ゆみ「なるほど……須賀くん」 京太郎「はい」 ゆみ「それは直したほうがいい。いつかきっと問題を引き起こす」 京太郎「あはは……でも大丈夫ですよ」 ゆみ「何?」 京太郎「大切な相手じゃなきゃあんなに焦ったりしませんから。そういう相手ならきっと怒るくらいで許してくれます」 ゆみ「――っ」カァァ 京太郎「加治木先輩?」 ゆみ「だからそういうところを直せと言っているんだ……」ハァ 京太郎「す、すみません。もしかしてそんなに嫌でした……?」 ゆみ「そういうわけじゃ……いや、もういいか」 ゆみ「須賀くん」コホン 京太郎「は、はい」 ゆみ「意地を張っていた私を引っ張ってくれてありがとう」 ゆみ「1人じゃ保健室へ行くのは正直厳しかったと思う。手当てをしようとしてくれたこと、嬉しかったよ」 京太郎「……はい!」 京太郎「すみません。遅くなりましたー」ガラッ 智美「おお、2人とも何してた……」 睦月「そ、そんなにくっついてどうしたんですか?」 ゆみ「くっつ……! あ、足を捻ったから肩を貸してもらっているだけだ!」 佳織「歩けないみたいですけど大丈夫ですか?」 ゆみ「ああ、座っていれば大して痛まないし、明後日には治ると言われたよ」 桃子「そんなに重傷じゃなくてよかったっす」 智美「今日は部活やらずに帰るのかー?」 ゆみ「いや、痛むのは足だけだし参加するよ。須賀くん、すまないが椅子まで運んでもらっていいか?」 京太郎「もちろんです」 ゆみ「……っと、ありがとう。対局が終わるまで君の牌譜を見ていこう」 京太郎「よろしくお願いします」 ………… ……… …… … 智美「それじゃそろそろ帰るかー」 ゆみ「まだ早くないか?」 智美「怪我人は早く帰って安静にしなさい」 ゆみ「む……」 京太郎「はは……そういえば加治木先輩、その足で自転車に乗れますか?」 ゆみ「さっきに比べれば痛みも引いているしまあ大丈夫だろう」 智美「……ゆみちん、ちょっと歩いてみてくれるか?」 ゆみ「ああ……痛っ」 智美「ゆみちん、そんな足で自転車漕ごうなんて無理はよくないぞー」 睦月「そうですよ。悪化しちゃいます」 ゆみ「そう言われてもな。バスを使おうにも私の家からバス停までは遠いし、両親も仕事だ」 京太郎「家まで肩を貸す……のはちょっと外では恥ずかしいですね」ハハ ゆみ「出来れば校内でもそう思って欲しいんだがな。もちろん感謝はしているが」ハァ ゆみ「それに、そもそも須賀くんに家まで付き合わせるのは悪いだろう」 京太郎「俺が歩く分には大丈夫ですよ。いい運動です」 ゆみ「ん、そうか……」 ゆみ「……ああそうだ。そんなことをしなくてもタクシーを呼んで――」 智美「思いついたぞー!」ワハハ ゆみ「もら……蒲原、嫌な予感はするがとりあえず言ってみろ」 智美「失礼な。今回は名案だぞー」 桃子「どんな案なんすか?」 智美「京太郎がゆみちんの自転車でゆみちんを送ればいいんだ」 睦月「ああ、二人乗りですか」 ゆみ「ま、待て。他人の前でそんな……」 智美「肩を貸すくらい密着してたんだからこれくらいは大丈夫だろー?」 ゆみ「うっ……」 佳織「でも智美ちゃん、二人乗りなんてやってたら危ないし注意されちゃうんじゃないかな?」 ゆみ「そ、そうだ。だからタクシーを――」 智美「非常事態なんだしいいだろー。それに学校が見えなくなるまではゆみちんを乗せて押せばいいし」 佳織「そっか。それもそうだね」 ゆみ「妹尾!?」 桃子「まあいいじゃないっすか。タクシーは高いっすし、それに二人乗りやってるくらいじゃ誰も見ないっすよ」 睦月「二人乗りそんなに嫌なんですか?」 ゆみ「い、嫌というわけでは……す、須賀くんはどうなんだ!?」 京太郎「二人乗り自体は中学の頃よくやってたので、加治木先輩が嫌でなければいいですよ」 ゆみ「」 桃子「問題が片付いたところで帰るっすー!」 智美「ゆみちん、置いてくぞー」 睦月「それじゃ、肩貸しますね」 ゆみ「ありがとう。ついでに頼みがあるんだがタクシーを――」 睦月「京太郎くん、自転車乗り場からはよろしく」 京太郎「任されました!」 ゆみ「ああ、うん。わかっていた。私はいい後輩たちを持ったよ」 京太郎「照れますよ」 睦月「照れますね」 佳織「照れちゃいます」 桃子「照れるっすよー!」 ゆみ「よし、お前たちは明日までに『麻雀何切る?』を1冊終わらせて来い」 智美「後輩たち、あんまりからかっちゃダメだぞー」ワハハ ゆみ「蒲原は2冊だ」 智美「ワハ!?」 智美「ゆみちん、ここまで自転車を押して貰った気分はどうだ?」 ゆみ「見られてばかりで全く落ち着かなかった……二人乗りくらい目立たないと言ったのは誰だ」 桃子「二人乗りじゃなくて京太郎が押してたじゃないっすか。6人いて1人だけ自転車に乗って押されてればそれは目立つっすよ」 智美「どこの女王様だって感じだなー」ワハハ 京太郎「まあ嘘は言ってなかったですね」 ゆみ「嵌められたか……」 桃子「人聞きが悪いっすねー」 睦月「まあまあ、明日には誰も覚えてませんよ」 ゆみ「そうだといいんだがな」ハァ 京太郎「じゃあ前乗りますね」 ゆみ「ああ、今後ろに移る」 京太郎「よっ……と」 ゆみ「……そ、それじゃあ捕まるぞ」ギュッ 京太郎「!?」ビクッ ゆみ「ど、どうかしたのか?」 佳織「わわわ……」カァァ 睦月「凄い……」カァァ 桃子「だ、大胆っすね」カァァ 智美「どうかってゆみちん、それはこっちのセリフだぞ」カァァ ゆみ「え、えっ?」 ゆみ「だ、だって少女漫画とかでは二人乗りするときはこうやってギュッと抱きしめて……」 桃子「どんだけ乙女っすか!」 智美「本気で言ってるんだよなー……」 ゆみ「ど、どこがおかしいんだ!? ちゃんと捕まらないと危ないだろう!?」 睦月「抱きしめなくても腰を掴んだり荷台やサドルを持ったりすれば落ちないのでは……」 ゆみ「……!!」 智美「いや、そんなその発想はなかったみたいな顔されてもなー」 佳織「と、とりあえず京太郎くんを離してあげたらどうでしょう?」 ゆみ「え?」 京太郎「」パクパク ゆみ「う、うわっ! す、すまない!!」バッ 京太郎「……はっ!? い、いえ! こちらこそ!」 桃子「何がこちらこそなんすか?」 京太郎「……いや、なんでもないぞ?」 桃子「ところで感想は」 京太郎「柔らかくていい匂いがし……しまった!?」 睦月「素直だね」 智美「正直者だなー」ワハハ ゆみ「」プシュー 桃子「……さて、それじゃあそろそろ帰るっすか」 智美「邪魔者はお暇するかー」 京太郎「ま、待った! せめてこの空気をどうにか――」 睦月「そうですね。早く帰りましょう!」 佳織(何でもいいからここから逃げ出したいなあ……) 京太郎「睦月先輩!? 佳織先輩もだんまりはやめましょうよ!」 智美「それじゃあまた明日なー」ワハハ 京太郎「ちょっとー!?」 スタスタスタスタ…… 京太郎「ほ、本気で帰りやがった……」 ゆみ「」プシュー 京太郎「え、ええと、その加治木先輩。さっきのは……」 ゆみ「い、いや、いいんだ。悪いのは私だから」 京太郎「そんなことは……」 ゆみ「と、ともかく! 自転車を出してくれ!」 京太郎「は、はい! 加治木先輩の家遠いですもんね!」 ゆみ「あ、ああ! 早く行かないと日が暮れてしまう」 京太郎「わかりました! それじゃしっかり捕まって――」ハッ ゆみ「あ……」ジー 京太郎「そ、そういう意味じゃないですからね!?」 ゆみ「わ、わかっている! それじゃあ荷台を掴んで……」 京太郎「大丈夫ですか?」 ゆみ「ああ、ちゃんと掴んでいる」 京太郎「それじゃ出しますよー」 ゆみ「よろしく頼む」 京太郎「……」シャー ゆみ「……」シャー 京太郎(中学のとき、咲とよくこんなふうに二人乗りしてたなー) 京太郎(初めてやったときは咲が憧れだったって言って横乗りしたっけ) 京太郎(ちょっと漕ぎだしたら咲が倒れそうになったからすぐやめたけど。あいつ悔しそうな感じで涙目になってたな) 京太郎(その後も何度か挑戦しようとしたから止めるのが大変だった。あいつ変なところで頑固だからなあ) 京太郎(咲とのどうでもいい話とか結構楽しかったな。そのうちあいつの重さがない自転車が物足りなくなったりして) 京太郎(風を切る感覚も感じる重さも似てるけど、見える景色はやっぱり向こうと違う。……当たり前か) 京太郎(……おんなじ長野なのにな)ハァ ゆみ「なあ、須賀くん」 京太郎「なんですか?」 ゆみ「二人乗りはよくやっていたと言っていたな」 京太郎「そうですね。前に言った幼馴染をよく乗せてました」ハハ ゆみ「そうか。……間違っていたらすまないのだが、今そのときのことを思い出してはいなかったか?」 京太郎「……もしかして声に出したりしてました?」 ゆみ「そういうわけではないが、ため息をついたり考え込むような顔をしていたからな」 京太郎「はは……加治木先輩には敵わないですね」 ゆみ「それで、これももしなんだが」 京太郎「何がです?」 ゆみ「今、寂しい、と思っていないだろうか」 京太郎「寂しい……ですか」 ゆみ「ああいや、違っていたらそう言ってくれ。別に何か特別な根拠があって言っているわけではないんだ」 京太郎「ん……考えたこともなかったですけど」 京太郎「けど、言われれば寂しかったのかもしれないです」 京太郎「俺、幼馴染……咲って言うんですけど、そいつと毎日メールしてるんですよ」 京太郎「昔からよくメールはしてたんですけど、引越す前は毎日なんてことはなかったです」 ゆみ「ふむ。聞いた私が言うのも何ではあるが、違うところにいるんだ。それくらい普通じゃないか?」 京太郎「いえ、そこじゃないんです」 京太郎「咲は地元の高校に行ったんで、やっぱり中学の友達もたくさん一緒のところ行ってるんですよ」 京太郎「咲とのメールにもよく出てくるんですけど、それがちょっと羨ましいなとかいいなとか思っちゃうんです」 京太郎「こっち来て使ってる道も、普段登校に使ってる道はもう見慣れた風景になってるんですけど」 京太郎「今こうやって違う道を行くとやっぱり全然見覚えがなくて」 京太郎「前のところはどこ行っても大体見慣れてたんで、自分はここの人間じゃないんだなとか感じたんです。 京太郎「それでさっきため息ついちゃったんですよ」 京太郎「そんなこと考えてると、俺はなんで1人でこっち来たのかなってちょっと後悔が」 ゆみ「……そういえば須賀くんがこっちに来た理由を聞いていなかったな」 京太郎「ああ、親の仕事の都合ですよ。まあ向こうで一人暮らしすることも出来たんで、決めたのは自分です」 ゆみ「高校生が1人で暮らすのは言うほど簡単じゃない。自分のせいだなんて思う必要はないさ」 京太郎「加治木先輩……」ジーン ゆみ「……まあ私もしたことはないからどんなものかわかるわけではないが」 京太郎「加治木先輩……」ジー ゆみ「と、ともかくだ! 自分が選んだからしょうがないなんて思わず、寂しければ素直にそう思えばいい。そのほうが楽になる」 京太郎「……そうですね。ありがとうございます」 ゆみ「……」シャー 京太郎「……」シャー ゆみ(あまり表情は明るくなっていないな……ああ) ゆみ「寂しくて、じゃあどうするかまで言わなければ片手落ちか」ボソッ 京太郎「何か言いました?」 ゆみ「いや、なんでもない」 ゆみ「……須賀くん。この先に急な坂道があるのが見えるか?」 京太郎「ああ、結構急ですね。しっかり捕まってください」 ゆみ「ああ」ギュッ 京太郎「っ!? か、加治木先輩!?」グイッ ゆみ「きゃっ! ハンドルを急に切るな! 危ないだろう!?」 京太郎「それはすみません! でも何ですかいきなり!?」 ゆみ「き、急な坂だからしっかり捕まったんだ。それに……」 京太郎「それに?」 ゆみ「……このほうがいいかと思ってな」 京太郎「……ええと、それは、まあ、さっきのも嬉しかったですけど」 ゆみ「そ、そういう意味じゃない! 君は寂しいのかもしれないと言っていただろう?」 京太郎「そ、そっちですか」 ゆみ「私は地元を離れてはいないから、君がどれほど苦しいか分からない」 ゆみ「でも、君のつらさを和らげたいとは思う。そのためにはこうするのがいいと思った」 ゆみ「君の故郷にいなかった私が君のその寂しさを埋めたいというのはおこがましいかもしれないが、それでも私を頼って欲しい」 ゆみ「君は、私の大切な後輩だからな」 京太郎「……そんなに心配されるような顔してました?」 ゆみ「ああ、何かしてあげたいと思うくらいにはな」 京太郎「……まったく、加治木先輩は背負い込みすぎですよ。 麻雀部のことだけで倒れちゃったのに、俺のことまで背負ってどうするんですか」 ゆみ「う……」 京太郎「でも、ありがとうございます」 ゆみ「ああ、いい声だ」 京太郎「これからも頼っていいですか?」 ゆみ「もちろん。いつでも頼ってくれ」 京太郎「それじゃ、加治木先輩も俺を頼ってください」 ゆみ「うん?」 京太郎「麻雀はまだ全然敵いませんけど、でも牌譜の分析とか出来ることはやりますから」 ゆみ「しかし……」 京太郎「ただでさえ倒れたのに、この上さらに加治木先輩に頼るなんて言ったら部長に何言われるかわかりませんよ」 ゆみ「だが私が勝手にやっていることで負担をかけるわけには……」 京太郎「加治木先輩が俺に大切だって言ってくれたのと同じで、俺にとっても加治木先輩は大切な先輩なんですよ!」 ゆみ「……それを言われるとはな」フゥ ゆみ「量を減らそうと思っていたんだが、そう言ってくれるならお願いするよ」 京太郎「任せてください!」 京太郎「…………」シャー ゆみ「…………」シャー --------------------------------------- ゆみ(……今まで意識していなかったが、背中、広いな。それに固い) ゆみ(男子とこんなに密着したのは初めてだが、体の作りがこんなに違うのか)ポー ゆみ(……前はどうだろう)サワッ 京太郎「」ビクッ ゆみ(腹筋の辺りも引き締まっている。細身だけど筋肉質だ。鍛えているんだな……今さらか。部活の前にお姫様だっこをされ――) ゆみ(いかん、自分で考えていて恥ずかしくなってきた)カアァァ ゆみ(いつの間にか鼓動も速くなっている)ドクンドクン ゆみ(こ、これは須賀くんに伝わっているんじゃないだろうか)ドクンドクン ゆみ(……もっとこう、トクントクンと可愛らしくならないものかな)ハァ ゆみ(……須賀くんも緊張しているんだろうか) ゆみ(……えい)ピト ドキドキドキドキ…… ゆみ(私よりも速い。私よりも緊張してくれているのか。……なんだか嬉しいな) ゆみ(心地いい音だ。もう少し、家に着くまでこのまま――) --------------------------------------- 京太郎(……ぴったりくっついてるな)ドキドキ 京太郎(加治木先輩と密着したの今日何度目だ!? 今まで一度もこんな経験なかったのに!) 京太郎(ああ、背中に柔らかいおもちが……いかん、運転に集中しろ集中!) 京太郎(ふー……うん、少し落ち着いてきた) 京太郎(柔らかく包まれてるみたいでなんか安心する。こういうの母性っていうのかな) 京太郎(加治木先輩が言ったとおり、ギュッとされてると寂しさが和らいできた) ドクンドクン…… 京太郎(……ん? なんだこの振動) 京太郎(これは……心臓の音か。もしかして加治木先輩も緊張して――) ゆみ「」サワッ 京太郎(って!? な、何やってんだこの人!?)ドキドキドキドキ 京太郎(寂しさなんか吹っ飛んだけど! ただでさえ我慢してんのに!) 京太郎(この人ついこの間まで男と話すの苦手とか言ってたよな!? 話してなきゃいいのか!?) ゆみ「ん……」ピト 京太郎(背中に耳を……まさか俺の心臓の音聞いてるのか? うおお、恥ずかしい!!) 京太郎(ど、どうしよう。何か話しかければ離れてくれ――) ゆみ「――もう少し、このまま――」ボソッ 京太郎(……まあ、俺も加治木先輩の音聞いたんだしお互い様か) 京太郎(家まであと少しだし、このままでいいか) 京太郎(俺もそのほうが嬉しい……って何考えてんだ俺)ドキドキ --------------------------------------- ――加治木宅前―― 京太郎「加治木先輩、家ってここですか?」 ゆみ「……ん? ああ、ここだ――」ポー ゆみ「――っ!?」バッ ゆみ「す、すまない! ずっとこんな、だ、抱き締めるような真似を……!」 京太郎「い、いえ、大丈夫です。全然」ドキドキ ゆみ「そ、そうか。それとその、さっきの君のお腹を確かめようと思ったのも……」 京太郎「そっちも少しくすぐったかっただけですから大丈夫です」ドキドキ 京太郎「……って確かめ?」 ゆみ「っ! な、なんでもない!」 ゆみ「そ、そんなことより」コホン ゆみ「私のためにこんな遠回りまでしてくれてありがとう、須賀くん」ニコッ 京太郎「っ!!?」ドキィ!! ゆみ「うん? どうかしたか?」 京太郎「い、いえ。なんでもないです」ドキドキ ゆみ「そうか、それならいいのだが……」 京太郎(な、なんだ急に? 加治木先輩の笑ったとこ初めて見たってわけでもないのに)ドキドキ ゆみ「なんだか顔が赤いな……もしかして私が重くて疲れたのだろうか」シュン 京太郎「」ムッ 京太郎「そんなことないです!!」 ゆみ「わっ!」 京太郎「部活の前にも言ったじゃないですか! 加治木先輩は重くなんてないです!」 ゆみ「そ、そうか。そこまで強く言われると照れるな……」カアァァ 京太郎「あ……すみません」 ゆみ「まあそう言ってくれたのは嬉しいよ。ありがとう」フフッ 京太郎「っ!」ドキッ 京太郎(さっきからのこれは) 京太郎(加治木先輩が自分のこと卑下するのがなんか嫌で、笑うと胸が高鳴って) 京太郎(ああ、もしかして) 京太郎(――俺、加治木先輩のこと好きになったのか) ゆみ「須賀くん? 本当に大丈夫か?」 京太郎「大丈夫です。むしろスッキリしました」 ゆみ「? まあそれならいいんだが」 京太郎「それより加治木先輩。牌譜渡して貰っていいですか?」 ゆみ「ああ、そうだったな。それじゃあ半分――」 京太郎「全部下さい」 ゆみ「何?」 京太郎「これからは牌譜の整理と分析は俺がやります」 京太郎「加治木先輩は作戦を考えたり自分の練習をしたり、加治木先輩じゃなきゃ出来ないことをやって下さい」 ゆみ「しかし……」 京太郎「最初はやり方を聞くことになると思いますけど、でもすぐに覚えます!」 京太郎「麻雀部の、加治木先輩の役に立ちたいんです!」 ゆみ「……自転車に乗っているとき、お願いすると言ったしな」フゥ ゆみ「わかった。それじゃあ牌譜の整理と分析は君に頼んだよ」 京太郎「はい!」 ゆみ「ちなみにこれだけあるんだが本当に大丈夫か?」ドサッ 京太郎「お、おお……すごい量ですね」 ゆみ「やはりこの量は……」 京太郎「いえ、大丈夫です! やってみせます!」 ゆみ「そうか……ただ、失敗を経験した者として言うが、無理だと思ったら私を頼るんだぞ」 京太郎「倒れる前に頼ります」ハハ ゆみ「それじゃあ須賀くん、自転車の鍵を取ってもらっていいか?」 京太郎「あ、はい、これです。足まだ痛みます?」 ゆみ「ん……歩くのは少しつらいな。まあ明後日には治ると言っていたから大丈夫だろう」 京太郎「そうですか……その、加治木先輩」 ゆみ「なんだ?」 京太郎「明日の行きも送らせて貰えませんか」 ゆみ「なっ!? あ、明日の行きとはつまり登校のことか」 京太郎「はい」 ゆみ「し、しかし登校時間には人も多いし朝からというのは目立ちそうだな……」 京太郎「二人乗りが目立つなら、人が多くなったらまた押しますよ」 ゆみ「余計に目立つだろう!?」 京太郎「じょ、冗談です」 京太郎「無理にではないですけど、もし痛むようなら明日も大変かなと思ったので……」 ゆみ「むぅ……」 京太郎「……」 ゆみ「……」 ゆみ「……そうだな。お願いしてもいいだろうか」 京太郎「はい、喜んで!」 ゆみ「ありがとう。それじゃあこれを」 京太郎「これは……自転車の鍵ですか?」 ゆみ「ああ、明日も来るんだ。自転車のほうが楽だろう? どうせ私は使えないしな」 京太郎「ありがとうございます!」 ----------------------------------------- 京太郎「そろそろ帰りますね」 ゆみ「ああ、今日は助かった」 ゆみ「保健室へ連れて行ってもらって、家まで送ってもらって、牌譜を引き受けてもらって、明日も来てもらう」 ゆみ「君には借りが随分と出来てしまったな」 京太郎「どれも好きでやってることですから。気にしないでください」 ゆみ「私はいい後輩を持ったよ。……何か埋め合わせをしないとな」 京太郎「いえ別にそんな……」 ゆみ「後輩に助けて貰いっぱなしの先輩というのも情けない。私に出来ることなら何でもいい、考えておいてくれ」 京太郎「……わかりました。考えておきます」 ゆみ「ああ」 京太郎「それじゃあ加治木先輩、また明日」 ゆみ「また明日。今日はありがとう」 京太郎(いい後輩かあ……)シャー 京太郎(いつか、後輩としてじゃなく俺を見てもらえるように、頑張ろう) -----------------------------------------
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―― 世の中には絶対普遍のルールと言うものがある。 多くの人はまず真っ先に物理法則を挙げるだろう。 世界の動きをミクロからマクロまで説明するそれは今の人類には決して手放せないものだ。 或いは、自分の中の常識を挙げる人もいるかもしれない。 ごく一般的な人にとって自分の中の『常識』とは価値観の根底に根ざすものなのだから。 それを普遍と信じたい気持ちは俺にも分かる。 「そんなルールをこの石版は自由に決める事が出来るんだよ!!!!1111」 京太郎「そーなのかー」 ……だが、それを自由に決める事が出来る、なんて言うのはあまりにも眉唾が過ぎる。 確かに俺の親父は考古学者で、人並み以上にオカルトの知識なんかを持っているだろう。 しかし、だからと言って親父のお土産が『本物』だった事など一度もないのだ。 まぁ、そもそも親父が持って帰ってくるお土産なんて、大抵がそこらの露天で買った珍しいお守りなのだけれど。 「なんだよーノリが悪いなぁ」 京太郎「だって、これもどうせ露天で買ったんだろ?」 「あぁ。何ともミステリアスな美女から是非に、と言われてな」 京太郎「…母さんが怒るぞ」 「大丈夫だ。母さんは控えめな女だからな」 「ちゃんと後で可愛がってやれば機嫌も治してくれるよ」 …ったく、本当にこの夫婦は。 息子の前で惚気けるな、とは言わないが、そういうネタをもうちょっと自重しようとは思わないもんかな。 まぁ、夫婦仲が険悪になってるよりはマシだろうけれど…こっちは一応、色々と微妙な時期なんだぞ。 確かに親父も母さんも外見的には20代から殆ど変わってないが、『可愛がる』ところを想像したくはない。 「まぁ、それはともかく、今はこっちの石版だ」 「さっきはああいったが、俺も流石に世界のルールを決めるなんて話を信じちゃいない」 「まぁ、完全に否定するつもりはないんだが、精々が何処かの部族で使われていた法律発行用の石版だろうとな」 京太郎「…もしそうだとしたらこれ結構、重要な史料なんじゃね?」 それが本当なら割りと重要な発見じゃなかろうか。 考古学ならばともかく民俗学的には喉から手が出るほど欲しい一品だと思うのだけれど。 幾ら半年ぶりに出会った息子へのお土産とは言え、軽くプレゼントして良いものではないはずだ。 「いや、一応、何人か知り合いの学者にも尋ねてみたが、適当に作った石版だろうとさ」 「少なくとも、あの周辺の部族に石版で法律を発行するような習慣を持っていたものはいないらしいし…」 「世界中の何処を見渡しても、この石版に刻み込まえれている模様を使う部族はいなかったそうだ」 京太郎「へぇ…」 なんだ、一応、その辺りはちゃんと調べてから持ってきてくれてるのか。 それなら安心…は出来るんだけど、ちょっと微妙な気分と言うか。 親父には他意はないんだろうけれど、結果的に何の価値もないゴミを押し付けられている訳で。 ネットでは嫌なお土産、略してイヤゲモノなんて言葉があるが、確かにこれはイヤゲモノだと思う。 「まぁ、偽物だとしてもロマンは感じるだろう?」 「どうだ。お前の部屋のアクセントにでも置いてみては」 京太郎「…いや、流石にこんな石版が置いてある部屋はちょっとどうかなぁ」 石版のサイズは縦に120cm、横に80cmほど。 材質が何なのかは分からないが、黒鉛のような表面に文字が刻み込まれている。 一体、いつごろ作られたのかは分からないが、表面には傷一つないし、こうして見る限り新品同然だ。 …………しかし、だからと言って部屋に置く気がしないのは、その自己主張があまりにも大きすぎる所為だろう。 完全に洋風かつ男子高校生風の部屋には、その石版は異物過ぎる。 「…そうか。まぁ、確かに勢い任せで買ってしまった事は否定出来ないしな…」 「これは俺の部屋の物置にでも突っ込んでおく事にするよ…」シュン 京太郎「あー…」 …でもなぁ。 でも…半年ぶりに帰ってきた親父が、意気揚々と俺にプレゼントしてくれたものなのは確かなんだ。 それをこうして無碍にされたら、そりゃ落ち込むのも当然だろう。 …まぁ、もう30超えた男がそんなしょげかえった顔をするなと言いたい気持ちはあるが、メンタルが弱い以外は割りと立派な親父ではあるし。 ここは親父の顔を立てる為にも、素直に受け取っておくほうが良いだろう。 京太郎「…いや、折角だから貰うよ」 「…良いのか?」 京太郎「あぁ。ちょうど、漬物石になるものが欲しかったからな」 「そうか!」 …いや、どんな理由だよ。 確かに最近、タコス作りを勉強し始めたが、いくらなんでも漬物はねぇって。 ……そう胸中でツッコミを入れる自分はいるけど…でも、他の理由なんて特に思いつかないし。 少なくとも目の前で嬉しそうにしてる親父には疑われていないみたいだし、良しとしよう。 「じゃあ、これは今からお前のものだ!」スッ 「適当に自分の目標を書き込むなり、古代のロマンを感じて悦に浸るなり好きにしてくれ!」 京太郎「はいはい」 …って勢い任せに受け取ったけど、この石版案外軽いな。 大きさ的には10kgを超える事も予想してたんだが、まったく重くない。 つーか、殆ど重さなんて感じないくらいだ。 …これ書いてる内容よりも何で作られてるかって方が大事なんじゃないかな。 京太郎「(まぁ、流石にその辺は親父も理解してるだろうし)」 母さんと一緒に殆ど家を開けていて、たまーにしか帰ってこないとは言え、親父は立派な学者だ。 もう30半ばを超えていてもその身体に衰えはなく、また頭もバリバリに切れている。 未だに世界有数の考古学者として名前のあがる親父が、俺でも気づくような事に気づけないとは思えないし。 親父が何も言わなかったって事は、その辺の調べもとっくの昔についているんだろう。 京太郎「んじゃ、俺はこれを下手に持っていくついでに寝るわ」 「あぁ。明日も学校だもんな」 「話に付き合ってくれてありがとう」 京太郎「良いよ。久しぶりの家族団らんも楽しかったしさ」 ま、俺にとって重要な事は石版の材質よりも、明日の学校だわな。 高校に入ってから勉強もぐっとレベルアップしやがったが、それ以上にインターハイが近いんだから。 あいつらがインターハイに向けて集中出来るようにもっともっと精進しなければいけない。 まぁ、所詮、麻雀部だし、何より女の子ばっかりの中、男の俺に出来る事なんてたかが知れてる訳だけど ―― 京太郎「(せめてタコスくらい作れるようになっとかなきゃ…っと)」フゥ ようやく部屋についたか。 幾ら軽いつっても、コイツ結構大きいからなぁ。 リビングからここまで運ぶのも思ったより大変だった。 流石に元運動部だから疲れてるって程じゃないが、それでも一息ついてしまう程度には。 京太郎「(…しっかし、世界のルールを決める…ねぇ)」 ……もし、それが本当ならそれこそ世界中の美女に俺がモテモテ!とかそんなルールも決められるんだろうか。 いや、それだとおっぱいの小さい女の子にまで好かれちゃうし、やはりもうちょっと絞るべきだな。 範囲もそうだが時期も曖昧にして、途中で効果が切れたりするのも怖いし…。 俺が書き込むとしたら、やはり、おっぱいの大きい綺麗な女性に一生、好かれ続ける…ってところか。 京太郎「(…まぁ、書かないけどさ)」 ちょっとテンション上がりこそしたものの、これは本物な訳ないしなぁ。 本物ならちょっと…いや、かなり心惹かれるけど、学者である親父が偽物だと断定してる訳だし。 そんなものに欲望混じりのルールを書き込んでるのを見られたら、流石にダメージがでかすぎる。 正直、黒歴史なんて言葉では足りないくらいだ。 京太郎「(…でも、なんか書いとかないと勿体無いよなぁ)」 俺の目の前にある石版はほぼ白紙の状態だ。 俺の知らない言語で上の方に何かしら刻み込まれてしまっているだけ。 そんな石版をそのまま部屋に放置しておくと言うのは流石に勿体無い。 親父が家にいる期間中くらいは部屋の中に置いておいてやりたいし…何か書き込んでおいた方が親父も喜ぶだろう。 京太郎「(…ってそう言えば)」 …丁度、今日、女の子から相談を受けてたっけ。 確か高久田の奴が好きなんだけど、どうして近づけば良いのか分からないって話だったか。 とりあえず当り障りのないアドバイスをして彼女も納得してくれたけど…流石にそれだけで終わるのも可哀想だしな。 後でそれとなく二人が接近出来るようアシストしてやるつもりだったけれど…。 京太郎「(…うん。折角だし、それを書いておいてあげようか)」 友人とまでは言わないが、クラスメイトの背中を後押しする内容なんだ。 幾ら他人に見られたところで恥ずかしくはないだろう。 ただ…流石に個人名をあげるのは色々とプライバシーの問題もあるからな。 ここはさっきとは別に範囲を大きく広げておくべきだろう。 京太郎「(女が男に対して積極的になりますように…っと)」キュッキュ ……ぶっちゃけ、あの子、スレンダーだったけどかなりの美少女だったからな。 あんな子に積極的になられたら、高久田だってコロっと堕ちちゃうだろう。 そもそもあいつも俺と同じで年齢=彼女いない歴な訳で。 日頃から彼女欲しいと漏らしてるあいつを堕とすには積極的になるので十分だ。 京太郎「(まぁ、マジックで書いたおまじないみたいだから効果があるとは…)」 ―― パァァ 京太郎「…え?」 ……いや、ちょっと待て。 なんでこの石版、光ってるんだ!? つ、つーか…さっき俺がマジックで書き込んだ内容が消えて…中に刻み込まれていってる…!? まるでもう二度と訂正なんて出来ないって言うように…一瞬で…!? 京太郎「な…なんだよ、コレ」 ……もしかして本物? い、いや…流石に違うよな。 だって、これは親父が偽物だってそう言ってて…。 でも…さっき確実に俺の目の前で光って…何故か俺の書いた字が刻み込まれていて…。 京太郎「(あぁああ!もう…わっかんねぇよ!!)」 …ともかく、そういう事は全部、後回しにしよう。 親父も久しぶりの我が家でテンション上がって思いっきり酒飲んでるし。 今、ここで起こった事を説明しても、きっとろくに判断が出来ないだろう。 もうそろそろ日付が変わる時間だしオヤジの知り合い達に連絡するのも難しいだろうしな。 …だから、とりあえず明日だ!! 明日の朝、親父にこの石版を見せて色々と聞いてみれば良い。 ―― …そう逃げるようにして自分に言い聞かせた俺は…また事の重大さを分かっていなかった。 ―― 親父が気まぐれのように買ったそれが、一体、どれほどの力を持っているのかも。 ―― それを知った時、俺は絶望と居たたまれなさに胸が張り裂けそうになるのだけれど。 ―― この時の俺はただ目の前の理解できなさから逃げる事だけで頭の中が一杯だったのである。 ……… …… … 京太郎「ふあぁぁ…」 ……やっべぇ。 昨日はなんか寝る前に色々ありすぎた所為であんまり眠れなかった。 日付変わった時にはもうベッドの中に入ってたけど、眠気が来たのはもう三時過ぎだったんじゃねぇかなぁ…。 幾らか体力もあるとは言え、流石にこれは夜更かしし過ぎた…。 今日も部活があるし…早弁して昼休みは寝ておくかなぁ。 京太郎「おはよーっす…」ガチャ 「ん…っ♪ ちゅひゅぅ…?」 京太郎「…………は?」 ……いや、ちょっと待ってくれ。 なんで朝、扉を開けたら母さんがオヤジの膝の上に座ってるわけ? いや、百歩譲ってそれは良いにしても、思いっきり濃厚なべろちゅーしちゃってる訳なんですけれども!! 幾ら夫婦仲が良いつってもそれはやりすぎだろ!! つーか、ヤりすぎだろ!!! 京太郎「ちょ、あ、朝っぱらから何やってんだよ、母さん!!」 「ふ…ぅん…♪ 邪魔しないでぇ…?」 「私は今、この人と愛を確かめる…キスしてるんだからぁ…♪♪」 京太郎「いやいやいやいや…!」 こ、これが本当にうちの母さんなのか…? 確かに…親父と母さんは仲が良くて、年中、イチャイチャしてたけどさ。 でも、親父が昨日言ってた通り…基本的に母さんは控えめなタイプなんだ。 朝っぱらから息子の前で、濃厚なキスぶっつづけるなんて正直、想像もしていない。 「でも、母さん。このままじゃ京太郎が学校に行けないよ」 「まずは朝食の準備をしてあげないと」 「……はぁい」 …親父の言葉に不承不承って感じで、母さんは離れていく。 が、それは本当に仕方なくって感じで、その声にも不満さが現れていた。 …流石に今まで俺の事を内心、嫌ってて、準備もしたくない…って訳じゃないんだろうけれど。 でも…そんな風に動く母さんの姿は、内心、とてもショックだった。 京太郎「な、なぁ…親父。一体、母さん、どうしたんだ?」 「…どうしたって…アレが母さんの普通だろ?」 京太郎「はい?」 いや、その、まぁ、たしかにさ、たしかに俺と両親の交流って言うのは普通よりも薄いよ。 家族仲は決して悪くはないけれど、両親が帰ってくるのは一年の中で数ヶ月くらいだし。 その大半は海外で発掘とか遺跡調査とかやってる事を思えば、俺の知らない母さんがいてもおかしくはない。 でも、アレが普通って一体、何処の文化圏なんだよ!!! つーか、この前、帰ってきた時は普通だっただろ!!!! どう考えてもおかしいだろうが!!!!! 京太郎「い、いや、普通って…何処がだよ」 京太郎「明らかに過激過ぎるだろ」 「過激…?いや、母さんは控えめな方だぞ」 「友人の家庭なんてキスだけじゃ済まされなくてその先まで求められるそうだし」 京太郎「…」クラァ …………ダメだ、まったく理解出来ない。 これは本当に現実なのか? 本当は俺の身体は眠っていて…これも夢なんじゃないのか? ……いや、そうだ…そうに違いない。 だって、いきなり世界が変わったような光景を現実だなんて認められるはずが… ―― 京太郎「…あ」サァァ …………ま、まさか…い、いや……でも…。 たしかにそれなら…説明がつくかもしれない。 …昨日、俺がおまじないとして書き込んだあの石版が…正真正銘の本物で…。 その力が親父たちにも影響を及ぼしているのだとしたら…。 京太郎「(い、いや…そんな事あるはずがない)」 京太郎「(アレは…アレは偽物なんだ)」 久しぶりに家に帰ってきた親父が、俺を驚かせようとイタズラを仕込んでいたんだろう。 突然、光ったトリックなんかも、マジックがそのまま文字として彫り込まれたのも現代科学じゃ出来ない事じゃない。 …だから、こうして親父たちがおかしくなってしまったのも俺が原因じゃないんだ…。 そうだ…そんな事…あるはず…ない…。 「…どうした、京太郎」 「随分と顔色が悪いみたいだが…」 京太郎「い、いや、何でもねぇよ」 京太郎「そ、それより、俺、今日日直だったの忘れてたからもう出るわ!」 「あ、ちょ…!」 …そうだ、ともかく…外を確認しないと。 アレが親父の悪戯だとすれば…外はきっとマトモなはずなんだ。 俺が知っている通りの世界が、そこには広がっているはず。 だから、ここは嘘を吐いてでも…外に出なければ。 本当の事を…確かめなければいけないんだ。 ―― …でも、そこに広がっていたのは絶望以外の何物でもなかった。 京太郎「…なんだよ、コレ」 …街に出た俺の目に飛び込んできたのは、異様と言う他ない光景だった。 女の子が男に対して腕を組んで歩いているのはまだ良い。 だが、中には男に首輪をつけたり、手錠で自分たちの腕を結び付けてる子もいる。 明らかにファッションという領域を超えたそれらに、しかし、俺以外の人々は何の違和感も感じていないらしい。 むしろ、まるで犬の散歩のように首輪から伸びた鎖を引っ張る女の子に、仲睦まじいと、近所のおばさんらしき人が言っていて…。 京太郎「…おかしいだろ」 京太郎「こんなの…こんなの絶対におかしい…」 …あの石版に書き込んだ時、俺が考えていたのはほんのちょっぴり女の子が積極的になる世界だった。 好きな人に好きだって伝えられるような…そんな勇気を出せるような世界だったはずなのに…。 でも、今のこの世界は…勇気とかそんな領域をあっさりと突破してしまっている。 積極的どころか価値観が完全に書き換わったようなその光景に、俺は… ―― 咲「…京ちゃん?」 京太郎「っ!?」 瞬間、背後から掛けられた声に、俺の身体が反応する。 ビクンと肩が跳ねるようなそれと共に俺は悲鳴をあげそうになっていた。 それを何とか堪える事が出来たのは、俺の強靭な自制心のお陰…ではない。 ただ、ビックリし過ぎて、俺は声をあげる事すら出来なかったんだ。 咲「…って、どうしたの、そんなに驚いて」 京太郎「…あぁ、咲か…」ホッ だが、その声の主は俺の幼なじみである咲だった。 振り返ってそれを確認した俺は、内心、胸を撫で下ろす。 …これが咲も男に首輪をつけてたら、俺は立ち直れなかったかもしれないが、咲は今、一人だ。 何時も通り、清澄の制服に身を包んで両手でカバンを持っている。 京太郎「…咲は変わってないよな?」 咲「もう。いきなりどうしたの?」 咲「私は何時も通りだけど」 京太郎「…そっか。そうだよな…」 …分かっている。 このおかしくなってしまった世界で、以前の価値観を持っているのはきっと俺だけだ。 幾ら麻雀が強いとは言っても…あの石版からの影響力を遮断出来る訳ではないんだろう。 この世界への違和感を口にしない時点で、咲もまた親父たちと同じ。 …それが分かっていても、安堵してしまうのは幼なじみがあまりにも何時も通りだったからだ。 例えそれが錯覚であると分かっていても…俺の知る宮永咲の姿は俺に偽りの安心をくれる。 咲「(…やっぱり京ちゃん、フェロモンでっぱなしだなぁ…)」 咲「(あの鎖骨の辺りとかもう誘ってるとしか思えないよね)」 咲「(正直、ただの幼馴染としか思ってないけれど…)」 咲「(でも、あんな身体見せられたらどうにも我慢出来ないって言うか…)」 咲「(あの手を思い出しながら一体どれだけオナニーしたか分からないくらいだし…)」ムラッ 咲「(…って、そんな事思ってたらまたムラムラしてきた…)」 咲「(あぁ…もう…今日もちゃんと朝からオナニーしてきたのに…)」 咲「(顔見るだけでもムラムラしちゃうとか…もうホント、反則だよ)」 咲「(正直、幼馴染としては心配だなぁ…)」 咲「(女の子に対してあんまり警戒しないし…何時かレイプされそう)」 京太郎「…? どうしたんだ?」 咲「…ううん。何でもない」 咲「それより…今日も一緒に行こ?」 咲「(…京ちゃんは私が護ってあげなきゃいけないもんね)」 京太郎「まぁ、俺は構わないけど…」 咲「やった!じゃあ…」 和「あ、須賀君、咲さん」 京太郎「お、和、おはよう」 咲「和ちゃん、おはよう」 和「今日も一緒に登校ですか?」 和「本当に仲が良いですね」 咲「これでも一応、京ちゃんの幼馴染だからね」 和「…良いなぁ」ポソ 咲「ん?」 和「いえ、何でもありません」 和「それより…私もご一緒して良いですか?」 咲「私はオッケーだよ」 京太郎「あぁ。俺も問題ない」 京太郎「ってか、和ならこっちがお願いして一緒に来て欲しいくらいだぜ」 和「ふぇ…っ」カァァ 和「も、もう…!何を言うんですか、いきなり」 和「ダメですよ、女の子に軽々しくそんな事言ってしまったら」 和「誤解されたら大変な事になりますよ」 咲「…和ちゃん、無駄だよ」 咲「私もずっと言ってるけど、京ちゃん、まったくそういうところ治らないから」 和「…咲さんも苦労してるんですね」 咲「うん…ホント、気安い幼馴染を持つと大変だよ」フゥ 京太郎「…なんか扱いひどくねぇ?」 咲「残念だけど当然ですー」クス 和「そうですよ。須賀くんは女の子の怖さを理解していなさすぎです」 和「そんな事言ってたら襲われても文句言えないですよ」 京太郎「…襲う?」 咲「そうだよ。女の子は狼なんだから」 京太郎「い、いやいや、それはないだろ」 咲「えー。あるよー」 咲「この間だって、女の人が小学生男子襲って逮捕されたって報道されてたじゃない」 和「この間どころか日常茶飯事ですね」 京太郎「ま…マジかよ…」 咲「まぁ、京ちゃんは私と和ちゃんがいるから大丈夫だよ」 和「わ、私ですか…!?」ビックリ 咲「…和ちゃん、京ちゃんの事気になってるんでしょ?」ポソポソ 和「え…ち、違…!?」コソコソ 咲「大丈夫。私はちゃんと分かってるから」ポソポソ 咲「(ライバル多いかもしれないけど、しっかりサポートしてあげるからね!)」サムズアップ 和「で、ですから、誤解なんですってば…!」コソコソ 京太郎「(…何を話してるんだろうか…?)」 咲「ほら、折角、和ちゃんが来てくれたんだし、二人で並んで」 和「え、えぇぇ…」 咲「(…と言うか並んでくれないと私が無理)」 咲「(朝から京ちゃんの顔見てムラムラしちゃってる状態だし)」 咲「(これ以上、夏で薄着になった京ちゃんの隣にいるとトイレに駆け込みかねない)」 咲「(…それにまぁ、京ちゃんは無防備だけど、幼馴染としては良い子だし…)」 咲「(和ちゃんも私の大事な友だちで…二人が付き合うなら素直に祝福出来るもん)」 咲「(何より、擬似的なNTRが味わえるって言うのが良いよね)」ジュル 京太郎「(…何か咲が不穏な事を考えてる気配を感じる)」 和「(…何故でしょう)」 和「(誤解云々以前の前に素直に喜べないような気がするのは)」 和「(…と言うか、これどうすれば良いんですか!?)」 和「(ずっと麻雀オタクだった私には、この状況はあんまりにもあんまり過ぎると言うか…!)」 和「(須賀くんとはあくまでもお友達のつもりですが…で、でも、私は今まで男性の友達なんていなかった訳で…!?)」 和「(こうやって隣を並んで歩いた経験なんてまったくないんですよ!!)」 和「(それに…今日はちょっと日差しが強いんで、須賀くんの額に汗が浮かんでいますし…)」 和「(…これはヤバイです)」 和「(もうムンムンです)」 和「(無防備な男の子フェロモン出っぱなしじゃないですか…)」 和「(こんな男の人の隣にいたら…お、おかしくなっちゃいますよ…)」 和「(例え、私が須賀くんの事を友人としか思っていなくても…女の子である事には変わりがないんですから)」 和「(どうしても…ムラムラしちゃうに決まってます)」 和「(す、須賀くんの事、必要以上に意識しちゃうじゃないですか…)」モジ 京太郎「と、とりあえずさ」 和「ひゃいっ!?」ビクッ 京太郎「とりあえず三人揃った訳だし、学校に行こうぜ」 京太郎「割りと早い時間だけど、ノンビリし過ぎると遅刻するしさ」 和「そ、そうですね…」 咲「ふふふ…」ニコー 和「(…咲さん、そこでどや顔されても腹が立つだけです)」 和「(私が一体、どれだけ大変だと思ってるんですか…)」 和「(正直、朝から理性を思いっきり働かせる事になるなんて思ってませんでしたよ…!!)」 和「(…まぁ、でも…)」チラッ 京太郎「…ん?」 和「…いえ、何でもありません」 和「……こういうのもたまにはいいなとそう思っただけです」 京太郎「そ、そっか」カァァ 咲「…京ちゃん、照れてる?」ニマー 京太郎「う、うるせぇよ!」 京太郎「(…それから学校に行ったけど…現実はまったく変わってくれなかった)」 京太郎「(つーか、余計にひどくなったって言うか…頭がいたいネタが増えたって言うか…)」 京太郎「(…クラスに入った瞬間、女の子達が男のグラビア広げてニヤついてた)」 京太郎「(比較的おとなしめの子はそんな事はなかったけど…)」 京太郎「(でも、聞こえてくる女の子たちの話題は、昨日のドラマが面白かったか、じゃなくて)」 京太郎「(どの場面がエロかったかとか男に魅力を感じたかとかそんなのばっかりだった)」 京太郎「(…で、逆に男の方は、そんな女の子達に若干、引き気味で)」 京太郎「(そういうのは家でやって欲しいとか、男の前で堂々と話す事じゃないだろ…とため息を吐いてたりした)」 京太郎「(…ここまでこれば馬鹿な俺にだってなんとなくわかってくる)」 京太郎「(女の子達はただ積極的になっただけじゃない)」 京太郎「(…男の位置と女の位置が完全に逆転してしまったんだって事)」 京太郎「(ひいては…朝に咲達が言ってたことが全部、本当なんだって事を…)」 京太郎「はぁぁぁぁ…」 京太郎「(…改めて考えるまでもなく…とんでもない事をしてしまった)」 京太郎「(まさかこんな事になるとは思わなかったとは言え…今の世界は本当に酷い)」 京太郎「(昔の意識を残してる俺としては…クラスの中にいるだけで頭がクラクラするくらいだった…)」 京太郎「(だからこそ、こうして高久田達の誘いも断って人気の少ない屋上にいる訳だけど…)」 久「……はい」ピト 京太郎「うひゃ!?」 久「ふふ。ドッキリ大成功ー」 京太郎「…って、部長。どうしたんですか?」 久「いやぁ、久しぶりに屋上でお弁当でも食べようと思ったら、なんか浮かない顔をした後輩がいるじゃない?」 久「だから、ちょっと驚かせてみようかと思って」ニッコリ 京太郎「…そこは励ますとかそういうんじゃないんですか」 久「私、それよりお弁当の方が大事だし」 京太郎「ひっでぇ…」 久「はいはい。そんなに落ち込まないの」 久「落ち込んでる京太郎くんにそれあげるから」 京太郎「…それって言われても、これ…」 久「美味しそうでしょ?『必殺!黒糖みかんジュース!』」 久「何が必殺なのかは分からないけど、ロマンは感じるわ」 京太郎「…感じるのはともかく、それを人に押し付けないで下さいよ」 久「お、上手いこと言うわね」 京太郎「洒落じゃないっす」 久「ふふ。まぁ…意外と評判悪くないみたいだし一回飲んでみたら?」 久「そうすれば少しは気持ちもマシになるかもしれないわよ」 京太郎「……そう言って俺に在庫処理させたいだけじゃないですか?」 久「まぁ、勢いで買ってまったく後悔しなかったとは言わないけど」 京太郎「そこは否定してくださいよ…」 京太郎「…」ゴク 京太郎「……ってアレ、普通に美味しい」 久「えー…本当に?」 京太郎「いや、マジですって」 京太郎「黒糖の甘みとミカンの風味が絶妙にマッチしてます」 京太郎「少なくとも思ってたより全然、美味しいです」 久「むー…それだったらあげなきゃ良かったわ」 京太郎「へへ、ゴチになりまーす」グビ 京太郎「…あ、そうだ」 久「ん?どうかした?」 京太郎「いや、これ思ってたのよりもずっとヌルかったんですけど…」 久「ふぇ…っ」カァァ 久「ち、違うわよ!?」 久「わ、私は別に落ち込んでる京太郎くんを見かけて、ここまで追いかけてきて…」 久「なんて声をかければ良いかわからなかったからずっと入り口で立ち尽くしてたなんて事してないから!!」 京太郎「そ、そうなんですか」 久「そ、そうよ!そんなストーカーみたいな事するはずないじゃない!!」 久「今の時代、そんな真似したら即お縄なんだからね!!」 久「…だ、だから、京太郎君もあんまりそういうのを気にしないように」 京太郎「…それ部長命令ですか?」 久「…いぢわる」ムスー 京太郎「いやぁ、だって、普段から部長には色々と悪戯されてますし」 久「可愛い先輩の素敵な愛情表現なのに…」 久「…あ、い、いや、愛情って言っても、別に変な意味がある訳じゃ…」ワタワタ 京太郎「大丈夫です。分かってますから」 久「…そ、そう」シュン 久「(…分かってくれても良いんだけどな)」 久「(私…結構、君の事好きなんだからね)」 久「(皆は君の事、遊んでそうだとか…ビッチっぽいとか言うけれど…私はそうは思わない)」 久「(何時だってひたむきに頑張って…私達の事を支えてくれてる良い子だって分かってる)」 久「(…だからこそ、あの咲が懐いて…和も京太郎君の事を意識してるんだろうし…)」 久「(きっと他にも京太郎君の事が好きな子がいるはず)」 久「(……でも、まだ好きだなんて言えない)」 久「(本当は他の子に負けない為にも…すぐに告白したいけど…)」 久「(でも、私達はもうすぐインターハイなんだから)」 久「(ここで下手に告白して…恋人になんてなってしまったら…私、きっと止まらない)」 久「(京太郎君の事を一杯一杯可愛がって麻雀の事が疎かになってしまうわ)」 久「(…だから、今はお預け)」 久「(インターハイが終わるまで…ううん、インターハイでいい結果を出せるまで)」 久「(…京太郎君の事は我慢しなきゃ…ね)」 久「(………………でも)」 久「…で、何があったの?」 京太郎「え?」 久「少しは気晴らしになったでしょうけど…まだ顔は暗いままよ?」 久「折角だから、抱えてるものを全部吐き出しちゃいなさいよ」 久「ここは今、私と君の二人っきりだし…誰にも漏らしたりしないから」 京太郎「…………じゃあ、一つ聞かせて貰って良いですか?」 久「えぇ」 京太郎「…もし、自分が世界を変える力を手に入れたとして」 京太郎「それを意図しない風に使ってしまったらどうすれば良いですか?」 久「(…なにそれ厨二…なんて言えないわよね)」 久「(京太郎君の顔、やたらと真剣なんだもの)」 久「(事の真偽はさておき、彼がそれに悩んでいるのは確かなんでしょう)」 久「(…だったら…)」 久「…その力は一体、どういうものなの?」 京太郎「えっと…すみません。良く分からないんです」 京太郎「でも…恐らくある程度は世界を自分の好きに出来るかかと…」 久「ふーん……なら、私のオススメはそれを封印する事かしら」 京太郎「封印…ですか?」 久「えぇ。だって、そんなもの本当にあったら危ないでしょ?」 久「そりゃ良い事に使えば凄いだろうけど…でも、それは意図しないように働いてしまった訳で」 久「そんなもの危なっかしくて放置なんて出来ないわよ」 久「だから、また悪さをする前に、それを二度と使えないように封印する」 久「世界を好きに出来るなら、それくらいは可能でしょうしね」 京太郎「なるほど…」 京太郎「(…封印、か)」 京太郎「(確かにそうだな)」 京太郎「(…アレはあまりにも危険過ぎる)」 京太郎「(善悪の区別もなく、またルールを曲解して適用してしまうんだから)」 京太郎「(どれだけ使用者に善意しかなくても、使う度に世界が滅茶苦茶になってしまう)」 京太郎「(そんなものが誰かの手に渡って悪用されてしまう可能性を考えれば、封印してしまった方が良いのかもしれない)」 久「…でもね、京太郎君、先輩として一つ忠告しておいてあげるけど」 京太郎「…はい?」 久「幾ら高校に入ったばかりとは言え、中二病はもう卒業した方が良いと思うの…」 久「じゃないと後で思い返して大変な事になってしまうわ」 京太郎「ちょ、違っ!?」 久「大丈夫よ。私は分かってるから」 久「…ちょっと君に甘えすぎてしまったのね」 久「今日は部活を休んで、一緒に気晴らしにでも行きましょう?」 京太郎「い、いや、気晴らしは嬉しいですけど、なんか勘違いしてないですか!?」 久「大丈夫よ。私は良いお医者さんも知っているから」 久「きっとその病も治してくれるわ」ナマアタタカイメ 京太郎「だから、違うんですってば…!!」 久「(分かってるわよ)」 久「(京太郎くんが中二病なんかじゃないって事)」 久「(実際、世の中にはオカルトと呼ばれる力があるのは事実なんだしね)」 久「(荒唐無稽な話ではあるけれど、絶対にないとは言い切れないわ)」 久「(でも、ここは心の病気だって風にしておいた方が良いでしょう)」 久「(本当に京太郎君がそんな力を持っているのであれば、それこそ世界中から狙われる事になるでしょうし…)」 久「(自分の持つ力に対して、本気で悩んでた彼にとってそれはあまりにも辛い事)」 久「(…………ただ、まぁ)」 久「(役得として…気晴らしデートの約束を取り付けるくらいは良いわよね)」 久「(今は忙しいけれど…でも、インハイが終われば、私もノンビリ出来るようになるし)」 久「(それをモチベーションの糧に出来れば、きっと良い成績も残せるはず)」 久「(だから…)」 久「とりあえず休み明けに予約をとっておくから予定を開けておいてね」ニッコリ まこ「…なーにをやっとるんじゃ」 久「あら、まこ。どうしたの?」 まこ「どうしたの…?じゃありゃせんわ」 まこ「おんし、さっき副会長が探しとったぞ」 まこ「今日は昼休みに仕事進める予定だったんじゃろ?」 久「あっ…」 まこ「…まったく、おんしは京太郎が絡むと即座にダメになるの」 久「ち、ちちちちち違うわよ」 久「全然、ダメじゃないですー!」 久「何時も変わらず素敵でキュートな竹井久ですー!」 まこ「はいはい。分かったから早く行ったり」 まこ「おんしがおらんと色々と書類進まん言うて参っとったしな」 久「うぅぅ…行ってきまーす…」トボトボ まこ「ふぅ…まったくもう」 京太郎「はは」 まこ「ん?どうしたんじゃ?」 京太郎「いや、染谷先輩って部長のお母さんみたいだなって」 まこ「…そこまで老けとりゃせんわ」 京太郎「あ、いや、ごめんなさい。そういう意味じゃなくって…」 まこ「ふふ。分かっとるよ」クス まこ「まぁ、久はやるときはやる女じゃが、それ以外はまったくダメじゃからなぁ」 京太郎「うーん…俺はあんまりそういうイメージないんですけど」 まこ「京太郎の前じゃと普段以上に気を張ってるからじゃろ」 京太郎「あー…俺ってそんな信用ないですかね?」 まこ「逆じゃ逆」 まこ「心から信頼しとるからええとこ見せたいんじゃろ」 まこ「特にええ男の前では余計に…な」ニコ 京太郎「い、良い男だなんて…」テレッ まこ「ふふ。まぁ…アレはアレで結構、難儀な奴じゃけぇね」 まこ「出来るだけ京太郎にも支えてやって欲しいわ」 京太郎「…えぇ。勿論です」 京太郎「俺に出来る事なんて大したもんじゃないですけれど…」 京太郎「でも、俺だって、部長に色々と助けられていますから」 まこ「ん。それならええんじゃ」 まこ「…しかし、二人はどうしてここに?」 京太郎「いやぁ…ちょっと俺が一人になりたくて屋上に…」 まこ「…あぁ、なるほど。それで久が追いかけてきたっちゅう訳か」 京太郎「分かるんですか?」 まこ「これでも久とは一年以上の付き合いじゃけぇ、大体の行動パターンは読めとるよ」クス まこ「ま、何があったのかまでは深くは踏み込まん」 まこ「でも、これでもウチは京太郎の先輩じゃけぇ」 まこ「もし、悩み事があるなら、何時でも相談してくれて構わんよ」 京太郎「いえ、大丈夫です」 京太郎「部長のお陰で、大分、気持ちも楽になりましたから」 京太郎「そのお気持ちだけで十分です」ペコ まこ「そっか。あのヘタレが頑張ったか…」 京太郎「え?」 まこ「いや、何でもない」 まこ「まぁ、気持ちが軽くなったんなら、そろそろ食堂に行ったらどうじゃ?」 まこ「まだ休み時間が終わるって訳じゃないとは言え、ゆっくり食事が出来る時間でもなくなってきとーよ?」 京太郎「え…!?ってマジだ…!?」ビックリ まこ「(ふふ。そん様子じゃとよっぽど久と楽しくしとったんじゃな)」 まこ「(これは後で久の奴に謝らんといけんかもしれんね) 京太郎「…ちなみに食堂の様子はどうでした?」 まこ「んー…外からしか見とらんけぇ、うろ覚えじゃけど…」 まこ「今日は結構、空いてたし、ランチも幾つか残っとると思う」 京太郎「ですか。じゃあ、その残りが売り切れないうちに俺も食堂に行って来ます!」 まこ「ん。でも、下手に急いで怪我とかしたりせえへんようにな」 まこ「京太郎が怪我すると皆、心配するけぇね」 京太郎「分かってます。では…!」タッタッタ まこ「まったく…焦るなっちゅうとろうに…」 まこ「…弟のいる姉の心境って言うのはこういうもんなんかもしれへんな」クス 京太郎「(…と急いでやってきたものの…だ)」 京太郎「(流石にスタートで出遅れまくったら、選べるものなんて少ないよな)」 京太郎「(まさかこの俺がTランチ…通称タコスセットを食う事になろうとは…!)」 京太郎「(いや、まぁ、実際、あの優希が認めるくらいだから美味しくはあるんだけど…)」 優希「…ハッ!タコスの匂い…!」ヒョコ 京太郎「出やがったな、妖怪タコス置いてけ」 優希「なぁ、お前、タコスだろ!なぁ、タコスだろお前!!タコス置いてけ!!」 京太郎「誰がやるか!」 京太郎「(…コイツが湧くんだよなぁ)」 京太郎「(いや、まぁ、仮にも女の子相手に湧くなんて失礼な扱いだと思うんだけど)」 京太郎「(さっきまで気配がなかったはずなのに、俺のすぐとなりにいるんだから)」 京太郎「(割りとマジで湧いたとしか思えない光景だ)」 優希「えー…京太郎はケチだじぇ」 京太郎「ケチで結構」 京太郎「これは俺がやっとの思いで手に入れた昼食なんだ」 京太郎「妖怪タコス置いてけになんてやれるか」 優希「私の方がもっとタコスを上手く使えるのに…」 京太郎「タコスを上手く使えるってなんなんだ…」 優希「ふっ…タコス・ソウルを持たぬ者には分かるまい」 京太郎「…で、格好つけてるけど、良いのか?」 優希「ん?何がだ?」キョトン 京太郎「いや、お前、友達とかと一緒に食堂に来てるんじゃないのか?」 優希「んや、今日は一人の気分だったしな!」 優希「それにのどちゃんが咲ちゃんとイチャイチャしたいって言ってたし、お邪魔しちゃ悪いかなって」 京太郎「…あの二人、そういう関係なのか?」ドキドキ 優希「な訳ないだろ、この変態」ニッコリ 京太郎「ですよねー」 優希「まったく、そういうのは本の中だけのものなんだから本気にしないで欲しいじぇ」 優希「京太郎みたいなのがいるから漫画とかの規制が激しくなるんだ」 優希「私が読んでる漫画が完全に履いてないなのが治ったら、京太郎の所為だからな!」 京太郎「知らねぇよ」 京太郎「つーか、それは治すべきだろ、色々と」 優希「いやぁ…アレを治してしまったら日本の損失だじぇ」 優希「ギリギリに挑戦するあの姿勢には尊敬さえ覚えるレベルだからな」 京太郎「そういう漫画家の方が規制に一役買ってると思うんだがなぁ…」モグモグ 優希「ってああああああああ!!」 京太郎「ん?」 優希「わ、私のタコス~…」 京太郎「何時からお前のになったんだよ」 京太郎「俺はお前にやるだなんて一言も言ってねぇぞ」 優希「いや、京太郎は心の中では思ってるはずだ!!」 京太郎「お前はエスパーかよ」 優希「そしてお前の手に持っているそのタコスもまた私に食べられたがっている!!!!!」 優希「だから、京太郎は即刻、そのタコスを私に明け渡すべきだじぇ!!」 京太郎「代わりになる昼飯買ってきてくれたら別に良いぞ」 優希「…いや、今月はちょっと厳しいっていうか…」メソラシ 京太郎「またタコス食い過ぎたのか」 優希「ま、またってほど繰り返してないじぇ!」 京太郎「俺がお前と出会ってから毎月タコスの食い過ぎで金欠になってると思うんだが…」 優希「全ては秘書が一人でやった事です」キリッ 京太郎「お前の秘書は胃袋か何かなのか」 京太郎「つーか、ホント、自制を覚えろよ」 優希「善処します」キリリ 京太郎「まったく…」モグモグ 優希「……」ジィィ 京太郎「…そんなに見てもやらねぇぞ?」 優希「あ、ううん。そっちは冗談だったから別に良いんだけど…」 優希「…なんか京太郎がものを食べてるところってエロいって思って」 京太郎「…は?」 優希「い、いや、ご、ごめん!」 優希「な、ななな何でもないじぇ!」 優希「京太郎は気にせずタコスを食べてくれ!」 京太郎「いや、お前、そんなの聞かされて遠慮せず食べられるかよ」 優希「じゃあ、くれるのか!?」キラキラ 京太郎「…俺は今、意地でもタコスを食いきってやろうと心に決めた」モグモグ 優希「ぶー」 京太郎「ぶーじゃねぇよ」 京太郎「つーか、お前、もう昼飯にタコス食ったんだろ」 京太郎「これ以上食うと太るぞ」 優希「大丈夫!私のタコスは全て雀力に変換してるからな!!」 優希「どれだけ食べても脂肪にならないどころか、麻雀が強くなっていくんだじぇ!」ドヤァ 京太郎「…あぁ。だからか」ジィ 優希「ちょ…ば、馬鹿…!何処見てるんだじぇ!!」カァァ 京太郎「いや、まったく膨らみのない身体をな?」 優希「け、結構、気にしてる事を…!!」 優希「…と言うか、男がそういう事言うのやめた方が良いじぇ」 優希「ただでさえ京太郎はそういう風に見られがちなんだから」 京太郎「そういう風?」 優希「だから…その…無防備って言うか…エロいって言うか…」 優希「夜の街で遊んでそうって言うか…」 京太郎「…………は?」 優希「も、勿論、私は違うって分かってるじぇ!」 優希「京太郎は援交なんて出来る度胸なんてないもんな!」 京太郎「…安心して良いのか凹んで良いのか分かんないんだが」 優希「ま、まぁ、ともかくだ」 優希「援交やってる噂があるくらい注目されてるんだから、そういうのはもうちょっと控えろって事だじぇ」 京太郎「…あぁ、うん。気をつける」 京太郎「(…これってつまり俺の世界で言えば、派手めな女の子に援交やってるとかそういう噂が付き纏うようなものか)」 京太郎「(まったく根も葉もない噂ってだけでもキツイけど…自分が援交やってる扱いされるのも結構クるなぁ…)」 京太郎「(しかも、原因が見た目だから、ちょっとやそっとで噂がなくなったりしない)」 京太郎「(つーか、ここで下手にイメチェンなんかしたら余計に勢いが強まる可能性が高いだろう)」 京太郎「(だから、ここは優希の言うとおり、噂が沈静化するまで目立たず、大人しくしていた方が良い)」 京太郎「(…それは俺も分かってるんだけれど……)」 優希「…京太郎?」 京太郎「あぁ、悪ぃ」 優希「ううん。私は気にしてないじぇ」 優希「…ただ、そのタコス食べないなら私に…」 京太郎「…」パクッ 優希「あああああああっ!!」 ~部室~ 久「と言う訳で今日も部活を始めるわよ」バーン まこ「入って来て早々、何を言っとるんじゃ」 久「いやぁ…ちょっと改めて気合入れようと思ってね」チラッ 京太郎「?」 和「……まぁ、気合を入れてくれるのは喜ばしい事ではあるんですけれど」 優希「(なんとなく面白くなさそうなのどちゃん可愛い)」 咲「(多分、本能で京ちゃんと何かあった事を感じ取ってるんだろうなぁ)」 まこ「(よっぽどええ事があったんじゃなぁ…)」 まこ「(今日の帰りにでも何があったか聞いてみるか)」 京太郎「じゃあ、今日は俺、どうしましょう?」 京太郎「何か買いに行くものとかありますか?」 久「京太郎君はそういう事気にしなくても良いのよ」 咲「そうだよ。男の子なんだからゆっくりしてて」 京太郎「…あー…じゃあ、何か運んだりとか」 和「そういうのは女の子の仕事ですよ」 優希「京太郎がやるより私達がやった方が安全だじぇ」 京太郎「……えーっと、それじゃあ」 まこ「…まぁ、わしらの手助けがしたいっちゅうんじゃったらお茶くみとかでええじゃろ」 京太郎「…そんなので良いんですか?」 久「そんなのどころかそれが良いのよ」 咲「男の人が入れてくれたお茶ってだけでも何だか嬉しくなっちゃうしね」 優希「男の人が作るとタコスの味も何時もより良くなる気がするしな!」 和「…まぁ、メンタル面での影響は決して軽視出来るものではないですね」 京太郎「そ、そうなのか…」 久「さて、じゃあ、まず一年生から対局…と行きたいところなんだけれど」 久「その前に週末からの四校合宿の予定を確認しないとね」 咲「あぁ。もう場所とか決まったんですか?」 久「えぇ。バッチリよ」 久「ただ…京太郎君はその…」 京太郎「あー…女の子ばっかりですもんね」 久「えぇ。もし、京太郎君が襲われでもしたら責任取れないし…」 咲「(…と言うか、ひとつ屋根の下で数日過ごすとか私の方が襲っちゃいそう)」 和「(…湯上がり姿の須賀くんが見たかったんですが…)」 優希「(ぶっちゃけ、狼の群れの中に羊を放り込むようなものだからなぁ…)」 久「だから、悪いけれど、京太郎君はお留守番で良い?」 京太郎「えぇ。構いませんよ」 久「ありがとう。じゃあ、具体的な場所と時間の話を始めるわね」 京太郎「じゃあ、今日は俺、どうしましょう?」 京太郎「何か買いに行くものとかありますか?」 久「京太郎君はそういう事気にしなくても良いのよ」 咲「そうだよ。男の子なんだからゆっくりしてて」 京太郎「…あー…じゃあ、何か運んだりとか」 和「そういうのは女の子の仕事ですよ」 優希「京太郎がやるより私達がやった方が安全だじぇ」 京太郎「…いや、流石に俺の方が力が強いだろ」 久「まぁ、確かに私達は麻雀部であんまり運動が得意って訳じゃないけど」 優希「でも、どれだけ貧弱であっても男に負ける気はしないじぇ」フフーン 京太郎「これでも俺は元運動部なんだけどなぁ…」 和「…でしたら、腕相撲か何かで勝負してみればどうですか?」 和「それならどちらの力が強いかハッキリするでしょう」 京太郎「確かにな。…それじゃあ」 京太郎「じゃあ、和、頼む」 和「私ですか?」 京太郎「あぁ。この中じゃ和が一番、運動音痴っぽいし」 京太郎「(それに合法的に和と握手出来るのも役得だしな)」デヘヘ 久「…」ムー まこ「どうどう」 和「…思いっきり不本意ではありますが勝負を挑まれたのは事実です」 和「真正面からお受けする事で、その疑惑を晴らしましょう」 優希「と言う訳で机持ってきたじぇー」ガタンガタン 京太郎「よし。それじゃあ…和」ガシッ 和「…えぇ」ガシ 咲「それじゃあ…はじめー!」 京太郎「よいしょ…!!」グッ 和「…えい」グイ 京太郎「ほわあっ!?」ビタン 京太郎「…え?…………え?」 和「私の勝ちですね」ホコラシゲ 京太郎「ま、待って!もう一回!ワンモアプリーズ!!」 京太郎「い、今のは準備運動!ウォーミングアップだったから!!」 和「私は構いませんが…しかし、結果は変わらないと思いますよ?」 京太郎「それでも男の子には意地があるんだよ…!!」 咲「…男の子の意地って言っても…ねぇ」 優希「力じゃ男が女に勝てないのなんて今更、話し合う事でもないし…」 京太郎「…くっ!」 和「…まぁ、私は大丈夫ですから、気が済むまで勝負しましょう」 京太郎「…頼む。それじゃあ」ガシ 和「はい。何時でもどうぞ」グッ 京太郎「ふん!ぬぬぬぬぬぬ…!!!」グググ 和「…………」 和「(…須賀君、必死になってますね)」 和「(どうしてかは分かりませんが、よっぽど私に腕相撲で勝ちたいんでしょう)」 和「(…しかし、その力は悲しいくらいに弱々しいです)」 和「(勿論、須賀くんは男性の中では力が強い方なのかもしれませんが…)」 和「(だからと言って、それは女性の私に届くほどではありません)」 和「(実際、こんなに必死になって彼は力を込めていますが…私の腕は微動だにしなくて…)」 和「(流石にまた負けさせるのも可哀想ですし、早めに諦めてくれれば良いんですけれど)」 和「(……にしても)」ジィ 京太郎「ぐぬ…うぉおおおお!」 和「(…必死な須賀くんの顔ってちょっぴり可愛い…ですね)」 和「(元々、麻雀部にいるのが信じられないくらい顔が整ってますけれど…)」 和「(こうして間近で…しかも、必死なところを見ると余計にそれが際立って…)」 和「(…朝よりもドキドキが強くなっちゃいます)」 和「(須賀くんの顔からも目が離せなくなって私…)」 京太郎「ぜー…はー…」 和「…あの、大丈夫ですか?」 京太郎「…あぁ。大丈夫だ」 京太郎「ごめんな、和。長々と付きあわせて」 和「…いえ、私は構いませんよ」 京太郎「でも、ずっと俺と手を握ってた訳だし…」 和「気にしないでください」 和「私としても役得だったので」 京太郎「…役得?」キョトン 和「あ、えっと、その…」カァァ 久「はいはい!次、私!私ね!!」ハーイ まこ「阿呆。うちは麻雀部じゃ」 まこ「腕相撲の決着はついたんじゃから、麻雀するぞ」 久「…はーい」ショボン ~自室~ 京太郎「はー…」 京太郎「(…しかし、ショックだな)」 京太郎「(いや…まぁ、合宿に俺が参加出来ないのは最初から予想してたし仕方がないとは言え…)」 京太郎「(よもや和相手に腕相撲で負けてしまうとは…)」 京太郎「(実際…俺の力が弱くなってる訳じゃない)」 京太郎「(普段通り、ものは持ち上げられる)」 京太郎「(…ただ、それ以上に和達の力が強くなってるだけで…)」 京太郎「(…これじゃ本当に女の子に襲われるかも…って咲達の話を笑えないよな)」フゥ 京太郎「(…まぁ、俺にとって一番笑えないのは)」チラッ 石版「」ゴゴゴゴゴ 京太郎「(コイツが本物だって事だ)」 京太郎「(…この一日で十分過ぎるほど理解した)」 京太郎「(コイツは本物で…そして決して放置してはいけないものなんだって事を)」 京太郎「(だから、これは部長の言う通り、真っ先に封印するべきなんだ)」 京太郎「(…じゃなきゃ、俺はきっとコイツを悪用してしまう)」 京太郎「(俺だって別に聖人って訳じゃないんだから)」 京太郎「(世界のすべてを思い通りに出来る石版なんて手に入れたら…そりゃ悪い事の一つや2つ思い浮かんでしまう)」 京太郎「(一生遊んで暮らせるほどの大金が欲しいとか和みたいなおっぱい美少女から好かれるとかさ)」 京太郎「(それをずっと堪え続ける事なんて多分、出来ない)」 京太郎「(だから、もしかしたら良い風に使えるかもしれないなんて…そんな事すら考えるべきじゃないだろう)」 京太郎「(俺の決意が硬いうちに封印してこの存在を忘れてしまうべきだ)」 京太郎「(……ただ)」 京太郎「(…その前に俺にはやる事がある)」 京太郎「(この石版でおかしくなった世界を元に戻すって言うルール)」 京太郎「(それを書き込む前に封印しちゃいけない)」 京太郎「(たった一日でもう何度もめまいを覚えるほど、今の世界は滅茶苦茶なんだから)」 京太郎「(そんな世界にしてしまった責任は取らなきゃいけないだろう)」 京太郎「(だから…)」キュポ キュッキュ 【女が男に対して積極的になりますようにというルールを無効にする】 京太郎「(これできっと世界は元通りに…)」 【error】 京太郎「…はい?」 【一度、書き込んだ内容は無効に出来ません】 京太郎「……なん…だと…?」 京太郎「(…俺が書き込んだ文字が消えて、いきなり文字が石版の表面に浮かんできたとかはどうでも良い)」 京太郎「(それよりももっと大事なのは…一度、書き込んだ内容は無効に出来ないって事で…)」 京太郎「(…つまり俺はこの世界を元に戻す事なんて不可能なのか…?)」 京太郎「(…いや、諦めるな…!!)」グッ 京太郎「(こういうものは…必ず抜け道があるはずだ…!!)」 京太郎「(考えろ…考えろ考えろ考えろ…!!)」 京太郎「(じゃないと…俺は…!!!)」 一「うー…」 一「(…ちょっと失敗だったかなぁ…)」 一「(朝は別に体調が悪いって言うほどじゃなかったんだけど…)」 一「(今になって結構、フラフラしてる…)」 一「(やっぱり徹夜で美金髪フォルダの整理って言うのは無謀だったかなぁ…)」 一「(いや、でも、もうすぐインハイで、全国の美金髪とまた出会えるし…)」 一「(フォルダが未整理なままだとデータの管理も大変になる一方なんだから)」 一「(今日纏めてやったのは失敗だったかもしれないけれど…)」 一「(ボクはまったく後悔していない)」キリリ 一「(……ただ、まぁ、今日は何時もより日差しがキツくて…)」ジリリリ 一「(寝不足の身体には結構、クるなぁ…)」 一「(しかも、今日に限って、やたらと用事が多いし…)」 一「(もう身体中汗だくで気持ち悪いくら…)」フラァ 一「あ…」 京太郎「大丈夫ですか?」ガシ 一「…え?」 一「(だ、誰、この人…)」 一「(いや、そんな事は重要じゃない)」 一「(すごい…見事な金髪…)」 一「(透華や福路さんにも負けないくらいキラキラと輝いてる…)」 一「(男の人でこんなに綺麗な金髪をしている人を…ボク初めて見た…)」 京太郎「…あの」 一「あ、え、えっと…っ」ワタワタ 一「(って、そんな事考えてる場合じゃなかった…!?)」 一「(ボクは今、この人に倒れそうになったところを支えてもらってるんだから)」 一「(幾ら何でも汗だくのまま支え続けるのは大変だろうし、離れないと…)」 一「だ、だいじょ…」フラァ 一「…あう」 京太郎「…多分、完全に日射病ですね」 京太郎「無理しないでください」 一「…ごめんなさい」ショボン 京太郎「いえ、謝らないで下さい」 一「でも…服が汚れて」 京太郎「気にし過ぎですって」 京太郎「どのみち、制服ですし、家に戻れば洗うつもりでしたから」 一「(…あ、そう言えば、この人…清澄の制服着てる…)」 一「(…もしかして学校帰りか何かなのかな…?)」 京太郎「それより一人で立てないのは結構、深刻です」 京太郎「出来れば涼しいところで休んだほうが良いと思うんでそこの木陰にあるベンチに運んでも良いですか?」 一「は、はい…お願いします」カァァ 一「(うぅぅ…恥ずかしい…)」 一「(まさか男の子に自分の身体を運んでもらう事になるなんて…)」 一「(でも…)」ジィ 京太郎「よいしょっと…」 一「(…本当に綺麗だ)」 一「(髪だけじゃなくて顔も…)」 一「(キラキラと輝いてて…目が奪われちゃうみたい…)」 京太郎「じゃあ、そのまま横になっててください」 京太郎「俺、ちょっと体冷やす用の飲み物買ってきますから」 一「い、いや、でも…」 京太郎「困ったときはお互い様って奴ですよ」 京太郎「今の貴女は動けないですし、気にしないでください」 一「…ほ、本当にごめんなさい…」 一「(…しかも、顔や髪だけじゃなくて心まで綺麗だなんて…)」 一「(こんなのもう天使としか表現しようがないじゃないか…)」 一「(まさかメイドの仕事で外に出てる時にあんな素晴らしい人に会えるなんて…)」 一「(日射病独特の気持ち悪さも気にならないくらいに役得だったかも…)」 京太郎「お待たせしました」 一「あ…天使さん…」 京太郎「…天使?」 一「あ、い、いや、その…」カァァ 京太郎「はは。俺は天使なんかじゃないですよ」 京太郎「…寧ろ、どっちかって言うと悪魔って言われてもおかしくない側で」 一「え…?」 京太郎「…い、いや、何でもないです」 京太郎「それよりほら、スポーツ飲料買ってきたんで少しずつ飲んで下さい」 京太郎「一気に飲むと大変なんで一口ずつちびちび飲むのが良いと思います」 一「…ありがとうございます」 京太郎「いえいえ。後は…まぁ、大分、涼しい格好はされてるみたいですし」 京太郎「楽な姿勢のままそれ飲んでて下さい」 京太郎「俺はその間、団扇で仰いでますんで」パタパタ 一「(…あぁ、涼しい…)」 一「(金髪の天使さんにここまで尽くされるなんて…まるで天国みたいだ…)」 一「(…と言うか、これ夢じゃないよね?)」 一「(夢だったら嬉しいけど…でも、それ以上に嬉しくないって言うか…)」コクコク 京太郎「他に何かして欲しい事はないですか?」 京太郎「態勢を変えるのも今は一苦労でしょうし何でもお手伝いしますよ 一「(な、何でも…!?)」ゴクッ 一「(そ、それってもしかして…アレやこれもオッケーって事……!?)」ドキドキ 一「(い、いや、落ち着くんだ、国広一)」 一「(確かに見た目はビッチっぽいけど、この人がとても良い人なのはこれまでで分かっているし…)」 一「(そういう意図はまったくない………はず、だと思う多分)」 一「(だから、ここは落ち着いて…)」 一「…じゃあ、膝枕…」 京太郎「え?」 一「(ってボクは何を言ってるんだ…!?)」 一「(こんな汗だくなボクを膝枕させたらこの人の服がさらに汚れちゃうって言うのに…)」 一「(っと言うか、初対面の女の子に膝枕要求されたら普通に事案発生だよ!?)」 一「(即座に通報されても文句言えないレベルなのに…あぁぁああもう…ボクの馬鹿!!馬鹿あああ!!)」 京太郎「膝枕ですか?俺は構いませんけど…」 一「…え?」 京太郎「でも、俺なんかの膝枕で良いんですか?」 一「い、良いんです!最高です!!!」グッ 一「…あ」クラァ 京太郎「…って大丈夫ですか?」パタパタ 一「…ごめんなさい」 京太郎「もう。そんなに謝らなくても大丈夫ですよ」 京太郎「俺なんかの膝枕をそんなに欲しがって貰えて嬉しかったですし」 一「そ、それって…」ドキッ 一「(も、もしかして…俗に言うチョロインって奴…なの?)」 一「(ボクの世話をしてる間に堕ちちゃったとか…!?)」 一「(…………うん。流石にそれはないよね)」 一「(幾ら最近の漫画でも、そこまで突飛な展開はありえないでしょ)」 一「(Toloveるの男ヒロインだってここまでチョロくはないと思う)」 京太郎「じゃあ、ちょっと失礼しますね」 一「ん…」 京太郎「どうですか?」 一「…す、すっごく…良い…です…」ウットリ 一「(あぁぁぁ…念願の金髪美男子の膝枕あああああ!)」 一「(…ボクは今日の事を絶対に忘れないと思う)」 一「(ただ、夢が叶ってるだけじゃなくて…)」 一「(こうしてボクを見下ろすこの人の目は…とても優しいんだから)」 一「(いっそお父さんみたいなその目が…ボクにはとても心地良い)」 一「(膝枕の適度な硬さも相まって…このまま眠っちゃいそうなくらいだ…)」 一「(でも…ここで眠ってしまったらこの人に迷惑を掛けてしまうし…)」 一「(何より、そんな風に眠っている時間さえもボクにとっては勿体無い)」 一「(こういう機会なんてもうあり得ないかもしれないんだから…精一杯、堪能しないと…)」デヘヘ ~数十分後~ 一「…ふぅ」 京太郎「どうですか?」 一「…はい。大分、マシになりました」 京太郎「そうですか。それなら良かったです」ニッコリ 一「…はい。それで…あの、本当にありがとうございました」ペコリ 一「出来れば、お礼もしたいんですが…今はちょっと急ぎの用事もありまして」 京太郎「いえいえ。気にしないでください」 一「き、気にします!」 京太郎「え?」 一「あ、いや、その…」 一「(…こ、ここで縁が切れるのが絶対に嫌だったからなんて言えない…!!)」 一「と、ともかく…これ服のクリーニング代と飲み物代です」 一「それと…出来れば後日、改めてお礼がしたいので連絡先なんかを…」カァァ 京太郎「えぇ。構いませんよ」 一「っ!」パァァ 一「じゃ、じゃあ、赤外線通信で…!」シュバ 京太郎「はい。こっちはオッケーです」ポチポチ 一「それじゃあ…」ポチポチ 一「…………ってアレ?」 京太郎「どうかしました?」 一「…須賀京太郎…さん?」 一「(どこかで聞いた記憶があるような…)」 一「(…まさかこれは運命…!?前世からのアレコレだったり…!!?)」 京太郎「あ、自己紹介してなかったですね」 京太郎「清澄一年、麻雀部の須賀京太郎です」ニコ 一「(ですよねー…)」 一「…あ、ボク、龍門渕の国広一です」 京太郎「はい。存じあげております」クス 一「っ」ドキーン 一「(あぁぁ…もう冗談っぽく笑うところも可愛いよおおお!!)」 一「(っていうか…清澄って何時もこんな美男子と一緒にいるの?)」 一「(地味な…ってかあんまり日が当たる事のない麻雀部なのに?)」 一「(…正直、嫉妬が抑えられない…)」 一「(毎日、この金髪天使さんに…須賀くんに尽くされてるんだろうなぁ…)」 一「(…ボクも清澄の子になりたい…)」 京太郎「って時間、大丈夫ですか?」 一「ってあわわ…ちょっとまずいかも…っ」 京太郎「引き止めてごめんなさい」ペコリ 一「い、いえ、ぜんぜん大丈夫です!!」 一「そ、それよりまた後でLINEとかも送るので…」 京太郎「はい。お待ちしてます」 一「~~っ!」パァァ 一「じゃ、じゃあ、あの…また!」 一「また必ずお会いしましょうね!!」タッタッタ 京太郎「(ふぅ。まぁ…アレだけ国広さんが気合を入れてる理由は良く分からないけれども…)」 京太郎「(とりあえず国広さんが無事に回復してよかった)」 京太郎「(自分で立つ事も出来ないレベルってかなり深刻だからなぁ)」 京太郎「(アレから少しでも悪化する気配があったらすぐさま救急車を呼ばなきゃいけなかっただろうし…)」 京太郎「(そんな大事にならずに一安心…なんだけれど)」 モモ「…」ジィィィィ 京太郎「えーっと…モモ?」 モモ「…」ツーン 京太郎「(…なんでいるんだ、とかはもう愚問だよな)」 京太郎「(中学でハンドやってた時に、迷子になってたコイツを見つけて…)」 京太郎「(それから何が気に入ったのか、たまにストーキングされてるんだから)」 京太郎「(まぁ、ストーキングって言っても、適当に後をついてくる程度だし)」 京太郎「(何より、俺とモモは友人で、多少、こうしてストーキングされても気にしないんだけれど…)」 京太郎「(…いるならいるって言ってくれれば良いのになぁ)」 京太郎「(まぁ…俺はおっぱいの大きい美少女を見過ごす訳がないし…実際、ある程度、位置も分かるんだけれど…)」 京太郎「(こうして友達に無言で後をついて回られるとちょっと勿体無いっていうか)」 京太郎「どうせなら横に来れば良いのに」 モモ「っ」カァァァ 京太郎「…あ、悪い」 モモ「ふ、ふーんだ。そんな手には騙されないっすよ」 モモ「京さんがあの手この手で女の子を誑かしてる悪男だって私はもう知ってるッスから!」 モモ「そうやって私の事を褒めるのも、私から敦賀の情報を聞き出す為なんでしょう!?」 京太郎「なーんで、そんな疑心暗鬼な性格に育っちゃったかなぁ…」 京太郎「昔…つっても一年前だけど、もっと素直だったのにさ」 モモ「だ…だって…」 モモ「(…だって、私ッスよ?)」 モモ「(京さんとは違って…地味過ぎて見つけられる人の方が少ない私が…)」 モモ「(京さんにそんな優しい事言われるなんて絶対におかしいッス)」 モモ「(だから…きっと京さんは私の事、利用して、敦賀の情報を聞き出そうとしてるに決まってる…)」 モモ「(…そうじゃなきゃ…そうじゃなきゃ…ダメなんッスよ)」 モモ「(そうやって心に予防線張らなきゃ…私、きっと京さんに依存しちゃう)」 モモ「(ううん…もう既に依存しちゃってるッスよ)」 モモ「(京さんに近づいたらダメだって分かってるのに…)」 モモ「(遠くから見てるだけでも…好きな気持が強くなっちゃうの知ってるのに…)」 モモ「(私…もう京さんのストーキングを止められないんですから)」 モモ「(こんな私が京さんに選ばえるはずないって分かってるのに…ずっと追い回して…)」 モモ「(そんなの…気持ち悪いだけッス)」 モモ「(どれだけ優しい京さんにだって…きっと心の中では嫌われてる…)」 モモ「(だから…私は…ダメな理由を沢山作らなきゃいけない…)」 モモ「(本当のストーカーになる前に…自分を抑えなきゃ…)」グッ 京太郎「…ま、いいや」 京太郎「こうして折角、俺の前に出てきたんだし、久しぶりに話そうぜ」 モモ「え…?」 京太郎「牛丼くらいだったら奢ってやるよ」ニコ モモ「…またそんな色気のない食べ物を」 京太郎「でも、モモも好きだろ?」 モモ「(…分かってないっすね、京さんは)」 モモ「(私が牛丼が好きなのは、京さんの所為なんッスよ)」 モモ「(あの日…迷子になった私を牛丼屋に連れて来てくれたから)」 モモ「(泣きじゃくる私の為に…京さんが牛丼を奢ってくれたから)」 モモ「(だから…別に牛丼なんてそんなに好きじゃないんっすよ)」 モモ「(それでもこうして好きになっちゃったのは…それだけ私が京さんに心奪われてしまってる証で…)」 京太郎「あ、それともハンバーガーとかの方が良いか?」 モモ「…京さんは」 京太郎「ん?」 モモ「…京さんはどうしてそんなに構ってくれるッスか?」 京太郎「…そんなに疑問か?」 モモ「…だって、変じゃないッスか」 モモ「私…今日も京さんの事付け回してたッスよ」 モモ「京さんが学校出てから…今の今までずっと」 京太郎「まぁ…うん。俺もそれは知ってたけど」 モモ「…なんで、それで通報しないッスか?」 京太郎「え…だって、モモ可愛いし」 モモ「…は?」 京太郎「いや、だってさ、冷静に考えてくれよ」 京太郎「おっぱい大きくて、何処か犬っぽくて、努力家で」 モモ「は、はわわ…」カァァァ 京太郎「おっぱい大きくて、照れ屋で、あんまり自分に自信が持てなくて…」 京太郎「何より…可愛い女の子が俺に興味持ってくれてるんだぞ」 モモ「か、かわ…っ」マッカ 京太郎「それで通報なんてできるはずないだろ」 京太郎「俺はそもそもモモの事を悪く思ってないんだし」 京太郎「まぁ…さっきも言ったけど、出来れば隣に来て欲しいけどさ」 モモ「そ、それは…」 京太郎「でも、それは無理なんだろ?」 京太郎「それくらい俺にだって分かってる」 京太郎「…だから、俺はまつよ」 モモ「え…?」 京太郎「モモが笑顔で俺の隣に来てくれるまでずっと待ってる」 京太郎「お前が自信を持って俺と一緒に歩けるまでずっとずっとな」 京太郎「だから、俺は通報なんてしないし、こうして出てきてくれたら遊びにだって誘う」 モモ「……京…さん…っ」 モモ「(だ…ダメ…っすよ…そんな事言ったら…)」 モモ「(私…誤解…しちゃうっす)」 モモ「(京さんもまた…私の事好きなんだって…) モモ「(私の事を想ってくれるんだって…そう想って…)」キュン モモ「(好きが…暴走…しちゃうッス…)」 モモ「(京さんの何もかもを…欲しく…なっちゃうぅ…)」ギュゥ 京太郎「…友達ってそういうもんだろ?」 モモ「……」 京太郎「アレ?」 モモ「…はぁあああああ」 京太郎「…アレ、そんなにダメだった?」 モモ「…いや、ダメじゃなかったッスよ」 モモ「(…ただ、私にとって最後の一言はいらなかったってだけで)」 モモ「(まぁ…おかげで正気に戻れたッスけどね)」 モモ「(あのままだったら多分、本気でストーカー化してたでしょうし…)」 京太郎「…なんかごめんな」 モモ「良いっすよ。京さんが何処か抜けてるのはもう分かってるッスから」 京太郎「ぐふ」 モモ「…まぁ、でも…お詫びくらいは期待して良いっすよね?」チラッ 京太郎「ん?そんなに牛丼食べたいのか?」 モモ「牛丼から離れて下さいッス」 京太郎「じゃあ、牛丼いらないのか?」 モモ「……いや、食べたいッスけど、好きですけどね、牛丼」 京太郎「じゃあ、早速、食べに行こうぜ」 モモ「…本当にもう」 モモ「京さんって時々、ビックリするくらい強引ッスよね」 京太郎「モモみたいな引っ込み思案タイプはゴリゴリ行ったほうが良いって経験上分かってるからな」 京太郎「まぁ、本気で嫌だったらやめるけど」 モモ「…………い、嫌とまでは言ってないじゃないッスか」 京太郎「じゃあ、嬉しい?」 モモ「もぉ…本当に意地悪ッスよね、京さんは」 京太郎「…そう言いながらも嬉しそうな顔をしてるよな」 モモ「し、してないっすよ、全然!!」ブンブン モモ「(……でも、こうやって京さんと一緒に並んで歩くのも久しぶりっすよね)」 モモ「(高校にあがってからはお互いに色々と忙しかったッスし…)」 モモ「(それに私が色々と理由をつけて京さんの前に出るのを避けてたッスから)」 モモ「(…だから…なんでしょうね)」 モモ「(久しぶりに京さんと一緒に並んで歩く私の顔はずっと緩んだままで…)」 モモ「(…あぁ、本当に…悔しいッス)」 モモ「(ダメだって分かってるのに…京さんには勝てない)」 モモ「(敵なんだって…仲良くなっちゃダメなんだって…そう理由を作っても…)」 モモ「(京さんはあっさりそれを乗り越えて…私のココロに触れてくるッス)」 モモ「(おかげで私の心はもう…京さんナシじゃ生きていけなくなってしまって…)」 モモ「(…このままじゃ責任取って貰うしかなくなるッスよ?)」 モモ「(私みたいな重くて面倒くさい女が…京さんの事を諦められる訳ないんですから)」 モモ「(例え何年掛かっても京さんの隣に…京さんの恋人になりたいって…)」 モモ「(地味で臆病な私の心が…そう叫んでるッス)」 モモ「(…だから)」 モモ「…京さん?」 京太郎「ん?」 モモ「…本当に待っててくださいね」 モモ「約束ッスよ?」 京太郎「おう。約束だ」 モモ「(…こんなちっぽけな約束を結ぶくらいは許してくれるッスよね?)」 ~駅のホーム~ 数絵「(…はぁ、今日も疲れた)」 数絵「(ほぼ一人での自主練だから、別にいくらでも手をぬく事はできるのだけれど…)」 数絵「(でも、そうやって手を抜いた先にあるのは、侮辱と不名誉なのよね…)」 数絵「(お祖父様の麻雀が最強だと…そう証明する為にも、決して手を抜けない)」 数絵「(…でも、一人で頑張り続けるのって思ったよりも大変ね…)」 数絵「(せめてもう一人切磋琢磨できる相手がいれば違うのだろうけれど…)」 数絵「(でも、部活にそんなレベルの人はいないし…)」 数絵「(私自身、あんまり社交的な方でもなくって…)」 数絵「(ライバルといえるような関係を構築できるはずもなく…)」 数絵「(……ダメね、疲れすぎてる)」 数絵「(何時もならこんな弱音なんて出てこないはずなのに…)」 数絵「(最初のインハイが終わって、色々と弱気になっているのかしら…)」 京太郎「っと間に合ったみたいだぞ」 数絵「…?」 京太郎「悪かった、悪かったって」 京太郎「でも、久しぶりにモモと話せて楽しかったんだ」 京太郎「仕方ないだろ?」 数絵「(…何、あの人…)」 数絵「(さっきからずっと独り言言ってる…?)」 数絵「(今の時代、目立たないサイズのマイクとイヤホンが売ってるって聞くけれど…)」 数絵「(…多分、あの人はそうじゃない)」 数絵「(それなら視線はまっすぐ前を向いているだろうし…)」 数絵「(でも、あの人の目は横にいる『誰か』に向かっていて…)」 数絵「(ただ、そこには誰かがいるようには見えないのだけれど…)」 京太郎「ん?あぁ、俺の方は大丈夫」 京太郎「そもそも俺、男だからそれほど門限とか厳しくないし」 京太郎「あー…うん。逆だな、ごめん」 京太郎「まぁ、でも、あんまり門限厳しくないのは事実だから気にすんなって」ポンポン モモ「っ」カァァ 数絵「え…?」 数絵「(い、今、いきなり人が現れ…って言うか…えぇぇえ…!?)」 数絵「(あ、あの人…い、一体、何を考えているの?)」 数絵「(人前で女の子の頭を触るとか…ちょっとはしたなさ過ぎるんじゃないかしら…)」 数絵「(そんなの…人によってはいきなりレイプしちゃうほど過激なアピールなのに…)」 数絵「(実際…いきなり現れたあの女の子の方、顔真っ赤になってる)」 数絵「(まぁ…人前で男の子にあんな事されたら当然と言えば当然だけど…)」 数絵「(…でも、嫌そうじゃない…わよね)」 数絵「(やっぱりあの二人…『そういう関係』なのかしら)」 数絵「(…って事は…きっとあぁいう事もやっている…のよね)」 数絵「(実際、あの男の子も見た目そのものが淫乱そうだし…)」 数絵「(きっとあの男の子も、あの子を上に跨がらせて思いっきり腰を振らせて…)」 数絵「(…………嘆かわしい)」 数絵「(そもそもそういうのは婚姻を結んだ男女がする事なのに)」 数絵「(それを一時の相手でしかない恋人相手に気軽にやるなんて…)」 数絵「(…ドン引きよ)」 数絵「(…いえ、別に嫉妬とかじゃないけれど)」 数絵「(えぇ。私は今の生活に満足してるし…)」 数絵「(一人で頑張るのに疲れてきたけれど…あくまでそれだけだから)」 数絵「(まったく嫉妬なんて感情はないけれど…でも…)」 京太郎「つーか、俺としてはモモの方が心配だけどな」 京太郎「家まで送っていこうか?」 モモ「ふぇ…えぇぇ…っ」ドキーン 数絵「(……あんな風に人前でいちゃつかれると目に毒)」 数絵「(ただでさえ部活で疲れているのに…これ以上疲れたくはないし)」 数絵「(なんだか負けたみたいで腹が立つけれど、ちょっと移動しましょう)」イソイソ 京太郎「」イチャイチャ モモ「」キャッキャ 数絵「(…はぁ)」 数絵「(人前でいちゃつくカップルなんて全滅すれば良いのに)」 咲「んー…」ホクホク 咲「(えへへ、今日は大収穫だなぁ)」 咲「(お気に入りの作家さんの本だけ買うつもりだったのに…面白そうな本が沢山あったし)」 咲「(特に…某書院の本は期待大だなぁ)」 咲「(知らない作家さんだけど、軽く流し読みしたらすっごくハードなレイプ描写だったし…)」 咲「(女の子が男の子の上に乗っかって、腰振りながら連続搾精してるところなんてもうトイレに駆け込みそうになったくらいだったよ)」ムフー 咲「(今日はこれを題材に京ちゃんでオナニーしよーっと)」 咲「(ふふ…楽しみだなぁ…)」トテトテ 京太郎「本当に良いのか?」 モモ「大丈夫っすよ」 咲「…アレ?」 咲「(…アレは京ちゃんと…敦賀の東横さん?)」 咲「(京ちゃんの家の前で一体、何を話してるんだろう?)」コソ 咲「(…ってなんで私、隠れてるのかな)」 咲「(まぁ…確かになんだかいい雰囲気だし…)」 京太郎「んー…でも、気をつけてくれよ」 京太郎「ここからモモの家までは結構、遠いからさ」 モモ「大丈夫ッス。私にはステルスがありますから」 京太郎「でも、それは完全じゃないだろ」 京太郎「実際、俺にはこうして見えてる訳だし」 モモ「ぶっちゃけ、京さんが少数派なんッスよ」 モモ「私は親にだって見つけられない事があるんッスから」 モモ「逃げ足だって早い方ですし、何かトラブルに巻き込まれてもスタコタサッサっす」グッ モモ「寧ろ、私が心配なのは京さんの方っすよ」 京太郎「俺?」 モモ「えぇ。こうして女の子を気軽に家にあげちゃって…」 モモ「送り狼になるとか考えなかったッスか?」 京太郎「だって、モモが俺の事襲ったりしないだろ」 京太郎「俺とモモは友達だしな」 モモ「…友達っすか」ムゥ 京太郎「それに幾ら何でも押し倒されてまったく抵抗出来ないほどひ弱じゃないつもりだし」 モモ「…そうやって無用な自信が、レイプ被害に繋がるッスよ」 京太郎「まぁ、そうかもしれないけどさ」 京太郎「でも、わざわざ家まで送ってくれた女の子にお茶の一つも出さないのは失礼だろ?」 モモ「それもそうかもしれないッスけど…」 モモ「(…私がこの一時間ちょっとでどれだけ理性を酷使したと思ってるッスか)」 モモ「(私、男の子の部屋にあがるとか始めてだったッスよ)」 モモ「(女の子の部屋とは違う良い匂いをあっちこっちから感じて…)」 モモ「(もう気が狂いそうだったッス)」 モモ「(多分、後一時間も部屋にいたら我慢できなくなって京さんの事犯してたッスよ)」フゥ 京太郎「???」 咲「(……京ちゃん、東横さんの事、部屋にあげたんだ…)」 咲「(…まぁ、元々、東横さんと京ちゃんが仲良くやってたのは私も知ってたけれど…)」 咲「(…………でも、どうしてだろう)」 咲「(すっごく…すっごく面白くない)」 咲「(胸の奥からムカムカして…私の大事な場所を穢されたような気がして…)」 咲「(…おかしいな、私、京ちゃんの事、ただの幼馴染としか思ってなかったはずなのに)」 咲「(だからこそ、和ちゃんの背中だって押せたはずなのに…どうして?)」 咲「(どうして…今になってこんなにも苛々しちゃうのかな)」 咲「(…東横さんが京ちゃん好みの巨乳だから?)」 咲「(…ううん。それは和ちゃんも同じだし関係ないはず)」 咲「(じゃあ…一体…)」 モモ「…ホント、京さんは仕方ないッスね」 京太郎「なんだよ、いきなり」 モモ「無防備過ぎて目が離せないって事ッスよ」クス 京太郎「そんなに無防備かなぁ…」 咲「( ―― …あぁ、そうか)」 咲「(…東横さん、被ってるんだ)」 咲「(私が京ちゃんに接する姿と…そっくり)」 咲「(口では仕方ないなって言いながらも、その実、京ちゃんの面倒を見ているのが嬉しくて…)」 咲「(本当は京ちゃんが居ないとダメなのは自分なのを笑顔の裏に隠して…)」 咲「(甘くとろけるようにして…依存…しちゃってる)」 咲「(そんな東横さんに…私はきっと自分の居場所を奪われるんじゃないかって思ったんだ)」 咲「(恋人とは違う…『宮永咲』と言う居場所を)」 咲「(…だから、私はこんなにも嫌で…胸の中がムカムカして…)」 咲「(…………嫌だ、渡したく…ない)」 咲「(和ちゃんだったら…まだ良かった)」 咲「(和ちゃんが恋人になっても、私は『宮永咲』のまま京ちゃんに接する事ができるから)」 咲「(…でも、東横さんは絶対にダメ)」 咲「(あの人は私の居場所を奪って…そして塗り替えてしまう)」 咲「(…だから…っ)」グッ 咲「アレ、京ちゃん…と東横さん」 京太郎「お、なんだ、咲か」 モモ「あ…ど、どうも」ペコ 咲「こんばんは。こんなところでどうしたの?」 モモ「えっと…」チラッ 京太郎「街中で偶然出会ってさ」 京太郎「一緒に牛丼屋行ったりして遊んでたら遅くなったから送ってもらったんだよ」 モモ「そ、そうッス」 咲「へぇ。そうなんだ」 咲「…でも、東横さん、夏とは言え、もう日が落ちる時期だから早めに帰った方が良いよ」 京太郎「あぁ、そうだな。ごめん、変に引き止めちゃって」 モモ「い、いや、私は大丈夫ッスよ」チラッ 咲「…」クス モモ「…」グッ 咲「それで…京ちゃん、実はお願いがあるんだけど…」 京太郎「…嫌な予感しかしないけどなんだ?」 咲「実は今日、結構、本買っちゃってさ」 咲「家まで待ちきれないから、部屋にあげて貰って良い?」 京太郎「お前の家、すぐそこだろ」 咲「えへへ。だって、待ちきれないんだもん」 咲「それに良いでしょ?『何時もの事』なんだから」 モモ「…」ピクッ 京太郎「まぁ、確かに何時もの事っちゃいつもの事だしな」 京太郎「良いぞ、別に見られて困るもんがある訳じゃないし」 京太郎「ただ、お茶菓子とかは期待されても困るからな」 咲「大丈夫だよ。流石にそこまで図々しくないし」 咲「寧ろ、お礼に今日は私がご飯作ってあげようか?」 咲「一応、これでも『須賀家の厨房を任せられてる』し、おばさまも楽が出来て喜ぶと思うから」 京太郎「あー…それも良いかもな」 咲「ふふ。じゃあ、今から一緒にスーパーに行こ?」 咲「早くしなきゃお肉とか売り切れちゃうよ」 モモ「……」ギリ 咲「あ、ごめんね。東横さん」 咲「こっちで勝手に盛り上がっちゃって」 モモ「…大丈夫ッスよ」 モモ「二人が『幼馴染』なのは私も良く知ってるッスから」 咲「うん。そうだよ、昔からずっと一緒だったんだ」 咲「…勿論、これからも…だけどね」 モモ「…」ゴゴゴ 咲「…」ゴゴゴ 京太郎「(…なんだろう、このプレッシャーは…)」 モモ「…………じゃあ、今日は帰るッス」 京太郎「お、おう。本当に気をつけてな」 モモ「心配ありがとうッスよ」 モモ「…京さんの方もどうか気をつけて」チラッ 咲「…さようなら、東横さん」ニッコリ モモ「…さようなら、宮永さん」ニコ 咲「…さてっと」ギュッ 京太郎「んお…」 咲「東横さんもいなくなったし…行こ?」 京太郎「…いや、それは良いんだけどさ」 咲「どうかしたの?」 京太郎「さ、流石に俺も腕組まれるのは恥ずかしいぞ」 咲「うん。知ってる」ニコ 咲「京ちゃん見た目ビッチだけど中身は清純だしヘタレだもんね」 京太郎「フォローしてるようでそれ以上に叩きのめしてないかその言葉」 咲「…でも、そんな京ちゃんが見たいから、今日はこのままスーパーね」 京太郎「聞けよってかマジかよ…」 咲「マジでーす」 咲「まぁ、その分、今日はリクエスト聞いてあげるからさ」 咲「何が良い?」 京太郎「…じゃあ、ハンバーグで」 咲「京ちゃん、ホント、子ども舌だよね」 京太郎「うっせーよ」カァァ 咲「(…あぁ、なんだ)」 咲「(…こうして腕組んだだけで…もう分かっちゃった)」 咲「(私、本当はずっと京ちゃんの事好きだったんだ)」 咲「(京ちゃん以外のオカズでイけなかったのも…京ちゃんの事好きで好きで好きすぎたから)」 咲「(…毎日、京ちゃんでオナニーしてたのは強すぎる気持ちに気づかないふりをする為だったんだ)」 咲「(………でも、もう無理)」 咲「(私、完全に気づいちゃったから)」 咲「(自分の気持ちにも…そして京ちゃんの重要性にも)」 咲「(東横さんだけじゃない…)」 咲「(親友であるはずの和ちゃんにだって…渡したくない)」 咲「(幼馴染だけじゃなくて…恋人も…妻の座も…)」 咲「(全部全部…欲しくなっちゃってる…)」 咲「(だから…良いよね)」 咲「(…私をこんなにしちゃったのは天然ビッチの京ちゃんなんだから)」 咲「(…ヘタレだけど私の事を何時も大事にしてくれてる京ちゃんなら…)」 咲「(…この燃えるような私の気持ちも…)」 咲「(そして…アソコが濡れちゃうほどの欲情も…)」グチュ 咲「(全部全部…受け止めてくれるよね…?)」 ~次の日~ 京太郎「(はー…今日は高久田の奴が休みか)」 京太郎「(この前、飯断った分、何か奢ってやろうと思ってたんだけどな)」 京太郎「(なんだか風邪だって話だけど…でも、LINEにもまったく返事がないし)」 京太郎「(よっぽど体調が悪いのかな?)」 京太郎「(なら学校帰りにでも見舞いに行って…あ、いや、待て)」 京太郎「(こういう時こそ、あの子に見舞いに行ってもらうベキじゃないか?)」 京太郎「(んで、看病してる間に好感度稼いで貰って……)」 京太郎「(…………うん、なんかそのまま逆レしてそうなのはきっと気のせいだよな)」 京太郎「(まぁ、何はともあれ、今日は一人飯でも楽しむとしようか)」 久「って京太郎君」 京太郎「おや、部長。今日も一人っすか?」 久「…何時も一人みたいな風に言わないでくれる?」 久「今日はちょっと人と予定が合わなかったの」ムー 京太郎「はは。大丈夫ですよ」 京太郎「部長が人気者なのは俺も良く知ってますから」 久「…ちなみに京太郎君的にはどうなの?」 京太郎「もうちょい悪戯控えてくれれば素直に慕う事もできるんですけどねーって感じです」 久「ダメよ。悪戯を控えるなんて私のアイデンティティに関わるわ」 京太郎「そんなレベルですか」 久「そうよ。だから、イラズラされる為に隣に来なさい」ポンポン 京太郎「んな事言われて近づくと思ってるんですか…」イソイソ 久「そう言いながらも隣に来てくれる京太郎君が好きよ」クス 京太郎「他に座れる場所もあんまり見当たらないですしね」 京太郎「べ、別に部長のために隣に来た訳じゃないんですから勘違いしないでくださいよ!」 久「見事なツンデレと感心するが何処もおかしくはないわね」 京太郎「ま、なので悪戯も控えてくれると…」 久「だが、断るわ」ニッコリ 京太郎「ですよねー…」 久「で、今日の京太郎君くんのお昼は…Aランチか」 京太郎「メインの唐揚げが嫌いな男なんて殆どいませんしね」 久「京太郎君も唐揚げ好きなんだ…」 京太郎「えぇ。まぁ、人並みに、ですけど」 久「ふーん……」 久「じゃ、じゃあ…ね。今度、作ってきてあげましょうか…?」 京太郎「お断りします」キッパリ 久「ちょ、そこは受け止めるところでしょ!?」 京太郎「この前、部長の料理にひどい目にあったのを忘れちゃいないんですよ」 久「あ、アレはちょっぴり失敗しちゃっただけだし…」 京太郎「勝手にアレンジして失敗したのはちょっぴりとは言わないんですよ」 久「そ、そんな事言うけど…京太郎君のタコスミタコスもひどかったじゃない!」 京太郎「ふ…甘いですね、部長」 久「何…!?」 京太郎「俺はあの一件から自分の料理センスがヤバイと知り、料理の勉強を始めました!」ドヤァ 久「な、なんですって…!!?」 久「じゃ、じゃあ、まさか…!」 京太郎「えぇ。もう砂糖と塩を間違えたりしません」 京太郎「得意料理だってあります」 久「と、得意料理…だと…!?」 京太郎「えぇ。しかも…肉じゃがです!!!」グッ 久「に、肉じゃが…!?」 久「あ、あのキングオブ得意料理…」 久「お見合いで聞かれて七割は出てくるっていう肉じゃがが作れるようになったって言うの…!?」 久「この短期間で…やはり天才か…」 京太郎「ふっ。常に成長し続ける男、須賀京太郎と呼んで下さい」ドヤァ 久「…………で、実際のところは?」 京太郎「まぁ、最近は簡単に肉じゃがの味付けができる調味料があるんでそれぶちこんで材料煮るだけですし」 京太郎「ぶっちゃけすっげー簡単ですね」 久「…夢が壊れるわね」 京太郎「まぁ、難しかったらキングオブ得意料理にはなれないでしょうしね」 久「しかし、そんな話を聞いてたらね」 京太郎「ん?」 久「…き、京太郎君のさ、料理…た、食べてみたいかなーって…」チラッ 京太郎「あざとい」 久「あ、あざとくなんかないわよ…っ」 京太郎「いやぁ…今のはあざといっすよ」 京太郎「多分、十人中八人はあざといって言うレベルで」 久「す、少なくとも計算はちょっぴりしかしてないからセーフよ!」 京太郎「計算してる時点でアウトっすよ」 久「…判定厳しすぎない?」 京太郎「部長がユルユルなんっすよ」 久「ゆ、ユルユルって…ち、違うわよ」カァァァ 久「こ、これでも処女なんだから、キツキツのミチミチなんだからね!!」 京太郎「そんな事言ってないです」 ザワザワワ 久「あぅ…」カァァ 京太郎「…まぁ、とりあえず食べましょ?」 久「そ、そうね…」 久「…でも、この埋め合わせは絶対にして貰うから」 京太郎「えー…」 久「誰のせいで大恥掻いたと思ってるの?」 京太郎「完全に部長の自爆じゃないっすか」 久「ゆ、ユルユルなんて不名誉な事言われたら誰だってああなります!」 京太郎「(不名誉な事なのか…)」 京太郎「(まぁ…男で言えば、短小扱いされるようなもんだしな)」 京太郎「(そりゃ思いっきり反論したくなるかもしれない)」 久「と言う訳で、京太郎君は今度、私のためにお弁当を作ってくるように」 京太郎「えー…」 久「…何、不満なの?」 京太郎「いや、まぁ、別に弁当そのものは良いんですけどね」 京太郎「(…ぶっちゃけ、以前までに比べて部活でやらせて貰える事が減ってしまったし)」 京太郎「(お茶くみや牌譜作るくらいしかやってないから作っても構わないんだけれど…)」 京太郎「…でも、ぶっちゃけ俺、まだ習い始めたばっかなんで味とか色々微妙っすよ」 久「…そんなの気にしないわよ」 久「私が食べてみたいのは美味しい料理じゃなくて」 久「貴方の…京太郎君が私のために作ってくれたお弁当なんだから」ニコ 京太郎「っ」 久「…あれ、どうかした?」 京太郎「……いや、部長ってホント、タラシだなぁって思って」 久「…もしかしてドキっとした?」 久「ドキドキってしちゃった?」ニマー 京太郎「あ、やっぱ気のせいでした」 久「えー…そこは正直になりなさいよ」 京太郎「正直になった結果、いじり倒されるのが目に見えてるんですが」 久「だって、それが私の愛情表現だしねー?」ニコニコ 京太郎「…くそぅ、なんかすっげー機嫌良くなってるし」 久「ふふ。今の私は超ハッピーモードだからね」 久「後でジュースくらいなら奢ってあげても良いわよ?」 京太郎「マジっすか!ゴチになります!!」 久「今度は『確殺!パインサラダジュース』ね」 京太郎「またゲテモノジュース押し付けるのやめて下さいよ…」 京太郎「(…で、そんな事やってる間に、夏休みになった)」 京太郎「(その間、一度も登校しなかった高久田が、何処かで監禁されてるなんて噂も出てたけれど…)」 京太郎「(それは根も葉もない噂だから信じる必要はない)」 京太郎「(あの日、俺に相談してきた子が、高久田が休み始めた時期からずっと休んでいるのも無関係だ)」 京太郎「(いや、関係あるのかもしれないが、きっとあの子が高久田の事を看病しにいってるって程度)」 京太郎「(見舞いに行っても、家にはおらず、親も行方を探してる最中らしいが…)」 京太郎「(あの殺しても死なないような高久田の事だ)」 京太郎「(きっと何処かで上手くやっている事だろう)」 京太郎「(…そう信じないとやってられねぇよ)」 京太郎「(一応、彼女と高久田の繋がりは警察にも言ったけれど、まったく信用して貰えなかったからな)」 京太郎「(…俺にできる事は…あいつが無事である事を祈る事だけ)」 京太郎「(それ以外にあいつの為にしてやれる事はあまりない)」 京太郎「(何せ、今、俺がいるのは…)」
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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1359039653/ レポーター『では清澄高校の全国出場には須賀君の審眼が一役買っていたということですか?』 京太郎『いや、まぁwwそんな大したことしてネんすけどねwwwはェww』クチャクチャ 京太郎『なんか光るもの持ってんなwwとは思ってたんスけどねwwwまさか全国ww』クチャクチャ 京太郎『あ、いやこいつならwwイけんなwww連れってくれるな?wwみたいなね?wwありましたよwww』クチャクチャ 京太郎『閃き?wwwインスピレーションってのかなwwwアレww』クチャクチャ レポーター『以上、全国への出場を決めた清澄高校麻雀部員への街角突撃インタビューでした!』 久「wwwwwwwww」ゲラゲラ 和「……」イライラ 和「部長、なんですかこれ……」 久「ローカルの番組wwwwいやー何度観ても面白いわwww」 久「何あの喋り方wwwそれにクチャクチャってwww」 久「大リーガーかってのねwwwホントwww」 久「しかも鼻毛出てるしwww」 和「部長……」 久「ん、何?もう一回観る?癖になるわよねこれwww」 和「須賀君は……どこですか?」 久「あぁ、まだ買い出しじゃない?そろそろ帰ってくるでしょ」 和「……ちょっと失礼します」ガラガラ 京太郎「ふぅー、しんどいわ……マジしんどいわ~」 京太郎「なんで俺ホント買い出しとか雑用ばっかしてんだろなwww」 京太郎「とっとと帰ろう……って」 京太郎「……あれ、和か?」 京太郎「こっちに向かってくる」 和「……」スタスタ 京太郎「労いの言葉でも掛けてくれんのかなwwwホント男子部員は辛いわwww」 和「須賀君……」 京太郎「おう、和。どうしたんだよ、こんな所で」 京太郎「もしかして俺に会いに来てくれたのか?」 京太郎「なんてなwwww」ゲラゲラ 和「……」イラッ 和「ちょっとこっちに来て下さい」スタスタ 京太郎「お、おいおいなんだよ急に……」 京太郎「どこに向かってんだ?」 和「……公園です」 京太郎「公園?」 ~公園~ 京太郎「んで、なんだよ話って」 和「テレビ……テレビのインタビューのことです」 京太郎「あ、あぁ……アレか……」 和「どういうことなんですか?」 京太郎「ど、どういうことって……そりゃあ」 京太郎「買い出し行ってたら急に捕まっちまってさ……」 和「そんなことを聞いてるんじゃありません!!」 京太郎「!」ビクッ 和「なんですかあのインタビュー……」 京太郎「いや、急に聞かれてさ……頭ん中真っ白になっちまって……」 和「……」イライラ 京太郎「それでなんつーかガム噛んでてさ……」 和「……した……なのに」 京太郎「ん?」 和「努力したのは咲さんや私や優希や部長なのに!!!」 和「あなたは何もしてないのに!!!」 京太郎「あ……」 和「ふざけた調子で……」 京太郎「いや、そんなつもりじゃ……」 和「……大会の応援にだって来ませんでしたよね?」 京太郎「あ、いやー行こうとはしたんだけど……」 京太郎「なんか不思議な力?に阻まれてさwwwww」 京太郎「清澄の所まで行けねーのwwwマジだぜ?」 和「ふぅ……」 京太郎「信じてくれたか」 和「やめて下さい」 京太郎「えっ?いやいやマジなんだってwwwオカルトだよマジでwww」 和「違います」 京太郎「えっ」 和「麻雀部。辞めて下さい」 京太郎「えっ……えっ……」 京太郎「あの……それは……」 和「荷物、貸して下さい」 和「私が持って行きます」 京太郎「お、おう……はい……」ガサ 和「……」ガサ 京太郎「……」 和「……」 和「何をボーッとしてるんですか?」 京太郎「えっ」 和「どうぞ帰って下さい」 京太郎「でも……」 和「もう来なくていいですよ、じゃあ」 京太郎「……」 京太郎「……分かった」 京太郎「じゃ、帰るわ……俺……」 和「……」ガラガラ 久「wwwww」ゲラゲラ 優希「部長、また思い出し笑いしてるじょ」 咲「もー、真面目に打って下さいよ。あそれロンです」 咲「あれ、和ちゃん?」 優希「おー帰ったのか、のどちゃん」 久「あら、どしたの怖い顔して」 和「部長、さっきのDVD貸して下さい」 久「いいけど……須賀君は?」 久「その荷物、須賀君に頼んだやつよね?」 優希「もしかしてあの犬!」 優希「のどちゃんに荷物押し付けてサボったのか!?」 咲「え、そうなの和ちゃん!?」 和「いえ、違います……」 久「はい、コレね」 和「ありがとうございます」 久「やば、タイトル見たらまたwwww」 まこ「最早病気じゃの」 咲「あれ?」 優希「あれ?」 まこ「ん、どうした?」 咲「いえ、なんでもないです」 和「……」スタスタ 優希「それにしてもあの犬……どこ行ったんだじぇ」 久「和、知ってるわよね?」 咲「和ちゃん?」 咲「!」 咲「な、何してるの!?」 和「電子レンジにDVDを入れてるんです」 久「ちょ、ちょっと!どうしたのよ!?」 優希「うわ、凄いことになってるじょ……」 和「……」チーン 咲「の、和ちゃん……チンしてもDVDは食べれないよ?」 久「一体どうしたのよ……須賀君と喧嘩でもしたの?」 優希「のどちゃん、犬に意地悪されたのか!?」 優希「あの犬!こんど来たら……」 和「優希」 優希「?」 和「もう来ませんよ、須賀君は」 優希「え……」 咲「ま、まさか遂に警察の御厄介になっちゃったんじゃ」 優希「!…ほ、ホント躾のなってない犬だじぇ!」 優希「年中発情中のセクハラ犬は本当ご主人様がいないと」 和「須賀君、部活辞めるそうです」 優希「じぇ……」 久「……何、言ってるの和?」 咲「き、京ちゃんが何かやっちゃったの?」 咲「私がキツく叱っとくよ!」 咲「めっ!ってね」 優希「それ全然キツくないじょ」 久「和、あなた今日は帰りなさい」 和「……全国だって近いのにそんな」 久「何があったか知らないけど」 久「(皆の顔見たら今打てない事くらい分かるでしょ)」 和「……」 和「(咲さん……優希……)」 久「ハイハイ、今日は解散解散!」 咲「え……」 優希「ぶ、部長……」 久「和は私と帰りましょ、ね?」 和「……」 和「……嫌です」 久「……」 和「嫌、です!なんであんな人の為に私達の練習時間がっ!」 久「まこ」 まこ「悪いな」ドスッ 和「ぁ……」フラ 咲「和ちゃん!!」 優希「のどちゃん!!」 久「咲と優希は帰りなさい」 咲「で、でも……」 優希「……はい」 咲「優希ちゃん……」 優希「咲ちゃん、帰ろう?」 咲「……うん」 ハギヨシ「さ、京太郎くん、お茶です。どうぞ」 ハギヨシ「といっても、水出しのお茶ですけどね」 ハギヨシ「申し訳ありません、急で用意も出来なかったものですから……」 京太郎「いやwww全然wwいっすww」 京太郎「ホントもったいないくらいっス師匠wwマジでww」 京太郎「いや、ホント……」 ハギヨシ「京太郎くん……」 京太郎「申し訳ないです……」 ハギヨシ「話してみるだけで大分楽になりますよ、これマジです」 京太郎「ちょ、師匠wwマジってwww」 京太郎「キャラじゃねっすよwww」 ハギヨシ「弟子……いや」 ハギヨシ「友人の前でくらい素になりますよ、私だってね」 京太郎「ハギヨシさん……」 京太郎「ホント、恩に着ります……」 京太郎「今日、辞めろって……言われたんですよね」 ハギヨシ「……」 京太郎「あっ、あの部活の事なんですけどね」 京太郎「こう……誰ってのは言いたくないんですけど……」 京太郎「そいつは凄く麻雀頑張ってて……」 京太郎「努力が形になってて」 京太郎「俺なんか眼中になくて……」 京太郎「いやホント敵わないんですよね……」 ハギヨシ「……」 京太郎「あっ、すみませんww意味不明っすねwww」 京太郎「あとおもちがデカいんすよwww」 京太郎「あっ、これ言っちゃったら分かっちゃいますかwwww」 ハギヨシ「いえいえ、検討も付きませんよ」 京太郎「あ、それでですねww」 京太郎「これマジ秘密なんすけどwww」 京太郎「俺、そいつのこと好きだったんですよね」 ハギヨシ「……」 京太郎「いや、アレはリスペクトっていうのかな?www」 京太郎「いやいやマジリスペクトしてたんすよwww」 京太郎「ぶっちゃけ麻雀部入ったのもその……」 京太郎「そいつのこと目当てだったんですよね」 ハギヨシ「動機なんて皆そんなものですよ」 ハギヨシ「私なんて……」 ハギヨシ「執事ってなんかカッコイイな、ちょっとやってみようかな」 ハギヨシ「みたいなノリでしたよ」 京太郎「ちょww適当っすねwwww」 京太郎「それで、戻るんですけど……話がね」 京太郎「そいつに言われたんですね」 京太郎「こう……頑張ってるのは私達なのに」 京太郎「あなたは何もしてないのに……」 京太郎「あっ!あなたってのは俺ねwww須賀京太郎ねwww」 京太郎「俺、テレビ……出たんですよ」 ハギヨシ「ほう、それは凄いですね」 京太郎「前後意味不明ですみませんww」 京太郎「で、テレビで言われたんですよ」 京太郎『なんでも、須賀くんは清澄の勝利に一役買っているとか!?』 京太郎「って……」 京太郎「あ、今の声真似っすwww」 京太郎「……焦りました」 ハギヨシ「……」 京太郎「その時ガム噛んでたんスけどねwww」 京太郎「アレ心拍数が落ち着くって嘘っすねwww絶対ww」 京太郎「頭ん中真っ白になって……」 京太郎「いや、逆ですね……凄く冴えて」 京太郎「あれ?そういや俺、何か貢献してるっけ?」 京太郎「皆に何かしてあげてるっけ?」 京太郎「こう、一瞬で頭ん中検索して……」 京太郎「あぁ、そういえば……」 京太郎「咲を麻雀部に誘ったの……俺だ。って」 ハギヨシ「京太郎くん……」 京太郎「いや、やっちゃいましたね……」 京太郎「全校生徒の前で、父親がパイロットって自慢するのってあんな感じですかね」 京太郎「いやー、軽く考え過ぎてましたね」 京太郎「和がそれ観て……」 京太郎「辞めて下さいって」 京太郎「言われたこと全部図星だったんですよね」 京太郎「お、俺……あ、ヤバいな……」 京太郎「ちょ、す、すみません…やば」 ハギヨシ「……」サスサス 京太郎「ちょww俺ゲロってないっすよwww」 京太郎「別の意味でゲロってますけどねwww」 京太郎「すみません……落ち着きました」 ハギヨシ「京太郎くんは……」 京太郎「……」 ハギヨシ「これから……どうしたいですか?」 ハギヨシ「いえ、抽象的ですみません」 京太郎「いやいや全然大丈夫です」 ハギヨシ「戻りたいですか?」 京太郎「……」 京太郎「俺、もう辞めます」 京太郎「和に……負けたとかじゃ無いんですよ」 京太郎「限界……っ……です……」 京太郎「つ、辛い……ですっ……皆と居るのがっ……」 京太郎「優希や……咲や部長と……っ……じゃれてる時はいいんですけどっ……」 京太郎「麻雀が始まったら……辛いっ……んです……」 … …… 京太郎「ふぅ……」 ハギヨシ「落ち着きましたか」 京太郎「あ、はい」 ハギヨシ「今日はもう泊まっていきなさい、京太郎くん」 京太郎「え……」 京太郎「襲うつもりですか……」 ハギヨシ「急にマジな顔になられると困ります……」 京太郎「いや冗談ですwww助かりますww師匠www」 京太郎「親にちょっと連絡してきますね」 ハギヨシ「固定電話はそこです」 京太郎「いや、ケータイがありますから大丈夫です」 京太郎「ふぃーっwwえがったえがったww」 ハギヨシ「上がりましたか、京太郎くん」 京太郎「ちょwwwバスローブにワイングラスwwww」 京太郎「どこのブルジョワジィですかwww」 ハギヨシ「さ、向かいに座って」 京太郎「ちょ、飲めませんよ俺」 ハギヨシ「大丈夫です」 ハギヨシ「小岩井ですよ」 京太郎「小岩井すかwwww」 京太郎「実は結構好きなだったりするんすよねwww」 ハギヨシ「京太郎くん」 京太郎「はい」 ハギヨシ「何か皆と……清澄の麻雀部でやりたかったこと、ありますか」 京太郎「それ聞きますか」 ハギヨシ「師匠ですから」 京太郎「……んー」 京太郎「海とか行きたかったな?」 京太郎「いや違うなwww」 京太郎「やっぱり……」 京太郎「行きたかったですね、全国」 ハギヨシ「未練タラタラじゃないですか」 京太郎「いや、違うんスよwww」 京太郎「なんか……不思議な力で阻まれて、あんまり試合……近くで応援出来なかったから」 京太郎「近くで、応援したかったですね。皆を」 ハギヨシ「いやいや恐れ入ります」 京太郎「あっ、すみませんwwクサかったすねww」 ハギヨシ「いえ、立派ですよ」 ハギヨシ「行きますか、全国」 京太郎「え?いや~流石に一人はちょっと……」 京太郎「それに部活辞めちゃったらその日学校ありますからね。多分」 ハギヨシ「サボりなさい、京太郎くん」 京太郎「ちょ」 ハギヨシ「最後くらい飾りなさい」 ハギヨシ「多分、一番印象に残りますよ」 京太郎「……」 京太郎「金が……」 ハギヨシ「出しますよ」 京太郎「いや、敵いませんね……」 京太郎「よろしくお願いします」 ~翌日~ 京太郎「いやー土曜日www土曜日っすよハギヨシさんwww」 京太郎「あれ、いない……って」 京太郎「書き置き……まぁ執事だもんな、当たり前か」 京太郎「……」プルル 京太郎「あ、咲?オッス」 京太郎「ちょっと今日出てこれるか?」 京太郎「部活なんてサボっちまえよwww」 京太郎「いや、ホントさ……校舎の前でいいから、頼むわ」 京太郎「……ありがとう、じゃ」 ~学校~ 京太郎「よう、ちゃんとトイレって言ってきたか?」 咲「もー、京ちゃん!」 京太郎「いやいやマジ重要な事だからなこれ」 咲「……」 京太郎「俺、辞めるわ。麻雀部」 咲「……」 京太郎「おい、なんか言えよwww」 咲「随分いきなりだね……」 京太郎「いや、ぶっちゃけ言うぞ」 京太郎「お前は分かってたろ?」 咲「……京ちゃん性格悪いね」 京太郎「優希も分かってるだろ」 咲「どうかな、優希ちゃんは京ちゃんのこと大好きだから」 咲「本当に何も見えてないかもね」 京太郎「なんか悪役みたいだな咲www」 京太郎「ラスボスみてぇwww」 咲「京ちゃん」 京太郎「ん?」 咲「辞めないでよ」 京太郎「お前www一番の理解者が何言ってんだよww」 咲「私はさ……足し算で部活やってる訳じゃないんだよ……」 咲「京ちゃんさ、麻雀クッソ下手だけどさ……」 京太郎「お前、泣きながら何酷いこと言ってんだよ……」 咲「……うっ」 咲「ふぇ……」 京太郎「ふぇ……」 咲「ま、真似しないでっ……よっ……」 咲「……」 咲「あーあ!やっぱりやめた!」 咲「綺麗さっぱり!辞めて下さい!」 京太郎「悪ぃ、咲」 京太郎「応援、行くからな」 咲「来なかったらぶっ飛ばすよ……」 京太郎「wwwwww」ゲラゲラ 咲「和ちゃんの言うことさ……」 京太郎「ああ」 咲「私、分かるんだよ……」 京太郎「皆分かってるさ」 咲「ああ、そうだなぁって……思ったんだよ」 京太郎「俺も思ったさ」 咲「ビデオ観たよ……」 京太郎「おおwww」 咲「クッソムカついたよ、京ちゃん」 咲「なんか鼻毛出てたし……」 京太郎「ごめん」 咲「応援来てね、絶対」 咲「雑用もしてね」 咲「あ、あと……っ」 咲「ふ、ふぇ……っ」 咲「うぇぇぇえ!!」 京太郎「しつこいなお前wwww」ポンポン 咲「ひっく……っく……」 咲「学校でも……っ……ちゃんと口利いてよねっ……」 京太郎「おうおう」 咲「じゃあ!」ダッ 京太郎「ああ」 京太郎「……」 咲「じゃあ打とう!」 咲「よし打とう!すぐ打とう!」 優希「わ、私はまだ納得してないじぇ!」 和「……」 優希「のどちゃんも何か……」 咲「優希ちゃん!!」 優希「!」ビクッ 咲「ん!」 優希「ど、ドア?」 咲「玄関!ダッシュ!」 優希「え?」 咲「ダッシュ!」 優希「……」 優希「行ってくるじょ!」 久「……」 久「最低ね、私」 和「……」 まこ「さ、始めよう。ワシが親じゃ」 咲「和ちゃん、気にしないでとは言わないよ」 咲「でも、もう怒らないであげてね」 咲「京ちゃん泣いちゃうかも、なんてね」 和「私は……」 和「バカですね」 久「いやー、私が言えたもんじゃないけど」 久「凄いKYよ、和」 まこ「KYって……」 和「……KYですね……私……」 久「なんかさ……安心してたのよね」パチ 久「清澄は女子5人と男子1人で……」 久「男子は見学!女子は試合!」 久「ついでに雑用買い出しも男子!」 久「本当、吊ろうかと思ったわ」 まこ「おいおい」 和「私は……」 久「見てられなかったんじゃないの?」 和「……」 久「和は……優しいからね」 久「一番優しいわ」 久「不器用だけどね」 和「そんなこと……っ……ありません……っ」 和「わ、私は自分の事ばっかりで……っ」 和「咲さんも…っ……ゆ、ゆーきも……!」 和「悲しんでるのに……私は……っ」 咲「さ、打とう打とう!次、和ちゃんだよ!」 和「は……っ…はい……」 咲「……」 咲「良かったら京ちゃんに麻雀教えてあげてね」 咲「喜ぶよ、すっごく」 和「そんな……」 咲「罰ゲーム!」 咲「京ちゃんを辞めさせた罰ゲームだよ!」 咲「和ちゃん、ね?」 和「……は、い……」 ~夜~ 京太郎「やべぇ……マジやべぇ……」 京太郎「顔が痛ぇ……」 京太郎「優希、怒ってたな……」 京太郎「知らせたの咲だな……」 京太郎「なんのために咲だけ呼んだと……」 和「須賀くん」 京太郎「おお、和」 和「こんばんは」 京太郎「おう」 和「須賀くん」 京太郎「何」 和「なにか、して欲しいことありますか?」 京太郎「ん~、んじゃあ……」 京太郎「おもち触らしてくんね?」 和「……はい」 京太郎「おいおい」 京太郎「そこは怒れよwwww」 和「いえ……無理です……」 京太郎「まぁムカついたよ……流石にな」 京太郎「そこまで言うかコイツ!」 京太郎「このおもち!ってなwwww」 和「……」 京太郎「お前、間違ってないよ」 和「……」 京太郎「応援行っていいか?」 和「はい」 京太郎「麻雀教えてくれるか?」 和「いいですよ」 和「須賀くん……」 京太郎「ん?」 和「殴ってくれますか?」 京太郎「え……なにそれ……無理だけど……」 和「わ、私はっ……バカでアホで……KYです……っ!」 京太郎「け、KY?」 京太郎「あ、あぁ……」 京太郎「ちょっと……まぁ、あるかな」 和「だから……っ」 京太郎「おいおい」 和「……」 京太郎「俺さ……もう凄い言いふらしてるんだけど」 京太郎「原村和をさ……」 京太郎「リスペクトしてたんだよ」 京太郎「……」 和「……」 京太郎「いや、好きだったんだよ」 京太郎「アイドル的な意味で……」 和「……アイドル的?」 京太郎「それはさ……いや」 京太郎「言葉にするのは難しいわ……(悲しい顔)」 和「……」 京太郎「じゃあ!」ダッ 和「えっ!?ちょっと須賀くん!」 京太郎「許してくれ和!もう咲の事自慢しないから!」 和「須賀くん!」 和「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」 京太郎「おい、俺は流れ星じゃねえよwwww」ピタッ 和「私本当にバカです!大バカです!」 和「だ……っから!……まだ須賀くんと友達のまま……で、いたいって思ってます!」 和「なんで…や……っ優しいの……!」 和「なんで……そんなに……っ……怒らないんですか……!」 京太郎「俺もバカだからさ……わかんねー」 京太郎「多分何か不思議な力がさ……」 和「……」 京太郎「試合、頑張れ」ダッ ~京太郎宅~ 京太郎「部長じゃないですか」 久『元気してる?』 京太郎「いや、もう元気ありあまってますよ」 京太郎「今ね、丁度優希から借りた指南書を……」 久『須賀君って童貞?』 京太郎「えっ……なんでそれを」 久『ふふ、やっぱりね』 京太郎「じょ、冗談キツいなーやだなー……」 京太郎「あの……誰に聞いたんですか……」 京太郎「咲ですか?もーやだなーアイツ……」 久『須賀京太郎くん』 京太郎「……」 久『今、出れる?』 …… … 京太郎「ハギヨシさん……」 ハギヨシ「はい」 京太郎「俺って愛されてると思いません?www」 ハギヨシ「思います思います」 京太郎「いやー、あんまり何かしたって憶えは無いんですけどね」 京太郎「パッと辞めれるって思ってたんですよ」 京太郎「大体向こうから言ってきたんですからね」 京太郎「あ、咲は泣くと思ってましたwwww」 京太郎「最終的には和まで……」 京太郎「いや、あいつは言ってなかったかな」 ハギヨシ「引き留めに?」 京太郎「流石っすねwww」 京太郎「流石、俺のリスペクトする原村和ですよ」 京太郎「あそこで戻ってって言われたら……」 京太郎「よくこんなこと言えたなコイツって逆にね?」 京太郎「こう、善と悪的な意味で逆に尊敬しましたよ」 ハギヨシ「京太郎くんは本当に原村和さんが大好きなんですね」 京太郎「ちょ、そんなんじゃないですって」 京太郎「ただちょっと素晴らしいスタイルだなとは思いますけど」 京太郎「最近なんかねwww」 京太郎「これ言っちゃっていいのかな?www」 ハギヨシ「どうぞどうぞ」 京太郎「あいつ俺に麻雀教えてくれるんですよ」 京太郎「こう……俺の背後で……」 京太郎「支えるようにね……」 ハギヨシ「ほぉ……」 京太郎「あっww想像したでしょwww今www」 ハギヨシ「いえいえ……」 ハギヤシ「ほら、ホテルに着きましたよ京太郎くん」 京太郎「おお、本当だ」 ハギヨシ「荷物持ちましょうか」 京太郎「いやいや、自分で持てますよ」 ハギヨシ「では入りましょう、お嬢様達も待って居ますから」 京太郎「逆に荷物持つの手伝いますよ」 ハギヨシ「よろしくお願いします」 京太郎「試合始まるまで何してようかな……」 京太郎「適当に街を見て回るか」 京太郎「東京なんて初めてだしな」 京太郎「なんか寂しいな……ハギヨシさんは当然仕事だし……」 京太郎「……」ギュルル 京太郎「なにか食おう……」 京太郎「すみません……このおもち一つ下さい」 おっさん「お兄さん、一人かい?」 京太郎「い、いえ……あの」 京太郎「あっwwはェwww友達と来てるんですけどね」 京太郎「っかしーなぁ……アイツどこ行ったんだろうなぁ」 おっさん「兄ちゃんもアレかい、麻雀」 京太郎「あっ、そうです……出るほうじゃないですけど」 おっさん「……宮永照って知ってるか?」 京太郎「あっ、なんか聞いたことあります」 おっさん「おいおい」 京太郎「スミマセン……思い出します……3、2、1……」パチン 京太郎「咲のお姉ちゃんだ」 おっさん「おっ、宮永咲も知ってんのかい」 おっさん「あの二人やっぱり姉妹なのかね」 京太郎「えっ、違うんですか」 おっさん「いやーなんかこの前言ってたよ」 おっさん「一人っ子です、みたいな」 京太郎「えっ」 京太郎「ていうかお知り合いなんですか?」 おっさん「ああ、よく来るよ……お」 おっさん「噂をすれば」 京太郎「えっ」クル 照「……」スタスタ 淡「ちょっとテルー、寄り道したらまた菫に」 照「大丈夫……」スタスタ 照「おじさん、いつもの」 おっさん「はいよ」 淡「おはようございまーす」 京太郎「お、おう…ございます……」 照「……」 京太郎「……」 京太郎「(メッチャ見られてる!!)」 照「……」スタスタ 京太郎「えっ、あの……ちょっ」 照「……」ジー 淡「何してんのテル、引かれてるよ」 照「……」ガッ 京太郎「……んぐ!?」 淡「ちょ!ちょっと!テル!何!?」 淡「え!?何なの!?何が起こってるの!?」 おっさん「おいおい何やってんだ照ちゃん!」 照「いや、この人……」 京太郎「ぁぁぁあ!!」メリメリ 淡「何でいきなりアイアンクローかましてるの!?」 照「君……ちょっと来てくれない?」 照「おじさん、お勘定」 おっさん「おいおい、試合前に傷害事件はやめてくれよ」 照「大丈夫」 ~白糸台高校宿泊ホテル~ 京太郎「な、なんスか……本当になんスか」 淡「テルー、めちゃくちゃ怯えてるよ……」 淡「ていうかヤバいよ……これ」 淡「出場停止になったらどうすんの!?」ブンブン 照「……」ガクガク 照「淡、ちょっと二人きりにさせて」 淡「無理無理無理、何言ってんの!?」 淡「ちょっとおかしいよテル!やばいって」 淡「菫や渋谷先輩に見つかったら……」 照「大丈夫……」 照「5分で終わるから」 京太郎「あの……すみません……」 京太郎「本当にすみません……」 京太郎「なんか気に入らないことしちゃったのかな俺?やっぱり……」 照「君のアップロードしてる動画観たよ」 京太郎「えっ」 照「あの鼻毛出てるやつ……」 京太郎「あっ……すみません……」 照「なんで謝ってるの?」 京太郎「えっ……」 京太郎「いや、いきなりアイアンクローきたんで……」 京太郎「あの、咲のお姉さん、ですよね?」 照「……」 照「……ふっ」 京太郎「(なんか笑った……)」 照「……」グー 照「……食べながら話していい?」 京太郎「どうぞ……」 照「……」ポリポリ 照「よく咲を麻雀やる気にさせたね」 京太郎「えっ……知りませんけど」 照「?」 照「君が誘ったんじゃないの?」 京太郎「あ、いやそうなんですけどねwww」 京太郎「ちょっと光るもの持ってるな?wwwとは思ったんですよwww」 照「……」 京太郎「あっ」 京太郎「すみません……」 照「いや、凄い」パチパチ 京太郎「え?」 照「テレビや動画で観たものを生で観ると謎の感動が」パチパチ 京太郎「あぁ……ハイ……ありがとうございます」 京太郎「それで、俺はなんで呼ばれたんでしょう……」 照「……」ハッ 照「今言おうと思ってた」 京太郎「……」 照「いや、私」 照「咲は私に会うために麻雀やってると思ってたから」 京太郎「えっ」 照「えっ」 京太郎「おかしくないですか」 照「いや、普通だと思う」 京太郎「えっ」 照「それで……淡が……さっきの子ね」 照「テルーの妹のこと話してるって言うから」 照「観てみたらなにやら」 照「清澄が全国へ行けたのは須賀京太郎くんの審眼が……」 京太郎「あっ、そのすみません……本当すみません……」 京太郎「調子乗ってました……」 照「いや実際咲に目を付けたのは凄いと思うよ」 照「強いしね」 京太郎「いや、ホントその話は勘弁して欲しいっていうか」 京太郎「……」 照「……」ポリポリ 照「何、どうしたの?」 照「あ……ごめん、選手のミーティングとかあるのかな……」 照「本当ゴメン……もうちょっとお話して」 照「はい、ポッキー」 京太郎「あ……ありがとうございます」 京太郎「……」ポリポリ 京太郎「俺、麻雀部やめたんですよ」 照「……あれ、なんでまた」 照「なんかスカウトマン?的な存在だと勝手に……」 照「こう……有望な選手を探してくる」 照「で、その選手で全国の試合を特等席で観るの」 照「あいつ私が探して育てたんですよみたいな感じで」 京太郎「いや、全然違いますよ」 照「えっ……」 京太郎「残念そうな顔しないで下さいよ……」 照「ごめん……私本とか好きでね」 京太郎「おお」 照「なんかそんな話があったの」 京太郎「詳しくは憶えてないんですね」 照「読むのは好きなんだけどね」 京太郎「咲も本好きでしたよ、中学のころから」 照「……」 京太郎「えっ、あの……また俺何かしました?」 照「いや……フフフ」 照「別れた彼女の昔話してるみたいだなぁって……フフフ」 京太郎「えっ……あの……」 京太郎「……」ズーン 照「ごめんよ、ほらポッキー食べて」 京太郎「あっ、ありがとうございます」 京太郎「……」ポリポリ 照「なんで辞めちゃったか聞いていい?」 京太郎「えっ!聞きますか?」 照「いや、なんか面白そう」 京太郎「えっ全然面白くないですよ……」 京太郎「いや、今思えばかなりドラマしてたかも……」 照「おお……」 京太郎「聞きたいですか?聞きますか?」 照「聞く……」 京太郎「しょーがないなもー」 京太郎「あっ、これオフレコでwwww」 照「……」ポリポリ 京太郎「えっと、あの……」 照「どうぞ」 京太郎「えーとそれじゃあまずは……」 … …… 京太郎「で、二人はキスをして終了」 照「凄い……映画化できそう」 京太郎「あっ、そうすか!やっぱりねwww」 京太郎「自伝出そうかな俺www」 照「……」 照「ごめんね」 京太郎「何言ってんすかww聞いたの宮永先輩じゃないですかwww」 照「咲は須賀くんのことなんて呼んでたの?」 京太郎「ちょっ!え?」 京太郎「もしかして俺を辱めたいんですか?」 照「いや、純粋に気になる」 京太郎「ちょっとやだなー恥ずかしいなー」 京太郎「気になります?」 照「うん……」ポリポリ 京太郎「あいつ……俺のこと京ちゃんって呼ぶんですよwww」 照「へえ」 照「それは、なかなか……こう……攻めてきてるね」 京太郎「あwwwやっぱりそう思いますかwwww」 京太郎「俺もそう思ってたんですけどね」 照「ほう」 京太郎「んー、なんて言うかな……」 照「恋愛感情ではない……」 京太郎「それですね、俺も全然意識してなかったし……」 照「分かる……」 京太郎「えっ、やっぱり俺……」 京太郎「……フェロモンが足りないんですかね?」 照「いや、咲のほう。そんなグイグイ行くタイプじゃないから多分そうかなって」 京太郎「あ、そっちですか」 照「須賀君は咲にモテたかったの……?」 京太郎「いや、全然」 照「……」ポリポリ 京太郎「男って複雑な生き物なんですよ……」 照「成る程……」 照「……」ポリポリ 京太郎「あ、そろそろ帰りますね……そっちの迷惑にもなっちゃうし……」 照「京ちゃん」 京太郎「!」 京太郎「き、急になんすか宮永先輩www」 照「おお、焦ってるね……」 京太郎「宮永先輩、以外とこう……」 京太郎「おちゃめさんなんですねwww」 照「言われたことない……」 京太郎「いや、絶対おちゃめですよ」 照「そうかな」 京太郎「じゃ、今度こそ……」 照「ねぇ、私も呼んでいいかな」 京太郎「……」 照「楽しいよ」 照「京ちゃんと話してるとね」 京太郎「宮永先輩……」 照「なんかキャラじゃないんだけど……」 照「ふう」ポンポン 照「京ちゃんはがんばったぞ」ポンポン 京太郎「宮永……先輩……」 照「初めて会った気がしないねマイブラザー……」 京太郎「マイブラザーってwww」 照「いつでも頼りな……」 照「流石に県を跨ぐのは無理だけど」 京太郎「俺も無理ですwww」 照「また話、聞かせてよ」 京太郎「チャンプwww清澄スパイすかwww」 照「京ちゃん、ほい」 京太郎「あ、ケータイ」 照「チャンプはいつでも挑戦を受けよう……」 照「じゃ、私より強いヤツに会いに行く……」 京太郎「ちょwwwスパ4ww」 京太郎「……」 京太郎「宮永先輩……」 京太郎「咲は負けませんよ……」 京太郎「優希も……和も……部長も……」 京太郎「絶対勝ちます!」 照「まぁ……」 照「私達も負けないけどね」 菫「私より強いヤツに会いに行く」ドヤァ 菫「何言ってんだお前」 菫「おい」ゴン 照「……」パタ 京太郎「倒れた!」 淡「大丈夫だったの……君……」ボロボロ 京太郎「なんでボロボロになってんですか……」 菫「申し訳ありません……ウチの部員が……」 菫「なんと詫びればいいのか……」 京太郎「あっwwwいえいえwww」 菫「お願いします!……大会だけでも出場したいんです!」 菫「どうかこの事は御内密にお願いします……」 菫「淡、お前も頭を下げろ!」 淡「申し訳ありませんでした……」 淡「私は止めたのに……」 照「京ちゃん、許してあげて……」 菫「お前もだバカ!」ゴチン 菫「インターハイ前に一般人にアイアンクローかますとか正気か!?」 照「ごめんなさい、京ちゃん……」 京太郎「あっwww全然気にしてないんでww」 京太郎「寧ろいい経験になりましたよwwwはェwwww」 菫「本当にすみません……これ、ほんの気持ちですが……」 照「買ってきた私のお菓子!」 菫「黙ってろ!」ゴチン 京太郎「いや、すみませんこちらこそwww」 …… … ハギヨシ「どうしたんですかそれ」 京太郎「それが……」 京太郎「いや、なんか歩いてたら」 京太郎「……」 京太郎「落ちててwwww」 ハギヨシ「落ちてたの拾って来たんですか!?」 京太郎「いやwww違うんすよwww違うんすよwwww」 照『対戦が本当に楽しみです!皆様、応援よろしくお願いします!』 レポーター『あと、宮永選手一言なにか今大会の抱負などありましたら』 照『いや、そうですね……』 照『今から終わった後の事を口にするのはあまり良くないと思うんですけど……』 照『このインターハイを全力で戦い終えて』 照『何もかも終わったら……』 レポーター『……』 照『……貯まった洗濯ものを片付けたいですね』ドヤァ レポーター『で、出たぁ~!宮永語録!!!』 照『……』ドヤァ 菫『本当すみません……頑張ります……応援よろしくお願いします……』 レポーター『以上!第70回インターハイ優勝校、白糸台高校へのインタビューでした!』 京太郎「いやいや、キャラ全く違いますよ、驚きました」 京太郎「最後らへんはなんかそれっぽかったですけど」 ハギヨシ「京太郎くんは……宮永照さんと面識は?」 京太郎「全く無かったです。存在自体は流石に知ってましたけど」 ハギヨシ「面白いこともあるものですね」 京太郎「いやー本当ですよ、結構面白い人だったし」 ハギヨシ「ふふ」 京太郎「えっ、どうしたんですか」 ハギヨシ「いやいや、連れて来た甲斐がありましたよ」 京太郎「あっwwお世話になりまーすwwww」 ハギヨシ「どうぞどうぞ」 ハギヨシ「ではそろそろ会場へ移動しましょうかね」 淡「テルー!何あれー!」 照「淡……」 菫「おい、走るな淡」 淡「いいなー!私もなんか言いたいなー!」 淡『まぁ、高校生活100年分はやってきたつもりなんでwwww』 淡「みたいな!」 菫「(うぜぇ……)」 渋谷「先輩……お疲れ様でした……」 亦野「お疲れ様でした、ミーティング後に小休憩を挟んで会場へ移動です」 菫「分かった。ありがとう、亦野」 照「皆も出迎えありがとう」 菫「じゃ、行こうか」 淡「うぃー」 豊音「うわー……なにあれー凄いよー……」 エイスリン「(兵隊が敬礼して並んでる絵)」バッ! 豊音「話しかけるんて無理だよ……取り押さえられちゃうよ……」 エイスリン「トヨネ!ラストチャンスダヨ!」 豊音「そ、そうだよねー……とりあえず小休憩あるって言ってたし……」 豊音「それまで待とうかな」 豊音「ごめんねーエイスリン……付き合わせちゃって……」 エイスリン「キニシナイ!」 … …… 照「やっと休憩……」フラフラ 照「お菓子……」 豊音「(あっ……出てきたよー)」 エイスリン「(トツゲキ!)」 照「何も全部あげなくても良かったのに……」 照「コンビニ行こう……コンビニ……」フラフラ 豊音「あ、あのー!」 照「……はい」 エイスリン「サインクダサイ!」 豊音「(ちょっとエイスリン!いきなりすぎるよ!)」 照「……あ、私のですか」 豊音「は、はい!ファンなんです」 照「あ、はい……」 照「えー……じゃあ何か一言コメントとか」 豊音「え!え!?いいんですか!」 照「えっ」 豊音「ど、どーしよーかなー」 エイスリン「チョーカワイイヨー!」 照「はい、じゃあ……ちょー可愛いよー」 照「宮永照から豊音ちゃんへ……と」 豊音「え!!」 エイスリン「ヨカッタネ!トヨネ!」 豊音「う、うん……良かったよー」 豊音「でもなんかナルシストみたいだよー……」 豊音「ありがとうございます!宝物にします!」 エイスリン「アリガトウ!」 照「いやいや……」 エイスリン「イコウ!」 豊音「あ、待ってよー」 照「……」 照「なんか人が凄い並んでる……」 一般人「あ、すみません……サイン……」 照「あ、はい!」 照「いいですよー!」 菫「何がいいんだ?」 照「……」 照「音も無く現れるのはやめてほしい……」 菫「すみません……大会出場前なので……」 菫「それに並んでると他の方の迷惑にもなりますから……」 一般人「ちぇっ!なんだよーさっきのデカい子にはあげてたのにさー」 菫「本当すみませんでした」ペコリ 照「すみませんでした」ペコリ 菫「……」 照「菫、ごめん……」 菫「試合前からドッと疲れたよ……」 菫「亦野と淡が買い出しに行ってきたから戻ろう」 照「お菓子……」 菫「……はぁ」 … …… 京太郎「うわぁ……ビッグ……」 ハギヨシ「京太郎くん、荷物の搬入をお願いします」 京太郎「あ、はーい」 京太郎「うんしょwwwうんしょwww」 京太郎「ファーッ!!!www」 ハギヨシ「ど、どうしたんですか?」 京太郎「いや、なんかテンション上がっちゃて」 ハギヨシ「そういうのは後でお願いしますね」 ハギヨシ「さ、行きましょう」 京太郎「よいしょ」 京太郎「(咲……和……優希……部長……)」 京太郎「(俺……ここまで来れましたよ)」 京太郎「後は……」 京太郎「頑張れ……皆」 ~第一回戦終了~ 京太郎「ふぃーっwwwこっちまで手に汗を握ったわwww」 京太郎「……」 京太郎「いや、本当に見れて良かったわ……」 京太郎「皆……凄いな……」 京太郎「咲……」 京太郎「……」ブルッ 京太郎「トイレ行こwww」 京太郎「街に出てきちゃったよ」 照「はい、順番にお願いしまーす」 淡「こちら最後尾になりまーす」 京太郎「ちょwww」 京太郎「何やってんすかwww」 淡「あ、君……」 淡「テルーのサインが欲しいならちゃんとこっちに並ん……で……」 京太郎「ちすwww」 淡「すみませーん、ちょっと予約のお客様が……」 京太郎「え、ちょっと」 淡「ゴメンね、もう攫わないからコレで許してね」 京太郎「あの、凄い睨まれてるんですがそれは……」 淡「サイン貰いにきたんじゃないの?」 京太郎「いやいやいや……」 照「おお、京ちゃん」」 京太郎「何やってんすかww姉御www」 照「サイン会……」 京太郎「マジで?」 照「ちょっと待ってて、京ちゃん」 ~30分後~ 京太郎「……」 淡「ふぅ……やっと捌けた」 照「ありがとうございまーす!」 淡「くたくただよテルー……」フラフラ 照「おお、淡……」 照「いま癒してしんぜよう……」ダキッ 淡「ぐえ」 淡「柔らかくない……柔らかくないよテルー……」 照「ごめんよ……ごめんよ……」 京太郎「……」 京太郎「あ、あの……」 京太郎「帰っていいスかwwww」 照「待て待て」 照「サインをやろう」 京太郎「いやいやwww」 京太郎「……いや、やっぱり貰っとこうかな?」 照「じゃあ後ろ向いて」 京太郎「え?」 京太郎「こうですか」 照「しゃがんで……淡、マジック……」 淡「ほい」 京太郎「ちょ……」 照「……」カキカキ 京太郎「やっぱりTシャツwww」 照「無地の白……ユニクロならまた買ってあげるから……」 京太郎「何してんですか!?」 京太郎「これめちゃくちゃ目立ちますよwwやべぇwww」 淡「うわ……」 京太郎「えっ、何その反応……」 淡「ご、ごめんなさい……」 京太郎「えっ……何描いたの……先輩」 照「まぁまぁ」 照「昼ご飯でも一緒して行きなさい」 淡「ペコペコだよ~」グー 照「私も……」グー ~繁華街~ 京太郎「あ、あの……凄い見られてる気がするんですがそれは……」 淡「テルー、これ菫に見つかったらまた……」 淡「……」 淡「……ハッ!」 淡「よく考えたらまた私も怒られるじゃん!」 照「ふふ……」 京太郎「姉御www」 淡「ヤバいよヤバいよ……」 淡「ど、どーしよ」 淡「もうやだよぉ……」ズーン レポーター「あの……宮永照さんでしょうか?」 照「!」 淡「!」 京太郎「!」 照「そうです」ニコ 淡「あわわわわ」 レポーター「今、ほんの少しで構いませんので皆さんのお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」 照「大丈夫ですよ」ニコ 淡「ヤバいよテル!!何言ってんの!?」 淡「(多分何も考えてないよこの人!)」 レポーター「あのー……そちらの男性は?」 京太郎「え?え?www俺?wwいや僕っすか?www」 淡「このままじゃ……」 淡「(ス、スキャンダルになっちゃう!)」 淡「ち、違うんです!」 淡「こ、この人は……」 京太郎「やべぇ……まじやべぇ……」オロオロ 淡「て、テルーの」 淡「!」ピキーン 淡「専属スタッフです!!」 照「……」 京太郎「……」 照「えっ」 京太郎「えっ」 淡「す、須賀くん!ほら背中!」 京太郎「えっ……ちょっと……」 レポーター「宮永……照……一味……」 京太郎「ちょwww」 京太郎「どこの海賊団だよwww」 レポーター「では専属スタッフ?の方にインタビューしてもよろしいでしょうか」 淡「(ご飯、奢って、あげる)」パクパク 京太郎「……」 淡「(お菓子、も、つける)」パクパク 京太郎「(発想が女の子だ……)」 京太郎「いやww全然構わないっすよwww」 京太郎『いや本当ねww最初は驚きましたwww』ペラペラ 京太郎『本当に俺でいいのかな、ってね?wwww』ペラペラ 京太郎『いや、でも同時にwwwあ、分かってるな、この人?www』ペラペラ 京太郎『みたいなね?wwちょっとありましたねwwいやwwwはェwww』ペラペラ 照『いや、本当に助かってますよ』ニコ 淡『そ、そーなんです……やっぱり部員が多くてもいいことばっかりじゃなくて……』 淡『や、やっぱり専属スタッフが居ると違うんですよね』 淡『み、皆が安心して練習できるんですよ!宮永先輩はフラフラしてるんで』 淡『皆気が気じゃないんですよー』 京太郎『いやーwww参ったなww本当www』ペラペラ レポーター『成る程……白糸台高校虎姫の影の立役者、という訳ですか?』 京太郎『いやwwwホントそんな大したコトじゃないんですけどwwww』 久「wwwwwwww」ゲラゲラ 和「……」 咲「……」 優希「……」 久「お腹痛いわホントwwww」 久「あ、アップロード終わった」 久「ホント懲りない子ね須賀くんはwwww」 久「前だけちょっとズボンにシャツ入れてるしwwww」 久「ホント何考えてんのあの子はwwww」 和「宮永さん……あれ」 和「もしかして……」 咲「う、うん……」 咲「私のお姉ちゃん……」 優希「ちょーっと龍門渕のとこまで行ってくるじぇ!」ダッ 久「ホント反省しないわね……須賀くん」 和「……全国の生放送で何やってるんでしょう……あの人は」 咲「ふふっ」 咲「でも、京ちゃんらしいよ」 和「……そうですね」フッ 和「須賀くんらしいです」 咲「さ、優希ちゃん呼んで私達もお昼食べに行こ!」 久「美穂子にも見せてあげようっとwwww」ガラガラ まこ「腹が減ったのう」ガラガラ 和「……」 和「咲さん……私やっぱりズルいでしょうか?」 咲「ん?」 和「私はあの日……あんな彼を見て……凄く腹が立って」 和「部を追いやったのに……」 咲「……」 和「今、テレビで同じような事を言ってる彼を観て……」 和「すごく……安心したんです……」 咲「和ちゃん……」 和「な、何言ってるんでしょうね……私」 和「KYですね……」 和「行きましょう咲さ……」 咲「いやー和ちゃんは可愛いね!」ダキッ 和「え!?」 咲「それは、いいことだよ。きっと」 和「でも……」 咲「ほら、行こ」スッ 和「咲さん……」 咲「私も安心したよ!」 咲「京ちゃんはやっぱりバカだね!」ニコ 咲「いつものバカな京ちゃんだったよ!」 咲「今度会ったらシャツin野郎って言ってやろう、和ちゃん!」 咲「あとヒゲも剃れってね!」 和「……」 和「ふふ……そうですね」 京太郎「いやーでも本当今の僕があるのは……家族……」 照「……」 照「(レポーターさん、今から言う事はオフレコでお願いします)」 レポーター「(元より放送するつもりないですよ!)」 京太郎「清澄の皆、ハギヨシさんや龍門渕の皆……」 京太郎「あれwwwそんだけかな?www」 京太郎「俺友達少ねえwwww」 京太郎「でもその皆のおかげなんですね」 京太郎「"せい"じゃなくておかげです」 京太郎「これ重要ですよwww」 照「京ちゃん、行こ」 淡「それじゃあ、これで……」 京太郎「あざしたーwww」 淡「あ、あざしたー……」 照「ありがとうございました」キリッ カランコロン…… 淡「あ、三人でお願いします」 照「はい、お冷」 京太郎「フゥー……」 京太郎「またやっちまったよ……」 淡「(コップの水から氷を取り出して額に当ててる……)」 淡「ちょっとやめなよキョータロー……完全に不審者だよ……」 照「いや、面白いから止めなくていい」 淡「……」 照「あ、オーダーお願いします」 照「このレディースセットを」 淡「じゃ、じゃあ私も同じのを」 京太郎「あっ!僕ハンバーグセットでwwww」 淡「……」 カン!
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京太郎「(…はぁ、今日もまた大変だった)」 京太郎「(朝のでネリーが嫉妬したんだろう)」 京太郎「(ずうううっと部活中ベッタリで、俺から離れようとしなかったし)」 京太郎「(それでもちゃんと練習はしてたから、まだあまり注意はされていなかったけど…)」 京太郎「(何か言いたげな辻垣内さんと…)」 京太郎「(完全に呆れ返っていたハオさんの視線…)」 京太郎「(ついでに明華さんやメグさんの嫉妬のアレが痛かった…)」 京太郎「(正直、今日はずっとネリーにつきっぱなしだったから)」 京太郎「(身体の方はそれほど疲れてないんだけど…)」 京太郎「(でも、精神的な疲労がヤバイ)」 京太郎「(正直、このまま部屋で一眠りでもしたいくらいだ…)」フゥ 京太郎「(ま、何はともあれ…)」 京太郎「ただいまー」ガチャ 絹恵「おっかえりー」パァン 京太郎「…………え?」 京太郎「(…き、絹さん!?)」 京太郎「(なんで、絹さんが俺の家に!?)」 京太郎「(つーか、なんでクラッカー!?)」 絹恵「ふふ、驚いたー?」ドヤァ 京太郎「いや、驚かない理由がないっすよ」 絹恵「そうやんなー。クラッカーの音大きいし」 京太郎「いや、それもありますけど」 京太郎「でも、それよりも大きいのは絹さんの存在なんですが」 絹恵「…も、もう。そんな恥ずかしい事言って」カァァ 絹恵「そんなんいきなり言われたらドキドキするやないの」モジ 京太郎「(可愛い)」 絹恵「あ、それよりもやね」 絹恵「はい。カバン」スッ 京太郎「え、いや、でも…」 絹恵「疲れとるんやろ?」 絹恵「カバンくらい運んであげるから貸して」 京太郎「じゃ、じゃあ…」スッ 絹恵「はい。無事にお預かりしました」ニコ 絹恵「じゃあ、京くんはくつろいでてな」 絹恵「私、このカバンを部屋に持って上がっといてあげるから」 京太郎「い、いや、そこまでしなくても良いっすよ」 絹恵「そう?」 京太郎「はい。それに今日の牌譜見て、復習しなきゃいけないんで」 京太郎「リビングまでで大丈夫です」 絹恵「そっかー…」 絹恵「ちょっと残念やね、京くんの部屋に入れると思ったのに」 京太郎「そ、それはまた今度、片付けた後にお願いします…」 絹恵「うん。楽しみにしとるね」ニコ ~リビング~ 絹恵「で、えっと…お茶とか出してあげるべきなんやろうけど」 京太郎「あ、良いですよ。そんなの」 京太郎「つーか、絹さんお客さんなんで俺がやりますし」 絹恵「でも」 京太郎「良いから座ってて下さい」 京太郎「俺がとびきり美味しい麦茶を入れますから」 絹恵「そう言って、冷蔵庫の中から入れるだけやん」クス 京太郎「いやー、やっぱ夏は冷たい麦茶が一番だと思うんですよね」 絹恵「うん。それはちょっと分かるわ」 京太郎「でしょ?」 京太郎「だから、俺がこうして麦茶を入れるのもベストな選択なんですよ」コポコポ 京太郎「はい。どうぞ」コトン 絹恵「ん。ありがとう、京くん」 京太郎「いえいえ。…それで」 絹恵「ん?」クビカシゲ 京太郎「…どうして絹さんは俺の家に?」 絹恵「あー…それやねんけど」 絹恵「…………京くん、あの女がこの家に寝泊まりしとるやろ?」 京太郎「あの女って…」 絹恵「…うちのオカンの事」 京太郎「まだ仲が悪いんですか」 絹恵「しゃーないやん」 絹恵「あんな格好悪いオカン、仲良ぅなれるはずないわ」ムスー 京太郎「あー…」 京太郎「(…俺は格好悪いとは思わないんだけどなぁ)」 京太郎「(元麻雀プロで、今は名門の監督で…)」 京太郎「(しかも、二人の子どもを女一人で立派に育ててるんだから)」 京太郎「(正直、凄いくらいだと思うんだけれど…)」 京太郎「(でも、それを絹さんに言っても…きっと受け入れられるもんじゃないんだろう)」 京太郎「(俺は絹さんと子どもの頃から仲良くしているけれど…)」 京太郎「(でも、だからって何もかもを知ってる訳じゃないんだ)」 京太郎「(俺の知らない絹さんも…そして雅枝さんもいて当然だろうし…)」 絹恵「…あの女、京くんに迷惑掛けとらへん?」 絹恵「またみっともない真似して京くんの事、誘惑したりしとらへんやろうか?」 京太郎「だ、大丈夫ですって」 京太郎「そもそも雅枝さん俺の監督役としてここに泊まってくれてる訳ですし」 京太郎「迷惑だなんて事ないですよ」 絹恵「…あの女が監督役ってのが一番、信じられへんのやけどなぁ」 京太郎「え?」 絹恵「…ううん。何でもない」 絹恵「…ま、何事もなかったんやったら一安心やわ」 絹恵「正直、あの女が京くんのところに寝泊まりしてるって聞いて血の気が引いたくらいやし」 京太郎「はは。大げさですって」 絹恵「(大げさやないんよ…)」 絹恵「(うちのオカン…京くんの事、完全にオトンの生まれ変わりやって信じとるんやから)」 絹恵「(子どもの頃から京くんがどんな目で見てこられたか…京くんが知らへんだけや)」 絹恵「(アレはずっと…京くんが熟すのを待っとったんや)」 絹恵「(一見、気のいいおばさんみたいな顔しながら…ずっとメスの目で京くんの事見とって…)」 絹恵「(まるで狩人みたいに…『大人』になるのを待っとったんやで)」 絹恵「(そんな女が…もうすぐ結婚可能になる京くんと一つ屋根の下で暮らしとるって聞いたら…)」 絹恵「(絶対に何か間違いを起こすつもりやって思って当然やろ)」 京太郎「あ、それより…」 絹恵「ん?」 京太郎「絹さんは何処からそれを知ったんですか?」 京太郎「雅枝さんとは仲が悪いでしょうし…もしかして浩ちゃんから?」 絹恵「………………実はあの女からや」 京太郎「え?」 絹恵「まるで宣戦布告のように京くんの部屋の前にいる自分の写メ送ってきよってな…!」グッ 絹恵「(…京くんの家においで)」 絹恵「(また一緒に家族『四人』で暮らそうってそんな文面まで…!)」 絹恵「……だから、心配になって、来てみたんや」 絹恵「幸い、今日はうちんところもオフで自由時間やったしな」 京太郎「あぁ。なるほど」 絹恵「…ちなみにここの鍵も無理やり開けた訳ちゃうで?」 絹恵「うちが来た時にはもうオカンがおって、開けてもろたんや」 絹恵「…まるでもう自分の家になったみたいにな…」ゴゴゴ 京太郎「あ、あはは…」 絹恵「…ま、そういう訳やから」 絹恵「京くんに一つ…大事なお願いがあるんやけど」 京太郎「お願いですか?」 絹恵「うん…その、すっごい迷惑やって分かっとるけど…」 絹恵「…私も当分、ここに住まわせてもらって構わへん?」 京太郎「はい?」 絹恵「あ、あんな、私もこんなんはしたないって分かっとるんやけど…」 絹恵「でも、京くんとあの女が二人っきりなんは絶対にアカンと思うねん」 絹恵「あの女…間違いなく京くんに何かするつもりやから」 絹恵「それを止める為にも、うちも一緒におった方がええかなって」 京太郎「いや、でも…」 絹恵「ちなみに監督と京くんトコのご両親には許可取ったで」 絹恵「どっちも京くんがオッケーなら大丈夫やいうとったし」 絹恵「後は京くんの気持ち次第やねんけれど…」ジィ 京太郎「(…これはもう迷う余地なんかないよな)」 京太郎「(俺としても雅枝さんと二人っきりって言うのは色々な意味で危ない)」 京太郎「(絹さんが気にしてるのとはまったくの真逆だけど…)」 京太郎「(正直、このままインハイ終わるまで一緒…ってなると血迷ってしまいそうで怖い)」 京太郎「(それを防ぐ意味でも絹さんの存在は大きいし…)」 京太郎「(何より、絹さんと雅枝さんの関係は最悪と言っても良いくらいなんだ)」 京太郎「(家でもマトモに会話したりしないらしいし…)」 京太郎「(それをここで一緒に暮らす事で少しでも改善出来るなら…)」 京太郎「(その手伝いを俺が出来るなら…それに越したことはない)」 京太郎「(あっちの監督はさておき…俺の親がオッケーだしたのもその辺りが原因なんだろう)」 京太郎「(遠くはなれた大阪に過ごしているとは言え、家族ぐるみでの付き合いがあったし)」 京太郎「(あっちの不仲は俺の親父達も気にしてた事だからな)」 京太郎「…良いですよ」 絹恵「ホンマに!?」パァ 京太郎「えぇ。幸い、来客用の部屋は余ってますし」 京太郎「どれでも好きなの使って下さい」 絹恵「…良かったぁ」ホッ 京太郎「…そんなに不安だったんですか?」 絹恵「うん。まぁ…私と京くんは仲良ぅしとるけど…」 絹恵「でも、やっぱり男と女な訳やん?」 絹恵「幾ら小学校の頃から一緒にボール追いかけてたと言っても…」 絹恵「やっぱりこの年頃になったら、色々と気にされるかなぁって…」 京太郎「はは。んな事ないっすよ」 京太郎「絹さんは俺にとって何時でも絹さんですし」 絹恵「…その割には、中学校くらいの頃から敬語使い出したやん」ジト 京太郎「うぐ」 絹恵「…昔は絹ちゃん絹ちゃんって言うてくれとったのに」ムスー 京太郎「あー…いや、それは…」 京太郎「(…ぶっちゃけ、絹さんの胸がでっかくなってきたからな!)」 京太郎「(昔からおっぱいフェチだった俺としては、やっぱりその辺、意識してしまう訳で)」 京太郎「(昔みたいに気易くちゃんづけで呼べなくなったのも、それが原因だったんだけど…)」 絹恵「…まぁ、私はオカンとちゃうし、別にその辺、気にしとる訳とちゃうけど…」 絹恵「でも、その…京くんがサッカー止めてハンドボールに行ったんもそれが原因とちゃうかって」 絹恵「一時は悩んでたくらいやねんからな」 京太郎「それは誤解ですって」 京太郎「どうしても勝ちたい奴がハンドに行ったから俺もハンドに移ったわけで」 京太郎「絹さんの事が嫌いになったとかそういうんじゃないですよ」 絹恵「…うん。それは何度も聞いとるし、分かっとるけど…」 京太郎「けど?」 絹恵「……ん。なんでもない」 絹恵「(…流石に言えへんよね)」 絹恵「(…もしかしたらあの女の所為で、京くんがサッカーやめたんとちゃうかって)」 絹恵「(あの女が京くんにベタベタするんが嫌で…私達から距離を取る為に…)」 絹恵「(一緒にやっとったサッカーやめたんとちゃうかって…未だに思っとるなんて…)」 絹恵「…ま、それはさておきや」 絹恵「こうして数週間とは言え、一緒に過ごす事になった訳やし…」 絹恵「京くんの為に一杯、ご奉仕せえへんかったらあかんな」 京太郎「ご、ご奉仕…っ」ゴク 絹恵「ま、私に出来るのはマッサージくらいやねんけどな」アハハ 絹恵「でも、京くんちょっとお疲れみたいやし」 絹恵「サッカー部秘伝のマッサージ術をたまには披露しようかなって」 京太郎「良いんですか?」 絹恵「うん。私は今日はオフで力も有り余っとるしね」 絹恵「何もなかったら適当なところでランニングでもしようと思ってたくらいやし」 絹恵「その受け入れ先になってくれるんやったら私としてもありがたいわ」 京太郎「じゃあ、遠慮無く…」イソイソ 絹恵「ん。あ、でも…」 京太郎「でも?」 絹恵「…元気有り余っとるから激しくイくけど我慢してな?」ニコ 京太郎「え?…ってぐああああああっ」メキメキ 京太郎「うばぁー…」グタァ 京太郎「(き、絹さん…激しすぎるぜ…)」 京太郎「(まさかただ揉んだり押したりじゃなくて…本格的な整体まがいの事をされるなんて…)」 京太郎「(正直、身体中がボキボキいってヤバかったわ)」 京太郎「(まぁ…その分、身体は大分、軽くなったけれど)」 京太郎「(自分で思ってた以上に色々と負担やらなんやらがたまってたんだなぁ…)」 京太郎「(それがなくなったのはありがたいけど…でも、今の俺は見事に動けなくて…)」 洋榎「おーおー…」 洋榎「まーた派手にやられとるなぁ」 京太郎「……え?」 洋榎「やっほ。京」 洋榎「久しぶりやな、元気しとったか?」ニコ 京太郎「…洋さん」 京太郎「ってか、なんでここに?」 洋榎「そりゃ絹がおるのに、うちがおらへん訳ないやろ?」ドヤァ 洋榎「うちと絹は一心同体やからな!」 京太郎「あぁ、まぁ、うん。姉妹仲がイイのは結構な事なんですけど」 洋榎「まぁ、うちにも絹と同じメールが届いたからな」 洋榎「絹と一緒に監督に直訴してこっちに来たんや」 京太郎「…じゃあ、もしかして」 洋榎「ん。絹だけやなくてうちの事もよろしくな、旦那様」ニコ 京太郎「俺の奥さんになるには胸のサイズが物足りないかなぁ」 洋榎「大丈夫や!それは絹が補ってくれるから!」 京太郎「どうやって補って貰うつもりなんですか」 洋榎「そりゃ勿論、うちとイチャイチャエロエロしながら絹の胸をモミモミって」 京太郎「…ぶっちゃけ心惹かれなくはないですが、洋さんはそれで良いんですか」 洋榎「んー…うちは心広い方やからなー」 洋榎「絹とやったら浮気くらいは許さなくはないで」 洋榎「…あ、でも、オカンとヤッたら即OHANASIAIやけどな」ニコ 京太郎「あ、あはは」 洋榎「ま、一番はうちだけを心ゆくまで愛してくれる事やけどね」チラッ 京太郎「なら、そういう男を捕まえて下さい」 京太郎「俺の心はもうOPPAIにあるんで」 洋榎「なんでや!おっぱいがそんなにええんか!」 洋榎「あんなん脂肪の塊やないか!」 洋榎「痩せてる方がええいうのに胸だけは太ってるのがええとか贅沢やって思わんの!?」 京太郎「人間、向上心を失ったら堕落するだけだと思うんですよ」 洋榎「そういう向上心は要らへんのとちゃうかなぁ」 京太郎「いや、急にマジになられても」 洋榎「だって…なぁ」 洋榎「女としては色々と不公平やって思うもん」 洋榎「胸のサイズとかほとんど生まれながらにして決まっとるんやし」 洋榎「…絹と何時も同じもん食べてるうちがこの状態ってだけで分かるやろ?」 京太郎「…まぁ、確かに」 洋榎「だから、京はうちの事もちゃんと愛するべきやっておもいまーす」 京太郎「どうしてそんな結論に達するんですか」 洋榎「おっぱいだけ好きなのは不平等 → 貧乳も愛するべき」 洋榎「つまり貧乳であるうちを愛さなきゃいけないってQDEや!」 京太郎「QEDっすからね」 京太郎「つーか、それで俺が愛してるぜ、洋さんつったらどうするんですか?」 洋榎「え…そ、それは…」カァァ 洋榎「……………い、言わへんもん」プイッ 京太郎「言えないような事をするつもりだったのかー」ボウヨミ 洋榎「お、おおおおオカンやないんやからそんなんするはずないやろ!」 洋榎「た、ただちょっと婚姻届書いて貰って、役所に提出しに行くだけや!」 京太郎「いや、俺まだ結婚出来る年齢じゃないですし」 洋榎「…今すぐ大きくなるんや、京太郎!」クワッ 京太郎「無茶言わないで下さいよ…」 京太郎「(…ホント、洋さんは相変わらずだよな)」 京太郎「(冗談では色々言えるのに、ちょっとマジになったらすぐヘタレるんだから)」 京太郎「(そういうところが割りとマジで可愛いと思う)」 京太郎「(勿論、結婚するかどうかは別問題だけれど!)」 京太郎「(俺の理想はやっぱりおっぱいの大きい美人さんなんだし)」 京太郎「(それに、こういうやり取りは昔っからやってる訳だからなぁ)」 京太郎「(洋さんとしても冗談のつもりで、決して本気じゃないんだろう)」 京太郎「…つーか、それよりもですね」 洋榎「ん?」 京太郎「その位置に立たれると洋さんとパンツ見えるんですが」 洋榎「ふぇええ!?」バッ カクシ 京太郎「嘘です」キリ 洋榎「っ!」 洋榎「京のアホ!スーパーアホ野郎!!」ゲシゲシ 京太郎「い、いてて!つーか、マジで見えますから!」 京太郎「今、蹴るとマジで見えちゃいますから!!」 洋榎「~~~~っ!」マッカ 洋榎「(…はぁ、ホント焦ったわ)」 洋榎「(絹が京の事歓迎しとる間に…うちは京の部屋で一発オナっとった訳やからなぁ…)」 洋榎「(一応、パンツは変えたけど…でも、びしょ濡れやったし…)」 洋榎「(こうして久しぶりに京と話してる間にドキドキもしとるから…)」 洋榎「(多分…いや、間違いなくパンツがまたぐっちょりしとる)」 洋榎「(そんなん京に見られたら…絶対に軽蔑されるし)」 洋榎「(即座に押し倒して…うちから離れられへんようにするしかないやないの)」フゥ 京太郎「…っと」ムクリ 洋榎「チッ…アレだけ蹴ったのにまだ立ち上がるか」 洋榎「タフな野郎やで…」 京太郎「ふふ。貴様のような貧相な身体では我を倒す事など出来んわ」 京太郎「そのカップを6はあげてから出直せいっ!」 洋榎「うっさいわ、この馬鹿!」ダキッ ギュゥゥ 京太郎「ちょ、待って!サブミッションはらめええっ!!」 京太郎「関節技は洒落にならないのぉおおっ!!」ビックンビックン 洋榎「…で、何か言う事は?」シリニシキ 京太郎「ヒロエサマノオッパイハスバラシイデス」シリニシカレ 洋榎「よろしい」 洋榎「…後、ついでにうちも今日からここで泊まるからな」 京太郎「あー…やっぱりですか」 洋榎「当然やろ」 洋榎「京を絹と一緒にしとったら何が起こるか分からへんし」 京太郎「一応、雅枝さんもいるんですが」 洋榎「あのオカンは間違いなく背中を押すから当てにならん」キッパリ 京太郎「(雅枝さん、マジ娘に対して信用ないんだな…)」 洋榎「それにもう絹にオッケー出しとるんや」 洋榎「うちだけアカンなんて寂しい事言わへんやろ?」ニッコリ 京太郎「…もしかしてその為に最初、絹さんだけ…?」 洋榎「なんのことかわからへんなー」 京太郎「おのれ…!俺が巨乳に弱いと知って…!!」 洋榎「敵の弱点を突くのは戦闘の基本やろ?」 洋榎「…まぁ、正直、腹立つけどな」グリグリ 京太郎「ぐあああああっ」 洋榎「ふふふ、ここがええのんかー」 洋榎「ここがええのんかー」 京太郎「…いや、もう絹さんにマッサージして貰ったんで全然、良くないですが」 洋榎「もう…乗りが悪い奴やなぁ」 洋榎「ここは媚薬漬けにされた騎士みたいな反応するところやろ」 京太郎「男がそんな反応しても誰得じゃないっすかねぇ」 洋榎「んー…少なくともうち得ではあるし」 洋榎「ついでにそこに隠れとる絹得でもあるんちゃう?」チラッ 絹「っ」ギク 絹恵「…バレとったん?」 洋榎「そりゃバレるやろ」 洋榎「うちに気遣って、邪魔せんように外から覗いとる可愛い妹なんや」 洋榎「気づかんかったら姉失格やで」 絹恵「お、お姉ちゃん…」ダキッ 洋榎「おぉ、よしよし。可愛い子やね」ナデナデ 京太郎「あのー…俺の上で感動の再会みたいなネタやらないでくれます?」 洋榎「なんや、京ってば寂しいんか?」 京太郎「いや、それもない訳じゃないですが、単純にそろそろ重くて…」 洋榎「よし。絹、京の背中に乗るんや」 京太郎「ちょっ」 絹恵「…ごめんね、京くん」 絹恵「私、お姉ちゃんに逆らえへんから」ヨッコイショ 京太郎「ぬぉおおお!!」 洋榎「よし、これでうちだけ重いなんて言わせへんで!」 京太郎「い、いや、例え絹さんを誘っても洋さんが重いのには変わりが…」 洋榎「なーんか言ったかー?」ズシンズシン 京太郎「ら、らめえっ!」 京太郎「お尻でドシンドシンしちゃらめなのおお!」 洋榎「ふふん。これもうちのスレンダーなボディを重い呼ばわりした罰や!」 洋榎「と言うか、うちよりも絶対、絹の方が重いもん!!」 京太郎「知ってるか、洋さん…」 洋榎「…何がや?」 京太郎「…巨乳はな、中に夢が詰まってるから軽いんだぜ?」 京太郎「そして貧乳には妬みが詰まってるから重…」 洋榎「…ふんっ」ズシン 京太郎「ぬがああああああああ」 絹恵「さ、流石にちょっと恥ずかしいなぁ…」モジモジ 洋榎「で、どうや?」 京太郎「どうって…何がですか?」 洋榎「美人姉妹!美人姉妹やで!」 京太郎「いや、強調せずとも分かってますが」 洋榎「そのお尻に敷かれるなんて何か言う事あるんちゃうん?」 京太郎「あー…そうですね」 洋榎「…」ワクワク 京太郎「…………洋さんって胸小さいわりにはお尻大き…」 洋榎「せいや!」ズシンズシンズシン 京太郎「ぐあああああああ!」 絹恵「…もうお姉ちゃんったら」クス 京太郎「絹さんも笑ってないで助けて…」 絹恵「…でも、本当はこうやっておねちゃんとじゃれあうの好きなんやろ?」 絹恵「それに、私はそんな二人の事が大好きやから」 絹恵「京くんには悪いけど止めたりせえへんよ」 洋榎「…と言う訳や」 洋榎「このままお仕置き続行やでー!」グリグリ 京太郎「ぬわああああああああ」 京太郎「(…ただ、にこやかなのはそこまでだった)」 京太郎「(娘の歓迎会の為に山程、食材買ってきた雅枝さんが帰って来た途端…)」 京太郎「(二人の顔から明るい色が薄れていって)」 京太郎「(代わりに敵意とか警戒心とかが目に見えるほど浮かんでいた)」 京太郎「(…以前会った時から結構時間が経ったし…)」 京太郎「(俺の為とは言え、自分から雅枝さんと一緒に暮らすって言い出してたから)」 京太郎「(少しは家族仲もマシになったのかな…って思ってたけど…)」 京太郎「(どうやら二人にとって雅枝さんは未だに許せない相手であるらしい)」 京太郎「(そんな三人の事を何とかしようと食卓でも、色々と働きかけたけど…)」 京太郎「(二人は俺としか話さず、雅枝さんが呼びかけても無視するだけで)」 京太郎「(…雅枝さんの手料理は相変わらず美味しかったけど、中々に胃が痛い夕飯だった)」 京太郎「(出来れば、そういうのが改善出来れば良いんだけど…)」 京太郎「(でも、こういう問題って根が深いだろうし…)」 京太郎「(昨日今日で改善するって言うのはまず無理だろうな…)」 京太郎「(まぁ、雅枝さんの手料理を楽しめないのはちょっと寂しいけれど)」 京太郎「(でも、二人のお陰で雅枝さんのスキンシップが若干、マシになったのは事実だ)」 京太郎「(雅枝さんが俺に触れようとした瞬間、二人がかりで引き離されているし)」 京太郎「(昨日に比べれば、男の純情に悪くはない)」 京太郎「(…はず、なんだけれど)」ビーン 京太郎「(…なんで俺、こんなに勃起してるんだろう)」 京太郎「(今日はまだ昨日よりマシだって言うのに…)」 京太郎「(やっぱ美人姉妹と未亡人が一緒の家で暮らしてるってのがダメなのか…?)」 京太郎「(…いや、でも、流石にそれでここまでガチガチになるほど俺は変態じゃないと思いたい)」 京太郎「(とりあえず夕飯食べた後からやたらとムラムラしていたような気がするけど…)」 京太郎「(…まさか雅枝さんが怪しい薬を食事に混ぜていたとか…?)」 京太郎「(い、いや、流石にそれはないよな、うん)」 京太郎「(雅枝さんがそんなものを俺に盛るメリットがないし)」 京太郎「(ただ、なんとなくムラムラしちゃってるだけなんだろう)」 京太郎「(…が、これはまずい)」 京太郎「(何がまずいって…割りと今の俺、余裕が無いからなぁ…)」 京太郎「(何もしてないのにムスコがパンツの中でガチガチになって収まらないくらいだ…)」 京太郎「(こうなる前に何とか部屋に逃げ込んだからバレちゃいないと思うけど…)」 京太郎「(だからって安心なんか出来ない)」 京太郎「(一人になった途端、エロい妄想がずっと浮かびっぱなしで止まらないし…)」 京太郎「(…このままじゃトチ狂って石版にエロい事でも書いてしまいそうな勢いだ…)」 京太郎「(そんな状態であの石版を出す訳にはいかないし…)」 京太郎「(もうちょっと待って…皆が寝静まってから…)」 京太郎「(それからオナニーして…それで寝よう)」 京太郎「(また今日も問題を先送りにしてしまう訳だけれど…)」 京太郎「(でも、俺が血迷わない為にはそれが一番なんだ)」モゾモゾ コンコン 京太郎「…う……」 京太郎「(ヤバイ)」 京太郎「(一応、ベッドの中に入ったとは言え、俺のムスコはガチ勃起中…)」 京太郎「(下手に仰向けになったら…絶対に勃起がバレてしまう)」 京太郎「(だが、横向けになったまま来客を迎え入れるなんてあまりにも無理があるし…)」 京太郎「(ただ、失礼なだけじゃなく俺の勃起に勘付かれてしまう可能性が高い)」 京太郎「(だから、ここは…相手は誰であっても…)」 京太郎「(無視…狸寝入りが一番だ…!)」コソコソ 雅枝「…京太郎君?」 京太郎「(ねてまーす)」 雅枝「寝とるん?」 京太郎「(はい。ぐっすりです)」 京太郎「(だから、早く帰って…)」 雅枝「…失礼しまーす」ガチャ 京太郎「(え゛っ!?)」 京太郎「(ちょ、寝てますよ、雅枝さん!)」 京太郎「(もう熟睡ですから!)」 京太郎「(爆睡中ですから早く帰ってください!!)」 雅枝「…ふーん」クンクン 雅枝「…………この感じやとまだ…かな」 京太郎「(…何がまだなんだろう?)」 雅枝「…と言う事は…」スタスタ ストン 京太郎「(うぉ…っ!?)」ギシ 京太郎「(い、今、揺れたって事は…何かがベッドの上に乗ってきた…!?)」 京太郎「(ってこれ、どう考えても雅枝さんじゃねぇか!!)」 京太郎「(で、でも、どうしてそんな近くに…!?)」 京太郎「(部屋の電気だってもう落として、俺もベッドに入ってるのに…)」 京太郎「(こんなに近くに来て一体何をするつもりなんだ…?)」 雅枝「……ふぅぅうぅ♪」 京太郎「ふぉお…」ビクン 京太郎「(やっべ、今、変な声出た…)」 京太郎「(い、いや、でも、今のは無理だって)」 京太郎「(いきなり耳に息吹きかけられるとか絶対に反応するに決まってる)」 京太郎「(ましてや、今の俺はやたらとムラムラして敏感になってるのに…)」 京太郎「(我慢なんて出来るはずないって…!)」 雅枝「…んー起きひんなぁ」 雅枝「よっぽど熟睡しとるんやろか?」 京太郎「…ぐー…」 雅枝「…ふふ。ホンマ、可愛ええ子やわぁ?」クス 雅枝「…そんな寝顔を見せられると…悪戯したくなるやろ…♪」ナデ 京太郎「あ…っ」ビクン 京太郎「(ま、ままままま雅枝さん!?)」 京太郎「(どうして布団の中に手を突っ込んでるんですか!?)」 京太郎「(い、いや、手を突っ込むだけならばまだしも…俺の身体を撫でるなんて…)」 京太郎「(勿論、雅枝さんにとっては悪戯なんかも知れないですけど…)」 京太郎「(それは今の俺には効き過ぎるんですって…!)」 京太郎「(敏感肌の俺にとってはヤバイ奴なんですってば…!)」 雅枝「こうやって触ると逞しいなぁ…♪」 雅枝「やっぱりこの前までスポーツやっとった子は違うね?」 雅枝「パジャマ越しにもはっきりと筋肉がついとるのが分かるわ…?」 雅枝「…もう京太郎君の事、子どもやなんて言えへんなぁ…♪」 雅枝「体つきはもう立派な男の子やん…?」 京太郎「(え、えぇ。そうです)」 京太郎「(俺ももう立派な男です)」 京太郎「(だから、その、そういうセクハラはほどほどに…)」 雅枝「だから…もう…」ギュゥ 京太郎「ふあ…っ」 雅枝「…こーんな風に後ろから君におっぱい押し付けたりしたら…あかへんのやろうねぇ…?」クス 京太郎「(お、おっぱいがあ!おっぱいがあああ!)」 京太郎「(お、俺の背中に思いっきりむにってふにふにって来て…!!)」 京太郎「(ま、まずいぞ、コレは…!)」 京太郎「(ただでさえムラムラしてるってのに…そ、そんな事されたら…)」 京太郎「(ガチ勃起どころの話じゃなくなってしまう…!)」 京太郎「(チンポムズムズして…今すぐオナニーしたくて堪らなくなるわ…!)」グッ 雅枝「んふ…?」 雅枝「どうしたん?身体、急に固くして…♪」 雅枝「もしかして嫌な夢でも見とるん…?」 雅枝「…それやったら…?」モゾモゾ 京太郎「(ま、雅枝さんが離れた…?)」 京太郎「(ざ、残念…い、いや、これはチャンスだ)」 京太郎「(俺が相変わらず反応ないからこのままセクハラしても面白くないって思ったんだろう)」 京太郎「(後はこのまま沈黙を護って、雅枝さんが部屋から出ていくのを待てば…)」フニョン 京太郎「(…………って、もしかしてこの柔らかいのは…)」 雅枝「…前からギュって…したげるね…?」 京太郎「(あばばばばばばばばば)」 京太郎「(目を開けられないけど…この感触を俺が見間違えるはずがない…!!)」 京太郎「(こ、これ、雅枝さんのおっぱいじゃねぇか!!)」 京太郎「(すっげぇいい匂いして柔らかくて…)」 京太郎「(包容力を感じさせる素敵な大きさ…!)」 京太郎「(…ってか、これブラしてねぇ!?)」 京太郎「(何時も感じるワイヤーの感触まったくないし…これ絶対にノーブラじゃねぇか!!)」 京太郎「(おおおおおおおおお落ち着け、俺)」 京太郎「(冷静に…そう、冷静になるんだ)」 京太郎「(まず落ち着いて状況を整理しよう)」 京太郎「(俺は今、雅枝さんの胸に顔を包まれてる)」 京太郎「(その柔らか素敵なおっぱいに押し付けられるように抱きしめられてるんだ)」 京太郎「(流石に密着ってほどじゃないけど…)」 京太郎「(息を吸えば、雅枝さんの匂いが)」 京太郎「(息を吐けば…すぐ前に何かがあるのを感じるくらいに)」 京太郎「(…しかも、その何かは普段、つけてるブラを外してて…)」 京太郎「(何時も以上に無防備で…近くで…甘いにおいがしてて…)」 京太郎「(こ、こんなの無理じゃねぇか…!)」 京太郎「(は、反則すぎる…)」 京太郎「(ただでさえムラムラしてる俺に…耐えられるはず…ない…っ)」ハァハァ 雅枝「…ふふふ♪」 雅枝「どうしたん?急に息が荒くなって…?」 雅枝「もしかして…悪い夢からエッチな夢に変わってもうたん?」 京太郎「(当たらずとも遠からずってところです!)」 京太郎「(こんな状況なんて淫夢じゃないとあり得ないですしね!!)」 京太郎「(つか、割りとこれが夢じゃないかって疑ってる自分がいるくらいですし!!!)」 雅枝「…じゃあ、もしかして…♪」スル 京太郎「うあ…」 雅枝「この辺とか…熱くなっとるんかなぁ…?」ナデナデ 京太郎「(ま、雅枝さんの手が…今度は俺の下半身に…)」 京太郎「(しかも、パジャマの上から優しく撫でるように…なんて…っ)」 京太郎「(もうガチガチに勃起してる上に…おっぱいにまで押し付けられてるんだぞ…!)」 京太郎「(理性なんてもうぶっ飛びそうなのに…そんな事されたら…)」 雅枝「……えぃ♪」ズポ 京太郎「~~~っ!」 京太郎「(ま、雅枝さあああああああん!?)」 京太郎「(そ、そこは…!そこはまずいですって…!!)」 京太郎「(そこ…ズボンの中!)」 京太郎「(ガチガチに勃起したムスコのすぐ側ですから!)」 京太郎「(そんなところに手を突っ込んだら…お、俺……っ)」 雅枝「うわ…すっごくおっきい…♪」 雅枝「男の子って高校一年生で…もうここまで『大人』になるんや…?」 雅枝「寝てるのに…こんなにガチガチになっちゃうような…♪」 雅枝「やらしくて…淫乱な大人チンポになるんやねぇ…?」ナデナデ 京太郎「っ!うぅ…っ!」ビクン 雅枝「あは…♪今、ビクンってしたぁ…?」 雅枝「…寝てるのに、気持ちええんやな…♪」 雅枝「相手が誰なのかも分からへんのに…?」 雅枝「こうして大人チンポナデナデされるだけで…身体震わせるくらいに…♪」 雅枝「エッチ大好きな男の子に育ってしもうたんやね…?」スリスリ 京太郎「く…うぅ…」ハァハァ 雅枝「…私は悲しいわぁ…♪」 雅枝「絹が友達やって連れてきた時から…君の事をずっとずっと大事に思ってたのに…?」 雅枝「まさか…こんなに淫乱に育ってるなんて…本当に…ショックぅ…♪」 京太郎「(い、いや、これは絶対無理ですって!)」 京太郎「(他の男でも絶対にこうなりますから!)」 京太郎「(寧ろ、こうならない奴って絶対にインポか何かですって!!)」 京太郎「(だから、別に俺が淫乱って訳じゃ…いや、まぁ、エロい事は好きですけれど!!)」 雅枝「…だから、ちゃんと躾てあげへんかったらあかんね…?」 雅枝「ここにいない京太郎君のご両親の為にも…♪」 雅枝「ちゃんとした男の子って言うもんを教えてあげへんかったら…あかんわぁ…♪」ナデナデ 京太郎「あ…あぁ…っ」 雅枝「でも…その前に…ぃ♪」 雅枝「ここから悪いもんを…ピュッピュしようなぁ…?」 雅枝「京太郎君をダメにしてる…悪いお汁やから…♪」 雅枝「君を淫乱ビッチにする…エッチなもんやからぁ…?」 雅枝「それを搾り取らへんかったら…京太郎君も辛いやろ…?」 雅枝「だから…射精してええんやで…♪」 雅枝「私の手で…ナデナデって可愛がられながら…?」 雅枝「びゅくびゅくって気持ちええの…一杯、出しても…ええんや…?」レロォ 京太郎「ふあ…あぁ…っ」 京太郎「(こ、こんなの…無理だ…!)」 京太郎「(耐えたいけど…た、耐えられない…っ)」 京太郎「(射精…させられる…!)」 京太郎「(雅枝さんに…友達の…お母さんに…!)」 京太郎「(子どもの頃から憧れてた人に…おっぱいを押し付けられ…ながら…!)」 京太郎「(俺…もう本気…で!)」 京太郎「(イ…く…!イ…ってしまう……ぅっ)」ビクン 雅枝「…はい♪びゅーぅ…?」シコシコシコ 京太郎「あぁぁあああっ」ビュルルルルルルル 京太郎「(で…射精…たああ…)」 京太郎「(や…べ…ぇ)」 京太郎「(何時もよりも…気持ち…良い…っ!)」 京太郎「(いや…ただ、気持ち良いだけじゃなくって…)」 京太郎「(射精が…っ射精が…全然、収まらなく…て…っ)」ビクンビクン 京太郎「はー…はぁぁ…」 京太郎「(…あ、頭の中、真っ白になるかと思ったわ…)」 京太郎「(何時も以上に気持ち良い射精が…十分以上にも思えるほど出まくってたんだから)」 京太郎「(正直…気持ち良すぎて身体に力が入らない…)」 京太郎「(パンツの中、もう精液でグチョグチョだけど…変える気力すらないわ…)」 雅枝「んふ…?すっごく長い射精やったね…♪」ナデナデ 雅枝「こんなに貯めこんどったら…そりゃ悪いチンポにもなるわなぁ…?」 雅枝「ちゃんと定期的に処理せえへんかったらあかんよ…♪」 京太郎「(…いや、処理してたんですけどね)」 京太郎「(なんでか今日だけやたらとムラムラしてただけで)」 京太郎「(…まぁ、でも、雅枝さんに思いっきり射精させて貰ったお陰で…それもマシになったし…)」 京太郎「(このまま目を閉じれば眠れてしまいそう…ではあるんだけれど)」 雅枝「まぁ、まずはこっちの方から処理せえへんかったらあかんね…?」サワサワ グチュ 京太郎「うあ…」 雅枝「こうやってズボンの上からなでただけでも指に精液がついてしまうわ…♪」 雅枝「こんなグッチュグチュのチンポで心地よく寝れへんやろ…?」 雅枝「大丈夫…♪私に任せておいて…?」 雅枝「ちゃーんと…京太郎君のココ綺麗にしてあげるからね…♪」 京太郎「(う…ど、どうしよう)」 京太郎「(綺麗にって事は…お、俺のムスコが見られるって事だよな)」 京太郎「(正直、それはかなり恥ずかしい…)」 京太郎「(け、けど、ここで起きたら…間違いなく雅枝さんと気まずくなってしまう)」 京太郎「(どうしてかは分からないけど…俺は雅枝さんの手でイかされてしまった訳で…)」 京太郎「(雅枝さんとしても俺に知られたくないだろうし…)」 京太郎「(俺としても、それを知っている事にはしたくない…)」 京太郎「(だから、ここは…正直、かなり恥ずかしいけど…)」 雅枝「はい。ごろ~~ん♪」グイ 京太郎「…」ゴロン 雅枝「ふふ…♪良く出来ましたぁ…?」 雅枝「じゃあ、後はタオルケットどけてー…♪」 京太郎「…っ」ビンビン 雅枝「…あはぁ…?」 雅枝「…京太郎君、まーだビンビンやねんな…?」 雅枝「まだまだ…このチンポに悪いの貯めこんどるんやねぇ…♪」 雅枝「…まぁ、でも、まずはお掃除の方を先にせえへんかったらあかんし…?」 雅枝「…とりあえずズボンとパンツからヌギヌギしようなぁ?」ヌガセヌガセ 京太郎「…ぅ」ボロン 雅枝「~~~っ♪」ブル 雅枝「…あぁぁ…?こ、こんなん…あかんわぁ…?」 雅枝「もう…こんなエッチな形しとるなんて流石の私も予想外やで…♪」 雅枝「カリ首も思いっきり張って…ピンク色の亀頭もズル剥けで…♪」 雅枝「…女殺しもええところの…淫乱チンポやんかぁ…?」 雅枝「この間まで中学生やった癖に…こんなん持っとるとかホント反則やで…?」ペロ 雅枝「まだ新芽って感じやのに…精液でグチョグチョになって…ぇ♪」 雅枝「発情したオスの匂いをプンプンさせとるなんて……?」 雅枝「こんなん…処女じゃなくても我慢なんて出来ひんわぁ…♪」 雅枝「いただき…まぁす?」パクッ 京太郎「う…あぁ…っ」 京太郎「(な、何だ、コレ…!?)」 京太郎「(何が起こったんだ…!?)」 京太郎「(いきなりチンポを暖かくてヌルヌルしたものが包んで…)」 雅枝「おいひぃぃ…?」レロォ 京太郎「う…ふぉぉ…っ」ビクン 京太郎「(い、今、何か動いた…!?)」 京太郎「(その上、雅枝さん何かを口に含んでいるような声を漏らして…っ)」 京太郎「(…も、もしかして…コレ雅枝さんの口…なのか?)」 京太郎「(俺、雅枝さんに…フェラされてるのかよ…!?)」ゴクッ 京太郎「(し、しかも、ただのフェラじゃなくて…お掃除フェラ…!)」 京太郎「(精液を舐めとって綺麗にする為って言う…)」 京太郎「(エロマンガならともかく普通じゃ絶対にしてもらえないもので…!!)」 雅枝「ちゅるぅ…♪んふぅ…?」 雅枝「じゃーめんの匂い…しゅっごいぃ…♪」 雅枝「くちんにゃかじゃーめんまみれににゃったみたいに…プンプンひてるぅ…?」 京太郎「(しゃ、しゃべらないで…っ!)」 京太郎「(チンポしゃぶりながらそんな事言われたら…し、刺激が…!)」 京太郎「(刺激が…あまりにも強すぎる!!)」 京太郎「(ただでさえ…俺の身体は敏感な上、)」 京太郎「(その上、イッたばっかで、チンポがさらに過敏になってるんですよ…!)」 京太郎「(それなのに…そんな風に刺激されたら…)」 京太郎「(また…すぐ射精…ちゃう…!)」 京太郎「(綺麗にして貰ってるはずなのに…また汚してしまって…っ!)」 雅枝「きょうらろぉくん…ビックンビックンひてるぅ…♪」 雅枝「おふぉぉじフェラで感じへりゅんやなぁ…?」 雅枝「ガッチガチのチンポぉ…あちゅくしてくれへるんやぁ…?」 雅枝「嬉ひぃ…♪わらひ…しゅっごく嬉しひわぁ…♪」 雅枝「らから…もっとしゃーびすしてあげりゅわ…ぁ?」チュロロ 京太郎「お…おぉ…っ」 京太郎「(す、す…げぇ…っ)」 京太郎「(俺のチンポを美味しそうになめしゃぶってくれて…っ)」 京太郎「(その上…飽きないように時折、バキュームまでしてくれる…っ!)」 京太郎「(人妻のテク…や、ヤバイ…!)」 京太郎「(こ、こんなの…童貞に耐えられる訳ないわ…!)」 京太郎「(例え、今の俺が敏感じゃなくても…瞬殺される…!)」 京太郎「(あっという間に…精液絞られるっての…!!)」 雅枝「うふゅぅ…♪にゃまいきやわぁ…?」 雅枝「いちゅもなら…こうしてあげればしゅぐにびゅっぴゅしゅるのにぃ…♪」 雅枝「我慢しゅるなんて…ゆるしゃへん…よぉ…?」グチュゥ 京太郎「あひぃ…っ」 京太郎「(雅枝さんの中、さらにグチュグチュになってる…!?)」 京太郎「(唾液の量が一気に増して…お、俺のチンポに絡みついてきて…!!)」 京太郎「(さらにグチュグチュになった口の中…マジ気持ち良い…っ)」 京太郎「(その上、雅枝さんただ舐めとるだけじゃなくって…)」 京太郎「(あっちこっちに亀頭を擦りつけて…っ)」 京太郎「(ぬ、ヌルヌルの粘膜の中でズリズリってされて…)」 雅枝「じゅぽぉっ♪ぐ…ぷぅうっ?」 京太郎「(そ、その上…雅枝さんの口が…動いてる…っ♪)」 京太郎「(先っぽだけ口に含むんじゃなくて…その顔を動かすように激しくフェラしてて…)」 京太郎「(こ、こんなの…ほとんど擬似セックスみたいなもんじゃないか…!)」 京太郎「(が、我慢とか…そういうレベルじゃない…!)」 京太郎「(もう…もう…無理…いぃ…っ!)」ビュルルルル 雅枝「んぴゅぅっ♪♪」ビクン 雅枝「んぐ…っ♪ごく…ごくっ…?」 京太郎「(あぁぁ…っ!)」 京太郎「(雅枝さん…お、俺の精液…飲んでる…)」 京太郎「(お掃除フェラ初めて…数分も持たなかった俺の精液を…)」 京太郎「(一滴残らず逃がさないように…口をすぼめて…っ)」 京太郎「(粘膜を絡みつけてくれて…っ)」 京太郎「(射精する度に…喉鳴らしながら…全部、飲んでくれてる…っ)」 京太郎「(なんだよ…コレ…!)」 京太郎「(本当に…これ現実…なのか…!)」 京太郎「(分からない…もう頭の中グチャグチャで分からない…けど…ぉっ)」ビククン 雅枝「ひぐぅっぅっ♪♪」ゴクゥ 京太郎「(気持ち良い…っ!)」 京太郎「(射精も…止まらない…!)」 京太郎「(さっきあんなに出したのに…また出まくってる…うぅぅ…!!)」 雅枝「ん…んぽぉ…?」 雅枝「はー…はぁぁ…ぁ♪」トローン 雅枝「もぉ…♪京太郎君…すごすぎ…やでぇ…?」ウットリ 雅枝「さっきあんなに射精したのに…すぐさまあれほど特濃の精液準備するなんて…ぇ…♪」 雅枝「私…飲んでる最中に食道詰まって窒息するかおもたわ…?」 雅枝「処女やったら…あんな量絶対に飲みきれへんよぉ…♪」 京太郎「(…いや、つか、処女ならフェラなんてしないと思うんですけど)」 京太郎「(そう突っ込みたい気持ちはあるけど…もうホントダメだ)」 京太郎「(さっき以上に身体が疲れて…起き上がる事すら億劫だし…)」 京太郎「(それに何より…ここで突っ込んだらさっきの我慢が全部、水の泡になるんだ)」 京太郎「(一応、今のでお掃除フェラも終わっただろうし…)」 京太郎「(今度こそ雅枝さんも帰ってくれるだろうから大人しく…)」 雅枝「…んふ…♪」ギシ 京太郎「(…え?)」 京太郎「(…こ、この重さは…)」 京太郎「(もしかして…雅枝さん、俺に馬乗りになってる…?)」 京太郎「(い、いや、でも…俺、未だに下半身丸見えで…)」 京太郎「(チンポもまだ勃起したままなんですけど!!)」 京太郎「(そ、そんな状態で…俺の上に乗っかられたら…お、俺だって…)」ゴクッ 雅枝「…でも、京太郎君の精液…ホンマ美味しかったわぁ…?」 雅枝「こんなん飲むの十数年ぶりやけど…♪」 雅枝「子宮が震えるくらい…最高ののどごしと味やったよぉ…?」 雅枝「…だから、その分のお礼…してあげへんかったらあかんね…♪」ヌギ 京太郎「(…お、お礼!?)」 京太郎「(ってか…この布擦れの音って…!?)」 京太郎「(も、もしかして雅枝さん脱いでる…?)」 京太郎「(俺の上で…服脱いじゃってるのか…!?)」ドキドキ 雅枝「んふ…♪」シュル 雅枝「…はい。これで私も京太郎君とお揃い…?」 雅枝「何時でもエッチオッケーの…裸んぼになったで…♪」 京太郎「(や、やっぱり…!)」ゴクッ 京太郎「(雅枝さん、本気で俺の上で裸になってるんだ…)」 京太郎「(ま、雅枝さんの…あこがれのお姉さんの裸…っ)」 京太郎「(しょ、正直、見たい…!)」 京太郎「(見たい…けど…っ)」 雅枝「…ふふ♪まだ起きひんのやねぇ…?」クス 雅枝「…じゃあ、ええやんな…♪」 雅枝「こんな…チンポ丸出しのエロい格好で寝とるんやし…?」 雅枝「このまま…京太郎君とエッチしてもええって事なんやろ…ぉ?」 京太郎「(え…っ!?)」 京太郎「(え、エッチ…!?)」 京太郎「(そ、それってつまり…本番って事だよな…!?)」 京太郎「(ま、待ってくれ…そ、それはまずい…!)」 京太郎「(い、いや、俺としては正直、良いんだけれども!)」 京太郎「(雅枝さんで童貞卒業とか念願叶ったと言っても良いくらいなんだけど!)」 京太郎「(でも、今の雅枝さんは明らかにおかしいんだ)」 京太郎「(少なくとも…何時もの旦那さんを想ってる様子なんて何処にもない)」 京太郎「(きっと…いや、間違いなく石版がおかしくしてるんだ)」 京太郎「(だ、だから…拒まなきゃ)」 京太郎「(明日から気まずくなるのは嫌だけど…)」 京太郎「(でも…ソレ以上に本番はマズイ…!)」 京太郎「(絶対に…関係が修復出来なくなってしまうのは目に見えているから…っ!)」 雅枝「じゃあ…挿入れるで…♪」 雅枝「京太郎君の童貞…私が貰ってあげるからな…ぁ?」 京太郎「ま、待ってください…っ」パチ 雅枝「…あ、京太郎君、起きたんや…?」 京太郎「は、はい。起きました。だから…」 雅枝「…でも、ざーんねん?」 雅枝「もう…遅い…わぁ??」ズチュゥゥ 京太郎「あっあぁあああっ」 雅枝「は…あぁあぁあああああんっ♪♪♪」ビクン 雅枝「す…す…ごぉぉ…♪♪」 雅枝「久しぶりのチンポ…ぉっ♪硬くて…おっきぃぃ…?」 雅枝「さ、流石…京太郎君の…大人チンポやわぁ…?」 雅枝「挿入れただけで…私、一気にイかされてしもうた…ぁ♪♪」 雅枝「童貞チンポで…子宮で…マジイキしちゃっとるよぉ…お?」 京太郎「ま、雅枝…さ…っ」 雅枝「んふ…♪私にレイプされるのが意外…?」 雅枝「…でもね、京太郎君が悪いんやで…?」 雅枝「本当は起きとるのに…ずっとされるがままやったんやからぁ…♪」 雅枝「ちょっと悪戯するつもりが…もう私、我慢出来ひんようになったんやぁ…?」 雅枝「京太郎君のチンポ欲しくて…もう子宮キュンキュンしっぱなしやったんやでぇ…♪」 京太郎「し、知ってたんですか…!?」 雅枝「勿論…部屋に入った時から…ね…?」 雅枝「発情したオスの匂いがムンムンしとるのに、精液の匂いはしとらへんかったし…♪」 雅枝「オナニーするの我慢して必死に寝たフリしとるんやろうなって一発で分かったわ…?」 京太郎「~っ!」カァァ 雅枝「ふふ…可愛かったで…♪」 雅枝「私が一杯、悪戯しとるのに必死に我慢しようとする君の顔…っ?」 雅枝「その顔だけで…私もう軽くイっちゃいそうになっとったくらいやねんからなぁ…♪」 京太郎「だ、だからってこれはやり過ぎですよ…!」 京太郎「フェラしたからと言っても…ご、ゴムナシはまずいですって!」 京太郎「妊娠しちゃいますよ!」 雅枝「だって…ゴムに京太郎の童貞奪われるの嫌やったんやもん…?」 雅枝「それに…私は妊娠しても構わへんし…ね?」 京太郎「…え?」 雅枝「ふふ…♪まだ君には分からへんやろうね…?」 雅枝「でもね、私は決して尻軽な女やないで…♪」 雅枝「心に決めた人は…何時も一人…??」 京太郎「(…どういう事だ?)」 京太郎「(雅枝さんの心に決めた人ってのは…間違いなく今はなき旦那さんのはずだ)」 京太郎「(それなのにどうして俺の事を襲った挙句…)」 京太郎「(妊娠しても良いなんて…そんな事を言うんだ…?)」 雅枝「だか…らぁ…っ♪♪」ズルル 京太郎「う…あぁあっ」ビクン 京太郎「ま、雅枝さん…っダメですって…!」 雅枝「今のままの方が…ダメやってぇ…♪」 雅枝「一回イったとは言え…挿入も途中のまんまやもん…?」 雅枝「ちゃぁんと最後まで挿入れへんかったら収まりも悪いし…♪」 雅枝「…それにちゃんと子宮で歓迎してあげへんかったら童貞喪失って言えへんやないの…?」 京太郎「基準がまったく分からないんですが…っ!?」 雅枝「うーん…やっぱり女心は中々、男の子には理解されへんもんなんかなぁ…♪」 雅枝「…ま、ええわ…?」 雅枝「それやったら…身体で分かってもらうだけやし…ね…っ?」グチュゥ 京太郎「ああぁ…っ」 雅枝「んふ…♪ええ声…ぇ?」 雅枝「そういう声を聞くと…私も余計…興奮するわ…ぁ♪」 雅枝「子宮にキュンキュン来て…もっともっと犯してあげたくなる…ぅ?」ズチュゥ 京太郎「(だ…ダメだ…!)」 京太郎「(このままじゃ…駄目だ…!)」 京太郎「(何が起こってるのかまったく分からないけど…!)」 京太郎「(でも…このままじゃ俺、流されてしまう…!)」 京太郎「(雅枝さんのマンコはあっちこっちにブツブツが生えてて…っ)」 京太郎「(グチョグチョになったチンポを出し入れする度に…それら全部がこすってくるんだから…!)」 京太郎「(まるで無数の舌が…ムスコの動きに合わせてなめしゃぶってる来るようなオマンコ…!)」 京太郎「(そんなの…フェラでさえ瞬殺された俺が耐えられるはずない…!)」 京太郎「(このままじゃ…あっという間にイかされてしまう…!)」 京太郎「(またあっさりと射精させられて…雅枝さんを妊娠されてしまう…!!)」 京太郎「(それだけは…それだけは何とか避けなきゃ…!)」 京太郎「(このままじゃ雅枝さんだけじゃなくて…洋さん達にも顔向けが…出来ない…からっ!)」グッ 京太郎「(例え、力づくでも…っ)」グイッ 雅枝「んふ…だーめ…?」グッ 京太郎「え…っ」 京太郎「(ちょ…な、なんで!?)」 京太郎「(幾ら俺がイかされ過ぎて身体が言う事を聞かないって言っても…)」 京太郎「(女の人を一人はねのけられるくらいの力はあるはずなのに…!)」 雅枝「ふふ…♪男の子が女に腕力で勝てるはずないやん…?」 雅枝「エッチしちゃったら…もう終わりやで…♪」 雅枝「逃げる事なく…女の中に精液吐き出すしかなくなるんやからなぁ…♪♪」 京太郎「(ま、マジかよ…!?)」 京太郎「(確かに色々と逆転してるとは想ってたけど…)」 京太郎「(そんなところまで逆転しちゃってるのかよ…!!)」 京太郎「(じゃあ…お、俺、これどうすれば…)」 京太郎「(こんなの…どうやって抜け出せば良いんだよ…っ!!)」 雅枝「それより…ほら?」スッ 京太郎「ぅ…」 雅枝「私に触れるんやったら…こっちのおっぱいにした方がええで…?」 雅枝「京太郎君、おっぱい大好きやろ…♪」 雅枝「これはもう今日から君のモンやから…好きにしてええんやで…っ?」 雅枝「私も…京太郎君のチンポを好きにするから…ぁあっ♪♪」 雅枝「ふあぁあああっんっ??」 雅枝「深いトコまで…グリグリクるぅうううっ♪♪」 雅枝「コレ…やあっ??」 雅枝「これが…コレが欲しかったんやぁっ♪♪」 雅枝「バイブじゃ届かへん…エッチなトコロぉおっ???」 雅枝「チンポじゃないとグリってこうへん…ココに欲しかったのぉおっ♪♪♪」グリングリンッ 京太郎「あ…ひぃいっ!」 雅枝「やっぱ…さいこぉおっ♪♪」 雅枝「アンタのチンポ…最高やあっ??」 雅枝「私…今、すっごい…すっごい幸せになっとるぅ…♪♪♪」 雅枝「久しぶりにアンタとエッチ出来て…わ、私…私…いぃいっ??」プッシャアア 京太郎「うあ…っ」 雅枝「あは…ぁ♪潮…吹いてしもうたぁ…?」 雅枝「ホント…アンタのチンポは女殺しやわぁ…♪♪」 雅枝「正直…アンタがおらへんようになってから…ずっとこういう事しとらんかったからぁ…??」 雅枝「ブランクありすぎて…相手出来るかどうか分からへん…けどぉ…っ♪」ヌルルル 雅枝「でも…私だって負けへん…よぉっ♪♪」グッポォ 雅枝「アンタの弱点は私だってよぉけ知っとるんやからねぇ…っ♪♪♪」 雅枝「アンタだって…イかせてやるんやからぁ…っ??」 雅枝「絶対に絶対に…次の子を産むんやからねぇ…ぇっ♪♪♪」ジュポジュポ 京太郎「ひ・・・うぅうっ」 京太郎「(…雅枝さんは何を言ってるんだ…)」 京太郎「(完全に…これ俺に向けてる言葉じゃない…)」 京太郎「(そ、そもそも…俺、童貞で、雅枝さんとエッチした記憶なんてないんだから)」 京太郎「(でも…雅枝さん完全に本気で…っ)」 京太郎「(俺の事を…その人と重ねあわせてて…っ!)」 京太郎「(何より…マジで俺のチンポを絞りとりに…来てる…!)」 京太郎「(俺でさえ知らなかった弱点を的確についてきて…)」 京太郎「(ち、チンポが…も、もう耐えられない…っ!)」 京太郎「(ダメだって分かってるのに…っ)」 京太郎「(イ、イか…イかされる…うぅっ)」 京太郎「(雅枝さんの膣内で…お、俺…もう…っ)」 京太郎「(射精…るっ!)」 京太郎「(射精…るぅうううっ!!)」ドッピュウゥウゥウ 雅枝「んあぁあぁあああっ♪♪♪」 雅枝「射精とるううっ??」 雅枝「アンタの…京太郎君のザーメンぅうぅう♪♪♪」 雅枝「す…すっごいぃ…??」 雅枝「三回目とは思えへんくらい…のうこぉおお…♪♪♪」 雅枝「子宮が…ぁっ?」 雅枝「子宮が悦んどるのが…分か…るぅうう…???」 雅枝「久しぶりの…ぉっ♪♪」 雅枝「十数年ぶりのザーメンうぅううっ???」 雅枝「幸…せぇえ…♪♪♪」 雅枝「また…ぁ♪またコレが味わえる…なんてぇ…??」 雅枝「私…もう…もう諦めとった…のに…っ♪♪」 雅枝「子宮に膣内射精される…メスの幸せなんてもう手に入らへんって思うとった…のに…いぃ…???」 雅枝「…アカン…わぁ…っ♪」 雅枝「今ので完全に…私の身体目覚めてしもうた…ぁ??」 雅枝「アンタとのエッチがどれだけ幸せやったかをぉ…♪♪」 雅枝「全部…全部、身体で思い出してしもうた…ぁあ???」ブルル 京太郎「ま、雅枝…さ…っ」 雅枝「もう…もう…あかんよぉ…♪♪」 雅枝「そんな可愛い声出しても…私、もう我慢出来ひんの…っ???」 雅枝「もう…十数年我慢してたんやからぁっ♪♪」 雅枝「ずっとずっとアンタに操立てとって…バイブオナニーしとらへんかったからぁっ???」 雅枝「だから…ご褒美…ぃっ♪」 雅枝「ご褒美のザーメン…もっとちょうだぁいっ??」 雅枝「十数年分の…ご褒美欲しいんっ♪♪」 雅枝「アンタにまた…また心も身体も愛されたくてしかたがないんやぁ…っ???」ズッチュゥゥ 京太郎「(い、今ので…なんとなく分かった…)」 京太郎「(雅枝さん…俺の事、旦那さんだとそう思ってるんだ…)」 京太郎「(でも…俺は…)」 京太郎「ち、違…違い…ます…」 京太郎「雅枝さん…お、俺は…俺は旦那さんじゃ…」 雅枝「んーんっ♪京太郎君は…私の大好きなあの人やでっ??」 雅枝「私…絹が連れてきた時に一目見て分かったんや…っ♪♪」 雅枝「あの人が…私との約束護ってくれたんやってぇっ??」 雅枝「生まれ変わって帰ってくるって約束…ぅうっ♪♪♪」 雅枝「おかしくなりそうな私を繋ぎ止めてくれた約束を…ちゃんと覚えててくれたんやってぇっ♪♪♪」 雅枝「君の事を見た瞬間に…本能で分かったんやぁ…??」 京太郎「(なんて…はた迷惑な約束を…!!)」 雅枝「勿論…ね?」 雅枝「勿論…私も分かっとるよ…??」 雅枝「京太郎君には…あの人の記憶なんてないってぇ…♪♪」 雅枝「私との約束なんて…覚えてるはずないって事…ぉ??」 雅枝「後でちゃんと…理解しとったんよぉ…♪♪♪」 雅枝「でもね…でも、私…アンタの事やっぱり大好きなんやぁぁっ??」 雅枝「生まれ変わりでも…記憶なんてなくてもええっ♪♪」 雅枝「それでも、世界中の誰よりもアンタの事を愛しとるからぁ…っ??」 雅枝「だから…分か…ちゃうんやぁっ??」 雅枝「このチンポも…アンタのものやって事ぉ…???」 雅枝「もう十何年も味わっとらへんのに…ハッキリあの人のチンポやってぇ…っ♪♪♪」 雅枝「だから…私、もう我慢なんて…出来ひんの…ぉっ♪♪」 雅枝「久しぶりの…アンタとのセックス…うぅうっ??」 雅枝「ずっとずっと夢見とったセックスが…もう止められへん…っ♪♪♪」 雅枝「本気のセックス…したくてたまらへんのやぁ…ぁ???」グッ 京太郎「あ…うぁあ…っ」 雅枝「あ…はぁ…♪♪」ブル 雅枝「どうや…ぁ?アンタの…京太郎君の為のオマンコはぁ…??」 雅枝「君が生まれる前から…ココは京太郎君専用のモノやったんやでぇ…♪♪♪」 雅枝「私…アンタとしかエッチしとらへんからなぁ…??」 雅枝「昔っからアンタのチンポに一杯、愛されて…ぇ???」 雅枝「調教されきった…オナホマンコなんやでぇ…♪♪♪」ギュゥ 京太郎「う…ひぃいっ」 雅枝「んふぅ…♪バッチリ…密着しとるやろぉ…??」 雅枝「君のチンポの形…もうバッチリ覚えとるからなぁ…♪♪♪」 雅枝「こうして本気になった以上…もう隙間なんか与えへんで…ぇ♪♪」 雅枝「チンポとマンコが張り付いて離れへんくらい…ぴったり愛してあげる…うぅ…??」グリングリン 京太郎「(や…ばい…っ!)」 京太郎「(本気で雅枝さんのマンコ…隙間が全く無くて…っ!)」 京太郎「(まるで俺の事溶かすようにして…張り付いてる…!!)」 京太郎「(なのに、雅枝さんの腰使いに反応して、俺のチンポを擦るから…っ!)」 京太郎「(チンポとマンコの境界線が…どんどんと薄くなっていく…!!)」 京太郎「(本当に…挿入しているのが当然な気持ちに…)」 京太郎「(雅枝さんと離れられなく…なってしまう…!!)」 雅枝「ん…ふぅ…♪♪」 雅枝「どんどんええ顔になっていくねぇ…??」 雅枝「私…そういう顔が見たかったんやぁ…♪♪」 雅枝「アンタが…私に夢中になってくれてる顔…ぉ???」 雅枝「私以外の事なんてまったく考えてへんようなその顔、大好き…いぃ…???」 雅枝「だか…らぁ…っ♪♪♪」ジュポジュポジュポジュポォ 京太郎「あぁあぁああっ」 雅枝「グラインドで休憩してからのマジセックスぅうっ♪♪」 雅枝「ぴったりマンコで本気の種付けセックスするぅううっ??」 雅枝「アンタも…ぉっ♪♪アンタもこれ大好きやもんねぇっ???」 雅枝「いっつも私にコレしてしてって目で頼んでた…しぃっ♪♪」 雅枝「本当は今も、期待しとったんやろぉっ???」 雅枝「優しいのも好きやけど…激しいのはもっと好きやもんなぁっ♪♪」 雅枝「エッチ大好きな…淫乱チンポぉおっ♪♪♪」 雅枝「私が…満足させたげるぅうっ???」 雅枝「旦那の欲求に応えるのは奥さんの義務やもんねぇ…えっ♪♪♪」 雅枝「だから…今日からずっとぉっ♪♪」 雅枝「毎日…アンタのチンポ管理したげる…からぁっ??」 雅枝「これが最後じゃなくて…まだまだエッチするからぁあっ♪♪♪」 雅枝「やから…あっ??ええよぉおっ♪♪♪」 雅枝「このまま種付けしてえっ♪♪」 雅枝「レイプされるように犯されながらビュッビュしてぇえっ???」 雅枝「私…もうずっと一緒やからああっ♪♪」 雅枝「もうアンタのこと絶対に離さへんからああああっ???」 京太郎「ひ…ぐぅううっ」 京太郎「(こ、これ…つ、辛…いぃっ)」 京太郎「(気持ち良すぎて…ぎゃ、逆に辛すぎる…うぅっ)」 京太郎「(あっちこっち張り付いて…ギュンギュンチンポ締めてきて…っ)」 京太郎「(その上…今までにないくらい俺の上で…雅枝さんが腰振ってる…ぅっ)」 京太郎「(ノーブラでむき出しになった胸を揺らしながら…っ!)」 京太郎「(本気の腰使い…してて…っ)」 京太郎「(幸せそうに涙漏らしながら…一心不乱に俺の事好きって言ってくれて…っ)」 京太郎「(もうこんなの…とっくの昔に射精してもおかしくないのに…!)」 京太郎「(気持ち良すぎて…射精ない…っ!)」 京太郎「(今にも射精しそうなくらい気持ち良いのに…!)」 京太郎「(射精って言う形にはならなくて…)」 京太郎「(その代わりに…俺のムスコの奥で…何かが滾ってる…!)」 京太郎「(グツグツメラメラって…まるで燃えるみたいに強くなって…)」 京太郎「(雅枝さんに…本気で種付けするみたいに…)」 京太郎「(射精の準備が…進んでいく…ぅっ!)」 京太郎「(ダメ…だっ)」 京太郎「(これ…射精したらダメな奴だ…!)」 京太郎「(今までだってヤバイくらい気持ちよかったけど…)」 京太郎「(でも…これは絶対にそれを超えてる…!)」 京太郎「(解放したら…ただ頭の中真っ白になるだけじゃなくって…)」 京太郎「(頭の何処かが歪むのが…絶対に分かる…)」 京太郎「(だから…我慢…しなきゃ)」 京太郎「(俺は…おかしくなりたく…ない…)」 京太郎「(俺は……まだ何も…)」 雅枝「ん…うぅうっ??」ムチュゥ 京太郎「ふ…きゅぅっ」 雅枝「ちゅぅ…♪ん…ひゅぅ…ぅ??」 京太郎「(ってキスなんて…)」 京太郎「(ここで…そんな…)」 京太郎「(腰激しく動かしながら…優しい…キスされたら…)」 京太郎「(まるで泣きつくような…悲しいキスされたら…)」 京太郎「(たえ…られない…)」 京太郎「(頭のタガ…外れて…)」 京太郎「(我慢しなきゃって気持ちも薄れて…)」 京太郎「(この…ままじゃ射精…ちゃう…!)」 京太郎「(ダメな…奴が…!)」 京太郎「(おかしくなる…射精…が…あぁぁ!)」 京太郎「(堪え…られ…ない…っ)」 京太郎「(もう…イ…くうう…っ)」 京太郎「(キスされながら…イかされ…るううぅうっ)」ドックン 京太郎「~~~~~~っ」ビックンビクン 雅枝「(…あぁぁ…射精てるぅ…♪♪)」 雅枝「(四回目の…精液ぃい…っ???)」 雅枝「(京太郎君の身体、ビックンビックンさせながら…ぁ♪)」 雅枝「(チンポから射精されたのが…私の中に染みこんでくる…うぅう…♪♪♪)」 雅枝「(もうイきすぎてクリトリスみたいに敏感になったマンコに…ぃ??)」 雅枝「(グチュグチュって絡みついて…とっても幸せにしてくれて…えぇ…???)」 雅枝「(もう精液の感触だけでも…私、イけちゃう…うぅ…♪♪)」 雅枝「(精液、私にとってはそれくらい嬉しいのぉっ??)」 雅枝「(でもぉおっ♪♪私が欲しいの…そこじゃないぃっ???)」 雅枝「(オマンコも嬉しいけど…大好きやけどぉっ♪♪)」 雅枝「(ソレ以上にもっと好きなのは子宮やからぁっ♪♪♪)」 雅枝「(ずっとずっとアンタの精液欲しくて疼いとった子宮やないとぉっ???)」 雅枝「(うち…もう満足出来ひんからぁあっ♪♪♪)」ジュルルルル 京太郎「お゛おおぉっ!!」 雅枝「(子宮…口ぉっ♪♪)」 雅枝「(キったああっ♪♪♪)」 雅枝「(射精しっぱなしのチンポがズシンってキたああっ??)」 雅枝「(やっぱりここで射精されるのが…一番…ぅうっ♪♪)」 雅枝「(一番、気持ち好くて、一番シアワセでえっ??)」 雅枝「(一番一番…思い出すんやぁ…♪♪♪)」 雅枝「(アンタに愛されてた事ぉ…??)」 雅枝「(どれだけ…どれだけ幸せやったかって事ぉ…っ???)」 雅枝「(もう忘れようと思って胸の奥にしまいこんでた思い出が…いくらでも浮き上がってきて…っ♪♪)」 雅枝「(もっともっと…アンタの事…好きになってしまうんやぁ…??)」 雅枝「(こんなの『京太郎君』には迷惑やって頭ではまだ分かってるのに…ぃ♪♪)」 雅枝「(私…もう心が…本能がおかしくなって…えぇ…???)」 雅枝「(もう…もう止まらへんの…ぉっ♪♪)」 雅枝「(好きな気持ちが…寂しさが…っ??)」 雅枝「(私の事をもっともっとおかしくしていって…ぇ♪♪♪)」 雅枝「…なん…で…」ポロ 雅枝「…なんで死んだんや…」 雅枝「私の事、一生愛するって言ったやんかぁ…」ギュゥ 雅枝「堕とした女には責任取る主義やって言うたやん…!」 雅枝「なのに…なのに、なんでや…」 雅枝「なんで…うちの事置いてったんや…っ」 雅枝「私は…アンタと死んでも良かったのに…」 雅枝「アンタが一緒に死んでくれって言ってくれたら何時でも死ぬつもりやったのに…!」 雅枝「なんで…なんで最後にあんな事言うたん…」 雅枝「娘の事を頼むって…必ず帰ってくるからって…」 雅枝「あんな事言われたら…私、死ねへんやん…」 雅枝「そんなんあり得へんって分かってるのに…もしかしたらばっかり考えて…」 雅枝「苦しいのに辛いのに…生きていくしかないやんかぁ…ぁ」ボロボロ 京太郎「(……誰かが泣いてる)」 京太郎「(…でも、それが誰かは分からない)」 京太郎「(…もう俺は頭の中が真っ白で…)」 京太郎「(身体も…もうちりぢりになったみたいにふわふわしてる…)」 京太郎「(結果、目も何もかもが働かなくて…)」 京太郎「(泣いてるって言うのがかろうじて分かるだけ…)」 京太郎「(……でも)」 京太郎「(俺は…この人に泣いていてほしくない…)」 京太郎「(この人にだけは…笑っていて欲しい…)」 京太郎「(なぜかは分からない…)」 京太郎「(でも、心の底よりももっと深い部分で…)」 京太郎「(『何か』が俺に…そう言っているから…)」スッ 雅枝「…え?」 京太郎「…泣かない…で」 雅枝「…京太郎…君」 京太郎「雅枝…俺は…ただ…君に……」 京太郎「生きて…いて…欲し…かった…だけで」 雅枝「っ!」 京太郎「……ごめ…んな」ギュゥ 雅枝「あ……アンタ…?」 雅枝「も、もしかして記憶が…っ」 京太郎「(……ダメだ)」 京太郎「(もう…もう限界…)」 京太郎「(意識の方はともかく…身体がもうついていかなくて…)」 京太郎「(もう…堕ち……る…)」 雅枝「アンタ!アンタ!!」 京太郎「(……おやす…み、雅枝)」 京太郎「(起きた時にはもう何もかもが元通りだった)」 京太郎「(俺はパジャマを着ていたし、タオルケットも綺麗にかかっていた)」 京太郎「(…でも、だからって昨日の痕跡を消せる訳じゃない)」 京太郎「(俺の部屋には濃厚な性臭が立ち込めていたし…)」 京太郎「(パジャマもパンツも俺の記憶とは違っていた)」 京太郎「(きっと俺が気絶した後に雅枝さんが着替えさせてくれたんだろう)」 京太郎「(そう思うと色々と恥ずかしいけど…でも、ソレ以上に気になるのが…)」 雅枝「…」チラッ 京太郎「(…朝から雅枝さん、何か言いたげに俺の事を見ている)」 京太郎「(普段ならそのままストレートに口にするだろうに…)」 京太郎「(今日の雅枝さんは、まったく俺に対して話しかけなくて…)」 京太郎「(日頃の激しいスキンシップも鳴りを潜めていた)」 京太郎「(まぁ…まだ昨日の事を上手く消化出来てない俺としては有り難い話ではあるんだけれど…)」 京太郎「(…でも、やっぱり俺にとって雅枝さんは大事な人だし)」 京太郎「(何をそんなに言いたそうにしているのか…やっぱり気になってしまう)」 京太郎「(…でも、なぁ)」 洋榎「…」ボヘー 絹恵「もう…お姉ちゃん、髪ボサボサのまんまやで?」 絹恵「女の子なんやからちゃんと手入れせえへんかったら」 京太郎「(…今は洋さんとかがいる訳で)」 京太郎「(ここで下手に踏み込んで昨日の話になってしまったら…)」 京太郎「(間違いなく今まで以上に家族仲が滅茶苦茶になってしまう)」 京太郎「(洋さんとしても絹さんとしても…)」 京太郎「(自分の母親が、年下の男を旦那の生まれ変わりだって思い込んでいるなんて…)」 京太郎「(そんな風に思いたくはないだろうしさ)」 京太郎「(…だから、正直気になるけれど…)」 京太郎「(でも、今はとりあえず踏み込まないでおいて)」 京太郎「(また今度、二人っきりになった時にでも聞いてみよう)」ゴクッ 京太郎「…ご馳走様でした」 雅枝「あ…も、もうええの?」 京太郎「はい。今日はちょっと急ぎですし、もう出ますね」 雅枝「そ、そうなんや。今日も頑張ってな」 京太郎「えぇ。行って来ます」 絹恵「あ、待って、京太郎君」 京太郎「え?」 絹恵「えっと…これ」ハイ 京太郎「えっと…これって…」 絹恵「…昨日なお姉ちゃんと一緒に作ったんや」 絹恵「今は夏休みやし…食堂なんて開いとらへんやろ?」 絹恵「だから、二人で一緒にお弁当作ったげよう思って…」モジ 京太郎「…お、おぉぉぉ…」 京太郎「(絹さんと洋さんの手作り弁当…!)」 京太郎「(朝からなんてレアなものを手に入れてしまったんだ…!)」 京太郎「(これは否応なく気合が入るぜ…!!)」 絹恵「あ、で、でも、あんまり期待せんといてな?」 絹恵「その…あんまり私もお姉ちゃんも料理得意な訳ちゃうし」 絹恵「あんまり美味しくないかもしれんけど…」 京太郎「そんなの気にしないっすよ!」 京太郎「二人からのお弁当ってだけでもう俺にとってはご馳走確定ですって!」 絹恵「も、もう…本当に調子ええんやから」テレテレ 絹恵「…まぁ、でも、そう言ってくれるなら私も安心…かな」 絹恵「あ、けど…よければ感想きかせてくれると嬉しいかな」 絹恵「またお弁当作るときにでもそれを活かしたいし…」 京太郎「了解です!」 京太郎「っと、じゃあ、俺そろそろ行きますね」 絹恵「うん。行ってらっしゃい」 絹恵「気をつけてな」 京太郎「はい。行ってきまーす」 ガチャ ネリー「……」 京太郎「…え?」 京太郎「(お、オーケー、落ち着こう)」 京太郎「(ま、まず俺は扉を開けた)」 京太郎「(絹さん達お手製のお弁当を持って上機嫌に扉を開いて…)」 京太郎「(…んで、その先にがネリーがいた)」 京太郎「(…勿論、俺の後ろには俺を見送ろうとしてくれていた絹恵さんが…)」 京太郎「(パジャマ姿のライバル校レギュラーがいて…!!)」ダラダラ ネリー「……お兄ちゃん?」 京太郎「は、はい…!」 ネリー「……今の誰?」 京太郎「え、えぇっと…」 京太郎「(…ネリーはあんまり対策とかしない)」 京太郎「(それよりも自分の力を磨いて、相手を叩き潰す方がパフォーマンスになるって分かってるから)」 京太郎「(…しかし、そんなネリーでも名門のレギュラーくらいは覚えているだろう)」 京太郎「(つまり…ここで下手な誤魔化しは逆効果…!)」 京太郎「(今にも消えそうなネリーのハイライトさんが完全にバイバイしてしまうのは目に見えている…!!)」 京太郎「そ、その、親父の知り合いの娘さんなんだ」 京太郎「また親父たちが海外に調査に出かけたから、その間に監督役として住み込んでくれてるんだよ」 ネリー「…へぇ」 京太郎「(…う、嘘は言ってないよな、うん)」 京太郎「(オヤジの知り合いの娘さんである事に間違いはないし)」 京太郎「(ただ…それ以前に俺の友達であるって言うのを言わなかっただけで)」 ネリー「…………で、お兄ちゃん」 京太郎「お、おう」 ネリー「お兄ちゃんの童貞を奪ったのは、今のメガネおっぱいなの?」 京太郎「…ど、どうて…っ」カァァ 京太郎「(…な、なんでバレてるんだよ!?)」 京太郎「(確かにオーラで恋人の有無は分かるけど…でも、経験人数なんて見えないはずなのに…!)」 京太郎「(も、もしかして…そんなの関係なく俺が脱童貞オーラ出しちゃってるのか!?)」 京太郎「(今の俺は一歩大人の階段をのぼっちゃった感があるのか!?)」 京太郎「(い、いいいいいや、落ち着け)」 京太郎「(幾らなんでもそんなもの分かるはずがない)」 京太郎「(そもそも俺は童貞喪失した事なんて今まであんまり意識していなかったし…)」 京太郎「(そんなオーラなんて出ていなかったはずだ…!)」 京太郎「(だから、これはきっとカマかけ…!)」 京太郎「(ネリーなりの引掛けなんだ…!!)」 京太郎「(うん、なんか昨日も同じ事言ったような気がするけれど…)」 京太郎「(今日こそそうに違いない!!!)」 京太郎「な、何の話だ?」 京太郎「俺はまだまだ清い身体だぞ?」 京太郎「童貞なんてそう簡単に奪われるはずないじゃないか」 ネリー「…ホント?」 京太郎「本当だぞ」 京太郎「俺がネリーに嘘なんて吐くはずないだろ」 ネリー「…………へぇ」 ネリー「昨日、約束したのに…」ボソ 京太郎「…え、ごめん」 京太郎「今、なんて言ったんだ?」 ネリー「…ううん。なんでもない」 ネリー「それより…お兄ちゃん、今日の昼、予定ある?」 京太郎「昼…?いや、特にないけど…」 ネリー「それじゃちょっと付き合ってくれないかな?」 ネリー「ちょっと一緒にいきたいところがあるんだ」 京太郎「行きたいところ?」 ネリー「うん。とっても良いところ」 ネリー「…とってもとっても…ね」 京太郎「って事は…何処か聞いても教えてもらえない感じか?」 ネリー「うん。出来るだけサプライズを演出したいし」 京太郎「分かったよ、それじゃあ何も聞かない」 ネリー「あ、後、ご飯は食べる前が良いな」 京太郎「って事はあんまり遠くない感じか?」 ネリー「…うん。すぐ近くだから安心して」ニコ ~昼休み~ ネリー「ほら、お兄ちゃん、こっち」グイグイ 京太郎「っておい、ちょっと落ち着けって」 京太郎「(…なんか今日のネリーは変だ)」 京太郎「(昼になるまではあんまりベタベタしなかったのに…)」 京太郎「(昼になった途端、いきなり俺の腕を掴んで走り出しそうな感じだったし…)」 京太郎「(まるで遊園地か何かに来た子どもみたいな押しの強さだ)」 ネリー「だって、もうちょっとなんだもん」 ネリー「もうちょっとで…もうちょっとで…ふふふ…」 京太郎「(…しかも、すっげえ嬉しそうなんだよな)」 京太郎「(何がもうちょっとなのか…正直、まったく分からないけれど)」 京太郎「(でも、ここまで楽しみにしてるネリーに水を差すのは可哀想だ)」 京太郎「(…………ただ)」チラッ 京太郎「(…明らかにここ普通のマンションなんだよな)」 京太郎「(しかも、やたらと静かで…何の音も聞こえない)」 京太郎「(換気扇の音すら聞こえないのは…正直、ちょっと不気味だ)」 京太郎「(このフロア一帯に人なんてまったくいないような気がするくらいなんだから)」 京太郎「(…一体、ネリーはこんなところで俺に何を見せたいのか)」 ネリー「はい。ここだよ」 京太郎「…ここ?」 京太郎「(…ここって一番奥の角部屋じゃないか)」 京太郎「(一体、ここに何があるって言うんだ…?)」 ネリー「ね、お兄ちゃん、入って」 ネリー「きっと気に入ってくれると思うから」 京太郎「入るって鍵は…?」 ネリー「大丈夫だよ。ちゃんと開けておいたから)」 京太郎「(…開けておいたって…)」 京太郎「(ここネリーの部屋なのか?)」 京太郎「(でも、ネリーは基本、寮に住んでて部屋を借りる理由なんてないはずなんだけど…)」 ネリー「…お兄ちゃん?」ジィ 京太郎「あ…いや」 ネリー「…入ってくれないの?」 ネリー「私…お兄ちゃんの為に準備したのに」 京太郎「い、いや…そんな事ないぞ」 京太郎「今、開ける…今、開けるから」 京太郎「(…なぜだか今、凄い嫌な予感がした)」 京太郎「(でも…ネリーがこうまで言っているんだ)」 京太郎「(開けない訳には…いかないよな)」 京太郎「(まぁ、ちょっと怖いけど…所詮、ネリーだし)」 京太郎「(精々、びっくり箱レベルだろ)」 京太郎「(だから…)」グッ ビリリリリ 京太郎「が…っ」バタン 京太郎「………ぅ」パチ 京太郎「(…ココ…何処だ…?)」 京太郎「(俺…どうしてこんなところで眠って…)」 京太郎「(…確か俺は…ネリーに言われたままにドアノブに触れて…)」 京太郎「(瞬間、身体中に激痛が走ったと思ったら…意識がトんで…)」 京太郎「(それで…ココに…)」チャリ 京太郎「…え?」 京太郎「(…これって鎖…!?)」 京太郎「(しかも…これ俺の首輪につながってる……?)」 京太郎「(一体…どういう事なんだ…?)」 京太郎「(いや、とりあえず今はこんな巫山戯たものを外す方が先…っ)」グッ 京太郎「ぐ…ふんぬ…!!」 京太郎「(…ってはずれねぇ…!?)」 京太郎「(なんだ、この首輪…!!)」 京太郎「(もしかしてこれ…アクセとかプレイに使うようじゃなくて…ガチの首輪なのか?)」 京太郎「(俺がここから逃げられないようにする為の…鉄で出来た奴なのかよ…)」ゾッ 京太郎「(…なん…だよ)」 京太郎「(意味が分からねぇ…)」 京太郎「(どうして俺にこんなものがつけられてるんだよ…)」 京太郎「(それに…ネリーはどうなった?)」 京太郎「(俺がこうしているって事は…ネリーも何処かに捕まってるのか…!?)」 京太郎「(…分からない)」 京太郎「(分からない…けど、とりあえず冷静にならなきゃ…)」チラッ 京太郎「(…………まず部屋にあるのはベッドと申し訳程度のオマルだけ)」 京太郎「(他はむき出しの壁紙だけで何の飾り気もない)」 京太郎「(で、俺の首輪に繋がった鎖は部屋の柱に括りつけられてる…)」 京太郎「(鎖の距離は長いけど…でも部屋から出れるほどじゃない)」 京太郎「(なら、まずここで調べるべきは…鎖と柱についてだな)」 京太郎「(首輪の方は無理だけど…柱の方はどうにかなるかもしれない)」 京太郎「(まぁ、かなり希望的な観測だけれど…)」ジィ 京太郎「(…………あれ?)」 京太郎「(これ…なんか思ったよりも簡単に外れそうじゃないか?)」 京太郎「(まぁ…勿論、かなり時間は掛かりそうだけれど…)」 京太郎「(でも、俺を縛った奴は焦ってたのか…柱に巻きつけるのがかなり杜撰だ)」 京太郎「(てっきり専用の工具でもなければ外れないような括り方をしていると思ったんだが…)」 京太郎「(これは…頑張れば解けるかもしれない…!)」 京太郎「(いや、頑張らなきゃいけないんだ…)」 京太郎「(ここで俺が脱出して…誰かにこの事を伝えなきゃ…)」 京太郎「(ネリーの身も危ないかもしれないんだから)」 京太郎「(男の俺はともかく…ネリーの方は洒落にならない…!)」 京太郎「(もし、レイプなんてされたりしてたら…一生の傷になってしまう…)」 京太郎「(だから…手遅れになる前に、ここから脱出しないと…!)」グッ 京太郎「(頑張れよ…須賀京太郎!)」 京太郎「ぬ…おぉぉ」ギリギリ 京太郎「(…ふぅ)」 京太郎「(何とか柱の鎖は解けたな)」 京太郎「(…まぁ…鎖の方はまだくっついたままだけれど)」 京太郎「(でも、動けるようになっただけマシだ)」 京太郎「(ともかくこれで部屋から脱出する準備は整ったんだから…)」 京太郎「(このまま部屋の扉を開いて…)」ガチャ 京太郎「(………ってもう夜になってたのか)」 京太郎「(部屋の中は雨戸が締まって真っ暗だったから分からなかったわ)」 京太郎「(ま…それよりも今は…警察だ)」 京太郎「(とりあえず、この部屋を覚えて…)」クル 京太郎「…………え?」 京太郎「(……ここ、ネリーが案内した部屋じゃないか)」 京太郎「(…一体、どういう事なんだ?)」 京太郎「(なんで俺がネリーが契約していただろう部屋の中に繋がれて…)」 「ね、お兄ちゃん入って」 京太郎「…」 「きっと気に入ってくれると思うから」 京太郎「(違う)」 「私…お兄ちゃんの為に準備したのに」 京太郎「(……違う)」 「とっても良いところ」 京太郎「(…………違う)」 京太郎「(ネリーはそんな奴じゃない)」 京太郎「(ネリーはそんな事をする子じゃない…!)」 京太郎「(アイツは…確かに守銭奴だけど…でも…とても優しい奴なんだ…!)」 京太郎「(自分を育ててくれた孤児院の為に一生懸命金を稼ごうとしてる凄い奴なんだよ!!)」 京太郎「(そんな奴が…こんな事するはずない)」 京太郎「(するはずが……ないんだ…!)」グッ 京太郎「(……とりあえず帰ろう)」 京太郎「(携帯はないけど…途中で寮に寄って…)」 京太郎「(そこでネリーが帰って来たかを聞けば、安否は分かるはずだ)」 京太郎「(…でも、もし)」 京太郎「(もし…それでネリーが普通に帰って来ていたら)」 京太郎「(俺は……俺はどうしたら良いんだ?)」 京太郎「(…この事を通報する?)」 京太郎「(いや…そんな事出来ない)」 京太郎「(そんな事したら…皆の夢が壊れてしまう)」 京太郎「(インハイ目前でこんな問題を起こしたら…)」 京太郎「(今年だけじゃなく…数年先のインハイまでなくなってしまうかもしれない…!)」 京太郎「(だから…なかった事にするのが一番なんだ)」 京太郎「(そう…きっとそれが…一番…)」グッ
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美穂子「……えと、綺麗な玄関?ですね」ニコ 京太郎「あ、ありがとー……ございまーす……」 美穂子「わあ、あれ、あの、あれですね、あの、綺麗な玄関」ニコ 京太郎「玄関……お好きなんですか?」 美穂子「い、いえ……」カアア 京太郎「あ、そうなんすか……えと」ウツムキ 美穂子「……」ウツムキ 京太郎「(……なんでこんなことになったんだったかしら……)」 …… … 優希「おお犬!見ろ!まるで城のようではないか!」 京太郎「え、お前そんなあれだっけ、口調だっけお前」 優希「そうだじょ」 京太郎「それそれ!なんだお前普通じゃん」 優希「おかしなやつだじょ。あの城にいってみよう」 京太郎「あの城って魔王が住んでるって噂じゃん、なんかこえーよ」 優希「マジ?ちょー行ってみたいんだけど」 京太郎「いやだなー」グイグイ そして俺は引っ張られるままに魔王の城へ向かったのだった…… …… … 京太郎「う……むにゃ」パチン 京太郎「?」キョロキョロ 京太郎「あれ、ここは……」 美穂子「あ、あの……」 京太郎「?」 美穂子「あの、清澄高校の方、ですよね……」 京太郎「ええ……そちらは……」 美穂子「あ、えと、風越女子高校麻雀部のきゃぷてんをやっております、福路です」ペコリ 美穂子「あの、もう決勝始まってるんですけど……」 京太郎「え、マジっすか!?」 美穂子「おはなをつみに……その、きたんですが、気持ちよさそうに寝てらしたので……」モジモジ 京太郎「あ、すみません、どうも……」ポリポリ 美穂子「宮永さんが活躍されてますので、早く見に行ってあげたほうがいいんじゃないでしょうか?」ニコ 京太郎「そうですね……起こしてくれてありがとうございます、じゃ、行ってきます!」タタタ… ポツーン 美穂子「(かわいい……)」 タタタ 美穂子「あれ?」 京太郎「あの、メルアド聞いてもいいッスか?」チャラッ …… … 京太郎「(そんで、決勝終わってメールしたら……)」 無題 京太郎ッスけど、さっきは本当にありがとうございました! Re いえいえ、まにあってよかったですね Re あの、怒ってます? Re おこってないです Re ……あの、今度食事とか一緒にどうです? Re いいです 京太郎「(どっちなんだ……!!!!!!!!!)」 ~食事処『でいさーびす・ぱらだいす』~ 京太郎「……変な店名っすね」 美穂子「しーっ、ですよ」クスッ ~ 京太郎「福路さんはその、キャプテンとかやっててよかったって思うことあります?」 美穂子「そうですね……なんていうか、私だけ三年生で、みんな年下なんですけど」 美穂子「みんないい子たちなんです。かわいくて、大好きで」 美穂子「目に入れても痛くないっていうか……そんな子たちと一緒に麻雀してると、ぽかぽかするんです」ニコッ 京太郎「そうなんですか……いいなあ」 美穂子「須賀くんも、そうじゃないんですか?」 京太郎「あ、そういえばそうっすね。……みんな、良い奴だし……大好きっす。でも……」 京太郎「……や、なんでもないっす」ニコ 美穂子「?」 …… 美穂子「らからぁ、もうすぐそつぎょーなのぉ!!!!!!!」机バーン 美穂子「もう……これまでみたいに、みんなに会えなくなっちゃうの……」グスッ 美穂子「もーどーしていいかわかんないよ!!!!!!」 京太郎「(コーラでめっちゃ酔ってる……)」 京太郎「……でも、それはみんなも同じことっすよ」 美穂子「ふぇ?」 京太郎「みんな、福路さんがいなくなるのが悲しいんです。でも、しょうがないじゃないっすか」 京太郎「学校っていうのはいつか卒業しなくちゃいけないものなんす」 京太郎「そういうシステムなんすよ……」 美穂子「しすてむ……むーっ……!!!」 美穂子「……ふふっ」 美穂子「ありがと、須賀くん、おもしろかったよ」ニコッ 京太郎「いえ」ニコッ 美穂子「……あ、須賀くん、さっきなんか言いかけてなかった?」 京太郎「あ、いや、あれは……しょーがないことっつーか」 美穂子「……つべこべいわず、お姉さんに打ち明けるのだーっ!!!!!!」ガバッ 京太郎「」ジタバタ 京太郎「……実はその、麻雀は俺からっきしで……」 美穂子「ふんふむ……」 京太郎「いっつもみんなに迷惑かけるんすよ。俺がもっと上手かったら、咲の練習相手にだってなってやれるのに……!」 美穂子「……咲?ああ、宮永さんのこと……」ムスッ 京太郎「……でも、しょうがないんすよ……そんな早く強くなれるわけねーし」 京太郎「だから、もっと頑張らなきゃ、ダメなんす……」ニコ 美穂子「……い」ボソッ 京太郎「へ?」 美穂子「しょーがないことなんてない!!!!!!!」机バーン 美穂子「きょーたろーくんわぁ、つよくなりたいんでしょ?」 京太郎「……はい」 美穂子「じゃあ甘えんな!!!!!浸るな!!!!!貪欲になればいーじゃん!!!!!!」 京太郎「」 美穂子「男の子がそんななよなよしてちゃダメだよ!!!!!」 美穂子「私が見こんだ男の子なんだから!!」蒸気プスーッ 京太郎「……え?」 美穂子「あ、えと、そーゆう意味じゃないから!!!!!!」アタフタ 美穂子「えっと、」 美穂子「今度から特訓だよ!!!!家に雀卓あるんでしょ?私が特訓してあげるよ」 京太郎「ま、マジっすか……?」 美穂子「うん、マジ」 京太郎「……ありがとう……ございます!!!!!!よろしくお願いします……っ!!!!」ペコ 京太郎「……俺、強くなりたいっす……!!!!!」ポロポロ 美穂子「泣くな泣くなー」ナデナデ …… 美穂子「」ハッ 美穂子「あ、あれ……?」 美穂子「ここは……」 美穂子「京太郎くん……あ、肩貸してもらっちゃってる……ありがとうございます……」ペコ 美穂子「あ、あれ……?なにこれ」 路上 吐瀉物 京太郎「福路さん、その……さっき」ユビサシ 美穂子「……まじ、ですか?」 京太郎「マジっす」 … …… 京太郎「(……ってことが)」 美穂子「(あったんだっけ……)」 二人「………」 二人「……えと」 京太郎「あ、お先に」 美穂子「う、うん……あの、ですね」 京太郎「はい」 美穂子「かえって、いいですか?」 京太郎「だめです」 美穂子「そう、ですか」 京太郎「いや福路さんが言ったんじゃないっすか来るって!!!!!!」 美穂子「私はその!!!!!酔っただけでその……あれだし……勢いっていうか……」ゴニョゴニョ 京太郎「……俺、あのとき嬉しかったんすよ」 美穂子「……それは……ありがとう、ございます……」カアア 京太郎「……福路さん」 美穂子「はい」 京太郎「お願いします」ペコ 美穂子「(……断れないの、知ってるくせに……)」 京太郎「」チラ 美穂子「……いいです」 京太郎「どっちですか!?」 美穂子「いいですー」ニコッ 後ろ手にドアが閉じられて、カン