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582 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/04(日) 21 58 49.26 ID aazWm6Huo 【大阪市内の旅館】 女将「いらっしゃい、恭子ちゃん」 恭子「こんばんは女将さん。急に連絡したのにありがとうな」 女将「ええんやで。こっちも実は急にキャンセルが入ってもうて、どうしよう思ってたんよ」 京太郎「えっと末原さん、こちらの方は?」 恭子「この人は私の親戚の女将さんや。もし部屋が空いたら連絡してくれへん?って言っとったんよ」 女将「どうもこんばんは。恭子ちゃんのお友達やね。遠いところからよう来はったなぁ」 京太郎「須賀京太郎です。すみませんいきなり泊めてもらう事になって……」 女将「ええんよ。さっきも恭子ちゃんに言ったけど、急にキャンセルが入ってこっちも困っとったんやから」 女将「えっと確か男の子1人と女の子7人の8人やったな?」 恭子「そうなんや。空いとるやろか?」 女将「丁度3人部屋と4人部屋が1つ、1人部屋が1つ空いとるんよ」 咏「まるで私らが泊まる為に空いてるみたいだねぃ。しらんけど」 咏「部屋割りはどうする?お前さんに任せるけど」 京太郎「任せるって言ったって、俺が一人部屋なのは決定じゃないですか」 淡「え?そうなの?」 憧「いや流石に京太郎と一緒はまずいでしょ……」 照「……私は良いのにな」 いちご「ちゃちゃのんもええのに」 京太郎「いや俺が良くないから」 592 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/04(日) 22 09 18.79 ID aazWm6Huo 3人部屋:淡&憧&咏 4人部屋:照&いちご&恭子&絃 京太郎「ま、これが妥当じゃないか」 絃「そうですね」 淡「まぁアコと一緒だし、いっか」 咏「私と交代してやろうか?」 京太郎「遠慮します。と言うか一応教師が薦めないで下さいよ」 女将「ほな案内しますよって」 女将「部屋同士はあんまり離れてまへんから、行き来はすぐに出来ますさかい」 京太郎「よろしくお願いします」ペコリ 602 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/04(日) 22 23 08.72 ID aazWm6Huo 【一人部屋】 女将「ここが一人部屋ですわ」 京太郎「なんか結構広いんですけど良いんしょうか?」 女将「気にせんでもらわんでもええんよ」 女将「あ、お食事は7時に大広間になってますさかい」 女将「ほなごゆっくり」 京太郎「ありがとうございました」ペコリ ガチャッ 京太郎「ふぅ。いや一時はどうなるかと思ったけど、本当に末原さんには感謝しなくちゃな」 京太郎「しかしまぁ初日から中身の濃い一日だったぜ……」 京太郎「さて飯までどうしようか?」 607 1.風呂に入る 2.3人部屋に行く 3.4人部屋に行く 4.その他(内容併記) 619 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/04(日) 22 40 08.82 ID aazWm6Huo 【4人部屋】 照「あ、京ちゃん」 京太郎「よう。4人部屋って言っても中々広いな」 恭子「実はここだけの話やけど、それなりにええ部屋らしいで」 京太郎「え?マジっすか?」 恭子「そっちはどうや?」 京太郎「こっちも良い部屋でしたよ。一人なのが勿体無いくらいです」 いちご「なぁなぁ京ちゃん、後で見に行ってもええじゃろうか?」 京太郎「ああ構わないぜ」 いちご「やった。絃ちゃん後で一緒に行こうな」 絃「え?私もですか?」 照「あ、ずるい。私も行く」 京太郎「いや部屋なんて大体同じだから、わざわざ皆で身に来るような事じゃないだろ……」 634 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/04(日) 23 00 07.89 ID aazWm6Huo 京太郎「いやー飯も美味かったな」 京太郎「しかし段々宿泊料とか心配になってきたぞ……」 京太郎「女将さんは安くしとくからって言ってたけどさ」 京太郎「……だ、大丈夫だよな?」 京太郎「さてどうしようか?」 639 1.風呂に入る 2.3人部屋に行く 3.4人部屋に行く 4.その他(内容併記) 651 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/04(日) 23 19 12.41 ID aazWm6Huo 【3人部屋】 京太郎「3人部屋も広いなぁ」 淡「だよねー。今からでも遅くないから一緒に寝ようよ!」 憧「まだ諦めてなかったのね……」 京太郎「お断りします。一応良識は有る方だと自負してるので」 咏「あれだよね、須賀って見た目より硬いよねい」ヒック 京太郎「よく言われますけど……って飲んでます?」 咏「おう。頂いてるよん」 咏「この一杯の為に生きてるって感じだねぃ」 京太郎「まぁ飲むなとは言いませんが、ほどほどにしてくださいよ?」 咏「分かってるって。あ、お前も飲むかい?」 京太郎「未成年に勧めないでくださいよ教師が」 咏「冗談冗談だって♪」 京太郎(正直見た目だけならこの人もアウトなんだけど、絶対年齢確認とかされるだろうなぁ) 655 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/04(日) 23 33 46.15 ID aazWm6Huo 【大浴場】 京太郎「あの後酔いが回り始めた咏ちゃん先生に絡まれるし、淡が照達を呼んでババ抜きで勝負し始めるし」 京太郎「と言うか照と淡しか勝ってなかったぞ……」 京太郎「ったく風呂に入るの遅くなったじゃねーか」 京太郎「さっさと風呂に入って寝ようっと」 お待ちかねのラッキースケベターイム 660 コンマ判定 00~10 だ、誰かいる? 12~90 大松「そんなToLOVEるみたいな事起こるわけないだろ」 91~98 だ、誰か来た? ぞろ目44以外 スキル【ラッキースケベ】取得 678 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/04(日) 23 43 30.56 ID aazWm6Huo 大松「そんなToLOVEるみたいな事起こるわけないだろ」 京太郎「あー良い湯だな~」 京太郎「風呂は心の洗濯つーけど、本当だよな」 京太郎「あ~癒される~」 京太郎「いつまでも入っていたいけど、そう言うわけにもいかないし上がるか」 必死な君達にワンチャン 633 コンマ判定 01~90 大松「だからそんなToLOVEるみたいな事起こるわけないだろ」 91~98 誰かと鉢合わせ ぞろ目44以外 スキル【ラッキースケベ】取得 679 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/04(日) 23 43 57.45 ID aazWm6Huo あ、間違えた 684 701 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/04(日) 23 56 50.57 ID aazWm6Huo ガチャッ 京太郎「あれ?こんな時間に誰か入ってきたのか?」 706 コンマ判定 01 照 02 憧 03 いちご 04 恭子 96 淡 97 絃 98 咏 ぞろ目11 尭深 22 靖子 33 誠子 55 菫 66 はやり 77 良子 88 大沼 99 健夜 それ以外 おっさん 726 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/05(月) 00 15 08.15 ID aYzG3lbmo 尭深 京太郎「……」 京太郎(お、お、、女の人だとー!?) 京太郎(しかもすばらなおもちをおもちですばらぁ……) 京太郎(ってやべーよ、やべーって。見つかったら犯罪者じゃねーか!) 京太郎(しかしあの顔どこかで見たような……) 尭深「……あの誰かいるんですか?」 京太郎(この声、間違いない。確か雀帝に居た渋谷尭深って人じゃ?) 京太郎(なんでこんな所に居るんだよ!?) 737 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/05(月) 00 31 00.27 ID aYzG3lbmo 尭深「……あのう返事して頂けませんか?」ウスメ 京太郎(……もしかして俺が見えてないのか?) 京太郎(ありえるな。確か渋谷さんって眼鏡だったし、この湯気だし) 京太郎(声を出さずに急いで出れば、ばれずに済むかもしれん) 京太郎(とは言え扉は渋谷さんの後ろだ。出るにはどうしても渋谷さんを通らなければいけなくなる……) 京太郎(ど、どうすればいい?) 741 1.多少のリスクは有ってもダッシュして扉に向かう 2.まだ大丈夫だ。息を潜めて扉から離れるのを待つ 3.ぶくぶく…… 4.ええい襲い掛かっちゃえ! 5.その他(内容併記) 763 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/05(月) 00 42 58.06 ID aYzG3lbmo ヒャア がまんできねぇ4だ! 京太郎「ヒャア がまんできねぇ4だ!」ルパンダーイブ 尭深「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」 時間停止 かすみん「はいストップ」 かすみん「と言う訳でゲームオーバーよ」 かすみん「一応忠告したわよね?好感度1だって」 かすみん「そもそも女の子に襲い掛かる事は駄目よ」 かすみん「とりあえずID 9g9Br750oはあとでおしおきね」ニコッ かすみん「流石に2回目だし、今回からペナルティをつけるわ」 かすみん「ランダムで日常ステータス、麻雀ステータスのいずれかが減少するわ」 かすみん「気楽にと言ったけど、えっちな事を許してる訳じゃないからそこの所間違えないように」 787 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/05(月) 00 55 08.20 ID aYzG3lbmo かすみん「下がるステータスはコンマ1桁で決めるわね」 かすみん「ずばり下がるのはこのレスより↓3のコンマ一桁よ」 0 無し 1 知力 5ダウン 2 基礎雀力Lv1ダウン 3 無し 4 体力 5ダウン 5 オカルトLv1ダウン 6 精神力 5ダウン 7 無し 8 デジタルLv1ダウン 9 無し 上記以外でもぞろ目44以外ならダウン無し 806 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/05(月) 01 04 23.26 ID aYzG3lbmo 【精神力】33 → 28 かすみん「 800さん、女の子に襲い掛かって許される好感度っていくつだと思うかしら?」ニコッ かすみん「さてクイックロードだけど、何処からが良いかしら?」 かすみん「範囲安価で決めるわね」 1.たかみーボーナスステージ【ただし難易度上昇】 2.キングクリムゾン。部屋に戻ったと言う結果だけが残る 809~817 831 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/05(月) 01 14 46.54 ID aYzG3lbmo キンクリ かすみん「それじゃあお願いね」 ???「仕方ないのう。それ、発動じゃ!」 かすみん「ではもう会わないことを祈ってるわね。あと本編では石戸霞もしくは永水の子をもっと選んで頂戴ね」ニコッ かすみん「最近出番が無くて悲しいのよね~、って言ってたわ」 かすみん「さてそれじゃあみんな楽しい学園都市ライフと旅行をエンジョイしてね」 843 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/05(月) 01 23 31.32 ID aYzG3lbmo ―――――― ―――― ―― 京太郎「はっ!?」 京太郎「あれ?ここは俺の部屋?」キョロキョロ 京太郎「確か風呂に行って、上がろうとしてそれから――」 京太郎「うっ……あたまが」 京太郎「何かあったような気がするけど……」 京太郎「まぁ思い出せないならそう大した事じゃないな、うん」 京太郎「もう寝よ寝よ」 847 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/05(月) 01 28 54.75 ID aYzG3lbmo 5月3日(金)終了 現在ステータス 【体力】66 【知力】52 【精神力】28 【基礎雀力】LV6 【デジタル】LV5 【オカルト】LV5 スキル:【ザ・ゼロ】和了時00と01 10の場合自動的に1位ツモ上がりとなり、更に打点は満貫固定となる 【ダイハード2】 和了時自分が最低だった場合、最高コンマの相手との差を2分の1にする。更に和了した相手の点数コンマ-20 【コマンドー】 和了時ロンだった場合点数+20 【所持金】¥53,500 【勝負事のお守り】 一度だけ麻雀の対局中の判定に+10 【破魔矢】 4回だけぞろ目44を自動的に取り消し、再安価させる 【ペアのシルバーネックレス】 新子憧の好感度が上がりやすくなる 【ライオンのキーホルダー】 やえから貰ったもの。実はペア。小走やえの好感度が上がりやすくなる 【プリクラ】菫と撮った物。弘世菫の好感度が上がりやすくなる 【ジンベエザメぬいぐるみ】対木もこへのお土産 【ジンベエザメクッキー】荒川憩へのお土産 【ジンベエザメTシャツ】南浦数絵へのお土産 <<前に戻る|5月へ|次に進む>>
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未春「うーん……これじゃないな」 京太郎「決まりませんか?」 未春「なんというか、しっくりこないんだよね……ごめんね、付き合わせちゃって」 京太郎「いえいえ。でも未春さんはコンタクトにはしないんですか?」 未春「や、目に入れるって怖くて」 京太郎「なるほど……お、伊達眼鏡?」 未春「へぇ、かけてみたら?」 京太郎「……どうですか?」眼鏡装備 未春「…………」 未春(思ったよりかっこいい……) 京太郎「未春さん?」 未春「あ、う、うん!いいんじゃない!」 京太郎「そうですか?買ってみようかな……」 未春「うん、そうしなよ!」 京太郎「俺はいいですけど、未春さんはどうするんですか?」 未春「あ……えーっと」 京太郎「お。これ、さっきかけた伊達眼鏡に度が入ったやつですよ?」 未春「それにする!!」 京太郎「……へ?」 華菜「あ、みはるん眼鏡代えた?」 未春「分かる!?これ、すっごくいいんだよ!」 華菜「そんなに?……普通の眼鏡に見えるけどなー」 未春「♪」 カンッ!!
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照が長野から逃亡(3度目)した翌日・放課後 白糸台高校麻雀部部室前の廊下 淡「ふー!やっと授業終わったーっと。さて部活部活ー…って…あれ?どうしたんですか?皆さんお揃いで」 菫「ああ、淡か。いや何ちょっと…な」 淡「?」 尭深「…うん。ちょっと…」 誠子「ちょっと…ね…」 淡「変な先輩方…っていうか、もう早い人部活始めてる時間ですよね?どうしたんですか一体」 菫「今日は、レギュラー以外は皆休みだ」 淡「はあ?この時期に!?」 菫「…ちょっと、例のお姫様が変なんでな」 淡「…」ヒクッ 菫「…今部室の中に居る」 淡「ここから覗いてみても大丈夫ですか?気付かれたら襲いかかってきたりしませんか?あと、噛まれたりしません?」 菫「問題無い。何なら触っても大丈夫だと思うぞ」 淡「触ってもって…」 菫「見た感じの機嫌自体はな。すこぶる良いんだ。否。良すぎる。気持ち悪いくらいに」 淡「…え?」 尭深「あれはブチギレてる証拠。ただし、自分自身に」 誠子「1年は知らないかもだけど、試合で納得いかない麻雀をした日の翌日とかたま~になるんだよ。最近はそういうのもほとんど無かったんだけど…こりゃ過去最大級かもね」 菫「周りに自分の不機嫌を悟られまいと不自然に周囲に愛想を振りまく」 尭深「記者会見でも無いのに全方位営業モード」 淡「うわぉ…」 誠子「まったく…怪我を悟られないために自然に振る舞う野生動物みたいだ。他の部員も気味悪がってさ」 菫「だから私が皆を帰したんだ。…まあ、淡ならアイツの奇行には馴れてるし大丈夫だろう。ためしに話しかけてみればいいさ」 淡「はあ…」 菫「さあ、行け」クイッ 淡「…もしかして、皆さんで廊下に居たのって、私に先陣を切らせるためじゃ…」 菫「そうだ。行け」 尭深「がんば」 誠子「悪いね」 淡「せめて誤魔化すくらいはして欲しかった…」 淡「…わかりましたよ。じゃあ、骨は拾って下さいね。あと、皆さん今日は帰りに私に一個ずつお菓子を奢ること」 菫「善処する。どら焼きでいいか」 尭深「抹茶プリンあげる」 誠子「私はマックでなんかセットでも」 淡「…約束しましたからね」 淡「…はぁ」 淡「…」 淡「おっはよーございまーーーす!」ガチャッ 照「ん?ああ、淡!お疲れ様!」キラキラ 淡「ひっ!?」ゾワワワッ!! 照「もう、遅いじゃない。菫が今日は大会も近いから、レギュラーだけでミーティングだって言うからずっと待ってたのに…」 照「みんな、私がずっと待ってるのに来ないんだもん。不安になっちゃう!」プンプン 淡「す、すみません…じゅ、授業が長引いちゃいまして…」 照「そうだったの?なら仕方ないね。部活も大事だけど、あくまで私達学生の本分は勉強だもんね!」ニコッ 淡(だ、誰だこの人ーーーーーーーー!!?) 照「それにしても、来たのは淡だけ?菫達は知らない?」 淡「…」チラッ 菫「…」カキカキ 菫「」サッ メモ『近くに居るって言ったら殺す』 淡「…」 照「淡?」 淡「は、はい!…すみません、私も良くは知りませんので…おそらくみなさんもうすぐ来るとは思うんですが…」 照「もうっ!相手は全国で地区予選を勝ち抜いてきた手強い高校ばかりなんだよ?しっかりミーティングして、相手を研究しなきゃ、油断してたら足元すくわれちゃうんだから!」 淡(言ってることは正論なのになんでこんなに心に響かないんだろう…) 照「あ。そうだ淡。ところで、お腹すいてない?」 淡「は?」 照「大切なミーティングの前に、糖分補給。ちゃんと頭回らせておかないと、ミーティングの内容が頭に入らないぞっ☆」 淡(なんだろう。本人は大真面目なのかもしれないけど、凄く馬鹿にされている気がする…) 淡「は、はあ…まあ、甘いモノは大好きですが…」 照「そうでしょ?だと思って、淡にプレゼント!」 淡「…」 照「あとでみんなが集まってから出そうと思ってたんだけど、みんなが遅いんだししょうがないよね」ゴソゴソ 淡「…」 照「…はい!じゃ~~ん。東京ばな奈~!しかも4箱も!」 淡「…おうふ」 照「ね!ね!ね!私達でみんなが来るまでに1箱食べちゃわない?実は私これ大好物なんだー」 淡(やばい…意識が遠のいてきた…) 照「…淡?」 淡「あ、す、すみません…そうですね。食べましょう。いただきます。ありがとうございます…」 照「ふふ。淡は面白いな。はいどうぞ」スッ 淡「いただきます…」 照「…」 淡「はむはむ…うん。おいひい」モグモグ 淡(なんかアレであるけど…まあいいか。東京ばな奈自体は嫌いじゃない) 照「…」 淡(うーむ。この柔らかい食感と濃厚なクリーム。流石高いだけあって結構なお味…)ホワホワ 照「…」シュン 淡「?宮永先輩、どうかしました?」 照「あっ!ご、ごめんごめん!淡が美味しそうに食べてくれるものだから、ついつい見ちゃって…」 淡「はあ…」 照「本当に、ごめん…」 淡「…?」 照「ごめん…ごめん…気持ち悪いよね私…ごめん…」 淡(なんか一気にダウナー系!!?) 淡「い、いやいや!そんな事ないですって!ただ宮永先輩は食べないのかなーって思っただけなので!」 照「えっ!?あ、そ、そう!?いや、ごめんごめん。そうだったね。それじゃあ私もいただきますっ」 淡「」ホッ 照「はむっ!もぐもぐ…」 照「」ホワ~~ン 淡(おお。マジで美味しそうな顔。口元が緩んでる) 照「うん、美味しいね」 淡(ここは話に乗って、良い感じにご機嫌を取っておこう) 淡「そうですね、最高に美味しいです。私東京ばな奈大好き!」 照「ふふ。私もだ。東京ばな奈は、昔長野に居た頃から憧れのオヤツだったんだ」 淡(口調が戻ってきた!機嫌が治ってきた?よしこの調子で) 照「だから、こっちに来て早速、初めて買って食べて、予想通り…いや、それ以上に美味しくて嬉しくて…いつか、大好きな人とこの大好きなオヤツを一緒に食べるのが夢で…」 淡「…?」 淡(…あれ?) 照「先日、ついに居ても立ってもいられなくてその夢を叶えようと勇気を出して、その人に会いに行って…いつでもいっしょに食べるチャンスは一杯あって…」ジワッ 淡(ま、マズい。地雷を踏んだ?) 照「そうしたらあんな事があって、凄くびっくりしたけど、本当に嬉しくて、けど気が動転しちゃって、何をすれば良かったのかも私は訳がわからなくなってしまって…」ブツブツ 淡(うわああああ!これはヤバイ!本格的にヤバい!怖い!面倒くさい!なんとか話題を逸らさないと…) 照「本当に…痛感したよ。私は救いようのない馬鹿だ。…いっそ死んでしまいたい」 淡「な、何言ってるんですか!!!」 照「…淡?」 淡「み、宮永先輩は馬鹿なんかじゃないです!」 淡「そりゃたまには…て言うか、しばしば…結構…かなり…アレでソレな所もありますし、私には特に実害も結構な頻度で及んでて勘弁して欲しいなーこの人とか思うことも良く有りますけど!」 淡「この私に対する偉そうな態度がムカツクんでいつか麻雀で徹底的にボッコボコにして悔しがってるを写真に撮ってネットでばら撒いてやりたいとかも思ったりしますけど!」 淡「な、なんだかんだいいところは一杯有りますよ!宮永先輩は!ほら…その…角とか…」 照「淡…具体的に褒めたとこが角だけ…」 淡「と、兎に角!そんな欠点も含めて!麻雀の強さや人格も含めて!私は宮永先輩のことは、その…嫌いじゃない…んで…」 淡「し、死ぬとか…そういうのは…無しで…お願いしたいんですが…」 淡「…なんか悲しくなっちゃいます。私を悲しませないで下さい。先輩なんですから」 照「…ごめん」 淡「まったくです」 照「…」 照「…」 淡「…」 照「…」 淡「…」 淡(し、しまったーーーーー!何恥ずかしいこと言ってるんだ私!アホか!!しかも今の何にも考えずに口から出たって事は、本音か!!アホだ!!) 照「…」 淡「…」 照「…」 淡「…」 淡(しかも会話無くなったし!) 照「…」 淡「…」 照「…」 淡「…」 淡(ううううう…沈黙が重い…) 淡(な、なにか…話題…話題は……あっ!) 淡「あ、あれ?宮永先輩」 照「…何?」 淡「い、いえ。その…卓の上に置いてある携帯…」 照「ああ。それがどうした?」 淡(あ、口元が緩んだ。これはやっぱり、聞いて欲しいからわざわざこんなところに置いたんだろうな。と言う事は私のこれからする質問は間違ってない!) 淡「可愛いストラップが着いてますけど、こんなの持ってましたっけ?」 照「あ…ああ、それは…。ちょ、ちょっと入手までの経緯に複雑な事情があるんだけど…」 淡(おお、珍しい。はにかむような、困ったような、嬉しいような、悲しいような…こんな複雑な表情も出来たんだこの人) 淡「えー?なんですか?複雑な事情って。あ、もしかして好きな人にでも貰ったとか?」 照「な!!?お、おい淡。お前なんでそんな…いや、そういう訳では…えっと…その…」オロオロ 淡(おおおー!?なんだこの反応!乙女か!!まさか弘世先輩の言ってた、例の幼馴染君の話なのかーーーーー!?) 照「あ、あの…ね?淡。こ、こういう話はちょっと恥ずかしいから…特に菫にはナイショにしておいて欲しいんだけど…」 淡(はは。まさか酒に酔わされてすでに自白済だとは思うまい。同情しますよ。宮永先輩…) 淡「えー!聞きたい聞きたい!教えて下さいよ宮永先輩!この、ハート型のストラップを受け取った経緯!」スッ 照「…は?」 淡「へー。プニプニしてるんだ。面白いですねコレ」プニプニ 照「…」ビキッ 淡「それによく見たら顔が付いてる。あはは、ブサ可愛い感じで結構いいかもー…」プニプニ 照「…淡?」 淡「なんか、この安っぽい感じがいい味出してますねー。メイドイン・チャイナって感じで…」プニプ… 照「…おい、貴様何してる」ガシッ 淡「…へ?」プニッ? 照「誰が触って良いと言った」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 淡「…えーっと…」プニプニ… 照「」ガタッ 淡「…あ、あの…宮永先輩…?」 照「」ギュインギュインギュイン 淡「なんか、その…腕にサイクロン的な何かが集まってるような幻影が…」 照「死ね!」ブンッ 淡「おわあっ!?」サッ 照「避けた!?」 淡「な、何するんですか!いきなり殴りかかってくるなんて!」 照「五月蝿い!無断でそのストラップに触るな!それは私のものだ!」ブンッ 淡「ひょわぁ!?お、落ち着いて下さいよ!」サッ 照「くっ…ちょこまかと…!!」 淡(あわわ。宮永先輩が運動音痴だから助かってるけど、このまま避けてるだけじゃいずれ捕まる…) 照「逃がさない…」ジリジリ 淡「ぐううう…」 照「ふん!!」ブンッ 淡「わっ!」サッ 照「たあ!」ブンッ 淡「やば、避けれな…」 淡「きゃぁ!」サッ バキッ 照「痛っ…」 淡「~~~っ…」プルプル 淡「…」 淡「…はれ?」 照「いたたた…」 淡「あれ…殴られてない…?って…あ。無意識に先輩の携帯盾にしちゃったんだ…」 淡「…げ」 照「くっ!淡!お前、よくも私の携帯を…」 照「…」 淡「…まず」 照「あ…」 淡「えーっと…」 照「あああ…」 淡「その~…」 照「ああああああああああああああああああああああああ!!!」 淡「す、すみません…ストラップ…千切れちゃいました…ね…」 照「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!」 淡「うあー…」 照「わあああああああああああああああああああああん!!わあああああああああああああああああああん!!わああああああああああああああああああ!!!」 淡「…こ、これはどうしたものか…」 照「うええええええええええええええん!ええええええええええええええええええええええん!!えええええええええええええん!!!」 淡「こんな泣きまくってる宮永先輩初めて見た…ど、どうしよ…」 菫「まったく…何をやってるんだお前は」スタスタ 誠子「あーあ。可哀想に…」スタスタ 尭深「泣ーかした泣ーかした」テクテク 淡「せ、先輩方…」 菫「いじめっ子め」 淡「え…何ですかこの雰囲気。まるで私が悪いみたいな…」 照「ええええええええええええええええええええん!ええええええええええええええええん!!淡のばかあああああああああああああああああああ!!」 淡「私が悪いの!!?」 菫「ほら、照。落ち着け。大体、さっきから変だぞお前。何があったか一から話してみろ」ユサユサ 照「ヒッグ…ううえええ…す、すみれえぇええええええええ…うええええええ…」 誠子「よしよし、大丈夫ですよー。宮永せんぱーい。私達で良ければいつでも力になりますからー」 照「ええええええん。あ、ありっがとっ!せい゙ごぉおおおおおおおおおおお」 尭深「はい、冷たいお茶。落ち着いて…」 照「たかみ゙~~~~~~~~~~~!!」 尭深「ん」ナデナデ 淡「なんだこれ…」 菫「よしよし。落ち着いたら話聞いてやるから。な?ほら。特別にだっこしてやる」ギューッ 照「うん。うん。ありがと…うん。ごめんねすみれ…うん…」スンスン 菫「はいはい。そしたらちょっと休めお前」ナデナデ 照「すみれのおっぱいやわらかい…」ギューッ 菫「わかったわかった。お前は硬いな。はいはい」ナデナデ 照「…」ギューッ 菫「はぁ…」 淡「幼児退行してるし…」 照「…」ギュッ 照「…」 照「…」コックリコックリ 照「…」 照「すー…すー…」 淡「寝た」 菫「…ま、ざっとこんなものだ」 淡「…おみそれしました」 尭深「淡には、おっぱいが足りない…」 淡「ほっといて下さい!!」 誠子「まあ、なんにせよ話はこの人が起きてからだね」 淡「はあ…」 照「すやすや…」 10分後 菫「落ち着いた?」 照「…うん。すまない菫。尭深。誠子。ついでに淡」 淡「ついで…ぐぬぬぬ。まあ、私もすみませんでした。その…色々失礼なこと言ったりやったり」 照「いや。私の方こそすまない」 菫「よし、お互い謝罪は終わったな?それじゃあ、話してもらおうか。照、お前、日曜に…いや、ここ数日に何があった?」 照「…」 菫「話せ。お前、ここ数日の自分の奇行を誰にも疑問視されてないと思っていたのか?」 照「…」 菫「全国の近いこの時期にエースに身も心もあっちへフラフラこっちへフラフラされては私達も堪ったもので無いんだ。もういい加減話してくれてもいい時期だろう」 誠子「それに、私達だって、宮永先輩にはなんだかんだお世話になってきてますから。恩返し…じゃないですけど、力になれる所は、なりたいんですよ」 尭深「魚の干物のお礼もまだ。お返ししたい」 照「…」 淡「わ、私も…」 照「…淡?」 淡「私も…宮永先輩には、その…悲しい顔似合わないって言うか…その、そんな顔されてたら調子狂うって言うか…」 照「…」 淡「…その…げ、元気だして欲しいから…」 照「…」 照「…わかった」 淡「…」 照「…何があったか話す」 菫「…そうか。ありがとう」 照「けど、その前に」 菫「ん?」 照「尭深。お茶淹れてきて」 尭深「?…わかりました」 照「はい皆。東京ばな奈。みんなに均等に渡るように。あ、余った分は私のだからな。買ってきたのは私だし」 誠子「へ?」 淡「何やってるんです?」 菫「さあ」 尭深「淹れてきた」 淡「早っ!」 照「ありがとう。それじゃあみんな。聞いて欲しい。私の犯した馬鹿な間違いの話を」 菫「馬鹿な間違いねえ」 照「で、ついでに相談に乗って欲しい。これから私はどうすればいいか。何をすべきなのか」 誠子「何をって…まあ、出来る限りで」 照「でも、その前に、もう一個聞いて欲しい事がある」 尭深「もう一個?」 照「ああ。これは、最近の話じゃないんだけど…」 照「私の初恋の話」 淡「!!」 照「そして、私がこっちに来る前の、長野に居た頃の話」 照「私が、それまで一体どんな人間だったのか…」 照「それまでどんな人生を歩んできていたのか…」 照「どんな事を考えてきていたのか…」 照「物凄く恥ずかしい話なんだけど…」 照「もしかしたら、私の事を馬鹿にしたり軽蔑するようになるかもしれないけど…」 照「凄く凄く話すのが怖い話なのだけど…」 照「今まで、誰にも言えなかった話なんだけど…」 照「…でも、みんなには聞いて欲しい」 照「…お願いだから、聞いて欲しい」 淡「えっと…」 淡(なんかすっごく重そうな…だ、大丈夫なのかな私こんな話聞いちゃっても…) 誠子「おっ!もったいぶりますねー!」 尭深「なんだかワクワク。B級映画か糞アニメみたい」 淡「えっ。いや、お二方そんな軽い感じな…ってか、渋谷先輩今さらっと酷い事言いましたね」 菫「是非も無いさ。お前がそうやって大袈裟に言った相談事が私に本当に手に負えなかった事は無いんだ。今までもそうだったのなら、これからもそうだ」 淡「弘世先輩まで!?」 菫「話してみればいい。その口ぶりだと、どうやらその話は今までお前にとって随分と重荷だったらしいが…」 菫「お前のような麻雀以外ポンコツ女が一人でえっちらおっちら運んできた荷物など、我々5人で抱えればどれほどのものでも無くなるさ」 淡「…」 菫「それが仲間って奴だろう?まあ、柄じゃないがな」 淡「…」 淡「ま、私だって宮永先輩よりはしっかりものな自信ありますし。ちょっとくらいなら心の支えにはなれると思いますが」 照「…ありがとう。あと淡、あとで覚えてろ」 淡「…えへ」 照「…ふふ。それじゃあ長くなるから、お茶でも飲みながらゆっくりと話していこうか」 照「…」 照「…すーっ…」 照「…はーっ…」 照「…」 照「…あれは、私がまだ中学生だった頃の話だ…」 照「そう。たった数年前の話…」 淡(その日私が聞いた話は、まるで遠い世界の、知らない人の事のようでした) 淡(なぜなら、お話の中に出てくる宮永先輩は私の知ってる宮永先輩と全く違う人のようで…) 淡(途中で「年月はこうも人を変えるんですね」と素直に溢しちゃった私は、亦野先輩にゲンコツを食らったりもするんですが、まあそれは置いといて…) 淡(兎にも角にも、それはほんのちょっっぴりむかしのはなしです) 淡(牌に愛され、高校生史上最強のチャンプとまで言われ、まるで神に選ばれたかのような才能を誇る少女の、意外な昔話) 淡(妹想いで、優しくて、どん臭い、普通の女の子の話) 淡(それは宮永照が中学3年生の頃の話でした) 3年前・ある夏の日 宮永家リビング そこには、ソファに腰掛け、物憂げに本を読む宮永照の姿があった 照「…ふう」 照「…もう、5時か…」 照「…咲、遅いな」 一息ついて深呼吸。ふと気になって壁掛けの時計を見やると、呟く 普通の中学生1年生の女の子が帰って来る時間としては、それほど遅い時間では無い。部活をやっていたり、友人と遊んでいればこれくらいの時間に帰ってくるのは寧ろ早いくらいだ 照「…大丈夫かな」 …だが、照はソワソワと不安そうに窓から外を覗くばかりだ。妹の帰りを待つその姿はどう見ても普通の様子では無い。過保護も過ぎるように見受けられるが… 照「…あっ」 タッタッタッタ… 小走りに狭い歩幅の足音が聞こえ、安堵した声を漏らす照。雑誌をコーヒーテーブルに置き、立ち上がる。急いで玄関まで向かう 照「…」 ガチャッ 果たして玄関に辿り着くとほぼ同時、勢い良く宮永家のドアが開かれた 照「…おかえり、咲」 優しい笑顔でおかえりの挨拶を告げ、そっと腕を広げながら、靴も履かずに土間へ降りてゆく。膝を曲げ、目線を妹の高さに合わせる。足が汚れるが知ったことか。それよりも今は… 咲「…ヒッ…ヒック…ヒック…」 照「…また、いじめられたの?」 咲「…」コクン 照「そう。頑張ったね。もう大丈夫だよ」ギュッ 咲「うわああああああああああああああああああああああああん!!」 照「よしよし。もう大丈夫。もう大丈夫。もう怖くないから、大丈夫だよ」ナデナデ 咲「おねえちゃああああああああああああん!!!」 この大切な妹を、慰めてあげなくてはならない。この、最愛の、妹を 照「お姉ちゃんがついてるから。大丈夫だから。大丈夫。大丈夫だよ…」 咲「ええええええええええええええん!!えええええええええええええん!!!ええええええええええええええええええええええん!!!!」 照「…」ギュッ 妹は 咲は、いじめられっこ 臆病で 人見知りで どん臭くて いじめられて当然の…いじめられっこ いじめられ、泣いて帰ってくる咲を慰めるのが、この頃の照の日常 泣き続ける妹を抱き締めながら、いつからこんな事になったんだろう、と考える 深く思い返すまでも無い。そう、あれは咲が中学生になって間もない頃の事だ 4月のある日、照が学校から家に帰ってくると玄関に咲の靴が置いてあったので、先に帰ってきていた妹とおしゃべりをしようと、部屋を訪ねることにした (中学生にあがって一人部屋を貰って、咲は大喜びしていた) ノックしてドアを開けて貰おうと手を差し伸ばした瞬間…部屋からすすり泣く妹の声が聞こえたのだ その瞬間、気付けば部屋に飛び込んでいた。いつドアを開けたのかすら記憶にないくらいだった。今でもはっきりと覚えているのは、部屋の隅で小さくなって泣いている妹の姿 思わず激しい剣幕で何があったのかを問い正し、咲がいじめにあったのを知ったのは、それからすぐの事だった 大した理由など無い。強いて言うなら、ただ弱そうな獲物が目に入ったからいじめる事にしたのだろう。子供のいじめなどそんな程度のものだ 泣きじゃくる妹の前で、ただ呆然と立ち尽くすしか出来なかったその日から、咲と照にとってひたすらに辛い日々が始まった しばらくして咲が泣き止んだのを見計らい、極力優しい様に声をかける 照「…もう、大丈夫?」 咲「…うん。ありがとうお姉ちゃん」 気丈に答える咲。目は真っ赤で、頬はクシャクシャだ。無理をしてるのがはっきり分かる。照の胸にまたチクリと鋭い痛みが走る 照「…そう」 自分の無力さに目眩を覚える 咲「お姉ちゃんが、慰めてくれたから…」 照「…」 咲「大丈夫…ありがとう、お姉ちゃん…」 照「…」 そういって笑う咲の笑顔が、悲しい 照「…ごめんね、咲」 咲「ふぇ?」 照「私がなんとかしてあげられればいいんだけど…」 咲「…」 無力感に打ちひしがられながら、思わず呟く。一度咲の担任に掛け合った事もあるが、巧妙に行われるいじめを暴く事は、照には出来なかった 照自身がいじめっ子に話を着けることも事も考えたが、逆に照が居ない時にいじめが激化する可能性を考え、それも出来なかった 親に相談するのは、二人とも考えもしなかった。最近両親の仲がギクシャクしているのには気付いている。今余計な問題を抱えさせて、これ以上二人の仲が悪くなるのだけは避けたい 照「ごめんね…ごめん…ごめん…」 だから、強く強く…ギュッと咲を抱き締める。せめて、この子の心の痛みを少しでも和らげられるように 咲「あはは…いたた…痛いよ、お姉ちゃん…」 照「ごめん…ごめん…ごめん…ごめんね、咲…」 咲「お姉ちゃん……お姉ちゃん……お姉ちゃん…うええええ…」 照「咲…咲…咲…」 そんな地獄のような日々を送っていた二人に、思わぬ救いの手が現れたのは、それから少し経ってからだった 照「…遅くなっちゃった。咲は、もう帰ってきてるかな」 早足で帰路に就きながら、そんな事を呟く照 友人から遊びに誘われ、断っている内に結構な時間が過ぎていたのだ 最近は咲の為にとなるべく早く帰宅しようとしているので、友達と遊ぶ事も少なくなった さっきはそれで最近付き合いが悪いと非難を浴びていたところだ 理由を尋ねられても、妹がいじめられているからなど、友人に話せるような内容ではないので、はぐらかして謝るしか無い ここで適当な嘘を付けないのは照の美徳でも有り、欠点でもあった 照「早く咲を慰めてあげないと…」 ようやく家の前まで辿り着いた。逸る気持ちを抑え、呼吸を整える。殊更ゆっくりと玄関を開け、靴を確認すると、咲の靴が有る。帰ってきてる 照「…すぅー…はぁー…よし」 咲の前では余裕を持って接しよう。ここで自分まで余裕を失っては、咲の心の拠り所が無くなってしまう。そうだ、今、咲には私しかいないのだから… リビングに咲の姿を確認し、優しく、元気に挨拶の声をかける 照「た、ただいま!咲…」 咲「あ、お姉ちゃん!おかえりっ!」 照「…え?」 咲「えへへ。今日は遅かったね。久しぶりに私の方が早く帰ってきたもんね」 照「あ、そ、そうだね…」 咲「今日も暑かったね。汗かいてない?冷凍庫にアイスが有ったから、持ってこようか?」 照「えっと…」 咲「あ、でもお姉ちゃん、ちゃんと手洗ってうがいした?アイスはその後だからね!」 照「うん…」 咲「うんっ!じゃあ私、お姉ちゃんが洗面所から戻ってくる前にアイス用意しておくから、早く戻ってきてね!」 照「さ、咲…?」 咲「ん?どうしたの?お姉ちゃん」 照「ど、どうしたの…?その…」 咲「うん」 照「なんだか今日は…その…凄く嬉しそう…だけど…」 いつも苛められて帰ってきていた貴女が、今日に限ってなんでこんなに嬉しそうなの? そんな想いを、どうやって伝えようか迷っていると、咲が察して、いや、実は言いたくて言いたくて堪らなかったのだろう。自分から話してくれた 咲「えへへ。聞いて聞いて、お姉ちゃん!実は今日ね…!」 咲の話は、興奮していた為か、ややまとまりに欠けるものだった いつものようにいじめっ子にちょっかいを出されて泣いていたら、一人の男の子に助けられた 割りと背も高めのその子は一度も話した事の無かったクラスメートで、放課後に咲がいじめられていた現場に、偶々立ち寄ったらしい その子は同学年の女子とはいえ複数の悪そうな子達相手でちょっと怖気づいていた様で、「いじめ、カッコ悪い。by前園」と結構ふざけた感じで注意してくれた いじめっ子達もその間抜けな注意に毒気を抜かれたのか、それとも男子相手では分が悪いと思ったのか、引っ張っていた咲の髪を離してスゴスゴと退散していった 余りにもあっさりとしたその撤退に、咲自身も拍子抜けしてしまったくらいだ それよりも、いじめっ子達が完全に立ち去ってから小さな声で「やーいやーい!弱い者いじめしてるんじゃねーよ、この臆病者どもー!」と急に強気?な態度で悪口を言い始めた男の子の姿が余りに滑稽で 咲は、泣きながら大笑いしてしまったという 京太郎「ああー!何笑ってんだよ、人が折角いじめっ子ども追い払ってやったのに!」 咲「あはははは!グスッ。ご、ごめんなさい!け、けど、だって、みんな居なくなってからそれって…あははは…!グスッ…ヒック」 京太郎「せめて泣くのか笑うのか、はっきりしてっ!」 咲「…ヒック…ヒック…ご、ごめんなさ…ヒック」 京太郎「…訂正。やっぱ笑ってもいいです」 咲「うぇ…ご、ごめん…なさ…ヒック…ヒック…うええええ…」 京太郎「おいおいおい。なんか、俺が泣かしたみたいになってるし…勘弁してくれよ。ダチに見つかったら俺が殺されちまう…」 咲「ううん。ごめんね。須賀君は悪くない…ありがとうね…ありがとう…ありがとう…」 京太郎「…」 咲「ありがとう…ありがとう…ありがとう…ありがとう…」 京太郎「…いじめられてたのか」 咲「…」 京太郎「そっか…」 咲「…」 京太郎「…あー…」 咲「…」 京太郎「…その、なんだろ」 京太郎「…あ、そうだ。あいつらって、クラスの連中だよな」 咲「…うん」 京太郎「…だよな」 咲「…うん。あと、隣のクラスの子も何人か。中学の時一緒だったんだって」 京太郎「はぁ。参ったなぁ。まさか自分のクラスでいじめが有ったとは。こえーなー」 咲「…」 京太郎「あ、悪い。えっと、別にお前が悪いって言ってるんじゃ無いぞ?」 咲「うん…」 京太郎「えっと…宮永だっけ」 咲「…うん」 京太郎「…ま、元気だせ」 咲「…」 京太郎「…」 京太郎「しょ、小学校の頃とか、こんなの無かったんだけどなー…」 咲「そうなの?私の学校は小学校でも有った」 京太郎「…お前もいじめられてた?」 咲「ううん。…私は、怖くて見てるだけしか出来なかった。…下手に手を出したら、私もいじめられるんじゃないかって…」 京太郎「そ、そうなのか」 咲「うん。…誰も助けてあげれなくて…遂にその子、転校しちゃった」 京太郎「おお、ヘヴィ…」 咲「…罰が当ったのかな。私があの時、あの子を助けてあげなかったから、私もいじめられるようになったのかな」 京太郎「…」 咲「…だからみんな、私の事助けてくれなかったのかな」 京太郎「あー…」 京太郎「いや、ただ単に知らなかっただけじゃね?」 咲「…え?」 京太郎「いや、だって。現に俺、今助けたじゃん」 咲「…須賀君みたいな人、中々居ないよ。私も須賀君みたいに勇気が有ったら…」 京太郎「有っても、宮永じゃどうにもならねーだろ」 咲「…だよね」 京太郎「…」 咲「…」 京太郎「えっと…ま、まあ、今回は女子相手だったし…俺でもどうにかなりそうかなって思っただけだし」 咲「…」 京太郎「う、運が良かったんだよ。もしあれが番長グループみたいのだったら、俺だってどうしてたかわかんないし…」 咲「…番長グループなんて有るの?この学校」 京太郎「…いや、流石に無いでしょ」 咲「だよね」 京太郎「…お前、結構ツッコミ上手いな」 咲「ごめん」 京太郎「…と、とにかく!怖いものは怖いんだ。そうやって、いじめられてた子を気にしてやれるだけ、お前は優しくていい奴なんだろ」 咲「けど…結局その子は…」 京太郎「その子を救うためにやりようとかは有ったのかもだだけどさ。だからって、宮永みたいな子にそんな、他人のために全てをかけていじめっ子と戦えなんて、言えないだろうし…」 京太郎「大体、その子だって転校して転校生デビューしてるかもだろ!」 咲「だったらいいけど…」 京太郎「だったら、その先はその子次第だ!あー!もうこの話やめやめ!暗い話しても良い事無いって!明るい話しようぜ!」 咲「明るい話って…」 京太郎「例えば、最近したおもしろい遊びとか!」 咲「最近…いじめられるから、なるべく早く帰るようにしてた。お昼休みとかは、教室で寝たふりして…」 京太郎「ですよねー!俺が悪かったですすみません!!」 咲「…」 京太郎「あう…」 咲「…えっと…」 京太郎「…うん」 咲「す、須賀君は…どんな遊び…とか?」 京太郎「…あー…そうだなー…」 咲「…」 京太郎「…例えば、この間の金曜に生物の授業で、先生が川の生き物の話してたろ。ほら、トビケラの幼虫がどうのって」 咲「うん。ザザムシの事だね。長野くらいなんだよね、あれ食べるの。たまにスーパーに置いてるけど、気持ち悪い…」 京太郎「…次の日にダチと川に行って釣りしてたんだ。そこでなんとなく石ひっくり返したらザザムシが居て…」 咲「…まさか、食べた?」 京太郎「じゃんけんして負けたほうが食べるって話になったんだけど、食べ方が分からなくて…取り敢えず揚げれば食えるだろうって焚き火起こして素揚げしてみたら、爆発した」 咲「なにそれ怖い」 京太郎「いや、マジで大惨事だったぜ。飛び散ったなんかの汁と油が驟雨の如く降り注ぎ横殴りに俺ら…ああ、全部で4人いたんだけど…を襲ったから」 咲「いきなり難しい言葉使い出した」 京太郎「そんで慌てて一旦避難しようとしたら、ダチが袖に油入れた小鍋引っ掛けて」 咲「大事件じゃん」 京太郎「それをかわそうとしたら俺、ジャケットに火が燃え移る」 咲「うわ」 京太郎「ダチ爆笑」 咲「爆笑なんだ」 京太郎「慌てふためく俺に、ダチが叫ぶんだ。川に飛び込め!!」 咲「脱ぐって選択肢は無かったの?」 京太郎「もう必死で」 咲「なるほど」 京太郎「で、飛び込んだはいいんだけど、水深がメチャクチャ浅くて、膝までしか濡れなくて」 咲「駄目じゃん」 京太郎「また友人爆笑」 咲「愛されてるね」 京太郎「どうすんだよこれ!!って半切れで叫んだら、全員でバケツに入った水ぶっかけて来やがってさ」 咲「最初からそれで良かったよね」 京太郎「そのあとでみんなして俺を抱えて一番水深深くて急流なとこに投げ込みやがった」 咲「男の子って凄い」 京太郎「為す術もなく流される俺」 咲「自然の脅威だね」 京太郎「10mもせずに岩に引っかかる俺」 咲「自然の優しさだね」 京太郎「必死こいて岩に手を着いて、ビショビショの服でみんなのとこに戻ってさ」 咲「よく風邪ひかなかったね」 京太郎「その後はもう乱闘よ。全員川に流してやったぜ。俺も流されたけど」 咲「私のいじめって、なんだか大したこと無かった気がしてきた」 京太郎「ちょっとは気が楽になったか?」 咲「え…もしかして、そのために…」ドキッ 京太郎「いや、ちょっとこの間の武勇伝を話したかっただけ」 咲「ぷっ…」 京太郎「…ま、ちょっとでも喜んでくれたんなら…」 咲「あはははははははははは!!」 京太郎「…」 咲「あははははははっはははははははははははははは!!けほっ!!ふはっ!げほげほ…っあはははははははははは!!」 京太郎「…」 咲「あははははははは!!須賀君っておもしろっ!!あはは!!あはははははははは!!」 京太郎「お、おう…」 咲「くふっ…あはは!あはははははははは!!ご、ごめ…ツボに入った…あははははは!!」 咲「はぁはぁ…」 京太郎「落ち着いた?」 咲「うん」 京太郎「そっか」 咲「うん……………………きゅふふふふ…」 京太郎「変な忍び笑いしやがって…ま、いいや。宮永って、結構明るい奴だったんだな」 咲「え?」 京太郎「お前がこんなにコロコロ表情変えてるの、初めて見た」 咲「そう…かな?」 京太郎「ああ。今のお前くらいアグレッシブな奴相手なら、誰もいじめには来ないだろ。普段人と話す時もそれくらい明るいキャラでいけよ」 咲「…けど、友達居ないし…誰とでも仲良く話せる訳じゃ…」 京太郎「…もしかして、宮永って人見知り?」 咲「…」 京太郎「…っぽいな」 咲「…うう。他人とお話する時は、どうしても気構えしちゃて…」 京太郎「…の割に、なんかお前俺相手には結構息合うよな。きもーち毒舌だし」 咲「だ、だって…なんか、その…」 京太郎「?」 咲「なんか、須賀君って、その、話やすいし…」 京太郎「初めて言われた」 咲「そう…?」 京太郎「…うーん。でも、確かにな。俺も宮永とは話ししやすいって言うか…テンポが合うんだよな」 咲「…」 京太郎「とても初めて会話したとは思えない、むしろ長年の知り合いのような…」 咲「…」 京太郎「…ああ、良い事考えた」 咲「え?」 京太郎「幼馴染」ビシッ 咲「は?」 京太郎「宮永、今から俺の幼馴染設定な」 咲「はい!?」 京太郎「実は、小さい頃から面識が有ったのです」 咲「須賀君、頭大丈夫…?」 京太郎「殴るぞ」 咲「ごめん」 京太郎「だから、俺の知り合いはお前には初めて会った人間でも、ただの他人じゃ無い」 京太郎「逆に、俺の知り合いから見ても、へー幼馴染居たんだー。じゃあこれから仲良くしてねー的な?」 咲「そう上手く行くかな…」 京太郎「大丈夫だって。俺の知り合い馬鹿ばっかだし。…それに、女の子の幼馴染って欲しかったし」 咲「それが本音!?」 京太郎「やべっ!!」 咲「…」ジーッ 京太郎「い、いやいや!そ、そそそそそんな事有りませんぞ!?」 咲「…ふふっ」 京太郎「…宮永?」 咲「…幼馴染だったら、いじめっ子から守ってくれる?」 京太郎「…」 咲「幼馴染だったら…私が泣いてる時、助けに来てくれる?」 京太郎「…」 咲「幼馴染だったら、私が困ってる時…ピンチの時…駆けつけてくれる?」 京太郎「…それって、幼馴染ってより、ゲームのお姫様と騎士の関係じゃ…」 咲「…あれ?そうかな…」 京太郎「…ま、いいけどさ」 咲「…」 京太郎「幼馴染だからな。守ってやるよ」 咲「…じゃあ、私達、今日から幼馴染だ」 京太郎「…なーんか、力関係が理不尽なことになってる気がするんですけど…」 咲「…ふふっ♪」 京太郎「…ま、いっか。それじゃあ、これからよろしくな。『咲』」 咲「!!」 京太郎「…ん?」 咲「ううん!よろしく!『京ちゃん』!!」 京太郎「うげ、京ちゃん?なんだその間抜けっぽいあだ名。初めて言われたぜ」 咲「えー。いいじゃん。可愛いあだ名だよ!」 京太郎「だって、なんだか恥ずかしい…」 咲「いいじゃんいいじゃん。京ちゃん京ちゃん京ちゃ~ん♪」 京太郎「うおーっ!なんかむず痒い!」 咲「へっへっへ~」 京太郎「覚えてろ、こうなったらこっちにだって考えがある」 咲「な~に?どうしたの、京ちゃん」ニヤニヤ 京太郎「ん。なんでもねーよ。それより、もう下校時間だ。帰らねーの? 咲「あ、そっか。そうだね。それじゃあ私はそろそろ…」 京太郎「」ニヤリ 京太郎「姫、家までお送りいたしましょうか?」 咲「」ピシッ 京太郎「」ニヤニヤ 咲「…はい?」 京太郎「姫」 咲「…ひ…め…?」 京太郎「はい。お姫様」 咲「あ、あううううう…」カアアアアア 京太郎「ぷぷっ」 咲「な、ななななななあ…」 京太郎「あははははは!なーにそんな顔真っ赤にしてんだよ!」 咲「なっ!なに言ってるのー!」 京太郎「あはははは!照れてら。可愛いぞー、ひめー」 咲「~~~~~っ!!」プルプル 京太郎「お?どうした?ひーめ!ひーめっ!宮永姫!」 咲「うわあああああん!もうっ!もうっ!もうっ!もうっ!」バシッバシッバシッ 京太郎「あはははは!いてっ!いてててて!こらやめろ姫!」 咲「う~~~~っ…」 京太郎「ん?どした?ひ…」 咲「うわああああああああああああああああん!京ちゃんのばかあああああああああああああああああああ!!」ダッ 京太郎「あー…やりすぎたか」 咲「いじわるーーーーーーーーーーーーーーーー!!」タッタッタッタ… 京太郎「咲ーーーーーー!気を付けて帰れよーーーーー!!また明日なーーーーーーーーー!!」 咲「…と、こんな感じ」 照「そっか。良かったね、咲…」 咲「うん!」 照(良かった…うん。本当に良かった…咲に、味方が…) 咲「えへへへ。ちょっとおっちょこちょいでイジワルだけど、本当格好良かったんだよ」 照「そう…良かったね…良かった…良かった…」 咲「お姉ちゃん…?」 照「うっ…うっ…うっ…」ポタ…ポタ… 咲「お姉ちゃん?なんで泣いてるの…?」 照「良かったよぉ…本当に良かったよぉ…嬉しい…こんなに嬉しいのは生まれて初めてだよぉ…本当に…良かった…」 咲「お姉ちゃん…」ギュッ 照「うええええええええええええええええええええええん!!」 咲「…ありがとう、お姉ちゃん。…私のために泣いてくれて」 照「えええええええええええええええん!!えええええええええええん!!!ええええええええええええええええええええええええええええええん!!」 その後、イジメはぱったりと止んだ。例え傍に京太郎が居なくてもだ。要は切掛だったのだ いじめっ子に怯えずに立ち向かう意志さえ見せれば、たった一握りの勇気さえ示せば、それだけで打ち勝てたのだ その日から咲は少しづつ変わってゆく 京太郎を通じ、いつしか友人が出来た その友人から紹介され、更に友人が出来た そして遂には、咲は自分から友人を作ることにさえ、成功したのだ 泣いてばかりいた弱虫は、いつしかその名の通り、花の咲くような満面の笑顔を浮かべるようになっていた まるで今までの分を取り戻すように、今、彼女の前には沢山の「楽しい事」ばかりが広がっている そして だから だから 咲は、気付かない 気付かなかったのも、仕方ない 仕方ない 仕方ない 咲は、悪くない 悪く、ないんだ… 数ヶ月後、咲はすっかりクラスに馴染み、家でも照に嬉しそうに友人の話をするのが日課になっていた 国語の点数で良い点を取った事、次から体育の授業がマラソンなので嫌な事、クラスで図書委員に立候補した所、満場一致で当選できた事、休み時間に友達としたおしゃべりの事… 嬉しかったことも、楽しかった事も、嫌な事でさえも、目をキラキラと輝かせながら、大好きな姉に語る咲 特に、『京ちゃん』の話題では、その目の輝きが一層増し、照には眩しいくらいだった 穏やかな気持で咲の話を聞き、相槌を打つ照 咲「それでね!それでねっ!京ちゃんったら…」 咲「その時、京ちゃんってば…」 咲「そうしたら京ちゃんが…」 咲「京ちゃんのお陰で…」 照「ふふ。咲は、本当に京ちゃんの事が大好きだね」 咲「んなっ!」ビクッ 照「ははは」 たまにからかってやると、ゆでダコのように顔を真っ赤に染める妹が愛しい 咲「…」 照「咲?」 咲「…私、将来は京ちゃんのお嫁さんに…」 照「そ、そう…か。あはは」 ガチ過ぎた 咲「そ、その…お姉ちゃん?あの、やっぱ、付き合う時って、やっぱり、その、わ、私から告白した方がいいのかな…」 照「…ねえ、咲」 咲「うん?」 『京ちゃん』 咲にとってのヒーロー 照「…須賀君の事、ちゃんと捕まえておかないと駄目だぞ」 咲「うん!!」 ならば、当然照にとってだって、ヒーローだ 照「そうだ。今度家に呼んだら良いよ。お姉ちゃんにも、須賀くんを紹介して欲しいな」 咲「もちろんだよ!!」 …最愛の妹を救ってくれたのだから 照「じゃあ、明日学校が終わったら連れておいで」 咲「えー!そ、そんなに急に!?こ、心の準備が…」 照「ふふ。そんなこと言ってていいの?」 咲「?」 照「なるべく早く彼氏にしちゃわないと、誰かに取られちゃうかも」 咲「っ!それは嫌!!」 照「でしょ?だったら、少しでも早く、沢山、仲良くならないと。…ね?」 咲「うん…」 照「大丈夫。咲は可愛いよ」 咲「…」 照「私が保証する。がんば」 咲「お姉ちゃん…」 照「…ね?」 咲「…ん。じゃあ、明日京ちゃんを連れてくる」 照「うん」 咲「けど、お願いがあるの、お姉ちゃん」 照「何?お姉ちゃんに出来る事なら、なんでも聞いてあげる」 咲「京ちゃんにお姉ちゃんを紹介したいから…明日は、早く帰ってきて」 照「…」 咲「最近、お姉ちゃんたまに遅いから…一応、お願い」 照「…」 咲「…大好きな人を、大好きなお姉ちゃんに紹介したいから。大好きなお姉ちゃんを、大好きな人に紹介したいから…だから、明日は早く帰ってきて欲しいの」 照「…」 咲「…駄目?」 照「…うん。わかった。なら、明日は急いで家に帰るよ」 咲「本当!?」 照「うん。…ふふ。大好きな妹の、大好きな人だもん。紹介してくれるのを楽しみにしてるよ」 咲「やったあ!ありがとう、お姉ちゃん。…私、頑張るね!」 照「うん。頑張れ、咲」 咲「…うう。けどなんか緊張してきた」 照「はは。大袈裟だよ」 咲「むうー!だってだって!」 照「咲」 咲「…どうしたの?お姉ちゃん」 照「…」 咲「?」 照「お姉ちゃんは、いつだって咲の味方だから」 咲「…ありがとう。けど、お姉ちゃん。私だって、いつだってお姉ちゃんの味方!」 照「…そう。ありがとう、咲」 咲「えへへ。あ、そうだ。あとね、お姉ちゃん。もう一個お願い」 照「ん?」 咲「今日、お姉ちゃんと一緒の布団で寝てもいい?」 照「…またか。中学生にもなって咲は甘えん坊だな」 咲「えへへ。だって、お姉ちゃんあったかいんだもん」 照「ふふ、仕方ないな。それじゃあ、一緒に寝ようか。お風呂に入って着替えておいで。私はその間に宿題を終わらせるから」 咲「うん!じゃあ、お風呂入ってくる!」 照「ああ、行ってらっしゃい」 照「…」 翌日、咲は約束通り京太郎を家に連れて来た 自慢の姉を紹介する、と言って だがしかし、その日、午後6時に京太郎が家を出るまでに照が帰ってくる事は無かった 咲が京太郎を家に誘っているのと同時刻 照(授業、終わった…!!) 帰りの挨拶と共に、弾かれたように椅子から立ち上げる照 照(早く、帰らなきゃ。今日は咲が『京ちゃん』を連れて来るんだ!早く…!早く帰らなきゃ!!) 授業道具はホームルーム中にこっそりと鞄に詰め終わっていた。そそくさと教室の後ろ側のドアへと向かう 照(急げ…急げ…急げ…急げ!!)ガラッ 教室のドアを開ける。さあ、あとは廊下を一目散に駆けるだけ… 「はーいちょっと待った、宮永さん」 …肩を強く掴まれた 照「痛…」 「あ、ごめんごめーんねー。けど、そんなに急いで帰ることないじゃんさー」 「そうそう。私らとー遊んでこうよー」 「あんたの付き合いが悪いから、こうしてわざわざ無理矢理にでも遊びに誘ってやってるんだよ。喜べよ」 「いつもの遊び場に行こうか。屋上ね」 照「…離して」 「あ?」 照「…お願い。今日はどうしても大切な用事があるの。明日だったら付き合うから…お願いだから、今日は許して」 「ざけんなっつーの。アンタの都合なんて知ったこっちゃねーんだよ」 「今日は私らの機嫌が悪いの。そんだけだから」 「遊び道具が生意気な口聞いてんじゃねーぞ」 照「…」 「なに?その目」 「調子にのってるんじゃ…」 照「っ!!」バシッ 「うわっ?」 照「…!!」ダッ 「逃げた!!」 「このガキ…!捕まえろ!」 「こいつ!」ガシッ 照「きゃっ!離して!お願い!お願いだから!!」 「うっせー!おい!早く連れてくよ!」 照(なんで…) 「なんだよお前ら!こっち見んな!」 照(なんで、いつも誰も助けてくれないの…?) 照「いやっ!」 「うぜえ!」パンッ 照「…っ!」 「黙った?よーし、それじゃあ行っくよー」 「ったく。普段抵抗なんてしない癖に…おもちゃの分際で…」ブツブツ そう 少し前から、照はいじめられていた 運動は出来ないが、頭が良く、器量も優れ、人格者 そんな照が、友人達から距離を置き(実際には当時いじめられていた咲のために家に早く帰るようになっただけだが)、孤立した あんなにムカツク女が一人ぼっちだ なら、今の内にいじめてしまえ そうして少しずつクラスの不良達にいじめられ始めた照は、徐々に友人達から本当に距離を取られ始め 今では、完全無欠のいじめられっ子 そして、いつしかその不良達の彼氏がカラーギャングだと言う噂が流れ始めた頃 照の味方は誰も居なくなっていた まるで、いつかの妹のように 不良達にサンドバックにされながら、照は考える 照(ごめん、咲。お姉ちゃん、今日、間に合いそうにない…かも…) 髪を掴まれながら、考える 照(ごめんね。ごめんね。咲。お姉ちゃん、馬鹿だよね…昨日あんな事言っておいて…ごめんね…) 腹を殴られながら、考える 照(折角咲が勇気出してくれたのに、ごめんね。『京ちゃん』と、仲良く遊んでてね。お姉ちゃんのせいで気まずくなったり、しないでね…) 倒れ伏し蹲りながら、考える 照(…はは。ごめん…ごめんね。ごめんね。咲…お姉ちゃん、最悪だ) 背中を蹴られながら、考える 照(…お姉ちゃん、咲が…ちょっと、羨ましいって思っちゃった…) 考えるのは、絶望に潰れそうな自分を支える唯一の希望 大切な妹がくれた、不確かな希望 『いつか、誰かが私を助けてくれないかな』 『いじめっ子を追い払って、私をここから助けだしてくれる人が』 『泣いてる時に助けに来てくれて、困ってる時、ピンチの時に駆けつけてくれるゲームに出てくる騎士みたいな人』 『友達を作ってくれて、笑わせてくれて、勇気をくれる人が…」 『いつか、私にも『京ちゃん』が現れてくれないかな…』 その日、照が家に帰り着いたのは、夜の8時を過ぎてからの事だった 結局、不良達が照への暴力に飽きて彼女を開放したのは、午後6時半を過ぎた後 不良達も心得たもので、面倒を避ける為に顔などの傍目に見える部分に痣を付けることはしないでくれていたが 鍛えていない照の身では、殴られたダメージが抜けて歩けるようになるまで、そしてその足で家まで帰り着くまでには、1時間強の時間を有したのだ 照「咲…咲…」 未だ痛みの引かない身体を引きずって、うわ言のように妹の名を呼び、帰宅する照 どういう訳か、日の落ちたこの時間にも関わらず、家の中は暗く、光が漏れてこない 照「二人とも、まだ帰って来てないのかな…」 最近帰りの遅い両親が、今日もまだ帰宅していないのだろうかと考える 照「…けど、咲は今日、『京ちゃん』を家に連れて来てるから家に居るはずだし…」 ズキン。頭に鈍い痛みが走る。思考が上手く回らない。まあいいや。早く家に帰って、ゆっくり休もう。ズキン。ああ、お腹も痛い。思いっきりパンチされたし… 照「…畜生、あいつらめ…」 不良達のニヤニヤとした厭らしい笑いが頭から離れない。ズキン。鈍い痛みが増してきてイライラする ああ、なんてどうしようもない奴なんだ私は。咲との約束を破っておいて、こんな怖い顔をして家に帰るつもりか こんな、こんな…ああ、マズい。駄目だ。お腹が痛い。頭が回らない。イライラする。ズキン。痛い。腹が立つ。痛い。痛い。痛い。ズキン… ガチャッ 扉が開く。痛い。マズい。咲だ。急げ。平気な顔を作れ。ズキン。ああ痛い…痛い…疲れた…痛い… 照「…」 咲「あ、お姉ちゃん…」 照「…咲」 咲「…おかえり」 照「…ごめんね。遅刻しちゃった」 咲「…」 照「きょ、『京ちゃん』は、連れて来れた…の?」 咲「…うん。もう帰ったけど」 照「そっか…」 咲「…うん」 照「そっか…うん。そっか……」 咲「…ねえ、お姉ちゃん」 照「うん?」 咲「…どうして遅れたの?」 ズキン @ 照「…」 咲「…」 照「…」 咲「…」 沈黙が痛い。重い。息苦しい。この沈黙は、咲が怒っている証だ。こうなった咲はしつこい。なんとか誤魔化さなきゃ。それに、今日の結果も知りたいし 照「それは…」 咲「それは?」 照「…」 咲「なんでそこで黙るの?」 照「えっと…」 ああ、けどマズいなこれは。頭とお腹が痛くて、思考が全然まとまらない。咲に真実を知られるのだけは避けたいし… 照「その…」 咲「なにさ」 けど、どうやって言い訳しよう。咲は人の気持ちには鋭い子だ。下手なこと言ったらすぐに感づかれちゃうよ。こんな事なら帰る前に言い訳を用意しておくんだった 照「あの…」 咲「言えないような事なの?」 照「いや、そういう訳じゃないんだけど…」 咲「なら早く教えてよ…!!」 ああ、マズい。マズい。咲が苛ついてるよ。ごめんね咲。だけどお姉ちゃんも今結構いっぱいいっぱいなの。早く横になって痛いのを回復させなきゃ… 咲「なんで黙ってるの!!」 ああ、咲がなにか言ってるよ。怒ってる。当然だよ、私が悪いんだから。ごめん咲。ごめんね、咲。駄目なお姉ちゃんでごめんね。本当にごめんね 咲「お姉ちゃん!!」 いじめられるのって、こんなに辛いんだね。痛いんだね。ごめんね、咲。お姉ちゃんが悪かったよ。あの時、咲がいじめられていた時、私は強引にでも咲を助けるべきだったんだ 咲「…お姉ちゃん?」 私が助けてあげるべきだったんだ。あの時、咲がいじめられてるって知った時、その瞬間にでも、いじめっ子の家にでも殴りこんで、取っ組み合いしてでも、咲をいじめから救うべきだったんだ 咲「お姉ちゃん!」 だって、こんなにも、こんなにも、いじめは辛いものだったんだから。痛いものだったんだから。咲の立場を思いやってる風に見せかけて、結局私は自分が可愛いだけだったんだ 最愛の妹を見殺しにして、『京ちゃん』が現れなきゃ、咲は未だにいじめられてて、私は友達と仲良くやってて、それで、それで… ……………そ れ で 私 は 咲「お姉ちゃん!!!」 ドサリ 目が覚めた時、照は自室のベッドに眠っていた 傍には泣きじゃくる咲の姿。…取り敢えず、気付いたことを知らせようと声をかける 照「…咲」 咲「お姉ちゃん!?気付いた!良かった!」 照「…私、は…」 咲「心配したんだよ!?いきなり倒れたから…大丈夫?」 照「ん…あいたたた…」 起き上がろうとして身体に痛みが走る。起き上がるのを断念して、もう一度横になる …と、そこである事に気付く 照「…寝間着になってる。咲が着替えさせてくれたの?」 咲「…うん。汗が凄かったから」 照「…」 咲「…」 照「…って、言う事は…」 咲「…うん」 照「…」 咲「…」 照「あの、さk…」 咲「…あの、お姉ちゃん、その…み、見ちゃった…んだけど…」 照「…」 咲「…」 照「…」 咲「…お、お腹とか…青くなってて…」 照「…」 咲「す、すり傷とかも、いっぱい有って…」 照「…咲」 咲「そ、その…み、見覚えって言うか、その…経験が有る痣って言うか…」 照「…」 咲「…お姉ちゃん、いじめられてるの?」 照「…」 咲「なんとか言ってよ!」 照「咲」 咲「なんで!?いつから!?あんなに友達がいっぱいいたお姉ちゃんが!なんでいじめられてるの!!?」 照「咲!」 咲「わけわかんないよ!私みたいに友達の居なかった子ならまだわかるとして、お姉ちゃんはクラスの中心だったじゃない!ちょっと前までは友達だっていっぱい連れて来てて!!」 照「咲!」 咲「そういえば、お姉ちゃんが友達連れて来なくなったの、私がいじめられてるのをお姉ちゃんが知ってからだよね!?ずっと気になってたの!もしかして、私がいじめられてたのに関係してるんじゃ…」 照「咲!!!!」 咲「っ!!」ビクッ 照「…関係ないよ。それは」 咲「…嘘」 照「本当」 咲「嘘だよ!!だったらなんで目を伏せたの!?お姉ちゃんの嘘を吐く時の癖…」 照「咲、質問に答えて」 咲「…っ」 照「…お父さんとお母さんには、連絡した?」 咲「…うん。した。二人ともすぐ帰るって」 照「なんて言って?」 咲「えっと…お、お姉ちゃんがいきなり倒れたって…」 照「そう。なら、咲。口裏を合わせるんだよ。私は貧血で倒れたの。いい?いじめの事なんて絶対言っちゃ駄目」 咲「で、でも…」 照「咲だってわかってるでしょ?今、お父さんとお母さんは凄く難しい状態にあるの。二人に余計な心配をかけちゃ駄目」 咲「け、けど、お姉ちゃん、その痣けっこう酷いよ…?私の時なんかと比べ物にならない位酷い怪我。最近たまに帰ってくるのが遅いのって、もしかしていじめにあってたからなんじゃ…」 照「…咲は賢い子だね。そのくらい賢いなら、わかるでしょ?今二人に私がいじめにあってるなんて知られたら、また喧嘩になっちゃう」 咲「けど!!」 照「…最悪、二人が離婚しちゃうかもしれないんだよ!!!!」 咲「…え?」 照「…」 咲「…り、りこ…ん…?」 照「…っ」 咲「り、離婚って…な、なにそれ…なんでお姉ちゃんがそんな事…」 照「…まだ決まったことじゃないけどさ。…二人が、離婚の話ししてるの、この間聞いちゃった」 咲「そ、そんな…」 照「…ねえ、咲。今私がいじめられてるなんて知られちゃったらさ。…私をいじめから遠ざけるとかそんな口実にされて、二人が別居なんて事にも…」 咲「そ、それ…は…」 照「…それは嫌でしょう?」 咲「い、嫌だよ!そんな…そんな事…」 照「じゃあ、やる事は一つしかないんだ」 咲「…」 照「…ね?」 咲「お姉ちゃん、大丈夫なの…?」 照「大丈夫だよ。今までは咲の言ってたように、私は人気者だったんだ。こんないじめ、一過性の物だよ。そうだ。はしかみたいなものだよ」 咲「…」 照「それより、京ちゃんとは、どうだったの?」 咲「へっ!?」 照「ふふ。うちで二人きりだったんでしょ?なんか素敵な事なかったの?」 咲「な、なんにもなかったよ!いきなり何言ってるのお姉ちゃん!」 照「ははは。何だ残念。咲、なら、もう一回連れておいでよ。今度はいじめにあってじゃなくて、普通にすっぽかしてあげるから」 咲「へ?」 照「二人っきりのチャンスはあんまりないかもよ?」 咲「~~~~~~~~!!」ボッ 照「あはは。顔真っ赤だ」 咲「もう!お姉ちゃんのいじわる!もう知らないんだから!!」 照「ごめんごめん。…さ、それじゃあ、咲もそろそろ寝る準備しておいで。お母さんたち帰ってきたら、私から説明はしておくから」 咲「…」 照「咲」 咲「…うん。わかった」 照「いい子だ」 咲「…」 照「心配しないの」 咲「…」 照「…ね?」 咲「…うん。わかった」 照「ん。じゃあ、おやすみ。咲」 咲「…」 咲「…おやすみ。お姉ちゃん」タタタタタ 照「…」 照「…ふう」 照「…」 照「…ごめんね。咲」 こうして、日常は守られた。それは子供たちが家族の離散の危機を防いだ事を意味し、同時に照の受難の日々が続く事も意味する いじめは続く。受難は続く。万人に悪者をやっつけてくれる都合の良いヒーローが駆けつけてくれるなんてお伽話は無い 『京ちゃん』は現れない 照はいじめられ続ける いじめは次第にエスカレートし、照は、次第に精神を病み始める。イライラすることが増え、性格も捻くれ始めて来る やり場の無い怒りが彼女自身を飲み込み始め、次第に周囲への態度が変わり始める 自分の生まれた土地が憎い。周囲の人間が憎い。今の内に精々喜んでおけ。いつか必ず見返してやる、この田舎者共め… そんなある日、照は遂に出会うのだ 彼女にとっての救いの神に ヒーローに 彼女だけの、『京ちゃん』に それは、ある秋の放課後の出来事だった この日、照は教室の掃除当番で、いつものように誰とも会話する事無く、黙々と掃除を終わらせてすぐ、そっと消えるように教室を出た 今日は不良達は昼から何処かに遊びに行ったのか姿を見せず、照にとって久しぶりの恐怖を伴わない幸運な数時間を味わえた。無事に一日を終えられた事にほっと一息を吐く とは言え、既にこの教室には彼女が友人と思える人間は居ない 自分を不良達からのスケープゴートにして青春を謳歌する同年代の人間達を心の底で呪いながら、帰宅の準備を早々に済まし教室を後にする 掃除で遅れた分、早く帰りたい。この腹立たしい同年代共の顔を見ずに住む場所へ。唯一の味方が居る場所へ 一刻も早く、帰りたい そう考え、近道をしようと大通りの公園を通り抜けようと考えたのが悪かった 「おっ。宮永じゃん」 「本当だ」 照「っ!?」 照は知らなかった。その公園が最近、不良達の溜まり場になっていた事を 「馬鹿な奴だねぇ。うちらがこの辺で遊んでんの、知らなかったんだ」 「いじめて欲しくて来たじゃないの?いじめられ過ぎてドMに目覚めたとか」 「けけけけ!きもっ!」 照「……」スッ 「おい、どこ行くんだよ」 「無視しないでくれますぅ~?宮永さん」 ニヤニヤと不快な笑みを浮かべ、照を四方から囲む4人の不良達。随分と手馴れている。大方こうやって弱そうな獲物を囲ってカツアゲでもしていたのだろう 照「…どいて」 「ああ?」 「何言ってんのコイツ」 イライラが爆発し、勢い余って強い口調が出てしまう。言った瞬間にしまったと思った 「何偉そうな口利いちゃってる訳?」 「学校外だから殴られないとでも思ってんの?」 「調子のんなよ」グイッ 照「あっ…!」 案の定、すぐに実力行使が来た。4人の内一人が、徐ろに照の髪を引っ張ったのだ。慣れた痛みだが、思わず細い悲鳴が出てしまう。…悔しい 「ノコノコいじめられに来やがって。丁度いいや。金よこせよ。恵まれない子供達に愛の募金ってやつ」 照「やだ…!」 「この雑魚が!反抗してるんじゃねぇよ!」グンッ 照「あぐっ!?」 髪の毛を掴んだまま振り回される。プチプチと何本か髪が抜ける音と、激痛が走る そこが限界だった。今日は久しぶりにいじめられない筈だったのに。早く帰って咲とゆっくりお話する筈だったのに 自分の情けなさに腹が立つと同時に、遅ればせながら目の前の4人に対する怒りが鎌首をもたげてきた 照(なんで私が、こんな底辺みたいな屑共らにいいようにいじめられなきゃいけないんだ…!!) 照「やめてよっ!!」バシッ 「うわっ!?」 「こいつ!!」 照「も、もうやめてよ!!どっか行ってよ!!なんで私をいじめるの!!!他の人でもいいじゃない!!!」 「うるせえ!お前がムカツクからいじめるんだよ!!」 「理由なんかあるか!!」 照「いい加減にしてよ!!!」 何を言っているのかよくわからなかった。口から出るのは、今まで腹の底に溜まっていた黒く卑屈な感情。憎悪。自分でも驚くぐらい醜い言葉が次々に飛び出す 照「ムカツクって言うなら、他のクラスの奴らだってムカツク奴らいっぱい居るでしょ!?私なんてもう貴方達に逆らったりもしてないよ!?他の人をいじめてよ!!」 「はぁ?何言ってんだコイツ」 照「どんなに殴られても、いじめられても!今まで私、貴方達にそんな気に触るほど反抗したことあった!?敵対したことあった!?」 照「お金だってそんなに持ってないし!いじめる意味無いじゃない!!」 照「お金欲しいならもっとお金持ってる子にたかってよ!ストレス解消したいなら、もっとなんの取り柄もないような弱い子いじめてよ!!」 照「私『達』ばっかり狙わないでよ!!」 「うっぜ。何だコイツ」 「顔面行っとく?」 「いいね。やろやろ。最近コイツ殴られてもスカした顔する様になってきたから、生意気だったんだよね。いきなりキレられてマジムカツクし」 照「っ!!」 照(なんで…!どうして…!どうして私達ばっかり、こんな目にあうの!?私ばっかり不幸な目に会うの!?なんで!?どうして!!?) 「おい、宮永」 照「な、なに…?」 「どうしてお前をいじめてるか教えてやろうか」 照「…」 「お前が『お前』だからだよ。特に理由なんて無いの。強いて言うなら、浮いてるからかな?誰からも距離があるから、いじめやすいんだよ」 照「…っ!!」 「ねーねー。後で彼氏に連絡しようか?何人か飢えてるの連れてきて、ハメ撮っちゃおうよ。高く売れるかも」 「おっ。いいねー」 照「ひっ!?」 「さ、そんじゃやりますかー」 照「い、いや…」 照「来ないで…」 照「誰か…」 照「助けて…」 金髪「何してんの?」 照「…えっ?」 「…ああ?なんだこの金髪」 金髪「いや、お姉さんたち何してんのって」 「すっこんでろよチビ。格好付けてナイト気取りか?お姫様よりちいせー奴がなにしてもダッセーし、そんなんしてもモテねーんだよキメーな」 金髪「いや、そんなつもりじゃねーし」 「見てわかんないのかよ、アタシら今、カツアゲやってんだよ。わかったらとっととどっか行けよガキ」 金髪「いや、カツアゲにしてはちょっとバイオレンス感多くねえっすか?」 「ふざけたガキだな。お前からも毟ってやろうか?」 「ナマ言ってんじゃねーぞ?アタシの彼氏はカラギャンやってんだぞ。テメーなんか速攻ボコられるからな」 金髪「…」 「何黙ってんだよ」 金髪「早くどっか行けよ。俺はこの子に用が有るんだよ」 「ああ!?」 金髪「怒るぞ」 「ふざけんなよ。今から彼氏呼ぶわ。ボコって貰うから覚悟しろよ」 金髪「いいのっかなー」 「なんだよ」 金髪「俺は『あの』佐藤さんに可愛がって貰ってるんだぜ」 「!?」 「さ、佐藤さん…!?」 「『あの』佐藤さんって、もしかして『あの』福西組の佐藤さんの事…か?」 「あ、『あの』狂犬で有名な佐藤さんか…」 「や、やべえな…」 金髪「そうそう。その佐藤さんに可愛がって貰ってる俺が、どこの誰だか知らねーがお前らの彼氏?にやられたって言ったらよ。お前、そのカラギャンごと潰されるかもよ」 「くっ…」 金髪「ほら、今ならまだ無かった事にしてやるから。早くどっか行け馬鹿野郎」 「…くそっ!行くぞ!」ダッ 「あ、待ってよ!!」ダッ 照「…」 金髪「…行ったか」 照「…」ポカーン 金髪「…ふう」 照「あの…」 金髪「…佐藤・鈴木・田中はどこにでも居る…」ボソッ 照「…はぁ?」 金髪「ふへぇ…流石にビビったぁ!福田組ってなんだよ。あれか、爽やかヤクザか。マジビビったわー。退いてくんなかったらどうしようかと思ったよ」 金髪「女とは言え、俺より年上だし4人だしなぁ…」ブルブル 照「君…」 金髪「あ、すみませんねお姉さん。本当はもっと格好良い助け方したかったんですけど、4人相手はちょっと…」 照「…どうして私を助けてくれれたの?」 金髪「へ?ん~…なんでって…」 照「…」 金髪「…なんとなく?」 照「…」ズルッ 金髪「…」 金髪「…うん、なんとなくだ。なんとなく…」 京太郎「…なんとなく、お姉さんが知り合いに似てたもんだから……」 それが、照と、『照の京ちゃん』との出会いだった 照「…」 呆気にとられ固まる照に、声をかける京太郎。心配そうな様子の中にも、少しだけ得意気な表情が見え隠れしており、それが幼い感じがして、照は可愛いらしいと思う 京太郎「…ところで、うわ。お姉さん、大丈夫?怪我してない?」 照「…」 京太郎「ああ、ほら。ちょっとそこのベンチに行って座ろうか。消毒液と絆創膏が鞄の中に入ってるから、怪我してたら言ってくれたら使っていいから」 照「…」 京太郎「ほら、な?歩ける?」 照「…うん」コクン 京太郎「そっか。よし、それじゃあ行こう。な?」 照「…」 京太郎「…」 照「…」 京太郎「…どうかした?」 照「…やっぱりあるけない」 京太郎「…そうっすか」 腰が抜けていた 照「…」 京太郎「…参ったな」 照「…」 京太郎「…ほら。手貸すから、ゆっくりで良いから歩こう?な?…ここに居たら、目立ってしょうがない」 照「…うん」 京太郎「ん」スッ 照「…」スッ 京太郎「よし、それじゃあゆっくり歩くよ?」 照「…」コクン スタ スタ スタ 京太郎「…」 照「…」 照「…初めてだ」ボソッ 京太郎「…ん?なんか言った?」 照「…ううん。なんでもない」 京太郎「…そっか」 照「…うん」 照「…初めて男の子に手、握られちゃったなって」 京太郎「って!なんでもなくねーじゃんか!」ズサッ 照「…ふふ」 京太郎「え、ちょ、お、おれ、その、そんなつもりじゃなくって!その!」ワタワタ 照「冗談だよ。もう一人で歩けるから。…ありがとう」 京太郎「…うう。なんか、いきなり気恥ずかしくなってきちまったじゃんよー…」ブツブツ 照「…ありがとうね」 京太郎「…」 照「…初めて、誰かに助けて貰ったなって…」 京太郎「…そっか」 照「…」 京太郎「…ん。ベンチ、着いた。お姉さん、座る。傷見せる」 照「なんでカタコト?」クスッ 京太郎「…」プイッ 照「…照れてるの?」クスッ 京太郎「むっ。…って、俺、一応恩人ですよね?お姉さんの」 照「はは。ごめんごめん」 京太郎「…ったく。これだから年上は苦手なんだよ…」ブツブツ 照「そういう君は、一年生?」 京太郎「そうっすよ。はい、傷無いか見せて下さい」 照「今日は大丈夫だよ。髪の毛掴まれただけだし」 京太郎「…『今日は』?」 照「あっ…」 京太郎「…」 照「…」 京太郎「…今日だけじゃないのか」 照「…」 京太郎「…いじめられっ子ってやつ?」 照「…」 京太郎「…そっか」 照「…」 京太郎「…あの、俺…」 照「あっ!!」 京太郎「うおっ!?」ビクッ 照「お、おもいだした!今日ははやく家にかえらないといけない用事があったんだった!」 京太郎「棒読み…」 照「というわけで、ごめんね!わたしはこれで帰るから!」 京太郎「あ、ちょっと…」 照「本当にごめん!それじゃあバイバイ!!」ダッ 京太郎「ちょっと!お姉さん!?おーーーーーーーーーーーい!!」 照「~~~~~~~~っ!!」タッタッタッタ 京太郎「…」 照は逃げた その金髪の少年との会話を打ち切って、逃げてしまった 照「何故そうしちゃったんだろうね」 淡「…」 照「彼が、会って間もない自分の問題に、深くまで踏み込もうとした気配を察したからかな」 照「正直に話しても、どうせいじめられっ子な自分を馬鹿にされるのがオチだと思ったのかも?」 照「ううん。違う。きっと、幻想を抱きたかったから」 照「この世には、私の悩みなんて何の問題でもない風に振る舞って、どんな困難からでもあっさりと私を救ってくれるヒーローが存在するんだって、そんな都合の良い幻想を信じていたかったんだ」 照「いじめから守ってくれて、孤独から救ってくれて、友達を作ってくれて、一緒に笑い合ってくれる。そんなヒーローが居ると信じていたかった」 照「私さえ拒絶しなかったら、そんな救いは有るんだって、私にも『京ちゃん』が出来る可能性はあったんだって、未だに信じていられるからって」 照「今思えば、結局彼の事を信じていなかったんだろうなって思う。どうせ気まぐれで私を助けてくれただけなんだって…その時は、まだ」 照「けど、私はその瞬間、同時に浮かれてもいたんだ。まるで全ての悪い事が、この瞬間に解決されたんだって勘違いしたってくらいに」 照「家に帰った時、私は満面の笑顔だったらしい。妹が、お姉ちゃん、どうしたの?って聞いてきてさ」 照「クスクス笑う妹を不思議に思った私が逆に尋ねたら、お姉ちゃんなんだか嬉しそう!…って、あの子まで嬉しそうに笑ってて」 照「笑顔の理由は教えてあげなかったけどね。まだこの記憶を独り占めしていたかったんだ。思えばこれがまたややこしい事になった原因かもしれないんだけど」 照「…けど、その日は。その日だけは本当に嬉しくて、久しぶりに二人で笑い転げまわったよ」 照「…本当に楽しかった」 照「しかも次の日、珍しい事にいじめっ子達は私を無視したんだ。…そうだな。訂正しよう。私と咲が楽しく過ごせた期間は、もう少し長かった。数日ほどかな。相変わらず友達は居なかったけどね」 照「そうだ。数日ほどいじめは無かった。私はホッとしたよ。あれがきっかけで、遂にいじめが無くなったんじゃないかと」 照「…けど、そうじゃなかった。いじめが再開したのは、彼に出会ってから4日後の事だ」 照「どうやら、いじめっ子達は彼が私の味方であるのかを探っていたらしい。行きがかりに助けられただけの関係だというなら怖くないとばかりに、数日間の分を取り戻すようにいじめられたよ」 照「この頃から、痣になる暴力が増えだした」 照「私は耐えたよ。もしかしたらあの時彼と話をしていたらいじめから開放されたんじゃないかって、何度も自分を呪った。けど、その度に自分に言い聞かせた」 照「いじめっ子達の彼氏が本当にカラーギャングなら、彼を巻き込むわけにはいかなかっただろ?って。私がいじめられて済むなら、それで良かっただろ?って」 照「ふふ。自分を誤魔化す言い訳ばかり上手くなっていたよ」 淡「…」 菫「…」 照「…そして、それから更に事が起こったのは、数日後の放課後だ。私は一時期のように授業が終わると同時に教室から一目散に逃げ出すのが日課だった」 照「この頃のアイツらは蛇みたいだったよ。今までは学校の外まで逃げ切れば私の勝ちだったけど、学校の外まで追いかけてくるようになったんだ」 照「勝率は…5分5分ってところかな。アイツらは明らかに楽しんでいた。鬼ごっこのつもりだったんじゃないかな。捕まったら適当な所に引き釣りこまれてボッコボコ」 照「この日は駅までの途中で捕まって、前回の時の公園に引きずり込まれたんだ」 照「…殴られながら彼がまた助けに来てくれないかって、うっすら思ったけどね。そうそう都合は良くなかったよ」 照「随分盛り上がっちゃったらしくて、ボロ雑巾みたいにされて。アイツらの気が済んで立ち去った後、私はもう立ち上がる気力も無かった」 照「このまま夜までここで寝てたら、危険だってのは気付いてたんだけどね。もうどうにでもなれって思って、そのまま意識を落としちゃった」 照「…目を覚ました時、私は真っ暗な公園のベンチで横になっていた。傍にはあの時の少年が座ってた。…その時の気持ちは…なんていうか、言葉では言い表せない感じだったな」 照「…複雑だったけど、いじめっ子達に対する感謝の言葉すら、脳裏を過ぎったよ」 全身に鈍い痛みを感じ、照は意識を覚醒させる。傍に誰かの気配を感じるが、嫌な感じはしない。むしろ、優しい気配に守られているようで、安心する 照「…ん」 京太郎「…あ」 照「いたた…あ、あれ?私…」 辺りを見回すと、ここはさっきの公園のようだ。但し、自分がいじめられていた場所とは少し離れている 横になっているのに視線が高い事と、背中の硬い感触で、自分がベンチの上で横になっていることに気付いた 京太郎「お姉さん、大丈夫?」 照「君は…」 隣の気配の正体にも気付く。…この間の彼だ。ゆっくりと身を起こし、彼の顔を見る。今にも泣きそうな、心配そうな顔だ 京太郎「そうですよ。この間の奴です。お姉さん、またアイツらにやられたんですか?」 照「ぐ…」ズキッ そうだった。私はまたアイツらにやられたんだ。さっきまでの殴る蹴るの暴行を思い出し、身体が痛みを思い出す その様子に、心配そうだった彼の表情が険しさを増す。怒気を孕んだ彼の形相に、思わず照の身が縮こまる 京太郎「ひっでぇ怪我だ…。この間の比じゃねぇ。幾らなんでもやり過ぎだろうが…!!」 照「…」 京太郎「なあ、今までずっとこんないじめされてたのか!?」 照「…うん」 京太郎「なんで黙ってるんだよ!」 照「…」 京太郎「先生だったり!友達だったり!相談してみろよ!!」 照「…嫌だ」 京太郎「はぁああ!?」 照「…みんな、信用出来ないもの」 京太郎「何ふざけたこと言ってんだよ」 京太郎「黙ってたらやられっぱないに決まってるだろうが!!なんで誰にも頼らないでほっといてんだよ!こんなボロボロにされといて、いい加減洒落で済まねーだろうが!!」 照「嫌だ…!いじめっ子も嫌いだけど、あんな奴らも信用出来ない!!」 京太郎「どうしてだよ!!」 照「どうしてもだよ!!!」 京太郎「…」 彼の激しい口調には情緒不安定になった照の神経を逆なでし、応える照の口調も荒くなる。溜まりに溜まったイライラが、遂に発散場所を求めて噴出する かつての友達連中にも、先生にもぶつけられなかった怒り。いじめっ子には怖くて口をつむぎ、不仲の両親には遠慮して、咲には隠すしかなかった泣き言を、行きずりの少年にぶつける …自分でもわかっていた。これはただの八つ当たりだ。彼は何も悪くないのに。むしろ助けてくれた側なのに。手を差し伸べようとすらしてくれたのに 照「今まで、何回だって相談した!妹の時に何度もしたよ!!けど、先生たちはずっと黙ったまんまだった!助けてくれなかった!!」 照「私の友達だってそう!今までずっと仲良くしてたのに、私がいじめられてるの知ってて、それでも黙ったまんま!いじめられてるの見ても、見て見ぬ振り!!」 照「そんな人達の事、どうやって信じればいいの!?」 京太郎「…」 照「逃げても逃げても追ってくるいじめっ子達、それを見て目を逸らす友達だった人!先生達は妹がいじめられてた時、私が掛けあってもなんにもしてくれなかった!」 照「どうせみんな私達の事なんてどうでもいいんだ!自分の事が可愛くて、怖い人には逆らえなくて、面倒な事には関わりたくない!人間なんてそんなもんなんだ!他人なんて信じられるもんか!」 照「君だってあの時、最初からアイツらがカラーギャングの関係者だって知ってたら、助けてくれた!?」 照「本当は女の子ばっかりだったから、自分でもなんとかなるって、そんな程度の軽い気持ちで助けただけじゃないの!?」 照「さっき、今までの比じゃない怪我って言ったよね!?そうだよ!君がつまんない正義感で下手に手助けしてくれたばっかりに!こんなにもいじめがエスカレートしたんだよ!?」 照「君のせいだ!!君のせいで私はこんなにいじめられてるんだ!!」 照「どうせ下手に希望を抱かせるくらいなら、気まぐれに助けないでくれれば良かったよ!中途半端に助けないでよ!!いい迷惑だよっ!!」 京太郎「…」 照「…はぁ…はぁ…っ!!」 京太郎「…」 照「…なんとか言ってみなよ!」 京太郎「…わかったよ」 照「…?」 京太郎「…アンタ、ガキだな」 照「…ガ、キ…?」 京太郎「うん。ガキ」 照「は?何言ってるの?君。君こそまだ1年生でしょ?私3年生だよ?そっちがガキじゃない。それにチビだし」 京太郎「身長は確かにまだアンタよりは低いけど…っていやいや。何だよその言い草。それにまるで俺が悪いみたいな」 照「だって、本当にあの後いじめが酷くなったし…」 京太郎「それに、この間だってなんか言い訳していきなり逃げたのそっちだ」 照「…うぐ」 京太郎「ありがとうも言わないで、さ。助けてもらってアレはないだろ」 照「…」 京太郎「ガキー」 照「うるさいチビ」 京太郎「…恩知らず」 照「恩着せがましいよ」 京太郎「ひねくれ者」 照「マセガキ」 京太郎「…はぁ」 照「…」 京太郎「…あ゙ーーーーー…」 照「…」 京太郎「…アンタ、名前は?」 照「…」 京太郎「…おーなーまーえー。なんて言うんですかー」 照「…先にそっちが名乗るのが礼儀だよ。子供はそんな事もわからないの?」 京太郎「子供だからわかりませーん。それに、子供だからいーやーでーすー」 照「…」 京太郎「…」 照「じゃあ私も名乗らない」プイッ 京太郎「あ、そ」プイッ 照「…」 京太郎「…」 照「…」 京太郎「…」 照「…照だよ」ボソッ 京太郎「…ん?」 照「…なんでもない」 京太郎「あっそ」 照「ん」 京太郎「…」 照「…」 京太郎「…」 照「…」 京太郎「…そっか」 照「ん?」 京太郎「照って名前なのか」 照「…っ!」 京太郎「なるほどねー。照ってのかー。ふーん。で、名字は?」 照「て、『照』!?」 京太郎「ん?どうした?照」 照「こ、コラ!君!」 京太郎「んー?」 照「な、なに!?その呼び方!」 京太郎「ん?何って、何が?」 照「わ、私は年上だよ!?呼び捨てにしないでよ!ちゃんと敬意を払って!」 京太郎「つっても、いじめられっ子相手に敬意払えって言われてもなー」ツーン 照「この…!」イライラ 京太郎「ま、どうしてもって言うなら?わかったよ。それじゃあこう呼ぶことにするわ。てーる『ちゃん』」 照「はぁああああ!?」 京太郎「ん?どうした?照ちゃん」 照「ちゃん!?ちゃんって何!?もうっ!もうっ!もうっ!!」 京太郎「うん。ぴったりだわ。照ちゃんって。ガキっぽいし」 照「むぅうううううううう!!」 京太郎「あはは。むくれてやんの。可愛いぞ?照ちーゃん」 照「か、かわ…」 京太郎「照ちゃん可愛い」 照「あああああああああああああ!」 京太郎「照ちゃん可愛い」 照「こらっ!馬鹿にして!」 京太郎「照ちゃん可愛い」 照「ああっ!こら!こら!こら!!君っ!もう!こらっ!」 京太郎「あはははは。おもしれーなー照ちゃんって」 照「ああもおおおおおおおおお!馬鹿ぁあああああああ!!」 京太郎「で、照ちゃんの名字はなんてーの?」 照「だ、誰が教えるもんか!」 京太郎「あ?なんでだよ照ちゃん」 照「ま、まだ照ちゃんって…!…じゃなくって!君の方こそ名前教えてくれてないじゃない!」 京太郎「だーかーら。名字教えてくれたら俺の方も教えてやるよ照ちゃん」 照「んもー!またぁあああ!」 京太郎「あはははは!」 照「うううう…」 京太郎「…で、名字」 照「…教えません」プイッ 京太郎「えー?なんでだよ」 照「どうしてもです」プイーーッ 京太郎「だったら、俺も名前おしえませーん」 照「…」 京太郎「…」 照「いじわる」 京太郎「いじわるです。ガキなので」 照「…本当にガキだ」 京太郎「名字は?」 照「教えるもんか」 京太郎「ガキー」 照「クソガキ」 京太郎「貧乳」 照「うるさい馬鹿」 京太郎「馬鹿です。ガキなので」 照「…」 照「…じゃあ、君の事なんて呼べばいいの?」 京太郎「んー?そうだなー。それじゃあ、ア・ナ・タ(はーと)とか」 照「発想がおっさん臭いよ」 京太郎「…」 照「…ふんっ」 京太郎「…じゃあ、通称きょ「本名じゃないなら、やっぱり言わないでいい」」 京太郎「…ん?」 照「…君がちゃんとした自分のフルネーム言うまで、『君』って呼ぶから」 京太郎「…」 照「わかった?『君』」 京太郎「…強情すなぁ」 照「そっちこそ。自分の本名言うだけだよ?」 京太郎「照ちゃんが名字言ったら教えるけど」 照「やだ」 京太郎「年上の余裕見せてもいいんじゃない?」 照「年長者に敬意を払ってよ」 京太郎「だかーらー…って…」 照「…?」 京太郎「…照ちゃん」 照「…なに?」 京太郎「…へへ。やっと笑顔になったな」 照「…え?」 京太郎「顔、笑ってる」 照「…」ペタペタ 照「…」 京太郎「…俺さ。照ちゃんよりチビだし、ガキだし、大したこと出来るかはわかんないけどさ」 京太郎「けど、あの時からいじめが酷くなったていうなら、確かに俺にも責任あるだろうしさ」 京太郎「それに折角友達になれたんだし、それなら俺は照ちゃんの事助けたいよ。なんか手を貸せることあったら、なんだって言ってくれよ」 京太郎「…力になりたいんだ」 照「…」 京太郎「…照ちゃん?」 照「…とも…だち…?」 京太郎「ああ。…友達だよな?」 照「友達…」 照「…友達」 照「…友達?」 京太郎「え。もしかして嫌っすか」 照「…」 照「…ううん。嬉しい」 京太郎「…ほっ」 京太郎「それじゃあ、明日っから放課後は一緒に遊ぼうぜ?この公園でさ」 照「え…け、けど、この公園は…」 京太郎「アイツらの溜まり場だってか?だからいいんじゃん。この間は俺にビビって撤退したんだし、俺らがきまぐれで助けた関係じゃなくて仲良しだって知ったら、きっとアイツらも手出さなくなるって」 照「そう…かな」 京太郎「そうそう!」 照「けど…怖いよ?」 京太郎「怖いけど」 照「アイツ等女の子だけど、沢山居るよ?喧嘩になったら君一人で勝てる?」 京太郎「いざとなったら照ちゃん手伝ってよ」 照「えー…」 京太郎「『えー』じゃ無しに!いじめっ子との喧嘩は、相手にめんどくさい奴って思わせたら勝ちなんだから」 照「けど、殴られたら痛いよ?」 京太郎「今と何違うんだよ」 照「…」 京太郎「…」 照「…ああ」ポン 京太郎「…」 照「確かに」 京太郎「…照ちゃんって、見た目と違って天然なんだな」 照「…?」 京太郎「…まあいいや」 照「はあ」 京太郎「あとは、あいつ等のバックにカラーギャング?が居るんだって?」 照「…うん。そいつ等が来たらどうする?」 京太郎「…まあ、そいつ等が来たら任せろよ」 照「…大丈夫?」 京太郎「…ん。まあ、一応考えはある」 照「おおー」 京太郎「…」 照「…ねえ」 京太郎「…ん?」 照「…頼っても、いい?」 京太郎「…」 照「……いい?」 京太郎「ああ。任せろって!」 照「…うん。じゃあ」 照「頼っちゃう」 翌日の放課後、照は必死に走って公園まで辿り着く。そこには、タバコを吸って缶ビールの缶を足元に転がした彼の姿。少し幻滅する それでも兎に角いじめっ子から逃れたい一心で彼に話しかける。居心地の悪い気分でつまらない雑談を続けていると、しばらくして後をつけていた筈のいじめっ子達の気配が消えた 頃合いを見て、京太郎が呟く 京太郎「…連中、行ったっぽい?」 照「…うん」 京太郎「ま、ざっとこんなもんってな」 照「…けど、びっくりした。君、タバコ吸うんだ。それに、お酒も…」 京太郎「ん?あー。これ?ははは。これはさ」 照「…」 京太郎「本当は吸わないんだけど、さ。ダチに貰ってきたんだ。まっずいわコレ。あと、空き缶はそこのゴミ箱から漁ったやつね」 照「…」 京太郎「ふふん。どーよ?対いじめっ子への威嚇用ってやつ?不良っぽさの演出とも言うかな」 照「…ぷっ」 京太郎「ふふ。どうだい?悪っぽいだろう。くくくく…」 照「あはははは!」 京太郎「あははははは!」 照「あはははは!バカみたい!」 京太郎「へ?」 照「だ、だって!不良っぽく見せるための小道具にタバコとお酒って!」 京太郎「あれ…へ、変だった?」 照「変って言うか…発想が子供っぽいよ!」 京太郎「…」 照「あはははは!可愛いなぁ、君は!子供っぽくて!あはははは!」 京太郎「…くすん」 照「あははははははは!」 再びいじめっ子から開放された照。けれど、照は連日、放課後になる度に急いで教室を飛び出す 原因はいじめっ子では無く、友達。クラスに馴染む気はもう無かった。彼女にとって唯一の友達に会うために今日も照は教室を飛び出す。そして益々クラスから浮く けど、どうでも良かった。楽しい日々は続く。胸には、未だに名前を教えてくれない意地悪な少年への確かな友情と、微かな恋心 絶対に私が名字を教える前に、向こうに名乗らせてやる。そんな子供っぽい感情を示す事が出来る相手は、今の照には彼しか居なかった 何をするでもなく、二人公園で会話を続ける日々 いじめの事も、クラスからの孤立も、両親の不仲も忘れて、夕方まで一緒に笑い合う 歯車が狂った事に照は気付かない いつ狂い始めたのかも分からない いや、もうとっくに狂っていたのだろう。ずっとずっと前に けど、それが明らかになったのは、それからしばらくして 季節は巡り、秋 その頃、照は進学する高校に迷っていた 10月27日 京太郎「へっくし!…ふー。寒いなー。今日は」 照「そうだね。もうすっかり秋だ。そしてもうすぐしたら冬」 京太郎「げっ。思い出させるなよ。雪積もったら嫌だなぁ」 照「地面が凍ったら嫌だね。私、毎年転んじゃうんだ」 京太郎「あー。俺も俺も。去年なんて、折角一度も転ばずに雪解け迎えれそうだってのに、何にもないトコで後ろからダチに突き飛ばされて完全試合達成ならずだったんだぜ」 照「ふふ。それは残念」 京太郎「それにしても…冬が終わったら、俺も2年生かー。そして照ちゃんは進学だ」 照「え?」 京太郎「どこに行くの?」 照「そ、それは…」 京太郎「うん」 照「…」 照(…なんて答えよう。未だに迷ってるんだよね。風越女子に進学して麻雀部をやってみたい気もするし、近い清澄でもいいかなと思ってるし…あとは…) 照「えっと…」 京太郎「…もしかしてまだ迷ってる?」 照「…うん」 京太郎「早く決めちゃえよ」 照「わかってるけど…」 京太郎「…照ちゃんが進学したら、流石にもうこうして会うのは難しくなるのかな」 照「…」 京太郎「…それまでに名字教えてくれていいんだぜ?」 照「き、君こそ、随分と強情だな!そろそろ名前教えてよ」 京太郎「えー?だから言ってるだろ?照ちゃんが名字教えてくれたらって」 照「私の台詞だよ!」 京太郎「ちぇー」 照「…もうっ!」 京太郎「…へへ。ま、そうだなぁ。そしたら、照ちゃんの進学校名でもいいかな」 照「…え?」 京太郎「照ちゃんが進む高校決めて、それ教えてくれたら俺の名前教えてあげる」 照「…」 京太郎「もし照ちゃんが遠くの高校に行く事になって何処に進むかわからなかったら、このままじゃ連絡の取りようも無くなっちゃうだろ?」 照「…うん」 京太郎「だから、さ。流石に進学と同時にハイサヨナラじゃ、寂しいしさ」 照「…」 京太郎「…へ、偏差値近かったら、同じ高校目指すかも…」ボソッ 照「…え?」 京太郎「…」プイッ 照「ねえ、君、今なんて…」 京太郎「な、なんでもねー!」 照「…そっか」 京太郎「そ、そう!」 照「…じゃあ、さ。受験受かったら教えてあげるよ」 京太郎「っ!」 照「けど、受かってからだからね。言っておいてそこ落ちたら格好わるいし」 京太郎「わ、分かった!絶対だぞ!」 照「…うん」 京太郎「頑張れよ!応援してるからな、照ちゃん!」 照「うん。ありがとう。それじゃあ、今日はちょっと大事な用事有るから、私はもう帰るね」 京太郎「あ…そういえば今日はなんかあるって言ってたっけ。駅まで送ってこうか?」 照「大丈夫だよ。最近はいじめっ子達も大人しいし」 京太郎「…本当に?」 照「うん。ありがとう。それに、買い物もしたいし」 京太郎「んー。まあ、照ちゃんがそう言うなら…」 照「それじゃあ、私は帰るね。バイバイ」 京太郎「ん。じゃーなー」 照「…さて、と」 照「…」 照「…あは」 照「…偏差値が近かったら、私と同じ高校を目指すかもっ…か。あはは」 照「…うん。決めた」 照「進学校は、清澄にしよう」 照「風越と違って共学だし、近いし、学力はそこそこ。麻雀部は無いけれど、そんなのどうだっていい」 照「2年したら、もしかしたら、あの子と一緒の高校に通えるんだ」 照「こんなに楽しみな事は無いよ」 照「ああ、楽しみだな。あの子と同じ校舎に通えるんだよ?あの子の先輩になれるんだよ?」 照「素敵だな…とても素敵だ」 照「…おっといけない。早くお店に予約していた玩具を取りに行かないと」 照「今日は咲の誕生日だもんね」 照「最近あんまり元気が無かったよな。最近あんまり話を聞いてあげてなかったけど、京ちゃんと喧嘩でもしたのかな?」 照「最近は私も放課後帰るのが遅くて、いっぱい構ってあげられてないから。今日こそは盛大に祝ってあげなくちゃ…」 照「早く玩具を受け取って、急いで帰って、パーティーの準備を手伝わなきゃ」 照「今日は早めに帰ってくるように伝えておいてあるし、急いで準備しなきゃ」 照「ふふふふふ…」 京太郎「…行っちゃった、か」 京太郎「…はぁ。俺ってば情けない」 京太郎「さっさと名前くらい教えればいいのに」 京太郎「そしたら照ちゃんももっと打ち解けて心許してくれるだろうになぁ…」 京太郎「そ、そんでもって…こ、告白も…」 京太郎「…しっかし、今更切欠も無しにこっちから名前告げるのもアレだったてのはわかるけど、なんだよ進学校決まったら教えるって」 京太郎「つまりそれまで名前伝えれないって事じゃん」 京太郎「名前も知られてないのに告るわけにいかないし…」 京太郎「…先延ばしかよカッコ悪い。臆病もんだわ俺…はぁ」 京太郎「…帰ろう」 京太郎「おお、そういえば、こんな早くに帰るの久しぶりかも。最近は放課後照ちゃんとダベってばっかだったしなー」 京太郎「…ダチとの付き合いも蔑ろにしちゃいかんよな。うん。アイツら、俺が年上の女の人と会ってるって知ってから俺に冷たいんだよなー」 京太郎「…しゃーない。咲に説得と橋渡し頼むか。アイツら、咲の言う事はちゃんと聞くし」 京太郎「…そう言えば、咲とも最近、放課後遊んで無かったなー」 京太郎「…って」 京太郎「…」 京太郎「…」 京太郎「…コンニチワ」 「コンニチワ」 「おい、なんだ?このガキ。お前、知ってんのか?」 「結構前に話した事あったんだけど、覚えてない?私らのイジメ対象庇った生意気なガキの話」 「ああ。コイツが」 「もーアイツなんかどーでも良かったんだけどさ。偶然会っちゃったんなら仕方ないよね」 「なになに?どうすんの?コイツ」 「折角だしやっちゃってよ。喧嘩、得意なんでしょ?」 「一捻りだな」 「そういえば、佐藤さんの件、嘘だったんでしょ?ムカつくし、またいじめ再開しようかな」 京太郎「あ、ヤバいこれ…」 京太郎「…」 京太郎(…はぁ。仕方ない。奥の手、使いますか) 京太郎(これだけは使いたくなかったんだけどなー…) 咲「…」テクテク 咲「…今日は誕生日、か」 咲「…はぁ」 咲「結局、京ちゃんは今日も放課後すぐにどっかに行っちゃった」 咲「ここしばらく、ずっとだよ。確かに友達は他にもいっぱい出来たけど…私は、京ちゃんと1番遊びたい…」 咲「…寂しいなぁ。誕生日だっていうのに、寂しいよ…」 咲「…京ちゃん」 咲「…」 咲「…ん?なんだろう、救急車…?」 咲「公園のほうだ。何かあったのかな?ちょっと見に行ってみよう」 宮永家 照「…咲、遅いな。まったく。どこほっつき歩いてるんだか」 照「…でもまあ、昔は考えられなかったことだよね。友達と放課後遊ぶようになったって事だし、京ちゃんには、感謝しなきゃだ」 照「でも、今日くらいは早く帰ってきて欲しいだけどな。咲の誕生日だし」 照「…あ。でも、もしかしたら京ちゃんにお祝いしてもらってるのかも?それなら遅くなるのもしかたないのかも」 ジリリリリ 照「…ん?電話だ」 照「はい、宮永ですが」 照「ああ、咲か。どうしたの?え?今病院?」 照「ちょっと、落ち着いて話して。何があったの?うん、うん」 照「え?京ちゃんが喧嘩で怪我した?」 照「…だから落ち着いて、咲。大丈夫。大丈夫だから。うん。今お姉ちゃんも行くね。うん。それじゃあ待ってて。すぐ行くから。うん」 照「大丈夫だよ、咲。泣かないで。お姉ちゃんがついてるから」 照「うん。うん。それじゃあ、今から行くから、待ってて」 照「…」プツッ 照「…」 照「…咲、待っててね。すぐ行くからっ!」 病室 咲「ヒック!…ヒッ!ヒック!!」 京太郎「…」 咲「うえええ…えええええ…えええええ…」 京太郎「…」 咲「京ちゃん…京ちゃん…京ちゃああああん…うえええええええ…」 京太郎「…ん」 咲「!!」 京太郎「…あれ、俺…」パチッ 咲「京ちゃん!!」 京太郎「…あ?…ここ…どこ…」 咲「京ちゃん!ここ、病院だよ!京ちゃん、悪い人に殴られて…」 京太郎「あー…頭痛てえ…くっそ」ボー… 咲「京ちゃん!京ちゃん!!」 京太郎「…あれ。照ちゃん」 咲「…」 咲「…え?」 京太郎「…?なんで俺の名前…?言ったっけか?」 咲「え?」 京太郎「…あはは。そんな泣くなよ照ちゃん。ひっで~顔してるぜ…いたたた」 咲「…京…ちゃん?」 京太郎「悪い、嘘。まだ目がまともに動いてないわ。頭打ったからかな。グラグラしてるんだ。気持ち悪い」 咲「京ちゃん…」 京太郎「ぐう…悪い、ちょっと目閉じるな。本格的に気持ち悪い。ああ、そうです。俺、京ちゃん…ははは。なんだか、アイツに言われてるみたいで変な感じだなぁ」 咲「ねえ…京ちゃん?何のこと?それに照ちゃんって…」 京太郎「…ほら、前にも話した事あんじゃん。俺の幼馴染の子でさ。ドン臭い奴がいるんだーって。宮永咲って言うんだけど、照ちゃんにそっくりでさ」 京太郎「…初めて会った時も、最初一瞬アイツがいじめられてるのかって思っちまったくらいなんだぜ。まあ、アイツはチンチクリンだけど。…はは。これナイショな」 咲「…京ちゃん」 京太郎「…ああ、ごめんごめん。会った事も無い奴の事言われてもどうしようもねーよな」 咲「…」 京太郎「あ~…しっかし、どっかのタイミングで名前言っちゃったっけなー。くっそぉ。ごめんなさい。覚えてねーや…」 咲「…」 京太郎「くっそ。畜生。格好悪いなぁ。なんかモヤモヤするし、改めて自己紹介させてくれないか?照ちゃん」 京太郎「…俺、須賀京太郎って言います…ヨロ…シ…ク…」 咲「…」 京太郎「……ごめん。ちょっと眠いから、寝るわ」 咲「…」 京太郎「…すう…すう…」 咲「…」 咲「…」 咲「…」 咲「…」 咲「…」 咲「…」 ガチャッ 照「…咲?病院の人にこの部屋だって聞いたんだけど…」 照「…って」 照「この子は…!!」 咲「…」 照「…咲?」 咲「…やっぱり」 咲「…知ってるんだ」 照「…咲」 咲「…ねえ、お姉ちゃん。お姉ちゃん、この子の事、知ってるんだ」 照「…」 咲「ねえ、お姉ちゃん。答えてよ。知ってるんでしょう?」 照「…」 咲「当然だよね。だって、さっきこの子、私の顔見て、『照ちゃん』って言ってたもん」 照「…っ!」 咲「ねえ、お姉ちゃん。ねえ。ねえ、答えてよ。なんでさっきから黙ってるの?ねえ」 咲「ねえ、知ってるんでしょう?お姉ちゃん、『京ちゃん』の事」 照「…この子が」 照「…『京ちゃん』だったのか」 咲「っ!!ふざけないでよ!!!」 照「咲」 咲「なにそれ!?なんなのそれ!!?ふざけてるの!?馬鹿にしてるの!!?ねえ!!」 照「咲、落ち着いて」 咲「落ち着け!?落ち着けって何さ!!この状況でどうして落ち着いていられるの!!!」 照「咲、京ちゃんが起きちゃう」 咲「うるさいっっっっ!!!!!」 照「…」 咲「ねえお姉ちゃん!お姉ちゃん!!なんで私がこんなに怒ってると思う!?ねえ!?お姉ちゃん!!」 照「…」 咲「お姉ちゃんが私にナイショで京ちゃんに会ってたからだと思う!?最近お姉ちゃんが私にあまり構ってくれてなくなってた原因がそれだったからだと思う!?京ちゃんと知り合ってたのを私に黙ってたからだと思う!?」 咲「違うよ!!全部違う!!そんな事よりも、もっと酷いよ!!そんな事全部どうだって良くなるくらい酷い!!!」 咲「京ちゃんがなんで怪我したと思う!?私聞いちゃったよ!最初に救急車を呼んでくれた人が、一部始終見てたって!!」 咲「京ちゃん、不良の人に散々に暴行受けてたって!!殴られながら、蹴られながら!!必死に土下座してたって!!なんでだと思う!?原因はお姉ちゃんだよ!!」 咲「お姉ちゃん、前にいじめてた人の彼氏がカラーギャングだって、話してくれたことあったよね!?その人だよ!!きっとその人に、復讐されたんだ!!」 咲「京ちゃん、言ってたらしいよ!!いくら殴ってくれてもいいから、これで手打ちにしてくれって!!この通りです、この通りですって!!頭地面に叩きつけながら必死に叫んでたって!!!」 咲「何もかも全部お姉ちゃんのせいじゃない!!!」 照「そ…そんな…」 咲「お姉ちゃんのせいだよ!!!お姉ちゃんのせいで京ちゃんがこんな目に合ったんだ!!!」 咲「いじめられてるからって!!京ちゃんに助けを求めたから!!!」 咲「お姉ちゃんなんかが…お姉ちゃんなんかが京ちゃんに近づくからいけなかったんだ!!!」 照「…」 咲「出てって!!!」 照「……さい」 咲「出てってよ!!!」 照「……さ…」 咲「今すぐここから出てけ!!!!」 照「五月蝿い!!!!!」 パンッ 咲「……」 照「さっきから黙ってたら…なにさ…!!」 照「咲は、私の気持ちなんか知らないんだ」 咲「…」 照「すぐに京ちゃんに会えて、仲良くなって。すぐにいじめも無くなって。友達だって出来て、学校で嫌なこと有ったって帰ったら私に泣きつけばいいんだ」 咲「…」 照「咲ばっかりズルい!私には京ちゃんと一緒に居る権利すら無いって言うの!?一生いじめられてろっていうの!!?そんなの不公平だ!!!」 咲「っ!!よく言うよ!私にずっと黙って京ちゃんと密会してたくせに!しかも自分の素性も隠して!?私の姉だって事も説明しなかったの!?」 照「だから、私はこの子のことを京ちゃんだって知らなかった!!」 咲「信じられるわけ無いじゃない!!!」 照「っ!!」 咲「ねえ…」 咲「…それとも、私のお姉ちゃんだって、知られるのが嫌だったの…?」 照「…」 照「…ああ。そうだよ」 咲「…」 照「お前なんかの姉じゃなければ良かった…」 照「お前なんか、妹じゃない!!!」 咲「~~~~~っ!!!」 咲「っ!!帰る!!!」ダッ 照「あ…」 バタンッ!!! 照「…」 照「…あ」 照「…ああ」 照「…ああああ」 照「ああああああああ!!」 照「うわあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 数時間後 照は、まだ病室に居た 先ほどの姉妹喧嘩の騒ぎを聞きつけて遅れ馳せながらにやってきた看護婦に叱られて、追い打ちのように意気を消沈させた照は、項垂れたまま備え付けの椅子に座り続ける 途中、京太郎の両親がやってきた。眠っている息子の顔を見て、ほっと一息吐く彼の両親に、申し訳ない気持ちでいっぱいになり、涙が零れた 挨拶もそこそこに、医者と話をしに行くので出来れば様子を見ていて欲しいと頼まれた照は、また所在無さげに椅子の上で京太郎の顔を見る 布団の上からでもわかるのは、包帯でぐるぐる巻きにした額だけだ 他にどんな怪我があるのだろう、後遺症は残らないだろうか、と心配でまた涙が溢れる 両親が戻って来た 肋が数本折れていたらしい。他にも打撲、内出血などは無数にあるが、後遺症になりそうな怪我は無し。ただし何週間かは入院することになるらしい 説明を受けて、次に照が咲から聞いた事情を話した。彼らは黙って聞いていた。途中何度も嗚咽が止まらなくなり、辿々しくもなんとか説明を終えた頃、今度は京太郎が目を覚ました 京太郎本人から、照の話とは全く違う、彼が絡まれた喧嘩に乗ったという話を聞いた彼の家族は、子供達に何も言及する事無く、今は入院に必要な道具を取りに家に戻っている 照は、動けない 固まったまま椅子に座り、じっと俯いたまま、何も話せない 照は泣いていた 声もなく、泣いていた しばしの逡巡の後、京太郎は意を決したように、照に話しかける 京太郎「…なあ、照ちゃん」 照「…」 京太郎「…照ちゃん」 照「…」 京太郎「…泣かないで。照ちゃん」 照「…無理、だよ…」 京太郎「…」 照「…全部、聞いたよ。なんで、逃げなかったの?なんで、そこまでしてくれたの?なんで、お父さんたちに、嘘の原因、教えたの?」 照「…なんで。なんで、なんで私を助けてくれるの?そこまでして」 照「なんで私なんかのために。なんで私なんかのために。なんで、どうして…」 照「なんで…なんで…なんで…?なんで?なんでそんなに優しいの?」 京太郎「…俺もさ。実は、昔いじめられっ子だったんだ」 照「…え」 京太郎「…ずっと前な。小学校低学年とかそんくらい。ちょっと体弱くってさ。まあ、照ちゃんみたいにひでーもんじゃなかったけどね」 照「…」 京太郎「…で、その後急に身体丈夫になって。割とヤンチャな友達も増えて…はは。その後、どうなったと思う?」 照「…わかんない」 京太郎「…いじめっ子になった」 照「…」 京太郎「…嘘だと思う?」 照「…」 京太郎「そう。マジ話ね、これ。…話すの、照ちゃんが初めてなんだぜ?」 照「…そう」 京太郎「何考えてたんだかね。あの頃は」 照「…」 京太郎「…ああ。本当、何考えてるんだかなぁ俺。こんな話して、照ちゃんに嫌われそうだって思っちゃった。当たり前だ。いじめから助けてようとした友達は、実はいじめっ子でしたってか。ああ、俺の馬鹿」 照「…」 京太郎「…ごめんな。けど、なんかどうしても話したくなっちまって」 照「…」 京太郎「…懺悔でもしてるつもりなのか俺は」 京太郎「…ああ。本当、馬鹿…」 京太郎「…馬鹿…馬鹿…馬鹿野郎…」 照「…本当だよ」 京太郎「…だよなー…」 照「うん」 京太郎「…」 照「…そんなので、私は『京ちゃん』を嫌いにならないよ」 京太郎「…」 照「…そりゃあ、びっくりしたけどね」 京太郎「…」 京太郎「…いじめられて、いじめて、いじめて、いじめて…で、ある日いきなり気付いたんだよな。『あ、俺コイツの事別にいじめたくていじめてるわけじゃねーわ』って」 京太郎「…ノリでやってたんだよ。いじめられてる間は一体どんな深い理由があって!とか、色々原因考えたりもしたけど、やる立場になって分かった。…いや、全員が全員ってわけじゃないのかもしれないけど、さ」 京太郎「…気付いて、駄目になった。もうそいつの事いじめられなくなった」 京太郎「同時に、今までいじめてきた奴らの事を振り返って怖くなった。俺はコイツらに一体どれだけの嫌な想いをさせて来たんだろうって」 京太郎「…その後は、いじめは止めろ!!って立ち上がれれば最善だったんだろうけどな。すぐには無理。いじめるふりして庇うとか、蹴散らすふりして本当にいじめられるの回避させる、とかその程度しか出来なかった」 京太郎「…ダチもみんな俺と大して変わんなかったよ。中学上がって、ちょっと大人になったら、いじめグループは自然消滅。リア充グループもどきの誕生だ」 京太郎「…糞だったよ。いじめ過ぎて壊れそうになって、転校しちまった子も居た」 京太郎「…本当、いじめ、格好悪い、だ」 照「…それで、助けてくれたの?」 京太郎「…」 照「…今までいじめてた人達の分、いじめを無くそうって。いじめられっ子を助けようって」 京太郎「…どうなんだろうね。それでも結局、俺は今までいじめてきた奴らにとっては、ずっといじめっ子だ」 照「…」 京太郎「許してくれなんていえねーよ。俺だって昔俺をいじめてた奴らは、未だに許せない」 照「…」 京太郎「自分勝手だろ?」 照「…」 京太郎「…幻滅した?」 照「…それでも」 照「…私にとって、京ちゃんは、ヒーローだった」 京太郎「…」 照「…私が会った京ちゃんは、いじめられっ子でもいじめっ子でも無くて、私を助けてくれるヒーローだったから」 京太郎「…」 照「だから、もし京ちゃんが今までの事を悪かったと思って、私の私を助けてくれた事を誇りに思えるのなら」 照「…京ちゃんは、今までにいじめて来た子達に恨まれながら、私みたいに困ってる人達を助けていけばいいんじゃないかな」 京太郎「…」 照「そうしてる内に、もしかしたら、君にいじめられて来た子達の中でも、今の君を知って許してくれる、なんて事があるかもしれない」 京太郎「…俺」 照「…期待しちゃ駄目だよ。私はあのいじめっ子達が今後改心したって、簡単に許してあげれる自信は無いから」 京太郎「…ああ」 照「…でも、君が望むなら」 照「私は、君と一緒に、その子達に謝ってあげる」 京太郎「…照…ちゃん…」 照「…薬、効いてきたのかな?眠そうだよ」 京太郎「…る…ちゃ…」 照「今日はもう、おやすみ。…また来るから」 京太郎「まっ……て…俺…たえ…い…と……」 照「…ばいばい」 京太郎「…る…ゃ…」 バタン
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これが――最後かもしれないだろ? 咲「京、ちゃん……」 だから、俺は 衣「ダメだキョウタロー……」グググ 何度でも 照「京ちゃん……を、まも、る」フラフラ 幾度でも 淡「いやぁぁぁぁあっ!」 君に―― 小蒔「京太郎さぁぁぁぁぁんっ!!」 さよならを言う練習をする はやり「あはっ★」 京太郎「……ごめんな」 ( ̄ \ /. . . . . . . . . . . . . . . . .\ ___ ☆ __≧ /. . /. . . . . . . . . . . . . \ . . / ノ /> . . (___(__) . / . . /| . . . . . . . . . . . . . .(__) _) .\. /. . . . . | |. . ′. ' | . . . . . . . . . .|. . .\人 . . . . . \ / . . . . . . ./|__|. . .| . ./| 八 {\ . . . . . . . |. .| . . .| ヽ . . . . .. \. / . . . . . . ./ | |. . . Ⅳ__|_ \ ≧ . ト、 | . | . . .| ‘,. . . . \ / . . . . . . ./ _| |. . . .; /rしハ rしハ| | . . .| . . . . . | . . . . . ./ .///|. . .{ i弋う' 弋う' 小 |}. . .| ' . . . . || . . . . ./ .' |ノ . . 圦 " ' "/ j /. . . .| |. . . . . 人 . . . .‘ 爪 V. . 个.. V ノ イ. . . . . . . . | |. . . . . / ∧_ ヽ. . .' 〔 { \ /7¨ヽ . . ≧-≦- 、 . . ./ ̄ ̄ >-、 . . . / < ) ; j }__ ヽ // /\ / /⌒ヽ|/ _ ノ . . / |/ ̄ / ノ { \(__./ 、l八 ノ / ヽ | (/ { {__ ノ > 、 /―― 、 | |\\ 从_ {_/ }\ ` ̄\ |_/. \ j_ / . / \ } }!/ ーイ ` / . / ` .. // | ∧ . . .| .. .....′ |. . .7´ }. . ハ | _/ '.__ .. 八 ... ... 从/ . / ノ 、 / はやり「もう逃がさないぞっ♪」 オギャー オギャー それは――絶望の産声
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941 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/10/19(金) 22 40 03.66 ID zkA90vmTo 【アパート】 京太郎「どうぞ、汚い部屋ですけど」 京太郎「あ、頭気をつけてくださいね」 豊音「うん、だいじょうぶd――」ガンッ! 豊音「い、いたいよー」ウルウル 京太郎「だ、大丈夫ですか!?」 京太郎(ちょっとしゃがんだくらいじゃ足りなかったか……) 944 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/10/19(金) 22 49 23.41 ID zkA90vmTo 京太郎「ちょっとコブ出来てますね。冷却ジェルシート張っておきましょう」 豊音「ご、ごめんねー。来ていきなりこんな事させちゃって……」ショボーン 京太郎「いや俺ももっと強く注意しておけば良かったです」 豊音「普段はね、間隔がわかるからこんな事は無いんだけど、初めて行った場所とかは結構やっちゃうんだよ……」 京太郎「……大丈夫ですか?」 豊音「うん。もう慣れちゃったから大丈夫だよー」 京太郎「いや慣れても頭への衝撃はよろしくないんじゃないかと……」 948 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/10/19(金) 23 06 55.80 ID zkA90vmTo 京太郎「あ、お茶入れますね」 豊音「お構いなくだよー」 京太郎「まぁ何も無いですけど、お客さんにお茶ぐらいは出さないと」 京太郎「はい、どうz――」ツルッ 京太郎(ちょっと待って俺!この感覚今週2回目ー!) 953 コンマ判定(今回からラッキースケベイベントにボーナスはなし) 01~10 姉帯さんにかけてしまう 12~90 京太郎は華麗に後方かかえ込み2回宙返り1回ひねりで回避する 91~98 優しい姉帯さんが抱きとめてくれる ぞろ目44以外 二人ともずぶぬれ 961 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/10/19(金) 23 18 59.45 ID zkA90vmTo 京太郎は華麗に後方かかえ込み2回宙返り1回ひねりで回避する 京太郎(だが2回目だし、いける!) 京太郎(おりゃぁぁぁぁぁぁ!!) クルクルク シュタッ 10.0 10.0 10.0 京太郎「ふぅ……」 豊音「わーちょー凄いよー!!」パチパチパチ 965 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/10/19(金) 23 28 06.90 ID zkA90vmTo 京太郎「大丈夫でしたか?」 豊音「私は大丈夫だよー」 豊音「でも凄いねー。あれ後方かかえ込み2回宙返り1回ひねりだよね」 豊音「須賀君って体操もやってるの?」 京太郎「いえ特には……」 豊音「じゃあ何もしてなくて出来たの?ちょー凄いよー!」キラキラ 京太郎「鍛えてますから」シュッ 978 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/10/19(金) 23 48 21.65 ID zkA90vmTo 京太郎「それじゃあ約束のサイン、これ」 豊音「本当に良いのー!?」 京太郎「男に二言は有りませんから」 豊音「じゃ、じゃあ本当に貰っちゃうよ?」 京太郎「ええどうぞ」 豊音「本当に本当にだよ?」 京太郎「どうぞどうぞ」 豊音「……」 京太郎「……姉帯さん?」 豊音「ありがとうだよー!!」ガバッ 京太郎「うぐぅ!?」 京太郎(や、柔らかいものが顔に顔に!) 豊音「絶対絶対大事にするからね」ギューッ 京太郎(だけど苦しい、姉帯さん力入れすぎですって!) 豊音「毎日飾って拝んで、須賀君にも毎日感謝して――」 京太郎(あ、やべ。意識が……) 豊音「って須賀君、須賀君!?」 京太郎(……)チーン 21 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/10/20(土) 00 40 50.10 ID XpmUNzvko 豊音「ご、ごめんねー。嬉しすぎてつい力が入っちゃった」アセアセ 京太郎「い、いやこちらこそ、良い思いをさせて頂いたようなそうでないような……」 豊音「?」 豊音「そうだ、お礼をしなくちゃ駄目だね」 京太郎「いや、これはそもそもお詫びの印なのでお礼とか良いですって」 豊音「でも流石にただで貰うのは悪いし……」 豊音「私に出来る事があったら何でもするよー」 京太郎「……だったら携帯番号交換しません?」 豊音「え?」 京太郎「そう言えば何回か会ってるのにしてなかったなーと思い出したんで」 25 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/10/20(土) 00 50 15.82 ID XpmUNzvko 豊音「良いの?本当に?」 京太郎「ええ。と言っても姉帯さんが良ければですけど」 豊音「もちろんだよー!ちょー嬉しいよー!」ガバッ 京太郎「ちょっと待って!嬉しいですけど、結果は分かってるので!ギブギブ!!」 【姉帯豊音の好感度がぐーんと上がりました】 【姉帯豊音の携帯番号とアドレスをゲットしました】 28 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/10/20(土) 00 55 13.85 ID XpmUNzvko 【アパート】 京太郎「1日で2回昇天するところだったぜ……」 京太郎「恐るべし姉帯さん。いや綺麗だし可愛い人だけどね」 京太郎「さてどうしようか」 33 【電話とメールの違いについて】 メールは3回送る事が出来ますが、基本的には好感度8以上の相手の好感度は上がりません またネト麻や遊びに誘う場合は2回分消費します 電話は好感度8以上の相手の好感度も上がります 1.【ネットショッピング】 2.【ネット麻雀】 3.【メール】【残り3回】 送れる相手は 6参照 更に姉帯豊音 4.【電話】(かける相手も併記) かけれる相手は 6参照 更に姉帯豊音 5.寝る 38 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/10/20(土) 01 03 09.62 ID XpmUNzvko てるてる 豊音 京太郎「そう言えば最近照に会ってないし、メール送ってみるか」 京太郎「本文は…… 43」 内容自由安価(成功すれば好感度+1) 46 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/10/20(土) 01 14 20.89 ID XpmUNzvko 年上っていいよなー ピッ 京太郎「送信っと……」 マッカナチカイー From:宮永照 件名:Re;よう 本文:それってどういういみかな? 京太郎「なんだあいつ、よほど慌てたのか変換してないぞ」 京太郎「どういう意味って言ってもなー」 京太郎「 51だな」 55 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/10/20(土) 01 27 05.66 ID XpmUNzvko 照の年上らしいところがみたいな ピッ 京太郎「こういうことだよっと……」 マッカナチカイー From:宮永照 件名:Re;Re;Re;よう 本文:む。私はちゃんと年上らしい事してるよ 大体京ちゃんが私を年上扱いしないからだよ 京太郎「マジで言ってるんだろうなぁ……」 to:宮永照 件名:Re;Re;Re;Re;よう 本文:あのなぁ。お前が俺にいつ年上らしい事したんだ? 言っておくがお前と会って十数年。そんな事してもらった覚えが無い(キッパリ ピッ マッカナチカイー From:宮永照 件名:Re;Re;Re;Re;Re;よう 本文:じゃ、じゃあどうすれば良いの? 京太郎「人に聞いてる時点で駄目なんだけどな」 京太郎「まぁそれを照に求めるのは酷か」 京太郎「つまり 60だよ」 68 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/10/20(土) 01 37 28.48 ID XpmUNzvko 今度俺の家に来て料理でも作ってくれ ピッ 京太郎「まぁ出来るかどうかは知らないが」 マッカナチカイー From:宮永照 件名:Re;Re;Re;Re;Re;Re;Re;よう 本文:え?え?え?それって京ちゃんの家に行って良いって事? えっと、 71 照の承諾判定(コンマ反転) 00~25 失敗 む、無理だよ。恥ずかしいし…… 26~98 成功 ど、どんとお姉さんに任せなさい! ぞろ目44以外 成功+好感度+1 ぞろ目44 失敗+好感度-1 75 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/10/20(土) 01 43 19.66 ID XpmUNzvko 成功 From:宮永照 件名:Re;Re;Re;Re;Re;Re;Re;よう 本文:え?え?え?それって京ちゃんの家に行って良いって事? えっと、ど、どんとお姉さんに任せなさい! じゃ、じゃあ何時行けば良いかな? 京太郎「不安しか覚えない文章なんだが……」 京太郎「さて何時にするか」 80 28日 日曜 【午前】 なし 【午後】 なし 【夕方】 なし ※ただしバイトあり 29日(休み) 月曜 【午前】 穏乃とデート 【午後】 なし 【夕方】 なし 火曜 【放課後】 なし 水曜 【放課後】 なし 木曜 【放課後】 なし ゴールデンウィーク以降にする 83 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/10/20(土) 01 51 09.86 ID XpmUNzvko 日曜夕方 京太郎「それじゃあ、明日の夕方で頼むと」 マッカナチカイー From:宮永照 件名:Re;Re;Re;Re;Re;Re;Re;Re;Re;よう 本文:わ、分かった。頑張る 京太郎「お前の頑張るほど心配なものは無いんだが……」 京太郎「まぁいいや、次は姉帯さんに送ろう」 京太郎「本文はと 88」 内容自由安価(成功すれば好感度+1) 100 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/10/20(土) 02 09 14.00 ID XpmUNzvko まだまだサイン集めますよー ピッ 京太郎「送信っと……」 マッカナチカイー From:姉帯豊音 件名:Re;こんばんは 本文:あ、あの無理しなくて良いよー。と言うか今日貰ったサインだけでちょー満足だよー 京太郎「と言ってもなぁ。元々照と憩さんのサインを忘れてたお詫びだしな」 京太郎「明日照が来たら書いて貰うか」 to:姉帯豊音 件名:Re;Re;こんばんは 本文:喜んでもらえて何よりです。サインについてはあれはお詫びの品ですし、最初の約束の分だけは必ず渡しますよ それではおやすみなさい ピッ 京太郎「送信っと……」 京太郎「それじゃあ寝るか」 京太郎「……」zzz <<前に戻る|4月へ|次に進む>>
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... ; ..、 ,/; " ;; ト、 ,/レ' ; ;/(i从; ヾ; } /,l /iメ、 __`'ヽ; l i | l゙.|;/|「;j ;=ミヽi ;} / イ | |' |`, .l; j`,レ' / ;j' おかえり♪ `` . 、 _ / / ソ __ ,-─、'/ノ; --,;.し / ;ん (、_ \ ヾYv'~ ̄`(~;ト、)ヾ`iノ .ヽ iタ^} _ヽ__.ソ、 ゙l } ヽ, `i´ ゙^./ ヽ |, / | | i `、 ,." `、 ,ソ ./ \|.} , -ー 、 | ゝ〆 ヽ/ ' 、 ヾ、. / ゙i _,,r/~ハ / _>-‐─ヘノ} | `、 { ,l゙ { ` /|、 ,〆,,rー-─ー-\,,_ i ヽ ヽ /ノ J ,イ′l / / `'~ `ヽ、 l゙ \ /" , / `ー|/, ″ `ゾ ヽ,、 、 ヽ. `ー-、ー</ ゙l ./ ヘ ヽ, .i ヽ | // | ゙、 , _ _ ._ } `、 | ー、,_/ / |\\).ヽ,ヽ,Y j ヽ | / \'_// | ̄`ヽ`~~" \ _{ ./ , `ミゝ、/ |,-ー─\ \,,,; -- '''''" `、/ / / ̄~`/ | `ヽ 京太郎「ただいま…って部長!? なんで俺の部屋に!?」 久「部屋の前で待ってたら大家さんが鍵開けてくれたの。なんか彼女と思われたみたい」 京太郎「あの大家…不用心すぎるだろ」 久「でも、大家さんは鍵開けてくれただけで入って待つと決めたのは私。だから怒るなら私を怒りなさい」 京太郎「…その言い方はずるいですよ。俺が怒れって言われてから怒れるような奴じゃないって分かって言ってるでしょ」 久「で、怒るの?」 京太郎「…もういいです。次から勝手に入らなければそれでいいです」 久「善処します」 京太郎「はぁ…それでなんの用ですか? わざわざ俺が帰ってくるまで待ってたってことは面と向かって話したいことでもあるんですか」 久「ん~、そこまで重要じゃないんだけど」 京太郎「下らない話だったら今度は本気で怒りますよ」 久「子どもができた」 京太郎「…は?」 久「冗談冗談。ところで最近どうなの?麻雀強くなった?」 京太郎「ええ、まあPSPで麻雀格闘クラ」 久「ちょっとお茶くらい入れなさいよ」 京太郎「あ、はい すみません…」 コトコト… 台所でやかんを火にかける京太郎 久「べつに用も無いんだけどなーんか退屈しちゃってね。思いつきで来ちゃった もうちょっとくつろいでいくわ」 京太郎「ええー…」 久「ねえ」 京太郎「はい?」 コトコト 久「あなたって なんで麻雀部なんて入ったの?麻雀得意ってわけでもないし そんなに好きでもないでしょ」 京太郎「え いやいや オレ麻雀好きですよw」 京太郎(言えるわけねー 部長に惚れて入ったなんて) 久「…」 京太郎「…あの お茶入りました」 久「ん 置いといて」 京太郎「あ はい」 久、腹ばいのまま漫画読んでいる 京太郎(…どうしてオレの部屋なんかに来たんだろうか……っつ~気になるわ…でも気まぐれな人だからなー 何考えてんだろ) 久(この漫画クソおもしれーwwwワロタワロタwwww) 京太郎 (仕方ないな 勉強でもするか 試験近いんだよな) 小一時間後 久「あれ、勉強?えらいね」 京太郎「ふあ!? びっくりした…試験前だから、勉強しとかないとヤバいんすよ」 久「ふーん…」 京太郎(うわっ…いいニオイ…ヤバイヤバイwww) 久「ちょっと台所借りるわ」 京太郎「あ はい…」カリカリ 久「がんばってる京太郎くんに何か作ったげるw」ガチャガチャ 京太郎「え?いやそんな悪いっすよ」 久「いいから勉強続けてなさい」ジューパチパチ 京太郎(ちょwwwwwwなんかすげー幸福な展開キターwwwwww) 京太郎「がんばります!」ガリガリ 久楽しげに何やら料理している 水を得た魚のように猛烈に勉学に勤しむ京太郎 久「はい できあがり」 京太郎「おおーなんか家庭の料理って感じの」 少し古風な料理が並べられる 京太郎「うめー 部長料理上手かったんすね これは感動…毎日ろくなもん食ってなかったからなー」モグモグ 久「まあ急に押しかけたお礼だと思って 私もう少し時間つぶしたら帰るわ」 京太郎(部長やさしいわー なんだろう こんな人なら結婚してもいいって思えるよな…) 久「はい お茶」 京太郎「あ、すみません」カチャカチャ 久、京太郎の皿を片づける 京太郎(惚れた人と一緒に過ごせたばかりか、飯まで作ってもらった…オレはこの思い出を一生忘れないだろう) 京太郎(心の中の京太郎メモリーに書き残して置く事にしよう) 久、片付け終わりまた漫画を読んでごろごろしている 京太郎勉強に戻る 京太郎(…方程式x^2+ax+b=0が実数解を持つ(a,b)の範囲をab平面に描け…これは難しいな…) 久「ははは(ヤムチャ弱えーwwwwwww)」 京太郎(でも…いくら惚れていても逆に部長がオレの事を好きになる要素はあるのか?) 京太郎(それが無ければオレは何時まで経っても今のままだオレは…) 久「ねえ 男と女ってさ」 京太郎「ウ!ウエホッウエホッ!ははい?」 久「好きでも無いのに一緒にいるとだんだんくっついちゃうものなのね」 京太郎「え ははあ…そうなんすか」 京太郎(なんだなんだ どういう事だよ) 久「ははは(ベジータとブルマくっついちゃったよ)」
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まこの雀荘 まこ「なぁ、京太郎。おぬし、おもち大好きよな?」トン 京太郎「えぇ、そりゃもう三度の飯より大好きですよ」トン 久「犯罪には走らないでよー」トン 藤田「若い男子高校生など、毎日おもちの事ばかり考えてるだろうな。まぁ、仕方ない事さ」トン、プカー まこ「実はな。摩訶不思議な能力を身につけたんじゃ」トン 京太郎「へぇー、もう並大抵のオカルトでは俺は驚きませんよ」トン 久「で、どんなオカルトよ?」トン まこ「なんと、女性のおもちサイズを点棒化して、奪う事が出来る能力じゃ」 藤田「ふーん、それはつまり点棒によって、おもちサイズが変動するって事か?」トン まこ「そうじゃ。今から説明するぞい。ワシのバストが80じゃ。これが80000点持ちになる。そして、リーチをかける」トン、リーチ 京太郎「うーん、わかんねー。適当に字牌っと」トン まこ「通らん、一発じゃ。12000点じゃな。んで、わしのおもち見てみい」 京太郎「おおっ、まこ先輩のメイド服がはちきれんばかりに!?Eはありますね!!」 まこ「うむ。12000点追加じゃから、バスト92って所じゃな」ポヨン 久「へぇー、すごいじゃない」 藤田「ふむ、確かに摩訶不思議なオカルトだ」プカー まこ「逆に…」 藤田「おっと、それは通さないよ」 久「あちゃー、振り込んじゃったー」 京太郎「むっ!?部長のおもちが小さくなった気がする!」 久「ふむふむ」ペタペタ 久「うわっ…、小さくなった!」 まこ「こうなる」 まこ「まぁ、簡単じゃな。点棒を奪えば、おもちが大きくなる」 京太郎「すごい能力ですね!!これは、第一次おもち大戦が起きますよ!!」 まこ「でな。ワシの雀荘、最近めっきりお客さんが減ってしまってな。ぜひ、テレビやネットで話題作りしたいわけじゃ」 久「ふむふむ、なるほどね。テレビ局なら靖子を通せば何とかなるかもね」 藤田「おいおい…、まぁ面白そうなら、ぜひ話を通してみよう」 まこ「ちなみにハコっても、胸は消滅せんぞ。まぁ、完全にまな板みたいにはなるが」 まこ「全国大会の美少女達集めて、おもち麻雀しようと思うんじゃ」 京太郎「はぁ、それはすばらな企画だと思いますけど、でも胸が大きい人にメリットないんじゃ…」 久「そうよねぇー。咲や優希なら、やる気出して参加してくれそうだけど、和とかはねぇ…」 まこ「うんうん、ワシもそう考えた。だが、京太郎、おぬし摩訶不思議なオカルト持ってるじゃろ?」 京太郎「ぎ、ギアスの事ですか!?いつバレたんだ…」 まこ「そうそう、全国おもち(強)以上を大会に出るようにギアスかけてくれ」 京太郎「いやー、流石にそれはちょっと…良心が…」 まこ「ふふふ、おぬし、おもちが大きな宮永照や宮永咲を見てみたくないか?逆に胸がない事を気にする石戸霞など、どうじゃ?」 京太郎「うーん…、それはそれでアリですが…、むむむ」 まこ「ほれほれ、男は己の欲望に素直になるんじゃ」 京太郎「うーん…、おもち…、おもち…、おもちがとっても大きい幼馴染。…ありですね!」 京太郎「わかりました、この漢、須賀京太郎、おもちに生きてそしておもちで死にます」ドン!! まこ「ほー、そうかそうか。ありがたい。では、頼んだ!」 京太郎「イエス・ユア・ハイネス」 まこ「さて、これで生贄となるチームは揃うかな」 久「まぁ、胸が大きい方が最初の持ち点棒も多いしね。逆に咲なんか、一撃でハコる可能性もあるし」 まこ「そうじゃ。ようは、負けんかったらいい。簡単な話じゃ」 久「チームは私が決めてもいい?」 まこ「ええぞい。久なら、きっと面白くしてくれるじゃろ」 藤田「…プロの参加も可能かな?私達も、プロである前に一人の女だからね」 まこ「もちろん。話題は大きい方がええからね」 そして、場面は九州に変わる 京太郎「キョウタロウ・スガが命じる!お前達、おもち麻雀で全力以上で当たれ!」キュイーン 小蒔・初美・霞「「「イエス・ユア・ハイネス」」」 こんな感じで、全国を飛び回ってた。 京太郎「全てはおもちに優しい世界のため。俺は…、俺は…、おもちレクイエムをやり遂げてみせる!!」 大会当日 恒子「はい、やって参りました!長野県は染谷雀荘!ここで摩訶不思議な麻雀が行われると聞いて飛んできましたー!!」 恒子「なんと!全国大会で熱戦を繰り広げた美少女雀士達が、また再び麻雀で死合おうと言うわけです!」 恒子「しかも賭けるのは自分のおもち!!栄光のバストアップか、苦渋のバストダウンか!!」 恒子「これは、女のプライドと意地をも賭けた麻雀です!!」 恒子「なお、すこやんは選手登録しちゃったため、解説は全国優勝の清澄高校から竹井久選手」 恒子「司会はおもちマイスター国際S級資格をお持ちの須賀京太郎君にお願いします」 京太郎「みんな、おもちは好きかーーーーー!!!!!!!!!」 観客「うおおおおおおおおおおおお!!」 京太郎「大きいおもちだけではなく、小さいおもちも愛してるかー!!!!!!!」 観客「当たり前だああああああああ!!」 京太郎「貧乳はステータス、爆乳は?」 観客「人間国宝だああああああああ!!」 京太郎「では、長らくお待たせしました。チームを紹介します。まずは…、おもちに憧れるそんなお年頃、チーム乙女な魔王」 京太郎「先鋒、片岡優希」 優希「おもちを手に入れて、完璧美少女になるじぇ」 京太郎「次鋒、薄墨初美」 初美「永水の無乳と覚えられて、はや三年。大学生活で、ステキな、おもちライフしたいです!」 京太郎「中堅、国広一」 一「お、おもちで谷間が出来たら、マジックで役に立つから!それだけ!ホントだよ!」プイ 京太郎「副将、宮永照」 照「…誰だろうと、全力で狩るのみ」 京太郎「大将はもちろん、この人!!宮永咲!!」 咲「…プロマイゼロも手加減もするつもりないから」ゴッ 京太郎「続きましてー、大人げないと言われようが、心はいつだっておもちに恋する少女。チームおもちに恋して」 京太郎「先鋒は日本が誇るエース、もちろんこの方、三尋木咏」 咏「先鋒で終わらせるよー。あっ、着物じゃ胸大きいとキツくね?知らんけど」 京太郎「続きまして、阿知賀大進撃の立役者、赤土晴絵」 晴絵「いやー、ははは。玄と宥見てたら、ちょっとうらやましくてねー」 京太郎「意外な出場者、だが麻雀の実力はかなりの物。中堅、熊倉トシ」 トシ「ふふふ、ジイさんが大きなおもちを昔から大好きでね。まぁ、死ぬ前に一度くらいはね」 京太郎「まくりの女王。副将、藤田靖子」 藤田「まぁ、10cmくらい欲しいだけなんだが。頑張ります」 京太郎「そして、麻雀界の生きる伝説来ちゃいました!大将は、もちろん…、元世界ランク2位、小鍛治健夜」 健夜「男の人は大きいおもちが大好き!雑誌に書いてたから!」 恒子「あー、すこやんがアンアン呼んでたなーそう言えば」 久「咲のチームが本命かと思いきや、大本命来ちゃったわね。もうこれ賭けにならないわー。大損だわー」 京太郎「さて、続きまして。関西が生んだ大きいおもち!チーム、阪神おもちタイガース」 京太郎「先鋒、松実玄」 玄「お、お姉ちゃーん」ウルウル 京太郎「次鋒、上重漫」 慢「…飛ばないように頑張ります」ドヨーン 京太郎「中堅、荒川憩」 憩「いやー、取られんよう頑張りますー」 京太郎「副将、愛宕絹恵」 絹「あ、悪夢や」カタカタ 京太郎「そして、大将はこの方!清水谷竜華」 竜華「ははは、よろしゅう…」ドヨーン 京太郎「そして続きましては!関東が生んだ、大きいおもち乙女!チーム、読売おもちジャイアンツ」 京太郎「先鋒、福路美穂子」 美穂子「上埜さんが出てなかったなんて…、頑張ります」 京太郎「次鋒、弘世菫」 菫「照と当たらなかったか…。助かった…。まぁ、適当に頑張ろうか」 京太郎「中堅、妹尾佳織」 佳織「えっと…、初心者ですが、どうぞお手柔らかにお願いします!」 京太郎「副将、東横桃子」 桃子「消えれるっすかねー。まぁ、何とか頑張るっす」 京太郎「大将、姉帯豊音」 豊音「身長ならいくらでもあげるんだけどなー。おもちはやだなー。頑張るぞー」 京太郎「そして最後のチームになりました!!おもち界のレジェンドだけを揃えた、おもち・オブ・レジェンド」 京太郎「チーム、おもち黄金郷」 京太郎「先鋒、眠れるおもち、神代小蒔」 小蒔「全力以上で頑張ります!」 京太郎「次鋒、暖かいおもちがいっぱいおっぱい、松実宥」 宥「おもち無くなると寒いよー、頑張るよー」ブルブル 京太郎「中堅、まだまだ進化し続けるおもち、原村和」 和「えーと、咲さんになら別にあげてもいいんですが…。まぁ、頑張ります」 京太郎「副将、とにかくデカいッッ!石戸霞」 霞「あらあら、20cmくらいなら持ってかれても全然平気なんだけどねぇ。得意分野行かせて貰おうかしら」 京太郎「そして、最後になりました!麻雀とおもちで一番有名なのは、この方。牌のお姉さんこと、瑞原はやり」 はやり「うーん、一番当たりたくない人達と当たっちゃった。まぁ、頑張ります☆」 京太郎「以上5チームで、死合開始となります!」 京太郎「なお、おもち黄金郷チームは平均が1m超えのスーパーおもち艦隊です」 京太郎「そのおもちに敬意を表し、シード扱いとさせて頂きますッッ!」 京太郎「そして、他の4チームで死合して頂き、最後の1チームとなったチームとおもち黄金郷チームで、闘ってもらいます!」 京太郎「それでは…、おもちファイト…、レディーーーーーゴーーーー!!」 観客「わぁあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」 結果 健夜「ロン、国士無双、トビだね」 はやり「13面待ち…」グニャア 京太郎「決まったーーーーーー!!優勝はやはりこのチーム!おもちに恋して!」 久「まぁ、ガチガチの本命レースね。オッズにしたら1.1倍くらいかしら」 恒子「それでは優勝者インタビューに移りたいと思います!」 恒子「はい、先鋒の三尋木プロ。着物から谷間がこぼれてますねー」 咏「あんま大きすぎても困るんじゃねーって思って、多少手加減したわけよー。まぁ、谷間ってなんか痒いよねー知らんけど」 +25cm 恒子「はい、次鋒の赤土晴絵さん」 晴絵「ブラがキツくなったくらいかなー」 +5cm 恒子「では、中堅の熊倉トシ元プロ」 トシ「ふふふ、私も年だから大きすぎると疲れるからね。ジイさんと1戦交えたらちゃーんと返しに来るよ」 恒子「流石、大人ですねー。いや、このチームみんな大人なんですけどね」 +20cm 恒子「では、藤田靖子プロ」 藤田「うーん、目標に届かなかった。今年の高校生は強いなー」 +5cm 恒子「では、最後を締めるのはすこやんでーす」 恒子「あれ?すこやん、どこ行った?」キョロキョロ 健夜「こ、こーこちゃん…、ここ…、ここに居るよーーーー!!!!!!」 恒子「どうやらおもちが大きすぎて、動けなかったみたいですね」 恒子「すこやん…、流石に欲張り過ぎだと思うよ」 健夜「わーん!ちょっと加減忘れちゃっただけだよー!」シクシク 恒子「ってか、これギネスに載せれるんじゃ。写メ写メ」パシャパシャ すこやん、+80cm 久「須賀君、あれはおもちとしてはどうなのよ?」 京太郎「申し訳ないが奇乳は、エロゲーか成年コミックだけで十分っす」 カン
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http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1393921285/ 京太郎「よし、ナンパしよう。」 京太郎「運が悪くなるが、女性にモテると噂の泣きぼくろも付けた。」 京太郎「しかしリスクが高いな。よし、コンマに頼ろう」 京太郎「けど逆に悪いコンマだと...」 京太郎「考えても仕方がないか。よーし...こい!!」 京太郎「っと、その前にターゲット決めないとな。」 京太郎「あれは...清水谷さんか?それにしても、あんなに急いでどこへ」 竜華「怜~」 京太郎「人探しか。ちょうどいいな。すみません清水谷選手ですよね?」 竜華「怜~...って、なんやねん。今忙しいから、またあと...」 京太郎「大変そうですね。俺も手伝いましょうか?」 竜華「あ、はい。お、お願いします...///」 京太郎「じゃあ、一緒に探しましょうか。」 竜華「う、うん(あかん...うちどうして、こんな初めて会う男に)」ドキドキ 京太郎「(この黒子のおかげか、すんなり接触できたな。)」 竜華「あ、え...っと、」 京太郎「自己紹介がまだでしたね。須賀京太郎です。」 竜華「し、清水谷竜華です!(あかん。声が裏返ってもうた)」 京太郎「じゃあ、行きましょうか。」ニコッ 竜華「は、はい!!」 竜華「へえー、うちらと同じやな。」 京太郎「といっても、雑用ですけどね。」 竜華「雑用でも偉いやん。それに、うちらも須賀君みたいな人やったら大歓迎やで?」 京太郎「俺も、竜華さんに会えてラッキーでしたよ。竜華さん、素敵ですもん」 竜華「須賀君ったら、上手やな~。本気にしてまうやろ///」 京太郎「本気だったら、どうします?」 竜華「え?」 京太郎「俺が本気で竜華さんに惚れていたとしたら?」 竜華「ちょ、ち、近いで...須賀く「京太郎」」 京太郎「京太郎って呼んでください。竜華さん」 竜華「け、けど...あって間もないし...と、年上をからかったらダメやで、京太郎君(ち、近い)」 京太郎「竜華さん。」 竜華「京太郎君...(あかん...けど、振りほどけん。振りほどきたくないねん)」 京太郎「嫌だったら、言ってくださいね。」 竜華「い、嫌なわけ...ない「ひゅーひゅー」」 怜「竜華、えらい楽しそうやなー」 京太郎「あなたは確か...」 竜華「あ、あああ!」 怜「なんやお楽しみ見たいやし、お邪魔虫は退散しよかな~」 竜華「ちゃ、ちゃうねん。ちゃうねん。怜~」 怜「すごいな~竜華は。肉食系女子やん。」 竜華「こ、これは...その...」モジモジ 怜「ウチよりやっぱり男がええんか~...残念やー」 竜華「ちゃうねん。そら怜も大事やけど...京太郎も」 怜(あわてる竜華もかわええなぁ) 京太郎「これ以上の接触は危険か?」 京太郎(焦るな...効果は理解した。あとはじっくり...ふふふ) 竜華「京太郎君?」 京太郎「おっと、どうかしましたか?」 竜華「あ、あのな、怜も見つかったことやろ?だから、お礼、なるかわからんけど一緒にお茶飲まん?」 怜「えらいルックスの男やな...けど、竜華の太ももは渡さんで!」 竜華「怜!」 京太郎「あはは。ありがたい話ですね。」 竜華「ほな、一緒にいこ?」 京太郎「けど、買い出しの最中なので失礼します。」 竜華「そうなんか...残念や」 京太郎「じゃあ、また会いましょう。」 竜華「ほんま?約束やで!」 京太郎「じゃあ、竜華さん、怜さん。失礼します」 竜華「ほなな~」 怜「なあ竜華?」 竜華「なんや?」 怜「また会う。言うてたけど、連絡先しっとるん?」 竜華「そらもう...あーー!!」 怜「はぁ...(しゃあない。この怜ちゃんが竜華の恋を成就させたるで!)」 竜華「怜、ニヤニヤしてどしたの?」 怜「なんでもないで~」 京太郎「ふぅ...予想以上の効果だな。」 京太郎「買い出しで頼まれていたおやつも買ったし帰るか。」 京太郎「お店でかわいい店員におまけもしてもらった。ふふ...この黒子があればこの世のおもちは...ふふふ、はーっはっは!」 京太郎「ただいま戻りましたー」 まこ「おー、おかえりー」 久「ずいぶん遅かったわね。リュックはそこにおいてちょうだい。」 京太郎「ええ。色々ありまして。よいしょっと」 咲「お帰り、京ちゃん!」 京太郎「ああ。ただいま。咲」 咲「......」 京太郎「咲?」 咲「あ、何でもない。なんでもないよ?(なんだろう...今日の京ちゃん見てるとドキドキする)」 京太郎「変な咲」 咲「私変じゃないもん!」 和「......」 京太郎「変な人はみんなそういうんだよ。咲」 咲「だから、私変じゃないもん!」 京太郎「はいはい。」 和「咲さん。」 咲「なに?和ちゃん」 和「あっちで牌譜を見直しましょう。さあ行きますよ。」 咲「え、でも、さっきみんなで」 和「いいから早く」ズルズル 咲「またねー京ちゃん」 京太郎「おう。またな~(おかしいぞ...この魅惑の黒子が和に効かないだと?)」 京太郎「安物だからか?レズでも効くはず...それに、さっき部長にも効かなかったような...」 久「さっきからなにブツブツ言ってるの?」 京太郎「部長!脅かさないで下さいよ」 久「失礼ね。あら?須賀君、泣きぼくろなんてあったかしら?あら、取れないわね。」 ドクンッ! 久「ひぅっ」 京太郎「部長?」 久「な、なんでもない。何でもないわ(おかしいわ...須賀君の顔を見てから胸が変ね)」 京太郎「そうですか。(部長、さっきまでの反応と全然違うな。)」 久「あははは。」 京太郎「熱でもあるんですか?」ピトッ 久「ち、近いわよ。(須賀君の顔...最近まともに見てなかったけどこんなに...)」 京太郎「熱はないみたいですね。良かった」 久「い、一応お礼を言っておくわ。ありがと」 京太郎「いえいえ。部長に何かあったら大変ですから」 久「そうね。何かお礼をしなくちゃ...そうだ♪」 まこ「また悪い顔しとる」 久「今度から私のことを『久』って呼んでいいわよ。」 京太郎「久ですか?でも、部長は先輩」 久「これは命令よ。京ちゃん」 京太郎「きょ、京ちゃん?まぁいいか。わかりました。久(部長の目、これは竜華さんと同じだ)」 久「よろしい♪」 まこ「また変な思い付きかのう?」 久「京ちゃん、これからもよろしくね♪」 美穂子「う、嘘ですよね...」 美穂子「私の、私の上埜さんが...男に」 美穂子「許しません。上埜さんは尻軽じゃありません。あの男...許しません...絶対に!」 京太郎「おまけで貰ったお菓子...どうしようかな。部屋で一人で食べるのもつまらないし」 京太郎「夜風に当たりながら食べよっかな?」 京太郎「そうと決まったら...夜の公園で食べよう」 公園 京太郎「どこで食べようかな?」 京太郎「あそこがいいかも。」 京太郎「ここでいいや。いただきまーす。」 「いただきます。」 京太郎「誰だ!」 照「お菓子の妖精。そのボッキーがほしい」 京太郎「ああ、どうぞ。」 照「いただきます。」ガツガツ 京太郎「ああ、俺のボッキーが...」 照「最後の一本...いただきます。」 京太郎「ちょっと待てや」 照「なに?今忙しい」 京太郎「まずそのポッキー返せ。もともとは俺のボッキーだ」 照「......」ジー 京太郎「?」 照「!」 京太郎「ボッキー返せ」 照「んー」 京太郎「ボッキー咥えてどうした?」 照「ボッキーを二人で食べる///」 京太郎「赤らめる前に、口元の食べかす何とかしろよ。」 照「失敬。」ごしごし 照「よし。んー♪」 京太郎「どうしようかな」 照「はやふ~♪」 京太郎「......」ぎゅー 照「いたい...」 京太郎「あんまり食べると、太りますよ?」 照「太ったら責任取ってね。京ちゃん」 京太郎「ふざけ...京ちゃん?」 照「久しぶり。元気だった?」 京太郎「照さん!?」 照「かっこよくなったね。」 京太郎「久しぶりの再会がボッキー強奪なんて...照さんは相変わらずですね。」 照「照れる。照だけに///」 京太郎「久しぶりに会ったんだし、どこか行きます?」 照「なら、ケーキでも食べない?じゃんけんで負けたほうがおごりで」 京太郎「じゃんけんって...そこは先輩である照さんが」 照「じゃーんけーんポン!」グー 京太郎「ポン」パー 照「......」 京太郎「やったー」 照「仕方がない。菫を応援に呼ぼう」 照「うん。そう。財布もって...よろしく」 京太郎「照さんが奢ってくれるんじゃなかったんですか?」 照「私に任せて」フンス 京太郎「まあいいか。」 照「ついた。」 菫「まったくいきなり財布を持ってこいなんて」ブツブツ 照「菫早いね。」 菫「お前のせいだろう...が...?」 京太郎「はじめまして。」 照「どうかした?」 菫「おい、あのイケメンはなんだ」ヒソヒソ 照「弟、婚約者?」 菫「ふざけるな!ずぼらなお前にこんな」 京太郎「あのー」 菫「ああ、失礼した。初めまして。白糸台の部長である弘世菫だ。」 京太郎「初めまして。須賀京太郎です。」 菫「よろしく頼むよ。」 京太郎「はい。こちらこそ」 菫「......(照にはもったいない男だな。このルックスに金色の髪...私にぴったりじゃないか)」 菫「いきなりで悪いが、ここより私たちのホテルに来ないか?照の身内というなら、歓迎しよう。」 京太郎「ホテルですか?」 照「私も一緒」 菫「そうだ。なんなら、泊って行ってもいいぞ?ベッドは2つしかないし、照の寝相は悪いから私と一緒だが」 菫「そうだ、麻雀はできるか?もしできないなら私が教えてやろう。なに、遠慮はするな。」 菫「食べ物は何が好きだ?ホテルに行く前に買い出しに行こう」 菫「なに、財布の心配はするな。照のお菓子代に比べれば...どうだ?くるだろ?くるよな?」 京太郎「おっと、メール...すみません。帰らなきゃいけないみたいなので、失礼します。」 菫「そ、そうか。なら...お詫びだけさせてくれ。」 京太郎「お詫びですか?」 菫「ああ。ちょっとじっといしていてくれ。動くなよ?」 京太郎「はぁ」 菫「んむっ」 京太郎「んんっ!」 照「ほぁっ!」 菫「ふぅ、ファーストキスだ...特別だぞ」 京太郎「な、な...」 菫「じゃあまた会おう京太郎君。行くぞ照(これで彼も私にシャープシュートだ)」 照「え、んー...わかった。」 京太郎「ラッキー...だったのかな?」 宥「す、すごいなぁ...うぅ、寒い。早く温かいもの買わないと」 宥「けど、白糸台にあんな人いたかなぁ?」 京太郎「急いで帰って来いって部長、何の用事なんだろ?」 宥「きゃっ」 京太郎「おっと、すみません。大丈夫ですか?(おもちだ、服に隠れてるけど、大きなおもちだ!)」 宥「は、はい」ブルブル 京太郎「失礼ですけど、寒いんですか?」 宥「う、うん。私、変だよね」 京太郎「......」ぎゅっ 宥「え、えぇ」 京太郎「いきなりごめんなさい。寒そうで見ていられなかったので」 宥「い、いえ...(この人...あったかぁい♥)」ぎゅっ 宥「ふわぁ///」 京太郎「どうですか?」 宥「う、うん。あったかかったです」 京太郎「じゃあこれで、俺は失礼しますね。」 宥「あ、あの、ちょっと待って」 京太郎「どうしました?」 宥「ありがとう。私、松実宥です。」 京太郎「須賀京太郎です。宥さん」ニッコリ 宥「また、ギュッてしてほしいな」 京太郎「ええ。いいですよ(おもちが大きい人は大歓迎です)」 宥「約束だよ」チュッ 京太郎「こちらこそ」チュ 宥「キスってあったかーい♥」 京太郎「じゃあさようなら。」 宥「はぁ~い」 京太郎「黒子様様だな。」 京太郎「これさえあれば何でもできるぜ。貧乳も寄ってくるのが難点だが」 京太郎「あ、そうだ。部長に連絡してねーや。怒られっかな」 京太郎「げっ...着信20件?スゲー怒られるかも」 ぷるるる 京太郎「もしもし、ぶちょ『須賀君?今どこ?無事?』」 京太郎「あのー『何回かけても出ないから心配で心配で、あ、これはあれよ、そう。部員の失態は部長の失態だからよ。』」 京太郎(いつもの部長じゃない。) 『ちょっと?返事をしなさい。もしかして、女の子と一緒かしら?』 京太郎「そ、そんなことあるわけ...会ってました。」 『いますぐ私たちの宿泊先に来なさい。理由は、わかるわね。』 京太郎「はい。」 久「お帰りなさい。京ちゃん」 京太郎「ただいま帰りました。部長」 久「部長?」 京太郎「ただいま久」 久「よし♪」 京太郎「ところで、咲たちは?」 久「あら?またほかの女の話?それ、失礼だからやめたほうがいいわよ。私だからちょっとの罰で許してあげるけど」 京太郎「待てよ...今の俺は魅惑付...いけるか?」 久「ちょっと、私の話聞いてる?」 京太郎(よーし...) 京太郎「久」ギュ 久「な、なによ。急に抱き付いて」 京太郎「心配かけてごめんな。」 久「な、別に心配なんて...してたけど」 京太郎「俺は、清澄高校の須賀京太郎。どこにもいかないさ。」 久「ん...なら、私のそばにいなさい。部長命令よ。」 京太郎「それはちょっと...」 久「さっきのは嘘かしら?それとも、あなたも私の前から消えるの?」 京太郎「それはその(目が...なんだ、光が消えたというか)」 久「あははは。冗談よ。じょーだん」 京太郎「じょ、冗談?」 久「みんなもう寝ちゃったし、だれも見てないからからかってみたのよ」 京太郎「は、はぁ」 久「さ、夜も遅いし、もう帰っていいわよ。それとも一緒に寝る?」 京太郎「じゃあ失礼します。」 スタスタ...... 久「泊っていけばよかったのに」 次の日 京太郎「うーん、いい朝だ。飯も食ったし皆に合流しようかな。」 京太郎「あれ?部長、早いですね。」 久「こら、また部長って言ったわね」 京太郎「おっと、おはよう久」 久「おはよう、京ちゃん」 京太郎「それにしてもどうしたんですか?」 久「朝一番で日光に浴びると肌にいいのよ」 京太郎「へー」 久「京ちゃんもどう?」 京太郎「今日もまた買い出しに行けばいいですか?」 久「そうね。離れるのは寂しいけど」 京太郎「ははは。久らしくないですね。」 久「私だって女の子ですもの。たまには甘えたくなるわ」 京太郎「ちょっと、急に抱き付かないで下さいよ。」 久「残念ね。せっかく京ちゃんを独占できるのに」 京太郎「独占って...物みたいに言いますね。」 久「それはいいわね。でも、覚えておいてちょうだい。京ちゃんが物なら、私はさっさと自分のものにしているわ。」 京太郎「はい?」 久「なんてね♪さ、みんなを呼んでくれる?」 京太郎「はい!」 久「ふふふっ男子三日会わざればって言うけど本当ね。」 久「京ちゃん......今は遊びなさい。けどね、いずれは私のものよ。そうなった時には...ふふ」 京太郎「今日も人がいっぱいいますね。」 和「女子の大会なのに...どうして男が」ブツブツ 咲「京ちゃん、強い人いるかな?」 京太郎「うーん...咲より強いとなると」 和「咲さんより強い人なんていません。なぜなら咲さんですから」 京太郎「和?」 久「そうね。でも、油断は禁物よ。IHには魔物が潜んでいるわ。」 優希「どんなやつも私のタコスの具にしてやるじぇ~」 京太郎「笑顔で恐ろしいことを言うな。」 優希「う、うるさいじょ!い、犬のくせに...かっこよくなって...」ボソッ 京太郎「なんだ?」 優希「な、なんでもないじょ!」 久「その前に、。京ちゃん...少し話したいことがあるの」 咲「あ、私も話したいことあるんだけど」 京太郎「えーっと...こういう時はどちらから」 和「咲さん、一緒にお花をつみにいきませんか?行きましょう」 咲「え、え?わ、引っ張らなくても歩けるよ」 和「さぁ行きましょう。」 咲(最近京ちゃんとお話しできないなぁ...それに、部長の京ちゃんに対する反応...気のせいかな?) 久「ふふっ...ナイス和」 京太郎「何か言いました?」 久「いえ、何も言ってないわ。じゃあまこ、優希、さきに部屋に行っててくれる?私たちもすぐに向かうから。はい、これタコスよ」 優希「わかったじぇ~」 久「ふふふっ......行ったわね。」 京太郎「部長?」 久「こら、また呼び方忘れてるわよ。」 京太郎「あ、久。みんなの前じゃ恥ずかしくて」 久「ねぇ、ちょっと相談に乗ってくれないかしら?」 京太郎「相談ですか?」 久「ええ。最近、京ちゃんのことを思うと、なんだか胸が苦しいのよ。京ちゃんが優希と喋っていると特に、咲ともそうよ。」 京太郎「もしかして病気ですか?一緒に医務室行きます?」 久「そうね。でも、これはきっと医務室へ行っても治らないわ」 京太郎「も、もしかして、心臓病とか!?」 久「うーん...もっと大病ね」 京太郎「なんてことだ...部長が...うわっ」 久「でも、京ちゃんに抱き付くと、動機もおさまるの。それに、心の隙間が満たされていく気がするの」 京太郎「で、でも...こんな場所で抱き付かれたら周りの目が...」アセアセッ 久「いいじゃない。美少女に抱き付かれて幸せでしょ?」 京太郎「は、離れてくださいよ。恥ずかしいじゃないですか」 久「なによ...仲のいいところをアラサーとかに見せてあげましょうよ。」 京太郎「アラサーって...」 ギヤァー アラサーが発狂したぞー!抑えろー!! 若いからって調子に乗るんじゃないぞ☆ 鬼が出...ぎゃー!! 久「ね、面白いでしょ?それに、今は私とおしゃべ「京太郎君!」」 京太郎「この声」 竜華「久しぶりやな~やっと会えたで~覚えとる?」ギュッ 京太郎「竜華さん!(相変わらず大きい!)」 竜華「覚えててくれたんか!?うれしいわ~♥」 久「竜華さん?」ムカッ 京太郎「もちろんですよ。」 竜華「さすが京ちゃん、かっこええだけやないな~」ムギュー 京太郎「それほどでも」 久「ねぇ、貴女清水谷さんよね?私の京ちゃんから離れてくれないかしら?」 竜華「なんでや?それに、京太郎君はあんたのもんやないで?あんたが離れたらええやん」 久「い、いうじゃない...でも、『部外者』である貴女のほうが無関係じゃないかしら?」 竜華「なんやと?」 久「それより、私たち試合があるから帰りたいのだけど」 竜華「そんなら帰ればええやん。」 久「そうね。じゃあ京ちゃんも行くわよ。」 竜華「ちょ、京太郎君は試合ないやろ?な?」 京太郎「確かに、試合はないですけど」 久「だからなにかしら?」 竜華「ほんなら、京太郎君借りてってもええやろ?」 久「ダメに決まっているわ。彼も大事な部員、人だもの」 京太郎「だ、そうです。すみません」 竜華「う、嘘やろ?」 久「残念だったわね。じゃ、試合があるので失礼するわ。行くわよ、京ちゃん」 京太郎「は、はい。じゃあ、失礼します。竜華さんたちも頑張ってください!」 竜華「きょ京太郎君...」 久「決勝で戦えるといいわね~、できればもう会いたくないけど」クスクス 竜華「京太郎くーん!」 竜華「......あの女、許さんで」 京太郎「部長に言われて買い出しは無しになったけど、軟禁状態だ」 咲「ぶ、部長に京ちゃんを部屋から出すなって言われてるから、ごめんね。でも、その分二人でお話しよ?」 京太郎「そういえば...あの人は今何してるのかな?」 京太郎「菫さん...おもち大きかったな。」 咲「菫さん?誰?」 京太郎「あ、き、気にするなよ。」 咲「ふーん...」 菫「はぁ...」 照「菫?お菓子食べる?」 菫「はぁ......会いたい」 照「無視された...お菓子買ってくる」 菫「会いたい、会ってギュッてしてほしい。」 淡「誰に~?」 菫「王子様だ」 淡「ぷっ...あはははは!」 菫「何がおかしい!」 誠子(弘世先輩の独り言...なんて言えない) 淡「だって、王子、いまどき王子って...あははは!今時言わないですよ?」 菫「それくらいカッコよかったんだ!」 淡「うっそだー!菫先輩って大げさ~」 菫「違う、けして過大評価などでは...いや、なんでもない。」 淡「??」 菫「いいから、この話は終わりだ。(おっと、危ない。ライバルは少ないほうが狙いやすいからな。淡にこれ以上喋るわけには...)」 淡「変な菫先輩...!」 菫「どうした?変な顔をして」 淡「イケメンなら、彼女とかいるんじゃないんですか?」ププッ 菫「なんだと?」 淡「だって~イケメンだったら普通はいるでしょ~」 菫「あり得ん...彼に彼女...私以外の」 誠子(独り言から察するに、弘世先輩は彼女じゃないんじゃ...) 淡「菫先輩は彼女じゃないですよ?たぶん」 菫「あ゛ぁ?」 淡「ひっ!」 誠子「地雷を踏みに行くなんて...さすが大星、高校100年生」 菫「耳が遠くなったかな、もう一度言ってくれないか?」 淡「あわわわ...そ、そんなに言うのなら、会わせてくださいよー...なんちゃって~」 菫「なんのつもりだ?」 淡「い、いえ、せっかくなんで、先輩の見てみたいな~「奪る気か?」」 菫「私の王子様を奪う気かと聞いているんだ」 淡「そ、そんなつもりは」 菫「嘘だ!」 バンッ!! 淡「ひっ!!」 淡「な、なんで...」 菫「あまり調子に乗るなよ?彼と同じ金髪だからと言って、お似合いとは限らない。私のような大和撫子こそが一番なんだ。」 淡「菫先輩...なんか変...」 菫「それにだ。彼に私はファーストキスをささげている。この意味が分かるか?」 菫「おとぎ話でもあるように、彼は私の運命の相手だ。王子様なんだ。気安くお前のような1年が」ブツブツ 淡「に、逃げなきゃ...」 淡「ご、ごめんなさーい!」ダダダダッ 菫「逃がすか。大将戦もあるんだぞ?それに、逃げるふりをして、彼に会うつもりじゃないのか?」 淡「そ、そんな、顔も知らないのに...」 菫「黙れっ!!」 淡「ひぅっ!」 誠子(ご愁傷様...大星) ガラララ 照「ただいま。」 誠子「お、お帰りなさい。」 尭深「...ただいま」 淡「うわーん、てる~、尭深せんぱ~い」 照「何かあったの?」 尭深「?」 菫「あぁ、会いたいなぁ...君も会いたいよなぁ...私はここだぞ?早く来てくれ私の王子様」 照「?」 竜華「あぁ、あかん、だめ...んっ」ビク 竜華「京太郎君、京太...いっ..」 『京ちゃんは私のものよ~』 竜華「うわぁぁ! はぁ、はぁ...」 竜華「慰めても慰めても、この体は満足せん...怜に膝枕しても、まだ足りんねん。しかも、いつもいく寸前にあの女の顔が浮かぶ...」 竜華「竹井久...」ギリッ 竜華「うちがいない間に彼に変なことしとらんやろな...あの女なら、部長権限や言うて」 竜華「あかん。考えれば考えるほど彼、京太郎君が不安や。よしっ探しに行こ!」 竜華「待っててな、京太郎君♥」 竜華「けど、どこ行ったらええねん。京太郎君の連絡先も、宿泊先も聞いてないし」 怜「本能やで竜華」 竜華「怜!」 怜「運命の相手なら、必ず会えるで。うちら2人みたいにな」 竜華「怜~」ギュッ 怜「これじゃ、いつもと逆やんか。世話が焼けるでほんま」 竜華「行ってくる、応援してな。怜」 怜「後のことは、まかせてーな。」 竜華「おおきに、おおきに。」 竜華「確か、京太郎君はうちらと逆の会場やったな」 竜華「会場に来たものの、もう夜やし会場にもおらん。」 竜華「......」 久『貴女には、京ちゃんはもったいないわ。他校のくせに、京ちゃんも迷惑よ。』 竜華「あない屈辱、二度と忘れられんねん。けど、このままじゃ京太郎君とも会え...『だーれだ♪』」 竜華「ひぁぁっ!」 京太郎「おっと、そんなに驚かなくても、俺ですよ。」 竜華「その声...!」 京太郎「はい。京太郎です。竜華さん、覚えてますか?」 竜華「うちの名前まで...感激やぁ~」ギュッ 京太郎「抱き付くなんて、案外甘えん坊でかわいいですね。」 竜華「本物に触れれてうれしいわ...やっぱり、京太郎君は運命の人やったんやな。」 京太郎「運命の人ですか?」 竜華「そや、大阪から来たうちと、長野から来た京太郎君、普通会えへんで?」 京太郎「確かにすごい偶然ですね。」 竜華「それに、昼間は竹井久に邪魔されても、夜には2人きりで会える。これはもうあれや!うちらはロミオとジュリエットやん!!」 京太郎(竜華さんは俺の黒子でベタ惚れ状態...ルックス、スタイル良し、邪魔者もいない。仕掛けるなら今か?) 京太郎「ジュリエット、会えてうれしいよ。」チュッ 竜華「んんっ!」 京太郎「貴女と会えたのが運命なら、俺はどんな運命も受け入れましょう。」 竜華「んっ、それって...うちと」 京太郎「ええ。とりあえず、俺の部屋に来いよ。2人きりで、な?」 竜華「う、うん。ええの?」 京太郎「もちろんだ。それとも、竜華は俺が怖いか?」 竜華「ううん。こわないよ?」 京太郎「今日は泊っていくだろ?」 竜華「ええの!?泊る!」 京太郎「ふふっ(こんなに簡単にいくとはな)」 竜華「笑った顔も、かっこええなぁ~」 京太郎「竜華もいいよ。特に、足がいい。」 竜華「ひぅ、もう、手が早いなぁ。」 京太郎「竜華も期待してただろ?」 竜華「もぉ~、言わんといてぇな、はずかしいやん」 京太郎「ま、部屋でゆっくりな。」 竜華「優しく、頼むで///」 怜「竜華...」 怜「寂しなるけど、よかったなぁ竜華、幸せになり」 怜「避妊はしっかりな。怜ちゃんはクールにタクシーで帰るで。」 ブロロロロ 竜華「とき?」 京太郎「どうした?」 竜華「怜がいたような...気のせいやろか?」 京太郎「いたなら、誘うか?」 竜華「ううん。気のせいやったわ。それより、はよしよ?(怜には悪いけど、彼だけは誰にも渡したないねん。)」 京太郎「まったく、こんなに淫乱に育てた覚えはないぞ。」 竜華「こんなん、京太郎君の前だけやで。」 京太郎「ははっ、じゃあ今日は帰さないからな。」チュッ 竜華「んっ...こっちも、帰る気ないで♪」チュッ 京太郎「ふっ、んっ、んっ」 竜華「あんっ、んんっ、ひぐっ、あんっ」 京太郎「この体、触り心地、最高だな。」 竜華「ひっ、そこはだめ、弱い、ひっ!!」 京太郎「竜華の体、だれのものかしっかり叩き込んで」 竜華「来て、うちも、もう、んん~~~!」 まこ「良い子もいるだろうし、S○Xシーンは省略じゃ。すまんのう。」 京太郎「朝か...なんだ、この感触」 竜華「んんっ...」 京太郎「そうだ。竜華さんが泊ってたんだった。」 竜華「京太郎くぅん...」 京太郎「そうだ。俺はやったんだ。これでもうキャスターにはならない。俺はランサーだ。女を突いたんだ。」 竜華「えへへ...」 京太郎「それにしても、いい体だな。」モミッ 竜華「あうっ、も~なんなん、朝から」 京太郎「裸で寝てるほうが悪いんですよ。触りたくなりますって」 竜華「そんなん、京太郎だって同じやん。もっかいする?」 京太郎「やりたいけど今日も試合あるでしょ?体、べとべとでしょ?シャワー浴びません?」 竜華「そやな。名残惜しいけど、うちも学校あるしな。でもまたしてくれるやろ?うち、もう京太郎君の彼女みたいなもんやんか」 京太郎「そうですね。じゃあ、俺と付き合います?」 竜華「うん!ゆ、夢じゃないよね?あの女も出てこんよね。」 京太郎「何言ってんすか。現実ですよ。俺に抱かれたことも、俺の彼女になったことも」 竜華「京太郎!」ギュッ 京太郎「竜華」 竜華「浮気したら...許さんで」 京太郎「竜華?」 竜華「京太郎がうちを選んでくれたのは嬉しいで。でもな、もし京太郎がほかの女と一緒にいたら...」 京太郎「だ、大丈夫。竜華以外の」 竜華「なら安心や。やっぱり、相思相愛だと安心するで。そや、写メとっとこ。怜たちに見せよっと」カシャ 京太郎「りゅ、竜華?」 竜華「よし、きれいに撮れたで。」 京太郎「ちょ、ちょっと(しまった、おもちを前に焦りすぎたか?)」 竜華「なんや?キスか?ええで、んっ」 京太郎「そ、そうじゃなくて、その...写真とか、彼女とか、ちょっと急ぎすぎじゃないかな~なんて、」 竜華「は?」 京太郎「ひっ...(竜華の目から光が)」 竜華「なんや、何か不満でもあるんか?」 京太郎「そういうわけじゃ...ただ、あまり縛られても俺が困るというか」 竜華「うちがそんな重い女に見える?ただ京太郎と幸せになりたいだけやん。そやろ?それとも、うちが嫌いになったんか?」 京太郎「そういうわけでは...(おかしい、黒子があるのに、優位に立てない)」 竜華「ならええやん。あの竹井とかいう酷い女にも伝えといてな。京太郎にふさわしい女は誰か、っちゅうことをな。」 竜華「そや、なんならうちが伝えたるで。電話、貸して」 京太郎「い、いや、さすがに『貸せ!』」 竜華「よし、それでええねん。あ、もしもし?え、京ちゃん?おもろいこと言うなぁ、私の京太郎君やで?気安く呼ばんといてえな。」 京太郎「あ、あわわ」 竜華「京太郎君ならおるで。そや、あんま酷い仕事押し付けたらあかんよ?」 竜華「彼氏を奴隷扱いされて喜ぶ女なんておらんで?なに?誰が彼氏彼女やと?うちと京太郎君に決まっとるやろ。鈍いなぁ」 竜華「そういうわけや。ほなな。」 京太郎「まずいことになった......」 竜華「なにがや?」 京太郎「久に...」 竜華「京太郎?久、言うたか?」 京太郎「え、ええ。」 竜華「うち以外と親しくなったらあかんで?京太郎はイケメンやし、女の子が勘違いしてまうやろ?」 竜華「だから、うち以外の名前呼びはもう禁止や。わかったな?」 京太郎「でも、幼馴染とか、呼びなれてる「返事は?」」 京太郎「了解です。マスター!(な、なんだ...口が勝手に...)」 竜華「そないかしこまらんでも...長い付き合いになるんやし、よろしくな。京太郎♪あつっ、なんや、太ももに変な模様が」 京太郎「ウソだろおい...あれってジョークじゃなかったのかよ。」 竜華「なんや、何か知っとるんか?」 京太郎「それは俺を縛る呪い...最大3つまでマスターの願いをかなえます。(まただ...また勝手に)」 竜華「そうなんか...それって、私の夫になれ。とかも効くんか?」 京太郎「それがマスター...主の望みなら」 竜華「ええこと聞いたで。これから楽しみやな、京太郎♪」 京太郎「はい。主の御心のままに(俺はこの時初めて、竜華さんが怖いと思った。)」 京太郎「まずいことになった...この黒子、デメリットがあるとは聞いていたが、ここまでとは」 竜華「なにブツブツ言ってんの?」 京太郎「何でもありません。主、それよりこれからどう行動するのですか?」 竜華「その、主言うのやめてほしいな。なんか距離感じてしもうて寂しいねん」 京太郎「しかし、主は主であり」 竜華「竜華でええよ。京太郎」 京太郎「わかりました。竜華様」 竜華「なんか違うけど、まあええわ。それより、さっきから電話鳴りやまんね」 京太郎「ええ。どうやら、部長からのようです。」 竜華「しつこいなぁ...そや、京太郎から直接言えばええねん。」 京太郎「言えというのは?」 竜華「そやなぁ...『部長、俺彼女ができました。俺はこの人に忠誠を誓います。』でええよ。あの女の悔しがる顔が目に浮かぶで」 京太郎「で、ですが、それでは...」 竜華「京太郎、言えへんの?」 京太郎「...わかりました。(逆らえない...黒子のせいか?しかし、このままじゃ)」 竜華「ほら、電話やで。しっかり言いや」 京太郎「もしもし部長ですか?ええ。須賀京太郎です。実はですね部長、俺彼女ができました。俺は今後この人に忠誠を誓います。」 竜華「ええでええで~」ニマニマ 京太郎「冗談ではなく、え、脅されてる?そんなことは...」 竜華「脅すわけないやんかな~」ギュッ 京太郎「わ、竜華、急に抱き付かないで...え?今どこか?まだ旅館ですけど」 京太郎「え、いや、来られても困るんで...え、竜華に変われ?」 竜華「ええで、電話貸して。もしもし、さっきからヒステリックな声あげて...あんまり京太郎困らせんなや」 竜華「え?困らせてるのはお前?馬鹿言うなや。あんたホンマしつこいで。な、京太郎もそう思うやろ?」 京太郎「俺は......竜華さんのものじゃない!」 竜華「なんやと?」 京太郎「助けてくれ、久!咲!」 竜華「久言うたな。さっきの話は無しや。今日は京太郎君、千里山に連れてくわ。色々お話したいしな。じゃあ切るで。」 プツッ...ツー、ツー 竜華「京太郎、今の言葉なんや?なんかの冗談やろ?彼氏になって気が動転してただけやろ?そうに決まっとるよな?」 京太郎「俺は、竜華のことは確かに好きだ。けどな、こんな関係望んでないんだよ。がはっ!」 竜華「言うやんけ...京太郎、やっぱり男らしいなぁ、そういうところも大好きやで」 京太郎「だったら、さっさと俺を解放「それはできんナぁ」」 竜華「そや、これ試してみよか。3つまで願い事かなうんやろ?」 京太郎「霊呪...それで俺を縛る気か?」 竜華「ううん。縛るなんて人聞き悪いなぁ...ただ、京太郎君の目を覚まさせるだけやないか」 京太郎「覚まさせる?」 竜華「そや。誰の彼氏か、うちがどれだけ京太郎を愛しているか、ほかの女が京太郎にとってどれほど害悪かをな。」 京太郎「主、いえ、竜華...どうして」 竜華「さっきから主や竜華やキャラぶれとるなぁ...久のせいか?久の声聞きいてからやもんな。ほんま清澄の部長は悪女やで」 京太郎「......俺にどんな呪いをかけるつもりですか?」 竜華「そやなぁ~...一番はあれやろ。うちと結婚、子作りやろ。」 京太郎「そ、そんな...」 竜華「けどな、京太郎には本心で好いてもらいたいねん。こんなのに頼らんでな」 京太郎「ならば、そんなものに頼らず、俺を解放してくれれば「それはあかん。」」 竜華「京太郎は魅力的やからな。逃げられんようにしとかんと...そや、これにしよか」 竜華「命令や。これからはできる限り、うちと一緒にいてもらうで。」 キィーン 京太郎「あぐっ、がっ、頭が...(なんだこれ、脳みそに針を刺されているような...)」 竜華「効いたんかな?京太郎?」 京太郎「何でしょうか、わが主、竜華様」 竜華「京太郎のこれからの予定は何?」 京太郎「今日は、これから竜華様と千里山高校のメンバーと合流し、その後は竜華様の付き添いになります。」 竜華「ん~~♪」 京太郎「竜華様?」 竜華「清澄はええんか?」 京太郎「はい。竜華様と一緒にいることが、俺の使命ですから。」 竜華「そやな。なら、こんなホテルチェックアウトして、うちらのホテルこれから泊ろっか。1人増えても一緒やもん。」 京太郎「竜華様のそばにいられれば、俺は構いません。」 竜華「ええ返事や。さすが京太郎やな。」 竜華「怜もびっくりするやろな...うちが彼氏連れてきたら...じゃ、行くで。邪魔者が来たら面倒やし」 京太郎「はい。」 竜華(この霊呪、効き目抜群やな。使いどころ選ばんと...) 京太郎(清澄のみんな...ごめん。俺はもう、戻れないかもしれない) 竜華「♪」 一方そのころ 阿知賀イベント コンマによっては修羅場有 宥「うう、寒い...」 玄「おねーちゃんがマフラーを脱いだ!?」 憧「嘘、雪でも降るの?」 宥「寒いとね、あっためてもらえるんだよ?」 憧「あっためてもらう?」 玄「だ、誰に?」 宥「金髪の...太陽みたいな人///」 憧「そ、それって男?」 宥「うん...とっても、あったかい人」 玄「ど、どんな人なのです?」 憧「だから、金髪の太陽みたいな人って」 宥「それに、すっごくきれいな顔なの。泣きぼくろも素敵で」 憧「ベタ惚れじゃん...名前とかわからない?」 宥「うん...一回しか会ったことないから...また会いたいなぁ」 憧「一目ぼれ!?」 宥「そうなるのかなぁ...でも、あの人はすごく素敵なの。あったかくて、私を包んでくれるの」 憧「ゆ、宥姉がそこまで...」 玄「お姉ちゃんをここまで...ええい、見つけ次第とっちめてやるのです!」 宥「誰を?」 玄「そのナンパ男をなのです!」 宥「なんで?」 玄「だって、お姉ちゃんに抱き付くなんて...」 宥「とっちめて、もし私が嫌われたら?」 玄「えっと、それは...」 憧(真顔で問い詰める宥姉、怖いわ) 玄「そうなのです!とっちめるより、捕まえてお姉ちゃんに会わせるのです。」 宥「探してくれるの?玄ちゃんは優しいね」 玄「あ、当たり前なのです!私のコンマ運にかかれば、男の1人や2人、すぐ」 憧(玄ってコンマ運いいっけ?) 宥「じゃあ、お願い、しようかなぁ...きっと、この会場にいると思うから」 玄「お、お任せあれ!」 玄「行ってくるのです!」 宥「頑張ってね~」 憧「試合始まるのに、見つけられるのかな?」 玄「その前に、おトイレ行ってくるのです!」 憧(ホントに大丈夫かなぁ...) 玄「見つけたのです!」 憧「はやっ!」 玄「女子トイレの近くにいたのです。金髪、イケメン、泣きぼくろ、ビンゴなのです。」 京太郎「ここは?」 憧(うわ、すごいイケメン...化粧しっかりすればよかったかも。でもなんで女子トイレの前?) 玄「まぁまぁ、お姉ちゃんが話があるのです。」 京太郎「お姉ちゃん?」 宥「お、覚えてますか?」 京太郎「貴女は確か...宥さんでしたっけ?」 宥「はい...覚えてて、くれたんですね。」 憧「宥姉嬉しそ~」 玄「お姉ちゃん、私もほめてほしいのです。」 宥「試合、頑張ってね。」 玄「そ、それだけ?」 宥「憧ちゃん、玄ちゃんのことお願いしていい?2人きりになりたいの」 憧「は、はい。ほら、玄、行くよ。」 ズルズル 玄「お姉ちゃーん!」 宥(見つけてくれてありがと...玄ちゃん) 京太郎「それで宥さん、いったい何の用事でしょうか?」 宥「あの、あう...えい」ギュッ 京太郎「!?」 宥「あったかーい」 京太郎「宥さん?」 宥「少しだけ、少しだけでいいの。貴方のぬくもりに包まれたいの」 京太郎「困ったな...弱っている女性を拒むわけにもいかないが、わが主との約束もある......」 宥「主?誰かなぁ?」 京太郎「俺の大切な人です。髪が長く、俺のことを心配してくれる心優しい方です。」 宥「......」ギュッ 京太郎「宥さん?」 宥「聞いてもいい?その人って、誰?もしかして...彼女?」 京太郎「ええ。わが主こと竜華様は俺の彼女です。」 宥「...して」 京太郎「何か言いました?」 宥「どうして...どうして彼女なんて...」 京太郎「それが主の望みだからです。」 宥「貴方は...それで満足なの?」 京太郎「ええ。それが彼女、竜華様が望んでいることですから」 宥「さっきからそればっかり...私に抱き付いたのはどうして?彼女がいたなら、どうして白糸台の人ともキスをしたの?」 京太郎「そのようなこともありました。しかし、今の俺は竜華様が大事なんです。俺が一緒にいなければ...だから、これで失礼します。」 宥「行かせない。貴方は...きっと騙されてる。」 京太郎「...離してください。」 宥「いや...わがままだけど、ここで離したら、もう会えない気がするから」 京太郎「竜華さんが俺を待っているんです。」 宥「また竜華さん...そんなにあの人がいいの?」 宥の病み度が3/10となりました。 京太郎「ええ。あの人が私の主ですから。」 宥「だったら...私はどうすればいいの?」 京太郎「それは...あがっ、っつ!(またこの痛み...なんだこれ)」 宥「だ、大丈夫?」オロオロ 京太郎「え、ええ。軽い頭痛ですから。失礼します。」 宥「ここで、休む?」 京太郎「優しいですね。宥さん...」 宥「貴方が...心配だから」 京太郎「そのやさしさを...いっ、ほかの人に向けてあげてください。俺なんかよりもいい人が...」 宥「無理だよ...」 宥「京太郎君だから、こんなに心配なんだよ?」 京太郎「宥さん...」 宥「わがままだってわかってる...けど、京太郎君は私の...大事な」 竜華「やっと見つけたで。京太郎」 京太郎「竜華様!」 宥(清水谷...竜華...) 竜華「ほら、ほかの女と話とらんで、部屋いくで。命令忘れたんか?」グイッ 宥「あっ......」 竜華「なんや?人の彼氏に手だすつもりか?」 宥「そうじゃない...京太郎君は頭痛が...」 竜華「そ、そうなん?大丈夫?」 京太郎「はい。竜華さんに会ってから、頭痛が引いていきました。」 竜華「らしいで。案外、あんたが原因やったりしてな。ほな、京太郎に何かあったら困るし、あんま近づかんでな」 宥「自分勝手...」 竜華「なんか言ったか?」 宥「自分勝手だって言ったんです。」 竜華「面白いこと言うな、あんた。松実、宥やったか?」 宥「貴方に京太郎君は相応しくない。別れて」 竜華「あほらし、恋人ごっこしたいなら、ほかの男でやれや。行くで京太郎」ギュッ 京太郎「はい。竜華様」 宥「京太郎君!」 竜華「竜華でええ言うとるやろ。それと、敬語禁止な」 京太郎「ごめん、竜華...心配かけて」 竜華「ま、許したるわ。京太郎はイケメンだから、さっきみたいなストーカーぎょうさんおるやろうしな。けど、2度はないで」 京太郎「竜華を裏切るなんて、絶対しないさ。」 竜華「ええこや。今日の夜も、たっぷりしよな♪」 宥「なんで...京太郎君...あったかくないよ...寒いよ...ぐすっ」 憧「あれって、清水谷さんだよね?なんで、うちらの部屋に...って、宥姉!?」 宥「うぅ、ぐすっ、許せない、絶対許せないよ...京太郎君がかわいそう」 憧「京太郎ってさっきの?それに、清水谷さん...なにがあったの?」 京太郎「怜さん...大丈夫かな...」 竜華「怜のためにも、絶対勝たなあかん。そやろ?」 京太郎「ええ。精一杯、サポートしますよ。」 竜華「ありがとな...京太郎、うち不安なんや。」 京太郎「不安?」 竜華「怜の病気の再発、それに、京太郎までいなくなってまうかもって考えたら...怖いんや」 京太郎「竜華...」ギュッ 竜華「京太郎?」 京太郎「一度忠誠を誓ったからには、絶対裏切りません。約束します。」 京太郎「だから、もう悲しい顔はしないでください。」 竜華「きょうたろ~」ギュッ セーラ(こいつら病室で何いちゃついとんねん。) 次鋒戦 泉「高1最強としてここは...」 菫「ロン、8000だ。」 泉「またですか...」 宥「ねぇ...少し聞いてもいいかな?」 泉「私にですか?」 宥「うん。千里山に...京太郎君、いるよね?」 泉「え、ええ。おりますけど」ビクッ 菫「なに、京太郎だと?」 泉「な、なんですの?二人とも、今試合中ですよ?」 菫「なぜ君たちのところに彼がいるんだ?」 泉「そら、清水谷先輩の彼氏だからって聞いて「彼氏だと?」」 菫「今彼氏といったか?」 泉「え、ええ。言いましたけど」 菫「ふざけるな!!」 泉「わ、私に言われても」 宥「彼、ストーカーがいっぱいだから困るよね。今も...千里山に監禁されて」 泉「か、監禁!?」 宥「違うの?だって...清水谷さんが、私の京太郎君を奪っていったよ?」 菫「監禁か...今はやりの王子を助ける姫...ふふふ。私にぴったりだな。」 泉「監禁なんてしてません!清水谷先輩と京太郎さんは相思相愛です。さっきだって、園城寺先輩が倒れるまでは部室で...///」 菫「腹は決まったな。」 宥「必ず助けてあげる...」 泉「な、なんです、二人して...そんなに睨まないで下さいよ」 菫「狙いは千里山だ」 宥「京太郎君...待っててね。かならず助けてあげる。」 泉「そんな理不尽な...勘弁してくださいよ」 菫「私の王子をさらった罪」 宥「あったかさを奪った...あの女」 菫・宥「「潰す(してあげる)」」 泉「とばっちりじゃないですか~」 美子(私だけ蚊帳の外...) イベント ランチタイム~竜華と京太郎~ 京太郎「竜華さん、何か食べないと体に毒ですよ?」 竜華「食べたいけど...食べたないねん。」 京太郎「怜さんが心配なのはわかりますけど、竜華さんだって試合あるんですよ。」 竜華「じゃあ京太郎が食べさせてや。」 京太郎「え?」 竜華「だから、京太郎が食べさせてくれるなら食べる言うてるんや」 京太郎「それは、いいですけど...」 竜華「決まりやな。じゃあさっさと食べにいくで」 京太郎「あれ、ほかのみんなは呼ばないんですか?」 竜華「あほ、2人きりで食べたいんや。って、何言わせるねん///」 京太郎「じゃあ、何食べます?」 竜華「そやなぁ...京太郎と一緒ならなんでもええけど...ま、食堂言って決めよ♪」ギュッ 京太郎「はい。」 「もきゅもきゅ...パフェおかわり」 竜華「混んどるなぁ...」 京太郎「はぐれないように、気を付けないといけませんね。」 竜華「はぐれても、今まで会えたやろ?だいじょうぶやで」 京太郎「それもそうですね。どれにします?」 竜華「京太郎のおすすめってある?」 京太郎「そうですね、タンパク質やビタミンも摂取できる、オムライスとかどうですか?」 竜華「京太郎が食べさせてくれるなら、なんでもええよ♪」 京太郎「じゃあ、俺のは竜華さんが選んでください。」 竜華「じゃあ、ハンバーグとかどう?お肉やし、好きやろ?」 京太郎「じゃあそうしましょうか。注文してくるので、席の方お願いします。」 竜華「はいはーい。」 竜華「どこにしよかな...あ、ここ空いてる。京太郎も見えるし、いい場所やな。」 竜華「京太郎は優しいなぁ~...最高の彼氏や~♪」 宥「ここ、いいですか?」 竜華「すんません、彼氏が座るんで...って、あんたか」 宥「奇遇ですね。私も...彼氏を待ってるんです。」 竜華「京太郎なら渡さんで」 宥「それは彼が決めることですよね?これだから話を聞かない大阪人は...」 竜華「べらべらとよう喋るやんけ。さっさと目の前から消えろや」 宥「下品ですね...彼を返してくれれば...すぐ帰りますよ?」 菫「いーや、彼は私のものだ。」 宥「弘世さん...」 菫「悪いな、彼にはファーストキスを奪われたこともあるのでな。」 竜華「なんや、さっきからぞろぞろと...目ざわりや。」 菫「京太郎はこんなガラの悪い魔女につかまったのか?」 竜華「誰がガラの悪い魔女だ。それに、どっちかっていうと、あんたらのほうが人の男に手を出そうとする悪女に見えるで」 菫「なんだと?」 宥「ふふっ...」 竜華「ちっ...あんたら見て食事なんて出来るかい...京太郎、ここ出るで。」 京太郎「え、今食事貰ってきたところですよ?」 竜華「京太郎のストーカーがびっしりおる場所で飯なんて食えるかいな」 照「私は婚約者だから大丈夫」 菫「照、誰が婚約者だ!」 照「京ちゃんとはホテルに行きそうになる仲...ミスで行けなかったけど」 菫「なに、それは本当なのか?」 宥「ウソつきばっかり...私が彼を...」 照「この前はいけなかった。だから今度こそ行く」 竜華「言いたい放題言いよって...」 照「やっぱり、京ちゃんには、おしとやかな女の子の方がいいと思う。」ムシャムシャ 菫「同感だな。すくなくとも、こんな獣みたいな女は相応しくはない。」 竜華「なんやと?白糸台だか何だか知らんけど、あんまりふざけたこと言ってるとしばくで」 宥「ほら...口でかなわないと暴力...獣同然」 竜華「お前ら...」 京太郎「ちょっと、喧嘩はやめてくださいよ。」 照「喧嘩じゃないよ?」 菫「そうだな。」 宥「うん...京太郎君も、嫌なことは嫌って言ったほうがいいよ」 竜華「な、なにをやねん!」 照「貴女が彼女だって言い張ること」 菫「それが彼にどれだけ負担となっているか、考えたことがあるのか?」 竜華「んなわけあるかい!京太郎...そやろ?」 京太郎「え、ええ。もちろんです。竜華さんは、俺の彼女です。」 宥「」ズキッ 菫「くっ...」 照「?」 竜華「ほら見んかい、京太郎がこう言ってるんや。外野はさっさと帰りな」 菫「しかし、それが京太郎の、私の王子の本心とは限らない!照!」 照「照魔境で見てみる。」 竜華「なんやと?」 京太郎「照魔境?」 宥「待ってててね。今、私たちが助けてあげるから」 照「出た。京ちゃんの本心は...一度忠誠を立てたからには、俺は竜華さんと添い遂げる!らしい」 菫「馬鹿な!?」 宥「う、嘘...」 竜華「ほら見んかい、彼女っちゅうんわな、無理やりなるもんやないんやで!」 菫「しかし、彼と貴様の接点すらもないじゃないか!」 竜華「うちらはな、偶然会い、一度は障害にぶつかりながらも、あきらめんと再度あった仲や。つまり、本能から結ばれとんのや!」 宥「本能...」 竜華「怜から聞いたで。あんた、妹使って京太郎探し当てたそうやないか。うちがトイレ行ってる間に、ようもまぁ盗んだもんや」 宥「ちがっ...盗んでなんか...」 竜華「ま、そんなことしてもすぐ見つけるけどな。それくらいうちらの仲は深いんや!」 宥「あっ...あぁ...」 菫「しかし、彼とキスしたのは私だ。」 照「それはちょっとうらやましい」 竜華「キスくらいくれたるわ。その程度のつながりで...よくもまぁ吠えれるもんやなぁ」 菫「それくらいだと!?」 竜華「これ見てみい。京太郎もほら」 京太郎「は、はい。」 菫「首筋?」 宥「赤い...あったかい...まさか...」ガクガク 竜華「さすがにぶりっ子っちゅうわけやないやろ。見た通りや。そんなわけで、さっさと帰りな」 照「待って」 竜華「なんや、まだあるんかい」 照「鏡で見た。足の模様...何?」 竜華「ああこれかい。うらやましいやろ?」 菫「刺青か?大阪はこれだから」 竜華「じゃかぁしいわ!いい機会やし教えたる。これはな、京太郎とつながった証なんや。」 照「つながった証?」 竜華「簡単に言えば、おまえらストーカーと彼女の違いみたいなもんや。」 宥「私はストーカーなんかじゃない...ストーカーじゃない」 竜華「ええ機会や。この証の力...見てみるか?」 菫「力だと?」 竜華「といいたいところやけど、見せるのはもったいないわ。」 宥「その証...奪いさえすれば」ブツブツ 竜華「無駄やで。それにな、京太郎はうちと一緒にいないと、大変なことになるんよ。」 照「大変なこと?」 竜華「そや。そこのマフラー撒いてるストーカーさんなら、よお知っとるやろ?」 宥「頭痛...まさか...」 竜華「そや。詳しくはそのストーカーから聞きや。もうええやろ。こっちも大事な時間無駄にしたないねん。」 竜華「行くで、京太郎。ここじゃ食べれんやろ?怜の場所いこか」 京太郎「は、はい。」 照「待って、京ちゃん」 竜華「なんやねん...しつこいなぁ」 照「京ちゃんの声で聴きたい。本当に、私たちが嫌いになったの?」 竜華「あほか、そんなもん決まっとるやないか。」 照「貴女には聞いていない。私が効いてるのは京ちゃん」 竜華「...さすが個人戦チャンプ...ずいぶん偉そうやなぁ」 照「照魔境で見ても、それが京ちゃんの本音とは限らない。だから答えて、京ちゃん」 竜華「ふん、何度聞いても変わらんで。京太郎」 京太郎「俺は...」 竜華「言ったれ言ったれ」 京太郎「俺は......」 菫「京太郎...」 宥「京太郎君...」 京太郎「俺は...俺は、竜華さんの彼氏じゃない!」 照「京ちゃん!」 菫「よっし!」 竜華「嘘やん...またなんかの冗談やろ?朝みたいにな、そやろ?」 京太郎「主、いえ竜華さん」 竜華「なんや?キスか?それとも、ベッド行くか?」 京太郎「初めての相手はあなたでした。それに、初めてできた彼女...嬉しかったです。」 竜華「なんやねん...なんでそんなさみしい顔すんの?」 京太郎「怜さんにお別れが言えないのはつらいですけど、いくら縛られようとも、やっぱり本心は帰れませんでした」 京太郎「正直に言います。最初に竜華さんを抱いたとき、覚えてますか?」 竜華「も、もちろんやん。」 京太郎「本当はあの時、竜華さんの体目当てでした。」 竜華「なん...やて?」 京太郎「本当にすみませんでした。いくら謝っても、許してくれるとは思いません。」 竜華「いやや。そんなこといわんで...」 宥「往生際が悪いですよ...清水谷さん」 京太郎「訴えるなら、訴えてもらっても構いません。」 菫「安心しろ。君は私が守る。」 京太郎「菫さん...」 菫「いっただろ?君は私の王子様だと」 宥「あったかいギュッてしてくれる?」 京太郎「宥さん...」 照「良かったね。京ちゃん」 京太郎「照さん...」 「...んで」 「...んで、...郎」 「...じる。」 京太郎「竜華さん?」 竜華「そっかぁ、うち捨てられたんかぁ...なら、京太郎なんて...」ブツブツ 菫「醜いな」 宥「散々私たちを馬鹿にしてたのに...」 京太郎「竜華さん...」 竜華「いらんよね。けど、京太郎を誰かに渡すんも嫌や。京太郎はずーっとうちのものや。ほかの誰でもない、うちのものなんや。」ブツブツ 照「なんだか怖い...」 竜華「なああんたら...うちから京太郎を奪って楽しいか?」 竜華「うちは許さん...あんたらを絶対に許さんで。うちが地獄に行っても、それは1人でやない。京太郎も一緒や。」 照「なにするき?」 竜華「アハハハハ!令呪を持って命ずる。京太郎、うちを殺せ!」 「「「!?」」」 菫「馬鹿らしい...何が命ずる!だ。くだらない。」 宥「京太郎君もそうおも...う...え?」 京太郎「う、ウソだろ...やめてくれ...殺したくない...殺したくないんだ」 竜華「ここは食堂...刃物ならいっぱいあるで。」 照「止めなきゃ...あぅっ」 菫「すごい力だ...おい、周りのみんなも手伝え!」 竜華「もう遅いで。ほらおいで、ここやで。京太郎の大好きなここ刺してえな。」 京太郎「やめ...ひぐっ、やめてくれ...」 竜華「あはは、泣いてる顔もええなぁ...さ、はよ頼むわ。京太郎の手で、うちを殺して。」 京太郎「嫌だ。だれか、誰か...俺を止めてくれー!!」 宥「ダメ...力が強すぎる。」 菫「周りの連中も刃物を持っているせいか、手を貸そうともしないとはな。」 竜華「安心しいや。ちゃあんと、最後の令呪も残したるさかい...」 京太郎「いやだぁーーー!」 ザクッ! 竜華「かはっ...そ、げふっ、それでええんや、それで...これで、げほっ...京ちゃんは永遠に...」 女の子が刺されたぞー! 救急車、それに警察をよべー! 京太郎「あ、あぁ...」 照「京ちゃん!」 京太郎「照さん...おれ、おれ...」 菫「よくも、京太郎を人殺しに!」 竜華「最後、っのれい、じゅ、を、もって、命じる...」 菫「また何かする気か?」 竜華「自害せよ、京太郎...うちの、げほっ、ために...」 菫「まずい、宥、照、京太郎を止めろ!!」 宥「京太郎君!」 京太郎「と、止めないでください...俺は、俺のせいで...」 宥「いや...いやだよ...こんなの...あったかくないよ...」 照「やめてー!」 ザクッ 京太郎「がはっ...い、いてえ...けど、ぐふっ...竜華さんはこれ以上の痛...」 竜華「さ、最初の令呪...覚えとる?」 京太郎「え、ええ...一緒にいるですよね。」フラフラ 照「動かないで、出血が...」 京太郎「これでお互い...地獄行きですかね...げほっ、おえっ」 菫「血が...おい、救急車はまだか!」 京太郎「手遅れですよ。ヒュー...ヒュー...じぶんでもわかる。」 宥「だめ、貴方はあったかくないと...また私をあっためて...ぐすっ」 京太郎「竜華...本当に、こうなっちまうとはな...」 竜華「2人で...死ぬと..ロミオと...ジュリエットみたいやな...先、いっとるで」 京太郎「ああ...地獄でも、一緒にいてやるよジュリエット」 竜華「......」 京太郎「笑顔で逝きや...あぁ、待っててくれ...ジュリエット...俺も、もうすぐ...」 照「京ちゃん!!」 菫「京太郎!」 宥「京太郎君!!」 京太郎「......」 「いやぁぁぁ!!」 DEAD END
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京太郎「おもちぶらり旅?」玄「はい!」 京太郎「おもちぶらり旅?」玄「うん!」 京太郎「おもちぶらり旅?」玄「そのとーり!」 おもちぶらり旅・番外編1
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6307.html
番外編 健夜と京太郎 健夜「これは似合うかな?」服の試着をしていて 京太郎「さっきの方が俺は好きかな。そっちはなんか幼く見えるし」 健夜「そうかな…私的にはこっちも好きなんだけど」 京太郎「義姉さんの好きな方で…」 健夜「また京君言っちゃったね」 京太郎「あっ……健夜の好きな方でいいと思う」 健夜「せっかくのデートなんだから呼び捨てでって言ってるのに…」 京太郎「慣れてないから仕方ないだろ」 健夜「いい加減に慣れてくれないと困るよ。もう恋人なんだから」 京太郎「あう…ごめん」 健夜「それにお腹の子も困ると思うよ?」お腹をさすりながら 京太郎「そうだな…健夜ももうすぐお母さんだもんな」 健夜「うん。京太郎と私の大事な子供…本当にありがとう」 京太郎「何が?」 健夜「選んでくれて…一番最初に京君の子供が産めるから」 京太郎「…俺の方こそありがとう。こんな俺の子供を産んでくれようとして」 健夜「好きな人の子供を産む…女の幸せだよ」ニコニコ 京太郎「男だって産んで欲しい女が孕んでくれる。これほど嬉しい事はない」 健夜「当分の間、私とはできないけどね」 京太郎「そ、そんな目でみないでくれよ…」 健夜「あんまり変態なプレイはだめだよ京君」 京太郎「き、肝にめいじときます」 健夜「それに…」 京太郎「それに?」 健夜「私が京君の初めてをもらったんだからね」 カン!