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参加者名簿 ●のついたキャラクターの名前をクリックするとそのキャラクターが退場してしまった話に飛びます。 【VOCALOID】6/6 ○KAITO/○初音ミク/○鏡音リン/○鏡音レン/○巡音ルカ/○弱音ハク 【らき☆すた】3/4 ●泉こなた/○柊かがみ/○高良みゆき/○岩崎みなみ 【カオスロワ書き手】2/3 ○◆6/WWxs9O1s/●脱衣拳/○イナバ物置の人 【実在の人物】2/3 ○織田信長/○所ジョージ/●イチロー 【みなみけ】2/3 ○南春香/●南夏奈/○南千秋 【ドラえもん】3/3 ○野比玉子/○ジャイアンの母/○かみなりさん 【仮面ライダーBLACK RX】1/2 ●南光太郎/○クライシス皇帝 【カオスロワオリジナル】1/2 ○混沌の騎士/●東京タワー 【魔法少女まどか☆マギカ】2/2 ○巴マミ/○キュゥべえ 【サザエさん】2/2 ○フグ田サザエ/○アナゴ 【くそみそテクニック】1/1 ○阿部高和 【涼宮ハルヒの憂鬱】1/1 ○キョン 【ストライダー飛竜】1/1 ○ストライダー飛竜 【ファイナルファンタジーXI】1/1 ○ブロント 【テイルズ オブ デスティニー】1/1 ○ミクトラン 【テイルズ オブ シンフォニア】1/1 ○マグニス 【テイルズ オブ リバース】1/1 ○ヴェイグ・リュングベル 【星のカービィ】1/1 ○カービィ 【ひらけ!ポンキッキ】1/1 ○ガチャピン 【ぼのぼの】1/1 ○シマリス 【ルーンファクトリー フロンティア】1/1 ○ラグナ 【ポケットモンスター】1/1 ○タケシ 【風来のシレン】1/1 ○シレン 【ジョジョの奇妙な冒険】1/1 ○ディアボロ 【仮面ライダーW】1/1 ○井坂深紅郎 【東方Project】1/1 ○藤原妹紅 【相棒】0/1 ●杉下右京 【アカギ ~闇に降り立った天才~ 】1/1 ○赤木しげる 【空の境界】1/1 ○両儀式 【サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY】1/1 ○最終防衛システム 【書き手枠】3/4 ●アーカード/○ディアボロモン/○◆6/WWxs9O1s(女)/●昏き海淵の禍神 45/54
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理樹きゅんと主役の座をかけて繰り広げられる、 MUGEN界のリトバス勢(+α)による凄烈な戦い(誇張 解説 keyの作品「リトルバスターズ!」の音声を基にした、うp主自作のボイスパッチを適用したキャラ(+α)で行われるトーナメント。 64名32組によるタッグトーナメントである。 優勝者には次回以降の動画の主人公権とか、緋雨閑丸(CV:田宮トモエ)を一週間好きに出来る権利とかが与えられるトカ与えられないトカ。 まず紹介順にAブロック・Bブロックへの組み分け戦を行い、その後にトーナメントを開始、最後に両ブロックの優勝者が最終決戦を行う形式。 ボイスパッチのテスト 出場タッグ + 文字数の関係上略称 シキ 両儀式 遠野志貴 バイオ ジル・バレンタイン ELLA ヤンデレ 韋駄川煉 マキ 虹色筋肉 レインボー・ミカ アレックス(CV:神奈延年) 波動 ルカリオ リュウ 斬 高嶺響 御名方守矢(CV:織田優成) フルヌッコ 棗鈴 チェンシロウ 大剣 フィオナ・メイフィールド(CV:やなせなつみ) 前田慶次 舎弟 矢吹真吾 陣内兵太 科学部 ユェン・ソイレン(CV:荒井悠美) DragonClaw ヒスコハ 琥珀さん 翡翠 ドリル ネームレス ヨーコ 仁王 サウザー 川名みさき ロック 楓 ロック・ハワード 美獣 リリス(CV:すずきけいこ) ネロ・カオス 忍者 ガイ いぶき 餓狼 斬真狼牙 テリー・ボガード ブラシス 牙刀 双葉ほたる 白黒 K 鑑恭介(CV:緑川光) ヤンマーニ アサギ タクアン和尚 脱衣 KAITO ユダ 草薙 草薙京 kyoko_typeA 君泣殴止 空条承太郎 美坂香里 キリサケ 天楼久那妓 レイ 旦那 ホル・ホース 沙耶 緑 東風谷早苗 パーフェクトセル 怪人 ロールシャッハ Q ルー大柴 伊達政宗 ブリジット(CV:金子明美) 髪 里村茜 ミリア=レイジ 核恋 霊烏路空 恋するドラゴン 音楽 長森瑞佳 ルナサ・プリズムリバー ナイフ 咲夜・S・ブランドー(CV:田中涼子) 闇のアギト コメント のわっ、いつの間にかページ作られてる!; 出来るだけ早く再開したいと思ってます……すみません -- うp主 (2010-06-22 03 03 36) 名前 コメント マイリスト
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/. . . . . . . ... . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .\ /. . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . \ _j|_.. . . , .彡三三三三三三三三ミ ..、. . . . . . . . . . ヽ  ̄|! ̄. /. . . / \ \. . . ._j|_ /. // / / /| ヽ . \ ̄|! ̄.‘,. /〃../ /. . / / .| ヽ ヽ ヽ ヽ ' ヽ、. . . . .i | { {{. _j|_. | / .八 ヽ ヽ ヽ \ ' ト.. . .__j|__ ∧V  ̄|! ̄.. | /'ぅミxヽ \ \i!,。',ぅミx } ! ! i∧. .|  ̄|「 ̄ ‘,{ . | | |/{i{ }i゚} \ \ {{ i{ }i゚ \| | | | }. .| |! ハ |. /| | { `_゙.ニ゚ ' ` ゙ニ゚ ' } | | .十 |._j|_ }{ {∧ | ト乂///) (/// )_} .| .__j!__. ̄|! ̄ |乂小. {\{  ̄  ̄ ノィ| |  ̄|! ̄ }. . . .l \ 込. く> .ソ | | / ′{. 人. . .|ハ{. . . . > 、 , < |./| /}/. / \ . . . ヽ ! .{≧ -- ≦ノ ノイ ../ ノノ `〉ト、. V ≧ー`ヽ /´. . . . . ≦/ ノ く. / | ./⌒jミ. . . . ヽ/. .>‐< /. {. ヽ .′ .i′ / ,ヒ. . . . .|. . ./⌒ー Y 八 .{ .} / }. . . . .|. ./¨ ー }. . . . i } | 人 '⌒). . . . |.(⌒ヽ .ノ. . . . | |■キャラクター名 絹旗最愛■コードネーム 存在価値(アイテム)■ワークス UGNチルドレンC■カヴァー 高校生■ブリード クロスブリード■シンドローム ノイマン/ソラリス■ライフパス■覚醒:素体 衝動:妄想出自:疎まれた子 経験:実験体 邂逅:保護者■能力値と技能■ 【肉体】 【感覚】 【精神】 【社会】 1 1 5 4 〈回避〉Lv.1 〈RC〉Lv.2 〈調達〉Lv.4 〈意志〉Lv.2 〈情報:UGN〉Lv.3 【HP】 27 【侵蝕基本値】 32%【行動値】 7 【戦闘移動】 12m 【全力移動】 24m【常備化ポイント】 31 【財産ポイント】 23■エフェクト■ Lv 《エフェクト名》 タイミング 〈技能〉 対象 射程 侵食値 制限 1/3 《リザレクト》 オート ― 自身 至近 特殊 ~100% 1/1 《ワーディング》 オート ― シーン 視界 0 ― 3/3 《天性のひらめき》 メジャー 全て ― ― 4 ― 5/5 《ブラックマーケット》 常時 ― 自身 至近 ― ― 1/3 《戦乙女の導き》 メジャー 〈RC〉 単体 至近 2 ― 1/3 《奇跡の雫》 オート ― 単体 視界 6 100% ■イージーエフェクト■《暗号解読》《代謝制御》《プロファイリング》■所持品■ 名称 個数 種別 技能 常備化ポイント UGN幹部 1 コネ 〈情報:UGN〉 1 手配師 3 コネ 〈調達〉 3 情報収集チーム 1 コネ 〈情報〉 2 要人への貸し 2 コネ 〈情報〉 2 カジュアル 1 その他 0 制服 1 その他 0 携帯電話 1 その他 0 ■ロイス■ 対象 ポジティブ ネガティブ 研究員 懐旧 《心的外傷》 ブラッドレイ 《慕情》 不信感 ロック 《純愛》 隔意 両儀式 《尊敬》 嫉妬 間桐慎二 無関心 《嫌悪》 沢田綱吉 《尽力》 憐憫 街への想い 《最愛》 義務感
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「ぶっちぎり茶の湯バトル ぐだぐだ新邪馬台国 地獄から帰ってきた男」で実装された限定☆5バーサーカー。 ステータスはATK偏重型。 カード構成はバーサーカー初のQ3+Q全体宝具。 Hit数はB3/A3/Q5/EX5/宝具6hit。Qは5hitするためアサシン相当のスター稼ぎが可能。 クラススキルは固有の「狂化(寂) EX」「陣地作成(侘) A」「芸術審美(茶) A」「融通無碍 B」。いずれのカードに関しても強化が乗る。 属性は混沌・悪・人。 スキル 【スキル1】侘びの極み A- CT 8-6 味方全体のQuickカード性能&NP獲得量をアップ(3T) + スターを獲得。 味方全体のQ強化ができるため、Qアタッカーと並べて使用するのに向いている。 【スキル2】一輪の花 B CT 8-6 味方単体のNPを増やす&宝具使用時のOC2段階引き上げる状態を付与(1回・3T)&無敵状態を付与(1回・3T)。 味方にNP30%を配りつつ、宝具OCを引き上げ、1回の無敵も付与可能。 自身に付与すれば特攻の倍率を向上させつつ、無敵で被弾も軽減できる。 【スキル3】幽玄たる黒 A CT 8-6 自身のクリティカル威力&Quickカードのクリティカル威力をアップ(3T)&「Quick攻撃時のダメージ前に対象の防御力をダウン(3T)する状態」を付与(3T)。 自身のクリティカル威力アップさせ、Quickに対しては数値が2倍になる。 Q攻撃・宝具攻撃時には防御力ダウンも付与されるので積極的にQを使用したい。 宝具「 一期一会 (いちごいちえ)」 Quick属性の全体宝具。敵全体に強力な〔人の力を持つ敵〕特攻攻撃&宝具封印状態(1T)&呪い状態を付与(5T)。 〔人〕特攻はサーヴァントに特に刺さる機会が多い。スキル2によって倍率を伸ばすことができる。 宝具封印によってそのターンはチャージ自然増加を防ぎつつ、宝具使用も制限できる。「芸術審美(茶)」により成功率も少し高い。 + 〔人の力を持つ敵〕特性持ち一覧 Class Rare Name 剣 5 アルテラ 沖田総司 ネロ・クラウディウス〔ブライド〕 両儀式 宮本武蔵 千子村正 沖田総司〔オルタ〕 徴姉妹 4 アルトリア・ペンドラゴン〔オルタ〕 ネロ・クラウディウス シュヴァリエ・デオン 柳生但馬守宗矩 蘭陵王 ラクシュミー・バーイー 葛飾北斎 斎藤一 渡辺綱 山南敬助 3 ガイウス・ユリウス・カエサル ジル・ド・レェ 弓 5 新宿のアーチャー ジャンヌ・ダルク/アーチャー 源為朝 4 エミヤ 織田信長 アン・ボニー&メアリー・リード エミヤ〔オルタ〕 エレナ・ブラヴァツキー 浅上藤乃 カラミティ・ジェーン ナイチンゲール〔サンタ〕 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン アナスタシア&ヴィイ ゼノビア 3 ロビンフッド ビリー・ザ・キッド 俵藤太 ウィリアム・テル 1 織田信勝 槍 5 坂本龍馬 4 エリザベート・バートリー 神槍 李書文 ヴラド三世〔EXTRA〕 ジャンヌ・リリィ 秦良玉 長尾景虎 3 ヘクトール 宝蔵院胤舜 2 武蔵坊弁慶 レオニダス一世 1 メアリー・アニング 騎 5 イスカンダル アルトリア・ペンドラゴン〔オルタ〕 イヴァン雷帝 司馬懿〔ライネス〕 レオナルド・ダ・ヴィンチ コンスタンティノス11世 曲亭馬琴 4 マリー・アントワネット マルタ アン・ボニー&メアリー・リード アルトリア・ペンドラゴン〔サンタオルタ〕 坂本龍馬 紫式部 エリザベート・バートリー〔シンデレラ〕 3 ブーディカ 牛若丸 アレキサンダー レジスタンスのライダー マンドリカルド 2 ゲオルギウス エドワード・ティーチ 1 バーソロミュー・ロバーツ 術 5 諸葛孔明〔エルメロイⅡ世〕 玄奘三蔵 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 不夜城のキャスター ネロ・クラウディウス〔キャスター〕 アナスタシア 紫式部 出雲阿国 4 エリザベート・バートリー〔ハロウィン〕 ナーサリー・ライム エレナ・ブラヴァツキー トーマス・エジソン マリー・アントワネット ギルガメッシュ〔キャスター〕 ミドラーシュのキャスター ジーク 美遊・エーデルフェルト シャルロット・コルデー マルタ〔サンタ〕 武則天 3 ジル・ド・レェ ヴァン・ホーエンハイム・パラケルスス チャールズ・バベッジ ジェロニモ アヴィケブロン 張角 2 ハンス・クリスチャン・アンデルセン ウィリアム・シェイクスピア 陳宮 殺 5 クレオパトラ “山の翁” 李書文 4 両儀式 エミヤ〔アサシン〕 新宿のアサシン 不夜城のアサシン 牛若丸/アサシン グレイ オキタ・J・ソウジ 3 荊軻 百貌のハサン 風魔小太郎 静謐のハサン 岡田以蔵 2 呪腕のハサン シャルル=アンリ・サンソン シャルロット・コルデー 1 佐々木小次郎 マタ・ハリ 狂 5 坂田金時 ナイチンゲール 土方歳三 項羽 宮本武蔵 千利休 4 茶々 織田信長〔バーサーカー〕 ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕/バーサーカー 清少納言 3 呂布奉先 ダレイオス三世 森長可 2 カリギュラ エイリーク・ブラッドアクス 1 スパルタクス 裁 5 天草四郎 始皇帝 ジェームズ・モリアーティ 4 マルタ レオナルド・ダ・ヴィンチ 讐 5 巌窟王 エドモン・ダンテス ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕 4 宇津見エリセ 0 アンリマユ 分 5 沖田総司〔オルタ〕 4 メカエリチャン メカエリチャンⅡ号機 3 徐福 月 4 BB 降 5 葛飾北斎 楊貴妃 エネミー 人間系(兵士、海賊、ドルイド、京人、チンピラ、ヤクザ、雀蜂、酷吏、農村駐在員、近衛兵、亡者、王の氏族・コヘイ等)、ゾンビ、スケルトン、アマゾネス、機械化歩兵、心を失った者、粛清騎士、ノブ系、屍人、七人御佐姫、ハサン系、殺戮猟兵、空想樹オロチ、第六天魔王・明智光秀、空想樹メイオール、柴田勝家、キリシュタリア、アトランティス防衛兵、オリュンポス兵、闇の新選組隊士、芹沢鴨、殺人鬼、徐福、コロンブスの卵、田中新兵衛、クラス・○○(トラオム)
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2nd / DAYBREAK S BELL(4) 4 / THIS ILLUSION (Ⅰ) 流星が煌めく天空の下。 荒れ狂う呪怨の波を、避け、斬り裂き、吹き飛ばす。 軽く置いた足を基点に、猛烈な勢いで上方向へ飛散した岩盤。 一方通行の前面に展開された石壁は、迫りくる灼熱を孕む泥で出来た触手を受け止める。 超能力『一方通行(アクセラレータ)』により瞬間的な盾となった瓦礫の山は、殺戮の呪いからの浸食を押し留めていた。 ベクトル操作による『反射』の膜が通用するか疑わしい、明らかに物理法則下から外れている攻撃。 これまでの常識が通用しない超常者すら超える規格外など何度も会ってきた。 超能力の行使の節約のコツは完全に掴んでいる。 注入したベクトルは極僅か。制限時間内の1%程度の消費に過ぎない。 それでも射出された岩盤の砲弾にはロケット弾の初速並の運動力が込められている。 目前の生命に絡みつこうとする触手の包囲は瞬く間に飛散し―――その突破を一瞬で塗り替える頭上からの波濤が押し寄せた。 「……ちィっ!」 舌打ちと同時に後方に飛び退く。 小石を蹴る程度の小突きで十メートルはゆうに超えた距離にまでの超移動。 数秒前に立っていた位置には四方八方から雪崩れ込んだ大波が叩きつけられ、泥沼の一部と変わっていた。 やおら頭上に目をやる。 そこには、別の「根」から持ち上げられた野太い縄のような泥が計七筋。 退避した一方通行を逃がすまいと、泥第の二波が空から落ちてくる。 瓦礫を射出し迎撃するが、止められるのは末端のみ。 頭部にあたる場所を吹き飛ばされても、残った部分だけで脈動し、軌道を修正して再び躍りかかってくる。 下がる一方通行を獰猛に追いすがり陰湿に付け狙ってきた。 「しつけェぞ、ゲテモノ野郎!」 乱雑に袈裟に右腕を振るい上げる。 腕の軌跡をなぞって、通過した斬裂の空刃が黒縄を両断する。 大気の流れを操って生み出した真空の衝撃波は、瓦礫の投擲とと同様純粋な物理攻撃だ。 微細な物理計算を念頭に入れる必要もなく、ただ破壊に必要な運動エネルギー分だけぶつければ事足りる。 『反射』を封じられても、ベクトル操作による多種多様な手段は未知の物質にも有効となる。 万能にも等しい法則改変こそが一方通行の超能力が最強たる所以だ。 戦術もなく、遮二無二突っ込んでくる悪意など、脅威には値しない。人類根絶の呪いであろうと銃火器と大差のない障害だ。 「……はァ」 問題となるのはむしろ、際限なく溢れて止まない無尽蔵の質量だ。 泥の支配に濡れてないまだ安全領域の場所にまで下がって俯瞰するのは、全身をよじるおぞましき妖樹。 飛散していく泥は骨格という決まった形で定まれておらず、生体を補う内臓も詰まってない。 アメーバのような単細胞生物に等しく、従って弱所もありはしなかった。 毛先一本分に足らない分を潰した程度で動きが止まるほど、繊細な造りはされてはいない。 現出を促し、自然崩壊を留めている「核」を叩かない限り決定打になり得はしない。 それがなんであるかを、とうに一方通行は看破している。 「……」 樹体に半分埋もれたオブジェと化した少女。 もはやヒトとしての機能は求められていない。ただ悪魔をこの世に招き寄せる為の依代、儀式の生贄の供物。 一方通行は同情はしない。 たとえ彼女が何の罪も背負わない陽の元の世界の住人だとしても、全てはとうに遅い。 切り捨てるのは悪だろう。速やかに終わらせるのが唯一の救いになる、という言い分も所詮は詭弁。 救える手には限りがある。血に染まった己に救えるのはもうただひとつしかない。 誓ったのだから。それ以外に手を差し伸ばせるわけもない。 「第一、構ってやれるほど暇じゃねェンだ。 せいぜい恨み辛み重ねたまま、絶望して消えて逝け」 悪の殺到する死の森へと切り込む。 迷いなく一方通行は選ぶ。人でも敵でもない障害として、非道に片づける修羅の道を。 一方通行が離脱したアンリマユの支配圏では、今も両儀式が駆け走っていた。 視覚もなく本能といえるものすら曖昧なのにも関わらず、そこにいる命には鋭敏に察知し蹂躙しようと根が向かう。 戦場をくまなく覆い尽くしてあらゆる地点から飛び出す魔手。 正面、背後、地表、天井。 逃げ場のないそれを、手に持った一刀が照らす白銀の煌めきが切り拓き道を成す。 間合いに入り込んだ敵は例外なく斬滅する『剣の結界』。古の剣士の業が犠牲者と共に再現される。 両目に映るのは赤。流れ落ちる血の色。燃え上がる戦火の色。 泥に刻まれた呪詛のような『線』は、眼球を蕩かせるような熱を押し込んでくる。 目を通し脳に伝わる痛みを切り捨て、その線に刃を入れてその身に死を具現させる。 ボロボロと崩れゆく触手の末路には一瞥もくれず、瞬きの後には返された二の太刀が次なる獲物を斬っていた。 『死』ははっきりと、これ見よがしに鮮明に映っている。 それは異常だった。気を抜けばあらゆる物、人に死を見るとはいえ、この泥に入っている線はあまりにも、濃い。 かといって脆く虚弱というわけでもなく、まともに受けては式とて死に至る殺傷性がソレにはある。 全身に死を明瞭に映し出しているくせに、世界を死に至らす圧倒的な闇を振りまいていく。 弱さと強さを併せ持った矛盾の塊。犠牲者でありながら簒奪者であり続ける死神。 立ちはだかる存在のその奇妙さに、だが式は疑問を覚えない。 分かりもしない意味を考えることはせず、単にそういうものだと割り切って済む話だ。 刀剣の暗示化にある中でそのような些事は抱かない。 あるのは直感、戦闘本能としての違和感だけ。 戦闘、生存に特化した人体は背筋に走る氷の冷たさを常に満たしている。 その冷たさを飲み干して、改めて敵へ肉薄する。 魔眼と刀技による絶対死の一撃も、武器の間合いにないものには届かない。 周囲を埋め尽くす勢いの大滝の如き呪いの坩堝に飛び込むとしても、そこにしか勝機がないのなら選ばない理由はない。 狙うのは祭壇に侍る言峰綺礼。 式が生きるにはこの聖杯の根源を抹消する他ない。だがその時間違いなく邪魔なのはむしろ神父の方だった。 危険の度合いでいうなら、人殺しに特化した泥を生む聖杯のが大きく上回っている。 それでも脅威の点、存在を許容できない意味で、式は聖杯以上に言峰へと先に剣を突き付ける。 水溜りを踏みつけ、飛沫が舞う。 聖杯に言峰を守る意志などだいだろうが、それでも自らの元に走り寄る命には貪欲に引きつけられた。 怪魔の軍勢が、我こそはと式の肢体を蹂躙せんと詰め寄る。 対極の聖杯の略奪が最優先だとしても、それで他の存在に手心を加えるなどという機能はこの聖杯には元からない。 生き物の気配を感知したのなら是非もなくその身を焼き焦がし責め殺す。そんな使命の元悪意を躍動させていた。 その死の渦を、掻い潜る。 正に渦を巻く、と呼ぶべき螺旋廻廊。 その内の洞。呪いの通貨しない空いた箇所へと身をねじ込んだ。 悲鳴を上げる関節。 粒になって散った泥が付着し叫ぶ肌。 その全てを無視して、渦の外を突破する。 着地と同時に、隙を逃さず真上から落下する魔力の波濤。 逃れられず、防ぎようのないそれを、触れるより前に手にある刃で祓い落とした。 唐竹に割れる汚泥。 周囲を闇に覆われながら裾を黒ずませても、中心に立つ姿は未だ無垢に残ったままだ。 「私を先に狙うか。懸命だな。 劣る敵とはいえ倒せる相手なら先に倒すべきだ。でなくばいざという時足元を掬われかねん」 言峰との距離は、既に十メートルを切っていた。 死の圏内が縮んできても、神父は相変わらず悠然な笑みのままでいる。 「それとも。さっきの一言が余程腹に据えかねたのか? 荒耶も言っていたな。おまえは見かけよりも激情的な―――」 語らせる気も、聞く耳も持たない。 その口を噤ませるべく、いますぐ一閃を払って言峰を両断せんと、体が流れ次の一歩を深く踏み込む。 その直前。 夜気を揺るがす豪爆の音界が、燐光を伴って並み居る触手を燃え散らした。 「………………!」 起きた風が紬の袖を払い、カソックをはためかす。 濃霧舞う空を切り裂き貫通した空間にあるのは、やはり赤い粒子。 この世全ての悪とはある種同一にあたる、人造の悪意である劣化GN粒子。 GNドライブ搭載機の基本武装のひとつであるGNミサイルの炸裂した跡だった。 比喩などではない本物のミサイルの爆発は、周囲にあった泥を根こそぎ消失させていた。 もし飛来物に反応して飛びついた触手の数が少なければ、式と言峰にまでも被害が及んでいただろう。 「……ち。照準がズレたか。まだ粒子が馴染まねェのか。 成分は理解してるが弾くならともかく、自分で使うとなると勝手が違うな」 一方通行は、空になった手を前方に突き出したままの姿勢で立っている。 推し量るまでもなく、彼は自らを誘導弾の"発射台"としていたのだ。 殺害の報酬に頂いた多量の首輪を換金して得た銃火器のうち、最も大きな武器であるGNミサイル。 対モビルスーツ戦を想定して造られた、人に向けるには過剰極まる破壊力。 だがその照準は人ならざる魔性。機械など及びもつかない真性の悪鬼だ。 能力の制限に縛られている中で攻撃力を維持するにはうってつけだった。 「まァ、いい。今のでコツは覚えた。次は直撃させるぜ? 逃げられるもンなら逃げてみなァ。その寸胴から足が生えるかは知らねェがよ」 デイパックから引き抜かれる二基目のミサイル。 人間一人では引き摺ることさえ出来ない質量のそれを、まるで紙細工の模型かのように軽々しく持ち上げる。 内部機器に干渉して推進に点火し、勢いのまま手づかみで投擲した。 射角調整は僅かな操作で事足りる。センサーは己の感覚で補う。 「そうら、ブッ散れ」 手から離れ、猛進する第二射。 だがここで、ただこのまま固定砲台に甘んじる気概で収まる一方通行ではない。 次なる一手は構築済み。殲滅のための超能を制御する知識が回転する。 「はっ――――――!」 ミサイルが射出されるや否や、一方通行もまた前方に跳んだ。 高速で移動するミサイルに更なる超高速で追いすがり、その上体に足を着け、乗り上げたのだ。 そこからは、まるで大道芸でも見るかのような光景だった。 取り付いた一方通行はその姿勢のままベクトル能力を行使、ミサイルの運動法則を操りサーフボードの要領で「操縦」した。 二転三転と繰り返す蛇行。 運動神経では人並み以下でも、それに反比例して頭脳内での演算力は卓越してる。 襲いかかる触手の速度、精度はとうに見切った。 戦国武将の剣戟、見上げる巨躯の機動兵器に比べれば稚拙そのもの。馬鹿正直に来たものに突っ込むしか能がない。 肉体的な反応でなく、起きる現象の数値を正しく計算した結果であれば、軌道の穴に入り込むのは余裕だった。 無数の触手を、風を読み自在に羽ばたく燕のように鮮やかな演舞でかわし切る。 「おらァっ!」 右往左往する蛇の上まで昇り、決着の一撃を放つ。 足の接地を外し空に浮く体。制御から離れ先を行く爆槍。 後背部のブースター面へと、裂帛の気合いを込めて力強い蹴りをぶつけた。 膨張する火焔の柱。 けたたましく鳴る龍の逆鱗の咆哮。 今までとは比の違う時間行使。桁外れの力(ベクトル)を注入され、人智の兵器はいま条理を越えた魔具へと変性を遂げる。 埒外の加圧を受けたミサイルは、城門を砕く破壊槌そのものだ。 中に貯蔵されたGN粒子までもが付与された力に騒然としている。 食らいつく先はただひとつ。いまも無防備に括られている裸身の生贄。 神父の謳う女神とやらを、木端微塵に打ち砕くべく突貫する。 だがそれさえも、超能力者には布石の一投に過ぎない。 槍は泥の集積した塊に阻まれ、本懐を果たせずまま火花を散らした。 莫大な威力の余波で、防いだ壁の包囲には完全な穴が貫通する。 表面を焦がされたことで凝固したトンネルを、颶風と化した白の影が通り抜ける。 飛び勇む一方通行の狙いは変わらず、少女を磔にする聖杯の中心部。 「じゃあな、潰れろォ!」 一本に重なるふたつの撃槍。 ひとつ目で盾を奪い取った今、邪魔するものは何もない。 轟然と向かう五体が流星となり、肉の詰まった杯を爆砕するべく衝突する―――。 一方通行の蹴撃が振るわれると同時の瞬間、式は弾けるように駈け出していた。 一発目の時点で、影はもう消えていた。 上から落ちてくる一撃がただならぬ脅威と察知したのか、周囲に寄っていた触手が空へと吸い込まれるように昇っていった。 無限を誇る総量の泥が、この時点でのみその均衡が崩れる。 解れた結び目の境の間隙を未来予知の域にまで高まった直感で見つけ、その先を踏破する。 進路の邪魔になる触手の根を横薙ぎの斬撃で消し去り、振り抜いた反動を使って黒縄の檻の外―――言峰綺礼の立つ地面へと跳ね飛んだ。 一足。 泥の障害が消えた今、言峰の眼前にまで踏み込むにはそれだけで十分だった。 言峰は構えを取る。しかし遅い。 音速の域に辿り着く式の足運びは言峰の反応速度の限界を凌駕している。 たとえ防御が間に合っても、その守りごとを切り落とす。 掲げられた上段。限界まで引き絞られる筋繊維。 直に構えられた太刀が、雲耀の速度を以て振り下ろされる―――。 両儀式と一方通行との連撃は、阿吽の呼吸に相応しいタイミングで続いた。 当然、連携の示し合せなど二人は行っていない。 他に向けられる意識は用意されておらず、自分が定めた敵を倒すためだけに動いている。 だが他者を見ずとも、状況は常に確認している。 自らにとって有利な展開を定め、生み出すために直感と知能を総動員している。 結果、両者はそれぞれ同時期に勝機の到来となる鍵を見つけた。 それは一方通行には聖杯付近に踏み込んで泥の襲来を集中されている両儀式であり、 式には上からミサイルを蹴り放ち、核を守ろうと泥を集約させた一方通行の存在だった。 最大の真価を発揮するために他人を利用する。 言葉にすればそれだけの方法だが、それが成立するには数々の条件が塞いでいる。 狙う敵が一致し、思考が同一だったからこそ成り立った共同戦線。 どちらかが少しでも違った行動を取れば即座に双方共自滅する、綱渡りの選択。 だがそもそも、この二人が直に殺し合った回数は一度や二度では済まない。 死線で結ばれた関係は、所詮互いの否定でしかない。 理解しているのは、その戦法。 使う武器、持ち得る能力、予測される攻撃、弾き出される運動性能の限界。 刃を重ね殺し合いを演じるごとに、二人の間には情報が蓄積されている。 技の冴えも、武装の破壊力も。自分が相対した場合の対処法を幾つも想定している。 それを応用に使ったのが、今し方の連続攻勢の仕組みだった。 繰り出される心技を十分に把握していた二人は、片方がこの状況で取る行動を逆算し、それに後続して相乗った。 前進して出来た孔は直後の後押しの相乗効果を受けて拡大し、遂に泥の牙城を突き破ったのだ。 確信があった。次の手で完全に決まると。 GNミサイルの爆散で、一方通行と核の少女との間を阻む壁は取り払われている。 両儀式はアンリマユの波状攻撃を透過し、言峰綺礼の目の前に辿り着いた。 これ以上ない絶好の勝機。 この手を下ろせば汚濁は潰える。二人の願いを壊す禍つ聖杯は崩れ去る。 二人は全く同じタイミングで悪夢を終わらせる止めを刺そうとして。 『怪異』が、起きた。 「「――――――――――――――――――!!!???」」 得も言われぬ悪寒が、両者に走った。 何か、道の途中で大切なものを落としてきてしまった気がする。 自分達は途方もない思い違いをしていたのではないかという、猛烈な不安が。 あり得ないと信じる思考が、覆さざる現実によって脆くも浸食され、反転する。 宮永咲に差し出された一方通行の拳は、顔面に触れる寸前に中空で制止していた。 泥の強度を念頭に入れて設定された威力の一撃。 粘性と熱性の防壁が敷かれようと纏めて風圧で吹き飛ばして、減衰したままでも無抵抗の少女の首を折る計算の力を発揮したはずだった。 なのに、今一方通行の拳を受け止めたのは、たった一枚の掌大の花弁だった。 花弁は他の泥の溶けた鉄のような色とは違う、鮮明な光が灯っている。 美しく幻想的な灯。春に吹雪く桜の華。 一方通行の目に、それは死者の人魂としか見えなかった。 式の持つ中務正宗もまた、言峰を斬ることなく軌道を止めていた。 髪の先まで近づいているのに、そこから先がまったく動かない。 阻んでいるものは、刀と男の合間に境界となって挟まれた細い根。 今までとはまるで手応えの違う感触にただ困惑した。これではまるで鋼で出来た業物の刀剣だ。 そして乱れる自分の呼気の音を聞いて、その事実に固まった。 あれだけ死を味わいながらもこの身を刀に保っていた暗示の術が、解けている―――。 突如の異変に時が止まる。 異常な事態だと理解しているのに体が追いつかない。 「――――――――」 先に復帰したのは一方通行だった。しかしそれは自力での復帰ではない。 肌が触れ合う近さで自分を真っ直ぐに見る「視線」に気づき、反射的にそれを見返してしまったのだ。 屍同然だった宮永咲の瞳は、開いていた。 虹彩は赤い。生まれ持った花の可憐さはなく、眼光には見た者を焼き焦がす烈火の炎だけが炯々と灯っている。 そして瞼の内からはごぼごぼと、どろどろと、黒い涙が滂沱と溢れていき……。 「……………っっっ!!!」 本能からの警鐘で完全に自己復帰して咄嗟に後ろに飛び退いた。 攻めを止め下がる選択をしたのは単なる警戒か、それとも殺意よりも生存の意志が勝ったのか。 当然前者だ。前者でしかない。それ以外であっていいはずはない。 答えの出ない迷宮に囚われた思考で、今はただこの「敵」と距離を取る事だけを考えるのみだ。 弾けた白影に連動して、式もまた背後に下がった。 得体の知れない異常よりも、確かに死の手応えを教える硬い感触が腹部に押し込まれる。 その寸前、身をよじり衝撃の全てを受け止めるのだけを避ける。 「……っ―――」 それでも、触れた箇所には鈍い痛みが疼く。 内部からの破壊を目的にした八極の拳打は、まともに入れば内臓と、それを守る骨が砕かれていただろう。 逸らした顔があった位置を、幹のように野太く鍛えられた言峰綺礼の腕が通過する。 まともに打たれれば首がもがれてもおかしくない功夫の冴えに、式の本能は刺激される。 続く拳をスウェーでかわし背後に下がる。 空いた隙へ切り込むよりも、全身に刺さる怖気から身を守る方を選んだ。 周囲にひしめく泥は何の反応も見せず、拍子抜けするほど簡単に退避が出来た。 聖杯を俯瞰できる位置、即ち初めてここの着いた時の場所にまで戻って、式は海に浮かぶ樹を見上げる。 空に巣食う赤い稲妻。 天上での死闘の余波が、聖杯に触れようとする黒い泥の手を打ち落とす。 「―――――――――これは」 隣には、立ち戻った一方通行が焦燥した表情で同じ標的を睨んでいる。 「……この感じ、前にもあったぞ。 似たような胸糞悪い障られ方だ。あの紅いヤツとやってた時、か?」 かつて似た現象に囚われていた記憶を一方通行は反芻する。 そう、あれは駐車場での事だ。あらゆる手を封じて詰みに入っていた紅い騎士の機動兵器。 それが突如として威勢を取り戻した、あの時の不穏な不運を招かれた謎の介入操作―――。 「そうか、決めにきたか。 調整するのはもう十分かね?宮永咲」 「あン?」 ただ一人。 全てに納得しているとばかりに、異変に顔を強張らせないまま微笑でいる男の声が聴こえる。 「なんだ、ここに至ってまだ分かっていないのか。 数々の未知の異能、ありえざる異常に関わってきたのならすぐ気づくかと思っていたが、残念だな」 『樹』は、未だ異変の只中にいたままでいる。 花葉が枝が根が幹が、樹全体が激しく揺れている。 「―――遊戯の中では、時に魔物が身を潜めていることがある。 賭けるものがないがゆえに他を顧みず容赦なく全力を尽くし、命を取り合う恐怖がないからこそ他を竦ませる戦術を躊躇いなく用いる。 戦場であれば恐れられ疎まれるであろうその魔物は、遊戯台にあってはむしろ賛美と名声で迎えられる。 当然だ。彼らは公正な試合の元で戦い、単純に勝ったのみだ。それが疎まれる謂れはない。 己の異質さ、禍々しさを自覚することなく、戯れに人の死を築き上げていく。 悪意も敵意もないまま、純然たる善意と好意を以て他者を蹂躙し嬲り屠る魔性の化物。 宮永咲はまさにそれだった」 伝わる揺れは樹木全体が起こしているものだ。 根を張る地面のみならず、空までもが樹の振動に震撼していた。 「単に素養があるだけで聖杯の器は務まらん。 まして始めから器になるべく設計も調整も為されていない娘では、この孔を固定することは到底かなわん。 だが彼女には別の素質があった。世界という絵巻の秤となるべく生まれ落ちた舞台装置。 そして卓上のみにおいて発揮される、運命を決める権能の力。 誇張なく、宮永咲は『世界の主役』と呼ばれる存在だ」 然り。これこそ震えだった。 殺戮の喜悦によるものとは質の違う漣の根源は、途方もない恐れから振るえているのだと式には思えた。 あの視線を受け止めた一方通行は、ふと思ってしまう。 悪しか齎さない殺害という概念の化身であるあの泥。 意志すら定かでないこの世全ての悪が、あんな踏めば潰れるような草花に恐怖しているのだと、あまりにも馬鹿馬鹿しい考えを。 「私とお前たち、そして彼女。 これで四人。卓を囲むには丁度いい数だ。 とうに牌は配られ、賽子(ダイス)は回っている。ならば後はもう思うがままだ」 「さっきから、何を言ってる。おまえ」 殺し合いに巻き込まれた不幸な被害者。 何の責もなく、無理やり生贄の役目を負わされた憐れな犠牲者。 式も一方通行も、あの少女はそれだけの存在だと認識していた。 今でも、それが間違っていると思わない。 だが、それなら今あそこに収められている人型は。 全体を影に呑まれ、焔を宿した眼でこちらを睥睨するその姿は。 「単純な話だ。既に我々は彼女の遊興に付き合わされていたというわけだ。 損傷、消耗、彼我の戦力差。 真剣に殺し合ってるように見えて、その実我々には互いに何も失っていない。 全てが以前と――――変動なし(プラスマイナスゼロ)のままでいる。 私も含め誰もが決着を望んでいるというのに、彼女の意志がそれを拒んだというだけで、こうして膠着を生み出した。 聖杯ですらもその指向性を誘導させられている。引き役を務めるこちらでさえ空恐ろしさを覚えずにはいられんな」 戦慄する。 勘違いしていたのは―――果たして、いったいどちらだったのか。 予め定められた都合のいい展開を相手から差し出され、知らぬうちにそれに乗せられ操られていた。 これまで思い通りに進めていた戦いが全て、あの掌の上で転がされていたとすれば。 もはや人に収まる業ではない。正統な流れにある者には受け入れられない邪に映る。 「魔」と呼ばれる類の、怪異だ。 「だがそれも終わりだ。 どうやら、この状態でも勝利の決意は残っているらしい。本能が剥き出しになったと言った方が正しいか。 図らずも、私にとっても喜ばしい限りだ。虚飾のない人間の命の疾走は、誰であろうと美しい」 神父は笑った。これ以上なく朗らかに。晴れやかに。 虚偽なき本心からの祝福を、人ならざるカタチに昇華された魔姫へ送る。 「―――喜べ少女。君の願いは、ようやく叶う」 聖杯は願いを叶えるもの。 どのような人物、どのような小さな願望だろうとその理想を形にして見せる。 少女はいま、確かに願った。 人間性、世界との関わりを削ぎ落とし、裸になった心になお残った、あまりにもささやかな希望。 それが此処に、最悪の形で曲解され一つの局を立つ。 「さあ、開化(カイホウ)が始まるぞ。 せいぜい耐えるがいい。命を消(とば)されたくなければな」 妖花が狂い咲く。 悶え乱れた触手総てが、無作為に悪害を散らすだけだった呪いが、ここにひとつの意志の元で統一される。 声を皮切りに、地に埋もれていた"根"が一丸となって、猛烈な勢いで二人に押し寄せてきた。 町を飲み込み災禍を引き起す、荒海の津波そのものの速さ。 これまでにない膨大な量の泥は、左右に別れて回避した式と一方通行の間を通過したまま残留し、二人を分断する壁となった。 「「っ――――――!」」 動いた後で、双方が詰んだと悟った。 何が起きたかは計れない。ただ体の奥底で警鐘を通り越して観念したに近い声を鳴らしたのだ。 これから先、自分達はあの少女に殺される。 真綿で締められるように刻一刻と、絶望を丹念に塗り込められながら死んでいく。 理論を一切挟まない直感だけが、そう真実を叫んでいた。 当然、両者ともそれを易々と受け入れる性根の良さは持ち合わせていない。 式の前に踊る泥の筋は六条。刀を握った時で踏み込めば容易に討てる数。 しかし、繰り出されてきた触手の群れは一糸乱れぬ無駄のない機動で人体の急所めがけて突き入れにきた。 泥状の固形物でしかなかった呪いは、今や研ぎ澄まされた槍の形に先鋭化していた。 古流の剣客の業を継承した殺人鬼を以てしてかわしきれない槍撃の冴え。 研ぎ澄まされた殺意に統率された、訓練を受けた兵士の槍捌きであるかのような攻めは、式に迎撃の間を与えずその場に釘付けにする。 その肉の内は、よく見れば人間の静脈のような青い筋が通っている。 バースデイを介して混入させられたG-ER流体は人の悪意という記憶を読み取る。 そしてその惨劇の再現を行い、死を演出する。 幸せの時と名付けられた織物の如く。 少女に幸福な夢を魅せるため、ふたつの水は融和し、世界を満たそう広がっていた。 斬りつけ合う間に、槍衾は数を増していき、広がる光景は地獄の剣山の様相を呈していた。 一際大きい、心臓を狙う突き。式は避けも防ぎもせず正眼の大勢で槍の到来を待つ。 柱大の太さの黒槍が刃先に触れた瞬間、柄を持つ手首を捻り刀身を穂先に絡みつかせる。 流された槍の柄に浮かぶ溝に刀を押し込んだ途端、それまでの豪壮さが嘘のように槍は霧散した。 一本を凌いだところで安堵には遠すぎる。剣の山はひっきりなしに襲い掛かってきている。 二本目を落とす。三本目、四本目も同様に切る。 五本、裂く。六本を殺す七本を刈る八本九本は半ば無理やりに押し通す。 だが減らない。無限の質量は未だ健在のままでいる。 ただ一点の変化は、この呪いが今一人の意志に基づいて運動していることだ。 獲物は槍といわず、あらゆる類の武器が押し寄せる。 人の全知を尽くした殺戮の道具。それを自らの手で握り振るう血潮の武芸。 式に斬りかかっているのはただの呪いではなかった。 その対象に選別され凝縮された死の歴史。その閲覧に他ならない。 浅く、手足を戦斧が掠める。 継戦には支障ない。だがそれは今の式の剣捌きが現界に達しつつあるのを示す。 限界なのは肉体のみではない。中務正宗の刀身は綻び、名刀の銘に陰を落としていく。 付着する泥の一粒が、武器を腐食させる強酸となってじわじわと力を削いでいく。 地面から伸びる棘に間一髪で飛び退く。 通った跡を縫うように次々と棘が突き出て行く。 どこまでもどこまでも、追いかけていく。 「は―――っ、が、ァ――――――!」 別れた一方通行もまた、追われる立場にあった。 変化した戦法は無粋な物量戦。 無思慮に飛び込むだけだった呪いの塊は、明確な目的に測りその性質を多様化させていった。 対空迎撃用の榴弾を浴びせ続け、地面には一帯を覆う棘が足場を奪い時には串刺しにせんと伸縮する。 空を遮断するドームから滴り落ちる花弁が全身を打ちつける。 地より突き上げられる朽ちた死者の腕が仲間を求め足を掴んで引き摺り下ろす。 ただ独り、一方通行だけを取り残して、この世の全てが敵に回っていた。 無論、単なる物量に任せた包囲戦など超能力者の一方通行はものともしない。 回避するまでもなくただ立っているだけで凡そ全ての通常兵器はねじ曲がり、反射される。 だが今一方通行を襲うのは、この世にあらざる側から招かれたこの世全ての悪だ。 「っ!ギィ――――――!」 落ちてくる泥を退けようと振り上げた腕に、横から伸びた黒い縄が縛り上げられる。 肉は、溶けていない。デフォルトの反射では機能しなくとも一方通行の意志で適応するフィルターは変更できる。 泥と同質である脳内にこびりつく怨念を精査し、それに対応するよう再設定することで、即座に死に至ることは防いでいる。 そこまで対処しても、巻きつかれた触手は一向に離れようとはしない。 リアルタイムで設定を組み替えているのに、泥はそれに応じて組成を変化させているかのようにフィルターをすり抜けようとのたうっている。 結果、肌にへばり続けている泥は徐々にだが一方通行の肌に染み込み、内側から侵されつつあった。 「ベタベタと、付き纏って……鬱陶しいことこの上ねェンだよ!」 繋がれた線を介して逆流のベクトルを送り返す。 膨張破裂する触手。しかし既に次の手は迫っている。 空より降ってくるのは、一方通行を丸ごと包む大きさの桜色の泥花。 「この、クソがァっ!」 手で払いのける動作の通りに引き裂かれる花の蜜。 直接触れぬまま風圧でかき消せば反射の浸食も関係ない。 だがその分、能力時間は減っていってしまう。必要なベクトル数量が上がってしまう。 泥の強度が増しているのだ。 飽和状態で野暮図に垂れ流すだけだった能力が、ここにきて急速に結束している。 より硬く、速く、鋭く。 まるで何かを果たす為に計算されているような、豪胆と緻密が両立した間断なき攻め。 全方位からくまなく振りかかる呪詛の大波を止めるのに、既に能力の制限時間の四割を費やした。 条理外の法則で動く泥は能力による迎撃に相当のロスを生じさせていた。 まるで蜂にたかられる蟲だ。 飛べるのならまだいいが、羽をもがれて地に落ちれば、今度は蟻の群体についばまれ解体される。 「何も見ェねェ聞こェねェ分からねェ、その癖して好き勝手しやがって……! こンなモン、もう能力でもなンでもねェぞクソッタレがァ!」 触手をかわし続けつつ、黒くなった少女の能力を見抜こうと計算しても、答えにまったく行き着かない。 解析不能(エラー)ですらもない。『何が起きているか分からない』。 少女がこの異常を握っているのは理解できる。 何か、この場そのものに介入しているのも想定はできる。 空間に作用しているのか、特殊な電磁波を発しているのか。 たとえ一方通行自身に解析・観測されない波だとしても、結果としてあるものを見れば逆算して答えを導けるはずだ。 なのに齎す効果がなんなのか、能力の性質を読み解くピースが一片すら手に取ることが出来ないのはどういうことなのか。 宮永咲の能力。 果たして、それを能力に定義してしまっていいものなのか。 かつて一度、一方通行の挙動を翻弄してのけた天江衣も、この類の"魔"を携える雀士であった。 『麻雀を打つ』。 そんな他人からすれば一笑に付すような状況が、彼女らが生まれ持つ奇跡を発現するための土台となるものだった。 彼女が彼女であること以外に理由はなく、彼女らがそこに立つだけで事は速やかに成る。 そこにはありとあらゆる理論は省略され、ただ結果だけを現実に書き起こす。 規模こそ小さいが、それは確かに奇跡と呼ばれる業のひとつだった。 観測した現象から逆算して本物に近い推論を導こうにも、現象そのものが不理解であれば推理しようもない。 因果の累積で導けるとは違う、真の意味での運命。 人類、如何な系統樹の生命でも届かない断崖の果て。 一方通行にとって、彼女らの力は天敵に当たる存在というわけだ。 直死の魔眼でさえ、運命の死に線を通すのは叶わない。 ……当然その発揮は麻雀内に限定される以上、本来なら脅威になどなりようはずもない。 ただの競技、遊興の域でしかなかった力を変えたのは、言うまでもない。 意思の強弱に関わらず。願いの質を問わずして。 万人の声を聞き届け実現する魔女の窯は、今目の前で中身を盛大に返しているのだから。 槍群に挟み込まれる。 空間ごと呑まれていく。 何処へ行こうが、死の轟雷は鳴り止まない。 嗚咽。苦悶。人の負の声が地獄で響き続ける。 段々と、『流されている』のを二人は感じた。 まるで強風に飛ばされる花弁のように、為す術なく風の向くままに吹き飛ばされている。 落ちる先が煉獄の炎だと理解しており、必死に抜け出そうとしても、風の檻は堅牢でまったく刃が立ってない。 印象を操り、思考を謀り、行動を縛る。 相手の自由を根こそぎ奪い尽くして自分の優位を不動のものにしてから、その果てに討ち取る。 これこそが遊戯の本質。差し手の赴くまま、盤上の駒は玩弄させられる。 命は転がされ、娯楽の大衆は消費される。 それを眺めて花々は微笑む。 搾り取られる贄の叫喚を、貌を綻ばせて愉しいと。 血の味も死の意味も知らなかった身で、少女は地獄を具現する。 それでも。 そう、それでもと、膝を折れない理由がある。 流れる血の海の中で、呪詛の弾雨が四方に散る。 絢爛とは真逆の汚濁した武具が粉と消える。 服を煤けさせ、幾度なく身に傷を増やそうとも、二人の動きが止まることはなかった。 皮膚から溶かされていく肉は、全ての熱を失ってない。 肉体の限界。能力の制限。そんなものは知らないと愚直に前を睨み進み続ける。 遊びに精を尽くす少女とは違う。 式が先に進むのは。一方通行が命を賭けるのは。より硬い意志から伸びているもの。 こんな枝葉で止められほど、止まっていられるほど彼らの決意は温くはない。脆くない。 この世全ての悪だろうと地表に墜落寸前の彗星だろうと、立ち向かうという選択以外取るべき道(コト)はない。 何故なら、その先に求めるものがあるから。 その先が、自分の歩みたい道なのだから。 全世を覆う怨念に比べてなんとも小さい願い。 だから、譲らない。自分だけのものだからこそ、誰にも邪魔させることはない。 制限時間の四割を切りながらも障害を跳ね除けて一方通行は前進する。 式も壁となって潰しかかる武具の猛撃を死の線に這わせて屑鉄に変えながら走り出す。 奇跡の恩寵を受けた聖杯の呪層界をものともせず突っ切って行く。 肉体の限界。能力の制限。そんなものは知らないと愚直に前を睨み進み続ける。 故に。 己の導いた通りに動いた二人を、少女は完全に刈りにかかった。 時間がない、と二人は言った。これ以上の暇はないと。 事実その通りだった。もう、時間はない。 生者が生きていられる時間はここで打ち止めとなる。 駒は回りに回り、場は掻き混ぜられた。『宣言』の準備は成っている。 対峙者の血をも蒸発させる、極大極地の一撃。 千山に咲き誇る、大輪の花の開放は。 「当たりを引いた、か。ではこれで終局だな」 逃れようのない終わり。 聖杯の女神と化した、少女が少女である所以の発動。 コールタールのように濁った海。 煮えたぎり、泡立つ、命の生存を許さない泥の中で、瘤が隆起した。 足を広げた地面に枝、式と一方通行の立つ位置、聖杯自身からも至る場所に瘤が表れていく。 拳大でしかなかったそれは空気を含んだ風船のように急激に膨れ上がり、瞬く間に破裂直前にまで成長した。 水から上がったクラゲじみた、滑稽にも映る風体。 だがそこに詰まっているだろうものを想像すれば、笑いなどすぐに引きつった。 樹木から生えてくるモノといえば当然、開化を待つ前の蕾に他ならない。 「「 !!」」 絶句。 秒を刻むより先に疾駆。 白と黒の直線を残像にして二人は走り出していた。 空気が爆発し、中空で急激に加速する一方通行。 式も網の目をくぐるように呪いの剣槍をかいくぐって最短で中心に向かおうとする。 確信だ。 ここで落とさなければ間違いなく終わる。 予測予感なんてものとは比較にならない実感が背中を後押ししていく。 「黙って、撃たせて、やると、 思ってンのかァ――――――!」 足を着けて移動しなければならない式より、空を弾けて飛ぶ一方通行が一歩早く必殺の態勢を取った。 手と手の間。風を吸い込み収束される電子の波。 圧縮された空気はプラズマ化され融滅の光線へと変わりゆく。 この桜花が中身にある種子を破裂させるより前に、大元たる黒樹を焼き散らす―――! 照準を向けている光を理解したか、阻止させる迎撃が振るわれる。 地盤ごと持ちあがったような震動を上げて放たれたのはもう触手とは呼べない形状だった。 太さといい大きさといい、深海の海獣が全身をそのまま叩きつけるのに等しい。 海中を遊泳する鯨の如き泥の結晶は猛然と一方通行へと突貫し――――途中でビタリと微動だにせず制止した。 「邪魔だ」 切り開くのは、一刀の煌めき。 数百メートルに及ぶ巨躯に、数十センチ程度の小さな傷が突き刺さる。 悪魔はその動力の元を断たれ、十と七の破片に分割した。 式にとっては、進行上の妨げだったものを殺しただけ。 接近して自らの手で聖杯に刃を通すために進行上の障害物を破壊したに過ぎない。 それでも、一方通行にとってはこれ以上ない援護の形。 「素敵な仕事だな両儀クン、ご褒美にトドメは貰っといてやるよォ! さあ燃え散れ!チリも残らずなァ!!」 照射される熱線。 吼え奔る光の渦。 灼熱の衝撃が悪を具現した黒い巨塔を眩く照らす。 怒れる雷神の鉄槌が、科学の鬼子の手によって振り下ろされる。 触れるまでもなく蒸発していく泥沼。 汚濁の跡も許すまいと閃光の熱波は容赦なく世界を滅ぼしていく。 その、筈なのに。 「な」 白滅する視界の先に広がるのは、 怪物の口を思わせる、底なしの暗闇。 咲き乱れる、惡の華。 光をも飲み干す黒い海。 雷火の輝きすらもが、無窮の地獄に落ちていく。 「に―――」 プラズマの熱線が少女に直撃するよりも前に。 式が裂いた巨塊の破片それぞれの中に、無数に敷き詰められた蕾が破裂したという、起きた事実を理解する事もない。 ベクトルの反射など何の抵抗ももたらさず。 断末魔の声を上げる間もなく、一方通行の全身は波濤に押し流されるように消えていった。 「ぁ――――――」 正面から大波を浴びた一方通行と違い、聖杯に肉薄していた式は背中から諸共にソレを受けることになった。 断線される意識の中で感じたのは泥がもたらす灼熱の傷みではなく、腹部に叩きこまれた拳打の衝撃。 蕾の炸裂と同時に震脚を打ち鳴らし懐に滑走した言峰綺礼の発勁だった。 吹き飛ばされる全身が、爆散して溜め込まれた泥の海に激突し、中へと沈み込んでいく。 呪いのたちこめる展示場から、生きる者の気配が消える。 立つのはただ一人の死者、言峰綺礼だけ。 死人は濁った空を仰ぎ見て、地の底へと思いを馳せる。 「そろそろ、だろうな。 最後に待つ扉まで辿り着いた時、君は如何とする?」 ◆ ◆ ◆ 4 / 花痕 -shirushi- (Ⅰ) 音を追う。 怪物に浸食された展示場。黒く染まり鼓動する壁面の続く先。 奈落のような螺旋階段。 螺子巻く道の最奥から広がる音を、僕は追う。 こつ、こつ、こつ、と。 それは小さな靴音だった。 決して力強くはない、むしろ可愛らしさすら感じさせる、弱い音だった。 だけどその音は、決して止まることが無かった。 どこまでも行く。 地下へと潜る階段の向こう、闇の向こう、僕のずっと先を行く少女の足取りに、迷いだけは無かった。 少女は、秋山澪は進んでいく。 ひたむきに。ひたむきに。怪物の腹の中を進んでいく。 潜り込んでいく。 廊下の先に広がる闇の、更に更に奥へと。 僕はその足取りを追い続けていた。 先ほど廊下で見た、流れる黒髪の残滓。以降、秋山澪の姿を見てはいない。 尾行に気づかれないよう、後姿が見えないギリギリの距離で足音を追い続ける。 だから僕たちはまだ、お互いの顔を見てすらいないのだ。 「どこまで……いくんだろうな、アイツ」 口の中で、僕は小さくつぶやく。 実際、尾行を始めてから、かなりの時間が経っていた。 黒き聖杯と同化した展示場外周廊下から地下に降り始め、もう数十分は経過しただろうか。 かなり地下深くに潜っている筈だけど、螺旋階段の終わりは一向に見えない。 外の戦いは今、どうなっているんだろう。 そもそも、どこに繋がる階段なんだろう。 秋山澪は、今、このタイミングで、どこを目指しているのだろう。 そして僕の全身を襲う寒気は、言いようのない不安は、どこから来ているのか。 秋山澪の黒髪を見た時。 感じた恐怖の正体。 きっと僕はどこかで、確信を抱いていて……。 「なあ、この階段、どこに繋がってるんだ?」 だから僕は小声で、知っている奴に答えを聞くことにした。 「おそらく工房……アラヤの残した結界の内側です」 僕の背中にのっかる小さなシスター。 忍野から僕に引っ付き先を映した魔導図書館は、今までとは少し違った口調で答えてくれる。 「黒聖杯の影響か、アラヤの仕掛けか、分かりませんが、展示場地下の構造が変化しています。 ですが向かう先は間違いなくそこです。目的までは推定しきれませんが」 今の彼女の声には、『色』があるような気がした。 少しずつ見え始めていた物がいよいよ顔を出したような。 所謂、人間味という暖かさ。 それが、今、薄暗い螺旋階段を潜り続ける僕の身には、とても優しく感じられた。 ◆ ◆ ◆ 足音が、止んだ。 長い長い螺旋の終わりを告げる無音。 つまり彼女はもうすぐたどり着くのだ。彼女の目指していた場所に。 僕の歩みも自然、早くなりかける。 だけど抑えなければならない。 ここで一気に距離を詰めようとしたら、今まで気づかれないように尾行してきた意味がない。 目の前に広がるのは長い長い廊下。 幾重にも分岐した、迷路のような真っ黒い道だった。 もう一度だけ考える。 彼女がここに居る意味。 僕がここに居る意味。 僕が感じていた予感の意味を。 何故、彼女はまっすぐここに来たのだろう。 僕たちの敵を名乗った彼女が。 一人の味方すら持たない彼女が何をもって戦おうとし、ここに現れたのか。 当然、ここに勝ち目があるからに他ならない。 そして、もしも、もしも、だ。 参加者も主催者も、誰しも平等に混乱を約束されていた、『黒聖杯』の出現。 この世界の神を名乗る者でさえ、知らなかったというもう一つの『逸脱した力』。 この状況で、冷静で在れた者が居たとすれば。 冷静に、己の勝筋に進んでいける物が居たとすれば。 それは、それを『知っていたモノ』に限られる。 そしてそれが、もしも、彼女だとするならば。 「―――――なっ!!」 前方から微かに聞こえていた足音が、唐突に切り替わった。 穏やかな『歩行』リズムから、連続した、そして切迫した『走り』のそれへと。 「くっそ! ……ここで待ってろ!」 慌てて僕も、インデックスを背中から降ろし、その場に残したまま床を蹴り飛ばして駆け出した。 何故気づかれた? いや、違う。 「いつ、バレてたんだよ!?」 足音が遠すぎる。 全力で追いかけているのに、未だに背中が見えない。 距離が、開きすぎている。 少しずつ、少しずつ、秋山澪は歩くスピードを上げていたのか。 螺旋階段の一本道では追いつかれるから。 迷路のように複雑な廊下に出てから、一気に僕を引き離すつもりで! 「にがすか……!!」 まだ僅かに聞こえる足音を追って、スピードを上げる。 道に迷ったら終わりだ。 曲がる廊下を間違えないよう、体に残る吸血鬼の血を総動員して、聴覚を研ぎ澄ます。 目を凝らして薄暗い廊下の先を暗視する。 ―――足音が、完全に止んだ。 秋山澪はたどり着いたのだ。 思考が、そして体が『急げ!』と命令してくる。 何かが、手遅れになる前に。 廊下の角を一度曲がり、二度曲がり、見えた。 通路突当りの部屋――と言っていいのだろうか。 シェルターのように大掛かりな扉が今にも閉じようとしていた。 ◆ ◆ ◆ 広く、そして真っ白い部屋だった。 壁も、床も、何もかもが白い。 黒く染められた建造物の中にあって、それは異質な場所だった。 だけど白さの質は、空に浮かぶ清廉とはまた別種の物だ。 機械的な白。無機質な白。滅菌処理を徹底し、生活感を削ぎ落したような無の空気。 滑り込んだ部屋は、そんな場所だった。 部屋にはプラスチック製の机が大量に置かれ、机の上にはずらりとPCが並べられている。 そして中央、聳え立つモニターの集合体のような塔の麓に、彼女は立っていた。 平沢と同じ女子高の制服を着た、一人の少女。 部屋に侵入した僕を無視し、モニターの塔の麓でコンソールを叩き続ける彼女は一心不乱に指を動かし続けている。 僕が来る前からずっと、操作し続けていたのだろう。 かたり、かたり、と。 最後に一度二度操作を行ってから。 彼女はこちらを振り返った。 「そっか、あなたが、来たんだ」 黒髪が、流れる。 突発的に脳裏によぎる、第一印象。 『綺麗な女の子』だ。 そう、『綺麗』で『女の子』だ。 傷だらけで、もうどうしようもない位彼女はいろんな意味で傷だらけで。 それでも目の前に立つ少女は『綺麗』で、そして『女の子』だった。 ああ、平沢から聞いてた印象と、ピタリと、当てはまる。 「お互い。実際に会うのは初めてだな。秋山澪」 「そうだな。阿良々木暦」 その話し方に、物凄いアンバランスさを感じる。 アンバランスさが、マッチする。 何とも言い難い大和撫子。 そんな事を、思った瞬間だった。 『管理コード:コトミネキレイ 認証』 無機質な機械音声が、辺りに響き渡った。 『最終権限者と認識します』 発生源は秋山の背後の機械塔に取り付けられたスピーカー。 同時、映し出されるモニター、そして部屋中のPCが一斉に起動した。 嫌な予感が、いや、絶望的な予感が、全身を駆け巡る。 ここは一体、何をする場所なんだ? 「……お前……」 「―――言っただろ。私は、敵だって」 冷淡な声で、冷淡な言葉を、少女は奏でる。 その眼からは、欺瞞も、迷いも、一切の躊躇すらも、感じ取ることはできなかった 『フェーズ:5 開始』 秋山澪の背後。 モニターに表示された事象が、どれだけ非現実的な光景であったとしても。 『最終権限行使により、ゲームの強制終了を実行します』 眼は、本気だと、何より饒舌に語っていた。 「私は勝つよ、阿良々木暦。あなただけじゃない、全員に、勝たせてもらう」 ああ、本当に、ここまでとは思わなかった。 『使用兵器名称―――――』 完全に、僕の予想を超えていた。 終わらせる。 ここは『そのための場所』なのだ。 「勝って、取り戻す。 取り戻す為に私は、この世界を……ぶっ壊す!!」 『"Field Limitary Effective Implosion Armament"』 フレイヤ。 領域制限爆縮兵器の『大量投入』による、地上空間の消滅。 そう、殲滅ですらない――消滅だ。 モニターに表示されている圧倒的な破壊事象は、文字通り、地上に存在する生命全てを壊すと告げていた。 『最終認証を行います。実行しますか……?』 白聖杯、そして黒聖杯。 幻想の究極系を打ち倒す『現実』の究極系は、 幻想よりも遥かな非現実感をもって、僕の前に映し出されている。 「待……っ!」 駆け出した時には遅かった。 いや最初から、この部屋にたどり着いた段階から、僕は遅すぎた。 僕の足が部屋の中央に辿り着くよりも、少女の手が振り下ろされる方が、早いに決まっている。 機械塔から飛び出した認識口を切り裂くように、スラッシュされるカードキー。 最後のトリガーが、引かれた。 『最終認証終了。カウントダウンを開始します』 次に上げられた少女の手は、既にカードキーを握っていなかった。 代わりに、銀の銃を……どこかで見覚えのある銃口を、こちらへ突きつけていた。 「……ッァ!!!」 思考を放棄し、身体を捻って、近くの机の影に飛び込む。 瞬間、肩口に焼けるような痛みが走った。 無視して這いずりながら、放たれる銃撃をやり過ごす事に全神経を集中する。 『フレイヤ発射まで、残り十分です』 机の影に隠れ、銃撃を凌ぎながら肩口を押さえる。 回復力は……だいぶ弱まってはいるものの、まだ働いている。 戦う事は出来るだろう。 だけど既に、トリガーは引かれてしまった。 希望があるとすれば……実行までの残り時間だけか。 「……このカウントダウンが終われば、フレイヤは発射される。 それを使えば、地上の会場全部が吹き飛ぶんだってさ」 淡々と、淡々と、冗談のようなスケールを少女は語る。 「帝愛が残した最後の切り札。ゲームのリセットボタン。 ……すごいよな。 空に浮かんでる神様も、このすぐ上の真っ黒お化けも。 全部全部、平等に消えてなくなる。そしたら……勝ったも同然だ」 全てを壊して、求める全てを手に入れると。 いや、全てを、取り戻すのだと。 「地下シェルターとアラヤの結界で地上と二重に切り離されたこの場所だけは、爆弾の影響範囲外。 だから……あんただけは、私が直接殺さなきゃいけないみたいだけど」 「それで……願いを叶えられるモノまで消してしまったら、どうするつもりなんだよ!!」 「―――心配ないよ」 僕の叫び声を、一笑に付して、少女は軽く言い切った。 「願いだけは、誰にも撃ち落せないから」 無茶苦茶だ。 方法が滅茶苦茶すぎる。 そしてそれ以上に滅茶苦茶なのは―― 「だから早く、さ。出てきてほしいんだ。 なるべく早く終わらせたいんだよ、こんなの」 彼女が今、泣いていることだ。 後悔、罪悪感、恐怖。正体ははっきりしていない。 だけど初めて彼女の顔を見た時から既に、彼女の表情はくしゃくしゃに歪んでいた。 泣きながら、そして涙をぬぐいながら、彼女は、リセットボタンを押し切ったのだ。 「私の願いは、失くした物を取り戻すことだ。 その為に、自分勝手に全部壊そうとしてる。 正義の味方がやりたいなら、出てきて私と戦えばいい。まあ、どうせ手遅れだけど」 自分の為に。 求める物の為に。 全部を壊すと言い切った。 その願いを、その想いを、その行為すらを。 僕は、愚かと思う事も、悪だと断ずることも、出来なかった。 彼女はヤケになったわけでも、気が狂ったわけでもない。 ただ純粋に求めているだけだ。 泣けるほど痛みを感じる事が出来る、震えるほど恐怖を感じることができる。 無感になったわけでも、無痛になったわけでもない。自分を偽ったわけですらない。 『それでも』だ。それでも、求めてやまないから。 諦めることが出来ないから、手を伸ばす。 失くした物を、理不尽に奪われたものを、ひたむきに。 泣きながらでも。震えながらでも。 取り戻したいと願っている。 その姿を、愚かだと、悪だと、誰にも言う権利はない。 僕だって、彼女と同じ思いを感じることが出来るから。 僕には、それを、彼女ほど純粋に願う事が出来ないだけで。 取り戻したいと思う気持ちなら、十分に理解できてしまうから。 世界の崩壊すら、こんな世界なら、いっそ痛快かもしれない。 むしろ彼女から、僕から、大切なモノを奪った世界へと振るわれる鉄槌に、多少の正当性すらあるように感じる。 そう、何故なら僕は――― 「僕は、正義の味方じゃない」 僕には彼女の願いも、行動も、否定できない。 この場所にはもう、善も悪も、残っていない。 在るのは一つの純粋な祈りだけ。少女の背負う、ひたむきな『願い』だけだ。 だから他に、在るとすれば、あと、もう一つ。 「僕は僕の、身勝手な理由で、お前に殺されてなんかやらないよ。秋山」 ああ、やっぱり。 僕が請け負うべき役目はここに在るらしい。 それは、正義などではない。 善などでは、全くない。 酷く、酷く、残念で最低な役柄だ。 世界丸ごと敵に回した少女の、ちっぽけで尊い願いを、踏みにじる為に、一人の無粋な男がやってきた。 それが誰かは、もはや言うまでもないだろう。 かちり、と。 遠くで装填の音が聞こえる。 ぐい、と。 止血を終えた僕は、膝に力を込める。 「残り十分。時間もない。始めようか」 どちらからともなく、そう言った。 一応、世界の命運を左右するんだけど、実は世界なんかどうでもいい個人戦。 最終幕。 僕にとっての、戦いの始まり。 最後にしてもっとも規模の小さく、そのくせ与える影響のもっとも大きな戦局が、静かに動き出していた。 ◆ ◆ ◆ 時系列順で読む Back 2nd / DAYBREAK S BELL(3.5) Next 2nd / DAYBREAK S BELL(5) 投下順で読む Back 2nd / DAYBREAK S BELL(3.5) Next 2nd / DAYBREAK S BELL(5) 338 2nd / DAYBREAK S BELL(1) 両儀式 2nd / DAYBREAK S BELL(5) 一方通行 言峰綺礼 阿良々木暦 インデックス 3rd / 天使にふれたよ(2) 335 1st / COLORS / TURN 5 『Listen!!』 秋山澪 2nd / DAYBREAK S BELL(5)
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万獣の詩 断章『セトの息子達』 第1話(前編) =─< 断章『セトの息子達』(上) >────────────────────────= 失敗したと思った時には、もうなにもかもが終わっていた。 望みを叶えるはずの圧倒的な力は、望みに反してあらゆるものを壊してしまった。 敵も味方も。 ぼくが壊したかったものも、ぼくが守りたかったものも。 たった一度の過ちで。 たった一度の過ちだったのに。 力を持って生まれて来た事は天恵の勅詔だと、全てのそうでない人々は言う。 才を持って生まれて来た事は運命の祝葉だと、全てのそうでない人々は言う。 自分と違う存在に向けられる、賞賛と恐怖の眼差し。 選ばれた存在に向けられる、羨望と嫉妬の眼差し。 だけどぼくは神様じゃない。 脆く儚い人の器に、この力はあまりにも重すぎる。 ぼくは別に何かの義憤に駆られて人間を皆殺しにしたいのではない。 ぼくは別にそこまでの欲望に駆られて山野を焦土に変えたいのではない。 ぼくは、普通でいたかった。 ぼくは、もっとささやかで当たり前のものが欲しかった。 ……こんな力。 ……こんな力さえ、なかったら。 しかし逃げることは許されない、ぼくの背には既に咎人としての十字架がある。 あの人の選んだ道。あの人の目指したもの。 その『プライド』に賭けて、証明してみせよう。 ――あまりにも大きすぎる力は、人を不幸にしかしないのか? ――破壊の力では、人を救う事はできないのか? 違う、と。 断じて違う、と。 …違う、違う。 違う違う違う違う違う違う違う違う違う!! ここに全てを捨てていく。 その決意のため、二度と同じ過ちを繰り返さず、『人を超えた人』になるために。 ぼくは超人。ぼくは正義の味方。ぼくは物語の救済者。 衆生に交わることなく、観測者であり第三者、だからこそ誰も傷つけない、 ……ぼくも傷つく事はない。 ぼくの名は。 =―<A-1 Lynne in 14 years ago AM 11 03 >──────────────────= 建物ン中に入った時から嫌な気配はしてたけどなぁ。 「こちらです」 部屋ン中に通された時ゃあ、思わず顔もしかめちまった。 「……酷ぇなこりゃ」 じっとりと淀んだ陰風、立ち込める瘴気。 ここまで酷くなりゃ、さすがにトーシロにも何かおかしいのが分かるみてぇだな、 母親だっていう後ろのヘビの嬢ちゃんも具合悪そうにしてやがる。 ……しっかしあれだ。 話は逸れるけど犯罪だよな、(ヘビなのに)26で10歳のガキの母親ってのは。 ガキがガキ産んでるようなモンじゃねーか、 噂にゃあ聞いてたが、想像以上にすげぇところだわ、このハーレムってのは。 つぅかロリか? この国の国王って? ……まぁそれよりもすげぇのが、目の前のこのガキなんだけどよ。 ほとんど骨と鱗だけに痩せこけてブツブツ、 ゴーカな寝台の背もたれに凭れ掛かったまま、誰も居ない空間に話しかけてやがる。 …まぁ本当は虚空にでなく、この世ならざるモノに対してなんだろうけどよ。 しっかしオレだって修行積んで術使わねぇと見られねーようなもんを、 こんな何の修行も積んでねぇヘビのガキんちょが普通に見れてるっつうこたぁ。 「……てめぇ、見鬼(けんき)か」 かけた言葉に応答なし。 チッ、こんな美人のおねーさんが声掛けてるっつのに、可愛げのねぇガキ。 ……ま、取り殺されかけてる今の状態じゃ、 答えを期待すんのも無理っちゃ無理なぁ話なんだが。 「ケン、キ?」 「よーするに『ミエルヒト』ってこった」 息を呑む母親を尻目に、オレは腰に手を当てて目の前のヘビのガキを睨みつける。 「ま、あんたらヘビが分かんねぇのも無理はねえな。 こういうのの専門は、昔から狐か獅子って相場が決まってんだし」 確かにまぁネコやトラ、ライオンの見鬼っつぅのはそこそこ珍しくもねぇんだが、 ヘビの見鬼ってのはオレも聞いた事がねぇ、初めて見た。 「おまけにこの様子じゃ、憑巫(よりまし)も入ってるってトコか?」 口笛だって吹くってもんだぜ。 【見鬼】の才も、【憑巫】の才も、 どっちも生来の魔力が高けりゃ同時に見につくような才能じゃねぇ。 偶然の恩恵か、何か特別な事情が必要な、 それをお前、二つ同時にだなんて、笑っちまうぞオイ。 「うはははははは、こりゃ洒落になんねえな」 試しに算命盤回してみた日にゃ、耐え切れずに本当にゲラゲラ笑っちまった。 「こいつ、とっくの昔に死んでるぞもう?」 「えっ、ええ!?」 何度占っても、命数0。 「つまりこいつ、もうとっくの昔に死んでなきゃおかしいってこった」 「そ、そんな……」 明らかにビビって狼狽するかあちゃんの動揺を、でもオレは見逃さない。 「ん~、奥さん、何か心当たりがあるアルネ~?」 「………!!」 ここら辺の話術はまぁ、商売用のテク。 詳しい事占えって言われたらちょっと手間ぁかかるが、 でも「いついつに大病して死に掛けた」ぐらいなら徴(しるし)もすぐ分かっからな。 あとはそういうのをキッカケにグッと信頼させた後、 値段交渉の時間ってわけよ。 ……最近はなんだ、機械だの魔科学だの、魔力がない奴にも使える道具、 そういうのが沢山出てきたせいかオレらロートルは肩身が狭くてね、 ネコみたいであれなんだか、オレみたいな「インチキ道士」は食ってけねぇわけよ。 哀しいけど、稼げる時には稼いで置かねぇとなぁ。豊かな老後の為にもさ。 …つか、酷いと思わねぇ? 実力は確かなのによ? ちょ~~っと女で、酒飲んで、男遊びが激しくて、博打もやって、肉や魚も食って、 三日に一度しか風呂に入んない、道服も一週間に一度しか洗濯しねぇだけで、 「インチキ道士」「ナマグサ道士」だなんて、お前ら方士道士に夢見すぎ。 日々精進潔斎して清廉潔白、霞食って生きろってか、バーカ。 ……ほらそこ! そこのオレが女ってだけで「インチキくせ~」とか思ってる奴や、 肉も酒も男もやるだけで「生臭だ~」って思ってる奴、お前らに言ってる! あのね、オレら獅子国の道士にとって大事なのは「陰陽合一」なの。 「陰陽合一」ってのは、陰氣と陽氣のバランスが整ってる事。 それさえ取れてりゃ、もう男女交合しようが肉や酒をかっ食らおうが別にいいワケ。 むしろ必要に応じて簡単に陰陽のバランスを崩したり戻したり出来て便利、 肉食って陰氣に傾いた後は、陽根受け入れて陽氣を取り入れれば、はい元通り。 身なりが小汚いのもカンケーねぇ、「陰陽」は「合一」してんだからな。 「はん……なるほど、つまりこいつは【鬼子】だ、あんた」 「お、おにこ…??」 だから腕はいいんだぜぇ腕は? 伊達に実践道術で食っちゃいねえからな。 ヘビの国じゃあなんて呼ぶかぁ知らねえが、 少なくともオレらの宗派に関しちゃ、こういうガキは鬼子って呼ばれてる。 「10年前だな。…あんたの胎から出てきた時、こいつは既に死んでるはずだった。 死産、死んで生まれてくる予定、そういう風に決められてたんだよ」 「!!」 星の巡りを見ても、命数を見ても、両方からそれは明らかだ。 このガキ、そもそも生命線が無ぇと来てる。 占い師泣かせ間違いなしのガキだね、オレにもちょっとこいつの運命は覗けない。 「どっこい、何を間違ったか。…まぁ天上の神サンにも、地獄の閻羅サンにも、 うっかりミスってやつはあるらしくてね」 本当に死神がいるのか、キャベツ畑のコウノトリサマが居るのかはともかく、 よーするに分かり易くいうと、 あっちで生まれた、こっちで死んだで今日もてんやわんやで働いてる内に、 業務上過失、「ついうっかり」取り違えた。 ……「死」んで生まれてくる予定のを、間違って「生」にしちまったんだな、うん。 どこのドジっ子神サンだよって思うかも知れねぇけど、 ディスティニーちゃんだって人間?だしな。間違う事もあるわけよ、時々。 で、それでたま~~~~にこういう『おかしなガキ』が生まれてくる、と。 生来魔力の高い低い、才能のあるなし、頭のいい悪いとはまた別の次元の話、 生きながらにして死んだガキ、運命の定から外れた子、【鬼子】。 「魂魄の存在位相が半分幽界、…犬猫風に言やぁアストラル界にズレてんのな」 蛇眼をぱちぱちさせてオレの話を聞いてるおふくろさん。 ……おお、やっぱりトーシロには分かんねぇか、こういう専門の話をしても。 でもオレにゃこれ以上分かり易く説明もできねーしなぁ。 「だから【見鬼】。どんなに生来の魔力が高かろうと、でも普通に生まれた限りは 特別な術でも使わねえ限り視えねぇようなモンが、こいつには普通に視えちまう」 上は神様とか死神、下は幽霊や山の精、木の精。 それどころか普通の人間だったらまず大魔法使いでも絶対に感知できねぇような、 幽霊にさえなれない超々微弱の残留思念、――鬼や妖の元になるモノまで。 「だから【憑巫】。五感どころか存在そのものがチョロっと向こう側にはみ出してっから、 向こうの存在からも認識されやすい、黙って立ってるだけでモロに影響受けちまう」 巫女体質。霊媒体質。シャーマン体質。なんとでも呼びゃあいい。 おかげで『こんなややこしい事』にもなったりするんだけどよ。 「……ま、こいつも運が悪いねぇ」 そういうモンに理解のあるうちの国か、あるいはキツネの国に生まれてれば、 それこそ重宝されただろう、生き神サマみたくに扱われたろうに。 なんせこればっかは、普通の遺伝や血筋で受け継がれるようなもんでもねぇからな、 滅多に無い人材なだけに、幾らでも使い道はある、求人需要ありまくり状態だ。 「……いや、それとも運がいいのか?」 ――もっとも。 そんなわけで、ちゃんと知識のある奴が保護して修行も積ましてやらねぇと、 長く持って12か15までの儚いガキでもある。 …なにせ物心つく頃からそれがどれだけ危険な事かもロクに認識しないで、 鬼や妖と背を並べて普通に生活してるわけだ。 普通はこのガキみたく、無意識に引き寄せて背負い込んで取り憑かれて、 招き込んだモンに押し潰される形で自滅する、食い殺される。 おまけに日頃からそこら中の負の存在、陰氣と接して暮らしてるわけだかんな、 自然生気を吸い取られて、病弱で身体の弱いガキになるわけよ。 貧しい農村なんかに生まれちまった日には流行病でコロリ、 こんな豪華な王宮の奥で傅かれてさえ、宮廷魔術師にも全然気づかれずに 今まで放置されてきたってのも、まぁヘビだし無理もねぇか。 滅多になくて、しかも見出されなきゃ早死確実と来りゃあそもそも認知がされねぇ、 このガキみたく相手にされずに腫れ物扱いってのはまだマシな方かもな。 迷信深い村とかに生まれたら、気味が悪いってんで叩き殺されるのもあるだろう。 そんな事をとつとつと説明してやったら、おお、なんだかーちゃん、青ざめてるな? 謝礼金ふんだくるのにちょっとあれこれ面白おかしく説明してやったが、 別に驚かすつもりで言ったんじゃねぇ、ちょっと誇張表現も入ってるんだぞ? ……まぁそれで金たくさんくれるんならそりゃ貰うが。 「そ…それでイェスパーは、私の息子は助かるんですか…?」 「助かるとも助かるとも! オレを誰だと思ってるんだあんた!?」 心配すんなぁとばかりにドンと胸を叩いて、 「……ま、お助け具合はきっちり貰えるモンを貰えればの話だけどな?」 にっかりと笑って手を差し出す事は忘れない。 背後に刺さる女官やら女兵士やらの冷たい無言視線が痛ぇけど、うるせーな、 こういうハーレムでのお前らの役目って、背景Aとか、置物Bとかだろ? 偉い人同士のやんごとなき会話を邪魔するんじゃねーっての、すっこんでろザコ! =―<A-2 a horrible rainbow 14 years ago AM 1 50 >───────────────= ――さて、そんなこんなで真夜中。 それも草木も眠る丑三つ時、妖が跳梁跋扈するには一番もってこいの時間だ。 ……思いっきり人間の方が不利、 鬼とか妖に有利な時間じゃねーかって言う奴もいるだろうがな。 でも逆に言やぁはっきりくっきり『出る』、 昼間よりも相手の正体をずっと見極め易い時間だって言う事もできるんだぜ? 昼間は生きてる人間の雑踏や息遣い、氣のやり取りに掻き乱されて、 やっぱおぼろげで判然としない事が多いからなぁ。 完全に正体掴んで暴露して滅するには、かえってこの時間の方が都合がいいワケよ。 「いいか? 何があってもその線の中からは出んじゃねぇぞ?」 神妙に言って踵を返したけど、やっぱり背中に突き刺さる視線は冷たい。 「中に居る限りはどんだけ騒ごうが悲鳴を上げようが関係ねぇけどな、 出ちまったら向こうも気がつく、何されるか保障できねぇからな」 ボソボソと『あんな胡乱な輩を信用して~』とか『絶対インチキに決まって~』とか、 そういう声さえ小声で聞こえてくんだけど…… ……さて、いつまでそんな態度が続くかだな。 「よぅ、イェスパー」 砂漠の深夜だという事を差し引いても寒々しい冷気、 それが渦巻く部屋の中心の傍に立ち、オレはやせ細ったヘビのガキに声を掛ける。 同時に小さく口訣を唱えて、丹田から五感へと氣を走らす。 人ならざるモノを、見鬼ではないオレが捉える為に。 ………… ……これは……ちょっと想像以上だな。 よくもまぁこんな、居るわ居るわ、こりゃまた随分かき集めたもんだ。 女に、男に、子供にジジババ、兵士や昔の王様っぽいのまで。 「…死人に囲まれての王様気分は楽しいか? イェスパー」 ――そんなオレの言葉にピクリ、と微かに反応はしたみてぇだが、 すぐに無視して鬼の一人との会話に戻りやがった。 ……ガキが起きてるような時間じゃねえだろとぶん殴ってやりたいトコなんだが、 周りに鬼火飛ばすようにまでなったガキにンな事言っても無駄か。 だから見鬼の、憑巫のガキは嫌なんだ。 ただ視えるってだけで、認識できるってだけで、これだけのもんを呼び込みやがる。 視えさえしなけりゃそもそも生まれようも無いもんを、こんな簡単に。 「青い鱗、茶色の長衣を来た、お前と同じくらいの歳の女の子」 ――これにはさすがに反応した。 「腰が曲がって杖を突いた黒蛇の爺さん、紫のベールで顔を隠した女」 ――慌てて首を動かし、驚愕に眼を見開いてオレの顔を見る。 「槍を持って皮の鎧を着込んだ黄鱗の男兵士、脇に本を抱えた優しそうなお兄さん」 ――ま、それも当然か。 なにせ初めて自分以外の、『はっきり視える』人間が現れたんだから。 「あとはお前と同じ年頃か、ちょっとちっちゃい位のガキが多いな。…8人、9人?」 「う…あ……」 言葉にならねぇ言葉を呻いて、ようやくオレの事をまともに認識してくれるこいつ。 …うん、まずは掴みは上々。 「凄いな、イェスパー」 注意を十分引き付けた、オレに十分意が向いたのを確認してから、 「これ全部、お前が『造った』のか?」 事実を認めさせるための刃を、抉り込むように突き刺した。 「つく――《こんにちわ、ライオンのお姉さん》 と、相手の返事が帰ってくる前に、こいつのすぐ横の【鬼】から妨害が入る。 《作ったなんて酷いわ、私達はずっと昔からここにいたのに》 一番傍に居た例の茶色の長衣、こいつと同じくらいの青い女ヘビ。 「アポス……」 魂が抜けたように王子サマが『それ』の名前らしきを呟くあたり、 多分こいつが鬼共のボス、 ……話を聞く限りの、一番最初に王子サマが作った『おともだち』か。 《イェスパーだけが私達に気がついてくれたの、彼だけが私達を見れるのよ?》 はん、鬼の分際でよくしゃべる。 訊かれてもいねぇのによ。 《だから私達、イェスパーのお友達になっ 「「 ――ままごとの人形は黙ってろ 」」 ――ざわり、と。 辺りの、鬼共の空気が揺れるのが分かった。 『瘴気』が、強まる。 「お前に訊いてるんだよイェスパー。…他の誰でもない、お 前 に 訊いてるんだ」 …へっへ、痒い痒い。 他はともかく、オレに対してこれしきの瘴気、笑っちゃうっての。 「お前はそれでいいのか? イェスパー?」 正中線に一本、真っ直ぐな鉄の棒をイメージして一歩。 丹田に力を込めながら、ぐっと足を踏み出す。 「生きてる友達と遊んでもらえないから、誰にも相手にしてもらえないからって、 拗ねて、引き篭もって、うじうじ自分の殻ン中に閉じ込って」 金色の瞳が、でっかく見開かれた。 ベットのシーツを掴む鱗の手に、ぎゅっと力が篭められる。 「自分に都合のいい世界を作って、自分の言う事は何でも聞く人形を侍らして…」 《イェスパー、だめよ、聞いちゃだめ》 そんな力の篭った手にそっと手を添えながら、鬼が。 「…『嘘』と『偽物』捏ね繰り回して、おままごとして楽しいか?」 でも生憎だったな、どうやらしっかり耳には入っちまってるみてえだぜ? 「――本当は気がついてるんだろ?」 無駄だってのに、このガキは必死に聞くまいと耳を塞ぐ。 それが何よりも効果がテキメンって事の証明なのにだ。 「……分かってるんだろ? なぁイェスパ 「アポスッ!」 ――ガッシャン、と。 一歩下がったオレの眼前を傍にあった香炉が猛スピードでかっ飛び、 派手な音と共に壁にぶち当たって金属音を立てた。 一瞬窒息した室内の空気、 ……視界の片隅には、らんらんと目を輝かせる女のガキの姿をした鬼。 「……『サイード』、『マサルハ』、『ファウジ』、『サミーフ』! 『バラケ』!!」 名づけ親の王子サマに【名前】を呼ばれて。 ボス以外の鬼共も、おんなじ様に目を輝かせながらゆらりと動く。 同時にカタカタ、カチャカチャ音を立てながら、 窓から差し込む月の光の下、ランプとか、香油壷とか、花瓶…… ……果ては丸椅子や壁に掛かってた絵画まで。 ひとりでに浮かび上がって、勝手にグルグルと飛び回るその光景に、 背後に控えさせた女官や衛兵共が、オレにも聞こえるくらい大きく息を飲んだ。 うん、まー、あれだな。 『ぽるたーがいすと』だっけか? ネコ風に言うところの? ……それもここまで物理的な、目に見えてそれと分かるくらいの強力な奴たぁ、 やっぱり仕込んでおいて正解だったわ、昼間の内に。 「……だぁーから、さ。無駄だっつってるだろ?」 つま先をちょいと持ち上げて、 「他はともかく、オレ相手じゃあ分が悪ぃっつの」 バン!と一つ、床を踏み鳴らす。 ガチャガタガシャン!!――と。 それだけで宙を浮いてぐるぐる回ってた調度品類が、全部床に落っこった。 一瞬で塗り替えられた陣地の勢力図を見て、 そこで初めて、鬼の親玉の顔の、張り付いてた笑みが消えやがる。 「…まぁ同情はするよ」 ますます強まる瘴気、化けの皮が剥がれ出し、露骨に矛先を向けられる悪意。 「気持ちは分かる」 でも今しかねぇ、ここで一気に畳み掛けて一息に引き摺り上げるしか。 「寂しかったんだろ?」 初めて思い通りにならない、手に入れたチカラが捻じ伏せられたのを見て、 でも王子サマの瞳孔が、憤怒というよりは驚愕の様相できゅうっと収縮した。 「仲間が欲しかったんだろ?」 《~~~~…………!!》 横に引っ付いた女のガキの姿の鬼が、必死で耳元に何かを囁いてるが、 でも無駄だよ、今のこいつの意は、完全にお前達の方には向いちゃいねぇ。 「――自分にしか視えないモンを、同じように視える友達がよ」 「…あ……」 困惑するような、胸を打たれたような表情をして王子サマが喉から声を漏らした。 「仲間外れは、辛いもんな」 ぐるぐると鬼火が舞う。 鬼火が。 「だからこれは」 それを見たオレは両腕をおーきく広げて…… 「ご褒美だ」 ――パン!―― 胸の前で、柏手を打った。 「ヒッ」 「キャアアアアアアッ?!」 「…ッ!」 途端に背後から上がる悲鳴のオンパレード。 「線から出るんじゃねぇって言っただろうがッ!!」 わたわたと慌てふためいて線から出ようとする女官共に素早く一喝棘を刺し、 オレは呆然と眼を見開いている王子サマの方に向き直る。 《……貴様、何を――ッ》 さすがに様子がおかしいのに気がついたか、 メスガキ姿の鬼がぐわっと目ぇ見開いて脅しつけるようにこっち睨みやがって。 ……ああ、でもなあ。 「あン? 何って、ちょいと細工して『視える』ようにしてやっただけさ」 せっかくの可愛い女の子姿が台無しだぜ、鬼さんよ? 『虫の眼』してないで、ちゃんと人間の姿保とうや、産みのご主人様の前でくらいよ。 「後ろのトーシロ共にもなぁ、お前らの姿が視えるよう、氣ぃ足してやったんだ」 ニィッ、と口を歪めて笑って見せた傍で。 …でも じとり、と生暖かい脂汗が背中の窪みを伝って落ちていくのが分かった。 あぁ、やっぱ、口で言うほど単純な芸でもねぇのがな。 こんだけの鬼を、全く才能も修行もなしのトーシロにも視えるようにすんにはちょっと、 ……ちょっと氣ぃを使い過ぎんのがよ。 「さぁて、どうだ? …気分はどうだよ、イェスパー?」 アホみてぇにぽかんと口を開けているガリガリのヘビガキ。 「今まで自分を散々嘘つき呼ばわりした連中に、見せつけてやれた気分はどうだ?」 こっちのガードを、陣地を侵蝕しようとうねる瘴気。 どうやら本気で敵と認識したらしい、鬼共が全力で叩きつけてくる無数の鬼火。 「…ほら、見てみろよあのアホ面、悪かぁないだろ?」 オレとこいつが日頃『視て』『感じて』るものを目の当たりに、 カチカチと歯の根を合わせる衛兵共、ガクガクしながら何か呟いてる女官共。 「スッとしただろ? 悪くないよな? 悪くないなら――…」 いなさなきゃなんねぇ鬼火の数のしんどさに、てのひらに脂汗を溜めながら、 「…――戻って来い」 ――< interrupt in >─― 「お前は『嘘つき』じゃねぇよ」 《ダメよイェスパー、信じちゃダメ、あんな人に貴方の何が分かるっていうの?》 雷に打たれたように、王子の肉体は硬直する。 「『嘘つき』なんかじゃないさ、イェスパー」 《私より、あんな今日出会ったばかりの、知らない人の言う事を信じるの!?》 彫像のように凍りついたまま、侍る亡霊の甘言を聞き。 《言葉だけで、本心では信じちゃいないんだわ。騙して、笑い者にしようとしてる》 違う、と信じたかった。 信じたかったが。 ……でもその勇気は、もう彼の中には微塵も残っていない。 「お前にはただ、ほんのちぃ~っとばかり特別な力があったってだけよ。 他の奴らにはこれっぽっちもねぇ、超珍しい才能があったってだけの話」 《本当は嘲笑ってるのよ、心の底では。…皆が、貴方のお母さんもそうなように》 チクリと、少年の胸が痛む。 もうだいぶ感じる事はなくなってたはずの、『痛み』。 「壊れてるんじゃねぇ、欠陥品なんかじゃねぇ、特別なのさ、選ばれたんだ」 《ほら、ああやっておだてて、子供相手だと思って嘘の褒め言葉を並べ立てて》 女官達、衛兵達が、裏で彼の事をどんな風に言っているか、 彼の目となり耳となって教えてくれたのは、他ならぬ亡霊達の仕事だったが、 「本当はもう分かってるはずだろ?」 《ほら、聞いちゃだめよ。あの人は私達とイェスパーを引き剥がそうとしてる》 そんな亡霊達もまた自分を欺き騙し利用しようとしているのだと、 本当は気がついていた、子供特有の敏感さに薄々心底で勘付いていた。 「なんで自分が起き上がれないのか、どうしてどんどん具合が悪くなってくのか」 《皆と同じ。起き上がれないのを、病弱なのを、悪い事だ、いけない事だって》 それでも。 女官達や衛兵達が裏で見せる言葉と態度は、全て偽り無き事実の指摘であったし、 それでもそんな彼を肯定し賞賛し、友人となってくれたのは彼らだ。 ――お菓子をくれる悪人についていく『独りぼっち』を、一体誰が責められる? 「いくら生きてる人間が嫌いだからって、生きてる世界が辛いからって」 《どうして辛いのに耐えないといけないの? 苦しいのを我慢しないといけないの?》 彼は。イェスパー・ユルングは。 だから絶望の淵に立つ。これ以上なく深く、暗く、決して波立たぬ鏡の淵に。 「でも『そっち』はダメだ、もうそれ以上『そっち』に行くんじゃねぇ」 《もうすぐよイェスパー。もうすぐ力が満ちる、一緒に【パイリダエーザ】に昇れるわ》 ――パイリダエーザ。『約束された永遠の楽園』。 死してその身をセトに捧げた敬虔な教徒が、 来たる約束の日まで住まい過ごす事を許された天上庭園、死後の国。 「死ぬぞ。それ以上そいつらにお前の命くれてやったら」 《悩みも、苦しみも、辛い事も何一つない。暖かくて安らぎに満ちた天の国に》 『死ぬ』事自体は、とても痛くて、辛くて、恐ろしい事。 でも『死んだ後』、その苦難を乗り越えた後には、永遠の安息が待っている。 ……厳密にはそれは教義の誤解、主旨の取り違えなのだが、 しかし子供であるイェスパーは、子供向けの物語からそう誤って受け取った。 「死人に……いや、 故に。 「自分の作ったおままごとの人形に取り殺されるなんざ、洒落にならねえだろ?」 ――< interrupt out >─― 《…しつこいわね。まるで私達がイェスパーの妄想みたいな言い方して》 薄く笑って、鬼のボスがオレの方に視線を移した。 どうやら鬼火や瘴気で力尽くの撃退ができねぇのに業煮やして、 舌戦に切り替える算段らしい。 ……望むところなんだよ、バーカ。 《あなた、幽霊が視えるくせに、結局イェスパーの事信じてないん―― 「それじゃあお前、『言ってみろ』よ」 問答で、舌戦で、本職の『道士』に勝てると思ってんのか? 「『お前は誰だ?』」 丹田から絞り上げるように、練った力を言の葉に乗せて出す。 【召鬼法】。これは強要だ。 「『どこの誰だ? 何者だ? いつ死んだ? どうして死んだ? 言ってみろ』」 逆らい難い圧力を伴ってぶつけられたはずの『力ある言葉』に、 このアマは――幽鬼の群れは、にたりと笑って正面から応じてきた。 よっぽど自信があるらしい。…自意識過剰もいいとこだけどな。 《私の名前はアポス・アーペプ》 そうか、それがこのヘビっ子がお前につけた【名前】か。 《今から200年くらい前にこの土地で暮らしていた帝国の地方貴族の子よ。 流行り病で死んじゃって、それからずっとここで彷徨っていたの》 そうか、それがこのヘビっ子がお前にやった【設定】か。 「父親と母親の名は?」 《お父様の名はゲレグ・アーペプ、お母様の名はヘザト・アーペプ》 「兄弟姉妹の名は?」 《生憎と一人っ子だったわ》 さすがにこの辺はすらすら答えるな、でも。 「じゃあ爺ちゃん婆ちゃんの名は?」 《…………》 ほら、詰まった。 目線が石みたく硬直して、顔が能面みてぇに無表情になる。 未記載設定なんだからそれも当然か。 人間のフリをした人間の紛い物なこいつには、少々解答に困る質問。 ただ、もっと粗悪な、未成長の奴ならこれでボロ出すんだけどなぁ。 「おい、どうした? 爺ちゃん婆ちゃんの名前は何だったって聞いてるんだ」 《…………確か、居なかったと、思うけど》 多少『ふりーず』はしたものの、すぐに自分で思考してアナログな解答を弾き出す。 《でも詳しい事は忘れちゃったわ、だって200年近くも前の事ですもの》 白々しい。 …でもま、これだけ生気吸い取ってりゃ、それくらいには成長してて当然か。 もうかなり学習してる、ヒトガタに近くなってやがる。 ……元は影の分際で、シラを切るとか嘘を付くとか、人間にしかできねぇ芸当を。 「そうか、じゃあ好きな食い物は」 《そ、そんな事聞いて何に…》 どっこいそれも、畳み掛ければすぐボロの出る事だ。 あと二週間遅かったらヤバかっただろうが……でもまだ親から独立できてねぇ、 産みの親の定めた設定に依らなきゃ存在を許されないのがこいつらの弱み。 「好きな食べ物は何だって聞いてるんだよ、人間だったんだろ?」 《……ひ、羊肉のクスクス鍋よ》 はっ、このアマ……もとい連中、必死だね。 蓄積した『でーたべーす』の中から、必死に設定に矛盾しない情報を探し出して。 「そうか、それじゃ好きな花は?」 《……忘れたわ》 でも、さすがに、オスガキの知識を探っても設定できないような個人情報は。 「おいおい女の子なんだろ? それじゃ好きな宝石は?」 《……わ、分からないわよ、私子供なのよ!?》 おお、苦しい苦しい、必死だねぇ。 自分『女の子』のくせに、脂汗垂らして随分必死に食い下がりやがる。 「分かんねえんだよなぁ、こういうのは案外よ。なにせ『設定』されてねぇもんなあ」 《なっ――》 ……でも、早く消えてくれねえかな、 実は脂汗流してんのは、さっきからこっちも同じなんであって。 ……持久戦、長期戦ってやつは、どうもオレには。 「名前や身分はともかく、意外とこういう所でボロが出る、例えば――」 【穴】が閉じりゃあ話は早いんだが。 あんだけ呼びかけたっつのに、閉じる気配もない、こりゃ無駄足だったかな。 …まぁこんなガキに人生論説くだけ、無駄だったのかもしらねえが。 「一日は何時間だ? 一ヶ月は何日だ? 一年は何日だ? ええ?」 途端、僅かに安堵した表情で鬼の顔が緩む。 優越したような、人を見くびったような。 《…馬鹿にしないで。24時間、**日、***日よ》 へえ。知ってんだ。 ……こんな普段気にもしねえ当たり前の常識まで学習してるっつう事は、 あんまり良い傾向とは呼べねぇな。 「……。…じゃあ1月の初めは何の祝日で何をする日だ? 木偶人形?」 《元旦よ、幾らなんでも、私だってそれくらい》 最悪、このガキを殺してでも、受肉して生まれてくるのを阻止しねえと。 親の腹食い破って完全に現世に出てきたら、間違いなく厄介な事に…… 《街じゃ新年を祝うお祭りがあって、花火を打ち上げたり出し物をやったりするわ》 《年始めには家の家族部下全員が一堂に会して食事を取るの》 「お年玉は―― 《貰えたわ。それで街の屋台で皆と一緒にお菓子を食べ歩――「「 ダ ウ ト 」」 ……厄介な事になるから。 だからここで潰す。 「……旧帝暦って、分かるか?」 こいつらは、影だ。 200年前に流行り病で死んだ、アポス・アーペプなんて名前のガキは存在しない。 全部こいつの――王子サマの作った物語の中の、【設定】だ。 「一日が24時間? 60秒60分24刻み? どこの国の、いつの時代の話だ?」 こういう姿形のガキがいたのは確かだろ。だからこそ影が残ってる。 でもこいつは、その影を依り代、ヒトガタにして、 この王子サマが無意識に生気を、魔力を注ぎ込んできた結果生まれちまった、 「お前ら200年前、旧帝時代から、ネコの暦、ネコの文化でセーカツしてたんだな」 ――ツクリモノだ。 「12月と1月の境が年の節目? 元旦が新年のお祝い? お年玉?」 だからこんな、ちぐはぐな事が起こる。 「なぁ、嬢ちゃんも、お前らもさ」 200年前の幽霊だって言っときながら、でも今の習慣風習に順応した記憶。 そりゃそうだろ、さすがの王子サマでも、でも10歳だ。 「『今』じゃなくて、『自分が死んだ頃』のこの国の思い出話をしてもらえねーかな?」 知るわけがねぇさ、 自分が当たり前に使ってる、セパタ、統一度量衡、共通時法、共通暦法。 全部ここ100年ぽっちで、だけど急速に広まったもんだなんてな。 「できるだろ? 即興の造り物じゃねぇんだったらよ?」 《………あ…》 完全な『魔法』『精霊』じゃない、不完全で穴だらけのこいつら。 でもそれでも『魔法』であり『精霊』――構成が概念の域に掛かってるこいつら。 「ほら、言えよ、一つくらいは覚えてるだろ? 帝都時代の祝事とか」 《…あ、あ亜、a……》 自己の存在目的と意義、構成定義に重大な齟齬や矛盾が発生すれば、 それだけで自壊、良くて半壊は避けられない……はず。 「親父お袋の名前まで覚えてんだ、さすがに一つも言えないなんて事ぁ、無ぇよなぁ?」 自己矛盾を消化して解消しきれねえ……はずだったんだよ。 《……い、イェスパー!》 なのに。 《わ、私達、本当にあなたの造り物なの!? あなたが作った人形なの!?》 この鬼、途端に女が泣きつくみてぇに抜け殻の王子サマに抱きつきやがって。 《違うわよね? 私達、『ともだち』よね? …そうだって言ってよ!!》 ――こいつ。 ――このクソアマ。 《『勝手に作って勝手に消す』なんて、 そ ん な 酷 い 事 し な い わ よ ね ?》 ちらりとこちらに向けた顔、にたっ…と笑う鬼の親玉に。 オレの手札は、万策尽きた。 女の泣き落としなんて、もう使い古された古典的手口だけどよ。 でも自己矛盾を、主人の憐憫と許容に転化する事での消化。 ……ここまで癒合同化が激しいと、オレにはもうどうにも手管が見つからない。 『救済』の策が思いつかない。 『破壊』や『滅却』、『器』ごと滅ぼす以外に具体的打開策が見当たらない。 (ああ、ダメだ、こりゃもう) ――泣いて頭を下げてきた、こいつのお袋さんの顔が脳裏に浮かぶ。 (いや、ここは一旦体勢を立て直して) ――『助けてくれ』って頼まれたんだ、『倒してくれ』って頼まれたんじゃない。 (でも、時間が) (今ここで滅ぼしきれなかったら、ぜってぇ面白くねぇ事に) (どうする、どうする、どうす――…) 「……もういいんだ、アポス」 ――小さな声だった。 驚愕に目を見開くオレらの前で小さく、でも確かにはっきりと。 「……演技はもういいよ、今までどうもありがとう」 ……な…に…? 「ぼくの命が欲しいんなら、あげるから」 オレはもちろん、目の前の鬼共でさえ、思わず耳を疑うその言葉に目を丸くして。 こいつ、何を―― 「どうせ要らない、何の役に立たないものなんだし」 言っ、て――… ――< interrupt in >─― ――それは本当に彼の、10歳の子供の本心からの言葉。 それがどれだけ忌まわしい事か、イェスパー・ユルングは実は理解していない。 「お姉さんも。気持ちは嬉しいけど、もういいんだ」 日々熱に喘ぎ、悪寒に苦しんできた彼にとって、生は楽しいものではない。 人生の大半を寝台に臥して過ごしてきた彼にとって、生は豊かなものではない。 憎まれも、愛されもしない、空気のような王子にとって、生は。 父親から道端の石ころ程度にしか見られていないのを知る子供にとって、生とは。 「死ぬのは怖くないんだ。…死んだらもう誰にも迷惑をかけなくて済むから」 ――楽しくない。 ――楽しくない。 ――そんな拘るほど楽しくない。 「生きてても、辛くて苦しいだけで、面白くないし」 なにより死は、いつも彼の隣にいた。 死んで生まれてきた彼にとって、死は別に遠いものでも、恐ろしいものでもない。 彼はいつだって死の中にいたのだ。 生きながらにして『負』に包まれ、『反』に覆われ、『幽』を背に、『死』に囲まれて。 「だからぼくみたいなのは、さっさと天国に行っちゃった方が、みんな =―<A-3 against pain 14 years ago AM 2 13 >─────────────────= 何が起こったのか、すぐにはよく分からなかった。 反転する視界、ものすごい衝撃。 ぎしぎしと痛む熱で浮かされた身体、口に中に広がる鉄臭い味。 一拍遅れて凄まじい激痛が頬を中心に襲いかかって来ても、 それでもイェスパー・ユルングは自分がぶん殴られたという事実を理解できなかった。 母親にすらぶたれた事がないのであれば、無理もない。 聞き分けはよいが性情のおとなしい、気の小さくて線の細い子供である。 ましてや病弱の、身体の弱い子供である。 「あ……」 ぼたぼたと口の端から垂れる赤い粘液。 刹那喉奥に引っかかった異物感に噎せて咳き込んだ結果、 朱に混じって白い固形物が2~3個吐き出された。 口中に広がる生暖かくも芳醇な鉄の味に、イェスパーが愕然としかけた時。 「っ!」 喉輪を掴まれて宙吊りにされ。 少年は初めて、失神すら不能な圧倒的恐怖の存在を知る羽目になった。 「……クソが」 先刻までとは別人のような、突き刺すような怒気、ドスの利いた恐ろしい声に、 睾丸は縮み上がり、歯の根は噛み合わず、ナメクジに睨まれたように全身が凍る。 ――恐怖。 ――恐怖だ。 「ナマ言ってんじゃねえぞ、ガキの分際で。…あぁ?」 それでも彼女はライオンで、寝たきりの子ヘビ一匹摘み上げるなど造作もない。 大人の力で手加減無く、歯が折れるほどに殴られた頬の痛みは、 今やイェスパーが感じた事もない灼熱感と激痛を伴って全身に伝播していた。 病から来る緩慢の恐怖でもない、疎外から来る社会的恐怖でもない、 それは暴力による、突発的な、横殴りの根源的恐怖。 「…人がこんなに、汗水垂らして苦労してヒィヒィ言ってるってのによ」 ――コロサレル。 初めての体験になる恐慌と激痛に、少年はガタガタ、声も上げられずに震えて涙し、 病人の寝巻きの股座には、見る見る湯気の立つ黄色い染みが大きさを増す。 「『助かりたくない』? 『死にたい』? 『あげる』? 『自分は要らない子』だぁ!?」 いたいけな子供を振り回し、憎々しげに喚き散らす赤毛の獅子に、 背後に控えた女官達や衛兵達はおろか、妖物ですらあっけに取られて立ち尽くした。 状況を正確に把握できている者は、おそらく一人もこの中にはいない。 「っざけんじゃねえよ! はぁ!? 何だよオイお前! えぇ!!?」 「あ゙ぐ…ッ」 寝台に思いっきり叩きつけられた後、今度は襟首を掴んで持ち上げられる。 まるでボロ雑巾のように扱われながら、でも向けられた先は。 「……言ってみろよ」 圧迫から解放された喉が、すぐに引き攣った音を立ててすぼまった。 「……母ちゃんの目ぇ見て言ってみろよ、まん前でよぉ?」 背より猛烈な怒気を浴びせかけられながら、宙吊りのイェスパーはそれを見た。 彼と同じに震えながら、それでも涙を浮かべて立ち尽くす母の姿を。 悲痛を浮かべながらも彼から目を逸らそうとしない、産みの親の姿を。 「『生きてて楽しくありませぇん♪』、『早く死にたいでぇす♪』って」 子供が子供を産んだような母だった。 親子というよりはもう姉弟に近い、少女のような母親だった。 「『どうして産んだんですか』、『生まれて来たくなんかありませんでした』って」 この子供にしてこの親あり、 ただ飾りとして生まれ、ただ飾りとして嫁ぎ、ただ飾りとして子を孕んで産んだ。 そんな運命に抗おうともしなければ、恨み嘆いて悲観するわけでもなく、 ただただ諦観の内に、レースの翻る窓辺、籐椅子に座っているような女(ひと)。 彼の『腑抜けさ』は、間違いなくこの母からの遺伝。 「……言ってみろ」 でもイェスパーは、そんな母の事を、誰よりも。 「言ってみろってんだよ、ジャリガキが!!」 ――今度の涙は、痛みからでも、恐怖からでもなかった。 強制的に向き合わされたのは、彼がずっと目を逸らして逃げ続けてきたもの。 イェスパー・ユルングは、死にたいと願っていた。 別に死んでもいい、命を捨ててもいいと、正真正銘本心から望んでいた。 ――《あなたのお母さんもそうよ、お母さんも皆と同じ》 だから信じた。 同年代の子達の声、女官の声、衛兵達の声こそ伝えれど、 でも母の声だけは直接伝えはしなかった彼女が、それでもそう彼に囁いた時、 信じた。 信じたかった。 ……思い込みたかった。 自分は、母に、嫌われているのだと。 イェスパー・ユルングは『愛』を知る。 その貴くも得難きものを、それでも確かに知っている。 それは、寝台に臥す自分の頬を撫でてくれる、滑らかにもひんやりとした手。 額の濡れ布巾を、汗ばんだ寝巻きを取り替えてくれる手。 寝台の側に腰掛けてはまどろむイェスパーに寝物語を読んで聞かせてくれて、 夜中に怖くて一人で厠に立てない彼に、嫌な顔一つせず付き添ってくれる。 眠れない夜は一緒の布団に手を繋いで寝て、 雷や嵐の恐ろしい夜には、やはり手を繋いで一緒に震えながら眠った。 ……それは、当たり前のようにそこにあるもの。 ……手を伸ばせばすぐ届くところに、いつでも触れられるものとしてあったもの。 夕暮れの中、窓辺の籐椅子に腰掛けて、穏やかに刺繍を営む美しい人を、 翻るレースのカーテンの中、涼しい顔を受けて蒼穹を仰ぐ人形の姫を、 だからイェスパーは、愛すべくして愛した。 『視えない』のに彼のいう事を信じてくれる彼女の事を、 真剣に聞き入って頷いてくれる母親の事を、愛すべくして。 ……いつも諦念を滲ませて、静物のように窓の外を眺めている哀しそうな人を。 ……儚い、色白な、今にも消えて、どこか遠くに行ってしまいそう、 世間知らずの箱入り姫が、好きで、好きで、大好きだった。 それは『希望』だ。 誰からも見向きもされない、いてもいなくてもどうでもいい無価値な石ころを、 けれど彼女だけは見てくれる、彼のその手を握ってくれる。 たった一粒の、櫃底の希望。 無機質な世界で、陰氣に囚われて幽鬼に囲まれながら、 それでもイェスパーが今日まで生きて来られたのは、その希望があったから。 だから物心つくに従って、絶望した。 ――『ははうえ、ははうえ』 ――『ははうえの望みは、なんですか?』 ――『ははうえの幸せは、なんですか?』 彼がそう尋ねる度に、母親は笑って彼の事を抱きしめ。 ――『貴方が幸せなら、母上は幸せよ、イェスパー』 ――『貴方の幸せが、私の幸せ』 次第にイェスパーは、そんな母の顔を正面から見れなくなっていった。 たった一粒の希望の光を、真正面から見据える事ができなくなっていった。 彼は、幸せではなかった。 確かに希望はあったが、でもそれ以上に辛くて苦しい事があまりにも多すぎた。 絶え間なく襲ってくる、発熱、頭痛、吐気、悪寒。 友達もろくに作れない、いじめられっ子。 王位を目指そうにも、病弱の上に末弟の彼には権力はあまりにも遠い。 イェスパーは、母が大好きだった。 この世界の何よりも、そして生きている者達の中で、ただ一人母だけを。 ――『ははうえ、ははうえ』 ――『ははうえの望みは、なんですか?』 ――『ははうえの幸せは、なんですか?』 自分の事はどうでもいいから、母に幸せになってもらいたかった。 自分の事なんて見捨てていいから、母に幸福になってもらいたかった。 母に喜んでもらいたかった。 母の望みをかなえてあげたかった。 ――『貴方が幸せなら、お母さんは幸せよ、イェスパー』 ――『貴方の幸せが、私の幸せ』 イェスパー・ユルングは知っていた。 タンスの中に隠れながら、物陰で本を読みながら、寝台に臥しながら聞いていた。 子供でしかないが、子供だからこそ。 「あれでは成人するまで生きられない」、そう周囲の大人達が漏らすのを。 「ムダメシグイ」「フグ」「カタワ」、己がそう呼ばれる存在である事を。 そうして。 母が己の医者代、薬代を捻出するために、恥を忍んで実家に度々金を無心し、 また嫁入り前に持ってきた宝石類や調度品類を手放している事も。 ――『ああ、イェスパー、イェスパー、可愛いイェスパー』 ――『どこにもいかないで、お願いよ』 ――『お母さんを置いて、先にどこかへ行っちゃわないで』 仔馬が、誰に教えられずとも、生後速やかに四足で立つ方法を知るように、 イェスパーは自分が死ななければならない事を理解する。 それも速やかに、できるだけ早く。 長引くほど彼女を拘束する。下手な期待を持たせるほど余計に彼女を悲しませる。 彼が、何よりも愛している人が。 彼の全てを投げ打ってでも、幸せになってもらいたいと願う女(ひと)が。 疎んでもらいたかったのだ。 なじられ、罵られ、これ以上ないというくらい憎まれて足蹴にされたかった。 冷たい目で、『はやく死ねばいいのに』と言われたかった。 蔑みの目で、『お前なんか産まなければ良かった』と言われたかった。 言って欲しかった。 ……見捨てられたかった、見捨てて欲しかったのだ。 そうすれば。 そうすればもう。 だから。 だから思い込もうとして。 自分は母に疎まれている、要らない子なのだと思い込もうとして。 思い込もうとして。 思い込もうとして。 思い込もうとして。 「……あ」 目の前で、最愛の女(ひと)が泣いている。 親子というよりは、もう姉弟に近い、少女のような母親が。 泣かせたのは誰か? 悲しませたのは誰か? ――彼だ。 「…………あ」 半分死んで生まれてきた、いてもいなくてもどうでもいい王子にとって、 生まれてきた時から死と隣り合わせだった彼にとって、死は別に遠いものではない。 イェスパー・ユルングは、だから死にたいと願っていた。 別に死んでもいい、命を捨ててもいいと、正真正銘本心から望んでいた。 「ははう―― 「「……だめ」」 涙に濡れた、悲痛の声。 たったそれだけで死を受け入れ、死を覚悟していた少年の心が大きくたわんだ。 頬を殴られた痛みよりも、なお勝る激痛。 今まで目を逸らして考えないようにしてきた分、嘘を信じて誤魔化そうとしてきた分、 世界でもっとも愛する人の声は、少年の心を切り刻み、深々と抉る。 「ごめ 「「…だめ、イェスパー……っ」」 抉る、抉る、抉る、抉る――… 「行っちゃ駄目えぇッ!」 明日をも知れぬ病身の身に、『死んでない』だけなのが楽しくないのは本当で。 疎外されての空気の様な存在感、『生きてない』のが面白くないのは本当で。 ……でも『死にたかった』のではなく、『生きたかった』のでもなく。 ……『消えてしまいたかった』のでもなく、『世に認められたかった』のでもなく。 イェスパー・ユルングは。 「……ごめ、んな……さい…っ」 ただ母を。 「……ごめんな、さい…、はは…うえ…」 もうこれ以上。 「…はは……うえぇ……ッ」 悲しませたく。 ――穴は閉じた。 =―<A-4 rampage assault 14 years ago AM 2 29 >───────────────= 空気の流れが、『それ』と分かるほどに変わった。 同時に部屋隅に蹲った女官達からの、まるで気が触れたようなけたたましい悲鳴。 今更そんなものが盛大に上がるのは、【供給源】を失った『彼ら』の姿が。 ……確かに、大部分を構成するのは人間の魄(はく)、 もっとも色濃く表れ、目に見える形で強く残っていたのは人間としての姿形だ。 ――でも『100%』が人間ではない。 その根源、本質の部分では、他にも色々なものが混じってしまっている。 虫の魄。魚の魄。小動物の魄。植物の魄。 より無機的で、より原始的な、人ほどには高等で無い、人以外の『残滓』。 故に彼らは鬼(クイ)と呼ばれ、故に彼らは妖(あやかし)と呼ばれる。 【穴】が閉じられ、【憑座】との連結が切断された結果か。 人外の奇声を上げて踊りかかるその先頭は、ヘビの少女の肉体をベースに、 砂蠍の頭を持ち、脇腹から蜘蛛の足を生やして、蟷螂の鎌の両手を持った…… ……先刻まで『アポス』と呼ばれていたモノ。 そうして、ある者は魚の頭を。ある者は植物の樹皮と根を。ある者はうねる触手を。 蟲の体節。獣の手足。蝦蟇の頭部。肥大した目玉。蜻蛉の羽根。 刹那の出来事。 へたり込んだ少年と、それに駆け寄ろうと界の外に出てしまった母親に、 雲霞のごとく殺到しようとしたそれら百鬼夜行を――… …――眩いばかりの閃光が、轟音と共に横薙いだ。 ――< switch over >─― 「大」 「逆」 「転」 「……だな」 《………ガ…ぁ…》 視覚と聴覚をことごとく塗り潰した光と音の狂宴の後。 へたり込んで抱き合う母子の視界に戻ってきたのは、見る影もなき『残骸』と…… ……そしてその前に仁王立ちして見下して、 稲光の残り香を纏った払子を右手、道服をたなびかす緋髪の雌獅子。 《…く……あ……、オま、え……》 その正体は、狂おしいまでの想いより生まれた不完全な魔法、不完全な精霊。 いかなる武器、たとえ重機関砲を喰らおうとも傷つかないそれは、 しかし故にこそこうして散り散りに引き裂かれ、消滅の時を迎えようとしていた。 修復可能な限界を超えて、構築を破壊され、定義を破壊され、設定を破壊され。 構造構成における致命的なまでの損壊、もはや魔法として存在できぬ程に、 術式(スクリプト)に破損をきたし、貯蓄魔力(リソース)も喪失し。 だが、それでも。 それでも、ここまであっけなく。 具現の依代たる【憑座】とのリンクが断たれた瞬間を狙われて、 無限の供給源たる【穴】が閉じた瞬間を突かれたとは言え、 それでも。 こんな、ここまで成長した彼女が、ここまで一瞬で、まるで砂の楼閣を殴るように。 《…いっ……タ、い…》 「――何、おかしい事ぁねぇ。単にオレはこっちの方が得手だってだけの話さ」 『アポス』という名だった存在は、そこで改めて敵対者の姿を仰ぎ見た。 緋色の服に、緋色の髪。紫苑の瞳に、黄色種の肌。 落ち着きなく尾を揺らめかす雌獅子は、凶暴なまでの狩猟者の笑みを浮かべ。 仙人というよりは、悪魔のような。 「昔から、浄霊とか、封印とか、退魔調伏なんてモンより――」 さっきは確かに脂汗を浮かべて、 今にも崩れ落ちそうだったこの女の実力を。 「力ずくでぶっ飛ばして、消し飛ばす方が得意でね」 本質を見誤っていた事を、彼女は素直に自認した。 ゆっくりと持ち上げた左の掌に、再度膨大な力が集まるのを感じて。 「――無極生太極」 《…ア、あハッ。…あハハはハはハハははッッ♪》 肩から上――顔右半分だけになった禍霊は、狂女のような哄笑を上げた。 残った体節、触覚を折り曲げて、蟲の瞳をぎょろぎょろさせながら、 人間をベースに色々なものが混じってしまったモノが、力を持っただけの存在が。 「――太極分両儀」 《イェす、パー?》 ぎとり、と睨んだ先で、へたり込んだままの少年が身を竦める。 反射的に母親が抱きしめて守ろうとするが、その視線は既に釘付けの状態。 交差した。 生者と死者の、主人と家来の、――造物主と被造物の、――本物と紛い物の。 恐怖と悲痛に染まった視線と、憎悪と皮肉に染まった視線が、交差した。 「――両儀啓四象」 《わたシたち…、ワタ、シ、たち、ヒっ、おトもダチ、もだち、よ、ネえェ?》 もう少しだったのに。 もう少しで彼の腹を内側から食い破り、現世に生まれ出る事が出来ていたのに。 子が親を、被造物が造物主を殺す事での、因果反転、虚実交換、受肉の儀。 もう少しで蜘蛛糸を手繰って、地獄の釜底から現世に這い出る事が出来ていたのに。 そう思って、笑って、笑って、笑って、笑って。 「――四象至八卦」 《オトもだちヨネエええええぇぇぇぇぇぇ!!?》 ――もういいんだ、アポス ――ぼくの命が欲しいんなら、あげるから ――今までどうもありがとう …――自分が泣いている事に愕然と。 それが『アポスと呼ばれていたモノ』の、その場での最後の思考となった。 「邪怪禁呪、悪業を成す精魅、天地万物の理を以って微塵とせむ――禁」 ホワイトアウト、ブラックアウト =―<A-5 reject real, because they answer 14 years ago PM 6 32 >────────= ――どこの国にもあるだろ? 似たような【怪談話】が。 とても仲のいい親子。おしどり夫婦。恋人同士。 その子供や片割れが、突然の事故か何かで死んじまう。 別れを言う暇もなく唐突に。 ありがちなプラスアルファじゃ、些細なきっかけで誤解から仲違いしたまんま。 土砂崩れや鉄砲水、溺死なんかで、『死体が見つからない』事も多い。 で、残された方は、絶対「息子は」「夫は」死んでないって信じるんだ。 もう何日も経ってて、他の家族や近所の人間が全員首を振っても、信じ続ける。 …本当はもう絶望的なんだって薄々感づいてても、認められない。 あの子は、あの人は、帰ってくる、帰ってくる、死んでない、死んでない、死んでない。 見ている方が居た堪れないくらいに、 もう気が触れちまったんじゃねぇかってくらいに、信じ続ける、目を逸らし続ける。 …それである晩、戸口を叩く音が響く。 『愛しい人、帰ってきたよ』『おふくろ、ここを開けてくれ』って。 待ってた本人は、もう狂喜乱舞して喜ぶが。 ……でもそれ以外の家族は、すぐに戸口の外に立ってるモノの正体に気がつく。 間違いなくそいつの声に、でも肉の腐ったような匂い、湿った水音。 異様な空気が辺りに立ち込めても、でも待ち望んでた本人だけは気がつかない。 ――当たり前だよな。他でも無いそいつの『願い』が、呼び戻したんだから。 “あの子は、あの人は、死んでない、死んでない、帰ってくる、帰ってくる” ……そんな狂おしいまでの想いが引き起こした、不完全な魔法。 信じ続けて目を逸らし続けるあまりの妄執が引き起こした、歪んだ奇跡。 もちろん、帰ってきたのは『帰ってきて欲しかった本人の魂』じゃない。 …『帰ってきて欲しかった奴のカタチ』だけ似せた、何か別の、おぞましいモノ。 ここで必ず「開けてくれ」「入れてくれ」って頼むのは、 でも連中が自力じゃ入って来れない、向こう側からは開けられないから。 『生者の世界』、『現世』、『現象界』に、 でも『負』で、『反』で、『幽』で、『死』な連中は、自力じゃ上がっては来れないんだ。 本来はそれくらい虚ろで、儚い、力無く、存在するはずのないモノ。 ――生きてる世界の側から、生きてる人間の手で引き上げて貰わない限りは、な。 だからあの手この手で誘惑して、あるいは脅しつけて開けさせようとする。 『入れてくれ』『開けてくれ』『何で入れてくれないんだ』『早く開けてくれ』。 声、音、幻聴、幻覚、 実体を伴わないあの手この手、全ての虚象を総動員して、 それで何とか誘惑に耐えて、開けずに済ませられればそれでいいんだが…… ……でも開けちまったら、その時はもう。 …ああ、そうさ、そうとも、その通りだよ。 鬼(クイ)も、妖(あやかし)も、幽(ゆうれい)も、でもそのほとんどが人が望んだモンだ。 全部人間の、生きてる人間の心の中からやって来たモンだ。 現実を見つめたくない想い、事実を否定したい気持ち、都合のいい奇跡を望む心。 狂おしい、あまりにも強すぎる想いが魔法の域にまで到達して、 ……魔が答える、無意識に、けれど間違いなく術者本人が望んだままに。 死者に、死んじまった人間に出来る事だなんて、だからタカが知れてるのさ。 …本当に力を持ってるのは、いつだって生きてる人間の、生きた想い。 「……そういうわけだ。結局元凶は、全部あんたの息子だったって、な」 三日後。 夕暮れの日差しの中で皿に山盛りの果実に貪りつきながら、 オレはお袋さんと一対一で向かい合っていた。 赤色に染まる部屋の中に居るのは、今はオレとこの女の二人だけ。 さすがに『こんな話』、例の女官共や衛兵共の前でするわけにいかねぇから、 苦労して人払いしてもらって、なんとかここに漕ぎ付けられた。 ……これが第一夫人様とかなら、ぜってーこうはいかないんだろな。 お袋さんが見捨てられまくりの影薄い夫人だった事を、今だけは点に感謝しとく。 「あいつが『望んだ』んだよ」 むしゃりと汁気たっぷりのヤシの実の削ぎ切りを齧りながら、二の句を継ぐ。 「だから『来た』、願いのままに、望みのままに」 ――厳密に言えば、あそこまで劇的に反応する事はまずほとんどねぇんだが。 どっこいそこは、あの王子サマの生まれ持っての余計な体質が災いした。 『視えちまう』――『認識できちまう』って事は、たったそれだけで十分やっかい。 対象を認識できる、明確なイメージを思い描けるって事は、 魔術の世界じゃ実に重要な要素だかんな。 …二つと無い才能、お前は選ばれたんだって、オレ、あいつに言ってやったけど。 でも実際、そう考えればどうなんだろうな、この【見鬼】って奴の能力も。 「だからあいつが変わらない限り、結局は元の木阿弥だ、『再発』する」 「……!」 びくりとおふくろさんが身を震わせたが、でも可哀想だがこりゃあ事実だ。 「オレがやったのは、もうカタチを持ってあいつの周りにべっとり纏わりついてたのを、 できるだけ細かく引き千切って、遠くにぶん投げて吹き飛ばしてやっただけ」 吹っ飛ばして、それで終わりだったなら最初からそうやってる。 『救済』しなくていい、『破壊』すればいいだけだったんなら最初からそうしてるさ。 「でも【核】が滅んでねぇんだからな。引力がある限り、そりゃ再生もするさ」 「そんな……」 そうして【核】を破壊しちまったら元も子もない、【核】だけ傷つけずに周りだけ 削ぎ落とさなきゃダメだったせいで、あんなにややこしいかったんであって。 「じゃあ…一体あの子は、どうすれば……」 ただ、途方に暮れたような顔をするおふくろさんに対し。 「いやいや、言っただろ、『変わらない限り』ってな」 にやりと笑って、オレは次の果実に手を伸ばしながら指を振る。 「…かわ、る…?」 「そう、要は生きるのが楽しいって思わせればいいのさ」 杯に注がれたエールを煽ると、両手を広げて高らかに。 「太陽が眩しい! 空気が旨い! 食べ物も美味しい! 女の子は可愛い! 死人の友達を作らなくったって、生きている友達さえ居ればいいやっ! ああ、人生ってなんて素晴らしいんだろう! 生きてて良かったー…ってな♪」 そう、なるだけ冗談めかして言ったつもりだったが。 「…………」 ああ、暗いな~おふくろさん。 まあ実の息子が10歳で既に自殺志願者って知れば当然かも知らねぇがよ。 でも、ま。 「そんな事――…」 「いやいや、あるんだなーこれが、ちょうどいい手段が」
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3rd / 天使にふれたよ(2)◆ANI3oprwOY /jellyfish 黒い、雨が降っていた。 そこは室内であるにもかかわらず。 足元には炎。天上には煙。 目の前には、蠢く肉でできた道。 魔界と化した展示場の内部を、一人の少女が歩んでいた。 少女は今や、この世界で最弱と言って憚り無いほどに弱く。 それでも未だ、生きていた。 生きて、戦いを続けていた。 秋山澪は今も、戦う為に歩んでいた。 ぱたぱた、ぱたぱた、と。 廊下に響く雨の音。 天上から滴る黒い汚泥の鳴らす音が、少女の耳に突き刺さる。 鈍い動作で右手を持ち上げ、顔についた泥を拭う。 利き腕の左は使えない。 手首を襲う激痛を紛らわすため、きつく拳銃を掴むので精一杯だったから。 先の起動兵器戦で痛めたらしき左手首は、銃を撃つごとにその痛みを増していた。 今や真っ青になるまで鬱血したその腕で、澪は今も銃を握り続けている。 『あの場所』から、どのようにして逃れてきたのか、瞭然としていない。 澪にとって最後の切り札たるフレイヤ。それを起動した事は憶えている。 辛くも勝利した、阿良々木暦との戦いも。 そして発射時間の到達とほぼ同時に、巻き起こった施設全体の異変。 崩れ始めたシェルター、いや正確には、この展示場という施設そのものに起こった怪奇。 ぐずぐずに歪む床と壁が及ぼした危機感に任せ、ワケも分からずあの場を離脱した事は、何となく憶えていた。 しかし、どのようにしてここまで逃れてきたのかは、果たして瞭然としなかった。 阿良々木暦はどうなったのか。 展示場に何が起こって、ここは展示場の何処なのか。 状況は今、どうなっているのか。 上手く思考が纏まらない。 そして、もう一つ、憶えていることがあった。 地下シェルターから逃避する際、振り返り際に見たモニターの表示。 フレイヤは、止められていた。 何もかもを消し去る筈の破壊は、神の居城(ダモクレス)まで届かなかった。 絶対不滅の要塞たるブレイズルミナスを砕いたものの、ダモクレスを崩せず、ガンダムを落とせなかったなら、無意味に等しい。 澪の放つことが出来る唯一のカードが凌がれたのだから。 実際もうこれ以上、打つ手は無いのだから。 澪にとっては、何もかも終わったも同然であり、 「―――ッ」 それでも体は動いている。 少女は終わりを否定する。 己が体は動くから、何一つ終わっていないのだと、少女は断じて止まらない。 耳には黒い雨の音。 ぼやけた視界の奥底には、焼け落ちた、いつかの風景(ぶしつ)。 朽ちた安息の残滓たち。 今も見つづける、ありふれた幸せの記憶(ユメ)。 それを心に灯すたび。 強く求める事が出来た。 思い出を、今に回帰させる事を、心から願えた。 いつのまにか、目前には長い長い螺旋階段。 蠢く壁に、折れた刀を突き刺して、全身を引きずるように上へ。 手持ちの武器はあと、二つきり。 左手に握る銃と、右手に握る折れた刀が戦力の全て。 多くの物を失った中、 未だ手に残る東横桃子の残した銃と、福路美穂子の残した剣に、奇妙な縁を感じながら。 澪は階段を昇り続けた。 きっと上では状況が動き続けている。 何かが変わるかもしれない。 希望はある。 自分は生きている、だったら――― 「もう……すぐ……」 長い、本当に長く感じた道の終わり。 ようやっと、澪は登り終える。 「―――――っ」 そうして、第一声。 少女は小さく、息をのんだ。 展示場一階。 そこはまさに魔界その物と言える程の異常空間と化していた。 漆黒でありながら半透明の壁は内臓のように胎動し続け、ますます怪物の体内然とした混沌を生んでいる。 コールタールのような汚泥があちこちの床で洪水のように溢れ出している。 施設全体で降りしきる黒雨は激しさを増し、酷い場所では天井が完全に泥と化して『落ちて』すらいる。 怪物は動きを止めず、その腸たる施設の形は一秒たりとも固定されていない。 自分が今居る場所が在り続ける保証など無い。 ふとした一瞬に両側の壁と壁に挟まれ、押しつぶされる可能性すらある。 絵にかいたような危険地帯。 未だ建物としての体裁を保っているのが奇妙ですらあった。 外縁部の廊下でこれなのだから、中央の展示空間は如何なる光景が広がっているのか。 けれど、少女が反応したのは、そんな目先の危険などという『今さらなこと』ではなかった。 少女が見ていたのは、気味悪く動く廊下の壁でなく、天井でなく、床でなく、一秒後に自らを飲み込むかもしれない泥の胎動ですらなく。 傍ら、すぐそばに倒れているモノ。 既に気配すら無い、かつて人だった何かの残骸だった。 たった数メートル先の泥沼。 そこに浸かるようにして、一つの死体が浮いていた。 真っ黒な全身に微かに人の形を残す男。 朽ち果てたような神父の姿。 かつて秋山澪に一つの力を与えたその存在、言峰綺礼は今や、いやとっくに、それは死体だった。 瞳は開いていながら閉ざされたように何もうつさず、身体は両断され上半身しか残っていない。 残された半身すら端から真っ黒に埋められピクリともしない、明らかに死体となっている男。 「――秋山澪、か」 それが、少女の名を呼んでいた。 死体の姿を見つけた時に息をもらした一方、そこから声がしたことに、澪は驚かなかった。 感覚がマヒしているのだろうか、あるいは直感的に理解していたのかもしれない。 出会ってしまった以上、この男はきっと去り際に、そばに在る者へと何かを残すだろう、と。 「……ああ」 ちからなく答えた澪に、黒き神父は口元を歪めた。 顔をひきつらせているようにしか見えなかったが、恐らくそれは、今の彼にとっての『笑み』なのだと。 彼は今、喜んでいるのだと、澪は思った。 「……やはり、貴様も仕損じていたようだな」 「やはり……?」 嬉しそうで、かつ引っ掛かりのある言い方だった。 フレイヤによる神殺し。それが初めから失敗する事を知っていたような。 彼が澪に譲渡した兵器による計画であるにもかかわらず。 いや、譲渡したからこそ知っていたのかと、澪は理解する。 「そうだ、秋山澪。 例えこの世界を消滅させるほどのフレイヤを投入しようとも、 それが機械で制御されている以上は、恐らく妨害が入るだろうことは予想できていた」 「…………!」 「ヴェーダの制御をリボンズに抑えられている以上、不意は突けても、素直に破壊させてはくれんだろう。 予想……などと勿体をつけるまでも無い。必然、だな」 「なんで……じゃあどうして、私に、フレイヤのことを教えたんだよ……!」 失敗すると分かっていながら。 上手く行くわけないと知っていながら。 何故、言峰綺礼は秋山澪にそれを伝えたのか。 「お前は、フレイヤを使った時、いったい何を感じていた?」 「……え?」 「フレイヤが最終的に破壊する範囲内には、両儀式が、平沢憂が、居たはずだ。 お前に、関係の深いそれらの者を纏めて抹消すると決めたとき。……お前は、どう思ったのだ」 「……私、は」 「罪悪感を覚えたか? 達成感を感じたか? 優越感で満ちたか?」 「……………」 「そして、それらが失敗したとわかったとき。……どう感じた?」 「……………っ!」 「……安堵、してしまったのではないか? 人を殺せなかったことを、喜んでしまったでのはないか。 ――――なるほど、自覚していたか。ならば理解できよう。それがお前の弱さだ。秋山澪」 どれほど覚悟を決めようとも。 どれほど逃げ場をなくしても。 どれほど誤魔化そうとも。 どうしようもないほどの、それは本質。 全く以て殺し合いには向いていない。 秋山澪の、どうしようもない結論。 「では、どうする? 己の心が拒否する現実を認識して。 このまま心を偽り続けるのは、それこそ『逃げる』、という事ではないのかな?」 「……………」 暫くの間、沈黙が続いた。 やがて少女は一度、深呼吸をして、ゆっくりと口を開き。 「…………逃げるとか、さ。向き合うとか、さ」 二人が再び遭遇してから初めて、澪はまともに答えた。 死した男に、答えなくてもいい筈の言葉を渡す。 律儀に。愚かに。真剣に。 「そういうのは、言葉遊びなんだって」 どこか自虐的な笑みすら浮かべ、澪は倒れた男から目を逸らす。 言峰と向き合うのが辛くなったわけでも、怖くなったわけでもない。 どこかの、誰か。 それを、思い出している。 「たしかに、私は逃げてたって言えるのかも知れない。 私自身の感情から……。 でも、それが正しいとか、間違ってるとか……きっとそんなことでさえ、本当に大切な事じゃなかったんだ」 正誤など、最初から関係なく。 「苦しくて、辛くて、痛くて。……溢れるほどの弱さだったのかも知れない。……ほんの少しの強さだったのかも知れない。 でも、それでも……きっと、私が選んだって、それだけが大切な事だったんだ。私が決めて、私がやってきた。 ……ねえ、それだけはさ、本当のことだって、私はそう思うんだ」 少女にとっての真実は最初から、その一つだけだった。 「だから……最後まで、やるよ。私は……諦めないことにする。人を殺すのはやっぱり怖いけど」 ―――それでも私は、皆にまた会いたいんだ。 そう、秋山澪は言い切った。 迷いがない、などと言うことは、もう出来ないだろう。 彼女の心はいつだって迷いばかりだ。不安で、押しつぶされそうで。 自分の出した答えは間違いで、逃げているだけなのかもしれないと、自覚している。 それでも、決めたのだ。震える心で選んだのだ、と。 少女は神父に告白した。 「―――――――」 黒い神父はそれに答えない。 歪めた口元をわずかにも動かさず、見開いた目をそのままに、泥濘に埋まっている。 「……死んだんだ」 確認するように、口にする。 どれほど意味があるのかわからないその言葉を、吐き出す。 ため息が、もれる。 きらいな人だったのに。 どうしようもない悪人だったと、分かっているのに。 それでも、それは『人の死』なのだと、澪には感じられたから。 目に滲みそうになったものをこらえて、首を振る。 ――――行こう。 そう思って歩き出そうとして、少しだけ振り向き、言葉を掛けた。 「さよなら」 進んでいく少女の背中に、返答の声は無く。 ただ、黒い水たまりに、最後の波紋が広がっていた。 【言峰綺礼@Fate/stay night 死亡】 ◇ ◇ ◇ さて、とりあえず、目を開けるのが怖かった。 今、泥の中に倒れ伏す僕の目の前には、いったい何が在るのだろう。 死後の世界だろうか。 誰かの死体だろうか。 どちらも在りそうで、そして見たくない物だった。 だけど、どちらも見なくちゃいけない物でもあったから。 目の前に何があっても、見なきゃ、なにも始まらないから。 僕は、阿良々木暦はゆっくりと、目を開ける。 「おはようございます」 目を覚ました時、最初に認識できたのは、少女の顔。 インデックスと呼ばれる女の子の、いつもの無表情だった。 倒れた僕の顔を覗き込むように屈んでいた彼女の銀髪が、頬にさらさらと触れている。 どうやら、死体を見るハメにはならなかったらしい。 だとしたら僕の方が……。 「痛、ッ!!」 「死んでもねーよ」と訴えるように、肉体は痛みを取り戻す。 インデックスの無表情と同じくらい『いつも通り』の、僕の身体はボロボロだった。 うーん、なんというか、安心、する。 いつも通りのボロボロ感は、いつも通りの最悪で、いつも通りの、生きているのだと示す証拠だから。 断じてマゾっけは無いけれど、今は『何もない』よりマシなのだから。 「ここ、どこだよ」 しかも幸いなことに、動けない程ひどい状態じゃないらしい。 僕も、そして周囲も。 泥溜まりがそこら中にみられるものの、まだ展示場内部としての原型を留めている場所だった。 辺りには相変わらず気味悪く変色した廊下の壁と床と、電力が途切れ動きを止めたエレベーターの扉、そしてやはり黒く変色した、階段室に続く扉。 ここはエレベーターホール、だろうか。 痛む上半身をゆっくりと起こしながら、インデックスに向き合った。 「展示場の地下1階です」 ぼそりと彼女は現在地を告げる。 展示場、地下『1階』、恐らくここより地下のフロアは全て泥の海に水没している。 全身を包む痛みに同期して、頭に戻ってくる映像がある。 地下深くに隠されていたシェルター内。 秋山澪との戦いに負けた後、襲い来る泥の波に万策尽きかけた僕を、ここまで連れてきてくれたのは他でもないインデックスだった。 「あなたが案内しろと、そう言った筈ですが?」 「そっか。ああそういや……そうだったな」 ああ、そうだ、確かにそうだ。 黒い迷宮と化した地下通路を逃げ惑う最中、彼女と合流できていなければ、いまごろ飲み込まれていたに違いない。 「希望された、『泥のない場所』は、この建物内に存在しませんでしたが、 比較的希望に近い、『泥の少ない場所』なら、ここです」 「ありがとう、助かったよ」 淡々と告げる少女に、僕は笑顔を作って礼を告げようとして、見事に失敗した。 痛みに表情筋が固まり、不気味な表情にしかならなかっただろう。 「……はい」 素直に御礼を受け受け止める。 そんなインデックスの確かな変化を見て、僕は、まあ、特に何もしない。 良い兆候なら、それはそのまま伸ばしていって欲しいものだから。 「さて、じゃあどうしようかな、これから」 常時痛み続ける全身を、痛みに慣らしつつ、僕は思案する。 秋山との勝負には負けてしまったけれど、どうやら彼女の策もまた成就しなかったらしい。 世界の終わりは来ていない。 どうやら未だに、戦いは続いているようだから。 「ま、どうするも、こうするも、ないよな」 ならば、向かうべきところなど、今更一つしかないだろう。 忍野との邂逅は終わった。 秋山澪との対峙も終えた。 僕に飛ぶ力は無いから、空の戦いには参加できない。 じゃあ、ここから辿り着ける場所なんて、最初から一つしかないだろう。 黒き泥が流れ出す中心。 必ず、戦いがあるだろう。 僕の二本の足で駆けつけられる場所で、きっと誰かが戦っている。 そこには、居るはずだ。 今の僕と違う理由で、だけど同じ思いで、戦っている誰かが。 僕に何ができるか、そんな事は分からない。 いや、含みを持たせる言い方はやめよう。 出来る事なんて、きっとないだろう。 秋山澪という一人の少女を相手に、結局なにも出来なかったように。 まして、この先に待つモノはきっと、魔法、魔術、超能力。 そういう形の企画外だ。 中途半端な半怪奇の人間じゃあ、殺されに行くようなもの。 ロクな戦力になりゃしない。 というか僕がこの場所で出来た事なんて、そもそも在るのかわからない。 僕はどうしようもなく弱い存在であって、この先もそれは変わらない事実だろう。 『できること』は、無い。 だからまあ、向かう先は間違いなく死地であって。 だけどまあ、『やれること』くらいは、残っているかもしれないから。 ―――全員、生きて、また会おう。 そういう約束をした。 また出会うと。 『偶々残った、数人の他人』を相手に。 「……」 目指すは『終わり』。 その終わりがいったい何を指すのか。 きっと、もうとっくに示されている。 身体を完全に起し、階段へと歩む。 向かう先は展示場一階、全ての中心、展示ホールだ。 「じゃあ僕は、そろそろ行くから。インデックス、お前は今のうちにここから逃げ……」 「また、置いて行くんですか?」 その時、あり得ない感触が、背中に在った。 「え?」 引っ張られる様な、しがみつかれる様な。 いや、まて、これは違う。 背中だけじゃない……頭に何かとがっ……。 ――――がぶ。 「あだだだだだだだだだっだだだだっッ!!!!!!」 ぼんやりとした思考は一瞬にして真っ赤に染まり。 頭頂部で痛みに一斉変換された感触に、僕は飛び上りながら何とも情けない悲鳴を上げていた。 ――――がぶがぶがぶがぶ。 「うおおおおおおおおおッッ!!!」 いやいやいやいやいや、なんだこれ! ついさっきまでそれなりにカッコつけて覚悟完了をキメてさあいくぞってノリノリだったのに! 結構決まってるような気がしてたのに!! なんで唐突に女の子に、インデックスに!! 頭に噛みつかれ悲鳴を上げる男子高校生に堕とされてるんだ僕は!? ―――――がぶがぶがぶがぶがぶがぶ。 「マジ噛みッ! マジ噛みは勘弁ッ!」 抵抗の声虚しく、足元の泥溜まりに映るインデックスは無表情のままで僕の脳みそをかじり続けている。 かくして、シリアスムードはぶっ壊れた。 「あーもう、そういうのは聞き飽きたわい」と言わんばかりに、 インデックスは僕の脳内かっこつけモノローグを咀嚼粉砕し、 吐き出してくれた時には、もう全身の痛みが気にならないくらい、ただただ頭が痛かった。 「……お前……そういうキャラだったっけ?」 「そう……だったのかも、知れませんね」 僕の頭から降りた後も、インデックスは表情を変えぬままだった。 「ですが、なんとなく、『そうしたい』、と」 そっか。 「私も、行きます」 じゃあ今の彼女も、僕と同じなのだろう。 説得は無駄という事だ。 「だったら、仕方ないか」 並んで、行く。 彼女は間違いなく主催の一人、事の発端のうち一人で、 けれどいつか天江衣が、友達になりたいと願った一人だった。 「お前、天江の友達なんだよな?」 「……いえ、考慮するとは伝えましたが」 「じゃあ結局どうしたいんだよ。今、アイツの友達になりたいと思うか?」 「……、…………ですが、彼女はもう」 「なりたいんだな。じゃあ、天江とお前は友達だ。天江は生きてるうちにお前と友達になりたいって言ったんだ。 お前が承諾するなら、それで大丈夫だ」 僕たちは黒い展示場の中を進む。 ゆっくりと、ゆっくりと。 痛む全身とディパックを引きずり、握り続けていた紅い槍を杖にして、階段を昇り続けた。 「いいんでしょうか?」 「いいんだよ。だからさ、僕とも友達だ」 「……それはなぜ?」 「友達の友達は、友達ってことだ」 インデックスの表情は変わらない。 だけど、その瞳から、赤い血の涙を絶やさず。 その意味を、僕は問わない。 「それで、本当にいいのでしょうか?」 短い時間で、彼女はとても変化した。 要因も、過程も、何も詳しく知らないけれど、変化したのだと、僕は思う。 だけど、変わったのは彼女だけじゃない。 「じゃあ、しかたないな」 今、生き残る全て。世界に残る全て。 最初と同じで在れたモノなんて、一つも無い。 ここは何もかも、変えてしまう場所。 何故ならここは、何もかも失ってしまう場所だから。 だからこそ――― 「僕と、友達になってください」 ここに残る物は、こんなにも尊い。 何かが変わってしまっても、何かが変わらず、在り続けるものたち。 今でも手に届く、『僅か』が。 「これでどうだ」 いつか僕は、何も持たない事が『強さ』だと信じていた。 失うもののない、傷つくことのない。 一切の痛みの無き場所こそ、優しい世界なのだと。 そんなふうに、思い込もうとしていた。 いつか傷を受けたことがあった。 それはまだ塞がらず、ここに来て、傷はまたたくさん増えた。 沢山のものを失った。 いつか何かを得た事があった。 ほんの少しの偶然と、ほんの少しの勇気と言葉で。 ちっぽけなモノを、手にすることが出来た。 「貴方の事を………みたいだと言っていた人がいました」 「……え?」 「耳が悪いところは、確かに似ていますね」 それは最高の出来事だったから。 こんな失うばかりの場所ですら、何かを得ることが出来ればと、強く思う。 新しい、『何か』を。 「着きましたね」 階段を上り終え、インデックスの指す方を見れば、目前には展示場ホールに繋がる扉。 それは本質的な意味で、何処に繋がっているのか。 地獄に近いどこかの戦場で在ることは確実で、紛れもない死地で、それでも僕はそれを開く。 訪れる終わりの形。 神の救済。 幸せな結末。 そのままで、終わらないために。 開け放つ扉の先。 ホールの奥から、溜めこまれた空気が吐き出され、突風と化して僕を襲った。 口の中、喉を圧力が蓋をして、一瞬息が出来なくなる。 咄嗟に目を覆って、顔を逸らして、呼吸を整えて、ゆっくりと前を向く。 目の前には、最後の戦場。 背後に飛び去っていく黒い風が明るく、僕へと告げた気がした。 ―――それでは、また、失え。 ◇ ◇ ◇ 泥の器が崩れていく。 まるで主の死に引きずられていくように。 悪を渇望する聖杯(こんげん)は潰え、ここに残るのは煉獄から続くような燃える炎。 未だ残留する無数の泥肉の群れ。 そして、一方通行と両儀式の二者のみだった。 二人は今、向き合っている。 先程まで、半ば協力関係に在ったと言っていい状況だったが、決して労いの握手を始めようという雰囲気ではなく。 ただ、次を始めようとしているに過ぎない。 共通の敵が消えたことで、両者は再び対峙する。 「で、だ。 邪魔な汚物はこれで永久退場と相成ったワケなンだが……」 血走った目。黒く変色した血管の浮き出た白い肌。 過去最高潮の状態にあって、一方通行の肉体は今、異様を発現させていた。 まるで先ほどまで対峙していた存在の穢れを、まとめて喰らい尽くしてしまったように。 「待たせたな。ようやっと、『オマエの順番』がやってきたぜ」 「……別に、待ってた憶えはないけど……というか、まだやる気なんだ、おまえ」 対する式は、気怠く。 眼に怯みこそ見られないが、全身は疲労困憊であり、負担を隠せてはいなかった。 「なンだ、もう降参か? いィぜ命乞いのひとつやふたつ見せてみな、少しはキレイに死なせてやるよ。 まァ俺の場合何したってェ? ペースト状にしかならねェけどさァ!」 言峰綺礼にトドメを刺したのはどちらだったのか。 それがそのまま、現在の差を表しているかのようだった。 かたや疲労をそのままに、かたや新たなる異常を全身に。 「まったく……元気だな……」 一方通行は最高のコンディションを維持したまま笑う。 笑う。狂ったように。 それは実に分かりやすい、異常者の振る舞いだった。 「けど、そんな下手な芝居はやめとけよ、似合ってないぞ」 別におまえ、狂ってもいないのに」 「あァ?」 だが、式の言葉は一瞬にしてその虚飾を払っていた。 どこか痛々しいものでも見るかのように目を細め、指摘する。 この世全ての悪(アンリマユ)に精神を犯され続け、間違いなく狂気に侵されている目前の悪鬼は、 両儀式の視点ではそうおかしくはないものだと言うように。 「……やっぱ、眼がイカれてやがンだな。なンにも見えてねェンだろ?」 「ちゃんと視えてるよ。だから言ってる。 そんなになっても、おまえは初めて会った時から変わってない。まだ、最後の線を越えちゃいない。 何かの為に誰かを殺そうとしている。殺人鬼にも怪物にもなりきれていない、ただの殺人者だ。 きっとオレよりも、さっきの奴よりも―――おまえのほうが、まだ全然人間だ」 そう、両儀式は今も断言する。 理由のある殺人は化物ではなく、ありきたりな人間の在り方だと。 その言葉は刃だ。 どれほど肉体をヨロイで覆っても、一切の障壁を無視して精神に触れてくる。 「――――は?」 だが、それでも尚、 「ヒャハハハハハハハハハハハ!!」 一方通行は嗤った。 式の言葉を、蹴り飛ばすように。 「……オマエ……笑わせてくれるじゃねェか! 俺がまだ人間だァ? 狂ってない? だから、なンんなンだよクソッタレが! どうでもいいンだよそンなモン。俺がどこの誰だろォが、正気だ狂気だ正義だ悪だ、全部意味ねェンだよ!! 俺は、俺は、俺は――――――!」 守護(ころ)すモノだ。 アイツを泣かせるもの、アイツを苦しめるもの。 アイツにどうしても人並みの幸せってものをくれてやらない世界を。 こんなやり方しか知らないから。こんなやり方しか出来ないから。 だから、この世の狂気罪科刑罰全て、身に集めてでも絶対に――――――― 「あァ……クソ、ちくしょうが。何言ってンだよ、俺は。どうせ今すぐ殺す奴相手によォ……!」 「同感だ。オレも多分、どうでもいいことを言ってる。 しかもそれでも構わないとすら思っている。まったくさ、どうしようもないよな」 その時、一瞬だけ、何かが緩んだのだろうか。 空気は緊迫としているのに、互いにどこか穏やかな口調で言葉を交わし合う。 だがそれも、きっと最後。 「……さっき、ああは言ったけどさ、その力はやっぱり化物じみてるよ。 確かに、こいつは魔的だ。なら―――」 魔眼が、耀る。 灰色の痩躯に浮き上がる死線。 今は限りなく人離れしたその肉体にも、薄らと、確かな死は存在している。 そこに終わりを齎す亀裂を、突き入れる様を幻視して。 「オマエが言えたクチかよバケモノ女が。 ……けど、あァ全くだ。こんな縁(モン)は、ここで潔く――――」 一つの世界の頂点に君臨する超能が、再び起動する。 解き放たれた能力を全開していく。 殺害方法は無限に徹底。 眼から五体に至るまで、対峙する存在を欠片も残さず粉砕するために。 「きっちり殺しておかないとなぁ―――!」 「キレイサッパリ、殺してやらくっちゃなァ―――!」 衝突する魔と魔。 和装の殺人鬼がナイフを片手に駆け走る。 旋風となり迫る影を、白髪の鬼は無形で立ち待ち受ける。 崩落していく泥の舞台。 灼熱の漆黒が埋める淵の底で、彼ら『人』の、最後の戦いが始まった。 ◇ ◇ ◇ 颶風と化した一閃は一直線に、一方通行に向かって疾走する。 当然である。今の両儀式(かのじょ)にとって、対敵への攻撃手段はそれしかない。 そしてそれは今、どんな策にも勝る単純にして最強の一手である。 踏み込み、斬撃。 ただそれだけ、それのみで、両儀式は最強の超能力者を圧倒する。 それを当然に理解していた一方通行の取った行動とは、極めてシンプルだった。 正面に迫っていた式の上を征服するが如く飛翔し、彼我の距離が縦に大きく引き離された。 真下の式を睨みつけ、おもむろにポケットから数本のコーヒー缶を取り出す。 握り締める手から放された飲料水の容器は、重力だけでなく周囲の力の方向を巻き込み、星に落ちる隕石と化す。 人体が浴びればたやすく肉と骨を貫通する死の雨に、気後れすることなく式は身を翻してみせた。 「なンだァ、その目はァ? お行儀良くヨーイドンで正面から殴り合いするとでも思ってたのかよォ?」 展示場の吹き抜け空間にそびえる柱のひとつ、 既に根元は崩れ役目を果たしていない支柱を足場に、眼下の女を睥睨する。 「相手の土俵で踊るバカがどこにいやがる。 ましてやオマエみてェなバケモノ相手に」 最初から、勝負の形は見えていた。 「俺は近づかねェ。オマエは近づけねェ。 ナマクラ振り回してせいぜいみっともなく逃げ回ってろ」 それは一方通行にしてみれば当然の選択だ。 「さァて―――どこまでもちますかねェ!」 一方通行の立つ柱が、踏みつけた衝撃に同調して激震。 根が折れ特大の砲と化して顕現する。 距離計測。 式との間合いを計算し――― 「に・げ・ン・な・よォ。 そンなにバリエーション豊富に殺されてェのかァ!?」 俊敏に回避行動を続ける式を捉えるべく、一方通行が選択したものは線よりも面を重視した包囲攻撃。 柱一本を砕いて創る規格外の散弾だ。 延焼を続ける炎を巻き込み風を集め、飛び散った黒聖杯の成り損ないを掴んで投げ飛ばす、 この世の全てを武器に変え、たった独りを殺そうと火力を投入し続ける。 凌ぐ式に選択肢は二つしかない。 一つ、かわす。 単純明快だ。 軽やかに舞い、瓦礫の礫を避けていく。 だがそれにはいずれ限界がやってくる。 初対面の時とは違う、ここは閉鎖された屋内だ。 逃げる場所は限られて居る。 また一方通行は今や式の能力をある程度把握している。 その間合い、力の及ぼせる限界。計測して動く戦術眼が今は在る。 そして何より疲労。 先の戦いで大きく消耗している式は、動くが鈍くなっていた。 それは僅かな差異でしかない。微々たる違いだ。 しかしこの敵の前では、その差こそが命取りになる。 躱し切れない一撃が必ず来る。 それは分かっていた。 分かっていたからこそ、遂に回避不能の一撃を予感した時、迷わず行動に移れた。 全身を穿ち貫く瓦礫の嵐。 空間的に、左右どちらも逃げ場無し。 上に飛んでも後退しても死期を早めるだけだ。 故に、握る刀(ゆいせん)に力を込める。 長大なる刃渡りを秒を数えず抜刀し、刀身を視認させぬまま納刀に達する。 『聖人』の一撃を再現する断割は、式の全身を引き裂くはずだった散弾全てを、窮地ごと薙ぎ払っていた。 それも、たったの一振りで。 明らかに斬撃の範疇を超える挙動であったが、それでも本来の聖人の動きを模倣(トレース)仕切れてはいない。 そんな事をすれば式自身の身体が持たず崩壊するだろう。 これはあくまで、唯閃に残されていた使い手の残り香、その更に残滓に過ぎない。 そして残滓の一撃ですら、式の身体に及ぼす負担は尋常ではなかった。 一振り毎に、皮膚に亀裂が走り、肉が潰れ、骨が砕ける。 それでも、目前で展開される絶死の弾幕を踏破するには、斬撃を放つ他無い故に、式は刀を振るい続ける。 命を繋いではいるが、式の肉体には次々と傷が刻まれていく、事実として詰めに入られていることは明らかだった。 間合いに近づけず、逃げ回るか切払うしかない。 時に遮蔽物に逃げ込むが、それも長くもつことは無い。 対し、一方通行は仕留めきれぬ得物を追う。 額から滴る血は、前の戦いでの傷であると無視する。 ぐずぐずと煮え立つような自らの身体の異常を黙殺して。 今はただ、冴えわたる計算と制限の取り払われた能力をフル回転させ疾駆する。 時間制限は最早ない。 代わりに、肉体が現在進行形で崩壊を続けているとしても。 能力を解放するために用いたのは、黒聖杯の魔力。 超能力者に対し、魔の力は猛毒だ。 まして呑み込んだのは呪詛の塊。 アンリマユを受け入れたと言っても、体質的な拒絶反応は消せるものではなかった。 一方通行はそれに気づかない、あるいは気づかぬフリをしているのか。 能力の行使に一切の躊躇は無かった。 まるで、それは罰の顕れなのだと受け止めるかのように。 二人、相手を傷つけながら、自らを傷つけていく。 お互い、相手を殺すために自らを削り続ける行為を続けている。 死に落ちる螺旋を描く、それはまるで円舞だった。 「――――ッ―――――――は―――」 倒れた柱の陰に、身を隠したまま、式は思う。 早くも、限界が近い。 全身の感覚が薄れつつある。 馬鹿な事を、無駄な事をしているな、と思った。 相手は遠からず崩壊する兆しを見せている。 自分を殺したとて、それは変わらない既定事実だろう。 簡単に逃げられるわけもないけれど、それでもマトモに立ち向かっているのは、何故なのか。 同情か、親近感か、どれも違うと思う。 特に、似ているものがあるでもない。 比べるものがあるとすれば。 二度と手に入らなくなっても、残ったモノを守りたいから生きると決めた式。 常に脅かされる大切なヒトを守るため、永遠に離れることを固く刻んだ一方通行。 そこにあるのは羨望なのか。 まだ壊れていないなにかの為に懸命に抗う一方通行に、思うところが在ったのか。 その答えさえきっと、無駄なもの。 どうしようも、ないものだ。 感じるのはただ、残骸を握り締める痛みだけ。 痛みが生きる実感をくれる。かつてそう語った少女がいた。 少しだけ、分かるような気が、した。 「……それでも、ここにいるから」 生きる為に殺すという思考に疑問はない。 殺人衝動は波を引いていた。彼の命を欲しいとも思わない。 今、両儀式は紛れもない「人間」を殺す。その罰の重さを耐え切れないと知った上で。 それは生きる為というより、罪を受け入れるのに似た決意だった。 「――そろそろ、行くかな」 柱の影から出れば、待ち構えていたように浴びせられる炎風。 今度は逃げるつもりも無かった。 何故ならもう、見えているから。 両手に握り締めた七天七刀を振るうだけで、それらは簡単に掻き消えてしまうから。 続いて襲い来る雷電も竜巻も、同様の末路を辿る。 万物に内包された死に切先を通すだけで、全ては死に、還っていく。 「おまえの能力は、形も色もその時によってバラバラだけど、常におまえの周りを囲んで走っているんだ。 規則性がないっていう規則に基づいて動いている。まるで、星の系図みたいでさ。 なんて言うのかな、まるで宇宙そのものを見てるようで―――本当に、綺麗だよ」 忌憚のない感想と共に、微笑して、進み続ける。 直死の魔眼、その本領を発揮する舞台が今目の前に在る。 重力や大気といった見えない要素も、超能力という加工を受けたカタチなら見切る事は可能。 飛来する砲撃を、一振りで切払う。 落下してくる圧力を一足で躱し切る。 純粋なる量に訴えて来ようが、打撃、斬撃、銃撃、全て神速の斬撃が斬り払う。 炎刃、風刃、雷刃、如何なる手段によってか、迫りくるそれらを纏めて殺す。 床や天井に罅入れる崩落すら、式は地面に刀を突き立てて、流されていたベクトルごと、全て殺す。 殺す、殺す、何もかも殺して先に行く。 空間上の、一方通行に操作された『ベクトルの線』を、片っ端から殺していく。 そう、対敵がこの世の全てを悪意に変えて殺しに来るならば、両儀式はその『全て』を殺し尽くす。 「―――!?」 瞠目する敵へと、式は確かに距離を詰めていく。 どこかの喫茶店からくすねてきたナイフを二投。 一方通行の逃げ場を塞ぐように投げ放ったのを合図にして、縮地如きの足運びで、彼我の間合いを詰めていく。 浴びせられる殺意を、殺して、殺して、殺し尽くしながら迫り行く。 「オマエ――――!」 飛来するナイフが、離脱を許さない。 一方通行は予感した。 オマエはコイツに殺される、と。 持てる全火力。 全攻撃手段を浴びせかけて尚、近づていて来る敵の姿に。 考え付く殺害手段全てを投下しても止められない相手。 いつか、己を倒した誰かのように。 最強の攻撃を悉く凌ぎ、眼前にたどり着き、拳を届かせた者のように。 「―――――ふざけンじゃ、ねェぞ?」 認めない。全てを出し切れ。 敵は一瞬にして己を上回った。 ならば、そんなふざけた結果など、再度、書き換えろと猛り吠える。 「おおおおおおおおおおおおおおおおォォォォオォォォ」 質量の雨、プラズマ、火炎、地盤沈下、天井崩落。 何一つ通じやしない。 何をやっても、運動の根源(ベクトル)を殺される。 ならば次の手を撃て。 何でもいい、こいつを殺すための手段を探せ。 片っ端から撃ちまくれ。 そうだ、あるだろう。 まだ対敵に為にしていない殺害手段が、一つだけ。 「――――――gapwzg殺aekseh――――!!」 咆哮に顕れたのは黒翼だった。 その本質は未だ正体不明なれど、破壊力だけは疑いようがない。 何より敵は、まだこの力を解析できては居ない。 振りかざす二枚羽。 消え失せろと叫ぶと同時、漆黒を振り下ろす。 「――――!!」 目の前に迫る極撃。それでも式は怯む事無く突き進む。 黒き翅が視界を埋め尽くそうとするも、するべき事は分かっていた。 打倒すべき奔流は式とは出自の異なる物なのだろうか。 未だにハッキリとした死線を捉えることが出来ない。 一方通行の能力を見るに時間が掛かったように、この交差が終わるまでに捉え切るのは不可能だ。 ならば、出来ることは一つ。 両者ともに、最大の破壊力でもって相手を打ち砕く。 唯閃、その開放。奇しくもそれは一方通行の世界と出自を同じくし、同時に対立する世界の極点。 一方通行の翼を見切る時間は無くとも、今握る刃を理解する事ならもう十分に済んでいる。 読み取る情報(かんかく)は多岐。 之の使い手は、天草式十字凄教、それを土台にした剣術を主体とする。 が、それだけでなく、どこか式の生きてきた世界と根本的に異なる種類の魔が絡んでいる。 仏教術式・神道術式・十字教術式。 知らぬ理(ことわり)が渦を巻き、使いこなす事はやはり不可能だと訴えかける。 だが十分だ、やりかたを『参考』にできればそれでいい。 再現できなくとも編み出そう。 特殊な呼吸、自己暗示による身体組み換え強化、『聖人』。 式に馴染まない異界の魔術。 しかし、それによく似た技法なら馴染みがある。 特殊な呼吸―――この程度なら可能だ。 自己暗示――――よくやっている。 聖人――――――己は違うが比べるべくもない、何故なら己は―――――― 走るノイズすらどうでもいい。 重要な技能はただ一つ。 如何なる対魔防御も異なる教義にてすり抜け『迂回して傷つける』対神格。 天使の翼を刈り取る斬撃。 その概念を創作できれば、それでいい。 「唯―――」 ―――抜刀。 「―――閃」 黒と銀の閃光が通り抜ける。 落ちてくる巨大な漆黒の一翼を、両儀式は両断した。 切り落とされた羽が展示場の床に落下し、地を抉り壁を吹き飛ばす。 刹那の間断すらなく、降ろされる二枚目。 その時点で既に納刀されいてた唯閃の二撃目が、引き抜かれ迎撃する。 切断された二枚目が宙を舞い、そして、その向こうで。 三枚目と、四枚目が、既に控えていた。 「――――gph割akn!」 否、それだけでは終わらない、五枚目、六枚目が発現する。 まるで熾天使。 この世全ての悪を喰らった体は、異界の魔術と魔術が交差した力は、ここに最大の変貌を遂げていた。 「―――――!!」 式は、死を、視る。 その無敵の翼に走る死を。 脳回路が焼き切れるほどに凝視して。 飛来する四枚の翼へと、全くの同時に、四つの斬撃を叩きこんだ。 「―――――く―――そ―――!」 それはどちらが発した言葉だったのか。 耐えきれず砕け散った唯閃の柄を握る式か。 三枚の翼を同時に殺されるのを感じた一方通行か。 ラスト一枚。 死を捉え切れず、殺し切れなかった翼が落ちてくる。 身体の限界を振り切って斬撃を行使した反動か、唯閃を振りぬいた式の右腕は動かない。 だから代わりに、懐に差し入れていた左手を抜き放つ。 落ちてくる翼へと、握るルールブレイカーを突き刺して、その時、両者の動きが同時に止まった。 「オ……マエ……!」 唯閃を囮にして、最初から、これを狙っていたのか。 ピシと、ルールブレイカーと、この世全ての悪との契約に罅が入る。 故に一方通行は刃の触れた翼を、破棄せざるを得なかった。 彼は驚愕しながら一歩を踏み出す。 最後の翼と、短刀が同時に砕ける。 一方通行はこの世全ての悪(アンリマユ)との契約破棄こそ免れたものの、全ての翼を破壊された。 両儀式は最大の武器である七天七刀を失った。 故にここからが両者にとって、本当の正念場。 お互い間合いに入ったうえでの、両者武装解除。 開始される、クロスレンジでの殺り合い。 一瞬一瞬が生死を分ける。 一歩でも先を行ったモノが、勝者となる。 刀を失った式に対し、翼が無くとも攻撃に移れる一方通行の有利、かに見えた。 一方通行は足元に転がっていた無数の小石を蹴り上げ、右手で触れることによって射出しようとし、 そのさらに先に、一体いつ持ち替えていたのか、式の右手のナイフが一閃された。 切先が小石の弾丸を払い、空間に走るベクトルの能力を殺害する。 能力の封じられた一方通行の五体へと切り返すように、式がナイフを突き入れようとする最中、彼女の頭に突きつけられていたのは銃口だった。 それは、一方通行の左手が握り締めていたモノ。 ベクトル操作によるものではなく、懐に隠し持っていた、何の変哲もない拳銃。 能力を盛大にブラフとした、能力殺しへの切り札だった。 血が、飛び散る。 首を傾け、急所を避けた式の動きは驚嘆に値する物であり、だがその間隔は、隙以外のなにものでもない。 間髪入れずに腕が伸びる。 破壊の魔手。 能力を取り戻した一方通行が放つ、殺人接触。 伸びる手が胴体に触れる前に、式はその腕を自らの手で受け止めていた。 一方通行は勝利を確信する。 触れる場所は何処でもいい、これで詰みだ。 血流を逆転させ、腕から全身を破砕せんとし―― 「―――――あァ?」 次の瞬間、困惑に支配される。 破壊が胸にまで届かず、腕の部分だけに留まっていた事実に。 "―――義手、だと!?" 機能が停止してただのモノに戻った義手は肉体との接続を失い、結果的にベクトルの流れを途中で断ち切っている。 身代わりにした左腕のパーツに混じって、地面へと零れ落ちるペーパーナイフ。 それを式は、ブーツの爪先で蹴り上げた。 「――――がっ!!」 防御の反射は当然の如く無視し、切っ先は身を捩った一方通行の左肩に突き刺さる。 一方通行は肩に熱を感じるよりも早く、いましがた己の細い胸板へと接触していた、式のたおやかな指に底冷えしていた。 指は蠱惑的にさえ思える動きで、泥に浸すようにずぶりと、肉の内側に沈み込み。 「終わり……だ……!」 ―――死ぬ。 死を、直に味わう。 今まで受けたどんな感覚よりも冷たく、深く、昏く。 抵抗の力さえ奪われていく中、全身で死の手触りを知る。 そうして指先が、己が心臓に、達しようとした刹那――――― 「オマエが、なァ」 あらん限りのベクトルを、式の腹に蹴り入れた。 「――――――ッ!!!!」 声を上げる事すら許されず。 式は叩き込まれた衝撃によって、遥か後方に吹き飛んでいた。 一方通行に血液を逆流させる余裕が無かった故に、即死は免れたものの。 それは事実上、勝負を決める一撃だった。 先程まで身を隠していた柱に全身を叩き付けられ、両義式は沈黙する。 左腕を失い、肋骨は数本折れ、立ち上がれたところで満足に動けるかも怪しい。 少なくともこれ以上、一方通行との戦闘に耐えることは出来ないだろう。 「……まァ……なンだ。つまり、そういうこった」 死を実感し、一方通行はここに至り、直死の魔眼の本質を悟る。 確かに強力な能力だ。生者も死者も、幻想すらも殺す能力。 事実として、最強の超能力者を敗死させる寸前だった。 喉笛に刃を押し付けられる、あるいは心臓を直に掴まれた程の瀬戸際。 ほんの僅かな差で、結果は逆転していたと言えるほどの僅差。 だが。だからこそ。自分は負けず、対する敵は勝てなかった。 『全てを殺す』、ほどの規格外。 目の前の彼女はかつて一方通行を倒した彼より強く。 けれど彼とは違う。違うと、断言できる。 何故ならば、 ゛ふざけた幻想だけを殺し、それ以外の全てを守ってきたアイツだからこそ、己は負けたのだから゛ 結局ところ、彼女の敗因とは、ただ一つ。 「最弱(さいきょう)のアイツ以外が、俺に勝てるワケねェンだよ」 そして己の勝因を告げ、終わりの一撃を放とうとして、 「―――――ァ?」 一方通行の視界の隅に、何か、些末なものが、映っていた。 ◇ ◇ ◇ ―――――そこで私は、観測を停止した。 「オマエ、何だ?」 そこに立つものに、一方通行は問いかける。 「……なァ? 頼むぜおィ。 今更、弱い者イジメさせられンのは気分悪ィンだよ」 一方通行の目前に立つ者。 膝をつき敗北寸前の両儀式の、更に背後。 一人の男が、立っていた。 阿良々木暦という、一人の人間が。 一人の弱者が、そこには立っていた。 「……なぜわざわざ、殺されにやってくるンだよ?」 どうして、死ぬと分かっていながら、姿を現したのか。 そう、一方通行は問うている。 一方通行の目の前に立つ彼に。 同時に、彼の後ろに居る存在、インデックスの目の前に、守るように立つ彼へと。 殺すものは問いかける。 なのになぜ、一方通行の前に姿を現した。 注意を引き付ける為だけに、前に出たのだと誰の目にも明らかだ。 両儀式の死を、数秒間遅らせることしか出来ない無能。 障害として機能しないレベルの性能差。 にも、拘らず――――― 彼は、前に出た。 両儀式の死を、数秒間遅らせる為、本当に、ただ、それだけの為に。 泥だらけの学生服。 傷だらけの皮膚。 何度くじかれたか知れない心。 敵は強い。 己は弱い。 勝ち目は無い。 どうしようもない。 それでも立ち続ける者を。 立ち向かえる者を。 誰かが死ぬのを、傷つくのを、見ていられないから行ける、そんな者を。 さて、物語では何といったろうか。 「悪い、ちょっと待っててくれ」 彼は背後に守るインデックスへと、そう言って、また一歩、踏み出す。 「すぐに戻ってくる」 がくがくと震える足で。 「大丈夫、僕は死なないし、誰も殺させない」 紅の槍を両腕に構え。 「なんて、ね。似合わないよな。 でも、一生に、一度だけ、 言ってみてもいいだろ。こういう―――」 目に、敵を映し。 「主人公っぽい、セリフを、さ」 この場、この一瞬だけの主役は、駆け出した。 彼の、絶対的な死を前に。 背後にいた者が、無意識に伸ばしていた手は、届かない。 すり抜ける。掴めない。 いつかのように。いつものように。 ―――いつも? ――――いつもとは、いつのことなのだろう? 分からない。 だけど、分かる、今なら理解できる。 そうだ、いつもすり抜けてきた。 いつも止められなかった、何も出来なかった。 いつも私は、何も、知らなかった。知る事さえ、出来なかった。 『――何を、望みますか? 自己の消滅を前にして、あなたは』 どこかで流れたノイズ。 記録に残る誰かの言葉が、再生される。 『……せめて、戦いたいな、衣も。 それは無理だって、止められるだろうって、分っているけれど 終わる前に、衣も最後に……力になれたなら』 最後に死ぬ前に戦いたいと彼女は言った。 戦って、彼女は死んだ。 誰かの為に、生きたいと、彼女は最後まで願っていた。 ああ、その願いは、果たして、いつの、誰の、願いだったのか。 ―――傍にいたい、私はあなたと共にいたい。 貴方の抱える物を代わりに背負う事が出来なくても、せめて隣で戦いたい。 「―――」 あなたは私に何も話してくれず、私を置いて行ってしまう。 私は守られていることしかできなくて、何もできなくて、傷つくあなたを知ることすらできなくて。 「―――」 だからいつも、ボロボロになって帰ってきたあなたに、微笑しか渡せない自分が悔しい。 わたしだって本当は、あなたを守ってあげたいのに、戦いたいのに―――― 「―――」 そんな苦くて淡い思いは、いったい誰のものだったのか。 「――――――――――」 悲鳴すら、上がることは無かった。 彼が血を流したのは、僅かな思考の、一瞬の後。 一方通行が投射した質量が彼の右腕をばっさりと切断し。 紅い、紅い、飛沫が散る。 インデックスの足元の床に、千切られた腕が落ちてくる。 そして遅れて、血の雨が降ってきた。 紅い血が、『歩く教会』を滑り落ちて、インデックスの頬をぬらした。 「………ぉ……がぁ……ぎ……」 彼が何を言っているのかは分からない。 それはただのうめき声だ。 痛みに咽び、弱さに打ち震える、潰されたカエルのような鳴き声でしかない。 意味をなさない、ノイズ以下の音だ。 そんなものを吐き出しながら、阿良々木暦は、未だ立っていた。 先の途切れた右腕から、鮮血が迸る。 ショート寸前の痛覚に耐える為に噛み締めた下唇から、どろどろと血が流れ出す。 そうして、もう一度、足を、踏み出す。 ―――て。 踏み出して、いく。 ―――って。 彼が一歩を踏み出す度に。 重なるように見える何かに。 ―――まって。 脳が、粉々になっていく。 思考が、意志が、インデックスという装置を、構成するものが破壊されていく。 それは今に始まった事ではなく。 最初から加えられていた一つの機能。 ゲームの終了と同時に、破棄される予定に在った禁書目録。 その自壊装置が、駆動し続けている証。 誰かの喪失を目にする度に、ほんの少しずつ。 時をかけて、少しずつ、少しずつ、罅割れていたガラス、噛み合わなくなっていた歯車。 エラーの蓄積は遂に、致命的な狂いとなり。 砕けた機能の内側から、秘せられていた『感情』が滲み、滲み、溢れ出し――― 「―――告」 このからっぽな心に、意志を、表す。 「――――警告」 耳に聞こえるそれは誰の声か。 この施設に在る全ての存在を、インデックスは知覚していた。 阿良々木を一撃で殺せなかったことに表情を歪めた一方通行。 自らの血に足を滑らせ、インデックスの目の前で床に倒れ伏していく阿良々木暦。 僅かに肩を震わせた、両儀式。 インデックスのさらに背後に立っていた、秋山澪。 外周廊下を駆け抜けて、ホールへと近づてくる平沢憂。 どれでもない、と断定する。 「―――――警告、第三章、第一節。 『その行動』は自身の生命活動を著しく脅かします。即時の停止を推奨」 これは、自らが発する警鐘だ。 いま新たに一歩を踏み出し、阿良々木暦の千切れた右腕を拾い上げた存在。 一方通行の注目を集める、のみに留まらず。 阿良々木暦の右腕が掴んでいた槍を、手に取った者の口から、己自身へと発せられる。 自動書記(ヨハネのペン)という、機能のエラー音声に他ならない。 「対面する存在の敵意を確認。一方通行。学園都市最強の超能力者。 危険度はバトルロワイアル全参加者中最大域を計測。10万3000冊の書庫の保護の為、迎撃を開始します」 壊れていく、機械の音。 「――――警告、第十四章、第十三節。 現在の行動に意味は皆無。ヨハネのペンは残り一時間と二十三分と十八秒をもって内在する意識ごと自壊破棄され■■■■■―――警告、第十二章、第十節。 迎撃対象に最も有効なローカルウェポンを組み上げ開■■■即刻の中止を推奨、現在の行動は禁書目録の存在理由に■■■接触した聖遺物の解析を開始。 ■■■自動書記の機能不全、魔術の不正使用を確認、暴走状態に在ると断定、これより予定(シナリオ)を繰り上げ禁書目録の完全消去を実行しま■■■■」 ざあ、ざあ、と。 聞こえるノイズは強まっていく。 ばきん、ばきん、と。 脳裏では破砕の音が響き続ける。 全身の細胞が次々と弾け、高温の血液が沸騰し、己が存在よ速やかに終われと自動書記は筆を速める。 瞳からは血の涙がこぼれ続け、視界(がめん)は、壊れたテレビのように砂嵐が覆っていく。 ここに来て、加速度的に進んでいく全身の崩壊。 魔術の行使。 そんな事は許されない。 本来、インデックス自身からその機能は排除されている。 インデックスという、ヨハネのペンという、存在を破棄された後でなく、しかし正常でもない。 『崩壊の過程』で在ったからこそ起こり得た、これは『現象』だ。 そう、とっくに、禁書目録は、ゲームを円滑に動かすための装置は、壊れて始めていた。 自らの機能によって、そして観測してきた『彼ら』によって、関わってしまった『彼女』らによって。 彼女もまた、例外ではなく、『変えられて』いたのだから。 「――――警告、第二十三章、第三節。 接触聖遺物の解析―――失敗。 禁書目録とは異なる世界の聖遺物と断定。 内臓された■■の完全再現は不可能。 実行可能な類似奇跡の■■警告、禁書目録の消去進行■■■■検索を開始―――成功。 ―――迎撃対象個人に対して■■■警告、術式の発動停止を即時推奨■■■■最も有効な魔術の組み合わせに成功しました」 観測する端末は壊れ、消えようとしている。 『完全な機能』は崩壊した。 僅かに灯された何かの指令(コマンド)に、ブレーキすら失ったそれが暴走しているに過ぎない。 ならば、今この肉体を暴走(うご)かすものとは――― 「――警告、第■■章第■節。■の解析に成功しま■■■■。 『ケルト神話』より英雄の記録を抜粋■■■警告、禁書目録の消去を更に加速■■■警告、聖遺物の攻勢術式再現開始■■■■。 ■■特性により■■警告■■■■如何なる障壁も迂回無視■■運命■転■■■警告■■概念武装を■■■警告■■■■構築し■■警告■。 術式を固定■■■警告■■■組み込み開始■■■警告■……第一式、■■警告■■第二式、第三式■■警告警告■■■■警告警告警告警告警告――――」 『私』の、意志。 そう、これは、この時だけは、私の―――― 「命名、『刺し穿つ死棘の槍』完全発動まで十五秒――――」 私の、物語だ。 「オマエ―――――――!!」 突如、展開された術式。 紅き槍を構えた存在から発せられた異質な空気。 本能的に危機を感じ取ったのか、一方通行がすぐさま攻勢に移ろうと地を蹴った。 そこに、刃を構える銀色が、割り込む。 「鬱陶しい!!」 投擲される鉛の散弾を、両儀式は断絶させた。 ほぼ全身が機能不全陥った状況下、唯一動く右腕を振り上げ、旋回させるナイフによって断ち切る。 限界に達した肉体で、一挙動ごとに血を吐き出しながらも。 残り十五秒。 之より背後。 絶対に進ませぬと阻んでいる。 「残り、十三秒」 一撃。 銀の鉛が舞う。 威力は相変わらず一撃必殺。 対する一振りも一撃相殺。 「残り十秒」 二撃。 銀のナイフが翻る。 限界は初めから見えていた。 「八秒」 三撃。 銀と銀が衝突し、散る火花。 一振りする毎に、吐き出される鮮血と、遅くなる腕の動き。 「七秒」 四撃。 地を踏みつけた一方通行の足元から、両儀式の蹲る地面を吹き飛ばすべく衝撃が飛来する。 式はすぐさま、床へとナイフを振り下ろし、ベクトルを殺害し――― 「五秒」 五撃。 そこで詰んだ。 空中に飛び上っていた一方通行は展示場の支柱の破片を投げつける。 未だ床に突き刺さったナイフを振り上げる。 ナイフ一本を、持ち上げる為の筋力が、既に、両儀式には残っていなかった。 「残り――――」 その時、強く紅槍を握り締めた私の、更に背後から。 「――――式!」 「――――阿良々木さん!」 ホールに響き渡った、二人の少女達の声に。 「これが本当に、最後のッ!!」 「立って――――――――!!」 ―――両儀式は無意識の内に、ナイフを手放していた。 ―――倒れ伏した阿良々木暦の指先が、ぴくりと動いた。 「最後の一本だからッ!!」 「約束を破らないでッ!!」 声が、届く。 空手で天に翳した式の掌へ、煌く刀身が飛来する。 刀身が中程で折れた、その刀。 殺すもの、守るもの、幾人もの手を渡ってきたその刀。 戦国より受け継がれた刀身に、一瞬だけの紫電が煌いて。 もう、振り上げは済んでいる。 だから力は要らない。 ただ、振り下ろすのみ。 過たず、死の点を貫かれた砲撃は四散し――― 「――――完全発動まで残り■秒――――」 展開されていた魔法陣に、亀裂が走る。 僅か十五秒の経過を待つまでも無く、私の思考が分断される。 視界は罅割れ位相がズレ、敵の姿を、もう捉える事すらできない。 「――――――――警告、■■■■■。 ――――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――――― ――――――――――――――――――――――――――――」 身体の感覚が掴めない。 腕の神経などとうに失せ、槍を握り締める実感すら最早ない。 敵の名、己の名、目的、全て砕け散って戻らない。 例え発動までこぎ着けたところで、穂先を何処に向ければいいか、定まらない。 定まらない狙いは乱れ、感覚の失せた腕は槍を、取り落とす。 最早、数メートル先も見えなくなった視界で、私は最後に見た。 「―――――頑張れ」 血を流しながら立ち上がる、阿良々木暦(しょうねん)の姿。 何度でも立ち上がる、主人公の姿。 『彼』が、その穂先を掴み、放つべき敵へ、狙いを定める。 「―――まだ、終わってないだろ?」 ただ、それだけ。 彼に出来た事はそれだけで、それだけが、いま必要な全てだった。 「―――ねえ」 私は、告げる。 目の前の背中に。 立ち上がる少年に。 先を行く、いつか先に行ってしまった、もう届かない誰かに向けて。 「―――ねえ、とーま。私も」 彼に重ねる、いつかの主人公に。 「――――私も一緒にッ!!」 私自身の想いを。 ずっとため込んでいた想いを、壊れた声帯で告げていた。 「――――私も一緒に、連れて行ってッ!!」 「――――ああ、一緒に勝とうぜ、インデックス!!」 もう存在しない筈の右手が、最後に私を抱き寄せる。 振り向いた『彼』の姿は、声は、果たして幻だったのだろうか。 何もわからない。 けれど、ああ、どうしてだろう。 壊れていく私は、全ての思考が粉砕される直前に、ただ一つだけを思っていた。 神様、どうか、どうかこの幻想だけは――――― 「「―――刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)」」 壊れないで、永遠に。 ◇ ◇ ◇ 「あ?」 一方通行は、放たれた穂先を簡単に弾く。 飛来する槍のベクトルを『反射』させ逆方向に撃ち返す。 「……なンだァ?」 すると槍は妙な挙動をした。 反射に触れる寸前か、瞬間か、或は直後か、それは逆方向すなわち後ろに進んだのだ。 枢木スザクが示したものと同じ、反射の攻略法。 『遠ざかる槍撃』は一方通行自身へと反射され、心臓を貫きに来る。 「なンだよ?」 その程度なら予測していた。 通常の攻撃でないことは見るに明らかであったし、一方通行は既にスザクの動きを観ているのだ。 万が一の対策はしてあった。元より反射はオートではなくリモートにしてある。 増幅された計算能力を総動員し、すぐさま設定を切り替える。 「なンなンだよおィ」 斜め方向に向きを変える屈折現象は無意味だった。 一度だけあべこべな位置に飛んでいった槍は、すぐさま穂先を此方に向け直し再度飛来。 以降、同じ手は通じなかった。 「おィおィ」 槍の運動エネルギーを奪い地面に流し込む転換も大して効果が見られなかった。 一瞬止まったかに思われた槍は、すぐさま自力で運動力を取り戻し再度推進。 以降はどれだけエネルギーを奪っても無駄だった。 「おィおィおィ」 向かってくるエネルギーを利用し、動きに合わせて一方通行自身の位置を変え続けることすら。 その槍撃には意味を成さなかった。 何故かほんの少しずつ、少しずつ、穂先が、一方通行の胸元へと、迫ってくる。 「おィおィおィおィおォォォォォォォォィ!!!!!!」 それは一方通行の思考を上回るがごとき計算起動。 正しく一方通行の能力を開発した科学者の動き、ですらない。 「くそがァ!! いったい――――何を――――仕掛けやがった?」 そうであれば、今の一方通行ならば、凌ぎ切れるはずなのだ。 『この世全ての悪(アンリマユ)』を取り込んだ影響か、過去最大に回転する思考回路は刹那の間隙すら見逃さない。 万物の動きを捉え切り、理論的な攻略方法ならば、数値の勝負ならば、その悉くを上回ろう。 今の彼を傷つけられる物は、両儀式の眼や、上条当麻の腕のような、基礎数にゼロを掛けるが如き反則のみ。 しかし今ここに、また違う形の反則が存在する。 基本的な反射による防壁を初め、屈折、転換、あらゆる迎撃設定を多重に張り巡らせようと、 その悉くを次々と方法を変え踏み込んでくる。 何度弾いても、何度上回っても、どれだけ運動ベクトルを操られようと、違った角度から違ったアプローチで迫る一突き。 抗するべく一方通行は無限に己を更新し、それを更に槍撃が上回り続ける。 穂先が、一方通行に触れる。 ベクトルが操られ、離れていく。 ならばと言わんばかりに穂先は逆方向に動き、迫り、また一方通行の設定が切り替わり、 すると合わせるように槍も動きを変えるのだ。 それは既に、槍撃の挙動をしていなかった。 槍と言う形状では説明のつかない軌道だった。 一方通行の全身を嵐のように埋め尽くす刺突。 多重に屈折した紅き軌跡はまるで人一人を囲む檻の如き情景だったが、あくまで『一突き』だ。 右へ左へ後ろへ前へ、一方通行の周囲数ミリを縦横無尽駆け巡る動作は実のところ後付でしかない。 因果逆転。 心臓を穿つという結果を確定した上で放つ、必中必殺のそれは正に宝具。 放たれたのはそういう特性の術式であり、故に回避も防御も不可能だ。 槍は今、一方通行の心臓を狙っているのではなく。 『一方通行の心臓を穿つ結果』に向かって疾駆する。 最初から当たると決まっている『運命』を相手に、ベクトル操作も、計算能力も何の意味もありはしない。 「―――――――――は」 にも拘わらず、一方通行は抵抗する。 常に己の能力を更新し、設定を変え続け、穂先の到達を一秒でも遠ざけんとする。 決して逃れられぬ運命は刻一刻と心臓に近づいてくるが、諦める気配は微塵も無い。 「―――――――――はは」 理屈を超える奇跡の具現。 唯一要求されるのは、因果逆転の呪いを逸らすほどの幸運。 『幸運』、そんなもの、己は決して持ち得ないと知っていて。 だからこそ、 「はははははははっ、やっとかよ」 何故未だに、己が抵抗を止めないのか、彼は本当に不思議だった。 「ははははははははははははははははははははははっ、やっと俺を!!」 怒るでもない。 嘆くでもない。 滑稽だったから。 何度もあった死地と同じく。 やはり彼は笑う。 そうだ。 これでいい。 これでいいんだと分かってる。 全力の抵抗は及ばず、今度こそ完敗だ、己はもうすぐ殺される。 それでいいじゃないか。 こんな悪は、殺さなきゃいけない。 間違いは、誰かに、正しい何かに、殺されなきゃいけない。 悪を殺した、正義を殺した、ただの弱者すら殺しつくした。 ただ、守る為に。正義じゃなく、『誰かの味方』になるために。 それは願われたわけでも、命じられたわけでもない。 己自身の意志で選んだのだ。 誰か手によってではなく、己が守りたいという、くだらない我欲(エゴ)の為に。 「ははははははははははははははははははははははっ!!」 だからそう、本当に、ああ本当に、ここに『彼女』が居なくてよかったと、心から思った。 こんな悪党の居る世界に、彼女が連れて来られなくてよかった。 悪に穢れた姿を、見せずに済んでよかった。 それだけが今の一方通行にとって、紛れもない『幸運』だったから。 ならば、これ以上なにを望むことがある。 終わる『チャンス』は何度もあった。 何度も、何度も、それを掴めず、誰かを殺して生き延びた。 俺が守る。なんて願望がそうさせた。 「――――――――は」 こんな悪は、やっぱり許しちゃだめだろう。 まして彼女の居る世界に、戻したりなんかしちゃあ、絶対に駄目だろう。 ここできっちり殺して、死なせて、終わらせて、さあ今こそ―――――――― 「―――会いてェ……」 台無しだった。 「は……なンだァ……そりゃァ……笑えねェだろ……」 まったくもって嗤えないくらい、ぶち壊しだった。 ぞぶり、と。 遂に胸をえぐった穂先が、心臓を貫くその刹那。 鮮血と共に口から漏れ出したのは、自分でも驚愕するほどに腐った泣き言で、 今までの全部を無意味にするダサい弱音で、 そしてこれまで、絶死の運命に抗い続けた本当の本当の本当の理由(ワケ)で―――― 「クソ……あァ……ちくしょォ………………会いてェ……なァ…………」 彼にとって、本物の願いだった。 ◇ ◇ ◇ 時系列順で読む Back 3rd / 天使にふれたよ(1) Next 3rd / 天使にふれたよ(3) 投下順で読む Back 3rd / 天使にふれたよ(1) Next 3rd / 天使にふれたよ(3) 338 2nd / DAYBREAK S BELL(5) 両儀式 339 3rd / 天使にふれたよ(3) 一方通行 阿良々木暦 338 2nd / DAYBREAK S BELL(4) インデックス 338 [[2nd / DAYBREAK S BELL(5) 秋山澪 言峰綺礼 GAME OVER
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116 :Hearts of Lion ◆4wSURDq66Q:2008/05/03(土) 16 24 38 柳洞寺の30ターン目です。 収入が発生しました。 税収+40(拠点:穂群原学園) 土地からの魔力提供+10(拠点:遠坂邸) 穂群原学園からの給料+23(人材:葛木宗一郎から発生) 土地からの魔力供給+15(拠点:柳洞寺から発生) お布施+15(宗教:柳洞寺仏教より発生) 生活費-5(人材:弓塚さつきから発生) 傷害保険費-5(人材:葛木宗一郎から発生/後1ターン) 再編成費用-5 レンタル料-5(人材:両儀式から発生) レンタル料+20(部隊:竜より発生) 兵の維持費用が発生しました。 竜牙兵(単位:1200)-34 メカ翡翠(単位:300)-9 穂群原学園・陸上部(単位:600)-6 G・メカ翡翠 -12 F-5E『タイガーⅡ』(単位:300)-9 この結果、資源+30を得ました(玩具缶:75) 本拠地:柳洞寺(要塞:山門を保有しています) 他の拠点:穂群原学園、遠坂邸 資源540 主力:竜牙兵(重装騎兵)(4:3:2:8)単位:88 竜牙兵(精鋭弓騎兵)(4:3:3:7) 単位:400 メカ翡翠(6:6:3:7) 単位:300 竜牙兵(重装投擲槍兵)(3:4:1:6)単位:100 竜牙兵(火炎瓶投擲)(3:0:2:4)単位:300 穂群原学園・陸上部)(砲丸投擲)(2:0:2:2)単位:600 G・メカ翡翠(11:10:1:25)HP:200 F-5E『タイガーⅡ』(5:2:6:7)単位:300 竜牙兵(TYPE-P)(2:1:2:7)単位:300 補給線の確保で維持費-1、更に兵舎の効果で維持費が半分になります。 所属:柳洞寺仏教(本部:独立宗教法人柳洞寺) 士気:変動無し 不満度:なし 人材:キャスター 不満度10(概ね満足している) 人材:葛木宗一郎 不満度30(概ね満足している) 人材:柳洞零観 不満度30(概ね満足している) 人材:佐々木小次郎 不満度30(概ね満足している) 人材:柳洞一成 不満度10(概ね満足している) 人材:弓塚さつき 不満度10(概ね満足している) 人材:氷室鐘 不満度20(概ね満足している) 人材:蒔寺楓 不満度20(概ね満足している) 人材:三枝由紀香 不満度30(概ね満足している) 人材:久我峰斗波 不満度20(概ね満足している) 人材:国藤 不満度20(概ね満足している) 人材:Vシオン 不満度40(それほど不満を感じていない) 人材:浅上藤乃 不満度10(行動不能/後1ターン) 人材:時南宗玄 不満度30(概ね満足している) 人材:黒桐幹也 不満度50(それほど不満を感じていない) 人材:両儀式 不満度70(大いに不満を感じている) 人材:巫条霧絵(行動不能:後4ターン) 人材:白レン(拘束中) 117 :Hearts of Lion ◆4wSURDq66Q:2008/05/03(土) 16 28 01 研究または再編中の項目 全体ダメージの緩和Ⅱ(完成まで後5ターン) 陸上部の特殊兵装研究(完成まで後2ターン) 貸本 総理大臣・織田信長(後8ターン) 節約だけで5億稼ぐ秘訣!(後3ターン) 究極!接待営業マニュアル (後3ターン) 研究可能な項目 塹壕戦の構想(資源-20:8ターン後に完了します) 空間転移技術の研究Ⅰ(資源-30:3ターン後に完了します) 退路の遮断(資源-40:12ターン後に完了します) 重機工兵の研究(資源-30:4ターン後に完成します) 人型都市制圧兵器の独自研究(資源-30及びメカ翡翠の解体:3ターン後に完成します) 衛生兵の研究(資源-40:10ターン後に完了します) 阻止攻撃の研究(資源-30:5ターン後に完了します) チアリーディング部隊の設立(資源-30:後5ターン) 空軍の研究Ⅰ(資源-30:4ターン後に完成) 海軍の研究Ⅰ(資源-20:3ターン後に完成) 建設物:愛の新居(1ターン後に完成) レクリエーション施設 兵舎 現場詰所 万里の長城 研究所 レーダー施設 柳洞寺卒塔婆(1ターン後に完成) 作成中:本音スケルトン眼鏡(後3ターン後に完成) 議案:商店街の空き地利用(必要得票数:4)(後1ターン) 社会制度:無し (共産主義、資本主義、宗教国家を保有しています) (選択)イベント前にアイテムを使用しますか?(複数選択可) A/呼び笛 B/混沌の肉 C/催眠薬 D/ちゃんこ鍋 E/まききゅーX F/虎十字勲章 G/使わない 199 :Hearts of Lion ◆4wSURDq66Q:2008/05/03(土) 18 33 23 では、B/混沌の肉 を巫条霧絵に C/催眠薬を後藤君に使います。 巫条霧絵/これって大丈夫なんですか? 副作用とかありませんか? 混沌の肉で巫条霧絵の肉体の修復を行ないました。 元の肉体よりも性能は向上していますし、 魔術を身に付ければ獣も呼び出せるかもしれません。 このイベントによる変動は以下の様になります。 巫条霧絵が行動不能から回復しました。 (選択)それでは後藤君に何を見せるか選んでください A/闘将!!拉麺男2巻 B/三国志7巻 C/24・DVDボックス D/勇午1、2巻 E/総理大臣・織田信長 219 :Hearts of Lion ◆4wSURDq66Q:2008/05/03(土) 19 37 40 後藤君/ワシが内閣総理大臣・織田信長じゃ! ぴきーん! 後藤君に内閣総理大臣・織田信長の魂が宿った! 類稀なる政治能力と対アメリカ強気外交能力を獲得した! 全ての議案に必要な得票数が-1されます。 新たな議案に以下の建物建設が追加されます。 冬木大学(柳洞寺で各種の人材を登用可能になります) 冬木スタジオ(柳洞寺音楽家を登用可能にし、作曲が出来ます) 冬木TV(プロパガンダやアニメ、ドラマの放送が可能になります) 冬木宇宙ステーション(宇宙開発が可能になります) 冬木カジノ(新たな経済基盤です) 冬木市都市犯罪防止センター(各所に監視カメラを仕掛けます) 7個のイベントが発生しました。 両儀式/………俺の刀 閣下。彼女は自身の得物を失い、かなり落ち込んでいるようです。 新たな得物を調達しなければ不満を爆発させるでしょう。 このイベントによる変動はありません。 蒔寺楓/給料が出なかった! 閣下、彼女の言によると勤めていた骨董店が不況のあおりを受け、 支払うだけの給料が用意できなかったという事です。 ただ、深山商店街には多額の投資をしておりますので、その心配はない筈なのですが…。 (選択1)彼女の言葉を信じますか? Y/幕僚を信じずに誰を信じるのか N-1/とりあえず逆さまにして振ってみよう N-2/レクリエーション施設が怪しい。家捜しだ。 N-3/保留にしておこう 白レン/はいはい、反省してます。これでいいんでしょう? (選択2)白レンの現場復帰を認めますか? Y/もう二度とやるなよ N/追放だ! ミスター陳/プレゼントは届きましたか? 閣下、ミスター陳から連絡が入りました。 何でもGMH-1用の追加ユニットと援軍を我々に送ったそうです。 ただ取り付けたGPSが深山町商店街で止まっていた為、確認にきたとの事。 今後も我々に対して援助を惜しまないそうです。 このイベントによる変動はありません。 研究終了/防毒の研究Ⅱ 閣下、防毒の研究Ⅱが完了しました。 我が軍全体にガスマスクと防護服、血清とワクチンを常備します。 これにより現状の毒では我が軍に致命的なダメージを与える事は不可能でしょう。 このイベントによる変動は以下の様になります。 毒属性を持つ部隊から受けるダメージを大幅に減少させます。 猛毒の研究Ⅲ(資源60/後6ターン)が研究可能になりました。 研究班/新たな兵種 閣下、虚数魔術の獲得により新たな兵種が編成可能になりました。 竜牙魔術兵(1:0:1:6)単位:100(支援攻撃可) 攻撃の代わりに資源20で攻撃力、防御力、機動力のいずれかを選択して-1修正。 柳洞寺/商人の訪問 (選択3)閣下、商人が複数名訪れていますがお会いになりますか?(複数選択可) A/洗脳探偵翡翠 B/玄霧皐月 C/焼肉屋『大帝都』出張サービス D/死の商人・マッコイ爺さん E/アメリカ合衆国 290 :Hearts of Lion ◆4wSURDq66Q:2008/05/03(土) 22 15 55 では、N-2/レクリエーション施設 を家捜しし、白レンは許し、全ての商人に会うことにいたします。 蒔寺楓/あー! アタシの秘密基地に何すんのさ! 閣下、どうやら給料を着服し骨董店の商品を買っていたようです。 恐らくはバイトを続ける間、ここに溜め込むつもりだったのでしょう。 しかも無駄に目利きですので相当の差額になると思われます。 以下の品を獲得しました。 出自の不明な皿 作者が分からない掛け軸 花押のない水墨画 (選択1)これらをどうしますか? A/蒔寺に返す B/祭りの商品に加える C/鑑定士に引き取って貰う D/骨董店で給料と交換する 白レン/別にいいじゃない。無駄に人が多いんだから 閣下はその広い御心で大逆の徒を許された。 この寛大な精神は冬木市民の心を打ち、 遠からず冬木に平和と安寧を齎すと確信している。 このイベントによる変動は以下の様になります。 人材:白レンが幕僚に復帰します 洗脳探偵翡翠/それで誰を犯人にしますか? (選択2)どのような任務を任せますか? A/捕虜一名を洗脳して幕僚に加える(資源-200) B/幕僚一名を洗脳して好きな技能を上書きする(資源-100) C/他国や中立組織のトップを洗脳して友邦に変える(資源ー200) D/他国の首脳を洗脳して戦争を引き起こす(資源-150) E/既に登場した独立勢力一つを洗脳して友軍として扱う(資源-100:後10ターン) F/他国の幕僚一名を洗脳して引き抜く (成功率はランダム。引き抜き成功時に資源-100。 ただし人材の選択は出来ず、不満度が高い者ほど引き抜きやすい) G/何も頼まない 焼肉屋『大帝都』/来てくれるお客さんがいないのでこちらから来ました! (選択3)どのお肉を注文しますか?(複数選択可) A/混沌の肉(資源-50) B/混沌の肉(甲殻類)(資源-60)(竜や竜牙兵TYPE-Pが食べると進化します) C/混沌の肉(黒翼種)(資源-60)(竜や竜牙兵TYPE-Pが食べると進化します) D/混沌の肉(獣角種)(資源-60)(竜や竜牙兵TYPE-Pが食べると進化します) E/混沌の肉(爬虫種)(資源-60)(竜や竜牙兵TYPE-Pが食べると進化します) F/混沌の肉(幻想種)(資源-100)(竜や竜牙兵TYPE-Pが食べると進化します) G/獣王の巣(資源-200)(竜や竜牙兵TYPE-Pが食べると進化します) H/ネコアルクの肉(資源-30)(竜や竜牙兵TYPE-Pが食べると進化します) I/ネコアルク(ボクサー)の肉(資源-50)(竜や竜牙兵TYPE-Pが食べると進化します) J/ネコアルク(先割れスプーン)の肉(資源-50)(竜や竜牙兵TYPE-Pが食べると進化します) K/ネコアルク(衛星軌道)の肉(資源-60)(竜や竜牙兵TYPE-Pが食べると進化します) L/ネコアルク(プリンセス)の肉(資源-100)(竜や竜牙兵TYPE-Pが食べると進化します) M/ネコアルク(クイーン)の肉(資源-200)(竜や竜牙兵TYPE-Pが食べると進化します) N/危険部位混入肉(背骨付き)(資源-10)(不満度回復&一定の確率で負傷) O/松坂牛(資源-30)(不満度が回復します) P/買わない 291 :Hearts of Lion ◆4wSURDq66Q:2008/05/03(土) 22 16 57 マッコイ爺さん/ツテがあるんでな。正規のルートよりは安くしとくぜ 閣下、この老人は闇ルートを通じて多くの武器を売買しているようです。 空港を建設していませんので飛行機を買う場合には、 交渉してイリヤスフィールの個人所有の空港を間借りする事になるでしょう。 (選択4)何を買いますか?(複数選択可) A/戦闘機 B/爆撃機 C/輸送機 D/兵装 E/車両 F/艦船 G/銃器 H/傭兵パイロット(レンタル料が発生します) I/クレムリン宮殿 J/買わない アメリカ合衆国/君達は我々の贈り物を踏み躙ったのだ! 閣下、訳ありの肉を捨てた事で米国は我々に強い不快感を示しています。 このままで兵器の輸出どころか戦闘に発展しかねません。 何とか説得を試みてはどうでしょうか? (選択5)誰が説得しますか? Y-1/キャスター Y-2/黒桐 Y-3/後藤君 N/弁明する必要はない 708 :Hearts of Lion ◆4wSURDq66Q:2008/05/05(月) 09 25 38 鑑定士/良い仕事してますね 鑑定の結果、鑑定料と差し引きで資源80にて買い取ってくれるそうです。 ただ今は手持ちがないらしく、担保代わりに名刀・兼定を置いていくとの事。 彼の家宝なのでお金が用意出来次第、引き換えに返す事になるでしょう。 このイベントによる変動は以下の様になります。 人材:蒔寺楓の不満度+20 兼定(後5ターン)を獲得しました。 (選択1)両儀式に刀を与えますか? Y/当然だ N/家宝を乱暴に扱ったらマズイよね 焼肉屋『大帝都』/死亡フラグだなんて二度と言わせない! 書籍『節約だけで5億稼ぐ秘訣!』の効果発動! 細かな節約こそが億万長者へと続く確かな道のり! 交渉の末、半額にまけさせる事に成功しました! 贅沢は敵だ! 高額の取引がキャンセルされました! このイベントによる変動は以下の様になります。 資源-70 松坂牛(2個)とネコアルクの肉(3個)を獲得しました。 マッコイ爺さん/まあ、この辺なら手が出せるじゃろ? 航空機であれば空港か航空基地、艦船であれば軍港が必要だそうですが、 他の物は必要ないそうです。また兵装以外の品揃えも毎回変わってくるとの事です。 (選択2)どれを購入しますか?(複数選択可) A/AK47(資源-50)(単位:600まで突撃銃兵(4:2:2:6)が編成可能になります) B/パイナップル(資源-40)(単位:600まで榴弾投擲兵の攻撃力を+修正します。酢豚に入れちゃダメ) C/防弾スーツ(資源-50)(銃撃に該当する攻撃のダメージを減らします。気休め程度に) D/機関銃(資源-80)(単位:300まで機関銃兵(6:2:2:6)が編成可能になります) E/AIM-9『サイドワインダー』×3(先制/敵滞空部隊全てに大ダメージを与える)(後2回)(資源-40) F/AGM-65『マーベリック』×3(後2回) (資源-50) (拠点の防御力あるいは建築物にダメージを与え、回復するまで使用不能にします。 また繰り返し爆撃を受けた施設は破壊される事があります) G/CBU-59『ロックアイⅡ』×3(後5回)(資源-50) (敵地上部隊全てに小~中のランダムダメージを与える) H/MK84無誘導爆弾(後2回)×(資源-40) (敵地上部隊一隊に単位数に応じた中ダメージを与える) I/今はいらない アメリカ合衆国/我が国は普通選挙を取り入れているのでお金で何でも解決できます 閣下、黒桐幹也氏が金銭での解決という事で話をつけました。 毎ターン、謝罪と賠償(資源-10/後10ターン)が発生しますが、 (選択3)この条件で受け入れますか? Y/お金で解決できるなら良しとしよう N-1/断固拒否。徹底抗戦の構えである。 N-2/今度は後藤君で説得 N-3/ならば閣下が説得 N-4/別の条件に変更できないか打診する 802 :Hearts of Lion ◆4wSURDq66Q:2008/05/05(月) 18 20 21 両儀式/………… 両儀式氏がトランペットを眺める少年のような目をしていましたが、 特に強奪する事もなく、無事に兼定は倉庫に収められました。 このイベントによる変動はありません。 マッコイ爺さん/毎度あり、必要な物があるならいつでも言ってくれ 書籍『節約だけで5億稼ぐ秘訣!』の効果発動! 細かな節約こそが億万長者へと続く確かな道のり! 交渉の末、半額にまけさせる事に成功しました! 贅沢は敵だ! 高額の取引がキャンセルされました! このイベントによる変動は以下の様になります。 F-5E『タイガーⅡ』(単位:300)の兵装をMK84無誘導爆弾(後2回)にします。 資源-20 アメリカ合衆国/NOと言える権力と軍事力を持つアメリカ人! 閣下、こちらからの提案は完全に却下されました。 また平和主義や動物愛護主義は米国では主流の考え方なので、 何の躊躇もなく駆逐した我々の責任を追求される恐れもあります。 (選択1)賠償金を支払いますか? Y/お金で解決できるなら良しとしよう N-1/断固拒否。徹底抗戦の構えである。 N-2/今度は後藤君で説得 N-3/ならば閣下が説得 玄霧皐月/なんだか雲行きが怪しいですね 後藤君の政治技能により取得できる社会体制が判明しました。 社会体制の他に政治制度も取得できます。 政治制度の効果は社会体制と重複します。 社会体制や政治制度の変更に内政ターンを消費しません。 (選択2)どれを購入しますか?(複数選択可) A/警察国家(社会体制)(資源-50) 部隊の維持費が半分になり、人材や部隊の不満度が上昇しにくくなります。 ただし不満度0ボーナスは無効となり、戦闘修正を+する技能の効果も受けられません。 また経済状態が悪化し、得られる収入が低下します。 B/修羅の国(社会体制)(資源-50) 部隊の維持費が倍になり、部隊の戦闘修正が変動しなくなります。 技能に消費する資源が0になり、先制を持たない技能には先制が付与されます。 また同じ先制同士であっても、こちらの技能が優先されます。 人材の負傷からの回復が早くなります。 ですが経済状態が悪化し、得られる収入が低下します。 C/密告制度(政治制度)(資源-30) 諜報能力が大幅に上昇し、内部調査をしなくても潜入したスパイに気付きやすくなります。 ただし人材や部隊の不満度が上昇しやすくなります。 D/成果主義(資源-30) 選択した一名の人材か兵種に常に0ボーナスが発生します。 ただし他の人材や部隊の不満度が上がりやすくなり、0ボーナスが発生しません。 対象の変更はその他の項目で変更になります。 E/いらない 865 :Hearts of Lion ◆4wSURDq66Q:2008/05/05(月) 20 46 00 フーバー/君達は実に理解力のある国家だ。 我々に対しての評価を改めたようです。 友好の証として訳ありの肉(背骨付き)が贈答されました。 また我々に政治制度;密告制度の導入を強く求めています。 (選択1)密告制度を導入しますか?(保有してなくても導入可能です) Y/情報の管理は国家の義務である N/国民全てを監視するなど馬鹿げている (選択2)兵器の購入を求めますか? Y/勿論だ、その為の外交である N/とてもじゃないが手が出せないだろう 玄霧皐月/では、また会いましょう 修羅の国。それは強き者が全てを握る暴力の世界。 されど世は正に乱世を迎え、人心は荒廃の極みに達している。 今必要なのは紙に描かれた理想ではなく、拳で切り開く未来なのだ。 書籍『節約だけで5億稼ぐ秘訣!』の効果発動! 細かな節約こそが億万長者へと続く確かな道のり! 交渉の末、半額にまけさせる事に成功しました! このイベントによる変動は以下の様になります。 資源-20 社会制度:修羅の国を獲得しました。 龍神祭/出展しない商品の選択 閣下、出展可能な商品を全て揃えました。 この中で、問題となりそうな物、手元に残しておきたい物があれば、 選択して倉庫に送ってください。そのまま倉庫に保管しておきますので。 (選択3)出さない商品を選んでください(複数選択可) A/皇の面:装着者に強靭な生命力を与えます。売り物ですので装備できません。 B/般若の面:嫉妬心を表現してみました。売り物ですので装備できません。ストレスの解消により怒りポイントが-1されます。 C/石仮面:装着者に吸血種の力を与えます。WRY物です、装備できません。 D/虎の面:虎だ、虎になるのだ! 売り物ですので装備できません。 E/宗一郎人形:葛木宗一郎氏を模した人形です F/宗一郎Tシャツ:葛木宗一郎氏の顔が描かれたTシャツです G/宗一郎ブロマイド:葛木宗一郎氏の写真が10枚セットで入ってます。 H/宗一郎うちわ:葛木宗一郎氏の顔が描かれたうちわです I/光の剣:単三電池2本使用。 J/GMH-1:1/256スケール。全身可動。 K/ボトルシップ戦艦大和:1/256スケール。 L/超合金巨人タロス:1/256スケール。全身可動。 M/タイガーⅡ:1/100スケール。機体に炎のユニコーンが描かれています。 N/着せ替え人形アルトリア:実在の人物・団体、指導者とは(ry O/カラー猫アルク:そこらにいたのをスプレーで着色しました P/竜印のベーゴマ/ベイブレードより重量と安定感があります。 Q/竜柄のメンコ/中に薄型のスピーカーは仕込んであり叩きつけると効果音が出ます。 R/竜ビー玉/ビー玉の中に竜の模型が封入されています。製法は秘密 S/ままごとセット・柳洞一家/柳洞寺の生活空間をそのままミニチュアにしました。 T/たれ猫アルク:ぬいぐるみ。通常の物とあまり変化はありません。 U/ものじぐるみセット:つくりものじ風Fateキャラのぬいぐるみです。衛宮士郎と縄はセットです。 V/全て出展 952 :Hearts of Lion ◆4wSURDq66Q:2008/05/05(月) 22 48 45 それでは以下の品を倉庫送りとします。 残りの商品が出展に当てられます。 皇の面:装着者に強靭な生命力を与えます。売り物ですので装備できません。 石仮面:装着者に吸血種の力を与えます。WRY物です、装備できません。 宗一郎人形:葛木宗一郎氏を模した人形です 宗一郎Tシャツ:葛木宗一郎氏の顔が描かれたTシャツです 宗一郎ブロマイド:葛木宗一郎氏の写真が10枚セットで入ってます。 宗一郎うちわ:葛木宗一郎氏の顔が描かれたうちわです 着せ替え人形アルトリア:実在の人物・団体、指導者とは(ry カラー猫アルク:そこらにいたのをスプレーで着色しました ままごとセット・柳洞一家/柳洞寺の生活空間をそのままミニチュアにしました。 フーバー/敵に回るかもしれない相手に武器を売るほどお人よしではない! 閣下、密告制度を拒否した為に米国に嫌われたようです。 ですが、あの国は数十人からなる大統領が日替わりで統治している国なので、 また別の大統領が来れば外交関係も変わるでしょう。 このイベントによる変動は以下の様になります。 毎ターン、謝罪と賠償-10(後10ターン)が発生します。 訳あり肉(背骨付き)を獲得しました。 全てのイベントが解決したので内政に移ります。 (選択)部隊の編成を行ないますか? Y/勿論、行なう N/今は必要ない 969 :Hearts of Lion ◆4wSURDq66Q:2008/05/05(月) 23 18 00 それでは編成を行ないます。 (選択1)編成を行なう部隊と内容を決定してください(表記例:K-Ⅱ-Ⅲなど) A/F-5E『タイガーⅡ』(5:2:6:7)単位:300 B/竜牙兵(重装投擲槍兵)(3:4:1:6)単位:100 C/穂群原学園・陸上部)(砲丸投擲)(2:0:2:2)単位:300(精鋭化可能) D/穂群原学園・陸上部(砲丸投擲)(2:0:2:2)単位:300 E/竜牙兵(火炎瓶投擲)(3:0:2:4)単位:200(精鋭化可能) F/竜牙兵(火炎瓶投擲)(3:0:2:4)単位:200 K/竜牙兵(精鋭弓騎兵)(4:3:3:7) 単位:200 (精鋭化可能) L/竜牙兵(精鋭弓騎兵)(4:3:3:7) 単位:200 M/竜牙兵(重装騎兵)(4:3:2:8)単位:100 N/竜牙兵(TYPE-P)(2:1:2:7)単位:300 Ⅰ:アップグレード Ⅱ:換装 Ⅲ:精鋭化 Ⅳ:兵装交換 Ⅴ:混沌の肉を与える Ⅵ:ネコアルクの肉を与える (選択2)壊れた機械の修理を行ないますか? Y-1/E-2C『ホークアイ』の修復をする Y-2/メルセデス・ベンツェ300SLクーペの修復をする Y-3/両方 N/行なわない 33 :Hearts of Lion ◆4wSURDq66Q:2008/05/06(火) 08 46 20 では、K/竜牙兵(精鋭弓騎兵)(4:3:3:7) 単位:200 (精鋭化可能) のさらなる精鋭化と M/竜牙兵(重装騎兵)(4:3:2:8)単位:100 の換装、 N/竜牙兵(TYPE-P)(2:1:2:7)単位:300 にネコアルクの肉を与えます。 竜牙兵(精鋭弓騎兵)(4:3:3:7)は資源20で、 竜牙兵(英雄弓騎兵)(6:4:4:8)に英雄化可能です。 更に以下の能力のいずれかを習得できます。 先手必勝:敵の攻撃より先に、この部隊の攻撃が処理されます。よって被ダメージを減らせます。 電光石火:この部隊の機動力を倍にします。 自己修復:戦闘中、この部隊の単位を10%回復します(1戦闘ターンに一度、戦闘開始直前に回復します) (選択1)英雄化しますか? Y-1/英雄化して先手必勝を取得 Y-2/英雄化して電工石火を取得 Y-3/英雄化して自己修復を取得 N/今はしない 竜牙兵(TYPE-P)(2:1:2:7)は猫アルクの肉を食べる事で、 竜牙兵(猫耳)(2:1:3:7)(支援攻撃可)(動物に対して最終ダメージが2倍)に進化可能です。 (選択2)猫アルクの肉を与えますか? Y/これからの時代は猫耳だ! N/絵的にアウト! (選択3)竜牙兵(重装騎兵)(4:3:2:8)単位:100 を何に換装しますか? ショートカットキーA/竜牙兵(弓騎兵)に換装 ショートカットキーB/竜牙兵(重装投擲槍兵)に換装 ショートカットキーC/竜牙兵(毒ガス投擲兵)に換装 D/それ以外 それではE-2C『ホークアイ』の修復を行ないます。 書籍『節約だけで5億稼ぐ秘訣!』の効果発動! 細かな節約こそが億万長者へと続く確かな道のり! 贅沢は敵だ! 高額の修理がキャンセルされました! このイベントによる変動はありません 144 :Hearts of Lion ◆4wSURDq66Q:2008/05/06(火) 17 55 10 では、竜牙兵(重装騎兵)を竜牙兵(重装投擲槍兵)に換装いたします。 編成が完了しました、配置は以下の様になります。 本拠地:柳洞寺 竜牙兵(火炎瓶投擲)(3:0:2:4)単位:300 メカ翡翠(6:6:3:7)単位:300 G・メカ翡翠(11:10:1:25)HP:200 青銅巨人タロス(8:8:0:0)HP100 F-5E『タイガーⅡ』(5:2:6:7)単位:300 兵装:MK84無誘導爆弾(後2回) 竜牙兵(猫耳)(2:1:3:7)(支援攻撃可)単位:300 (動物に対して最終ダメージが2倍) 拠点:穂群原学園 竜牙兵(重装投擲槍兵)(3:4:1:6)単位:100 穂群原学園・陸上部)(砲丸投擲)(2:0:2:2)単位:300 拠点:遠坂邸 竜牙兵(重装投擲槍兵)(3:4:1:6)単位:100 竜牙兵(精鋭弓騎兵)(4:3:3:7) 単位:400 穂群原学園・陸上部)(砲丸投擲)(2:0:2:2)単位:300 (選択)呼び笛は使いますか? Y/さっそく使おう N/今は必要ない 158 :Hearts of Lion ◆4wSURDq66Q:2008/05/06(火) 18 23 19 では、呼び笛は使わない事にいたします。 全てのイベントが解決した為、内政に移ります。 現在実行可能な命令は以下の通りです。 可能な命令は1ターンに付き一回のみです。 (イベントや技能、拠点などにより項目は変化します) 閣下、柳洞寺の御指示をお願いします 命令A:道具作成(経験:15) 竜牙兵の作成に熟練しました。 今後、竜牙兵の作成によって得られる経験が半減します。 竜牙兵の作成及びアップグレードにかかる費用が-10されます。 A-Ⅰ:竜牙兵の作成 A-Ⅱ・1:道具の作成(ランクⅠ) A-Ⅱ・2:道具の作成(ランクⅡ) A-Ⅱ・3:道具の作成(ランクⅢ) 命令B:休暇を与える。 (不満度の解消を行います。 人材であれば1~3ターンの間、行動不能となり、 兵であれば1~3ターンの間、拠点を動けなくなります 人材の決定後にターン数を決めます) B-1:キャスター 不満度10(概ね満足している) B-2:葛木宗一郎 不満度30(概ね満足している) B-3:佐々木小次郎 不満度30(概ね満足している) B-3:氷室鐘 不満度20(概ね満足している) B-4:三枝由紀香 不満度30(概ね満足している) B-5:黒桐幹也 不満度50(それほど不満を感じていない) B-6:両儀式 不満度70(大いに不満を感じている) B-7:柳洞零観 不満度30(概ね満足している) B-8:白レン 不満度30(概ね満足している) B-9:時南宗玄 不満度30(概ね満足している) B-10:巫条霧絵 不満度30(概ね満足している) 命令C:兵の削減 (維持できなくなった兵の数を減らします) 命令D:竜牙兵の編成 (部隊単位での換装、アップグレード、再編成などを行います。 ただし、戦闘中の部隊の編成は出来ません) 命令E:諜報活動を行います。 諜報の経験が蓄積されましたので諜報用建造物が建てられます。 E-1:他勢力の技術、研究を奪取もしくは妨害します E-2:他勢力の情報を収集します E-3:資源を強奪もしくは減少させます E-4:他勢力の人材を負傷あるいは不満を上昇させます E-5:他国、または中立組織との交渉材料を探します E-6:建設中の建造物を破壊、または建造を遅らせます E-7:建設した施設を破壊、またはしばらく使用不能にします E-8:他国の親密度を低下させます E-9:国内に潜入しているスパイを探ります 命令F:道路工事 命令G:その他の命令(改宗や社会制度の変更、捕虜の解放、カレー作りなど) 命令H:待機(何もしません) 209 :Hearts of Lion ◆4wSURDq66Q:2008/05/06(火) 21 09 03 では、A-Ⅱ・2:道具の作成(ランクⅡ) を行います。 (選択)どれを作成しますか?(資源-40 A/呼び笛(消費)(作成可能):一度訪れた事のある商人を次のターンに呼ぶ事が出来ます。(完成まで3ターン) B/地雷(消費)(作成可能):拠点に設置しておくと自動的に侵攻してきた敵軍に中ダメージを与えます(完成まで3ターン) C/五枚綴りの偽造割引券(消費)(作成可能):商人や中立組織に支払う資源を5回まで半額にします(完成まで5ターン) D/幻燈機(消費)(作成可能):影絵の魔物(単位:300)を生み出し、自分の軍団として扱います(完成まで3ターン) E/大釜(作成可能):薬草とか毒草とかバラバラにした山羊を煮込んだりする魔術道具です(完成まで4ターン) F/反魂の香(消費)(作成可能):使うとそこに残骸が集まりやすくなります(他国でも可)(完成まで3ターン) G/戦闘用偵察使い魔:指定した相手の戦闘情報を常に開示させます(完成まで5ターン) H/外交用偵察使い魔:指定した相手の外交情報を常に開示させます(完成まで5ターン) I/マキビシ(消費)(作成可能):敵との間の道路に設置しておくと敵軍の侵攻を遅らせます(完成まで3ターン) 229 :Hearts of Lion ◆4wSURDq66Q:2008/05/06(火) 22 38 32 それでは呼び笛を作成します。 書籍『節約だけで5億稼ぐ秘訣!』の効果発動! 細かな節約こそが億万長者へと続く確かな道のり! やりくりの末に、費用を半額にする事に成功しました! このイベントによる変動は以下の要になります。 呼び笛を作成します(後3ターン) 資源-20 (選択1)松坂肉(2個)をこの拠点の誰かに与えますか?(複数選択可) A:キャスター 不満度10(概ね満足している) B:葛木宗一郎 不満度30(概ね満足している) C:佐々木小次郎 不満度30(それほど不満を感じていない) D:氷室鐘 不満度20(概ね満足している) E:三枝由紀香 不満度30(概ね満足している) F:黒桐幹也 不満度50(それほど不満を感じていない) G:両儀式 不満度70(大いに不満を感じている) H:柳洞零観 不満度30(概ね満足している) I:白レン 不満度30(概ね満足している) J:時南宗玄 不満度30(概ね満足している) K:巫条霧絵 不満度30(概ね満足している) L/あげない (選択2)白レンの技能・楽園が使用可能です。実行しますか? A/キャスター 不満度10(概ね満足している) B/葛木宗一郎 不満度30(概ね満足している) C/柳洞零観 不満度30(概ね満足している) D/佐々木小次郎 不満度30(概ね満足している) E/柳洞一成 不満度10(概ね満足している) F/弓塚さつき 不満度10(概ね満足している) G/氷室鐘 不満度20(概ね満足している) H/蒔寺楓 不満度20(概ね満足している) I/三枝由紀香 不満度30(概ね満足している) J/久我峰斗波 不満度20(概ね満足している) K/国藤 不満度20(概ね満足している) L/Vシオン 不満度40(それほど不満を感じていない) M/浅上藤乃 不満度10(行動不能/後1ターン) N/時南宗玄 不満度30(概ね満足している) O/黒桐幹也 不満度50(それほど不満を感じていない) P/両儀式 不満度70(大いに不満を感じている) Q/やらせない (選択3)巫条霧絵の技能:幽体離脱が使用可能です。実行しますか? Y-1/敵勢力を監視する Y-2/中立組織を監視する Y-3/独立勢力を監視する Y-4/人物を監視する N/使わない 281 :Hearts of Lion ◆4wSURDq66Q:2008/05/08(木) 21 24 51 両儀式/………ごちそうさま 味にはうるさい両儀式氏でしたが満足してもらえたようです。 このイベントによる変動は以下の様になります。 人材:両儀式の不満度-20 白レン/ようこそ私の世界へ 浅上藤乃氏は心地良い目覚めを迎えました。 流石に立て続けに事件は起こさないようです。 このイベントによる変動は以下の様になります。 人材:浅上藤乃の不満度-10 柳洞寺の内政が終了しましたので拠点:穂群原学園の内政に移行します。 現在実行可能な命令は以下の通りです。 可能な命令は1ターンに付き一回のみです。 (イベントや技能、拠点などにより項目は変化します) イベントが1個発生しました。 久我峰斗波/それじゃ陵辱がないでしょうが! どうやら男しかいない職場に著しく不満を感じているようです。 あるいは女生徒に手を出す可能性も無いとは言い切れません。 何らかの対策が必要かと思われます。 このイベントによる変動は以下の様になります。 人材:久我峰斗波の不満度+20 拠点:穂群原学園での指示をお願いします A:穂群原学園の占領政策 A-1:遷都(本拠地をこちらに移します) A-2:再独立(中立組織:穂群原学園を復活させます) A-3:拠点破壊 (拠点:穂群原学園が消滅します。 この拠点にいる部隊、向かっている部隊は自動的に本拠地に帰還します) A-4:強制徴収 (大量の資源を得る代わりに経営が悪化し、毎ターンの収入が減少します) A-5:経営拡大 (資源を払って経営を拡大させ、毎ターンの収入を増加させます) A-6:道路工事(一律資源:20) (道路を整備し拠点間の行き来を楽にしたり道路を破壊して敵の侵攻を遅らせます。 選択した後に穂群原学園と何処の間の道路か、何をするかを選択します) A-7:陸上部の徴収 現在、徴収中 (3ターン後に単位:300を召集します) A-8:要塞化(資源-40) 命令B:休暇を与える。 (不満度の解消を行います。 人材であれば1~3ターンの間、行動不能となり、 兵であれば1~3ターンの間、拠点を動けなくなります 決定後にターン数を決めます) B-1:久我峰斗波 不満度40(概ね満足している) B-2:国藤 不満度20(概ね満足している) B-3:柳洞一成 不満度10(概ね満足している) B-4:穂群原学園・陸上部 不満度5(概ね満足している) C:待機(何もしません) 298 :Hearts of Lion ◆4wSURDq66Q:2008/05/08(木) 22 28 55 それでは拠点:穂群原学園に待機を命じます。 (選択1)松坂肉をこの拠点の誰かに与えますか? Y-1/久我峰斗波 Y-2/国藤 Y-3/柳洞一成 Y-4/穂群原学園・陸上部 N/あげないよ このイベントによる変動は以下の様になります。 国藤の技能:退屈な授業により柳洞一成と穂群原学園・陸上部の不満度-10 久我峰斗波の技能:経営手腕により穂群原学園の経営が回復します。 (選択2)拠点:遠坂邸の指示をお願いします A:遠坂邸の占領政策 A-1:遷都(本拠地をこちらに移します) A-2拠点破壊 (拠点:遠坂邸が消滅します。 この拠点にいる部隊、向かっている部隊は自動的に本拠地に帰還します) A-3:道路工事(一律資源:20) (道路を整備し拠点間の行き来を楽にしたり、道路を破壊して敵の侵攻を遅らせます。 選択した後に遠坂邸と何処の間の道路か、何をするかを選択します) 命令B:休暇を与える。 (不満度の解消を行います。 人材であれば1~3ターンの間、行動不能となり、 兵であれば1~3ターンの間、拠点を動けなくなります。 命令の後に休暇を与えるターン数をⅠ、Ⅱ、Ⅲのどれかで表記してください) (例/弓塚さつきを3ターン休ませる場合:B-1・Ⅲ) B-1:弓塚さつき 不満度10(概ね満足している) B-2:蒔寺楓 不満度20(概ね満足している) B-3:浅上藤乃 不満度0(大変満足している)(行動不能:後1ターン) B-4:Vシオン 不満度40(それほど不満を感じてない) B-5:穂群原学園・陸上部 不満度5 C:待機(何もしません) 321 :Hearts of Lion ◆4wSURDq66Q:2008/05/08(木) 23 01 50 それでは弓塚さつきに休暇を与えます。 このイベントによる変動は以下の様になります。 人材:弓塚さつきが行動不能(後1ターン) 人材:弓塚さつきの不満度-10 (選択)松坂肉か訳あり肉をこの拠点の誰かに与えますか? A/松坂肉 B/訳あり肉 Y-1/弓塚さつき Y-2/蒔寺楓 Y-3/Vシオン Y-4/浅上藤乃 N/あげないよ。
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. 【作品名】DADDYFACE 【名前】海坊主 【属性】古代に超技術で作られたロボット 【大きさ】身長30m、全幅15mの遮光器土偶や埴輪を合わせたような姿。 【攻撃力】腕力は自分と同型機の首を両手でへし折れるくらい。 人を握り潰したり、空母に手をかけて傾けることができる力。 ブーメラン:無条件で物体を切断する横幅20㎝のブーメラン。 速度はヘリより遅いくらい、海中からでも放てる。 射程数百m、ツバメの群れのように無数に放つことができ、 自分の周囲に衛星のように回したりして、その動きを自由に操れる。 作中では約300mのニミッツ級空母を貫き、一発で急所を突いて戦闘不能にさせた。 (どこを攻撃したのか不明だが機関が停止して、予備電源も動かなくなった) 数人の人間の首や手足をバラバラに切り落とした。 また、ビニール袋に入れたところわずかな抵抗すら見せずつきぬけ その後床(3階)にブーメランの形の亀裂を残し液体に沈むかのように床を貫通し さらに医療器具や発電機も貫通し、最終的には地下室の床に亀裂を残して消えた。 そのまま地面にずっともぐっていったものと考えられる。 24 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2008/02/22(金) 17 23 35 ID 6u8p71wX レーザー:装甲が開いた後に胸の辺りから緑色のレーザーを放つ。 射程数十m、持続発射が可能。光糸を前後左右、辺り一面に振り回した。 触れた瞬間、地面は爆発し、周囲の樹木が異常な熱量で瞬間的に炎上した。 自分と同型機を両断できる威力。地上でしか使ってない。 ヘリや戦闘機を爆砕し、空母のデッキの当たったところを高熱で沸騰・破裂させた。 【防御力】大きさ相応のロボ。携行式の地対空ミサイル(スティンガー)喰らって無傷。 【素早さ】水中を移動できる。50mを数秒ぐらいの速度の様子。 水中用らしく下半身は小振りで地上はズーンズーンと遅い歩きの様子。 反応は特に描写なし、なので大きさ相応の人並。 【特殊能力】透視して、空母の構造を見抜ける知能あり。 【長所】攻撃力 【短所】素早さが低い。 【戦法】辺りにレーザーを振り回しながら無数のブーメランで攻撃。 【備考】胸の装甲が開いた状態で参戦。 31スレ目 23 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2008/02/22(金) 17 22 42 ID 6u8p71wX 海坊主を修正 少し描写の付け足し、対戦相手はイージス艦でなく空母だったから修正。 10スレ目 502 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/03/08(水) 16 02 43 ID qpyDB2S7 流れをぶった切ってスマンが。 海坊主ってシューティングスターとナトリウムには勝てると思うんだが、どうか? 506 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/03/08(水) 17 36 37 ID iWBtYrDM 502 海坊主は鈍重だからナトリウムを補足するのは無理では? ナトリウムだってレーザー発射口の射線上に留まってるほどバカじゃあないだろうし。 527 名前:壁間総当り製作中[sage] 投稿日:2006/03/08(水) 21 49 34 ID B9NXiufk 502,506 海坊主vsナトリウム 海坊主はナトリウムが接近戦してくれば無数のブーメランで包囲して攻撃できるから勝てそう。 ナトリウムの超音波剣って鋼鉄しか切り裂いて無いから海坊主を倒すのは無理だと思うし。 遠距離戦はでは追いつけない相手の攻撃効かないで分けだけど。 vs流れ星 考察では普通に海坊主が勝っている件。相手のテンプレの考察も読んでおこう。 整理すると、 海流ナ 海\○△ 流×\○ ナ△×\ こうなって、位置は 海坊主>シューティングスター>ナトリウム(巨大生物の壁) か。微妙にナトリウムは巨大生物とはいえない感じになってきたな。 8スレ目 706 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/01/15(日) 00 32 56 ID bUJ1F82Q 海坊主再考察。反応は常人並み。移動速度は自動車並(印象なので確定じゃありません)。 ブーメランの速度は普通のヘリに追いつく位なので、およそ150ノット(≒278km/h)以上。 レーザーは自動車並(自分の移動速度)に当てられるものとして考察。 イリス>坂上闘真>両儀式>アクシア>アレクシオ>リミット>レオン> 伊藤惣太>天目一個>柿原里緒>浅上藤乃>四条雄一郎>中村久秀 ○中村久秀 :相手の攻撃範囲外からブーメランとレーザー喰らわせまくって勝ち。 ×浅上藤乃 :相性悪すぎ。負け。 ○柿原里緒 :レーザーは当たらなそうだが、若干の速度差で無数のブーメランでなぎ払えるだろう。勝ち。 ○天目一個 :相手の攻撃範囲外からブーメランとレーザー喰らわせまくって勝ち。 ○伊藤惣太 :同上。勝ち。 ○リミット :同上。もし最初から攻撃範囲に入っていたとしても反応は互角。レーザーで勝てるだろう。 ×アラキ :相手に念動力で拘束されて行動不能負けか。レーザーは照準が合わないうちに射程外に逃げられるし。 ちなみにアラキの飛行速度はRPG-7(パンツァーファウストを発展させた擲弾砲)の最大速度が295m/sなのでそれ以上。 △?アレクシオ:銃弾反応+空間転移を捉えるのは無理か。相手の攻撃は効かなそうだが。とりあえず分け。 ○アクシア :相手の攻撃範囲外からブーメランとレーザー喰らわせまくって勝ち。 ○両儀式 :同上。勝ち ○坂上闘真 :同上。勝ち。 ○イリス :同上。勝ち。威圧感は効かないだろう。 707 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/01/15(日) 00 35 56 ID bUJ1F82Q ゼロタイプ>ガクセイバー>ナトリウム>凄王> レッドドラゴン=ゾーラギ>マリア(巨大生物の壁) ○マリア :金縛りは効かないだろう。相手が転移する前にレーザーとブーメランで勝ち。 ×ゾーラギ :相手の攻撃の方が早い。収束稲妻で負け。 △レッドドラゴン:相手の攻撃は効かないだろう。しかしこちらの攻撃は当たらない。分け。 ○凄王 :相手の攻撃は効かない。透視+ブーメラン勝ち。 ?ナトリウム :相手の超音波剣に耐えられるか? できれば無数のブーメランで囲って勝ち。できなければ負け。 ×ガクセイバー :レーザーやブーメランで削るより先に撲殺負け。 ×ゼロタイプ :こちらの攻撃は効かない。相手のレーザーで地道に削られて負けか。 ×プルートゥ :相手の防御を破れず、超音速アーム負け。 ナトリウムと=かその下になりそう。 724 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/01/15(日) 13 21 31 ID wCGZMpCH 海坊主再考だけど、音速移動が可能な式からイリスは相対的に1/4の速度のブーメランなんか当たるわけないし 距離的に予備動作のあるレーザーは撃つ前に接近されるだろう。 アクシアも移動速度が200km/sあるし、アレクシオも銃弾反応だからブーメランは避けられるし レーザーは狙いが甘そうだから転移で接近してくる二人に当てるのは至難だろ。アクシアは当たっても死なないし。 あとリミットには攻撃が効かないな。 ついでに迷惑な国も式から上は移動速度が違いすぎて常人で照準が合わせられるか微妙なところだが 726 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/01/15(日) 14 21 22 ID xxVl4RLS 724 壁は見えないから猛烈に接近してる最中だと思うんだが、 その時には望遠鏡なりなんなりで見てたら直進してるだろうから当てるのは簡単なんじゃないか? 流石にジグザグに接近してるとは考え辛いし、 727 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/01/15(日) 15 26 19 ID nkF7VzYk 724 式は踏み込みの速さが音速越えと言われてなかったっけ? とりあえずテンプレに短距離と名言されてるし、9メートル以上持続できるかは不明。 大きい相手に対して式の音速移動は穴がないわけじゃない。 728 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/01/15(日) 17 19 51 ID 3gzbJq0Z つーか式が常時音速で移動できてりゃあの位置には居ない 729 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/01/15(日) 18 50 29 ID xxVl4RLS 常時音速でも巨大生物は無理じゃないか? 730 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/01/15(日) 21 51 40 ID 7jazptgH 式の移動速度は常人の目では追いつけない程度 731 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/01/15(日) 22 08 48 ID GT5saTI/ それが2~3km先からでなければな。射程内に入るのを待ったとしても距離が数百mあったらつらい。 732 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/01/16(月) 03 23 43 ID vKxVvUZi いろいろとツッコミきてたのでレス。 まずは訂正。海坊主のブーメランはヘリに追いつけない速度だった(278km/h未満)。 ちゃんとテンプレ読み返しとけよ自分orz あと海坊主の位置はナトリウムの上か下だった。 720,721迷惑な国vs伊藤惣太 まぁそんな感じで。あとバイクで逃げられて見失う可能性もあるかなとか考えたけどどうか? 724,726-731 海坊主に対するツッコミ。 ○イリス :相手の長距離移動速度は特に描写が無い。 近距離で常人が目視不可な程度(特殊能力参照)ってどれくらい? 短距離移動は描写を見るとブーメランに対応できるかどうかギリギリくらい? 相手の攻撃は効かないから長期戦になってそのうち勝てるだろう。 ○坂上闘真、両儀式: 727,728参照。 ○→×アクシア :確かにレーザーやブーメランでは相手を倒せない。 相手の移動速度は詳細不明だがこちらに追いつく事位はできるだろう。 空間消滅現象で削られて負け。 △?→×アレクシオ:ツッコミされた所は考察で書いてるんだがががg。 でも相手の福音の刃がこっちに効きそうかな。削られて負けで。 ○リミット :相手の絶対防御はレーザーを防御できる確証が無い。 706の通りに勝ち。 プルートゥ→×××?○△×○(巨大生物の壁)○○○×××○○○○×○←中村 位置はやっぱりナトリウムしだいで。 824 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/01/18(水) 08 31 05 ID nAYmNrqy あとこれも落としとく。 海坊主・迷惑な国・その他再考察終わったので投下。 追加事項はレッドドラゴンの反応と飛行速度。 中世の大砲の具体的な速度が判らなかったため両方亜音速として考察。 ナトリウム ×棲王 :砲弾の初速度を考えれば相手の連装高角砲以上はダメージは通りそう。 船腹に取り付くよりも、機銃で足止め→連装高角砲以上の砲撃のほうが早いだろう。負け。 ×レッド竜:反応はほぼ同等。相手がこっちの射程外に退避する前に超音波剣を打ち込めそうだが、 それではある程度回避できそう&とてつもなくタフな相手を初撃で倒せない。 そのままこちらの射程外から炎を吐かれまくって負け。 ×ゾーラギ:反応はやや負けていて、お互いに攻撃には準備が要るのでやや不利か。 照準準備無しで適当に撃っただけでは、ある程度回避されそうな上、 全長50m&目を潰されても戦闘可能の相手を初撃で行動不能に追い込めない。 そのまま稲妻の範囲攻撃を食らって負け。 ○マリア :反応差で先手とってそのまま勝ち。 ○海坊主 :無数のブーメランで押し切られる前に超音波剣で相手を超音波剣で切り裂きまくって勝ち。 ○迷惑な国: 709の逆。レーザーが何門あるか不明。とりあえず一門だけなら照準を合わせられない動きは可能。 近づいて超音波剣で削って勝ち。 棲王 ○レッド竜:照準は合わせられる速度だし、こちらの兵装は中世の兵器とは比べ物にならない威力だろう。勝ち。 ○ゾーラギ:相手の射程外から再生不能なくらい攻撃して勝ち。 ○マリア :相手の金縛りでは一度に乗組員全員を行動不能にはできないだろう。 転移で移動される前に砲撃勝ち。 ×海坊主 : 707の逆。こちらの攻撃は効かない。透視+ブーメランで負け。 ○迷惑な国: 709の逆。こちらのほうが早い。相手の射程外から攻撃し続けて勝ち。 825 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/01/18(水) 08 32 36 ID nAYmNrqy レッド竜 △ゾーラギ :反応は負けているが、相手の攻撃準備の隙に射程外まで離脱できるだろう。 その後はお互いに決め手無し。分け。 ○マリア :反応差で先手を取ってそのまま炎で勝ち。 △海坊主 : 707の逆。相手の攻撃は射程外に逃げられるが、こちらの攻撃は効かない。分け。 △~○迷惑な国: 709の逆。相手の攻撃は当たらないが、こちらの攻撃は効くかどうか微妙。分け~有利。 ゾーラギ ○マリア :反応差で先手を取って拡散稲妻勝ち。 ○海坊主 : 707の逆。こちらの攻撃のほうが早い。収束稲妻勝ち。 ×迷惑な国: 709の逆。こちらの攻撃範囲外からレーザーで焼き切られて負け。 マリア ×海坊主 : 707捕捉。炎・金縛りは効かず、無機物粉砕も効くかどうか不明な上に射程外。 レーザーは動き回ってかわせそうだが、転移前にブーメランで負け。 ○迷惑な国: 709の逆。内部に転移してそのまま勝ち。 海坊主 ○迷惑な国:無数のブーメランで相手の照準をごまかし、透視でレーザー砲をピンポイントで破壊できる。 そのまま攻め入って勝ち。 ナトリウム 3勝3敗 棲王 5勝1敗 レッド竜 2勝1敗3分け ゾーラギ 3勝2敗1分け マリア 1勝5敗 海坊主 3勝2敗1分け 迷惑な国 1勝4敗1分け 826 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/01/18(水) 08 35 40 ID nAYmNrqy 勝率のみで考察するとこう。 棲王>ナトリウム>ゾーラギ=海坊主>レッドドラゴン>迷惑な国>マリア 勝率→直接対決の結果で考察するとこうなります。 棲王>ゾーラギ=レッドドラゴン>ナトリウム>海坊主>マリア>迷惑な国 勝敗表はこちら。 棲ゾ レナ海マ迷 棲\○○○×○○ ゾ×\△○○○× レ×△\○△○△ ナ×××\○○○ 海○×△×\○○ マ×××××\○ 迷×○△×××\ ナトリウムは攻撃力不足ってことで大分下げたけどどうか。意見よろ。 戦績 2スレ目 723 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/07/15(金) 00 20 52 ID FW9vdshb 夢程プアゾ式ラ浅海河中レ 夢\○○○○×○×○○○○ 夢幻 程×\○○○×○×○○○○ 程穫 プ××\○○○○○○○○○ プルートゥ ア×××\○○○○○○○○ アリス ゾ××××\○○○○○○○ ゾーラギ 式○○×××\○○×○○○ 両儀式 ラ××××××\○○○○○ ライナ 浅○○×××××\○○○○ 浅上藤乃 海×××××○××\○○○ 海坊主 河×××××××××\○○ 河東稀人 中××××××××××\○ 中村久秀 レ×××××××××××\ レオン 直接対決のみ考慮 夢幻>程穫>プルートゥ>アリス>ゾーラギ>両儀式>ライナ>浅上藤乃 海坊主>河東稀人>中村久秀>レオン Powered by FC2.com .
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第51話~100話 話数 タイトル 作者 登場人物 051 衣 龍門渕のロリ雀士 ◆56WIlY28/s 天江衣、グラハム・エーカー 052 するがだてシャルトリュー ◆zg9MHZIP2Q 伊達政宗、神原駿河 053 ひたぎブレイク ◆tILxARueaU 戦場ヶ原ひたぎ、上条当麻 054 今は亡き王国の姫君 ◆00PP7oNMRY リリーナ・ドーリアン、アーニャ・アールストレイム 055 どうしようもないわしに光の天使が降りてきたからもう賭博なんてしない ◆1aw4LHSuEI 兵藤和尊 056 コクトー君漫遊記 ◆10fcvoEbko キャスター、黒桐幹也 057 涙――tears―― ◆DXXMkAYDjo 福路美穂子、片倉小十郎 058 それは、黒く燿く意志 ◆NaOxi39aYw 海原光貴 059 凶壊ロゴス(1)凶壊ロゴス(2) ◆qWledVrzo. 加治木ゆみ、琴吹紬、浅上藤乃、千石撫子、月詠小萌 060 その 名は ゼロ ◆.ZMq6lbsjI 張五飛 061 いやあ……兵藤は強敵でしたね ◆mist32RAEs トレーズ・クシュリナーダ、兵藤和尊 062 アカイイト ◆tu4bghlMIw C.C.、御坂美琴、アーチャー、ライダー 063 Noble phantasm ◆WWhm8QVzK6 阿良々木暦、平沢憂 064 開幕直後より鮮血乱舞 ◆DzDv5OMx7c 衛宮士郎、秋山澪、白井黒子 065 Murder Speculation Part1 ◆C8THitgZTg 田井中律、キャスター、黒桐幹也、アリー・アル・サーシェス 066 魔王、駆け行く ◆lDZfmmdTWM 織田信長 067 狂戦士の夜 ◆9kuF45dxA2 バーサーカー 068 HELLO!!/幸村、妖怪を退治せんとするのこと ◆fQ6k/Rwmu. 枢木スザク、真田幸村、両儀式 069 絶望への反抗 ◆eodXldT6W6 戦場ヶ原ひたぎ、上条当麻、安藤守 070 怒りと悲しみと ◆70O/VwYdqM ヴァン、ユーフェミア・リ・ブリタニア 071 狂戦士の歩み ◆axfxlx6u.Q バーサーカー 072 彼の言葉は真実/そして、虚言/それぞれの事情 ◆YLoNiOIZ66 伊藤開司、八九寺真宵 073 施設Xを追え ◆BXnAdYmV9c ルルーシュ・ランペルージ 074 やれることを全てやって ◆Ok1sMSayUQ 福路美穂子、片倉小十郎 075 混迷への出撃 ◆.ZMq6lbsjI トレーズ・クシュリナーダ 076 結ンデ開イテ羅刹ト骸 ◆tu4bghlMIw 伊達政宗、神原駿河、ゼクス・マーキス、一方通行、プリシラ、明智光秀 077 RHYTHM DIMENSION ◆1aw4LHSuEI 衛宮士郎、秋山澪、白井黒子 078 運行休止(サスペンション) ◆1ZCuwzjAYc 戦場ヶ原ひたぎ、上条当麻 079 大逆転物語 -THE MIRACLE OF THE ZONE- (1)大逆転物語 -THE MIRACLE OF THE ZONE- (2) ◆XIzIN5bvns 天江衣、グラハム・エーカー、利根川幸雄 080 戦争と平和 ◆10fcvoEbko 刹那・F・セイエイ、本多忠勝、レイ・ラングレン、織田信長、リリーナ・ドーリアン、アーニャ・アールストレイム 081 じゃんけん! ◆70O/VwYdqM 平沢憂、安藤守 082 こんなにロリコンとシスコンで意識の差があるとは思わなかった……! ◆mist32RAEs 海原光貴 083 傷んだ赤色 ◆kALKGDcAIk C.C.、御坂美琴、アーチャー、アリー・アル・サーシェス 084 ポーカーフェイス(Poker face) ◆X/RX3k8bNY ルルーシュ・ランペルージ 085 偽物語 ◆BXnAdYmV9c ユーフェミア・リ・ブリタニア 086 (ふぁさっ)ひいっ! ◆0hZtgB0vFY ファサリナ、ヒイロ・ユイ 087 Only lonely girl ◆WWhm8QVzK6 福路美穂子、片倉小十郎、ライダー 088 届かなかった言葉 ◆Wf0eUCE.vg ゼクス・マーキス、一方通行、プリシラ、明智光秀 089 乗り損・エスポワール・スタンダード ◆zg9MHZIP2Q 平沢唯、船井譲次、東横桃子、張五飛 090 こよみパーティー ◆tILxARueaU 阿良々木暦、枢木スザク、真田幸村、両儀式、セイバー、デュオ・マックスウェル 091 こんなに近くで... ◆1aw4LHSuEI キャスター、黒桐幹也、田井中律 092 恐怖の調理法あれこれ ◆0hZtgB0vFY 福路美穂子、ライダー 093 存在 ◆dGkispvjN2 荒耶宗蓮、中野梓 094 試練/どうあがけば希望?(前編)試練/どうあがけば希望?(後編) ◆fQ6k/Rwmu. 天江衣、グラハム・エーカー、利根川幸雄、衛宮士郎、秋山澪、白井黒子、伊藤開司、八九寺真宵 095 序 ◆C8THitgZTg 荒耶宗蓮 096 この重さは命の重さ、この意味は生きる意味血も涙も、街(ここ)で乾いてゆけ ◆XIzIN5bvns 琴吹紬、千石撫子、平沢唯、船井譲次、東横桃子 097 わが﨟たし悪の華 ◆zZobvbdlGE ルルーシュ・ランペルージ、平沢憂 098 煉獄の炎煉獄の炎 (2)煉獄の炎 (3) ◆.ZMq6lbsjI バーサーカー、レイ・ラングレン、アーニャ・アールストレイム、リリーナ・ドーリアン、刹那・F・セイエイ、本多忠勝、織田信長 099 生存本能(サバイバル) ◆X/RX3k8bNY 月詠小萌、浅上藤乃 100 三人コミュニケーション ◆40jGqg6Boc 阿良々木暦、真田幸村、セイバー 【第101話~第150話】