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参加者名簿(ネタバレ) ※●のついたキャラクターの名前をクリックするとそのキャラクターが退場してしまった話にジャンプします。 ●は存在の力が無くなり完全に消失したキャラクターです。 3/6【涼宮ハルヒの憂鬱】 ○キョン/○涼宮ハルヒ /○朝倉涼子/●朝比奈みくる/●古泉一樹/●長門有希 4/6【とある魔術の禁書目録】 ○上条当麻/○インデックス/○白井黒子/●御坂美琴/○ステイル=マグヌス/●土御門元春 4/6【フルメタル・パニック!】 ○千鳥かなめ/○相良宗介/●ガウルン/○クルツ・ウェーバー/○テレサ・テスタロッサ/●メリッサ・マオ 3/5【イリヤの空、UFOの夏】 ●浅羽直之/●伊里野加奈/●榎本/○水前寺邦博/○須藤晶穂 3/5【空の境界】 ○両儀式/●黒桐幹也/○浅上藤乃/○黒桐鮮花/●白純里緒 1/5【甲賀忍法帖】 ●甲賀弦之介/●朧/●薬師寺天膳/●筑摩小四郎/○如月左衛門 4/5【灼眼のシャナ】 ○坂井悠二/○シャナ/●吉田一美/○ヴィルヘルミナ・カルメル/○フリアグネ 2/5【とらドラ!】 ●高須竜児/○逢坂大河/●櫛枝実乃梨/○川嶋亜美/●北村祐作 2/5【バカとテストと召喚獣】 ●吉井明久/○姫路瑞希/○島田美波/●木下秀吉/●土屋康太 3/4【キノの旅 -the Beautiful World-】 ○キノ/●シズ/○師匠/○ティー 3/4【戯言シリーズ】 ○いーちゃん/○玖渚友/●零崎人識/○紫木一姫 3/4【リリアとトレイズ】 ○リリアーヌ・アイカシア・コラソン・ウィッティングトン・シュルツ/○トレイズ/○トラヴァス/●アリソン・ウィッティングトン・シュルツ 【34/60】
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563 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2008/12/07(日) 22 32 15 「どうしました? 顧問」 「え?」 突然、諜報部の部長に声を掛けられた瞬間、僕ははっと目が覚めたような感覚に襲われた。 「追悼式の場所に行くのではなかったのですか? 閣下も零観さんも、先ほどからそこで ほうけておられましたが」 言われてそちらを見ると、確かにメディアさんも零観さんも足を止めていて、動く気配がない。 ついでに言うと式も同じだ。 「何か、夢を見ていたような気分だわ」 「キャスター殿もですか。拙僧もです」 夢にも色んな種類がある。良い夢、悪い夢。 メディアさんたちの見ていた夢はどんな夢なのだろうか。 「どんな夢ですか?」 「虎がヒロインになる夢ね」 「それは……悪夢ですね」 「……そう決め付けるのもどうかと思うけど、まあ一般的には悪夢ね」 虎がヒロインか。斬新だけど、どうなのかね。 「夢か」 「ん? どうしたの? 式」 式がぽりつと呟いたので僕は尋ねた。 「いや、オレも少しほうけていたみたいだ。変な夢を見た」 「へー。どんな夢?」 「幹也には教えてやらない」 式が見た夢に興味があったので僕は尋ねたのだが、式はあっさり駄目だと言う。 「えー。そりゃないよ。思わせぶりな態度をとって」 「幹也が勝手にそう思っただけだろ。大したことない夢だ」 そう言われると余計に気になるというものだが、これ以上追及すると式の機嫌を損ねそうだし、 何よりメディアさんにまた「いちゃついているんじゃないわよ!」と雷を落とされそうだった。 「じゃ、メディアさん、零観さん。今度こそ行きましょうか」 というわけで、メディアさんに何か言われる前に僕から動くことを伝える事にする。式は居残りなので、 この後、メディアさんに怒られる事もない。 式と離れる事はちょっと寂しいけど、当分一緒に柳洞寺で過ごすのだし、今は我慢の時かな。 でも、 「あ、式。糸くずがついているよ」 「ん?」 そう言って僕は式の頬を指差す。 「ああ、いい。動かないで」 式が乱暴に手で払おうとしたので僕は慌てて止めて、式の側にそっと近づく。 「ちょっと待ってね」 式の頬に手を当てて、糸くずを取る『ふりを』する。うん、糸くずなんて無いから。 「式、大好きだよ」 「な!?」 「ほら、取れた。じゃ、行って来るね」 僕は式が好きだから。どんな事があろうとも、この気持ちに嘘は無い。まあ、今朝の返事を何時聞けるのか という不安はあるんだけど。 さて、メディアさんに怒られないうちに移動しましょう。 【選択肢】で、着いた追悼式の場所では A:「そこの雑種、もっと丁寧に運べ!」 何故か、設営を仕切っているギルガメッシュの姿があった。 B:「駄目ですよ、お兄さん。もっと丁寧に運ばないと」 何故か設営を仕切っている子ギルの姿があった。 C:「そこの雑種、我(わたし)を馬鹿にしておるのか。もっと丁寧に運ばぬか!」 金髪で巨乳、だけど背はちっちゃい、どこかで見たことがあるような女の子が設営を仕切っていた。 725 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2008/12/13(土) 08 32 29 「そこの雑種、我(わたし)を馬鹿にしておるのか。もって丁寧に運ばぬか!」 仮の追悼式まで後10分をきった頃、追悼式の予定場所は静寂に包まれていたかというとそうではなく、 一人の女の子の陣頭指揮の下、柳洞寺の修行僧らが必死に設備を移動させていた。 金髪で巨乳、だけど背は小さく、どこかで見たことがあるような女の子。背は小さくとも、存在感は 大きく、仕切っていても不思議を感じさせない子だ。 「……あれ、誰でしょうか?」 「何を言ってるの。ギルガメッシュに決まっているじゃない」 「え? ギルガメッシュって、古代アルスター我様激辛麻婆帝国の国家元首のギルガメッシュですか?」 確かに金髪やら全身から湧き出るカリスマというかオーラというか、圧倒的な存在感は、かの英雄王 ギルガメッシュだと言われて納得のいくものであった。あったんだけど。 「でも、どう見ても女の子ですけど」 「ええ♪ いいわぁ。着せ替えして写真に撮りたいくらい可愛いわね」 僕の疑問もどこ吹く風。メディアさんにとっては些細な問題のようだ。 「む、ようやく来たか。稀代の魔女め。我を待たせるとは良い度胸だな」 「貴方が勝手に来たんだから、文句は言わないの。ほら、後で美味しい紅茶を入れてあげるから機嫌を 直しなさい」 「茶菓子は何だ?」 「贅沢を言うわねぇ。コンビニで100円で売ってるベビーカステラか芋けんぴくらいなら あるわよ」 「我にそんな物を食わせる気か! まあ、良い。どんな供物であろうと受け取るのが王というものだな」 口調とは裏腹に凄く嬉しいようで、ギルガメッシュ(?)は満面の笑みを浮かべている。 ベビーカステラに芋けんぴ、しかもコンビニで100円で売っている品か。メディアさんも、この ギルガメッシュさんも結構庶民的な物が好きなんだな。 「それで、貴方は何をしていたの?」 「雨が降りそうな天気だというのに、屋根の無い所に設営しているから動かすよう指示を出したまでだ。 もうじき雨が降るぞ。大雨にはならぬが」 確かに昨夜から雨が降り出しそうとは思っていたが、今の天気はいつ降り出しても可笑しくない 空模様だ。本堂に移された設備を見ていると雨が降ったら大惨事になる事間違いない所で、 ギルガメッシュさんの指示も間違いなさそうだが、いきなり現れたギルガメッシュさんの指示に従った 修行僧も修行僧だと思う。 まあ、カリスマというか、あまりにも違和感が無く指示されたため、思わず従ったんだと思うけど。 「む、そなた始めてみる顔だな。名は何と言う?」 「僕ですか? 黒桐幹也と言います」 指を刺して僕に尋ねるギルガメッシュさんに対し、そう言って名刺を差し出す。 「伽藍の堂?」 「建設会社の名前です。本業はそちらなのですが、ここ暫くは柳洞寺にお世話になっておりまして」 柳洞寺諜報部の外部顧問である事は伏せた方が良いと思い、僕はそう答えた。 実際、ギルガメッシュ陣営と言えば、セイバー陣営と並ぶ冬木市の強国であり、そもそも冬木市で 戦闘が起こるきっかけを作った勢力である。 柳洞寺との仲は良くも無く悪くも無くと言った所だが、まあ、警戒した方が良い勢力であるのは 間違いない。今日は親密度が100でも、明日には0になっているような、そんな気まぐれな勢力でも ある事だし。 「ふむ。気に入った。そなたに我の従者を務める名誉を与えよう」 「そのお言葉は嬉しいのですが……」 ちらりとメディアさんを見ると、にこやかに手を振って「いってらっしゃい」とサインを送っていた。 従者を務める名誉、と言っているが、端的に言えば接待しろ、と言っているわけで、それはどう なんだろう? と思ったんだけど、どうやらギルガメッシュさんの機嫌を損ねないように相手をした方が 良いという判断のようだ。 メディアさんがそう考えるのであれば、僕に反対する理由はない。 「では、暫くお相手をさせて頂きます」 そう僕が言うと、ギルガメッシュさんはうむ、と機嫌良さそうに返事をした。 「しかし、よく分かりましたね。今日、ここで追悼式を行う事はどこにも言っていなかったんですが」 実施を決めたのは昨日で、柳洞寺のメンバーのみで実施する予定であったため、どこもにこの話は 言っていないはずなのだ。それにも関わらず、ギルガメッシュさんが来ている事に僕は驚きと不安を 覚えた。 情報が筒抜けになっている可能性がある、と思ったからである。 「我を甘く見るな。この冬木市の情報は全て我の手元に来るのだ。まあ、今回は別の理由だが」 そう言ってギルガメッシュさんは得意満々に胸を張る。張った瞬間にぷるんと揺れたが、 何が揺れたのかはノーコメントで。……ひょっとすると、してないんだろうか。いや、そんな所に気を 取られていると式に怒られるな。 「そなたらは読みやすい。贋作者(フェイカー)が亡くなったら我は祝杯を挙げるだけだが、そなたら は追悼を行うと宣言した。ならば、表向きはともかく、実際には早いうちに行うだろうと、読んだだけだ」 「なるほど」 確かに、僕は零観さんらの動揺を抑え、浮かれた諜報部の頭を冷やすためにも早いうちに行う必要が あると考えた。本格的な追悼式は招待状やら設営やらで無理だと判断しても、何とか早い段階で柳洞寺の 動揺を抑える必要があると判断して、今日の仮の追悼式を思いついた。 それに葬式はすぐに行うのが普通。ならば、最初の土曜日である今日、柳洞寺でアーチャーさん関連の 何かが行われると想像するのは容易いのだろう。 しかし、祝杯を上げるというのもどうかと思うが、この人らしいと言うべきなんだろうな。 「という事は他の陣営も?」 「そういう事だ。騎士王、いい加減に隠れていないで出てきてはどうだ? こそこそしているのが趣味では なかろう」 【選択肢】 A:しかし、ギルガメッシュさんの声は辺りに空しく響いた。 B:「セイバーじゃなくて、悪かったわね」(遠坂凛の登場) C:「隠れていたつもりはありませんが」(セイバーの登場) 739 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2008/12/13(土) 23 51 31 「という事は他の陣営も?」 「そういう事だ。騎士王、いい加減に隠れていないで出てきてはどうだ? こそこそしているのが 趣味ではなかろう」 そう高らかに声を上げるギルガメッシュさんであるのだが、誰も出てこない。 ギルガメッシュさんの声は辺りに空しく響いた。 「はは。セイバーは恥ずかしがり屋だからな。よい、許す。恥ずかしがらずに出てくるが良い」 「…………」 しかし、やはり誰も出てこない。 「セイバー、恥ずかしがる必要はないと言っておるだろう。早く出て来い」 でもやっぱり(以下略)。 「己、我を愚弄する気か! ならば、引き釣り出すまでよ。セイバー、あの世で後悔するが良い」 「ちょ、ちょっと待ってください!」 いきなり空中から槍やら剣やら竹刀やらを引っ張り出したギルガメッシュさんを僕は慌てて止める。 「む、何をする」 「それはこっちの台詞です。何をする気ですか?」 いかにも心外だ、と言わんばかりの表情を見せたギルガメッシュさんに僕は反論する。 「決まっておろう。我が宝具にてこの辺り一体を耕してやろうというのだ。これなら、潜んでいる セイバーも出てこざるをえまい。出てこぬのなら、我が宝具のサビとなるのだからな」 「ここは柳洞寺の敷地内です。ここ一帯を攻撃する事は柳洞寺に対する宣戦布告行為になります!」 「我は知らぬ。責任は全て潜んでいたセイバーにある」 僕が血相を変えているというのに、ギルガメッシュさんはまったく動じる事なく言い切った。 うん、確信した。この人、やっぱり暴君ギルガメッシュだ。可愛い顔に騙されると痛い目に合うな。 というか、誇らしげに張った胸はやっぱりぷるんと揺れて……。ごめん、式。和装はね、あの 隠している部分が良いと思うんだけど、堂々と晒している洋装も捨てがたいと思うんだ。 もっとじっくりとゴスロリ衣装を見ることができれば対抗できたと思うんだけど、あんまり じっくり見る事ができなかったし。今度じっくりと見せてくれると嬉しいんだが。 「さて、では」 「それより急いで室内に入りましょう。そろそろ追悼式が始まる時刻ですし、雨が降る前に 入らないとギルガメッシュさんの従者である僕の立場がないです」 「従者の立場?」 従者の立場、という僕の言葉にギルガメッシュさんは首を傾けて考えてる。 「雨が降るからと設備を室内に移したのに、移させた本人であるギルガメッシュさんが雨に 濡れたら、ギルガメッシュさんを濡らした僕の立場が無いとは思いませんか。 申し訳ありませんが、ここは室内に入っていただけないでしょうか」 言うまでも無く、僕の本音はここでギルガメッシュさんに暴れられると困る、というものだ。 現在の柳洞寺は遠坂凛の暴走すら恐れている状態であり、遠坂陣営より強敵である ギルガメッシュ陣営と交戦する事はほとんど悪夢だ。理由は遠坂陣営の積極的攻勢を恐れている のと同じで、例え撃退した所で、国力を疲弊すれば他の陣営に対して圧倒的に不利になるからである。 ギルガメッシュさんがここで暴れれば、柳洞寺はギルガメッシュ陣営に対する宣戦布告や それに類する行動を余儀なくされる。それは何としても防がなければならない。 ……何で僕がそんなに気を使わないといけないのか、と思わないでもないが。 「ふむ。確かに従者に恥をかかせるわけにはいかぬな。それに」 ギルガメッシュさんがそう区切ると、ぱらぱらと雨が降ってきた。 「すでに降り始めたようだ。急ぐか」 「はい」 こうして、ギルガメッシュさんの暴走行為を何とか止めた僕は、大きく安堵の息をつきながら、 追悼式の場所へ急いだのである。 ……はいはい。走ると凄いね。 (独立宗教法人柳洞寺、第6ターンです) イベントが発生しました。 柳洞零観、柳洞一成:仮の追悼式について 閣下、柳洞零観、一成の両幕僚から仮の追悼式が無事に終了した事について報告がありました。 あくまで仮の追悼式でありますが、アーチャー氏の魂も慰められた事と思います。 また、正式な追悼式を2ターン後の第8ターンの土曜日に行い、全ての中立組織と他勢力について 招待状を出したいとの要望も出ております。なお、予算は追悼式の際の見舞金で十分賄えるものと思われます。 このイベントを実施した場合の変動はありません 日程を変更した場合の変動は以下の通りとなります。 人材:柳洞零観、柳洞一成が第8ターン終了時まで行動不能となり 追悼式実施ターンまで戦闘に参加できません。 追悼式を中止した場合は以下の通りとなります。 人材:柳洞零観の不満度+10 柳洞一成の不満度+10 柳洞零観、柳洞一成が第8ターン開始時から行動可能となります 中立組織:ス○ス銀行深山支店を除く全ての中立組織の親密度-20 他勢力:アインツベルン第三帝国の親密度-20 (選択1)追悼式をその日に設定しますか? Y-1/その日で結構 Y-2/いや、<>ターンにするべきだ N/仮の追悼式で十分なはずだ (選択2)招待状はどうしますか? Y-1/全ての中立組織と他勢力について出す Y-2/<>を除く全ての中立組織と他勢力について出す N/広報を通じて追悼式を行う旨を発表し、参加は自由とする。招待状はどこにも出さない ギルガメッシュ(女性):喜べ、褒美を取らせる 閣下、古代アルスター我様激辛麻婆帝国から資源と手紙が送られてきました! 添えられた手紙には褒美をとらせるとのみ書いてあります。 なお、黒桐幹也氏宛にも手紙が送られてきましたが、検閲した両儀式によりビリビリに破かれたため、 内容は不明であります。 そのまま送り返す事も、使者つきで送り返す可能ですが、いかがいたしましょうか? なお、使者は気に入られている黒桐氏が適任だと思われます。 このイベントを実施したによる変動は以下の通りとなります 資源を受け取った場合 資源+100 他勢力:古代アルスター我様激辛麻婆帝国の親密度+10 資源をそのまま返却した場合 他勢力:古代アルスター我様激辛麻婆帝国の親密度-20 黒桐幹也を使者にして返却した場合 他勢力:古代アルスター我様激辛麻婆帝国の親密度+10 人材:黒桐幹也が一週間ばかり古代アルスター我様激辛麻婆帝国に軟禁されます。 人材:両儀式の機嫌が物凄く悪くなります (選択3)資源を受け取りますか? Y:接待に対する正当な対価だ N-1:理由も無く資源を受け取る事はできない N-2:黒桐氏に頑張って事を荒立てないようにしてもらおう N-3:いっそ、黒桐・式の両名を使者として送る? 781 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2008/12/15(月) 23 29 50 降り出した雨はアーチャーさんを慕う者たちの涙雨だったのだろうか。 仮の追悼式は何の問題もなく始まった。。 袈裟を着た零観さんがお経を唱え、アーチャーさんの冥福を祈る。零観さんの隣には やはり袈裟を着た一成君の姿があり、彼も一生懸命に手を合わせ、祈っている。 僕の横にはつまならそうに、だが決して顔を俯かないギルガメッシュさんが居て、僕の前には メディアさんと葛木さんがいて、二人とも手を合わせてアーチャーさんの冥福を祈っている。 僕も手を合わせているので、手を合わせていないのはギルガメッシュさんだけ、という事に なるが、血が出そうなくらいきつく手を握り締めているから、気持ちは十分伝わっているだろう。 『黒桐殿。彼は最強のサーヴァントだった』 ふいに、僕は佐々木さんのあの言葉を思い出した。 最強のサーヴァント。この言葉がリップサービスでないのなら、佐々木さんは何を持って アーチャーさんを最強としたのだろうか。 仲間二人を逃がすためにその身を犠牲にした彼の生き様なのか、それとも佐々木さんを重傷に 追い込んだその強さなのか、それともその両方なのか。 生きていて欲しかったと思うのは、アーチャーさんを消滅させた側に所属する人間の思う事ではない と思いつつも、僕を始めとする皆の思いだろう。ひょっとすると、アーチャーさんを消滅させた 佐々木さんが一番その思いを持っているかもしれない。 ふと隣を見ると、顔を上げているギルガメッシュさんがそろそろ限界を迎えそうだった。 (ギルガメッシュさん、目やにがついてますよ) (む、そうか) (今拭きますので、顔をそのままにしてください) 小声でギルガメッシュさんに告げて、僕はハンカチを取り出してギルガメッシュさんの目の辺りを 拭く。 少なくとも今は文句なしの美少女であるギルガメッシュさんに目やになどと言うのはどうかな、 とも思ったんだけど、素直に従う辺りはギルガメッシュさんも自覚しているのだろう。 ギルガメッシュさんとアーチャーさんの関係は僕にはよく分からないのだが、セイバーさんとは また違った何かがあったんだろう。そうでなければ、わざわざ柳洞寺まで来る事はないだろうし。 それでも「祝杯を上げる」と言う辺りは素直じゃないというか、何と言うか。 「では、献花を」 零観さんのその言葉に促され、まずは葛木氏が献花を行う。次はメディアさん、その次が ギルガメッシュさんでその次が僕、そして一成君、零観さんが献花を行い終了となる。 いつものスーツ姿で黒いネクタイをつけた葛木氏は、やはりいつも通り背筋をぴんと伸ばし、 献花を行う。それはどんな時でも手を抜かない、葛木氏らしい姿だと僕は思った。 続いて献花したメディアさんもいつもの服装。良いのかな、と思ったが、遺族以外は地味な 平服で良いそうだ。もっと言えば、元々は一張羅であれば晴れ着のようなものでも良かったらしい。 とは言え、「元々は~」と言った所で今は今だから、誤解を招かない服が良いだろう。 ……良いのだろうけど、隣に似合っているのか似合っていないのか、ふわふわドレスを着込んだ ギルガメッシュさんがいるからなぁ。うん、ギルガメッシュさんが参加する事が分かっていたら、 式もあの姿で参加して良かったんじゃないのか、と思わないでもない。ゴスロリは死神を イメージするので、冠婚葬祭のどれもあまり宜しくない気がするのだが。 そのギルガメッシュさんは自信満々にバラ、それも真っ赤なバラを献花する。 僕がそれは無いんじゃないのかな、という表情をしていると、ふん、雑種には分かるまい、と 自信満々な、でも少し悲しそうな顔をした。言わなければ分からないんだけど、言わなくても 分かって欲しいんだろう。 自信満々に見えるギルガメッシュさんだけど、案外、寂しがり屋なのかもしれないな。 僕は無難に零観さんが用意された蓮華を献花し、一成君がそれに続く。最後に献花する 零観さんも当然蓮華なので、ギルガメッシュさんが献花したバラは浮く事になる。 しかし、 「ふん、分かっておるではないか」 順番からも性格からも、真ん中にギルガメッシュさんが献花したため、真ん中に真っ赤な バラがあって、その周囲に白い蓮華があるという見事な構図となった。 現世でのアーチャーさんを表す真っ赤なバラ、そしてあの世と来世での幸福を祈る真っ白な蓮華。 それは、やはりアーチャーさんの追悼に相応しいものに僕には思えた。隣にいて、笑みを浮かべる ギルガメッシュさんの顔が今度こそ、自信に溢れたものであった、というのもあるのだけれど。 「さて、本日は仮の追悼式であるのでここまでです。正式な追悼式は再来週の土曜に実施したいと 思いますが、如何でしょうか?」 献花の後、零観さんが再びお祈りを捧げて、仮の追悼式は終了となった。 全員に向って如何でしょうかと聞いてはいるものの、実際に回答する権利があるのはメディアさん だけであり、零観さんもメディアさんに向って聞いているのだろう。 「うむ。そのように進めよ」 しかし、ここにはそういう空気をまったく読まない人物がいた。 「ま、それで特に問題があるわけではないからそれでいいわ。じゃ、貴方にも案内状を出すから、 必ず参加しなさいよ」 「無論だ。香典を楽しみにしておけ」 軽くため息をつくメディアさんに、相変わらず自信満々のギルガメッシュさん。一体どこからそんな 自信が沸いて出るのか、本当に不思議だ。 「もしよろしければ、これからお食事を用意いたしますが」 僕たちだけであれば、この後は通常業務となるのだが、ギルガメッシュさんが参加していたためだろう。 零観さんはギルガメッシュさんを食事に誘った。 何故だか分からないのだけれども、日本では葬式の後は大宴会というのが定番になっている。 それに従い、ささやかながら食事の場を設けようという事なのだろう。 「いや、よい。今日はこのまま帰る事にする」 「じゃ、階段の下まで見送りますね」 僕がそう言うと、ギルガメッシュさんは当然であろうという顔をするが、その顔が一方では 尻尾があれば、猛烈な勢いで振っているように見えたので困る。 僕が好きなのは式で間違いないんだけど、後輩とかでこういう子がいたら可愛がったに違いない。 あれ? でも、本当は男性だよな? 「どうした?」 「いえ。雨で滑りやすくなっているので注意してくださいね」 「雑種、我を見くびるな。この程度の雨で滑って何が英雄か。我を滑らせたければ、これの三杯は 持って来いというものだ」 三杯ではなく、三倍だろう、と思ったが、僕は何も言わなかった。かわりに、ぽんぽんと頭をなでる。 子ども扱いするな、とギルガメッシュさんは手を払うが、その怒った顔もまた可愛くて……って、 だから僕には式がいる、というのに。 ぶんぶん、と顔を振って雑念を振り払い、僕はギルガメッシュさんの手をとって、境内を出た。 そのちっちゃな手が、節くれだった十分過ぎる鍛錬を積んだ人間の手である事に少し驚きを覚えつつ。 とは言え、 「すいません、メディアさん」 「魔女よ。我の着替えを所望する」 「はいはい。そんな事だろうと思ったわよ」 それから5分後、滑りやすくなっているから気をつけてと言ったにも関わらず、「我を見くびるな」と 下を見ずに石段を降りようとして、一段目から踏み外して泥まみれ、濡れ鼠になったギルガメッシュさんが そこには居たのだが。 あと、何でそこだけは汚れないでしっかり透けるんですかね。 それとこけて不安になったせいもあるんでしょうが、しっかり腕を抱えるのはやめて欲しいんですが。 【選択肢】ギル子の着替え A:「とりあえず、僕の服で我慢してもらえますか?」(黒桐の服) B:「じゃ、この服なんてどうかしら」(キャスターの用意した服) C:「ふむ。この服はどうか」(葛木氏の用意した服) 791 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2008/12/16(火) 18 46 50 閣下のセンス炸裂したロリロリとした服を着たギル様が見たいです……! 我様だから金糸雀にしようかなぁ、と思ったんだが、せっかくなので、選択肢を追加。 【選択肢1】キャスターの用意した服装とは? A:黄色のベビー服にオレンジ色のドロワーズ。小物で日傘 B:紐ビキニ C:胸元の真っ赤なリボンが特徴的なピンクのベビードールのような服。小物はリボン D:紫のドレスに薔薇のようなロングスカート。小物は眼帯。 E:式が着せられているのと同じ服 【選択2】採用するかどうかは未定だけど F:せっかくだから俺は【 】を主張するぜ! 5票入ったのは当然として、Fでネタにできそうなのがあればそれも使いたいかな、と こんな投票でした +... 792 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/16(火) 18 50 14 F せっかくだから俺は【 純白のウェディングドレス】を主張するぜ! 地雷を敷設してみる。 793 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/16(火) 19 01 06 F:せっかくだから俺は【エプロンドレスで不思議の国のギル様風】を主張するぜ! 794 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/16(火) 19 03 26 F:せっかくだから俺は【闘魂ムーン仕様のコスチューム】を主張するぜ! 795 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/16(火) 19 05 19 F せっかくだから俺は【ツインテールとニーソックス】を主張するぜ! 服の為に髪型までこだわる、それが俺のジャスティs うわなにするやめ 796 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/16(火) 19 08 02 F:せっかくだから俺は【姫騎士装備(セイバーリリィ風】を主張するぜ! 797 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/16(火) 19 26 36 どいつもこいつもwwwwwwwww 798 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/16(火) 19 31 49 B:紐ビキニ Fのどれかになるのかもしれないが、選択1と2とあるのでこちらにも。 これなら、まず着替える事になるだろうしw 799 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/16(火) 19 36 12 なんで不人気やツンデレ、男装の衣装はないのに紐ビキニがあるんだ? 800 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/16(火) 19 38 10 なんてこったい!カナだったなんて!カナ!カナ! A:黄色のベビー服にオレンジ色のドロワーズ。小物で日傘 もいいけど F:せっかくだから俺は【姫騎士アンジェリカ風】を主張するぜ! ののしって!ギルさま! 801 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/16(火) 19 43 52 B:紐ビキニ 802 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/16(火) 19 54 18 F:せっかくだから俺は【清楚なブラウス 1 枚 だけ】を主張するぜ! 803 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2008/12/16(火) 20 06 14 思った以上にFに集中したので、投票はここで終了にします。つーか、A~EはBが2票だけとは(苦笑)。 799 当初、紐ビキニ→カナの衣装の予定だったので。あと、赤は遠坂のイメージが強かったため、 翠と蒼はその姿の我様がイメージできなかったのでです。翠の子も蒼の子も嫌いじゃないですよ。 804 :僕はね、名無しさんなんだ:2008/12/16(火) 20 09 34 いつぞやのFFの投票を見ているようだったw 870 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2008/12/19(金) 22 37 03 「じゃ、この服なんてどうかしら?」 そう言ってメディアさんが出したのは、清楚な白いドレスとそれと一帯となった白銀の甲冑。 そして、黒いリボン。 某ゲーム風に言うならば、白銀の胸当て(ドレス付き)、白銀の篭手、白銀のブーツ、黒の リボンと言った所か。うん、一体どこから出してきたんだろう? まあ、メディアさんなら 何も無い所から出しても不思議じゃないけど。 「ふむ。確かに純真な我に白は良く似合うな。魔女よ、褒めて使わす」 「ええ。他にも衣装はあるけれど、まずはこれをね。 それじゃ、今からお風呂を沸かすから、暫く待っててくれるかしら」 そう言うと、メディアさんはにんまりと笑みを浮かべる。 その笑みは式の着替えを断った時と同じもので……はっきり言って怖い。どうやら、ギルガメッシュ さんも式と同じく徹底的に遊ばれる運命にあるようだ。 だが、そのメディアさんの笑みは瞬時に凍りつく事になる。 「キャスター。寺の風呂は夜と決まっている」 「そ、宗一郎様、申し訳ありません!」 メディアさんの旦那さんである葛木氏のこの言葉は、普段どおりの冷静なものであったけど、 それだけにメディアさんには強烈であったようで、今にも泣き出しそうな顔になっている。 「いや、宗一郎殿。客人に湯を振舞うのも寺の勤め。客人を汚れたまま帰すのは、柳洞寺の 名折れですぞ」 しかし、間髪入れず、零観さんがフォローに出た。 柳洞寺の風呂は昔懐かしい薪を使って湯を沸かすタイプで、これは時間がかかるが大量の湯を 一度に沸かすのは向いているものだ。 ただ、時間をかけて一度に大量の湯を沸かすという事は、少量の湯を沸かすのには向いておらず、 また二度三度沸かすのにも向いていないという事である。 だから、葛木氏は風呂を沸かすと言ったメディアさんを注意したわけだが(実際はどうあれ、 葛木夫妻は柳洞寺に居候している身分であるという事もあるだろうし)、そこは零観さんが素早く フォローを入れた。 メディアさんの判断はルールから逸脱したものではなく、正しい判断に基づくものです。 宗教法人としての柳洞寺のトップ代理である零観さんがそう断言する事で、風呂を沸かすという 行為がメディアさん個人の行動ではなく、柳洞寺という組織の行動となり……最も単純に言うと、 「メディアさんは間違った行動をしようとしたわけではありませんぞ」と葛木氏に伝えようとした、 というわけである。 「すまん、キャスター」 「いえ、宗一郎様に謝って頂く事ではありません! 出すぎた真似を」 葛木氏に言われた時のメディアさんは一瞬で顔面蒼白になり、ぶるぶると震えていたが、 零観さんの言葉を受けて顔に赤みが刺し、そして今は葛木氏から優しい言葉をかけてもらった事で 歓喜のあまり震えているメディアさんというのは、本当に分かりやすい。 しかし、メディアさんの葛木氏への依存度は異常だな。その姿をギルガメッシュさんに見られたのは、 まずい気がする。 「黒桐、寒いぞ。湯を所望する」 そんな僕の心配を他所に、ギルガメッシュさんはそんな事を言ってくれた。 まあ、実際あの服で濡れ鼠になると、体は重いは、服が肌にひっつくわで大変だというのは分かる。 「体を拭くくらいのお湯を沸かすのなら10分ほどで出来ますが。それで良いですか?」 「うむ。よきにはからえ」 ギルガメッシュさんからの返答を聞くと、僕は振り返らずに厨房の方に急ぎ足で向う。 ギルガメッシュさんはギルガメッシュさんで大変なんだろうと思うのだが、僕は僕で大変なので ある。彼女は見た目どおり無邪気で、好奇心旺盛で、大げさなジェスチャーをして……。その一つ一つは 悪くないのだが、その行為、一つ一つで揺れるのである。 しかも、雨で透けていて、薄桃色のとがったものが認識できるのである。 なお、何が、とは聞いてはいけない。 昨晩、織に興奮させられ、今朝は式に興奮した僕は、今、ギルガメッシュさんによって混乱させられている。 彼女が無邪気に僕に飛びつく度に……まあ、それ以上のコメントは差し控えさせて欲しい。 慕われるのは嬉しいんだけど、もうちょっと考えて欲しいものだ。 そう思いながら、僕は厨房に急いだのである。 【選択肢】厨房では A:「あれ? 黒桐。どうしたんだ」 式が丁度お湯を沸かしていた。 B:「遅いぞ、雑種」 何故か、ギルガメッシュさんが待ち構えていた。 C:「げ、黒桐の旦那!」 何故か、楓ちゃんが戸棚からお菓子を漁っていた。 912 :黒桐幹也の結婚 ◆mGFGwAwBPU:2008/12/21(日) 10 48 16 「……一体何をやっているのかな? 楓ちゃん」 「げ、黒桐の旦那!」 ギルガメッシュさんから逃げるかのように(というか、実際逃げたわけだが)移動した僕が厨房で 見たのは、戸棚を漁っている楓ちゃんこと蒔寺楓の姿だった。 「何で旦那がここに!?」 「何でって、三枝さんから聞いてないの? 今週の頭から柳洞寺に雇われているんだけど」 うろたえているのに、口に加えたどら焼きを離さない辺り、やっぱり変わっていないな、と ほっとしたような呆れたような感じで僕は答えた。 楓ちゃんは式と並ぶくらい由緒ある家柄の子で、呉服屋「永鳥庵」(えいちょうあん)の一人娘である。 今もそうだけど、式は昔から和服で過ごしていて、当然というかこの辺で一番大きい「詠鳥庵」は 両儀家の御用達の呉服屋になっている。式も幼い頃から何度となく買いに行っており、自然と二人は親睦を 深めたそうだ。 式も楓ちゃんも普段は着物を着ていたから、その辺りで話が合ったというのもあると思う。 もっとも、式は「(蒔寺さんは)私はお高く止まっていているから、嫌いだそうよ」と言っていたし、 織も「オレの事は姐御と言って慕ってくれるんだけど、式がどうも苦手みたいでなぁ」と言っていた辺り、 色々あったんだと思う。 とは言え、織を知ってからは式ともそれなりに付き合うようになり、何より織が楓ちゃんの事を 気に入っていて、二人で遊びに行く事もあったそうだ。 僕が引っかきまわされた織を楓ちゃんはさらに引っ掻き回しており、織をして「あれには勝てない」と 言わしめたのが楓ちゃんである。 まあ、その姿は容易に想像できるのだけれども。 僕と楓ちゃんも式を通じて、というよりは式の家令である秋隆さんに無理やり永鳥庵に連れて 行かれたのがきっかけで、知り合った。 ちなみに初めて会ったときに印象に残っている姿は屋号を「エイドリアン」と読んだ僕にいきなり 蹴りをかます姿と、その後、親父さんに鉄拳制裁を喰らう姿である。 永鳥庵が「エイドリアン」と読める事、そしてよく人にそう読まれる事は相当気にしているらしく、 今でも「エイドリアン」を読んだお客に「『えいちょうあん』だ!」と言い返す事は多いらしい。 なお、親父さんの鉄拳制裁は僕に対して蹴りをかました事ではなく、僕を見て「式嬢に男が出来た!」と 騒いだ事が主な理由だそうだ。 和服で物静かな女性に育っても可笑しくなかった楓ちゃんが、こういう活発過ぎるくらい活発な子に 育った理由は、ほぼ間違いなく親父さんの教育方針にあると思う。 まあ、それでも考えてみれば、僕より先に式と織の事を知っていて、それでも接する態度が変わら なかったのも楓ちゃんなのである。物怖じしないというか、重要な事を重要だと感じる感性が鈍いと いうか。 そんな性格も親父さんの教育の賜物と言えるだろう。 なお、僕を旦那と呼ぶのは「式の旦那だから」だそうだ。僕のことを旦那という度に物静かで冷静な 式の顔が歪むのが面白かった、僕の事を旦那と言った際の織の笑いこける顔が好きだったそうで。 やはり良い性格をしていると思う。 「そう言えば、黒桐の旦那が柳洞寺諜報部の顧問になったとユキカが言っていたような。しかし、アタシには 関係ない事だぜ!」 そう言って、何が楽しいのか自信満々で握りこぶしを見せる楓ちゃん。口にどら焼きを加えたまま 器用に話すもんだなぁ、と思う。 というか、物を食べながら話すのは行儀が悪いと習わなかったのだろうか。親父さんにばれたら、 また鉄拳制裁を受けるぞ。 「じゃ、何で楓ちゃんがここに要るのかな? その服を見る所、学校帰りか何かだと思うんだけど」 楓ちゃんの服装は通っている穂群原学園の制服で、永鳥庵での和服姿しか知らない僕には意外な姿に 見えた。 考えてみれば、学生なんだから制服があって不思議じゃないし、霧島さんたちも休みにも関わらず、 制服で過ごしていたりするんだけど。 「旦那には分からないだろうが、これはアタシの戦闘服なんだぜ! 今のアタシは超絶美人戦闘員の 蒔寺楓。柳洞寺に侵入し、柳洞寺に損害を与え、そして去っていく。まさに完璧だぜ!」 「で、その手始めに、柳洞寺の厨房に損害を与えようとした、と」 「おうよ!」 僕の呆れた返答に自信満々に答える楓ちゃん。 ……式が意識不明の重体に陥った時の取り乱した姿も知っているし、昏睡期間中も頻繁にお見舞いに 行っていたのも知っている。式の意識が戻って一人暮らしを始めた際に何かと遊びに行こうとしていた (式が色々と理由をつけて断ったんだけど)のも知っているんだけど、こういう子でもあるんだよなぁ。 式が自分の目の事を楓ちゃんに言わないのは、警戒されるからではなく、嬉々として色々と聞いて、 騒いでとするのが目に見えているからだろう。 「本当に? 僕には、侵入したのは良いけれど何をすれば良いのか分からなくて、とりあえず うろうろしていたら厨房に着たらどら焼きがあったんで食べて、美味しかったので他にも無いかと 探っていた所に見えるんだけど」 「違うね! アタシの狙いは始めから厨房さ。ここの食料を食い尽くせば柳洞寺は食料不足で困る、 アタシは腹いっぱい飯が食えて喜ぶ。まさに一石二鳥の大作戦だぜ!」 このどら焼きは茜丸の良い物だ、とまたも自信満々に答える楓ちゃんを見て、ちょっと頭が痛くなる。 何でこの子は一人で柳洞寺の食料を全部食べつくせるとか考えるんだろうか。ここで何人が 生活しているのかちゃんと理解しているのかどうか不安になる。 初めて会った時から、予想の斜め向こう、道のない所にあえて突き進む子ではあったんだけど。 敵にするとやっかいだが、味方に回すと恐ろしい。それでいて、指揮官としては無能でないのが困る所だ。 また個人戦でも中々強い。昔の話の恐縮だが、蒔寺家に代々伝わるという伝説の槍で、式を相手に一歩も 引かない戦いを見せていたと言うから、槍術はかなりの腕だと思うし。 「うん。とりあえず住居侵入、窃盗の容疑で拘束するね。あと、敵対している組織に対する侵入だから、 拘束後は捕虜として丁重に扱う事も約束するよ。弁護士を雇う権利も黙秘権もないけれど。 ちなみに、逃げたら問答無用で警察に連絡するから」 「へへん、アタシがそんな脅しに屈するとでも思ったか。さらばだ、明智君!」 そう言って楓ちゃんは、どこからともなく煙玉を出してきて、床に叩きつけて炸裂させた。 この煙玉で厨房はあっという間に煙だらけになり、まともに見えなくなる。しかし、出入り口は 一つなので、そこで待ち構えれば逃げ出すことはできないはずだ。 ……普通であれば、だけどね。 【選択肢】マキジの行動を読もう(マキジがその通りに行動するというわけではない) A:ガラスを破って逃げる B:床下に抜け穴があり、そこから逃げる C:見えないのを良いことに戸棚を漁り続けているはず D:お菓子を持って瞬間移動 黒桐幹也の結婚 第6ターン 16 黒桐幹也の結婚 第6ターン 14 黒桐幹也の結婚
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今度は男女でタッグバトル!! 解説 半裸王決定戦でお馴染みのパオパオ氏による大会動画第2弾。 キャラクターも珍しいものが混ざっている。 後半からコメントや動画でチーム名のリクエストによる追加枠も行う。 2013年2月10日、容量の都合に伴い削除。 ルール 12(+12)タッグによるリーグ戦。4つのブロックに分かれ、 1つのブロックに6チームが入る。 1つのブロックで得点の一番多いチームが選出し、 勝ちあがった4タッグで決勝トーナメントを行う。 出場タッグ(OPでの紹介順) + ... 金髪騎士 ライトニング シャルロット 眼帯宇宙海賊 長曾我部元親 ルビィ・ハート 胴着こそ英雄 リュウ カンフーまこ 蹴りまくれ! キム・カッファン 水瀬名雪(起) 超能力高校生 古泉一樹 麻宮アテナ GOLDEN AXE マックス・イーグル 綱手 グラップラー刃牙 範馬刃牙 明石薫 バスターを使え! キン肉マン シャルティル 赤毛のコンビネーション 八神庵 右代宮縁寿 いでよ!中国パワー フェイロン 蔵土縁紗夢 病弱?なにそれおいしいの? 橘右京 朝倉音夢 主のお気に入り オズワルド 進藤さつき 追加タッグ(追加枠OPでの紹介順) + ... 和洋折衷 御名方守矢 両儀式 たい焼き(ぼったくり・食い逃げ) 田所アキラ 月宮あゆ 絶望への反抗!!残された超戦士 トランクス 暁美ほむら そらのおとしご マロ ホーリー=マール ザ・サニーズ ボンガロ・テリー サニーミルク ご立派様は引かれ合う ペルソナ3主人公 洩矢諏訪子 高野聖 藍染惣右介 泉こなた 何もかも紅い レミー 吸血鬼シオン ゆとりさとり教育 草薙京 古明地さとり あれ?投げキャラ? シュマイセンゾルダート 春日舞織(KOFアレンジ) お前は人形だ クラウド・ストライフ Fate_Copy イタリア出身 マリオ ミラ・ミシアーノ 組み合わせ(ネタバレ注意!) + ... Aブロック 赤毛のコンビネーション 八神庵 右代宮縁寿 超能力高校生 古泉一樹 麻宮アテナ 眼帯宇宙海賊 長曾我部元親 ルビィ・ハート バスターを使え! キン肉マン シャルティル GOLDEN AXE マックス・イーグル 綱手 胴着こそ英雄 リュウ カンフーまこ Bブロック グラップラー刃牙 範馬刃牙 明石薫 病弱?なにそれおいしいの? 橘右京 朝倉音夢 蹴りまくれ! キム・カッファン 水瀬名雪(起) 金髪騎士 ライトニング シャルロット いでよ!中国パワー フェイロン 蔵土縁紗夢 主のお気に入り オズワルド 進藤さつき Cブロック ご立派様は引かれ合う ペルソナ3主人公 洩矢諏訪子 そらのおとしご マロ ホーリー=マール たい焼き(ぼったくり・食い逃げ) 田所アキラ 月宮あゆ 何もかも紅い レミー 吸血鬼シオン ザ・サニーズ ボンガロ・テリー サニーミルク 絶望への反抗!!残された超戦士 トランクス 暁美ほむら Dブロック ゆとりさとり教育 草薙京 古明地さとり お前は人形だ クラウド・ストライフ Fate_Copy 高野聖 藍染惣右介 泉こなた 和洋折衷 御名方守矢 両儀式 あれ?投げキャラ? シュマイセンゾルダート 春日舞織(KOFアレンジ) イタリア出身 マリオ ミラ・ミシアーノ 関連大会 半裸王決定戦【削除済み】 主人公(&ヒロイン)達でランダムタッグトーナメント【削除済み】 男女で良タッグ発掘トーナメント【非表示】 新春テーマ別チームバトル2013 現時点でAI未搭載のキャラでシングルトーナメント 絆ランセレタッグロワイアル【非表示】 テーマ別タッグチームバトル【削除済み】 現時点でニコMUGENwikiに載ってねぇキャラでシングルトナメ【非表示】 仮面ライダートーナメント 現時点でAI未搭載のキャラでシングルトーナメントⅡ カオス(?)なキャラ5名で総当たりリーグ 現時点でニコMUGENwikiに載ってねぇキャラでシングルトナメ 2nd【非表示】 新春テーマ別チームバトル2014 野球トーナメント 新春テーマ別チームバトルF 現時点でAI未搭載のキャラでシングルトーナメントGX 新春テーマ別チームバトルEX 強ランク前後ランセレバトル 強ランク前後ランセレバトルII コメント(大会ネタバレ注意!) + ... 作成乙です。 -- 名無しさん (2012-08-21 09 17 39) 動画の進行も投稿もものすごく早い -- 名無しさん (2012-08-25 19 33 18) でもセンスがない 伸びない -- 名無しさん (2012-08-26 17 07 22) だが目標のOP再生数1000ぐらいはすぐ超えるだろう -- 名無しさん (2012-08-31 10 13 39) なら次は全part1000越えだな目標 -- 名無しさん (2012-08-31 10 44 29) いよいよ決勝 -- 名無しさん (2012-08-31 17 04 13) 最終回うpしました。 -- 名無しさん (2012-08-31 19 02 41) 優勝ペアは意外といえば意外…? -- 名無しさん (2012-09-01 14 59 12) 「半裸王決定戦でお馴染み」…お馴染みか? -- 名無しさん (2012-09-05 11 00 08) 新作が来たね -- 名無しさん (2012-10-12 13 22 41) 続編がずっと投稿されなくなったな -- 名無しさん (2012-12-09 10 55 28) wikiにも男女で良タッグ発掘トーナメントの解説ページができました -- 名無しさん (2012-12-16 19 49 04) 動画が削除されました -- 名無しさん (2013-04-15 14 04 37) ごめんねー、容量の事情で消しちゃったんだ。申し訳ないね。 -- うp主 (2013-04-15 18 24 00) 名前 コメント
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君が 光/闇 に変えて行く◆CcfuOxf30g 「なるほど、そういうことか」 『敵のアジト』と称されたマンションの螺旋を階段を下る中、両儀式はそう呟いた。 「どうした、式?なにかあったか」 突如の静寂を破った式の呟きにデュオが返す。 「ああ、このマンションにはもう用はないと思ったけど。ひとつだけ確かめておくことができた」 式は先ほど手に入れた首輪をデュオに渡し、エレベーターのスイッチを押し乗り込む。 「入口で見張って置いてくれ。それとその首輪をよく『視て』おくんだな」 閉じるエレベーターの扉越しに一方的に告げられる式の言葉はそこで途切れた。 「…って、おい。勝手に言うぜ、まったく」 一人マンションのホールに取り残された、デュオ。 彼の口からは、発言する間も与えずに去った式に対する不満の言葉が虚しくホールに響いた。 (だけど、この首輪…) デュオは右手に握られた首輪を眼前へ移し、思考の対象を首輪へと移し替える。 ガンダムパイロットである彼は、特殊工作員としての側面も持ち合わせる。 愛機のデスサイズの管理に必要な工学関係の知識、敵組織へ侵入するためのコンピューターや機械への知識。 それらをフル稼働すれば、この首輪もあるいは…と彼は一瞬考えた。 だが、主催者の言った『魔法』としか思えないような現象をこの会場に来て目の当たりにしているデュオはその可能性をすぐに否定した。 そもそも、自分のような機械に詳しい者がいるとわかっている以上、解析されたらあっさり解除――なんてチャチな首輪など作らないはずだ。 この殺し合いを進めることができるのは一重にこの首輪の拘束力の恩恵である。 当然それを解除しようと考える者は出てくるだろうし、死者から首輪を奪うことも想定はしているだろう。 それも、これは「魔法を金で買った」など最初から声高々に叫ぶ男が開催しているゲームだ。 この首輪が主催者の言った『魔法』とやらの力を持っている可能性はおおいにあり得る。 (魔法だとか…超能力だとか…よくわんねえけど…) デュオには魔法・魔術・超能力、そういった類の知識は確かにない。 だが、彼には科学のもたらした機械や技術に関する卓越した知識がある。 彼の世界で未知なるものは考えてもわからないだろう。 しかし、首輪をあくまで「機械」として捉えるとしたらどうだろうか? 宇宙開発の進んだ未来における工作員としての知識を持つデュオの右に出る者は、おそらくこの会場でも数人いるかいないほどであろう。 (要はこいつはタダの「機械」なんだろう…!) デュオは『魔法』の存在を完全に度外視して、首輪を自分の知る世界での常識を基準に判断することにした。 円形の首輪をゆっくり回したり、触ったり、目との距離を変えながら、彼は首輪を観察する。 サイズは、横幅5mm、縦幅が1cmほど…といったところだろうか。 その形はこれ以上ないほど綺麗な正円形に見える。 もっとも、人の目は錯視といった現象もあることを考慮すると、正確に測ってみなければ断定はできないが。 材質は見た目と手触りから金属に思える。 だが重量はとても軽く、なるほどこれなら参加者の首に余計な肉体的な圧力をかけずに済むなと、納得できるほどである。 一通り首輪の外観を観察し終えたデュオは、次に首輪の中身について思考する。 首輪には溶接の跡はまったく見られない。 重さも均一で、どこに何が入っているかも全く想像がつかない。 いや――あるいはこの軽さだ、中身が空っぽと言われても不思議ではない。 ICチップなどの情報端末が入っているのならばまだ頷けるが、これが人を殺すための爆薬を中に秘めているとは到底思えない―― やはり、そこは『魔法』とやらの力か。 そこまで考えたデュオだが、エレベーターから降りてきた式の姿を確認したきり、首輪の考察は一旦途絶えた。 ◇ パネルにはめ込められた「10」の文字が点灯するとほぼ同時に、目前の扉が開く。 扉から出るとすぐに左折し、エレベーターのあるスペースを半周する形で逆の通路へと向かう。 そこにあるものは小川マンション最上階の西塔――すなわち、荒耶宋蓮がかつて両儀式を監禁した場所――だ。 式は西塔一帯を使われたその部屋へと足を踏みいれる。 「やっぱり、そう簡単にはいかないよな―――」 そこには式がかつて見た光景はない。 その部屋は空――ただのがらんどうの空間だった。 だが、薄暗い空っぽの部屋の中央で密かに輝く魔方陣を式は見逃さなかった。 「いくらなんでも、わかりやすすぎだろ、これ―――」 式は床に書かれた魔方陣に向かって短剣を突き刺す。 死の線を捉えられた上、魔術破戒の宝具に突かれた魔方陣は輝きを失う。 それを確認した式は、気だるく歩きながらエレベーターへと戻った。 ◇ 式が考えたことは単純だった。 荒耶宗蓮が、この殺し合いの根底に関わっているのかもしれないという前提。 それを確かめるために、自分がかつて監禁されていたマンションの最上階へ向かった。 ギャンブルルームの設置という前例からも、このマンションが本来とは違う形であることはわかっていた。 ならば、工房として機能していたあの空間もなんらかの手が加えられている可能性は否めない。 そしてその想像通り、最上階は工房の面影は微塵もない代わりに、魔法陣が仕掛けられていた。 あれがどのような効果をもたらすものかは式は知らないが、あの場所に魔法陣があったという事実さえ知れば彼女にとってはどうでもよいこととも言えた。 荒耶宗蓮がこの殺し合いの根底に関わっている――― この予測が式の中で、ほぼ確信へと変わったのだから。 そして、その確信が新たな推測を引き出す。 荒耶は以前は小川マンションを結界とした。 そこで人々の最後の一日を繰り返すという実験を行っていた。 それはすなわち、自身の結界内でのあらゆる死の観察であった。 ――この殺し合いもまったく同じ。 ささいな条件は違えど、この殺しあいも本質は似たような状況である。 あのマンションを自分の体内のように扱えた魔術師だ。 この会場も似たように自分の結界で作り上げているに違いない。 しかし―― 「敵のアジト」と称された小川マンション、その最上階にあった魔法陣。 それに式の直死の魔眼に課せられた制限。 ――あまりに上手く出来すぎだ。 あまりに自身に気づけと言わんばかりの仕掛け。 過去に倒したはずが、この殺し合いに参加している荒耶宋蓮。 あるいは荒耶自身はただの材料にすぎないのかもしれない。 だとすれば、彼をも傀儡としている存在がこの殺し合いにはいる―― 懸念することはまだまだあるようだ。 だが、荒耶が殺し合いの根幹に関わっていることと、この会場のカラクリは確信した。 ならば、前と同じように、結界を破り荒耶を再び殺すのみだ。 ◇ 「おう、式。戻ってきたか」 その言葉に式は目線で返し、そのままマンションへの出入り口向かって歩く。 デュオも式のその冷淡な態度には慣れてきたのか、そのまま式を追いかけ歩いて行く。 「ところで、あの首輪、見た感じさっぱりだったぜ」 「ああ、そうだろうな」 さもそれが当然のように式は言う。 「って、それどういうことだ?」 「ああ、あれは『視えにくい』ように細工されてるんだ。おそらく、目だけじゃなく、他の五感にもな」 「それも例の魔法とやらか?」 それに式は首肯で返した。 「ハハッ、そりゃあ、お手あげだな」 デュオは頭をかく動作をしながら、自嘲気味に言った。 「いや、そうでもないみたいだ」 「ハァ!?どういう意味だ」 式はその問いには答えずに、早々とバイクに乗り込む。 「時間はまだ十分あるみたいだな。『神様に祈る場所』に寄っていってくれ」 デュオは式のペースにやれやれと思いながらも、彼女の意向に同意する。 まだ放送まで時間は十分ある。 その時間で他の施設を探索しておくのも良いだろう。 それに彼女はこの『敵のアジト』のことを知っていた。 あるいは、何かこの殺し合いの手掛かりを得た上で、次の目的地を決めたのかもしれない。 彼女にその意を聞いても答えてくれない性分であることを理解していたデュオは、それを無理に聞くよりも彼女と行動して引き出す方が得策だと考えた。 「ああ、わかったぜ」 式とデュオを乗せたバイクは、『神様に祈る場所』へ向かって走り出した。 ◇ それは、原初の、あるいは終わりの白い風景。 そこには見慣れた、普遍を形にしたような彼が立っていた。 ――長い、静寂。 ゆっくりと、白く広がる夜の果てを見つめた。 そう、彼は限りなく普通であるがゆえ――― 誰も深く彼のことを理解しようとはしない。 誰にも嫌われないかわりに、誰も惹きつけることもない。 幸せの結晶の様な彼。 なら、ひとりきりなのは、果たしてどちらであったのだろうか? 「あたりまえのように生きて、あたりまえのように死ぬのね」 ああ、それは――― 「なんて、孤独―――」 終わりのない、始まりさえない闇を見つめて。 別れを告げるように、■■■はそう言った。 ◇ 「着いたぜ、式」 声が聞こえる。 数時間前に出会ったデュオ・マックスウェルと名乗る男の声だ。 眼前には教会と思しき建物がぼやけて見える。 どうやら、私は眠っていたみたいだ。 ここに来て薄々感づいてはいたけど、直死の魔眼を使用すると普段よりも少し疲労する。 さっきの魔法陣を視た際に一気に負荷がかかったのかもしれない。 気づかないうちに眠っていたようだ。 幸いなのは隣にいたのが、この陽気な男であったことか。 今はその巡り合わせに少しだけ感謝しよう。 教会の扉の隙間から漏れる赤い液体。 それが血であることは、何よりも「死」を識っている私にはわかってしまった。 そして、それが誰のものか、私はよくわかっている。 その血の匂いはずっと忘れたことのない――― 「ああ――。死んだのか、おまえ」 無気力に呟いて、私は扉を開ける。 そこには予想通り、あいつの姿があった。 なまじ、死を識っているからこそ、わかってしまった。 もう、あいつは死んでいるんだって。生きていることなんてない。 流れた血液はまだ乾ききっていない。 おそらく、あいつが斬られたのは数十分前のことなんだろう。 ――ああ。 こんなに身近で、こんなに近い時間で―― ――私はあいつを失ったんだ。 ◇ 「よかったのか?」 「ああ――」 式とデュオが神様に祈る場所にいたのは時間にして数十分程度だった。 デュオに関しては、教会内に立ち入ることもせず、外で見張りをしているだけだった。 それというのも、冷静で身内のことも一切話さなかった式が黒髪の青年の死体を見た瞬間、彼女がまるで生気をなくしていくように感じたからである。 もとより、彼女の素性も何も知らないデュオには彼女を励ますなどという考えが浮かぶはずもなく、黙って身を引き、彼女に教会の探索を任せたのである。 その後、式は教会の中で死んでいたという他の参加者の首輪を2つ持って出てきた。 式の知り合いを含め、教会の中の死体はカーテンを被せるだけで済ませたという。 「どちらにせよ、目的の物は殺してきた。あいつが見つけたんだろうな…。おかげで、視えやすかったぜ」 教会にあった魔法陣。 それは普通にしていれば気づれぬよう、魔法陣自体に認識されにくい結界が施されていた。 だが、探すことにかけては天賦の才を持つ青年は、それをなんなく発見した。 それもそのはず、彼は人除けの結界をもろともせずに、とある魔術師に雇ってもらったという経歴を持つ者なのだから。 そして、その人除けの魔術は一度誰かに認識されてしまうと意味を為さないという制限つきだった。 ゆえに、式はその魔法陣を容易に発見し、破壊することもできたのだ。 「なあ、そろそろ教えてくれないか?何か、気付いてるんだろう?」 バイクは森を抜け、政庁らしき建物が見えた地点で停止する。 「ああ、そうだな。お前らがこの殺し合いを止めるって言うんなら…。いいぜ、教えてやる。その代わり―――」 式はD6駅のある方角とは反対方向の空を睨み呟いた。 「――――独りにさせてくれ」 ◇ かつて両儀式と対峙した荒耶宗蓮。 彼は小川マンションという結界内で住人達に最期の一日を繰り返させることで、死に関する実験を行っていた。 その果てに両儀式の体を乗っ取ることで、己の目的を成し遂げようとした。 だが、その理由さえとうに忘れた観念に取りつかれた魔術師は、両儀式がその手で殺した。 ――はずなのだが。 この殺し合いに参加し、この殺し合いの舞台を作り上げている本人である可能性が高いというのだ。 それも、彼は結界に特化した魔術師で、この殺し合いの舞台は結界を複雑に積み重ね作り上げているものだと式は予測している。 その確信に至った理由は、彼女が小川マンションで監禁された際にいた場所に魔法陣があったから――だという。 どちらにせよ、その魔法陣がこの舞台に何らかの効果をもたらしている可能性は高いので、それを壊していけばあるいは突破口が見えるかもしれない。 以上がデュオが式から得たおおまかな情報である。 その真偽を判断できるほどの知識はデュオにはなかった。 だが、式の能力の片鱗や、やけに達観している性分、さらに式が意味もなく嘘をつくような人間に思えないことから、デュオはその話をおおむね信じることにした。 「しかし、あいつ…。まさか殺しあいに乗ったりしねえだろうな」 自分を殺人鬼だと称したり、冷淡な彼女をして動じさせるほどの仲の者の死体を見ているなど、式にはまだ解りかねている部分も多い。 だがそれを言うなら、こちらも名前以外はほとんど情報を与えていない。 むしろ、それでこの数時間を共に過ごせたことがおかしいと思えるぐらいだ。 「とりあえずはD6駅でセイバー達と合流と行きたいが…、そう上手く行きそうもねえなあ」 まだD6駅から少々距離がある地点にはいるものの、響き渡る轟音や、周辺の民家が壊れているところを見れば、駅周辺で何かが起こったことは容易に想像がつく。 このままD6駅に行って、セイバー達と合流出来ずに、化け物のような参加者に襲われてしまっては笑いごとではすまない。 「さあて、どうしようか…」 【D5/北東/一日目/昼】 【デュオ・マックスウェル@新機動戦記ガンダムW】 [状態]:健康 [服装]:牧師のような黒ずくめの服 [装備]:フェイファー・ツェリザカ(弾数5/5)@現実、15.24mm専用予備弾×93@現実、 BMC RR1200@コードギアス 反逆のルルーシュR2 [道具]:基本支給品一式×2、デスサイズのパーツ@新機動戦記ガンダムW、メイド服@けいおん! 、首輪×2 [思考] 基本:なるべく殺したくはない。が、死にたくもない。 0:どうしようか…。 1:D-6の駅に正午までに戻り、セイバー達と合流する。 2:荒耶宋蓮に警戒。 3:明智光秀、平沢憂には用心する。 4:首輪の解析は現状の段階ではお手上げ。 5:デスサイズはどこかにないものか。 [備考] ※参戦時期は一応17話以降で設定。ゼクスのことはOZの将校だと認識している。 正確にどの時期かは後の書き手さんにお任せします。 ※A-5の敵のアジトが小川マンションであると分かりました。 ※以下の情報を式から聞きました。 ・荒耶が殺し合いの根幹に関わっている可能性が高い。 ・施設に点在している魔法陣が殺し合いの舞台になんらかの作用があるかもしれない。 ・首輪にはなんらかの視覚を始めとした五感に対する細工が施されてあるかもしれない。 ◇ ―――きみがいて、わらっているだけで、幸せだった。 人は一生に必ず一度だけ人を殺す。 自分自身を最後に死なせるために、一度だけその権利がある。 人は、一人分しか人生の価値を受け持てない。 いつかの教えが私の頭の中で木霊する。 人を殺せるのはただ一度だけ。 そこから先はもう意味のない事になる。 たった一度きりの死は、大切なものなんだ。 誰かを殺してそれを使いきった者は、永遠に、自分を殺してあげることができない。 人間として、死ねないんだ ―――きみがいて、あるいているだけで、嬉しかった。 私が人を殺した時――私は自分を殺せなくなった。 私は独りきりでの死を、淋しい空っぽの葬列を迎えないといかなくなってしまったんだ。 …でもかまわない。 言ったろ、君のかわりに背負ってやるって でも、あいつはそう言ってくれた。 私が死ぬまで、私が死ぬ時まで、決して独りきりにしないように。 私を許さないと―――― ―――それはほんとうに。 夢のような、日々でした。 あいつが私の死を受け持ってくれるからこそ、私はあの日々に融けることが許された。 まほろばのような、幻想のような、そんな幸せな日々に。 だけど、あいつはその約束を破って、私の知らないところで勝手に死んだんだ。 私が殺人鬼になることなく、幸せな日常へと留めさせてくれたあいつは―――もういない。 「これじゃあ、後戻りだな」 あいつを殺して、許されない幻想をこの手で殺そうとしていた頃と。 殺人でしか生の実感を得られないと信じていた頃と。 そう――― ――あいつがいないのなら、もう、生きていく意味なんてなくなってしまったんだ。 「幹也。お前を―――許さない―――」 そう呟いて、私はあいつのために使うと決めていた涙を流した。 宝石のような小さな粒が落ちていく。 今はもう叶わぬ未来の中へ。 【D5/草原/一日目/昼】 【両儀式@空の境界】 [状態]:健康 [服装]:私服の紬 [装備]:ルールブレイカー@Fate/stay night [道具]:基本支給品一式、首輪、ランダム支給品0~1 [思考] 0:幹也。君を許さない――― 1:とりあえず今は1人でいたい。 2:荒耶がこの殺し合いに関わっているかもしれないとほぼ確信。 3:荒耶が施したと思われる会場の結界を壊す。 4:光秀と荒耶に出会ったら、その時は殺す。 5:首輪は出来るなら外したい。 [補足] ※首輪には、首輪自体の死が視え難くなる細工がしてあるか、もしくは己の魔眼を弱める細工がしてあるかのどちらかと考えています。 ※荒耶が生きていることに関しては、それ程気に留めてはいません。 しかし、彼が殺し合いに何かしらの形で関わっているのではないかと、確信しています。 ※藤乃は殺し合いには乗っていないと思っています。 ※A-5の敵のアジトが小川マンションであると分かりました ※以下の仮説を立てています。 ・荒耶が殺し合いの根幹に関わっていて、会場にあらゆる魔術を施している。 ・施設に点在している魔法陣が殺し合いの舞台になんらかの作用がある。 ・上の二つがあまりに自分に気付かせんとされていたこと自体に対しても疑念を抱いている。 ・首輪にはなんらかの視覚を始めとした五感に対する細工が施されてある。 時系列順で読む Back その絆に用がある Next ひたぎクラブ/とうまブレイク/■■■アーチャー/???ウィッチ 投下順で読む Back その絆に用がある Next 協議の果てに迷える戦士達 124 狂気の拠り所 デュオ・マックスウェル 170 君のいない道を行く 124 狂気の拠り所 両儀式 170 君のいない道を行く
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. 【作品名】 ワールドミーツワールド 【名前】河東稀人 【属性】パーソナルジーザス 域外者(アウトサイダー) 拷問職人(ペインアーティザン) 【大きさ】高校生並 【攻撃力】高校生並 【防御力】高校生並 【素早さ】常人よりは少しマシ程度の高校生並 エントリー状態では負傷しているので反応が鈍い 【特殊能力】第一~第七拷問器械(ペインアート)の監督者(ビショップ)達を実体化させ使役できる 別テンプレ参照 それぞれは両手の指に対応しており、指を封じられると発動する事が出来ない 【長所】頭数が多い 魂への攻撃であること 【短所】本体が常人 生命体以外には無力 指を封じられると無力 エントリー状態では右肩を撃ちぬかれた負傷状態なので戦闘可能時間は数十分~一時間程度と思われる 【指針】戦力を平たく言えば、銃弾対応反応で魂を攻撃し滅ぼせる常人で、生命体・形而的なもの以外からの攻撃は防御不可 【名前】ドゥベ メラク フェクダ メグレス アリオト ミザール アルカイド 【属性】第一~第七拷問器械(ペインアート)の監督者(ビショップ) 仮想人格 河東稀人の存在の一部 【大きさ】人間大 【攻撃力】睨むだけで対象の魂を攻撃し存在死(ロスト)させる 存在死とはただの死ではなく無であり、どんなことをしても生き返ることができない存在の終焉である 射程は接近する車の運転手を殺して激突させて避けているので10数mはあると思われる 【防御力】詳細は不明だが、壁をぶち抜いて飛んでくる狙撃を素手で弾ける程度はある 本体へのフィードバックはダメージを受けたことがない為判らないが、 本体が負傷していても監督者たちには影響がなかったためおそらくないと思われる 【素早さ】どの方向から来るかはっきりとは分からない、銃弾と同等の速さがあると思われる狙撃に反応して本体を守れる 【特殊能力】実体化せず本体の中に居る時には精神、存在への攻撃から本体を守れる 本体の危機の際はそれぞれの独自の判断で実体化して守ることが可能 【長所】それなりの反応 魂攻撃 【短所】場所によって実体化できる人数が変わる(人口に比例?) 新宿では七人全員呼び出せる 影響を及ぼせるのは生命体もしくは形而的(メタフィジカル)なものに対してのみで無機質に対しては無力 (形而的なものというのは作中描写から推測するになんらかの見立てを用いられたものであると思われる) 【備考】行動可能範囲はそれぞれをバラバラに東京の七都市に派遣できる程度はある 数十m程度先に実体化可能 9スレ目 761 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2006/02/15(水) 23 00 47 ID PUqokPFh 河東が戦闘開始前に実体化させられるのは一体までと考えて、再考察。 坂上闘真>アンジェラ>両儀式>アクシア>アレクシオ>アラキ>藤乃静留>リミット>伊藤惣太>天目一個>駒犬銀之介 ○駒犬銀之介 殴られる前に睨み勝ち。 ×天目一個 存在死させられない、斬られて負け。 ○リミット 存在死を防げない。睨み勝ち。 ○藤乃静留 召還される前に睨む。 ○アラキ 攻撃される前に睨む。 ×アレクシオ 素早さで負けてる。 ○アクシア 攻撃される前に睨める。 ×式 素早さで負けてる。 ×アンジェラ 素早さで負けてる。 ×坂上闘真 素早さで負けてる。 式の下ぐらいか。 762 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2006/02/15(水) 23 10 41 ID SpKInvgL 自分もやったんで貼っとく。 河東稀人再考察。最初から実体化できるのはドゥベ1体のみとして考察。 イリス>坂上闘真>アンジェラ>両儀式>アクシア>アレクシオ>アラキ 藤乃静留>リミット>伊藤惣太>天目一個>駒犬銀之介 ○イリス :おそらくドゥベには相手の圧迫感は効かない。反応で勝り、存在死で勝ち。 ×坂上闘真 :ドゥベが存在死する隙もなく倒される。そのまま負け。 ×アンジェラ :ロボットなので存在死が効かない。近接戦闘でも圧倒される。負け。 ×両儀式 :ドゥベが存在死する隙もなく倒される。そのまま負け。 ○アクシア :反応で勝り、存在死で勝ち。 △~×アレクシオ:反応は五分。存在死と炎弾の爆風で河東本人が相打ちになるので分け。 相手が初手に空間転移を使った場合、捕捉する事ができなくなり河東本人を攻撃されて負け。 ○アラキ :反応は五分。だがおそらくドゥベには相手の催眠術は効かない。存在死で勝ち。 ×藤乃静留 :反応で劣り、胞子散布で相手の位置が特定できなくなって存在死ができなくなる。 そのまま清姫に潰されて負け。 ○リミット :反応で勝り、存在死で勝ち。 ○伊藤惣太 :反応では劣るが、相手の攻撃は手榴弾以外はドゥベが防御してくれるだろう。 相手の精神防御も存在死には耐えられないだろう。勝ち。 バイクなかったら負けてたかもしれん。つーか負けてる。 ?天目一個 :相手には存在死が効かない。近づかれる前に数で押せるか? ○駒犬銀之介 :反応は五分。近づかれる前に存在死で勝ち。 これより下は反応速度差で圧勝。 アレクシオが戦法通りに戦うのなら、式>河東稀人>アクシア。 アレクシオが回避重視で戦うとするならば、アクシア=アレクシオ=河東稀人の三竦み。 763 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2006/02/15(水) 23 13 05 ID 7LYdlna5 761 素早さからして藤乃静留の召喚のが早いだろう。 765 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2006/02/15(水) 23 59 03 ID TsoXDA/P アクシア=アレクシオ=河東稀人で決まりか。 まとめにある四条雄一郎を再考察してみようと思ったが。 曖昧な点が多すぎるな。 766 名前:762 投稿日:2006/02/16(木) 00 05 55 ID qFEHN9dh 765 アレクは攻撃と同時に転移ってテンプレに書いてあった。 考察するんなら正確にな>自分orz あと四条は原作読んでる人がテンプレを再度書き起こさないとどうしようもないと思われ。 7スレ目 788 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/12/14(水) 21 31 12 ID 9uxQ0AJg 河東稀人の考察。 坂上闘真>両儀式>アクシア>アレクシオ>リミット>レオン>伊藤惣太 天目一個>柿原里緒>浅上藤乃>四条雄一郎>中村久秀>海坊主 ○坂上闘真 :睨んで対象の魂を攻撃し存在死(ロスト)させて勝ち。 ○両儀式 :同上。 ○アクシア :ドゥベ等七人分の距離を取るようなので、相手の初手は防げる。 後は魂を攻撃し存在死(ロスト)させて勝ち。 ○アレクシオ:睨んで対象の魂を攻撃し存在死(ロスト)させて勝ち。 ○リミット :同上。 ×レオン :相手に攻撃が効かない。レーザー負け。 ○伊藤惣太 :睨んで対象の魂を攻撃し存在死(ロスト)させて勝ち。 ×天目一個 :相手に攻撃が効かない。斬られて負け。 ○柿原里緒 :睨んで対象の魂を攻撃し存在死(ロスト)させて勝ち。 ○浅上藤乃 :同上。 ○四条雄一郎:同上。 ○中村久秀 :同上。 ×海坊主 :相手に攻撃が効かない。レーザー負け。 ×迷惑な国 :同上。 恐らくレッドドラゴン辺りまで行ける気がする。その上の、 ゼロタイプ>ガクセイバー>凄王 には恐らく連敗して、 ダイクロフト>ベヘモス>プルートゥ> にも連敗するので、 791 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/12/15(木) 00 55 54 ID 3Tt6RVEr 788の河東稀人の考察についてツッコミ。 ビショップたちは最初に命令が無くてもオートで河東を防御するのか? でなけりゃビショップたちの防御行動は河東の反応した後になると思うぞ。 【特殊能力】それぞれは両手の指に対応しており、指を封じられると発動する事が出来ない。 ってテンプレにもあるんだから河東本人が「自分を守れ」と命令しなきゃ、 ビショップたちは動かないと思うんだがどうよ? 792 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/12/15(木) 00 58 22 ID QmDO+dLR 791 テンプレの↓にこう書いてある。 2スレ目 742 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/07/15(金) 19 17 08 ID GScwwSdv 730 ドゥベ等七人は河東稀人の一部。 稀人本人は七人が使えるという以外どうしようもなく常人。ぶっちゃけ何も出来ない。 ドゥベ等七人は稀人の指が封じられていなければ命令を出さなくても独自の判断で実体化・行動可能 (条件によって稼動可能人数は変わる) 稀人が負傷して朦朧としている状態でも狙撃を防御したり敵を倒してくれたりする。 793 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/12/15(木) 01 07 38 ID 9rUumqhG 戦闘開始前に召喚するんなら一体じゃないの? 七体召喚するなら戦闘開始後に稀人の反応に応じて召喚でしょ。 795 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/12/15(木) 01 47 42 ID 3Tt6RVEr 792thx. 自分も今確認した。適当なこと言ってすまん>考察した人 ただ魂攻撃の射程が十数mしかない、ビショップの移動速度は特に描写が無いので達人並みとして、 それを含めて巨大生物3体を考察。 ○マリア :ビショップが近づく前にはガーガに飛行、バルグイーリーに金縛りにされるが、 【備考】(ビショップは)数十m程度先に実体化可能。(自身で出来るのか、河東の命令で出来るのか不明) で近づいて、マリアの転移発動前には魂攻撃できるだろう。勝ち。 ○レッドドラゴン :その場で魂攻撃。勝ち。 ?ゾーラギ :相手の反応の方が上。稲妻の溜め時間に割り込んで遠距離実体化、魂攻撃が出来れば勝ち。 出来なければ負け。 中の人が見えないロボット・戦艦系には魂攻撃できないのであとの考察はいいかと。 793そうなると坂上、式にはビショップがやられたあとそのまま負けか。 まぁ、アクシアはビショップの反応が素で勝っているのでそのまま魂攻撃勝ち。 アレクシオからの考察はそのまま流用できるだろう。 位置はゾーラギとの結果次第じゃないか? 801 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/12/15(木) 15 46 43 ID fjVEiAV4 793 自分の存在の一部でも召喚扱いなのかな? 戦闘開始時にもちゃんとビショップ分の距離取ってるし。 902 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/12/19(月) 01 32 31 ID UteOiEHH 795 位置はゾーラギとの結果次第じゃないか? 接近して攻撃前にゾーラギには稲妻出されて 河東稀人殺されて負けだろうと思う。一瞬身震いするだけのゾーラギに対し、 ドゥベは非実体化→接近→実体化→睨むと段階がある上に反応はゾーラギのが有利。 ゾーラギ>河東稀人>レッドドラゴン ここかな? 792 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/12/15(木) 00 58 22 ID QmDO+dLR 791 テンプレの↓にこう書いてある。 2スレ目 742 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/07/15(金) 19 17 08 ID GScwwSdv 730 ドゥベ等七人は河東稀人の一部。 稀人本人は七人が使えるという以外どうしようもなく常人。ぶっちゃけ何も出来ない。 ドゥベ等七人は稀人の指が封じられていなければ命令を出さなくても独自の判断で実体化・行動可能 (条件によって稼動可能人数は変わる) 稀人が負傷して朦朧としている状態でも狙撃を防御したり敵を倒してくれたりする。 793 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/12/15(木) 01 07 38 ID 9rUumqhG 戦闘開始前に召喚するんなら一体じゃないの? 七体召喚するなら戦闘開始後に稀人の反応に応じて召喚でしょ。 795 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/12/15(木) 01 47 42 ID 3Tt6RVEr 792thx. 自分も今確認した。適当なこと言ってすまん>考察した人 ただ魂攻撃の射程が十数mしかない、ビショップの移動速度は特に描写が無いので達人並みとして、 それを含めて巨大生物3体を考察。 ○マリア :ビショップが近づく前にはガーガに飛行、バルグイーリーに金縛りにされるが、 【備考】(ビショップは)数十m程度先に実体化可能。(自身で出来るのか、河東の命令で出来るのか不明) で近づいて、マリアの転移発動前には魂攻撃できるだろう。勝ち。 ○レッドドラゴン :その場で魂攻撃。勝ち。 ?ゾーラギ :相手の反応の方が上。稲妻の溜め時間に割り込んで遠距離実体化、魂攻撃が出来れば勝ち。 出来なければ負け。 中の人が見えないロボット・戦艦系には魂攻撃できないのであとの考察はいいかと。 793そうなると坂上、式にはビショップがやられたあとそのまま負けか。 まぁ、アクシアはビショップの反応が素で勝っているのでそのまま魂攻撃勝ち。 アレクシオからの考察はそのまま流用できるだろう。 位置はゾーラギとの結果次第じゃないか? 902 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/12/19(月) 01 32 31 ID UteOiEHH 795 位置はゾーラギとの結果次第じゃないか? 接近して攻撃前にゾーラギには稲妻出されて 河東稀人殺されて負けだろうと思う。一瞬身震いするだけのゾーラギに対し、 ドゥベは非実体化→接近→実体化→睨むと段階がある上に反応はゾーラギのが有利。 ゾーラギ>河東稀人>レッドドラゴン ここかな? 903 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/12/19(月) 01 38 28 ID UteOiEHH と思ったが、坂上と式に負けるから、式>河東稀人>アクシア こうか? それとも最初から実体化してあるビショップは1体だけに修正されるまで保留にしとく? 904 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/12/19(月) 01 50 32 ID UteOiEHH 連レスすまんが 801の言うように自分の存在の一部だから一緒に7体出しててOKなのかな? 白面の者の尻尾である、シュムナ、あやかし、とわこ、くらぎ、とかそんな感じか。 905 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/12/19(月) 02 19 34 ID n/RcZDJ5 分身・分裂などは戦闘開始後に行われるわけだし、自分の存在の一部も同様に戦闘開始後に展開じゃない? 906 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/12/19(月) 02 27 24 ID UteOiEHH 個人的に群体型のスタンドみたいのなら普通にありだと思うんだがな。 重ちーのハーヴェスト500体とか刑兆のバッドカンパニー1個中隊とか。 第一~第七拷問器械についてはよくわからんのでなんとも言え無いが。 907 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/12/19(月) 05 59 53 ID lh0xYbzm 無意識に通常働いてるスタンドとかならともかく。意識して使う系統のはだめでしょきっと。 908 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/12/19(月) 12 15 07 ID hc/jDAAp 最初から1体召喚しておいた場合だとドゥベのほうが主体になるから追加召喚は不可とかいうルールなかった? 909 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/12/19(月) 12 19 19 ID UteOiEHH 908 ある。ガッシュとかと同じだね。 戦績 2スレ目 742 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/07/15(金) 19 17 08 ID GScwwSdv 730 ドゥベ等七人は河東稀人の一部。 稀人本人は七人が使えるという以外どうしようもなく常人。ぶっちゃけ何も出来ない。 ドゥベ等七人は稀人の指が封じられていなければ命令を出さなくても独自の判断で実体化・行動可能 (条件によって稼動可能人数は変わる) 稀人が負傷して朦朧としている状態でも狙撃を防御したり敵を倒してくれたりする。 745 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/07/15(金) 19 58 19 ID FW9vdshb 742 銃撃対応可能で自律攻撃なら 【攻撃力】魂を攻撃し存在死(ロスト)させる これの発動速度にかかってる。 無動作・即時なら夢幻、程穫、藤乃、無縁にはまず勝てる。 ただ、ロボットとかの機械系に全然通用しないのが痛い・・・ 両儀式>ライナ>浅上藤乃>海坊主>中村久秀>レオン>レプトネーター>人飼無縁 式→××○×○××○←無縁(これより下は圧勝っぽい) レプトネーター>河東稀人>人飼無縁 ここか? 750 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/07/15(金) 20 43 45 ID FW9vdshb 747 うーむ。 蘭堂翔太>アクシア>カイルロッド>ヘルパート>夢幻>程穫>プルートゥ (これより上は厳しい)蘭堂→×○○○○○×←プルートゥ vsアリス・・・開始距離の関係で、能力射程外からパンチで瞬殺負け vsゾーラギ・・・能力射程外から稲妻で負け 蘭堂→×○○○○○×××←ゾーラギ 式→××○×○××○←無縁(これより下は圧勝っぽい) 5連敗した後に5連勝というアンバランス・・・ 719 名前:イラストに騙された名無しさん 投稿日:2005/07/14(木) 22 49 24 ID +bdVYDtU 河東稀人の考察。 ミーシャ>変異体>蘭堂翔太>アクシア>カイルロッド>ヘルパート 浅上藤乃>夢幻>程穫>海坊主>中村久秀 vs中村久秀 接近される前に殺せる。勝ち vs海坊主 ロボットに魂は無い。負け vs程穫 時間を止められる。負け vs夢幻 魔獣の物量に圧倒される。負け vs浅上藤乃 初撃で瞬殺。負け vsヘルパート 双方防御が硬い。分け vsカイルロッド 初撃で瞬殺。負け vs蘭堂翔太 反応・速度共に相手が上。負け vs変異体 変異体に魂は有るのか? 負け? vsミーシャ 「刃の豪雨」を防御不可能。負け 結局反応と速度の差(それぞれは両手の指に対応しておりってのがイタイ)で 海坊主>河東稀人>中村久秀 っぽいな。 .
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アメリカ大陸を目指し走り続けるクーガー。 「そうだ俺がもっと速ければ、こんな事にはならなかった!」 彼のの言うこんな事とはかなみが死んだ事でもあり、劉鳳が死んだ事でもあり 両儀式、ギルガメッシュ、海馬瀬人が洗脳され殺された事でもあり ハクがミクトランに付いていってしまった事でもあり カズマが死んでしまった事でもあった。 「オイアンタガ、ストレイト・クーガーカ?」 だがそんなクーガの前に立ちふさがる男がいた 「誰だ貴様は!」 「オレハ、セカイサイソクノオトコ、ウサイン・ボルト」 「なに!」 それを言うが早いか、ボルトがクーガーを蹴り飛ばす。 「オイオイ、ソンナ二トロイノカ、クーガー?」 失望したと、言わんばかりに呟くボルト。だが次の瞬間 「俺が遅いか……否定はしない だからこそ俺は今の速さを超えた速さを手に入れる!!」 「ナニ!」 ボルトはクーガーの蹴りを食らう。 「ガハァ」 「行くぞ!ナルト!」 「ボルトダ……」 ヨロヨロと立ちあがるボルト。だがその顔は笑みを浮かべていた。 「俺はお前を倒し、更なる速さを手に入れる!!」 「ソウコナクッチャナ!クーガー!!」 【一日目・午前11時50分/太平洋上/天候・晴れ】 【ストレイト・クーガー@スクライド】 【状態】疲労(小)、ダメージ(小) 【装備】ラディカル・グッドスピード 【道具】支給品一式、 スカイラインGTR(アルター化)@現実 【思考】 基本:世界を縮める!! 1:速さを磨く修行の旅に出る 2:ボルトを倒し更なる速さを手に入れる 3:バイクの男(プラシド)を警戒 ※7期から続投です 【ウサイン・ボルト@現実】 【状態】ダメージ(小) 【装備】なし 【道具】支給品一式 【思考】基本:速さを極める 1:クーガーを倒す
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【作品名】ストリートファイターゼロ 【ジャンル】漫画 【名前】リュウ 【属性】真の格闘家 殺意の波動の持ち主 【大きさ】成年男性並み 【攻撃力】波動拳 50m程度の爆発を起こす。射程数十M 真空竜巻旋風脚 都庁と同じくらいの高さの竜巻が起こる。 真・昇竜拳 200m程度の空中要塞を貫く。範囲十数m 【防御力】 ビルをガシガシ貫通するサイコクラッシャーをくらっても戦闘続行可能 50M程度の爆発で平気 300Mぐらいの爆発で生き残る(直後に戦闘可能かどうか不明) その数日後には決戦ができる。 【素早さ】マシンガンの弾を30CM無いぐらいの距離から回避可能 5m弱の距離で撃たれたマシンガンの弾一発一発の間を避けて突き進む。 それと同じ速度でクルーザー内を天井や壁関係無しに移動しているので 短距離移動速度も同じ程度。 【特殊能力】竜巻旋風脚で空飛べる (数十M程度) 【長所】速度 【短所】防御 1スレ 523 格無しさん sage 2007/07/16(月) 11 34 16 リュウ考察 ○レオン 真昇竜拳勝ち ○天道流珠菜 同上 ○シャナ 攻防差で勝ち ○タイムスイーパー 真昇竜拳勝ち ×高町なのは スターライトブレイカー負け なのは>リュウ>タイムスイーパー 2スレ 24 格無しさん sage 2007/07/19(木) 04 14 35 マシンガンの弾よけられるんだからもっと上いかないか? リュウ再考 ○高町なのは 真・昇竜拳勝ち ○蒼月潮 真・昇竜拳勝ち ○オーフェン 殴り殺せる ○両儀式 反応違う 勝ち ○K' 波動拳勝ち ○ヴァン 真・昇竜拳勝ち ○芥火ガンマ 波動拳連発勝ち ○上田虎之助 真・昇竜拳勝ち ○ゴジラ 真・昇竜拳勝ち ○ヴェイグ 波動拳勝ち ○アルベルト 波動拳勝ち ×山本大介 両断負け ×玄野計 内部破壊負け ×空条承太郎 時止め負け 山本大介>リュウ>アルベルト 26 格無しさん sage 2007/07/19(木) 04 27 48 24 トトを忘れてた ×トト 聖剣負け アルベルト=トト=リュウ
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◆LxH6hCs9JU氏 投下した作品 No. タイトル 登場人物 001 盤曲の台は食い違い インデックス、ヴィルヘルミナ・カルメル、フリアグネ 007 紅蓮への懇願 シャナ、櫛枝実乃梨、木下秀吉 046 凶る復讐心 浅上藤乃 047 朝比奈みくると土屋康太のバカテスト 朝比奈みくる、土屋康太 053 粗悪品共の舞踏会 アリソン・ウィッティングトン・シュルツ、シズ、キョン、メリッサ・マオ、リリアーヌ・アイカシア・コラソン・ウィッティングトン・シュルツ、相良宗介、フリアグネ、トラヴァス、坂井悠二 059 ユケムリトラベル(上) 人類五名温泉宿の旅ユケムリトラベル(下) 人類五名温泉宿の旅 朝倉涼子、師匠、北村祐作、筑摩小四郎、姫路瑞希、黒桐幹也 061 二輪車の乗り手 上条当麻、千鳥かなめ、シャナ、櫛枝実乃梨、木下秀吉 064 化語(バケガタリ) ガウルン、如月左衛門 067 超難易度(レベルベリーハード) 白井黒子、ティー、黒桐鮮花、クルツ・ウェーバー、土御門元春 083 ハラキリサイクル(上) 忍法・戯言破りハラキリサイクル(下) 忍法・神落とし 朧、涼宮ハルヒ、いーちゃん 085 箱――(白光) 玖渚友 089 ゆうじスネイク 坂井悠二、キョン 091 「葬儀の話」― Separation ― シズ 097 「続・ネコの話」― Destroy it! ― 白井黒子、ティー 098 アミとトレイズ〈そして二人は、〉 トレイズ、川嶋亜美 102 スキルエンカウンター(上) 古泉一樹の挑戦スキルエンカウンター(下) 古泉一樹の挑戦 水前寺邦博、須藤晶穂、御坂美琴、シャナ、古泉一樹 105 国語――(酷誤) 紫木一姫 106 愛憎起源 Certain Desire. ステイル=マグヌス、白純里緒、零崎人識 109 献身的な子羊は強者の知識を守る インデックス、テレサ・テスタロッサ 116 「謀反が起きた国」― BATTLE ROYAL IXA ― 朝倉涼子、師匠、浅上藤乃 120 しばるセンス・オブ・ロス リリアーヌ・アイカシア・コラソン・ウィッティングトン・シュルツ、相良宗介、フリアグネ、トラヴァス、両儀式 121 競ってられない三者鼎立? 千鳥かなめ、ガウルン、如月左衛門 123 問答無用のリユニオン 黒桐鮮花、クルツ・ウェーバー、白井黒子、ティー、浅羽直之、玖渚友 127 お・ん・なビースト~一匹チワワの川嶋さん~ 川嶋亜美 131 “幻想殺し”と黙する姫【レイディ】 上条当麻、姫路瑞希 136 ペルソナヘイズ(上) 少女には向かない職業ペルソナヘイズ(下) 少女には向かない職業 ヴィルヘルミナ・カルメル、逢坂大河、島田美波、テレサ・テスタロッサ、インデックス、シャナ、須藤晶穂、キノ 137 糸語(意図騙) 如月左衛門、紫木一姫 141 死線の寝室――(Access point) 坂井悠二、水前寺邦博、西東天 144 エンキリサイテル(上) 狩人vs.不知なるシズエンキリサイテル(下) 狩人vs.不知なるシズ シズ、伊里野加奈、フリアグネ、トラヴァス、両義式、黒桐鮮花、クルツ・ウェーバー、白井黒子、ティー、浅羽直之 149 キノとトレイズ〈そして二人は探しに行った〉 キノ、トレイズ 150 零崎人識の人間関係 涼宮ハルヒ、いーちゃん 158 「作戦会議」― IN Bennys ― 師匠、朝倉涼子、浅上藤乃 160 忘却のイグジスタンス リリアーヌ・アイカシア・コラソン・ウィッティングトン・シュルツ、相良宗介、クルツ・ウェーバー、黒桐鮮花 167 浅羽直之の人間関係【改】 浅羽直之 登場キャラ 4回 クルツ・ウェーバー、黒桐鮮花、シャナ、白井黒子、ティー、フリアグネ 3回 浅上藤乃、朝倉涼子、浅羽直之、インデックス、如月左衛門、坂井悠二、相良宗介、師匠、シズ、トラヴァス、リリアーヌ・アイカシア・コラソン・ウィッティングトン・シュルツ 2回 いーちゃん、ヴィルヘルミナ・カルメル、ガウルン、上条当麻、川嶋亜美、キノ、木下秀吉、キョン、櫛枝実乃梨、玖渚友、水前寺邦博、涼宮ハルヒ、須藤晶穂、千鳥かなめ、テレサ・テスタロッサ、トレイズ、姫路瑞希、紫木一姫、両儀式 1回 逢坂大河、朝比奈みくる、アリソン・ウィッティングトン・シュルツ、伊里野加奈、朧、北村祐作、古泉一樹、黒桐幹也、西東天、島田美波、白純里緒、ステイル=マグヌス、零崎人識、筑摩小四郎、土御門元春、土屋康太、御坂美琴、メリッサ・マオ コメント欄 記念すべき第一話☆インデックスはやっぱりインデックスで吹いたw -- 名無しさん (2009-06-01 23 45 31) 予想もしなかった、でも確かに面白い、ワクワクする、次が気になって仕方ない。そんな素晴らしいトスを正確に上げてくる職人芸の持ち主。 -- 名無しさん (2009-06-17 03 21 44) 予想をいい意味で裏切る構成が素晴らしい。キャラ一人一人が生き生きと描けている凄い人。 -- 名無しさん (2009-06-26 16 48 54) 非常にオールラウンダーの人。どんな展開もそのキャラらしく魅せてくれる。シャナ勢を書くのが上手く愛を感じる。 -- 名無しさん (2010-01-29 04 45 28) 名前 コメント
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万獣の詩 断章『セトの息子達』 第1話(前編) =─< 断章『セトの息子達』(上) >────────────────────────= 失敗したと思った時には、もうなにもかもが終わっていた。 望みを叶えるはずの圧倒的な力は、望みに反してあらゆるものを壊してしまった。 敵も味方も。 ぼくが壊したかったものも、ぼくが守りたかったものも。 たった一度の過ちで。 たった一度の過ちだったのに。 力を持って生まれて来た事は天恵の勅詔だと、全てのそうでない人々は言う。 才を持って生まれて来た事は運命の祝葉だと、全てのそうでない人々は言う。 自分と違う存在に向けられる、賞賛と恐怖の眼差し。 選ばれた存在に向けられる、羨望と嫉妬の眼差し。 だけどぼくは神様じゃない。 脆く儚い人の器に、この力はあまりにも重すぎる。 ぼくは別に何かの義憤に駆られて人間を皆殺しにしたいのではない。 ぼくは別にそこまでの欲望に駆られて山野を焦土に変えたいのではない。 ぼくは、普通でいたかった。 ぼくは、もっとささやかで当たり前のものが欲しかった。 ……こんな力。 ……こんな力さえ、なかったら。 しかし逃げることは許されない、ぼくの背には既に咎人としての十字架がある。 あの人の選んだ道。あの人の目指したもの。 その『プライド』に賭けて、証明してみせよう。 ――あまりにも大きすぎる力は、人を不幸にしかしないのか? ――破壊の力では、人を救う事はできないのか? 違う、と。 断じて違う、と。 …違う、違う。 違う違う違う違う違う違う違う違う違う!! ここに全てを捨てていく。 その決意のため、二度と同じ過ちを繰り返さず、『人を超えた人』になるために。 ぼくは超人。ぼくは正義の味方。ぼくは物語の救済者。 衆生に交わることなく、観測者であり第三者、だからこそ誰も傷つけない、 ……ぼくも傷つく事はない。 ぼくの名は。 =―<A-1 Lynne in 14 years ago AM 11 03 >──────────────────= 建物ン中に入った時から嫌な気配はしてたけどなぁ。 「こちらです」 部屋ン中に通された時ゃあ、思わず顔もしかめちまった。 「……酷ぇなこりゃ」 じっとりと淀んだ陰風、立ち込める瘴気。 ここまで酷くなりゃ、さすがにトーシロにも何かおかしいのが分かるみてぇだな、 母親だっていう後ろのヘビの嬢ちゃんも具合悪そうにしてやがる。 ……しっかしあれだ。 話は逸れるけど犯罪だよな、(ヘビなのに)26で10歳のガキの母親ってのは。 ガキがガキ産んでるようなモンじゃねーか、 噂にゃあ聞いてたが、想像以上にすげぇところだわ、このハーレムってのは。 つぅかロリか? この国の国王って? ……まぁそれよりもすげぇのが、目の前のこのガキなんだけどよ。 ほとんど骨と鱗だけに痩せこけてブツブツ、 ゴーカな寝台の背もたれに凭れ掛かったまま、誰も居ない空間に話しかけてやがる。 …まぁ本当は虚空にでなく、この世ならざるモノに対してなんだろうけどよ。 しっかしオレだって修行積んで術使わねぇと見られねーようなもんを、 こんな何の修行も積んでねぇヘビのガキんちょが普通に見れてるっつうこたぁ。 「……てめぇ、見鬼(けんき)か」 かけた言葉に応答なし。 チッ、こんな美人のおねーさんが声掛けてるっつのに、可愛げのねぇガキ。 ……ま、取り殺されかけてる今の状態じゃ、 答えを期待すんのも無理っちゃ無理なぁ話なんだが。 「ケン、キ?」 「よーするに『ミエルヒト』ってこった」 息を呑む母親を尻目に、オレは腰に手を当てて目の前のヘビのガキを睨みつける。 「ま、あんたらヘビが分かんねぇのも無理はねえな。 こういうのの専門は、昔から狐か獅子って相場が決まってんだし」 確かにまぁネコやトラ、ライオンの見鬼っつぅのはそこそこ珍しくもねぇんだが、 ヘビの見鬼ってのはオレも聞いた事がねぇ、初めて見た。 「おまけにこの様子じゃ、憑巫(よりまし)も入ってるってトコか?」 口笛だって吹くってもんだぜ。 【見鬼】の才も、【憑巫】の才も、 どっちも生来の魔力が高けりゃ同時に見につくような才能じゃねぇ。 偶然の恩恵か、何か特別な事情が必要な、 それをお前、二つ同時にだなんて、笑っちまうぞオイ。 「うはははははは、こりゃ洒落になんねえな」 試しに算命盤回してみた日にゃ、耐え切れずに本当にゲラゲラ笑っちまった。 「こいつ、とっくの昔に死んでるぞもう?」 「えっ、ええ!?」 何度占っても、命数0。 「つまりこいつ、もうとっくの昔に死んでなきゃおかしいってこった」 「そ、そんな……」 明らかにビビって狼狽するかあちゃんの動揺を、でもオレは見逃さない。 「ん~、奥さん、何か心当たりがあるアルネ~?」 「………!!」 ここら辺の話術はまぁ、商売用のテク。 詳しい事占えって言われたらちょっと手間ぁかかるが、 でも「いついつに大病して死に掛けた」ぐらいなら徴(しるし)もすぐ分かっからな。 あとはそういうのをキッカケにグッと信頼させた後、 値段交渉の時間ってわけよ。 ……最近はなんだ、機械だの魔科学だの、魔力がない奴にも使える道具、 そういうのが沢山出てきたせいかオレらロートルは肩身が狭くてね、 ネコみたいであれなんだか、オレみたいな「インチキ道士」は食ってけねぇわけよ。 哀しいけど、稼げる時には稼いで置かねぇとなぁ。豊かな老後の為にもさ。 …つか、酷いと思わねぇ? 実力は確かなのによ? ちょ~~っと女で、酒飲んで、男遊びが激しくて、博打もやって、肉や魚も食って、 三日に一度しか風呂に入んない、道服も一週間に一度しか洗濯しねぇだけで、 「インチキ道士」「ナマグサ道士」だなんて、お前ら方士道士に夢見すぎ。 日々精進潔斎して清廉潔白、霞食って生きろってか、バーカ。 ……ほらそこ! そこのオレが女ってだけで「インチキくせ~」とか思ってる奴や、 肉も酒も男もやるだけで「生臭だ~」って思ってる奴、お前らに言ってる! あのね、オレら獅子国の道士にとって大事なのは「陰陽合一」なの。 「陰陽合一」ってのは、陰氣と陽氣のバランスが整ってる事。 それさえ取れてりゃ、もう男女交合しようが肉や酒をかっ食らおうが別にいいワケ。 むしろ必要に応じて簡単に陰陽のバランスを崩したり戻したり出来て便利、 肉食って陰氣に傾いた後は、陽根受け入れて陽氣を取り入れれば、はい元通り。 身なりが小汚いのもカンケーねぇ、「陰陽」は「合一」してんだからな。 「はん……なるほど、つまりこいつは【鬼子】だ、あんた」 「お、おにこ…??」 だから腕はいいんだぜぇ腕は? 伊達に実践道術で食っちゃいねえからな。 ヘビの国じゃあなんて呼ぶかぁ知らねえが、 少なくともオレらの宗派に関しちゃ、こういうガキは鬼子って呼ばれてる。 「10年前だな。…あんたの胎から出てきた時、こいつは既に死んでるはずだった。 死産、死んで生まれてくる予定、そういう風に決められてたんだよ」 「!!」 星の巡りを見ても、命数を見ても、両方からそれは明らかだ。 このガキ、そもそも生命線が無ぇと来てる。 占い師泣かせ間違いなしのガキだね、オレにもちょっとこいつの運命は覗けない。 「どっこい、何を間違ったか。…まぁ天上の神サンにも、地獄の閻羅サンにも、 うっかりミスってやつはあるらしくてね」 本当に死神がいるのか、キャベツ畑のコウノトリサマが居るのかはともかく、 よーするに分かり易くいうと、 あっちで生まれた、こっちで死んだで今日もてんやわんやで働いてる内に、 業務上過失、「ついうっかり」取り違えた。 ……「死」んで生まれてくる予定のを、間違って「生」にしちまったんだな、うん。 どこのドジっ子神サンだよって思うかも知れねぇけど、 ディスティニーちゃんだって人間?だしな。間違う事もあるわけよ、時々。 で、それでたま~~~~にこういう『おかしなガキ』が生まれてくる、と。 生来魔力の高い低い、才能のあるなし、頭のいい悪いとはまた別の次元の話、 生きながらにして死んだガキ、運命の定から外れた子、【鬼子】。 「魂魄の存在位相が半分幽界、…犬猫風に言やぁアストラル界にズレてんのな」 蛇眼をぱちぱちさせてオレの話を聞いてるおふくろさん。 ……おお、やっぱりトーシロには分かんねぇか、こういう専門の話をしても。 でもオレにゃこれ以上分かり易く説明もできねーしなぁ。 「だから【見鬼】。どんなに生来の魔力が高かろうと、でも普通に生まれた限りは 特別な術でも使わねえ限り視えねぇようなモンが、こいつには普通に視えちまう」 上は神様とか死神、下は幽霊や山の精、木の精。 それどころか普通の人間だったらまず大魔法使いでも絶対に感知できねぇような、 幽霊にさえなれない超々微弱の残留思念、――鬼や妖の元になるモノまで。 「だから【憑巫】。五感どころか存在そのものがチョロっと向こう側にはみ出してっから、 向こうの存在からも認識されやすい、黙って立ってるだけでモロに影響受けちまう」 巫女体質。霊媒体質。シャーマン体質。なんとでも呼びゃあいい。 おかげで『こんなややこしい事』にもなったりするんだけどよ。 「……ま、こいつも運が悪いねぇ」 そういうモンに理解のあるうちの国か、あるいはキツネの国に生まれてれば、 それこそ重宝されただろう、生き神サマみたくに扱われたろうに。 なんせこればっかは、普通の遺伝や血筋で受け継がれるようなもんでもねぇからな、 滅多に無い人材なだけに、幾らでも使い道はある、求人需要ありまくり状態だ。 「……いや、それとも運がいいのか?」 ――もっとも。 そんなわけで、ちゃんと知識のある奴が保護して修行も積ましてやらねぇと、 長く持って12か15までの儚いガキでもある。 …なにせ物心つく頃からそれがどれだけ危険な事かもロクに認識しないで、 鬼や妖と背を並べて普通に生活してるわけだ。 普通はこのガキみたく、無意識に引き寄せて背負い込んで取り憑かれて、 招き込んだモンに押し潰される形で自滅する、食い殺される。 おまけに日頃からそこら中の負の存在、陰氣と接して暮らしてるわけだかんな、 自然生気を吸い取られて、病弱で身体の弱いガキになるわけよ。 貧しい農村なんかに生まれちまった日には流行病でコロリ、 こんな豪華な王宮の奥で傅かれてさえ、宮廷魔術師にも全然気づかれずに 今まで放置されてきたってのも、まぁヘビだし無理もねぇか。 滅多になくて、しかも見出されなきゃ早死確実と来りゃあそもそも認知がされねぇ、 このガキみたく相手にされずに腫れ物扱いってのはまだマシな方かもな。 迷信深い村とかに生まれたら、気味が悪いってんで叩き殺されるのもあるだろう。 そんな事をとつとつと説明してやったら、おお、なんだかーちゃん、青ざめてるな? 謝礼金ふんだくるのにちょっとあれこれ面白おかしく説明してやったが、 別に驚かすつもりで言ったんじゃねぇ、ちょっと誇張表現も入ってるんだぞ? ……まぁそれで金たくさんくれるんならそりゃ貰うが。 「そ…それでイェスパーは、私の息子は助かるんですか…?」 「助かるとも助かるとも! オレを誰だと思ってるんだあんた!?」 心配すんなぁとばかりにドンと胸を叩いて、 「……ま、お助け具合はきっちり貰えるモンを貰えればの話だけどな?」 にっかりと笑って手を差し出す事は忘れない。 背後に刺さる女官やら女兵士やらの冷たい無言視線が痛ぇけど、うるせーな、 こういうハーレムでのお前らの役目って、背景Aとか、置物Bとかだろ? 偉い人同士のやんごとなき会話を邪魔するんじゃねーっての、すっこんでろザコ! =―<A-2 a horrible rainbow 14 years ago AM 1 50 >───────────────= ――さて、そんなこんなで真夜中。 それも草木も眠る丑三つ時、妖が跳梁跋扈するには一番もってこいの時間だ。 ……思いっきり人間の方が不利、 鬼とか妖に有利な時間じゃねーかって言う奴もいるだろうがな。 でも逆に言やぁはっきりくっきり『出る』、 昼間よりも相手の正体をずっと見極め易い時間だって言う事もできるんだぜ? 昼間は生きてる人間の雑踏や息遣い、氣のやり取りに掻き乱されて、 やっぱおぼろげで判然としない事が多いからなぁ。 完全に正体掴んで暴露して滅するには、かえってこの時間の方が都合がいいワケよ。 「いいか? 何があってもその線の中からは出んじゃねぇぞ?」 神妙に言って踵を返したけど、やっぱり背中に突き刺さる視線は冷たい。 「中に居る限りはどんだけ騒ごうが悲鳴を上げようが関係ねぇけどな、 出ちまったら向こうも気がつく、何されるか保障できねぇからな」 ボソボソと『あんな胡乱な輩を信用して~』とか『絶対インチキに決まって~』とか、 そういう声さえ小声で聞こえてくんだけど…… ……さて、いつまでそんな態度が続くかだな。 「よぅ、イェスパー」 砂漠の深夜だという事を差し引いても寒々しい冷気、 それが渦巻く部屋の中心の傍に立ち、オレはやせ細ったヘビのガキに声を掛ける。 同時に小さく口訣を唱えて、丹田から五感へと氣を走らす。 人ならざるモノを、見鬼ではないオレが捉える為に。 ………… ……これは……ちょっと想像以上だな。 よくもまぁこんな、居るわ居るわ、こりゃまた随分かき集めたもんだ。 女に、男に、子供にジジババ、兵士や昔の王様っぽいのまで。 「…死人に囲まれての王様気分は楽しいか? イェスパー」 ――そんなオレの言葉にピクリ、と微かに反応はしたみてぇだが、 すぐに無視して鬼の一人との会話に戻りやがった。 ……ガキが起きてるような時間じゃねえだろとぶん殴ってやりたいトコなんだが、 周りに鬼火飛ばすようにまでなったガキにンな事言っても無駄か。 だから見鬼の、憑巫のガキは嫌なんだ。 ただ視えるってだけで、認識できるってだけで、これだけのもんを呼び込みやがる。 視えさえしなけりゃそもそも生まれようも無いもんを、こんな簡単に。 「青い鱗、茶色の長衣を来た、お前と同じくらいの歳の女の子」 ――これにはさすがに反応した。 「腰が曲がって杖を突いた黒蛇の爺さん、紫のベールで顔を隠した女」 ――慌てて首を動かし、驚愕に眼を見開いてオレの顔を見る。 「槍を持って皮の鎧を着込んだ黄鱗の男兵士、脇に本を抱えた優しそうなお兄さん」 ――ま、それも当然か。 なにせ初めて自分以外の、『はっきり視える』人間が現れたんだから。 「あとはお前と同じ年頃か、ちょっとちっちゃい位のガキが多いな。…8人、9人?」 「う…あ……」 言葉にならねぇ言葉を呻いて、ようやくオレの事をまともに認識してくれるこいつ。 …うん、まずは掴みは上々。 「凄いな、イェスパー」 注意を十分引き付けた、オレに十分意が向いたのを確認してから、 「これ全部、お前が『造った』のか?」 事実を認めさせるための刃を、抉り込むように突き刺した。 「つく――《こんにちわ、ライオンのお姉さん》 と、相手の返事が帰ってくる前に、こいつのすぐ横の【鬼】から妨害が入る。 《作ったなんて酷いわ、私達はずっと昔からここにいたのに》 一番傍に居た例の茶色の長衣、こいつと同じくらいの青い女ヘビ。 「アポス……」 魂が抜けたように王子サマが『それ』の名前らしきを呟くあたり、 多分こいつが鬼共のボス、 ……話を聞く限りの、一番最初に王子サマが作った『おともだち』か。 《イェスパーだけが私達に気がついてくれたの、彼だけが私達を見れるのよ?》 はん、鬼の分際でよくしゃべる。 訊かれてもいねぇのによ。 《だから私達、イェスパーのお友達になっ 「「 ――ままごとの人形は黙ってろ 」」 ――ざわり、と。 辺りの、鬼共の空気が揺れるのが分かった。 『瘴気』が、強まる。 「お前に訊いてるんだよイェスパー。…他の誰でもない、お 前 に 訊いてるんだ」 …へっへ、痒い痒い。 他はともかく、オレに対してこれしきの瘴気、笑っちゃうっての。 「お前はそれでいいのか? イェスパー?」 正中線に一本、真っ直ぐな鉄の棒をイメージして一歩。 丹田に力を込めながら、ぐっと足を踏み出す。 「生きてる友達と遊んでもらえないから、誰にも相手にしてもらえないからって、 拗ねて、引き篭もって、うじうじ自分の殻ン中に閉じ込って」 金色の瞳が、でっかく見開かれた。 ベットのシーツを掴む鱗の手に、ぎゅっと力が篭められる。 「自分に都合のいい世界を作って、自分の言う事は何でも聞く人形を侍らして…」 《イェスパー、だめよ、聞いちゃだめ》 そんな力の篭った手にそっと手を添えながら、鬼が。 「…『嘘』と『偽物』捏ね繰り回して、おままごとして楽しいか?」 でも生憎だったな、どうやらしっかり耳には入っちまってるみてえだぜ? 「――本当は気がついてるんだろ?」 無駄だってのに、このガキは必死に聞くまいと耳を塞ぐ。 それが何よりも効果がテキメンって事の証明なのにだ。 「……分かってるんだろ? なぁイェスパ 「アポスッ!」 ――ガッシャン、と。 一歩下がったオレの眼前を傍にあった香炉が猛スピードでかっ飛び、 派手な音と共に壁にぶち当たって金属音を立てた。 一瞬窒息した室内の空気、 ……視界の片隅には、らんらんと目を輝かせる女のガキの姿をした鬼。 「……『サイード』、『マサルハ』、『ファウジ』、『サミーフ』! 『バラケ』!!」 名づけ親の王子サマに【名前】を呼ばれて。 ボス以外の鬼共も、おんなじ様に目を輝かせながらゆらりと動く。 同時にカタカタ、カチャカチャ音を立てながら、 窓から差し込む月の光の下、ランプとか、香油壷とか、花瓶…… ……果ては丸椅子や壁に掛かってた絵画まで。 ひとりでに浮かび上がって、勝手にグルグルと飛び回るその光景に、 背後に控えさせた女官や衛兵共が、オレにも聞こえるくらい大きく息を飲んだ。 うん、まー、あれだな。 『ぽるたーがいすと』だっけか? ネコ風に言うところの? ……それもここまで物理的な、目に見えてそれと分かるくらいの強力な奴たぁ、 やっぱり仕込んでおいて正解だったわ、昼間の内に。 「……だぁーから、さ。無駄だっつってるだろ?」 つま先をちょいと持ち上げて、 「他はともかく、オレ相手じゃあ分が悪ぃっつの」 バン!と一つ、床を踏み鳴らす。 ガチャガタガシャン!!――と。 それだけで宙を浮いてぐるぐる回ってた調度品類が、全部床に落っこった。 一瞬で塗り替えられた陣地の勢力図を見て、 そこで初めて、鬼の親玉の顔の、張り付いてた笑みが消えやがる。 「…まぁ同情はするよ」 ますます強まる瘴気、化けの皮が剥がれ出し、露骨に矛先を向けられる悪意。 「気持ちは分かる」 でも今しかねぇ、ここで一気に畳み掛けて一息に引き摺り上げるしか。 「寂しかったんだろ?」 初めて思い通りにならない、手に入れたチカラが捻じ伏せられたのを見て、 でも王子サマの瞳孔が、憤怒というよりは驚愕の様相できゅうっと収縮した。 「仲間が欲しかったんだろ?」 《~~~~…………!!》 横に引っ付いた女のガキの姿の鬼が、必死で耳元に何かを囁いてるが、 でも無駄だよ、今のこいつの意は、完全にお前達の方には向いちゃいねぇ。 「――自分にしか視えないモンを、同じように視える友達がよ」 「…あ……」 困惑するような、胸を打たれたような表情をして王子サマが喉から声を漏らした。 「仲間外れは、辛いもんな」 ぐるぐると鬼火が舞う。 鬼火が。 「だからこれは」 それを見たオレは両腕をおーきく広げて…… 「ご褒美だ」 ――パン!―― 胸の前で、柏手を打った。 「ヒッ」 「キャアアアアアアッ?!」 「…ッ!」 途端に背後から上がる悲鳴のオンパレード。 「線から出るんじゃねぇって言っただろうがッ!!」 わたわたと慌てふためいて線から出ようとする女官共に素早く一喝棘を刺し、 オレは呆然と眼を見開いている王子サマの方に向き直る。 《……貴様、何を――ッ》 さすがに様子がおかしいのに気がついたか、 メスガキ姿の鬼がぐわっと目ぇ見開いて脅しつけるようにこっち睨みやがって。 ……ああ、でもなあ。 「あン? 何って、ちょいと細工して『視える』ようにしてやっただけさ」 せっかくの可愛い女の子姿が台無しだぜ、鬼さんよ? 『虫の眼』してないで、ちゃんと人間の姿保とうや、産みのご主人様の前でくらいよ。 「後ろのトーシロ共にもなぁ、お前らの姿が視えるよう、氣ぃ足してやったんだ」 ニィッ、と口を歪めて笑って見せた傍で。 …でも じとり、と生暖かい脂汗が背中の窪みを伝って落ちていくのが分かった。 あぁ、やっぱ、口で言うほど単純な芸でもねぇのがな。 こんだけの鬼を、全く才能も修行もなしのトーシロにも視えるようにすんにはちょっと、 ……ちょっと氣ぃを使い過ぎんのがよ。 「さぁて、どうだ? …気分はどうだよ、イェスパー?」 アホみてぇにぽかんと口を開けているガリガリのヘビガキ。 「今まで自分を散々嘘つき呼ばわりした連中に、見せつけてやれた気分はどうだ?」 こっちのガードを、陣地を侵蝕しようとうねる瘴気。 どうやら本気で敵と認識したらしい、鬼共が全力で叩きつけてくる無数の鬼火。 「…ほら、見てみろよあのアホ面、悪かぁないだろ?」 オレとこいつが日頃『視て』『感じて』るものを目の当たりに、 カチカチと歯の根を合わせる衛兵共、ガクガクしながら何か呟いてる女官共。 「スッとしただろ? 悪くないよな? 悪くないなら――…」 いなさなきゃなんねぇ鬼火の数のしんどさに、てのひらに脂汗を溜めながら、 「…――戻って来い」 ――< interrupt in >─― 「お前は『嘘つき』じゃねぇよ」 《ダメよイェスパー、信じちゃダメ、あんな人に貴方の何が分かるっていうの?》 雷に打たれたように、王子の肉体は硬直する。 「『嘘つき』なんかじゃないさ、イェスパー」 《私より、あんな今日出会ったばかりの、知らない人の言う事を信じるの!?》 彫像のように凍りついたまま、侍る亡霊の甘言を聞き。 《言葉だけで、本心では信じちゃいないんだわ。騙して、笑い者にしようとしてる》 違う、と信じたかった。 信じたかったが。 ……でもその勇気は、もう彼の中には微塵も残っていない。 「お前にはただ、ほんのちぃ~っとばかり特別な力があったってだけよ。 他の奴らにはこれっぽっちもねぇ、超珍しい才能があったってだけの話」 《本当は嘲笑ってるのよ、心の底では。…皆が、貴方のお母さんもそうなように》 チクリと、少年の胸が痛む。 もうだいぶ感じる事はなくなってたはずの、『痛み』。 「壊れてるんじゃねぇ、欠陥品なんかじゃねぇ、特別なのさ、選ばれたんだ」 《ほら、ああやっておだてて、子供相手だと思って嘘の褒め言葉を並べ立てて》 女官達、衛兵達が、裏で彼の事をどんな風に言っているか、 彼の目となり耳となって教えてくれたのは、他ならぬ亡霊達の仕事だったが、 「本当はもう分かってるはずだろ?」 《ほら、聞いちゃだめよ。あの人は私達とイェスパーを引き剥がそうとしてる》 そんな亡霊達もまた自分を欺き騙し利用しようとしているのだと、 本当は気がついていた、子供特有の敏感さに薄々心底で勘付いていた。 「なんで自分が起き上がれないのか、どうしてどんどん具合が悪くなってくのか」 《皆と同じ。起き上がれないのを、病弱なのを、悪い事だ、いけない事だって》 それでも。 女官達や衛兵達が裏で見せる言葉と態度は、全て偽り無き事実の指摘であったし、 それでもそんな彼を肯定し賞賛し、友人となってくれたのは彼らだ。 ――お菓子をくれる悪人についていく『独りぼっち』を、一体誰が責められる? 「いくら生きてる人間が嫌いだからって、生きてる世界が辛いからって」 《どうして辛いのに耐えないといけないの? 苦しいのを我慢しないといけないの?》 彼は。イェスパー・ユルングは。 だから絶望の淵に立つ。これ以上なく深く、暗く、決して波立たぬ鏡の淵に。 「でも『そっち』はダメだ、もうそれ以上『そっち』に行くんじゃねぇ」 《もうすぐよイェスパー。もうすぐ力が満ちる、一緒に【パイリダエーザ】に昇れるわ》 ――パイリダエーザ。『約束された永遠の楽園』。 死してその身をセトに捧げた敬虔な教徒が、 来たる約束の日まで住まい過ごす事を許された天上庭園、死後の国。 「死ぬぞ。それ以上そいつらにお前の命くれてやったら」 《悩みも、苦しみも、辛い事も何一つない。暖かくて安らぎに満ちた天の国に》 『死ぬ』事自体は、とても痛くて、辛くて、恐ろしい事。 でも『死んだ後』、その苦難を乗り越えた後には、永遠の安息が待っている。 ……厳密にはそれは教義の誤解、主旨の取り違えなのだが、 しかし子供であるイェスパーは、子供向けの物語からそう誤って受け取った。 「死人に……いや、 故に。 「自分の作ったおままごとの人形に取り殺されるなんざ、洒落にならねえだろ?」 ――< interrupt out >─― 《…しつこいわね。まるで私達がイェスパーの妄想みたいな言い方して》 薄く笑って、鬼のボスがオレの方に視線を移した。 どうやら鬼火や瘴気で力尽くの撃退ができねぇのに業煮やして、 舌戦に切り替える算段らしい。 ……望むところなんだよ、バーカ。 《あなた、幽霊が視えるくせに、結局イェスパーの事信じてないん―― 「それじゃあお前、『言ってみろ』よ」 問答で、舌戦で、本職の『道士』に勝てると思ってんのか? 「『お前は誰だ?』」 丹田から絞り上げるように、練った力を言の葉に乗せて出す。 【召鬼法】。これは強要だ。 「『どこの誰だ? 何者だ? いつ死んだ? どうして死んだ? 言ってみろ』」 逆らい難い圧力を伴ってぶつけられたはずの『力ある言葉』に、 このアマは――幽鬼の群れは、にたりと笑って正面から応じてきた。 よっぽど自信があるらしい。…自意識過剰もいいとこだけどな。 《私の名前はアポス・アーペプ》 そうか、それがこのヘビっ子がお前につけた【名前】か。 《今から200年くらい前にこの土地で暮らしていた帝国の地方貴族の子よ。 流行り病で死んじゃって、それからずっとここで彷徨っていたの》 そうか、それがこのヘビっ子がお前にやった【設定】か。 「父親と母親の名は?」 《お父様の名はゲレグ・アーペプ、お母様の名はヘザト・アーペプ》 「兄弟姉妹の名は?」 《生憎と一人っ子だったわ》 さすがにこの辺はすらすら答えるな、でも。 「じゃあ爺ちゃん婆ちゃんの名は?」 《…………》 ほら、詰まった。 目線が石みたく硬直して、顔が能面みてぇに無表情になる。 未記載設定なんだからそれも当然か。 人間のフリをした人間の紛い物なこいつには、少々解答に困る質問。 ただ、もっと粗悪な、未成長の奴ならこれでボロ出すんだけどなぁ。 「おい、どうした? 爺ちゃん婆ちゃんの名前は何だったって聞いてるんだ」 《…………確か、居なかったと、思うけど》 多少『ふりーず』はしたものの、すぐに自分で思考してアナログな解答を弾き出す。 《でも詳しい事は忘れちゃったわ、だって200年近くも前の事ですもの》 白々しい。 …でもま、これだけ生気吸い取ってりゃ、それくらいには成長してて当然か。 もうかなり学習してる、ヒトガタに近くなってやがる。 ……元は影の分際で、シラを切るとか嘘を付くとか、人間にしかできねぇ芸当を。 「そうか、じゃあ好きな食い物は」 《そ、そんな事聞いて何に…》 どっこいそれも、畳み掛ければすぐボロの出る事だ。 あと二週間遅かったらヤバかっただろうが……でもまだ親から独立できてねぇ、 産みの親の定めた設定に依らなきゃ存在を許されないのがこいつらの弱み。 「好きな食べ物は何だって聞いてるんだよ、人間だったんだろ?」 《……ひ、羊肉のクスクス鍋よ》 はっ、このアマ……もとい連中、必死だね。 蓄積した『でーたべーす』の中から、必死に設定に矛盾しない情報を探し出して。 「そうか、それじゃ好きな花は?」 《……忘れたわ》 でも、さすがに、オスガキの知識を探っても設定できないような個人情報は。 「おいおい女の子なんだろ? それじゃ好きな宝石は?」 《……わ、分からないわよ、私子供なのよ!?》 おお、苦しい苦しい、必死だねぇ。 自分『女の子』のくせに、脂汗垂らして随分必死に食い下がりやがる。 「分かんねえんだよなぁ、こういうのは案外よ。なにせ『設定』されてねぇもんなあ」 《なっ――》 ……でも、早く消えてくれねえかな、 実は脂汗流してんのは、さっきからこっちも同じなんであって。 ……持久戦、長期戦ってやつは、どうもオレには。 「名前や身分はともかく、意外とこういう所でボロが出る、例えば――」 【穴】が閉じりゃあ話は早いんだが。 あんだけ呼びかけたっつのに、閉じる気配もない、こりゃ無駄足だったかな。 …まぁこんなガキに人生論説くだけ、無駄だったのかもしらねえが。 「一日は何時間だ? 一ヶ月は何日だ? 一年は何日だ? ええ?」 途端、僅かに安堵した表情で鬼の顔が緩む。 優越したような、人を見くびったような。 《…馬鹿にしないで。24時間、**日、***日よ》 へえ。知ってんだ。 ……こんな普段気にもしねえ当たり前の常識まで学習してるっつう事は、 あんまり良い傾向とは呼べねぇな。 「……。…じゃあ1月の初めは何の祝日で何をする日だ? 木偶人形?」 《元旦よ、幾らなんでも、私だってそれくらい》 最悪、このガキを殺してでも、受肉して生まれてくるのを阻止しねえと。 親の腹食い破って完全に現世に出てきたら、間違いなく厄介な事に…… 《街じゃ新年を祝うお祭りがあって、花火を打ち上げたり出し物をやったりするわ》 《年始めには家の家族部下全員が一堂に会して食事を取るの》 「お年玉は―― 《貰えたわ。それで街の屋台で皆と一緒にお菓子を食べ歩――「「 ダ ウ ト 」」 ……厄介な事になるから。 だからここで潰す。 「……旧帝暦って、分かるか?」 こいつらは、影だ。 200年前に流行り病で死んだ、アポス・アーペプなんて名前のガキは存在しない。 全部こいつの――王子サマの作った物語の中の、【設定】だ。 「一日が24時間? 60秒60分24刻み? どこの国の、いつの時代の話だ?」 こういう姿形のガキがいたのは確かだろ。だからこそ影が残ってる。 でもこいつは、その影を依り代、ヒトガタにして、 この王子サマが無意識に生気を、魔力を注ぎ込んできた結果生まれちまった、 「お前ら200年前、旧帝時代から、ネコの暦、ネコの文化でセーカツしてたんだな」 ――ツクリモノだ。 「12月と1月の境が年の節目? 元旦が新年のお祝い? お年玉?」 だからこんな、ちぐはぐな事が起こる。 「なぁ、嬢ちゃんも、お前らもさ」 200年前の幽霊だって言っときながら、でも今の習慣風習に順応した記憶。 そりゃそうだろ、さすがの王子サマでも、でも10歳だ。 「『今』じゃなくて、『自分が死んだ頃』のこの国の思い出話をしてもらえねーかな?」 知るわけがねぇさ、 自分が当たり前に使ってる、セパタ、統一度量衡、共通時法、共通暦法。 全部ここ100年ぽっちで、だけど急速に広まったもんだなんてな。 「できるだろ? 即興の造り物じゃねぇんだったらよ?」 《………あ…》 完全な『魔法』『精霊』じゃない、不完全で穴だらけのこいつら。 でもそれでも『魔法』であり『精霊』――構成が概念の域に掛かってるこいつら。 「ほら、言えよ、一つくらいは覚えてるだろ? 帝都時代の祝事とか」 《…あ、あ亜、a……》 自己の存在目的と意義、構成定義に重大な齟齬や矛盾が発生すれば、 それだけで自壊、良くて半壊は避けられない……はず。 「親父お袋の名前まで覚えてんだ、さすがに一つも言えないなんて事ぁ、無ぇよなぁ?」 自己矛盾を消化して解消しきれねえ……はずだったんだよ。 《……い、イェスパー!》 なのに。 《わ、私達、本当にあなたの造り物なの!? あなたが作った人形なの!?》 この鬼、途端に女が泣きつくみてぇに抜け殻の王子サマに抱きつきやがって。 《違うわよね? 私達、『ともだち』よね? …そうだって言ってよ!!》 ――こいつ。 ――このクソアマ。 《『勝手に作って勝手に消す』なんて、 そ ん な 酷 い 事 し な い わ よ ね ?》 ちらりとこちらに向けた顔、にたっ…と笑う鬼の親玉に。 オレの手札は、万策尽きた。 女の泣き落としなんて、もう使い古された古典的手口だけどよ。 でも自己矛盾を、主人の憐憫と許容に転化する事での消化。 ……ここまで癒合同化が激しいと、オレにはもうどうにも手管が見つからない。 『救済』の策が思いつかない。 『破壊』や『滅却』、『器』ごと滅ぼす以外に具体的打開策が見当たらない。 (ああ、ダメだ、こりゃもう) ――泣いて頭を下げてきた、こいつのお袋さんの顔が脳裏に浮かぶ。 (いや、ここは一旦体勢を立て直して) ――『助けてくれ』って頼まれたんだ、『倒してくれ』って頼まれたんじゃない。 (でも、時間が) (今ここで滅ぼしきれなかったら、ぜってぇ面白くねぇ事に) (どうする、どうする、どうす――…) 「……もういいんだ、アポス」 ――小さな声だった。 驚愕に目を見開くオレらの前で小さく、でも確かにはっきりと。 「……演技はもういいよ、今までどうもありがとう」 ……な…に…? 「ぼくの命が欲しいんなら、あげるから」 オレはもちろん、目の前の鬼共でさえ、思わず耳を疑うその言葉に目を丸くして。 こいつ、何を―― 「どうせ要らない、何の役に立たないものなんだし」 言っ、て――… ――< interrupt in >─― ――それは本当に彼の、10歳の子供の本心からの言葉。 それがどれだけ忌まわしい事か、イェスパー・ユルングは実は理解していない。 「お姉さんも。気持ちは嬉しいけど、もういいんだ」 日々熱に喘ぎ、悪寒に苦しんできた彼にとって、生は楽しいものではない。 人生の大半を寝台に臥して過ごしてきた彼にとって、生は豊かなものではない。 憎まれも、愛されもしない、空気のような王子にとって、生は。 父親から道端の石ころ程度にしか見られていないのを知る子供にとって、生とは。 「死ぬのは怖くないんだ。…死んだらもう誰にも迷惑をかけなくて済むから」 ――楽しくない。 ――楽しくない。 ――そんな拘るほど楽しくない。 「生きてても、辛くて苦しいだけで、面白くないし」 なにより死は、いつも彼の隣にいた。 死んで生まれてきた彼にとって、死は別に遠いものでも、恐ろしいものでもない。 彼はいつだって死の中にいたのだ。 生きながらにして『負』に包まれ、『反』に覆われ、『幽』を背に、『死』に囲まれて。 「だからぼくみたいなのは、さっさと天国に行っちゃった方が、みんな =―<A-3 against pain 14 years ago AM 2 13 >─────────────────= 何が起こったのか、すぐにはよく分からなかった。 反転する視界、ものすごい衝撃。 ぎしぎしと痛む熱で浮かされた身体、口に中に広がる鉄臭い味。 一拍遅れて凄まじい激痛が頬を中心に襲いかかって来ても、 それでもイェスパー・ユルングは自分がぶん殴られたという事実を理解できなかった。 母親にすらぶたれた事がないのであれば、無理もない。 聞き分けはよいが性情のおとなしい、気の小さくて線の細い子供である。 ましてや病弱の、身体の弱い子供である。 「あ……」 ぼたぼたと口の端から垂れる赤い粘液。 刹那喉奥に引っかかった異物感に噎せて咳き込んだ結果、 朱に混じって白い固形物が2~3個吐き出された。 口中に広がる生暖かくも芳醇な鉄の味に、イェスパーが愕然としかけた時。 「っ!」 喉輪を掴まれて宙吊りにされ。 少年は初めて、失神すら不能な圧倒的恐怖の存在を知る羽目になった。 「……クソが」 先刻までとは別人のような、突き刺すような怒気、ドスの利いた恐ろしい声に、 睾丸は縮み上がり、歯の根は噛み合わず、ナメクジに睨まれたように全身が凍る。 ――恐怖。 ――恐怖だ。 「ナマ言ってんじゃねえぞ、ガキの分際で。…あぁ?」 それでも彼女はライオンで、寝たきりの子ヘビ一匹摘み上げるなど造作もない。 大人の力で手加減無く、歯が折れるほどに殴られた頬の痛みは、 今やイェスパーが感じた事もない灼熱感と激痛を伴って全身に伝播していた。 病から来る緩慢の恐怖でもない、疎外から来る社会的恐怖でもない、 それは暴力による、突発的な、横殴りの根源的恐怖。 「…人がこんなに、汗水垂らして苦労してヒィヒィ言ってるってのによ」 ――コロサレル。 初めての体験になる恐慌と激痛に、少年はガタガタ、声も上げられずに震えて涙し、 病人の寝巻きの股座には、見る見る湯気の立つ黄色い染みが大きさを増す。 「『助かりたくない』? 『死にたい』? 『あげる』? 『自分は要らない子』だぁ!?」 いたいけな子供を振り回し、憎々しげに喚き散らす赤毛の獅子に、 背後に控えた女官達や衛兵達はおろか、妖物ですらあっけに取られて立ち尽くした。 状況を正確に把握できている者は、おそらく一人もこの中にはいない。 「っざけんじゃねえよ! はぁ!? 何だよオイお前! えぇ!!?」 「あ゙ぐ…ッ」 寝台に思いっきり叩きつけられた後、今度は襟首を掴んで持ち上げられる。 まるでボロ雑巾のように扱われながら、でも向けられた先は。 「……言ってみろよ」 圧迫から解放された喉が、すぐに引き攣った音を立ててすぼまった。 「……母ちゃんの目ぇ見て言ってみろよ、まん前でよぉ?」 背より猛烈な怒気を浴びせかけられながら、宙吊りのイェスパーはそれを見た。 彼と同じに震えながら、それでも涙を浮かべて立ち尽くす母の姿を。 悲痛を浮かべながらも彼から目を逸らそうとしない、産みの親の姿を。 「『生きてて楽しくありませぇん♪』、『早く死にたいでぇす♪』って」 子供が子供を産んだような母だった。 親子というよりはもう姉弟に近い、少女のような母親だった。 「『どうして産んだんですか』、『生まれて来たくなんかありませんでした』って」 この子供にしてこの親あり、 ただ飾りとして生まれ、ただ飾りとして嫁ぎ、ただ飾りとして子を孕んで産んだ。 そんな運命に抗おうともしなければ、恨み嘆いて悲観するわけでもなく、 ただただ諦観の内に、レースの翻る窓辺、籐椅子に座っているような女(ひと)。 彼の『腑抜けさ』は、間違いなくこの母からの遺伝。 「……言ってみろ」 でもイェスパーは、そんな母の事を、誰よりも。 「言ってみろってんだよ、ジャリガキが!!」 ――今度の涙は、痛みからでも、恐怖からでもなかった。 強制的に向き合わされたのは、彼がずっと目を逸らして逃げ続けてきたもの。 イェスパー・ユルングは、死にたいと願っていた。 別に死んでもいい、命を捨ててもいいと、正真正銘本心から望んでいた。 ――《あなたのお母さんもそうよ、お母さんも皆と同じ》 だから信じた。 同年代の子達の声、女官の声、衛兵達の声こそ伝えれど、 でも母の声だけは直接伝えはしなかった彼女が、それでもそう彼に囁いた時、 信じた。 信じたかった。 ……思い込みたかった。 自分は、母に、嫌われているのだと。 イェスパー・ユルングは『愛』を知る。 その貴くも得難きものを、それでも確かに知っている。 それは、寝台に臥す自分の頬を撫でてくれる、滑らかにもひんやりとした手。 額の濡れ布巾を、汗ばんだ寝巻きを取り替えてくれる手。 寝台の側に腰掛けてはまどろむイェスパーに寝物語を読んで聞かせてくれて、 夜中に怖くて一人で厠に立てない彼に、嫌な顔一つせず付き添ってくれる。 眠れない夜は一緒の布団に手を繋いで寝て、 雷や嵐の恐ろしい夜には、やはり手を繋いで一緒に震えながら眠った。 ……それは、当たり前のようにそこにあるもの。 ……手を伸ばせばすぐ届くところに、いつでも触れられるものとしてあったもの。 夕暮れの中、窓辺の籐椅子に腰掛けて、穏やかに刺繍を営む美しい人を、 翻るレースのカーテンの中、涼しい顔を受けて蒼穹を仰ぐ人形の姫を、 だからイェスパーは、愛すべくして愛した。 『視えない』のに彼のいう事を信じてくれる彼女の事を、 真剣に聞き入って頷いてくれる母親の事を、愛すべくして。 ……いつも諦念を滲ませて、静物のように窓の外を眺めている哀しそうな人を。 ……儚い、色白な、今にも消えて、どこか遠くに行ってしまいそう、 世間知らずの箱入り姫が、好きで、好きで、大好きだった。 それは『希望』だ。 誰からも見向きもされない、いてもいなくてもどうでもいい無価値な石ころを、 けれど彼女だけは見てくれる、彼のその手を握ってくれる。 たった一粒の、櫃底の希望。 無機質な世界で、陰氣に囚われて幽鬼に囲まれながら、 それでもイェスパーが今日まで生きて来られたのは、その希望があったから。 だから物心つくに従って、絶望した。 ――『ははうえ、ははうえ』 ――『ははうえの望みは、なんですか?』 ――『ははうえの幸せは、なんですか?』 彼がそう尋ねる度に、母親は笑って彼の事を抱きしめ。 ――『貴方が幸せなら、母上は幸せよ、イェスパー』 ――『貴方の幸せが、私の幸せ』 次第にイェスパーは、そんな母の顔を正面から見れなくなっていった。 たった一粒の希望の光を、真正面から見据える事ができなくなっていった。 彼は、幸せではなかった。 確かに希望はあったが、でもそれ以上に辛くて苦しい事があまりにも多すぎた。 絶え間なく襲ってくる、発熱、頭痛、吐気、悪寒。 友達もろくに作れない、いじめられっ子。 王位を目指そうにも、病弱の上に末弟の彼には権力はあまりにも遠い。 イェスパーは、母が大好きだった。 この世界の何よりも、そして生きている者達の中で、ただ一人母だけを。 ――『ははうえ、ははうえ』 ――『ははうえの望みは、なんですか?』 ――『ははうえの幸せは、なんですか?』 自分の事はどうでもいいから、母に幸せになってもらいたかった。 自分の事なんて見捨てていいから、母に幸福になってもらいたかった。 母に喜んでもらいたかった。 母の望みをかなえてあげたかった。 ――『貴方が幸せなら、お母さんは幸せよ、イェスパー』 ――『貴方の幸せが、私の幸せ』 イェスパー・ユルングは知っていた。 タンスの中に隠れながら、物陰で本を読みながら、寝台に臥しながら聞いていた。 子供でしかないが、子供だからこそ。 「あれでは成人するまで生きられない」、そう周囲の大人達が漏らすのを。 「ムダメシグイ」「フグ」「カタワ」、己がそう呼ばれる存在である事を。 そうして。 母が己の医者代、薬代を捻出するために、恥を忍んで実家に度々金を無心し、 また嫁入り前に持ってきた宝石類や調度品類を手放している事も。 ――『ああ、イェスパー、イェスパー、可愛いイェスパー』 ――『どこにもいかないで、お願いよ』 ――『お母さんを置いて、先にどこかへ行っちゃわないで』 仔馬が、誰に教えられずとも、生後速やかに四足で立つ方法を知るように、 イェスパーは自分が死ななければならない事を理解する。 それも速やかに、できるだけ早く。 長引くほど彼女を拘束する。下手な期待を持たせるほど余計に彼女を悲しませる。 彼が、何よりも愛している人が。 彼の全てを投げ打ってでも、幸せになってもらいたいと願う女(ひと)が。 疎んでもらいたかったのだ。 なじられ、罵られ、これ以上ないというくらい憎まれて足蹴にされたかった。 冷たい目で、『はやく死ねばいいのに』と言われたかった。 蔑みの目で、『お前なんか産まなければ良かった』と言われたかった。 言って欲しかった。 ……見捨てられたかった、見捨てて欲しかったのだ。 そうすれば。 そうすればもう。 だから。 だから思い込もうとして。 自分は母に疎まれている、要らない子なのだと思い込もうとして。 思い込もうとして。 思い込もうとして。 思い込もうとして。 「……あ」 目の前で、最愛の女(ひと)が泣いている。 親子というよりは、もう姉弟に近い、少女のような母親が。 泣かせたのは誰か? 悲しませたのは誰か? ――彼だ。 「…………あ」 半分死んで生まれてきた、いてもいなくてもどうでもいい王子にとって、 生まれてきた時から死と隣り合わせだった彼にとって、死は別に遠いものではない。 イェスパー・ユルングは、だから死にたいと願っていた。 別に死んでもいい、命を捨ててもいいと、正真正銘本心から望んでいた。 「ははう―― 「「……だめ」」 涙に濡れた、悲痛の声。 たったそれだけで死を受け入れ、死を覚悟していた少年の心が大きくたわんだ。 頬を殴られた痛みよりも、なお勝る激痛。 今まで目を逸らして考えないようにしてきた分、嘘を信じて誤魔化そうとしてきた分、 世界でもっとも愛する人の声は、少年の心を切り刻み、深々と抉る。 「ごめ 「「…だめ、イェスパー……っ」」 抉る、抉る、抉る、抉る――… 「行っちゃ駄目えぇッ!」 明日をも知れぬ病身の身に、『死んでない』だけなのが楽しくないのは本当で。 疎外されての空気の様な存在感、『生きてない』のが面白くないのは本当で。 ……でも『死にたかった』のではなく、『生きたかった』のでもなく。 ……『消えてしまいたかった』のでもなく、『世に認められたかった』のでもなく。 イェスパー・ユルングは。 「……ごめ、んな……さい…っ」 ただ母を。 「……ごめんな、さい…、はは…うえ…」 もうこれ以上。 「…はは……うえぇ……ッ」 悲しませたく。 ――穴は閉じた。 =―<A-4 rampage assault 14 years ago AM 2 29 >───────────────= 空気の流れが、『それ』と分かるほどに変わった。 同時に部屋隅に蹲った女官達からの、まるで気が触れたようなけたたましい悲鳴。 今更そんなものが盛大に上がるのは、【供給源】を失った『彼ら』の姿が。 ……確かに、大部分を構成するのは人間の魄(はく)、 もっとも色濃く表れ、目に見える形で強く残っていたのは人間としての姿形だ。 ――でも『100%』が人間ではない。 その根源、本質の部分では、他にも色々なものが混じってしまっている。 虫の魄。魚の魄。小動物の魄。植物の魄。 より無機的で、より原始的な、人ほどには高等で無い、人以外の『残滓』。 故に彼らは鬼(クイ)と呼ばれ、故に彼らは妖(あやかし)と呼ばれる。 【穴】が閉じられ、【憑座】との連結が切断された結果か。 人外の奇声を上げて踊りかかるその先頭は、ヘビの少女の肉体をベースに、 砂蠍の頭を持ち、脇腹から蜘蛛の足を生やして、蟷螂の鎌の両手を持った…… ……先刻まで『アポス』と呼ばれていたモノ。 そうして、ある者は魚の頭を。ある者は植物の樹皮と根を。ある者はうねる触手を。 蟲の体節。獣の手足。蝦蟇の頭部。肥大した目玉。蜻蛉の羽根。 刹那の出来事。 へたり込んだ少年と、それに駆け寄ろうと界の外に出てしまった母親に、 雲霞のごとく殺到しようとしたそれら百鬼夜行を――… …――眩いばかりの閃光が、轟音と共に横薙いだ。 ――< switch over >─― 「大」 「逆」 「転」 「……だな」 《………ガ…ぁ…》 視覚と聴覚をことごとく塗り潰した光と音の狂宴の後。 へたり込んで抱き合う母子の視界に戻ってきたのは、見る影もなき『残骸』と…… ……そしてその前に仁王立ちして見下して、 稲光の残り香を纏った払子を右手、道服をたなびかす緋髪の雌獅子。 《…く……あ……、オま、え……》 その正体は、狂おしいまでの想いより生まれた不完全な魔法、不完全な精霊。 いかなる武器、たとえ重機関砲を喰らおうとも傷つかないそれは、 しかし故にこそこうして散り散りに引き裂かれ、消滅の時を迎えようとしていた。 修復可能な限界を超えて、構築を破壊され、定義を破壊され、設定を破壊され。 構造構成における致命的なまでの損壊、もはや魔法として存在できぬ程に、 術式(スクリプト)に破損をきたし、貯蓄魔力(リソース)も喪失し。 だが、それでも。 それでも、ここまであっけなく。 具現の依代たる【憑座】とのリンクが断たれた瞬間を狙われて、 無限の供給源たる【穴】が閉じた瞬間を突かれたとは言え、 それでも。 こんな、ここまで成長した彼女が、ここまで一瞬で、まるで砂の楼閣を殴るように。 《…いっ……タ、い…》 「――何、おかしい事ぁねぇ。単にオレはこっちの方が得手だってだけの話さ」 『アポス』という名だった存在は、そこで改めて敵対者の姿を仰ぎ見た。 緋色の服に、緋色の髪。紫苑の瞳に、黄色種の肌。 落ち着きなく尾を揺らめかす雌獅子は、凶暴なまでの狩猟者の笑みを浮かべ。 仙人というよりは、悪魔のような。 「昔から、浄霊とか、封印とか、退魔調伏なんてモンより――」 さっきは確かに脂汗を浮かべて、 今にも崩れ落ちそうだったこの女の実力を。 「力ずくでぶっ飛ばして、消し飛ばす方が得意でね」 本質を見誤っていた事を、彼女は素直に自認した。 ゆっくりと持ち上げた左の掌に、再度膨大な力が集まるのを感じて。 「――無極生太極」 《…ア、あハッ。…あハハはハはハハははッッ♪》 肩から上――顔右半分だけになった禍霊は、狂女のような哄笑を上げた。 残った体節、触覚を折り曲げて、蟲の瞳をぎょろぎょろさせながら、 人間をベースに色々なものが混じってしまったモノが、力を持っただけの存在が。 「――太極分両儀」 《イェす、パー?》 ぎとり、と睨んだ先で、へたり込んだままの少年が身を竦める。 反射的に母親が抱きしめて守ろうとするが、その視線は既に釘付けの状態。 交差した。 生者と死者の、主人と家来の、――造物主と被造物の、――本物と紛い物の。 恐怖と悲痛に染まった視線と、憎悪と皮肉に染まった視線が、交差した。 「――両儀啓四象」 《わたシたち…、ワタ、シ、たち、ヒっ、おトもダチ、もだち、よ、ネえェ?》 もう少しだったのに。 もう少しで彼の腹を内側から食い破り、現世に生まれ出る事が出来ていたのに。 子が親を、被造物が造物主を殺す事での、因果反転、虚実交換、受肉の儀。 もう少しで蜘蛛糸を手繰って、地獄の釜底から現世に這い出る事が出来ていたのに。 そう思って、笑って、笑って、笑って、笑って。 「――四象至八卦」 《オトもだちヨネエええええぇぇぇぇぇぇ!!?》 ――もういいんだ、アポス ――ぼくの命が欲しいんなら、あげるから ――今までどうもありがとう …――自分が泣いている事に愕然と。 それが『アポスと呼ばれていたモノ』の、その場での最後の思考となった。 「邪怪禁呪、悪業を成す精魅、天地万物の理を以って微塵とせむ――禁」 ホワイトアウト、ブラックアウト =―<A-5 reject real, because they answer 14 years ago PM 6 32 >────────= ――どこの国にもあるだろ? 似たような【怪談話】が。 とても仲のいい親子。おしどり夫婦。恋人同士。 その子供や片割れが、突然の事故か何かで死んじまう。 別れを言う暇もなく唐突に。 ありがちなプラスアルファじゃ、些細なきっかけで誤解から仲違いしたまんま。 土砂崩れや鉄砲水、溺死なんかで、『死体が見つからない』事も多い。 で、残された方は、絶対「息子は」「夫は」死んでないって信じるんだ。 もう何日も経ってて、他の家族や近所の人間が全員首を振っても、信じ続ける。 …本当はもう絶望的なんだって薄々感づいてても、認められない。 あの子は、あの人は、帰ってくる、帰ってくる、死んでない、死んでない、死んでない。 見ている方が居た堪れないくらいに、 もう気が触れちまったんじゃねぇかってくらいに、信じ続ける、目を逸らし続ける。 …それである晩、戸口を叩く音が響く。 『愛しい人、帰ってきたよ』『おふくろ、ここを開けてくれ』って。 待ってた本人は、もう狂喜乱舞して喜ぶが。 ……でもそれ以外の家族は、すぐに戸口の外に立ってるモノの正体に気がつく。 間違いなくそいつの声に、でも肉の腐ったような匂い、湿った水音。 異様な空気が辺りに立ち込めても、でも待ち望んでた本人だけは気がつかない。 ――当たり前だよな。他でも無いそいつの『願い』が、呼び戻したんだから。 “あの子は、あの人は、死んでない、死んでない、帰ってくる、帰ってくる” ……そんな狂おしいまでの想いが引き起こした、不完全な魔法。 信じ続けて目を逸らし続けるあまりの妄執が引き起こした、歪んだ奇跡。 もちろん、帰ってきたのは『帰ってきて欲しかった本人の魂』じゃない。 …『帰ってきて欲しかった奴のカタチ』だけ似せた、何か別の、おぞましいモノ。 ここで必ず「開けてくれ」「入れてくれ」って頼むのは、 でも連中が自力じゃ入って来れない、向こう側からは開けられないから。 『生者の世界』、『現世』、『現象界』に、 でも『負』で、『反』で、『幽』で、『死』な連中は、自力じゃ上がっては来れないんだ。 本来はそれくらい虚ろで、儚い、力無く、存在するはずのないモノ。 ――生きてる世界の側から、生きてる人間の手で引き上げて貰わない限りは、な。 だからあの手この手で誘惑して、あるいは脅しつけて開けさせようとする。 『入れてくれ』『開けてくれ』『何で入れてくれないんだ』『早く開けてくれ』。 声、音、幻聴、幻覚、 実体を伴わないあの手この手、全ての虚象を総動員して、 それで何とか誘惑に耐えて、開けずに済ませられればそれでいいんだが…… ……でも開けちまったら、その時はもう。 …ああ、そうさ、そうとも、その通りだよ。 鬼(クイ)も、妖(あやかし)も、幽(ゆうれい)も、でもそのほとんどが人が望んだモンだ。 全部人間の、生きてる人間の心の中からやって来たモンだ。 現実を見つめたくない想い、事実を否定したい気持ち、都合のいい奇跡を望む心。 狂おしい、あまりにも強すぎる想いが魔法の域にまで到達して、 ……魔が答える、無意識に、けれど間違いなく術者本人が望んだままに。 死者に、死んじまった人間に出来る事だなんて、だからタカが知れてるのさ。 …本当に力を持ってるのは、いつだって生きてる人間の、生きた想い。 「……そういうわけだ。結局元凶は、全部あんたの息子だったって、な」 三日後。 夕暮れの日差しの中で皿に山盛りの果実に貪りつきながら、 オレはお袋さんと一対一で向かい合っていた。 赤色に染まる部屋の中に居るのは、今はオレとこの女の二人だけ。 さすがに『こんな話』、例の女官共や衛兵共の前でするわけにいかねぇから、 苦労して人払いしてもらって、なんとかここに漕ぎ付けられた。 ……これが第一夫人様とかなら、ぜってーこうはいかないんだろな。 お袋さんが見捨てられまくりの影薄い夫人だった事を、今だけは点に感謝しとく。 「あいつが『望んだ』んだよ」 むしゃりと汁気たっぷりのヤシの実の削ぎ切りを齧りながら、二の句を継ぐ。 「だから『来た』、願いのままに、望みのままに」 ――厳密に言えば、あそこまで劇的に反応する事はまずほとんどねぇんだが。 どっこいそこは、あの王子サマの生まれ持っての余計な体質が災いした。 『視えちまう』――『認識できちまう』って事は、たったそれだけで十分やっかい。 対象を認識できる、明確なイメージを思い描けるって事は、 魔術の世界じゃ実に重要な要素だかんな。 …二つと無い才能、お前は選ばれたんだって、オレ、あいつに言ってやったけど。 でも実際、そう考えればどうなんだろうな、この【見鬼】って奴の能力も。 「だからあいつが変わらない限り、結局は元の木阿弥だ、『再発』する」 「……!」 びくりとおふくろさんが身を震わせたが、でも可哀想だがこりゃあ事実だ。 「オレがやったのは、もうカタチを持ってあいつの周りにべっとり纏わりついてたのを、 できるだけ細かく引き千切って、遠くにぶん投げて吹き飛ばしてやっただけ」 吹っ飛ばして、それで終わりだったなら最初からそうやってる。 『救済』しなくていい、『破壊』すればいいだけだったんなら最初からそうしてるさ。 「でも【核】が滅んでねぇんだからな。引力がある限り、そりゃ再生もするさ」 「そんな……」 そうして【核】を破壊しちまったら元も子もない、【核】だけ傷つけずに周りだけ 削ぎ落とさなきゃダメだったせいで、あんなにややこしいかったんであって。 「じゃあ…一体あの子は、どうすれば……」 ただ、途方に暮れたような顔をするおふくろさんに対し。 「いやいや、言っただろ、『変わらない限り』ってな」 にやりと笑って、オレは次の果実に手を伸ばしながら指を振る。 「…かわ、る…?」 「そう、要は生きるのが楽しいって思わせればいいのさ」 杯に注がれたエールを煽ると、両手を広げて高らかに。 「太陽が眩しい! 空気が旨い! 食べ物も美味しい! 女の子は可愛い! 死人の友達を作らなくったって、生きている友達さえ居ればいいやっ! ああ、人生ってなんて素晴らしいんだろう! 生きてて良かったー…ってな♪」 そう、なるだけ冗談めかして言ったつもりだったが。 「…………」 ああ、暗いな~おふくろさん。 まあ実の息子が10歳で既に自殺志願者って知れば当然かも知らねぇがよ。 でも、ま。 「そんな事――…」 「いやいや、あるんだなーこれが、ちょうどいい手段が」
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第二回人気投票結果 [対象:106話『インターミッション――《第一回定時放送》』~172話『誰も私を責めることはできない』] SS部門結果発表 1位/60ポイント 149話 『黄昏の破壊者、破壊者たちの黄昏、Beyond The Grave』 ◆L5dAG.5wZE(◆.ZMq6lbsjI)氏 2位/38ポイント 163話 『徒物語~ももこファントム~(上)、徒物語~ももこファントム~(下)』 ◆1aw4LHSuEI氏 3位/31ポイント 134話 『幸村ああああああああああああああっ!!(前編)、幸村ああああああああああああああっ!!(後編)』 ◆0hZtgB0vFY氏 4位/20ポイント 153話 『切り札(前編)、切り札(後編)』 ◆LJ21nQDqcs氏 5位/19ポイント 150話 『神浄の恋せぬ幻想郷(前編)、神浄の恋せぬ幻想郷(後編)』 ◆00PP7oNMRY氏 6位/17ポイント 139話 『狂風、狂風(後編)』 ◆40jGqg6Boc氏 7位/16ポイント 135話 『ワールドイズマイン』 ◆tu4bghlMIw氏 8位/15ポイント 164話 『疾走する本能(前編)、疾走する本能(後編)』 ◆hqt46RawAo(◆1U4psLoLQg、6HuSfG/Ykw)氏 9位/12ポイント 114話 『夢を過ぎても(前編)、夢を過ぎても(後編)』 ◆tu4bghlMIw氏 142話 『ソードマスターマサムネ』 ◆qh.kxdFkfM氏 11位/10ポイント 115話 『試練2/逃げ場なんて、無いかもよ(前編)、試練2/逃げ場なんて、無いかもよ(後編)』 ◆0hZtgB0vFY氏 159話 『君が 光/闇 に変えて行く』 ◆CcfuOxf30g氏 死亡キャラ部門結果発表 1位/38ポイント 刹那・F・セイエイ @機動戦士ガンダム00 2位/23ポイント 真田幸村 @戦国BASARA 3位/21ポイント 本田忠勝 @戦国BASARA 4位/11ポイント 田井中律 @けいおん! 5位/5ポイント キャスター @Fate/stay night セリフ部門結果発表 1位/30ポイント 「刹那・F・セイエイと本多忠勝、ガンダムエクシアが――」「――――――――――――――――――――――――未来を切り拓く!」 ~ 刹那・F・セイエイ 『破壊者たちの黄昏』より 2位/29ポイント 「曲がらんっ!」 ~ 真田幸村 『幸村ああああああああああああああっ!!(後編)』より 3位/20ポイント 「御坂美琴は、お前にとってのヒロインだったのか?」 ~ C.C. 『ワールドイズマイン』より 4位/13ポイント 「まずその殺し合いなんてくだらねぇ幻想をぶち壊すっ!!!!」 ~ 上条当麻 『神浄の恋せぬ幻想郷(前編)』より 5位/10ポイント 「幹也。お前を―――許さない―――」 ~ 両儀式 『君が 光/闇 に変えて行く』より 「ーーー阿良々木さん、見ぃつけたー」 ~ 平沢憂 『徒物語~ももこファントム~(上)』より 7位/8ポイント 「―――だから、それが、私にとって、何だっていうんすか……。 起源とか、そんな話は知らない。私は、私は絶対に先輩を生き返らせる―――!」 ~ 東横桃子 『徒物語~ももこファントム~(上)』より 8位/6ポイント 「なにを言っている、カイジ。同性同士の恋愛くらい普通のことであろう。」 ~ 天江衣 『麻雀残酷物語(前編)』より 作品別@セリフ部門 1位/39ポイント 『破壊者たちの黄昏』 「刹那・F・セイエイと本多忠勝、ガンダムエクシアが――」 「――――――――――――――――――――――――未来を切り拓く!」(刹那・F・セイエイ) 「そうでない自分がいる……俺は、ここにいる!」(刹那・F・セイエイ) 「――――――――GNホンダム可翔式!」(刹那・F・セイエイ) 「……馬鹿な。君が……敗者となるべき私が生き長らえ、勝者である君が逝ったというのか、刹那・F・セイエイ……!」(トレーズ・クシュリナーダ) 「――お前なら、より良い未来へと人を導けるはずだ。撃つことの痛みを、戦いの悲しみを知っているお前なら――」(刹那・F・セイエイ) 2位/29ポイント 『幸村ああああああああああああああっ!!』 「曲がらんっ!」(真田幸村) 3位/27ポイント 『ワールドイズマイン』 「御坂美琴は、お前にとってのヒロインだったのか?」(C.C.) 「……聞き捨てならないな。チーズくんを馬鹿にするということは私に喧嘩を売っているようなものだぞ」(C.C.) 「まさか上条くんとシンパシーを感じてしまうなんて……精神を陵辱された気分だわ……」(戦場ヶ原ひたぎ) 4位/24ポイント 『徒物語~ももこファントム~』 「―――だから、それが、私にとって、何だっていうんすか……。 起源とか、そんな話は知らない。私は、私は絶対に先輩を生き返らせる―――!」(東横桃子) 「ーーー阿良々木さん、見ぃつけたー」(平沢憂) 「―――お前は魔術を使用するな!」(ルルーシュ・ランペルージ) 「最後に教えよう。―――おまえの起源は“孤独”だ。東横桃子」(荒耶宗蓮) 5位/15ポイント 『夢を過ぎても』 「…………俺は、夢を見ていた」(レイ・ラングレン) 「丁度いい所で出会ったものだ。女、一つだけ聞きたいことがある。お前は……」「夢を、奪われた者が……どうなるか知っているか?」(レイ・ラングレン) 「結局、終わることさえ――――出来なかった」(レイ・ラングレン) 「……先輩。 私、がんばるっす。がんばるっすよ。 だから、私を見守っていてください。 絶対に、私は負けません。 そう――これからは、ステルスモモの独壇場になるはずっす! 私は生き残って、そして――もう一度、先輩に会いに行きますから!」(東横桃子) 6位/13ポイント 『神浄の恋せぬ幻想郷』 「ならてめぇが力を貸しやがれ!!!」 「てめぇがにどんな考えがあって、どんなものを見てきたのかなんて知らねぇ! でもよ、そう言うって事は、てめぇは本当は諦めたく無かったんだろ!! そのために、それだけの力を手に入れたんだろ!!」 「俺の言葉は毒だって、全てを壊す毒だって、そう言ったな! ああ、だったら俺は毒をばら撒いてやる! 全てをぶち壊す毒で、俺はこの島の仕組みを殺してやる!」 「俺のちっぽけな力じゃ、毒じゃ足りないっていうなら、お前が足りない分を補えよ! お前でも足りないなら、ひたぎもいるしC.C.だっている! 他にも何人もいるんだ!」 「だからよ!!」 「まずその殺し合いなんてくだらねぇ幻想をぶち壊すっ!!!!」(上条当麻) 6位/13ポイント 『君が 光/闇 に変えて行く』 「幹也。お前を―――許さない―――」(両儀式) 「ああ――。死んだのか、おまえ」(両儀式) 8位/8ポイント 『麻雀残酷物語』 「なにを言っている、カイジ。同性同士の恋愛くらい普通のことであろう」(天江衣) 「すまなかった。前言撤回だ。衣、お前は俺の 友達だ…!」(伊藤開司) 書き手別得票ポイント(作品・セリフ合算) 1位/◆L5dAG.5wZE(◆.ZMq6lbsjI)氏――99p 2作・死者2名(刹那・F・セイエイ、本多忠勝) 2位/◆0hZtgB0vFY氏――71p 2作・死者1名(真田幸村) 2位/◆1aw4LHSuEI氏――71p 5作・死者1名(セイバー) 4位/◆tu4bghlMIw氏――70p 2作 5位/◆LJ21nQDqcs氏――36p 2作・死者2名(船井譲次、琴吹紬) 6位/◆00PP7oNMRY氏――32p 1作 7位/◆CcfuOxf30g氏――26p 4作 8位/◆40jGqg6Boc氏――20p 2作・死者3名(キャスター、田井中律、黒桐幹也) 9位/◆qh.kxdFkfM氏――18p 4作 10位/◆hqt46RawAo(◆1U4psLoLQg、6HuSfG/Ykw)氏――17p 6作