約 7,374 件
https://w.atwiki.jp/when_they_cry/pages/400.html
前回 鬼畜王K1 〜鬼誑し編・其ノ拾壱〜<純粋> 鬼畜王K1 〜鬼誑し編・其ノ拾弐〜<暗雲> その61からその63まで収録 それ獣は三を群と為し、人は三を衆と為し、女は三を粲(さん)と為す。 それ粲は美の物なり。 小醜(しょうしゅう)物を備ふれば、終(つい)に必ず亡ぶ。 【小人が美しいものを独占すれば、必ず破滅が訪れる】 『国語』巻第一「周語 上」より 汗と唾液まみれの身体をようやく離して、魅音を支えながら立ち上がる。 散らばった衣服を整え、身なりを元に正した時に、ハッと気付いた。 「レナは――どこに行った」 魅音も俺の声に気付き、蒼白になって辺りを見回す。教室の中には、俺たち以外の人影は無かった。 ということは、俺と魅音が抱き合っている間に、ここから去ったのか。 ――今さら、悪いことをした、という思いがこみ上げて来た。 俺の方からレナをいいように使いつつ、待たせた挙げ句に、魅音と交わることに我を忘れるとは。 レナもまた、俺の牝狗で――いや、俺を好きでいてくれている。 あいつにも、心が有る。肉体は別にして、俺のことを思いやる心が。 ――そういうものに思いが至るようになったのも、数日前の俺なら信じられんが。 「…!け、圭ちゃん…」 魅音に呼びかけられて振り向く。彼女は未だに半裸のまま、震えながら床を指差した。 「なんだ、これは。――まさか…血!!?」 紛れも無く、レナの血痕だった。魅音の破瓜時のものではなく、量も違う。 血溜まりというほどではないが、ところどころに飛び散っていて、レナの手形までついている。彼女がここを拭き取ろうとしたのか。 さらに、それは廊下の方までぽつぽつと続いていた。 「――レナが、通った足跡だ」 俺は堪らず、それを辿る。教室の外に出ようとした時、魅音に声を掛けた。 「魅音!俺はレナの後を追ってみる。お前はここを元通りにしてくれ! ――レナの足跡を見失ったら、また戻ってくる!」 魅音が頷いて、俺はそのまま廊下に走り出る。 足跡は廊下から下駄箱まで続き、レナの靴箱にまで付着していた。そのまま外に出たに違いない。 靴を履いて出たなら、足跡は発見しづらいかもしれない――と思っていたが、幸か不幸か、血痕が赤い点となって校門まで続いていた。 これは普通じゃない。何かレナの身にあったに違いない――と、空恐ろしくなった。 校門から出ると、さすがに灰色のアスファルトに垂れている分、色が混ざり始めて血痕が発見しづらかった。 なんとか注意深く見つけるが、その時ようやく閃いた。 「――レナがまず向かうとすれば、自宅しかない」 気が動転して気付かなかったが、連れ去りでも無い限り、まず帰宅したと考えるべきだ。 見えにくい血痕を辿るのは切り上げてレナの家を目指す――というか、登下校の道を下ることになった。――当然、焦る気持ちから、全速力で。 だが、途中の坂道で、俺は思わぬ人を見つけた。 「…ッ!!知恵先生ッ!!?」 坂道の真ん中に座り込んだ知恵がいた。俺は走り寄って、彼女に問いただした。 「どうしたんです、知恵先生ッ!こんなところで、どうして座り込んで…ッ!?」 すぐに、彼女の異常に気付いた。 知恵は両肩を抱えながらがたがたと震え、恐ろしいものでも見たかのように、焦点の定まらぬ目で虚空を見つめていた。 「どうした、知恵ッ!!なにがあったッ!?なにを見――って、お前、その腕ッ!!?」 彼女の右腕に、紅い血痕があった。 知恵はどこも怪我をしていない。誰かに腕を掴まれたか、触れた時に血が付いたのだろう。今は少し渇き気味になっていた。 さらによく見ると、首筋にも同じように血が付着している。誰かに首筋を撫でられた時に付いたということか。 ――いや、もう『誰か』なんて言い方はよそう。 「――レナに、会ったのか?」 知恵はビクリと身体を震わせた。 「…前原、く…ん…」 「…ここでレナに会ったんだな、知恵…。下校するあいつを呼び止めたか?」 「前原くん…駄目、駄目です…!」 「…駄目、とはなんだ?」 「駄目です、あの子を追いかけてはいけません!あの子は…あの子は…」 知恵は再びガタガタと震え、俺の胸にうずくまるように身体を預けてきた。 涙まで浮かべるほど弱り切っている彼女を、これ以上問いつめるわけにもいかなかった。 俺は知恵を伴い、一旦教室へ戻ることにした。魅音を一人にしておくのもまずいだろう。 二人でゆっくりと歩き出しながら、俺は思案を巡らせていた。 ――レナは、いったいどうしたというんだ? ――知恵がレナをここまで恐れる理由は何だ? ――こいつはレナの何を――見たんだ? ――魅音も、知恵も、レナも、そして俺も――これから、どうなるんだ? 答えは出るはずもない。答えられる人もいるわけがない。 暮れ行く夕闇の中に響く、ひぐらしたちの鳴き声しか聞こえなかった。 もう私の居場所は無いんだね、圭一くん。 『私の』圭一くんは、どこかに行っちゃった。 私もどこかに行きたいな。ここは、もういいや。 圭一くんが好きな場所なら、私はどこでもいいよ。 私はついてくから…圭一くんと一緒なら…どんなところだろうと… 二人なら…二人なら… そう、私と圭一くん以外はいらない。 誰も要らない。何も要らない。必要無い。 何も…何もかも。 私と圭一くんがいる世界だけでいい。 居場所は作るもの。奪われたら、取り戻す。 居場所は護るもの。邪魔するモノは、削除する。 なぜなら。 『ソコ』は――元々、レナの場所だから。 『アレ』は――元々、レナを選んだから。 『ソレ』は――元々、レナしか見てなかったから。 『カレ』は――元々、レナの『モノ』だから。 ――竜宮レナハ、戦ウ。 圭一クン、きみノタメニ。 …あはははは、それを邪魔するんだね? あなたも、アナタも、貴方も…レナの『モノ』に近付くんだね? ――仕方ないなぁ。それじゃあ―― 削除削除削除削除削除削除削除削除削除削除削除痒い削除削除削除削痒い除削除削除削除削痒い除削除削除削除削除削痒い除削除削除削除削除削除削痒い除削除削除削除削除削除削痒い除削除削除削痒い除削除削除削除削除削痒い除削除削除削除削除削除削除削痒い除削除削除削除痒い削除削除削痒い除削除削除削除痒い削除削除削除削除削除削除削除削除削除削除痒い削除削除削除痒い削除削除削除削除削痒い除削除削除痒い削除痒い削除削除削除削除削痒い除削除削除削痒い除削痒い除削除痒い削除削痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い… <続く>
https://w.atwiki.jp/suka-dqgaesi/pages/1272.html
179 :名無しさん@HOME:2008/02/28(木) 01 29 31 0 ナマハゲ嫁さんGJ!!トメ埋め隊嫁さんガンガレ!!!ここの職人達と応援してるよ そして私がしたプチだが義実家にした劇的ビフォーアフターでも 興奮し過ぎて寝れないから投下させて。 興奮のあまり誤字脱字、見づらいのも許して。 ウト没後、贅沢三昧で暮らしていたトメが最近老後も考えて義実家を二世帯にしたい!! でも自分の遺産からはビタ一文も出さないよ(本当は全部使ったと思う)、だからムチュコタン出して☆ あぁ嫁子さんも、曽祖父母から頂いた遺産があるんでしょ?それ出してちょうだい!!! など何寝ぼけた事を私たち夫婦の前で抜かしたバカトメ様 私はウトさんが亡くなった後に結婚したし、旦那の遺産の事も興味ないし気にしなかった。 私が曽祖父母から頂いた遺産というのは、北の大地の広大なド田舎農場と、某ジブリに出てきそうなオバケ屋敷だ 売っても金にならないのは目に見えている。 と、遺産の話は置いておくとして、自分が贅沢三昧してる最中に息子家族が集めた貯金で2世帯立てて そこでお姫様気取りで暮らすトメは目に見えていたし、私たちの老後は既に決めてある!!! 二世帯などぜーったいにするもんか!!!で旦那と結託して義実家にDQ返ししてきた まずトメを1泊2日の格安温泉旅行に送り出す。(格安でもオプションサービス入れると結構高いッスね) で、その間旦那と義実家をカオスの匠と呼ばれる旦那嫁子でリフォームしてやりました。 接着剤嫁さんを見習い、皿は全部接着剤でペタペタ 電話番号0にも接着剤ペタペタ テレビのチャンネルボタンは意味ないかなぁ?と思ったけどトメが嫌いなNHKの入るボタンに接着剤ペタペタ あぁ、地震で飛び出すの防止に、トメ家自慢のガラス棚はエポキシで封をいたしました。 もちろんスリッパや靴も接着させていただきましたよ。脱ぎ散らかされては大変ですから。 180 :名無しさん@HOME:2008/02/28(木) 01 30 22 0 旦那は力仕事で椅子やテーブルの脚をカートについてるローラーに変更するべく脚木を切断中。 チラリと見ただけだけど、メジャーも定規もないように見えたから目検討のようだけど、心配はしてない。 私は次にトメさんご自慢の汚洋服を漂白剤1本で漂白、その間にトイレ掃除 トイレが寒くて暗くて恐いわ~と言ってたトメ様の為に、足元には電気式のストーブを設置 常に生暖かーく吹くようにセット、あとトイレといえばいい匂いが基本ですので、 ドンキの店員さんと熱く語り合った末に購入した、ココナッツの車用芳香剤+超臭いバラの香りの芳香剤 それをトイレに設置してあげました。 あと、暗くて恐いと言いましたので他人の目線があれば見られている=トイレの中でもコワクナーイ!! と思いましたので、トイレの壁一面を某ホラーゲームキャラの顔を水濡れ防止のためラミネート加工したのを ベタベタと接着剤でくっつけて、上からも剥がされないようにコーティング。 で、トイレが暗いと言ってたので、上の電球外して人が近づいたら自動で光るライトを設置 でも微妙な光が全体に「ぼうっ」とするぐらいだけど、まいいか!! で、トイレが終わって洗濯機もいい具合に色が落ちてきたので、そのまま 洗剤2箱と、えーと小麦粉もいいと聞いたので小麦粉も1袋、あとウッカリ手が滑ってトメ愛用の シャネルの香水ドッパリ入れちゃったけどシラネ。洗濯したら匂わないと思うし で、旦那はと言うと2階へ上り下りするトメの為に足場には何か臭いゴムを貼り付け 適当な棒で手すり・・・というか、手を置くスペースみたいなのを作っておりましたw あと、トメ寝室から出てきた、エッチな本・・・というか薔薇族雑誌?みたいなのを どうするか旦那に聞いたら「リビングのトメ自慢のガラステーブルに接着してこい」 と言われたので、接着してやった。で、水とかで汚れたら大変なのでテーブルクロスで厳重に封をしてやりましたよ。 181 :名無しさん@HOME:2008/02/28(木) 01 31 29 0 ウトさんの仏間はとても寂しいもので、思わず嫁子は線香を供えつつ ウトさんの仏壇の後ろの方にコンセントがあるのを思い出し、そこにラジカセセット!!! 中に入ってる音声は某ホラーゲームの家がミシミシッとかいう恐い音の部分を 数時間空白 恐い音 といった感じのを挿入してスイッチON トメ気が付くのに時間かかるだろうけど、部屋がいきなりギシミシ言うのって結構キくもんね 旦那のほうも次のトメ自慢の高級車に、ワックスと間違えてサラダオイルで磨いてしまったり ウッカリ剃刀の刃を水平に保ちつつ「トメ子」と盗難防止対策をしてしまったそうだ。 このトメ子の名前は大体半年後に塗装がペリッと剥がれて見える仕組みになってるから 今はトメ気が付かないだろうな。 で、最後の仕上げにお風呂場に「トメへこの入浴液効くから使え」と旦那の書いた手紙付 ハッカ油+血糊の入った中身の見えないビンを置いて帰ってきたよ あ、トメの臭い下駄箱にいい臭いをと思ってくさや入れてたの忘れてたw あぁ明日匠のしたリフォームの採点がされるけど、どうなるんだろう トメさん一人でも住めるようにしたから、二世帯攻撃なくなるといいんだけどナ。 未だに夫婦揃って興奮状態なので、ホラーゲームして熱冷ましてきます 182 :名無しさん@HOME:2008/02/28(木) 01 39 46 0 手紙もあるし犯人わかりすぎてるし やりすぎかも知れない 183 :名無しさん@HOME:2008/02/28(木) 01 42 12 0 訴えられたら負けるんでは? 195 :名無しさん@HOME:2008/02/28(木) 02 00 57 0 あぁなんか色々言われてる179ですが トメは自分の財産の全てをホストなどで使い果たし 可愛いムチュコタンの持ってる遺産を寄越せだの、働いてるなら親に金寄越せと、金を無心 それに、私が曽祖父母から頂いた土地を金にしろと常に五月蝿く言う金の亡者 他にも私には「子供も埋めぬ石女」だの「田舎娘がつけあがるなよ」などと 色々イヤミテンプレートなのを書いてなくてすみません。 多分2世帯立てて同居した日には、旦那も私も奴隷&ATMとして扱われるのが目に見えてます そうなる前に嫌われよう作戦でトメ家勝手にリフォームいたしました。 まぁこっちが逃げてもよかったのですが、旦那の仕事都合上4月にはサヨーナラーなんで その前に今までやられた事をまとめて、仕返したかったのが本音ですね 197 :名無しさん@HOME:2008/02/28(木) 02 08 27 0 195 それを先に書かなくちゃwGJ! 次のお話→59-224
https://w.atwiki.jp/ysfh/pages/16.html
横浜サイエンスフロンティア高校・附属中学校における文化祭。毎年九月の土日のいずれかに開催される。 概要 スクールカラーの“青(蒼)”に、校歌(知の開拓者)の歌詞のフレーズ“煌めく”から一期生が名付けたものである。 開祭時間は10 00-15 00。但しステージ以外の企画は14 45終了となる。 2日間に渡って開催され、2日目の文化祭後には後夜祭が開かれる(参加は高校の在校生限定)。 外部の人間にとっては学校の雰囲気を知ることのできる機会となる。 来場者は中学受検を目指す小学生親子が多いので、他の公立高校の文化祭とはちょっと来客の雰囲気が違う。 企画 様々なクラスが多種多様な企画をする他、委員会等も様々な催し物を行う。 附属中学校では合唱祭(コロナ期間中は映像祭)とSSの発表が行われる。 また、交流棟1階では企業による展示説明ブースがあり、フロンティア精神に満ち溢れたサイエンス生や学校に訪れた科学キッズ達を待ち構えている。 各クラス 出し物は年度により異なるが、傾向としては理数科高校である特色を活かした科学ネタや流行り物が多い。 また、開祭式で上映される一分間PR動画は、フロンティアな生徒たちが意気込んで編集しているため非常に完成度が高い……が、在校生しか見ることができない。廊下で受付を行う出し物の場合、そこでChromebook等でPR動画を垂れ流すなどの対処を行うことも多い。 そして、メイドコスプレ+男の娘は毎年の恒例行事である。流石恥の開拓者。 高校3年生は食品販売をしがちである。 部活動と委員会 クイズ研究部 当然早押しクイズである。 整理券制だがクイズ研究部のとてつもない人気によりすぐに枠が埋まるので、クイズがしたくてしたくてたまらない君たちには注意が必要だ。 運が良ければ受付付近や同フロアを周回する早押しボタンの模型を被った部員を見ることが出来る。 サイエンス委員会 怪しい部屋で怪しい色をした薬品を使った怪しい実験をやっている。ここに来れば君も科学オタクになれるよ。 天文部 プラネタリウム(要事前予約) 天文部自作の渾身のプラネタリウムを楽しめる。 宇宙ツアー(要事前予約) なんと宇宙を旅することができる。我がサイエンスフロンティアの科学力は世界一ィィィィ!!!!天文部員がプロジェクターを使って宇宙を解説してくれる。 屋上ツアー 普段入れない屋上に行ける。天体望遠鏡とかがある。 自然科学部 展示と企画(実験)を開催。 航空宇宙工学部 ペットボトルロケットを飛ばしている。 茶道部 作法なしのお茶会が開かれる。3月ウサギはいない。 美術部 美術部が制作した数多のフロンティアな作品が展示されている。 奥には来場者が自由にお絵描きできる大きな紙がある。 文芸部 部誌「下駄箱」をなんと無料で!!!配布している。貰え。 (創刊号〜5号頃までは300円だった) 2日目の午後にはだいたい完売御礼。 図書委員会 図書室前で古本市をやっている。価格はワンコイン(100円)。 販売する古本は事前に生徒から回収する。この時古本を持ち込むと一冊無料券がもらえる。 本の帯などで作られたコラージュポスターもある。 ロボット探究部 レゴロボットを使った企画をやっている。 情報工学部 JKが作ったゲームができる。 2023年には一日目で500人ほど来場した。 メディア委員会 映像等の展示をやっている。 2022年より、「Verge of media」という映像コンテストを行っている。 2022年度は外部公開動画のOPに優勝動画を使用する予定だったが、外部公開動画の制作が長引く中で忘れられた。 2023年度からは単純な動画コンテストとなり、ひるらじで優勝動画の発表が行われた。 2024年度は行われないこととなった。 また、彼らが目に見えないところで血の滲むような努力をしていることで蒼煌祭が成り立っていることをを忘れてはならない。 写真研究部 写真の展示が行われている。 国際交流委員会 ミサンガが手に入る。 数学物理部 ピタゴラ装置がある。隣の部屋では数字にまつわる企画をやっている。 保健環境委員会 ワニの怪物を引き連れて緑の羽根を売っている。価格は1円~。 PTA 校内で記念グッズを販売している。何故かここだけ現金払いである。 アリーナ企画 合唱祭 1日目午前。中学生全員が参加。 2023年に復活した。 親父ギャグを言って黒歴史を作った委員長がいるとかいないとか。 一応言っておくがスベってはいなかった(と信じている)。 2020年度〜2022年度は映像祭を行っていた。 軽音楽部 2日目は基本ずっと演奏している。超エキサイティング。 ホール企画 SL2発表 SL2の中間発表優秀者のうち希望者がSL2の発表をする。スーパーアドバイザー、科学技術顧問等の偉い人もくる。 ダンス部 ダンスをする。理系だって踊れるらしい。 演劇部 演劇を行うが、秋の地区大会で発表する作品の公開リハーサルに近い。 音楽部 演奏をする。 後夜祭 後夜祭参照 アーチ 入口にあるアーチデザインも、毎年文化祭実行委員会アーチ班やクラスの装飾係の生徒を中心にこだわりをもって製作されているため、蒼煌祭の見どころの一つである。 新年度のはじめ、文化祭実行委員会アーチ班によりデザインが募集される。デザインには「第○○回蒼煌祭」と「一文字スローガン」を入れる必要があるが後は基本的に自由。 注意事項 受付は文化祭開始30分前(9 30)から終了30分前(14 30)まで。 近辺には駐車場がないため公共交通機関で来場することが望ましい。 写真撮影は個人利用に限り可能。「SNS掲載はお控えください」とパンフレットにも明記されている。まあ知ったこっちゃないけど ベビーカーは一階本部に預けることができる。 食品販売には電子決済を利用する。交通系ICカードでも支払いが可能なので食品購入を考えている場合は予めチャージしておくこと。 ゴミはゴミ箱に分別して捨てること。 飲食は所定の箇所で行うこと。 各フロアのPCラウンジは封鎖される。 一般参加枠について 募集は大体開祭二週間前から一週間。各年ごとの定員に達すると募集は締め切られる。 申請は公式サイトのリンクかQRコードから出来る。 カフェテリア関連 また外部の人間がカフェテリアを利用できる貴重な機会でもある。しかしメニューの種類が少なめとなり、大盛り不可となる。 ちなみにレアメニューのカツサンドが入手できる。 来場者数データ Day 1 Day 2 Total 1st 1425 2735 4160 2nd 2040 2452 4492 3rd 1890 2451 4341 4th 1875 2732 4607 5th 2116 3197 5313 8th 3339 4317 7656 9th 4364 3915 8279 10th 4031 5446 9477 11th - - 11077 12th 一般参加なし 13th 中止 14th 在校生と保護者のみ 15th 3495 3512 7007 ※15thは来場客数を1日4000人に制限して実施
https://w.atwiki.jp/hachinai_nanj/pages/1526.html
【チョコっとイタズラ☆】阿佐田 あおい (二) 最終更新日時 2020/02/28 23 46 40 このページを編集 ★ スカウト紹介時画像▼ ★ 覚醒前画像▼ imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (★覚醒前URL★) 属性 レア 守備適性 - - - △ ◎ △ 〇 - - - - キャラ総評 期間限定スカウト「伝えたい気持ち スイートバレンタイン」で登場 このゲームの一番初めのバレンタインスカウトで出ていた【戸惑いのプレゼント】九十九 伽奈 (右)にある大量のプレゼントの中に、実は阿佐田からのプレゼントも紛れていたという事実が2年越しに判明。差出人不明で出したプレゼントが自分からのものだと気付き、無事ホワイトデーにお返しをしてくるのか九十九を試そうとしている …が、手に持っている袋の中には初期SRや九十九とのチームスキルアイコンのボールにも描かれているおなじみの猫マーク型のチョコという、ヒントを軽く通り越して答えそのものが入っているので隠す気は微塵もないようだ。普通に贈り物をするのが恥ずかしかっただけかな? 結局のところ、いつものちょっかいである カットイン時に流れる甘々囁きあおいボイスは必聴 試合評価 * ミート パワー 走 力 守 備 備考 素パラメータ 3080 2687 3374 3964 - 恒常スキル後パラメータ 3980 2987 3874 4964 - 打席時/走者1人以上 +400 - +300 - - 走者1人以上 - +400 - - 度胸大幅上昇 打席時/前打者H +400 - - - 学力大幅上昇 最大バフスキル後パラメータ 4780 3287 4174 4964 学力大幅上昇/度胸大幅上昇 デバフ 球速 コントロール スタミナ 変化球 備考 打席時/セカンドのとき -3km/h -300 - - - 打席時 - -300 消費量上昇 - - + チームスキル発動条件 チームスキル発動条件 * チームスキル 発動ライン 限界突破数 信頼ランク ミ パ 走 守 大旋風 ミ3400 - - - - - 熟練打線・先鋒 走3500 - - - - - 超熟練打線・先鋒 走4200 - - - - - 熟練打線・中堅 パ3500 - - - - - 超熟練打線・中堅 パ4200 - - - - - 熟練打線・殿 ミ3500 - - - - - 超熟練打線・殿 ミ4200 - - - - - 鉄壁のセンターライン 守3800 - - - - - 鉄壁の外野陣 守3500走3200 - - - - - 鉄壁の二遊間 守3800 - - - - - 鉄壁の内野陣 走3500守3800 - - - - - - - - - 行を追加するときはこの行をコピペ (チームスキル名)はLv100なら凸と信頼度無しで発動する。(チームスキル名)は凸とすこ8では発動しない。 ※SSR覚醒時、LvMAX、無凸時の能力値を書くこと ※新キャラの場合、引かなくてもピックアップ画面から最大値が確認可能 ※備考欄にはパラメーター以外の変化(ポテンシャル等について記入) ※イベント報酬キャラなど、手持ちから確認する場合は信頼度によって各項目の数値が上がってる点に注意 ※信頼度によるステータス上昇値は信頼度のページで確認可能 ※チームスキル発動条件は上記4属性より該当するものを1つ使用、残りは消す。信頼度によって凸数に変化が生じる場合は適宜行を追加 デレスト評価 メニュー ランク カード名 属性 力 速 技 効果 練習メニュー ★★ 遠投 風 0 9 20 - 追加メニュー ★★ メロンチョコ 風 - - - T型の練習相手のやる気を2倍にして追加で1回行動 実行したあと消滅する 追加メニュー ★★★ ベースランニング 風 25 40 0 - バレンタインシーンなのでチョコ入り スキル解説 ランク スキル名 条件 効果 入手可能デレスト1 入手可能デレスト2 ★★ 粘り打ちの秘奥義 打席時 敵投手のスタミナ消費量を上昇させ、コントロールを減少させる 秤を揺らす若葉 0-0-20 - ★★ エンドランの奥義 打席時/走者が1人以上いるとき 自身のミートが大きく上昇し、味方全体の走力が上昇する 秤を揺らす若葉 0-30-0 - ★ 特別なチョコレート? 走者が1人以上いるとき 自身のパワー・コントロールが大きく上昇し、度胸が大幅に上昇する 小麦色の世界 15-0-0 綾織の水平線 13-0-0 ★ 活力の極意 なし 自身のパワーが上昇し、守備が少し上昇する キャプテン代理 秤を揺らす若葉 ★ 繋ぐ野球の極意 打席時/チームの前打席の結果がヒットのとき 自身の学力が大幅に上昇し、ミートが大きく上昇する 清城高校 - ★ 鉄壁の極意 守備時/走者が1人以上いるとき 自身の守備が大幅に上昇し、エラー回避率が大幅に減少する 楽しさに潜むもの 練習なくして/秤を揺らす若葉 ★ 守備範囲拡大の極意 なし 自身の走力・守備が少し上昇する 楽/清/踏/代/練/い/一/シェ/小/秤 - ★ 勝負師の心得 打席時/負けているとき/走者が得点圏にいるとき 自身のミートが少し上昇し、パワーがわずかに上昇する ★ 柔軟の心得 なし 自身の守備が少し上昇し、ミートがごくわずかに上昇する ★ ミートの基礎 なし 自身のミートがわずかに上昇する 才能 才能名 Lv 条件 効果 甘い挑戦状? 7 打席時/セカンドのとき 敵投手の球速を大幅に減少させ、コントロールを減少させる 臨機応変 5 打席時 自身のミートが超大幅に上昇する 内野安打◎ 5 なし 自身のミート・走力が上昇する セカンド◎ 5 守備時/セカンドのとき 自身の守備が超大幅に上昇する セリフ集 + 押すと開きます 状況 セリフ ホーム むふふ、あおいのチョコは差出人不明… 九十九がお返し出来るのか見ものなのだ♪ 2月14日。ついに…この日がやってきたのだ…。ふん…ふんふん…今なら目撃者はいない…さあ、いくのだ〜 ぬき足…さし足…にゃんこ足…。九十九の下駄箱は…わっ、予想通りチョコでいっぱいなのだ ぬふっ…そんなモテモテな九十九にー、あおいから挑戦状を送らせてもらうのだー! あおいは知っているのだ。九十九はホワイトデーに必ず!チョコをくれた全員にお返しをする…! 試合 試合前 ぬっふっふ…実力を試してやるのだ 開始 結果は蓋を開けてのお楽しみなのだ〜 カットイン通常 あまあまなのだ〜 カットインターニングポイント(打席) むふふ、甘いのだ〜 カットインターニングポイント(投球) 当てられるもんなら当てて見るのだー 勝利 むっふふ〜、密かに作戦を練っていた甲斐があったのだ〜 つ、疲れて溶けそうなのだ〜…でも、勝ちは勝ちなのだ 敗北 ぐぬぬー…なんで負けたか謎なのだ〜! デレスト 特訓 なかなかのメニュー…ふむ、挑戦状と受け取るのだ まーだやるのだー?疲れて溶けそうなのだ… コメントフォーム ログを開く 名前
https://w.atwiki.jp/viprenraku/pages/230.html
シナリオ 7月23日(月曜日)・そのA10 繋ぎ止めたいから 真緒 「ひどい雨だな……」[pcm] 書類仕事の手を止め、窓の外を眺める。[pcm] ついさっきまでは小雨だったのに、気がつけば滝のような雨になっていた。[pcm] 激しく地面や屋根に打ち付ける音にふと、遠い昔を思い出す。[pcm] そう、莉緒と初めて逢った日もたしかこんな日で──[pcm] 莉緒「真緒くん!!」[pcm] 真緒「莉緒?」[pcm] 呼び声に振り返ると莉緒がいた。[pcm] 雨に打たれてここまできたのか、全身ずぶ濡れだ。[pcm] 真緒「ずぶ濡れじゃないか。いったいどう」[pcm] 莉緒「真緒くん!!」[pcm] ★7/23--スチル3 雨が降ってる、場所は教室、莉緒は制服 水に濡れたせいで大混乱 構図は~なんでしょうwとにかく莉緒が必死に真緒に抱きついてる感じであれば ○狙い・・ずぶ濡れになった莉緒が取り乱してる、水が嫌いなんだーと ○時間・・昼下がり ○場所・・学園教室、外は大雨なので教室は暗い ○人物・・真緒と莉緒 ○服装・・真緒はワイシャツ・莉緒は制服 ○表情・・出来れば泣き顔、その顔をベースに怒、哀 ○構図・・効果的な構図とかわかりますんw必死で抱きつく莉緒っていう感じであればw ○シナリオ実例・・以下 言い終える間もなく莉緒が抱きついてくる。[pcm] ほんの数秒ぼくの胸に顔をうずめ、それからゆっくりとあげた顔は 雨と涙に濡れていた。[pcm] 真緒「莉緒? どうしたんだ?」[pcm] 莉緒「どこにもいかないで!!」[pcm] 真緒(……んん?)[pcm] 真緒「おい莉緒?」[pcm] 莉緒「お願いだから!!」[pcm] 体を震わせ、ぼくのシャツを強く握り締める莉緒。[pcm] 莉緒「お願い、お願いだから……」[pcm] ……いったい何を言っているのか分からない。[pcm] とにかく……落ち着かせよう。[pcm] 真緒「……うん、大丈夫だよ。ぼくはどこにも行かないって」[pcm] 莉緒「………」[pcm] シャツを握る力が弱くなったのは、ぼくの言葉に安心したからだろうか。[pcm] 真緒「少しは落ち着いたか?」[pcm] 莉緒「………」[pcm] 真緒「……ま、大丈夫かな」[pcm] 莉緒「………」[pcm] 真緒「でもビックリしたぞ。何かあったのか?」[pcm] 莉緒「………」[pcm] 莉緒は答えなかった。[pcm] 何かあったのは間違いないだろうけど、今は言いたくないって所か。[pcm] 無理に聞く必要もないから、また改めて聞いてあげよう。[pcm] 真緒「まぁとにかく、早く帰って着替えなきゃな。ずぶ濡れだぞ」[pcm] 莉緒「!!」[pcm] 真緒「……あれ? お前、傘はどうしたんだ? もしかして傘を忘れた?」[pcm] と言いながら莉緒の席を見てみるが、傘は無い。[pcm] 普通に考えて傘なら下駄箱の所だよな。[pcm] というか、莉緒は常に傘を持ってるわけだから、寮にでも忘れたんだろう。[pcm] で、雨が降る前に帰ろうとして、雨が降ってきたと。[pcm] 真緒 「莉緒、職員室に余ってる傘があるから、それ借りて帰ればいいよ」 莉緒「………」[pcm] 真緒「とにかく風邪ひくから、早く帰って風呂にでも入れ。な?」[pcm] 莉緒「いや!!」[pcm] 真緒「嫌って言ってもだな」[pcm] 莉緒「いや!!」[pcm] ……寮に帰りたくないのか?[lr] 寮の誰かと喧嘩でも?[pcm] ……考えにくいな。[lr] 莉緒がこんなになるまでの喧嘩なんて。[pcm] 真緒「……莉緒、寮に帰ってから話をしよう。なんなら送っていくしさ」[pcm] 莉緒「どこにも行かないって言った!!」[pcm] 真緒「……莉緒?」[pcm] 莉緒「どうして帰れなんて言うのよ!!」[pcm] 真緒「いや、だって寮に帰らないと」[pcm] 莉緒「……嘘よ、嘘よ」[pcm] 真緒「嘘も何も、このままじゃ風邪ひくぞ」[pcm] 莉緒「私がこんなだから……濡れたから……だから」[pcm] 真緒「……莉緒?」[pcm] 真緒(さっきからいったい何を)[pcm] 真緒(自分を見失ってる?)[pcm] 真緒(……理由がよく分からないけど)[pcm] 真緒(とにかく莉緒を寮に帰らせないと)[pcm] 莉緒「どこにも行かないって言うなら……」[pcm] 莉緒「ここで私を抱いてよ!!」[pcm] 真緒「だ、抱く!?」[pcm] 莉緒「早く抱いてよ!! 私の事可愛いって言ったじゃない!!」[pcm] 真緒「莉緒」[pcm] 莉緒「早く抱いてよ!!」[pcm] ……普通じゃない。[lr] いったい何があったのか知らないが、莉緒がこんなになるなんてよほどの事だ。[pcm] 真緒「落ち着け莉緒!」[pcm] 莉緒「嫌よ!! 嫌よ!!」[pcm] 必死でシャツにしがみついてくる。[lr] 離そうとしてもあまりの力に引き離せない。[pcm] 真緒「莉緒! 落ち着け!」[pcm] 莉緒「早く私を抱いてよ! 真緒くん!!」[pcm] 莉緒「ねぇ! 早く!」[pcm] 莉緒「私を抱いてくれたら、もうどこにも行かないよね? ね?」[pcm] 真緒(いったい何を……)[pcm] 真緒(いや、そんな事よりも)[pcm] これしか思いつかなかった。[lr] 出来るならこんな事はしたくなかった。[pcm] 莉緒「………」[pcm] 叩かれた右の頬を押さえるために、莉緒は手を離した。[pcm] 正気に戻ったのか驚いているのか分からないが、莉緒は呆然としている。[pcm] 莉緒「……あたしを抱いてくれないの?」[pcm] 真緒「……無理だよ。とにかく、少し落ち着こう」[pcm] 莉緒「な、なんで……? なんでなの??」[pcm] 真緒「………」[pcm] 莉緒「いや……いやぁああああああああああああああああ」[pcm] 真緒「莉緒!!」[pcm] 雨の音よりも大きな叫びをあげた後、 莉緒はそのまま床に崩れ落ちた。[pcm] すぐに抱き寄せ呼びかけてみるが反応はない。[lr] たぶん意識を失ったんだろう。[pcm] 事切れたかのような莉緒を前にぼくは、何も出来ずにただ考えていた。 突然ずぶ濡れで現われたかと思うと、抱いてくれだなんて……[pcm] いったい何があって、どういうつもりであんな事を……[pcm] だけどいくら考えても分かるはずもなく……[pcm] 真緒「莉緒……」[pcm] Back ↑ Next
https://w.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/184.html
今日も無事全ての授業が終了した。 「んー!やっと終わた~」と、伸びをするなた。 そして、すかさず現れる紫髪双尾のお姉ちゃん 「よっ。帰ろう~」柊かがみ。 「やあやあ揃いましたな。さて、本日のこれからの予定なのですが、またカラオケというのは如何でしょう?」 こなたは鞄からカラオケ屋のタダ券を取り出した。 「お父さんに貰ってね。各々、返答はいかに!?」 「またぁ?…ん~、まぁ良いわよ?特に予定とかないしね、ね、つかさ」 「…」 返事がない。まるで(ry 「つかさ?」かがみが覗き込むが 「私、いかない…」その顔、鬼の如く憤怒に満ちていた。 「私、こなちゃんなんかとは絶対いかない!」 そう言ってつかさは教室から出ていってしまった。 「あっ、つかさ…、あんた、ちゃんと謝ったの!?」 「…ま…だ…」 あの日、あの時、あの場所で、こなたが邪魔をしなければ つかさはずっといつまでも…後の歌忘れた。 「もう!はい!これ!早く電話して謝る!」かがみは自分の携帯を取り出し、こなたに促した。 「う…うん」チュルルルル…チュルルルル…ガチャ 『あ、お姉ちゃん?』 「つ、つかさ?あたし、こな」 ガチャ…ツーツーツー。 「かがみん…」 「もう!貸して!……何?繋がらないじゃない?圏外?…着信…拒否?」 ツーツーツー 「もう、こなちゃんの事なんか知らないんだから。いっつも私の邪魔ばかりしてさ!こなちゃんのくせにこなちゃんのくせにこなちゃんのくせに!」 ピッ!叩くようにつかさは電源ボタンを押した。 「どうしよう…拒否にしたらお姉ちゃんと連絡できないや…。そうだ、メールで…う~ん…これで…よし!」 送信→→→受信、ピロリロリん♪ 一方、まだ教室内のこなかが。 「あ、メール…つかさからだ…何何?」 「え?つかさから?何だって?」身を乗り出して覗き見るこなた。 「ちょ!こら、覗くな!!」「…何これ?暗号?全部絵文字じゃん…」 文字、ではなく絵の羅列、それはすでに言葉ではなかった。まさに暗号。 「うわぁ~、凄い怒ってるわ、つかさ。あんた、かなりヤバイわよ」「読めるんだ…かがみん…」 つかさメールの解読、かがみに備わった特殊能力であった。 「とりあえずつかさは家に帰るって。あと二人でカラオケ行ってって…」 「んじゃ、カラオケ、行きますか」「馬鹿!つかさに謝るの!はっきり言ってあんたの立ち位置微妙よ?最悪仲直りできないかもね」 「え゛?そんなに怒ってるの?」「爆発寸前よ!」 かがみは再びつかさに電話したが、つかさがそれに出ることはなかった。 下駄箱につかさの靴はなかった。 「かがみ…あたし、走って探してくるよ…」 こなたの顔がいつになく険しい。 「走ってって…私はどうするのよ?」 「一人でカラオケとか…嘘嘘ごめん。つかさ怒らせちゃったのあたしだしさ かがみは先に帰っててよ…見付かったら連絡するから…」 こなたの顔は少し青ざめていた。 「馬鹿、私もいくわよ、あんたの足には敵わないかもしれないけどね」 「…うん、ごめん、かがみ」「私に謝らないでよ」 二人はダッシュで学校を後にした。 流石こなた、かがみとの差は歴然であった。 快速を続けるこなたと息切れのかがみ、まるで別の生物であった。 「あれ?…ちょ、かがみ」と、遠くのかがみに合図を送るこなた。 「はぁ…はぁ…」かがみは息をするのもやっと、それを受け取れど返せなかった。 こなたの指差す先には、黄色いリボンがひょこひょことうごめいていた。 それがある店に入って行く。 「かがみ、つかさ、ゲーセンに入って行ったよ?」 ようやくこなたに追い付いたかがみ。 「ゲ、ゲーゼン?」 尾行を開始する二人。 つかさはある対戦格ゲーの匡体の前にいた。それにお金を入れるつかさ。 荒々しい技で相手を痛めつけていく、のかと思いや、パターンが読まれ、あっさりKO。 バン!とコントロラーに手を叩き付け、つかさはその場を後にした。 つかさの次なる標的はパンチングマシーン。 人気アニメ「がんばれ元気」仕様で、若者に大人気の台だった。 チャリンと小銭が吸い込まれていく。 殴るやつがひょこっと起き上がり、渾身の力で殴りかかるつかさ。 起きては殴り、起きては殴りの繰り返し…全身全霊を込めた重撃の評価は…平均以下、下の下だった。 はぁ、と息を漏らすつかさ。籠の鞄を持とうとすると、傍らに見知らぬ少年が立っていた。 髪を染め、顔のいたる所ピアスをつけた少年。 少年はつかさの肩に手をかけ、そっとつかさの唇を奪ってしまった。 つかさも嫌がるそぶりを見せず、両手を少年の首に回している。 「ちょっとあんたぁ!!」堪えきれず、かがみが飛び出して行った。 「何やってんのよ!?あんた達!つかさ!あんたね!…あ、あれ?」 二人を引き裂いて初めて気が付いた。 この子、つかさじゃない… 「ごごごごごごめんなさい!」 顔を真っ赤にして謝るかがみ。 けっ!てな感じでつかさ風の女の子と少年は去っていった。 「…こぉなぁたぁ…どう言う事よ…」 「あ、ははははは…人違いだったみたいだね…あははははは」 「もう、大恥かいちゃったじゃない!」 足早にゲーゼンを出た二人。 「いやはや、まさか偽つかさがいたとはね…すびばせんでした」 「まったく!…あ」 出た先でかがみはある視線に気が付いた。 隣の書店の袋を抱えた女の子がこっちを見ている。 「お姉ちゃん?…あっ…」視線を反らす女の子。 この声、この顔。間違いない。 「つかさぁ、良かったぁ、見付かって…。探したんだよ?」 ぐわし!と、つかさの肩を抱くかがみ。 「え?カラオケ行ったんじゃないの…?」 「つかさ置いて行くわけないでしょ!?それに」 突き刺さるかがみの視線。 言葉はないが、電波は伝わる。 『コナタ ツカサ ニ アヤマレ』受信完了。 こなたはつかさに歩み寄るが、つかさの視線は下にあった。 「つかさ…」つかさは答えない。 「つかさ、あの時はごめん。調子に乗りすぎたよ。 あたしすぐ暴走しちゃうからさ…あの時もつかさを応援してたつもりだったんだけど なんか、自分の事しか考えてなかった…かも…ごめん。て、いつもだよね。…ごめん、つかさ」 無言のつかさ。 「こいつも悪気があったわけじゃないんだし…つかさ、許してあげてよ」 かがみの助け船。 「…」変わらず無言、でも表情が次第に変わっていく。 「うん…うん!その変わり…」 ついに和解。その変わり、つかさはある条件を出してきた。 これからみんなでカラオケに行く事+こなた自重しる。 「よぉし。今日は宇宙刑事ギャバン、歌っちゃうぞ~」 「あはははは…はは(こなちゃん…わかってくれたのかな…)」 ー繋がった?心ー完ー
https://w.atwiki.jp/virtualrowa/pages/243.html
6◆◆◆◆◆◆ ――――そうして。 レオからの連絡を受けた岸波白野たちは、生徒会室へと戻って来た。 「それでレオ。なんかわかったのか」 「ええ。僕の予想が正しければ、ウイルスに対策することが可能かもしれん」 「ならその予想ってのを早く教えてくれ。このまんまなんもできねぇで時間切れってのはゴメンだぜ」 苛立たしげなレインの言葉に、自分も同意する。 プレイヤーのアバターに仕掛けられているというウイルスの発動まで、すでに残り半日を切っている。 だというのにそのウイルスは結局、アバターデータを解析できるユイにも、そしてレオですら発見もできなかった。 PKを行えば延命は可能だが、PKを行うという事はすなわちデスゲーム――榊の思惑に乗るということを意味する。 そして幸か不幸か、自分たちは戦闘こそ行ったが、PKには至っていない。またレオたちも同様にPKは行っていないという話だ。 合計七人。たとえ都合よくPKが現れたとしても、この人数全員が延命できるとは思えない。 つまりこの場にいる全員が生き残るためには、ウイルス自体をどうにかするしかないのだ。 ………だが、先ほども言ったように、ウイルスに関する手掛かりは何もないままだ。 レオはこの状況から、いったいどうするつもりなのだろうか。 「わかりました。それではモニターの方を見てください。 まず皆さんが一番恐れているであろうウイルスについてですが―――」 レオが頷き、そう告げると同時に、一際大きなモニターが浮かび上がる。 モニターには簡略化されたPCボディの素体のようなものと、何かしらのパラメータが表示されていた。 「ユイさんの協力の下、僕らのアバターを様々な角度から解析した結果……… 僕らのアバターには、ウイルスは仕掛けられていない、と結論するに至りました」 「はあ!? そりゃ一体どういう意味だよ!」 「そうだぞレオ! ウイルスが仕掛けられていないってことは、時間制限の話は嘘だったってことか?」 ウイルスは仕掛けられていないというレオの言葉に、ジローとレインが戸惑ったように言葉を荒げる。 同然だろう。それが事実だとしたら、延命のためにPKを行う必要性がなくなるのだから。 だがレオは、首を振ってそれを否定した。 「いいえ。残念ながら、制限時間の話は本当でしょう。そんな嘘を吐く意味はありませんから」 「じゃ、じゃあどういう意味だよ。ウイルスが仕掛けられていないなら、どうやって時間切れのヤツを殺すんだ?」 「それは簡単ですよ。ジローさん、パソコンにウイルスが感染する時は、どんな時ですか?」 「どんな時って、そりゃあ……他のパソコンからハッキングされたり、インターネットの変なページ開いたり、あとは………」 「メールの添付ファイル、だな。なるほど、そういう事か」 「そういう事です、レインさん。おそらくですが、主催者はメールを使って、時間切れのプレイヤーにウイルスを送り込んでくるのでしょう」 レオのその推測に、なるほど、と納得する。 PKによって延命できる時間は一人につき6時間。そして主催者が送ってくる定期メールも6時間ごとだ。 ならそのメールにウイルスを添付して送信すれば、時間切れのプレイヤーはウイルスに感染しデリートされることになる。 「そしてメールの本文はともかく、着信時にはメニューウィンドウが強制的に展開されます。 つまりメニューを開かないという方法では、ウイルスの感染は防げません。 対策としては、メールそのものを着信拒否するしかないでしょうね」 「着信拒否って、そんなことできんのかよ」 「できなければウイルスに感染して死ぬだけですよ。 幸いにして、ウイルスメールが来るまであと一回は猶予があります。それまでに着信拒否プログラムを組むしかないでしょう」 だがプログラムの構築に失敗すれば、PKによって延命するか、ウイルスによって死ぬだけだ。 あと一回は猶予があるとレオは言ったが、逆に言えば、延命(PK)をしない限り一回しか猶予はないのだ。 果たしてそれまでに、ウイルスメールへの対抗プログラムを組むことができるのだろうか、なんて心配が心を過る。 ……が、しかし、そんな心配をしたところでどうにかなるものでもない。 岸波白野にはその手の魔術師(ウィザード)スキルがなく、ウイルスに関してはレオとユイに頼るしかないのだ。 「ウイルスに関してはこれくらいでしょうか。 ウイルスそのものへの対策は以降も考えますが、現状ではこれ以上手の打ちようがないわけですしね。 では次の議題――バトルロワイアルそのものへの対抗策に移りましょう」 結局ウイルスそのものに対する対策をとることが出来ないまま、話は次の議題へと移ってしまった。 アバター内にウイルスを発見できなかった以上、それも仕方がないだろう。 あとはこちらの予想通り、ウイルスがメールによって送信されてくるものであることを祈るしかない。 それにこちらの議題も重要なものだ。 たとえウイルスをどうにかできたとしても、バトルロワイアルそのものをどうにかできなければ意味がないのだから。 「それはいいけどよ、こっちはこっちで情報不足だろ。」 「いえ、そうでもありません。 ウイルスの件と比べれば、こちらは大きく前進しています」 「そうなのか?」 「ええ。と言っても、こちらもやはり、予測の範疇を超えません。 ちなみに先に言っておきますが、この予測を立てるにあたって、番匠屋淳ファイルを参照しました。 そのためこの予測は、番匠屋淳ファイルの内容がこのデスゲームと関係していることが前提条件となることを覚えておいてください」 そのレオの言葉に頷く。 番匠屋淳ファイルの存在が前提となるということは、逆に言えば、ファイルがデスゲームと何の関係もない場合、レオの予測は的外れなものとなる。 レオが予測の範疇を超えないといったのはそのためだろう。 そんな予測を当てにしなければならないほど、自分たちには情報が不足しているのだ。 「僕はこれまでに集まった情報から、このデスゲームには『The World R 1』で起きたある事件――通称モルガナ事件における何かが関係していると予測しました。 そしてその結果、デスゲームを打破する鍵となるのは、やはりアウラであると結論付けるに至りました。 そもそもアウラは、『The World』の女神となり得る――言い換えれば、一つのネットゲームを支配できる存在です。 そんな存在が介入できるような余地を、榊がわざと残しておくとは思えません。あの手のタイプの人間は、自分が支配者であることに拘りますからね。 そして本当に介入を拒むのであれば、アウラのセグメントを参加者に支給などせず、自分たちで回収・管理しているはずです。 しかしそうはならず、こうしてその一つが支給されている。という事は」 「そうできなかった理由がある、という事か」 「ええ、その通りです。 おそらくですが、このデスゲームのシステムを作成する段階で、何らかの理由によりアウラのセグメントが紛れ込んだのだと思われます。 そして榊たちゲームマスターの用いるシステムプログラムでは、アウラのセグメントに直接的な干渉ができなかった。 その結果、アウラのセグメントはアイテムとしてプレイヤーに支給されてしまったのでしょう。 ―――ここで重要となるのが、“アウラの復活を本当に恐れているはいったい誰か”、です」 「そりゃあ榊のヤロウじゃねぇのか? 仮にも女神様だっつうんなら、復活さえできれば、このデスゲームもどうにかできるだろ」 「ええ確かに。ですがそうではありません。 無論ゲームマスターたちもアウラ復活を恐れてはいるでしょう。 ですがそれ以上に、アウラ復活が致命的となる存在がいるのです。その存在こそが―――」 モルガナ・モード・ゴン。『The World』における最初の女神。 番匠屋淳ファイルに記録されていたモルガナ事件の原因であり、『The World』の管理・運営を行う、『The World』そのものとも言える自律型プログラムだ。 このデスゲームとモルガナ事件を関連付けるのであれば、アウラを最も恐れているのはモルガナだろう。 「正解です。さすが白野さん、情報の組み立てが見事ですね。 このデスゲームにはすでに、アウラの断片であるセグメントと、スケィスの存在が確認されています。 ここに残るモルガナを加えるとすれば、彼女の役割はこのデスゲームを運営するプログラムとなるでしょう。 要するに、このデスゲームのシステムその物が、アウラの復活を恐れているのです」 このデスゲームにはすでに、桜たちのようなAIがNPCとして流用されている。 それと同じように、モルガナも運営システムとして流用された、という事だろうか。 そしてモルガナが運営システムであるのなら、ゲームマスターにとってもアウラの復活は致命的なはずだ。 何しろモルガナ事件は、アウラの復活が終わりへの引き金となったのだから。 システムが同一である以上、このデスゲームでも同様に終わりへの引き金になる可能性はある。 「ってことは、このデスゲームをどうにかするには、やっぱりアウラを復活させればいいのか?」 「いいえ。アウラを復活させるだけで破綻するほど、このデスゲームは甘くないでしょう。 休憩前に軽く話したように、主催者たちもアウラ復活に対する対策をとっていないはずがありませんから。 それをどうにかしない限り、アウラ復活は有効な手とはなりえないでしょう。 そしてその対策の一つが、おそらくはスケィスです。 スケィスはアウラの追跡者。いわばアウラの天敵のようなもの。一度はアウラをセグメントに分割したことからして、彼女に直接干渉することも可能なのでしょう。 ならばゲームマスターは、スケィスがアウラのセグメントを回収または破壊するよう仕向ければいい。 そうすれば自ら手を出すことなく、アウラのセグメントを処分できるのですから」 そしてそれこそが、このデスゲームにおける対主催生徒会の敗北条件だ。 アウラのセグメントが回収されてしまえば、デスゲームは滞りなく運営されてしまう。 そうなってしまえば、残る手がかりはこの月海原学園に隠されていたというダンジョンだけだ。 それもアウラと違い、確実性はほとんどない。 だが逆に言えば、それらの対策を突破し、アウラを無事に復活させることができれば。 「あのクソ榊に一泡吹かせられるってわけか」 「ようするに、決して有利じゃないけど、不利ってワケでもないってことだな」 「そういうことです。 まあもっとも、先ほども言ったように、アウラ復活への対策がスケィスだけのはずがありませんし、これはあくまで予測に過ぎないわけですが」 しかし、何の手立てもなかった先ほどまでと比べれば、ずっと前に進んでいる。 それに幸いというべきか、セグメントの一つは自分たちに支給されているのだ。 これが奪われない限り、敗北条件が満たされることはないはずだ。 「加えて言えば、この番匠屋淳ファイルの存在によって、ある事実が浮かび上がってきます」 「ある事実?」 「このファイルは、聖杯戦争の参加者でなければまず気付けないような、閉鎖されたダンジョンで入手したものです。 そしてこのダンジョンは、本来なら破棄されていたはずのものであり、存在しないはずのもの。 その証拠に、ダンジョンにはエネミーこそ存在しましたが、道中のアイテムフォルダは空っぽでした。 でありながら、デスゲームにおいてはほとんど意味をなさないこのファイルが、ボスエネミーを倒すことによってドロップされました」 ウイルスによって制限時間を設けられたこのデスゲームにおいて、強力なアイテムの手に入らないダンジョンに潜る利益は薄い。 なぜなら、ただポイントを稼ぐのであれば、ダンジョンに潜るよりもアリーナで戦う方が、移動の手間が省ける分効率が良いからだ。 だというのに、わざわざ破棄されたダンジョンの、それもボスエネミーに、戦闘とは関係のないアイテムを持たせておく意味。それは―――― 「それはすなわち、ゲームマスターたちは、決して一枚岩ではない、ということを表しています。 最終的な目的が違うのか、それとも別の理由があるのかはわかりませんけどね」 隠されていたという事は、それが重要であることを示すと同時に、その存在を誰かに知られたくないという事でもある。 そしてわざわざデスゲームのマップに隠したという事は、その知られたくない相手とは通常であればマップに下りてこない存在――つまりゲームマスターとなる。 逆に言えば、プレイヤーに対してであれば、知られたところで大きな問題にはならないと考えている、という事でもある。 いや、道中のアイテムファイルではなく、ボスエネミーのドロップアイテムとして隠されていたという事は、むしろ知ってほしいことなのかもしれない。 「ならばこのファイルを隠した存在と接触できれば、このデスゲームの核心に迫ることができるかもしれません。 そしてその存在は、僕たちがダンジョンを突破した時に現れる可能性が高いでしょう」 ダンジョンの深さは、レオの予想では七から八層。 エネミーも弱体化しているため、魔力の問題さえ解決できれば、そう時間をかけずに踏破出来るだろうとのことだ。 つまり対主催生徒会の今後の方針は、ウイルスへの対策と、ダンジョンの探索。 これに魔力問題の解決と、主催者が仕掛けたアウラへの対策の調査を加えた四つといったところか。 セグメントの探索とプロテクトエリアの調査は、それらの――特にウイルスの問題が解決してからになるだろう。 「そこにハセヲの捜索も加えろ。 あんにゃろう、今度会ったら一発ぶん殴ってやる」 「うわぁ……だいぶ怒ってるな……」 「だしかにハセヲさんの事もどうにかしなければいけませんね」 それにシノンの事も心配だ。 彼女はハセヲを追いかけていたが、無事に追いつけたのだろうか。 「では、ハセヲとシノン、両名の捜索も追加ですね。 ウイルスについての問題も、彼らと話し合わなければいけませんし」 確かにその通りだ。 たとえメールの着信拒否によるウイルス対策が成功したとしても、現在それを知っているのは自分たちだけだ。 シノンたちが今どういう状態なのかはわからないが、もしPKを行っていないのであれば、残り時間は半日を切っていることになる。 ウイルスの発動を阻止するためにも、彼女たちと急いで合流する必要があるだろう。 「シノンといえば、あの娘、なかなかに愛らしい容姿をしておったな。 あの耳といい、あの尻尾といい。何時ぞや出会った麗しのアタランテの系譜かと思ったぞ。 あの娘に火急の用さえなければ、余のハレムに加えて存分に愛でてやりたかったところだ」 「なるほど。シノンさんはそんなおもしろ……いえ、可愛らしい容姿をしているのですか。それはぜひとも見てみたいものです」 シノンの事を思い出したのか、セイバーがそう感想を口にし、それにレオが好奇心を示す。 それを聞いて、この場にシノンがいなかったことに思わず安堵した。 今彼女がここにいれば、今頃セイバーたちにどんな目に合わされていたことか。 「あらあらセイバーさんったら、まさかの浮気発言ですか? そんな事でよくご主人様を自分の物だーなんて言えたものですね。 やはりご主人様に相応しいのはこの私。たとえ何があろうとご主人様一筋な、純情狐のタマモにございましょう」 「浮気とは失敬な! 余は遍く全ての市民を愛する、博愛の皇帝であるぞ。 正妻の座に余がいるのであれば、愛人を一人や二人、余は広い心を以て受け入れる。故に、余も自分のハレムを作ってもよいのだ!」 「うわあ……。なんて王様発言でしょう。さすが皇帝特権:EX(チートスキル)を持つ人は言うことが違いますね」 「うむ! そうであろうそうであろう! もっと褒めるがよい!」 「ですから褒めてませんってば」 そこへキャスターがからかう様な発言をし、またもセイバーとの言い争いが始まる。 その光景に違和感を覚えなくなってきたあたり、自分も慣れてきたなぁ、と何となく思った。 そんな風に今後の方針を纏めていると、ジローが不意に、あ、と声を漏らした。 「……なあレオ。そういえばこの会議って、榊たちに聞かれてないよな。ほら、盗聴とかログとか、そんな感じのでさ。 モルガナの事とかファイルの事とか、あいつらに聞かれたらまずいと思うんだけど。 最悪の場合、榊たちが直接俺たちを消そうとするんじゃないか? いきなりウイルスメールを送ってくるとかさ」 そう言われてみれば、確かにその通りだ。 ここは電子世界。相応の処理能力があるのなら、履歴を辿ることは難しいことではない。 ましてやこのデスゲームの規模を考えれば、その手の監視プログラムはあって然るべきだろう。 だがそれを聞いたレオは、余裕の笑みを崩さない。 「確かにその可能性がないとは言い切れません。 一応監視への対策は講じてありますが、ゲームマスター相手にどこまで有効かもわかりませんしね。 そしてウイルス自体への対策ができていない以上、そうなれば僕たちはお手上げです」 「おい」 「ですが、その可能性は低いと僕は見ています。 なぜならこのデスゲームは、あくまでバトルロワイアルだからです。 ゲームマスターたちの目的は不明ですが、わざわざPvPという形をとった以上、何かプレイヤー同士を殺し合わせる理由があるはずです」 近い例でいえば、岸波白野たちが経験した聖杯戦争だ。 あの戦いも月の聖杯(ムーンセル)を巡って、マスターたちが殺し合う生存競争だった。 もっとも、わざわざモルガナをシステムに使っている以上、このデスゲームはムーンセルによるものではないとは思うが。 「それにゲームマスターが実力行使に出るのであれば、むしろ好都合です」 「好都合って、なんでだよ」 「簡単ですよ。モルガナの事もファイルを隠した存在の事も、あくまで予測に過ぎず、確証などないからです。 だというのにゲームマスターが動いてしまえば、それは僕たちの予測が正解であることの証明になってしまう。 故にゲームマスターは、直接的な対策を講じることができません。 なぜなら最悪の場合、このデスゲームはプレイヤー同士の殺し合いではなく、プレイヤーとゲームマスターの戦いとなってしまうのですから」 ゲームマスターには、プレイヤー同士を殺し合わせる何らかの理由がある。 だというのにPvPがPvGMとなってしまえば、先ほどとは違う意味でこのデスゲームは破綻する。 デスゲームを企画したゲームマスターからすれば、それも避けたい事態の一つのはずだ。 ゆえにゲームマスターは、直接的な手出しは可能な限り避けるだろうとレオは語る。 「それに、危険だからという理由で足を止めては、このデスゲームを打破することは出来ません。 いいですかジローさん。挑むこと自体に価値の有る窮地。それをいわゆる逆境と呼ぶそうですよ。 そして逆境とは超えるために現れるもの。諦めさえしなければ、運命は覆し得るんです。 ―――聖杯戦争の決勝で、白野さんが僕を倒した時のようにね」 いつかどこかで聞いた誰かの言葉。 それをレオは、何かに想い馳せるように口にする。 岸波白野(最弱のマスター)とレオ(最強のマスター)によって行われた、聖杯戦争の決勝戦。 自分にとっては勝てるはずのなかった、レオにとってはは負けるはずのなかった戦い。 その定理が覆り敗北を知った王は、ほんの少しだけ、だが確かに何かが変わったのだろう。 ―――と、そんな風に干渉を懐いていると。 「――――おや?」 不意に生徒会室に、謎の電子音が響き渡った。 これは何の音か、とレオに尋ねる。 「校門に仕掛けておいた警報(アラーム)の音です。 白野さんの出迎え準備ができたのも、これのおかげなんですよ。 ………そしてどうやら、招かれざる客が来てしまったようです」 レオがそう口にすると同時に、モニターに校門の映像が映る。 そこには、黒いスーツを纏いサングラスをかけた男の姿があった。 ――エージェント・スミス。 その男は、シノンから聞いたPKと特徴が一致している。 「うげ、マジかよ……」 「早速ヤベェのが来やがったか……!」 ジローが顔を引き攣らせ、レインが戦慄とともにそう口にする。 シノンから聞いた話では、スミスにはゼロ距離または視覚外から以外の銃撃が通じないという。 射撃攻撃を主体とするらしい彼女からすれば、スミスは天敵もいいところだろう。 「白野さん、カイト、迎撃をお願いします。僕はここでジローさんたちを守ります」 岸波白野へと向き直ったレオが、そう指示を出してくる。 レオが自分とカイトへと声をかけたのは、スミスが同時に複数人存在できるからだろう。 現在モニターに映っている男は一人だけ。 あの男がスミスだと確定したわけではないが、もしそうならば、他のスミスがどこかに隠れているという事になる。 その場合、非戦闘員のジローやユイ、スミスが天敵となるレインを守る人間が必要になる。 そこで単騎での戦闘能力に最も優れているレオたちがユイたちを守り、複数のサーヴァントを従える岸波白野がスミスの相手をするのが適任となるのだ。 問題は――――スミスを撃退するまでに、岸波白野の魔力が持つかどうか、という事なのだが。 「レインさん。白野さんに、あの礼装を渡してください」 「礼装? ああ、あれか。ほらよ」 レオの言葉で、レインからその礼装が手渡される。 受け取った礼装の名は、【赤の紋章】。聖杯戦争中、エネミー300体を撃破した記念にアーチャーがくれた礼装だ。 その効果の〈boost_mp(150); 〉は、装備者のMPを150上昇させるというものだ。岸波白野が装備すれば、最大MPが1.5倍にもなる。 「ほほう。アチャ男さんってば、ご主人様にそんなものをお渡ししていたんですか。 ですが! 礼装の効果は私のプレゼントした【妖狐の尾】の方が上。つまりこの戦い、私の勝利です!」 「なんと! アチャ男だけではなくキャス狐まで奏者に礼装をプレゼントしていたというのか!?」 「ええ。被ダメージ合計30万突破記念に、私の尾っぽの欠けた部分をちょちょっと加工したものを。 そういうセイバーさんは、ご主人様にどんな礼装をプレゼントなさったのですか?」 「ぬ! そ、それはだな………あ、あれだ! 余を誰と心得る! 世界に名立たる第五代ローマ皇帝だぞ!? そこはむしろ、奏者が余にアイテムを贈るべきであろう!」 「黄金率・皇帝特権乙。まあもっとも、セイバーさんじゃ何を作ったところで合体事故を起こすのがオチでしょうけど。 というわけで、ロクな贈り物もできない皇帝様は、購買部で強化体操服でも買っておいてくださーい」 「ぐぬぬぬっ……、む? いやまてキャス狐。貴様今、被ダメージと言わなかったか? ……という事は、まさかとは思うが、奏者がどんな雑魚やサーヴァントであろうと常にピンチだったのは、貴様のように礼装をプレゼントされることを期待してのことだったのか?」 「いやまさか。ご主人様に限ってそんなこと………なくもない、のかな? ご主人様ってば、こう見えて意外とSっ気がありますし。当事者兼被害者的に」 「どうなのだ奏者よ。事と次第によってはただではおかんぞ!」 アーチャーと別れてから、すでに半日近くが経過している。 慎二と行動を共にしている彼が、今どこで何をしているのか。それを知る術は自分にはない。 その事を少し心細く思っていたのだが、この礼装があると、彼が支えてくれているような気がして安心できた。 「こらー! 無視するでなーい!」 「はいはい、敵も迫ってますし、コントはそこまでにしてそろそろ向かってくださいね」 「ぬぅ、致し方あるまい。だが忘れるな。あ奴を追い払った後で、じっくり話を聞かせてもらうからな!」 レオの言葉に頷き、カイトに声をかけて生徒会室の扉に手をかける。 「ハクノさん、あの……」 するとユイが、不安そうな表情で声をかけてきた。 思えば、このデスゲームが始まってから今まで、ユイはずっと岸波白野と行動を共にしてきた。 同じ学園内とはいえ、こうして別行動――それも戦闘を行うのは、彼女にとって大きな不安なのだろう。 そんな彼女に対し、自分は―――― 安心してほしい。 >ヘレンを頼んだ。 現状、ヘレンと意思の疎通ができるのはユイだけだ。 キリトのことで不安はあるが、自分やカイトが離れる以上、サチ/ヘレンを任せられるのはユイしかいない。 それに自分は、岸波白野にできることをするだけだ。だからユイも、自分にできることを頑張ってほしい。 「! はい。ハクノさんも、頑張ってください!」 その言葉に、頑張ってくる、と返し、今度こそ生徒会室を後にした。 7◆◆◆◆◆◆◆ カイトとともに生徒会室を後にし、急ぎ階段を駆け下りる。 しかし一階に到着した時には、男はすでに昇降口へと辿り着いていた。 「ふむ。その様子では、どうやら私を歓迎しているわけではないようだな」 警戒を顕わにする岸波白野の様子を見てか、男はそう口にした。 だがそこには、驚きも困惑も、警戒を解こうとする様子もない。 そんな男へ、ここへ何しに来たのか、と尋ねる。 男は少なくとも、味方ではない。咄嗟の動きに対応できるよう細心の注意を払う。 「そうだな。強いて言えば、“仲間”を増やしに来た」 そう口にする割には、男の表情はひどく冷めていた。 言ってしまえば、岸波白野への関心がまるでない。 むしろサングラスに隠れたその視線は、自分の背後にいるカイトへと向かっているような気がした。 ――――“仲間を増やしに来た”、と男は言った。 ではその仲間とはいったい何なのか。 普通に考えれば、非戦闘区域となっているこの学園で集まるだろう仲間は、榊に反抗する人物のはずだ。 なぜなら学園内にいるプレイヤーは、基本的に戦いを避けようとする人間のはずだからだ。 そして逆に、デスゲームに乗った人物が手を組もうというのであれば、わざわざ学園内に来る必要はない。 なぜならペナルティを厭うPKならば、学園の外から内の様子を探っているはずだからだ。 だがこの男からは、学園内にいながら、戦いを避けようという気配がまるで感じられない。 好戦的、とは少し違う。あえて言えば、やはり無関心。 この男はモラトリアム中の学園内のルールなど、まるで気にも留めていないのだ。 そんな男が捜している仲間とはいったい何なのか。 それを探るために、最後の質問を投げかける。 >1.あなたの名前を……教えてほしい。 「スミス。私の名前は、スミスという」 ッ――――――! 確定した。この男は間違いなく、シノンが警告していたPKだ。 そしてこの男の言う仲間とはすなわち、“この男自身”に他ならない………! 「ふむ。その様子からすると、どうやら君たちは、すでに私のことを知っているようだな。 だが同時に、私の存在を教えた人物はここにはいないらしい。 あのハセヲという少年か、それともシノンか、あるいはアンダーソン君か……。 私のことを教えた人物が誰かは知らないが、まあいい。それは君たち自身に聞くことにしよう。 ――――君たちを、“私”へと上書きしてね」 もはや隠す気もないのか、男――スミスは嗜虐的な笑みを浮かべながらそう口にする。 ――――危険だ。 やはりこの男は、モラトリアムのペナルティなど気にも留めていない。 そう戦慄するとともに、いっそうスミスへの警戒を強める。 だが―――― 「いいのかね? “この私”にばかり意識を向けていて」 スミスがそう口にした瞬間、ドガン、と上階から激しい音と振動が響いてきた。 何事か、と思わずそちらへと意識を向けた。 直後、ガゴン、と激しい金属音が響き渡った。 慌てて振り返れば、保健室へと通じる廊下が“下駄箱によって封鎖されていた”のだ。 そのことに驚愕する間に、金属音はさらに三度連続で響き渡る。 見渡せば、反対側の廊下、外へと通じるガラス戸もまた、下駄箱によって封鎖されていた。 「まあ、こんなものか。これでNPCは、この戦いを見つけることは出来まい」 下駄箱を使い一瞬で昇降口を封鎖した男は、両手をはたきながらそう口にした。 なるほど。確かにこの状態ならば、NPCが昇降口の様子を確認することは出来ないだろう。 驚くべきはその身体能力。 よくよく見れば、下駄箱には殴り飛ばしたような、あるいは握り潰したような跡が見て取れた。 つまり男は、ただその怪力のみで、四つもの下駄箱を瞬時に移動させたのだ。 ……だが、重要なのはそんなことではない。 問題なのは、先ほどから上階で響き続けている戦闘音。 そしてシノンから聞き及んだスミスの能力が真実だとすれば、答えは一つだ。 自分は―――― レオを信じる 生徒会室へと向かう >カイトに頼む カイトへと、ユイたちを助けに向かうよう指示を出す。 「……………………」 その指示にカイトは頷き、封鎖された昇降口の唯一の出入り口。自分たちが下りてきたばかりの階段へと駆け戻る。 生徒会室にはレオとガウェインがいる。 二人の戦闘能力を考えれば、たとえスミスが何人いようと一掃できるだろう。 だがしかし、あそこにはユイやサチ/ヘレン、ジローにレインまでもいる。 戦闘能力のないユイたちを守りながらでは、さすがのレオたちでもカバーしきれない可能性もある。 「ほう。あの少年を向かわせた、という事はつまり、君が私の相手をする、という事だね」 スミスはそう口にすると、ようやく岸波白野へとその関心を向けた。 その視線に、ザワリと背筋が泡立つ。 サングラス越しでありながら、男の視線はあまりにも無機質だった。 あり大抵に言えば、“こちらを人間として見ていない”。そんな感じがする。 ……いや、違う。 シノンの話によれば、スミスはAI。そしてその関心は、未知のプログラムへと向けられているらしい。 つまりスミスは、岸波白野を何の特別性も持たない、“無価値な人間”だと判断しているのだ。 ……スミスの問いに答えるように、一歩強く踏み出す。 確かに岸波白野には、レオのような特別な才能はない。 カイトのように戦うこともできないし、ユイのような解析能力もない。 ……けれど、岸波白野の価値を決めるのはおまえじゃなない。最後に“自分の価値”を決めるのは、自分自身の気持ちのはずだ……! 「そうか。ならば見せてもらおうではないか。君の定めた、“自分の価値”とやらを」 そう宣告すると同時に、スミスが岸波白野へと勢いよく踏み込む。 その一歩だけで、昇降口の床が砕け散る。 対する岸波白野には、当然戦う力などない。 だが――――と、左手に刻まれた令呪(きずな)を強く意識する。 たとえ岸波白野に戦う力がなくとも、自分には誰よりも信頼し、助け合ってきた仲間たちがいる! だから自分は―――― 頼む、セイバー! 頼む、キャスター! ――――いつだってその名前を呼び続ける! § ――――一方、少し時間を遡り。 「頼みましたよ、白野さん」 岸波白野の出て行った扉に視線を向けながら、レオは小さくそう呟いた。 その声が聞こえたのか、レインは怪訝そうな視線をレオへと向ける。 「なあレオ、本当にあの兄ちゃんに任せて大丈夫なのか? 聖杯戦争でレオに勝ったっていうけどよ、とてもそうは見えないぜ?」 「確かに純粋な実力でしたら、白野さんより僕の方が上でしょう。魔術師(ウィザード)としてのスキルはもちろん、サーヴァントの能力もね」 たとえ岸波白野のサーヴァントが三騎揃っていようと、実力で負けることはない、とレオは語る。 それは紛れもない事実だ。それほどの実力差が、両者の間には存在する。 「ですが、白野さんの真価は単純な能力にはありません。 相手の能力・思考を見極め、適切な指示を出す戦術眼。どのような窮地であっても前に進もうとする諦めの悪さ。 逆境での大一番こそが、白野さんの得意分野です。彼が本気を出せば、互いの戦力差なんてお構いなしですよ」 「なるほどね」 そうレオへと返すレインの脳裏には、一人のバーストリンカーが浮かんでいた。 シルバー・クロウ。 彼もまた、ここぞというところで強い爆発力を発揮する人間だった。 岸波白野はそんな彼と同じ、普段は頼りなくとも、一番大事なところで仲間を支えてくれる人間なのだろう。 「それはそうとさ、俺たちも何かした方がいいんじゃないか? キシナミだけにあいつの相手を任せるってのもあれだろ」 「もちろんその辺りのことは考えてあります。エージェント・スミスの能力を考えれば、白野さんだけに任せるのはむしろ悪手でしょう。 僕たちがすべきことは、他のスミスの存在を警戒しつつ、スミスの増殖能力への対抗策を探すことです。 これをどうにかしなければ、たとえ何人スミスを倒そうと無意味ですからね」 たとえその場にいた全てのスミスを倒したとしても、他の場所に一人でも生存していれば、その一人を起点にスミスは無限増殖していく。 加えて全てのスミスを倒し尽すには、その戦闘能力が高すぎる。 そんなスミスを倒すには、増殖能力そのものをどうにかするしかない。 そしてこのデスゲームは仮にも“ゲーム”だ。 無限増殖などというバランスブレイカーを、ゲームマスターがそのままにしておくはずがない。 必ず何か対策が施してあるはずなのだ。 ならば自分たちは、岸波白野が戦っている間にその対策を見つければいい。 そのためには、岸波白野と接触中のスミスのデータを解析する必要がある。 ゆえにレオはそれを行おうとコンソールを開き、 「っ!? エージェント・スミスと同一のプレイヤー反応が急速に接近! 位置は……上からです!」 「伏せてください!」 唐突に放たれたユイの警鐘に、咄嗟にそう指示を下す。 直後。 ドガン、という激しい音とともに、生徒会室の天井が崩落した。 「ガウェイン!」 「ハッ!」 即座に下される迎撃命令。 粉塵が晴れ、天井からの侵入者が姿を現すよりも早く、太陽の聖剣が薙ぎ払われる。 放たれた一撃は激しい剣戟を鳴り響かせ、粉塵諸共に侵入者を弾き飛ばし、勢いよく生徒会室の壁へと激突させる。 その激しい衝撃に壁が崩壊し、瓦礫となって侵入者を埋め潰す。 「やったか!?」 「いえ、防がれました。手応えはありません」 「な、マジかよ!」 「皆さん、今のうちに退避を!」 「行きましょう、ヘレンさん!」 「――――――――」 レオの指示に従い、ジローたちは急ぎ生徒会室から駆け出す。 その背後からは、瓦礫が除けられ、崩れ落ちる音がした。 「ちっ! 一体どうやって入ってきやがった!」 「上ってことは、もしかして屋上からか? 最初からそこに隠れてたのか!?」 「いえ、違います。プレイヤーの反応は、さらにその上から接近してきました。つまり―――」 「空、ですね。単なる跳躍か、それとも飛行能力か……どちらにせよ、敵の能力はこちらの想定を上回っているようです」 こうなった以上、白野さんと合流します。下階へと急いでください」 敵の能力はこちらの地的優位を完全に上回っている上に、ペナルティも気に留めていない。 拠点をいきなり崩された以上、このまま別行動をとっているのは危険だと判断し、レオたちは階段へと急ぐ。 「喝! お前たち、廊下は走るな! それと、今の騒音は―――何事ぉ!?」 そんなレオたちの様子を見咎めた、階段前の廊下に佇んでいた柳洞一成が声を荒げた。 直後、階段前の廊下の天井――すなわちレオたちの直上が、轟音とともに崩落した。 「っ!」 「キャッ!?」 「――――」 レオは咄嗟に飛び退き、ユイとサチ/ヘレンもどうにか瓦礫を回避する。 「うわぁ!?」 「チィッ……!」 だが一般人の範疇を超えない次郎は咄嗟に反応できず、レインが横から突き飛ばすことで瓦礫から逃れる。 「き、貴様! 神聖なる学び舎に何という事を、おおぉお――――!?」 天井を崩落させた存在へと、柳洞一成が声を荒げて詰め寄る。 だがその存在は一成の言葉など意に介さず、その胸倉を掴んで窓から外へと投げ捨てた。 ………即ち、この場でペナルティを与える存在が退場させられた、という事だ。 割れた窓ガラスから風が吹き込み、粉塵が晴れる。 現れたのは、黒いスーツにサングラスをかけた一人の男。先ほど生徒会室のモニターに映し出されていた侵入者、エージェント・スミスだ。 同時に背後の生徒会室から、黒いスーツにサングラスをかけた男、エージェント・スミスがもう一人現れる。 しかも両者とも、その手に緑色の銃剣を構えている。 「まずいですね」 分断された、とレオは呟く。 状況は最悪だ。 先ほどの崩落によって、ジローとレインは屋上へ通じる階段の方へと投げ出された。 そして自分たちとジローたちとの間には、エージェント・スミスが立ち塞がっている。 加えて自身の背後にもエージェント・スミス。迂闊に動けば、背後から攻撃されるだろう。 一方をユイとヘレンに任せるとしても、ジローたちを助け出すには一手足りない。 ならば―――助け出すことができないのであれば、自力でどうにかしてもらうしかない。 「ジローさんとレインさんは屋上へ退避を! ここは僕たちが抑えます!」 「ちっ、仕方ねぇ。おい、行くぞジロー!」 「あ、ああ。レオ、負けんなよ!」 二人はレオの指示に頷き、階段を駆け上る。 それを見届けつつ、レオは更なる指示を下す。 その視線はすでに己が敵へ、彼の騎士はとうに聖剣を構えている。 「ユイとヘレンは生徒会室側を任せます。階段側は、僕とガウェインが」 「はい、任せてください!」 「――――――――」 ユイを背後に、サチ/ヘレンが剣を抜き放つ。 型も何もない、完全な自然体。まともな剣技など、とても期待できない。 されどAIDA-PCたる彼女の反応速度・適応能力は、一般PCをはるかに上回る。 そこにユイの支援が加わるとなれば、まず負けることはないだろう。 ………相手が、並大抵のプレイヤーであるのなら、の話だが――――。 頭上から再び轟音が響く。 今度は天井の崩落はない。だが、微かにだが銃声が聞こえた。 「どうやら、時間をかけている暇はないようですね」 エージェント・スミスがまた一人現れたことは、想像に難くない。 逃げ場のない屋上で、ジローたちが一体どれだけ生き延びられるか。 「……ならば、即急に終わらせましょう。 ―――ガウェイン」 「御意」 己が主の命に、ガウェインが一足でエージェント・スミスへと肉薄し、聖剣を振るい。 同時にもう一方のエージェント・スミスが、サチ/ヘレンへと銃撃を行い、その手の剣によって防がれる。 その攻撃に呼応し、サチ/ヘレンは戦意、あるいは警戒を表すように、その体に黒い泡を纏わせる。 サチに感染しているAIDA Helen は、現在サチが懐いている感情……すなわち、『死にたくない』という恐怖を行動の起点としている。 ゆえに、サチへと攻撃を行った存在――エージェント・スミスは、ヘレンにとって完全な敵性存在となったのだ。 「ク…………」 対するエージェント・スミスに貌には凄惨な笑み。 それはまるで、自分たちなどまるで相手にならないと見做しているかのよう。 「行きますよ、ヘレンさん!」 「――――――――」 ユイの声に従うように、サチ/ヘレンは剣を構え、エージェント・スミスへと接近する。 その様子を見届けながら、ユイはこの場で自分にできることを模索し始めた――――。 § 「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ………」 全速力で階段を駆け上がり、屋上へ通じる扉を開け放った。 短距離とはいえ、上りでの全力疾走にジローの息が乱れる。 「は、情けねぇぞおいジロー。この程度で息乱すとか、あんたホントに、野球部か?」 「な、なんだと! そう言うニコだって、息乱してるじゃないか」 同じように息を乱したレインの悪態。 それに言い返しつつ呼吸を整え、なんとなしに視線を空へと向けた。 校舎内の騒動など無関係とばかりに、視界に広がるのは一面の蒼。そこに浮かぶ、一点の黒。 「へ?」 思わず間の抜けた声を上げる。 青空に浮かんだ黒い点は急速にこちらへと接近し、構内へ通じる扉へと轟音とともに着弾した。 「うわぁ!?」 ジローは衝撃に吹き飛ばされるが、即座に起き上がって屋上の出入り口へと視線を向ける。 そこにはやはり、黒いスーツにサングラスの男、エージェント・スミスがいる。 「チィッ!」 その姿を見たレインは舌打ちをし、ストレージから一丁のみのDG-0を取り出し、スミスへと向け引き金を四度引く。 だがしかし、放たれた弾丸はスミスの残像を残すほどに素早い動作によって、その悉くが回避される。 「ちっ、やっぱ無駄か」 聞き及んでいた通りの回避能力。 たとえインビンシブルを使用したとしても、その攻撃のほとんどは回避されるだろうし、そもそもこの距離では貼りつかれて破壊されるのがオチだ。 それにそもそも、この屋上では足場が崩落する危険性だって存在する。 一応知覚外、またはゼロ距離からの射撃なら有効とは聞いているが、それを可能とするだけの運動能力が自分たちにはない。 「さて、どうすっかね」 まさに絶体絶命。 攻撃がまともに効かない敵を相手に、いったいどう戦えばいいというのか。 ―――その答えはいたって単純。 A.戦う >B.逃げる C.諦める 「どうするもなにも、こうするしかないだろ―――! そう声を荒げながら、ジローはレインの腕を掴んで駆け出す。 「じ、ジロー、テメェまさか!?」 戦って勝てないなら、逃げるしかない。 そしてこの屋上にある逃げ場は、一つだけだ。 向かう先は屋上の端。それも、レインの攻撃によって、フェンスの壊れた地点。 躊躇っている暇はない。 二度味わったその恐怖を振り払うように、ジローは勢いよく屋上の縁から飛び出した。 ――――十坂二郎、本日三度目の屋上からのダイブであった。 「っ、てててて。三度も落ちりゃ、さすがに慣れるもんだな」 中庭の木をクッションにして落下の衝撃を和らげ、慣れた要領で素早く地面へと降りる。 「ッ……つぅ。あたしは慣れたくねーぞこんなの!」 続いて降りてきたレインを受け止め、即座にその場から駆け出す。 目指すは昇降口。そこでは今、岸波白野たちがスミスと戦っているはずだ。 もちろん、自分たちが行っても、彼らに余計な負担をかけるだけだと思う。だが自分たちだけで、あのスミスをどうにかできるわけでもない。 屋上を見上げてみれば、そこには自分たちを見下ろすスミスの姿。 あんな突撃ができるのだ。あの男にとってはこの程度の高さ、大したものでもないだろう。 だというのにすぐに追ってこないのは、その余裕の表れか。 ならばその余裕の間に、キシナミたちのところへと辿り着く……! ――――しかし。 「な……うそ、だろ……?」 「おいおい、マジかよ……」 キシナミがいるはずの昇降口は、下駄箱と思われる金属によって完全に塞がれていた。 その事実に思わず呆然とする。これではキシナミと合流することができない……! だが、そう二人が放心している間に、スミスはすでに動き出していた。 「しまっ、ガッ―――!?」 「うわっ、ぐえっ……!?」 背後から響く、ズシンという落下音。 慌てて振り返ったその瞬間、伸ばされた両手に首を掴まれ、引きずられる。 そしてある程度進んだところで、勢いよく投げ捨てられる。 「げほっ、ごほっ……ッ」 咳き込みつつも急いで立ち上がり、周囲を見渡す。 まず、月海原学園の裏門にスミスが立ち塞がっている。 そして自分たちが今いるのは道路上。つまり学園(ペナルティエリア)の外だ。 門をスミスが塞いでいる以上、学園内に戻るには、スミスを倒すしかない……! 「はっ。結局やるしかねぇってわけだ」 「ごめん、ニコ」 あの時、屋上から逃げ出さず戦っていれば、あるいはレオが助けに来てくれたかもしれないのに、とジローは謝る。 「ハッ、んなこと気にしてる場合かっつーの。今はとにかく、生き延びることを考えろ」 だがレインはそんなジローを鼻で笑い、DG-0を投げ渡しながら一歩前へと出る。 覚悟を決めた、という事だろう。 その少女の小さな背中が、ジローには不思議と大きく見えた。 「……ああ、そうだな。二人一緒に、絶対に生き延びてやるぞ!」 受け取ったDG-0を構えながら、ジローもまた、一歩前へと踏み出す。 自分も男だ。たとえレインが自分より強かったとしても、年下の女の子に守られてばかりじゃいられない。 「最後の会話は終わったかね。ならば始めるとしよう」 そう口にして、スミスが自分たちへと歩き出す。 「行くぞ、ニコ!」 それに応戦するように、ジローがDG-0の銃口をスミスへと突きつけ。 「テメェが仕切ってんじゃねえよ――――バースト・リンク!!」 スカーレット・レインが紅い装甲を纏い、スミスへと向けて駆け出した。 こうして今ここに、対主催生徒会の戦いが始まったのだ――――。 やる気が 3上がった 体力が 5下がった こころが 1上がった next Action;交戦
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1164.html
長門がいなくなって数日経ったが気になることがある。 手紙の最後の言葉・・・。”新しいインターフェースとコンタクトをとって” 結果から言えば呆気なくどういうことなのか判明した。 俺にとっていつも通りではない文芸部室で古泉とオセロでやっていた時。 いつも通りの勢いでドアが開いた。 「みんな~!まった~?」 「今日は紹介したい子がいるのよ~!その名は!」 「長門有希でーす!今日転校してきたばかりだけど面白そうだからこの部に入ろうと思ってまーす。」 「古泉君の次にまたもや謎の転校生よ!」 な、長門!?いや、どう考えても違うだろ。見た目はもしかしたら長門かもしれないが。中身がおかしいって。 「あっ、キョンくーん。会いたかった~!」 こ、こら。抱きつくな! 「キョンその娘と知り合いなの?」 「えっと・・・まぁ遠い親戚みたいなのかな・・・。」 「ふーん。」 どうなってんだながと!?それにそのテンションは・・・。 「細かいことはあとあと!終わってから帰る振りしたらまた文芸部室に戻ってきてね!」 その後の長門はハルヒと部活動終了までずっと話をしていた。 全員部室から出て行ったところを見計らって再度部室に入る。 長門は折畳式テーブルの前に立っている。 「で、お前は本当に長門有希なのか?」 「確かに長門有希だよ!でも正確には新しい長門有希だけどね。」 「それはどういうことなんだ?」 「以前の長門有希と同じところは外見と蓄積されたデータと能力そのたもろもろなんだけどぉ。 精神だけはまるっきり別ていうか、以前の長門有希だとなぜかエラーとかバグがいっぱい発生してたんだよね。 だから以前の長門有希のデータから有機生m・・・人間と一番触れ合いやすいと思われる形で再構築されたのが あたしなの。だから、長門有希であって長門有希ではないの。」 「それなら新しいインターフェースってのはお前で良いのか?」 「まぁそういうとなんだけどね。暗くなってきたからそろそろ帰りましょ!」 そんなこんなで今、長門に腕を抱かれながら帰宅中。 あの~あたってるんですけど~・・・。 「あててんのよ!」 はぁ、そうですか。 「なに~?やっぱりこうされるんならみくるちゃんとか涼宮さんがいいの~?」 いや、そういうわけでは。 「じゃぁ、いいでしょ!」 途中の分かれ道でやっと離れることができた。あぁ・・・でもあの感触も・・・ ってなに考えてんだ俺は!! 先が思いやられるぜ・・・。 学校に来て放課後まで一気に時間がすっ飛んだかと思うほど今日ほど時間の感覚が無い日はないだろう。 下らん授業中の様子がどうだなんてことはだれもが気にすることじゃないと思うが唯一言える事はなぜか いつもより教師どもの下らん世間話が多かったことだろう。 まぁおかげで早々に朝比奈さんのいるであろう文芸部室兼SOS団部室へ向かうことができるがな。 文芸部室前。いつもの朝比奈ボイスを期待にドアをノックする 「は~い、どうz」 「キョーンくん待ってたよぉ!」 ドアを開けようと手をノブに伸ばしたとたんドアが開けられ何かが押し倒して・・・いや、体当たりしてきた。 「おっそいよキョンくん。待ちくたびれたー」 俺じゃなかったらいったいどうするつもりだったのだろうか。 「わざわざノックしてくれるなんてキョンくんだけでしょぉ~」 ああ、そういえば前の長門の記憶は引き継がれるのか・・・。 「あ、あの!キョンくん。何をしておられるんで・・・」 え?朝比奈さん・・・って長門!早くどいてくれ! ・・・・・・・ ・・・・・ ・・・ ・・ 「キョンくんお茶ですぅ。」 朝比奈さんありがとうございます。 「みくるちゃんあたしのもお願しま~す」 「はいはい」 「また新しく買ってみたお茶なんでけどどうでしょうか・・・?うまく煎れれてればいいんですが・・・。」 「もちろんおいしいですよ。」 「よかったぁ!」 何度か行っている気がするが朝比奈さんが煎れれば下水の水だってアルプスの天然水以上だ! ・・・ 「ねぇ、なんでキョンくんはいつもみくるちゃんとか涼宮さんばっかり見てるの?」 「長門・・・?」 「みくるちゃんはずるいよ。キョンくんと仲良くなんかしちゃいけないのに。」 「長門。」 「なんでみくるちゃんは「長門!!!」 椅子を後ろに蹴り倒して立ち上がっていた。頭に上っていたちが一気に落ちていく。 何で長門がこんなことを言い始めたのだろうか・・・。 「すまん。頭を冷やしてくる。」 そんなことを俺は言っていた。本当はその場からすぐに逃げたいだけだった。 翌日から長門とはほとんど口をきかなかった。 だが、ある日。下駄箱に手紙が入ってた。”放課後、部活が終わったらまた文芸部室に来て。” 長門からだった。これは俺からも誤るチャンスだろうと思った。 微妙に悪い空気の中で部活動終了後。また文芸部室へと戻ってくる。 「長門・・・。」 「あのね・・・もうすぐお別れなの・・・。」 何を唐突に!? 「本当はあたしは人とうまく触れ合えるように作られたテスト用のインターフェースなの。うまくいったら 観測とテストを継続できたんだけど・・・キョンくん怒らせちゃったから・・・。失敗なの。」 「あれは俺がいけなかった。長門が何を考えていたのか分からなかった。つい頭に血が上って・・・」 「だったら・・・なんで?・・・なんであたしをもっと見てくれないの?」 俺の前にいる彼女の目に光る粒が浮かぶ。 長門・・・すまなかった・・・。 そういいながら俺は長門を抱いていた。 「キョンくんの匂い・・・。ありがとう・・・。でも、もう消えちゃうの。」 下を見るともう長門の足が光の粒となって消えかかっていた。あの時のあいつと同じように・・・。 「長門!!!!」 「最後に一つだけお願いしても・・・いい?」 「ああ・・・。」 長門は目を瞑って少し背伸びした。 俺は黙ってその柔らかな口に重ねる・・・ ・・・何かがあたるような感触は無かった・・・ 俺は・・・俺は2回も長門を・・・。 「わたしはここにいる。」 長門!? 俺のorz体制前に長門がいた。昔の・・・長門だ・・・。 「どういうことだ!?」 「テスト用が失敗という結果になった。そのため元のデータにより復元された私がいる。」 そうか・・・長門は無事だったのか・・・。 「貴方のために・・・もう少し笑えるようにする。」 そう言った長門は薄く微笑を浮かべていた・・・。その笑い顔にはハイテンションな長門の名残があった ように思える。 あんなハイテンションな長門もよかったかな・・・。 ---fin---
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/4773.html
「物質、エネルギー、そして情報。これが、宇宙を構成する三つの要素」 「情報統合思念体って、どういうものだと思ってる?遠い宇宙の果てのはてにある、銀河みたいな星の固まり?それとも、宇宙に漂う、 何か大きなクラゲみたいなもの?」 「どっちも外れね。情報統合思念体は、この宇宙を構成する情報全て。全宇宙の情報が、時に秩序を形成し、 時に無秩序に増殖する。そして、それらを認識する情報。これが情報統合思念体。率直にいえば、この宇宙全体が統合思念体なのよ。 もちろん、あなたも私も思念体の一部。でも安心して、あなたが自分の体の細胞の1つを認識できないように、 思念体もあなたのことなんか全然気にしていないから。」 俺と朝倉は、今カラオケボックスのベンチシート席に居る。最近のカラオケボックスでは、少人数の客はこうしたベンチシートルーム、 3人掛けくらいのベンチ1台に向かい合うようにマシンが設置された小部屋に案内されるようになっている。今日は団のメンバー抜きでの 朝倉との二人連れであり、世間一般的に見ればまあ非常に羨まれるべきシチュエーションなんであるが、やはり一度なりとも刃物で殺され かかった相手というものはなかなかその恐怖を体が忘れづらい。あと、朝倉、普通に会話するだけなら別にマイク使う必要ないだろ。 事の発端はこうである。 朝倉とSOS団の『懇談会』以来、一段とその頻度、クオリティともに激しさを増した長門のレッスンのせいか、俺は最近思い出し笑い、 思い付き笑いを所わきまえず非常に頻繁に繰り返すような状態になってしまい、だんだんクラスでも浮いた存在になってしまってきている。 最近では谷口も挨拶を一拍置いてから返すようになってきているし、国木田は弁当を別のクラスで喰うようになった。笑いさざめくクラスの ドアを開けて教室に入ると、今まで談笑していた生徒全員が一斉に俺の事を注視する、と言ったことも1度や2度ではない。 ハルヒは一人 「なんか、最近のキョンちょっとオモシロイわ!何ていうかほら、バガボンドの最初の頃に出てきた『不動さま』みたい!」 と盛り上がっているが、うん、まあ、ホントはあんまりおもしろい状態でもないんだろ。俺も自分でわかるからさ… そんな孤独と焦燥のさ中にあって、再びクラスの中心人物に返り咲いた朝倉が 「キョン君、今日放課後空いてる?空いてるなら、ちょっと付き合って欲しいんだけどな♪」 と聞えよがしに話しかけてきてくれた時、俺は1も2もなく飛びついてしまった。誰だってそうだよな? そして、放課後俺は口早にハルヒに団活を休む旨を告げると、下駄箱で待ち合わせした朝倉に手を引かれる様にこのカラオケボックスまで来たという訳だ。 「でもね、涼宮さんは別。あなただって、突然自分の体の一部がチクッと痛んだりしたら、何かな、って思うでしょう? 思念体もそう思ったの。いつもどおりに生活していたら、体の一部が変におかしい。何だろう?と思って立ち止まり、調子がおかしい 箇所をしげしげと見ている。調子がおかしい箇所が涼宮さん。それを見つめている目や、触って調べたりしている指が私たち。」 「そういう訳で派遣されてる私たちなんだけど、まあ、私たちだって完璧ではないわけなのよ。同じ宇宙の構成物なんだしね。 目だって指だって病気になるしケガもする。変なものを見ちゃったり、触っちゃったりしたら。」 そう言って、にじり寄ってくる朝倉。 「涼宮さんみたいな強い存在のそばにいたら、私達端末も影響を受けちゃうのよ。本来の機能からエラーを起こして、 自分で勝手に情報を紡いでいくようになるの…あなた達の体でいったら、ガン細胞ね。心でいったら、何かしら…」 朝倉の顔が近い。つぶらな瞳が、俺を真正面から捕えて離さない。 「いっそ、本人に聞くのが一番早いかも♪」 個室のドアが勢いよく開く。廊下の蛍光灯のまばゆい光を逆光に、小柄なシルエットが目に飛び込む。 『…二人とも、表に出ろ』 長門がいた。いつも通りの、高熱に燃える炎のような青白い表情で。 ------------------------------------------------------------------ 俺達がカラオケボックスにいる間に表は小雨になっており、長門は自分で持ってきたであろうビニール傘を差し、 俺は頑強に拒みはしたものの朝倉の持っていた折り畳み傘に結局引っ張り込まれてしまい、先を行く長門の2メートル ほど後ろを2人でついて行っている。 駅前から離れ、踏切を渡りやや閑静なあたりに差し掛かる。 「この前のカラオケでのキョン君の歌。あれ、歌じゃないわ。心の悲鳴よ。キョン君の。」 朝倉が足を止め、長門に声をかける。 「わかってると思うんだけど、最近のキョン君、ちょっともう限界よ。ここまで彼を追い詰めて、何をしたいの?」 長門も足を止め、傘を片手に雨の中、背中で朝倉の言葉を聞いている。 『…獣は、追い詰められた時に一番良い声で鳴く。赤子の声が一番心を打つのは、その母親を呼んで泣き叫ぶとき。』 『歌は、惚気話でもなければ、自慢話でもない。人間の、泣き声。叶わぬ望みが心に叫ばせるもの』 振り向きもせず答える長門。 『だから、人は歌に心をふるわせる。人が、人の泣き声を聞き過ごせぬよう、人の心は、歌にとらえられる』 「なかなか言うじゃない… …まるで、人間にでもなったみたいに。」 口角を上げて、朝倉が答える。 「でも、長門さん、わかってるかしら?私達、端末よ。そんな感傷、本来の機能にはないの。エラーが溜まりすぎちゃったのね。 システムの処理の、暴走。人によっては、こういう風にも、言うかしら」 「『精神病みたいな、もの』、って」 ビニール傘が転がる。 振り向いた長門の顔。いつも通りの、軽く結んだ唇、澄み切った黒い瞳。その瞳の縁から、小雨に打たれた顔の頬を二筋の流れが伝っている。 「観測用端末の更新が発令されたわ。長門さん、あなたはもうとっくに暴走状態。思念体への報告すら満足に行っていない。 私が来たのは、バックアップのためじゃない。あなたと交代して、私が涼宮ハルヒを観測するの。」 「あなたはもう、観測を行える状態じゃない。復旧すらおぼつかないエラーの蓄積状態で、観測対象の周囲にすら影響を働きかけて きている。これはもう、思念体による観測活動継続の為の、除去の対象。つまり---」 朝倉が傘を手放した。 「パーソナルネーム長門有希を敵性と判定。当該対象の有機情報連結を解除します。」
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/1381.html
ラブネマ 【らぶねま】 ジャンル オンラインコミュニケーションゲーム 対応機種 Windows 2000/XP 運営元 レッド・エンタテインメントテクモリーボ サービス期間 2007年3月30日~2008年3月31日 課金形態 アイテム課金 判定 なし ポイント いち早くハウジング要素を導入粗も多い無軌道な運営 概要 評価点 問題点 運営の問題 総評 余談 概要 本来は公称80万人が登録しているという台湾のオンラインゲーム『LOVE BOX ONLINE』のローカライズ作品。 すごろくゲームなどで素材を集め、家具や服や飲食物を作るのが目的だが、どちらかというとそういったゲーム性よりは、チャットなどのコミュニケーションやハウジングに主体が置かれている。 通常の友達のほかに、アミーゴ(*1)とよばれる特に仲のよい人間を指名することができる。 アミーゴは三人まで登録できるという三つ股推奨仕様。数々の修羅場が生まれたとか生まれないとか…。 非接続状態でもゲーム内時間はリアルタイムで流れている。 LC(他のネトゲでいうGM。厳密には異なる)による不定期イベントが催される事もある。 国内版は2008年3月31日にサービス終了。本国の台湾では基本無料ゲームとして今も運営が続いている。 評価点 狩りやギルドイベントを除く対人要素が存在しないため、当時はこれといった該当作品も少なく、こういった要素を苦手とするプレーヤーに評価された。 特にハウジングという要素は現在の流行をかなり先駆けていたといえる。 温かみのある世界観・マップグラフィック・音楽は評価されている。 本作では実際に家具のいすに座ったり、ステータスを回復したりなどできる。こうして実際に家具が使用できるハウジングゲームは意外と少ない(とくに後者)。 問題点 アバターの立ち絵グラフィックのレベルはお世辞にも高いとはいいがたく、ふた昔前の少女漫画のようなデザインである。顔パーツの選択肢も少ない。 家具の向きが二方向しかなく、テーブルをいすで囲むことができない。 ただし、これは今なおほかの2Dハウジングゲームが抱える問題でもある。 本作の家具と服には耐久力があり、これがなくなると文字通り「ゴミ」と化す。 アイテム課金なので仕方ないという考え方もあるが、非課金アイテムだろうがなんだろうがお構いなしに崩壊していき、久しぶりに接続したら素っ裸 ゴミ屋敷などはよくある事態。 ちなみに、日本以外は月額課金であり、なおかつこのように崩壊していくという無体な仕様である。 満腹・情緒・飲水・美顔というキャラクターステータスがあり、時間や行動とともに減少する。これらのいずれかがなくなると、「モザイク」というみすぼらしい姿になってしまう。本来の名称はよりによって「乞食」である。 本作ではペットを飼うことができるが、数日で強制的に別れとなる。このため、ペットへの感情移入が非常に困難となっている。 しかも、別れの時には育成度に応じて結構なLM(ゲーム内通貨)がもらえるため、金儲けの道具になってしまっている。 プレイ冒頭にもらえる家具に「ラブボックス」というものがあり、これでアミーゴにピッタリの他プレイヤーが探せる。 …という触れ込みなのだが、ゲーム開始時に行われる簡単な質問などをもとに適当にピックアップされるだけである。 しかし、ゲーム中では「この人と相性ぴったりです。すぐにアミーゴになりましょう!」などと表示されるため、低年齢層を中心に勘違いが続発した。 すごろくは実質作業ゲーム。そのため週に一度手に入れる機会のある「すごろく用BOTアイテム」を使って放置プレイするプレーヤーが多く、コミュニケーションゲームなのに話しかけたらBOTだった=無視 無言ということが頻発。初心者離れを招いた。 定期イベントのクイズやキャラクター名などに文章ミスが散見された(人物名ではユシャンなのに、会話中にはシャンシャンになっているなど)。 公式スタッフ「REDくわっち」とタレント「葉里真央」の司会でプレーヤーと対話形式で話を進めていく「ラブネマTV」というインターネット生放送企画が好評だったが、本作運営開始と入れ替わるようにして終了した『ゴゴ市』というゲームの人気企画「ゴゴシャンTV」とそっくりな内容であった。 ラブネマTVが1月に打ち切られた際、司会のくわっちや葉里は引き続きゲーム内にこまめに現れるとアナウンスされたが、くわっちは最終日のイベントまで、葉里は一切姿を現すことはなかった。 LCのイベントは総じて微妙で、特にやたら早押しならぬ早答えクイズが多かった。 末期では公式イベントの微妙さを補うかのように有志プレーヤーがイベントを企画・実行していたが、人気を回復させることはできなかった。 本作にもいわゆるガチャに準ずるスロットというものがあるが、全体で1日に出る各景品の数が決まっているという、むしろ本物のガチャガチャっぽい仕様。上限まであるアイテムが出ていたら、その日はもうそれは絶対に出ない。仕様に関する告知もなかった。 運営の問題 全盛期にはBOTすごろくなどの放置が多く、サーバ負荷が高かった。これを嫌ってか、メンテナンス(と称する強制切断)を 毎日10~12時に行う という暴挙に出た。しかし、これが裏目に出て、過疎化を招いてしまった。 本作は途中でサーバが追加されたが、互いのデータ共有がなかったため、結局追加サーバが過疎ってしまうという誰得増設となった。ふたつの過疎サーバは、本作運営を傾かせた大きな要因のひとつといわれている。 本作はよりよい形での再開を目指すというアナウンスのもと、3月31日に一時終了となったが、7月29日に正式に完全終了が告知され、根強く再開を待っていたファンを奈落に叩き落した。 こういったネットゲームでは終了の三か月前には終了告知を出さなければいけないとされているが、正式終了までのこのラグは時間稼ぎと見れる。 本作に限らず、一度サービス停止となったネットゲームが再開することはまずないのだが、『ヤンキー魂。』という前例などもあり、望みを捨てきれないプレーヤーが少なからずいたという。 総評 ソーシャルゲームの走りとも言える作品だが、それゆえに至らない部分も多く、日本での展開は失敗に終わってしまった一作といえる。 余談 なぜか下駄箱に座れるので、いす代わりにしていたプレーヤーもいる。 「服飾アイデア館」など、マップで存在が確認できるものの未実装だった要素も多く、もし実現していれば…と思わせる。 ラブネマTVでくわっちが女装した回は(ネタ的に)神回とされている。 公式の4コマ漫画で、問題点に記したBOTすごろくやペット財テクが自虐ネタにされたことがある。