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神無月の巫女 エロ総合投下もの マコちゃんのバレンタイン 時期ネタいきます 千歌音ちゃん×姫子←マコちゃん、おまけで少しソウマ ほのぼの系 放課後、珍しく緊張した面持ちの真琴は学園の門に寄りかかりながら立っていた。 そろそろ来るかな…? ガサガサとカバンの中から小さな箱を取り出した。 今日はバレンタインデー。 本当なら女性が男性に愛を告白する日。そんでもってその想いと共にチョコを送る日。 だけど宮様こと姫宮千歌音のいるここ乙橘学園の場合はちょっと別だけど、それはさておき。 うん、まあ女の子同士で渡すのも不自然じゃないよね?実際自分も毎年部活の先輩や後輩からもらってるし。 そう思って学園の寮でこっそり用意した甘いものが大好きな親友のために作った初めての手作りチョコ。 だが想いを込めて作ったもののそれをどうやって本人に渡すのか悩んでいた。 クラスも同じなのに下駄箱にいれるのは激しく不自然。 かと言ってどこぞの漫画のように屋上に呼び出してもなんかそれも変。 でも面と向かって渡すとなるとやっぱどこか照れくさいし恥ずかしい。そんでもって緊張して絶対にぎこちなくなるのが目に見えてる。 だけどそんな変な風に渡して親友に自分の気持ちに気付かれたくないとも思う。 大体告白するなんて無謀な事するつもりは初めからない。 親友にはちゃんと宮様という背伸びしても届かない相手がいるし、あの2人の仲を邪魔するつもりも更々ない。 それでも…ただ、渡したい。 だからいつも喋るときみたいにさり気無くぱっと渡しちゃえば良いんだけど…。 そんな事を延々と考えていたらあっとゆー間に当日を向かえ、朝は結局自分が部活の朝練で渡せず。 昼は宮様との内緒の食事へ行ってしまって渡せず。 授業の合間も何だかんだで渡せず、とまあこんな具合で放課後になってしまったわけで。 まあ幸い今日は部活休みだし、うだうだ考えても仕方ない。ちゃちゃっと渡してしまおう! そう開き直って自分の作ったチョコが入っている箱に向かって微笑んだ。 するとちょうど背後から聞きなれた笑い声が聞こえてきて振り返った。 校庭を歩く少し背の低い紅茶色の髪に赤いリボン。間違いない、姫子だ。 「あ、姫……!」 門から姿を現し姫子に声を掛けた瞬間言葉が出なかった。 自分の親友の隣を宮様が歩いていて、笑いあい楽しそうな仲睦まじい2人のその姿はまるで絵に描いたかのように綺麗で。 見たことのない2人の笑顔に一瞬で引き込まれていた。 えーと、宮様は前々からだけど姫子ってこんなに可愛かったっけ…? いつも宮様の周りには取り巻きがいるはずなのに、誰も割って入ってこないのは多分姫子のあの太陽のような笑顔のせいな気がする。 隣で笑う宮様にしてもいつも以上に穏やかで、姫子に注ぐ愛情がひしひしと伝わってくる。 なんか見てるこっちの方が顔が赤くなってしまうようなそんな2人に見取れていると「あ、マコちゃん!」と姫子が真琴に気がつきこちらに向かって走ってきた。 まずい!と真琴は咄嗟に手に持っていたチョコをカバンの中に隠した。 「どうしたの?そんなところで」 「え?あぁ、別に何でもない、何でもないよ!」 訊ねる姫子に慌てて首を振って返した。 その不自然さに姫子が不思議そうに首を傾げると、何か思いついたのかはっとした表情になった。 「あ!まさかマコちゃん誰かにチョコレート渡すつもりとか?」 あんたにだよ! 心の中で突っ込まずにはいられなかったが、まさかそう答える訳にもいかず。 「え~~とまあそんなところ!部活の先輩と交換する約束でさ」 適当に思いついた嘘で笑いながら誤魔化す。 すると姫子はそれを信じ「へえ、そうだったんだ」と笑い、ほっと安堵のため息を心でつく。 「じゃまた明日ね、マコちゃん!」 そう言って手を振りながら少し離れたところで待っていた宮様のところへ戻っていった。 「ごきげんよう、早乙女さん」 「はい。ごきげんよう、宮様」 そして2人は並んで目の前を通り過ぎ学園の階段を降りていった。 遠ざかる2人の後姿に、カバンの中から渡すはずだったチョコの箱を取り出した。 柄じゃないのは分かってるけど、頑張って作ったんだけどな…。 少し残念に思う。 でもあの姫子の笑顔を見ては逆に渡すことなど出来なかった。 おどおどしてどこか頼りなかった姫子が、あの笑顔を出せるようになったのはきっと優しく見守る宮様が傍にいるおかげなのだから。 そんな2人を見て、何だか他人が踏み込んではいけない絆のようなものがあるのかもだなんて思ってしまう。 だからだろうかチョコは渡せなかったけど、どこか気持ちがスッキリとした。 「幸せにね、姫子」 口元を緩め晴れ晴れとした顔で夕焼けに染まる空を見上げた。 ※おまけ 「何やってんだ早乙女?」 「あ、ジン様」 背後から声を掛けられ振り返ると、これまた学園の貴公子大神ソウマがヘルメットを持って立っていた。 「あ、ちょうどいいや。ジン様これあげる!」 処理に困っていたチョコを無理やり受け取らせ、「じゃあね!」と学園の階段を駆け下りた。 「え?ちょ!お、おい!」 驚くソウマが止めようとするが、そこはさすがインターハイレベルの脚力。 「言っとくけど義理だからねー!」とだけ言って真琴はその場から瞬く間に去ってった。 「……」 置いてかれたソウマ。 渡された箱を見るとバレンタイン仕様なのは一目瞭然。 しかしこれは勘だが多分これは自分のために作ってくれたチョコじゃないような気がする…。 「はあ…これで何個目だ」 ずっしりと重いカバンの中に溢れんばかりに入ってる姫宮に渡すことの出来なかった敗者達から押し付けられたチョコの群れの中に早乙女からもらった箱を押し込んだ。 中には本命で貰ったチョコもあるのだが、割合が1:9という現実。 「そして来栖川からはなし…と」 そう呟いて溜息をつきながらソウマもまたトボトボと階段を降りていった。 おしまい
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肌に合わない・好みに合わない・方針が変わった などの理由で、使わなくなった物。 でも捨てられない。 だって、心にもったいないオバケが住んでるんだもの(´・ω・`) そんな人たちのための、再利用アイディアまとめです。 汎用 使っている人にあげる 寄付する必ず受け取り側の許可/募集を確認してから送りましょう。 バザーやフリーマーケットに出品、リサイクルショップに売る 「ご自由にお持ちください」の張り紙と共に、玄関前などにおいておく お歳暮などの場合、発送元のデパートで、商品券などに交換出来る場合もある。 新聞などの景品は、使わないと言うと別の品にしてもらえることがある。いずれも必ず可能とは限りませんので、まずは確認してみてください。 シャンプー・リンス 洗濯に利用皮脂汚れに強い下着、襟首、袖口など 枕カバー洗いに ウールなど リンスで柔軟剤代わり 旅先の洗濯に トイレ・浴槽・住まいなど掃除シリコン成分で汚れがつきにくくなる 薄めて頑固な汚れのパック洗浄 メガネ・サングラスの洗浄にフレームの為には中性のものを使うのが無難 (防水の)時計ベルト ヘアブラシ皮脂汚れに強い シリコン成分で汚れがつきにくくなる 虫退治(界面活性剤の効果)アブラムシ退治 ゴキブリ退治に 化粧水・乳液など +ヘアウォーター・ヘアクリーム代わり http //toki.2ch.net/test/read.cgi/ms/1320467897/ 342 名前:可愛い奥様[] 投稿日:2011/11/08(火) 15 51 47.33 ID +ZgJyasl0母の友人の美容界の方から聞いた方法。寝癖直しやら髪の保湿には化粧水とか乳液でいいのですって。お肌につけるものですから髪にもいいとか。旅行とかにいくときには、荷物が増えるの面倒なので、髪用のスタイリング剤をもって行かなくていいのよ~とのこと。コレを聞いてから、寝癖直しとかドライヤーの保護には化粧水、スタイリング剤のかわりに(セットまではしないけどまとめるときとか)には乳液を使ってます。家でもちょっと古くなっちゃって顔につけるのはなーとかいう化粧水とか乳液は髪に使って消費してます。348 名前:可愛い奥様[sage] 投稿日:2011/11/08(火) 19 15 47.94 ID UoWJBWGO0 344自分は使わないボディミルクをリンスにしてます。戴き物の□クシタソのローズなんですが、ちょっとボディミルクとして使うには香りがキツすぎて。石鹸シャンプー後にクエン酸リンスして、更に毛先にボディミルクをなじませて洗い流してます。これなら身体にかかっても気にならないし、適度に髪に油分ものるので、静電気が起きなくなりました。 洗濯用洗剤 +粉の場合、除湿剤代わり。 http //toki.2ch.net/test/read.cgi/ms/1316239435/ 35 名前:可愛い奥様[sage] 投稿日:2011/09/17(土) 18 52 49.00 ID kBnKaTgx0前スレで頂き物のアタックの処分に困っている奥様がいらしたので、調べてみたら、こんなのを見つけました。http //sentaku-door.jugem.jp/?eid=131押入れや下駄箱の除湿剤代わりになるというので、試してみてはいかがでしょう。 除湿後にも洗剤として使える 掃除用洗剤に使う +換気扇やコンロにお勧め http //ikura.2ch.net/test/read.cgi/ms/1344074131/ 711 名前:可愛い奥様[sage] 投稿日:2012/10/19(金) 07 31 57.71 ID 96JTZWQx0 お中元かなんかで母がもらって溜まりまくったアタックを何とかしたいです 母がモッタイナイで勝手に捨てることができないんですけど、洗濯以外で 有効な消費方法があるならどなたかお知恵を貸してください あの洗剤、色落ちしまくるし私もファーファ使いたい…(ノД;) 713 名前:可愛い奥様[sage] 投稿日:2012/10/19(金) 10 11 16.74 ID H+3pakbB0 711 換気扇やコンロのお掃除に。 柔軟剤 薄めて布につけてテレビ画面・ガラスなどを拭く。帯電防止で汚れを防ぐ カーテンの洗濯に使う。埃がつきにくくなる 換気扇の掃除後に柔軟材を塗っておくと、次の掃除で汚れが落ちやすい トイレに散布すると汚れがつきにくくなる +帯電防止効果を利用 ) http //toki.2ch.net/test/read.cgi/ms/1316058884/ 316 名前:可愛い奥様[sage] 投稿日:2011/09/16(金) 00 15 19.71 ID 2Z4no382I 311 薄めて柔らかい布につけてテレビ画面を拭くと ホコリがつきにくくなってイイ(帯電防止効果を利用) とは昔から言うけど、それじゃきっと使い切れないよね なんか他にも用途あるかしら http //ikura.2ch.net/test/read.cgi/ms/1344074131/ 763 名前:可愛い奥様[sage] 投稿日:2012/10/26(金) 11 27 18.46 ID tjNqJFC70 遅々として消費進まないとは思いますが、 拭き掃除または仕上げ時に柔軟剤をうすめたもので拭いておくと ホコリがつきにくくなります。 でもバケツに数滴でいいんですよね(´・ω・`) 774 名前:可愛い奥様[] 投稿日:2012/10/27(土) 15 39 01.99 ID aaqQ2FsJ0 762 バケツの水に柔軟剤を数滴入れて、 トイレの内側に満遍なくかかるように流すと 汚れがつきにくくなるよ。 763とあわせ技で消費ガンガレ ボディーシャンプーなど 洗濯に利用皮脂汚れに強い下着、襟首、袖口など 旅先の洗濯に トイレ・浴槽・住まいなど掃除薄めて頑固な汚れのパック洗浄 弱酸性が水あかを落としやすい!かも。 メガネ・サングラスの洗浄にフレームの為には中性のものを使うのが無難 (防水の)時計ベルト 虫退治(界面活性剤の効果)アブラムシ退治 ゴキブリ退治に 台所用洗剤 虫退治(界面活性剤の効果)アブラムシ退治 ゴキブリ退治に ラベルはがし台所用洗剤を溶かした水溶液に浸しておくとツルっと取れる メガネ・サングラスの洗浄にフレームの為には中性のものを使うのが無難 歯磨き粉 ブラシにつけて、蛇口など水回りの銀色の部分を磨く研磨剤入りの製品は、クレンザー代わりにもなる お風呂の鏡を磨く 生理用品 使用済み油を吸い取らせて捨てる 生ゴミの汁を吸い取らせて捨てる 参考:Goo質問箱http //oshiete.goo.ne.jp/qa/1196589.html http //oshiete.goo.ne.jp/qa/514995.html http //oshiete.goo.ne.jp/qa/5851525.html
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47. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/06(金) 09 57 17.94 ID ILYvaQuFo A モブは参戦してほしいけどこれ以上キャラ数を増やすのもどうかと思うし・・・ 無しでいいかな 49. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/05/06(金) 10 35 12.95 ID UxALpyY70 →A:「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい〜!!!」 澪ちゃんとムギちゃんに涙ながらに抱きつく。 本当にごめんね! 唯「ふえ〜ん!!」 唯は、勢いよく二人の胸に飛び込み、抱きついた。 澪「わっ! ゆ、唯!? 何!?」 紬「あらあら唯ちゃんったら」 軽音部の中でも、比較的胸の大きな二人。 唯は、代わりばんこに抱きつきながら、二人の大きな胸の感触を一杯に感じていた。 澪ちゃんの大きさもいいけど、ムギちゃんのもっちりとした感じも捨てがたい。 うふふふ、気持ちいいなあ……。 澪「こ、こらっ、唯、離せっ、ばかっ! ひゃっ!」 紬「うふふふふ」 真っ赤になって唯を離そうとする澪と、微笑みながら受け入れるムギ。 やっとのことで、澪が唯を引き離し、唯も二人から離れる。 澪「はあっ、はあっ、ったく、唯、ほんとうに……」 唯「ごめんね、まだ怒ってる? なら……!」 澪「うわああっ!? い、いいから! もう怒っていないから! もういいから! 早く自分の席に戻ってくれ!!」 唯「うう、よかったあ」 澪は、真っ赤な表情のまま、自分の席を離れた。 そのまま律のところへ行き、唐突にげんこつをかまし、説教をしていた。 「律! お前も遅刻したな!」という声が聞こえてくる。 りっちゃん、ご愁傷様です。 51. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/05/06(金) 10 46 17.78 ID UxALpyY70 ※澪の【信頼】ステータスが減らずに済みました。 ※紬の【信頼】ステータスが減らずに済みました。 紬「……唯ちゃん」 唯「ふ、ふぇ? ムギちゃん?」 紬「抱きつかれて嬉しかったんだけど、でもちょっぴりお寝坊さんね?」 唯「う、うぅ……」 紬「罰として、今度の部活のお菓子はナシよ♪」 唯「ふ、ふええええ!? そ、そんなぁ……」 紬「だって、私本当に心配したんだもの」 唯「うう……ごめんなさい……でもお願いだからムギちゃん、お菓子だけは……」 紬「そこまでいうなら罰はナシにしてあげようかしら」 唯「! わ、わーい!」 紬「……やっぱりダメ―」 唯「ふ、ふええ……」 紬「でも、やっぱりいいわよ?」 唯「や、やったー!!」 紬「でもダメ―♪」 唯「ううう……」 紬「(うふふふっ面白い♪ 唯ちゃんかわいいわ♪)」 紬の【可愛い】ステータスが 2/5 → 3/5 にアップしました! 53. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/05/06(金) 11 01 28.76 ID UxALpyY70 ------【信頼】、【可愛い】ステータスについて------- ・対象の相手には、【好き】【気になる】といったメインステータスのほかに、サブステータスがあります。 ・サブステータスは全部で5つ。 【信頼】…唯をどれだけ信用しているか 【可愛い】…唯をどれだけ可愛いと思っているか。ほっとけない、といった感情もここに入ります。 【尊敬】…読んで字のごとく、唯への尊敬度合いです。5つの中でも、伸ばすのが一番難しい……かも。唯だから。 【楽しい】…唯と一緒にいることをどれだけ楽しいと感じているか 【エロス】…唯に色っぽさを感じている度合い ・直接ストーリーに関わりはありませんが、【気になる】、【好き】ステータスを伸ばすための イベント・ハプニングの発生には欠かせないステータスです。 例えば【楽しい】ステータスが高いと、突然遊びに誘っても、相手に断られる可能性が低くなります。 その点、なかなか恋愛感情には発展しづらくなるかも…… 【エロス】ステータスが高ければ、突然迫られる! なんてこともあるかも……ゲフンゲフン。 ・キャラに応じて、ほどよく調整してみましょう。 ・しばしば増減するので、お好みのパラメータを伸ばせるように頑張ってください。 ・五つとも、最大目盛りは5です 54. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/05/06(金) 11 16 24.78 ID UxALpyY70 メインステータスと違い、サブステータスは予め割り振られています。 こればっかりは作者の独断と偏見で決めさせていただきましたのでご了承ください。 ただ、どの対象キャラも、初期設定の目盛り合計は5としました。 ステータスに変動があった場合、一日の最後にまとめてステータスを載せます。 以下、初期設定です。 なお、エロスは少し特殊なステータスなので、どの対象キャラも 0/5 です。 田井中律 【信頼】:1/5 【尊敬】:0/5 【可愛い】:1/5 【楽しい】:3/5 秋山澪 【信頼】:2/5 【尊敬】:0/5 【可愛い】:2/5 【楽しい】:1/5 琴吹紬 【信頼】:1/5 【尊敬】:1/5 【可愛い】:2/5 【楽しい】:1/5 中野梓 【信頼】:1/5 【尊敬】:2/5 【可愛い】:1/5 【楽しい】:1/5 平沢憂 【信頼】:1/5 【尊敬】:1/5 【可愛い】:3/5 【楽しい】:0/5 真鍋和 【信頼】:2/5 【尊敬】:0/5 【可愛い】:2/5 【楽しい】:1/5 鈴木純 【信頼】:1/5 【尊敬】:1/5 【可愛い】:1/5 【楽しい】:2/5 山中さわ子 【信頼】:1/5 【尊敬】:0/5 【可愛い】:2/5 【楽しい】:2/5 55. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/05/06(金) 11 22 24.18 ID UxALpyY70 姫子、いちごは保留なので今回はのせません。 50、 52 ご意見ありがとうございます! 確かに大変そうですね……でも、やはり姫子もいちごも人気ですね…… とにかく第一日目は、下地をつくっておいて、二日目からどうするかを後に発表したいと思います。 まだまだ募集中ですよ! 58. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/05/06(金) 11 35 03.53 ID UxALpyY70 なんだかんだで始業式も終わり、帰りの時間に。 今日は、いつもよりも早く終わるんだよね。 皆、帰りはどうするのかな…… 私は、どうしようかな…… *選択肢* A:クラスの子が何やら集まって話し合っている! 交流を深めるために、私も混ざろうかな? B:やっぱり4人で帰りたいよね。 「りっちゃーん! 澪ちゃーん! ムギちゃーん! 帰ろうっ!」 C:前の席の和ちゃんをつんつん。 えへへ。やっぱり幼馴染と帰るのって落ち着くね。 D:今の私には最上級生の威厳が身についているはず! 2年生の教室へレッツラゴー! E:そういえば、さわちゃんって今何しているのかな。 担任の先生だし、挨拶に行ってみよう。 59. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/06(金) 11 36 35.43 ID mNEZHbVQo たまには後輩組にもちょっかい出してみたいからDに 64. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/05/06(金) 12 12 32.89 ID UxALpyY70 →D:今の私には最上級生の威厳が身についているはず! 2年生の教室へレッツラゴー! 唯は、律ら三人の呼びとめる声を後にしながら、二年生の教室へと急いだ。 二年生の教室は、三年生とはまた違った雰囲気がある。 ちょうど、二年生も帰る時間のようだ。 唯「さーて。どっこにいるかなーっと」 教室のドアの前で、きょろきょろする唯。 三年生が珍しいのか、何人かの二年生から好奇の目を向けられる。 なんだか、居心地が悪い。 最上級生の威厳はどうしたのか、ドアの前でぼんやりと立ち尽くしてしまった。 そのとき――! *選択肢* A:ぼーっとしていたら、突然顔を覗きこまれた。 あ、あなたは! B:ぼーっとしていたら、肩を叩かれてびくりとする。 あ、あなたは! C:ぼーっとしていたら、急に後ろから声をかけられた。 びっくりして振り返る。 あ、あなたは! D:やっぱり諦めて帰ろう。 下駄箱に向かう。 66. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/06(金) 12 25 23.21 ID nhX5Uiyo0 A 70. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/05/06(金) 12 53 55.79 ID UxALpyY70 →A:ぼーっとしていたら、突然顔を覗きこまれた。 あ、あなたは! 純「あ、やっぱり! 憂のお姉さんだ!!」 ぽんぽん頭が特徴の、憂の友人、鈴木純が食い入るように唯を見ていた。 唯は一瞬たじろぐが、すぐに笑顔になる。 唯「純ちゃんだ! なんか久しぶりだね」 純「そうですね。でも、遠くからでも唯先輩って分かりましたよ」 唯「そ、その割にはすごく見つめられていたような……」 純「念のためですよー。ドアの前で立ったままだから、何しているのかなって」 唯「あ、あははは……二年生の教室の観察しにね」 純「?(憂もそうだけど、この先輩も結構不思議系だよね……)」 71. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/05/06(金) 13 01 54.33 ID UxALpyY70 唯「ところで、クラス替えはどうなったの?」 純「あ、はい! 私も憂も梓も同じクラスです」 唯「そうなんだー。私も皆と一緒だよー」 純「へえ、そうなんですか」 唯「うんー」 純「……」 唯「……」 純「……唯先輩」 唯「ほい」 純「どうして教室の前にいたんですか? まさか私と話すためでもないでしょうし……」 唯「えーっと……」 *選択肢* A:「半分当たりだよ? 私と純ちゃんと憂とあずにゃんで一緒に帰りたかったんだ!」 三人とも同じクラスなら話が速いよね。さっ、四人で帰ろう! B:「うーん。憂、いる?」 二人で買い物に行った方がいいかな? たまには姉妹水入らず。 C:「あずにゃん探しに来たんだー、ごめんね」 ちょっと純ちゃんには悪いけどあずにゃんを呼んでもらおう。 D:「た、たまには純ちゃんと二人でお話ししながら帰りたいなーって。……だめ?」 純ちゃんのこといろいろ知りたいな。OKしてくれるかな? E:「な、なんでもないんだ! それじゃあね!」 やっぱりここの教室は居づらいよ! 諦めて一人で帰ろう。下駄箱に向かう。 73. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/06(金) 13 17 45.02 ID /UdM+gD0o QSしてCだな 75. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2011/05/06(金) 13 21 28.71 ID E4IlbxKSo Aかしら 作者も楽しそうだなぁこういうの 75 たぶん、読んでくださっている皆さんよりも楽しんで書いていますww 皆さんにも楽しんで頂けたら幸せです。 今回の選択肢は、Cですね 3
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「前回までの粗筋。 始めはさながらヒーローの如く現れ、この私を身を呈して守った古泉一樹だが、 物語の進行と共にヘタレ化が進んでいる」 「それでは粗筋にしても粗過ぎます。やり直す必要があるでしょう。 …ヘタレ化は否めませんが……」 「了解した。やり直す。否、物語の進展云々についてはこの際問題にしない」 「もはや粗筋ですらありませんね」 「問題視すべきは…」 「…すべきは?」 「イ・イ・イツキン イツキンキン」 「また!?止め――」 「以上。自転車の上からお送りした」 「え!?マジでずっと乗ってたんですか、自転車に!?ぼくた―― ――えええこれ浮いてる!?凍死とか補導どころじゃねええ!!」 「ペダルを踏み続ける行動が余りに単調だったため、この前に見た映画のワンシーンを再現した。 かごに、あなたのシャミセン二号を乗せれば完璧。 前フリが長い上に粗筋の役割を果していないので、早急に本筋に入ることが望ましい。 続々々・花嫁修行危機一髪、スタート」 「ぞくぞくぞく!?語呂悪っ! ちょ、始まる前に降ろして下さいい!」 「ヘタレ」 「くっ…! ああっ、前向いて下さい、でっででで電柱がっ!」 家に着いて、冷蔵庫に買った物を詰め込んで、ソファに突っ伏す。 今日も疲れた… 長門さんは口をもごもごと動かして、十八番の情報操作だろう、 ぐちゃぐちゃに混ざった黄身と白身に沈む、砕けた殻を取り除いていた。 少しの間休んだおかげで復活した僕も、彼女と並んで台所に立つ。 「何か僕に手伝えることは」 「無い」 にべもなく長門さんはそう言って、フライパンに卵を流す。 卵が焼けるいい匂いが部屋に立ち込めた頃、 彼女のお腹から、くうくうとかわいらしい音がして、思わずへらっと笑うと、 「恥ずかしい」 と菜箸で居間を指した。 何もできないくせにぼさっと突っ立ってないで、 さっさと向こうに行け…と言う訳ではないのだろう。 今は、あの炭水化物ダイエットの時とは違い、はっきりと恥ずかしいと言っている。 ですが、長門さん。 室内に入った今でもニット帽を被っている方が恥ずかしいのでは…? 「気に入った。 次の市内探索はこの服装で臨む」 うーん…それは… 僕が選んだ服を気に入ってくれたのは素直に嬉しい。 嬉しいが、その服を着た長門さんを見て、 それも僕が買った物だとばれたら、涼宮さん達がどう思うか… 「あたしは人の趣味に難癖をつける気は無いわ…… 有希がいいんなら、まあ、別に構わない、わ…よ」 「へ、へええー。 古泉くんって、そういう趣味があったんですか~。 あっ、別に軽蔑なんてしてませんよ! かわいいですね~、長門さん。確かに似合ってます~…」 「お前… いや俺は何も言わん何も聞かんお前の趣味なんて知りたく無い。 長門がいいならそれでいい。 お前が無理矢理着せたっつうんなら話は別だけどな。 とりあえず…俺の妹には手え出すなよ……」 ありありと残りの団員の反応が見えて、僕は乾いた笑い声を漏らした。 どーしよー… 僕が選んだことを、長門さんが黙っていてくれれば問題はそこまで大きく無いのだが… 「できた。オムカレー」 どん、と皿がふたつ机の上に置かれる。 「召し上がれ」 「あ、いただきます」 豊かな匂いと鮮やかな彩色が思考を遮ったのをいいことに、 心配は後回しにして、スプーンを手に取った。 それまでずっと続いていた、スプーンと皿の底がぶつかる軽い音が止まった。 長門さんの分だけ。 しかし、彼女の皿には、まだ黄色と茶色の固まりが半分ほど残っている。 「あなたは」 ぽつり、と彼女は言葉を落とした。 「目の前に危機が迫っている人間がいたら、 利害の有無に関わらず、その人間の安全の為に動く、と。 あなたはそう言った」 一昨日の僕が言ったことを彼女は反復した。 今の状態に発展する羽目になった、今思えば小っ恥ずかしい台詞。 そしてこの騒動が起こる、全て引き金となった台詞。 「危機と呼べるレベルには至らない。 しかしそれはあくまで、私から見た彼女の状況。実際に彼女が感じていた不安は私には計り知れない。 私は母を見失い、泣いていたあの子の為に、行動を取ったつもりだった」 長門さんはここで言葉を切り、僕を見つめた。 僕のスプーンを運ぶ手も、もうとっくの前に止まっていた。 「あなたが私にそうしたように」 沈黙は数秒程だった。 「成長、されましたね…本当に」 まるで、今まで遠目にしか見ていなかった幼い子の格段の成長を目の当たりにしたような気分で、 多分穏やかなものになっているであろう目線を暫く注いでいると。 長門さんはニット帽を更に深く深く被った。 前が見えないんじゃないのか、と思うくらいに。 夕食も、その後片付けも終えて、まあ、また抵抗虚しく脱がされ、 浴槽に突っ込まれたりした。 長門さん、あなたはもう少し恥じらいを持ちましょう… 婿にいけない…え、お前がいくの?来てもらえよ、 と、どうだっていいことを一人で悶々と考えて、続けて入浴している長門さんを待つ。 しばらくして、脱衣所の扉が開いた。 よほど気に入ったのか、僕が貸そうとしたラフな服を彼女は受け取らず、 今日買った服をもう一度着ていた。 帰宅してパジャマなりに着替えると思うので、僕がとやかく言うことではない。 「忘れていた」 開口一番、彼女はそう言って、居間の床に正座した。 「何をですか?」 「耳掻き」 ぽんぽん、と彼女は太股を軽く叩き、こちらを見上げた。 片手には耳掻きが握られている。 ……できればそのまま、ずっと忘れていて欲しかった… ではお言葉に甘えて、と言う訳にもいかないので、 首をひたすら左右に振ることに専念する。 「結構です」 「良くない」 「いりません」 「いる」 素早く伸びた長門さんの手が、ぐっ、と僕の右手の中指を強く握った。 そこに巻かれていた包帯は、入浴前に解かれていて、今はむき出しだ。 そこっ、腫れてるとこだって!ワザとやってるだろ!! 「いた、い、です」 「耳掻き」 「いりません…っ」 ぎゅうううう 「すみません嘘つきましたー! やっぱりお願いします!!」 「そう」 指を握る力が弱くなり、そのまま手を引かれ、彼女の太股に顔の側面を預けることになる。 なんだこれは。 彼女が無頓着でも、こっちはそうにもいかないのだから、 やっていいことと悪いことがあるだろう。 なんでスカート選んだんだよ… と数時間前の自分を呪う。 知らねえよ、こんなことになるなんて普通思わないだろ。 と数時間前の自分は言った。 普通、なんて言葉は三年半程前に見限ったつもりだったのだが、そう言い訳せずにはいられない。 あーあーあー、早く終われー、と呪文のように口の中だけで呟く。 「終わり」 その甲斐あってか、意外と早く耳から棒が抜き出された。 しかし、ほっ、と息を吐いた途端、 「次、反対向いて」 ごもっとも…耳はふたつあるんだよな… 一度起き上がり、反対側の耳が上を向くように動く。 これはどこの少女漫画だ、と眉が寄る。 どこの誰だ、僕の忍耐力やら精神力やら理性やらその他諸々を試しているのは。 受けて立とうじゃないか、とひとりで意気込んでいると、耳から違和感が消えた。 「終わりましたか?」 そう聞いても、長門さんは黙ったままだ。 頭を持ち上げたが、彼女に手の平でこめかみを押さえつけられ、さっきと同じ体勢のままで動けない。 「寂しい」 僕は真上を向いた。 「ひとりは寂しい」 彼女は僕を覗き込んでいる。 今日会ったあの女の子の目は、母とはぐれたと気付いた時、きっとこんな風に揺れていたのではないのか。 もしかしたら、長門さんは、今、彼女自身を迷子の女の子に重ねているのかもしれない。 気のせいかもしれないが、もしそうだったら、いつもの笑顔になればいい。 「寂しい、ですか」 「そう」 「あなたにも、そんな感情があるんですね」 「そう。一人暮らしは寂しい」 「僕も寂しいです」 「泊めて」 またえらい所に話が飛ぶものだ。 「駄目?」 「駄目です」 「私はひとり。あなたもひとり。あわせてふたり」 「それはそうですけれど」 「なら決定」 どうやら僕に拒否権は無いらしい。 この強引さ、涼宮さんの影響だろうか。 「歯磨き」 やっと起き上がることができた僕に、歯ブラシが突き付けられる。 はいはい、ともう抵抗する気力も失せて、僕は口を開いた。 「長門さんはどうぞベッドでお休み下さい」 その格好のままで寝るのは窮屈だろうと、長門さんに簡単な服を手渡すと、 脱衣所に入ってあっさりと着替えてしまった。 耳掻きをする前にそのジャージを履いて欲しかった。 「あなたはどこで寝るの?」 「ソファで寝ます」 「押し入れの方が安眠できると思われる。 私はそこを寝床にしているロボットを知っている」 「いえ…あんな、尚更ネズミが出てきそうな所では落ち着いて眠れません」 「確かに…では何故? 何故彼は、彼の畏怖の対象であるネズミがより出現しやすい押し入れで眠るの?」 「さあ…直接、その猫型ロボットに聞いて下さいとしか」 押し入れから毛布と掛け布団を引っ張り出して、ソファに被せる。 その際、長門さんは押し入れの上の段に登って、二分程そこに寝転がってから、また直ぐに下りた。 「今度、自宅の押し入れで寝てみる」 好奇心旺盛だ。けれど、隠れ家みたいで少し面白そうかもしれない。…やらないよ。 「そこでいいの?」 ベッドに飛び乗った長門さんが聞いた。 「僕のことはお構いなく」 ソファと布団の間に潜る。 「一緒にベッドで寝たとしても、私は構わない」 「僕が構います」 そんなことをして、何かあってからでは遅い。 遅いって何が?いや別に何も。 「そう」 長門さんはこちらを見て、 「おやすみ」 と壁に張り付いた電灯の電源を切った。 「おやすみなさい」 ここで寝返りをうったら転げ落ちるな。 「古泉一樹?もう寝たの?」 「起きてますよ」 「そう」 夏ならともかく、冬だと少し冷えてしまう。 「古泉一樹、寝た?」 「起きてます…」 「そう」 仮眠だとそこまで気にならないが、長い時間寝るとなるとソファは少し固い。 「古泉一樹?眠った?」 「………」 「古泉一樹?」 「起きてますけど…」 「そう」 「あの、あまり声を掛けられると、ちょっと…」 控え目にそう言うと、しばらくの間沈黙が流れた。 「眠れないんですか?」 「違う。 あなたがそこにいるということを、あなたの声がすることで確認したかっただけ」 「そうですか…」 「そう」 閉鎖空間でも発生しない限り、一度床に就いてから家を抜け出すことはなかなか無いのだが。 きっと長門さんに備わっているであろう、サーモグラフィティ等の機能を使用せず、声での存在確認。 …そうだ。 「寝物語りをしましょうか」 「お話?」 「そうです。 おとぎ話とか、童話とか…怪談や、本当は恐ろしいグリム童話等はできませんが。 あなたが寝付くまでお話しでも」 「金太郎がいい」 「日本人の殆どが完璧に説明できないで有名な話できましたね… えーと、昔々ある所に金太郎という名前の男の子が…」 「ある所ではない。物語の序盤の舞台は足柄山の山奥」 「ご存じでしたら僕が話す必要は無いのでは…」 「ある」 どこにその必要があるのやら毛頭見当つかぬまま、そこからは殆ど長門さんが物語の語り手になっていた。 これでは僕の方が先に眠ってしまいそうだ。 「そうして、坂田金時は酒呑童子を無事に退治した。と言い伝えられている」 「それで源頼光に褒美を頂いて、めでたしめでたし、ですか…」 「そう」 「そうですか…金太郎ってそんな話だったんですね… 眠い、です…」 「そう。私も」 「寝てもいいですか」 「いい。私も寝る」 その言葉に僕は目を閉じる。するとそのまま、くたっ、と眠れた。 色々と疲労が溜まっていたからだろう。その疲れが取れる筈の入浴が一番気苦労が絶えなかったから。 朝に強いとも弱いとも言えない僕を起こしたのは、先に目覚まし時計を止めた長門さんだった。 「起きて」 「ん」 「起きて」 「あーい…」 は、の発音ができず、それでもまだ布団の中でまんじりとしていると。 「起き――て!」 そう言いながら、助走をつけて腹に飛び乗られた。 「ぐあ!」 膝立てることねーだろ!! と叫ぶのもままならなず、自由な上半身のみで飛び起きれば、 僕に跨がっている長門さんのドアップで、うわうわ言いながら背中がソファに逆戻り。 コントか、コントがしたいのか一樹。 「起きた?」 「ええもう最高の目覚めです。誰かさんのおかげで」 体の上から退いた長門さんに、いつもの笑顔で痛むお腹を押さえ、ほんの少しの嫌味を垂れる。 「あなたは痛くされるのを好むの?」 嫌味は通じなかった。 「なんでそう話がぶっ飛ぶんですか」 「好き?」 「違います!」 何時何処でどんな状況で誰からそういう知識を得ているんだ。 朝っぱらからなんて会話だ、と洗面所に向かおうとすると、 『ラジオ体操第一!』 全部やってたら確実に遅刻しますよそれ。 結局遅刻は免れた。 体操は昨日のものを全てやったので、 終わった頃には徒歩では到底間に合わないであろう時間だったのだが、 ここでもう一度自転車に出番が与えられた。 「早く乗って」 「ふたり乗りで登校はちょっと…教師の目もありますし」 「遅刻したいの?」 「そういう訳では…」 自転車置場でもたもたする僕を見兼ねてか、 長門さんはさっさとスタンドを撥ね上げてサドルに腰掛け、こちらを振り返って言い放った。 「乗らないと置いて行く」 チリンチリン 「おはよう」 「あら有希、おはよ!…え?古泉くん?」 「お、おはようございます」 チリーン 「おはよう」 「おう、はよっす長門…はあ?古泉?」 「おはようございまーす…」 チリンチリーン 「おはよう」 「あ、おはようございますー長門さ……ふえ?こいず…」 「おはようございま、す…」 恥ずかしい恥ずかしい目茶苦茶恥ずかしい。 こっち見ないで欲しい、っていうか、なんで今日に限って登校中のSOS団全員に会わなきゃならない。 それになんで今日に限って長門さんは全員に挨拶するんだ。 わざわざベルまで鳴らして。 長門さんは三人ともすいすい追い抜かしたが、荷台で僕が縮こまっていた事に関して、 必ず後で涼宮さん達に追及されるんだろうな、今から頭が痛い。 とひとりで思い悩んでいると、坂のふもとの自転車置場に着いた。 「ありがとうございました…」 「いい」 見上げただけでうんざりとする坂を徒歩で登る。 「今日の僕の下駄箱には何が入っているんでしょうね」 昨日の剣山を思い返す。画鋲どころでは無かったな… 「さあ。ちなみに昨日の私の下駄箱には消しゴムのかすが隅に置いてあった。 恐らくは、あなたに好意を寄せている女子生徒の仕業」 うん…なんてコメントしよう……。 長門さんは、怒らせたら恐そうな人学年第一位に輝いてるから…当然と言えば当然か。 「ショボい」 うん…。 その日の僕の下駄箱には、いや、上履きの中には、良く練られた納豆が入っていた。 ちょ、たんま。ほんのちょっとでいいから暴言吐かせて…一言で済むから。 せーの、 「食べ物に罪はないでしょうが!!」 「そっち?」 と、下駄箱から丸められた紙屑を取り出しながら言う長門さんを尻目に、 僕はあらん限りの力で上履きを廊下に叩き付けた。 ああ、むしゃくしゃする。こんな扱いを受けた納豆の気持ちを考えてもみろ。 誰のために美味しく加工されたと思っているんだ。 買ったお前のためだろう!? 「いや、ツッコミ所が違う」 長門さんはそう言い、廊下に転がった上履きを拾い、口をもごもごとさせた。 復活の上履き。 さて、特筆すべきは全ての授業が終わった放課後、文芸部室にての事だ。 今朝の件についての、他の団員からの追及どころでは無かった。 いや、追及はされるにはされた。一時間目が始まる前の休み時間、教室に襲撃しに来た涼宮さんに。 なので、長門さんが昨日に限り僕の家に泊まったことや、 晩ご飯を作りに来てくれていることは勿論伏せて涼宮さんには寝坊して遅刻か、 と慌てて僕がマンションを飛び出した所でたまたま長門さんが通りかかり、 彼女の善意による思い付きで一諸に自転車で登校することになった、と説明した。 今の状況に至った経緯を順に追って説明するのももどかしいので、過程は省かせて頂こう。 僕は両肩に物凄く強い力を加えられ、腰を掛けた姿勢のままパイプ椅子に押さえ付けられていた。 その力は長門さんの両手に込められていて、彼女は僕の目の前で仁王立ちをかましていた。 「えー…と」 「却下」 「まだ何も言っていませんが…」 「あなたが、先程私があなたについて指摘し、 そして今から私が、あなたに実行しようとしている事から逃げようとしているのは明らか」 「いや、そりゃ、逃げもしますって」 「遠慮は無用」 「遠慮だとか言う問題では無くてですね…」 「私は有機生命体で言う所の雌に分類される。あなたは雄。 よって私には、あなたが今置かれている状況を完全に理解する事は不可能」 「はあ、まあ、長門さんには無縁でしょうねえ…」 「しかし、今のあなたは辛そうに見える」 「別に、あなたが思っていらっしゃる程問題は…」 「ある。あなたのそれは痩せ我慢」 「我慢、って…」 「間違ってはいない筈。私は私の発言に責任を持つ。 『あなたの手が完治するまで私があなたの生活をサポートする』」 「はあ、まあ、そんな台詞もありましたね…」 「それはこうとも言える。あなたの手が完治するまで私があなたの右手の役割を担う、と」 「だからって、何もこんなことまで…」 「恐らく、あなたの右手が正常に使えたのであれば、 あなたはこの様に追い込まれるまで放置しなかった筈」 「ええ、まあ、それは確かに」 「しかし、あなたのその不快感も今日で終わり。私がその始末をする」 「いや、マジでいいです、って!僕はそこまで気にしていませんから!」 「あなたが気にせずとも、私が気になる。もう限界」 「どうかお気になさらないでく――なんて物ポケットに入れていらっしゃるんですかあなたは!?」 「これは使用しないの?」 「しませんしません! あなたは、何か大きな勘違いをされているようですね、止めておきましょう!ね!!」 「却下」 「却下って!あなたにこういった経験があるとは思えません!」 「確かに、経験は皆無」 「なら!」 「やる気があれば何でもできる。これは名言。偉大な人の言葉」 「ひっ、人には努力や根性のみで出来ることと出来ないことが… とにかく一旦離して下さい」 「暴れないで」 「お断り、しますっ…手を退けて頂けませんか!」 「却下。これ以上は私が見ていられない」 「たんま!待った!結局それ使うおつもりですか!?」 「そう」 「いや、そんなの使ってやったら死にますよ!殺す気ですか!」 「男が細かい事でごちゃごちゃと…」 「男だからです!」 「わかった、文句は後程受け付ける」 「後では遅――」 「力、抜いて…」 「ちょ、わ、やめ、ぎゃああああ!!」 ひゅっ、と長門さんの右手が振り上がり、僕は彼女の手の中にあるカッターナイフの刃先を避けるべく、 渾身の力で彼女の左手を肩から払い、椅子から転げ落ちた。 しかし、無様に尻餅をついた体勢の僕が立ち上がるよりも先に、彼女のカッターが頬にぴたりと添えられる。 「あなたに無精髭は似合わない」 「ひ……!」 皮膚に、刃の冷たく固い感触を感じ、さーっ、と血の気が引く。 カッターで、髭は、剃れません…!! そう言おうとするが、後ちょっとでも刃が深く入れば、 間違いなく流血沙汰なこの状況に対する恐怖からか、 口がぱくぱくと空気を噛むだけで全く声にならない。 怪しげな機関に所属しているせいで、恐い目や痛い目には割と遭い慣れている筈なのだが、 それらと決定的に違っているのは、今の彼女に悪意は、それはもう全く、全然、これっぽっちも無く、 だからこそ、これ位で許してやらあ、ここまでやったら十分だろ、というラインが彼女には存在せず、 それがより恐怖を倍増させる。 更に、あんなに必死になって身に付けた護身術は、彼女相手には無効と来ている。 カッターとのゼロ距離に鳥肌を立て、僕は首をカッターから逃れる為に横に向けた。 ぎぎぎ、と効果音を付けても良さそうな程ぎこちなく。 今の今まで長門さんの説得に必死(しかもその説得も失敗への道まっしぐらだ)だったせいで全く描写していなかったが、 涼宮さん達も既にこの部室に居て、先程から僕達の会話を目の当たりにしているのだ。 そろそろ危険だ、と助太刀をしてくれても良さそうだと言うのに、しかし一向に誰も動く気配を見せない。 は、薄情者…。 傍観を決め込んでいる三人に、アイコンタクトで助けを求める。 S! 「しっかし、さっきの有希と古泉くん、会話だけ聞いてたらどえらい勘違いしそうだわ。 ね、みくるちゃーん」 O! 「ふえ?勘違いですかあ?別に何も… ああ、長門さん、カッター振り回しちゃ、危ないですよぉ…でもわたしじゃ止められないし… あれ?キョンくん、なんで震えてるんですか?」 S! 「刃物持った女子恐い腹えぐられるえぐられる朝倉止めて助けて嫌だ助けて助けて」 SOS送信ミス ………どっ、どいつもこいつも…!! 僕のSOS信号は誰にも届かなかったようだ。 いや、届くには届いたが、長門さんプラスカッターのコンボに立ち向かう勇気が無いのかもしれない。 僕だってそんな勇気は微塵も無い。 が、このまま大人しくしていると輪をかけてとんでもない事態に陥りそうなので、 ていうか、高々無精髭くらいで一々血の海に沈んでいては、この先命がいくつあっても足りない。 「ああっ、あんな所にキュアブラックがっ!!」 「なぎさ!?」 この部室のある校舎とは反対側に建っている校舎の屋上を指差す。 長門さんがプリキュア好きだというのは初詣の際に知ったことだ。 窓の方へ、足はその場に貼り付けたまま、上半身のみを大きく後ろに捻った長門さんから隙をついて飛び退き、 ドアノブに手を掛ける。この部室から逃げた所で彼女が諦めてくれるとは思わないが、ここはすったもんだをするには狭すぎる。 しかし、こんな見え見えの嘘に上手いこと引っかかってくれたな… 「この様に」 「え?」 「私が騙されるとでも」 長門さんはこちらを振り返ることすら無く、刃物を握った右手を肩越しに覗かせただけだった。 …僕の目には少なくとも、そうとしか映らなかった。 次の瞬間には、すかーん!と音を立て、扉にカッターが突き刺さった。僕のブレザーの裾を巻き込んで。 「な……!」 手裏剣!?あんたは忍者か!とか、ぶっちゃけありえなーい、とか、言いたいことは無限にあったが、 歯の根が噛み合わず、かちかちと音を立てただけだった。 あれ、僕ここまでビビりだったっけ…? あ…ヘタレ化……? でもこれだと、どちらかと言うとヘボ化では…? 頭がぐるぐるになっている僕を当然無視して、長門さんはすたすたと近付き、カッターを扉とブレザーから引き抜いた。 大きく切れ目が入ってしまったブレザーを見て、長門さんは、 「後程修正を施す」 と言い、またも刃物を構えた。 それなら無精髭をきれいさっぱり取り除いて下さい。 長門さんの右腕が、再び大きく振り上がって、風を切り裂きながら僕の顔面目掛けて迫って来た。 もう、それ、殺ろうとしているようにしか見えない。とても髭を剃ろうとする動作ではない。 腰が抜ける要領で、足の力を一気に抜き、扉にもたれ掛かって背中を落とし、危機一髪で逃れる。体育座りの姿勢だ。 が、それも虚しく、すぱっ、ぱさっ、と嫌な音が続いた。 「あ」 カッターを手にした、通り魔予備軍の少女の唇から小さく声が漏れた。 はらはら、と僕の肩に何かが降り懸かる。 なんだこれ…血、ではないな… 「ストップ、ストーップ!有希、やり過ぎやり過ぎ!!」 涼宮さんが、がらくたの山から美術に使う画板を引っ張り出し、盾にするように僕と長門さんの間に差し込んだ。 肩に落ちた、細い糸のような物を摘む。髪の毛だった。 どうやら、体を落としたはいいものの、髪が体について来れず、逃げ遅れてしまったようだ、 と、そこまで考えて、僕は卒倒こそはしなかったが、へなへな、と体育座りから、 内股を床にべったり付ける体勢になり、今度こそ腰が抜けた。 「大丈夫か古泉くたばってないか古泉チビってないか古泉立てるか古泉」 彼が、彼なりに心配してくれている顔で僕の前に立つ。 トラウマのせいか、まだ些か混乱気味のように、僕の名前を連呼している。 てか、チビってはない!!ないったらないからな!そこだけは絶対譲れない!! 「ななな、長門さん…カッター、わたしに預けてもらっても…?」 朝比奈さんまでおどおどしながらも心配してくれている。 ……みんな、ありがたいのだが、できればもう少し早い段階で助けて欲しかった… びくつく朝比奈さんに、刃をしまったカッターを渡した長門さんは、 彼に並んで僕の前に屈んだ。 「済まない」 長門さんは淡々と言葉を紡ぐ。 「あなたがなぎさをだしに、私から逃れようとたのに憤りを感じ、 少しばかりの制裁を与えようとした。が、度を越してしまった」 ほんとにな。 …そこまでなぎさを使われたのが頭に来たのか… ここで、彼女はひょこんと頭を下げた。 「…ごめんなさい」 「そうね、有希も反省していることだし、悪気があった訳じゃないし。 ね、古泉くん、許してあげて!」 全く、この人は寛大と言うべきか、大雑把と言うべきか… 実際、彼女がカッターで髪をちょんぎられたら、多分相手が誰であれ一生涯許さないだろうに。 はあー、と盛大に溜息をついて(それ位は優等生演技中の今でも許されるだろう)僕は力無く笑った。 「帰りに床屋に寄って、髪も髭も見れるようにします… 美容院だと、髭剃りは無理でしょうから」 「そうした方がいいわ。 古泉くんは爽やか美少年ポジションであって、無精髭が似合うワイルドタイプじゃないしね」 そう言って、涼宮さんは彼を暫くじっと見て、あんたも似合わないわね、きっと、と呟いた。 「立てる?」 長門さんが手を差し出す。 あっさりとその手に頼るのも情けないので、ぐっ、と力を入れて立ち上がろうと試みる。 が、腰が全く持ち上がってくれない。 「ちょっとキョン、古泉くんに肩貸しなさい」 「なんで俺が」 「あたしやみくるちゃんや有希じゃ力が足りないでしょ!」 「朝比奈さんはともかく、お前と長門はいけるだろ」 「はあ!?ふざけ――」 「私の責任。手出しは無用」 軽く口喧嘩になりかけていたふたりを長門さんが遮る。 そのまま彼女は強引に僕の膝を立てて体育座りにさせ、手を僕の肩と膝の裏に添える。 おいおいおいおいおいおい、これってまさか… 「世間一般で呼ぶ所の、お姫様抱っこに該当される」 「いやいやいや!何をさらっと!」 彼女の手を引き離し、そのままその手を押さえ付け、 足に力を入れると、火事場の馬鹿力か、ふらつきながらもなんとか立てた。 はー、危機一髪… もう少しで男の面目丸潰れだった… で、 「………」 なんで睨むんですか長門さん。 その日の団活動は、床屋が閉まらない内にと涼宮さんが僕に帰るように言い、 その途端、長門さんが本を閉じたので、じゃあ今日はこれでお開きね!といつもより早い時間で終わった。 「という訳で」 最後尾を、今日だけは長門さんと並んで歩き、僕は前の三人に聞こえないように少し声を落とした。 「帰りに床屋に寄るので、先に帰っていて下さい」 ポケットから部屋の鍵を出し、長門さんに手渡す。 ピッキングの現場を住人に目撃されるのは、なんとしても避けたい。 こく、と彼女は小さく頷いて、ポケットに鍵を滑り込ませた。 そのまま彼女は僕のブレザーの裾に手をかざし、その手が離れると、切り込みは塞がっていた。 「あいよ、坊や。お疲れさん」 そこまで髪が悲惨な目に遭っていた訳でもなく、ほんの少し鋏を入れただけで、元通りとはいかなくとも、 自分から言わなくては、切ったことすら団員以外は誰も気付かないと思われる程変化は見られなかった。 顎を支配していた不快感ともおさらばできて、 安堵と共にそのまま床屋の椅子に深く腰掛けたままでいたかったが、 携帯が着信音1を奏でたので、慌てて会計を済ませた。 Eメール一件受信。 定期報告せよ、とのことだった。 続く 「次回、花嫁修行危機一髪・完、お楽しみに」 「あ?坊や、誰に話し掛けてんだ?」 「…あ、いえ、ひ、独り言です…どうかお気になさらず…」 花嫁修行危機一髪・完へ
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【分類】 下位ページ ジャンル 目次 【分類】 【概要】ジャンル 【参考】関連項目 タグ 最終更新日時 【概要】 ジャンル ベリーロング ロング ボブカット ベリーショート ショート ショートボブ ツインテ ツーサイドアップ ピッグテール ツインドリル ポニテ ハーフアップ 二つわけ ドリル 三つ編み サイドテール お下げ お団子 ストレート ソバージュ カール パーマ 編み込み ウルフカット インテーク 姫カット オールバック アホ毛 一本結び アップ髪 二つ結び 盛り髪 黒髪 茶髪 金髪 白髪 銀髪 ピンク 青 緑 紫 赤 おっぱい 横乳 谷間 下乳 谷間ホール ネクパイ 巨乳 貧乳 腋 鎖骨 うなじ 尻 脚 ふくらはぎ ふともも 体臭 よだれ 涙目 鼻水 方言 声 おもらし 汗 ヤンデレ ツンデレ クーデレ 不思議 電波 厨二病 邪気眼 世間知らず 天然 ◎ お嬢様 ドジっ子 熱血 脳筋 堅物 真面目 律儀 潔癖 家庭的 地味 おっとり 引っ込み思案 クズ ゲス 腹黒 毒婦 肉食 草食 コミュ障 耳年増 ドヤ顔 ゲス顔 ☓ アヘ顔 ☓ ラリ顔 トロ顔 泣き顔 号泣 ☓ 男泣き 嘘泣き ジブリ泣き 上目使い ジト目 見下し ☓ 白目 仁王立ち ☓ ガイナ立ち ☓ ジョジョ立ち ☓ カトキ立ち ☓ 安彦立ち ☓ Wピース ☓ ガワラ立ち ☓ 勇者パース 雌豹のポーズ めがね マスク 帽子 カチューシャ ネコ耳 イヌ耳 ウサ耳 ヘルメット 兜 マフラー 靴 軍靴 サンダル パンスト 靴下 ガーターベルト ニーソ パンツ 女児パンツ 縞パン くまパン 白パンツ 黒パンツ ふんどし ブラジャー シミーズ ネグリジェ さらし 水着 スク水 ローレグワンピ ハイレグワンピ パレオ ビキニ レオタード ブルマ ジャージ ジーンズ ホットパンツ スパッツ(レギンス) スカート ミニスカート ロングスカート タートルネック セーター Yシャツ Tシャツ ポロシャツ アロハシャツ 和服 浴衣 袴 ラバー(革フェチ) ビキニアーマー 白衣 剃毛 生理用品 〇 処女 生理中 △ 妊婦 搾乳 母乳 百合 ホモ 性転換 女装 男装 ふたなり 障害(知的) 障害(身体) 乳幼児 ロリータ ショタ 熟女 老婆 合法ロリ 童顔 ロリ巨乳 オネショタ ホモショタ ロリショタ 女性少女愛 ケモショタ ケモロリ 家族 夫婦 実母/息子 娘/実父 妹/兄 姉/弟 双子 祖父/孫娘 〇 幼馴染 義母 義父 △ 義姉/義弟 △ 義妹/義兄 叔母/甥 叔父/姪 従兄妹 従姉弟 △ セーラー服 △ ブレザー △ ミッション系 △ ジャンバースカート 看護学生 見習い 幼稚園児 小学生(低学年) △ 小学生(高学年) △ 中学生 △ 高校生 △ 大学生 〇 女子校生 △ 女教師 チアリーダー 社交ダンス 新体操 スケート 応援団 陸上 水泳 馬術 登山 剣道 弓道 フェンシング プロレス 薙刀 射撃 柔道 テニス ラクロス ゴルフ バレーボール ソフトボール バスケ サッカー 卓球 ビーチバレー 放送 新聞 写真 演劇 漫画 文芸 美術 合唱 軽音 ブラスバンド ロックバンド 茶道 料理 科学 風紀委員 図書委員 保険委員 生徒会 厚生委員 中央委員 放送委員 体育委員 国語 数学 理科 社会 英語 体育 美術 音楽 巫女 尼(女僧) シスター アイドル ナース 女医 患者 博士 主婦 人妻 団地妻 未亡人 家事手伝い △ メイド ウェイトレス コンビニ店員 OL 秘書 女社長 △ SP 婦警 刑事 保安官 怪盗 スパイ くノ一 侍 変身ヒロイン 魔法少女 魔法使い 僧侶 賢者 戦士 狂戦士 騎士 聖騎士 黒騎士 天馬騎士 竜騎士 狩人 格闘家 ネズミ ネコ イヌ キツネ ヒツジ ウシ ウマ ヒョウ ウサギ 触手 植物 虫 人魚 天使 悪魔 女神 天女 仙女 妖怪 雪女 九尾狐 座敷童 精霊 妖精 エルフ 幽霊 英霊 宇宙人 古代人 異界人 未来人 メカ少女 サイボーグ アンドロイド サイキッカー 霊能力者 サンタガール カウガール バニーガール 剣 銃 魔法 セクハラ イチャイチャ 〇 ハーレム ストリップ のぞき 盗撮 見てるだけ 視姦 ☓ SM ソフトSM ☓ 鼻フック スパンキング 拘束 ☓ 拷問 ☓ 内臓系 ☓ 切断 ☓ 眼球 ☓ 食人 言葉責め 罵倒 洗脳 催眠 ☓ 薬物 ☓ 麻薬 睡眠薬 自白剤 媚薬 精力剤 避妊薬 排卵誘発剤 ☓ デブ専 ペイント 軟体 露出 寝取り 寝取られ チラリズム パンチラ ブラチラ スカート捲り たくしあげ セルフスカート捲り 誘惑 挑発 咥えゴム 掴みシーツ だいしゅきホールド 股に手 手コキ 足コキ 素股 腋コキ 髪コキ ペッティング アナルセックス 浣腸 ☓ スカトロ大(食べる) ☓ スカトロ大(見る) ☓ スカトロ小(飲む) スカトロ小(見る) ぶっかけ 顔射 オーラルセックス ☓ セルフフェラ イラマチオ ☓ 食ザー フェラチオ 口内射精 精飲 ごっくん クンニスリング 69 パイズリ 潮吹き 射精管理 逆レイプ 尿道責め 多人数 ☓ 3P(男2・女1) 3P(男1・女2) ☓ 輪姦 ☓ スワッピング ☓ 乱交 獣姦 ピグマリオンコンプレックス 異物挿入 青姦 カーセックス 強姦 ☓ 産卵 ☓ 脳姦 ☓ 死姦 オナホール オナニー バイブ ローター 亀甲縛り ☓ 三角木馬 正常位 後背位 騎乗位 座位 立位 駅弁 まんぐり返し 松葉崩し ◎ 孕ませ ◎ 種付け ◎ 子作り 〇 腹ボテ ◎ 着衣H 股布ずらし ずらし挿入 パンツ下ろし 片足パンツ 〇 処女狩り 断面描写 ハメ撮り キスハメ 正月 初詣 餅つき 成人式 節分 バレンタイン 雛祭り ホワイトデー 春一番 卒業式 春休み お花見 入学式 オリエンテーリング 身体測定 GW 母の日 父の日 梅雨 夏休み 海水浴 夏合宿 夕立 お盆 肝試し 縁日 敬老の日 運動会 学校見学 文化祭 ハロウィン 大掃除 冬休み クリスマス 修学旅行 林間学校 臨海学校 スキー教室 お泊り 勉強会 〇 現代 異世界 未来 異星 過去 昭和(戦後) 昭和(戦中) 昭和(戦前) 大正 明治 幕末 江戸(後期) 江戸(中期) 江戸(初期) 戦国時代 室町時代 鎌倉時代 平安時代 古墳時代 弥生時代 縄文時代 原始時代 古代文明 アメリカ 中国 ヨーロッパ オリエント アラブ インド 日本 アフリカ ロシア 一軒家 アパート マンション 団地 自室 居間 風呂 トイレ 台所 寝室 納戸 玄関 蔵 庭 豪邸 ◎ 学校 校舎 校庭 下駄箱 ロッカー 更衣室 プール 体育館倉庫 体育館 道場 屋上 教室 廊下 階段 踊り場 図書館 保健室 職員室 準備室 ホテル 公園 海岸 電車 バス タクシー 戦車 船舶 航空機 宇宙船 ヘリコプター 展望台 教会 神社 病院 診察室 病室 手術室 宿屋 酒場 荒野 豪邸 早朝 朝食 朝練 登校 昼 昼食 昼下がり お茶会 夕方 下校 夕食 夜 夜食 深夜 小説 ラノベ エッセイ 絵本 漫画 アニメ 特撮 実写 舞台 漫才 コント 落語 ミュージカル 歌舞伎 狂言 能 人形劇 人形浄瑠璃 クレイアニメ 3Dアニメ ジャズ ロック ポップス キャラソン ラジオドラマ RPG ARPG SRPG TRPG シューティング アクションシューティング 弾幕シューティング 横スクロールシューティング 格闘 対戦格闘 無双 育成シミレーション △ 恋愛シミレーション 経営シミレーション 戦略シミレーション アドベンチャー 〇 推理アドベンチャー ボードゲーム カードゲーム ◎ 抜きゲー 〇 シーン回想 〇 CG鑑賞 〇 BGM鑑賞 〇 セーブ 〇 ロード 〇 クイックセーブ 〇 クイックロード 〇 文章スキップ イラスト カード ポスター タペストリー カレンダー タオル ハンドタオル ビッグタオル 抱き枕カバー クッションカバー シーツ おっぱいマウスパッド お尻マウスパッド マウスパッド フィギュア ねんどロイド アクションドール 着せ替え人形 プラモデル 模型 ジオラマ 缶バッチ 携帯ストラップ クリアファイル マグカップ 湯呑 ボイス付 和風 洋風 中華 アメリカン エスニック クラシック モダン エキセントリック サイケデリック 萌え △ コミカル コメディー ホラー スリラー 〇 ミステリー パンキッシュ エレガント ラブラブ シリアス 【参考】 関連項目 項目名 関連度 備考 創作/どうしてこんな嬉しいハーレム学園になった。 ★★★★ タグ 構成 最終更新日時 2013-09-21 冒頭へ
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6◆◆◆◆◆◆ ――――そうして。 レオからの連絡を受けた岸波白野たちは、生徒会室へと戻って来た。 「それでレオ。なんかわかったのか」 「ええ。僕の予想が正しければ、ウイルスに対策することが可能かもしれん」 「ならその予想ってのを早く教えてくれ。このまんまなんもできねぇで時間切れってのはゴメンだぜ」 苛立たしげなレインの言葉に、自分も同意する。 プレイヤーのアバターに仕掛けられているというウイルスの発動まで、すでに残り半日を切っている。 だというのにそのウイルスは結局、アバターデータを解析できるユイにも、そしてレオですら発見もできなかった。 PKを行えば延命は可能だが、PKを行うという事はすなわちデスゲーム――榊の思惑に乗るということを意味する。 そして幸か不幸か、自分たちは戦闘こそ行ったが、PKには至っていない。またレオたちも同様にPKは行っていないという話だ。 合計七人。たとえ都合よくPKが現れたとしても、この人数全員が延命できるとは思えない。 つまりこの場にいる全員が生き残るためには、ウイルス自体をどうにかするしかないのだ。 ………だが、先ほども言ったように、ウイルスに関する手掛かりは何もないままだ。 レオはこの状況から、いったいどうするつもりなのだろうか。 「わかりました。それではモニターの方を見てください。 まず皆さんが一番恐れているであろうウイルスについてですが―――」 レオが頷き、そう告げると同時に、一際大きなモニターが浮かび上がる。 モニターには簡略化されたPCボディの素体のようなものと、何かしらのパラメータが表示されていた。 「ユイさんの協力の下、僕らのアバターを様々な角度から解析した結果……… 僕らのアバターには、ウイルスは仕掛けられていない、と結論するに至りました」 「はあ!? そりゃ一体どういう意味だよ!」 「そうだぞレオ! ウイルスが仕掛けられていないってことは、時間制限の話は嘘だったってことか?」 ウイルスは仕掛けられていないというレオの言葉に、ジローとレインが戸惑ったように言葉を荒げる。 同然だろう。それが事実だとしたら、延命のためにPKを行う必要性がなくなるのだから。 だがレオは、首を振ってそれを否定した。 「いいえ。残念ながら、制限時間の話は本当でしょう。そんな嘘を吐く意味はありませんから」 「じゃ、じゃあどういう意味だよ。ウイルスが仕掛けられていないなら、どうやって時間切れのヤツを殺すんだ?」 「それは簡単ですよ。ジローさん、パソコンにウイルスが感染する時は、どんな時ですか?」 「どんな時って、そりゃあ……他のパソコンからハッキングされたり、インターネットの変なページ開いたり、あとは………」 「メールの添付ファイル、だな。なるほど、そういう事か」 「そういう事です、レインさん。おそらくですが、主催者はメールを使って、時間切れのプレイヤーにウイルスを送り込んでくるのでしょう」 レオのその推測に、なるほど、と納得する。 PKによって延命できる時間は一人につき6時間。そして主催者が送ってくる定期メールも6時間ごとだ。 ならそのメールにウイルスを添付して送信すれば、時間切れのプレイヤーはウイルスに感染しデリートされることになる。 「そしてメールの本文はともかく、着信時にはメニューウィンドウが強制的に展開されます。 つまりメニューを開かないという方法では、ウイルスの感染は防げません。 対策としては、メールそのものを着信拒否するしかないでしょうね」 「着信拒否って、そんなことできんのかよ」 「できなければウイルスに感染して死ぬだけですよ。 幸いにして、ウイルスメールが来るまであと一回は猶予があります。それまでに着信拒否プログラムを組むしかないでしょう」 だがプログラムの構築に失敗すれば、PKによって延命するか、ウイルスによって死ぬだけだ。 あと一回は猶予があるとレオは言ったが、逆に言えば、延命(PK)をしない限り一回しか猶予はないのだ。 果たしてそれまでに、ウイルスメールへの対抗プログラムを組むことができるのだろうか、なんて心配が心を過る。 ……が、しかし、そんな心配をしたところでどうにかなるものでもない。 岸波白野にはその手の魔術師(ウィザード)スキルがなく、ウイルスに関してはレオとユイに頼るしかないのだ。 「ウイルスに関してはこれくらいでしょうか。 ウイルスそのものへの対策は以降も考えますが、現状ではこれ以上手の打ちようがないわけですしね。 では次の議題――バトルロワイアルそのものへの対抗策に移りましょう」 結局ウイルスそのものに対する対策をとることが出来ないまま、話は次の議題へと移ってしまった。 アバター内にウイルスを発見できなかった以上、それも仕方がないだろう。 あとはこちらの予想通り、ウイルスがメールによって送信されてくるものであることを祈るしかない。 それにこちらの議題も重要なものだ。 たとえウイルスをどうにかできたとしても、バトルロワイアルそのものをどうにかできなければ意味がないのだから。 「それはいいけどよ、こっちはこっちで情報不足だろ。」 「いえ、そうでもありません。 ウイルスの件と比べれば、こちらは大きく前進しています」 「そうなのか?」 「ええ。と言っても、こちらもやはり、予測の範疇を超えません。 ちなみに先に言っておきますが、この予測を立てるにあたって、番匠屋淳ファイルを参照しました。 そのためこの予測は、番匠屋淳ファイルの内容がこのデスゲームと関係していることが前提条件となることを覚えておいてください」 そのレオの言葉に頷く。 番匠屋淳ファイルの存在が前提となるということは、逆に言えば、ファイルがデスゲームと何の関係もない場合、レオの予測は的外れなものとなる。 レオが予測の範疇を超えないといったのはそのためだろう。 そんな予測を当てにしなければならないほど、自分たちには情報が不足しているのだ。 「僕はこれまでに集まった情報から、このデスゲームには『The World R 1』で起きたある事件――通称モルガナ事件における何かが関係していると予測しました。 そしてその結果、デスゲームを打破する鍵となるのは、やはりアウラであると結論付けるに至りました。 そもそもアウラは、『The World』の女神となり得る――言い換えれば、一つのネットゲームを支配できる存在です。 そんな存在が介入できるような余地を、榊がわざと残しておくとは思えません。あの手のタイプの人間は、自分が支配者であることに拘りますからね。 そして本当に介入を拒むのであれば、アウラのセグメントを参加者に支給などせず、自分たちで回収・管理しているはずです。 しかしそうはならず、こうしてその一つが支給されている。という事は」 「そうできなかった理由がある、という事か」 「ええ、その通りです。 おそらくですが、このデスゲームのシステムを作成する段階で、何らかの理由によりアウラのセグメントが紛れ込んだのだと思われます。 そして榊たちゲームマスターの用いるシステムプログラムでは、アウラのセグメントに直接的な干渉ができなかった。 その結果、アウラのセグメントはアイテムとしてプレイヤーに支給されてしまったのでしょう。 ―――ここで重要となるのが、“アウラの復活を本当に恐れているはいったい誰か”、です」 「そりゃあ榊のヤロウじゃねぇのか? 仮にも女神様だっつうんなら、復活さえできれば、このデスゲームもどうにかできるだろ」 「ええ確かに。ですがそうではありません。 無論ゲームマスターたちもアウラ復活を恐れてはいるでしょう。 ですがそれ以上に、アウラ復活が致命的となる存在がいるのです。その存在こそが―――」 モルガナ・モード・ゴン。『The World』における最初の女神。 番匠屋淳ファイルに記録されていたモルガナ事件の原因であり、『The World』の管理・運営を行う、『The World』そのものとも言える自律型プログラムだ。 このデスゲームとモルガナ事件を関連付けるのであれば、アウラを最も恐れているのはモルガナだろう。 「正解です。さすが白野さん、情報の組み立てが見事ですね。 このデスゲームにはすでに、アウラの断片であるセグメントと、スケィスの存在が確認されています。 ここに残るモルガナを加えるとすれば、彼女の役割はこのデスゲームを運営するプログラムとなるでしょう。 要するに、このデスゲームのシステムその物が、アウラの復活を恐れているのです」 このデスゲームにはすでに、桜たちのようなAIがNPCとして流用されている。 それと同じように、モルガナも運営システムとして流用された、という事だろうか。 そしてモルガナが運営システムであるのなら、ゲームマスターにとってもアウラの復活は致命的なはずだ。 何しろモルガナ事件は、アウラの復活が終わりへの引き金となったのだから。 システムが同一である以上、このデスゲームでも同様に終わりへの引き金になる可能性はある。 「ってことは、このデスゲームをどうにかするには、やっぱりアウラを復活させればいいのか?」 「いいえ。アウラを復活させるだけで破綻するほど、このデスゲームは甘くないでしょう。 休憩前に軽く話したように、主催者たちもアウラ復活に対する対策をとっていないはずがありませんから。 それをどうにかしない限り、アウラ復活は有効な手とはなりえないでしょう。 そしてその対策の一つが、おそらくはスケィスです。 スケィスはアウラの追跡者。いわばアウラの天敵のようなもの。一度はアウラをセグメントに分割したことからして、彼女に直接干渉することも可能なのでしょう。 ならばゲームマスターは、スケィスがアウラのセグメントを回収または破壊するよう仕向ければいい。 そうすれば自ら手を出すことなく、アウラのセグメントを処分できるのですから」 そしてそれこそが、このデスゲームにおける対主催生徒会の敗北条件だ。 アウラのセグメントが回収されてしまえば、デスゲームは滞りなく運営されてしまう。 そうなってしまえば、残る手がかりはこの月海原学園に隠されていたというダンジョンだけだ。 それもアウラと違い、確実性はほとんどない。 だが逆に言えば、それらの対策を突破し、アウラを無事に復活させることができれば。 「あのクソ榊に一泡吹かせられるってわけか」 「ようするに、決して有利じゃないけど、不利ってワケでもないってことだな」 「そういうことです。 まあもっとも、先ほども言ったように、アウラ復活への対策がスケィスだけのはずがありませんし、これはあくまで予測に過ぎないわけですが」 しかし、何の手立てもなかった先ほどまでと比べれば、ずっと前に進んでいる。 それに幸いというべきか、セグメントの一つは自分たちに支給されているのだ。 これが奪われない限り、敗北条件が満たされることはないはずだ。 「加えて言えば、この番匠屋淳ファイルの存在によって、ある事実が浮かび上がってきます」 「ある事実?」 「このファイルは、聖杯戦争の参加者でなければまず気付けないような、閉鎖されたダンジョンで入手したものです。 そしてこのダンジョンは、本来なら破棄されていたはずのものであり、存在しないはずのもの。 その証拠に、ダンジョンにはエネミーこそ存在しましたが、道中のアイテムフォルダは空っぽでした。 でありながら、デスゲームにおいてはほとんど意味をなさないこのファイルが、ボスエネミーを倒すことによってドロップされました」 ウイルスによって制限時間を設けられたこのデスゲームにおいて、強力なアイテムの手に入らないダンジョンに潜る利益は薄い。 なぜなら、ただポイントを稼ぐのであれば、ダンジョンに潜るよりもアリーナで戦う方が、移動の手間が省ける分効率が良いからだ。 だというのに、わざわざ破棄されたダンジョンの、それもボスエネミーに、戦闘とは関係のないアイテムを持たせておく意味。それは―――― 「それはすなわち、ゲームマスターたちは、決して一枚岩ではない、ということを表しています。 最終的な目的が違うのか、それとも別の理由があるのかはわかりませんけどね」 隠されていたという事は、それが重要であることを示すと同時に、その存在を誰かに知られたくないという事でもある。 そしてわざわざデスゲームのマップに隠したという事は、その知られたくない相手とは通常であればマップに下りてこない存在――つまりゲームマスターとなる。 逆に言えば、プレイヤーに対してであれば、知られたところで大きな問題にはならないと考えている、という事でもある。 いや、道中のアイテムファイルではなく、ボスエネミーのドロップアイテムとして隠されていたという事は、むしろ知ってほしいことなのかもしれない。 「ならばこのファイルを隠した存在と接触できれば、このデスゲームの核心に迫ることができるかもしれません。 そしてその存在は、僕たちがダンジョンを突破した時に現れる可能性が高いでしょう」 ダンジョンの深さは、レオの予想では七から八層。 エネミーも弱体化しているため、魔力の問題さえ解決できれば、そう時間をかけずに踏破出来るだろうとのことだ。 つまり対主催生徒会の今後の方針は、ウイルスへの対策と、ダンジョンの探索。 これに魔力問題の解決と、主催者が仕掛けたアウラへの対策の調査を加えた四つといったところか。 セグメントの探索とプロテクトエリアの調査は、それらの――特にウイルスの問題が解決してからになるだろう。 「そこにハセヲの捜索も加えろ。 あんにゃろう、今度会ったら一発ぶん殴ってやる」 「うわぁ……だいぶ怒ってるな……」 「だしかにハセヲさんの事もどうにかしなければいけませんね」 それにシノンの事も心配だ。 彼女はハセヲを追いかけていたが、無事に追いつけたのだろうか。 「では、ハセヲとシノン、両名の捜索も追加ですね。 ウイルスについての問題も、彼らと話し合わなければいけませんし」 確かにその通りだ。 たとえメールの着信拒否によるウイルス対策が成功したとしても、現在それを知っているのは自分たちだけだ。 シノンたちが今どういう状態なのかはわからないが、もしPKを行っていないのであれば、残り時間は半日を切っていることになる。 ウイルスの発動を阻止するためにも、彼女たちと急いで合流する必要があるだろう。 「シノンといえば、あの娘、なかなかに愛らしい容姿をしておったな。 あの耳といい、あの尻尾といい。何時ぞや出会った麗しのアタランテの系譜かと思ったぞ。 あの娘に火急の用さえなければ、余のハレムに加えて存分に愛でてやりたかったところだ」 「なるほど。シノンさんはそんなおもしろ……いえ、可愛らしい容姿をしているのですか。それはぜひとも見てみたいものです」 シノンの事を思い出したのか、セイバーがそう感想を口にし、それにレオが好奇心を示す。 それを聞いて、この場にシノンがいなかったことに思わず安堵した。 今彼女がここにいれば、今頃セイバーたちにどんな目に合わされていたことか。 「あらあらセイバーさんったら、まさかの浮気発言ですか? そんな事でよくご主人様を自分の物だーなんて言えたものですね。 やはりご主人様に相応しいのはこの私。たとえ何があろうとご主人様一筋な、純情狐のタマモにございましょう」 「浮気とは失敬な! 余は遍く全ての市民を愛する、博愛の皇帝であるぞ。 正妻の座に余がいるのであれば、愛人を一人や二人、余は広い心を以て受け入れる。故に、余も自分のハレムを作ってもよいのだ!」 「うわあ……。なんて王様発言でしょう。さすが皇帝特権:EX(チートスキル)を持つ人は言うことが違いますね」 「うむ! そうであろうそうであろう! もっと褒めるがよい!」 「ですから褒めてませんってば」 そこへキャスターがからかう様な発言をし、またもセイバーとの言い争いが始まる。 その光景に違和感を覚えなくなってきたあたり、自分も慣れてきたなぁ、と何となく思った。 そんな風に今後の方針を纏めていると、ジローが不意に、あ、と声を漏らした。 「……なあレオ。そういえばこの会議って、榊たちに聞かれてないよな。ほら、盗聴とかログとか、そんな感じのでさ。 モルガナの事とかファイルの事とか、あいつらに聞かれたらまずいと思うんだけど。 最悪の場合、榊たちが直接俺たちを消そうとするんじゃないか? いきなりウイルスメールを送ってくるとかさ」 そう言われてみれば、確かにその通りだ。 ここは電子世界。相応の処理能力があるのなら、履歴を辿ることは難しいことではない。 ましてやこのデスゲームの規模を考えれば、その手の監視プログラムはあって然るべきだろう。 だがそれを聞いたレオは、余裕の笑みを崩さない。 「確かにその可能性がないとは言い切れません。 一応監視への対策は講じてありますが、ゲームマスター相手にどこまで有効かもわかりませんしね。 そしてウイルス自体への対策ができていない以上、そうなれば僕たちはお手上げです」 「おい」 「ですが、その可能性は低いと僕は見ています。 なぜならこのデスゲームは、あくまでバトルロワイアルだからです。 ゲームマスターたちの目的は不明ですが、わざわざPvPという形をとった以上、何かプレイヤー同士を殺し合わせる理由があるはずです」 近い例でいえば、岸波白野たちが経験した聖杯戦争だ。 あの戦いも月の聖杯(ムーンセル)を巡って、マスターたちが殺し合う生存競争だった。 もっとも、わざわざモルガナをシステムに使っている以上、このデスゲームはムーンセルによるものではないとは思うが。 「それにゲームマスターが実力行使に出るのであれば、むしろ好都合です」 「好都合って、なんでだよ」 「簡単ですよ。モルガナの事もファイルを隠した存在の事も、あくまで予測に過ぎず、確証などないからです。 だというのにゲームマスターが動いてしまえば、それは僕たちの予測が正解であることの証明になってしまう。 故にゲームマスターは、直接的な対策を講じることができません。 なぜなら最悪の場合、このデスゲームはプレイヤー同士の殺し合いではなく、プレイヤーとゲームマスターの戦いとなってしまうのですから」 ゲームマスターには、プレイヤー同士を殺し合わせる何らかの理由がある。 だというのにPvPがPvGMとなってしまえば、先ほどとは違う意味でこのデスゲームは破綻する。 デスゲームを企画したゲームマスターからすれば、それも避けたい事態の一つのはずだ。 ゆえにゲームマスターは、直接的な手出しは可能な限り避けるだろうとレオは語る。 「それに、危険だからという理由で足を止めては、このデスゲームを打破することは出来ません。 いいですかジローさん。挑むこと自体に価値の有る窮地。それをいわゆる逆境と呼ぶそうですよ。 そして逆境とは超えるために現れるもの。諦めさえしなければ、運命は覆し得るんです。 ―――聖杯戦争の決勝で、白野さんが僕を倒した時のようにね」 いつかどこかで聞いた誰かの言葉。 それをレオは、何かに想い馳せるように口にする。 岸波白野(最弱のマスター)とレオ(最強のマスター)によって行われた、聖杯戦争の決勝戦。 自分にとっては勝てるはずのなかった、レオにとってはは負けるはずのなかった戦い。 その定理が覆り敗北を知った王は、ほんの少しだけ、だが確かに何かが変わったのだろう。 ―――と、そんな風に干渉を懐いていると。 「――――おや?」 不意に生徒会室に、謎の電子音が響き渡った。 これは何の音か、とレオに尋ねる。 「校門に仕掛けておいた警報(アラーム)の音です。 白野さんの出迎え準備ができたのも、これのおかげなんですよ。 ………そしてどうやら、招かれざる客が来てしまったようです」 レオがそう口にすると同時に、モニターに校門の映像が映る。 そこには、黒いスーツを纏いサングラスをかけた男の姿があった。 ――エージェント・スミス。 その男は、シノンから聞いたPKと特徴が一致している。 「うげ、マジかよ……」 「早速ヤベェのが来やがったか……!」 ジローが顔を引き攣らせ、レインが戦慄とともにそう口にする。 シノンから聞いた話では、スミスにはゼロ距離または視覚外から以外の銃撃が通じないという。 射撃攻撃を主体とするらしい彼女からすれば、スミスは天敵もいいところだろう。 「白野さん、カイト、迎撃をお願いします。僕はここでジローさんたちを守ります」 岸波白野へと向き直ったレオが、そう指示を出してくる。 レオが自分とカイトへと声をかけたのは、スミスが同時に複数人存在できるからだろう。 現在モニターに映っている男は一人だけ。 あの男がスミスだと確定したわけではないが、もしそうならば、他のスミスがどこかに隠れているという事になる。 その場合、非戦闘員のジローやユイ、スミスが天敵となるレインを守る人間が必要になる。 そこで単騎での戦闘能力に最も優れているレオたちがユイたちを守り、複数のサーヴァントを従える岸波白野がスミスの相手をするのが適任となるのだ。 問題は――――スミスを撃退するまでに、岸波白野の魔力が持つかどうか、という事なのだが。 「レインさん。白野さんに、あの礼装を渡してください」 「礼装? ああ、あれか。ほらよ」 レオの言葉で、レインからその礼装が手渡される。 受け取った礼装の名は、【赤の紋章】。聖杯戦争中、エネミー300体を撃破した記念にアーチャーがくれた礼装だ。 その効果の〈boost_mp(150); 〉は、装備者のMPを150上昇させるというものだ。岸波白野が装備すれば、最大MPが1.5倍にもなる。 「ほほう。アチャ男さんってば、ご主人様にそんなものをお渡ししていたんですか。 ですが! 礼装の効果は私のプレゼントした【妖狐の尾】の方が上。つまりこの戦い、私の勝利です!」 「なんと! アチャ男だけではなくキャス狐まで奏者に礼装をプレゼントしていたというのか!?」 「ええ。被ダメージ合計30万突破記念に、私の尾っぽの欠けた部分をちょちょっと加工したものを。 そういうセイバーさんは、ご主人様にどんな礼装をプレゼントなさったのですか?」 「ぬ! そ、それはだな………あ、あれだ! 余を誰と心得る! 世界に名立たる第五代ローマ皇帝だぞ!? そこはむしろ、奏者が余にアイテムを贈るべきであろう!」 「黄金率・皇帝特権乙。まあもっとも、セイバーさんじゃ何を作ったところで合体事故を起こすのがオチでしょうけど。 というわけで、ロクな贈り物もできない皇帝様は、購買部で強化体操服でも買っておいてくださーい」 「ぐぬぬぬっ……、む? いやまてキャス狐。貴様今、被ダメージと言わなかったか? ……という事は、まさかとは思うが、奏者がどんな雑魚やサーヴァントであろうと常にピンチだったのは、貴様のように礼装をプレゼントされることを期待してのことだったのか?」 「いやまさか。ご主人様に限ってそんなこと………なくもない、のかな? ご主人様ってば、こう見えて意外とSっ気がありますし。当事者兼被害者的に」 「どうなのだ奏者よ。事と次第によってはただではおかんぞ!」 アーチャーと別れてから、すでに半日近くが経過している。 慎二と行動を共にしている彼が、今どこで何をしているのか。それを知る術は自分にはない。 その事を少し心細く思っていたのだが、この礼装があると、彼が支えてくれているような気がして安心できた。 「こらー! 無視するでなーい!」 「はいはい、敵も迫ってますし、コントはそこまでにしてそろそろ向かってくださいね」 「ぬぅ、致し方あるまい。だが忘れるな。あ奴を追い払った後で、じっくり話を聞かせてもらうからな!」 レオの言葉に頷き、カイトに声をかけて生徒会室の扉に手をかける。 「ハクノさん、あの……」 するとユイが、不安そうな表情で声をかけてきた。 思えば、このデスゲームが始まってから今まで、ユイはずっと岸波白野と行動を共にしてきた。 同じ学園内とはいえ、こうして別行動――それも戦闘を行うのは、彼女にとって大きな不安なのだろう。 そんな彼女に対し、自分は―――― 安心してほしい。 >ヘレンを頼んだ。 現状、ヘレンと意思の疎通ができるのはユイだけだ。 キリトのことで不安はあるが、自分やカイトが離れる以上、サチ/ヘレンを任せられるのはユイしかいない。 それに自分は、岸波白野にできることをするだけだ。だからユイも、自分にできることを頑張ってほしい。 「! はい。ハクノさんも、頑張ってください!」 その言葉に、頑張ってくる、と返し、今度こそ生徒会室を後にした。 7◆◆◆◆◆◆◆ カイトとともに生徒会室を後にし、急ぎ階段を駆け下りる。 しかし一階に到着した時には、男はすでに昇降口へと辿り着いていた。 「ふむ。その様子では、どうやら私を歓迎しているわけではないようだな」 警戒を顕わにする岸波白野の様子を見てか、男はそう口にした。 だがそこには、驚きも困惑も、警戒を解こうとする様子もない。 そんな男へ、ここへ何しに来たのか、と尋ねる。 男は少なくとも、味方ではない。咄嗟の動きに対応できるよう細心の注意を払う。 「そうだな。強いて言えば、“仲間”を増やしに来た」 そう口にする割には、男の表情はひどく冷めていた。 言ってしまえば、岸波白野への関心がまるでない。 むしろサングラスに隠れたその視線は、自分の背後にいるカイトへと向かっているような気がした。 ――――“仲間を増やしに来た”、と男は言った。 ではその仲間とはいったい何なのか。 普通に考えれば、非戦闘区域となっているこの学園で集まるだろう仲間は、榊に反抗する人物のはずだ。 なぜなら学園内にいるプレイヤーは、基本的に戦いを避けようとする人間のはずだからだ。 そして逆に、デスゲームに乗った人物が手を組もうというのであれば、わざわざ学園内に来る必要はない。 なぜならペナルティを厭うPKならば、学園の外から内の様子を探っているはずだからだ。 だがこの男からは、学園内にいながら、戦いを避けようという気配がまるで感じられない。 好戦的、とは少し違う。あえて言えば、やはり無関心。 この男はモラトリアム中の学園内のルールなど、まるで気にも留めていないのだ。 そんな男が捜している仲間とはいったい何なのか。 それを探るために、最後の質問を投げかける。 >1.あなたの名前を……教えてほしい。 「スミス。私の名前は、スミスという」 ッ――――――! 確定した。この男は間違いなく、シノンが警告していたPKだ。 そしてこの男の言う仲間とはすなわち、“この男自身”に他ならない………! 「ふむ。その様子からすると、どうやら君たちは、すでに私のことを知っているようだな。 だが同時に、私の存在を教えた人物はここにはいないらしい。 あのハセヲという少年か、それともシノンか、あるいはアンダーソン君か……。 私のことを教えた人物が誰かは知らないが、まあいい。それは君たち自身に聞くことにしよう。 ――――君たちを、“私”へと上書きしてね」 もはや隠す気もないのか、男――スミスは嗜虐的な笑みを浮かべながらそう口にする。 ――――危険だ。 やはりこの男は、モラトリアムのペナルティなど気にも留めていない。 そう戦慄するとともに、いっそうスミスへの警戒を強める。 だが―――― 「いいのかね? “この私”にばかり意識を向けていて」 スミスがそう口にした瞬間、ドガン、と上階から激しい音と振動が響いてきた。 何事か、と思わずそちらへと意識を向けた。 直後、ガゴン、と激しい金属音が響き渡った。 慌てて振り返れば、保健室へと通じる廊下が“下駄箱によって封鎖されていた”のだ。 そのことに驚愕する間に、金属音はさらに三度連続で響き渡る。 見渡せば、反対側の廊下、外へと通じるガラス戸もまた、下駄箱によって封鎖されていた。 「まあ、こんなものか。これでNPCは、この戦いを見つけることは出来まい」 下駄箱を使い一瞬で昇降口を封鎖した男は、両手をはたきながらそう口にした。 なるほど。確かにこの状態ならば、NPCが昇降口の様子を確認することは出来ないだろう。 驚くべきはその身体能力。 よくよく見れば、下駄箱には殴り飛ばしたような、あるいは握り潰したような跡が見て取れた。 つまり男は、ただその怪力のみで、四つもの下駄箱を瞬時に移動させたのだ。 ……だが、重要なのはそんなことではない。 問題なのは、先ほどから上階で響き続けている戦闘音。 そしてシノンから聞き及んだスミスの能力が真実だとすれば、答えは一つだ。 自分は―――― レオを信じる 生徒会室へと向かう >カイトに頼む カイトへと、ユイたちを助けに向かうよう指示を出す。 「……………………」 その指示にカイトは頷き、封鎖された昇降口の唯一の出入り口。自分たちが下りてきたばかりの階段へと駆け戻る。 生徒会室にはレオとガウェインがいる。 二人の戦闘能力を考えれば、たとえスミスが何人いようと一掃できるだろう。 だがしかし、あそこにはユイやサチ/ヘレン、ジローにレインまでもいる。 戦闘能力のないユイたちを守りながらでは、さすがのレオたちでもカバーしきれない可能性もある。 「ほう。あの少年を向かわせた、という事はつまり、君が私の相手をする、という事だね」 スミスはそう口にすると、ようやく岸波白野へとその関心を向けた。 その視線に、ザワリと背筋が泡立つ。 サングラス越しでありながら、男の視線はあまりにも無機質だった。 あり大抵に言えば、“こちらを人間として見ていない”。そんな感じがする。 ……いや、違う。 シノンの話によれば、スミスはAI。そしてその関心は、未知のプログラムへと向けられているらしい。 つまりスミスは、岸波白野を何の特別性も持たない、“無価値な人間”だと判断しているのだ。 ……スミスの問いに答えるように、一歩強く踏み出す。 確かに岸波白野には、レオのような特別な才能はない。 カイトのように戦うこともできないし、ユイのような解析能力もない。 ……けれど、岸波白野の価値を決めるのはおまえじゃなない。最後に“自分の価値”を決めるのは、自分自身の気持ちのはずだ……! 「そうか。ならば見せてもらおうではないか。君の定めた、“自分の価値”とやらを」 そう宣告すると同時に、スミスが岸波白野へと勢いよく踏み込む。 その一歩だけで、昇降口の床が砕け散る。 対する岸波白野には、当然戦う力などない。 だが――――と、左手に刻まれた令呪(きずな)を強く意識する。 たとえ岸波白野に戦う力がなくとも、自分には誰よりも信頼し、助け合ってきた仲間たちがいる! だから自分は―――― 頼む、セイバー! 頼む、キャスター! ――――いつだってその名前を呼び続ける! § ――――一方、少し時間を遡り。 「頼みましたよ、白野さん」 岸波白野の出て行った扉に視線を向けながら、レオは小さくそう呟いた。 その声が聞こえたのか、レインは怪訝そうな視線をレオへと向ける。 「なあレオ、本当にあの兄ちゃんに任せて大丈夫なのか? 聖杯戦争でレオに勝ったっていうけどよ、とてもそうは見えないぜ?」 「確かに純粋な実力でしたら、白野さんより僕の方が上でしょう。魔術師(ウィザード)としてのスキルはもちろん、サーヴァントの能力もね」 たとえ岸波白野のサーヴァントが三騎揃っていようと、実力で負けることはない、とレオは語る。 それは紛れもない事実だ。それほどの実力差が、両者の間には存在する。 「ですが、白野さんの真価は単純な能力にはありません。 相手の能力・思考を見極め、適切な指示を出す戦術眼。どのような窮地であっても前に進もうとする諦めの悪さ。 逆境での大一番こそが、白野さんの得意分野です。彼が本気を出せば、互いの戦力差なんてお構いなしですよ」 「なるほどね」 そうレオへと返すレインの脳裏には、一人のバーストリンカーが浮かんでいた。 シルバー・クロウ。 彼もまた、ここぞというところで強い爆発力を発揮する人間だった。 岸波白野はそんな彼と同じ、普段は頼りなくとも、一番大事なところで仲間を支えてくれる人間なのだろう。 「それはそうとさ、俺たちも何かした方がいいんじゃないか? キシナミだけにあいつの相手を任せるってのもあれだろ」 「もちろんその辺りのことは考えてあります。エージェント・スミスの能力を考えれば、白野さんだけに任せるのはむしろ悪手でしょう。 僕たちがすべきことは、他のスミスの存在を警戒しつつ、スミスの増殖能力への対抗策を探すことです。 これをどうにかしなければ、たとえ何人スミスを倒そうと無意味ですからね」 たとえその場にいた全てのスミスを倒したとしても、他の場所に一人でも生存していれば、その一人を起点にスミスは無限増殖していく。 加えて全てのスミスを倒し尽すには、その戦闘能力が高すぎる。 そんなスミスを倒すには、増殖能力そのものをどうにかするしかない。 そしてこのデスゲームは仮にも“ゲーム”だ。 無限増殖などというバランスブレイカーを、ゲームマスターがそのままにしておくはずがない。 必ず何か対策が施してあるはずなのだ。 ならば自分たちは、岸波白野が戦っている間にその対策を見つければいい。 そのためには、岸波白野と接触中のスミスのデータを解析する必要がある。 ゆえにレオはそれを行おうとコンソールを開き、 「っ!? エージェント・スミスと同一のプレイヤー反応が急速に接近! 位置は……上からです!」 「伏せてください!」 唐突に放たれたユイの警鐘に、咄嗟にそう指示を下す。 直後。 ドガン、という激しい音とともに、生徒会室の天井が崩落した。 「ガウェイン!」 「ハッ!」 即座に下される迎撃命令。 粉塵が晴れ、天井からの侵入者が姿を現すよりも早く、太陽の聖剣が薙ぎ払われる。 放たれた一撃は激しい剣戟を鳴り響かせ、粉塵諸共に侵入者を弾き飛ばし、勢いよく生徒会室の壁へと激突させる。 その激しい衝撃に壁が崩壊し、瓦礫となって侵入者を埋め潰す。 「やったか!?」 「いえ、防がれました。手応えはありません」 「な、マジかよ!」 「皆さん、今のうちに退避を!」 「行きましょう、ヘレンさん!」 「――――――――」 レオの指示に従い、ジローたちは急ぎ生徒会室から駆け出す。 その背後からは、瓦礫が除けられ、崩れ落ちる音がした。 「ちっ! 一体どうやって入ってきやがった!」 「上ってことは、もしかして屋上からか? 最初からそこに隠れてたのか!?」 「いえ、違います。プレイヤーの反応は、さらにその上から接近してきました。つまり―――」 「空、ですね。単なる跳躍か、それとも飛行能力か……どちらにせよ、敵の能力はこちらの想定を上回っているようです」 こうなった以上、白野さんと合流します。下階へと急いでください」 敵の能力はこちらの地的優位を完全に上回っている上に、ペナルティも気に留めていない。 拠点をいきなり崩された以上、このまま別行動をとっているのは危険だと判断し、レオたちは階段へと急ぐ。 「喝! お前たち、廊下は走るな! それと、今の騒音は―――何事ぉ!?」 そんなレオたちの様子を見咎めた、階段前の廊下に佇んでいた柳洞一成が声を荒げた。 直後、階段前の廊下の天井――すなわちレオたちの直上が、轟音とともに崩落した。 「っ!」 「キャッ!?」 「――――」 レオは咄嗟に飛び退き、ユイとサチ/ヘレンもどうにか瓦礫を回避する。 「うわぁ!?」 「チィッ……!」 だが一般人の範疇を超えない次郎は咄嗟に反応できず、レインが横から突き飛ばすことで瓦礫から逃れる。 「き、貴様! 神聖なる学び舎に何という事を、おおぉお――――!?」 天井を崩落させた存在へと、柳洞一成が声を荒げて詰め寄る。 だがその存在は一成の言葉など意に介さず、その胸倉を掴んで窓から外へと投げ捨てた。 ………即ち、この場でペナルティを与える存在が退場させられた、という事だ。 割れた窓ガラスから風が吹き込み、粉塵が晴れる。 現れたのは、黒いスーツにサングラスをかけた一人の男。先ほど生徒会室のモニターに映し出されていた侵入者、エージェント・スミスだ。 同時に背後の生徒会室から、黒いスーツにサングラスをかけた男、エージェント・スミスがもう一人現れる。 しかも両者とも、その手に緑色の銃剣を構えている。 「まずいですね」 分断された、とレオは呟く。 状況は最悪だ。 先ほどの崩落によって、ジローとレインは屋上へ通じる階段の方へと投げ出された。 そして自分たちとジローたちとの間には、エージェント・スミスが立ち塞がっている。 加えて自身の背後にもエージェント・スミス。迂闊に動けば、背後から攻撃されるだろう。 一方をユイとヘレンに任せるとしても、ジローたちを助け出すには一手足りない。 ならば―――助け出すことができないのであれば、自力でどうにかしてもらうしかない。 「ジローさんとレインさんは屋上へ退避を! ここは僕たちが抑えます!」 「ちっ、仕方ねぇ。おい、行くぞジロー!」 「あ、ああ。レオ、負けんなよ!」 二人はレオの指示に頷き、階段を駆け上る。 それを見届けつつ、レオは更なる指示を下す。 その視線はすでに己が敵へ、彼の騎士はとうに聖剣を構えている。 「ユイとヘレンは生徒会室側を任せます。階段側は、僕とガウェインが」 「はい、任せてください!」 「――――――――」 ユイを背後に、サチ/ヘレンが剣を抜き放つ。 型も何もない、完全な自然体。まともな剣技など、とても期待できない。 されどAIDA-PCたる彼女の反応速度・適応能力は、一般PCをはるかに上回る。 そこにユイの支援が加わるとなれば、まず負けることはないだろう。 ………相手が、並大抵のプレイヤーであるのなら、の話だが――――。 頭上から再び轟音が響く。 今度は天井の崩落はない。だが、微かにだが銃声が聞こえた。 「どうやら、時間をかけている暇はないようですね」 エージェント・スミスがまた一人現れたことは、想像に難くない。 逃げ場のない屋上で、ジローたちが一体どれだけ生き延びられるか。 「……ならば、即急に終わらせましょう。 ―――ガウェイン」 「御意」 己が主の命に、ガウェインが一足でエージェント・スミスへと肉薄し、聖剣を振るい。 同時にもう一方のエージェント・スミスが、サチ/ヘレンへと銃撃を行い、その手の剣によって防がれる。 その攻撃に呼応し、サチ/ヘレンは戦意、あるいは警戒を表すように、その体に黒い泡を纏わせる。 サチに感染しているAIDA Helen は、現在サチが懐いている感情……すなわち、『死にたくない』という恐怖を行動の起点としている。 ゆえに、サチへと攻撃を行った存在――エージェント・スミスは、ヘレンにとって完全な敵性存在となったのだ。 「ク…………」 対するエージェント・スミスに貌には凄惨な笑み。 それはまるで、自分たちなどまるで相手にならないと見做しているかのよう。 「行きますよ、ヘレンさん!」 「――――――――」 ユイの声に従うように、サチ/ヘレンは剣を構え、エージェント・スミスへと接近する。 その様子を見届けながら、ユイはこの場で自分にできることを模索し始めた――――。 § 「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ………」 全速力で階段を駆け上がり、屋上へ通じる扉を開け放った。 短距離とはいえ、上りでの全力疾走にジローの息が乱れる。 「は、情けねぇぞおいジロー。この程度で息乱すとか、あんたホントに、野球部か?」 「な、なんだと! そう言うニコだって、息乱してるじゃないか」 同じように息を乱したレインの悪態。 それに言い返しつつ呼吸を整え、なんとなしに視線を空へと向けた。 校舎内の騒動など無関係とばかりに、視界に広がるのは一面の蒼。そこに浮かぶ、一点の黒。 「へ?」 思わず間の抜けた声を上げる。 青空に浮かんだ黒い点は急速にこちらへと接近し、構内へ通じる扉へと轟音とともに着弾した。 「うわぁ!?」 ジローは衝撃に吹き飛ばされるが、即座に起き上がって屋上の出入り口へと視線を向ける。 そこにはやはり、黒いスーツにサングラスの男、エージェント・スミスがいる。 「チィッ!」 その姿を見たレインは舌打ちをし、ストレージから一丁のみのDG-0を取り出し、スミスへと向け引き金を四度引く。 だがしかし、放たれた弾丸はスミスの残像を残すほどに素早い動作によって、その悉くが回避される。 「ちっ、やっぱ無駄か」 聞き及んでいた通りの回避能力。 たとえインビンシブルを使用したとしても、その攻撃のほとんどは回避されるだろうし、そもそもこの距離では貼りつかれて破壊されるのがオチだ。 それにそもそも、この屋上では足場が崩落する危険性だって存在する。 一応知覚外、またはゼロ距離からの射撃なら有効とは聞いているが、それを可能とするだけの運動能力が自分たちにはない。 「さて、どうすっかね」 まさに絶体絶命。 攻撃がまともに効かない敵を相手に、いったいどう戦えばいいというのか。 ―――その答えはいたって単純。 A.戦う >B.逃げる C.諦める 「どうするもなにも、こうするしかないだろ―――! そう声を荒げながら、ジローはレインの腕を掴んで駆け出す。 「じ、ジロー、テメェまさか!?」 戦って勝てないなら、逃げるしかない。 そしてこの屋上にある逃げ場は、一つだけだ。 向かう先は屋上の端。それも、レインの攻撃によって、フェンスの壊れた地点。 躊躇っている暇はない。 二度味わったその恐怖を振り払うように、ジローは勢いよく屋上の縁から飛び出した。 ――――十坂二郎、本日三度目の屋上からのダイブであった。 「っ、てててて。三度も落ちりゃ、さすがに慣れるもんだな」 中庭の木をクッションにして落下の衝撃を和らげ、慣れた要領で素早く地面へと降りる。 「ッ……つぅ。あたしは慣れたくねーぞこんなの!」 続いて降りてきたレインを受け止め、即座にその場から駆け出す。 目指すは昇降口。そこでは今、岸波白野たちがスミスと戦っているはずだ。 もちろん、自分たちが行っても、彼らに余計な負担をかけるだけだと思う。だが自分たちだけで、あのスミスをどうにかできるわけでもない。 屋上を見上げてみれば、そこには自分たちを見下ろすスミスの姿。 あんな突撃ができるのだ。あの男にとってはこの程度の高さ、大したものでもないだろう。 だというのにすぐに追ってこないのは、その余裕の表れか。 ならばその余裕の間に、キシナミたちのところへと辿り着く……! ――――しかし。 「な……うそ、だろ……?」 「おいおい、マジかよ……」 キシナミがいるはずの昇降口は、下駄箱と思われる金属によって完全に塞がれていた。 その事実に思わず呆然とする。これではキシナミと合流することができない……! だが、そう二人が放心している間に、スミスはすでに動き出していた。 「しまっ、ガッ―――!?」 「うわっ、ぐえっ……!?」 背後から響く、ズシンという落下音。 慌てて振り返ったその瞬間、伸ばされた両手に首を掴まれ、引きずられる。 そしてある程度進んだところで、勢いよく投げ捨てられる。 「げほっ、ごほっ……ッ」 咳き込みつつも急いで立ち上がり、周囲を見渡す。 まず、月海原学園の裏門にスミスが立ち塞がっている。 そして自分たちが今いるのは道路上。つまり学園(ペナルティエリア)の外だ。 門をスミスが塞いでいる以上、学園内に戻るには、スミスを倒すしかない……! 「はっ。結局やるしかねぇってわけだ」 「ごめん、ニコ」 あの時、屋上から逃げ出さず戦っていれば、あるいはレオが助けに来てくれたかもしれないのに、とジローは謝る。 「ハッ、んなこと気にしてる場合かっつーの。今はとにかく、生き延びることを考えろ」 だがレインはそんなジローを鼻で笑い、DG-0を投げ渡しながら一歩前へと出る。 覚悟を決めた、という事だろう。 その少女の小さな背中が、ジローには不思議と大きく見えた。 「……ああ、そうだな。二人一緒に、絶対に生き延びてやるぞ!」 受け取ったDG-0を構えながら、ジローもまた、一歩前へと踏み出す。 自分も男だ。たとえレインが自分より強かったとしても、年下の女の子に守られてばかりじゃいられない。 「最後の会話は終わったかね。ならば始めるとしよう」 そう口にして、スミスが自分たちへと歩き出す。 「行くぞ、ニコ!」 それに応戦するように、ジローがDG-0の銃口をスミスへと突きつけ。 「テメェが仕切ってんじゃねえよ――――バースト・リンク!!」 スカーレット・レインが紅い装甲を纏い、スミスへと向けて駆け出した。 こうして今ここに、対主催生徒会の戦いが始まったのだ――――。 やる気が 3上がった 体力が 5下がった こころが 1上がった next Action;交戦
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登録日:2011/12/12(月) 10 43 37 更新日:2023/08/30 Wed 09 23 24NEW! 所要時間:約 5 分で読めます ▽タグ一覧 karory いきなりあなたに恋している お嬢様 すかぢ なのにエピローグだけ不遇 ケロQ ターンAガ○ダム メイド 二代目 如月葵 巨乳 怪力 愛すべきバカ 枕 無垢 純粋 良シナリオ 良ヒロイン 衝撃波 赤髪 鬼 鬼ヶ瀬胤 \ハーイ/ 『ふれー!ふれー! ちょ・う・じぃ! すごいぞ!すごいぞ! ちょ・う・じぃ! できるぞできるぞ! ちょ・う・じぃ!』 CV 如月葵 EDsong からだじゅう花になって 鬼ヶ瀬胤(おにがせ たね)とは枕のPCゲームいきなりあなたに恋しているのヒロインの一人。 原画は前作しゅぷれ〜むキャンディで七星朱里などを担当したkarory。絵の実力がかなり向上している シナリオ的には涼と並んで過去が語られるため、『いき恋』ストーリー上のメインヒロインと言っても過言ではない ■ 設定等 柳瀬宅の玄関(の下駄箱の中)に住み込んでおり、癒し系ボケ担当。 「〜だぞ、〜だな」等とやや男口調だが一人称は“私”若しくは“鬼ヶ瀬” その鬼のような怪力のせいで不良として町内外で恐れられているが、本人は純粋無垢で一生懸命 柳瀬宅ではドジをやらかさない限りは重耳の唯一の味方(罵倒しない的な意味で) わりと早い段階でわかるが、実は生粋のお嬢様だったりする ちなみにこの手のキャラには珍しく、料理はメイドの紡(後に自らもメイド化するが)を上回り登場人物中最高の腕前 ■ 容姿 柔らかいウェーブの掛かった赤髪、立ち絵で荒ぶっている巨乳、ぺかーっと輝かんばかりの笑顔が最大の特徴 基準となる紡(136cm)から目測すると身長は150cm超程度か 普段は不良っぽかったりアホの子っぽかったりで言及されないが、一度衣装を変えればあら不思議。 女子生徒は皆萌え死に、男子生徒は列を作ってぶっ倒れ、他メインヒロインでさえ姉か母親と間違ってしまう程の美貌を秘めている。 衣装バリエーションは制服・巫女服・私服ドレス・メイド服・十二単(?) 重耳はどんな姿でも対応がブレないでいてくれるので、信頼している が、あまりのブレなさに一度だけ泣かされた (初めて私服のドレス姿を披露し、本来のお嬢様口調で喋ってみたらかなり好評だったため、勇み足で重耳にも見せようとするが……) 胤「重耳、重耳!」 重耳「ん、どうした?」 胤「重耳さん、ごきげんよう」ペコリ 重耳「ぷっ。なんの真似だ?」 胤「…………」(ガラスの仮面の図) 不良A&B「姐さん、さっきのもう一回やってくださいよ!」 胤「もう二度とやらん。ぐすん」 不良A&B「えー!!?」 もっとも、その後重耳に服を似合っていると言われて機嫌直っちゃうんだけどね ■ 性格 純粋。無垢。ピュア。 とにかくこれにつきる。 ヒロインの中で一番好きの感情が透けているため、とても微笑ましい。 また、乙女度は割りと高めで、ゴキブリに飛び掛かられて泣きながら重耳に抱き付いたり、お嬢様姿を誉められて重耳に見せに行ったり、重耳の魅力を何十個も挙げたり、重耳をオカズに自●をして自己嫌悪したり…… とにかく重耳に対して一直線でナイーブ。 それでいて自分の容姿には自信がない。 思い悩む重耳にエールを送る場面は、どこか間が抜けているが深い愛慕に満ちている まあ、パンツ見られてるのに気付いてめちゃくちゃ濡れてしまいましたが ■ エロス やっぱりピュア。 そのピュアさ故にどんどん勉強してくれる。 重耳にパンツ見られて濡れてしまい、それを見た重耳がどうするのか考えて自●してしまい、そして自己嫌悪 恋人になってからは触れられた喜びだけで自● その後は持ち前のダイナマイトボディとピュアさで重耳を悶絶させる ややM気味だが、やっぱり重耳を第一に考えており、優しく献身的なエロスをしてくれる ……なにこの良い娘 ■ 台詞 「上は大火事、下は洪水、なーんだ?」←ドヤ顔 重耳の靴を磨きつつ (いつも重耳を支えてくれてありがとな。) (……私もおまえみたいに重耳の力になりたいな……) (なんちゃってなんちゃってなんちゃって!) 「全ての人に本当の自分を理解して貰おうなんておこがましいって事だよ。 自分を理解してくれる人なんてそんな多くなくても良いじゃないか……少なくとも私はそう思う」 「私はな、重耳。お前のありがとうが聞けると、それだけで嬉しいんだ」 以下ネタバレ 本名:三条院胤(さんじょういん‐) 実はハーフであり、帰国子女である(その為か、本編でも英語に強い描写が)。 怪力、口調、性格。 そして、鬼ヶ瀬の名。 現在の彼女の全てを作ったのは先代の鬼ヶ瀬であった 胤√では彼女の過去が語られ、その強さや口調、そして鬼ヶ瀬の名前を先代鬼ヶ瀬から受け継いでいたことが判明する そう。鬼ヶ瀬は略称。 鬼ヶ瀬の由来は“鬼の柳瀬”……彼は胤でさえ「相手が殺される」と案じる程の戦闘力を持つ鬼だった。 幼少期の彼女は今のような明朗な性格とは程遠い、とてもか弱い存在だった ハーフであること……日本語に慣れず、赤い髪色であるが故にイジメに遭い、友達は一人もできない しかし、ある日最強の不良と恐れられていた“鬼ヶ瀬”と出逢う。 最初こそ彼の言葉を聞いただけで気絶してしまう胤であったが、花冠と共に「おまえは花だ。咲(わら)ってろ」と言う温かい言葉をくれた鬼ヶ瀬に居場所を見出だすようになっていく。 イジメられないように──否、相手と対等になって友達になれるように武術を教わり、そして口調も鬼ヶ瀬のそれと全く一緒にする胤 そして、鬼ヶ瀬による“ご褒美”により彼女はようやく友達を手に入れるのであった────最愛の友を失うことを代償として。 友を失ったその日から────彼女は鬼ヶ瀬胤となった。 それから月日が流れ、二人が桜吹雪の下で再会した時。 初代鬼ヶ瀬は“仁者無敵”の悟りの下、みんなに尊敬される努力家な生徒会長となっていた。 ……一部の人間に塵屑以下の扱いをされていたが。 そして訪れる鬼ヶ瀬の名の返還の時。 彼女は先代鬼ヶ瀬から新しく“柳瀬”の名を与えられるのであった。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 名前 コメント
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187. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/08/13(土) 18 15 09.26 ID jjA13T110 →A:「あのね純ちゃん、実は……」 家での憂の様子について伝える。ちょっと気になるし……。 少し強張る唯の声に、純は不思議そうに首をかしげる。 純のポンポンが揺れるのを見ながら、唯は少しずつ話し始めた。 唯「修学旅行から帰ってきたらね、憂、割と普通な感じだったんだ……」 純「あっ、そうですか、なら……」 唯「でもね、時々……ほんのちょっぴり……憂、暗くなることがあって……」 純「えっ……唯先輩がいても、ですか?」 唯「うん……私の気のせいだといいんだけどさ……」 純「……まさか本当に恋愛小説の件を信じているわけじゃ……」 唯「えっ? えっ、な、なに?」 純「あっ! ああっ、いや、別に、何でもないですよ!」 唯「ええ〜っ、気になるよお、教えてよ純ちゃーん!」 純「べ、別に大したことじゃないんで! 本当に!」 唯「えーやだやだ! 気になるよ〜」 純にしがみつき、ぶんぶんと腕を振り回す唯に、純も困惑する。 純は少しの間思案すると、ふと思いついたように口を開いた。 純「じゃ、じゃあ唯先輩! 一個訊きますけど……」 唯「うんうん!」 純「唯先輩って、その……」 唯「うんうん!」 純「そ、そのう……」 唯「なあに!?」 純「……こ、恋人いるんですか?」 唯「ほえ?」 188. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/08/13(土) 18 15 56.98 ID jjA13T110 唯が気の抜けた返事を返すと、二人はそのままの体勢で沈黙した。 唯はぽっかりと口を開け、純は冷や汗をたらしながら引きつった笑みを浮かべている。 少しして、痺れを切らしたように唯の表情が動いた。 唯「こ、恋人……って私に?」 純「……あっ、は、はい、そうです……」 唯「なんでそんなこと訊くの?」 純「え、えーっと……(もし、本当にいたら憂……どうなっちゃうんだろう)」 唯「まあ、そんな人、いないけどねっ!」 純「ほっ……あ、そう、ですか……」 純が胸をなでおろして安堵の息をつくと、唯が途端に閃き、何やらにやにやとしだした。 純「ど、どうしたんですか?」 唯「う、ふ、ふ。そっかあ、そういうことだね」 純「えっ、なにがですか?(……まさかあの小説についての話を知っているとは思えないけど……)」 唯「純ちゃん……うふふ、私に惚れると火傷しちゃうぜ!」 純「なああああっ!?」 得意げに歯を見せる唯に、純は驚愕の声を上げた。 何か言葉を継ごうとするが、上手い言い回しが見つからない。 唯「そっかぁ〜そうなんだぁ〜えへへ、私もモテるんだねえ」 純「ち、違いますからっ! 全然違うし勘違いしないで下さいよおお! 第一私の憧れの先輩は澪先輩ですしっ」 唯「恋と憧れは違うよ? うふふ……」 純「な、なななな……っ」 189. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/08/13(土) 18 16 30.43 ID jjA13T110 ぽんぽんを手で弄びながら、不敵な笑みを浮かべる唯に、慌てふためく純。 言葉にならない呻きを上げながら口をパクパクとさせる純を一通り観察した後、唯はふとポンポンから手を離した。 純「(……あっ)」 そして唯は、ふふふ、と年上に似つかわしい優しい笑みを浮かべ、純と向かい合う。 純「(……唯先輩、こんな風な笑顔もあるんだ)」 ぼんやりと見つめていると、唯がふと口を開いた。 唯「なんてねー。冗談だよ〜。びっくりした? えへへ、おはようのときの仕返し」 純「…………」 唯「純ちゃん?」 純「……な、なんだぁ〜。い、いや分かってましたよ冗談だって!」 唯「えへへ……だよねえ〜」 純「そ、そうですよ……だ、だから別に仕返しは成立していないですからねー」 唯「むー。純ちゃんは手ごわいなあ……」 純「……あはははっ」 それから二人は元の通りに、肩を並べて歩き始めた。 ゆったりとした足取りで校門をくぐりながら、純は先ほどのことについて悶々と考えを巡らせていた。 純「(な、なんだろう……)」 純「(冗談で言っていた時よりも……その後の唯先輩に、ちょっとどきってしちゃった……)」 純「(……き、気のせいだよ気のせい! でも……)」 純「(恋人がいるかもって不安になる憂の気持ち……なんか、分かる気がする……)」 純の【気になる】ステータスが 2/3 → 3/3 にアップしました! これにより、純の【好き】ステータスが 0/5 → 1/5 にアップしました! 【気になる】ステータスは繰り越され、 0/3 となります。 190. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/08/13(土) 18 17 09.88 ID jjA13T110 憂「……純、ちゃんが……そう、だったんだ……」 梓「何だ純か……ってちょっと憂!?」 前を行く二人の30メートルほど後方で、電信柱に二人の乙女が隠れていた。 憂の体がふらりと傾くと、梓は慌てて憂の肩を支えた。 梓「だ、大丈夫? 憂……別に、そんなショッキングな映像でもなかったけど……」 憂「……わ、たしは……少なくとも頭がふらふらする……」 梓「え? ど、どこが?」 憂「お、お姉ちゃんと純ちゃんが……恋人だったなんて……」 梓「えっ……いや、あれは、たまたま会って、一緒に登校しただけの話じゃ……」 憂「……でも、お姉ちゃん、純ちゃんにしがみついていたし……純ちゃんも何か照れていたし……」 梓「そ、そんなことないって……ほら、また明日、突き止めようよ、ね?」 憂「もし、純ちゃんがお姉ちゃんの恋人だったら……恋愛小説の話をしても、まるで動じなかった純ちゃんの様子にも納得がいくし……」 梓「…………」 憂「……そっか、だから純ちゃん……落ち着いていたんだ……」 梓「…………」 憂「どうしよう……全然知らない人よりはいいけど……でも、私と同い年の子と、なんて……」 梓「…………」 憂「わ、わたし、どうすればいいのかな……二人にこれからどう接すればいいんだろう……?」 梓「……憂」 憂「ど、どうしようっ……」 梓「(……妹だけじゃなく、部活の後輩まで放っといて……)」 梓「(……それで、私達と同じ二年生の純にうつつを抜かしてっ……)」 梓「ゆ、」 梓「唯先輩のばかぁーーーっ!!」 梓の【尊敬】ステータスが 2/5 → 1/5 にダウンしてしまいました。 憂の【尊敬】ステータスが 1/5 → 0/5 にダウンしてしまいました。 191. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/08/13(土) 18 17 36.41 ID jjA13T110 下駄箱まで来ると、唯と純はいったん別れ、それぞれ上履きをはいた。 校舎に上がり、再び純の姿を認めると、唯はにっこりと手を振った。 唯「じゃあね、純ちゃん。楽しかったよー」 純「あ、あははは……はい」 純の無垢な笑顔を見ながら、唯は歩いて行った。 *選択肢* A:もう少し純ちゃんと話したいな……。 純のところに近づいて行く。 B:まだ時間あるし、ちょっとぶらぶらしようっと。 適当に校舎内を散歩。 C:皆とは修学旅行ぶりだね!! 自分の教室へ向かう。 D:もう少しゆっくりしていてもいいかな? 下駄箱でぼんやりとする。 192. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/08/13(土) 18 19 06.83 ID Szz+JZLSO C 196. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/08/13(土) 18 52 36.84 ID jjA13T110 →C:皆とは修学旅行ぶりだね!! 自分の教室へ向かう。 唯は踵を返し、歩を進めて行った。 教室の前まで来ると、いつもよりいっそうにぎやかな声が廊下に響いている。 修学旅行のときのテンションが、今もなお続いているのかもしれない。 唯も皆の声を聞くうちに気分が盛り上がり、力強い足取りでドアを開けた。 「あ、唯だ! おはよう!」 「おはよー、久しぶりー? かなー?」 唯「えへへ〜。おはようっ!」 クラスメイトに元気よく声をかけると、唯は自分の席の椅子を引き、腰を落ち着けた。 ふと、四つの視線が集まったような気がして、不意に顔を上げた。 教室の時計が目に入る。あと十分ほどでさわ子が教室に入ってくることを示していた。 唯は机に頬杖をつき、じっと考えた。 唯「うーん、どうしよっか?」 *選択肢* A:律の席に行く。 B:澪の席に行く。 C:紬の席に行く。 D:和の席に行く。 E:このまま座っている。 202. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/08/13(土) 19 24 15.42 ID hMqJyn7Zo C 246. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/08/16(火) 01 06 20.31 ID w6MFD1o20 →C:紬の席に行く。 唯「ムギちゃんとは、あの日の夜にちょっとお話ししたきりだしね!」 唯はそう意気込むと、机に手をついて立ちあがり、勢いよく紬の席へと向かった。 紬はいつも通り、姿勢よく前を向いて座っていた。 お嬢様にふさわしく、教室の中という庶民的なシチュエーションであっても、どこか品が漂っている。 唯は、そうっと近寄り、紬の肩に突然手をおいてみせた。 すると紬は、びくりとなって振り返る。 紬「きゃっ! ……あっ、唯ちゃん」 唯「えへへ。おはよう! 久しぶり」 紬「ふふ、おはよう。久しぶりね」 唯「ほんの少しの間なのに、しばらくムギちゃんの声を聞いてなかった気がするよ〜」 紬「もう……ふふ、唯ちゃんってば大げさよ」 和やかに挨拶を済ませた後、軽く雑談を交わした。 紬がふと教室の時計を一瞥し、唯に向き直る。 紬「唯ちゃん、大丈夫? あと少しで先生が来ちゃうと思うわ」 唯「うーん、あと少しなら大丈夫だよお」 紬「そ、そう……うん、そうね」 唯「あっ、ごめんね……長居しちゃうの嫌だったかな?」 紬「そっ、そそそそんなことあるわけない! 大丈夫よ!」 唯「……えへへ、そっかー。ならよかったよー。一瞬心配になっちゃった」 紬「ごめんね、唯ちゃん。変に気を遣わせて……なんでもないの、ちょっと気になっただけなの」 唯「うん? なあに?」 紬「えっと……その、どうして私のところにお話しに来てくれたのかな、って……」 そこで紬は、少し俯き、指をもじもじとさせた。 唯はその言葉を不思議に思いながら言う。 247. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/08/16(火) 01 06 46.83 ID w6MFD1o20 唯「どうしてって……ムギちゃんとお話ししたいからに決まってるよー」 紬「そ、そう……うん、唯ちゃんならそうよね」 唯「? ……ムギちゃん、他に何か気になることでもあるの?」 唯が訊くと、紬は少しの間逡巡していたが、やがて意を決めたように話し出した。 紬「唯ちゃん、その……私だけじゃなくて、他の皆とも会うの久しぶりよね?」 唯「うん、そうだね」 紬「でも、どうしてその……わざわざ私のところに来てくれたのかな、って……」 唯「……ふえっ?」 紬「……あっ、ご、ごめんなさい! な、何か変なこと言っちゃって……えっと……」 少し頬を染めながら顔の前で手を振る紬に、唯は不思議そうな顔をした。 *選択肢* A:「理由なんてないよー。ただムギちゃんとお話ししたいなって思ったから……だけじゃだめ?」 ムギちゃん、なんでそんなこと聞くのかな? うーん、分からないや……。 B:「そうだそうだ、ムギちゃんに渡したいものがあったんだよ!」 もってきといてよかった〜。京都土産を渡す。 C:「実は、お礼言いたくて……色々相談にのってくれて、ありがとう!」 ムギちゃんには本当にお世話になったね……。りっちゃんと仲直りできたし、感謝感謝。 D:「ムギちゃん、修学旅行の夜にお話ししたとき、ちょっと様子が変だったから……気になって」 何もなければいいんだけど……気になるかも。 E:「ムギちゃんがお話ししたそうだったから……なーんてねっ!」 教室に入ったとき、色んな視線を感じたんだよね。ちょっとおどけて訊いてみよう! 248. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/16(火) 01 07 26.58 ID Py7h3hBTo C 5
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『バレンタイン、それぞれの義理』 1.こなたの義理 「やふーキョンキョン、こんな日でもチミは相変わらずかね? まさか今日という日が何か、忘れてたりするのかね? それとも、あきらめながらもしかし律儀にも、 下駄箱や机の中を一度は覗き込む位のことはするのかね? そんな超然もしくは諦観の境地にたどり着きそうなチミに朗報だよ。 はいっ、これ。 そうそう、説明するまでもない代物だよ。 あー、言うまでもないと思うけど義理だからね、勘違いしないでよねっ。 別にアンタのためだけに用意したわけじゃないんだk・・・ はいはいツンデレツンデレって・・・いうじゃんよキョンキョン にゅふふふ、流石はキョンキョン、伊達に私の話と付き合ってるわけじゃないねぇ。 あーって、ねー、あきれんといてー、サーセンっしたー、調子こいていましたー。 んまあ実際、義理というからには、古泉君や白石やその他にもあげてるんだけど、 実は、キョンキョンには特別上乗せ大サービスしてるのだよ。 ・・・これはね、お礼も含んでるんよ。 こんなふうに、あきれながらも私の話に付いてってくれるのって、 考えてみたら、男子ではキョンキョンだけだからね~。 だから、私のスペシャル義理、心して受け取りたまへ~。 あ、お礼?いいっていいって、何度も言うけど、これは日ごろの気持ちなんだから。 気がすまない?こんな豪華なものに・・・?一応、誉めてくれてるんだキョンキョンwww いやぁ~特別大サービス加えた甲斐があったというものだよ、うんwww じゃあ折角だからホワイトデー期待しちゃおっかな~。 ああ、大丈夫だよキョンキョン、3倍返しだなんてそんな某神様みたいなこと言わないからwwww そいじゃ、確かに渡したからね、ちゃんと味わいなよ。 妹ちゃんとかにあげたら呪われるぞよ~~~www」 はぁ~・・・一晩かけた特別版とはいえ、ココまでフォローしたからねぇ・・・ あの鈍感キョンキョンのことだ、義理と判断してくれるっしょ でもね・・・少しは感づいてくれても、バチはあたらないんだよキョンキョン・・・ 2.つかさの義理 「あ・・・キョン君、はいっ、これ。ハッピーバレンタイン! ・・・え?もちろん義理だよ。ええっ?そんなに豪華かなあ・・・ ・・・勘違いされる?ああ、それ、こなちゃんにも言われたよ~ だからね、他の人にあげてるときも、もちろんちゃんと義理っていってるし、 古泉君のような、よく見知ってる人にしか、基本的にあげてないしね~。 ああ、もちろん男子だけじゃなく、こなちゃん達にもあげてるよ。 ・・・え・・え?あ・・・ありがと・・・そんなに誉められちゃうと なんか照れるよぉ・・・えへへ・・・。 キョン君には、いつも私がドジってるときとかに助けてもらってるし、 これくらいは同然だよぉ・・・え?お礼・・・そんな!いいよ! え?ホワイトデー?あ・・・うん、それなら、楽しみにする! じゃあ、またねキョン君!」 ・・・実は、キョン君にあげたのって、他のより(ちょっと)増量してるんだよね・・・ デコレーションも(ちょっと)豪華にしちゃってるんだよね・・・ はぅ~こんなこと初めてだよぉ~・・・今までこんなことなかったのにぃ~ どうしてなんだろ・・・いつものチョコ手渡しに比べて、 こんなにドキドキしてるの・・・。 3.かがみの義理 「あ、いたいた! はいっ、これ!何かって!?チョコレートに決まってるじゃないの! ごめん冗談・・・って・・・ほんとにもう・・・ どうせ私は不器用ですよ・・・ああ・・・そんな頭下げてあやまらなくても・・・ 分かった分かった・・・あーもうー・・・あ、一応言っておくけど義理だから。 どうせこなたたちに比べて見劣りするだろうけ・・・え・・・ 一口・・・何も今ココでなんて・・・ え・・・え・・・そんな・・・・美味しいって・・・?無理とかしてない? マジ・・・?そんなに・・・?あ、その、そこまで言われると、うれしいな・・・ 一応こんなんでも、苦労はしたからね、甲斐があった、ってことかな・・・。 えええ?そんなお礼だなんて!!こんなものに!! え?キョン君目マジ・・・あ・・・こんなもの、じゃないよね・・・ゴメン・・・ありがt・・・ ・・・ああホワイトデーね・・・わかった、期待しないで待ってあげる。 あーそんな顔しないの、冗談!ちゃんと期待してるんだから! じゃあねキョン君!!」 ・・・っしゃあああああああああ!!キョン君に誉めてもらった~~~~!!! どうせ義理だとしか認識してくれないだろうけど、今日の私はこれでJust Do It!! あ、他の人の分、すっかり忘れてた、まあいいや、えへへ・・・。 4.みゆきの義理 「あ、キョンさん。これ。聖ヴァレンタインデーのチョコです。 ヴァレンティヌスの没日として有名な日でもあり、 世界的には、女性が男性にプレゼントをして愛を誓う、そんな日ですね。 もっとも、プレゼントをチョコと限定する習慣をつけたのは、日本が最初らしいですね。 ・・・あ、ごめんなさい、いつもの癖が・・・ ・・・えと、もちろんこちらは、義理、とよばれるものですよ。 いかがでしょうか、お気に召していただけましたでしょうか。 一応、洋菓子店を色々廻って見て土台となるチョコを購入いたしまして、 飾りつけなど色々アレンジしてみたのですが・・・。 そ、そんな、豪華すぎとか、そんなことはないですって・・・そんなに恐縮なさらなくても。 ご、ごめんなさい、私のほうこそ差し出がましかったでしょうか・・・ ・・・ ・・・え?キョンさん・・・? ゴメンって・・・?そんな、いつも世話にって・・・そこまで言ってくださるのですか・・・? そんなことおっしゃるなら、私だっていつもキョンさんにはお世話に・・・。 私がぼーっとしてて、つい失態をしてしまったときとか・・・ 随分助けていただいて・・・そうですね・・・お互い様、ですね・・・クスッ。 お礼・・・?そんな・・・結構です、日ごろのお礼・・・ああ、 お返しの日、ですね、そして、お互い様、ですね。 分かりました。楽しみにさせていただきます。 では、失礼します」 はぁ・・・困ってしまいました。 どきどきが、止まりません・・・ キョンさん・・・あなたは・・・優しすぎます・・・ はぁ・・・義理・・・ですか・・・。 作品の感想はこちらにどうぞ
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夕日が綺麗な10月、見上げた空は高くて紅に染まっていた。昼間は眩しいほどに真っ白だった雲も薄っすらと橙に染まり、窓際の席に座りながら飽きることなく眺めていた。特に約束をしていたわけではないけれど、なんとなくのっちはあ〜ちゃんの委員会が終わるのを待っている。あ〜ちゃんを待つ時間はのっちにとってちっとも苦ではない。それどころか、わくわくでいっぱいで逸る気持ちを抑えるので精一杯。 緊張しすぎたのか、喉が渇いた。のっちは席を立ち、財布だけ鞄の中から取り出すと自販機へ向かう。今日もまた。廊下には人影などなく、廊下から見渡せる校庭には、大会が迫っている野球部とサッカー部がグラウンドを二等分して練習に励んでいる。スポーツは嫌いではない、けれど先輩後輩の上下関係がどうも苦手なのっちは、部活動に入っていない。最も、同い年の友人関係もろくに築けないのっちが、先輩後輩の関係を築こうなんて無理な話である。 自販機が数台並んである中から、お気に入りのドリンクを探した。まだ時期的に早いけれど、コーンスープに惹かれる。そういえば去年の冬に、あ〜ちゃんがコーンスープに入っているコーンの粒が全部取れん、って嘆いていたのを思い出した。まだそこまで寒くない10月だから、のっちはアイスカフェオレのボタンを押した。するとそれに反応し、がちゃんと鈍い音を立てながらカフェオレが出てきた。カフェオレを取り出して元の教室へ戻ろうとしていると、すれ違いに女の子が自販機の前に立った。 「あ、カフェオレなあい…。」 高くてふわふわしていて可愛らしい声に反応して、思わず振り返るとその声の主も振り返っていてばっちり視線が交わった。彼女の視線はわざとらしくのっちの手元へ向かう。そのもの欲しそうな目にどくんと心臓が跳ねた。 「え…っと、コレ、いります?」 その子猫のような瞳に負けたのっちが、恐る恐るカフェオレを差し出すと、彼女は目をキラキラと輝かせながら「いいん?」と聞いた。こくんこくん、頷くと、ぱあっと笑顔を見せてのっちが差し出したカフェオレを受け取った。よく見ると、この顔どこかで見たことがある。 「あ!」 「?」 思わず発した声に、彼女ははてなマークを浮かべた。この細い脚に白い肌、艶やかな黒髪ロングヘアーは、あのとき下駄箱で出会った彼女しかありえなかった。代わりに、彼女から差し出された120円をのっちは受け取ると、アイスココアのボタンを押した。 「ありがとお。」 ニカッと歯を見せて目を三日月型に曲げて微笑えむ彼女を緊張したのか、思わず目を逸らしてしまう。「じゃあね。」とひらひらと手を姿がなんとも言えないほど美しくて、思わずのっちは見とれた。あ〜ちゃん以外の人間にこんなにも魅了されたことのなかったのっちは、ただ、自分自身に驚いていた。 名も知らない彼女と別れて教室に戻ると、委員会を終えたあ〜ちゃんが先ほどまでのっちが座っていた席で、同じように夕日を眺めていた。夕日で染まった白いシャツがきれいだな、とのっちは思って教室には入らずにドア付近からあ〜ちゃんを見ていると、ふと振り向いたあ〜ちゃんと目が合った。「のっち、まだおったんじゃね。」そう話すあ〜ちゃんの声は、とても穏やかだった。 並んで校舎を出ていつものように自転車のうしろにあ〜ちゃんを乗せる。中学生の頃からのっちの自転車のうしろはあ〜ちゃん専用だった。風にふわふわパーマが揺れる。この時間が恋人同士のようでのっちは好きだった。単なる自己満足。 「ねえ、あ〜ちゃん?」 「なに?」 「黒髪ストレートロングのめっちゃ美人な女の子知っとる?」 「えー…そんな子いっぱいおるじゃろ。」 「そうだよねー。」 「なにぃー? のっち惚れたん!? あ〜ちゃんというものがありながら他の女の子に目がいくとは、納得いかんわあ。」 あ〜ちゃんがいきなり大きな声を出すものだから驚いたあまり、車体が大きく揺れた。きゃあ、なんて可愛らしい声が背後から聞こえてしっかりと腰に巻かれた腕からあ〜ちゃんの体温が伝わる。 「のっちは、あ〜ちゃんだけやもん。」 「ハイハイ、口では何とでも言えますからねー。」 ぐんぐんぐんぐん、自転車を漕ぐ速度は緩めない。走る土手沿いには散歩を楽しむお年寄りや、犬の散歩をしている女の子、ジョギングをしている男の人とすれ違う。 いつだって、あ〜ちゃんは信じてはくれない。のっちの気持ちを茶化し続ける。曖昧であやふやな関係、これこそ友達以上恋人未満。 「あ、そういえばね、」 「んー?」 「あ〜ちゃん、昨日稲垣くんに告られちゃった。」 あまりにもあ〜ちゃんがすんなりと口に出すものだから、のっちの心臓が思わず口からこんにちは、しそうになった。また車体は大きく揺れて今度は、あ〜ちゃんのチョップが後頭部を一打。 「こらっ、ちゃんと運転しんさい。」 「あ、ハイ、ってか告られたん!?」 振り返りたいのに、振り返れないもどかしさ。今すぐ自転車から降りて事の経緯を聞きだしたいのに、あ〜ちゃんはあたふたしっ放しののっちを楽しむかのようににたにた笑っている。 「うん。1年生のときから好きだったんだってぇー。」 「え、そうなん! そんなんどうでもいい! で、あ〜ちゃんの返事は!?」 「えー?」 「のっちがおるけえ、ごめんね、って言っちゃったあ。」 今度こそ自転車は停止する。思い切り振り向いてあ〜ちゃんの顔を捉えると、なにかおかしなこと言った? とでも言うように首を傾げている。それは、つまりその、 「のっち以上にあ〜ちゃんのこと好きじゃって稲垣くんから伝わらんかったけえ。そんなんのっちに失礼じゃろ? あ〜ちゃんと付き合うひとの条件は、まずのっちを超えることなんよ。」 …毎回だ。 あ〜ちゃんは期待させておいて簡単にのっちのハートを強打する。そんな関係を続けてもうかれこれ3年くらいになる。「そうじゃね。」空っぽの笑顔を向けると、あ〜ちゃんは「はよ、自転車漕ぎんさい、日が暮れる。」と言いながらのっちを急かした。 (けど、こんなんも悪くないよね。) 今日ものっちは夕日に願う、ずっとあ〜ちゃんを自転車のうしろに乗せていられますように。