約 2,567,064 件
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/35777.html
登録日:2016/12/17 Sat 20 27 55 更新日:2024/09/19 Thu 06 36 29NEW! 所要時間:約 8 分で読めます ▽タグ一覧 2000年 CAPCOM GB GBC VC アクション カプコン ゲーム ゲームボーイ サイバーミッション ミッチェル ロックマンX ロックマンシリーズ 外伝 2000年10月20日に、ゲームボーイ用・ゲームボーイカラー対応ソフトとしてカプコンから発売された横スクロールアクションゲームで、『ロックマンX』シリーズの外伝作品。 ニンテンドー3DSバーチャルコンソールでも2013年12月4日から配信中。 ステージの特定地点を通るとセーブされ、中断してもその地点から再開できるオートセーブ機能搭載。 今作がカプコンから発売された最後の旧ゲームボーイ対応ソフトとなった。海外でのタイトルはMega Man Xtreme。 ロックマンワールドシリーズのように、ロックマンX1とロックマンX2の二作品をリメイクして一つの作品へと仕上げた、Xシリーズ初の携帯機専用作品である。 どちらかと言えばX1ベースだが、ただ二作品を一つにまとめただけでなく、オリジナルストーリーとして進行。オリジナルボスも登場する。 ノーマル・ハード・エクストリームの三つの難易度があり、ノーマルがX1メイン、ハードがX2メイン、エクストリームが全てのステージやボスと戦う総集編となっている。 最初選べるのはノーマルのみで、各モードは一つ前のモードクリアによって開放される。 新システムとして、ゼロを呼び出して専用技を発動する『ゼロスクランブル』が登場。 パワーアップパーツ同様にカプセルに入って入手する。 ◆あらすじ 西暦21XX年。人間的思考を持つレプリロイドと、人間が共存する世界。 最強のイレギュラー・シグマの反乱もエックスの活躍によって防がれ、世界に平和が戻り、ハンター達は戦いに明け暮れた日々から遠のいていた。 そんなある日、ハンターベースのマザーコンピュータが何者かによってハッキングされた。 一瞬のうちに不正に書き換えられたデータのせいで、世界中が大混乱に陥ってしまう。 エックスはミディと協力してマザーコンピュータの電脳世界に潜入し、過去の戦いを記録したデータの中で、かつて倒したはずの敵との戦いを繰り広げる。 ストーリー時期としてはX2とX3の中間にあたる。 ◆主要キャラクター エックス 主人公。イレギュラーハンター第17精鋭部隊所属のB級ハンター。 今回は何者かの手によって過去のデータで構築されたバーチャル空間で戦い、マザーコンピュータ奪還を目指す。 プログラムデータとなってサイバー空間にダイブするミッションは(発売時期で言えば3年早い)X4でもあったが、一作品丸々電脳世界というのは今作の5ヶ月後にGBAで発売されたロックマンエグゼのある意味先取り…かも知れない。 後々に遠い未来で本当にデータだけの存在になってしまうが…。 X2後のエックスなので、X1当初の頃とは違って最初からダッシュも使えるし、ライドアーマーに乗ったVAVAだろうがあっさり返り討ちにするほど強くなっている。 ゼロ 第17部隊に所属するエックスの同僚にして、特A級ハンター。 今回は基本的にデモ以外登場しないが、ゼロスクランブルとして一時的に呼び出す事はできる。 Dr.ライト 過去のデータの中でもエックスにパワーアップパーツを授けてくれる。 過去のデータが入り混じった世界だからか、今回はX1ベースのアーマーとなる。 そして今回は新たに、ゼロを呼び出す攻撃プログラムも渡してくれる。 ミディ 今作オリジナルキャラクター。 コンピュータの天才で、エックスに協力してくれる。 テクノ 今作オリジナルキャラクター。 シャドウハンター達に協力するコンピュータの天才。 今回ハンターベースのマザーコンピュータをハッキングした実行犯。 ミディに似ている。 ◇シャドウハンター それぞれ専用武器を扱って戦う訓練を受けた戦闘用レプリロイド。 「迷宮入りとなった事件にはシャドウハンターが関わっている」と言われているが、詳細は不明。設定の手抜きとか言うな。 ステージ途中に部屋があり(X2ではカウンターハンターの部屋だった所)、そこで戦う。 シグマステージでも登場する(X1でVAVAと戦った辺り)が、そちらの戦いは避けられない。 両者とも今作オリジナルキャラクター。 ザイン ノーマルモードで登場。 西洋の甲冑を纏ったような姿をしている。無口。 専用武器は身の丈ほどの大剣。 ギーメル 登場自体はノーマルモードからだが、戦う事になるのはハードモードから。 こちらは忍者のような姿。ライフが減ると凧に乗ったりしてまんま忍者。 一人称「ミー」でなにやら嫌味ったらしい。 専用武器は大型手裏剣。 VAVA 過去のデータから復元された、狂気のイレギュラーハンター。 オープニングボスとして登場、かつてと同じようにライドアーマーで一方的に…… 普通に倒されました。 数々の戦いを経て遥かにパワーアップしたエックスの敵ではなかった。 ライドアーマー乗ってるにしてはライフゲージも半分しかないし、わざと弱体化されていたのかも知れない。 シグマ ご存知ケツ顎のハゲ。 史上最強のハンターと呼び声高かった第17部隊の元隊長であり、エックス達の元上司。 今回の作戦を画策したのも彼である。 過去のデータを使ってボディを復元したのか、今回はX1の頃の姿。 2形態あるがそれぞれバラバラに登場する。 ◇8大ボス 過去のデータを元にプロテクトとして構築された存在。 彼らを倒してプロテクトを解除し、不正に書き換えられたデータを元に戻すのが今回のミッションである。 倒すと特殊武器(カッコ内)を入手できる。 アイシー・ペンギーゴ(ショットガンアイス) スパーク・マンドリラー(エレクトリックスパーク) ストーム・イーグリード(ストームトルネード) フレイム・スタッガー(ラッシングバーナー) メタモル・モスミーノス(スクラップシュート) マグネ・ヒャクレッガー(マグネットマイン) ホイール・アリゲイツ(スピンホイール) アーマー・アルマージ(ローリングシールド) ノーマルでは前半4体、ハードでは後半4体、エクストリームでは8体全員と戦う。 なお、特殊武器の性能は一部原作とは変わっている。 SFCよりも乏しいGBのメモリの都合上、追加効果や演出が省かれたり、性能が劣化したものも多いのだが… 何故か強化されたのがチャージローリングシールド。 一発で倒せない耐久力の高い敵に触れるとシールドが消滅する点は原作通りだが、バスターを弾く無敵状態の敵(メットールなど)に当たってもシールドは消滅しなくなり、 それどころかなんとトゲすら防げるようになっている。 針が敷き詰められた床の上をずかずか歩いて通っても、スタッガーステージの吹き上がる溶岩の中で滞在しても全くのノーダメージ。 今作に登場しなかったカメレオンスティングの無敵化性能まで統合されたのでは?と訝しむほど大幅強化されている。それでいて時間制限も無し。 メットールもシールドを張って横切るだけで顔を上げた瞬間に勝手に破壊される。弾を撃たれても当然効かない。実にアイテム稼ぎが楽である。 ◆パワーアップパーツ 8ボスのステージ中に全4つのカプセルがあり、それに入ることで入手できる。 基本的にはX1のものと同じだが、全部揃えないと見た目が変化しない。 ヘッドパーツ 天井から降ってくる岩石を防御できるようになる。また、一部のブロックを頭突きで破壊可能になる。 ボディパーツ 被ダメージ量が少なくなりノックバックも小さくなる。 アームパーツ エックスバスターのチャージショットが二段階から三段階になり、特殊武器もチャージできるようになる。 フットパーツ 壁蹴りが自動的にダッシュジャンプになり、より遠くへ跳べるようになる。 また、一部のブロックを蹴って破壊できるようになる。 原作同様、このカプセルだけ隠れてない上にスルーもできない。 ◆ゼロスクランブル 専用エネルギーを消費し、ゼロを召喚して攻撃してもらう。 発動した瞬間から攻撃終了まで時間が停止するので、攻撃範囲内に敵がいさえすれば外れる心配はない。 ザコ敵相手ならほぼ一撃で、強力な技ほどエネルギー消費も大きい。 このゼロスクランブル専用エネルギーに限り武器エネルギーを取っても回復できず、一度消費したらステージを出るしかない。 パワーアップパーツ同様、ライトカプセルに入って入手する。ゼロを呼び出すだけなのにライト博士が一体何を渡すというのだろうか。 ()内は消費エネルギー量 ライジング(4) 真上にまっすぐ斬り上げる。 頭上をカバーできるのはありがたい。攻撃範囲は見た目以上に結構広い。 ダッシュ(6) 前方にまっすぐダッシュ斬り。 一直線に貫通する。通常攻撃の延長みたいな感じで当てやすい。 アースゲイザー(10) 地面を殴り、爆発させて画面全体を攻撃。 と言っても別に地上制限はなく、空中でも使える。どこ殴ってるんだ? ファイナル(20) 前方の敵めがけてまるで乱舞のように連続攻撃を叩き込む、ゼロスクランブル最強技。 ボス相手にも大ダメージを与えられる。某飯屋のEX技の元ネタであり、意外にもGBの外伝作品である今作が初出。 ◆波動拳&昇龍拳 全パーツを揃えた状態である場所へ行くと隠しカプセルが出現、そこでライト博士が伝授してくれる。 今回はなんと、波動拳と昇龍拳を両方とも使えるようになる。 会得後、バスターをフルチャージして下に入力しながら発射すると波動拳、上に入力しながら発射すると昇龍拳が出せる。 どちらも地上にいる時のみ限定だが、原作と違ってライフ満タンでなくても撃てる。 なお、カプセルのある直前の地形はX2カウンターハンターステージ3の再現で、クランク状の地形に針が敷き詰められたあれなのだが…、ある武器のおかげでとっても楽に突破できてしまう。 また出現条件も微妙に原作と違い、パーツ以外のアイテムは揃っていなくてもOK。 以下ネタバレ ミディとテクノは頭脳CPUがリンクしている双子レプリロイド。 そのため、どちらかが死ぬともう片方も死んでしまう。 2枚の高性能チップを組み合わせて効率を高める実験体がテクノで、後にチップ1枚でも動くように改造された。 そしてもう1枚のチップはミディに組み込まれたが、チップ同士のリンクを完全に取り除けていない事が判明。 頭脳リンクの修正前にテクノがシグマに誘拐され、シグマウィルスによって操られていた。 以下、さらなるネタバレ 上記の物語は全て ノーマルモードで完結する 。 ハードモードでは、エックスと直接戦わず生き残っていたギーメルが再びサイバー空間を荒らし始めたため、これを制圧しに行く。 以上 。 ◆余談 X6のイベント会話でも「過去のイレイズ事件と似ている」という台詞があり、ナンバリングタイトルとはパラレル扱いだったロックマンワールドシリーズと違って、サイバーミッション・ソウルイレイザーの外伝2作品はシリーズストーリーとして繋がっているのが分かる(*1)。 Xシリーズ唯一のRPGである外伝『ロックマンXコマンドミッション』でも、(発売時期としても)X7後のストーリーとして位置づけられている。設定上多少の矛盾が生じてはいるが。 またX6での救助待ちレプリロイドの中には、ミディと同型の色違いレプリロイドが出現する。 追記修正お願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] X6に出てきたイレイズ事件については、カプコンが「ソウルイレイザーの事件とは関係ない」って言ってたらしいぞ -- 名無しさん (2016-12-17 21 12 32) 少しはちゃんと調べてから書いてくれ、その発言は出自が未だに分からないし大全書では2作の関連が示されてる -- 名無しさん (2016-12-17 21 28 19) 無関係ってのは、X6発売当時に一部のユーザーがカプコンに問い合わせて出した答えだろ? 俺も当時のロックマニアの掲示板で、その書き込みを見たぞ。大全書で関係あるって書いてるのは、ネオアルカディア四天王の生死みたいに、後から設定を変えたんじゃね? -- 名無しさん (2016-12-19 19 36 18) 見たと言われてもその問い合わせの書き込みとやらが本当に正しい情報なのか判断できないのでは どっちにしても公式媒体の記述が優先されることに変わりはない -- 名無しさん (2016-12-19 23 05 27) 掲示板というのを見たけど全然信用に値しないな、それに四天王の設定はどれも公式の場での発言だから話が違う。 -- 名無しさん (2016-12-20 02 31 30) 問い合わせた人は、掲示板で度々問題を起こしてた人だったし、当時のスタッフは、バグを仕様って誤魔化すような連中だったから、質問者も回答者も、いい加減な対応しかしていなかったのかもね…それはそうと、この余談の内容って、この項目よりもソウルイレイザーの項目に書いた方が良いんじゃないかって気がする -- 名無しさん (2016-12-20 19 49 15) ソウルイレイザーと比較してオリジナリティは劣る(人によってはマンネリを感じやすい)けど、遊びやすさなら -- 名無しさん (2018-05-23 18 53 43) ↑ミス ソウルイレイザーと比較してオリジナリティは劣る(人によってはマンネリを感じやすい)けど、遊びやすさならこっちの方が上だったりする。 -- 名無しさん (2018-05-23 18 54 46) ちなみにシナリオはほぼすべて一周目(ノーマルモード)で終わっちゃうんだよな。二周目(ハードモード)は唯一生きていたギーメルと生き返ったシグマと戦うだけっていう -- 名無しさん (2020-10-14 20 53 29) PSPのイレハンに食われた感のある初代Xのリメイクですね。 -- 名無しさん (2021-05-03 17 23 57) ステージクリアするとバグでラストボスラッシュみたいな場所に移動させられたことがあった。そもそも消すしかないが -- 名無しさん (2022-07-02 13 26 33) ぶっちゃけモード分割する必要あったのかこれ?無駄に3周させられるだけだし、普通にエクストリームモードの仕様でシナリオノーマルモードで良かったと思うんだが -- 名無しさん (2022-07-02 13 43 58) EDはとてもやるせない…救えたのは心だけ。 -- 名無しさん (2024-05-09 12 36 41) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/2270.html
ロックマンX6 【ろっくまんえっくすしっくす】 ジャンル アクション 対応機種 プレイステーション 発売元 カプコン 開発元 バリューウェーブカプコン 発売日 2001年11月29日 定価 6,090円 廉価版 PlayStation the Best for Family2002年11月28日/2,800円(税別) 配信 ゲームアーカイブス2015年7月8日/617円(税込) 判定 スルメゲー ゲームバランスが不安定 ポイント 最終章のはずだった前作から1年未満でリリース露骨な調整不足と稚拙なテキスト初見で絶望不可避な即死トラップ・異様な弾幕の応酬不評だった前作の新要素は改善、仕様変更強化された探索要素とキャラのカスタマイズ要素シリーズ最弱8ボスとシリーズ最強8ボスが共演 ロックマンシリーズ 概要 特徴 基本システム 前作の仕様からの変更点 レスキューシステム エックスのアーマーシステム アナザーエリア ゲームレベル 評価点 前作から改善されたシステムの数々 カスタマイズ性の高い強化パーツシステム BGMの評価の高さ 賛否両論点 前作から続投のシステム レスキューシステムの仕様 残機、コンティニューの仕様 アクション面の評価点と問題点 難易度の高いステージ構成 良くも悪くも個性の強いボスキャラたち シナリオ、演出、ストーリーの設定や素材 攻略の助けになるバグの存在 問題点 進行不可能ルートの存在 一部レスキューターゲットの配置 前作からのストーリーの繋ぎ 稚拙なテキスト その他問題点 総評 余談 それは3週間前… スペースコロニー「ユーラシア」はシグマの策略によりあっけなく占拠されたシグマの雇った謎のレプリロイド「ダイナモ」彼の操作によりユーラシアのとった軌道は地球…地球消滅の惨劇が始まった イレギュラーハンター「ゼロ」地球の存亡を背負い一人のレプリロイドが荒れ狂うスペースコロニーへ真っ向からぶつかった… 結果、スペースコロニーの破壊に成功地球消滅はまぬがれたものの爆発の被害は大きく地上はあらぬ姿へと一変する そしてシグマとの死闘 エックスとゼロは命からがらシグマを倒すが…戦いから帰還したのは青い光… エックスだけであった手には見覚えのあるセイバーが握られていた 3週間後の現在…荒れ果てた地上はレプリロイドがかろうじて活動できる程度に汚染が鎮まりつつあった そして… ある男の… 概要 ロックマンXシリーズの第6作。PSをプラットフォームとした最後の作品。 『X4』と『X5』の間には3年以上の間が開いたが、本作は前作発売から1年未満で発売された。 特徴 基本システム キャラクター性能 + 詳細 エックスが『X3』以来久々にセイバーを使えるようになった。シナリオ上の関係でゲーム開始時の段階ではゼロが不参加であり、エックスはゼロのゼットセイバーを受け継いでいる形。 特殊武器を選択していない状態で特殊攻撃ボタンを押すと使える。よって、特殊武器との併用は基本的にできない。単純に初期状態から常時使用可能な攻撃手段がひとつ増えた扱い。性能そのものは独自の物となっており、攻撃動作は地上立ち状態と空中での単発斬りのみとなり、しゃがみ状態では発動しない。 チャージを必要とせずにワンボタンでほぼ全ての敵に満遍なく均等にダメージを与えられるため、攻撃手段としてはややクセがあるもののダメージソースとしては万能。初期状態で使用可能ながら、これを弱点とするボスも存在する。上手く使いこなす事が出来れば火力面での効率は非常に高く、従来のシリーズに比べて大幅に短い時間での攻略が図れる。OPステージ以外に使用を強要される場面もないため、逆にこれを封印したプレイも可能。 ゼロは隠しキャラ扱いで、アナザーエリアの最深部にいるボスを倒すと使用可能になる。説明書では黒塗りシルエットで「復活のハンター」と一応隠しているが、基本アクションにゼットセイバー・ゼットバスターを堂々と表記しており、隠す気がほぼない。 通常攻撃のモーションが一新され、地上コンボは横薙ぎ→逆袈裟→斬り上げの3段に。初段の縦軸への攻撃判定が根こそぎ無くなった代わりに横方向へのリーチが伸び、全体的に動作が速くなり上方向にも強い。以降の作品もこの連携が基本となっている。空中攻撃は横方向への逆水平斬りだったものが頭上から振り下ろすものとなり、2Dアクションゲームとしての仕様上、使い勝手が格段に良くなった。ただし、しゃがみ斬りは隙が大きくなり威力も小さくなった。 二段ジャンプも初期状態から実装されており、加入した段階での縦軸方面への攻撃/移動手段の充実ぶりから、初期状態での使いやすさはX4から続いてきた中で随一と言える。 隠し要素の黒ゼロは、X5のウイルスバスターからセイバープラスに変更されている。 ナイトメア現象 レプリロイドに、人間でいうところの悪夢を見せ狂わせる現象。本作のステージでは何かしらのナイトメア現象が発生しており、ステージギミックとしてエックスの行く手を阻む。 更に「ナイトメアS(サラウンド)」と呼ばれる現象も発生。ナイトメアはステージ間で影響しあっており、直前にプレイしたステージによって別のステージになんらかの変化が起こる。 ナイトメアウィルスと呼ばれるザコ敵も出現。これは通常アイテムを落とさない代わりにハンターランク評価の基準となるナイトメアソウルを落とす。レプリロイドに悪夢を見せている元凶で、レスキュー待ちのレプリロイドに感染しレスキュー不能にする妨害要員。 前作の仕様からの変更点 作戦ステージに紛れ込んだ一般レプリロイドを救出するレスキューシステム。8ステージそれぞれに16人、計128人存在している。これに関しては後述。 ハンターランクの仕様が変更となり、評価基準がナイトメアソウルの収集量になった。また、評価によりつけられるパーツ数が変わるようになった。 また、パーツ習得が特定のレプリロイドをレスキューした時貰えるよう変更になり、リミットパーツという種類のパーツが増えた。 レスキューシステム レプリロイドを救助すれば体力を回復や1UPをしてくれたり、戦いに役立つ強化パーツやライフアップ、エナジーアップをくれたりする。 ナイトメアウィルスに接触されると最後、「行方不明or死亡」扱いになり救助は不可能になるという非常に厳しい仕様(*1)。救出に失敗したレプリロイドはステージを出た後も復活しないため、これがアイテムを持っている個体であった場合はアイテムコンプリート不能になる。 レプリロイドの救出数は記録されるため、アイテムを持っていない者でも救出できなければ救出者コンプ不可になる。コンプ特典がないことだけはある意味で救い。 エックスのアーマーシステム 前作に引き続き、アーマーは4つのパーツを全て集めた時点で初めてアーマーとして使用可能になる。 + 詳細 ファルコンアーマー 前作にも登場したアーマーで、初期状態から使用可能。オープニングステージでは強制装備。 但し「前作の戦いで破損したものを修復して何とか使っている」という設定で、性能は大きく弱化。フリームーブとスピアチャージショットの貫通性を廃止した代わりに、新たに独自性能のエアダッシュ(*2)と特殊武器のチャージが可能に。 被ダメージ半減・特殊武器EN消費量軽減・ギガアタックは健在。 ブレードアーマー エアダッシュが移動距離・速度倍増かつ移動方向を上下左右から選べる「マッハダッシュ」になる。ボタン押しっぱなしでしばらくの間その場に留まることができ、出始めには攻撃判定と無敵時間が発生する。 このアーマーのみセイバーは手で保持せず、バスターから繰り出すグラフィックになる。 チャージショットが敵を貫通し、かつ耐久力のある敵に対してはしばらく衝撃波が留まり追加ダメージを与える前作、前々作に登場したフォースアーマーの「プラズマチャージショット」に近い性能。 方向キーの上を押しながらチャージショットを発動すると、敵の弾を打ち消す斜め十字に交差した相殺エフェクトを帯びたセイバーを振り下ろす「チャージセイバー」を繰り出す。相殺エフェクトにも攻撃判定が存在し、通常のセイバー攻撃より横軸に対して若干攻撃範囲が広くなっている。 被ダメージ半減、特殊武器EN消費量軽減、特殊武器のチャージ可。 ギガアタックはセイバーを振り下ろすと同時に前方へ2発の衝撃波を放出する。 シャドーアーマー 忍者のような外見の黒を基調としたアーマーで、歴代のアーマーでは唯一口元にマスクを付けている(*3)。 セイバーのモーションが高速化し、通常ショットは手裏剣状の拡散ショットになる(性能は前作のクレッセントショットに近いが、発射角が狭くなっている)。 チャージショットはセイバーを振り下ろすと同時に、目の前に三日月状の衝撃波を発生させる近接攻撃「円月輪」に変化する。 地上で方向キー上+ジャンプで大ジャンプを行い、天井への張り付き、及びその状態で下3方向同時にショット攻撃、もしくはダッシュ移動ができる。 前作のガイアアーマー同様に壁張り付き時の静止・特殊武器使用不可・そしてトゲ無効化能力を持つ。ただしトゲ無効化についてはカプセルのライト博士から全く言及されていない(*4)。 被ダメージ半減、エアダッシュは不可。 ギガアタックはその場で周囲に2発の円月輪を回転させる。 アルティメットアーマー 『X4』以降恒例の隠しアーマーで、ED後に表示されるコマンドを入力すると使用できる。 基本的な性能は前作と同一だが、カラーが黒を基調としたものに変更されている。本作ではゲーム開始時の隠しコマンドでのみ入手可能であり、同じデータでの黒ゼロとの両立は不可能となった。 何気にエックスで通常のエアダッシュが使用出来るのはこのアーマーだけだったりする。 アナザーエリア 8ボスステージには、正規のルート以外に「アナザーエリア」が存在する。収集要素を集めたり、アナザー専用のボスが出現する。 ゲームレベル 今作でもゲームレベルを「やさしい」・「ふつう」・「むずかしい」から選択可能。今作の「むずかしい」は敵配置などが意地悪く、本当に難しい。 評価点 前作から改善されたシステムの数々 前作の反省が活かされている点がいくつもある。 前作で恐らく一番不評であったエイリアのナビの強制停止が改善、特定のポイントでセレクトボタンを押すとナビゲーション会話が発生する方式に。 ごく一部には強制通信も残っているが回数は少なく、文字送り速度も改善されたためにさほど気にならない。また、前作であった「ナビが呼び出された瞬間に特殊武器の効果をかき消される現象」も改善されており、チャージ特殊武器を発動した状態で呼び出しても効果が消えない。 ただし本作のギミックは殆どがナイトメア現象であり、通信でモニターしているエイリアには基本的にこれらが見えていない。なので、(エックス)「〇〇が起きている?これはなんだ?」(エイリア)「こちらからは確認できないから、恐らくナイトメアね。どうにかして解決策を見つけて」という会話が多い。そんな状態でも、物にはよるがある程度のヒントを探し出して伝えてくれる辺りは流石有能ナビゲーター(*5)といったところか。 また今作のナビゲーションは会話方式となっており、より操作中のキャラの会話の自然さが感じられる様にもなっている。これは本作のみの特徴(*6)。ボス前の通信でハンターの面々とボスとの関係が明かされたり、通信が途絶した場合などにエックスやゼロが独り言をつぶやいたりもする。 前作では条件やランクそのものが分かりにくくただのやりこみ要素だったハンターランクが分かりやすく改善され、またパーツ装備数にも影響するようになった。 今作のボリュームアップ対策やイベント分岐要素は、前作のような特定のイベント発動タイミングによるものやランダム要素によるものでなく、アナザーエリアの探索、要救助者のレスキュー、ボスを倒したかどうか、または倒したタイミングで変わる等、すべてアクションに直結した要素になった。 前作ではパーツをたくさん集めるに辺り、わざとゲームオーバーを繰り返して、ボスのレベルを上げたりしなければならないうえに、そこまでしてもコンプリートが出来ないというもどかしい仕組みだったが、今作ではレスキューさえ頑張れば1つのデータで全てのパーツを収集出来るようになった。 無理やりだが、今作ではゼロもすべてのライフアップ、アーマープログラム、パーツを入手可能の為、ゼロを極限まで強化することも可能。 前作の様にステージ攻略後のライフorエナジーやパーツを吟味しなくて良くなった為、エックスとゼロで計画的に4ステージずつ分担すれば、それぞれを満遍なく育てることが容易になった。 ボスのレベル制も廃止にはならなかったものの、それなりに調整がされている。 レベルが低いうちだとあっさり倒れてしまうボスが一部存在することはやや難点だが、前作と違い初心者救済としてはしっかり機能している。 普通にプレイしていればラストステージの8ボスラッシュの頃には長すぎず短すぎずのライフになっており、レベル4になった場合も相手のライフが多くなり攻撃もかなり激しくなるが、その場合はこちらも多くのパーツが装着可能なのでバランスは取れている。 今作にのみレベルによるボスのパターン変化が見られるのも大きな特徴。 本作はゲームレベルを「むずかしい」にすると敵の攻撃などが変化する。 前作はザコ敵と一部の仕掛けが追加配置されるだけ、次回作はボスの体力が増えるだけなので、敵自体に変化が見られるのは本作の魅力。 前作ではエックスは弱体化、ゼロは強化とゼロが圧倒的に有利であった。しかし今作は、序盤は「攻撃力が低いが防御力が高いエックス(ファルコンアーマー)」と「攻撃力が高いが防御力の低いゼロ」という構図になっており、最終的にはアーマー・特殊武器・パーツの入手を経て両者とも大体同じくらいの能力に着地する為、キャラバランス自体は良好である。 シナリオの都合上ゼロが最初からはいないことだけが難点か。 前作のガイアアーマーと比べ、シャドーアーマーが入手しやすくなっている。 特殊武器を使ったパズル要素が撤廃され、ブレードアーマーがあれば入手が容易になった。 カスタマイズ性の高い強化パーツシステム 前作から導入されたパーツシステムが大幅に強化され、ステージやボスに適応したカスタマイズにより数々の難所を突破していく快感を得られる。 前作と違い、レスキューさえ頑張ればすべてのパーツをそろえることが可能。エックス専用、ゼロ専用も偏りなく入手できる。今作ではさらに特殊武器、必殺技を強化できるマスター系のパーツや、制限が強いものの非常に強力なリミットパーツも加わり、キャラやステージ等に合わせた幅広いカスタマイズが可能。 ステージの敵を倒すことでキャラが成長し、さらに状況に応じてカスタマイズまで出来るのはXシリーズでは「X6」だけであり、今作の醍醐味。 シャドーアーマーに「アルティメットバスター」や「ダブルバリア」等が定番の組み合わせだが、「ハイパーチャージ(アルティメットバスター)」+「マスターウェポン」+「チェンジエナジー(エナジーセーバー)」など思い切り特殊武器に特化したり、攻撃力高め防御力低めのゼロにすべて攻撃系のパーツを装着するなど自分なりの面白い組み合わせを考えてプレイすることも出来る。 慣れないうちは防御系のパーツに頼りがちだが、プレイに慣れて被弾を抑えられるようになれば「スピードムーブ」や「ハイパーダッシュ」等の移動強化系も装着できる余裕が出てくるため、X特有のハイスピードアクションを行なうことも夢ではなくなる。 今作より追加されたリミットパーツは、特にサブタンクの利用が困難な「むずかしい」の場合は、ライフリカバーが選ばれることが多いが、その他難易度や周回プレイで慣れているならパワードライブ・オーバードライブ・ウェポンリカバーあたりを装着することでボス戦の爽快感が増す。 ただし、その根幹ともいえるレスキューシステムについては賛否両論がある、詳しくは後述。 BGMの評価の高さ 開発期間の短さ故か新曲の総数は少なめだが前作同様クオリティは高く、とりわけ過去シリーズのアレンジ曲はなかなかのもの。許せる人許せない人問わずここは高く評価されている。 特にシグマ第2形態のBGMは『X1』と『X2』のシグマ第1形態の曲をミックスさせたアレンジであり、シリーズファンには嬉しい演出である。激しいビートがクライマックス感を後押しし、プレイヤーのテンションを否が応でも押し上げる曲調は非常に人気が高く、歴代のシグマのテーマの中で最高のものとして本作のシグマ第2形態のBGMを挙げるファンも多い。 秘密研究所ステージのBGMは『X2』カウンターハンターステージ2のアレンジヴァージョン。このステージとこの曲との関係性は不明だがこちらも非常に人気の高いアレンジ曲。 一部のボスのBGMに、前作から流用しているものがある。これに関しては使いまわしだという意見もたまに出るが、同じ作曲者で前作と同キャラのテーマ且つ人気の高い曲ばかりなので気にならないという意見の方が多い。 オリジナル曲では、イントロのギターが北極の氷世界の雄大さを感じさせるヴォルファングステージやマグマエリアらしくメタルでアツい展開のヒートニックスステージが人気。短いステージ構成でこれでもかと集中砲火を味わわされる故に耳にこびりつくミジニオンステージの勇ましさや、ひたすらナイトメアを狩り尽くす勢いを後押しするかの如く疾走感に溢れるスカラビッチステージが中毒になるプレイヤーも…。最初からクライマックス状態で常時地球の危機的状況である事を一発で印象付け、明確に前作から地続きだと感じさせてくれる哀愁感たっぷりのOPステージも没入感抜群。 ステージセレクト画面のBGMもシリーズ中では人気が高め。シリーズ定番のラストステージ出現後にBGMが変わる演出はないが、それに対する批判もほとんどない。 この他、ハイマックス戦はアップテンポが癖になる、ゲイト戦は意地の悪い構成に相応しい不安をいい具合に煽ってくれると、双方ともに好評を博している。 ゲイト戦のBGMはエイリアがゲイトの過去を振り返るイベントデモにおいてもアレンジ使用されている。聞き比べてみるとガラリと印象が異なるのが面白い所。 + その他の評価点 シナリオ面にて、エックスの立場が微妙な前後作と比べ、今作はエックスも目立っている点については好評。 ロード時間が少なく、ロード回数自体も少ない。 「WARNING」の警告メッセージの演出、ライドアーマー ライデンやノヴァストライク、爆発音などの効果音も含め、既存のものでも演出が一新されているものがある(*7)。 背景のグラフィックが綺麗。 おすすめロケーションはレーザー研究所、セントラルミュージアム、アマゾンエリアのアナザー。思わず見とれてしまうほど。ある意味でミジニオンステージも。 逆に北極エリアの背景は画像がズレているのか上部分が黒く切れてしまっている。これもある意味X6らしいか。 前作で批判が寄せられた「見た目の安っぽさ」についてもだいぶ改善されている。 キャラボイスの復活が一番大きな要因だろうか。 本作の声優陣は笠原留美氏、石川英郎氏、三木眞一郎氏(*8)、若本規夫氏(*9)、藤原啓治氏など、非常に豪華。 また、OPもしっかりと動くようになった。大半は前作のイベントCGからの流用だが、滑らかに動くアニメーションと効果的なエフェクトがつき、そしてナレーションが流れることでしっかりとOPムービーとして成立させている。 8ボスの一人「メタルシャーク・プレイヤー」が過去ボスを呼び出して攻撃したり(しかも難易度や操作キャラによって呼び出す対象も変わる)、彼から取得した取得武器でエックスもストーム・イーグリードを模した攻撃を放てたりと、ファンサービス要素はそれなりにある。 今までのシリーズでは最後の敵を倒してもイベントが発生する為にステージクリア時のジングルが流れなかったが、今作では勝利後に流れるようになった。 また次回作への伏線などもあってシリーズのエンディングは暗めのものも多かったが、今回はゼロのエンディング以外は割と前向きな展開となっている。 本作のアーマーの一つ「ブレードアーマー」は、機動、攻撃といった性能のバランスがよく、ロックマン愛好家から人気が高い。 前述の高難易度っぷりやカスタマイズ性の高さなどから、比較的動画向きのゲームである。クレイジーなやりこみ動画もいくつか投稿されている。 ここには書ききれないが、後述するガードシェルなどのバグのほか調整不足ゆえの攻略の穴や小ネタがいくつも存在している。 賛否両論点 前作から続投のシステム 前作から続投のシステムの中で特に改善や仕様変更がされていない要素もある。またシステムによっては前作での評判の悪さから改善、仕様変更でなく廃止して欲しかったという意見もある。 + 詳細 前作から引き続き、ミッションレポートの存在により本作でも特殊武器の入手/実演デモは削除されたまま「○○(特殊武器・必殺技名)をゲットした!」と文字で表示されるのみに留まっている。 ただし特殊武器入手デモはX4では実演デモが省かれていたし、無印版ロックマンにおいても実演デモの導入は6以降で7では省かれていたりと、本作のみが一概に味気ないと言えるものでもない。ミッションレポート全体のテンポを考慮すると特に気にならないという意見もある。 また、前作で削除されていた特殊武器・必殺技の説明が復活。簡素ではあるもののエイリアがどんな武装か、どんな時に使うとよいかを解説してくれる。 レベル制は今作では調整が施され、初心者救済や上級者の腕試しなどに一役買っているが、やはり過去の作品のようなHP固定を支持しているプレイヤーは多い。 このレベル制は『X7』ではまた改悪され、『X8』ではついに廃止となった。 賛否著しかった「しゃがみ」だが、前作では強制こそされなかったためあまり大きな短所にならなかった。しかし今作では後述するステージ構成の所為でしゃがみを強制されるようになってしまった。 賛否著しい故に、気にならないとするプレイヤーや好意的に受け止めているプレイヤーも存在する。攻撃しづらい足元への射撃や、セイバー攻撃をキャンセル可能という利点も存在する(ダッシュでもキャンセル可能で、そちらの方が利点は大きいが)。 前作同様、8ステージ全てをクリアしなくても最終ステージを出現させることが可能。場合によっては1ステージもクリアせずに出現させることも出来る。 ただし、今作では後述の通りエックスで攻略する場合は特定の装備や武器がないと途中で進めなくなるため、結局はステージをクリアしたり装備を集める必要がある。 レスキューシステムの仕様 パーツのカスタマイズ性は向上していてカスタマイズ単体の評価は良い。 …のだが、パーツを手に入れるために前述のレスキューが必須なことが賛否両論。 + 詳細 要救助者の配置が1ステージにつき16体×8ステージととにかく多く、レスキュー失敗 パーツを揃えたい場合には旧作では意識する必要のなかったリセット ロードが必要となる。 今作ではステージ構成などから他のXシリーズの強化と比べても本作のアイテムの重要性は高く、重要アイテムが入手不可になってしまった場合はかなりの痛手になる。 また、プレイヤーがミスした際に画面がブラックアウトする寸前に要救助者がナイトメアウィルスに接触されてもアウト。復帰後に同じ場所を確認しても手遅れなので、救出に再挑戦する場合最終セーブからやり直す必要があるというかなり厳しい仕様になっている。 その分、ステージの探索要素やコレクション性、やりこみ性が増したという意見がある。 要救助者が難しい配置なのはほんの一握りであり、誰でも解るような形で配置されているものも多い為、普通にプレイしていれば全く入手できなかったということにはまずならない。 全員救出しようとするとかなり大変だが、コンプリートすることの特典はなく、仮にレスキューを一切しなかったとしてもライフアップやアーマープログラム等を全て入手可能であり、クリア自体も十分可能である。 またゲームレベル「やさしい」ならレスキューの難易度も大きく下がる。「むずかしい」であるような要救助者の真上にウィルスが配置されているような箇所はほぼ無くなる。高難易度のレスキューがどうしても理不尽に感じられるのであれば「やさしい」から始めるのも良いだろう。 そもそも、飛べるような見た目でもないレプリロイドが空中に大勢浮かんでいたりするため、見た目的に非常に違和感を感じてしまう。 ステージ毎に女性だったり小太りだったり犬型(!?)だったりと、バリエーションを持たせようとする工夫は見えるのだが…。 残機、コンティニューの仕様 前作同様、ゲームオーバーになってコンティニューすれば中断ポイントから普通に再開可能(『X4』はエリアの、『X3』以前はステージの最初から)なため、相変わらず残機の価値はほぼ皆無と言っていい。 パーツ無しエックス(ノーマルは元よりシャドーアーマーも)では詰み(厳密には死亡してアーマーチェンジを強いられる)に近いポイントがある多いことも拍車をかけている。 しかもアナザーエリアはエスケープ不可能なため、進行不可能になった場合にはわざと死ななければならず、邪魔な存在にしかならない。そのくせレスキューの仕様により1UPする機会が非常に多いため、多大なストレスを感じる。 一度使うとコンティニューを行うまで使用することの出来ないリミットパーツのシステムとも相性が悪い。 とはいえ、ステージ難易度の高い本作で、逆に以前の仕様に戻した場合、別の批判が上がっていた可能性が高い。 あくまで問題は詰み要素であり、この要素自体はその難易度の高さも相まって、トライ エラーが行ないやすいという恩恵を生み出している。 そのため、『8』のイージーモードのように、残機の概念自体を排してチェックポイントからのコンティニューのみにした方がよかったのでは、という意見もある。 アクション面の評価点と問題点 基本的なアクションは『X4』以降のものを継承しており問題のない出来。だが新アクションや特殊武器、必殺技の一部が扱いづらい 仕様がわかりにいものがいくらか存在し、多くのプレイヤーが難色を示した。 しかしプレイヤーの研究によりかなり強力な特性がある事が判明した要素も多く好意的に見ているプレイヤーも増えた。 エックスがセイバーを使うのと同様にゼロはゼロでバスターが強化されるなど、本作では両者の初期状態から使えるサブウェポンにも強さがフィーチャーされているのは興味深い所。 + エックスのバスターやセイバー関連 今作では特殊武器の一切使えないシャドーアーマーと裏技のアルティメットアーマーを除いて、チャージショットの威力がかなり抑えられている。 特にファルコンアーマーは弾自体が非常に小さく、的の小さいナイトメアウィルスに安定してヒットさせるには相当慣れが必要。ブレードアーマーのチャージショットもノーマルエックスのものよりやや小さめで、思わぬ部分で当たらない事もある。ファルコンアーマーに至っては敵の貫通効果すら削除されている(*10)。 ただしボスに対してはブレードアーマーを除きチャージショットの威力が前作の3ダメージから4ダメージまで引き上げられている。 ブレードアーマーはチャージセイバーを使用すればリーチは短くなるものの上下に攻撃範囲が広がる上に地形を貫通できるため、ウィルスに対しての対処が楽になる。 ゲームレベル「むずかしい」ではシャドーアーマー、アルティメットアーマー以外ではチャージショットでウィルスを一撃で倒せなくなっており、バスターだけで対処することが文字通り更にむずかしくなっている。 これらの「ノーマルエックスや初期状態のファルコンアーマーを含め、どのアーマーにも無視出来ない大きなデメリットが存在する」仕様がシリーズ本来の動きに当てはめた際の噛み合わせが悪く、前作より更に特殊武器(と縦軸をエネルギー消費無しでカバー出来るセイバー攻撃及びシャドーアーマー)優位なバランスに傾倒しているため賛否が激しい。火力を求めれば機動力が大幅に損なわれ、逆もしかり。中間を取れば火力の要を担うチャージショットの攻撃範囲が損なわれ…と、アーマー性能の極端な差別化とセイバー系攻撃の実用性を考慮したあまり、ユーザーフレンドリー意識が大きく欠如したものとなってしまっている。 上記のチャージショットの弱体化を補うためにエックスにセイバー攻撃が追加されたが、こちらもファルコンアーマーのチャージショット同様にクセの大きい性能。 原則特殊武器との併用が不可だが、セイバー攻撃そのものが初期状態で使用可能な1つの特殊武器と考えれば見解は違ってくる。チャージショットの直後に振ることが出来るため追い打ちとしては序盤の火力の底上げとしては多分に機能する。また、中ボスなどの無敵時間を持たないボスにはセイバーの方がダメージ効率が良い場面も。 後述のダッシュキャンセルや壁セイバーといったテクニックも編み出された。 + エックスのアーマー関連 前作のアーマーは確かに強力ではあったが、ロックマンX特有のダッシュやジャンプを用いたアクション性を損なう性能となっており賛否両論あった。今作ではどちらも実戦的かつXシリーズのアクションを楽しませることに特化した性能となっている。 これらにより前2作にあったエックス使用時のマンネリ感を感じさせないものとなっているが上記のバスター弱体化やその他細かい性能に批判もある。 デザインの評価はどちらも良好である。 ファルコンアーマーのエアダッシュやブレードアーマーのマッハダッシュはダッシュボタンの他ジャンプボタン2回押しでも発動するため、旋墜斬ほどではないが慣れていないと暴発の危険性がある。特にマッハダッシュは移動距離が長いのでフォローしづらく、暴発時のキャンセルも出来ない。 エアダッシュ、マッハダッシュは壁蹴りのタイミングを誤ると確実に暴発する。画面左上部の天井付近を壁蹴りする場合は体力ゲージで自キャラが部分的に隠されるために暴発の危険性がより高くなる。特に難易度「むずかしい」でのタートロイド戦やハイマックス戦などで顕著に被弾に繋がりやすい。 上記のバスター弱体化も含めてファルコンアーマーとブレードアーマーは弱いアーマーであると捉えているプレーヤーも多い。ただし両アーマーとも後述の強力なチャージ版特殊武器を使用できるため、うまく使いこなせれば十分に終盤まで活躍できるポテンシャルはある。 マッハダッシュは独特な操作が必要なため慣れが必要だが、使いこなせれば上下左右に通常の2倍距離をかっとべるエアダッシュとして機能する他、発動時の硬直を利用したボス攻撃の回避、出かかりの無敵時間を利用した敵や足止めギミックの強行突破、出かかりの攻撃判定を利用して(武器のチャージを維持したまま)敵への攻撃、奈落へ落下しかけた際のフォロー、下向きダッシュによる狭い足場への確実な着地、ガードシェルバグの併用など、非常に汎用性の高い機能になっている。 シャドーアーマーは特殊武器は一切使えないが、チャージショットにあたる斬撃「円月輪」は判定が巨大で地形貫通効果付きと非常に強力で爽快感が高い。「むずかしい」のウィルスを含めほぼすべてのザコ敵を一撃で粉砕できる他、ノーマル状態や他のアーマーでは特殊武器が無いとダメージが与えられないハイマックスにも直接ダメージが通り、ダイナモに対しても円月輪が弱点扱いなのでソウル収集作業面においても抜かりなし。 「アルティメットバスター」との相性もよいことやトゲ無効効果も含め、エックスはアルティメットアーマーを除けばこのシャドーアーマー1強という見方をするプレイヤーが多い。 ギガアタックもボスに対して30~40ダメージを与えられる超強力仕様。 ただしカプセル配置の関係上、前作「ガイアアーマー」と同じく完成が8ステージ攻略の終盤になりがち。そのため早期に回収可能で特殊武器を入手していくたびに強くなっていくブレードアーマーと比べてそこまで大きな戦力差はないという見方も可能。当然のことだが特殊武器を持たない状態のブレードアーマーとシャドーアーマーとでは圧倒的に後者のほうが強い。 エアダッシュが使用できないため後述になる進行不可能ルートにはまってしまう可能性がある事や、特殊武器がないことからナイトメアSを解除できないため、発生しているナイトメアSによっては難易度が跳ね上がってしまう。このゲームをダメージを受けてのゴリ押し前提で突破するなら然程気にならないがしっかり攻略していくことを考えるとステージによってはどうにもならない箇所もある。 円月輪の弱点としてボスに対して根元のセイバー部分を当ててしまうと極小ダメージしか与えられないためボス戦は上手に立ち回らないと非常に時間がかかってしまう。↑+ジャンプボタンの天井張り付きも暴発しやすい。 何より地上/空中の敵/ギミックに対する距離感や状況に応じたアクション・特殊武器の使い分けといったバリエーションを培う行動が伴わない以上、プレイヤー自身の「ギミックへの対処法・攻略法」を考慮した腕前の向上に繋がりにくくゴリ押し脳筋プレーに陥りやすいという本作の全体傾向を後押ししがち。シャドーアーマー一辺倒にならないステージ構成は意識されているが上記の通り「進行不能」という極端な調整なので… 今作も裏技で出せるアルティメットアーマーだが、今作ではトゲトラップや待ちギミック、縦方向への展開が多い上、ボスがやたら壁際に立ちたがる為、ノヴァストライクは従来作とは違ってあまり使えない。そのため、「アルティメット」というほどの強さは感じない。 ただ、「むずかしい」でもプラズマチャージでナイトメアウィルスを一撃で倒せることは救い。また、ノヴァストライクはブレードアーマーやシャドーアーマーがなくても、ある程度のレスキューやアイテム入手が可能なのも利点(*11)。 ハイマックスに対しても、ノヴァストライクなら怯ませずに連続でダメージが入るため、すぐに倒せると言う利点がある。 + エックスの特殊武器関連 バスターのボタンと特殊武器のボタンが完全に離別した 特殊武器のボタンはセイバーと同じボタンになっているためSFC時代と同じような戦い方ができなくなった。 ゼロに関してはセイバー系スキルは前作と同じく攻撃ボタンになっているため、何故同じにしなかったのかと少し疑問に思うところでもある。 バスターが弱体化したため必然的に特殊武器に頼らざるを得ないがこちらもかなりクセが強い。 通常版特殊武器はクセは無いが威力が激低の「アローレイ」、拡散した氷の破片を3つとも当てることが出来れば威力は高いものの、画面内に1発しか放てず足場となる氷が残っている内は同攻撃を使用出来ない、足場と化した氷が残っている時にチャージ版を発動すると足場が強制的に消失する、それでいて異常なまでに燃費が悪い「アイスバースト」あたりは使いづらい。 しかし従来作と比べてお手軽さには欠けるが、弾幕効果による瞬間ダメージの高さと自機の周囲を囲む攻撃判定で攻防に長けた「ヤンマーオプション」、炎に貫通性能があり近距離でセイバー部分と炎を同時に浴びせるとそこそこ強い「マグマブレード」、攻撃判定の発生が非常に遅く飛距離も短いが、弾速が非常に遅い事を利用して敵の弾や突進を一方的に破壊しつつ「出現時間が非常に長い、移動する巨大な攻撃判定持ちのバリア」として活用可能な「グランドダッシュ」など使いやすいものもある。「メテオレイン」、「メタルアンカー」も基本的にエックスが苦手とする縦方向への攻撃をカバー出来る。 全体的に画面内に停滞する時間が長く、エックスバスターでの追撃が可能。 また、敵の弾を跳ね返して反撃する「ガードシェル」はナイトメアウィルスの弾を跳ね返せないことや返せる攻撃と返せない攻撃の基準が非常にわかりづらいため、初見では非常に扱いづらい武器である。 しかし返せる攻撃をすべて把握しきれば、例えばゼロナイトメアの攻撃を9割方封殺できるなど非常に強力な特性に気付ける。後述のガードシェルバグの件も含め解らなければ使えない、解れば強力という良くも悪くも「X6」を象徴する武器となっている。 チャージ版特殊武器は画面全体攻撃ばかりで視覚的につまらないという意見が多かった。 これにより性能面でも効果が被り気味という意見が良く出回っていたが、現在では効果が検証されすべて使い分けが可能となっていることが判明している。 ランダム性の高いものが多い点にやや使いづらさを感じるが、効果範囲の広さ(通常ショットでは補えない地形貫通効果を標準仕様で併せ持つ)と効果持続時間の長さにより戦術には組み込みやすい。「背後からの弾幕効果」としての戦術を展開出来るのはシャドーアーマーには無い特徴である。「X4」のようなド派手なエフェクトが多いのもポイント。 しかし強力ではあるが下記のような特性をしっかり理解していないと使いこなすのが難しい。 + チャージ版特殊武器について チャージヤンマーオプションはトンボのオプションが完全無敵な上、全方位へ向けて地形を貫通する弾まで撃ってくれる超強力武器。しかも序盤から入手しやすい。これを知っているのとそうでないのではゲームの難易度が大きく変わる。 チャージグランドダッシュは威力こそ高くないものの、発動直後に敵やプレス機などのギミックも含めて時が止まる。その為、敵に出かかりを潰されることが無く、完全に出し得の技となる。また時が止まっている間もエックスはチャージが可能なので連発することが可能。発動後の硬直もほぼ無い。「むずかしい」におけるリサイクル研究所の中ボス手前のナイトメアを対処するのに適していたり、ラスボスのとある回避の厳しい攻撃を止めるのにも使える。 チャージメタルアンカーは画面全体に、「ストーム・イーグリード」を模した鉄塊を大量に落とす。非常に攻撃力が高く、「むずかしい」のナイトメアウィルスやモンバンド、ナイトメアアイアンを一撃で破壊できる。当て方次第ではナイトメアスネークやビッグ・ジ・イルミナさえ一回の発動で倒しきれる事もある。ただし発動中はエックスを操作出来ないためスキが大きい上、エックスがダメージを受けると瞬時に解除されてしまうため使いどころを選ばなければならない。主に先制攻撃として使用する。 チャージマグマブレードは大量の火の鳥が画面上に横切っていく。メタルアンカーほどではないがスキが大きく、一撃の攻撃力は高くないが、効果持続時間が長く、画面上にいくつも発動可能である点が最大のメリット。エックスの向きによって前後打ち分けも可能。横スクロールのステージを駆け抜ける際に発動させながら進めるため、ナイトメアファイアに対してなどの防御的な役割も兼ねている。また、物量で攻めてくるグループジェットやトーテムゲート、ボスのインフィニティ・ミジニオンなどにも有効。 チャージメテオレインは画面全体に雨の玉を大量に降らせる武器。降り注ぐ位置にランダム性があり威力もあまり高くないが、効果持続時間がかなり長く、さらに発動直後のスキが皆無という点が最大のメリット。ゲームレベルが「やさしい」「ふつう」の場合はメタルアンカーよりこちらのほうが有利な場面もある。また各ステージの中ボスに対してやたら有効。 チャージアローレイは縦に5本の極太レーザーを発生させる技。威力は低いが、発動中は完全無敵というメリットがあり、エックスが大量のウィルスやのザコに囲まれてしまったとき等の脱出用の技として使用可能。また何故かボスにだけは破格のダメージが通るため、ゼロほどではないがエックスでボスの瞬殺を可能としている。 チャージガードシェルは画面四隅に貝殻が配置され、そこから画面中央へ向かって任意で8発ずつ弾を打てる武器。ヤンマーオプションと逆で外から内にエックスを守る武器で、任意で弾を打つ方式の為、時間経過で解除されないメリットがある。上記のチャージ武器と比べて使いどころは少ないが、乱戦時やラスボスのように狭い空間で物量で押してくるような相手に有効。またボスにもヒットさせやすい位置に停滞してくれるものが多く存在し、RTAではハイマックス戦で使用されたりすることもある。 チャージアイスバーストは一定時間、エックスがダッシュすると上下に氷のツララを発射する武器。ブレードアーマーの上下ダッシュなら左右に射出することも可能。ただし威力が低く、ダッシュで動き回ると敵が復活してしまうため、最も使いづらいチャージ武器である。一応2、3戦目のナイトメアスネークには気持ちよくダメージを与えられる。 + ゼロ関連 ゼロの必殺技の中で、旋墜斬と氷狼牙は操作に慣れないと暴発する事が非常に多い。 特に旋墜斬(無敵状態になり地面に触れるまで斜め下に滑空し続ける空中攻撃技)に関しては慣れても暴発しやすく、かつ非常に危険である。 ロープに掴まる操作が「空中で上キー」なのだが、旋墜斬のコマンドも「空中で上キー+通常攻撃ボタン」であるせいで、ロープ移動中の暴発率が非常に高い。「ロープで移動する必要のある場所=だいたい地面の抜けている場所」であるうえ、技動作中はキャンセルも不可で地面に触れるまで滑空し続けるので、暴発したら最後、かなりの場所で何も出来ず墜落死が確定する。このため、事故死専用技とも呼ばれネタにされる。 誤解を招かぬよう補足しておくが、暴発さえしなければ旋墜斬自体の性能は悪くない。降下中は無敵で着地時の斬撃も威力が高く、同じく下方への攻撃手段となる落鋼刃とも十分使い分けていける。 一応、先述のようにこの必殺技を修得しなくてもクリア可能であるうえ、通常攻撃ボタンを使用しない攻撃手段がある(ヤンマーオプションや円水斬など)のが救いか。 完全に余談だがこの技、ゼロがゲスト出演した格ゲー『タツノコvsカプコン』『MARVEL vs Capcom 3』でも採用されている。性能も無敵は無いが原作通り斜め下への急降下技。暴発して墜落死する心配が無いのでX6本編より使いやすい。 前作まではしなるようなエフェクトであったセイバーが、今作で棒のように硬いエフェクトになったことには賛否両論。演出面で弱体化したとも、刀身がしっかりした分攻撃範囲が見やすくなったとも言われる。 エックスがやたらセイバーを使用する攻撃が多いあたりから察するに、最初はゼロをプレイヤーキャラとして採用する予定が無かったのかバグや調整不足が目立つが、その一方で前作でほぼ変わらなかった攻撃モーションと必殺技が一新され、ニュートラル状態や帰投時のポーズも新しく描き下ろされており、使用時の爽快感を削ぐ事無く、且つマンネリを打破することに成功している。 上下に範囲が大きくなったコンボの3段目やジャンプ斬り、初期から2段ジャンプ、回転斬りが使用できるなど基本アクションの使い勝手がいくつか向上している。 素直な技が少なく、「力でなく技で倒す」と言ったようなスマート且つトリッキーな技が多いことも今作の特徴と言える。 前作でお荷物だったゼットバスターは、発射時とフォロースルーの硬直が非常に短くなる/至近距離で当てた場合は複数回ヒットして威力上昇/強化パーツ「バスタープラス」で威力上乗せ可能、と性能が大幅に見直されて利用価値が格段に上がった。 使用出来るのが地上のみ、使用時に足を止めるために移動しながら撃てない点はそのままだが、硬直時間の削減により連射感覚が非常に短くなり、元々の威力がエックスの通常ショットより高いために連射感覚と時間規模の火力では局所的にエックスを上回る形に(*12)。 ボスに対しても有効。中でも後述の理由から弱点武器を当てられないレイニー・タートロイドとの戦いでは、セイバーで甲羅のクリスタルを破壊してからゼットバスターを連射するのが最適解となるほど。 難易度の高いステージ構成 あまりの粗いステージ構成により高難易度というより理不尽とまで言われることが多い。 初見ではかなり高難度であるため、作りこみの甘さなども相まって理不尽さを感じる事が多い。 癖の強いステージギミックが至る所に設置されている上、ステージによっては即死トラップや敵の配置もゲームレベルによってはかなり意地悪い。 特にロックマンシリーズの即死トラップの代表ともいえる「トゲ」の多さはもはや語り草になっており、後述のナイトメアウィルスと併せてある意味この作品の象徴となっている。 このため「ステージを駆け抜ける爽快感が無い」という意見がある。 大抵どのステージも雑魚敵の攻撃が異常に激しい、更に無駄に耐久力があったり、ガードしていたりする。特に今作のメインの敵と言えるナイトメア・ウィルスは本体・敵弾共に地形を無視し(*13)、撃破後に出現するコアを回収するか2回撃破しないと復活し、前述の救助を求めているレプリロイドを死亡させる敵であり、非常に厄介である。見た目より食らい判定も小さく、触手部分には食らい判定がない。そのため、特にエックスのチャージショットが非常に当てづらい。 その一方で、「歯ごたえがある」「本家ロックマンを彷彿させる」と好意的に捉えているプレイヤーも存在する。 よくやり玉に挙げられる、プレス機も前作の「釣り天井」や「マグマ」に比べて開閉のタイミングが早く、ナイトメアスネークの強制スクロールも素早く倒してしまえばすぐに解除されるため、難易度は相当高いが自身のプレイ次第で素早く進める作りになっている。 今作では前作や次回作のようなほぼ1ステージ丸々強制スクロールというステージが存在しない。 また『X5』や『X7』と違い、システム的にテンポを削がれる要素が少ない(*14)ので数回プレイを重ねて慣れれば快適にプレイが可能。 ゲームレベルを3段階に調節できるので、「やさしい」からスタートすれば難易度はかなり緩和できる。 ただし選択したキャラによっては進行が不可能になってしまう状況に陥ってしまう要素があり、そちらは問題点として後述。 + ステージ詳細 アマゾンエリア 倒しても復活してしまうカマキリ型の敵「ナイトメア・インセクト」が発生している。ボスはコマンダー・ヤンマーク。 地形貫通、追尾性能付きのブーメランを打ち出してくるナイトメアインセクトが厄介。移動はしないものの密集して配置されている事が多くリンチに遭いやすい。 それ以上に問題なのが対処方法。復活を防ぐにはこのステージのボスの武器を使わなければいけないのである。尤も、これはナイトメア現象の(厳密にいえば、エックス側が対処できる「ナイトメアS」の)共通事項ではある。 アナザーの詰み要素に関しては後述。 イナミテンプル 酸性雨で少量のダメージを受け続けるナイトメア現象「ナイトメア・レイン」が発生。ボスはレイニー・タートロイド。 体力を少しずつ減少させるナイトメアレインを止めるため、酸性雨発生装置を破壊しつつ先へ進んでいくステージ。しかし装置はバリアに守られている為、まずはマップに数個配置されているバリアコアを探し出して破壊しなければならない。そして酸性雨の発生エリアには体力回復装置も点在しており、つまり「継続ダメージエリア内を、これで体力を回復しながらウロウロしろ」という設計。 ステージ全体にモンバンドという体力が非常に高くすぐに防御態勢をとるメカニロイドが大量に配置されているため、序盤火力不足のエックスではかなりキツい。 終盤とアナザーエリアは広大なマップに数個配置されているコアを、レインの体力減少を受けつつ、大量のモンバンドとバットンボーン、トゲトラップを搔い潜りながら探さなくてはならない。さらにこのステージは悪名高い、ナイトメアダークorナイトメアミラーが発生するため相当キツい。しかしここにはハイパーダッシュのパーツ持ちのレスキューがいるため、一度は訪れなければならないだろう。 マグマエリア 巨大な蛇型メカニロイド「ナイトメア・スネーク」と地面から襲い来る「ナイトメア・マグマ」の二つの現象が発生しているステージ。ボスはブレイズ・ヒートニックス。 ナイトメアスネークとは5回も戦わなくてはならない。しかもこいつらは戦う部屋の構造がそれぞれ違うだけで本人たちの性能は全て同じ。倒すには4箇所あるコアを破壊すればいいのだが、全体がとても大きい上にコアが4つとも離れ離れに付いているため、キャラを大きく動かす必要があり大変。アニメパターンも1種類しかなく(移動時はポーズそのままでスライドする)、性能もただ硬いだけなのでまともに戦っていては爽快感はない。 特に4体目は下からせり上がってくる即死マグマから逃げながらの強制スクロールで、下の2箇所は攻撃を当てるタイミングもシビアなので、全体攻撃ができる特殊武器でもないと時間ばかり浪費する。正に作業ゲー。そしてそのマグマは画面の約半分を覆っており強制スクロールと相まって、キャラを動かせるスペースがほとんどない。こうなると無敵状態で全体攻撃ができるファルコンアーマーやゼロ(こちらはミジニオン撃破後前提)に頼るしかない。 更にこいつら以外にこのステージにはナイトメアウィルスしか雑魚敵が登場しない。登場頻度も多くなく、かなり殺風景。 ナイトメアスネークの影に隠れがちだが、前作にもあった火炎放射のギミックが今作でも採用されている箇所があり、こちらも相変わらず大量の待ち時間が発生してイライラする。今作では待ってる間にもナイトメアウィルスが弾を打ってくるので煩わしい。 アナザーエリアの火炎放射はゲームテンポを害さないくらいの放射感覚になっている。なぜ本エリアでもこっちを採用しなかったのか。 ステージ背景やギミックのマグマが紫色で全くマグマに見えない。実物ではなくナイトメア現象によるもの故か。ちなみに、秘密研究所にはちゃんとオレンジのマグマが登場する。 セントラルミュージアム ランダムで地形が変化する「ナイトメア・ランダム」の発生している博物館。ボスはグランド・スカラビッチ。 各所をふさぐ4つの転送装置によって、毎回ランダムなエリアに飛ばされるステージ(*15)。このギミックにより、難易度の上下が著しく激しい。特に下から上へ昇る構成のエリアは共通して非常に難易度が高い。 しかも、飛ばされた先の空間も足場や壁やブロックの位置が数パターンあり、リトライするたびに形状が微妙に変化、まさにランダム。エアダッシュが使用できないノーマルエックスやシャドーアーマーは、特定のパーツを付けていないと進行不可能となる組み合わせすら存在する。 出現する雑魚はナイトメアウィルスのみで、しかも難易度「むずかしい」の場合には全エリアに凄まじい数のナイトメアウィルスが配置される。4体が上下左右に固まりながら一斉に弾を打ってくる様は敵ながら圧巻である。 クリアだけならそれでも問題無いと言えるのだが、レスキュー対象やアナザールートへの分岐点がランダムエリア内に組み込まれているため、全てのアイテムが欲しい場合は何度もステージに入らなければならない事が往々にある。 北極エリア 「ナイトメア・アイス」が発生しており、断続的に氷塊が降ってくる。ボスはブリザード・ヴォルファング。 前半は、坂道や縦穴を滑り落ちる氷塊を退避場所を利用しつつ進む。しかしステージ攻略順によっては自機目がけて突進してくるナイトメアS「ナイトメア・ミラー」が発生。退避場所にも構わず突っ込んでくるため状況によってはほぼ回避不能、特殊武器で対処ができることを知らないと確実にダメージを受ける。 ステージ後半では上から『テトリス』のように氷ブロックが1個ずつ積み上げられ、その氷の上に乗って縦穴を登っていくのだが、この氷の落ちる位置が完全にランダムなので脱出不可能になる事がある。氷に押しつぶされた場合も大ダメージ(その際氷は破壊される)、一度積まれた氷は破壊不能という極悪仕様。 氷ブロックは1個分しか飛び超えられないほど大きく、更にその側面を壁蹴りできない(この空間に限らずこのエリア全体の仕様)ため左右に2個以上氷を積み上げられた時点で基本的に脱出不可能となる。その状態で頭上から氷が降ってきて押しつぶされた場合は大ダメージではなく即死。そうならないためにも、左右に2ブロック以上積まれそうになったらわざと氷に挟まれて、大ダメージと引き換えに氷を破壊して仕切り直しにするというマゾプレイを要求されたりする。 一応、機動力のカスタマイズなどで対策自体は可能であり、ステージの最初でもエイリアが「ハイジャンプパーツがあるといいかも?」と言ってくる…のだが、当のハイジャンプパーツがあるのはこのステージのアナザーエリア。さらに、特定のナイトメアSを起こさなければアナザーエリアに辿り付くことすらできず、辿り付いたとしても基本的にはシャドーアーマーかここのボスの特殊武器がないと対象レプリロイドを救出できない仕様(*16)。誰も気が付かなかったのだろうか? そして、最後の問題が二つ目のテトリスエリア。先ほどのエリアと似たような仕掛けだが、ここではブロック5個分の幅を持つ穴に対してブロックが4個ずつ横一列に降ってくる。当然ブロック1個分の隙間を登っていく事になるのだが(そしてこの隙間の位置もランダム)、困った事にこの隙間は他4個のブロックが着地した瞬間に凍結する。つまり、凍結時まで隙間に留まっていると即死してしまう。 なのでブロックが着地する前に上に乗らなければならないのだが、前述のようにブロックが大きすぎるためジャンプが早すぎるとブロックの上に届かない。結果、ブロックが着地する瞬間を狙ってジャンプしなければならないという想像以上にシビアなタイミングが要求される事になってしまった。 ただし、この2種のテトリスエリアはブレード シャドーアーマー及びゼロなら比較的に簡単に昇って行けるため、ノーマルエックス・ファルコンアーマー使用時の問題である。 これに加えてステージの地面が全て凍っているため操作を誤りやすく、更に壁に張り付くこともできない。針地帯や穴に落ちることも気を付けなければならない。 レーザー研究所 このステージのナイトメア現象は、各所にレーザー発生装置とそれを反射するミラーが出現する「ナイトメア・レーザー」。ボスはシールドナー・シェルダン。 ナイトメア・レーザーを鏡で反射させ、扉に当てて通路を開く仕掛けのステージ。一部の鏡は攻撃を当てると角度を変えることができる。 2Dアクションのパズルとしてはよくあるものではあるのだが、Xシリーズがこういった仕掛けをほとんど使わない作品であるため場違い感が強い。そもそもキャラクターのアクションもこういったパズル用に最適化されたものではないので微調整が難しい。部屋が狭くてダッシュもろくにできず、レーザーの先端及び反射している部分にはダメージ判定があるのも厄介。 このステージにはガーディアン(前面に盾の付いたメカニロイド)が大量に配置されているが、エックスでは同じ高さの配置の場合はしゃがまないとバスターが当たらない。レーザー射出とガーディアンの盾が開くのをしゃがみながら待たなければならないので非常にテンポが悪い。また立っていてもしゃがんでも当たらない微妙な高さに配置された物もあり、仕方なくセイバーを振ると鏡も巻き込んでしまい角度が変わってしまったりするので非常にイライラする。 また表ルートのボス部屋までの道のりが不自然なくらいに短い。前述のレーザー地帯で手間を食う事を踏まえても、初見では「え? もう?」と戸惑うほどあっさりボス部屋に到着してしまうことも逆に問題。アナザーエリアの入り口とボス部屋の入り口の位置を逆にするだけで、それなりにバランスがとれる気もするのだが…。 一方アナザールートの道のりは普通だが、ロープ+トゲ+落とし穴+ナイトメアウィルスの4重苦。 兵器開発所 「ナイトメア・イルミナ」によって、廃棄された巨大ロボ「ビッグ・ジ・イルミナ」が動き出した。ボスはインフィニティ―・ミジニオン。 シェルダンステージと違い、こちらは表ルートどころかアナザールートすら短い。その反面敵の密度は本作屈指となっている。縦に広い範囲を5連隊でゆっくりと突撃 それぞれが自機狙いショットを放ってくる雑魚「グループジェット」と、画面奥に鎮座する中ボス「ビッグ・ジ・イルミナ」の鬼のような集中砲火と回避困難な連携で存分に可愛がられることになる。勿論ナイトメアウィルスもそこかしこに。ヒートニックスステージを先にプレイしていた場合、ここに更にナイトメアファイアまでもが加わる事に…。弾幕アクションゲーの極みである。 イルミナは動力コアを破壊する中ボス戦が2回設けられており、1戦目から2戦目の合間のステージ進行中はただでさえ上記の鬼連携がキツイのに加え、この上更に3機の「サーチビット」を展開し、自キャラを捕捉すると3方向から自キャラを中心に交わるレーザーの脅威まで常に加わる事になる。サーチビット自体は破壊可能なのでレーザーの本数を減らせるのが救い。 イルミナ2戦目では設置されたレーザーユニットによるレーザーとサーチビットでの猛火が組み合わさり、「お前はシグマか!?」と言いたくなるような激しい攻撃を仕掛けてくる。この2戦目ではサーチビットを全て破壊しても一定時間後に新たなビットが再展開されるおまけつき。すべて避けられる人は相当な猛者と思われる。ただ、コア自体は無敵時間を一切持ち合わせていないので、セイバー系攻撃や一部のチャージ特殊武器で瞬殺できるのが救い。 アナザールートは床の抜けた場所でのロープギミックだらけであるため、ゼロでは下記の「旋墜斬」が暴発して事故死しやすい。エックスであってもエアダッシュやマッハダッシュでロープを掴めるポイントまでダッシュする際の位置調整が難しく、常時落下死の危険性を伴う。 リサイクル研究所 ナイトメア現象「ナイトメア・プレス」により天井からプレスが迫ってくる。最終的にはベルトコンベアまでもが勝手に動きだす。ボスはメタルシャーク・プレイヤー。 8ステージで最も輪をかけて難しく、スタート地点からボス手前、挙句中ボスとの戦闘中にまでプレスギミックによる即死の危険性がつきまとう。 これにあわせてベルトコンベア、トゲ、ナイトメアSの影響で凍っている地面も仲良く牙を剥く。中盤やアナザールートに配置されるナイトメアキューブもかなりキツい。 しかも狭い隙間でしゃがみを解除しただけで即圧死扱いにされる理不尽仕様と相まって、イージーミスでの死亡率もトップクラス。しゃがんでプレス機をやり過ごしている最中に敵の攻撃を受けると、のけ反ることによりしゃがみ判定が強制解除されて即死。特殊武器は極一部を除いて立ち状態で発動するため、攻撃さえ出来ないまま圧死となる事も多々。もちろん爽快感などない。 難易度「むずかしい」の場合は中ボス直前に固定型のナイトメアウィルスがおり、凸凹の地形と相まって突破が困難。しかも付近にはパーツ所持のレプリロイドまでいる始末。 一応序盤とアナザールートでは、ライドアーマーをつっかえ棒代わりに放置することでプレス機の下降を食い止めることが可能…と言うか、搭乗して少し進んだだけでライドアーマーでは飛び越えられない地形に阻まれるので、今作でライドアーマーを純粋に戦闘に活用できるポイントは皆無で、半ばそれを強要される。逆に言えば、それ以外の場所は自力で攻略しなければならない。ここまで来ると純粋にプレイヤーの技量が問われる。 後半エリアに入る直前やアナザーエリア直前には、プレス機で潰される高さの場所を長距離ダッシュで駆け抜けなければならない箇所があるが、難易度「むずかしい」の場合は更に中間あたりにナイトメアウイルスが配置されており、シャドーアーマーやゼロの場合は先に倒しておくことが難しく、ダメージ覚悟で突破するのも運に左右されがち。ここでミスした場合、コンティニューポイントから非常に遠い為、非常にツラい。さらに抜けた先にも一部パーツや特殊武器が必須な大穴が待ち構えており、所持していない状態でここに来ると進退窮まり、詰む。 秘密研究所ステージ2では前半(ハイマックス)、後半(ゲイト)ステージの連続になるのだが…。 後半ではエックスかゼロでステージの内容が変わるのだが、エックスの場合はナイトメアレイン地帯の途中で通常のダッシュジャンプでは届かない箇所がある。これに関しては後述。 ゼロの場合はメタルシャークステージ同様のプレスギミック。悪夢再び。 道中でプレス機を落とし穴の側面に張り付いてやり過ごさなければならない状況にも拘らずグループジェットが飛んでくるという箇所がある。ヤンマーオプション等で最低限防御できるが、ノーダメで抜けるには運が絡む。 + 難解なギミックにさらに追い打ちをかける「ナイトメアS」 何処かのステージへ入った後にステージセレクト画面に戻ると、そのステージに対応した特定のステージが赤く表示される。この赤い表示のステージには、普通では見られない仕掛けや敵が出現する「ナイトメアS(サラウンド)」が発生している。厄介になることもあるが、これを利用しないと行けない場所もあるため攻略の助けとなる部分もある。 …と説明書には書かれているのだが、実際には赤い表示が消えたステージにもナイトメアSが発生し続けており、そのステージで起こり得る他のナイトメアSで上書きしない限り消えることはない。つまり、一度ナイトメアSが発生したステージでは常に何かしらのナイトメアSが発生している。 また、本来のステージセレクト画面では未クリアステージはカラーで、クリア済ステージはモノクロで表示されるが、ナイトメアSの発生を示す赤色が異様に濃いため、ナイトメアS発生中のステージをクリアしたかどうかが一目で分からない。 ステージ本来のギミックも厄介だが、こちらもナイトメアの名に恥じないいやらしさ。小型の虫メカがプレイヤーの一定の距離を飛び回る「ナイトメア・バグ」、画面が暗くなり視界を狭める「ナイトメア・ダーク」、ゼロの幻影(操作キャラがゼロならエックスの幻影)がこちらに突進してくる「ナイトメア・ミラー」、北極だろうと関係なく火山弾が降り注ぐ「ナイトメア・ファイア」等、まさに悪夢のような光景が広がる。 これらの現象の内、当たり判定があるものに関しては「そのナイトメアSの元となったエリアのボスの武器」を当てれば破壊することができる。これを知っているか否かでステージの難易度は大きく変わる。 良くも悪くも個性の強いボスキャラたち 全体的にステージ難易度が高い反面、ボスは調整されたレベル制の影響とゴリ押しで勝ててしまう調整の為、簡単に勝ててしまうものが多い。 回避不能、困難なパターンやゴリ押しで勝てるバランスなどを許容出来るかで評価が変わる。 真っ向から攻略しようと思うと非常に撃破困難ボスが何体も存在するため、「正攻法はライフ強化・サブタンクを用意した上でのゴリ押しだ」などと一部のプレイヤーから皮肉られる事がある。 特に約一体、どうやっても強化パーツなしでは回避不可な攻撃パターンを持っているボスがいることは批判されている。 過去作にもパターン化が困難でサブタンク使用による消耗戦を前提としたボスとして『X2』のバイオレン第2形態が存在する。だがこれは容量不足で真のバイオレン第2形態を入れられなかった弊害でもある。裏を返せばここまでのシリーズを通してもバイオレン第2形態しか存在しない。本来Xシリーズはパターンを憶えて操作を的確に行えばノーダメージでクリアできるゲームであり、今作のボスの攻撃パターンは異様だと感じやすい。 同じ高難易度であっても『ロクゼロ』シリーズと違い、いまいち製作者の意図を感じ取りにくい調整であることも、好みが分かれるところではある。 また8ボスには公式の二つ名が設定されていないのが残念。『X1』から『X8』まで通してボスに二つ名が無いのは今作のみ。 逆にこれらボスと戦う(特に8ボス)のを楽しみにプレイしているプレイヤーも確実に存在する。 ゴリ押しに関してはロックマンシリーズ全体で、仕様やその評価がバラけているため一概にX6のボスがゴリ押し出来ることが悪いとは言えない(*17)。 機動力の低いボスが大半を占め、更にタートロイド、シェルダン、ヴォルファング等は完全に無防備で長時間静止状態になるために集中砲火を狙いやすく瞬殺されがちといった極端に調整不足なものもあるが、ゴリ押しで瞬殺しなければどのボスも攻撃パターンは全体的にバリエーション豊か。ヤンマークの「フォーメーションファイナル」、ヒートニックスの「ゴッドバード」、タートロイドの「天の怒り」「終わりだ!」、ハイマックスの「デスボール」の連発など、極端に回避の難しい攻撃をもつボスも多く非常に手応えがある。 一応リング状に弱点武器が設定されているが、ヴォルファングにガードシェル、タートロイドにメタルアンカーなどボスの特性と特殊武器の性能が噛み合った結果、弱点武器以外の武器がボスに有効だったりすることもある(*18)。 調整不足故とも言えるが製作者の意図していない部分での攻略法を見つけ出すことに快感を覚えられるプレイヤーにはたまらない仕様である。 + ボス詳細 コマンダー・ヤンマーク 「フォーメーション!○○!」と宣言しつつヤンマーオプションを展開、射撃の物量で攻めてくるボス。…だが宣言している間は隙だらけ、かつ体力が低い為このタイミングでトドメを刺されることが多い。ここからついたあだ名は「フォーメーション・ウワァー!」(*19)。 攻撃も殆どが飛び道具一辺倒。さながらシューティングゲームである。一部避けづらい攻撃はあるが、当たった所でダメージは大したことない。 ボスの弱さとは裏腹に手に入る特殊武器は非常に使い勝手が良い。初心者救済目的もあったかもしれないが、それを含めても弱すぎである。前々作のキバトドス、前作のグリズリーもこいつと同レベルの弱さであり、この3体が攻略の起点として意図的に調整されたボスであることはほぼ間違いないだろう。 ある程度体力を低下させるとオプションの数を増やし凄まじい弾幕を張ってくる。この状態になってやっとボスらしい強さになるが、なかなかお目に掛かることはない。 担当声優は藤田圭宣(現:織田圭祐)氏だが、声質が似ているからか、一時期インフィニティ・ミジニオン役を担当した高木渉氏の兼役と噂されていた。 レイニー・タートロイド 「殆どの攻撃を寄せつけない防御力を持つ甲羅」の設定ゆえか、立ちグラフィックが常に背中を向けたまま立って後ろを振り向くような体勢。エックスらとの会話時もこのまま。…エックスのことを尊敬していたらしいが、それならせめて面と向かって話せ。 一応正面を向いたグラフィックは用意してあるのだが、拝めるのは撃破時のみ。よって今まで背を向けていた相手が突然正面に向き直って爆発するという現象が起こる。 攻撃も甲羅からのミサイル連射、左右への体当たり、メテオレインを併用した体当たりが2種類と計4種類しかない。 フォローしておくが、それでも十分強い。難易度「むずかしい」ではメテオレインが上から斜め下に落ちてくるようになり非常に回避が難しくなる。 8ボスとしては珍しく甲羅に付いている2つのコアを両方破壊するか、甲羅の反対側に回り込んで攻撃しなければ本体にダメージを与えられない仕様になっている。 なお弱点武器であるゼロの「氷狼牙」(大ジャンプして天井に貼りつき、そこからダッシュや氷弾による攻撃ができる技)は、ステージの天井が高すぎて使えない。『X4』のウェブ・スパイダスといい、何故ゼロの武器はいつも…。 グランド・スカラビッチ モデルになったフンコロガシよろしく、岩を転がして押し付けたり蹴り飛ばしたりする。押し付けるふりをして立ち止まったり、岩を盾にしてバスターを撃ってきたりとなかなか卑怯な戦い方。 岩が小さい内はまだいいが、戦闘が進むにつれてだんだん岩が大きくなり、最終的には画面を半分近く覆いつくすほどの巨大な岩が追加され、それにつれてダメージも未強化の状態では即死するほどに増大するため油断は出来ない。 しかしそれ以外の攻撃をしてこないので拍子抜けするほど弱く、そしておざなり。適当にジャンプして戦っていれば勝てる。 難易度を「むずかしい」にした時のみ破壊不可能な岩なども追加される。 メタルシャーク・プレイヤー 行動自体は鉄クズの中泳ぐ等それなりに鮫っぽくはある。アルゴリズムも本作のボスの中では比較的マトモな部類。また、過去のXシリーズに登場したボスを復活させて攻撃させるという、一種のファンサービス的な必殺技も使う。エックスかゼロ、難易度によって復活させるボスが変化するなど芸が細かい点も評価されている。 余談だが何故かこの敵だけはXシリーズにおけるボス名表記(「ボスの特徴(属性)・モデルとなった生物」)の順序が逆になっている。 シールドナー・シェルダン 巨大なシールドを装備した二枚貝型レプリロイド。多彩な攻撃手段を持ち、動きも中々優秀なため、戦っていて楽しい部類のボスである。しかしLVの低いうちは低い体力がそれらを台無しにしており、ダメージ覚悟のごり押しでどうとでもなってしまう。 殻2枚を投げつける動作があるが、殻の戻りが遅いうえに本人はノーガードでぼーっと突っ立ってるだけ。この動作の隙が大きすぎるのもすぐ終わってしまう所以になっている。 ブリザード・ヴォルファング 狼型のレプリロイドらしく素早い動きで動き回り、突進攻撃や氷塊を撃ちだす「アイスバースト」を繰り出してくる。これだけ見ると隙のない強敵に思えるが…。 「アイスバースト」を使用している間は移動を止めてしまい完全に無防備になる。さらに、「アイスバースト」は硬直時間が長い上に連続で発射してくるので呆れるほど隙だらけ。動きが止まっているときを狙って攻撃していれば楽勝である。アイスバースト以外のアルゴリズムが良いだけに、上記シェルダン同様残念でもある。 ブレイズ・ヒートニックス モデルは不死鳥。イラストでは大きく翼を広げたポージングでなかなか迫力があるのだが、ドットは妙に小ぢんまりとしており、あまりカッコよくないとよく言われる。 粗暴そうなキャラクター性に反し、マップの半分を覆う「マグマストリーム」でこちらの行動を制限し、マグマの中を潜行しての体当たりや飛び道具で攻撃…というクレバーだがねちっこくて嫌らしい戦法で戦う。また、体力が減ると高威力の体当たり攻撃「ゴッドバード」を使用する。 エイリアから「高い能力を持っていた」と解説されており、本人も「最強のオレさま」と名乗るなど強さが強調されている通り、全体的に回避しにくい攻撃が多く、かなり手ごわい部類のボス。さすがにミジニオンやナイトメアマザーほど理不尽な強さではないが、「最強」を自称するに恥じない程度の威厳は保っていると言えるだろう。 しかし、他のボスと比較して障害物が多いボス部屋の構成やマグマで行動範囲を制限させて攻撃が変わるその挙動はどちらかと言えば中ボスのようなものであり、パターン自体も単純で対処しやすいものがほとんど。 以上のことからステージ自体の難易度の高さから彼と戦う時点ではプレイヤー側のスペックや技量が上がっていることも多く、実際の戦闘ではあまり苦戦しないことも多い。スペックの割に報われていないボスと言える。 なぜかゼロのほぼ全ての攻撃で弱点のモーションを取るバグがある(本来の弱点武器は旋墜斬なのだが、性能的に激突は免れない)。 ダイナモ エックス達のナイトメアソウルを奪おうと隠しエリアに登場する。ナイトメアソウルを吸収して自身を強化したらしく、前作よりそこそこ強くなっている。だが弱点武器を当てると1つ200個分ナイトメアソウルを1戦につき3個まで落とす上、何度でも戦えるので専ら稼ぎボスと化している。 ハイマックス 偶然発見されたゼロのDNAを元に生み出された高性能レプリロイド。OPステージで早々に姿を見せ、強靭なボディでエックスを苦しめる強大な敵として幾度も立ちはだかるのだが…。 特殊武器さえ使えればハメパターン化が可能。そのうえ耐久力だけは無駄に高いので壮絶な作業ゲーと化す。 秘密研究所での戦いでは特殊条件を満たすと普通にダメージを与えられる代わりに行動が凶悪化し、巨大な球「デスボール」をガンガン連発してくる。しかもプレイヤーの攻撃がヒットすると分裂し、ますます避けづらいものに。 詰み要素については後述。 ゲイト ハイマックスの開発者であり、今回の事件の首謀者。ハイマックスの次に戦う事になる…が、こいつもこいつでハイマックス以上に面倒臭い。 こちらの攻撃は一切効かず、敵の撃つ球を破壊して分裂させ、それをゲイトに当てて初めてダメージとなるのだが、問題は球の性質。破壊した時左右に3WAYで分裂するため、考えなしに戦うと自分まで被弾してしまう。 肝心の与えられるダメージ量も抑え目で、本人の攻撃パターンが少ないこともあり、作業ゲー感をいっそう高める原因に。長時間球を撃たずにただ体当たりを続けるだけの時もあるので無駄にイライラさせられる。 しかもステージは足場となる物が壁以外には6個の小さなブロックしか無く、踏み外せば当然落下死。おまけにゲイト体力が少なくなるとブロックを破壊する技を使う上、一定時間経過してブロックが復活する際にプレイヤーが重なると即死(あまり起こらない事ではあるが)。ただでさえ短期決戦で臨めないボスなのに、常に即死の危険に晒されるため強いというよりしんどい。 シグマ (特に第1形態が)シリーズ最弱と言われることが多いが、これは設定の上でも「復活直後のために息は絶え絶えで、言葉もまともに話せないような瀕死に近い状態」とされているため、それを考慮して意図的に弱く調整している可能性もある。 第2形態は回避困難な激しい攻撃を繰り出してくるが、ボスが本来持っている“多段攻撃を受けた際の無敵時間”がないため、シャドーアーマーの円月輪やゼロの通常攻撃であっさりと沈んでしまう。一応それらを封印する縛りプレイならなかなかの強さを誇るが…。 ナイトメアマザーやハイマックス、ゲイトと違い、待ち時間が少なく殺るか殺られるかなので、ストレスが溜まらないことはある意味救い。 また以下に記述する8大ボスの1体であるインフィニティー・ミジニオンと、秘密研究所ステージ1のボスであるナイトメアマザーはかなりのストレスとなりうる。多くのプレイヤー達からは「シリーズ屈指の強敵」とも言われている。 インフィニティー・ミジニオン 一定ダメージを受ける度に分裂し、偽者は「ルシファラーゼ」という泡をひたすら吐き続ける。このルシファラーゼが実に酷いもので、生み出された偽者共々やたらめったら耐久力が高い。お前のような泡があるか! 弱点武器で叩けば両方とも破壊は容易だが、ミジニオン自体は弱点武器かセイバーを食らっただけで分裂する特徴があるため、立ち回り方が悪いと画面中が泡とミジニオンズでひしめく地獄絵図に。しかもその武器のチャージ攻撃が非常に使い辛く、圧倒的物量で攻め立てるボスを相手とするには分が悪い。 更に一定条件を満たすとライフが一定量回復する。ただし、条件自体が「バスターの通常弾をチマチマ当て続ける」という殆ど気づかれない内容なので滅多に拝めない。 一応ナイトメアマザーと違い、エックスではチャージヤンマーオプションで特攻したりチャージマグマブレード使いこちらも物量で攻めたりすれば簡単に勝てる。また裏技ではあるが今作では影が薄いアルティメットアーマーのノヴァストライクを連発すれば簡単に勝てるという、今作では数少ない相手でもある。 ゼロはヤンマーオプション+ゼットバスターを連射することが最もお手軽な対策。ヘタに飛んで斬りかかるより、降りてくるまで待ってたほうがラク。オーバードライブを使うのも手。 斬ると分裂するという特性上、シャドーアーマーにとっては最大のライバルとなりうる。 ナイトメアマザー 本作で最も問題のボスで、運ゲーの要素すら含んでいる。一応最高難度且つノーマルエックスでのノーダメージ撃破も理論上は可能だが、ほんの一握りの人間にしか出来ない凶悪さ加減。 そのノーダメージも、とあるパーツを装着しないと無理。パーツを装着せず挑んだらリンチされること請け合い。 具体的にはデカイ図体のくせに動きが早く、それが2体セットで部屋をぐるぐる回り、しかもロックマン伝統のデビル系よろしく攻撃時にしかダメージを与えられない、というもの。動きが止まると属性攻撃を仕掛けてくるのだが、もとが嫌らしい性能なうえに一度に2つの属性を組み合わせるため、内容次第では回避不可能に近い状況に追い込まれることもままある。 例を挙げると「炎+水」。それぞれ炎は「着弾すると床一面が炎の海になる火の玉」、水は「自機を狙って飛来し、着弾すると、壁・床を這うように移動する水の弾」という内容なのだが、単体でさえ対処が辛いこの攻撃をよりによって複合させてくるのだからたまったものではない。 炎には「打ち上げられた火球がかなりの密度で降り注ぐ」という上記とは別のパターンがあるが、動けるスペースが狭い上に降って来るスピードも速いため、全てを回避するのは非常に困難。 他にも雷の「移動中ノーモーションから電撃を落とす雷の球」は、これ単独でもナイトメアマザーの運ゲーぶりを決定付けていると言ってもいい。 また、タチの悪いことにギガアタックなどの無敵時間のある技を使用すると攻撃中の動作を一時停止するという特徴があり、無敵時間が終わった途端、それを待っていたと言わんばかりに攻撃を再開するために回避困難な攻撃をギガアタックで凌ぐということはできない。無敵時間による安易な回避は許さないと言わんばかりのあまりに意地悪すぎる仕様となっている。 一時停止するということはギガアタックを長時間当てやすくなることでもあるが、シャドーアーマーのギガアタックでも無ければ大ダメージは期待できないし、位置によっては当てることさえ困難。 例外としてゼロの旋墜斬に対しては一時停止をしないものの、無敵時間が終わった頃には着地時の硬直時には攻撃に当たっているのがほとんどなので、回避としては役に立たない。 多くのプレイヤーがナイトメアマザーの前に屈したとも言われている。悪夢の母(ナイトメアマザー)という名も伊達ではない。 シナリオ、演出、ストーリーの設定や素材 前作との繋ぎの関係については問題点にて記述 一応荒廃した舞台という、ストーリーの素材そのものは悪くなかったという意見もある。 バイオハザードのゾンビやガナードの如くやたらめったら各エリアに跋扈するナイトメアウィルスとそれに反して数の少ないメカニロイド達、氷雪に覆われた厳寒地で火の玉が降ってくるなどの常識では考えられないような現象(ナイトメア現象)が各地で発生している等、荒廃した世界を感じさせるに事欠かない演出。 前作に登場したタクシーのような動きのあるものや植物のようなメカニロイド達は通常のステージには一切登場せず、オープニングステージだけを見ても小型のもの、半壊したもの、異様に硬いものなど残るべくして残ったようなメカニロイドしか存在しない。 黒幕のゲイトが潜む秘密研究所では侵入者に対する防衛用のメカニロイドが大量に配置されていることに加えて、氷の足場でマグマがせり上がってくるという異常な現象が起きる為、X6の集大成と呼ぶに相応しいステージとなっている。 + ネタバレ有詳細 ゼロ謎のハンター復活イベントのあまりに唐突で強引な展開(通称:おべんとう)は、一部で有名かつある意味では人気が高く、ネタにされている。 実はこの件、ゲーム内で(ある程度だが)フォローはされている。が、その場面が何故か「特定のパーツ回収時」という非常に分かり難い場所になっており、解釈もユーザーに委ねている。 上記のイベントを見ると、例の問題発言「ダメージが回復するまで、身を隠してた」の解釈が変わってくる。 一応黒幕であるゲイトに関して。 天才科学者でエイリアの元同僚。かつてレプリロイド開発で名を馳せたが、彼の傲慢な性格と、彼の開発したレプリロイド達は高性能すぎて解析できないものばかりでその研究は理解されず孤立していた。そして自己顕示・世間への復讐と新兵器の実験のために今回の事件を起こした…という設定。 ここまでは本家ロックマンシリーズのワイリーと共通した部分が多い。今回の敵「ナイトメア調査団」を構成する8ボス達も全員純ゲイト製のレプリロイドである(*20)。 8ボスの設定、会話は過去に無く悲しいものばかり故に感情移入できる者も多く、それだけにこれを活かしきれず質を落としてしまったのは惜しい。と言うのもゲイトの部下達は何らかの形で一度死んでおり、ゲイトを嫌う何者かの策謀で秘密裏に処分された者や、性能・事件に関連して言いがかりを付けられた挙句自害した者など、基本的に報われない最期を遂げたものが殆ど。 しかもヴォルファングの処分を実行したのはエイリア。勿論これもゲイトを妬む何者かが仕組んだものだが、当人はかなりトラウマになっており、ボス前扉のアドバイスでは言葉を濁している。 エックスやゼロも無関係ではなく、シェルダンの冤罪事件を防げなかったことを事件の担当者として悔やんでいた(*21)。 ただし、物悲しいのはボス選択画面で上にいる4人。残りの下にいる4人は法律違反等、警告を無視して問題行動を起こしたが故の自業自得である。 特にヒートニクスは、ゲイト製レプリロイドの高性能さ故に、能力を過信して他者を蔑ろにし、同僚に多くの被害を出した最大の問題児。処分されても仕方無いことをしでかしている。 またゲイトがコロニーの破片から謎のパーツを発見した時点から、「1週間後」となっているが、ゲイトによる下地はあったとは言え一週間でここまでの状況になったのかというツッコミも。 だがその能力の高さ故に妬まれ、正当な評価を受けられずにいたゲイトの暴走には同情できる余地もある。 その為比較的感情移入しやすい彼の人気は高く、エンディングでエックスが彼に対してとった行動と相まって、彼の再登場を願うファンも多い。 もう1人の黒幕、アイゾックについて ゲーム終盤に、なんの説明もなく退場。死体が発見される場面も取って付けたような感じで挿入される。言動的にDr.ワイリーの意識が引き継がれているかのような思わせぶり(*22)の真相は不明のまま(*23)。 このワイリー関係に関してはシリーズ通してぼかされている事柄なので明確な答えは出ないだろう。 考察によっては「前作でシグマを利用して暗躍していた経緯も考えると、ゲイトにDNAデータを拾わせたのも彼では?」「ゼロが復活したのにDNAデータがそこらに落ちているはずがない」等いろいろと深読みは出来る。 前作と今作でのワイリーが裏で暗躍するシナリオが不評だったのかどうかは解らないが、「X7」では登場しなくなってしまい、いつもの「とある組織が暴走、黒幕はシグマ」という展開に逆戻りしてしまった。 前作では新キャラにもかかわらず大した出番が無かった「ダイナモ」も再び登場すると言う事で少しはキャラの掘り下げが行われるかと思いきや…。 ボスの項で触れたようにアナザーエリアに登場。ゼロナイトメア→ハイマックス→と代替されていったボスが最終的に彼に落ち着いた扱いなので、進め方次第では一度も会う事は無くイベントデモで名前が出てくる事も無い。倒してその後のストーリーが変わる事も無いので、シナリオに関して言えば重要視しなくても特に問題はない。 そのくせ「ナイトメアソウルでパワーアップする」という明確な目的で行動している割にはその件がストーリー展開で回収される事は無く、ソウルによる強化は施しているという伏線だけはしっかり残していくという、煮え切らなさを覚える存在になっている。 キャラクター性は他の誰とも被っていないため活かしようはあった筈だが、特に活かされずそのまま降板、設定的にも『X8』でVAVAに取って代わられてしまう有様。 X8登場時はVAVA.Vで形式番号は5(Vはローマ数字で5)、その前に登場したX3時はVAVA mk2で形式番号は2である。間の「3」と「4」が空いているが、X8でダイナモが過去に起こした事件がVAVAの仕業とされた結果、X5が「3」、今作X6が「4」となり、形式番号が合致する。 また、ナイトメアソウルという名称はエイリアがハンター内部向けに名付けた仮の名であるはずだが、なぜか彼も普通にその呼称を使う。そしてエックスやゼロは少しも疑問に思わない。 プレイヤー視点では前作で大事件を起こした紛れも無いイレギュラーだが、 エックスは前作のシナリオにおいてユーラシア落下事件の際にダイナモが実行犯であるとの真相を知る事無く事件が終結したため、「ここは危ないから早く逃げろ」「ナイトメアに係わるな」と純粋に退避を促す言動を取っている。 ご丁寧に「逃げるのは得意だろ?」と皮肉も込めて。 それ自体は前作の展開を追っていれば確かに辻褄が合う会話だが、普通の感覚で見た場合にエックスが前作の事件の主犯である存在の詳細を知らないとするのは説明不足と言えるだろう。そもそも前作から4週間という時間があれば何らかの手がかりから足取りを追っていけば何れダイナモの存在に辿り着けそうなものだが… 前作はもともと最終作を想定されて作られたものであり、そんな作品の新キャラに対してこれ以上何かを求めるのは無理があるのでは?という意見もある。また、シリーズ内の固有の名前持ちで戦う敵キャラとして唯一処分されないまま退場した異質な存在として、裏を返せば仮に今後続編が出た場合に再登場する可能性がないとは言い切れない。傭兵という設定故に状況次第では共闘したとしても違和感はなく、そういった点では唯一無二の非常においしい設定を持ちあわせたキャラだったのだが… トドメとばかりに後年、アニバーサリーコレクションが発売された際には「(当時のスタッフは)何を考えていたんでしょうね」とダイナモに関してある種辛辣なコメントを公式が残している。 前作同様エンディングは3種類存在する。エックス編のエンディングは、やり取りが地味に酷い(主にダグラスの所為)。大筋自体は本シリーズとしては珍しく前向きな終わり方をするのだが、それも次作でのエックスの意味不明な行動のせいで話が繋がらなくなっており、台無しに…(この点に関して悪いのは次作なのだが、そのせいでうだつの上がらない印象が強くなってしまった)。 一方ゼロ編のエンディングは『ロックマン ゼロ』への伏線とされているが、公式で明言はしていない。というよりもこのエンディングが作られた所為でロクゼロまで巻き込んだ混乱が生じたりしている。 ボス会話が異様に豊富である。 本作では8ボスの他にもアナザールートで戦うゼロナイトメア、ハイマックス(1)、ダイナモという準ボスもいるが、こいつらについてもしっかりと8ステージ毎にエックスとゼロの差分がついている。 ゼロナイトメアについては条件の都合もあってエックスしか戦えないが、その代わりにステージ毎に豊富な差分が用意されている。中にはゼロの製作者のものと思われるノイズデータも……。また、自分こそゼロであると誤認させてくる場合もあるが、とあるステージでは「ナイトメアにやられてイロが変わってしまったが」とあからさまな嘘をつくこともある。勿論エックスは騙されない。 ただしダイナモについては先述されてる通り、本当にエックスとゼロをおちょくりに来ただけであり、伏線っぽいことを語るが一切回収されない。一応8ステージ×2人分の会話差分を作られてはいるのだから、もっと裏のストーリーについて説明してもらいたかったものである。 攻略の助けになるバグの存在 プレイに支障をきたすような致命的なバグ等は特に存在しないが、「攻略の助けになるバグ」は幾つか存在する。 + 一例 前作・前々作でも可能だったゼロのダッシュキャンセルによる永久連続斬りがモーションが一新されたにも拘らず本作でも相変わらず可能。 余談だがゼロのダッシュキャンセル斬りは3作に渡って使用可能だったこともあって『PROJECT X ZONE』にて採用された。バグでは無く仕様ということなのだろうか? 特殊武器の1つ「ガードシェル」をゼロが装備すると、ゼットセイバーのヒット数が異常に上昇してしまう。これを上記の永久連続斬りと組み合わせると…。 エックスでもダッシュキャンセル斬り、ガードシェルバグは可能。 どちらもゼロと比べてそこまで火力上昇は無いが、ダッシュキャンセル斬りはオープニングステージなどのメタホイールなどを素早く破壊可能。 ガードシェルバグもブレードアーマーのチャージセイバーだけでなく、チャージショットやアルティメットアーマーのプラズマチャージにも効果が発生し、至近距離で当てる必要があるがかなりのヒット数になる。特にブレードアーマーでナイトメアウィルスやモンバンド一撃で倒せるのは大きい。 エックスのみ壁蹴りした直後にセイバーを振って、壁蹴りの反動をなくし素早く壁を昇る「壁セイバー」というテクニックもある。 必殺技の1つ「円水斬」を特定の敵の上で使用、または氷の地面から滑り落ちる直前に使用などでモーションをキャンセルすると、そのステージ中完全無敵になってしまう(*24)。 この効果はステージ内で再度円水斬や旋墜斬、裂光覇を出す、シャッターをくぐる、別の場所にワープする、パーツカプセルでの会話イベントや中ボス出現で強制的にゼロが止まる、の内いずれかを起こすまで継続する。 ブレイズ・ヒートニックスに対してゼロの通常斬りも含めほぼすべての攻撃が弱点になっているというバグもある。 ゼロの旋墜斬は壁や地面に着地した後、スクロールが技を出した方向へ強制的に少し進む仕様があり、TAS動画などでは強制スクロールを意図的に速めたりするのに使用したりするが、一部箇所ではこの仕様により、イベントが先行して発生してしまったり、イベントが発生しなくなってしまう不具合がある。 とあるイベントをスキップ出来て時間短縮にもなる箇所もあるが、場所によっては先に進めなくなってしまい、さらにエスケープ出来ないような状態だとリセットするしかない状況になる場合もある。 またカスタムパーツが最大枠を超えて装着できてしまうバグが発覚しており、近年のRTAでも採用されている。 問題点 進行不可能ルートの存在 一部キャラでは進行不可能となる地帯がいくつか存在する。『X6』の評価を著しく落としている最大最悪の問題点。 + 詳細 最も有名なのは秘密研究所ステージ2の後半。エックスの場合はナイトメアレイン地帯の途中で、大穴の真ん中に大きな壁があり、通常のダッシュジャンプでは届かない地帯がある。 エアダッシュができないノーマルエックスやシャドーアーマーだと進めないように思えるが、「ハイジャンプ」、「ハイパーダッシュ」をつけていればギリギリで届く。しかし相当シビアな操作を要求される。 セントラルミュージアムステージでも、ランダムではあるが一部エリアで上記と同じような地形に遭遇してしまうことがある。 アマゾンエリアのアナザーエリアは非常に短いステージなのだが、エアダッシュが使用できないノーマルエックスやシャドーアーマーはどう足掻いても進行不可能の地形が存在する上、ナイトメアウインド(*25)が発生していた場合はファルコンアーマーやゼロでも進行が非常に困難となる地雷エリア。 リサイクル研究所のアナザーエリア手前には、一部パーツやブレードアーマー、アイスバーストやグランドダッシュなどが必須な大穴が存在し、所持していない状態でここに来ると戻ることも出来ず、詰みとなる。 最終ステージの秘密研究所1は入ってすぐにトゲ付の壁に阻まれるが、これがまた絶妙な高さで、特定の能力(その他の手段)がないといきなり詰む。 とりあえず素のジャンプでは届かないので、具体的にはエックスの場合はハイジャンプパーツ+アイスバーストで作った足場か、シャドーアーマーが必須。ゼロの場合は二段ジャンプかヴォルファングのラーニング技で突破可能だが、前者ではジャンプ高度を調整しないとトゲに引っかかる。隠し要素のアルティメットアーマーならギガクラッシュ利用で越えられるが、それも位置調節に失敗すると奥のトゲに突っ込んで即死。 ハイマックスにダメージを与えるには、エックスならチャージショット後に一部の特殊武器かブレードアーマーのマッハダッシュ、アルティメットアーマーのノヴァストライク、シャドーアーマーなら円月輪でダメージを与えられる。ゼロだと必殺技後に攻撃でダメージが入る。 つまり倒すには特殊武器かブレードアーマー、アルティメットアーマーもしくはシャドーアーマーが絶対に必要。よってこれらがない状態でアナザールートに2回行くと詰む。 無理矢理擁護すると、知っていれば引っかかることはないため、周回プレイにおいては問題とならないことが救い。 一応、特殊武器を用いたテクニックを駆使すれば、強化パーツなしのノーマルエックスで全アナザールートの制覇と全レスキューの回収が可能なことは判明している。 だが明らかに想定外の内容であり、それにより評価を見直すのは難しい。 一部レスキューターゲットの配置 ゲームレベルによってはかなり緩和される問題ではあるが、「ふつう」「むずかしい」ではかなり難しく、初見ではまず救出不可能なレスキューターゲットが存在する。 + 詳細 ゲームレベル「ふつう」「むずかしい」の場合のミジニオンステージのアナザールートは文字通り「悪夢」である。これを全員ノーミスで救出できた人はある意味凄い。 一箇所ではターゲットとウィルスが完全に重なった状態で配置されており、ターゲットを画面上に入れた上で救助に失敗すると、ターゲットはほぼ死亡確定。 このターゲット自体はパーツを持っていないので無視してもいいが、コンプリートを狙っているプレイヤーはリセットするしかない。 セントラルミュージアムのアナザーエリアのレスキューは大きめの高台の奥にウイルスとターゲットが配置されているため、初見で気付いた時点では救助が間に合わず失敗する可能性が高い。 このターゲットはリミットパーツ「オーバードライブ」を持っている重要ターゲットな上、ステージ構成がランダムで、更に地味に避けづらい位置にアナザーエリアへのワープゲートがあるので初見では引っかかりやすい。 マグマエリアのナイトメアスネーク4戦目のマグマの吹き上がる強制スクロールの縦穴にも一箇所ウィルスに襲われる寸前のレスキューがあるが、スクロールで姿が見えたころにはウィルスにやられてしまうので、先読みして助けに行かなくてはならない。 最大の難関はリサイクル研究所後半、中ボス前のレスキュー(「むずかしい」のみ)。プレス機が下りた状態ではしゃがみ姿勢で待機していなければいけない位置にレスキューターゲットとナイトメアウィルスが配置されている。 ウィルスは地形を無視して攻撃、移動が可能だが、自キャラの一部武器や技は発動すると強制的に立ち上がってしまう仕様上、しゃがんだ状態且つ地形を貫通する攻撃手段は非常に限られている。プレス機の動きが止まるギガアタックを利用することを考慮するまでしないとノーミスでの救出は困難。 ちなみにこのターゲットは「セイバーエクステンド」を所持している。 前作からのストーリーの繋ぎ 本作は前作の続編であり「コロニーの破壊には成功したものの、コロニーの爆発(絵的にはどう見ても落下しているが…。ある程度は被害を抑えたという感じか)で地球に多大な被害が出た」という設定になっているが…。 OPムービーではコロニーの破壊に成功したルートからの続きの様に描かれているが、前作でコロニー撃墜に成功している場合の描写は「コロニーが宇宙空間でバラバラになり大気圏内で燃え尽きる」というもの。 また仮に、地球に被害が及んだバッドEDルートと比較しても、ゼロの記憶消去やZセイバー継承の有無といった点の説明が付かず、繋がらない。 そもそも前作のコロニー撃破成功EDでは、ゼロへの思いを馳せながらセイバーを握りしめて出動している3年後のエックスが描かれていたのに今作の出来事は3年後ではなく4週間後。どう考えても繋がらないし繋げられない。 この点は今作ではエックスがゼロと一切接触しないEDが存在するため、「X6」が「X5」シグマとの戦いとEDの3年後の間の話であると解釈出来ないこともない。 なお、資料ではしばしば「3週間後」と明記されておりOPでもはっきりそう言われているが、それはゲイトがコロニーの破片から謎のパーツを発見した時点での話であり、そこからさらに「1週間後」と表示される為、4週間後である。 一応、最終章のはずだった前作から無理矢理続編を作成することに対して腐心しただろうということは理解できるし、「前作のどのEDとも繋がらない、それぞれのEDから美味しいとこ取りをしたストーリーにする」という手法自体はおかしいものではないが、本作に関してはつっこみどころばかりである。 『X7』以降は『X6』のストーリーが前提であるので、これがおそらく正史となる。 稚拙なテキスト ボイスを付けるためにしっかりチェックされたのか、前作より良くなってはいる。しかし、「X4」から相変わらず中途半端にカタカナ、ひらがなや漢字が入り乱れて大変読み辛い。 + ネタバレ有詳細 イベントでの紙芝居時と戦闘前の会話が噛みあっていない部分がある。ゼロナイトメアやシグマが顕著で、シグマは紙芝居時は「今度こそ決着をつける!この先で待っているぞ!」と話すが、いざ目の前に立つと「何しに来た!邪魔だ!失せろ!」と返してくる。 第1形態撃破後の「ごれがるがホンバナだっ」はあまりにも有名。今作の設定で"言葉もまともに話せない"というのはあるものの、どんどん言葉が崩壊していくその様はカリスマ崩壊を通り越して恐怖ですらある。 ちなみに第2形態時と撃破後の台詞は何故か流暢。決めるときはしっかり決めるという事か。 ライト博士が、ゼロとの会話で「きみたち」と呼んだり「おまえら」と呼んだり、ステージごとに口調が安定していない。そしてゼロも博士に敬語を使ったり使わなかったりする。ステージごとにライターが違うのか? 劇中のゲイトとエイリアとの会話。 ゲイト「…君には昔から勝てなかった。君が常にトップだった。」 エイリア「いいえ、あなたの方が何もかも上だったわ。私はただ課題をこなしていただけ。あなたは課題を守らなかった。たったそれだけの事なのよ。」 この後エックスは「どんなに高い能力があっても正しく使われなかったら意味がない。」と言っており、「ロボット三原則に背きかねないような危険な発想の持ち主だった」、「優等生なエイリアと対照的に問題児だったため能力を評価してもらえなかった」など色々解釈はできる。しかし、何かしら比喩であっても「課題」という単語のせいで、言葉通り課題をさぼった学生という情け無いイメージが付きまとうことになってしまった。 エイリアが課題を「こなす」と発言していることから後者だと予想はできるが、せめて「すべき事」「当たり前の事」など匂わせ方は幾らでもある。全体的に稚拙なテキストと相まってどうしても突拍子のない印象を受けてしまう。 また、傷を負ったゲイトのセリフには「グハッ…」「ハーハー…」といった呼吸音(?)などが含まれているが、それがそのままテキスト欄にも書かれている為なんとも間抜けな印象を受ける。そういった息遣いの書き込みは台本にとどめておくもので、表示するものではないのでは…? その他問題点 + 長いので折り畳み UIが不親切 ナイトメアソウル入手数をステージセレクト画面から確認できない。 ステージ攻略時に武器セレクト画面を開けば使用キャラの入手数が確認できるが、2人の入手数を確認するにはセーブ画面を見るしかない。 ライフアップ、エナジーアップの入手総数は武器セレクト画面で確認できるが、エックスとゼロのどちらがどれだけ入手したのかは確認できない。 選択したゲームレベルもゲーム開始以降は相変わらず確認不可。 ナイトメアS発生ステージの表示も、ステージクリア済でもそうでなくてもボスパネルが赤く表示されてしまうため、ぱっと見でそのステージをクリアしてあるのかどうかが分からなくなってしまう。 極め付けに、レスキューにより入手したパーツの効力もゲーム内で説明されない。 ハイジャンプやエックス専用パーツのアルティメットバスターなど、使えば明確に効果が分かるものはいいとしても、ゼロ専用パーツのセイバーエクステンドやリミットパーツのハイパードライブなど、記載された名称だけでは効果が全く分からないもの、特定の状況下でのみ効果を発揮するものなどは性能の把握自体が出来ない。ただしこれに関しては発売当時に購入したプレイヤーの場合はパッケージのディスク収納部分の下に敷き詰める形で裏表紙に全パーツの効力が明記されているため、ゲーム外では確認可能ではある。しかしアーカイブス版でプレイする場合は攻略本・サイトなどで確認するしかない。またこの件に関しては『ロックマンX アニバーサリー コレクション2』でも解決されていない。 今回もエックスは最初から前作のアーマー(ファルコンアーマー)の劣化版を使用していることについて、エイリア曰く「ダッシュとかが不完全」とのことだが、実際に不完全なのはダッシュ以外である。恐らくこの「ダッシュ」はフリームーブの部分の事を伝えたかったのだろうが…。 むしろ、前作では不可能だったエア「ダッシュ」が使用可能になっている。また特殊武器チャージが何故出来るようになっているのかが説明されていない。 これに関しては、前作の説明書で「機動力にパワーを使っているので特殊武器をチャージすることができません。」と説明されているので、フリームーブが無くなった分のパワーを回したと推測することはできる。 各ボスにきちんとボイスが付いたのはいいのだが、音量が安定せず聞き取りづらい。 かつてロックマン8で存在した問題だが復活してしまっている。 ナイトメアウイルスが非常に害悪 特殊武器が無い場合密着攻撃が出来ない(特にエックス)のに容赦なく密着攻撃をしてくる。 また地形を全て貫通する理不尽仕様のため場合によってはレスキューがイレギュラー化してしまう事態も。 そのくせ回復アイテムや残機アップアイテムは難易度関係なく落とさない。その代わりナイトメアソウルを一度だけ落とす。 ナイトメアソウルが小さくなるタイミングも非常に短く、取れなかった場合は再生するので非常にイライラさせられる。 前述のリサイクル研究所後半の中ボス前に難易度「むずかしい」のみ配置されている個体は特に悪質。 レスキュー抜きにしても地形の関係で倒すのが難しく、無視して一気に通り抜けるのも難しい。下記の仕様も相まって特にミスが発生しやすい場所と言える。ギミックの都合で時間がかかるエリアなのに、死亡した場合はエリアの最初からやり直しになるため、ミスした時の苛立ちなどが大きくなりやすい。 しゃがみノックバックのモーションが用意されていない。 前作でも同じで前作にはさほど影響は無かったが今作はこの影響でダメージを受けると強制的に直立状態となり、リサイクル工場ステージや秘密研究所ステージ2-2(ゼロのみ)のプレス地帯でしゃがまならなければならない場所でダメージを受けただけで即死する。 エックスのロープ移動中のセイバー攻撃/武器攻撃の不備が多い。 マグマブレード、グランドダッシュは攻撃後にロープを離してしまう。マグマブレードに関してはロープ掴まり時の空中状態でありながら何故か地上モーションでセイバーを振る形に。 ブレードアーマーのチャージセイバー、アイスバースト、マグマブレード、グランドダッシュ、メタルアンカー、ガードシェル、アローレイのチャージ版も、発動後に同様にロープを離す。 チャージ版アイスバーストに至ってはロープ上でのダッシュ中に攻撃が出ないという完全に擁護不能な有様。 各アーマーのギガアタックも同様。 通常セイバー攻撃に関しては出した時点でロープを離して落下してしまい、普通に敵に攻撃を当てる事自体が相当難しい。 通常セイバー以外は攻撃後に上入力をし続けていれば再度ロープを掴むのでフォローは可能だが、そもそも最初からロープを離さない仕様にすれば良かった話である。 通常版ヤンマーオプションで放てる弾は地形効果の影響を受けて壁を貫通する事は不可能だが、3機のオプションそのものは地形効果の影響を受けずに回転するため、オプションが壁や足場を貫通して旋回している際に弾を放つと、地形効果の影響を受けた弾がその場で消えてしまう。 困った事に、オプションは普通に移動している際の水平の足場より下まで旋回軌道を描くため、タイミング次第で2発しか弾を放てないという結果も常に半々で付きまとう事となってしまう。 ブレードアーマーで通常版グランドダッシュを空中で出した場合、発動後のマッハダッシュの動作が出現した岩に攻撃判定を接触させてしまう事で岩が飛ばずにその場で破壊されてしまうという事が殆どの場合で起こりうる。稀に普通に飛んで行く事もあるが、本当に稀なレベルなので基本的に攻撃として機能しないものと考えていい。 セーブデータは過去作通りサブタンクのエネルギーは記録が出来ないが、ナイトメアソウルの排出場所、ナイトメア現象の発生場所は現状の状態をそのまま記録する仕様となり、再開時に排出/発生場所がリセットされる事はない。 この仕様が災いし、ナイトメアソウルを効率良く稼ぐためには一度別ステージに赴いてナイトメアウイルスがソウルをドロップする様にフラグ解消の手解きする必要がある。そしてそれ以上に問題なのは、前述したナイトメアウイルスによってレスキュー対象がイレギュラー化してしまいリセットを余儀なくされてサブタンクのエネルギーが帳消しにされる事である。 ただ、ナイトメア現象がリセットされる仕様であれば、それはそれで再開時の進行具合と未入手のアイテムの回収に二度手間を食う結果にも繋がるので一概に悪い点と言い切れない部分もある。 総評 パッと見と触れてすぐの印象は前作よりもよく思えるのだが、進めれば進めるほどにそのステージ構成の如く「トゲのある作品」であることに気づく。 調整不足や難易度の高さゆえに敬遠されがちな本作だが、パーツのカスタマイズや特徴的なバグの多さなど、中毒性の高い要素も含んだ作品である。 シナリオ面は相変わらずの突っ込み所が多く発生しているが、システム面は改善された部分も多いため、「許容できる」とするユーザーもそこそこ居る。 基本的なアクション面は問題ないが、それを活かし切れるステージ構成ではないという評価が出るのはどことなく後続の名作『X8』と共通する部分があるが、『X8』と同じ評価とまでならなかったのはやはり開発期間の短さゆえの「遊びやすさ」という意味での調整不足や詰めの甘さが所以であるだろう。 シリーズ内に完成度の高い傑作が存在しているため、それと比較され何かと批判が多くなる「X6」だが、 Xシリーズ特有の自由度の高いアクションとカスタマイズ性の高さで高難易度を楽しむという、他シリーズにはない楽しみ方が可能な作品である。 余談 デザインやイラストを担当した末次治樹氏は、同シリーズの画集『ロックマン ロックマンXオフィシャルコンプリートワークス』で、「とにかくスケジュールがキツくて……。」とコメントしており、開発期間の短さを窺い知ることができる。 また稲船敬二氏は同画集で「自分としてもコントロールできない方向に、シリーズが行き始めていた」と述べている。 本作のEDテーマ「I.D.E.A~僕は毎日、夢を見る~(*26)」は、北米版でも日本語のこの歌がそのまま「Thema I.D.E.A」として使用されている。 海外ではWindows版も発売されている。 レスキューシステムのレプリロイドにはそれぞれ固有の名前があり、ネタに走ったものが多い。 ブリザード・ヴォルファングのステージでは「ダンテ」「ニーナ」「ナルホ」「バツ」「レジーナ」「ガイ」「レオン」「アーサー」「リュウ」「ケン」「チュン」「モリンガ」「サマノスケ」とカプコンゲームキャラネタのレプリロイドがいる。 これだけならともかく、ミジニオンのステージのレプリロイドは「マリオン」「ゼルダン」や、「FFF」のあとが「ドラゴー」だったり、「パーチフ」「TEKK」「クロノ」など色々勘ぐりたくなるきわどい名前のものが存在する。 スカラビッチステージのレプリロイドの名前は世界水泳が開催されると必ず耳にすることになるアノ曲で有名な某ロックユニットの楽曲のタイトルが由来になっている。 先述の問題点のため、ノーマルエックス最高難易度ノーダメージクリアは長らくの間、人間には不可能とされていた。しかし2009年、ついにこの偉業を成し遂げたプレイヤーが出現し、動画サイトにプレイの一部始終を上げてファンを湧かせた(*27)。 問題のナイトメアマザーだが、そのリトライ回数は3950回であったという…。 + 君にこの動きができるか? ※例のセリフもあり http //www.nicovideo.jp/watch/sm6922797 とある攻略本には「ハンターランクが最高の時にゼロナイトメアを倒すと何かが起こる」との記述がある。これは隠しコマンドなしで黒ゼロを出現させられるということを意味しているのだが、チート(あるいは未知のバグ)無しでは実現不可能である。 ハンターランクを最高にするにはナイトメアソウルを9999個集める必要があるのだが、実際にはナイトメアソウルを3000個集めてステージセレクトに戻った時点でイベントが発生し、ゼロナイトメアは出現しなくなってしまう。1つのステージでどれだけ頑張ったとしても3000未満から9999までナイトメアソウルを集めるなど出来るはずもなく、チートでも使わない限り1つのデータでアルティメットアーマーと黒ゼロの両立は不可能である。 恐らくは開発中にこの2つを両立できるように考えられたものがボツになり、データだけが残ったものと思われる。一部では「ベスト版ならできる」とされる場合もあるが、ベスト版でも条件は変わらないためどのみち不可能である。 取扱説明書の特殊武器の説明で掲載されている武器使用時の写真で、エックスのボディカラーが実際のゲーム中と違い他の武器のカラーになっているものが存在する。開発中の写真を載せているのだと思われる。 ちなみに特殊武器「アローレイ」の名前も「レイアロー」となっており、海外版では実際にゲーム内表記で『RAY ARROW』とされている。実際の所は国内版のアローレイ表記の方が誤りである可能性は否定できない。 さらに武器セレクト画面の解説で「アローレイ」のみがチャージ版のものになっている。開発当初はギガアタックのような扱いだったのだろうか。 エックスでのみ進めると再会するしない関係なくゼロもストーリーに絡んでくる反面、ゼロとの合流イベント後、ゼロでのみ進めるとエックスが出てこない これはX4以来の現象である。 勿論エックスも使えばエックスもストーリーには絡んでくる。 2020年からサービスが開始しているスマホゲーム「ロックマンX DiVE」において日本版リリース1周年イベントにてナイトメアウイルスが登場している。 なお原作のように銃弾は地形を貫通せず瞬間移動もしてこない、更には再生しないので大きく弱体化している。 2018年のシリーズ生誕30周年記念プロジェクトの一貫として、Windows(Steam)・NintendoSwitch・PS4・XboxOneの各機種向けに発売された『ロックマンX アニバーサリー コレクション2(以下『アニコレ』)』に今作が収録されている。 『アニコレ』では初心者救済機能である「かけだしハンターモード」が全作品共通で搭載されており、有効にすることで「穴に落ちても直前の足場から即復帰」「トゲに触れても即死ではなく大ダメージを受けるだけにとどめる」等の強力なサポートが付与される。いずれも穴やトゲの多い『X6』では有効に働き、気軽にサクサク進めたい時にうってつけの機能だと言えるだろう。
https://w.atwiki.jp/vip_rockman/pages/21.html
107 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/10(火) 20 54 18.78 ID oJ2DFEdA0 磯香る、昼時。 旅船、帆船、商船、貨物船、そして様々人々とレプリロイドが集まる場所――港。 イーグリードの最期の意思であった脱出ポッドであった二人は、砂漠に落下。 怪我を負うゼロに肩を貸し、エックスは近くの港まで歩き進んだ。 大陸と大陸を大きな海が横断する。青い空を、海鳥が猫の様な鳴き声で舞っていた。 カメリーオとマンドリラーとの戦闘。 その後のデスログマーからの落下で、ハンター組織からかなり離れた位置に身を置く事になってしまった。 本部への帰還、そして自分の腕に抱かれる少女の治療をするには、船でこの海を渡るしかない。 「もうちょっと我慢してね? 出航の手続きはしたから、直ぐに本部に戻れるよ」 エックスは落下した時から、時折すすり泣くゼロに優しく声をかけた。 「あぁ………悪いな」 肩に助けられながら、港の海沿いを歩く。涙をぬぐう少女の声は、まだ悲しみに掠れていた。 「イーグリードの事は……」 「良いんだ……もう、大丈夫。あいつもオレも、もう大丈夫だ………」 「そう………」 それ以上は追求せず、エックスはもう一つの手に握られる紙片を見た。 旅船の添乗が出来るチケットだ。 「どこかで食事でもしようか? 一応、まだ時間はあるから」 港にある商店街の入り口を指しながら、尋ねる。様々な店舗が見え、人通りも多い。 「いや……。いや、そうだな。エックスに任せるよ」 「そっ。じゃあ、行こう」 二人は、小さいがお洒落なお店の前に立つ。レプリロイド専用の飲食店だ。 「素敵なお店……。ここで良いかな」 そう言って、中へと入った。 従業員に案内され、窓際の席に座る。水が運ばれ、メニューが渡され、やっとエックス達は落ち着いた。 111 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/10(火) 20 55 12.87 ID oJ2DFEdA0 「ふぅ……疲れたね。何が食べたい? 僕が奢るよ」 「金、持ってんのかよ?」 メニューを見るエックスに、ゼロは気分が若干晴れたのか意地悪な笑みを浮かべた。 まだ赤い目をする少女に、エックスもつられて笑みを浮かべた。 「意外だ。悪かないな、これ」 「そうだね」 テーブルに出てきた海鮮料理をつつく二人。 海が見えるこの席での食事は、とても気持ちが良かった。 港町を訪れる多くの人間とレプリロイド、その騒喧を感じさせない程、この店は静寂に包まれている。 「お冷のお代わりは――」 弾けるガラス片が赤と青に降りかかり、嫌な切断音。同時に、真紅の液体がばら撒かれた。 一時の静寂は、水差しを持ってきたウェイトレスのレプリロイドの首が飛んだ事によって、打ち破られる。 「………伏せろ!!」 オイルで真っ赤になったゼロが、エックスを椅子から押し倒す。怪我をした部分が床にぶつかり、顔を歪めるゼロ。 遅れて、二人の席が三つに両断された。 赤き少女は、何が、と声を出すエックスを突き飛ばす。 今度は、座席付近にある物全てがバラバラに解体された。 机、椅子、料理、メニュー、そしてウェイトレスの死体が、分断され宙を舞う。 「クワンガーの変態か……!!」 ゼロが呻きを上げ、悔しそうに手の中にあったフォークを握りつぶす。 そして、破壊された窓から回転する何かが侵入した。黒いシルエットは、早すぎて何なのか視認できない。 「エックス! 店から出ろ!!」 乱入してきた何かが、店内を蹂躙する。 一連を見て、呆然とする店長らしきレプリロイドのボディをズタズタにし、カウンターにばら撒く。 その横の従業員のボディも後を追い、木の床を真っ赤に汚した。 128 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/10(火) 21 25 18.58 ID oJ2DFEdA0 凶器は回転数を上げ、店内にある命ある物、そうでない物を平等に切り裂いていく。 もう生きているレプリロイドは、伏せる二人しか居ない。 「はやく行け!!」 ゼロは右手をバスターにし、外に向け何度か射撃する。無論、暗殺者に当たるはずが無い。 エックスは治療を受けていないゼロの身体を案じるが、少女の意思の強い眼を見て、諦める。 天井の照明が全て、粉々にされる。このまま、店ごと破壊するのではないかと思う程の勢いだ。 こちらも同じく右腕をバスターにし、窓に向け何度か射撃しながら、外へと飛び出した。 「どこのどいつか、知りませんけど……!」 エックスが怒りに身を震わせながら、立ち上がる。暗殺者は見つからない。 漆黒の凶器も示し合わせたように破壊を止め、店外から出てきた。 「不不不………」 いったい何時現れたのか、怒れる青きレプリロイドに黒い影が立っていた。 回転する武器は、その影の手に収められる。意外にも白く細い腕だった。 「あなたは……!」 トレンチコートを着込む影。危うい程の白い肌、肩ほどまである銀髪が海風に揺れた。 申し訳程度の大きさのサングラスに覆われた、血の様に真っ赤な瞳がエックスを見つめる。 「しばし待て」 銀髪の少女は、近づき詰問しようとするエックスに待ったをかけると、飛び引く。コートの端がバタバタと揺れた。 手近にある壁を見つけると、そこに半身を寄せ、半分隠れた顔でエックスを見つめる。 「じー………。良いぞ。あ、おい近づくな。接近するのは不許可だ」 エックスはその行為の意味が解らないが、近づくのをやめ、瞳で少女に意思を訴えた。 少女がそれに応え、頷く。 140 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/10(火) 21 48 32.86 ID oJ2DFEdA0 「ご挨拶しよう。クワガタ型のレプリロイド、イレギュラーハンター組織、第17部隊の時空の斬鉄鬼のブーメル・クワンガーとは私の事。 不不不……気分屋で暗殺が何より大好きで、次に好きなのが監視。人からマイペースと言われるが、よく解らない。 家族は、カブトムシの弟が一人居るのだ。あぁ、エックス君、はじめまして。君と会うのは初めてだよね? 確か、私の記憶のよるとそうだ。 んー、食堂で見かけた事があるが、それは出会ったとは言わないから、おそらく初めまして良いはずだ。どうぞ、よろしく」 長々と挨拶するクワンガー。エックスはゼロの言葉を思い出した。 「何が目的ですか」 バスターを向け、相手の出方を待つ。 性格はよく解らないが、このレプリロイドの腕だけは確かである。 握られた凶器を見たが、どうやらブーメランのように研がれたクワガタの顎らしい。 「挨拶だ。挨拶と言う言葉を知らないか? この言葉は――」 じー、と見つめ続けるクワンガーに、さしものエックスも苛立った。 「………知っています!! 何が目的ですか!」 「私は、先の戦いから君を監視している。そうボスに命じられたからだ」 大声に小首を傾げるクワンガーは、言葉を遮られても怒りもせず、丁寧に答えた。 監視、という言葉にエックスは驚愕した。戦いとは、いつからの事なのだろうか。 「エックス君……君は強くならなければならないらしい。そうボスが仰った」 髪をかき上げながら、クワンガーが続ける。 「成長する君を監視し、報告するのが我が使命。あ、監視は大好きなんだ。あぁ、言ったか……」 海風が心地よく吹く。磯の匂いが、それに乗ってやってきた。遠くで、波打つ音も聞こえた。 「そして君の成長は、ちょっと遅い。ボスは困っている。で、あるため――」 長々と喋る少女。ルビーのようなクワンガーの目が細められる。 クスリと笑い、握られた『ブーメランカッター』を楽しげに揺らした。 152 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/10(火) 22 06 38.89 ID oJ2DFEdA0 「ちょっと、君の成長に付き合おう。楽しいぞ。とってもとっても。あぁ、私自身が楽しいんだが。君はどうだろうか?」 「…………っ!」 素早く反応して、バスターを再度向ける。クワンガーからは静かな殺気が溢れた。 「先に謝っておくが、私は厳しい。怪我をしたら、すまない。謝罪する。あぁ、どのくらい厳しいかと言うと――死ぬぐらいだろうか?」 なんの理由で横に跳んだのか――。 エックス自身が解らなかったが、クワンガーの腕が振るわれたと思うと、今立っていた石畳が吹き飛んだ。 石の床は何かに縦へと切り裂かれている。 青ざめるエックスに、追い討ちの強襲。空を切り裂く風切り音。 そして、手の甲が斜めに薙がれた。少量のオイルが吹く。 「あぁ……すまない。怪我をさせたな。でも、私は楽しい。あぁ、困ったな。いや、私は困っていないんだが」 クワンガーは場所を変えていない。 そして、すでにブーメランカッターが握られていた。視認できない速さ。 「あぁ……すまない。一つ、間違えて言った事がる。私の家族だが、弟と言ったが妹だ。なにぶん、気性の荒い奴でね」 そのレプリロイドに失礼な事を言いながら、腕が振るわれ、不可視の凶器が放たれる。 右肩に激痛が走り、エックスは地面へと倒れた。噴出す赤が、自身と地を汚す。 「不不不……。また、すまない。不不不……」 「いたぁ…………。…………あの、一つ良いですか?」 「許可する」 もう既にに凶器が握られている腕を揺らめかしながら、クワンガーが楽しそうに頷いた。 「第17部隊って言いましたよね……僕もそうなんですけど。……えぇ、と……任務で見た事が無いんですが」 肩を抑えながら、疑問を口にする。 クワンガーは、可愛く小首を傾げ、あぁと呟いた。 「私が好きなのは監視と、言ったろう。――‘いつも居たよ’」 「……………っ!!」 クスリと笑い、クワンガーが口をすぼめる。エックスは怖気が走った。 181 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/10(火) 22 36 55.57 ID oJ2DFEdA0 「不不不……嬉しいのかね? そんなに頬を赤らめて」 石畳が無差別に解体される。クワンガー自体の機嫌が、この武器に影響するようだ。 「いいえ、青ざめてます。……赤いのは、血ですよ」 乱立する電柱の一つが両断され、落下する半分が空中で分解。地面に弾かれるのは、コンクリートの破片だ。 「ふふん………照れ隠しとは。なかなかの使い手だね」 飲食店に横付けされていた自動車が舞う。赤い乗用車はジグソーパズルのようにばら撒かれた。 「斬!!」 付近の破壊活動は、クワンガーの掛け声と共に、対象をエックスに移行。膝をつくレプリロイドに、くの字の凶器が迫る。 エックスはどこかに跳ぶしかない。 地に飛び込むエックスの脇腹が、薄く切り裂かれ、無様な格好で叩きつけられた。 「手加減。不不不……」 クワンガーは、微笑み、ブーメランが握られていない手で口付けを送った。 「そんなに……楽しいです……か!!」 倒れながら、エックスはバスターを放つ。砕ける建造物の壁。しかし、少女の影はなかった。 「楽しいねぇ。この武器はね、エックス君。監視しながら、暗殺できる素晴らしい兵器なんだよ」 背中が踏みにじられる。いつの間にか接近されたクワンガーに背後を取られていた。 ブーメランを握る手が、目前で左右に振るわれる。 笑いながら説明する銀髪の少女は、玩具を見せびらかせる子供のだった。 「あぁ、そんな武器はどこにでもあるんだが、これほど機能美を追求した物は無いだろ? だから、これは好きなんだ」 「そう………ですか……」 「だからね、君にもこれの素晴らしさを――おっと」 身体の輪郭が影のように揺らめくクワンガー。黄色いエネルギーが、それを通過する。 「エックスに触るな……変態。この、サイコ野郎!!」 奇襲したのは、身体を引きずりながら、店外にでたゼロだった。 バスターを放った体勢のまま、いつのまにか飲食店の向かいにある理髪店の屋上に立っている暗殺者に叫ぶ。 「変態? それは君の事か?」 クワガタのレプリロイドはおかしそうに目を揺らめかし、ボディを布きれで巻くゼロを笑った。 192 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/10(火) 23 00 05.59 ID oJ2DFEdA0 「邪魔をしないでもらおう」 またもクワンガーの腕が振るわれる。 一瞬にして、ゼロのボディを切り刻み、少女を路上で全裸にする。恐るべき事に、傷は一つも負わせていなかった。 ボディとメット、そして布生地は地面に散らばり、機械仕掛けの猫の耳だけが金色の髪に残った。 「死ね」 だが、それも短い死の宣告まで。呼応した凶器が、ゼロの首元に回転しながら迫る。 甲高い激突音――黒い影は弾かれた。 「そうこなくてはならない…………不不不」 陰鬱な笑いは、立ち上がる青に向けられる。エックスの右腕の銃口は、エネルギーの残滓で煙を出していた。 「相手は、僕。そうでしょう?」 「エックス!?」 血に濡れるエックスは、挑発的に暗殺者に笑って見せた。 「不不不不――そうだ……!!」 漆黒が迫った。 横転する青。そして、ダッシュ。 クワンガーの出現しそうな場所に、出鱈目にバスターを放ちながら、エックスは人通りの無い路地を駆ける。 走る後ろで、建造物と建造物で作られた通路の壁が切り裂かれていく。 「不不不。その戦法は不許可だ」 少女の声がするが、どこに居るかは解らない。 確認しようと立ち止まれば、今後ろで分解されたゴミ箱と同じようになるだろう。 後方に振り向かず射撃。テラスがある屋上の一部を破壊するが、手応えは無い。 駆ける。駆ける。 前方に居た犬型のメカニロイドが寸刻みにされるが、目をつぶり感情を押し殺した。 「不不不。どこに行こうというのだ?」 [12番 港口]と書かれた看板が吹き飛ぶ。破片が雨のように降ってきた。 205 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/10(火) 23 26 26.98 ID oJ2DFEdA0 「行き止まりだ……不不不」 その言葉を皮切りに、狭き道は終わりを告げる。 目の前に広がったのは、雲の無い大きな空と、どこまでも大きな海だ。 海鳥が能天気に鳴き声を上げ、気持ちよさそうに空を飛ぶ。――エックスも空を飛びたくなった。 「人が居ない場所を選んだのかな? 優しい子だ。不不不、殺しがいがあるよ」 最後になるかもしれない自然の光景を目に焼付け、ゆっくりと後ろを振り向く。 何処かでトレンチコートを脱いだのか、奇妙な衣装を纏った少女が現れた。 網目のシャツを下に、上下共に黒装束。そのせいかクワンガーの真っ白な肌が目立った。 「ゼロを救ったのも、なかなか良い。私のブーメランカッターを弾くとはな」 クワンガーの口元にも布が被せられている。追い詰めた暗殺者、ブーメル・クワンガーの目が笑う。 「力んでいるねぇ……不不不。恐怖を感じているかい? 体験した事の無い、暗闇の恐怖を」 両手を広げ、自分から繰り出す恐怖を見せる。純粋な狂気がここにはあった。 エックスは、冷や汗で頬を濡らしながら、姿勢を低くする。 「安心したまえ」 だが、呆気なく、クワンガーはブーメランを収めた。 「言ったろう? ちょっと、君の成長に付き合おう、と。殺しなんか不許可さ――ここではね」 クワンガーの姿がブレたかと思うと、顎が撫でられる。少女の声は耳元から聞こえた。 「タワーで待ってる。なぁに、君はくるさ。望んでも、望まなくても、ね」 軽く頬に口付けし、意味ありげに笑った。エックスは少女の速さに、そして威圧に微動だに出来ない。 「待ってるよ、エックス君。――旅路で、タコに気を付けなければ不許可だよ? 不不不不不不不」 最後に頭を撫でられ、クワンガーは硬直する少年から離れた。 「では、ドロン」 そして、消える。 エックスは、10分近くかけてやっとゼロの元に脚を進める事が出来た。 244 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/11(水) 00 34 50.43 ID 33MOrt2O0 「変態は……?」 閉店に追い込まれた飲食店に、裸体をカーテンで巻いて地べたに座るゼロが居た。 白いカーテンはとこどころ血を吸い、痛々しい。 「勝手にしかけて、勝手に消えたよ。――大丈夫?」 「本調子だったら、倒せた………だからって、なんだよなんだよ、オレだけ追いてって……」 白い布から覗く脚をそわそわさせながら、そっぽを向き膨れる少女。 そんな態度に、エックスは取り成す様に優しく笑いかけた。 「ごめんね。………でも、ゼロは怪我してるし。早く船に乗って、本部に戻ろ?」 出航場所の方向を親指で示し、うずくまる少女の腕を取る。 戦闘のせいで、旅船の時間が迫っていた。無人の花屋に掛けられた時計の短針が、3を指し示している。 「…………アイスが食べたいぞ。………チョ、チョコレートの……」 猫の耳を落ち着きなく動かしながら、ゼロはボソリと言った。赤らめる顔が、エックスの笑いを更に誘う。 「はいはい。その前に服も買いに行こうね」 エックスは、ゼロの腕を静かに引き、石畳の路地を歩んだ。 「おいし………」 「そう? そりゃ、良かった」 港の船着場に佇む二人。エックスは旅行のパンフレットを、ゼロは濃茶色の氷菓子を手にしてた。 買ってもらった、石段に座るキツネがプリントされた、肩を出すスポーツシャツを着込む少女はアイスの味に満足そうだ。 シャツのロゴにO・イナリーと表示されているがエックスは、知らないブランドだ、との感想しか無かった。 短いジーンズから出るゼロの足が、波の音と合わせ揺れる。 「おい、あれハンターの船じゃねぇか?」 「ほんとだ。というか、僕たちかなりの大所帯で出航するんだね」 ゼロの言葉で向けられるエックスの視線の先には、海に揺らめく12隻の船が並んで、搭乗者と出航の合図を待っている。 「イレギュラーの事件もあるしね。もしかしたら、その関係かも」 「だろうな」 チョコレートアイスは、短い応答と共に嘗め尽くされる。ゼロは惜しげに、コーンを包んでいた紙包みをゴミ箱に捨てた。 488 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/11(水) 21 04 05.09 ID 33MOrt2O0 「まもなく出航いたします。ご搭乗なされる方は、ブリッジを使用してください」 しばらく静かに待機していた二人と他の客達に、空と同じ薄青い制服を着用したレプリロイドの声がかけられた。 巨大な客船から鉄のタラップが迫り出され、船着場と船を接続する。 巨大な図体を誇る船なのだが、エックス達の他の客は少ない。 イレギュラー達が引き起こす事件の事も相まって、旅行にいくような物好きな人間もレプリロイドも少ないのだろう。 「だってさ。行こうか?」 エックスは自分の猫の耳を弄り、退屈を凌いでいたゼロを促し、鉄の橋に足を載せた。 「――こんなに、のんびりして良いのかなぁ」 赤い夕日が、旅船のデッキを同じ色に染める。 ドリンクのカウンターの前方に、大型のプールを備えた豪華な客船。 物好きな客を内包した船。しかし、流石に無防備に泳ぐ人物は居なく。デッキに居るのは赤と青のレプリロイドだけだった。 エックスはカウンターバーの机で書類と睨みあい、ゼロはその足元でタオルを下に寝転んでいた。 「良いんじゃない? たまには、ね」 数枚の薄紙にペンを走らせたまま、エックスが答えた。もう一つの手の中で、グラスに入った薄紫色の液体が揺れる。 エックスはいつもの青いボディのままだが、ゼロは貸し出された競泳用の水着を着ていた。白い肌と、薄い胸を紺色の水着が包む。 「………悪いな、お前ばっかりそんな作業させて」 夕日に顔を朱に彩られたゼロが、申し訳なさそうに答える。手に持つ琥珀色のドリンクが、少女の心情と同じく揺れた。 「戦闘の報告書――オレも書くべきなのにな………」 エックスは一瞬返答に困り、すぐに微笑んで、耳の付く金色の髪をクシャクシャと撫で上げた。 「いいよ。書きたくないよね、あんなの。――僕なら大丈夫だから」 猫の様に目を細め、はっと気付き、両腕を振り上げるゼロ。エックスは笑みを強くし、更に頭を撫でた。 ――ドチラかとイエバ慣れタんじゃない? ナカまの死にサ 490 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/11(水) 21 08 33.15 ID 33MOrt2O0 「本部にはどれぐらい掛かるんだ? 海路を使った事無いから、解んないぞ」 ゼロは琥珀色の液体を喉にながしながら、空を見上げた。赤い空も青と同じく、どこまでも遠い。 質問を投げかけられたエックスは、呆と何処か虚空を見つめている。いや、瞳には何も映ってはいなかった。 「――エックス?」 眉間に皺を寄せ、少年の名を呼んだ。疑念に耳が小刻みに動く。 「………………二日間ぐらいかな。一泊はここでしなきゃ、ならないね」 瞳に意思が戻り、エックスは何でもないかのように答えた。特に感情の変化は感じられない。 ゼロはふーんと呟き、エックスは疲れたのではないか、と思考を纏めて、切り上げた。 「そうか。揺れる船で寝れるかなー? 寝れなかったら、お前の部屋に行くからな」 けけけ、と品の無い笑い声を出し、プールに向かう。もう一泳ぎするつもりの様だ。 「はいはい。待ってますよ」 その背に微笑んだエックスの顔に、もう蔭は無い。 『そうか。イーグリードと………大変だったな、エックス』 「いえ……」 船内に幾つもある部屋。その一つに振り分けられた、エックス。 外観が豪華な客船は、客室も煌びやかで、高いと思われる家具が惜しげもなく配置されている。 その一つの装飾が美しいベッドに腰掛け、エックスはライト博士と連絡を取っていた。 丸型の窓から見えるのは漆黒。夜の十時を回っていた。 『報告が一つ。君から受けた調査の事だ』 ランプが幾重にも重なった照明が、部屋を明るくしている。だが、暗いエックスの表情を明るくするには力及ばなかった。 「――えぇ、お願いします」 広い部屋に、エックスの応答が吸い込まれていく。 492 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/11(水) 21 11 34.16 ID 33MOrt2O0 『やはり、情報部はおかしい。極地部隊の事、そして訓練Σの単語で調べたが、何もでなかった』 報告するライトの声は、疑念と困惑に満ちていた。 それに感染し、エックスも首を傾げながら質問する。 「………何も出ないのが、何故、情報部がおかしいと?」 『情報部が何も出さん、――アイシー・ペンギーゴが嘘をついたと思うか?』 そんな筈が無いと、青いメットが横に振られる。エックスの胸は、ペンギーゴの名に引き裂かれそうになった。 悲しき宿命を望まざるして、負わされた少女。何処からかの理不尽な力が、あの戦場には働いていた。 「いいえ」 ぐるぐる回る思考を止め、言葉にしてそれを力強く否定する。 『私の権限で、独自に調査はしている………ならば一つぐらい何か出てもおかしくないだろう?』 「チップについても、何のデータも回してこないとか」 『あぁ。いったい何を考えてるのか……。とにかく何かを隠しているのは確かだ』 ハンター組織。どこの組織でも一枚岩では、無いのか。 同じく『岩』という単語を名に持つ少年は、深くため息を吐いた。 「イレギュラー事件に関係があるのでしょうか?」 『さぁ、それよりも厄介な事かもしれないし、実は部署同士での領域争いだけかもしれない』 どちらにしても許されざる事であろう。――ペンギーゴ、イーグリート。 エックスは死んだ者の無念を晴らすと、深く誓った。 「引き続き、お願いします。――僕はイレギュラーを何とかするので……」 その言葉は、エックスが持つ『何か』への憎悪に濡れ、発せられた。 『あ、あぁ……。エックス、私は人間だ。――………本部と同じく、極地部隊の隊員と同じく、人間だ』 逆にライトは悲哀を滲ませ、静かに怒りを溜めるエックスに告げる。 496 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/11(水) 21 30 03.93 ID 33MOrt2O0 「はい? ………博士?」 思慮の見えない発言に、少年は怒りを忘れて元に戻り、困惑する 『忘れないでくれ…………。人間。人間だが、私は君の味方だよ。それじゃ、おやすみ』 プツリと切れる無線。 音声通信だが、最後にライトは微笑んだような気がした。 「………………………………おやすみなさい」 エックスは呟き、ベッドに倒れこんだ。博士を傷つけたのでは、という後悔と一緒に。 「おはぁよう………ふぁあう」 「おはようさん。お前、何で鍵閉めてんだよ? 部屋に入れなかったじゃねぇか、畜生」 耳を逆立てながら、両腕を挙げ抗議するゼロに、エックスは頭痛を覚えた。 「………………来たのか」 朝特有の涼しい風が、磯と一緒に吹いてくる。 ゼロはデッキがお気に入りなのか、朝食のサンドイッチを齧りながら、海を見る。 また泳ぎたいのか、彼女はまたも水着に着替えていた。 「今日で旅も終わりだな。なかなか楽しかったな――仕事抜きで来たかったよ」 「同感だね」 手すりに寄りかかりながら、エックスも苦笑して同じ感想を述べた。 「ねぇ、ゼロ…………身体の方は大丈夫? 辛いんじゃない?」 昨日から、正確に言えば三日前から無理をする少女を心配する。 海を渡るのは、本部に戻るだけではなく、ゼロの治療も兼ねているのだ。 「ボディが砕けただけだよ。確かに身体も痛いが、我慢できなくは無い」 自分の身体を見下ろしながら、答える。 「あぁ、大変だ。胸が小さくなったような気がするぜ? 確認してくれ」 「―――――――――嗚呼」 直ぐにふざける相棒に、エックスは天を仰ぎ見た。空は今日も晴れ、綺麗な青が澄み渡る。
https://w.atwiki.jp/comeback_rockman/pages/25.html
-闘いへの伏線- 少し・・いやかなりの出血だ。 油断した・・。情けない。 なんとかベースまで帰りたいけど・・・ そこまで行ける自身は全く無かった。 意識が薄れていく・・。 駄目だ・・・今此処で気を失っちゃ・・・。 駄目・・・だ・・・待って・・・。 「気が付いたかい?」 よく本やドラマなどで聴く台詞。 生で聴くのは初めてのこの台詞に、彼の意識はしっかりと覚醒した。 急いで身体を起こしたため、全身がキリキリと痛み、思わず「うっ・・」と呻いてしまった。 「無理しちゃ駄目だよ」と、再び語りかけてくる声に、彼はゆっくりとした動作で辺りを見回した。 色々な機器が立ち並ぶ。オイルの特特の臭いが鼻を付いてくる。 自分が中央の寝台に寝かされている事を確認して、 彼-ロックマン・セイヴァーはここがどこかの研究所だと言う事を理解した。 「こ・・ここは・・?」 未だにキリキリと痛む身体を抑えつけて、セイアは声を絞り出した。 「あぁ・・・」と、先程の声がして、不意に自分と同程度の年齢の少年が顔を覗き込んできた。 黒髪を背中程度まで伸ばしていて、それを一つに縛った、蒼い瞳の少年。 「ここは俺の研究所。まだ身体の方は痛む?」 「えっと・・なんとか大丈夫・・みたい」 少年のペースに乗せられて、セイアは思わずそう答えた。 「凄い怪我だったね。直すのに苦労したよ」 微笑して、少年はクイッと親指で、部屋の端のカプセルに収納されたセイアのアーマーを指さした。 あれ程ボロボロになっていたアーマーが、少し名残があるが、完全に直っている。 「えっ・・そんな・・僕のアーマーはそんな簡単に・・・」 「ふふん。まぁややっこしい事は言いっこ無しだよ」 何者なんだ?この子は。 自分のアーマーはエックスとゼロのDNAデータで構成されている。 それを修理できるのは、自分を創ったゲイトと・・・後はエックス達の構造を熟知した者しかいない。 しかしエックス達の身体構造はブラックボックスだらけであり、今の世の中で完全に解析した者はいないと言うのに。 「それより・・気が付いて良かった。いきなり道端に倒れてるんだもん。ビックリしちゃったよ」 「うん・・助けてくれて・・・どうもありがとう」 あれからどれくらい経ったかわからない。 しかし自分は、街で巨大メカニロイドが暴れていると言う通知を受け、 それを止める為の任務に出ていたのだ。 秘密裏の軍事用メカニロイドだろう。強力だった。 周囲の被害を確認しながら、時にはメカニロイドの攻撃を身体で受け止めて、 住民たちを護るつもりだった。 しかし、無差別攻撃を繰り返すメカニロイドが破壊した高層ビルの下に、 何人かの人達が残っていた。 もはや考えるよりも前に動いていた。そして気が付いたときには、ビルの下敷きになり、大幅なダメージを受けていた。 最近はメンテナンスもロクにしていないアーマーは頼りにならず、最終的にメカニロイドを倒したものの、 受けたのは致命傷だった。 通信機も全て破壊されたため、自分の足でベースへ帰らなければならなかったが、途中で気を失って・・。 そこから先の記憶が無い。 「いや・・いいよ。お蔭でいいもの見せてもらったしね」 「・・・はは・・・」 思わず苦笑いがこぼれた。 「君コーヒー好き?入れて上げようか」 「うっ・・・うん・・じゃあ・・貰おうかな」 セイアの返答に、満足そうに頬笑んだ少年は、背後のコーヒーメーカーをガチャガチャと弄る。 セイアは寝台の近くのイスに、自分のハンター制服がかけてある事に気が付いて、 おもむろにそれを着込んだ。 「そう言えばまだ名前を言ってなかった。俺はウィド・ラグナーク。宜しく」 「僕はロックマン・セイヴァー。もう一つの名前は徳川 健次郎。みんなにはセイアって呼ばれてる」 「そっか。宜しく。セイア」 渡されたコーヒーを手にとって、セイアは「宜しく。ウィド君」と返した。 カップを両手で握って、ゆっくりと喉に通す。 淹れたてで暖かい。少し苦みがあるが、その味はセイアにとっても美味しいと感じるものだった。 「ウィドって呼び捨ててでいいよ」 「うん・・ありがとうウィド」 「どういたしまして」 セイアは飲み終えたカップをどこに置こうか迷った。 それに気が付いたのか、ウィドがカップを受け取って、部屋に備えられたキッチンに放り込んだ。 良く見れば綺麗に片づいている。 同じ年ごろだと言うのに、自分の部屋は・・。 そこまで思って、セイアはコツンと片手で頭を小突いた。 改めて今まで兄に頼っていた自分を恥ずかしく思った。 「さて・・・じゃあ俺はパーツの片付けでも・・」 「あっ・・・僕も手伝うよ」 セイアのアーマーを修理した時のパーツだろうが? 確かに少し焼け焦げた破片のような物が転がっている。 セイアは寝台から「よっ」と降りて、とりあえず手近に落ちている破片を拾うため、 その場に屈み込んだ。 「あっ・・駄目だよまだ・・!」 ウィドが言ったときには、セイアは「うっ」と呻いていた。 傷口がまだ塞がっていない。 「うっ・・・ごめん・・」 「とりあえず片付けは俺がやるから。君は寝ていていいよ」 ウィドに促されて、セイアは「ごめんね」と呟いて、今まで寝ていた寝台に上がった。 ウィドが投げてくれた毛布を受け取って、全身を包む。 「普段は丈夫でも・・怪我してるときくらいはジッとしていな」 「うん・・・」 そう軽く返す。 毛布の温もりが偉く心地よい。 さっきまで眠っていたというのに、再び睡魔が襲ってきた。 強敵だ。勝てない。 「もう少し寝てな」 「ありがとう・・」 その時にはもう睡魔が意識を侵食した後だった。 ウィドに修理してもらったアーマーを返してもらってから、大体六時間が過ぎようとしていた。 ウィドの技術を目を見張るモノがあり、自分の身体の方の怪我も、もう殆ど全快している。 とりあえずメットの通信機でベースに通信を入れた。 どうやら「生死不明」と大騒ぎしていたようだ。 ベースにはすぐに帰ると伝えておいた。 明日にでも帰ろうと思っている。 「ごめんね。色々と世話になっちゃって」 アーマーを外しながら、セイアは申しわけなそうに呟いた。 先程から世話しなくキーボードを叩いていたウィドは、視線をモニターに向けたまま、 「いやぁ・・・こっちは好きでやってるんだから・・・気にしなくていいよ」と言った。 キーボードのEnterを押し込んで、ウィドはぐるりとイスを回転させて、 セイアと目を合わせた。 「見れば見るほど興味がわいてくるよ。君は」 「そ・・・そうなんだ・・」 最後に髪の毛を掻き毟って、セイアは汗笑いの様な表情を作った。 この子の目は本当に輝いているな。 「また怪我したらいつでも来なよ」 「あはは。怪我したらね」 ハンターの制服を着込んで、セイアはスッと立ち上がった。 研究室の出口に向かって、数歩足をすすめる。 「今までありがとう。怪我もアーマーも治してもらって。 僕は帰るよ。僕はイレギュラー・ハンター第十七精鋭部隊副隊長。いつもそこにいるから」 「あぁ。ボクもいつもここにいる。来たくなったらいつでも来いよ」 ヒラヒラと手を振って、セイアは自動ドアを擦り抜ける。 しかし、セイアの視界に蒼い空が広がる直前に、 もっと別の感覚がセイアに突き刺さっていた。 攻撃的で凶暴な・・・殺気。 「くっ!!」 わけのわからない殺気に、セイアは転送したメットをウィドに向かって投げつけた。 直線的に飛翔するセイアのメットは、ウィドの数cm前で、金色のくもの巣に絡め取られた。 これは・・ライトニング・ウェブ!? 「なっ・・!」 「お前は・・・お前は・・!」 すぐにウィドの真横に滑り込み、絡め取られたメットを引きちぎって、深く被る。 セイアがバスターを向けた先-研究室の天井には、見覚えのある一体のレプリロイドがぶら下がっていた。 蜘蛛のような外見をし、外見通りくもの巣に身を吊るす。 このレプリロイドには見覚えがあった。そして、それは意識するよりも前に、セイアの口から滑り出た。 「ウェブ・スパイダス・・・!?」 セイアがその名を口にすると、スパイダスは感情の籠もらない機械音で笑い声を上げた。 ここで闘うのはマズイ。しかもウィドは戦闘型ではない筈だ。 なんとかして外におびき出さなければ。 「コノ攻撃・・・躱セルカ!?」 兄から聴いたのと同じ台詞を吐いて、スパイダスは再び黄金のくもの巣を放ってきた。 それをサーベルで下から上へ斬り裂いて、すぐに跳躍し、スパイダスに蹴りを入れる。 間近で見たスパイダスの全身は、データに残っているとはなんとなく違っていた。 そう・・まるで強化されたような装甲だ。色彩も何か違う。 「セイア・・!」 「君は非戦闘タイプだ!下がってて!」 駆け寄ってきたウィドを片手で制して、セイアは蹴り落としたスパイダスを、そのまま乱暴に屋外へ殴り飛ばした。 「ここは僕が闘う!」 黄金のくもの巣-ライトニング・ウェブ。 大量の出現する子蜘蛛。 その全てがレプリフォース対戦時とは大きく異なった威力の為、セイアは多少戸惑った。 子蜘蛛をバスターで撃ち落としながら後退すると、 既に背後にしかけられていたライトニング・ウェブに全身を雁字搦めにされた。 「くっ・・・!」 外れない。堅い。 追加装備だろうビーム砲の閃光が、一気にウェブごとセイアの全身を包み込んだ。 しかし、その閃光の中で、セイアは懸命にライトニング・ウェブを引きちぎった。 チャージしたバスターを真っ直ぐに向ける。 「喰らえ!!」 蒼と紅の閃光が、防御のために張られたライトニング・ウェブを貫いて、 スパイダス本体を打ちつける。 今が勝機だ。 セイアは直ぐ様サーベルを引き抜いて、大きく跳躍した。 残像を残す蒼の閃光剣を、一気に振り下ろす! 筈だった。 振り下ろす瞬間、セイアは「うっ・・」と小さく呻いた。 唐突に走った激痛に、サーベルが手の中から落下し、地面で乾いた音を立てる。 全身が痺れたような感覚がする。 まだ怪我が治りきってなかったのか・・。 セイアが見せた一瞬の隙に、スパイダスは「ギギギ」と笑い、 強化されたライトニング・ウェブで、再びセイアを雁字搦めに絡め取った。 「やばい・・・!」 引きちぎろうにも、力が入らない。 今、この状態で攻撃を無防備な箇所に受けたら、幾らこのアーマーでも致命傷だ。 「くっ・・!」 露出したフェイス部分に向かって、スパイダスのビーム砲がチャージされる。 少しずつ光が宿っていく銃口に、セイアの頬を一滴の汗が滑った。 やられる・・・!! その瞬間、目の前で閃光が爆ぜた。 が、爆裂したのは自分の身体では無かった。 状況の把握出来ないセイアの目の前で、グラリとスパイダスの身体が崩れ落ちた。 「だから無茶するなって言ったんだよ。危ない危ない」 「えっ・・・ウィド・・・?」 雁字搦めのまま立ち上がれないでいると、不意にセイアの視界にウィドの顔が滑り込んできた。 片手には一丁のレーザー銃。まだ煙が上がっている。 見るからに高出力のレーザー銃。上がっている煙をフッと吹き消すと、 ウィドはレーザーメスでライトニング・ウェブを切開してくれた。 「君は・・非戦闘タイプじゃ・・」 「誰も一度もそんな事言ってないぜ?ははは」 立ち上がったセイアは、少し複雑そうな表情を作った。 不思議な子だ。ウィドは。 「とっ・・・とりあえず・・ありがとう。また助けてもらって」 「まぁいいってこと・・。それじゃあ・・・また来いよ」 「うん。さようなら。また今度」 アーマーを脱着し、セイアはヒラヒラと手を振ると、少し沈みかけてきている太陽の方向に向かって、 ゆっくりと歩み始めた。 破壊されたスパイダスの身体から、 まるで生命体のように蠢く一体のレプリロイドでもメカニロイドでも無い機体が密かに離脱したことは、 セイアもウィドも知らない。 そうこの時は、セイアにもウィドにも・・・ これが新たなる闘いのほんの前奏曲《プレビュート》だと言うことは知るよしも無かった。 「さて・・強化システムでも作ってるとしようかな。また・・厄介なことと一緒に来そうだし」 ウィドはたった一人、研究室でそう呟いた。 密かに笑みをこぼして。
https://w.atwiki.jp/niconicojikyouplay/pages/3061.html
【ゲーム】ロックマンX2 【作者名】あちゃぽ 【完成度】【完結】(11/04/25~11/06/27) 【動画数】26(おまけ動画含む) 【part1へのリンク】 【マイリストへのリンク】http //www.nicovideo.jp/mylist/25066490 【備考】 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/23584.html
登録日:2009/05/26(火) 19 57 27 更新日:2024/08/04 Sun 09 30 25 所要時間:約 11 分で読めます ▽タグ一覧 DWN PXZ おべんとう おべんとう ← 公式ネタ アシストフィギュア イケメン イレギュラーに戻る人 スマブラ ゼロ ゼロウィルス タツカプ ダッシュキャンセル滅多斬り ← ボス瞬殺 ヒッフッハ ビームサーベル マヴカプ ライバル レプリロイド ロックマン ロックマンX ロックマンシリーズ ワイナンズ ワイリーナンバーズ 主人公 元イレギュラー 元凶 先輩 剣士 即死技 即死技←幻夢零 死亡フラグ 理解者 相棒 置鮎龍太郎 親友 金髪 長髪 ゲーム『ロックマンX』シリーズに登場するレプリロイド。 CV:置鮎龍太郎 左・初期 / 右・X2以降 ◎概要 ◎武装 ◎シリーズでの活躍「ロックマンX」シリーズ 「ロックマンゼロ」シリーズ 「ロックマンエグゼ」シリーズ ◎ブラックゼロ(黒ゼロ) ◎関連作品・グッズ ◎おべんとう ◎偽者ゼロウィルス ゼロナイトメア ニヒツ ◎概要 元イレギュラーハンター第17精鋭部隊の隊員で、後の第0部隊の隊長も務めたエックスの頼れるパートナー。 イレギュラーハンターに配属された際に右も左も分からずキョロキョロしていたエックスと偶然目が合ったのをキッカケに交流を始め、悩み多きエックスとは正反対のクールな性格ながら、良き親友にして理解者、掛け替えの無いパートナーとなった。 迅速かつ的確に任務をこなす優秀な特A級ハンターで、シグマ同様エックスの秘めたる可能性に気づいている数少ない存在である。 エックスとは異なりイレギュラーを処理することに迷いはなかったはずだが、アイリスの死(X4)から徐々に迷いが生じ、自分の存在意義について深く悩み、イレギュラーになる可能性のある自らを封印することになる(X6)。 『X3』より操作可能、『X4』『X5』では主人公も務めた。 近接戦闘メインのため間合いが重要だが火力はあり、ダッシュキャンセルゼロコンボは圧巻の破壊力。ラーニングによりコマンド入力の技を覚える。 ネタバレ 実はかつて世界を騒がせた天才科学者、Dr.ワイリー最後の最高傑作(ラストナンバー)である。 『ロックマン2・ザ・パワーファイターズ』のフォルテエンドでは彼の存在がシルエット付きで示唆されている。 発見当初は気性が荒く、暴走していたため紅いイレギュラーとしてシグマに処理、回収された。 次に目覚めたときには暴れていたのが嘘のように大人しくなり、シグマが監視も兼ねてイレギュラーハンターに入隊させた。 この時に大人しくなった理由は、ゼロ本来のプログラムが破損したためと思われる。 なおプログラム破損前にゼロのウィルスに感染したのがシグマであり、結果としてゼロの本質に近い存在となったシグマだけが残った。 ゼロを長年演じる置鮎氏は、作品によっては同じく赤いボディのブルース(初代シリーズ)を演じている。 『PROJECT X ZONE』でボイスを新録した際には「久々に演じるキャラ」と述べており、公式サイトでは、置鮎氏がゼロについて語る音声インタビューが聴ける。 ◎武装 ゼロバスター 最初期に使っていた片腕を変形させるシリーズお馴染みの武装。 その威力は凄まじく、当初の未熟だった頃のエックスが手も足も出なかったVAVAのライドアーマーの腕を中チャージで吹き飛ばすほどの破壊力を持っている。 上述の通り、エックスのバスターと互換性があり、アームパーツを取らずにシグマステージまで来た場合にゼロバスターをエックスが装備することになる。(ファーストアーマーのアームパーツがゼロバスターと同じ形状の理由は不明) 元々はアームパーツと同じスパイラルクラッシュバスターだったが、イレギュラーハンターXにおいてはフルチャージゼロバスターとなり威力もかなり高くなっている。 Zバスター 修復されて復活した際に新たに装備されたバスター。 当初はフルチャージすることで、左右連続で発射から後述のサーベルに繋げるように使っていた。 ゼロバスターより威力は抑えられてはいるが、エックスと違いアームパーツ無しでダブルチャージが可能なので汎用性は高い。 X3で動力炉をやられた際に破損したのか、X4では使うことが出来なくなっていたが、X5にてエイリアにより修復されるものの、最初の選択肢次第ではOPステージで再びバスターを失ってしまう。 このX5のZバスターは、直立状態でしか使えず、かつ威力も大したことが無いガッカリ武装だったので多くのプレイヤーはエックスのフォースアーマーのためにZバスターを犠牲にしたのは言うまでも無い。 X6では無条件で使用可能であり、大幅改善されて直立でしか使えないものの威力が大幅に増加しており、ボス戦などでかなり役立つ武装となった。 X7以降は再び武装から外されてしまった。 なお、立ち絵ではX2とX3以降で形状が変化しているが、X3の時のグラフィックはX2の頃のバスターのままである。 ビームサーベル X2とX3において使っていた高出力のビームサーベル。通称「ゼロサーベル」。 後述のZセイバーとは別物であり、こちらはフルチャージしないと使えない代わりに威力が凄まじく高く、一撃でザコなら一撃、ボスのライフも半分奪っていく威力となっている。イベントではシグマが複製した偽物のゼロをZバスターからの三連撃で破壊した。 X2では斬撃を飛ばして攻撃していたが、X3では何故かゼロが使う場合は斬撃が飛ばず、アームパーツを装備したエックスでしか斬撃を飛ばせなくなっている。 X3の終盤では展開次第でエックスに譲られるが、ゼロが戦線離脱しない場合らこのゼロサーベルにシグマウィルスの抗体ワクチンプログラムを入れてシグマに引導を渡す凄くオイシイ役回りを担うことになる。 漫画版では、あまりに高出力すぎて並のレプリロイドなら特A級でも片腕で持つと腕を持っていかれ兼ねない武器で、まともに片手で持てるのはゼロとエックスのみであった。 最終決戦時、エックスがフルアーマー状態でかつシグマを真っ二つにするほどの超出力で放たれたが、さすがのゼロサーベルもエックスの捨て身覚悟のエネルギー供給に限界を超えたのか、シグマを斬り伏せた直後に破損して失われた。 Zセイバー X4にてゼロサーベルと入れ替わる形で装備された、ゼロを象徴する武器。 ゼロサーベルの欠点であったチャージしないと使えないという部分を改善。出力を落として威力を控えめにした代わりに、即座に繰り出すことが可能となった。 ゼロサーベルが一撃必殺の武器だとするなら、こちらは連続攻撃に飛んだスピード特化の武器とも言える。 また、このセイバーに倒したボスのデータをインストールすることで各種ラーニング技が使用可能になり、炎の剣や氷の剣や実体剣まで多種多様な戦法が可能となっている。 X5のエンディングでゼロが生死不明になった際にエックスに譲られるが、X6でゼロが復活した際にはエックスの持ってるZセイバーとは別にゼロもZセイバーを所持していた。ゲイトが複製したのだろうか? このX6のゼロのZセイバーだが、それまでとは異なりエネルギーの刃ではなくビームが棒状の形状で固まる謎仕様となっており、カーネルの持ってたサーベルに近い感じとなっている。 なお、ゼロはビームサーベルもZセイバーも立ち絵の多くでは左腕で持っており、剣の柄も左肩に装備していることから、左利きであると思われる。 アースクラッシュ 大地に拳を叩きつけて膨大なエネルギーを流し込む最大の技。アースゲイザーとも呼ばれる。 X2で敵として出てきた際にゼロが使う技で、地面を殴りつけてその衝撃波でかなりの広範囲に攻撃をする厄介な技である。シグマのいる地下への道を開くためにも使われた。 しかし、残念ながらプレイアブルとしてのゼロはこの技を使うことは不可能である。 ただ、X4以降のゼロのギガアタックはどれも拳を地面に叩きつける広範囲攻撃であり、明らかにこのアースクラッシュを意識していると思われる。 なお、漫画版においてはX3の頃も度々使用しており、両腕から放つダブルアースクラッシュという技も披露している。こちらでは、衝撃波というよりも某パワーゲイザーのような演出となっていた。 しかし、X4のプロローグでバスターが破損した状態で強引にアースクラッシュを使ったことで回路が焼き切れてしまい、使用不可能になってしまった。 ◎シリーズでの活躍 「ロックマンX」シリーズ 【ロックマンX】 オープニングステージでVAVAに追いつめられたエックスを助ける。 2度目のVAVA戦ではエックスを救うため自爆して、VAVAのライドアーマーを破壊。 その後、未来とバスターをエックスに託し死亡。 『イレギュラーハンターX』のエンディングにおいて、エックスは残された赤いバイクを見つめるのだった… 当時はバスターのみで戦っていたが、このバスターは『X1』におけるエックスのアームパーツと酷似しているため、シグマの反乱以前にゼロが独自にライト博士のカプセルから見つけて預かっていたものかも知れない。 …とファンの間で囁かれていたが、『X5』でライト博士とは初対面のような発言をしているため違った。 また、『イレギュラーハンターX』ではライト製アームと性能が異なっており、ハッキリと別物であると解るようになっている。 しかも回想に映っている設計図から、最初からバスターが組み込まれている事が分かる。 では何故ライト製ロボットと互換性があるのか…? この件は、一応ワイリーはブルースを修理していたり、ロックマンのコピーロボットを作成可能だった事と、ロックマン3にてライト博士とロボットを共同開発している際に技術を吸収していたと思われる。 フォルテがバスターを標準装備していることからも、お互いの技術自体はほぼ同レベルであったとされる。 レプリロイドが普及している時代である事からエックスとゼロのバスターに互換性がある、というよりバスターだけでなく大まかな部品程度ならある程度互換性がある世界観と考えた方がいいのかもしれない。 デザインが似てる理由は相変わらず不明だが。 と、論争のネタになる部分だったのだが、ロックマンX DiVEにてχ-Kai(カイ)の設定が変更されたことで一気に考察の材料が増えた。 ワイリーはエックスの設計図を入手、コピーであるカイを試験的に製造していたのである。(*1) 思考回路の再現に失敗し生前には完成まで至らなかったが、X DiVEで起動したカイは自らのコンプレックスとして「(エックスにそっくりな)この性能とこの見た目」を挙げているので、ほぼ確実にボディは再現できている。 その後カイのデータがゼロに活かされたと考えると、ゼロとエックスが互換性を持っていても何ら不自然ではない。 【ロックマンX2】 頭脳チップだけが保管されたまま修復できずにいた。 カウンターハンターのサーゲスによって修復され、ルートによってはシグマのパートナーとしてエックスと戦う。 修復された際にボディのデザインが多少変更し、彼の代名詞であるビームサーベルを持ちはじめたのはこの作品から。 シグマに修復されても、こちらがゼロのパーツを集めてケインに修復させてもボディのデザインは全く一緒。武装も一緒。 エックスに倒される際のシグマの台詞が、ゼロとワイリー博士の関係性を暗示している… 携帯アプリ版(2008年)のランキングモードでは条件を満たすと黒ゼロ(と通常ゼロ)と戦闘できる。 【ロックマンX3】 イレギュラーハンターに復帰し、第0特殊部隊の隊長に栄転。 行方不明になっていたマックに捕らわれたエックスを救出した。 進め方によっては動力炉をメカニロイドに破壊され、ビームサーベルをエックスに託す。 この作品からゼロを操作できるようになった。 携帯アプリ版(2010年)のランキングモードでは8大ボスと戦闘でき、勝利ポーズも見ることができる。 【ロックマンX4】 サブキャラから主人公に昇格し、完全なプレイヤーキャラになった。 また、ビームサーベルからゼットセイバーに名称が変わった。 セイバーのみでバスターは使えないが、ダッシュキャンセルを利用した滅多斬りによる火力は化け物級。 この作品でゼロの過去が判明する。 今作ではシナリオ面での優遇や、ムービーの多さなど実質的に主役扱い。 隠しキャラとしてボディカラーが赤から黒メインに変わったブラックゼロ、通称"黒ゼロ"が定着したのも今作から(このカラーリングの初出はX2のコピーゼロ)。 【ロックマンX5】 『X3』あたりから匂わせているエックスとの戦いを描いた作品。 地球に迫るスペースコロニーを破壊すべく単身シャトルで突っ込む。 この時に失敗すると覚醒し、本来の使命を思い出しエックスと運命の闘いに挑む。 このエックスVSゼロのBGMは作中随一の神曲。 エンディングは3種類あるがどれも最終的にゼロは死んでしまい、覚醒EDではエックスがゼロに関する記憶を封印される。 ゲーム開始時ゼロを選択すると修復したゼットバスターが使用可能になるが、「地上専用」「発射時に停止(動きながら撃てない)」「しゃがみながら撃てない(強制的に立つ)」「出が遅い」「見た目も威力もショボい」「射程が短い」などどう使えばいいのか逆に聞きたくなるポンコツ武器になってしまっている。 【ロックマンX6】 『X5』のエンディングでセイバーがエックスに移ったので代わりに千歳飴を使うようになり、モーションが若干変更された。 ゼットバスターもやや使いやすくなった。 本人も知らない再生機能でもあったのか、ダメージが完全に回復するまで身を隠していたらしく、ゼロナイトメアを倒すとエックスの前に現れる。 ちなみに取説にはシルエットでバレバレなのに復活のハンターと名前が伏せられている。 ゼロEDでは100年の眠りにつき、そこからのパラレルワールド分岐として『ロックマンゼロ』に繋がる…と、ファンの間で囁かれている。 だが、公式でX6のエンディングからロックマンゼロに分岐すると明言されている訳ではないので注意が必要。 特殊武器である『ガードシェル』の応用で、ミジニオンとヒートニクス以外のボスを瞬殺できるというチート性能の持ち主でもある。 もちろん、シグマも例外無く瞬殺可。 【ロックマンX7】 働きたくないとニートに堕ちたエックスを余所にイレギュラーを狩り続ける。 突如現れたアクセルにも柔軟に対応し、平和を求めて苦悩するあまり気難しくなってしまったエックスとは対照的な印象を受ける。 セイバーに加え、薙刀や両手持ちの短剣も使用。 8ボスのひとりソルジャー・ストンコングからは「もっとも美しく舞う武神」「貴殿ほど純粋な戦闘用レプリロイドは見た事がない」と評された。 ゼロEDでは、暴走し精神がイカれたエックスに攻撃される……夢を見る。 エックスは一体どうなってしまったのか、どうなってしまうのだろうか? どちらかと言うと「ロックマンゼロ」シリーズを意識したパラレルワールドめいている。 【ロックマンX8】 今作のエンディングでは『X6』のエンディングに繋がるとも取れる台詞がある。 セイバーは5連撃になり、3回目の攻撃にガードブレイクが追加された。 薙刀に扇やハンマー、ナックルも使いこなし、しまいにはシグマの剣まで振り回す(全段ガードブレイク付)。 【コマンドミッション】 (ゼロファンにとって)黒歴史。 性格はクールとは程遠い気難しい熱血漢へと変貌。また偏見が強く、器が小さい。 その分義理人情には厚く、自分のために仲間が犠牲になるとそれまで張っていた意地を捨て去って仲間のために尽力する。 しかし実際には自分のために死んだと思っていた仲間が実は生きていて、しかも黒幕だった。 裏切り発覚時には戦意喪失して真っ向から攻撃を受ける醜態を晒し、 さらには敵の女幹部に鞭打たれて悶えたり、新顔の仲間から悪気なく「ゼロさんって淋しがりやなんですか? かわいいですね^^」などと陰で言われたり…… こんなゼロ有り得ない。…けど100年前のワイリーナンバーズもだいたいこんな連中ばっかりだったような気がしなくもないので先祖返りかもしれない。 本作の隠し要素であるアブソリュートゼロはフォルテそっくりでかっこいいので必見。 このような性格付けになった理由はインタビューにて「二人が従来の性格だと主役になれない(パーティをまとめられないし他メンバーに埋もれる)」と意図的な調整だったことが判明している。 「こんなの違うって思うでしょうが、ファンの方々許してください(意訳)」と前置きされているがアクセルは…? エックスは悩まなくなったし憧れるファン(男女問わず)も増えてかっこ良くなったのにね。 こっちもこっちで戦闘や破壊を厭わなくなってるが… 本作の黒歴史はゲーム内に留まらず、これまで公式には曖昧にされてきた「ワイリー博士に創られた」という設定を 当たり前のように攻略本で明記されてしまった。 「ロックマンゼロ」シリーズ ゼロ(ロックマンゼロシリーズ)やオメガ(ロックマンゼロ)を参照。 「ロックマンエグゼ」シリーズ GCソフト『ロックマンエグゼ トランスミッション』に登場。 電子機器やネットナビに感染し機能を低下させ、進化を続けるウイルス「ゼロウィルス」から偶発的に生まれた「心あるウィルス」として登場する。 そのため、厳密にいえばネットナビではない。 当初はウィルスをばらまく危険な存在だったが、ゼロウィルスから情報を得るうちにいつしか「心」が生まれた。 「ゼロアカウント」でロックマン&熱斗と初めて出会い、そこで彼と戦うことになる。 技は『Xシリーズ』のゼロ同様、三段斬りや、電刃などを用い、体力が少なくなると「幻夢零」を放つ。 『X5』と違い、即死ではないが、喰らうと体力がごっそり減る。 その他の詳細はゼロ(ロックマンエグゼ)を参照。 ◎ブラックゼロ(黒ゼロ) ゼロのバージョン違い。その名の通り、ゼロのボディの赤い部分が黒(正確には濃い灰色)になった姿。 作品や商品によって細部の配色が少し異なる。 初出は『ロックマンX2』。 ゼロのパーツを全て揃えていた場合、彼のコピーとしてシグマに連れられて登場するが、直後にやってきた本物のゼロに瞬殺され、 「俺のコピーにしては出来が悪いようだな」と酷評される。 また、パーツが集まらなかったルートのエンディングの締めにも登場する。 『X5』のオープニングイラストではシグマと共に本物のゼロと対峙しているシーンがある。 資料によっては「シグマゼロ」とも。(CAPコブン氏の調査によると、「コミックボンボン」1996年9月号のメガアーマーの記事が初出) 最初は非常に情けないデビューだったが、黒という見るからに強そうなカラーリングは評価が高く、 以降のシリーズでは、本物のゼロのバージョン違いとして登場することになった。 ちなみに1994年に展開された『X2』カードダスの描き下ろしイラスト(「No.83 シグマ ゼロ」)では、髪は青みがかった銀色だが「ゼットブレイン」(額のクリアパーツ)と瞳が青いため、一見すると後年の作品に登場する本物のブラックゼロに近い。 後述の『R20+5』にも収録されているので確認してみよう。 そして先述の携帯アプリ版において(耐久力や技などゲーム的に)本物と全く同じ性能=普通に強いと判明したため、あっさり倒してみせたゼロの実力の高さが改めて窺える。 『X4』では、プレイングキャラクターを選ぶ際、隠しコマンドを入力してゼロを選ぶと、ブラックゼロでプレイできる。 ただし、色が変わるのはアクション画面のみで、ムービーやステージセレクトでは赤いまま。 また、能力は通常のゼロと一切変わらない。 『X5』では、最初のキャラクター選択画面で隠しコマンドを入力してゼロを選択。しかる後にどこかのカプセルに入ると、ブラックゼロになる。 また、最初にエックスを選んだ場合でも、終盤の隠し部屋にあるカプセルでブラックゼロにしてもらえる。 この状態になると、三つの特殊能力が素で備わった状態になる。 本作では、強化パーツのように特殊能力を付け替えられるのだが、ブラックゼロは素の状態で能力を持っているため、付けられる特殊能力の数が増えたのも同然になる。 『X6』ではタイトル画面で隠しコマンドを入力することで使用可能。 X5同様に素で一部の強化パーツの能力を得られるが、エックスのアルティメットアーマーと択一になるのでどちらを選ぶか悩ましい。 『X8』では2作ぶりに復活。タイトル画面で隠しコマンドを入力するか、クリアデータでゼロの強化を100%にすると使用可能になる。 攻撃力や移動速度が上がる半面受けるダメージが増加するようになり、これまでとは違ってやや玄人向けの性能になった。 『タツカプUAS』のアナザーカラーの中には後述の『メガアーマー』版にかなり近いものがある。 『MVC3』の黒いアナザーカラーの配色はフォルテ(初代シリーズ)を元にしている。 『Xover』では、ボスとしてゼットブレインと瞳が青い「真蒼のブラックゼロ」と赤い「深紅のブラックゼロ」の名称で登場。 髪の色も少し異なり、真蒼は灰色がかった黄色、深紅は銀色。 『X2』ゲーム中の黒ゼロはゼットブレインと髪の色から後者と思われる。 ◎関連作品・グッズ クロスオーバー系の作品では、エックスよりもゼロの方が客演数が多い(『タツカプUAS』や『MVC3』など)。 そして、2012年の『PROJECT X ZONE』にはエックスとの同時参戦を果たし、続編の『PXZ2』でも活躍する。 2018年の『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』ではアシストフィギュアの1体として参戦。龍炎刃や空円斬、幻夢零など原作でおなじみの技を使う。 日本で1996年から展開されたバンダイの『メガアーマー』シリーズでは「イレギュラーハンターゼロ」として発売。 カラーバリエーションもいくつか出ている。 同年のカードダス展開『ロックマンX メガミッション3』のイクスアーマーも「イクスアーマーゼロ X」として商品化され、メガフレーム(本体)のアーマーを外して、もしくは別売りのメガフレームにこちらを取り付けることができる。 海外版は本体付きで何度か単品発売されており、2003年の通常版とメッキ版のパッケージはそれぞれイクスアーマーゼロの描き下ろしイラストが使用されている。 ちなみにブラックバージョン(ブラックゼロ)も「ダブルインパクト」セットの一部として発売。 海外版は2回単品発売され、2003年版のパッケージは『X5』のゼロの公式イラストを黒くしたものが使用されている。 付属パーツの配色はゲーム中のものと異なる部分が多い。 『D-Arts』ではX1ゼロ・復活ゼロ・ブラックゼロ(本物)がラインナップされている。 ロックマンユニティには日暮竜二氏によるブラックゼロのイラストが掲載されている。 『コマンドミッション』の絵を仕様変更し、ゼットセイバーの先を描き足したもの。 おそらくコンプリートワークスに収録されると思われる。 先述の『ロックマン Xover』でもこのイラストが真蒼として使用され、新たに深紅の方も用意されている。 ◎おべんとう ちょっといない間に オレもおちたもんだな こんな オモチャと いっしょにされるとは… …ゼロ? ゼロ 生きていたんだね? フッ エックスだって 生きてるじゃないか 大体 シグマごときに やられてたまるか… そうだろ? さがしたんだ…データはんのうも…パーツも… なにも見つからなかったから…だから… しんぱいかけたようだな オマエのために はやおきしておべんとうつくってきたんだ …というのは冗談で、 ちょっといない間に オレもおちたもんだな こんな オモチャと いっしょにされるとは… …ゼロ? ゼロ 生きていたんだね? フッ エックスだって 生きてるじゃないか 大体 シグマごときに やられてたまるか… そうだろ? さがしたんだ…データはんのうも…パーツも… なにも見つからなかったから…だから… しんぱいかけたようだな ダメージが 完全にかいふくするまで身をかくしていたんだ その間に この「オモチャ」が 世間をさわがせて しまったようだがな さあ…かんどうのさいかいはここまでだ ナイトメアをなんとかしないとほんとうに とりかえしのつかない事になるぞ 今 レプリロイドが全滅すれば復興さぎょうが 出来なくなる …そうなれば人類…いや地球そのものが危うくなる 行くぜ エックス! ナイトメアを ぶっつぶしてやろう! ああ 今はみんなが力を合わせないといけない時なのに… おれは 絶対ゆるさない! 行こう ゼロ! 上記の元ネタは『ロックマンX6』で条件を満たしゼロが復活したときの会話シーン。 2ちゃんねるのスレにセリフを改変したコラが投下され、なぜか爆発的に普及してしまった。 ちなみに、2012年12月の『R20+5 ロックマン ロックマンX オフィシャルコンプリートワークス』には描き下ろしイラストが多数収録されているのだが、 公式もファンの間で有名なネタを見たのか、ゼロが「おべんとう?何だそれは」と発言している。 この「鋼鉄画報」を描いたのはカプコンでおなじみ末次治樹(SENSEI)さんで、他にもエックスを「腰つきがセクシーポイント」と評したり、 よく見るとセクシーなエイリアさんだったり、「たまにはギャグ顔もね」と珍しくギャグなアイリスだったり。 さらに「スカートの下にちゃんと足はあるのよ」と魔女ベルカナの靴?が初めて描かれた。 「それではまたいつの日か!!」 ◎偽者 ゼロウィルス 【X5】の零空間に登場する初期ゼロの姿に実体化したシグマウィルス同様紫のウィルス。 シグマウィルスと、スペースコロニー『ユーラシア』に感染した宇宙のウィルスが融合して誕生した。 ゼロ自身は感染しても症状が出ないが覚醒を早める。 ゼロナイトメア 【X6】に登場するゲイトが拾ったゼロの欠片から生み出した偽者。デザインは現ゼロと同じだが上記ゼロウィルスと同じ色。 ルートによって本物を騙ったり発狂していたり本物の暴走当時っぽくなってたりする。 本物曰く「オモチャ」。 ニヒツ 【ギガミッション】に登場する、アイゾックが生み出した半有機物質エクストリームがゼットセイバーとナイトメアポリス・シャクティーラCCのボディを取り込み、誕生したレプリロイド。 目につく物全てを破壊する凶暴性は、まさに紅いイレギュラーそのもの。 大まかなシルエットはゼロに似ているが、女性型レプリロイドのシャクティーラの影響か、目鼻立ちはゼロと比べて女性寄りで、ヘルメットにはバイザーがついていたり、死人の如き石灰色の肌にサイケデリックな色合いのボディと、かなりの異形。 ゼットセイバー内のゼロのデータを元にしているだけあって、ゼットバスターによる射撃戦に加え、ゼロと同じくラーニング技まで使いこなす強敵。 エクストリームによって生前よりも強大な力を持つ再生レプリロイド相手に、互角以上に渡り合えるプロトブレードアーマーを纏ったエックスをも追い詰める程の強さだが、 同じくエクストリームの力を秘めたエクストリームアーマーを纏ったエックスには次第に追い詰められる。 しかし・・・・・。 俺は本部で修復作業に当たるが、必要な時は追記・修正してくれ。 じゃ、頼んだぞエックス。 画像出典:ロックマンX4、R20 ロックマン ロックマンX オフィシャルコンプリートワークス、ロックマンユニティ(2013/07/31の記事) © CAPCOM CO.,LTD. 1997, 2008 ALL RIGHTS RESERVED. △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] コマミ版ゼロボロクソに書かれてるな。口癖になるくらい「くそっ」「くそったれ!」と言ってた印象が強い。メタ的な視点抜きでゼロを擁護するなら、まず命がけで誰かに庇われた経験がコマミまで無かったことと、上司が敵になった上、そいつが命の恩人に化けて最初っから騙してましたと言われたことでプライドもズタズタで半ばヤケになってたんだと思う。エックスは上司にも部下にもに裏切られたりX7でひきこもったりと紆余曲折あったからあそこで耐えられたけど、ゼロには精神的に打ちのめされた後、這い上がる機会があまり与えられてなかった。カーネルとアイリス手にかけたり、ウイルスの件で散々な目にあったりとかはしたけどね。冷静沈着なキャラは岩本版の影響が強いし(「地球へ…」のキース・アニアンがイメージ元なんだそうだ)、コマミの時期はX1当初の、むしろ熱血よりだった頃のゼロに戻ったって言った方が近い。エックスが甘さを出さなくなってきた代わりに、ゼロが素の自分を出すようになった感じなのかも。ゼロは案外短気でガサツなところもあるんだよ。「~は苦手だ」と口にすることも多かったな。 -- 名無しさん (2016-02-07 21 11 04) 一旦コメント欄をリセットしときました。 -- 名無しさん (2016-02-14 18 20 36) ゼロは嫌いではないが、これ以上他作品への客演は控えるべき。 -- 名無しさん (2016-02-14 20 19 59) 客演でもエックスとゼロどちらかでも出ないと忘れられるし… -- 名無しさん (2016-03-18 03 31 27) キャラ人気的にも性能的にもエックスよりゼロの方がクロスオーバー物に出しやすかったんかな -- 名無しさん (2016-03-18 09 25 55) ゼロはよく行方不明になるからな、その間に異世界旅行してた って言うクロスオーバーしやすいのだろう -- 名無しさん (2016-04-25 18 08 14) 目次付いたのは良いけどスペース消しすぎてちょっと読みにくいかな -- 名無しさん (2016-05-16 23 11 51) X1の頃=「え・・・ゼロ死んだの!?ショック・・・」、後々=「なんだまた死ぬ死ぬ詐欺か行方不明詐欺か」 -- 名無しさん (2016-05-17 15 10 37) 滅多斬りの火力には惚れ惚れするね -- 名無しさん (2016-06-09 23 18 57) DAAAAAA!! -- 名無しさん (2016-07-23 20 24 44) ↑シネ -- 名無しさん (2016-09-25 19 54 46) ロックマンゼロ4のラストでもどうせどっかで隠れて傷を癒して弁当つくってんだろ?言われてる人 -- 名無しさん (2018-01-27 13 03 55) いつかフォルテと共演してほしい -- 名無しさん (2018-01-28 11 45 03) DASHの世界でのロクゼロはゼロがこの見た目だったらしい。剣2本持ってたりとか飯屋との違いとかはどうするんだろう?主人公のゼロをX1仕様にすりゃいいんだろうけどさ。 -- 名無しさん (2018-12-07 18 40 20) どうしてイレギュラーは発生するんだろう? -- 名無しさん (2018-12-29 18 16 48) ↑3 まさかのスマブラで共演したぞ!アシストと切りふだ演出だからどつき合わせることはできないけど、スピリットで擬似戦闘させよう -- 名無しさん (2019-06-08 13 26 06) 仮にスマブラに参戦したらロックマンの必殺技に登場しなかった方の歴代主人公(アクセル・ロクゼロ・ヴァン・エール・アッシュ・グレイ)とゼロ(トランスミッション)を召喚して滅多打ちだよね。ライバル枠ならフォルテがいるだろうし(こっちは歴代ライバルのブルース・コピーエックス・ブルースEXE・フォルテEXE・ブライを召喚するんだろうが) -- 名無しさん (2019-07-16 08 44 33) 黒ゼロが赤ゼロの上位互換のように扱われるがぶっちゃけ黒ゼロ好きじゃないんだよなぁ -- 名無しさん (2020-01-06 11 40 50) バスターの互換性だけど、ワイリーは自力で人型ロボットを作れなかったから、1でライトナンバーズを奪い、その際得た技術でワイリーナンバーズを作ったから根っこの技術がロックマンと同じなのよ、だから武器システムも互換性があるし、明らかに設計思想の違うワイリーステージの巨大ボスの武器には互換性が無い -- 名無しさん (2020-03-10 01 13 48) ↑×2 元ができそこないの偽物ではあるしわからんでもない -- 名無しさん (2021-05-07 15 08 09) スマブラのDLC枠で参戦希望だけどアシストフィギュアに居るから絶望的かな…? -- 名無しさん (2021-05-07 15 14 33) 実はエックスにメンタル的に一番ダメージ与えてるのはゼロかも。ロックマンゼロ開始までに4回ぐらい親友との今際の別れ味わわせてるし -- 名無しさん (2022-06-13 13 16 51) いまだにX3のゼロが一番カッコいいと思ってる。ダブルチャージからのビームサーベル大好き -- 名無しさん (2023-12-02 00 30 16) ゼロに非は全く無いけど(むしろワイリー)実質存在自体がXシリーズの元凶になっちゃってるんだよな…。何でロボット破壊プログラムなんて埋め込んだんや -- 名無しさん (2024-05-09 03 55 45) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/vip_rockman/pages/25.html
233 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/14(土) 01 21 27.13 ID KuQRxfiH0 「ゼ………ロ………?」 身体中に痛みが走る。 高密度の爆撃から、どのぐらい経ったのか。あんなにも青かった空は赤みを帯びてきていた。 青いボディの周りには、イレギュラーやハンターであった物が所狭しと転がる。 エックスにもウツボロスであったと云う残骸が乗り掛かっていた。 「起きましたのDEATHか? 愚かな、弱小レプリロイド」 ゆっくりと痛む体を起こすエックスに、痛烈な言葉がかけられる。 「ボスには悪い事しましたのですよ? でも、しょうがないのですよね」 偽りの優しい声色。 声の発生場所に振り向くエックスが見たのは、 「――私の前で、人間を守るなんて言うのだからなぁ!」 耳まで裂けるかと思う程の笑みを浮かべたオクトパルドと、彼女の触手に拘束され吊り上げられるゼロの姿だった。 「………ゼロ!?」 エックスが驚きのあまり、身体の痛みなど忘れて身を乗り出す。しかし、直ぐに甲板に崩れ落ちた。 赤き触手が、ゼロの肢体をまさぐる。爆撃のせいか、少女のせいか、衣類は取り払われていた。 空中で、オクトパルドの『手』が小さな乳房を引き絞り、露になった秘部を無遠慮にかき回した 「あなた達の末路なんて、こんなモノなのですよ。人間に尽くすレプリロイドに、相応しくねぇ!」 「う………く………」 秘芯を擦り上げられ、意識を失いながらも、頬を赤らめ呻くゼロ。 「ゼロを離せ!!」 瞳に殺意をたたえ、倒れ伏すエックスが叫ぶ。 しかし、オクトパルドは陵辱を止めず、目下で無様にもがく青い少年を笑った。 238 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/14(土) 01 25 53.54 ID KuQRxfiH0 「エックス。お前は人間はおろか、一人のレプリロイドですら守れない」 壊れたように笑い続けるベレー帽の少女。 その少女に備えられた‘牙’の三本が、ゼロを辱めるのを止め、エックスに銃口を向ける。 「ふふふふ………私と同じですね――違いは、馬鹿か、そうでないかだ!!」 触手の銃口が瞬き、白色のミサイルが嬉々として飛び出す。 「そろそろ、死ね!!」 煙を上げて急襲する凶器がエックスに迫る。 向かう死と、ゼロを捕らえられたという絶望に、エックスは目を閉じた。 爆発は三度。 どれらも到達される前に、グリーンのエネルギー弾で撃ち抜かれた。 「イレギュラー!!」 生き残っていたのか、エックス等に声をかけた、黒きハンターが膝をつきながら硝煙が漂う銃を持つ。 「貴様……!」 処刑の邪魔にオクトパルドは憤慨し、ゼロをデッキの端へ吹き飛ばす。少女の身体は海へと消えた。 そして、ハンターに全ての銃口を向け、ホーミングトーピードを放つ。 追尾するミサイルはハンター付近を爆撃し、漆黒のボディは海へと投げ出された。 ボディの認識証がエックスの足元に飛ぶ。金色のマーカーには『マック』と表記されていた。 「はっはぁ!! ゴミめ!!」 ゴミと呼ばれたハンター。 しかし、彼女が命がけで作り出した隙は大きい。エックスはそれを有り難く使う。 「オクトパルド!!」 損傷を無視、敵を視認、この戦闘に集中。 エックスは憎悪をバスターにこめた。 240 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/14(土) 01 28 33.30 ID KuQRxfiH0 <プログラム変更> 触手を纏う少女――ランチャー・オクトパルドにチャージショットを放つ。 彼女はコートをはためかせながら跳躍。足元を通過するエネルギーに侮蔑の笑みを送る。 「さぁ、お前の番だ!! 遠慮なく逝け!!」 宙を舞うオクトパルドが、触手を操作。六本から大量のミサイルが放出される。 エックスは落ち着いてバスターを再チャージする。 広がる弾幕。 「愚かなのは、あなたの方だ!!」 右腕から飛び出す、太陽の怒り。 数十発のミサイルを飲み込みながら、オクトパルドに向かう。 ――交差する生き残った数発のホーミングトーピードと、チャージショット。 オクトパルドは着地と同時に身体を旋回し、コートの端を焼き切られながら回避。 エックスも連続して射撃して、全て撃墜してみせた。 「どこがだ!? 私のどこが間違っている!? 何故、レプリロイドより弱い人間達を守らねばならない!?」 辺りを爆撃しつつ、その煙幕でエックスに迫るオクトパルド。 「レプリロイドより優先される人間の命――おかしいとは思わないか!!」 メットに衝撃。 少女の拳が、頭部を穿った。――倒れこむ身体が吹き飛ぶ。 オクトパルドはその場で回転し、鋭い蹴りを繰り出していた。 「そう、おかしくはない………!! だから、死ね!!」 今度は完全に倒れたエックスに、ホーミングトーピードが追い討ちする。 爆発に翻弄され、何度も甲板に叩きつけられる青いボディ。 245 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/14(土) 01 33 50.51 ID KuQRxfiH0 ――本部と同じく、極地部隊の隊員と同じく、人間だ ――人間だが、私は君の味方だよ 自分より小さな背の少女がそう言った。 人間に絶望しかけた少年に、涙をためながらそう言った。 人間は、全てが悪なのだろうか? 「違う………!! やっぱり、あなたはおかしい!!」 バラバラになりそうな身体を横転させ、ミサイルの地獄から抜け出す。 「――人間は……。人間は、みんながみんな悪い奴じゃないんです!!」 バスターを急速チャージ。 そして、すぐさま放つ。 「馬鹿が!! 夢を見ながら、死ね!!」 オクトパルドは笑いを帯びた罵声を吐き、悠然とそれを避けた。 船自体を揺るがす轟音。 雨のようにデッキに降りそそぐ破片と粉塵。 エックスは驚愕し、オクトパルドは慌てて後方を振り向く。 大きな赤の柱に貫通痕。――バスターは船の巨大な煙突に着弾していた。 「ぐっ………!」 「なっ………!!」 その柱が、自身の巨体を甲板に向け唸りをあげながら降って来た。 もう一度轟音。 それは先ほどのよりも遥かに大きく、そして全てを押し潰す。 「な、何故………なのですよ?」 デッキを縦断する巨体。 二人のレプリロイドは奇跡的に生き残っていた。 248 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/14(土) 01 37 52.94 ID KuQRxfiH0 「エックス……」 赤い破片で腹部を真っ赤に染めた少年に、オクトパルドは問うた。真横には煙突の巨体。 エックスは衝突寸前で走りこみ、オクトパルドを抱え跳んだのだ。 「……人間は、悪い奴ばかりじゃないんです。良い人だって居ます……」 打ち倒れ、傷口を押さえた。吐血しながらエックスは混乱する少女に語りかける。 くだらない話だろうかと鼻を鳴らし、それを耳に入れながら、オクトパルドは自分の損害を確認した。 「……悲しいでしょう?」 損傷を確認する手が止まる。 オクトパルドにとって意外な言葉だった。 「心が温くて、優しい言葉をかけられて、差別をしない人間――そんな人を知らないまま死ぬなんて」 エックスの顔は自分がそうなのかのように悲哀に満ちていた。 オクトパルドの瞳が何かに揺れる。 「僕は人間の嫌な所を知ってます。汚い所も」 悲しい声。アイシー・ペンギーゴは何故あんな目にあったのだろうか。 「――でも、好きなんです人間が。この世界には、必ず良い人間が居るから」 「……………良い……人間………」 重症を負いながらも、決意が篭められた瞳にオクトパルドは吸い込まれた。 「だから守りたい。こんな馬鹿げた事件から。人間を、そしてレプリロイドも――悲しい貴方も」 エックスは見下ろしてくる少女を見つめる。 「……馬鹿………なんでしょうか……? 最終的な結論は、まだ出てないんですが……」 最後に苦く微笑み、エックスはオクトパルドに手を差し出した。 「だから、一緒にそんな人間を一人でも多く探してみませんか?」 震える少女の身体。華奢な手のひらと、自分の手を見比べ、オクトパルドは沈黙する。 上から轟音。 251 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/14(土) 01 44 15.04 ID KuQRxfiH0 「ありがとう、エックス。それは美しい戦略ですね」 オクトパルドは微笑み、手を優しく握る。そして空を仰ぎ、何かに気づいた。 「オクトパルドさん……」 少女は素早く損傷部分を確認。右脚部は完全に破損――回避は出来ない。二人とも。 「だけど、駄目みたいなのですね」 上から轟音。 オクトパルドは再度微笑む。今まで一番、優しい笑顔だった。 「ふふっ。もう少し早く、あなたに会いたかった……」 上から轟音。貫通した煙突がもたらした被害は、大きかったのだ。 ――その後ろにあるもう一つの煙突の取り付けを、致命的に揺るがすぐらいに。 「生きて………あなたのすべき事を成し遂げるのです。私はそれにかけますのですよ」 「オクトパルドさん……?」 細い腕がベレー帽にかけられ、それを取る。赤い帽子はエックスに被せられた。 「さよならエックス。途中で諦めたりしたら、0点なのですよ……?」 涙を溜めながら笑みを送り、そしてミサイルを放つ。 ――衝撃と爆発はエックスを船外に吹き飛ばした。 「――オクトパルドさん!?」 海へと叩き出されたエックスはデッキに、もう一つの赤い巨体が落ちようとしてるのを見た。 二度目の落下は甲板の全てを、今度こそ押しつぶす。 「そんな……そんな!! オクトパルドさん!! そんな!!」 真っ赤な夕日に照らされる旅船は衝撃に耐えられず、沈みかけようとする。 腹部の事は気にせず、エックスは船に向かって泳いだ。 とうとう海中にけたたましい音をたてて瓦解し、沈没する船。 沈没の衝撃破によって形成された波が、泳ぐエックスを無情に飲み込んだ。 568 名前: Irregular s Elegy 2006/10/18(水) 22 59 22.91 ID 1kCBjzAl0 暗転、回復、暗転、回復。 叩きつけるような波は、生まれ、崩れるのを繰り返す。 エックスは、旅船の爆発から発せられた波に流された。 海面に出たと思えば、海中に飲み込まれ、意識もそれに合わせて明滅する。 ――ここはどこか? ――ゼロはどこだ? ――自分はどうなる? 頭の中で様々な思いが、波と同じように暴れる。 巨大な箱舟は小爆発を繰り返しながら、沈み、そして海面を荒らした。 暗転。 「くぅ………」 次に蒼穹色のボディが現れたのは、真っ白な砂の世界だった。 波の音に、意識を目覚めさせたエックスは、辺りを見回す。どこかの海岸――砂浜だった。 立ち上がりながら、揺れる視界と思考を整える。 「………ここは? ……どこなの……」 そして、呻きの次は、疑問が口から漏れた。 答えは誰からも与えられない。付近には少年以外いないようだ。 「――ゼロは!?」 その場で、答えを探している内に、重大な事に気づいた。 571 名前: Irregular s Elegy 2006/10/18(水) 23 01 50.80 ID 1kCBjzAl0 赤き少女――ゼロの姿が見当たらない。エックスは、真っ青になった。 彼女は、オクトパルドに嬲り者にされてから、海中に放り出されたはずだ。 「ゼロ!? ゼロ!? どこなの、ゼロ!!」 少女の消失から、顔を青から白に転じ、エックスは彼女を呼びかけながら探す。 ふらつく身体に鞭打ち、砂浜を駆けるがゼロの姿は見当たらない。 焦燥感に口元を歪ませる少年の顔に、蔭り。 まるで野鳥が大量に羽ばたいた様な音を奏でる、回転翼がエックスの頭上に迫る。 「ハンター………」 お馴染みのハチ型ヘリが、高度を落とし、砂浜に着陸する。 「ご無事でしたか」 大量生産される型番のボディを纏ったハンターが、白い大地を踏みしめた。 その一人が、こちらを見るエックスに、片手をあげて挨拶する。 「あなた方が乗船なさった旅船のシグナルをロストしまして、緊急に、我々が救出に向かいました」 青き少年に、タオルと鎮痛剤が混入されたカンフルを渡しながら、説明する。 他のハンターは、てきぱきと極地基地のように、簡易待機所を作ってゆく。 説明するハンターの声と波だけが、この砂浜の静けさの〝異端〟だった。 「ここまで流されるとは………おい、マックの捜索も範囲を広げろ!」 右手に持った端末で位置を確認しながら、後続のハンター達に命を出す。 「あの、ゼロは見てますか? 一緒に……では、ないのだけど、流されてしまったんです」 エックスは自分の憂慮をハンターに手渡す。 572 名前: Irregular s Elegy 2006/10/18(水) 23 03 28.66 ID 1kCBjzAl0 「あ、はい。彼女なら、先に本部に搬送されています」 「本当ですか!?」 応えは、少年を大変安堵させるものだった。 エックスの顔が喜色に満ち、緊張からの脱却からか、砂浜にへたり込んだ。 「えぇ、ただ損傷の関係で、直ぐにでも治療を受けないと危険な状況らしいですが」 安心は、続けるハンターの言葉で無惨に打ち砕かれる。 自分の意ではなく、顔色がころころと変わるエックス。 「心配でしょう。直ぐにでも本部まで、お送りします。ケイン博士も話があるそうです」 うな垂れる中性的な顔立ちの少年に、ハンターは手を差し伸べ、ヘリを指差す。 地に足をつけるヘリは、再度ローターを回転させた。 散乱する砂。局地的な小さな砂嵐。 迫り来る砂に目を開閉しながら、エックスは頷いた。 「ご苦労だった」 帰還の労いは短い。 いつもは、幹部の画像を映した浮遊ディスプレイが無く、会議室は非常に静かだった。 簡素な部屋で、二人。 Dr.ケインとエックスは、数メートル離れて対峙する。 円卓の真ん中に座るケインは、冷徹な瞳で、前方に立つ少年を見つめた。 イレギュラー事件発生の時とは、大きく違う印象を受ける。 力強さと――憎悪。 574 名前: Irregular s Elegy 2006/10/18(水) 23 05 52.72 ID 1kCBjzAl0 「私から話そうか、それとも君から話すか。私はどちらでも」 自分の皺の寄った顔を、見つめるではなく、睨む少年に問いかける。声はどこまでも冷たい。 「あなたから」 何かの意思を掴んだ光を宿す瞳を、臆す事なくケインにぶつけるエックスが答える。 老人は頷く。 「最初に話すべきことは、情報部の事。――何故、君達に隠し事をするか。何故、協力しないか」 ケインは一拍置く。 「それは、この事件が〝極めてイレギュラー〟な事にあるのだ」 机の上の指がせわしなく動く、常に冷静な老体は何かに焦っていた。 「ハンター本部が取り扱う事件、この世界で起こる事件で、あってはならない事が一つだけ存在する」 焦りは末端部分だけに、顔には出さない。 「レプリロイドが、バグや事故での暴走ではなく、〝自分の意思で事件を引き起こす〟事だ」 「しかも、今回はハンターの職員とくる」 エックスは沈黙する。 アイシー・ペンギーゴ。 ストーム・イーグリード。 ランチャー・オクトパルド。 彼女達は様々な思惑で、暴走と言う道を選び、エックスの前で朽ちた。 「それは、イレギュラーと戦ってきて解りました――それが、釈明ですか?」 らしくない冷たい言葉の刃が、ケインを突き刺す。 575 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2006/10/18(水) 23 07 15.80 ID yWQxajs80 http //1st.geocities.jp/warosu2kki/web2.0-syndrome.html ↑いくつあてはまる? 576 名前: Irregular s Elegy 2006/10/18(水) 23 07 36.38 ID 1kCBjzAl0 「我々は驕っていた。自分等の力で、今回も解決できると」 聞いているのか、いないのか。 ケインは天井を仰ぎ、目を瞑った。何かへと追憶しているようだ。 「第17精鋭部隊隊長――シグマがこの事件の首謀者だ」 そして唐突に、驚愕の事実をエックスに渡す。 「なっ………!? 隊長が!? そんな、馬鹿な!!」 「本当だ。こんなスキャンダルを嘘や冗談では言わない。――もともと、冗談を私は言わないが」 驚く少年に、首を振り、ケインはその事実を肯定する。 エックスはとても信じられなかった。 ――焦るな、エックス。お前になら出来る 「暴走した謎のイレギュラーを彼女が、鎮圧したのは知っているか?」 ケインが言葉を続け、新たな質問を作った。 少年は、怪訝な顔をしながら、頷く。自分はその討伐には参加していなかった。 「シグマは、そこからおかしくなった――らしい。原因は不明。三週間前の話だ」 忌まわしき過去を掘り起こし、全てを優しき心を持ったレプリロイドに見せる。 身を切られる思いで、ケインは打ち明け続けた。 「それで情報部は………」 敵として、現れた同僚の言葉を思い出す。 ――ある計画が、あるある奴に聞いた ――緑のボディスーツを着たレプリロイド ――ボスの命令だ ――君は強くならなければ、ならないらしい 全ては、自分の上司の残滓だったのだ。 578 名前: Irregular s Elegy 2006/10/18(水) 23 10 53.95 ID 1kCBjzAl0 「だが、それもお終いだ。本部も暴走したのだから――」 腐敗した事実。 「……………………は?」 腐った現実は、エックスの耳にすんなりと入らなかった。 「君は、聞きたい事があるのだろう。…………本部は、彼女達に何をしたか」 聞きたくない。 聞きたくない。 聞きたくない。 「おかしくなった、原因は不明と言っただろう。だが、それを〝どうやって〟調査したと思うかね」 ケインが、初めて感情を顔に出した。 ――大きな絶望。 「そんな………まさか……………」 聞きたくない。 聞きたくない。 聞きたくない。 ――少女のレプリロイドは何故、 「レプリロイドに、多大な不安や、精神的な圧迫をかけ、シグマと同じく〝壊れた〟精神を分析したのだ」 ――イレギュラーとなったのだろう。 579 名前: Irregular s Elegy 2006/10/18(水) 23 12 18.31 ID 1kCBjzAl0 「それを今回の事件に役立たせようとした。――だが結果は、最悪だ!!」 ケインの怒号。 珍しい光景だが、エックスの目には入らない。 「シグマの作戦に便乗した奴も居るが、この事件の半分のイレギュラーは〝私達〟が作り出したのだ!!」 ――絶対たる悪が、彼女達をそそのかしたのでは、なかったのか ――そうであれば話が早い。 ――そうであれば解りやすかった。 ――そうであれば、このバスターを遠慮なく撃てただろう。 「うぉおおおおお!!」 間合いは一瞬にして無に。 獣の咆哮と一緒くたに、ケインの顔に向け、エックスの拳が突き入れられた。 吹き飛ぶ老体。 「許してくれなど………言わない。本部は必死だったのだ。――世界平和という目標に」 憤慨などせず、ケインは唇から血を流しながらも、弁解した。 荒い息を吐くエックス。 「増大するレプリロイドの件で、本部は世界平和と言う単語に過敏になっていた」 世界平和。単語自体は素晴らしい。 「レプリロイドの意思で事件を引き起こす………決して許されない事だったのだろう」 だが、その言葉の中身はどうだろうか。 「シグマで終わらせようとした事が、こんな裏目に出るとは、彼等も思わなかっただろう………」 しかし、事件は起きた。 580 名前: Irregular s Elegy 2006/10/18(水) 23 15 52.95 ID 1kCBjzAl0 「私は止めた。止めたが、ハンターは〝訓練Σ〟と言うお題目で、調査を開始してしまった」 アイシー・ペンギーゴ。 それ以外は知らないが、他のレプリロイドの心にも、そんな影があるのだろう。 訓練Σでは無く、仲間意識の狭間で狂気を選んでしまった、優しきイーグリードという存在も居た。 「その調査で彼女達はイレギュラーになった。本部も彼女達も止められなかった…………すまない」 後悔。 「チップは………そうか、情報部の隠蔽…………」 少年が気づいた、下らない事実。 「確かに滅びるべきだな、人間は。レプリロイドのための世界――悪くない」 自嘲しながら、絶望の答え。 「ふざけるな」 だが、エックスはそれを一言で砕いた。 本当にそんな世界が望まれるべきなのだろうか。 ペンギーゴの最期の言葉。 ゼロとイーグリードの友情。それを持っていたのは、最初は人間ではなかったのではないのか。 ――途中で諦めたりしたら、0点なのですよ……? オクトパルドが持った希望。 582 名前: Irregular s Elegy 2006/10/18(水) 23 18 09.78 ID 1kCBjzAl0 「答えを勝手に出さないで下さい」 純粋な怒り。 「あなた方のやった事は、最低だ。でも、世界中の人間がその罪を背負う必要は無い」 平和を望み続ける心優しいレプリロイドの怒り。 「ハンター本部が、世界平和に焦ったように、隊長もまた〝何か〟に焦ってしまったのでしょう」 俯いていたケインが顔を上げる。 「おそらく、レプリロイドの自由と平和に。その代弁者という重荷に」 二人の瞳がやりきれない思いに、揺れた。 「僕なら解ります。隊長が何故、壊れてしまったのか………」 レプリロイドの述懐。 「僕だって、時々思う――どうして人間はこんなにも傲慢なのか、どうしてレプリロイドを見下すのか」 レプリロイドとして生まれた身の不満。 「でも、人間を守りたいという意思も存在する」 レプリロイドとして生まれた身の思い。 ライト。そして、この世界に必ず存在する優しい人間。 「その二つが、イレギュラー討伐でおかしくなってしまったのでしょう」 「討伐後のシグマは重症だった…………過度の恐怖による〝事故〟………」 調査は無意味だった。 583 名前: Irregular s Elegy 2006/10/18(水) 23 20 01.25 ID 1kCBjzAl0 「馬鹿だ………私達は………。私達は、何故あんな惨い事を…………」 もう、戻れない。 「報いは、博士自身が考えてください。僕には決める権利が無い」 仲間を殺してしまった自分には、と言葉を続け、かかる多大な疲れに、手で顔を覆った。 ――同じくして、二人は、もう戻れない所に立っているのだ。 「殴ってしまって、すいません………」 エックスは、拳に目を落とし、困ったような顔をする。 「僕は、僕の〝報い〟を受けようと思います……」 この事件は終わりにしなければ、ならない。 それが使命。 「すまない………。本当は私も手伝うべきなのだがな」 自分の年季のいった身体を見下ろし、ケインは頭を下げた。 エックスが首を振り、会議室の扉に向かう。 茶色のドアを開き、廊下に出ようとしたところで、声がかかった。 「娘を頼む……………。あの子の悪夢を終わらしてやってくれ」 最後に、ケインが何故自分に打ち明け、こんなにも悲嘆にくれていたのか、やっと解った。
https://w.atwiki.jp/vip_rockman/pages/22.html
525 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/10/11(水) 23 15 14.19 ID 33MOrt2O0 「太りそうだぜ」 泳ぎ疲れたゼロと、海を見てぼんやりしていたエックスが向かったのは食堂。 大きな窓に囲まれていて、そこからの眺めもデッキと同じく良い。昼の光が、室内に強く差し込む。 二人の目前に広がるのは、沢山の料理だ。 「その分、前にいっぱい動いたから良いんじゃないの?」 様々な料理が皿に盛り付けられ、長机に並べられる。 エックスはその一つのパスタ料理を手に取り、自分の小皿へと移した。 「やれやれ………女を解ってないな、エックスは」 ゼロは言葉とは裏腹に、目に付く物を片っ端から自分の所へ持っていった。 「同じ職場のレプリロイドも居るから、やめて。はしたない」 「良いじゃねぇかよ――あ、これ美味しい。だいたい、なんであいつ等もここに居るんだよ――これも、イケるな」 エックスは説得するのを諦め、自分の食事に取り掛かった。 「ハンターは、ハンターの船に居ろよ。一緒にランチなんかしやがって」 少女の視線の先には黒いボディに包まれた、イレギュラーハンター達がてきぱきと各々に料理をよそっていた。 「食事ぐらいしたって、良いじゃない。それに、中から旅船を守る役目でもあるんでしょ、彼等は」 エックスはそれ以上言葉を重ねず、ゼロの頭を撫で、彼女の言葉を制した。 「ふ……ん」 撫でる手のひらに身を任せながら、ゼロは小馬鹿にしたように鼻を鳴らした。 「嫌いみたいだね。同じハンターなのに」 パスタを食べながら、不思議そうに言った。昨日の夜の事もあり、エックス自身も組織には好感が持てなくなってはいるのだが。 「――なんでかな? 意識はして無いんだけどな。なんとなく、好きにはなれないんだ」 自分でも解らない、とゼロは続けて、他の料理に手を伸ばす。 「なんとなく、ね……」 突然、黒尽くめのハンター達が立ち上がりだした。料理を叩き置き、椅子を蹴散らしながら窓に向かう。 エックスは自分達の言葉で怒りを覚えたのかと思ったが、ハンター達の慌てぶりから、そうではないらしい。 537 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/12(木) 00 02 33.06 ID 25X215nE0 「なんだぁ?」 デザートとして出たケーキのクリームで口元を真っ白にしたゼロが、疑問符を挙げながら立ち上がる。 窓から外を覗くハンター達は何を見たのか獣のように呻いて、腰から銃を引き抜く。 そして食堂から、駆け足で出て行った。 エックスが顔を引き締めながら、窓に近づく。 大きなガラス越しからの海の風景。 空から高速で、客船と貨物船、そしてハンターの船で構成される船団に接近する黒い影を捉えた。 「イレギュラー………!」 黒い影は、いつぞやのハチ型の戦闘ヘリだった。5機が鏃状に展開し、こちらに向かって突き進む。 すぐさま客船は、空飛ぶ襲撃者に囲まれた。 その内の一機のハチ型ヘリから何本ものロープが垂れ下がり、ローターに揺らぎながらいくつもの人影がデッキに降り立つ。 エックスは、通路を走る時間を惜しみ、食堂のガラスを蹴り割って、黒が散らばるデッキへと跳ぶ。 先にガラス片がデッキへ降り注ぎ、遅れて青いレプリロイドが砂埃を上げ着地する。 「――なかなか劇的な登場の仕方です。72点程あげますよ?」 乾いた拍手が鳴った。 皮手袋に包まれた手を持つのは、幼い顔立ちの少女。 斜めに被られる真紅のベレー帽から、蜂蜜色の長い髪がアップに小さくして纏めあげられているのが見える。 上空のローターが、学生用の水着に羽織られた、肩が突っ張った軍用コートの裾をはためかせる。 「こんにちは、初めましてなのです。私、ランチャー・オクトパルドなのです。――よろしくなのですよ?」 コートの裾を両手で掴み、丁寧にお辞儀をする。自分の言葉に自信が無いのか、可愛らしく首を傾げてみせた。 物静かな態度だが、油断は出来ない。クワンガーのような存在が、それを裏付ける。 エックスはオクトパルドから目を離さず、周りを確認する。 自分の目の前でコートをめくる少女と、その周りを囲むメカニロイド。 ヘリから落下してきた、二門のミサイルランチャーを両手にした、コートを着込んだ人影等が円陣を組んでいる。 黒い装いの少女の頭から垂れ下がるコードの先には、豆電球が有り、少女達がアンコウ型のメカニロイドだと解った。 553 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/12(木) 00 44 24.34 ID 25X215nE0 「イレギュラーですよね……?」 バスターを構え、少女の出方を伺う。周りのメカニロイドからは、こちらに手を出す気配は無い。 「はい、そう言われていますのですよ。人間からは」 オクトパルドは人間という単語で、目を鋭くさせるが、すぐに柔和な表情を作り上げる。 「エックスさん、あなたをお迎えにあがってきたのですよ? ボスの所へ、ご招待しに来たのです」 「ボス……というと、この事件を引き起こしてる人物の事ですか?」 眉をひそめ、オクトパルドを見つめる。ローター音が、バタバタと騒々しい。 「さっ、一緒に行きましょうです。ヘリなら、すーぐに付いちゃうのですよ?」 少女はそれには微笑んだだけで答えず、手袋に包まれた片手をエックスに差し出した。 ハチ型ヘリが、二人に向かって高度を下げる。 「この船に居る全ての人間は、もちろん殺すのですよ? レプリロイドは、捕虜にしても良いのです」 ――困惑しながら手を取るエックスの耳に、少女の信じられない声が届いた。 「皆殺しにしたら、100点ですよー」 頷くメカニロイドに、微笑みながら告げるオクトパルドは、やはりイレギュラーだった。 手を勢いよく、振りほどく。 「な、なんですかー? 何か悪い事、私、し、しちゃいましたかー?」 オクトパルドが驚き、困った顔をした。 アンコウ型のレプリロイドも、船室に向かうのをピタリと止めた。 「人間を皆殺しにする……? いったい何を考えてるんですか!?」 泣き出しそうになる少女を気にせず、激昂する。 「ふぇ……何を……って、よ、よく解らないですよ?」 「あなた達がそのつもりなら、僕は行けません。ここで、あなた達と戦います……!」 しどろもどろになる、少女にバスターを再度向け、エックスは決意の声をあげる。 アンコウの少女達はそれに合わせ、ミサイルランチャーの砲門をエックスに向けた。 554 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/12(木) 00 49 27.94 ID 25X215nE0 「…………………………………あ、あぁ」 「………え?」 ローター鳴り響くデッキの上で、オクトパルドが小さく呟く。 「そうなんデスね。あなたも、そうなんデスね……? あはは……そうなんデスね。ククク……そうなんデスね」 「な、何を言ってるんですか……?」 涙を流すのかと思われた少女が笑う。ニタリと、どこか失望したように。 エックスは怒った顔から、反転。頭の中で警鐘が鳴った。 「馬鹿なレプリロイド。愚かなレプリロイド。下らないレプリロイド。守るなんて――人間を守るなんて」 怨嗟の声。今まで、健気にエックスの機嫌を取り成した少女のものとは思えない。 「人間が好きなのデスね? 守りたいのデスね? ――あぁ、そうDEATHか」 オクトパルドが姿勢を低くし、背中から六本の赤き触手がコートを突き破り、一気に飛び出す。 うねる触手の先端に取り付けられた銃口が、驚愕するエックスを睨む。 「喜べ、作戦を変更してあげるのDEATHよ。お前を解体して、海にばら撒いてやる――シュート」 親指で自分の首を薙ぎ、メカニロイドに『殺せ』と命じる。 全方位から、海蛇の形をしたミサイルが迫る。 エックスは地を蹴り、上空へと逃げる。 連鎖する爆発。ミサイル等が大爆発し、デッキを赤とオレンジで蹂躙した。 自由落下しながら、バスターを発射。 煙が晴れ、黒き姿を見せたアンコウ型の少女の頭部を粉砕した。 鉄の破片がぶちまけられる甲板に着地し、横転する。 転がる青いメットの先を、火煙の尾を引く矢が掠めた。 「援護が欲しいな……!」 叫びながら射撃し、横手に居たメカニロイドの胸部を撃ち抜く。 572 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/12(木) 01 49 32.43 ID 25X215nE0 海蛇がどこからともなくエックスを襲う。 右手からやってきた三発のミサイルを撃墜し、お返しにエネルギー弾で目前から攻撃してきた少女を破壊する。 散らばる機器の破片が落ちる前に、青きレプリロイドは素早く上方に射撃した。 戦闘を空から見下ろすハチの頭部――コックピットが弾け、錐揉みしながら海面に激突する。 戦闘ヘリは、デッキに届く程の巨大な水柱をあげて爆発した。目障りな傍観者が消える。 「やるのデスよ、こいつ。あはははははは。――撃ちまくれ!!」 何が彼女を怒らせたのは解らない、ただメカニロイドとの戦闘を離れて傍観する少女の顔は、憎しみに満ちていた。 エックスはバスターを何度も放ち、ランチャーを放つ少女達を地に沈める。 「あの子、AIがおかしいんじゃないのかな……」 呟きながら、バスターで波状に撃ち込まれるミサイルを攻撃。落としきれなかったのは、横に跳んで回避する。 デッキに着弾し、船を大きく揺らす。 ハンター達の船や他の船がどうなっているのか確認したかったが、際限無く迫るミサイルに、自分の事すらままならない。 アンコウのイレギュラーの一人が、突進しながら海蛇を放つ。 尾ひれを激しく振るミサイルがエックスを襲うが、太陽の光で作られた弾がそれを許さない。 アンコウとエックスの間で爆発し、少女の視界が泡立つ様に膨らむ黒煙で失われる。 戦場で目を擦るイレギュラーに無慈悲なバスターが貫く。煙をあげる大穴を胸に作り、アンコウの少女は倒れた。 乱射されるミサイルから、姿勢を低くしながら体勢で合間を縫うように射撃し続ける。 三人のアンコウ型イレギュラーはまとめて撃ち抜かれ、同時に爆発を起こしながら破壊された。 ヘリから舞い降りたアンコウ型はこれで全てだ。 「なかなか美しく戦ってるのは、69点ものなのDEATHよ? ――さっさと殺せ!!」 二人きりになった甲板に、勇ましく腕を組むオクトパルドの賞賛と怒声が響く。 ベチャリと、水が跳ねる音。音源に向くエックスの瞳に映りこむのは、新手のメカニロイドの姿。 魚類を思わすヒレが脛や肘に取り付けられた数人の全裸の少女が、右手のデッキの端から現れる。 ぬめぬめした裸体を晒しながら、鈍い動きで迫る少女達の尻からはカールを巻く尻尾――タツノトシゴのメカニロイドだ。 96 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/13(金) 21 08 51.66 ID zwiiOXO20 端整な顔に張り付く長い髪から海水をしたたらせ、シーアタッカーがのろのろと迫る。 「――あなたは戦わないんですね」 数体のタツノオトシゴのイレギュラーを横目で睨みつけながら、エックスは皮肉を吐く。 「0点に近い挑発DEATHね。ボスが最後に戦うのは美しい――あたりまえの事なのですよ?」 オクトパルドは片手を挙げ、この状況でなければ頭でも撫でてあげたいぐらいに、ニッコリと笑う。 そして微笑む少女の両隣から、コートを着込んだ二つの人影が降って来た。 アングラーゲでは無く、首元に大量の棘が生えた首輪を付けたウツボ型メカニロイド――ウツボロスだ。 「愚かなレプリロイドは、どこまで頑張るのですかね。あっけなく死んだら、めーなのですよ?」 挙げた片手を断首台の刃のように降ろし、ウツボロスが身構え、シーアタッカー等が自身をかき抱いた。 横手に飛ぶエックス。身体を丸めたタツノオトシゴの少女達が、高速で横を抜けた。 回避する青い身体に、二人のウツボロスが一気に間合いを詰める。 黒い皮手袋をはめた手刀と、直線の拳がエックスを襲う。 漆黒の一閃を首を傾げて避けるが、右手のウツボロスが放つストレートがまともに腹部に当たった。 宙を自分の意思では無く飛ぶ少年。 初撃を損じたシーアタッカーが再度丸まり、独楽の様に吹き飛ぶエックスに体当たりを敢行する。 オクトパルドが会心の笑みを浮かべた。 追撃する5つの回転する裸の少女達――それが、エネルギーの火線に襲われる。 苦痛を噛み締めながら、エックスは不利な体勢でバスターを放ったのだ。 惜しむ事無く晒していた裸体の一つに穴が空き、爆発しながら落下するシーアタッカー。 連続する射撃が、デッキに存在する敵に向かう。 他のシーアタッカー等も、腕を吹き飛ばされ、脚が消失するなどの被害を受け、硬い甲板に打ち付けられた。 ウツボロスは逸早くジグザグに動きエネルギー弾を回避し、もう一人がオクトパルドを掴み上げ、後ろへ退がる。 106 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/13(金) 21 16 43.32 ID zwiiOXO20 損傷に身体をガクガクと振るわせるタツノトシゴが伏せるデッキに着地する。 「おなか、いたい……」 腹部を押さえるエックスは頭を屈め、横に薙がれた黒いブーツを避けた。 ウツボロスの回し蹴りが空を切り裂く。 瞬間的にバスターを放つが、翻る拳にオレンジの弾は打ち砕かれた。 両者の間で太陽のエネルギーが散らばる。エックスは後方へステップ。 メカニロイド特有である無表情な顔を持つ少女の踵が、甲板に穴を空けた。 「エックス!!」 高い声が背中に当たり、デッキから船内を通す扉から赤き少女が飛び出した。 アーマーをクワンガーに破壊されているので、水着の状態でこの戦場に躍り出る。 「あらら。これはゼロさんじゃありませんか。こんな所で、びっくりなのですよ?」 六本の触手を左右に揺らめかしながら、馬鹿にしたように口元を押さえるオクトパルド。 「白々しいんだよ、トリガーハッピー。団体を引き連れやがって……さっさと失せろ、サディスト野郎!!」 ウツボロスに身体を抱えられて挑発する少女に、ゼロは罵倒を吐いた。 エックスがこの隙に、ゼロの隣まで走る。 「――トリガーハッピーにサディスト野郎……0点、いやマイナス物なのですよ」 睨みつける赤きレプリロイドに、負けず劣らず目付きを険しくするイレギュラー。 ウツボロスの腕から飛び降り、赤と青に中指を立てる。 「言葉を慎め、薄汚い猫型レプリロイド!! お前から縊り殺してやるのDEATHよ!?」 海と空を震わす怒声と共に、旅船のデッキの上空に黒い影が集まる。 残りのヘリ――四機のハチ型ヘリだ。 「くっ………!」 呻くゼロと、腹部を押えるエックスに、オクトパルドの忠実なメカニロイドが降下する。 瞬く間にシーアタッカーとアングラーゲの集団に囲まれる二人。 122 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/13(金) 22 03 35.32 ID zwiiOXO20 「青いゴミのレプリロイドは嬲り殺しが、100点なのですよ」 アングラーゲ等のミサイルランチャーが二人に向けられ、シーアタッカーが体当たりを準備する。 「薄汚い猫には、お前がレプリロイドである前に、女である事を教えてやるのDEATHよ……!!」 「お前は一度AIのメンテを受けろ。自分が何を言ってるのか、解って無いだろ?」 オクトパルドの触手が怒りに震え、触手の先がその怒りをゼロに向ける。 揺らめく赤と、冷や汗を流す赤。 「自分の性別に絶望しながら、死ね!! それが貴様が生まれてきた『理由』だ!!」 オクトパルドの顔が戦いの興奮か愉悦に歪んだ。 「ゼロ!! 避け――」 「くたばれ、イレギュラー!!」 それに覆いかぶさる野太い声。 マズルフラッシュと轟音の嵐が吹き荒れる。列を成す銃弾が広範囲にばら撒かれた。 ゼロが出てきた扉から、ぞろぞろとハンター組織の隊員が編成を組みデッキに溢れる。 「お待たせしまして、申し訳ありません! 船内に居たイレギュラーを排除するのに手間取りまして」 黒一色のレプリロイドの一人がイレギュラーの集団に銃を放ちながら、声をあげる。 ボディから火花を連続的にあげるメカニロイド達。 撃ち抜かれるというよりは、削り取られる形でバタバタと機能を停止していった。 ハンターの一人が、背中から巨大な黒い筒を外し、空に向けて構える。 ロケットが煙の尻尾を引きながら、ハチ型ヘリ――ビーブレイダーに着弾。 自身を犠牲にして、空中で大きな花火を作りあげる。 イレギュラー集団は一気に押し込まれ、黒のレプリロイド達によって蹴散らされていく。 127 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/13(金) 22 08 07.11 ID zwiiOXO20 「………………?」 ゼロとエックスはお互い違和感を感じ、前方に眼を凝らす。 二人のウツボロスが前に立ち、迫りくる銃弾を拳で弾き飛ばしていく――その後方。 ――赤きベレーを被った少女が親指の爪を噛み、薬物中毒者のように自分の小柄な身体を震わしていた。 グリーンの両目には、自分の部下たちが殺戮されてゆく光景が映る。 「駄目なのですよ……隊長。私の部隊が助けを求めているのです……」 ウツボロスが鉄壁の壁として、オクトパルドに向かう銃弾を逸らす。 イレギュラーの集団は、もう数少ない。 「駄目……なのです。どうして、そちらの方を先に救出するのですか……」 操縦席から火を噴きながら、ハチ型のヘリが落下する。海に巨大な水柱。 「私たちが……」 ゼロとエックスの困惑の瞳に見つめられる少女の頭が俯き、幼い顔が泣き出しそうに歪んだ。 ――オクトパルドは『何処』を見ているのか。 「――私たちが、レプリロイドだからなのですか……?」 そして、俯いた顔が跳ね上げられた時には、狂気に引き歪む―――‘あの’笑顔があった。 「人間め! 人間め! 人間めぇぇぇ!!」 回転するウツボロスの両腕越しに、オクトパルドが力の限り吼えた。 「こいつ!! ………エックス!!」 経験豊富、そして卓越した技術を持つゼロの勘なのか、エックスを甲板に押し倒す。 「みんな死ねぇぇええええええええ!!」 エックスが見たのは、覆いかぶさるゼロの貧相な身体。 そして、その後方から、空を隠すかの様に扇状に広がるミサイル群。 連続して爆裂する衝撃と轟音にもまれながら、エックスは意識を失った。 160 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/13(金) 23 11 12.41 ID zwiiOXO20 ――どうして、自分達レプリロイドより弱い人間達を守らねばならないのですか 私が疑問を持ったのはいつ頃からだったのだろうか。 「んく……あふ………んんっ……は、はふぅ。……き、気持ちいいのですか……?」 四角く、狭い部屋。私たちの家――戦艦で慰安部員として使われた時から? 男性器に囲まれ、私は教えられた通り、『仲間』を奉仕する。 ニチャニチャと、いやらしい音を出す私の両手。 キスもした事が無い私の唇も、交接する器官でふさがれる。断続的に押し込まれ、喉が苦しい。 ――どうして、人間達を守らねばならないのですか ――私は頑張ってますよ? 人間を守って、イレギュラーと戦って、第6艦隊で一生懸命頑張ってるのですよ? 「………ビクビク……してますのですよ? ふふふ……まだ我慢しなきゃ、めーなのですよ」 教えられた言葉を紡ぐ。 「んにゅう……いっぱいなのですよ? こんなにお相手できて、私は嬉しいのです」 ――レプリロイドと云うだけで……どうして、こんなにも。 私の武装である触手のバックパックは剥ぎ取られ、衣服も破り捨てられてる。 気に入っていた白いパンツだけが、私の足に引っかかてるだけ。私の裸は『仲間』に余す事なく晒された。 「んちゅ……もう、出るのですか? くふぅん……私にちゃんと……はぁ……かけてくれなきゃ、0点なのですよ?」 男の人のモノから真っ白な液体が飛ぶ。人間の種。 顔に、胸へ、体中に大量の精液がかけられた。 「白い海に入ってるみたいです……100点満点ですよ?」 微笑み、私は心にも無い事を言い放つ。 いつから私は、こんな笑顔が上手になったのであろうか? ――妊娠しないからと言う。レプリロイドからと言う。どうしてなのですか? 私、悪い事しましたか? 162 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/13(金) 23 12 53.15 ID zwiiOXO20 「隊長! 私の部隊が……!」 「人間の部隊が先だ、オクトパルド。――お前の部隊はレプリロイドで構成されてるのだろう」 「隊長!?」 ――どうして? 「はやく救出を!! 向こうの部隊の被害はまだ軽微です!!」 「くどいな、オクトパルド。私は言ったぞ、お前もお前の部隊も‘レプリロイド’なのだろう」 ――レプリロイド? 助けを求めてるのですよ。悲鳴をあげてるのですよ。人間と同じように。 「やれやれ、損害は少なく済んだな。‘レプリロイド’は全滅したが、人間は20人救出」 「…………酷い。…………酷すぎるのですよ」 「僥倖だな」 ――私の名前を呼びながら、『仲間』は死んだのですよ? 「オクトパルド。第3部隊が呼んでいる――‘あれ’、だそうだ」 ――どうして、自分達レプリロイドより弱い人間達を守らねばならないのですか 私の携帯端末に、大規模なイレギュラー事件が発生したとの情報が入った。 ――レプリロイドのための世界を創造………そのための反乱 私は、あなたたちの道具じゃない。 私は自分を壊した――イレギュラーになるために。 私は人間なんか守らない。………こんなにも弱く、そして汚い人間など。
https://w.atwiki.jp/rockman_x/pages/39.html
ロックマン2 特殊武器 ステージ ボス 参考サイト ロックマン2 攻略・解析
https://w.atwiki.jp/rockman_x/pages/38.html
ロックマン3 特殊武器 ステージ ボス 参考サイト ロックマン3 攻略・解析